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1949/04/07 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 文部委員会 第16号
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1949/04/07 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 文部委員会 第16号

#1
第007回国会 文部委員会 第16号
昭和二十五年四月七日(金曜日)
    午後二時五分開議
 出席委員
   委員長 長野 長廣君
   理事 岡延右エ門君 理事 高木  章君
   理事 圓谷 光衞君 理事 水谷  昇君
   理事 若林 義孝君 理事 松本 七郎君
   理事 今野 武雄君
      淺香 忠雄君    木村 公平君
      佐藤 重遠君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 高瀬荘太郎君
 出席政府委員
        文部事務官
        (大臣官房総務
        課長)     森田  孝君
        文部事務官
        (初等中等教育
        局長)     稻田 清助君
        文部事務官
        (大学学術局
        長)      剱木 亨弘君
        文部事務官
        (調査普及局
        長)      辻田  力君
 委員外の出席者
        文部事務官
        (社会教育局社
        会教育施設課
        長)      山室 たみ君
       專  門  員 横田重左衞門君
    ―――――――――――――
四月一日
 教育予算増額の請願(仲内憲治君紹介)(第二
 〇五〇号)
 国宝飛騨国分寺本堂保存修理費国庫補助の請願
 (岡村利右衞門君紹介)(第二〇六四号)
 国宝金剛峯寺の建造物移転並びに修理費国庫補
 助の請願(星島二郎君外五名紹介)(第二〇八
 五号)
 本郷、岡田両村組合立中学校新設費国庫補助に
 関する請願(降旗徳弥君外一名紹介)(第二〇
 九二号)
 標準教育費法制定に関する請願(塚原俊郎君紹
 介)(第二一二一号)
 教職員の給與改訂並びに標準教育費法制定に関
 する請願(千葉三郎君紹介)(第二一六〇号)
同月六日
 功山寺仏殿の保存修理に関する請願(受田新吉
 君外一名紹介)(第二一六一号)
 国分寺第一小学校における二部制授業撤廃に関
 する請願(松本七郎君紹介)(第二一九六号)
 標準教育費法制定に関する請願(高木章君外五
 名紹介)(第二二〇一号)
 同(長野長廣君紹介)(第二二八三号)
の審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第六二号)(参議院送付)
 図書館法案(内閣提出第八七号)(参議院送
 付)
 文部行政に関する件
    ―――――――――――――
#2
○長野委員長 これより会議を開きます。
 図書館法案を議題といたします。質疑を続行いたします。今野武雄君。
#3
○今野委員 さきに第五国会で社会教育法案ができたときにも、私申したのでありますが、こういう法案ができましても、これに財政が伴わないならば、地方ではどうにもできないのだ。そしてその後いろいろな実情を見てみまするに、やはり各地ではいろいろと下からの力を盛り上げて、そしてこういう機運をつくらなければいけないということを言われますけれども、しかしながら実際問題としては、そういうことができないというのが実情であります。公民館を建てるにしても、図書館を建てるにしても、一現在地方財政の窮迫した際生きるか死ぬかというような生活の状態においては、とてもできないのであります。そこでそのときも財政上の問題について申しましたら、一次には財政上の措置も講ずるようにするというお話でありましたが、しかし今度その一部分として出て来たこの図書館法案を見まするに、これについてもやはり何らの財政的措置がなされいていない。しかも図書館員の資格というような問題についても、はつきりと資格を與えるようにしようというようなことでありまするが、しかしこれには再教育するための費用すら計上してない。そうするとこういうような法律をこしらえて、はたしていかなる効能があるかということです。これはもう非常に疑わしいものだといわざるを得ないわけです。その点について文部省としてはこういう法律ができたならば、一体どれだけのことができるか、これによつて何ができるかという点を、はつきりとひとつお答え願いたいと思います。
#4
○山室説明員 この図書館法案は、このたび多分公布実施せられるだろうということを予想いたしまして、予算をとることに努力をいたしたのでございますが、二十五年度予算で図書館のためにとることができましたのは、図書館職員講習会に要する経費といたしまして二十一万四千円また図書館職員養成所に要する経費といたしまして五十四万三千円とることができただけでございます。本年はこれでもりて図書館に関するいろいろな事業をまかつて行かなければならないのでございます。ですからこの法律が出ましても、二十五年度にはこれを行つて行く準備がございません。次の年度、二十六年度からは予算をとりまして、この法律の目的とするところを達成するように心がけたいと思つております。法案の二十條にも、公立図書館に関する補助そ、の他の援助に関する規定がございますので、この点を保持いたしまして、予算をとることに、できるだけの努力をいたして行きたいと思つております。
 それからこの法案がどういう効果があるかという御質問でございますが、社会教育の重要性は、いまさら申し上げるまでも、ございません。ことに社会教育におきまして図書館が果す役割というものは、非常に大きいと思います。それにただいままで法的の根拠がなかつたと申しますことは、その重要性を認めないということにもなるのではないかと思います。ことに昨年から実施せられております社会教育法の中にも、図書館及び博物館、これは社会教育の施設である、またそれについては單独法をつくるということがうたつてございます。昭和八年にでき、公布せられておりますところの図書館令は、すでに死んでいると言われております。そういうような事情でもあり、また先年来朝いたしました米国教育使節団も、公立図書館のことにつきましては、かなりきびしい報告あるいは勧告もしておりますような事情も考えまして、ぜひこの図書館法はつくりまして、図書館の今後の事案いよいよ強化し、発展もさせて行きたいと思いまして、それに私どもこの法を立案いたします際に、日本図書館協会を中心にする各界の人々の意見も聞いたのでございますが、その方々もこの法を非常に要望しておられることを知つたので、私どもも意を強くして、その成案のために努力したような次第でございます。
#5
○今野委員 ただいまの御説明の中で、実質的には職員の再教育、あるいは設立の補助等は二十六年度からということでありまするが、そうするとこの法律をつくつてその効果を実際に発揮するのは、二十六年度以後と言つても、大体において間違いないと思います。ところが附則の第六項によりますると、この法律施行後五年間に、司書または司書補の講習を受けた場合においては云々ということがあります。そうしますと、現在の職員は五年間にその資格をとらなければいけない。しかもその用意ができていない。実質上は二十六年度からだということになりますと、これはずいぶんおかしな話になるわけですが、その点、もしそうならば、ここのところは六年間とするか、あるいは何か別途にそういうような方法を講じなければならないのじやないかと思うのです。そこで職員の再教育について、どういう用意があつてこういうふうに五年間ときめたか、あるいはその履修すべき科目といつたようなものについても、図書館員としてどういうものを履修するかということについて、はつきりしているのかどうか、その点も疑わしいわけでありまするが、ひとつお答え願いたいと思います。
#6
○山室説明員 図書館職員養成のことにつきましては、本年度からそれを実施する用意が、ございましてただいまも申しましたように、金額はわずかに二十一万四千円ではございますけれども、着々準備を進めているような次第でございます。それからその講習教科課程等につきましては、先般来しきりにこれを研究いたしております。その科目を、もしお知りになりたいのでございますならば、たとえば図書館通論とか、図書館の実務とか、図書の選択法、目録法等々でございまして、こういう教科課程につきましても、鋭意研究いたしております。それからそれをどこで行うか、どういう方法でやるかというようなことにつきましても、ただいましきりに研究もし、折衝もしいるようなわけでございますから、講習については、今年からさつそく実行ができることと思つております。
#7
○今野委員 講習の件は了承いたしました。しかし今科目や何かについても鋭意研究中だというし、それから再教育はとにかく来年にならなければできぬ、補助も来年にならなければできぬ、こういうわけなんで、そうすると実際にまだこの法律を出すのは、少し早いのじやないか。非常に未熟である、こういう気がするわけでありますが、その点についてひとつ大臣からお答えを願いたいと思います。
#8
○高瀬国務大臣 図書館法の目的は、ただその点だけではないのでありまして、一般的に社会教育の一つの制度の重要な部分としまして、これが必要であり、これを基礎づけ、発展をさせて行く上からいつて図書館法というものが必要である。予算的な措置ということも、むろん必要なことでありまして、やりたい。そして将来むろん十分努力したいとは思いますが、図書館法の必要な点、またこれをつくる目的は、ただその点だけではありませんから、やはりできるだけ早くつくつておいて予算についてもそれを基礎にして十分の努力をしたい、こういう考えでおるわけであります。
#9
○今野委員 ではもう一言お伺いいたします。実は先ほども申したのですが――大臣はおられなかつたのですが、社会教育法をつくる時に、やはり予算がとれない、将来予算をとる、こういう話だつたのです。そうしてこの社会教育法を実施する上の一部分として、この図書館というものが出て来たと思うのです。そこでまだ予算はとれない、将来とるという、こういうふうにしで法律ばかりできて予算がとれぬ。こういう事態は、非常にアブノーマルなことではないかと思うのです。こういうことは、私どもとして絶対にないようにしなければいけない。そうしないと、やはり六・三制の問題でも、その問題で地方では大きな迷惑を招いているわけです。趣旨はいい、だんだんにやる、こういつても、一実際問題として、地方ではそのために困るということが出て来るわけであります。でありまするから、こういう場合にはぜひとも予算を添えて出すようにしていただきたいと思うのです。この間お伺いしたところでは、何かこれは非公式でありましたが、一年間に八千万円、四箇年継続で四億円とるのだ、こういうようなお話だつたようであります。ところがこういうものも、実際この次の予算になつてみなければ、どのくらいとれるのだか、さつぱりわからない。文部省は非常に弱腰で、そうしてこういう重要なことをやるのは、十分大蔵省を説得したり、何かすることができぬというような印象を受けるわけでありますが、その点大臣としては怠慢と考えないかどうか、ひとり最後にお伺いいたします。
#10
○高瀬国務大臣 確かに、こういうものをつくる場合に、必要な予算を添えて出すというのは必要なことであります。文部省も、ぜひともそうしたいということで、いろいろとやつたわけでありますが、やはり御承知のような二十五年度予算の状況におきましては、なかなか思うように行かない。それについて文部省が弱腰とか、文部大臣怠慢というようなお話もありましたが、こういう事実は、文部省だけではございません、ほかの省をごらんになりましても、たくさんあることであります。できるだけの努力をしなくちやならぬと思います。それはやつたつもりでおりますから、私は怠慢ということに当らないと思いますが、目的を達し得なかつた点は、はなはだ残念であるという点は、同感でありますから、今後は十分に努力をして行くつもりでおります。
#11
○松本(七)委員 ただいまの問題に関連するのですが、二十條の「その他必要な援助を行うことができる」というように最初なつておつたのが、参議院で修正されまして、ただいまの原案のように「必要な援助を行う」と、はつきり規定することには、われわれも大賛成なんです。ただ先ほどから問題になつておりますように、予算の裏づけがない法律案というものは、意味がないのじやないかというお話でしたが、これは必ずしもそうではないので、なるべくりつぱな法律案をつくつて、それによつてさらに予算を十分獲得するということも必要じやなかろうかと思います。その意味でこういうように強く援助を行うと打出したことには、われわれは賛成です。ただ先ほどからの政府の御答弁では、大体予算的な確保ができるのは二十六年度からだ、こういうお話だつた。しかしいやしくも立法機関でこういうように強い規定をきめたとすれば、やはり政府としても、その意図を体して、予算獲得にはできるだけ早い機会に、かつ多く獲得する努力はしていただく覚悟があろうと思う。そこで二十五年度に、何らか補正、あるいは追加というような形で予算獲得の努力をされる御意向かあるかどうか、この点を承つておきたいと思います。
#12
○高瀬国務大臣 参議院の修正は、今お話の通りでありまして、文部省の意向とも、むしろ合致する修正であります。先ほども申しましたように、二十五年度予算においても、ぜひともできるだけもう少し形のある予算にしたいというつもりで努力したことでありますから、今後ともそういう機会あるごとにむろん努力はいたして行きたいというつもりであります。
#13
○長野委員長 本案に対する質疑を終了するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○長野委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑は終了いなしました。
 これより討論に入ります。今野武雄君。
#15
○今野委員 この法案の内容を見ますると、いろいろともつともなことばかりなのであります。ことにこの法案をただ文部省だけでなしに、図書館協会その他の衆知を集めてこしらえたということに対しては、敬意を表するにやぶさかではないのであります。しかしながら今までずつとやつて来たところを見ても、何しろ文部省で出す法案というものは、いつも予算のないのが特徴なんです。こういうことでは、こういう法律というものは、決して條文がどうのこうのということではなく、その運用をどうするかという点が重要な問題です。その運用の一番もとになる予算がとれないような政府でもつて、はたしてこれを実行することができるかどうかということも、まことに疑わしい。というよりも、従来の新制中学、あるいは新制大学のことなどと照し合せてみても、まさにできないと断言した方が正当ではないかと考えるわけであります。従つて私どもは、ここでもつてこの法案を出すことに実は反対したい。政府としては、はつきりとこういう教育文化ということについて、もつと大きな覚悟をもつて、こういうことに力を入れてやるというなら、われわれも協力できない限りじやない。しかしながら、そうじやなくして、こういうようにちよびちよび出して、何か申訳的にやつておる。何かこういう法律もできておる、いかにも外国に対して、あるいは国内に対して、日本でもこういうりつぱな建前になつておるんだぞということを、ただ示さんがために、世を欺かんかために、こういう律法を出しておる、こういうようにしか客観的には考えられないわけであります。そういう意味で、私どもはこの法案を出すことに不賛成を唱えたい。従つてこの法案そのものにもやはり不賛成を唱えざるを得ないわけでございます。
 以上簡單でありまするが、私の討論を終ります。
#16
○長野委員長 今野君にお尋ねしますが、あなたはこれには反対ですか。
#17
○今野委員 その意味を表しました。
#18
○長野委員長 反対ですね。
#19
○今野委員 そうです。
#20
○長野委員長 次は圓谷光衞君。
#21
○圓谷委員 自由党を代表いたしまして本案に対する賛成の意見を申し上げます。
 文化国家建設の基礎か教育の振興にあることは、言をまたないことでありますが、この法案は、社会教育の一環として、昨二十四年法律第二百七号をもつて制定されました社会教育法の精神に基いて、図書館の設置及び運営に関しては必要な事項を定めて、その健全なる発達をはかり、もつて国民の教育、文化の発展に寄與することを目的として規定されております。よつてこの法案か一日も早く制定されることをこいねがつておつたのでありまするが、今回政府より提出されたことは、わが党としては全幅の賛意を表するものであります。共産党の諸君は、予算的措置がなくしてごの法律を出すことは、文部省に誠意かないということを言つでおりますが、それは法律を出しておいて、来るべき機会において予算をとることが妥当であると思うのであります。特にこの法案は、昭和二十三年において一応わが党においては予備審査をしたのでありますが、義務設置とせず、地方の自主性により実情に即して設置されること、それから社会教育の一環として一般公衆の利益に資する、一図書館の職員の制度を確立してもらいたい、また私立図書館を統制圧迫してもらうとは困る、というような問題を全面に取入れていただきまして、今回制定された図書館法は、まことに私どもの意を得たものと思うのであるます。よつてこれに大賛成をいたすものであります。
#22
○長野委員長 次は松本七郎君。
#23
○松本(七)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、賛成の意見を述べます。
 かつて質問いたしましたときに、文部大臣の提案理由の説明の中に、この法律は社会教育という面から考えられたいうことか述べられでおります。しかしわれわれとしては、この図書館法というようなものは、狭い社会教育というようなわくの中で考えられてはならない、もつと広い文化活動の観点に立つて、図書資料の形における広汎な民族文化の保存伝達、こういう仕事を担当すべきものであるという点から質問を申し上げたのですが、政府の答弁でも、そういう意味を含めて考えておるんだということがはつきりいたしました。今後この法律を運用するにあたつて、そういう観点に立たれんことを強く要望するわけであります。
 それから入館料の問題も、参議院の方の施行期日の修正がありましたので、この点もわれわれは滿足いたします。ただ先ほどから問題になつておりますように、予算的な裏づけがなければ、いかにりつぱな法律か出ましても、これは室文に終るおそれが多分にありますので、せつかく修正したこの補助規定を、ほんとうに生かすよう、政府の積極的な努力を期待いたしまして賛成するものであります。
#24
○長野委員長 これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#25
○長野委員長 起立多数。よつて原案の通り河決せられました。
 なお報告書の提出につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○長野委員長 それではさよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#27
○長野委員長 次に学校教育法の一部を改正する法律案(参議院送付)を議題といたします。質疑を許します。若林君。
#28
○若林委員 学校教育法の一部を改正する法律案について、二、三この法案にきわめて関係を濃厚に持ちます者の意見を申し述べて、当局の御答弁を願いたいと思うのであります。
 学校教育法の一部の「夜間において授業を行う課程又は特別の時期及び時間において授業を行う課程」というのを「夜間その他特別の時間又は時期において授業を行う課程(以下定時制の課程と称する。)というふうに改められることになつておりまして、高等学校の課程を、通常と定時制との二本建に表現をしておるのでありますけれども、教育法第四十四條のごとく通常課程、夜間課程、定時制課程の三本建に表現する方が、わが国の通念ともよく合致して、夜間と定時制とを合せて特に定時制としなければならないほどの理由は認められないというのでありますが、一これについて文部省といたしましての御意見を伺つておきたいと思います。
#29
○剱木政府委員 高等学校の課程を、普通の課程と定時制の課程と、二つにわける必要はないではないかという御質問であつたと思いざすが、特別の時期または時間において授業を行いますのは、土曜日とか日曜日を利用してやりますとか、あるいは特定の時間を利用してやるという課程でありまして、これはやはり通常の課程と区別した方がいいと考えるのであります。なお今まではいわゆる定時制と夜間制とを区別しておりましたけれども、最近実施いたしますにつきまして、夜間に授業を行う課程と、特別の時期及び時間に行います授業とを区別いたしますことは、実際は非常に困難でございますので、やはりこれを合せて定時制とするのがいいと考えまして、改正するわけであります。
#30
○若林委員 次に高等学校の修業年限は、大体今までは三年になつております。この改正案には四年以上とせられておるのでありますが、本案には單位制と学年制とを混同している矛盾かあるのでありまして、また夜間及び定時制課程の單位のとり方は、新制高等学校実施の手引に明示せられておりますごとく、実習関係教科の單位は、生徒の職場の現場作業も、学校の指導監督にあるのでありますから、必修実習單位の七割までを與えられることになつておりまして実業学校の実習一というものは二十四單位の七割まで、すなわち十七單位は職場の実習から與えることができるのであります。ほかに夜間課程は普通毎週二十四時間の授業をしておりますから、一年に二十四單位、三箇年に七十二單位をとることができるのであります。従つて職場單位を加えて三箇年に八十九單位は修得せられまして、卒業の八十五單位は修得できることになつておるのであります。なおこの夜間は晝間よりも気温が緩和せられるのでありますから、夜間課程の暑中休暇は短縮することができます。かりに三週間短縮したとするならば、それで二單位の修得ができ、三箇年でば六單位の修得が可能になります。ほかに日曜、体日等かありますので、三箇年では六單位の修得か可能になります。他の日曜、休日等の校外活動も、体育の單位時間に取入れられますから、これが三箇年には少くとも三單位になり、計九單位の修得が可能になります。すなわち夜間課程の生徒の中には。條件さえ恵まれれば三箇年に八十九單位と九單位、すなわち九十八單位の修得が可能であります。また現在新制大学では、晝夜とも四箇年で卒業せられますが、高等学校では晝間三箇年、夜間四箇年であることになれば、均衡上矛盾しておることになると思うのであります。以上の理由から、この関係者たちの考えは、現在のままの三箇年以上ということの方が妥当であるという説なのでありますが、当局の御見解を承りたいと思います。
#31
○剱木政府委員 御質問の中に、修業年限と單位制を混同して考えておると申されておりますが、新学制におきましては六・三・三・四制をとつて、修業年限ということが基礎的な考えの中にありまして、その就学の方法、履修の方法が單位制によるということになるわけであります。従つて單位がとれるから、一修業年限を短縮してもよいということにはならぬのでありまして、高等学校を卒業するについては、普通の課程においては、三年の課程を必要とするということになるのでございます。かりにむりをいたしますれば、二年で八十五單位の修得かできましても、それを二年以上とすべきだということにはならぬのでありまして、高等学校としては、一定の修業年限を延期する、それでいわゆる高等学校を三年ときめられたわけでございます。そこで夜間の課程を、前の改正前におきましては、修業年限は「三年を超えるものとすることができる」とありまして三年以上であれば、四年でも五年でもよい、こういうようにいたしておるのであります。しかしながらこのいわゆる成長期にあります青年学徒が、晝間勤労しながら、夜勉強するにつきましては、それを晝間において專心勉強しております者とまつたく同じような時間履修をやつて行くということは、これは一面青年の体力その他に非常に影響を及ぼしますので、たとい御質問になりましたように、あるいは相当夏休みをさいたり、日曜日をさいたり、そういうことをいたしまして、そうしてむりな教育をして」二年でできるから三年でもよいのではないかということでなしに、むしろそういう勤労青年を対象とする課程におきましては、少くとも四箇年かけて、そうして十分な教育をしてやるということの方が、正しいという考え方からもこれを四年にいたしたのでございます。ただ今御質問にもありましたように、この実習におきまして、職場実習を換算するとか、あるいは体育において日曜日等の実際の活動を單位に換算するとかいうのは、要するに生徒に対しまする過重なる單位を課することを、できるだけ救済するという意味でありまして、そういうことができるから、それで單位は三年でとれるじやないかという意味ではないのでございます。もし実際におきまして三年以上とするといたしましても、実際においては、大多数の学校正は四年以上をかけておるのでありまして、それがごくまれに單位が八十五單位とれるから、卒業を認めるべきたというような考え方でないのであります。やはり八十五單位を四箇年の学校教育、で行うということが、この新しい制度のねらいだと考えるのでありまして、その單位で、むりをして八十五單位で卒業するものがまれにあるだろうから。それで三年以上にすべきであるということではないと考えております。
#32
○若林委員 次に、第五十條の改正点であります。教育法の第五十條は高等学校の充実のために、「養護教諭、助教諭、技術職員、その他必要な職員を置くことができる。」と改正をせられるのでありますが、この改正案は、他にまだ重要な職分の追加が脱落しておるのではないか。すなわち高等学校設置基準の第十五條に、主事の職分が明示せられておるのであります。また新制高等学校実施の手引の中にも、ほぼ同様なことが指示せられておるのでありますが、これがこの改正案には盛られておりません。従つてこの改正案の中に主事をお加えになつておらないのに 疑問を持つものでありますが、この点どういう考えでありますかを伺つておきたい。
#33
○稻田政府委員 ただいまの御質問の点、主事の問題でございますが、お話にございましたように、各学校に主事を設置するようにお勧めいたしておるのでありますが、現状といたしましては、まだ、專任の主事を置くような段階に到達しておりませんので、ここに掲げておりまする教諭その他の方々の中から、主事の役目をやつていただくというような状況にあると考えております。その主事の職能その他につきましては、学校の編成について別の観点からまた法律を制定するような時機がございましたら、そういう場合に考慮いたしたいと考えております。この学校教育法に列記いたしておりまする職員は、いわゆる任命せられる根本になる職員でありまして、それに対していろいろな職務が補職とし加えられるのでございますが、学校教育法におきましては、その根本の職だけをここに並べたわけであります。
#34
○若林委員 最後に総括してお尋ねをいたしておきたいと思いますが、この学校教育法の一部を改正する法律案を立案せられるにあたりまして、関係者の御意見をどの程度お聞きになつたか。特に全国夜間高等学校教育連盟というものが嚴然としてあるのでありますが、そういう連盟の関係者の意見を聴取せられたことがありますかどうか、この点をひとつ……
#35
○稻田政府委員 ただいま御指摘の連盟については、役所の催しとして御相談の会議を聞いたことはなかつたかと思いますけれども、定時制高等学校の関係者に、定時制高等学校の種々の問題について御相談ずる機会、たとえば全国における研究集会の機会だとか、あるいは定時制高等学校に関する事務職員の会同とか、先年以来再々催しておりましたので、そうした機会において実際にこの教育に当つておられる方の意向は、相当私どもとしては承つておるつもりでございます。
#36
○若林委員 そういうただいまのお話で、従来文部省がいろいろなことを立案せられるにあたつて独自の立場から、專断に出ることなしに、各般の意見を中心として考えて行かれますることについては、私たちもかねてから敬意を表しておるのであります。なおこの委員会といたしましても、非常にその点、責任のやや軽きを覚えるというような感じであるので、この点本改正案は、どういう人たちの民主的ないわゆる御決定と言いますか、意向でありますかをはつきり伺つておきたい。
#37
○稻田政府委員 ただいまお答え申し上げましたごとく、研究集会あるいは事務協議会その他の機会におきまして、十分方々から御意向を承る機会を持つておつたわけであります。
#38
○今野委員 ただいまの若林さんの質問に関連するのでありますが、大体六・三・三・四の教育制度というものは、そういうようなわくを文部省でおきめになつて、ずつと実施されておる。ところがこれが財政上の問題とかいろいろな問題から、ほとんど効果がないということは、かえつていろいろな制度がきゆうくつになつて、教育の機会均等といつたようなものも、戰前より失われておるし、それからいろいろと前には、たとえば、極端なことを申しますれば、小学校五年から中学校に入つた者もあるし、また中学四年でも、相当の学力のある者は高等学校には当然入れるのです。――專門学校に入つた例はないかと思いますが、試験、検定とか、いろいろ独学者の便宜をはかつておられたわけであります。ところがそういうものも一切なくし、ことに地方や何かで村に高等学校を建てるというわけにも行かないものですから、新制中学校を出た者がそれ以上の勉強をしようどするとするための、村としての公の機関というものもなかなかできがたいという実情にもなつております。こういうわくをきゆうくつにはめるために、非常に教育を受ける機会というものがかえて失われているというふうに見えるわけであります。しかもそれに付随していろいろ実業教育なんかの面については、過般も論議が闘わされたわけでありますが、こういうこと全体に対して、文部省では、やはりこのわくをあくまでも形式的に押し進めて、その他のものを一切認めないという方針で進まれるお考えなのかどうか。そうじやなくて、もつと、各村々に中学校がありますが、その中学校の先生が、有為な青年たちを集めて教育する、それを私事ではなく、公のこととしてできるようなきまりをつくる気はないかどうか、その点をひとつお伺いします。
#39
○稻田政府委員 お話のごとく各種各様の学校をも学校制度として考えまする場合には、また反面いわゆる袋小路の学校となりまして、上級校へ進学、あるいは就職する場合に、不利益や不平等な取扱いを受けるということは、従来の学校制度におきましても、非常に問題となつておつたところであると考えます。新しい六・三・三・四の学校制度におきましては、進学、就職の機会均等を得しめるという意味におきまして、こういうような一律の学校制度を考えたわけでございまして、その学校教育を受けつつある間に、その中におきましては、それぞれの能力に応じて、それぞれ個性を伸ばして行くことを教育として努めて行く。しかしお話のように学校教育法第一條に掲げる六・三・三・四の学校だけではないのでありまして、そのほかに各種学校の設置はもとより、広く認めておるわけでございますから、この両方をあわせて考えまする場合には、お話のような事柄が実際において実現し得る道はあろうかと考えております。
#40
○今野委員 ただいまのお答えの中に、非常に――言葉じりをとるわけではないのですが、問題のところがある。これは従来もそうでありますが、明治
 の初めに学校制度がきまつたときから、何か大学というものが一番最高の学校で、そして高等学校はそれに至る、準備であり、中学校はそれに要る準備であり、小学校は中学校に入る準備である。こういうような考え方、これは一見一貫しているようでありますが、しかし大多数の国民は、そういうような課程をふむことはできないわけなのでございます。そういうようなことでやつておるために、各中学校を卒業したつて、中途半端でどうにもならないというようなことになり、そのために中等実業教育というものの振興も叫ばれて、たくさんの学校もできたというようなこともあるわけでございます。しかもそういう実業学校や專門学校が傍系の学校であるというようなことで、その教育に国として十分力を入れない、教科課程や、教科書などを見ても、中学校のそのままを少し簡略にして、そういうもので教える。あるいは大学を簡略にしたのを專門学校で教えるというような欠点があつたわけであります。しかし広く国民の教育として見た場合には、一人前の国民をつくることこそが、教育の眼目でなければならない。そうすれば、今のような進学、ことに大学への進学ということを最後の目標として、そうしてすべての教育をわくにはめて、そのほかは国家としてあまりかまわない、各種学校というようなところに一切合切投げ込んでしまうというようなことは、はなはだ時代錯誤と言わざるを得ないと思うのであります。そういう意味でもつと国民全体の、ことに大部分を占める人の教育を一体どう考えるか。大部分の人は、昔で言えば、高等小学校を出て、あるいは青年学校に行つたりなんかして、そして勤労に従事する。現在でも、やはりでき得るならば高等学校程度、あるいはそれに近い程度の教育を受けて、それで非常に健全なる国民としてやつて行けるようにしなければいけないと思うのであります。その点についてひとつ文部大臣としては一体どういうふうにそういう教育政策を考えておられるか、お伺いします。
#41
○高瀬国務大臣 今の御意見についてでありますが、やはり教育をするについては、いろいろ年齢の関係もあり、また研究のいろいろな順序もあり、いろいろな点から、一つのある專門的研究を完了するまでの過程というものはあると思うのであります。それに基いて一応の教育体系としうものかできているので、これはあらゆる国において、そうして多分ソビエトにおいてもそうだろうと私は考えております。しかしそれだけでは足りな。そういし成規の順序を経た教育という以外に、やはりそうでない特殊な人が、十分勉強のできる教育をやれるようにしなければいかぬ。この点については、私も同感であります。そういう点についてはむろん文部省もできるだけ努力はいたしております。勤労青年等、あるいはその他職場にある人たちも、勉強しようと思えば、できるようにしなければならぬということで、できるだけの便宜は與えなければならぬ。大学についても夜学もやるというようなことは、そういう趣旨でありますし、また大学について正規の学生だけでなく、聴講生等を入れて勉強のできるようにもしたいということで、御趣旨のほどはむろん了解してやつておるつもりであります。ただ大学を出なければ研究が十分できないのだ、大学を出たから偉いのだ、こういうような考えは、やはり封建的な誤つた考えだと思います。日本には今までそういう考えが相当強かつたと思います。これは打破しなけれぱならぬ。それもだんだんにできて行くかと思います。そうすれば今野さんの言われるように、ただ順序をふんで大学を出なければならぬというようなことでなく、実力を持つている者ならいいということになると思うのであります。そういう方法についてできるだけの便宜を與えるようにしたいという考えでやつておるわけであります。
#42
○今野委員 先ほど御質問いたしたのでありますが、ともかく六・三・三・四こういう系統ですね。これでもつて行く人というものは、何百万という中のまた何方という、ごくわずかのものになつてしまう。しかもその大部分は中途でやめるということになるわけです。そうすると、その中途でやめるものが国民の大部分に当るので、教育政策の根本というものは、やはりそこのところにある線をはつきりしなければならないと思います。それを六・三というところで引くのか、あるいは六・三・三というところで引くのか、あるいはもつと別な考え方があるのか、そこのところは非常に大きい問題ですけれども、その点をひとつ示していただきたい。特別な能力のある人を養のうことも、もちろん大切ですけれども、そうじやなくて一般国民の教育として、一人前の国民の教育として、どこいらのところに線を引くか、そうしてそこまでは何とかして、あらゆる手段を盡して実現させたい、こういう線をひとつはつきりさせていただきたいと思います。
#43
○高瀬国務大臣 六・三・三の六・三までは義務教育ですから、当然全部が教育を受けるようにしなくちやならぬということは明らかであります。その上になりますと、むろん理想をいえば、六・三・三までを義務教育に持つて行きたいという考えを、私は持つておるわけでありますが、これは財政の関係もありますからそんな簡單にじきできるとは思いませんが、やはり理想としては、六・三・三くらいまでは義務教育で行けるようにしたいと私は希望するわけです。その意味から言えば、六・三、その上の三までは、まあ今まで六年の義務教育で、その上に高等小学校があつた、青年学校があつた、それで義務教育ではないけれども、大部分の者がそういうことをやつてるというような程度に、ぜひ持つて行きたいものだということを、まず考えております。その上になりますと、これは生活の問題、仕事の問題と関連して、実際問題としてて幾らよけいにやらぜようとしても、非常に困難な事情にあると思つております。特殊な人たちが自分の家庭でやるとか、休暇に勉強するとか、それから特殊な時間をつくつてやるということなら、できるかもしれませんけれども、普通の状態においてやるということは、なかなかむずかしくなつて来るのじやないか、自然どうしても数は少くなると私は思うのです。そういう人たちの知的なレベルを上げ、道徳的なレベルを上げて行くことは、やはり必要なので、その場合には、学校で先生から習うというような方向でなくてもやはり読書の時間をつくらせるとか、読書を奬励するとか、あるいは講演会というようなもので奬励して行くとか、あるいは映画だとかラヂオだとかそういうような手段をもつて、やはり同じような教育的効果を上げるという方向へ行くよりほか、ないのじやないかと私は考えておるわけであります。
#44
○今野委員 たいへん御丁寧なお答えをいただいたのですが、実際おつしやる通り、六・三の上が問題なのであります。ここに今年六・三制の卒業生はずいぶん出て来ておる。地方に行つてみると、これから一体どうしたらいいのかということで、非常に気に病んで、いるわけであります。できるなら何とかしてこれを教育して、曲りなりでもけつこうだから教育して、相当な程度まで持つて行ぎたい。なぜならば、ちようど満十五歳くらいでありますから、非常にいろいろな影響を受けやすいときであります。また勉強せよというならば、非常に喜んでするときであります。であるから、できるならば、もう二、三年何とかして教育したい、こういうことは各地方であるわけであります。これは個人の思いつきとか何とかいつたような問題でなく、全国の問題であろう、そういうふうに考えられるわけであります。ところが、一方高等学校を出ると、なるほどこれは先生の方からいつても、何からいつてもむずかしい、それを圓谷さんでしたか、先ほど補習学校とかいろいろなことを申されました。何かそういうものをつくつて、ちようど短期大学をつくつたと同じ趣旨で、そのことをやつてそうしてこれを補つて行く方法はないか。これはもうすぐ次の時代を背負う人たちになるのでありまして、このことは日本の将来にとつて、非常に重大な問題だろうと考えるわけであります。この点をくれぐれもひとつ何とかしてやられる道を開いていただきたいと要望して、私の質問を終ります。
#45
○長野委員長 質疑を終了するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○長野委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑は終了いたします。
 これより討論に入ります。今野君。
#47
○今野委員 今回の改正は非常に義務的なところが多いように見られますが、しかし学校教育法の改正としては、六・三・三・四のあのわくをそのまま守るという意味では、非常に不十分な改正であると思うのであります。現在新制中学の卒業生の就職難とか、そういう人たちをどうしたらいいかということが、非常に大きな問題になつておる際に、政府としてはもう少し根本的な改正をやらなければいけなかつたのではないかと考えるわけであります。しかしその点は今は譲りましても、各種学校についての改正規定がございます。この規定は一見事務上のことのように見えて、実は非常に強く各種学校に対して影響するところがあるのであります。実際の教育行政を各地方でやつておる様子を見ましても、こういうものをちやんとやるだけの用意はも予算からいつても、人員からいつても、ないということは、東京都の例を調べただけでありますが明らかであります。そうすれば、こういうような規定は、ある特殊なものを目ざして、その特殊のものを鎭圧するためにこしらえたということにしか見えないわけです。なぜならば、全般的にやることは、とてもできないわけですから、そうするとこういう規定を設けたのは、ある特定の学校等に対して、何か鎭圧するような措置であると見られるわけであります。最近に至りまして、教育界において昔と同じように、赤の先生がどうのこうのとか、赤い連中がどうのこうのというような言葉がどんどん言われるようになり、一学問の自由さえも阻害されるような傾向が出て来ておる。そういうことと照し合せて考えてみまするに、これは教育を促進するものじやなくして、かえつて自由な教育を鎭圧する目的に使われやすいし、またそれのためにこういう條項を改正したのではないかとすら見られるわけです。その意味で私どもといたしましては、この改正案には反対せざるを得ないわけでございます。
 以上簡單に意見を申し述べました。
#48
○長野委員長 水谷君。
#49
○水谷(昇)委員 私は自由党を代表いたしまして学校教育法の一部を改正する法律案に対して、賛意を表したいと思います。
 本案は、従来学校教育に規定のなかつた大学の名誉教授に関する規定を新たに設け、また高等学校の定時制課程及び各種学校に関する規定を整備する必要等により、改正したものであります。具体的に言えば、名誉教授は、従来は官公立の学校についてだけ單行の勅令で規定されてあつたものを、この際これを称号として広く国立、私立の大学において、一定の要件に該当する者に対して、一当該大学の定めるところに従つて使用できることにしたこと。それから高等学校においては、定時制課程の定義を明確にし、従来の夜間課程を包含させも修業年限を一般の場合は三年、定時制の場合は四年以上と定めたほか、必要に応じて養護教諭、助教諭、及び技術職員を置くことができるようにするなどの所要の改正をしたこと。第三には各種学校については、当該教育を行めにつき、他の法律に特別の規定のあるものを各種学校の範囲から除くこととし、その定義を明確化するとともに、認可を受けていない事実上の各種学校を、学校教育法の規定によらしめることについて改正したのでありますから、いずれも妥当で、あると考えるのであります。よつてわが党は本案に賛成するものであります。
#50
○長野委員長 松本君。
#51
○松本(七)委員 私は社会党を代表いたしまして、三つの要望事項を付して本案に賛成の意見を述べたいと思います。第一は、ちようど大学に教授会があるように、高等学校以下の学校にも、職員会議を設置すべきであると思うのであります。この点につきましては、買問を申し上げましたときに、文部省の方では、事実上次官通牒でもつてそういうふうな運営をしておる、従つてその法制化については、いずれこの法律の本格的な改正をする場合に譲りたい、こういうお話でありました。これはわれわれとしては、なるべく早い機会に本格的な改正を企てていただいて、そのときにぜひこれを法制化するようにお願いしたいと思います。第二は、高等学校に養護教諭、助教諭、技術職員を置くことができるごとになつておりますが、その中の養護教諭は、小学校、中学校と同じように、高等学校においてもこれを置かなければならないように義務づけてもらわなければならない。これについては、養成機関か完備しておらないというような理由をあげておられたようですが、これをやはり法律にはつきり義務づけると同時に、養成機関の充実にも、もつと努力していただきたい。第三点は、幼稚園に助教諭、養護教諭を設置する規定を明確にしていただきたい。以上三つの点と、本格的な改正をなるべく早くやつていただきたいという要望を付しまして賛成するものであります。
#52
○長野委員長 これにて討論は終局いたしました。採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#53
○長野委員長 起立多数。よつて原案の通り可決せられました。なお報告書の提出につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○長野委員長 それではさように決定いたしました。
    ―――――――――――――
#55
○長野委員長 この際お諮りいたします。教育行政に関する件を議題とし、週日本委員会として視察を行いました九段学生会館の視察報告を求めたいと任じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○長野委員長 御異議なしと認めます。若林義孝君。
#57
○若林委員 去る三月二十二日に、文部委員会を代表いたしまして、若林義孝、小林信一、今野武雄の各委員並びに横田專門員、大中臣調査員の五名は、東京学生会館における学生の生活状況並びに同会館の施設その他の実情の視察調査を行つたのでありました。その結果の一概要を御報告いたします。
 場所は東京都千代田区代官町二番地で、旧近衛歩兵連隊が使用せるところの建物であります。学生会館の概要といたしましては、学生の宿舎難を緩和するために設置したものでありまして、現在設けられておりますものは、東京学生会館が昭和二十一年、金沢学生会館が昭和二十二年、京都学生会館が三十三年、名古屋学生会館が二十四年の四館があるのであります。
 次に学生会館の経営内容を見まするのに、この会館の管理経営は、財団法人の学徒援護会が行つて、おるのであります。経営の費用につきましては、昨年度は国家より学徒援護会に補助いたしました。額は一千万円でありました。そのうち学生会館へ援護会より補助した金は三十六万五千円でありまして、今年度は一千五百万円のうち十八万円であります。
 第三に、東京学生会館の運営内容を申し上げます。管理経営は前述のごとく学徒援護会で行つておるのでありますが、運営はすべて在館学生の自治にゆだねられておるのであります。
 この学生の自治的運営の内容に関して、今回観察及び調査いたしました東京学生会館について、説明及び報告を申し上げます。
 まず自治組織の概要については、東京学生会館の收容能力は、六百二十名であります。それは東京都内にある官公私立の大学、高等並びに專門学校五十九校のそれぞれの学校の学生の一定数を選んで入館させておるのであります。これら六百二十名の在館学生のうちから自治委員八名を選出してこの自治委員が会館の学生生活の一切の運営の責任者となつております。
 自治的運賃なるがゆえに、学徒援護会より補助せられる全額以外、学生会館の経営に関する費用は、自主的に負担しておるのであります。その方法として左のごとき協同組合を組織しております。
 協同組合はい、食堂部、職長が一名と従業員が十二名、喫茶部が職長一名と従業員が二名、雑貨部は喫茶部が経営しております。洗濯部、これは委託経常であります。理髪部も委託経営であります。
 四といたしまして、東京学生会館の設備は、(い)といたしまして部屋の数が三人室、五人室、八人室の三種にわかれております。(ろ)といたしまして、部屋の模様は二階式、壁に取付の木で組んだベッドかありまして、室の両側に固定をいたしております。備品といたしましては、共同利用の机、げた箱があります。汚損はなはだしく、天井の破損、雨漏りのところが多く、窓ガラス、ドア等の破損もひどく、これらのすべては修理費のないために放置してある現状でありまして、非衛生、不潔の感を強く受けるのであります。(は)といたしまして、読書室があるのでありますが、窓ガラス等その他の破損部分が多く、暖房設備の不完備のために、一見物置のごとき感を呈しております。(に)といたしまして、食堂設備でありますが、旧軍部の設備をそのまま使用しておりますが、用水の設備等きわめて不完備であります。(ほ)といたしまして、図書室でありますが、図書の整理はよく行われておりますが、図書費の不足のために良書がきわめて乏しいのであります。
 五といたしまして、東京の学生会館運営に関する費用の点でありますが、(い)館費といたしまして、一人当り月百二十円、現在の人員が五百六十名でありますので六万七千二百円でまかなつておるわけであります。(ろ)として、家賃は五十一万二千八百七十円、これは昭和二十二、二十三年の両年度であります。二十四年度は二十九万四千六百七十円になつております。(は)といたしまして、電気料は昨年十月までは月一万円、昨年十一月以来超過分に対する超過料、罰金が過重のため今日に至ります超過料は支拂い不能の状態であります。従つて今後この上壷気料が値上げされた場合には、非常に支拂いに困難を生ずると思うのであります。それから(に)といたしまして、一人の食費でありますが、一人一日百円の見当であります。(ほ)といたしまして、協同組合事業收入というものが若干あるのであります。(へ)といたしまして、以上のほかに、さつきの学徒援護会よりの補助金十八万円。これによつてもほぼ明らかになりますように、会館運営に要する費用はまつたく困窮の状況にあることが知れるのであります。
 六といたしまして、在館学生のアルバイトの状況を申しますと、学生の内職あつせんその他学生の生活相談に応ずるため、学生相談所が学徒援護会の手によつて置かれておるのであります。この相談所のあつせんによる在館学生の内職の状況は、最近ますます就職率が低下する一方で、在館学生のほとんど全部の求職に対して、就職し得る者はわずかに十名内外という状態であります。
 視察の結論として申しますと、この視察並びに調査の概要によりまして、われわれはこの調査の事的を達するため、また在館学生との懇談会を開いて、学生のこの会館生活における希望や意見をも聴取いたしたのであります。それらの結果をも総合してここに今回の視察並びに調査の結論を簡單に述べることにいたします。
 一といたしまして、貧困学生による学生会館の自治的経営が費用の不足のために、施設及び生活環境が破損し汚損して、きわめて荒廃の状態にあることを認めたのでありまして、もし他に比べるものを求めますならば、おそらく今日やかましく言われておりますからよくなつたと思うのでありますが、いわゆる刑務所の牢獄――名前が不適当だと思いますけれども、そのような感じを持つのであります。これらの状態を改善するためには、補助金その他、何らかの方策を講じてやる必要を認めたのであります。
 二といたしまして、この荒廃せる環境の中で生活する学生の健康状態もまた考慮すべきものと思うので、衛生設備または医療施設を完備する必要を認めております。
 三といたしまして、図書室の図書の整理はきわめて良好であつたが、学生として有すべき研究及び勉学の意欲を滿たすに足る良書が少かつたのは遺憾であります。
 しかしこれも貧困なる学生の自治的経営の現状では、十分なる図書の購入も困難であると思われるので、この点にも考慮してやる必要を感じたのであります。
 四といたしまして、天井その他建築物の破損は、特にはなはだしかつたが、これは補助金その他の方法で、急速に修理してやる必要を認めたのであります。
 五といたしまして、最後に在館学生の態度、心構え等について遺憾に思い、かつ今後彼らに希望をしたい点といたしましでは、(い)といたしまして、彼らは現在の環境を自発的に打開しようとする努力心が、やや稀薄のように、感ぜられたのであります。(ろ)といたしまして、貧困を理由として、社会にやや甘える傾向にあるのではないかとも感ぜられたのであります。右について一、二の例をあげてみますと、居室の整頓状況でありますが、各自のベッドはきわめて整頓をしてありましても、共同に使用する室内の机、げた箱、床等は、どろとちり等で不潔そのものであり、歯みがき粉、食器等が乱雑をきわめ、土足ぐつがテーブルの上に放置してあつたりするのであります。医学部の学生の室は比較的よく整つておるのでありますが、他の学生に言わせると、整頓された室の主は命があるからだといつて、彼らみずからには、いささかも自己を省みる態度がないように感ぜられるのであります。金がなくても、ちよつとの努力だけで整えらねる室内をすら、金がないということで事済ます気風をはたはだ遺憾に感ぜられたのであります。
 要するに、学生自体に生活に対する教養を望むことをここにつけ加えまして、われわれの調査の結果の希望を述べて報告を終る次第であります。すなわちそれはこの結論で、すでに各條項で申し述べましたように、この希望を達成させて完全なる施設を與えて、将来文化的な学生会館を全国的に設置し、真に文化国家建設に貢献する青年、文化人を育成するためにその生活環境を整えてやりたいと思うのであります。そのために現在の学生会館をモデルとして、まずそれを完成して、次に――東京に今は一箇所よりありませんが、第二、第三の学生会館の建設をいたしたいと思うのでありますが、現在の学生会館をながめますとはなはだ遺憾であるということに盡きざるを得ないのであかます。大体私の主観が濃厚なのでありますけれども、今野君がこちらへ御出席になつておりますから、足らざるところをひとつ補つていただき、なおこれをもととして、文部当局からいろいろな御所見を伺つて、本委員会といたしまして学究の道を歩む者が、その生活といういばらの道に足を踏み込んでおります学生たちが、命がけで研究の方に專心できて、いたずらに生活自身に心を痛めないで済むことができ得ますよう、いろいろ予算的関係はありますけれども、予算を最大に生かして、ひとたびこの学生会館に足を踏み入れるならば、逆に天国を思わずというように気分を與えてやりたいということを念願いたしまして、私の報告を終りたいと思います。
#58
○今野委員 私も若林さんと一緒に参つたものでございますが、大体今御報告になつた通りでございます。特に貧困の程度のはなはだしさはひどいのでありまして、アルバイトを割り当てられても、それに行くための電車賃がない。そのためにアルバイし相談所で電車賃まで貸してやらなければならな
 い、こういうような始末であります。それから毎日々々の食事を満足にとることすらもできぬ、こういう者も多数にある状態であります。それからなお建物等について申しますれば、これはさつき言われたように、汚損かはなはだしいばかりでなくして、若い学生が集まれば、どうしても朝とか夕方いろいろ運動などをした、いわけでありますが、そういう道具がない。道具がないどころか、二、の隣に運動場があつてすぐ飛び出せばいいのが、そこが住宅の連中の運動場になつて区民の用に供せちれておるために、そこでは学生は何もできないというような状態であります。そういう意味でも、非常にきゆうくつな思いをしているわけです。そういう次第ですから、従つて普通私たちが学生生活を送りましたころの寮の生活なども、やはり汚いこととかその他は相当ありました。しかしそれでもまだ朗らかなところかあつた。ところが今度は、部屋はまつ暗だし、それから寝台の上で勉強しなければならない。しかもそれが八人もこうして勉強するんだから、たとえばその中で話し合う者があれば、他の者が勉強を妨げられるというような状況でもあり、いろいろお互いにくふうはしておりますけれども、とてもどうにもしようがないということが一言で言えると思うのです。この点最近各地に、できる学生会館は、新築のためにかなりいいものができるそうでありますが、しかし初めにできた九段の学生会館があのままで放置されておるのは、非常に気の毒です。これに管財局ではやはり相当な家賃を取立てるということになりますと、それはもうとても拂えない。現に拂つておらないようです。それから電気料も拂えないというので、さつき言つたように抑えないような状況になつて来ております。でありますから、何とかひとつ手を打つていただきたい、こういうふうに考える次第であります。
#59
○長野委員長 若林君の報告に関連質問の申出がありましたのでこれを許します。淺香忠雄君。
#60
○淺香委員 先ほど若林委員から、種種御報告がありましたが私はこれに関連いたしまして、高瀬文部大臣に質問をいたしたいと思うのであります。過日来新聞に児童の給食問題がしばしぱ報ぜられておりますが、その後この給食問題も一向話を伺わぬのであります。その後先方へいろいろ折衝していただいておるということも漏れ承つておりますので、その後の経過をひとつお伺いいたしたいと思います。
#61
○稻田政府委員 ただいま御質問にございましたように、給食につきまして今度主食を加えて行くという問題につきまして、急速に実施いたしたいと考えまして、いろいろ関係方面と折衝いたしておるようなわけでございます。まだ具体的に、その点につきまして国会に御説明申し上げるような段取りに立ち至つておらないのでございます。
#62
○淺香委員 大体の見通しはわかりませんか。
#63
○稻田政府委員 ちよつと速記をやめていただきたいのですが……
#64
○長野委員長 では速記をやめて……
    〔速記中止〕
#65
○長野委員長 速記を始めて……
#66
○若林委員 先ほど私の報告しましたことは、そのままの報告でありますが、文部大臣が見えておられますので、このことについて、ひとつお考えを承つておきたいと思うのです。文部大臣は御就任になつて以来、各所に教育行政の立場からお顔をお出しになつております。特に一昨日でありましたか、入学式に子供たちに取巻かれた、あの厚生政務次官と一緒の写真などは、まことにひからびた世の中に、何とも言えないあたたかい空気を送られておるのでありまして、いろいろな写真が新聞に発表されますけれども、特に私たちうれしく思つておるのであります。二十一年に為の学生会館がつくられたのでありますが、文部大臣の御就任は昨年でありますが、御視察、御激励になつたことがございますでしようか、それをひとつ承つておきたいと思います。
#67
○高瀬国務大臣 学生会館につきましては、一始終心配はいたしております。そしてあれは学徒援護会の関係でできておるのでありますが、学徒援護会のおもなる方々、またそれを後援される実業界の方々等の会合はたびたびやりまして、出て話を聞いたり、お願いをしたりしておりますが、実際に学生会館は遺憾ながらまだ行つて見ておりません。今お話のありましたように、いろいろ実際に苦しい、困難な状況にあるということは、話を聞ていよいよ知つておりますので、こういう時代でありますか、不幸な環境にある学生の勉学のために、何とかして改善をいたしたいと考えて、努力はしておるつもりであります。しかしまだ実際には見ておりませんので、お話を伺つて非常に参考になつたのであります。
#68
○若林委員 いろいろのことを伺いたいと思いましたけれども、時間もありませんから、やめますが、私たちも、文部委員の一人といたしましてこの学生の生活を見守りつつある一人といたしまして、この間まであれに足を踏み入れなかつたということに、自責の念を持つております。これは私も相当しやべる口を持つておりますけれども、このことに関してすらすらと言葉は出て来ないのであります。百聞は一見にしかずと申しますから、一度――今までも文部大臣は各所へお出かけになつておりまして、すべてのものを激励せられますし、御指導になつておられますそのお心持に甘えまして、お願いをするのでありますが、時間は、自動車でお運びになりますと、行くのに十分かかりません。ごらんになるのにも、効果的に見れば、一時間もあれば十分だと思うのでありますが、早急に、あとう限り早い時間におきまして、あの学生の生活をひとつ見てやつていただきたい。開学式その他で、御祝辞をお読みになることも必要でありますが、私はそれ以上、ひとつ文部大臣があの場所に踏み入れてやつていただいて、何ものをかなぐり捨てても、何とかひとつ一輪の花でもさし添えてやつて、彼らにあたたか味を與えてやりたいという気持に、どなたでも、あそこべ踏み入れたならばなると思うのでありまして、四、五人の行つて参りました者だけが結論を出すのには、あまりに事は大切な、重要なものじやないかと思うのであります。学生の思想がよくなるのも悪くなるのも、この学生会館の改善にあるというような気持でおるのでありますから、学生生活課長もおいでを願つておるのでありますけれども、いろいろのことをここでお聞きするよりも、ひとつあれに踏み入れていただいて、あれをよくするためにはどうしたらよいかということを御懇談でもする機会を得て、一日も早く明るい会館にしてやりたいと思うのでありまして、これを切にお願いしておきたいと思います。
#69
○長野委員長 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時四十七分散会
     ――――◇―――――
    〔参照〕
 図書館法案に関する報告書
 学校教育法の一部を改正する法律案に関する報告書
    〔都合により別冊附録に掲載〕
ソース: 国立国会図書館
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