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1975/05/18 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 建設委員会 第7号
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1975/05/18 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 建設委員会 第7号

#1
第077回国会 建設委員会 第7号
昭和五十一年五月十八日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     鈴木  力君     沢田 政治君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     大谷藤之助君     上條 勝久君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 波男君
    理 事
                坂野 重信君
                増田  盛君
                松本 英一君
    委 員
                遠藤  要君
                中村 禎二君
                望月 邦夫君
                山内 一郎君
                小谷  守君
                二宮 文造君
                矢原 秀男君
                上田耕一郎君
                春日 正一君
       発  議  者  二宮 文造君
   衆議院議員
       修正案提出著   國場 幸昌君
   国務大臣
       建 設 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       国土庁長官官房
       長        粟屋 敏信君
       建設大臣官房長  高橋 弘篤君
       建設省都市局長  吉田 泰夫君
       建設省河川局長  増岡 康治君
       建設省住宅局長  山岡 一男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        森  一衞君
   説明員
       環境庁水質保全
       局水質管理課長  林   亨君
       環境庁水質保全
       局水質規制課長  島田 隆志君
       法務大臣官房訟
       務部第二課長   田代  暉君
       建設省都市局下
       水道部長     井前 勝人君
       自治省財政局交
       付税課長     豊住 章三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○住宅金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○公営住宅法の一部を改正する法律案(二宮文造
 君外一名発議)
○建設事業並びに建設諸計画に関する調査
 (多摩川の堤防決壊問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村波男君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、鈴木力君が委員を辞任され、その補欠として沢田政治君が選任されました。
#3
○委員長(中村波男君) 下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○松本英一君 昭和三十年代の後半から高度経済成長を続けてきた日本経済は、四十八年の木材、続いて四十九年の石油危機を境に、いまや安定成長への移行を余儀なくされております。かかる経済社会の変貌する中で、公害のない豊かな生活環境の実現は国民の切実な要望となっており、その声は従来よりも高くなっておることは御承知のとおりであります。すなわち、産業行政にかわる環境行政の拡充が要請されております。そのための中心施策として位置づけられているものが下水道整備であると言っても過言ではありません。七兆五千億円の規模に上る第四次下水道整備五カ年計画はこうした背景の中で策定されようとしております。今回の法改正の目的も新計画の策定と生活環境整備を指向するものにほかなりません。以下に下水道整備に係る主要な問題点について政府の見解をただしてまいりたいと思います。
 第三次下水道整備五カ年計画の実施についてお尋ねをいたします。
 第三次五カ年計画は事業規模二兆六千億円をもって昭和四十六年度から実施されてまいりましたが、計画完了時の五十年度末における進捗状況を見ますと、予備費を除いた総事業費に対する達成率は一〇九%となっておりますが、事業量に対する達成率は、公共下水道の管渠延長で四八%、終末処理場能力で四七%、流域下水道の管渠延長で五三%、終末処理場能力で三三%にとどまっているのが実態であります。このため各地方公共団体の下水道整備は大幅におくれ、住民の不満は高まっております。そこで、このように事業実施面で停滞をしてきた要因について、建設省においてはどのように分析されておられるのかお伺いをいたします。
#5
○政府委員(吉田泰夫君) 最大の原因は、この五カ年間 特に後半期における著しい物価の上昇、これが建設単価の大きな上昇となって事業費を食う結果となりました。そのほかにも、下水道特有の要素として、たとえば管渠工事におきまして、工法上道路を上から開削して行う安価な開削工法がとれずにシールド工法を余儀なくされた場所とか、あるいは処理場につきましては、市街地の外のようなところでも、どうしてもイメージをアップして賛成を得るために、においの出ないようにふたをするというような工事、あるいは植栽等の緑化工事、さらには各都道府県が全国一律基準に対し相当規制基準を強化するいわゆる上乗せ基準を続々とつくりまして、そうなりますと、一人当たりの処理能力も高めなければ処理場として上乗せ環境基準を守れないというようなことから、処理場の能力強化という要請も出てまいりました。このようないろいろな要素が複合して、おっしゃるような事業費では一〇〇%、事業量では約半分という結果を来したものと思います。
#6
○松本英一君 第三次五カ年計画の効果はどのようにあらわれているのか。すなわち、昭和四十六年の時点と現時点の下水道普及率を対比して説明を願いたいと思います。予備費八百六十五億円が活用されていない理由は何であったのか。もし、いま御答弁がありました資材費、労務費、あるいは工法上の問題が事業量の達成を拒んだ要因であるとするならば、予備費の事業費への投入により事業量を達成さるべきであったと思うが、どうでありましょうか。昭和四十七年の沖繩本土復帰後、沖繩県下の下水道整備は予備費から支出されていたのではなかったのかお尋ねをいたします。
#7
○国務大臣(竹下登君) 松本委員にお答えをいたします。
 第三次五カ年計画策定当時は、昭和四十五年度末の処理人口を千六百十六万人、その普及率一五・六%相当として、それを五十年度末までに四千百四十万人、普及率三七・二%相当まで引き上げることを目標としておったのでありますが、さきに局長から申し述べました理由によりまして、事業量の面での達成が低くなりまして、五十年度末見込みで総人口二千五百五十四万人、普及率二二・八%にとどまりましたことはまことに残念であります。五カ年計画策定当時予想したがい石油危機に端を発する著しい経済情勢の変動によるものでありまして、残念ながらやむを得なかったと言わざるを得ないのであります。
 これに関連して、まさに予備費とは予見しがたいものに支出する経費であるだけに、そういうものに対しては予備費が活用されてしかるべきではないか、こういう御意見であります。これは確かに従来の各種五カ年計画の中で予備費を投入いたしましたのは、沖繩本土復帰に伴う各種公共事業の際だけでございます。これは先生御指摘のとおりであります。しかしながら、最終的には実績の総事業費は二兆六千二百四十一億円となっておりまして、結果的には予備費を加えたものの枠を超しておるわけであります。
 これは私どもも先生からの御質問を予測いたしまして、いろいろ過去の経過を振り返ったり検討をしてみたわけでありますが、予算のいわゆる高度経済成長期におきましては、ある年次にまいりますと新しく五カ年計画を改定いたしまして、そして結果として最初の五カ年計画がそのまま行われたとするその達成率を、結論からいうと上回って進んでいくというのが、高度経済成長下における五カ年計画が中途で改定されていった結果としてそうなっておるわけであります。したがって、その際はこの予備費というものを考慮するいわばいとまなしに新しい改定が行われてきた。で、今回も経過を、いろいろ体制としては、私がかわっただけであとは局長以下ずっとその体制の中におっておりますので、結局この社会的ニーズが非常に強いので、この問題についてはひとつ五カ年の完了を待たないで改定をしよう、こういう大蔵省との言ってみれば予算の単年度主義の中へそういう方針で折衝に当たったわけであります。
 そういたしましたところ、結局最後の予算の勝負のときに、やはりこういう状態下において、すべての経済見直しをしなければないならような状態の中において、ここで新規に改定するということはどうしても応じがたい。だが、それなりのニーズというものを理解して、ひとつそれでは予算そのもので対応していきましょうということが、結果として予算の単年度主義の中で予備費を食ったという表現は当たりませんが、予備費を上回る予算がついたと。こういうことに相なりますので、私はこの沖繩分は別といたしまして、今後むしろ先生の御指摘の中にわれわれが反省し、今後検討しなければならない問題は、各種事業計画というものが、物価上昇率というものを見込んだ形の中で今日まで立っていないということでございますので、予備費というものが結果として先生御指摘のようなところへ将来は使われ得るものではなかろうか。いままではこう振り返ってみますと、途中で変更になったということと、途中で変更する意思表示をしたことに対する予算の単年度主義の合意の中で問題が処理されておった、このように理解をいたしておる次第であります。
#8
○松本英一君 一九五〇年の国土総合開発法成立以後、多目的ダムがつくられるようになりました。治水、利水いずれの面でも、ある程度の水が供給されるようになりました。さらには削井あるいは揚水技術の発達で地下水の利用も容易になりました。おかけで水はじゃ口をひねると幾らでも出てくる。水の代名詞として「ひねるとジャー」という冗談めいた言葉も出る時代になりました。しかし、一九七二年にフランスのルモンド紙極東総局長のロベール・ギラン氏がいみじくも言った言葉があります。「日本人は美醜の観念を失ってしまったのか。数年で日本全体が恐るべき工場化するだろう。」という言葉をわれわれは忘れてはならないと思います。便利さが増すと同時に、農村でも人と水との関係は次第に希薄になり、都市には自然界の水と完全に分離された水の消費者のみがふえ続けております。現在の都市や工場は、常時莫大な量の水を要求するのでありますが、都市内部に落下した水は一刻も早く流出するように設計をされております。そうして要求した同量の水を絶えず汚水として吐き出しておる結果になっております。東京の地下には利根川の平均流量の数倍もの水が常に流され、汚され続けておるのが現状であります。高度成長期の日本は水をつくり出すことだけを考え、その行方には無関心であったと申せましょう。
 また、水をつくり出す過程で進行していた地盤沈下などの環境破壊にもむとんちゃくであったと言えます。環境問題が問われ出した一九七〇年代に入ってからの問題について、最近公害防止計画区域の拡大、水質環境基準設定水域の増加、琵琶湖総合開発特別措置法等の制定等により、公共用水域の水質保全を期する上で、下水道整備の緊急かつ計画的な実施が待たれておるところであります。下水道整備に対する国民の要請が生活環境のシビルミニマムとして高まりつつあることも事実であります。こうした背景の中で策定されようとしている第四次五カ年計画は、第三次計画の二・八八倍の規模の七兆五千億円と閣議で了解をされておりますが、ひとつ第四次五カ年計画は同じ本年度から発足しようとする新経済計画案、さらには三全総計画の中で、他の公共投資との関係においてどのように位置づけられているのか、全公共投資に占める比率、部門別投資規模について説明を願いたいと思います。
#9
○国務大臣(竹下登君) 詳細な数字につきましては、場合によっては都市局長から補足をさしていただきます。
 先生御指摘のとおり、高度経済成長から減速経済へと、そうして先般の閣議で決定をいたしました五十年度前期五カ年計画のかつて御説明しておりました概案が概案でなく決定を見たわけであります。私もこれを見まして、その百兆円という投資規模の中で、いわゆるいまお話しになりました下水道に対する投資比率、あるいはそれに対するニーズに対する対応の仕方等、これは私なりにちょっと分析してみたわけであります。で、投資額でベストテンという言葉はおかしいんでありますが、投資額で申しますと、道路が十九兆五千億円、電気通信が七兆三千億、下水道が七兆一千億、国鉄、鉄建が六兆六千億、学校が六兆五千五百億、住宅が六兆五千億、治水が五兆五千億、農業基盤等が五兆三千億、上水道、簡易水道が三兆七千五百億、港湾が二兆九千億、言うならば、投資額ベストテンというと表現おかしいんでありますが、下水道がベストスリーにいわゆる投資額で入ってきたというのは、私はそれなりに社会的ニーズにこたえ得たことではないであろうか。従来ベストスリーと言えば、大体道路とそして電気通信と、そしていわゆる国鉄というものの中へ割り込んできたということは、それだけのニーズの高まりに対する対応の仕方がそれなりに表明されておるではなかろうかとひとつ考えます。
 それからいま一つは、これを構成比の伸び率のベストテンというものをとってみたわけであります。これは上水道、簡易水道が二・六%アップであります。その次が学校でありまして一・七%アップ、その次が下水道でありまして〇・八%アップ、そうして四番目が農業、五番目が廃棄物、六番目が厚生福祉と治水、八番目が治山、そして九番目が都市公園等となるわけであります。で、構成比が低下してきたものは何かと申しますと、道路が二一・一%から一九・五%でございますので、これが一・六%と一番大きな落ちであります。港湾が三・五%が二・九%、国鉄の七・二%が六・六%、そういう構成比が低下し、逆にまた構成比が上がっておって、一応下水道はその構成比率の中でもベストスリーに位置づけられてきたということを見ますと、それなりの国民のニーズに対する対応した前期計画と一応評価していただけるのではなかろうか、このように考える次第であります。
#10
○松本英一君 第四次下水道整備五カ年計画の課題として建設省が策定をした新国土建設長期構想の試案によれば、下水道の究極的な整備目標として、市街地のみならず農漁村にも下水道を整備し、都市における対人口普及率を一〇〇%として、全国の総人口に対する普及率をおよそ九〇%にするとされております。第四次五カ年計画の整備目標はどのように見込まれており、計画完了時点の普及率効果はどうなっておるのでしょうか。また、長期構想の言う究極的な整備目標に向けて、第四次五カ年計画はどのような役割りを果たすことになっておるのか。
 次に、第四次五カ年計画の新機軸は何であるのか、また第四次計画の閣議了解内容としての七兆五千億円と、概算要求時の建設省案十一兆円との対比について説明を願いたいと思います。
 さらに、第四次五カ年計画の投資規模七兆五千億円は昭和五十年度を基礎にして算定されておりますが、今後の資材費、労務費等の高騰分はどのように見込んでおられるのか。これは第三次計画の事業量ダウンの轍を繰り返すことなく、計画事業量の完全達成を果たすことは国民に対する義務であるからであります。
 次にまた、第四次計画の初年度である五十一年度の下水道事業費は七千九十四億円と計上されておりますが、五カ年計画を達成するには今後毎年度平均三五%の大幅な伸びが必要とされております。したがって、国費、地方費とも今後大幅な負担増となるが、財政措置に対する建設省の見解、見通しについて御説明を願いたいと思います。
#11
○政府委員(吉田泰夫君) まず、第四次五カ年計画の整備目標でございますが、これは処理人口現在二千五百五十万人、これを二千百六十万人程度ふやしまして四千七百二十万人程度まで引き上げる。これは五十五年度末の総人口推定に対し四〇%の普及率になるという目標でございます。で、建設省内でかねて定めておりました新国土建設長期構想は、国の経済見込みが全体として大きく変貌しておりますので、現在省内において見直し中でありますが、その見直し前の長期構想では、下水道の究極目標として、市街地人口に対しては一〇〇%、その他の非市街地人口に対しては五〇%、複合して総人口に対して九〇%という目標を掲げました。これは欧米先進諸国の最高水準を達成しようというものであります。この目標自体は私どもあくまで堅持するつもりでありますが、ただその達成期限は、今後の公共投資のダウン傾向を考えればある程度将来に延びざるを得ない。しかし、いずれにしてもできるだけ早い時期にその段階まで到達したいと思います。そういう意味で、今回の第四次五カ年計画は現在の二二、三%という普及率から倍に近い四〇%まで持っていこうというものでございますので、その究極目標についての大きなステップになると、評価できるものと思っております。
 次に、第四次五カ年計画の重点事項は何かということでございますが、いろいろ細かいことはありますが、何といっても枠を大きく三倍近くに引き上げたこと、なかんずく補助対象率を引き上げまして地方負担の軽減を図ったこと、それから新規項目としては、公共下水道の三次処理などにも実用規模のものとして着手するというようなこと、あるいはこれも過年度から事業としては始めておりましたが、新しく五カ年計画に農山漁村、湖沼周辺で行われる特定環境保全公共下水道と称するものを加えたというようなことでございます。
 確かに要求に当たっては、もう少し規模雄大に十一兆円という要求をいたしました。その数字でいきますと、総人口普及率は一挙に四八%までいくわけでございますが、やはり経済全体の鈍化の傾向、他の事業とのバランス、実際にそれほど伸ばして執行できるかというようないろんな問題点がありまして、予備費込みの七兆五千億にダウンしましたが、これは要求と実現との実際の差が通常ありますし、特にこういう高度経済成長から切りかわったという大きな要因が加わったものと考えております。そういうことで、究極目標への達成度合いはある程度おくれざるを得ないわけですけれども、現行の予備費込み二兆六千億というのに比べれば大きな前進が図られたものと考えております。
 次に、第四次計画におきましても、実際は多少の物価の増はあるはずでございまして、今回閣議で決められました昭和五十年代前期経済計画でもある程度の物価の上昇を踏まえながら安定した経済成長を目指しているわけであります。この種の法律に基づく予算上の五カ年計画は、その初年度の前年度の単価をもとに、将来の浮動要因である物価の変動は見ない計算になっておりますので、実際に多少なりとも物価が上がれば、事業量としては事業費よりも少しずつ格差が出てくるということは否めないわけですけれども、前回のような異常な物価の高騰ということは私どもまずないと思っておりますし、また、あらしてはならない。それから、そのほかの要因、上乗せ排水基準による一人当たりの処理単価の上昇とか、あるいはシールド工法の採用の必要個所の選び方とか、処理場に木を植えたり、緑化したり、あるいは、ふたをするというような要因はすべて織り込みまして、五十年度単価で実質を確保しておりますので、今後の物価上昇が多少ありましてもさほど大きな要因はないと思います。これが達成率に実質上かなり大きく響きそうなことになれば、いまの段階で申し上げるのも妙なものでありますけれども、年度中途の改定を要求するなり、あるいは従来の例には余りありませんでしたが、予備費の活用等も考えるとかいうようなことも可能かと思いますから、とにかくこのせっかくの第四次の規模を極力満額実現するよう努力したいと思います。
 なお、この実質七兆一千億の事業量でございましても、御指摘のように事業費の本年度を初項とした平均伸び率は三五%にも達するわけでありまして、従来なら下水道はこのぐらいの伸びは優にやってきたわけですけれども、それは高度成長時代であったこと及び予算の絶対額が小さかったことから可能であったわけでありまして、今後においては非常な努力が要ると思います。それにしましても、国の補助率は四十九年度から大幅に上げておりますし、残る地方費及び地方単独事業費についても起債の充当率を非常に高めて、かつ償還年限も延ばす等の措置をし、また地方債の元利償還についての交付税算入の措置もとられておりますので、国費、地方費ともに何とか努力次第で対応できるのではないか。ちなみに昭和五十年度からは新しく特別の地方債制度、それに伴う国費の分割交付制度も導入されましたので、これはいわゆる財投を――地方債という形をかりた、間接ではありますが、導入したことになっておりまして、実質上財投をも財源に加えたということでありますので、これによって新しい五カ年計画の強力な財源措置として今後努力したいと思います。
#12
○松本英一君 下水道事業の補助率、補助対象範囲等についてお尋ねをいたしますが、時間の関係もありますので、数項目にわたって一括して質問をいたしたいと思います。
 第四次五カ年計画により事業費は増大するが、地方公共団体の財政は危機状態にあります。また、国家財政も逼迫している中で、いかにして財源確保を図るかが最大の課題と言えましょう。しかし、下水道整備の意義を考えますときに、国の立場における責任を明確にするためにも国費の増大を図り、地方費、国民の負担を極力軽減させる措置を講ずべきだと考えております。
 そこで、国庫補助率は昭和四十九年に引き上げられたが、第四次計画ではその補助率を引き継ぐことになっております。しかし、下水道整備は、水質環境基準の達成等国家的視野からの要請に基づくもの、あるいは限られた期間に大量資金の集中的投資が必要であること、あるいは国民生活のシビルミニマム施設であること等の理由により、道路、河川等の基幹的公共施設と同程度の国費投入、すなわち補助率の引き上げが必要と考えるものであります。特に公共下水道の三次処理は補助率三分の二、特定環境保全公共下水道は管渠十全の六、処理場三分の二等は、通常の補助率よりも高率に改定すべきだと考えられますが、建設省の見解をお尋ねいたします。
 次に、補助対象範囲については、第四次五カ年計画の発足に当たり、終末処理場の環境対策費を新たに加えたこと、また公共下水道は六〇%、従来は五七%、流域下水道は従来九〇%が九三%、特定環境保全公共下水道、従来七四%が七五%とわずかに拡大、若干改善されております。しかし、公共下水道の内訳を見ますと、一般都市は従来七四%が七五%であるのに対して、政令都市は、従来七大都市四一・六%が四五%と依然として大きく差があること、また補助対象を、管渠を具体的に見ても、一定規模以上の幹線に限られており、その対象が総事業費の六〇%程度にすぎません。地方単独事業の部分が大きいのが実情であります。地方からの要請が特に強い補助対象範囲の拡大措置について特段の配慮を払うべきだと考えておりますが、関係各省の御見解を求めたいと思います。
 次に、下水道事業費から国費及び受益者負担金を差し引いた部分については地方債で負担することになっておりますが、下水道起債枠の拡大、充当率の引き上げ、利子の引き下げ、償還期限の延長等は各地方自治体の共通した要望であります。また、維持管理費、地方債元利償還費に対する地方交付税による措置についても要望が強いのは御承知のとおりであります。この点について自治省の明快な御見解をお示し願いたいと思います。
 次に、昭和五十年度から出発をしました特別の地方債の償還が本年度から始まり、四分の一償還に国費が充てられております。特別の地方債の制度が今後とも継続されていけば、年々償還が累積され、国費がそれに回され、事業費の実質の伸びは少なくなることが予想されます。今後この制度にかわるべき方策を見出す必要があると考えますが、関係各省の御見解を求めます。
 次に、受益者負担金の制度は下水道事業にのみ普及しているのが実情であります。公共下水道認可都市数四百四十二のうち負担金徴収都市数は二百十一、公共下水道事業費に占める徴収実績の割合は一・八四%とのことであります。昭和四十年の都市局長、財政局長通達では、負担金制度採用都市に対して、下水道事業に当たっての地方債の優遇、補助事業決定の優遇を明らかにしておりますが、このことが大きな影響力となって運用されていると思われます。下水道整備は水質環境基準達成という国家的、国民的要望であり、また国民生活のシビルミニマム施設であることは冒頭に申し上げました。受益者負担金制度は再検討さるべき時期にあると考えますが、以上について御答弁を求めます。
#13
○政府委員(吉田泰夫君) 御質問のうち、建設省関係の分について順次お答えいたします。
 まず、補助率の問題でございますが、四十九年度から大幅に引き上げられました結果、私どもは現在の下水道の補助率は、道路、河川等の補助率と何ら遜色はない。部分的には道路、河川等より劣るものもありますが、逆にまさるものもあるというようなことで、総体的に見ればこの補助率は基幹的な公共施設としてふさわしい補助率に達しているものと考えます。なお、公共下水道の三次処理、特定環境保全公共下水道等につきましては、いろいろな理由から特に普通の補助率よりもアップすべきではないかという御指摘でございます。その点私どももいろいろと考えてきたところでございますが、少なくとも当面におきましては、三次処理といいましてもまだ二次処理の普及に最大限の努力を払うべき時期であって、ごく限られた場所でどうしても必要に迫られたところを若干三次処理にかかるという計画でありますから、そういう意味でこの際三次処理だからといって補助率を上げるということは必要はないんではないか。
 また、特定環境保全公共下水道は、多くの場合弱小な市町村において行われることが弱いわけでありまして、そういう意味では手厚くすることの理由も立たないでもないと思いますが、これも当面はやはり一番人口の多い都市部に圧倒的に事業が集中するわけでございまして、特定環境保全公共下水道については徐々に計画を進めていく。また、一カ所当たりもさほどの規模を要しませんので、金額も絶対額としてはそう多くないわけであります。それで完了するわけでございますので、その点を考えればこれもまだ補助率に特に差を設けるほどのことはない、こう考えました。
 次に、補助対象範囲の拡大の問題でございますが、おっしゃるとおりに今五カ年計画においてある程度の是正をいたしました。特に終末処理場の環境対策費を補助対象に加えた等の措置をしております。まだ指定都市の補助対象率の格差が余り縮まらないわけでありますが、これも指定都市の一般都市に対する普及率の差、財政力の差、種々の要因が絡まって現在まで来ておりますものですから、若干格差を縮めたにとどまった点はやむを得なかったんではないか、なお今後の機会にまた考えていくということになると思います。
 それから特別の地方債制度は、先ほども申し上げましたように財投を直接投入することが困難なことから、地方債の形をかりて間接に投入したわけでありまして、そういう意味では有力な財源措置になっておりますが、いかかんせん償還期限が五年、当該年度を含めて五年ということでありますために、すぐに償還期が来てしまう。それが将来の国費の増につながって圧迫するのではないかということでございます。確かに今後もこの特別の地方債が便利だからというようなことで大きな枠を取り過ぎたり、乱用にわたりますとおっしゃるとおりの結果を招きます。したがいまして、そのようなことのないように絶えず国費とのバランスを考えて、見合った形で今後とも当分はこの特別地方債制度を続けるということで対処したいと思います。この制度にかわるべき方策といいましてもなかなかむずかしい問題が山積しておりまして、要は実際にこの五カ年計画が達成されなきゃならぬということでございますから、その達成ぐあいを見ながら考えていきたいということでございます。
 次に、受益者負担金の問題は、だんだん実質の総事業費に対する受益者負担金のウエートは低まっておりまして そういう意味では漸次その負担は軽減されていると申せますが、しかし、非常に特定の者が明らかに利益を受けること、特に公共下水道の整備水準がまだ一部に偏っておって、そのような早くから整備された地域の住民と、いつまで待ってもなかなか事業にかかってくれそうもないというところの住民との差などを考えれば、いま取っている程度の最小限度の受益者負担金というものは事業促進のためにもなるし、また負担の公平という意味からも是認されるんではないかと思います。私どもも受益者負担金を今後さらに強化していく、割合を高めていくということは考えておりません。おりませんが、負担金そのものはなお残したいと思います。ちなみに通達によって受益者負担金採用都市についてのことに触れておりますのは、それだけ熱意も高いし、住民に対しても負担金を取ってまでやる、整備するという公約をしたことになりますから、それにこたえる意味で言っていることでありまして、実際の予算配分その他を見ましても、受益者負担金を全く取っていない都市についても所要の補助金は配分しているわけですから、通達をこの際文言を変えるという必要も必ずしもないのではないかと思います。
#14
○説明員(豊住章三君) 起債並びに交付税につきまして、まず質問の第一点の起債枠の拡大でございますが、この点につきましては年々その拡大を図っているつもりでございます。ちなみに五十一年度は特別分を含めまして三千九百九十七億円、これは前年に比べまして約一六%の伸びでございますが、特別分を除きますと三千三百十九億円でございまして、これは二一%の伸びになっております。なお、今後第四次下水道整備計画の進捗に合わせまして起債枠の拡大は今後とも進めてまいる所存でございますし、なお必要がある場合には枠外の単独債等も考えることができるわけでございます。
 それから第二点の充当率の引き上げの問題でございますが、現在ではおおむね受益者負担が一〇%以下になるような形で充当率を定めております。したがいまして、補助事業につきましては七五%、それから単独事業につきましては九〇%を措置しております。なお、この点につきましては、先ほど建設省の局長から言われました受益者負担との関係もあるわけでございますが、そういった関係で今後ともなお一層検討してまいりたいというように考えております。
 次に、利子の引き下げでございますが、この点につきましては、政府資金につきましては昨年の十二月から従前八%であったものを七・五%、それから公庫資金につきましては従前八・二%であったものが七・七%というふうに下げております。なお、今年度の地方債計画全体では政府資金の額がかなり全体として減少しております。したがいまして、公庫資金等をできるだけ増額するということで計画を立てております。なお、この元利償還につきましては、従来政府資金、それから地方公募資金と公庫資金、その三点につきまして五〇%の元利償還を見ておったわけででございますが、今年度からは縁故債も含めまして五〇%の元利償還を見ていきたいと、これは交付税上の措置でございますが考えております。
 次に、償還期限の延長でございますが、償還期間につきましては、現在政府資金が三十年、公庫資金が二十八年でございまして、これは現在の起債の中の償還期限としては一番最長でございます。ただし、自治省としましては、なおこの点をもう少し延ばしていくように大蔵に対しましては折衝をする予定でございますが、現行制度の起債の中では、下水道につきましてはもう最長の償還期限を定めておるということを御理解いただきたいと思います。
 それから次に、交付税上の措置でございますが、先ほど申し上げましたように元利償還につきましては五〇%事業抑制で措置しているわけでございますが、いわゆる一般の維持管理費については市町村分に下水道費という費目があるわけでございますが、この中でいわゆる雨水分に相当する金額――汚水分はいわゆる使用料で取っていただく、雨水分は公共負担という考え方で、雨水分に相当するものを全額交付税で措置しております。これは単位費用あるいは補正等で措置しておりますし、また都市的な形態の強いところには、これも交付税上態容補正という補正がございますから、そういったものでかなり伸ばしているわけでございますが、いずれにしましても雨水分については交付税上で全額措置しておる。この金額が五十年度では約三百二十億円であったわけでございますが 五十一年度、これは見込みでございますが、四百八十七億程度になろうかと思っております。それから、これは流域下水道だけでございますが、これは地方債で充当しました残額につきましては、事業費補正ということでその事業費を全額交付税で措置しております。
 以上が起債、交付税上の措置でございますが、いずれにしましても、起債制度、交付税制度の中では、この下水道事業につきましては、自治省としてはかなり積極的に前向きにやっているつもりでございますし、今後ともそういった方向で努力してもらいたいというふうに考えております。
#15
○松本英一君 執行体制の整備についてお尋ねをいたします。下水道の整備を飛躍的に推進していくためには、事業の実施に当たる各地方公共団体の執行体制を早急に整備する必要があることは論をまちません。特に下水道労働者の労働災害についてお尋ねを申し上げます。
 下水道を維持管理していく上で重要な役割りを果たしている下水道労働者の作業環境という面を看過することはできません。とりわけ管渠及び処理場施設のしゅんせつ、補修、点検を行う労働者の作業は非常に重要なものであります。この作業環境が工場排水を受け入れることによってさらに危険なものとなっております。大規模な計画では幹線管渠は横断面四メートル四方という大きなものになっております。これほど管渠が大きくなれば人が管渠内に入って作業をしなければなりません。しかもそのために下水管の中には実に複雑多岐、雑多なごみが流れ込んでおります。このしゅんせつ泥だけでも大都市では一日約二百五十トンを超えている現状であります。しゅんせつをしなければ、これだけのどろやごみで管渠が詰まってしまい、それらの周辺地域は浸水し、このような厳しい作業の境環で働く下水道労働者の安全確保、作業環境の改善について、大臣の御所見をお伺いし、続いて、工場排水の混入によって下水管渠の損傷は大きくなり、それだけこの補修、点検作業が必要となってまいります。下水管渠内での作業にとって酸素欠乏が大きな問題であり、鉱山、土木工事 船倉内等と同じく、この危険性はきわめて高いものであります。老朽化した水道管の陥没による温水、これは地域住民にとっては早急かつ迅速に修復をしなければならないのは当然であります。現在のところ管内の強制送風も行っていないので労働環境は極端に悪いのです。さらに工場から排出される汚水の中に含まれる沸点の低い有毒物質や悪臭物質、それが前に述べましたように管渠の中で硫化水素、アンモニアへと還元されていくので、酸素欠乏に加えてガス中毒の危険にさらされておるのは当然であります。そうした排水の中に溶けている有毒な化合物も体の皮膚を通して入ってくるのです。それらは原因不明の発疹や頭痛などの被害となってあらわれてきておりますが、重ねて下水道労働者の作業環境の改善、労働条件の改善について明快な御見解をお示し願いたいと思います。
#16
○国務大臣(竹下登君) まず最初に、地方公共団体等の執行体制の整備に対して、今日まで建設省としてこれに対してどう対応をしたかと、こういうことであります。確かにこれは私が参りまして、まだ百数十日のわずかな経験からいたしましても、いわゆる割愛――人をよこせというのが地方公共団体等から言ってまいりますと、下水道の技術者をよこせというのが数としても非常に多いわけであります。したがいまして、この下水道事業を推進するための執行体制に関する方策についての都市計画中央審議会の答申の趣旨に沿いまして、昭和四十七年に建設事務次官から自治事務次官及び都道府県知事あてに、地方公共団体の下水道事業執行体制の強化について格段の措置の要請を行ってきたわけであります。また、昭和四十六年十一月には、建設大臣官房長から文部大臣に対しまして、下水道工学関係学科目等の充実についてというお願いもいたしてきております。さらに四十七年十一月には下水道事業センターを設立していただきまして、下水道技術者の研修を強化してまいったところでありますが、御協力をいただきまして、五十年度から下水道事業団に他部門からの技術者の導入を図るため技術検定制度というものを採用をして技術者の養成に努めておるところであります。その結果、地方公共団体の執行体制も徐々には確立されてまいりまして、昭和五十年度の技術者総数は約一万三千三百人となっておるところであります。しかしながら、近年新たに下水道事業につきまして、人口十万人以下の都市では執行体制が不備なところもございますので、さらに引き続きこれらの都市における体制の強化をしてまいりたい。具体化には下水道係が下水道課に昇格いたしまして体制の充実を果たしましたところとか、あるいは技術者そのものの数をかなりふやしてまいりましたところとか 具体化にはそれぞれございますが、何とか御趣旨に沿うようにこの執行体制と技術者の確保というものに今後とも力を注いでまいりたい、このように考える次第であります。
 それから、いまの下水道工事にお働きになっていらっしゃる方々の安全、あるいは衛生、また環境改善、こういう御趣旨のことでございますが、私ども全くの素人でございますものの、下水道工事にかかわられる労務者の皆さん方が、確かに松本委員御指摘のようないろいろな危険を冒しながら、また非常に悪い環境の中でこれが工事に現実お当たりにならなければいかぬということは私どもも十分承知いたしておりますので、安全管理につきましてはかねてから都道府県等に対して指導通達をしておりますが、最近におきましても建設工事現場の事故発生防止、あるいはガス爆発防止、酸素欠乏症の予防等について、建設省のこれは計画局長通達を出したところであります。中でも昭和四十六年十一月十九日付の事務次官通達として改正が通達されました、市街地土木工事公衆災害防止対策要綱におきまして、工事の安全施工について具体的な技術基準を示しておるところであります。下水道工事につきましては、最近における工事量の増大、あるいは作業現場の制約等からいたしまして、本当に安全管理、作業環境の改善等につきましては常に注意を喚起しておるところでありますが、施工管理のみならず設計計画における改善等も必要でありますので、たとえば管渠の推進工事における最小管径を従来の六百ミリメートルから八百ミリメートルに引き上げるというようなことも、作業の安全と作業環境の改善にいささか資しておる一つの例ではなかろうかと思うわけでありますが、精いっぱいいまの御趣旨に従いまして、環境の改善とそして災害の防除、安全確保という点について今後とも引き続き努力を続けてまいりたい、このように考えております。
#17
○松本英一君 次に、水質環境基準の達成と下水道整備についてお尋ねをいたします。
 確かにわが国において環境の汚染を防止するための努力はなされております。それは認めます。しかし、環境汚染の対策というものは、個々の症状に対して対症療法を施せばそれで済むというものではありません。日本人あるいは人類という全体的な観点から考えていかなければなりません。近年の急速な経済成長に伴う工業排水の増大と、人口の都市集中による生活排水の増加は公共用水域の水質汚濁を深刻なものとしております。これに対応するため公害対策基本法に基づく水質環境基準が決定をされ、四十五年以降全国にわたり順次水域類型の指定が行われ、現在三百十八水域で水質環境基準が設定され、おおよそ五十五年ごろまでにその基準の達成を図ることが求められておりますが、第四次下水道整備五カ年計画の終了時点でどの程度この水質環境基準が達成をされるのか、第四次整備計画と水質環境基準との達成の関連を明確にお示し願いたいと思います。
 次に、第四次下水道整備計画の実施に当たっては、公害防止計画及び水質環境基準の達成を最重点として下水道整備を進められる予定と聞いておりますが、第四次計画の事業費のうち、この関係にどの程度投資することを予定されるのか、御説明を願いたいと思います。
 次に、公共用水域の汚濁の発生源としては、市街地における工業排水、生活排水のほかに、農漁村の生活排水及び養豚場等の畜舎の排水が問題となっております。単に都市の公共下水道の整備だけでは解決できなくなっておるのが現状であります。農漁村の生活排水と養豚場等の畜舎排水についてどのように対処されるのか、御見解をお示し願いたいと思います。
#18
○政府委員(吉田泰夫君) 水質環境基準を達成するためには、ひとり下水道の整備だけじゃなくて工場排水の規制も非常に重要であります。その他ヘドロの除去とか浄化用水の導入とかいろいろな施策を総合的に実施しなければなりません。そういうことですから、下水道の整備計画だけで水質環境基準の達成度合いを図ることはなかなか困難な次第であります。しかしながら、今後工場排水の規制の強化を一層図りながらもこの五カ年計画によって下水道を整備する、こういう過程に立って推定をいたしますと、この第四次五カ年計画の終了時においては、水質環境基準が決まっている個所につきまして年間の相当期間で水質環境基準以内となるということが予想されます。本来は水質環境基準の達成というのは年間約九カ月ぐらいが、つまり低水位のときにすべて基準数値以下という意味でございますので、そこまでにはなかなか及ばないわけですけれども、しかし、現在から見れば、平均的に見れば相当期間基準以下の時期が出てくる、こういう程度かと思います。そういうことですから、たとえば五十六年に水質環境基準達成期限を設定した地域が大都市地域を初め多いわけですけれども、この五カ年計画が終わりました後一年しかないことを考えますと、この計画ではちょっと五十六年という一番大口のところの達成は困難であろう、ある程度の年数を遅延するであろうということは残念ながら認めざるを得ないわけであります。しかしながら、現在の処理人口から見れば八五%増しの四千七百二十万にふやすわけでありますので、環境基準の達成に大きく近づくということだけは言えると思います。
 次に、公害防止計画と水質環境基準の達成のための下水道事業費をどの程度第四次計画で見込んでいるかということでございます。これは正規に法案が成立しましてから閣議決定等においてその参考資料等として積み上げていくことになりますが、現在建設省で概算して予定しておりますのは約六兆五千億円余りでありまして、これは七兆一千億の全体枠から見れば九二%、公共下水道と流域下水道だけの合計から見れば九八%ということになりまして、この関係に非常なウエートを置いた次第でございます。
 次に、農山漁村あるいは養豚場の問題でございますが、農山漁村といえどもいずれは公共用水域に流れ、下流の市街地を通って海なり湖に流れるわけでありまして、これをゆるがせにすることはできないわけであります。そういうことで今度の五カ年計画では特定環境公共下水道と称するものを五カ年計画の中に正規に取り込みまして、ある程度の量も予定しておるわけであります。具体的に申せば、計画処理人口おおむね一千人以上の集落のところをまず取り上げよう、それからそのほかの地域でも流域下水道とか公共下水道に近いようなところで、そこに簡単に接続できるような場所の集落、こういったものも考えようということでありまして、そういう特定環境公共下水道を採択する場所におきましては、畜舎排水等も含んで下水道計画に見込むことができると思います。なお、こういう養豚場などの畜舎の排水にはBODとか浮遊物質が非常に高いものがありますので、こういったものは必要に応じやはりある程度除害施設をみずからつくっていただいて、緩和したものを下水道に受け入れると、こういうことにいたしたいと思います。
#19
○松本英一君 流域別下水道整備総合計画についてお尋ねをいたします。
 都道府県は、水質環境基準が定められた公共用水域について、流域別下水道整備総合計画を策定することが義務づけられております。流域内の個々の下水道計画は、この総合計画に適合して実施していくもので、公共下水道、流域下水道の事業計画の前提条件とされております。建設省は四十六年以降、全国の八十余水域について総合計画策定のための調査費補助を計上してまいりましたが、その進行状況はどうなっておりましょうか。また、大臣認可、決定にまで至った水域は何カ所ありましょうか。総合計画の未整備が個々の下水道事業の進捗を阻んでおると考えられますが、調査を完了した水域にあっても総合計画の決定がおくれている要因は何でありましょう。広域的な水質保全が必要ないろいろな水域については国が直轄で調査を行い、総合計画が策定されやすい環境づくりのための行政指導等を制度化すべきではないかと考えますが、御見解を伺いたいと思います。
#20
○政府委員(吉田泰夫君) 建設省では、昭和四十六年度以降四十九年度までに流域別下水道整備総合計画策定のための調査費補助というものを行ってきておりまして、七十九カ所ございます。調査は相当に進んでいるところが多いんですけれども、その中で建設省に対し正規の計画として承認申請を行ってきたものが二十カ所、それから大臣承認まで終えまして確定したものが四カ所ございます。このように調査個所のわりに申請個所、なかんずく認可個所が非常に少ない原因は、この流域別の総合計画なるものが処理場の位置を確定するというような内容を含んでおりますために、その位置の調整で関係市町村と十分の合意に達するのに時間がかかる、あるいは関係都道府県と意見を交換してつくりなさい、その県だけの判断だけでつくるのではないというふうにもなっております関係で、関係の都府県、なかんずく下流の都府県との調整、それにも難航しているということが大半の要因でありまして、しかし、これだけのことをこなして処理場の位置まで固め、流域下水道、公共下水道の守備範囲等も決めておりますから、これができればあとはかなりスムーズにいくということでございまして、その苦労を最初にするか後にするかということを考えますと、やはり最初に調整に苦労はしても、最初にこういう計画で発足していくということが望ましいんではないか。現在までのところの実施率が低い点ははなはだ遺憾でありますが、今後はこれを大いに督励していけば、相当段階まで進んでいるところも多いわけでございますので、ほぼ法律の所期の目的は達成できていくんではないかと思います。
 なお、それに関連しまして、二つ以上の県にまたがるような県際水域では国が直轄で調査して計画の策定を進めればどうかという御指摘でございました。私どももそういう考えもあり、事実予算要求も行いましたが認められませんでした。認められなかったにはそれなりの理由がありまして、やはり国の計画ということが、計画だけ立てても実は中途半端なわけでして、国が直轄で事業をするというようなことでもあれば、その前提となる調査というものはもちろん国が直轄で行うということになりますが、まだ国が直轄で下水道事業を行うという時期でもないし、そういう要求も建設省もいたしませんでしたので、計画策定だけを国がやるということには問題がある。したがって、その計画策定のために国が直轄で調査するということにも問題がある、こういうことになったわけです。まあ先ほど申しましたように、特に下流県等との折衝に時間がかかるわけですけれども、私どもも従来の進捗状況の悪い点を十分反省いたしまして、もし建設省が調整等に乗り出して役立つものならば、大いにその労をいとわず今後努力したい。余り国が出しゃばると、かえってこじれる場合もありますから、その辺は十分慎重に見きわめながら効果のある積極的な指導を行うことで当面はやっていきたい。まあそういう調整措置だけで足りない、どうしても進まないというようなときには、また御指摘のような直轄調査等もその時期をとらえて検討したいと思います。
#21
○松本英一君 除害施設の設置促進については、公共用水域の水質汚濁を防止し、下水道の機能と施設を保全していく上で、悪質な工場排水等が下水道に排出されることは厳重に防止をしなければなりません。したがって、現在の下水処理になじまない水銀等の重金属、シアン等の有害物質は、発生源において一定の基準まで除去することが必要であり、このための除害施設の運用強化は今回の改正の柱と言うべきものであります。
 そこで、除害施設の設置が制度化されて以来、累積で設置件数はどのくらいになっておるのか。現在の設置件数は除害施設を必要とする件数との比較においてどのように評価をされておられるのか。また、設置されている施設の運転状況についてはどのように点検をされ把握されておられるのか。なお、下水道管理者側における除害施設設置の条例の整備、専門的、技術的立場からの行政指導等、執行体制面の適正を図らなければならないと考えますが、御見解。
 次いで、除害施設の設置は事業側の負担において実施されることが原則であるが、資金力の乏しい中小企業者に対しては融資のあっせん、貸し付けを行う必要があると考えますが、現行の融資制度、融資条件の助成措置について御説明を願いたいし、また下水道法の改正後、一年間、直罰規定を適用しないこととしておりますが、政令で定める特定施設とはどのような施設を予定をされておるのか、御見解を伺いたいと思います。
#22
○政府委員(吉田泰夫君) 昭和五十年の除害施設設置数は約六千八百事業所でありまして、これは年々急激に増加しております。まあ設置必要数というのは公共団体に依頼して把握に努めてもらっておりますが、基準以下、基準を超えるおそれがあるかどうかの判定その他がなかなか困難な面がありまして的確につかみがたいんでありますけれども、各府県必ずしも線がそろったわけではありませんが、一応出してもらっている数字は約一万九百であります。したがいまして、設置済み率というものを大まかに申せば六三%まで来たという数字になります。このパーセントはここ二、三年非常にふえておりますから、今後も急速にふえることが期待できると思いまけすれども、それにしても現時点において十分な設置率になっているとは考えておりません。今後さらに大いに努力しなければならないと思います。設置されている施設の運転状況につきましては、法律に基づく水質チェックの規定もありまして、これに基づいて相当数の都市が実施を現にいたしております。
 次に、現行法による除害施設設置の条例を整備している市町村数でありますが、これは五十年度末、全処理開始都市数二百二十八のうち二百十四都市でありまして、残る都市は主に住宅団地からの下水を処理しておりますので条例がつくられてないという状況でございます。この指導体制は今後ともますます重要になりますから、組織、人員、専門家、あるいは法律に基づく種々の権限を十分に行使させていきたいと考えております。
 次に、除害施設の設置に対する融資等の助成措置は、国におきましても、国民金融公庫、公害防止事業団、中小企業金融公庫等の長期低利の融資制度がありまして、ほかの一般公害対策枠等と一緒になってその枠を設けてありますが、相当の枠でありますから要望に応じられるものと私ども考えております。なお、実際上、今後特定施設側からの要望に応じ切れないようなことになれば、その枠の拡大について建設省としても強く関係省庁等に要望してまいりたいと思います。なお、地方公共団体におきましても独自の公害防止の資金貸付制度をとっておりまして、大都市等では大部分のところでそのような融資あっせん制度、利子補給の制度、融資制度等が整っているわけであります。
 それから、附則の規定で一年間の猶予期間を与える施設があります。原則は半年の猶予なんですけれども、特に一年にしますものは、これは水質汚濁防止法の例にならったわけでありまして、考え方としては、経営規模が零細なために処理施設の設置に半年では間に合わないと思われるようなもの、それから技術的に処理施設の設置に時間を要する、これは処理施設そのものが相当大規模でなければならぬようなもの、それから水質の変動が著しいために処理施設の計画とか設置をするのにその段階で相当時間を要するというようなもの、いずれにしても原則の六カ月という期間ではその実施が、切りかえが期待できないような性格のものでございまして、具体的には畜産、水産、食料品製造業とか天然樹脂製造業、皮革製造業あるいは研究機関、こういったものを考えておりまして、水質汚濁防止法の政令で現に定められている施設がありますから、これらに準じて定める予定であります。
#23
○松本英一君 琵琶湖等における下水道整備の緊急性についてお尋ねをいたします。時間の関係でまとめて質問をいたします。
 閉鎖水域の富栄養化の主要原因と言われる窒素、燐については、水質環境基準がまだ決定されておりません。琵琶湖、霞ケ浦等においては、水資源を保護し有効利用を図る上で、これらの有害物質を除去することが緊急の課題となっております。
 特に琵琶湖では、窒素、燐の流入によるモ類の異常発生により水質汚濁が進行しており、京阪神各地の上水道に多大の影響を及ぼしております。そのため琵琶湖では下水道整備が緊要であり、窒素、燐、それらの除去のための高度処理を強く望まれております。第四次五カ年計画と琵琶湖総合開発との関係について御説明を願いたいと思います。
 次に、琵琶湖総合開発特別措置法は、当初、流域下水道、公共下水道について補助率のかさ上げを講じてまいりましたが、昭和四十九年の一般下水道の補助率改正に伴い、その効果はなくなったと言えましょう。琵琶湖の下水道整備は、一つに自然保護、あるいは下流各地のための水資源対策、あるいは集中的、先行的緊急整備の必要、あるいは地方財政の極度の圧迫等の特殊事情を備えておりますが、国の特例措置は継続すべきだと考えておりますが、御見解をお示し願いたいと思います。
 次に、開発規模が大きくなりますと事前評価は一層むずかしくなってまいります。琵琶湖の総合開発は京阪神地区へ新規に水を供給する目的で、湖面を一・五メートル低下させる計画で、水資源開発公団と滋賀県によって進められておりますが、計画当初から湖岸の生態系の変化、湖の自浄機能の低下、沿岸の地下水位の低下で、観光、漁業などの多くの被害が予想されると、下流の沿岸住民による工事差しとめ訴訟にまで発展をいたしておるのが今日の実情であります。文明は、進歩の思想は行き詰まりに来たのであろうか。
 アメリカのサックス教授は、「環境破壊に対しては、立法が遅れている場合は、裁判をどんどん起こして、被害者に有利な判決を積み重ねて政治をかえるしかない」と示唆をしておりますが、今日までの判決にしても被害者のわずか一握りの救済しかされていない実情を振り返ったときに、政府はこの責任に対してどのように考えておられるのか。
 補償の問題にいたしましても、水質環境基準が決定をされた四十五年、同じく農業においても汚染米の規制がなされましたが、土壌にしみ込んだ農薬、それらのものは十年を経過しなければ取り除くことができないと言われております。そしてこれらの場合、十年後、二十年後の補償をどこに求めればいいのか。今回の琵琶湖工事差しとめ訴訟に対してもいろんな問題が注目をされておるところでありますが、下水道整備、瀬田川改修を担当する建設省はどのように対処なさるのか。当局並びに建設大臣の明快な御答弁を求めて、私の質問を終わります。
#24
○政府委員(吉田泰夫君) 第四次の下水道整備五カ年計画ができますと、その中に第三次の計画の中にも琵琶湖総合開発分の下水道分が相当含まれているわけでございますので、当然織り込むことになります。ただ、琵琶湖総合開発計画全体の見直し等の問題もありますので、またその対象期間もずれております関係上直ちに結びつくわけではありませんが、当然この五カ年分の事業量というものは琵琶湖分について相当大幅に拡大することになると思います。県におきましても流域下水道その他の関連下水道の整備に非常に力を入れておりますので、その県の要望等を踏まえまして状況に応じ最大限の努力をしたいと思います。
 次に、琵琶湖についての補助率の特例措置が消えてなくなったではないかという点でございますが、確かにおっしゃるとおりでございまして、琵琶湖総合開発特別措置法に基づく補助率が、公共下水道が十分の五・五、流域下水道が三分の二であったわけでありまして、一般の地域よりは若干格差をつけた高率補助になっていたわけでございますが、四十九年度の補助率アップの際、この琵琶湖をむしろ上回る大きな補助率改定を要求しまして、ほぼ要求に近く実現したものですから、この特別措置によるアップ分が埋もれてしまったということであります。補助率の考え方については、私どもは補助率の絶対率が高いということが一番やはり地方負担軽減に役立つのではないかと思います。絶対率よりも他の地域との差があることが大事なんだという見方もあるかと思いますけれども、私どもとしては、やはり全国一律に大幅なアップを要求し実現した以上、琵琶湖についてもそれまでの特例補助率以上になったわけでございますので、いまのところさらに琵琶湖についてのみ改定する、格差をつけるような改定をするというところまでは考えていない次第でございます。
#25
○国務大臣(竹下登君) いわゆる琵琶湖訴訟に対する建設省の見解、そうして琵琶湖総合開発に伴ういろいろなトラブルとでも申しましょうか、今日それが生じております問題についての考え方を申し上げさしていただきます。
 琵琶湖総合開発計画は、琵琶湖の自然環境の保全と汚濁した水質の回復を図りつつ、その水資源の利用と関係住民の福祉とをあわせて増進させるとともに、近畿圏の健全な発展に資することを目的としておることは御承知のとおりであります。したがいまして、この計画は、琵琶湖総合開発特別措置法の規定に基づきまして公聴会を開催いたしまして、住民のお方の意見を聞きますとともに関係市町村の意見を聞きまして、滋賀県議会の議を得て、いわば適法に策定されたものでありまして、水質の保全等環境保全が主要な目標の一つとなっておることは御案内のとおりでございます。
 しかし、この問題についていま問題が出ておりますのが、いわゆるこの漁業問題と、そうして差しとめ訴訟に係る問題と、この二つになろうかと思うのであります。私も就任以来各方面からこれに対する御意見をちょうだいをいたしまして検討をいたしてみましたが、一応今日まで適法の中で措置された中にそれぞれの補償措置というものは植わっておると理解をいたすわけであります。ただ、漁業問題等につきますと、いわば琵琶湖における稚アユの生産量が減ってくるから、日本全体の内水面漁業の中でこの稚アユを得にくくなることに対する間接補償というふうなお話でございます。私もこれに対しては、いわゆる水産行政全体の中でこれを位置づけて解決する方法もありはしないだろうか。河川別に、水産庁にもそういう予算もございますし、その予算を、個所づけとか、そういうものをふやすのは余り大事な予算でございませんので、そう苦しいことではないではないか。そういうのに指導をごあっせんすることによりましてこの問題を解決していったらどうだろうかというような見解で代表者のお方ともお話し合いをしてみたわけでありますが、なかなかいろんな御意見がありまして、全体の意見の中でも、あるいは琵琶湖の漁協のお方と他のお方との意見の相違でございますとかいろいろなむずかしい問題がありますので、私としても鋭意、この内水面漁業にかかわる方々の生活問題につながる課題でもございますので、水産行政の中で何か位置づけてこれが解決を図ったいきたいと、このように考えておるところであります。
 それから、いわゆる琵琶湖訴訟につきましては、これはこの計画に基づく事業が違法であるということで工事の差しとめの訴訟が提起をされておるところでありますが、建設省といたしましては、関係省庁とも連絡をとりまして、これらの事業の適法性、妥当性というものをこれからも主張してまいりたい。ただ、国と水資源公団と滋賀県と大阪府が被告になっておるところでございますので、関係方面と協議をいたしますが、窓口といたしましては、国におきましては一応国土庁、そういう考え方で進めてまいりたい、このように考えております。
#26
○望月邦夫君 私は、今回の下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部改正につきまして、若干の御質問を申し上げたいと思います。
 従来の下水道事業がいわゆる都市計画区域に限られておったのを、この都市計画区域という文書を外されまして、そして下水道事業を、広域公共水域の水質保全という立場に立って下水道事業を整備促進されるということは、私はまことに時宜に適した政策であると思います。
 そこで、さっきも五カ年計画についていろいろお話ございましたが、まず第四次五カ年計画についてお伺いいたしたいと思います。
 その前に、いわゆる第三次五カ年計画が終わったわけでございますが、これもさきに説明がございましたとおり、物価の変動等によりまして投資規模におきましてはおよそ一〇九%になった。これは道路、河川等の従来の五カ年計画に比べますと、資金的な達成率につきましては関係者皆様の御努力のたまものであるというふうに思いますが、しかし、さきの御説明のとおり、本来の目的でありますところのいわゆる事業の達成状況というものは必ずしも十分になっていないようでございます。この未達成の事業に対する方策とあわせて、この第四次五カ年計画を発想されたときにおきまして、資金的なものじゃなくて、第三次五カ年計画との内容的な変化と申しますか質的な変化につきまして、その概略を御説明願いたいと思います。
#27
○政府委員(吉田泰夫君) 私どもが一番第四次五カ年計画のポイントと考えておりますのは、何といっても総事業費の大幅なアップでございますが、その中で質的な新規事項といいますか、変更事項と申しますと、いまおっしゃいました特定環境公共下水道、要するに都市計画区域外あるいは市街化調整区域内でも、ある程度の集落があり、あるいは隣接する流域下水道、あるいは公共下水道への流入がしやすいような個所につきましては、五カ年計画にも正規に取り込んで本格的にこれを実施していく。それによって都市部のみならず非都市部においての普及率も高め、究極において総人口普及率を九〇%目指す、こういう姿勢の第一歩が出されたというところかと思います。
 次いで、第三次処理の問題も昭和五十年度から実は流域下水道については一部に認められました。しかし、公共下水道については認められていなかったわけでございますが、これを第四次計画では新たに正式に認めるということにいたしました。従来から継続していた各種の実験規模による三次処理施設と相まちまして、実用規模のものを次々とつくってまいりたい、こう考えております。
 なお、これも質的な変化というほどのものではありませんけれども、若干地方公共団体に対する補助についての補助対象割合を改善し、なかんずく従来懸案となっておりました終末処理場の環境対策費、終末処理場が立地することに付近住民の拒否反応の大きな要素を占めておりました、処理場は汚いものというイメージを払拭するために、そういった環境対策費を補助対象の中に含め、さらに先般御審議いただきました都市公園法の改正の中の兼用工作物の規定の活用を図れば、公園費も投入して公園兼下水道という形での本格的な緑化整備ができるというつもりでおります。
#28
○望月邦夫君 次に、私も実は滋賀県でございまして琵琶湖を抱えておるわけでございますが、建設大臣もくにに宍道湖という湖を持っておられますので、この閉鎖水域に対する下水道のあり方につきまして大臣の御所見を賜りたいというふうに思うわけでございます。
 もちろん、わが国の下水道の普及率が現状におきましては欧米諸国に比べて非常に立ちおくれているということは、これはしばしば指摘されるとおりでありまして、またわが国におきましても、大都市の住民あるいは地方の市町村の住民もその差別なく、下水道が完備された健康で快適な生活を求めたいという期待はきわめて強いものであることは言うまでもありません。したがいまして、一般下水道の整備目標を高めるということは目下の急務であると思います。しかし、わが滋賀県におきましては琵琶湖が県内の面積の六分の一を占めまして、しかもそれが県土の中心に存在しておりまして、陸地はドーナツ的にある。しかも県民の大半がこの湖辺に密着して生活しているのが現状であります。
 さきにもお話がございましたとおり、最近琵琶湖の南の小さな部分でございますが、南部におきまして水質の汚濁が進行してまいったのであります。琵琶湖からの淀川に放流される水は、淀川水系においていわゆる年間百億トンと言われております水量の約五〇%を支配しておるんでございます。しかも渇水期等におきましては、琵琶湖の水は平準化して流下される流量でございまして非常に貴重な水なのでございます。ところが、実は数年前に琵琶湖におきまして非常な渇水が起こりました。そのときに湖水の水質を調査いたしましたところ、渇水のときの方がかえって湖水の水質がよろしいというふうな現状が出たわけでございます。これを考えてみますると、結局琵琶湖に流入している各河川が渇水のために流量が平均いたしまして、その結果、流域からの汚濁源を琵琶湖に流出しなかったというふうなことであると解析されておるわけでございます。このことはとりもなおさず、いわゆる人為的に発生されたこの濁汚源をまた人工的に下水道事業によって取り除く以外にこの琵琶湖の水質を改善する方法はないというふうに私は考えるわけでございます。
 このように考えますと、滋賀県はまだ人口密度も低く、いわゆる大都市的な性格も少ないところでございますが、この地域におきまして下水道を推進しなければいけないというふうな現実に立ち至っておるわけでございます。特にこの閉鎖水域におきましては、水質の回復に資金的にもあるいは技術的にも多大の困難があると思いますが、また閉鎖水域の水質の悪化はその影響するところが広く、また相当な期日を必要とする。しかも淀川流域の千数百万の人間に関係するのでございますので、今回の下水道法の改正に当たりまして、この下水道事業の運用について私は重点的に運用されることを望みたいのでございますが、この閉鎖水域における下水道事業のあり方につきまして、建設大臣の御所見を賜りたいと思います。
#29
○国務大臣(竹下登君) これは御質問者であります望月委員は、御出身地であると同時に、この道の専門家でございますので、技術的な問題等私よりもはるかにお詳しい立場にあられるわけであります。で、私は望月さん御指摘のとおりであるというふうに考えておるわけでありますが、確かに、私自身の出身地の宍道湖の御指摘もございましたが、私も先般来春日委員から本委員会においていろいろな御指摘をいただいたわけでありますが、私なりに、いろいろな計画が立てられておりました三十年あるいは二十五年前からすれば、社会環境の変化によりまして、私どもが予想していないいろいろな生活環境の悪化というようなものが出てきておるのは事実であります。私はこの下水道計画前期の計画をつくりました際内閣官房長官でありましたが、当時普及率ゼロの府県は私の島根県と、そして私の前任者であります保利さんの佐賀県がゼロでありまして、いかに私どもがこの多様化する生活環境の変化というものに対応する姿勢がおくれておったかということをみずから反省をいたしたことがあります。
 それに対して、私どもなりに計画を考えてまいりましたその手本が、率直に申し述べますならば、琵琶湖の総合開発というものからヒントを受けて、私どもの方でもいまやっと工事が緒についたということになっておるわけであります。閉鎖性水域に汚濁物質が流入した場合には、水域に与える悪影響はそれは他の水域における場合よりも重大でございます。御指摘のとおり、閉鎖水域にかかる地域の下水道整備は積極的に実施すべきものと考えております。また、まさに琵琶湖は滋賀県の琵琶湖であると同時に、近畿圏の言ってみれば水がめとでも申しましよう。そういうところに位置づけられておるものでございますだけに、第四次下水道整備五カ年計画の中において、その実施に当たってはもとより重点的に考慮をしてまいる所存であります。
#30
○望月邦夫君 次に、五カ年計画の作成に当たりましては、私はやはりその目標といたしまして、整備普及率の向上をたとえば二二%から四〇%まで向上するということと同時に、公共水域の水質の環境基準の達成を幾らにするかというふうないわゆる具体的な目標を立てるべきじゃないか。この二つがやはり今後の下水道事業の大きな問題であろうというふうに考えますが、環境庁にお伺いいたしますが、さっきも水質環境基準の問題でお話がございましたけれども、現状におきまして、いわゆる環境庁において作成された水質環境基準がどの程度達成されているか御説明願いたいと思います。そして建設省の方では、この第四次五カ年計画が終了時における環境基準の達成のことにつきまして、もう少し具体的な説明を賜りたいというふうに思います。
#31
○説明員(林亨君) お答え申し上げます。
 先生御存じのように、環境基準の、特に生活環境にかかわります環境基準につきましては、水域の類型指定ということで当てはめて行っております。昭和四十五年の九月に一番最初の環境基準の水域の類型当てはめが行われましたわけでございますが、この水域につきまして、昨年のちょうど九月でまる五年になるわけでございますが、その達成状況につきまして見ますと、全体で達成率は六〇%ということでございます。もちろん当てはめをいたしました当時と比べると、水も非常によくなったわけでございますが、まだまだ残り四〇%というものが達成してない状況でございます。それで、達成していない状況の理由につきましていろいろあるわけですが、水域によりましてもいろいろございますわけでございますが、もちろん先生御指摘のように下水道の整備のおくれというものも一つの大きな要素でございます。それで私どもといたしまして、今度建設省でお進めになります下水道の第四次五カ年の整備計画が完了いたします昭和五十五年度におきましても、全国の公共水域全部について環境値が全部達成できるかと聞かれますと、それはむずかしいと思います。
 なお、環境基準の類型当てはめも毎年順次行われておりまして、ただいま五十年度末で主要なものだけ申しますと、主要な水域につきましては、ただいま四百二十二の水域の類型当てはめが終わっております。中には達成期間がイ、ロ、ハと先生御存じのように分かれておりまして、ハのものにつきましては、設定いたしましてからおおむね十年ということでございますので、昭和五十五年時点ではまだ達成期間に達しないものもございますけれども、いずれにいたしましても、場合によりましてはヘドロのしゅんせつ、あるいはもちろんのことでございますが排水の規制、さらに上乗せ規制によって工場、事業場等の排水の規制を強化していく、それからあるいは先ほどもお話に出ておりました畜舎排水、あるいはまだ下水道の完備されない間におきます家庭用の浄化槽からの排水の水質をよくしていくような工夫とか、いろいろな総合的な施策を関係各省とも十分に働きかけまして、できるだけ環境基準達成に努めないと考えております。結論といたしましては、第四次下水道整備五カ年計画が五十五年に終わりましても、全国全部でと申されますと、むずかしいかと考えております。ただ重点的に建設省にもお願いいたしまして、先ほども出ました公防計画地域とか、非常にその水質汚濁のあるいは進行している、なかなかよくならない地域といったものに重点的に御計画を進めていただきまして、できるだけ達成に近づけるように図ってまいりたいと考えております。
#32
○政府委員(吉田泰夫君) 下水道の五カ年計画において、総人口普及率だけではなくて、水質環境基準に対する達成率というものも目標として示すことができますれば、より明確な水質環境対策としての下水道の位置づけも出てまいりますし、事業そのものの規模、目標というものがより明確に浮かび上がってくると存じますが、総人口普及率の方は管渠と処理場の整備、要するに下水道だけの整備、単独でこの目算が立つのに対しまして、水質環境基準の方は非常にウエートの高い工場排水の規制のいかん、あるいは工場そのものの新規立地等のいかんによりまして非常に大きく左右されるわけでありますために、下水道だけの整備でなかなかどの程度水質環境基準が達成できるかということがはっきりと出てこないという点から、五カ年計画の目標には書き込みにくい事情があるわけでございます。それにしましても、御質問でございますので、私どもであえて工場排水に対する汚濁負荷の削減の程度とか、いろいろなことを前提に置きつつ、その前提のもとにこの五カ年計画を行えばどの程度水質環境基準が達成できるかということについて試算はしております。それも全国平均の試算でありますから、十分に達成する水域もあれば、達成がほど遠いという水域もどうしても出ますけれども、平均して申せば、私どもの計算では年間のうち四カ月ないし四カ月半の期間は、水量の多いその程度の期間は水質環境基準以下の汚濁基準になる。で、水質環境基準の達成という意味は、本来年間九カ月程度、つまり低水位のときに達成できていなければならないわけですから、そういう意味では年間の達成期間から見ても半分ぐらいということになりますけれども、現在の普及人口等から比べれば、八五%増しの普及人口に達するということから見ましても、相当環境基準の達成に近づいて、大きな足がかりとなることはできると考えます。
#33
○望月邦夫君 次に、また閉鎖水域に戻りますが、御存じのとおり閉鎖水域におきましては、富栄養化の問題が非常に大きい問題でございますが、そのために窒素、燐等の除去を目的とするいわゆる三次処理技術の開発が必要であるというふうに思います。そこで、琵琶湖につきまして、日本下水道事業団におきまして、大津市の下水処理場の処理水を使って、琵琶湖に適した三次処理の技術開発に対する調査研究がなされておりますが、この調査研究の現状と見通しにつきまして簡単に御説明願いたいと思います。
#34
○説明員(井前勝人君) お尋ねの件につきましては、私どもは昭和四十九年度から琵琶湖総合開発事業との関連から、やはりああいう閉鎖性水域については、どうしても下水の処理はもう少し高度にしていく必要がございますので、四十九年度から実は実験プラントを現地の、先生御指摘の大津市の公共下水道の終末処理場の処理水を使いまして、この三次処理の技術開発を行っているわけでございます。四十九年度は一応施設の建設に終わっておりますが、五十年度からは前年度につくりました施設の運転を始めまして、実験を重ねていきたいと思っております。実験の目的といたしましては主として富栄養化防止のための窒素、燐の除去、あるいはさらにBOD等も高度に除去するための目的等を考えております。五十年度も引き続き施設の増強をいたしまして調査研究を続行していく予定でございますが、実際の琵琶湖総合開発によります流域下水道の事業の進捗の度合いを見ながらこの実験の内容も詰めていきたいと思っておりますが、おおむね四十九年度から始めまして五十二年度ぐらいまでには主として富栄養化防止のための三次処理の実用化についての研究をできれば完了したいというふうに考えておるわけでございます。
#35
○望月邦夫君 次に、ちょっと細かい話というわけじゃございませんが、下水道は最近わが国においては急速に発展してきた事業でありますから、いま御説明いただきました汚水処理技術を初めといたしまして、まだまだ開発すべき技術分野はきわめて多いと思うのでございますが、この下水道事業につきましてはひとり建設省の所管でございますので、この技術開発につきまして建設省がどのように対処されているか、ひとつ御説明願いたいと思います。
 さらに、最近におきましては、三次処理の技術の完成を待ちまして、高度に処理された水を大都市等の将来水不足が予測されるような地域におきましては貴重な水資源として活用しなければならない時期が来たという識者の論が多いわけでございますが、なかなかむずかしい問題と思いますけれども、これに対する建設省の基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#36
○説明員(井前勝人君) 下水道事業におきましてはまだまだ技術開発すべきテーマが非常に多いわけでございます。当面の問題といたしまして、いま御説明いたしました下水の高度処理、いわゆる三次処理の技術開発、あるいは水処理に伴いまして発生いたします汚泥処理の技術開発、あるいは従来からございます二次処理の施設そのもののいわゆる能力アップのためのいろいろの技術開発等が非常に多岐にわたっておるわけでございますが、私どもはこの技術開発の重要性から主として昭和四十六年度、つまり第三次五カ年計画の発足とともにこの技術開発に重点を入れてまいったわけでございます。下水道事業調査費あるいは行政部費等を投入いたしまして、研究組織といたしましては建設省の土木研究所、それから私ども、あるいは地方公共団体、さらに日本下水道事業団の試験部等々の協力を得ながら、こういうテーマにつきまして今後とも引き続いて技術開発に努めていきたいというふうに思っておるわけでございます。
 また、第二点の処理水の再利用の問題でございますが、本来私どもは下水の高度処理というものは、その目的は、第一義的には公共用水域の水質保全を目的とするわけでございますが、しかしながら、たとえば臨海部等に位置します下水の処理水は公共用水域に還元すると申しましても直ちに海へ出るわけでございますので、そういうところは、そういうきれいに処理した水は一つの水資源というような見方をとりまして、特に大都市圏等は今後も水問題が非常に逼迫することが予悪されるのでございますので積極的にその再利用を図るべきであると、われわれも同感でございます。ただ、具体的にはなかなか処理場の立地条件、あるいはどういうものに下水処理水を使うか等からまだまだ研究開発すべき問題が残っておるわけでございますけれども、御指摘のような点につきましても、水資源の不足ということに対しても下水道として対応するのが今後の一つの課題であろうというふうに考えておりますので、積極的にその再利用については考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
#37
○望月邦夫君 次に、今回の下水道法の改正におきまして、終末処理場からの放流水の水質をより適正に管理して、公共用水域の水質を保全するために水銀とかあるいはカドミ等の有害物質を工場から排出せしめないように工場排水の規制を強化されているのでありますが、ところが、実際問題といたしまして、いわゆるメッキ工場のような零細工業につきましては、この防除施設を設置することにつきまして資金的に非常に困難であるというふうに思われるわけでございます。さきの御答弁で公害防止事業団等の融資によって処理できるのではないかというお話でございますが、われわれの地元の実情を見ておりますと、その公害防止事業団の網にかからないような小規模な工場がいわゆる地域的な問題を発生するわけでございまして、こういった実情に基づきまして、いわゆる公害防止施設の建設に対する資金援助につきましてはさらに細かく御検討願いたいと思うのでありますが、その点いかがでございますか。
#38
○政府委員(吉田泰夫君) 工場排水に対する規制の方法及び程度、水質保全を水質汚濁防止法並みに並べる、引き上げるというのが今回の改正の内容でありまして、施行日も若干の余裕を置いて本法公布の日から一年以内、それからさらに附則で直罰等の規定の適用をものによっては六カ月、ものによってはさらに一年の猶予期間を置くように措置しておりますが、その間に現行のいろいろな国の機関等による融資措置、あるいは地方公共団体によるよりきめ細かい融資措置等によって対応は一般的にはできるものと思います。
  〔委員長退席、理事松本英一君着席〕
しかしながら、非常に零細な工場等で敷地の問題あるいは資金の問題で行き悩むような場所が絶無とも言えないかもしれません。その辺のところは私どもも事前にある程度調査してはおりますけれども、なお具体的な問題に処して何らかの対策を講じてまいりたい。非常に零細であるということは、用地の確保にしても、資金、除害施設の設置費についても比較的少額、小規模で済むはずのものであろうかと思いますから、そういう工程ごとの処理施設が絶対に資金的な制約等で実施不可能ということでもないんではないか。現在の対応措置はこういった流入禁止規定あるいは罰則規定なく、条例で除害施設の設置を義務づけるというのにとどまっておりましたからやや不十分な点もあったかもしれませんが、この改正を機会に猶予期間もございますことですから、実情に応じた具体的な措置を地方公共団体とともに研究してまいりたいと思います。
#39
○望月邦夫君 次に、流域下水道におきまして工場排水と家庭下水の混合処理を行うべきではないかという意見が間々聞かれるわけでございます。その反対の意見としては、重金属等の除却が工場の施設では十分できない場合においては、これが公共下水道に持ち込まれ、そして公共水域に排出される場合、この水質保全にはきわめて重大な影響があるということでありますが、この工場排水をいわゆる下水道へ受け入れて処理するということに対する基本的な考え方を御説明願いたいと思います。
#40
○政府委員(吉田泰夫君) 下水道の役割りと申しますのは、本来市街地の下水を排除しまして処理することにあるわけであります。おっしゃるように、下水道の現在の処理施設は微生物の働きを利用しました生物学的処理法を主体としておりますから、重金属等を含む下水につきましては処理ができないわけでありまして、場合によっては処理作用そのものに悪影響を及ぼすということすらあるわけでございます。しかしながら、工場排水といえども生物学的処理に適したBODとか浮遊物質等を一般に相当量含んでおりまして、そういうことですから、要はその下水道が処理困難な物質あるいは下水処理に支障を与えるような物質、これを除去するということさえ守られれば原則として処理区域内の下水というものはやはり下水道に受け入れまして、終末処理場で効率的に処理するというのが本来のあり方だと思います。
  〔理事松本英一君退席、委員長着席〕
 したがいまして、現行法にもありますけれども、条例にゆだねられ直接の罰則規定もなかったというその弱点を今回の改正によって補おうということを考えたわけでありまして、これに十分な水質監視体制と法の的確な運用が図られれば、工場排水といえども十分に受け入れられるだけの素地ができ上がると思います。もっとも、たとえば臨海工業地帯にある大型工場群、これから出る汚濁負荷量が実は日本では非常に大きいわけでありまして、こういったものは従来ともその各企業自体が処理し、あるいは企業群が共同で自体で処理しておりまして、下水道を利用していないものが圧倒的に多いわけであります。こういうものは自己処理によって下水道の処理場での処理の程度と同程度まで処理しておりますし、将来ともその工場地帯が住宅地帯に変わるということもまずあるまいと見通せますから、あえて下水道を利用するまでもないということでありますけれども、その他の内陸部等にある工場、特に点在しているような工場を考えますと、いつそれが工場が移転して住宅地になったり、他の事務所用地になったり、あるいは工場自体の業種が転換したりしないでもないわけでありますので、やはりそういう場合に備えて初めから工場排水もひとしく受け入れる、ただし有害物質は決して入れさせないようにしておくということが本来の姿ではないかと思います。
#41
○望月邦夫君 さっきも話がございましたが、下水道事業を推進する、非常に国の施策としては重要なことでございますので、各県におきましてもきわめて積極的な態勢で臨んでいると思うわけでございますが、しかし、現在工事を執行している地方公共団体等におきましても、まだまだその執行体制、すなわち技術者が足らない、したがいまして、あなた任せというような状態があるのではないかと思いますが、この技術者養成の現況でございますが、下水道事業団で相当な訓練をされていると思いますが、大体年間どの程度の技術者の養成をされているか御説明願いたいと思います。
#42
○政府委員(吉田泰夫君) 日本下水道事業団の事業として養成している数は、五十年度までの累計で約千六百四十人、さらに五十一年度計画ではこれを大幅に拡充しまして一年で千二百人、行く行くは千五百人程度まで持っていこうという計画でございまして、各公共団体も人手が足らないところで、ある程度長期間研修に参加してもらうために公共団体によっては研修員を出し渋る向きもないわけではありませんでしたが、このたびの予算で下水道事業に対する研修費に対する助成も強化いたしまして、公共団体あるいは本人負担も軽減いたしておりますので、今後は下水道事業団による研修も相当実効を上げてまいると思います。
 そのほか、短期間ではありますが、下水道協会等市町村の連合が主体となっているそういった組織での研修あるいは講習もありまして、あるいは他の類似部門からの下水道部門への転換等を通じますと、都道府県におきましても市町村におきましても技術者数は逐年急激に伸びてきておりまして、今後もその勢いで伸ばしていくことができれば、今後の相当の大幅な下水道事業も十分こなしつつ、かつ維持管理も体制を整えられると私ども考えているところでございます。
#43
○望月邦夫君 次に、琵琶湖総合開発と第四次五カ年計画との関係でございますが、最近琵琶湖総合開発事業につきまして、資金的あるいは期間的な問題から計画を再検討する必要があると言われておりますが、この場合におきまして、琵琶湖総合開発の計画の再検討がなされた場合におきまして、さきも御答弁がございましたが、第四次五カ年計画で十分対応できるというお話でございますが、これを一応確かめておきたいと思いますが、いかがですか。
#44
○政府委員(吉田泰夫君) 琵琶湖総合開発計画自体の見直し作業も行われていると聞いておりますが、これが現在の計画は四十七年度から五十六年度でありますけれども、恐らくは多少最終年度も延びるのではないかとも考えられますので、このたび三倍近い大きな五カ年枠の増大があったわけでありますから、琵琶湖総合開発計画中の当面五カ年の必要量は何とか確保したいと考えております。
#45
○望月邦夫君 最後に、それでは琵琶湖等の閉鎖水域に対する下水道事業の運営に当たりましては十分な配慮がなされることを特に希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#46
○委員長(中村波男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十五分開会
#47
○委員長(中村波男君) これより委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#48
○二宮文造君 午前中に引き続いて質問をさしていただきたいと思いますが、先ほども議論がありましたように、下水道の早期整備はもはや国民的な要請と、こうなっております。しかし、それに対して現状は、整備の状況がきわめて不十分で、水質の汚濁による公害の発生とか、あるいは生活環境の劣悪化、こういうふうな社会問題を惹起しておりますが、まず冒頭に、そういう下水道施設の整備の現況の中から、大臣のいわゆるそれに取り組む基本的姿勢、それをお伺いしておきたい。
#49
○国務大臣(竹下登君) 二宮委員御指摘のとおりでありまして、下水道行政が、なかんずく他の先進諸国に比べまして、これだけの経済力とそして知識、技術能力を持つ国民としてはまさに最もおくれておる公共環境行政に残念ながら位置づけをしなければならない問題だと、私も理解をいたしております。で、下水道は、浸水の防除でありますとか、あるいは水洗化の実現等によりまして、まさに安全快適な居住環境を確保いたしますとともに、全国的な急務となっております御指摘の水質環境基準の達成を図るためにもきわめて重要であることは論をまたないところであります。近年、下水道について早急な整備を求めるまた世論も大変高まっておるという状態でございますので、今後とも積極的に下水道の整備を進めるべく、微力ではございますが、最大の努力をしなければならぬ、このように考えております。
#50
○二宮文造君 そこで、昭和四十六年いわゆる第三次五カ年計画、これが始まりましたが、四十六年以降昭和五十年までの総人口普及率の推移、これをひとつ御報告願いたい。
#51
○政府委員(吉田泰夫君) 昭和四十六年に一六・六%、それが四十七年一八・五、四十八年一九・五、四十九年二〇・五、五十年末二二・八%というふうになっております。
#52
○二宮文造君 大臣、いま力点をこれからも注ぐと、しかし、この第三次五カ年計画はそういう意味では整備がおくれているということを言挙げて、さらに早期に整備をしようということで、たしか、第三次五カ年計画の最終年度である昭和五十年の普及率の目標は幾らでしたか、総人口普及率が三七・二の目標だったと思いますが、現況はいま御報告いただいた二二・八という落ち込みに終わってしまっています。ですから、それだけ国民の要請にはこたえられていないという数字がここに出てまいるわけです。さらにまた財政の都合もあったんでしょうが、私ずっといままでの計画目標というものを並べてみますと余りにもばらつきが多過ぎる。そのときそのときで適当に数字をはじき出し、財政の都合でそれをまた改定をするということが平気でなされている。これはひとつこれから計画を策定するに当たって、一たん立てた目標というものはそう安易にそれを動かさない、こういう基本姿勢があってしかるべきではないかと思うわけです。たとえばさきの新国土建設の長期構想の中に盛られた目標は、昭和六十年をその目標年次にしまして、総人口普及率で九〇%、市街地人口普及率で一〇〇%と、こううたっております。そして、たしか四十八年に策定をされました経済社会基本計画の中では、昭和五十二年度末に四二%、こういう目標年次を置いております。また、今度策定をされました第四次五カ年計画はそれよりまたずれまして、昭和五十五年度末を目標に四〇%の総人口普及率を設定する、こういうふうに、一たんは景気よく打ち上げておいて、そしてその年次が重なるにつれてだんだん目標がずれてくる。こういう計画策定はきわめてまずいのではないかと思うんですが、数字は別として、こういう行き方について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#53
○国務大臣(竹下登君) これは二宮委員御指摘のとおり、私もその問題について絶えず疑問を感じておる一人であります。高度経済成長下にありましては、いわゆる事業費の面におきましてこれが充実をするというのは、五カ年計画のものがあるいは三カ年でそこまで到達するとか、新たに新しい五カ年計画をつくってより規模の大きい計画を立てて遂行していくと、そういう中に国民の皆さん方の要望というものが政策の中に昇華せられてきた。なかんずく減速経済になりましてから、私は先般も予算委員会における住宅五カ年計画の御質問のときにもつくづくと指摘を受け、みずからもそういう同じ認識に立ちつつ苦しい答弁をしたのでありますが、なるほど、いわゆる事業費ベースではそれなりの目標を到達しておりましても、ああした経済の激変、狂乱物価、そういう状態の中にこれが事業量ベースではじいてみますと、目標をかなり大幅に下回っておるというのが今日の五カ年計画の実態であると思うんであります。したがいまして、ところが経済の推移というものを勘案したときに、今後はそれだけの急激な変動はないにしても、やはり従来の経過からして、まず事業費ベースでこれをこの目標達成の一つのめどにしていくというのはやむを得ないことではなかろうかと思うのであります。
 これが事業量ベースで目標に確実に到達するようなまでに努力をしなければならない。それには私は、たとえて申しますと、この下水道を例にとってみますならば、それこそ非常にそういう要求の強い、たとえば補助対象範囲を広げたら総枠の中では事業量との兼ね合いで事業量がそれだけ少なくなっていくとか、あるいはまたこの補助率そのものでも、その年度の予算の編成の単年度主義におきまして、その年度の予算折衝の際、それが仮にもし達成されたら、その少なくとも年度内においてはこれがまた事業量との兼ね合いになっていくと、そういう問題がございますだけに、私は事業量そのものがまさに確固不滅の目標として国民の皆様方にお約束できない状態であるということを、まあ非常に私なりに残念に思うところであります。
 住宅にいたしますならば、それこそ戸数でこれを規定いたしております。そこにまたいわゆる民間投資等に期待をかけたりいたしておりますので、やや全体の中に融通性がございますものの、少なくともこうした下水道でありますとかあるいは公園でありますとか海岸でありますとか、まあそうした問題におけるこの事業費と事業量という両方を国民の皆様方にお示しして、もって長期計画の青写真としてそれを一つの暮らしの希望の中に位置づけていただくということが最も好ましいと思いながら、現実このいわゆる事業費ベースでもって国民の皆さん方のお約束をかなえ、一方事業量ベースにおいてはお約束よりもああした状態のもとにははるかに下回っておると、これは非常に残念でありますが、私は安定経済基調と、そしてまた今度の五カ年計画というものが、いわば成長から生活へというような大転換を余儀なくされたといいますか、大転換をした計画でございますだけに、およその物価上昇というような見込みも立てながらも、事業量ベースにおいても国民の皆さん方にお示しした青写真というものがそのとおりに実現されていくように今後努力を精いっぱいやってまいりたいと、このように考えております。
#54
○二宮文造君 せっかくの大臣の答弁ですがね、二点にわたってお言葉を返しておきたいと思うんです。といいますのは、まず初めに大臣は、減速経済ということを理由にして、したがってその目標が下がってくると、まあ高度成長時代と違った目標の策定になったというお話でございますけれども、たとえば第三次のその五カ年計画を策定したときは、この減速経済は予想されてなかったわけです。そして三七・二%という年次目標を置いておいて、毎年の進捗率というのは、これはもうきわめて微々たるものでした。
 それからまた、事業費と事業量と、こういうふうな説明のされ方をしましたけれども、国民生活に影響があるのは事業費ではありませんで事業量です。しかも目標の設定は量で設定をされております、総人口普及率という量で設定をされている。そういうところから考えますと、余りにも安易に普及率の目標が設定されたのではないか、見せかけに終わったのではないか、そういう五カ年計画ではなかっただろうかという私は心配を持つわけです。ですから、せっかく第四次の五カ年計画をつくっていただきました、そしてそれに四〇%という目標を設定してもらったけれども、この第三次の伸びを見ますと、とうていこれから五カ年で二二・八から四〇%にまで伸びるという予想はつかないわけです。にもかかわらず、第四次計画というものを非常に売り物になさっているんですが、これはもう少しどうでしょうか、現実に足をつけたような計画にした方がいいんじゃないでしょうか。
#55
○政府委員(吉田泰夫君) 第三次五カ年計画の達成状況が量において非常に低いという点はまさに御指摘のとおりでございまして、閣議決定による五カ年計画は量と事業費両方で決めているわけですから、金額だけ達成して得々としておるわけにはいかぬということはおっしゃるとおりです。しかし、この第三次の期間というのは本当に国家の経済がひっくり返るほどの時期を経たわけでございまして、たとえば下水道の管渠、処理場等について単価アップの分だけを見ましても約一・七倍ということになっております。そのほかに処理場のふたをしないで済むのではないかと思われた地域でも、最近ではことごとくふたをして悪臭を防ぐという必要が出てまいりましたし、それから計画数量がふえたりした要因で、これが一・六倍の数字を示します。また管渠の工法の変更、シールド工法の採用等々でございますが、こういった要素でも数割の引き上げを余儀なくされたということで、複合いたしまして二倍はおろか三倍程度の平均の単価になってしまったということです。第四次計画では、このような工法上の問題、あるいは上乗せ排水基準が第三次の期間ほど次々と追加されるというような要因もなく、また下水処理場は必ずすべてふたをするという積算をいたしておりますので、残るものは物価だけ、ほとんど物価だけでございます。その物価もこんなに七割もふえるというようなことはまずあり得ませんし、しかしながら、全く横ばいとも思いませんけれども、年数%の仮に建設資材あるいは労務費のアップを考えれば、四〇%という目標率は金額だけでは多少ダウンしますが、少なくとも第三次計画のような見せかけに終わることは決してないと私どもは考えております。
#56
○二宮文造君 そこで、昨年の下水道事業センター法一部改正の際に本委員会で附帯決議がついておりますが、この中身の説明もいただきたかったわけです、その後の経過ですね。ですが、あとの質問でそれらも含まれてまいりますので、次に進みたいと思いますが、まあいわばいまもるる御説明がありましたその事業量で、管渠延長で五一%とか、あるいはその終末処理場の処理能力で四四%と、こういうような事業量の低い結果に終わったというふうな説明、またその原因等も御説明ありましたが、さきに決定されました昭和五十年から五十五年までの昭和五十年代前期経済計画によります公共投資の部門別配分で下水道についてはどのように配慮されておりますか、お伺いしたいんです。
#57
○国務大臣(竹下登君) 先般決定いたしました投資額トータル百兆のうち、下水道は七兆一千億円であります。
#58
○二宮文造君 シェアで見た場合、さきの新経済社会発展計画あるいは経済社会基本計画と比較してどういうふうになっておりましょうか。
#59
○国務大臣(竹下登君) シェアで見ました場合、六・三%が七・一%、プラス〇・八%と、こういうことになっております。
#60
○二宮文造君 それで、昭和五十年代前期経済計画ですね、その下水道投資額よりも策定されました第四次計画の方が四十億円多い計算になっております。これはちょうど予備費部分に相当するような計算になっておりますが、これは当初から予備費というものは使われないものとして名目だけ計上したんじゃないかと、こういう感じがしますが、この点はどう御説明されますか。
#61
○国務大臣(竹下登君) これは、従来の長期計画の中では予備費をまさに閣議決定をいたしまして正式に解除と申しますか、使いましたのは、沖繩返還に伴うもろもろの公共事業だけでありました。確かにその前の三年目ごとぐらいに新五カ年計画が策定せられます当時は別といたしまして、私は今後この予備費のあり方というものは、予見せざるものという趣旨ではございますが、もろもろの経済情勢の推移、すなわち物価上昇等も含む私はそういうものに充当し得るものであるというふうに理解をいたしております。
#62
○二宮文造君 そこで、今度は事業費の問題になりますが、第四次計画の計画期間中の各年度の事業費及び国費の伸び、これを見ますと、五十一年度を初めとして事業費で毎年三五%程度、国費で四〇%程度の伸びが必要と、こういうふうな計算になっておりますが、大臣の先ほどおっしゃった今日の減速経済、安定経済基調とおっしゃいますが、そのもとでこのような高い事業費、国費の伸びが期待できましょうか。巷間ですね、これはすでに計画達成がもう不可能じゃないか。さっきの議論に戻りますけれども、大臣はそこでこの伸びが一〇〇%確実だと、こういうふうに確約できますかどうか。
#63
○国務大臣(竹下登君) これは予算の単年度主義から申しまして、私が御確約申し上げる性格ではなかろうと思いますが、そういう完全達成を図るべく私も引き続き努力をしなければならぬというふうに考えております。ただ私は、予算折衝に対しても、私どもとして、こうした委員会における審議を背景にし、ないしはまた附帯決議等を背景にしながら折衝していきますならば、従来公共事業全体を、いわゆる昭和四十六年の促進以後抑制に回ったときにおきましても、下水道に対する伸び率と申しますものは、他の公共事業に比べればそれなりに評価ができると私は思いますので、今後とも昨年の伸び率から見ましても、確かに今後は国費においては少なくとも四〇%程度の伸びを考えなければ計画達成できない、先生の御指摘のとおりなんです。しかし、そういうことにつきましても、私もことしの予算を考えまして、本当は千五百億円の公共事業等予備費があります。これは私が一人で解除するような性格のものではございませんけれども、仮にもしそれが従来の国費ベースのシェアで申しますと、二兆五千億程度が国全体の建設省における総額でありまして、それで二千四百億円がまた下水道の国費のシェアである、こういうことになりますと、仮にもし千五百億円がそういう状態になったならば、およそ一千億が私どもの方へ回ってきまして、その中で、仮に従来のシェアの一〇%程度を見ても百億円程度のものが追加されるというようなことを考えてみますと、私はこれからそういう世論の背景に支えられながら、単年度主義とはいえ勝負をしていきますならば、かなりの伸び率というものは期待できるし、そうしてまた、それを確保しなければならない使命感を感じておるところであります。
#64
○二宮文造君 大臣の使命感をお伺いしたわけですが、ところが現実に、じゃ五十一年度の下水道関係の予算を、国の方では三六%の伸び、国費をですね、三六%の伸びと、こう計算していますが、仕事をする自治体の方からこの三六%の伸びを見ますと、細かい計算になりますけれども、国費は対前年度比が六百三十九億円の増、三六%増と、こういう計算をされておりますが、五十一年度の二千四百三十一億四千万円には五十年度の特別の地方債償還額、これは補正後八百三十三億となっております。その四分の一ですね、の二百八億二千六百万円と、五十年、五十一年度の利子五十九億二千四百万円、計二百六十七億五千万円が含まれておりますから、実際に事業費の伸びというのは、国費の伸びは三六%じゃなくて――いまのは後ろ向きの経費ですから、ですから、それを差し引きますと二一%強なんですね。地方自治体の方は国費の伸びをこういうふうにしか見ないわけです。国の方は三六%だ、仕事をする方は二一%だ、こういうややこしい計算が今後もずっと続いてまいりますと、いま大臣がおっしゃった、使命を感じて国費の伸びを確保したいとはおっしゃるけれども、中身がこういうあんこを入れたまま進んでまいりますと、結局それがまた事業量にこたえてくる、こういうふうに私は感ずるわけですが、どうでしょうか、この辺、純然たる事業費の伸び、これは事業量の伸びに直結できるような予算の計上の仕方というのはできないものでしょうか。この点都市局長、少し複雑過ぎると思うのですが。
#65
○政府委員(吉田泰夫君) 確かにこの特別の地方債、それを財源としました国庫補助金の当年度も含めた五年度の分割払いという制度が、この五カ年計画に入る前の年に実現しまして、それを踏襲して第四次の計画をいま立てているわけであります。そういうことですから、事業費の平均伸び率に対し国費の平均伸び率が、これも前提を置かなければなりませんが、まあ四三%、事業費の平均伸び率が三五という、そういう開きもそこから出てくるわけであります。非常に複雑と言えば複雑ですけれども、当面国費の不足、国費財源の非常に不足した都市に事業費を伸ばす手だてとしてはかなり効果があったわけでありまして、問題は、今後もこの特別債というものを余りにもウエートをかけてつけていくということになると、もうその償還及び金利だけでほとんどの伸び率を食われるという結果になることは間違いありません。そういうことですから、今後の毎年度の予算編成におきましても、この特別の事業債というものの全予算に占めるウエート、シェアというものをほどほどに抑えつつ進めていくということを考えざるを得ないわけでございます。
 まあ五年で償還するという点が、非常に短期でございまして、普通の財投資金でございますと、これがたとえば三十年とか非常に長いわけですから、毎年の償還費というものも格段に違うわけでありまして、私どもは財投を直接投入するということを非常に強く希望しておりましたが、この下水道事業というものが公団住宅とかあるいは有料道路のように独自の償還財源がない。独自の償還財源がないものに債券発行権限は与えられない。債券発行権限が与えられない以上財投の直接投入は困るという考え方も、確かに理屈のあるところでありまして、当面この間接的な地方債という形――その地方債の財源はことごとく政府資金である財投でございます。そういう間接手法によって実施せざるを得なかったということでありまして、もし特別の地方債であっても、償還期間が五年じゃなくてたとえば十年とかいうふうに延びれば、それだけ非常に楽になることは確かですけれども、これがまた特別の地方債の裏づけとして国庫債務負担行為制度に乗しております関係で、国庫債務負担行為で六年以上のものが前例がないというところからいまは五年ということになっております。私どもは最初に申したように、今後の予算の中で特別債に依存する率を不当に高くしないような配慮を絶えず加えつつやっていけば、少なくもこの五カ年計画の期間ぐらいは、相当の努力をすれば不可能な数字ではなかろう、こう考えておりますが、今後の事態の推移によってはいろいろ抜本的なことも考えざるを得ないかと、私見でございますが、考えている次第でございます。
#66
○二宮文造君 局長は特別債の方ばっかり一生懸命御答弁いただいたのですが、私の趣意は、国費の伸びが五十一年度は対前年度三六%だと、こう麗々しくうたってあるけれども、後ろ向きのを差し引くと結局二一%の伸びにとどまっているじゃないか、こういうふうな複雑な予算計上の仕方というのは紛らわしいからもっとすっきりしたような予算計上ができないものかと、こういうふうに申し上げたわけです。こう質問したわけです。本当に三六%で計算しましても内容は二一%の伸びでしょう。局長どうですか。
#67
○政府委員(吉田泰夫君) 私どもの計算では一・二二になりますが、端数の関係がありますから大体おっしゃるとおりです。
#68
○二宮文造君 そうでしょう。
#69
○政府委員(吉田泰夫君) はい。
#70
○二宮文造君 こういういわば風袋と中身とが違うような伸び率の計算は紛らわしいからすっきりしたように予算計上のやり方を変えたらどうかと、こう言うのですが、この点どうでしょう。
#71
○政府委員(吉田泰夫君) まあ紛らわしいもとは、特別債に主としてあるわけでございますので、先ほど特別債の話を申し上げたわけですが、特別債の制度をやめれば、国費の伸びと事業費の伸びは比例するはずでございます。
#72
○二宮文造君 相変わらず国は仕事をしたかっこうをし、しかし、それを受けた自治体の方は中身がないことで困らなければならないということです。
 そこで、いまお話が出ましたですね、結局、事業費の大幅な伸びを確保するためには国費だけでは賄い切れない。これはもう当然です。最終的には国の財政資金の活用を図る必要があり、いま局長も下水道の整備事業費に国の財政資金を直接に使用することができないか、こういうことで検討もしたけれども、現時点ではきわめてむずかしい、いろいろな理由でむずかしいというお話をされましたが、どうでしょうか、財政投融資資金を下水道事業団に流して、そしてその事業団の組織強化を図って、拡充を図って受託事業で賄う、こういうふうにしていただければという意見もあるようですが、この点はどうですか。
#73
○政府委員(吉田泰夫君) 下水道事業団に直接財投を投入するためには、立法上事業団法の中に債券発行権限を規定しなければならない。これはただ法律にそういう条文を入れればいいという意味ではなくて、そもそも債券発行権限が書き得る実体がなければならない。実体とは何かと言えば独自の償還財源があるなど、そういう資金の性質がそれに債券発行にふさわしいものでなければならぬ、こういう考え方が強いわけでありまして、その壁が、前例もないし、非常にかたいものですから、そういう意味で下水道事業団に直接財投を入れることができずに、かわりに特別の地方債という形で地方公共団体に流し、地方公共団体がその起債と国庫補助金を受け、それを財源に一部下水道事業団に委託するという間接の方式を現在とっているということでございまして、財投資金の直接投入ができれば非常に償還期限も長くなりますし、先ほど来おっしゃったような見せかけの国費と実質的な事業量の伸びとの違いという問題も解決するわけでございますが、非常に基本的な問題があって実現しかねておるという状況でございます。
#74
○二宮文造君 どうでしょう、大臣、これは確約とか何とかということじゃありませんで、そういうふうに道を開くことがやはり下水道整備を若干でも推進させることになる。将来の検討問題検討課題だと思いますが、この点について大臣のお考えをお伺いします。
#75
○国務大臣(竹下登君) これはことしおかげさまで下水道事業団という名称の変更をさしていただいて、また、業務内容の追加もさしていただいたわけでありますが、実はこれを何とかいわゆる法律に基づく特殊法人としてこの財投資金を受け入れることができる、すなわち、法制上は事業債発行業務を可能なものにしようではないかというので、私どもこれの応援団というと表現はおかしいんでございますが、下水道関係の促進議員連盟をつくりまして、私も役員の一人になりまして、精いっぱい大蔵省と当時交渉をいたしたのであります。
 それで、最初はこれがそういう法制的な問題が一つと、それからいま一つは、先輩御存じのとおりの公社公団の整理というような行政管理庁サイドの問題と、二つの中で大変に模索してできたのがセンターであります。そしてこれがやっと世論の背景、委員会の審議、また附帯決議等を背景にして事業団というものに名称がえをするし、業務の一部を加えることができるようになった。だから、私も何かこれは本当は知恵を出さなきゃならぬ。特別地方債というのも、あれも一つの知恵を出した結果であったと思うんでありますが、御承知のとおりの状態でこれが年々ふえてまいりますと、まるっきり国費は前年度の借金を返すためにちょうだいしておるのが国費であると、こういう自転車操業的な感覚に受け取られざるを得ない点もあろうかと思うんであります。何か五十二年度の予算編成の際にもう一度検討して勝負のし直しをしてみたいと、このように考えておる次第であります。
#76
○二宮文造君 そこで、第四次計画におきまして公共下水道、流域下水道、特定環境保全公共下水道についてそれぞれお話があったように、国庫補助対象率の改善が行われておりますが、相変わらず公共下水道の一般都市とそれから指定都市との格差是正が余り図られていないように見受けます。なぜ格差をこのまま設けておくのか、これは昨年の附帯決議の中にも第三項目に、下水道の整備を積極的に推進するため、七大都市、一般都市の別なく補助対象範囲の改善を図ること、こういうふうな附帯決議も当委員会でつけたわけでありますけれども、なぜこのように指定都市と一般都市との間の格差を設けておくのか、この点をお伺いしたい。
#77
○政府委員(吉田泰夫君) 一言で言えば普及率に差があること、それからこれは一般論でありますが、平均して財政力に差があること、つまり指定都市の方には特別の苦しい年もありましたが、長期的に見れば財力もあって起債によって当面の資金を確保できればそれを消化する力があるというような意味合いで、従来から歴史的に非常に大きな格差があったわけでございます。第四次の五カ年計画の際には附帯決議の趣旨もございましたし、私どもも相当強力にこれの格差是正を考えたわけでありますが、いかんせん全体の事業費も大幅に伸ばさなければならないし、そういった中で思ったほどには補助対象率の引き上げはできませんでした。ただ、一般都市については終末処理場の環境対策費を補助対象にするというふうにとどめまして、それを複合して七四%が七五%に一%しか上がらなかったのに対し、政令指定都市においてはその分を含めてごくわずかではありますが、四一・六%から四五%まで引き上げることができました。従来の格差に比べれば若干縮まっているというのが第四次計画の姿でございます。歴史的なこととか普及率の差ということだけで御納得いただけるかどうかわかりませんが、現実の問題としてこういった形で従来も何とか大都市でも事業は進められておりますし、今後も進められると思いますので、はなはだ不十分ではございましたが、今回はこの程度の格差是正にとどまったことを御報告申し上げます。
#78
○二宮文造君 ちょっと納得できない面が多分にあるわけですが、そこで次に進みますけれども、第四次計画で指定都市の分類に札幌、川崎、福岡、この三市が新たに加えられたわけですけれども、これはどうして――先ほど普及率の関係と、こういうふうなお話がありましたが、普及率で見ますと、五十年度末の推計では福岡市は三八%、横浜は二八%、川崎は二八%、これはそれまでの七大都市に比べてぐんと落ちているわけですね、この落ちている分を、さらに普及率のおくれているこの三つを中へ加えるとこれはどういう関係になりましょうか。これはこの新しい三つの都市にはプラスになる加え方なんですか、マイナスになる加え方なんですか。
#79
○政府委員(吉田泰夫君) この際七大都市を十大都市にしましたのは、従来五カ年計画の途中で政令指定都市になった場合に、五カ年計画の途中であっても直ちに大都市の分類に入れるというのもいかがかということから、たとえば北九州市が大都市に加わったときにも五カ年計画の改定の機会に編成替えをしたということでありまして、今回の三大都市も第三次五カ年計画の途中で政令都市になったのですから、第三次期間中はそのまま据え置いて、一般都市並みの扱いとし、第四次の際に切りかえたということであります。そうしてその切りかえのために、その三大市は有利になるのか、不利になるのかということでありますが、補助対象割合が従来より下がるという面では、それは不利と言えば不利なんですけれども、私どももあえてこの際に普及率の低い三大都市を政令指定都市の仲間に入れるからには、少なくとも国費ベースで従来の三大都市に振り向けられた額を考えまして、これを基礎に今後も伸ばしていくということをしよう。そうすれば、補助対象率で逆算しますと、総事業費、地方単独も含めて総事業費は格段にふえることになります。その三大都市の財政当局としては、単独事業がふえることはある程度きついと思いますけれども、事業費の増に挙げてその分を回すという方針でございますから、普及率が急速に進むことは間違いありません。そういう意味ではプラスの面があると思います。
#80
○二宮文造君 結局ですね、大都市には人口が集中していますから、人口が集中していればそれだま生活排水あるいは工場用水というものが出て、いわゆる環境保全、水質保全というものには、大都市というものが、政令指定都市ですね、こういうところがやっぱりマークされなきゃならぬ。そういう意味で従来国の予算の張りつけ方を見ますと、総事業の枠というのを決めて、それを張りつけていくわけでしょう。そうすると、この新しい三つの都市のように、普及率がおくれているところ、しかも自治体の財政力というのは前の七つよりもやっぱり弱いといいますか、基盤が弱いと見なければなりませんね、それだけ小さいですから、入れ物が。そうしますと、どうなんでしょうか。大きないわゆる東京、それから大阪あるいは名古屋、こういうふうなところの事業枠に食い込まれて、ただでさえおくれているこの新しい三つというのは、ちょっと食い込みにくいというのがわれわれの素人的な感覚になるわけですが、それは行政的に配慮すると、こういう意味ですか。東京だとか大阪から出てきても、それをカットして、そしてそれを優先的にそっちに賄い切れる分野を精いっぱいまで見ていく予定ですと、こういう趣旨でプラスになるとおっしゃるんですか。
#81
○政府委員(吉田泰夫君) 東京、大阪等の分をカットするというよりも、結局はそちらの方から回すことになるのかもしれませんが、従来補助対象率が高かったために、ある総事業費を想定して、それに高い補助対象率を掛けた国庫補助金を配分していたわけです。今回その補助対象率の高い計算で配分していた国費の実績を、これを人並みに伸ばす、国費を伸ばすという配分をいたしますので、逆算して総事業費は非常に伸びるということになる。要するに補助対象率が少なくなった場合に、それを総事業費をほかの都市並みにふやすという配慮だけですと、ダウンした分だけ明らかに不利になりますが、そうではなくして、むしろ事業量がふえるような形で、国費自体の絶対額はふやすという配分を行政上すると、またこれはいかに五カ年計画で改定期とはいえ、従来より高い補助対象割合を低めることもやむを得ぬと言っていただいたその公共団体の熱意にこたえるためにも、ぜひやろうということで、五十一年度予算でも明らかにそういう配慮をいたしました。
#82
○二宮文造君 答弁が十分に私も不勉強で理解できませんけれども、そういうような心配があるということを指摘して次に進みたいと思います。
 次に、環境基準の達成と、それから下水道の整備のあり方についてお伺いしたいわけですが、従来水質環境基準の水域類型、この指定がなされてまいりましたが、この説明も報告もいただきたいのですが、時間の関係ではしょりまして、ちょっとお伺いしたいんですが、公害防止計画策定区域の指定と、それから水質環境基準水域の設定との関係をちょっと御説明いただきたいのですが。
#83
○説明員(林亨君) お答え申し上げます。
 公害防止計画の策定に当たりましては、水質の目標値といたしましては、水域の類型を指定されております場合には、その指定された類型を用いております。まだそれが未指定の場合は、いろいろケースはございますが、暫定的に計画の中で、暫定的な目標値を定めまして、それに合わせて諸施策を進めていくということに相なっております。
 以上でございます。
#84
○二宮文造君 そこで、けさほども質疑がございましたが、六百の水域の中で、未指定水域が現在二百八十二水域があると、このように記憶をいたしておりますけれども、このうち今後国及び県が指定を予定している水域、これは一体どれぐらいありましようか。また、これらの水域の類型指定の方針ですね、これを伺っておきたいと思うのです。
#85
○説明員(林亨君) お答え申し上げます。
 先生おっしゃいました六百と申しますのは、私どもも従来おおむね六百という言い方でやってまいりまして、ちょっと午前中でございましたけれども、ほかの先生にお答えいたしましたときに、五十年度末で県際水域四十七水域と、それから委任水域が三百七十五ございますが、合わせまして四百二十二と、五十年度末で類型の指定の終わりましたのが四百二十二でございます。なお、五十年度に環境基準の類型指定をするための調査を行いましたところが七十八水域ございまして、なお、本年度五十一年度八十水域の類型指定のための調査を行っております。ですから、七十八足す八十というふうにいたしますと、百五十八になりますが、それに四百二十二と足し算をしますと五百八十という数字が出てくると思います。水域によりましては勘定の仕方が若干場所場所でちょっと異なったりしておりますので、おおむね六百と御理解いただければよろしいと思いますが、残りの、先生いまおっしゃいました二百に近いような数字は、主要な水域の数でございまして、なお支川や何かを入れますと、県ベースでもっと数がございます。ちょっとそれを御理解いただければと思います。
 以上でございます。
#86
○二宮文造君 国及び県で類型指定がなされた、そのうちで流域下水道事業が実施されている水域、これは幾つありましょうか。
#87
○政府委員(吉田泰夫君) 六十八水域でございます。
#88
○二宮文造君 もう一つ、いま第四次計画で追加ないし、予定している水域はどのぐらいありましょうか。
#89
○政府委員(吉田泰夫君) これは内容までまだはっきり固めておりませんが、したがって検討中なんですけれども、およそ四十水域ぐらいになると考えております。
#90
○二宮文造君 そこで、県際水域の問題でありましたけれども、これはけさほどありましたから、それで、現在、流域下水道事業の国庫補助対象の採択基準がないようでありますけれども、人口規模なども盛り込んだ基準を定める用意があるのかどうか、これをお伺いしたい。
#91
○政府委員(吉田泰夫君) 流域下水道事業の採択基準としては、従来は下水道法にありますように、二以上の市町村の下水を受け、水質環境基準の定められた水域の水質保全に必要なものということの程度のもので非常に簡単なものだったわけですが、今後の計画を考えていく場合に、おっしゃるように、水域の総人口とか処理区の計画人口、こういった規模など考慮しまして、具体的な基準によって新規採択をしていくということを考えたい考えております。
#92
○二宮文造君 あと、農村の場合と、それから事業費の問題ありますが、それははしょりまして、次に除害施設についてお伺いしたいと思います。
 現在の生物学的な処理になじまない水銀などの重金属、あるいはシアンなどの有害物質が発生源で一定基準まで除去することが必要だ、これは当然なんですが、このための除害施設の運用強化、これは今回の改正の要点にもなっておりますけれども、この除害施設の設置状況は一体どうなっておりましょうか。
#93
○政府委員(吉田泰夫君) 五十年の十二月末に調査いたしましたところ、除害施設の設置済みのものが六千八百二十三あるという報告を受けております。
#94
○二宮文造君 推定工場の何%ぐらいになりましょう。
#95
○政府委員(吉田泰夫君) 六〇%強であります。
#96
○二宮文造君 除害施設の設置に関して、下水道法第十二条に基づく条例の制定状況はどうなっておりましょうか。
#97
○政府委員(吉田泰夫君) これは処理開始した都市数が二百二十八でございますが、そのほとんどが条例をつくっておりまして、数で申しますと、二百二十八のうち二百十四ということでございます。
#98
○二宮文造君 公共下水道管理者は、悪質な汚水を公共下水道に排水するおそれのある事業場に対して排水の水質を測定して記録しておくことを義務づけておりますけれども、これに関する指導を行っている都市はどのくらいありましょうか。
#99
○政府委員(吉田泰夫君) 四十九年度の分を調べてありますが、五十八都市でございます。
#100
○二宮文造君 さっきの条例で、何ぼの五十八ですか。
#101
○政府委員(吉田泰夫君) 条例制定が二百十四。
#102
○二宮文造君 それの五十八ですね。
#103
○政府委員(吉田泰夫君) はい、そうです。
#104
○二宮文造君 じゃあ除害施設等の立入検査を実施している都市は幾つありましょうか。
#105
○政府委員(吉田泰夫君) 同じく四十九年度百三十都市です。
#106
○二宮文造君 さらにもう一つ、勧告、排水設備の改善命令、排水停止などの監督処分を実施している都市は幾つでしょう。
#107
○政府委員(吉田泰夫君) これは四十九年度はちょっと少なくて十七都市ですが、四十八年度には五十都市やっております。
#108
○二宮文造君 いま御報告を、数字をずっと並べていただいたのですが、条例はまあまあとして、後きわめてその状況が芳しい数字にはなっていないわけです。こうした状況は、除害施設の指導、水質検査等について公共下水道管理者側の体制が十分でないことを物語っている、このように私は思うわけです。下水道事業が目下建設途上のものであるだけに、建設部門に人も多く投入されて管理までに手が届かない、こういう実情はよくわかるわけですが、これは各都市の偽らざる姿だろうと私は思います。こうした中で今回の改正の実効、これは期待できないと思うのですが、この点はどのように処置されていきますか。
#109
○政府委員(吉田泰夫君) 確かに適正な維持管理を行い、なかんずくこういった特定施設に対する随時の監督権限の行使ということが非常に重要なわけであります。そういうことで下水道を次々に建設することもさることながら、処理開始した処理場の維持管理、監督行政、除害施設の指導というものが非常に重要であるということをかねてから強調して指導してまいりました。そういうことで除害施設の設置数も近年大幅に増加してまいったわけでございます。
 その執行体制につきまして四十九年度の状況を調べますと、除害施設の設置指導を専門に行う組織を有する都市が八十八都市でありまして、専任職員が全部で四百人ぐらいということであります。しかもそのうち百二十人が十大都市ですから、十大都市以外では人数としても必ずしも十分でない、こういうことになります。まして今度の法改正によって特定施設設置の事前届け出を受け、審査をしてチェックの上、必要な計画変更命令等を行う、あるいは特定施設設置後も実態を把握しつつ必要な改善命令等を行うという新しい権限が加わりますから、いままで以上に強力な体制の整備が必要でございます。法律をつくりましても実施体制が整わないということでは、おっしゃるとおり実効は上がるとは申せないわけでありまして、この点について今度の法改正を機会にその責務の重大性を強く訴えながら、主として研修あるいは養成、それから類似部門の技術者の下水道部門への転換、あるいは新規採用等における下水道担当者の採用の強化といったことをもちまして、逐次早急にその体制を整えるようにいたしたいと思います。
#110
○二宮文造君 いわゆるその執行体制の保護の問題もありますし、もう一つはやはり工場側といいますか、中小企業、けさほども議論がありましたように中小企業が多いものですから、いわゆるその施設をつくる資金的なゆとりというものがない。したがって、監視体制、指導体制を確立すると同時に、今度は施設をつくる側の融資制度だとかあるいはそういう助成措置、こういうものをやはり抜本的に考えませんと、せっかくこういうふうに決められていても積極、消極両面から問題を進めていくのがむずかしくなろうかと思います。この点はけさほども質問がありましたので、この助成措置あるいは融資制度の改善、そういうものを考慮していただくことを要望して、この問題はこれで終わりにしておきたいと思います。
 それから次に、三次処理の問題についてお伺いしたいんですが、現在いわゆる窒素、燐、BOD値を五PPmですか、そういう程度に処理していく三次処理、その現在三次処理が必要と考えられる水域及び地域、これはどのくらいありますか、お伺いしたい。
#111
○政府委員(吉田泰夫君) 三次処理が必要と考えられる水域というのは、通常の二次処理では水質環境基準が達成困難だというような場所と、それから閉鎖性水域で富栄養化をどうしても防がなきゃならないというような場所でございます。そういう場所につきましては将来の地域別の人口、産業の発展動向にも関係しますから、確定的に想定できるわけでもありませんけれども、三大都市圏などの人口、産業の高密度の集積している地域、あるいは琶琵湖、霞ケ浦、瀬戸内海、東京湾等の閉鎖性あるいは準閉鎖性の水域等を考えますと、ざっとした数字で申すと三十水域程度は必要ではないかと考えます。
#112
○二宮文造君 いま三十水域というふうな程度とおっしゃいましたが、第四次計画ではうたい文句があるわけです。水質環境基準の達成、維持及び湖沼、内湾等の閉鎖性水域の富栄養化防止のため下水の三次処理施設の建設を推進すると、こういうふうにうたっているわけですが、この計画期間中にいまおっしゃった三十水域程度のうちどこにその建設を予定されているのか。
#113
○政府委員(吉田泰夫君) 従来三次処理につきましてはほとんどやっていないにひとしくて、わずかに実験、あるいは大型実験施設としての三次処理が数カ所で行われていた程度だったわけです。これをこの五カ年計画ではまさに実用そのものとして着手していこうという意味で、そのようにうたったわけでありまして、やはり量的にはまだ二次処理も不十分な段階ですから、それほど大きく取り上げるというわけにもいかないと考えております。したがって、水域の数についてはちょっとまだ今後の推移を見て考えたいと思います。
#114
○二宮文造君 地域の数ではいま答弁できない……。じゃあ今度は事業でお伺いしましょう。これらの事業費、第四次計画の中でどの程度予定されてますか。
  〔委員長退席、理事松本英一君着席〕
#115
○政府委員(吉田泰夫君) これも表に確定的に出るわけではありませんが、私ども内部的には約三百八十億円程度を想定しております。
#116
○二宮文造君 先ほど私ですね、こういうふうに柱を掲げてうたい文句のようにしているという、やや誇張したような言い方をしたのはここに意味があるわけです。といいますのは、概算要求の段階では三次処理の施設建設費を三千二百億円計上した、こういうふうに伺っておるんですが、いまお伺いすると三百八十億、約十分の一、そうしますと四次計画の中でこんなにりっぱにうたい文句にしておきながら、しかも概算――だから、うたっている理由はあるわけです。概算要求の中では三千二百億円計上していたわけです。それが三百八十億、十分の一に落ち込んだ、だから、せっかく立てた柱が名前だけに終わっているような感じがするわけです。どうしてこんなに落ち込んで、またそれを納得されているのか、その点ちょっと説明をしっかりしていただきたい。
#117
○政府委員(吉田泰夫君) 確かに十一兆という規模の概算要求をいたしました。それだけありますと四八%程度の総人口普及率になるということでありますから、三次処理にも相当量的にウエートを置けるということであったわけです。で、七兆五千億、予備費を除くと七兆一千億ということになりますと、これは要求の比率でそれぞれダウンしていくというわけにもいかないだろう、何といっても二次処理を早急に広げて、総人口普及率をまず高めていくということが第一義的に必要であろう。しかしながら、三次処理の必要な場所も相当ありますから、それに本格的にかかる、本格的というのは量的にはまだ十分じゃありませんが、要するに実験あるいは大型実験施設としてではなくて実用そのものとしてかかる、こういう意味でございます。そういう第一歩は踏み出しておきたい、こういう考えからうたい文句の中には三次処理を実用という意味で踏み出すことは、量は少なくても新機軸であるからうたっておきたい。それは次のまた五カ年計画のときの大きな第一歩になる、こう考えておりました。金額は非常に要求に対するダウン率としては、まことに申しわけない程度になりましたが、やはり二次処理優先ということを考えますと、やむを得ないことと私どもも考えたわけでございます。
  〔理事松本英一君退席、委員長着席〕
#118
○二宮文造君 答弁は、二次処理がまだ十分にできていない段階だから、三次処理までまだ十分手が回らないと、必要度はわかるんだけど手が回らないという話なんですが、しかし、考えてみますと、三次処理施設というのは一次、二次の処理の後から建設される。こうなりますと、一次、二次、三次と、この関係を有機的に連携をとっておきませんと不経済な施設になってしまう。そのために結局維持管理費が高くつくというようなおそれがあって、やはり二次処理は十分できていないということはよくわかりますけれども、せっかくここにうたい文句として三次処理をあげた、そして後々のことを考えますと、すでにいまの段階から三次処理というものには相当なシェアを占めた考え方でよろしいんではないか。それがいま局長の答弁だと、二次ができていないんだから、しかも概算要求して十分の一に落としてやむを得ないというような考え方ではまずいんではないだろうか。後々のことも考えて、この際やはり三次処理というものについて、その施設を含めて、そのうたい文句にあるように、きちっと言葉の中身というものを措置されるべきではないんだろうか、こう思うんですが、この点どうでしょう。
#119
○政府委員(吉田泰夫君) 確かにおっしゃるとおりでして、実は先ほどおよそ三百八十億くらいをいまのところ想定していると申し上げましたが、そのほかに、事用地に関しましては、二次処理施設の用地だけを先に買収して、将来三次処理をするときにその隣接地を追加買収するということがなかなか困難なことが多いわけでありますので、三次処理に必要な用地を一緒に買うという予算は認めておりまして、それは三百八十億の外でございます。そうして三次処理の施設にはすぐかかれないまでも、用地を確保し、全体計画の中で、将来ここに三次処理施設を配置するというような全体の計画を立てた上で、効率のよい設計、系統の流れというものを配慮しながらまず二次処理施設をつくっていくと、こういうような配慮はいたしておるところでございます。
#120
○二宮文造君 三次処理に関連して、下水の汚泥の処理、これがまた大きな問題になっておりますけれども、この汚泥の処理は従来は沼とか沢とかそういう低湿地だとか、あるいは臨海部の埋め立て可能な地域等にそれを処置しておりました。しかし、最近ずっと急速な市街化によりまして、そういう場所を選ぶということもなかなかむずかしい。また、いわゆる都市近郊での陸上処分、これもきわめて困難になってまいりまして、問題は、活路としては、いろいろ問題も出てきますけれども、海洋投入の問題だとか、あるいは農業利用、建設資材への転換、こういうふうな資源としての利用促進、これなんかも問題になってくると思うんですが、この開発状況は一体どうなのか。
 それから、いまちょっと私申しましたが、横浜市で調査しましたら、何か海洋投入の方が施設等の費用なんかを考えますと安くつくんじゃないか。もちろんこれは海の自然環境を保全するという問題は別にはらんできますけれども、海洋投入処分という方がより安くつく、こういうようなデータも出てきたようでありますけれども、そういう水産資源への影響とか自然環境の保全とかいう問題を別にして、もしそれが可能であるならば、いわゆる海洋投入の場合の船、それに対する助成、あるいは今度は資源の開発、資源への転換といいますか、そういうような技術開発、こういう問題等を含めて、汚泥の処理についていま建設省ではどういうふうな方向でこれから措置をし、指導していこうとされているのか、この辺をお伺いしたい。
#121
○政府委員(吉田泰夫君) 一番望ましい方法は資源として有効利用するということでございまして、自然の肥料、土壌改良材等、主として農業等に利用することができれば、これが大地に還元されてサイクルに乗るということですから最も望ましいものと考えております。現在のところ、まだ汚泥の中に有害物質が入っていることが多いとか、その他実用化の採算性等問題な点がありまして、十分な量にはなっておりませんけれども、将来の方向の本命は再利用にあると私は思います。そのための技術開発が非常に急がれるとともに、汚泥の中に有害物質が決して入り込まないような、今回の下水道法の改正等もその一つでございますけれども、そういうことが確保されるということがその前提になります。海洋投入の処分を行っている都市は若干ありますが、これも同様に有害な物質が入っていればもちろん問題になるわけでして、そういうものを除去したものであれば、相当遠距離の海流が流れているようなところにまで持っていって投入するということは一つの方法であると思います。有害物質が入っていなければ海流等によって間もなく拡散されますし、さして問題はないという気もいたします。横浜でもそういうことを研究したことがおっしゃるとおりありまして、計画もされたようですけれども、いろいろ別の問題もあるということから、いまでは横浜では考えていないようでございます。いずれにしろ、もし海洋投棄などをやるとすれば、それはほかならぬ下水汚泥の処理のためのものだから、その船その他に国庫補助していいじゃないかという点は、私どもも検討しなきゃならぬと思いますが、ただ実際は、専用の船を抱えるということは公共団体にとってむしろ大変なことになりまして、現在海洋投棄をしているところでも、大体は民間の船にやらしているということでございますので、もし公共団体みずから船をつくって保有するというようなときには十分検討いたしたいと思います。
#122
○二宮文造君 いままでずっとこうお伺いしてきたわけですが、どうもやっぱり下水道の整備というのが、現状が先進んで、後から後から追っかけていくようになって、手が十分に回らない、こういうふうな感じもしますし、またそういう趣旨での答弁のように思ったわけです。これはどうしても早期に整備をしていかなければならぬ問題です。
 そこで、全然切り離した質問になりますが、具体的にちょっとお伺いしたいのは、一つは補助率をアップしてもらいたい、こういう切実な自治体での要望があるわけです。たとえば終末処理場につきましても、今回芝張りとかあるいは植樹、こういうものは補助対象に加えられるようでありますけれども、門だとか、さくだとか、あるいはへいだとか、これは相変わらず対象外に置かれているわけですね。そうしますと、家で考えてみても、芝、それから植樹、同時に門だとか、さくだとか、へいだとかいうのは部分ですよ。切っても切れない部分、中の方はめんどう見るけれども、周りの方は対象にしない。これが案外また自治体で大きな負担になってくる。さらにまたこの終末処理場というのは、どこの自治体でも、どこそこに設置するとなると、その周辺の部落が挙げて反対するわけです。そうしますと、それを説得するには何か集会所の設備をするとか、あるいは代替施設をつくるとか、要するに住民の皆さんに納得してもらうための出費というのが要るわけです。いわゆる関連施設ですね、終末処理場そのものには直接関係しませんけれども、そこへ持っていくためにはどうしても設置しなきゃならぬ施設、こういうものについてもどうやら対策外に外されておる、こういうことが終末処理場の選定、あるいはまた自治体がそれの仕事をしていく上に非常な隘路になっていると思うんですが、この辺に対する将来の見通しはどうでしょう。
#123
○政府委員(吉田泰夫君) 従来、非常に切実で、かつ、もうどうしても必要であった植樹等の環境対策費、これも補助対象割合から外れておりましたが、今回強く要請しましてこれを実現いたしました。残るものは門、さく、へい等のいわゆる付帯的な施設なんでございますが、これも処理場である限り、必ず要るという意味では同じことなんですけれども、処理場としての機能上に直結するようなもの、そういうものを補助対象にしようという従来の考え方にようやく――環境対策をやらずして処理場ができないんだから、これも直結の部類に入れろという要請をして実現したものでございます。
#124
○二宮文造君 門、さくは入ったの。
#125
○政府委員(吉田泰夫君) いや、緑化の費用ですね。門、さく、へいは、たとえば類似の学校などを考えましても、やはり補助対象外にされておりますし、これを下水道の処理場の場合だけ取り込むということはなかなかむずかしいと思います。もちろんこの部分についても起債の対象にはなっておるわけです。
#126
○二宮文造君 関連質問ちょっと残っていますから、明快にしてください。
#127
○政府委員(吉田泰夫君) はい。
 それから処理場の反対対策として、いろいろ魅力あるものをつくらなきゃならぬという点はよくわかりますが、これも、これこそ処理場とはまた違ったものになりますので、下水道の体系の中での補助というものはなかなかむずかしい。今回たとえば都市公園法の改正――兼用工作物の規定なども置きましたから、公園予算なども兼用してつぎ込むというようなことは今後可能になってまいります。
#128
○二宮文造君 ちょっと矢原君が関連質問、あと二、三分あるんで、私一問だけで終わりますので、御了解いただきたい。
 もう一つ、維持管理費の問題です。これは統計資料によりますと、四十九年で大体維持管理費に対する使用料の徴収額のパーセントが三三・八ですね。これが計画が進めば進むほど一般市費の持ち出しというものが非常に大きくなってくるわけですが、たとえば、ちょっとかいつまんで聞いたんですが、高松市におきましては、維持管理費に対する使用料収入が一五・六%。高松の場合は相当これは施設が進んおりまして、平均よりちょっと出ておりますが、それにしてもその使用料収入が一五・六%。その差額は市費で賄っていかなきゃなりませんが、これは将来自治体の財政を圧迫する問題になってまいりますが、この維持管理費についての抜本的な対策というものをお伺いして、私の質問は終わりにしたいと思いますが、なお矢原君がちょっと関連さしていただきたいと思います。
#129
○政府委員(吉田泰夫君) 一般家庭排水といえども、それ、処理によって受益しているわけですから、考え方としては、汚水の処理のために要する維持管理費、これは本来下水道の使用料で賄うべきものではないか。実際には水道料金とのつり合いの問題とか、その他なかなか使用料の引き上げということが事実上困難であるというようなことから、だんだんこの維持管理費に対する使用料の占める割合が開いてきておりますが、これはやはり時期を見て、明らかに受益でありますので、もう少し使用料の割合を高めるということが本筋ではなかろうかと思います。
 なお、その場合に、特定施設とか大口使用者などにつきまして、現在相当の都市では、すでに水質に応じた水質使用料とか、水量が多い場合の累進使用料とか取っておりますが、こういう形のものは原因者負担の原則から見ても当然必要でございまして、こういったものを加味していくならば一般家庭排水の下水道使用料をさほど上げなくても相当の維持管理費を賄えることになるのではないかと考え、そのように指導いたしたいと思います。
#130
○矢原秀男君 じゃ、関連質問、一問だけ質問いたします。
 今度の第四次下水道整備五カ年計画は七兆五千億でございますので、私、非常に期待をしております。ところが、水質環境基準の達成と下水道整備等々考えておりましても、現実には総人口に対する下水道の利用人口というのは二一%ですから、先進国では最低でございます。そういう観点の中で、大阪と尼崎に面しております神崎川の汚染浄化対策について質問したいと思います。
 一つは、現在の汚染水質の実態はどうであるか。
 第二点目は、水質環境基準設定水域と思いますけれども、これとの比較相対はどうなっておるか。
 第三点には、公害防止計画策定区域と思いますけれども、その立場から論じた場合どうなるのか。
 最後の点につきましては、第四次下水道整備五カ年計画では神崎川浄化対策はどのような好結果を得るのか。その計画と目標を伺いたいと思います。
 私も多年にわたって神崎川を常に見ながら、そうして公明党の汚染実態調査にも実際に加わって、もう神崎川の河口では一メーター、二メーター、三メーター、油とヘドロでもうどうしようもないんです。そういうふうな実態でございますので、いまの四点について、簡潔で結構でございますから、御答弁を願いたいと思います。
#131
○政府委員(吉田泰夫君) 環境庁がまとめた資料によりますと、昭和四十九年度に水質環境基準の適合率は次のようになっております。
 まず、上流の新三国橋で暫定目標は一〇〇%達成、本基準は七五%達成です。次に、千船大橋の地点で暫定目標は一〇〇%、本基準は九二%達成です。下流の辰己橋では、兵庫県側で暫定目標は一〇〇%、大阪側で暫定目標九二%、本基準に対しは四二%、これが一番悪いわけです。
 水質環境基準というのは、Eという――A、BC、D、EのEという類型でありまして、BOD一〇PPmという数字でございますが、暫定目標はBOD二五PPmということで、達成期間は五年を超える期間で可及的速やかに達成――普通十年ぐらい達成というその分類になっております。これは従来は非常に汚染していた場所でございますが、少なくとも暫定目標の二五PPmまではほぼ達成しているということでございまして、これは神崎川の左岸、右岸側それぞれにつきまして、大阪及び兵庫県の公害防止計画地域に指定されており、そのために関連する流域下水道なり公共下水道を相当力を入れてやってきた成果であります。今後とも工場排水の規制の強化と相まちまして、下水道の整備にはこの地点の投資は非常に重要でございますので極力努力いたします。ただ、達成期限を仮に五十六年とした場合に、本基準がこの年数で達成するかどうかはむずかしいんですけれども、特に下流の方は。全国的にも若干ダウンせざるを得ない状況でございますので、少なくとも神崎川地区が特におくれをとるというようなことのないようにはいたしたいと思います。
#132
○矢原秀男君 一言だけ、大臣、いま局長からお話がございましたが、PHの問題にしても、CODにしてもSSにしても、DOにしても、基準点の設定に私は問題がございます。上中下と分けにゃいかぬのです、この神崎川は。そういうようなことで、いまお話がございましたので、期待を持って私も注目をしたいと思いますが、日本で一番汚れていると思うんですね。そういうことでございますので、局長の御答弁が即大臣のお考えと御一緒であると、決意であると、こういうようなことを一言お伺いをして、この問題を終わりたいと思うんです。
#133
○国務大臣(竹下登君) 私が就任いたしましてから、各地建ごとの問題点を、局長全部集めるわけにもまいりませんので、その都度聞かせられております。その問題点の重要な一つでございます。したがいまして、私もそういう問題点が明らかに近畿地建、他の道路等の問題もございますが、国会が終了いたしましたら各地建ごとに出かけまして、そういう問題点についての対処を積極的に私なりに、私の勉強ももちろんございますけれども、指導促進をしてまいりたい。いま吉田都市局長が申し上げたことそのものが私の決意であると御認定いただきたいと思います。
#134
○矢原秀男君 どうもありがとうございました。
#135
○上田耕一郎君 下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案について、限られた時間ですけれども、若干の質問をしたいと思います。
 きょうの朝からの審議にもあらわれておりますけれども、いま日本の下水道事情は非常に重要ないろんな新しい課題を抱えた重要な地点に立っていると思います。これまで汚水対策並びに屎尿対策が重点だった下水道が、水質保全という新しい課題を近年抱えてきて、その両方の課題を総合的に達成しなきゃならぬ、しかも財政的にはいまのような不況の中でそれを進めなきゃならぬ、国民の要望も非常に強いというところであるわけで、この委員会にも水質保全のための下水道法の改正案と第四次の下水道整備五カ年計画が一緒になって出てくるというところにもそういうわれわれが当面している地点が示されていると思うんです。日本の普及率は非常に低いわけですけれども、私は考えようによっては、普及率がまだ二二・八%で、これからやらなきゃならぬという点からいいますと、そういう水質保全という新しい課題を抱えた下水道事業をやっぱりやっていくという意味では、しっかりした理念と基本方針があれば国民の要望にこたえ得る下水道事業を行っていくことができるのではないかという期待を持っているわけです。
 ところが、きょう審議しております法案に関係する第四次下水道整備計画ですけれども、五カ年計画はかなりやっぱり問題があると思う。まず第一は、総額がどうしても少ないのではないかと思うんです。概算要求十一兆円だったそうですが、それが七兆五千億になったと。お伺いしますけれども、建設省の概算要求ではなしに、都道府県、市町村からの五カ年計画に対する要求額、これの総額は一体どのぐらいだったんでしょうか。
#136
○政府委員(吉田泰夫君) これは別段枠を示さずに自由に出させた数字を合わせますと、約十五兆ぐらいにはなっております。
#137
○上田耕一郎君 枠を示さずにといっても、府県の側もこれは補助率、補助対象範囲が少ないので、かなり負担が大きいわけですね。その中でこれだけどうしてもやらなきゃならぬというぎりぎりのやっぱり数字が出てきているんだと思うんです。で、かなりの財政負担を覚悟して、その額が十五兆円だったとすると、現在の七兆五千億というのは大体半分だということになるわけですね。そうすると、この半分で、先ほどからいろいろ議論ありますが、インフレーションその他の中で要望にこたえ得るかどうかはこれはもう答えは明らかで、しかし、四〇%を果たして本当に達成できるのかどうかということがやっぱりまず第一に問題になる。この点で重ねて三五%の毎年の伸び率その他の問題はありますけれども、七兆五千億というこの総額が実際に予算に組まれて五カ年やった場合、本当に人口に対する普及率四〇%を達成できる見通し、根拠があるのかどうか、この点重ねてお伺いします。
#138
○政府委員(吉田泰夫君) 第三次計画で金額と実質が非常に開いたその主なる原因は、すべて今回ほとんど解決しているつもりでございます。残るのは物価でありますが、これも第三次の期間のような狂乱物価ということはまずあるまいと思いますので、四〇%という目標があながち不可能な数字であるとは私考えませんが、まあさらに正直に申せば、年率数%の物価の上昇というものも国の経済計画でも考えていることですから、全く同じ物価騰貴率ゼロとも言い切れないかもしれません。そういう場合には、この経済計画自体は五十年度価格で百兆円を積み上げておるわけでございまして、その中には二兆円の調整費も保留してあります。また、こちらの計画には七兆一千億の実質額のほかに四千億の予備費もあります。予備費の使い方の過去の例はよほどの場合でなければ使っておりませんが、しかし、第三次の五カ年計画の結果を見れば、沖繩返還分のみならず、予備費一千億はまるまる使って、さらに少し超過している実績もありますから、やはり毎年度の予算を忠実に実現していくということができさえすれば、ほぼ四〇%の普及率というものは実現できるものと考えております。
#139
○上田耕一郎君 五十年度単価の計算ですし、いまの御答弁でもあながち不可能ではないという程度のことで、実際にはやはり四〇%はほぼ不可能だと。大体三十数%におさまらざるを得ないのではないかということではないかと考えられます。その点で昭和四十八年の都市計画地方審議会の答申では、昭和六十年で市街地人口の一〇〇%の普及率と総人口普及率九〇%という目標が出ているわけですけれども、実際に市街地人口一〇〇%というこの答申で掲げた目標ですね、それがこの足取りでいきますと、一体いつごろ達成できる見通しとして建設省は考えているのかどうか、この点をお伺いします。
#140
○政府委員(吉田泰夫君) 都市計画の審議会は下水道整備の大幅な拡大の必要性を非常に強調してでき上がった答申でございまして、これを受けてここ三年来、五カ年計画の改定を要望し続け、ようやく今回実現を見た、第三次の期間を超えてようやく切りかえが可能になったという経緯のものでございますが、実はこの総人口普及率九〇%というのは、市街地人口を一〇〇%普及し、非市街地人口も五〇%普及をする。その複合が日本の総人口に対する九〇%という意味でありまして、まあ言うならばほぼ究極的な達成率と考えられると思います、欧米の最も進んでいる国でもこの程度のものでありますから。そういう例をとにかくこの十年、四十八年の答申ですから十二年でやりなさいということであったわけでございますが、今回の五カ年計画、あるいはそれを取り巻く全体の経済計画というものを考えますと、六十年の達成ということは事実上不可能な数字になっております。それではどのぐらいの時期に達成できるかということは、今後の五カ年計画あるいはその次の五カ年計画のときの確保の仕方にもよりますので、一概には言えませんけれども、できればできるだけ早く実現したいとは考えておりますが、実際上は昭和七十年ぐらいを目標にするというところがまあ現時点での私の考え方です。
#141
○上田耕一郎君 そうすると、約二十年これからかかるということになりますが、以上で七兆五千億は第一、総額として非常にいまの国民的な希望から言って少な過ぎるということが言えると思うんです。
 二番目に、総額が少ないだけじゃなくて、先ほどからも問題になっておりますような、地方自治体のやっぱり負担がさらに重くかかってくるという問題をどうしても問題にせざるを得ません。
 二宮委員も一般都市と指定都市の格差の問題を取り上げましたが、東京などのような七大都市、指定都市の場合、補助対象事業というのはこの前まで四一%、今度四五%になりましたが、四〇%だと。その補助対象事業に対する公共下水道の補助率は十分の六だということになりますと、六掛ける四で二四%ということになるわけですね。つまり、東京都がやる下水道事業のうち補助が出るのは二四%だと、四分の一しか出ないということで、その他こういう負担の車さがやっぱり地方自治体、ただでさえ財政難で苦しんでいる地方自治体に一層苦しみを与えているということで、現場は大変この補助率問題、補助対象範囲の拡大の問題、非常に強い要望があるわけです。指定都市と一般都市との格差を縮めていただくと同時に、どうしても補助率そのものも十分の六だとか三分の二とかというのでなしに、四分の三へアップするということは非常に共通した要求だと思いますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
#142
○政府委員(吉田泰夫君) 私ども四十九年のときに五カ年計画の改定を要求しながら、あわせて補助率の大幅アップを要求いたしました。結果としては五カ年改定は見送られましたが、この眼目であった補助率の大幅アップを実現して今日に至っております。いわば五カ年計画改定の補助率アップだけは先取りした形でございましたので、今回の五カ年改定では補助率に触れておりませんが、これは二年早く実現したものと私どもは考えているところでございます。
 ところで、この補助率は流域下水道については処理施設四分の三、その他三分の二、公共下水道処理施設三分の二、その他十分の六ということでございまして、総合的に見れば治水あるいは道路、こういった従来一般的な公共事業の中では恐らく最高の水準を示していると思われるこれらの補助率に比べて、決して遜色はないものと考えております。
 補助対象率の問題は、治水や道路にはないと言えばないんですけれども、しかし、それぞれの五カ年計画の中には地方単独事業費も含んだ五カ年計画でありますし、事実、市町村道等については大部分まだ補助対象になっていないという点を考えますと、下水道の場合はすべての末端の枝管まで含めた事業計画ですから、その枝管の部分が補助対象外になっているというのも、決して下水道が特に虐げられているという関係でもない、このように考えております。したがいまして、補助率を一律に四分の三まで上げるということは、それは地方負担分の軽減という意味では非常にいいでしょうけれども、やはり全体のバランスもありますし、国費にも限りがあるわけでございまして、しかも補助裏については相田手厚い完全にリンクした起債の制度があり、さらに起債の元利償還金に対する交付税の措置等も原則としてはあるということでございまして、財源措置に関する限りは、下水道は相当自治省もがんばってくれておると思います。
#143
○上田耕一郎君 いまの御答弁は、やっぱり実情から離れたぼくは数字だけのお話のように思うんですね。たとえば東京などで汚水処理場をつくりますと、ぼくは国立に住んでるんですけれども、国立でも用地を買い上げるのになかなか大変な問題がありましたけれども、実際に汚水処理場をつくろうとすると、住民要求がうんと出るわけですよ。で、覆いをしてくれ、緑地化とか何とかしてくれというだけじゃなくて、その横に福祉施設をつくってくれとかさまざまな要求が出てくるわけですね。それに対してやっぱり自治体はかなえないと汚水処理場をつくれないわけですよ。そういう点で、数字で補助率が四分の三近くになっているからとかいうことだけで済まない問題を、下水道をやろうとすると、実際抱えてですね、それで大いに苦労しているわけです。
 それから、私、今度南多摩の処理場へ行って三次処理問題も見てきましたが、そこで聞いた話は、三次処理は、あそこは硫酸礬土を使ってやっているのですが、大量の硫酸礬土を使うとものすごい金がかかるというわけですね。あそこは試験施設ですけれども、約二十一億円かかったと。建設に二十一億円かかるだけじゃなくて、硫酸礬土やそれから苛性ソーダや薬代がものすごくかかるわけで、そうすると、建設費だけの補助だけじゃなくて、三次処理を本格的にやろうとすると、運営費についてもどうしても補助が出てこないとこれはなかなかやりきれぬというのが小さな試験設備を動かしてみた結論だって言うんですね。
 一、この例を挙げましたけれども、実際に本当にこの下水道事業をやっていこうとすると、いまのような、実は二年前に先取りして昭和四十九年に補助率アップしているからということだけで済まない問題が山のようにあると。それから先ほどからも、下水道についてはいろんな新しい研究開発をしなきゃならぬ面もいろいろ出ておりますが、同時に、地方自治体が実際にこれを行っていく際、解決しなきゃならぬ問題が、技術的な問題だけじゃなくて、財政的にも非常に大きな問題がある。そういう点で建設省が、補助対象範囲の拡大、補助率のアップについても、地方自治体のためと言うよりも国民のためなので、一層積極的な姿勢で臨むことを要望したいと思います。
 それから五カ年計画でもう一つの問題は、やはり水質保全の問題で、これも午前中望月委員の質問でも出てまいりましたが、環境庁のあのときの御答弁でも、五カ年間で、水質環境基準の設定水域については六〇%の達成率だというお話で、都市局長のその後の答弁では、この五カ年計画をやった際、その設定水域については大体四カ月から四カ月半は何とかいくだろうと、そうすると、目標九カ月だから大体その半分ぐらいだという御答弁がありました。この水質保全というのは、五カ年計画の下水道計画にとっても非常に重要なもう一つの柱なんですが、五年たってようやく半分ぐらいだと。そのほか設定水域の数も、先ほどの環境庁の答弁でも、ふえているわけですね、四百八十幾つふえているというお話ですが、環境庁としてはどうですか、こういう五カ年計画のテンポで、環境庁が目指しております水質環境基準設定水域、これの基準達成ですね、大体いつごろになるだろうという観測をしていらっしゃいますか。
#144
○説明員(林亨君) お答え申し上げます。
 午前中もお答え申しましたように、環境基準の達成は先生もよく御存じのように下水道ばかりでもまいりません。排水の規制も一つの大きな柱として、私どもは排水規制のより一層の強化を必要な地域につきまして進めておるところでございます。それで、なおまだ下水道の第四次五カ年整備計画につきまして、個々の地域と申しますか、水域につきましてブレークダウンして、何年次に幾らつけて、どこまでというのをまだ私どもも建設省の方から承っておりませんけれども、先ほど先生の御質問にもお答え申し上げましたように、私どもが建設省に強く働きかけまして、できるだけ限られた予算の中で一番緊急としているところから重点的に下水道の整備を進めてもらえぬかというふうにお願いしておるところでございます。ただ、今回の五カ年計画におきましても、一応五十年度単価で、人口の普及率で申しまして四〇%を目指しておられるということでございますので、やはりまだしばらく、昭和五十五年におきまして、午前中にもお答え申し上げましたけれども、全国全部の公共下水道でということはかなり困難かと思います。それで、時期はいつかというのはちょっとただいまのところ申し上げられませんけれども、ほかの施策ともあわせまして、まあできるだけ早い時期にそこへ近づけるという精いっぱいの努力をさしていただきたいということで、お答えにかえさしていただきたいと思っております。
#145
○上田耕一郎君 去年の五月に、共産党の春日委員に対して届けられた建設省下水道部の水質環境基準の達成に要する事業費のデータがあるんですが、これを見ますと、この公害防止計画地域については五十一年度以降の残額が八兆六千億円要ると、それからその他の水質環境基準関連で五十一年から五十四年度事業費が三兆六千億、合わせて十二兆円要るという数字が出ていますね。そうすると、先ほど普及率の点でも七兆五千億円で非常に少ないという話を指摘しましたけれども、この水質環境基準という点でも建設省が去年の五月に出したデータでもまだ十二兆円要ると、今度七兆五千億ですから。この点でもやっぱり非常にテンポはさらに伸びるということにならざるを得ないと思うんです。
 そういう点で、私はこの問題については努力を評価すると同時に、いまの日本の国民が要望しているような生活環境の改善、水質保全とそれから普及率のアップという点にこたえる点では、総額並びに補助対象の範囲とか補助率とかいう点でやっぱり額が非常に少ないということを指摘せざるを得ません。われわれはこの生活環境に対する公共投資をもっともっと多くすることを一貫して主張しておりますけれども、特にこの下水道問題はその中の優なるものなんで、今後ともこの面での予算の増額のために大きな努力を要望したいと思います。
 次に、下水道法の一部改正について取り上げたいと思います。今度の一部改正は、工場排水が下水道へ入ってくることについて規制するということ、水質法ができて以後これとの矛盾が広く指摘されておりましたので、それを改善するという点でわれわれも改善面を評価する点が多くあると思います。たとえば工場、事業場に対して基準以上の悪質下水の排水を禁じた問題、それから直罰規定が入った問題、それから重金属その他の健康にかかわる物質ですね、これの排出を水質法と同じ全国一律の排水基準を定めた問題等々、それから新設の場合に届け出制を定めて計画変更命令あるいは改善命令を出せるようにした面、これらの点はやはり重要な改善点だとして評価できると思います。ただわれわれは、衆議院でもこの二点について修正案を提出したんですが、これはやっぱり必要な方向だと考えております。
 その一つは、届け出制をやはり許可制にする必要があるのではないかということです。先ほどの二宮委員の質問に対するお答えでも、実際に届け出があったと、いまの人員では届け出の書面を審査して改善命令だとか変更命令を出すのはなかなか大変だという都市局長の御答弁がありましたけれども、それで体制を強化しなきゃならぬと言われておりますが、体制はすぐには強化できないだろうと思うんですね。体制が強化されないままということになると、六十日たったけれどもどうも設計の審査も済まぬと、変更命令、改善命令出せないということになると、六十日たつと動き出しちゃうわけでしょう。そういう点で、これはこの届け出制とそれに対応する体制というのは非常に大事な問題だと思う。だから、私どもはそういうその体制の強化を要求すると同時に、届け出制だと六十日以内に処理ができないと動き出しちゃうんだから、そうすると悪質な排水が出る危険があるわけですね。その点で、やはりたてまえとしては許可制にすることが水質保全の上で必要だと、そう考えるんですけれども、この点いかがでしょう。
#146
○政府委員(吉田泰夫君) まあ届け出制をして六十日間は特定施設を設置しちゃならない。その間に審査して必要な計画変更命令を出すということでありますが、このときに出される計画は水質汚濁防止法の運用の実態を見ましても、まあかなり概要を示したようなものでありまして、六十日間に審査可能なような内容のものでまず基本的にチェックしておく。もちろんその後りっぱにつくり上げても維持管理状態が悪ければ、あるいは設計の細かいところでまずい点があれば、これは稼働後も改善命令ができるということがうたわれております。そういうことですから、六十日間の期間が短くて、しかも執行体制が弱いために、この届け出制が許可制ほどに働かせないということは私はないと思います。というのは、許可制にいたしましても、やはりいつまでもその審査できるまでほっておくというわけにもいくはずのもんじゃありませんでしょう。恐らく期限を切った許可制というようなことになるでしょうから、その点で本質的に違いはないと私は考えます。やはり届け出制であっても改善命令、直罰、さらに設置後も随時改善命令ができるというこの立て方、これは水質汚濁防止法と全く同様でありますが、これで許可制とまで言わなくても同等の監視体制、監督体制は優にとれると私は考えます。
#147
○上田耕一郎君 まあいずれにせよ、届け出制も正しく実行すれば許可制と事実上同じような機能を果たすと思うんですけれども、やはり体制の問題だと思うんですね。その点で体制の強化を、それに対する指導ですね、これを強く望みたいと思います。
 この届け出、許可の問題と同じように、二番目に大きな問題は、われわれが出した修正案は、この水質の常時監視体制を法律上義務づける必要があるのじゃないかという点を提起してあるわけですが、これは非常に大きな問題なんです。多くの学者も指摘しておりますように、やっぱり下水道の場合の問題は、公共水域に排出するとの違って暗渠にパイプでそのまま流れ込むので、なかなかたれ流しの危険が多いというわけですね。これは実際にそういうたれ流しがかなりあるということはもう事実によっても示されております。東京都の下水道局の話でも、やはり真夜中にぐっと悪質なものを出すという企業が現にやっぱりあるということ言いますし、小さなところでもガソリンスタンドなんかが廃油を下水に流してしまったような例もいろいろあるというんですね。そうしますと、これの常時監視体制をどうやっていくかということが非常に大きな問題です。東京都の場合は水質担当係が全部で七十五人いるそうです。本局に二十五人、それから六つの管理事務所に五十人いると。七十五人というのは東京都かなりこれ体制とっているんですけれども、実態は一工場当たり年に二回検査するのがせいぜいだと。これを年四回やりたいと言うんだね。年四回やれればかなりいけるだろうと。で、悪質下水一回見つけると二十四時間監視するというようなことをやっているようですけれども、こういう面で届け出、許可の点検と同時に、水質の監視体制の強化が今度の下水道法の改正に命を吹き込むためにはどうしても必要だという点ですね。
 それからもう一つは、これは水質測定の自動機器、これの開発、これの安価なものが、簡便でしかも正確なものが開発されればこれは非常にうまくいくだろうという点が二番目の問題。
 それから三番目の問題として私どもが指摘したいのは、水質の監視というのは、私は一つは自動機器の開発と同時に住民の協力というのが、これが非常に大事だと思います。これまでも悪質の排水について住民が伝えてくる、知らせてくるという例が非常に多い。特ににおいがするとか、大変な色のついているのが流れ込んでいるとかいうのを住民が発見するわけですね。住民は周りの生活環境に非常に関心を持っているわけですから、私はこの法律を本当に生かす上でやっぱり住民の協力を得るということが大事だと。その点で、たとえば企業が暗渠に排水していく際、だれも見えないところでいくんじゃなくて、そのうちの一部をマンホールとか、あるいは小さな池とか、バイパスみたいにしまして、そこについては、住民も要望があればそこでその水質の検査もできるし、見ることもできるというふうにするシステムをとれば、これは企業も自分の下水道に流す排水についての社会的責任を公開でとることにもなりますし、これは住民の協力を得て水質保全をしていく上で考慮すべき提案ではないかというふうに考えておりますが、以上の水質についての監視問題、これについて御意見をお伺いしたいと思います。
#148
○政府委員(吉田泰夫君) 水質の監視義務を規定するという御提案もあったわけですが、私考えますのに、やはり工場排水に対する監視というものは、第一義的にはその特定施設設置者自体が自己の排水を水質測定しておくと、これを義務づけておく。で、必要に応じて下水道管理者は報告なり資料を求める権限と立入検査権を与えておくと、この立て方が一番本筋だと思います。現行下水道法はその種の規定をすべて網羅しておりますし、その点全く水質汚濁防止法と同様でございます。これらの監督規定等につきましては、もとより罰則も定められていると、こういうことでございます。これに加えまして、水質汚濁防止法にもないような特定施設からの排水の常時監視義務を水道管理者にもつけるということになりますと、施設の方でも測定義務があり、水道管理者にも測定して監視していく義務があるというダブりもありますし、むしろ責任の所在をあいまいにする。そのために水道管理者側に課せられた経費、労力、人手というものもばかにはならないでしょうし、やはりいつでも立入検査もできる、報告もとれる、で、工場側には一定期間置いた、わりあい頻々として間をあけないで水質を測定して、として、まあ現行下水道法では五年間ですけれども、五年間保存しておく義務を置くと、この体制が最もこの種の事態に対処するものとしては適当ではないかと、こういうふうに考えております。
 次に、監視体制を強化すべきは当然でございまして、東京都のように人手がそろっているところでさえ、工場の数も多いでしょうからなかなか理想的な監視体制が整わないという点は御指摘のとおりでございまして、これはやはり一挙にもいかぬかもしれませんが、相当急ピッチに人を拡充していく、養成していく、あるいは他部門からの転換を図っていくということであろうと思います。しかし、今回直罰規定ができましたから――ということは、違反した事態がわかれば、下水道からさかのぼってその処理区域内を強制捜査権を含めて調べられるという意味でありまして、まあだれかが流したに違いないが証拠がつかめないというようないままでのような事態はまずないだろうというように、その処理場の区域内にある工場は限られておるわけですから、幾ら広い処理区域のものといえども、むしろ一般の公共水域をさかのぼって見つけ出すよりははるかに容易であろうと私は思います。
 それから監視機器とか自動測定機器の開発も非常に重要でございまして、鋭意努力しておりますが、なかなか幾つかの種類の汚染物質、有害物質に対して自動的に監視できる機器がまだ十分開発されておりません。この方は十分予算をつぎ込みできるだけ数多くの物質について自動測定、あるいはそれに近い短時間測定ができるような技術の開発が必要だと思います。
 最後に、住民の協力も非常に必要でありまして、そのやり方として一つの御提案がありましたが、これについては突然の御提案でもありますので、私も一概に可否をこの場でお答えいたしかねるわけでございますが、要はいろいろな人の目で見て、それに罰則規定を加味して、せっかくの改正法が十分生かされるという体制をぜひともとりたいと考えております。
#149
○上田耕一郎君 局長のお考えの中で、水質法と大体同じなんだから特別に常時監視義務を下水の方だけにつける必要はないというお考えがありましたけれども、水質法と大体同じだからいいという考えがちょっと私は甘い考えではないかと思うのですね。水質法による公共水域の排水の場合には、たとえばカドミウムを出せば、これが田に入ればカドミウム米ができますし、いろいろすぐ問題になるわけですね。ところが、下水の場合には暗渠なんで、いつでもぱっと投げ捨ててしまえるということがあるからこそ公共水域の排水と違って下水道への暗渠排水については常時監視が必要だったり、いろいろなことを考えなければならぬということが問題になっているので、この点水質法並みだから大丈夫だと、そうするのが目標なんだということでなしに、下水道に排水する場合の特別な問題をやっぱり真剣に本格的に考えていただきたいと思うのです。と申しますのは、いままでは水質法によって公共水域に排水していた工場が、下水道が普及していけば今度は下水道にやればいいと、そうすると、これを待っていたというような声もあるのですね、この方が楽だというようなことになりますから。
 そういう点で私は、今日の下水道法の改正で一番大きな問題は、工場排水についての規制をどう効果的にやるかという問題だと思います。昭和四十七年十二月の建設省試案、新国土建設の長期構想によりますと、発生汚濁負荷量の計算として、昭和四十五年には生活排水が二三%、工場排水が七八%、昭和六十年になると工場排水が八七%になる、汚濁の負荷量ですね、約九割近くが工場排水になるということが建設省の試案にも書かれておりますので、この点工場排水をどう正しく規制していくかということが今度の改正にとって、今後の下水道事業にとってもやっぱり非常に大きな問題であることは当然であります。
 その点でひとつお伺いしたいのですが、今度の法律で、この排水基準については政令で定めると、第十二条の二になっておりますけれども、この政令ではどんな排水基準になるのでしょうか。
#150
○政府委員(吉田泰夫君) 政令で定める排水基準は、カドミウムとかシアンとか有機燐とか鉛とか、要するに終末処理場で処理することが困難な物質につきましては水質汚濁防止法の排水基準と同様にいたします。その場合、水質汚濁防止法の規定に基づく条例によって上乗せ排水基準が定められておれば、その上乗せ排水基準を適用することにいたします。
#151
○上田耕一郎君 BODについてはどういうふうになりますか。
#152
○政府委員(吉田泰夫君) BODにつきましては、これは本来下水処理場が処理する使命を持ったものでありますので、水質汚濁防止法のように処理場なしに直接流入する場合ほど厳しくする必要もないし、そういうつもりはありませんが、しかし、余りにも濃度の高いものはやはり通常の処理場では処理し切れない、つまり二〇PPmにできませんので、一定の基準を定めるつもりでありますが、それは個々の処理場の能力にも関係しますから、政令で一律に決めるのではなくて条例で定めるということになります。
#153
○上田耕一郎君 政令の中には、たとえば六〇〇PPm以上の範囲内で条例で定めるというふうに、そういう数字は入れるつもりはないのですか。
#154
○政府委員(吉田泰夫君) おっしゃるとおりにいたします。
#155
○上田耕一郎君 私の言ったとおりになるのですか。
#156
○政府委員(吉田泰夫君) 原則は六〇〇PPmのつもりでございますが、特に工場排水のウエートが高いとか、そういった場合には三〇〇PPmまで下げることができるというような基準を考えているわけです。
#157
○上田耕一郎君 原則は六〇〇PPmで特別の場合三〇〇PPm。いま東京、大阪なんか三〇〇PPmですが、六〇〇PPmより上に条例で定めることも構わないということになりますか。
#158
○政府委員(吉田泰夫君) これはその処理場の処理能力があると考えれば上にすることは構いませんが、余り上にして排水が二〇PPmに達しない、二五とか三〇にしかならないというようなことでは困りますから、その辺は間違いないようにやらせるつもりです。
#159
○上田耕一郎君 私はここにやはり一つ問題があると思うのですね。大体標準は六〇〇PPmだ、しかし、処理場の能力さえあればもっと上でも構わない。実際上地方自治体によっては一〇〇〇PPmや二〇〇〇PPmもよろしい、そのかわり水質料金を取ってやっているというような例が現にあるのですね。この場合、そうなるといろんな問題が起きますのは、先ほど来から水質法の例をおっしゃっておりますけれども、水質法の場合には一六〇PPmで出せるわけでしょう。それ以下にしなければならぬわけですね。ところが、下水道に出す場合には、自治体の条例によっては一〇〇〇PPmでも二〇〇〇PPmでも汚水処理場の能力さえあれば構わないのだというようなことでは、先ほどから問題にしている工場排水をきれいにしていく――これはBODの場合でもですよ。二〇〇〇PPmでも構わぬというようなことを政令で決めるのでは、本当に水質を保全しようという大目的に反することになると思うのですけれども、私は上限をもっと厳しくすべきだと思うのですが、いかがでしょう。
#160
○政府委員(吉田泰夫君) これは別途下水道の終末処理場から排出される水質が、二次処理をするならば二〇PPm以下でなければならぬというようなことがありますし、水質汚濁防止法の目から見れば下水処理場も特定施設の一つであり、罰則の対象にさえなるものでございますから、事実その自信のないような濃い濃度のものを許容するということは普通考えられないわけでして、よくよく余力があるという場合に、その余力のある期間中だけ特例的に認める例はあるのかもしれませんが、もしそういうことで事実できるものであれば、あえて禁止することもいかがであろうかという気がいたします。
#161
○上田耕一郎君 どうもそこら辺に建設省の指導的な考え方にやはりあいまいさがあると思うのですね。たとえば東京でなぜ三〇〇PPmにしているかと言いますと、家庭排水ですね、これは最高大体二〇〇PPmぐらいだ。だから、工場で出す排水もせめてやっぱり家庭排水と同じ質にまで近づけるべきだという考え方で東京は三〇〇PPmとしているわけですよ。私はこれは考え方としてはやっぱり当然だと思うのですね。下水場の処理能力がうんとあるから、やれるところは一〇〇〇PPmでも構いませんということになりますと、一〇〇〇PPmの水は全部受け入れますということになると、BODに関しては何にも除害施設を設けなくても、工場で出ている水、冷却水が入ってちょっと希釈されたやつをだあっと流せば、ほとんどの工場はひっかからなくなるということになってしまうのですね。やはり私は考え方としては、発生源の――先ほど指摘しましたように、工場排水が昭和六十年には汚濁の負荷で九割近くになるのですから、その発生源をなるべく押さえるということが必要だし、下水場の処理能力もいま足りないわけですよ。処理能力以上の水をかぶってどこでも大都市は困っているわけだから、その処理能力があるところはどうぞ幾らでも結構ですというのじゃなくて、下水場の処理能力、限られたものを有効に使うためには、なるべく工場排水も家庭排水に近づける方向でこのBODについても努力させるという方向をやっぱり確立してほしいと思うのですね。その点、その能力さえあればBODの場合には重金属と違って構わないのだというようなことでなしに、この点についても明確な指導理念を持っていただきたいと思うのです。
#162
○政府委員(吉田泰夫君) 確かに一〇〇〇PPmぐらいのところは間々あるのですけれども、二〇〇〇という例は余り私は承知していなかったわけです。まあ御指摘がありますから事実あるのかもしれませんが、そんなに余力のある処理場というのもそうないでしょうし、ただ、まあ強いて考えれば、処理場は一系列単位で一挙にできますから、そのときの流域の汚濁負荷量によっては一時的には余力が非常にあるということもありますので、そういう臨時的なものとしてあるいはあるのかなと考えますが、そんなに高いものはよほどの場合でなければ望ましくないというような指導はいたしたいと思います。
#163
○上田耕一郎君 そのほか、この問題については例の重金属を中心にする有害物質問題ですね、それから汚泥処理の問題等々多くの問題がありますが、これは午前中からの審議でも他の委員も触れられましたので私は簡単にしたいと思います。この重金属の基準は、水質法と同一だということになっておりますけれども、やはり考えなければならぬのは、下水道の場合には重金属が入ってまいりますと、例の活性汚泥の効果そのものも阻害する問題が生まれるということ、それからこの汚泥に累積しますので、その点で第二次公害の問題がどうしても生まれるということ、これは六価クロムの溶出問題その他でもうすでに幾つも問題が生まれているわけなので、この点でも、先ほどから強調しておりますように、水質法と同じ基準だから大丈夫だということで済まさないで、下水道の場合に重金属が排出されると多くの問題をやっぱり生み出すという点を重視して対策をとっていただきたいと、そう思います。それで特に汚泥処理がやっぱり問題になります。
 南多摩の処理場へ行って聞いたときにも、南多摩の処理場は、第二次処理でつくっていた汚泥は肥料にちゃんと売れていた。ところが、三次処理を始めてから硫酸礬土が入ってくるので全く売れなくなったということも言っておりましたが、売れる売れないの問題だけでなくて、こういう三次処理などを始めますと、一層汚泥問題が重金属問題に加えてさらに大きな問題になってくる。それから重金属を工場で、特定施設で排除させる場合にも、そこで生まれるスラッジ、産業廃棄物、この処理も大変な問題になってくる。これは汚泥処理、それからスラッジの産業廃棄物の処理は建設省だけでなくて環境庁にも関係あると思いますけれども、これは相当本格的な体制をとって考えなければいよいよ大問題になってくるだろうと思います。その点で各地方自治体がばらばら予算を組んでいろんな研究をするというだけでなく、やっぱり国の段階でもっと集中的な統一した汚泥、スラッジなどの処理についての高度処理技術の開発、これが必要ではないかと思いますけれども、環境庁並びに建設省の見解をお伺いします。
#164
○説明員(井前勝人君) 下水中の重金属の問題でございますけれども、御指摘のように下水に含まれます重金属類が生物処理にどの程度のオーダーであれば影響を与えるかという問題につきましては、外国の例あるいは日本の例、いろいろ研究されております。しかし、いままでのそういう研究を総合いたしますと、現在の水質汚濁防止法の基準程度であれば、その程度の濃度であれば生物処理――生物に及ぼす影響は決してないというような一つの報告も来ておるわけであります。おっしゃるように、なおその量は少ないほどベターかとは思いますが、現段階では水質汚濁防止法で言う基準を守るならば、まず水処理に対する影響はそれほどないというふうに考えております。
 次に、汚泥の蓄積の問題でございます。これは確かに御指摘のように水処理からはとれますが、逆に汚泥の方にたまっていくということでございます。いろいろ私どもも下水汚泥中の重金属の含有量等を調べておりますが、大体普通の市街地での都市下水の活性汚泥の重金属の量と、それから諸外国ではどうだろうかということも調べまして、諸外国の下水汚泥の中の重金属量等も調べておりますが、大体同じようなオーダーの含み方をしております。したがいまして、今度の法改正によりまして除害施設の指導をさらに強化すればその量は確かに低減できると思います。ですから、どの程度の量があれば次の問題として有効利用に支障ないかということはなおやはり研究が必要でございますけれども、普通の市街地の形成されておる下水汚泥の場合は、いろいろの濃度実験等が出されておりますけれども、作物への影響とか土壌への蓄積という問題はそれほどまだ顕在化した問題にはなっておりません。ただし、御指摘のような問題がありますので、今後この問題は建設省でもいろいろ下水道事業調査費等を使いまして、重点的に研究をなお続けていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#165
○説明員(林亨君) 今後下水道の整備普及に伴いまして、いま先生おっしゃいましたように、あるいは下水道の終末処理場から出ます汚泥、あるいは除害施設として各工場で自分のところで処理をして出ます有害物質を含みます汚泥の処理の問題は、大変大きい問題と考えております。なお、廃棄物処理法の改正等と絡みまして私どもも厚生省、あるいはこの下水道の法の改正に絡みまして建設省ともども連絡をとりまして、今後の具体的な処分の、それから管理基準の問題等につきまして検討を進めてまいりたいと考えております。
#166
○上田耕一郎君 なお一層の努力を要望します。
 その次の問題は、水質汚濁の防止についても総量規制の方向を考え方としてやっぱり進むべきではないかと思う。大気汚染についてはすでに濃度規制から総量規制の方向に切りかえられているのですが、水質汚濁の場合にもやはりこの考え方をとるべきではないか。東京の例で言いますと、東京では排水規制の強化措置に関する検討経過と、水質審議会がずっとこれはやっておりまして、総量規制の方向へ向かっての大きな前進ですね、当面いま水質排水量による負荷量割り当て方式というのを採用することになっておりますけれども、その方向に向かって前進しているわけで、この点について環境庁からお伺いします。
#167
○説明員(島田隆志君) 先生御案内のように、いま水質汚濁防止法では濃度規制方式をとっているわけでございますが、最近の水質汚濁の現状から見ますと、特に先ほど来いろいろ議論になっております閉鎖系水域等につきましては、その水域の環境保全上必要な限度内に排出量を規制するいわゆる総量規制の導入が強く叫ばれておるところでございますが、これの実施に当たりましては、その水域に許容される負荷量がどの程度か、そういう負荷量の把握あるいはその把握負荷量を工場や事業場にどう割り当てるか、その割り当ての方法だとか、あるいは汚濁物質排出量の測定技術の確立等いろいろな問題がございますが、進めるという方向でいろんな調査研究を進めております。
 一方、学識経験者から成ります、総量規制を基本的にどういう方向で持っていったらいいかというような検討も進めてまいっております。五十一年度の本年度の予算におきましても、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海におきまして実際に許容される負荷量をどう把握したらいいか、あるいは具体的に総量規制を具体化するためのいろんな調査が必要でございますので、その辺をいま行うことにしておりますので、この結果を待って環境庁としても早急に成案を得たいということで進んでおります。
#168
○上田耕一郎君 たとえば東京の場合、東京湾では現状は汚濁負荷量が日にBODで二百二十七トン東京湾に流れ込んでいる。これを四分の一の八十二トン、これにまず削減しなければならぬということになるので、こういうふうに濃度規制だけではどうにもならぬ。本当に総量全体を規制しなければならぬということなんですが、環境庁のいまの答弁でもそういう方向が打ち出されつつありますけれども、建設省としてはこの点いかがでしょう。
#169
○政府委員(吉田泰夫君) 特に汚濁負荷量の絶対量が多い地域で、閉鎖性あるいは閉鎖性に近いような地域では次第に総量規制の方向に向かわざるを得ない状況にあるのではないかと考えております。総量規制と言いましてもいろいろなものがあるようでありまして、一挙に完全な総量規制にまでいくかどうかわかりませんけれども、現在の濃度規制から一歩進んだような形というようなものが将来予想せざるを得ないのではないかという気はしております。
#170
○上田耕一郎君 三次処理の問題などについても少しお伺いしようと思っておりましたけれども、時間も参りましたので少し先へ進みたいと思います。
 この水質保全の問題でやっぱり一番大事な問題は、先ほども指摘しましたように工場排水ですね。これが全負荷量の九割近くになろうとしているわけで、この点をどう規制していくかということが大きな問題だと。それでその際、これまで水質法に基づいて公共水域に排出していた工場あるいは事業所、ホテル等々が今度下水道の方へ流し込んでいく場合、先ほどお話ししましたように、BOD一六〇PPmが今度は一〇〇〇PPmでも構わぬ、六〇〇PPmでも構わぬというふうになるとまずいわけですね。そうなると、結局工場が自分で除害施設をつくって一六〇PPmに下げていた分を、今度下水道になれば地方自治体と国が全部それは持ってあげるということになるとまずいわけで、もちろん建設費の負担についての制度もできております。もっとやはりこれは強化していく必要があると。
 そういう点で、やっぱり私どもは下水道事業は巨費を要するものであるだけに、例のPPPの原則から申しまして、特に悪質な下水を出している大企業ですね、中小企業については先ほどからお話がありましたように、もっともっと補助制度がないとできませんし、東京の場合にはいま必要な事業所の中で約六百ぐらいの事業所がどうしても除害施設をつくれないと、それについてはもう全く東京都としてもお手上げだということが言われておりますが、これは全く資金の問題なんですね。そういう点で本当に水をきれいにするためには、中小企業については、共同施設をつくらせた場合には低利の融資だけじゃなくて、やっぱり補助金も考えるというようなことも現実の問題として必要になっているんじゃないかと思うんですけれども。中小企業は別としましても、やっぱり大企業についてはこういう下水道の建設の負担金を負担させるということをもっと進めなきゃならぬということ。さらには究極的に考えていきますと、発生源でやっぱり規制していくという点で、これは広く言われておりますクローズドシステムですね、企業そのものがそこで生まれる排水を閉鎖的に処理して水の循環利用も行えると、せいぜい家庭排水程度の水にして下水道に流すというクローズドシステムの方向に向かって進んでいかなきゃならぬのではないか。私は先ほど総量規制の問題も出しましたけれども、日本のこの水質保全の問題で水質法、あるいは今度の下水道法の改正でかなり法制的には進んできたと思いますけれども、ここでやっぱり安心しないでもっと大きな抱負を持って、われわれの生活環境、日本の水をきれいにするという仕事に取り組んでいただきたいと思うんです。
 その点で、アメリカの一九七二年に成立しました水のマスキー法というのがございますね、あれは大気汚染防止のマスキー法と比べて水のマスキー法と言われますが、大統領の拒否権が一度発動されたのに議会が断固としてこれを通したもので、読んでみますと相当志の高い法律なんですね。一九八五年に向けて、とにかくアメリカの海だとか川だとか、本当に生物が魚から何から全部悠々と生きられるようなそういうきれいな水にするということで、非常に詳細な法律を決めているわけですね。一九七二年に成立して八五年が目標ですから、十何年の計画で立てているわけです。先ほどの都市局長のお話では延びて普及率の究極目標を昭和七十年というお話もありましたけれども、なるべく早く進めていただくと同時に、やっぱりアメリカの水のマスキー法に負けないような大きな抱負でこの水質保全の問題、生活環境の改善の問題に取り組んでいただきたい。この点、建設大臣に最後に決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#171
○国務大臣(竹下登君) 近代国家として、いわゆる高度経済成長のもと、なかんずくわが国におきまして生活環境の悪化ということがもたらした被害は、これはある意味においては数字とか筆とかに尽きないものがあると私も思っております。きょう、ただいま一貫した質疑をお聞きいたしまして、私どもが果たすべき方向をそれぞれ御示唆いただいたわけでありますが、私も実は建設大臣に就任いたしますまで、厚生省、環境庁、建設省、あるいは通産省それぞれの問題がございますので、これは水の問題と直接には関係ございませんが、産業廃棄物協会――産廃協というものの会長をいたしておりまして、総合的な見地からこれらが国民に与える悪影響をいかにして防止し、いかにして解決するかということを、政府からも技術的には委託も受けまして、そういう仕事をやっておったわけであります。そういう仕事に専念することはできませんので、辞表を出して今日おるわけでありますが、はからずか建設大臣を拝命いたしまして、特に水――なかんずく下水道というものを所管する立場から、私に与えられた使命の重大性を痛感をいたしまして、私がただ言葉でなくロマンのある国土づくりとか、ロマンのある生活環境とか申しておりますのは、本当に国土にいたしましても、あるいは地球にいたしましても、それこそ単なる物体ではなくして、そこには喜びも悲しみも感じ合う人間が生存し、そうしてまたあらゆる生物がここに生存しておる、その生物とそうして物体との調和を占めた複合体が国土であり、そうして自然であるという考え方の上に立ちまして、御見識ある御提言を参考にして、今後とも精いっぱい努力をいたしてまいりたいという決意であります。
#172
○上田耕一郎君 終わります。
#173
○委員長(中村波男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#174
○委員長(中村波男君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#175
○委員長(中村波男君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。
 下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#176
○委員長(中村波男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#177
○松本英一君 私は、ただいま可決されました下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
   下水道整備緊急措置法及び下水道法の一部
   を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、下水道の緊急整備と適正な維推管理
 が特に重要であることにかんがみ、次の事項に
 ついて所要の措置を講ずべきである。
 一、第四次下水道整備五箇年計画の達成のため
  必要な財源措置を講ずるとともに、指定都
  市、一般都市の別なく、補助対象範囲の拡大
  及び地方債の拡充等に努め、地方財政の軽減
  を図ること。
 一、公共用水域における水質環境基準の達成を
  期するため、流域別下水道整備総合計画を早
  急に策定するとともに、それに基づく下水道
  整備事業の促進を図ること。
 一、特定施設に対する監督、監視体制を強化
  し、中小企業者の除害施設の設置に要する費
  用についての融資措置を充実するよう努める
  こと。
 一、下水の三次処理及び汚泥処理の高度化に関
  する新技術の開発及び実用化を促進するとと
  もに、処理水を雑用水、工業用水に再利用す
  る等、水の循環利用の促進に努めること。
 一、下水道の維推管理体制の整備を図るととも
  に、技術者の養成、確保及び水質測定機器の
  技術開発の促進と整備に努めること。
 一、終末処理場の建設にあたつては、施設の緑化
  等に配慮するとともに、周辺環境と調和を図
  るため、緑地、広場等のオープン・スペースを
  確保し、公園化する等の施策を推進すること。
  右決議する。
 以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#178
○委員長(中村波男君) ただいま松本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#179
○委員長(中村波男君) 全会一致と認めます。よって、松本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議をすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、竹下建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹下建設大臣。
#180
○国務大臣(竹下登君) 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれましては熱心なる御討議を賜り、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。
 審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましてもその趣旨を十分に尊重し、今後の運用に万全を期して努力する所存であります。ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
 ありがとうございました。
#181
○委員長(中村波男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#182
○委員長(中村波男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#183
○委員長(中村波男君) 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。竹下建設大臣。
#184
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
 住宅金融公庫は、昭和二十五年設立以来国民大衆の住宅建設に必要な資金、良好な宅地の造成に必要な資金等を融通することにより、国民の住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったところでありますが、さらに国民大衆の持ち家取得の促進と良好な居住環境の確保を図るため、その業務の拡充を図ってまいることがきわめて必要と考えられます。
 この法律案は、以上のような観点から、今国会に提出された昭和五十一年度予算に盛り込まれている新たな貸付制度の創設、貸付条件の改善等に関して住宅金融公庫法に所要の改正を行おうとするものであります。
 次にその要旨を申し上げます。
 まず第一に、適正な住みかえを促進し住宅の有効利用を図るため、みずから居住するため住宅を必要とする者に対し、新たに既存住宅の購入に必要な資金を融通する業務を行うことといたしております。
 また、個人住宅建設資金のうち既存住宅の購入を目的とする貸付金、所得が比較的多い者に対する貸付金、規模が比較的大きい住宅に係る貸付金等につきましては、適切な運用を図るため、これらの貸付金の限度、利率及び償還期間を政令で定めることといたしております。
 第二に、良好な住宅市街地の計画的な開発を推進するため、宅地造成資金の貸付対象者として、大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法による特定土地区画整理事業または住宅街区整備事業の施行者を新たに加えることといたしております。
 第三に、宅地防災工事資金の貸付対象者として、著しく保安上危険または衛生上有害な建築物の敷地の所有者等で建築基準法第十条第一項の規定に基づき必要な措置をとることを特定行政庁から命ぜられているものを新たに加えることといたしております。
 第四に中高層耐火建築物等の購入資金につきましては、その建設資金について公庫貸し付けを受けている場合に限り貸し付けることを原則としておりますが、中高層耐火建築物等のうち購入資金を貸し付けることができるものは政令で定めることとし、貸付対象を拡大することにより、市街地の合理的高度利用の推進を図ることといたしております。
 第五に、住宅及び宅地の円滑な供給を図るため、関連利便施設及び関連公共施設に係る公庫の貸付金について、償還期間を最長二十五年間まで延長する等、住宅建設事業及び宅地造成事業の規模、地域及び施設の種類に応じて償還期間及び据え置き期間の延長を行うことといたしております。
 第六に、住宅街区整備事業により建設された施設住宅を施行地区内の土地所有者等が購入する場合におきましては、住宅街区整備事業の促進を図る観点から、土地所有者等がみずから建設する場合に受けられる融資と同様の貸付限度額その他の貸付条件とする特例措置を講ずることといたしております。
 第七に、これらの改正に伴い、所要の規定の整備を行うとともに、産業労働者住宅資金融通法、北海道防寒住宅建設等促進法等について所要の改正を行うことといたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#185
○委員長(中村波男君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員國場幸昌君から説明を聴取いたします。昌君。
#186
○衆議院議員(國場幸昌君) ただいま議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に対する修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の第一点は、本法律案により創設される新たな条件による個人住宅貸付金、すなわち、政令で定める、所得が比較的多い者 規模が比較的大きい住宅を建設する者等に対する貸付金及び既存住宅購入資金貸付金は、現行の政策金利による個人住宅貸付金の補充的な性格を有するものであることを明確にするため、最近の貸し付けの実態等をも勘案して、その貸付戸数の割合の限度を法定しようとするものであります。
 すなわち、新たに附則に一項を設け、住宅金融公庫は、当分の間、毎事業年度、個人住宅の総貸付戸数に対し、新たな条件による個人住宅の貸付戸数の占める割合については、一割を超えることとならないようにしなければならないものとしております。
 修正の第二点は、施行期日を改め、公布の日から施行することとしております。
 以上で修正の趣旨説明を終わります。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#187
○委員長(中村波男君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分についての説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#188
○委員長(中村波男君) 次に、本院議員二宮文造君外一名発議に係る公営住宅法の一部を改正する法律案を議題とし、発議者より趣旨説明を聴取いたします。二宮文造君。
#189
○二宮文造君 ただいま議題となりました公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨につきまして御説明申し上げます。
 すべての国民に健康で文化的な生活を保障する責任を持つ国は、国民生活の基本となる住宅につきましても快適でゆとりのある住居を確保し、国民の住宅権を保障しなければなりません。
 ところが現実には、全国でおよそ三百万世帯が狭小な民間木造賃貸アパートなどに住むことを余儀なくされており、また、建設省のまとめた住宅需要実態調査によりますと、全国で三五・一%に相当する一千三万世帯が狭い、老朽化、設備不完全、高家賃等の理由で住宅困窮を訴えています。
 一方、政府の今年度における住宅対策を見ますと、住宅金融公庫の個人住宅向けの融資枠は、わずかにふえたものの、公営住宅や公団住宅の建設計画戸数は、それぞれ大幅に削減されており、中でも低所得者を対象としている公営住宅については、年々減少傾向をたどり、昨年度で終了した政府の第二期住宅建設五カ年計画における公営住宅建設の進捗率は、当初の建設計画目標の七七・〇%にとどまっております。
 このように公営住宅建設が行き詰まった大きな原因は、都市への人口の過度集中と用地確保難及び地価や建設資材の異常な高騰によって一地方自治体をもってしてはとうてい解決しがたい事態に直面しているためであります。
 このような現状にかんがみ、当面する公営住宅建設の隘路の打開を図りつつ、生活環境を整備していくためには、公営住宅建設の事業主体である地方自治体に対する財政的裏づけ措置を講ずるとともに、関連公共施設の整備促進、老人、身体障害者等の特別構造の公営住宅の建設促進等を総合的に推進せねばなりません。
 以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。
 まず第一に、公営住宅等の建設に対する国の補助を引き上げることとしました。すなわち、工事費の補助については第一種公営住宅の現行二分の一を三分の二に、第二種公営住宅の現行三分の二を四分の三に改め、共同施設には新たに三分の二を補助することとしました。
 第二に、国の補助金額算定の基礎となる標準工事費については、老人、身体障害者等のために必要とする特別な構造または設備に応じて定めることとし、さらに標準工事費を定めることが著しく困難なものについては実勢工事費を基礎として補助することとしました。
 第三に、国は、公営住宅建設を促進するため、一定規模以上の公営住宅団地の建設に関連して必要となる道路、下水道、学校、保育所、診療所、鉄道その他政令で定める施設等、関連公共施設等の整備事業に対し国が補助することができるようにしました。
 第四に、事業主体は、狭小な既設の公営住宅の増改築、浴室の新設など公営住宅改良事業を施行するよう努めねばならないものとし、その際、国は、定められた補助率の区分に従い補助しなければならないものとしました。
 なお、この法律は、公布の日から施行するものといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 どうもありがとうございました。
#190
○委員長(中村波男君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#191
○委員長(中村波男君) 建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#192
○上田耕一郎君 多摩川決壊問題について、時間をいただいて御質問をしたいと思います。
 私は、一昨年九月九日のこの建設委員会で、例の多摩川の決壊問題について質問いたしました。その後、当建設委員会としても現地の調査を行いまして、狛江市側あるいは被災者側からの意見をも聴取しまして、この問題については一般にも大きな問題になりましたと同時に、当委員会としても強い関心を持っているものであります。その後、多摩川災害調査技術委員会がこの多摩川堤防の決壊問題について調査をし、その調査結果の報告書が提出されておりますが、この報告書を建設省としてはどのように受けとめ評価しているのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
#193
○国務大臣(竹下登君) 上田委員の質問要旨をちょうだいいたしまして、私も、四十九年九月九日の当委員会において、上田委員がかなり時間をかけた一問一答をおやりになっておることの概要説明を聴取してまいりました。
 そこで、調査技術委員会の報告に対する見解でございますが、私は技術的なことにはなはだうといわけでありますけれども、承りますと、約一年にわたって会議を重ねられ、精力的に、しかも熱心に調査検討が行われたその上に基づいた報告書であります。その報告では、今回の災害を踏まえて、せき設計上の幾つかの問題点を指摘しておられますが、これらの点につきましては、今後の行政の上に十分反映さしていただきたいと思っております。
#194
○上田耕一郎君 この報告書には、いま大臣言われたように、せきあるいは小堤の設計上の問題点、あるいはその後の管理の問題点などについても調査し、結論的な問題点を指摘しているわけです。これはこの決壊があれだけ大きな被災者を出し、あれだけ社会的にも問題になった以上、あの決壊の原因がどこにあるか、それからまた責任がどこにあるのかということは非常に重要な問題になると思います。で、その原因と責任を考える上でいろいろ検討すべき問題が多いんですけれども、まず第一は、今度の多摩川災害は、いわゆる不可投力の天災であったのかどうかということがまず問題になると思いますけれども、この点について、この調査報告書に述べてある点を参考にしながら、建設省としては現在どういう結論になっているか、お伺いしたいと思います。
#195
○政府委員(増岡康治君) 多摩川の災害調査技術委員会の報告書が参りまして、私どもも熟読したわけでございます。これには今回の災害を招いた基礎的な原因と、それから直接的な原因に分けて書いてあります。それで、基礎的な要因というのは、このせきは二十数年前に建設されたせきでございまして、せきの背が高かったということと、また可動ぜき部分が少ないせきであるということが一つの基礎的な要因になっております。それから直接的な原因といたしましては、せきの左岸の下流側の取りつけ護岸の形式構造が、いまから見ると適当ではないじゃないか。二番目には、小堤の高さが河川改修の計画高水位に比べて低いではないかと、こういうような直接的な原因が挙げられておるわけでございます。
 しかしながら、私どもは今回のこの多摩川の問題を考えますときに、当時としては、こういうような形のせきというものは全国幾らでも、これがいいと、当時としてはこれがいいなということで、これに似たようなせきはいまもってあるわけでございましてそれを東京都等から引き継いだ――四十一年から引き継ぎましても、これに対して、いろいろ途中には若干の災害がございましたけれども、適確に復旧いたしましたし、あるいはまたいろんな維持管理の面におきましても、昭和四十九年にもみんな集まって点検もしておりますし、まあそういうことで私どもは今回のものについての手落ちはないものと考えております。ただ、予測し得たかどうかという問題があるわけでございますけれども、私どもは当時ずっと――これは東京近くにあるせきでございまして、やはりみんなの目につく場所のせきでございます。したがって、今回のようなそういうような複合的に連鎖反応を起こして結果的には迂回流を生じると、そうして堤防に達するというような現象は予測し得なかったというぐあいに考えておりまして、これについてのそういう意味におきます河川管理者としての責任はないと考えております。
#196
○上田耕一郎君 調査報告書について述べながら、責任はないというお答えですけれども、その前に、この調査報告書の先ほど触れた基礎的な要因あるいは直接要因ですね、これについて建設省としては異論ないしは反対、そういう部分があるんですか。それとも、全体としてこれに述べられたことについては建設省としては大体妥当だと考えているんですか。
#197
○政府委員(増岡康治君) まあこれは大臣も申し上げましたように、長期間かかって相当な労力を要したものでありまして、当時災害直後国会で私が述べた以外のことが十分出てまいりましたので、高く実は評価しております。したがいまして、私どもがこれにどういう感じかと言われましても、ただ問題は、結果論が書いてございまして、ただ結果論が直ちに、現在してないじゃないかと言われてもわれわれ困るという感じはいたしますけれども、これから出ておりますせきの構造、あるいは今後はどういうせきをつくるべきだというようなことに対する示唆というものは数々ございまして、これはわれわれは、すでに実は河川構造物基準等に採用しよう、あるいは試行的にも採用しているものと一致しておりますので、これについては異論はないわけでございますが、ただ、結果論と現実という問題については若干の私ども疑問のある点もあるわけでございます。
#198
○上田耕一郎君 増岡さん、非常に高く評価されるとおっしゃいましたが、私どももこの調査報告書を非常に高く評価しております。多摩川災害調査技術委員会の方々が長い時間をかけて、当時最初わからなかったいろんな問題について究明してこれだけの報告書を出されたことについて、私どもこの機会に敬意を表したいと思います。ただ、大体正しいと高く評価するのだが、責任については大体ないという答弁で、この問題は、そうなりますと、例の国家賠償法の問題に関連してまいります。
 私もおととしの質問の最後に、この国家賠償の問題が出てくるということを指摘しました。国家は、憲法第十七条で、公務員の不法行為に基づいて被害を受けた場合には、その賠償をしなければならぬということが第十七条で決まっており、それに基づいて国家賠償法が定められているわけですが、この問題について私が質問した際、当時の建設大臣の亀岡さんは、「先ほど申し上げましたように徹底的な原因探求をしてまいると同時に」「加治川においてやはり国家賠償法による裁判の請求が現在行なわれておるわけでございます。で、こういう問題ともにらみ合わせまして考えたい」。それから西村さんは、「その件をこれから調べろと言うんですが、これはいまの国家賠償ということになれば、建設大臣と国土庁長官二人できめられるものじゃございません。政府それ自身の問題で討議されるべきものと思っております。」と、こういう御答弁が当時あったわけです。私はこの報告書、高く評価されるべき報告書に述べてあることは、やっぱり明らかにこの国家賠償法第二条にある「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」と、この第二条一項のうちの「河川」の項に明白に当たるという結論しか引き出せないのではないかと思うのです。先ほど私は不可抗力の天災なのかどうかということについてお伺いしましたが、増岡さんからはそれについて直接のお答えありませんでした。
 これまでこの国家賠償法による裁判が幾つか行われておりまして、この中で幾つかのやっぱり判決が出ているわけですね。これは一つの法律的な見解としてわれわれも考慮に値するものが多いと思うのですけれども、たとえば名古屋地裁の例の伊勢湾台風の水害判決ですね。この場合には、「本件堤防には設置または管理の瑕疵はなく、その決壊は伊勢湾台風によって生じた異常高潮という不可抗力に基因し、これによつて原告に生じた損害も不可抗力によるものといわざるを得ない。したがって被告は原告の損害を賠償すべき義務を負うものではない。」という判決が出ております。この判決の意味するところは、考えられないような異常な天災ですね、不可抗力、こういう異常高潮、こういうものの際には国は責めを問われないという判決で、私も大体これはそうだろうと思うのですが、今度の場合に果たして異常な不可抗力的な豪雨だったかどうか、この点についてお伺いしたいのです。
 と申しますのは、この報告書には、「台風十六号による出水は計画高水流量程度で、特に異常な大洪水とはいえない」「いえないが、明治四十三年、昭和二十二年等過去に生じた大洪水とほぼ同程度のもの」と、こういうふうに書いてあるわけで、過去に何回か生じた大洪水と同じで異常な大洪水とは言えないと、こういう結論なんですね。そうしますと、不可抗力による天災によるものではないという結論しか出ないと思うのですけれども、この点いかがでしょうか。
#199
○政府委員(増岡康治君) 先生御承知のように全国に川がたくさんございます。計画流量を流せる川というのはほんのわずかでございまして、中小河川に至っては、いま一生懸命に計画――かつて起こった既往最大流量をいかに流そうかという計画を実はやっておる。それでもまだできないので、五十ミリ作戦、こういうようにしてやっておるわけでございまして、いわゆる計画流量と言ってもなるほど異常という言葉は二通りあると思いますが、起こったそのものは確かに計画流量にほぼ匹敵するもの、四千百七十という計画流量に対しまして四千二百と報告書には書かれておりますが、これとて川を守る立場から言えば非常に異常でございますけれども、統計的な大きな異常とは言えない。先生のおっしゃるとおりでございますが、いわゆる河川関係の治水事業と申しますと、やはり計画があればすべてできているわけではないわけでございまして、そういう意味で異常でなければどうのという問題ではないと私は考えております。今回のこれに対する問題は、やはり計画流量を少し超えたわけでございますが、やはりこのような形式構造のせきにそのような水が流れた場合に、いろいろな水流の変化といいますか、複雑な現象を示して、それが迂回流というものを生じさせた。一つのそういう過程を、いまから考えて、当時予測したものは実はなかったわけでございます。そういう意味で、十分予測されておればこれは何かの手当てしたはずでございます。予測し得なかったという意味におきまして、このせきの設置を許可いたしました河川管理者には責任はないものと考えておると、そういうことを申し上げたわけでございます。
#200
○上田耕一郎君 この多摩川の計画洪水量は四千百七十トンですね、こういうふうになっている。あのときの出水の最高時狛江は大体四千二百トンだった。大体そのぐらいにいったわけですね。ただ、私のおととしの質問のときに、増岡さんがお答えになりましたけれども、これは五十年前のものだ、いまこの計画洪水量を計算し直しているのだ、見直している。見直しているものは大体六千から七千になるという答弁があったわけで、だから大体あそこの洪水量を建設省は六千から七千にやり直しをしようと思っていたわけで、それから比べますと、四千百七十トンというのはそれほど異常な大洪水だったということはないということは、この点でも明らかだと思う。
 もう一つ問題なのは、計画洪水量に近い四千二百トンまでいかないときに、せきが壊れ始めたということが明らかだということですね。
 もう一つ水害判決で有名な加治川の判決をちょっと引用いたしますと、加治川も大問題になってまだ続いておりますが、そこの新潟地裁での判決ではなかなか注目すべき見解を一つ出しております。これは、この「設置又は管理の瑕疵」と言っても、道路の場合と河川の場合は違うのだ。道路の場合には文字どおり道路のきずですね、こによる被害については管理者は完全な責任を持たなければならぬ。しかし、河川というのはこれは自然公物であって、これに全部責任を持つということはなかなか大変だ。予算の問題もあるし、全国大変なことをうんとやらなければならないということで、道路と同じように河川に対して責任を問うことはできないということを言いながら、河川の場合にはどういう際に責任を持たなければならぬかということについて注目すべきことを述べている。これは「完成した堤防等の治水施設が設計外力に見合う抵抗力を具有していなかったため、設計外力を下回る破壊力で破壊され災害の生じたとき、例えば、完成した堤防が計画高水位、計画高水流量に見合う断面構造をもっていなかったため、それ以下の水位、流量で破堤したような場合」、こう言っているのですね。これはやっぱり参考にする点がいろいろあると思うのですが、つまり、たとえばこの計画高水流量を決めている、それより以下のところで壊れた場合には、これはやっぱりまさに設置並びに管理にきずがあったと考えざるを得ないということだと思う。私は多摩川の場合はまさにそれに適合していると思います。
 先ほど河川局長も述べられたように、この報告書には直接的な原因として可動せき部分が少ないとか、せきの高さが高い問題を触れると同時に、直接的な原因として幾つかの問題を指摘しております。
 一つは、あのせきの左側側の下流の取りつけ護岸の形式構造がまずかった、当初の設計よりも五メートル川側に延びていた、のり覆いの構造も非常に弱かったということが第一点。第二点は、四メートル鉄矢板の打ち込みをする設計だったのに、その打ち込みがなかったという問題。第三点は、この小堤ですね、小堤の計画高水位が不足していた。あそこはA・P二十二・八四メートルなのに、それよりも四十センチ低い小堤になった。これは私も気づきまして、おととしの質問で指摘していた問題なんですけれども、そういうせきそのものにこういう構造的な欠陥があった。設計上の問題なんだけれども、設計と違ってまた非常にまずい施工が行われていたということですね。
 それで、この報告書を見ますと、せきを水が越え始めたときには毎秒千六百トンで越流が始まったというんですね。それから越流が始まって、取りつけ護岸が壊れていって 裏に水が回って小堤が壊れる。小堤が壊れて高水敷越流が始まったときは流量は二千七百トンですね。そうすると千六百トンから二千七百トンの間、つまり計画洪水量から見てもまだ半分ぐらいのところでせきがぶっ壊れて、小堤が壊れて、高水敷へどんどん本流が流れ込み始めたと、それでバイパスの大きな流れがとうとうできてしまったんですね。そしてあの四千二百トンまで水がふえる間にどんどんぶつかって、本堤が壊れていって、あのような前代未聞の被害が起きたということになるわけです。そうしますと、この計画高水位や計画高水流量の大体半分ぐらいのところで壊れてしまったことになりますから、これは明らかに設置並びに構造にやっぱり問題があったと、加治川判決の法的な確認から言っても、そういう結論以外に出ないと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
#201
○政府委員(増岡康治君) 多摩川の問題で幾つか報告書に出ております。いま先生おっしゃいましたように、せきの下流の取りつけ護岸の形式は、のりといいますか、のり形式になっていた。それで、学者先生はいま、直立だったらよかったんではないかというお話、確かにそういう見解はあるわけで、望ましいということは確かでございますけれども、だからといって、そののり形式を積極的に否定するという理論的な根拠はない。しかしながら、その方が望ましい、そういうような皆問題なんです。
 それから小堤の問題が計画高水位より低かったんじゃないか。これは四十センチぐらいではどうなのかという問題につきましても、あれは三面張りになっておりますので、こういうものを建設省が引き継いだ場合に、なるほどと、これはいけるなと、こう思うのはまことに自然だと思うんです。ただ後から水理の現象を追ってまいりますと、一つ一つに確かにいま先生おっしゃる、こうあればよかった、こうあればよかったという点がたくさん出てまいりました。矢板の問題も、当初の図面を見ますと相当長く打ち込むものが、実際には施工されていない、これはなぜだろうか。これはよくわからないんですけれども、当時戦後の二十二年から二十四年の間にできた構造物でございます。しかも当時としては最も優秀な技術と言われた工事でございます。いろいろ振り返ってみれば、そういう問題もあるわけでございますけれども、だからといって、それを管理者であるものがなぜ気がつかなかったかと、こう言われましても、これに類するものは相当いま全国にあります昔の構造物――これからの構造物に対してはいろんな手が打てる、これはまさしくいい教訓でございますけれども、過去の全国の各川にあります構造物に対し皆当時こういうようなことをやっておったものですから、それを全部そういうぐあいになりますと、すべての災害はすべてこういうものになってしまう。これは大変なまた問題だと私思うわけでございます。
 加治川の裁判は、いま先生がおっしゃいましたように主観論と客観論と言われる二つの判決が出ました。全体の一つの総論的には、いま先生がおっしゃるように、いわゆる自然公物と人工公物を分けた判決がありながら、客観的な一つの場所についてはまた別の判決が出ております。したがって、これに対しては河川計画論あるいは河川工事論の問題がやはりあるわけでございますので、私どもはこれを控訴するということになったわけでございまして、依然として加治川裁判につきまして私どもはすべて肯定しておるわけではございませんで、いま先生のおっしゃった問題もやっぱり私ども十分まだこれに対処せにゃいけない、反論せにゃいけない場が残っておるわけでございます。
 以上でございます。
#202
○上田耕一郎君 設計上の問題点について、こうすればよかった、ああすればよかったということについてはもうちょっと後で論じますけれども、もう一つこの報告書で重要なのは、維持管理についても指摘していることです。「維持管理に関し特に問題なのは、昭和四十年の災害復旧に際し、ほとんどもとと同じ形、構造の原形復旧が行われたことである。昭和四十年災害当時においては今回のような災害を予測し得なかったものと思われるが、今回の災害の初期の状況は四十年の被災状況とほぼ同様のものであったことを考えると、この時点において左岸取付部及びその周辺の問題点を検討し必要な措置がとられていたならば、今回の災害を軽減することができたたと思われる」、つまり取りつけ護岸の壊れていくという同じ災害が昭和四十年に起きた。ところが、そのときに問題点を解明し研究し、突きとめることなしにもとと同じものにしちゃったというわけですね。それをそのとき気づいていれば今度のようなことにならなかっただろうという結論を出しているわけですね。
 そうしますと、この報告書の意味するところは、設計上にも、私先ほど三点指摘しましたが、大きな問題点があると。これは直接的な原因ですね、増岡さん言われた。それから基礎的な原因も二つあると、それからさらに維持管理上もこういう問題があるということになりますと、やはりこの第二条に言う設置または管理にきずがあった。つまり、計画高水流量の半分ぐらいのところでもうぶつ壊れてしまったわけですからね。いま増岡さんの言われるところによると、こうすればよかった、ああすればよかったということになるけれども、それをこうしていれば必ず防げたという結論にはならないかもしれない、そうすると、当時そのことに気がつかなかったからといって責任はないと言われるんですけれども、しかし私は、今度は実際にあれだけの災害が起きて、計画高水流量の半分ぐらいのところで起きて、それから四千二百トンまでいく間に本堤が壊れて、二十軒ぐらいの家が土台もろとも川の中に流れてしまうという、被災者にとっては人間の一生の中で考えられないような、初めて遭うような大きな取り返しがつかない損害を受けたわけですね。現実にそういう災害が発生している。災害の原因はこういうせきの設計上の問題、一度昭和四十年に問題が起きたにもかかわらず気づかないでまた同じ原形に戻してしまったという維持管理上の問題と二つが明らかにされているわけですから、これについてやっぱり責任がないというのはどうにも受け取れないのですけれども、その点いかがでしょうか。
#203
○政府委員(増岡康治君) 確かに先生がおっしゃいますように、昭和四十年の災害がございまして、これが二千三百トンぐらい流れたんではなかろうかと思われておりますけれども、このときに原形に復旧したわけでございますが、また災害復旧工事というものは原形復旧が一般的であったからそうしたんだろうと思いますが、その後実は四十年以降にも数回これを上回る洪水を受けまして、その後被害を全く受けなかった実例もあるわけでございまして、そういうことから、現場の立場から言いましても、今回のようなそういう決壊のあのような複雑なストーリーといいますか、現象というものはきわめて少ないだろうと、そういうことを実は考えておったわけで、これも私どもいまから振り返ってみても、やむを得ないのではなかろうかと思っておるわけでございます。
 それから、オーバーフローが千六百トンから二千七百トンのときにすでにそういう徴候があったじゃないか、こういうことがございますが、一般の大きなといいますが、大きなのでなくても中洪水でも、いろんなせきあるいは橋脚でもいいですが、何かの実は災害が起こっているんです、実際には。どこかにそういう災害が途中で起こって未然に防げておる場合も非常にたくさんあるわけでございまして、ただ、今回はいわゆる小堤部分のあの広場が相当距離があるわけですね、そういうことも一つのこれはプラン要因と現場では考えておったわけでございまして、洪水のたびに後、構造物を調べておりますと、何か実は損傷を受けていることは確かでございまして、そのつど私どもは点検して直すというのが日常の維持管理のあり方だと、こういうことで決して……、そこで壊れていたからすぐおかしいじゃないかと先生おっしゃいますけれども、やはりいろんな構造物が後から、たとえ計画までいかない洪水でも、護岸がやられたりいろいろしながら堤防が辛うじてもつ場合が非常に多いわけでして、そのつど補強していくというのが一つのならわしになっておる、そういうことでございます。
#204
○上田耕一郎君 そうなりますと、今度のような多摩川の場合に国家賠償法が発動されないということになると、大体国家賠償法が河川に関して発動されることはほとんどないということにならざるを得ないと思うんですね。で、お伺いしますけれども、先ほど報告書が指摘しているような、せきの設計上の問題点ですね。これは河川その他の営造物の設置についてのきずじゃないんですか、これはやっぱり瑕疵と、きずというふうになりませんか。
#205
○政府委員(増岡康治君) これはいわゆる国家賠償に基づく瑕疵という言葉と、私どもがいわゆる構造物が災害で損傷を受けるという損傷に値するものと、ちょっと言葉が若干違うと思っておりますが、非常にむずかしい御質問ですけれども、まあ瑕疵という言葉、きず、構造物のきずということであろうと思いますが、やはりそういうような拡張解釈してまでの瑕疵とは私どもは考えておりません。
#206
○上田耕一郎君 当時の技術としてはほぼ完全であったと、そう思うんですか。
#207
○政府委員(増岡康治君) 御承知のように、このせきは当時としても大きな構造物でございます。戦後、材料資材のないときに非常によく施工されたと、その面でも評価されたせきでございまして、したがって、これについては相当当時議論されたものと思われまして、私どもは当時としてはまあまあの設計であろうと――まあまあというのはあれでございますが、これは御承知のように河川工作物の設置を受ける側です。われわれは認可する側の立場に立った場合は、まあこれでいいじゃないかと、想像として、当時の振り返ってみても、これでいいだろうと、こういう感じがあります。これは感じでございますけれども、当時に振り返っての話ですが。
#208
○上田耕一郎君 それでは、その後河川法の改正で、多摩川が一級河川になって国の管理になったわけですが、その後の維持管理についてもほぼ問題はなかったと、そう思われますか。
#209
○政府委員(増岡康治君) 通常の他の河川と同様に、いわゆる直轄河川としての維持管理の上から見まして、通常的なものは全部当事務所でもやっておりますので、それに対しましても、私どもはこれでまあ普通の状態であったと言えるものと考えております。
#210
○上田耕一郎君 私は全く無責任な答弁だと思います。この報告書は非常に高く評価すべきものだと言っている。ここには具体的には設計上のきず、設計上の問題点、維持管理上の問題点、詳しく指摘している。これが原因であれだけの災害が起きたわけです。ところが河川局長は、この報告書そのものは高く評価すると、しかし、あの災害については、国としては設計並びに管理についての責任はやっぱりないと思うと。一体なぜ災害が起きたのかということが、全くわからなくなってしまうんですね。これは全く矛盾した答弁で、一体なぜ災害が起きたのか、その設計並びに管理上に何ら問題がなかったのかということ、これについてはどうですか。
#211
○政府委員(増岡康治君) 私が申し上げたいのは、川は生きております。そういう意味でこれを予測すると、同じ流量でも川の姿は全然違うわけでございまして、そういう意味で予見し得たと、十分予見し得たものをやらなかったといえば、これはやはり問題になると思いますけれども、通常の私どものこういう河川管理の立場からずっと考えてみますと、いま先生がそういう矛盾とおっしゃいますけれども、河川というものはそういうものであると私ども考えておるわけでございまして、やはりずっと管理体制をしきまして、やはり点検作業も行っております。四十九年六月にも、川崎市にも来てもらうし、いろいろと東京都にも来てもらうということで、みんな立ち会いのもとでずっと歩いております。そういうような動作の中においても、予見し得ないものがあるという問題につきまして申し上げておるわけでございます。
#212
○上田耕一郎君 不満です。別の問題に移りますが、このせきの維持管理、監督責任は国にあるわけですね。川崎市との関係はどうなりますか。もし今度の問題で責任を問われる場合、国と川崎市との関係はどうなるのか。川崎市と国とこの問題で協議をしたことがあるかどうか、この点をお伺いいたします。
#213
○政府委員(増岡康治君) この問題につきましては、川崎市とは直接話し合ったことはございません。私どもは先ほど申し上げましたように四十一年に引き継いだわけでございまして、そういうことで私どもがすべてこういう問題につきまして、こういう裁判になるとは実は思っておりませんし、そういう立場から私どもは直ちにこういう報告書を次の行政に反映するということばかり実は考えておりまして、一番最初にやりましたのは、やはり災害復旧を早くやって、それから皆さん方の土地を早くつくると、そして次は全国のこういう似たものに対して、いままでもやっておったけれども、さらにこういう報告書を背景いたしまして、総点検をやる、そういうような問題、予算的な範囲をどうするか、そういう一つの発展の仕方をいたしたわけでございますので、川崎市との問題というものは直接話し合ったことはございません。
#214
○上田耕一郎君 いま裁判の問題を言われましたけれども、去る二月十一日に狛江市の被災住民は、この国家賠償の請求の裁判を東京地裁に起こしているわけです。被災者の会によりますと、建設省と、その前に裁判を起こすまでにも何回が交渉を行ったと、被災者の会によると、その際の建設省の態度は、現行法上は国の責任が因果関係ではっきりしたからといって直ちに補償を出す制度はないし、第三者の裁定を待つ以外にないという態度に終始したとのことです。やむを得ず被災住民は国家賠償請求の裁判を起こしたということですけれども、建設省の態度はそういう態度だったのですか。
#215
○政府委員(増岡康治君) この狛江の被害者の皆さんとは私は何回かお会いしておりまして、それでお互いにどういいますか、ざっくばらんにお話をいたしました。災害というものが起こった場合にどうなのかということを、全国的な視野に立ちながら私どもは皆さん方と話を繰り返してきた。それで、最後までやはり被害者の方々は何かやはりすべきではないかという御主張に終始いたしましたし、私どもはいまの国の制度といたしまして、あるいは治水事業の立場からも、直ちにこれは補償はできないのだということでいろいろと議論を交わしたという経過がございまして、いま先生がおっしゃいましたように、何ら直ちにこういうことが起こったといって国が補償するすべはないと、はっきり実は申し上げたという経過は覚えております。
#216
○上田耕一郎君 建設大臣にお伺いします。大臣どうお考えになりますか。あれだけの災害が起きて被害が出たと、それで原因も調査委員会の報告書でほぼ明らかになったと、せきの設計上、基礎的条件に二つ問題があると、それから具体的に三つの問題点があると、具体的に設計上の問題点が指摘されたわけですね。しかも維持管理上も、昭和四十年に問題が起きて、そのとき気づいていれば今日の災害もっと防げただろうということまで指摘されている。しかも壊れたのは先ほどから強調しているように計画洪水量の半分ぐらいのところで起きているわけですね。そうすると明らかに、これだけ明白なケースというのは私はないんじゃないかと思うのですね。構造物の設計に問題があり、維持管理上に問題があり、そのために災害が起きたと、それに対して国家賠償法のこの第二条が発動されないと、賠償する責めに任じないということになりますと、どんな災害が起きても、河川の場合には、河川というものは生きたものでどうなるかわからぬと、建設省の何も責任を免除するために河川があるわけじゃないんですよ。そういうことになってくると、これは河川についてはどんな災害が起きても、ほとんど国家賠償法の発動はないということになると思うのですが、それが建設省、国の態度ですか。
#217
○国務大臣(竹下登君) 私もこの種のこの訴訟法に関しましては、本件のみでなく数多く関係を経験上も持っております。そこで、これは実態といたしまして、これを扱いますについては、政府部内の意思統一をした結果、法務省の訟務部、今度局になりましたか、まだ設置法が上がっているかどうかわかりませんが、そこで統一して扱うと、こういうことになっておるわけであります。したがって、この国家賠償法の問題について、私ども従来のいきさつをいろいろ検討をいたしてみたことがあるのでありますが、いわゆる政治家として政治責任というものを感じ、それに対してその被災住民の方々にできるだけのことをして差し上げたい、これは政治家の第一義的に持つ一つの姿勢であろう、私もそれはそのように考えるわけであります。
 さて、それならば、それをあえて用語を使いますならば、いわゆる和解でございますとか、示談でございますとか、そういうことで解決した場合、またこれが大きな先例となり、あるいは遡及したりいろいろな問題が生じてくる。さようしからば、結論的にこの三権のたてまえ上国民の皆さん方になるほどといって一番納得していただける第三者機関と申しますか、裁判所の決定に従ってその行為を行うことが、やむを得ざる措置としてもそれが一番適切ではないかというので、従来この種の訴訟問題については私も何件かそういう検討の中に入りまして応訴したり、そういう見解を述べたりしたことはあるわけでございます。したがいまして、私は技術者でございませんのでわかりかねますが、河川局長自身も、いわば先輩の諸先生方が技術委員会であれだけの時間をかけて、たとえそれが学術的判断と申しますか、あるいは経験的判断にゆだねられたところもそれは多かろうと思うにいたしましても、これが報告書を評価するというのは、私はまた技術者として当然あるべき姿だと思うんであります。
 しかし、それ自身がさようしからばとて、この国家賠償法そのものを直ちに適用する場合は、やはりそれはこの訴訟の過程において河川管理自身に瑕疵があったかなかったか、あったという御主張のもとにおける原告側の御主張でございますので、これに関しては河川管理者としていろいろな技術的な検討もして、今日河川管理に瑕疵はない、こう考えておるわけでありますので、私はそれなりには、行政の仕組みの中では河川局長がお答え申し上げておりますことも、これはやむを得ざるお答えとしてお受けとめいただかなければならぬのではなかろうかということを感じておるわけであります。いずれにいたしましても、これからの裁判については、河川管理に瑕疵はなかったという技術的な背景の上に立って、その主張を訟務局を通じ、していかなければならない立場にあるではなかろうか。
 御承知のあの道路関係についての国家賠償法の問題もございまして、私もその際、その後にいろいろ敷衍した結果として損保会社へ市町村が加入するようになったとか、いろんな結果としてそういう問題出ておりますが、私は河川については確かに道路ほどにいわゆる従来ともに長期計画に沿って進んでおる関係ではなくして、確かに川は生きておるという関係から、洪水等によって災害を受けたところを改良復旧することによって、また新しい河川改修なり河川管理の体系が整えられておるという説明の中でなかなかむずかしい問題だなという理解もしながら、私は今日河川管理者としての立場で、責任者は私でございますけれども、その衝にある増岡河川局長が技術者としてのまた体験からして、先輩の意見は評価しつつも第三者機関にゆだね、みずからの技術的良心に基づいての主張をしておるということは、またひとつ御理解をいただかなければならない問題ではなかろうか、このように考えております。
#218
○上田耕一郎君 建設大臣かなり正直に言われましたけれども、結局先例になるので第三者、つまり裁判ですね、この結果に基づかざるを得ないのだ、大体そういうことのようです。そうなりますと、非常にこれ大問題なんですね。全く国家賠償法なんていうのは有名無実みたいになると。で、憲法第十七条で規定されていて、それを受けてこれあるわけですね。それで、たとえば民法七百九条以降に「不法行為」というのがありますね。それで民法七百九条では、「故意又ハ過失ニ因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ障害スル責ニ任ス」、それでこういう不法行為で侵害された人が損害賠償することを相手に、加害者に要求する。ここで普通の人だったら責任を感じて、たとえば一千万円要求する、片方ではまあちょっと高いというようなことで七百万でおさまるとか、一千万そのとおり出すとかいうことで成り立つのが民法です。ところが、加害者側が非常に悪徳であって絶対認めないということになると初めて裁判になるのですね。裁判になってこの不法行為に対する賠償が裁判で決まるわけです。だから、民法七百九条以降の不法行為の場合には、裁判になるのは悪徳の人だけですよ。
 ところが、いまの大臣の御説明だと、国の国家賠償法に対する扱いは、特に河川、まあ道路でもそうですけれども、明らかにこの報告書にあるように責任はまさに設置並びに管理についてのきずに原因があったことはもう明白なんです。ところが、明白で被災者の側が賠償の問題を持ち出してもこれは認めないわけですね。いわば悪徳個人みたいなもので、悪徳政府みたいになっちゃうわけですね。それでこれは慣例になるからまずいと。それで結局裁判になる。そうしますと、裁判をやるというのは大変なことですよ。金もかかりますしね、運動もやらなければならぬし、長い期間かかるし、それで裁判をもしやらなければ、国家の責任で設置並びに管理に責任があっても裁判に訴えなければ賠償はパアですよ。そうすると、国家賠償法というのは有名無実になっちゃうのですね。これはぼくは大問題だと思うのですね。省どういう見解ですか。
#219
○説明員(田代暉君) お答え申し上げます。
 御指摘のように行政庁の瑕疵が明らかな事案につきましては、確かに行政庁と被害者との話し合いによって損害賠償金の支払いが行われるという事案があり得るわけでありまして、当然そういうことがあるというふうに聞いております。また、貧困のために訴訟を起こせないというようなことがないように、現行制度におきましては訴訟上の救助とそれから法律扶助という制度がございまして、これの活用によりまして被害者が当然訴えを提起すべきであるにもかかわらず訴えを提起することができなかったというようなことがないような制度が設けられております。
#220
○上田耕一郎君 じゃ、法務省に質問しますが、この国家賠償法第二条が発動されて裁判なしに国家が賠償を行ったという事例はこれまでにありましたか。
#221
○説明員(田代暉君) 私どもは訴訟になる前に具体的に関与しておりませんので、個々にそういうものが二条についてあったかどうかについて具体的には承知しておりません。
#222
○上田耕一郎君 じゃ、建設省にお伺いします。道路、河川、これに関係して第二条が発動されて裁判なしに賠償した例はありますか。
#223
○政府委員(増岡康治君) 私まだ寡聞にして知らないのでございますが、いま二十ほど、水害裁判として二十件ございまして、まだいまのところ私どもの調べではないように思うわけでございます。
#224
○上田耕一郎君 これ、問題は明確だと思うのですね。結局ないのですよ。つまり、この不法行為によってきずがあって、問題があって損害が生じても、一切裁判なしに払ったことはないのですよ。国は賠償に応じないのですね。みんな裁判しろということになるのですね。それで、全部責任がない、責任がないと言い逃れて、それで裁判になっていろんな問題がはっきりして、この間、道路で石が落ちたことまで国の責任だということで判決が出ましたね。今度の問題でも、大東市の場合なんかはもっと明確に判決は、河川については国が責任をやっぱり持つのだということを言っているのです。「元来河川はその流域における雨水等を集めてこれを安全に下流へ流下させる機能を備えるべきものであり、これを管理する者は、右の機能に欠けることのないよう安全な構造を備え、かつ、常にその機能を果せるように管理すべき責務を有するのであって、このことは河川法の規定によっても明らかである。」というふうになっている。こういうふうに問題が明確になっても、なおかつ国の賠償は裁判をやらなければ払わない、応じないということになっているわけです。先ほど指摘したように、民法における加害行為をしても、なおかつこの責めに任じない悪徳個人と同じような態度を政府がとっていると私は断ぜざるを得ないと思うんですね。もう時間が参りましたので、私この質問これで終わりますけれども、もうすでに裁判が提起されておりますので、これについては建設省並びに法務省側が、この調査技術委員会の報告書もありますし、問題をやっぱり正面から受けとめて、この問題について、国の設置並びに管理の瑕疵の結果、多くの被災者が取り返しのつかない損害を受けたので、これに対して善意ある政府として問題に対する責任をとっていただくことを要望したいと思います。
 最後に建設大臣にお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
#225
○国務大臣(竹下登君) はなはだ私も正確な記憶でございませんけれども、たとえば私が扱ったので、これは建設大臣としてではございませんが、たしか敵前逃亡による名誉回復とかいうような訴訟がありまして、提起される前にお会いをいたしまして、見舞い金でございましたかちょっと記憶いたしておりませんが、そういう解決をした例はございます。あるいは建設省でも、いまこの河川の問題は別といたしまして、直接ダムの操作を公務員自身が過って及ぼした影響とか、そういうのは私は例があるかないかは別といたしまして、当然のこととして国家賠償法の対象になり得ることであると思っております。
 ただ、こういう河川の問題につきましては、まあ古くて新しい問題というよりも、長い建設省の歴史から見ればむしろ新しくて新しい問題として、新しい行政需要として出てきた問題であります。したがって、私はこれに対して政治責任なりあるいは政治としてあるべき姿というものは、あくまでもその被災者側の上に立って救済措置を行っていくということが最も好ましいことであると思うのでありますが、いわゆる河川の持つ歴史、そうしてまた今日技術的に、技術的な判断というのはまさに主観的な問題もあるわけでございます。経験的な意見からする河川管理が瑕疵であるかあるいは天災であるかというようなことは、やはり私は最終的には第三者機関といっても、そのものずばり三権のたてまえの裁判所ということになるのでございますが、そうせざるを今日は得ないではなかろうかと。ただ私なりに、国家賠償責任としてこれに対応すべきかどうかという、別の機関とでも申しましようか、審議会とかそういうことについては、河川の問題ではなくして一遍検討をさしたことがございますけれども、これもなかなかむずかしい問題でありまして、結果としては私は厳正な裁判の立場においては、技術者の良心なり河川管理者の良心に従ってみずからの主張をするところを主張していくしかないではないか、こういう感じがいたしております。
#226
○上田耕一郎君 終わります。
#227
○委員長(中村波男君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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