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1975/05/13 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 社会労働委員会 第4号
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1975/05/13 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 社会労働委員会 第4号

#1
第077回国会 社会労働委員会 第4号
昭和五十一年五月十三日(木曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     斎藤 十朗君     石本  茂君
     安田 隆明君     森下  泰君
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     森下  泰君     山本茂一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         戸田 菊雄君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                浜本 万三君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                小川 半次君
                鹿島 俊雄君
                神田  博君
                山本茂一郎君
                粕谷 照美君
                片山 甚市君
                栗原 俊夫君
                柏原 ヤス君
                沓脱タケ子君
                星野  力君
                柄谷 道一君
       発  議  者  柏原 ヤス君
   国務大臣
       労 働 大 臣  長谷川 峻君
   政府委員
       労働政務次官   石井  一君
       労働大臣官房長  桑原 敬一君
       労働大臣官房審
       議官       細野  正君
       労働大臣官房審
       議官       吉本  実君
       労働省労政局長  青木勇之助君
       労働省労働基準
       局長       藤繩 正勝君
       労働省職業安定
       局長       遠藤 政夫君
       労働省職業安定
       局失業対策部長  石井 甲二君
       労働省職業訓練
       局長       中原  晁君
   説明員
       総理府人事局参
       事官       石田  均君
       大蔵省主税局税
       制第一課長    大竹 宏繁君
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       国松 治男君
       厚生省社会局更
       正課長      金瀬 忠夫君
       運輸省海運局外
       航課長      富田 長治君
       労働大臣官房国
       際労働課長    森  英良君
       労働省職業安定
       局業務指導課長  望月 三郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○母子家庭の母等の雇用の促進に関する特別措置
 法案(小平芳平君外一名発議)
○身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用
 の促進に関する特別措置法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
○労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○労働問題に関する調査
 (派遣委員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(戸田菊雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十二日、斎藤十朗君及び安田隆明君が委員を辞任され、その補欠として石本茂君及び森下泰君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(戸田菊雄君) この際、石井労働政務次官から発言を求められております。これを許します。石井労働政務次官。
#4
○政府委員(石井一君) 昨年十二月の人事異動におきまして労働政務次官を拝命いたしました衆議院の石井一でございます。もとより微力でございますが、懸命に諸先生の御指導をいただきながらその職務を全ういたしたいと考えております。まことに時期おくれになりましたが、その機会がございませんで、ここに謹しんでごあいさつを申し上げる次第でございます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(戸田菊雄君) 母子家庭の母等の雇用の促進に関する特別措置法案を議題とし、発議者柏原ヤス君から趣旨説明を聴取いたします。柏原君
#6
○柏原ヤス君 公明党が提案いたしました母子家庭の母等の雇用の促進に関する特別措置法案の提案理由を説明いたします。
 ただいま議題となりました母子家庭の母等の雇用の促進に関する特別措置法案について提案理由並びに内容の概要を申し上げます。
 突発的な事故や不慮の災害等で主たる稼働者であった父や夫を失った母子家庭は四十八年度末で六十二万六千二百世帯を数えます。しかもこの数値は、交通事故、海難事故、労働災害など最近の発生状況にかんがみ、さらに増大するものと思います。
 これらの災害を未然に防止するための効果的な対策の確立は国民の強い願望であり、国がその施策の万全を図る責任のあることは言うまでもありませんが、当面の母子家庭の生活基盤の確立もきわめて重要な課題であり、一日たりとも放置できるものでありません。現在の母子家庭に対する遺児手当、母子福祉年金、母子福祉貸付金及び生活保護など社会福祉施策は十分なものでなく、また勤労婦人福祉法を初め労働法体系の中でも婦人労働について必ずしも十分な保護施策が講ぜられているとは認めがたい状況であり、母子家庭の実質的な生活水準向上の方策は閉ざされているといっても過言ではありません。
 母子家庭の母等が一致して要求するところのものは、みずからが労働することによって従前の生活水準を維持できる所得を確保したいということであります。しかし寡婦ゆえに資格や技能の取得は容易でなく、劣悪な労働条件や不安定企業に低賃金で労働することを余儀なくされている現状であります。さらに母子家庭の母親は、そのほとんどが中途で生計の中心者である配偶者を失っているため、幼い児童を抱えての長時間労働は困難であり、所得も低水準にならざるを得ません。
 この結果は、生活保護基準以下の生活を強いられ、児童の進学断念あるいは退学、休学など児童にとって好ましくないばかりか、国にとっても大きな損失となる事態を招いているのであります。
 まさにこのことは、最低生活と教育の機会均等を保障する憲法の理念にもとるものと考えるものであります。
 公明党はかかる事態にかんがみ、母子家庭の貧困防止と児童の教育権の確保のためには、その母親に安定した職場の供給こそが前提であると考え、社会福祉対策の一環として寡婦雇用を社会的に位置づけ、国及び地方公共団体等に対して優先的に雇用を義務づけることによって適正な職場と賃金を保障し、もって母子家庭の向上を図るものであります。
 以上が本法案提出の理由であります。
 次に、本法案の概要について申し上げます。
 第一には、母子家庭の母等について明らかにし、生・死別でなく現に遺棄状態にあるもの、夫が心身障害で労働能力を喪失している場合及び未婚の母等を含めました。
 第二には、求人の条件を定め、公共職業安定所の求人業務を明確にし、職業紹介に関連する施設整備について国の責務を規定しました。
 第三には、雇用率については政令で労働大臣が設定できることとし、雇用について国・地方公共団体は雇用率を上回る採用計画を作成することを義務づけました。さらに、任命権者に対し採用計画に基づく採用状況を労働大臣もしくは都道府県知事に通報することを義務づけることにしました。
 第四には、一般雇用主に対しても雇用率以上に母子家庭の母等を雇用することを規定し、雇用率未達成の事業所(常時百人以上の労働者を使用する事業所)には、公共職業定所が雇用計画作成を命ずることができることとしました。なお、雇用促進の効果を上げるため事業主に給付金を支給することとしました。
 第五には、母子家庭の母等である失業者に求職手帳の発給を受けた者に対し生活の安定のため手当を支給することとしました。
 第六には、雇用促進のため託児施設の整備及びその利用、労働時間等について政府、事業主に特別の配慮をするよう明記しました。
 以上が、本法案の骨子であります。
 何とぞ慎重審議の上、速やかに可決あらんことをお願いいたします。
#7
○委員長(戸田菊雄君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(戸田菊雄君) 身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。長谷川労働大臣。
#9
○国務大臣(長谷川峻君) ただいま議題となりました身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 身体障害者及び中高年齢者につきましては、先般来の不況の中で、その雇用の確保が大きな問題となっているところであり、また、今後におけるわが国の経済情勢と労働力の高齢化等を考慮いたしますと、これらの対策を抜本的に強化することが必要であります。
 まず、身体障害者の雇用対策の拡充強化につきまして御説明申し上げます。
 身体障害者の雇用対策につきましては、身体障害者雇用促進法による雇用率制度を中心として、その雇用の促進に努めてまいりましたが、同法施行以来十五年余を経過した今日におきましても、身体障害者の雇用の現状はいまだ十分ではなく、雇用率未達成の事業所は四割に近く、大規模事業所ほど雇用割合が低い状況にあります。
 このような情勢に対処するため、事業主に対する身体障害者の雇用義務の強化、身体障害者雇用納付金制度の創設等によって、身体障害者の雇用対策を飛躍的に拡充することとし、次のように身体障害者雇用促進法の一部を改正することといたしました。
 第一に、すべて事業主は社会連帯の理念に基づき身体障害者の雇用に関して共同の責務を有することを明らかにするとともに、身体障害者自身も職業人としての自覚を持ち、自立に努めるべきであるという原則を明らかにすることといたしております。
 第二に、身体障害者雇用率制度につきまして、現行の努力義務を改め、事業主は、雇用率以上の身体障害者を雇用しなければならないこととするとともに、重度障害者の取り扱い等についても改善を図り、あわせて身体障害者の雇用に著しく消極的な事業主を公表する制度を設けることといたしております。
 第三は、身体障害者雇用納付金制度の創設であります。すなわち、事業主間の身体障害者の雇用に伴う経済的負担の調整を図るとともに、君業主の身体障害者の雇用を容易にすることを目的として、雇用促進事業団が当面、三百人以上の労働者を雇用する事業主から雇用率未達成の身体障害者数に応じて納付金を徴収し、雇用率を超えて身体障害者を雇用している事業主に対して身体障害者雇用調整金及び報奨金を支給するとともに、身体障害者を雇用するために必要な施設、設備の改善整備等に対して各種の助成を行うことといたしております。
 第四に、労働大臣の認可により身体障害者雇用促進協会を設立し、身体障害者職業生活相談員の講習を初め、事業主に対する各種の指導援助、身体障害者職業訓練校の運営、身体障害者の雇用の促進に関する調査研究等を行わせることといたしております。
 第五に、精神薄弱者につきましては、その適職に関する調査研究等の推進に努めるとともに、職業紹介、適応訓練、納付金の減額、納付金による助成等の規定を適用することといたしております。
 以上のほか、身体障害者職業生活相談員の選任等身体障害者の雇用の安定に必要な所要の措置を定めることといたしております。
 次に、中高年齢者の雇用対策の拡充強化につきまして御説明申し上げます。
 中高年齢者の雇用対策につきましては、最近の厳しい経済事情のもとで、特に定年前後の高年齢者の再就職が困難となっており、また、高齢化社会の急激な進展に伴い、わが国の高年齢労働力人口は今後急速に増大すると見込まれ、これら高年齢者に安定した雇用の場を確保することは雇用対策上の最大の課題となっております。
 このため、高年齢者については、当面六十歳までは定年延長の促進等により雇用の維持に努めるとともに、六十歳から六十五歳までは定年後の再雇用を含めて再就職を促進することが必要であると考えられますので、これらについての助成措置の充実を図る一方、高年齢者雇用率を定めて事業主の自主的努力を促すこととし、次のように中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正することといたしました。
 第一は、高年齢者雇用率制度の創設であります。労働大臣は、企業における高年齢者の雇用に関し高年齢者雇用率を設定することができることとし、事業主は、高年齢者雇用率以上の高年齢者を雇用するように努めなければならないことといたしております。
 第二に、高年齢者雇用率の達成を図るために、労働大臣は、雇用率未達成の事業主に対し、雇用率達成に関する計画の作成を命じ、また、その適正な実施について勧告することができることとするとともに、特に必要がある場合には、高年齢者の雇い入れその他高年齢者の雇用の安定に関して必要な措置をとることを要請することができることといたしております。
 第三に、中高年齢者の適職として選定した職種につきましては、中高年齢者の雇い入れを促進するために、事業主等に対して必要な指導を行うことといたしております。
 以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#10
○委員長(戸田菊雄君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○粕谷照美君 私は、ただいま提案をされました身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案が、私ども社会党が常に主張してまいりましたことが一応盛り込まれているという立場から、賛成の意味を込めて質疑をいたしますが、その中でも私が質問いたしますのは身体障害者雇用促進法に関する件でございます。障害者が今日抱えている生活問題は、医療、教育、労働、社会保障、福祉、住宅、交通など生活全般にわたっておりますが、雇用問題はきわめて切実な問題だというふうに考えます。障害者の雇用は、高度経済政策のときにもよくなかったわけですが、減速経済のもとにある今日の雇用情勢はまた非常に厳しく、本年一月の完全失業率は百二十四万、二月が百二十五万、有効求人倍率は一月で〇・五八、二月で〇・六二、三月で〇・六八と、健常者でも十人のうち六人程度しか就職できないということが統計の上に載っております。
 そこでお伺いするわけですが、最近の身障者の雇用の実態はどうであるかということと同時に、そういう雇用実態の中で、今度出されております法案が障害者雇用にどの程度の効果を上げるというふうに見込んでいられるかということをお伺いいたしたいと思います。
#12
○説明員(望月三郎君) 十八歳以上六十五歳未満の身体障害者は八十八万人でございますが、そのうちの就業者は五十三万人でございまして、就業率は六〇%となっております。これを一般の就業率七一%と比べますと、かなり低い現状にございます。さらに、重度の身体障害者の就業率は四五・一%と相当低くなっております。また、その就業形態を見ますと、常用雇用者の割合は四六%でございまして、一般の常用雇用者比率の六三%と比べますとやはり低くなっておりまして、不安定な雇用が多い状況にございます。公共職業安定所におきます身体障害者の職業紹介の状況を見ますと、昭和五十年一月から十二月までの間で求職申し込み者が約四万三千人となっておりますが、この間に就職した者は約二万一千人となっております。
 そこで、後段の御質問に対するお答えでございますが、現行の身体障害者雇用促進法の制定施行以来、身障者雇用率制度に基づく事業主に対する雇用の勧奨だとか、あるいは各種助成措置の実施等によりまして身体障害者の雇用の状況は逐年改善してきているところでございます。しかしながら、今後、わが国の経済が安定成長に転換いたしますと一般的には雇用機会の大幅な増加を期待することは非常にむずかしい状況でございまして、身体障害者の雇用もしたがって厳しい状況になると考えられるわけでございます。このような情勢にあっても、さらに雇用状況の改善を図るために身体障害者雇用義務の強化と納付金制度の創設を中心といたしまして今回の大幅な法改正を行うこととしたわけでございます。これらはいずれも大きな制度改正でございまして、この適正な施行を図ることによりまして身体障害者の雇用は相当に促進されるというように確信をしておるわけでございます。
#13
○粕谷照美君 相当に確信をされるからこそこの法律を出したというふうに思いますけれども、いまの御説明で、私は、障害者の雇用が一応の前進を見つつあるということは非常に喜ばしいことだというふうに思います。けれども、率の面だけで本当にこの雇用状況が前進をしたのかといえば、内容的にはまだまだ貧弱なものがあるわけで、ぜひとも、そういう意味では、もっとこの面についての努力を重ねていかなければならないという立場に立つわけですが、この障害者の雇用を大幅に伸ばすためには、これまでのような企業サイドに立脚した身体障害者雇用の考え方を抜本的に改めていかなければならないというふうに考えるわけです。つまり、身体の障害者を人間として扱うという行政がこれまで以上に強く推進をされなければならないと思うのですが、労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。そして、あわせて、こういう状況をつくり出してきたというのも、深く考えていきますと、こういう世の中をつくり出してきた、つまり教育というものに非常に大きな問題点があったんではないかということを考えないわけにはまいりません。それで、きょうは文部省の方にも来ていただいておりますが、教育の面から障害児の能力をどのように全面発達をしていくように保障していくのか。文部行政としてそれに対してどのように取り組んできたのか。
 あわせて、養護学校の卒業生の就職率が非常に悪いということが報道をされておりますけれども、そういう面に関して、雇用に関して文部省の立場から大きく要請をすることがないのかというような面についてお伺いをしたいというふうに思います。
#14
○国務大臣(長谷川峻君) 先生がこのたびの法案について非常に御関心あるいは賛成の立場からいろいろ御批判をいただきますが、まず第一に、何と言いましても、私は十五年前にこうした法律ができましても、いままでは公表制度というふうなものなども通じながら、公表すること自体が目的じゃなくして、それを通じながら、事業主に雇ってもらう努力義務でございました、努力義務。今度はこれを義務づけたわけでございます、義務づけたわけです。そしてまた何と言いましても御本人が自立していくんだと、自分も健常者と一緒に働くんだと、こういう気持ちをいままでも持ってもらいましたけれども、いまから先も持ってもらう。そしてまたおっしゃるように、賃金の面などにおいてこれは多少割りの悪いところがあれば、それはやっぱり訓練などによって、いろんな訓練などによって健常者と伍し、ある場合にはぬきんじている人もありますから、そういうふうな場所をつくってやりたいというところに私たちは考え、しかも減速経済のときでございますから、こういう法律をつくることによって国民連帯の気持ちを大きく出すことによってさらに雇用関係というものを前進してまいりたいと、こう思っておるわけであります。
#15
○説明員(国松治男君) 心身障害者に対します理解の促進ということにつきましては、私どもは非常に気にいたしておるところでございます。単に心身に障害を持つ者の教育を進めるということだけでなくて、たとえば特殊学級あるいは盲・聾・養護学校と普通学級の子供と交流をするというふうなことで理解を進めていくというふうなことも現場の方に考えてもらえるように指導をいたしておるところでございます。
 心身障害者に対します教育といたしましては、私ども基本的には障害の軽い子供は普通学級で、重い子供につきましては盲学校、聾学校、あるいは養護学校で、まあ、いわばその中間といいますか、少し配慮が要るというふうな子供につきましては小学校、中学校の特殊学級で教育をしていくというふうな考え方でおるわけでございますが、それぞれの特殊学級あるいは盲学校、聾学校、養護学校の中で行います教育は基本的には小学校、中学校、高等学校の教育に準じながら、一方において障害を克服して社会に自立していくというふうなことを養うためにいろいろ工夫をいたしておるわけでございます。障害を克服するというふうな意味では、この前の学習指導要領の改正で養護訓練というふうな領域を設けまして、それは単に機能訓練、運動訓練というふうなことだけではなくて、心理的な適応というふうなことも含めて指導していくというふうなことを考えておるわけでございまして、今後ともそういう方面で心身障害者の教育が真にその者の実態に合ったものになりますように、さらに充実を続けていきたいというふうに考えております。
 それから、先生御質問のございました雇用率でございますけれども、養護学校を卒業いたしました者がどういうふうに就職をしていくかということにつきましては、学校基本調査でも数字が出てくるわけでございますが、現在は、発表されておりますのは四十八年度の学校基本調査が発表されておりますけれども、それによりますと、これは御案内のとおり、養護学校には中学部と高等部とあるわけでございますけれども、中学部を卒業いたしまして就職する者というのは四十八年度で二〇%という数字になっております。それから高等部を卒業いたしまして就職する者は六一%というふうな数字がございます。ただ、この四十八年度だけを見るわけではございませんで、それよりも前の数字と比較をしてみますと、中学部につきましてはだんだん高等部の方に進学をしていくというふうな数字が高くなってきておりまして、で、四十四年の数字が手元にございますので、それと比較をいたしてみますと、四十四年の中学部の卒業生の就職率は三七・四五%でございますので、就職率としてはむしろ四十八年の方が落ちておる。そのかわりに進学者は四十四年度三六%に対して四十八年度は五七・二七%というふうな形になっております。私どもの方はこれに対しては高等部の方の充実というのを考えていかなければいけないということで、すでに毎年養護学校の新設とともに高等部も増設されつつあるというふうな状況でございます。で、高等部の卒業生の就職率につきましては、同じく四十四年度の就職率を見ますと、六二・〇六%というふうな数字でございますので、まあ余りこの限りではそう変わっていないというふうに見ることができます。しかしながら、私ども今後かなり考えていかなければならないというふうに思っておりますのは、御案内のとおり、養護学校に入ってきております子供たちの障害の程度がかなり重度化し、あるいは長期化してきておるというふうなことでございまして、単に就職ということだけではなくて、そういう重い子供たちに対してどうして生きがいを持たせて社会参加をさせていくかというふうなことを、これは労働省あるいは厚生省と、関係のところとも御相談を申し上げながら対処をしていかなければいけないというふうに考えておるところでございます。就職の数字等を申し上げましてお答えをいたした次第でございます。
#16
○粕谷照美君 私は文部省にお伺いしたいわけですが、ことしの文部省の方針といたしましても、養護学校がない県というものをなくしていきたい、つまり、そういう子供たちもちゃんと教育権を保障するのだという考え方に立っていらっしゃる、そのこと自体は大変いいことだというふうに思います。けれども、昭和四十四年の特殊教育総合研究調査協力者会議の報告の中にもありますけれども、そういう障害を持った子供たちが普通児とともに教育を受ける機会を多くすることというのがありますね。先日のNHKの中にも、NHKのドキュメンタリーの中でも、全盲の子供が普通学校に入ったというのがずっと報道されておりまして、大変な感動を私の周囲の人たちも漏らしておりましたけれども、そういうふうに障害を持った子供たちもできるだけ一般の人たちの中へ入って教育を受けたい。そういう中で人間としての自立心が養われていくというふうに思うわけです。労働大臣がおっしゃったように、障害者も職業人としての自立心を持つ以前に、まずその幼児から、自立をするという精神をつくるためには、一般の人たちと、一般の子供たちとともに勉強するという中から私は養われるのではないかというふうに思うわけです。先日も大阪の豊中市に行って、豊中の小学校の中でそういうすばらしい実践をしていらっしゃる先生方ともお会いしてきましたし、その実践も見てまいったような次第でございますが、そういうことを積極的に推進をしていこうというお考えがないか。つまり、隔離をしてそういうものはそういう人たちだけで教育をするということが常識になってまいりますと、たとえば労働災害に遭ったような人たちは、一定の部分にそういう障害者だけを集めて作業をさせる、あるいは福祉住宅なんかといって障害者だけが集まるような住宅をつくるというようなことがあたりまえになってくる。そういうことでは健常者は障害者に対するいたわりとか、そういう障害者がいることがあたりまえなんだという、そういう社会通念というものが持たれなくなるんじゃないかという気持ちがするものですから、基本的な考え方をお伺いしたいと思って聞いたわけです。
#17
○説明員(国松治男君) 先ほど申し上げましたことと重複するわけでございますけれども、私ども基本的には障害の種類、程度に応じてそれぞれ、あるいは小学校普通学級あるいは特殊学級あるいは盲学校、聾学校、養護学校というふうなところに就学すべきであるというふうに考えております。そうして、それぞれの教育の場においてその子供に合った配慮をしながら教育をしていくのが最もいいのだというふうに考えております。ただ、個々の子供につきまして、この子供をどこのどういった教育の場において教育をするのが一番いいのかというのはかなりむずかしい判断の問題がございます。そこで私どもの方は、教育委員会にあるいは心理学者あるいはお医者さん、そして教育の関係者が集まった就学指導委員会というふうな名前で呼んでおりますが、そういった多人数の専門家による委員会をつくって、そこの判断に基づいてその子供の就学すべき場を決めていくというふうなことでなければいけないのではないか、こう考え、指導をしておるところでございます。ただ、それで就学をしたからもうそれですべてが終わったというふうに考えておりませんで、先ほども申し上げましたけれども、それぞれの教育の場にあって十分配慮された教育が行われるとともに、たとえ特殊学級あるいは盲学校、聾学校、養護学校に入りましても普通の小学校あるいは中学校の子供たちと交流をするというふうなことは十分積極的に構えていかなければならないということを指導しておるところでございます。
#18
○粕谷照美君 どうも納得がいきませんが、きょうは法律についての質問ですから、まあ、その程度に一応とどめておきたいというふうに思います。けれども、もう一つ文部省の方からお答えをいただきたいと思ったのは、その養護学校の卒業生のみならず、そうやって卒業した子供たちの就職についてのこの指導の面で、何か労働行政に対して、あるいは職業指導に対しての要望というようなものがありませんかということについてはまだお答えいただいていないように思います。
#19
○説明員(国松治男君) 先生御案内かと思いますけれども、たとえば視覚障害者につきましては、いままであんま、はり、きゅう関係の仕事がほとんど九〇%の職場というふうなことで確保されておりました。それから聾学校の卒業生につきましては、木工とか金工とか、あるいは印刷だとか陶芸だとかいうふうな職業につく者がかなり多かったというふうなことがございます。で、養護学校につきましてはまだ歴史も浅いというふうなことでございまして、どういう仕事が適職であるかというふうなことにつきましてはなかなか決めがたいわけでございますが、何が適職であるかというふうなことにつきましては、たとえば労働省の方では職業訓練所もやっていただいておりますけれども、そういったところの傾向等とも見ながら教育の方でも考えてまいりたいというふうに思っております。しかしながら、学校の場では一番気にいたしておりますのは、子供たちが職場に出ていったときに、その職場の人たちと一緒になってその仕事に専念できるというふうないわば態度づくりといいますか、というふうなことが非常に必要なんです。で、すでに雇用いただいております職場の方からでもそこにずっと定着をしてやっていく、仲間とうまくやっていくというふうなそういう態度づくりを十分考えてもらいたいというもうな御要望もいただいておりますので、私どもの方ではいわば職業意識といいますか、そういうふうなものを中心に養護学校の先生方の進路指導をお願いしておるわけでございますが、やはり適職――将来どこにつくかということも現場の先生が非常に心配をいたしておるところでございまして、すぐにこういうものが適職だと言い切れないわけでございますが、それぞれの子供の実態に合ったものを労働省とも相談をさせていただきながらなお研究をしてまいりたい、このように考えております。
#20
○粕谷照美君 私は文部省は非常に弱腰だというふうに思うわけですよね。一般の人たちと一緒になって仕事ができない、一緒になって仕事をするようにしてもらいたいと、こう要望があるのであれば、なぜ一緒になって勉強ができないのだろうか、ここのところをひとつ基本的に考えていただきたいということを要望します。
 第二に、視覚障害者に対してはあんま、はり、きゅうだけだ。これはもう何年間あんま、はり、きゅうだけなんですか。もっと適職を労働省としては大きく広げるように開拓をしなさいというような要望を、大きく声を上げてもいいんじゃないかというような気持ちがいたしますので、ひとつ十分御審議をいただきたいということをお願いいたしまして文部省に対する質問を終わります。
 では、次に移りますけれども、企業の側に社会的連帯感が強くて、障害者に対しては理解があって雇用が促進されているということであったら今回の法律改正は必要がなかったというふうに思うわけです。
 で、この法律案の第二条の二に「事業主の責務」の規定を設けた趣旨、これ、経営者のこれまでの身障者に対する考え方を改める必要があるというような考え方で出したのかという基本的な質問をいたします。
 そしてまた、「事業主の責務」の中で、障害者の「その有する能力を正当に評価し、」というふうにありますけれども、私はその障害者の持っている能力が本当に正当に評価をされているというふうに思っていないんですね。この辺のところは具体的にどのようにしたならば正当に評価をされるというふうにお考えになっているのか。
 それからまた、最近労働界においては非常に管理が強化されているというようなことを労働組合なんかでもいろいろなところから声が上がってくるわけですけれども、この文言の中にも、「適正な雇用の管理」という言葉が入りますと、何か障害者にとってはすごく監視をされるような、管理をされるような、そういう恐ろしい気持ちを受けないわけでもありませんから、具体的にこの「適正な雇用の管理」ということはどのようなことなのかということを説明をしていただきたいし、また社会連帯の責任というのは大変美しい言葉であるます。精神規定としては非常にいい言葉だというふうに思いますけれども、具体的に社会連帯というのはどういうことを意味するのかということについてお答えください。
#21
○政府委員(遠藤政夫君) 先ほどから先生お話しになりました身体障害者、その中でも養護学級のお話がございましたけれども、こういう人たちの職業問題、社会人として自立させるためにどうしたらいいのか、全く私は先生の先ほどの御指摘の点と同意見でございまして、感銘を覚えておるわけでございます。昨年アメリカから来日されましたビスカルディという身体障害者の方がおります。この人が言われておられるのは、要するに世の中に無能力者はいない、身体障害者といえども無能力者じゃなくて、そういう身体障害者が平等に扱われないということに対して非常に大きな抵抗を感ずるということを私に話をされたことがございます。私どもはこういった、いろんな意味でしわ寄せを受けておられる、職業人としても不当に差別をされがちな身体障害者の雇用をどうしていったらいいかということで、昭和三十五年にこの身体障害者雇用促進法ができて以来、先ほど御答弁申し上げましたように、身体障害者の雇用ということは飛躍的に向上してまいったとは考えておりますけれども、いまお話しになりましたように、必ずしも十分でございません。昨日、私のところに、今回の叙勲を受けられましたシャープ電機の社長早川さんがお見えになりました。このシャープ電機ではもう二十数年前から身体障害者だけを集めた工場をつくられて、そこで一般の人以上に能率を上げながら、賃金も高い賃金を取りながらそういった施策を進めておられる方で、私当時大阪に在勤中に、身体障害者の雇用の場を確保するためにどうしたらいいかという率先して協議会をつくりながら業界に対して働きかけてこられた人でございます。こういう人たちがたくさんいらしゃいますけれども、全体として見ますと、身体障害者を雇っております企業、事業主の方々は、そういう一部の人を除きますと、大抵の人は同情といいますか、気の毒だから雇ってやる、雇えと言われるから仕方がないから雇う、こういうケースが多いようでございます。たとえば昨年私どもやりました雇用率を達成していない企業を公表する。そういうことになると社会的にもどうもぐあいが悪いからということで、それは動機はどうあれ、結果がよければいいわけでございますけれども、いまお話しのように、雇ってはみたものの必ずしもその人の能力を十分評価して使っているということでなくて、ただ雇っていればいいということでは困る、こういうことがあるわけでございます。そこで、私どもは、現行法ではいま御指摘になりましたような第二条の二の「事業主の責務」とか、あるいは身体障害者の「職業人としての自立」とか、こういった規定は何もございません。まあ簡単に言えば、とにかく雇ってください、雇ってもらえばいい、身体障害者の雇用率が上がればいい、こういうこと。そういう言い方はちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そうではなくて、身体障害者も一般の健常な人と同じように社会人として職業人として職場を与えられる。それは企業の、事業主のいわゆる社会連帯に基づく共同の責任である、こういうことを明確にしよう、つまり身体障害者を雇ってもらう事業については――これは企業で雇ってもらわなければどうにもなりません。しかしその場合、それはいわゆる社会救済とか哀れみとか同情とか、そういうことでなくて、こういう人たちを社会人として、職業人として正当に評価して、それの雇用の場を確保してもらう、こういうことは企業に対して私どもが要請しなければならぬし、同時にこれは企業の共同の責任であるということを明確にいたしたわけでございます。と同時にもう一つは、いままでややもしますと身体障害者の人たちも、自分たちが身体に障害を受けたのは自分の責任じゃなくて、国の責任だ、社会の責任だ、だからわれわれに職場を確保するのは国の責任だ、賃金も国が保障しろということを間々言われることがございますけれども、私は身体障害者の人たちが自分たちの持っている能力をさらに一層向上さして、一般の健常者に劣らないよう職業能力を身につけてもらって、それによって職業人として自立をしてもらう、安定した職場を確保してもらう、こういうことがやはり大事だろうと思います。企業のそういう責任と身体障害者の自身の努力、自立心を明らかにしていただく、こういうことでこの第二条の二と第二条の三と、この二つの条項を新しく入れて、この基本的な考え方に立ってこれからの身体障害者の雇用の問題を本格的に抜本的に改めていく、進めていきたい、こういう考え方で今回の改正案を提案いたしたわけでございます。
#22
○粕谷照美君 管理の問題適正に管理する……。
#23
○説明員(望月三郎君) 御質問の適正な雇用の管理の具体的な中身でございますが、これは身体障害者が持っている適性といいますか、適性だとかあるいは普通の言葉で言いますと、能力というようなものに即して、そして適正な職場の配置をする、あるいは適正な人事管理をするという意味で使っておるわけでございます。
#24
○粕谷照美君 基本的な考え方は大変すばらしいものだというふうに思いまして、ぜひいまの御答弁のありましたような態度で企業主が身体障害者を雇うことは当然のことなんで、義務感で雇うんだというものではないんだ、哀れみで雇うんではないんだ、やっぱりわれわれが一緒になって社会をよくする仲間なんだという考え方で雇用をしていくんだという、そういう姿勢をきちんと貫けるような労働行政、指導体制をつくっていただきたいという要望と同時に、私はこの二条の三項に職業人としての障害者の自立の努力規定というものが入っていることについては若干の不満を覚えるものです。なぜかならば、それは障害者の雇用促進法、障害者を雇用するという促進法の中に雇われる側の人の精神規定を入れる必要はない。そういうものをことさら入れる必要はないんじゃないかというふうに思うわけですから、健常者の部分と同じにそのまま使っていいんではないかというふうに考えます。それは障害を持つ者が適応できないという社会の欠陥を放置したままで既成の価値尺度に当てはめようという意識の方が先行しているような、そんな感じを持つんです。しかし、そういうことでなければこれは幸いで、私のこれは感じだというふうに御理解をいただければ結構です。
 次に、先日参議院の社会労働委員会の調査室からいただいた資料をずっとはぐっておりましたら、身体障害者の雇用別状況を企業別、産業別に見て現行の一・三%の法定雇用率未達成は全体で三六%に及んでいるというようなことが出ておりました。その中身は大企業ほどその割合が高いということが出ておりますが、産業別では一体どういうところが具体的に悪いのかということを教えてください。それと同時に、この法律案は雇用率の低い企業規模三百人以上を対象にしているということはよいとしても、第十四条の第四項に努力義務から法的義務になったことによって、これら大企業の未達成の企業が雇用率を上げるというふうに見ていらっしゃるか。大臣、御説明では自信を持って御提案をされているようでありますけれども、本当にこれで大丈夫なんだろうかという危惧を持たざるを得ませんので、お伺いしたいと思います。
#25
○政府委員(遠藤政夫君) いま御指摘になりましたように、昨年からこの一年間で民間全体の雇用率が一・三からたしか六ぐらいだったと思いますが、かなり向上してまいっております。しかしながらその中身を詳細に見ますと、いまお話ございましたように中小企業が主としてこの雇用に非常に熱心である、その半面大企業が未達成の企業がかなり多い。それから産業別に見ますと、金融、保険、商業、サービス、こういった部門がほかの産業より、ほかの業種に比べまして雇用率が低い、こういう実態でございます。私どもはこの新しい法律で従来の努力義務を法的な雇用義務に、強制的な義務に改めたわけでございますけれども、それで一体果たして本当に効果があるのかということかと思いますが、昨年の初めに各方面の御意見を伺いながら特に大企業重点にしましてこの雇用率の達成を要請いたしました。で、雇用率の達成状況は悪いところ、またその努力の跡が見られないところ、こういったところについては公表しますぞということで、昨年の十月の時点で調査をいたしまして、十二月に公表したわけでございます。この公表の問題を取り上げて各企業に要請をいたしましたこの約七、八カ月の間に、いま申し上げましたたとえば金融、保険業、銀行等あたりではかなり積極的な努力がなされまして、相当な効果が上がってきている。こういうことから考え合わせますと、今回の雇用義務を強化したこと、あるいは雇用計画、採用計画をつくらせるあるいは公表制度を法定する、さらに納付金制度をとることによりまして負担の調整を図り、あるいは助成措置を拡充する、こういったことによりまして、いままで以上に私どもはこういったいままで比較的雇用率の低かった業種あるいは大企業につきましても効果が相当上がるのではないか、こういうふうに確信いたしているわけでございます。
#26
○粕谷照美君 いまのお答えで私はこの公表制度は企業のイメージダウンにならないというふうに大企業の方で思っているんじゃないかと推測していたわけですが、大変まあ効果があったということでは非常に喜んでいるわけです。ところで、民間企業に義務を課して雇用率の特に低い企業名を公表した政府ですから、当然率先して身障者雇用率を達成していなければならないというふうに思うわけですが、参議院の決算委員会でも明らかになりましたように、肝心かなめのところが問題点があるようですね。それで、先ほど申しましたこの調査室の資料によりますと、いわゆる数字としては達成されているんですね。官庁ということでの数字は達成されております。しかし、官公庁一本の統計でつじつまを合わせたのではないかという気持ちがするわけです。数字というのはやっぱりマジックがありまして、統計というのは。だから、その統計の最後にあらわれた数字だけを見て、ああ、これは政府はやっぱり率先してやっているんだ、だから、民間にもこうやって強いこと言えるんだというふうに思えるかというと、内容ではそうではないんではないかという気持ちがいたしますので、具体的にその未達成の官公庁の名前、それからそういうような官公庁がありましたら、一体これからはどういうふうにしてやっていくのかあるいはもう新聞なんかでも報道された以降、積極的に努力をなさったかもしれませんので、その辺の実情なんかもお伺いいたしたいというふうに思います。
 それから大臣に対しては、こういうようなことで胸を張って地方だとか、企業に対して大臣としてちょっと号令がかけずらいというふうに思いますので、その辺の御決意をお伺いしたいと思います。
#27
○国務大臣(長谷川峻君) 国の行政機関これは私はときどき閣議でしゃべっているんです。発言しているんです。あなたのところはどうも達成してないぞというふうなことを一つ一つの役所に向かっても言うておりまして、そんなことなどが行政機関で約一万一千名身体障害者が雇用されているという実態になってきていると思っております。
 なおしかし、私たちの調査によりますと、役所によっては公安調査庁、これはまだ二十九名足りません。沖繩開発庁九名、自治省三名、消防庁二名、内閣法制局一名、こういう具体的数字が出ておりますので、そういうところにはこんな数字になっているぞということを申し上げながら実は推進しているわけであります。
#28
○政府委員(遠藤政夫君) 私どもは全体の数字が達成しているから、――まあ全体の数字を申し上げますと、政府関係機関では非現業で一・七%、現業で一・六%、これは全体で、マクロで言いますともう十分達成して上回っています。しかしながらその中で、いま大臣からお話ございましたように、幾つかの機関につきましてはむずかしい問題はあるかと思いますが、未達成のところがございます。それにつきましては、事務当局としましてもそれぞれ担当の責任者に雇用勧奨方を申し入れしておりますし、大臣からお話ございましたように、閣議の席等で大臣からも直接お話をしていただいております。
 実は昨年来問題になっておりました、たとえば郵政省でございますが、これは大口ではかなり下回った一番大口の官庁でございましたけれども、これは昨年来郵政省にも非常に努力をしていただいて雇用率を達成したというような状況で、私どもは全体のマクロの数字がよくなっているからその陰に隠れた一部のものをごまかしているということでは決してございません。もちろん、国、地方公共団体、都道府県は民間に率先してこの雇用率を達成しなければならないという趣旨を十分体しながら実践を進めておるわけで、その上に立って民間にこの雇用義務の強化をし、新しい制度によって身体障害者の雇用を一層進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#29
○粕谷照美君 それでは、私は資料を要求したいと思いますけれども、その具体的な省庁名と数字ですね。それとあわせまして重度者がそういう官公庁にどのような形で入っているのか、どのようなポストについているのかということについての資料もお願いをしたいと思います。
 それから、先ほど御答弁がありましたように、公表したところが大変雇用率が伸びたという、この資料もあわせてお願いをいたします。
#30
○政府委員(遠藤政夫君) いま御指摘のありました資料、できるだけのものは提出いたしますが、たとえば官公庁で重度障害者がどれくらい雇われているのか、どういう職場にいるのか、これは実は調査がございませんので、資料として差し上げることはむずかしいかと思います。
 それから、昨年二月に公表いたしますということを公表したことによってかなりの効果が上がったということでございますが、公表いたしましたのは昨年の十二月でございますので、公表された企業はその後どうなっているか、その調査結果がございませんで、これも資料として御提出いたすわけにはまいりません。
#31
○粕谷照美君 それでは、先ほど伸びたということはどうも当たらないじゃないんですか。推測として伸びたんであって、実態として伸びていないんじゃないですか。
#32
○政府委員(遠藤政夫君) そうではございませんで、昨年の二月にことしの十月現在、つまり昨年の二月に、昨年の十月現在で調査の時点までに、その時点で調査した結果悪いところは公表しますぞということを二月に公表したわけです。二月の時点で、たとえば先ほど申し上げました銀行とか商業部門、サービス部門だとか、そういった悪いところがその十月の調査の時点ではずっと伸びてきた、こういうことを申し上げたわけでございますので、そういった業種別の数字はございますから、これは資料として差し上げます。
#33
○粕谷照美君 じゃ、そちらの方はよろしいですけれども、重度者が官公庁にどれだけ雇われているかというのは調査してないから出せませんじゃなくて、これから調査をされればいいわけですから、そんなに大変なことでもないんではないかというふうに思いますので、ぜひ出してください。これは日にちは切りませんから出していただきたいと思います。
 いまの重度者の問題についてですが、重度者の雇用については重度者一人を軽度者二人とみなすということになっておりますが、これでどの程度の効果が見込まれるのですか。私はこういう対策が効果がないとは思いませんけれども、あわせて適職に関する調査研究というものを早急に推進する必要があるというふうに思っております。特に最近問題になっておりますが、サリドマイド児がいま高校生ですね。もう卒業後の就職については大変な不安を持っているわけです。後天的に両手――いろいろな部分がなっているんじゃなくて、先天的にそういうものを持っている子供たちに対する職業の指導とか選択というものは大変狭められているんじゃないか、また困難なんではないかというふうに思いますので、その状況を深刻に受けとめて、まず職業開発を急いでいただきたいというふうに思うわけですし、また雇用率も等級別に改めて、脳性麻痺者だとか、あるいは歩行不能者というような人たちの部分も盛り込めるような、こういう指導が行われないものかどうかということについてお伺いをしたいと思います。
 労働省の昭和三十年のこの資料によりますと、適職に関する調査研究の推進というので、非常に少ないんですね。そういうような人たちは寮や寄宿舎の管理人だとか、案内係だとか、計量係だとか、守衛だとか、四つぐらいにしかありませんし、それから六年たった三十六年の報告では、コイル巻き線工だとか、あるいは音響検査工だなんといって限られたものになっているわけですが、この辺の努力はしていただけるんですかどうですか。
#34
○政府委員(遠藤政夫君) 確かに重度障害者につきましては、現在もたとえば雇用奨励金で一般の障害者と重度障害者に対しましては特別に手厚くしている、こういうこともございますし、今回の雇用率なりあるいは納付金によります助成措置等におきましても重度障害者に対しては特にきめ細かく手厚い措置をとる考えでございます。このことだけで十分だとは考えておりません。そういった点は十分この法律の施行について配慮をしてまいりたいと考えております。
 と同時に、いま調査研究の問題でございますが、適職の研究につきましては、職業研究所その他でもあるいは職業訓練の面でどういった職種がいいのか研究は進めてまいっておりますけれども、御指摘のように必ずしも十分な成果が上がっているとは申し上げるわけではございませんが、私どもはこの新しい法律の中でも助成措置の中でこういった適職なり教育訓練の研究につきましても、いままで以上に飛躍的に拡大するような方途を考えておるわけでございます。今後そういった重度障害者を重点にこういった適職の開発研究あるいは教育訓練等の面で十分措置をしてまいりたいと、かように考えております。
 それから、いま御指摘のありましたサリドマイド児の問題でございますが、私どもはこのサリドマイド児の問題が解決されまして年金が支給されることになったとたしか記憶しておりますが、こういう人たちが年金を支給され、単にそれが生活費でなくて、こういう人たちが高校を出て、それから、じゃ、どういう職業につくのか、これから教育訓練をするのかということでなくて、少なくとも高校に進学した時点ぐらいからその人の適性に応じて一体この人はどういう仕事を、将来社会人として独立する場合に仕事につくのが適当であるか、そういった判定をして、むしろ教育の段階で職業教育をもう少し重点的にやってもらえないのかということを文部省に申し上げたことございます。たとえて申しますと、あるいは手足が不自由であっても語学の能力の達者な人については翻訳の仕事をするとか、そういった面の教育を重点的にやって、そういう仕事をしてもらうような教育をする、あるいは数理的な才能のある人は、たとえばいまのコンピューターのプログラマーとか、そういう仕事に向くような、高等学校の過程ですでにそういう準備を進めていく、こういうことをしていただければ、高等学校の一般普通課程を卒業して、それからさて何をやろうか、どういう仕事を教育訓練したらいいのかということでなくて、むしろそういう考え方はできないものか。私ども常々そういう考え方をとっておりまして、そういう点もあわせて、これからの適職の開発研究なり、あるいは先ほど指摘されておりましたような養護学級の対象者のような人たちの職業人としての訓練、教育をどうしたらいいのかという点につきましても十分検討してまいりたいと、かように考えております。
#35
○粕谷照美君 では、ぜひそれは一生懸命に取り組んでいただきたい。特に文部省との関連を重視をしてやっていただきたいというふうに思うんです。それは私がことし日教組の教研集会の障害児教育の分科会に出ましたところが、関西の「青い芝」の脳性麻痺のグループの人たち、本当に若い人たちですけれども、養護学校でおれたちは差別教育を受けたといって研究会に来ていらっしゃる先生方に対して食ってかかっているわけですね。私はそういう問題が教え子と教師の間にできるということは非常に残念なことだというふうに思います。しかし、それだっていまの教育体系の中ではやむを得なかったことだというふうに思いつつも、そういうことを今後どのように打開していくかという努力が具体的に行われていかなければ本当の実効が上がらないんではないかというふうに思うからです。
 次に、第八十条に入りますけれども、「解雇の届出」のところで、事業主が身障者解雇に際して労働省令によって届け出が必要だということ、これはわかりますけれども、事業主が解雇をする場合にはその届け出が必要なんですけれども、逆を言いますと、自己都合で退職した場合の報告は不必要ということになりますか、そういうことになりますと、この場合八十条の二項で、求人開拓、あるいは紹介、そして雇用率達成というものとはどのような関係になりますか。
#36
○説明員(望月三郎君) 法律上のお尋ねの点でございますが、「労働者の責めに帰すべき理由により解雇する場合」と、「その他省令で定める場合」と書いてございますので、「その他」の中には自己都合で退職をする、いわば任意退職の場合はあり得る規定でございます。これは雇用義務を事業主に課しておるわけでございますので、たまたま労働者本人の意思によって退職した場合になおかつ届け出をさせるというのはやや事業主にとって酷であるという考え方でございまして、その場合に雇用率が自己都合の退職によって割るような場合には、もちろんこれは雇用率不達成という状態になるわけでございますが、しかし、その場合も雇用率不達成だといって事業主に法律的に責めを負わせるというのは酷であるというように考えておりますので、できるだけ速やかな機会に雇用率を達成するような形でもちろん私どもとしては努力をしていくという立場にあるわけでございます。
#37
○粕谷照美君 ちょっといまのお答えでは私納得がいかないんですけれども、自己都合で退職をしたって自己都合で退職をしましたと届けてもらえばいいんであって、おまえの指導が悪かった、適正な管理がなかったから退職したんだというふうなことにはならないと思うわけですね。やっぱり届け出てもらうということが早く雇用率達成を常にしているという状況の把握ができるというふうに思うものですから、この辺のところを後で御研究をいただきたいというふうに思います。
 次に、雇用納付金制度についてお伺いをしますけれども、三百人以上の事業の数は一体どのくらいあるかということと、一人当たりの納付金額をどのくらいに見ているか。そうすると年間の試算数、お金がどのくらい入るかということがあるわけですので、その辺を教えてください。
#38
○政府委員(遠藤政夫君) 三百人以上の事業所約八千ぐらいかと思います。正確な数字は資料で差し上げてもよろしゅうございますが、納付金をどれくらいにするかということは、差し上げております資料ごらんいただきたいと思います。資料の後の方の二十六ページにございます新旧対照表でごらんいただいた方がわかりやすいと思いますが、ここに書いておりますように、二十七条の二項に、いわゆるいま御指摘になりました納付金の額は、事業主が身体障害者を雇用いたします場合に、身体障害者を雇用するため必要な施設あるいは設備、あるいはそういった施設や設備を整備するために必要な費用、身体障害者の雇用の場合、適正な雇用管理をするために通常必要な費用、こういったいわゆる身体障害者を雇う場合に設備を改善しなきゃならぬと、施設をつくらなきゃならぬ。たとえば車いすの人を使う場合にはその人たちの日常生活に必要な設備なんかもやらなきゃならぬ、こういったことで一般の人を雇う場合よりも費用の負担が増大するわけでございます。そういった費用に相当するものを月額に算定いたしまして納付金の額にしたいと、こういう考え方でございます。幾らにしますか、具体的なことはこれから審議会等でも御審議いただきました上で決定いたしたいと、かように考えております。
#39
○粕谷照美君 これから審議会にと言われますけれども、法律を出す以上は一定の腹づもりというんですかね、試算というものがあるんじゃないですか。巷間ちゃんと、新聞紙上なんかにはいろいろな言葉が出ているわけでしょう。三万から五万というふうなことが出ているわけですから、その辺のところをきちんと報告をしてください。そうしてさらに、八千あるわけですから、どれだけが雇用率を達成するかしないかというのも、これもまた推測でしかありませんから非常に困難でありますけれども、概算にして大体何十億ぐらい入りそうだと、こういうことについて御報告ください。
#40
○政府委員(遠藤政夫君) いまここでそういった点を具体的に申し上げることはいかがかと思いますけれども、この制度に類似の制度を持っております西ドイツでは、一人当たり月額百マルクを徴取いたしております。日本円に換算しますと、大体いまの為替ルートにしまして一万二千円くらいになるかと思います。私どもは、いま三万円とか五万円とかいう御指摘ございましたけれども、どれくらいかかるのか、どれくらいにしたら適当であるのか、いろんな観点からいろいろな方が御意見を出されております。と言いますのは、よくこの法案作成の段階で言われていましたように、金を納めればもう雇わなくてもいいというようなことになりゃしないか、こういう御意見もありました。あるいは納付金の額を、いま申し上げましたようなこの法律で考えております趣旨に合致した考え方で貫くべきだというような御意見もあります。いろいろございます。私どもは、この二十七条の規定に基づきまして、一体どれくらいの額が算定されるのか、これは具体的にはこれから検討いたしたいと思っておりますが、仮に、いまお話がございましたような、たとえば一人月額三万円といたしますと、これから雇用が進んでまいりますと、その雇用が進む度合いに応じて額が減ってまいりますけれども、これからの推移を見ながら一応試算いたしますと、大体年間六、七十億ぐらいになるんじゃないか、こういうように考えております。
#41
○粕谷照美君 これはお金が入っても困るわけですね。雇用率が未達成の企業が多いということになるわけですし、入らなくてもまた困るわけなんで、私も大変そういう意味では質問がしづらいところなんですけれども、いま御報告がありましたように、雇用達成事業主に対しての調整金だとか報奨金のためにこのお金を使うというのですけれども、大企業にとって、千人の従業員を持つ大企業で大体障害者を雇わなかったならば十六人ぐらいになりますか。雇わないでいれば十六人の義務未達成ということになりますね。そうすると、三万円ということになれば、四十八万円納付すれば免罪符ということになるかというふうに思うわけですね。そうすると、何回も何回も勧告をしてもさらにだめだったら公表するぞ、じゃ、その大企業が一生懸命になって雇用するかもしれないと、こういうのがあるわけですけれども、私どもはそういうことをチェックする体制が現在の労働行政の窓口の実態で本当に正確に敏速にできるのだろうかという心配を持っているわけですが、いかがですか。
#42
○政府委員(遠藤政夫君) そういう心配はございません。私どもの全国の各安定所の窓口は、身体障害者の雇用問題につきましては特に非常に熱意を持って行政を進めております。昨年一年間の身体障害者問題につきまして、こういう不況の中で一番しわ寄せを受けやすい身体障害者の人たちの雇用ということにつきまして重大な関心を持って行政をやってまいっております。この不況の中で一般の失業者をできるだけ出さないようにするということにつきましてももちろんでございますけれども、いろいろな状況の中で身体障害者が、身体障害者であるがゆえに解雇されたというような例はほとんど聞いておりません。倒産して全体が離職したという場合、これはやむを得ませんけれども、そういうことで、特にこの身体障害者がそういった不況のしわ寄せを受けて不当な扱いをされないという点でも慎重に配慮をしながら指導を進めてまいっておりますし、この法律ができましたならば、こういった点につきましては、各安定所にそれぞれ担当の指導官がおります、こういった人たちが非常に熱意を持って行政を進めておりますだけに、いま先生の御心配になるようなことは万ないと私どもは確信をいたしております。
#43
○粕谷照美君 それじゃ、その問題については後で少し触れてみたいというふうに思いますけれども、企業が身障者雇用に際しての作業環境の整備などに必要な経費に対する、まあ、お金の試算が大体六十億から七十億ぐらい入るであろうというような予測もつけていらっしゃる中で、本当にそういうような経費に対する補償をどの辺までしょうというふうに考えていらっしゃるのか。これからするんですというお答えになるかもしれませんけれども、いままで私の得ました資料によりますと、大変なお金がかかっているんですね。車いすの人たちを雇うために工場の整備をやったおかげで二億五千万円の施設改良費を使ったとか、三億円使ったということが具体的に社名まで入って出ているわけですが、たとえば三億円使った企業に対してせめて三分の二は補償しますとか、あるいは二分の一は補償しますとか、こういうことなんですか、あるいはお涙金程度なんですか。その辺のところが明らかにならないと、やる側でも一体幾らいただけるんだろうかと、こういう心配があるんじゃないんですか。どう考えておりますか。
#44
○政府委員(遠藤政夫君) 具体的にそういった助成の内容をどういうふうにしていくか、これはこれから、先ほど申し上げましたように、逃げ口上じゃありませんけれども、審議会の御意見なりだとか聞きながらこれから具体的に措置を検討してまいりますわけでございますが、現在五十一年度の、先般成立しました予算で、身体障害者の雇用促進のためのいわゆる一般会計だけの経費を見ますと約二十億円ぐらいでございます。それからいたしますと、いま申し上げましたように、仮に私どもがいま申し上げたような数字で、この事業が、この制度が発足するということになりますと、それの数倍の事業が行えるわけでございます。もちろんそれが全部助成の対象の経費だけではございませんけれども、いずれにしましても身体障害者の雇用の促進のために一般会計の国の責任によって行われる事業と、それから雇用保険によります雇用改善のための雇用改善事業として実施されますものと、さらにこの新たに新しい法律によって発足いたします事業、こういうものをあわせ考えますと、いままでに数倍する効果が期待できるんじゃないかと、かように考えております。
#45
○粕谷照美君 私、先ほど二億五千万だとか三億と言いましたのは、昨年十一月十九日の労働新聞を見ますと、武蔵野電子工業でもう六年も前から百二十七人中五十二人電子部品の製造に当たらせている。ほとんど車いすの人たちで、この改装費用に二億五千万円かかっている。あるいは日本理化学工業で、昨年百三十人も採用し、教育用品の製造に当たらしているけれども、三億円の改装費をかけていると、こういうことをやる熱意のあるところ、やれるまた力のあるところはいいわけですけれども、いままでの統計でも見られるように、三百人以下の中小企業のところでずいぶん採用しているわけですから、こういうところは本当にそのお金もないわけですね。ないという言い方はおかしいですけれども、非常に困難な状況ですから、ぜひとも報奨金あるいは調整金などというものを多額に出していただきたい。そういう意味ではこの額は三万なんてそういうものじゃなくて、たとえば五万とか十万とかね――西ドイツはまた日本と違いまして、全然違う。――全然とは言いませんけれども、社会保障がまた違う意味で進んでいるわけですし、障害者に対する考え方自体も日本とはまた違うわけですから、都合のいいところだけ西ドイツをとる――もっとも私ともも都合のいいところは西ドイツの例を引用して主張しているわけですから、それは当たらないかもしれませんけれども、それとちょっと比較するのは問題があるんじゃないかというふうに思います。いかがですか。
#46
○政府委員(遠藤政夫君) いま武蔵野電子の例をお挙げになりましたけれども、実はこの工場につきましては、私の方から低利融資一億五千万を提供いたしまして、それによって工場の設備改善をされたわけでございます。こういった一昨年からモデル工場方式をとりまして、たしか四・六%の低利融資で、こういうモデル工場に対しまして一億五千万の低利融資をやることによって、そういった重度身障者の雇用のための設備改善、機械設備の増設等を実施いたしてまいっております。最近までは十三工場こういうものができております。まあ低利融資もさることながら、いまお話のようないわゆる奨励措置につきまして、もちろんこれは奨励金が支給されておりますけれども、こういった身体障害者のためのモデル工場なりあるいは福祉工場的なもの、こういったものに対しましていままで以上に飛躍的な融資あるいは助成そういった措置を拡充してまいりたいと、こういうふうに考えております。
#47
○粕谷照美君 次に、私は身障者雇用促進について若干の私見を申し上げたいというふうに思うわけですが、去年の十二月十一日の身体障害者雇用審議会の答申では、身体障害者を多数雇用する事業主に対する官公需の確保を提言しているようです。
 で、大臣にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、この答申を政府はどういうふうに受けとめていらっしゃるかということですね。今後どのように実施をしたいというふうにお考えになっていらっしゃるかということをまずお伺いしたいと思います。
#48
○国務大臣(長谷川峻君) 大体審議会の趣旨を見ながらいまから作業を進めてまいりたい。先生、質疑の間にだんだんおわかりいただいたと思いますけれども、身障の問題については、労働省がいまのように融資をしたりして、あるいはまた公表制度などを使ったりしまして、とにかくようやく盛り上げてきた。同時に、文教にも御熱心な方々もいらっしゃいますから、この際私は特にお願いしたいことは、先ほどあなたの御質問と同様に、やっぱり文部省あたりにも考えてもらう必要があるんじゃないか。それは私も文部省に若干関係しましたけれども、やっぱり高等学校時代からこういう諸君と一緒に環境をつくっていくということ、普通高校で、ただ普通の学問だけじゃなくて、こういうやっぱり問題について関心を持つ職業教育というのですかね、その辺にもやっぱり目を開いてもらいたい。私は労働省に来ましてから、文部省とときどき会合をやるのです、技能の問題とかこういう問題とかについて。それぞれの枠があるでしょうけれども、私の方は人間を中心にして行政をやっておりますから、ですからそういうほかの役所であっても、こうした問題については関心を持ってもらう。それから事業主に対していろいろやかましいことも言うているように見えますけれども、これは私は組合の諸君に、実は陳情に来たときに私の方から組合の諸君にもお願いしている。千人以上の事業所はなかなかこういう諸君を採用しなかった実績がありますから、私はやっぱり組合の諸君も組合の連帯の責任においてぜひやってもらいたいということ、これはもう来たたびに言うのです、来たたびに。社会労働委員会でも、国会議員からそういう要請もありまして、それを受けて立っておるということで、だから事業主もまた組合も国民一般も、こういうふうな感じ方――たとえば新幹線でさえも最近は身障者のための便所などをちゃんとつくってもらっているわけでして、ありとあらゆるところでこれはやっていかなければなかなか進まないのじゃないかという気持ちだけありますことを御理解いただきたいと、こう思います。
#49
○粕谷照美君 私は大臣の姿勢も本当によくわかりましたし、職安局長の御意見なんかもよくわかりまして、本当に努力に対しては感謝をしているわけですけれどもね。しかし、余りにもこれはおくれているものですから、ただ足りないまだ足りないという気持ちの方が非常に優先をしているという立場で質問しているんだということをひとつ御理解いただきたいと思います。
 で、いまの私の質問に対して大臣はお答えになりませんでした、官公需の確保をどのようにするかということに。それを質問したわけですから、それはどなたが御答弁くださっても結構ですから、お願いしたいと思います。
#50
○政府委員(遠藤政夫君) いま冒頭、大臣が一般論としてお述べになりましたように、審議会の御意見を私どもは十分尊重して行政に移してまいるつもりでございます。官公需の確保の問題にいたしましても、身体障害者をたくさん雇っている工場、事業場、そういったところにできるだけ発注をするようにと、これはまあ趣旨としては大変結構でございますが、これは会計法その他のいろいろな関係がありまして、それでなければならぬ、そこに必ずやるというところまでいくことはなかなかいろいろむずかしい問題がございます。その精神を生かしながら私どもはそういう方向で関係各省とも相談をしながら進めていきたい、こういうふうに考えております。
#51
○粕谷照美君 会計法の関係もあるかもしれませんけれども、そういう法律というのは変えることもできるわけですし、ぜひこの答申というものは尊重していただきたいというふうに思うわけです。政府にとって非常に都合のいい答申はすぐ採用し、ちょっとこれはめんどうだななんて思うあればすぐ法律があるからだめだなんという答えであっては、この問題は解決がしないのではないかというふうに思いますし、私は先ほど私見という意味を申し上げましたのは、逆に言いまして、達成しているところに対してのそういう官公需を確保しようという答申とは逆に、雇用率未達成、しかも相当悪質の未達成の企業名は公表すると同時に、逆にそこには官公需を発注しないというくらいの厳しい措置が非常に必要だというふうに思うものですから、この意見を申し上げて、この項については終わりたいというふうに思います。
 それから職安の窓口が非常に一生懸命にやっていらっしゃるということは、まあ担当者としてはそういうふうにおっしゃられなければならないというふうに思うのですが、私自身が調べたこともありますのでちょっとお伺いしたいと思うのですけれども、この法律が成立をして本年の十月一日から施行されるということになりますと、職業安定所の事業量というのは非常に多くなるというふうに思いますが、まあ大したことではありませんというふうにお考えですか。私は多くなるというふうに思いますので、職員の配置なんかについては相当な配慮が行われなければならないのじゃないんだろうかというふうに思います。そして先日東京都内の職安の「心身障害者関係業務分担、施設の状況」というものを見ますと、窓口の担当者は各所とも指導官、係長合わせて一人なんですね。で、職員は飯田橋と新宿の二人を除いてあとは全部一人しかいないということになっています。こういうような状況で十分こなせるのだというふうにお考えになっていますか。
 さらに、面接をしてお伺いしたところによりますと、これらの窓口の職員は二年ないし三年で配置転換をされるわけですね。また学校なんかでも特殊学級担当とか障害児学級担当なんというのは、一般学校の中にありますと二年とか三年やると、ああ御苦労さんなんと言って、またほかの一般学級に行くなんということもありますけれども、職安においてば一般的に身障者係というのは敬遠されるというようなことが言われておりますが、そんなことはありませんでしょうか。身障者係は職業紹介にとどまらず健全者以上に生活相談なんかにも当たらなければならないというふうに思いますので、職員の質の問題だって惹起されているところです。本当にすばらしい人がこういうところの担当にならなければならないのであって、この辺のところをどのようにお考えですか。
 さらに労働省は昭和四十四年以来職業相談員を配置しています。このことは私はいいことだというふうに思いますけれども、この人たちは非常勤なんですね。で、身障者以外にも同和だとかあるいは青少年なんかの担当に従事しているというのが実態じゃないんですか。本当に身障者の職業相談員ということで張りついているかどうかということについてもお伺いいたしたいというふうに思います。いかがですか。
#52
○説明員(望月三郎君) 今回の法改正に当たりまして、もし御審議をいただければ十月から施行という段階になりますので、特に五十一年度におきましても職業紹介体制に万全を期してこの法の施行に当たらなければならぬということで、五十一年度の予算といたしましても専門的知識と経験を有します就職促進指導官の増員、それから民間の有識者等を活用いたします先生おっしゃいました職業相談員制度の充実と、さらには安定所におきます手話協力員の増員、それから障害者の能力の判定、適職の判定等を専門的に行います心身障害者職業センターの増設というような項目につきまして格段の努力をいたしまして予算化されております。今後とも一層努力をしていきたい、こう考えております。
#53
○粕谷照美君 ぜひその点はまた充実をしていただきたいというふうに思っております。
 最後の質問になりますが、現在、社団法人の全国心身障害者雇用促進協会というのがありますね。一方また今回の法案にも同じような協会を設立させようとしておりますけれども、この両者の関係はどういうふうになるんですか。
#54
○政府委員(遠藤政夫君) 現在あります協会はいわゆる何といいますか、協力団体でございます。で、今回この新しい法律によってつくられます身体障害者雇用促進協会はいわば法的に言いますと認可法人と言っております。この法律によります助成措置、こういった仕事を国にかわって実施いたします機関でございます。まあ一種の政府関係機関になるわけでございます。現在あります協会をどういうふうにするか、これは協力団体としてそのまま残していくか、あるいはこれを解体しましてこの新しい法律による実施団体として吸収するか、その点はまだこれから検討いたしたいと思っております。
#55
○粕谷照美君 政府関係機関ということになると、また国民の中には大変うるさい問題が出てまいりまして、また労働省のOBの天下りの場所でないかなんというような声も出てくるわけですけれども、私はそんなこと以前に、本当にこういう法案にある協会の業務内容を見るときに、これが必要なのかどうかということについて若干の疑念を持つわけです。それは身障者職業生活相談員の講習だとか、あるいは訓練校の運営だとか、雇用管理に関する研修だとか、さらに重大な雇用に関する調査などをこういうところがやるということになるわけですね、法律が通りますと。そういうことになりますと、そこでやるということになりますが、本来これは国がやるんだということになるというふうに思いますから、雇用促進事業団がやればいいではないか、この疑問はいかがでございますか。
#56
○政府委員(遠藤政夫君) これら雇用促進事業団がこの法律の施行になりました場合、相当な業務を引き受けることになります。ただ、雇用促進事業団は御承知だと思いますけれども、もう大変間口の広いいろんな仕事を持っております。ざっくばらんに言いますと、もういま半身不随みたいになっておりまして、私はこの身体障害者の雇用の問題を扱う場合に、これはできれば単一の機関で包括的にやらせるべきだと考えておりましたけれども、いろいろな事情がありまして、なかなかそういうふうにまいりませんので、できれば雇用促進事業団のこの担当部門と新しくこの法律によってできます協会とが一体になってこの事業を推進できるようにしてまいりたい。いわゆるお役所的な仕事でなくて、民間ベースのいいところも取り入れて本当に法律の趣旨を生かしてこの事業が執行できるような体制をつくってまいりたい、こういうふうに考えております。
#57
○粕谷照美君 雇用促進事業団が半身不随だなんという御答弁を聞きますと、私はこれは大変な問題だというふうに思うわけですが、半身不随だったらリハビリテーションにでも入れまして、きちんと健常な姿に直していただきたいというふうに思うのです。半身不随だから次のものをつくる、次のものをつくるなんて、そういうことでは困るんじゃないかという考え方を持ちますが、まあ、それは意見としてお聞きください。
 それで、私は民間ベースでやりますとおっしゃっても、これは企業主が参加をしてやっているわけでしょう。本当に障害者の人たちがこういうことをやってもらいたい、統計についてはこういうことをしてもらいたい、職業訓練校あるいは職業訓練所についてだって、きょうは時間がありませんから触れませんでしたけれども、本当にいろんな問題を含んでいるわけですよね。そういう問題に対しての意見だとか言うようなチャンスがあるのか、そういう意見なんかはどういうような場所で保障がされるのかというふうなことについてではお聞かせをください。
#58
○政府委員(遠藤政夫君) 私どもの方に身体障害者の審議会がございまして、ここに関係の代表の方が入っておられます。この法律案をつくりますにつきましても、身体障害者の関係各団体の御意見を十分拝聴しながら成案を得てまいったわけでございます。この法律によりますいろいろな事業を実施いたしますにつきましても、そういった関係者の意見を十分反映できるような体制をとってまいるつもりでおります。
#59
○粕谷照美君 ぜひそういうふうにやっていただきたいと思います。大変よく研究をされ、障害者団体の御意見なんかも聞かれていらっしゃるようですから、この法律が十分に生きますように心から私自身も期待をし、協力をしていきたいというふうに思います。
 この法律についての質疑、意見を私は終わりました。しかし、障害者問題については単にこの法律だけの質疑、意見ということではなくて、この社労委員会の場所でも総合的な立場に立ってやっぱりきちんとした討議を行う必要があるんではないか。そういう考え方に立って社会党としては積極的にその場所を持つような提案もしていきたいというふうに思い、私の質問を終わります。
#60
○片山甚市君 大臣に、この雇用促進の問題の前に、去る四月十一日衆議院社労委員会で、わが党の多賀谷委員が、三公社五現業の労働者の労働基本権問題について質疑を大臣としております。その質疑を踏まえまして、非常に原則的なことをお伺いしたい。
 大臣はどうも国務大臣をやめて、この閣僚協の一員であるということから物を言わないことをもって旨としておるようでありますが、非常にわが国の労働大臣というのは格が下がったというか、押し下げられたという感じがして、こういうところで話をしてもむなしいけども、むなしいけど仕方ない、こういうことで質問しますので、余り気を張らずにお答え願いたいんです。
 まず第一に、日本政府はILOにおける、いわゆる国際労働機関におけるところの条約、勧告等オーソライズされた、そういうものについての諸原則を尊重してやるつもりはないのだろうか。大体ILOの勧告などというのは何の役に立つかというような気持ちでいまおるんでありましょう、ありますかと、こういうふうに聞きますから、お答え願いたいんです。
#61
○国務大臣(長谷川峻君) 日本という国は、私は条約とか国際約束には非常にまじめに履行する民族だと、これはもう明治開国以来そういうくせでございます。いわんやILOもこれは発足以来日本がずっと加盟国となりまして、現在も常任理事国でございます。ここで討議されたもの、そこでいろんな論ぜられたもの、これが日本の諸制度の中に、私はいろいろ国会などでの御審議をいただきつつ、そしてILOにおいての条約も批准をして今日まで至っている、こういうふうに思っております。
#62
○片山甚市君 それではお聞きいたしますが、いままでILOがそれぞれの批准条約案を出しました。そのうちわが国ではどのような批准状態になっておるのか、これについてまず担当からお答え願いたいんです。
#63
○説明員(森英良君) お答え申し上げます。
 これまでILOで採択されました条約の数は百四十三ございますが、このうちわが国はすでに三十四条約を批准いたしております。加盟国全体の平均的な批准状況は三十三となっておりますので、平均よりは若干上回る実績を上げておるわけでございます。
#64
○片山甚市君 大臣は国際条約についてこれを守ることをわが国のいわゆる国民の美風というか、政策としてちゃんとやってきておる、こういうふうにおっしゃいました。しかし私たちが一九五七年のいわゆる第四十回総会における百五号の強制労働の廃止に関する条約、あるいはその前の五二年の百三号条約、母性保護に関する条約、あるいは一九七〇年になりますけれども、年次有給休暇に関する条約、近くは一九七四年ですが、がん原性物質及び因子による職業性障害の防止及び管理に関する条約などを見てまいりましても、重要な問題についてこれが進んでおらない。私たちには、わが国の労働行政の中でILOの条約を速やかに先進諸国と肩を並べて実行するというようには見受けられないのでありますが、大臣はこれらのいままで問題になりましたこの条約についてこれからどのように批准をとっていくようなおつもりでございますか、お聞きをいたします。
#65
○説明員(森英良君) いま御指摘になりました各種条約につきましては、それぞれ若干の問題、国内法制との関係の問題でございますとか、あるいは条約それ自体の解釈につきまして、なお不明な点があるとか種々な理由でまだ批准に至っておらないわけでございますが、いずれも今後慎重に検討をいたしまして、批准できるものがあれば批准していきたいというふうに考えております。
#66
○国務大臣(長谷川峻君) これは、ILO条約というのはもうあなたとっくにおわかりのとおり、数が多いからいいというもんじゃありませんで、内容でございます。ですから、先進諸国とおっしゃれば、どこを先進諸国かというのはこれはそれぞれ定義がありますけれども、ソ連などの数とかあるいはアメリカの数などというふうなことを見ますと、これはやっぱり国内法制を整備しながら、そして国際条約というものをずっと守っていかれる、こういうところにこの国会でもILOの諸問題についての御討議の上に私たちは批准をしてきた、それが敗戦三十年にして平均よりも多く御審議をいただいて、ILOに行って批准し調印してきた、こういうかっこうでございます。
#67
○片山甚市君 それではそれほど自信を持って国際条約というもの、特にILO条約については、率先をしていわゆる見本を示しておる、こういうような御答えでありますが、まず結社の自由問題を通じてドライヤー勧告が出ました。そのときに日本政府はどのような対応をとられ、今日までにその勧告されたことについては解消したと大臣はお考えでしょうか、お伺いします。
#68
○国務大臣(長谷川峻君) ILOのドライヤー委員会の報告及び結社の自由委員会の報告は、わが国の公共部門の労使関係の問題に言及しております。政府といたしましては、これらの報告に関しては理解し、慎重に対処してきているところであります。御承知のように、ドライヤー委員会の報告及び結社の自由委員会の報告は懲戒処分の問題にも触れておりますけれども、処分につきましては、これは各当局が従来から事業の内容、事案の内容に応じまして公正に行うよう努めてきておりまして、違反の程度の軽微な者につきましてはあえて懲戒処分を行わず、訓告等にとどめていることでございまして、ILOでも最近わが国のこうした実情については深く理解をしている、こういうふうに私は考えております。
#69
○片山甚市君 それでは、大臣がそういうようにお答えをしておるんでありますけれども、先だって全逓に出されました処分などを見ますと、私たちはILOが勧告をした趣旨よりも非常にきついやり方をして当該労働組合に対する財政的な圧迫あるいは団結権を乱さすような方途をとったと、特に郵政省のあり方、すなわち国務大臣の立場から、三木首相の姿勢からやられたと思いますが、あれはどういうような魂胆というか、考えでやりましたか、それでは。
#70
○国務大臣(長谷川峻君) まあ、法律によって禁止された違法な争議行為が行われた場合に、関係当局が懲戒処分等行うことは当然であって、私はやむを得ないことだ、こう思っております。
#71
○片山甚市君 ドライヤー勧告については私たちが結社の自由を奪われて、すなわち、団体交渉をする場所すら与えられないような中で次々と起こった問題が結局懲戒問題、こういうことになったことは御承知のとおりです。最高裁の判決等が出て刑事免責の形が出てから若干ずつ国内的な行政は緩みましたけれども、私たちは個々の問題は触れませんけれども、ILOの一二三次から一三九次の報告について、それはいま大臣からお答えを願ったように、具体的な措置をとり、この一三三次から一三九次の報告についてはこれを解消したというように政府はとっておられますか、お答えを願います。
#72
○政府委員(細野正君) いま御指摘ございました一三九次の報告におきましては、従来ILOの結社の自由委員会で御指摘がありましたような、懲戒処分の硬直性とか、変革性という表現を改めるに至っておりまして、そういう意味で先ほど大臣から申し上げましたように、わが国の実情に対するILOの認識が深まってきたのではないかというふうに考えているわけでございます。
#73
○片山甚市君 答弁については納得できませんけれども、このごろの情勢から見ますと、すなわち昨年の十二月一日の政府声明以来、ILOのとった措置、あるいはそれを受け入れた政府の態度が変わって、国際的ないわゆる基準から外れて労働組合に対する弾圧を強めるといいますか、労働問題を治安問題と考えて対処しようとする動きが多く出ておるように思いますし、政府はそのような考えに立って、今回政府声明を出されたものであるのかどうかお答えを願いたいのです。
#74
○国務大臣(長谷川峻君) 断じてそういうことはございません。
#75
○片山甚市君 大臣が断じてそうでないというのでありますから、こちらも少し気を緩めて少し話ができる相手だなと思って、すなわち労働者を保護するというか、労働者に対して理解のある政策をとる労働省だと思って、これから質問についてはそういうふうに言いたい。
 どうも、日本政府が国際労働条約に関しては形式的にも内容的にもその批准、実行が十分でない。こういうのがはだ身で感じてきましたから、いま大臣は、おれのところは一番しっかりやっておるのだというのであれば、これから百五号の強制労働の禁止の問題など、あるいは母性保護に関する問題など、年次有給休暇三十日ほどありますが、二十日などと言わないで外国並みに――外国というのは、御承知のように先進工業国の話です。いわゆる先ほどすぐにソビエトかどこか出して、ないぞと言おうと思って予防線を張る、そういうやましいというか、こういうことをやめて、現実の問題として、やはりわれわれこれは資本主義社会の中で、資本主義制度の中の労働運動を論じておる。それを一般――社会主義でも資本主義でも同じ労働運動あるじゃないかと言っても、それは労使関係というものはマルクスが言うまでもなく、ちゃんと存在するところの原点に立っておると、いわゆる労使というものは意見の対立することがあることを前提にしておる、こういうことであります。そこで、いま私がお聞きしたら、大臣はわれわれの意見について耳を傾けるというのですから、そこで総理府にお伺いしたいのです。
 せんだって四月に十四日でございましたか、ILOの第二回公務員合同会議が開かれましたが、そこではどのようなことが決議としてなされたか、少し、簡単で結構でございますけれども、報告していただきたいと思います。
#76
○説明員(石田均君) お答えいたします。
 ILOの第二回公務員合同委員会でございますが、四月六日から十三日まで開かれまして、決議が一つと結論が一つ採択になっております。決議の方は、今後の一LOの公務員関係における諸活動についてということでございまして、内容的には、第三回目の公務員合同委員会の議題等を定めたものでございます。
 それから結論の方でございますが、それは内容的には懲戒の問題と、それから地方公務員の勤務条件設定の関係の問題、そういう内容を含んだ結論でございます。
 その二つが出されているわけでございます。いずれも、これは公務員合同委員会としての決議なり結論でございまして、これを理事会に報告をいたしまして、理事会で今後の取り扱いが決まっていく、かような性質の決議、結論でございます。
#77
○片山甚市君 政府代表と労働者代表が集まって結論を得たようであります。で、今回初めて決議及び結論という形をとったということで、私たちはこのうちの一般原則についてお伺いをしたいのです。
 一般原則については、1に「懲戒規定の手続の準備、制度及び改正は、一九七五年の公務専門総会によって採択された諸原則にもとづいて、公務員を代表する関係団体の参加を得て行うべきである。」こういうように述べ、23と続いて、4に「ILOの諸原則と関連する国際基準によって保護され、一九七五年四月に開催された公務専門総会の結論から見て判断される、通常の労働組合活動を理由に、懲戒手続きを発動したり、制裁を加えてはならない。」、こういうように六つある一般原則の中の二つを取り出すのですが、これらのことについては間違いございませんか。
#78
○説明員(石田均君) お答えいたします。
 私どもの方の翻訳で多少の字句の違いはございますが、おおむねそういった趣旨の内容を盛り込んだ一般原則というものが結論の中に含まれておるということは事実でございます。
#79
○片山甚市君 参事官にお伺いしますが、若干の字句というところはどこでございますか。
#80
○説明員(石田均君) たとえば、ただいま先生が「公務専門総会」というふうにおっしゃいましたですが、私どもの方ではこれは「公務に関する技術会議」というふうな翻訳をいたしております。
 それから、「労働組合活動」という言葉の前の修飾語でございますけれども、「通常の」というふうにおっしゃったようにお聞き取りしたわけでございますが、私どもの方は「正常な」という訳にいたしてございます。そのようなことでございます。
#81
○片山甚市君 それは原文の英文では、その言葉はどのように表現されていますか。
#82
○説明員(石田均君) 英語では「ノーマル」という言葉になっております。
#83
○片山甚市君 それですと、これは字引を引くまでもないけれども、正常とか、普通の、標準の、典型的な、こういう表現になるのですね。そうすると、これはどちらをとっても同じという意味ですか。意味が違うからそういうようにお答えになっている。私が申し上げたら、それは違うと言わなければならぬ理由があるようでありますが、なぜですか。
#84
○説明員(石田均君) 訳し方の違いということが一つございますけれども、私どもの方は、ここは「正常な」というふうに訳するのが正しいのではなかろうかというふうな気がいたしますので申し上げたまででございます。
#85
○片山甚市君 大体、大臣、翻訳をすると御承知のように、田中さんがソビエトに行くと翻訳間違いをしたと言って、あわてて国会でも議論があったように、いまも重要な個所で――政府と労働組合の代表とがジュネーブに行ったと、そして話をしてきたと、帰るときには持って帰る文書について正常か、あるいは私が申し上げた通常というか、または普通のというか、で違って、内容が全く変わるような議論が起こるとすれば、非常に国際的な会議から受ける恩恵を少なくすると思うんですが、私はなぜこういうように言うかというと、通常な労働運動、普通の労働運動――「正常な」というと、そこに意見の開きが出てきますから、ここでそれについて問うものではありません。えてして、こういうようなことを出されておるのは何かということについてを忘れ、懲戒規定というのはきょうお伺いするんですが、公務員を代表する適当な団体の参加を得て行うべきである――規定の改定ですよ、おわかりですね。一般原則では「懲戒規定及び手続の作成、制定及び改正は、一九七五年の公務に関する技術会議」――あなたが言うとおり言いましょう。――「によって承認された原則に従い、公務員を代表する適当な団体の参加を得て、行われるべきものである。」ということについて、尊重すると言ったから、もう大体尊重されますね。尊重してほしいんですわ。あれは大向こうをうならす話で、具体的になったらおれは知らないぞということは大臣おっしゃらないでしょうから、ひとつ言明のほどを。
#86
○国務大臣(長谷川峻君) 専門家に答えさせます。
#87
○説明員(石田均君) ただいまの問題につきまして、この一般原則の第一項につきましてでございますが、審議の経過そのほかを申し上げたいと思います。
 この一般原則の部分につきまして議論をいたしましたときに、一九七五年の公務に関する技術会議によって承認された原則という言葉は作業過程で入ってきた言葉でございまして、これは先生御案内のとおり、昨年の技術会議におきまして組合の参加という問題が大変な議論になりました。結論といたしまして、これは各国の国情に適した方法で行われるべきである、こういうことがうたわれているわけでございます。そのことを引っ張ってここに言っておるわけでございまして、それぞれ国情に適した方法で公務員を代表する適当な団体の参加という言葉を使ってございますが、もとの言葉はパーティシペーションでございます。組合の意見を聞きながらやっていくべきである、そういう趣旨でございまして、各国の国情に適したというところに意味が一つ入っておるということを御理解賜わりたいと存ずるわけでございます。
#88
○片山甚市君 大臣、私は解釈論をやってないんです。大きい枠で信用しようじゃないかと。公務員と言えば、日本の国民のためにサービスをしておる、中間ですわね、非常に中堅部隊ですよ。こういう人たちを信用できなくて、規定をつくれば自分ら勝手にするんじゃないか、規定について、懲戒規定やそんなことについて話をすれば、代表をですよ、そんなに不信を持ってさ……。いわゆる労使対等ということがないような職員を雇用しておる雇用主なんです、政府という前に。雇用主というのは被雇用主の意見を聞くというのは当然だ。こういうように世界では普通のことが、日本ではつべこべあれこれと何でも言うて、それで時間を延ばす。こういうことをやめて、――私は技術的なことを言っていません。こういうことを言ったら素直に受けて、それが、いわゆるこれからの論議でありますところのスト権問題とか、労働基本権問題などに対して温かい感じを受ける。そこで労働者も、うん、ちょっと考えようとか、こうなりますな。それから、いまおっしゃっておるのは、各国の国内の法制についてはすべてILOは加味されるようになっていますよ。すべてと言ったらこれは言い過ぎでありますけれども。大体、国内の情勢はそれぞれ取り入れて、どんずばり、その条約を批准したらそのとおり書くように大体なってなくて、それぞれ例外的な措置を認めておるんであります。私はこの長い間、昭和三十三年以来公務員労働者、公労協の労働者、いわゆる公務に携わる人たちの団結権やあるいは団体交渉権や団体行動権というストライキ権の問題について幾つかのしばりがあった。いわゆるそれを一つ一つ国際の場で、国際的な立場から解決していこうという、国内的な運動もそういうことで非常に建設的な形をとり始めておる。とり始めておるんじゃなくて初めからとっておるんですが、顕著になってきておる。こういうときに、四月の六日から十三日に開かれた一番直近のホットなこと――大臣は出席しておりませんけれども、公務員という、公務ということになれば、全逓の労働者もおりましょう、何団体でもおりましょうから、それについてはひとつこれからの取り扱い――そういう議論の話じゃありません、十分に私の申し上げるようなことについて受けとめて善処していただけるものかどうか。これからの討議ですよ。われわれの意見を聞く。聞くけれど、聞き方にはいろいろあるぞというならわかるですけれども、聞かないという前提なのかどうか、懲戒規定に関する問題がありますから、お聞きをいたします。
#89
○国務大臣(長谷川峻君) 一般論を申し上げますと、やっぱり労使が信頼し合うこと、あるいは組合の諸君の話を聞くこと、これはもう当然なことでございます。いまの具体的な問題になりますというと、決議の問題とかいうことになりますと、これは外交上のこと、いろんな文書、分類などもありましょうから直接に触れるわけにはいきませんけれども。それと同時に、この条約でも、どの条約でも、やっぱりそれぞれの国、国情に応じてものをやっていると、こういうことだけはお考えいただかなければならぬ。一般にただ原則論のほかにそれぞれの国情に応じてそれをやっていると。しかし、組合の諸君の話を聞くことはこれはやぶさかじゃない、こういうことでございます。
#90
○片山甚市君 大臣、重ねてお聞きしますが、原則的にはこういう規定をつくるときに職員団体の意見を聞くべきだという結論が導き出されておることについては尊重したいと。私は確認をして約束したいと言うのじゃないのです。これから不信を解消するための一里塚ですよ、この場が。そういうことですから、何も約束したから、大臣が言うたからできるのならいいが、これはまた、そう言うと、どこか、やかましくて反対するのがようおるんだから、文部省とか、もう寄ってたかって。それはどうですか、お答え願います。
#91
○国務大臣(長谷川峻君) 話を聞くことはいいですけれども、やっぱりそれぞれの国情に応じていろんな法制が論ぜられるということもひとつお考えいただきたいと、こう思います。
#92
○片山甚市君 大体そういうことを言いながら、国際条約を尊重するとかなんとか、自分の方の都合のいいようにして、そこの当該労働者などということについては余り考えないと、私はそう思います。日本の国で懲戒規定問題についてが非常に大きな労働問題なのです、懲戒規定そのものについて、本当は、いまあるのは、いろいろ言っていますけれども。そうでしょう、スト権の処分について、ドライヤー勧告から、ILO一三三次から一三九次までわたるんでも、生涯にわたって懲戒か――労働運動したとかそういうことによって昇給延伸とか、いわゆる地位を下げたままとかいうのはいけないから解除する方法などを考えなさいということが一三三次から一三九次にわたるところの意見書なんです。そういう意味で皆さんの方ではそれを尊重したい、こういうように、一三三次報告――一三九次報告、こういうものについては尊重される、してきたしと、こう言っていますから、一番近いところで国際的にもこれからまだ議論するんですよ。来年決めるんですから、総会で、条約等に。来年かそこらで決めるんでしょうから。まだ決まっておらないでしょう、きちんと。そういう意味で結論は出ておる、こういうことの事実確認をしておきたいわけです。どうですか。
#93
○説明員(石田均君) ただいまの御質問につきまして若干の問題があろうかというふうに存じますので一言申し上げたいのでございますが、実は先ほども申し上げましたように、この公務員合同委員会というのは、ILOにおきますところの産業別委員会というのがいろいろございますが、広い意味でその一種でございます。そこでこういう結論が出たということでございますけれども、この決議、結論をごらんいただきますと御理解いただけますように、この問題は、特段、総会に結びつくというようなことにはなっておりません。来年の総会では公務員の労働基本権絡みの問題をやるということになっておりますけれども、その流れとこの会議の問題とは別個の問題であるということを申し上げておきたいと思うわけでございます。
 それからいま一つ、これは先ほどお答えをちょっと漏らしまして大変失礼いたしたわけでございますが、「正常な労働組合活動」というふうに訳した訳し方の問題につきまして先生の御指摘があったのでございますけれども、実は、この辺も、作業過程を御参考までに申し上げておきたいと思うわけでございますが、当初、労働側の代表の皆さんから出された原案には、争議行為を含んだいかなる組合活動についても処分をしてはならないんだと、こういう原案であったわけでございます。これに対しまして、政府側といろいろ議論がございまして、そういう表現はよろしくないということでさんざん議論をした結果、「ノーマル」という言葉に落ちついた、そういう経緯があるわけでございます。したがいまして、違法な組合活動といったものについてはこの関連の中に含まれないというふうに私どもは理解をしているわけでございます。
 大変申し落として失礼でございますけれども、一応、審議の経過その他から申しましてそういうことがあったということを申し上げたわけでございます。
#94
○片山甚市君 総理府がそういうように二つの問題を言いましたけれども、私たちはそれについて賛成するわけにはいきません。「ノーマル」という言葉をつくるまでの間の過程がそうであるということ。過程です。でき上がったものはそういうことでありますから、私たちが参加した君たちから意見を聴取してみても、普通の、通常のというようなことで、日常やられておる状態、日常やられておるんです。あなたはノーマルでないと、こうおっしゃる。大臣もそうおっしゃっておるけれども、いまの公企体の労働者がストライキをしないで物が解決するようになっておりますか。ストライキをするということによって初めて動いておる。あなた首振っておるけれども、そういう状態ですから。これは賛成してもらおうと思いません。意見が違う。違うから話しているんですから合いませんよ。だから、私は、いま申された結論の一と、一般原則の1と4を一つ取り出してみても、これだけ違う解釈で労使の間で大きな対立が生ずる、こういうふうに思いますから、これは三公社五現業公務員労働者全体にかかわる問題ですから明確に言っておきたい。私たちは「ノーマル」ということをノーマルに考えたい。平生のままに考えたい。あなたたちのように考えておりません。これはこれからのいわゆる争いというか、皆さんとの間に大きな対立を起こす言葉であろう。先ほどから大臣繰り返しおっしゃるように、国内の情勢に合わして条約は批准するものであるし、考えるものだと、それをするんだと、こういうようにおっしゃっていますから、われわれは、政府がそういう考えだということさえわかればいいんです。それに、肯定するか、わかりましたと言うか、それは別です。
 そこで実はILO諸原則については十二月一日のいわゆる政府声明が出された以後、国際的な動向というものについては、そのことによって尊重するということが変わったのか、十二月一日の政府声明は出されたけれども、国際的な動向についてはやはり今後とも尊重する立場なのか、もう尊重しなくなったのか。先ほど尊重すると言われましたけれども、もう一度念を押します。
#95
○国務大臣(長谷川峻君) 日本はILOの批准したものは全部尊重しているのです。しかし、その前にいろんな決議とか、いろんな話のある、こういうものはまだ話の段階でございまして、それは先ほど私がお答えしたように、たとえばドライヤー委員会の報告でも、わが国の公共部門の労使関係の問題に言及しておりますが、政府としてはこれらの報告に対して理解し、慎重に対処しておるということでございまして、いろいろな議論はあるでしょうけれども、批准されたものははっきりと約束を守ると、こういうことです。いまの話は意見の問題でございましょう。しかもそこで労使の諸君が話をされて、だんだん答弁を聞いてもおわかりのとおり、正常な、あるいは通常なと申しますか、そういう労働運動の、労働組合活動には違法な行為はこれは含まれていないと、こういうふうに解釈されたという答弁がありましたが、私はやっぱりそれぞれの議論がそういうところでされたと、しかし、批准したものは日本は完全に守ると、そういうことでその区別だけはひとつ御理解いただきたい、こう思います。
#96
○片山甚市君 それは、大臣がいまおっしゃることは、正常な、ということがどういう言葉でできたかということから出ております。初めの方のいわゆる書いてない文章ですけれども、一九七五年、公務の技術会議ですか、専門総会において採択された諸原則に基づいて、公務員を代表する関係団体の参加を得て行うべきことという懲戒規定の手続及び準備、制度及び改正については、それは方向を示しておるわけです、方向を。私は繰り返して申しますが、こういうことについて尊重していく態度がなければ条約ができて批准をすることになりましても問題があります。すでに国際的に結論も出始めておるときですから、これを尊重されると思いますと、こういうふうに申し上げておきます。いま大臣は、私たちの考えを述べておきますと、こう言うんでありますから、それにとどめます。
 次に、実は当事者能力の問題についてお伺いをします。企業交渉について、いわゆる行うときに当事者能力の拡大を図らなければ、これは三公社五現業では労働問題の解決ができないと思いますが、いかがでしょう。
#97
○国務大臣(長谷川峻君) 先ほどから先生御指摘のように、十二月一日の政府基本方針がよく論及されておりますが、その中におきましても、その中の第三項に「三公社五現業などについて経営のあり方及び料査決定制度などの改正を含む当事者能力の強化の方途を検討する。」と、こうなっておりますので、いまから先、政府といたしましてはこの原則に基づいて当事者能力について研究していく、こういうことでございます。
#98
○片山甚市君 当事者能力というのは、政府側、企業側の責任なのか、労働組合団体側の責任なのか、お答え願います。
#99
○国務大臣(長谷川峻君) これはやっぱり政府並びに制度の問題だと、こういうふうに感じております。
#100
○片山甚市君 政府並びに制度というのは、制度をつくったのはいまのいわゆる議院内閣制で言えば自民党政府といいますか、がつくっておるのでありますから、本当言えばそのまま自民党の責任というか、政府の責任であります。そこで当事者能力が制約をされておるというか、ないにも等しいような状態があって、団体交渉が進まない。いわゆる労働組合の団体交渉権が非常に大きな圧力をかけられておる。これを改善することがいわゆる労使関係の正常化の最も大きな問題ではないか。先ほどは、私は労働者のストライキ権の問題について、当然のこととして認めるべきだという立場から申しましたけれども、今度はそれを保障するには、いわゆる当局の当事者能力というものについてきちんと確立すべきだと思いますが、いかがですか。
#101
○国務大臣(長谷川峻君) 御承知のとおり、公企体においては争議行為が禁止されております。その半面、団体交渉制度及び公労委によるところの調停、仲裁制度が整備されております。だから、本来はストライキは私は起こり得ない制度だと思っているんです。それにもかかわらず、公企体においてしばしばストライキが行われる原因についてはいろいろあると思いますけれども、私としましては、公企体の労使が事業の公共性をよく認識されまして、紛争を公労法の定める手続に従って平和裏に解決するという態度を確立すること、特に、その前提といたしまして法を守るという態度を確立することが基本ではないかと考えます。
 いずれにしましても、これらの問題につきましては、去る一月二十日に新たに発足した公共企業体等関係閣療協議会の場で十分に検討してまいりたいと、こう思っております。
#102
○片山甚市君 いわゆる当事者能力を拡大をしていくということについては、一つ一つの労働問題が出たときに対処しなければ、法律的な改正をしてということになればどういう解決がありましょうか。いわゆる池田・太田会談でも、いままでは民間の賃金よりも低い状態だったのが、民間の賃金にいわゆる均衡をとらせて賃金を決めようじゃないか、それで仲裁裁定の実施はしようじゃないか、政府が言えばそうなったじゃありませんか。制度じゃなくて政府がそのようにやろうとすれば当事者能力は出るんじゃないですか。制度と言いますけれども、それは政府が変えることができるんだけれども変えないという、労働者の基本権に対する、いわゆる基本権を奪っておること、そのままに置こうとすることではないですか、お答え願います。
#103
○国務大臣(長谷川峻君) いろんな運用の面でできることはいままでやってきているつもりであります。民間準拠ということで、とにかく公労委にかかってきておる。だから、私はストライキなしでも、公労委にかけておられればそれこそ法を破らぬでも済む。それと同時に、先ほどから私申し上げましたように、三公社五現業についてはやっぱり今回の第三項に基づく経営のあり方及び料金法定制度等を含む当事者能力の強化、この方法というものを改めてこの際に考えていく必要がある、こう思っております。
#104
○片山甚市君 時間が来ましたから午後に譲りますが、いまいわゆる大臣が言っておるのは、いままで政府が労働基本権について、昭和四十九年の春闘で、一年半ほどかかって五十年の秋にはストライキ権についての結論を出そうではないか、こういうように申しておったのが、専門懇をつくって、それを理由にして延ばしてきて、そして最後は専門懇の結論をもって政府声明にかえた。こういうような形については本末転倒しておるというか、やはり政府が当然やるべきことをせずにやってきた、こういうようなことについては納得できません。午後の時間に引き続き質疑をいたします。
#105
○委員長(戸田菊雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十二分開会
#106
○委員長(戸田菊雄君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#107
○片山甚市君 大臣に先ほどお伺いしましたとき、当事者能力については政府の責任であり、これについて私の方から当事者能力を確立するように申し上げておきました。これ以上のことについては言いませんが、法律改正に至るまでもなく、いまの段階においても当事者能力が発揮ができるように格段の努力をすることによって労使の紛争を極力少なくしてもらいたい、これが一つであります。
 二つ目に、労使関係の正常化の問題についてでありますが、一昨昨日多賀谷質問に対して、労使が真に労使関係の正常化のために話し合いをすることは望ましい、このようにおっしゃっております。そこで、そのことは非常にいいことだと思いますが、三公社五現業に対して、当局に対して、労働大臣は、努めて労使の正常化について話し合いを強めるように指導してもらいたい。昨日国鉄当局と国労との間に合意メモ三項目がありました。一つは、正常化の問題、再建問題、スト権の問題、――大臣か大きらいな、話してもらいたくないスト権の問題もよく話しているようです。スト権については法律で決まることであるけれども、しかし労使間でよく話をしたい。これは労働問題というのは法律でやるものではありませんから、そういうようにしてもらいたいんです。特に、私は先ほど総理府の方に来てもらって言ったのは、いわゆる懲戒基準の問題等については、やはり労働協約、これは国鉄にもありますが、公務員というか、労働組合との間に結ばれる、こういうことについては、三公社五現業は特に必要な措置だと考えています。それがあればいいという意味ではなくて、それらの信頼関係があって初めて幾つかの破局的な危機的なことがあっても労使関係は乗り越えて、またもう一度新しい道を歩むことができる、こういうように思いますから、私は外国の条令を要求したのではありません。こういうことがあれば、幸い国民の中にも十分でないことについて、いわゆるその状態を報告して理解を深めていく、こういうようにしたいと思っておるのです。特に大臣からは、調停や仲裁の段階があるではないか、何もストライキをせずにやれるじゃないかとおっしゃっておるんですが、そういうのはあなたが言う立場上の話です。そんなことであったら陳情団が来ません。大臣がおるんだから労働問題はほっとけというんじゃなくて、来よるでしょう。それと同じでありまして、私たちは話がついてくる場所があれば、お互いに決着はつくと思う。こういうような意味で質問して答えを求めますと――あなたに答えられたら時間かなくなって発言できませんので。専門懇のあの考え方には全面的に反対する。なぜならば、企業体を変えなければスト権を与えないでとか、独断的なそういう言い方をする。よその国では、民間であろうとあるいは公的な機関であろうと政行機関であろうと、それぞれのやり方でストライキ権を与えておる国があるのです。しかしそれは国の事情が違うとまた逃げるでしょうが、その国の違いを、少なくとも一人一人の人間に与えられた、労働者に与えられた、憲法で保障されたいわゆる労働基本権、ストライキ権が行使ができるようになっておって、するのが一番いいんです。なにとは違うんですよ、あなたと違う。ストライキ権は行使できるようにちゃんとしておるけれども、せずに済むようにするのが一番いい状態なんです。あなた方は、取り上げておけば安全だと思う考え方、とにかく違法だと言えば、何でもぱっと処分できる、楽しいなあと、――弱い者の言うことでありまして、私はそういう意味で、そんな考えが大臣にはない、こういうことになるのか、あるというのか、いわゆる違法だということで処分をすることによって弾圧するというか、圧迫することによって労働問題の解決にはならないと思いますが、いかがでしょう。
#108
○国務大臣(長谷川峻君) 何でも、民間でも労使よく話し合ってストライキ権があるにしても、ストライキなしで片づけておるところもあります。私は、あなたがいま国鉄の話を引用されましたが、こういうときでありますから、私は新しい総裁と組合の諸君が、みんなの見ている前で一遍会うべきが、必要じゃなかろうか、こう思って、国鉄出身の国会議員の方々にも実はお勧めしたことであります。そういう場所を、国民の見ている前で会うという感じでございまして、きのう、新聞によりますというと、国鉄で組合の諸君と総裁とがいろいろ話をして、いろいろな記事が出ておりますが、いずれにいたしましても、いますぐ直ちに結論が出ない問題もありますけれども、そういうふうなチャンスを積み重ねていくことは非常に大事なことで、りっぱなことだと、こう思っております。
#109
○片山甚市君 労働大臣が努めて、三公社五現業といいますか、当局と労働組合との間の話し合いを進めるように力を尽くしていただきたいということについては、そのようにしたいということですが、国鉄も当局と国労との間が実りましたけれども、非常にいいと思うのです。当局だけじゃなく、組合はこれまで川をはさんでやり合っていたのが、両岸に一応の橋がかかったと村上委員長はおっしゃっています。橋がかかれば、違いがあってもまた通ずるでしょう。こういうようにしてもらって、十二月一日以降非常に断絶的になっている問題を解決するためには、政府と労働組合間の話し合いも、いよいよストライキがないのでありますから、あなたの大好きな。ストライキがなければいいというのですから、ないときこそ、いまあなたの方から呼びかけて、ひとつ労働組合の人と話をしようじゃないかというようなことになりませんでしょうか。政労交渉が窓口があるんですから、それが呼びかけて開かれるように期待をしたいんですが、いかがでしょう。
#110
○国務大臣(長谷川峻君) 私の態度は、片山さん、従来でもですが、とにかくあんた、来た人には全部会っているんですよ、来た人には。私はだから去年なんか三十四、五回、ことしも三十回以上会っていまして、一切来る人は拒否いたしませんから、来たらいつでもお目にかかります。
#111
○片山甚市君 私は労働大臣が、というよりも、政府と労働組合との間でよく話をする、こういうことは、トップレベルにおけるところの会談をILOからもかつて勧奨されたことがあります。示唆されたことがあります。われわれはよその国から示唆されるんじゃなくて、いまやその時期になった、こういうように思いますから、重ねて、大臣はよく会うけれども、政府として、国務大臣として、これからいわゆるストライキ権だけでありませんが、そういう話をして、共通の広場をつくっていく、理解を深めていくということに御努力されますか。
#112
○国務大臣(長谷川峻君) まあ、いろいろな問題のときに、政府に会いたいという話が出まして、私の方はごあっせん申し上げることも間々ありました。いまから先も、時期の問題とか、どうしても忙しくて会えないとか、いろいろな問題がございましょうけれども、努めてとにかくコンセンサスを得られるような根回しのお手伝いはしたい、こう思っております。
#113
○片山甚市君 まあ、非常に消極的なことで残念でありますが、私はスト権問題を検討される近く発足すると言われるところの中山さんが指名をされておる懇談会等を見ておりますと、私たちの言い分ですと、勝手にというか、また政府が好きな人を集めて好きなようにやったんでは、これは労働者の意見を反映する場所がなくなる。労働者のいわゆる意見の反映ができるように、政府と労働組合間の話し合いもさることながら、そういう配慮をしてもらわなければそれは引き延ばしただけに終わるだろう、こう思いますから意見を述べますが、いかがですか。
#114
○国務大臣(長谷川峻君) 政府がつくるものに労使が入って、そこでただやり合うこともこれはおかしゅうございます。いずれにしましても、労使当事者の意見を十分聴取するようなことは当然である。また、そういう機会があればごあっせんするにやぶさかでない、こういうように御理解願います。
#115
○片山甚市君 私はあっせんじゃなくて、能動的に労働省がそういう場をつくるというか、そういうようなことをするのが、いわゆる調停や仲裁機関をつくって労働事案の紛争を解決していこうという、一つの省のサービスの一部だろうと思います。非常にいろんな意見に気を取られて慎重な発言をされていますが、そんなことじゃなくて、いまこういう時期になりましたから、やはり労働組合も全国大会を控えていろいろ方針をつくらなければいかぬ。そのときには、政府と労働組合の間にどれだけの違いがあるかということについて、十二月一日以降何回話したかというと、三回か二回しか正式に話してないような感じであります、聞きませんけれども。もっともっと頻繁に会おうではないか、大臣の方から寄っていくべきであって、来たらやるわ、そういう冷たいことはいけませんが、もう聞きません、言ったらまた、これ時間延ばしてくれたらいいが、地球は回っているでしょう、時計の針はもとに返らぬから。そういうことで、実は本当のこと言えば非常にむずかしいことであるだけに、飛び込んでいって話をしていく、これが大切だと私は思います。一昨日の多賀谷委員に対するお答えはすべて一月二十日閣議で決定した方針に基づきだんだんと努力しますばかりであります。だんだんと悪くなるのかよくするのか何にするのかわからぬけれども、だんだんとよくなるようにしてもらいたい、だんだんの御意見を聞きましたが、まあ専門懇の答申は答申で、あなたの意見はあなたの意見で、それも両方とも聞くような聞かぬような話をしていますが、私たちは専門懇に聞かれておることについて納得しない労働団体をそのままにしてもう一度案をつくられてもどうにもならない。そういうことで中山さんなどが懇談会の会長とか、そういうことになられるでしょうが、そういう人は過去の三池闘争、いろいろなことをお知りでありますから、これだけの長い昭和三十三年以来の問題の解決には一身を賭してとは言いませんが、心血を注いで解決への道を果たしてもらいたい。きょうは大臣が初めから私の問いにまともに答えてくれないだろう、いわゆる閣僚協の決定がございます、何々がございますと言うたらほかの話をしましたが、国際条約を守り、国内の法律を守るというなら、政府みずからがいつも法律を守るように、ロッキードの黒い霧じゃの、児玉さんが出てきたり小佐野さんが出てきたり、いろんなことすることないようにしてもらわないと、口の先からそんなこと言っても話にならない、これで一応終わっておきます。
 さて、本来の高齢者雇用率の雇用促進の問題について質疑を始めたいと思います。
 高齢者雇用率は、現在労働省の資料などを見ると大体六%から七%のようであります。ところが現実に企業が雇用しておるのは一〇%程度の割合なんです。そうすると、平均よりもかなり低い線で雇用率を決めておるのではないか。高齢化していく労働事情のもとで高年齢層の求人、有効求人倍率は〇・一五です。そして、就職率は、三・五%というようなものでありますが、本法の改正で果たしてこのいわゆる雇用率六%から七%ということでこの要求が満たされることになるんでしょうか。まずお答えを願いたいと思います。
#116
○政府委員(遠藤政夫君) 今回の改正によりますこの高年齢者の雇用率の制度は、実を申しますと、五十五歳以上の高年齢者に安定した職場を確保する。言ってみますと、一般的にいま行われております五十五歳定年を六十歳まで延長する、そのための一つの法律的な支えというようなことで、この雇用率によりまして各企業・事業主が五十五歳以上の人を一定割合雇ってもらいたい、こういう努力目標としてこの雇用率制度を設けることにいたしたわけでございます。いまこの雇用率が六%、あるいは平均が一〇%というような御指摘がございましたけれども、実はそうではございませんで、これから向こう五年間の労働力の推移を見てみますと、全体の学働力が高齢化いたします中で全雇用者の中で占める高年齢者、五十五歳以上の比率が大体一〇%程度だと見込まれております。そこで、これは平均がそうなるということじゃございませんで、そういう情勢だとしますならば、一体どれくらいにこの高年齢者の雇用率をしたら適当であるかということはこれから審議会でいろいろと検討していただいて、その結果によって雇用率を決定いたしたいと思っておりますが、仮にこれからの五年間の経済成長率六%、その中での雇用水準、高年齢者の割合、こういったものを考えますと、大体六%程度ならばいま申し上げましたようなこの法律によりまして雇用率を制定し、高年齢者の職域、安定した雇用の確保といったような観点からは大体目的が達成できるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
#117
○片山甚市君 まあ、遠藤さんの方が大丈夫だと言うんだから、一年くらいたってみてからそうならなければ、本日食言というか、見通しの悪い政府提案だったことになるかどうか、お手並みを拝見することにいたしまして、信用はいたしませんが、お聞きをしておきます。
 と申しますのは、大体、先ほどもリハビリテーションの問題を話したときでもずいぶんと看板と内容については寒い話をして、私の方の粕谷委員の方からひやかされておりましたけれども、私はこの問題については、特に雇用率がいま一〇%現に大体平均したら一〇%ということになっておる。今度制定するのは六%か七%ということで果たしてどうなのかという疑問を掲げました。しかし、遠藤さんの方がそれでいいと言うのですから、そう無理をせぬでいいです。後からまたゆるゆると、これで地球は終わりにならぬのですから、ぐるぐる回っておる間にひとつ御自分で解決せなければならぬように記録上明らかになる。それで、それはいつまで、企業の規模はどれくらいのところでこの雇用率六%、七%を達成するのか、大臣として所見を述べていただけませんでしょうか。
#118
○政府委員(遠藤政夫君) これは、いま申し上げましたように、高年齢者の雇用率は、これは努力目標ということで、この法律の制度として考えております。たとえて申しますと、千人の企業があって、平均年齢が二十六歳だ、一番上の最高の年齢が四十四、五歳というような企業が現実にありますけれども、そういう場合に、この法律ができて努力目標ができたから何年間にこの雇用率の努力目標を達成しなければならぬという性質のものではございません。先ほどから粕谷委員から御指摘がございました身体障害者の雇用率とは本質的に性格が異なっております。冒頭私が申し上げましたように、この高年齢者の雇用率は言ってみますならば、現在一般的に行われております五十五歳定年を労働力の高齢化に伴って、また人口の高齢化に伴って当然六十歳くらいまで当面定年の延長をすべきであるということで、この数年来行政指導、いろいろな助成措置をやってまいりましたけれども、それに合わせましてこの定年延長を促進するための法律的な支えという、そういう意味合いでこの高年齢者の雇用率を決めることにいたしたわけでございます。したがいまして、この法律が決まりましても向こう何年間に、何年までに、たとえば昭和五十五年度までにこの法律に定めろ雇用率を達成しなければならぬ、こういう性質のものではございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
#119
○片山甚市君 この法律がいわゆる努力規定というか、義務規定でないということでお話しでありますが、やはり大臣は失業ほど人生で悲しいことはない、こういうふうにおっしゃっておるんですから、まして人生の大方を働いてきた人間がいろいろな理由で職を失っておるということならば、あなたの大臣の日ごろのお言葉ならば、むしろ義務規定にしてがんばれと言ってやるような社会の連帯がほしいと思います。
 そこで、いまだめだということがわかりました。やる気がないということがわかりましたが、この実績を見て今度雇用率をもう少し引き上げてでも、あるいは強制的にというか、義務的に雇用するような努力をしてみることは考えられませんか。いま約束せいとは言っていませんよ。実情を見て、やはり私はお年寄りがぼけてくるのは仕事がないときですよ。楽隠居という言葉で、よく疲れて死ぬという話ですが、激務をした人間がぱっと職場を定年になると恩給をもらわないうちに死んじゃうというのも、あれが大変です。ですから、そういう意味でもこの強制的ないわゆる制度を導入するように実情によれば考えられるでしょうか。いまのところは必要ないんですよ。そういうことはどうでしょう。仮説はいけませんか。
#120
○政府委員(遠藤政夫君) これは繰り返しになるかもわかりませんけれども、同じ雇用率という言葉、法律用語を使いましても、先ほど来御審議いただいております身体障害者の場待と高年齢者の場合とはこれは本質的に性格が違うものでございます。身体障害者というのは、一定の人たちが交通事故なり労働災害なり、あるいは薬害なり、そういったことによって身体に障害を来たす、そういった人たちの雇用の場をいかにして確保するかということですが、人間すべて年をとってきますと、全部百人が百人、一〇〇%高齢化するわけです。ですから、そういうものと身体障害者と同じに考えていただいては実は困るわけでございまして、これから昭和五十年代十年間の労働力の推移をごらんいただきますとよくおわかりいただけると思いますが、だんだん高齢化してまいります。しかも、安定成長で経済成長率が仮に六%あるいは七%といたしますと、昭和六十年で五千六百五十万あるいは五千七百万という労働力供給水準が一応見込まれておりますけれども、その中で一体六%の成長で完全雇用が達成できるのかどうか、いろいろ議論はございますが、その中で、いわゆるいままで珍重されておりました労働力不足時代に非常に金の卵と言われておりました若年労働力の供給水準はこの十年間ほとんど変わりません、ということになりますと、結論から申しますと、依然として今後十年間、六十年代になりましても若年労働力はきわめて希少価値といいますか、不足状態になるわけです。したがいまして、その全体としますと、五千六百五十万という労働力供給水準を一応想定いたしますと、必ずしも六%、七%の経済成長と仮定した場合に、完全雇用が達成できないということではございません。しかしながら、その中で依然として若年労働力が不足し、それに反比例しまして高年齢労働力がなかなか職場の確保が比較的困難である、こういう状態が当然想定されるわけです。したがって、いままでのように比較的労働力の確保しやすい主として大企業、そういったところが若年労働力を使って、労働力の確保の困難な中小企業が五十五歳定年ではに出された高年齢労働者を使う、こういう考え方ではこれからやっていけなくなる。大企業も若年労働力でなければならないような作業、そういう職種、そういうところは若年労働力を使う。しかし中高年齢者の方が向いておる職種あるいはそういう人たちの経験とか技能を生かした方がより効率的な職種、作業については高年齢者を使っていく、こういう考え方でこれからは労働力の確保といった観点からも考え直さなければならない事態になろうかと考えております。そういったことで、全体として私どもは現在一般的に行われております五十五歳定年を最近五十六歳、七歳、八歳あたりまで延びてきておりますけれども、さらにいままで以上にこの行政指導なりいろんな助成措置によって定年延長を進めると同時に、この法律に一つの努力義務ではございますけれども、この定年延長を支える意味での雇用率という制度を導入することにいたしたわけでございます。いまお話しになりますように、これを強行するとか、強制的に義務づけるとか、そういう考え方をとるべき性質のものではないと、こういうふうに考えております。
#121
○片山甚市君 展望をお示しをいただきましたが、今度のいわゆる高齢者雇用率を設けたというのは、大企業がいわゆる弱年的な定年制をしいておるのを、可能な限り引き上げていくようにする。いわゆる大企業が、若いときだけ使って、少し年いくと排除しておる形になっておるのを是正できたらいいというように私はとれました。それはもっともです。これは、そういうことで労働省が今度いわゆる取り上げた問題点が、定年延長が社会的に広がっていくように、そして大企業にそれが実現できるようにということになれば、その指導方向は厚生年金の六十歳に近づくように、それを目標にするように御指導を願えるかどうか。それはぜひともこれをつくるときにそういうことであるということになれば大変福の神さんですね。これは遠藤さんはもうあしたから祭られるかもわからぬけれども、それはひとつお答え願えませんか、大臣。
#122
○国務大臣(長谷川峻君) これは私からもお答えします。これはそこをねらっているんです。六十歳として、その年金ね、そういう問題まで合わせて。それから、雇用率と言いましても、いままで身障者の場合でも努力目標だったんです、いままでは。努力目標であったけれども、あのパーセンテージが達成したんです。それから、この場合に率を決めることはむずかしいというのは局長の御答弁でおわかりいただいたと思う。私たちは、いまもう一つ考えられますことは、不況のときに一番離職して再就職のむずかしい人は実をいうと中高年齢者です。こういう人々は御案内のように、敗戦後の日本をここまで持ってきて、そして自分の子供たちを皆学校を出した人です。また、その技能があります。そういう方々を、やっぱりずっと働いてもらいたいということで六十歳定年、それは年金にもつなげていくようにやっていこうと、こういう理想でございますから、ぜひひとつ御賛成をお願いしたいと、こう思います。
#123
○片山甚市君 いわゆる定年制が五十五歳でしかれておるのは大体私たち労働省の調べを見ると五二%ぐらいだと思っておる。五十八歳までの人が大体六四%だという省のいわゆる統計があります。これをできるだけ先ほど申しましたように六十歳という年金につないでもらい、そして年がいってもなおお元気で働けるような状況をつくるためにこれが活用される、こういうふうに承りました。
 そこで、関東経営者協会の機関誌「関東経協」が、これは二百七十七号ですが、いわゆる整理解雇の基準として、満五十歳以上の者が第一順位に挙げられております。こういうようなことはやはりわりに自民党は資本家の代表だと、こう言われると、労働省だけはそうでないのかどうかわからぬが、とにかくこういうような五十歳以上はできるだけ早く、一番先の第一順位に挙がっておるわけです。これですね。こういうことについてはこの委員会を通じて、不適当だと思いますから、この機関誌について一度精査をしていただいて、もしあなたがおっしゃるようなことについて意見があるなら労働省の意見を述べ、あるいは機関誌に載せて、この雇用促進の法律が制定された意義や、そういうことを言って、この会員が間違っても五十歳以上の者、また、少し体の弱そうな者は首を切ると書いてある。そういう血も涙もないのがまあ資本家だけれども、ようわかったけれども、よういい見本つくってくれています。こういうのは余りいただけません。もしそれが本当であれば、これ、上げますから、あれはどうされますか。そういうことはよくないことだと、望ましいことでないと思うのですが、けしからぬとかなんとか言う前に、そういうことについてはどうでしょう。御意見を少し、これが事実とすれば、これを見せますからお答えを願います。
#124
○政府委員(遠藤政夫君) 定年延長につきましては、これはいろいろむずかしい問題がございまして、私どもこの二、三年来強力な行政指導は進めてまいりましたけれども、なかなか思うように進みません。そもそも、この定年延長を法律で決めるとか、役所が頭ごなしにこれをどうしろという指示をするというような性格のものではございませんで、あくまでこれは労使間の話し合いによってこの定年制をどうするかということは決められることでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この定年延長をはばむいろいろな諸要素、要因、こういったものについていろいろ私どもの方の定年延長に伴うこういった阻害要因を除去するためのいろいろな指針、あるいは助成措置、省令措置、こういったものを強力に推し進めながら、使用者と労働組合と話し合いをできるだけ積極的に進めていただいて、当面六十歳までの定年延長をしてもらいたい、こういうことを経営者団体にも、労働組合にもそれぞれもう幾たびとなく機会あるごとにお願いしてきているわけでございます。今度の法律も、この法律ができたことを契機に、さらに一層こういう労使間の話を進めていただけるならば私どもは幸いだと思っておりますが、いま御指摘になりました資料は私承知いたしておりませんが、拝見した上で、そういった不適切な個所があればそういうことを是正するように行政指導を進めてまいりたいと思っております。
#125
○片山甚市君 大臣からもお言葉をいただくんですが、時間がありませんから次のことに移りますと、実はせんだって地方自治体の問題について、これがなぜ適用になってないのかと、こういう適用というのは定年の問題について聞きましたところ、定年制がないからこれは自治体についてはいわゆる高齢者雇用率を定めてないんだと、こういうふうにおっしゃっていましたが、もう一度国、地方公共団体、三公社に対しては高齢者雇用率をなぜ定めていないのかお聞きをします。
#126
○政府委員(遠藤政夫君) 国家公務員、地方公務員、こういった特殊な立場にある人たちにつきましては、国の場合も地方公共団体でも同様でございますが、これはいま御指摘になりましたように、定年制の制度がございません。と同時に、地方公務員、国家公務員通じまして公務員制度の性格なり、あるいは給与制度のあり方なり、こういった観点からこういった民間の企業と同じように雇用率というような制度を適用するにつきましてはいろいろ問題がございます。そういったいろいろな制度上の問題を解決した上でこの雇用率を適用することにするならば、その上でないといろいろかえって雇用率を適用したことによって問題が生ずる、こういうこともありますので、今回は従来の方式によりまして中高年齢者の雇用率制度をそのまま踏襲することにいたしたわけでございます。と同時に、これをいまここで同じような適用をしませんでも、定年制がないこと等からいたしまして、現実には国家公務員の場合も地方公務員の場合も五十五歳以上の人の雇用率はかなり高い比率になっております。したがいまして、これは労使関係の問題もありまして、この雇用率を適用しなくても、適用した以上の効果が実際には上がっておる、こういうこともありますので、今回はこういう措置をとることにいたしたわけでございます。
#127
○片山甚市君 実は最近地方財政の危機ということで、自治省が指導要領を出しています。
 そこで、各自治体の状態を見ると、五十五歳、五十八歳などで退職勧奨を行っておるのでございますが、自治体や公共企業体で退職させて民間に高齢者を雇いがえさせるということは、それは筋違いだと思います。少なくとも公共団体とか公企体の人たちが退職勧奨を受ける、それでやめて民間に行って働くというのは筋違いだと思いますから、少なくとも六十歳まではいわゆる退職勧奨をしないで、仕事を、適職を与えてするようにむしろ自治体とか公企体とかいうとこはすべきじゃないか、私がもとおりました電電公社も大体五十八歳で勧奨をしておるようであります。これはもう私がおったんですからこんなことを言う資格はないので、協約などで変えなきゃならぬと思いますが、どうでございましょう、非常に残念です、これは……。
#128
○政府委員(遠藤政夫君) 実情を申し上げますと、私どもの方の職業安定行政に携わっている職員が全国で一万八千くらいおります。この中で十数年前から、三十四、五年当時から管理職については五十八歳で勧奨をすることにいたしております。現状もそうでございます。しかし、管理職以外の職員についてはそういった五十八歳という措置はとっておりません。まあ、こういった考え方は今後とも継続するつもりでおりますが、地方自治体のいま御指摘になりました問題は、地方財政の危機を何とか回復しなきゃならぬ、立て直しをしなきゃならぬ。まあ一部におきまして、地方自治体の規模に対比しまして職員の数が余りに多過ぎると、で、人員を削減しなきゃならぬと、そうすることによって地方財政の危機を何とか切り抜けようと、こういうことから五十五歳で退職勧奨をしているところも一、二あるように聞いております。これはまあ民間につきまして、当面六十歳まで定年を延長してもらいたいと、そういう趣旨でこの法律を今回制定することにいたしたわけでございまして、もちろん国なり地方公共団体が民間に率先して、こういう趣旨に沿って措置をすべきことはもう申し上げるまでもございません。ただ、まあ、こういう特殊な例によりまして五十五歳定年勧奨をしている例があるということは決して好ましいことではございませんけれども、当面のこういった地方財政の立て直しというような観点からこういう措置がとられるということは民間と違いまして、たとえば五十五歳で退職勧奨をいたしましても民間の場合は六十歳からしか年金がない、公務員の場合は五十五歳から年金がついている。そういうことから非常措置としてこういう措置がとられることもあるだろうと思います。決して望ましいこととは考えませんけれども、そういう緊急事態としてそういう措置が一部の地方公共団体でとられている例があるように聞いておりますが、これもいまの時点で特殊な事例としてはやむを得ない措置かと思いますけれども、全体の方向としてはやはり国、地方公共団体が民間に率先して定年延長といいますか、高年齢者の安定した雇用の場を確保するという方向で措置すべきものだと、こういうふうに考えております。
#129
○片山甚市君 年金をもらわずに五十五歳から六十まで働こうというんですから涙ぐましい、うれしいこっちゃないですか。感謝にたえないと言わにゃいかぬ。やめたら年金もらってよそへ行ったら金くれるんですわ、国家公務員とかなんとかいうのは、年金は別ですからね。そうでしょう。税金から納めている。ですから、私はそういうことを余り言いたくありませんが、ええものはええ、悪いものは悪いと、こうならぬように考えたらどうですかと、まあ、言いません。それで閣議で少なくとも六十ぐらいは元気だったら働くようにと、逆に言うて励ましてやると、こういうのがこれからの高齢者人口時代の政府の先見の明のあるところじゃないですか。もって、公務員などがその模範を示す。六十になったらもうぼけとるというなら、そんなんだったらもう五十ぐらいからぼけとるんと違いますか。だから元気でいつでも働けるようにしてもらいたい。これは演説しておったらまた時間がなくなる、あと五分ですから。
 次に、実は今回民間に関しましてはこれまで中高年の職種別雇用率制度があったのが廃止になりました、これは改悪だと思うんです。そこで職安の審議会の答申では、現行の制度の廃止に伴い不利を受ける者のないよう十分な行政指導を行えと言っております。せっかく労使で職種別雇用率を生かして努力しようとしておるところでも、事業主が本法の提案で冷たくなってしまった例もあります。私の支持者がよくおる電通共闘などでは、電気通信建設業界などではそういうのがたくさん出てきておるようであります。そういうことでありますから、指導として、省としてこれをもうなくするというのは非常に改悪だと思うんですが、いわゆる四十五歳以上についても雇用を促進する何らかの特別措置を労使で取り決めてでもいいからしっかり働けるようにしてやれ、こういうように御指導を願えぬだろうか、これはなくなったということと、努力規定ですからね、口先三寸の話みたいな話で、先ほどから、言うだけだという話だからどこまで効力があるかわかりませんけれども、しかし労働省が言うんですから、やっぱり役に立ちますね、成田のお不動さんのお守りよりはずっと。そういう意味でも出してもらえぬでしょうか、相当効果があると期待をするんですが、いかがでしょう。
#130
○政府委員(遠藤政夫君) 大変結構な御指摘でございまして、私どもはこの中高年齢者の職種別の雇用率を今回廃止はいたしましたけれども、それは先ほど来申し上げておりますように、いま一番問題になりますのは、むしろ中高年というその中の高年齢者の雇用を確保するということがこれからの大きな行政の課題だと、こういうことで今回の改正を行った次第でございますが、だからといって、中高年齢者のいままでいわゆる選定職種といいますか、六十数職種、中高年向け職種というものを設定いたしまして雇用率が定められておりました。これを全くなくしてしまうということではございませんで、いま御指摘になりましたように、審議会の答申にも付された御意見のように、この趣旨を生かしながらこの選定職種を今後とも中高年齢者についてはこういった職種が適当な職種なんだと、こういう職種をさらに拡充していく、こういうものにつきましてはできるだけ中高年齢者を使っていただく、先ほど申し上げましたように、そういう職種に若年労働者を使う、そういう求人が来ればそれは中高年齢に振りかえるべきだ、こういう指導をしていきながらいまの御趣旨を十分生かして措置をしていきたい、かように考えております。
#131
○片山甚市君 実は国、地方公共団体、公共企業体などの職種別雇用率の現状では三十三職中十五職種の達成にとどまっているように労働省の統計からお伺いしました。これは何とか改善をする方法はないでしょうか。お伺いします。
#132
○説明員(望月三郎君) 官公庁につきましては職種別の雇用率制度を設定しまして昭和四十六年からこの指導をやってきたわけでございますが、現状から申しますと、三十三職種につきまして約半数の職種について雇用率が達成されております。したがいまして、残るものにつきましても私ども鋭意努力をして指導に努めていきたいという考えでございます。
#133
○片山甚市君 鋭意努力を具体的にどうするかということを聞けませんが、もう時間もないようでありますから……。
 最後になりましょうか、いわゆる雇用対策法第二十一条により、事業所で五十名以上の離職が発生する場合には一ヵ月前に公共職業安定所に届け出ることになっております。その実態はどうなっているのか。こういう法律をつくるのもよいけれども、現実に現行法でもこのことが生かし切れていない、こういうことについて御回答願いたいのですが。
#134
○説明員(望月三郎君) 先生おっしゃるように、雇用対策法によりまして、大量解雇の場合には安定所に一ヵ月前に届け出るということになっております。そこで、現状といたしましては、五十一年、たとえば一月をとってみますと、届け出件数は三十八件に上がっております。そして離職者数は約四千七百名ということでございまして、そのうち五十歳以上というのは八百八十人というような状況になっております。したがいまして、私どもはこういう離職状況を事前に把握をいたしまして、これらの方々の再就職につきまして十分努力をしておるわけでございます。まあ、しかし、今後若干明るさも見えてまいりましたので、このような離職者につきまして適職に即しまして十分な再就職のあっせんということにさらに努力をしていきたい、こう考えております。
#135
○片山甚市君 大臣、いままで高年齢者に対する問題について五十五歳以上にしぼった理由が、少なくとも定年延長が大企業で可能な限り引き上げられる。しかも厚生年金の開始までの間ぐらいは実族がともに安心できる働く場所を与えるというようなことについて可能な限りということで二つあるのです。一つは、いわゆる国、地方自治体、公共企業体等では五十八歳等で、あるいは五十七歳ぐらいで退職勧奨しておるけれども、今日の情勢ではそれほど老化しておりません。そういう人たちに閣議を通して、できれば六十歳くらいまで働けるようにするように、国務大臣としての御進言を賜り、御決定というか、そういう意思が表明できないだろうか。もう一つは、いま申しましたように、一般的な会社に対する定年延長についてはやはり年がいっておるというだけに経験があります。その人たちに希望を持たしたならば、若い人と違った意味の大きな力を発揮するんです。そういう意味で、この定年延長というものは人的資源というか、人を大切にするということについても今日からいわゆる保険サイドで言いますと、年金あるいはそういうものから言いますと、付加制度をつくるにはどうしても支払う側と受け取る側の比率がうんと縮まってくる。そういう意味でもそのときになってお金が足らぬからもっと働こうじゃないか、こんないじましいことを言わないでいいし、そうして働かなきゃならぬという義務でありませんのですから、やめさせるということだけ、――やめる権利はありますね、五十五歳でも五十でもありますけれども、働きたい者にちゃんとそういうような手段をとるようにしてもらいたい。日本人の美風として働くことについて嫌悪感がありません。いわゆる強制労働はきらい、自分の意思に反することをやられることについては大変きらいでありますけれども、みずから働くことによって、あの満員電車で揺られても平気で来るこの勤勉な国民に対しては年老いて温かい配慮をするように大臣から結論としていただきたいんです。
 終わります。
#136
○国務大臣(長谷川峻君) 先ほどからお答えしておりますように、まだ、お互いの年齢が延びてまいりまして、七十四歳女性、男性七十一歳という話もありますし、そして社会的経験 技能を持っている方々がやっぱり働く意思がある人が社会参加するということが一番大事ですから、その方向に向かっていろいろ皆さん方の御意見を聞きながら、こういう制度の上にさらに前進させてまいりたい、こう思っております。
#137
○小平芳平君 初めに、当面の二、三の問題点についてお伺いいたしたい。
 長野県にある昭和電工大町工場で労働基準法違反があった。その基準法違反を基準局と監督署が強制捜査をし、三月二十九日書類送検をしたと、こういうことが新聞に報道されております。で、この件については、私は何回となくこの前から、また強制捜査以後も現地でいろんな実情調査をしております。非常に企業と行政に対する不満、あるいは企業と行政に対する不信、これは相当なものがあるということは大体御想像いただけると思うんです。その間の事情について御説明をいただきたい。
#138
○政府委員(藤繩正勝君) 昭和電工大町工場の問題でございますが、昨年の九月二十二日及び二十三日の両日に、地元の大町労働基準監督署で定期監督を実施いたしましたところ、じん肺有所見者を発見をいたしました。そこで会社に対しまして、その数あるいは精密検査の実施、それからじん肺健康管理区分決定申請、こういうものを速やかに報告ないし実施するように指示をいたしたわけでございます。
 同工場は、これを受けまして、その後の工場の中にございます労使で形成しております衛生委員会におきまして、五十年健診の結果、有所見者が九名いるということを労働組合側に示しまして、精密健診の実施について協議をいたしましたところ、組合側との間に、権威ある医師による読影も組合側が主張するというようなことで、いろいろ交渉が持たれました。結論といたしましては、組合側は昨年の十二月に会社から千二百八十四枚のフィルムを借用いたしまして、労働科学研究所の佐野医師に読影を依頼したわけでございます。
 その結果、本年二月に入りまして佐野医師から九百九十三名の有所見者が認められるという回答が出てまいりました。
 組合は、会社に対しましてまた交渉を持ったわけでございますが、結局、三月三日のトップ交渉で、会社側は組合に対して五十年のじん肺健診の結果、有所見者の数が八十二名、そのうち精密検査を急ぐ必要のある者が九名ということを組合に示して、それからまた所轄の大町監督署に報告をいたしたわけでございます。
 そこで所轄の監督署といたしましては、直ちに関係の労使から事情聴取をいたしましたが、どうも健診の報告漏れ、実施漏れ等、法違反の疑いがあるということから、いまお話がありましたように、三月五日には工場を強制捜査をいたしました。三月の末に、じん肺法及び労働安全衛生法違反ということで送検をいたしたという経過でございます。
 私ども監督署といたしましても、十分な把握ができなかったという点は反省をいたしておりますが、昨年九月に行いました監督を契機にこういう事態が労使の認識を集めまして、そして事態が進展したという経過になっておるわけでございます。
#139
○小平芳平君 そう、監督を契機にと言いますけれども、これはもう労働組合が主体となった長年のそれこそ大変な闘争の結果なんですね。第一、素人が考えてもおかしいと思うのは、今度のじん肺法違反といわれている四十八年の報告、千百九十三人の検査を行った結果、異常なしという報告ですね。実際は八百十二人しかやっていなかった。ですから基準監督署というのはそういうずさんなものなんですか。これで千百九十三人から八百十二人を引く、こんな大量の検査漏れがあっても報告書が出てきたら、おいそれとそれを受け取って机の中へしまい込んでおいてそれで済むんですか。
#140
○政府委員(藤繩正勝君) 私ども労働基準監督署といたしましては、労働者の保護ということは最大の任務といたしまして、あらゆる角度から法違反がないように、あるいはさらに保護の実を上げるようにということで努力をいたしておるわけでございますが、どういたしましても監督官の能力にも限界がございますので、従来主として中小企業あるいは下請企業あるいは問題のあるところというところに重点を置きまして、まあ一流の大企業であれば労働組合も十分監視機能を持っていらっしゃいますし、まあ、いろんな安全衛生の管理体制も中小企業に比べれば優れているというような観点から、労使の自主管理というものに信頼をいたしまして指導をしてきたというのが現実でございます。当昭電におきましても安全衛生委員会が持たれておりまして、労働組合からも半数の参加がありました。また、毎月開かれておるわけでございます。そういう企業の中で正規の報告が出てまいりまして、その数を信用しておったわけでございます。結果においてはいま先生が御指摘のように、それは虚偽の報告である、あるいは診断漏れがあった、こういうことでございますので、私どもとしてはこれを承知いたしましたときには大変驚きまして、こういうことが、これだけの大きな規模の工場で行われておるということはとんでもないことだということから、異例の強制捜査に踏み切りました。そうして送検をしたと、こういうことでございます。今後、私どもはこういった大企業といえども有害物質を取り扱うというような事業場に対しましては、従来の態度でなく中小企業あるいは零細企業ということだけでなく、こういうものに対してもびしびし必要な監督を行い、処分をするという態度を、これをとっていきたいというふうに思うわけでございます。
#141
○小平芳平君 労働大臣に伺いますが、いまの局長のお話は、中小零細企業はびしびし監督すると、基準監督をすると、昭和電工は大企業なるがゆえに出てきたものはすんなり受け取って疑いも持たなかった、そんなけしからぬ話がありますか、一体。これは監督署からいただいた資料ですが、昭和四十八年「粉じん作業別労働者数」として、別表第一、第十五号が八百四人、同じく第二十号が三百八十九人、合計千百九十三人、合計千百九十三人の健診を、健康診断を実施した結果、すべて千百九十三人とも異常はなかったという報告です。粉じん職場に千百九十三人の人が働いている、しかも在職労働者数は千六百九十四人となっておるんです。千六百人のうち、千百人の方は粉じん職場で働いている。そういうところから健診をした。しかも異常なかったと言いながら、何と先ほどの三百何人漏れているということです。それが中小零細企業ならもうとっくに強制捜査されたかもしれない。書類送検されたかもしれない。それが一流の大企業なるがゆえに、こんなインチキなことをやっておきながら、のほほんとほおかむりでいる。その食い違いも、三月一日に私が直接会社側にお会いしたときに、会社側が、初めてだそうですが、実は事務上のミスがあったということを言われた。事務上のミスのゆえに三百何人漏れていたと言った。そのことを組合の方にお伝えしたら、そんなことはいままで言ったためしがないと言っている。そういう姿勢をどう思いますか。
#142
○政府委員(藤繩正勝君) 中小企業に厳しく、大企業には緩やかにというふうにお受け取りいただきますと私どもも困るわけですが、そういう意味で申し上げたわけではございませんで、むしろ労働基準法違反あるいは安全衛生法上の諸問題というものは、えてしてやはり中小企業や零細企業に問題が通常多いと、そこで監督官といたしましては、できるだけそういうところに監視の目を注ぐと、大企業も、もちろんこういう有害事業場というようなところでは問題があるわけですけれども、しかし通常の場合、大企業では管理組織もしっかりしておると、特に労働組合というものが非常にしっかりしておられまして、まあ安全衛生委員会なんかで、先生御承知のように、半数は労働組合の代表が出るということになっておりますから、そういうところで自主的な管理が中小企業や、零細企業に比べてよく行われているというふうに、一般的にはそういうことで私どもとしては判断をしておったということでございます。
 それから、じん肺というような問題は、何せ医師の判断にかかわる問題でございますから、通常監督官が工場の中に臨検監督をしたという程度ではなかなか掌握できない。やはり専門の産業医が診断をして、そうして、こういうことでございますという正規の報告書が出ておれば、一応それを信用してきたというのが実情であります。
 しかし、いかにいま弁明をいたしましても、事実はそういうものが起こったと、しかも所轄の監督署としてこれを把握できなかったということは、まことに遺憾なことでございました。こういうことがあってはならない。今回厳しい措置をとりましたが、今後とも十分な監督指導を行う必要があるということを痛感いたしておる次第でございます。
#143
○国務大臣(長谷川峻君) 小平委員がこの問題を実地まで視察されて、いろいろ御警告をいただいた、その御努力に敬意を払います。いま局長から答弁させましたように、このような事件が起こったことは、まことに残念なことでありまして、労働者の健康と命を守るということがもう労働行政の中で最優先すべきものであること当然でありまして、今後は昭電に限らず、どこの大会社であろうとも強力に監督指導の実施をいたしまして、法違反があれば、厳正に責任の追及を行う所存であります。御理解をいただきます。
#144
○小平芳平君 それではその責任問題はまたあとでもう一つ伺うとしまして、この安全衛生委員会があるからと言いますけれども、じゃあ、この書類送検した、その責任追及は会社側の安全衛生委員会の担当者を全部含めて責任を追及しておりますか。
#145
○政府委員(藤繩正勝君) 労働基準法あるいは安全衛生法におきましては、当然のことながらこういう職場の安全管理あるいは従業員の健康管理というものは事業者の事業主の責任であります。したがいまして、自主管理体制のあり方として、事業者の各段階におけるそれぞれの責任の明確化、あるいは組織的な管理を実施する必要上、ただいま申し上げましたような安全衛生委員会というような組織もございますけれども、最終の責任は事業主自体が負うべきことはこれは言うまでもないわけであります。そこで、今回の措置につきましても、これは事業主及び事業主の責任において事を処理しておる担当者というものが被疑者としてこれは送検をされる、安全衛生委員会の構成員だからといって責任を追及するという形にはなっておらない、事業主の責任を追及しているわけでございます。
#146
○小平芳平君 いや、そうすると、このじん肺法違反と、それから違反事実に対してだれが責任をとるということですか。
#147
○政府委員(藤繩正勝君) 法律上の責任といたしましては昭和電工株式会社そのものの責任が一つございますし、それから現場の工場長、あるいは総務部長、人事部長、人事担当係長、こういう直接にこの事務に従事しておった者を私どもは責任者として検察庁に送検をいたしておるわけでございます。
#148
○小平芳平君 全部それは送検されておりますか。送検の対象になっていますか。
#149
○政府委員(藤繩正勝君) 昭和電工株式会社が対象になることは当然でございます。それから、じん肺法の関係では大町工場長、それから総務部長、人事担当課長――先ほど係長と申し上げましたか失礼いたしました、課長でございます。それから安衛法十三条の関係、つまり産業医を、これだけの規模の工場になりますと専任の産業医を置かなければならないということになっておりますが、専任の産業医が欠落しておったという点がございます。この違反につきましては、昭和電工株式会社はもとよりでございますが、専務取締役及び人事部長、こういった人たちを送検をいたしております。
#150
○小平芳平君 そういうふうに全体の責任の追及を当然やるべきだと思うんです。単なる担当課長くらいが責任をとらせられて、そして実際の本当の意味の会社の経営責任者が責任を問われないということはあり得ないことだと思うんですね。
 それから次に、九人の異常所見者が発見されたということですが、これも一応会社の方ではそれなりの専門医師の判断に基づいて九人の疑いあるものが発見されたと言っているのです。会社が勝手に九人を拾い出したわけじゃないんです。ところが、労働科学研究所の佐野医師がごらんになった結果、九人なんというもんじゃないと、先ほど御説明のあった九百九十三人、対象者の八割、こういう大量の人に異常が認められるというところからこれは問題になったわけです。ですから、一方では九人と言う、他方では九百何十人と言う、そういうことではきわめて困ると思うんですがね、どうです。
#151
○政府委員(藤繩正勝君) まさにその点が非常に労使の間で紛糾をいたしたわけでございます。
 そこで交渉が持たれました結果は一応労働科学研究所にもう一遍全部読影をしてもらうということになりまして、そしてその結果、その数は、最初有所見者とされました九百九十三名、その後さらに十六名の方が追加されておりますが、それがこの四月に佐野医師によって二次健診が行われております。結果は近く判明すると思いますが、その結果、会社側からじん肺法十二条の申請を監督署にしてくるというふうに私どもは思っております。このケースはそれで一応けりはつくわけですけれども、一般論として、いま先生言われました点は、事業所の産業医だけに任しておったのではいけないんじゃないかという御趣旨だと思いますけれども、じん肺法に規定がございますように、こういった判定につきましては、それぞれ最終的には都道府県労働基準局にもじん肺診査医というものを置きまして、そして、何せ医学的判断の問題でございますから、そこで公正な判断をしていくという体制をとっておるわけでございます。
#152
○小平芳平君 労働大臣、いま局長が答弁されるそこが一番の問題なんですけれどもね。会社側はじん肺の疑い九人だと言うのです、労働組合側は疑いが九百九十三人と言うんですというふうにいま答弁されますけれども、そんなばかなことがありますか、第一。じん肺の疑いがあるかないか、これは医学上の問題であって、会社側は九人だ労働組合側は九百人だと。結局、その権威ある佐野医師の健診がないことには、全く九人以外の九百九十人の人は、それこそ公害隠しというのはずいぶん過去にありましたが、今度は職場災害隠しというか、職業病隠しというか、そんなけしからぬ、態度が許されますか。
#153
○政府委員(藤繩正勝君) 会社側のその診断と言いますよりも、じん肺健診を怠ったり、あるいは虚偽の報告をしたということはまことにけしからぬことでございます。
 そこで、先ほど申し上げましたように、私どもとしては断固たる措置を今回とったわけでございますが、ただ、問題は、佐野先生がごらんになった数が非常に多いわけでございますけれども、今回改めまして、四月に、九百九十三名に先ほど申し上げましたように十六名を追加して二次健診が行われております。その結果は最終的にはまだ出ておりませんけれども、四月の十九日に佐野先生が記者会見を行われまして、現段階における感触というようなことで発表していらっしゃいますところでは、明らかに管理区分四と認められる者が二名程度あるんじゃないか、それから管理区分四の疑いのある者が三名ないし四名おられるんじゃないか、これは療養を要するわけです。それから管理区分三か四かわからぬ程度の者が二名くらいおられるのではないか、あとは慢性気管支炎と認められる者が二百七、八十名おられるのじゃなかろうかというような感触を言っておられるわけでありまして、有所見ということがことごとくいわゆるじん肺法上の措置を要する者ということにはつながらないわけでございます。その辺は医学上の判断の問題でございますから、数の上でいろいろ出入りがあろうかと思いますけれども、ただ結論は、先生おっしゃるように、できるだけ公正な判断ということでこういった措置がとられるということは、これはもうそうでなければならぬということは当然なことだと私どもも思います。
#154
○小平芳平君 私が大町へ行きましたときに、退職者――元従業員七名の人か全く偶然に集まった。そして、その七名の人をレントゲン撮影し、佐野医師に見せたところ、一型が二人、二型が五人、つまり七名すべてがレントゲンの上では疑いがあるということです。それから、いま局長がおっしゃったように、この七名のうちではっきりと一人は管理四である。これがすでに精密健診をやった結果ですね。一番新しい私は佐野医師の現段階の判断をけさ伺いましたが、七名のうち管理区分四が一人、間違いない人が一人いると。ところが、七名の方は、すべて病気で寝ている人じゃないんです。定年退職されて、また下請へ行って働いていらっしゃる方も二人いるんです。あるいは自転車で道を走って歩いているときにばったり会って健診を受けたという人もいらっしゃるんですが、その七名中管理区分の管理四が一人いると、したがって、佐野医師としては在職者中には予想以上に三以上の人がいるだろうというのが判断です。当初は在職者中に管理四はいないだろうと予想していたが、実際はそうでないらしいと、詳しいことは追って発表になると思いますが、佐野医師の現在までの判断としてはそういうふうに言っておられます。判断をしておられます。したがいまして、全部が全部とか、そういうふうに言われますけれども、全く被害はない、全くじん肺のじの字も疑っていない。御本人はですね。で、会社の方でもいや大したことない大したことない、こんな黒いほこりを吸えばかえって肺のためになるんだみたいなことまで言っていままで働いてきていた。それが管理区分四とかあるいは三という人が相当出るんじゃないかという佐野医師の現在の判断ですね。ですから、疑いがあるといって全部が全部心配することはないんだということと、そういうことを言ってごまかしてきたのがいままでの会社じゃないですか。
#155
○政府委員(藤繩正勝君) 組合と会社と合意いたしまして労研の佐野先生にいま診ていただいているわけでございまして、先ほど申し上げました数字も四月十九日の同先生の記者会見で現段階における感触ということでおっしゃっておるわけなんです。もちろん正式なものは今後明らかになるということでございますから、いま先生がおっしゃいましたようなこともその後の経過で出てきている数字だと思いますが、いずれにしましても、もちろん疑いが全然ないというようなことではなくて、むしろ何名かの疑いのある者がはっきり入っておるということであろうと思います。いずれにしましても、その結果がはっきりいたしますれば労使の話し合いで会社が所定の手続で労働基準局の方へじん肺の管理区分の決定申請をすることになっておりますから、それを待ちまして私どもの方としては管理区分の決定を行い、療養が必要な者に対しては療養をしていく、労災補償をしていくと、こういう態度をとりたいというふうに思っておるところでございます。
#156
○小平芳平君 元従業員は会社は把握してないんでしょう。いつ健診しますか。
#157
○政府委員(藤繩正勝君) 今度の問題が起こりましたので、私どもとしましては、現在大町工場で働いておる従業員はもちろんのことでございますけれども、退職者につきましても、それから下請の従業員につきましてもこれは十分な健診と診断が必要だというふうに考えておりまして、さきにそういった関係事業場に対しましてエックス線写真の撮影、それから過去にもし実施された撮影があればその再読影というようなものを指示いたしまして、それが現に進んでおるわけでございます。たとえば、いま退職者にお触れになりましたが、退職者につきましては、下請の退職者はもうすでに四月の二十六日から三十日ぐらいにわたって行われたはずでございます。それから本社工場の退職者はこの五月の二十日から三十日までの間にエックス線写真の撮影等を行うことが決まっているというふうに聞いております。本工と同じようにそういった者の措置をちゃんとしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#158
○小平芳平君 下請の方も、下請の従業員の健康調査についても、これも三月一日、私が監督署へ行ったときに、署長から四人の書類を基準局へ送ったということを署長は言われているんですが、型式も何も一切こっちには控えはとってないというような扱いになっているんですか。
#159
○政府委員(藤繩正勝君) 私どもはこの下請の者につきましては、一次の再読影を大町市立病院で行い、二次の健診は信州大学でやっていただくというようなことで進めていると聞いております。いままでのところ北村組というところの二名については問題があるということで私どもの方に上がってきております。いまそういうふうに進行中でございますので、必ずしも十分に把握いたしておりませんが、それぞれのところで一次健診、二次健診をきちっとやるようにということで進めさしております。
#160
○小平芳平君 労働大臣、次のことを指導していただきたい。第一に、粉じんのひどい職場が下請に任されているという、その実態です。それから第二に、定年退職者が在職中も粉じん職場で働いていた人が定年退職してこの下請の組に再就職して、さらにひどい粉じん職場で働いているという実態。第三には、どうも下請の方では経営者がびくびくしている。余りじん肺発生というようなことで下請を取り消されやしないかというふうな、そういう実態です。これに対するお考えを伺いたい。
#161
○国務大臣(長谷川峻君) 御指摘の問題がこのとおり書類送検までしていることでもありますし、また、それに関連したいまの下請の話なども出ましたから、よく精査の上で検討してまいりたいと、こう思います。
#162
○小平芳平君 それでは、退職者には健康管理手帳のようなものを企業によっては支給しまして、そうしてたとえば年一回というような健康診断をしているんですが、昭和電工、何もやっていません。これはどうですか。
#163
○政府委員(藤繩正勝君) 私どもは本社の工場の従業員だけでなくて、いま先生おっしゃるように、下請関連の工場の労働者あるいは退職者、そういう者についてもいわゆる企業の社会的責任においてこういう元請の、特にこういう大きな工場の場合、やはりできるだけ長く責任を持ってその健康管理を行うべき義務があるというふうに私ども思います。そういう指導をしてまいりたいと思います。
 なお、いま健康管理手帳のお話が出ましたが、先生御承知のように法定の健康管理手帳というものがございまして、これはじん肺の場合には健康管理区分三の者、四の者は療養するわけでございます。三の者につきましては健康管理手帳を、これは政府の方の制度といたしまして手交いたしまして、これは健康診断を行っていくということが決まっているわけでございますが、今後したがいまして、区分がはっきりすればそういう措置をとってまいりたいと思いますが、そういう制度的にはっきりしている場合でなくても、いまおっしゃったような趣旨でできるだけこの昭和電工がそういったところまでめんどうを見れるような、そういうことを私どもとしても行政指導をしてまいりたいというふうに思います。
#164
○小平芳平君 じん肺の健診は三年に一回ですか、法律は。それ、長過ぎませんか、三年というのは。
#165
○政府委員(藤繩正勝君) 粉じん職場における健康診断は原則として現在三年に一遍ということになっております。ただ、問題があればもちろんもっと頻繁に健康診断をすべきものでございます。なお、このじん肺の現在管理区分、それからいまお話しがありましたその管理区分に見合った健康診断のあり方、こういうものにつきましては、実は非常に従来から御議論がありまして、果たして現状でいいんだろうか、じん肺法ができてかなり日数もたったけれども、見直しが必要ではなかろうかということで、先般来じん肺審議会におきましても労使それぞれ、それから各専門の方々の間でかなり精力的な検討が進められております。私どもは、来年度あたりには法改正も必要があればやらなきゃならぬ、いまの制度を全部洗い直して必要な改正を行うべくいま努力を重ねている最中でございます。その中で十分検討いたしたいと思います。
#166
○小平芳平君 従業員も三年に一回では長過ぎるということを感じますし、それから健康管理手帳はいま説明されるそういう意味の健康管理手帳ではなくて、全部の人に会社がもう自分の方で渡すわけです。しかも三年に一回なんといったら、このじん肺にしろ、がんにしろ、もう気がついたときは遅いわけでしょう。ほとんどもう気がついたとき、病名が決まったときには死を待つというような例が余りにも多いわけです。したがって、退職者の方に対しても絶えず所在を確認をするなり、あるいは希望によって健診を受けられるようにするべきであると。当然じゃないですか、これは。
#167
○政府委員(藤繩正勝君) こういう有害物質、あるいは粉じん等によって起こります疾病につきましては、できるだけ濃密な健康診断をやり、従業員の健康管理の完璧を期する必要があるということは当然でございます。そういうことで現行の制度ができております。で、いまおっしゃいますように、常時粉じん作業に従事する労働者につきましては三年でございますけれども、しかし健康管理区分がすでに管理二、あるいは管理三である者は一年というようなことで現在もなっておるわけでございます。しかし、それで果たして十分かどうかということは先ほど申し上げましたように非常に最近において議論をされておるところでございます。そういうことでございますので、いま先生の御提案もございます、専門家の方々と十分その辺を検討を加えまして、必要があればこういったものも見直していくという前向きの姿で取っ組んでいきたいというふうに思います。
#168
○小平芳平君 大臣戻りますか、すぐ……。
 では、松尾鉱山、この松尾鉱山では昭格電工よりいいです、これだけの就労者名簿がありますからね。これは基準局でも力を入れてお調べになったと思んんです。ところが、松尾鉱山の健康診断は、もうとうに廃鉱になっておりますから、健診は四十七年四月に一回行われただけであって、しかもこれだけの名簿がありながら全員の人が受けておりません。六十一名が受けただけです。その後、健診をしてほしいということを関係者から再三基準局へ申し入れているんですが、さっぱり健診が行われない。本省次第だというようなことも言っているそうですが、いかがですか。
#169
○政府委員(藤繩正勝君) 先生十分御承知のように、労働者の健康診断の責務というものは事業主にあるわけでございまして、安全衛生法上の健康診断もすべて事業主にその義務を課しておるわけでございます。いま問題になっております松尾鉱山の場合は、大変残念なことながら相当前に松尾鉱山がすでに廃止されておりまして、すべての方が離退職されておる、つまり元労働者でございますから、法的に申しますと、いま申し上げました事業主の健康診断義務というものは存在はしないわけでございます。ただ私どもとしましては、雇用期間中その労働者に健康上有害な業務に従事をさせたというような事業主、あるいはその事業主の承継者というような者が現に存在をしております場合には、法律上の義務はなくても、できるだけ企業の社会的責任としてその事業主に健康診断の実施を指導するということで一貫してやってまいっておるわけでございます。四十七年に健康診断をやったではないか、その後やられていないではないかというお話でございますけれども、四十七年の場合にも、そういうことで全部元労働者で法律上の責任者がいないということでございますから、事態が非常に深刻でもございましたので、いろんな経緯で先生御承知のように、一部は住民健診、それから松尾鉱山の場合には労災で負担をいたしまして、労働基準局が異例の措置として直接の健康診断を行ったわけでございます。その後、その診断の結果、必要なものについては労災保険給付等を行ってまいってきておりますが、今後におきましても、そういう業務上の疾病に罹患している疑いがあるという者がおられますならば、労災保険給付の請求を行うように指導をしてまいりまして、そうして請求が出てまいりましたならば、必要な場合には私どもの方で精密な検査も行いまして、業務上の疾病に罹患している者については逐次所要の補償を行ってまいりたい。現にその後も、最近におきましても何人かの方々の補償を行ってきているわけでございます。したがいまして、監督署の方にそういう請求が出てまいりますれば、私どもとしては今後とも対応をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#170
○小平芳平君 大臣呼んでくださいよ。――異例の措置でやったのですから、その後必要があればと言われておりますけれども、異例の措置は一回だけでその後行われてないんです。ですから異例の措置をもう一遍やってほしいということです。こうした名簿を見ただけでも、未成年者を使って――これは基準法施行前の昭和十年の写真です。これごらんください。(写真手渡す)
 まるで小学校出たての坊やも婦人も全く同じかっこうをして作業をしておりますから。こういうことももう時期的にそれは過ぎたことだと言われるでしょうが、とにかくひどい作業をやらしたという姿をごらんください、その写真で。その坊やもいまはもうすでに相当な年輩の人になっているんですが、そういう作業をした人たちがいまなお健康の障害を訴え、しかも日本鉱業自体は現存してるんですから、果たしてどういう異例の措置になるか、もっと労働省は積極的に取り組まなくちゃならぬと思うんですが、いかがですか。
#171
○政府委員(藤繩正勝君) 先生、十分御承知のように、松尾鉱山は昭和七年から操業をいたしておりまして、戦前ずっと操業をしておるわけです。戦後も二十九年まで日本鉱業がやってまいりました。その後他の租鉱権者に操業を移しておりますが、三十三年まで何らかの形で操業が続いておったわけでありまして、往年の期間を含めましていろんな形態の労働が、坑内労働があったのかもしれません。ただ、私どもの承知している限りにおきましては、久保田重光先生が四十七年に健康調査をやられました限りにおきましては、女子が就業しているという事実はありましたけれども、年少者については必ずしも承知をしておらないのであります。いずれにしましても、女子あるいは年少者の労働ということで基準法に触れる問題もあろうかと思いますが、先生がいまおっしゃいましたように、現時点ではすでに時効の問題になっておるというようなことでございます。そこで、そういう過去のことは過去のことでも、現在こういう状態にあるならば、異例の措置と言わぬで、労働省はもっと前向きにこれと取っ組むべきではないかというのがいまの御主張でございます。私どもは、先ほどお答えしましたように、異例の措置でやりましたけれども、現時点でも、もしそういう心配がおありの方はどうぞひとつ監督署の方に請求をしていただきますれば、先ほど申し上げましたように、必要な精密検査をやってまいりたい。そして労災保険法施行後の事案であれば、これは要件を満たしておれば労災補償をしていく。それから、たとえ労災保険法施行前の事案であっても、これはなおひとつ法律を超えて必要な治療費を支給する、あるいは雑費を差し上げるというような措置もとってきておることでございますから、どうぞひとつ御相談をいただきまして、私どもとしても積極的にそういったものに対応していく用意がございますので、御了解を願いたいと思うところでございます。
#172
○小平芳平君 精密健診をやりますということですね。
 労働大臣ですね、その写真をごらんください。そういう、一番左端にいる坊やがいまはもう相当の年輩者になっている。そういうように婦人も年少者も同じように働いていたと訴えているわけです、その当時の従業員の方が。そして、この基準局の名簿を集計すると二百十四名になるんです。そのうち四十七年四月の健診は六十一名しか受けてないんです。ですから、もっと精密健診を受けたい人は当然受けると、これは労働大臣、便宜を図りますとはっきりおっしゃってください。
#173
○国務大臣(長谷川峻君) 局長からもるる御答弁があったと思いますけれども、こういう方々は基準局の方に、監督署の方にお申し出いただきますれば、所要の手続をとって精密検査でも何でもいたします。私の方はいまこういう、かつて昭和十年の写真を拝見しましたけれども、従前はこういう事業所だけでなくていろんなところにいろんな問題があったと思います。しかし、こういう法律ができた今日は、しかも非常にいろんな問題があるときですから、積極的に前向きの姿勢でこたえていくというのが労働省の姿勢でございますから、その場所、場所にひとつお申し出のほどをお願いします。
#174
○小平芳平君 それから先ほどの昭和電工は、ちょうど大臣席を立たれましたので、私が申しましたことは、元従業員、退職者に対する健康管理といいますか健診といいますか、これも十分企業が責任を持ってやらせますと、そういう退職者に対しても下請に対しても、そういうふうにやってください。
#175
○国務大臣(長谷川峻君) これはおっしゃるとおり全部やらせます。
#176
○小平芳平君 では、ちょっと時間がおくれましたが、身体障害者雇用促進法関係で二、三質問をいたします。
 初めに、この雇用率について、それで、これは先ほど粕谷先生も指摘しておられたのですが、国及び地方公共団体と民間企業に分けて御説明いただきたい、雇用率について。
#177
○政府委員(遠藤政夫君) 現在の現行法の規定のもとにおきましては、この身体障害者の雇用率は民間一般事業所におきましては、一・三%になっています。それから官公庁につきましては非現業機関は一・七%、現業部門につきましては一・六%、こういうふうに定められております。これに対しまして、現時点での雇用率の達成状況は、一般民間事業所につきましては、一・三の雇用率に対しまして一・三六になっております。それから官公庁の場合は一・七%の非現業部門につきましては一・八九%、それから現業部門につきましては一・六が一・七三%、こういうふうになっております。
#178
○小平芳平君 それは先ほど御答弁がありましたが、官公庁の一・六、それから一・七、それから民間事業所の一・三%ですね、これは労働省はあれですか、西ドイツとかオーストリアとかイギリスとかフランスとか、そういう国の例が調査室の資料に出ておりますが、こうした国に比べて余りにもお話にならない率だということも御承知ですね。
#179
○政府委員(遠藤政夫君) 確かに正確な数字はここで、いま手元に資料を持ち合わせておりませんので記憶いたしておりませんが、西ドイツがたしか六%だったかと思います。西欧諸国はこの身体障害者の雇用率を定めておりますところでは、かなり高い率になっております。それに対しまして、わが国の場合、現行が一・三%、官公庁で一・六あるいは一・七、かなり低い率になっておりますが、これは先生御承知だと思いますが、身体障害者の雇用問題、雇用率の規定ができましたのは、ヨーロッパ諸国におきましてはいわゆる第二次大戦後の戦傷病者の就業問題が非常に問題になりました。そういった観点からこの雇用率が定められておりまして、日本の場合は幸いに国内におきますこういった戦傷病者といったような問題がヨーロッパの各国に比較いたしますと比較的軽微でございまして、そういった関係もございますし、この雇用率を一・三%と定めましたこと、ないしは今回の改正におきまして、この一・三%はこのまま一・三%でいくのか、あるいは雇用率を引き上げるのか、現在いろいろ検討いたしておりますが、この雇用率をどれくらいに定めるのが適当であるのか、政策的に妥当であるか、こういったことは現在の身体障害者の状況、その中で就業希望者あるいは雇用の希望者、こういった人たちがどれくらいあるのか、それをこれから雇用率を定めます場合に、一体どのくらいの雇用率にすればこういう人たちの就業を確保できるか、こういった観点から雇用率のいわゆる数字の算定をすべきだと考えております。したがいまして、ヨーロッパと日本を比較して、ただ単純に比較いたしまして、低いからどうだということにはならないかと考えておるわけでございまして、この法律が施行されます段階におきまして、これは当然審議会におきまして、この雇用率をどうするかといった問題は審議会の答申をいただいた上で策定することになるわけでございますので、これからの身体障害者の雇用を実質的に促進していくために適正かつ妥当な雇用率を設定してまいりたい、かように考えております。
#180
○小平芳平君 これは昭和四十八年四月十七日、当社会労働委員会において身体障害者の問題について、参考人から意見を伺ったことがあります。そのときの参考人の方で、石坂参考人が述べておられますが、日本の身体障害者福祉法によりましては対象者が百三十万人というふうになっております、これは人口の約一%に当たります、ところが外国ではどこの国でも人口の少なくとも一〇%以上あるいは一五%以上は体にハンディキャップのある人というとらえ方をしておりますということですね。これがまさしく局長の言われる日本とヨーロッパとの違いであろうと思う。ところが、問題は身体障害者という差別意識といいますか、差別扱いがこれがきわめて問題だということをこの石坂参考人は繰り返して述べるためにこのことをお話なさっているんです。ですから、この雇用率の比較ももちろん一つありますが、何となく身体障害者という別のグループがあって、その別なこの人たちを一%入れるか二%入れるかというふうな感じに日本の扱いがなるのが一番立ちおくれている点だというふうに指摘をされておられるわけです。こういうことでしょう。いかがですか。
#181
○政府委員(遠藤政夫君) 私どもが身体障害者の問題を考えます場合に、いま小平先生御指摘になりました考え方、基本的な姿勢、全く私も同感でございます。身体障害者を、何といいますか、弱い者あるいは同情すべき者、そういった差別的な感情、感覚でこれに対処しようとすること、これはこれからの身体障害者の雇用政策を進めていく上で考えを新たにすべきだと、私どもかように考えております。
 先ほど申し上げておりますように、今回の改正で、新しく二条の二と、二条の三というところで、企業の責任、身体障害者自身の努力規定、こういったものを設けましたのも実はそういうことをこの身体障害者対策の出発点にしたい、いま先生のお述べになりましたような考え方をこれを基本的な哲学としてこれからの政策に取り組んでいきたい、こういう考え方でこういう規定を設けたわけでございまして、全く同感でございます。
#182
○小平芳平君 次に、公表制度ですね。計画変更勧告や適正実施勧告に従わない者は「公表することができる。」ですか。これはそういう勧告とか計画変更とかいうことを経るまでもなく、実態はこうですということを官公庁も含めて公表するのに何がおかしいですか、それは。
#183
○政府委員(遠藤政夫君) 官公庁につきましてはこういった規定を待つまでもなく、先ほども大臣から具体的な官公庁名をお挙げになりましたが、機会あるごとに公表ということに当たるかどうかは別といたしまして、公の場で正式に公表いたしておるわけでございます。民間の場合は、これは昨年の場合も申し上げたことでございますが、公表制度を今回法定いたしましたことも公表することそのこと自体が目的ではなくて、こういった制度をとることによりまして企業の理解を深め、この法律によりますこういった義務を履行してもらう。で、そのためには、とにかく結論として雇ってもらうことが大事なわけでございます。身体障害者問題に理解を深めて、身体障害者を一般健常者と同じようにその能力を適正に評価して雇ってもらう、こういうことが究極の目的でございますので、そのためには雇用率を定め、それに達成しないものについては採用計画をつくらせる、あるいはそれが内容が不十分であれば勧告、是正させる、なおかつどうしてもそういった努力の跡が見られない、悪質だというものについて社会的制裁という意味で公表するということでございまして、公表することそれ自体が目的じゃない。こういうことからそういった手順を踏みまして雇用率を達成してもらうような努力をしてもらう。その努力に対して役所の側もできるだけの援助をしていく。こういうことによって身体障害者の雇用を具体的に進めていくと、こういうことでございます。
#184
○小平芳平君 それは雇ってもらうことが目的だということもよく御趣旨はわかりますが、これはどうですか、納付金は。そうすると、納付金を出せば事は済むわけですか。あるいは納付金というのは一体罰金なんですか、協力金なんですか。それとも、――幾らこれ予想しているんですか。
#185
○政府委員(遠藤政夫君) 今回の法律改正の一つの大きな柱になりますこの納付金制度を採用することにつきまして、実は昨年の八月以来この構想を立てました当時から法制的に一体こういうことが可能かどうかということで大変な議論の焦点になっておった問題でございます。まあ民間から金を強制的に徴収してこれを何らかの費用に充てるということは、強制徴収という方法によります金は具体的に申し上げますと、税金で取るか、あるいは社会保険の保険料として取るか、この二つのいずれかしかございません。それ以外で民間から金を取るという場合は受益者負担とか、あるいは任意的な共済制度の場合とか、こういうものに限られておりまして、今回のこの納付金制度のように税金あるいは社会保険料と同じように強制徴収の形をとりまして民間から費用を負担するという制度は全く新しい制度でございまして、一体この納付金がいま御指摘になりましたように一体どういう性格のものなのか。協力金なのか、罰金なのか、あるいは税金的なものか、こういう点で大変な議論のあった問題でございます。私どもはこの納付金を実はいま御指摘になりました罰金とは考えておりません。そういう性格のものではございません。
 身体障害者を雇います場合に、この二十七条にもございますように、身体障害者を雇うとすればいろいろな機械設備をやらなきゃならぬ、改善をしなきゃならぬ、あるいは職場環境の改善をしなきゃならぬ、あるいは人事管理の面でいろいろな管理的な経費が一般の場合よりは大きくなる。こういった身体障害者を雇うことによってその能力に適応した賃金を払って、なおかつそれにプラスアルファの費用の負担がかかる。そういう身体障害者を雇うことに伴う費用の負担の増大分を、これを経済的な企業間の雇った企業と雇わない企業との企業の負担の調整を図っていかなきゃならぬ。こういうことがこの身体障害者雇用問題についての企業の社会連帯、連帯責任ということから出発いたしましてこの費用の負担の調整を図る。そういう趣旨でこの納付金を徴収して、一定率以上に雇った企業に対してこの雇った数に応じて調整金を支給する、こういう考え方をとったわけでございます。まあ言ってみますならば一種の雇用税的なものをお考えいただいて差し支えないんではないかと、こういうふうに考えております。
 そこで、一方こういう制度をとりますと、じゃ、金を払えば、一定率以下の身体障害者しか雇ってない、雇用率未達成である、その場合に納付金を払えばもうそれで雇わなくていいんじゃないか、まあ言ってみれば一種の免罪符になるんじゃないかというふうな御指摘もございます。しかしながら、これはいま申し上げましたように身体障害者を雇うことによって生ずる経済的な負担の調整という考え方、そういう性格のものでございまして、別個にこの新しい法律の体系の中では納付金を払うと払わないとにかかわらず、一定の雇用率については強制的な法的な義務が課せられております。その義務づけられた雇用率未達成な企業に対しては採用計画の作成を命ずる、採用計画を故意に作成しなかったりあるいは怠ったりしますと、これは刑罰の対象になります。
 そういったことで納付金を払ったから、納めたから雇用率を免れるという性質のものではございません。納付金は納付金として払って、なおかつ雇用率を達成するまでの法律に定められたいろいろな義務、努力が課せられております。それに違反すれば今度はまさしく刑罰の対象になる。こういうことでございますので、納付金の性格といい、これを払ったから免れる、そういうものではないということを御理解いただきたいと思います。
#186
○小平芳平君 幾ら、金額。
#187
○政府委員(遠藤政夫君) この納付金の額につきましては先ほど粕谷先生からもお尋ねございましたように、いままだいろいろと検討いたしておりまして、確定的なことを申し上げる段階ではございませんが、まあ、いろんな御意見がありまして、一応一人月額三万円程度と考えますと、年間大体六、七十億ぐらいの収入、これをもとにした身体障害者雇用促進のための事業が実施できるんではなかろうかと、こういうふうに考えております。
#188
○小平芳平君 ちょっとはっきりしませんけれども、次に、どうも粕谷先生、先ほどやられたことと重複しますけれども、身体障害者雇用促進協会ですか、これは便宜このいただいた資料の要項で指摘していただきたいんですが、こういう協会をつくって次のことをやろうということのようですが、この協会の業務として挙げられていることは労働省が直接間接にやっていることだと思うんですが、この中で特別いままでやっていなかったことで、特に協会ができてこういうことができるんだということがありますか。
#189
○説明員(望月三郎君) 九ページの(二)のところに業務が列挙されてございますが、この中の1が協会が生まれることによって新しく行われる事業でございます。それから2もそうでございます。それから3は従来からやっていたことでございます。それから4につきましては従来やっていたことでございます。5もそうでございます。それから6につきましては、もちろん従来からやってきたことでございますが、さらに充実をさしてやっていきたいということでございます。
 以上でございます。
#190
○政府委員(遠藤政夫君) この要綱に掲げてございます新しくできます身体障害者雇用促進協会の業務はいま課長から御説明したとおりでございますが、今回の新しい納付金制度を採用いたしまして、これを原資にした新しい事業を実施する、これは雇用促進事業団をして行わせる、こういうことになっております。私どもは、当初はこれは身体障害者の雇用対策を統括的に、統一的に強力に進めるためには、一つの特殊法人をつくってこれを所轄させることが適当ではないかと、こういうふうに考えておりましたが、新しい特殊法人をつくることが適当でないと、こういうことで雇用促進事業団をして行わせると、こういうことになったわけでございます。雇用促進事業団は現在非常に広範囲な事業を、膨大な業務量を抱えておりまして、私どもせっかくこういう新しい身体障害者の雇用を進めるための制度をつくりますにつきまして、こういう雇用促進事業団の中で種々雑多なものと一緒にやるということにつきましては非常に残念でございまして、やむお得ませんので雇用促進事業団をして行わせることにいたしておりますが、その雇用促進事業団の業務の一部として行わせるものと、新しくこの法律によってできます認可法人と一体的な運用をすることによりまして、事実上この身体障害者の雇用促進の業務、納付金の制度なりそれに伴なう助成措置、各種の援助業務、こういったものを統一、包括的に実施させる体制をとりたい、こういうことでこの法人が設立されることとなったわけでございます。この中には現在雇用促進事業団でいわゆる国の業務の委託を受けてやっておりますもの、雇用保険の雇用改善事業として実施いたしておりますもの、そういったものも類似のものがございますが、そういったものも含めて新規の事業と一緒に統括的に実施したいと、かように考えておるわけでございます。
#191
○小平芳平君 ちょっとよく聞きとれなかったんですが、この雇用促進協会の行う業務ですね、この中で新しく始めるものは何かということを御指摘いただきたいことが一つ。
 それから、「雇用促進協会は、事業主の団体であって身体障害者の雇用の促進に係る事業を行うもの等を会員とし、」となっているんですが、これはどういうものが会員になって、運営は会費でやるのか、雇用促進事業団からどの程度の援助がなされるのか、そういう点はいかがですか。
#192
○説明員(望月三郎君) 先ほど九ページで御説明しましたが、1の「身体障害者職業生活相談員の資格認定講習」というのが新しくこの改正法によって相談員制度ができますので、それの講習をこの協会が実施するということでございます。それから2の「国からの委託を受けて、労働省令で定める身体障害者職業訓練校の運営を行うこと。」ということで、これから重度対策ということで新しい形の職業訓練をやっていこうということを構想として持っておりますので、それらをこの協会に委託をして実施をしたいということでございます。それから3番目は、これは現在の協会としてもやっておる事項でございますが、中身としては新しいこういう協会ができれば、従来にも増して中身も濃くやっていきたいということでございます。それから4につきましても、従来からやっておる事業でございます。それから5、6につきましては従来の事業でございますが、新しい雇用促進事業のために、それらの事業につきましては、私どもとしては事業団から委託を受けてやる部門と、それから協会本来の事業と二通りあるわけでございますが、委託を受けてやる分につきましては委託費という形でその費用が交付されるという形でございまして、本来の協会としての業務というものにつきましては従来と同じような方式――会費その他によって賄われるという原則的なたてまえで運用が行われるということになろうと思います。
#193
○小平芳平君 会員は。
#194
○説明員(望月三郎君) それから会員につきましては、主として都道府県単位で現在もうできておりますが、民法法人その他任意法人で全国の四十七府県のうち四十三府県がすでに成立しておりますが、都道府県単位の身体障害者雇用促進協会というのがございます。これが主たる会員になるわけでございます。
#195
○小平芳平君 どうしてそういう必要があるかということをお尋ねしているのですが、たとえば十ページの2「国からの委託を受けて、労働省令で定める身体障害者職業訓練校の運営を行うこと。」、職業訓練校は現在あるわけでしょう、身体障害者のための職業訓練校があるわけでしょう。そうすると、わざわざ協会で開く訓練校というものをどうして別につくる必要があるのかですね。それから会員はそういうふうにして都道府県にある促進協会が会員で、その人たちから会費を集めて協会が運営されるというわけですか。そうすると、相当の会費を納めないとならないですね。
#196
○政府委員(遠藤政夫君) 第二項の、委託を受けて身体障害者職業訓練校の運営という条項がございますが、現在身体障害者の職業訓練校は国がつくりましてこれを都道府県に運営を委託しておりますものと、それから国が補助をして都道府県に設置運営をさしておりますものとございます。こういう形で実態は運営はすべて都道府県が運営をしているというのが実情でございますが、これからいろいろ身体障害者の教育訓練の体制を整えてまいりますと、必ずしも都道府県に全部運営を委託するということがむずかしい事態が生じてまいります。かといって国が直接直轄運営するということは、これは事実上いろいろむずかしい問題がございまして困難でございます。そういったものをここに新しくできます協会に運営をさしていこう、こういう考え方でございまして、この点は身体障害者の職業訓練校の運営の新しい方式をここに一つ導入したわけでございます。
 それから協会の運営の費用につきまして、こういった事業をやるについてもしこれを会費で賄うのであれば膨大な会費が必要ではないかというお尋ねかと思いますが、実はこの事業の運営につきましては、事業の内容ごとにプロパーのものは会費で運営されますし、それから国が何らかの形で委託をいたしますものは従来も国からの委託費あるいは補助金等が交付されております。これが従来と同じような考え方でございますが、この法律によって新しく交付金制度に伴ってこれを原資として行います事業が雇用促進事業団で実施されますが、この雇用促進事業団が新しくこれからこの新法によって実施いたします業務の委託につきましては、その原資による交付金が委託費という形で交付されることになると、こういうものをもとにいたしましてこの協会の運営が行われるわけでございます。
#197
○小平芳平君 それでは、ちょっと時間が参りますので、次に解雇について、届けるだけとされているが、これによってどういう効果を上げることができるか。
#198
○政府委員(遠藤政夫君) 身体障害者を解雇しようとします場合に、事前に届け出をしてもらうと、そのことによって解雇される身体障害者の新しい職場の確保のための求人開拓あるいは転職のための職業指導といったようなことが事前に十分行われると、こういうことによって職場を失って次に転職をしなけりゃならぬ身体障害者の職場の確保に努めたいと、こういう趣旨でございまして、この解雇の事前届け出をすることによって解雇規制という効果をもたらそうとしているわけではございませんけれども、事実上はやはりその心理的な効果がありまして、事前の解雇の届け出ということによってできるだけ身体障害者を解雇しないようにしてもらうと、こういう効果はあろうかと考えております。
#199
○小平芳平君 そうすると、いま説明なさった前の方に重点があるわけですか、登録していただくということが。
#200
○政府委員(遠藤政夫君) そのとおりでございます。
#201
○小平芳平君 そうすると、やっぱりしわ寄せを受けやすいという事態は依然として残るわけですね。
 それから次に、重度障害者に対しましていろいろこう今回の規定がありますが、今後重度障害者に対してどう取り組んでいくか。
 それから、もう時間がありませんので、最後に労働大臣に伺いたい、と申します点は二点ですが、一つは重度障害者に対して今後どう職場を開拓していくか、どう努力していくかという点、厚生省との関係もあろうかと思いますが、これが一点。
 それからもう一点は、もっと国の機関が、公の機関が身体障害者の方々の職場の開拓というものは積極的でなくちゃならないはずなんですが、労働大臣抽象的に先ほど御答弁なさっておられましたが、もっと具体的に福祉国家にふさわしい国の態度がなくちゃならないと思うんですがね。
#202
○政府委員(遠藤政夫君) 事前に私から具体的な問題についてお答えいたします。
 ただいま先生御指摘のように、身体障害者の対策を進めます場合に、先ほど来御指摘のありましたように、従来から身体障害者の雇用率も比較的順調に達成できております。ただ、問題なのは、比較的中度、軽度の人につきましてはかなり成績をおさめておりますけれども、その中で問題なのはやはり重度の身体障害者の対策でございます。
 そこで、今回の法律改正におきましても重度障害者に対する法律の適用ないしは助成、援助措置も特に手厚くするような措置が講ぜられておりますが、具体的な行政措置の中でも、厚生省とタイアップいたしまして所沢に国立リハビリテーションセンターが現在建設中でございます。ここで厚生省のいわゆる医療面のリハビリと、それから職業上のリハビリテーション等、統一的に行えるような措置が講ぜられることになるわけでございます。また、いわゆる重度障害者の中でいつも問題になります交通災害あるいは産業災害によって重度の障害を起こしておりますいわゆる背損患者、こういった者に対しましては今年度の予算におきまして日本で初めての背損センターが一カ所設置されることになっておりまして、こういったことによりまして重度障害者をそれぞれにつきまして、特にこういった人たちに対するきめ細かい、手厚い対策を講ぜられるような措置を講じてまいる予定にいたしております。雇用の面につきましてもこういった人に重点的な雇用対策を講ずると同時に、その雇用になじまないような重度障害者もございます、こういった方につきましては厚生省の方のいわゆる身体障害者の福祉施策の面で施策措置を講じてもらう、こういうことで厚生省とも十分な連携をとって今後行政を進めてまいりたい、かように考えております。
#203
○国務大臣(長谷川峻君) 午前中からの御審議でおわかりでございましょうけれども、従来も勤めているところの身障者というものは、いままで一番不況のときに解雇というしわ寄せがくるところだと私たちは非常に懸念しておったのです。しかしながら、私たちが現場を見まして、やっぱりいじらしくも一生懸命やっている、そういうことなどが私は再就職というふうな不幸な目に遭わぬで済んだと、こういうことを踏まえまして、このたびの法律案によってさらにこれを拡充していくということが一つと、何と言いましても、こういうものを本当にやるところに私たちは低成長下におけるところの福祉の充実を図るという考え方で、こういう場所における御審議などを非常な大きな参考としながら、いまから先も挺身してまいりたいと、こう思っております。
#204
○沓脱タケ子君 それでは、最初に身体障害者雇用促進法の改正案についてお尋ねをしていきたいと思います。
 今回の改正は身体障害者など関係者が大変熱心に、また強く要求をしておられましたことが実りましたというふうなことで、当然のことだとは言いながらも、私どもも一定の評価をしておる次第でございます。身体障害者対策というのは、特に雇用対策というのはこれは労働省の身体障害者雇用審議会の答申にも明確に書かれておりますが、まさに心身障害者の雇用対策の水準いかんが福祉国家のバロメーターと言われているというふうに明記をされておりますが、まさにそのとおりであろうと思いますが、この雇用対策を論じていく場合に、どういう対策が進められてきたかという点で、やはり歴史的に振り返ってみるということが今後の課題を進めていく上で非常に大切ではないかというふうに思うわけでございます。
 ヨーロッパ諸国では、先ほどからの御答弁の中にもいろいろと出ておりますように、戦後処理というふうな面もあって、一九一八年の第一次大戦後に対策を立て、特に第二次大戦後は全面的に法律改正が行われておると、そうして精神薄弱者等も対象にして、そうしてこれらの対策を強化してきておるというふうな経過があると思うわけでございます。で、わが国ではどうかということで、翻って見てみますと、身体障害者福祉法は昭和二十四年に制定をされておる、そうして身体障害者雇用促進法は昭和三十五年に制定をされて今日まで至っておるというわけでございますが、この雇用促進法がいわゆる雇用義務というのが義務化されずに、努力義務という形でやられてきたということでいろいろな弱点が今日まで出てきていたというのはそのとおりだと思うわけでございます。で、これは私たまたま労働省で発行しておられる「職業訓練」ですね、この雑誌の一九七五年の九月号にこういうふうに書かれているのですね。日本女子大の助教授の小島蓉子さんという方が指摘をしておられて、非常に大切な指摘だというふうに思ったんですが、身体障害者雇用対策も高度成長政策で産業側の必要な範囲で、そして労働力の確保対策という形で進められてきたという面があると、したがっていわゆる経済情勢が不況に直面をしてきますとこれが非常に深刻になってきて、矛盾が露呈をしてきているという問題の指摘があって、大変な問題だということを痛切に感じたわけですが、そういったことというのがこの去年の暮れからことしの春にかけて新聞報道等でもずいぶんいろいろな形で報道されたのは御承知のとおりでございます。私ども拝見をしておるのでも、「身障のボクたちに〃働く春〃は来るのか」というこの記事が出たのは覚えていらっしゃると思うのですけれども、これは東京の養護学校の高等部卒業の方が、十二名卒業生が全員就職先がないというふうなこと。私ども大阪の経験でも、やはり大阪の難波養護学校の高等部卒業の方が、これは三十六名卒業されて六名しか就職先が決まらない。で、何とかして就労したいと思って熱心にがんばってきたのにというふうなことが言われておるというふうなこと、あるいはこの二十二年も働いてきた――これは私と直接伺ったお話ですけれども、新聞の記事になっておりますからちょっと紹介をしておきたいと思いますが、二十二年間働き続けて一カ月四万五千円の給料の上、企業縮小で真っ先に首を切られた聾唖者、――ところがなぜ首になったかということさえもこれはただすことさえもできないという状況で首を切られているというふうなこと。これはたまたま手話通訳を通じて私ども直接伺ったお話でございますが、そういう状況が起こってきている。ですから、当然おくれていた分野であるということは、これは歴史的に見ましても現実の姿を見ましても明確だというふうに思うわけです。こういう立場から対策の強化をすることが必要だというので今回法案が提出をされているというふうに理解をするわけですが、その点で午前中からの質疑あるいは答弁の中で、非常に今度の法律ができればということで大変確信があるお答えをたびたびいただいておるんですが、この法改正によってこれらの非常におくれていて急速に改善をしなければならない施策、この状態というのが改善をされるのか、その見通し、展望ですね、そういう点の基本的な点について最初にお伺いをしておきたい。
#205
○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるとおり、わが国のこういう制度がおくれておったことは事実でございます。私たちの子供のときにはほとんどそういう制度もなければ、働こうにも働けないし軽べつもみんなにされておった実態をみんな見ておるわけであります。しかもこういう法律ができましても、いままでは倫理規定でございまして、しかもそういう倫理規定でありながらも、おっしゃるような高度経済成長ということもあったかもしれませんが、その倫理規定がやっぱりいろんなPRを通じまして守られてきたと。そしていま経済不況になれば、あるいはそれがダウンするんじゃなかろうかというときにこれを義務づけたというところにまた私は大きな一つの歯どめなり前進の姿がある。ここまでこうPRされたことでございますから、連帯を訴えながら事業主にもあるいはまたそういう当人にも自立して、やっぱりこう働きがい、生きがいという、参加させる姿を本当にみんなでこれは一生懸命やらなければいかぬという感じを持っていまから先もやってみたいと、こう思っております。
#206
○沓脱タケ子君 身体障害者、特に障害者雇用対策というのは社会共同の責務であるというのは当然でございますけれども、それでは従来の対策の弱点というのはいま大臣も言われましたが、その一つの面を言われたと思うのですが、私、考えますのに、従来大企業の雇用率が悪かったというところに一つは雇用対策――障害者から言えばですね、働く場が保障されない、ここに最大の問題点があったんではないかと、これは事実としてそういうことになっておると思うのですが、この辺をやはり一つは押さえてかからなければならないし、今後施策を充実させていく上で、従来の対策の弱点という点を明確にした上で、そうしてこれを充実するという立場をやはり押さえるということが大事ではないかというふうに考えます。
 昨年末、あれは十二月の二十五日でございましたか、障害者雇用、特に非常に消極的な企業ということで〇・五%以下というふうな、いわば悪質な事業所というのを百十五カ所公表されましたね、私はあの公表された一覧表を見てあっと思ったんですけれども、この中に丸紅本社が入っていた。で、丸紅というのはそれでは雇用計画というのは出さなかったのか。何でこういう悪質とも言われるわずか百十五社の中に入るようなことになっておったのか。それから公表した後、改善をされているのかどうか。その点ちょっと伺っておきたいと思うのです。
#207
○政府委員(遠藤政夫君) 昨年の暮れに公表いたしました百数十事業所、これはおっしゃるような基準で公表をいたしたわけでございます。その後この公表の対象になりました事業所につきましても雇用計画の作成を命ずるとか、あるいは求人指導をやるとか、こういうことで身体障害者の雇用についての行政指導を行っておりますが、まだ十月の時点で調査をして、その後まだ公表後四カ月ぐらいでございます。その結果がどうなっているかというと、これはまだ調査はいたしておりません。お答えする段階にまでなっておりません。
#208
○沓脱タケ子君 で、私は丸紅というのは、このいまロッキード疑獄でもクローズアップしてますしね、狂乱物価のときには買い占めで有名だったし、社会的批判を受けておるというふうな会社ですし、障害者対策についても悪質と言われる部類に入ってくると、こういう状況というのはこれはやはりどうしても社会的責務を大企業として果たさせるということはこれは労働省としてやらなければならないと思うのです。で、いまの日本の基準というのは、雇用率というのは一・三%ですから千人の中で十三人雇用したらいいだけなんですね。これさえもやっていないというふうなことではこれはまあ話にならないというふうに思うのですが、こういう点について、これは特別にやはり改善について指導させると、指導していくと、指導して改善させていくというふうなことをやらなければならないのではないかというふうに思うのですが、その点、どうでしょう。
#209
○政府委員(遠藤政夫君) おっしゃるとおり、身体障害の雇用の達成状況を見ますと、大企業が比較的中小企業に比較いたしますと達成状況が悪い、これはもう御指摘のとおりでございます。そこで今回の法律改正の眼目は、いままでの過去十五年間施行された身体障害者雇用促進法で足りないものを補いながら、新しいものを積極的に進めていこう、こういう姿勢でいろいろな新しい施策を織り込んだわけでございまして、当然おっしゃるような行政指導は強化していかなければならないと思います。
#210
○沓脱タケ子君 私はちょっと丸紅というのがすぐ頭にくるわけだけれども、ちょっと横へそれますが、丸紅というのはピーナツは食べるわ、あれですね、狂乱物価のときには買い占めをするわというだけではなくて、障害者にもそういうかっこうになっていると、それだけでなくて男女差別もきわめて強いということを最近知った。これはちょっと余談になりますけれども、ちょっと申し上げてみますと、たとえばこういうことなんですね、結婚祝金――男子の職員には三万円支給する、女子の職員にはゼロなんです。で、その女子職員が結婚退職をするんだったら三千円支給すると、こうなっている。男子は三万円ですよ。これ、こんなことあるんかなと思って見たら社内規則にちゃんと明記してある、驚きましたね。それから、同じようなこと、たとえば出産祝金なんというのはもうナンセンスだと思うんですよ。男の職員が出産をしたら五千円、それで女の職員といったら、自分が子供を産むんでしょう、自分が子供を産むのに女子職員にはゼロなんです。それからもう一つは、結婚するときに、男子の職員が結婚をした場合には身上調書というのは要らない。ところが、会社に勤めておる女子職員が結婚をして勤務をするという場合には、夫の身上調査を出すということが義務づけられている。それから、社内の住宅ローンというふうなのはどうなっているかというたら、女子職員、女子社員にはお金は積み立てさせるけれども、貸し出しはしない、こうなっている。こういう、私はいま述べました幾つかの事例というのは、これはまあ法違反ではないかもわかりませんよ。しかし、昨年国際婦人年を契機にしまして、ずいぶん男女平等、婦人の権利を高め、社会的地位向上に関する問題というのは国会では決議はされる、政府は御承知のように、国内行動計画の概案等をもつくって、それを推進するというふうな時期になっておるこの情勢には全く好ましくない姿だというふうに思うんです。で、そこで私は労働省、特に大臣にこれ聞いていただいたのは、こういう事態があるということをこれは私は中の職員に聞いて驚いたんだけれども、労働省としてもこれは一遍呼んで、事情も聞いてみて、必要な助言などをする必要はないんだろうかというふうに思うので、これは法案とは離れますけれども、どうもあれもこれもみんな反社会的な姿というのがそろっており過ぎるというふうに思いますが、その点どうでしょう。
#211
○国務大臣(長谷川峻君) 労働省の近くですから、丸紅は。まさかそんな近くにそういうことが行われているとはいままで気がつきませんでした。総評のせんだって諸君は、あすこの前でロッキード反対演説をぶっておったが、そんなこともひとつあわせてやってもらえればなおよかった。いずれにいたしましても、私どもの婦人少年局長に一遍調べさせます。
#212
○沓脱タケ子君 本題に返りますが、先ほど申し上げたように、大企業の雇用率が悪かったということが、一つは障害者の雇用先、就職先をつくっていけなかったという一つの大きな理由だということを申し上げたわけですけれども、今回改正でこれは相当進むということは午前中からの御答弁でいろいろお話を伺っています。ところが、大企業の雇用状況が悪かったということの問題もあるわけですけれども、従来施策で十分成果が上げられなかったという弱点を考えてみますと、私はやはり大きく分けて二つあるんじゃないかと。一つは、大臣が言われた、雇用が法律的に義務化されていなかったという点は確かに大きいと思うんです。もう一つは、私は労働省の姿勢だと。この点、ちょっと私はどうもそういうふうに思うので、資料を挙げて少し考えていただきたいと思うんですが、ちょっと見てみますと、これはある安定所の昭和四十八年十月一日から四十九年九月末日までに雇い入れ計画作成命令を発した件数という――それを言うたらわからぬのですね、「雇用率未達成事業所に対する公共職業安定所の雇用指導状況調査表」というのが、これは出ているんですね、安定所から。で、これを見ますと「3、四十八年十月一日から四十九年九月末日までに雇い入れ計画作成命令を発した件数」はゼロなんです。で、ここは、未達成の企業幾つか持っておるんですよ。それにさらに、「4、3のうち雇い入れ計画を作成した事業所数」、これもゼロ。それから、この「4の事業所のうち雇用率を達成した事業所数」もゼロ。で、この「4の事業所で雇用した身体障害者数」もゼロと、こういうのが出ている。だから、常時こういう状態だからね、これはほっといたら、これは従来の制度のもとでは努めるべきであるという努力義務だけでは、こういうことにしかならなかったというのは当然だと思うわけです。
 ところが、行政の姿勢、労働省の姿勢が非常に大事だと思ったのは、きょうもお話に出ておりました昨年の二月十七日、この局長通達ですね、これが出てから雇用率がぐんと上がっているんですね。具体的にまあ私どもも幾つかのそういう事業所を知っておりますし、昨年十二月に未達成事業所を発表するのにこれで免れたのがずいぶんたくさんあるんですね。そういう大企業も私ども存じておりますが、ですから、その一つを見ましても、行政の姿勢がどうあるべきかと、行政姿勢がどっちを向いているかということによって、これはもうこの成果が上がるか上がらないかの非常に大きな焦点になっているという点を特に指摘をしておきたいわけでございます。で、そういう立場から今回の納付金制度、これはまあ当然一定の前進がありました。しかし、私はこの点はいろいろ論議もすでにされておりますように、従来の大企業の姿勢だったら、三万円程度だったらお金を払っておいたらそれで済みというふうなことになりかねないという心配を非常に強くします。それで、その点では、これは納付金がその企業の負担になる程度の金額に引き上げるということも必要になるかもわからない。私どもはもっと高い方がいいんじゃないかというふうに思いますが、ちょっと具体的なことを説明をしてもらいたいんだけれども、たとえば未達成企業だと、それの納付金はいつを基準にして取るのか、ちょっとその辺がわからぬのですよ。納付金を納めるというふうになって、金は出すと、納付金は出すと、そして雇用計画を作成させる、そしてそれでも聞かなかったら公表すると、こうなるんでしょう。その辺のこの一連の作業あるいは行政的な措置ですね、どういうふうになるのかというのが先ほどの御説明でもちょっとわかりにくかったんですがね。
#213
○政府委員(遠藤政夫君) 納付金とそれから雇用率とは全然別個なんですね、制度的には。納付金を払ったから雇わぬでもいい、雇用率を免れるということじゃないんです。雇用率を未達成であれば、納付金はその未達成分は払わなければならぬ。と同時に、雇用率に達するまで雇用義務は依然として働くわけです。そこで問題は、いま先生御指摘のように、罰金的にもっと高くせよとおっしゃるんですけれども、大企業は金さえ払っとけばもう雇わぬでもいいということになりはせぬかということは、先生自身も身体障害者の雇用についてちょっと考え方が違っているんじゃないかと思うんです。要するに身体障害者を雇うということは厄介者を雇うんだと、雇えば損するんだということが頭の中にあるから、金払って済まそう、そういうことになるんじゃないかというお尋ねになるわけです。私たち考えているのは、そうじゃないんですよ。身体障害者も一般の健常者も同じなんだと、身体障害者だからこれを雇ったら損をするんだと、不利になるんだと、そういう考え方は改めなさいと言っているわけなんです。そこのところを前提を間違えられると、いまおっしゃられるようなことになってしまう。納付金というのは、罰金じゃないんです。身体障害者を雇う場合に、賃金の問題がよく出ますけれども、私は賃金はこの二条の二と二条の三にありますように、この身体障害者の雇用という問題を合理的に進めていかなければいかぬということを大前提にしているわけです。ですから、たとえば身体に欠陥があって能力が低い、それは能力を開発し、さらに能力を高めてもらわなければならぬ。そのためには、本人の努力も必要でしょうし、使用する事業主もその能力を高めるためのいろいろな援助や助成をすべきである、国もそれを助成します。しかし、それでもなおかつ、能力が半分なら賃金半分でもいい、それはやむを得ない、こういうことなんです、前提は。能力に応じて賃金を払えば損もないでしょう、不利益もないのです。それを身体障害者を雇えば頭から損をするんだ、不利益だと決めてかかってお話を進められると間違ってしまう。ですから、納付金というのは先ほど申し上げたようにこれは罰金でもない。身体障害者を雇う場合に機械の改善、改良をしなきゃならぬ、環境の整備をしなきゃならぬ、そういうプラスアルファの特殊的な経費がかかる、そういう経済的な負担の調整をしようというのが根本の考え方、納付金の性格。ですから、そういう納付金と雇用率の義務とはこれ別個の問題です。たまたま納付金を取るのは、その雇用率未達成の部分について取って雇用率を上回ったところに助成する、こういう考え方です。そこで納付金は、毎年年度末に、三月末日現在で過去一年間の各月の身体障害者の雇用の状況に応じてその未達成分について一人月額幾らという形で納付金を取って、翌年助成措置をいたしていくというような、こういう趣旨でございます。
#214
○沓脱タケ子君 いや私が頭から考えを間違えて言っているのではなくて、従来の施策の弱点を総括して考えたら、うかうかするとそういうことになるおそれがあると。で、私が申し上げたように、去年の二月に局長通達を出したら一遍にぱあっと成果が上がったというところを見ても、労働省の姿勢がどうあるかということがきわめて大事だという点を申し上げるために特にこれを持ち出した。だからその立場を堅持なさるということが貫かれるならば、これは納付金の金額が高い、低いということが問題の中心にはならないであろうというふうに思うのですが、その点どうですか。
#215
○政府委員(遠藤政夫君) そのとおりでございます。
#216
○沓脱タケ子君 まあ、当然そうだと思うんですけれども。私はこれだけ世論も支持し、しかも当該障害者の方々も非常に熱意を持って取り組み、そして労働省もこれを何とか実らせようということでお取り組みになってきておられて、これは今後の課題としてどうしてもこれが改善をしないというふうな大企業に対しては、これは私は少なくとも社会的な制裁といったものは加えなければならないではないかと思うのです。この法律には社会的制裁はないわけですよね。未達成企業には納付金を納めさせるというだけしかないわけですけれども、そうではなくて、むしろ大企業でそういった社会的な責務を果たさないというふうな、指導をしても果たさないというふうな企業があれば、これは官公需の発注を差しとめるとか、あるいは政府関係融資をとめるとか、そういった社会的制裁をも加えていく必要があるのではないかというふうに思うのですが、そういった点はどうでしょう。
#217
○政府委員(遠藤政夫君) 昨年の八月にこの身体障害者の雇用対策でこういった抜本的な改革を進めていこう、こういう考え方を発想をいたしました際に、私は大臣のお供をしまして業界の重立った人たちにこのお話をしたことがありました。そのとき、実は全国心身障害者雇用促進協会の会長をしておる永野さん、それから日経連の桜田さん、もうこの話を聞くと同時に、それはもう大変大事なことだ、大賛成だと、大いにやってくれ、こう言うのです。まあ、こういう人たちは大企業の代表者かもしれませんけれども、そういう人たちがこの身体障害者の問題について非常に強い関心を持っておられます。納付金の制度といい、あるいは公表制度といい、当然やるべきことだと、こういうふうに賛成をしてくれたわけです。私どもは、もちろんこういった法律制度ができてもなおかつこの法律制度の趣旨に沿わないような企業もあるかもしれません。
  〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕
それにつきましては、雇用計画の達成命令をやり、なおかつ、それをやらなければこれは刑罰を科せられる。あるいはこの法律にない行政措置の面で、たとえばそういうところの求人に対しては紹介あっせんをしないとか、求人を受け付けないとか、こういう措置も場合によってはあり得るだろう。さらに、それに対して、こういうことだからこういう企業はよくありませんという公表措置もあります。社会的制裁がないとおっしゃるけれども、ないわけではありません。公表制度というのは一種の社会的制裁です。ですから、こういういろいろな手段を講じて、要はとにかく企業が全体として身体障害者の雇用に協力してもらう、雇ってもらうということでございます。そういうふうに行政を進めていきたいと思います。
#218
○沓脱タケ子君 私は当然そういうふうに進めるべきだと思うのですが、たとえば、現状では局長通達を出して、雇用率達成に努力をしてもらいませんと公表しますぞという通達を出してさえも非常に未達成の悪質だと思えるような企業が依然として残るというふうな事情から見ますと、そういった点も含めてやはり考えておかれるというのが労働者の姿勢としては大事ではないかという意味で申し上げたのでございまして、ぜひそれをやれということを申し上げているわけではないのです。そんなことをやらなきゃならぬような行政の姿勢だったら困るんです。その辺ははっきりしておいていただきたいと思うのです。
 時間の都合がありますから次に行きますが、次にお伺いしたいのは、適用範囲なんですね。この法案では身体障害者ということになっておるわけでございますが、これは内部障害についてはどの範囲まで適用なさいますか。
#219
○説明員(望月三郎君) 腎臓、心臓障害、それから呼吸器の障害というまでを入れております。
#220
○沓脱タケ子君 そうしますと、たとえば職業病等で体幹に障害がなくていわゆる内部障害的な労働力の減少しておるというふうな方だとか、あるいは難病関係で体幹の支障のない方だとか、そういうふうなのはどうなんですか。
#221
○説明員(望月三郎君) 難病等の問題でございますが、いろんな種類があるようでございまして、その難病がある段階で治癒をしたということになった場合に、治癒の結果、身体に障害か残るということであればこれはこの法律の対象になるということでございまして、難病で進行中だという場合にはこれはむしろ働かせるのじゃなくて治療に専念しなければならぬということでございまして、これは対象にはならぬということでございます。
#222
○沓脱タケ子君 もちろん治療中の話は別ですよ、そんなことは言っていない。その辺やはり当該者の方々がどうなるんだろうかという不安がおりますから、これはできるだけ就労したいという意欲を持っている人たちが包含されるように運用していっていただきたいというように思うのです。
 次に、適用対象という問題の中で一番大きい問題になっておるのは精薄対策なんですね。私の手元にも、日本精神薄弱者福祉連盟、それから身体障害者雇用促進法改正を進める会から要望が参っておりますけれども、その要望を見ますと、これは両方とも、今般の身体障害者雇用促進法の改正に当たり、これを心身障害者雇用促進法と改め、精神薄弱者に対しても全面的に適用するようにしていただきたいという項目が要望の筋として入っております。で、諸外国ではこれはもう当然適用対象として扱われておるわけですけれども、このいわゆる精神薄弱老を雇用率の対象として入れるということ、これはなぜ対象に入れられないですか。ちょっと段階的になっているでしょう、どうして雇用率の中に入れられないかという点ですね、その辺をお伺いしたい。
#223
○政府委員(遠藤政夫君) 私どもこの法律案を作成いたします段階で身体障害者の各種の団体、それから精薄関係の団体、こういった団体の方々ともうひざを突き合わせて数十回となくお話をしてまいりました。いまお話しになった陳情も受けました。しかし、そのいまの心身障害者雇用促進法に題名を改めろと、全面的に適用しろというお話は一段階前の話で、古い話。この法律を提出した段階で、この話は解決しております。この新しい、いま御審議いただいております改正法案に全面的に賛成をしていただいているはずでございます。そこで、なぜ精薄を身障者と全く同じに扱わないかということですが、そもそも精薄というものについては、もう先生の方が専門でいらっしゃるからお詳しいと思いますけれども、こういう人たちは身体障害者と同じように雇用の対象として考えられるかどうかという点につきましては、これは大変大きな問題なんでございます。これは、過去私この構想につきまして二年半の間に本委員会ももちろんでございます。衆議院の社会労働委員会におきましても精薄者の雇用問題ということについて、再三再四御質問もあり、御意見も承っておりますけれども、一体この精薄者といわれる人たちが果たして雇用に適するのかどうか。一体何を基準にそういう判定をするのか、その判定基準さえ定かでない。しかも仮に職場についたにいたしましても、身体障害者の場合と違いまして、生活環境、その他生活指導、そういった面で特殊な配慮をしなければならぬ、そういったことでいま直ちにこれを雇用適応者として雇用政策の対象として考えることは非常にむずかしい問題でございます。そこで、今度の改正におきましてもあえて身体障害者雇用促進法の題名を心身障害者としないで、従来どおりにしました。それから、この改正案の根幹になります雇用率の制度、納付金の制度の適用の対象外といたします。ただ、こういう精薄者の中でも現実に雇用に適する人たちもないわけではございません。そういう人たちについては身体障害者と同じように助成措置、援助措置については同じようなこの法律の制度の適用をしていくということにいたしたわけでございますが、基本になります雇用率と納付金の制度については適用することにはいたしておりません。今後もこれを適用を広げていくことは考えておりませんが、
  〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕
ただ、精薄者を雇用の対象として考えることにつきましては、いろんな研究、調査もしなきゃなりませんし、諸施設を開発する検討も行わなければなりません。そういった検討や研究がある程度成果を上げました段階で身体障害者と同じように考える範囲というものが確定してくれば、その限りにおいてはまた精薄者もこの法律の適用対象として手直しをすることもあり得ると考えております。ヨーロッパ各国で一部精薄者を身体障害者と同じに扱っている制度もあるわけでございますけれども、詳細に承知しておりませんが、聞くところによりますと、かっこうはそうなっているけれども、実効は全く上がっていない、こういう状況だというふうに聞いております。
#224
○沓脱タケ子君 まあ、将来は考えていくということなんでしょうけれども、ちなみに大臣、一九七一年の第二十六回の国連総会に精神薄弱者の権利宣言というのが出ているんですね、御存じですか。ちょっと紹介しますとね、この国連総会の宣言は、精神薄弱者の権利宣言という形で出ている。その中に七項目明記されていまして、その三項にこういうふうに言われている。「精薄者は経済的保障及び相当な生活水準を享有する権利を有する。また、生産的仕事を遂行し、又は自己の能力が許す最大限の範囲においてその他の有意義な職業に就く権利を有する。」と、幾つかありますがね、この部分が一番いまの論議に適合するのですが、そういうふうな権利宣言がすでに出ているわけです。この立場から言いますと、今回の改正というのは、やはり知恵おくれの人たち、その人たちの両親だとか、障害者の期待というのは大変大きかっただけに非常に不十分だと思うのです。そういった宣言の立場で、この法制度の中にやっぱりはっきりと位置づけてやるべきではないかと、基本的な人権の一つとしての就労権というのは精薄者の方々にも保障するべきではないかというふうに思います。その点で、いますぐということが問題だというふうな御意見というのは非常にむずかしい要件があるということの御説明がありました。私は時間を節約する意味でちょっと申し上げておきたいと思いますけれどもね、すでに実践記録等も出ておるし、労働省では十年も前からいろいろと検討もしておられる、実際には。どうしたらできるかというような実践記録もすでに出ているじゃありませんか。その点では、私はこの問題についてはあれだと思うのです、非常にむずかしい問題があるから、今回は法規制に入れなかったと、これから条件を整えますと、こう言うんだけれども、法規制に入れて、そうしてそれを達成するために条件整備を急ぐというふうな形でこれを達成していくというふうにすることの方がこれは実効が上がる一番の早道ではないかと思う。条件がまだ整っていないから法規制はしなかったんだというふうにおっしゃると、卵が先か鶏が先かみたいなことになるわけですけれども、そうではなくて、やはり雇用率の中にきちんと位置づけて、それを達成するために条件整備を整える、しかし、十カ月後、一年後では条件整備が整わないというんであれば、これはこの実施時期を実情に見合って一定の時期を見合わせる、あるいは時期を延ばすというふうなことだってできるんではなかったんだろうか、そういうことを痛切に感じますが、その点でこの精薄関係についての対策について、基本的な方向ですね、これまあ大臣、この簡潔にひとつ表明をしておいていただきたいと思います。
#225
○国務大臣(長谷川峻君) 生きとし生ける者は全部いろんな権利がございます。そういうものは尊重していかなきゃなりませんが、といって、その場における自分の能力、社会が受け入れる力、こうしたこともまた考えなきゃならぬと思いまして、ただいままで局長が答弁しましたように援護措置は依然としてやっていくということで、そしてまたそういう適職などにつけること、あるいはまたその間に訓練すること、こういうことはやっぱりやっていく、充実して重点的にやっていく。そしてそういう方々に対する励ましということになりますか、そういうものを求めていくところに私たちの姿勢があると、こう思います。
#226
○沓脱タケ子君 それでね、基本的にはそうやっていくとおっしゃる。で、私はやはり従来対策の弱点というのを踏まえなければならないというのを冒頭に申し上げたけれども、この点でもそうなんですね。これは身体障害者雇用審議会の答申にも、精薄者の職業訓練体制の強化を指摘しておりますよね。ところが、現在国立の精薄者の職業訓練校ありますか。
#227
○政府委員(中原晃君) 精薄の職業訓練につきましては、愛知県の春日台職業訓練校におきまして、県立でございますが、実験的に訓練を行っているわけでございます。
#228
○沓脱タケ子君 だから、国立がありますかと言うているのに一つもないんですよ、これ。愛知の県立のがたった一つあるだけなんですよ、日本全国に。この状態でね、むずかしいんだ、条件整備が大変なんだというようなことは通らないので、やはり従来施策の非常にまずさをこれは表明していると思うんですよ。だから従来対策の弱点というのを踏まえなかったら、今度の法律ができてこれを前進させていく上で非常に大事だということを冒頭に申し上げたのはそのためなんです。これはこの愛知県の春日台で、春日台の職業訓練校の校長の高柳さんが報告を発表しておられますよね。これ私も拝見をいたしました。これも労働省の「職業訓練」という雑誌に発表されておるので拝見をしたんですけれども、で、非常に苦労しながら四年間で二百五十七名の訓練生を修了さしているのですね。ところが、その修了時に就職できなかった者が三十二名いると、しかし、その三十二名は全部就職が可能な状態まで訓練をしてある。ですから学校教育における職業訓練の問題というのは、まあ別の問題としてありますけどね。ですから、一つしかないところで貴重な実践経験というのが出ている。こういう状況を見ますと、条件が困難だから今度は法規制にしなかったんだと、段階的にという考え方でもあろうかと思いますけれども、これは法施行に際してこの状態をできるだけ早く改善をするための条件整備というのは具体的にどう強化していくかという点がこの問題ではポイントになると思うんですが、その点についてはどうでしょう。
#229
○政府委員(遠藤政夫君) いまの問題、鶏が先か卵が先かという問題ですが、お手元の資料の六十八ページ、附則の四条という規定がございます。ここにまさに法的にこの問題を取り上げろとおっしゃっていることが条文として掲げられておりまして、精薄者については「職能的諸条件に配慮して適職に関する調査研究を推進するとともに、その雇用について事業主その他国民一般の理解を高めることに努めるものとし、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるものとする。」と、こう書いてある。それまでの間は、「前項に規定する措置が講じられるまでの間は、」ということで、二項、三項、四項に、こうこういう措置をとります、援助、助成の措置をと、こう書いてあるわけでございます。そこで問題は、いま春日台の問題が出ましたけれども、ここで実験的成果が上がっているじゃないかとおっしゃるんですが、私はこの身体障害者の職業訓練の問題雇用の問題について基本的な考え方があるんですけれども、こういう人たちだってさっきの養護学級と同じなんで、そういう人たちだけ別グループで訓練をする、別なグループで仕事をさせるということじゃなくて、一般の人と同じように訓練し、一般の人と同じように働いてもらっているということ、これが理想であり、前提だと思うんです。この法律の前提は実はそういうことなんです。そこで、春日台確かに実験結果は出ておりますけれども、これはきわめて不十分なものです。そもそもその前の、前提の問題として、果たしてこういう人たちが雇用適合性を持っているかどうか、そこに問題があるわけなんです。そういう段階で法的な規制の中に一般の人と同じように考えろとおっしゃるのが、私は無理だと思う。そこでこの附則の四条で、こういうものについてはこういう検討をいたしますと、こういうことを法律で明記した上で今後の措置を講じていくと、こういうことでございます。それはもう先生の方がよく御承知かと思います。
#230
○沓脱タケ子君 附則四条はもう百も承知の上で、それだけではやはり不十分だという立場を表明して意見を述べてお尋ねをしているわけです。私はいま春日台の実験といいますか、実践教訓というのは不十分だと局長簡単におっしゃったですけれども、日本じゅうで一つしかない、一つしかないんだ。そこでの実践例が、実践の教訓が出されておって、それが不十分だと言ったら、それは国全体の施策が不十分だということをみずからあなたが表明しているにすぎないということになるじゃないですか。私はそんなことをいま言っているんじゃなくて、そういう状態を一日も早く解決をしていくためにどうするかという問題が重要だと思うんです。就労についてさまざまな困難があるということもこれは書かれています。私は拝見をいたしました。しかしその場合でも、たとえば一般の職場へ出て、健常人と一緒に仕事をするというふうな場合でも、これはアフターケアが非常に大事だと。どういうふうになっておるか、何か悩みを持っていないかというふうなことで、常にめんどうを見ていってあげるというふうな状態が、これが保障されたらやっていけるということが表明されているわけですね。そういった、だから体制も、条件つくり――人的な体制の整備、そういったものが整えれば、これは精神薄弱者の対策についても考え得るということが明らかにされているんですよね。これは私、一つの教訓だと思いますので、これまあ、あしたからやれと言ったってやれないわけですから、法律が動き出したらそのための条件づくりの対策というのを積極的にやはり進めてほしい、そのことを特に要望しておきたいと思うんです。
#231
○政府委員(遠藤政夫君) 御趣旨はよくわかるんでございますが、この精薄問題については、先生のような専門家で造詣の深い方、あるいは春日台の校長のような人たちばっかりが精薄の問題の処理に当たるんであればそれは解決は早いかもしれませんけれども、全国一般の六百の安定所で精薄の人たちを相手にして、そういう形で雇用促進をやれと言ったってとうてい無理な話で、仮に法律で同じように雇用率の促進をし、納付金制度を適用したって、これはもう絵にかいたモチで実際に効果は上がりません。そういうことよりも、実際にこの四条の一項に書いておりますような具体的な措置をこれから進めていくということで、この法律案を成案を得ました段階で、精薄関係の人たちと、単に研究機関で研究してもらうんじゃなくて、行政ベースで、われわれ事務当局でそういった関係者と、具体的に精薄の人たちの雇用の状況をどういうふうに判断したらいいのか、どういう基準で、どういう機関で考えたらいいのか、そういう具体的な事務的な検討をしょうじゃありませんかということで、この法律ができ上がったらそういう具体的な準備事務を進めていこうと、こういう約束をしております。むしろそういうことの方が大事なんであって、法律で変えたからできるというものじゃないと私は思います。
#232
○国務大臣(長谷川峻君) 非常にいい御指摘ですが、私もその春日台を見に行ったんですよ。そうすると、とにかく一人にそういう訓練をするために三年も四年も、お互い健常者の子供ならすぐできるやつをくぎ一本打つのに一週間ぐらいかかるのですね、一つの角度に打つのに。そういう教えている人の苦労というもの、そうしてやっと打つようになる。だから、それを持っている親の気持ち、本人、それから教える先生、私は本当に涙が出てきました。そうしてその近くには素晴らしいところのなにがあるでしょう、新しい都市があるでしょう。そういうところの暇な奥さん方がたまには慰問なり、ある場合にはボランティアで一緒になってお世話をするようなことはないだろうかという実は話までしてきましてね、帰るときには並んでおった先生方に本当に最敬礼するような気持ちでやってまいりました。そういう悩みの中からどう才能を引っぱり出してやっていく気持ちを起こさせていくかという、これはとても大変なことだと。ですから、いろいろな御要望が精薄団体からありましたけれども、現段階においては私たちの姿勢の中に法律にうたっているところを持ちながら漸進的にいまのような気持ちで見守っていきたいということをひとつ御理解いただきたい、こう思います。
#233
○沓脱タケ子君 その問題については、私どもの考えは申し上げたので、これは直ちにというわけにはいかないとは思いますけれども、精薄の方々だっていろいろな水準があるわけですから、できるだけたくさんの方々がやはり就労ができると、そういう就労ができるための能力の開発をし、条件整備をしていくということは、これは行政の責務として積極的に推進をしていっていただきたい、全国でたった一校で春日台は珍しくて大臣も見に行ったというようなことでは困るのですよ。私も実はあそこは拝見をいたしましてよく存じ上げておりますが、幾つもあってまだ大臣行ってないんだというような話になるようにたくさんつくって整備をしていっていただきたいと思います。
#234
○国務大臣(長谷川峻君) そんなに精薄者ふえては困りますよ。(笑声)
#235
○沓脱タケ子君 いやいや訓練校ですよ。ふらちなことを言ったら困りますよ。
 時間がありますから次に移りますが、次には、基本的な人権の一つに職業の選択権というのがありますね。私は視力障害者の職業選択の問題で、これは非常に重大だと思いますが、いまの日本では失明をするとあんま、はり、きゅうという三療これしか仕事ができないというふうなのが大部分になっておるという実態というのは、これは一つは重大な問題だというふうに考えるわけです。で身体障害者の訓練校に視力障害の訓練科の設置を労働省では持っておりますか。
#236
○政府委員(中原晃君) 視力障害者に対する職業訓練につきましては、労働省としましては、積極的に進めていくという考えのもとに、五十年度から一部訓練校で実験的に訓練を行い、その適職、訓練教育の開発を図っております。今後職業訓練、いろいろ身体障害者の方の障害部位によりまして四肢障害者等は非常に進んでおるわけでございますが、視力障害につきましては、今後そういう成果を踏まえまして訓練科の設置を待っていきたいと思っております。
#237
○沓脱タケ子君 これも残念ながらいま試験的に一カ所やっているとおっしゃったんですけれども、神奈川の県立の訓練校にはあれですよね、労働省がおやりになっているのでは、いま試験的にやっているというのが一カ所だけですわ、これもお寒い限りなんです。しかも、神奈川でも全盲の方は扱っていないという状況なんですね。ところが、厚生省の所管では失明者の厚生施設というのが全国に十四カ所あるんですね。そのうち国立が五カ所あります。ところが、これは厚生省の施設十四カ所拝見しますと、そこでやっている中身というのはほとんど三療なんです。生活訓練とそれ以外は三療なんです。文部省の盲学校の職業科もほとんど三療にとどまっている。何でこういう状態になってきたかということなんですね。で、これは盲人の就業率を見てみますと、日本では三九%なんですね。イギリスでは九〇%だと言われている。これは、わが国の障害者対策の不十分さをこれも数字が明確に示していると思うんですが、障害者からいたしますと、職業選択の自由というのは、まさに基本的人権だと思うんですけれども、それは幾ら基本的人権だと言われても、実際には施策がなければ制限をされざるを得ないというのが今日の姿だと思うわけです。これイギリスのデータ、これも労働省の「雇用促進」の一九七五年の九月号を拝見いたしますと、イギリスではずいぶんたくさんの適職を開拓してやっておられるのですね。ですから、この問題についても、こういうお寒い状態でほうって置くのではなくて、本当に国の施策として充実をするように、適職開発、能力開発ですね、それから事業主の協力などを含めて早急に改善策をとらなければならない差し迫った分野だと思うんですけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
#238
○政府委員(中原晃君) 視力障害者の職業訓練につきましては、先ほど申しましたように、公共訓練のもとでは一部実験的に行っているわけでございますけれども、いわゆるアビリンピックと言われております身体障害者の職業訓練競技大会、これにつきましては労働省も肩入れして行っているわけでございますが、特にいま先生の御指摘のような点も含めまして、今後の視力障害者の、たとえば典型的な進むべき職業としまして、カナタイプ、こういうものでございますとか、電話交換ということで、全盲の方も含めまして競技に積極的に参加していただきまして、技能開発、そういうようなことを図っております。
 それから、職域の拡大につきましては、職業研究所などにおきまする研究を進めるとともに、その成果を踏まえまして、雇用情勢に対する措置の検討を行うというようなことで職業の安定を図ってまいりたいと思います。
#239
○沓脱タケ子君 これは積極的にやる必要があると思うんですね。イギリスの実例を見ますと、これは非常に多面的なんですね。専門的、技術的、管理的職業という中では、これは三療はもちろん含まれておりますが、教師、牧師、弁護士、音楽家、社会福祉関係従事者、商工業経営者。それから事務的職種では、タイプスト、速記者、秘書、事務員、電話交換手、点字の写本校正。それから販売業では、商店主、セールスマン、露店販売人、新聞販売人まであるんですね。工業的職業では、機械工、組み立て工、検査工、容器組み立て工、箱詰め工、包装工、倉庫管理係、大工、編み物、織物、網づくり、家具職人、かごつくりと、読んでも切りがないほどあるわけです。その点は急速に、積極的に能力開発をし、適職開発を国の施策の責任として訓練校にその教科を早く設置をして、適職が、本当に職業選択の自由を拡大できるように盲人の人たちに保障するということを是非進めていただきたい。
#240
○政府委員(遠藤政夫君) 私は、昨年の秋に別府の「太陽の家」に行ってまいりました。ちょうど別府の「太陽の家」ができて十年目なりますが、十年前のできたときに行って、十年ぶりに行ったわけですが、そこでいまお話の盲人の仕事、自分で電話交換をやりながら料金計算まですると、そういった仕事をしております。それから、筋ジストロフィーの人で、物を持ち上げる力のない人が、これは若干の機械設備を施してありますけれども、その人が完全な秘書的な業務をこなしているのを見てまいりました。
 私どもこういうものを職業研究所で、こういった重度障害者あるいは盲人、聾唖者の職業、職域の研究開発ということも必要でございますけれども、それはそれとして今回の法律改正で納付金制度を延伸しまして――調査研究というのは何でそんなものをやるんだというようなお話がございましたけれども、いわゆる役所の机の上の研究だけじゃなくて、民間のそういった事業所、研究機関で具体的な人を収容しながら、その人たちにどういう仕事をさしたら本当に効率的にやれるのか、一般の人と同じようにやれるのか、そういう研究というものが是非必要だと思うのであります。そこで、国の責任で行う、一般的な職業研究所における研究と並行して、今度設立されます協会を通じてそういった新しいタイプの適職の開発、具体的な研究、検討というものを積極的に進めていきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#241
○沓脱タケ子君 協会でやるのがいいかどうかというのは、ちょっとまた異論がありますけれどもね。「太陽の家」は私も拝見をしてよく知っておりますが、民間の企業がああいうふうなことを現にやっておられて、しかも十年になんなんとして成果を上げておる。ところが、政府の方では精薄の訓練校も一つしか――一つじゃなくて、国立はなくて県立が一つだと。盲人の分野も国の職業訓練校に専科がない。それはやはりそういう実地訓練というものは当然要るとは思いますけれども、基本的な条件整備ということからかからないとやはりその点はぐあいが悪いのじゃないかというふうに思うので、私はしつこく申し上げているんですが、おわかりになっているんだろうと思うんだけれども、色よい返事だけをなさらないというかっこうになっているんですね。その方向で基本的にはやるということなんですね。一言だけでいいです。
#242
○政府委員(遠藤政夫君) 私は、国の責任で行うべきそういった教育訓練あるいは研究開発、それも特に大事でございまして、それもやりますし、同時に民間ベースで――国だけでやったってとうてい足りません、民間でそういう篤志を持った方々がおやりになるものについては積極的に助成をして、両々相まってその効果を上げていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#243
○沓脱タケ子君 それで、いまお話の中で出ましたから、いわゆる身体障害者雇用促進協会の問題ですね。これはいままで質疑の中で出ておりますように、職業訓練校の運営というふうなものだとか、特に職業訓練校の運営というようなのが事業者が主体になって行うというふうなことについて非常にやはり不安を感じますよ。これはいろいろ御意見が出たと私も同様の意見です。少なくともこういったところは三百人以上の大企業というところで雇用率達成が非常に悪いというふうなことが問題になっており、さっき丸紅の例も出しましたけれども、ちょっと余り信用されてない。そういう企業主、事業主の代表だけが集まって、そういう職業訓練校の運営も含めてやるということになりますと、これは冒頭に私申し上げたように、障害者の労働力というものを企業サイドでリードしていくというふうなことになって、障害者本位に考えていってもらえるのかどうかということについて、障害者の立場にとっては非常に不安になると思うんです。その点で私どもは、これはもう当然労働省がじかにやるべきであって、こういう協会などに任せるべき性格ではないという考えを持っておりますが、しかし少なくとも法律が発足をすれば運営についてその障害者の人たちの意見が十分に運営上反映できるようなこのやり方というふうなことについてはお考えになるかどうか、その点だけ。
#244
○政府委員(遠藤政夫君) この法律によって新しくできます身体障害者雇用促進協会、これを事業主のための団体のように誤解をなさっておるようでございますが、実はこれは事業主のための団体ではございません。事業主の団体を会員にする団体でございますが、法律上の性格は特殊法人と同様の性格を持っております。国ないしは雇用促進事業団の委託を受けて、それにかわってこの法律に定められたいろいろな援助、助成の業務を行うと、こういう一つの法律に定められた枠の中で業務を行う代行機関でございます。決して事業主のための代行機関ではございません。万が一にもそういった誤解を受けるような業務運営はいたさないつもりでございます。したがって、この協会の運営につきましては、当然関係者の意見が反映できるように措置を講ずるつもりでおります。
#245
○沓脱タケ子君 それじゃ、その次に障害者の雇用対策が非常に重大であると同時に、障害者の賃金問題というのが、賃金差別の問題というのがこれはやはり非常に重要だと思うわけです。これは私、少し時間をとってお尋ねをしたかったんですが、端的に申し上げたいと思いますが、この最低賃金法の中で、第八条の中で、この適用除外の項目として「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」ということで基準局長の許可を受けたときには適用除外ということが、規定があるわけですね。これは一つはやはり問題だというふうに思うわけです。簡単に言いますと、たとえば昨年も御承知のように大久保製瓶の事件がありましたよね。あれも障害者のゆえをもって給料にも格差がついておるし、しかもボーナスで率まで非常に大きな格差があったということで障害者の方方が大変怒って問題になって、そこでは労働省がやはりお手伝いをして解決をするというようなことをなさったわけですけれども、これは非常に労働者にとっては教訓としてもらわなければならないと思うんです。その辺について、これは障害者の待遇というのがどういうふうな状態に置かれているかというふうなことは調査なさったことありますか。
#246
○説明員(望月三郎君) 身体障害者の賃金を含めた生活実態につきまして調査をしたことがございます。
#247
○沓脱タケ子君 それで調査をして、賃金の調査もしていますか。そうしたらそれ、一遍資料としていただきたいと思うんです。私は労働省の方のあれですが、精薄者あるいは身体障害者で最低賃金法の適用除外申請の許可状況というのを見ますと、これは昭和五十年一月から十二月まで、去年の分です。精薄では申請件数が千百四十三件中許可件数が千九十二件ですから大部分ですね。それから身体障害者の申請件数が三百二十二件中許可件数が三百十件です。ほとんどが現在の最賃法ですね。それが適用除外、それじゃ地域最賃金額というのは一体どのぐらいになっているのかといったら五十年度で、これ東京で二千六十三円でしょう。神奈川で二千六十円、ざっと一日二千円見当ですよ。二十五日満杯で働いたって五万円そこそこという状況なんですね。これは能力が劣っているからということで適用除外にしておるんだろうとは思いますけれども、個々の労働者に本当に能力が低いのかどうか、適性がどうなのかというふうなことの調査はされたことありますか。
#248
○政府委員(藤繩正勝君) 賃金全体の調査につきましては先ほど課長から答弁をいたしましたような生活実態調査等、この資料が唯一のものでございますけれども、いまいろいろ御議論のありました最低賃金法の適用除外の考え方でございますが、数字はいまおっしゃいましたようなことでございます。ただ、私どもは身体障害者であればすべて最低賃金法の適用を除外する、そういう考え方ではございませんで、やはりその障害の程度が著しい、業務の遂行に直接支障のあることが明白である場合ということで許可をいたしておるわけでございます。ただ、実例はその大部分が許可をされているじゃないかというお話でございますが、そういう考え方でやっております。この制度は実は外国の例もここにございますけれども、主要な各国におきましてすべてやはり何らかの許可によりまして適用除外をするという制度がございまして、わが国の制度だけが非常に異常であるということでは私はないというふうに思うわけでございます。むしろ趣旨といたしましては身体障害者の雇用の場を狭めてはいけないという配慮から、こういった制度が各国においても一般的にとられておるものというふうに思うわけでございます。
 それから水準が非常に低いではないかという御指摘でございますが、これはむしろ身障者の問題というよりも最低賃金そのものの現在の水準の問題だというふうに思いますけれども、これは先生御承知のように、労・使・公益三者構成の審議会におきまして審議をしていただいて、その答申を行政官庁としてはそのまま採用するという形をとっておりまして、現状がそういう水準になっておると、しかし賃金の実勢が上がっていけばそれはまた改善をされるべきものだと、そういうふうに思うわけでございます。
#249
○沓脱タケ子君 私はきょうは最低賃金法に基づく最低賃金が安い高いを議論しておらぬ、してないんです。この程度の金額さえも保障されずに適用除外されているというふうな扱い、これを是正するべきではないかということを申し上げておるわけで誤解のないようにしていただきたい。これは職業の、特に労働能力云々と言われるんですが、これはいろんな調査やいろんな研究などを見ますと必ずしも能力から、能率とか能力から言いましてどうかわからぬと、健常人と比べて仕事によってはわからないと、比較をすれば健常人よりもむしろ能率を上げるという場合だってあるわけです。そういった点などを含めて、少なくともこれは障害者の労働権を認めていくという立場から、これは最賃制の除外規定、適用除外というのを何とかして外すという基本方向で姿勢を改めるべきではないかということを強く要望したいんです。これは基本方向についてだけお伺いしておきたいと思います。
#250
○政府委員(遠藤政夫君) 先ほどの賃金の調査の結果、資料は差し上げますけれども、一言だけ申し上げますと、四十八年の古い資料しかございませんけれども、四十八年の生活実態調査で賃金の比較をいたしますと、当時の所定内賃金が一般の労働者の平均が六万六千円に対して身体障害者が六万円、約九%ぐらいの差があります。それほど大きな考えられるほどの差はございません。で、雇用労働者が身体障害者二十数万、その中でいま話が出ました最賃の除外例が一年間に三百件余り、これはむしろ先ほどから御指摘になっております精薄者が大部分なんです。精薄者に、もし精薄者の雇用を進めろと一方で言いながら賃金は最低賃金の除外はけしからぬということになりますと、精薄者を採るものがなくなっちゃうんです。私は先ほどから申し上げておりますように、身体障害者の場合も精薄児も含めて、能力がなければ能力がないままに能力に応じた賃金しか払わないのは当然だと、そういう前提に立って能力を高めてもらう、能力を高めるように使用者も努力をしてもらう、助成をしてもらう、こういうことでないと私は本当の根本的な解決にならないと思うのです。ですから賃金問題も含めて私はこの新しい法制の考え方で、本当の意味での身体障害者の雇用を進めていきたい、このように考えております。
#251
○沓脱タケ子君 あんまり時間がありませんので、ほかにもまだ若干この法案についてお聞きしたいことがあるんですけれども、あと中高年の雇用促進の特別措置法に関連をいたしまして、これは運輸省にちょっとお聞きしたいんですが、おいでてくださっていますね。――いま日本船か外国人の船員を乗せて走る船というのが非常に多くなって、そのおかげで国内の船員が非常に失業が続出をしているという問題が出ております。で、そういうふうな結果、船員を取り巻く雇用不安というのが非常に深刻になってきておるというのが実態のようでございます。失業給付の対象者が六千人を超しておる。求人倍率は陸上では〇・六二%ですか、これは二月の統計ですね。ところが船員の人は〇・二二なんです。非常に大きな差があります。しかもその要因の一つというのは、いわゆるマル・シップといわれる状況によって起こっていると言われています。マル・シップというのは一体何かと思って、これは私も聞きなれぬ言葉で調べてみますと、日本の船主が外国の船主に裸用船をして、からの船を貸して、それで日本の労働者の賃金の二分の一か三分の一も低いという外国人の労働者をその船に積み込んで、そうして労働者を積み込んだ船をごっそり借りて、この船に日の丸の旗を揚げて走らしていると、しかもこういうマル・シップというスタイルの船が急速にふえて、現在就航中のものが百三十八隻、いま建造中のものを含めると四十隻、こういう形で日本人の船員の職場がどんどん奪われていっている。しかもその奪われた人たちというのは非常に中高年が多い。まあ海から陸へ上がるわけですから再就職はきわめて困難、こういうふうなことを言われております。その中で全日本海員組合からは運輸大臣に対してこの問題についての対策を強めるようにという非常に強い対策についての回答を要望しておられますが、四月の三十日の参議院の予算委員会でこの問題の質疑があったときに、木村運輸大臣が船員組合の申し入れもあるので対策は検討中だと、いましばらく日時をかしていただきたいというふうな御答弁があったようなんですが、それは四月三十日なんです。まあ、その後どのような対策を運輸省としてはお立てになってこられたのか、そのことを簡潔にお聞きをしたい。
#252
○説明員(富田長治君) お答え申し上げます。
 実はこの問題、非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、われわれの基本姿勢といたしましては日本人船員が乗った日本船が一隻でも多くなるということ、これは当然望んでいるところでございますが、残念ながら外航海運はいわば閉ざされた労働市場といいますか、生産市場といいますか、そういう陸上産業と違いまして外国との国際競争にいつもさらされているわけでございます。どういう船を使うかというのは荷主が自由に選べるわけでございます。としますと、荷主は当然安い船を選ぶわけです。そうしますと、日本船がまあ残念ながら非常にコストが高くなっております。どうしても外国船に行ってしまうわけです。それじゃ困りますので、実はわれわれ政府といたしましても計画造船で資本コストを引き下げたり、あるいはいろんな助成をしたりして利子補給等をやって資本コストを引き下げて日本船のコストを安くするという努力もしております。まあ、それのほかに、各日本海運の企業もやはり自分たちのどうも日本船のコストが高いものでございますから、外国用船として外国から船を借りまして、それを突き合わせまして結局日本海運を維持しているという現状でございます。実はマル・シップというのもその一つの変型でございます。それで、もしいまここで仮にマル・ショップを禁止いたしたと仮定いたしますと、まあ非常にむずかしいのですけれども、仮定いたしますとどうなるかと言いますと、直ちに日本人の船員乗った船がそのまま出てくるということにならないわけです。外国用船に恐らく変わってしまうと思います。それで、その辺が非常に複雑な問題でございまして、まあ海運の自由という原則のもとに運営されております、非常に世界的な規模で行われておりますこの海運の社会で、一つの分野だけを規制、がちっと規制して果たして有効な手段がとれるだろうか。逆に変に日本の企業に特殊な強い規制を課すことによって日本の企業が国際競争力を失ってしまう。で、日本海運が壊滅的な事態になれば、そういういま一部じゃなしに日本海運の大ぜいの船員さん全体の問題になってしまうと、非常に大きな問題になる……
#253
○沓脱タケ子君 時間がもうありませんのでね、簡潔に。
#254
○説明員(富田長治君) はい。まあ、それで……、ということでございます。
#255
○沓脱タケ子君 対策はとってないということ。
#256
○説明員(富田長治君) はい。対策はちょっといま、いろいろもちろん検討いたしておりますが、そう簡単にできないということでございます。
#257
○沓脱タケ子君 それで、労働大臣ね、これは所管が違うと、海のことはわしは知らぬということになるんだろうと思いますがね。日の丸の旗を掲げた船にね、外国人の労働者が乗ってどんどん走っていると、これ陸地へ持ってきたらどないなるかいうたら、日本の陸地の上で日本の二場に外国人の労働者が働いているのと全く一緒なんですよね。日本ではこの外国人労働者の雇用というのは規制をされているはずでしょう。これは労働大臣が中高年齢層の問題があって、現段階では外国人労働者を特に受け入れる必要はないということを閣議で発言をされて、これは閣議了解になって、しかも昭和四十八年にもう一遍再確認をされている。ですからまあ労働大臣ね、この中高年の対策が、対策を進めようという具体的な対策が法案として出てきているときなんですが、海のことだからということで、これはね手放しで放置できないと思うのです。そこで、職を失った人たちは全部陸上へ上がっているわけです。そういう点で、これは労働大臣直接どうこうというわけにはいかぬでしょうけれども、閣議了解等もあるわけですから、ひとつ運輸大臣にも要請をするなり何なりして、大変むずかしい問題であるということを私知っているんです。知った上でお聞きをしているんですが、特に中高年の雇用情勢の深刻な時期ですので、そういった点でひとつ労働大臣としても無関心ではおっていただいてはならないのではないかと思いますので、大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
#258
○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるように、少なくとも日本人船員の就労の場が不当に侵害されることは望ましくないことでございまして、まあ、いまのようなマル・シップの問題もありますけれども、たとえばカツオ、マグロね、それから捕鯨、こういう諸君が海洋二百海里の問題でもう失業しておかへ上がります。おかへ上がりますと、これは労働省の方で就職あっせんとか職業転換とか訓練とか、こういうこともあります。そういう現実的な問題もありますが、運輸省とさらにまたいろいろ相談をしてみたい、こう思っております。
#259
○沓脱タケ子君 時間がありませんので、最後に一つ伺っておきたいのは、この中高年の求人倍率がやはり依然として低いと、そういう中でやはり失対の問題というのを考え直す必要があるのではないかと、で、附則二条を削除して、やはり緊急失対事業の凍結というのを解除するべきではないかと思うのですが、その点についてはいかがでしょう。
#260
○政府委員(遠藤政夫君) 全然考えておりません。
#261
○沓脱タケ子君 では終わります。
#262
○浜本万三君 私は、片山、粕谷両委員がすでに基本的な問題につきまして質問をされておりますので、多少まあ、わからなかった点やこの法律運用に当たって特に必要だと思われる点を二、三感じましたので、その点を申し上げまして御答弁をいただきたいというふうに思います。
 まず最初、この法案審議に当たりまして身障者の方々からたくさん陳情をいただいてあるんですが、その中で、この法案を審議する中で、特に関係当局に対して身障者の方々の気持ちを通じてもらいたいという要望がございましたので、その点を二、三最初に申し上げてみたいと思います。
 一つは、生活保護費を収入認定されるものですから、せっかく障害年金が増額をされましても、手元に入る金額はふえない、そういう結果が具体的にあらわれておるわけでございます。たとえば一つの例を申し上げますと、東京の目黒区の長浜さんという人なんでございますが、この方は十二月、一月、二月、三カ月いただいたこの内容がこちらに報告をされておるわけですが、一番高い一月が一万四百八十円、二月は三千七百八十円というふうに、この支給金額が少なくなっておるわけでございます。これは生活保護費の収入認定というところに大きな問題があるんではないかというふうに思いますので、その点、やはり増額をされればされるだけ少しでもたくさん支給されるお金が入るように配慮するのが政治の姿ではないかというふうに思うわけです。その点、いま具体的に申し上げましたような例を一つの参考にしていただきまして、善処してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#263
○説明員(金瀬忠夫君) 生活保護を受けておられます身体障害者で福祉年金を受給しておられる方に対しましては、これを収入として認定いたしますが、同時に身体障害者なるがゆえのいわば特殊の経費ということで、同額を加算として処理をいたしてまいっておりました。しかしながら、近年の福祉年金が急速に金額が増額されてまいってまいりますと、同じ生活保護を受けておられる方との均衡の問題あるいは低所得の方との均衡というような問題から、いろいろ何と申しますか、バランスを失するというふうな関連の問題が出てまいってきておるわけでございます。そういうことから、いま申しました福祉年金については、他のいま申しましたような均衡等も考慮いたしまして、身体障害者につきましては、老齢加算の一・五倍というような形の加算という整理をいたしたわけでございます。なお、これらの加算につきましては今後とも改善充実してまいりたいというふうに考えております。
#264
○浜本万三君 それから次の問題は、障害等級を国年並みの等級にしてもらいたいという希望があるわけなんです。これは結局一、二級というのを一、二、三級ぐらいにいたしまして、わかりやすく他の年金と合わす方がいいのではないかという希望があるわけなんでございますが、それに対してはどのような見解をお持ちでしょうか。
#265
○説明員(金瀬忠夫君) お答えいたします。
 恐らくおっしゃいますのは、現行の身体障害者の等級が一級から六級までに分かれておりますが、これを恐らくいまおっしゃいます国民年金なりあるいは厚生年金なりの等級と見合いの形に処理をしたらどうかと、こういうお尋ねかと存じますが、実は私どもこの身体障害者の等級につきましては、現在ちょうど二年ほど前からになりますが、身体障害者福祉審議会におきまして、この等級の調整についていろいろ専門の先生方に入っていただきまして御審議を実はいただいております。で、現在の段階では、まだどうこうという形をいま申し上げられる段階ではございませんけれども、年金との見合いの関係を調整しながら、少なくとも現在の六段階をあるいは三段階ぐらいの整理にして調整をしてまいりたいというふうな考え方で、現在審議会でいろいろ検討いただいているところでございます。
#266
○浜本万三君 いまの二つの問題につきましては、それぞれ前向きの形で検討されておるというお話でございますので、さらにこれを促進していただきますように要望申し上げておきたいと思います。
 それから、次は障害者の機能改善のための医療を国の責任で実施してほしいということなんですが、内容を申し上げますと、いまございます国立身体障害者センター、何か新宿にあるのだそうでございますが、新宿以外に二カ所ございまして、三カ所施設があるらしいのでございますが、最近役所の方で方針を変えられまして、新たに障害のおそれのある者を含めてリハビリをなさると、こういう計画が発表されておる。そこで障害者の方々は、一般の医療行政と福祉行政というものを混同されて、そこでまた障害者の方々が差別されるのではないかと、そういう心配を持っておられるわけなんでありますが、その計画の内容と、そういう心配に対して、心配のないようになさるのかどうかという点についてお尋ねしたいと思います。
#267
○説明員(金瀬忠夫君) お尋ねの件、確かに現在戸山町に身体障害者の指導所がございますし、それからその隣に聾唖者更生指導所、さらに杉並に失明者の更生センターが一つございます。で、これらの施設を私ども所沢に三施設を総合しまして移転し、そしてそこで総合的なリハビリテーションを行いたいという計画を現在進めておるところでございます。
 で、御案内のように身体障害者のリハビリテーションということにつきましては、医療とそれからいわゆる社会福祉と申しますか、障害者の機能回復訓練、職能訓練それに職業訓練、こういうようなものを個々に行うのではなくて、総合的に一貫して行うというのがいわば身体障害者のリハビリテーションの基本の原則であるわけでございます。そういうことから私ども所沢に三施設を一カ所にまとめて整理をいたしまして、そこで集約的にリハビリテーションの実施をする、そして総合的な評価判定を行い、そしてそれぞれの分野におきますところの専門家が実施するというような形で進めてまいる予定でございます。
 で、お尋ねの医療が中心になってかえって混乱するのではないかというような御趣旨のようでございますけれども、あくまでこの施設は身体障害者の施設でございますので、医療を中心にして一般の身体障害者を除外するとか、そういうふうなことは毛頭考えておりません。ただ御質問の趣旨が、あるいはこのリハビリテーション施設を整備いたしますためのいろいろな調査会というのをつくって検討いたしたわけでございますが、その中にあるいは身体障害者のおそれのある者という者の医療もというふうなことが一部報告書にございますので、そういうことから恐らく御心配があったのかと思いますけれども、いま申しましたように、あくまで身体障害者の施設でございますし、身体障害者を優先してやるということは当然でございます。そういう形で今後とも進めてまいりたい、かように考えております。
#268
○浜本万三君 いまのようなことが非常に障害者の方が心配されておりますから、そういう心配のないように正しく役所の方針を徹底してもらいたいというふうに思います。
 それから次は、これ建設省の関係だったんですけれども、厚生省の方から関係する施策としてぜひ善処するように伝えてもらいたいことがあるわけです。それは、障害者住宅というのが最近建設をされておりまして、私どもはこれは非常にいいことだというふうに思っておるわけなんですが、問題のその障害者住宅というのは、二DKで二万円の家賃を払うことになっておるわけですが、入居基準というのが非常に問題だと思います。一つは、二万円の家賃が非常に高い、それから入居の条件といたしましては、もちろんこれは一般的なことか知りませんけれども、二万円の家賃を払う経済的な能力のある人、それから身障者の世帯主、そういうふうになっておるわけなんです。ところが、身障者の方々は、先ほどお話がありましたように、非常に低額の手当であるということになってまいりますと、その条件を満たすのには非常に容易でないということが一つあるわけです。さらに申しますと、世帯主ということになりますと奥さんや子弟、そういう方々に身障者がある場合には入居できない、そういう不都合も起きておりまするので、そのような不都合な条件を将来撤廃するようにぜひひとつ改善をしてほしいというのが意見でございます。その点ひとつぜひ厚生省の方から建設省と相談をなさいまして、その希望にこたえるように善処してもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
#269
○説明員(金瀬忠夫君) お答えいたします。
 おっしゃいました料金の問題、それからまた入居基準の問題、特に障害者の方につきましては、世帯としては入れるけれども、単身者は入れないというような基準もございます。そうしたことにつきまして、建設省の方に私どももいろいろそれに対する配慮をやってほしいということを申し入れてございます。入居基準の問題につきましては前向きに将来の課題として検討を進めたい、こういうふうなことを言っておりますので、御報告申し上げたいと思います。
#270
○浜本万三君 次は、身障者関係の雇用促進法の関係につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず最初は、先ほど沓脱さんからもお話がございましたが、精薄者を落としておるということでございます。私どもとしては、これを落とすということは非常に問題であるというふうに思っておるわけです。しかし、政府の方では先ほど御答弁にございましたように、働く能力の問題について相当大きな問題があるというふうに回答がございましたんですが、私どもとしてはこの問題もやはり放置するというわけにいかないというふうに思いますので、今後精薄者の取り扱いについても検討されまして、善処されるような政策をぜひ打ち出してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#271
○政府委員(遠藤政夫君) 精薄者の雇用問題をどう扱っていくかということにつきましては、先ほどお答え申し上げましたように、いろいろ基本的に前提となる問題がまだ未解決に残されております。したがいまして、いま直ちにこれを身障者と同じような法律制度上の扱いをすることにつきましては、かえって精薄者の対策として不都合な問題を生じるおそれがございますので、今回の法律改正におきましては附則四条でただいま御指摘になりましたような具体的な検討を進めていくということを法定いたします。それまでの間、必要な援助、助成措置は身障者と同じようにやっていく、こういうことで精薄者の雇用の問題を今後早急に具体的な検討を進めてまいりたい、かように考えております。
#272
○浜本万三君 雇用率制度の問題なんですが、これは大変前進的な政策として評価をしておるわけなんですが、一つわからない点がありますのでまずお尋ねをしたいと思うんですが、雇用率の算定因子といいましょうか、極端に言えばその分母と分子なるものは一体どういう内容のものかというのがまだ明確になっておりませんので、まずお尋ねをしたいと思います。
#273
○説明員(望月三郎君) 分母につきましては、現に雇用されている常用労働者数プラス失業者でございます。それから分子の方は現に雇用されております身体障害者数プラス失業して職を求めておる身体障害者数ということでございます。
#274
○浜本万三君 その場合ちょっと心配になりますのは、就業しておる者はともかく、失業しておる身障者の数というものは的確につかめていないんじゃないかという心配があるわけでございます。そうすると必ず実数よりもその数字は少ないものが出ておるんではないか、そういう心配があるわけです。したがって、雇用率を高く出る方向で検討をする必要があるんじゃないかという、そういうことを私どもは考えておるのですが、その点十分注意をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#275
○説明員(望月三郎君) いま申し上げましたような点を算式で雇用率をはじき出すわけでございますので、正確な実態がわかるような一定の資料、それから必要とあれば新しい調査等も実施しながら正確な雇用率を決めていきたい、こう思っております。
#276
○浜本万三君 それから公表制度の問題なんですが、公表制度につきましても非常に積極的な施策として私どもこれを評価する一つなんでございます。ただせっかく公表制度ができたということは、結局身障者の方々の雇用率をより高く達成しようというところにその目的があるのではないかというふうに思いますので、なかなか抜きたがらない一つの政策とは思うのでございますが、これを積極的に活用してもらいまして、雇用率達成の実効を確保すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#277
○国務大臣(長谷川峻君) 公表の問題につきましては衆議院においても、参議院においてもいろいろいままで意見が出ました。そういうことなどが社会的に反響を呼び、そうしてまた、これが事業主の自主的な協力を求める非常に大きな効果を生じておりましたので、今後さらにそういう意味で大いに運用については活用してまいりたい、こう思っております。
#278
○浜本万三君 それにつきましてもまず率先垂範をしなければならぬのは官公庁、お役所だろうというふうに思いますので、官公庁で進んでこれらの方々の雇い入れに努力されるとともに、その実績をもって民間企業への行政指導を強化してもらいたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。
#279
○国務大臣(長谷川峻君) 先ほどもお答えいたしましたが、私は閣議の席上においてもこのことは論じておりますので、いまから先も御趣旨に沿うて最大の努力を払って各関係各省に働きかけてまいりたい、こう思っております。
#280
○浜本万三君 次は納付金の問題についてでございますが、これは一番私どもが心配をいたしますのは、金さえ納めれば雇わなくてもいい、こういう風潮になっては非常に困るわけなんでございまして、納付金は納めるけれども、同時に雇用義務を負っておるものであるというふうに確認してよろしゅうございますか。
#281
○政府委員(遠藤政夫君) 全くそのとおりでございます。
#282
○浜本万三君 その納付金なんですが、先ほどの御答弁では三万円程度を考えておるという局長からのお話でございました。私どもが最初聞きましたときには何か審議会にかけてその金額を決めるということなんでございます。三万円が決まっておるなら審議会へかけましてもわれわれが期待する金額にはならないというふうに実は心配しておったのですが、三万円は固定化した金額であるのか、審議会によってはさらにこの金額を引き上げてほしいという多くの声があるわけなんですが、それを尊重されて慎重審議なさるのか、どちらでございましょう。
#283
○国務大臣(長谷川峻君) 今度のこの法律案の中において納付金というのは新しい目玉であります。そこでできる限り適正な金額になるように審議会に諮って御審議を慎重にお願いしてまいりたい、こう思っております。
#284
○浜本万三君 局長のように三万円頭から考えておったのでは期待できないと思うので、大臣の前向きの答弁としてさらに高く引き上げることを期待いたしまして、この問題の質問を終わりたいと思うわけです。
 それから次の問題は、雇用率の実効を確保する方法といたしましてはやはり大きな企業にその責任を負ってもらわなきゃならぬ。大きな企業がより共同責任を感じてもらわにゃならぬというふうに思っておるんですが、そのための一つの方法といたしまして、たとえば官公庁の発注工事については雇用率の達成、未達成の状況を十分考慮してはどうかというふうに思うんです。これをもろに雇用率を達成してないところは発注しないようにしなさいと言ったんでは問題があると思いますので、ただいま申し上げましたような方法で善処してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#285
○政府委員(遠藤政夫君) この点につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、いろいろな諸制度、諸法規の関係がございまして一律に処理いたすわけにはまいりませんが、確かに御指摘の御趣旨ごもっともでございます。この精神を体しながら処理をいたしてまいりたい、対処してまいりたい、かように考えております。
#286
○浜本万三君 それからもう一つ、官公庁及び公立病院などの関係のあることなんですが、障害者の方々が努力されまして自立をされる。自立をして、たとえば洗たく屋さんなどを開業されるという場合があるんですが、そうするとどうしても官公庁、公立病院などのつまり競争入札に敗北をする。せっかくの自立体制というものが崩れてしまうというふうな問題が所々に起きておるようでございます。そこで、私は官公庁及び病院は身障者の雇用問題を非常に重視されておるわけでございましょうから、したがって障害者の方々の業者に対しましては温かい配慮をすべきであろうというふうに思いますが、その点の指導についてひとつ明確に答えていただきたいと思います。
#287
○政府委員(遠藤政夫君) 身体障害者の雇用の確保という観点からいたしますと、雇用労働者として企業に雇ってもらう、企業で働いてもらうということも大事でございます。同時にまた、自営独立して自分の職業を確保されるということも大事だと思います。そういう意味からいたしまして、先ほどの官公庁の官公需の発注の問題と似たような問題がございますが、こういった病院とか官公庁でいわゆる中小企業に対して、クリーニングだとかそういった小規模の発注関係につきましては、随契等の場合は可能な限りそういう方向で処理すべきものだと、そういうふうに対応してまいりたいと考えております。
#288
○浜本万三君 随契なんてやってくれないんですよ、こういう小さいところはね。ですから、要するに温かい配慮をしてもらうようにぜひ指導してもらいたいと思います。
 それから、解雇の届け出義務の問題なんですが、今度の改正法では解雇しようとする場合には事前に安定所に届け出るという義務が課せられて、これまた結構なことだというふうに思います。ところが、これが形式的に流れはしないだろうかという心配がございます。そこで、私どもとしては、積極的な意見としては、三カ月前までに届け出させるようにしたらどうかという気持ちを持っておるわけなんでございますが、しかし、もうすでに改正案が提案をされておりまするので、それを一歩譲るといたしまして、この本人の意思を聞くということがこの際必要ではないかというふうに思うんですが、その点はいかが考えておられるでしょうか。
#289
○政府委員(遠藤政夫君) この身体障害者といえども解雇予告制の問題につきましては労働基準法の諸規定がございます。ここで解雇の事前届け出を法定いたしましたのは、こうやってやむを得ず解雇をされざるを得ない場合に、そういう解雇される人の次の就職を確保したい、こういうことを主たる目的といたしておりますので、当然届け出があれば、それに基づいて本人の意思、再就職の希望等を十分聴取いたしまして、できるだけ速やかに再就職を図っていくようにしたい、こういう趣旨でございますので、もう御質問の趣旨当然だと考えております。
#290
○浜本万三君 それでは、大体事前に届け出を徹底さして、本人の意思を十分聞いて措置するようにしたいと、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。
 それから、次は賃金の差別問題なんですが、これは一つは身障者の方が、参議院の常任調査室の「立法と調査」という本の中でも非常に低いということが報告をされておりまするし、先ほどの基準局長の話でもそのことが明確になっておるわけなんですが、二つ問題がございまして、一つは障害者に対して沓脱委員からもお話がありました最賃法八条の適用が相当なされておる。私が伺ったところでは五百余りの適用があって、そのうち大部分が身障者であるという事情が判明をしておるんですが、身障者の最賃法八条の適用除外の運用をひとつ慎重にやってもらいたい、こういう希望があるんですが、いかがでしょうか。
#291
○政府委員(藤繩正勝君) 先ほどもこの問題、議論されたわけでございますが、最低賃金法では確かに「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」については行政官庁の許可によりまして適用除外ができるということになっておりまして、現に先ほどもお話が出ましたが、昭和五十年の許可状況を見まするというと、身体障害者については三百十件、精神障害者につきましては千九十二件というような許可がなされておるわけでございます。しかし、これはあくまでも身体障害者であればすべて除外を認めるという考え方ではございませんで、その障害の程度が著しく、そして業務の遂行に直接支障のあることが明白であるというような場合に限って許可をするという方針でやってまいるわけでございます。こういう制度は各国にもそれぞれとられておるところでありまして、わが国だけにあるわけではございません。やはり趣旨は、先ほど来御議論がありますように、身体障害者の雇用の場を確保するという見地からやむを得ない制度ではなかろうかと思います。およそ労働保護のいろんな規制というものはもろ刃の剣の性格を持っておりまして、保護を強化すること自体は結構でございます。それを強化すればするほどやはり雇用の場を狭めるというジレンマがございます。その辺を法の精神あるいは政策の趣旨というものを十分理解をした上で適正に運営していくということが一番大切なことではなかろうかというふうに思うわけでございます。
#292
○浜本万三君 この最低生活費というのは、本人の生活あるいはまた扶養者の生活、教育とか住宅、そういうものの上にさらに身障者の場合には障害者として必要な加算ということが考えられるわけなんです。したがって、普通の方々の最低賃金よりもさらに考慮しなければならぬ点があるように私は思うわけでございます。したがって、先ほど局長は最賃法八条の精神そのままを申しましたけれども、その法の運用はやっぱり温かい気持ちがあってよろしいんじゃないかというふうに思うので、とにかく慎重な配慮の上にその運用をしてもらいたい。重ねて申し上げておきますが、ひとつあなたの答弁、もう一遍はっきりしてもらいたい。
#293
○政府委員(藤繩正勝君) 先ほどお答えしましたとおり、両方の側面がございます。しかし、いまお述べになりましたように、身体障害者に対する取り扱いというものができるだけ温かくなければならないという点は全く同感でございまして、私どもは諸般の事情を十分配慮いたしました上で過ちのないような運用をしてまいりたいと思います。
#294
○浜本万三君 それから、障害者の雇用が進まない理由といたしましては、能力開発、訓練等の条件整備がまだ不十分である。したがって、身障者の方々にはできるだけ訓練をし、健常者に劣らないような能力を身につけて、一刻も早く独立をした生活を可能にするように政府が行うことは当然であるというふうに思います。そこで、りっぱな職業能力を身につけた身障者を一刻も早く社会に送るためには、どうしてもそのための職業訓練とか、あるいは職業訓練に必要な設備というものの充実ということが現代の産業近代化に即応して必要になっておるんじゃないかというふうに思います。そういう点について政府の積極的な施策を国民は望んでおるというふうに思いますが、これは大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。
#295
○国務大臣(長谷川峻君) 本人がとにかく自立していくという気持ちと、それからそういう訓練でも何でも応じて自分がそれで自立して、さらに職業を求めていくというこの気分が大事だと思います。労働省としてはいままでも御理解いただきますように、まだまだ足りない面がありますけれども、努めております。たとえば、身障者の展覧会などをやりますと、そういう場所において国民にPRもできますし、新しいまた適職がそこに見つかるというふうなことで積極的にいまから先もやりたいと、こう思っております。
#296
○浜本万三君 次は、中高年齢者の雇用促進に関することなんでございますが、これは先ほどからずいぶん議論にはなっておるんですが、高齢者の納付金制度、高齢者の雇用についての納付金制度それから高齢者の雇用率制度、ぜひ制度として取り入れてほしいという希望があるわけなんですが、政府の方は、今回この点につきましてはだめだというお話なんでございます。私どもとしては身障者と同様に、いま就職に一番困っておるのは中高年齢者であることは大臣も御承知のとおりだと思います。したがって、この問題を一刻も早く安定した就職につけるということは日本の社会にとっても大切なことだというふうに思っておるわけでございます。今回は制度として取り入れることはできなかったけれども、将来、これらの問題について検討をしてもらいたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#297
○国務大臣(長谷川峻君) いままでも御議論があったように、率の問題よりはやっぱりいまの時代には定年延長をしながら年金が早くつくようなそういう行政指導、そのための援護措置、こういうことを考えていくべきじゃないかと思っておりますので、ただいますぐに率の問題についての御回答はしばらく延期さしてもらいたい、こう思います。
#298
○浜本万三君 それでは要するに、高年齢者の雇用をひとつ積極的にやってもらいたいという気持ちがあるので、こういうふうな言葉でぜひ善処してもらいたいと思うんですが、高齢者の雇用率達成に努力をするとともに、質のよい雇用を確保するように検討をしましょうということぐらいは明確にひとつそのとおりだというふうに答えてもらいたいと思います。
#299
○国務大臣(長谷川峻君) 御議論としては承り、またそういうふうな方向で努力してまいりたいと、こう思っております。
#300
○浜本万三君 次の問題は求職手帳の発給要件を改善してもらいたいという希望でございます。簡単に申しますと、申請期間が初回給付時から二カ月以内になっておるというふうに思うんです。それをできれば失業給付が切れるまで延長をしてほしいという考え方が一つございます。さらに親切にこの職業の雇用の指導をするという意味におきまして、初回の受給のときに申請用紙などを配って、十分よく説明をいたしまして、周知徹底をさせるような方針を講じてもらいたいという希望がありますが、この点いかがでしょうか。
#301
○政府委員(遠藤政夫君) 現行法にあります中高年齢者求職手帳制度の運用につきましては、従来とも実態に即して適正な運用を図ってまいったつもりでおりますが、実際にはなかなか――周知徹底を図っておりますけれども、一般にまだ知られていない向きもある、こういう御指摘もございますので、中高年求職者に対して周知を徹底するということにつきましては今後とも一層努力をしてまいりたいと思っております。運用につきまして要件を緩和しろという審議会の場におきましても一部そういう御意見がございましたけれども、私どもは現在の制度を、要件を緩和するということは考えておりませんが、今後とも実態に即応した適正な運用を図ってまいりたい、かように考えております。
#302
○浜本万三君 それからもう一つは、資料の点もお尋ねしたいのですが、大体先ほどお話がございましたので、特に重ねて質問はいたさないことにします。
 で、所得制限の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、所得制限、ことし若干緩和をされておることは承知をしておるのですが、この場合に、これは幾らの所得制限になっておるのでしょうか。
#303
○政府委員(遠藤政夫君) いま数字を記憶いたしておりませんので、調べて後刻……。
#304
○浜本万三君 あれば税金で十八万円ぐらいですかな。
 次は、特定地域開発就労事業の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。現在四十五歳以上の有効求人倍率と、就職率はどうなっているでしょうか、ちょっとこれ資料だけをお尋ねしたい。
#305
○説明員(望月三郎君) 四十五歳以上四十九歳までの求人倍率が〇・四七でございます。それから五十から五十四歳までが〇・三七、五十五歳から五十九歳までが〇・一五、こういう率で、これは五十年の有効求人倍率でございます。
#306
○浜本万三君 昨年同期と現在の事情も聞きたいのですが、それはまあ相当よくないということがいまの数字でもはっきりしていますから聞かないことにいたします。
 そこで要望するわけなんですが、中高年失業者を吸収し、雇用を拡大するための特別地域開発事業を拡大すべきではないかというふうに思うわけです。その気持ちがあるかどうか、ひとつ大臣に伺いたいと思うし、さらにまたそのための財政援助として、補助率を相当上げるべきだという気持ちを持っているのですが、いかがでしょうか。
#307
○政府委員(遠藤政夫君) 中高年法をもとにいたしました特定地域開発就労事業は、いま御指摘になりましたように、失業者が多数滞留しておる地域で、しかもこういった事業を起こすことによって、地域の開発に役立ち、結果として雇用が拡大できる、こういう条件、一定の条件のもとにこの事業が行われております。この事業を拡大するかどうかといったようなことは、こういったいま申し上げましたような条件に適合するかどうか、と同時にこの主体となります地方公共団体がこういう事業の実施の可能性といったような面から検討された結果、この事業を実施いたしておるわけでございまして、ただ一律に失業者がたくさんいるから、この事業を起こすというようなわけに、いわゆる緊急失対法によります失業対策事業とその点で性格を異にいたしておりますので、一概にこの事業を失業者の増勢だけで拡大をするというわけにはまいりませんが、都道府県なり市町村にこういった実態を十分認識をしてもらって、実態に即した運用を図ってまいりたいと、かように考えております。また、この事業の執行に要します費用につきましてはその補助率を引きし上げろと、こういう御指摘でございますが、私どもは年々単価を地方の要望に応じて引き上げてまいっておりますし、地方負担分につきましても交付税、起債等によりまして超過負担を来たすことのないように十分な配慮をいたしてまいっておるつもりでございますが、今後とも単価の引き上げなりそういった超過負担の生じないような配慮を十分加えてまいる考えでございます。
#308
○浜本万三君 時間が来ましたので二つだけ要望をしておきたいと思います。
 一つは職安の機能を一層強化してほしいという希望と、それからもう一つは雇用率未達成のところをさらに雇用を促進させるために、いまの努力目標を強化いたしまして、未達成のクラスによって賦課金制度のようなものをつくることを検討できないだろうかということなんでございますが、後段の問題につきましては、政府としては大変むずかしいかもわかりませんが、ぜひひとつ検討をしてもらいたいということを要望したいと思いますが、何かお答えがあれば答えてもらいたいと思います。
#309
○政府委員(遠藤政夫君) 安定所の機能の問題につきましては、これから雇用政策を遂行してまいひます上でただいま御審議願っております身体障害者の雇用の問題あるいは高年齢者の雇用の問題、こういったものがこれからの雇用行政の中の最重点課題になろうかと思います。
 そこで、これに対応いたしまして、全国六百の安定所の機能を充実させるといったようなことは当然必要なことでございますので、私どもは予算面あるいは機構の改革等も含めまして安定所の機能の整備、拡充に今後とも十分努力をしてまいりたいと、かように考えております。
 それから、雇用率未達成というお話でございますが、中高年齢者の方の高年齢者の雇用率の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、身体障害者の雇用率と性格を異にいたしております。何年間にこれを達成しなきゃならぬとか、未達成の企業に対してはどうだというような身体障害者の雇用率とは違った考え方に立っております。したがいまして、雇用率が達成していないからそれに対して懲罰的な賦課金を課するというような制度をつくることはこれは雇用率制度を設けた趣旨に反することにもなりますし、いまこういった問題を検討する余地はないんではないかと、私どもはかように考えております。
#310
○柄谷道一君 大臣は、七十七通常国会における所信表明の中で、第一に安定成長下における総合的雇用政策の推進を挙げられました。そして、その柱の一つとして心身障害者と高年齢者の雇用と福祉を一層促進することを強調されたわけであります。今回提出されております法案が現行法と比較して一歩前進であることは評価するものではありますけれども施策の一層の充実を期待すると、こういう立場に立って以下若干の質問をいたしたい。意欲的かつ前向きの答弁を期待いたしたいと思います。
 第一は、中高年齢者の雇用保障に関してであります。職業安定局調べの「最近五ケ年間の雇用保険受給者の年令階層別推移」というものをながめてみますと、四十五歳以上の者が受給者全体に対して占める比率は四十五年では二六・七%、四十七年では二七・八%と、おおむね二六・七%台を前後しておったわけでありますが、五十一年二月の調査では実に四五・九%とはね上がっているわけであります。特に男子につきましては五三・九%を占めております。さらに細分してこれを五十五歳以上の者に限って調べますと、その比率は四〇・九%に達しているわけでございます。しかもいま発表がございましたけれども、五十五歳以上の有効求人倍率は実に〇・〇九、いかに中高年齢者の雇用がいま大きな問題になっているかはこれらの資料が如実に示しているところであろうと思います。
 そこでまず第一の質問でございますが、改正案によりますと、企業に努力義務としての高年齢者雇用率を設定いたしまして、定年延長を側面から援護しょう、こういう趣旨でありますけれども、私はこれは一つの発想でありますけれども、このような雇用情勢の現状というものを踏まえますならば、明年三月ぐらいまでは定年に達した者であっても、一応、六十歳ぐらいまではその企業が抱えて、そして定年の発効を猶予する、こういった思い切った行政指導が労働省当局において行われるべきではないか、本質的な定年をどうするこうするは、いま本法の趣旨に沿って行われるとしても、緊急避難的な行政指導というものが望まれると思うわけでございますが、いかがでございますか。
#311
○政府委員(遠藤政夫君) 雇用保険のあるいは雇用保険になります前の失業保険の受給者の年齢階層別の構成比は御指摘のとおりでございます。この数字か示しておりますように、最近――ここ二年ほど、中高年齢者の受給者率が高まってきておるということは、それだけ中高年齢者の失業の滞留が際立ってきている、こういうことはもう如実に物語っていることだと思います。ただ、そこで一つ失業保険法下の受給者の実態と、雇用保険になりましてからの受給者の実態に若干差がございます。その分だけはちょっとマイナスとして考えていただかなければならないのじゃないかと思います。と申しますのは、失業保険時代にはいわゆる若干女子あるいは季節出かせぎの関係、そういったものがありまして、比較的若年労働者の受給者が多かった。
 それからもう一つは、いわゆる事故退職者が非常に多かった、この不況に入りまして事故退職者の割合が減って、いわゆる解雇者の割合がふえている、それが中高年齢者に集中してきた、こういう状態がございますので、それを捨象して考えましてもなおかつ御指摘のような点が十分にうかがわれます。そこで実はいま御指摘のありました問題につきましては、定年延長をいろいろな方法を取りながら推進してまいっておりますけれども、昨年の八月に、労働省におきましても定年延長の問題は労使間の問題であって、行政措置でどうこうするわけにまいりません。しかし、さはさりながら、こういう市況の不況下にありまして、特に高年齢者の雇用問題が非常に深刻な状態になりつつある中で、本格的な制度としての定年延長問題はさらに別としましても、とりあえずとにかく来年の三月まで、ことしでございます、定年に達した人を来年の三月まで企業で抱えておくような方向で労使で話し合いをしてもらいたいということを企業主団体に、労働組合に申し上げたことがございます。まあ、それがどれだけの効果がありましたか、効果は実は定かではございませんけれども、幸いことしに入りまして有効求人倍率は二月〇・六二倍、三月〇・六八倍、完全失業者は二月、三月とも百二十五万と横ばいの状態で実質的には減少の傾向を示してまいっております。そういう中で、いまおっしゃっるような緊急対策というような形で行政をするということが適当であるかどうか、あるいは効果が期待できるかどうかは別といたしまして、やはり本格的な定年延長を促進するということで労使両当事者に強く要請をしてまいりたい、かように考えております。
#312
○柄谷道一君 長い五年間の比較は、基礎が動いておることは承知しておりますれども、五十一年の二月統計を見ましても、全受給者のうちの四〇%ですね。しかも有効求人俗率が〇・〇九ですから、全体的な有効求人倍率は多少上昇したとしても、統計はまだ発表されてはおりませんけれども、依然として五十五歳以上の有効求人倍率はそう飛躍的にふえていないと、こう見るべきだろうと思うのです。そこで昨年もやられましたけれども、大臣の方で前向きに検討していただいて、この状態の中に定年が来たと、あすから定年でほうり出すというんではなくて、やはり企業自体が本年三月までぐらいはひとつ経済情勢の好転が見通されるまで企業に抱えておくべきだという程度の労働省としての行政指導は当然あってしかるべしと私は思います。検討をお願いします。
 そのほかにも、私は中高年の積極的雇用確保対策を展開していくという視点に立ちますならば、たとえば現行六十三種の中高年者を比較的採用しやすいという業種につきましても、これは行政の面で洗い直しをして、さらにその拡大を図ることも一策であろうと思います。また、いま私が申し上げましたような中高年の深刻な雇用情勢を考えますならば、安易な解雇が行われないための雇用制限の措置を強化するということもその方法であろうと思います。また、年齢的に職務遂行が今日まで困難だと思われておった職種の中でも、作業環境の改善などの企業努力によっては中高年齢者であっても十分職務の遂行が可能であろうと思うわけであります。こういう企業に対する作業環境改善努力に対する行政指導や国としての支援策を強化することも策であります。また、再就職の雇用促進につきまして、たとえば一定年齢以上の中高年齢者に対して定年退職後の再就職援助のための有給訓練休暇制度の制度化、ないしは事業主に対して財政援助を含めた指導ということもいわゆる企業在籍期間中に打つべき手もあろうと思うのであります。さらに職業紹介所における中高年職業相談員というものを増員いたしまして、文字どおりマン・ツー・マン・システムによる職業指導紹介ができる体制を強化する。私は大臣の意欲によりましては、まだまだ残された中高年の雇用確保のための政策展開が行い得ると、こう考えているわけでございます。大臣としてのぜひこれに対する積極姿勢をお示しを願いたい。
#313
○国務大臣(長谷川峻君) 私も毎日のデータを見まして、おっしゃるように五十歳以上、四十五歳以上の方々が四〇数%も有効求人倍率が悪いということを見ましていつでも深憂しているものでありまして、でありますから事業主に会ったときには、重役に会ったときには、あなたも大体中高年齢層でしょう、偶然重役であるから首切られないだけの話で、どうぞひとつしっかりお使いなさい、こういうふうな話し方もしているわけであります。それからいまおっしゃったいろんな諸政策については、おっしゃるとおりのことを、いままでもやってきましたが、それをさらに拡大していく。何と言いましても、この苦難を乗り越えて、子供たちを学校に出して、まだバイタリティーのある諸君でございますから、日本の全体のために活躍してもらう場所というものを積極的に労働省はやらなきゃならぬ。しかもこの法案が御審議いただきまして御可決いただきますれば、さらに一層利たちは努力することができるということで、御審議を御期待しているわけであります。
#314
○柄谷道一君 五十代、六十代はいわば谷間を歩いてきた人とも言われているわけでございます。いわゆる青春期は戦地、銃後の別なく戦争という苦しみの中を生きてまいりました。戦後はまたインフレでございます。やっと落ちついたと思えば、子供の養育に追われたわけであります。そういう、いわば社会情勢の谷間を歩いてきた者がいまや中高年に至って、そしていま深刻な雇用の不安におののいている。こういうことを考えますならば、いま大臣の言われました、やはり可能性の限界まで突き詰めた中高年の雇用確保に対する政策展開というものはまさに時代の強い要請でもあるのではないか、こう思うわけでございまして、予算上の措置もありましょうけれども、極力大臣としての善処を強く求めておきたいと、こう思うわけです。
 第二は、心身障害者の雇用対策についてでありますが、いささか古い統計ではございますが、昭和四十七年調査によりますと、十八歳以上の心身障害者百七十二万人に対して、就業者は七十九万人、就業率は四六%と政府統計で出ております。これにはいろいろ、七十歳、八十歳の者も含まれているんだ、寝たきり老人もあるんだということで、一歩譲って昭和四十八年調査による十八歳以上六十五歳未満の、今度は「心」を除きまして身体障害者、これをとりましても八十八万四千人に対して就業者数は五十三万一千人、就業率は六〇%であります。四十七年の一般の就業率七一・二%と比べますならば、まだまだその就業率は低いということをこの統計は示していると思うわけです。そこで、大臣にお伺いするんですが、精神障害者の雇用対策につきましては、まだまだ解決しなければならない多くの問題があるから、一応その検討を引き続き行うこととし、今回はいわゆる精神、訓示規定といいますか、そういうものにとどまらざるを得なかった、こういう当局の姿勢でございますけれども、これは私は一つの提議なんでございますが、法改正案では、身体障害者雇用促進協会で検討する、こうなっておりますけれども、もっと積極的に労働省の付属機関として、精神障害者の職業能力の開発、職種の開発などを専門的に検討いたします心身障害者雇用促進問題研究所というものを設置いたしまして、これらの研究開発により精神障害者の雇用に適当であると認められた職種について労働大臣はこれを雇用職種として指定をし、公共機関及び民間企業にその遵守を義務づける、ないしは公共の福祉工場の設置を検討する、こういったひとつ新しい試みが、いま大臣の言っておられます今後検討するという項目の中に当然加えられてしかるべきではないか、こう思うんでありますが、いかがでございますか。
#315
○国務大臣(長谷川峻君) 前段のいろんな適職研究の問題は労働省でもやっておりますし、ほかの省からも民間団体と協力していままでも進めておりますが、さらにこれを推進していきたいと思います。
 最後の公共福祉工場ですか、そういうものなどは将来とも考える筋合いのものだと、こういうふうに感じていま内々検討しておるところであります。
#316
○柄谷道一君 ぜひ実現されますように御検討を願いたいと、こう思います。
 身体障害者の雇用対策でございますけれども、今回のこの方法によって効果が上がることを私は期待いたします。しかし、その雇用確保対策は、雇用率の設定なりこの法案に示されている方策だけですべてを満たすものではないと、こう思うわけです。私はこれからいろいろ積極的にこれらの対策を進めていこうとする場合、たとえばその一つとして、中高年のところでも申し上げましたが、雇用制限の強化という問題がございます。第二には、各都道府県単位ごとに、知事、労使、職業安定所長、職業訓練所長、各種の心身障害者施設の代表などで構成いたします身体障害者雇用促進連絡協議会というものを設けまして、個々の身体障害者の障害の程度に対応した雇用計画、訓練計画というものを定めていくということも有効ではないか。さらに心身障害者の職業指導に当たりましては、専門知識及び経験、熱意を有する者が当たらなければならないということでございますから、職業指導相談体制のさらに一層の充実強化を図る必要があろうと思います。また、雇用問題に熱意を有する民間人を身体障害者職業指導員として広く活用いたしまして、雇用促進のための就職後のアフターケアを含めた日常生活面にわたる相談指導に当たらせるということもまた有効な施策であろうと思うわけであります。私は今回の法案制定をもって事足れりとするのではなくて、いま私は事例として申し上げたわけでございますけれども、いま申し上げましたような問題点について、これは関係する省庁もあろうと思いますけれども、大臣が積極的に問題を提起されまして施策を実行に移すべきであると、こう考えているものでございます。大臣の所見をお伺いいたします。
#317
○国務大臣(長谷川峻君) 柄谷さんの御意見一々ごもっともでございます。その中には、各県においてすでに協会でいまのような雇用の問題とか適種の開発とか、いろんなことをやっているものもありますが、そういうものを拡大していくということも当然大事だと思います。
 それから、アフターケアの問題などもありますけれども、民間人の方々、非常に熱心にやってくださる方もありまして、アフターケアどころじゃない、実を言うと結婚までお世話をしてくれている。これなどは私は非常に頭が下がる思いがします。結婚を三十世話した、四十世話したという話を聞きまして、そういう方々に会って、本当に私は結婚まて世話をして、いいことで、――いまの時代はなかなか誤解のまだ解けない時代なもんですから、そういう身体障害者二人が結婚したらどうなるかと。しかし生まれてきた子供は健常者であったというふうに、一つの新しい発見と新しい勇気をつけてくれた。こういうことまでやってくださるような方々がありますので、そういう雰囲気を本当に私は――私たちもお手伝いをしますけれども、そういう雰囲気を盛り上げることが一番大事なことじゃないかと、こう思っております。
#318
○柄谷道一君 大臣、私もそういった善意、ボランタリーというものがこの身障者対策の根底を流れなければならないことはうなずけるわけでございます。またそうなければなりません。しかし、政治というものはそれらの善意やボランタリーの運動に甘えるという姿勢であってはならないこともまたこれ当然であろうと思うんです。私の申し上げました提言は、そのような善意というものを高めていく、ボランタリー運動を盛んに高めていくという、そういった一つの盛り上がりと並行して、国としても、いま大臣の決断さえあれば直ちに実行できるのではないかと思われる私は幾つかの問題点を提起したわけでございますから、ぜひ大臣としてその実現に向かって最大の御努力を願いたいと思います。いかがでございますか。
#319
○国務大臣(長谷川峻君) こうした法案を通過さしていただきました暁には、従来も考えておったことが一層推進できますから、まさにそういうボランタリーと一緒になって、その中心になって、諸政策を具体的にそしてまたお役に立つように進めてまいりたいと、こう思っております。
#320
○柄谷道一君 私はその検討の中にもう一つつけ加えてもらいたいと思いますのは、総合職業リハビリテーションセンターの設置という問題についてであります。私は重度身体障害者の職域開発の研究及びこれに関連する職業訓練技法の研究、こういう問題は医学、心理学、人間工学といったような、いわゆる諸科学の専門的成果のやはり結集として生まれてくるものではないかと、こう思います。私はこのために、特に重度身体障害者の問題につきましては、職域や作業機具の開発研究、能力や適職の判定、職業訓練、指導員養成、さらに重度身体障害者の職業更生といったようなものを総合一元的に推進する一つの機関、名称はこれ何でも結構でございますが、そういう試みが一つの大きな方針として打ち出されるということが今回の法律改正というものを側面からその効果を上げていく重要な一つのポイントではないか、こう思うわけです。
 大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
#321
○国務大臣(長谷川峻君) 本年度予算で、厚生省と協力しまして所沢にそうした趣旨のものをつくることにいたしてあります。なおそれを拡充するように考えております。
#322
○柄谷道一君 ぜひその一層の拡充についても御努力を願いたい。
 次に、身体障害者の適用範囲でございますけれども、身体障害者福祉法に合わせる、こういうたてまえに今回の法改正はなっております。私は現行の障害程度等級認定基準は、率直に申しますと、肢体不自由の程度が主たる判定の基準になっていると思うんであります。内部疾患等の合併症を有する者、たとえば脊椎披裂症患者、これは一例でございますけれども、等の実態に照らしましても、私はこの等級認定基準について洗い直しがされるべき時期に来ているのではないか、厚生省にも何回もこれを言っておりますけれども、厚生省は関係審議会に諮問してひとつ検討したいという答弁にとどまっております。今度はこれ一緒になるわけですから、私はこの認定基準洗い直しの問題については、もう厚生省任せという姿勢ではなくて、やはり労働者保護に当たる労働省として積極的にこの認定基準の洗い直しと合理化というものについて参画をされ、やはり絶対というものはないにしても、すべての、多くの人が納得し得る基準設定に努力するべきだと、こう思います。いかがですか。
#323
○政府委員(遠藤政夫君) 今回の改正におきまして、身体障害者の範囲が従来ばらばらであったものを、身体障害者福祉法による身体障害者の範囲と合わしたわけでございます。同じ身体障害者といっても適用の範囲がばらばらになりますといろいろ混乱を起こしますので、そういう趣旨から厚生省の身体障害者の範囲に合わしたわけでございますが、現在この身体障害者の範囲につきましてもいろいろ御指摘のような問題点があるので、洗い直しをいま検討を進められておるわけでございます。こういうことで一緒に同じ基準によって行政を進めていくということになりますと、厚生省の身体障害者の基準の洗い直しに際しましては、労働能力の判定といったような観点から十分私どもも参画をさしていただいて、私どもの雇用政策の面からも十分御意見を申し上げて適正な身体障害者の等級基準の決定をしていただきたい、かように考えております。
#324
○柄谷道一君 次に、これは文部省にお伺いしたいわけでありますが、午前中の質問でも出ておりましたけれども、私は身体障害者の社会復帰と学校教育の関係というものはきわめて重要であると、こう思います。午前中の答弁を聞いておりましても、まさにたてまえ的答弁に終始したと私は思うわけでございますが、私もいろいろの施設、学校等を視察いたしまして感じますことは、まず第一に、普通校における混合教育体制というものがまだまだ不十分であるということであります。
 で、私は身体不自由児の中には確かに精神障害というものによる肢体不自由児もございますけれども、頭脳に関しては何ら普通人とは変わらないという肢体不自由児が多くあるわけでございます。私はやはりたてまえとしては、学校の設備等を改善することによって普通校に進学ができる、そして能力が開発される。その方が弁護士であれ、会計士であれ、知識的な職業というものについていける、そういう道を開いていくというのが本筋であろうと思いますが、なかなか実態はそのようにいっていない。教育委員会の決定にこれはよるわけでございますけれども、本人、家族の希望、現場教師の意見、専門医、特にその者の診療に当たった医師の専門的、医学的所見、これらを十分配慮し、学校の設備というものの改善がこれに相まちつつ、極力普通校における混合教育体制の確立ということに向かうべきである、こう思います。また養護学校にいたしましても、まず第一に数が不足であり、地域が偏在いたしております。最近著しい都市化が進んでいる埼玉県におきましては、この養護学校は熊谷市に一校あるだけであります。この交通戦争といわれている時代に熊谷まで養護学校に行けということ自体が果たして人間的な配慮であろうかと、こう思います。また教育内容についても文部省はその能力に応じたきめ細かな教育を指導すると、こういつも言われるわけですけれども、私の視察いたしましたところ、学校のお名前を言うのははばかりますので言いませんけれども、中学三年の方の使っている教科書は小学校六年生程度でございます。高校三年生の使っている教科書でせいぜい中学一年程度であります。教師の不足、施設の不足等によりまして、いわゆるだんごになっている。しかしその中にはその程度の学力しか消化できない者もおりますけれども、もっと高度の能力を持つ者も含まれている、こういう私は実態の中で果たして本当に本法改正の目指す社会復帰のための有効な教育体制が確立されているかどうかについてはきわめて疑問とするものであります。答弁は短くて結構でございますから、ひとつ文部省から現状を積極的に改革するという明確な答弁をいただきたい。
#325
○説明員(国松治男君) 心身障害児の教育につきまして基本的な考え方は午前中にも御説明をさせていただきましたけれども、やはり障害の度合いによりまして、それに合った教育をしなければならないというふうに考えております。そしてその教育の場があるいは小学校の普通学級であり、あるいは小学校の特殊学級であり、また盲学校、聾学校、養護学校の小学部で教育をしているというふうなことであろうと思います。問題はそのそれぞれの教育の場にその子供の、障害児を初め置かれておるいろんな条件を勘案して、的確にそういう場に就学していくというふうなことが進められなければいけないということであろうと思いますが、ただいま先生御指摘になりましたように、特殊学級もあるいは養護学校もまだまだ不足をいたしておりまして、私どもこれにつきましては国庫補助金等をもってその設置を推進しておるわけでございます。またその中に入りまして、子供に向かってさらに個々の子供を見ながら教育の具体的な計画を立てるわけでございますけれども、御案内のとおり、養護学校は普通学級編制は八人、特殊学級は十二人というふうなことで、一般の学級四十五人の編制よりも少ない人数で編制をするということにいたしております。これはやはり個々の子供に着目した適切な指導をしていかなければならないというふうな考え方に基づくわけでございますけれども、これは実際に子供を見て先生がいろいろ御工夫をいただくというふうなことで、非常に先生の質を高める努力をしなければならない、そういうことを一層痛切に感じておるわけでございます。国立特殊教育総合研究所というものを設置させていただきまして、そこでは百五十人の宿泊等も持って教員の研修をやるというふうなことをいたしておりますけれども、そういうものを通じまして先生の質を高め、それぞれの子供に合った教育を実施していくようにいたしたい、今後とも努力をいたしたい、このように考えております。
#326
○柄谷道一君 私は大臣にちょっとお願いをしたいのですよ、これは確かに文部省所管の問題です。しかし私は冒頭申しましたように、学校教育と社会復帰、そして雇用問題は切っても切り離せないわけです。いま確かに文部省の言われましたのはたてまえはそのとおりです。しかし実態かそこまで至っていないというのはこれまた現実なんです。ひとつこれは国務大臣として、――労働大臣とはあえて申しません、国務大臣としてそういう実態というものを一遍把握されて、文部大臣に対して有効な助言というものをぜひ労働大臣の立場からもしていただきたいことを申しまして、質問を次に移します。時間が余りありませんので。
 次は大蔵省にお伺いをします。
 現在、租税特別措置法、第十三条に、障害者を雇用する場合の機械等の割り増し償却が定められております。それはその割合が十分の三以上の雇用をした者、こうなっているわけであります。今回の法改正案で十分の二と改定することがいま提案されていると承知しております。しかしこれは二割なんですね、ということは、税制上の身障者雇用促進に関する精神は、特定二割という非常に大きな割合の心身障害者を雇用しなければほかは何もないのですよというたてまえになっているわけです。これでは租税の面から私は雇用促進に有効な働きという面ではまだ不十分ではないか。私はこれは一率とは申しませんけれども、今度身障者の法定雇用率が設定されるわけです。とするならば、私はその法定の身障雇用率を超えるものに対しては、それは多くの割合を雇っている方とわずか超える者との間に差を設けることは私はいいとは思いますけれども、少なくとも身障者をより積極的に雇用しようとしている企業に対してはやはり税制の面からこれを支援する、こういう検討と洗い直しが必要な時期ではないか、こう思うわけです。これは直ちに実行はできません。ぜひ来年度の通常国会までにはひとつ大蔵省としても労働省と十分お打ち合わせを願って、有効な措置をとられることを希望したいと思いますが、いかがでございますか。
#327
○説明員(大竹宏繁君) 障害者の雇用の促進のために一般的な新たな租税特別措置を設けるべきではないかという御提案かと存じますが、やはり租税特別措置につきましては現在いろいろ税の公平という面から御意見も強く出ておるところでございまして、なかなか新設ということにつきましてはむずかしい問題があるかとは存じます。ただ、私ども税制当局といたしましては、私どもなりに障害者の雇用促進につきましてもその重要性にかんがみまして配慮はいたしておるつもりでございまして、先生仰せのとおり、今年度の税制改正におきまして雇用率を三割から二割へ引き下げたわけでございます。それと並びまして今度の新しい障害者の雇用促進法の中に規定されております身体障害者雇用促進協会につきましては、これを法人税法上別表二の法人、言いますならば公益法人等というカテゴリーの中に入れまして、原則として非課税という扱いにもいたしておるところでございます。そのようなことで私どもといたしましてはそれなりに現在努力もしておるところでございます。
#328
○柄谷道一君 私は努力していないとは言っていないのですよ。ただ二割以上というこの発想自体が洗い直されるべきではないか。私は身障者の雇用促進という問題は、特定の工場にたくさん雇うということよりも、むしろあまねく工場が今回の雇用率設定という趣旨を生かして、たとえ雇用率の上に一人でも二人でも多くの身障者を雇っていく、こういうやはり体制づくりがなければ、いま私が冒頭申し上げましたようにその就業率の低さというものをカバーすることはとうていむずかしい、こう思うわけです。課長として現段階でこれ以上の検討を約しますということは言えないでしょうけれども、大臣ひとつ大蔵大臣とお話し願いまして、来年度にはひとつ目に見えた改正というものをさらに推進するように御努力願いたいと思います、いかがですか。
#329
○国務大臣(長谷川峻君) まあ、努力します。
#330
○柄谷道一君 次に、これは労働省にお伺いいたします。
 今回の雇用調整金、報奨金は定額制という発想であります。私は理論的に考えますと、どうも障害の程度に応じ、賃金の一定率ということの方が妥当ではないかと、こう思うんです。たとえば、各産業における賃金決定の機構をいま見ますと、いろいろ差はありますけれども、未経験新規採用者の賃金というものは、これは身障者たると否との区分はいたしておりません。また、身障者が雇用される、その場合、いつまでも単純作業というのではなくて、私はやはり訓練と、そして職場環境の整備と相まちつつ技術革新、応用、配転、進歩等への適応が行われるべきだと、こう思うわけです。そうなりますと、果たして定額制という問題がこれらの大きな進展というものに対応し得るシステムなのかどうかについても疑問を持つわけでございます。今回定額制で発足されることは発足当初でございますから、私としても理解いたしますけれども、この問題についてやはり再度の検討が行われるべきだと私は思いますが、いかがですか。
#331
○政府委員(遠藤政夫君) 今回の納付金をもとにいたしまして調整金を支給する、その調整金が定額制というよりも、むしろ賃金に比例してという御指摘でございますが、実はこの納付金なり調整金は賃金補助的な考え方を持っておりません。性格としては先ほど申し上げましたように、身体障害者を雇うについての経済的負担の調整という考え方をとっております。したがいまして、この部分についてもこういう性格のものであっても定額でなくて、実際にかかる費用というものを基礎にして考えるべきじゃないかということは言えるかと思いますが、マクロ的な見地からその平均額をとるということで実は実施したいと考えています。そして、いま御指摘になりましたような問題は、身体障害者を雇う場合に雇用奨励金という制度が現実にございます。これも今後並行して実施するわけでございます。これは身体障害者が雇われて習熟度合い、ある程度技能を向上させ、職場になれる、作業に習熟する、それまでの期間、賃金補給的な考え方で雇用奨励金という制度がございます。むしろこの方がいまの御指摘の線の制度に近いかと思います。これを賃金に比例するのかあるいは一定期間技能に習熟するまでの間賃金補給的に定額を出すとかというようなことかと思いますが、私どもはこれを二つの問題を区別して、そういった性格のものと、身体障害者が当該の経済的負担に対応するものと、こういうふうに分けて考えておりますので、この雇用調整金につきましては、賃金比例的な考え方はとらないことにいたしております。
#332
○柄谷道一君 ここではなかなかこれ以上進展しないと思いますが、私は定額制をとる場合といえども一定額ではなくて、いわゆる障害の程度に応じて何段階かの定額を設定するということもまた一つの手法であろうと思うんです。重度になればなるほど、経営者の方は雇うことが非常にむずかしいわけですから、その報奨制度というものについても全部一本ということが果たしていいのか、ランクをつけることがいいのか、これは大いに議論の存するところでございますから、ひとつ審議会などでも十分意見を徴されまして、次のステップとしてはひとつ検討の素材に上げていただきたいと、こう思います。
 時間がありませんので、私は最後に大臣にひとつお伺いをしたいと思います。
 私は近代経済学理論の中心は、失業率と物価は反比例の関係にあるという、いわばフィリップス曲線にあると、こう思うわけであります。
 大臣は一昨年の十月当時の田中総理に対しまして「不況下雇用情勢は深刻下し、十月以降有効求人倍率は一を割る危険があるが、物価抑制のためには総需要抑制策は堅持すべきである。」、こういう進言をされたことが新聞に報道されております。それは当然総需要抑制策の推進ということが雇用面に相当な影響が出てくることを予測した上での判断であったと思うのであります。であっても総需要抑制はやるべきだと。大臣は常に失業は最大の社会悪であり、人生最大の不幸である、雇用・失業情勢を基本的指標の一つとして国の政策決定運営を行うべきである、こう持論として申されております。私はさきのフィリップス曲線というものの原理を一応妥当なものとするならば、当然総需要抑制策の推進を行う以上、その受けざら、すなわち、失業予防策を整えて対処することが労働省としての立場だろうと思うんです。
 そこで、大臣はそのために現行法の有効な活用と雇用保険法の制定をその受けざらにする、そうしてその努力をする、こうたびたび述べられてきたわけでございますが、その後の深刻な雇用に関する指標はそれだけでは効果を十分あらわすことができなかったことを証明していると思うのであります。私はそれは一体どういう理由に基づくものか。これは従来の余剰人員、すなわち、雇用・失業問題は在庫調整のための操短による一時的な余剰人員を中心としておった。そういう観点に立ちますならば、雇用調整給付金制度というのは有効に機能したと思うのであります。しかし、現存の産業情勢というものはそのような形ではなくて、むしろ、安定経済成長下における企業体質の改変、産業体質の構造改善という問題にまで発展をしておるわけであります。長期にわたる不況が続いておりますので、いま企業の中にも余剰人目を抱えております。しかし、これが持ちこたえられなくなるという事態を仮に迎えたとするならば、今後予想されてきます雇用・失業状態というものはまさに深刻な様相を示してくるのではないか、こういうふうに考えますと、現在の雇用保除法、私も賛成をいたしました、その機能を認めます。しかし、新しい安定経済成長下における失業予防策という視点に立ちますならば、発想を新たに、これらの新しい失業要因の発生というものに対応できる体制づくりがいま強く求められると私は思うのであります。この点に対する大臣の所見をお伺いをいたしたい。
#333
○国務大臣(長谷川峻君) 私が当時、田中総理大臣にそう申し上げたとおりでございまして、私は当時国民全体が心配しておったインフレをいかにして抑えて物価を安定させるか、こういうことでございました。そうしておっしゃるように、雇用保険法の中における給付金によってまず失業を防止し、しかもなおかつ、いま潜在失業といいますか、過剰人員、それに顕在しておるところの百二十数万、こういうものがありますが、何といっても経済を直すことが大事でありまして、幸いにこれがいま直りつつあるということは、これはお認めになっておると思います。一方、やっぱり昔のようにならないことだけは事実でして、低経済成長、その中にはおっしゃるような失業者というものが、ことに中高年齢層を中心にしたものが抱えられておるとするならば、やっぱり私は作業している第三次雇用対策基本計画の中に雇用安定基金などをこういうときにつくっておいて、そして仮に社会施設などになかなか人が行かない、過剰人員の方々がただ遊んで給付金をもらうよりは、そういうところに勤めることによってそれを私の方で多少でも補給してやって、人間を吸収するようなそういう施策をとらなきゃならぬのじゃないかと思って、第三次雇用対策計画の中にこれを入れて考えて、安定的なそういう対策をやっていこうと思っていま作業を進めております。これはあわせて内閣全体の問題として取り組んでいただこうという意欲を持ってやっているわけでありまして、近代工業国家は何といっても完全雇用をいかにして維持するかということが問題でございます。そういう観点から、いままで以上に推進してまいりたい、こう思っております。
#334
○柄谷道一君 時間が参りましたので最後でございますが、私は雇用安定基金制度、いま大臣が述べられたのでありますが、要は産業の構造改善というものに対応して、どのような失業予防策を講じていくか、私は雇用安定基金制度という看板ではなくて問題は中身だろうと、こう思うんです。さらに、そういう意味になりますと業種の大きな転換が行われるわけでございますから、現在の職業訓練という、企業内訓練というものに対しても新たな視点が求められると思います。また、そのほかにも、これと並行した新しい試みというものが考えられるべきだと、こう思うのであります。本日、時間がありませんので、私はまた改めての機会にこの問題に対する政府の善処を求めたいと思いますが、政治というのは何も委員会だけが政治ではございませんので、私の思いますところ、また改めての機会に大臣にも申し上げたいと思いますから、ぜひ雇用対策に対して発想を新たに万全を期せられることを強く求めまして私の質問を終わります。
    ―――――――――――――
#335
○委員長(戸田菊雄君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、森下泰君が委員を辞任され、その補欠として山本茂一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#336
○小川半次君 関連して五分間、身障者の雇用問題について発言いたします。正直に申して、これまで身障者の問題についてはほとんど厚生省に依存して、労働省初め各省はきわめて消極的でありました。これは事実です。そして、身障者に対して年金問題とかあるいは身障者の福祉の問題等、まあ若干喜ぶような問題を出して、しかも身障者に対して何となく国が恩着せがましい態度をとってきたのが今日までの大体国のやり方であった、まことに残念なことですが。ところが身障者もこれは非常に遠慮がちなものだから、これについていままでは大きな声も出さず、きわめて卑屈な態度でやってきた。しかし、こういうことはいつまでも許されるものではないのであって、もっと掘り起こしてこの身障者のことを考えてあげなければならぬ。身障者が本当に求めているものは社会参加なんです。いささかの、わずかばかりの社会保障関係の手当を受けて、それくらいのことで満足しているものではないのです。問題は社会参加、そういう意味において今度のこの改正案は一歩前進というか、まずまずのものだと思います。しかし私はこれには百点満点をつけるわけにはいかぬと思います。まずまず七十五点か、ちょっと長谷川労働大臣の顔を立てて八十点くらいの点だと私は見ております。しかしいま申したように、七十五点か八十点、遅まきながらここまで来た。何で遅かったのか。肝心の労働者に熱意がなかったからですよ。熱意があったらこの問題はとうに改正案が国会を通っていたはずなんです。なぜ私はこの点を申し上げるかと言えば、身障者の雇用問題の声が大きくなってまいりました昭和三十四年、五年ごろに、労働省の幹部会議を開いたときに、「身障者の問題か、厄介な問題だな。これはまあ厚生省がどう出てくるか、厚生省の出方を見ようじゃないか。うかつにこちらから積極的に出るとやけどをするぞ。」と、こういうことを言った幹部があった。今日はそういう幹部はいないでしょう。そんな公務員もいないでしょう。恐らく長谷川城のもとに、その城の中には、私はもうそういう思想もないし、そういう者はいないと思うが、どうです、そういう思想は全然ありませんな、大臣、このことをちょっと答えてください。
#337
○国務大臣(長谷川峻君) 身障問題について非常に御熱心な小川先生から御指摘いただきましたが、過去にいろいろなことが仮にあったにいたしましても、今日労働省にはそういうものがありません。そして何とか、こういうときに身障者問題についてお役に立ちたいということで、非常に熱心にありとあらゆる部面を説得し、ある場合には現状を見ながらこうした法案をまとめた次第でありまして、必ずやこれを最大なる第一歩として一層前進させる決意でございます。
#338
○小川半次君 かつて早川崇君が労働大臣であったころに、私は早川君に、とにかく身障者雇用問題について国会は非常に冷淡ではないか、ゼスチュアだけやって、われわれが熱心に法案を通したのに、実効が伴っていない、効果が上がっていない、そうして民間企業に対して身障者を雇え雇えと声ばかりかけておっても実効が上がるものじゃない。まず隗より始めよ。政府機関、公的機関、積極的に民間企業に優先して身障者を雇用すべきであるということを私は強く早川君に進言した。その当時、これは労働省ではないが、ある省の幹部が、われわれの役所に身障者を雇用するということは迷惑な話だ、手足まといになると言った役人がおった。無礼千万なことだ。まあ恐らくそういう考え方を持った者は今日はいないと思うが、そこで労働大臣、明日でもよろしい、閣議の際にあなたは所管の責任大臣として、過去に残念ながらこういう考え方、思想を持った者もおったが、この法案が通った以後は絶対にそういうことは許さぬということを閣議で強く発言しておいてほしいと思います。これもあなた、約束いたしますね。
 今度のこの案を通案いたしまして、私はもちろん個々の点においては長所もあります。しかし、一番今回のこの改正案の生命は一つの思想があり哲学があるということです。それは社会連帯という思想であり、社会連帯という哲学なんです。これが今度の法案の生命なんです、命なんです。個々の問題はもちろんいいところはあるけれども、社会連帯というお互いに持ちつ持たれつ助け合って励み合ってやろうという社会連帯のこの思想、この哲学、これを徹底さして初めてこの法案が生きるんです。その思想なくして、その哲学がなくしてかっこうだけあなた方つくったってだめなんですよ。この思想を徹底さすように強く私はこのことを申し上げておきます。
 そこで、まあ、それぞれの委員の諸君から出ました問題ですが、私はまずこの身障者に対するところの解雇の問題。これは不況になると民間企業は一番先に身障者を整理するでしょう。まあ大体そんなもんです、想像できますよ。そこで今度は幸いにして解雇の場合は三カ月前に基準局へ申し出なければならぬと書いてあるが、私はまだ詰めが足らぬと思う、詰めが。それは企業主と職業安定所とが相談して職業安定所に再就職、転職をこの身障者に与えてくれ、それを必ず実現してくれという申請を出して、届け出を出してそして何カ月かたってもなお再就職とか転職がなかった場合に初めてこの基準局の制度を利用するとか、何かもっと詰めた対策を立てなければならぬと思う。まだ私は研究と詰めが足らぬと思いますから、とにかくこのことを基準局長、あなたの方もよくこれをひとつ研究しておくようにしてほしいと思います。
 それから、これはきょうは厚生省の者は来ていないでしょうが、これも労働大臣、厚生大臣と相談してほしいと思います。身障者が雇用された場合、これはまあ年金の対象になることは御存じのとおりであります。一般の人は二十年間で厚生年金のまあ受給者としての資格がとれる。しかし身障者は身体がまあ弱体でございまするから、一般人とハンディが違いますからね。だから身障者の場合は、これはまずまあ十五年ぐらいで厚生年金の受給、受ける資格を取るとか、もっと掘り起こして考えてみたらどうかね。一般と同じようにするって、一般と同じようにするんだったら別にこんな法律は要らぬのですね。これは身障者のための、いいですか、改正案を出したんだから、改正案らしくもっと身障者の場合は厚生年金の受給資格が一般の者よりもやっぱり五年短くするとか、これもひとつ厚生省と相談して研究しておいてほしいと思います。
 最後に私は精薄者のことで申し上げたいと思う。それぞれ御質問もありました。今回のこの改正案の中に入っていないのが残念です。恐らくこれは労働省としてはいまいわば暗中模索というか、模索していて、精薄者の一体雇用とか仕事とはどういうものがよいだろうかという一つの模索をしているんだと思う。よくわかりますよ。よくわかりますけどね、身障者といえどもこれは動きたい、何かしたい、これがあるんです。知能が足りなくてもその足りない中でも知能があるんです。この委員会には医学者の丸茂君、沓脱君おられます。人間は本能的に何かしたい、動きたいというものがあるんです。子供が生まれて七カ月、八カ月たちます、その子供が座っている前におもちゃでも置きなさい、そのおもちゃをつかまんとしてはいはいしながらその子供はそのおもちゃをつかもうとする。人間の心理というものは何かしたい、何か求める、私の言うのはそういう、もっと掘り起こしてあなた方は研究しなさいということを私は言っているんです。ああ精薄者か、いやどうにもならぬわと、精薄者はどうにもならぬと見捨ててしまってはもうだめなんですよね。もっと掘り起こして考えなければならぬ。私は一つの例として、いまでも滋賀県で田村一二という精薄者のために若いころから今日まで自分の一生をこれに捧げている人があります。近江学園におられたときと思いますが、子供たちを砂場で遊ばしておいた。そうして砂を丸くたどんのようにつくってみ、と言ったところが、みんな結構うまくつくるんです。そのときにヒントを得てたどんつくりをやったんです。この精薄者にたどんつくりをやったんです。いまはたどんなど使っている家は少なくなったでしょうが、しかしその時代にこの精薄者が喜々として喜びながら真っ黒になってあのたどんつくりをやった。精薄者のつくったこのたどんはそれぞれの家庭で恐らく血の通った温かいものを与えたと思います。ぼさっとして何にも研究せずして、掘り起こさずしてじっとしておったらいつまでたってもできるものじゃないのです。あなた方はもっと研究して、掘り起こして、そしていま申したように精薄者といえどもある程度の知恵があるんだ、何かしたいという、そのことをとらえるようにしなければならぬ。私は五分間という約束であったので、ちょっとオーバーしましたが、このことを強く訴えて、大臣初め労働省の幹部諸君に一層の奮起を望みまして、私の質問を終わります。どうもありがとう。(拍手)
#339
○国務大臣(長谷川峻君) ただいま経験深い小川先生からのだんだんの激励、訓示、身に体しまして明日からのこの法案が成立した後、さらに一層よく深く考え、そして一人一人が生きがいを求めるように愛情を持った施策に労働省は邁進します。お誓いいたしまして答弁といたします。(拍手)
#340
○委員長(戸田菊雄君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#341
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認めます。
 沓脱君から委員長の手元に修正案が提出されております。
 修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、本修正案を議題といたします。沓脱君から修正案の趣旨説明を聴取いたします。沓脱君。
#342
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 深刻な雇用・失業情勢のもとで障害者や中高年齢者の人々の就職の機会はとりわけ困難になっています。
 今春、養護学校を卒業した生徒がいまだに就職できず、再び在宅障害者にならざるを得ない事態も起こっています。
 中高年齢者についても民間企業で行われている五十五歳定年制などの影響によって再就職が非常に困難になっています。
 企業倒産や大量首切りがあると、真っ先に障害者や中高年齢者が解雇されるというのが現状であります。
 今回の政府改正案は、身体障害者の雇用に関して、事業主の責務を明確化し、雇用率未達成企業に納付金を課するなど、一定の前進面を持っています。しかし、同時に幾つかの弱点を含んでいます。
 それは身体障害者雇用促進法について言えば、第一に、雇用率義務化の対象に精神薄弱者を入れていないこと。
 第二に、身体障害者の解雇を規制する措置が欠落していること。
 第三に、本来政府がやらなければならない雇用促進のための訓練校の運営などを事業主の団体である雇用促進協会に代行させていることであります。
 中高年齢者特別措置法については、中高年齢者の雇用安定対策がきわめて不十分であります。
 本修正案は、政府案のこれらの弱点を取り除き、障害者及び中高年齢者の雇用保障を一層充実させるためのものであります。
 以上が本修正案を提案した理由であります。
 次にその概要を申し上げます。
 一、身体障害者雇用促進法関係については、
  第一に、精神薄弱者の雇用促進に関し、速や
 かに調査研究を進め、雇用の義務づけその他必
 要な措置を講ずるものとする。
  第二に、身体障害者の解雇規制の措置を設け
 ました。
  第三に、身体障害者雇用促進協会の創設につ
 いてはその規定を全文削除いたしました。
 二、中高年齢者特別措置法に関しては、
  第一に、中高年齢者の雇用の義務強化に関し
 て必要な措置をとることとしました。
  なお、この際、失対打ち切りの根拠となった
 附則二条を削除し、失対事業を再開することと
 しました。
 以上であります。何とぞ御賛同くださいますようお願いいたしまして、私の提案理由説明を終わります。
#343
○委員長(戸田菊雄君) ただいまの沓脱君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会辻第五十七条の三の規定により、内閣から本修正安に対する意見を聴取いたします。長谷川労働大臣
#344
○国務大臣(長谷川峻君) 参議院議員沓脱タケ子議員提出に係る身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府といたしましては反対であります。
#345
○委員長(戸田菊雄君) ほかに御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、沓脱君提出の修正案を問題に供します。沓脱君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#346
○委員長(戸田菊雄君) 少数と認めます。よって、沓脱君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#347
○委員長(戸田菊雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#348
○浜本万三君 私はただいま否決されました身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党共同提案の附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の
   雇用の促進に関する特別措置法の一部を改
   正する法律案に対する附帯決議案
  政府は、本法の施行にあたり、身体障害者及
 び中高年齢者の雇用の安定をはかるため、次の
 各事項について、その実現に努力すること。
 一、身体障害者の雇用については、官公庁がす
  すんで雇入れに努力するとともに、民間企業
  への行政指導を強化すること。
 二、身体障害者の職業訓練については、産業の
 実態に即応するよう技能の修得及び設備の整
 備充実に努力すること。
 三、労働、文部行政の有機的な連携によって、
 盲・ろう養護学校等の卒業生の就職を一層促
 進させるよう、格段の努力をすること。
 四、障害者の適職及び作業補助具の研究開発を
 促進すること。
 五、中高年齢労働者の従来の職種別雇用率制度
  の廃止により、労働者の不利にならぬよう適
  切な措置を講ずること。
 六、身体障害者・中高年齢者の求人、求職業務
  の充実をはかるため職業安定所の機能の強化
  に努力すること。
 右決議する。
 以上であります。
#349
○委員長(戸田菊雄君) ただいま浜本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#350
○委員長(戸田菊雄君) 全会一致と認めます。よって、浜本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、長谷川労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。長谷川労働大臣。
#351
○国務大臣(長谷川峻君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、努力する所存であります。
#352
○委員長(戸田菊雄君) 身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に陶する特別措置法の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#353
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#354
○委員長(戸田菊雄君) 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。長谷川労働大臣。
#355
○国務大臣(長谷川峻君) ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 労働者災害補償保険法は、今日まで数次にわたり給付改善のための改正を重ねてまいりましたが、最近における労働災害の動向、年金受給者の累増等を背景として、種々、新しい観点から解決を図るべき問題が生じてきております。このような情勢にかんがみ、労働者災害補償保険審議会は、昨年十二月、全員一致の意見に基づき、年金給付の内容の充実、保険施設の整備拡充等を中心とする建議を労働大臣に提出されたのであります。
 政府におきましては、この建議の趣旨を尊重し、法律改正を要する部分について改正案を作成し、これを労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、了承する旨の答申をいただきました。また、船員保険につきましても、同様な改正案を社会保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ、了承をいただいたところであります。
 これらの経緯に基づいて、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案をここに提案いたした次第であります。
 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、労働者災害補償保険法関係の改正についてであります。
 第一は、労災保険の目的を拡充し、業務災害及び通勤災害に対する保険給付とあわせて、労働者の社会復帰の促進等を図るための労働福祉事業を行うことができることとしたことであります。
 第二は、療養の開始後一年六カ月を経過しても治らない病状の重い長期療養者に対しては、従来の長期傷病補償給付にかえて、引き続き療養補償給付を行うとともに障害等級第一級から第三級までの障害補償年金の額に準ずる額の傷病補償年金を支給することとしたことであります。
 第三は、年金給付の額のスライドについて、現在は賃金水準が二〇%以上変動することを要することとしておりますが、この賃金水準の変動幅を一〇%以上で足りることとしたことであります。
 第四は、労災保険の年金と厚生年金保険等の年金とが併給される場合における労災保険の年金額の調整について、その方法を改善整備したことであります。
 第五は、労災保険の適用を受ける労働者及びその遺族の福祉の増進を図るため、現行の保険施設にかえて、労働福祉事業を行うこととし、現行の保険施設の内容を整備して引き継ぐとともに、新たに、賃金の支払いの確保その他適正な労働条件の確保を図るために必要な事業を行うことができることとしたことであります。
 第六は、わが国の事業から開発途上地域その他海外に派遣される者にも労災保険を適用するため、これを特別加入者の範囲に加えるとともに、中小企業、一人親方等の特別加入者も、通勤災害に関する保険給付を受けることができるようにしたことであります。
 第七は、最近における労働災害の発生状況にかんがみ、事業場ごとの災害率に応じた保険料の調整の範囲を拡大したことであります。
 第八は、昭和三十五年三月三十一日以前に打ち切り補償費の支給を受けた者についての年金額の減額等の措置を廃止することとしたことであります。
 次に、船員保険法関係の改正について申し上げます。この改正は、船員保険の職務上の事由による保険給付の内容及び保険料の調整幅について、労働者災害補償保険法の改正に準じた改正を行うほか、障害等級表につき改正を行うこととしたものであります。
 以上のほか、最近における職業性疾病の発生状況等にかんがみ、その基礎的研究の拡充等を図るため、労働衛生研究所を産業医学総合研究所に改めること等関係法律について所要の整備を行うこととしております。
 なお、労働者災害補償保険法関係の施行期日は、目的の改正、労働福祉事業の新設、昭和三十五年三月三十一日以前に打ち切り補償費の支給を受けた者についての年金額の減額等の措置を廃止すること等の措置につきましては公布の日から六月を超えない範囲内において政令で定める日、一般事業に係る保険料の調整幅の拡大につきましては昭和五十一年十二月三十一日、その他給付内容等に係る改正につきましては昭和五十二年四月一日とし、また、船員保険法関係の施行期日は、障害等級表の改正につきましては公布の日、保険料の調整幅の拡大につきましては昭和五十一年九月三十日、その他保険給付の内容に係る改正につきましては昭和五十二年四月一日としております。
 以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#356
○委員長(戸田菊雄君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
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#357
○委員長(戸田菊雄君) 次に、派遣委員の報告を聴取いたします。片山君。
#358
○片山甚市君 本委員会を代表して、村田委員長、石本、柏原、神谷の各委員、それに私、片山によりまして、去る一月十九日から三日間の日程で愛媛、香川両県下の厚生、労働行政の実情調査をしてまいりましたので、日程の順序に沿って簡単に御報告いたします。
 まず愛媛県庁において、大西副知事を初め、関係者の方から説明を聴取いたしました。本県は現在人間尊重と生活優先の理念に基づいた生きがいのある生活福祉県の建設を積極的に進めております。その施策の一環として県独自の老人福祉対策について述べますと、健康保持、生活安定、生きがい確保対策の三つが挙げられます。
 これら諸対策のうち特徴的なものとして生きがい確保対策があり、この施策は老人、婦人、青年の三世代の交流を通して、明治、大正、昭和を生き抜いた老人たちの生活経験を聞きながら、相互に理解、融和、地域社会の連帯意識を高めるとともに、今日大きな社会問題となっている核家族化の防止を図ることをねらいとしております。その具体的な事業として老人海上大学を開催し、毎年一回老人三百人、婦人、青年それぞれ百人が参加し、三千トンの船をチャーターして二泊三日のコースで松山、広島、別府の各地を訪れ、講演、施設見学を四十八年度より実施しております。その他老人の生活安定対策の一つとして、老人居室整備資金貸し付け事業を実施し、老人と家族との同居を促進させ、老人のいる安らぎのある家庭づくりを実施しております。
 次に労働問題について申し上げます。関係者の説明によりますと、雇用調整給付金制度は失業の防止に大きな役割りを果たしているにもかかわらず、昨年八月末で指定期間が終了した和紙業界は依然として市況がさえなく、需要期に入っても雇用調整を実施している現状でありました。そこで、県当局から本制度の指定業種として、再度指定をし、雇用調整給付金を支給されるよう格別の配慮を求める要望がありました。
 愛媛県健康増進センターは社会環境の複雑多様化によるストレスの増大、生活労働の機械化による運動不足、さらに、不適当な食生活などが原因で高血圧、心臓病などの成人病が増加しているのを防止するため、総額十一億円、そのうち国庫補助三千五百万円の資金で設置され、昨年九月に完成いたしました。このセンターのフルコースの健康診断料金は一人当たり八千円となっておりますが、実費は一万二千円と見込まれ、その差額四千円は健康保険の対象となっておりませんので、県の負担になっております。また、これまでの診断の結果によりますと、百人の健康診断のうち一二・四%がセンター外の医師の診療が必要であり、八二・九%が入所によって健康指導が必要とされ、残りのわずか四・八%が健康者であるという内訳になっており、いかに半健康者が多いかがうかがえます。
 愛媛県盲人福祉センターは視覚障害者の総合的な更生と福祉の向上を目指して、人生中途で失明した不幸な人たちを入所させ、あんま、マッサージ、指圧師としての学術を習得させ社会に復帰さしております。そのほかに点字図書の関覧、貸し出し、点訳及び点字出版、さらにテープライブラリーの運用など六つの事業を行っております。中でも私たちが感心いたしましたのは、盲人の方々の教養を高めさせ、生きがいを持たせるためにこれまでに十二年間、延べ時間にして千二百時間もの長時間にわたって、ボランタリー活動として文学書などを録音テープに自分の声で吹き込んでいる主婦の今川潤子さんの姿でありました。
 次に私たちが訪れましたのは、脳性麻痺などで手足が不自由となった子供たちの施設であります。県立愛媛整肢療護園であります。昭和二十七年に開設され、この施設は県立の同種の施設としてはわが国では最古のものだと言われております。しかし、この施設でも全国的に共通な悩みである理学、作業の両療法士の不充足が見られ、本県出身の療法士を中心に目下その確保に力を入れております。
 さらに、私たちは温泉郡川内町役場において、川内町の母子衛生実践会の活動状況の説明を受けました。現在九千人の人口を有する過疎地川内町に母子衛生実践会が発足いたしましたのは昭和三十三年であり、二十年近い歴史があります。ここの町民の健康保持の意識は非常に高く、伝染病及び結核の予防、回虫駆除の検便の徹底から始まった衛生向上運動は公衆衛生全般について広がり、官民協力体制が強力に展開され、実践会の諸行事が即町の行事となっております。その中でも注目されることは、昭和三十七年の母子健康センターの設立であります。その結果妊婦の検診率は、四十一年以降一〇〇%に達し、それによって治療率も九六・八%と高くなり、このことが乳幼児の死亡、未熟児の出生を激減させております。しかし、現在センターに勤務している助産婦さんは二人おりますが、そのうち一人は非常勤者であり、助産婦の不足とともに、高齢化によって今後この問題をいかに解決するのかという悩みも存在していることがわかりました。
 次に、香川県について申し上げます。
 まず県庁において、前川知事を初め、担当責任者から県下の全般的な厚生、労働行政の実情について説明を聴取いたしました。香川県の輸出縫製品製造業が、現在の不況によって労働面にどのような影響を及ぼしているのかを調査するために丸亀市の香川県輸出縫製品工業協同組合を訪れました。関係者の説明によりますと不況のもととはいえ、女子若年労働力の不足は加速度的に深刻の度を加えており、さらに定着状況の低さ、年々高齢化をたどっていると言われております。一方、県下の企業の一社当たりの平均従業員は六十四人と、全国平均六十五人と同じ規模でありますが、香川県の特徴として下請、外注の生産体制からいまだ脱却するに至っておりません。その結果、製品の高級化、競争力等において不利である点が免れず、今後この問題をどのように打開していくかが大きな課題の一つになっております。なお、不況による企業倒産等については中小企業が大部分のため、減産体制の即応化が容易であること、デザイン等の先取りなど小回りをきかせた経営によってさほど大きな問題に発展していないとのことでした。
 次に、私たちは社会福祉法人恩賜財団済生会が所有する「済生丸二世号」百五十五トンに乗船いたしまして、香川県豊島の診療状況を視察いたしました。「済生丸二世号」は船体、診療機能が老朽化した一世号にかわって日本船舶振興会関係四県の補助によりまして総額二億一千二百七十二万円余の建造費でもって五十年七月十六日に完成し、岡山、広島、愛媛、香川の各県の離島の住民を対象に巡回診療を行っております。そこでこの事業運営について当面の問題点を申し上げますと、五十年度の事業計画によって見ますと、七十の対象島の診療予定人員九千七百四十七人、出動予定日数年間二百六十五日、これに要する経費は三千三百五十六万円余の予算であります。したがいまして、一日の出動に対して約十三万円の出費割合になりますが、これに対する国庫補助基準は一回の出動につき七千円の金額であります。このような補助基準の低さに加えて、最近では船の燃料、人件費の急騰によって出費がかさみ、五十年度の場合、四十九年度の予算と比較しまして、千三百万円の増加が見込まれており、財政悪化が続く病院財政の事情のもとではこの増加予算の捻出は非常に困難な実情にあるとの訴えがありました。そこで、現在国が行っている巡回診療船と巡回診療車の同一補助基準を改定してもらいたいとの要望もありましたので御報告いたします。
 社会福祉法人イエス団豊島神愛館は現在二歳までの乳幼児を六十人の収容定員に対しまして三十六人がおります。これら乳幼児の入所理由は、社会的原因として、母の就労、父母の離婚、父母の死亡など挙げられますが、最近の傾向として父親の交通事故による母の就労が多くなっております。この施設では二十三ヘクタールの所有地があり、そこに乳牛を飼育して乳幼児の牛乳を自給しており、子供たちの成育に大きな効果を上げております。こうした中で養子縁組みに当たっては館長の兵藤みや子先生を中心に職員の方々がポケットマネーでもって養子縁組み先の調査を徹底し、子供たちの先の幸せのために粉骨砕身、努力されている姿を拝見いたしました。しかし、当施設においても問題点があります。児童福祉法第三十七条によって満二歳までしか施設におれない仕組みになっております。神愛館においても発育や知恵のおくれた幼児が養護施設に送れずとどまっております。つまり、これらの子供たちは非常に手間がかかり、次の施設で受け入れるのを敬遠すること、さらに保母さんと子供たちの間に愛情がわき手放せなくなったことなど、内外の諸事情によってであります。
 最後に、雇用促進事業団の香川高等職業訓練校及び香川県立漆芸研究所に参りました。職業訓練校の最近の入校率は養成、能力再開発訓練を合わせて七〇%台であり、全国平均とほぼ同率であります。しかし、中途退校者は四十八年三一・二%、四十九年二二・九%とかなり高い率となっております。
 ここで提起された問題点を整理して申し上げますと、中高年齢者の訓練が六カ月程度の短期間なために、訓練技術が企業の需要にかなえられるものであるかどうかということ、さらに指導員の労働組合からは定時制高校在学中の訓練生が多くいることから職業訓練と学校教育との連携制度について定時制高校で履修している普通学科を訓練校側で認定措置をとり、訓練生の二重負担を解消すること、訓練技術の習得だけに偏重せずに訓練生の一般教養、体力をつけられるような講師の確保、さらに重要なことは訓練による技術の習得が初任給など賃金にどれだけ評価されているかなどの問題点の指摘や要望がなされました。
 以上で両県の調査報告を終わります。
#359
○委員長(戸田菊雄君) 別に御発言もなければ、派遣委員の報告はこれをもって終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時二十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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