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1975/05/20 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 商工委員会 第6号
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1975/05/20 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 商工委員会 第6号

#1
第077回国会 商工委員会 第6号
昭和五十一年五月二十日(木曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         柳田桃太郎君
    理 事
                熊谷太三郎君
                楠  正俊君
                竹田 現照君
                加藤  進君
    委 員
                小笠 公韶君
                剱木 亨弘君
                斎藤栄三郎君
                菅野 儀作君
                林田悠紀夫君
                福岡日出麿君
                矢野  登君
                吉武 恵市君
                阿具根 登君
                鈴木  力君
                対馬 孝且君
                森下 昭司君
                桑名 義治君
                藤井 恒男君
   衆議院議員
       修正案提出者   佐野  進君
    国務大臣
       通商産業大臣   河本 敏夫君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務局取引部長  後藤 英輔君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  野上 正人君
       経済企画庁国民
       生活局長     藤井 直樹君
       通商産業審議官  天谷 直弘君
       資源エネルギー
       庁長官      増田  実君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  大永 勇作君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安課長      柳館  栄君
       大蔵省証券局資
       本市場課長    今永 伸二君
       通商産業省産業
       政策局商政課長  真砂 博成君
       通商産業省産業
       政策局消費経済
       課長       内田 禎夫君
   参考人
       電気事業連合会
       会長       加藤乙三郎君
       社団法人日本瓦
       斯協会会長    安西  浩君
       全国消費者団体
       連絡会代表幹事  工藤 芳郎君
       日本労働組合総
       評議会幹事    福田  勝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の社債
 発行限度に関する特例法案(内閣提出、衆議院
 送付)
○訪問販売等に関する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(柳田桃太郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 前会に引き続き一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の社債発行限度に関する特例法案を議題といたします。
 この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となりました本案の審査のため、本日の委員会に、参考人として電気事業連合会会長加藤乙三郎君、社団法人日本瓦斯協会会長安西浩君、全国消費者団体連絡会代表幹事工藤芳郎君、日本労働組合総評議会幹事福田勝君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、皆様には御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、ただいま議題といたしました法案につきましてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を承りまして、今後の本案の審査の参考にいたしたいと存じておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 なお、参考人の方々には順次それぞれ十分程度の陳述をお願いし、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、まず加藤参考人からお願いをいたします。
#4
○参考人(加藤乙三郎君) ただいま御紹介いただきました電気事業連合会会長の加藤でございます。
 手前どもの事業の運営に当たりましては、本委員会の諸先生方には日ごろから格別の御指導を賜っておりますことを、まずもって厚くお礼を申し上げます。
 本日はまた、九電力会社の代表といたしまして、電気事業がただいま当面いたしております資金問題の状況と、これに対する対策としての特例法案につきまして意見を述べる機会を与えていただきましたことにつきまして、これまた厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 初めに、手前どもの電気事業の資金問題について申し上げたいと存じます。
 御案内のように、日本経済も安定成長期に入りまして、電力需要も過去の年平均増加率一二%というような高水準から、約半分の六%程度に落ちつくものと予想をいたしておるのでございます。この六%程度の電力需要の伸びで考えました場合に、ただいま持っております五十年度末の発電設備は約九千九百六十万キロワットでございますが、この現有設備に匹敵するような九千百六十万キロワットを今後十年間六十年度末までに開発することが必要であると考えるのでございます。しかもこの電気事業の設備投資は、電源部門にありましてはいわゆる石油への依存を少しでも脱却いたしまして、エネルギー源の多様化を図るという国の基本政策にこたえまして、水力開発の見直しであるとか、諸般のいろいろの多様化を前提としました発電設備を考えております。したがいまして、従来より多額の建設費を要する電源の確保に向かわざるを得ないのでございます。あるいはまた、排煙脱硫装置を初めといたします公害防止投資、あるいは原子力の安全対策のための投資等も、社会的要請にこたえまして、新規設備にとどまらず、既存設備にまでさかのぼりまして追加投資となり、これまた投資額を増高させる一要因にも相なっておるのでございます。
 さらに、この電源設備以外におきましても、送電設備であるとか変電設備であるとか、それらにつきましても、電源立地が遠隔するに伴いまして、設備距離の増加あるいは規模の巨大化を来しますし、ことに近年民生用の冷房需要の急増等によりまして、配電設備の強化、安全化が要求されまして、これまた設備投資額に拍車をかけておるような現状でございます。
 これらの設備投資を賄いまする資金は、本来はその多くを内部資金に依存するのが本意かと存ずるのでございます。しかしながら、石油危機を契機といたします物価上昇等の影響から、たとえて申し上げますれば、資産の簿価と時価がかけ離れてしまったことによりまして償却不足が生じたこと等、内部留保が少なくなってまいりまして、結果といたしまして外部資金に依存せざるを得ないというのが現況でございます。
 なお、自己資金といたしての増資によります資金確保につきましては、資本構成の改善、企業体質の強化という観点から大変好ましいものと言えまするが、これも株式市場の状況、収益性の低下傾向の現状から、高資金コストによります電気料金への影響等をあわせ考えますると、これまた増資にも限度があると申さざるを得ません。また、外部資金のうちで借入金は、所要資金が巨額であることから、資金市場の制約、金融の繁閑によります安定性の問題がございまして、急激な拡大は困難であろうかと存ずるのでございます。したがいまして、長期資金調達の柱といたしましては、大量かつ安定的な資金源として個人消化を中心といたしました社債に依存することが、当面、最も妥当な方策となってまいっておるのではないかと存じます。しかしながら、社債につきましては、法定発行限度の枠という制約がありまして、その量的拡大が阻まれておりますため、ぜひともこの法定限度枠を拡大していただきたい、この念願でございます。
 次に、電力債の社債の消化状況について若干申し上げますれば、その消化の基盤は個人を中心に順調な広がりを見せておりまして、近年におきましては徐々にそのシェアが拡大いたしてまいりまして、大体ただいま六五%が総社債発行額のうちで個人が占めておるような現状に立ち至っておるのでございます。このことは、もとより個人資産の蓄積が充実、増大いたしたという日本経済の客観的情勢に基づくものであり、さらに、証券会社によりますいわゆる証券民主化の促進といった要因も加味せられておるのだと思われまするが、また、手前ども電力会社の永年の個人消化拡大の努力も、いささか拡大いたしてまいりました一助をなしているかと存ずるような次第でございます。
 なお、今後につきましても、もちろんわれわれは従来に増しまして電力債の個人への普及に格段の努力を傾注してまいる所存でございます。
 次に、本特例法案は、当面する緊急問題も包含いたしておるのでございまして、この点につきましても早急なお願いをいたす次第であります。すなわち、五十年度末の社債発行残高は三兆二十五億円に達するのでございまするが、これに対応いたします五十一年度社債発行限度は三兆三千五十二億円でございまして、その差わずか三千二十七億円でございます。他方、五十一年度にわれわれ必要な発行額と予定いたしておりまするのは七千十七億円でございます。したがいまして、ただいまでは枠の制約から発行額が必要額の半分以下となりまして、すでに一部の会社はこの上期中にも社債発行ができなくて、資金調達が難渋するというようなことも考えるのでございます。そういたしますと、五十一年度におきまして若干、われわれの設備投資を通じまして景気浮揚というようなお助けにもなるかと思いました点も、これも支障が懸念されるのでございます。
 以上述べました業界の実情につきまして、十分な御配慮を賜りまして、本案の早急な成立を衷心よりお願い申し上げる次第でございます。
 重ねて、このような機会をいただいたことに対しましてありがたくお礼を申し上げます。
#5
○委員長(柳田桃太郎君) 次に、安西参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(安西浩君) 私は、日本瓦斯協会の会長をいたしております安西浩でございます。
 本日は、参議院の商工委員会におきまして電力、ガスの社債特例法の御審議に当たりまして、参考人としてお招きいただきまして、都市ガス事業に関する意見を述べる機会を与えてくださいましたことに対しまして、衷心から感謝申し上げる次第でございます。
 また、委員の諸先生方には、平素から都市ガス事業の運営につきまして格別の御高配を賜り、この席をおかりしまして厚く御礼申し上げる次第でございます。
 さて、一般ガス事業の当面する資金問題につきましては、去る昭和五十年十二月に、総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会におきまして、「一般ガス事業の資金問題に関する中間報告」として、取りまとめられ、通商産業大臣への報告が提出されましたが、ここに改めて一般ガス事業における資金問題につきまして、当業界の置かれております厳しい現況を御説明申し上げまして、格段の御配慮を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 まず、都市ガスの需要動向について申し上げますと、昭和五十年度は御案内のように、戦後最大と申されます不況と、また需要家の消費節約の気持ちが浸透いたしまして、都市ガス販売量の伸びは、いまだかってないほど低調でございましたが、基調といたしましては、都市ガス需要の九〇%を占めます民生用需要は都市の外周に向かっての拡大に応じまして着実に増加しておる状況でございます。
 これに加えまして、当業界が他に先駆けまして硫黄分を全く含まないクリーンエネルギーでありますLNGの導入を進めてまいりました結果、都市ガスは大都市周辺におきます大気汚染問題の解決にも大きく寄与することが可能となってまいりました。工業用需要につきましても現在は全体のわずか一〇%にすぎませんが、この点は逐年増加の傾向にあると考えます。
 東京、大阪、東邦及び西部、これは九州の会社でございますが、社債発行の四社は、今後とも公益事業といたしまして都市ガスの需要の伸びに対応いたしまして、安定供給の確保に努めるとともに、それぞれの地域の都市ガス事業の核となりまして、他の都市ガス事業者からの要望がございますれば、適正な範囲でみずからの都市ガスを卸供給し、お役に立ってまいりたいと考えておる次第でございます。
 このような将来の需要の伸びに対処いたしまして、かつまた、国のエネルギー政策にも御協力申し上げるためには、今後さらに巨額な設備投資を行うことが必要でございます。すなわち、製造工場の増設はもとより、新たな導管の敷設、大口径高圧導管への切りかえ、あるいは保安確保のための導管の入れかえなどを推し進めてまいらなければなりません。
 また、東京、大阪、名古屋の三大都市圏におきましては、従来の都市ガスにかえましてLNG――液化天然ガスを主原料とする高いカロリーの都市ガスへの切りかえが進んでおるのでございますが、これは今日の大都市の道路、交通事情の中で、従来の供給方式をもっていたしましてはほとんど物理的に不可能な、都市ガスの長期にわたる供給の安定を達成する画期的な方策でございまして、このためには、さきにも申し述べました一般的な投資のほか、さらにLNGの受け入れ基地の建設、輸送幹線の敷設等、先行的かつ大規模な投資を集中的に行わなければならないのでございます。これらを含めまして、当業界の今後の設備投資額は十年間で四兆円以上となりまして、昭和五十年度の売上高の五年分にも相当する資金が必要でございます。これらの巨額の設備資金を賄いますためには、当面、外部資金への依存度を急速に高めざるを得ないのが実情でございます。
 しかし、社債、市中借入金、財政資金等につきましては、いずれも制約と限度がございまして、一方、増資につきましても、収益低下の現状あるいは増資の資金コスト等をあわせ考えますと、これにも制約があると申さなければなりません。特に資金コストにつきましては、社債等の資金コストが年率約一〇%であるのに対しまして、増資の場合、配当一〇%といたしますと、法人税等を加えますと約一八%となりまして、ガス料金への影響も無視できないのでございます。
 したがいまして、これらの資金調達の方法を最大限に活用してもなお、今後十年間の東京、大阪、東邦、西部の債券発行四社の資金調達不足額は約三千億に達する見込みでございます。このような状況から、今後急速に増大する設備資金を調達するための最も有効確実な方法といたしまして、現行商法の規定による社債発行限度枠を拡大していただきますようお願い申し上げる次第でございます。
 さきにも申し上げました資金需要の実情から、現状のまま推移いたしますと、西部瓦斯は本年中に、また東京、大阪、東邦の三社も昭和五十二年度当初から、いずれも社債発行が不可能となる見込みでございますが、この四社は、都市ガス販売量におきましては全国の約八〇%のシェアを持っておるのでございまして、資金調達が困難になりますと、わが国における都市ガスの安定供給にも多大の不安をもたらすようなことになるのでございます。
 当業界といたしましては、今後一層経営努力を行いまして、都市ガスの安定供給に努めることはもとよりでございますが、需要家に対しましては責任ある対話を実行し、また、ガス機器、ガス導管等の保安にも万全を期することによりまして、公益事業としての責務を全うしてまいりたいと考える次第でございます。また、この四つの会社におきましては、その経営力、購買力、技術力等をもちまして、他の基盤の弱い地方中小都市ガス事業者に協力いたしまして、率先して当事業の発展に寄与してまいりますので、何とぞ本法案の御審議につきましては、格段の御高配を賜りたいと存ずる次第でございます。
 本日は、都市ガス事業の実情につきまして意見を申し述べる機会をお与え下さいましたことを、重ねて厚く御礼申し上げる次第でございます。
 ありがとうございました。
#7
○委員長(柳田桃太郎君) 工藤参考人。
#8
○参考人(工藤芳郎君) 私は、今回の電力、ガスの社債枠拡大についての法案について、反対をする立場から意見を述べさせていただきます。
 御存じのように、電力やガス事業は資金調達計画をされるその前提といたしまして、需給計画あるいはまた設備計画というものがされるわけでございます。今日まで電力、ガス事業が総括原価主義に基づきまして、能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものを原価としてやってこられたわけでありますが、特に社債枠を大幅に拡大をするというような形をとらずに運営をなさってこられたわけであります。今日、何ゆえにこのようなことがされなければならないのかというところに第一の問題点があるかと思います。つまり、資金計画を立てる前提としての設備計画なり需給計画といったものが、これからの社会の中で本当に適正に正しく計画をされているのかどうかということを一つ疑問に思っております。
 たとえば、政府機関で出されました、長期電力需給についてという電気事業審議会の需給部会の中間報告がございますけれども、これなどを見ますと、たとえば原子力発電の問題では、原子力発電については、「国産エネルギーに準じた供給の安定性を有している」というような形の位置づけがあるわけでございますけれども、多くの国民が今日原子力発電の安全性についてももちろんでありますけれども、国産エネルギーに準じたものだというふうな位置づけとして理解をしているかどうか、大変疑問なところでございます。
 さらに、設備計画で申しますと、五十一年、五十二年における電力の設備計画が四月に発表されましたけれども、これなどによりますと、継続中のもの、新規のもの含めますと、水力が継続中のものが六百二十六万キロ、新規、が三百五十万キロ、火力が継続中のものが千五百四十七万キロ、新規が六百六十一万。原子力が継続中のものが千三百九万キロ、これに対して新規が千二百七十七万。五十一年、五十二年は、電力の場合は、原子力が文字どおり発電部門で中心的な役割りを果たそうとしているわけでありますけれども、こういった前提問題について、石油がだめなら原子力というふうに短絡的に事が運ばれようとしていることについて、まだまだ国民は十分合意を見ていないのではないかと思うわけでございます。
 御存じのように、原子力発電は火力発電等に比べますと二倍以上の設備投資、費用がかかるわけであります。また、先ほど引用いたしました国産エネルギーに準じた供給というような点から見ましても、原子力発電の場合は燃料としてはウランを必要とするわけでございます。ウランは、言うまでもありませんが国産のものはないわけでございます。しかも、日米原子力協定などによりますと、このウランなどはアメリカとの間で長期確定量方式がとられておりまして、八年先の分まで契約をし、しかも、前渡金まで渡さなければならないというような仕組みになっているわけです。
 また、原子力プラントの問題にいたしましても、最近マスコミが盛んに報じておりますけれども、一基当たり一ドル三百円換算でいたしましても、千五百億円から二千億円もするようなプラントを購入をされているわけですが、これなども、アメリカの原子力産業界の二大勢力であると言われていますGEとウエスチングハウス製のものを購入しております。
 しかも、この両社は大変競争関係にあるわけでございまして、たとえば、ウエスチングハウスの場合は、最近のマスコミの情報によりますと、ロッキード社の数十倍に上るような赤字を抱えている。しかも、ウエスチングハウスのプラント販売は燃料供給つきというセット販売方式をとっているにもかかわらず、ウエスチングハウスはウラン鉱を持っていないで、したがって、急騰が続くウラン、七十四年段階で一ポンド当たり八ドルだったものが、現在酸化ウランで七十五年末には二十六ドルぐらいしているそうでありますが、こういったものの先買いをする、さらに、今後十年間にプラントとセット販売をするには約六千五百万ポンドの追加仕入れをしなきゃならぬ、こういう事態にあるということが報じられております。しかも、インフレ、不況の世界的な同時進行の中で、契約者から二百基の注文のうち百三十基もの資金不足によるキャンセル申し入れが続いていると言われている、こういった情報をもとにする限り、ウエスチングハウスというのは破産寸前にあるのではないだろうかというふうに思うわけです。
 GE、ウエスチングハウスからのプラント購入は、言うまでもありませんが、わが国では五大グループ、たとえばウエスチングハウスでありますと三菱グループを中心に購入をされているわけです。アメリカのビジネス・ウィークなどの報ずるところによりますと、ウエスチングハウスの経営危機で残された道は、大量に抱え込んでいる原発プラント注文をさばくことしかない、その最大のネックが日本市場であるというようなことさえ報じているわけで、私どもは、現在国民的な課題になっておりますロッキード問題に似たような不吉な予感さえ感じざるを得ないというわけであります。
 つまり、私はなぜこういうことを申し上げるかといいますと、莫大な資金調達計画、十年間で四十八兆、不足額が十七兆に上るというようなことが発表されておりますけれども、そういう資金計画が立てられる前提になっているこの設備計画なり需給計画というものが、本当に将来国民に禍根を残さないような形で設定をされているんだろうかどうかということを大変疑問に思うからでございます。
 考えてみますと、こういった資金問題に関する意見、あるいは設備投資に関する意見、あるいは需給に関する意見、こういったものが各種審議会の諸先生方の御努力によって出されておるわけでありますけれども、一つはやはりこの審議会の構成などを見てみますと、主として金融機関を中心にした方々がおつくりになっておられるわけであります。もちろん、学識経験者や新聞社の方たちもお入りになってないわけではありません。けれども、中小企業家の代表やあるいは労働者の代表や、あるいはまた一般国民の代表といったような方はほとんど入っておられない、こういったような審議会のあり方の問題。さらに、国権の最高機関である国会で、こういう前提計画を策定する段階でのチェックする場がないということに一つ問題がありはしないだろうかと思うわけでございます。
 いずれにせよ、このエネルギーの海外依存の現状を打破するためにどうあるべきかということが石油危機をきっかけに論ぜられているわけでありますが、こういった問題については、少しく公の場で論ずる機会と時間をつくる必要があるのではないだろうかと思っております。これが私は、この社債枠を今日急速に拡大をしなければならない前提問題として吟味をしてみなければならない問題だと思うわけでございます。もし、こういったような計画がきわめて適切に立てられた、立案されたということを仮定をいたした場合でも、電力やガスの資金調達のあり方ということが今日改めて論ぜられなければならないのではないだろうかと思います。まさにエネルギーの転換期に来ているわけでありまして、莫大な設備投資を必要とするのが電力やガスでございます。
 こういったような場合に、現在の経営基盤を見てみますと、一つは、いま申し上げましたエネルギーの外国依存という形で非常に、ちょっと石油がなくなれば大変混乱をするというような形で弱体の面があります。もう一つは、社債の発行とも関係いたしますけれども、資金調達の方法として外部資金に依存をするという形をとりますと、自己資本率がやはり低下をしていくというふうに思います。現在とられております総括原価主義の問題ともこれは深い関係があるのでございますけれども、電力、ガスの大株主の方をざっと見ますと、たとえば電力でありますと、金融機関の保有率が非常に高いわけでございます。
 たとえば、九電力の中で一番高いのは北海道電力で、日本生命、第一生命、朝日生命などを筆頭に六〇・七九%が五十年三月末で金融機関によって保有をされております。さらに、九州電力でも五八・一一%というような高い保有率を持っているわけです。また、大手ガスを見ましても、きょうお見えの東京瓦斯の関係でありますと、東京瓦斯も昨年の三月末で金融機関が五四・四六%株を持っておられるというような形で、単に自己資本率が低いというだけではなくて、金融機関が持っている、しかも、その金融機関の中でも生命保険が非常に大きな力を持っておられるわけであります。
 生命保険の資産は、今日十一兆以上あると言われております。御存じのように、生命保険は四十八年の段階でありますと、私どもの調査によりますと、生保に加入をされている方々から集められる金が年間で約二兆六千億、その中で当年度に解約者あるいは死亡者に払う金が約六千五百億、二兆円以上の金が資産として残ってしまうという形で、これを資産の運用という形であらゆる企業、最近ではこういった公益事業にも投資をする、また社債についても、大口社債の引受人として機能されているというのが現状でございまして、こういった自己資本率の低下という形を今後も続けていきますと、それは御存じのように現在の国鉄を見ればわかるわけでありますが、国鉄の長期債務が六兆八千億ありますけれども、政府関係の借金が四兆四千億、鉄道債券が二兆四千億あるわけでありまして、設備投資をしていくのに借金政策、広い意味では社債も含めておりますが、こういうものに依存していくというやり方は、健全な企業経営としては大変問題があるのではないかと思うわけであります。
 今日論じられておりますのは、社債を発行する場合と増資をする場合と、二者択一的にどちらが資金コストが安いかという形で論じられておるわけでありますけれども、もう一つ何か新たなといいますか、こういった電力、ガスあるいは国鉄といったような国民生活に欠かすことのできない公益性を持っている事業に対する設備投資のあり方、また、費用の負担の原則といったようなものを考えてみる時期に来ているのではないだろうかと思うわけでございます。それは、国鉄運賃などの値上げをめぐって私どもも再三提案を申し上げておることがございます。これは、基本的な設備に関する費用の負担というものは、国鉄の場合でありますと国が責任を持つべきではないか。その他の経済上コスト、ランニングコストといったようなものについては利用者が負担をすべきではないかということを言っておるわけであります。電力、ガスの場合は一応私的企業の形態はとっていますので、同例には論じられませんけれども、将来にわたってはそういう方向をやはり指向すべきではないだろうかと思います。
 電力業界などでは盛んに広域運営の問題が論ぜられておるわけでありますが、それをさらに一歩進めまして、そういう基本的な設備、しかもエネルギーの転換期においても莫大な投資を必要とするわけでありますから、これがもし資金コストの安い社債をとった場合でも、総括原価主義として事業報酬として乗っかる。そして、利用者の国民にこれがおぶさってくるという事態を見ますときに、総括原価主義も、ノーマルな状態ではこういうフェアリターンシステムというものは機能するのだと思いますけれども、こういう転換期で莫大な投資を必要とするような時期には、この制度そのものがやはりそのまま適用されることについては、はなはだ疑問を持つわけでございます。しかも先ほども申し上げましたように、金融機関の方へほとんど転がり込んでしまうというような事態ではわれわれは納得できません。
 ちなみに、四十九年度の電力の場合でありますと、電灯、電力収入約一二%、金額にいたしますと四千百億、このうち支払い利息が三千六百億、配当が五百億でありますが、これが先ほど申し上げました大株主である金融機関にほとんど転がり込んでしまう。ですから、値上げされると、その値上げをされた分はそっくり利息の方に回ってしまう。しかも、金融機関の方へ転がり込んでしまうというような仕組みが現在の総括原価主義の中ではとられている。したがって、総括原価主義をある側面から見ますと、どうも金融機関の投下資本の回収を担保する制度であるということで、電力及びガス企業とはいっても、その実態は金融機関によって乗っ取られてしまっている。五八%も六〇%も支配をしておると言いますと、古い言葉で言いますと銀行管理的な実態になっている。ですから、電力やガス企業を経営される社長さんや重役さんの方は大変苦しい立場にあるだろうと思いますけれども、これは制度があらしめた結果でございまして、この制度そのものについてこういう莫大な投資を必要とするような時期については考え直してみなければ、そういった事態は改まらないだろうと思うわけでございます。昨年の……。
#9
○委員長(柳田桃太郎君) 工藤参考人に申し上げますが、予定の時間を大分オーバーいたしましたので、要約して意見をお述べ願います。
#10
○参考人(工藤芳郎君) わかりました。
 昨年の企業の会計に関する学会がございますけれども、この学会などでも、この総括原価主義については疑問であるというようなことが多くの学者の方から論じられているわけであります。この総括原価主義は、わが国の通産省あるいは運輸省と関連企業との間でだけ論じられてきたのでございまして、多くの国民は知るところでないという点からも御検討いただきたいと思います。
 最後に、今回の社債の枠を拡大するという問題は、なかんずく莫大な設備投資計画を進めていくということにほかならないわけでありまして、これが値上げの問題につながっていくわけでございます。しかも、長期的に電力の場合でありますと十年計画、こういったようなものが出されているわけでありますが、この辺の論議をするに当たっては、会期末を控えた今日の非常に多忙な時期に、この問題を深く論ずるということはなかなか困難であろうと思います。良識の府とされております参議院の中でも、引き続きロッキード問題などは重要な課題として残ることと思いますので、この種のことはもう少し時間をかけて、国民にわかりやすく論じる機会をつくっていただきたい。早急に結論を出すべきではない。単に増資と社債を発行する場合の資金コストがどちらが高いか、安いかというような単純比較だけではなくて、今後の電力やガス事業の長期的なあり方を決める、また、資金調達のあり方を決めるきわめて重要な課題であるというふうに考えますので、十分国会等で御審議をいただきますよう、私の意見を述べたいと思います。
#11
○委員長(柳田桃太郎君) 次に、福田参考人にお願いいたします。
#12
○参考人(福田勝君) 福田でございます。
 冒頭私は、参考人として意見を述べる機会を与えられましたことに対しまして、感謝をいたしたいと思います。
 私は、今回のきわめて重要な法案である電気、ガス社債発行限度に関する特例法につきまして反対であることを申し上げたいと思います。
 その理由として、第一に、限度額を現行の二倍にした根拠がきわめて不明確であるからでございます。
 資金が不足をし、増資による資金調達ではコスト高になるという理由であるならば、今日他の私企業においては全く同様でありまして、これはガスなり電気だけに、特定に限らないものであると思うわけであります。電気会社について言えば、社債の発行現度を商法の規定よりも二倍にしたというのは、戦前でもありましたけれども、戦後は廃止をされ、そして一般商法の原則に復帰したのでありますけれども、それがさらに復活したのは、昭和二十五年の公益事業令に基づいて九分割の電力再編成という特殊な条件下にあったからというふうに考えられるものであります。さらに、社債枠を倍増する以上は、このような組織や事業の基本的な性格に変化がなければ理由とはなりません。もし倍増するならば、事業や経営の公益性、また、公的規制が当然伴わなければきわめて片手落ちであると言わざるを得ないと思うのであります。このことは四大ガス会社についても同様であります。
 次に、今回の特例法は十年の時限立法ということになっておりますけれども、さらに十年の経過措置がとられており、特例法といいながらきわめて恒久的なものであります。したがって、このような措置は特例法ではなくして、当然電気事業法なりガス事業法の改正として提出すべきものであると考えるのであります。
 理由の第二としては、資金調達のその内容についてであります。
 ただいまも工藤参考人からもお話がありましたけれども、電源開発の資金必要額は昭和六十年までに四十七兆六千億という膨大なものであり、そのため不足する十六兆八千億を調達するのが電気について言えば今回の内容でありますけれども、なぜこんな膨大な資金を必要とするかきわめて疑問であります。電力の五十一年度の工事計画は二兆円を超え、対前年度の四五%という、高度成長期の二〇%から三〇%をはるかに上回るものでありまして、さらに繰り上げ分を含めると三兆円を超えるという膨大なものになっているのであります。このことは、他の産業の設備計画の平均が九%程度であるということから見ても、いかに大きなものであるかということがわかると思うわけであります。六%成長でこのような設備計画が必要だと説明されておりますけれども、他産業と比べてみても、なぜこのような膨大な計画が必要なのか、きわめて理解に苦しむわけでございますし、また、自己資本率が現在の一八%から十年後には一〇%に低下するということは、電気事業の健全な発達と安定的供給の見地からしても、決して好ましい姿ではないというふうに思うわけであります。
 さらに、計画内容でございますけれども、この十年間に電源開発の総計十七兆八千四百億のうち、原子力に何と十兆円も投資をし、原子力の比重を飛躍的に増大させる内容となっております。言うまでもなく、原子力建設は火力の二倍近くの建設資金を必要としておりますし、かつ、事故の危険性や操業度の低下によって供給に大きな不安がございます。
 遺伝障害、それから放射性廃棄物、温排水など原子力発電につきましては、安全性について基本的な大きな疑問が投げかけられております。そのような原子力発電を大量建設するための資金の調達をねらいとするのであれば、私どもは資金計画に基本的に賛成ができません。したがって、資金計画は原子力問題を抜きで検討すべきでありまして、まず、現在各地で原子力発電に対しましてこのような形で反対運動が起こっているわけでありますから、国民的合意が先であるということを強調しておきたいと思います。
 また、ガスにつきましても、資源と高カロリーという観点で都市ガスからLNGへの転換が進められておるわけでございますが、これについても北海道等で爆発事故が起こっておりますし、また、住民からも幾つかの疑問が投げかけられているわけでございますから、再検討をすべきであると思うわけであります。
 理由の第三として、このような膨大な資金計画が、長期的に見るならば電気料金の値上げと電力労働者への労働強化となるということでございます。
 現在、先発四社が三〇%を超える大幅値上げを申請しておりますし、さらに、その後に五社の値上げが引き続いて申請されようとしているというふうに伝えられているところであります。まさに今回の電気料金の値上げは、このような膨大な設備資金の先取りであるということを指摘しておきたいと思うわけであります。電源開発や資本の蓄積のために社債や借入金を行い、そして、金融機関に借入金や支払いの元金や利子の返済を行って金融機関をもうけさせ、そして、このような資金の支出は電気料金として勤労大衆や各産業から徴収をするという関係にございます。したがって、今回の資金計画につきましては、料金の立場からも認めるわけにはいかないということを申し上げておきたいと思います。
 最後に私は、この際、電気事業のあり方につきして、若干意見を申し述べてみたいと思うわけであります。
 私ども総評は、去る一昨年の八月、関係二十の組合の連名で東京電力及び通産省を相手に、電気料金に関しまして行政訴訟を提起をいたしました。現在、東京地裁に提訴中でございます。その内容は、一昨年の六〇%に近い大幅な電気料金の値上げ内容が納得できないだけでなくして、電気料金の決定方法につきまして大変不満があるからでございます。現在の制度のまま九電力の経営上の都合によって値上げを認めていくということであるならば、需要の地域的密度の格差などによって九電力の企業規模、料金の地域格差は拡大する一方であります。そして、いま国民の間から、なぜ北海道の電気と東京の電気が値段が違うのかという基本的疑問も出されているところであります。
 また、発電所の立地条件につきましても、九分割の電力体制とは異って、他の地域へ大幅に進出をせざるを得ないという状況にあります。
 そしてまた、料金決定の手続は、現行制度では一方的に通産大臣の決定にゆだねられておりまして、名目的には公聴会以外には保証されていないのが実情であります。したがって、料金問題は単に値上げ幅が適当かどうかという問題だけではなくして、経営や事業の過去の実績や将来の方針に不可分のものでございまして、経営に関する国民の信頼性が確立されなければ、現在各地で起こっているように、料金に対しまして国民は納得をしないという関係にあると思うわけであります。したがって、この際政府は、民主的かつ能率的な制度確立のために、九分割にされている電力の事業形態につきまして検討を行うべき場を設けて、速やかに検討を開始すべきである、このように思うわけであります。
 重ねて申し上げますけれども、私どもが行政訴訟を提起し、一番基本的に疑問に思っていることは、電力が国民生活に必需のエネルギーであるばかりでなく、産業の基幹エネルギーであり、そしてまた、地域独占事業であるにもかかわらず、料金決定に当たっては、形式的な公聴会を開催して通産大臣が一方的に認可をする。そして九電力ごとに異なる料金内容を持っている。こういうような料金のあり方、料金決定の方法、さらにまた経営形態につきまして、基本的に私どもは疑問を持つものでございまして、そういう角度で私ども行政訴訟を提起し、今日に至るまで東京電力と政府を相手に争っているところでございます。
 本案につきましては、きわめて重要な法案であり、そういう角度からぜひ本案をこの際保留していただいて、電気事業のあり方全体について根本的な再検討を加えていただくようにお願いをいたしまして、参考人としての意見といたしたいと思います。
#13
○委員長(柳田桃太郎君) 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○竹田現照君 電気、ガス両協会のお二方にお尋ねいたしますが、いまの御意見の開陳の中にもございましたし、先日の私と通産省との質疑の内容にもあったんですが、まず、自己資本比率が、特に電気の場合十年後最低一〇%を維持したいと、この間エネ庁長官のお話でございましたけれども、この社債限度額の拡大によって自己資本比率がものすごく下がっていく。通産省が三五%を最低限というようなことも指導で言われているにもかかわらず、むしろ低下をする一方ということについて、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
 それから、いま問題になっております値上げの申請でございますが、すでに四社から出ておりますが、残りの五つの電力会社はどうなのか、また、ガス会社の方はどういうふうになるのか。
 それから、先ほど加藤さんが、社債の個人消化率がきわめて順調というか、広がりを見せている、まあ電力会社の努力もというようなことを言われておりますが、先日の質疑にもございましたが、国債の個人消化というのは予想外に多いと言われているんですね。これが今後も大量に出てくるわけですけれども、そういう公社債市場における今後の見通し等、社債の大幅増発あるいは国債、こういうような点をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
 それから、一括してお尋ねしますが、電気業界の場合には、特に原子力の問題についていろいろのところで論議が常に出てくるわけです。これは原子力発電についてのいわゆる安全性なり信頼性に対する国民の不安というものがやっぱり一番大きな原因だと思うんですけれども、その点について確たる業界としての国民への態度というものなり、対策なりというものをはっきり出される必要があるのではないかと思うわけでございます。
 それから、今後の電力の伸びの年率六%ということでありますが、設備資金の伸びというのは一八%、約三倍、同じ伸びでもこうまで大幅な、需要の伸びに比べて三倍からの伸びにしなければならない、この点もなかなか理解に苦しむ点でございますが、この点をひとつ。
 それから、電力の広域運営という問題も、これはたびたび論議の焦点になるわけでございますが、設備資金の巨大化に伴って投資効率というものが従来より重要問題となってまいりますけれども、この点についてどうお考えになっていらっしゃるのか。これは広域運営の推進にとどまらず、電力業界の体制変革あるいは発電部門の統合というような面も当然考えられてしかるべきだと思うんですけれども、そういう点についての御見解をお伺いしたい。
 それから、ガス業界につきましては、先ほど御説明がございましたように、液化天然ガスへの依存というのがこれから非常に大きくなってくる、こう言うんですけれども、これの入手ですね、入手に不安というものが生じてこないのか。特にこのごろも、たとえばソ連だとかいろんなことが言われ、体制上の問題でどうだとかこうだとかという論議もございます。そういう点で、安西さんはいろいろとその先頭に立ってやっておられるんですけれども、こういう全体の液化天然ガス等の問題の不安、それから今後の見通し、それからLNGへの転換に対する消費者の不安というものも出ておりますが、この安全性、この点についての御見解。
 それから、この特例法の恩恵というのは大手四社だけでございますが、先ほども、その他の中小会社からの要望について十分こたえ得る体制をとりたいという意味のお話がございましたけれども、業界として、大手四社以外のガス会社に対して、やはり資金その他の問題、設備その他について金が要るわけですから、こういう点についてどういうふうに配慮されるなり、今後とられる措置、あわせまして、電力業界と同じように、東京瓦斯のように世界一だと言われる会社から、それからまるっきり小さいのからございますが、こういうガス事業の現在の体制というものが、果たしてこれでいいのかどうかですね。一度事故が起きれば、小さなものはまるっきりどうにもならぬというようなことがたくさんございますから、約三百社にも及ぶこういうような体制についてどうお考えになっていらっしゃるのか。
 以上、一括お尋ねいたしましたけれども、お答えいただきたいと思います。
#15
○参考人(加藤乙三郎君) お答えさしていただきます。
 まず資本構成比率でございますが、御指摘のとおり、われわれは自己資本の充実が健全経営の第一歩かと存ずるのでございます。したがいまして、われわれ経営に当たりましてはあくまで企業努力に徹しまして、まず社内留保に努める、次には、自己資金の調達の一助として増資で賄うことは先ほど申し上げましたとおりでございます。しかし、これには限度がございます。特に需要の伸びが、いろいろ考えましたけれども、われわれのみならずそれぞれの公的機関におきましても、大体電気の伸びは六%増が妥当ではないかということでございまして、それに対する設備資金を四十八兆円として計画さしてあるのでございまして、この伸びが需要の伸びの六%に対して一八%伸びるんではないかという御指摘でございますが、そうでございます。
 というのは、従来の設備資金の取得価格に対しましても、これからの十年の設備資金は約三倍になっております。これはやはり物価高騰、それから、これも前に申しましたような遠隔化による送電線の設備費の増、あるいは配電設備におきまする保安設備の増、あるいはまた公害対策費の増等々で、実はいま御指摘のありましたような需要の伸びに対しまして過去に比較して設備資金が伸びる、こういうことでございまして、この四十八兆円の資金調達に対しまして私たちは大体三割を社内資金で賄いたい、あと七割を外部資金に依存せざるを得ない。その外部資金のうちで、ただいまのような二倍の枠では十七兆円の不足を来すということでございまして、これがこのたびの社債の拡大をぜひともお願いしたいという要因でございます。
 次に、個人消化の点でございまするが、これは年々増してまいりまして、先ほどこれも申しましたような六五%まで持ってまいりました。われわれはこの点は証券会社と一致協力いたしまして、地域の方々に、地域のいわゆる公益事業という観念をこの上とも持っていただくという上におきまして、それぞれの会社がそれぞれの地域の投資家にお願いをいたしましての実績でございます。
 われわれは従来、この電気事業の発足当時、あるいはそのしばらくの間は、お客様であり株主さんである、いわゆるカストマでありオーナーであるというようなことで、実は増資もし、株主さんにもなっていただくということにも努めてまいったのでございまするが、これにも限度があり、設備資金はいま申しましたとおり増大の一途である。しかし増資もしなければいけない。金融機関というのも、投資家から見れば他の企業に比較しましてそんなにいい投資物ではないと思います。現に一株価をとってみましても、あの一部上場銘柄におきまして一けた台の株価というのは、私は電気のほかにそんなにないと思います。大体は二けた以上である。表面株価をごらんいただきますと、あるいは六百五十円、七百円といいますが、これは額面が五百円でございます。したがって、普通の株価に直しますると十分の一でございます。これらをあわせ考えましてもそんなにいい投資物ではないと思いますが、しかし、事業の性格からいって私は、金融機関その他で持っていただいているものではないかと思います。
 私も五十年間実は電気事業の資金調達の面に当たってまいりましたが、その間、金融機関から電気事業の経営について干渉がましいことは一度も受けたことはございません。あくまでこの間、電気事業の健全なる経営を援助してやろうというお気持ちで持っていただいたのでございます。
 料金の問題でございますが、すでに四社がいま申請をいたしまして、せっかく御当局で御査定中のように承っております。残りの五社でございまするが、これも経営の不安定は、若干の差異はありましても、非常に難渋をいたしております。しかし、五社はいませっかく慎重に検討をいたしておる最中であるかと推測をいたします。
 また、設備資金がふえ、需要がふえるということで、労働強化というような話もございまするが、生産性からいけば、実は昭和二十六年にできましたときの販売は、先ほどもお話があったかと思いまするが十一、二倍になっておりますが、従業員の数は全く同じでございます。ある会社におきましては減っております。しかし、労働強化という声は私は余り聞いておりません。
 原子力の点でございまするが、これは御指摘ありましたとおり、われわれとしましては一日も早く原子力の安定、安全であるという認識を得たいと思いまして、日夜これがPRに努めております。それにはわれわれは、ただいま考えられる技術の向上あるいはそれぞれの諸外国の技術の水準を最高限度に吸収をしまして、一日も早くそういう不安解消に努めたいと思っておるのでございます。
 あるいは、昨年あたりは稼働率が相当落ちたんじゃないかというお話もございますが、これは実は故障もありました。しかし、あの停止しました中には、全く同じ設計であり同じタイプであるから、まだ故障が起きていなくても、同じものが故障が起きたんだからとめて点検せよというような御指導、御指示もございましてとめたものもございまして、昨年は稼働率が全体に低下したということでございまするが、これは平常に戻れば、私は大体七〇%の稼働率は保持できると考えておるのでございます。
 広域運営の点でございますが、たまたまただいまの体制ができましたのが二十六年でございますから、ちょうどこの五月一日で二十五年を迎えるわけでございます。ただいまの九電力体制ができますときには、すでに諸先生方篤と御案内のとおり、これは国会、国を挙げてどういうふうに持っていったらいいか、同じ発送変一貫運営にするにしましても、これを全国一本にするのがいいのか、あるいは数会社に分割してやるのがいいのか、これは大変国会を初め国民の間で議論がございまして、いろいろ御討議いただいた結果、現在の体制に相なったのは御案内のとおりでございます。その問われわれは、せっかくいまの九電力体制が一応結構なものだということで御決議いただきました関係上、いまの体制にあくまでいいものであるという裏づけをしたいという念願のもとに、今日まで努めてまいったのでございます。大体いま申しましたように、発電設備はそのときの十二、三倍にいたしました。
 その間、最もあの当時問題でございました電力の供給不安定というものの一日も早い解消ということに相努めまして、この間二度ほど実は電力制限というはなはだ不面目な事態を起こしましたんですが、そのほかは大体お客様の需要に応じまして、幾分なりとも今日の日本の経済力の発展に電力エネルギーを通じて寄与さしていただいたのではないかと自負をいたしているような次第でございます。われわれはいまの経営のあり方について万全とは思っておりません。あらゆる階層の方の御意見を聞きましていまの体制を続けてまいりまして、最後にはお客様に対して、価値ある電力エネルギーだという御認識を持っていただくように努めてまいりたいと存ずるのでございます。
 それから、御指摘ございました発電所等につきましても、これは従来相当、いわゆるスケールアップメリットによりましてコストアップを吸収してまいりましたが、ややこの上は限界に来ているやの意見もございます。したがってこの際、地域的におきましても、その地域の方々の御理解を得て、共同して原子力その他の大電源の開発に努めてまいる、一層先般の広域運営をもう一度原点を振り返って実を上げ、九電力体制を少しでもいいものにいたしたい、かように念願をいたして努めておるようなわけでございます。この点につきましては、各諸先生を初めあらゆる階層の方の忌憚のない御意見を承りたいとは思っております。
 以上でございます。
#16
○委員長(柳田桃太郎君) 参考人にお願いをいたしますが、貴重な御意見でございますので、たくさんお聞きしたいと思いますので、質問に対してきわめて要領よく、適切に、短い時間で御回答を願いたいと思います。
 続きまして安西参考人にお願いします。
#17
○参考人(安西浩君) 竹田先生の御質問にお答えいたします。
 先生は、自己資本の比率をどう考えるか、ガス料金についての考え方はどうか、LNGの入手見込みに不安はないか、天然ガス転換についての安全性はどうか、中小企業に対する措置、ガス事業の体制の問題だと思いますが、こういう御質問だと存じます。要点だけをお答え申し上げたいと存じます。
 自己資本の充実につきましては、私どもも非常に大切であるということは十分考えておりますが、最近の収支の悪化の中にございましても、自己資本の比率は約二〇%でございます。これはこの四社について見ますと、東京瓦斯が二六・一%、五十年の九月末でございます。大阪瓦斯が二一・四%、東邦瓦斯が一七%、西部瓦斯が一九・一%と相なっておりますが、時間の関係上東京瓦斯について申し上げますと、今後社債はふえましても、二〇%の線は割らないように努力してまいりたいと思っております。
 次は、ガス料金の問題でございますが、先生も御承知のように、OPECの関係で原料が五・一七倍に暴騰いたしております。そして、これも東京瓦斯を例にとって申し上げますが、四十九年の九月に料金改定をお願いいたしました。原価計算期間は一カ年でございました。しかし、経営において料金の維持安定に努力してまいりまして、今後とも徹底した経営の合理化、経費の節減に努めてまいりたいと思いますが、ただいまでは非常に苦しい状況にあるということを申し上げておきたいと存じます。
 次は、LNGの入手の見込みはどうかというお尋ねでございますが、先生もかねて御承知のように、いま世界で天然ガスが確認されておる埋蔵量は六十三兆立方メートルでございます。これをいまの需要規模で考えてみますと、今後四十七年分ある。御承知のように石油は、いま可採埋蔵量、採取可能な埋蔵量は今後三十四年と申されておりますが、石油と比べると比較的長い。さらにまた近年、天然ガスの探鉱技術が、日進月歩の勢いで技術革新が行われまして、天然ガスの埋蔵量は逐年ふえておる状況でございますので、見通しは明るいと思っております。なお、御承知のように、原油は普遍的なエネルギーでございますが、天然ガスに関する限りは、たとえば東京瓦斯が契約しておりますアラスカのLNGは十五カ年間、ブルーネーのLNGは今後二十カ年間、そうしてこれを先方では液化設備、それから輸送タンカーをつくりまして、受け入れる方では受け入れ設備をつくっておりまして、いわばこれは石油と違いましてオーダー商品でございますので、値段が折り合わないからほかの国に売ってしまおうなんというような不安はなかろうかと考えておるのでございます。
 また、先生が御指摘になりましたヤクーツクの天然ガスはどうなっているかという御質問でございますが、これは過去三年間にわたって私は努力に努力を重ねました結果、一昨年の十二月、三国の間でジェネラルアグリメントの調印ができましたが、その後、アメリカとソ連の間が御承知のようなことでちょっとごたごたいたしましたが、本年の三月三十一日、三国はパリにおきましてローンアグリメント、貸し付け契約に調印いたしました。いよいよ探鉱プロジェクトをスタートすることに相なった次第でございます。
 これは御承知のように、日本に百億立方、アメリカに百億立方のプロジェクトでございますが、百億立方と申しますと、日本列島にはいま二百五十五の都市ガス会社がございますが、これに全部天然ガスを供給したといたしましても、これはパイプラインの関係で供給できませんけれども、いたしましたとしても六十億立方で足りるわけでございます。東京瓦斯だけで見ますと二十七、八億立方で足りるわけでございます。したがいまして、この百億立方はLNGにしますと七百五十万トンになるわけでございますが、一東京瓦斯のプロジェクトではございません。東京電力、日本鋼管、新日鉄等にもこのLNGは導入の暁は配給されるわけでございまして、ナショナルプロジェクトでございます。
 御承知のように、六十三兆と申し上げましたが、いま世界じゅうで都市ガスを天然ガス以外に使っているものはほとんどないのでございまして、世界じゅうが天然ガスでございます。日本におきましては、私がこれを六年前から始めましたが、世界じゅうでは全部天然ガスでございまして、ちょっと簡単な数字を申し上げますと、アメリカにおきましては四十年前から天然ガスに転換されまして、現在は都市ガスは九九・一%アメリカでは天然ガスでございます。ヨーロッパにおきましても、イギリスがすでに九三・五%、フランスが九二・九%天然ガスに切りかえておるような状況でございます。天然ガスの導入については不安はないと確信を持っておる次第でございます。
 次の御質問は、天然ガス転換について危険はないのかという御質問だったと思いますが、これも時間の関係上東京瓦斯だけを例にとって申し上げますと、すでに百二十万件の転換を完了いたしました。これに対していろいろの不安であるというような御意見がございまして、百二十万件完了いたしましたが、そのうち十五件は、まだそういうことをされては困ると言って残っております。今後もこれは何といっても需要家の了解がなしにできることではございませんので、いろいろ御説明申し上げまして、対話の機会をつくってまいりたいと思っております。また、天然ガスは御承知のように、一酸化炭素を含まないメタンガス成分でございますCH4でございます。従来の供給ガスの中には一酸化炭素というものが入っておりまして、これは生ガスのままだと一酸化炭素ガス中毒を起こすわけでございますが、天然ガスに関する限り、そういう中毒は起こらないという利点もある次第でございます。
 それから最後に、ガス事業の体制についての御質問だったと思いますが、御承知のように、ガス事業は電気事業と違いまして、導管によって供給するという特性がございまして、歴史的に都市単位で発足成立いたしてまいりました。したがいまして、結果といたしまして大企業と中小企業が混在しておる姿は御指摘のとおりでございます。大企業は現在までも日本瓦斯協会――私、九年間その会長もいたしておりますが――を中心といたしまして、中小企業の経営面、技術面等の改善に、僣越でございますが指導的な役割りを果たしてまいったと思っておる次第でございます。なお、今後におきましては、政府におきましてこの体制問題につきまして審議会が設けられまして検討されるやに承っておりますので、その結果によりましては、さらに私どもとしては積極的に中小企業対策を考えてまいりたいと思う次第でございます。
#18
○対馬孝且君 時間がありませんから、参考人に簡潔に答えていただきいと思います。
 加藤参考人に二点だけ簡潔に質問しますが、今回の社債発行に関連いたしまして、すでに北海道電力では現行配当が八分ということになっております。つまり、今回の社債が倍増することにおいて一割配当する方針を確認している、こういうことを言われますと、少なくとも片一方では電気料金が三九・一五%値上がり、片一方では社債が倍増、そうしてそのツケは、金融機関の方には逆に一割配当――大資本の方には一割、消費者には値上げ、これは理屈に合わないですね。この点一つ。そういった内容を織り込んだ社債発行の性格があるとするならば、私は絶対了承できません。この点、ずばりとひとつお答え願います。
 二つ目は、加藤参考人から国内資源の活用ということについては、水力は言われましたけれども、遺憾ながら石炭の活用ということには全然触れなかったということは残念であります。率直に言って、電源開発は、この間も同僚の竹田委員からも出ましたが、すでにアメリカその他西ドイツを含めまして、つまり電発ではサンシャイン計画を出しまして、いわゆる石炭の液化の方向を打ち出しているわけであります。アメリカでは五十三年、五十四年にはコールドオイル方式を採用する、こういう段階で優先的にいっているわけです。あなたの先ほどの訴えは、むしろ原子力開発を優先して国内資源は後追い政策、こういう姿勢では、やっぱり地域独占の本質を絶対曲げていないこういう独占、横暴的な九電力のあり方というものに、庶民は憤りを感ずるのは当然だと思うのであります。私はこの点、電源開発でさえ国策会社として最優先的に国内資源を打ち出しておる。九電力としてどうして現在日本に十億五千三百万トンの、二千万トンずつ掘っても五十年間ある石炭を国内資源として活用することができないのか、こういう方針がないということについては全く遺憾でありますが、この点、今後採用する気があるかどうか。この二つだけ明確にお答え願います。
 それから、福田参考人にひとつお伺いいたします。
 先ほど福田参考人が行政訴訟の問題につきまして、総評側としまして行政訴訟を出している。この中の問題点を私も検討してみたのでありますが、このとき出しましたのは政治献金、石油カルテル、固定費配分の問題、料金制度の公聴会制度のあり方等につきまして、実は行政訴訟の基本的な問題になっております。私の方で調べて聞いておりますのは、東京電力はやや軟化をして和解の方向を打ち出したいというように聞いております。しかし一方、いまなお通産省が高姿勢でもって、相変わらず電力問題の課題である石油カルテル、固定費の配分、料金制度のあり方等の民主化について通産省の姿勢が改められていない、こういうふうに承っておりますが、この点総評の基本的な姿勢をお伺いしたい、福田参考人のお考え方をお伺いしたい、こう思います。
 それから二つ目は、私は、今回の料金問題では家庭電灯直撃型の値上げになっていると率直に言わざるを得ません。そこで、固定費の配分の原則の問題についてお伺いしたいんでありますが、現行の場合、現行最大需要法が二で、販売量法が一、尖頭責任法が一という割合になって、結果的には消費者は現在は二二%より電気は使っていない。二二%しか総全体で使っていないにかかわらず、料金の方は三一・七%支払われている。こういうことではこれは全く矛盾をしていると思うんです。大口電力を優遇して家庭電力に犠牲を払わせている。こういう問題について、福田参考人として固定費の配分方法についてどういう方法で改めることが望ましいのか、この点ひとつお伺いします。
 最後に、先ほど電力料金のあり方をめぐる民主化の問題につきまして、たとえば電気事業審議会に労働者の代表が一人も入っていない。入っているのは全く経営者側、あるいは評論家的な方が入っておりまして、これでは本当の意味の電気事業を民主化し、あるいは電気事業について本当に住民のコンセンサスを得るという審議会制度になっていないのではないか。この前、私もこの場で通産当局に質問いたしまして、誠意をもって検討するということになっておりますが、こういった問題につきまして、どういった電気事業審議会、同時に、民主化という問題についてどういう民主的な方法が一番福田参考人としては望ましいのかということについて、むしろこうあるべきではないかという方向づけにつきまして、ありましたらお伺いしたい。
 以上申し上げる次第でございます。
#19
○参考人(加藤乙三郎君) お答え申し上げます。
 配当の問題でございますが、それと社債の問題と関連いたしますので……。まあ配当は大体企業並み、私ども承知しておりますのは、全産業の平均が一一%から一二%かと承知しております。大体一〇%ぐらいは配当しなければ増資はむずかしいのではないか、かように考えるのでございます。ぜひとも大体ここら辺が妥当な公益事業、電気事業としての配当であるかと御理解を賜りたいと存ずるのでございます。
 電源の開発でございますが、たまたま私、水力を初めとしますと、こう申しまして、あと多様化ということで申し上げたんですが、もちろん私どもは石炭火力は忘れてはおりません。多様化は、LNGもやります、原子力もやりますということでございます。石炭は私ども供給の責任を持つ以上、どうか安心した出炭を確保していただくように、私どももそれとにらみあわせまして国内資源といたしまして開発をしてまいりたい、かように存じます。
#20
○参考人(福田勝君) ただいま対馬先生から御質問は三点ございましたが、一つは、一昨年私どもが提起いたしました行政訴訟の件でございますけれども、この相手は先ほど申し上げましたように、東京電力と通産省でございますが、東京電力というのはあくまでも九電力の中心である東京電力というものでございまして、これは電力九社に対する代表としての東電でございました。なお、先生から言われるようなお話は風の便りにありますけれども、実は正式に別にございません。しかし、東電側の方から、できればこの際何とかならないかというような話がそれとなく何か伝わってくるわけでございますが、いまのところまだ正式なものでも何でもございません。
 それから、通産省からは一向にございませんので、通産省側の方が一体どういうふうにこれを考えているのか、こういう問題が提起されても全然感じていないのかどうかということは、ついこの間、通産省の方には打診をいたしているところでございまして、私どもはあくまでもこの行政訴訟というのは基本問題を提起をいたしておりますので、基本的な幾つかの問題がない限りは、総評に結集している大衆の前にも説明できるようなものでなければ、これはそういう事態にはできない、こう思っておるところであります。
 二つ目に、固定費の配分方法について先生から御指摘がございましたが、御承知のとおり現在のこれは、先ほど御指摘ありました行政訴訟のいま裁判での論点は、政治献金問題と石油のカルテル行為、固定費の配分問題公聴会制度の四点でございますが、そのうちの一つにもなっていま論じられているところでございますが、御承知のとおり、現在の固定費の配分は最大需要電力が二、需要電力量が一、尖頭電力が一という、二対一対一の割合で査定されております。私どもは、この方法は諸外国でもとっているように一対一対一にすべきである、こういうふうに考えております。
 ちなみに、原価主義の立場に立って年間使用量による配分をいたしてまいりますと、これは私どもの単なる試算でございますけれども、たとえば北海道の場合は、現在申請中の電灯二十円八十一銭が私どもの試算では十八円四十七銭に下がります。これは一キロワットアワーでありますが、それから電力については十三円五十四銭が十四円五十六銭に上がります。したがって、電灯につきましては現行単価よりは若干の値上げをいたしますけれども、申請よりも二円五十銭程度引き下がるという、実は私どものこれは全く素人の試算でありますけれども、なるわけでありまして、この固定費の配分問題が電灯料金に大きな影響を持っているという立場で、私どもは一対一対一にぜひ通産省の方で査定をしていただきたいということで、いま要請をしているところであります。
 三つ目に、いま御指摘のございました民主的方向づけの問題につきましては、私どもはこのように考えております。
 一つは、いま訴訟でも論点になっている公聴会制度につきましては、申請者をできるだけ多く公述させるとともに、特に各県単位で公聴会をやる、北海道の場合は支庁単位でやるべきである。この間も九州の人が鹿児島から福岡へ行きまして、そして旅費も何にも出ないわけであります。そして公述をしている。これはまことに不当でありまして、できるならばやはり今後の公述人に対しては実費程度の旅費は支払うべきである、これが妥当ではないか、各県単位に行って旅費を支払うべきであると思うわけであります。
 さらに、電気事業の経理内容の公開を義務づける、経営に対する大衆的な監視機関を設けなければならないと思います。
 それからさらに、このことは電気会社が申請するに当たって、まず利用者に聞くという姿勢をとってもらいたい。ただ単にこうなりましたから申請する、申請したからこういう説明をするということではいけないのであって、電力会社が申請するに当たって、まず、各県単位で利用者の意見を聞くような機会を設けて、その意見に基づいて申請をする。そしてさらに通産省が各県単位に公聴会を開いて、最終的には私は電気料金は国会で決めるのが妥当なのか、民主的審議会が妥当なのか、まだ結論を持っておりませんけれども、少なくとも三者構成程度の民主的審議会を持って、そこで料金に対する判断を下すというふうにすべきである。これはは地域独占企業でございますから、厳重にやるべきであると思います。
 それからなお、御指摘のありました電気事業審議会につきましては、現在十八名の方が参加されておりますが、労働代表は参加しておりません。労働者は特に電灯の利用者が大部分でございますので、ぜひ労働代表を参加させるようにしていただきたい。そして基本的には、この制度問題につきましては、私どもは社会化という言葉を使っておりますけれども、御承知のとおりヨーロッパの各国では、フランス、イギリス、オーストラリア、イタリアは国営であります。戦後国営になっておるわけでありまして、資本主義国でも国営化が行われておるわけであります。したがって、今回のこれらの法案を初め料金、いろんな問題の一番の矛盾は、地域独占企業でありながら私企業であるというところに最大の矛盾があると思うわけでありまして、ぜひ電気事業の公的所有について、本委員会におきましても、また通産省、政府の段階におきましてもこの際根本的な検討を加え、速やかに公的所有の方向へ持っていっていただきたいというのが私どもの意見でございます。
#21
○桑名義治君 私の問題としておりました問題も先ほどから出ておりますので、二、三点についてお伺いをしておきたいと思います。
 最初に加藤参考人にお願いをしたいわけですが、先ほどからの設備につきましては、いまから先、原子力に依存をする度合いが非常に大きくなってくるということでございます。ところが、わが国におきましては燃料サイクル対策というものが非常に不十分でございます。いままではイギリスそれからフランスの両国に依存をするということでございましたけれども、自前の処理工場を持たないために、非常にイギリス、アメリカの両会社が共同をして値上げをしてきたというような事柄も過去に起こっているわけでございます。こういう膨大な原子力発電所ができた場合に、この原子力の核燃料サイクル対策が不十分であるとするならば、これは安全対策の問題とあわせて料金に大きくはね返ってくるおそれも十分あるわけです。そういう対策をどのように考えておられるのか、この点を一点お伺いしておきたいと思います。
 それからもう一点は、東京電力あるいは関西電力でございますが、主に非常に大きな子会社を持っていらっしゃる。しかも、東電不動産管理という会社は四百万の発行株数の中で四百万そのまま持っておるというような状況下にあるわけです。これを羅列すればたくさんあるわけでございますが、私企業とはいいながら、一応公共性を持っている会社がこのような子会社を持っていることはいかがか、こういうふうに考えるわけでございますが、その点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
 それから、先ほどの御答弁の中で、原子力の安全性についてはPRに非常に努めておる、こういうお話でございますけれども、PRに努めたからといって原子力の安全性というものが確保されるわけでも何でもありませんので、技術的にどう開発されたかということが一番問題点でございますので、その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。その点をもう一度再度お尋ねをしておきたいと思います。
 それから、安西参考人にお尋ねをしたいことは、こういうふうに導管が進んでまいりますと、しょせんLP業者との関連が生まれてくるわけでございます。いまでもそれぞれの会社の中で処理をしているというお話でございますけれども、なお一層この問題が激化をしてくるおそれがあるんじゃないかというふうに考えるわけです。LP業者というのは非常に零細企業でございますので、これを圧迫をするということは非常な問題が起こってまいります。だからといって、また地域住民の中には都市ガスを引いてくれという要望も非常にあるわけですが、おたくの会社と、この大きな会社と、それからLP業者との話し合いというものをなお一層続けていかなければならないと思うわけですが、その点についてどういうような配慮をなさろうとしておられるのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
#22
○参考人(加藤乙三郎君) お答えいたします。
 核燃料サイクルの問題でございますが、手前どもといたしましては、大体ここ数年の間はいろいろのいま手当てしておるので、手配しておるので間に合うかと存じます。しかし、数年なんて言えばすぐでございます。したがって、根本的にこの核燃料サイクルの問題を解釈しなきゃならないというので、たびたびわれわれ会合を持ちまして、きょうの一、二の新聞にもありましたように、一応われわれの考えを出し、そして政府のとっていただく点はどこまで、われわれのやるべき点はどこまで、そしてそれらを持ち合わせまして、核燃料サイクルに対する手当てをいたしてまいりたい、かように存ずるのでございます。
 PRと申しましたのは、われわれがいまどういうことをやっておるということでございまして、ただ単に広告、そういう広告ではとてもいま通る世の中じゃないことは先生御案内のとおりでございます。われわれはここまでこういうことをしておりますというPRでございます。
 それから、子会社といいますか、傍系会社の点でございますが、これも御案内のとおり、戦前、いまの体制になりますまでは電力会社も相当関連会社を持っておりました。ところが、あの体制のときに全部離されました。その後つくりましたのは、別会社にした方が能率経営上企業効果が発揮できるという意味のものだけでございまして、他の例を申し上げては恐縮ですが、他の公共企業では相当まだ子会社があるようでございますが、それはそれの考え方でおやりになる、われわれといたしましては、子会社を別会社にした方が能率上効率的効果を上げるんだという意味でつくっておりますことを御了承いただきたい、かように存じます。
#23
○参考人(安西浩君) 御質問にお答えいたします。
 実は、LPガスと申しますのは、昭和三十四年に石炭が非常にいろいろな問題を起こしておりましたので、LPガスが日本列島の家庭燃料として最も優秀なものであると言い出したのは私でございます。そうして、三十四年の秋からLPガスの輸入をいたした私は先駆者でございます。その当時といたしましては非常に数も少のうございまして、都市ガスとしては問題にする数ではございませんでしたが、何と申しましても日本列島はガスの導管を全部引くわけにはまいりませんので、最近は千八百万世帯にLPガスが供給されておるのでございます。私は、口でばかり言ってもだめですから、東京瓦斯で豊洲丸というLPGタンカーをつくりまして、自来ずっと輸入いたしております。
 そうして、日本では石油会社はLPGを生産しますから、それまでは煙突の上で燃やしていたんですが、これを液化する、LPGで売った方がいいということで、生産者と輸入業者、私も輸入業者でございますが、LPガス生産輸入懇話会というのをつくりまして、日石の社長を会長にして推進いたしました。同時に、輸入され生産されましたLPGを元売しなきゃならないということで、三十六年秋から全国LPガス元売協議会というものをつくりまして、自来私は会長をいたしております。さらにまた、もう一つの団体がございまして、先生も御承知と思いますが、日本LPG連合会、これは小売関係の業界でございます。三つの団体があるわけでございますが、御指摘がございましたように、私は日本瓦斯協会の会長を九年いたしております。この五月十三日に再選されまして、また、五月二十六日にLPG元売協議会の総会が開かれますが、この際、どうも日本瓦斯協会の会長をしておる安西がLPの会長をしておるのはどうかなという少数意見もあるようでございますが、いや、もう十五年もやっておるんだからもっとやってもらった方がいいという意見が多数を占めておるようでございます。
 私といたしましては、都市ガス業界はやはり、どちらを選ぶかは消費者の選択にまかせるべきだと思いますけれども、第一線において従来LPが供給しておるものを、都市ガスを好むからといって積極的にこれをただ取るのはいかぬ。私は、東京液化ガスを昭和三十六年に設立いたしまして、導管のないところへはLPガスを供給しておりますが、そういう場合に、資本は全部東京瓦斯が持っておりますけれども、独立法人として従来の営業は認めるべきである。一件当たり四千円を切りかえ費用として支払う、それから先生御承知のように、集中配管で都市ガスの兼用配管をしておるところは簿価で設備を買い取るということで、東京瓦斯と東京液化ガスは非常に仲よくやっております。こういう考え方を他にも普及いたしまして、ごたごたの起こらないように、たまたま私は両業界の責任者でもございますので、御期待に沿うて善処してまいりたいと思う次第でございます。
#24
○桑名義治君 もう一問だけ――済みません。
 加藤参考人にお尋ねをしたいわけですが、先ほどから工藤参考人からお話がありましたが、ウランの長期契約、八年契約でございますね、これが内容を見てみると、一方的な片務契約のような形になっているわけです。しかも、百万キロワット当たり三百三十万ドル、約十兆円でございますけれども、これだけの前渡金も支払っている、こういうような状況ですが、今後このウランが非常に値上がりの動向にあるわけです。そういうことを考えますと、この原子力協定のあり方というものを対等平等に考えていかなければならないというふうに考えるわけですが、いわゆる電気業界としてはこの問題についてはどのようにお考えですか。
#25
○参考人(加藤乙三郎君) お答え申します。
 先生のお話のとおりでございまして、われわれとしましては、せっかくこの原子力にいたしますのは、核燃料は保有できる、貯蔵できる、したがって純国産として考えられるという意味におきまして、ただいまのところは経済ベースにも合うというので原子力を考えたのでございます。したがって、核燃料の保有ということは一番大きな問題でございます。過去、いわゆる持たなかったという意味におきまして、ある点までいわゆる買い手、売り手の市場という点で、お説のような御意見も出ると思います。私どもそう思います。したがって、今後はできるだけ対等の立場に立ちまして、相互扶助を考えるというもとで取引をしていきたい、かように思います。
#26
○加藤進君 最初に、加藤参考人にお尋ねをします。
 先ほども工藤参考人の方から意見の開陳がございまして、その中で、今回なぜ急に社債発行を急がねばならないのかという問題が出されました。今日の電力会社の経営の実態について、自己資本率が非常に低下している、借金に依存する度合いが非常に高くなっている、こういう指摘がございました。私もその点については同じ危惧を持つわけでございますが、一体、電力会社の今日の経営実態といのはどうなのか、この経営実態が不安定、あるいはその状態を無視したままで設備拡大を今日推進していかれるのではなかろうか、設備拡大を優先するという立場に立って、経営を無視するようないわば社債発行に依存する方策がとられておるのではなかろうか、こういう疑問が出ておるのでございますから、その点についてのお答えをお願いしたいと思いますし、同時に工藤参考人に、加藤参考人のお答えに基づいて御意見がございましたら、ひとつあわせて御意見を拝聴したいと思います。
 それから、二番目の問題でございますけれども、今回のような設備投資計画あるいは資金調達計画など全体計画というのが一体どこで、だれによって決められてきておるのか、こういう一つの問題が私はあると思っています。先ほども工藤参考人は、生命保険、大銀行などの金融機関を初めとして、大企業の代表によって産業構造審議会が構成されている、これについて国民の側から何一つチェックもできない、国会もこれに対して計画についてのチェックはできていない、こういう点の危惧が述べられたわけでございますけれども、業界といたしましては国民の立場に立って、少なくとも消費者、国民の側から見て産業構造審議会等々の計画に対するチェックをどのようにすべきであろうかという御意見が、もし加藤参考人にございましたらお聞きしたいと思います。同時に、その点につきまして工藤参考人に御意見がありましたら、加えていただきたいと思います。
 以上でございます。
#27
○参考人(加藤乙三郎君) 今回の資金枠の拡大の御質問でございますが、御案内のとおり、電気事業としましては何が何でも安定供給ということが一番の大きな考え方でございます。それには電源をつくらなければならぬ、発電所をつくらなければならぬ、つくるには資金が要る、資金を調達するには安定経営だ、こういうことになるかと考えておるのでございます。ここへまいりまして、先ほど来申し上げましたとおり、経営も不安定である、資金の調達も不安定である。実は需給の面でも、いまのようなテンポでまいりますと、私は三年先には非常に不安定な供給になるかと思って、心配をいたしておるものでございます。急なようでございますが、私ども業界は数年前から、実はいまの二倍の枠では非常に困難なときがまいりますということを申し上げてきたんですが、いまだ機熟さずといいますか、今日になったわけでございまして、われわれといたしましては急なお願いとは思っておりません。前々からお願いをいたしておりましたのが、このたびの国会で御上程をいただき、御審議をいただくということに相なったと考えておるのでございます。
#28
○参考人(工藤芳郎君) 加藤先生からのお尋ねでございますが、経営実態で見ますと、まだ三月決算期は公表されていませんので五十年九月決算で申し上げますと、これは電力の業界の方からお答えいただいた方が正確かと思いますけれども、税引き後の利益でございますが、中部電力は御存じのように、対前期比で七七・四%という増益をされております。また、東電も三四・二、関西電力は三九・八という形でございます。また、売上高を見ましても、東証など第一部上場八百五十六社における九電力の位置を見ますと、東電が五位、関西電力が十五位、中電二十位、東北電力四十五位、最低の北海道電力で百五十九位となっておりまして、売上高でもまた利益の面でも増収、増益であるということが言えると思います。
 なお、私どもが大変いつも問題にするのがこの内部留保、表に公表されない利益隠しでございますが、これも前回の値上げのときの、四十九年のときの三月決算期に比べますと、九社で合計一千億以上の内部留保がふえております。九月決算期で、九社合わせますと八千五百億ぐらいの内部留保があるわけであります。中でも、退職給与引当金が――実は一般の国民から見ますと退職給与引当金という引当金の名目でありますから、これがすべて退職者に支払われるものだというふうに思いがちでありますが、これは御存じのように、設備投資などの資金に充てられるわけでございます。ですから、実際に当期で増加した額と使用した額とを比較してみますと、東京電力の場合は昨年の四月−九月で積み増した額に比べますと五倍に当たる額が積み増しをされております。
 また、残高で言いますと、現在値上げ申請をしております北海道電力では、残高と使用額との関係でありますと、北電が十五・八倍、東北電力が十七・七倍、北陸電力が二十四倍、九電が二十倍、東京電力の場合は三十三倍というぐらいの内部留保、退職給与引当金額があるわけでございまして、経営実態はその他の企業から見ましても決して悪くはない。ですから、今回の問題は主として設備投資を大幅にふやしていくための問題であろうというふうに思っています。
 それから、第二の問題でありますが、これは福田参考人の方からもお話がありましたが、各種の審議会の構成の問題でございます。たとえば今回の電気事業の設備投資計画を審議されましたのは産業構造審議会の産業資金部会でございますけれども、その委員の名簿を通産省の方でいただきました。生命保険会社、都市銀行等が中心であることは言うまでもありませんが、中でも専門委員は開発銀行、日銀、興銀、不動産銀行、長銀といったような方でございまして、きわめて専門的と言えば専門的でございますけれども、資金を調達する側の代表であって、調達される側の代表が入っていないというところが非常に不公正ではないだろうか。審議会のあり方はもちろんでございますけれども、こういったような前提計画をチェックする機関といたしましては、私は現在の審議会を民主的にといいますか、各界各層の代表が参加できるようにするということが第一。
 それからさらに、先ほども申し上げましたように、やはり国会の機能の中でこういった前提計画をチェックする機能ができないだろうか。これは先生方大変お忙しい立場にありますので、申しわけないわけでありますけれども、やはりそういった場で御審議をいただくことがいいのではないだろうかと考えているわけでございます。
#29
○参考人(加藤乙三郎君) 先生の御質問にお答えを申します。
 表面の利益金はそのとおりかと思いますが、比較されました四十九年というのは経常利益はマイナスであったかと思います。ただ、留保金をそれにつぎ込んで利益を出したということでございますし、それからもう一つは、その間、私承知していますが、約二千五百億くらいの増資をいたしております。したがって、利益率からいけば、もう一度御検討をいただきたいと存じます。
 審議会のあり方でございますが、私どもこれはとかく申し上げることではございません。一個人として申し上げさせていただければ、適正な御人事ではないかと存じます。
#30
○委員長(柳田桃太郎君) 他に御発言がなければ、参考人の方々に対する質疑はこれにて終了いたします。
 参考人の方々には、御多用中、長時間にわたり御出席をいただき、まことに貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十五分開会
#31
○委員長(柳田桃太郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の社債発行限度に関する特例法案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#32
○対馬孝且君 国会の会期末も迫っている関係もありまして、できるだけ時間を協力してもらいたいということですから、協力する意味で簡潔にやりますから、できるだけ要領簡潔を得てひとつ答弁をしてもらいたい、こう思います。
 まず、社債の問題で一、二点ちょっと質問いたしますが、電気事業審議会の「電気事業の資金問題に関する意見」によれば、五十一年度以降拡大テンポの利子としては、大体二〇%程度ということで、四十五年から五十年までの伸び率を見ますと大体一九・一%、まあ私の数字が間違いであれば別ですが、そういったようなことで、個人の金融資産の蓄積進展に伴って、利息の支払いの確実な社債が選好される割合が高まっていることは事実だと思います。そこで相互銀行、信用金庫などを含めまして機関投資の社債選好が増加をしてきているわけでありますが、問題は、電力債の場合は、A格債と判断をした場合に利回りの率が八分九厘、応募者利回りが八分九厘九毛、こういう高利の利回りになっているわけです。そこで私は、問題はやはり何といっても高利回りの電力債に殺到するという一面はあるだろうと思うんです。これは全面的に私は言っているんじゃなくて、一面的にはそういう要素があるだろう。今後とも電力債が順調にいくと考えることについては早計ではないか。必ずしもそういうふうにはいかないんではないか。
 そこで、今後の日本経済の低成長という中で、この間も竹田同僚議員からございましたけれども、国債発行が大体五十年度が五兆四千億、五十一年度が七兆二千七百五十億、恐らくこれからの中期財政展望によれば五十兆円は超えるだろう、こう言っているわけです。したがって、そういう経済推移などから判断をしていった場合に、大量の国債発行、一方、電力債との競合によって民間の資金需要、特に事業債の消化圧迫という傾向が出てこないか、この点についてまずどういうふうに考えているか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#33
○説明員(今永伸二君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、国債、電力債、いずれも今後かなり大幅な伸びを見込んでおります。いずれも個人の金融資産の中で消化されるものでございますだけに、全く競合がないということはないと思います。しかしながら国債と電力債につきましては、ただいま御指摘がございましたように、商品性にかなり違いがございまして、利回りの点では電力債の方が魅力がある。しかしながら、国債の方は、たとえば税制の面で別枠のマル優が認められておるといったような商品性の違いがございますので、それぞれ投資家のニーズに合っていずれも若干違った階層で消費されているんではないかというふうに考えられます。したがいまして、今後は公社債市場のさらに一層の個人への参加のために発行者、それから証券会社、さらには政府といたしまして関係者一同力を合わせて努力をしていけば、現在見込まれております程度の消化は順調に進むんではないかと考えられます。
 なお、御指摘の電力債以外の事業債の方の消化に影響があるのではないかという御質問につきましては、電力債の個人消化は電力債全体の中の大体六十数%、おおむね三分の二程度が個人消化という状況です。それに比べまして、電力以外の一般の事業債の個人消化の比率はまだ比較的低うございまして、大体三分の一程度ではないかというふうに……。電力債のように毎月毎月発行されるもんでございませんだけに、個人消化の比率を高めるということは、さほど容易ではないと思うんでございます。しかしながら、今日までのように個人の金融資産の大部分が銀行預金に向かっておる。債券に向かう分がまだきわめて小さいという状況から考えますと、まだまだ努力次第によっては若干の競合はありましても、十分消化は可能ではないかというふうに考えております。
#34
○対馬孝且君 先ほど参考人の御意見では、まあ六五%個人消化はできるだろうという加藤参考人のあれがございました。そこで私は、やっぱりできるだろうと安易に言うんだけれども、実際に先ほど言ったように、昭和五十五年度には約六十兆円となるわけです、赤安国債の方は。そうすると、われわれに言わせると、六十兆円なんという金は見たことないんだけれども、気が遠くなるような数字なんでね。これと競合していくという場合に、どう言おうとどちらかにしわ寄せの傾向が出てくるのではないのか、非常にむずかしくなっていくんじゃないのか、そういう懸念をしているわけです。その点、大蔵省として具体的にしからば指導をしていくことにおいてどういう行政指導なり、どういう体制をこれからとろうとしているのか、この点をちょっとお聞きしたい。
#35
○説明員(今永伸二君) 御指摘のとおり、今後のきわめて膨大な国債の消化というのは、決して容易ではないというふうに考えております。
 まず第一に、発行市場面における対策といたしまして、従来国債の発行条件と申しますのは、ほかの債券の発行条件に比べまして比較的低い水準に据え置かれております。国民の税金で利子を支払うという面から申しますと、金利は低いにこしたことはございません。しかしながら、やはり国民大衆の大切な金融資産の中から消化していただくということを考えますれば、今後はできるだけ市場の自主性を尊重する方向で発行条件を実勢に近づけていくという努力を、今後とも続けなければならないというふうに考えております。
 それから第二は、流通市場対策でございまして、やはり債券の個人消化がむずかしいというかなり大きな要素といたしましては、市場で自由に売買することが可能かどうかという点であろうと思います。この点につきましても、今後上場制度、それから店頭制度、その他流通市場全般にわたります整備を図ることによりまして国債、事業債全体の流通をさらに高めてまいりたいというふうに考えております。
#36
○対馬孝且君 そこで、通産省にお伺いしますが、いま大蔵省のそういった今後の対策、措置を含めてお答えがあったんですが、電力債の償還計画が毎年厳しくなるということは、これは考えられると思います。特に私の資料でいきますと、六十年度まで十年間では十四兆円の巨額に達する、こう大体私の資料では把握をしておるんですが、そうなりますと、社債の所有の大衆化が進行して行かざるを得ないだろうということは当然でありますが、これらの償還計画について、それでは通産省としてどういうふうに厳しく指導しようとしているのか、この点のこれからの対策についてひとつ明らかにしていただきたい。
#37
○政府委員(大永勇作君) 先生御指摘のように、六十年度まで約十四兆円を社債によって調達することになっておりますが、発行いたしますのは約二十兆円でございます。六兆円がその償還財源に充てられますので、ネットでは十四兆円ということになっておるわけでございまして、一応償還分も含んで見込んおるわけでございます。具体的な社債の発行の問題につきましては、毎年電気事業社あるいはガス事業社が社債発行いたします際に、毎年度その必要総額について通産大臣の確認を受けるということになっておりますが、その際に十分発行額、それから償還額を含めましてチェックをいたして、償還が確実に行われるようにその段階でチェックをするということにいたしたいと存じます。
#38
○対馬孝且君 それじゃ、大蔵省いいです。
 それでは、社債の問題についてはこの程度にいたしまして、次に、直接電気料金値上げにまつわる問題につきまして、これから少し内容をひとつ詰めてみたい、こう私は考えるのであります。
 一つは、先ほども参考人にちょっとお聞きしましたけれども、特に北海道電力にしぼって私は申し上げたいのであります。浮き彫りにして話しますが、現在八分配当ということになっているんです。これはこの間、私のところに大橋さんが来まして、実は先ほど言ったように、今度社債が発行されれば、倍増になればひとつ配当は一割にしていきたい、ぜひそれを復元したいんだ、こうはっきり言っているわけです。何言っているんだ、君、片一方で三九・一五の料金値上げをして、片一方では八分を一割に復配するということになったら、消費者、庶民がそんなことをうんと言うかと。大体その辺が北電は感覚が狂っているんだということを私は率直に申し上げたんですが、いや、全くその点はよくわかるんですが、いますぐではありませんけれども、ぜひそうしていきたいんだという話があるんだが、私の計算でいくと、本当に電力料金を上げざるを得ないというのであれば、しかも北電は三九・一五という四社のトップなんだよ。こういうトップレベルにあるとすれば、二分減配すれば約十一億浮くんですよ。一割復元を〇・八で抑えると十一億消費者に対して還元することができるわけだ。
 やっぱり私は、こういうきめ細かい配慮があってしかるべきだと考えるんだが、この点ひとつ長官どう考えているか。こういうことが正しいのか、正しくないのか、こういうことにむしろきめ細かい配慮をしていくということが必要ではないのか。これは参考人はあんなことを言っておりますけれども、大資本だからあんなことを言っているんだ。私に言わせたら、いまどこに、低成長で不況の真っただ中に、一割配当をしている会社が何社あるか。時間がないからさっき反論しなかったけれども、私はデータを持っているから反論したいのだけれども、そういう点についてこれからの査定に当たってどう考えるかということをお伺いしたい。
#39
○政府委員(増田実君) 配当につきましては、配当を一割にするとか、あるいは八分にするという査定で電力料金の査定を現在いたす仕組みになっておりませんで、これは先生御高承のように、事業報酬というものを算定いたしまして、これは従来八%で行っておるわけですが、その事業報酬の中から支払い金利及び配当を支払う、こういうことになっております。
 北海道電力につきましては、従来から八%、八分の配当になっておるわけでございますが、今後の料金算定におきまして、今後の配当がどうなるかということにつきましては、ただいま申し上げましたように、事業報酬の中で、これは配当の問題につきましてはいま先生の御指摘のように対外的ないろんな問題があります。それから会社経営としてどうするか。ことに今後増資を行うという場合にずっと八分の配当であるときにはなかなか増資が困難だ。そういういろいろな問題を含めて、これは会社が決める問題でございます。そういう意味で、私どもの方はその配当について直接の査定はいたしておりません。
#40
○対馬孝且君 そこで私はお伺いするんですけれども、いま、いみじくも電気事業で、現在の固定資産の中に占める建設の借入金の問題ですよ。つまり科目で言うと、御存じのように建設中の資産、核燃料、繰り延べ資産、運転資本などの事業資産分の一律八%ということになっているわけです、事業報酬が。そこで、これは事業の健全な発展に必要な資金を調達するための報酬として、自動的に料金と原価に織り込まれることになっているわけです。これはお認めになると思うんです。
 そうしますと、電力会社の事業報酬を増大させるために、発電所を初めとするこの設備の限度を超えた拡大に走っているのが現実でありますけれども、一定の限度の、いま長官が言う、つまりいかなる状況においても八%は確保すると、ここですよ問題は。消費者はこういった値上げの犠牲にされている。こういう事情にあるにかかわらず、いかなる場合であっても八%を確保するということについて、少なくとも今日の置かれている値上げをするような社会の状況、こういうものにふさわしい事業報酬というものを決められてしかるべきではないか、こう考えるわけです。この点について、少なくとも事業報酬増大のために放漫な設備を先ほど言ったようにやったり、あるいは原子力を優先して国内資源の後追い政策をやるような問題について、通産省としてはどういうふうに歯どめをかけるべきか、こういう点についてどういうふうにお考えになっているか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#41
○政府委員(増田実君) 事業報酬を算定いたしますのには、これは資産、設備の計算をいたすわけでございますが、ただいま対馬先生から御指摘のように、過大の設備を設けて、そしてそれによって八%の事業報酬というものをふくらませるという問題があるんではないかという一つの問題点の御指摘でございます。これにつきましては、電力会社が今後新設する設備計画が需要をオーバーする過大な設備投資、これはそれだけ料金の負担になりますから、そういうことであってはならないと思います。そういう意味で、今後の設備計画その他につきましても需要の伸びに合っているかどうか、これは私どもの方も十分それを見て各社の設備計画というものをチェックするわけでございます。
 それからもう一つ、設備がふえれば、それによって事業報酬八%の土台になりますベースが広がるということで、そういう設備を意識的にふやしてその八%事業報酬をかせぎ出すということがあるかどうかということにつきましては、現在の設備を建設いたしますための資金コストと申しますか、社債とか借入金その他でありますが、これはいろんな計算がございますが、やはり八%を超える実質負担になるわけです。そういう意味からいいますと、設備をむちゃに仮にふやして、そしてそれで八%の事業報酬をかせぐということは、むしろコストとしてかかります利子負担の方が大きいということからいいまして、電力会社が事業報酬をかせぎ出すために過大な設備投資をするということは起こり得ない、私はこういうふうに思っています。
#42
○対馬孝且君 それじゃ、厳正にそういう点はひとつ査定をするということでいいですね。
#43
○政府委員(増田実君) 個々に将来の設備計画につきましては需要と合っているかどうか、これは厳正に見て査定をしていく方針でございます。
#44
○対馬孝且君 それでは次に、そこで私は全くこれは不可思議だと思うのは、昭和五十年度上期決算表によりますと、北海道の北電の場合は十六億五千二百九万九千円という核燃料費がこの決算の中に出てきているんです。東北なんかは福島の原子力発電所がありますからわかるんですが、北海道電力に何で十六億の決算が核燃料費として出てくるのかということがわからないんです。それで、今回の申請が出されている中にはこれが出てこないんだ。現実に、ないでしょう、北海道に。原子力発電を運転してないでしょう。それがこの五十年度上期決算に十六億五千二百九万九千円出ているんですが、私に言わせれば、でたらめな、国民感情を逆なでするようなこういったような申請の考え方というのは全くわからないんです。国民はなおわからないですよ。これは盲点なんです、私に言わせれば。この点通産省としてどう考えますか。
#45
○政府委員(大永勇作君) 現在手元に北海道電力の資産書類は持ってまいっておりませんが、いま先生御指摘の十六億円と申しますのは、北海道電力が将来の原子力発電に備えまして購入いたしました、イエローケーキの代金を資産として計上しているものというふうに考えております。
#46
○対馬孝且君 その準備のために考えておると言ったって、それじゃ、申請額の中にどこに出てくるんですか、核燃料費というのは。どこの項目と入るんですか、総原価の中で。
#47
○政府委員(大永勇作君) 申請額につきましては、事業報酬のもとになります、八%掛けるもとになりますいわゆるレートベースというのがございますが、その中に核燃料費が入って申請をされております。
#48
○対馬孝且君 そこにごまかしがあるんです。決算ではこういう決算をしておいて、庶民には――だから、私はこの前もちょっと触れたけれども、総原価では庶民が、国民がわからないということ。個別原価を公開すべきなんですよ、国民に対して。個別原価ですればそういうものはあらわれてくるけれども、総原価の中ではこんなもの国民はわかりませんよ、核燃料がどこに入っておるか。北海道に原子力発電も動いてないのに十六億もの金が盛り込まれて決算している、こんなばかげた、これは東北電力も同じだという話だけれども、私は北海道だから率直に申し上げるんだけれども、こういう問題に関連しまして、次のことを私は率直に申し上げたいのです。
 この間、時間がなかったので詰めができなかったから、きょうはこれ詰めますけれども、岩内の五十三年三月着工予定の原子力発電の建設費が一千億。工事費の急増の裏には、原子力発電所の建設に伴って膨大な出費が経営を圧迫しているのではないかという住民の声があります。これも新聞に出ています。この岩内原発とともに伊達火力は余りにも巨額の金がばらまかれているということですよ、北電の場合は。
 そこで、私は具体的に申し上げたいんだけれども、地域住民に立地の際にどれだけの金がばらまかれたかということを、はっきり国民は知らなければならないんです。この前、北海道電力会社はロッキード工作資金を使っていると私が言ったのは単なる言葉じゃないんだ。ロッキード的と表現しますけれども。率直に申し上げなければならぬことはどういうことかといったら、伊達市の周辺の北電の寄付金というのが、この前も言ったように、四十九年度、五十年度でもって、伊達市、豊浦町、虻田町、壮瞥町、洞爺村、大滝村を含めて十億円です。これははっきり申し上げます。数字は北電の数字だからこれはもう……。
 次は、このほかに漁業補償金が伊達漁協が四億七千万、有珠漁協が四億五千万、豊浦、虻田、室蘭を含めまして二億一千万の金が出ている。現実に虻田の町長は、こういう金はもらう理由がないと言っているんだよ。理由のない金を何でもらうんだということでこれは町議会で問題になったんだ。はっきり申し上げます。これは明らかに伊達火力が頭をなでるための工作資金なんだ。やっていることはコーチャンと大して変わらないんだ、はっきり言えば。どうですか。
 それよりもっと問題なことはここなんだ。岩内住民が、いまなおかつ、漁民も農民も反対しているにかかわらず――ここは大事な点だから申し上げますよ。地元の住民を視察費用として延べ二千三十人連れていくというんだよ。五十年七月末現在で視察要員として延べ二千三十人ついている。その費用が何ぽかというと、一億一千八百万円かかっているんです。どういうふうにするかといったら、福島県を見るとかなんとか連れてきて、ここを視察して、次は東京へ来て、夜はどんちゃん騒ぎだ。観光バスに乗せて、観光までちゃんと見せて、それで帰すわけだ。帰ってきた人間は、これはありがたやありがたやということで、東京見物してきたということで、大変北電というところはいいところだと。原子力は、そんなものはわからないけれども、何でも賛成していればいいべえというようなことでこれはなっているわけです。
 私に言わせれば、こういう地域独占的な、ずさんな、放漫なやり方に対して――まだあります。留萌火力発電に対してすでに千二百六十五万、まだ名も出されていないけれども、金を使っている。公開の資料ですから、これを見てほしいですよ。これ、後でやります。こういう問題について、やっぱり水増しした今回の申請額、あるいは好ましくない、言うなれば誇大な電気料金値上げを目的としたための申請の内容になっているのではないか、なっていると私は思う。住民の素朴な声だから、うそ言っているんじゃないんだから。この点についてやっぱりそういう事実を認めるかどうかということを、はっきりしてもらいたいんです。
#49
○政府委員(増田実君) 電力料金の査定につきましては、これは基本方針といたしましては適正な原価というものを厳しく査定するということで、現在作業中でございます。
 ただいま先生からいろいろの事実について御指摘がございました。これらにつきまして、私どももその費用の支出その他につきまして、不適正なものが中に組込まれているということであってはならないと思いますので、各種の費用につきまして厳正な立場で査定をしていきたいと思います。
#50
○対馬孝且君 そこで、大臣にちょっとお伺いします。
 いま、私が具体的な事例をオーバーでも何でもない、数字をもって示しているわけですから、北電会社が出した事実資料を私、確認して出しているわけですから、電力会社が申請をする場合に、こういったずさんな、あるいは水増し的な、誇大な、住民に誤解を招くような値上げ申請の出し方については、担当大臣としてやっぱり好ましくない、あるいは誇大的である、こういうお考えを持ちませんか。この点、ちょっとお伺いします。
#51
○国務大臣(河本敏夫君) 電力料金を査定いたします場合には、その電力会社がまず能率的な経営をしておるかどうかということに対して厳しく査定をいたします。その前提条件に基づきまして妥当なコスト、妥当な利益、こういうことを条件にいたしまして査定をするわけでございますが、いずれにいたしましても、法の精神に基づきまして厳正な査定をするというのが基本方針でございますので、申請をそのまま認める考え方はございません。
#52
○対馬孝且君 そこで私は、次にもう一つ、これは住民が納得できない点が一つありますのは、四十九年の五月の値上げの申請の際と対比をして、今回、五十一年四月の申請に対してその他諸経費というのは九二・二%計上になっているんです、四十九年度に比較しまして。これは何かといいますと、非常にいま九二・二%のその他諸経費というのが盲点なんです。まゆつばなんです。これがいろいろなPR費その他工作資金に使われているのです、この内容を調べてみると。ところが、その他諸経費で違っていたから、私、先ほど言ったでしょう、総括原価ということは住民にわからない、個別原価で国民に公開をすべきである。この点を含めて、今後の査定に当たってはやはり国民に個別原価を公開をするということを通産省は行政指導をすべきじゃないかということと、特別その他諸経費の九二・二%というものは、こういう出し方というのが、はっきり申し上げますけれども、国民にはわからないです。こういう出し方がいいのかどうかという問題をあわせてお伺いしたいと思うんです。
#53
○政府委員(増田実君) その他経費の項目で、四十九年の料金値上げを申請しておりました金額と、今回の申請の金額が九二%増しになっているというのは先生の御指摘のとおりでございます。会社側の説明では、この間における諸物価の高騰とか、あるいは事業規模の拡大に伴う諸経費の増加ということでありますが、私どもはその内容について十分調査し、先ほど申し上げましたように、厳正な査定をするということでやっていきたいと思います。
#54
○対馬孝且君 それで、いま私が申しましたように、その他諸経費は九二・二%になっているということはお認めになりますね。
#55
○政府委員(増田実君) 申請はそういう数字になっております。
#56
○対馬孝且君 それでは、次の問題にひとつ入りたいんですが、先ほどもちょっと参考人に私は質問を申し上げましたが、つまり家庭電力と産業用の電力の関係、これは先ほど申しましたように、実際、消費者の電力というのは総体の示す割合からいきますと二二・三%しか費消されていないんです。逆に電力料金は三一・七%払わねばならぬ。こういう矛盾は何かといいますと、やっぱり固定費配分の問題である、こう私は申し上げました。参考人もそういうことについてはやっぱり直すべきであるということで、先ほど申しました割合の比率が出てまいりましたが、この固定費配分の考え方について通産省の考え方をひとつこの機会に……。むしろ家庭直撃型の値上げになっている、これはやはり是正していくべきじゃないか、こう私は考えるわけです。ただ、是正をするという方向で検討するかどうか、検討してもらいたい、こう考えますが、この点についてどうですか。
#57
○政府委員(増田実君) 電灯とか電力の格差につきましては、これはかって北海道電力も電灯が電力料金の三倍ぐらいであったわけですが、前回、四十九年の改定によりまして大体一・五倍ということに相当その差が縮まっておるわけでございます。電灯と電力につきまして、これはまあ先生お詳しいわけでございますが、電力に比べまして電灯の方が約五割単価が高くなっておるわけでございますが、電力の方は相当な高圧電力を直接工場に提供する、片方の方は送電線、それから変電を経まして各家庭に配給するということで、これは当然要します費用が違うわけでございます。
 それから、もう一つ御指摘のありました固定費の配分の問題でございますが、これは現在、電力量と、それから最大電力量と、それから尖頭責任の数字と、これを三つ組み合わせておるわけです。それで最大電力を二にしまして、あとを一、一にしておるわけです。この配分の仕方につきまして、これは前回四十九年にこういう制度をとったわけですが、この二、一、一法は尖頭責任制を入れましたことによって若干電灯が安くなったという内容になっておるわけです。
 もっとその最大電力を入れます比率を減らすべきだという御議論、それから、けさ参考人の方から一部そういう御議論がございましたが、現在の電力の設備というものを増加いたしますのは、最大電力というものに合わせて、その最大電力が出ましたときに安定供給ができるように設備を設けるということからいいますと、やはりその最大電力というものが出ました原因部門というものが固定費の配分を相当受けるという現在の考え方、これはいろいろの考え方がございますが、この関係の専門の方々その他の意見、その他を十分取り入れましてこういう制度になっておるわけでございます。諸外国に比べましても日本の制度が特に電灯に不利になっておるというふうに思っておりません。ただ、その問題は、これはいろいろやはり検討すべき問題だと私どもは思っておりますが、現在のところでは、私どもはいまの二、一、一法が最善である、こういうふうに思っております。
#58
○対馬孝且君 今後ひとつ検討するということはいいですね。固定費の配分については検討を進める、それは産業用電力と家庭用電力のある面ではやっぱり差を縮めていく、こういう方向での検討ということはどうですか。
#59
○政府委員(増田実君) 先ほど対馬先生にお答え申し上げましたように、二、一、一法は相当な検討の結果やっておるわけでございますが、しかし、それをそのままいつまでも置くというのが正しいかどうか、やはり将来の課題として私どもも検討を続けていきたい、こういう考えでございます。
#60
○対馬孝且君 それじゃ検討するということですから……。
 そこで私は、次の問題として炭価の問題にちょっと触れたいのですが、これは現在炭価アップが出てきておるのは千五百円、千五百円、三千円になっているでしょう、申請が。ところが去年の、これは長官も御存じだと思うのですけれども、私の調べによると、四千五百カロリー以下は四月から六月までは百円、七月から三月までは二百円、合わしてこれ、百七十五円ですよ、率直に申し上げて。北電が四千四百カロリーは百円、百円とこうなっているんですよ。ところが五千カロリーの標準単価は何ぽかといいますと、七千円で去年出しているわけです。ところが実際はこれはもう私はいま北海道から全部、露頭採掘やっている企業全部呼んだんだから、呼んで私は数字を押えたんだけれども、率直に言って去年は五千八百円です。しかも五千カロリー以下を割っている石炭を北海道電力は三八%使っているんです。いまなお現在百三十万トン貯炭があるわけだ。こうなると、今回修正されたこれをけしからぬと私は言ってるんじゃなくて、そういう数字については、水増しをして申請されているという実態を知ってもらいたいんです、そういう事実について。全体の総枠の五千カロリーの中に四千四百、四千六百という石炭が三八%混炭をして使われている、だから、七千三百五十円という単価そのものは結果的に七千円を割ってダウンしているということです。こういう事実について認めるか認めないか。認めないと言ったって、私、数字持っているんだからね。これは露頭業者が全部集まった数字ですから、この点で事実をひとつ確認してもらいたいんです。
  〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
#61
○政府委員(増田実君) 石炭の価格につきましては、これは私どもの方の石炭部がありますし、また先生も石炭専門でいらっしゃいますから、実態に合わした査定をいたします。今回の申請につきまして、これが実態に合っているかどうか、十分調べます。ことにカロリーの差による単価の違いというのは、私どもも十分知っておりますから、それにつきまして、実態に合わした厳正なる査定をして単価をはじく、こういうことでやっていきたいと思います。
#62
○対馬孝且君 去年の実績は認めますね、私がいま申し上げた実態は、事実であるということについて。間違いありませんね。ちょっとそれ、はっきりしてください。これが問題なんだ、これが基礎になるんだ。
#63
○政府委員(増田実君) 昨年の値上げにつきましては、これは標準カロリーで値上げ計算をしておりまして、それ以下のカロリーの分については値上げ率はそれより低いというのは、対馬先生の御指摘のとおりでございます。
#64
○対馬孝且君 わかりました。そうすると、いまこういう実態があるということを踏まえて、これからの標準石炭価格の問題、燃料費の問題、申請額は二四・三%になっておりますけれども、私の計算でいきますと一八%です、率直に申し上げます。そういう水増しをして申請しているという実態を算出していきますと、一八・二%です。こういう実態があるということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
 次の問題は、電気税の問題についてちょっと触れたいんですが、前回の値上げでは、百二十キロワットまでナショナルミニマムという家庭電気の考え方で二千円どまり、こういうことになっているわけで、電気税――五十年の一月以降、五%、免税点二千円に改正――を支払うという必要はなかったわけですけれども、今回の値上げでは、ナショナルミニマムのレベルが上がってきているわけですね、使用量というのは御存じのとおり、ルームクーラーであるとか、テレビだとかというようなことでずうっと上がってきていますよ。したがって、この免税点を百八十円超えて電気税がかかるということになれば、鉄鋼、石油化学の大部分、アルミ産業などの電力多消費産業はほとんど非課税となっているわけです。そうすると、電力だけが国民に負担がかかってくる、税金がかけられてくるという点について、通産省はやっぱり検討する必要があるんじゃないか。もっと言うと、大企業に奉仕をして、庶民には電気税がやっぱりかかってくる、これはひとつ再検討してもらいたい、こう思うんですが、いかがなものですか。
#65
○政府委員(増田実君) 電気税の問題につきましては、私どももいろいろ意見がございます。これにつきましては自治省の担当でございますので、現在もいろいろな意味で電気税の問題について申し入れをしております。ただ、所管が私の方でございませんので、これについてここでこういうようにするとかいうことは申し上げませんが、ただいま先生の御意見その他も踏まえまして折衝を続けていきたい、こういうふうに思っております。
#66
○対馬孝且君 それじゃ、善処するということですから、電気税については、その点は私も理解をして期待をいたしております。
 そこで、時間もあとありませんので、ひとつきょうの朝日新聞に、山場を迎えました電気料金というような標題で実は出ております。そこで、この前も福田副総理にもお伺いをしていますけれども、これ、ここでも出てますが、大体三〇%以下が好ましい、こう言っているわけですね、福田副総理は。したがって、通産大臣も、できるだけ厳正に低く抑えていきたいという所信は、方針は変わりないんですが、この三〇%以下が好ましいという考え方に対して、ひとつ通産当局としてはその福田副総理の言う三〇%以下に――いま査定中だからそれは答えを直ちに求めようとは思いませんが、アウトラインとしては三〇%という線引きを副総理は引いているということです。この点について通産省としてどうこれをお考えになって、どういう考え方を持っておるか、これをひとつお伺いしたいということが一つ。
 それから、二段階論議に対して、この間も同僚の森下委員等からもありましたように、二段階論議の場合がある、こう言っているわけですが、もし三〇%以上であった場合に、これは大永公益事業部長もこの間公聴会に行って北海道で記者会見して、二段階論議もあり得るという記者会見をしているわけですが、この点について、三〇%ラインであれば二段階論議ということは考えられるのかどうか、こういう問題はあるいは考えられないのか、そういう問題についてひとつお伺いをしたいと思います。
#67
○政府委員(増田実君) 四社から申請を受けております電気料金につきましては、現在査定中でございます。そういう意味で、私どもの方は先ほど先生に申し上げましたように、厳正な査定を行っております。ですから、何%を目標にするとかその他ということを頭に置きながら査定するということじゃなくて、やはり正しい料金の査定をする、それによって片方では安定供給というものを確保するし、また、電気料金が上がることは国民生活あるいは需要産業にとって非常に影響を与えますから、そういうことでやっております。三〇%以下が望ましいという御発言がいろいろあることは聞いておりますけれども、料金査定をする立場としては、正しいコストというものを見出すという立場でやっていきたいと思います。
 それから、もう一つ御質問ございました二段階の問題につきまして、これは査定が終わりまして、一応の案というのが出た段階で考えていきたいと思います。そういう意味で、二段階でやるとか、あるいは一段階でなきゃいかぬとかということでなくて、やはりそういう査定作業が終わりましたところで考えていきたい、こういうふうに考えております。
#68
○対馬孝且君 そこで、そこまではこれはわかるんだ。それは私は何も質問するつもりはないんだけれども、三〇%以下が好ましいと物価担当長官が言っておるわけですから、通産省として三〇%以下が好ましい、望ましいという、その考え方について是とするのか非とするのかということを私は聞いているんであって、一般論を聞いているんじゃないんです。それは、その辺に落ちつくことが国民的にも望ましいという考え方をお持ちなのかどうかということが一つと、最後ですから、時間が来ていますから、値上げの時期が新聞では六月上旬と言っているわけですが、上旬といったって漠としているんで、それまでやっぱり消費者の運動がかなり高まってきておりますので……。なぜこういうことを言うかといったら、これはもうすでに北海道では、値が上がった分だけは払わない運動を起こそうじゃないかという消費者パワー運動が起きているんです、これははっきり申し上げて。そういう点でこれはお尋ねしているんです。だから、具体的には大体いつごろをめどにこの答えを出されるのか。
 それから、もう一つ確認するけれども、三〇%ということを固執をする意味じゃないんだけれども、三〇%以下が好ましいという物価担当大臣の意見があるとすれば、その方向に近づけるというか、そういうものについて通産当局としては努力をされるという考え方についてはどうなのか。
#69
○国務大臣(河本敏夫君) 電力料金を査定いたします場合には、電気事業法に基づきましてその査定のやり方等が決まっておるわけでございます。したがいまして、いま事務当局で査定をいたしております内容は、いろいろな意見があるわけです、電力会社から高くやってくれというお話がありますし、あるいは閣内からもいろんな意見が出ておりますし、消費者からもいろんな意見が出ております。特に大口の電力を消費する産業界からもいろいろな意見が出ておるわけです。しかし、そういう意見は意見といたしまして、厳正に電気事業法の精神に基づきまして査定をしておる、これがただいまの現状でございます。
 二段階料金というのは、あらかじめ高い査定が出るのではないかということを想定をした上の議論でないかと思うんですが、通産省といたしましては、あらかじめ高い結果が出るということを頭に描いて、結果を一応頭に描いて査定をいたしますと、これは正しい査定ができませんので、一切そういうことは考えないで、とにかく厳正に、シビアに査定をする。その結果が出ました上で企画庁とも相談をしますし、それから物価安定対策会議にもかけまして関係方面の意見もよく聞いて、そして最終的に決定をする、こういうスケジュールでございます。
#70
○対馬孝且君 大臣、そこで最後ですから、ひとつ厳正に査定するのはいいんだけれども、極力庶民としては抑えてもらいたいという素朴な願いも出ているわけですからね。先ほど言ったように、幾つかの私は具体的な事例挙げましたけれども、かなり水増し的なあるいは放漫的な申請になっているわけです。これは厳正かつ厳しくいくという大臣のお答えは率直でいいですが、極力庶民としては下げてもらいたい、こういう熱望にやっぱりこたえていただくということについて、どうですか。
#71
○国務大臣(河本敏夫君) 電気料金は産業全般に非常に大きな影響がありますし、また、国民生活にも非常に大きな影響のある問題でございますから、その点は先ほど申し上げましたように、あくまで電気事業法の精神にのっとりまして厳正に査定をしていく、こういう態度を貫きたいと思います。
#72
○桑名義治君 社債発行の問題はまず後にしまして、最初に、電気料金の値上げの問題がいまちまたでは大変な関心事の一つになっておりますので、この点について最初にちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
 それぞれ四社からは電気料金の値上げ申請が出て、いま査定中であるということでございますが、実際はその理由として、大きく分けるとどういうことが理由になっているのか、それをまずお聞きしておきたいと思います。
#73
○政府委員(増田実君) 四月の初めに四社の電力料金の改定申請が出ておりますが、これにつきまして、今回の料金改定の理由といたしましては、一つには燃料費の上昇というもの、それから第二番目には、いわゆる設備関係費の上昇というものが入っております。それからそれ以外に、いわゆる人件費とかその他の経費の増大ということでございます。これは先般の四十九年にやりましたときには、石油の値上げが非常に大幅だということで、ほとんど燃料費というものが申請の理由の大部分であったわけですが、今回はいま申し上げたように三つの点に分けてそれぞれの値上がりを説明し、改定いたしたい、こういう申請になっております。
#74
○桑名義治君 そこで、一般国民の素朴な疑問の一つといたしまして、電力会社の経営実態が大体どういうふうになっているかということが一番関心事になっているわけです。五十年の九月の決算実績というものが有価証券報告書の中でも明らかにしておりますように、いわゆる関西電力が一一・二%、九電が九・九%というように、対前期比から見ますと売上高も非常に伸びております。それと同時に、対前期比の利益率を見ましても、たとえば中部電力あたりは七七・四%、こういうふうに大幅に増益が報告をされているわけです。電気会社はこんなにもうかっておりながら、なぜ電気料金の値上げをしなければならないかということは、これはもう国民全般の素朴な疑問だろうと思うんですが、この点はどういうふうに考えられていますか。
#75
○政府委員(増田実君) 五十年の上期の決算につきまして、その前期の決算あるいは前年同期に比較いたしまして増収、増益になっているというのは、先生御指摘のとおりでございますが、その内容につきましては、この利益率はそれほど高くなっておるわけじゃございません。ただ絶対量が相当上がっているという点が、つまり電力の販売数量、販売金額というものが上がっていることによって増収にもなっておりますし、また増益にもなっておるわけです。
 今回の電力料金の申請につきまして、いま先生のおっしゃられましたように、五十年の上期の決算を見ると、ことにほかの産業界と比べまして電気がいいんじゃないか、それにもかかわらずこういう大幅な申請をするのはおかしいではないかという意見は、私どもいろいろ聞いております。今回の申請のありましたのはつまり五十一年度、五十二年度におきます今後要します費用、これを総括原価ということになりますが、それの費用とそれから現行料金、これは四十九年の六月から実施しております料金、この収入と比較いたしますとそこに赤字が出る、その不足を埋めてもらいたい、こういうことでございます。そういう意味で、五十年度におきます決算とは別に今後の必要な総括原価、それから収入予定というものの比較で料金の改定申請が出ておるわけでございますから、これが正しいかどうか、これを私どもが査定をいたしているわけでございます。
 それからまた、五十年度に相当中に蓄積が入っているとかその他がありますれば、それをどれくらい吐き出すかとか、そういうことは当然五十一年度、五十二年度の料金査定の中に計算するわけですが、五十年度の下期の決算、近く発表になりますが、これが五十年度の上期に比べては相当悪くなっているということで、いま言いましたように、吐き出すようなものはもうほとんどないというふうに会社の方は説明をしているわけです。これも真実に合うかどうか、これは私どもの方は査定する立場ですから、それらの点も十分調べまして、そして結論を出していきたい、こういうふうに思っております。
#76
○桑名義治君 そういうふうに電力会社はおっしゃっているかもしれませんが、よく考えてみますと、五十一年度の三月決算の内容はまだ公表されておりませんからわかりません。しかし景気の回復、それから生産の拡大、電力需要の回復、こういう問題をかみ合わせてみますと、悪くなっているという言葉はいまの段階ではだれもやっぱり信用できない、これが常識的な考え方ではないかと思う。それと同時に、前期の場合は五十年の九月、内部留保額が総額で八千五百億円になっている。前回の値上げ前の三月決算期に比べると千億円以上も積み増し、こういうふうになるわけでございます。そうなってくると、そうやった論理もなかなか信用できないということになるわけでございます。
 さらに、この内部留保額の中で申請四社の退職給与引当金を調べてみますと、これも有価証券報告書の中身からいろいろ調べてみますと、いわゆる実際に使用される額に比べて北電が一五・八%、それから北陸が二四、九電が二〇、こういうふうに設備投資の方に流用をされたと考えられる内容がずいぶんあるわけでございまして、こうやった意味から申し上げると、内部留保のあり方というものをもう一遍再検討する必要があるんではないかというふうにわれわれは考えるわけですけれども、その点はどうですか。
#77
○政府委員(増田実君) 九電力を合計いたしましての内部留保額が相当多額になっている、ただいま先生から約八千億以上だということでございます。これにつきましては、まあどれとどれの項目を内部留保で計算するかという問題がありますが、普通に言われておりますように法定準備金、それから電力会社に特有な渇水準備引当金、それからただいま問題の御指摘ありました退職給与引当金、これの合計、それに貸し倒れ引当金、あるいは公害防止準備引当金、海外投資損失準備引当金等を合計いたしますと八千億を超えるわけでございます。ただこの中で、たとえば法定準備金につきましては、法律に定まりまして利益準備金及び資本準備金を積まなければならないわけでございますから、これがけさほどの参考人の御意見で、留保金で隠してあるというお話がありましたが、これは法律で定まって積む金額でございます。また、渇水準備引当金も、これは電気事業法に基づいて、渇水があった場合しか取り崩せないという制限が付されております。
 そこで問題になりますのは、退職給与引当金であります。しかも最近の何期かの積み増しは、大体退職給与引当金が積み増しされておるわけでございますが、この金額につきましては一応税法で認められている限度のところまで積んでおる。あとこの積み増しが行われておりますのは、人件費の増加に伴って積み立てを増加しておる、こういうことでございます。そうなりますと、今後崩せる留保金といいますのは、いわゆる貸し倒れ引当金とかあるいは公害防止準備引当金というような諸項目ですが、これらにつきましては非常にわずかしか積んでない。それで、恐らく五十年度の下期、つまり五十一年三月期決算では、これらのほとんどぎりぎりのところまでの取り崩しというものが行われるのではないかと思っております。ただ、これも実際の数字を見ませんと、私どもの方もはっきりしたこと申し上げられません。この留保金につきましては、その内容がどうなっており、また、積み方がどうかということにつきましては、私どもは私どもの方の立場で厳正に見まして、取り崩せるものがあるのかどうか、また、積み方が多過ぎるのかどうか、これらについては査定のときに十分審査をするということでやっていきたいと思います。
#78
○桑名義治君 今回の値上げの一つの原因として、燃料費という説明がございました。燃料費としては石炭、C重油、ナフサ、それからLNG、こういうものが値上げになると思うんですが、こういった値上げに対して電力会社がどのようにいままで対処してきたか。この点を、ただこういう燃料が上がったから、上がるからということで、もう即座にそういうふうに料金にはね返すということでは、これは完全な社内努力というものは考えられないわけですから、どういうふうに努力をしたけれども、やむを得ない、こういったところはどういうふうに説明されていますか。
#79
○政府委員(増田実君) 燃料費といたしましては、一番大きいのが重油、それから生だき用原油、それからいま御指摘のありました石炭ということでございますが、これはそれぞれの品目、利の方の資源エネルギー庁所管になっておりますが、電力会社がたとえば石油業界の値上げに対し、あるいは石炭業界の値上げに対しまして、どうせ料金になるということで、安易な態度でこれをやっているというふうには私ども思っておりません。むしろ、石炭価格の引き上げにつきましても、非常にきつい態度でこれに対しまして切ってきておるというのが現状でございます。そういう意味で、電力会社が燃料費の購入についてきわめて安易に値上げを受けて、そしてそれを料金にかぶせているということは、私の見た限りではないと思います。
 むしろやはり、石油危機以後燃料費、石油の大幅な値上がり、しかも、一時石油業者が逆ざやになっておったわけですが、これが暫時訂正されているということで、依然として値上がりが続いてきたということの影響というものが、電力の原料費にしわ寄せになっていると思っております。ただ、現在申請をされている値上げ率がいいかどうか、これは先ほど対馬先生にも申し上げましたが、十分内容を審査いたしまして査定していきたい、こういうふうに思っております。
#80
○桑名義治君 その企業努力というものがどういうふうに燃料費に対して行われたかということについての説明は、どうもいまの説明の中では余り明らかではないわけでございます。こうやった問題もやはり国民の前に明らかにして、そして、こういうふうに電力の値上げについては許可をしてもらいたい、こういうふうに一切の問題を明らかにする必要がある、私は、そこら辺の努力が非常に足りないのではないかというふうに考えるわけです。
 それと燃料の問題については、いま原子力発電の燃料というもの、これは午前中の公聴会のときにも公述人の中の発言にもございましたし、私もこの問題をちょっと取り上げてみたわけでございますが、濃縮ウランの契約が六千万キロワット、一九八五年原発規模の四千九百万キロを超えている。この八年間分を前もって契約をしているわけですが、この長期確定量方式、これはアメリカとの契約の内容でございますけれども、この八年間の契約を見ると、先ほどもちょっと申し上げましたように、百万キロワット当たり三百三十万ドル、約九・九億円の前渡金を支払っている。こういうようなお金が料金に加算をされるというふうに考えますと、いわゆる利用者は前もって料金を払わされたということになるわけでございますけれども、この点については、今回の電灯料金の値上げの問題については非常に不当じゃないかというふうに考えられるわけですが、その点はどうですか。
#81
○政府委員(大永勇作君) この燃料、濃縮ウラン契約その他によります核燃料の確保の問題でございますが、これは先生御指摘のように、核燃料代につきましては、固定資産と大体同様な扱いをいたしまして、いわゆるレートベースに入れているわけでございますが、これにつきましては、将来の安定供給の確保ということを考えますと、核燃料についてはやはり相当事前に手当てをしておかないと、たとえば濃縮にいたしましても、濃縮能力の問題がございまして、限界に達しておるというふうなことから、相当長期かつ事前に手当てをしておきませんと、将来の供給不安が出るということで、一種の備蓄としての性格を持っているんじゃないかというふうにも思われるわけでございまして、そういうことからいわゆる金利分、全部じゃございませんが、金利分を経費として見ておるというのが実態でございまして、事情からいたしますと、やむを得ないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
#82
○桑名義治君 しかし、国民としましてはこういった実態が明らかになると、一方的片務契約で前渡金の分まで消費者が払わなければならぬのか、こういう素朴な疑問というのは当然出てくるのです。そういったところに対するやっぱり説明なりあるいは国民の予解なりをとる必要がある、こういうふうに思うわけです。それと同時に、午前中に参考人の方にも申し上げたわけですが、こういったいわゆる片務契約、これを、いわゆる原子力協定のあり方というものを今後考え直していく必要があるのじゃないかというふうに考えられるわけですが、その点ではどういうふうにお考えですか。
#83
○政府委員(増田実君) 原子力につきましては、ウラン鉱石の確保、それから濃縮の確保という点で原料が確保されるわけでございますが、これにつきましては相当前広に契約をいたしませんと、実際の入手が非常に困難だという点がございます。そういう意味で、現在天然ウランの契約につきましては、昭和六十年度を超えました分までの契約ができておるわけでございます。四千九百万キロワットの六十年度の稼働に必要な天然ウランをさらに上回った契約が現在すでに行われています。
 ただ、この契約につきましては、やはりこれを確保するために相当前払い金で押えておくというのがございます。それから先生から御指摘になりましたのは、これも十年先のを押えても、やはり値上げその他の要求を受けて、必ずしも日本が押えている実態に合わない不利な点があるんじゃないかとおっしゃられる点だと思いますが、これはそういう実態はございます。ございますが、これにつきましては、世界各国の契約がそういう形になっております。まあ自国の中でウラン鉱石を産出するところは別といたしまして、やはり外国から購入するウラン鉱石の購入契約というものが、契約改定というもので後から値上がりの要求を受けるというのは、これは事実ございます。そういう点の不利の御指摘だと思います。
 ただ、これにつきましても現在日本が確保し、早目に契約いたしておりますウラン鉱石の改定要求、値上がりは、いわゆるスポットで買っておりますものに比べましては非常に安いわけです。そういう意味で、日本が相当ほかの国よりは早くこういうものを押さえたということでは、私はそれなりに効果があり、また、電気料金に対しても引き上げにならない効果というものを生んでおる、こういうふうに思っております。
#84
○桑名義治君 この濃縮ウランの問題につきましては、これまた今後とも検討する余地が十二分にあると思いますので、極力検討をしていただきたいと思います。
 時間の関係もありますのでどんどん進みますが、九電力の株主の実態について、きょう参考人の方からも不信を招くおそれがあるというふうなお話があったわけです。その一覧表を見てみましたら、確かにそれぞれの電力会社の主な株主は、いわゆる一位から十位までは生保かあるいは銀行という構成になっているわけでございまして、銀行そのものが株主兼債務者であるというような実態があるわけです。それから、金融会社別のいわゆる機関の保有率からいきますと、北海道電力あたりは六〇・七九%ということで、一番低いところを見ても三八・六七%と、こういうような実態にあるわけです。
 これはやはり、こういう実態が明らかになってまいりますと、国民の素朴な考え方は、いわゆる電力会社というのは金融機関の完全な支配下にあるのじゃないか、したがって、一切のこうやった値上げの問題が配当やいろいろな問題で全部流れてしまう、何のために値上げをするんだというような疑問がわくと思いますけれども、こうやった実態に対してどのようにお考えになってらっしゃいますか。
#85
○政府委員(増田実君) けさほど参考人の御意見で、たしか工藤さんからお話がございまして、電力会社の実態は、その大株主は金融機関あるいは生命保険、そういう会社が株を持って配当を受ける、それからまた金も融資をして、そしてその利子を受けておるということで、電力会社も金融支配を受けておると申しますか、そういう点の御指摘がございました。この点につきましては、数字はいま先生のお挙げになりましたとおりで、大株主は金融機関あるいは生保――まあ一部のところは、地方自治体が相当大株主になっておる電力会社もございますが、主力はいまのような金融機関あるいは生命保険会社ということになっております。ただこれにつきましては、これは電力会社のみならず、ほかの企業もやはり大株主というものはそういう構成に非常になっておるということは、特に電力会社だけがそういう点が非常に際立っているということでは私はないと思います。
 それからまた、金融機関が電力会社に融資をすることによって非常な高い利子を取っているとか、あるいは電力企業に対しまして、株主であることによって非常に利益を得ているかということからいいますと、これも加藤参考人からけさほど御説明ありましたが、株価は非常に低いわけですし、それから配当もなかなか一割配当にはならないで、常に八分とか六分に減配し、また一割に復活するということからいいますと、そう電力会社の投資については妙味のある投資であるとは思っておりません。むしろやはりこういう公益事業、エネルギーの安定供給に尽くしている事業に対しまして、一つの安定株主の役を果たしている、こういうふうに思っておりますが、これらの点につきましては、電力会社の株がそこの地方の住民の手にもっと移るべきだという御意見につきましては、私はそういう考え方というものに個人としては賛成でございます。そういうことで、今後この株主構成その他につきまして改められるような時期がありましたら、できるだけそういう方向に向かわせるように話をしてみたい、こういうふうに思っております。
#86
○桑名義治君 そこで、先ほどからいろいろと指摘をされてるわけですが、そうやった指摘の中で、いよいよ値上げの問題については現在査定中である、いわゆる適正の原価、適正な利潤ということでいま検討中であるというわけですが、通産省としてはこの問題に対して供給規程料金算定要領というものがあるらしゅうございますけれども、これは大体どこでつくられたものなんですか。
#87
○政府委員(大永勇作君) これは資源エネルギー庁の内規としてつくってるものでございます。
#88
○桑名義治君 これは産業構造審議会などの意見を一つの基礎にしてありますか。
#89
○政府委員(増田実君) 電気事業審議会の各種の意見を取り入れまして、それで電力料金を査定いたしますときの担当者の手引きと申しますか、一応内部基準ということでつくっておるのがいま御指摘の電気料金算定要領でございます。
#90
○桑名義治君 そこで、通産省のいわゆる供給規程料金算定要領がどういうふうな内容を持っておるかということも、これはある程度明らかにする必要があるんじゃないかというふうに考えられるわけですが、これ、どうですか、いままで公表しておりますか。
#91
○政府委員(増田実君) これは、先ほど申し上げましたように査定いたしますときの内部規定のために、これを新聞発表するとかその他はいたしておりませんが、消費者の方々とかその他、電気料金に非常に関心があり、また勉強したいという方々には、私どもはお渡ししております。
#92
○桑名義治君 いや、私がいままで聞いた範囲内では、この要領はなかなか出さない、ほとんどこれは秘密なんだというふうなお話がございまして、まあそこにも一つの大きなまた疑問点があるわけです、一般の方々がですね。多少こうやった問題に対して知識があり、あるいは関心を持っていらっしゃる方々が、この通産省の規程が、算定要領がなかなか表に出ない、で、どういうことで算定をされてるのかなかなか疑問があるというふうなあれがあるわけですが、じゃ、これは要求があれば出すということですね。
#93
○政府委員(増田実君) この算定要領につきまして見せてもらいたいとか、一部くれというお話がありましたら、私どもの方はこれを差し上げるということにいたしております。
#94
○桑名義治君 いずれにしましてもこの料金値上げの問題は、非常に大きな産業界に対する影響もございますし、物価に対する影響力も一番大きいのではないかというふうに考えられるわけでございますので、この問題は本当に慎重に検討をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、いよいよ社債の問題に入っていくわけですが、この前からの審議で、電力の社債発行というものが四倍というような異常な特例法をつくることになるわけでございますが、電力会社が独占が許されているということは、一つは公益事業であるというところにこの問題があるわけでございますので、公益事業であると同時に、また私企業であるという性格は当然なことですし、いわゆる企業努力によって事業活動を行うのが最も好ましいことであって、産業界の責任ある方々はあらゆる立場を通しながら、政府干渉というものはなるべくない方がよろしい、こういうふうな意見もあるわけですが、今回の、まあこれは今回に限らずでございますけれども、こうやった企業については少し甘えがあるんじゃないかというような見方がずいぶんあるわけでございます。もう少し企業努力をやるべきだという考え方も充満してるわけですが、この点についてはどういうふうに認識されてますか。
  〔理事熊谷太三郎君退席、理事楠正俊君着席〕
#95
○政府委員(増田実君) 電力会社が供給いたしております電気というものが国民生活の必需品でありますし、また、その電気料金が上がることによりまして国民経済、国民生活に非常に大きな影響を与えるわけでございます。そういう意味で電気事業法の料金の規定には、能率的な経営を行う、それを前提として原価を計算する、こういうことになっております。そういう意味で電力会社といたしましては、あらゆる経営の合理化というものに努め、その上で料金が算定される、こういうふうに思っておるわけです。けさほど電気事業連合会の会長の加藤参考人から、昭和二十六年に九電力が発足して、それから二十五年たっている、それでその供給している電力量は数倍になっているけれど、人数がふえてない。これは人数の数え方についていろいろありますから、そのまますぐに非常に電力会社だけは模範生だというふうに私も申しませんが、しかしこの二十五年問、各社を見ますと、これは人数がふえてないことはそのとおりでございます。そういう意味から言いますと、電力会社は経営合理化の努力を非常に怠っているという問題はないと思います。ただ、これにつきましては私どもの方からも、さらに経営を合理化し、冗費を省き、そしてできるだけ電力料金にはね返らないように努力してもらいたいということを常に指導しておる、こういうことでございます。
#96
○桑名義治君 午前中にも参考人にもちょっとただしたわけですが、東電あるいは関電ですね、こうやったところは関連企業がたくさんあるわけです。実際にいま長官から説明がございました、いわゆる電気の供給は非常に上がってきたけれども、人間はふえてない。しかしこれは、配電関係は全部子会社にやらせている、あるいは電気工事については、もう送電から変電から配電から一切合財子会社にやらせる、こういうことならばふやす必要ないわけです。これが果たして企業努力かということになってくると、われわれは大きな疑問がある。そういう意味で、こういう直接関連のある子会社的なものは一〇〇%の株を持っておろうとも、これは奇異には感じません。
 しかし、たとえば東電不動産管理のように、四百万株があって、四百万株また株を持っている。確かに高圧の塔を建てるとかいろいろな面で、土地を多少やっぱり管理しなければならないという立場から見れば一応の納得はできるわけですが、しかし土地の管理、売買、貸借、不動産鑑定、土地造成、こうやった一切の業務をやっているような、あるいは新日本ヘリコプター、これも五十万株のうちの半分の二十五万株持っている。あるいは南明興産というんですか、これは石油類の販売、海上輸送、これが八万株のうちの七万八千株を持っている。こういうようなことになりますと、多少こういう子会社的なものに、また電気料金云々の問題のときに、果たしてこうやったところにも金が流れていくんじゃないかという疑問も持たざるを得ないわけでございますが、その点はどうですか。
#97
○政府委員(増田実君) 電力会社が持っております子会社は、電力事業に伴う直接の事業というものに、まあ一、二の例外はあるいはあるかもしれませんが、ほぼ私は限定されておると思います。ほかの会社が相当いろんなところへ手を出して、そして広く子会社を持つというのとは違いまして、やはり電力事業を行うに必要なための子会社です。ですから、その中には不動産会社その他もございますが、これも、各種の施設を設けますための土地の取得をこの子会社にやらしておるということでございまして、たまたまそこの土地が不用になって、そこへ住宅を建てるとかなんとかということがありまして、これが批判の対象になったという事実もかつてあったわけでございますが、私は、電力事業の持っております子会社は、むしろ電力事業の円滑な運営のための必要な限度を相当守っているというふうに思っております。
 それから、料金で取得したものが子会社に流れるとか、あるいは電力事業以外の事業に使われるということは、十分私どもは監視しなければなりませんし、また、ただいま御審議を受けております社債の発行限度というものが拡大を認めていただくということになりましたときに、これによって調達いたしました資金が本来の電力事業以外に流れることのないように、これも今回の法案の第三条に確認の規定がございますが、そこで厳重に見ていきたい、こういうふうに思っております。
#98
○桑名義治君 電力の需要見通しについてでございますけれども、この具体的な数字の計算の根拠はどこにあるのか。あるいは恐らく経済成長率というものが一つの基礎になっているというふうに考えますが、経済成長率を一にした場合に、電気需要の伸びをどういうふうに計算しているものか、その根拠をちょっと……。
#99
○政府委員(増田実君) これはいろんな計算をいたしましたんですが、四十九年度を起点といたしまして六十年度までの電力需要の年率伸びというものを六・三ということで計算しております。その内訳については、時間ございませんので省略いたしますが、これに対しまして、その期間の実質経済成長率は六・一と見ておるわけでございます。そういたしますと、いわゆるその弾性値というものが一・〇三という計算になっております。
#100
○桑名義治君 次の問題として、「電気事業の資金問題に関する意味」、これの十三ページのいわゆる総電力需要と年度末設備の問題でございますけれども、四十一年から四十八年におきましては、需要の伸びの方が設備拡大のテンポを上回っていたわけです。今後の問題ですが、五十一年から六十年度はそれが逆転をするということになっているわけですが、四十八年から六十年において需要の伸びは五・六%、それから設備拡大の伸びは七・一%、どうしてこのように設備拡大が需要の伸びを上回っているのか、その点の説明を願いたいと思います。
#101
○政府委員(大永勇作君) 電力需要の伸びの割りには設備の方の伸びが大きいという点でございますが、これはいわゆるその負荷率の低下ということの裏返しでございます。負荷率と申しますのは、最大電力で平均電力を割ったものということでございますけれども、この負荷率が現在は六〇%を割るような状態になっておりまして、年々若干ずつ低下してまいっておりますが、その主たる要因といたしましては、一つは、家庭用、業務用あるいは大口を含めまして生活の向上に伴いまして冷房需要が増加いたしまして、いわゆる夏ピーク型になってまいりまして、そのピークがだんだんとがってくるというふうな状態が一つございます。それからもう一つは、産業構造の面におきましても、比較的負荷率のいい電力多消費型の産業のウエートが下がりまして、機械産業その他負荷率の比較的低い業種のウエートが上がっている、そういったことの総合結果であるというふうに判断しております。
#102
○桑名義治君 総合エネルギー調査会の答申の中でございますが、五十年の八月にあったわけですが、六十年度目標の年度末発電設備は一億九千百二十万キロワット、それから現在ですが、ことしの三月末の発電設備は八千九百五十一万キロワット、現在設備中のものが三千九百八十三万キロワット、そうすると、建設中の発電設備を除いて六千百八十六万キロワットを新たに開発をすることになるわけですが、この約六千万キロワットの立地について政府はどのような見通しを持っておりますか。
#103
○政府委員(大永勇作君) 先生御指摘のように、この立地の問題につきましては、原子力、火力等等含めまして非常な問題でございます。特に公害問題とそれから原子力におけるその安全問題というのは非常に大変な問題でございまして、その辺の促進を図ることが今後の重要課題になると思うわけでございますが、公害対策、安全対策に万全を期しますとともに、いわゆる電源三法というのがございますが、これの活用等によりまして地元の理解を得ながらやっていきますれば、まあ努力次第で何とかなるんではないかというふうに考えております。
#104
○桑名義治君 努力次第とは言いますけれども、実際に原子力発電については地元の相当な、いわゆる強力な反対運動があることはもういままでの経過から明らかであるわけです。しかも、五十三年度までに原発は二千九百万キロワットの立地点を探さなけりゃならぬということになっておるわけでございますが、これは相当厳しいと思うんです。これは見通しありますか。
#105
○政府委員(増田実君) 原子力発電につきましては、昭和六十年度の長期目標といたしまして四千九百万キロワットということになっております。そのうち、ただいま先生からお挙げになりましたように現在稼働中のもの、それからすでに電調審を通りまして地点の確定しているものを除きますと、今後二千八百万キロワットの原子力発電所の新しい土地を決めなければならない、こういうことになっております。会社の方でそれぞれいろいろ当っており、また、現在すでに地域と交渉と申しますか、了解運動に入っております地点が相当ありますが、しかしながら、この二千八百万キロワットの地点といいますと、十数カ所ということになってます。これがまだ確定していないのも御指摘のとおりでございます。今後二、三年の間にこれらの地点を確定いたしませんと、原子力発電所というのは、相当長期の建設期間が要るわけでございますので、そういう意味で、これから二、三年が原子力発電というものができるかできないか、つまり、四千九百万キロワットに到達し得るかしないかの一応境目の時期になるというふうに私どもも認識しております。そういう意味で、原子力につきましては、安全の確保と環境の保全につきましてあらゆる努力を重ね、また、これを建設いたします地域住民の方々の理解と協力を得られるよう十分な努力を重ねて、それに到達いたしたいと思います。
 具体的には、現在いろいろな方法をこれから取りかかろうとしておるものもありますが、時間がございませんので、一、二、例を申しますと、一つは、安全性についての実証試験というものを行うということで、実地にいろいろな試験をいたしまして、そのデータを出しまして、それを発表し、それによって地域の住民の方々に、実際の実験によって、こういう結果だから大丈夫だということを確認していただくということを行おうということで、これは原子力工学試験センターというものをこのたび発足さして、直ちにその事業に取りかかっておるわけでございます。またそれ以外に、原子力発電につきましての日本型と申しますか、改良標準化というものをいま行っております。これにつきましても、中間報告はすでに出ておりますが、こういうようないろんな努力を重ね、また、先ほど先生からもおっしゃられました核燃料サイクル確立というものも行いまして、そして電源構成というものの改善、原子力発電の四千九百万キロワットの達成に努めていきたい、こういうふうに考えています。
#106
○桑名義治君 五十一年以降十年間に二十兆円もの電力債が発行されるわけですが、市中において消北されても、その償還は非常に厳しいものがあるというふうに考えるわけですが、これまでのGNPの高い伸びのもとでは、電力の需要があり、そこから得られる当然の収益によって賄っておったわけですけれども、しかし、こういうふうな低成長期に入ってきて、こういう莫大な電力債を発行しながら、果たして償還が心配なわけですが、その点はどういうふうに考えられていますか。特に原子力の問題につきましては、いままでも稼働率が非常に低い時点があった。実際は七〇%の稼働率がなければ採算が合わないといった計算が出ているにもかかわらず、五〇%というような状況にも置かれておったわけですが、そういうように悪条件があるわけです。そういった立場を考えたときに、この償還がどういうふうになるだろうかというのは一つの疑問点ですが、その点どういうふうに考えていますか。
#107
○政府委員(増田実君) 今後十年間に二十兆、実質的には償還が入りますので、約十四兆の実質手取りというものを目当てとした社債を発行するわけでございますが、ただいま先生からお話ありました償還の問題が確保されるかどうか、ことに今回は特別の限度の枠の拡大をお願いいたしておるわけでございますが、これがいわゆる社債権者の保護に問題があるかどうかということにつきまして申し上げますと、今後電気事業者がこの特例によりまして社債を発行いたしますに当たりまして、毎年この社債発行計画、それから償還の計画その他を通商産業大臣が確認するということになっております。
 そういうことで、社債権者に対しての保護と申しますか、いまの償還が確実であるかどうかという問題につきましては、毎年毎年チェックいたしまして、それで償還計画も一応再検討しながら社債を発行させていく、こういうことで、計画といたしまして二十兆円の社債を発行するわけでございますが、いま申し上げましたように、社債権者の保護という立場からのチェックも毎年行っていく、こういうつもりでおります。
#108
○桑名義治君 OPECは、昨年の秋に一〇%の原油の値上げをしたわけですが、今後、七三年の秋のようないわゆる大幅値上げはない、小幅な値上げがあるだろうというふうに一応考えられているわけですが、これはまあ今日の常識みたいになっているわけです。そうなりますと、今後小幅の値上げがあるたびごとに、このほかにまた電気料金の値上げはやむを得ないというふうに大臣、考えられておられますか、どうですか。
#109
○国務大臣(河本敏夫君) OPECの総会がこの五月二十五日からインドネシアで開かれるわけですが、今回は値上げをしないだろうというのがつい先般までの圧倒的な見通しでございましたが、ごく最近になりまして微調整――きわめて少額のあるいは値上げがあるかもわからぬ、こういうことを言われております。私どもは、いまのような世界経済の情勢で、昨年上げたばかりですから、値上げをしないでもらいたいということを強く期待をしておるわけでございますが、仮に若干の形式上の値上げがありましても、昨年もそうでございましたが、実際はいろいろな取引条件の改善とか若干値引き等をしまして、ほとんど値上げをしないで済む、こういうことも可能であったわけでありますし、今後も、いまもう世界の石油の生産能力というものは約五億トンぐらい余っておりまして、七十数%しか稼働しておらない、こういう事態におきまして、大体値上げをするということが無理な話でございますから、仮に形式上あったにいたしましても、何とか実質上の値上げにならないように私どもは努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
#110
○桑名義治君 東京電力と東北電力が原子力発電所を十七基から十三基、総出力で二千万キロワット、こういう超大型原子力発電基地を五十五年から十年がかりで建設をする方針を固めたというふうに新聞にも出ているわけでございますけれども、通産省はこの立地についてどういうふうに考えているか。また、この計画は六十年度までの電源開発計画に入っているのかどうか、その点どうですか。
#111
○政府委員(大永勇作君) いま先生の御指摘になりましたのは、多分下北半島の東通村に東北電力、それから東京電力がそれぞれ相当広大な土地を手当てをしていることに関連したものだと思いますが、そこでの原子力発電につきましては、六十年度までの間に完成するという見通しは、われわれとしては持っておりません。
#112
○桑名義治君 いずれにしましても、今後六十年までのいわゆる現在算定されている電力を確保するためには、大型の原電プラントを購入しなければならぬわけです。そこで、現在この原子力プラントはアメリカの原子力産業界の二大勢力、いわゆるGEとWHの両方から購入をするというような考え方のようでございますが、百万キロワットの一基大体どのぐらいするものなんですか。
#113
○政府委員(大永勇作君) 二千億円から二千数百億円ぐらいだろうと思います。
#114
○桑名義治君 そうなってまいりますと、今度の参考人からもちょっと公述がありましたけれども、いや、ロッキード問題どころの騒ぎじゃないということで、こうやった大型プロジェクトが出てまいりますと、必ずいろいろな疑惑問題が取りざたされる恐れが十二分にあるわけです。その点に対して、これは十二分な神経を働かせながら、いわゆる透明な中でこの計画を進めていかないと、また一つここに国民の疑惑がわくということも考えられないわけではございませんので、その点についての配慮を十二分にしておきたい、こういうふうに考えるわけですが、どうですか。
#115
○政府委員(増田実君) 公益事業を行っております電力会社の原子力発電の購入におきましては、いま先生から挙げられましたような疑惑が起こることの絶対にないようにする、これは電力会社としても十分その点を注意して行っていくものと私ども考えておりますが、従来からも非常に大きな発注をいたしておりますが、従来からもこれにつきましては、少なくともわが国の電力会社については疑惑の目を持って見られたような事実はございませんし、今後もないものと確信しております。
#116
○桑名義治君 いままでもなかったし、今後もないことを確信しているというお話でございますが、午前中の参考人のお話の中にもございましたように、WHは非常に企業内容が悪い、したがって、早急にいままでの機械を売り込まなければならない、ところが、その最大の市場は日本であろというようないわゆる客観情勢があるわけです。今回のロッキード問題についても、やはりロッキード社が非常に経理内容が悪かったという客観情勢もあったわけです。したがいまして、ただ単に、いままでなかったから今後もないと確信しているということでなくて、これはやはりチェックを厳しくやっていく必要があるんじゃないかというふうに懸念するわけてあります。これが杞憂であれば私は幸いだと思うんですけれども、しかし、こういう大型ですから、したがってその点について特に厳正な立場でこの問題に対処してもらいたい、こういうふうに考えるわけです。大臣にこの問題について一言お願いいたします。
#117
○国務大臣(河本敏夫君) 電力事業というものの設備投資、先ほど来いろいろ御議論もございましたように、今後十カ年に非常に膨大なものがございますし、特に原子力発電など海外との取引も非常に大きくなるわけでございますから、私は、その取引の方法等についてはよほど気をつけまして、厳正にこれを取り扱っていく、こういうことがぜひ必要だと思います。
#118
○桑名義治君 これも午前中に申し上げた問題でございますけれども、いわゆる核燃料サイクルの問題の解決でございます。参考人の御意見の中にも政府の資金が幾らか、あるいは各企業の出資金が幾らか、そこら辺の割合を早く詰めてもらいたいというようなお話があったわけです。いずれにしましても、いまから先は天然ウランの入手、それから濃縮ウランの確保、使用済み燃料の再処理体制、それから、再処理による回収された核燃料の原子炉での再使用、こういったいろんな問題を含んでいるわけです。この点について、現在政府としてはどういうふうに考えていますか。参考人も、ああいうふうに分担金がはっきりすれば早くしてもらいたいというような御意見があったようでございますがその点について。
#119
○政府委員(増田実君) 原子力発電の推進につきましては、ただいま御指摘のありました、核燃料サイクルの確立というものが非常に重要な項目になっております。ただいまおっしゃられましたように、天然ウランの確保、それから濃縮ウランについての先までの契約を完了しておくこと、その他が問題でございますが、これらにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、天然ウランにつきましては一応十年先の四千九百万キロワットの分、あるいはそれ以上の契約が一応できております。また、濃縮ウランにつきましても、これはすでにできております。
  〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕
 それで、問題がありますのは、原子力発電所から出ます燃料の再処理の問題でございまして、これは御存じのように、現在動燃事業団で第一号再処理工場が近く動き出そうということになっておりますが、この能力は、今後の原子力発電に対しては不足するわけでございます。その差につきましては、現在はイギリスのBNFL、原子力公社との間の契約でその再処理を行わしている、こういう形になっております。ただ、それにいたしましても、昭和五十八年ないし五十九年度くらいになりますと、現在の契約では足りないというような状況になっております。この分につきまして現在いま申し上げましたBNFLとそれからフランスのCEA、これも原子力公社でございますが、この両社と契約を進めておる、こういう段階でございます。
 それから、けさ加藤参考人からお話がございまして、先生からもいま御質問がございました使用済み核燃料の再処理工場、これは、先ほど申し上げました動燃事業団の第一工場に引き続きまして第二工場を建てるということになっておるわけでございますが、これにつきまして政府と民間の分担をどうするかということで、現在、私どもの方で電力会社といろいろ問題を詰めています。これにつきましては、電力会社から出ます使用済み核燃料でございますから、役所だけがこれを処理するということでなくて、やはり民間とそれから政府の分担をそれぞれ決めてこれを処理していきたいということで、けさそれについての御発言があったわけでございます。
#120
○桑名義治君 そこでお尋ねしたいのは、そうやったいわゆる最終的な処理問題でございますけれども、いままでは英国にだけ頼んでおった。ところが、足元を見られてしまって、どんどん値上がりしてきた。そこで今度はフランスにということで交渉したところが、今度はイギリスとフランスで共同で協定をしてしまったというようないろいろないきさつがあるわけです。したがいまして、今後、こういう問題が解決しない前に原子炉をどんどんつくっても、これはコスト高にもなりますし、安全性の問題から言っても当然最終的には行き詰まってしまう、こういうふうなおそれが十二分にあるわけです。そういうことを考えながら、この問題については早急に手を打っていかなきゃならぬというふうに考えているわけでございますが、ただ単に、いまのお話のような第二工場ができることによって一切を賄うことができるかどうか、この点はどうですか。
#121
○政府委員(増田実君) 第二工場の建設時期、その他がございますが、五十八年以降しばらく、ただいま申し上げました英、仏に委託をするということでつなげば、あと第二工場で処理していきたいというのが現在のこの核燃料サイクルの考え方でございます。
#122
○桑名義治君 昭和六十年度には一千トンの使用済みの核燃料が出るであろうというふうに一応予測されている、こういうふうに聞いておりますが、どうですか。仮に一千トンの使用済み核燃料が生ずるならば、それに対応できるだけの態勢が果たしてこしらえられているかどうか。あるいはまた、いままでは外国に依頼しておったわけですが、その運搬の途中で問題が起こったということもちょっとお聞きしたことがあるわけです。
 それから、いわゆる外国のそういった使用済みの危険な核燃料を何でわざわざ処理してやらなきやならぬかという、そういう世論も起こりつつあるという話もあるわけです。そういったことに対応できるような態勢が今回の計画の中に組み込まれているかどうか、これが非常に大切なところだと思うのでありますが、その点はどうですか。
#123
○政府委員(増田実君) 使用済み核燃料の処理につきましては、昭和六十年度に四千九百万キロワットの設備ができて、それから発生しますものが、計算いたしますと大体六百九十五トン、約七百トンということでございます。それから日本で処理できますのは、先ほど申しました第一工場二百十トンでございます。その差につきましては、先ほど申し上げましたように、イギリス及びフランスで処理させるということでございますが、六十年以降につきましては第二工場というものを建てまして、それによって処理していきたいというのが現在の考え方でございます。
#124
○桑名義治君 この問題は全面的に日本で処理ができる体制ができてから、やっぱりそういう最後の締めをくくっておかないと、たとえばいまの都市問題の中で一番大事なのは何か、それはいわゆるごみ処理である、あるいは汚水処理である、こういうように、最後の始末がいまから先非常に行政の中では大切な位置を占めてくるということは、これは当然のことなんだ。そういう意味で並行的に、最終処理をどういうふうにするか、完全に日本でそれが達成できるという体制をこしらえながら進めていかないと、これは大変なことになるというふうに私は思うわけです。
 それから、先ほど原料の問題について、十年間六十年度までは一応天然ウランは確保できているといいますけれども、それ以後はどうなのか。いわゆる目当てがあるのか、それとも白紙なのか、ここらはどうですか。
#125
○政府委員(増田実君) 十年後につきましては、現在の契約量ですとその後二、三年の分につきましては十分あるわけでございますが、それ以後の分につきましては今後新しく契約をする、あるいは新しく開発をするわけでございます。それで、開発につきましては、現在アフリカのニジェールで日本の探鉱がすでにもう行われております。また、そのほかの各地につきましても契約ができて、近く探鉱を開始するということで、日本の手によって探鉱をし、ウランの確保を図るという方策でいま進めておるわけでございます。
#126
○桑名義治君 時間が来ましたので、これを最後にしたいと思いますが、いずれにしましても今後の計画の中で、原子力発電というものが非常に大きな比重を占めてくるわけです。ここで一番問題になるのは、どうしてもやっぱり安全性ということになるわけですが、日本の場合は、アメリカと比べまして原子力の安全体制がずさんであるというふうに一応言われているわけです。たとえば、アメリカの原子炉規制委員会には常時二千三百名のスタッフがいて、詳細な設計から運転まで見ている、こういうふうに言われておりますし、定期検査も厳しくやっている。これに比べて日本では、原子力安全審査委員はたったの三十名、しかもそれは、非常勤という非常に心細い体制であるというふうに言われておるわけですが、この問題について抜本的に安全体制をこの際つくるべきである、こういう計画をどんどん進めていくとするならばつくるべきだというふうに考えるわけですが、その点どうですか。
#127
○政府委員(増田実君) 原子力発電を進めるためには、当然これに対する安全体制、ことにそれに対する検査及び審査の体制を確立しなければならないわけでございます。ただ、いま先生がおっしゃいました安全審査委員会は、これは私どもの方でいろいろ安全審査をしますときに相談をいたします委員会でございまして、実際に審査及び検査に動いておりますのは、資源エネルギー庁の公益事業部の職員、それから各通産局の職員で、これは延べ人数にすれば相当な人数で現在やっておるわけでございます。それからまた、この審査につきましては、私どもはアメリカの審査に比べて日本の審査が緩いとかいうことはないものと確信しております。むしろ、非常に厳重なる審査を行っておるわけでございます。また、こういう安全性確保のために、さらに、現在私どものやっている審査、あるいは科学技術庁がやっています安全審査に対しましてもう一つダブルチェックをやるべきじゃないかということが言われておりまして、これにつきましては現在、内閣に原子力行政懇談会というものが開かれまして、原子力委員会のあり方、それから二重チェックのやり方につきまして先般中間答申が出まして、その方向に向かって進んでおるわけでございます。
#128
○加藤進君 初めに、大臣に二、三基本的な点について確かめておきたいと思います。
 昨年の十月一日の電気事業審議会の「電気事業の資金問題に関する意見」でも指摘しておりますように、電気事業の資金問題は、単なる短期的な資金繰りにとどまる問題ではないと私も考えています。この問題は、国の総合的なエネルギー政策にもかかわる重要問題でございまして、中期あるいは長期的な問題としてとらえられなくてはならぬと思います。そこで大臣にお伺いいたしますが、資金問題を単なる短期的な資金繰りの問題としてとらえてはならない、こういうふうに審議会の意見書どおりにお考えになっておられるかどうか、その点まずお尋ねしたいと思います。
#129
○国務大臣(河本敏夫君) 仰せのとおりでございます。
#130
○加藤進君 そこで、提案されております本法案が言っておるように、今後十年間の電力の需要想定に基づいて、その供給力を確保するための資金対策の一つとして提案されておるわけでございますが、これらの電力の需給関係がどうなるのか、この点については、昭和四十九年八月の電気事業審議会需給部会の中間報告がその検討結果を述べています。その中で「電力需要対策の推進」という課題を掲げて、これまでの電気事業がとってきた需要に応じて供給するという方向は転換を要する、こういうことが指摘されています。
 この中間報告は、供給力の確保にはさまざまな制約条件がある、そういうことを前提に置いて供給可能量を予測して、これに合わせてどのような需要が望ましいかというふうに需給関係をとらえておるわけであります。この点は私は、非常に大事な特徴ではないかと考えております。大臣は、この審議会の報告の指摘しておる点を尊重すべきものとお考えになっておられると思いますけれども、念のために確かめておきたいと思います。
#131
○政府委員(増田実君) ただいま先生からお話ございました四十九年八月の電気事業審議会の需給部会の答申で、従来の高度成長時代というものと四十九年八月の石油危機以後の事態とは、この電力の供給の問題あるいは電力需要の伸び問題も違った観点から見るべきだと。それでむしろ省エネルギー、省資源という立場で電気の使用の合理化、あるいは省エネルギーの方向で産業構造の転換をも含んだ需要政策を考え、それに必要な電力の安定供給の確保をすべきだと、これが基調になっておるわけでございます。現在私どもの方で長期計画をいろいろ立てておりますのも、こういう基本点に立って需要を見、それに対する供給を確保するという立場に立っています。
 四十九年度から六十年度までの電力の伸び率を先ほども申し上げましたが、六・三%と見ておりますが、これは従来、石油危機以前は一二%あるいは一三%近い伸び率であったわけですが、今後の低成長及び省エネルギー、省資源、また、それに基づく産業構造の改善というものに合わせまして伸び率を約半分に――ただ、これにつきましては今後の社会福祉の向上、国民生活の生活水準というものを上げるためには、やはり六・三%の需要増というものは確保しなければならぬ、こういう考え方に立っておるわけでございます。
#132
○加藤進君 その点に関連しまして、中間報告でも、省エネルギー型の産業構造への転換とか、あるいは輸出構造の転換、省エネルギー技術開発普及等々さまざまな需給対策が講ぜられないとすると、需給関係は早晩に破綻するという警告を出しておるわけであります。そういう立場から中長期的な需給関係の転換の方向が打ち出されておるものと私は考えておりますが、大臣はこの点をどうお考えになるのか。従来どおり需要があるから、その需要に応じて供給するのが電気事業の仕事なんだ、こういうお考えのもとで是が非でも供給力を確保すべきである、こういう立場に立たれるかどうか、その点を確かめておきたいと思います。
#133
○国務大臣(河本敏夫君) これからの産業政策を進めます上におきまして大事なことは、省エネルギーという観点に立っていろんな対策を立てることが必要だと思います。でありますから、省エネルギーという観点に立ちましてすべてのことを進めていく、こういう考え方でございます。
#134
○加藤進君 そうしますと、需要のあり方についても対策を立て、同時に供給力の確保対策を立てなくてはならぬ、こういうふうなことだと理解しておるわけでございますけれども、どちらを重点としてお考えになるのか、その点を重ねてお聞きしたいと思います。
#135
○政府委員(増田実君) 今後の需要の伸びにつきましては、省資源、省エネルギーを前提にいたしまして、そこで需要を想定いたすわけでございますが、現実に私どもの方のはじきましたのは、昭和六十年度におきましてエネルギーの節約を九・四%というのを見込んでおります。これを前提にいたしまして需要をはじきました。
 次に、この需要につきましては供給を確保しなければならぬ。ことに電力につきましては、供給義務というものを電力事業というものが負っておるわけでございますから、野放しの需要ではございませんで、いま申し上げましたような省資源、省エネルギーに立ちましたる需要というものを算定し、しかし、他方ではこの需要につきまして十分な供給を確保する、こういうことで、両方を並行して考えておるわけでございます。そういう意味で、前提といたしましては、省資源、省エネルギーの需要というものが前提になっておるということでございます。
#136
○加藤進君 資金対策だけはきわめて具体的に積極的に出されている。しかし、需要対策については余り具体的には問題が出されていない。こういうところに私は非常に問題点があるというふうに受け取っておるわけでございます。
 そこで、四十九年八月の審議会の中間報告でも、産業用電力の使用合理化対策を具体化すべきである、こういう点を積極的に指摘しておるわけでございますが、その点の指摘に対してどのような具体策が今日とられておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#137
○政府委員(増田実君) ただいまお話がありました四十九年八月の電気事業審議会需給部会におきまして、この電力需要対策として掲げられましたのは三項目あるわけでございますが、一つは「省電力型産業構造への転換」、第二番目は「電力使用合理化の推進」、それから第三番目は「電力需要の調整手段の活用」を行う、こういう三つの問題につきまして検討をいたすということになったわけでございます。
 それで、その各項目について簡単に申しますと、「省電力型産業構造への転換」につきましては、産業構造審議会の場でエネルギー多消費型産業の海外立地の適正配置、あるいはエネルギーの少ない寡消費型産業の育成というものをいかに行うべきかということにつきまして検討が行われ、これによりまして、いわゆるエネルギーの多消費型産業の比重を減少する経済構造に持っていきたいということでございます。
 それから、電力の使用の合理化につきましては、これはすでに重立った各工場につきましては消費節約の目標を各工場に設定させまして、ある一定期間がたちますとその使用実績を報告させてチェックする。なぜその目標に達し得なかったかどうかということでやっておりますし、本年度からはこの立てます目標につきまして各業種別、つまり鉄鋼業とかセメントとか、業種別の目標値というものを全部指示しております。そういうことで、非常にじみな仕事ではございますが、電力の使用の合理化というものにつきましては、各工場の協力を得まして具体的に進めておるわけでございます。
 それ以外に、民生におきます各種の電力及びエネルギーの消費節約につきましては、たとえば広告塔、ネオンサインの点灯時間の短縮とか、その他各種の施策を行っておるわけでございます。
 日本のように資源というもののほとんどを輸入に頼っております国のエネルギー対策といたしましては、先生から御指摘のありました省資源、省エネルギーというものを打ち立てて、それをもとにして、そこでどうしても必要になりました需要に対しての供給を行う、その供給を確保する、こういう順序で政策を立てるべきものというふうに考えております。
#138
○加藤進君 この中間報告ではさらに具体的に、受電認可制度についても検討するべきである、また、認可基準等々も検討を行うべきであると、こういう点まで明記されておるわけでございますけれども、そのような点についての具体化がやられておるのか、検討されておるのか、その点お聞きしたいと思います。
#139
○政府委員(大永勇作君) 受電認可の問題につきましては、四十八年度の夏に予備率が低下いたしまして、需要調整策が非常に問題になったわけでございますが、その後経済界が不況になりまして、現時点ではなお予備率が相当ございます。そういう点からいたしまして、現段階ではいまの受電認可のあり方等についての検討を行うのはまだ若干時期尚早であるということで、現時点ではまだ検討を開始いたしておりません。
#140
○加藤進君 それは審議会の中間報告のある部分については積極的に取り上げ、同時にある部分については十分にまだ検討もされていない、こういうことだと思います。ところが、電力需要の長期見通しにはこうした転換の方向が生かされていないと、私はこの点を注目しておるわけでございますが、電灯も、産業用の電力も五十年代には四十年代の一・七%の需要量の増加が見込まれています。それから産業用電力の需要量は電灯需要の三倍になります。この比率も四十年代と同じです。これは結局引き続き高度成長型のエネルギー消費、電力需要体制をそのまま続けていくということではないか。これは、四十九年の審議会報告の方向について十分これを尊重しておるとは言えないのではないかと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#141
○政府委員(増田実君) 今後の十年間の需要見通し、これに基づきまして今後の設備投資計画ができておるわけでございますが、その中で全部の伸び率、電力の総需要伸び率は先ほど申し上げましたように六・三%でございますが、この中でいわゆる産業用電力、これが電力多消費産業というものをできるだけ比重を下げるということ、また、電力消費の節約をするということによりまして予備率が五・九%になっております。ちなみに電灯と比較いたしますと、電灯は六・九%、いま申し上げました産業用電力は五・九%ということで一ポイントの差があるわけでございます。そういう意味から言いまして、産業用電力につきましては大幅ではございませんが、やはり先ほどの答申の線に沿った結果が出ているものというふうに考えております。
#142
○加藤進君 問題を変えてお聞きしますけれども、本法案は衆議院の段階でも決して十分な審議が尽くされたとは言いがたい状況だと思います。参議院におきましても、今日われわれがいま行っておるような状況でございまして、十分な審議を尽くさないまま採決が急がれている、こういう状況だと思います。そこで、政府はいつごろからこれほどこの問題を差し迫った緊急な課題だという認識に到達されたのか、その点をお聞きしたいと思います。
#143
○政府委員(大永勇作君) 一昨年の十二月に、電気事業審議会の中に資金問題懇談会というのを設けまして検討を開始いたしましたのが、正式に検討いたしました最初でございます。
#144
○加藤進君 この特例法がぜひとも必要になってきた、これほど電力会社の資金調達難は深刻である、こういうふうに認識されたのも、ほぼそのような時期でございましょうか。
#145
○政府委員(大永勇作君) 資金の所要量が非常に巨大になるという点は、もともと相当程度わかっておったわけでございますが、これに対しましてどういう対策がとれるかと。一つには、増資をしていきますれば社債の発行額はふえるわけでございますけれども、やはり低成長期を迎えまして、増資に過度に依存していくということはきわめて困難である。したがいまして、社債を発行いたしますためには、増資をして社債を発行するということはなかなかむずかしくなるので、やはり社債発行枠の拡大がどうしても必要だというふうに判断されるに至ったのはその時点でございます。
#146
○加藤進君 電力会社の資金調達難がきわめて深刻だ、こういうことを御承知の上で、あえて大臣が衆議院でも御答弁されておりますように、電力会社の設備投資を景気進行の推進役にする、五十二年度分を繰り上げても五十一年度の設備投資を大幅なものにする、こういうふうに言明されておるわけでございますけれども、これと電力会社の当面しておる資金難とは矛盾するんじゃないかと思いますけれども、その点はどういうふうに理解したらいいでしょうか。
#147
○国務大臣(河本敏夫君) 御案内のように、電力事業が今後十年間に四十八兆円という巨額の資金を必要といたしますが、その前半五カ年間の資金需要は約十六兆円でございます。一年間に平均いたしますと三兆二千億、こういう水準になっております。五十一年度の電力会社の工事量は約二兆四千億ということでございますが、景気対策上電力会社に工事の繰り上げを要請したことは事実であります。その結果、電力会社は約八千億ばかりの繰り上げ発注及び仮発注をしてくれたわけでありますが、これには資金は必要としていないんです。
 つまり、いろいろ電気メーカーとか関連の企業に対しましてそれぞれ内示をする、そういう形で繰り上げ発注あるいは仮発注、こういうことをしたわけでございます。それによりまして、電力会社は金を払わないけれども、内示を受けた企業というものは生産計画は立つわけでありますから生産の準備にかかれるということで、それだけ産業界にとって非常に大きなプラスになる、こういうことでございますので、この繰り上げ発注ということによりまして、電力会社の資金需要が当初の予定より変わったということはございません。
#148
○加藤進君 私は、中間報告等々が特に警告しておるのは、従来の高度成長型の投資、そのための資金の調達等々の方向だけを一面的に強調するのではなしに、需要を十分に検討しながら、それに見合って供給力を増強すべきであるという指摘だと思います。ところが、残念ながらいま政府のとられておることは、とにかく供給力増強である、是が非でもそのための資金の調達を行わなければならない、こういう点から言うと、果たして中間報告等々までが指摘しておるような、いわば高度成長政策への反省や、あるいはそれからの転換ということが十分真剣に考えられておらぬのではないか、こういう気がしてならぬわけであります。
 したがって、一番最初に私が大臣にお尋ねしましたように、この資金問題というのは、単なる当座の資金繰りの問題としてとらえてはならぬのではないかと言ったときに大臣は、まさにお説のとおりだと、こう答えられたわけでございます。そういう反省があるならあるで、その面をもっともっと強調して、もっともっとそれに積極的な努力と研究が行われるべきが私は当然ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。しかも、そういう資金の積算根拠についてもいろいろ疑問があります。
 そこでお伺いいたしますけれども、昭和四十九年の八月の時点では、六十年までの設備投資額は三十四兆一千億となっています。そうですね。この時点の電源別の建設単価は幾らで計算されておりましょうか。その点の数字が明らかになったら御報告願いたいと思います。
#149
○政府委員(増田実君) ただいま、四十九年のときの見通しで、昭和六十年までの投資計画総額三十四兆というものが発表されたわけでございますが、このときは時価、つまり四十九年度価格で計算いたしたものでございます。ですから、これにいわゆるその後の物価騰貴の率を入れますとおよそ六十四兆だったと思いますが、このたびの四十七兆六千億ということに対しましてむしろ大きい数字でございます。ですから、両方比較いたしますにはエスカレーションで換算いたしませんと比較できないわけでございますが、四十九年の計画の方が約三割近い大きな計画になっています。その後いろいろ積み上げまして計算いたしましたのが、今回御説明いたしております四十七兆六千億の数字でございます。
#150
○加藤進君 そうしますと、とにかく修正が行われた、そういうことですね。
 各電力会社の施設計画届け出書がございますね。これは私持ってまいりました。これによりますと、新規の発電所の建設単価を昭和四十九年度から五十二年度の分について試算をしてみました。そうしますと、通産当局の積算と比較してみていろいろ問題が出るわけでございますけれども、たとえば電力発電の場合、政府の計算では一キロワット当たり建設単価を十一万六千円と計算されております。しかし、各電力会社の届け出文書で計算いたしますと五十一年度分は九万八千円。そうですね。これはここにあります。それから五十二年度分は十二万となっています。こういう食い違いが数字の上であらわれているということが第一。さらに、個別に各会社別、発電所別に見てまいりますと、当然のことではございますけれども、その価格のばらつきというのは相当なものであるということがはっきり言えます。
 そこで、四十七兆六千億という結論は出ておりますけれども、この計算の過程でこのような価格のばらつきについて何らかの配慮がなされたのかどうか、それとも一定の方式に従って機械的な計算の上でこれが出されたのかどうか、その点をお伺いしておきます。
#151
○政府委員(大永勇作君) 計算に当たりましては、五十一年度から五十五年度までにつきましては二つの方法を使っておりまして、一つは、各電力会社から具体的に五十一年から五十五年までの設備資金計画を出してもらいまして、それで計算いたしましたのが一つ。
 それからもう一つは、先生いま御指摘の――先ほど申し上げましたのはミクロのいわば積み上げでございますが、それともう一つはマクロの計算でございまして、このマクロの計算につきましては、五十一年から五十五年までにおきます平均的な各施設の単価というものを出しておるわけでございまして、それに増分キロワットを掛けたものということでございます。それで、いま先生御指摘になりました十一万六千円といいますのは、五十一年度から五十五年度までの火力発電の建設単価として、平均単価として想定したものでございますが、これはベースを四十八年度の年央の発電単価、火力六万五千円と想定しておりますが、六万五千円に対しまして大体一・七八程度のエスカレーションを掛けまして、これを十一万六千円というふうに算定いたしまして、これを増分キロワットに掛けた、そういったマクロの計算とミクロの計算とがほぼ合致しておりますので、五十一年から五十五年までの計算については、まず間違いないということで計算したわけでございます。
 それで、五十六年から六十年までの計算につきましては、マクロの計算によっておりますが、その場合のエスカレーションといたしましては、約二・三三程度というふうに、四十八年度に対しまして二・三三程度ということで計算いたしております。
#152
○加藤進君 そうしますと、通産省では、マクロ的な計算とミクロ的な計算を両方照合してみると、大体の数字は一致するということですね。そのいわば計算の資料というのは、いただけますね。
#153
○政府委員(大永勇作君) 後刻、お出しいたしたいと存じます。
#154
○加藤進君 よろしくお願いします。
 いろいろ技術的には困難な面があることはわれわれも十分承知しておりますけれども、たとえば火力発電所の建設単価を見ますと、五十一年度、五十二年度の分で一キロワット当たり五万六千円とか六万七千円とか、一方では十万円未満のものが七地区、七地点にありますね。ところが百十七万円とか、あるいは百五万円とか八十七万五千円とか、こういう四十万円以上、百万円を超えるものも相当あるわけです。このような実態を考えてみると、一キロワット当たり十一万六千円というのを固定して、必要な設備資金は二兆円である、三兆円であるとはじき出したその金額に、果たしてどれほどの真実性があるのかということを疑わざるを得ないわけでございますけれども、その点については納得のいくご説明をいただけるでしょうか。
#155
○政府委員(大永勇作君) いま先生の御指摘になりました、キロワット当たり非常に高いものがございますが、これは離島におきます非常に小規模のいわゆるディーゼル発電等でございまして、全体の平均価格としてはほとんど影響はないものでございます。
#156
○加藤進君 それでは、問題を他に移しまして、社債の償還計画に関連してお尋ねいたします。
 昭和四十年から四十九年までの十年間の社債発行額はどれだけでしょうか、数字をお示しいただきたいと思います。
#157
○政府委員(大永勇作君) 四十年から四十九年までの数字がございますが、社債発行高は三兆二千七百五十三億でございまして、純増ベースでは一兆八千九百六十九億ということに相なっております。
#158
○加藤進君 そうしますと、そのやはり同じ四十年代の十年間の社債の償還額は幾らになっておりましょうか、お尋ねいたします。
#159
○政府委員(大永勇作君) 社債の償還額といたしましては、一兆二千七百六十五億円ということに相なっております。
#160
○加藤進君 昭和五十一年から六十年までの十年間の社債発行額の見通しというのは、御発表になっておるように二十兆五千八百億、これで間違いございませんね。
#161
○政府委員(大永勇作君) 間違いございません。
#162
○加藤進君 そういう数字を比較照合しますと明らかなように、設備投資額は四十年代の六・四倍ですね、五十年代は。社債発行額は六・二倍に予定されておると思いますけれども、その点は数字の上で間違いございませんね。
#163
○政府委員(大永勇作君) 総工事資金の伸びが六・二倍でございまして、社債発行高が六・三倍ということになっております。
#164
○加藤進君 もう一遍おっしゃってください。設備投資額の方が六・三倍ですか。
#165
○政府委員(大永勇作君) 総工事資金の方が六・二倍でございます。工事資金が六・二倍で、社債発行高が六・三倍でございます。
#166
○加藤進君 私が聞いたのは、設備投資額については比較してどうか、こういうことですけれども、その点はどうですか。
#167
○政府委員(大永勇作君) 失礼いたしましたが、総工事資金と設備投資額とは一緒でございます。
#168
○加藤進君 わかりました。
 それでは、社債の償還計画はどうなっておりましょうか。計画を明らかにしていただきたいと思います。
#169
○政府委員(大永勇作君) 先ほど申し上げましたが、四十年から四十九年の社債の償還額は一兆二千七百六十六億でございますが、五十一年から六十年にかけましては五兆六千億の償還が行われるものというふうに計算をいたしておるわけでございます。
#170
○加藤進君 特例法の第三条によりますと、社債募集の総額は電気・ガス事業会社の財産の状況及び償還能力に照らして過大なものであってはならない、こういう運用の基準が明記されておるわけでありますけれども、償還能力があるという御判断に立っておられると思いますが、その判断の基準というのは一体どこに置かれるんでしょうか。
#171
○政府委員(大永勇作君) 一つは、電力会社またはガス事業会社の財産の状況でございまして、具体的に申し上げますれば、いわゆる収益還元法というのがございますが、この収益還元法によりまして評価いたしました財産残高に対して、十分な償還能力があるかどうかという問題が一つございます。それから、やはり過去におきまして社債を発行した経験がありますとか、あるいはその償還につきまして遅滞があったとかなかったとかというような具体的な事実も、当然関係してくるというふうに思っております。
#172
○加藤進君 そういう点から見て、償還能力は十分にありと、こういう御判断でございますか。
#173
○政府委員(大永勇作君) 計算によりますと、電力の場合でございますが、昭和六十年度におきまして、ただいま申し上げました収益還元法によります財産という点から見ますと、四倍までの社債発行であれば、十分償還能力ありというふうに計算をしているわけでございます。
#174
○加藤進君 電力の需要の伸びは四十年代よりもダウンする。ところが、設備投資資金は四十年代の六倍という巨大な額が要求されております。なぜそうなるのかという点については、私はこの際説明を求めません。これは衆議院の答弁でも繰り返しておるわけであります。
 そこで、私が確認したい点は、電力会社の経営収支の見通しについてです。電力料金の収入として回収できないような設備が四十年代よりもふえることになると私は思いますが、そうでしょう。また、そのほかに石炭、石油の値上がりも見込まなくてはならない。つまり、経営収支としては五十年代の方が四十年代よりも厳しい十年間になるであろう、こういうふうに私も判断するわけでございますけれども、その点はいかがでしょうか。
#175
○政府委員(大永勇作君) その点はもう先生御指摘のとおりでございまして、昭和四十年代におきましては、油の価格の値下がりということもございましたし、それから資本費につきましても、いわゆるスケールメリットということで、発電所の規模がだんだん大きくなるにつれましてコストが安くなるというふうな情勢があったわけでございますが、その辺の情勢が大分変わってまいっておりますので、御指摘のとおりだと思います。
#176
○加藤進君 ところが、社債の償還額も多くなる、それから電力会社の必要性から言えば、四十年代よりも多くの利益を上げなくてはならぬ。そうでしょう。そういうふうなことになりますと、一体これはどうしたらいいのか、こういう問題が出てきますね。どうでしょうか、その点は。
#177
○政府委員(大永勇作君) やはりこれは電気事業法の規定に基づきまして、いわゆる適正な原価に適正な利潤を加えた料金水準というものが維持されることが必要になってまいるというふうに考えます。
#178
○加藤進君 その上に内部資金の充実にも電力会社は努めなくてはならない、こういうわけであります。
 それでは、審議会の建議の十九ページから二十ページにかけての部分でありますけれども、この点も衆議院の審議でわが党の神崎委員、野間委員が質問をしたときに、公益事業部長は二回にわたって質問に全く答えておらないわけであります。二十一ページの上段には、内部資金の確保について需要家も負担し、協力せよとあります。政府も十分な配慮をせよと言っている部分、こういう部分があります。この点はどういうことを意味するのか、これこそ料金値上げを意味するのではないかと私は考えるわけでございますけれども、そうでないと言い切れましょうか。
#179
○政府委員(大永勇作君) 先生御指摘のように、この報告におきましては、内部資金の充実策につきましては、いわゆる資産の再評価については触れておりますが、その他の点につきましては具体的に触れておりません。ただ、ここで言っておりますのは、一つには中長期的な目標としてでございますが、いわゆる減価償却方法につきまして、現在は定額償却を実施しておりますけれども、やはり資金調達の安定性ということから言えば、一部でもやはり定率償却を考えるべきではないかということを含んでいるものというふうに了解しておりますが、ただこれは現在の状況におきましては、定率償却の採用ということがそれほど簡単に行えるというふうには考えておりません。
#180
○加藤進君 これまでの質疑の中でも、ともかく五十年代の十年間というものは四十年代とは違って、料金値上げが相次ぐと予想されるような厳しい十年間になるであろう。私はそう考えますけれども、政府はそうはお考えにならないのか。料金値上げなくして、とにかくこの十年間そう心配は要らぬというふうな御判断であるのか、その点をお聞きしたいと思います。
#181
○政府委員(大永勇作君) 料金の問題につきましては、この報告も提言しておりますように、広域運営の強化等によりまして、極力資金コストを低減する等の努力を要すると思いますが、今後の油価格等の上昇がもし今後も引き続くとすれば、やはりそれに伴う料金の改定というのが行われざるを得ない情勢になろうかと存ずるわけでございます。
#182
○加藤進君 お説のように、従来になくやはり料金値上げ問題、料金問題が重要な宿題になってくる十年間であろうと私は考えます。そうだとすれば、一般消費者は言うまでもございません、産業界にとっても重大な影響を持つわけだと思います。だからこそ高度成長から安定成長、あるいは福祉優先の政策への転換ということを政府が打ち出しておるわけでございますから、この六十年までの十年間に電気料金は一体どうあるべきか、料金制度はどうあるべきかというような検討をいまこそ要する時期に来っておるのではないか、こういうふうに私は考えるわけでございますけれども、政府はどのようにこの問題を考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
#183
○政府委員(増田実君) 電気料金は、これは能率的経営を電力事業が行うという前提で、そこの原価並びに適正利潤というものを計算して電気料金になるわけでございますが、ただ、電気料金が上がるということは、国民生活あるいはこれを需要いたしまする産業にとりまして、非常に大きな影響を与えるわけでございます。そういう意味におきまして、私ども電力料金を査定する立場にあるものとしても、やはりいまのような物価問題あるいは消費者、需要産業の立場というものを十分に頭に置きながらこの料金問題に対処しなければならないと思っています。できるだけ料金というものが維持される、あるいはもしそのコストが下がればこれは引き下げる、こういう立場でございます。
 ただ、現状から言いますと、各種のコストというものが年々上がっております。たとえば石油につきまして、今後の十年間石油価格がどうなるかということにつきましては、なかなか予測が困難でございますが、普通一般言われておりますのは、なかなか現在の価格は下がらないのではないかと。世界の石油の需給が非常に供給過剰になりましても、いまのOPECの価格形成によりまして、むしろ余ったときでも値上がりをするということでございますから、将来世界の景気が非常に回復して、しかもその代替燃料が余り開発されないという事態になれば、これはまた相当上がるというおそれもあるわけです。これが上がらないようにするための各種の努力というものを、エネルギー対策として進めなければならないわけでございますが、そういう意味から言いますと、やはり燃料費が上がる、あるいは人件費が上がる、そのほかの資材費が上がるということによりましてコストが上がれば、料金もそれに合わせて上がらざるを得ないということになるわけでございますが、しかし、先ほど基本的な立場で申し上げましたように、電気料金というものはできるだけ上げないように、これは電力業界も努めるべき問題であると思います。
 そういう意味で、今後さらに経営の合理化を行うとか、あるいは技術の向上を行うということで電気料金の値上げをできるだけ行わないという姿勢で、今後この問題に対処していかなければならないものと思っております。先生からは丁今後の十年間、相当大幅に電気料金上がるのじゃないだろうかということで御質問受けたわけでございますが、これにつきましては、やはり、できるだけ上げないという努力をあらゆる面で重ねるということでこれに対処するということが基本的な考え方でございます。
#184
○加藤進君 私は料金の値上げそのものについて、もちろん、なくてほしいと思っています。同時に、料金制度そのものについてもう少し合理的な改善を要するのではなかろうか、こういう問題を出しておるわけであります。これは一般消費者から声が出ておるばかりでなく、産業界からも、検討を要する、改善をすべきであるという意見が相当出ています。御承知のとおりであります。中には、総合原価主義ということは認めるけれども、しかし配分は問題だ、こういうような意見も出ておるわけでございます。ある電力会社の幹部でさえ言っているんですね、これはいまの制度が改善の余地のない最善のものであるとは私、考えていませんと。そのとおりだと思います。
 しかし、一般的にそう改善の余地があるという問題ばかりでなしに、いまや来る十年間の間にどうしてもこの料金の問題料金制度の問題を重要な問題として抜本的に考え直すべき時期に来ているんじゃないか。そういう点で私は、政府も十分にこの点の一般の世論を反映しながら、くみ取りながら、やはり料金制度そのものについての抜本的な検討を行うべき時期ではないか。その検討の具体化の用意があるかどうか、そのことをお尋ねしたいと思います。
#185
○政府委員(増田実君) 現在、電気料金の算定方法その他につきましては、私どもは現時点ではこれが、もちろん問題はいろいろありますが、最上なものだと考えております。しかしながら、やはり時代の趨勢に合わせてまたいろいろの御意見がございますし、そういう意味で今後この電気料金のあり方ということに常に再検討を加え、そして改正すべき点を改正すべきだということは先生のおっしゃられるとおりだと思いますし、私どももそういう方向で進んでいきたいと思います。
#186
○加藤進君 最後のお尋ねになりますけれども、原子力発電については十兆円の開発資金を調えるわけですね。この十兆円の原子力発電の開発ということは事実問題として可能なのかどうか、架空のものじゃないか、こういう疑問を持つわけでございますし、専門家の意見を聞いても、これはほぼ絶望的である、こういう答えがはね返ってくるわけでございます。もしそうだとすれば、需要のあり方についての新しい検討の方をむしろ優先さして、供給力の開発よりもまずその問題について着手しなくてはならぬという重要課題ではなかろうか、こういう意見を私は持つわけであります。
 国民生活本位の日本経済の民主的な再建、そして、真の振興の方向に第一に踏み出すべき道を政府が今日とってきたかと言えば、私は、高度成長政策最優先という方向に依然としてレールが敷かれておるのではなかろうかと考えるわけでありますが、本法案は、最も優先して解決すべき課題についてまだ十分にこたえる姿勢が見られない。国民生活犠牲の設備投資強行を裏づけるものではなかろうか、こういう点を私は危惧するわけでございまして、その点を指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
#187
○藤井恒男君 私は、本法案に賛成するものでございますが、若干の不明な点等ございますので、この際、質問しておきたいと思います。
 まず最初に、今回の電力の値上げにつきまして、四つの電力会社がすでに公聴会を終えておるわけでございまして、そういった状態に立ってこれから通産省が査定に入っていくわけですが、いまの時点においていつごろまでに査定を終わらそうとしておるのか、あるいは、査定が終わったらどのような手順を踏んで認可に入っていくのか。
  〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
また、四社から出ておるわけでございますが、これを同時に一括して認可していくのか、あるいはばらばらにやっていくのか、その辺のところを明らかにしてもらいたいと思います。
#188
○政府委員(増田実君) 四月の五日及び八日に申請を受け付けておりまして、その後直ちに、いわゆる特別監査で各会社で実地の調査、監査を行ったわけでございます。また一方、公聴会が各地で開かれたわけでございますが、最後の公聴会が五月十四、十五日北海道で行われたわけでございまして、この十五日をもって全部の公聴会が一応終了したわけでございます。現在は、公聴会におきましていろいろ出ました御意見をも勘案しながら査定を進めておる段階でございます。
 それで、今後の順序、段取りということについて申し上げますと、一応通産省としての査定案ができますと、これを経済企画庁に相談する、こういう手順になっております。経済企画庁との間の相談が終わりますと、物価安定対策会議にかけ、最終的には物価対策閣僚会議にかけまして、そしてその上で、通産大臣の名をもって認可の手続を行うわけでございます。
 それで、現在の作業は、先ほど申し上げましたように、一応公聴会が終了しましたところで、公聴会の意見その他を入れまして査定を行っている段階でございまして、一応の事務当局の査定案ができて、通産省の事務案というものができまして、それを経済企画庁に相談するということにつきましては、現在作業中なために、いつごろ経済企画庁に相談するかまだ決まっておりません。ただ、この問題につきまして、私どもの方は厳正な査定をすると同時に余り日にちをかけるのは適当ではない、こういうふうに考えております。
#189
○藤井恒男君 おおむねどれくらいを目安にしておられますか。
#190
○政府委員(増田実君) これは経済企画庁の方で、今度、共同作業と申しますか、経済企画庁の方では私の方からの相談を受けましてからその数字を検討するわけでございますから、そこら辺がどれくらいの日数がかかるということにつきまして予測できない点があります。前回はたしか二週間前後であったかと思います。そうなりますと、まだ現在のところは経済企画庁に持っていっておりません。持っていきましてから十日ないし二週間ぐらいかかる、こういう手順になるわけでございます。
#191
○藤井恒男君 そうなってまいりますと、経済企画庁との話し合いということがこれから大きな問題になっていくわけですが、先般の当委員会で福田経済企画庁長官は、もし通産省の査定の結果、会社からの申請に近い三〇%以上の大幅アップになると各方面に大きな影響を与える、したがって、この影響を緩和するためには、二段階制も考えられるというような発言をなさっておられるわけです。これは経済企画庁サイドのものの考えだと言ってしまえばそれまでのことだけど、いま長官がおっしゃるように、これからの作業は経済企画庁との合同作業に入っていくわけで、その当事者がそういった考えをすでに出していらっしゃるわけです、申請はそれ自体三〇%以上なんだから。
 そうなってまいりますと、仮に二年間の原価で三〇%のアップをするとしますと、これを二年間制でいく。たとえば、それが一年目は二五%とすれば、二年目は、一年分で二年間の原価計算して申請しているんだと、それを本来三〇%にすべきものを二五%に一年分圧縮するとすれば、二年目はこれをさらにオーバーした形、それを取り戻す形、たとえば三五%という形にしていかなければつじつまが合わぬ。そうなってまいりますと、三年目はどうなるのだと。あるいは、一年目の企業における損失分を二年目はカバーしておつりがくるじゃないか。三年目は一体果たしてどういう経営実態になっていくのか。
 二段階方式と言っても、よくベースアップで、一年間の支払い能力がないから、当面一五%にして、後半期は二〇%要求に対して五%オンしましょう、こういうことは二段階方式として通用するわけだけど、二年間の原価を見詰めた申請に対して、それを一年目圧縮して二段階方式というのは、ちょっとこれは理屈に合わない。だから、春闘のさなかでもあったから、福田さんもこのちまたに言われる二段階方式をそのままここに持ってきて言われたんじゃないかなという気がする。非常にむずかしい問題だと思う。私は二段階方式がいい、悪いと言っておるわけじゃないんだけど、余りにも多くちまたに出ておるんで、通産省としてはその辺の感触をどうお持ちであるか、聞かしておいてもらいたいと思います。
#192
○政府委員(増田実君) 電気料金の査定につきまして査定結果が出たときに、二段階方式にするのか、一段階でやるのかというのが非常にいま問題になっておりますが、私どもの方としましては、先ほどもほかの委員の御質問がありましたときに答弁申し上げましたが、現在のところは、適正な原価というものは何かということで査定中でございます。そういう意味で、査定をしたら将来二段階でやるとか、あるいは一段階でやるということで査定作業いたしますと、どうしても査定に一つの前提条件が入るということで、査定が終わって、その結果を見てからいろんなとこと相談して方式を決める。
 それから、いま藤井先生がおっしゃいましたように、二段階方式にはいろんな考え方があります。いまおっしゃられたように、二年間の平均価格が三〇として、初年度は景気がまだ回復してないから二五で抑える。それで次年度は産業とかあるいは一般のこれに対する受ける力が相当出てくる、だから三五にするというのは一つの考え方だと思いますが、確かに先生が御指摘になりますように、じゃ、三年目どうするかということになりますと非常に問題が起こります。そういうことで、私どもは一応査定が終わるまで一段階、二段階ということを考えないでやっていこう。その上でこれについては相談していこう、こういうふうに考えております。
#193
○藤井恒男君 これはもうこれだけ大きく新聞で報ぜられ、しかも国民が注目しておる料金の値上げの問題ですから、やっぱりはっきりしておかなきゃいかぬと思うのです。二段階方式というのはロジックが合わぬわけで、原価主義に立つということと二年間の原価を見て上げていくというのであれば、これはもう二年連続電気料金値上げをやるんだと。とりあえず初年度はこれというなら、これはまた話は別ですよ、一年目の原価を計算すればいいんだから。最初に、二年間の電気料金は認めます、そいつを二年間にわたって二段階方式をやるというのは、こんなものはマジックロジックという。理屈が合わない。
 だから、その辺のところはよく国民にわかるように、仮に二段階方式をとるのなら、原価主義に立っているんだからこういう形になるという説明をしておかなければ、原価主義に立つものだというこの電気料金値上げの基礎の考え方というのが崩れていくと思うのです。その辺非常に心配するので、ちまたに言われておる二段階方式というものの受けとめ方が、受けとめる側で非常にイージーに考えていったら、ふたをあけたときに、これは違っておったということになりかねない。その辺のところを心配するので、もう一度はっきり聞かしておいてもらいたい。
#194
○政府委員(増田実君) 二段階方式というものがいろいろ意見として出ております。私どもも二段階というものにつきましては、いろんな意味の技術的困難性を伴うものと思っております。ただ、二段階というのは、あらゆる方式も絶対にいかぬということでかたくなに言うのも、まだ査定が終わっておりませんので、むしろ現在のところは、査定をひとつ原価主義でやる、その結果が出てからやり方の方式についてはこれは考えたい、こういうことでありまして、二段階方式というものが非常に印象としてはいいようなものがありますが、なかなか現実に実施するに当たってはむずかしい問題があるということにつきましては、藤井先生の御指摘のとおりだと私どもも思います。
#195
○藤井恒男君 電気料金の値上げというのは、歓迎する者はおらぬと思うんです。まあやむを得ぬというところなんであって、一般家庭もそうだけど、産業においても非常に大きな影響を及ぼすんです。たとえばアルミもそうだろうし、あるいは染色業界などでも固定費というのが決まっておるわけですからね。そいつにもろにかかってくる。しかも現在、染色業界の場合は多少採算分岐点に乗ってきてはおるけど、採算分岐点以下で、四期連続赤字、先も後も見えないという状況の産業がアルミに代表されるようにたくさんあるわけです。片面また、公共性を帯びた電気事業というものも非常に重要な問題である。こういうことを考えると、この苦難な経済状況の中で特殊業界に対してやっぱり政策料金的なものを考えなければいかぬのじゃないだろうかという気がするわけだけど、これは通産省として、長官のサイドでは答えにくいかわからぬけど、大臣でもかまわぬわけで、全体の産業というものを考えたときにどのようにお考えか。これは、産業界にとっては非常に重要な問題になると思うんです。どうですか。
#196
○政府委員(増田実君) 非常に電力料金の影響を受ける産業、ことにしかも、現状でも非常な不況にある産業に対して、何らかの政策料金をとるべきではないかという意見があることは存じております。ただ、この電気料金につきましては原価主義でやるという原則になっております。それで、その原価主義を破りまして政策料金を入れるというのは、電気事業法の趣旨から言いましてもこれに合わないわけでございますし、また、政策料金を一たん入れますと、これは相当に広がるおそれもありますし、また、政策料金になりますと、その基準、歯どめというものがないわけでございます。そういう意味で私は、たとえば非常につらい産業があって、電力料金の値上がりによって影響を受けるというものに対しましては、この電力料金の政策料金だけで解決するというのは当を得ていないということで、それに対して、やはりどうしても必要な政策であれば、総合対策としてやっていくべきじゃないかというふうに考えております。
 ただ、アルミとか、その他電力を非常に多消費する産業につきましては、たとえば季節調整を行う、時間調整を行うとか、あるいは負荷率の調整を行うということで、特約料金というものを利用して、できるだけその産業が生きていけるような配慮を行う。これは必要だと思っておりますが、特別の政策料金をこの際導入するということは、むしろ電力料金体系からいっても不適当だ、こういうふうに考えております。
#197
○藤井恒男君 これは大臣、増田さんの立場では非常に言いにくいことだと思うんだけど、高度のこれは政治判断だと思うんです。だから、直接的に電気料金をいじって措置することも一つの方法でしょうし、そうすれば、いまおっしゃるような非常に広がりが出てくるむずかしい問題もある。かといって放置しておけば、いまでも水面下なんでしょう。水面下で、底離れしていないんだから、先も見えない産業がまたかぶってくるわけだから、この辺はやっぱり産業を育成していくという立場からも、あるいは守っていくという立場からも何か通産省としては考えなければ成り立たぬと思う。その辺大臣どうですか。
#198
○国務大臣(河本敏夫君) たとえば、アルミとかその他幾つかの電力をたくさん使う産業があるわけでありますが、そういう産業からもたびたび陳情があるわけです。それで、たとえば夜間使う料金をどうするかとか、あるいは日曜に使う料金をどうするかとか、そういうことで研究できないかということで、いま研究をしておるということが一つと、それからもう一つは、やはりいま長官が答弁いたしましたように、業界全体としての体質改善、採算向上のために、電力料金だけではなくして、全体としての体質改善のための方策は何かということについてひとつ案をつくってくれないか。それに対して、政府も案ができれば積極的に協力をいたします、こういうことを提案しておるわけです。アルミ業界あたりは、それじゃひとつ案をつくりましょうということで、いま案を研究中でございます。
#199
○藤井恒男君 これはちょっと小さい内部的な、小さいと言ったら語弊がありますが、内部的な問題で恐縮ですけれども、今度電気料金の値上げしていく場合に、特高というのがありますね、特別高圧電力、まあ工場がこれは大量に使うわけだけど、この場合、基準日の設定によって非常に狂いが出てくるわけです。今度の場合、基準日を現行が四十九年の四月三十日、今度が五十一年の三月三十一日という申請が出ておるわけだけれども、この基準日に該当する時点における工場における操業度というのは非常に低いわけです。産業によってはその時期に操短をやっておる、こういうような産業もあるわけなんです。
 そうなってくると、操業度が順次回復していく、また、回復しなければいけないわけだけれども、新たに基準日の設定のとり方によっては、操業度が、本来操短をしておって回復したにかかわらず、そのことによって既得権が消滅して、新たな特高の料金が付加されるということになっていくわけです。非常に御存じのような経済の動きを示してきたところですから、そのとり方いかんによって影響は大きいわけだから、十分その辺を考慮してほしい。ことに繊維産業なんかの場合には、これは軒並み操短をやっておるさなかの基準日になっておるんです。しかも特高が非常に大きく作用してくる。今度の値上げのウェートも、一般料金、電灯料金よりも特高にずっとウエートがかかっておるわけですから、この辺を十分考えてもらいたいと思うんだけど、いまどういう感触をお持ちですか。
#200
○政府委員(大永勇作君) ただいま先生御指摘のように、基準日の設定をどうするか、現在申請では三月三十一日というふうに出ておりますが、これをもう少し後にずらすべきじゃないかとか、それから操短しているような業種につきまして、基準電力を基準日の契約電力でするのか、もう少し前の高いところのやつをとるのかというふうな問題につきまして、いろいろ意見があることはわれわれも十分承知いたしておりますし、その辺を十分念頭に置きながら今後の査定作業をやっていきたいというふうに思います。
#201
○藤井恒男君 同僚議員からもいろいろ質問されておったところだけど、今度の法案が通れば社債が大きく発行されていくわけです。この場合、他の産業も同じように、現在の商法の枠の中において設備投資のために社債を発行していくわけなんだけど、これと競合していかないかという他産業からの危惧があるわけです、何しろ倍ですからね。こういう点についてどのようにお考えか。
 また、参考人からもるる御説明のあったことだけど、社債権者の保護の点から見て、毎年多額の社債が今後十年間発行されていくという場合に、電力会社が確実に返済能力があるのかという問題なども非常に重要なことだと思います。あわせて一般産業でも、低成長下に入ったならば、自己資本比率を高めて金利負担をなくして、新しい産業体制に即応していかなければならないという自助努力を強いられておるさなか、そういう意味の構造改善というのを、そこで働いておる労働者をも含めて真剣に考えておるさなかであるわけですから、そういった点に対して、自己資本比率をわが国産業界全体が高めていかなければならないんだという動き、また、その誘導策をもとっていこうとしておるときに、今度の措置がどのように影響していくとお考えか。
 以上の点あわせて……。
#202
○政府委員(増田実君) 今回、電気事業につきましては、商法の特例が商法一般原則に比べまして四倍、それからガス事業については二倍の社債の特枠をお認め願う法案を審議いただいているわけでございますが、これが他の産業との関係、まあ二つの問題がございまして、一つは、電気及びガスの事業債が相当出ますと、ほかの産業の事業債に対しての圧迫になるかどうかということでございますが、現在計画されております事業債の計画の内容からいいますと、本年度につきましては景気の回復状況、金融状況からいいまして現在計画されてるものは消化できるだろうということで、電力債の枠が広がることによりまして、それによってほかの事業債に対して迷惑をかけるということにはならないものと考えております。
  〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
 また、ほかの産業も非常に社債枠を広げたがってるのに電力とガスだけを広げるということで、こういう不公平の問題がないかという問題ももう一つ出ておりますが、これにつきましては、電気もガスもそれぞれ事業法がありまして各種の規制を受けておるわけでございまして、その意味からいいますと、他の産業とは取り扱いが違うということが言えるんではないかと思います。
 それからまた、御質問のありました返済能力の問題でございますが、これは特例を開くわけでございますから、従来限度がありましたのは社債権者の保護という立場から枠の制限があったわけでございます。そういう意味で、今回これを拡大いたしまして債権者に対する保護が万全であるかどうかという問題がございます。これにつきましても、現在の電力会社あるいはガス会社の資産状況からいいまして、まあ償還能力はあるものと思っております。また、この償還能力その他につきましては、毎年社債の発行計画と償還の計画ということにつきましては政府がチェックをするということで、ただいま御審議を願っております法案の第三条で確認行為を行うということになっておりますので、これによりましていまのような返済能力のチェックを十分にいたしたい、こういうふうに思っております。
 それから、最後にございました自己資本比率の問題でございますが、今後社債の枠が拡大されることによりまして相当大幅な社債が発行されるということになりますと、現在よりも自己資本比率が当然下がってくるわけでございますが、これにつきましても、自己資本比率を一〇%以下には下げないように持っていきたいというふうに考えております。
 大体以上が御質問なりましたことに対する答弁でございます。
#203
○藤井恒男君 まあこれからの十年間を見た場合に、電源開発の主力が原子力に移行していくというのは世界の趨勢であろう、わが国もまたそうであろうと思うわけですが、きょうもさまざまな意見が出ておりましたように、また、財団法人の日本情報開発協会の産業・エコロジー特別研究開発部が「原子力問題への対応――環境保全とエネルギー開発に対する住民意識」という報告書をまとめておるわけだけど、この調査は、協会、あるいは電力会社、通産省なども入ってやっておるわけですけど、これを見ても、原子力発電に対する信頼性という点については、一般国民の感情というのはフィフティー・フィフティーですね。だから、そういった点についてやっぱり国民的なコンセンサスを求める努力がまだまだ足らない。先日も私、四国の伊方の原子力発電所に行ったわけだけど、やはり訴訟も起きておるし、いろんな問題が出ておる。こういう点についてもっともっとコンセンサスを求める努力をすべきであろうと私は思います。それと同時に、そういったフィフティー・フィフティーの感情の中にあって、現在企画しておる原発の開発が立地問題などをめぐって果たして可能であるかどうか、正直に申し上げて私は非常に危惧を持っておるわけです。そのような点について総合的にこの原発の問題についてお答え願いたい。
 それからもう一つ、よく雑誌などに出るんだけど、働いておる人たち、それは従業員あるいは臨時工なども含めて、被曝状況というのがよく出ます。その被曝の量にもいろいろ問題はありましょうが、そのウェートがぱっと素人目に見ると非常に高い。それらをめぐってまた問題が必要以上にふくそうしておるんじゃないだろうかというふうにも思うわけなんで、その辺のところもいまの何かデータでもお持ちだったらちょっとお話ししてもらいたい。細かいデータはいいです、概況で結構だけど。
#204
○政府委員(増田実君) 原子力発電の建設を進めていきますに当たりましては、第一に安全の確保及び環境の保全を図らなければなりませんし、また、先生から御指摘のありましたように、今後の原子力発電、十年後に四千九百万キロワットというものを達成するためには、これは地域住民の方方とまた理解を得なければなりません。そういう意味で、今後いろいろ私はなすべきことがまだ残っておるというふうに思っております。そういう努力をせず、また、それらを具体的に推進しなければ四千九百万キロワットの達成はむずかしいということがいろいろ言われておりますが、今後の電源構成というものを改善し、エネルギーの安定供給を確保するためにあらゆる努力を重ねて、そしてこの目標を達成いたしたい、こういうふうに思っております。
 それから、もう一つ御質問にありました被曝の量の問題でございますが、原子力発電所で働いている方々の被曝量がどうしてもふえてきておるという数字が現実に出てきております。これは現在基準値がありまして、基準値よりは低くなっておりますし、各種の管理は行われておりますが、これにつきましては、将来の問題としては、やはり原子力発電所で働いている方々の被曝量を最小限度になるように構造上の改善も必要なんじゃないか、こういうふうに思っております。そのために現在、原子力発電所の改良標準化という作業を進めておりまして、中間報告も出ておりますが、その一つの考え方、これは修理をしやすくするとかいろんな問題がありますが、一つの重点として、先生が挙げられました被曝量の問題も重点に置きまして、ここで働いている方々に悪影響のないように構造上の改善も加えていきたい、こういうふうに考えております。
#205
○藤井恒男君 被曝の状況を一遍また資料で出してください。
 先ほどちょっとお話のありました、法案第三条の「確認」ということですね、社債の募集の総額がその会社の電気またはガスの安定供給の確保のために必要な限度を超えず、かつ財産の状況及び償還能力に照らして過大でない旨の確認を受けなければならない、これは非常にむずかしい言葉だと思うんだけど、これは平たく言ってどういうことですか、「確認」というのは。
#206
○政府委員(増田実君) 今回御審議を願っております電気及びガスの社債枠の発行限度の特例につきましては、こういうふうに特例を認めるのに当たりまして、やはり毎年電気事業者またはガス事業者の社債につきましてその社債の発行が過大でないかどうかということ、つまり、限度内でありましてもその年の発行額として過大であるかどうかということをチェックいたすのが一つ、またもう一つは、社債権者の保護という立場に立ちまして、これらの会社の財産の状況、それから今後の償還計画というものをチェックする、この二つを行うことによりまして、今回の特別の枠の拡大というものに対しましていまのような点を確認するということを行うわけでございます。これの方法につきまして、確かに先生の御指摘のように、財産の状況を調べるということはいろんな問題でむずかしい問題がありますが、ただ、この電気事業もガス事業も、これらの会社につきまして各種の会計報告とかいろんな会計ルールその他、公益事業としてもこの事業法に基づいて行っておりますので、ほかの産業に比較いたしましては相当詳細なチェックができるものということで、今回こういう規定も設けられたわけでございます。
#207
○藤井恒男君 最後にお伺いしますが、例の電気ガス税の問題です。これはもうたびたびわが方の議員から問題を提起して、その都度前向きに検討しますという答弁を得ておるわけです。家庭用の電灯、そしてガス、これはもう主食と同じものであって、それにまで税をかけるというのはどんなものか、電気ガス税というのは悪法だというのが通説になっておるわけです。税率は多少低くなっているわけだけど、いま直ちに電気ガス税を撤廃するということは仮にできないというんであれば、税率を引き下げるとか、あるいは免税点を引き上げるとか、何らかの措置を講じていくべきじゃないか。これはもう毎回出されておる問題ですし、その都度それは困るんだと、それは、電気ガス税というのはずっと未来永劫になければならないのだという答弁じゃないんですからね。歴代通産大臣は前向きに検討するというふうに言われておるんですから、その辺について御所見をお伺いしておきたいと思います。
#208
○政府委員(増田実君) 電気ガス税につきましては、私どももいろいろ意見がございまして、担当の自治省の方に対しましていろいろの申し入れを行っているわけでございます。従来に比較いたしまして毎年と申しますか順次下がっておりまして、たとえば電気税については現在五%、また免税点も二千円というふうに一応の改善はなされておりますが、これにつきましてはなおもいろいろの問題が残っております。ことに、もし今後電気料金あるいはガス料金が値上げになった場合にそれだけ負担が多くなるわけでございまして、この点につきまして私どもの方から、いま先生のおっしゃられましたような趣旨を踏まえまして、関係省との間の交渉を行いたい、こういうふうに思っております。
#209
○委員長(柳田桃太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#210
○委員長(柳田桃太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#211
○委員長(柳田桃太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の社債発行限度に関する特例法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#212
○委員長(柳田桃太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 竹田君から発言を求められておりますので、これを許します。竹田君。
#213
○竹田現照君 ただいま可決されました一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の社債発行限度に関する特例法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四党共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   一般電気事業会社及び一般ガス事業会社の
   社債発行限度に関する特例法案に対する附
   帯決議(案)
  政府は、本法施行にあたり、次の諸点につい
 て、適切な措置を講ずべきである。
 一、企業の体質強化、資本構成の改善に資する
 ため、設備資金の調達に当っては、外部資金
 に依存するだけでなく、長期的には、自己資
 本の充実を図り得るようにすること。
 二、電力債等の消化について、国債、地方債そ
  の他一般社債との競合とならないよう発行に
  際しては十分配慮すること。
 三、電気事業における設備投資の巨額化に伴
  い、投資及び設備運用の効率化を図るため、
  電源開発株式会社等の活用を含めて、広域運
  営を積極的に展開すること。
 四、原子力発電については、発電所の建設、運
  転についてはもとより、使用済み核燃料、放
  射性廃棄物等の処理・処分に際して、万全の
  環境保全と安全確保の対策を講ずるととも
  に、原子力発電に関する国民的合意を得られ
  るよう極力努力すること。
 五、今後の電気事業・ガス事業の経営について
  は、公聴会のあり方及び各種審議会の構成等
  に消費者の意見が十分反映されるよう努める
  こと。
  右決議する。
#214
○委員長(柳田桃太郎君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#215
○委員長(柳田桃太郎君) 全会一致と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し河本通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河本通産大臣。
#216
○国務大臣(河本敏夫君) ただいま議決をいただきました法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、万全を期する所存でございます。
#217
○委員長(柳田桃太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#218
○委員長(柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#219
○委員長(柳田桃太郎君) 次に、訪問販売等に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河本通産大臣。
#220
○国務大臣(河本敏夫君) 訪問販売等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 近年、商品の取引方法は、著しく多様化しております。小売販売では、訪問販売及び通信販売が広範に普及しつつありますし、卸売販売では、マルチ商法と一般に呼ばれております連鎖販売取引が増加してきております。これらはいずれも、その取引方法が、店頭販売等の通常の商品販売とは著しく異なっており、そのため販売業者と取引の相手方との間でさまざまなトラブルを引き起こしております。たとえば、訪問販売及び通信販売につきましては、販売条件があいまいになりやすく、また、購入者が十分に検討することなく契約の申し込みを行いがちであるため、後日、解約などをめぐってトラブルを引き起こすことが多く、他方、連鎖販売取引につきましても、多額の出資を伴うものであり、不当な勧誘が行われることが多く、絶えず問題を生じております。
 こうした状況にかんがみ、これらの販売取引を公正にし、購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて流通の近代化を行うことは、極めて重要な課題であります。この点に関し、昭和四十九年十二月の産業構造審議会流通部会中間答申におきましても、立法措置を含め所要の措置を講ずることが必要であるとの御意見をいただいております。
 この法案は、この答申の趣旨に沿って、訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引を公正にし、購入者等の受けることのある損害の防止を図ることを主な内容とするものであります。
 次に、この法案の要旨について、御説明申し上げます。
 まず第一に、訪問販売につきましては、販売姿勢の改善及び取引条件の明確化を図るため、訪問販売を行おうとする販売業者は、相手方に対して、氏名等を明示し、契約内容を明らかにする書面等を交付しなければならないことといたしております。また、その相手方は、四日間は、無条件で解約ができることとし、購入者に再考の機会を与えることといたしております。
 第二に、通信販売につきましては、販売業者は、広告に一定の必要事項を表示しなければならないこととし、後日、送料、返品等をめぐってトラブルが発生することのないようにいたしております。また、前払い式の通信販売を行う場合には、販売業者は、申込者に対し、遅滞なく書面により一定の事項を通知しなければならないこととし、取引が公正かつ確実に行われるようにいたしております。
 第三に、連鎖販売取引につきましては、不当な勧誘を防止するため、連鎖販売業の統括者及び勧誘者が勧誘の際に連鎖販売業に関する重要事項について不実を告げる行為等を禁止するとともに、適正を欠く勧誘が引き続き行われるおそれがあるときは、統括者に対し、勧誘の停止または連鎖販売取引の停止を命ずることができることといたしております。
 また、取引条件の明確化を図るため、連鎖販売業を行う者は、相手方に対して、契約の締結前に連鎖販売業の概要を記載した書面を交付するとともに、契約の締結後契約内容を明らかにする書面を交付しなければならないことといたしております。
 さらに、その相手方は、七日間は無条件で解約ができることとし、再考の機会を与えることといたしております。
 なお、この解約ができる期間といわゆるネガティブオプションにおける商品返還請求期間につきましては、衆議院で修正が行われております。
 以上が、この法案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。
#221
○委員長(柳田桃太郎君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員佐野進君から説明を聴取いたします。佐野進君。
#222
○衆議院議員(佐野進君) 訪問販売等に関する法律案の衆議院における修正につきまして御説明申し上げます。
 修正点の第一は、連鎖販売取引について連鎖販売業者と契約を締結した者がその契約の解除を行うことができる、いわゆるクーリングオフ期間を七日から十四日に延長すること。
 第二は、販売業者が売買契約に基づかないで送付した商品の返還を請求することができなくなる時期を商品送付後六カ月から三カ月に短縮することでありまして、いずれも、消費者等の利益をより一層保護するものであります。
 以上であります。
#223
○委員長(柳田桃太郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。天谷通商産業審議官。
#224
○政府委員(天谷直弘君) 訪問販売等に関する法律案につきまして、ただいま、大臣が御説明申し上げました提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。
 訪問販売、通信販売及び連鎖販売取引は、それぞれ種々の問題を起こしております。
 まず、訪問販売は、販売業者が店舗外において積極的な販売行為を行うものでありますが、この販売方法が近年急速な伸びを示しておりますのは、消費者が店舗に出向くことなく商品の購入を行い得ること、また販売業者も潜在需要の積極的な開拓ができることなどのメリットを有しているためであると考えられます。しかし、一方では、販売業者の強引な販売行為、不明確な販売条件などから、後日、解約などをめぐって紛争が生ずることも少なくありません。
 また、通信販売は、販売業者が広告手段により、広範な地域にわたる消費者に宣伝を行い、商品を広域販売するものでありますが、この販売方法は、購入の簡便さ、広域販売の可能性などのメリットが大きいため、近年、訪問販売と並んで急速な伸展を見せているものであります。しかし、通信販売においては、広告が唯一の情報伝達手段であるため、広告が不正確であったりあいまいであると取引当事者間に意思の不一致を来すこととなるおそれがあり、また、遠隔地者間の取引であるため、商品の遅延などによって消費者が不安定な立場に立たされるなどの問題があります。
 次に、連鎖販売取引につきましては、世上マルチ商法と言われておりますものがこれに相当いたします。マルチ商法は、昭和四十八年ごろからわが国でも盛んに行われるようになったものであり、商取引にふなれな一般人を特定の利益で誘引して多額の出資をさせる点に特色があります。そのため、この商法におきましては、不当な勧誘が行われることが多く、また、一たび契約を締結してしまった後で思い直しても、契約は解除できず、出資金を回収することはきわめて困難であり、絶えず問題が生じております。
 このため、これらの販売取引を公正にし、その問題点を是正することが焦眉の課題となっております。
 以下、法律案の主要な点につきまして若干の補足説明を申し上げます。
 第一に、訪問販売につきましては、まず、販売業者は、訪問販売を行うときは、相手方に対し、氏名等を明示すべきこと及び契約内容を明確に記載した書面を交付すべきことを販売業者に義務づけ、販売姿勢の改善及び取引条件の明確化を図っております。また、その相手方は、四日間は無条件で解約ができるといういわゆるクーリングオフの制度を設け、購入者が再考して不利な取引から脱することができることとしております。
 第二に、通信販売につきましては、広告に一定事項を表示すべきことを義務づけるとともに、前払い式の通信販売を行う場合には、申込者に対し、書面により、申し込みの諾否、送金を受けた旨など一定の事項を遅滞なく通知すべきこととし、取引の公正化及び確実化を図っております。
 また、一方的に商品を送付してその購入を押しつけるいわゆるネガティブオプションにつきましても、一定期間経過後は、商品の返還を請求することができないこととすることにより、現行法では対処し得ない商品を送付された者の商品保管義務についてその軽減を図っております。
 第三に、連鎖販売取引につきましては、おおむね次のような考え方により規制しようとしております。
 すなわち、商品の再販売をする者を特定の利益で誘引し、その者に一定の基準以上の負担を負わせるような商品販売業を連鎖販売業としてとらえ、この連鎖販売業のうち、取引の相手方がその商品を店舗等によらないで販売する個人であるときは、特に以下に述べますような措置を講じてその者に法的な保護を図ることとしております。
 まず、勧誘段階に問題が多いことにかんがみ、不当な勧誘が行われることのないよう統括者及び勧誘者が重要事項について不実を告げ、または重要事項を告げない行為を禁止し、さらに、適正を欠く勧誘が継続して行われる場合には、主務大臣が統括者に対し勧誘の停止、取引の停止を命ずることができることとしております。
 また、事業や契約の内容を取引の相手方に十分理解させるため、広告につきまして規制を加えることとするほか、契約の前後に、事業の概要や契約の内容を示す書面を交付することを義務づけております。
 さらに、契約を締結してしまった後にも再考の機会を与えるため、連鎖販売取引の相手方は、通常の場合は契約締結後連鎖販売業を行う者から契約の解除を行うことができる旨等を告げられた日から七日間、大量の商品の購入を義務づける契約については、その相当量の引き渡しがあった日から七日間は、契約を無条件で解除できることとしております。
 なお、さきに御説明がありましたように、この契約の解除ができる期間につきましては、七日間を十四日間とする修正が衆議院で行われており、いわゆるネガティブオプションにおける商品返還請求権を失うなどの期間につきましても、六月を三月とする修正が行われております。
 以上、この法律案につきまして提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げました。
 何とぞ、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#225
○委員長(柳田桃太郎君) 暫時休憩いたします。
   午後五時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後五時十五分開会
#226
○委員長(柳田桃太郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き訪問販売等に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#227
○対馬孝且君 法案の提案理由がございましたから、できるだけ早く散会をすることに協力する意味で、法案に重点をしぼってまいりますから、だらだらと長い答弁要りませんから、簡潔明瞭に答えていただきたいということを冒頭申し上げます。
  〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
 昨年の三月二十四日に、私は予算委員会で私の方からAPOジャパンのマルチ商法問題で提起をいたしまして、そのときに当時の公安委員長でありました福田いまの大臣から、できるだけ早い機会に立法化をするというお答えを願っているわけであります。
 そこで、この本法の立法化、特にマルチ商法にしぼって申し上げますが、長年の被害者の願望であったという点から、治安当局はこれにこたえていただいて、一応法律が前進することができたということは評価をいたしたいと思います。しかしながら、問題は法律をどう運用するかという、不当商法でありますから、この点何といっても悪徳商法、詐欺的商法であるということは間違いないわけです。時間がありませんから内容には触れませんけれども、あえて言えば百万人、二百万人とも言われているし、北海道でも千人を超えているという、炭鉱離職者がずいぶんひっかかっているんです。だから私は去年取り上げたんだ。こういう問題もありまして、ひとつ今後法律運用に対する基本姿勢をどう考えているか、この点、第一点としてお伺いします。
#228
○政府委員(天谷直弘君) 御指摘がございましたように、法案の準備がおくれまして、そのために被害者がふえておるということには、非常に反省をいたしております。この法案の施行に当たりましては、政省令等を十数本用意する必要があるわけでございますが、できるだけ実態に即しまして適確に悪いマルチ商法の取り締まりが行われるようにいたしたい。特にこの取り締まりに当たりましては、警察当局それから公正取引委員会当局、その他関係省庁と緊密な連絡をとってやる必要があると存じますので、通産省とこれら各省と緊密な連携のもとに取り締まりの実効を上げたいというふうに考えております。
#229
○対馬孝且君 そこで問題は、本法案が成立しても、施行されるのは六カ月後となってますね。この点について私は、附則第一条でなぜこれだけの猶予期間を置かなければならないか。いますでに相当な約百万とも伝えられる被害者が発生しているにもかかわらず、猶予期間を六カ月置くというようなことでなく、成立したら、できればあしたからでもこの法律を適用する、こういう考え方に対応すべきでないかと考えるんです。猶予期間を六カ月置いたという点はちょっと私ども理解できないんですが、この点はどう考えておりますか。
#230
○政府委員(天谷直弘君) もちろん、購入者等の利益の保護の見地からは、施行期間が短い方が望ましいわけでございますけれども、この法律を効果的に施行しますためには、政省令を十数本つくる必要があるわけでございます。政省令の中身によりましてこの法律が非常に効果的であるかどうかということが決まるかと存じますので、きわめて実態に即したようにいい内容の政省令をつくらなきゃいかぬと思っているわけでございますが、この準備のためにかなりの期間が必要だということが一つと、もう一つは、国民の権利義務関係にかなりな修正を加えます。一般法である民法、商法、この基本的な法律に対する例外をかなりつくるわけでございますので、やはり法律の周知徹底ということにきわめて熱心に、かつ慎重にやる必要があるというような点もございますので、六カ月以内ということで、できれば六カ月と言わずなるべく早くやりたいと思いますけれども、一応六カ月以内というような期間をとった次第でございます。
  〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
#231
○対馬孝且君 被害者からの訴えは、できればあしたからでも適用してもらいたいという切実な訴えがありますから、六カ月と言わず、それを早めるということを特にひとつ要請をしておきたいと存じます。
 そこで、警察庁の方にちょっとお伺いしますが、本法案に刑事罰が盛り込まれたことによりまして、ある程度法違反に対してつまり取り締まりが強化をされると考えます。したがって、去年も私は申し上げたんでありますが、マルチ企業と言われれば、大小含めて大体数百社、代表的なものはAPOジャパン、ホリディマジックそれからジェッカーなどがございますけれども、こういったものが代表的なものですけど、ともあれ数百社あると伝えられているわけであります。このマルチ企業はすべて把握をされているかどうかは別にして、法律違反に対して必要な取り締まりを十分に行う用意が容易ではないと思いますが、特に大衆投資家を初めとする一般庶民の被害を守るために、警察庁としてどのように取り締まり体制を強化されようとしているのか、この考え方をちょっと聞きたい。
#232
○説明員(柳館栄君) 従前は御承知のとおり、マルチ商法につきましての法適用と申しますと、刑法が主でございました。したがって、詐欺罪であるとかあるいは恐喝罪であるとか、あるいは不法監禁ということにならないと取り締まりができない、こういうことになっておったわけでございます。ところが今回の法律によりまして、もっと形式的な犯罪の段階で、たとえば、契約に際して虚偽の記載をした書面を提出するということ自体で犯罪が成立する、あるいは重要事項の不告知、あるいは一定事項の広告の義務、こういう形式的な犯罪で捜査に入っていくことができるということになりますので、実質被害という観点から言いますと、それ以前に私どもの方の手で処理できるものも出てまいるという意味で評価いたしておるわけでございます。
#233
○対馬孝且君 そこで、マルチ商法等による被害の苦情を受け付けるといいますか、そういう窓口体制についてちょっとお伺いしたいのでありますが、たとえば法律違反があったとした場合に、各警察署で被害の苦情を受け付けるような体制をとってほしい。というのは、去年APOジャパンのときも駆け込み訴えしたけれども、事実上窓口がなかったということで、被害者が非常に御案内のとおり、去年軟禁状態までされたという状態があるわけです。この窓口体制というものをひとつどう対処されようとしているのか、これをちょっとお伺いしたい。
#234
○説明員(柳館栄君) 窓口体制でございますけれども、現在全警察署に大きいところは防犯課というところがございます。また、小さい警察署で防犯係というのがございます。また、警察本部は保安課あるいは防犯課、その県によって名前が違いますけれども、そこで集中的に処理する、こういうことにいたしてまいりたいと思っております。
#235
○対馬孝且君 経済企画庁、来ておりますか。――経済企画庁の立場から、この法案を基本にいたしまして、消費者保護の立場でこの悪徳商法をどのように取り締まり、あるいは悪徳商法に対する行政的な排除等について、経済企画庁の立場から、消費者保護という立場でどう対処されるのか、これをちょっとお聞きします。
#236
○政府委員(藤井直樹君) マルチ商法につきましては、昨年の六月に十省庁申し合わせ事項がございます。内容は主として商法の取り締まりを第一に、それからマルチ商法によって扱われる商品の点検、これを第二、それから第三には、このマルチ商法に伴う危険性というものを消費者に周知徹底するということ、さらに苦情処理を適確にする、こういうようなことを主たる内容といたしまして、総合的な対策を講じたわけでございます。
 今回、このマルチ商法につきまして、通産省の御努力で直接これを規制するという法律が提案されたわけでございます。こういうことになりましたので、この十項目について非常に強力な規制の手段が設けられたということになりますので、従来やってまいりました査察に加えましてこの規制を強力にやっていくということで、マルチ商法の被害を根絶するということについて努力してまいりたいと思います。
#237
○対馬孝且君 そこで、基本姿勢について大臣にひとつお伺いしますが、この法律案の趣旨からまいりまして、悪徳商法あるいは詐欺的行為に対して、つまり行為に対する取り締まりの法律である。それからマルチ商法あるいは訪問商法の行為が、行為そのものを取り締まるということだけでなくて、基本的にマルチ商法というものに対して取り締まっていく、あるいは規制をするという基本姿勢に立つべきではないか、こう考えるのでありますが、この点どうですか。行為でなくて、本質的に取り締まるべき性格のものである、規制されるべきものである、この点について大臣のひとつ基本姿勢をお伺いしたい。
#238
○国務大臣(河本敏夫君) 要するに、この法律の基本の精神というものは、消費者を保護する、消費者の利益を守っていく、消費者の立場を守っていく、こういうことだと思うのです。
 そのためにこの法律の内容等につきまして、徹底的にいろいろな方法でPRをしていく、こういうことが必要じゃないか。同時に、関係各省非常に多いわけでありますから、常に関係各省との間に緊密な連絡をとりまして有効にこの法律が作用するように気をつけていく、こういう点が重点じゃなかろうかと思います。
#239
○対馬孝且君 いま大臣が、基本的な姿勢をこのようにむしろ強化をする、消費者保護ということを優先する基本姿勢に立ってこの法律が扱われると。もちろん法律の考え方はそこにある、こういう基本姿勢ですから、私も同感であります。
 そこで警察庁に、保安課長にもう一回お伺いしますが、率直に申し上げるのだけれども、去年のAPOジャパンの際に、実際詐欺的行為があるという疑いで取り締まってもらいたいと私は強く予算委員会で申し上げて、おたくの保安部長も、国家公安委員長もそのようにいたしますと、こういうことだったのですが、結果的に詐欺的な行為が成立しなかった、この点に非常に私は疑問を持つのです。
 なぜかというと、これは実は去年の予算委員会でも言っているから申し上げるのでありますが、どうも警察当局はなまぬるいのじゃないかという感じを被害者側が非常に持っているわけです。なぜかといえば、これは過去のことを言うわけじゃありませんが、APOジャパンの取締役、役員人事というのは、かつて神奈川県警の刑事部長とか、あるいは静岡県警の保安課長とか、こういう連中が全部APOジャパンの取締役、幹部になっているわけです。これもすでに被害者は知っているわけです。だから、そういう警察天下り的な者がAPOジャパンの取締役あるいは幹部の中に名を連ねておるということがあるから、こういう悪質な商法であっても、やはり取り締まりが結果的にはできなかったので手を抜いたのではないか、あるいは腰が入っていないのではないか、これは私が言っているのじゃなくて、被害者同盟、この間私も出たのですが、こういう素朴な被害者同盟の声が実はあるわけであります。
 私は先ほど手順を聞いたわけですが、こういつた姿勢に対して、いま一度やっぱり警察庁としてそういう個々の問題についての姿勢を正して、まあ従来もやっていると思いますが、なおかつこういう被害者のそういう一つの問題が、不信なり、あるいは警察庁に対する見る目というものが出ているとすれば、これはゆゆしき問題でありまして、私はここを警察庁が厳然たる信賞必罰の姿勢で対処をする、この基本姿勢がやっぱり大事じゃないかと思うのですが、いかがですか。
#240
○説明員(柳館栄君) APOジャパンの件でございますけれども、実は昨年の三月、これは東京でございます。それから六月には福岡、それから五月に大阪、これで検挙いたしております。これは先ほどちょっと触れましたけれども、不法監禁ということが一つ、それから恐喝、それから詐欺ということでございます。
 御承知のように、詐欺罪の成立といいますのは、内容が欺罔された、その欺罔されたのかされないのかという点が非常に微妙なんでございます。そういう点で私どもも詐欺罪の適用ということが非常にむずかしいと考えておったわけでございます。ところが、そういう点が今度の法律によって非常に詐欺罪に持っていかなくともきっちりと取り締まりができるということになりましたので――従前の法律の活用は、さらに実被害の詐欺罪までいけば、またそれは当然いたします。しかし、被害が起こってからでは遅いので、起こる前にそういう形式犯を適用してびしびしと取り締まってまいりたい、こう考えておりますので、御了承願いたいと思います。
#241
○対馬孝且君 それでは今度の法律が成立すれば、そのことにおいて取り締まりというのは、そういう事前の防止対策はとれる、こう理解していいですね。
#242
○説明員(柳館栄君) この法案にございますように、私どもが実被害が出る事前に行いますのは、虚偽書面を交付したということ、重要事項の不告知があったということ、それから一定事項の広告が義務づけられておるのに履行されていないという点で、これはストレートに入っていけると思います。
 それからもう一つ、非常に私ども期待しておりますのは、行政処分命令というものが主管行政庁によって出されるわけでございます。これの違反がありますと、直ちにまた私どもの方で捜査に着手するというような点、あるいは報告、立入権というものが行政機関に付与されることになりますので、その結果によって事前に、警察の手に渡る前に相当予防的な効果を発揮するのではなかろうかというような点を期待いたしております。
#243
○対馬孝且君 特に警察庁に私は強く申し上げておきたいのは、先ほど言った、かつて警察官僚がマルチ商法のそういった位置にいるために、取り締まりができなかったという被害者の意識が相当あります、この間私も出ましたけれども。これだけ特に申し上げて、これからの取り締まりをひとつ厳しく、法律ができた限り強化をしてもらいたいと思います。
 それじゃ、天谷審議官にひとつ質問しますが、この法律を見ますと、先ほどあなたもちょっと触れましたけれども、政省令で片づけるということが非常に多いのだな、これは率直に申し上げますと。私もちょっと調べてみたというよりも、いろんな意見を聞きましたけれども、法務局にもちょっと聞いてみたけれども、この政省令で定める内容、運用の問題はもちろんわかりますよ。わかりますけど、はっきり言って、余りにもこの種の法律としては多過ぎるんじゃないか。そこらあたりがかえって、被害者が心配していることは、政省令運用ということで逃げられちゃって、肝心かなめの歯どめにならないんじゃないか、こういう心配をしているわけです。その点、先ほどお答えがありましたからいいですけれども、これからつくるわけですが、その点の懸念を実際に持っているんですけれども、そういうことにならないのかどうか。
 それから、この政省令運用というものに逃げると言うと言葉は悪いけれども、どうしてこれだけに全部処理をさしてしまうのかという点について、ちょっとお伺いしたいんですが。
#244
○政府委員(天谷直弘君) マルチをやっておる連中、特に悪いマルチをやっておる連中というのが非常にずる賢い連中でございます。法律をフルに使いまして、そして法律の規制から逃げるということをどうやってやるかということにつきまして、日本やアメリカの法律を皆研究してやっておる、こういう連中なわけでございます。したがいまして、ある法律規制をかけますと、たちまちに契約内容とか中身を変化させまして法律から逃げてしまう、そういうことを考えておる連中でございますので、われわれどもとしましては、規制の中身が非常に機動的でなければいかぬと思っておるわけでございます。機動的かつ弾力的でなければいかぬ。相手が変わったら、こちらもまた取り締まりの手を変えていく、機に応じて手を打っていくということでなければならぬと思っておるわけでございます。
 ところが、法律で全部決めてしまいますと、敵が手を変えた場合に、また国会にお諮りを願って法律改正しなければならぬというと、敵がはるか遠くに逃げちゃいまして、とても追っかけてつかまえるわけにはいかなくなると思っておりますので、その場その場でマルチ業者の出方に応じて政省令を変えていきまして、取り締まりの実を挙げたいと考えておる次第であります。
#245
○対馬孝且君 そこで次に、法第十三条の、主務大臣はマルチ商法勧誘について適正を欠く場合は一年以内の勧誘停止または会社の業務停止を命ずることができるようになっているが、この場合、問題が生じた場合に処分されるのは当然としても、過去の例から見て明らかに不当な勧誘が行われるおそれが強い場合についても事前に取り締まりを行い、問題発生を未然に防止することができないかどうか、未然にその点を取り締まることができないかどうか。この点の、ひとつおそれがある場合の未然対策ということがどうかということ。この法第十三条の考え方について、ちょっとお伺いしたいんですが。
#246
○政府委員(天谷直弘君) この法案におきましては、不当勧誘の禁止に関する違反行為には懲役を含む厳罰をもって臨むことといたしておりますので、このこと自体がきわめて強い予防効果を持っておるのではないかというふうに考えております。これらの規定の運用に当たりましては、関係省庁間の連絡を密にし、情報の早期把握に努めまして、先生が御心配のような事態が発生しないように努力をいたしたいと思う次第でございます。
 なお、この事前の取り締まりにつきましては、人権保護という関係もございまして、かなり慎重にやる必要があるのではないかというふうに考えております。
#247
○対馬孝且君 そこで、私はこのマルチ企業に対して、弊害が生じやすいことから設立あるいは事業開始について主務大臣――通産大臣に対して届け出をするという、こういう義務づけといいますか、これをやらせる必要があるんじゃないか。これがないと、やっぱり天谷審議官言うとおり、次から次へホリディマジックからAPOジャパンに変え、やがてジェッカーに変え、最近はまた変わっていくというような、そういう質的にずっと変えていくわけでしょう、私も自分で手をかけてみてわかったのだけれども。次の事件が発生したときには新しい商法にまた変わっちまっているという、こういうやり方になっているわけでしょう。だから、私はこの点をこれを機会にひとつ、主務大臣に対して、つまりマルチ企業という、なかなかそれは数が多いから、どの辺で線引きをするかという問題は、それは技術的にあろうと思うけれども、少なくともいま通称言われている、問題商法といわれる悪徳商法についての届け出制というものを考えるべきではなかったか、こう考えるんですが、この点どうですか。
#248
○政府委員(天谷直弘君) いま先生御指摘の問題点は、私たちもいろいろと検討した次第でございますけれども、いろいろむずかしい点がありましたので断念をいたした次第でございます。
 むずかしい点と申しますのは、まず第一番目に、届け出義務者の範囲をどうするかという問題がございます。届け出の義務をかけ、義務違反には罰則をかけるというようなことであります以上、だれが届け出るのかということがまず大きな問題でございます。これは連鎖販売取引業者の定義をするときも同じ問題があったわけでございますが、マルチの中には悪いマルチ、いいマルチ、それから灰色のマルチといろいろございます。なぜかと言いますと、基本的なことを申し上げて恐縮でございますが、マルチというのはネズミ講と商品販売の複合体でございます。
#249
○対馬孝且君 わかっています。
#250
○政府委員(天谷直弘君) ネズミ的な要素がうんと大きくなればこれは悪いマルチになります。それから、ネズミの要素が少なくて商品販売の要素が大部分ということになれば、それは法の概念構成上は連鎖販売取引でありましても、実態的にはそれほど社会約な害悪を及ぼすとは考えられないものでございます。
 こういうわけで、悪いマルチだけを定義して外へ出すということが非常にむずかしゅうございますので、届け出義務者がかなり広くなる可能性がある、そうすると、そういうサブフランチャイズであるとか、あるいは特約店であるとか、こういうものに全部それじゃ届け出義務を課すのか、届け出しなかったら罰則をかけるのかという問題が生じます。
 それから次に、この悪いマルチの連中が果たして正しい届け出をするかどうかということが全く自信がございません。届け出で出てきたものがそれじゃ事実かどうかということについてこれを審査しようと思いますと、われわれとして相当な人員がなければ、とてもそういう審査はできないというのが実情でございます。
 それからその次には、大体悪いマルチをやっている連中といいますのは、ヒトデかナマコかミミズみたいなやつらでありまして、ちょっと抑えられれば体を二つにちぎって逃げてしまうというようなことをやりますので、そういう変わる実態を追いまして次から次へと届け出を出させられるかどうか、そういうことについての行政能力があるかどうかという心配がございます。それからその次に、届け出制をとった場合には、ずるい連中は、届け出を一たんしておきますと、通産省公認マルチというような看板を掲げて、通産省の名前を悪用するという恐れもあるわけでございます。こういうふうにあれやこれや考えますと、正直者は損して悪いやつに利用されるというような届け出制になる恐れもございますので、われわれはこれを避けた次第でございます。
#251
○対馬孝且君 次の問題として「統括者」というあれをどういうふうに見ているかということを、ちょっと法第十二条の関係についてお伺いしたいんですが、法律で言いますと、連鎖販売取引について勧誘する際は、統括者または勧誘者は「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。」ことになっているが、これは従来の刑法第二百四十八条に規定する詐欺罪の範囲とほぼ同じようなものではないか。そこで詐欺罪がその構成要件の厳密なゆえ、マルチ商法に対して適用ができなかったことを考えると、先ほど私がちょっと申し上げましたけれども、実際できなかったのですから、この第十二条がどれだけ生きてくるかという疑問が被害者にあるわけです。この間も被害者と対話してみたのですが、十二条の問題について、特にマルチ商法で勧誘の仕方が、もしというような仮定の話を連続さして被勧誘者の誤解を招かせるような方法が常であり、必ずしも法で規定するような故意に事実を告げなかったり、不実のことを告げる行為がなされるとは限らないと言うんです。つまり、巧妙だというわけですね。それゆえに被勧誘者に誤認を与えるような勧誘がこの十二条で取り締まれるのかどうかということについて疑いを持っている、したがって、これが処罰の対象にならないなら、省令でその禁止の明確化をうたうべきじゃないか、こういうのがこの被害者の方から出ているんですが、この点どうですか。
#252
○説明員(真砂博成君) お答え申し上げます。
 先生の問題の第一点は、法律第十二条に冒頭にございます「統括者」というものの範囲はどうかというのが第一点でございます。これにつきましては、第十一条の第二項に定義がございまして、「この章において「統括者」とは、連鎖販売業に係る商品に自己の商標を付」するということ、またそれから、「連鎖販売業に関する広告を自己の名において行」うということ、また、「連鎖販売取引に関する約款を」定めるということ、「又は連鎖販売業を行う者の経営に関し継続的に指導を行う」と例示をここに四つ挙げておるわけでございますが、これは一応の判断基準でございまして、その組織体の実態に即してこの「統括者」というのは決定をさるべきものでございまして、個人であるとか法人であるとかいうのは問わないわけでございます。ですから、あくまでもその実態に応じまして、この組織の中心をなし、この連鎖販売取引といったものを企画推進する者、これを実態的に「統括者」としてとらえるわけでございます。
 それから、先生の御質問の第二点は、誤認を与えるような言動を弄すると、これがどうなのかという御質問のように私お聞きいたしたわけでございますが、これにつきましては、第十三条に実は主務大臣の行政取り締まりがございます。一年以内の期間を限ってでございますけれども、取引の停止命令ということがかけられるわけでございますけれども、その要件といたしまして、この十三条の真ん中辺にございますように、勧誘という場合において、その勧誘が適正を欠くものとして政令で定める基準に該当した、この政令の中に実は先生がおっしゃったようなことを規定するように考えております。
#253
○対馬孝且君 それでは、政令でその点は昇華されるというふうに理解していいですね。――わかりました。
 公取にお伺いしたいんですが、独禁法の運用についてちょっと見解をただしたいんですが、独禁法の適用について、昨年の六月五日、ホリディマジック社に対して、リクルート料、つまり紹介料ですね、それから、報奨金及び利得金の利益をもって販売員となるよう誘引していることが独禁法第十九条にひっかかるということですね、不正取引の行為――独禁法第十九条、それにひっかかる、不公正の取引に違反する、こういう中止勧告を出したんですが、それ以降、他の企業に対して立入調査したり、あるいは勧告出せずに終わっているのではないか、率直に言って。つまり、効果が余り出てないんじゃないかということです、その点について。
 独禁法は現在の取引方法だけが対象となっておりますけれども、過去の違反は問わないわけですから、公取がこの立入調査をした場合に、審査中の商法を変えてしまう、あるいは取り締まられないというような限界点は一体どこにあるのかということを聞きたいわけです。なぜそれができないのか。立ち入りなりあるいは審査について、そういうものがびしびし答えを出していくという措置ができないのか。どうも、これが公取に対する非常にまどろっこしいというか、そういうのが率直にあるんですが、この点、公取として、現在、ホリディマジックに昨年六月やった勧告あるいは審決まで至らなかったという問題を含めてどういうふうに考えているか、ちょっとお伺いしたいんです。
#254
○政府委員(後藤英輔君) 昨年、ホリディマジック社に対しまして、独禁法の不公正な取引方法といたしまして、正常な商慣習に照らして非常に不当だと見られるような利益を与えることで勧誘をしている行為が独禁法違反だということで、ホリディマジックに昨年の六月に正式に勧告をいたしまして、同社はそれを受諾いたしまして、正式に審決をいたしました。そして、それに基づきまして、審決で命ぜられたような勧誘会員に対して、こういうふうな審決を受けて今後こういうことはしないというようなこと、それから、全国たしか十一紙の新聞紙に対して、公取でこうこう、こういう違反で審決を受けて、今後こういうことはしないということを新聞で広告を出すということ引いたさせました。その後、ホリディマジックにつきましてはずっと監査いたしておりまして、その後の状況を見ております。
 監査の結果はいずれ近くまとまりますけれども、その間、ホリディマジックにつきましては、かなりその審決によりまして内容を変えざるを得ないし、変えておりますし、それに伴って組織の運用というものは非常に困難になっておるというように実は聞いております。したがいまして、ホリディマジックに関する限りにおきましては、審決いたしましてそういったようなことを広告をいたすことができたわけでございます。
 続きまして、七月にAPOジャパンにつきまても、やはり同じような方法でもって会員を募集しておったということで、これに対しても立入検査をいたしました。ところが、APOジャパンは、こちらが事実をつかむ前に、もう八月に、すぐにその問題となるような点、つまり、独禁法外はこういうふうな点が問題になるんだということがホリディマジックの調査でもってわかったものでございますから、そういう点を次々と直していきました。それで、最終的には、ことしの二月にまたさらにその内容を直している。そういう計画の内容を見ますと、直ちに独禁法でもって、たとえば、正常な商慣習に照らして不当な利益の供与だと見られるようなリクルートとかそういったものがなくなっておりますので、現在の段階では、ホリディマジックのように審決をするというような状況には至っておらないわけでございます。
 ただその間に、先ほどもお話のありましたように、幾つかの組織に分かれていろいろなものが現在まだ動いているということは聞いておりますけれども、APOジャパンにつきましてはそういうような状況でございますので、現在その内容を監査しているという状況でございます。
#255
○対馬孝且君 ここが問題なんですよ。公取が勧告を出すまで相当、三カ月かかる、半年もかかっているわけでしょう。この間に部分的に商法のやり方を変えちゃうわけだ。たとえばリクルート料を取らないとか、紹介料を取らないとか、こういう悪質になっているわけです。ただその場合に、公取が半年もかかって勧告したりなんかしておったんでは、この事件に対して出たころはもう効果を失っているわけですよ、率直に私に言わせれば。だから、事前に先々へいくという公取の行為ということはできないのかというのが率直なあれなんですよ。ただ、一つの行為については厳しく事実であるということは結構なんだけれども、そのびしっとやるについても、半年もかかってだらだら勧告を出されたって、これは効果半減しちゃうわけだ。このことについて、もっと即決即断的に処置をできないものなのかどうか、この点ちょっともう一回お聞きしたいと思うのです。
#256
○政府委員(後藤英輔君) 公取が立入検査をいたしまして審査をいたしまして、それから正式な審決を出しますというのは、独禁法の手続上、これは実は裁判所についても第一審的な機能を持つということで、これだけの手続で審決を命ずる場合には相当なやはり証拠等を固めていかなくちゃなりませんので、したがって普通の行政処分といたしましても、通常の場合、独禁法の場合には非常にちょっと時間がかかるというのはやむを得ないところであろうかと思います。
 ただ、公取の場合には立入検査をいたしますと、立入検査した段階でもってすぐに新聞に報道されまして、もうそれによって相当な影響が出るというのが実際でございますので、立入検査をするということそのこと自体が、かなりな規制効果を上げているというふうに見られております。
#257
○対馬孝且君 それで、そういう点は私も全部知っているんだけれども、ホリディマジックの場合の勧告の実態等も、まあ出たころは多少の効果がありましたよ。だけど、未然の対策ということになると必ずしもそうでないんで、私はそいう意味で、やっぱりむしろ立ち入りをぱしっとやったことを、もう他にも、ただその会社だけがわかっているんじゃなくて公表するというか、そういった形のものがこうばんばん出ていけば、一つはこれの抑制にもなっていくんじゃないか、そういう措置を早く迅速果敢にやってもらいたい、それを特にひとつ公取に要望しておきたいと思います。
 それからクーリングオフの問題で、先ほど衆議院の段階で二週間ということになったけれども、これはひとつ運用の問題として、私は実態をちょっとこの機会に言っておきたいと思うんです。
 北海道の例ですけれども、これは大夕張炭鉱というのが閉山になりましてね、御案内のとおりに、大臣も御存じのとおり。閉山になって退職金をもらったわけだ。そして兄貴が三百万円もらってAPOジャパンの会員になって勧誘されたわけです。まあいわゆる催眠術にかかったわけだ、これは人狩り商法だからね。それで兄貴が三百万をそっくり、またその大夕張炭鉱の閉山でもらったものをばっとこう突っ込んじゃったんだ。それでそのとおりやってみたけれどもさっぱり。
 APOジャパンの内容というのは、あれを自動車につければガソリンは少なくなるとか、それから公害はなくなる、こういう売り込みなんだから。それで一カ月のうちに一週間出れば二、三十万円かせげる、こういう売り込みなんだから、これはおれだって飛びつくよ、正直な話。一週間働いて二、三十万入るんだったら、こんなもう国会議員やったってしょうがないんだから、いや、本当。それは別にして、とにかくこういうかっこうでね。ところが兄貴が入っているうちに、兄貴がどうもうまくいかないわけだ。やっぱり催眠術にかかっているものだから、何とか次はうまくいくだろうと思って、今度はどこへ行ったかというと、弟に対して勧誘をしたわけです。弟もまた退職金二百五十万ぐらいあったらしい。おんじはまた二百五十万。ほんとこうやったわけですよ。これはきょうだいして、一家APOジャパンに全く五百五十万、すうっとこう取られちゃったわけだ。
 そこで、一たん催眠術にかかりての目覚めなんだけれども、これは大学の精神学者か心理学者が分析したわけじゃないけれども、大体彼らのやり方というのは、一週間はこういう方法でやれと。たとえば、A、B、Cというこの勧誘の方式、体験談を発表するわけだから、対馬孝且はこういう勧誘をして一獲千金をぽんと、月に三百万円もうかったとかと、いろいろなことを言うわけだ。こういう方式をやれば大体おまえは成功するのだと、こういう体験談を三人やるそうだよ、私は聞いたけれども、体験談発表を。そうすると、一人が発表したことは一週間次の人が体験発表したら一週間またやってみると、またCの方が体験発表して、三人を大体やらせると。そうすると三、七、二十一日やってみたけれどもついにだめだったと言って、これは告発一歩手前までいって泣きついてきたわけです。それで私は、何回も言うようだけれども、去年これを取り上げたのはそこなんだよ。
 ところが問題は、この点について言うと、京都では自殺した者さえいるわけだ、高校生が。これは夫婦別れした者もいるわけです。現に新潟県の横井さんという人が三百五十万ぶち込んでいま告訴しているわけだ。だがら、精神学者に聞いたわけじゃないが、大体三通りぐらいあるというのですよ、この勧誘の仕方について。APOジャパンにホリディマジック、ジェッカーの場合も聞いてみたんだけれども、催眠術にかかって目覚める期間というのは大体三週間、やってみてやっぱりだめだったということで気がつくのは大体一カ月。私は、衆議院で二週間で何でこれは妥協したかどうかと思っているのだ。私なんか参議院は自主性がありますから、率直に申し上げておくんですけれども、体験者の経験によれば、クーリングオフの無条件期間というのは一カ月必要であるというのが率直な訴えなんですが、この点私は体験談を発表したんだから、この点についてひとつ通産省として、当局としてどう考えるか、お伺いします。
#258
○政府委員(天谷直弘君) クーリングオフの期間が何日が妥当であるかというのはいろいろ議論の存するところでございまして、われわれも非常に困ったわけでございます。短ければ消費者保護の目的は達成できませんし、それじゃうんと長ければ長いほどいいのかといいますと、長ければ長いほどいいという考え方に対しましては、これは民法、商法の一般原則に対する重大な例外をつくる、法的安定性を害するというもう一つ別の立場がございますから、そういう方面の納得を得るということがきわめて困難でございます。基本的にマルチというものは違法だとしてこれを禁止してしまうのならともかく、一応適法として認めている以上は、余りにも法的安定性を害するような法制をつくるということはやはり無理がございます。われわれとしましては、イギリスの法制が一番先にございますので、イギリスの法制等も参考にしまして一応七日というようなことで、そういう民法、商法の方の法制当局との妥協も成り立ちましたので、その辺で決めた次第でございます。
#259
○対馬孝且君 二週間という修正案が衆議院で通過をしたわけですから、これはわかりますけれども、自民党さんみたいに、独禁法のように衆議院で通過したけれども、参議院でだめだなんて言いませんから、私は一応二週間という線については了承しますけれども、ただ、そういう実態があるということをこの機会にひとつ申し上げておきたいと思うのです、率直に申し上げて。
 そこで私は、当初なぜこれは食い下がる――食い下がるとかそんな意味で言っているのじゃなくて、御案内のとおり四十九年十二月に産業構造審議会で答申を出したわけですね、これは天谷審議官御存じでしょう。
#260
○政府委員(天谷直弘君) はい。
#261
○対馬孝且君 私も読ましてもらったんだけれども、私の感じでは、あの産構審の内容よりもこの法案で出した内容が後退しているということはどういうことですか、その点ちょっとお伺いしたいのですが。
#262
○政府委員(天谷直弘君) クーリングオフ後の引き取り請求、返還請求の問題につきましては、確かに先生御指摘のとおり、答申に出ていることがここの法文の中では実現されておりません。この一点は確かに後退でございます。しかし、その他のいろいろな条項につきまして、特に十二条、十三条等の関係につきましては、答申案よりははるかに強化いたしております。全体として足し引きすればわれわれは答申案よりは出ていると考えておりますが、全体として見れば後退しているとは考えていない次第であります。
 それでは、なぜクーリングオフ期間経過後の引き取りについて、われわれはこれを原案に入れなかったかということを簡単に申し上げますと、このマルチの加盟者というものは、いわばブドウの房のようにいろいろ相互関係が複雑になっておるわけでございます。これが三週間も四週間もたったときに引き取り請求、返還請求をやるといたしますと、一体どういうことになるのであろうかということでございますが、玉突き衝突みたいになりまして、たった一人か二人くらいが返還請求する分には、これは大した問題は起こらないと思いますが、十人、二十人、三十人というのが引き取り請求権を行使いたしますと、これは玉突き請求でこんがらがって解きがたいような法律関係になるであろう。
 したがい床して、そういう取引関係を不安定にする条項というのは、一見消費者を保護するように見えますけれども、多分実際にやってみると動かない規定になってしまって、結論は法律関係の混乱ということになるんではないかということを恐れまして、原案には入っておりましたが、われわれはここに入れなかった次第であります。そのかわりに十二条、十三条等を強化いたしまして、未然防止ということで、後からの救済というよりも、できるだけ取り締まりを確実にやろうという方向で処置した次第でございます。
#263
○対馬孝且君 そこで問題は、このクーリングオフ期間経過後の措置が一番やっぱり問題なんです、率直に被害者の体験を聞くと。それは一万や二万の金なら別です。先ほど言ったように、炭鉱離職者、三十年働いた採炭夫がぽんと三百万預けて、そのまま吸い上げられちゃうんだから、これは一生もうそれで終わりですよ、炭鉱離職者にしてみれば。あるいはそういう実際にひっかかった者にすると。そうすると、解除後の措置ということについて何とか道がないのか、それをむしろここの法律で保護していくのが大事じゃないかという気がするわけです。気がするというよりも、ぜひ被害者の訴えとしてはやってもらいたい、こういうことなんだよ。
 私は具体的に申し上げますけれども、それは被害者が全国では百万とも言われておるんだけれども、つまり、クーリングオフの解除後に、そのいま法律で定めた期間内に解除して、催眠術にかかったのが目覚めて、そのときに私なら私が三百万やった、その場合に返還義務というものでたとえば八割とか九割は返してもらえる、こういうような措置ができないものか。これがないと、やっぱりやり得になっちゃうわけです、相手は相当これは巧妙なんだからね。御案内だと思うけれども、あのジェッカーの社長なんて弱冠三十四、五歳で百億の金を現在持っているということは、いかにだまくらかしたかということです。ああいう悪徳の者がのうのうと今日生きているということ自体もおかしいんだけれどもね。悪いやつほどよく眠るということなんだろうけれども、それは別にして、結論的に言うと、この救済措置を何らか行政指導として道がないかという点をもう一回ひとつお伺いしたいんです。
#264
○政府委員(天谷直弘君) われわれも苦情相談、苦情の解決のあっせん等は一生懸命やりたいというふうに考えております。ただ、相手が非常に悪いやつでございまして、相手は何と申しますか、法律どおりやろうというのが連中の考え方でございます。ですから、法律上彼らの権利が主張できる場合には絶対にそれを譲らず、ですから、そこを人情で何とかと言っても聞くような連中ではないわけでございますから、われわれのあっせんというのもかなり限界があるというふうに考えております。
#265
○対馬孝且君 ただ、そこへいくと天谷審議官、結局民法上の裁判に出る以外にないわけだ、被害者が。ところが、三百万もひっかかっちゃって、次に今度は民法上の措置を訴えて裁判に出れとこう言ったって、もうそうなりゃすってんてんなんだよ、実際言って。なけなしの金で投資をやって、それがついにひっかかって一銭も戻ってこない、がっくりくる。それが自殺に発展したり、夫婦別れになったり、やがて親子同子でもけんか別れするということになっているわけだからね。さっき言われた政令なり省令で定めるということがあるとすれば、その前に何とか政令、省令の具体化の中で、被害者が幾らでも回復できるというような回復権というか、そういうものが認められないものかどうか。ひとつ省令、政令の段階で何とかならぬかい、これ。率直にこの切実な訴えを被害者にかわって言っているんだよ、私は。
#266
○政府委員(天谷直弘君) いままことにごもっともなあれでございますけれども、法律的には非常にむずかしくて、こういう問題につきましては、本文でできないことを政省令でするということはちょっとむずかしいかと思います。
 先ほどのことをちょっと補足いたしますと、なぜこれがむずかしいかといいますと、仮に法文で書いてもほとんど実効性がないであろうということでございます。さっき一つだけ、なぜ実効性がないかという理由を申し上げましたが、もう一つ補足いたしますと、解除権を行使した場合に一体だれにそれじゃ引き取り請求するのか、だれに返還請求するのか、その相手をだれにするかという問題が起こってまいります。
 マルチのやり方はいろいろございますが、巧妙なやり方をすれば統括者は決して契約当事者にならないわけです。ならない場合に、それじゃそのならない、契約当事者でない統括者をつかまえて金を返せと言えるかということでございますが、これはわれわれも法制当局といろいろ相談しましたけれども、それはできないということでございます。契約当事者じゃない者に返還請求はできない。そうすると、一体だれに返還請求をするのかという問題になりますが、要するに、ネズミ同士で返せ返せという騒ぎになるわけでございますね。しかし、そういうことをやったって決して消費者の救済にはならぬだろう。したがって、そういう規定の実効性、実現性について私たちは非常に疑問を持っておりますので、いろいろ考えてみましたけれども断念をした次第であります。それよりも十二条、十三条のような取り締まりに重点を置くべきではないかというふうに考えたわけであります。
#267
○対馬孝且君 それじゃ、協力する意味で、最後に一問だけ申し上げます。
 いま言ったことについては、いずれにしてもこれは駆け込みに来ますからね、被害者が。駆け込んだ場合は通産省が、本当に行政指導という立場の範囲でぜひひとつ措置をとってもらいたいということが一点であります。
 それから二点目は、何といってもこれからの、この法案ができ上がった限り、消費者に対する啓発の問題ですよ、私、率直に申し上げますけれども。人狩り商法にいかにひっかからないか、防止をするかということが大事なんですから、消費者に対する啓発について学生、主婦、特にこういったPR活動といいますか、そういうものに対してひとつ、経済企画庁は消費者保護の立場から、通産省は通産省の立場から、それから警察庁は警察庁の立場から、公正取引委員会は公正取引委員会の立場で、消費者の啓発に対する措置をぜひ講じてもらいたいということで、最後に各関係省からひとつ一声ずつ決意のほどを聞かしてもらいたいと思います。それで終わります。
#268
○政府委員(天谷直弘君) 先ほど大臣の御発言にもありましたように、そういう方向で一生懸命努力したいと思っております。
#269
○説明員(柳館栄君) まさに被害にひっかからないことが最も重要なことでございますので、私どももあらゆる機会をとらえてPRしてまいりたいと思います。
#270
○政府委員(後藤英輔君) 公取といたしましても、法律違反がありました場合には、先ほど先生も御指摘のような点につきましても厳重に迅速に処置する。それから、いろいろな被害等についての申告がございました場合については、ぜひその話をよく聞きまして、いろいろ巧妙な手段を講じました場合でありまして、直ちに法律違反として取り上げることがむずかしいような場合でありました場合には、むしろ行政指導というような形ででもどんどん指導をして、被害が起こらないようにいたしたいと思います。
#271
○対馬孝且君 できますね。――
#272
○政府委員(藤井直樹君) 企画庁といたしましては、国民生活センターの消費者啓発事業の中でこのPRを強力にやっていきたいと思っております。同時に、地方公共団体、それから地方の消費生活センター等にも十分連絡いたしまして、この広報について万全の措置をとっていきたいと思っております。
#273
○対馬孝且君 以上で終わります。
#274
○桑名義治君 先ほどから具体的にいろいろマルチ企業に対する質疑が行われたわけでございますが、まず、通産省と公取にお尋ねをしたいわけですが、マルチ企業は現在マルチという名前を使わないで、巧妙化して、都市からだんだんその周辺へそのきばを向けている。そして、地方の純真な人々を食い物にしているという実態であるわけでございますが、ちまたには約五百社ぐらいあるだろうというふうに言われているんですが、通産省、公取が現実にいま把握している数はどのくらいあるんですか。
#275
○政府委員(天谷直弘君) マルチ商法を行っている企業の数につきましては、二百という説とか五百という説とかいろいろございまして、実態はわれわれ残念ながらつまびらかにいたしておりません。ただ、これの中で典型的に悪いやつらだけが大体わかっておるわけでございます。たとえばホリディマジック、APOジャパン、ベストライン、ジェッカーチェーン、こういうようなところにつきましてはわかっておりますけれども、それ以外のものにつきましては、いわばどろぼうの実態いかんといったようなものでございまして、なかなかわからないわけでございます。
#276
○政府委員(後藤英輔君) 公取でもその実態についてちょっと調べる手がかりがございませんで、実態はつかんでおりませんですけれども、ただ、その被害があったということでもって相談に来ている数等からいたしますと、私どもの方には、たとえばAPOジャパンが分裂いたしまして、二十社とかいうような数にふえております。それらを含めまして約十社から二十社ぐらいのものが相談に来ている、主なものはホリディマジックであり、APOジャパンであり、ジェッカーでありベストライン、そういうようなところが非常に多うございました。
#277
○桑名義治君 いわゆるマルチが、どういう企業が現在動いているかということは、ある程度いろいろな組織を通じてこれはやっぱり把握しておく必要があるんじゃないかというふうに考えるわけです。それがとりもなおさず消費者に対する保護につながっていく、こういうように思うわけですが、その中で最近、九州や中国地方を中心に、いわゆる西日本一帯に被害者を多く出している洗剤を扱うゴールデンケミカルプロダクト日本支社というのがまた出ているわけです。この支社があるのは港区の白金台というところで、デーブ・S・森社長というのが社長だそうですが、これはいわゆるマルチ商法企業であるのかどうか。昨年の七月の二十八日に公取の福岡地方事務所に被害者が訴えているということでございますが、この調査の結果はどういうふうになっておりますか。
#278
○政府委員(後藤英輔君) 昨年、九州の地方事務所の方に被害という形で参ったのではなくて、ゴールデンケミカルの売っている洗剤が、たとえば無公害だとか、それから一〇〇%何とかというような表示をしている、これが景表法違反じゃないのかというような問題として昨年は参っておったわけでございます。そういう景表法違反の不当表示の問題として最初この問題を調べておったわけです。その後これが、むしろその商法自体がマルチ商法であって、それによって被害を受けているという問題が出てまいりまして、具体的にマルチ商法としての被害の訴えございましたのはことしの二月でございます。
 洗剤の誇大広告と申しますか、この点につきましては、いろいろと調べたんでございますけれども、これはやはり化学的な実証をしなければならないので、洗剤につきましては、なかなかそれについて異論がございます、コンセンサスがない。したがって、これを直ちに法律違反というふうに誇大広告の内容について決めつけるわけにはまいらなかったわけでございます。洗剤につきましては、そのほか一般的にそういう誇大広告の問題がございまして、現在洗剤全般について公正競争規約をつくろうという機運がございますので、その際に関係各省等とも相談いたしまして、洗剤の不当表示の基準というものについて詰めてまいりたい、そう思っております。
#279
○桑名義治君 通産省はどうですか。
#280
○説明員(真砂博成君) 私の方で最近のマルチ商法のやり方を見ておりますと、従来は、リクルート料、取引料と法律では言っておるのでございますが、こういう取引料の名目で金銭を徴収してきたものが代表的なものであったのですが、その後、この取引料、リクルート料というような姿を変えまして、当初に非常に大量の商品を購入させまして、その売買差益をもって実質的にリクルート料にかえるというような商法を使い出しておるというようなところが出てまいりました。その一連の関係のものとしまして、私どもも法律との関係、この辺を研究はさらに進めたいと思いますが、ゴールデンケミカル社とか、御指摘のございましたところは、こういうような後で私が申しましたような商法、わりあいそちらの方をお使いになっているような企業ではないかと考える次第でございます。
 それで、この法律の第十一条は、その辺が私ども一番頭を使ったところでございまして、十一条のこの定義の中に、「特定利益」、これは非常に大きな定義の一つの要素なんでございますが、その「他の者が提供する取引料その他の通商産業省令で定める要件に該当する利益」、この辺でその辺のものも十分カバーをいたしまして、この連鎖販売取引ということでこの法律で規制をしてまいりたいと思っております。
#281
○桑名義治君 このゴールデンケミカルプロダクトの問題でございますが、いま公取としては、洗剤がどうである云々という話がございまして、そして結局マルチとの兼ね合いですね、これはまだそう調査をしてないようでございますけれども、いまの通産省の話を聞きますと、非常に問題点があるわけです。そうやった意味で、昨年公取がホリディマジックに下したリクルート料ですか、これがいわゆる独禁法違反であるからということで摘発をしているわけですが、名称こそ違え、また中身が少し変わってはおりますけれども、しかし、これに続く違法行為であるというふうに考える必要があるんじゃないかというふうに私は考えているわけです。一方では被害者がどんどんまた出ておりますから、これをただ単なる行政指導というような意味ではなくて、早急にこれは調査をして、そして、ある意味では早急にまた摘発をしなきゃならぬのじゃないか、こういうように考えているわけですが、この点について、通産省と公取との御意見を伺っておきたいと思います。
#282
○政府委員(後藤英輔君) ゴールデンケミカルのいわゆるマルチ商法的な問題点というものにつきましては、先ほども申し上げましたように、ことしに入りまして被害届というもので参っております。その後私どもの方でこのゴールデンケミカルについては、前々から問題にしておった先ほどの不当表示の問題なんかありますので、呼んでいろいろ聞きましたところが、リクルート料、つまり公取がホリディマジック等に対して立入検査をやった、それと同じような形でもってこれを直ちにずばり不当な利益供与による勧誘だとは見られない、しかし、実質的にはそう判断していいんじゃなかろうかというところで、指導といたしまして、これは問題がある、そのリクルート料と見られるそういう売買差益は、実はリクルート料的な不当利得であるとか、それからまた、恩給とかいったような制度なんかもございまして、二%の恩給をやるんだとかいうような、これもやはりリクルート料的なものじゃなかろうか、そういうようなところで、むしろ強い態度でもってこれに対しては指導いたしまして、そうしまして、先方の方でもってその点を直した案をその後出してまいりました。それをいまこちらの方で検討しているという段階でございまして、それを直ちにいまホリディマジックと同じような形でもって違反の疑いありというので取り上げるというのは、ややむづかしいかと思っております。
#283
○政府委員(天谷直弘君) ゴーデンケミカルについては、現在のところまだ通産省として調査が不十分でございますが、新法成立の暁には、われわれとしてはこの法律で十分取り締まれると思っておりますので、そういう方向で協力いたしたいと思います。
#284
○桑名義治君 そこで、この法律が施行されるのは、結局さっきのお話のように、この中にもありますように、ひとつ時間的に経過がかかるわけです。したがいまして、その間のつなぎとして、いわゆる公取の任務というもの、あるいは検察庁の任務というもの、警察の任務というもの、こういうものが非常に大きいと思うのです。これが、法が施行されれば通産省としても積極的に法の施行のために動き始めるわけですが、その以前の問題としてやっぱり公取、警察庁の動きというものは非常に大切な動きになってくる、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございますが、昨年の五月の独禁懇話会の意見を受けて、それを示唆しながらホリディマジック、APOジャパン、こうやった摘発が行われたわけですが、警察庁としてはこういう法律の施行を待つまでもなく、積極的にそういううわさのあるのはやっぱり手をつけるべきじゃないか、調査に入るべきじゃないか、こういうふうに思うわけですが、公取と警察庁の両方の御意見を伺っておきたいと思います。
#285
○説明員(柳館栄君) 御承知のように、警察庁が手をつける場合には、犯罪の容疑があるという刑事訟訴法に縛られた行動しかできないという点が、私どものいままで動けない理由だったわけでございます。しかしながら、現実に詐欺等で立証が可能なものはやっておりますので、そういう現行の法律を大いに活用してこれを進めてまいりたいと思います。また、特に啓蒙運動が非常に大切だということは先ほどからの御指摘もございますので、そういう方面にもひとつ力を入れてまいりたい、こう存じております。
#286
○政府委員(後藤英輔君) ゴールデンケミカルにつきましては、現在そういうような形でもって問題点を独禁法上の問題点という形で指摘いたしまして、先方がこれに直すということで直す案を出してきておりますので、それらをさらにもう少し厳しく指導をしてまいりたい。その際には、指導でございますので、かなり広くかなり厳しく言えると思います。たとえば今度の法ができました場合には、十二条というような趣旨なんかも頭に置きながらも、公取としては広い意味での指導ができると思いますので、そういう意味で厳重に指導してまいりたい、そう思っております。
#287
○桑名義治君 先ほどからいろいろと具体的な例で質疑が行われましたので、時間の経過を考えてそれはもう省略しますが、ただ、クリーングオフ後の、経過後の処置ですね、これをもう一遍だけお尋ねしておきたいと思うのです。これが法律から落とされた理由をもう一遍お尋ねすると同時に、クーリングオフと一体性を持たせることが是か非かという問題についてもう一遍見解を伺っておきたいと思うのです。
#288
○政府委員(天谷直弘君) クーリングオフ後の契約解除につきましては、一般法が適用されるわけでございます。民法、商法が適用されるわけでございます。したがいまして、民法、商法上の法律関係はもちろん存在しておるわけでございます。
 次に、それではそのクーリングオフ経過後において、九〇%ぐらいの引き取り権とか返還請求権とかいうのを認めたらどうかという議論がたとえば産構審の答申の中にもあるわけでございますが、なぜそれを採用しなかったかということにつきましては、一言にして言いますと、その法律効果が果たして上がるかどうかということについてわれわれは疑問を持ったからでございます。
 なぜ法律効果が上がらないと考えるかということでありますが、第一には、マルチというのは契約関係がきわめて複雑になっております。たとえば取引料を何人かの人に、ネズミ同士の間で分配するというようなシステムになっておるわけでございます。ところで、一カ月なり二カ月なり過ぎてから九〇%返せというようなことが、ただ一人の人が言っておるんだとすれば多分それは解決できると思いますけれども、ところが、連鎖販売に加入しておる数十名の人がそういうことを一度に主張いたし始めますと、何か対抗びんた、殴り合いをやっているみたいなことになりまして、混乱しまして、法律関係の整理収拾ができないだろうというのが第一点でございます。
 そういう場合のそれじゃ解決策として、統括者にみんな請求するということにすれば、糸がもつれたようなことにはならないだろうという考え方があると思います。ところが、統括者に対して請求するという考え方は、法制当局等と相談しましたところ、統括者が契約当事者じゃない場合が多いから、契約当事者じゃない者に返還請求はできないというような意見でございまして、契約当事者じゃない者に返還請求権を認めるということは、いまの法律観念からいってどうしても無理である、こういうことでございますので、そうだとすると、そういう返還請求権を認めると、何かみんな何となくそれで自分の金が取り戻せるかのごとき幻想を抱きますけれども、実際には決して持ってこないだろう、余りにも法的安定性を害することになるのではないか、そういうことを恐れまして、結局はやっぱりいろいろ考えた結果、十二条、十三条で取り締まっていくのが一番被害を少なくする道である、こういうふうに考えて、答申案の中における九〇%の返還請求のところは落としましたけれども、その他の部分は答申よりもすべて強化したような法律案になっておる次第でございます。
#289
○桑名義治君 そうしますと、民法の九十五条の問題ですね、これから考えると、いわゆる民法上の要素の錯誤、そういうことからクーリングオフの期間経過後も契約の無効を主張できる、こういうふうに一応考えられるけれども、いろいろとそういう複雑な問題があるから除いた、こういうことですね。
#290
○政府委員(天谷直弘君) おっしゃるとおりでございます。
#291
○桑名義治君 次に、訪問通信販売の問題について少し質疑をしておきたいと思いますが、訪問販売における一番多い苦情というものが、虚偽の説明よりも商品を押しつけられたとかいう苦情が非常に多いわけです。たとえば消火器あるいはガス漏れ警報機、これは公の機関の名を借りまして売りつけることが非常に多かったわけです。消火器について言えば、消防庁やあるいは市町村などが万一のときに備えて消火器の設置を奨励、PRする一方、販売業者はそれがあたかも義務づけられているように消費者に説明してそれを買わせる、こういうわけでございますが、このような場合詐欺罪などの適用も可能ではあるが、これとしても最終的には裁判所でもって争うというようなことは現実にやらないわけです。そこで、結局は泣き寝入りということになるわけですが、そういうことから訪問販売においても連鎖販売で規定をされている第十三条のような勧誘に対する規制を法律に織り込むべきではないかと思うが、どうですか、この点の考え方をお伺いします。
#292
○政府委員(天谷直弘君) 連鎖販売取引において十二条という特別の規定を設けましたのは、連鎖販売取引そのものが非常に反社会的な要素を含んでいる、特に連鎖販売取引におきましては勧誘方法が一番中心的な問題である、勧誘方法で催眠的に人をだましたりするところに大きな問題がある。それから、連鎖販売取引の相手方が法律上は一般消費者ではなくて商人ということになっておりますので、独禁法や景表法のような既存法令の適用がむずかしい、こういうような特別の事情がございましたので十二条という規定を入れたわけでございます。しかし、訪問販売というのはいろいろ問題は起こしておりますけれども、デメリットもございますけれども、一般的に申しますとこれはメリットがある販売方法であって、連鎖販売取引とははるかに違った性質のものだ、反社会性という点に関する限りにおいて連鎖販売取引のようなおかしいものではないというふうにわれわれは思っております。必要があれば刑法とか、それから景表法とか、そういう既存法の体系で対処することができるというふうに考えておりますので、十二条のようなきつい直罰規定でもって取り締まるということはいまのところは考えていないわけでございます。
#293
○桑名義治君 そこで、いま消火器やガス漏れ警報機の問題を挙げたわけでございますが、こういうものが普遍化していくということは、これはもう結構なことなんです。ところが、それを強制的に、いかにも義務づけられたような売り込みをやるところに問題があるわけですから、したがって、こういう品物を売るときには、関係省庁が正しい強力な行政指導をしていく必要がある、こういうふうに私は思うわけですが、その点についてはどうですか。
#294
○政府委員(天谷直弘君) 仰せのとおり、消火器につきましては消防庁ともいろいろ協力をいたしまして、そういう行政指導をしたいと思います。また、一般消費者に対しましてもPR等によりまして、そういう詐欺的な言辞にひっかからないように注意を促したいと思います。
#295
○桑名義治君 そこで、今後の訪問販売や通信販売が伸びていけばいくほど業界間での競争が激しくなり、そこで必ず行き過ぎが出てくる、こういうことになるわけでございますが、その場合のいわゆるセールスの教育のあり方、これも当然問題になってくるかとも思いますけれども、こうやったところに対する通産省の指導というのがいままでどのように行われているわけですか。
#296
○政府委員(天谷直弘君) この訪問販売をやっている企業の数はそれこそ無数にございまして、とても通産省の陣容でもってその販売員の教育等まで、指導をしておるということは、正直に申しましてなかなかむずかしいことでございます。まあわれわれとしましては、訪問販売を主たる商法としているような業界に対しましては、できるだけ自主的に倫理綱領をつくってそういうものを遵守していく、そして業界全体としてのセールスマンの質の向上、商法の向上を図るということが業界全体にとっても、その企業にとっても結局はプラスになるというようなことを周知させたいと思っており、そういう方向で努力をいたしております。
#297
○桑名義治君 いま、戦後から行われている化粧品とかあるいはラテックス、こうやった業界内では協会組織ができておりますので、ある一定限度の教育なりあるいはまた規制なりができると思うのです。ところがいまから先、新しい製品についてはそういうものが非常にむずかしくなる。セールスマンの数も非常に多いので、これは一人一人に対する規制なり教育が非常に困難だと思います、実際に。だからといって、やっぱりいまこうやった訪問販売、通信販売等にいろいろな問題が起きてくるとするならば、登録制度やあるいは検定制度、この検定制度も国で云々ということではなくて、一つの協会をつくって、その協会の中で徹底した教育をし検定をしていく、こういう制度でもいいんですが、そういういわゆる制度をある程度考えていく必要があるんじゃないかというふうに考えるわけですが、それはどうでしょう。
#298
○政府委員(天谷直弘君) 御趣旨はまことに結構で、われわれもできればそういうことにしたいと思いますけれども、ただ一番問題は、そういうことをやりますと行政に大変な負担がかかりまして、人手が要るということでございます。その訪問販売をやる企業の数というのは本当に無数にございますのですが、あらゆる企業がいまや訪問販売をやっておるといってもいいくらいでございますから、そういうものに登録制をしくとか何か検定をするとかいうことになりますと、どの程度のことが果たしてできるか。また届け出しっぱなしということになりまして、われわれも審査能力がちょっとないのじゃなかろうかと思うのです。
 検定についても、民間で自主的にやるという制度をつくれば、それはある程度は動くかもしれませんが、そういうことの実現性が非常に問題があると思います。ただ、いま御承知のように、商品取引業法による外交員であるとか、商品取引の外交員であるとか、保険の外交員とか、それから証券取引の外務員であるとか、こういうところは登録制もしいており、厳密な取り締まりをやっておりますけれども、これを一般化するということはちょっと困難ではなかろうかというような気がいたします。
#299
○桑名義治君 確かに、説明がありましたように、訪問販売あるいは通信販売というのは年々ふえているというような傾向にあるわけでして、ほとんどの業種がそういう販売方法をとっているために、登録制あるいは検定制というのは非常にむずかしいかもしれません。
 そこで、先ほどから申し上げておりますように、一つの業界、その業界が協会等でチェックしていくというか、そういうシステム的なものを義務化していくということもやっぱり困難ですか。
#300
○政府委員(天谷直弘君) 化粧品とか自動車とか、その他訪問販売をよく利用しておる業界がございますが、こういう業界に対しましては、そのセールスマンの教育等につきまして、十分に注意するように、通産省としましては、協会等を通じて行政指導を強化いたしたいと存じます。
#301
○桑名義治君 次に、訪問販売等の無店舗販売が引き起こす問題を解決するには、一つには行政側の指導、もう一つはメーカーサイドの自主規制、さらには消費者の主体性の確立、この三者一体という立場がとられなければ、強化されなければ、非常にこの問題を解決するのはむずかしい、こういうふうに思うわけでございます。そこで政府としても、消費者に対する訪問販売等の正しい知識を提供していかなければならないし、業者自体はまた、消費者に対して正しい理解を示していくというためにもPRをしていかなければならない、こういうふうに思うわけですが、政府としては今後どのように消費者を啓発していこうとお考えになっていらっしゃるのか、その点をちょっと伺っておきます。
#302
○政府委員(天谷直弘君) 通産省としましては、これまでも各種の媒体を通じまして、消費者教育に努力をしておるところでございますが、今後一層こういう方向を強化したいと思っております。
 それからまた、これまで通産省に私書箱一号という制度がございまして、ここに消費者からいろいろな苦情等を申し込むようになっておりましたのでございますが、昭和五十年の七月一日から、本省、各通商産業局及び沖繩開発庁沖繩総合事務局に消費者相談室というのを新設いたしまして、ここでPR等に努めておる次第でございます。また、消費生活センター等の苦情処理窓口がいろいろございますので、こういうところでも消費者と直接接触いたしまして、PRに努めたいと存じております。
 なお、経済企画庁とかそれから総理府等にもいろいろな予算なりシステムがございますので、そういうところとも連絡、提携しながら消費者の啓発に努めていきたいと思っております。
#303
○桑名義治君 次の問題としまして、今回のこの法律案では、通信販売については広告と承諾等の通知に関する規定しかないわけですが、産構審の流通部会の答申におきましては、通信販売についても一定期間内に販売契約を解除した場合には、販売業者にはその損害賠償額の請求は一定の制限内に抑えられる、こういう旨の事項が盛られていたわけですが、この部分が落とされた理由はどういうことですか。
#304
○説明員(内田禎夫君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、産構審の答申におきましては、そのような提案がなされておったわけでございます。ただ、通信販売につきましては、訪問販売とはかなり問題の所在が異なるのではないか。訪問販売の場合にそういう損害賠償の額の制限といったような規定が必要になりましたのは、訪問販売の場合には、消費者の側が余り購入の動機を持たないままにセールスマンに乗り込まれまして、売り手の方の一方的なイニシアチブで商談が進められる、そこで余り買いたくない物を買わされてしまうというような問題がスタートからあるわけでございます。
 通信販売の場合には、ともかくも広告に対しまして消費者の側が興味を示しまして、積極的にみずからの意思で購入の動機を打ち出すということでございますので、訪問販売におけるような問題はそれほどないんじゃないか。そういう問題よりも、むしろ通信販売の場合には、その広告の内容自体が非常にあいまいでございますと、後々トラブルのもとになる。それからさらに、消費者が申し込みましたのに、一向ナシのつぶてで、物を送ってこないというような問題が一番消費者の被害としては大きいということに着目いたしまして、その二点につきましての法律的な手当てということで、今回の規定第八条、第九条を設けた次第でございます。
#305
○桑名義治君 この今回のマルチ商法の中では、売り方も問題ですけれども、いわゆる品物で欠陥商品的な品物が非常に多いわけです。たとえばジェッカーの中で、これは何だかイオン分解方式で、たばこ有害物質除去装置なんて、こういうのが一遍この国会の共済会ですか、あれでも売られたことがあるそうですね、これは。ところが、この中身を見てみますと、これはただ単に乾燥するだけだそうです。イオンが通って、そしてタールやあるいはニコチンが全部分解をしてしまうというようなふれ込みで売ったそうでございます。実際に国会の中まで入ってきたということです。こういう品物を見てみますと、実際にはよく調べてみると、ただ単に熱を通すだけの話であって、実際にはイオンも何も通らないで有害物質が除去されてない結果が出ておりますということなんですが、こういうようにいわゆる詐欺的な行為がたくさんある。
 また、いろいろそういう欠陥的な商品が、最初から欠陥とわかっておりながらそれでも売られている商品がたくさんある。したがって売り方も問題ですが、売ってる品物も問題なんです。先ほどから対馬委員の質問の中にもありましたように、公害除去装置ということで自動車につければ云々というようなことで、実際に調査をしてみるとそうではない、こういう事柄があるわけですが、こういういろいろな問題が起こったとき、通産省としては積極的にこういうものの内容を調べる用意があるかどうかということですが、この点はどうですか。
#306
○政府委員(天谷直弘君) 世の中にはいろいろな商品を売っておりまして、デパート等に行きましても、背が高くなる機械とか、頭がよくなる薬とかいろいろございますのでございますが、そういうものを全部通産省が調べて、確かに頭がよくなるとかならないとかという判断をすることは非常にむずかしいかと存じます。われわれの方も消費者保護のためには試買検査というようなことをやっておるんでございますが、やっておる対象といたしましては、法律により安全性とか品質とか性能とかというものが規定されているものをまず優先的に、そういう法律のとおりになっておるかどうかということをチェックする、それから、法律による規制がないものでも一般消費者の生命、身体に危害を及ぼすようなものというのは厳重にチェックをしたい、こういうふうに考えております。したがって、今後マルチ商法の取り扱い商品でいま申し上げたような要件を満たすものが出てきますと、これは試買検査等の対象としてチェックしたいと思いますが、マルチ商法のやっておるものはすべてそれじゃ商品検査等をするかというと、それはちょっとやる考えはございませんので、一般的にはやはりマルチにつきましては十二条、十三条等の運用で取り締まっていきたいと考えております。
#307
○桑名義治君 いずれにしましても、マルチの問題につきましてはいろいろと重大な問題になっているわけでございまして、諸外国の中でなかなかこの商法がうまくいかないということで、締め出されたということで日本に上陸したといういろんな経過でありますし、その点については通産省としても、あるいは公取としても強力な体制でもって臨んでいただきたいということを、最後に要望して終わります。
#308
○加藤進君 私はこの法案について、これが悪質な商法を規制して消費者の被害を防ぎ、その利益を守るという趣旨であるという点につきましては、基本的に賛成するものです。ただし、この法案で規制の対象になっている商法によってさまざまなトラブルが今日まで頻発しておることは御承知のとおりでありますが、この数年来生じておるにもかかわらずこれが今日まで放置されている。産業構造審議会の流通部会においても、昭和四十八年十一月にはすでに検討が開始されて、四十九年十二月には答申が出されてまいったわけであります。
 この答申の中には、マルチ商法が「種々の問題点を抱え、社会的トラブルの原因にもなっていることに鑑み、その活動を実質的に禁止するよう厳しい規制を行うべきである。」こういうきわめて厳しい戒めを出しておるわけであります。ところが、その後二カ年間経過して今日に至っておりますけれども、法案がやっと今日提出されたという状況で、その間にも非常にたくさんの被害が生じてきておるわけでございます。そこで一体、こういうふうに世間においても、あるいは産業構造審議会等々においても非常に重大な問題として警告を発しておるのにもかかわらず、どうして法案が今日まで相当時間が経過して提出されるに至ったのか、なぜおくれたのかということが一つ。
 それから昭和五十年の六月、「マルチレベル商法等に関する対策」というのが関係省庁申し合わせ事項として出されましたね。この事項に基づいて具体的にこういう悪質商法に対してどのように積極的な対処を今日まで行ってこられたのか、この二点についてまずお尋ねいたします。
#309
○政府委員(天谷直弘君) この法律案につきましては、われわれも一日も早く提出をしたいということで努力をしてまいったのでございますが、力が至らない点がございまして、今日まで時間がかかり過ぎたことについては反省をいたしておる次第であります。
 おくれた理由につきましては、あえて申し上げれば三つございます。
 第一点は、法律をつくる以上は効き目のある法律でなければならないということであります。ところが、このマルチという非常に脱法と申しますか、そういう知恵をしぼってつくったシステムをつかまえる技術、法的技術というのはなかなかむずかしゅうございまして、われわれも知恵が足りぬものでございますから、頭をしぼってどうやってこれを取り押さえようかということ、特にこのマルチの法的構成要件をどうするかということでいろいろ時間がかかったということが第一であります。
 第二番目は、この法律は、民・商法等の一般法に対する重大な例外規定を盛ることになりますので、こういう法務当局とか法制局等との調整に非常に時間がかかったというのが第二点であります。
 それから第三点は、独禁法との調整でございます。昭和四十七、八年ごろからマルチの弊害が目立ってまいったわけでございますが、その当時現存しておった取り締まり法規は独禁法のみであります。したがいまして、われわれとしては、まずこの存在しておる法律でマルチをどの程度取り締まれるかということを知る必要がございました。そうじゃありませんと、現にある法律の上にまたもう一つ法律を、屋上屋を重ねる、二重規制になるというようなことは避けなければなりませんので、独禁法の効き目をまず試してみたい。ところが独禁法の発動がおくれまして、昭和五十年になりましてようやくホリディマジックの摘発があったわけであります。われわれとしましては、公取委がマルチに対して実際に独禁法をどう運用するか、その効果を見る必要もございました。こういうような三つの要因のために、まあ法案の提出がついに今国会までおくれてしまったということであります。
 もう一つの御質問ございましたのでお答え申し上げます。
 もう一つの御質問は、十省庁申し合わせに基づいてどういうことをやったかということでございますが、このうち通産省につきましては三点ぐらいございましたが、要するに通産省に課せられたポイントは、早く法律をつくれということでございましたので、われわれとしましては、この十省庁申し合わせの線に沿いまして最大の努力をいたしまして、今国会に法律を提案いたしました次第でございます。
#310
○加藤進君 先ほど答弁の中で触れられましたホリディマジック社の問題です。これは昭和四十八年の五月にアメリカでは、連邦取引委員会で不正取引として独禁法違反ですね、指摘されています。しかもイギリスでは昭和四十八年七月、オーストラリアでは昭和四十九年八月、マルチ商法が禁止されてきているという国際的な趨勢があるのですね。ところが、そのホリディマジック社が日本に上陸して販売許可を得て開始したのが、やはり同じ昭和四十八年である。こういう点から見ると、悪徳商法といいますか、日本こそ絶好の活動の舞台であると言って上陸したとわれわれが憶測しても的外れじゃない、こういうふうに考えております。外国でそれほど規制されて、その悪質さが摘発されておるのにかかわらず、これを考慮して適切な対策が一体なぜ日本でとれなかったか。この点についての反省があってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#311
○政府委員(天谷直弘君) マルチ商法上陸前に外国等をよく視察して 日本で予防的法規をつくればよろしいという御指摘かと思いますが、やはりマルチ商法のようなものは、日本に上陸してきまして被害が現に起きませんと、取り締まり法規というのはなかなかできにくいものかと存じます。
 第二番目に、諸外国等ですでに法規があるわけだから、それをすぐ日本にも輸入すればいいではないかという御指摘かと存じますけれども、われわれが見たところにおきましては、外国のマルチ規制に関する法制といいますものは非常に粗雑でございまして、法的には余り参考にならないと思っております。非常にこういうことを申し上げるのはおこがましいようですが、この法律案と他国の法律とを比べてみますと、日本のが一番りっぱな法律である、世界で一番りっぱな法律であると私たちは思っております。したがいまして、外国のものをそのまま日本に導入しましても、われわれとしてはそれでは取り締まりの効果が上がらないというふうに考えておりましたので、日本で最も日本の法制になじむりっぱな取り締まり法規をつくるべきであるというようなことで、先ほども申し上げましたように関係当局等といろいろ意見の調整をいたして若干時間がかかってしまった、この点は非常に申しわけなく思っている次第であります。
#312
○加藤進君 被害が起こらなければ取り締まり方策がとれないというようなことは、これはちょっと答弁としてはおかしいと思いますよ。外国ですでにこういう諸般の事例が起こってきている、規制までされてきているということですから、これを勉強していかぬというような理由はないでしょう。やっぱり外国の事例についても研究すべきだと思うんです。それがまた日本に入ってくるということについては、その害毒を防がなくてはならぬ、その手だてを講ずるというのは当然じゃないですか。そういう立場に立って、今後もやはり外国の事例等々を勘案しながらひとつしっかり検討していただきたいということを注文しておきます。
 法案の中身についてお伺いしますけれども、まず訪問販売の項について、第三条の顧客に対して業者の氏名、名称、商品の種類を明らかにする条項がありますけれども、これは第四条、第五条における書面交付とは違って罰則規定はございません。単に訓示規定にとどまっておるわけでございますけれども、訓示規定にしておくのは手落ちではないかと私は考えるものですが、その点はいかがでしょうか。特に、押し売りを恐れる主婦の方たちの問題にしているのは、一体販売者の素性はどうなんだろうか、どういう人なんだろうか、こういうことがよくわからないのが不安の最大の原因になっておると思いますが、そういう点でいまの質問にお答え願いたい。
#313
○政府委員(天谷直弘君) ごもっともな御指摘でございますが、この罰則をつけることも考えてみましたんでございますが、対象行為の構成要件をどういうふうに確定するか、違反事実の確認ということをどうやってやるか、非常に困難な問題がたくさんございます。御指摘のように、確かに氏素性がわからぬ者が入ってくるというのは困ったことでございますが、それじゃ氏素性を本当に明らかにしようといたしますと、多分これは国民総背番号制をいたしまして、それに基づいて一人一人に身分証明書を持たすというようなシステムにしなければ、そういうことはできないのじゃなかろうかというふうに思っております。それからまた、なお名前を名のらなかったとか、名前についてうその名前を言ったとかいうような場合に、処罰するという場合の保護法益というものは一体何であろう。確かに家庭の主婦の方では名前を名のってもらった方がいいことはわかりますけれども、それを罰則でもって要するに処罰しなければならぬほどの保護法益があるであろうかというような点、やはり処罰ということになりますと慎重でなければならぬと思いますので、そういう点に疑問がございましたので、罰則の方は見送った次第でございます。
#314
○加藤進君 第六条のいわゆるクーリングオフ、契約解除についてお伺いしますけれども、このクーリングオフを行う場合に一定の書式が要る、それから、郵送の場合には内容証明で送らなければならないのではないだろうかというような、消費者側の疑問が現に出てきておることは御承知のとおりです。そこで、普通の消費者はこういうことには全くふなれだから、ついつい手続をしそびれてしまうということが間々あるわけであります。そこで、提案を申し上げますけれども、契約書には必ずクーリングオフに用いる用紙を添付する、解除希望者は日付と印だけを押して投函できるように簡単な方法で行うことを販売業者に義務づけるようにしてみたらどうなのか、こういうふうに私は提案を申し上げるわけでございますけれども、御検討いただけますか。
#315
○政府委員(天谷直弘君) 書式等は自由でございますし、それから郵送の仕方も自由でありますが、ただ法的には、内容証明でやった方が後で争う場合には非常に有利だということは言えると思います。
 なお、いま御提案のございましたクーリングオフの用紙を添付するという件につきましては、検討させていただきます。
#316
○加藤進君 通信販売について一点だけお尋ねします。
 通信販売から起こるトラブルというのは、金は送ったけれども商品が来ないとか、あるいは来て、見たけれども、商品は広告や見本とは全く違うというようなことがたくさんあるわけでございす。後者の場合ですが、これは広告の内容をもっと詳細に、明確にすることによってある程度防げるじゃないか。そこで、広告商品については、第八条の一号から四号に加えて商品の品質、材質などについては最低限明示すべきではないかというふうに考えますけれども、その点はどうか、これを第八条の五号に基づく省令の中に含める考えはないのかどうか、御検討いただけますか。
#317
○政府委員(天谷直弘君) 品質、性能も広告の中に書けという御指摘につきましては、ごもっともな御指摘だと思うのでございますが、やはりこの品質、性能というのは商品によって千差万別でございまして、一体どの程度の商品の品質、性能を書かすべきかということを客観的に決めることがきわめてむずかしいわけでございます。それからまた、広告というのはスペースも限定されておるわけでございますから、われわれがたとえばテレビを見ておりましても、それじゃ薬の効能がテレビに全部出てくるのかといいますと、そうは出てこないわけでございまして、使用上の注意書きをごらんくださいということになっておるわけであります。テレビにそれでは薬の効能全部書けるのかというと、その辺はやはり問題があるんじゃなかろうか。したがいまして、そういう問題につきましては、広告で全部規制するというようなことまでは、広告に書くことを義務づけるというのは、若干行き過ぎじゃないかという感じがいたしておるわけであります。
#318
○加藤進君 その点については、衆議院の方で附帯決議の中にこれが盛り込まれておるやに聞いておりますけれども、いかがでしょうか。
#319
○政府委員(天谷直弘君) 附帯決議の中に確かに盛り込まれております。したがいまして、われわれとしましても、その広告の中にできるだけ盛り込めるものは盛り込むように指導いたしたいと思いますが、法的にこれを義務づけるということはなかなかむずかしいんではなかろうかと思っております。
#320
○加藤進君 そこで、省令に含めるという考えはどうかと私が具体的に聞いているわけですが、その点はどうですか。
#321
○政府委員(天谷直弘君) 御提案につきまして、省令の段階でよく検討させていただきます。
#322
○加藤進君 よろしくお願いします。
 続いて連鎖販売取引についてお聞きしますけれども、この法案を拝見しますと、マルチ商法というのを禁止するのではない、有害部分に規制を加えるのであるということが基本的な考えのように私は受け取ります。先ほど引用した産業構造審議会の流通部会の答申でも、実質的禁止を求めておるのでございますが、この法案によってマルチ商法を実質的に禁止しようという考えかどうか、この点についてはっきりさしていただきたいと思います。それが第一。
 さらに、産業構造審議会答申では、リクルート料、取引料の授受をきわめて好ましくないと断じています。ところがこの法案では、この取引料の扱いがきわめて甘いと私は考えるわけでございますけれども、それはなぜか、その点の御説明をお願いしたいと思います。
#323
○政府委員(天谷直弘君) マルチの取り締まりの仕方には二つ考え方があると思います。一つはマルチそのものが犯罪であるとして、これを禁止してしまう行き方でございます。それからもう一つは、マルチそのものは認めるわけでございますけれども、そのマルチの行為につきましていろいろな規制を加えて、その規制を厳しくすることによって悪いマルチを実質的に禁止しようという考え方でございます。この法案はもちろん第二の考え方をとっておるわけであります。第一の考え方というのは一見非常に気持がいいやり方でございますが、脱法がきわめて容易にできますので、われわれとしては実質的禁止の方法がいいんだというふうに考えている次第でございます。
 実質的禁止がそれではできるかどうかという問題でございますが、われわれといたしましては第十二条、十三条、十四、十五、十六、十七条、こういう法律の規定を十分効果的に運用することによりまして、実質的な禁止が可能であるというふうに考えております。
 次に、リクルート料の問題でございますが、リクルート料が非常に多額になる場合にマルチの弊害が顕著に出てくるわけでございますから、十一条の定義に書いてありますところの政令によりまして、リクルート料の額等によりまして、少額のリクルート料は何も取り締まる必要はないと思いますが、多額のリクルート料の授受を伴うところの連鎖販売取引につきましては、十二条、十三条等によりまして厳しい方向で規制を加えることになっておるわけであります。
#324
○加藤進君 もう一つお聞きしますけれども、第十一条の連鎖販売取引の定義によりまして、現存するマルチ商法のすべてが含まれるというふうに理解していいのかが第一点。
 それから第二に、特に心配されるのは、取引料が比較的に少額のマルチ商法が法の言う政令で定める基準から漏れるのではないかという危惧があるわけですが、その点はどうか。
 三番目にさらにこの定義によって、マルチ商法以外の商法も結果的にはこれに含まれることになるのかどうか、こういう三点についてお答え願いたいと思います。
#325
○政府委員(天谷直弘君) 第一の御質問につきましては、われわれが取り締まらなければならないと考えているようないわゆる悪いマルチは、全部この定義の中に含まれるというふうに考えております。
 それから第二番目の、リクルート料が少額のマルチが外れるのではないかという点でございますが、われわれとしましては、余り少額のものにつきましては外した方がいいというふうに考えております。なぜかと申しますと、そういう少額のリクルート料のものまで政府が一々追い回すということは非常に大変な手数がかかりまして、雑魚を追い回すために呑舟の大魚を逃がしてしまうというようなことになるのは、むしろ問題ではなかろうかというふうに思っております。それからまた、少額のものにつきましては、それほど反社会性が高いというふうにも考えていないわけでございます。
 それから、三番目の御質問につきましては、現在の定義ですと、いわゆる悪いマルチのほかに灰色のものも入ってまいります。多分黒いネズミもそれから灰色のネズミも白いネズミも中に入ってくる、そういうふうな網の張り方をいたしておるわけでございます。なぜそういうことにしたかと言えば、そうしないと黒いネズミだけを摘出して、これを禁止するという行き方は、先ほど申し上げましたように法的構成上問題があるというふうに考えたからであります。
#326
○加藤進君 最後に、冒頭に申し上げましたように、マルチ商法法案による対策のおくれが被害の増大に連なったという点については、政府に重大な責任があるということをまず強調したいと思うのです。
 したがって、もちろんこの法案が可決成立された後のことではあるけれども、施行されるまでの間に、いわゆる駆け込み的なマルチ商法業者が勧誘するというようなことも考えられなくはないわけでございますから、このようなことのないように施行日をできるだけ早めるということ、施行までの間、法の精神にのっとって悪質者に対しては厳重な措置をとるということ、この二点を求めるわけでございますが、御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
#327
○政府委員(天谷直弘君) 法律の施行までの間につきましては、公正取引委員会等の御助力も得まして、そういう駆け込み等がないように、政府としていろいろ努力をいたしたいと思っております。
 次に、施行の時期につきましては、いろいろ政省令十数本つくる必要もございまして時間がかなりかかるのでございますが、なるべく早く施行できるように最大の努力をいたしたいと思います。
#328
○藤井恒男君 昨年出されたいわゆる関係十省庁の申し合わせによれば、マルチ企業の規制は、独占禁止法を中心にした現行法令の運用で当面対処できるということになっておったわけだけど、本法が出てきたということはどういう根拠によるものか、その辺のところどうですか。
#329
○政府委員(天谷直弘君) 独禁法の運用によってマルチの取り締まりが有効に行われることを期待いたしておったわけでございますけれども、結果的に見ますと、公正取引委員会が手入れをしたマルチ企業はいままでのところ一社でございます。したがいまして、結果から見る限りにおいては余り実効が上がっていないということかと存じます。もちろんこれは、独禁法がマルチが生まれるよりはるかに前に独禁法ができておったわけでございまして、独禁法をつくった当時においてマルチを予想しておるわけではありませんから、独禁法による取り締まりが余り効率が上がらないというのは理解できるところもございますが、ともかく、結果的に見まして独禁法の効果が余り上がらなかったので、その穴をふさぐために本法を立案したわけでございます。
#330
○藤井恒男君 外国、たとえばフランスとかシンガポールあたりのマルチそのものを禁ずるということはどうなんですか。これはやっぱり現在むずかしいわけですか。
#331
○政府委員(天谷直弘君) マルチを禁止するという方向につきましてもわれわれ考えてみたわけでございますが、その場合に、禁止する、そして処罰するという以上は、罪刑法定主義でございますから、禁止する対象をきわめて明確に法的に構成する必要があるわけでございます。そうすると、悪しきマルチの要件というのをきちんと法律で書かなければならない、こういうことになります。そうしますと結局、法の網が非常に小さい網になるということでございます。小さい網で取り締まろうとしますと、マルチ業者は非常に利口でございますから、たちまちにして法網をくぐる術を編み出してしまいますから、禁止する以上は網が小さくなる、小さな網で追っかけようとすると、魚が逃げてしまう、こういうことでございますので、われわれとしてはむしろ小さい網よりもやや大きい網をつくろう、大きい網をつくる場合には直罰規定には結びつかずに、取り締まり規定に結びつく、こういうことになったわけであります。
#332
○藤井恒男君 先ほどから質疑聞いておりますと、審議官はなかなか愉快なことを言われておられるんだけど、どうもやっこさんらが賢い、そして法に基づいてやっておるんだと。なるほどそのとおりなんで、追っかけても追っかけても逃げていくということなんですね。何かもどかしい感じがするし、こういった本で、マルチ商法を徹底分析するというような悪徳商法被害者対策委員会、いろいろなことを書いてありますが、向こうの方が頭がよくて、こっちが頭が悪いのかと。法律ということで追っかけていくからこんなことになるかもわからぬけど、かといって、向こうは法を守っておるわけですから、この辺のところもどかしく感ずるわけです。
 先ほども委員の方から質問があったから私は繰り返しませんが、たとえばマルチ商法について、クーリングオフ期間経過後の措置ですね。これはいまのところ法律がかえって混乱するからどうしようもない。行政的にも非常にむずかしい。それじゃ、結局は民法による訴訟しかないのかということになっちゃうわけで、この辺のところは、やっぱり審議官はなかなかの流通の専門家なんだから、負けぬようにひとつやってもらいたいというふうに思います。もうこのことは繰り返しません。
 公取にちょっとお伺いしますが、ホリディマジックの場合には結審したわけですね。同じような立ち入りをしたAPOジャパンの場合はその後どうなっておるか。それから、このAPOジャパンの場合に、ホリディマジックと同じような措置がとれないのかどうか、あるいはAPOジャパンそれ自体立ち入りを受けた後、ダミーみたいな形で大阪、小田原、横浜などに、あるいは東京にそれぞれ子会社を設定して同じような仕事をやっておるわけなんで、この辺についても公取としてもう少し強い立場に出れないものかどうか、いかがでしょう。
#333
○政府委員(野上正人君) 本件につきましては、昨年の七月に立入検査いたしまして、それから八月に、向こうが違反事実をやめるという上申書が出ましたので、それで現在のところやめたかどうか、それを監視している最中でございます。それで、今後もしも各地方においてそういうことがあれば、われわれとしては取り締まるにやぶさかでない、こう思っております。
#334
○藤井恒男君 これは、先ほどずっと審議官のお話があったんだけど、向こうが賢いわけですから、だからじっと待っておって、問題が出てきて、ネズミじゃないけど、網にかけるのじゃだめなんで、やっぱり頭の前の毛をつかまなきゃいかぬわけです。絶えずしっぽをつかんでおるわけだから、その辺のところじっと待っておって様子を見るのじゃだめじゃないですか、それは。
#335
○政府委員(野上正人君) われわれとしましては、独占禁止法の四十八条によりまして、違反事実があるときは勧告できる、こういうふうな規定になっておりますので、もう向こうがやめたというのに、ちょっと無理じゃないかと私は思います。
#336
○藤井恒男君 これは、そこが非常にこの本法のむずかしいところでして、それをやっておるから、これはみんな逃げられてしまって、どうしようもないというわけですよ。おっしゃることもわからないわけではないんだけど、法でもいかぬ、行政でもいかぬ、公取でもいかぬといったら、まさにこれは、ネズミを追っかけておって、自分が知らぬ間にネズミ取り器の中に足を入れておるということなので、この辺ひとつしっかりやってほしいと私は思います。
#337
○政府委員(野上正人君) それから、今後なるべく早く事件の処理を終わりたい、こう思っております。
#338
○藤井恒男君 それからこの本法ができる以前、公取が出された考え方として、この種のマルチ商法については十九条に違反するという見解を出しておられますね。そういった状況の中で本法は生まれていくわけです。そうした場合に、いままで公取がとっておられた十九条に違反するという見解に基づく姿勢というのは、本法施行後も変わらないのであるかどうか。
#339
○政府委員(後藤英輔君) マルチ商法に対する独禁法の適用は、ホリディマジックでもってはっきりと、あのような正常な商慣習に照らして不当な利益でもって勧誘するような場合は違反だということでございますので、この点につきましては、本法ができましても公取として厳正に運用してまいるつもりでございます。また、こういう考え方で運用してまいる場合、本法ができますと、たとえば問題にしにくかったいろいろな問題点なんかも公取としても非常に運用がしやすくなる。そういう意味でもって、関係官庁と十分連絡をとって、独禁法の厳正な運用を図ってまいりたいというつもりでおります。
#340
○藤井恒男君 それじゃ最後に、ずいぶん遅くなっておりますのでもうこれでやめておきますが、私のいま住んでおる杉並の方にも被害があった。訪問販売で、消火器の設置義務のことでだまして消火器を売っておったわけです、これは新聞にも載ったことだけど。個人住宅に消火器の設置義務が全くない。それをあたかも消防署から派遣されたような風体をして買わすというこれは詐欺行為です。こういったことが本法によってということでもあるが、それ以前の問題として何かこれは手が打てぬのかどうか、買う方がばかだと言えばそれまでのことだけど。現にそういった形で幾つかの被害が出て、苦情になり、新聞にも出るというような状況があるわけですからね。その辺の措置というのは、本法による、よらぬにかかわらず、行政的に何か消費者保護のたてまえからやれるものか否か、その辺どうでしょう。
#341
○政府委員(天谷直弘君) 設置義務がないのに、消火器の設置義務があるかのごとく言うのは、これはいま先生の御指摘になりましたように、詐欺罪を構成する疑いが非常に強いわけでございまして、聞くところによりますと、最近、警視庁が消火器の訪問販売会社を詐欺の容疑で摘発した例もあるというふうに聞いております。したがいまして、こういう取り締まりを強化していただくのがまず第一に必要であろうと存じます。
 第二番目には、特に消防庁等がPRをよくされまして、そういうような義務はないんだ、義務があるかのごとくに偽って売りにくる者には注意をしろというPRをよくするということが大切ではなかろうか。それから消防庁は、消火器の販売会社、製造会社等につきましてはいろいろ行政指導がきくはずでございますから、そういうところにも強力に指導するというようなこと、そういうこと等をいろいろあわせてやっていくということではなかろうかと存じております。
#342
○藤井恒男君 最後にお願いですが、結局この種のマルチにしても、訪問販売、通信販売にしても、酷な言い方かもわからぬけど、消費者がだまされる。まあ失礼な言い方かわからぬけど、その意味において無知であるという面も私は否定できないと思う。したがって、本法ができたら徹底したPRをしていただきたい。知っておる者は本法に期待しておるし、遅いじゃないかという声もあるんだけど、この本法が動き始めておるということも知らぬ人の方がほとんどだと私は思うので、こういう法律がこのためにできたんだということを、十分ひとつPRしていただきたいと思います。
 終わります。
#343
○委員長(柳田桃太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#344
○委員長(柳田桃太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論はないものと認め、これより直ちに採決に入ります。
 訪問販売等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#345
○委員長(柳田桃太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 竹田君から発言を求められておりますので、これを許します。竹田君。
#346
○竹田現照君 ただいま可決されました訪問販売等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党の五党共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   訪問販売等に関する法律案に対する附帯決
   議(案)
  政府は、本法施行にあたり、訪問販売、通信
 販売及び連鎖販売取引の増加に伴う弊害の発生
 が問題化している現状にかんがみ、独禁法を始
 めとする現行法の活用をはかるとともに、次の
 諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一、本法の運用の徹底をはかるため、訪問販
  売、通信販売及び連鎖販売取引の実態の把握
  につとめるとともに、法違反の摘発に遺憾な
  きを期するよう体制の整備をはかること。
 二、本法に基づく政・省令の制定については、
  消費者の保護及び被害者発生の防止に万全を
  期すよう検討するとともに、訪問販売および
  通信販売の指定商品の指定にあたつては、従
  来の被害の実態に応じた適切な配慮を行うこ
  と。
 三、訪問販売、通信販売および連鎖販売取引の
  弊害を防止するため、消費者等に対する啓発
  と情報の提供につとめるとともに、訪問販売
  および連鎖販売取引のクーリングオフ期間経
  過後の契約の解除に際しての商品引取り問題
  等契約内容についても、紛争の未然防止のた
  め、適当な指導を行うよう留意すること。
 四、欺瞞的販売の未然防止のため、セールスマ
  ンの教育について強く業界を指導するととも
  に、セールスマンの処遇の改善について適切
  な指導を行うこと。
  右決議する。
#347
○委員長(柳田桃太郎君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#348
○委員長(柳田桃太郎君) 全会一致と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河本通産大臣。
#349
○国務大臣(河本敏夫君) ただいま議決をいただきました法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、万全を期する所存でございます。
#350
○委員長(柳田桃太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#351
○委員長(柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時二十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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