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1947/08/26 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第12号
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1947/08/26 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 農林委員会 第12号

#1
第001回国会 農林委員会 第12号
  付託事件
○農地調整法の改正に關する陳情(第
 一號)
○物價是正及び肥料、作業衣、ゴム底
 足袋配給に關する陳情(第十號)
○農業保險法の改正に關する陳情(第
 十三號)
○農業復興運動に關する陳情(第十四
 號)
○水利組合費賦課に關する陳情(第二
 十二號)
○食料品配給公團法案(内閣送付)
○油糧配給公團法案(内閣送付)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第四十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第五十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第六十一號)
○薪炭生産のあい路打開に關する陳情
 (第六十二號)
○茶業振興に關する陳情(第六十三
 號)
○農業用電力料金の引下げ及び換地處
 分經費の全額國庫助成等に關する陳
 情(第六十七號)
○東北及び新潟地方の特殊事情に立脚
 せる食糧供出對策改善に關する陳情
 (第六十八號)
○農林省所管の治山治水事業の一部移
 管反對に關する陳情(第七十號)
○農地委員會の經費を全額國庫負擔と
 することに關する陳情(第七十三
 號)
○林道飯田、赤石線開設に關する請願
 (第十七號)
○主食需給計畫の根本的改革に關する
 陳情(第七十四號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第七十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第七十七號)
○農業會の農業技術者給與を國庫負擔
 とすることに關する陳情(第八十
 號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第八十四號)
○愛知縣豐川沿岸農業水利事業經費を
 國庫負擔とすることに關する陳情
 (第八十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十一號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第九十七號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百二號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百五號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百九號)
○蠶繭の増産に關する陳情(第百十五
 號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第百十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百十九號)
○飼料配給公團法案(内閣送付)
○農業協同組合法案(内閣送付)
○農業協同組合法案の制定に伴う農業
 團體の整理等に關する法律案(内閣
 送付)
○函館營林局の管轄區域に關する請願
 (第五十四號)
○藥用人參試驗場設置に關する請願
 (第六十六號)
○米價改訂に關する陳情(第百二十八
 號)
○民有林野制度の確立に關する陳情
 (第百三十號)
○養蠶協同組合法の制定に關する陳情
 (第百三十一號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百三十三號)
○開拓者資金融進に關する陳情(第百
 三十八號)
○米穀供出に對する報奬制度の廢止竝
 びに肥料の配給に關する陳情(第百
 四十九號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百五十號)
○遲配主食の價格に關する陳情(第百
 五十二號)
○岩手縣下の三農業用水改良事業を國
 營とすることに關する請願(第八十
 八號)
○福島縣安達郡大山村内の開墾事業を
 中止することに關する請願(第九十
 五號)
○北海道てん菜糖業の保護政策確立に
 關する陳情(第百二號)
○薪炭の價格に關する陳情(第百六十
 二號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百六十三號)
○食料品配給公團法に關する陳情(第
 百七十六號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第百八十七號)
○農業會の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百八十八號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第百九十二號)
○市營競馬の施行に關する陳情(第二
 百二號)
○北海道開拓事業に關する陳情(第二
 百七號)
○岩手山ろく國營開發事業に關する陳
 情(第二百九號)
○農作物の「榮養週期栽培法」の普及
 實施に關する陳情(第二百十三號)
○農業會の農業技術者給與國庫補助に
 關する陳情(第二百二十號)
○未墾地の開拓事業に關する陳情(第
 二百二十二號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年八月二十六日(水曜日)
   午後一時四十八分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○農業協同組合法案
○農業協同組合法案の制定に伴う農業
 團體の整備等に關する法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(楠見義男君) それでは只今から農林委員會を開催いたします。
 本日は農業協同組合法案及び農業協同組合法の制定に伴う農業團體の整理等に關する法律案、この二つの法律案について、先ず農林大臣から提案趣旨の御説明を伺い、次いで質疑に入りたいと思います。
#3
○國務大臣(平野力三君) 農業協同組合法案及びこれの施行に伴う農業團體の整理等に關する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げたいと思います。
 農村の民主化と農業生産力の發展を期しまするために、農業團體制度を根本的に刷新し、農民の自主的な協同組織の確立助長を圖りますことは、農地改革と竝んで農業及び農村に對する基本政策といたすものでございます。農地改革は申すまでもなく我が國農業をして低位な生産の段階に止まらしめ、その近代化への途を妨げておりました土地制度を根本的に改革いたしまして、農地の所有、分配、利用の關係を合理化することによつて農業の近代化と、その社會的生産力の發展の途を開こうとしたものでありまして、著實に進行を見ておる次第でございます。併しながらこの農地改革の實施を以て直ちに農業の近代化を招來し、農村の民主化成れりとすることは決してできないのであります。このためには耕作農民の利益が民主的に且つ正當に代表せられますと共に、農業經營の實際におきまして、我が國農業の零細經營から來る不利益を補い、協同の力によつて經營の合理化、生産性の向上を圖つて參ることが緊要となつて參るのであります。貿易再開後において、我が國の農業は海外から少からざる影響を受け、又依然として農業の生産性が低位なままに止まりますならば、農産物の相對的高値によつて經濟全般を支持する上に困難を來すことは豫想せられるのでございます。勿論私は一部に唱えられておりますように、いわゆる農業恐慌なるものが直ちに農村に襲來いたしまして、昭和の初年にありましたような状態が再び起るであろうというような見解については、違つた見解を持つておるのでございますが、併しながら農業が國土の資源を最高度に使つて國民扶養力を増大しますと共に、優れた外國農業との競爭關係におきましても、強く伸びて行きますためにも、全般に亙つて勞力をしなければならないと思うのであります。
 かかる意味におきまして協同組合は農業經營のあらゆる分野につきまして刷新改善を圖り、資材等窮屈な事情にありますけれども、新たなる農民の熱と努力によつて新生面を開いて行かなければならないと信ずるのであります。
 以下兩法案の主要なる内容についてその概要を申上げたいと思います。
 先ず農業協同組合法について申上げますならば、その第一は、自由の原則であります。農民協同組合の設立、地區及び組合員の加入、脱退等はすべて自由であります。これは從來の農業團體がややもすれば政府の農業に對する統制政策によつてその自主性が妨げられ、組合員の意思による組合の自由なる發展に遺憾がありましたのと違つて、農民自身の立場に立つてその正當な發展を期するということにいたしたのでございます。
 その第二點は、農民の團體としての組合における農民の主體制の確立であります。即ち從來の農村におきましては、實際に耕作しておる農民以外の勢力が支配的であつたが故に、農業團體の事業におきましても、非農民的利益によつて指導せられ、從つて農民團體の中心課題であるべき生産過程の協同というような仕事の進まなかつた理由の一半も、これに基ずくと考えられるのでございます。かかる意味におきまして本法案におきましては、組合の運營に參加する組合員の資格を農民に限つたのであります。併し反面農村の實情と農業協同組合の事業は、農村の生活分野をも蔽う性質のものでありますので、農民以外の者でも加入は認めたのでございます。
 その第三點は、組合が農業生産協同體であるという趣旨に基ずいて、生産に關する事業の強化を圖つた點であります。從來生産關係の事業は、流通部面に比べますととかく閑却された傾きがありますが、今後の要請といたしましては生産過程の合理化によつて生産力の増進を圖ることは極めて重要でありまして、これを行うことなくしては、組合活動も效果的ではなく、新たなる協同組合運動の目的を達することができないと思うのであります。かような意味におきまして本法案におきましては土地の開發、水利の管理、農作業の協同化に關する施設、農村工業等が組合事業の對象であることを明記いたしておるのであります。固よりこのことは法律上に規定を設けておるというだけで目的を達するわけのものではありませんので、ここに導き、これを助長することが農村對策として努むべき重要なる方策と考えておる次第でございます。
 第四は、組合の自主性尊重の立場から組合に對する行政廰の監督權を一定範圍内に制限した點であります。本案におきましては、組合設立に對する認可はこれを形式的審査をなすに止め、苟くも法規に適合し、且つ正當なる手續を經て結成せられました組合は、行政官廰においてすべて認可をしなければならんこととしておるのであります。この點は從來と全然違つておりまして、農民の自由なる意思と判斷に任せらるることになりますと同時に、結果も又農民自身の責任に歸するのでございます。農民諸君に對しまして私共が深い自覺を切望しなければならない點はここにあるのであります。
 次に農業協同組合法の施行に伴う農業團體の整理等に關する法律案についてその大體を申上げます。この法律案は農業協同組合法の施行に伴いまして、從來の農業會、農事實行組合、養蠶實行組合等の團體の圓滿且つ速かな解體を行い、新たなる農業協同組合の健全なる發展を期するための措置に關するものでございます。その要點を申上げますると、先ず第一は、既存の農業會は協同組合法施行後八ヶ月以内に解散せねばならんのであります。これは比較的短い期間でありますけれども、農業會におきましては事務の處理上やや困難が伴うものと考えられるのでございますけれども、自由なる協同組織に對して高まつております農村の意氣込みに頼みまして、又現下の環境等において農業會を長く存續いたさせますということは、種々なる關係から好ましくありませんので、そこで速かなる解散の措置を取つたような次第でございます。
 第二は、農業會の財産を協同組合に引繼ぐ措置を採つた點であります。農業會がなんらかの方法によりましてそのまま農業協同組合となるということは、新らしい協同組合の精神を没却することになりますので、これは認めないのであります。併し多年に亙つて組合運動の結果として蓄積されておりまするところの農業會の財産を農業協同組合に引繼ぐということは當然必要でありまするので、これに對する措置を講じたのでございます。それから農業會の財産は各會員に對して公平に分配せらるるわけでありますが、現農業會の會員は、多くは新らしい組合の會員となるのでありますから、協同組合はその組合員が舊農業會に對して持つておりまするところの權利の割合に應じて、農業會の財産を引繼ぐことを要求することができるようにいたしておるのであります。
 以上簡單でありまするが、兩法案の主要なる内容について申上げた次第であります。詳細は御質問によつて御答えすることといたしまして、以上の點について何率愼重審議の上速かに協贊あらんことを切望する次第でございます。
#4
○委員長(楠見義男君) 只今から質疑に入りたいと思います。羽生さん。
#5
○羽生三七君 提出された農業協同組合法案の個々の事項につきましては後に讓ることにいたしまして、一般的の原則問題について御所見を伺いたいと思うのであります。
 先ず第一番に、今の提案理由の御説明にありましたように、この協同組合法案が出された根本的な理由は、結局從來等閑に付せられておつた農業の生産面における新らしい改善の途を開くということが、根本眼目なのであります。確かに從來の農業會を中心とする農政指導というものが極めて非農民的な要素に多くを支配されて、實際農家が要求しております生産への改善は殆んど手を觸れること極めて少かつたというのが實情であります。その結果、農業會がいわゆる食糧供給等の下請團體になつたり、或いは農業會の技術員がそういう問題に狂奔して、且つ農業會自身はそういう人件費を賄うために、殆んど汲々として生産農家自體の生活解放の遂につきましては、極めて觸れるところが少かつたと思います。この意味におきまして、本法案が提案されたことは、つまり新らしい農業生産體制を切り開いて行く意味におきまして、大いに歡迎するところでありますけれども、ここにお尋ねしたいことは、先頃私は開拓法の審議の際にも大臣にお尋ね申上げましたが、そのことと丁度同じ關聯性を持つ問題として、もう一度お尋ねして見たいと思うのであります。つまり先程の提案理由の御説明の中には、日本の農業が將來貿易等によつて新らしい危機を含むというようなことは、少くとも昔のような形で再現されるとは思わないと説かれておると思うのであります。確かに私共も農業恐慌が今直ちに日本に襲來するというような短兵急な考え方は持つておりません。併し若し我が國が新らしく再建國家として發足して行こうという場合におきましては、世界的な貿易水準にまで我が國の農産物價格が引下げられない限り、日本の工業全體の發展はあり得ないと信じておる次第であります。今現在日本の圓と外國の貨幣とがどの程度に換算されておるかということは知りませんけれども、少くとも現在の段階で、今日はアメリカの好意によりまして放出食糧という形で援助を受けておるのでありますが、長くこの援助に頼ることはできない、やがて若し今日の管理貿易が解放されて、自由貿易の時代が來ました場合において、若し現在のような形で輸入が行われましたならば、恐らく私は日本の農産物價格と外國の農産物價格とでは到底バランスが取れないと思うのであります。固より私はそれが直ぐ來るとは申しません。これは大臣もお説きになつた通りに直ぐ來るとは思いませんが、少くとも農業協同組合法ができまして、新たに農業協同組合らしい施策を若し農家自身が取るといたしましたならば、少くとも將來外國から入つて來るであろう農業物價格と同等の生産價格で日本の農業生産物が生産されなかつた限りにおきましては、農家も沒落するし、又同時に日本の世界貿易への參加ということも殆んど不可能だと思うのであります。この意味におきまして私は今直ぐ世界的な日本の農業恐慌が襲來するとは思いませんけれども、このことは極めて重要であることと信じますので、少くとも農業協同組合が今後新らしい發足をする限りにおきましては、この點について確乎たる一つの見通しのない限りにおきましては、恐らく農家が今後農業協同組合を作つて、これを進めて行く上におきましても、多くの迷いを生ずると思うのであります。單に自給自足で國内だけで賄つて行くというような考え方でおりましたならば、依然として私は少くとも農家の生産條件の改善というようなものは遅々として進まないと思うのであります。短兵急な恐慌論もこれはどうかと思いますけれども、少くとも先程申上げましたように、將來のそういう農産物價格競爭に對應するだけの素地を今日農村の中に作らなければならない。そういう意味で農業協同組合が進められなければならないと思うのであります。そういう角度からこの農業協同組合法案を見まするときに、例えば先程提案理由の御説明の中にありました農事の改革と極めてこれは密接な關係を持つことになるし、又その密接な關係を持たなければ、本法案の目的の半ばは失われると思うのでありますが、少くとも農業の協同化を促進したり、或いは近代化を促進したり、或いは新らしい機械や科學的ものを導入して行く場合におきましては、どうしても農地の協同化に或る程度、途を開かなければならないと思うのであります。これは、今度の農地法で多少その萠芽的なものが示されておりますけれども、この點につきましては農業の協同化の基礎的な條件をなす農地の協同的な利用につきまして、當局がどういうようなお考えを持つておられるか、この點をはつきり承わりたいと思うのであります。尚この法案は、從來の農業會等に採られた政策と違いまして、全く提案理由の中にありましたように、農家の自發的な創造的な意思に待つより外にないのでありますけれども、併しこれに對しまして何らかの援助なり、或いは指導というものがどの程度の形で認められるか、全く放任されたところの、農家自身の自發的な發意に待つより外に途はないのか、或いは又從來の補助政策、多年日本の農業を支配して來たこの補助政策というものは、單に價格とか災害等の問題でありましたけれども、少くとも農業協同組合法の本來の目的が、農業の生産條件の改善を目的とする限りにおきましては、そういう農業生産への途を開く意味におきまして、どの程度の援助をされるお考えを持つておられるか、この點を伺いたいと思うのであります。尚もう一つこれは我々自身の希望でありますけれども、少くともこの農業協同組合法が施行されて來ます場合に、先程の提案理由にあつたように、結局農家の自發的な創意に待つ以外に途はないわけでありますけれども、農村の中に優れた指導者も必ずおると思います。隅から隅まで痒い所に手の届くような、お説教じみた從來の官廳的支配が、この農業協同組合に採られるとは思いませんし、又そういうことはよくないと思いますが、この場合、そういう農村の中にあつて、協同化の優れた道を示し、或いはそういう科學的な農業經營方法の方式を導入するような、そういう先覺的な分子が、從來の官廳的な指導に代る新らしい一つの農業への道を開かなければならないと確信しておるわれでありますので、いずれにいたしましても、問題はそういう農業協同化の道が開かれる場合に、そういう農業協同施設に對して、新たなる改善の施設に對して、政府はどういう意味の援助をなされるのであるか、この問題と、先程申上げました少くとも世界的な貿易水準と同等の生産費で日本の農業生産物が生産されない限り、日本の農民の解放ということは絶對にあり得ない、又同時に日本の工業化の道もあり得ないと確信いたしますので、この邊の關係を承わりたいと思つております。あとまだお尋ねしたいことがありますが、後刻に讓りまして、この二點について當局の御意見を伺いたいと思います。
#6
○國務大臣(平野力三君) 將來日本の農産物が世界の農産物の價格の水準とどういう關係を保つであろうかという問題は、實際にこれを頭に描きますことは、相當これは困難な問題と思うのであります。併しこの際私共がどうしてもなさなければならないことは、農村の民主化と、これに伴う農業の生産力を昂揚することによつて、日本の農業生産物のコストを低めて、將來世界の農業水準の上に日本の農業というものが正しくあるということだけは、至上命令として行わなければならんと私は確信するものなのであります。この點において先刻提案の理由にも申上げましたように先ず農地改革を行うことによつて、いわゆる農村の封建性の打破ということを先ず土地の制度の改革面から行う。今囘の農業協同組合法によつて、農業の協同による生産力の向上、こういうことを圖つて、今後假りに五年なら五年の計畫によつて、日本農業を再編成いたしますならば、その場合には世界農業の水準の上に日本の農村は立派に立ち行くのである。又立ち行かなければならない。こういう信念の上に私共は日本農村を見て行きたい。これが大體この法案を提案し、又私共が考えておる農業政策の基調であります。從つて第一の御質問に對しては大體以上の考えによつて參りたい。然らば今後はさような意味において、この法案を運用する上において政府はどういう指導をするのであろうかという點でありますが、これは固より御指摘に相成りましたようにあくまで農村の民主的なる自主的なる立場を尊重しての協同組合でありますので、從來政府が取つておりましたような監督、監督というような考え方を持つた指導というような面は殆んどこれをなくして行く、併し監督という面を餘り強くして行くのではないが、指導という立場は固より忘れることはできない。例えば協同組合を作りまして、この協同組合が生産面において能率を上げる點においては先ず家畜導入であるとか、農村の機械化であるとか、或いは農村の電化であるとか、或いは施肥の改善であるとか、耕作方法の改良、こういうような面に關しましては農林省といたしましては十分協同組合を指導して行くところの任務があるのであります。現にこの點におきましては日本農業を基盤とするところの機械化はどういう機械を以てすることが一番有利とするかというような點については、すでに我々は試驗場において相當研究の歩を進め、又日本農業の經營方法につきましても、それぞれの調査機關を持つており、農村の電化ということにも十分これの檢討を加えておるのでありまして、かような面におきましては固より十分指導をする、又指導しなければならない。けれどもその團體自體に從來のような監督的ないわゆる一つの權力的な立場からその組合を左右するというようなことは、嚴に戒しめて行かなければならない。從つて協同組合は政治運動であるとか、或いは營利を對象にするという運動は一切これを排除して、農村のいわゆる自主的なる生産團體としてこれが發展向上を圖るというような形に、これを指導せんとするものであります。以上お答えいたします。
#7
○羽生三七君 それに關聯してでありますが、例えばそういういわゆる監督というようなものを伴わない親切なる指導が行われるわけでありますが、その場合若しこの農業協同組合が成立して、或る特定の農業協同組合というものが何らかの、新らしい農業の協同化の施設をしようとしたり、或いはそういう意味の計畫を樹つた場合においては、政府は豫算等における援助というものがあるかどうか、これを伺いたいと思うのであります。
#8
○國務大臣(平野力三君) 現在この協同組合自體も、今おつしやつたような費用は餘り澤山ない。それは大體事務費に止まつておりますが、別の角度において先刻申上げましたように、機械であるとか或いは家畜の導入であるとか、或いはその協同組合が副業的の施設をするというような、いわゆる施設に國が補助をする、こういうものを相當擴充して行きたい。現在その豫算の一部は取つておるものもありますが、將來は協同組合の發展と共に、相當計畫的なる豫算を持つて指導するようにして行きたい。援助して行きたいと思います。
#9
○板野勝次君 大體農業協同組合法案の持つておる官僚的な、地主的な性格が排除されて、耕作農民によりまする自主的な農業協同組合が結成されて行くという可能性ができたという點については、非常に進歩的なもので贊意を表するものであります。處が現在まで政府が採つておりまする自作農を創設して行くという方向や、それから富農主義的な政策に基ずいてこの法律が運營されて行きますと、貧農の經濟的な、社會的な地位の向上と、そしてそれを可能にするところの農業經營の協同化というものが十分には保障されるということにならないので、從つて富農のへゲモニーによります農業協同組合が發生して行くという方向に向う危險性が多分にあるのではないか。そのために農業生産力の全面的な増進というものが、結局は期待されずに、例えば第一條の法律の目的というふうなものでさえも、單なる法律作文化してしまつている、次第にそれから第一條以下の諸條項にも、何ら協同經營化の方向を保障するという積極規定がないので、その限りにおいてはこの法律案というものが又不十分だと思うのですが、そういう積極規定が設けられなければ空文化してしまうのではないかということが考えられるのであります。その點に對する大臣の見解をお伺いしたいことが一つと、第二は從來までの土地改革の實施というものが極めて不徹底でありまして、農村にはまだ地主の勢力が殘存して、或いは一町歩耕作地主として殘存したり、或いは三町歩所有の地主的な富農として、或いは山林、原野、牧草地の所有者として、中農や貧農が壓迫されて、而も現在の不合理な供出の制度や、同時に又最近パリテイ・システムに依つて計算されつつある農産物價格におきましても、未だに眞に農民の勞働力の價値を都會の工産品に對して正當に評價する、特殊の勞働力に對して正當に評價する、こういうことが行われていないし、又闇とインフレによりまする工業製品との鋏状價格差がますます甚だしくなつて行くという下におきましては、中農や貧農がますます收奪されて行く誠に困つた状態になつて行つておる現在の農村におきましては、こういうふうな法律が施行されましまも、それによつて十分民主的な農民的な協同組合というのは實に實現するのが困難なのではなかろうかという危惧を持つのであります。その一例として昨年十二月實施されました農地委員會の選擧の結果を見ましても、農地委員會の會長に地主は約四割二分を占めて、小作は二割七分の當選率でありまするが、この農地委員會がますます現状では反動化して參りまして、地主による土地取上げが實に盛んに行われておる。こういうような現状の下においては極めてこれらの實績から考えて見ましても、現状のままで何らの保護手段が講ぜられなかつたならば、協同組合がうまく農民的に結成されて行くということは困難だと思うのです。そういう例えば農産物と都會の工産品との價格の問題、いわゆる農村の農業勞働力の適正なる價値の問題更に供出制度を改正するとか、地主による土地取上げ等に對する積極的な改善の意圖があるかどうかということをお伺いしたいのが第二番目と、それから第三番目には、この農業協同組合法の制定に伴う農業團體の整理等に關する法律案の一に、財産の處分の場合におきまして、今までの農業會の財産というものには非農民的な要素を含んだものが相當多かつたのでありまするが、從つてこれを解散いたしまする場合に、この持分に應じて分割しましたならば、幾ら多くの協同組合ができても、從來の農業組合がただ名前が變つただけになるのではならないだろうか、こういう危惧がありますので、これに對する明快なる御答辯を願いたいと存ずるのであります。
#10
○國務大臣(平野力三君) 御指摘のように依然として農村における比較的富農の地位がまだ貧農よりは強い、こういう點は相當見受けられるところも多いと思います。併し私の見るところによりますると、今日の農村においては最早特に富農、貧農というような分け方よりは、大體耕作農民、鍬を持つて耕作をする農民、これが農村の殆んど主流をなして參つて來ておるのでありまして、この點から申しますると、ところによつては御指摘のようなところも大體ありますが、大まかに見ますならば、農村の民主化ということが相當に徹底して參りまして、いわゆる封建的地主の勢力というものは打破せられておる、かように考えておりますので、この協同組合法案が實行される點においてしかく不便ではない。固より一部においてはいわゆる地主が中心となつて前の農業會を燒き直したものというようなものができるということは、これは固よりあり得ることでありましようが、そういうものが大勢ではなくして、これからできる協同組合はあくまで耕作農民が中心であるところの組合、こういうことに行けるものであると私は考えておるのであります。
 第二點の土地改革の不徹底でありますが、これは御指摘のように、尚小作制度というものが一地方部において殘存するということは、改革の面において相當不徹底であると私も思つております。併しこれは一應農地改革の方向というものは定まつたのでありまして、最早耕作する者が土地を所有する、小作料を取るが故に村において自分がえらいのである。小作地を多く持つ者がえらいのであるということは、農村においては根柢からこれを拂われておるのでありますから、農地改革が理論的に又實際的に不徹底の點は認めますが、この段階において農業協同組合法を進めて行くということは、私は現在において時宜に適したものである、かように考えておるのであります。
 第三點の財産の問題についても同樣でありまして、固より財産を多く所有しておる者は農村において地主階級であるといよことは、當當言えるのでありますが、これが新たなる農業協同組合に引繼がれるときには、その組合の形は從來の農業會的なものとは、大體において組合の指導力というものが一掃されて、あくまでその役員の上において、あくまでその組合の本旨において、耕作農民が中心であるとかいう建前ら、この財産は然るべく分配をせられて協同組合に引繼がれて、あなたの御心配のような點は起り得ない。むしろ財産の處分において起り得る問題は、この財産が適當に農業協業組合に移行されずして、極めて不自然な形においてこれが撤布されて農業の力にならないという點において、大いにこれを心配して行くものでありますが、これが引繼がれたものが彼等の勢力關係において甚だしく不合理であるという點においては、私はしかくは考えておらないのであります。
#11
○木下源吾君 大切な組合法なんで、二、三お伺いして置きます。耕作農民が組合の主格でありますが、今の土地を何ぼか保有しておる地主、これはどうなるか、それを一つお聽かせ願いたい。
 それから土地改革の行われました最初から、一貫して農業政策として協同組合が考えられておつたのかどうかということであります。それはこういうことでお尋ねしたいと思うのでありますが、協同生産を主眼とする以上は、農民である故に土地の條件がそれに適應することが正しいと思うのであります。然るに日本の土地改革において現在行われておる實情のように、零細所有農民、耕作農民が非常に殖えておる。これは面積の挾い耕作地を持つて個々に獨立はしておりまするが、結局においてその性格が排他的になつておる。そういうことが土地改革において現實に現われておるのは、この協同化するということへの方針とは或る點において矛盾するんではないか。若しこれが一貫せる土地改革の政策の一環として協同組合が考えられるならば、直ちにこの土地の條件というものに對しても、明確なる方針が立てられなければならんと考えますが、その點はいかがですか。
 それから實際協同組合の設立に當りまして、只今も他から指摘されたように、既存の勢力を何というとも農村には強い。この既存の勢力を排除するためにどういうような實際的に指導をするのかを考えられておらん。最早地主的の勢力が薄らいで來たということになりますが、併しながら半面において農村の資本的勢力は決して衰えてはおらない。そこでこのような壓迫から解放されるためには、私の考としてはどうしてもこれと關聯を持つその他の組織をもやはり協同組合化という方向に持つて行かなければならんのではないか。從來産業組合がこういうような精神で來ておりましたけれども、これが發達を見なかつたのは、要するに大なる資本的の力によつてやはり大きな壓迫を蒙つておつたのでありまして、これらのような大資本をもつともつと大きな資本の力を排除するためには、やはり組織においてこれを完全にしなければならんと思うのであります。農業協同組合を意表あらしめるためには、爾餘の生産、或いは消費という方面においても、同時にかかる方針の下に一貫せる國の方針が立ち、そうして實行されなければならんと考えておりますが、この點についても御所見を聽きたいのであります。まあそれだけをお伺いして、又次の機會に個々の具體的なものについて伺いたいと思います。
#12
○國務大臣(平野力三君) 組合員の資格は單なる地主、つまりみずからは何ら耕作せずして、小作地のみ所有して小作料のみを取得する。こういう意味の地主というものは資格はないのでありますが、地主である半面においてみずからも耕作する、これは耕作農民でありますので、明確に組合員たる資格を有するのであります。
 それから現在日本の農業形態が非常に零細經營であつて、むしろ反撥せる状況にあるものを、無理に協同化するという點においては無理がないか、こういう御質問でありますが、この點誠に御尤もでありますが、ここに我々の考えますところの協同組合というものは非常に不自然な、無理でも何でも押し切つて、ただ協同であればいいというような指導方法を採るのではないのでありまして、土地は大體において零細ではありまするが、これが將來自作農となる、その自作農となつておのおの土地を所有する者が、その土地所有の面においては自分の所有である、誰の所有であるという面において相當所有の限界を明らかにいたしまするが、その他の農業の經營面においては當然或る一つの機械を共同で使う、或る一つの機械を作つて、これを共同で利用する、こういうような面においては、すでに協同の精神も相當發展しておることでありますからして、現實この協同組合制度を制定いたしましても、協同の精神を我々が農村に植え込んで行くというようなことは、木下さんの御心配のような點は非常に少かろう、かように私は考えておるのであります。
 第三の、この法案には組合の既在の勢力を排除する規定がないのであつて、依然としてできた協同組合が既存勢力の指導下にある、これでは大體この法案の趣意には副わんではないかというような意味と思つたのでありますが、この點私はかように思うのであります。この組合が自由の原則を採つておるのでありますから、假りに第一歩のできた組合において既存の勢力の強いような組合があつても、それは順次耕作農民がその協同組合の中心となつて進展する途上において、當然排除せらるべきものであつて、無理に法律の條文の中に既存の勢力はいけないとか、或いはどうとかいうことに明記すること自體が、やはり農民の自由主義、自由的なところを尊重せざることに相或るので、私としましてはこれらの問題は農村の燃え上がる自然的な民主化ということと共に解決せらるべきものであると考えるのであります。同時に又ここに考えたいと思いますことは、既存の勢力、既存の勢力といいますが、何を以て既存の勢力と言うか、地主の土地の所有權というものが殆んど縮小せられて、地主であるという立場においては、もはや何らの農村における優越感もないが、併しその人自身が非常に社會公共のために立派な思想を持ち、その人自體が地主であつてもやはり農民として相當なる指導的な人格、指導的な能力、指導的なるところの經歴、こういうものがある者は、やはり依然としてその協同組合のいわゆる中におつたからというて、それを無下に排斥すべき性質のものではないのであつて、これらの點を極めて公平、極めて明るいあるがままの、現在の日本の農村の實態の上から燃え上がる私は協同組合の姿でいいと思うのでありますから、木下君の御心配のような點はないと思います。
 それからこの協同組合は固より單に協同組合だけではなく、その他のいわゆる團體とも流通はいたすのでありまして、農業の生産の部面に重點を置くことは勿論でありますが、消費部面等におきましても、農業協同組合がその組合の職能を相当發揮するということは、當然考えてよろしいと思います。
#13
○北村一男君 先刻農林大臣の御説明で、本法は第一に、自由の原則を尊重しておるという御説明がございまして、これは誠に結構なことと考えますが、只今農村の實情からいたしまして、大體一町村一協同組合というような空氣に動きつつあるようでございまするが、又私らの聞いたり見たりいたしました中には、少數の協同組合ができる傾向がないではございません。そういたしますると財産の分割の請求とか、或いは狹い區域に幾つもできるということは、却つて協同の精神にそぐわない點があるのではないかと考えられるのでございまするが、この法案に對して經過的な、二年とか三年、まあ例えて申しまするならば、二、三年というような期間を限りまして、一町村一協同組合というような經過的の規定を設けて、この自由の原則とか或いは農民の自主性の確立、その他の法案の目的を農民一般に訓練をやる、こういうような措置をお取りになる御考えはございませんが、それをお伺いしたいのでございます。
 それから第二の點としましては、これは實際今解體に直面しておる農業會で困つておる問題でございまするが、土地改革の結果、相當面積が國家の所有となりまして、この國有になりました土地から賦課金が徴收できないという實情につき當りまして、非常に困難をいたしておる農業會がございまするが、これに對して政府としては何か御措置をお取りになるお考えはないか、この二點についてお伺いしたしと思います。
#14
○國務大臣(平野力三君) 農林省といたしましては、大體一町村一協同組合ということになることが望ましいと思い、又さような方向に行くものであると我々は考えておるのであります。併し御指摘のようにこの法案にそういうことを明確にするということは、それはできない。と申しますのは、假に一つより作れないということを假定いたしますると、これは自由の原則に反するのであつて、どんな惡い協同組合があつても、それが容易に改正をされることがない、つまり一つの組合が一町村にあることは理想であるが、假に惡いものができれば、又別な組合ができて、その中の眞に協同の精神に則るいい組合であれば、自然にその方に移る、假に四つできましても、その中の一番いいものか一番最後に殘る。こういうふうになつて行きまして、ここに規定しないところにむしろこの法案の妙味があると思います。併し理想といたしまして、將來結局一町村組合ということになるものと我々は考えておるのであります。
 それから第二の土地改革によつて、從來地主に課しておつた賦課金が課せられないから困る、こういう問題は當然あるのでありますが、この問題は別個の角度において、かような財政上の問題は解決すべきものであつて、賦課金が掛けられないからという理由に下に、現在の土地改革を變更したり取止めるということはできない状況にあるのであります。
#15
○北村一男君 私は土地改革を取止めてくれということでなしに、國家としてそういう賦課金に對して御處置を取られるお考えはないかということをお尋ねしておるのです。
#16
○政府委員(山添利作君) 農地改革におきましては、國が土地を買いますと、直ぐ樣これを農民の方に賣るのが原則であります。御指摘のような場合は極めて稀な場合、即ち國が相當期間保有しておるという場合きり起らないわけでございます。併し或る期間國が保有しておるというような場合におきましても、その賦課等につきましては、それぞれ前後繼續して適當に措置をするように指導をいたしたい。この點については租税等については法律上措置を取ることにいたしておりまするが、農業會の賦課金等におきましてもそれに準じまして措置をとるようにいたしたいと思います。この關係は自作農創設特別措置法の改正案をこの國會において御審議を願うことになつております。そこに書いてあるわけであります。結局掛ける時に、大體土地を政府が買いまして、賣る間に時間がありますけれども、原則としては買つた時に遡つて賣るという方法を取つております。これはいろいろこ會計上の都合等もございまして、そういう措置を取つておりますのが原則でありますので、絶えずそこに國家以外の私人たる土地の所有者がある。これはもう大部分原則的になつております。然らざる場合には中間的に、それも一年を超さない期間國が持つておるという場合があるのであります。この場合の負擔を誰がするか、前の所有者が拂つておれば、その相當期間分を今度は政府から土地を買つた人が經過分を拂うというような措置を取つて行くことにいたしておるわけであります。
#17
○山崎恒君 我々農民といたしましては、終戰後において農業協同組合法案の一日も早からんことを希望しておつたのであります。何となれば過去におけるところの農業會が、最近におきまして非常にあらゆる角度から怨嗟の意見が出るのでありますが、これは制度そのものが從來かようにいたしたことは申すまでもないのであります。過ぐる昭和十八年の臨時議會におきまして、戰爭目的遂行のために、いわゆる農村におけるところの各種團體を緊急統合するところの法律案を提出し、それによつて産業組合或いは養蠶業組合、或いは畜産業組合、農會というようなものが合併いたしまして、かような制度になつたのでありますが、終戰後その後二囘程の法律改正を見て現在に至つておるということは、よく我々承知しておるのでありますが、農村特に民主化、殊にこの零細農業に日本農業の發達を、特にこの協同組織の力によつて、大いに一歩進めようというようなことから、この法律案の出ることを我々はお待ちしておつたのであります。今囘この内閣によりまして提案されたことは、非常に我々は喜ぶものでありますが、その内容におきましていわゆる十條に末項にあります連合會の事業の内容でありますが、その中に各種事業を行うことを許されておりまするが、ただ一つこの連合會は金融の事業を營むことができ得ない組織になつております。この點について少くも今後の農業協同化の發達は特に資金の裏付けが必要であり、農村金融の面におきまして、特に連合體において、事業と關聯しての發達が我々は必要であろう、かように存ずるのでありますが、今囘のこの法律には、事業を經營するところの連合會は、金融面を掌ることができないことに相成つておりますが、この點について、いろいろ農林省においては、あらゆる角度から、非常にお骨折りになつたということを聞いておりますが、大藏省方面、或いは金融業者というような方面が非常に暗躍をいたして、かような條項になつたということを我々は耳にしておるのでありますが、果してどういう經緯になつておるか、この席上農林大臣から御發表を頂きますれば我々非常に了解するものだろうと、こう存じております。
 いま一つは、五十五條の設立の問題でありますが、十五人以上の農民が協同組合を作ることができるという、又二つ以上の組合が連合會を作ることができるということになつておるのであるますが、先程の御説明でよく承知したのでありますが、特に農村の實情に鑑みまして、いわゆる現在の農業會の資産はそのまま農民の資産でありまする關係上、特に最近まで農村に寄與したところの農業會の施設、設備なるものは、そつくりそのまま協同組合に我々は引繼いで、そうしてより良いところの協同組合の發達を望んでおるのでありますが、これが十五人以上の組合が幾つもできることになりますというと、結局手續上におきまして、いわゆる解散をいたしまして、各自の持分の請算に掛かることになりますというと、これはもう生半かの手數ではないと存ずるのであります。殊に最近におけるところの農村に實情を見ますというと、いわゆる政黨的の農民組合運動なるものが非常に勃然と起つております。それを撓りましていわゆる政黨的の協同組合というようなものが幾つもできるということになりますれば、勢い農村の小さな村に幾つもの協同組合が派生するというようなことになりますれば、從來長い間資産を築き上げたところの共同施設というようなものが、持分によつていわゆる現在の時價によつて評價して精算しなければならぬ。ただそのまま引繼ぐことになりますれば、いわゆる帳簿價格によつて引繼ぐということになるのでありますが、かような煩瑣な問題が起ります關係上、特に政府においてはいわゆる設立について、そうした面においての指導方針が奈邊にあるか、そういう點をお聽きしたいと思います。以上この二つの點をお伺いいたします。
#18
○國務大臣(平野力三君) この金融事業については、元來協同組合からは一應切離すべしという意見が基本的には相當考えられたのであります。言い換えるならば、金融事業というものは全然別個の見解において行い、農業協同組合はこの規定にあるところの主に生産面、こういう面に重點を置くべきものであるという意見が協同組合法としては基本的なる意見である、先ずかように了承願いたい。併し單位組合、一番末端の單位組合だけは金融事業というものを兼營することが、これが將來の農業協同組合を見たときに正當であろうということから、單位組合に金融面ということは認める、こう了承願いたい。從いまして單位組合におけるところの金融面というものは認めるのでありまするが、從來の産業組合のように積み重なはつて段々上の方に連合會まで同一金融機關でやるということは、これは現在に協同組合法としてはむしろ穩當でないということから、かような結論に到達したのでございます。この間農林省の意見、或いは大藏省の意見、或いはその他の關係方面に意見というようなものは固より、この法案のみならず、あらゆる法案について提案までには種々複雜なる事情かあるのでございます。この際私共はどこの省からどう言うて、ここがこう言つてというようなことは、答辯としては一つ差控えさして頂くことにして、協同組合が單位組合において金融事業を兼營することが正しいという見解の下に、この部面においては金融部面を兼營する、かようなことになつたことに御解釋を願いたいのであります。
 それから組合員の資格を十五名に限つたことについては、これは十五人ということに特に意味があるのではないのであります。と申しますのは先刻申上げた通りに、自由の原則に立つておるのであるからして、餘り多數の人數でありましたのでは結局その自由の原則にも反するということになりますので、先ず言い換えるならば、十五名程度の組合を作ろうというならば、そこに何々組合というものができる。例を申上げますれば、或る村においてはその業を營みまする者が十五名くらいよりない、その人々が組合を作ろうといえば、組合が成立する。こういう自由を認められておるのでありまして、村全體が入るところの協同組合というところでは村全體入れるが、そうでない他の別個の業種別の協同組合におきましては、十五名以上の人が組合を作ることができるというのは、本案が協同組合主義に則つておるのでありまして、かような意味において本案が成立つておるのであります。さような意味に御了承願いたい。
#19
○島村軍次君 農林大臣の自由の原則、農民の主體性の確立、生産協同體のなんと言いますか、合理化というか、生産過程の合理化、こういう問題については私も贊意を表するのでありますが、その線に從つて生れんとする協同組合は生産協同體としての力を多分に強化して行かねばならぬと考えまするが、これに對する先程の羽生さんの質問に對する政府の答辯では、私はまだ納得行かない點があると思います。現在政府で經濟緊急對策でいろいろお考えになつておりまする事業の中で、法律によるものも相當ありまするし、又いわゆる流通過程における問題については相當力を注いでおられるようでありますが、協同組合の重點を生産協同體に置くとするならば、生産増強に關するもつと具體的な政策、具體的ないわゆる經濟白書にも相當すべき積極的なる政策經論が政府になければならんと思うのでありますが、そういう問題に對しては何ら協同組合を通じ、或いは又農村の民主化というような問題を通じて見られないと、こう考えるのでありますが、これに對する政府の所見如何、これが第一であります。
 それから第二は、先程の原則に從うというと、十五人以上であり、且ついずれの組合も志を同じゆうする者に對しては設立できるということが建前になつているようでありまするが、苟くも今日の農村の状態から考えますと、私は農家を對象とする場合には、牛を飼う者も養蠶をやる者も、普通農事の米麥を作る者も、特殊作物を作る者も、今後も農業經營は少くとも綜合的な考え方でなければいかん。農村工業を採入れ、而して農村の近代化を期する上においてはこれらの問題は擧げて農林大臣が度々お話のような多角經營であり、そうして複雜經營でなければならん。こういう點から考えますというと、勿論自由の原則でありますから、それを引伸ばすことに對しては、私は異議を申上げる者ではありませんが、巷間ややもすると協同組合を繞つて、そうして中途において、私に率直に言わしむればボス的存在と申していいかと思うのでありまするが、農家の意思を忖度せずして、そうしていろいろな特殊組合の設立を計量するの噂もあるのであります。これらに對して政府は確乎たる方針を立てられる必要があると思いまするが、それらに對する農林大臣の見解及び所見如何。
 それから今日の流通過程におきましては、生活協同體の組織が相當論議されといるようであります。而してこれに對しては國會の方で提案をするというようなことも承わつているのでありますが、農村の經濟の民主化を圓り經濟の今後の立直しをする場合におきましては、先程申上げ生産協同體としての重點を強化すると共に、更に生活協同體としての消費部面についても、劃期的な生活協同體たるの考え方を多分に採入れて行かねばならんと思うのでありますが、今囘の農村協同組合が勿論流通過程における流通部面についても、考えられているようでありまするが、これらに對する生活協同組合との關係農村にいかに結び付けるか、これに對する所見如何。
 それからその次には先程山崎委員からお話になりました金融事業に關する問題であります。これはいろいろ噂されているようでありまするが、この際私は農林當局のはつきりした御意見を、この委員會を通じて農村なり世間に公表して頂きたいことを希望いたすのであります。その第一點は、只今のお話では私はまだ不十分である、説明では不十分であると思います。何となれば政府の内部において、金融を切離すことが適當だという議論があつたというお話でありますが、これに對しては御辯解もありましたけれども、金融機關を切離さなければならんというその理論的根據を詳細に一つ承わつて見たいと思います。單位組合に對しては、農村の實情、そうしてこの際兼營することを適當だと認めたというお話は、農村の實情に對して御理解のある點だと私は深く敬意を表するのでありますが、單位組合において認められて、そうして府縣段階においてこれを切離すというこの理由が、どうしても納得が行かないのであります。これに對しては金融政策としてどういう考えをお持ちになつておるか、私にこういう問題に對しては農林當局だけでは御説明が不十分であれば、金融をお扱いになつておる大藏當局のはつきりしたこれに對する見解、理論的根據を承わつて見たいと思うのであります。以上數項に亙つて御説明願つて、更に質問を保留いたしたいと思うのであります。
 もう一つ、農業會職員に關する問題でありますが、十數萬に亙る農業會職員が、今囘の解散と共に失業をいたすことになります。勿論今後與えられんとする協同組合に或る程度のいわゆる引繼ぎといいますか、繼續されることを考えられ得ることだと思うのでありますが、併し協同組合の理念に從い協同組合の自主的經營から考えますと、從來の農業會のやつておりました事柄に對しては、相當或る部面には積極的に出ねばなりませんが、或る部面においてはこれは縮少し、整理して行かなければならない問題が當然あると思うのであります。そういう場合におきましては失業問題が當然起り得るのでありまして、こういう問題に對しましては果して農林省は團體整理と共にこれらの職員に對する問題をいおに考えておいでになりますか、又失業者に對する問題は一般的の問題として、或いは勞働省又は從來あつた厚生省等との失業對策と合せてお考えになつておるかどうか、御答辯を願いたいと思います。
#20
○國務大臣(平野力三君) 第一點の御質問である政府は協同組合法を出しておるけれども、實際上非常に積極的なる計畫、協同組合促進の上における抱負が缺けておるのではないかという、こういうような御議論であると拜聽いたしましたが、無論この法律の中にはそういう積極的なる法文であるとか、或いはそういう面を法文上發見して頂くことは固より困難であろうと思うのであります。併しここに盛つてあるのは協同組合という一つの形、協同組合というものの一つの枠をここに明確にいたしておるのでありまして、政府といたしましてはこの組合と竝立いたしまして、例えば農業に必要なるところの肥料の面であるとか、或いは農機具の面であるとか、或いは農村の電化の面であるとか、種苗の面であるとか、或いは土地改良の面であるとか、或いは有畜農業奬勵に對する計畫の面であるとか、いろいろな面におきましては積極的な方策を取つておるのでありまして、この法律は法律、他の面における我々の農業政策上の面は、やはりこれらの面において相當積極性を取つておるのでありますから、この點併せてやつておるということを御了承願つて置きます。
 第二の點は、十五名というのはいかにも腑に落ちないということでありますが、これは言うまでもなく十五名で作れということをこの法律で書いておるものではないのであります。殊に十五名で組合を作るというような場合は、極めて例外的な場合を豫想いたしておるのでありますが、やはり農民が自主的に組合を作り、自主的にやるという精神から行けば、大體十五名くらいでも正規の手續きを取ればできるのだ、この精神を認めることがこの法案の趣旨に副うのでありまして、ここに十五名という字を謳つておるのでありますから、この點併せて御了解願いたいと思います。
 それから農業協同組合は生活協同組合であるかないかという問題については、農村に關する限りは生活協同組合であるとお考え願つてよろしいと思います。固より日本全體の生活協同組合というものについては、別個の角度からいろいろ論ぜられておりますが、農村に關する限りは協同組合は消費面の行動も取るのでありますから、これは大體生活協同組合と御解釋願つて結構であると思うのであります。
 次に金融面の問題でありますが、これは先刻申上げた通りに、こういう法案が出るまでの間の各方面の意見というようなものは、餘り答辯としては申したくないのであります。依然としてやはり現在私共の考えておるこの法案に盛つておる我々の考え方を、率直に言うことによつて、あくまで御了解を願いたいと思うのでありますが、それはいろいろ事業をやるところの團體と、金融というものとを兼營すべきや否やということは、私は相當議論があることだと思う。金融というものはやはり引離して金融面をやり、事業をやるものは事業をやる。これが一つの國民經濟上の體樣を紊る場合において、これは一個の議論でありますので、從つて農業協同組合から金融面を切離すという議論があるということは、これは當然であると思う。ただ我々は農業組合なるものの特殊性に鑑みて、單位組合という一番基礎的な組合は、これは金融を兼營するということが、前の産業組合などの歴史から見てもこれはよいのである、言い換えれば例外的な意味においては、この面においては金融面と生産面を兼營することが正しい、この意味において我々の主張を通しておるのでありますが、從つて連合會が金融面をやるということは、例えば金融の安全性とか、或いは今言つたような金融面を協同組合から切離すという原則的な面から言えば、連合會で兼營するということは、議論的に薄弱であろうと思いますので、これは打切つた。これは本當に裏もない表もない。最後に到達いたしましたる本法案の結論でありますので、この點一つ御了解を願つて置きたいと思います。尚私の答辯において不十分の點は農政局長からも御答辯をいたすつもりあります。
 次に農業會が解散をせられました後の役員の問題でありますが……。
#21
○島村軍次君 役員でない、職員です。
#22
○國務大臣(平野力三君) 職員の問題でありますが、これは現在この職員を、全部失業者に落さないように吸收するということを申上げることはできないと思いまするが、例えば今囘提案せんとしておりまするところの農業生産調整法、こういうような新しい法律ができますならば、こういう部面においても相當に農業會の職員を吸收する部面は開かれて來ると思う。又現在政府が新たに試みておりまするところのいわゆる作物の調査報告機關でありまするところの統計調査局、こういうような部面においても從來の農業會の職員を相當に吸收して行くところの部面は多いと思います。尚農業協同組合ができましても、農業技術上の指導については、從來の農業會中に相當適當なる人が、これ等の面において相當活動して頂くことができるのでありますから、むしろ現在の不徹底なる農業會の職員の待遇をこの際一轉いたしまして、農業會の職員に對する待遇改善等も私共は考えて行けると、かように考えております次第であります。以上お答えいたします。
#23
○島村軍次君 私は十五名を否定したとは申し上げません。特殊組合、自由な立場において十五名でやるということに對しては、これは私は贊成である。併しその自主的な團體を作らんがために、政府が考えておいでになる一村一組合が望ましいと同時に、更に府縣段階等におきましても分立することに對しては望ましくないというそのお話から考えまして、畜産或いは養蠶その他特殊作物、果樹、それらについての特殊組合的なものができる場合に對する政府の所見如何。こういうことをお尋ねいたしたのであります。私は私としての意見を持つておりますが、一應政府の所見を承わりたいと思うのであります。それから金融事業の切離しの問題につきましては大臣の答辯では私は不滿足であります。何となれば、いろいろ相談の過程において事業團體と金融團體とは切離した方がいいということのいろいろ意見があつたので、金融の安全性からもこれを斯くすべしということになつて協同組合が出たと言われますが、併し地方における農業團體の實績から考えますというと、必ずしもそう參つていないのであります。これは歴史が證明いたしております。なんとなれば、産業組合自體において販賣購買と信用事業とを分離しておつた時代におきまして、信用事業はその單營をやつた場合におきましては、これは資金の集中が中央に行われた結果、農村の自治的な金融というものがすべて或いは債券となり、或いは中央の出資となりまして、中央集權の弊が多分にあり、且つ甚だしきに至つては、このために株の賣買までやつて失敗した歴史が澤山あるのであります。その弊を取り去るために農村の金は農村でこれを消化せねばならん、こういう見地から信用と購買とを合わしたのであります。勿論産業組合時代の考えを直ちに今以つてこれを論ずるのではありません。併しこの既往における事實は、政府が協同組合を立案されましたるその根抵が、町村の金融の實勢から出ておるのである。農村の協同組織を強化するという實勢から出ておるのである。農村の金は農村自體において協同の力によつて、これを農村で消化すべきであるという、こういうような見解からやられたことだと思うのであります。今日の農業會のやつております事業團體と金融機關との兼營に對しては弊害もあります。勿論弊害も我々存じております。併しこれは理論的根據に基ずくものでなくして、それをやる經營者自身のやり方の惡い結果に外ならんのでありまして、既往の歴史から考えましても、亦資金の實勢から考えましても、この際どうしても金融事業は我が農村自體においてはこれを兼營すべきであるという私は意見を持つておるのでありますが、これに對して今少しく詳細なる點の御説明を願いたいと思います。
 もう一つ附加えて申上げます。單位組合において兼營を認めて、府縣段階以上を認めないというその説明には、もつと突き進んだ御答辯をお願いたしたいと思います。尚附隨した問題を二つ程お尋ねしたいと思うのですが、産業組合法は現在殘つておりますし、又今後も廢止の御豫定はないと思いますが、尚協同組合に關聯を持つてこれに對する御意見を承わりたい。それから生産協同體強化のために土地の管理、或いは水利事業を兼ね行うということでありますが、現存されております水利組合等の關係、或いは市町村組合等で水利事業をやつておる場合におけるその調整の問題、以上お答え願いたいと思います。
#24
○政府委員(山添利作君) 特殊組合ができます場合における政府の態度如何という問題であります。これは具體的な場合になりませんとはつきりいたしませんが、結局只今抽象的に考える外ありません。必要があれば作る、必要のないものを無闇に作つてはまずいということであります。結局状況に應じ、必要性に應じて、そうして農民の自由意思に基ずき、且つそれは愼重なる考慮に基ずいてやつて頂きたい、從つて御指摘になりましたような、一部の指導者が自分の勢力下にある組合を作るということのために、分裂的な組合設立を策するということは嚴に戒しめたい、かように考えております。それから府縣段階と申しますか、連合會の段階における金融事業の兼營を認めるべしという御議論、これを禁止した理由如何という點であります。多年の經驗を持つておられます島村さんの過去の歴史に基ずいてのお話、又御關係の縣でうまくやつておられる體驗に基ずいての御議論、そういう論據もあると思います。併し一般的に申しまするならば、先程來農林大臣から申されまするように、連合體になりますると、私共實際問題として府縣の段階を地區とする連合體を考えておるのでありまするが、この場合に事業と金融とを密接にやつておれば、その間うまく行くという部面もありまするけれども、同時に又資金の活用先が餘りに便宜過ぎて偏するということも當然考えられるわけであります。從つてかような金融を扱う機關といたしましては、預金の安全性ということも考えなければならないし、又他の方面から金を借りる場合の自己自身の信用を高めるという場合も考えなければなりませんし、又協同組機全體としては地方的に資金を運用しますると同時に、又系統組織全體としてこの農業金融を圓滑にやつて参る、これは地方的にも、季節的にもいろいろ事情があることでありまして、これらを地方事情に應どつつ、又同時に全國的な段階におきましても、相互の融通調節を期する、かような資金の有効利用というような點から申しましても、これは連合會の段階になりますると、相當規模が大きくなることでありまするから、金融事業は獨立せしめる方がよろしい。こういう判斷に到達いたしたのでありまして、全體としまして、この農業に蓄積されました資金が農業外に流れ去るということは毛頭考えていない。むしろ現在におきましては、農業外の資金を農業部面に導いて行く。他から援助するという施設が必要ではないか、事實そういう感じを持つておる次第でありまして、ただこれを系統的に積み上げて、上の方に吸い上げ、これを公債の形にするという戰時的なことは、事情も違いますると同時に毛頭考えておりません。ただ金融の立場を相當強く考えるという要求から、法案に現れておるがごとき結果に到達をいたしたのであります。それから産業組合法の將來の措置如何でございまするが、これは生活協同組合法というような、一般的な法制が若し制定せられまするならば、その際にこれを廢止をするというふうな措置を取ることは適當であろうと考えております。それから水利の調整問題でありまするが、この協同組合におきましても、水利の調整、或いは水利施設の設置、管理等をいたすわけであります。他の法制に基ずきまする水利組合等で管理しておる場合との問題、これらは協同組合におきましては、統制的權能は持つておりませんのでありまして、何か必要がありますれば、これは普通話合いで行くと思いまするけれども、何らか法律上の自主というような意味におきましては、例えば團體協約というような條項も入れてございます。そういうことで運用する場合もございましようし、本當はそういう例は餘りないと思いまするけれども、若し行政措置等について何らか必要なる場合がございますれば、これは農業生産調整法等におきましても、さように一種の法制措置をなされるような規定も設けてございます。いずれにしましても協同組合は自主的な組合として、その自主的な立場において生産の協同化を促進して行くという建前になつております。
#25
○島村軍次君 簡單なことでありますが、先の金融の問題は保留して置きますが、水利組合は廢止する意思はない。自主的の團體であるから別途の考え方でやつたらいいという御意見と承わつてよろしうございますか。
#26
○政府委員(山添利作君) 御承知のように只今水利組合を廢止するという考えは持つておりません。協同組合はいろいろな點に制限を受けております關係もございます。
#27
○北村一男君 各方面からいろいろと御意見が出まして、農林大臣の御答辯も大體において我々の納得できる部分が多いのでありまするが、實は農業協同組合法が上程されることが一年遅いのであります。そのために非常な誤解を受けいろいろな事業に支障があつて困つておつたのでありますが、今上程されて我々は今豫備審査をいたしておりますが、非常に時期が惡いといいますか、當然そうなつたことでありますが、組織員十五名によつて自由に作られ、本當に自主性のある意思の相通じたものはなんぼでもいいと、こういつたような形で誠に自由で結構でありますが、全面的とは申上げませんが、農地解放に絡んでどうもいろいろな分子が農村を非常に使嗾といいますか、惡く考えますと甚だ攪亂をするような状態に導く部面が多くて非常に心配しております。そこで現在の農業會の資産は前に山崎君から申上げましたように、できます協同組合にできる限り讓渡して遺憾なく協同組合が事業を發足し、事業が行われるようにしなければならんと心配いたしておりますが、なかなかそうばかり行かん分が非常に多いようであります。そこで農林大臣はそんなに作る考えはないので、一村一組合で行つて欲しいと思つておる。それは法律では書けないが、その通りであると思います。それは何らかの方法ででき得ればこれが望ましいことだということをお示しになることは非常に厄介な點だということを考えておりますか、その點どうだかお伺いいたします。
 それから今日はそこまで行くと考えておりませんでしたが、山崎君からお話が出、今島村さんから盛んに質問をせられましたが、市町村の單位の農業會は本當に自由に、本當に自主的に思う存分組合を組織することは固より結構だ、ところが末端の組合が連合會を作る時分にはそこに規正を加えるということはどうも本當に自由が束縛されておると思うのであります。それは都道府縣の連合會は金融事業の經營は行えない、別途に協同組合を作つて行うことになつております。これは永い歴史があり、絶對そうあるべきものにできておりますので、時代が變り、名が變り、經營者が變り、幾ら變つて参りましても、やはり協同組合に違いないのであります。元々から協同組合であるべきものであり、今日もさようであります。ただ農業會というものは戰爭の遺物にせられてしまつた。その責任は農民、農業會の幹部が責任を負うて、政府は無理やりにやらしておいて一つも責任は負わん、誠につまらん責任を負うておるわけであります。そこで私は内地の方々からも御意見を伺つておりますが、北海道は特殊事情もあります。どうしても府縣の連合會で金融事業を行わなければ駄目だということをはつきり掴んでおります。それは澤山ありまするから、申上げてもよいのでありまするが、時間がありませんから申上げずに濟ませますが、一體一般金融事業として協同組合でやります金融を取扱つたり、見たりすることが當然間違つておるのであります。今日は大臣も局長も他のことを申上げないで、ただそうすることが適當であり、そうすることがよいというのでこう決めたという、誠に體裁のよい見方でありますが、そうでないということを聞いております。我々はこの問題だけはどんなことがあつても貫徹しよう、こういうことを考えておりまするが、若しそれを貫徹するとどうなりますか、一つ今日はこれをはつきり聽かせて頂きたい。修正でもするなり、どうしてもやろうという堅い決意を持つておりますので、そうすればこうなるのだということを伺えば、或いはそれは少し考えなければならんということも出るかと思いますから、一つ忌憚のないところをお聽かせ願います。我々はやるより仕様がない。その點は十分御承知になつて、そうするとお前等はこうなるのだということはまさかポツダム宣言にはないと思います。その點だけはつきりお聽かせ願いたいと思います。
#28
○藤野繁雄君 大臣から今度の協同組合は自由の原則で立てたというお話であつて、私などはこれについては先見の明あることを喜ぶのであります。然るに縣段階の事業をやるのについては、今まで私の仲間が申上げた通りに自由の原則を缺いておるのであります。町村では自由の原則を認め、縣段階では自由の原則を認めないという理由がどこにあるか、私などは過去の實驗に徴して見ますると、産業組合を奬勵する際においては、信用事業とその他の事業とは區別しなくちやできない。こういうような政府の指導方針であつたのであります。又産業組合中央金庫ができて、各縣の産業組合連合會が中央金庫の代理業務を營む際においては、兼營の組合であつたらば、信用單位の組合でしなければ代理業は認めない。速かに代理業は認めるという契約書を出したらそれを認める。こういうようなことであつたのであります。私は長崎縣でありますが、當時長崎縣の産業組合は縣の連合會として信用、販賣、購買の三つの兼營であつたのであります。その後農村が不況に陷つて經済更生計畫を立て、又農村の振興のためには産業組合擴充五ヶ年計畫を立てなければできない。そうして疲弊困憊のどん底に陷つたところの農村を救うのには、信用、販賣、購賣、利用、農業倉庫あらゆる仕事を農村の單位組合においても、縣の組合連合會においてもしなければできないということで今日になつておるのであります。又今囘のいろいろの仕事をするのについても、この各種の事業を營んでおればこそ、今日までの非常農村を突破することができたと固く信じておるのであります。でありますから、私などはいかなることがあつても自由の原則によつて協同組合を作るということであつたならば、縣の段階においても自由の原則を認めなくちやできないということを強く要求するのであります。これに對して大臣の御答辯を願いたいと思うのであります。
 又次には、法律の第三十一條には「役員の任期は、一年とする。」こう書いてあるのであります。私などは協同組合の經營の任に當つたならば、その際においては一つの信念と理想を持つて經營して行かなくちやできないのであります。その理想を持ち信念を持つてこの仕事をして行く場合においては、或る一定の計畫を建てなくちやできないのであります。計畫を立てたならば、その計畫の實現については或る一定の期間を要するのであります。自分が計畫を立て、一年の後にはどうなつたか分らずして、更に次の人に讓るというようなことであつたらば、專心に、獻身的に協同組合の經營の任に當ることができないのであります。でありますから私などはこの「役員の任期は、一年とする。」ということを修正しなくちやできないと思うのであります。又農林省の農政課の試案によつて見ましても、理事の任期は三ヶ年とする、監事の任期は二ヶ年とするという農林省の方針を立てておられるのであります。又農業協同組合に關する参考法令のすべての法律を讀んで見ましても、全部ここに書き出しておりますが、どの組合としても一ヶ年という規定はないのであります。又アメリカの法律を讀んで見ましても、一ヶ年という期限はないのであります。それにも拘わらず、今囘自由の原則に立つたところの協同組合が、理事の任期は一ヶ年とせなくちやできないところの根本的理由をお尋ねいたしたいと思うのであります。
#29
○國務大臣(平野力三君) 藤野さんの御質問の第一點の適當に機會に一町村一組合ということを政府は聲明する意思はないかという點でありますが、これはあくまで法律の文面に謳つてあるのは、それは先刻來申上げた通りでありますから、この點はさよう御了承願いたいと思いますが、我々があらゆる機會において各町村に幾つも種々雑多なものができてはいけないんだという、こういう言論は相當用いるつもりであります。要するに理想としては一町村一單位で行くということを理想とするということについては、いろいろな機會においてこれを述べております。かように思つておりますので、こま點において御了承を願いたいと思います。それから金融面においてこの法案については反對である、農林省は大體かようなものでない、もつと別の意見を持つておるが、併しいろいろな關係において、これを提案した以上これにこだわつておるが、我々が修正でもしたら一體どうするのだ、こういうような御質問であつたのであります。これは一つ御了解願わなければならんことは、政府といたしまして、苟くも閣議の決定を經て、法案として上程いたします限りは、閣議決定になつておるものでありますので、單にこの法案ばかりではないのであります。從つてこれを作るまでの間の過程においていろいろな意見が行われておりましても、農林大臣の責任の上においていたしたものについては、この法案は我々は原案といたしまして、この法案に從つて成るべく御賛成を願うように、あくまでこの法案を中心として我々は答辯をいたすのであります。これ亦御了承を願いたい。
 それから答辯の範囲を逸脱することになりましようが、固より國會議員の方々がかような法案について御自由なる御言論を展開せられまして、それを又政府がよく檢討を加えまして、結局でき上る法律案がこれが國會を通過して法律になりますので、この點は何も原案を出したから絶對に一歩も讓らんというようなことをここに主張せんとするものではありません。十分御檢討を願いまして、理のあるところに落付くようにいたしたいと、かように思つております。
 藤野さんの御質問で、連合會の金融機關、金融事業を認めないのは、これ亦自由の原則に反するではないか、又役員の任期を一定年限に限つておるのも自由の原則に反するのではないか、こういうような御所論でありますが、これは一つ御考慮を願いたいと思うことは、ここにいう自由の原則というのは、農民が協同組合を作り、この協同組合を作つて、お互に協同の精神で行くという、この立場においては何ら拘束されることなき自由であります。併しながら作つた協同組合が行う事業であるとか、作つた協同組合を運營する上におけるところの一つの規程、こういうものについてはおのずから法律を制定する限りにおいては、そこには制約されるところの部面があるのでありまして、例えば協同組合を作つて政治活動をするものは、この組合は營利を目的とする團體ではないという規程を設けられておるからといつて、これを自由の原則に反すると仰しやるならば、これは我々の法案を出した趣意とは違うのであります。從いまして、あくまで我々といたしましては、連合會の金融機關は兼營せざる方が是である、こう思つたことはやはり法案の趣意でありまして、決して自由を束縛しておるものではない。同時に役員の任期も一應年限を限つておりますことも、こういう團體の運營の途上においては、これ亦當然の處置であると考えるのでありまして、この點を一つ御了承を願いたいと思います。
#30
○藤野繁雄君 それは從來のは殆んどすべての參考法令を讀んで見ましてでも、一年となつておるのはないのであるが、今囘特に一年と定められたところの理由であります。
#31
○政府委員(山添利作君) 役員になられました人が、一年やそのぐらいでは何も仕事ができないじやないか、これは御尤もだと思います。併しながら敢て重任は妨げないわけであります。そうして只今の農業協同組合は、日本全體の農村の事情として、絶えず脱皮をしつつ進んで行く形にある。そういうような意味におきまして、期間は短かくしてございますが、これは絶えず一年ごとに新任を受けて仕事をやつて行く。こういうことで結構だと思うのであります。
#32
○平沼彌太郎君 條項に亙つて恐縮しますが、林業關係における大きな問題と思いまして、大臣がおいでになる時に御質問申げます。
 それは第九條の二行目に「この法律において、農業とは、耕作、養畜又は養蠶の業務(これに附隨する業務を含む。)をいう。」その次に「みづから前項に掲げる業務を營み、又はこれに從事する者が行う薪炭生産の業務(これに附隨する業務を含む。)は、この法律の適用については、これを農業とみなす。」そうしますると、無論この農業協同組合は非常に廣汎に亙つていろいろな事をする。これは非常に結構でありますけれども、又農業者が自分の自家用消費程度の薪炭生産は、これは止むを得ないと思いますけれども、農業生産を業務とする者全部を包含するということは、山林行政の上から言つて、非常に考えさせられるのであります。御承知のごとく、日本の山林伐採の三分の二は薪炭でありまするからして、その薪炭を業務としておる者は非面に厖大なものであり、又その業務を營んでおる者は必ず農業も營んでおります。ここにあるごとく營利を目的としないために、この組合に入つていれば税金を取られないというような意味からいいまして、薪炭業を經營しておる者は自然この組合に全部入つてやるとなつた場合において、その山林方面の結果は、どうであるかということを考えせさられるのであります。無論これでは林業會法、又は森林法とも摩擦が起るのではないか、無論今まで農業會でもこれは取扱つておりまする關係から、これにただ讓つたという感じもありまするけれども、併し伐採の大部分を占めるところのその薪炭林が、施業案を無視されるようなことになつたならば、山林緑化は圖られないので、その結果は重大な問題になるのじやないか、又日本林業會、又は森林組合あたりが施業案を以て仕事をしようという山林部門の中の大きな仕事にも、非常にこれは變化を來して摩擦を起すのではないか、林業方面の仕事は林業團體に何とかやらして、農業方面は農業方面としてやらせる。そうでなけば林業と農業を一つのものにしてしまう、何とかそこはもう少し考えて頂かないと摩擦が起るのではないか、これに對して農林大臣の御答辯を伺つて、又よく研究したいと思います。御意見を伺います。
#33
○國務大臣(平野力三君) どうも細かい問題になりますので、農政局長に任せます。
#34
○政府委員(山添利作君) この第九條の二項によりまして、薪炭生産の業務、これを農民が行いますときには、農業のカテゴリーの中に入れるという規定でございますが、これは農業協同組合は、その農業という字が附けてありますが、言い換えて見れば、農民協同組合で、これは山村を取つて見ますれば、そこの農民はは副業的に必ず薪炭生産をやつておりますのが通常の業務でございます。從つてその業務に關する仕事を又協同組合が取扱う、これ又自然のことであります。從つてこれは現状に即したことをそのまま書いたのでありまするが、同時にこれは自然に即したことであるというように考えておるのであります。こういう規定を設けますがために、特に森林政策上、或いは薪炭政策上に變更を來すということはございませんし、又はその意圖もございません。
#35
○平沼彌太郎君 それでは全部製炭業者がこの組合に入つて、製炭業者がなくなつた場合には、一體全體今おつしやつたような自由というようなことに反するのてはないか、それでよろしいのでしようか、もう少し突込んでその邊を伺いたいと思います。
#36
○政府委員(山添利作君) これは農民が副業として行う薪炭生産の業務がこの協同合事業の對象になるといことを規定したのでありまして、實際問題としましてこの副業生産の占めます割合は、現在六割くらいにはなつておるかと思うのであります。この規定が設けられますことによつて、現在の薪炭行政等に特別の變化を加えようとか、或いは來すであろうということは考えていないのであります。
#37
○板野勝次君 この第九條の問題に關連してですが、「農民とは、みずから農業を營み、又は農業に從事する個人をいう。」というのですが、これは前に大臣に質問しました時のことと同樣な内容を持つておるのですが、どうしても從來大きな地主であつたり、富農等が協同組合の大半の實權を握つて行つて、從來の中農、貧農等が全面的に改善されて行く方向が乏しいということは、先程申しました通りですが、その點からいいましても、今度の土地改革によつて、それに便乘して、或いは又その土地取上等をやつて、最近では農業に從事しておるというふうな者も多多あるので、そういつた者の中にも相當に大きな勢力が入つて來て農業の協同化を妨げる等のことがあることが豫想されるので、例えば終戰當時において農地を十町歩とか或は二十町歩とかいうふなものを持つておいた者が、やはりその後の状態が變つて來ても耕作地主のような扱い方をしなければ健全なる農氏的な協同組合の運營はできないと思うのですが、その點に對する見解をお伺いしたいと思います。
 それから第十條の事業に關する問題の中第四號の、農作業の協同化その他農業勞働の效率の増進に關する施設の點では、協同化が單に作業に限定されておりまして、生産の協同化の方向に導こうとする點が、これにも見えないし、この事業のどこにも見出すことができないので、その點はどうかと思います。それから同じく第十條の三號と六號は必要なる物資の供給であるとか、或いは生産した物の販賣等について規定が述べられておるのですが、從來できております配給公團若しくはこれからできるでありましよう又審議されます公團との關係はどうなのかという點。それから第三十條の役員の問題の中、一番おしまいの方に、組合の理事の定數が、四分の三は組合員だが、四分の一は非農民的な要素であつてもいいという點は、この場合においても從來の地主的な勢力をこの中に冬分に盛り込んで行こうとする傾向が見えるのですが、商工協同組合法を見ますと、これは例えば最末端の組合の場合におきましては、非組合員が二名以内とかというふうにして、極めて商工業者が現實的に商工業に從事しておる者たちを中心にして作つておるという點は注目されるのでございますが、この場合にはそういう規定ではなくて、四分の三ということに特に基準を設けられた點がお伺いしたいのです。でき得るならばこの末端の組合は、一名くらいは非農民的な要素が入つて參りますることは、組合の運營上適切な處置でございましようし、連合會等の場合におきましても二名乃至三名で、決して農民の協同組合が四分の一程度非農民的な要素が入らないと運營されないということは考えられないのですが、その點に對する見解をお伺いしたいと思うのです。
#38
○國務大臣(平野力三君) 第九條の農民の資格について重ねてお尋ねでありますが、私はこれはあなたが御指摘になるように、富農勢力が農村に尚巣をくつて協同組合を阻害すると、こういうことをそれ程思わんのであります。それで土地改革と農業協同組合法は車の兩輪のごとく農村の民主化を進行いたすのでありますから、もはや土地を所有しておるということから優越性を持つ階級というものは、大體今日においては殆んどその面に關してはないのです。固よりそれは惰性において一町持つておる地主、これが古い形においては尚殘つておるということは認められますが、順次それらの人の本質にも、思想にも、又現實にも變化を招來しつつあるのでありまして、この點はあくまで農地改革の線に副つて農業協同組合法を推進するということによつて十分農村の民主化は達成し得られる、かように信じております。
 第十條の面に農業生産に關する協同化の條項が非常に少いとおつしやるのでありますか、これはもう非常に澤山書いておるのでありまして、この十二項目に亙るあらゆる面すべてを綜合して御判斷願いますならば、明らかに生産の面においてこの協同組合が大きなる成果を擧げ得るということは言い得られると思いますので、この點御了承願いたいと思います。
 公團と協同組合の關係でありまするが、公團で扱いまする品物の最末端はこの協同組合が引受けるということに相成ると思うのであります。從つて公團から流れて參りまするものの未端が町村協同組合において引受けて行く、こういうことになるのでありますから、公團と農業協同産合とは何ら矛盾するものではない、かように思つております。
 最後の役員の四分の三と四分の一の問題でありまするが、これは農村の各村或いはいろいろな諸般の状況上大體四分の一ぐらい非農民的な要素のものが入らなければならないという場面を豫想いたしまして、かように決定したものと思うのでありますが、比率の點については一應私といたしましては農村の現状上止むを得ない、かように思います。尚なぜ四分の一或いは四分の三に決定したということについての當時の法制上の經過については、農政局長からお答えいたします。
#39
○石川準吉君 農業協同組合法の制定につきましてはいろいろ議論があつたのですが、今日の農業會に代りまして農村の中心團體となり、生産のいろいろの方面における指導團體となられるだろうと思うのでありますが、從いましてこの農業協同組合というものが非常に適正に運營せられるかどうかということは、今後の農村に非常に影響を持つと思います。從いまして政府におきましては、これらの點に關する將來の指導方針的ないろいろな對策があると思いますが、その概略を承わりたい。これが第一點であります。
 第二は、今迄政府といたしましては、農業會或いは今度廢止になる諸團體に對しまして、いろいろ政府の委託事業をやつておるのでありますか、その委託事業はどんな事業をやつておられるのか、そうしてこの解散と同時に、例えば供出の問題とかいろいろ問題があるわけでありますが、これらの問題はどういうふうに處理されて行くのか、こういう點を伺いたいと思います。
 第三は先程から問題になりました農村金融の問題でありますが、農村の金融は實は從來とも外の銀行が貸したがらない、從いまして農村自體の經濟の打開或いは復興のためには農民の僅かばかりの貯金を積立てて、それが結局運営されておるという状況であります。從いまして農村金融の今後の行き方というものにつきましては、この變り目におきまして重大なる關心を向けなければならんと思いますが、又協同組合は先程大臣の御説明のありましたように、自由主義がその根本になつております關係からいたしまして、金融につきましてはいろいろ問題が考えられるのであります。この點に關しましていわゆる農村の金融の信用を保持するというような觀點からいたしまして、何かこれに對する特殊な對策をお考えになつておられるかどうか、この三つの點について簡單にお伺いたします。
#40
○國務大臣(平野力三君) この法案がうまく運用せられるかどうかが日本の農村の將來に重大な關係があるという御指摘は、全くその通り考えております。そこで概略の指導方針を示せという御質問でありますが、これは實を申しますと、先般來お答えいたしましたことを總合して御判斷を願いたいと思うのでありまして、大體法文の全般に亙る趣意及び先刻私の説明いたしました提案の理由によつて遺憾なきを期して行きたいというようにお答えをするよりいたし方ないと思うのでありますが、いささか具體的の點になりますならば、先刻來申上げておるように、この組合はあくまで農民の自由の原則によつて組合を設立さすが、例えば一町村においては成るべく一單位、又その事業の面におきましては生産面について十分これを指導し、農民の經濟的利益を十分に尊重して、將來日本農業の發展を期する、そうして世界農業の恐慌に入つても、日本の農村はこの協同組合を中心として安泰であるというような形に指導して行きたいというのが、大體の基本方針と御解釋を願いたいのであります。
 農業會が解散いたしまして、農業會に委託された事業がどうなるかという點は、これは或るものは例えば公團のような形のものに委任されるものもありましようし、又この農業協同組合が委任されるものもありましようし、又町村會が委任されるようなものもあろうと思うのでありまして、農業會解散後の政府委託事業というものについては、それぞれの新らしい機關によつて十分萬遺憾なきを期して行くことができるであろうと考えておるのであります。
 尚最後に金融の面についてのお問いがありましたが、これも先刻來しばしば申上げましたような意味において、單位組合はあくまで金融を兼營するのだという基本的な考え方は持つておるのでありまして、この點については先般來説明いたしました趣意によつて大體御了承願いたいと思います。
#41
○石川準吉君 最後の點は兼營の問題でなくて、農業會が今後單位農業會で行きましても金融事業を營む譯でありますが、農業會の營む金融事業を信用ずけるために、これに對する特別な取締とか何か對策をお考えになつていらつしやるか、こういうことなんです。
#42
○國務大臣(平野力三君) 金融事業に對する特に監督とか取締というような面は餘りこの法律に書いておらぬのであります。併し單位組合が金融をやるということについては、これは單位組合の性質上十分金融面と生産面と密著してやるがよいという點については、先刻來申上げておる通りであります。
#43
○松村眞一郎君 大臣の一町村單位というのは、これは甚だ誤解を招く御答辯であると私は考えます。そうして何か訓令か何かを出して一町村一單位にするということは、この案の第六十條に違反すると思う。六十條は「行政は、前條第一項の申請があつたときは、設立の手續又は定款若しくは事業計畫の内容が法令又は法令に基いてする行政廳の處分に違反する場合を除いては、その申請に係る同項の認可をしなければならない。」ということを命令しておる。それに違反した訓令が出せますか、私は出せないと思う。一町村一單位ということを言われますが、それであれば養蠶も畜産も耕作農業も一つにするというお考えでありますか、そういうことは法律は許しておりません。殊にこの法案は十五人の發起人がやるということでありますから、自然に委して置きますならば、幾つできても構わないという法律なんです。それを政府の方でただ自分の考で一町村一單位ということを何を標準にしておつしやるのですか、明確な御答辯を願いたい。
#44
○國務大臣(平野力三君) 御質問の趣旨のように最初法案を説明したのであります。つまり自由の原則であるから町村に幾つもできる。又特殊組合ができるのもこれを認める、從つて自由の原則はここにあるのだという點は繰返し申上げたのでありまして、只今あなたのお述べになりましたことについては、決して違反とは思わんのであります。ただ大體どういうことがよいというお話でありますので、種々雜多な組合が濫立するより、大體一町村一單位ということがよかろう、かように限度が持ち得ると言うたのでありまして、そのことは決して我々が組合に對して訓令とか、或いはそうしなければならないとかというような干渉的なる意味では決してありませんので、この點誤解のないように一つお願いしたいと思います。
#45
○松村眞一郎君 種々雜多というような言葉が非常に曖昧である。どういう意味が種々雜多であるますか、例えば耕作ということと、養畜、養蠶が別々に組合ができても、それは種々雜多ではないと思いますが、どういうことでありますか。
#46
○國務大臣(平野力三君) 用語の問題は、或いは適當でなかつたかと存じますので、恐縮でありますが、特殊組合というものができることは、當然これは是認しておるのであります。從つてこれは種々なる特殊組合ができることは容認せられる。十五人が成規の手續をとれば又協同組合ができる。こうなつておることは、見ようによると、いろいろの團體ができる、こういうことになりますので、用語として種々雜多ということを用いたのでありますが、かような濫立なる農業協同組合ができるよりは、一町村一單位の組合を以て理想とするということを申上げても、決してこれは間違つておらんと思うのであります。
#47
○松村眞一郎君 意見の相違であります。そういう理想は私はいけないと思うのであります。世の中が自由に進みます場合、必ず一つでなければならんということはありません。國會それ自身は二院組織ではありませんか。そういうことから考えても直ぐ分ることであります。議論は餘りしませんが、この中に第二十八條の末項に、「行政廳は、模範定款例を定めることができる。」とありますが、模範定款例は、參考資料として御配付になりましたか、若し御配付になつていなければ、見せて頂きたいと思います。
#48
○政府委員(山添利作君) まだです。ちよつと手間がかかりますから、間に合うかどうか分りません。
#49
○松村眞一郎君 法律案はお出しになつたのでありますから、間に合せて出して頂きたいということを要求いたします。
#50
○岡村文四郎君 大臣が御列席になつて、非常に御熱心に御答辯を願い、もうここらでいいと思いますが……。
#51
○松村眞一郎君 農業という定義が、私は無理であるということを考えます。大臣に伺いますが、小さい問題でありますけれども、これは非常に大事なことであります。何ら耕作をなさずして購入飼料で輓曳をやつております都市輓曳は農業でありますが、養畜の中へは無論入ります。家畜を養なつておるのであります。都市輓曳は常識として、農業でありますか、常識を聽くのです。法律案より常識の方が大事です。
#52
○政府委員(山添利作君) 常識として、都市の輓馬、これの當業者、これは農民とは考えておりません。
#53
○松村眞一郎君 それから都市におきまして養鶏をやる、例えばビール會社の釀造の粕で以て養鶏をやる。これは今常識で考えて、農業でないと思いますが、いかがでありますか。
#54
○政府委員(山添利作君) これは一々の例について、結局感じを以て申上げ、常識の判斷で答辯せよということでありますから、感じを以て申上げます。都市の養鶏、酪農、これはその經營形態から見ても、農業に入ると考えております。
#55
○松村眞一郎君 それは農業ではないと思いますが、これは意見の相違であります。養畜の中には無論入りましよう、畜類を養うのでありますから……。それはどうです。
#56
○政府委員(山添利作君) これは言葉としての養畜の中には入ります。
#57
○松村眞一郎君 結局、常識に反しておる規定があるということだけをここに申上げて置きます。
#58
○委員長(楠見義男君) それでは本日はこの程度にいたしまして散會いたします。明日は午前十時から開會いたします。
   午後四時五分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     楠見 義男君
   理事
           木下 源吾君
   委員
           太田 敏兄君
           門田 定藏君
           田中 利勝君
           羽生 三七君
           北村 一男君
           柴田 政次君
           西山 龜七君
           平沼彌太郎君
           岩木 哲夫君
           小杉 繁安君
           佐々木鹿藏君
           竹中 七郎君
           石川 準吉君
           宇都宮 登君
           岡村文四郎君
           河井 彌八君
           島村 軍次君
           寺尾  博君
           徳川 宗敬君
           藤野 繁雄君
           松村眞一郎君
           山崎  恒君
           板野 勝次君
  國務大臣
   農 林 大 臣 平野 力三君
  政府委員
   農林事務官
   (農政局長)  山添 利作君
ソース: 国立国会図書館
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