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1975/05/21 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第6号
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1975/05/21 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第6号

#1
第077回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第6号
昭和五十一年五月二十一日(金曜日)
   午前十時五十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     柄谷 道一君     三治 重信君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     小巻 敏雄君
     三治 重信君     柄谷 道一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤田  進君
    理 事
                原 文兵衛君
                森下  泰君
                矢田部 理君
                小平 芳平君
    委 員
                井上 吉夫君
                上原 正吉君
                金井 元彦君
                菅野 儀作君
                藤井 丙午君
                宮田  輝君
                山内 一郎君
                粕谷 照美君
                鶴園 哲夫君
                内田 善利君
                沓脱タケ子君
                小巻 敏雄君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  小沢 辰男君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        金子 太郎君
       環境庁大気保全
       局長       橋本 道夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   参考人
       中央公害対策審
       議会騒音振動部
       会長       五十嵐壽一君
       東京都公害局規
       制部騒音振動課
       長        内野 光男君
       大阪工業大学教
       授        竹内 吉弘君
       全国新幹線公害
       反対連絡協議会
       事務局長     中野 雄介君
       金沢市公害セン
       ター所長     野村  潔君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○振動規制法案(内閣提出、衆議院送付)
○瀬戸内海を汚染し、生活環境を破壊する海田湾
 埋立計画の中止に関する請願(第五五号)(第
 一二〇号)
○海田湾埋立てによる広島東部流通業務団地の早
 期建設に関する請願(第二三一七号)(第二五
 七八号)(第二六三八号)
○水質汚濁防止法に基づく水産加工排水に関する
 請願(第二九九九号)
○自動車排ガス規制五十三年度目標値見直しに関
 する請願(第四一三四号)
○合成洗剤の製造・販売・使用禁止と水質汚染防
 止等に関する請願(第七七四三号)(第七九五
 二号)(第八一三六号)(第八一三七号)(第
 八一五五号)(第八六五五号)
○公害防止のための規制の強化等に関する請願
 (第八六九二号)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(藤田進君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、柄谷道一君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。
 また、本日、近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として小巻敏雄君が選任されました。
#3
○委員長(藤田進君) 振動規制法案を議題といたします。
 本日は午後三時半ころまでの予定で、参考人の方々から御意見をお述べいただくこととなっております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、皆様方には御多忙のところを本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。本日の審査の進め方につきましては、まず参考人の方々にお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後委員から参考人の方々に質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 それではこれより御意見をお述べいただきます。まず五十嵐参考人にお願いいたします。
#4
○参考人(五十嵐壽一君) ただいま御紹介いただきました五十嵐でございます。私は現在中央公害対策審議会の委員でございますと同時に、同審議会の騒音振動部会長を務めておるものでございます。
 振動規制法案につきましては、昭和四十八年に「振動公害に係る法規制を行うに当っての基本的考え方」について答申を行いましたところでございますが、引き続き専門委員会及び騒音振動部会におきまして、規制基準値等を中心に審議を進めてまいりました。本日は、約二年間、三十数回の審議の結果取りまとめられました中央公害対策審議会の答申をもとに御説明を申し上げるつもりでございます。
 まず第一に、振動を規制いたしますのに、その評価単位をどういうものにするかという問題がございます。この問題は外国でもまだはっきり決まっておりません問題でございまして、どういう単位を選ぶかということが必要になってまいります。振動の問題は工学において、立体が振動する問題、あるいは乗り物の中の振動、それから地震による振動、非常に多種多様でございます。したがいまして、それを計測いたします物差しあるいは計測器というものも、現在、国内はもちろん外国においても統一されたものがございます。その中で公害振動と言われる現象は主として人工的な物体、たとえば自動車が動きますとか、そういうことによって起こります地面振動というものに起因するものでございます。この現象を把握する方法としてどういう物差しがよいかということでございますが、これは現在日本工業規格、JISとして審議が別途進められております。したがいまして、それをもとにして単位を決めるという考え方をとったわけでございます。この単位と申しますのは、騒音の大きさを決めますときに、騒音レベル、ホンAあるいはデシベルAと申します。それと同じような考え方で振動の物理的大きさに人間の感覚を加味するという考え方でございます。人間が振動に対します感じ方は音と非常によく似ておりまして、音の物理的な大きさのほかに、振動数と申しますか、一秒間に何回振動するかといりようなことによって感じ方が違ってまいります。そういう意味で物理的な加速度というものを基本にいたしまして計測をするということ。それから人間の感覚と申しますのは、加速度の対数に比例するということがよくわかっております。したがいまして、公害を把握いたしますのに、人間の感覚つまりいま申し上げましたような人工的な振動に対します人間の感覚として振動数がどういう範囲であるかということで振動数を限ったということ、それともう一つは、加速度の対数を考えたということ、人間の感覚に対しまして補正をした、こういう考え方で単位を決めてまいりました。
 で、次にその基準値を決める必要がございます。それで基準値を設定いたしますに当たっての基本的な考え方といたしましては、当然のことでございますけれども、健康の障害ということはもとより日常生活にも支障を与えない、特に夜間におきましては睡眠に影響を与えないということを基本的に考えたわけでございます。そのためには実際の家屋の中における問題がございますので、家屋自体の振動という問題、それから人体に対するその生理的はもちろん心理的な影響、睡眠影響あるいは物的な被害ということの調査研究を行いますと同時に、公害によりまして影響を受けられる住民の方々の振動に対してどういう感じを持っておられるかという反応調査ということをアンケートによって調査いたしまして、そういうことをもとに考えてまいりました。と同時に、地方自治体においてはすでに条例等を決めておられるところがございますので、その条例及びそれを実施されている状況ということを考慮いたしまして基準値を決めるということにいたしました。
 で、まずその家屋の問題でございますが、地面振動に起因して家屋の中はまた特別な振動が出てまいります。二階屋でありますとか、平家でも違う、あるいはコンクリートの構造というようなことで構造の違いによりまして地面の振動が家屋に伝わる伝わり方が違ってまいります。ある場合には大きくなることもございますし、逆に小さくなる場合もございます。と同時に、測定いたします家屋の場所によっても非常に違ってくることがございます。そういうことも考慮いたしまして、わが国の平均的な家屋、主として木造でございますので、一般的には地面の振動の振幅、振れ幅でございますが、それの約二倍、これを先ほどの対数で申しますと五デシベル程度になります。それだけ家屋の中では大きくなるということを考慮いたしまして、いろいろな家屋の中の振動による反応調査というものからいまの五デシベルを引くということで地面振動と考えたわけでございます。それで規制といたしましては、地表面における振動を基準にして規制値を決めていくという考え方でございます。
 次に、その振動によります人間の生理的影響ということが重要でございますが、これは国際的にも相当議論が進んでおりまして、地表面の値に換算いたしまして八時間連続したもので八十五デシベル程度以上になりますと生理的な影響が出るというような、また産業職場におきましては振動によって快適さということが減少してまいります。その限界が八十デシベル、したがいまして地表の値としますと大体七十五デシベルになります。したがいまして、公害を考えていきます場合に、少くともこれ以下でなければならないということを基本にいたしたわけでございます。工場振動、あるいは道路交通振動、新幹線の鉄道振動ということに対しましては、先ほど申し上げましたようにアンケートの調査をいたしまして、その結果、振動をよく感じるという訴えが一〇〇%パーセンテージで出てまいります。それが煩わしいというような質問に対しても出てまいりますが、それが非常によく一致いたしまして、先ほど申し上げました鉛直の振動補正加速度レベルと申しますか、それで六十ないし六十五デシベルで、三〇%の方がよく感ずるとお答えをしておられます。で、四〇%の訴え率が六十五ないし七十となります。したがいまして、中間の基準値としては六十ないし六十五をとったということでございます。
 次に、夜間につきましては、睡眠ということがございますが、これも睡眠に対する調査がございまして、浅い睡眠に対しは地表の値で六十ないし六十五ということがございますので、夜間の基準値の上限として六十五デシベルと考えたわけでございます。なお、振動を人間が感じるということも、これはいろいろな調査がございますが、その値が地表の値で大体五十五デシベルということ、また実際によく御存じの地震の震度階というのがございますが、これでゼロと言われております無感の上限が地表の値で五十五になります。同じ睡眠に対する影響の調査によりますと、これが六十になっておりまして、これも地表面の値に換算しますと同じ五十五で、ほとんど影響がないという結果が出ておりますので、夜間の基準値を決めます下限の値としましては、五十五デシベル程度と考えたわけでございます。さらに、その住居内の振動を非常に注意をしております場合には、特に病院などの場合に問題になります。そういう静穏を必要とする場合がございますので、それはさらに五デシベル低くする必要があると考えたわけです。なお、睡眠というのは、日本の場合に布団といいますか、そういう夜具に寝ます場合には、その振動がやはり幾らか減衰するということも考慮いたしまして、その夜間の基準値を決めたわけでございます。なお、常時微動というのが常にございまして、地面の振動は常にゼロではございませんで、人間が感じない振動がしょっちゅうございます。それが通常大体四十デシベルというようなことが計器の上では観測されております。
 なお、その振動による被害ということがございますが、地震のような場合には一過性でございますが、大体八十五ないし九十デシベル以上で生じるわけでございます。しかし、公害振動は地震と違いまして、長い間の累積がございます。そういうこともございますし、なお、その振動の発生の形態、あるいは家屋の状態、それから地盤の状態と、複雑なものが関連しておりまして、その因果関係というのは、現状でははっきりこうだということが明確にされておりません。これは将来はその辺も明確にする必要があると考えております。しかし、そういうことが解明されないといたしましても、いままで申し上げましたようなことから、少なくとも七十デシベルを超しますと、多くの場合にどっかが被害を受けるという感じを持つようなことがアンケート結果にも出ておりますので、私どもはそういう観点から七十デシベル以下ということは必要であると考えたわけでございます。
 で、以上のような基本的な考え方で基準値を決めたわけでございますが、地域とか時間による区分ということ、これもその土地の状態を勘案いたしましたことと、それから生活時間ということを調査いたしまして区分をいたしました。
 次に、工場振動の基準についてでございますが、いままで申し上げましたようなことをもとにいたしまして、夜間の基準値として、住宅地では睡眠という意味で五十五ないし六十ということは必要であると、騒音の例にならいまして、商工業地域というところはそれよりも五デシベル大きい六十ないし六十五、これも睡眠の影響が出る六十五ということを上限に考えたわけでございます。
 次に、昼間の値は夜間よりもやや緩和しても日常の生活に支障はないという考え方ができますことと、しかし、住宅地では、やはり非常に厳しい反応を示しますことで、住居地域につきましては、六十ないし六十五、商工業地域では六十六ないし七十としたわけでございます。と同時に、病院、学校等については、さらに厳しくできるようにしたわけでございます。
 この対象となります工場の機械につきましては、その振動のもとになりますところから五メートルのところで六十デシベル以上の振動を発生しているものを調査いたしまして、これを対象とすることにいたしております。しかし、すでにその工場の機械はつり基礎というような防振技術もある程度確立されておって対策ができるものもございますが、鍛造機というものがこれが非常に数多く問題を発生しております。しかし、これが中小企業というケースが多いことと、自治体においても、いろいろ御苦心なすって、猶予期間を設けておられるような問題も考慮いたしまして、猶予期間で配慮をするという必要があると考えております。
 次に、建設作業の振動につきましてでございますが、この作業は、本来たたいてくいを打ち込むとか、そういうことでございますので、工場振動と比較いたしましても大きな振動を発生いたします。しかし、工場と違いますことは、まあ道路の建設というようなことを例にとりましても、一時的でございます。そういうことで、期間が工場に比べまして短いということ、それからそれはつまり一過性であるというような意味でございます。それから移動性のものであるというようなこと、したがいまして、その生活環境に長期間にわたって影響を及ぼさないということで、ある程度緩和――工場の基準に比べますと数値的には大きな値を考えたわけでございます。しかしながら、生活環境の悪化を生ずるとか、生理的な影響を与えないようにするということについては十分考慮いたしまして、その快適さということの限界といたします七十五デシベルというものを超えないような考慮をしております。しかしながら、非常に瞬間的には超えるような場合もございますので、この振動の大きさの決め方に問題はございます。しかし、そういうことも考慮いたしまして、夜間とか、日曜、休日においては禁止をするということ、それから一日当たりの作業時間も、その大きさに応じて非常に短縮できるというような考え方をしております。それで規制の対象となる作業につきましては、工場と同じように、今度は五メートルで七十以上の作業ということで考慮をしております。その中で、くい打ちというのが非常に問題がございますが、これは最近、あらかじめ穴を掘ってくいを入れると後でたたくというような、アースオーガーというような方法も開発されておりまして、そういうことで時間も短縮できると、あるいは振動も減らせるということが期待できております。しかし、そういうことも考慮いたしましたが、やはり非常に短時間でも問題が起こる場合がございますので、大きな振動を発生するものには時間の短縮をする。これはたとえば建造物は安全性ということがございまして、どうしてもたたかなければならないというケースがございますので、やむを得ずそういう考慮を入れたわけでございます。なお、ブルドーザーについては、これは非常に議論をいたしました。発生している振動がほかに比べて特に大きいということもございませんことと、調査の結果では苦情の発生率もほかに比べて比較的少ない、あるいはこれが移動的な作業で、実態の把握が非常にむずかしく、これを規制する場合に、どういうはかり方をして規制するかというような問題もございまして、対象としては一応除いてございます。
 で、道路振動につきましては、やはり工場振動あるいは初めに申し上げましたいろいろな考慮をもとにいたしまして、検討をもとにいたしまして、夜間が六十、昼間が六十五、商工業地域ではそれよりも五大きい値にいたしました。しかし、病院、学校ではなおそれから五デシベル減らせるようなことにしております。で、幹線道路については、道路交通の実態から大幅なこれを変更することはわが国の社会経済に与える影響ということを考慮しまして、その全部または一部の限度値を必要によって夜間一種区域の値を二種区域の値に変更できるような考慮をしたわけでございます。これは騒音の場合には幹線道路というものが昼間、夜間を通じて若干緩和されておりますが、振動の場合には夜間に限ってこの考え方を入れたということでございます。
 また、その防止の対策といたしましては、第一に振動の場合には路面が悪いというのが圧倒的な場合でございます。したがいまして、路面の補修あるいは舗装の打ちかえというような道路構造の補修、改善、次には大型車両の速度制限、それから走行車線の変更というようなことが有効であると考えております。で、それぞれの基準はその敷地あるいは用地の境界ではかるものと考えておりますので、これで決めました値が実際に家屋に与えます影響は、その家屋がどういう位置にあるかということでケース・バイ・ケースで非常に違いますけれども、大体距離が二倍になりますと振動の振幅が半分、つまり五デシベル減ると考えております。
 なお、新幹線につきましては、騒音に引き続きまして非常にいろいろむずかしい問題が出てまいったわけでございますが、なかなかこの開発についての技術的な難関がございますということと、道路交通におきましてはわりあいに交通規制ということが部分的にできるわけでございますが、そういう規制が道路のようにはやりにくいということ、そういうことで法規制の対象とはしないで騒音対策とともに総合的に考えていくと、走行規制というような問題、あるいは土地利用規制というような問題、それから技術開発と総合的に考える必要があると考えております。したがいまして、指針値につきましては道路及び工場あるいは建設というようなものを考えまして七十デシベル以下としております。しかし、これは道路の場合とはかり方が違いますので、必ずしも道路が幾らで新幹線が幾らという比較は、直接はちょっとできないかと思います。なお、病院については特別な配慮ができるようにいたしましたことがございます。なお、いまの指針値は既設及び工事中というものに一応限っております。で、将来の新設のものにつきましては、これは技術開発いろんなむずかしい問題がございますが、一応六十五デシベルというようなことが必要ではなかろうかというような議論は部会でいたしております。で、その場合にも、これは住居地域が六十五で商工業地域が七十というようなことが将来は必要だろうということでございます。新幹線につきましては、じゃどうやって防ぐかということで、その技術開発で軌道構造あるいは振動の遮断といろいろございますが、そういうことがやはりおくれておりますので、早急にこういうものを推進すべきものと考えております。と同時に、障害防止対策ということも提案申し上げております。以上は、その答申を行うに当たりまして政府に対して強く要望いたしましたことでございます。それは要するに振動防止技術の開発と、それから土地利用の適正化、小規模企業に対する配慮というようなものもあわせて御考慮いただきたいと提言しております。
 以上で答申に関係いたします私の御説明を終わりたいと思います。この答申につきましてはいろいろ御批判の点もあろうかと思います。特に規制ということになりますので、理想的な基準には場合によってほど遠いとは私どもよく認識しております。しかし、何分世界で初めてこういう規制ということをいたしますこと、特に交通に対する振動規制というのは例がございません。そういうことで私ども非常にこれは慎重に考えたことでございます。特に日本では家屋構造が外国と違いますこと、あるいは国土が非常に狭いというような独特な問題もあることを申し上げておきたいと思います。しかし、この法規制の実現によって技術開発が促進されまして、十分でないにいたしましても環境の改善ということに大きく貢献することを期待しているものでございます。
 以上で私の公述を終わります。
#5
○委員長(藤田進君) 十五分程度にお願いをいたします。
 次に、内野参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(内野光男君) 内野でございます。私は行政的な面から申し述べさせていただきたいと思います。
 順序といたしまして都の実態、東京都でございますので都の実態、それから都が行っております施策、条例等の施策、それから問題点、それに伴う実際上の問題点につきまして申し述べさせていただきたいと存じます。
 まず、振動公害の都の実態でございますが、都の実態と申しますと、まず苦情がどの程度出ているかというのが問題になるわけでございますが、振動につきましては五十年度九百四十三件が出てございます。その内訳を申しますと、工場関係で五百三件、建設工事関係で二百六十三件、自動車の交通関係で五十二件、その他で百二十五件ということでございます。で、この全体の九百四十三件を東京都におけるところの全体の苦情件数、大気汚染、水質汚濁から考えますと、大体一割弱、全体で申しますと一万二千件程度でございますので、大体一割弱ということが言えるわけでございます。
 次に、都の行ってきた施策等につきまして申し述べたいと思います。振動規制につきましては、まあ典型七公害に掲げられておりましたが、法律上についてもまだ未整備の状況にあったわけでございますが、東京のような大都市におきましては非常に深刻な問題となっておりまして、苦情等につきましても相当出てまいったということからいたしまして、工場につきましては昭和三十八年指導基準を設定いたしまして行政指導に当たってまいりました。昭和四十七年度にこの基準を条例に取り入れまして、条例によるところの規制に踏み切ることといたしたわけでございます。で、建設工事につきましては、昨年の四月から指導要綱を設けまして、指導基準によって行政指導を行ってまいったわけでございます。
 この概要につきまして簡単に申し上げたいと思います。まず、工場につきましては、東京都公害防止条例の中で四十七年の四月一日から実施してございます。基準は、工場につきましては、第一種区域、第二種区域という地域を二つに分けまして、第一区域につきましては、一種住専、二種住専、住居地域、無指定地域、住居を中心にした地域を第一種区域、第二種区域につきましては、近隣商業、商業、準工業、工業と、まあ住居以外の地域をもって第二種区域といたしたわけでございます。振動の大きさの基準でございますが、都の条例によりますと、鉛直方向では昼間が第一種区域につきましては六十五デシベル、夜間が六十デシベル、第二種区域につきましては昼間が七十デシベル、夜間が六十五デシベルというような鉛直方向の規制基準を設けております。これにさらに加えまして水平方向の基準を設けてございます。水平方向につきましては、第一種区域につきましては昼間が七十五デシベル、夜間が七十デシベル、第二種区域につきましては昼間が八十デシベル、夜間が七十五デシベルと、それぞれ鉛直方向の基準に対しまして十デシベル高い水準をもって水平方向の基準といたしておるわけでございます。この基準につきまして、測定単位につきましてはデシベルという方向でございますが、大きさの方向につきまして、鉛直と水平という二つの方向をとったことについて法案とちょっと違っているところがあるかと思います。区域につきましては、二区域でございますので、提案されている法案とかなり類似性がある。それから昼間と夜間の時間でございますが、昼間は午前八時から午後七時、それから夜間につきましては午後七時から午前八時というようなことにしてございます。第二種区域につきましての昼間と夜間の時間でございますが、昼間が午前八時から午後八時まで、夜間が午後八時から午前八時までというふうなことでしております。
 対象の工場につきましては、工場全体につきまして一つの単位として考えておるわけでございます。法案でいきますと、特定の機械を設置する工場ということになってございますが、一応条例によるところの工場につきましては、定格出力が二・二キロ以上の原動機を有する工場と、そういった工場全体についての単位をもって考えておるわけでございます。この基準につきましては、昭和四十七年四月一日から施行してございますが、既設の工場につきましては四十八年の四月一日、一年の猶予期間を設けまして適用いたしております。それから鍛造工場につきましては、三年の猶予期間を置きまして、昨年の四月一日から適用いたしているわけであります。その他、届け出制度につきましては工場については認可制度をとっておりますし、指定地域、要するに区域等につきましては都内全域ということで指定しております。測定地点等につきましては提案されている法案と同じような敷地境界線ということで実施しております。
 建設工事につきましては、昨年の四月に指導要綱という形で行政指導の一つの基準というものをつくりまして指導してきたわけでございますが、このつくった理由と申しますのは、昭和四十四年八十一件ぐらいの建設工事に対する苦情があったわけでございますが、四十八年、四十九年に至りまして三百件から五百件ぐらいの苦情がふえてきたというような事情を考慮いたしまして、一応行政指導というようなよりどころをつくっていこうという考え方に基づきまして、指導基準をつくったわけでございます。この基準につきましては、将来条例化する方向を考えていたわけでございます。この内容に入りますと、指導基準の基準値につきましては、くい打ち機、くい抜き機等を使用する作業、削岩機を使用する作業、それからブルドーザー、パワーシャベル等を使用する作業につきましては、境界線におけるところの鉛直方向で七十五デシベル、それから空気圧縮機を使用する作業、振動ローラー等及び転圧機を使用する作業につきまして、あるいはコンクリートプラント等を設けて行う作業につきましては六十五デシベル、鉄筋コンクリート等建設物の破壊解体または鉄球を使用する破壊作業につきましては七十五デシペル――七十五デシベルにつきましては法案にあるような数字ということでございます。作業時間、指導基準によります作業時間、あるいは一日における作業時間、同一場所におけるところの作業時間、休日、日曜日の作業等につきましては騒音規制法によるところの規制基準と同一にしてございます。特に指導要綱によった大きな理由といたしまして、建設工事に当たりまして七十五デシベルというのは実際上むずかしいという場合があるわけでございます。具体的に申しますと、コマンド等、あるいはくい打ち等の最後のくい打ち作業等につきましては技術的にも非常にむずかしい点がございます。そういった点を考慮いしたまして、相当の防止対策を講じても基準が適用しないというような、行政上の指導をしてもできなかったという場合には、住民との話し合いにおいて作業時間の変更等によって措置するというようなことを考えております。それからそのほかに行政指導としていたしました大きな理由として、建設工事等につきましては、基準そのものよりは住民との対話ということが非常に大事じゃないかということからいたしまして、指導事項ということを設けまして、住民への説明を十分やる。それから二番目に、工場現場担当者を選任してもらう。要するに住民との話し合いに応ずるための、対話に応ずるための担当者ということを選任していただく。それから長期作業については事前に十分に連絡してもらう。それからできるだけ、最大限、低振動工法及び低振動機械の採用をやっていただくということが一つの指導事項として決められているわけでございます。
 次に、振動規制に当たっての問題点、こういった東京都におきますところの工場によるところの条例による振動規制、それから建設工事の指導要綱等につきましての問題点を幾つか申し述べたいと思います。
 まず、工場振動でございますが、一番問題になりますのは鍛造工場についての問題が非常に対策がとりにくい、防止対策が非常に困難であるということが実際面からも言えるわけでございます。先ほど申しましたように、工場につきましては鍛造工場につきまして三年間の猶予期間を見たわけでございますが、なかなか基準までに達するには非常にむずかしいということからして、一つには対策として京浜六区への工場の集団化ということも考えていたわけでございますが、一つの地方団体の区域内におけるところのこういった集団化につきましても相当問題も出ているということでございます。この辺が鍛造工場についての対策としての問題でございますが、こういった対策につきまして国においても広域行政の中で取り上げていただけるということが必要ではないかというようなことを感じております。それから第二番目に、中小企業の工場に対する資金の調達、振動防止設備の設置資金が中小企業におきましてはなかなか調達できないというところに対策の困難性があるわけでございます。工場に限らず、建設工事につきましてもそういうことが言えるわけでございます。都におきましても貸し付け制度等によりまして措置してはおりますが、国におかれましても積極的に強化されることをお願いしたいと思います。
 それから建設振動関係でございますが、振動の大きさが七十五デシベル。東京都の指導基準につきましても同じでございますが、七十五デシベルというのは人の静穏な生活という面から見ますとかなりむずかしい、完全なマスターできるような基準ではないとは思います。しかしながら、これに対する無振動工法技術、こういったものの開発が十分でないということから、一応都といたしましても要綱の中で七十五を採用したわけでございますが、この要綱によって指導基準を行った一つの理由と申しますのは、行政指導によって低振動工法あるいは低振動の機械の開発に積極的に取り組んでいただきたいということが一つの理由になっているわけでございます。したがいまして技術開発について、低振動工法の技術開発について国の方でも積極的にひとつ取り組んでいただきたい。もちろん東京都としても積極的に取り組まなくてはいけない問題でございます。それから二番目でございますが、低振動工法を採用いたしますと相当経費がかさむわけでございます。建設工事につきましては公共事業が非常に多いと、公共事業が大体百近くが公共事業になっているということからいたしまして、法律の適用に当たって低振動工法の採用ということになりますと単価当たりの経費が非常に高くなるということからいたしまして、国等からの標準建設費等の点につきまして十分な配慮をしていただかなければできないということが言えようかと思います。第三番目でございますが、指導基準によりますと、東京都におけるところの指導基準では、くい打ち機その他のもののほかに、法案にございますくい打ち機、くい抜き機等の使用をする作業等のほかに、それ以上にブルドーザーとかそういったものについての指導基準を設けておるわけでございますが、対象範囲につきまして一応法律のほかにもこういったブルドーザー等に対する苦情が相当あるわけでございますので、それらに対する配慮もできるような措置に、地方団体においてそういった措置が十分とり得るような措置にしていただきたいと思います。それから四番目でございますが、夜間の作業、道路等におけるところの夜間の作業が余儀なくされるという場合が多いわけでございますが、公共事業等において夜間作業ということに限定される場合が非常に多いわけでございますが、これは睡眠妨害というようなことから非常に苦情が多いことでございます。特に深夜にわたる作業につきましては問題が多うございます。そういった意味からいたしまして、夜間作業に対する作業時間等の問題、変更等につきましてきめ細かな行政指導に当たられるような措置にしていただければと思います。それから規制基準の中に、一日四時間までの限度を設けまして、七十五デシベルを超えてもいいような指導基準がございますが、これに対する都の指導要綱の形といたしましては、どうしても、幾ら努力してもこれ以上下がらないというような場合について適用したと、場合について作業時間の変更等を考えていたというようなことからいたしまして、ただ四時間ならいいというようなことじゃなくて、行政指導の面でどうしてもできないかどうか、最大限の努力をしてもできないかどうかというようなある程度の行政的な条件をつけていただければというようなことでございます。
 それから道路振動に入りますと、現在までの東京都で測定したデータによりますと、道路の振動は大体四十から六十二デシベル程度でございます。都心よりは下回っておるわけでございますが、まあこういった事情にかかわらず五十年度中においては五十二件ばかりの苦情が出ております。規制基準設定の基本的な考え方としては、昼間においては静穏な生活、夜においては睡眠妨害ということが考えられるわけでございますが、この基準そのものよりは、この基準を担保するための実効ある一つの行政措置ということが大事ではないかと考えております。具体的に申しますと、振動レベルが要請基準を超えた場合に地方団体の長が道路管理者に対して、道路交通振動防止のための舗装、維持または修繕の措置をとるべきことを要請することになっています。しかし、その実施に当たっては道路管理者の判断にゆだねられているという事情からいたしまして、道路管理者に対しては、要請があったときは必ず実施していただくという規定を設けるとともに、それに要する財政的な措置が必要であると思います。
 それからもう一点は、振動の原因が道路交通にある場合には、公安委員会に対して道路交通法上の措置がとられるべきことを要請することになっております。しかしながら、この実施は公安委員会の判断にゆだねられているということからいたしまして、現在実施されている騒音防止に係る道路交通法上の措置が十分効果を上げていないというのが実情ではないかと思います。したがいまして、道路交通法令を改正されまして要請があったときには必ずできるというような措置ができるような形にしておくことが大事でないか。
 以上でございます。
#7
○委員長(藤田進君) 次に、竹内参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(竹内吉弘君) 竹内でございます。今回提出されております中央公害対策審議会の答申並びに振動規制法につきまして従来より地盤及び建築構造物の振動に関しますところの理論的あるいは実験的な問題を取り扱いまして研究を続けてまいりました者の一人といたしまして、気がつきました問題点を述べさせていただきたいと思います。
 私のここで述べさせていただきたいことは、以下の諸点についてでございます。まず第一に、振動規制法を適用します場合、最も基本的な問題でありますところの振動測定の測定器の問題でございます。第二に、建物の振動特性によりますところの構造物内での振動の増幅に対する配慮に関する問題でございます。三番目は、道路交通振動に関する振動の大きさの決定方法に関する疑問点でございます。第四に従来の各都道府県において実施されております振動規制との関連についてでございます。最後に、新幹線鉄道振動の構造物の振動低減対策に関する問題でございます。
 まず第一の、振動の測定器の問題でございますが、実際に地盤及び構造物の振動測定を行います場合、この問題は、今回の中央公害審議会の答申の内容とは直接関係がないところではございますが、たとえば工場振動に関しまして、夜間におきまして第一種区域は五十五デシベル以上六十デシベル以下となっておりますが、この値は一般的な木造及びRC鉄筋コンクリート造の構造物内での振動増幅率を五ないし六dB、すなわち約二倍と考えて定められた数字であろうと考えられます。いまこの値を採用いたしますと、地盤上におきましては当然五十五デシベルまたは常時微動のレベルでございます四十デシベル程度の振動レベルを明確に安定して評価する必要が要求されるわけでございますが、しかしながら、私がいままで取り扱いました計器に関しましては、JISの規格の公害振動計に関するものでございますが、この低いレベルの振動の安定した評価が比較的困難な計器が多うございまして、実際測定を行います場合には他の高感度の振動計と併用いたしまして測定しているという場合が一般には多かろうと思います。基準値のボーダーラインの判定でございますので、答申の内容とは直接関係はございませんが、特に公害振動計のJISの規格につきまして、この点に関しましていま少し配慮をしていただきたいと考える次第です。
 第二の、建物の振動特性による構造物内での振動の増幅についてでありますが、答申に示されておりますように、木造家屋につきましては最高十五デシベル程度増幅するものとして取り扱っておりまして、平均値といたしましては、マイナス一dBから八dBの増幅率ということになっております。これは、私がいままで実際に測定しました経験からもほぼこの値に合致するわけでございますが、増幅率を考えます場合に、特に市街地の道路沿いの建物の通常の構造形式のものでございますと減衰率が一〇%程度以下でございますので、小規模な鉄筋コンクリート構造物の場合には増幅率が約五倍程度予想されることが一般でございます。路面状況その他の細かな立地条件が関連してまいりますので、一般的には申せませんけれども、やはり道路の状況その他によりましてもう少し高い増幅率を示すことがあるかとも思います。また、このことは、構造物内の床面の振動のみでなく、直接、建具等が音波等の影響を受けまして振動する場合がございますので、人体感覚の問題とも関係いたしますので、第四に述べますところの心理的影響、睡眠影響に関しまして配慮する必要が規制法を適用する場合には生ずるだろうと思います。
 第三の点は、答申にありますところの道路交通振動の大きさの決定方法についてでございますが、答申によりますと、その測定値の評価は原則といたしまして、五秒間隔百回の測定値により決定される累積度数曲線の一〇%の値、L一〇によりまして測定値を決定することになっております。この方法の基礎的な考え方となっておりますものは、道路交通振動による振動波形が比較的ランダムで、かつ、ある程度定常的に振動が継続する場合を前提としていると考えられると私は思います。したがって、この方法によりますと、かなり交通の頻繁な昼間の幹線道路につきましては妥当な値を評価し得るものと思いますけれども、それ以外の交通量のさほど多くないところ、たとえば一時間当たり数百台以下のような道路の場合、あるいは夜間の場合におきましては、この方法をもちますとサンプル値が車両の走行していないところの値を採用することが多くなる可能性もございまして、その結果、人体感覚よりも低い値を評価することになるおそれが十分あると私は考えます。したがいまして、道路交通振動の測定値につきましては、交通量によりまして、累積度数曲線のみでなく、たとえば新幹線のところで述べてございますように、車両走行時の振動のピークレベル等の値も同時に考慮して測定値を定める必要があるのではなかろうかというふうに思います。
 第四の、従来の振動規制の条例との関係についてでございますが、答申に示されました値は全般的に数値的には比較的緩やかな規制になっております。が、このことは本規制が積み上げ型の規制になっているというところを考えますと、値自体は続けて検討する必要がございますが、現時点ではやむを得ないと私は考えるものでございます。振動規制法の早期の成立を望むものでありますけれども、本来、振動による人体の障害及び構造物に対する被害と申しますものは、構造物周辺の地層構成を含めた地表及び地中の地盤条件あるいは地域の環境条件を含めました敷地の立地条件等のかなり局所的な影響に支配されることが多うございまして、たとえば振動の地盤における伝播等に関しましては振動源に近い地点においてはむしろ振動が小さく、以遠地点におきましても大きいというような事例もございますので、この点を考慮する必要があろうかと思います。また同時に、構造物の振動によります心理的な影響、睡眠影響に関しましては、構造物への入力といたしまして、地盤からの振動のみではなく、直接音波等が窓ガラス等をたたきまして、それによる振動が問題になる場合もございます。したがいまして、単に床面だけの振動だけではなく、直接壁面から入射する振動もございますので、規制法を適用する場合にはこれらを十分考慮する必要があるかとも思います。
 第五の、新幹線鉄道の構造物の振動低減対策の問題でございますが、答申によりますと、七十五デシベルを超える地域につきましては緊急に振動源障害防止対策を講ずるという指針がございますが、現時点では構造物の防振対策、振動遮断対策の問題は、抜本的な解決は不可能であろうと思います。したがいまして、一般に構造物に対する有効な防振及び振動遮断対策は確立されていないと言って間違いなかろうと思いますので、現時点では、これらを解決するためには基本的な振動源対策を講じますか、あるいは現在の新幹線用地幅を現在よりかなり大きくとることが必要であろうと思います。さらに、答申を読みました限りにおきましては、既設の新幹線につきましては指針に示されたことを現在の技術レベルで総力を挙げて実行するといたしましても、新たに計画中で比較的早期に実現する新幹線につきましてはどのような具体的な措置がとられるのかということが、条文を読みました限りでは不明でございます。このことは、新幹線の鉄道振動が当面の大きな問題であると思いますので、建設を行うに当たりまして構造物の防振及び振動遮断技術及びそれに関する定量的なデータを早急に提示される必要があるのではなかろうかと私は思います。
 以上で終わります。
#9
○委員長(藤田進君) 次に、中野参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(中野雄介君) 私は名古屋地区を中心とした全国の新幹線公害被害住民を代表して、新幹線の振動規制という観点から意見を述べさせていただきたい、このように思います。
 お手元に差し上げております参考図1をごらんになっていただけばよくわかるかと思いますけれども、十二・五メートル離れたところでの振動は、これは名古屋地域における振動でございますけれども、中央値では半数以上の人が一・五ミリ、約七十四デシベル以上の振動に見舞われています。二十五メートル地点でも中央値では約七十二デシベル以上の振動によって被害が起きています。このように新幹線によって大きな振動が朝の六時過ぎから夜の十一時半過ぎまで毎日二百三十回ずつ、約五分に一本の割りで沿線住民にこういう被害を与えております。これはあくまでも屋外振動の速度でありまして、参考図2を見ていただければわかりますように、屋内に参りますと、先ほど多くの参考人が述べられておりますように、屋内に行きますと倍に増幅されるということがこの図では示されるのではないかと、このように思います。
 この新幹線の振動による被害の状況は、地震の測度で言いますと軽震もしくは弱震、ひどいところでは中震。したがって、家屋は当然たてつけが悪くなったり、ひび割れがしたり、屋根がわらのずれによって雨漏りがしたり、ひどいところになると土台から傾いてくる、こういう被害が起きています。そしてそこに住んでいる人も非常に振動による不快感に襲われています。中には頭痛、胃腸の調子がおかしくなったとか、新幹線は突然忍び足で近づいて大きな振動を与えるわけですからどきっとするとか、睡眠が妨害される。これは名古屋地域で言いますと、朝六時半から夜の十一時半までですから、たまたま早く寝ても十一時三十分ぐらいの終車でたたき起こされる。したがって沿線の住民たちは終車が過ぎない限り睡眠をとることができないという状況がすでに十数年続いています。特に病人、乳幼児、老人等においては、非常にこの振動における被害が深刻なものとなってきております。新幹線公害における振動のウエートはきわめて大きく深刻なものです。こういう深刻な被害があるにもかかわらず、このたびの振動規制法からは対象から新幹線は外されている。これはきわめて問題だと思います。私どもとしては他の振動と同様に厳しい規制をされることを強く要求していきたいと、そのように思います。私どもが要求する値は昼間は六十五デシベル、これは私どもは常にミリを使っておりますので、ときどき間違うこともありますけれども、〇・五ミリ、早朝、夜間は五十五デシベルが必要ではないか、このように思います。中公審答申の緊急村策指針七十デシベルというのはきわめて不十分だと言わなければいけないと思います。その理由としては、本来安息の場である住居に人体に感ずるような振動が常時あること自体が大問題だと思います。
 新幹線公害差しとめ訴訟の中で金沢大学公衆衛生学教室の岡田教授は、家庭が安息の場であるという見地から考えた場合に、住居地域の基準は〇・二ミりすなわち五十六デシベルぐらいかと思いますけれども、に抑えるべきだということをはっきりと証言されております。また、中公審専門委員の根拠等について十六ページに載っていますけれども、そこらあたりにも睡眠妨害がすでに七十デシベルあたりでは起きるのだということをはっきり言われております。日弁連の意見書にもそのことがはっきりうたわれております。また、これは一九七二年一月に発行された「土木施工」という本でありますけれども、その中で、山陽新幹線建設をした当事者たちが国鉄の担当者たちの座談会の中で〇・三ミリ以下に抑えるならば受忍の限度で住民たちからは文句は余り言われぬのではないかというようなことを言っています。そういうことから考えると七十デシベルというのは非常に高い数値ではないかというふうに思います。これはこのたびの答申についてはあくまでも屋外規制でありますので、先ほど来言っていますように屋内では増幅が二倍になるということをよくお考えをいただかなければいけないのではないか、このように思います。また、とられるべき対策として考えられることは、当然発生源の中で対策としてやらなければいけない、このように思います。そもそも名古屋のような住居の密集地帯の市街地を二百キロで走るというようなこと自体が非常にむちゃなことではないかと、このように思いますけれども、すでにこの中で起きている公害を当面すぐ何とか低減をさす方法としては何が必要かといいますと、やはり市街地では一定のスピードを下げること、これは参考図3にございますように、一番後ろの方にございますけれども、スピードを下げることによって平常時これは百八十キロで走っていたときと、それからたまたま百十キロで走行したときの測定のデータでございますけれども、三分の一から三分の二に減るというようなはっきりしたデータがございます。金がかからなくてすぐできる問題として、技術開発をまずねらって、当然こういうことを考えていかなければならない、そのように思います。また、中公審の資料でも根拠等の三十八ページにははっきりとそのデータを出して走行を規制すべき問題として考えられているんではないか、このように思うわけで、私どもは早急に一定のスピードを下げてもそういう対策をとるべきだと、このように思います。また、いま名古屋においては沿線の二十メートルを買い上げるという、いわゆる振動対策として買い上げるという問題が起きていますけれども、この参考図1、2をごらんになればわかりますように五十メートル離れたところでも屋内においては指針の七十デシベルをはるかに上回るような大きな振動が起きているわけですから、その点を十分お考えになって、決して二十メートル幅ぐらいの買い上げで公害というものはなくならないということがはっきり言えるのじゃないか、このように思います。
 以上、名古屋の被害を中心としたことでこの振動答申に対する意見を述べさしていただきました。
#11
○委員長(藤田進君) 次に、野村参考人にお願いいたします。
#12
○参考人(野村潔君) 野村でございます。私は現職はそこに書いてあるとおり公害部門でございますが、しかし私は四十六年四月に本職になる以前は保健所長でございました。中小零細工場等の労働衛生に長らく携わった、こういう経歴がございます。その点をあらかじめ申し上げておきます。私がいまから申し上げる意見は中小零細企業あるいは手工業による振動公害の実態、第一点はそれでございますが、第二点は、それに対してどのような対策をやってきたか、あるいはそれをどの方向でやっているのか、その場合の困難性、問題点。第三点は今後の見通しあるいは提言。以上三点にしぼって意見を申し上げたいと思います。
 実は、私が申し上げる中小零細企業は独占的にやっております、しかも金沢にはほとんど集中しております金箔あるいは箔打ちに伴う振動についてでございます。この手工業といいますか、家内工業は伝統的に三百年の長きにわたる歴史を持っているようでございますが、ただ途中壊滅状態になったり、徳川幕府時代には金が全く手に入らない状態があったために、まあ文献によりますれば密造されていたと申しましょうか、隠れてつくられていた、あるいは箔を販売するだけであった。それまでは江戸箔あるいは京都箔、それに並んで金沢箔があったのですが、明治の中期から独占的に金沢に集中をし、現在九九%の金箔は金沢産でございます。なお、その他の箔につきましても大部分金沢地方の特産となっております。
 それはともかく、その振動の実態でございますが、実は御承知のように箔はもともとは手打ちでございます。金属床の上へ金づちでもってとんとことんとこたたいて非常に風情のあるものでございまして、金沢の風物詩とまで言われたものですが、大正末期からこれが鍛造機の一種が導入されました。これでおわかりにくいと思いますれば、家庭の中へ大工場の鍛造機が持ち込まれたと、それでもって衝撃を加えて生産力は二倍、三倍と上がりましたが、そのために周辺、しかも非常に局所的な近隣に対して強い振動公害を加えてきていたわけでございます。現在もそれが続いているわけでございます。ただ、それを逆に御理解いただくためには、金沢市は年間の騒音発生苦情は五十年度は二百七十一件ございました。そのうち騒音振動に伴う苦情は三分の一を占めている。しかもこれは、そのうちの二割はこの箔が占めているわけでございます。ただ御承知のとおり、金沢のような町にはいわゆる大気汚染、水質汚濁といった広域の公害は比較的少のうございますが、近隣公害と申しましょうか、騒音、振動に伴うような公害あるいは悪臭といいましても屎尿浄化槽による悪臭というようなものがあることからいきまして、非常に高い数値でございます。そこで、再びこれをわかりよく申し上げますと、その振動の被害は、たとえば仏壇が非常に金沢はあるところでございますが、位牌がいつの間にか百八十度転換をする、次は右へいったらまたまともに向いているけれども、ぐるぐると回ってもとへ来たと、あるいは壁が落ちる、あるいはとても寝られたものではないというようなことがありましたが、それがいまだに問題にならなかったのは、家内工業であるために、そこの主婦は皆アルバイトとして雇われていたというような、きわめておかしな生産過程があったということを御理解いただきたい。
 それから箔のようなものは私どもも素人でございますが、金箔というものの特性はどういうものかと申しますと、実はその箔の薄さというものは〇・二マイクロメートルでございます。これはおわかりにくいと思いますが、〇・二ミリの千分の一でございます。したがいまして一万分の二ミリが平均でございます。薄いのになりますと、〇・一ミリの千分の一あるいは〇・三ミリの千分の一というくらいであります。そこで、近代工業技術の常識では、大体一ミリの千分の一まではわりと簡単でございますが、その十分の一というのはきわめて常識を超える工業生産品だと評価されております。したがいまして、それをつくる過程では非常に家内工業的な手工業のステップがございまして、いま申し上げた振動が起こるそのステップはわずかに全工程の四分の一のウエートしかないわけで、あとは手工業でなされている。同じことの繰り返しがなされている。特に箔をはさむ紙が特殊上質の和紙を使わねばならない。しかも、その和紙は、そのままでは使いものになりませんで、灰汁と書きますが、あくと通称言っておりますが、そういう処理をやらねばならない。そういう処理は秘伝といいますか、だれもわからない。一つ一つの工場が全く違う方法をとっておるというようなきわめて閉鎖的といいますか、むずかしいことでございます。
 そういうことで、現在金沢市にばらばらとそういう機械振動を伴うような箔打ちが百三十数工場分散をいたしております。したがいまして、近隣における被害の住民もまたばらばらと相当の数になるわけでございます。恐らく数千人が被害を受けるということでございます。しかも、余りにも金沢にしかないものであるために、実は前回の騒音規制の特定施設から除外されておりました。したがいまして、四十八年に市独自の公害防止条例で特定施設とし、通称横出しをし、騒音を規制したわけでございますが、しかしその場合に付帯意見といいますか、各界各層の方々の御意見では伝統産業の壊滅は困る、伝統産業を保護育成すべしという立場もありまして、何としてでも騒音ばかりじゃなく振動を防止する技術の開発というものをこれはやらなければ困るのではないかというようなことで、実は四十八年、公害防止条例施行と同時に、三年の予定で製箔機械の振動防止、騒音防止研究のプロジェクトチームが発足し、それの昨年版をお手元に差し上げてございます。なお、加賀金箔のいきさつ等についてはこういう単行本もございますのをつけ加えておきます。
 少し話が余談になりまして恐縮でございますが、そこでこのプロジェクトチームがやりましたことは、まずこういうふうな伝統産業にはえてしてありがちな科学的な解明がまるでなされていない。いわゆる伝承と経験と勘だけで行われている。だから箔がどのようになっているのか、どのようにして延ばされているのか、その過程がまるでわからない。しかも騒音と振動というものを切り離しては考えられない。しかも機械は限定されておる。せいぜいで全部の機械を合わせても七百台ぐらい。これの開発を企業がやっても採算がまるで合わない。しかも、きわめてその打ち方は紙の質だけで延び方が違ったり打つ人それによって違うというようなことで、しかも箔になる過程では換気ができないわけです。風が来ると飛んでいってしまうわけでございます。したがって密閉構造になりまして――私は先ほど労働衛生上問題があったというのは、実は多数の肺結核患者が箔打ち職人から輩出したわけでございます。したがって、簡単に密閉構造にいたしたり、あるいは騒音だけを対象にするということになりますと、極度に中で働いている労働者の労働環境の悪化を直ちに招来するので、したがって、そうかといってこの鍛造機械をまるで変えてしまうということは現在の技術をそのまま維持できるかどうかにかかってまいりますので、さしあたり現有機械をどのように改善するか、手っ取り早く言えば電話ボックスのようなところへこの機械を押し込めてしまって音を出さなくしよう、そして丸窓から手を入れて人には影響はないけれども音も外へ出ない。そしてダクトでもって中のものは排出したらどうかと。現にそういうものも大学の先生のあれによってつくられております。それから現在の据えつけ方は全く大地に固定をする、しかも大きな基礎石でもって、これをアンビルと言っておりますが、大地に固定するのが最も打ち方としてはいい箔ができるということで、もっぱらそちらの方へいっておりますので、先ほど申し上げた振動はたまったものじゃない。その振動のひどさは、たまたまその工場敷地の横に幅大体三メートルか四メートルぐらいの用水が通っておりまして、立地条件としては川にさえぎられておりますから、向こう側では振動がないだろうとお考えと思いますが、相も変わらず振動一つも減らないというように非常にやっかいなものでございますので、それを基本的に解明をしていただきまして、結果として、基礎の構造を二重構造にして一応機械そのものを浮かしてしまう。そのやり方としては小砂利だとか砂というようなものによって緩衝をつくってしまう。しかも、そういう理論で明らかに振動が少なくとも現在の規制法案に合致する程度までいけることが明らかにわかりました。しかも現在モデル工場が、これは企業が自分で独力で大学の先生の意見と工法でもってつくったところでは幸いに――これはモデルでございますから多額の経費をつぎ込みまして標準にはなりませんが、そのデータが出ておりますが、対策前は八十三デシベルあったものが四十五デシベルに落ちたのでございます。しかし、これはまあすべて標準化はできません。この場合に使われたのは空気バネを多数使用して完全に浮かしてあるわけでございます。ただ、心配したのは、そこで果たして良質の箔が打てるかどうかということでございますが、幸いに私がその方々の証言を得たところによると大差はないと、前よりも労働環境がいいので気持ちよく打てるということをいまのところ聞いております。したがいまして、私たちとしては騒音、振動、特に振動防止というのは騒音よりもやりようによればできるのだという確信を深めておりますが、ただこれは家内工業的な範囲がきわめて小規模のものであるのでできるので、これが一般になるかどうかは若干疑問があろうかと思います。
 ただいまそういうことでございまして、現在箔工場百三十数社のうち、もちろん箔そのものの工場数は実は三百以上ございますが、これは手仕事をしたりその前の段階のことをやっておりますので、実際には何といいますか、鍛造機を使う特定工場になっていないということでございますから、私どもの方の先ほど申し上げた数から除いてございますが、そのうち現在までにいろいろ対策をし、あるいは自発的に企業がやったということによって、現在三分の一は完全に基準に達しておる。騒音及び振動を、仮にこの法案を基準とするなら大体達成可能である。残り三分の二のうちの三分の一は現在執行中でございます。恐らく年内には可能であろう。残り三分の一が問題でございます。これは幸いなこと、当面住家が付近にございません。以上のように何とかその気になって努力をすればできるようだということを私たちは考えております。
 そういうことを一応御報告をさしていただきまして、ただ問題点としては、先ほども申し上げましたように、特にこういう中小零細、金沢にしかないのですから、当然私たちのコミュニティー、地域社会でこれを解決するのはあたりまえではございますが、しかしながら、そのためには多額の経費と多額の時間と、それからきわめて業者等の説得あるいは対話といいますか、そこへ持っていくまでには、きわめて強い拒否反応がございました。私たちの伝統産業をつぶす気か、あるいは私たちの秘伝なりいろんなものを暴露する気か、競争相手をつくるのかというように、あるいは紙一つ例にとっても、その性質を解明することはきわめて何といいますか、強い拒否反応に遭って取りかかることさえなかなかできない。現有機械を借り出すことに大変な時間がかかった。大変おわかりにくいことを私申し上げておりますが、こういうことでございます。そういう家内工業的なものは、新しい機械ならいつでもお貸しします、現在手なれた機械が一番いいんだから、それをお貸しすることはできないということが理解できるまでに三カ月を要しました。事ほどさように大変な手間がかかるけれども、しかし、やはり行政並びに企業が前向きに、しかもそれに対して住民サイドばかりではなくて、企業もやはりどうかしなきゃならないという気分は多分にあるわけでございますから、そういうものを誠意をもって誘導していけば、振動規制というものは早ければ早いほど対応がよろしゅうございますし、しかも、ある程度の猶予期間というものがなければ、いま申し上げたように、まず基本的なものから考えて取りかからないと大変なことになるということを、私は労働衛生の問題と、それから周辺の公害防止の面から実感をもって知り得たので、そういうことを中心に、――大変貴重な時間でございますので、いま一つお願いは、このような中小零細企業については、私どももそれなりに自治体として一千万円を限度とし十年、年利四%の長期低利の融資はいたしております。しかしながら研究費あるいは基本的な解明というものは、どうしても中小零細企業の場合は企業のみによってはとてもできないという点では、国の、金銭ではなくて技術的なあるいは各種行政機関の御援助というものがやはり振動規制の最後の決め手になる。幸いなことに金沢大学工学部は部長以下当問題に熱心でございまして、金沢市が三年にわたる資金御負担のほかに、五十年度は文部省の科学研究費の交付を受けてこの事業がなされておりますので、そういう点では今後ともこのような問題について御援助、御指導を賜るようお願いをいたしておきます。大変聞き苦しい意見ですが、終わらせていただきます。
#13
○委員長(藤田進君) 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
 午前の審査はこの程度とし、午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十八分開会
#14
○委員長(藤田進君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 なお、参考人に申し上げますが、時間の都合上答弁はなるべく簡潔にお願いいたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#15
○森下泰君 私は自由民主党の森下でございます。午前中に各参考人の御意見を承っておりました。まことにいろいろと深い勉強をさしていただきました。非常に御賛同申し上げたいという面がたくさんありますと同時に、中には少々――一言で申せば行き過ぎではないか、少し御検討いただきたい、かように感じたこともあった次第でございます。
 私は、かねて承っておりますが、振動というものは地球が動いておりますし、それから人間が生活をし、それに伴いまして当然に振動というものは存在するものでございまして、たとえば当委員会の現在のこの場所におきましても四十デシベル程度の振動はあるというふうに私は権威ある方々の御意見として了解をいたしておる次第でございます。したがいまして、このようなきわめてデリケートな問題に対しまして、このたびいよいよこれを法律化するということにつきましては非常に高く評価されるべきものと考えます。と同時に、言で申しますならば試行錯誤に陥ってはならない、行き過ぎがあっては後で困るということを強く感じておる一人でございます。さような観点から本日の参考人の方々に一層、先ほど賜りましたけれども、特にお伺いしたい点を質問をさしていただきたいと思います。内容は五十嵐参考人に三点、内野、中野、野村の三参考人さんにそれぞれ一つの御質問をさしていただきます。まず時間の関係もございますので、それぞれの参考人様への御質問をあらかじめいま申し上げてしまいますので御理解をいただきたい次第でございます。
 五十嵐参考人にお伺いしたいことは三点でございます。第一は先ほどのお話の中にもございましたが、諸外国の振動公害の法規制の現状について一言お話をいただきたい。第二点は、このたびの基準でございますが、これにつきましては先ほどもいろいろ御意見がありましたように、いろいろ甘いという御意見もございますが、この基準は権威ある中公審として現在の時点においてこれ以上考える余地のない権威あるものである、あるいは責任ある基準であると、かように一言、一層の責任ある御見解を賜りたい次第でございます。それから第三点は新幹線の問題でありまして、細かいことは省略をいたしますが、新幹線の鉄道振動が法規制から除かれておりますが、特に五十嵐参考人は新幹線騒音の環境基準及び振動の対策指針でありますか、を御自分で手がけられておりますので、特に五十嵐参考人から、なぜ新幹線をこのたびの法規制から除いたかということにつきまして、一言御説明をいただきたい。以上、三点でございます。
 次に、内野参考人にお伺いしたいことは、先ほど御説明の中に、すでに東京都における具体的な行政指導につきましてるるお話がございました。そして結論としては、私の理解では、一方におきましては法の強制力、他方におきましては財政措置ということが必要であると、かような御指摘があったように私は理解いたしておりますが、そのことにつきまして特に現在条例をお持ちで、それを施行しておられます自治体が、このたびの法律の施行に伴いまして今後どのようなお考え、あるいは態度で処していかれますか、あるいは特に御要望がありましたら御指摘をいただきたい。これが内野参考人へのお願いでございます。
 次に、中野参考人にお伺いでございますが、先ほどのお話ではかなり厳しい御意見でございまして、一言で申せば私の理解では、七十デシベルは問題にならぬ、それから二十メートルではとてもこれは振動を防げるものではないと、かような御意見のように拝聴いたしました。したがいまして、その御意見を延長いたしますと、当然走行規制あるいは車両制限につながるものでございまして、私の試算では、もし走行のスピード規制をいたしますと現在の東京−大阪間三時間が七時間と言われておりますが、あるいはせいぜい努力をいたしましても六時間ぐらいかかることになるんではないか。それから周辺二十メーターを仮に百メーターといたしますと、これは大変な財政的資金が必要でございます。そういった論拠でまいりますと、もう新幹線はやめてしまえということになるのではないかと、かように考える次第でございまして、やめてしまえという御意見とは承りませんが、少なくとも三時間というものをスピードダウンして六時間ぐらいにはすべきであると、かような御意見であると了解をいたしておりますが、それでよろしいかどうか、もう一言ちょうだいをいたしたい次第でございます。
 最後に野村参考人にお伺いでございますが、実は私は仕事の関係で金銀箔の、金沢におきますいわゆる製箔産業につきましては、実は五十年来よく存じ上げておりますので、先ほどのお話は非常に興味と共感を持って伺った次第でございますが、私の知っております範囲では、現在金沢でそうした工場が百三十社ぐらい、それから従業員合わせまして約八百人、したがいまして、きわめて零細企業でございまして、数もそういう絶対値であると、かように解釈をいたしております。先ほどのお話の中に、今後の課題として一つは猶予期間、法の施行に伴いまして猶予期間がなければ実際の指導、実際の望ましい処置はむずかしいと、こういうお話がございました。同時に、技術並びに資金の面で国家に対して大きく期待をしたい、かような御発言でございましたが、そのことに関連をいたしまして、これはこの法規制が全国的に行われました場合に、具体的には金沢におきまして生じておりますように、すぐそれを直ちに強制的に施行いたしました場合にはいろんな問題が起こるはずであると、かように私は考えます。したがいまして、具体的に金沢の場合に、いま先ほどお話のありました猶予期間の問題あるいは資金、技術と、そういった問題につきまして、具体的な例としてこういうことがこの法の施行に伴いまして考えられなければならないという御意見がございますればさらにつけ加えて一、二お教えをいただきたい。以上が野村参考人への御質問でございます。
 以上、お願いを申し上げます。終わります。
#16
○参考人(五十嵐壽一君) ただいまの森下先生の御質問にお答え申し上げます。
 第一番目は、諸外国で振動の規制をどのようにしておるかというお尋ねと思います。で、先ほども申し上げましたように、振動の規制という問題は日本が初めてでございます。外国におきましても、建設工事につきまして騒音に関係いたしましてその測定をやってこういう勧告をするようなことをやっているケースはございます。また、工場につきましても非常にむずかしい測定をいたしまして、こういうものが望ましいということが文献には出ておりますけれども、国として規制をしているということは、私現在聞いておらない次第でございます。
 次に、中公審としましてこういう答申を申し上げたわけでございますが、これがいかなるものと考えるかという御質問と思います。で、この件につきましては振動の問題がいま申し上げましたように日本で初めて公害として取り上げた問題でございまして、外国では振動の公害という言葉すら理解してもらえない場合がございます。特に、交通に関します振動をいまの規制というようなことで取り上げるというような、あるいは勧告としてでも取り上げるというようなケースはまだございませんで、非常にどういう形で規制法をつくるかということを苦心したわけでございますが、その測定法、評価単位あるいはそういうものを決めましたときの対策と、いろいろむずかしい面がございまして、私ども完全とは思っておらないわけでございますが、現在できる最善のものと考えております。したがいまして、私ども不十分とは思いますけれども、こういうものが完全に実施されるということで、振動に関係いたしました、いわゆる振動公害というものの全部とは申しませんけれども、非常に多くの部分が解決できると確信しております。最後に、新幹線が法規制から外れた理由について申し上げます。この件につきましては、まず新幹線というものをわれわれ国民としてどのように考えるかという問題が第一にあるかと思います。で、今回も七十デシベルということで答申申し上げておりますけれども、これがたとえば規制という形になりましたならば、新幹線は全面的にとめざるを得ないと考えます。それだけ実際には問題が多いということを逆に言えるかと思いますが、で、そういう観点から、ではこれを技術開発でいつまでにできるかという問題も、これ技術開発のむずかしさ、それと既設新幹線ということでのむずかしさと申しますか、たとえば一月全然運休できるかというような問題あるいは一年運休できるかというような問題がございますが、そういうことからこれを法規制とすることは非常にむずかしいと、そういう観点から一応法規制から除いたわけでございます。もう一つは、後の方の森下先生の御質問にもございますけれども、音源という問題でスピードを制限すればいいではないかという問題がございますが、これはスピードをたとえば半分にいたしましても、先ほどもちょっと御説明があったようでございますが、音でも同じことでございますけれども、半分にしても、それによって公害が完全に解決するには至らないわけでございまして、四分の一、つまり普通列車以下にしないとだめであるというような問題が一つございます。そういうようなことと、もう一つは、じゃ部分的にスピードを落とすということもわれわれ部会でずいぶん議論をいたしました。しかし、こういう問題は国全体の問題として、われわれの部会だけの議論でそういうことが決められないと、もう少し、実際にいろいろな立場の方々、まあ社会学の方々とかあるいは法律的な方、いろいろな方の御意見で決められるべきことで、そういう意味で、新しくもしそういう問題といたしますと、将来そういう議論をする機関をつくっていただきたいということを、今回の振動の規制に当たって提案申し上げておるわけでございまして、この答申としてスピードダウンということを表面に出さなかった理由はそこにございます。そういうような面から、いま申し上げましたようなことから規制というところから除いたわけでございます。
 以上でございます。
#17
○参考人(内野光男君) お答えいたします。
 先生の御質問は、条例の施行に伴ってどういうふうな体制にするかと、何か要望があったらということでございます。振動規制法を立法化されましたことについて都としても評価しているわけでありますが、振動規制法を制定された場合において、地方団体に委任された事務が、委任された事項等がございますが、それらの分につきまして、新しく都も実態を踏まえながら条例との整合を図っていきたいというふうなことを考えておりまして、現在新しいデータ等について収集中でございます。何か要望がないかどうかということでございますが、振動につきましては、非常に技術が開発されてないというようなこともあわせまして、都といたしましても十分努力していきたいと考えておりますが、国におきましても技術開発という点につきまして積極的な姿勢をとっていただければと考えております。
 以上でございます。
#18
○参考人(中野雄介君) 七十デシベルでは高過ぎるので、走行規制をした場合には新幹線は走れないんではないかというような先生の御質問かと思うんですけれども、私どもは全面的に走行規制をしようとも言っておりません。たとえば東京−大阪間「ひかり」は三時間十分で走っておりますけれど、一日のうち二、三本米原にとまる列車がございます。これは五分おくれで着いております。このような形で、必ずしも三時間十分が「ひかり」の使命であるとは言い切れぬではないかと、このように思うわけです。名古屋の市街地を一定時間私ども百十キロで落とした場合に、わずか三分ぐらいのスピードダウンで済むというふうに見ていますので、そういう場合には振動も約半減する、騒音も十ホン下がるというような、経験上からそういうふうに部分的な走行の規制も必要ではないかと、このように申し上げたつもりであります。
 また、二十メートルでは解決できないから百メートルも買うと膨大な費用が要るではないかという御指摘でございますけど、事実百メートルも買うと大変なことになろうかと思います。私どもはそういうふうに何メートル買い上げよというようなことは決して言っておりません。部分的な走行規制、同時に防音効果のあるいろいろなことを国鉄がやると同時に、一定のスピードダウンをしながら、その中で買い上げ幅等を考えていけばまた効果は違ってくる。同時に、その買い上げたところを国鉄は跡地をどうするのか、荒廃したままにして、町の荒廃につながるようなことでやりっぱなしにしておくのか、それとも、後、そこにいわゆる防音効果のある、あるいは防振効果のあるものをつくって、そして町の荒廃につながらないようにするのかというようなビジョンが現在国鉄の側から何も示されておりませんので、私どもは単に二十メートル買い上げだけでは公害の解決にはならないということを申し上げたんでありまして、どれだけ買わなければいけないというようなことで申し上げたわけではありません。
#19
○参考人(野村潔君) 森下委員の御質問にお答えをいたします。
 私に対する御質問は、猶予期間等についてどのようなことを考えているかということが主な質問内容でございましたが、私どもがいままでやってまいりました、特に中小零細である箔企業についてその研究等の知見から考えますと、少なくとも騒音並みの三年が必要ではないか、中小零細の場合に特にそういう準備期間というものが要るのではないだろうかと考えております。ただ、可能ならば短ければ短いほどいいとは思いますが、どうも私どもがいままで取っかかったやり方等から考えるならば、それくらいは要るんではないか。特に伝統的なそういうむずかしい問題がある場合には、私どもがいままで取り組んできた期間を含めてもなおかつ今後二、三年は要るというようなのが実情であろうと率直に申し上げたいと思います。
 なお、このような中小零細の発生源対策は、何といいましても発生源における振動をどうしたら防げるかという基本的な、科学的な研究が基礎になるわけでございまして、単にいわゆる普通に考えられる防振を試行錯誤でやれば、とどのつまり振動規制そのものが守られないというきわめて不信を招くおそれがございますので、できるならば基本的に研究というものに国も本腰を入れて取り組んでほしい。たとえば、具体的にわれわれがやったのだけでも、販路が限られて、しかも将来の機械の総量が決まってしまって数百台しか売れないようなものを、とても個人企業あるいは組合というものがなかなかできにくいという、しかもそれをつくるのが中小企業でまたあるというところから考えますと、放置されるならばやはり現有機械がいつまでも使われると、そして問題がいつも残るんだと、かようなことになろうかと思いますので、やはりそういう点では、地方公共団体あるいはローカルカラーの強いものにつきましては、そういう研究費の助成というものをぜひお願いをしたいということでございます。先ほどと重複して恐縮でございますが、そういう趣旨でございます。よろしくお願いします。
#20
○井上吉夫君 時間がないようですので、簡単に内野参考人にお伺いし、あわせて同じ問題で五十嵐参考人にも御見解をお伺いしたいと思うんですが、東京都の条例の場合、鉛直と水平と両方の基準を条例上定めて従来やっておられたとお伺いするわけですが、実際にこういう形で運用されて、やっぱりこういうような二方向の振動値を規制の基準とする方がいいというぐあいに体験的にお考えかどうか、そういうことをお伺いしたいと思います。
 さらに、五十嵐参考人には、余り細かい技術的なことは別にいたしまして、今度中公審で、振動部会で選ばれました単位のとり方ですね、補正加速度ですか、こういうものがやっぱり一番望ましいというようなふうのことの根拠を若干御説明願いたいと思います。
 さらに、内野参考人にもう一つ、この二つの手段による測定については一体どれぐらい手間がかかるのか、そして、その測定器というのはかなり精度の高いものとして現にあるのかどうか、そのことも含めてひとつお答えをいただきたいと思います。
#21
○参考人(内野光男君) 第一点目の、鉛直方向と水平方向の二方向について条例で東京都は決めております、これがいいかどうかという御質問でございますが、四十八年当時できました条例でございますが、鉛直方向と水平方向の二の方向で規制基準を設けているということに現在までなっております。この理由は、当時水平方向と鉛直方向については大体十デシベルぐらいの相違があると、大体十デシベルで決められておりますが、本当に何%もございません、一%に満たない数字でこういった数値がたまに違う場合もあるということが当時問題になりました。具体的に言いますと、プレーナーのようなものについては水平方向と鉛直方向との基準値の差が十デシベルということではなく、その差が多くなるという場合もあったわけでございますが、今回の中公審の答申等からいたしまして、測定方向についても多少考えなくちゃならない点もございます。そういったことを考え合わせまして、現在、この二方向でいいかどうかということについて実態の調査をいたしまして検討したいというふうに考えております。
 それから二つの方向についてどんな手間がかかるかどうかということでございますが、器械をもちましてはかる場合に、大体一工場につきまして二つぐらいの器械をはかる場合に半日くらいが一方向についてかかっている、その二倍というふうな考え方でよろしいかと思います。手間がかかるかどうかということと、現在その器械があるかどうかということでございますが、これはございます。はかる方法もございますし、器械もございます。
 以上でございます。
#22
○参考人(五十嵐壽一君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 いまの御質問の、水平をはかるかどうかは十分議論いたしたわけでございます。水平と申しましても前後、左右と二方向ございます。したがいまして、鉛直と水平をはかります場合には、鉛直、前後、左右と三つはかる必要がございます。いま内野参考人から御説明がありましたように、水平の場合には、同じ振幅で感覚が違います。で、大体十デシベルと申しますのは、三分の一つまり三倍の振幅がございまして同じ感覚になるということで、感度が感覚的に鈍うございます。そういうことと、もう一つは、垂直と水平で振動数に対する感覚が違っております。そういうことで、計器をつくります場合に、垂直にいいような補正だけでは済まないという問題がございまして、これは計器がまだ日本でだけつくられているということで、完全に鉛直と水平をはかるということに若干問題がございます。で、そういう意味も含めまして、この規制をするということには、簡単にできるということがやはりこれから非常に多くのものに対処するのに必要だと考えますので、問題があることは将来検討するといたしまして、垂直に限ったというわけでございます。しかし、振動が伝搬いたしまして遠くなりますと水平の成分が優越してくる場合がございます。ただこれは、いまの規制と申しますような非常に問題の大きいところという問題と若干異なりますので、現在見送っているわけでございます。で、ただいま申し上げました測定法の簡便化あるいは測定上の精度の問題というようなことを含めまして、現在では鉛直だけでやるというのがいろいろな意味から効果があると判断いたしたわけでございます。
#23
○矢田部理君 まず五十嵐参考人にお尋ねしたいと思いますが、一つは、新幹線を規制の対象に外されているわけでありますが、答申では、御承知のように、七十デシベルを超える地域についてはさしあたり対策を講ずべきであるという内容のものを出されております。この七十デシベルについても、先ほど中野参考人から指摘がありましたように、それでも不十分だと、深刻な問題がまだ残るというふうに言われておりますが、さしあたり七十デシベルで抑えるために国鉄は緊急に何をやらなければならぬか、具体的にこれだけの措置をすれば少なくとも七十デシベルを超えることはないというようなことで検討された内容、単に指針だけではなしに、それを具体化するためにこうすべきだというようなことについてのお考えがあるかどうかということが一つであります。
 二番目には、いろいろ苦労をされて答申を出されたと思いますけれども、まだまだ数値の点でもそれから測定方法の面でもいろいろ問題点が残っているだろうと思われるわけでありますが、今後、数値をさらに厳しくするとか、あるいはそのチェックをしていくとか、新幹線等についてもさらに健康と環境を守るという立場から具体的な方策をどうしていくのかというような点について、中公審の振動部会としてさらに検討をしていくのかどうか、検討をしていくとすればどんな方向で考えておられるのかという点をお尋ねしたいと思います。
 次に内野参考人についてでありますが、今度の振動規制法では都道府県や自治体にいろんな委任がなされるわけでありますけれども、規制違反に対する措置として幾つかの問題点、やり方が出されております。改善勧告であるとか命令であるとか、さらに罰則等もあるわけでありますけれども、どうもそのやり方が三段階に分かれていて迂遠だという指摘もありますし、それからまた自治体の長の裁量に任せられている部分が相当程度ある。そこで自治体の姿勢が問われるわけでありますけれども、実際に運用するに当たってどんな問題点を感じておられるか、どんな姿勢で臨まれようとするのか、東京都の考え方を伺っておきたいと思います。
 それから先ほど苦情の内容が実態的に出されしたけれども、今度の振動規制法が成立をすれば、この苦情は相当程度減る見込みであるのか。あるいは、私どもが考えても、これでもなおかつ苦情は絶えないのではないかというふうにも考えるわけでありますが、この点はどんなふうにお考えになっているか。五十嵐参考人も、その点について見通しなどをどんなふうに立てておられたか、あわせてお答えいただければありがたいと思っています。
 それから次に竹内参考人についてでありますが、先ほど振動による被害ということが指摘をされました。振動というのは先生もおっしゃっておられますように音を伴う場合が多いわけでありますが、振動と音が複合して健康等々に与える影響ですね、こういうものについてはどういうふうにお考えになっているのかという点を伺いたいと思います。どうも環境庁は、振動は振動、音は音、その他ということでばらばらにして、ここで抑えれば大丈夫だと言うのでありますが、相手の方は何も別々に分かれて影響を与えてくれるわけではありませんので、その点複合的な影響についてのお考え方を伺っておきたいと思います。
 もう一つ、ブルドーザーの振動について、今度の振動規制法は除外をしているわけでありますが、この振動の影響とか問題点等々について、先生のお考えがあればあわせてお述べをいただきたいと思います。
 以上であります。
#24
○参考人(五十嵐壽一君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 まず、新幹線を規制から外しました問題は、先ほど森下先生の御質問にもお答え申し上げましたけれども、ちょっとその御質問の補足という意味も含めてお答えをさせていただきます。
 先ほど申し上げましたようなことで、やはり新幹線の規制と申しますか、振動対策は総合的にやることが必要だと判断したわけでございます。その第一は、御指摘のように、振源対策、振動を出すもとの対策でございまして、これについての検討といたしまして、たとえば線路の道床と申しますあれが、どういう構造になっている場合に振動がどのように伝わるか、あるいはそこへゴムのマットを敷きますとどれだけ下がるかというような実験が実際に行われまして、そういうことで振動が、非常に画期的に減るとまではいっておりませんけれども、それぞれの対策によりまして、ある場合には二デシベルあるいは三デシベル減るという結果が出ております。そういうことと、もう一つは振動が伝わっていきます地盤との関係がございますので、そういうことを見きわめながら、問題のある地点で対策を講じていく。それからもう
 一つは、車両が、たとえば車輪がでこぼこしておりますと、そういうことが振動を出すもとにもなっておりまして、そういうことも総合的に考えております。さらに、その振源対策では、やはり七十というのは、問題になる地点全部が解決するのは非常に困難であると考えておりますので、土地が、やはりある部分は買い上げといことも必要である。さらに、これは非常にむずかしいことでございまして、竹内参考人からは非常にその点困難というお話もございましたが、一応家の防振ということ、これはあまり効果が期待できないと私も思いますけれども、そういうことも現実に実験を続けておりまして、そういうものを総合して対策をやっていくということで、七十デシベルをぜひ実現したいと思っております。ただ、騒音と振動というのが、これはついて回るものでございまして、騒音についてはすでに暫定基準はもとより環境基準も答申しておりまして、その騒音の対策ということとやはり総合的にやっていくようなことで御提案申し上げております。
 次に、測定法の問題でございますけれども、これは数値が幾らであるということと測定法が無関係ではございません。たとえば異常に大きなところだけをとります場合と、平均的なものをとるということで違いますので、この数値が幾らと幾らが対応できるという問題は非常に比較がむずかしゅうございます。一時間に一回ある振動がございますのと十回あるのをどういうふうに比較するかという問題もございまして、この基準の数値だけではなくて、その測定する方法ということを一緒に考慮する必要がございます。で、その意味で、いま答申申し上げております内容が完璧であるとはちょっと申し上げられませんで、たとえば新幹線が一日数十本から約二百本走るということを前提にいたしましてああいう測定法ができております。これが一日に二十本になった場合に同じ数値として公平であるかというと必ずしもそうでございませんので、御指摘のように問題点は残っておると思います。この点は将来やはり振動の計器の改良と同時に考えていく必要があると思います。
 最後に、中公審として今後どうするかという御質問でございますが、われわれといたしましても、こういう答申を申し上げて、実際にはこれが騒音の場合ですと公示されております。恐らくこの振動規制法も規制として実現いたすと思いますし、新幹線については、すでに勧告がなされておる一応状況でございます。したがいまして、われわれが答申いたしましたことによって、どのように改善されていくかということを今後十分チェックをしてまいりますし、さらに基準値自身についても、その時点の技術開発をにらみましてこれを改善していくという考えでおるわけでございます。
 以上でございます。
#25
○参考人(内野光男君) ただいまの第一点目の振動規制措置、たとえば勧告、命令、罰則等が自治体等に委任されている、これに対する姿勢につきまして御質問でございますが、法律、立法措置の中で、そういったことが騒音規制法においても実施、施行されております。振動規制法においても、同様な措置が立法されるというふうな原案でございますが、これに対しては、もちろん地方団体としても、こういった措置に従うのは当然でございますので、そういった方向でまいると。ただ総合的な対策といたしまして、ただ罰則あるいは命令するという問題だけではなくて、総合的に防止対策なりあるいは防止資金の助成なりについても、側面から考えていかなくちゃいけないんじゃないかというふうに考えております。
 それから二番目の、この法律が立法化されれば苦情がなくなるかどうかというようなことでございますが、社会情勢あるいはまあ人の感じる振動によって苦情が出てくるというのが具体的なものでございますので、人によってその振動の程度、感じる、苦情に出す程度が多少違ってくるわけであります。したがって直ちにどうということについては明言いたしかねますが、東京都におきましては、すでに条例で一応実施している、それから建設工事につきましては、指導基準で実施しているというような面もございますので、まあ直ちに相当なくなるということについては、はっきりと明言いたしかねると思います。
#26
○参考人(竹内吉弘君) お答えいたします。
 音と振動の複合の問題でございますけれども、これは非常にデリケートでむずかしい問題でございまして、現時点で振動と騒音とを分けて決められておるわけでございますが、これは振動に関しましては、たとえばマイスターの感覚曲線といったような、振動に対します人間の心理的反応あるいは生理的反応というようなものから定められておるわけでございまして、研究面におきまして音と振動を複合いたしまして心理的影響を論じたというような研究は私は知りません。したがいまして、現時点で振動と騒音が分かれておることは、これはある意味ではいたし方のないところだとは思いますが、たとえば振動が存在する中での騒音の影響というもの、あるいは逆に騒音が存在する中での振動の影響というものは、これはそれぞれ単独に振動と騒音が存在する場合とは異なることが十分考えられますので、今後の課題としては検討すべきものであると思います。ただ、現時点で二つに分かれておりまして、これをそれぞれ私は規制をしていけば複合による相乗効果の点が逸落するというような心配はないんじゃないかというふうに思います。
 それから第二点のブルドーザーの振動でございますが、これはどういう理由で中央公害対策審議会の答申から外れておるのか私は存じませんけれども、私の読みました報告の中に、アンケートその他実測による報告でございますが、作業地内のブルドーザーの騒音と振動の問題につきましては、振動が比較的少なく、むしろブルドーザーにおきましては騒音の問題の方が大きいというような報告もございます。しかしながら、現実にはブルドーザーの振動が落ちておるわけでございまして、これに対する何らかの規制は当然私は必要であろうと思います。
 以上です。
#27
○小平芳平君 初めに野村参考人にお伺いしたいことは、この箔団地は私も三年ほど前に行って、まあわざわざその機械の動いているときに隣のうちの部屋へ座ってみたりしてそのひどいのに驚いたわけですが、地元の周辺の人の話だと、先ほど位牌の話をなされておられましたが、先祖が仏壇から出てくると言う、何のことかと思ったら位牌が仏壇から出てきてひっくり返って落ちていたというような状態だったわけですが、きょうのお話を伺いますと、大分技術開発が進んできているということを伺って、むしろもう驚くくらいの気持ちであります。で、空気バネでありますか、それから地盤の構造でありますか、そういう点の成果を上げられたということですが、どのくらいの資金で――まあ研究といいますのはただ金さえあればできるという問題ではない、やはり人材といいますか、努力といいますか、熱意といいますか、そういうことが必要で、なくてはもうとうてい不可能だと思いますが、市あるいは企業あるいは大学でどの程度の資金で研究をなされたか、財政的な裏づけを持って研究なされたかということについてそう細かくなくて結構ですからお示しいただきたいと思います。
 それから次に、中野参考人、竹内参考人、それから五十嵐参考人に対しまして同じことを伺いたいのですが、それはまあ箔団地という、製箔産業というどちらかというと本当に中小零細企業においてそれだけの熱意を持ち、また市当局も大学もそれだけの熱意を持って何とか振動を防ごうという努力をされたということに対しまして、先ほど来問題になっております国鉄は一体どれだけの研究をなさったのか、先生方がいままで御存じの範囲において、国鉄はこういう研究をしたからこういう成果が上がったとか、新幹線はもうとにかく十年を超えているわけですから、その問一体国鉄は何を研究したか、そうしてどういう開発をしたか、あるいは努力はしたけれども見通しがないのか、あるいは少しはよくなったという点がおありかどうかということを御存じの範囲でお示しいただければ幸いだと思います。
#28
○参考人(野村潔君) 小平委員の御質問にお答えをいたします。
 開発費といいますか、振動防止技術の研究費は、これは大変概算で恐縮ではございますが、市がいままで四十八年六月以降プロジェクトチームに直接お支払いをした金額は八百六十万円でございます。しかしながら、これはあくまでも市だけがお払いをしたものでございまして、実は企業は現有機械を二台、それから細かいことになって恐縮でございますが、移動その他はすべて企業側が援助をいたしていただけました、結果として。それから大学は、大学の研究費、私いまここで正確には記憶をいたしておりませんので申し上げかねますが、少なくとも文部省の科学技術費を含めて、いままでに恐らくは私の知った範囲内では五百万円を下らない。それにお手元に差し上げてございます「騒音・振動防止技術研究」というものに金沢大学関係者は工学部長及び精密工学科教授以下九人、合計十一名。なお、これは直接機械の開発に従事をした人でございますが、協議会等は数回にわたりなされ、そういうものに対して、あるいは住民の方あるいは全箔業者を集めまして途中経過を説明した等々が直接間接にございますので、いま直ちには金額を正確には申し上げかねますが、やはり結果的には二千万円ぐらいの投資がなされたと私はいま理解いたしております。
 以上簡単ですが、お答えいたします。
#29
○参考人(中野雄介君) 国鉄は技術的にどのような対処をしたかということは私ども部外者であるのでわかりません。ただ、私どもはずっと昭和四十五年以来国鉄に対してこの公害を何とかしてほしいということをいつもやっておりました。しかし、何一つしようとしない。そこで、私どもはやむを得ず四十九年に裁判ということをやり出しました。途端に国鉄は被害住民が居住している地域の買い上げを申し入れてきました。これ以外に何一つないのではないかというふうに思われます。また、騒音と同時に切り離すことのできない振動問題について、私どもは何度か国鉄に申し入れをし、交渉もしてきましたけれども、その時点時点では、振動に対する国の規制がないから国鉄としてはどうすることもできないということで、何一ついままで対策は立ってなかったというふうに思います。
 以上です。
#30
○参考人(竹内吉弘君) 国鉄が防振に関してどのような研究を行ったかということは、私、研究を見たことがございませんので存じません。
#31
○参考人(五十嵐壽一君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 実際に国鉄が新幹線をつくります場合に振動をどの程度考えたかということは私聞いておりませんですけれども、音につきましては在来線並みということを目標に考えていたと聞いております。ただ、国鉄は部内で研究をやっておりまして、これが外部にはなかなか出てこなかった。その辺に従来一つ問題があったように思います。ただ、騒音の問題を契機に外部の協力も求める姿勢になってまいりましたので、国鉄の実際やっておりますこともよくわかってまいりましたし、実際に基準をつくります場合に、そういう資料の提出を求めましたのでわかったわけでございます。
 それで、いまの御質問でどういうことをやってきたかということでは、騒音につきましては御存じのように壁をつくることとか、それから先ほど申し上げました道床の改良、振動につきましては山陽は高架にします柱を太くしたというようなことがございます。これの効果が非常にあったとは私思いませんけれども、東海道に比べましては若干改良されております。そういうことで、山陽はちょうど騒音の基準を議論しました当初に開通いたしましたのでございますが、東海道に比べて若干改良がされているように思います。で、現在東北の新幹線の工事中でございますが、そこに相当大規模な試験区間をつくりまして、いろいろな構造について騒音と振動の総合試験をやれる体制を整えつつあります。そういうことを含めまして、今後の基準に対応していこうということであると考えております。で、いままでもいろいろ御議論がございましたように、国鉄はなかなか資金の面でできないということを申しておりまして、やはりこれは私の申し上げることではないと思いますけれども、ある程度財政的な余裕を持たないとなかなかむずかしい問題があるのではないかと外部的には私聞いております。
 以上でございます。
#32
○内田善利君 私もまとめて質問したいと思いますが、五十嵐参考人にお聞きしたいと思います。典型公害の一つであるこの振動公害について、中公審の審議の段階で規制基準だけでなくて環境基準についても論議がなされたかどうか。また、なされたとすれば、環境基準についてはどのような結論ができたか、お聞きしたいと思います。それから新幹線規制が除外されたことについて各委員からの質問で種々お答えになりましたが、その中から私が感じますことは、結局新幹線は現状では資金面その他で防止対策ができないので規制ができないんだと、そういうふうに私は受けとめたんですが、そういうことが言えるかどうか。
 内野参考人にお伺いします。東京都の振動規制の条例がもうすでにできているわけですが、その規制値の中で今回の法規制を上回っている、すなわち高いものがあるようですけれども、また昼夜の時間の範囲も違っておるようですが、法規制ができた段階でどのようにされるおつもりなのか。それからもう一つは、鍛造工場対策が非常に困難だということですけれども、振動源対策として困難であるならばこれに対する対策がまた必要になってくると思います。また振動源対策として低振動工法を取り入れる課題があると思いますが、この点経費の問題もあろうかと思いますが、鍛造工場に対する解決策はどのようにお考えか。
 竹内参考人にお伺いいたします。新幹線の振動遮断対策、現在不手際であるというお話でございましたが、私も不手際じゃないかなと思いますが、この不手際であるということをもっと具体的にお話ししていただきたいと思います。遮断対策が、ほかにデシベルを低くする方法があるのかないのか。不手際であることをもっとお聞かせ願いたいと思います。
 それから野村参考人のお話で、金箔の家内工場でその振動対策が成功された例を述べられたのでありますが、市や企業の財源対策についてもお答えがあっておりましたが、空気バネを多数使って成功されたということですが、空気バネというのはどんなのか。振動の伝播する場合に非常に振動伝播しやすい伝播速度の早いもの、また遅いもの、それから振動を吸収しやすいもの等があると思いますが、これにはどういうものがあるのか、おわかりでしたら教えていただきたいと思います。
 以上でございます。
#33
○参考人(五十嵐壽一君) ただいまの御質問の最初が振動公害の環境基準が考えられるかという御質問だと思います。私は騒音と同じように当然環境基準というものは考えるべきだと思います。ただ、先ほどからも申し上げておりますように、振動の計測――はかる方法すらいままではっきりしておりませんというようなこと、それからその防振対策というようなこともはっきりしておりませんということから申し上げまして、環境基準をどの辺に置くかという問題はやはり非常にむずかしいと思います。しかし、現在決めております規制よりも相当下であることは確かだと思います。やはり騒音とはちょっと違いまして振動もこれはゼロということはあり得ないわけでございますが、人間がふだん生活をしている段階でゆらゆら揺れるというのはこれは環境としては好ましいことではございませんので、当然その環境基準としては人間がいろいろな状態で感じるのがどの辺かということで決めるべきだと思います。ただ、先ほどからも申し上げておりますように、一時間に一度揺れるのと十回揺れるの、あるいは連続して揺れているというあたりをどのようにとらえて基準にするかという非常にむずかしい問題がそこにあると思います。で、この規制基準が非常に緩いという御意見も伺っておりますけれども、やはり環境基準というような考え方から申しますと、これはやはり緩いという御批判は当然であろうかと考えております。
 それからもう一つ、新幹線についての御質問がございましたが、資金的にできないから規制から除いたということだけではございませんで、先ほどから申し上げておりますように、規制というのはやはりもとをいかに抑えるかということだと思います。ただ、私どもの答申いたしました内容といたしまして、やはりそれは非常に困難だという判断から、たとえば土地の買い上げあるいは土地の規制の問題も含めまして総合的に対策を講じていただきたいという答申を申し上げておりますように、そういうことで先ほどの音源対策が資金的に無理ということだけではございません。
#34
○参考人(内野光男君) まず第一点目の、都の条例について規制基準より高いであろう、あるいはまた条例の中の時間が違ってるんじゃないかと、こういう御質問でございます。先ほど言葉足らずで申しわけございませんでしたが、工場等につきましての規制基準につきましては、中公審の答申の範囲の中に入ってございますので条例上の問題はないと思います。それから時間区分等につきましてもその中に入っておるものでございます。それから第二点の鍛造工場に対する対策、このことでございますが、先ほど非常に困難だということで、広い国の広域行政の中で処理をするようには要望しておきましたですが、都としても京浜六区等に移転の集団化によって解決してきたということでございます。一点につきましては移転の問題、それから第二点につきましては技術開発の問題、この二つのことによって解決していかなければいけないということで、技術開発等の問題につきましては防振ゴムと、あるいはつり基礎等の方法等を検討しているところでございます。
 以上でございます。
#35
○参考人(竹内吉弘君) 国鉄の振動対策が不手際であるということでございますが、これは、私は不手際であると申すよりも、現在の形で新幹線が走行しております限り、基本的な振動防振あるいは振動遮断の対策は工学的にないのではないかというふうに思っております。したがいまして、先ほど五十嵐参考人からも話がございましたように、柱を太くしたという話は私も聞きましたけれども、それが一体どのような工学的な判断に基づいてなされ、どのようなデータに基づいてどの程度の値を期待して行われたかということはよく知りませんので、私も柱を太くした程度ではとうてい振動防振の対策にはならないと思います。したがいまして、もし対策があるとしますれば、私の考えでございますが、振動源対策として、やはりスピードダウンをするという点と、それからできます限り新幹線沿いの用地を買い上げるというような形で空間のエリアをつくる以外に現在の時点では解決法がないのではないかと思います。ただ、防振あるいは振動遮断の問題は地盤条件その他の局地的条件が非常に大きく左右する場合もございますので、一律にこうすればなくなるというような特効薬的なものはないとも思いますので、やはり振動源対策、あるいは用地買い上げという形での解決が基本的なものであろうと、現在の時点ではそう思います。
 以上です。
#36
○参考人(野村潔君) ただいまの御質問にお答えをいたします。
 私、工学についてはやや暗いわけで、正確な説明は困難でございますが、三十六ページ、資料がございますと、これ見ていただきたいと思いますが、そこにモデル的な図面がございます。図四の七「弓ばね式機械基礎図」というのがございます。これをちょっと参考にいたしていただきたいんですが、大変、これを大きくかけばいいんですが、在来の基礎は直ちに大きなくいを打ちまして、大変恐縮ですがこちらの方、これまた別の資料でございます。大変恐縮でございます。在来のものはここへ長くパイルを打ちましてくいを打っています。そこへ強くコンクリートを流し込んで基礎をつくったんでございます。したがいまして、ここで衝撃を加えれば当然この音の振動のエネルギーはこの隣接のところへ到達をいたすわけでございます。そこで、モデル的にはこれをこういうふうに絶縁したらいいじゃないかということなんでございます。これは砂をごうかいでございます。したがって、そこでは、ここの場合にはコンクリートの基礎の下に石みたいなものをかいてありますが、これを砂利というふうに理解をしていただきまして、間を砂でやる。これをたまたまモデル工場は空気バネをそれに使ったということでございまして、直ちにどれが最もいいか、しかも石の大きさ、砂利の粒、サンドイッチ方法がいいのかは現在実験中でございます。問もなく最終報告が出、公開実験になる予定でございますが、残念ながら、私はいま詳しいことはわからないんで、たまたまこの「振動絶縁材(砂など)」というところに空気バネをたくさん使った。その理由は、空気バネは壊れたら簡単に取り外しが、空気を抜けば簡単にそのまま差しかえられる。とめがあれば空気でもって浮いておりますから、その空気を抜けばそのとめのところでとまりますから差しかえが簡単であるというようなことで、実験的にそういうことをやったので、空気バネが絶対にいいということではないわけでございます。先ほど、私、説明がちょっと不十分でございました。砂だとかいろいろなもので浮かしてしまう、こうすれば大地との振動を非常に伝達をさえぎるということが実験的にはっきりわかっておる。ただしかし、それがどれが最もこの製箔に向いているか、目下、研究がまだ続行中であるということでございます。補足をさせていただきます。
 以上でございます。
#37
○沓脱タケ子君 それでは最初にお伺いしたいんですが、各参考人にお伺いをする点を最初に申し上げたいと思います。
 五十嵐参考人にお伺いをしたいんですが、先ほどもちょっと出ましたけれども、振動公害というのはほとんどその一つ一つの公害で人体影響を及ぼすということではなくて、人間が生活をしていく場合に公害として感じられる場合には、振動あるいは騒音、その他のたとえば大気汚染、その他の複合的な公害として人体に被害を与えてくるというのが通常のいまの現象でございます。そこで、お伺いをいたしたいのは、振動についての基準等を設定されていく場合に、これは振動一つの問題としてお考えになり、たとえば騒音その他と複合していく場合のことが想定をされていたかどうかです。その点についてお伺いをしたいと思います。
 それから、竹内参考人にお伺いをしたいんですけれども、これは御研究の中でもしあれだったらお伺いをしたいと思うんですが、振動規制というふうなのが先ほどのお話でも世界で初めてだというふうに言われているんですが、これは日本の都市構造などとの関係も大変深い関係があろうと思うんですけれども、外国にはそういうことがやられなくて日本でやられざるを得ないというふうな実態というのがなぜ起こってきているかという点がもしあれでしたらお聞かせをいただきたいというふうに思います。それから先ほどのお話の中でも、外地での、いわゆる外での振動の規制値というものがさらに構造物内部で増幅をされていくということのお話がございましたけれども、今度の法案等によります関係では、そういう内部の構築物内部では五デシベル程度が加算をされるというふうに考えていくというような方針のようでございますけれども、五デシベル程度で適切なのかどうかという点でございますね。その点をお伺いしたいと思います。それから常に公害規制のときに問題になるのですけれども、いわゆる公共性によってその地域住民が被害を受忍しなければならないというのは基本的によくないと思うのですけれども、今度の振動規制の内容にもそういった側面があるわけですが、そういった点に関しまして御見解をお伺いをしたいというふうに思います。
 それから内野参考人にお伺いをしたいと思いますが、これは大変御苦労をなさっていろいろやっていただいておるわけでございますが、いわゆる今度の規制法ができました場合に、基準値としては、いまのお話ではほぼ今度のいわゆる答申の範囲におさまるということで、問題がないようなお話のようであったわけですけれども、規制のやり方の違いというのが若干ございますね。そういった点などは、これは法律が制定されますとそれにそろえるというふうなことになるのかどうか、そういうことが行政上支障を起こすというふうな問題はないかどうか、その点ありましたらお伺いをさしていただきたい。それから、中小企業あるいは鍛造の問題についていまもお話が出たのですが、大変困難な問題だということを私どももよく承知をいたしておりますが、これは自治体の範囲でいろいろ御苦労なさっていて、なかなか解決できないと思うんですけれども、そういった点で政府に対する要望あるいは御意見等がございましたらそれをお伺いしたい。
 それから中野参考人にお伺いをしたいと思いますが、今回新幹線が規制の対象にならずに対策指針というふうな形で終わたっということは、大変私どもも残念だと思っているわけでございますが、本格的な規制が新幹線にも必要ではなかったかと思いますが、そういう点についての御見解、これをお伺いしたいと思います。
 それから七十デシベルというのが大変緩いという御見解でございますけれども、たとえば測定点等についての疑問がおありだというふうなことをかねがね伺っておりますが、そういった点についての御見解、あるいはいわゆる畳だとか床だとかいう建物の中での増幅等について考え方の甘さというふうな点が御指摘があったと思いますけれども、そういった点についての御見解があればお伺いをしたい。
 それから直接裁判まで起こっております被害の実態から見まして、名古屋における被害地での対策についての端的な御見解、これをお伺いしたいと思います。
#38
○参考人(五十嵐壽一君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 最初は、複合的な公害を考慮に入れたかどうかという御質問だと思います。騒音振動部会はその構成員、特に専門委員会がこの原案をつくっておりますが、その構成員が全般的の専門家が入っておりませんので、複合的な検討ということでは騒音と振動については行ったとだけ申し上げられると思います。大気汚染を含めては検討いたしておりません。その点は御指摘のとおり問題はあろうかと存じます。ただ、騒音との複合ということで先ほども参考人から、竹内参考人だったと思いますが、御説明がございましたように、複合した場合に影響がそのままプラスになるのか、あるいは逆に被害が、騒音があるために振動が小さく感ずるのかというようないろいろな問題がございまして、これはまだはっきりしてないと申し上げるしかしようがないと思っております。そういう意味で、そういうことを議論はいたしましたけれども、騒音を考慮に入れて基準値を変えるというほどのところまでは結論が出なかったと申し上げざるを得ません。
 次に、外国にないということがどういうことかという御質問だと思いますが、それは日本の、先ほどの最初の口述で申し上げましたが、家屋構造が違うということがこれは非常に大きな問題なんです。つまり家屋の増幅ということが構造によって非常にまちまちでございます。そういうことで日本家屋は、はかりますと二階が一番大きな場合が多いようでございます。それもまた、床ではかるか、柱ではかるか、いろいろな問題がございまして、増幅をどういうふうにとらえるかということに一つ問題がございます。それからもう一つは、日本の場合はやはり国土が狭くて、道路なり新幹線のごく近くまで家がある現状ということがやはり一つ大きな問題であると思います。そういうことで、先ほども御意見がございましたように、そういういわゆるグリーンベルトをつくる問題とか、その辺の問題を日本の狭い国土でどういうふうに今後考えていくかという大きな問題があるかと思います。
 それから先ほどのことに関係いたしまして、家屋の内部の増幅が五デシベルで不適当ではないかという御指摘でございますが、私もその点は不十分な点があると認めざるを得ないわけでございます。ただ、今後の対策を考えていきますときに、そういう防振ということは地面では非常に無理だとは思いますが、家屋が増幅しないような家屋にしていくというような建築基準というようなものも含めて考えまして、周辺にお住まいの方の住居環境を改善するということが非常に必要なことだと思います。そういう意味で、御指摘のように五デシベルをはるかに超えるような構造を将来なくなしていくということで考えていきたいと思っております。
 次に、公共性ということをどう考えるかという御指摘でございますが、これは中公審でもいろいろ議論をいたしました。いろいろな御意見もございますが、やはり基本としては、大多数の方が必要だというものはございます。しかし、これは被害を受ける方のやはりコンセンサスということを基本にして、そこで公共が出てくるという考え方を入れるのが至当ではなかろうかと思います。勝手にこれは公共だから緩くしていいということではないと考えております。
 以上でございます。
#39
○参考人(内野光男君) 二点ございまして、第一点目の規制基準値については、条例の規制基準値につきましては入っている、そのやり方についてどういうふうに整合させるのかというような御質問でございますが、その整合等につきましては現在検討しておりまして、これから成案にしていくという段階でございます。したがって、まだ何も申し上げできるようなことはございません。
 それから第二点目の中小企業対策というふうなことでございますが、自治体の政府に対する御意見、中小企業対策の鍛造工場に対する対策について自治体から政府に要望することがあるかどうかという御意見でございますが、第一点目に、鍛造工場につきましては非常に防振対策がむずかしいということは先ほど申しましたんですが、技術開発がまず第一点でございます。都としても先ほど申しましたように努力はしておりますが、なかなか対策が見当たらないということからいたしまして、国の方に対しても積極的に取り組んでいただければと思っております。
 それからもう一点は、先ほど申しましたように、広域的な工場の立地対策ということでもって鍛造工場の問題を解決していけばよろしいんではないか、このことにつきましては先ほど申し上げましたとおりでございます。
 大体以上でございます。
#40
○参考人(竹内吉弘君) まず第一番目の、日本でなぜ振動公害が起こるかという問題でございますが、これは先ほど五十嵐参考人も申されましたように、やはり私もまず一つは、土地が狭くてそこへ非常にスピードの速いたとえば新幹線のようなものを走らせたいということによって生じた点が一つと、それからやはり家屋構造によるものがございます。これは木造家屋でございますと、地盤が軟弱な場合、地盤が悪い場合には、特にその木造家屋の固有周期から申しましてよく揺れるということに工学的にはなるわけでございまして、国土の狭いところへ木造家屋が並んでおりまして、その道路際をたとえば鉄道や自動車が走るということによって特に日本に顕著に起こっている。ただ、これはたとえば国土の狭いのは日本だけではございませんで他にもあるわけでございますから、その場合まだ、新幹線のようなスピードの速いものが通っていないので表面化していないところもあるんじゃないかというふうに私は思います。
 それから構造物内での増幅の問題でございますが、これは以前の発言にもございますように、建物と地盤との連声の効果でもって決まる面が非常に多うございまして、地盤条件の局所的な影響が大きく左右いたします。それともう一つは、建物自体の老朽度というようなものも大きく影響いたしまして、一概には論ぜられませんけれども、答申にあります五デシベル、すなわち約二倍というのは、これはほぼ従来の実測データの平均値でございます。先ほど申し上げましたように、実際問題といたしましては五ないし六デシベルを超えまして十デシベルあるいはそれ以上のような場合もございますけれども、規制の法案の形といたしましては約二倍という平均的な値をとらざるを得ないのではないか。工学的に起こり得るいろいろな場合の最も不利なもの、これを基準にするわけには私は現時点ではいかないんじゃないかというふうに考えております。
 それから振動規制による地域住民の被害といいますか、適用によりますところの地域住民の被害の問題でございますが、これも先ほど私は工学者といたしましては、現在の規制法の数字がほぼ妥当であるというふうに考えております。しかしながら、規制法案の数字ができましたゆえに、たとえば非常に特殊な条件の部分がそれによって押し切られるというようなことがあってはいけないので、これを適用します場合には、十分行政的にもその点を考慮して適用していただきたいというふうに思います。
 以上です。
#41
○参考人(中野雄介君) 本格的な規制の点でございますけど、やはり私どもは新幹線といえども規制の対象から外してはいけない、このように思います。いま全国に新幹線が建設されようとしております。そして、そこにおる多くの住民たちは、現在起きている新幹線の公害に非常に恐れをなしています。そして、その点ではどうしてもそういう規制をしながら公害のない新幹線をつくっていくということでなければいけないと、このように思います。公共性が高ければ高いほど周辺住民に有害な騒音や振動を与えていいという道理はないと思いますので、新幹線といえども規制の対象から外すべきではない。特に建設中のもの、またこれから計画されるものについては本格的な規制をすべきだ、このように思います。
 また次に、七十デシベルは甘いんではないかと、私は先ほどそのように申し上げたわけなんですけど、冒頭に申し上げましたように、二つのグラフにありますように、屋内振動は倍以上の増幅をします。特に名古屋地域においては非常に地盤軟弱地帯でありますので、これは倍では済みません。私ごとで恐縮でありますけど、私のうちは新幹線の側壁から約三十五メーター離れています。そこで、屋外振動は一・二ミリでございます。屋内にいきますと四ミリ、八十デシベルをはるかに超えるわけであります。ひどいところでは十二ミリ、九十デシベルをはるかに超えるようなそういうところがあるわけですから、私どもは七十デシベルでは甘い、屋内になると倍以上の増幅があるのだから甘いということを申し上げるわけであります。それから測定点等の問題でありますけど、これは私も専門家ではありませんので、余りむずかしいことはわかりません。ただ、名古屋地域の住民としてこれだけのひどい被害に遭っている者として、実感として七十デシベルでは甘いということだけが言えるのじゃないか、このように思います。また名古屋における対策をどのようにしたらいいのかという御質問でございますけど、私どもはやはり昭和三十九年に新幹線ができたとき、東京−大阪問は四時間でございました。まさに夢の超特急でありました。しかし、現在三時間十分になっています。それだけスピードが上がったわけであります。当時四時間で走ってもだれも遅いと言う人はおりませんでした。速い、非常に速いと言っておりました。したがって、先ほど一、二の例を挙げましたように、米原どまりの新幹線は決して三時間十分では走っていない、三時間十五分だというふうに申し上げました。名古屋地域のようなまさに人家密集地帯に新幹線を通したことに間違いがあると思いますけど、現在走っている新幹線をとめるわけにいきません。したがって、私どもはせめて市街地においては、一定のスピードダウンをしてください、そのことによって一定の公害の軽減を見、同時にいろいろな周辺対策その他の問題に手をつけてくださいということを申し上げているわけでありまして、決して新幹線を取り壊せというような乱暴な考えは持っておりませんので、どうかその点を名古屋の被害住民の苦衷をお察しいただいて、ぜひ新幹線も本格的な規制のもとに、新しくつくる新幹線はもちろんのこと、愛される新幹線に国を挙げてやっていただきたい、このように思います。終わります。
#42
○委員長(藤田進君) これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、また委員の質問にお答えをいただき、まことにありがとうございました。御苦労さんです。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#43
○委員長(藤田進君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#44
○委員長(藤田進君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#45
○委員長(藤田進君) 引き続き本案に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もないようですから質疑は終局したものと認めます。
 内田君、小巻君から委員長の手元にそれぞれ修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、両修正案を議題といたします。
 提出者から順次御説明を聴取いたします。内田君。
#46
○内田善利君 私は公明党を代表して、振動規制法案に対する修正案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 すでに御承知のとおり、振動公害は典型公害の一つとして、昭和四十二年に公害対策基本法において政府によってしかるべき措置がとられるべきことが定められていながら、今日まで九年間放置されてきたのであります。その間高度経済成長による産業活動の活発化に伴う人口の都市集中、土地の過密利用、都市における住宅と工場の一在、工場等の機械施設の大型化及び陸上交通磯の進展に伴い、工場、建設工事、自動車幹線道び新幹線を中心とする鉄道等より発生する振動害は騒音と並んで公害苦情件数の中で常にトップを独占し、地域においては訴訟問題さえ惹起するなど大きな社会問題となってきたことはすでに御承知のとおりであります。一部地方公共団体においては、すでに公害防止条例によって振動公害に対する規制が工場振動を中心に行われているところもあります。その点から言っても、政府の振動規制法案の提案はまさに遅きに失したと言わざるを得ないのであります。
 さて、政府案の幾つかの問題点を指摘いたします。すなわち現在最も問題にされている新幹線を含む鉄道振動を規制の対象から除外していること、都道府県知事や市町村は政府の定めた基準より厳しく定めることができないこと、及び規制基準を超え、かつ生活環境を損なうときに発動される特定施設等に対する改善勧告、命令等の適用時期が長過ぎることなど、その他幾つかの欠陥を持っております。特に公共事業活動に対する配慮が優先されており、振動公害防止の実効を減殺するものと言わざるを得ないのであります。わが党は、振動公害の防止の実効を上げ、振動公害被害者の救済を促進する立場から、前述した政府案の欠陥を是正するために本修正案を提出した次第であります。
 以下、修正案の概要を御説明申し上げます。
 一、都道府県知事が当該地域の自然的、社会的条件に基づいて定める規制基準は、環境庁長官が定める基準を下回ってはならないものとし、また、市町村が規制基準を定める場合においても環境庁長官が定める基準に制約されないものとすること。
 二、届け出した特定工場等に対する改善勧告及び改善命令の適用時期を指定地域となった日または特定施設となった日から二年(政令で定める施設は三年)とするものとすること。
 三、公共性のある建設作業についても規制を緩和しないこと。
 四、国は、振動の防止のための施設の設置または改善につき必要な資金のあっせん、技術的な助言その他の援助を行わなければならないものとし、特にその際、小規模事業者に対して特別の配慮をするものとすること。
 五、新幹線など鉄道振動についても規制の対象とし、その場合、
  1、環境庁長官は鉄道振動に関する規制基準を定めるものとすること。
  2、鉄道事業を営む者は一の規制基準を遵守しなければならないものとするとともに、鉄道振動を防止するため振動防止のための施設の設置、線路その他の施設の構造の改良及び運行方法の改善等に努めなければならないものとすること。
  3、運輸大臣等は、規制基準に適合しないことによりその鉄道周辺の生活環境が損なわれると認めるときは、鉄道事業を営む者に対して、鉄道振動の防止を図るため、振動防止を図るための施設の設置、線路その他の施設の構造の改良及び運行方法の改善等について必要な措置をとるべきことを勧告し、その勧告に従わないときには、従うべきことを命ずることができることとすること。
  4、都道府県知事は、測定を行なった場合、鉄道振動が規制基準に適合しないことにより周辺の生活環境が損なわれていると認めるときは、その事態を除去するため、3の措置をとるべきことを運輸大臣等に対し要請しなければならないものとすること。
 以上が私たちの修正案の提案理由及び概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださるようお願い申し上げます。
#47
○委員長(藤田進君) 小巻君。
#48
○小巻敏雄君 私は日本共産党を代表して、振動規制法案に対する私たちの修正案の提案理由とその説明を行います。
 振動による公害は、高度成長、日本列島改造など、政府の産業優先政策のもとで、工場、建設工事の大規模化、モータリゼーションの進行、鉄道輸送の高速化などに伴って広範かつ深刻化し、振動に対する苦情は環境庁の昭和四十九年の調査によっても全国で四千九十五件に上り、公害等調整委員会及び都道府県における公害紛争事件数や苦情件数を見ても、日本は国際的にも類を見ない振動公害国となっています。
 振動公害は、典型七公害の一つとして昭和四十二年に公害基本法で規定されているにもかかわらず、政府は何ら法的規制を行わず今日まで放置してきたため、二十五都道府県で、国に先駆けて条例によって振動規制を行ってきました。このたび、ようやく政府は振動規制法案を国会に提案しました。法的に規制が行われることは一歩前進ではありますが、政府案にはなお次のように不十分な点があります。
 第一に、この法律に基づいて地方自治体が工場に対する規制基準を定める場合、政府の定める基準の範囲によって制約される。しかも建設工事や道路交通振動に関する基準設定については自治体の権限を認めていない。
 第二に、新幹線などの鉄道振動については全く規制の対象外になっている。これでは現在訴訟まで行なっている新幹線沿線の住民などの苦しみを解決することはできない。
 第三に、道路交通振動の規制については、知事は道路管理者や公安委員会に対して要請できるだけで直接の規制権限はない。
 第四に、工場や建設工事による振動が規制基準に違反しても操業停止や工事を中止させる権限もない。
 これら幾つかの点を見ても政府案では住民の要求に十分こたえるものではありません。そこで日本共産党は、政府案のこれらの問題点を改め住民の立場から振動規制を一層実効あるものにするために、ここに修正案を提出する次第であります。
 次に修正案の概要を御説明いたします。
 一、市町村は政府に制約されずに独自に振動の規制基準または許容限度を定められるようにする。
 二、新幹線などの鉄道振動を新たに規制対象とし、規制基準が維持できるよう防振施設の設置、列車の運行の規制を行うようにする。また鉄道の新設に際して、関係地方自治体の長との協議を必要とするようにする。
 三、道路交通振動の規制を強化し、都道府県知事が交通を規制できるようにする。また道路の新設、改築に際して関係地方自治体の長との協議を必要とするようにする。
 四、工場振動の規制を強化し、振動発生施設を設置、変更する場合は、市町村長の許可制とし、すべての工場、事業所について規制基準に適合しない場合には操業停止をもできるようにする。また市町村長が、発電所、ガス事業に対して政府に制約されることなく厳しく規制できるようにする。
 五、建設工事振動についても規制を強化し、工事は市町村長の許可制として、規制基準に適合しない場合には、工事の中止をもできるようにする。また公共の建設工事についても規制を緩和しない。
 六、中小企業に対する資金援助、技術援助を強化する。
 以上であります。何とぞ慎重審議の上、速やかに可決されるようお願いいたします。
#49
○委員長(藤田進君) それでは、ただいまの両修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#50
○内田善利君 私は公明党を代表して、政府案反対、共産党修正案反対、公明党修正案賛成の討論をいたします。
 政府案は、
 一、現在最も問題となっている新幹線を含む鉄道振動を規制の対象から除外していること。
 二、地方自治体が政府の定めた規制基準を上回る規制ができないようにしていること。
 三、規制基準を超え、生活環境を損なうときに発動する特定施設等に対する改善勧告、命令等の適用時期が長過ぎること。
 四、公共事業に対する配慮が優先され、振動公害防止の実効を減殺している。
 右の理由により、わが党は振動規制が九年間も放置されてきた事実にかんがみ、振動公害被害者の救済を促進する立場に立って、政府案及び共産党修正案に反対するものであります。
 以上、討論を終わります。
#51
○森下泰君 私は自由民主党を代表して、公明党、日本共産党からそれぞれ提案された二つの修正案に反対し、政府提出原案に賛成いたします。
 両修正案は、新幹線の規制が外されているということ並びに道路交通に対する規制が不十分であるとの理由をもって提出されているものと考えますが、新幹線については、振動の立場からのみではなく、その社会的使命にかんがみて、さらに総合的見地からの検討が必要であるため、その検討を待って手をつけるべきであり、また道路交通規制については、この法案によって要請措置権限が他の類以の法律に比べてより深く規定されているものであります。公害基本法の中で、ただ一つ残されていた振動について、世界的にも画期的なこの規制法が制定されますことは、公害対策の一つのまとめとなるものであり、早急に、現在において可能なところから手をつけるべきものと考えます。さらにまた、自治体の権限が弱いことより規制に統一基準を与えることが、この際、まず必要ではないかと、かように考えるものであります。
 以上の理由により、両修正案に反対し、政府提出の原案に賛成をいたします。
 ただいま申し上げました中で、政府提出原案と申し上げましたのは、衆議院送付案でございます。訂正をいたします。
 終わります。
#52
○矢田部理君 私は日本社会党を代表して、原案に賛成、両修正案に反対の立場から討論をいたします。
 先ほど、内田君、小巻君から提案をされた修正案についても、なるほど評価すべき問題点の指摘をされておりますが、私どもはもともと政府から提出された原案に対し衆議院段階で一定の修正を施しました。それが本院には原案として回ってまいりました。まだ問題点は相当程度残っておりますが、現状を一歩前進させたものとして一定の評価ができますので、まず原案を成立させることに力点を置いて賛成をしたわけであります。
 しかしもとより、この原案にも多くの不十分さや問題点が残っております。
 その第一は、この案で予定をされております数値の設定が現状肯定的な側面が多いことと、また側定方法等にも問題が残っていることであります。
 二番目の問題点は、新幹線やブルドーザー等について規制対象より外しているという点であります。
 第三番目の問題点は、規制について条例による上乗せを排除する方向で立案がなされ、自治体の実情に基づく規制を低い水準に抑えることになる可能性があるからであります。
 第四番目の問題点は、小規模事業者に対し、法文では、「その者の事業活動の遂行に著しい支障を生ずることのないよう」特に配慮すべきものとしておりますが、配慮は資金や技術等の面ですべきであって、規制そのものは実効を上げるようにすべきものだと考えているからであります。
 五番目の問題点といたしましては、措置が三段階に分かれております。すなわち改善勧告、改善命令、そして罰則、この三段階方式がきわめて迂遠であり、加えて知事等による裁量の余地が相当残されており、実効性に疑問が残るからであります。
 これらの点で多くの問題点をまだまだ持っているわけでありますが、振動規制に対する一つの出発点としてこの法案を理解をし、私どもは賛成をいたしますけれども、今後政府としても、あるいは環境庁としても、まさに出発点でありますので、さらに前進の方向で環境と健康を守る立場からより一層の規制対策を講ぜられることを心から期待をいたしまして討論を終わります。
#53
○沓脱タケ子君 私は日本共産党を代表して、ただいま議題となっております振動規制法衆議院送付案と、それに対するわが党の修正案並びに公明党修正案について賛成の討論を行います。
 政府は、いまから九年前の昭和四十二年に公害対策基本法で、振動公害を典型七公害の一つと規定しながら、法的規制は何ら行わず放置してきたのであります。このたびようやく振動規制法案を国会に上程し法的規制へ踏み出したことは、余りにも遅過ぎたとはいえ一歩前進であります。政府案でも不十分ながら、工場、事業場の振動建設作業に伴う振動、道路交通振動の三つについて一定の法的規制ができるようになったことは、これまでと比べまして一歩前進であると評価されます。
 しかしながら、他方、政府案は、先ほどもわが党修正案の提案理由説明の中で述べましたように、幾つかの不十分な点を残していることは明らかであります。政府案の問題点につきましては、十九日の本委員会での審議、それから本日の参考人からの意見聴取などを通じまして明らかにされてきたところであります。これらの点をも参考にし、わが党は先ほど修正案を提案いたしましたが、これは政府案の前進面を評価しつつ、さらにこの不十分な点を改めることによって被害住民の要求に十分こたえられるようにするためであります。わが党修正案は政府案より厳しい規制措置がとられるようになっていますが、先ほどの修正案の提案理由説明の中でも述べましたように、わが党修正案は、政府に制約されずに市町村が独自に振動の規制基準を定められること、新幹線などの鉄道振動を新たに規制対象とし、基準が維持できるよう防振施設の設置、列車の運行の規制を行うこと、道路交通振動の規制を強め都道府県知事が交通を規制できること、鉄道、道路の新設、改修に際しては関係地方自治対の長との協議を必要とすること、工場、建設工事については、市町村長の許可制を取り入れ、規制基準に適合しない場合には工場の繰業停止、工事の中止をも命ずることができることなどの積極的な規制方針を打ち出したものであります。これは衆議院送付案に比べまして大きな前進であると思います。
 公明党修正案に対しましても賛成をいたします。
 最後に、政府におかれましては、本法案成立後、今回の緊急提案で残されている問題点について早急に検討し改正を行なうよう強く要求いたしまして、私の討論を終わります。
#54
○委員長(藤田進君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより振動規制法案について採決に入ります。
 まず、小巻君提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#55
○委員長(藤田進君) 新数と認めます。よって、小巻君提出の修正案は否決されました。
 次に、内田君提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#56
○委員長(藤田進君) 少数と認めます。よって、内田君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#57
○委員長(藤田進君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どうり可決すべきものと決定いたしました。
 原君。
#58
○原文兵衛君 ただいま可決されました振動規制法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の五党共同提案に係る附帯決議案を便宜私から提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   振動規制法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたつて、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。
 一、本法施行の際すでに施行されている条例については、その地域の実情を尊重し、適切な運営指導を行うこと。
 二、建設作業について、低振動工法の研究開発を推進することによつて環境保全上遺憾なきを期することとし、差しあたつては、特定建設作業を定めるにあたつて作業の実態を把握し環境保全上遺憾のないよう配慮すること。
 三、道路交通公害の著しい幹線道路について総合的な対策を確立し、その実行を図ること。なお、道路交通振動に係る要請規定を十分に活用して、周辺住民の生活環境の保全上遺憾のないよう配慮すること。
 四、新幹線による振動について防振技術に関する研究開発を積極的に推進し、関係法令等において振動防止のための規制を講ずるよう努力すること。
 五、鉄道軌道による振動の実態について更に調査研究を推進し、所要の対策がとられるよう検討すること。
 六、低周波空気振動について、その実態を早急に調査し、対策を検討すること。
 七、小規模の事業者はその資力、経営内容が脆弱であることにかんがみ、資金のあつせん、技術的な援助等により規制の実効を期すること。
 八、電気工作物及びガス工作物の振動については、電気事業法及びガス事業法に基づく監督を厳しく実施するとともに、地方公共団体との連絡を密にし、その振動規制に遺憾なきを期すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#59
○委員長(藤田進君) ただいま原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#60
○委員長(藤田進君) 全会一致と認めます。よって、原君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し小沢環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小沢長官。
#61
○国務大臣(小沢辰男君) 政府といたしましては、ただいまの附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、鋭意努力をいたしたいと思います。
#62
○委員長(藤田進君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#64
○委員長(藤田進君) 速記を起こしてください。
 これより請願の審査を行います。
 請願第五五号瀬戸内海を汚染し、生活環境を破壊する海田湾埋立計画の中止に関する請願外十三件を一括して議題といたします。
 これらの請願は、理事会において協議の結果、請願第二九九九号水質汚濁防止法に基づく水産加工排水に関する請願は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、請願第五五号瀬戸内海を汚染し、生活環境を破壊する海田湾埋立計画の中止に関する請願外十二件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 右、理事会の申し合わせどおり決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#67
○委員長(藤田進君) 継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。
 環境に対する影響の事前評価による開発事業等の規制に関する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#70
○委員長(藤田進君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 公害及び環境保全対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#73
○委員長(藤田進君) 閉会中における委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中、公害及び環境保全対策樹立に関する調査のため委員派遣を行う必要がある場合、これを行うこととし、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#74
○委員長(藤田進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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