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1975/05/10 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号
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1975/05/10 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号

#1
第077回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号
昭和五十一年五月十日(月曜日)
   午前十一時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         神田  博君
    理 事
                高橋 誉冨君
                町村 金五君
                片山 甚市君
                内藤  功君
    委 員
                有田 一寿君
                剱木 亨弘君
                高橋 邦雄君
                橘  直治君
                中西 一郎君
                宮崎 正雄君
                寺田 熊雄君
                戸田 菊雄君
                中村 波男君
                秦   豊君
                多田 省吾君
                和田 春生君
   委員以外の議員
       議     員  市川 房枝君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    福田  一君
   政府委員
       内閣法制局長官  吉國 一郎君
       内閣法制次長   真田 秀夫君
       警察庁刑事局長  土金 賢三君
       自治省行政局選
       挙部長      土屋 佳照君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法改正に関する調査
 (政治団体の収支報告書に関する件)
 (参議院地方区の定数是正に関する件)
 (衆議院議員総選挙に関する最高裁判所の違憲
 判決に関する件)
 (参議院全国区制度に関する件)
 (政治団体の届出及び公表に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(神田博君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 公職選挙法改正に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○秦豊君 きょうは非常に限定された時間枠ですから、端的に問題に入っていきたいと思います。
 まず最初に、自治省側と警察側双方について中間的に伺っておきたいことがあります。それはたしか前回までのいきさつからすると、四月二十六日が再訂正届けの期限になっているはずの中曽根派の政治資金問題、この問題をまず冒頭に確かめておきたいと思います。
 中曽根派のこの政治資金問題についてはすでにさまざまな報道がなされていて、総額八億円、かかわる政治団体四団体、そうして自治省側の求めに応じてなされた訂正の個所が四百二十カ所、まさにその言葉どおりの意味合いで前代未聞でもあれば、許しがたい問題だと思います。しかも、事が幹事長派閥にかかわるという意味合いと、それから単なる書類上の不備を通り越えて初めから魂胆があった、意図があった、塗り込めようとしたと、さまざまな意味合いで、まさに多くの報道もロッキード的であるとさえ言われているわけですね。そこで、まず伺いたいのは、この中曽根派の政治資金報告についての再訂正届けはすでに自治省側の受理するところとなったのかどうか、その点をまず確かめておきたい。
#4
○政府委員(土屋佳照君) 受理するかどうかということでございますので、私からお答えをいたします。
 訂正をお願いいたしました書類は二十六日とそれから四月の三十日とに分けて提出されたわけでございまして、その後私どもいろいろと領収を受けたことであるということを証明する書類とか、そういったものも突き合わせその他で時間をとりまして、おおむね作業は終了いたしました。今回のものは受理をできるのではないかと思っておりますが、国会中のことでまだ大臣までそこらの状況を御説明十分する暇がございません。そういった手続を踏んだ上で公開をするという形に相なろうかと思っております。
#5
○秦豊君 いまの選挙部長のお答えは大変甘いんじゃないですか。そのレシートの添付、添付をされたレシート自体が一から十まで全部うそであった、虚偽であった、そういうものが大半であった、少なくとも。しかも中曽根派の、政治団体中曽根派の櫻内会長自体が記者会見で虚偽の申告という事実を認めているんですよね。全部うそで固めたものを、二回に分けたかどうかは別として、そんなに簡単にあなたね、あなた方が受理するにたえるようなそんなきれいなものになりますか。そんな甘っちょろい問題ですか、これは。
#6
○政府委員(土屋佳照君) 当初出されたものが、これが誤りであったということで、これは私どもはそれは十分当初のものを受け付けるときはわからなかったわけでございますが、これは間違っておったということで自主的に訂正を持ってこられた。そこで見ましたところが、私どもが見ても不十分な点がございましたので、この点を明らかにしていただきたいということをお願いして、さらに再訂正をして持ってきていただいたわけでございます。そこで、出されたものを見ました結果、個人の名前ももちろんずっと書いてございます。それについては当時の領収書というのは、いま多分そのことだろうと思いますが、存在しないということのようでございました。あるいはまたそういうことであろうと思いますが、しかしながら、こういった人が受け取ったんだということを、ただないからということでは済まされませんので、やはりそれに対応して確かにそのとき私が受け取ったんであるというような証明書というかっこうでお出しいただいた。そういうものが出ておりますので、それはチェックしていったわけでございます。若干時間はかかりますけれども、今回は私どもとしては一々そういうものもチェックしたわけでございます。
#7
○秦豊君 当初の訂正が四百二十というのは、これは確かに政治資金規正法の制度が定着してからおそらく初めてじゃありませんか。これからだってそんなひどい恥ずかしいことがよも行われようとは思わないけれども、四百二十カ所の訂正を手際よくやること自体がすでにはなはだ疑わしいのであって、やっぱりこの問題というのは、私は非常に看過できない根深い問題が一つたまたま噴き出したと思うんですよ。それでね、私はこれ要求しておきたいんですけれども、どういう個所が、前回の提出された資料と比べてどこがどう、具体的に言えば四百二十もあるんですよ、どういうふうにうまうまと訂正をされたのか、これを対比する意味で双方の資料を私はしかるべき日に要求したい、こう思います。
 それから、警察側に伺っておきたいんですけれども、警察側は、特に警視庁のランクでは、櫻内会長の会見によって虚偽の裏づけが固め得るという心証のもとにすでに行動を開始しているというふうに伺っております。その後捜査という段階ではどのように進んでおり、どの範囲を対象にしているか。具体的に言えば小林という事務局長なのか、ランクを超えて中曽根さん本人なのか、あるいは周辺なのか、この辺を明らかにしていただきたい。
#8
○政府委員(土金賢三君) お答え申し上げます。
 中曽根幹事長の政治資金規正法の届け出の義務違反の問題でございますが、この件につきましては、目下警視庁におきまして事実関係の把握に努め、その解明に当たっているところでございます。はっきり申し上げれば捜査をいたす所存で現にそういういろいろの事実関係の把握に当たっているわけでございますが、ただ、ただいまのところ、先ほど自治省から御答弁がございましたように、この政治資金規正法違反、この罰則につきましては、これはその行政、この政治規正の届け出の主管行政庁の行政目的を達成するための罰則であると、こういうふうに考えております。したがいまして、まず所管行政庁である自治省が現在ただいまのように措置をとっておりますので、どういう措置をとるか、そのとった措置を踏まえて私どもとしては捜査をいたすと、本格的に捜査をいたすということがこれが筋であろうと、こういうふうに考えておりまして、現在そういった自治省の行政措置について連絡をとりつつ、現在何と申しますか、その周辺と申しますか、そういった事実関係の把握に努めておる、こういう段階でございます。
#9
○秦豊君 伺っていても何のことかさっぱりわからないんだけれども、具体的にしぼりましてね、じゃあ新政同志会の小林事務局長はもう警察側に出頭したのかどうか、それはどうなんですか。
#10
○政府委員(土金賢三君) まだそこまではやっておりません。と申しますのは、先ほどからもお話ししましたように、そういう事情がありまして、何と申しましてもそういった資料、虚偽の届け出をしたと思われるそういった資料、あるいはこれから再訂正報告される資料、そういったものをこちらにもらわなきゃいけません。そのもらうための何と申しますか、自治省に対する手続と申しますか、照会はすでに先月ですか出してあります。正式に自治省には出してございます。したがって、自治省からもそういった行政手続、処分が終わり次第警察の方にそういった書類が出されるものと私どもは考えておりまして、それを待って本格的に捜査をいたすと、こういうことにいたしております。
#11
○秦豊君 じゃあ自治省側に伺います。
 いま警察側が述べていますことを裏づけてもらいたい。いつごろその資料を警察側に提出し得ますか。めどはいつに置いていますか。
#12
○政府委員(土屋佳照君) ただいまのお話をお聞きいたしておりますと、訂正をしたものを自治省がどう受理をするか、そういったまた受理したものの中身というものも知りたいと、それを見た上でというお話だろうと思います。そういったことから私どもとしても、ただいま申し上げましたように、大体整理もつきましたので、それを公開ができるという段階になってまいりますれば、それは捜査上必要があるということで御連絡をいただきました場合に、こういったことになっておるという内容等について知りたいということをお知らせすることはできるということでございます。
#13
○秦豊君 そういう答弁でぐるぐるぐるぐるやってもしょうがないんですよ。土屋さん、あのね、二回に分けて再提出が行われましたね、中曽根派から。それは認められましたね。それいまチェックしていますね。ただ、膨大なものだからこれ大変ですよ、あなた方のチェックもね。自治省のそういう行政自体が軽侮を受けているのですよ、侮りを。そういう重大なケースなんですよ。だから、あなた方が一々チェックされる、それが完了するとこちら側に回るわけだ、警察側に。大体めどはいつごろなんですか、それを聞いている。
#14
○政府委員(土屋佳照君) 今週中には公開ができると思っておりますので、そんなに時間かかるものではないと思っております。
#15
○秦豊君 今週中だそうですから、がっちりと受けとめてもらいたいと思いますがね。
 そこで、局長伺っておきたいのだけれども、まだ容疑が確定したわけではないから性急な私も即断は避けます。避けますけれども、少なくとも新政同志会の櫻内義雄会長の去る十日の会見その他傍証からいたしますと、ここに浮かんでいる容疑というのは、政治資金規正法二十五条で言えば虚偽の報告、そうですね。それから刑法百五十九条で言えば、私つまり私文書偽造あるいは変造罪に当たる可能性というのは、恐らく事が進んでいけば、捜査が延びていけばかなり根強く裏づけられるのではないかとされていますね。そういう点についてはどういう心証をお持ちですか。心証などは委員会では述べられませんか、どうですか。
#16
○政府委員(土金賢三君) いままで、ただいまお話がありましたようなそういった状況から考えまして、私文書の偽造と申しますか、そういった容疑も一応考えられますので、そういうふうな点も踏まえて解明に努めたいと、こういうふうに考えております。
#17
○秦豊君 重ねてあなたに伺っておきたいのですが、事はだんだん進んでまいりますと、いま言われた二つの政治資金規正法あるいは刑法、こうなりますと、該当するランクというのは、対象というのは、事務局長小林というふうなランクにとどまるのか、あるいは場合によってはということが言われているけれども、その場合というのはどういう場合なのか、たとえば派閥の領袖たる中曽根康弘現幹事長に及ぶというふうなケースはいかなることが裏づけられれば及ぶのか、その点はどうなんですか。
#18
○政府委員(土金賢三君) 場合によってはと申し上げましたのは、そういった私文書偽造ということも考えられると、一応現在のいろいろ言われておることから言えば、そういうことも考えられるということを申し上げているわけでございまして、じゃ具体的にその私文書偽造というのがだれに及ぶのかということにつきましては、これは捜査をしてみないとわかりません。いま仮定の段階では申し上げられないものでございます。
#19
○秦豊君 福田自治大臣にあえて伺っておきたいんですけれども、この中曽根派の問題が報道されて以来、自民党のいろんな有力派閥の人々から、幹部連中からは、たまたま中曽根君は悪運続きだと、何か非常に追い詰められていると、気の毒だと、少なくとも自民党という大政党のありようからするとこのようなことは日常茶飯であるのですね、これは客観的に見れば。しかし、事は最高幹部の一員としての中曽根さんがこういうきわめて意図的なことをやったという以外に、やはり私ちらっと先ほど申し上げましたけれども、やはりこれは政治資金のありようについての有権者の皆さんの不信をいやが上にも、ロッキードでうんざりしているところへもってきて中曽根さんあなたもかと、やはりそうかという感じでうんざりしていると思うんですね。そうした問題では、自治大臣から伺っておきたいんだが、一体福田自治大臣は今度のこの中曽根さんの事件、前代未聞の訂正個所、空前と言われているというふうな今度の中曽根ケースについて、あなた自身はどういうふうに受けとめておられるのか、この点をぜひこの際伺っておきたい。
#20
○国務大臣(福田一君) 私は、今回の中曽根派の政治資金四団体の報告が正しくなかったということについては、まことに遺憾なことである、かように考えております。しかし、何もあえてここで弁明をするということではございませんが、果たしてそれが中曽根君の意図によって行われておったのかどうかというようなことは、私としては申し上げられる筋合いではない、これは警察関係の方で考えるべきものだと私は思うわけでございます。しかし、この種のことは当然のことだというような、まあその種のあり得ることであるというようなことを党員の者が、自民党の方たちが言っておるということは、私はまだ耳にはいたしておりません。おりませんが、あなたが御指摘になったように、私は少なくとも事務局長がやった行為だけは何としても納得がいかない、これだけはどう弁明しても弁明のしょうがないというものだと私は思っております。そこで、その後においてそれを訂正するという意味で出された文書がわれわれが納得がいかない面がございましたので、再訂正をしてもらいたいということを言ってそれが出てきておる。それをいまチェックして今週中にも公開をする、こういう手続をとりたいと思います。私は国家公安委員長という立場でもございますのでありますが、これはあなたもよくおわかりのように、公安委員長というのは指揮権はないんですからね、警察に対する。だから、これをやりなさいとかあれをやりなさいということは言えないけれども、いやしくも法律違反のことがあれば、私は警察はそれはやはり取り調べをするのが筋ではないか。したがって、私が委員会においては期待するという言葉を述べたのはそういう意味合いでございまして、私が直接指揮するというわけにはまいりません。
 それから、もう一つだけ申し上げておきたいと思いますことは、いままでのこの何と申しますか、政治資金規正法に基づく団体というものは大変な数でございまして、それが一年に二回ずつ報告を出しておるのでありますが、それを一々チェックして正しかったかどうかというようなことをするところまでは、実は予定をしていなかったと言うとおかしいかもしれませんが、まさかそういうことがあろうというような考え方はなかったと思うのでありまして、予定をしておらなかったということであります。また、やろうとすれば、これはもう人をやっぱり少なくとも百人やそこいらはひとつ人員をふやしてやらなければ、とてもそれは調べられるものではございません。そういうような行政能力の問題から言っても、実はいままでできておらなかった、しておらなかった。これはある意味では遺憾なことだと思うのでありますが、これからはひとつそういうことであってはいけませんので、何かひとつ――ことしの一月一日から新しい政治資金規正法が施行されまして、まあロッキードの問題も出ておりますけれども、とにかく外国人からは一文でも金をもらったらそれは違反と、こういうようなことまで決めた。これは実はわれわれは全然そういうことを考えていなかったのでありますけれども、法律の改正をそういうことはいかぬじゃろうというくらいのことでやったことが、ロッキード問題が出たことによって非常に効果があるという改正ができたわけに結果においてなっておるわけでありますけれども、いずれにしても、やはりちゃんとした届け出をするようなことにするにはどこまでどういうふうに形式を整える必要があるのか、ただ領収書だけでいいのかどうか、あるいはちゃんとした領収書ですね、そこいらをどういうふうにしていくといいかということもいま研究をして、それで来年の一月以降に届け出が今度出るわけですから、新政治資金規正法に基づく。そこで、いまからそういうものを大体のフォーミュラをつくりまして、そして徹底をさせるようにしたいと思っていま検討をさせておるところでございます。
#21
○秦豊君 この問題だけでもむしろぐんぐん掘らなければならない問題であると思いますけれども、このケースは、大臣もちらっと言われたように、やはり好知にたけたモラルなき政治家が法をあざ笑っているケースですから、少なくともこれは見過ごしにできない。今週中に出されるであろうデータ、それを警察側がどう受けるか、それを今後とも厳しく追及を続けたいと思いますが、これで一応本論に返ります。
 定数是正問題、参議院地方区、この問題について昨今の三木総理の発言あたりを聞いていると、前国会に比べると共通する点は、もちろん非常に抽象的な逃げ道はつくっておるようだが、だんだん後退のニュアンスがにじんでいる。自治大臣にまず伺っておきたいことは、政府としては、たとえば昨年の国会に絡んで、六月二十七日に自民、社会、民社三党のいわゆる申し合わせ事項があり、河野参議院議長のかかわりがあった。これは事実である。こういうものを踏まえて、あのときにも、昨年七月四日の本会議で、私の本会議での質問に対して、三木総理は三党間の申し合わせについては、趣旨はもちろん十分尊重する、尊重して対処をしてまいりたい決意であります、こういうふうに言い切ったわけなんだけれども、政府側として最近とかく後退のきみがにじみ出している参議院の定数是正問題についての決意、これを本委員会の場で改めて伺っておきたいと思います。
#22
○国務大臣(福田一君) 参議院の定数是正の問題につきましては、先般の予算委員会において三木総理からも御答弁を申し上げておるところでありますが、われわれといたしましては、前回の衆議院の定数是正をいたしましたときにも、各党間において話し合いが煮詰まりまして、そうして各選挙区別に定数をこのようにするという話し合いがついたのを受けて、実はこれを法文化いたしまして御承認を願ったという経緯があるわけでございます。そこで、この参議院の場合でございますが、昨年の衆参両院の委員会並びに本会議において三木総理がやはり検討をするということを申し上げておることは、これは政府の方針としてわれわれも十分受けとめておるわけでございまして、私なども総理の考え方を認めておるものでございます。ただしかし、今度は実際問題としてどう扱うかということになりますと、これはやはり選挙法というものは、各党がどういうふうにして国民の信頼を得るかという、その土俵づくり、その土俵を決める法案である、一つの重要な目的はそれである。また、これを取り締まるとかいろいろな面がございますが、まあ、そこが各党のどういうところで相撲をとったらいいかという土俵づくりをする、その基礎になるものだと私は思っておる。その場合に、どういうような土俵づくりがいいかということについては、十分各党間で検討をしていただきたいと思うわけでございます。これが一つ。
 それからまた、もう一つは、各党でやれば、四党なり五党なりあるうちで、その多数決でいいのかという問題も出てくると思うのでありますけれども、やはりこの問題については、何といっても院を構成しておりまする議員の数の多数決ということがやはりなくては、法案が出たといたしましても、これは成立をしないわけであります。いままでも選挙法の改正については七、八年の間ずいぶん議論をしておったのですけれども、去年初めてこれが実現したのでございまして、というのは、各党間で選挙の粛正をせにゃいかぬとか定数是正をせにゃいかぬとかいう話し合いはしょっちゅう出ておったけれども、今度は各党の話がついておらなかったためにこれは実現を見なかったという実情でございます。でありますからして、私たちとしては、ひとつ十分に各党間において話し合いをしていただきたい、そうしてそのまとまることを期待をする、こういうことを申し上げておるわけでございまして、自治省案というようなものをいきなり出すというような考えはいまのところ持っておりません。
#23
○秦豊君 吉國法制局長官に伺いたいのですが、法律的な論議というものは、余り詰めた表現をしますと厳密さが薄れるという危険をあえてこの質問枠では冒さなければならないが、去る四月十四日の最高裁の大法廷判決、これがポイントです。与党の皆さんの間には、あれは衆議院を指したものであって、ありようの違う参議院を拘束する判決とは思えない、法的に吟味しても。こういう声がむしろ多数ではないかと思います。私たちはもちろん全然それに反する立場をとっていて、このことは政治論を超えて、もはや来年の参議院の半数改選のときには、憲法の観点から見ても、現状のままでは違憲、違法なものと成り下がるというふうにわれわれはわきまえている。そこで、吉國長官に伺っておきたいのですけれども、四月十四日判決は憲法原則からすれば、衆参両院を貫くものであると思うけれども、あなたの御判断、見解はどうなんでしょうか。
#24
○政府委員(吉國一郎君) 御指摘の本年四月十四日の最高裁大法廷判決において述べております選挙人の投票の価値の平等の問題、すなわちいわゆる一票の価値の平等ということにつきましては、これは国会の両議院の議員の選挙について述べているものでございまして、単に衆議院議員の選挙における一票の価値の平等についてのみ述べたものではない、そういう理解をいたしております。
#25
○秦豊君 簡潔で実にぐさりと明快だと思うのですよね。これで多くの異論が消えうせるのではないかと思いたいぐらい明快です。
 長官にさらに伺っておきたいのですが、今回の四月判決と、それから昭和三十九年二月五日に、たしか最高裁の大法廷判決がありましたけれども、あれを今回の判決は私はかなり乗り越えていると。あの判決というのは憲法十四条とか四十四条その他を引いて、議員定数と国会とのかかわりを論じましたね。非常に消極的な結論であったと思う。今回はそれを乗り越えている。その辺がいわゆるあなたも述べられた投票価値の平等という憲法上の権利というのは衆参両院を貫くのだという解釈にも結びつくのであって、三十九年二月判決と今回判決はどこが一番決定的に異なっているか、念のために伺っておきたいと思います。
#26
○政府委員(吉國一郎君) 三十九年二月五日の最高裁大法廷判決は、昭和三十七年七月一日に執行されました参議院の選挙につきまして、東京地方区の定数不均衡是正についてのものでございまして、議員一人当たりの選挙人数の割合が、東京地方区と鳥取地方区とでは四・〇九対一でありましても、所論の程度ではなお立法政策上の当否の問題にとどまって、違憲問題を生ずるとは認められないということを言っておりました。これに対しまして本年四月十四日の最高裁大法廷判決は、昭和四十七年十二月十日に行われました衆議院議員選挙につきまして、千葉第一区の定数の不均衡是正についてのものでございまして、議員一人当たりの選挙人数の割合は、最高約五対一であって、これは憲法の選挙権の平等の要求に合致しない状態になっていたにもかかわらず、憲法上要求される合理的期間内に是正されなかったものであるから当時の選挙は違憲であったといたしております。両判決はその表現においては若干異なるところがあるといたしましても、選挙人の投票の価値の平等ということが憲法上の法のもとの平等の原則にかかわりを持つものであるということを基本といたしておりまして、その点においては同じ考え方に立つ判決であると考えております。
#27
○秦豊君 法制局長官が先ほど私の設問に対して、四月十四日判決は、衆参両院を貫くのだ、三十九年より明らかにその点が前進であるという意味の見解をされたわけですが、それを踏まえてもう一問確かめておきたい。
 じゃ、仮に衆参両院を貫くものであるとすれば、来年の半数改選のときも、なおかつ現状のようなアンバランスが放置されていたと、仮に、そのようなことはよもやないと思うけれども、行政としても逃げ切れまいと思うけれども、しかし仮にそのような誤った事態が放置されて、七月選挙を迎えるとなった場合には、恐らく私は全国的な規模で今回の四・一四判決を踏まえたいわゆる選挙執行の差しとめ訴訟というふうなものがいろいろな運動のサイドからいろいろな法律家の集団からいろいろな政党から提起されるに違いないと思う。そのようなことは仮定の問題だからという一つのフォーマットが皆さんの中で用意されているかもしれないが、そのような吉田政権時代からの遁辞でもって逃げおおせるものではないでしょう。そうした意味で吉國長官には、もしもそのような事態になった場合には、これは政府として責任のとりようもないぐらい、私は重大になると思うんです。したがって、選挙執行の差しとめ訴訟などが起こり得るケースが多分に予見されている状態、現実の要件を踏まえて、長官はどういうふうに考えていらっしゃるか伺っておきたいです。
#28
○政府委員(吉國一郎君) 先般の四月十四日の最高裁判決では、先ほど申し上げましたように、選挙権の平等ということ、その選挙権の平等ということは、選挙人資格における差別の禁止のみにとどまらず、選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値の平等もまた憲法の要求するところであるというようなことを言っておりますが、これは両議院を通じて議論をしております。ところで、具体的に「本件議員定数配分規定の合憲性」という副題におきましては、いろいろ詳細に論じておりますが、「衆議院議員の選挙における選挙区割と議員定数の配分の決定には、極めて多種多様で、複雑微妙な政策的及び技術的考慮要素が含まれており、それらの諸要素のそれぞれをどの程度考慮し、これを具体的決定にどこまで反映させることができるかについては、もとより厳密に一定された客観的基準が存在するわけのものではないから、結局は、国会の具体的に決定したところがその裁量権の合理的な行使として是認されるかどうかによって決するほかはなく、」と言っておりまして、途中を中断いたしますが、「このような見地に立って考えても、具体的に決定された選挙区割と議員定数の配分の下における選挙人の投票価値の不平等が、国会において通常考慮しうる諸般の要素をしんしゃくしてもなお、一般的に合理性を有するものとはとうてい考えられない程度に達しているときは、もはや国会の合理的裁量の限界を超えているものと推定されるべきものであり、このような不平等を正当化すべき特段の理由が示されない限り、憲法違反と判断するほかはないというべきである。」というようなことを言っております。このような点から考えまするならば、参議院につきましては、衆議院とはまた異なった、ただいま申し上げました前提となり、考慮すべき「政策的及び技術的考慮要素」があることは明らかでございまして、その点を無視して衆議院の場合の一票の価値の格差の数字と参議院の場合の格差の数字とを単純に算術的に比較をいたしまして、参議院の定数配分規定が直ちに違憲になるとは断じがたいのではないかというような考え方を持っております。
#29
○秦豊君 さっきのお答えでは、衆参両院を貫く、まことにさわやかだったんだが、やはりここまで突っ込んでみると、やや与党的な、――もちろんあなたは卓然自立された法制局長官であることは自明であるが、何かやはり与党の皆さんがそれみたことかというふうな感じのところへだんだん引き下がっていく、大変残念に思いますが、こういう点は長官どうですか。今回の最高裁判決というのは、後の問題についてはあなたも長々と引用されたけれども、これはもう立法府の裁量というか、立法府の責任というふうに球をわれわれに投げたわけですよね、衆参両院に。主としてわれわれ参議院ですよ。だから、第三者機関が四の五の四の五の言って、良識のオブラートのもとにいたずらに時日が遷延されるというふうな意味の、いわゆる隠れみの的な第三者機関にこれをゆだねても、甲論乙駁あと五年かかると思いますよ。かかって結論出ませんよ。私はあくまでこれは立法府のわれわれの責任だという理解をしているんですよ、私は。この判決をまともに読めばそうなると思うんです。長官はどう思っていらっしゃいますか。
#30
○政府委員(吉國一郎君) 憲法第四十七条では「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」と厳然と規定をいたしてございまして、もちろんこの参議院議員の選挙の方法についても国会御自身が決定されるべき、きわめて重要な問題であるというふうに認識をいたしております。
#31
○秦豊君 昭和五十年度の国勢調査、センサスを踏まえまして一%抽出結果に基づくいわゆる投票価値の最大の開きと格差、これは一体どうなっていますか。四十五年じゃありませんよ。五十年ですよ。
#32
○政府委員(土屋佳照君) 五十年国調につきましては、府県の数はもう確定いたしておりますので、その数で比較いたしますと、議員一人当たり人口での格差は、最高の神奈川と最低の鳥取との間で五・五倍ということになっております。
#33
○秦豊君 そうすると鳥取がたとえば一議席当たり二十九万五百人とした場合に、神奈川県が一人当たり百五十九万九千五百人だと、したがって鳥取対神奈川は一対五・五〇六だと、こういう数値を意味されていますね、それは。
#34
○政府委員(土屋佳照君) 私どもで調べた結果は大体似た数でございますが、細かく申し上げますと議員一人当たり人口が、神奈川が百五十九万九千三百九十五人、鳥取が二十九万六百六十人ということになっております。おおむね五・五〇、その下の細かい端数は出してございませんが。
#35
○秦豊君 なお、四月十四日の判決をこれ踏まえてみますと、当時最大の衆議院での開きというのは、もうこれ常識になっている兵庫県のたしか五区と大阪三区でしたですね。あれが一・四九九なんですね。いま私が挙げましたのは五十年センサスなんだけれども、鳥取、神奈川で五・五〇六だと、まことに極端に上回っている。で、ほかにこの判決に基づきますと、したがって参議院地方区の定数不均衡というのは当然これ違憲と断ずべき問題であって、早急に是正されなければならない。そういうふうに突いていくと吉國長官は衆議院と参議院の機能が違う、これは機能論であって憲法の判決に厳密じゃないと思うんですよ、法律の専門家たるあなたにしては。機能論というのはこれは一つの解釈論ですよ。あり方が違う、選挙制度。だから極端に言えば、この議論を敷衍していくと、地方区だけではいけません、全国区とワンパッケージで解決しなさいというふうな議論の土俵にも引き込まれるし、それから衆議院と参議院はありようが違う、こういう展開というのは衆参両院を貫く判決だと明快に認められた吉國さんの立場自体との自己矛盾じゃありませんか、どういうふうに答えられますか。
#36
○政府委員(吉國一郎君) 先ほど申し上げましたように、「選挙区割と議員定数の配分の決定には、極めて多種多様で、複雑微妙な政策的及び技術的考慮要素が含まれ」るということを、最高裁判決は言っておりますが、その要素として考えるべき事項といたしまして、衆議院議員選挙の場合におきましては、全国を一応中選挙区に分かちまして、そこで複数の議員を投票するようになっておりますが、参議院議員選挙におきましては、これは先ほど御指摘があったことに通ずるかもしれませんが、一応全国区と地方区に分け、地方区はすべての都道府県を通じてそれぞれが一選挙区としてとらえられております。その基本を改めればまた別問題でございますが、その点を前提といたします限りにおきましては、やはり参議院の機能的な要素ということももちろんございますけれども、それよりもむしろ選挙区をそういうふうに確定をいたしておるということから見て、いろいろ衆議院とは違った考え方が現に行われているのではないかということを申し上げまして、その上でその投票価値の平等、不平等を論じなければならないということを申したつもりでございまして、衆議と参議院が、現在の両院制において機能が違うということのみが議論の根拠ではないということを申し上げたいと思います。
#37
○秦豊君 自治大臣にちょっと伺いたいんですが、もちろんこれ総理もあなたも展開しておられるのは、あくまで立法府の各党の合意が大きな前提で、これは不可避である。衆議院は各党がまとまったから通った、行われた。これは一つのプロセスだと思いますけれども、ただ本質論として、衆議院の状態は参議院を貫いて、四・一四判決において、これは違憲の状態である、だから最高裁の法廷においては、違憲だが有効とした意見と違憲であり無効であるとした少数意見というのは、八対六のもうほとんどこうせめぎ合っている、接近している。そこまでの判断が大法廷で行われたわけですね。自治大臣としては、その各党合意という答弁はもう期待していません。それはもう無用になります、邪魔になります。そうでなくて、大臣としては、こういう状態、参議院の地方区の定数是正というのは喫緊に必要な政治課題だと認識していらっしゃるかどうかについてだけ限定して伺いたい。
#38
○国務大臣(福田一君) 先ほど申し上げたのは政府の方針でありますが、それが喫緊の要事であると認識するかどうかという、いまのは端的な御質問だと思うんであります。政府が一応答弁をいたしました以上は、私はやはりできるだけ早くそういうことが行われることが望ましいということでありまして、喫緊という言葉になりますと、またちょっと表現で非常にむずかしい議論も出てくると思います。しかし、これはもう秦さんに申し上げないでも、皆さんはもうよくおわかり願っているんだけれども、そもそも衆議院と参議院を設けたときの提案理由などを読んでみましても、もうこれはあなたもおわかりだと思うんですが、これはわれわれも実は一応御答弁している以上はちゃんとはっきりしなきゃいかぬと思っておるんですが、この両院制度採用の趣旨にかんがみ、参議院議員の選出方法には、衆議院議員とは異なった方法をとり、両院の構成をできるだけ異質的なものとならしめるべきであるという項目があります。それからまた、主として選挙人の年齢及び選挙区の構成について、衆議院議員の選挙の場合と異ならしめることによって、その構成上の相違を実現していくよりほかいたしかたがないという結論になる、こういうことも言っております。次いで、参議院議員は地方選出議員と全国選出議員の二種類に区分し、地方選出議員は各都道府を一選挙区として選挙し、全国区選出議員は全国を一選挙区として選出することとする、こういう提案理由の説明が受け入れられていまの参議院ができておることは、もう私がいまさらこんなことを申し上げないでもおわかりを願っておることだと思うんでありますが、こういう立法の趣旨というものもやはり踏まえていかなければならない問題であると思うんであります。そこで、衆議院の場合において一対四・九九が、これはもうある意味で票の重みというものを十分に認めないという意味で違憲だというようなこと、すなわち人口比例というものを十分考えなければいけないという、そういう最高裁の判決は、これは私はもっともである。それは私はそういう意味では、先ほど法制局長官が申し述べたところと同じでありますけれども、衆議院と参議院では立法のたてまえから言って、この趣旨が違っておる。その趣旨を踏まえながら、またいろいろの問題がそこに出てくるわけでございます。こういうことは、だからもうここで私と秦さんがそういうやりとりを幾らしておっても、これはなかなか議論で解決できる問題じゃないんですね。法解釈の問題だけで解決するんなら事は簡単ですが、そうではない。実際にやはり参議院を構成しておられるこの参議院議員のお方がどうすべきかということについて、法律で定めるということになっておるんですから、ひとつみんなで相談をしていただきたいということを政府として申し上げることは、これは私は当然の姿ではないか、こう思っておるわけでございまして、ひとつその意味でいろいろな――衆議院にも、実はあの数字をきめる場合においても、選挙区を幾つに分けてあるとかあるいはその地理がどうなっているとか、人口構成がどうなっているとか、ふえたとか減ったかとか、いろんな要素、たくさんあるんです、ちゃんと最高裁の判決の中にもそういう問題も出ておるわけでございまして、いろんな要素があるわけです。参議院の場合は参議院の場合で、立法のたてまえから言って衆議院とは違うんだというまず大前提がある。その上で今度は全国区と地方区がある、しかも三年ごとに半数改選をするという原則が立っておる。これらの問題を踏まえながら、しかし、なおかつやはりあまり人口的に差があるようなことがあったならば、これは直さなければいけないということもあると同時に、これはある意味で言っては皆さんが御承諾になれば、もう少し根本的なやり方を直してもいいんじゃないかという考え方も、これは立法できめるということになっているんですから、これは参議院議員である皆様方のある意味における義務でもある、私はそういうふうに理解をしておるわけでございまして、そういうたてまえに立ってお考えを願い、そしてなるべく早くお話し合いがつくならば、政府としてはそれに基づいてやる、この措置をとりたい、こういうのが私たちの考え方でございます。
#39
○秦豊君 それは福田大臣が言われますように、私とあなたの討論のらちを越えておる問題ですよ。幾ら私とあなたが法解釈の見解の差を披瀝し合っても、それで終わるもんではない。これは常識でしょう。しかし問題は、事はやっぱり政治論だ、ある意味では力対力なんだ、ある意味で言えば。
 法制局長官に伺っておきたいのだけれども、あなたのさっきから述べておられることを私なりにとりますと、ちょっとおかしいと思いますのは、何より優先され、尊重さるべきは憲法十四条における法の下の平等、つまり政治的、投票的価値の平等、これはしかも衆参両院を貫くんだというのが三十九年判決を乗り越えた四・一四判決のすぐれた点なんですよ。画期的な点なんですよ。だから、両院制度のありよう、その歴史的な沿革までさかのぼったそういう差が問題ではなくて、あくまで憲法十四条を踏まえた四・一四判決が優先さるべく、踏まえらるべき大きな新たな原則であると私は思うのですよ。ならば、その観点に立てば、しかもあなたは衆参両院を貫くと言われた以上、やっぱり私は参議院の定数是正、もちろんこの場合には地方区ですよ、が、やはり本院において取り組むべき最も喫緊な課題であるという私なりの結論になるんですよ。その点にしぼって改めてあなたに伺っておきたい。
#40
○政府委員(吉國一郎君) 四月十四日の最高裁判決が投票の価値の平等について憲法第十四条第一項を引用いたしまして、「国民は法の下に平等であると定め、一般的に平等の原理を宣明するとともに、政治の領域におけるその適用として、前記のように、選挙権について一五条一項、三項、四四条但し書の規定を設けている。」途中を省略いたしますが、そこで「選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値の平等もまた、憲法の要求するところであると解するのが、相当である。」と言っておりまして、それからさらに敷衍をいたしまして、「わが憲法もまた、右の理由から、国会両議院の議員の選挙については、議員の定数、選挙区、投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし、両議院の議員の各選挙制度の仕組みの具体的決定を原則として国会の裁量にゆだねているのである。それ故、憲法は、前記投票価値の平等についても、これをそれらの選挙制度の決定について国会が考慮すべき唯一絶対の基準としているわけではなく、国会は、衆議院及び参議院それぞれについて他にしんしゃくすることのできる事項をも考慮して、公正かつ効果的な代表という目標を実現するために適切な選挙制度を具体的に決定することができるのであり、」云々ということを述べております。そのような点を総合的に考えまして、また先ほど私が引用いたしましたところにも、「都道府県は、それが従来わが国の政治及び行政の実際において果たしてきた役割や、国民生活及び国民感情の上におけるその比重にかんがみ、選挙区割の基礎をなすものとして無視することのできない要素であり、」というようなことで、都道府県についてもそういうような評価をいたしておりますが、そのような事項を総合的に勘案いたしまして、参議院として最もふさわしい選挙制度を具体的に決定されることが国会の負われた任務であるというふうに私は考えております。
#41
○秦豊君 ちょうど向かい側に剱木先生お見えなんですがね、あなたがお出しになった前国会の剱木試案というものと憲法との関連を法制局長官にあえて伺っておきたい。
 いわゆる剱木試案、これはこれまでの与党側とのお話し合いの中では完全に消えたものではない、消されてはいない、こういうものを踏まえて伺いたいと思いますが、この剱木試案に基づいて投票価値の比率を計算してみますと、四十五年のセンサスの場合には、鳥取・東京で一対五・〇である、対大阪が四・五である、いずれも鳥取を踏まえて、埼玉が三・四、愛知三・二、北海道三・〇、千葉三・〇、群馬二・九、これが四十五年センサスと剱木試案。五十年の国勢調査の例の一%抽出結果というものでこれを対比してみると、鳥取・東京は一対五・〇であるが、埼玉は急増して格差が開いて一対四・一、愛知も格差がますます開いて一対三・四、大阪もふえて一対四・七、神奈川も同様で一対三・七と、つまり一票の格差というのはますます開いている、五十年センサス、こういう結果になるんです。
 そこで、最高裁判決の結果に基づくならば、このような結果を生みかねない、また生み出すであろう剱木試案というのは、果たして合憲という構想、合憲と言えるかどうか。合憲であるとすればどういう論理でそれをお答えになりますか、どうですか。
#42
○政府委員(吉國一郎君) 私はいま御提示になりました剱木試案というものについて公の立場で検討したわけではございませんのでお答えしにくいわけでございますが、少なくとも私が申し上げておりますのは、現行の公職選挙法による参議院の各地方区の定数というものは直ちに違憲とは断じがたいということを先ほどの御質疑に対する答弁でも申し上げたわけでございまして、いま承っておりますところでは、現行の公職選挙法の定数の比率の範囲内にとどまるものと考えられまするので、私の先ほど申し上げました議論から言えば、もちろん、合憲と断じ得るかどうかはこれはまた留保いたしておきたいと思いますが、少なくとも違憲と断ずるところまではいかないのではないかということをただいま率直に感じたところでございます。
#43
○秦豊君 これも参考のために吉國長官から、次の論議のステップにしたいから伺いますが、与党の皆さんの一部には、全部の都道府県をアメリカのステートのように一律二人にするというふうなお考えもちらちらと散見されます。もちろんコンセンサスは得ていません。これはアメリカの上院制度が下敷きになっているんですけれどもね、これはありようも違うところ、歴史的経過捨象されていますから、私はかえって実態的でもないと思うし、しかも今回の判決の趣旨を踏まえますと、こういう考え方というのがそもそも違憲の範疇に属するのではないかと思うんだが、あなたはだんだんお答えにくくなるかもしれないが、念のためにこれを聞かしてくれませんか。
#44
○政府委員(吉國一郎君) 参議院の地方区について各定数をそれぞれ二人ずっとするというようなことについてただいま初めて承ったものでございますから、詳しい研究をいたしておるわけではございませんが、御指摘のように、アメリカの上院は確かに、各州、いかに人口の多い州でありましても二人ずっということになっております。これはこの二院制のよって来るゆえんが、わが国の二院制とアメリカ合衆国における二院制とは根本的に違っているのではないか。と申しますのは、いわばアメリカの二院制は、学者のいわゆる連邦型二院制とも申すべきものでございまして、一方において第一院と申しますか、下院が人口比例によって国民の意思を平等に代表することができるようにするとともに、やはり連邦であるということから各州、各ステートの意思を平等に反映することが必要であるというようなことから上院について各州それぞれ二人ずっという定数をとったものであるということが政治学的には説明されております。日本の二院制はこの連邦型二院制という学問的な分類には属しませんで、両方とも公選された議員をもって組織されておるということからして、いわゆる民主的二院制と申しますか、そういうような学問上の分類に属すべきものであると思います。したがって、そのような各地方区ごとに全部同一の人数にするというところまで果たして規定し得るものかどうか。それは今度の最高裁判決でも、憲法十四条を引用して投票の価値の平等ということを非常に重視しておりますことから申しましても、全く各選挙区ごとの定数を一つにするということはなかなかむずかしいのではないかということを感じておりますが、突然のお尋ねでございまして、確定的には申し上げることはできません。
#45
○秦豊君 与えられた時間がもう三分強ですから自治省側に最後に二問を伺っておきたい。また憲法上の問題については今後各党の委員からも追及がなされましょうし、今後とも法制局長官にこれを求めたいと思いますが、最後に、いまの地方区定数の配分というのは、たとえば九十一帝国議会の大村国務大臣との応酬等膨大な記録が残されていますね。しかし、いまの地方区定数配分というのは一体どんな配慮によって割り振られたのか、その場合に地域代表という面と人口数に比例という配慮、これはどういう一体ウエートにあったんだろうか、これが一つのポイント。それから最後のポイントは、さっき私が喫緊ということを申し上げて自治大臣に伺ったわけなんだけれども、私が申し上げるのは、行政事務上、来年の参議院通常選挙が新しい定数によって行われることをわれわれは熱望している、そのための法改正のタイムリミットは一体ぎりぎりにしぼればいつなのかということを最後に伺っておきたいと思います。
#46
○政府委員(土屋佳照君) 第一点でございますが、当時、先生も御承知のように、いろいろと議論がされておったわけでございますけれども、こういう形でこのように決めたというまことに明確な一つの案という型はつかまえにくいわけでございます。御承知のように、当時でも甲案が四案、それから乙案というものが三つの案でございましていろいろと議論されて、結果的には甲案の一案と乙案の一案というのが大体いまの形になっておるわけでございまして、それぞれの考え方の中にはやはり臨時法制調査会あたりからでも議論されておりましたような一つの地域代表的な意味合いを持っておったことは事実だと思うのでございます。そういった意味から、まずこの半数改選ということもございまして、二人がどんな小さいところでも、配当基数の少ないところでも二名は配分されておるということになっておるわけで、いろいろなことを勘案して二名から八名の間におさめたということであろうかと思います。それは当時の人口の形その他が百五十を割る際にそれが非常にうまくいっておったということもあったんだろうと、これは推定でございます。同時に、甲案でも乙案でも最高六人で押さえるといったような案も見受けられるわけでございまして、総体的に、どういうことでやったかは別として、いまのような半数改選、まず地域には最低二人は置くのだというようなことを考えながら、ある程度人口の、それじゃ、やはり多いところによけい配分がなっておるわけでございますから、そういう人口的な要素というものも加味しておったんだということは考えられるわけでございます。具体的ないろいろな資料がございますから、それを一々申し上げればもう少しあるいは納得のいく御説明ができるかと思いますが、納得のいくと申しますか、そういうことをやってみましても、これでぴしゃりといったようなきれいな形でのものは見当たりにくい、おおむねいま申し上げたような考え方でお決めになったのであろう、それと衆議院とのバランスということも考えてお決めになったんであろうというふうに考えておるわけでございます。
 第二点でございますが、これは私、事務的な立場からどうするかということになりますと、明確にはお答えしにくいということは、ある程度選挙というのは、その定数をもとにしていろいろ準備もされるわけでございましょうから、いろいろな要素というものを広く考えざるを得ないのではなかろうかと思います。ただ、技術的にどうかと言えば、各党ある程度こういうことをやろうという合意さえあれば、ただいまでなくてもそれは間に合うということは言えるわけでございます。じゃ、どういう場合に何カ月前ぐらいならいいんだということになりますと、たとえば次の通常国会の、一つの例として初めぐらいなら間に合うとかといったようなお尋ねがございましても、それはそういう形で、どうしようかというような合意がある程度できていって――前提なら、あるいはそのころだって十分間に合うということは言えることだろうと思います。いろんなそういう審議上のいろいろな要素が絡まっておりますので、どういう時期が一番いいとは言いにくいわけでございます。特にいまの地方区の定数のどの分をやるのか、あるいはそれが広まって全国区へどう波及していくのか、いろんな議論がございましょう。その中身によってもいろいろ変わってまいりますので、明確にこれぐらいならいいとか悪いとかいうことは、ちょっと答えにくいわけでございます。
#47
○秦豊君 最後に……。これで最後にしますが、もちろんこの問題をめぐっては、たとえば五十年センサスを踏まえれば、現在の地方区百五十二は、少なくともプラス十の百六十二でないと著しく実態的ではないという一つの係数も算出し得るし、われわれ野党としては、二十六人増人案を共通の案として追及をこれから開始しょうとしております。また、市川先生の二院クラブには二院クラブの考えがおありになるし、与党の一部にも、総定数の二五二の枠内での是正、増減という有力な意見もあるやに聞いています。
 憲法問題についてはきょうは伺い足りない感が残りましたので、今後とも重要なポイントですから、事あるごとに吉國法制局長官に伺っていきたい。
 あとは同僚議員にゆだねたいと思います。
 終わります。
#48
○委員長(神田博君) 本会議散会後再開いたします。
 ちょっと速記とめてください。
  〔速記中止〕
#49
○委員長(神田博君) 速記起こして。
 暫時休憩いたします。
   午後零時三十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後六時四十三分開会
#50
○委員長(神田博君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公職選挙法改正に関する調査について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#51
○中西一郎君 私、実は五十分いただいておるんですけれども、できるだけ時間を詰めるように努力はいたしますが、御協力いただければありがたいと思います。
 まず、初めに申し上げておきたいのですが、私がきょう申し上げることは、自民党の中で党議として決定されておるような筋合いの話では実はないんです。昨年来の経過を踏まえながら、いろいろ考えておることを申し上げて、自分自身も勉強をしながら、当局の御意見も承ってまいりたい、そういうつもりでおるわけであります。と言って、党の考えておることと違うことを申し上げるからと言いまして、党がいずれかの時期に何か私の意見と違うことを決めた場合には、それに従う用意はあるわけですが、しかし少数の意見で、当面実現はしないかもわからないけれども、多数の意見が必ず正しいというわけでもないんで、決定の段階では多数で決定していくのが当然だと思いますけれども、少数意見というのはいつか、五年先か三年先か知りませんが、正しいものとして多数になっていくこともあり得るというような考えで、ひとつ聞いていただきたいのであります。
 一つ、まず申し上げたいのは、参議院は良識の府だとわれわれ選挙のときにもよく口走るんですけれども、一体良識の府ということの本来の意味は何なんだろうかということをまず考えたいのです。参議院が良識の府であって衆議院が一体何なんだというふうな変な議論をしてみても始まらない。何か良識ということには意味があるのではなかろうかと思うのですが、そこで法制局にまずお聞きするのは、憲法とか国会法あるいは公職選挙法等の公法をひもといてみて、参議院と衆議院との性格上の差あるいは機能の差といったようなことについて何か明文がありますかどうか伺いたいです。
#52
○政府委員(真田秀夫君) 現在のわが国におきましては、国会が二院制で構成されていることは言うまでもないことでございますが、どうもいまの御質問に的確にお答えできるかどうかはなはだ心もとないんですが、およそ二院制というものには、これは講学上貴族院型の二院制とか、あるいは連邦型の二院制とか民主的二院制とか、いろいろ分類されておるようでございます。わが国のいまの憲法は「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」、また「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と書いてございますので、いま申し上げました分類のうちのいわゆる民主的二院制というのに該当するのだろうと思います。したがいまして、衆議院も参議院も、ともにいわゆる民選議員で構成されるわけでございますが、わが国のような民主的な単一国家で、連邦ではございません単一国家でなお二院制をとる理由は何だろうかというようなことが問題になっていると思うのでございますが、どうもいろいろ考えてみまするに、いわゆる民主的二院制をとるということの意味合いとしては、民意をなるべく正しく国政に反映させるということ、それから、つまりそういう民主的構成をより慎重に構成させるというようなことがもちろんあると思います。そのほかに第一院、衆議院なら衆議院、第一院が機能、活動不能になった場合にもなお国政が滞りなく行われるようにするというようなことも普通言われております。さらに、民主主義における原則であります多数決のたとえば行き過ぎがあったような場合にこれをチェックするんだというようなことも言われております。そういうようないろいろな理由があると思うんですが、また機能の面では、どうも参議院の委員会ではなはだ申し上げにくい点もあるわけですが、どうもいまの憲法で見ますると、衆議院議員は任期が四年、解散制度がある、それから参議院議員は任期が六年というふうになっておるところから見ましても、衆議院の方がより国民の民主的なコントロールを強く受けるというような意味合いがありますので、どうしてもそういう点からの考慮だろうと思いますが、衆議院と参議院とにおきましては、憲法上衆議院の方に優越性があるというふうにされているわけでございます。
#53
○中西一郎君 ただいまのお話聞いておって私思うんですけれども、いまの憲法、国会法あるいは公職選挙法、公法通じまして両院の機能といいますかね、役割りは明確に決めてない、枠組みを決めたり任期に差を設けたりはしているというようなことで、言ってみれば両院の枠組みは決めているが機能は決めてない、こう理解したんです。その上での話なんですけれども、議会制民主主義というものが始まって二院制が議論された歴史は大変古いんでありますが、あるべき両院というものは一体どういうものなのだろうかということについて、御当局には写しを差し上げてあると思うんですけれども、ある学者の所見があります。申し上げますが、ハイエクというノーベル賞の受賞者でありますが、このハイエク氏の考え方はフリードマンとか、あるいは日本の学者の中でもその同調者が大分いることは御承知のとおりだと思うんです。そこで、こういうふうに言うんですね。法律というものには二種類あるんだと。平たく言うと、基本法というのと、いわば個別法といいますかね、あるいは普遍的な組織の上にある法と、でき上がった組織の中のルールと分けてもいいんじゃないか。まあそういう言い方をしながら、またあわせて特定の職域あるいは集団あるいは階層の利益を守るための法律といったような、日本で国会を通れば全部法律にいまなってますけれども、その法律の中にでも個別の命令的な法がある。そのほかに憲法とか民法とか商法とか刑事訴訟法、その他挙げればたくさんありますが、組織をつくる基礎づくりにかかわる法というのがある。まあ法理論的にどうだということじゃないんですけれども、そういうふうな分け方をして両院制を議論するということもやってみていいことではなかろうかと実は思うのです。
 で、下院と上院、先ほど衆議院と参議院の差についてのお話がございましたね。衆議院の方は、いま申し上げたような意味では命令法、利害が衝突しているのですから、多数によって物事を決めざるを得ないということで、衆議院の方は具体的な法律、利害関係と絡んでおる対立的な問題を処理する法律を分担すべきではないか。そして上院といいますか、参議院といってもいいんですけれども――の方は、先ほど申し上げた基本的な法というものをじっくりと長い目で取り組んで絶えず勉強する。こういうよけいなことを言うとしかられるかもしれませんが、衆議院がたとえばだれだれ発言で空転したとか、いろんなことがあるにしても、参議院はそれとかかわりなく仕事を絶えず続けていくんだというようなスタイルでの機能の分担ということを考えるべき時期が来ておるのではなかろうか。というのは、憲法、国会法等も枠組みは決めておるけれども、両院が一体どういう機能分担をすべきであるかということについては明文がない。ということは、そのことは両院に任せておるのではなかろうか。かような見地で、両院がそれぞれ自分は何に主力を置いていくかというようなことについての勉強をしていい時期が――この制度かできて三十年近いんですけれども、そろそろ来ておるのではないか。そういうことを考えることなしに、衆議院で議論されたと似たようなことを参議院がまた繰り返すというようなことだけでは、憲法や国会法には書いてはございませんけれども、しかしその背後で国会に期待した何ものかが実現されてないことになるのではないか。これは主として立法府自身が考えるべきことかもしれませんが、しかしいまの実定法をそういった角度から検討して、で、運用の上でなり、あるいは実定法の改正なりということに取り組んでしかるべき時期に来ておると私は思うのです。
 そこで、もう一度法制局に聞きますが、そういうような法律の分け方ですね、根本法と実定法というようなことを考えることは誤りであるのかどうか、お答えいただきたいです。
#54
○政府委員(真田秀夫君) 先生からお示しいただきましたハイエク等の考え方についての関係部分だけ私読んでみました。なかなかしかし理解しがたい部分もかなりあります。で、私のこれ読んだところの感じでは、およそ法というものを、本来の法と、それから行政にかかわる法令を制定するといいますか、行政にかかわる法令というふうに分けまして、そしてその前者、本来の法は第二院といいますか、おっしゃる気持ちで予測して言えば、参議院の分担にかかわらせると、それから命令法といいますか、行政にかかわる法令は第一院、衆議院の分担にかかわらせるというふうに機能の分離をして、それぞれの受け持ち分野で立法作用に従事するというふうにしてはどうかという提案だろうと思うんです。しかし、もともと本来の法とそれから行政にかかわらしめる法というような分類の基準が、どだい私によくのみ込めないこともございますし、それから、いまの憲法はなるほど積極的にそういう分担ということを書いておりません。おりませんが、しかし、むしろ逆に、憲法自身が、先ほどちょっと触れました衆議院の優越性を規定している事項を除けば、衆議院と参議院とは全く同じ機能を持っているというふうにむしろ書いているんだろうと思うんです。それはちょうど「法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。」と言っているわけですから、すべてのおよそ実定法は衆議院も参議院もそれぞれ議案としてこれにタッチするというふうに考えているわけでございますので、このハイエク先生が提案しているような仕方をいまの日本の憲法のもとではとるわけにはまいらないというふうに考えます。ただ、おっしゃるように、それぞれの特色を生かして、どういう点に重点を置いて審議をすべきかということをお考え願うということは大変結構なことだろうと思いますので、それは運用として国会御自身の御判断にまつべきであろうと、かように考えます。
#55
○中西一郎君 確かにハイエク君の言っておるようにしようと思えば憲法改正せにゃいかぬわけですね。そういうことを考える必要はない、運用上やればいいことだと私も思ってはおるんです。
 で、参議院の選挙が始まりました当初を考えますと、大変古い話になるんですが、日本の文学界あるいは経済界なり学界なり、大変りっぱな人が出てこられた時期がございました。余り選挙もしないで当選された方も大分おられたものと思うんです。で、その後、選挙を戦わないと当選できないようにだんだん世の中が変わってきておるわけですが、私思うんですが、全国区制度について昨年のいまごろから大変問題になってきたんですけれども、七千五百万人の有権者が百名に及ぶ候補者を選ぶ、これはね、選択のその限度を超えた選択を強制しておるんではなかろうか。で、候補者の方から言いますと、ともかく全国走り回らなきゃいかぬと、原則的に。これまた候補者にとっては大変酷な制度ではないかと。生まれた経緯はいろいろ調べてはみましたけれども、いまの全国区制度というのはあれでいいんだと考えられる根拠というのは私は非常に少ないように実は思うんです。で、地方区の場合は各党からいろんな案が出てきております。大変皆さん精緻に御研究になって、四十八名案、二十六名案、あるいは十六名、十二名、十名、まあいろんな案がこう出てる。で、このもとを考えますと、百五十人と百人というのを決めたそのこと自身にも何かすっきりしたものが見当たらないということが一つ。それと配当基数というものをもとにした苦心はわかるんですけれども、苦心はわかるんだけれども、それは数字をどうするかという苦心の策なんであって、選挙制度を考える、特に先ほどの二院制を置くというようなことを踏まえた上での考え方としてはどうもなじまないものがある。そういうことでいまの全国区、地方区というものが続いてはきておるんですけれども、続いてはきておるんですけれども、そろそろもとへ立ち返って、われわれの頭で考え直して、立て直したらどうかというふうに思いますし、そういう時期が来ておるんじゃないかと。で、いままでの路線のまんまでいくのがいいのか、あるいはもとへ立ち返って洗い直していくのがいいのか。その場合に、自治大臣にお伺いするつもりでおるんですけれども、選挙制度審議会というものがございまして、しかし選挙制度ということだけで果たしていいんだろうか、両院のことですから政府に責任を全部おっかぶせるわけにはいきません。国会で当然分担をせにゃいかぬと思うんですけれども、両院制度、二院制度というものと選挙制度というものを絡めたような形で根本的に洗い直しをするというようなことが必要ではないかと思っておるんですけれども、大変包括的な話で大臣お答えにくいかもわかりませんが、私いままで申し上げたことについて御所見がございましたら伺わせていただきたいと思います。
#56
○国務大臣(福田一君) ただいま御質問がありました点について、あなたからの出されておりまする御意見も一読さしていただいたわけでございますが、確かに選挙制度審議会というところでやります場合に、定員の問題とか配分の問題とかというのをそこで決めて、そしてそれが実現するのかどうかということになると、理論としては、私は、公平な第三者が決めるんだからそのまんまに従えと、こういう理屈も成り立ちますけれども、実際問題としてはやはり院において、両院において決定されなければこれは実現しないわけでありまして、そういう点から考えますというと、人数の問題等については、あるいは配分の問題についてはやはり各党間でひとつ研究していただくというのが実現しやすいというか、実現ができる方法であるというふうに私は考えております。選挙制度審議会で配分、たとえば参議院において地方区は何名にしあるいは全国区は何名にすると、そのやり方はこうこうこうするというようなことを決めても、なかなかそれを受け入れるかどうかという問題、利害の問題もいろいろございますから、これはどうしても、やはりこの前の衆議院の制度改正に当たりまして選挙区を二つに分けたり、あるいはまたその他の方法によって是正をしたあのやり方というものの方が、これは各党間で話し合って決めたわけですから、それなら実際はおれの方は賛成じゃないけれどもやむを得ないというのもあれば、まあ大体いいじゃないかというのもある。これもやはり結局は多数で決まったわけなんですが、そういうやり方より以外に方法はない。ただ、職能――衆議院と参議院の国政に参与するやり方の問題ということで一つの御意見をお持ちのようでございますが、これはやはり、もし何でしたら選挙制度審議会あたりでよく審議をしてもらって、その上に立って今度は問題を解決する工夫をするというのも私は一つの考え方ではなかろうかと、こう思っておるわけであります。
#57
○中西一郎君 選挙制度審議会の中ででもそういう議論をすることは可能であるというふうに伺いましたが、テクニカルに、何といいますか、選挙制度だけやるんでなしに、その前提を置いて議論してもらうということもぜひどこかでやらなければいかぬし、政府でもしできるならばそういうことも取りかかっていただければ幸いである、また恐らくこれはなかなかむずかしいことですけれども、議員としてもそういう勉強をするような段取りになれば大変幸せなことでないか、かように思うんです。いささか議院制度が混迷に陥っておる、で、これはやはりもとへ返っての整理をすべきではないか、これは私の所見でございます。
 それから次は、言い残しておりますんで簡単に触れておきますが、全国区制度は大変候補者にとっても有権者にとっても無理な制度ではないかと申し上げましたが、大変例外的な、選挙運動をなさらない議員さんも少数はいらっしゃるんですけれども、私、やはりこれは廃止すべきではないか。たまたま地方区制度というものがきょうも午前中お話がありました。質疑の中で伺っておったんですけれども、アメリカの連邦、州といった性格といまの参議院というものとは歴史的な経過からいっても違うし、制度的にも直に結びつかない、こういうようなお話が出ておりました。確かにそうではあると思うのです。しかし、そうではあるとは思うのですけれども、地域代表という性格はなくはない、ウエートがそれだけではないということだと思うのです。そういう意味でいまの地域代表というものの性格をもっと明確にするということは考えられるのではないか。選挙制度審議会のずっと初めの方の御議論の中で、これは少数意見だったようですが、二百五十名というふうな数字にとらわれることなく、各都道府県裏表で一名ずつ二名ということで九十何名かに定員をして、で、あとの余った分は削減するか、あるいは全国区へ持っていくかというような議論も出たことがあるように聞いております。そういったことを考えますと、少数意見ではあったのですけれども、しかし地域自治体というものはいまの現状のままでいいかというとそうではない、州のようなところまで持っていくべきかというと、これはまた大変な議論がある。しかし、きょうの本会議でもいろいろ御議論が出ておりましたけれども、地方自治体というものの自主性、主体性というものはもっと強化していく必要があるのではないか、これは大方の意見が一致するところだろうと思うのです。そういう意味合いでの地域性を明確にするということを一つの柱を立ててみたらどうか。で、同時に、その柱のもとで行われる投票の結果をもとにして比例代表で各党が推薦するいろいろな方面での学識経験者の方々を、その御本人たちは選挙をしなくても国政に参加できる、そして先ほど申し上げました、基本法と一口に言っておりまするけれども、いまの自由を民主主義というものを守る、そして平和と繁栄を築こうとしておる憲法の精神にかかわるような、公法と言ってもいいと思いますが、そういうものに専心取り組むと。一〇〇%ということになるとこれは問題がありますけれども、いまの憲法上の問題も出てくる。しかし、大きなウエートを置いてそういうところをやるところが参議院なんだというふうに持っていけないものだろうかというふうに実は考えて以上御質問をしてきたわけであります。
 次に移りますが、これは最高裁の四月十四日の判決にかかわることであります。中身の詳しいことには触れませんが、こういう疑問が提起されています。私自身も、かねて、いろいろ一票というものの重さというものは単にその抽象的な数字だけの量的な判断でいいんだろうかどうか。最高裁に逆らうわけではございません。最高裁でお決めになったことはそれで従うのですけれども、しかし、こういう考え方もある。最高裁の中にも少数意見があったのですから少し違った意見を申し述べても差し支えないだろうと思うんです。というのは、東京の議員さんは毎日十人に会える。もっと会えるかもしれません、近いですしね。ところが、鳥取の――たまたまおられますが、議員さんは毎日十人には会えない。ともかく、十日に十人かもわからない、一週間に十人かもわからない。有権者の側から言いますと、自分たちが選んだ人であって、自分たちの意見をのみ込んで仕事をしていただかなきゃいかぬ。自分たちの選んだ人である。で、選んだ側から言いますと、大変疎遠な議員さんと非常に緊密に連絡がとれる議員さんとが出てくるわけです。これを、単純にそういう実態を捨象して議員一人当たり人口はどうだとかいうようなことを言ってもいいんだろうかしらんという疑問が一つです。それからもう一つは、一人当たり県民所得なんです。この議会制民主主義が一体何をねらっておるかということになると議論は大変複雑になるんですけれども、ともかく、貧富の大きな格差があるのは是正していかにゃいかぬということが一つの柱だろうと思います。福祉政策もそうでしょうし累進所得税もそういうことをねらっておる。上をなるべく抑え、下をなるべく上げる。で、貧富の差が極端な社会構造でないようにしていこうというねらいが民主主義にあると思うんです。としますと、一人当たり県民所得の差は大変開いておる。で、その、たとえば東京の有権者が持つ議員の数というのは、鹿児島か鳥取か、どちらでもいいんですけれども、の議員さんが持っておる有権者の数、確かに数字では開きがある。で、憲法違反だどうだと、こう言われておるわけですけれども、少なくとも、一人当たり県民所得が低いだけの分は逆の割り算で人数をふやさにゃいかぬのじゃないか、そういう議論もあり得るんじゃないか。特に日本は細長い列島ですし、過疎地と過密も歴然としておるし、県民所得の差も大変なものがある。それだけでなしに、たまたま手元にあるんですけれども、最近、総合的な指標、二十幾つの指標を使いましてそれぞれの県の民力といいますか、道路とか交通とか医療とか所得とかいういろいろな要素をかみ合わせて民力というものを数字にして比較する技術が発達してまいりました。で、その作業は、これは政府がやっておるわけではございませんけれども、一つ御紹介しますと、ある新聞社なんです、二十年来こういう作業をやっている。で、二十四指標で、総合指標というのがありまして、全国を千といたしまして、東京は百四十八・七というんです。全国千の中で百四十八・七のシェアがある、民力として。鳥取は、これは最低なんですが、四・九なんです。三十分の一なんですよ。で、その三十分の一を押し上げていくエネルギーがどっかになきゃいかぬ。ところが、いままでの議員一人当たり人口論でいきますと、そのエネルギーを減らす方へこそいけ、ふやす方へいかないです、ふやす方へは。これは、アメリカはどうなっておるか、イギリスがどうなっておるか知りませんけれども、単純な算術的な発想だけで果たしていいんだろうかしらんという疑問を持たざるを得ない。そういったことももう少し議論を政府の審議会等におきまして深めていただきたいと思うのであります。私がきょうの質問の大きな柱にいたしましたのは大体以上であります。
 後の質問もたくさんおありのようでございますし、始まったのも遅かったからこの辺で締めくくりますが、参議院が――私が言うんじゃないんですけれども、ミニ衆議院と批評をされることもある。そういったことは憲法も国会法も予測したことではないんじゃなかろうか。何か違ったものを先ほど法制局次長もお話しになりましたが、チェックするということだけでなしに、それを何か補完してプラスしていく、実定法上は書いてないですけれども、しかし、素直に考えればそういうことも期待はされておったんではないか。その期待にこたえる努力というものが余りされてない。これではやはりあるべき姿とは言いにくいだろうというようなことが前提にあって、そしてハイエクの考え方を引用したりしたんでありますが、最後に法制局次長にお聞きしたいのは、あなたの言われた意見と少し違う点があるんです、私の考えは。それは自然法という考え方ですけれどもね。いろいろ具体的な法律が国会で成立していく。これ全部法律と言いますね、いま。しかし、そういう法律と違った、利害関係の調節ということでなしに、人間社会という組織を組み立てるための法というものがあるだろうと思うんです、それを何と呼ぶかは別にしましてね。これ以上は申し上げませんが、そのことが人間の尊厳とか自由とか民主主義とかいうようなものと結びつくところがある。そういう意味で、これは法理論と言うのか法哲学と言うのか知りませんけれども、そういう立場からもいまの両院制度を見直すようなことを法制局でもやっていただきたい。政府は法案を持ってきて徹夜で手直しされる努力はよくわかりまするけれども、しかし、それだけでなしに、そういった議院制度のあり方ということとも関連づけながら、ハイエクが言っておる言葉は熟してないとは思いますけれども、本来の法というものと命令法というものとは理論的には分けられると思うんです。きょうはこれ以上は申し上げませんけれども、御検討をしていただければ幸いであります。
 委員長、大分時間残しましたが、私はこれで終わります。ありがとうございました。
#58
○多田省吾君 私は最初に、新しい政治資金規正法の運用の問題について二点だけお伺いしておきたいと思います。
 一つは、新法によって団体の名称等が四月二十七日の官報に公表されております。しかし、実態は相変わらずどのような政治団体であるか内容というものがなかなか国民にわかりにくい内容になっております。せめて新法に、まあ三条、四条、五条にあるような特殊の団体に区別して公表できないものかどうか。というのは、参議院の予算委員会でも問題になった、三木総理の派閥の団体であると言われている政策懇談会というものが今回も載っておりますが、代表者は春日井薫さんという議員でない方です。ところが派閥の場合は、国会議員が主宰するか、またはその主要な構成員が国会議員であるもの。ですから私は、当然、代表者が国会議員の方ではありませんから主要な構成員が国会議員として名前が相当報告されていると思うんです。ところが、そういう内容については自治省は発表なされないわけですね。ですから、国民から見た場合、政策懇談会というのは一体派閥の団体なのか、個人の後援会なのか、その他の政治団体なのか見分けにくいわけです。今度の新しい政治資金規正法によって、たとえば派閥が受けられる政治献金は政党の場合の二分の一であるというような規定もあるわけですから、そういうものがわからないと、なかなか政治献金にしましても国民の側からすればやりにくいのではないかと思われるんです。そういう意味で私は、いまのような政治団体とそれから政治資金団体の二つの区別による公表だけではなしに、少なくとも新法の特殊の団体に区別して公表されたらよろしいんじゃないか、このように思いますし、また、今後は毎年定期的に公表されるお考えがあるかどうか、この二点をまず自治大臣にお伺いします。
#59
○政府委員(土屋佳照君) かわりましてお答え申し上げますが、御指摘のように、政治団体の定義につきましては第三条でいろいろ分けてあるわけでございます。お話のように、政治団体の設立届け等についてはいろいろ種類ごとに出した方がはっきりするのではないかというようなことでございますが、性格的に考えてまいりますと、政党及び政治資金団体を除きましては、法律上は、その他の政治団体というものは、別にいまのような政党、政治資金団体その他の政治団体という形で一括してあるわけでございます。性格的にはまた一括して考えるべき性格のものだと思うのでございます。政党と政治資金団体については、御承知のように、寄付の量的な制限とか、あるいは報告義務の課される寄付の内訳等の諸点でそのほかの政治団体と取り扱いが異なるという点がございますから、これは一応分けております。それ以外の政治団体も、いまのお話のように、個人の国会議員の後援団体であるのかあるいはそうでないのかといろいろなことはございましょう。しかしながら、政治団体という点ではこれは同じでございまして、時にまた政治団体とその政治団体が後援をしておる個人とは一応別になっておる場合がほとんど多いわけでございます。同じ後援を受けておるからといってそこの団体の構成員になっておるわけでもございませんので、当然にその政治団体の届け出の中に国会議員の名が出てくるということもないという例は多いわけでございます。そういったことから、なるべく明確にということでございますけれども、まあ法的に考えられることは、政党と政治資金団体は取り扱いが違っておる、それからその他の政治団体というものは、これは性格的に同じような範疇に属するものであるから、それは一括した政治団体という取り扱いをしておる、こういうことになっておるわけでございます。
 なお、最後の方の御質問、私が趣旨を取り違えておるときは御指摘を願いたいと思うのでございますが、新しく設立された団体の公表等については、今後はその都度公表するということにされておりますから、ある程度まとまったらその都度官報で公表するということにいたしたいと思っておるわけでございます。
#60
○多田省吾君 非常にこれは、私は不親切な御答弁である、このように思います。前の旧法と、それから今回政府自民党が鳴り物入りで新法をつくったのに、この官報にあらわれた姿では、一体この政治団体なるものが派閥の団体なのか個人後援会なのか、こういった区別が非常にもうつかないような、内容がわからないと、こういう姿になっているわけです。ですから一歩も前進がないどころか、私はかえって後退だと思います。そして、やはり派閥に対する献金額は政党に対する献金額の二分の一というような内容もあるわけですから、やはり派閥の政治団体なのかあるいは個人後援会なのかはっきりするように、三つの種類があるわけですから。たとえば、政治上の主義、施策を研究する目的を有する団体で、国会議員が主宰し、またはその主要な構成員が国会議員であるもの、これは解説にもありますように、これは派閥とか、政策研究グループと言われるものがこれに該当すると、解説では書いてありますけれども、ここにあらわれた、公表された政治団体の名前では、一体これが派閥の、すなわち国会議員が主要な構成員になっている団体なのか、あるいは一人の国会議員を個人後援会という形で後援している後援会なのか、そういった点がかいもくわからないようなこれは公表なわけです。ですから、私はより国民の前にガラス張りで明らかになるように、これは自治省はその届け出の実態を見て、構成員が国会議員が多数あるならば、これは五条の一項の団体なんだなとわかるんですから区別して公表された方が私はわかりやすいんじゃないか、このように申し上げておるんです。時間ありませんけれども、どうですか、この一点答えてください。
#61
○政府委員(土屋佳照君) おっしゃる意味はよくわかったわけでございます。ただ、法的な区分ということになりますと、先ほど申し上げたように、非常に理屈張ったことになりますが、政党、政治資金団体と、その他の政治団体ということになっておりまして、その他の政治団体の中でもいろいろあることはおっしゃるとおりでございます。直ちにそれを別々にということになりましても、私どもの方としても直ちにこれをこういうふうにいたしますという即答はできないわけでございまして、一応法で求めておる、区分されておる限りの区分はしておるということでございます。おっしゃった意味はよくわかるわけでございますが、なお私どもとしても検討いたしてみます。
#62
○多田省吾君 それから第二点目ですね。私はそれはある場合において、まとまって新しい政治資金規正法によって届け出の政治団体については公表されるには違いありませんけれども、定期的に毎年、三月の初めとか、あるいは一月の二十日とか――ことしは四月の二十七日に公表されたわけでありますけれども、毎年定期的にこの新法による政治団体の名称を毎年発表されたらどうか、こういう提案です。
#63
○政府委員(土屋佳照君) 新しい規正法のもとによって届けられたものということは、結局新しくできたから、その新しくできたものだけではなくて、この法律施行後、現在ある政治団体の名前をはっきりするようにしたらどうであろうか、こういうことであろうかと思います。その点については、一応一年たちますとそれぞれの政治団体からすべて収支の報告が来るわけでございます。その際に一応そういう形での団体名というのは公表されるわけでございます。そういったことでわかるとは思いますが、それ以外にこういう団体があるんだといったようなことをやるということは、法的な、法律上の義務としてやる以外に何かそういったわかるような方法がとれるかどうかということについては私ども研究をいたしたいと思います。
#64
○多田省吾君 その場合は、報告のない団体はいままで公表しておりましたか。
#65
○政府委員(土屋佳照君) まあ収支がなくても本来政治団体やるべきものでございますけれども、多分全部がゼロであっても届け出ておるという形にはなっていなかったんじゃないかと思います。したがって、収支もないということで届け出がないというものが相当あったということは従来は想像できるわけでございます。今後はそういうものも全部出してもらいたいと期待はいたしておりますが、まあいまおっしゃった意味はそういう漏れもあるから常にある時点でこれだけのものがありますということを明確にしたらどうであろうかということであります。どういう方法があるか即答はできませんが、いろいろ勉強はしてみたいと思います。
#66
○多田省吾君 私は、そのように届け出してありながら報告漏れのあった政治団体も同様に公表すべきである、このように思います。
 それからもう一点は、十二条一項二号の支出を受けた者の氏名というものが明らかに中間団体である、これを経由してまた最終の方に政治献金が届いたと思われるような場合三十一条には訂正命令が自治省によってできるようになっておりますけれども、この前の予算委員会で桑名議員が総理並びに大臣に、最終の受領書を明確にしてないんじゃないかという質問をしましたときに、三木総理あるいは大臣は、改正はしないけれども新しい方法によって何らかこの運用面において支出面を明確にする方式を検討したいと答えられておるんですね。ですから、私はこの中間団体等であると思われた場合はやはり三十一条の訂正命令を積極的に出してこれは明らかにさせるべきだと、こう思います。新政治資金規正法の二条の二項にもその基本理念には国民の疑惑を招かないようにとはっきりなっているわけですから、その趣旨によっても私はこのようにすべきだと思いますが、大臣いかがですか。
#67
○政府委員(土屋佳照君) 大臣の所見は後から出るかとも思いますが、ただいまの支出の相手方の問題でございます。どこまでこの支出を受けた者として届けるべきかということになるわけでございますが、その点については旧法でも新法でも同じことでございますけれども、この法律上は支出というのは「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付」をいうというふうにされておるわけでございます。供与というのは、これは直接本人に渡した最終的な段階の方ということになるわけでございますけれども、交付という場合は従来の判例等から見ても、他の人に供与させるために仲介者に金品等の所持を移転をするというような形でございますから、結局その真ん中にある人に交付をするということはあり得るわけでございます。それは旧法でも新法でも同じだと思うのでございます。ただこの場合に、収支を国民の前に明らかにする、そして国民の批判を仰ぐというようなたてまえからいたしますと、やはり交付と申しましても、交付を受けた者が少なくともその受けた金品等をみずからの責任と判断で処分できる地位にあるということが必要であろうかと思うのでございます。単に事務的にその人を経過しておるからということだけでそれは交付であるということで一括して片づけるというわけにはいかないと思うのでございます。したがいまして、おっしゃる趣旨のように、できるだけ最終的に近い者がわかればこれはベターであることはもう申すまでもないわけでございますが、じゃ、そういう最終的なものでなければ絶対にいかぬかと申しますと、いまの供与または交付という点からそういう中間的なものはやはり法律上あり得るわけでございます。したがいまして、一々そういうものについて全部訂正命令を出すということには法的にはまいらない場合が多かろうと思うのでございますが、おっしゃる趣旨に従って、できるだけ、もう少しこういう点ははっきりすべき点があるのじゃないかということがわかるようなものについては、そういった指導は十分できるだろうというふうに考えております。
#68
○多田省吾君 選挙部長からは大体の御答弁があったようで、私も非常に、まだ不満でございますが、大臣から、いま言った新法による団体の名称等は六種類ぐらいに分けて発表できないかと、それから毎年報告を公表する場合に、報告のない政治団体も一緒に含めて公表すべきである、これは報告がなかったということでですね。それから第三点は、そのように中間団体等に政治献金がなされて、その報告しかなかったような場合は三十一条の訂正命令を積極的に出してガラス張りにすべきであると、こういう三点の要望に対してひとつ大臣の御所見を承りたいと思います。
#69
○国務大臣(福田一君) ただいた御指摘になった項目は、政治資金の収入、支出を公明にする、そして国民から疑惑を受けないようにするには、このような方法が必要ではないかという意味における御指摘であると私、承っております。しかし、まあただいま選挙部長からも申し上げましたとおり、法律のたてまえから言いますというと、なかなかそこまでいけない場合もあり得ると思うのでありますが、できるだけ御趣旨が通るようにするというか、とにかくやはりこう収入、支出の面が具体的にあらわされて、そして国民から疑惑の目をもって見られないようにする努力というものはやはり続けてやっていかなければならないと、かように考えております。
#70
○多田省吾君 大変不満ですが、次に、最高裁の判決についての御質問をしたいと思います。
 午前中に法制局長官から秦委員の質問に答えられて、今回の最高裁の判決は、一票の投票価値の平等ということにおいて衆参両院について述べているものであり、昭和三十九年あるいは四十九年の参議院地方区における最高裁の判決と同じ立場の判決である、このように答弁されたわけでございますが、当然次長もそのようにお考えだと思いますが、まあ念のためお答え願います。
#71
○政府委員(真田秀夫君) 先月十四日の最高裁判所の大法廷判決は、これはもう御承知のとおり衆議院の昭和四十七年における選挙、しかも千葉一区ですかの選挙について述べたものでございますけれども、その判断を示している理由の冒頭の辺で、いまの選挙における平等というのは、選挙の資格の平等だけでなしに、価値の平等、まあ俗に一票の重さと言っておりますけれども、それが非常に大事であるということを述べておりまして、その個所では特に衆議院に限ってということを言っておりませんので、その考え方を推し進めれば、これは参議院の地方区における選挙、あるいは地方の選挙にだって同じだろうと思いますけれども、そういう原理が基礎に流れておるというふうなことは言えると思います。
#72
○多田省吾君 ただその場合、次の秦議員の質問は、まあ今回の参議院地方区の定数のアンバランスというものは、昭和四十七年当時の衆議院のアンバランス四・九九倍よりも激しくまあ五・五倍になっているわけです。そしてまた、いま次長がおっしゃられたように、これは衆参両院を貫くところの一票の重さ、また投票価値の平等ということを言っているのだと、こうおっしゃっております。ですから、当然、われわれは来年の参議院地方区の選挙がこのままの状態で行われた場合は、同じように最高裁の違憲判決が出るのは当然のことであると、このように思わざるを得ませんし、昭和三十九年、四十九年の最高裁の判決というものは、「参議院地方選出議員の各選挙区に対する議員数の配分は、選挙人の選挙権の享有に極端な不平等を生じさせるような場合は格別、そうでないかぎり、」云々とありまして、極端な不平等を生じさせるような場合は違憲だという意味ですね。だけれども、「そうでないかぎり、立法府である国会の権限に属する立法政策の問題」ということで終わっておりますが、今回の最高裁の判決は、選挙人の投票価値による実質的な差異を生じさせる場合はそれが一般的な合理性を有しない程度なら違憲だと、こういうことで、はっきりした判例の変更でございます。当然、私は参議院地方区の是正を怠れば政治上の違憲を犯すことになると、このように思うわけです。しかし、吉國長官は、判決の中のある一部分を読まれまして、諸要素のところもおっしゃっておりました。そして、具体的な――まあ長くなりますからやめますけれども、こういった判決の内容文を読まれて、直ちに参議院は違憲とは断じがたいと、こういう御答弁をしたわけですが、私は非常に納得いかないわけです。やはりいろいろなこれは諸要素、前提はあります。しかし、それ以上に、やはり一票の価値の平等というものがはっきりこのように最高裁の判決によって言われた以上、やはり参議院地方区の同じ五・五倍という不平等というものは違憲であると言わざるを得ないと思うんです。次長はいかがですか。
#73
○政府委員(真田秀夫君) 先ほど、最高裁判所が判決の理由中において、選挙の平等については選挙権の価値の平等、投票の価値の平等が大事だということを言っていると申しましたが、そのことと、それからある具体的な定数の配分規定が違法になるかどうかとはまた別の問題だろうと思います。基礎としては、投票の価値の平等を大切にしなきゃいかぬけれども、それはこの判決も申しておりますように、「具体的に、どのように選挙区を区分し、そのそれぞれに幾人の議員を配分するかを決定するについては、各選挙区の選挙人数又は人口数と配分議員定数との比率の平等が最も重要かつ基本的な基準とされるべきことは当然であるとしても、それ以外にも、実際上考慮され、かつ、考慮されてしかるべき要素は、少なくない。」と、こういうふうに申しまして、その人口比例以外にいろいろ配慮すべき事項を掲げております。で、こういう人口数以外の配慮事項、基準として配慮すべき事項の中に、衆議院と参議院とでは、おのずからまた違っているものがあると思われることも事実でございますので、今回の判例があったからといって、直ちに参議院地方区の現行定数による選挙が違法になると断定はできないと、こういう意味でございます。
#74
○多田省吾君 最高裁の判決には、参議院地方区は別だとか、そういうことは一切言ってないわけです。そしてはっきりと、いま次長が読まれたその前の方にも、「具体的な選挙制度において各選挙人の投票価値に実質的な差異が生ずる場合には、常に右の選挙権の平等の原則との関係で問題を生ずる」んだと、はっきりこのようにありますし、これが一番重大だと思う。そして三十九年、四十九年の参議院地方区における最高裁の判決でも、地方区だから別だとか、そういうことは別に言っておりませんし、その地方区だってやはり極端な差異がある場合は違憲だと言っているんですから、今回の最高裁判決で判例が変更されて、やはり千葉一区の場合あるいは衆議院の定数の規定は違憲であるとはっきり出ておるわけですから、それ以上の差異があるのに違憲でないわけはないし、いろいろなそれは次長がおっしゃったような条件はありますけれども、それを乗り越えて、やはり一票の価値の平等が大事だという判決だと私たちは承知している。時間もございませんし大変残念なんでありますが、もう一度だけひとつその点を明確にお答えいただきたい。
#75
○政府委員(真田秀夫君) 同じ問題でございますので私のお答えも繰り返しになることをお許し願いたいんですが、私たちはやはり、この判決があったからといって現行の参議院地方区の選挙、議員定数の配分規定が直ちに同じように違法だというふうになるとは限らないと、それは、もしおっしゃる御心配のようなことが仮に起きて、そして訴訟を起こした場合に、あるいは最高裁判所はやはり違憲だと言うかもしれません。しかし、そうでないかもしれないのであって、今度の判例の理由に懇切丁寧に書いているところをつらつら読みますと、このことから直ちに、いま参議院の地方区の議員配分規定が違法であるときめつけなきゃならぬというものではないと、そういう意味でございます。
#76
○多田省吾君 この最高裁の判決は、前の二回の判決を覆した非常に画期的なものだと私たちは評価しますが、ただ、残念ながら、千葉一区あるいは選挙定数の配分規定というものが違憲であるけれども選挙については有効であるという、まあ大岡裁きであるというような批評もあるわけでございますが、その点は私は残念だと思います。ただ、六人の少数意見の方は、五人、一人とそれぞれ少しは違っておりますけれども、千葉一区は違憲であり無効である、選挙やり直しと、はっきり十五人のうち六人までが言っているわけでございます。この点もやはり考えるべきであると、このように思います。
 で、大臣に四点ばかりこの最高裁の判決の内容についてお尋ねしたいのですが、一つは、一般的合理性を有するものと考えられない程度、それから二番目は、直ちにではなく、合理的期間内に是正されないときは云々、それから三番目には、その選挙区だけでなく定数配分全体が違憲だ、配分規定が違憲だと、それから四番目には、配分規定は違憲であり選挙は違法であるけれども選挙の結果のいわゆる有効性というものを認めておる。この四つの最高裁の判断について、どのように所管大臣として受け取っておられるのか、お尋ねしたいと思います。
#77
○国務大臣(福田一君) 今回のこの最高裁判所の判決でいろいろの角度から判断の内容が示されておることは御指摘のとおりでございますが、お尋ねの、一般的合理性を有するとは考えられない程度の具体的内容については、この判決からはうかがい知ることができません。たとえば一と五の比率が正しいのか、一と四ならば違憲になるのか、あるいは一と三ならばどうなのかというような具体的な基準は示されてない。ただ、昭和四十七年の衆議院議員の選挙当時における衆議院において、議員一人当たりの選挙人数の開きが最高五対一の割合に達した場合には、憲法の要求するいわゆる選挙権の平等に違反するものであるということが明らかにされた、これはもう事実でございます。しかし、それ以下の一対四の場合はどうなるとか、四・五の場合はどうなるとかということはまだ示されておらない。これはやっぱり立法に任されておると私は判断をいたすものであります。
 それから、合理的期間内に是正されないときの合理的期間とは、議員一人当たりの選挙人数の開きが選挙権の平等の要求に反する程度となれば、直ちにということではなくて、国会が法律を改正するのに要する期間等、憲法上要求される合理的期間ということのようであるけれども、それが具体的にどの程度の期間を指すのかについては、これはまた明確にはなっておりません。
 それから、三と四については、判決に関与した裁判官の中にもいろいろの意見があるようでありまして、これは御指摘のとおりでありますが、すでに判決が示されていることでもありまして、それはやはりわれわれとしては判決自体を尊重するというたてまえに立たなければならないと思うんでありまして、内容、判決をするに至った過程における意見がどうであるということをもって問題を直ちに処理していくという――処理するというのはおかしいが、それを重要な参考資料としなければならないということには、私はたてまえとしてはならないと思います。しかし、これは一つの意見としてやはり考えてみなければならないということではあると思うわけであります。いずれにいたしましても、今回の判決はいろいろの問題を提示しておりますので、今後さらに研究をいたしてまいりたいと思っております。
#78
○多田省吾君 公選法の別表に、五年ごとの「国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」と、こうありますが、いわゆる訓示規定になっておりまして、義務規定ではないということで、この改正を怠ったような姿があると思います。ですから私は、最高裁の判決から見て、この規定というものはやはり義務規定にすべきではないか。で、いままで公選法に義務規定としての位置づけが欠けていたからこういう結果になったのであり、一因はそこにあると思いますが、これを義務規定に改正する意思はないか、あるいは義務規定のように受け取る意思はないか、どうですか。
#79
○国務大臣(福田一君) 御指摘の規定は公職選挙法の制定の際設けられたものでありまして、義務的、強制的なものではございません。訓示的な意味が強い規定であるとわれわれは理解しておるわけであります。
 なお、国勢調査の結果に従って五年ごとに更正することを義務化すべきであるという御提案でありますけれども、人口移動の大小にかかわらず、必ず五年ごとに更正することは、総定数の決め方いかんにもよりますけれども、その都度かなりの選挙区にわたって変動を招くことになり、現実問題としても混乱を避けられないのではないかと思われます。このような問題もありますからして、むしろこの問題については、衆議院議員の選挙区及び選挙区別定数の定め方を基本的にどうすべきかということを初め、選挙制度全体のあり方について、今後さらに十分考えていかなければならないものと判断をいたしております。
 なお、「更正する」というのは、一般に改め直すことをいうものと考えておるわけであります。
#80
○多田省吾君 それから最高裁判決の少数意見の中にもちょっと述べられておりましたが、外国では、イギリスでは常任選挙区確定委員会というものがあって、義務的にはっきりと配分されるようになっておりますし、西ドイツでも三十三カ三分の一%より上に向かっても下に向かっても偏差がないように、一対二以下になるようにはっきり義務づけておりまして、常任選挙区委員会というものができているわけです。アメリカでも、下院議員は人口に比例して各州に配分すると、はっきりこれはなっているわけです。数%の違反でさえも許さないというような自動的再配分、それからイタリアでも、一九四七年の憲法五十六条四項によってはっきりとこれは人口比例になっております。ベルギーでも、十年ごとの国勢調査の公表後、三カ月以内に選挙区議席数を人口比例で決めております。日本だけがこのように、衆議院においてもはっきりした規定がないし、参議院地方区にもないということは、非常にこれは議会制民主主義の発展の上から見ても嘆かわしいことであると思いますし、われわれは将来、どうしてもこれは第三者による中立の定数委員会のような委員会を設けるべきではないかと、このように思いますが、大臣はいかにお考えですか。
#81
○国務大臣(福田一君) 選挙制度審議会というものがありますから、公平な第三者がそこで選挙区の定数を決めていくというようにしてはどうかと、定員は何名にするかと、どこはどうすると、あるいはこれは分けるとか、そういうことを決めればどうかというような御指摘かと思うんであります。各国にもその例があるがということでございますが、これはなかなか、そういうことを決めるのならば、そういう法律をひとつまずつくらなければいけないと思うんであります。いまの現行法によりますというと、そういうことができることになっておりません。だから、選挙制度審議会で定数並びに区分を決めて、その決めたものはすぐ直ちにこれを実施するというような法律が決まれば、これはもうそのとおりやっていいわけです。その法律をつくるかどうかというのが、一つの国会における議論をしなければならない問題になるかと私は考えておるのであります。
 なお、そういうことがなくても、今度は院内において各党の間でそういうようなものをつくって、ひとつこういうような変化が起きた場合にはこういうふうにしようではないかというので、各党が一致して一つのルールをおつくりになるということになれば、これもまた一つの私は考え方であるかと思っておるのでありまして、諸外国にいろいろの制度があるからといって、直ちに日本にそれを取り入れるということができるかどうか、正しいかどうかということをやはり考えてみる必要があると思っております。
#82
○多田省吾君 参議院地方区の定数につきまして、午前中土屋選挙部長から、まあびしっとしたこの昭和二十一年当時決めたものが見当たらないような御答弁がありまして、私は非常に疑問に思ったんですけれども、第五次選挙制度審議会、昭和四十二年十月十七日に、当時の降矢選挙局長はこの辺のことをこのように答弁しておられます。「このうち百五十人を地方選出議員とし、各選挙区において選挙すべき議員の数は最近の国勢調査の結果に基づき、各都道府県の人口に比例して最低二人、最高八人となるように定めることとし、」云々と、それで配当基数も東京は八というぐあいに配当基数が出たままの人数をきちっと規定しておるわけでございまして、鳥取の場合はちょっと少なかったけれども、やっぱり二名配分ということでやっているわけでございまして、私はやはり配当基数というきちっとしたものが人口比例によって参議院地方区の定数を決めたという歴史的事実ははっきりしておる、このように私たちは考えております。
 時間もありませんから、今度の改正につきましては、われわれ野党四党は昨年二十六名増案を主張いたしました。本当は、それは定数内の是正も国民感情から見て望ましいものがありましょうけれども、やはりアンバランス是正ということを考えますと、当時の配当基数の計算では、現在、まあ七千二百万から一億一千百十九万までなったこの日本の人口の現在において、どうしても二十二名増、二十二名減というような結果になりまして、二名ずつ減になる選挙区がもう七つも九つもできると、四人区はほとんどなくなってしまうと、そしてアンバランスはどうかといいますと、やはり京都も四名から二名になりまして、京都と鳥取間の格差が四・一六倍に達すると、こういうことではやはり何のために定数是正をしたかわからないんですが、また配当基数じゃなくて、二百万の人口まで二名にしてそれ以上を人口比例によって定めると、こういうやり方も非常に貴重な御意見でありますけれども、そうすれば定数内でたしか十四名増、十四名減でできそうでありますが、これも大阪と鳥取県間が三・五六倍と、やはり三・五倍を超えるようなアンバランスになってしまうんです。それじゃ十人程度ふやしたらどうかと、配当基数の面で四捨五入方式になりますと、十名増で、二十四名増に十四名減ですか、こうなりますと、相当、三・四倍程度まで是正されるわけですが、それでもやはり三倍以上となりますと、非常に私たちはアンバランス是正ということにおいて不十分じゃないか。やはり衆議院の場合は少なくとも一対二以内、参議院の場合でも一対三以内ぐらいにはおさめたいということからして、私たちはやむを得ず二十六人増案を提出したわけでありますけれども、まあこの辺は自民党の方々とも小委員会で話し合って、やはり話し合いの結果でなるべく来年の選挙に間に合わすように私たちも努力したい。自民党の方々も前に剱木案というのを出されたわけです。これは逆転現象をちょっと解消しただけでございまして、六人増、六人減でございました。定数内ではございました。今回の五十年国調では、この前町村委員も、どうも埼玉をふやして福岡を減らさなくちゃいけなくなるから、こういうことをちょっとおっしゃっていましたけれども、これは逆転現象を解消するだけで大変なんで、これはアンバランス是正をしなければ、当然東京・鳥取間が五倍以上が残るわけですから、その点で非常にこれは大変だろうと思います。
 私が一点お尋ねしたいのは、たとえば、増案だけの場合はそのまま、沖繩が国政復帰したときと同じような姿で、六年議員、三年議員一緒に選挙をするようなこともできましょうけれども、増案、減案一緒の場合ですね、その方式がどうなるのか。憲法には、なるほど任期は六年と言われておりますが、その場合に、たとえば十二名増、十二名減なんという増減案、定数内の増減案が通った場合ですね、減の方は、これは三年ごと一人ずつ減らしていくようになりましても、増の方は一挙にふやすと定数をオーバーしてしまう。それじゃ、三年待ってから選挙するのか、こういうような疑義も残ります。この辺のことは仮定の問題でありますけれども、これは当然考えなくちゃいけない問題ですから、どのように考えますか。
#83
○委員長(神田博君) 福田自治大臣。簡単に願います。
#84
○国務大臣(福田一君) ただいま御指摘になったのは、御意見としてわれわれは承っておきますが、大体前々から、午前中も申し上げておりましたが、相なるべくはひとつ各党間において御検討の場合に、いま多田さんのおっしゃったような点もよくお互いに理解をし合うように、ひとつ御研究を願えれば幸いであると思うわけでございます。
#85
○内藤功君 まず定数是正の問題について、福田自治大臣。日本の最高裁はめったに違憲判決をしない、一般の学者のこれは一定の批判があります。違憲の法令についても、学界では違憲論が多くても、憲法に違反するという判決はめったにこれ出しておりません。三度目だと言われている。一回目が尊属殺の違憲判決、二回目が薬局の距離ですか、に関する判例、そしてこの三番目が今度の判決であります。そういう最高裁でさえ史上三度目の違憲判決をこの定数不均衝についてあえて行った、これはやはりよほど重大な違憲の事態と最高裁が見たためだと思うんです。
 まず最初に、これは前の質問者も聞きましたが、最初でありますから、自治大臣に、この判決を、選挙制度、選挙法規の総括の最高の責任者としてどのように受けとめておられるかということをまずお伺いしたいと思う。
#86
○国務大臣(福田一君) 私は最高裁の判決というものは、十分に重視するというか、これを守っていかなければならないものである、法治国家の姿から言いまして当然のことであると思っております。ただまあ一言つけ加えさしていただきますならば、これにいろいろの条件がついていたり、また基準が明確でない点がある。ここいらの判断は法律に任しておるのではないか、すなわち議院の認定に任しておるのではないか、こういうふうな受け取り方をいたしておるのであります。
#87
○内藤功君 この判決が出てから急に、憲法の十四条に照らして、いまの定数の不均衝は許されないんだという議論が多く聞こえますけれども、実はこの判決のあるなしにかかわらず、同じ人間の一票が、鳥取県に住んでおる人と神奈川県に住んでおる人とで一対五の開きがあるということは、これは人間は法のもとにおいて平等で差別をされないという、この人類普通の原則といいますかね、天賦の大原則といいますか、天賦人権の大原則といいますか、こういうものに反するということは私どもも言ってきましたし、多くの人たちが言ってきたことなんであります。参政権の平等というのは、人民の人民による人民のための政治というものをこの世の中に実現しようとするものであれば、これは死力を尽して、多少大げさに言うと、死力を尽くして実現せねばならぬ絶対命題だと思うんですね。古来、婦人の参政権、それから財産、門地にかかわらない、普遍平等の選挙、普選ですね、そしてこういうものは国民の、人民の運動、それから立法府の努力によってかち取ってきた、いわば人類の多年にわたる努力の成果、非常に貴重なものであります。そしてこの婦人の参政権や、あるいは財産のいかんにかかわらぬ普通平等の選挙というものの延長線上にある参政権の平等の問題として今日、住所地のいかんによって差別されないという、この原理が日本で、最高裁の判決で確認をされたと、こういうのが私は四月十四日の裁判所の判決の意義、あたりまえのことを言っているんだが、そのあたりまえのことを確認したということで非常に大きな意義のある判決だし、これはあだやおろそかではならないというふうに思うんですが、自治大臣、この点の評価はいかがですか。
#88
○国務大臣(福田一君) 最後にあなたが、あだやおろそかには見てはいけないとおっしゃったことについては同意見でございます。ただしかし、この一票の重みという問題について、同じ条件で、そして同じようにずっと続いておるというような場合におきましては、これは直さない方が間違いであるということがまず一応一つ言えるわけです。しかし、その場合も比率がどの程度が正しいのかという判断というものは依然としてやはり国会に任されておるものである、立法府がやるべきものであると思っております。そうしませんというと、もう人口が移動――特に高度成長のときでございますと人口が大変移動いたしたわけでありまして、東京や大阪というところは非常に移動した。そのために非常に差が大きくなったわけですね。こういう場合に、いままでもよく言われてきたことですけれども、投票などをしますというと、投票率が地方の場合は非常に高い、都会では非常に少ないというか、比較の問題でございますが、少ないというようなことがありました。これはやっぱりなじまないところもあるし、まあわからない。候補者のあれがわからないという面もあったり、そういう自然的な現象ということがひとつまたここに出てくるわけであります。で、人間は環境によって移動していく面がありますから、環境で変わっていった人口の移動というものに自動的に対応しなければ違憲であるというようなことを私は最高裁が決めておるわけではないと思う。それからまた同時に、その場合においても数の問題は数の問題、比率の問題は一対五のようなものは衆議院の場合においては違憲であるということを言いましたけれども、それにしても、これにいろいろな条件があって、是正をするときにはこういう点も考慮さるべきものであるということを言っておる。参議院の場合におきましては、これはもう衆議院とは違ったたてまえで立法されておるわけでございますからして、今度はやはり参議院の独自の制度というものから見て、どの程度をいわゆる衆議院の千葉一区について行われた判決と比較した場合に、どの程度が正しいかということについては、何もまだ最高裁の判決が出ておるわけではございません。だからいろいろの問題、いろいろなそういう制度の改正をするようなときに当たっては、人口問題を重視しなければいけないという原則がここに示されたということは、これはわれわれも十分に認識しなければなりませんが、それを実際に当てはめる場合においてどの程度がいいのかということになりますというと、最高裁の判決、必ずしも明瞭というわけにはいきません。明瞭にしないのは物理的にできないということでもあり、同時にまた立法府の意思というものをその場合には尊重するというたてまえが入っておるものであると私は理解をいたしておるわけであります。
#89
○内藤功君 今度は事務当局にお尋ねしたいんですが、今度の判決は、いま言った理念的な特徴のほかに、もう一つ、いわば訴訟法的な特徴として挙げられるのが主文であります。主文は「原判決を次のとおり変更する。」「上告人の請求を棄却する。」、ここまでならありふれた判決なんですが、「ただし、昭和四七年一二月一〇日に行われた衆議院議員選挙の千葉県第一区における選挙は、違法である。」、以下略しますが、このただし書きですね、これはめったに見られないタイプの主文であります。これを普通何と呼んでおるか、おわかりかどうか。それから、自治省はこのただし書きにどのように対応するおつもりか、この点をまず土屋さんにお聞きしたい。
#90
○政府委員(土屋佳照君) このような形式は珍しいし、これについて何か触れたものがあったと思いますが、いまちょっとただし書きの場合、どう言うかという事柄、言い方はちょっと思い出しません。
 それから、こういった違法であるという判決がただし書きとしてつけられた判決が出たという場合にどう考えるかということでございますが、基本的にはいろいろと大臣から話があったとおりでございます。少なくとも現行の公職選挙法と申しますか、まだ新しい選挙が行われておりませんから、この前改正されたばかりでございますけれども、現行の定数のもとにおける選挙ではなくて、前の、改正前の定数における選挙について、千葉一区についての判決であるわけでございますが、いろいろと判決の要旨を見ますと、法の、この選挙権の平等ということを言いながらも、それはそれぞれの具体的な事態に応じて具体的な配分というのは考えられるべきであって、それはいろんな条件があるのであろう、いろいろな要素が無視できないものがあるんだろう、しかしながら、合理性をもう有するものと考えられない程度に達しておる格差というものがあるときは、これはいけないということで、またこの判決全体は、ある千葉県一区の定数について判決をした結果は、それは全国的なものとして影響を与える、したがって、各その他の選挙区におけるその配分についてもやはり瑕疵があるんじゃないかというようなことを言っております。そういった意味で全般としての定数規定というものがこれは違憲であるというような言い方をしておるわけでございます。そういったことで、これ自体は違法であると言われたことは、従来の行われた千葉県一区の選挙というものは、これは憲法に反した規定に基づいてやったものであるということは言えるわけでございます。
 そこで、具体的にということは、今後どうするのかということでございましょうが、私どもといたしましては、御承知のように昨年の通常国会において五党合意の上で定数の改正がいたされております。十一選挙区について二十名増員し、そしてまた六選挙区については区割りをするという形で改正が行われております。これが直ちに今回の判決の際に、新しい規定自体が一体ここの判決で言っておる趣旨から見て違憲になるのかどうかということについては、私どもとしては直ちにこれは認定はできません。まあそういったことで、今後の問題としていろいろ立法府としても御議論があろうかと思いますが、私どももこういった今回の判決に基づいて一体どういうふうに考えるのか、またそれをもう少し何かやる必要があるというのならば、一体どういった方式があるのか、そういったいろいろな問題は研究しなければならないと思っておるわけでございます。
#91
○内藤功君 こういうタイプの主文、をいろいろな呼び方があるが、宣言判決と呼ぶ言い方もあると思います。これは御研究ください。
 もう一つ、あなたの御答弁でもう少し研究してほしいのは、私があえてこれを聞きましたのは、判決の理由の中にある法令が違憲であるということを論述する判決は多々あるんです。私が聞いたのは主文の中に、いつ幾日行われた選挙は違法であるということを書いた、ここに非常な重みがあるということを、あなたが受けとめて答えてほしかったんです、主文で書いてある。ですから、この主文は、単に理由の中に憲法違反ということが書いてあるだけじゃなくて、主文の中で書いてあるということは、暗にこれは国会はもちろんですが、行政府に対しても、直ちに具体的に真剣な検討をやれという意味合いを含めておるものと私は解釈をしたい。これについては時間の関係で答弁をあえて求めない、そういう重みをとらえなければ、やはりこの重大問題に対処する自治省の姿勢、事務当局の姿勢としては不十分だということを一言申し上げておきます。
 問題、先へ進めましてね、先ほど多田さんからも御質問があったが、私は別の観点からちょっと取り上げてみたいのは、これは衆議院の見直し規定がある、衆議院は五年に一遍の定数の見直し規定がございます。しかし参議院には規定はありません。いわゆる俗にこの見直し規定がないから、参議院では定数を五年に一遍はおろかずうっと変えないでもいいんだと、ずうっと変えないでもいいんだという考え方がある。私はとんでもない考えだと思うんです。戦後三十年一遍も見直しをしてない、参議院は。人間は四千万人日本にふえた。都市へ人口が移った。一票の平等が失われた。そういうときでも見直し規定がないから、参議院地方区は変えなくてもいいんだという理屈が公然と行われているのですね。で、私は逆に解釈論としては、何も書いてないのだから、五年といわず、三年でも、四年でも、著しい不均衝が起きたならば、五年という期間にこだわらずに改正できると解釈すべきものだと思う。この点の解釈論について自治省どう思いますか。
#92
○政府委員(土屋佳照君) お示しの通り、衆議院については五年ごとに云々ということがございます。参議院にはございません。そこでまあ逆に、書いてないということは、常に著しい不均衝があったら変えるべきであると思うがどうかということでございますが、まあ一応わが国の人口という場合は確定した国勢調査の結果をとっておりますから、だからどう変動したかということを考えるときは、やはり国勢調査の結果ということが最も公的に示されたものだということで基準をとって書いておるのだと思います。まあ全般的に見て、この判決の今回の趣旨から見ましても、やはり投票の価値についていろいろその平等性ということに触れておるわけでございますから、著しい不均衝というものがある場合に、その投票価値の平等性ということは、これはやはり議論の種になるものである、常になるものであるとは思うのでございます。そういった意味では、衆議院にそう書いてございますけれども、基本に流れるそういう考え方というのは、まあ両議院についてあるのだろうと思いますけれども、じゃあそれを具体的にどう扱うかということになってまいりますと、法制局の方からもいろいろ話がございましたが、それぞれの選挙制度についてそれぞれ特徴もあるわけでございます。まあ率直に申しまして、参議院の場合は、どんなに人口の少ないところでも最低二名はいくということで、制度が設けられた当初から、衆議院に比べて、はるかな差があったということも申せるわけでございます。したがいまして、いろいろな意味で、法の平等といいますか、本当の平等において、投票の価値というものが近づけば、それはそれで結構だし、そういうことが理想だと思うのでございますけれども、じゃあ何を基準にして、どういうときに見直しをして、すぐ改正をしなければならないのだということが、参議院について、どういうそういう場合のとらえ方をするかということは、これまた不明確なわけでございまして、おっしゃるように著しい不均衝の場合は、いろいろと検討する必要があるとは思うのでございますけれども、何を基準にして、国勢調査以外にどういうものを基準にしてこうしなければならないということはなかなか言いにくい面もあるだろうというふうに考えるわけでございます。
#93
○内藤功君 先ほども大臣の答弁の中で出てまいりましたが、最高裁の判決が五対一については、ほかの事情を考慮しても違憲の疑いを免れない、合理的な限界を超えているという判断をしております。じゃ、一対五以下はどうなのか。先ほどの大臣の答弁では、これはほとんどすべて立法府の問題であるかの御趣旨のお答えがあったわけです。私は、やはりこの一対五以下の比率はどこまでいったら違憲かということを、最高裁のこれからの判決をまつということじゃなくて、あるいは立法府の判定をまつということじゃなくて、自治省自身が直ちに真剣な研究を外国の判例、事例なども考慮に入れて始めておられると思うんだけれども、どうなんでしょうか。たとえばアメリカでは、ツー・ツー・ワン・レシオ、これは二対一の比率、レシオはRATIOですね。二対一の比率というものが昔から言われておる。そして、これは二人寄らなければ、ほかの一人の投票者の政治的価値に及ばないところまで不均衝がいけば政治的平等の原則に反するという原則であります。有名な一九六四年のウエスベリー判決では、これは三対一の比率というものが違憲である。その後もっとこの違憲の比率は厳しくなってきた。西ドイツでも、さっきお話しのとおり、私はやはりさっきのツー・ツー・ワン・レシオ、二対一の比率というものは、日本でもある県の二人が他の県の一人というような比率になった場合は、これは憲法違反の判断というものを最高裁が何と言おうと持つと、憲法違反の判断をせざるを得ない、そのくらいの厳しい意識を持つべきものだと思っておるんです。この点について具体的な検討を、やはりあなた方も裁判所任せ、国会任せじゃなく、いま立法作業の準備としてお進めになるべきだと思うんですが、この点は、いまの現状はどうですか。
#94
○政府委員(土屋佳照君) ただいまお話のございました諸外国の例、アメリカにおいてもそうでございますが、西ドイツにおいても平均からの上下三分の一偏差といったようなこともございます。そういった意味では、外国の例等も見ながら私どもとしても従来からいろいろ議論もし、検討はしてきておったわけでございます。もちろん、ただいま申し上げたようなことは、外国でもいわば下院――日本で言えば衆議院の例でございます。外国では上院については比較的公選の例というものが少のうございますので、日本のような形での公選制というものは少ないのでそれはよくわかりませんけれども、衆議院についてはいまのようなこともございます。なおかつまた、この千葉についての今回の判決の趣旨から見ましても、どの程度が一体いいのであろうかとあうことは、これは私どもとしても議論はし、検討はしているわけでございます。ただ、それが一体どこまでが許容できるとか、許容できないのかというような議論になりますと、なかなか具体的なことも、われわれとしてはこれがいいという客観的に言えるようなものはないわけでございます。その意味で、外国のいまの例などは一つの例ではないかというような御意見だろうと思うのでございますけれども、まあいろいろと議論はいたしましても、具体的に、それでは法として立法するというような形になるといたしますと、先ほどから何度も大臣から申し上げておりますように、立法府におけるいろいろな各党の意見とか、そういったこと等もしんしゃくしなければ、なかなか、いま申し上げたように、客観的にこれだといったものがない場合においては、私どもでこういった形がいいのだと決定的なことを言うのは困難であるというふうに考えているわけでございます。
#95
○内藤功君 かくて、立法府がやってくれと、特に公選特別委員会でしっかり頼むということに戻ってきたわけです。そこで、いまこの公選特別委員会の中の問題をここで話題にしようとは思わないけれども、参議院の地方区の問題と、それから全国区の制度の改正の問題、あるいは参議院の地方区の定数是正の問題と小選挙区、比例代表制の問題、こういう選挙制度のほかの問題と結びつけていわゆるワンパッケージという形で主張をされる向きがあるもんだから、この地方区の定数是正の立法府における合意はいま難航しているんですよ、これははっきり私は断言申し上げる。けさのある新聞の論説にも書いてありましたが、この際、定数是正を強力に地方区で実施するには、このワンパッケージじゃなくて切り離さなきゃならない、ほかの問題と切り離してまずこれをやらないと片づかない状況だと思うんですね。そこで大臣にお聞きしたいんですが、実はこういう主張をしているのは、あなたの属しておる、あなたがその領袖の一人である自由民主党がそういう御主張なんですよ。これは何とかならないですか。第三者機関をつくったり、いろいろな努力をしたりということよりもそれが先決なんです、四党の意見はまとまっているんですから。これどうお考えになりますか。これは大臣。
#96
○国務大臣(福田一君) 地方区の問題と全国区の問題とを一緒にして考えなければいけないということ、それから地方区と全国区のみでなく衆議院における小選挙区制の問題もワンパッケージにしなければいけない、二つの問題があろうかと思うのであります。私は参議院の構成というものをですね、これが立法されたときのこの提案理由等を読んでみましても、地方区と全国区というものはワンパッケージとしてそうして制定されておるわけであります。こういうことから言いますというと、やはり地方区と全国区の問題は一応ワンパッケージとして考えるのが筋としては私は正しいと思うのでありますけれども、先ほど来申し上げておりましたように、私たちは何といってもこの選挙制度に関する各党の合意というものを尊重するというたてまえ以外にはこの問題解決の道がないと考えておりますからして、ここで私がそのワンパッケージ論は正しいとか正しくないとか、そういうことはどうであるとかというようなことは申し上げることは差し控えさせていただきたい。私は確かに自民党に所属いたしております。そして自民党から出た大臣でありますけれども、行政府の一つの長としてこの問題に当たってみた場合においては、各党間の合意を得てこの問題に対処していくという考え方についてはいまのところこれを変更する意思は持っておらないわけでございます。
#97
○内藤功君 各党と言っても五党のうち、まあ二院クラブは独自のお考えでありましょうが、五党のうち四党は昨年二十六人増員案、これは各党の理事が寄り寄り集まって約七回協議を重ねて、わが党は四十八人でしたが、二十六人に減らしました。また少ない案を持っておられた党はふやしまして二十六人に一致した。党利党略というものを離れて、何とか早く実現させようとすれば四党のようにできるんです。自民党がたとえば定数の是正はやるが二十六は多いと言うんであれば、これは話はレールに乗る。ところがそうじゃない。この全国区と絡めてくる、衆議院の問題と絡めてくるから、いつになっても片づかない。ですから、合意ということであれば、まずこれは自民党がこの態度を改められることが必要だと思うのです。これはあなたにこれ以上聞いても、党内の問題だというふうにして御回答が出ないと思うから私は重ねて聞きません。私は問題点はここにあると、これしかない、これが片づけば、この定数是正は完全な解決でないにしても一歩前進することは間違いない、こう断言するんであります。
 最後に、私はこの最高裁判所のいまの少数意見の存在は、非常に言葉は悪いですが、不気味だと思うのですよ。これを特に指摘しておきたい。最高裁判所の今度の判決のうち、御承知のとおり、岡原、下田、江里口、大塚、吉田豊、この五人の判事は、選挙は憲法違反で無効であると、そして当選人は失格である、千葉一区、こういう厳しい意見。もう一人、岸裁判官は、選挙は違憲、無効だが当選人は失格しないと、こういう判決なんです。ですから、この岸さんも入れると六人です。岸さんを入れなきゃ五人が最高裁の中で選挙は無効だと、全部当選が失格すると、こういうことなんです。で、最高裁は定年がくると判事がかわるから、交代してこの五人の意見がもし多数になった場合には、この多数意見が選挙無効、当選人失格ということになる可能性がある。そうなると今度の選挙というものは、これは大変なことになってくると思います。私は前にも、去年の公選法の審議のときにも、定数是正を早くやらないと、最高裁はどうも憲法違反の判決を下しそうだから、定数是正問題をあのビラの規制や何かより先だってやるべきだということを何度も何度も申し上げたつもりでありますが、今日こういう判決になってきた。遺憾ながらこの予感が的中したんです。今度は無効の判決が出たらもっと国民が国会は一体何をしておったかということになります。私はその意味で強くこの点について、特に、自民党の皆さん方が全国区などとワンパッケージにしていることが一番この事態をおくらしているものだと、率直に私はいままでの経過から私の思っているとおり申し上げておきたいと思うのです。
 時間がありませんから、次の問題に移らしてもらいますが、これはいわゆる中曽根派の政治資金の政治資金法に基づく届け出のいわゆる訂正問題です。
 私はまず警察当局にお伺いしたいんですが、あなたはさっき、周辺の事実関係の把握をいましておるので本式の捜査には入っていないというお答えでございました。周辺の事実関係の把握とは何をしておられるということでございますか。
#98
○政府委員(土金賢三君) 最近いろいろ、たとえば雑誌に書かれたり、あるいは自民党の中曽根派の人が談話を出したり、そういうふうなことに関連していろいろ検討しておると、こういうことでございます。
#99
○内藤功君 それでは警察としての動きがまだ捜査に入っていない。しかし雑誌に書いてあることは相当はっきりしているんですね。たとえば私どもの党も独自に調査をしました。その結果、四十七年に新政治調査会から二千万円もらったとされている鎌倉市に住む、お名前を申し上げていいと思うんです、菅原幸一さん、三十五歳。この方は報告書では住所は全く同じで幸一が正一と、名前が幸が正になっている。明らかにこの方。この人はこういうふうにわれわれに述べている。私が金をもらっているなら話は別だが、一円ももらっていないのに名前が出されるというのは全く迷惑だ。いまになってその理由がわかったが、実は昭和四十八年税務署から二千万円の所得を脱税しているのではないかと言われた。本当に金をもらった国会議員はこの際、脱税容疑で調べてもらいたい。こういうふうに現に大変な迷惑でございます。二千万円もらったということで調べられた。ですから、こういう事態がすでに起きているんです。このことは、調査の結果は私どもの関係の新聞にも出ているから、警察庁は当然調べていると、ここまできた場合は、次の捜査の手段は、私は素人考えで思いますのに、まず自治省に早くその申し立ての文書を取り寄せること、これが一。二番目は、あなたに言うのは釈迦に説法だけれども、中曽根派の事務担当職員を呼んで取り調べる。三番目には、その菅原さんという方など該当者を呼んで、実際金もらっているかどうか調べる。これはもう子供でもわかると言っては失礼ですが、捜査の初歩原則のはずですね。こういうものをやっていくのが当然なんです。ですから、これはまだやられていないというならば、速やかにこういう手順をとって、法律に触れるかどうかということを捜査なさるべきである。刑事訴訟法のたしか百八十九条二項には、「司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。」、これはもう十分、この要件に当てはまっているわけです。これをなぜおやりにならないのか。私は、速やかにこれをやられることが必要だ。これは悪い先例をつくることになります。政治資金規正法というものの効果が、警察の一時的な遅滞によってざる法になるかどうかという問題だと思います。この点、局長のさらに決意と姿勢をお伺いしたいと思います。
#100
○政府委員(土金賢三君) いままでにいろいろ、ただいまお話にありましたようなものを私どもも調査いたしておりまして、その結果、これは違反になるおそれがあるということで捜査をいたすことにいたしております。また、その前提として、一番肝心な自治省に提出されておる資料と申しますか、それについて警察の方に提供してもらうよう照会もいたしておるわけでございまして、自治省からそういった資料が提供され次第、いままでいろいろそういった調査をしておることとあわせて、さらに本格的な捜査をすることに、つまり、関係の当事者について取り調べをするとか、あるいはそういうふうなことについても捜査を行う予定でございます。
#101
○内藤功君 最後にもう一問だけ。
 何か、この問題が新聞、雑誌等に出ましてから、大分日がたって、一カ月ぐらいたっているような感じがするんですが、自治省に対する関係文書ですね、取り寄せと言うかな、取り寄せはいつやられたか。それから、それに対していつごろ自治省は出す予定なのか、なぜおくれているのか、ぼくは率直におくれていると言いたいんだが、この点を自治省の土屋さんの方からお答え願いたい。
#102
○政府委員(土屋佳照君) 当初公開されておるものは資料としては閲覧に供しておるわけでございますが、したがいまして、いまのお話は向こうから訂正をしたいということで申し出てこられ、そしてそれについて若干不備な点を訂正した上で出していただきたいということで出していただいた資料かと存じますが、その点については四月の二十六日から三十日にかけて提出されたわけでございまして、その内容を私どもとしてはチェックをした上で近いうちに受理をいたしまして公開すると申しますか、閲覧に供する手だてを考えておるわけでございまして、まあそういうことでございますから、その資料を受けつけないうちは、こちらとしても外に出すわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、そういう公開ができる段階になって御要求があれば、私の方はいずれ公開する資料でございますから、提供することは何ら差し支えないわけでございます。
#103
○内藤功君 終わります。
#104
○和田春生君 大分時間も遅くなりましたし、いままで同僚の各委員がいろいろ質問をいたしております。加えて、どうも日本の委員会システムというのはぐあいが悪いわけでありまして、政府に質問することになっておって、その政府は、地方区の定数是正の問題になると各党間の合意が前提であると言う。向こう側に質問するわけにいきません。三分の二ぐらい向こうをにらみながら三分の一をそちらに質問いたしますので、そのつもりでお答え願いたい。
 最高裁の違憲判決が出たわけですけれども、違憲判決を出されるということは、立法府として、また行政府としても私は最低だと思うのです。いままでの判決でも、違憲とまでは言わないが立法政策上の適否の問題だということは何度も言っているわけです。それ自体は国会が決めることですし、政府当局も法案の提出権があるわけでございます。どうも、それにもかかわらず最近の与党並びに政府の言動を見ておりますと、違憲判決が出たが、参議院の地方区のことに及んでいるわけではないので、まあやらなくてもいいんではないかという逃げの姿勢が非常に目立つわけです。そこで、違憲は違憲として判決を置いといて、立法政策の問題として現在の参議院の地方区の定数の不均衡というものはこれでよろしいとお考えになっているか、あるいは不均衡がはなはだしいので是正を要するとお考えになっているのか、いわゆる立法政策の問題として自治大臣のお考えを聞きたいと思います。
#105
○国務大臣(福田一君) 私は、最高裁の判決というものが今回出たわけでございますが、しかし、すでにその判決で違憲であるとして指摘されたこの千葉一区の問題は、昨年の七月四日の公職選挙法の改正によって解消をいたしておると思っておるわけでありまして、その意味では一応問題は解決しておるのでありますが、参議院の問題については直接的にはあの判決は言及はいたしておりません。しかし、しばしば申し上げておるように、この制度を変え、あるいは定数を変えるというな場合、変更するというような場合においては人口問題というものを無視してはいけないという原則、大原則というものは明らかにされたものだと私は思っておるわけでございます。この点を踏まえて問題の処理に当たらなければいけないわけでありますが、さて、それでは実際問題としてどうするかということになりますというと、たとえば私たちが一つの案をつくって出しても与野党一致しなければこれはなかなかうまくいかない。特にまた与党の方は数が少ないとか差が僅少であるとかいうようなお話も承りますけれども、これなかなか重要なやはり権利の問題になりますから、そう簡単にはいかない。
 それから五党の間で話をしておるとおっしゃいますが、ここに市川さんもおいでになるからですが、承るというと、第二院クラブは必ずしもふやすことに賛成なのかどうか、まだ明らかに承っておらないわけです。等々のこともございまして、やはりこれは決めるとなれば、よくひとつ各党の間でお話し合いをしていただいて、そうしてまとまったところを、われわれとして法案改正といいますか、定数是正あるいは定数の入れかえというか、そういうような措置をとるということよりほかに、実際問題の処理としては、いま、なかなかむずかしいんじゃないか。私は、衆参両院のたてまえの問題から根本的に変えて、きちっとした一つのルールができれば、これも一つの考え方だと思う。
 それからまた、最高裁が衆議院において一対五という比率は違憲であると言っても、その一対五以下の比率の場合には違憲であるとは私は恐らく言えなかったんだろうと思います、実際、私はそんな法律家ではございませんけれども。そういう比率を、ここまではという、上は抑えられるが下の、それから下をどこまでが違憲ということ、なかなか、これむずかしい。そこいらは、やはり立法府の物の考え方、立法府に任せるという気持ちが私は多分に含まれておるものだと思うのでありまして、そういう意味から言いますというと、やはり参議院におきましては、今度特別の委員会もできておりますので、そこで十分にひとつ御審議を願って、妥当な案ができれば幸いであると、こう申し上げざるを得ない点を――和田さんはなかなか理論家でもあられるし、よく話はわかるんですけれども、私がいまここで、どうだおまえやるかと言われても、なかなかわかりましたという御答弁ができないという事情をひとつ御理解を願いたいと思うのであります。
#106
○和田春生君 自治大臣、予防線を張るお気持ちが強いものですから、私がまだ伺っていないことまでお答えになっておるようですが、先ほどお伺いしたのは、違憲判決の問題は置いておいて、いままでの違憲判決を出さない判決の場合でも立法政策としてのそれは適否の問題だという言い方がされてきていると。そこで、現在の参議院の地方区の定数の状況というものは、最高裁の違憲判決を離れても、立法政策の立場から見て適当なのか、不適当な状態なのか、自治大臣としてどういうふうにお考えになりますかとお伺いしたんです。一言でお答えになれるわけなんです、適当である、あるいは適当でない。
#107
○国務大臣(福田一君) 一言で申し述べよと仰せになれば、申し上げることができませんとお答えするより仕方がない。
#108
○和田春生君 多分そういうふうにお答えになるのではないかと考えておったわけですが、先ほど来のやりとりの中でもしばしば各党間の合意によるのが望ましいというふうにおっしゃっているわけです。選挙の根本制度に関することでありますから、それが一番望ましいわけです。しかし、御承知のように、いま参議院では大変数が接近しておりますが、衆参両院の立法機関を通じて自民党が絶対多数を占めているわけであります。しかも、議院内閣制、政党政治の責任の立場で自民党内閣という形になっているわけであります。その政府は、これは院の方で一致することが望ましいから、自分の方でああしろこうしろということを提案する気持ちはないというふうに問題から逃げている。そして、政府与党である自民党の方は、定数の是正ということについてやるのかやらぬのかさっぱり煮え切らない態度をとっておる。そうして各党間の合意でやるのが望ましいということは、できないことを見越してとぼけているというふうに受け取られても仕方がないと思うのですね。これは大臣がお答えしにくいでしょうが、最初に申し上げたように三分の二はこちらの席をにらみながら私は申し上げているわけです。そうすると、やはり自民党は政府の与党であります。現在の三木内閣は自民党内閣なんだ、この両方が一緒になってやろうという気持ちになれば、残された短い会期の中でも私はこれを十分にやれるのではないか、定数是正をするという大前提に立っていけば、方法論については協議をする余地があると思っているわけです。したがって、こういう点については自治大臣ももとよりのこと、与党である自民党側においても積極的な姿勢を特に希望をいたしておきたいと思います。ここで押し問答をやりましてもこれは時間のむだになるというふうに思うわけです。
 そこで、これはそういう自民党側でいろいろおっしゃっていることに対しての、いいとか悪いとかいうことの批評ではなくて、自治大臣に特にお伺いをしたいのですけれども、実は私は全国区と地方区がワンパッケージだという自民党の主張がよくわからないのです。何がワンパッケージなんでしょうか。どういうふうに自治大臣としては受けとめておられるのでしょうか。ちょっと補足をいたしますと、地方区と全国区で選出をされた議員で参議院が構成されていると、こういう意味ではワンパッケージだと思います。しかし、全国区が百人、地方区が百五十人という当初は何も絶対的な根拠がなくて、あるいは全国区が百五十人で、地方区が百人でもよかったわけなんですね。このいきさつについてはまあどちらかと言えば一つの勘でそう決めちまえという形になったわけで、しかも選挙の方は全くベースを異にしているわけですから、全国区の場合には、前回の選挙で言うと六十万票近い票を取っておって、一つの県の有権者全部の票に近い票を取っている人たちがまくらを並べて落選をいたしておりますが、その点については一票の価値の不均衡というような問題が起きないわけです。選挙の仕組みが全然違うわけです。いま定数の不均衡ということが地方区として選出される議員の間について問題になっている。それがなぜ全国区とワンパッケージでなければならないのか、どうした意味でワンパッケージなのか、実は私はよくわからない。自治大臣としては自民党の閣僚でいらっしゃいますが、どういうふうな意味でワンパッケージであるというふうに受けとめていらっしゃるのかお伺いをしたい。
#109
○国務大臣(福田一君) 私がこれをどう見ておるかということでございますれば、これはこの参議院制度ができたときの、いまあなたも仰せられましたけれども、提案理由というものに、そこで、それがいいか悪いかということは別問題にしても、一つの既成事実がそこでできたということであります。
 そこで、私は物事の判断をしていきます場合には、過去の歴史とか過去の推移とかという事態の、物の推移とかというものを無視して、急にもう変えていくということはなかなかむずかしいと私は思っておるのであります。革命をやるのならば別であります。そうでなければやっぱり既成のものというものをどう直していくか、改善していくかという物の考え方に立たざるを得ないと思うのであります。そういう意味で言って、これはまあワンパッケージということを言うておられるのであろうと私は思っておるのでございます。で、それはワンパッケージであるということを私がはっきりここで言うことは、実は先ほど、前から私が言っておりますところの、この問題についてはひとつ各党間の合意が望ましいということと矛盾をすることに相なります。一部において矛盾することに相なりますから、これは差し控えさしていただきたいと思うのでありますが、恐らくは私の申し上げたようなことを踏まえながらワンパッケージ論というようなものが出ておるのではないかと私は考えておるわけでございます。
#110
○和田春生君 参議院の制度が決められたときのいきさつというものについて見ますと、全国区と地方区で構成されたわけです。全国区は日本じゅう一つの選挙区にするわけです。地方区の場合にはすでに皆さん御承知のとおり、議員一人当たりの人口で各都道府県の人口を割りまして配当基数というものを決めます。その配当基数に基づいて二人から八人までが決められているわけであります。その当時東京が一番やはり配当基数が大きかったわけですが、それでも八・幾つということになりますから、ほとんどその配当基数に沿っておったわけであります。したがって、地方区の定数をいじるということは、私は全国区とは全然関係のない問題なんで、制定当時の配当基数というものがその後人態動向によって大きく異動をしてきているわけであります。技術的に考えれば五十年なら五十年の国勢調査の結果に基づいて配当基数を計算して直す。それによって地方区の再配分を一応考えていく。その配分がいいか悪いかこういう議論、その結果、当時と人口の状況というものが著しく激変をしていますために、当時と同じ配当基数の計算方法でやりますと、プラス・マイナス・ゼロの調整不可能で、大体十名ぐらいはふやさぬことには配当基数計算でもいかないという実態になってきている。そこで、地方区のふえた場合に百五十対百という全国区との数のバランスがいいか悪いかという意味で、そこで初めて議論が出てくるかもわからないけれども、定数を変えるという形に全国区の制度を改めなくてはいけないのだ、これがワンパッケージだ、中には全国区はやめた方がいいというような意見も出てくる。私はこれはひとつ論理の飛躍でありますし、実は地方区定数是正をおくらせるための、悪い言葉で言えば言いがかりであるというふうに言われても弁明はできないのではないかと考えるわけであります。
 これは私の意見にとどめておいて、これ以上自治大臣の御答弁は求めずに、小委員会でひとつ自民党の皆さんからしかとお考えをお聞きすることにいたしたいと思いますが、そこで一つ、これは自民党だけではなくて、前の国会の予算委員会、公職選挙法に関する本会議の私の質問等について、三木内閣総理大臣もお答えになっておることでありますから、自治大臣にお伺いしたいんです。
 それは、参議院の全国区について改正をすることについて、比例代表制と、こういうようなことも一つの方法であると、そういうものを導入したいという意味のことをおっしゃっております。また、先ほどの中西委員の御質問におきましても、地方区の得票で全国区をどうこうというような意味のこともあったようにお聞きしているわけですが、その点について、選挙制度としての比例代表制というのは、私の見解で言えば非常にすぐれた方法であると考えているのです。しかし、日本の場合には御承知のとおり二院制です。そして衆議院が第一院として、内閣総理大臣の指名については参議院に対する優先権を持っているんです。で、議院内閣制で政党責任政治のたてまえをとっている。その衆議院の選挙は、中選挙区制という、党本位の選挙というよりもきわめて個人選挙になる傾向が強い、そういう制度が置いてある。そうして第二院である参議院の、しかも参議院の特色中の特色と思われる全国区を比例代表制にするというのは一体どういうことなんでしょうか。つまり、比例代表制というのは政党本位の選挙ということになる。それを、まず衆議院において比例代表制をやろうというなら、私は十分議論にたえ得る一つの考え方だと思いますが、衆議院の方はそのまま置いておいて、参議院の全国区を政党本位の選挙である比例代表制にしようということは、私にはどうしても理解ができない。たとえばここに市川さんもいらしゃいますけれども、これは国会対策の上で二院クラブという院内会派をつくっておられるわけですが、もし政党本位の比例代表制を導入するという形になれば、現在の二院クラブないしは無所属議員というものは吹っ飛んでしまう。それをまず参議院の、しかも参議院の特徴的な制度である全国区においてまず政党本位の選挙であるところの比例代表制を導入しようと、しかもそれがいい一つの方法だとこういうふうに内閣総理大臣もおっしゃっておられる。一体どういうふうに自治大臣としてお考えでしょうか。
#111
○国務大臣(福田一君) 私は、比例代表制の問題を何ていいますか論ずる場合には、衆参両院を通じて考えていい問題であると私は思っております、もし比例代表制というものは筋が通るということであれば。それは衆参両院を通じて考えるべき筋合いのものであると、こう思います。しかし、それをやります場合において、全国区という場合はわりあいに比例代表制がいまの姿においてもとりやすい面があるように思われるわけでございまして、衆議院の選挙の場合とはいささかまあ、特に参議院の地方区の場合とまた違って、全国区の場合の方が比例代表がとりやすい面があると私は思っておりますんで、そこで、そういうようなことが言われたんだと思っております。
 それから、現実の問題といたしましても、先ほど、この地方区の定数を是正するということについては四党は意見が一致しておる、数の問題は別にしても、増すということについては一致しておるんだというお話がございましたが、比例代表の問題については、二党が比例代表をやってもいいという考え方を持っておりましたけれども、この前は。しかし、その比例代表を実施するやり方について意見が合わなかったために、この前のこの選挙法改正の案には、公職選挙法改正案には実は入れられなかったという事情もございます。いまどういうお考えを持っておられるのか私存じませんけれども、そういうこともあるわけでありまして、これらの点もいろいろ踏まえながら――私は何も比例代表制をすぐに全国区に入れろとか入れないとかいうことを私がここで言うことは、先ほど来の、あなたからは逃げ口上であると言われても、ちょっと言うことは差し控えさしていただきたい。まあこれは和田さんよくわかってられるから、まあ三分の一の方でお答えをさしていただくわけでありますが、どうかひとつそういう意味であるということをひとつ御理解を願いたいと思うんであります。
#112
○和田春生君 衆参両院を通じての比例代表制を考えるというのは確かに選挙の方法として私も検討に値すると考えます。しかし、いまの大臣の御見解でも明らかなように、参議院の全国区に政党本位の選挙の比例代表制を導入するというのは、いまの状況のままでやりやすいからという大変便宜主義的な問題でございまして、現在の議院内閣制、政党政治、両院制度という根幹に立脚した場合の参議院の全国区の比例代表制という面からいきますと、論理的には大変つじつまの合わない問題がそこにあるように思うわけです。したがって、これを横に置いておきます。それから、選挙の方法が全然違うわけですから、その問題についても区別をするという形になりますと残るのは現在の地方区の地域のアンバランスをどうするかという方法論だけになるわけであります。私は、ぜひこの問題については今国会においてめどをつけるように政府、与党ともに協力をしていただきたいということをあえてこの席をおかりをいたしまして要望をしておきたいと思います。
 それから、話はちょっと変わりますけれども、定数是正に関する立法政策の問題で、すでにこの前の国会で改正が終わったことでありますが、最高裁の違憲判決もありますので、しかと政府側の御意見を承っておきたいことがあるわけです。それは現在の公職選挙法の(議員の定数)第四条によりますと、「衆議院議員の定数は、四百七十一人とする。」というのが本文で決められておるわけです。これは沖繩の祖国復帰に基づく五人が加えられまして、この数字が改正をされているわけであります。この本文を受けての付表の方にまいりますと、これは最初に決めたときの定数がそのままここに定められておるわけです。したがって、この法律をぱっと読んだのでは、現在の定数は全然わからない。附則でそれを別表を改めると、こういうかっこうになっておりますね。で、一体これはどういうことなんでしょうか。前回も衆議院からこれが送付をされてまいりまして、ああいうかなり混乱した中でございまして、そこまで議論がいかなかったわけですが、附則の7において「別表第一の規定にかかわらず、当分の間、次の表の上欄に掲げる選挙区は、それぞれ当該下欄に掲げる選挙区に分割し、当該選挙区において選挙すべき議員の数は、それぞれ当該下欄に掲げる数とする。」付表になっているわけです。本表の方はそのまま残っているわけであります。一体これはどういうことなんでしょうか。また本表の方に残る可能性を考えておるので、戻るという、本表に戻るという可能性が残っていると考えておるもんだから附則でちょいと仮に「当分の間」と、やがてはもとへ戻せますよと、そういう意味ですかね。これは選挙部長でよろしゅうございます。
#113
○政府委員(土屋佳照君) いま御承知のように定数についてはいろいろ変遷があったわけでございますけれども、いまのような形をとりましたのは三十九年の増員のときからということになっておるわけでございますが、小さな点では大島区のものも別表にございますけれども、とにかく大きなものとしては三十九年の改正のときに附則でその処理をしたということでございますが、これは当時の選挙制度審議会の答申を受けて改正したわけでございまして、その際の審議会の考え方が、基本的にこの選挙区制についていろいろ議論をされておったけれども、根本的な解決の行われるまでのさしあたりの暫定措置として不均衡の特に著しい選挙区についてのみ是正を行うといったような――その他の基準等もございますけれども、そういった考え方に立っておったわけでございまして、当時の考え方としては、記録を見ましても、そういった基本的な改善の途中での、まあ、いわばさしあたっての是正だということで、いずれ全般的な、どうなるかは別といたしまして、基本的な改善というのが行われればそのときに全般的に決めるという考え方があったように聞いておるわけでございます。そこで、そのときはそのときとして、その後ずっと来た結果、今回の改正もなぜそうしたのだということでございますが、三十九年にそういう形でとられた、今回の場合でもいろいろとこの参議院についてのいまのような全国区制の問題とかどうとかといろいろございましたけれども、そういった基本問題は別にありながら、一応衆議院について各党でとりあえずこういった点でひとつ是正をしようということでとられた措置だということでございます。そういった意味から三十九年当時の考え方と同じような考え方であるし、これで実際問題として将来どういう形になるかは別といたしまして、今回はやはり三十九年と同じような形で暫定的に別表で扱ったわけでございまして、実際問題としてはそれは幾ら附則で扱ったといたしましても定数そのものは改めたかっこうにちゃんとなっておるわけでございますから、その点は別に基本的にどうということはないと思いますけれども、ただいま申し上げましたさしあたっての不均衡をとりあえず是正していくのだというような考え方が踏襲されてきたというふうに考えておるわけでございます。
#114
○和田春生君 これ、私はやっぱり立法上非常に重要な問題だと思うのです。たとえば別表を見ますと、東京第七区というところで「南多摩郡」「北多摩郡」なんて書いてある。こんな郡、いまあるんですか、これないんですよ。もう消えちゃったんです。あるいは千葉県にいけば、「千葉郡」とか「市原郡」なんて、ちゃんと麗々しく法律に刷ってある、こんな郡も消えちゃって、いまないわけです。それが本則になっておる。そして三十九年当時に続いて五十年に二度にわたって定数が是正されて五百十一人になっている。にもかかわらず、「当分の間」、こういうところにやはりその人口と定数のバランス、こういうものに対する政治姿勢が私はあらわれていると思うのです。今度の最高裁のあれほど明白な違憲判決もありました。こういう点もひっくるめて速やかに改正すべきである。質問の時間が来ましたので多くは申し上げませんが、もし、これは当分の間、とりあえずということであるならば、直ちに衆議院の定数についても最高裁の違憲判決を受けて作業に取り組む必要があるのではないか、あに参議院のみではない、こういうような付表と定員の決め方を含めてそういうふうに考えますので、その点について最後に大臣の御見解をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
#115
○国務大臣(福田一君) こういう判決がございましたし、それからまた、ただいま御指摘になったように、もうすでに名前のなくなった郡が法律の中に残っているなどということは、これは確かに適当なことではないと私は思います。したがって、今後推移を見ながらこの問題には前向きで取り組んでまいりたいと、かように考えておるわけであります。
#116
○委員長(神田博君) この際、お諮りいたします。
 委員外議員市川房枝君より発言を求められております。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#117
○委員長(神田博君) 御異議ないと認めます。
 それでは市川房枝君の発言を許します。
#118
○委員以外の議員(市川房枝君) 私は四月十四日の最高裁の違憲判決を引き出した市民団体の「日本婦人有権者同盟」「理想選挙推進市民の会」の関係者の一人としまして、あの判決を政府、国会、各政党がどうお受けとめになるのかということに対して特別な関心を持っておるわけでございます。きょうの午前からの各政党代表と自治大臣あるいは法制局の長官との間の質疑を伺っておりますと、政府あるいは自民党は参議院地方区の定数のアンバランスは憲法違反ではないと、現状のままでいいんだというふうにお逃げになっているような感じを受けるんであります。また、そういう立場から最高裁の判決の御解釈もそれに都合のいいようにしておいでになるんじゃないかという、私は法律には素人ですけれども、しかし、この判決に対して非常に関心を持っている者としてそういう感じを受けるんですが、自治大臣はこの判決をどう受けとめておいでになりますか。いままでにもそういう御質問ありましたけれども、もう一遍お願いします。
#119
○国務大臣(福田一君) 私は、今回の最高裁の判決が、千葉県一区のこの前の衆議院の選挙についてこれは違憲である、しかし無効にはしないと、当選議員は無効にしないという形で判決がおりたわけでございます。このことは、いわゆる一票の選挙権の持つウエートというものを軽く見るようなやり方はいけないんだという根本理念から出ておるわけでありますけれども、その一票の重みというものは差がどの程度になるというと違憲になるかということについて最高裁は何も示しておらないわけでございますね、この点については。そして、いろいろの事情もあるんだと、そういうこともあるだろうが、とにかく、これくらいになっておれば、一対五になっておればこれはもう違憲ですよと、この点はもうはっきりした。だから、五・一になっていても五・二でもこれは違憲になりますね、差がそうなれば。しかし、四・八だったら違憲かということについては確たる判断を示しておらないわけですね。では、そういう判断を示しておらないから人口問題に無関心でいいかというと、そういうわけにはいかないと思うんです。それは、考え方として人口問題というものを十分考えなさいという意味が含まれておるということを私たちも重く見ておりますけれども、どういうような場合に違憲になるかという、その点についての下限といいますか、上限といいますか、その点がはっきりしてないという意味合いにおいて、これはやはり立法府にその点は任しておるんだと、一・五以上はもう絶対いけませんよと、そのあとについてはいろいろの事情を勘案してそして立法府で決めたらいいのではないかと、こういうような意味、また、行政府で案をつくってもいいんじゃないかというような意味を私は含んでおるものであると考えておるわけであります。
#120
○委員以外の議員(市川房枝君) 今度の違憲判決の最も重要なる点は、いま自治大臣もおっしゃいましたように、憲法十四条の平等の原則というのは、選挙においては、いわゆる選挙の資格の平等ということだけでなくてその一票の価値の平等を含むんだということをはっきり言っている点が一番の特色だと私も思います。大臣もその点はお認めになっておるんですが、ただ、それじゃ――一対五になったら違憲だとあれは判決をしたんですが、それじゃ四は構わない、三も構わないというか、そういう標準は示してないんですね。それは憲法でちゃんと、そういうことは国会で法律で決めるんだとなっているから当然なんですけれども、しかし、その一票の価値の平等ということ、これを大臣はどうお考えになっていますか。その点が私と少し解釈が違うんですけれども、具体的に、一票の価値といいますか、あるいは、これは民間では、いままで一票の重みというような言葉も使ってきたんですけれども、一般の大衆にはちょっとわからないんですよ。ですから、一票の価値の平等というか、あるいは重みというのは自治大臣はどういうふうに解釈しておいでになりますか。一般の国民のために具体的にわかるようにちょっと説明してください。
#121
○国務大臣(福田一君) どうも私も、これは、国民にわかるように説明せよとおっしゃっても、わかりやすい説明というのは非常にむずかしいと思うんです。一票の価値は皆平等でなければならないという原則ならば一対一でなければいけないわけですね、これは当然そうでなければいかぬということに、平等というたてまえで言えば……。しかし、その差が大き過ぎてはいけないという判決を今度下したのである、こういうふうに私は理解をいたしておるわけです。平等を原則とするけれども、それには幅がある。まあ違憲になるには、一対五になれば違憲だと、こういうことであって、一票の価値というものは皆平等でなければならないという判決ではないと思うんですね。市川さんもそれはもうもちろんわかっておいでになることだと思う。これは物理的にむずかしいんですね。一対一というようなことをするということ自体は、もうこれは物理的にむずかしい。たとえば、一月のうちにでも人口は移動しますからね。そうしたら、一対一ということがもし原則であるならば、これはもう毎日何か直していかにゃならぬというような、それを遵守するということになればそういうようなことも言われなければならないんで、そこいらは常識の範囲で立法府がちゃんと考えなさいよという、なかなか含みのある判決です。違憲であるけれども、しかしなかなか含みのある私は判決をしておるもんだなあと思って感心をいたしておるんです。しかし、これが、もし最高裁が一対三以上はもう違憲ですと言うなら、もういますぐにでもこれ直さにゃいけません。ところが、いまのところ衆議院の選挙区におきましては、この間直しましたからもうそういうところはなくなってしまった。いまのところは一対三・七が最高最低のあれになっておるわけでありまして、これが果たして違憲であるかどうかということはなかなか明らかでない、こういうこともあるわけでありまして、一票の平等の意味を詳しく国民にわかるように説明しろとおっしゃっていただいても、学がありませんからそこまではひとつお答えする力がないような気がいたすわけでございます。
#122
○委員以外の議員(市川房枝君) 一対一というのが価値の平等ですわね。しかし、それはなかなかきちんとそういうふうにはむずかしいということで、これは法制局長官が午前のでお答えになりましたけれども、判決の十二ページに、従来の選挙の実績や選挙区としてのまとまりぐあい、市町村その他の行政区画、面積の大小、人口密度、住民構成等々を勘案しつつ具体的には決めたらいいと、こういう言葉ももちろんあります。だから、これはきちんと一対一にできないということは常識で考えてもわかりますし、最高裁もちゃんとそれを言ってはおりますけれども、しかし私はそれはやっぱり一対一が主であって、それに対してのむしろ補足的な、それが幾らか違ってもやむを得ない、こういう解釈だと、こう考えているんですが、一対五は違憲だと言った、あれは千葉の一区の偏差について言ったわけでありまして、それじゃ一対四ならばいいとか悪いとか、それも言っちゃいないんですよ。何も示していない。いや、そういうことは国会でというか法律でやっぱり決めるんだといいますか、国会に任されているんですが、私はその解釈ですね、その解釈が、いろんなまだ直す必要がない、憲法はそう言っちゃいないんだといういまのような自治大臣のお言葉になりますと、当然参議院の地方区のアンバランスはあのままで構わないんだと、それを言っているんじゃないとかいうふうな言葉に出てくるんでありまして、だからこの点の一票の価値の平等ということについて、私は自治大臣のお考えと違うんですが、まあ、それはどっちが正しいかという問題になりますが、この点を今度の判決の重要な点として私は見ていただきたい。これを具体的にと私が申し上げたんですけれども、時間がないので申し上げませんけれども、一票が選挙の結果にあらわれるんですね。これも具体的に言えば、たとえば四十七年の十二月十日の衆議院の選挙の得票数は、自民党は四十何%だと、しかし当選された自民党の議員の方は七〇%ぐらいでしょう、六〇%か。一体どうしてこういうふうな数字が出てくるのか、これがもし一票が平等なら平等なはずなんですがね。けど平等でないからそういう選挙の結果に偏差が出てくるんだと。私はこの点が非常に重要な問題なんであって、あるいは、ある意味においては定数の是正を長くしなかったんだと、まあ衆議院二回やりましたけれども、それでもアンバランスがずいぶんひどかったと。いわゆる農村の地区の議員の数が多くて、都市の議員の数が少ないという現実の問題が起こってくる。それがまあ今度は政権の移動の問題にまで関係してくるわけでありまして、これまでは余りこの問題がそんなに言われなかったんですが、私は、今度のこの判決でこの問題をはっきり言われたことはもう一遍重要に考えていただきたいと、こういうふうに思います。
 それから今度の最高裁の判決では、私は、こういう憲法違反と言わざるを得ないようなアンバランスが出てくるまでほっておいたと、それは政府並びに国会の責任なんだと、こういう怠慢を私は責めているんだと受け取っていいと思うんですけれども、大臣はそうお思いになりませんか。
#123
○国務大臣(福田一君) その前に一言だけ訂正をさしていただきたい。さっきちょっと私は言い間違いまして、選挙は無効であるが、やり直しはしなくてもいいと、こういうことを言いました、お答えのうちに。これは選挙は違法である、しかし、選挙自体は無効でないというふうに、こういうふうに訂正をさしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 そこで、ただいまの御質問でございますが、確かに得票数が自民党が四十数%であって、しかも議員の数は六〇%とか七〇に近いという数になるということは、これもおかしいじゃないかというお話でありますが、これはやっぱり、一つの選挙の区割りをどう決めておいたかということと、定員数をそこでどういうふうにしておったかということが非常に原因になっておるかと私は思っておるわけであります。ただ、一票の重みということになりますというと、無効票はどれくらい、特に次点の票はどれくらいあるかということも今度はある程度考えなければいけない。もちろん、市川さんのおっしゃるのは、四十数%というのは自民党が全部とった票である、片一方は、野党というか、それ以外の党がとった票が五十何%あるのに議員の数がアンバランスになり不公平ではないか、こういうことでありますね。これはやっぱり選挙制度の問題としてこういうやり方をとっておるからおかしいんだと、だから、それならば今度はひとつ比例代表にしたらどうなのか、そういうことであるならば比例代表でやればこれははっきりするではないか、こういうまた一つの議論も一面において出てきておるということは御理解願えると思うのであります。しかし、私はいますぐにこれを比例代表にしようというような考え方で申し上げているわけではございません。しかし、いまあなたがおっしゃった一票の重みというものを考えてみるならば、この四三%と五十何%との差があるのに議員の数が違ってくるのはおかしいじゃないかというのも一つの、何といいますか、制度として検討をすべき問題ではないかという御指摘であれば、ごもっともな面があると言わざるを得ないと思うんであります。
#124
○委員以外の議員(市川房枝君) いまの総得票数と議員の数との比例といいますか、それは原因はなおほかにもあるかもしれませんが、少なくとも大きな原因は、私は、議員定数のアンバランスが放置してあったということの結果というか、自民党大変得をしておいでになったとか、ずらっとこうしておいでになると、こう言えるかもしれませんが、さっき、衆議院の定数はもう去年変えたんだからこれを変える必要はないんだとおっしゃったんですが、そのアンバランスが五十年の国勢調査で三・何ぼでしたか、その三をつまり超していますね、それでこれは構わないという御意見ですけれども、私の一票の価値ということから言えば、やっぱり三は多過ぎるといいましょうか、まあ大体さっきどなたかからもお話がありましたけれども、一対二、二ぐらいが限度であって、それ以上はやっぱり是正すべきだと。一票の価値が差ができるんだと、こういうふうに考え、私は今度の十二月の選挙はもちろん現行法でやっていいと思いますけれども、選挙が済んだらやっぱりこのアンバランスの問題を衆議院においても検討をなさるべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
#125
○国務大臣(福田一君) 先ほどの問題でもう言だけつけ加えさせていただきたいと思うのは、これは与党と野党という形で比較いたしますというとそういうことができるんですけれども、いかに定員を変えましても、選挙区の野党が非常に一致しておればうまくいくんですけれども、これは乱立するものですから――乱立じゃなかった、多党が出、たくさんの党が出られるというと、それが票が分かれてしまうわけですね。だから結果において一本のところの自民党の方が数が多くなっているという事情もこれは市川さんよく御理解していただけると思うんでありまして、こういう点も含めていろいろ考え直すべき面があるということを申し上げたつもりでございます。
 それからいまのお話でございますが、これは確かに市川さんのおっしゃるように、一と三くらいにしたらいいじゃないかというのも一つの御議論であると思うんでありまして……
#126
○委員以外の議員(市川房枝君) いや、三は賛成しないんですよ、二、二までしか。
#127
○国務大臣(福田一君) いや、それを一と二にせいということでありますが、これは私は選挙制度などというものはそれぞれの国によって皆違っておるんで、アメリカがそうだからとかフランスがどうだとか、そういうことで私は決めていくべきではないと思うんです。だから、そういう点は現実にいま衆参両院議員がおいでになるんですから、ひとつそういうような、市川さんのような御意見が多ければ、これは一対二になるわけなんですよ。だからそういうふうに、そうするとこれがどうしてもうまくいかない、それならばその一対二というのが正しいのになぜそうしないかと。与党である自民党が悪いのだということで国民の判断を仰ぐとかなんとかというような選挙というようなものも考えられないわけじゃないので、そういうことを議題にした、いずれにしてもこういう議論をしておる間にこういう話もあった、ああいう話もあったということを踏まえながらだんだんと私は改正が行われ、いわゆる是正が行われていくのが民主主義政治の正しい姿ではないか、こういうふうに理解をいたしておるわけであります
#128
○委員以外の議員(市川房枝君) フランスでは二、アメリカも二という話で、それは国によって違うのだというお話がありましたが、それはあるかもしれませんけれども、少なくとも日本の一般の有権者から言えばそれは国の違いじゃない、それぞれ有権者一人一人の一票の値打ちが半分しかないんだと、二だって半分ですものね。だから、そういう点では私はやはり一般の有権者の希望といいますか、そういうものをくみ取ってひとつ考えていただきたいと思います。さっき一対五にならなければ憲法違反じゃないとおっしゃったんですが、これは御存じと思いますが、この間の最高裁の裁判は、実は千葉一区のほかに神奈川一区、埼玉一区、それから東京の七区、それから三区と、それと千葉入れて五区のやはりアンバランスによる憲法違反の訴訟をしたわけです。そして、その中で一番偏差の大きかった千葉をとって最高裁がまず判決を下したのですが、これがあと四つ最高裁の第一小法廷にかかったままなんです。で、その中で特に世田谷は二・幾つなんですよ、三までいってないんです。で、それを最高裁は一体どういうふうになさるのかという問題が実はあって、それがもし出てくればいやおうなしにどこまでの偏差を検討するかというのが出てくると思うのです。いや、あるいはそうなるとめんどうだから最高裁は選挙が済むまでそれはお預けで判決をお出しにならないのかもしれない、そういううわさも実はあるわけなんですけれども、それをちょっと申し上げておきます。まあいろいろお伺いしたいことはありますけれども、もう時間もありませんし、もう皆さんもお疲れでしょうし、最後に一つだけ申し上げておきたいんですが、もしいまの情勢だというと、どうも何だかこのままで来年の参議院の地方区も迎えることになりそうだという感じがするんですけれども、もしそうだと、その後でまた今度は参議院のアンバランスも憲法違反という提訴が出てくる、いや、私ども市民団体はこれやろうとしているんですよ、もし是正なさらなければ。いや、私どもだけでなくて全国の各地でそういう訴訟が起こってくる。いまからやろうと大分言っておりますから、そういうこともひとつお考えになっていただきたいと思います。
 私は選挙法改正特別委員会の委員ではございませんけれども、特に皆さんのお許しを得て発言をさせていただきましたが、なお、あと小委員会でも御許可を得て、お許しを得て発言することを許していただけると思いますので、そのときにまたいろいろ伺いたいと思いますが、一応これで私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#129
○委員長(神田博君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後九時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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