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1975/05/20 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 社会労働委員会 第6号
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1975/05/20 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第077回国会 社会労働委員会 第6号
昭和五十一年五月二十日(木曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     栗原 俊夫君     山崎  昇君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     小川 半次君     斎藤 十朗君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         戸田 菊雄君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                浜本 万三君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                小川 半次君
                鹿島 俊雄君
                神田  博君
                斎藤 十朗君
                高田 浩運君
                橋本 繁蔵君
                森下  泰君
                粕谷 照美君
                片山 甚市君
                山崎  昇君
                柏原 ヤス君
                沓脱タケ子君
                星野  力君
                柄谷 道一君
       発  議  者  粕谷 照美君
   委員以外の議員
       発  議  者  中沢伊登子君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理       橋本龍太郎君
       修正案提出者   竹内 黎一君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  田中 正巳君
   政府委員
       厚生大臣官房長  宮嶋  剛君
       厚生大臣官房審
       議官       竹内 嘉巳君
       厚生省公衆衛生
       局長       佐分利輝彦君
       厚生省医務局長  石丸 隆治君
       厚生省薬務局長  上村  一君
       厚生省社会局長  翁 久次郎君
       厚生省児童家庭
       局長       石野 清治君
       厚生省保険局長  八木 哲夫君
       厚生省年金局長  曾根田郁夫君
       社会保険庁医療
       保険部長     山縣 習作君
       社会保険庁年金
       保険部長     河野 共之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○母性保障基本法案(中沢伊登子君発議)
○公衆浴場法の一部を改正する法律案(田中寿美
 子君外十名発議)
○クリーニング業法の一部を改正する法律案(衆
 議院提出)
○原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○原子爆弾被爆者等援護法案(第七十六回国会浜
 本万三君外四名発議)(継続案件)
○戦時災害援護法案(片山甚市君発議)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(戸田菊雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十九日、栗原俊夫君が委員を辞任され、その補欠として山崎昇君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(戸田菊雄君) 母性保障基本法案を議題とし、発議者中沢伊登子君から趣旨説明を聴取いたします。中沢君。
#4
○委員以外の議員(中沢伊登子君) 母性保障基本法案の提案理由の説明を申し上げます。
 母性は、子が心身ともに健やかに生まれ、かつ育つための源として女性に固有な特性であります。
 したがってこれを尊重し保障することは、世代を担う健全な子の育成を保障することであり、後代の発展に寄与することはもちろん、わが国の歴史を通して形成された女性蔑視の弊風がいまなお残る現状を改め、民主社会にふさわしい真の男女平等を実現させる意義がきわめて深いのであります。
 日本国憲法の公布以来、女子の権利保障や女性保護の目的のもとに労働基準法、母子福祉法、母子保健法、勤労婦人福祉法及び女性保護と深いかかわりを持つ児童福祉法等が制定、実施されてきましたが、このうち労働基準法を除く他の立法は、社会の変化、発展の過程で女性保護に関する社会的欠陥を補完する意味で措置されたものであって、女性の人たるの尊厳、その尊厳なるべき母性の保障という立場からの立法措置はいまだ行われていないのであります。
 したがって、本法案の制定により母性保障にかかわる諸制度の再検討を行うとともに、本来の母性保障にかなう新しい体制を確立し、あわせてわが国民全体の社会生活並びに私的な生活面においても、母性の尊重を軸とする新概念の形成を図ることは、わが国社会が健全かつ民主的発展を期す上で必要不可欠と信ずるのであります。
 以上申し述べましたことが本法案を提案いたします根本的な理由でありまして、以下法案の内容について簡潔に御説明申し上げます。
 第一章総則においては、本法案の目的と理念を明らかにするとともに、本法案が、母性保障の総合的な施策を推進する基本法であって、すべて母性の尊重とその保障の理念のもとに、国、地方公共団体はこれを実現する責務を負うこととし、また、国会への年次報告、施策の提出を求めること等を規定いたしております。
 第二章では、母性保障思想の高揚を図るため、国、地方公共団体が教育その他の手段を通じて健全な母性に関する知識の普及、母性保障思想の高揚に努めなければならないことを規定いたしております。
 第三章では、すべての女子が毎年一回以上の健康診査を受ける機会を与えるよう必要な施策を講ずることといたしております。
 第四章では、妊産婦に対する施策として、無料の保健指導、栄養補給等を行い、助産についてもその無料化を進め、出産に伴う物品あるいは手当金を支給しようとするものであります。
 第五章では、女子労働者及び労働者たる妊産婦に対する施策を定めたものでありますが、女子労働者の労働条件として、安全衛生、労働時間、深夜業、危険有害業務、生理休暇等、その安全及び健康を保持するようにしなければならないこと。また女子労働者が、妊娠、出産、育児の機能を有することを理由に不利益な取り扱いを受けることのないように規定するとともに、さらに妊産婦に対しては勤務時間の変更、通院休暇、つわり休暇、軽易業務への転換、補食時間、産前産後の休暇、育児時間、有給の育児休業等を与え、十分に母体を保護しなければならないこと等を規定いたしております。
 第六章では、勤労婦人たると家庭婦人たるとを問わず、その負担を軽減し、婦人として最少限に必要な知識を正しく得さしめるため、国、地方公共団体が保育施設の整備拡充のほか、妊産婦ホームヘルパーの派遣、母子保健センターの設置等によって妊産婦世帯の家事手伝い、出産、育児等の相談、指導等を行なうよう規定いたしております。
 第七章では、母性保障政策を総合的かつ効果的に推進するため、一定数以上の婦人代表を含めた審議会を設け、内閣総理大臣または関係大臣の諮問に答えるとともに、必要に応じ意見を具申するよう定めております。
 以上きわめて簡単ではありますが、法案内容の説明を申し上げました。
 特に、この法案は昨年の国際婦人年の記念として作成、提案したものでございますので、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださるようお願いいたします。
#5
○委員長(戸田菊雄君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(戸田菊雄君) 公衆浴場法の一部を改正する法律案を議題とし、発議者粕谷照美君から趣旨説明を聴取いたします。粕谷君。
#7
○粕谷照美君 ただいまから公衆浴場法の一部を改正する法律案の提案趣旨を説明いたします。
 売春防止法制定により二十年を経過した現在、政府公認の集娼制度は解体されましたが、売春の形態は多様化し、潜在化して、第三者による女性の搾取は後を絶ちません。中でも個室付浴場業の業態は売春の温床と化し、特殊浴場業の距離規制の悪用によって新たに全国各地に集娼地域を発生させており、そこで役務を提供する女性に対して浴場業者及び彼らと結託するひも、暴力団などによる売春の強制及び搾取が増大しています。
 ここに個室において異性による役務を提供させることを禁止し、売春の温床を除くことを目的として公衆浴場業法の一部改正を提案するものであります。
 この法律案の内容は次のとおりであります。
 第一に、浴場業を営む者は、浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供し、または異性の客に接触する役務を提供する者に当該役務の提供のために当該個室を使用させてはならないものとすること。
 第二に、都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該吏員に公衆浴場に立ち入り、第一の規定の遵守の状況を検査させることができるものとすること。
 第三に、都道府県知事は、営業者が、第一の規定に違反したときは、浴場業の許可を取り消し、または期間を定めて営業の停止を命ずることができるものとすること。
 第四に、第一の規定に違反した者は、これを六カ月以下の懲役または一万円以下の罰金に処するものとすること。
 第五に、この法律は、公布後二カ月を経過した日から施行するものとすること。
 第六に、この法律施行の際、現に適法に営んでいる個室付浴場業については、その際、現に設けられている個室によるものに限り、この法律の施行の日から二年間は、なお従前の例によるものとすること。
 第七に、風俗営業等取締法第四条の四の削除その他所要の措置を講ずるものとすること。
 以上でございます。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#8
○委員長(戸田菊雄君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(戸田菊雄君) クリーニング業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、衆議院社会労働委員長代理橋本龍太郎君から趣旨説明を聴取いたします。橋本君。
#10
○衆議院議員(橋本龍太郎君) ただいま議題となりましたクリーニング業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 近年クリーニング所数の増加に伴って、クリーニング所で扱う洗たく物の量は著しく増加していると思われ、かつ、その内容も複雑多岐なものとなってきております。
 クリーニング業法第三条第三項において、営業者が公衆衛生上講ずべき措置が定められておりますが、このような事情から、それらの措置の確保が必ずしも十分に行われないおそれもあるやに聞いております。
 本案は、以上のような情勢を背景としまして、クリーニング所の従事者の当該業務に関する知識及び技能を高めるために講ずべき措置に関し、必要に応じて都道府県が条例で定めることができるものとしたものであります。
 以上が、この法律案を提案する理由でありますが、何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#11
○委員長(戸田菊雄君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は御発言を願います。――別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 クリーニング業法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#12
○委員長(戸田菊雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#14
○委員長(戸田菊雄君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田中厚生大臣。
#15
○国務大臣(田中正巳君) ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 昭和二十年八月広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者については、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により健康診断及び医療の給付を行うとともに、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により特別手当、健康管理手当、保健手当その他の手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持向上と生活の安定を図ってまいったところであります。
 今回、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律について改正を行おうとするものでありますが、その内容について御説明申し上げます。
 改正の第一点は特別手当の改善であります。特別手当は、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の規定により原子爆弾の傷害作用に起因する負傷または疾病の状態にある旨の厚生大臣の認定を受けた被爆者に対して支給されるものでありますが、この特別手当の額について、現に当該認定に係る負傷または疾病の状態にある者に支給する特別手当の額を現行の月額二万四千円から二万七千円に引き上げ、その状態にない者に支給する特別手当の額を現行の月額一万二千円から一万三千五百円に引き上げるものであります。
 改正の第二点は健康管理手当の改善であります。健康管理手当は、原子爆弾の放射能の影響に関連があると思われる造血機能障害等の特定の障害を伴う疾病にかかっている被爆者で特別手当の支給を受けていない者に対して支給されるものでありますが、この健康管理手当の額を現行の月額一万二千円から一万三千五百円に引き上げるものであります。
 改正の第三点は保健手当の改善であります。保健手当は、爆心地から二キロメートルの区域内において直接被爆した者で特別手当または健康管理手当の支給を受けていない者に対して支給されるものでありますが、この保健手当の額を現行の月額六千円から六千八百円に引き上げるものであります。
 今回の改正は、これらの改善を通じて被爆者の福祉を一層増進しようとするものであります。
 以上がこの法律を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#16
○委員長(戸田菊雄君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#17
○委員長(戸田菊雄君) 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田中厚生大臣。
#18
○国務大臣(田中正巳君) ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 高齢化社会の到来を目前に控えたわが国において、老後保障の中核たる役割りを果たすべき年金制度に対する国民の期待は非常な高まりを示しております。昭和四十八年度には、厚生年金及び国民年金を中心に年金額の水準を大幅に引き上げるとともに、多年の懸案でありました物価スライド制を導入するなどの大幅な改善が行われたところでありますが、その後今日までの間における社会経済情勢の変動は著しく、これに適切に対応するため、給付額の引き上げ等の給付改善を行う必要が生じております。
 今回の改正法案は、このような趣旨にかんがみ、厚生年金、国民年金等について、本来昭和五十三年度に予定される財政再計算期を二年繰り上げて昭和五十一年度に実施し、給付額の引き上げを行うとともに、障害年金、遺族年金等についても各種の改善措置を講じるほか、福祉年金の額の引き上げ等を行うことにより、年金制度の実質的な充実改善を図ろうとするものであります。
 また、本法案は、年金給付の改善とあわせて、児童扶養手当、特別児童扶養手当等についても額の引き上げその他の改善を行い、国民の福祉の向上を図ることといたしております。
 以下、改正案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。
 第一に、年金額の引き上げにつきましては、改正後新たに老齢年金を受ける者の標準的な年金額を月額約九万円に引き上げることとし、定額部分について単価の引き上げ及び被保険者期間の上限の延長、報酬比例部分について過去の標準報酬の再評価を行うこととしております。そのほか、加給年金額並びに障害年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることといたしております。
 第二に、在職老齢年金の改善として、六十五歳以上の在職者に支給される老齢年金について、年金額の二割が一律に支給停止されているのを一定の標準報酬月額以下の者には全額を支給するとともに、六十歳以上六十五歳未満の在職者に支給される老齢年金について、支給対象者の標準報酬月額の限度額を引き上げることといたしております。
 第三に、障害年金及び遺族年金の受給資格期間について、他の公的年金制度の加入期間を通算することとするほか、通算老齢年金の受給資格期間を満たした者が死亡した場合に、その遺族に通算遺族年金を支給することといたしております。
 第四に、遺族年金について寡婦加算制度を創設し、有子の寡婦及び六十歳以上の高齢寡婦には一定額を遺族年金の額に加算することといたしております。
 第五に、障害年金について、廃疾認定日を初診日以後三年を経過した日から一年六カ月を経過した日に早めるとともに、廃疾認定日には軽度の障害であるため障害年金の支給の対象とならない者が、初診日から五年以内に障害年金の支給の対象となる程度の廃疾の状態に該当するに至ったときは障害年金を支給する爾後重症制度を創設することといたしております。
 第六に、標準報酬については、最近における賃金の実態に即して、三万円から三十二万円の三十六等級に改めることといたしております。
 第七に、保険料率については、給付改善及び将来の受給者の増加に対応して、長期的に財政の健全性を確保するため、千分の十八引き上げることといたしております。
 次に、船員保険法の一部改正についてでありますが、おおむね厚生年金保険の改正に準じた改正を行うことといたしております。
 次に、国民年金法の一部改正について申し上げます。
 拠出制国民年金については、まず年金額の引き上げを図ることとし、二十五年加入の場合の年金額を月額三万二千五百円とし、現実に支給されている十年年金の額を月額二万五百円に、五年年金の額を月額一万五千円にそれぞれ引き上げることといたしております。そのほか、障害年金の最低保障額及び母子年金等の額を引き上げることとしております。
 第二に、厚生年金保険の改正と同様に、障害年金及び遺児年金について通算制度を創設するとともに、障害年金について廃疾認定日を早めることとしております。
 第三に、国民年金の財政につきましては、まず、保険料の額について、財政の健全性を確保する見地から、昭和五十二年四月分より月額二千二百円に改定することとし、以後段階的に引き上げることとしております。また、将来にわたる財政の安定化に資するため、国庫負担方式を拠出時負担から給付時負担に切りかえることとしております。
 福祉年金については、老齢福祉年金の額を月額一万三千五百円に、障害福祉年金の額を一級障害について月額二万三百円に、二級障害について月額一万三千五百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を月額一万七千六百円にそれぞれ引き上げるほか、母子福祉年金及び準母子福祉年金について、子の年齢要件を義務教育終了前から三年計画で段階的に十八歳未満に引き上げることとしております。
 次に、児童扶養手当法の一部改正についてでありますが、児童扶養手当の額を、児童一人の場合月額一万七千六百円に、児童二人の場合月額一万九千六百円にそれぞれ引き上げるほか、支給対象児童の年齢を義務教育終了前から三年計画で段階的に十八歳未満に引き上げることとしております。
 次に、児童扶養手当法の一部改正についてでありますが、児童扶養手当の額を児童一人の場合月額一万七千六百円に、児童二人の場合月額一万九千六百円にそれぞれ引き上げるほか、支給対象児童の年齢を義務教育終了前から三年計画で段階的に十八歳未満に引き上げることとしております。
 次に、特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部改正についてでありますが、特別児童扶養手当の額を重度障害児一人につき月額二万三百円に、中度障害児一人につき月額一万三千五百円に、福祉手当の額を重度障害者一人につき月額五千円に、それぞれ引き上げることとしております。
 最後に、実施の時期については、厚生年金保険及び船員保険の改正は本年八月から、拠出制国民年金の改正は本年九月から、福祉年金、児童扶養手当等の改正は本年十月から、国民年金の保険料の額の改定は昭和五十二年四月からとしております。なお、障害年金及び遺族年金の通算制度の創設並びに障害年金の廃疾認定日の変更及び爾後重症制度の創設は政令で定める日からとしております。
 以上が、この法律案の提出理由及びその内容の概要でありますが、衆議院において、厚生年金及び船員保険の保険料率及び六十歳以上六十五歳未満の被保険者に支給する在職老齢年金に関し、修正が行われたところであります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#19
○委員長(戸田菊雄君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員竹内黎一君から説明を聴取いたします。竹内君。
#20
○衆議院議員(竹内黎一君) 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 その要旨は、第一に、六十歳以上六十五歳未満の被保険者に支給する在職老齢年金について年金額の五割または八割を支給する標準報酬等級の上限をそれぞれ一等級引き上げるものとすること。
 第二に、保険料率を千分の三引き下げ、改正案の一般男子千分の九十四を千分の九十一と、女子千分の七十六を千分の七十三と、坑内夫千分の百六を千分の百三とすること。
 第三に、船員保険についても右に準じた修正を行うことであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#21
○委員長(戸田菊雄君) 以上をもって説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#22
○委員長(戸田菊雄君) 健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず政府から趣旨説明を聴取いたします。田中厚生大臣。
#23
○国務大臣(田中正巳君) ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 医療保険制度につきましては、昭和四十八年の改正により大幅な給付改善が図られるとともに、保険財政の健全化のための諸施策が講ぜられたところであります。
 しかし、御承知のとおり、その後のわが国における社会経済情勢の変動はまことに著しいものがあり、医療保険におきましても財政状態が再び悪化の様相を呈する等その影響を看過することができくなってきております。医療保険制度の健全な維持発展を図っていくためには、この際速やかに適切な対応策を講じていくことがぜひとも必要であります。
 今回の改正はこのような事情を考慮し、経済情勢の変動等に応じて手直しを行う必要がある事項を中心に最小限のスライド的措置を講ずるものであり、標準報酬及び一部負担金について必要な改正を行うとともに、現金給付の水準を実情に合わせて改善するほか、任意継続被保険者制度の拡充を図ることとした次第であります。
 以下この法律案の内容について概略を御説明申し上げます。
 まず、健康保険法の改正について申し上げます。
 第一は、現金給付の改善でありまして、本人分娩費の最低保障額及び配偶者分娩費の額を現行六万円から十万円に引き上げるとともに、本人埋葬料の最低保障額及び家族埋葬料の額につきましても、現行三万円から五万円に引き上げることとしております。
 第二は、標準報酬の上下限の改定でありまして、最近における給与の実態にかんがみ、被保険者の保険料負担の公平を図る見地から標準報酬の上限を現行二十万円から三十二万円に、下限を二万円から三万円に改定するものであります。
 第三は、一部負担金に関する改正でありまして、その額は、昭和四十二年以来据え置かれておりますが、その間医療費、所得等が大幅に伸びていることにかんがみ、初診時一部負担金の額を現行二百円から六百円に、入院時一部負担金の額を現行一日当たり六十円から二百円に改定するとともに、入院時一部負担金を支払うべき期間を一カ月から六カ月にすることといたしております。なお、継続療養給付を受ける者の入院時一部負担金の額は一日当たり百円とすることとしております。
 第四は、任意継続被保険者制度の拡充でありまして、この制度を高齢退職者等にも利用しやすいものとするため、その制度の拡充を図ることとしております。
 まず、第一点は、任意継続被保険者制度に加入できる期間を現行一年から二年に延長することであります。
 第二点は、任意継続被保険者の標準報酬をその者の保険者の管掌する全被保険者の標準報酬月額の平均額またはその者の退職時の標準報酬月額のいずれか低い額とすることにより、保険料負担の軽減を図ることとしたことであります。
 第三点は、任意継続被保険者が加入期間中にかかった疾病について、一定の条件のもとに資格喪失後も継続して給付が受けられるようにすることであります。
 第四点は、現在政府管掌健康保険においてのみ実施している任意継続被保険者制度を健康保険組合においても実施することであります。
 次に、船員保険法の改正について申し上げます。
 第一に、現金給付の改善でありますが、健康保険と同様に分娩費の最低保障額及び配偶者分娩費の額を十万円に、葬祭料の最低保障額及び家族葬祭料の額を五万円に引き上げることとしております。
 第二に、標準報酬の上下限の改定でありますが、上限を現行二十万から三十四万円に、下限を現行二万四千円から三万六千円に改めることとしております。
 第三に、一部負担金につきましては、初診時一部負担金の額を健康保険と同様に現行二百円から六百円に改定することとしております。
 第四に、任意継続被保険者制度の導入についてでありますが、健康保険における任意継続被保険者制度の拡充と相まって、船員保険にも健康保険に準じた制度を新たに設けることとしております。
 また、社会保険診療報酬支払基金法につきましては、基金の業務の範囲を改める等所要の改正を行うこととしております。
 なお、この法律の実施時期につきましては、本年七月一日からとしておりますが、船員保険法の標準報酬に係る改正につきましては、本年八月一日から実施することとし、また、社会保険診療報酬支払基金法の改正は、公布の日からとしております。
 以上が、この法律案を提出する理由でありますが、この法律案につきましては、衆議院において健康保険法及び船員保険法における一部負担金に関する改正規定を削除する修正が行われたほか、国民健康保険連合会の診療報酬審査委員の定数について、社会保険診療報酬支払基金法の改正案に準じた改正を行う修正が行われたところであります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#24
○委員長(戸田菊雄君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者、衆議院議員竹内黎一君から説明を聴取いたします。竹内君。
#25
○衆議院議員(竹内黎一君) 健康保険法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 その要旨は、第一に、健康保険法及び船員保険法における一部負担金に関する改正規定を削除し、現行どおり据え置くこと。
 第二に、国民健康保険診療報酬審査委員会の委員の定数について、社会保険診療報酬支払基金に準じ必要な改正を行うことであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#26
○委員長(戸田菊雄君) 以上をもって説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#27
○委員長(戸田菊雄君) 予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案を議題とします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。田中厚生大臣。
#28
○国務大臣(田中正巳君) ただいま議題となりました予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 予防接種法及び結核予防法による予防接種につきましては、これまで伝染病の発生及び蔓延の予防に所期の効果を上げてきたところでありますが、今回、最近における伝染病の発生状況、医学、医術の進歩、生活環境の改善等にかんがみ予防接種法による予防接種の対象疾病、実施方法等を改めるとともに、予防接種法及び結核予防法による予防接種を受けたことによる健康被害について、新たに法律上の救済制度を設けようとするものであります。
 以下、改正案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、予防接種法の一部改正について申し上げます。
 第一に、予防接種法の対象疾病について、腸チフス、パラチフス、発疹チフス及びペストを削除するとともに、新たに麻疹、風疹、日本脳炎及び特に必要があると認められる疾病で政令で定めるものを加えることとしております。また、定期の予防接種を行う疾病及びその定期を政令で定めることとしております。
 第二に、臨時の予防接種について、現行の臨時の予防接種を、緊急の必要がある場合に行うものとそれ以外のものとに区分し、緊急の必要がある場合に行う臨時の予防接種の対象疾病は、痘瘡、コレラ及び厚生大臣が定める疾病とすることとしております。
 第三に、予防接種を受ける義務の違反については、緊急の必要がある場合に行う臨時の予防接種にのみ罰則を設けることとしております。
 第四に、予防接種による健康被害の救済に関する措置でありますが、予防接種を受けたことにより、疾病にかかり廃疾となり、または死亡した場合には、市町村長は、医療費、医療手当、障害児養育年金、障害年金、死亡一時金及び葬祭料を支給することとしており、その額、支給方法等については、政令で定めることとしております。また、これらの給付に要する費用については、市町村及び都道府県がそれぞれ四分の一、国が二分の一を負担することとしております。
 次に、結核予防法の一部改正についてでありますが、結核予防法による予防接種を受けたことにより、疾病にかかり、廃疾となり、または死亡した場合には、市町村長は、予防接種法の例により給付を行うこととしております。
 次に、従前の予防接種による健康被害の救済に関する措置についてでありますが、健康被害の救済に関する規定の施行日前に予防接種法、結核予防法等により行われた予防接種を受けたことにより、同日以後に疾病にかかり、もしくは廃疾となっている場合または死亡した場合には、市町村長は、予防接種法による給付に準ずる給付を行うこととしております。
 最後に、実施の時期については、予防接種に関する改正は、公布の日から施行することとしておりますが、予防接種による健康被害の救済に関する措置の創設は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#29
○委員長(戸田菊雄君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#30
○委員長(戸田菊雄君) 原子爆弾被爆者等援護法案、戦時災害援護法案、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、健康保険法等の一部を改正する法律案、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#31
○片山甚市君 健康保険法等の一部を改正する法律案に関連をし、社会保険診療報酬の支払基金に関係をしながら質疑を行いたいと存じます。
 今日、社会保険診療報酬支払基金の一部改正で、審査委員の人員をふやそうというわけでございますが、その理由はどういうものでありますか。
#32
○政府委員(八木哲夫君) お答え申し上げます。
 今回、支払基金法の改正の内容といたしまして、ただいま御指摘になりました審査委員の定数の増の問題があるわけでございますけれども、現在、社会保険診療報酬の請求明細書の審査なり支払い業務は支払基金で行っているわけでございますが、非常に事務量と件数というものはふえてまいっているわけでございまして、現在審査委員の定数というものは決まっておりまして、毎年ふえております審査業務の事務量に対処しますために、現実には審査事務嘱託という形で補助者の形でやっているわけでございますけれども、どうしても限界があるというようなことから、業務量の増に伴いまして、実情に合わせまして審査委員の定数是正を図りたいというのが内容でございます。
#33
○片山甚市君 それでは、先日、国立札幌病院で診療報酬の二重請求という不正事件が告発されました。事実関係はどのようなものでしょうか。
#34
○政府委員(石丸隆治君) まず最初に、厚生省の所管いたしております国立病院におきまして、ただいま先生の御指摘のような事件が発生いたしまして、著しく世間の信用を失墜いたしましたことはきわめて遺憾なことと存じておるところでございまして、今後絶対にこのようなことが起こらないよう指導の強化徹底を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 それで、その事件の経過でございますが、これは毎年のことでございますが、本年も一月二十三日に昭和五十年度歳入目標額の最終設定を事務的に行ったところでございますが、この歳入目標額の設定に当たりましては、実診療額に調定率というものを乗じまして収入見込み額を計算するところでございますが、その過程におきまして、実際上調定率を九二・八%という数字を乗ずべきところを一〇〇%として計算をいたしまして、ここに収入額の見込み違いが発生いたしたわけでございます。その後、この収入見込み額の、誤った見込み額でございますが、それを前提といたしましてこれに応じた歳入をいろいろ努力をして図ったところでございますが、この札幌病院におきます診療の結果といたしまして幾ら努力いたしましてもこの目標額設定が困難な事態になったわけでございます。この際、その目標額の計算間違いを認めまして、これを訂正すればよかったわけでございますが、そのつじつまを合わせるために、二月請求の診療報酬の部分といたしまして、過去に行っておりました医療費を重複請求する、そういったことで歳入見込み額とこの表面上の歳入額とを一致させようという、そういったことを行ったことでございまして、そういったことはあり得べからざることでございますが、そういう事態が発生をいたしたわけでございます。
#35
○片山甚市君 これは幸いにして内部告発があり、職場でそういうことについてはだめだという抵抗があったために不正的なことが実行されませんで、中途でやまりました。そこで、支払い基金にまで行っておればそのところでは必ずチェックができて、そのような二重払いについては阻止ができたという確信がございますか、お伺いいたします。
#36
○政府委員(石丸隆治君) これは後に調べたことでございますが、ただいま先生御発言のとおり、内部的な告発で、その事前に訂正を行ったところでございます。なお、その後調べました結果、ただいま申し上げたような歳入見込み額の計算誤りがあったわけでございまして、そのつじつまを合わせるというようなことでやったわけでございますが、いろいろ調査いたしました結果、この重複請求分につきましては、四月に入ってから社会保険診療報酬支払基金に自発的に申し出た上、過誤調整を受けるよう事務的に進めておったところでございまして、いずれにいたしましても、そういう結果になったわけでございまして、今後、内部的ないろいろな事務の整理を行いまして、かかることが二度と発生いたさないよう努力してまいりたいと考えております。
#37
○片山甚市君 私が質問申し上げておるのは、支払い基金の中でこのことがチェックができるような体制がありますか、ということです。
#38
○政府委員(八木哲夫君) 支払基金の審査におきましては、診療内容の審査等を行うものが中心でございますので、支払基金でチェックできます部分と、それからその後、重複請求の問題になりますと、保険者の段階に支払基金からすでに支払った後に請求明細書を保険者に返送するということで、各保険者の段階になりますと、ただいまのお話でございますと後からわかってくるというようなことになるのではないかというふうに思います。
#39
○片山甚市君 そういうことでありますから、先ほど支払基金の方の診療内容についての点検についてはわかりましたが、二重あるいは過誤、いろいろなことで誤りがあることについては、いま申したように、各保険者、共済組合、健保など、きちんとするように御指導願わないと保険の意味をなさない。特に社会保険庁は政府管掌健保の保険者として具体的にどのくらいチェックしているのでしょうか。審査データがございましたら、別途私の方に資料をいただきたい。お願いいたします。
#40
○政府委員(八木哲夫君) 承知いたしました。後ほどお届け申し上げます。
#41
○片山甚市君 ということで、支払基金の職員をふやして審査の十分な体制を整えるということも当然でありますけれども、保険者としても、やはりこれが公正で、しかも適切なものであるかどうかということについて、常にこれを検査をするというか、検証するというか、こういうように査証をするというか、チェックをしてもらいたい、こういうふうに考えます。
 それで、基金でも、直接受診をした被保険者に対して抽出でよろしい、千分の一になるか、一万分の一でもよろしいから照会状を出して、このようなことについて間違いがありませんかという直接的な問い合わせをし、未然に防ぐために、また現状を把握するために努力をするように政府はお考えになりませんか、お伺いいたします。
#42
○政府委員(八木哲夫君) 現在、支払基金におきましての審査におきましては、診療内容なり、あるいは事務的な内容が中心でございまして、さら審査、支払いが終わりました段階では請求明細書を保険者の方へお返しするというようなことになっておりますので、支払基金でそういうふうなことは非常にむずかしいと思いますけれども、先生先ほどお話しございましたような保険者の立場で従来からもやっておりますし、今後ともやっていかなければならない問題であるというふうに考えております。
#43
○片山甚市君 非常に失礼な言葉なんですが、実は基金の診療に対する審査委員の方は主として医師であります。いわゆる病院を経営しておる医師が経営しておる。経営しておる者同士がチェックするというのはある程度失礼でございますが、むずかしい面があるんじゃないか、こういう言い回しをします。そうしないとまた食言になりますから、失言になりますから。私はそういう意味でこの審査について疑っておるのでなくて、それが的確がどうかということについて基金が具体的に千分の一になるのか、万分の一〇になるのかわかりませんけれども、そのような照会をしてでも間違いがないというようなことにしてもらいたいという意見を述べます。だめだと言っとるんですからね、あなたは。そんなものは保険者がやったらいいじゃないか。金を出す方が、損する方がやりあいいんで、そんなもん知るか、こういうことになりましょう、知るか知らぬかは別として。ですから、私はこれ以上問いませんけれども、本当に事件が起こらない、事故が起こらないということについてはお金がたくさん要る方法は反対ですけれども、抽出をしてそうしてやるというようなことも考えてもらいたいとだけ申し上げておきましょう、きょうは。
 次に、基金創設以来、仕事、任務がどんどん広がってきたということについては御承知のとおりであります。つくられたときの基本的な性格をどのようにこのいわゆる昭和二十三年でございますか、できましてからこの基金というのはどういう性格でつくられてきたんでしょうか。そうして予算の監督など――予算というのは大蔵省ですが、特に監督は厚生省ですが、大切ですけれども、賃金や労働条件、職員の定数の決定などではこの基金が自主的に労使の交渉で決められるようにしてあると思うのですが、そのように理解をしてよろしゅうございますか。初めと終わりと二つお答えください。
#44
○政府委員(八木哲夫君) 先生御案内のように、支払基金につきましては国民医療の重要な地位を占めます医療費の診療報酬におきまして、その審査なりあるいは支払いということを担当しておるわけでございまして、そういう意味から支払基金の占めます役割なり使命というのは非常に重要であるというふうに私どもも認識しておる次第でございます。したがいまして、逐年取り扱い件数というものもふえてまいっておりますし、私どもといたしましても事務体制の充実なりあるいは人員の問題等につきましても逐年努力し、基金業務が円滑に行われるように努力しているわけでございますけれども、御指摘のような問題もございますし、さらに今後とも努力してまいりたいというふうに思っております。
 それからただいま御指摘ございました基金内におきます労働条件等の問題につきましては、基金内におきます労使間でお話していただくということにしている次第でございます。
#45
○片山甚市君 それは表面のことで、実は大蔵省もいろいろなことで締めつけてきて、労使が決めてもちゃんと協議会にかけて協議をして締めつけておるようであります。まあ表はそう言っとるんですから裏まで言いませんけれども、これはなぜそんなこと言うかというと、ここの職員は約五千名おります。常勤の役員は御承知のように三人かおりません。三人で五千名の職員を管理するというのはどこの会社でも余りないんです。皆さんとこで言うと部長もおれば課長もおる、課長補佐もある、係長もおれば主任もおる。どんどんつくっておる中で、一番責任者であるところのものが、これは公庫とか公団とか基金とかというところの役員は減らせという要求もあり、減したんでしょうけれども、一年間に三兆五千億円近い支払いのお金を扱う官庁にしてはできるだけ手薄にして、いわゆる監督をできるだけしない、監査、審査を余り十分できないように役員を減らしているんじゃないかと思うんですが、そういう心配はございませんか。
#46
○政府委員(八木哲夫君) ただいま御指摘ございました役員の面等につきましても、一つの今後の大きな研究問題であるわけでございますが、いろいろな事情等考えまして、当面今回の法律改正におきましては緊急を要します問題につきまして取り上げたという次第でございまして、御指摘の問題等につきましても今後の問題として十分研究さしていただきたいと思っております。
#47
○片山甚市君 政府側が熱心にこのことについて御努力をしていただくという趣旨でありますから、私は支払基金の立場や現実をよく理解してやり、委員の数をふやしても解決できない問題がたくさんございます。保険者側は絶えず緻密な審査をしてくれということを求められ、医療機関からは自分らが間違っているのに査定・減点に抗議を受けたりする、加えて支払基金というのは四者構成でがっちり押さえられておりますから、事務局も大変なようであります。どうか大臣は関係組合の意見も十分聞いてやり、監督官庁に終わらさずにその責任の一端を担う覚悟で支払基金と取り組むべきであろうと思うのですが、本法改正の機会に特に厚生大臣には力を入れていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
#48
○国務大臣(田中正巳君) 支払基金のあり方、仕事の円滑な運営、また労使問題の円滑な問題解決といったようなことについて、今後努力しなければならない問題が私はあると思っております。今後とも十分その点を踏まえて努力をいたします。
#49
○片山甚市君 そこで、先ほど国立病院のことでお伺いしたのですが、今回起こりました国立札幌病院の事態についてはどのようなけじめをつけるかは、こうした不正事件というか、こういうような事件を起こさないためにもすべての医療機関で反省をするというか、警戒をする必要があろう。他の国立病院がしっかりやっておるんでありますから、一カ所の国立病院でそういうことが起これば全部だということを言われないためにもこのことについて配慮してもらいたい。なぜそうした事件が生じたかということについて先ほどお伺いしましたけれども、この九二・八%の調定率を一〇〇%と考えて無理をしたという、いまの厚生省の病院の経営のあり方について反省をするところはないか、お聞かせを願いたいと思います。
#50
○政府委員(石丸隆治君) 国立病院は先生御案内のとおり、特別会計をとっておるところでございますが、これはいわゆる独立採算制ではないものでございまして、われわれといたしましてはやはり国立病院にそういった診療面で無理をさすということはこれは絶対避けたいと思っておりますが、さらに国立病院でございますので、やはりその経理はあくまでも収支を明らかにいたしたいと思っておるところでございまして、そのための特別会計制度をとっておるところでございます。今後ともそういった会計上の問題、事務的には厳格に、明らかにしてまいりたいと考えておるところでございます。しかし収入を上げるためにそういった無理をする、そういったことは今後とも十分注意してまいりたいと考えております。
#51
○片山甚市君 それでは歳入増加の督励ということで、厚生省がこれから圧力をかけるということでなくて、正常な経営が行われるようにということで努力をするということで解してよろしゅうございますか。
#52
○政府委員(石丸隆治君) やはり医療機関でございますから、適正な医療を行うということが最大の眼目でございますので、そういった線に沿って適正な医療を実施できるよう努力してまいりたいと考えております。
#53
○片山甚市君 この原因は、私の方はいわゆる歳入の増加について無理な督励をする、押しつけをするということから起こっておると、こういうことで、当然正しい診療、治療を行うためというよりも、言葉を返して失礼でありますが、特別会計のたてまえからできるだけ赤字幅を少なくしようではないか、このことに焦点が置かれてこういう事件が起こるものと考えますから、十分にそのようなことが起こらないようにしてもらいたいと思います。
 そこで、先だって、そういうようなお仕事の上で行政処分を受けることになられました、その人たち自分たちのポケットにお金を入れようとしたことでないことは明らかなことでありますが、昭和四十年から四十三年に起こりました日赤鳥取病院のことがございますが、四十五年に問題になり、そのときに総額十八万円のいわゆる二重の支払いを受けたということで、一カ月の医療機関の取り消し処分をやっておる事実があるんですが、それは事実でしょうか。
#54
○政府委員(八木哲夫君) 鳥取日赤病院におきまして二重請求の問題がございまして、この際に保険医療機関の指定取り消しを行ったというのは事実でございます。
#55
○片山甚市君 そこで、日赤病院は少なくとも民間であります。その時期には、昭和四十年から四十三年という期間ですから足かけ四年ほどのことでありますけれども、その間にいわゆる肝機能の検査の請求を二重に行ったということで一カ月の停止になったんですが、そうすると、その結果、この日赤の病院は一カ月間入院患者、診療者に迷惑をかけないということで自前で処置をしたということになります。今回、国立病院でありますから、こういうことがほかにないという、先ほど言ったような不祥事件は他の病院で起こってないという前提でありますならば、非常に厳しい態度で、日赤鳥取病院で処置をしたよりも厳しく措置をすべきだと思いますが、いかがですか。
#56
○政府委員(八木哲夫君) 今回の国立札幌病院の処分の問題につきましては、現在この問題につきましては地方医療協議会におきまして御意見を伺うということになっておるわけでございまして、ここに諮問しておるということでございます。したがいまして、現在北海道の方でこの問題を北海道知事が地方医療協に諮問しているということでございます。この問題につきましては重要な問題であるというようなことから慎重に対処する必要があるということで、現在、どういうような処分をするかということにつきましては慎重に検討しているというふうに承知しております。
#57
○片山甚市君 少なくとも国の病院でありますから、そのけじめをしっかりつけてもらいたい。内部的な行政措置はとりましたが、対外的にいわゆるこのことについて省として、政府としてとっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#58
○政府委員(八木哲夫君) 先ほどお答え申し上げましたように、この問題につきましては北海道知事の権限でございますが、私どもといたしましては厳正にこの問題を取り扱うようにということを伝えておる次第でございます。
#59
○片山甚市君 その監督をする責任が都道府県知事にあることをよく承知しておりますからこれ以上追及いたしませんが、何回も申しませんが、国の病院であります。それは監督は都道府県知事がやりますけれども、みずからそういうことについては姿勢を正してもらいたい。自分みずから、国が姿勢を正してもらいたい。協議会で図らなくても、国がちゃんとそういうような姿勢をとるようなことをしてもらいたいということを申し上げます。ただし、その決めるところは、協議会がいま審議をしておるということを五月十三日の北海道新聞でも報じておりますから、その住民に、市民に迷惑をかけない方法はいかなるものかなどということでいろいろと考えておると言っておりますけれども、鳥取で、日赤においてあれだけの厳しい措置をとったのでありますから、まさか厚生省に直属する病院では手心を加える、こういうことがないように、非常に北海道の国立病院はりっぱな病院であるだけにそういうことのないように今後皆さんにあかしを立ててもらうとともに、安心をさせてもらいたい、こういうように考えます。
 そこで次の問題ですが、差額ベッドの問題に移さしていただきます。差額ベッドに関する厚生省の指導では、国立病院について一〇%、民間の病院については二〇%以内にせよと言っておりますが、自治体病院はどちらに入るのでありますか、お伺いいたします。
#60
○政府委員(八木哲夫君) 私どもの指導の方針といたしましては、国公立病院につきましては一〇%ということでございますので、自治体病院につきましては公立病院でございますから一〇%という一つの指導の範囲であるというふうに考えております。
#61
○片山甚市君 国立に準じて一〇%だというお答えと受け取っておきます。
 そこで、差額ベッドについては住民運動の中から、せんだって衆議院でも申し上げたと思いますが、大阪市当局と話し合いをして、私立病院の差額ベッドはこれから三年以内に全廃するという方針を明確に示しました。その報告は聞いておられましょうか。
#62
○政府委員(八木哲夫君) まだ承知しておりません。
#63
○片山甚市君 結局、差額ベッドというのは差別をするためにつくられておるベッドだとわれわれは考える。公立病院というようなところでそういうようなものをつくる必要はない。こういうことで、私は現地の人間ですから、私自身その交渉に出て確かめました。そういうことで、今年度から大阪市がその方向で善処する、こういうことになっておるんですが、そういうことであればそれでわかりました。調査をしておいてほしい。いわゆる大阪市がそのような方針を持っておるかどうかについて確かめてほしいと思いますが、いかがでしょう。
#64
○政府委員(八木哲夫君) 調査いたしたいと思います。
#65
○片山甚市君 五月六日の衆議院の本会議で、わが党の村山富市議員の質問に対して田中厚生大臣は「国公立病院の入院患者でも、その人の職業や地位によって、やはり特別なベッドに入らなければならない人がおるだろうということは、皆さんも御想像ができるだろうと思います。したがいまして、国公立病院なるがゆえに差額徴収ベッドを全く廃止することは実態としていかがかと思われます。」と答えていますが、これは職業や地位のある人、つまり言葉をかえて言うと、金持ちからは金を取ってよいじゃないかという意味なのでしょうか。そうでなくて、症状や治療や看護などの医療の必要上、特別なベッドが望ましい人には差額ベッドによらずに保険で給付をするということを前提にして、そのことに重点を置かれて言われたのでしょうか、いかがでしょう。
#66
○国務大臣(田中正巳君) 差額ベッドというものは、これが本人の希望によって与えられるものであるということだろうと思います。要は差額ベッドによって差額を徴収して病院の収入を上げるというような観点から差額ベッドを置いてはいけないし、ふやしてはいけないというふうに考えるべきものだろうと思います。あくまでも本人の希望によると。本人の希望によるということを具体的に言いますると、本人が非常にお忙しい人であるとか、あるいはまたいろいろな関係で見舞い客が非常に多いとかいう人がよくこういう場合に該当するわけでございまして、お互いに経験のあることでございますが、私が仮にいま入院した場合に、やっぱり役所との連絡がある、電話がかかってくるというようなことになりますと、――これは私ばかりじゃございません。この前も私は労働組合の幹部と話をしたときにも、あなた方が春闘の最中に、もしけがでもして入院したらやっぱり一般の病棟に入れぬのじゃないでしょうか、御迷惑もかかるじゃございませんかというようなことも申し上げたわけでございまして、決して差別をするという意味ではございません。その人の社会的活動によってそうした希望が出てくることが多いのではなかろうかということを申し上げたわけでありまして、差別という趣旨ではございません。
#67
○片山甚市君 それでは、特殊なごく一部の人の例であって多くの人の例ではない、こういうように理解してよろしゅうございますか。
#68
○国務大臣(田中正巳君) つまり本人の希望によるということであります。その希望をするような人は一体どういう人であるかというと、こういう人だろうということをわかりやすく申し上げたわけでございます。
#69
○片山甚市君 そういうことでありましても、国公立の病院であるとすれば、私は大阪市のように医療上の必要、いわゆる看護上の必要、重篤な状態というようなものに公立病院では重点を置かれるべきだと思います。そういう意味で、大阪市がこれから三年間を目標にして廃止をするということについてはやっぱり誤りでしょうか。いまの大臣のお言葉によると、これは大阪市の考えが間違いだというようにとれるんでありますが、いかがでしょう。国公立ですよ。
#70
○国務大臣(田中正巳君) 国公立病院の場合は、できるだけそうしたことが少ない方がいいと、しかし、絶無であっていいのかどうかということについては、私はやはり実態に応じて考えるべきものであろうというふうに思います。たとえば、実際問題として、衆議院議長が国立の第一に入って長いことおられましたが、ああいう節のことを考えますと、絶無でいいのかなと思いますが、しかし国立の場合には、その性格上、他のようにはたくさんは私は必要がないだろう。だから、ここでもって二〇、一〇という差別をつけているのもその趣旨だろうと思います。
#71
○片山甚市君 大臣はごく特殊な例をお引き出しになっておるけれども、それ以上申し上げても、これは物の考え方の相違で、それだけあれば民間でもりっぱな病院がございますから、国というところでは私はやはり原則的にだれにも同じ条件で、病気の状態によってそういう措置が、お部屋が与えられる、こういうように考えておりまして、大臣が言っておることは全部わからぬのではありませんよ。それが前に出てきて、それが敷衍化して、それが経営の基盤になっておるんです、実際は。差額ベッドを外したら病院が成り立たないようなこと、こういうような状態が訴えられていますから、いま大臣と論争しても、大臣が言っておる、この間からずっと言うておるんですから、いま始まった言葉でないんです。これは終始、何回だってそういうように言っておるんですけれども、国公立の――国立、公立の病院では、大臣もおっしゃるように、差額ベッドというものが少ないほどいい――少ないほどというよりも、私の方はなくしてほしい、できるだけ少ない方がよろしいということでありますが、そこで私は、昭和五十二年度から差額ベッド料を国立だけは取らないで、そういう忙しい人には、それだけ名分が立つんでありますから、廃止をしたらいかがでしょうか。
#72
○政府委員(石丸隆治君) 国立の、厚生省所管の国立病院の実態について御説明申し上げたいと思います。
 やはり、国立病院が現在特別なベッドを持っておることは事実でございまして、ただ、そういった特別のベッドを利用いたします場合に、疾病の程度あるいは形態に応じまして、治療上、看護上必要な場合に、この特別ベッドに患者を収容いたしました場合には、料金の面では普通の社会保険診療報酬の料金で、いわゆる差額なしにその病室に収容いたしておるところでございます。ただ、そういった特別のベッドを治療上の必要でなしに患者の希望でそういった病室を使用する。たとえば、先ほど大臣から御説明申し上げましたような特殊な人がそういったベッドを希望いたしました場合に、その差額をいただく、いわゆる特別料金金をいただいておる、かような考えでございまして、医療上必要な場合は、これは絶対取らないという方針で進んでおります。
#73
○片山甚市君 いまのお答えで大体正しいというか、私は納得します。
 それで、できるだけいわゆる国公立の病院にそれ以外のものを持ち込むことが少ないようにしてもらいたい。いわゆるそれぞれ余裕のある方、いろんな方々が来られて、ずいぶんその数が多くなってくることは、やはり他の患者との関係で差別が生ずる。これは人間は比較をして物を見るものでありますから、そういうように申し上げておきたいと思います。
 次に、救急医療の問題についてお伺いしたいと思います。厚生大臣は、去る五月六日衆議院本会議で、わが党の村山富市議員に対して、救急医療の確立のためには法律制定よりも実態をつくり上げる方が先だという御趣旨の御答弁をされました。これは救急医療整備特別措置法というような新規立法の用意があるかどうかという質問に対する御答弁でございましたが、そこでまずお尋ねをしたい。厚生大臣は、現行法のもとでも救急医療体制の確立が可能であると判断されているのかどうか、端的にお願いいたします。
#74
○国務大臣(田中正巳君) 私は、救急医療に関し、法的措置を絶対に必要でないというふうに考えてはおりません。ただ、当面の問題として、実態を確立する方が私は先決であるということを考えておるということを申し上げたわけでございます。また、いま救急医療については広範な角度からいろいろと対策を協議しているわけでございまして、その結果によっては立法の必要がある面が出てくるかもしれません。そうした場合には、立法することについてはやぶさかではございません。要は法律よりも実態を急ごうじゃないかというのが私の率直な気持ちでございます。
#75
○片山甚市君 大臣のその熱意が実態的に進みながら、後で法的にも完備されるように、こういうことならば望ましい態度かと思いますが、そこで、救急医療体制の確立のためには、どうしても現行法の全面的な改定が必要とならざるを得ないと私は考えるものですから、その理由を幾つか具体的に挙げて、政府の方針をただしていきたいと思います。
 まず第一に、救急業務を定める唯一の根拠法、すなわち消防法は、周知のごとく事故による救急患者を対象にしたものであるにすぎず、加えて、この対象者を救急隊が、パトカーが搬送することのみを規定しております。このことは、急病による救急出場件数が五〇%以上を占めておる実態から見て不適当であると言わざるを得ませんが、いかがでしょうか。
#76
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘のように、現在の救急医療というものが、いわゆるわが国のモータリゼーションを契機といたしまして生じました交通外傷の増加、これに対応するために現在のこの救急医療体制というものを整備してまいったところでございます。しかし、その後、交通対策等が進みまして、交通外傷が順次減少をいたしておるところでございます。しかし、他方このわが国の人口の老齢化等に伴います国民の疾病構造の変化、すなわちそこにはこの脳卒中等を中心といたします脳血管障害、あるいは心筋梗塞等を中心といたします特殊性心疾患、こういった疾病の増加があるわけでございます。また、他方この核家族化等によります経験の少ない母親による子供の養育というような面での小児科の急病対策という必要が生じておるところでございまして、現在救急車によって搬送されます患者らが、昭和四十九年を契機といたしまして、いわゆる内科系、小児科系の急病患者の方が多くなって五〇%を超えた、かような状況になっておるところでございまして、そうような疾病構造の変化あるいは社会構造の変化等に応じまして、今後わが国の救急体制、体系というものも変えざるを得ないというふうに考えておるところでございます。
#77
○片山甚市君 第二に、救急患者の受け入れ施設に関する規定、すなわち昭和三十九年の厚生省令は果たして有効適切なものかどうかであります。具体的には、次の諸点についてお聞きをしたいのです。
 一つは、救急患者の受け入れ施設をこの省令のように事故による傷病者の受け入れのみを想定したものと位置づけることは、先ほど指摘をしたように、実態と乖離した無意味なものと考えるべきではありませんか。
 二つは、この省令で定められた救急告示医療機関たる四つの要件には、何ら法的にも実質的にも拘束力はないのではありませんか。たとえば最近幾つかの自治体で、救急医療機関でさえ夜間は当番制を採用し始めており、しかもこれは厚生省の行政指導であるかに伝えられております。それは本当でしょうか。しかし、御承知のように、さきの厚生省令では、ベテラン医師の常時診療や救急患者のための優先ベッドの確保が要件とされております。したがって、救急告示医療機関である限り当番制など全く必要ないたてまえになっております。このたてまえが現実に照らして有効でないなら、たてまえ自体改正しなければならないのではありませんか。
 三つは、この省令でいうような医療機関を進んで整備する責任の所在はどこにありますか。あいまいに過ぎるのではありませんか。この省令では、医療機関の方から都道府県知事に対して救急業務に関して協力する旨の申し出があるとき、それを四つの要件に照らしてチェックした上、告示することになっているわけでありますが、果たして都道府県知事が救急医療機関を必要な数だけ確保したり、そのために拡充整備に金を注ぎ込んだりする責務はあるのでしょうか、ないのでしょうか。以上三つについてお答えを願いたいと存じます。
#78
○政府委員(石丸隆治君) ただいま三つの御質問が出たわけでございますが、まず第一の御質問でございます従来の消防法に基づきます救急告示医療施設のみで十分ではないんではないかという御質問でございます。これは先ほど御答弁申し上げましたように、わが国の救急医療体系というものが交通外傷等を中心としたいわゆる事故対策として発達いたしたものでございまして、こういった体制のもとにこの救急告示医療施設の整備を図っておったところでございます。したがいまして、先ほど御答弁申し上げましたように、疾病構造の変化に対応しての対策としてはこの救急告示医療施設のみでは十分でないわけでございまして、そういった新しい体制に対しまして、われわれの方といたしましては医師会等の協力を得ましたいわゆる当番医制度の確立あるいは休日夜間急病センターの設置、そういったことで対応しておるところでございます。
 それから二番目の御質問でございますが、まあ、そういった当番医制あるいは休日夜間急病センターの設置のみでは医療施設の機能として十分ではないんではないかという御質問ではなかったかと思いますが、このわが国の医療、救急医療というものが先生御指摘のように従来救急告示施設による第一次と申し上げましょうか、その救急告示施設のみで救急医療に対応してまいったとこでございますが、だんだん医学の進歩、医療の進歩等に伴いましてさらに高度の医療が可能になってまいっておるところでございます。したがいまして、今後の問題といたしましては、そういった機能分けということが必要になってまいるんではないかというふうに考えておるところでございまして、第一次救急医療といたしまして当番医制あるいは休日夜間急病センターで対応いたしまして、さらに重篤な患者、そういった第一次救急医療機関で対応できないような重篤な患者さんに対しましては、後方病院と申し上げましょうか、第二次救急医療施設の整備ということを現在考えておるところでございまして、五十一年度予算におきましても新規にいわゆる救命救急センターの設置ということをお願いいたしてお認め願ったところでございまして、さらにそういった今後のわが国の救急医療体系というものを一次、二次、あるいはさらに今後の問題といたしましてはリハビリテーションを含めたような数次にわたる一つの体系を整備していく必要があるんではなかろうかと考えておるところでございます。
 それから三番目の問題でござますが、そういった救急医療機関の整備をだれが一体責任を持つかという問題でございますが、これはやはり国及び地方公共団体の責務というふうに考えておるところでございますけれども、救急医療そのものをそういった国あるいは地方公共団体ですべて直接に担当するということは現在の医療機関の整備の状況あるいはマンパワーの分布、そういったことから考えて現段階では非常に無理があるのではないか。やはり第一線におられます開業医の医師の方たちの協力なくしてはわが国の救急医療の確保というものが現段階においては非常に困難ではなかろうかと考えておるところでございまして、そういったあらゆる面を含めまして現在大臣の私的諮問機関でございます救急医療懇談会におきまして、そういったいろんな点を御検討願っている段階でございます。
#79
○片山甚市君 そうすると、いまのお答えは昭和三十九年に出した厚生省令に基づく措置については具体的に改善をしていくというか、改めていくような事態がいまつくられておると、こういうように理解をしてよろしゅうございますか。
#80
○政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘のとおりでございまして、その交通外傷に対しましては従来の消防法に基づきます救急告示医療施設で対応しておるところでございますが、最近増加してまいっております内科系、小児科系の疾患に対しまして別の体系といたしまして休日夜間診療所、急病センターあるいは当番医制と、こういった方策で対応しておるところでございます。
#81
○片山甚市君 大体そのベテランの医師を常時診療や救急患者のための優先ベッドを確保するというような要件は、先ほど申しました差額ベッドの例に見るまでもなく、非常に困難な状態であります。幾ら省令を出して、それでそういうふうにしても現実に差額ベッドをもって経営の大きな柱にしようとしたりあるいは救急告示病院になるというときは、やみくもに一応やってある程度経営が確立すると、いつの間にか返上しておるというような状態、これは何かというと、やはりそこのところで無理が生じておると思います。全体の協力ということになりますと、特に地方自治体は今日的には財政的に非常に困難でありますと、そのことを言いがかりにして、このことについての力が入れられないということは大変でありますから、国がやはり救命救急センターという、大臣としては、もう悪いことをやった、鬼の首でも取ったように喜んでおられる。全国で四カ所――本当はいい事実をつくっていって四カ所ですね、ということになっていますが、受入体制が果たしてうまくいくんだろうか。各地方自治体や病院がそういう大臣のお考えがスムーズにいくような背景があるのでしょうか。ちょっとお伺いいたします。
#82
○政府委員(石丸隆治君) 救急医療、先生御指摘のように、財政的な問題が非常に大きいところでございまして、特に国公立病院等がこの救急医療を担当いたしましておる場合に、いわゆる二十四時間体制で空きベッドを持ったり、そういったことをやっておるわけでございまして、それに対応する診療収入というものが、患者が来なければ得られないという、こういう診療報酬体系でございまして、そういった点、いわゆる不採算医療の部門に属するものだというふうに理解しておるところでございまして、そういった観点からさらに今後財政的な助成策というものを強化してまいりたいと考えております。
#83
○片山甚市君 地方自治体の公立病院が救急病院の告示を受けたがらないことの理由、それを勧めるためにはいかなる施策をとるかということは、厚生省令を具体化していく。国立病院の方はおおむね療養所を除くと努力をしていただいておることについてはわかっておるのですが、いかがなものでしょうか。
#84
○政府委員(石丸隆治君) 国立病院は御指摘のように九十数%の指定を受けておるところでございまして、ほとんど完全にこの救急医療体系の中に入っておるところでございます。ただ、自治体病院のこの救急告示を受けておる率が非常に低いんでございまして、大体五〇%前後のところに来ておるわけでございますが、その理由、まあ、これはいろいろあろうかと思っております。ただ従来この救急医療といたしまして、自治体病院に財政的助成を行っておりましたのが、いわゆるグレードで言いますと救急Aに属する大きな地方自治体の病院を対象に助成を行っておったわけでございますが、五十一年度予算でお認め願いましたように、救急Bにまでこれを拡大して助成をするという対策をとったわけでございまして、さらに今後そういった財政的な助成策を強化してまいりたいと考えております。
#85
○片山甚市君 一層国公立の、まあ国立の方はおおむね達成しておりますが、公立病院が救急告示病院として夜間診療等休日診療等についても対応ができるような対策をとっていただきたい。そのためには医師会の全面的な協力がなければ、民間の開業医の皆さんの御協力がなければできないことでありますが、全体的な医療の見直しを行い、国民の健康のために役立つように、予防のためにも十分に役立たしていただきたいと思います。
 次に、原爆被爆者に関する援護の措置のことについてお聞きをいたします。
 被爆二世の問題ですが、昨年の本委員会の附帯決議で「被爆者とその子や孫の放射能の影響についての調査研究の十全を期すため現存する原爆医療調査研究機関の一元一体化について検討し、その促進をはかること。」とされました。衆議院での御答弁でも一千万円のお金を、予算を措置をして調査を行うように御答弁がございましたが、実施状況はどのような形になっておりますか、お伺いをいたします。
#86
○政府委員(佐分利輝彦君) 被爆者二世に対する原爆放射能の影響調査につきましては、四十八年度から被爆者の世帯調査の一還として調査研究を実施してまいりまして、本年度も約一千万円の予算が計上してございます。また特にこの問題に着目いたしまして、本年度から広島の放射線影響研究所が約一億五千万円の予算を計上いたしまして、原爆二世の遺伝、生化学的な研究に着手することにいたしました。また他の広島、長崎大学の原爆医学研究所、また日赤原爆病院、さらに科学技術庁の放射線総合医学研究所、文部省の遺伝研、こういったところとのネットワークにつきましては、そのシステムの合理化、適正化について現在協議を進めているところでございます。
#87
○片山甚市君 被爆者二世対策の調査研究については、いま局長からお答えをいただきましたが、これは医学的な結論を出すには相当長期間が必要だと思います。その間、現在の不安におののいている二世の諸君に何らの手を差し伸べないというのもおかしいと思います。私が聞くところによると、東京都では何らかの対策を開始したということを聞いておるんですが、いかがでございますか。
#88
○政府委員(佐分利輝彦君) 東京都におきましては、本年度から被爆者二世に対して医療費の公費負担を始めたところでございます。これにつきましては地方自治の本旨からやむを得ない面もございますけれども、私どもは二世の健康障害については、その方たちの結婚とか就職について非常にむずかしい社会的な問題がございますので、こういった問題は慎重に対処しなければならないと考えております。
#89
○片山甚市君 この際、親と本人の両者が希望するものについては特別の二世手帳、いま申されたように二世の問題、非常に慎重に取り扱わなきゃならぬ、こういうようにおっしゃっておるんですが、しかし、本人とまた保護者でありますか、親が、私の子供は原爆被爆者の二世ですということを申し上げても結構ですという人には交付をしていただいて、交付していただく理由は何かというと、無料の定期健診と被爆者の関連や、いわゆる原因不明の疾病の治療については公費負担によるところのいわゆる治療を行っていただきたい。すなわち、被爆者の子供に対しては本人と親とが、私は被爆者です。世の中の人がどう言ってもいいです。しかし私は定期に健診を受けたいんです。また被爆に関連する原因不明の疾病の治療についてはひとつ国でめんどう見てください、こういうふうに言われる人には手帳を交付するという検討をしてもらいたいと思いますが、大変むずかしいことですが、いかがでしょうか。
#90
○政府委員(佐分利輝彦君) 被爆者二世の健康障害につきましては、すでに昭和二十一年以来、ABCCを中心として各種の調査が行われてまいりました。白血病の発生率の調査、寿命の調査、男女性比の調査、奇形の発生の調査、いろいろ行われてまいりましたが、その後三十年を経過した現在においては、医学的に何ら被爆を受けない方の二世との間に差を認めておりません。このような関係から、ただいま御提案のございました手帳を交付して健康診断を受けていただく、あるいは難病については治療費の公費負担をするということは原爆対策としては困難でございまして、やはり一般社会保障制度の充実に待つべきものと考えております。
#91
○片山甚市君 そういうようなお答えだろうというように思います。おしくらまんじゅうで、同じことをいつもやるのはおもしろくありませんから、これ以上御答弁を求めませんけれども、実は私が働いておった電話局などの子弟も、健康状態が被爆者の子供ですが、余りすぐれない、こういうことで、しょっちゅう病院に通っておる、それは一般の子供たちも同じじゃないか、こういうように統計上なっておるでしょうけれども、そのうちに明確なことが出るでしょう。大体厚生省がだめだ、だめだというのは、必ず間違っていました、ああ、恐れ入りましたということになることになっておるのですから、私はあなたがしつかり反対してくれることがむしろ国民にとってはなるほどわれわれの言うことは正しかったという、歴史が示すと思います。大方うまくいくのだったら、初めから考えておったと、こう言う……。
 次の問題でお伺いします。大腿四頭筋の問題、これが一番ピンチだ。大腿四頭筋拘縮症をめぐる行政指導については、本委員会でも幾たびか議論をしてきました。先日、日本小児科学会が、これが医原病であることを認め、幼児などには筋肉注射を全廃するようにしようという声明を発し、理事会が自己批判をしておるところであります。今後の対策を示しました。遅きに失したと思いますが、結構なことであります。医学者というのは、慎重であるとともに、やはりそこのところはけじめをおつけになる、私は尊敬する。ところで調査だけで厚生省としては積極的にいままで御指導を行われておらなかったと思うが、今日そのような結論が出たとき、どのようにお考えになるかお伺いをいたしたい。
#92
○政府委員(石丸隆治君) 小児科学会におきまして、御指摘のような結論が出されまして、小児科学会雑誌等に発表されていることはよく承知いたしておるところでございます。この大腿四頭筋拘縮症につきましては、昭和四十九年から大腿四頭筋拘縮症研究班を設けまして、本症の原因究明、あるいは発生予防方法、それからいろいろな治療、あるいはリハビリテーション等、総合的にこの研究班において研究を行っておるところでございまして、現段階におきましては、この成果に基づきまして健康診断基準を作成いたしまして、都道府県に健康診査をお願いして患者の把握に努めるとともに、適正医療に基づきます治療を行っておるところでございます。御指摘の筋肉注射の問題でございますが、これはもう筋肉注射のみではございませんで、医療全般に言えることだというふうに理解いたしておりますが、やはりこれは個個の患者さんに対する適応ということは、その個個の主治医の先生が判断されるべきというふうに考えておりますが、やはりその判断の中には、必要でない医療はできるだけ排除する、こういう前提のもとでそれぞれの主治医の先生がやられているというふうに考えておりますが、さらにそういった趣旨の徹底につきましては、医師会等とも御相談申し上げながら対処してまいりたいと考えております。
#93
○片山甚市君 最後のところはわかりにくかったのですが、実は全国自主検診医師団が調べたところでは、患者数は約一万二千人程度おると報じられております。
 そこで、このような学会がいわゆる医原病だということになったのですが、そうすると厚生省は治療指針の中にそのことを明確に盛り込んでいただけますか。
#94
○政府委員(石丸隆治君) ただいまのこの治療ということは、これは発生いたしました大腿四頭筋拘縮症のそのものの治療方法でございまして、その発生原因と考えられております筋肉注射のことにつきましては、これはむしろ原因究明の方の研究班の結論としてそういったことを周知徹底さしてまいりたいと考えております。
#95
○片山甚市君 そうすると、この間、小児科学会がああいう結論を出したことについては、省としてどのような今後の措置をとられるのか、明確な言葉で一言言ってください。
#96
○政府委員(石丸隆治君) 小児科学会の発表はその学会として当然のことを言われたというふうに受け取っております。
#97
○片山甚市君 そうすると厚生省は従来問題でありました短縮症等についての取り扱いが他の研究班と一緒に調べていつごろに結論を出されますか。
#98
○政府委員(石丸隆治君) この期限を付することはちょっと私の立場でただいま申し上げられないところでございますが、この研究班、鋭意いろいろこの研究を行っておられるところでございまして、われわれといたしましてもできるだけ早い機会に報告をいただくようお願い申し上げているところでございます。
#99
○片山甚市君 厚生省は医師会や学会のいわゆる動向については非常に専門的な立場で重視をされておるところでありますから、いままでの指導についても十分に反省をしていただいて、この問題が速やかに裁判などになっている問題が解決することを心から望むものであります。四十三年から今日まで長い間かかった問題でありますから、お願いをしたい。
 最後に、重症児施設に関係することを若干お聞きいたします、二、三です。国立コロニー、群馬県にある、高崎ですが、「のぞみの園」では協会は
 コロニーを廃止せざるを得ないような現状であると組合側に団体交渉で言っておるようでありますが、そのようなことを言わざるを得ない事実はどうなのか。「島田」や北海道の「あしりべつ」、京都の「花明」などでも労使関係が安定しない、その経営状態が不安定だというふうに聞いていますが、今後どのように努力をされるか、これが一つです。
 二つ目には、組合との協定で理事者――協会側が約束したと言われる、これは国立コロニー「のぞみの園」――前の課長さんの北郷さんがおいでのところでありますが、一グループ二十五名を二十名とする、またはそのためには増員を図りたい、治療、訓練等を再開するなど、これはあすこのコロニーのいわゆる一つの目玉商品と言うたらおかしいけれども、非常に重要視されたのが治療、訓練等でございますが、これが開店休業になってしまってうまくいっておりません。こういうことについて再開するなどということになっておりましたけれども、これが実現できておりません。このことについていががなものでしょうか。
 三つ目に、五十一年度の賃金交渉にも入れないというような経営状態でありますから、いわゆるできるだけ労使関係が安定をし、その園内における養護、医療、養育がうまくいくようにしてもらいたい。特にそのためには一対一ということをかねて願ってきましたが、今日一対一・二を一対一・一に改めたいと、こう思っておるんですが、それも非常にむずかしい。すべて今日福祉の見直しの中で、重症児施設に対する風当たりが強いのでないか、これはもう厚生大臣にそんなことを聞けば、そんなことはないと言下におしかりを受けるところでしょうが、これは重症児施設というのは大変な療育、治療と、療養と教育をせなけりゃならぬところでありまして、ずいぶんと手間暇かかるというか、人も要りますし、愛情もなければなりません。そういうところで、人員を節減いたしますとトラブルのもとになる、こういうことで労使関係ということになると相当協会側あるいは理事者側が熱心に当たらなければならないと思っておるのですが、これについてお答えを願いたい。
 最後に、知恵おくれなどの施設についての定員の開差については従来と同じように変更はないか、福祉切り捨てということになりましたから施設の事務費などが定員の開差によって大きく削減されることはないかということであります。特に、社会福祉法人の経理処理に関する準則をつくるということで今度指定をされています。その経理の準則をつくるについて、なぜそういうものを必要とするのかというのは目的がはっきりしません。社会福祉施設についての、法人についての複式簿記のいわゆる導入というのはいまのようなものよりはよろしいからこれは賛成でありますが、伝票式に切りかえて、そして大きな施設も小さな施設も全国画一の伝票を使うということになっておるようであります。そして勘定科目を統一するというんでありますが、それは全国一律にそれほど可能であろうかどうか、そういうことを考えます。その実施要領について箱を設置しようというふうにも書いてあります。こういう経費は何万もある施設でありますから、伝票をそろえる、何をそろえるということになれば、これはどこが負担をするのか、恐らく都道府県ではないかと考えますが、こういうことで、社会福祉法人の経理についての準則をつくられる、こういうことでありますが、慎重に関係の府県とよく御相談をして行き違いのないように、どうしてもお金が要ることや指導がこれはできなきゃいかぬ。各府県が厚生省の指導について十分のみ込めてないと思われますので、以上申し上げ、御答弁を賜わり、私の質問を終わることにいたします。
#100
○政府委員(石野清治君) 幾つかの問題がございましたが、まとめて御答弁申し上げたいと思います。
 第一点の国立コロニーの閉鎖問題でございます。御存じのとおり、国立コロニーは総合福祉施設といたしまして開設以来ちょうど五年たったわけでございます。その間、私どもも大変これにつきましては力を入れてまいりまして、特に入所者の処遇の問題、それから職員の待遇の問題等十分意を尽くしてまいったつもりでございます。特に五十一年度におきましては約六億九千万のいわば運営費のプラスアルファの助成をいたしております。そういうことによりまして、私は他の公立あるいは他の民間の法人立、そういうものよりもかなり有利な労働条件、賃金、そういうものになっておると思うわけでございます。しかしながら、最近の状況を見ますと、職員の処遇問題等をめぐりまして労使間の紛争が絶えないのは大変遺憾に思っておるわけでございまして、実は、特に群馬県内の、近くにございます民間の施設の方からも、そういう恵まれた条件の中でなぜそういう長い闘争をやるのかというような非常に強い批判がございます。そういうことであればわれわれ民間の方も非常に苦しいわけなんで、かえって迷惑であると、こういうようなこともございまして、そういうことが実はコロニーの役員の方の耳にも入っているというのが実情でございます。そういうことから、恐らくこれはコロニーについて廃止するのではないかというような、そういう伝聞事項として伝わったと言いますけれども、私どもは実は現在の段階でそういうことを考えておるわけではございません。やはり国立の施設でございますので、あるいは公立、私立の指標といたしましてりっぱな施設であるように願っておるわけでございまして、今後ともその点についてはさらに役員等を指導監督いたしましてりっぱな施設になるように努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから第二の点でございますけれども、第二の点につきまして「島田」とかあるいは北海道の「あしりべつ」、そういうところでも労使紛争が生じておるというようなお話でございます。いろいろ形態は違いますけれども、確かにそういう点がございます。私ども重症心身障害児の施設というのは大変苦労が多いところでございますので、御案内のとおり、重症指導費という形で特別の予算措置をいたしております。五十一年度につきましても約九万七千円の予算を計上いたしまして四月一日から措置をいたしておるわけでございます。そういう措置をいたしておりますけれども、なおかつ施設によりましては労使間の問題で必ずしもこれは経営者だけを責めるわけにはいきませんけれども、経営者の方でもできないことを約束してしまうと、そういうことから逆に労使間の紛争が起こる、こういうこともございますので、私どもは各施設に対しましては、できるものはできる、できないものはできないと峻別をしてはっきり答えろと、こういうことを実は言うておるわけでございます。そういうことでございますけれども、なお今後とも私ども指導を十分いたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから第三の国立コロニーにおきます処遇単位の問題でございます。御案内のとおり、団体交渉の結果につきまして当面二十名の単位を目標としてこのための施設整備、職員の確保に努めることと、こういうことが実は労使間の交渉の結果成りまして文書で取り交わされております。これは確かに現在二十五名の単位でやっておりますけれども、これが二十五名で絶対いいのかどうか確かに問題はございます。さればといって、これは何名にしろというような定説もございませんで、やはりこれは経験的に積み上げていかなきゃならぬと、こういうふうに考えておるわけでございます。私どもそういう団体交渉の結果が決まっておりますので、いろいろ反面非常につらいところがございます。定員の確保の問題でも非常につらいところがございますけれども、さらにそういう困難を承知の上で努力はしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから最後に、施設の経理準則の問題でございますけれども、これはむしろ社会福祉法人の側からも非常に強い要望がございまして、いまの経理につきまして各施設ばらばらであると、そこで何か国の方で統一した、規則じゃございませんけれども、規則に準ずるものを示してもらって、それで各施設がそれに従った方がむしろやりやすいと、こういうような意見が非常に強いわけでございます。そういうことで今度準則をつくったわけでございますけれども、いろいろ試行錯誤の段階でございますので、御指摘の点もいろいろございますけれども、さらに実情に合うように今後とも準則の改正等については検討してまいりたいというふうに考えております。
 なお、経費の問題ございましたけれども、これは実は各社会福祉法人施設には庁費というのがございまして、庁費の増額を大幅にいたしておりますので、その庁費でやっていただくと、こういうふうになるわけでございます。
#101
○片山甚市君 それと、知恵おくれなどの施設の定員の開差についてお伺いしておきます。
 特に私はつけ加えて申し上げておきたいのは、社会福祉法人の経理処理の準則についてきちんとする必要があろうと、私も施設を持っておる立場で賛成なんです。しかし、画一的にやる前に、県単位というか、都道府県単位ぐらいで合意をきちんと得るようにして、お役所から言うと、もうすぐに、厚生省が言っておることだといって押しつける癖が府県にございますから、できるだけその地方の、うんとたくさんあるところにはあるように、施設の少ないところには少ないように、監督をする場合でも違うでしょうから。――それから、経理の方法もカード、いわゆる伝票が全国一律であってよろしいと言うけれども、大きい施設も小さい施設も、いわゆる五百名おる施設も三十名の施設も同じだというような考えのように大阪府ではお聞きをしておるわけですが、これは私のとらないところです。
 特に最後に意見を述べておきますと、「島田療育園」のような場合は、東京都、埼玉、神奈川などがお世話になっておる関係もありますが、それぞれがお金を出し合って、ことしは三千五百万円ぐらいでございましたが、労使紛争が起こりますとまた急遽ひたいを集めて御努力をしておるようです。ですから、基本的に重症心身障害施設については御配慮を賜っておるものと思いますが、一段とお力をいただきたい。
 最後に開差の問題だけお答えください。
#102
○政府委員(石野清治君) 大変失礼いたしました。開差問題でございますけれども、これは実は五十年度と全く同じに考えておりまして、変えるつもりはございません。
#103
○片山甚市君 わかりました。
 終わります。
#104
○委員長(戸田菊雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩をいたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十一分開会
#105
○委員長(戸田菊雄君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、原子爆弾被爆者等援護法案、戦時災害援護法案、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、健康保険法等の一部を改正する法律案、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、質疑を続けます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#106
○粕谷照美君 私は、最初に厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 私ども社会党の年金改革の基本目標を申し上げますと、一つは暮らせる年金であり、一つはわかりやすい年金であり、三つ目には国民がコントロールをできる、つまり資金をコントロールできる、そういう年金体系をつくりたいというふうな考え方をとっております。そのためには、一つにはおくれた制度を底上げするということが必要でありましょうし、二つ目には各種年金の統一的な改善というものが必要であるというふうに思います。特に労働者年金の一元化と賦課方式ということに対して抜本的な改革が必要であるというふうに思いますけれども、総理府設置の公的年金制度連絡調整会議というのがありますけれども、それは一体現在のところどのようなところまで検討が進んでいるのでしょうか。
#107
○政府委員(曾根田郁夫君) いまお尋ねの件は、公的年金制度連絡調整の会議の御趣旨と思いますが、この会議は年金制度関係省庁の局長クラスで構成している会議でございまして、昨年、現在御審議願っております改正法案の中の一つの柱でございます各種制度を通ずる通算障害遺族年金の通算の問題がございましたので、これを精力的に行いまして、その後、遺族年金の給付率引き上げということが問題になりまして、それについて引き続き検討をお願いしたのでございますが、結果は今回御審議願っております法案の寡婦加算ということになったわけでございまして、今後随時いずれにいたしましても各制度共通の問題がいろいろございますので、今後随時この連絡会議の場で各種制度共通する問題を検討してまいりたい、いまのところ具体的に当面さしあたってどうという議題はございませんけれども、この場を活用してまいりたいというふうに考えております。
#108
○粕谷照美君 大変簡単な説明で終わっているわけですけれども、もう少し大きな基本目標というようなものについてどのように動いているかということ。
#109
○国務大臣(田中正巳君) いま御質問があって年金局長の答えたのは、総理府にございます各省庁で扱っている長期給付の年金を事務的にこれを打ち合わせるものでございます。その意味では、やはりいろんなことをいままでもやっておりますが、問題は粕谷先生がおっしゃるようにもう少し基本的に、しかもクリエイティブに問題を前進させるということになりますると、これはあそこで万事を切り盛りするわけにはいくまいということでございます。おっしゃるとおり、公的年金についてはこれをいろいろと制度間を調整しなきゃならぬ問題がたくさんございますので、私どもとしてはそうした方向に年金の財政方式なども踏まえ、改正なども踏まえてこれはやはり討議をして成案を得るようにしなければいくまいというふうに思っております。
 そこで、やはり私ども厚生省は、厚生年金と国民年金、船保の一部でございますが、こうしたものしか扱っておりませんが、やはりこうしたものについての最大の経験を持っている、また関心を持っている役所は厚生省だろうということで、やや本来の職責とはオーバーするかもしれませんけれども、各種の公的年金の総合調整的な検討を実はやるべきだということで今日まで役所の内部でもっていろいろ事務的に検討もし、これについてのプロジェクトチームをつくってやってきたわけでございますが、やはり問題が非常に複雑多岐にわたるものでございますから、先般年金制度基本構想懇談会、年金懇というものを私の私的諮問機関としてつくりまして、そうしていまいろいろとこの問題について掘り下げて検討いたし、できるだけ早く成案を得るようにいたし、その場合場合によっては、さっき申した公的年金制度連絡調整の会議ですか、等にもお諮りをすることがあろうと思いますが、そうしたことで進みたいというふうに思っております。
#110
○粕谷照美君 情勢はわかりましたけれども、私的諮問機関と公的諮問機関二つあるわけですね。大臣の私的諮問機関ということになりますと、これからずっと大臣が厚生大臣をおやりになっていらっしゃる間だけそれが続くのか、厚生大臣がおかわりになってもその私的諮問機関が効力を発揮するのかということについてはいかがですか。
#111
○国務大臣(田中正巳君) これは法律に基づかないものですから私的諮問機関と、こういうわけでございますが、これは決して厚生大臣田中正巳の私的諮問機関じゃございませんで、厚生大臣の諮問機関でございますから、私の後にどなたがなってもこれは動いていくものというふうに考えます。
#112
○粕谷照美君 実に細かなことなんですけれども、そのメンバーが先日新聞に発表されたように思います。その中に、女の人は一体代表は何名入っておりますでしょうか。
#113
○国務大臣(田中正巳君) お一人であったというふうに思います。
#114
○粕谷照美君 大臣、昨年は国際婦人年で、非常に婦人の地位の向上だとか、婦人の意見を代表するような場所を与えよとか、婦人を参加させよとかいうことがいろいろ言われたわけですが、特に年金問題は女の老後にとっては非常に大きな問題だというふうに思いまして期待が大きいわけです。よね。特に女の年金問題の中でも老後が暮らせないような状況になっているいまの年金制度の中にやっぱり私は婦人の代表を入れていくということが大事だと思います。女であればだれでもいいというんじゃなくて、年金問題についてやはり学識経験者は婦人の中にもずいぶんいると思うんですが、その中になぜ一人しか入れなかったのか。今後入れるお考えがあるのかどうかということについてお伺いします。
#115
○国務大臣(田中正巳君) 私もこの懇談会の中に御婦人の代表がいなければおかしいと、こう思います。そこでいろいろと人選をいたしまして、お一人お願いをしたわけですが、年金制度というのは言うべくしてなかなか実は複雑でございまして、これについて専門的な御討議を願うということについては人選が、いないわけじゃございませんが、なかなかめんどう。それからこれは婦人の年金における立場というものは、私もそうですし、世間もそうですが、いまや年金問題の相当の根幹部分をなす問題であるというふうに認識をしております。およそ年金を論ずる場合、婦人の立場を忘れて年金を論ずることはできないというのはこれは事実だと思うのであります。それだけにいまの制度がよくないといえば完成しなきゃなりませんけれども、そういうわけで妻の年金権などという問題がよく出ておりますが、そうしたことを踏まえて、これだけの学識経験者の方々、これはいずれも私は婦人の年金の問題については十分の配慮をしていただける熱心な方々だというふうに認識をいたしております。
#116
○粕谷照美君 私はそういう方々が婦人の年金権に、問題について決して不十分な理解を持っていらっしゃるというふうには思って言っているわけではないんです。たとえば、共済組合の年金の中で、一番共済組合の年金が私どもにとってみれば、婦人の権利というものが認められている条件というのは一体何になっているかと言えば、その運営審議をする場所に、やっぱり婦人の代表が入っていったということが一つ大きな問題点、大きな柱だったというふうに思いますので、この点については十分今後御配慮をいただきたいということをお願いいたします。
 さて、生活できる年金であるかどうかという、その問題点に入りますけれども、社会保障制度審議会の意見書は、現在の福祉年金は拠出制国民年金制度の発足がおくれたために、これに加入する機会を与えられなかった人々が受給しているもので、その次が大事なんですがね。当然今日では生活保障的な色彩を加味すべきであると、こう指摘をしているわけですが、この点は大臣いかがでしょうか。
#117
○国務大臣(田中正巳君) 福祉年金につきましては制度発足の当時、これが経過的、補完的年金であるというふうに認識をされておりました。しかし、その後次第に福祉年金に対する国民の感覚が微妙に変わってきたということは事実だと思います。私どももそれを踏まえまして努力をいたしておりますが、しかし、実際問題として、これは一般会計にのみ依存をしているということで、給付額について思うようにいかないという一面がございますが、いずれにしてもこの年金の性格というものは微妙に変わりつつあるということは事実だろうと思います。したがいまして、いわゆる生活を支えるに足る給付というふうなものを目指しておるというふうに私どもは認識をしているわけであります。つまり、そうしたものを目指して、そのオン・ザ、上にあるというふうにわれわれは考えて努力をしているところでございます。
#118
○粕谷照美君 目指していることは結構なんですけれども、微妙に変わりつつあると、こういう御説明がありましたが、発足当時の千円ですね、あめ玉年金と、こう言われましたけれども、その年金は当時の生活扶助基準の大体何%ぐらいだったでしょうか。
#119
○政府委員(曾根田郁夫君) 約半分程度であったと承知しております。
#120
○粕谷照美君 私も調べてみましたら五〇%程度だというふうに思いました。それで四十九年には七千五百円になりまして、これを計算してみますと五二%で、若干上積みされているように思います。昨年は一体幾らだったでしょうか。一万二千円になりましたけれども。
#121
○政府委員(曾根田郁夫君) 老齢福祉年金は五十年度では一万二千円に引き上げられております。
#122
○粕谷照美君 お金じゃないんです。本当に去年は一生懸命にがんばったと政府の方でもおっしゃって、七千五百円を清水の舞台から飛び降りるような気持ちで一万二千円にしたと、こうおっしゃいますけれども、生活扶助基準に比べるとパーセンテージはどのくらいになっているかという質問なんです。
#123
○政府委員(曾根田郁夫君) 五十年度の生活扶助基準で申し上げますと、七十歳の男子単身世帯の場合に一類、二類合計の扶助基準は一級地で二万八千十二円。四級地で二万四百三十八円、これは年度当初の基準額でございますが、という数字になっております。
#124
○粕谷照美君 答えてない。――数学に弱いからやってください。
#125
○政府委員(曾根田郁夫君) 一級地、四級地等の平均の問題ございますけれども、おおむね私どもやはり生活保護基準との対比で申しますと、これは厳密に意識しているわけじゃございませんけれども、大体当初のレベル、考え方としてはバランスがとれているんじゃないかというふうに考えております。
#126
○粕谷照美君 だめですよ。私が質問をしたのは、発足当時の千円の年金が生活扶助基準に合わせてみれば大体五〇%だと局長おっしゃるから、私もそのとおりだというふうに思っているわけです。四十九年が五二%で、上がっているわけですよね、パーセンテージで言えば。で、一万二千円のそれは、私は四〇%ではないかというふうに思いますが、いかがですか。額で答えないでいただきたいんです。
#127
○政府委員(曾根田郁夫君) この一級地の基準額で見るか、四級地のそれで見るか、いろいろ御議論があると思うのです。そこで、実はたまたま三十四年の福祉年金発足時には生活扶助基準との対比ではそのような数字が出されておりますけれども、これは厳密に制度当初福祉年金は半額ということで割り切った、そういうところから出てきたものではなくて、むしろ財政事情その他から、まあ多少少ないかもしらぬけれども、当初のレベルとしては千円というようなことで設定されたような経緯もございまして、私どもその後福祉年金の改善、ずっと努めてまいりましたけれども、少なくとも生活保護基準との対比でどうこうということではなくて、もちろん財政事情もございますけれども、一方ではやはり生活保障的性格を加味するというようなこともございますし、他方ではやはり拠出制年金、拠出制の国民年金とのバランスもございますので、そういったことを総合的に踏まえながら、この基準設定をいたしているわけでございまして、生活保護基準そのものの二分の一とか一定割合という考え方は福祉年金については私ども特に持っておるわけではございません。
#128
○粕谷照美君 厚生省がそういうふうに考えているということはわかっているんです。わかっているんですけれども、私が質問するのは何%ぐらいに当たりますかという質問なんですから、実に単純明快にお答えいただければいいというふうに思うんですよ。
#129
○政府委員(曾根田郁夫君) お尋ねの点で申し上げますと、少なくとも一級地の二万八千――約二万八千円でございますから四十数%、五〇%にはなっていないことは事実でございます。
#130
○粕谷照美君 よくわかりました。それでもまあ昨年よりは上がったということにはなりますですね。そうすると、ことし一万三千五百円になりまして、そういう計算でいきますと、ことしはどういうふうになりますか。
#131
○政府委員(曾根田郁夫君) ことしの年度当初の生活扶助基準は、一級地では三万一千五百十一円、一類、二類計でございますから、やはりこれは四〇%少々、五〇%にはいずれにしても達してないかと思います。
 なお、御参考まででございますが、四級地の場合は二万三千円でございますから、この場合は五〇%を超えておるということでございます。
#132
○粕谷照美君 私どもは、とにかくこの数字では食べていかれないという考え方に立っているものですからいまのような質問をしたわけです。厚生省のお考えは、拠出制年金とのバランスもこれありという考え方に立っているようですけれども、私たちは年をとった方々に、大体が生活保護法で生活をしなさいというような、こういうことはおかしいのではないか。みんな六十五歳以上の高年齢者については年金で生活できるような条件というものをつくっていくのが必要なんではないかと、こういうふうに思っているものですからいまの質問を申し上げたような次第です。ですからそういうことも含めまして以後御検討をいただきたいというふうに考えているところです。
 次は、年金の処理の事務体制についてお伺いをしたいというふうに思うのですけれども、この事務体制について何か指摘があったことがありませんでしょうか、審議会から。ありましたら、どういうふうな指摘があったかということについてお伺いします。
#133
○政府委員(河野共之君) 事務処理体制につきましては、社会保険審議会、それから国民年金審議会等から厚生大臣に対する意見書として、事務処理体制について改善を図るべしということで御意見をいただいております。その中身といたしましては、制度の改善とあわせまして、事務処理体制の面でも国民サービスの向上の見地から改善を検討すべきであると、こういうような御意見をいただいております。
#134
○粕谷照美君 ところでいまのところ、受給者が大体どのくらいで、受給者の数はすぐわかると思いますけれども、社会保険の相談件数ですね、四十九年、五十年ぐらいの数字がわかりますでしょうか。
#135
○政府委員(河野共之君) 受給者数は五百万人でございまして、相談件数の点でございますけれども、杉並にございます業務課につきましては来訪をいたしまして個別に相談に乗ったケース、昭和四十八年度におきまして一万三千三百七十七件、昭和四十九年度が一万六千八十九件、五十年度の見込みでございますが、一万九千三百七件と、こういうことで来訪して相談される方の数は毎年二割程度増加しておると承知しております。
#136
○粕谷照美君 電話だとか手紙だとか、やっぱり相談があるんじゃないですか。そういうものは相談件数の中に入れないというのは一体どういうことですか。来なければ相談にならないというふうに考えての統計ですか。それとも私が事前通告しなかったから、そこまではちょっと調査が行き届かなかったというあれですか。
#137
○政府委員(河野共之君) 電話の点でございますけれども、これは前に国会でも御指摘がございましたように、電話の相談件数というのは非常な数に上っておるわけでございます。いま手元にどれぐらいの照会があるかというようなことはちょっと手元に数字がございませんけれども、もちろん電話による相談も重要な相談と考えているわけでございます。ことに御老齢の方が多いために電話よる相談と申しましても、一件当たりの時間が十分とか二十分、長いのは三十分というようなことになるような状況で、私どもとしましても、電話による相談の充実というようなことについて十分配意していきたいと考えております。
 それからはがきその他による相談件数も相当あるわけでございますが、ただいまちょっと手元に数字を持ち合わせておりません。
#138
○粕谷照美君 私が、時事通信の「厚生福祉」というのがありますが、あれをずっとこう見ておりましたら、社会保険の相談件数が四十九年で五百七十万件になっているんですね。この辺のところはどういう関係になっているかわからないんですが、五十年、昨年は七百万件だというふうに書いてあるんです。それでびっくりいたしましてこれだけの相談件数を受ける社会保険事務所体制というのは一体どのくらいあるんだろうか、こういうふうに思っていまの質問をしているんですが、この事務所の数は何カ所で、大体そういうところに年金についての専門官、相談にぴしっぴしっとすぐその場で答えれるというような方々はどういうふうに配置されておりますか。
#139
○政府委員(河野共之君) ただいま五百万件という相談件数のお話がございましたが、その数字といたしましては、これは社会保険事務所、全国の社会保険事務所等の数字を合計したものだと思われますが、昭和四十九年度におきまして、これは厚生年金、国民年金両方合わせまして、また電話による照会、面談、あるいは文書による照会、こういうものを全部合計いたしまして、四十九年度年間におきましては約四百七十一万件の照会がございました。五十年度におきましてはこの数が約六百万件を超すのではないかというふうに考えております。それから、これに対応します相談体制としましては、現在社会保険事務所二百五十五カ所ございまして、ここにおります職員が一応相談に乗っておるわけでございますが、主要な相談といたしましては、杉並にございます業務課、これがコンピューター五台備えておりまして、来年度さらに一台増設する予定でございますが、ここの業務課の職員としては五百四十名、それから地方の職員といたしましては、合計いたしまして一万五千名の職員がおるわけでございます。年金関係の職員、ちょっと数字後で調べたいと思いますけれども、これらの職員が相談業務に従事しておるわけでございます。そのほかに社会保険相談員という者もおりまして、これが健康保険あるいは年金等の相談に応じておるわけでございます。
#140
○粕谷照美君 同じく先ほどの時事通信の資料によりますと、年金専門官は全国で五百八十六人だと、で各事務所に二人あるいは三人ぐらいしか配置されないと、こういうことになっているというふうになっておりまして、そういう体制ではやっぱり審議会から指摘をされるのもやむを得ないなというふうに思うのですね、これに対して本年度指摘をされたことに対して、予算措置なり、事務局体制なり、どのようなことで努力をされたのでしょうか。
#141
○政府委員(河野共之君) 相談の中心となりますのが、主としまして給付の問題等でございまして、これらに対しましては、業務課に対する照会が中心になるわけでございまして、私どもといたしましては、本年度におきまして、コンピューターを一台これを増設いたしますとともに、VDTと申しまして、即時に記録がテレビの画面にあらわれてくる端末機があるわけでございますが、それをさらに二十三台増設すると、こういうようなことと、それから電話の交換台等の増設、それからこれに伴う職員等の増員も行ったわけでございます。それからまた地方に対しましては、現在四カ所の地方都市に年金相談コーナーを設けまして、VDTという端末装置、テレビの受像機のような装置でございますが、これを業務課と直結いたしまして、直ちに地方都市で受給者の相談に応じ得る、こういうような体制を整えておるわけでございます。この年金相談コーナーにつきましては、将来ブロックに一カ所程度は整備してまいりたいと考えておるわけでございます。
 それから先ほどお話のございました社会保険相談員、五十年度五百八十六名でございますが、五十一年度におきましては三十名の増員を図りまして、六百十六人といたしておるわけでございます。
#142
○粕谷照美君 努力は大変よくわかりました。とにかく退職をした人たち、あるいは老齢になった方々が一刻も早くほしい年金でありますので、十分相談体制に応じられますように、今後とも努力をしていただきたいということをお願いをいたします。
 次に、ちょっと女の年金問題について集中的に聞いてみたいというふうに思います。
 大体老後の問題は女の問題だと言われているわけですが、それはなぜかといえば、平均寿命にしても男よりも五年ほど長いし、結婚年齢が低いわけですから、大体夫の方が早く死ぬということで、そういうことを私どもは考えておりますが、この高齢の女の人たちの年金額の平均は、男の人に比べて低いというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#143
○政府委員(曾根田郁夫君) 一般的に申し上げますと、やはり女性の方は男子に比べまして賃金が低いわけでございますので、年金額といたしましては平均額をとらえてみますと、どうしても低くなっておる。ただし厚生年金の場合、御案内のように定額部分というものがございますから、そういう意味で男子と比べると定額部分が年金額算定の基礎になっておるという意味では非常に有利な扱いを受けているということも言えるかと思います。
#144
○粕谷照美君 そういう有利なところも私どもは知っていますけれども、それでもやっぱり格差が大きいということは、非常に大変なことだというふうに思いますが、その一体格差が出てくる理由は、賃金が低いというだけではないのではないかというふうに思います。その辺のところをどのように考えていらっしゃいますか。
#145
○政府委員(曾根田郁夫君) やはり一番大きな理由は賃金が低いということ、それから平均いたしますと在職期間といいますか、年金の加入期間が男子に比べて一般的には短いということがその理由だろうと思います。
#146
○粕谷照美君 そのとおりだというふうに思いますけれども、では一体なぜ勤務年数が短いのかといえば、長く働いていたいなと思っても働けない条件というものが社会的にあるわけですから、この辺の整備は、厚生省は特に保育所の担当省庁でもありますし、また育児休業なんかについても非常に大きな関連を持っておる省庁でもありますから、そういう条件の整備に努力をしていただきたいというふうに思いますし、また、労働省に対してはやっぱり若年定年制というものがまだまかり通っているような状況、男女差別があるというこの労働行政を改めていくように私どもも要求いたしますけれども、厚生省といたしましても政府の問題なんですから一緒にこの辺の取り組みをお願いをしたいということを申し上げて、時間がありませんから次に移ります。
 厚生年金の中に女子の脱退手当金制度というのがありますけれども、この受給の傾向は最近はどういうふうになっておりますでしょうか。
#147
○政府委員(河野共之君) 脱退手当金の受給者でございますが、毎年減少の傾向を示しております。その状況を申し上げますと、昭和四十五年度におきまして脱退の受給者数十八万六千人、四十六年度が十六万一千人、四十七年度十二万五千人、四十八年度は八万一千人、四十九年度六万一千人、五十年度の見込みといたしまして約四万六千人と見込んでおりまして、四十五年度を一〇〇といたしますと、五十年度の見込みでは二五%と、こういうような数字になるわけでございます。
#148
○粕谷照美君 こういうふうに激減をしてきているということについて厚生省としてはいいことだというふうに、望ましいことだというふうにお考えになりますか、あるいはまた原因は一体どういうところにあるんだというふうにお考えになりますか。
#149
○国務大臣(田中正巳君) 本来女子の脱退手当金というものは年金制度としては私は余り結構なものではないというふうに思っておりまして、実は率直に申しまして、これについては廃止をしようということを提案したことがございますが、やはりいろんな方面からなお残しておいてくれということで、私ども与党の議員のころに妥協をいたしました覚えがございます。これはやはり女子が一生を通じて、やはり通算制度等によって脱退手当金などというものを一時的にもらって、年金権を一時失うということではなしに、やはり通算制度等を通じて本人が老後に、あるいはその他の事故のときにましな年金をいただけるようにしていくのが私はいいことだと思います。
#150
○粕谷照美君 大臣は私と全く同じ考え方で大変喜んでいるわけですけれども、この制度は五年ごとの時限立法ということになっておりまして、五十三年の三月で切れるということではないかというふうに思うんですね。そのときの覚悟というんですか、いま、まあ五十一年度ですからまだ来年のことを言えば鬼が笑うから答えられませんなんと言われると困ってしまうんですが、よろしくないことであればやっぱりやめるということが正しいんではないか、そういうことになれば廃止をするというところに至るまでに、急遽廃止をしたんでは困るわけですから、なぜそういうことになるのかというこのPR、積極的な宣伝というものを一年あるいは二年かけてやっぱりやっていく必要があるんではないかというふうに思いますので、その辺のところをお伺いしたいというふうに思います。二年前にある大手の紡績企業の募集広告を見ましたらね、うちには退職するときにこの脱退手当金も含めて幾ら幾らあげますよなんていう、こういうのが出ているんですね。そんなことがあったんではやっぱり婦人の老後は守れないというふうに思いますので、積極的な政府の動きというものについて私は期待をしたいというふうに思いますが、いかがですか。
#151
○政府委員(曾根田郁夫君) まことにごもっともなお尋ねと存じますが、現在の特例措置は五十三年の五月末まででございまして、このまま特段の措置をいたしませんと期限が参りますと特例措置はなくなると、そういうことでございまして、今回改正案にこの取り扱いについてどのような態度をとるかにつきまして審議会でいろいろ御議論があったんですけれども、大体労働関係の委員の方方ももう再延長は考えなくていいではないかという御意見でございますので、私どもも特段のことがなければこのまま推移さしていきたいというふうに考えております。
#152
○粕谷照美君 特段のことがなければなんと言って、またこれが特段ですなんて出てくると困りますので、やっぱり廃止をするんだという決意を、この次またお伺いしますから早急に立てていただきたいというふうに思います。
 次に、前々から問題になっておりましたサラリーマンの無業の妻の年金ですね。国民年金が任意加入ということになっておりますけれども、厚生年金そのものが夫婦二人の老後を保障するということになっていればなるほど任意かもしれませんけれども、最近のこういうような状況の中で、実質的には年金権が全然ゼロになるという妻が出てくるわけですね。そういうことについて厚生省の方ではどういうふうにしたらいいんだという考え方を基本的に持っていらっしゃるかということをお伺いしたいし、現実には国民年金にも加入をしていないサラリーマンの妻がいまのところどのくらいいるというふうに把握をしていらっしゃいますか、推計ですけどね、これは。
#153
○政府委員(曾根田郁夫君) この被用者の妻の取り扱い非常にむずかしい問題でございまして、考え方としましてはこの厚生年金被用者年金制度の方で妻の処遇を図るべきであるという御意見と、国民年金の方で現在の任意加入を強制適用にして取り扱うべきであるという実は両論がございまして、非常にむずかしい問題でございますが、これはやはり今後の一番大きな問題の一つと思われますので、十分検討いたしてまいりたいと、数字のお尋ねございましたけれども、私どもの推定では被用者の妻とされる方々約九百万人程度と推定いたしておりますが、その方々のうち約三分の二の六百万が現在国民年金へ任意加入をいたしておるわけでございます。
#154
○粕谷照美君 そうすると入っていないという人が三百万人ぐらいということになりますね。去年あたりのこの推計では四百万から五百万人ぐらい入っていないだろう、こういうことが言われていましたから、百万人が一年間の間にどっと加入をしたという、この人たちがこんなして加入したということをどういうふうに分析をしていらっしゃいますか。そしてあわせて加入をしていないいまの三百万人の人たちは知っていて加入をしないのか、そういうことについて無関心というのですか、わからなくて入っていないというふうに推測をされていますか、どうでしょう。
#155
○政府委員(河野共之君) 任意加入の被保険者についてでございますが、昭和五十年の三月に四百九十五万人でございましたのがことしの二月には五百八十万人ということで約八十五万人ほどふえておるわけでございます。これはいわゆる年金時代を迎えましてかなり国民年金等が普及をしたと、こういうようなことがその理由として考えられるわけでございます。
#156
○粕谷照美君 国民年金が普及したなんというのは当然のことなんですけれども、国民年金に入っていると、こういう有利さがあるんですよ、われわれの老後が守れるんですよというふうなことが普及をしたというふうになるんですか、ただ事務的なことが普及をしたというふうに考えていらっしゃるんですか、何か答えがピントを得ていないんです。
#157
○政府委員(曾根田郁夫君) 最近の任意加入の非常な増高傾向大変喜ばしいことと思っておりますけれども、一番の大きな理由は、四十八年の年金制度の改正によりまして年金レベルが大幅に上げられたと同時に、物価スライド制が導入されまして、この物価スライド制がたまたまタイミングよくと申しますか、その後の異常な経済情勢に対処して一応有効な機能を果たしたということから、まあ、何と申しますか、やはり従来は比較的関心のなかった人がこれは国民年金というのはやはり、ちょっと言葉としてはあれなんでございますが、貯蓄として見ても非常に有利なものだというようなお考えの方もおありのようでございます。ただ私どもやはりいろいろな方と接しておりますと、そういう立場で積極的にお入りになる方が大部分ではございますけれども、一部の方は、やはりこれは負担との見合いもございますから、まあ厚生年金である程度の生活処遇が図られるというようなことで、そういう方もいらっしゃいますけれども、まあ大部分は以上のような理由だと思います。
#158
○粕谷照美君 私はそれは厚生年金だけでは生活できないし、ましてや遺族年金になりますと、もうとてもじゃないけど生活できないということがよくわかって、そして国年に入っていなきゃいけないんだということを痛切に感じたから入るようになったんだというふうに思います。ですから積極的にこのことを無業のサラリーマンの妻にPRすると同時に、夫たちにも理解をさせて、年金についての国民的なコンセンサスを早く得させる、そして無年金で老後を生活していかなきゃならないような人間がいなくなるような制度を早くつくり上げるんだという体制を早急にとっていただくように要望をしておきます。
 遺族年金についても質問をしたいところですが、もう一本法律について質問しますので、私は年金についてはこれだけでやめておきます。というのは、衆議院の方でわが党の主張も入りました一部修正も含めた原案が出ておりますし、また附帯決議も通っているから、この辺でやめておきたいというふうに思います。
 次に、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 大臣のところにこういう資料を持って被害者の方々が何かお話に行っておりませんでしょうか、いろいろな資料を持って。
#159
○政府委員(佐分利輝彦君) そのような資料をお持ちになっていろいろとお話を承っております。
#160
○粕谷照美君 厚生省には行っているわけですね。で、私もきのう実は部屋の中へ飛び込んだとたんにこの資料が目に入りまして、ページを開いていきましたら、本当に大変な写真が載っておりますし、大変な数字が載っているんですね。まあ私も教師をしていたものですから、小学校三年生でほうそうをやらせるわけですよね。で、そういう中で子供たちがやっぱり事故に遭っているという、この現実を知っているものですから、胸を痛めまして、本人はもちろんですけれども、関係の御両親の方々、周囲の方々が大変な思いで皆さんのところに出ていらっしゃるんだろうというふうに考えまして、この法律案の中身について質問をしたいというふうに思います。
 最初に、予防接種による被害に対して、四十五年、厚生省がとった当面の緊急措置によるいわゆる数字ですね、何人どのように該当したか、者数あるいは審査数あるいは認定数、これは死亡だとか一時金だとか、あるいは医療費だとかと、こういうものをちょっとお知らせください。
#161
○政府委員(佐分利輝彦君) 今年三月末の数字でございますが、閣議了解事項制度に基づいて申請をされた総人員は約二千四百名でございます。そのうちすでに認定を終わっておりますものが約千六百名でございまして、その内訳でございますが、死亡なさいまして弔慰金を差し上げた方が四百九名、それから障害が残りまして、障害一時金を差し上げました方が約三百名、それから医療費の公費負担をいたしました方が八百八十八名となっております。
#162
○粕谷照美君 その数字の中で後遺症一時金の中で最も多いのは一級、二級、三級ありますけれども、どの級に該当いたしますか。
#163
○政府委員(佐分利輝彦君) 後遺症一時金で最も多いのはやはり一級でございまして、二級の約二倍強、三級の約二倍弱程度になっております。
#164
○粕谷照美君 大変なことですね。重い数の方がよけいで、それよりも軽い数の方が少ないということは、もう本当に悲惨な状況だというふうに思わないわけにはまいりませんけれども、まあ閣議了解事項にのっとって申請を受けたと言いますけれども、その申請をするようにという手続ですかね、どういうふうな申請を受け付ける体制をとられたのですか。
 それからあわせて、こういう人たちの追跡調査などをしたでしょうかということについてお伺いいたします。
#165
○政府委員(佐分利輝彦君) まず、閣議了解制度ができましたことは、国から都道府県に通達を発出いたしまして、また都道府県が管内の市町村に連絡をいたしまして、地元の市町村、また保健所、福祉事務所、こういったところが一体となってこういう制度の創設について普及を図ったところでございます。また、そういった予防接種事故被害者の追跡につきましては、障害等級の認定とか、あるいは医療の要、不要だとか、そういうふうな行政事務上の関係もございますので、一定の年限を置きながら追跡をしているところでございます。
#166
○粕谷照美君 先日お伺いしたところによりますと、まだ現在でも三百件ほどこの申請追加がたまっているというふうに出ているんですけどね、これからも出る、まあ、ことし起きた事故については出るでしょうけれども、古いものが追加をされて申請されるなんということがないというふうにお考えですか。というのは、これだけ有利な年金制度で、しかも大多数の人たちが入っているような年金制度ですら五年年金制度に入ることができなかった人たちがあの制度を知らなかったとか、あるいはこういうことについてはわからなかったなんというようなことをいまごろになって言ってこられる人たちがおるものですからね、それでそういう落ちこぼれがないかということについて心配をして質問するわけです。
#167
○政府委員(佐分利輝彦君) 現在におきましても二十年前、三十年前の事故の申請が少しずつ出ております。また、現に御指摘のような落ちこぼれがあるかないかという問題につきましては、これはやはりあると思います。ただ、その場合に、原爆なんかと同じでございますけれども、やはり何十年も前の事故ということになりますと、なかなか事実の証明関係あるいは医学的な証明関係、そういった点で非常にむずかしい問題がございます。これにつきましても地元の市町村が先頭に立ちましてできるだけの便宜を図っているところでございますけれども、どうしても資料の整わないというようなものが幾つか残っているように思います。
#168
○粕谷照美君 そういう方々に対してはもうできるだけ――もう普通の人たちだったら自分でやれるわけなんですから――十分な配慮がされるように厚生省としても指導をされるようにお願いをいたします。
 次に、厚生省のいままでの態度ともからまって、非常な疑問、疑惑というんですかね、不満がそういう方々から出されておりますので、私も伺いたいというふうに思うんですが、昭和二十六年以降WHOに種痘による死亡者数を厚生省はしているわけなんですから、だからこういう被害、副反応に気づいていたはずなんですけれども、厚生省として気がついたのは一体いつごろですか。こういう被害者の会の方々が申し出られてからですか。
#169
○政府委員(佐分利輝彦君) WHOに対しましては、昭和二十五年にWHOが設立されまして、で、その少し前でございますけれども、人口動態統計のための国際疾病死因分類ができております。その関係で各国とも予防接種による死亡者は人口動態統計の資料の一環として報告をしてきたわけでございます。そういう意味で日本ももちろん予防接種による死亡者がごくわずかではあるが、ということは知っておりました。しかし当時は、日本だけでなく世界各国もこれは予防接種によるやむを得ざる事故というように解釈してきたわけでございます。
#170
○粕谷照美君 当時はそういうことであったというふうに世界的にもあったということですが、いまは違うということに逆論を言えばなるわけですね。だからこそ閣議了解事項もあったし、この法律が提案をされたんだというふうに解釈をしてよろしいですか。
#171
○政府委員(佐分利輝彦君) 現在におきましても、基本的には現代医学によって開発された適正なワクチンによるやむを得ざる事故ということは、世界各国の医学のコンセンサスを得ております。ただその事故の処理につきまして、各国の間でいろんな違いがあるわけでございまして、たとえばアメリカとかイギリスは何もやっておりません。日本は四十五年から閣議了解制度を発足させておりました。西ドイツは一番早く、一九五二年から救済制度が発足したわけでございますが、ヨーロッパにおいても西ドイツ、フランス、デンマーク、スカンジナビア、こういった国がそれぞれの制度を持っているだけで、国際的に見てもまだ足並みがそろっている問題ではございません。
#172
○粕谷照美君 私が伺いたいなと思ったことに答えていただいていないような気がしてならないんですけれども、副反応の危険性を認識したというのはいつですかと、こういうふうにお伺いしたんですが、明確な御答弁がありませんでした。私はこの被害者の方々の大変な行動によって、ようやく厚生省としてもみこしを上げた。だからそれが昭和四十五年の七月だったというふうに思いますから、それでちょっと怠慢ではなかったかという指摘については、国民はそう思っているというこを言わざるを得ないというふうに思います。けれども、今度そういうことがきちんと閣議了解の中でして以降、予防接種に対してこういう危険性があります、政府としてはこういうふうな安全なワクチンをつくっているんです、予防接種をしたら、事故が起きたらこういう制度があるんですというようなことを国民に対してどのような方法で周知徹底をさせてきているというふうに思っていらっしゃいますか。
#173
○政府委員(佐分利輝彦君) 国民に対する周知徹底につきましては、まず県や市町村におきましては、各種の広報資料等を使いまして予防接種の実施前等にPRをいたしております。また国といたしましても、予防接種の心得といったようなハンドブックをつくっておますし、また予防接種リサーチセンターからいろいろな調査報告書を出しております。そのほか、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等の御協力を得ていることは御存じのとおりでございます。
#174
○粕谷照美君 テレビ、ラジオ、新聞、雑誌で御存じのとおりだと、こうおっしゃるんですけれども、それは三百件くらいの人たちが徐々に追加申請を出してきているということではわかりますけれども、まだまだ十分に周知徹底されていないのではないかという心配があって質問をしたわけです。一層の徹底方法についての研究もお願いをいたしておきます。
 四十五年の七月の閣議了解で国が救済措置をとったという、その基本的な理由は一体何ですか。
#175
○政府委員(佐分利輝彦君) 閣議了解制度の趣旨でございますけれども、これは今回御審議を願っております新制度の趣旨とほぼ同じようなものでございますが、予防接種法によります予防接種は社会防衛のために国民に義務づけたものでございますし、また関係者がいかに注意を払っても不可避的に事故が起こり得るものでございますし、さらに事故発生の危険がありながらあえてこれを実施しなければならないという特殊性を持っております。そのような社会的に特別の意味を有する事故に対しましてそれが無過失のものでございましても相互扶助とか社会的公正、そういった理念に立ちながら何らかの救済措置を講じなければならないという趣旨のものでございます。
#176
○粕谷照美君 私もそのように思います。では、その社会的救済制度というのは、この被害の重大性あるいは深刻性に対して果たして適当なものであるかどうかについての判断がこれは分かれるところだというふうに思うわけです。この被害者団体の皆さんからの御意見なんかはずいぶん皆さんのところに出ていると思いますが、その辺のところは一体どの程度取り込んで法律をつくったというふうにお考えになっていますか。
#177
○政府委員(佐分利輝彦君) 予防接種によります健康被害者に対します救済の具体的な措置につきましては、現在御審議を願っております法案が可決成立されたあと、できるだけ早く政令等で定めたいと考えておりますが、現在事務当局が考えておりますものは、他の関連する公的な補償制度、また被害者の実情、そういうものを考えまして、相応の給付水準にいたしたいと考えている次第でございます。
#178
○粕谷照美君 もうちょっと具体的に言いますね。国の責任についての批判の声のいろいろある中で、サーベイランス体制の確立をしているかどうかということが一つあるわけです。二番目には、安全なワクチンの開発改良などに努力をしているのか、研究費は大体どのくらいふえているか、あるいはチームの編成などはどのようになっているのかというのがありますし、三番目には予備検診体制をどういうふうにやっているというふうに皆さんの方ではつかんでいるか、あるいは副反応発生に備えて緊急体制なんかはどういうふうにやっているかという、こういうことをお答えください。
#179
○政府委員(佐分利輝彦君) まずサーベイランスの体制でございますけれども、すでに五年前から全国的にサンプルを決めまして血液をいただいてその血清を検査して各種伝染病の流行予測をするという体制を引いております。また一般的な患者発生流行の監視体制としては、もうすでに第一線の開業医の方々また各種小中学校等の学校当局の方々にお願いをいたしまして、地元の市町村、保健所、県の衛生研究所さらに場合によりましては医科大学並びにその研究所また国の方におきましては国立予防衛生研究所、そういったところのネットワークシステムができておりますけれども、それらについてシステムの合理化、近代化、強化というものを絶えず図ってきたところでございます。またワクチンの開発につきましては、たとえば御存じのように種痘の新しいワクチンLC16M8というようなものも昨年開発済みでございますし、また最近話題になっております風疹のワクチンもすでに昨年の秋製造販売の許可を与えておりますし、そのようにワクチンの新しいものの開発に努めると同時に、たとえば従来のワクチンの改良で、例といたしましては四十八年からインフルエンザのワクチンをかなり大幅に改良をいたしておりますが、そのような努力をいたしてまいりました。次に、予診、問診等の改善策でございますけれども、これは昭和四十五年の種痘禍事件の折、その秋、局長、課長等の通達を発出いたしまして予診、問診を徹底するように、特に予防接種の前にはお母さん方にアンケートを出して、それにあらかじめ記入していただいて厳重にチェックをするというような方法などを実施いたしております。また不幸にして副反応が起こりましたときの救急体制でございますけれども、これは種痘の場合が一番完備しておりまして、各都道府県にそのための委員会が設けてございます。東京にも設けてございますが、まあ、そこで種痘による副反応が起こりますと、現在の特効薬と言われておりますマルボランだとかVIGをその委員会の専門医の方がお届けになると同時に、その副反応の状態の診定、またその後の治療の指導等を現地でするというような体制がしかれております。それに準じまして百日ぜき、ジフテリア等で万一副反応が起こった場合には現地に早速専門医が駆けつけて御指導をするという体制をとっております。
#180
○粕谷照美君 私は時間が来ましたからこれで質問を終わります。
 いま局長からお話がありましたように、統計を見てみますと、四十五年の種痘禍事件以降、ずいぶん死亡弔慰金の数も激減していますし、後遺症に対する一時金の数なんかも非常に減っておりますから、その努力は非常に高く買いたいと思います。けれども事人命に関することであり、人の命に関することであり、健康に関することですから、今後とも改善努力をお願いし、先ほども全世界的にも余り数がないんだということをおっしゃいましたけれども、つくっていないアメリカやイギリスの例を挙げるのではなくて、まあ先進的な西ドイツの例なども十分参考にして、その法律なんかも前進的な解決が、前進面が見られますように、私どもも努力をする決意を表明しまして終わりたいというふうに思います。
#181
○小平芳平君 私は健康保険法等の一部改正の関係について初めに質問をいたします。
 田中厚生大臣もよく御承知のように、健保の改正のときにはいつものように抜本改正とか、あるいは政府のいつもの財政対策が政府は主眼であると、そういう財政対策主眼でなくて、より根本的に医療供給体制の整備、あるいは保険外負担、差額ベッド等、こうした解決が先決だという議論がいつもなされておりますが、そうした点についても今回ははなはだ不満足のまま、結局財政対策先行でそうした基本的な解決は後回しになったというふうに感じておられますか。
#182
○国務大臣(田中正巳君) 今回の健康保険法の改正に当たっての審議会答申で、やはり先生おっしゃるように抜本改正をやるべきであると、先生のおっしゃったような所説が述べられてあります。従来から健康保険法の改正法案を国会に提出するたびにこの議論が出るわけであります。
 で、抜本対策というものは一体どういうものであるか。古く、私若い議員のころ、日本医師会から抜本改正をやれといって話が出てきたわけであります。そのときに一体何であるかということについて概念規定がはっきりいたしませんでした。それからいろいろなところでいろいろなものが、手法が実は百花繚乱のごとくに実は出てきたわけであります。いまでも抜本対策というものをめぐって人、人によって考えるところがいろいろ違うというのもまた事実のようであります。しかし、なるほど医療保険制度には制度の仕組みあるいはあり方等々について基本的に考えなきゃならぬ問題がございますが、何分にも医療保険をめぐる世界は利害が鋭角的に対決をするという一面がございまして、なかなか思うように進まないということもまた事実でございます。しかし、われわれはこうしたことを考えまして、どうすればいいのかということをいろいろ検討してまいりました。抜本対策というものを、これを抜本策だと称してすべてを一遍に解決しようという態度では私は問題が解決しないと、お題目だけに終わるものだというふうに私は考えておりますので、やはり必要なものをステップ・バイ・ステップでやっていくというような方法の方がよろしいんではないかというふうに考えております。
 それにしても、いまの法案にはそういうことがないではないかというおしかりをいただくだろうと思いますが、こうしたことについていろいろといま検討をいたしておるわけでございまして、この中にいささか抜本ではございませんが、制度の改善という部面もないわけではございません。任継などに触れているところはややそれに類した、評価の問題もございますけれども、そういったような点もございますが、私どもとしてはやはり健康保険制度の、制度のあり方について基本的にやはり掘り下げていき、解決すべきものはできるものから手をつけていくというふうなことでやっていかにゃなるまいというふうに思っているわけでございます。
#183
○小平芳平君 そうした点についての検討をしているというふうに言われますところの内容を、どういう検討をどういうところでしていくか、あるいはそれはどういう目標で検討を進めていかれるか、そういうような点について明らかにできる点があったら御答弁いただきたい。
#184
○政府委員(八木哲夫君) ただいま先生からお話しございました医療保険制度をめぐります今後のあり方につきましての基本的な問題、これは数多くの問題があるわけでございます。そこで、実は今回政府原案としまして提出しました案を作成する過程におきまして、四十八年に、御案内のように、医療保険制度としましてはある意味では画期的な前進というのが図られたわけでございまして、四十八年の改正におきまして、給付率の面におきまして、家族給付率の引き上げなり、あるいは高額療養費制度の創設、あるいは医療保険、政府管掌健康保険制度におきます財政の安定を図るというようなことから、定率の国庫負担なりあるいは保険料率の調整に伴う国庫負担の連動規定というような四十八年の改正が行われたわけでございますけれども、しかしこれは非常に大きな、ある意味では画期的な前進であったわけでございますが、まだまだ残された問題が非常に多々あるわけでございます。そういうような面から申しまして、今後医療保険制度の基本的な問題について検討しようじゃないかというようなことで、実は社会保険審議会におきまして、一年以上にわたりまして、今後の健康保険制度のあり方につきましていろいろ御議論を賜ったわけでございます。しかし、今回の改正におきましてはなかなか基本的な問題につきましては数多くの問題があるわけでございますので、そういうような基本的な問題の解決については今後の検討問題にしまして、当面、今回の政府の改正案で提出しましたように、四十八年以降におきます社会情勢なり、あるいは経済情勢の変動に伴います最小限度のスライドなり、あるいは見直しなり、あるいは財政の基礎固めなり今後の健康保険制度が健全に維持発展していくための四十八年以後の社会情勢、経済情勢の変動に即応する分野についての最小限度の手直しをするというのが今回の提出いたしました法案であったわけでございまして、今後の問題につきましては、まだまだ残された問題はあるわけでございまして、給付の問題、あるいは負担の問題、あるいは今後の老齢、退職者制度の問題でございますとか、いろいろな御提案があるわけでございます。これらの多くの問題につきましても、今後の検討課題とするということで、今後社会保険審議会等におきましても十分御検討いただくということになっておる次第でございます。
#185
○小平芳平君 社会保険審議会の検討を待っているということだけですか。
#186
○国務大臣(田中正巳君) 社会保険審議会でもいろいろ抜本策の範疇に入るものについて検討をしていることも事実でございます。さらに、私どもとしていま当面急いでやっていきたい、これも私は抜本策の一つだと、大きい問題だと思いますが、老人医療のあり方をどうするかということについて、いまは一番弱い保険集団である国保の中にこれはほとんど導入をいたしまして種々の助成をいたしてはおるものの、私は非常に不公正な制度運営だと思っておりますので、こうしたことについては早急に結論を出したいものと思いまして、これは事務的にもやりましたが、同時に老人医療問題懇談会等にも実はお知恵を拝措しようと思いまして、これ等においても御審議を願っているところであります。
#187
○小平芳平君 先ほど午前中の厚生大臣の答弁で差額ベッドのことについて何かちょっと私は聞き違いかあるいは腑に落ちないような答弁をされていたように受け取ったんですが、保険外負担、確かに健康保険には入っているのですが、さあ入院となると保険外負担がどのくらいあるものかと。私も差し迫った要件があって若干病院に当たってみたわけですが、それは大変な負担になるのです。そういう点も一改善すべき最たる問題じゃないかと思いますが、いかがですか。
#188
○国務大臣(田中正巳君) 保険外負担、その典型的なものは差額ベッド、付添料、歯科の差額徴収制度、こうしたものが典型的なものとして取り上げられるわけですが、こうしたことは適切な医療を受けることの障害になってはいけないというのが私どものあるべき姿、政策を立案するものの基本の態度でなければならないと思います。したがっていま先生差額ベッドについてお話しがございましたが、およそ医療機関が差額ベッドを頼りにして収入を上げるというようなことであってはいけないものだというふうに思います。しかし、現実はなかなかさようにきれいに問題が整理されていないことは私は大変残念だと思います。かねがね厚生省は通達を出し、その実行を実は督励をいたしております。しかし、いまだにそれが十分にいっているということではございませんので、今後さらにひとつこれについては督励をいたしまして、いやしくも病院が、医療機関が差額ベッドによる収入を当てにするということのないように指導をすると同時に、やはり入院料等につきましては中医協等にお願いをいたしまして、適切にこれを是正をしていくという二面的な対策を通じましてやっていかなければならないというふうに思っておりまして、今後の私どもはやはり解決しなければならぬ重要な問題だと思っております。
#189
○小平芳平君 いま大臣お話しの歯科の差額徴収についてはどのようになっておりますか。
#190
○国務大臣(田中正巳君) 歯科差額徴収問題につきましては、実はおととし以来あたりから大変社会的な批判がかまびすしくなりました。いろいろと御議論があったところでございます。事実社会問題としていろいろとマスコミ等において取り上げられました。そこで、昭和四十九年の暮れに私が大臣に就任直前に前任者の大臣が中医協に対し歯科の差額徴収のあり方いかんという諮問をいたしておったわけであります。ところが、その後中医協は先生御案内のとおり中断をいたしております。昨年の秋に――ことしの春かな、要するに実質的に動いたのはことしになってからでございますが、歯科部会を開いていろいろ検討をいたし、一応の御答申をいただきました。しかし、そのころから私はこの問題について歴史的経過等をもいろいろとフォローしてみたわけであります。その結果、問題は非常に根深いところにあるということであろうと思います。したがいまして、今日これの解決の仕方について役所としては鋭意腐心をしているところであります。
 問題は、歯科差額徴収制度というものを是正することも厚生省の任務の一つであることは間違いがございません。しかし、国民歯科医療というものが円滑に運営されるということも私どもの厚生省の仕事であります。したがいまして、この両者の二つのテーゼをどうやって円滑に、上手にかみ合わせて問題を解決するかというところに苦心が要るものというふうに思っているわけであります。したがって、歯科医師の団体である日本歯科医師会とも精力的に実は話をしておるところでございまして、だんだんと実は最初はずいぶんきつい話だけでございましたが、最近はいろいろと話がかみ合うようになってまいりました。もう少し私どもは話し合いをして歯科医療界が混乱しない姿において歯科差額問題が解決する具体的な手法というものをいまいろいろ考究をしておるわけであります。折衝の途中でございますので、こうしたらいいとか、ああしたらいいということをあれこれ申しますると、またそれをめぐってのリアクションが出てくるものでございますから、具体的なやり方については、いま少しくお待ちを願いたいと思いますが、問題としてはきわめて大事な問題でございますので、いまいろいろとせっかく取り組んでいるところですが、先生、率直に言って、毎日委員会なものですから、私この種の問題というのはどうしても大臣が出なけりや解決をしないという変な一面がございまして、私は手のすくのを待って、これが手がすいたら今度は私自身が陣頭に立って、この問題の積極的な解決に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
#191
○小平芳平君 まあ、大臣の御努力に期待いたします。
 次に、けさの朝日新聞の社説でも指摘されておりますが、政令事項ですね、政令事項――具体的には保険料率の引き上げ、高額医療費の自己負担限度額の引き上げというような点については、社説を見るといかにも当然引き上げられていくような書き方になっておりますが、厚生省としては、こういうことなんでしょうか。
#192
○政府委員(八木哲夫君) 先ほどもお答え申し上げましたように、今回の健康保険制度の改正につきましては、法律問題あるいは法律問題以外の政令問題等も含めまして、四十八年以降の社会情勢、経済情勢の変動に即応します最小限度のスライド的な措置あるいは医療保険制度におきます基礎固めというようなことから考えておる次第でございまして、昭和五十一年度の予算におきましても、そういうようなことで、高額療養費の限度額につきましては、四十八年に制度が創設されたわけでございますが、その時点の額が三万円ということでございまして、それ以降におきます医療費の実績等の傾向を見てまいりますと、現実には五万円程度の御負担をいただかなければならないと、限度額になるというようなことになるわけでございますけれども、社会保険審議会なり、あるいは制度審議会等からも御意見ございましたし、できるだけこの際は国民の皆様方の御負担を最小限度にとどめるというようなことから、本来でございますと、その後の実績等から見ますと、五万円程度に引き上げなければならないものも三万九千円にとどめているというようなことでございます。それから一方、保険料率の引き上げ措置につきましても、医療保険制度が今後健全に発展いたしますためには、今回の措置を行いましても、五十一年度末におきましては、かなりの財政状況は悪い数字でございまして、一千億に近い赤字が出るというようなことであるわけでございまして、しかし引き上げ幅につきましても、あるいは実施時期につきましても、負担増をできるだけ避けるというようなことから最小限度の幅にとどめる、あるいは実施時期もできるだけおくらせるというようなことから、保険料率にしましては五十一年度末で財政収支の安定を図るということではございませんで、五十一年度末におきましても赤字で五十二年度に持ち越すというようなことを考えましても、料率の幅二というのは最小限度でございますし、実施時期につきましても、できるだけおくらせるというようなことから、十月実施ということを予定しておる次第でございます。
#193
○小平芳平君 いま局長が答弁されるように、負担増を避けるという意味で衆議院の修正があったと思うんですね。そうして負担増をできるだけ避けるという趣旨で実施時期もなるべくおくらせることにして、そして、いつ実施するということですか。
#194
○政府委員(八木哲夫君) ただいま御答弁申し上げましたように、本来でございますと、もっと早く行わなければならないわけでございますが、現在の予算におきましては、本年の十月実施ということにしている次第でございます。
 それから、高額療養費につきましては七月ということでございます。
#195
○小平芳平君 その高額療養費の場合などはまさしく負担増を避けるという以上の深刻な問題があるわけです。これは、私がいま具体的に説明するまでもなく、そうした医療費がかさむということは、それなりの患者さんがそういう状況にある、また家庭も大変な状況にあるということは容易に想像がつくわけですから、そういう点配慮されますか。
#196
○政府委員(八木哲夫君) 先ほども御答弁申し上げましたように、高額療養費制度が実施されました時点におきまして現在の三万円という限度枠でございますが、その当時の患者の方々の自己負担の一カ月当たり平均額が約一日千円というようなことから三万円という数字になっているわけでございますが、その後の実績等を見ました場合に、現在では約千七百円程度ということから申しますと、五万円を超える数字になるというようなことでございますので、本来でございますと、その後の医療費の実績等から見ますと五万円までいかなければならないわけでございますが、そういう面でできるだけ患者の方の負担を一挙に引き上げるということは大変ではないかというようなことから、段階的に行き上げるべきではないかというような考え方で、むしろ現在の五万円程度になるべきものを三万九千円というようなことで最小限度の負担にとどめたいというようなことから三万九千円というものを現在考えておる次第でございます。
#197
○小平芳平君 これは既定方針どおりという御趣旨ですか。
 それで次に、私は、保険があっても何のための保険か、その保険の給付に浴すことができないという病気、それはいろんな場合があるわけですが、医療供給体制、無医地区その他いろいろあるわけですが、きょう、私は具体的に難病について二、三お尋ねをしたいと思います。難病と一口に言っても、いろんなケースがありますが、要は原因不明、治療方法不明ですから、治療方法不明ということは治療の方法がない、したがって医療機関へ行きましてもほんの対症療法だけ、治療の方法がないんですから。熱が高熱だったら熱冷ましを投与するというようなことなんでしょうが。そうして、そういう難病対策について厚生省はどう取り組んでおられますか。
#198
○政府委員(佐分利輝彦君) 難病対策につきましては、大きく分けますと、大人の難病と子供の難病になりますが、私どもの公衆衛生局では大人の難病対策を取り扱わさせていただいております。四十七年十月の難病対策要綱に基づきまして、第一に調査研究の推進、第二に医療費負担の軽減、第三に医療機関の整備と要員の確保、こういった三つの柱を掲げて推進しているところでございますが、公衆衛生局といたしましては、まず調査研究の推進については、現在は四十の疾患を指定いたしまして、本年度の予算では一億ふえて九億八千万円になっておりますが、そのような研究費を投じまして治療方法の解明等に務めているところでございます。また、医療費負担の軽減につきましては、現在は十五疾患を指定いたしまして、本人の自己負担分を国と地方で公費負担いたしておりますが、この予算が約十三億七千万円ばかりあるわけでございます。
 なお、難病対策につきましてはただいま御指摘のように、なかなか現在の医学、医術、さらに関連諸科学の技術をもってしては解明しがたいところがございますけれども、現在特定疾患対策懇談会に評価調整部会を設けまして、さらに御期待のような治療方法の研究を推進するためにどうすればいいか御審議を願っているところでございます。
#199
○小平芳平君 厚生大臣に、昨年六月七日パーキンソン病患者の方々と大臣に陳情に参りまして、パーキンソン病といってもなかなか世間によく知られておらないので、ぜひひとつ難病に指定してほしいという陳情をしましたが、そうしたことは検討されましたか。
#200
○国務大臣(田中正巳君) 確かに、昨年の六月ごろだったと思いますが、先生がパーキンソンの患者さんをお連れになって大臣室にお見えになりました、いろいろお話がございました。その後予算編成期前後になりまして、私としてはそのことが気になって仕方がなかったものですから、パーキンソンを難病の中に、いずれかのカテゴリーに入れることができるかできないかいろいろ事務当局と検討をいたしました。しかし、難病と言われているものは数が多く、また、この病名を広げることについても予算その他の限度がございます。そこでいろいろ検討した結果、パーキンソンにつきましては、先生御承知のとおり、あのときも話したのですが、L−DOPAというのが治療方法としては一応ある。しかし、これは全部に効くというわけでは実はないということであるようでございまして、まあ、したがいまして、原因不明、これは原因不明のようですが、治療法未確立という点については、ややまだ未確立の度合いのひどいものがあるということから譲らざるを得なかったわけで、大変私も先生の顔を思い浮べて気になってしようがなかったわけでございますが、しかし、そういうわけでこれは見送りにいたしましたが、今後このパーキンソンについては調査研究を何らかの形でやらなければいけないものというふうに考え、今後の課題としてできるだけ速やかに研究を進める、調査研究を進めるということにしなければいかぬのではないかというふうにして、いま事務当局に検討を命じているところでございます。
#201
○小平芳平君 厚生省の事務当局としては、東京都はすでに難病に指定して医療費を負担しているということは御存じですか。
#202
○政府委員(佐分利輝彦君) 存じております。
#203
○小平芳平君 じゃあ、厚生省はこの病気は珍しい病気なのか、あるいは外国にも例があるのかないのか、そういう点はどう把握しておられます。
#204
○政府委員(佐分利輝彦君) パーキンソン病は医学的には非常に古い歴史を持った病気ではないかと思います。前世紀の末ぐらいにパーキンソンがこの症候群をまとめて報告した病気でございます。したがって、先ほども大臣が申し上げましたように、まだまだ十分な治療薬ではございませんけれども、L−DOPAという酵素阻害剤が開発されまして、かなりの患者さんがこれによって症状が軽快するということになってきたものと考えております。
#205
○小平芳平君 そういう古い病気で、欧米にも多発しているがゆえにパーキンソン氏の研究もあったのでありましょう。そうしますと、厚生省は実態はどのように把握しておられますか。発病年齢、職業別、男女別。
#206
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいま手元に詳細な資料を持ち合わせておりませんけれども、パーキンソン病は原因が全くわからない。パーキンソンが報告いたしました純粋なパーキンソン病と、それからガス中毒だとか、あるいは脳卒中だとかその他の原因によりまして、脳炎もございますが、起こってくるパーキンソン症候群とがございますけれども、その両方合わせますとかなり多い数になりまして、三万人から四万人ぐらいいらっしゃるものと先般の難病研究班の疫学調査では報告されております。
 なお、この病気はおおむね五十ぐらいから起こってくるものでございますけれども、先ほども申し上げましたように、最近は脳卒中だとか、あるいは人口が老齢化いたしますと脳の萎縮のような状態が起こりまして、そういった関係でパーキンソン病と同じような症状を出す方々が非常にふえてまいったように考えております。
#207
○小平芳平君 おおむね五十ってどこから出たですか。
#208
○政府委員(佐分利輝彦君) ここに東京都と富山県の調査結果がございますが、東京都の場合には、六十歳未満が二七%、六十歳以上が七三%、富山県の場合には、六十歳未満が三二%、六十歳以上が六八%となっております。先ほど申し上げましたように、五十前後ぐらいの年齢から起こってくることが多いとされております。
#209
○小平芳平君 東京都は集団検診と、それから府中病院の患者さん、はっきりパーキンソン病と診断された方、そういう資料をごらんになっていますか。
#210
○政府委員(佐分利輝彦君) 拝見したことがございます。
#211
○小平芳平君 拝見したことがございますじゃなくて、その資料に、東京都の資料によれば症状に気づいた年齢、三十歳代四・九%、四十歳代二一・九%、五十歳代三九%、六十歳過ぎてからは、六十歳代二九・三%、七十歳代四・九%、これが東京都で行った集団検診の結果の症状に気づいた年齢ですよ。
#212
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほども申し上げましたように、パーキンソンが報告いたしました純粋なパーキンソン病と、それからそれに症状の似ているパーキンソン症候群というものがあるわけでございまして、その後者の症候群を入れますと、先ほども申し上げましたように脳炎とかガス中毒だとかあるいは脳のいろいろなその他のはっきりした変化によって起こってくるというものがあるわけでございます。ただそれはまだ日本の医学界の全体の御意見としては、やはり余り若いときからではなく高年齢に出てくるというように承っております。
#213
○小平芳平君 東京都で行った集団検診、それから府中病院ではっきりパーキンソン病と診断と、そう診断されたということを、どうしてそういうふうに取りとめもないような言い方をするんですか。
#214
○政府委員(佐分利輝彦君) これはやはり一県一施設の調査でございますので、私どもといたしましてはやはりこういったものは全国的にもう一度調査をしてみる必要があると考えております。
#215
○小平芳平君 それをやってないのはどういうわけですか。
#216
○政府委員(佐分利輝彦君) 第一回を四十七年から四十八年にかけてやりましたけれども、その後はしばらく間をあけまして、また本年度あたり第二回をやろうという計画を進めているところでございます。
#217
○小平芳平君 どういうふうにやるか、簡単でいいですから、本年あたりやろうと思っているなんという、そんないいかげんな答弁じゃなくて、こうしますと言ってください。
#218
○政府委員(佐分利輝彦君) この件はすぐれて医学的な問題でざざいますので、やはり特定疾患対策懇談会、さらに難病研究班の中のパーキンソンに関係のある神経障害の研究班、また疫学研究班、そういったところの専門家の方々の意見をよく聞いて決めたいと考えております。
#219
○小平芳平君 専門家の意見を聞くだけで何もやらないんですか。それから年齢はそうだけれども、じゃ先ほど言った職業別にはどうですか。
#220
○政府委員(佐分利輝彦君) 職業別の資料は持ち合わせておりません。また前段で御質問がございました、意見を聞いてどうするのかという御質問でございますが、私どもはやるために意見を聞く所存でございます。
#221
○小平芳平君 大臣、そういう当局はのんきなことを言っておりますけれども、愛媛県の新居浜市の河野さんという方が四年かけて調査したという資料もあるんです。先ほどのは東京都が集団検診をしたときと府中病院で診断された方の資料は年齢別その他詳しく調査事項があって資料が出ております。この愛媛県の河野さんの調査は、御自身が不自由な体を抱えて四年がかりで調査をなさった。そうして中には協力してくれないという方もあるわけですが、いろんな困難な目に遭いながらも一応の集計をした発病年齢別、職業別、男女別というふうに調査が出ておりますが、この新居浜市を中心にした河野さんの年齢別、男女別と、それから府中病院で行った東京都で発表している年齢別、男女別と余り変わりないです、ほとんど変わりないです。ですから、全国的に調査をするならするで大至急調査し、そして対策を立てていただきたい。
 ちなみに職業別で申し上げますと、女性は主婦、それから男性は会社管理職が二七%、会社の役員一二%、自営業一〇%、公務員八%、教職員五%、こういうわけです。ですから、主に知能労働ですね、会社管理職あるいは公務員、教職員。こういうように一生懸命調査をして、そうして何らかの対策を国に立ててほしいと、東京都が難病に指定した公費負担が東京都が実現したとなりましても、川一つ越した神奈川県ではそうなってないというようなことになったのでは、これは福祉政策としてはなはだおかしいので、国が早く対策を立ててほしいと、こういうわけですが、いかがですか。
#222
○国務大臣(田中正巳君) パーキンソン病については先生きわめて熱心に委員会でもまた委員会外でも御唱道になっております。私もそのことを気にとめていろいろ今日まで努力をしてまいりましたが、さっき御答弁申し上げたようなのが従来の経緯であります。いま公衆衛生局長が御答弁申し上げているように、とりあえず調査を急がせようと思っております。
 実は、私事にわたって恐縮ですが、先生いま御調査になったところによって、知識労働者というのが多いというのですが、私の弟もパーキンソン氏病でございまして、とうとう県会議員をやめざるを得なくなったような事情がございまして、したがってこの点については非常な関心を私持っておるものですから、調査はむろんですが、治療方法、いろいろな点についてさらにひとつ真摯に取り組むように努力をしたいと、こういうふうに思います。
#223
○小平芳平君 では、大臣その弟さんにお聞きになればおわかりと思いますが、厚生省のお役人の言い方あるいは一部医療機関等では、先ほど大臣の言われたL−DOPAですか、L−DOPAの服用によって一時抑えが効くということ、そのために全く治療方法のない難病に比べたら幾らか救いの道があるということはかえって不幸なんです。かえってその薬を服用するということは、副作用が激しい、薬効の定着性がない、死ぬまで飲み続けなければならないということであって、とてもこのL−DOPAがあるからといってこの病気が解決できるという問題ではないということを厚生省もよく承知してもらいたい。
 つい最近関東地区の会合があったときに、患者さんたちが数十名会合に出席されて、そして専門の先生が講演をされて、講演をされた後質問となりましたら、出てくる質問は次から次へ、私の飲んでいる薬は何でしょうかというのです。それは見るとL−DOPAその他二、三の薬を飲んでいるということは先生がごらんになればわかる。それを飲んだ結果、副作用がこれこれしかじかという、みんな訴える。ですから、本当に死ぬまで副作用を覚悟でその薬を飲み続けていかなくちゃならない。それは製薬会社はいいかもしれませんが、患者さんにとってはとても耐えられたもんじゃないということを厚生省の当局ももうよく承知してもらいたいと思いますが、いかがですか。
#224
○政府委員(佐分利輝彦君) L−DOPAの副作用については私どももよく存じております。ただ、このような神経系統の疾患というのは、やはりなかなか研究解明のむずかしい領域でございまして、これからわれわれが各国と協力して全力を挙げてもかなり時間がかかるのではないかと思われます。しかしながら非常に対象数も多いし、またL−DOPAはかなりの副作用もございますので、たとえ対症療法があってももっといい薬をできるだけ早く開発するように、あるいはその他の治療方法を開発するように今後一層の努力をいたしたいと考えます。
#225
○小平芳平君 まあ、薬の開発も結構ですが、いま後段に言われた治療法の研究ですね、実態の把握とともに治療法の研究、それから対象数も多いと局長も言っておられるわけですから、難病対策の一環として進めてほしい。大臣もそういうニュアンスではおっしゃっておられますが、よろしいですか。
#226
○政府委員(佐分利輝彦君) パーキンソン病は確かに対象者は三万人から四万人と推定されておる非常に患者さんの多い難病でございます。ただ現在のL−DOPAの治療で考えてみますと、一ヵ月当たりの医療費の自己負担額がそれほど多くない病気の一つでございます。そういう関係で、もっと医療費の負担の多い病気から先に難病対策の公費負担の対象にすべきではないかということでパーキンソン病の指定がおくれてきたものでございます。そのような医学的にも社会的にもいろいろ問題がございますけれども、大臣おっしゃったように、調査をまずいたしましてその結果に基づいて特定疾患対策懇談会等の御意見も聞いて方針を固めてまいりたいと存じます。
#227
○小平芳平君 私は年金の質問をもっとやるつもりでいたのですが、ちょっと時間がもうなくなりましたので、二点だけ年金についてお尋ねをいたします。
 これは社会保障制度審議会の答申にもありますように、質問の第一点は、施行期日について、施行期日がそれぞれ違うという点。これはどうして一本にできないのか、早い方へ合わせることがでさないのか、こういう点が強く出されていたことは局長も御存じだと思うのです。
 第二点は、年金給付の支払い期月といいますか、これは年金の支払いは、厚生年金は二、五、八、十一、年四回。国年は三、六、九、十一ですか、年四回。福祉年金は一、五、九、年三回。通算老齢年金に至っては、六、十二、わずか年二回、こういうことになっておりますが、これで間違いないかどうか。そういう点について施行期日を合わせてほしいということが第一点。
 それから、こういうように支払いも年四回というのも相当待ち遠しい年金ですが、年二回なんていうのはもう全く年金受給者の気持ちを無視したやり方じゃないですか、いかがですか。
#228
○政府委員(曾根田郁夫君) 先生お尋ねの二点は、相互に関連がございますので、まず後段の方から申し上げますと、この支払い期月各制度によってずれがございますのは、沿革的には、やはり支払い機関等における支払い事務の重複を避けるということで、それぞれの制度が支払い期月を定めておるということがございます。しかしやはりだんだん年金水準が上がってまいりまして、年金に期待する階層がそれだけ多くなっているわけでございますので、私どもいつまでもやはりこのような年四回なり二回なり、これでいいということは毛頭考えておりませんので、今後の課題として検討いたしてまいりたい。これは厚生省だけではまいりません、郵政省等の問題もございますので、十分協議してまいりたい。その際、特に御指摘の通算年金年二回払い、これなども十分各省庁とも協議の上検討してまいりたい。
 ところでその施行期日でございますが、実はこういうふうに支払い期月もばらつきがございますので、どうしてもやはり支払い事務上施行期日が支払い期月の関連で各制度ずれを生ぜざるを得ない。したがいまして施行期日はもちろん、そのほかに改正の内容にもよりますけれども、その準備事務がやはり相当長期にかかるという問題がございますけれども、ばらつき自体はやはり基本的には各制度の支払い期月をそろえると申しますか、そういう問題がございますので、それの一環として検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
#229
○小平芳平君 大臣、これはいますぐどういうふうに変えますということの答弁をすることができないことはよく承知いたしておりますが、局長、ずいぶんむずかしい言い方をなさっておられますが、年四回の支給ということは、年金ですね、年四回というと三カ月に一回です。それから年三回となりますと、四カ月に一回ということです。それから、通算老齢年金に至っては年二回ですから。ですから、月給取りは月一回ですから、われわれはですね。月給取りは月一回でも月給日が待ち遠しいという経験をお持ちの方もたくさんいるわけでしょう。月一回でさえ月給日が待ち遠しいのに、年金生活に入って収入ががたんと減る。がたんと減る上に、なおかつ受け取る年金は三カ月置きとか半年置きなんというのは、まるで生活を無視した制度になっちゃったんですね。まあ、いろんないきさつがあってそうなったことでしょうけれども、これは年金は、年金で生活していくというたてまえから言ってまるでかけ離れちゃったということを私はそう思うんですが、この点ひとつ大臣のお考えと、それからはっきりもっと生活する人の身になって制度を検討してほしいと思います。
#230
○国務大臣(田中正巳君) 年金の支給月、また毎年の回数、いま言うとおり拠出制が大体四回、無拠出の福祉が三回ということでございまして、これについてはせめて各月にできないか――毎月できないかと、こういうお話は衆議院でもございました。世界の各国の例なども私は調べてみましたが、やはりできれば改善をしなきゃなるまいなというふうに私は思っておるわけで、しからばなぜ一体このように年三回とか四回しかできないかということをいろいろ調べてみました。一つはやはり事務体制をもう少し整備をしなきゃならぬと、機械化、人手等々もやらなきゃなりませんし、また日本では郵便局というものをたくさん、多く使っておるようでございまして、諸外国と少し違うという状況もございます。また、どういうふうにして一体それじゃ年金の支給事務をやっているかということについていろいろ見てみました、調べてみましたが、非常に何といいますか、昔流のやり方をやっていると。あれじゃやはりそうちょいちょいは支払いができないなあということもわかりました。そこで、これをひとつ何とかいま先生のおっしゃる方向に持っていけないかということについていろいろ役所部内においても検討をいたしておりますし、郵政省にもこのことについていろいろと協力を求めつつあるわけであります。
 なお、これについては事務処理の方法について、機械化の問題もありますが、さらにそれ以外のものについてもいろいろ検討しなきゃなりませんので、近く私どもは年一回払いをしているアメリカ、まあ極端――これは日本ではできないと思いますが、エブリウィーク、毎週ですか、毎週払っているイギリス等々の事務処理の体制を見るために、いますでに机上では検討を、資料を取り寄せて検討をしているそうですが、さらに職員をひとつ現地に派遣をいたしまして、そのことについて真剣に取り組んで、取り入れられるものがあったら取り組みたいというふうに思っていろいろ努力をしていますが、長い間かかってできたものですから、一朝一夕にすぐにいくかどうか私もわかりませんけれども、とりあえず急いでやりたい、とにかく努力をしてみたいというふうに思ってます。ただ小平先生、来年の委員会で前の田中厚生大臣こう言ったが、ことしできないと、こう言われると次の大臣に気の毒ですから、私、用心してしゃべっておりますけれども、私たちはできるだけこれについては先生の御意向をくんでそういう方向に進めたいと、それでなきゃかわいそうだという気持ちを持っております。
#231
○沓脱タケ子君 それでは最初に、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案と、四党提案の被爆者等援護法案に関連をいたしまして、最初に質問を申し上げたいと思います。
  〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕
 で、きょうは非常に大きなといいますか、重要な法案を四本ないし五本というふうなのを非常に限られた時間でお尋ねをいたしますので、ひとつ御答弁も簡潔にしてお願いをしたいと思います。
 で、いま御提案になっております政府提案の被爆者特別措置法案については、これはまあ私拝見をして驚いたわけですけれども、特別手当が三千円の引き上げ、それから健康管理手当は千五百円の引き上げ、保健手当は八百円の引き上げというふうなことになっておるわけでございます。ところが被爆三十年を超えております今日、アメリカの国際法に違反する原爆投下によって本当に一瞬にして数十万の命が奪われた、そうして三十六万人に及ぶ被爆者の方々の悲痛な叫びを上げて、そうして援護の要求を求めておられるわけですけれども、ことしのこの措置法の一部改正というのはいかにもお粗末だということを痛感をするわけでございます。で、私はやはり被爆者の問題を考えるときには、どうしても原点に立ち返るべきだというふうに思うわけですが、これはたまたま大阪の被爆者の方の手記ですね、高野さんとおっしゃる方ですが、この方は昭和二十年の八月六日に広島の爆心地より二キロの場所で被爆をして、お母さんと姉さんが爆死をした。お父さんは戦死をし、母と姉を原爆のために奪われた。手記を書いておるんですが、
  自分は幼い体にみにくいケロイドだけが残っ
 た。で、その後あの子は傷ものだといって陰口
 を言われて、何遍も泣き明かしたことがあっ
 た。原爆が落ちなかったら母も、私も丈夫な身
 体で生活を送ることができたかもしれない。私
 の一生を破壊し、女としての幸福を奪い、母を
 殺したものはだれなのでしょう。私は恨みまし
 た。
 こういうふうな手記が書かれているわけでございます。で、こういう実例が示すように、まさに身体的な障害、家庭、家族の崩壊、それから物や財産の崩壊、さらに立ち上がり得ないような絶望、まさに被爆者というのがトータルの崩壊だということを昨年の本委員会における参考人質疑の中での公述で伺いましたけれども、まさにそのとおりだと思うわけでございます。こういう被爆者の方々の絶望を救い、生きる希望を取り戻していただくためにどうするか、そのために何をするかというのが政治であろうと思うわけですし、そのことが政治に問われているというふうに思うわけでございます。わが党を初め四党提案の被爆者等援護法案は、まさにこの被爆者の切実な願いにこたえるという立場のものであります。被爆者の方方は、いまの政府の現行二法案に対してきわめてお粗末な生存者対策だというふうな御意見を率直にお述べになっておりますが、大臣ね、こういう被爆者の実態、この実態に基づく切望ですね、こういう切望に政府の現行二法というのがこたえ切れているとお考えになるかどうか、大臣の率直な所感を最初にお伺いしておきたい。
#232
○国務大臣(田中正巳君) 原爆被爆者の方々のお気持ちというのは、やはり先生がいまおっしゃったようなところにある者が多いというふうには私も聞いております。しかし、この種の施策というものは、これをまあ率直に申しまして、どの程度までいったならば御満足いただけるかということについては、他の社会保障施策についてもいろいろと実際は現場において意見がかみ合わないというのが多いわけでございます。まあ、そうしたことからいろいろ御不満もあろうかと思いますが、私どもは原爆被爆者対策につきましては、昨年の国会で先生にるる申し上げたところと今日でも変わりはございません。要するに放射能を多量に浴びて身体に傷疾を受け、また健康を損なっている、あるいはそのために不安の状態を持っているという人に対して、この方々を救済するというふうな措置でいくべきものであるというふうに思ってやっているわけでございまして、この間の事情をるる申し上げると時間が長うなると言うから私は去年の答弁を繰り返しません。
#233
○沓脱タケ子君 いま、私は高野さんという方の手記を読み上げましたけれども、「母を殺したのはだれか。私は恨みました。」と、こういうふうに被爆者の方が悲痛な叫びを上げておられるわけですが、そういう被爆者の皆さん方の気持ちに現行二法というのはこたえ切れない。これはもう明らかです。被爆者の方々は何とかして遺族補償をという声が出ておりますが、これは確かにそうだと思うのです。一瞬にして家族を三人ないし五人を一遍に失うというふうなことが、これはこの人間社会の生活の中で考えられないような出来事なんですね。で、被爆者の人たちはどう言っているかというと、せめて一遍に亡くなった、悲惨な姿で亡くなった命日に毎月お花やお線香を上げていきたい。しかし、いまの物価高の中でお花といってもこれは一束やっぱり八百円も千円もするのだ。このお花代でも弔慰してもらいたいということを、本当にささやかな願いとして出しておられるわけです。大臣、こういうささやかな被爆者の願いというのは過大な要求だと感じられますか。私は当然の感情だと思うのですが、これに対してどういうふうに感じられるか、率直な御所見で結構です。
#234
○国務大臣(田中正巳君) まあ、被爆者の方々にもいろいろな環境の方がおられるだろうと私は思います。いま先生お挙げになった方のような環境の方々にはそういう御感懐があるということは私もわかります。しかし、すべてについてこうした厚生行政の中でそうした点についてあれこれ手を回すということも実際問題としていかがかと、こういうふうに思うものですから、現在の原爆二法の系統の範囲内でもっていろいろと被爆をなさっていま苦しんでおられる方々に対して施策をするということでひとつ御勘弁を願いたいということを考えているわけでございまして、その他の問題については、もし、よしその方々がどうしてもそういったような他の生活に困るといった場合には、また別途考えねばなるまいということだろうと思います。
#235
○沓脱タケ子君 私は、被爆者の皆さん方が非常に強い要求や願いというのを持っておられる中で、幾つかの課題があると思うのですけれども、現行制度の中での一つの重要な問題点である認定制度ですね、この問題に関連して少しお聞きをしておきたいと思うのですが、昨年本委員会で広島へ実調に参りました。そのときに、被爆者団体の方々からお伺いをしたのですけれども、昭和四十五年の一月から五十年の四月までに全国で被爆者の方が三十一名亡くなられている。しかもその中で広島で二十五人の方が亡くなっているというのが報告をされました。
 その後、大阪でも被爆者の家庭の主婦が自殺をされたのですね。
  〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕
たまたま私が大阪なもので、どういう御事情かということで調査をさせていただいたわけですが、お悔みに行ってお聞きをしたわけですけれども、こうなんですね。この自殺をされた方というのはどうかというと、四歳のときに長崎で被爆をした。そうして結婚をされて大阪へおいでになっておるわけですけれども、四、五年前から体の調子が悪かった。そうして被爆者手帳はもらっていた。ところが、非常に体の調子が悪くなったので病院に行ったんだけれども、入院を必要とするというふうに言われた。入院をするとこれは認定はなかなかしてもらえないし、家庭も楽じゃないし、大変なことになるということで、ずいぶん悩んでいたということを御主人が言っておられるわけですが、そういうことが絡んで認定はむずかしいし、これは入院したら後は大変だしということを心配されていた。それもそのはずで、その方の御主人のお母さんというのは広島での被爆者なんです。ところが認定されないままに昭和四十一年に七十四歳で亡くなっているわけですね。そういういきさつから見て、これはなかなかやってもらえないというふうなことで自殺までするという状況が起こってきている。最近の調査で、たまたまこれは岩手県の調査なんですけれども、御要望になっているんですけれども、実は驚いたんですが、岩手県の中で被爆者の方が百十人おられるのだそうですね。ところが、認定申請をしてもなかなか決着がつかずに亡くなってしまってから確認をされたのが三件、亡くなってしまってから認定却下という通知が来たのがお二人という状況になっておる。こういう点ではこれは認定業務、認定審査についてはできるだけ迅速にしていただきたい。被爆者の方々というのはずいぶんお年もいってきておるので、そういった点については特段の配慮をしてもらいたいというふうな、これは要望書が出ております。こういう点を考えてみますと、認定問題というのは、これは非常にこれまた問題なんですけれども、この認定制度というのは、ですから、こういう実例を挙げてみただけでも、被爆者の生きていくための大変隘路になっている。隘路の重大な一つになっているということはおわかりになると思うんですが、この点について私はお伺いをしておきたいのは、昨年も衆議院でわが党の石母田委員が質問をして、それに対するお答えの中ではっきり言われているんですが、認定基準というのをABCランクに分けておるということの問題があったんですが、認定基準の中でこのABCランクというのは一体どないなっているのかと思って調べてみたら、いわゆるABCというランクは、Aというのは明らかに原爆に起因するということが明確だ、それからBというのは医学的に見て起因性が否定できないもの、Cは明らかに原爆に起因しないもの、というふうに分けてやっておるというわけですけれども、これはこういう点では被爆者が被爆をしたという事実が明らかなわけなんですから、少なくともABについては認定をするという姿勢をとるべきだというふうに考えますけれども、その点についての御見解を最初にお伺いしておきたい。
#236
○政府委員(佐分利輝彦君) 御指摘のとおりでございまして、Aについては全く問題がないわけでございます。Bにつきましてもできるだけ認定するように諸般の事情等を勘案して認定しているところでございます。
#237
○沓脱タケ子君 Bについても諸般の事情を勘案してできるだけ認定をしておる、こういうふうにおっしゃられるわけですが、これは数字から言いますと、なかなか少ないんですね。私具体例をちょっと出してそれでは御見解をただしたいと思いますけれども、これは昨年も問題の一つになりましたけれども、原爆白内障の石田さんという方ですね、これは裁判をやっておいでになるわけですけれども、白内障で手術を要するときまで待てということで却下になっているわけですね。こういう冷たい態度に対して被爆者にとっては我慢がならないということで怒りを持っておられるわけですが、明確な被爆者であり、しかも原爆白内障があるということも事実だし、その後この老人性白内障が合併をして進行しているんだと去年も御説明がありましたが、私はこの場合でもBに該当するのではないかというふうに思うんです。被爆の因果関係というのは明確であり、いわゆる原爆白内障というのも事実であり、老人性白内障が進んでおって、いま症状が非常によくなくなってきているということであれば、これは当然の問題として原爆白内障あるいは被爆によってその老人性白内障も悪くなってきているのではないかという点、この点は否定できないと思うんですね。こういった点について、やはりBランクとして対処していくというふうなお立場というのはとれないものなのかどうか。これは訴訟に関連をしているから明確にできないということであればやむを得ませんけれどもね。しかし、その辺のところは厚生省の姿勢というのがきわめて大事ではないかというふうに思うんですが、その点について、もう一度御見解を伺いたい。
#238
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいまもお話がございましたように、本事件は現在訴訟係属中の事件でございますので、ここで差し出がましいことを述べることは遠慮いたしたいと存じますが、基本的な事項につきまして、白内障の場合は白内障がよく熟し固まってから手術をするというのが現在の医学の定説でございます。したがって、そのような時期になれば認定患者として認定をしましょうという方針を原爆医療法七条一項に基づいて打ち出しているわけでございます。
#239
○沓脱タケ子君 係争中のものについては私はそれ以上申しませんけれども、もう一つ具体的な実例を出してみますと、この方は七十三歳の女の方です。名前を出してもいいんですけれども、名前は出しませんが、その方はたまたま昭和四十九年の十二月十九日に認定申請をしたが却下になっているんですね。そうして不服申し立てを現在やっておるというケースなんですが、却下の理由というのは何かというと、入市だからだめだというわけですね。被爆の関係ですね。被爆地というのが入市だというわけですね。しかも入市はこういうふうになっているんです。八月の九日、広島市天神町に入市というんですかね。そこへ八月の九日に行っている。だから原爆投下後三日目ですね。これに記載をされておる状況と言いますと、原爆投下後三日以内に己斐方面より爆心地の天神町に入り、焼け跡のくすぶりと熱い灰の立つ中を息苦しさと臭気と炎熱に吐き気と目まいで倒れそうになりながら、あちこちを掘り返して姉夫婦の遺体を探し回った、そういう状況で、いま病気になって入院をしているということなんですね。ところが、入市だからだめだというのが却下の理由だというふうに言われておりますが、従来からそれじゃ入市というのは認定をしていないんでしょうか。
#240
○政府委員(佐分利輝彦君) 入市にもいろいろございまして、原子爆弾爆発直後、直後といえば二千メートル以内には入れなかったと思うのでございますが、それから数時間たてば、やはり救急援護活動等で警防団員、消防隊員等で入市した者があるわけでございます。そういう方々はおおむね認定患者になっているのではないかと思いますが、原爆の残留放射能はほぼ二十四時間で七〇%減衰してしまうという性格のものでございます。
 また天神町ということでございましたが、爆心地から一キロメートルぐらいのところであろうと思うのでございますが、そのような諸般の関係から却下されたものと考えます。
#241
○沓脱タケ子君 私がお聞きしているのは、入市ということで認定患者になっている方はありませんかということを申し上げているのです。
#242
○政府委員(佐分利輝彦君) いま手元に資料がございませんので、何名確実に認定患者になっていらっしゃるということは申し上げられないのでございますが、爆発直後から救急活動で爆心地近くにお入りになった方で、いろんな障害の出きてた方々については理論的には認定患者になり得ると考えるわけでございます。
#243
○沓脱タケ子君 理論的にはなり得るじゃなしに、現在、現実にあるのかと言って聞いているのですが、御記憶がなかったら、私が調査をした資料でも何人かいますよ、実際には。おるかおらぬかぐらいのことは御記憶あるでしょう。何人おるかというようなことは聞きませんから。
#244
○政府委員(佐分利輝彦君) 確かにいらっしゃいます。
#245
○沓脱タケ子君 えっ。
#246
○政府委員(佐分利輝彦君) いらっしゃいます、認定患者は。
#247
○沓脱タケ子君 それでは被爆者の願いにできるだけ接近するために、そういう入市の方でも状況に応じて、いわゆるBランクとして――これは当然Bランクじゃないな、原爆との因果関係というのは明確ですからAですよね。そういう立場で、これは被爆者の願いに接近をしていくためには当然認定をするべきだというふうに思うんですよ。そういうことを積極的におやりにならないから、昨年私ども広島へ出張に参りましたときに、広島県の御報告でも申請者の中で認定率はわずかに四四%だ、こういうふうに言われておるわけですが、こういう点については少なくとも被爆者の願いにこたえるという立場で、ぜひとも積極的に認定の制度を、いわゆる各府県にも通達をして明確に具体化するというふうなお考えはないですか。
#248
○政府委員(佐分利輝彦君) 被爆者の方々で必要のある方はできるだけ認定すべきでございますけれども、まず特有の原爆症というのがございませんで、一般の疾病が原爆によって起こりやすくなった、治りにくくなったというようなことでございますし、また、そういって障害も複雑多岐に分かれまして、一つ一つ詳細に認定の事務を進めていかなければならないという性格のものでございます。でございますので、一般的な方針として認定患者に相当すると思われる方はどんどん申し出ていただきたいという御指導はできますが、規格、基準等をあらかじめ示してそのような御指導をするということは困難と考えております。
#249
○沓脱タケ子君 いや、私が言っているのはそうじゃなくて、そのABCランクというふうに分けてやっておると言うんだから、少なくともAはもちろんのこと、Bについてもできるだけ被爆者の願いに接近をするという、現行法で接近をするという立場でそういう扱いをするようにこれは指導ができないかと言っているのです。なぜかと言いますと、こんなことを大臣、何で言うかといったら、こんなものは事務的にもっとまともにいって進められていなければおかしいわけですよ。ところが、実際に被爆者がいま約三十六万人だと言われているのに、いわゆを認定患者というのは二千六百二十九人ですか、この厚生省の資料を見ますと。それだけしかおらぬのですか。
#250
○政府委員(佐分利輝彦君) 三十二年に原爆医療法を制定してからの延べの患者数は七千二百名ぐらいになっておりますが、現在生存していらっしゃる方は四千三百人程度と考えております。
#251
○沓脱タケ子君 それでも三十六万人の被爆者の皆さんの中で四千三百人でしょう。いかに少ないかということをあらわしていると思うんです。だから絶望して自殺をする方々まで出ているんじゃないですか。そういう実態に即して、本当に医療と生活を何とかしてやはり御期待にこたえるように、これは期待どおりいかないと思うんですよ、現行法ではね。しかし、この現行法でも厚生省の姿勢いかんでは少しでも接近するという道はあると思う。そういう姿勢をおとりになるかどうかということをお聞きしている。これは大臣ちょっとはっきりしてくださいよ。
#252
○政府委員(佐分利輝彦君) 私どもといたしましては、現在の認定制度はただいま先生から御要望がございましたように、もうできるだけ救い上げていきたいと、認定していきたいと、そのようだ基本方針で臨んできたつもりでございます。
#253
○沓脱タケ子君 いや、まあ、できるだけおやりになったというのに、これは先ほども私冒頭述べましたように、岩手県でも亡くなってから認定通知がおりてくるとか、亡くなってから却下の通知がおりてくるというふうな実にのんびりしたやり方でやられている。何とかして手続は早くやってほしいと、少しでも願いにこたえてほしいというのが被爆者の願いだということを冒頭私申し上げたでしょう。何もかにも全部やみくもにやりなさいということを申し上げているんじゃないんです。だって、片方では、入市という被爆の因果関係では、被爆後爆心地へ入市をしたということで被爆関係の因果関係をもって認定をされている方方もおるのに、これは八月九日に入市をしたからということで、入市だということが理由で却下をされているというふうなことについては、御本人にとっては了解できないわけですよ。しかも、もうこの方七十三歳ですよ。そういう点について、本当に被爆者の立場に立って現行法を正しく、少なくとも適用するということによってでも、誠意を持っておやりになるということになれば被爆者の願いには接近できるんじゃないかと、そのことを申し上げているんで、この厚生省の姿勢というのはきわめて大事だと、このことについてひとつ基本的なお考えを聞かしておいていただきたい。
#254
○国務大臣(田中正巳君) この認定はもっぱら医学的見地でやるものでございまして、したがって個々のケースについて私があれこれ申すのは不適当かと思いますが、私どもとしてはできるだけ被爆者のためを考えてやるべきであるということは公衆衛生局長が申しておるとおりであります。なお、現実問題としてすでに被爆後三十年をたっているということから、初期のころから見ると認定がむずかしくなっていることは私も素人ですが事実だと思います。しかし、かねがねいま先生がおっしゃいましたが、その点は衆議院でもそういう議論がございました。死亡後実は認定がおりたという、こういうことはまあ、それぞれの一件、一件に当たってみればそれぞれそれなりの事情があるんであろうと思いますが、私は感心したことじゃございませんから、認定についてはできるだけ速やかにこれをやるように、ひとつさせるようにいたしたいというふうに思います。
#255
○沓脱タケ子君 それじゃ、まあ時間に限りがありますので次に進めますが、もう一つ具体的に要望したい点は、一般の健康診断ですね、被爆者の。健康診断の項目というのは、措置法が定められまして以来八年ですか、八年間変わっていないんですね。ところが、これは最近各地で被爆者問題というのがやはりクローズアップをされて健診等がかなり積極的にやられ出しております。そういう中でずいぶん体の不調の方々というのが出てきているんですね。これは静岡県の調査を見ますとね、七十人の方々を訪問をしたところが、四人の方が白内障、四人の方が十二支腸潰瘍、二人の方が心臓病、高血圧の方が五人、原爆ブラブラ病が一人だと、こういうふうなかっこうですが、そういう形になっておるのと、健康診断を三十一名おやりになった中でですね、三十一名おやりになった中で、全く健康、異常がなかったという人がたった二人だというのですね。で、こういう状況の中で、健康診断の中で、肝臓炎の四名の人が、全く自覚症状がなかったけれども、発見されてきていると、こういう点から見ますと、これはまあ十年近く法制定のままでほうっているというのも芸のないことだと思うので、少なくともいまの状況から見ますと、眼底の検査とか眼科検診あるいは血液の検査もいまのような単純なものではなくて、血小板だとか血液の凝固能だとか血液像、そういった血液検査あるいは肝機能検査などを、これは新たに精密健診として範囲を拡大するべきではないかというふうに思いますが、その点はどうですか。
#256
○政府委員(佐分利輝彦君) 原爆の健康診断は一次の集団健診と二次の個別の精密健診に分かれておりますが、一次の集団健診は、集団健診方式でございますので、現在の医学の水準、また集団医学の水準から見ますと、実施困難なものがあるわけでございます。たとえば原爆白内障の場合、これは先生がよく御存じでございますが、トラホームであればまぶたをひっくり返せば診断できますけれども、白内障ということになれば、やはり高級な機械を使って専門医が診断しなければなりません。また眼底の検査は、まだ検査の方法そのものにいろいろと問題があるわけでございます。まあ、そういう関係で、要するに集団健診というのは一定の限度があると。そこで、私どもは精密健診の方を充実いたしまして、必要なものは血液の血球像の検査であろうと肝臓機能障害の検査であろうと、全部何でもやれることにしているわけでございます。したがって、そのような方針に基づきまして、もちろん第一次健診につきましても、たとえば広島県は四十七年以来高級な外来人間ドックがやっておりますようなことを集団健診の方式でやれないかという調査研究をやっておりますけれども、そういう努力はいたしておりますので、そういう成果も取り入れてはまいりますけれども、まあ基本的にはいま申し上げましたように第一次の集団健診には限界があるということをお認めいただきたいと考えております。
#257
○沓脱タケ子君 いや、集団健診――集団健診でというふうに言っているんじゃなくて、現実にね、たとえば各府県での調査、さっき私申し上げた岩手県の調査でもね、七十一名の方の健診をして四割が白内障だったというわけですね。ですから、眼底検査あるいは目の検診というのはこれはぜひ必要だというふうに言っているわけです。静岡の場合には、自覚症がなかったけれども、検査をしたらそのうち四名の方々が肝炎だったと。で、これは健康診断の段階でそれが全部やられていたらもっと早く発見できたであろうということを言われているわけなんで、そういう実情にかんがみて、少なくとも検査項目にそういったものはふやしたらどうだろうか。ふやすというふうなことはできないだろうかということを申し上げているんですよ。
#258
○政府委員(佐分利輝彦君) 眼科系統の検査については、先ほど申し上げましたが、肝臓機能の検査も、たとえば尿の色調による定量とか簡便な定性の検査、ここまでは集団健診でできるのでございますけれども、さらに高度のGOT、GPTということになりますと、やはり集団健診にはなじまなくなってくるわけでございます。そこに集団健診――これは五十人でも六十人でも集団健診でございますが、――限界があるわけでございますので、私どもといたしましては集団健診の改善方についても今後研究はいたしますけれども、やはりそういった問題は二次健診の充実ということによって希望にこたえてまいりたいと考えております。
#259
○沓脱タケ子君 まあ、現行法ではなかなかそういうことさえも簡単にやるというふうなかっこうにならないというところがね、きわめてはやり残念だと思うのですよね。で、先ほども出てましたけれども、たとえば二世の問題についても、これはいろいろ私どもも昨年来の本委員会ではABCCはその後の調査で二世に影響はないんだというふうな調査を発表しているということも存じております。しかし、最近起こった大阪の事例では、お母さんが長崎の被爆者です。そのおかあさんが生んだ高校生が白血病になって亡くなったというふうな実例が出ている。静岡県では被爆二世五人の方の健診をすると、その中の三人が白血球減少症だと、三千四百以下だという状況です。こういう状態というのはABCCが言うたから大丈夫だということで果たして見過ごしていいんだろうかどうだろうかという点です。これは私は問題提起をしておきたい。そういう実態もあるんだということを問題提起をいたしますので、この点についての現状の調査なり対策なりをお考えになる必要があると思うんです。現在無策なんですから。
 それからもう一つ、ついでに言っておきますが、保健手当も二キロ以内ということで、二・二キロだからということで却下をされたという御不満も出ております。しかし、私どものいろいろな調査を見てみますと、これは認定患者、私が調査した認定患者ですが、これは東京におられる方ですが、三十四名の認定患者の中で二キロ以上の地点で被爆をしたというのが二十人ですよ。こういう状態になっておるというのは、被爆当時の実態というのはいかに多様であったかということを示していると思うんですが、この点については二キロメートルというのを拡大の方向を今後お考えになるか、あるいは運用上について対策をおとりになるか、その点について簡潔にお伺いをいたしたい。
#260
○政府委員(佐分利輝彦君) 被爆二世の健康障害につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、放射線影響研究所におきまして、本年度から五ヵ年計画をもって遺伝生化学的な研究を日米協力して始めることになっております。新しい方法でございまして、その結果に注目をしているところでございます。また、次に二世の方に白血病が多いじゃないかという御指摘でございますが、先生もよく御存じのように、国民のゼロ歳の死因のトップは先天奇形でございますが、一歳以上になりますと、もうすでに白血病になってくるわけでございます。そのように幼児には白血病が多いのでございまして、それからもわかりますように、いままでのところは被爆者の二世と被爆なさらない方の二世との間に白血病の発病率に差が認められなかったわけでございます。しかし、私どもは先ほど申し上げましたように遺伝生化学的な方法でこの問題の解明を急いでいるところでございます。
 第二の御質問は、保健手当の二キロの問題でございますが、結論から申しますと、私どもはこれを拡大する気持ちは現在のところ全くございません。ただ、この基本方針は国際放射線防護委員会の勧告、あるいはアメリカの放射線防護測定委員会の勧告、こういったものに従っておりますので、それぞれの勧告が新たな立場から打ち出されてくれば、それを勘案してこれも再検討しなければならないかと思うのでございます。
 なお、その際、現在の認定患者に二キロ以上の地域にいた人がいるではないかというお話がございました。これはやはりいろんな要素があるわけで、二・五キロで被爆したけれども、その後入市したとか、そういったいろんな要素を総合勘案して認定したものでございます。
#261
○沓脱タケ子君 その他被爆者の関係についてはいろいろお尋ねしたい点がありますが、時間に限りがありますから、きょうはこの程度でやめますが、これは現行法ではいまおっしゃったような限界があるということを非常によく示していると思うんですが、現行法の中でも厚生省の姿勢いかんではもっと私は被爆者の御期待にこたえられるんではないかと、その点については少しこれは心して対処していただきたい。われわれは当然被爆者援護法を成立させない限り、被爆者の願いにはこたえられないという立場でございますけれども、現行法だって本当に厚生省の姿勢一つでこれは変わるのにというふうに非常は残念に思いますが、大臣、これはそういう立場にお立ちになっていただけるかどうか。現行法でも被爆者の方々の願いに接近できるような姿勢で進めていただけるかどうか、最後に一言。
#262
○国務大臣(田中正巳君) 私どもは今日この二法でやっていきたいというふうに考えております。しかし、この二法が成立し、実施をしていることは被爆者の救済のためでございますから、したがって、できるだけこの二法が被爆者のために血の通ったような実施ができるように努力をいたさなければなるまいというふうに思っております。
#263
○沓脱タケ子君 時間の都合がありますので、問題を次に移したいと思いますが、厚生年金、国民年金の一部改正についてお伺いをしたいと思います。
 で、端的にお尋ねをしたいんですが、全体的な問題についてもお聞きしたいと思っておりましたが、もう時間に限りがありますので、ごく二、三点、問題点についてお聞かせをいただきたいと思います。
 で、これは昨年も私、問題を出して大臣の所信をお伺いをしたわけですけれども、障害年金等級ですね。これは厚生年金には一級から三級まであると、ところが国民年金は二級までしかないと、いかにもおかしいじゃないかということで私お尋ねを申し上げたら、大臣は大変積極的にお答えをいただいて、この会議録を読み返してみますと、「私の時代において何とかこれを解決するように努力をいたしたい、かように思います。しかしいろいろ事務当局に聞きますと、すぐにこれを改正することはなかなか困難だそうでございますが、さればと言ってじんぜん日を延ばすような気持ちは毛頭ございません。ここ二年ぐらいの間には、私は一両年の間にこれの一本化について根詰めてやってみたいというふうに思っております。」というふうに非常に積極的なお答えをいただいておるんですが、これは来年度あたりこの点は解決がやっていただけますか。
#264
○政府委員(曾根田郁夫君) そのようなやりとりがございまして、大臣からできるだけ急いでという御指示を受けております。できるだけ早く私どもも検討に着手いたしたいと思いますけれども、何分専門家の意見を当然聞かなければなりませんし、診療科ごとのやはり専門家ということになりますので、ここでいつまでというお尋ねについては。間違いなく何年までにはやるというお約束はちょっといたしかねるのを御了承願いたいと思います。
#265
○沓脱タケ子君 いや、大臣は私の時代に必ずやると言っておっしゃっているんだから、それは局長がそんな頼りないことを言うてもらったら困りますがな。
#266
○国務大臣(田中正巳君) 確かに先生の御質問があり、私、実はかねがね、その速記にも書いてあるとおり、若い議員のころからの長い間の問題でございます。したがって、これを何とか解決をしたいという気持ちを持っておるわけですが、答弁長くなるとしかられますから簡単に言いますけれども、なかなか長い間のいきさつがあり、また各科別にそれぞれの専門の先生がいて、皆我田引水をやるそうでございまして、おれのところのやつはおまえの方より少し上だなんということを言うものですから、なかなかまとまりにくいものだということであります。そのほかに、これは国民年金と厚生年金だけではないのでございまして、ほかにも実はこういうのはあるのでございまして、目的が違うものですから違っていると、こういうことを言う者もありますが、私は何とか一つの表にして、そして政策目的によってその中から上手にチョイスするという方法があろうというふうに思うわけであります。たとえば先生の方であるいは御批判があるかと思いますが、在宅重度障害者福祉手当はあれの二級の一部をチョイスしているわけでございまして、ああいうやり方もあろうと思われるものですから、したがって、何とか一本化をしなければいかぬと、こういうふうに考えておりまして、たしか先生、そこに二年と書いてありますので、六月何日ですから、もうあと一年ちょっとあるんで、ひとつ努力をして余りしかられぬように大いに事務当局にハッパかけたいと、かように思っております。
#267
○沓脱タケ子君 そうすると、あと一年のめどで解決をしてくださると、こういうことですね。まあ、そんなふうに理解していいですね。
#268
○国務大臣(田中正巳君) とにかく、ことしできなかったことについてはまだ違約にはなりませんが、とにかく急いでやろうということでこれから努力をさらに根詰めてやりますが、来年必ずお目にかけるということには私――来年というのはまだこれから一年なんで、そうなってくると五十三年ということになろうかと思いますが、その辺のところはひとつ私どもの誠意のあるところを御信頼願いたいと思います。私は実は厚生大臣じゃなくともこのことはやらにゃならぬと、こういうふうに思っております。したがって、今後さらにひとつ努力をいたしたいと、こう思います。
#269
○沓脱タケ子君 昨年私は障害年金の問題で内部障害問題をお尋ねをしたのですが、あのときの一つの内部障害の問題として人工肛門の問題をお尋ねをいたしました。その後私の手元にこういう手紙が来ている。一節を読みますと、これは人工肛門の患者さんなんですが、
 私は手術後の経過が悪く、この三年間働くこと
 ができませんでした。幸いにして家内がはり・
 きゅうの治療院をやっておりますので、家内の
 扶養家族というかっこうになっております。さ
 さやかな治療院ですが、年間二十万円近い税金
 を払っています。扶養家族に身体障害者がいま
 すと税金の控除額が二十万円ふえますので、幾
 らかでも家内の負担を軽くしたいと思い障害者
 の手帳を申請いたしました。そこで驚いたのに
 は、人工肛門の人間には障害者手帳がもらえな
 いことがわかった。で、社会保険庁は障害者と
 して認定し、年金は支給してくれるのに、福祉
 事務所では申請をすることもできないというの
 はまことに矛盾した話だと思います。何とか解
 決をしていただきたい。
 こういう訴えなんですけれども、まことにそのとおりだと思いますが、どうです、これはどうなさいますか。
#270
○政府委員(翁久次郎君) ただいまの御質問は身体障害者の手帳交付に関する件でございます。御承知のとおり、身体障害者福祉法では現行法律で決めております身障者の対象が、視力障害、それから言語障害、それから平衡機能障害、それから肢体不自由、内部疾患では心臓、腎臓ということになっております。したがいまして、法律の別表でただいま申し上げたような分類の中にただいま御指摘の人工肛門を受けた方は入っておらないわけでございます。で、これをいわゆる内部疾患として身体障害者の対象にすることにつきましては、実は人工肛門のほかに類似の疾病といたしまして、肝炎、あるいは糖尿、あるいは尿道障害というようなものがございます。で、私どもといたしましてもこの問題のあることは御指摘のとおりよく承知しておりますので、法律改正にもつながる問題でございますので、専門家の意見も聞きながら身体障害者福祉法の対象として今後検討を進めてまいりたいと、かように考えております。
#271
○沓脱タケ子君 これはまあ本人にしたら非常に不思議だと思ったでしょうね。障害年金をもらって、それで障害者手帳は片方ではもらえないと。やっぱりそれは法の不備だと思いますし、いま局長おっしゃったように、福祉法に明記をされればいいわけですからね、そうでしょう。私は人工肛門だけを言っているんじゃないのです。たまたま実例を出したわけで、その辺は大臣、できるだけ早くこういった点は解決をしていただいたらどうだろうかと思いますが、いかがでしょう。
#272
○政府委員(翁久次郎君) それぞれ法律の目的、たてまえから別表ができ、また対象ができておりますことは先ほど来るる申し上げているとおりでございます。身体障害者福祉法は、御承知のとおりやはり社会復帰なりその方が社会人としてやっていけるようにするために対象も限定しているわけでございまして、内部疾患を対象として取り入れましたときも、これは御承知のとおり非常に高額医療がかかるということが第一の目的で、心臓あるいは腎臓が入ったわけでございます。まあ人工肛門につきましては、他の類似疾病との関連もございますので、私どもとして事務的に、関連はあるというように思いますけれども、法律のたてまえ等もこれは考えながら私はやはり検討を進めていかなければならぬと、こういうように考えております。
#273
○沓脱タケ子君 前向きに検討するということですが、私、時間を節約したいから言いたくないんですけれども、実際にいわゆる体幹の障害の方々と、それからそういう内部障害の理解とが、相当日本の障害者対策の歴史的な経過からもありましてずいぶんアンバランスがあるように思われてしょうがないのですよ。そういう点では、これは私ども問題提起をしているわけだから、それを前向きに解決の方向で対処をなさっていただくということであればそれはそれとして結構だと思う。どうなんですか。
#274
○政府委員(翁久次郎君) 法律改正ということを前提として考えなければならない問題でございますけれども、私どもとしては前向きに対処してまいりたいと考えております。
#275
○沓脱タケ子君 法律改正を要するということは知っていますがな。だから、何もあしたからやりなさいと、こう言っているんじゃないんですよ。だから、法律改正をする時期にそのことについても積極的に対処するということであればそれはそれとして私は納得しやすいと思うのです。そういうことですか。
#276
○政府委員(翁久次郎君) そのとおりでございます。
#277
○沓脱タケ子君 もう一つお伺いをいたしますと、障害年金の問題で、これは昨年お尋ねをして障害年金の中で特に人工肛門の関係ですけれども、厚生年金は大分全国的に普及をしてきたようですね。ところが、まだ地域によっては窓口でそんな話は知らないということで断られるというふうなところが出ております。これはまあ余り地名を言うのもよくないでしょうけれど、新潟でもそうなんですが、それから静岡でもそうです。そんなものは対象になっておらないと言って窓口で断られているのですね。それから診断書、こんなめんどくさいものを書くのはかなわんということで先生に断られていると、それでお困りになっているというふうな点で、これは診断書の様式等についてはもっと簡潔に考えられないもんだろうかという点があります。これは厚生年金です。それから、国民年金になると、これはまあ非常に却下された事例が多い。これは一つは二級という問題もあるんでしょうね。窓口で大体この申請用紙をくれないとか、障害認定の基準に入ってないからこれはだめだとか、そういう意見でもらえないというふうなのが具体例として実はあるわけです。私はその一つ一つについて申し上げるんではないんですが、そういう点ではひとつ指導を徹底したらどうだろうかと、都道府県にきちんと通知をお出しになっていただければいいんじゃないですか。具体例もあるんですよ。非常にはっきりしているのに、これは新潟県で国民年金ですが、却下になっている。読んでもいいくらい非常に明確なんですね。この人工肛門で日常生活、労働能力に非常に障害があって、人工肛門特有の合併症を発する危険を有している。で、下痢の際には絶え間なく水様性下痢排便のため労働は全く不能である。で、人工肛門の周囲のびらんのために精神的、肉体的苦痛が強く、社会的にも不安定な状態で旅行やレクリエーションなどは全くできない、こういう状況の方なんですが、新潟県では却下をされておるというケースがある。ですから、何とか早くこういう点が徹底のできるようにひとつお願いをしたいという手紙が来ておるんですがね、どういうふうに対処されますか。
#278
○政府委員(河野共之君) 人工肛門の問題でございますが、昨年先生からも御指摘がございまして、特に国民年金につきましては三級がないということで人工肛門についてははねられるケースが多い。こういうふうなことで、はなはだしいところでは窓口で断わられると、こういうふうな御指摘がございましたので、私どもとしましては、この人工肛門そのものが国年で直ちに二級というわけにはできないわけでございますけれども、そのために身体の機能の障害、あるいは日常生活に著しい制限を受けるというような方につきましては当然これは認定もできるわけでございますので、その指示につきまして毎年ブロック別に廃疾認定委員の会議をしておりますので、昨年十月末から十一月にかけましてこの問題につきましてブロック会議におきまして指示をしたわけでございます。しかし、なお先生のおっしゃられるようなことがございますれば、私どもとしてもこの点につきましてさらに徹底をしてまいりたいと考えております。
 それからもう一点でございますけれども、人工肛門も含めまして廃疾認定基準の問題、先生御指摘いただいたわけでございますけれども、私どもとしましても、これらにつきまして今後見直しをしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#279
○沓脱タケ子君 これは指導を徹底してもらうということと、もう一つは、障害認定基準に個別名を明記してもらうと、そういう毎度窓口でトラブルが起こるということはなくなると思うんですが、その点はどうですか。
#280
○政府委員(河野共之君) 個別名の明記でございますが、これは病名が非常に多いわけでございまして、これを個別に明記するかどうかということは、なお専門医師の意見も聞きまして考えてまいりたいと思いますが、全部の病名について明記するということはむずかしいと思います。しかし、代表的なものにつきましては、私どもとしましては認定基準の見直しの際にどの程度先生の御趣旨が入れられるか、そういう点も含めて検討いたしたいと思います。
#281
○沓脱タケ子君 それから手続の問題ですね、さっきちょっと触れました。これは簡素化する方向をお持ちになりませんか。
#282
○政府委員(河野共之君) 私どもとしましても、この診断書の様式その他につきまして、実際にお書きになる先生方からもう少し簡便にしてもらいたいというような意向も承っておりますので、その点につきましても、どのようにしたらよいか、さらに検討させていただきたいと思います。
#283
○沓脱タケ子君 次に、国民年金の保険料の低所得対策を考えてもらわなければならぬのじゃないかという問題です。
 国民年金の保険料というのはいまの法案では五十二年の四月から二千二百円なんですね。五十三年度は二千五百円と、こうなっていくわけですが、二千二百円になりますと夫婦二人掛金をすると四千四百円ですね、一カ月。これはまあ、いわゆる今後スライドでだんだん上がっていくと、こうなるわけですが、これは低所得者にとっては非常に大変な負担になる金額になりつつあるというふうに思うんです。ひとつ、ちょっと具体的に考えてみますと、五十一年度の所帯賃金の全国平均で見てみますと、一カ月五万二千百円ですね、一カ月、これは全国平均。まあ五十二年度、仮に一〇%ベースアップをしたとしても五万八千円内外ですよ。五万七、八千になるという程度です。これで四千四百円の保険料を毎月掛けるということになりますと、計算してみますと千分の八十超すんですね。厚生年金が今度の修正案でいきましても千分の九十一でしょう。千分の九十一で、半分は自己負担にしまして千分の四十五・五なんですね。そういうふうに見てみますと、国民年金の掛金というのは低所得者層にとっては大変な負担増になってきている。こういう点でひとつ考えていかなければならないのではないか。国民年金には免除措置があるわけですが、それでこの国年の掛金についてのボーダーライン層ですね。特にこの対策を考えていく必要があると思うんですが、対策をひとつお聞かせをいただきたい。
#284
○政府委員(曾根田郁夫君) 国民年金では低所得対策の一つといたしましていわゆる免除の制度がございますので、来年から二千二百円にも上がるわけでございますので、その際の免除基準をどのように設定するか、十分検討していきたいと考えております。
#285
○沓脱タケ子君 それでは、あと余り時間がありませんので、予防接種の問題をお聞きをしたいと思います。
 昭和四十三年の五月に厚生大臣が伝染病予防調査会に「予防接種の今後のあり方」というのを諮問いたしまして以来、八年ぶりに答申が出されて、今回救済措置が制度化をされたということなのでございます。余り時間がありませんので、私は今度の法制化に基づいて、とにかくいろいろ今後政令事項で決めるということが多いわけですが、ひとつ幾つかの点を先に確認をしておきたいと思うんです。
 その一つは、給付額を物価水準の変化等に応じて引き上げていくのかどうかという点ですね。スライドするかどうか。
 二つ目は、死亡した被害者の遺族に対して適切な措置をとるかどうか。
 それから、三つ目は、旧法による被害者の本法、今度の法律適用に当たって、不利益にならないように配慮をするということですね。同時に、この現行の閣議了解というのはまだいっぱい残っているであろうと思える未認定者あるいは未申請者、この人たちがいなくなるまで、これは残しておかなかったら大変だと思いますが、いつごろまで残すんだろうかという問題。
 それから四番目は、予防接種の副反応による疑いのある被害者に対しては、これは救済するべきだと思いますが、これについてはどうか。
 その四点、まず最初にお聞かせをください。
#286
○政府委員(佐分利輝彦君) まず第一の、年金とか手当等のスライドの問題でございますが、これは現行閣議了解制度においても四十八年度以来実施したところでございまして、今後も実施いたします。
 それから第二の、死亡者の遺族に対する補償でございますが、これも他の公的補償制度との均衡を考えながら、また被害者の遺族の特殊な事情というようなことも勘案して適正な水準に定めたいと考えております。それから第三に、すでに起こった事故の方でございますが、まだ申請をしていらっしゃらない方がございます。そういう方々につきましても、先ほど来お答えいたしましたように、市町村等を通じましてできるだけ新制度のPRに努めて、申請をしていただくわけでございますが、何せ種痘については明治四十年の種痘法以来、また、その他の予防接種については二十三年の予防接種法以来の事故でございますので、原爆と同じように、昔の事故については医学的な証明、あるいは事実関係の証明がなかなかしにくいものでございます。これにつきましても、市町村にお願いして、できるだけの御援助をして、できるだけ早く申請をしていただくようにしてまいりたいと考えておりますが、その制度を残しますのは、私どもとしましてはやはり今後二年や三年は残す必要があろうと、その間に残った方は未申請の方も全部出していただきたいと考えるわけでございます。
 それから認定の際のいわゆる疑わしいものでございますけれども、これは伝染病予防調査会の御答申にもございましたように、予防接種とその事故については蓋然性をもって認定の資料とする、判断とするということにいたしてございますので、疑わしいものにつきましても、できるだけ諸般の事情をよく見ながら認定をしてまいりたいと考えております。
#287
○沓脱タケ子君 そういう前提に立ちましてお伺いをしていきたいんですが、これは予防接種による副反応というようなものは非常に継続して変化しやすい性格を持っておるようですね。そこでいわゆる認定をした後で症状が悪くなる、病状が悪化するというふうな場合のいわゆる爾後重症ですね、この爾後重症の制度というのはおとりになるかどうか、これをちょっとお聞かせをいただきたい。
#288
○政府委員(佐分利輝彦君) 従来の閣議了解制度でもそのようにいたしてまいりましたが、今後も爾後重症は十分御要望に沿えるようにしてまいるつもりでございます。
#289
○沓脱タケ子君 給付水準ですが、全般に低いということでのかなりいろいろ批判が出ておるわけですが、そのうち、私は葬祭料ですね、これは政令によって決められるんでしょうが、報道されているところでは四万四千円とか言われているわけですね、ところがきょう提案されている保険給付でも五万円になっている。公害健康被害補償法ではこれは亡くなったときの葬祭料は二十八万五千円です、現在ね。こういうものを比較すると大変低過ぎると思いますが、この点はどうですか。
#290
○政府委員(佐分利輝彦君) 葬祭料だけをごらんいただくとそのような印象をお与えするかと思いますが、死亡一時金と相互勘案していただきますと、事務当局の案がいかに被害者のことを考えているかということがわかっていただけるかと思います。具体的に申しますと、いかに高齢になってお亡くなりになりましても、死亡一時金は事務当局の案では五十八万五千円参るわけでございますので、その額と四万四千円と合わせて評価をしていただきたいと思います。
#291
○沓脱タケ子君 これは押し問答をする気はないんですけれども、社会保険で社会保険の葬祭料が五万円で、しかもこれは国家補償の立場に立っておらぬという問題等についてはいろいろあろうとは思いますが、しかし、少なくとも法律で義務づけられて行った予防接種による被害者が亡くなったというのに社会保険の水準よりも低いということではいかにも少な過ぎはしないかという点で、私は問題を提起をしたんであって、それだったらこれだけ出すと非常に低く見えるんだったら、これはちゃんともっと適切な金額に変えられる方がよろしいと思いますよ、その点はどうですか。
#292
○政府委員(佐分利輝彦君) 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、他の公的補償制度あるいは特殊な社会保障制度、特に公衆衛生局に関係のあるもの等を勘案して、四万四千円というふうに考えているわけでございますが、そのような御指摘の点は将来の問題として一応検討してみる必要はあろうかと存じます。
#293
○沓脱タケ子君 えらいかたいことをおっしゃるのですね。
 もう一つは、ちょっと気になりますのは、この法案では、認定結果に対する不服の申し立て制度というのはないのですね。これはどういうふうにお考えになっているのですか、政令の中でそういうことをお立てになるのですか。
#294
○政府委員(佐分利輝彦君) そのとおりでございまして、三十七年の行政不服審査法に基づいて全部適切に処理をいたしたいと考えております。
#295
○沓脱タケ子君 それから今度の障害等級の四級以下の救済については、何かお考えですか。
#296
○政府委員(佐分利輝彦君) 考えておりません。
#297
○沓脱タケ子君 考えておらない、そうすると厚生年金の一級から三級までということと同じ考え方ですか、こんな社会保険と同じ立場でしか考えないというふうなのはむちゃくちゃですね。少なくともこれは予防接種による被害の救済という立場をおとりになるんなら、独自の等級というものをお決めになる必要がなかろうかと思いますが、その点はいかがでしょう。
#298
○政府委員(佐分利輝彦君) 従来は厚生年金の障害等級を使ってまいりましたけれども、今後は予防接種事故の被害者は大部分が乳幼児であるという点に着目いたしまして、端的に申しますと、内部障害、また従来の障害等級が労働能力の喪失に重点を置いておりますが、私どもは生活能力の喪失、あるいは就学能力の喪失、そういった点に重点を置いて、そういう意味では特別児童扶養手当の障害等級、こういったものも勘案いたしまして、適正な障害等級を考えたいと思っております。なお、四級以下の軽いものになってまいりますと、慰謝的な要素が強くなっておりますので、私どもは対象といたしておりません。
#299
○沓脱タケ子君 四級以下は慰謝的な要素が強くなってくるから考えておりませんと、こういうことですか。――そうすると今度の法案では、慰謝的要素というのは一つもないわけですか。
#300
○政府委員(佐分利輝彦君) 若干の慰謝的配慮は、一級、二級、三級あるいは死亡者については考える所存でございます。
#301
○沓脱タケ子君 その若干のがいいか悪いかという問題はあるのですけれども、それ以前の問題ですが、死亡者と一級、二級、三級には若干の慰謝的要素が盛り込まれるのに、同じ被害者であるのに、四級以降は少しも考えないというのは、これはどういうことなんですか。
#302
○政府委員(佐分利輝彦君) 前から申し上げておりますように、今回御審議願っております制度は、損害賠償ではないわけでございます。損失補償的な制度でございます。そういう関係で、そのような結論になるわけでございますが、なおちなみに公害健康被害補償制度におきましても四級以下はないわけでございます。
#303
○沓脱タケ子君 大臣、あれですね、慰謝的要素というのは、多いとか少ないとかいう問題というのは、これは論ぜられてはおりますが、しかし若干でもそういうものをつけるということになれば、これは障害度の等級の軽重にかかわらず、少なくともそれは付与されるべきではなかろうかと思いますが、そういうことを御検討になるお考えはございませんか。
#304
○政府委員(佐分利輝彦君) ただいまのところございません。
#305
○国務大臣(田中正巳君) 各般の制度との関連において、やっとここの辺の一応のシステムを立てたわけでございます。したがいまして、いろいろと御要望も世間にはまだあるだろうと思いますが、ただいまのところはこれでいきたいと思いますが、将来の検討課題としては、私は考えていく必要はあろうかと思います。
#306
○沓脱タケ子君 じゃあ、簡単なことですのでお答えをいただきたいのですが、この予防接種を受けたところと、被害が出てから住んでおるところと違うと、たとえば簡単に言ったら、東京で予防接種を受けて被害が出てきたけれども、現在は大阪に住んでいるという場合に、東京へ来ないと認定申請ができないのだそうですね。現地でできないのですか。それは改善できるのですか。そのことが被害者の負担になっておるということを私ども聞かされておりますが、それは改善できますか。
#307
○政府委員(佐分利輝彦君) 今回の制度は事故が起こったとき被害者が居住しておりました市町村が窓口になることを原則といたしております。したがって、申請についても居住地の市町村を通じて、またその後の給付についてもその当時の居住地の市町村から支給されるというたてまえをとっております。これは申請のための的確な資料の把握等といろいろ事務的にも医学的にも問題があるからでございます。
#308
○沓脱タケ子君 けろっとおっしゃいますけれどもね、本当に被害者を連れた御家族というのは大変なんですよ。家族のどなたかがお守りをしなければならないというふうな事態でしょう。そういう中で申請にだけわざわざ出かけなければならないというふうな事態というのはあたりまえじゃないと思うのですよ。そういう点については、これは証明とかその他については接種をした現地で当然照会もしなければならないし、証明もしなければならないと思いますけれども、申請の窓口は以前その被害を受けたときの接種場所でなければならぬというふうな制度にしたのはどういうことですか。これは改善できないですか。
#309
○政府委員(佐分利輝彦君) 事務的に厳格に申しますと、やはり被害が起こった当時の居住地の市町村長がいろんな資料を持っているわけでございます。しかし、確かに御提案のようないろいろな被害者の便宜を図る、事務の迅速化あるいは簡略化を図るというような問題もございますので、申請につきましては、今後各都道府県あるいは市町村とよく相談をして方針を固めてまいりたいと存じます。
#310
○沓脱タケ子君 それじゃ、そういうふうに進めてください。
 もう一つは、被害者手帳はお出しになりますか。これは私、非常に心配をしているのは医療費が療養費払いだと聞いているのですね。ですから、その点はどういうふうになりますか。
#311
○政府委員(佐分利輝彦君) 被害者手帳のようなものは一応出すことにいたしております。
#312
○沓脱タケ子君 そうしますと、その被害者手帳をお出しになるということになれば、療養費払いではなくて現物支給ということにはならないですか、その点は。
#313
○政府委員(佐分利輝彦君) 現物給付にすることは可能でございます。また、たてまえは療養費払いになっておりましても、当該担当医療機関が代理請求、代理受領の形で被害者の便を図ってくれるという措置が従来講じられていたと思っております。
#314
○沓脱タケ子君 医療機関が便宜を図ってくれるからということじゃなくて、どこへ行ってもその被害者手帳を持っていけば現物給付が受けられるというふうになることが望ましいわけですから、その点はそういうふうに御検討いただきたいと思うのです。
 もう時間がありませんので、私は冒頭に疑わしい被害者についての救済ということについて、そういう態度をおとりになるかということを確認をしたいということでお聞きしましたが、いままだ申請者の中で認定をされているというのは少ないですね。いま未申請の件数というのが三百六十三件ですか、審査会で一回に十一件ぐらいしかできないのだそうですね。ずいぶんだくさんたまっておると。これは私ども聞かされているのではずいぶん立証に困っていますよ、古い分については。私どもの手元で何とかならないでしょうかと言うて相談を受けた、その一つは却下をされても理由がわからぬというのですね。却下というだけで何で却下をされたのかということがわかったら、後調査しやすいわけですね。稻川さんという人ですが、これはポリオの被害を受け副反応を起こしているんですが、却下というだけで何も書いてない。この原因、何で却下になったのかということを探すのに大変苦労しているというふうな問題。あるいは私ども聞いているのでは保健所は接種の副反応によるものだということが認められておる。ところがお医者さんがどうしても証明してくれないというために申請ができなくて困っているという方がある。あるいはお医者さんがちゃんと証明をしてくれたんだけれども、これがいわゆる閣議了解を知るのが遅くなって、五十年の九月十六日に出しておる。ところが、結論がなかなか出てこない。去年の九月ですね。診断書を書いてくれた先生が七十歳だというんです。そういうふうな問題で非常に被害者の方はお困りになっておりますので、そういった点については、最初に確認をいたしました疑わしい人たちを救済するという立場で対処されるかどうかということについてお聞きをしたい。
#315
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほど原爆のところでもお答えいたしましたように、疑わしいものについても諸般の状態をよく勘案いたしまして、できるだけ救済するようにしてまいりたいと考えております。
#316
○沓脱タケ子君 委員長どうも済みません。ちょっと遅くなりましたので、私健康保険等についてもお尋ねをしたいと思いましたが、時間がありませんので、きょうはこれで終わります。
#317
○浜本万三君 私は、健康保険法、年金関係法及び原爆被爆者関係法案につきまして御質問を申し上げたいと思います。
 まず、健保、年金に関する質問ですが、これはまだまだ法改正を要望したい意味での質問を持っておるところですが、すでにわが党の片山、粕谷両議員からも相当十分な質問がありましたことや、また法律の修正も諸般の事情でなかなか困難ではないかというようなことを考えまして、この際は主として省令、告示あるいは行政指導の中で実質的に国民の利益になるような問題に限って御質問を申し上げたいと思いますので、大臣にお願いしたいんですが、ひとつ明確な御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 まず最初に、年金関係の法案に関することなんですが、第一は、厚生年金と国民年金の年金額の改定の時期を、厚生年金につきましては五月、国民年金につきましては六月にすべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
#318
○国務大臣(田中正巳君) スライド措置の実施に当たっては、現在五百万を超え毎年百万人ずつ増加する受給権者が対象となるため、過去二回にわたって行ってきた実施時期をさらに繰り上げることには事務的にも困難な問題がございますが、受給者等の要望もあり、御質問の趣旨を踏まえ、できるだけ早く実施するよう努力をいたしたいと思います。
#319
○浜本万三君 第二の質問ですが、遺族年金額につきましては、本来年金の七割――現行は五割でございますが、――に引き上げるという厚生省の要求に対しまして寡婦加算制度が創設されましたが、これでは老齢年金額の七割を下回っているので、さらに明年度予算要求においてその実現を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#320
○国務大臣(田中正巳君) 遺族年金の支給率の引き上げについては種々検討した結果、現行の遺族年金制度は支給要件等の面で諸外国に比べ緩やかであること、被用者の妻の国民年金への任意加入と関連する問題であることなどから、現行制度のままで遺族年金の支給率を引き上げることは種々問題があるということで寡婦加算制度を創設したところであり、今後公的年金制度を通ずる基本的な問題として、引き続き検討していくことといたしたいと考えております。
 明年度の予算要求については、今年度の財政再計算の直後であり、各制度を通ずる基本的な問題としてかなりの検討期間を要するものと思われるので、いまのところ考えてはおりませんが、次期再計算期までに結論を得ることを目途に努力をいたしたいと思います。
#321
○浜本万三君 第三の質問ですが、国民年金審議会の委員に被保険者の代表を加えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#322
○国務大臣(田中正巳君) 国民年金審議会の委員の選任に当たっては、被保険者及び受給者の意向が十分反映されるよう、先生御質問の趣旨を踏まえて今後十分配慮する考えでございます。
#323
○浜本万三君 質問の四ですが、各種公的年金の支給方法を現行の三カ月分または四カ月分払いから、郵便局の口座振り込み等により毎月払い方式に改めることがよろしいと思うわけであります。できれば努力目標として何年後を目指して準備されるのか、この点大臣から御答弁をいただきたいと思います。
#324
○国務大臣(田中正巳君) 年金の支払いを毎月払いに切りかえるためには、中央、地方の事務処理体制の大幅な整備が必要でありますので、現段階で直ちに実施することは困難かと思われます。毎月払いの要請にこたえていくためには、今後受給者の急増をも考慮すると、事務処理体制の整備のほか、年間延べ一億一千五百万通を超える支払い通知書の作成等を必要とする現行支払い方式の合理化の問題や郵便局支払いの対応体制等、各範にわたる検討が必要となってまいりますが、御指摘の問題については関係各省とも協議しつつ、今後十分に協議、検討をいたしてまいりたいと思します。
#325
○浜本万三君 次の質問ですが、年金積立金につきましては保険料拠出者である労使代表の参加する機関により自主的な管理運用を行うべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#326
○国務大臣(田中正巳君) 厚生年金、国民年金等の年金積立金は五十年度末で十四兆円に達するものと見込まれ、その国民経済に与える影響を考えると、他の政府資金と一元的に管理運用することが総合的な国民福祉実現の観点から、また資金運用の効率性の上から望ましいという見地に立って、現在のところは他の政府資金と統合し資金運用部に預託しておるのでございますが、しかしながら年金積立金が被保険者等の拠出による保険料の集積であるということにかんがみ、その管理運用のあり方については御意見の趣旨を踏まえて検討を続けてまいりたいと思います。
#327
○浜本万三君 非常に大切なことでありますので、ぜひ実現をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。
 次の質問を行いたいと思います。
 厚生年金の保険料率の引き上げにつきましては、急激な負担増とならないように今後配慮すべきだと思いますが、この点いかがでございましょうか。
#328
○国務大臣(田中正巳君) 厚生年金の今後の改正に当たっては、経済情勢等をも考慮しつつ、急激な負担増を避けるよう保険料率の改定を検討してまいる所存であります。
#329
○浜本万三君 厚生年金の一部改定につきましては、この被保険者の皆さんから言いますと、十四兆円も余る積立金があるんだからいまさら保険料率の引き上げをすべきではないではないかと、こういう御意見が非常に強いわけでございますから、資金の運用につきましては、先ほど大臣御答弁のように、十分配慮していただくように心から希望を申し上げまして、年金に対する質問を終わりたいと思います。
 次は、健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして御質問をいたしたいと思います。
 前回、第七十一国会の本社会労働委員会の附帯決議によりますと、「本人と家族との給付格差を解消するため、家族給付率の引上げを図るとともに、当面家族高額療養費制度の運用にあたっては、極力患者負担の軽減を図るよう努めること。」と決議されております。ところが政府は、本年七月から政令改正によって高額療養費の自己負担限度額を三万円から三万九千円に引き上げようとしています。現行高額療養費支給制度の一人一科一カ月同一医療機関という要件を改善しないのみならず自己負担を引き上げることは附帯決議の趣旨及び制度創設時の政府の答弁に逆行しておると思います。少なくとも物価上昇、低成長経済下であることにかんがみまして、限度額引き上げの実施時期をおくらせるべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
#330
○国務大臣(田中正巳君) 今回の法改正は、最近の社会経済情勢の変動等に応じて最小限のスライド的措置を講ずるものでございますが、政令事項である高額療養費の自己負担限度額についてもこの趣旨に沿い、かつ被保険者の急激な負担増を避ける見地から段階的な引き上げ措置を講ずることとしておるのでございます。療養に要する費用が著しく高額な場合の自己負担の軽減という高額療養費制度の趣旨や、被扶養者が入院した場合の一ヵ月当たりの平均自己負担額をおおむね目途とした制度発足時の自己負担限度額の積算根拠からして、所得水準、医療費等の変動に応じて適切な手直しは当然必要なものであると思います。
 また、自己負担限度額は医療保険制度を通じて一律的に取り扱われており、自己負担限度額の適切な改定を行わなければ各制度における保険財政への影響が大きく、特に国民健康保険においてはその影響がきわめて深刻であります。
 以上のように問題が多いので、御趣旨に沿うことは困難だと考えられますが、しかしながら、御趣旨については検討をしてまいりたいと思っております。
#331
○浜本万三君 第二の質問をいたします。
 政府は、弾力条項によって保険料率を本年十月から千分の七十六から千分の七十八に引き上げようとしておりますが、標準報酬等級改定も行われ、さらに厚生年金保険の標準報酬等級及び保険料率改定とあわせると、被保険者の負担は相当なものになります。これもさきの理由から告示にまる実施時期をおくらせる考え方はないか、大臣の所見を承りたいと思います。
#332
○国務大臣(田中正巳君) 弾力条項の発動につきましては、現在の保険財政の状況にかんがみてこれを発動せざるを得ない状況でございまして、したがいまして、これをこのままに据え置いておくわけにはいかないと思いますが、御趣旨の点もいろいろございますので、検討はしてまいる所存でございますが、基本的に弾力条項の発動を今年度これを取りやめるというわけにはいかないと思います。
#333
○浜本万三君 次の質問をいたします。
 健康保険法第七十一条の四の六項、七項で健康保険組合の保険料率は千分の三十から千分の九十の範囲内で政令で定めるところにより組合が決定し、その決定は厚生大臣の認可を受けることになっております。組合健保の平均保険料率は七四年に六九・九五%、四十八年七〇・八一%、四十九年七二・四三%、五十年九月末七三・〇二%と引き上げられ、推移しておりますが、被保険者の負担増を考えれば、本年度は認可を行うべきじゃないと思いますが、いかがでしょうか。
#334
○国務大臣(田中正巳君) 健康保険組合の保険料率については、やはり効率的な事業運営をやるために適正な保険料率を設定しなければならないというのはもう原則でございますが、昭和五十一年度においては、こうした経済情勢を勘案して、いろいろな措置を講じて行っておるところでございまして、今回のこの法案が成立をいたしますれば、標準報酬等で相当の財源が確保できると思いますので、保険料率の引き上げについては先生の御説を踏まえて指導をしてまいりたいと考えます。
#335
○浜本万三君 差額ベッドは五十年七月一日の中間集計によりますと、国立で六%、公立で一三・五%、その他の公的病院で二二%、医療法人で一七・七%、その他の法人二八・八%、個人立で二二・六%となっております。
 まず、国立、公立には差額ベッドを許可すべきではないのではないか。次に、通達で行政指導をしておると言われておりますが、この程度の通達ではその趣旨が徹底しないのではないかと思います。また厚生大臣は、去る五月六日、衆議院本会議で、わが党の村山富市議員に答えて「国公立病院の入院患者でも、その人の職業や地位によって、やはり特別なベッドに入らなければならない人がおるだろう」と言っております。われわれは、疾病の程度や形態に応じて治療上特別なベッドが必要な場合があると考えますが、患者の職業や地位に応じた処置の違いはこれは差別であると思いますが、大臣の所見を承りたいと思います。
#336
○国務大臣(田中正巳君) 病院の差額ベッド、これについては患者さんの中には特別室を希望する者がおるわけでございまして、したがって特別室、差額ベッドというものはこれがなければならないと思いますが、しかし、このことによって患者の適切な診療が妨げられることがあってはならないと思っておるわけでありまして、こういう趣旨から、これをできる限り規制をするようにかねがね保険医療機関に対して指導を行ってきたところでございます。今後ともこの基本線に沿ってさらに指導の徹底を図ってまいりたいと思っておりますが、患者の職業、地位によって差額ベッドが必要な場合があるというのは、これはそうした人に間々希望者があるということに基づくものでございまして、決して差別であるとは私どもは考えておらないわけでございます。なお、治療のために特別なベッドの必要な人については差額料は取らないということは先ごろ御答弁を申し上げたとおりであります。なお、国立、公立の病院においても特別室を希望する患者というものはあるわけでございますから、これは一定の割合以下において特別室を設けるということはやむを得ないと思いますが、今後ともできるだけ最小限にとどめるように指導をいたしたいと思います。
#337
○浜本万三君 次は、国民健康保険組合の国庫補助の問題についてお尋ねをいたします。
 療養給付費補助金の現行定率二五%を市町村並みの四〇%に引き上げ、臨時調整補給金を市町村並みに定率化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#338
○国務大臣(田中正巳君) 国保組合に対する国庫補助は、これを市町村国保並みに一律に引き上げることについては、国保組合間にかなり財政力の格差がございますから、市町村国保と同じように扱うことは私は困難かと思われるわけでございます。しかし、国保組合に対しても現在法定二五%の補助金を出しておりますが、四十三年以降特別の助成をしておりまして、昭和五十一年度予算においては臨時財政調整交付金が百三十二億、特別療養給付費補助金が八億、合計百四十億を計上しておるところでありまして、これによって財政力の脆弱な国保組合に対しては重点的に国庫補助の充実強化を図っておるところでございます。こういう状態になってまいりましたから、私どもとしては臨時財政調整交付金という制度、いつまでも臨時ではあるまいと思われるものでございますから、したがって、こうしたことを踏まえて、現行の補助制度について実態をさらに見きわめて今後改善に努力をするように慎重に検討してまいりたいと思います。
#339
○浜本万三君 去る第七十一国会にわが党の和田静夫君が予算委員会で、また亡くなりました須原昭二君が本委員会で質疑を行っておるものでございますが、いわゆる中医協の委員に、個人としての医師の代表でなく、公的医療機関としての病院の代表を入れるべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
#340
○国務大臣(田中正巳君) 社会保険診療報酬の審議をいたす中央社会保険医療協議会においては、病院、診療所その他の医療施設の機能、使命等の区別に即応し適切な改定が行われるよう、厚生大臣としては万全の努力を払うつもりでございます。
#341
○浜本万三君 人事院の二人夜勤月八回以内といういわゆる二・八勧告が昭和四十年に出されてからいまだに国公立医療機関でさえこれを完全に実施することができません。その原因の一つに、基準看護の制度が、二・八体制がとうてい不可能な基準を採用していることが挙げられております。現行の基準看護の制度では、有資格者による二・八体制は特二類、すなわち二・五ベッドに一人の基準のみで、その他はすべて人事院勧告に反することを公認する制度となっております。せめてすべての国公立病院は特二類か、またはこれを上回る基準を適用すべく、計画の策定を急ぐべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#342
○国務大臣(田中正巳君) 国公立病院のいわゆる二・八体制の整備については、昭和四十年五月に出された人事院判定の趣旨にのっとり、その推進を図るよう努めておるところでございます。国立病院、療養所については、昭和四十五年から三カ年計画をもって夜間看護体制の強化に必要な看護婦の増員を行い、その後も重篤患者を収容する病棟などについて昭和五十年度から夜間看護体制の強化を図るための増員を図っているところであります。看護体制の強化については今後とも最重点施策として努力してまいる所存であります。なお、これに必要な看護婦の確保については、昭和四十九年から看護婦需給五カ年計画に基づき、養成所の新増設等の養成力の拡充、院内保育所の助成、夜間看護手当の増額等、処遇の改善、ナースバンクの設置などによる在宅看護婦の活用等、各般の施策を総合的に推進しておるところでございます。
#343
○浜本万三君 最後の質問ですが、救急医療はいわゆる不採算医療の典型と言われております。したがって、国公立病院は結核、精神病院など特殊なもの以外はすべてこれに対応できなければならないということになっております。が、この見地から国公立病院の拡充整備計画を立案することが必要であると思いますが、いかがでございましょうか。
#344
○国務大臣(田中正巳君) 救急医療対策は地域医療の確保を図る上で最重点課題の一つであり、昭和四十二年度以降、救急医療センターの整備を進めてきており、昭和五十年度末において国立病院四十八カ所、公立病院百二カ所を含め計二百十四カ所の整備を終えたところでございます。また、昭和五十一年度においては脳卒中等の重篤患者対策として救命救急センターを国立病院等を対象に全国で四カ所整備しております。このように、国公立病院について従来から救急医療体制の整備に努めておりますが、今後ともその公的使命にかんがみ積極的に救急医療に取り組むよう指導の徹底を図っていくつもりでございます。
#345
○浜本万三君 以上で年金と健保の質問を終わりまして、原爆関係法案の質問をいたしたいというふうに思います。
 まず最初は、政府が提案しております特別措置法の関係につきましてお尋ねをいたしたいと思いいます。
 健診の問題なんですが、これは四十九年度の健診状態を厚生省の資料で拝見をいたしますと、一般健診の件数が四十万四千九百件、それから精密検査が八万六千六百件余りとなっております。ところが最近の健診の状況を見ておりますと、被爆後三十年もたっており、相当の時間が経過をしております関係上、被爆者の老齢化、疾病の多様化等があらわれております。現在の健診項目の再点検、再検討をすべきではないかという声が高まっておるようでございます。そういう一般の声に従いまして、最近広島市あるいは広島県等におきましても医療審議会にその再検討を要求しておるようでありまするし、厚生省も検討をしておるということを聞いておるんですが、その作業状態はどのようになっておりましょうか、お尋ねをしたいと思います。
 資料のことは大臣でなくても局長で結構ですから……。
#346
○政府委員(佐分利輝彦君) 本件につきましては広島、長崎ばかりでなく、いろいろな県から御要望が出ているわけでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、集団健診の方式といたしましては、一定の限界がございます。したがって基本方針としては今後第二次の精密健診をさらに充実するという方向で御期待に沿ってまいりたいと考えておりますけれども、第一次の集団健診につきましても、たとえば広島県におきましては、外来人間ドックのようなものを町村の集団健診の場でやるという方式を現在開発中でございますので、そのような成果等も踏まえて将来改善をしてまいりたいと考えております。
#347
○浜本万三君 いま開発中の診断方式というのはいつごろ完成し、実際実用化できるようになるのですか。
#348
○政府委員(佐分利輝彦君) 広島県からはっきりした方向を聞いておりませんけれども、当初のお話ではおおむね三、四年かかるということでございましたので、明年あたり一応その方式が完成してくるのではないかと考えております。
#349
○浜本万三君 希望によって精密検査を受けられることになっておるんですけれども、先ほど資料の数字を申し上げましたように、一般健診約四十万余に対しまして八万六千、非常に精密検査が少ないというふうに思うわけです。これはやっぱり健診の項目等にも問題があるのではないかということが思考されますが、その点局長はどのようにお考え方を持っておりますか。
#350
○政府委員(佐分利輝彦君) 一次集団健診の項目等に問題があるという面も否定するわけにはまいりませんけれども、その点については先ほど来申しておるように、現在の集団医学の技術では限界があるわけでございます。また、もう一つの要素といたしましては、原爆被爆者の方々は医療費の公費負担を受けておりますので、一次健診で二次健診の必要があると申し渡された方々については一般医療機関についてさらに精密検査をお受けになっていらっしゃる方々が多いのではないかと考えております。
#351
○浜本万三君 いずれにしましてもこの原爆被爆者は健診からその治療が始まるというふうに言われておりますので、今後十分対処されるように希望しておきたいと思います。
 それから次は、先ほど問題になりました認定問題なんです。最近認定問題が非常に大きな問題になっていますのは先ほど健診のところで申し上げた事情もあると思うんですが、やはり認定されたいというところに相当大きな問題があるのじゃないかと思います。で、五十年三月三十一日現在の被爆者健康手帳の交付は約三十五万六千人というふうになっていますが、この中で特別手当を受給しておるいわゆる認定患者の数は四千人を切っております。非常に少ないわけであります。これは被爆者健康手帳を持っておる人に対してわずか一・一%ということになるというふうに思いますので、非常に低いというふうに思うわけでございます。最近における認定状況をこの際承っておきたいと思うわけです。
 また、却下された理由が非常に不明確だと、認定しがたいというふうな表現になっておるものもあるというように聞いておりますが、それはなぜでございましょうか。
#352
○政府委員(佐分利輝彦君) 認定制度の運用の仕方でございますけれども、最近は御指摘のように被爆後三十年もたってまいりましたので、医学的証明あるいは被爆の事実の証明等にいろいろ問題がございまして認定率は下がっております。昨年は四〇%程度であったかと思います。しかしながら、昭和三十二年原爆医療法制定以来の認定率は八四・三%程度になっているわけでございます。
 なお、却下の理由につきましては個々のケースによっていろいろ違うわけでございますけれども、やはり現在医学の定説といたしまして原爆による影響が認められないというもの、あるいは先ほども問題になりました爆心地からの距離によって当該疾病が原爆によるものとは思われないというようなもの、そういったものが主体になっております。
#353
○浜本万三君 この認定の問題につきましてわれわれ素人がとかく意見を申し上げる場合には専門家としての局長はこれはまたいろんな意見があると思うんですが、原爆後障害研究会広島シンポジウムというのが開かれまして、その際の石田博士、つまり原爆病院で実際に被爆者の治療に当たておられる医療機関の責任者の文献、発表された内容によりますと、非常に問題があるということを指摘しておるわけであります。
 念のために申し上げますと、「認定審査において認定基準は公表されでいないので、認定疾患の範囲、或は認定疾患であっても認定されない等、相談や苦情を被爆者或は医療担当者より多く聞かされる。」ということや、「原爆医療法の主文に「被爆者の医療等を行う」となっているので、医療を目的としての認定、即ち医療認定であることは」変わりはないが、「原爆の放射線被曝による障害と認定、即ち疾病認定に対して認定されていない点について、被爆者をはじめ、医療担当者としても納得し難い」ということ、さらに加えまして、「殊に胃癌、乳癌」等が「被爆者に多発し、被曝線量と有意の相関が認められるにも拘らず、未だ認定されていない。」ことは残念だというような意味のことが発表をされておるわけでございます。これは医療関係者のある意味では告発とも言えるし、認定制度に問題があるということを指摘しておるんではないかというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
#354
○政府委員(佐分利輝彦君) 第一の認定基準の問題、あるいは認定の範囲の問題につきましては、毎年るる申し上げておりますように、特有の原爆症というのはございませんで、原爆の影響によって一般疾病が強く出る、治りにくいというようなものが多いわけでございますが、しかも、疾病の種類も多岐にわたっておりますので、個々の疾病についてそのつど詳細に判定をするというたてまえをとっておりますので、基準とか、範囲というようなものはお示しできないわけでございます。したがって、原爆認定疾病でありながら申請をしない方があるということでございますが、この点につきましては、さらに今後制度の普及、徹底になお一層力を使いまして、十分申請していただけるように配慮してまいりたいと思います。
 また、現在の認定制度がいわゆる原爆放射線の影響に基づく負傷、または疾病であって、しかも現に医療を要する者のみを認定の対象といたしておりますけれども、これはやはり原爆放射線の影響によっていまなお心身の障害に基づいて苦労していらっしゃる方を救おうということが原爆二法の精神でございますのでやむを得ないことでございます。
 最後に、胃がん、乳がんが被爆者でない方々よりも多いにかかわらず、そういったものが認定疾病になっていないという御指摘でございますが、必ずしもそうではございません。やはり、先ほど来問題になっておりますように、爆心地からの距離等を勘案して認定患者にしている方もあるのでございますけれども、ただ、たとえば乳がんの場合、広島に乳がんが多いからすぐ原爆放射線の影響だというようにお考えになる方もございますが、さらに詳細に検討いたしますと、これは被爆なさった女性の方に未婚者が多いから乳がんが多いんだというような結論も出るわけでございまして、その辺は、先ほども申し上げましたように、なかなかむずかしい問題がございます。
#355
○浜本万三君 先ほど沓脱委員からも質問がありましたが、認定基準にABCとあると、少なくともBの場合には現場の医療担当者が相当なウェートを占めておるわけであります。その現場担当者の最高責任者である石田博士が、まだ認定すべき者が認定できない状態にあるという発表をされておることは少なくともこのBの基準を厚生省がやっぱり実施してないと、そういう判断にもとれわけでございますから、先ほど答えがありましたように、十分親切な取り扱いをして、そういう不満のないように善処するということを大臣の方からひとつ明確に答弁をいただきたいと思います。
#356
○政府委員(佐分利輝彦君) 認定制度につきましては、従来から各方面、特に広島、長崎の専門医の方々の御意見をよくよく聴取して運用してまいったと考えておりますが、最近もそのような、御指摘のような事実があるとすれば、今後なお一層現場の御意見も聞いて、認定制度に反映をさしてまいりたいと考えております。
#357
○浜本万三君 そのような答弁がございましたので、一応これは了解をいたします。
 また、石田博士は、健康管手当支給対象障害の拡大ということについて訴えられておる中で、健康管理手当を支給されるための幾つかの疾患がいまだに取り残されておることをこの書籍の百五十三ページで発表されておることはすでに局長も御承知のとおりだと思うわけでございます。この原爆による障害でないことが明らかな障害を除きましては、すべてこの対象にすべきだというふうに私は思うし、かつ、それに近い答弁を局長もなさっておられをわけでありますが、これも先ほどの答弁と同様に、現場の医師の御意見を十分聞いていただきまして、そのような指摘、不満がないように善処していただくことをお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。
#358
○政府委員(佐分利輝彦君) C以下の疾患ということになりますと、これはいろいろ反論の多いところであろうと存じます。しかしながら、基本的な方針といたしましては、先ほど申し上げましたように、現場の先生方の御意見もよく聞き、その上で原爆医療審議会にお諮りして審議をしていただいた上で方針を固めてまいりたいと考えております。
#359
○浜本万三君 次は健康手当の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 昨年度からおおむね二キロ以内の被爆者に対しまして保健手当を支給することになりました。これは変則した年金制度のようなもので、一定の前進だというふうに思うわけです。しかし、一方では被爆者に対する差別ではないかという批判もあることを私どもは忘れてはならないというふうに思うわけです。この保健手当というのは健康状態にかかわりなく多量の放射能を浴びた被爆者の不安と健康維持のためであるということを、昨年、制定時に厚生省はおっしゃっておられるわけでございます。
 そこでお尋ねをするわけなんですが、被爆健康手帳を昭和三十七年に、これは特別被爆者でありますが、二キロから三キロの範囲に拡大されたのはどういう意味でございますか。
#360
○政府委員(佐分利輝彦君) 特別被爆者の制度と昨年新設いたしました保健手当の制度は本質的に違うところがあるわけでございますけれども、特別被爆者の制度を三十五年に二キロであったものを三十七年に三キロにいたしましたのは、当時の第一次の推定線量に基づきまして、これは第二次の最近使っております原爆の推定線量よりも、広島、長崎双方とも、多かったわけでございますが、それに基づきまして原爆放射線の影響があらわれ得るという考え方から三キロに設定したものでございます。
#361
○浜本万三君 この被爆者健康手帳を支給いたしました理由は、放射線の影響で病気にかかる可能性のある被爆者に対して被爆者健康手帳を発行交付いたしまして、十分その治療を行うということであったと思うわけであります。そういたしますと、被爆者健康手帳を持っておる少なくとも三キロ以内の方は放射能障害にかかりやすいという条件を備えておる方々であるというふうに思うわけでございます。また、二キロから三キロにいたしました理由の中に、私が聞いたところでは、二キロも三キロも疾病の発生率や病状に差異はないということで行われたというふうに聞いておるわけでございます。そういたしますと、二キロも三キロも病気の発生率や病状の変化がないとするならば、当然、被爆者健康手帳を拡大いたしましたせめて三キロの範囲だけでも、保健手当の支給を拡大すべきであるという考え方もあるわけなんでございますが、その点はいかがでございますか。
#362
○政府委員(佐分利輝彦君) 当時の特別被爆者の制度は現在の健康管理手当の制度に似たものでございまして、先ほども申しましたように、昨年新設した保健手当の制度とはかなり本質的に違うわけでございます。具体的な例として二キロ以内と三キロ以内で余り疾病の発生状況が違わないではないかというお話がございましたが、確かに健康管理手当の対象疾患についてはそのようなことが申せます。しかしながら、現在認定患者の対象疾患にしております白血病あるいは小頭症その他で見ますと二キロ以内と二キロ以上では大きな差があるわけでございまして、そのような点に着目して二キロ以内としたわけでございます、これには国際放射線防護委員会の勧告等もございますけれども。そういう関係で、せっかくの御提案でございますが、私どもとしてはただいま直ちに二キロを三キロにするような考えは全くございません。
#363
○浜本万三君 もう一つ実施しない理由を確かめておきますが、国際防護委員会の基準の改定があれば二キロの範囲を拡大するというのが主なのか、もしくは差異があるからというのが主な理由なのか、どっちなんですか。
#364
○政府委員(佐分利輝彦君) やはり二つの意味があると考えます。一つは国際放射線防護委員会の勧告、これは一九五八年の勧告で六五年に修正されたものでございますが、それと、それから一九七一年のアメリカの放射線防護測定委員会の勧告、これに基づいて基本方針を定めているわけでございますが、もう一つは、ただいま御質問のございました実際の原爆放射線に密接な関係があると思われる障害の発生状況を拝見いたしますと、現在の医学、医術の水準でははっきりしたところは一・五キロ以内でございまして、それに若干の誤差をとって二キロ程度ということになると思います。
#365
○浜本万三君 そういたしますと、まず重要な条件としては国際防護委員会の基準が変更されるということを一つ言っておられるんですが、これは厚生省が把握した情報によって、いつごろ改定される見込みなのか、わかっておれば教えてもらいたいと思います。
#366
○政府委員(佐分利輝彦君) その点につきましてはまだはっきりした見通し、が立っておりませんが、ただいま国際放射線防護委員会の委員に対して次期改正案が配付されておりまして、最終の詰めに入っております。そういう関係から、一般的には早ければことしの暮れ、遅くとも来年の春には新しい勧告が出るのではないかと考えられております。
#367
○浜本万三君 国際防護委員会の新しい基準の勧告が出、かつまた二キロの範囲と三キロの範囲との有意差がないというような資料が出ました場合には、保健手当の支給範囲の拡大ということは実施する考え方がございますか。
#368
○政府委員(佐分利輝彦君) そのとおりでございまして、国際放射線防護委員会等の勧告が変わってまいれば新しい事態に対処しなければならないと思っております。また、私どももそれに歩調を合わせまして、放射線影響研究所等において微量放射線の人体影響について本年度から調査を実施しているところでございます。
#369
○浜本万三君 まあ、アメリカの資料ばっかりを参考にせずに、相当技術も進んでいるんですから、早く日本でそういう基準をつくられまして、そして日本で正しい評価ができるようにこの作業を進めてもらいたいということを希望申し上げておきたいと思います。
 次の質問は、養護ホームに関することなんですが、養護ホームに関しましては、昨年の本委員会の広島の調査の際にも明らかになってまいりましたように、大まかに申し上げまして二百五十名の入院患者がおりますが、その百人は特別養護、百五十人は一般養護というふうになっておりまするが、その入院患者の大部分は平均年齢が七十七歳で高齢であり、寝たきりであり、重症者が多い。しかも医療を受けておる人が五割以上もおるという実態でございまして、事実上は生活の場とあわせて医療の場になっておるというふうに思うわけです。そこで私どもといたしましては、原爆医療機関に組み込んでほしいという要求を持っておるわけなんでございますが、これに対してどういう考え方をお持ちでしょうか。
#370
○政府委員(佐分利輝彦君) 特に原爆養護ホームのように平均年齢が非常に上がってまいりまして、また原爆の障害も受けていらっしゃるというような方々についてはそのような配慮が必要かと思われます。そこで広島の原爆養護ホームの場合には、四十五年の設立当初からそういうことが検討されまして、御存じのように、市立舟入病院の隣に養護ホームが設置されたわけでございます。そのようにしてあれば、医療が必要な場合にはすぐ廊下の続いている隣の市立病院にいらっしゃればいいわけでございまして、広島についてはその点はうまくいっているものと考えております。
#371
○浜本万三君 なお改善を要望いたしまして次の質問に入ります。
 かねてから問題になっております所得制限と生活保護の収入認定の問題なんでございます。厚生省もこれは年々改善をされておることについては私どもは一定の評価はしておるのですが、いずれにしましても、まだ相当数の人がこの制限にひっかかっておられるというふうに考えます。そこで所得制限や生活保護の収入認定というものを早急に撤廃してもらいたいという声に対しまして、今後どのような具体策を持ってそれにこたえていかれるのかお尋ねをいたしたいと思います。
#372
○政府委員(佐分利輝彦君) 所得制限につきましては、原爆特別措置法が四十三年に制定されましてから、四十五年度を除いてその他の年度は毎回改善を図ってまいりました。本年度におきましても、前年の所得税額を一番対象者の多い健康管理手当では十一万七千五百円から十八万三千八百円に引き上げております。所得額にいたしますと二百九十六万から四百万に上がっております。その結果、従来八三%程度でございました適用率が本年は九〇%になるものと考えております。また特別手当についてはこれが九四%程度に上がるのではないかと考えております。このように年々非常な努力をしてきたわけでございますが、今後もさらに一層の努力をいたしまして、ほかの制度も勘案しながらできるだけ被爆者の御期待に沿えるようにしてまいりたいと考えております。
 なお、生活保護法の収入認定につきましては、私から申し上げるのはどうかと存じますが、放射線障害加算の形で二分の一の調整になっているわけでございますけれども、本年度におきましては、それについてさらに改善措置が講じられないかどうか、現在社会局において御検討中とお聞きしております。
#373
○浜本万三君 これからも努力をしていくという答弁なので、一応評価いたしたいと思いますが、もうすでに特別手当は九四%、それから健康管理手当は九〇%を超えるような状態にもなってまいりましたので、一刻も早く全撤廃を実現していただきますように要望しておきたいと思います。
 次は、ことしから問題になっておりました黒い雨の地域につきましては、健康診断をする区域として拡大をしていただいたわけなんですが、これは具体的に言うとどういう範囲になるのか。それから救済される人員はどの程度になるのかということについて、まず伺いたいと思います。
#374
○政府委員(佐分利輝彦君) まず黒い雨の範囲でございますが、当時の学術会議の御報告によりますと、雨の非常に多かった地域と雨の少なかった地域の二つに分かれております。
 そこで、私どもはその雨の多かった地域、つまり広島の北西部、長径で十九キロ、短径で十一キロの楕円形の地域でございますが、これを原爆医療法附則三項の健康診断指定地域にいたしたいと考えております。なお、その境界線において問題が起こりますけれども、これは近く政令を出しまして小字の単位で指定をしてまいりたいと考えております。
 また、その地域内の被爆者の方でございますが、当時は約一万人の方がいらっしゃったわけでございますが、その後三十年もたちまして亡くなった方もございまして、現在のところでは六千五百人程度と考えております。
#375
○浜本万三君 それからなお、そのような地域拡大にも関係いたします残留放射能の調査の予算がことし計上されておるようでございますが、この調査の具体的な方針はすでに決定されておるのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
#376
○政府委員(佐分利輝彦君) 本年度予算の決定がおくれましたので、二ヵ月間おくれているわけでございますが、そのような関係からまだ最終決定ではございませんけれども、基本的な方針といたしましては、爆心地から六つの方向について、それぞれ三十キロ、二キロずつ土壌を採取いたしまして、百地点、この土壌についてストロンチウム90とセシウム137の測定をするという予定でございます。
#377
○浜本万三君 諸手当の増額についてなんですが、ことしはすでに他の委員からもお話がございましたように、老齢福祉年金の増額に伴う約千五百円の増額を健康管理手当で支給されておるわけであります。その前後若干の増額あるいは減額をされて全体の増額を図っておられるのでありますが、私どもは、その増額に対しましてはいささか低いのではないかと、そういう評価をしておる次第でございます。今後、これら諸手当の増額について、どのような考え方を持っておられるかお尋ねをしたいと思います。
#378
○政府委員(佐分利輝彦君) 諸手当、いろいろございますけれども、やはりそういった算定の標準になります健康管理手当について申しますと、従旧来やっておりますように経過年金の金額等を重要な参考にして今後定めてまいりたいと考えております。
#379
○浜本万三君 手当に関連することで、これは将来特に善処をしていただきたいことがあるんですが、たとえば健康管理手当につきましては、昭和三十二年の医療法制定以前のものは病気が治癒した場合には支給されていない。それから四十三年ですか、特別措置法ができる以前の亡くなった方には弔慰金、埋葬料ですか、そういうものが支払われてないというような若干の不合理があるというふうに思いますが、これらの点はどういうふうになさるおつもりでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
#380
○政府委員(佐分利輝彦君) 原爆医療法につきましても、原爆特別措置法につきましても、いつも申し上げておりますように、被爆者が原爆の放射能を多量に浴びて、いまなお心身ともに苦しんでいらっしゃると、そういう点に着目してできている制度でございます。したがって、医療法については三十二年以降、特別措置法については四十三年以降の方を対象にしているわけでございまして、今後もそれを変更する気持ちはございません。
 なお、先ほど私、健康管理手当の算定につきまして、間違えて経過年金と申し上げましたが、老齢福祉年金の誤りでございますので、おわびして訂正いたします。
#381
○浜本万三君 なお一層改善の努力を要望しておきたいと思います。
 それから次は、私どもはすでに社会党を初め野党一致いたしまして原爆被害者の援護法を議員立法で提案をいたしまして、当委員会におきましては皆さんの御協力で継続審査になっておるわけでございます。私どもは一刻も早く、三十年たった今日、病苦と貧困と孤独、いわゆる三重苦の中で呻吟されております皆さんに対しまして、国家補償の精神による援護法の制定を実現していただきたいということをかねてから要望しておるわけでございますが、先ほど厚生大臣はすげない回答をされたわけなんですが、重ねてひとつ大臣の決意を伺いたいと思います。
#382
○国務大臣(田中正巳君) 原爆被爆者に対する措置といたしましては、私どもはこの方々が不幸にして放射能を多量に浴び、そして身体に傷痕を受け、あるいはまた健康の障害があって、しかも将来に不安を持っておるというこの事態にかんがみまして、こうした二法の措置をとっているわけでございます。こうした方は、実は他には見られないわけでございまして、したがって特別な措置がとられているわけであります。わが省における制度といたしましてはまことに異例なものであります。私どもの役所でとっている制度というものは、原因のいかんを問わず現状をつかまえて現状についてお困りになっているとか、こういうニードがあるということで、原因のいかんを問わず実はやっているというのがこの種の政策の基底にある一貫した方針でございますが、原爆被爆者については特にそうしたことに着目をしてこういう措置をとっているわけであります。したがいまして、援護法を制定せよというお声は私どものところにも十分参っておりますが、こうしたことについては他施策とのバランスの問題あるいは具体的なまた援護法に盛られている施策の当否について私どもとしてはいろいろと意見があるところでございますので、したがって、私どもとしては、やはり二法の措置によって今後この二法を拡充強化することによって対処をいたしたいという気持ちについては昨年とは変わりはございません。
#383
○浜本万三君 そういう国家的な犠牲者を、犠牲に遭った者は国家の援護措置で救済すべきだというこの国民の声がだんだん高まっておるのじゃないかというふうに私は思うんです。本日審議をされております予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案の参考資料の中にも、この間も私ちょっと指摘をしたのですけれども載っておるわけです。これは調査会の部会長をされました厚生省の元の事務次官の牛丸さんですか、その方の答申の中で、「健康被害を生ずるに至った被害者に対しては、国家補償的精神に基づき救済を行い社会的公正をはかることが必要と考えられる。」というふうに指摘されておるわけです。これは国家補償の中に「的」が入っているものですから違うというお話もあるようでございますが、こういうふうにいずれにいたしましても注射禍に対しましても、国家がやはり温かい手を差し伸べていかなきゃならぬという考え方が出ておるように思うわけなんでございます。ましてや一億総力戦という形で多大の犠牲を受けられました原爆被害者に対しては、国家が国家補償の精神で救済するということはもう終わってもいい時期ではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、お尋ねするんですが、「国家補償的精神」とは一体どういうものでしょうか、また「国家補償的精神」というのはこの原爆特別措置法と比較をいたしましてどういう位置づけであるかということにつきましてお尋ねをいたしたいと思うわけです。
#384
○政府委員(佐分利輝彦君) 今回の予防接種事故救済制度は全く先例のない新しい制度でございまして、判例もございませんし、また定説もございません。そういう意味で非常にその性格づけ等もむずかしかったわけでございますが、そのような関係から結論を申しますと、「国家補償的精神」というような表現になったかと思います。で、これを端的に申しますと、なるほど公権力の行使による事故ではあるけれども、国にも地方にも過失はないと、そういった事故でございますので、まず賠償制度、損害賠償制度ではないと、またその次に問題になりますのは、それでは損失補償制度かという問題になるわけでございますが、これも従来土地収用法の制度みたいなものはございました。あらかじめ予期された財産権の侵害みたいな制度はございましたが、この予防接種事故のようなものは初めてでございます。またこういうふうな制度を運用する場合には、特に予防接種の場合には被害者が乳幼児でございますので、その点がまた他の制度と違う特色だと思うのでございますが、給付についても男女を平均したりあるいは年齢を平均したりというような特殊な定型化が行われているわけでございます。そういう関係から、国家補償的制度というふうに言われたものと考えております。しかしこれについては定説はございません。またこの制度と原爆二法の関係でございますけれども、これはやはり先ほども申しましたように、二十三年制定の予防接種法に基づいて罰則までつけて行いました。いわゆる公権力の行使による事故でございますので、原爆の場合とは性格がかなり違うと思われるのでございます。そこで私、素人で間違っているかと存じますが、強いて申しますと原爆の制度と国家補償の制度の中間的な制度になるものであろうかと存じます。
#385
○浜本万三君 その理屈の上で論争をしてもせんないことでございますから、一応私どもといたしましては早急に被爆者の心情をくみ取っていただきまして、国家補償による援護法制定に向けて一段と田中厚生大臣の努力を要請いたしたいと思うわけでございます。
 最後の質問になりますが、これは公衆衛生局長になるかとも思うんですが、ことしの早々だったと思いますが、総評被爆連、それからこの被団協、それから原水禁の方々が厚生政務次官の部屋にお訪ねをいたしましていろいろ懇談をした機会があるんですが、その際その方々が申されるのには、とにかく厚生省の方に現場に出てきていただいてつぶさに苦しい状態、心情を視察してもらいたいと、そして意見も聞いてもらいたいと、こういう声がありまして、その要望に対しては八月六日までに沿いたいと、こういう回答をなさっておられたことを私聞いておるわけなんですが、これはもうそろそろ六月が近づいておりまするので、そのお約束をお果たしになる時期はいつなのか決まっておれば答えていただきたいと思います。
#386
○政府委員(佐分利輝彦君) 本件につきましては昨年十二月十七日、山下前政務次官のところにやはり三団体の方がお見えになりまして、そのときに最初に話が出まして、本年六月に放射線影響研究所の日米合同理事会があるからそのときに私が参ってお会いをいたしましょうと、また現場も見せていただきましょうというお話をしておりましたが、いまお話がございましたように、本年四月九日再度川野辺政務次官のところにお見えになりまして、そのお話の一つとして同じ御要望が出ました。そこでも同じようなお約束をしたわけでございます。そこで来月、六月の八日から十日まで広島で日米の理事会がございますので、その際、私現地に参りまして三団体の方々の御都合のいい時間にお会いしたいと考えております。
#387
○浜本万三君 ぜひひとつ現地に赴いていただきまして、皆さんと直接会っていろんな話をしていただきまして、今後の施策に生かしていただくことを希望いたしまして、少しまだ時間があるようですけれども私の質問を終わりたいと思います。
#388
○柏原ヤス君 風疹の問題についてお伺いいたします。
 昨年の春から風疹が流行し、ことしに入ってからも二月が五万人、三月が十三万人、四月が十五万人というほどに流行しているわけでございますが、この流行を厚生省は予想なさっていたか、どのようにとらまえていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
#389
○政府委員(佐分利輝彦君) 風疹の本年の流行につきましては、すでに昨年二月から六月にかけてございました流行の経験にかんがみまして、本年も再び流行があることを予測いたしまして、昨年の暮れ以来各都道府県衛生主管部局長会議等で再三再四指示をしてきたところでございます。
#390
○柏原ヤス君 風疹自体はそれほど恐ろしい病気ではないようですが、妊娠している人がかかりますと白内障、難聴、心臓の異常、こういうような子供が生まれてくると、事実昭和四十年に沖繩で風疹が流行しましたときに三百五十名の異常児が生まれたということが確認されております。今回の流行で厚生省が確認している異常児の出生数、何人ぐらいでしょうか。
#391
○政府委員(佐分利輝彦君) 本年二月からの流行の異常児の発生状況については詳細にフォローアップしておりますが、まだ結果が出ておりません。で、昨年二月から六月の流行における異常児の発生数でございますが、小児科学会にお願いをいたしまして、また地元医師会にお願いして追跡調査をいたしました結果では、現在のところ風疹による先天奇形症候群は二名と報告されております。
#392
○柏原ヤス君 そのように心配されている異常児、が少ないというんでしたら結構なんですけれども、私もこのことについていろいろ調べてみますと、これは大田区に沖繩八重山の出身のある婦人がいらっしゃる、この人は二月に妊娠し、そして不幸にも風疹にかかった、生まれる子供がこうした心配される異常児であっては生まれる子供もかわいそうだし親としても苦しまなければならないというので、御主人と相談して三月一日に人工中絶をしたわけです。政府がもう少し早く風疹に対する予防対策というものをとっていればこのような悲しい出来事はなかったと思います。これは私の知っているある婦人でございますけれども、小林さんというんですが、この婦人のような人が大ぜいいるのではないかと、生まれてくる子供のことを考えて人工中絶しているのではないかと、こういうふうに思っております。そのために二名というような数字が出ているのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
#393
○政府委員(佐分利輝彦君) 私も幾つか今回の流行による妊娠中絶の事実は承っております。ただ、これまでの医学の経験によりますと、日本本土における風疹の流行では奇形児の発生数が非常に少ないのでございまして、その点がまず昭和四十年の沖繩の流行と違います。また、その二年前の昭和三十八年から九年にかけてアメリカで流行いたしました風疹の場合とも違うわけでございます。その理由については、日本女性の体質が強いのではないかというような御意見もございますし、また、日本の場合にはすでに自然免疫を受けて、すでに昔感染して免疫を持っていらっしゃるので、妊娠したお母さんで風疹に改めてかかるという方が非常に少ないのではないかという御意見もあるわけでございますが、いずれにしても、日本の場合には奇形児の出生が少のうございます。そのような関係から、中絶を行った方もかなりあるようでございますが、先生が御心配になるほど多くはないと考えております。
#394
○柏原ヤス君 私も事実中絶をした方を知っていると、局長さんも大分御存じだと。かなり中絶した者はいるかもしれないけれども大した心配はないなんていう、まあ男性だからそういうふうにおっしゃるのかなと一応かげんしていまの御答弁を伺いますが、中絶する本人の気持ち、また、そういう事実を少なくしなければならない立場に立っている厚生省の、しかも責任者の局長さんがそんなのんきなことを言っていては私はならないと思うんですね。非常に不満です。とんでもないじゃないかと、何言ってんだと、こういうふうに私は言いたいです。これは私一人じゃありません、日本の全女性がそういうことを私は言うと思いますよ、あなたに。余りにもひど過ぎるじゃないですか。それもちょっとピンセットでとげでも引き抜くぐらいのことならいいけれども、中絶ですよ。また、どういう女性が中絶をしているかということを調べた場合には、そこから起きてくる大きな被害というものが将来考えられますよ。私はこうした事態をここに取り上げますのは、局長さんのあなたが、こういうことは大変なことだと、何とか対策をしますと。来年はもっと流行するということが予想されているんじゃないですか。日本の女性の体質が丈夫だからだとか、沖繩の場合とは違うとか、アメリカ的じゃないとかっていう、そんな向こうの川岸に火事があるのをながめているようなのんきなことじゃなくて、いま自分の家に火がついているんじゃないですか。消すか逃げるかだと、これは消さなきゃなりませんよ。もっと真剣に、このような対策をしているとか、しますとか答えてください。
#395
○政府委員(佐分利輝彦君) 風疹対策でございますけれども、まず、昨年十二月、各都道府県衛生部長に指示をいたしまして、流行発生、蔓延等の監視の体制を整えるようにお願いしたわけでございます。
 また、本年一月末の局長会議におきましては、流行が起こってまいりますとお母さん方も心配なさいますから、まず、各都道府県あるいは指定都市にございます地方衛生研究所、あるいは県立病院、市立病院等におきまして、本当にお母さん方が風疹にかかったかどうか、二回の血清抗体の検査をして診断を確定するように、またいろいろと風疹に関する衛生教育を徹底するようにお願いしたところでございます。
 一方、厚生省といたしましては、風疹ワクチンの開発についてすでにかねてから力を注いでいたのでございますが、このときあたかも予防接種に対する批判も非常に厳しくなりまして、その新しいワクチンには非常に慎重を期さなければならないという問題がございました。また、厳密に申しますと、風疹のワクチンのウイルスによって奇形児が発生するという理論的な可能性もございましたので、そのあたりの確認も急がなければならなかったわけでございます。で、これは薬務局の御所管になりますが、昨年の十月風疹ワクチンの製造販売の許可をいたしまして、また公衆衛生局は予防衛生研究所に既存の施設を改良していつでも風疹の検定ができるようにいたしました。また本年度の予算では、新たに風疹ワクチンの検定庁舎の整備費五千七百万円でございますが、そのほか検定に従事する職員の増員八名でございますが、そのような予算措置も講じましてワクチンの検定実施に備えてきたわけでございます。
#396
○柏原ヤス君 予防接種調査会の答申では、女子中学生に接種するようにと、来年度ですね、言われておりますが、これは行いますか。
#397
○政府委員(佐分利輝彦君) 定期の予防接種といたしましては、調査会の答申のように、女子中学生一年生、二年生、三年生に免疫を持たせるという考えから接種をいたしたいと考えております。また来年――私どもの予測ではことしが山になって来年の流行は小さくなろうと考えておりますけれども、来年流行がございますれば、現在御審議をいただいております改正法案の臨時の予防接種、緊急時でない臨時の予防接種の条項でお母さん方に予防接種ができるようにしたいと考えております。
#398
○柏原ヤス君 この女子中学生の予防接種をする場合にいつから実施するか、安全性は十分保障できるのかという点お聞きいたします。
#399
○政府委員(佐分利輝彦君) 新しいワクチンでございますので、初めから何百万人分もできてまいりません。そういった製造関係の制約がございます。またワクチンの安全性につきましては、すでに欧米等では五年前から経験を積んでおりますが、日本におきましてもその間十分な期間を積んで安全性の確認に努めたところでございます。
#400
○柏原ヤス君 いつ実施するかということについてのお答えをお願いいたします。
#401
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほど申し上げましたように、ワクチンの生産、検定、合格状況に合わして計画を立てなければならないわけでございますけれども、これにつきましては、今後薬務局とも、また製造メーカーともよく相談をして、できるだけ早く固めてまいりたいと考えております。
#402
○柏原ヤス君 この女子中学生の予防接種は奇形児発生の予防のためにやるものであって、既婚婦人とか中学を卒業した女性はこうした予防接種を受けられない、完全とは言えないわけです。先ほど、それ以外の婦人はまた予防接種をするということをちょっとおっしゃいましたが、その場合にこれは任意接種ですることになりますんですか。
#403
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほど申し上げましたように、改正法案の臨時の予防接種として実施すれば法に基づく予防接種でございます。
#404
○柏原ヤス君 ひとつ十分に体制を整えてやっていただきたいと思います。
 次に、予防接種法、結核予防の二法案についてお伺いいたしますが、この改正案では罰則もなくなります。予防接種をした場合に、万が一にも起こるかもしれないという健康被害を恐れて予防接種をやらない人が出てくる可能性もあり得るんです。そうなりますと、政府の考えている接種率八割、また社会防衛、こういうものが失われてしまうのではないかという心配を持つものですが、こういう点、どのようにお考えになっているか。また、そういうような事態が起こらないということを確信していらっしゃるのかどうか、お聞きいたします。
#405
○政府委員(佐分利輝彦君) 改正法案では、定期の予防接種と臨時の予防接種の中の、たとえば天然痘とかコレラが入ってきたといった緊急時の予防接種でないものは罰則を外したわけでございますが、ただいま申し上げた天然痘が入ってきた、コレラが入ってきたという臨時、緊急の予防接種は罰則が残っておりまして、金額も十万円になっているわけでございます。
 そこで、そのようにするとわれわれの期待する接種率が確保できないのではないかという御心配でございますが、予防接種法、昭和二十三年に制定されましたときの依命通達にもございますように、罰則を適用するということではなく、衛生教育の普及徹底によって国民の、住民の自発的意思によって予防接種を受けていただくのだという方針を終始一貫とってきたわけでございます。で、最近の模様を拝見いたしましても、去る四十五年の種痘禍事件のときにはちょと接種率が落ちたのでございますが、その後は年々上昇いたしまして、四十九年、五十年はやはりわれわれの目標の八〇%を少なくとも第一期の接種等では確保いたしております。今後も、これまでやりましたように、衛生教育、健康教育の普及徹底を図ってまいりますれば、救済制度についても今回法制化されるわけでございますので、いままで以上の御協力が国民から得られるものと信じております。
#406
○柏原ヤス君 それで、今度の法案の中で予防接種による健康被害の救済というのが大変関心の深いところでございますが、それが政令で今後決まるということになって、非常に問題の多いところでございます。先ほど、この給付の内容について他の議員の方から御質問がありましたが、葬祭料が四万四千円だなどという非常に低い葬祭料が予想されているようでございますが、まあ、これはこの低い葬祭料を通して考えられることは、これから決められる給付の額が調査会の答申を重んじた額にならないんじゃないか、こういうことを心配するわけなんです。この点について、答申では「他の公的な補償制度の給付水準との均衡を考慮して社会的に妥当な額とする。」と、特にこれを取り上げておりますので、今後の給付の額の決め方については、この答申の精神を重んじてやっていただきたいということをつけ加えて私も申し上げたいと思います。
 次に、改正案の中で何点かお聞きしたいんですが、今回の救済制度発足前に死亡した場合には救済の対象から外していると、外されているわけですね。また、昭和四十五年の閣議了解に基づく臨時措置、救済の対象になっている障害者も、これは改めて認定を受けなければならないようになっているわけです。そこで、今回の救済制度によって認定を外される人がいるのではないか、いるのかどうかということをお聞きしたい。また、どんな人が外されるのかということをつけ加えて御説明をお願いいたします。
#407
○政府委員(佐分利輝彦君) 新制度発足以前の被害者につきましては、死亡者に対しましても、また障害を残して生存していらっしゃる方についても、新法の趣旨、制度を勘案いたしまして、できるだけの救済措置を講ずる予定でございます。
 そこで、生きていらっしゃる方々の再認定の問題でございますが、これは新しい制度ができますと、十八歳未満であれば障害児養育年金という、従来よりもはるかに高額の年金に切りかわりますし、また、十八歳以上の方であれば障害年金という、これも非常に――非常にと申しますと言い過ぎでございましょうが、かなりの年金が支払われることになるわけでございます。その関係で一級、二級、三級の認定をその機会に行わなければならないわけでございますが、通常、原則としては、この再認定によって救済制度の対象から外去れるという方はほとんどないと考えております。と申しますのは、従来から後遺症特別給付金の制度によって障害認定をときどきやってきたからでございます。なお、もしあるとすれば、その後、障害の程度が軽くなって四級以上と申しますか、非常に軽い障害にお変わりになったというような方々については対象にならないということがあり得るわけでございますが、そういう方はきわめてまれであろうと考えております。
#408
○柏原ヤス君 時間が大変少ないのでまとめてお願いいたしますが、この新しい救済体制のもとで申請時に書類がそろわない、これはいままでも書類がそろわないと、カルテがさかのぼって見つからないと、接種したときの証明書がないと、さかのぼった書類をそろえる場合が起きているんですが、この立証責任というものを一方的に被害者に押しつける、こういう点が納得できないわけです。今回、こういうものは改善すべきではないかという点が一点。
 それから今度の救済制度ができる前に予防接種をし、制度後に死亡した人は救済されるか。制定されたところにまたがっている場合ですね。
 それから予防接種を行うときに非常に内診を丁寧にやらないと、問診程度で注射をしてしまうと、こういうことがあるわけです。こういうことをもう少し徹底する必要があるんじゃないか。健康診断を十分に行う、その一つとして、この予防接種の副反応、異常反応というものがはっきりわかっているわけです。ですから、注射をする前に、こういう異常反応があるんだということをやっぱり親に教えておくと、また、その注射をするところに大きく書いて張っておくとか、また、通知をするときにそういうものを刷って渡すとか、こういうことをすることが被害事故を防ぐ大切な手段の一つではないかと思いますが、これをまとめてお答えいただきたいと思います。
#409
○政府委員(佐分利輝彦君) 第一の御質問の過去の被害者の申請について、医師とか、あるいは町村役場の証明とか、診断書が得にくいと、挙証責任を被害者に負わせるのはかわいそうだということでございますが、これは原爆も同じ問題でございますが、二十年、三十年、種痘の場合には明治四十年の種痘法以来を対象にしているのでございますが、そういった方々についていろいろ証拠書類を集めるのが非常にむずかしゅうございます。私どもも非常に頭の痛いところで、何かいい方法はないかと考えているのでございますが、挙証責任を役所の方に全部転嫁してしまうということも、これもできないことでございます。やはり従来どおり御本人にいろんな証明書、診断書を集めていただきますが、それが得にくい場合は、すでに多くの市町村でやっておりますように、市町村の当局ができるだけの応援をするという方法でいいのではないかと考えております。
 それから第二に、現在御審議の新制度ができる前に事故を起こして、新制度ができてからお亡くなりになったという方でございますが、これは全部死亡した時点、あるいは障害の起こった時点で認定をすることにいたしておりますので、御心配は要りません。
 それから最後の副反応防止のための予診、問診の強化徹底、予防接種、健康教育の普及でございますが、すでに多くの市町村では先生がいま御提案になりましたように、予防接種の前の御通知にそういう事項を記載し、予防接種の会場でさらにそういう事項を張り紙で出し、またさらに保健婦等がその面の御指導をするということをやっているのでございますが、なお一部の町村で不行き届きがあるとすれば、さらに今後その点強化徹底を図ってまいりたいと考えております。なお、事前に健康診断を十分にという御提案がございましたが、予防接種の事故の多くのものはいわゆる昔流に申しますと特異体質というものでございまして、最近の新しい免疫学を駆使いたしましてもなかなか発見できないというような性格のものでございます。
#410
○柏原ヤス君 次に、原子爆弾被爆者対策についてお聞きいたしますが、先ほどから健康診断の内容が現在の実情に沿わなくなってきていると、これは何回も質問として出ましたが、これに対してああでもないこうでもないというような、何かわけのわからない御答弁でございまして、私もこの点だけでも何とか改善できないものかと。特に健康管理手当の支給の対象となっている疾病も現在の健診項目では発見されないと。現在の健診項目というのは、御存じでしょうけれども、血圧をはかり、血を取る、そしてこう調べると、尿を取る、その他六項目にわたってやっていますけれども、依然として約二十年そのことをやっているわけです。そんなことで健康管理手当支給の対象となる疾病が発見されるかどうか。このくらいは私は改善してもいいんじゃないか。去年の三木総理及び厚生大臣の御答弁でも、私たちが援護法でやるべきだと言っているのに、医療法と特別措置法で大丈夫だと、そしてこの二つの法律の中で実情に沿うように今後向上していきたいとか、先ほども拡充するとか強化するとかって、抽象的なことはいいですから、この健康診断の内容だけでも六項目をもっと広げるというぐらいのことは私は大臣がなすってもいいんじゃないかと思うんですね。大臣に私御答弁をお願いいたします。
#411
○国務大臣(田中正巳君) 健康診断の実施項目についてはいろいろと拡充強化をしろという御意見がいろいろな委員さんから出ております。まあ、これについては専門家の御意見を聞いて今日までやってきたわけでございますが、極端にいくと、人間ドックに入れろというふうな御主張までいったんでは、これはとてもやりきれません。したがって、必要な部分については専門家の御意見を聞いて今後前向きで検討をいたすことはやっていきたいと思います。拡充強化すると言って何もやっていないじゃないかといったって、現にこの法律をこうやって提出して拡充強化しようということでございますから、何にもやっていないと言われちゃ大変私としても残念でございますが、まあ程度の問題についての評価だろうと思いますから私も甘受いたしますが、今後ともそうした方向で努力をいたします。
#412
○柏原ヤス君 年金のことにつきまして、これはまとめて大臣にお聞きいたします。
 これは去年ですね、去年の暮れに特別納入をやりました。そこで、五年年金、またあれも再加入をやったりして加入するように非常に努力されていることはわかります。ここで、今後まだ入っていない、未加入者がどのぐらいいるかということをやっぱり調査すべきじゃないかと、実態調査をすべきじゃないかと、これが一つですね。
 それから、去年の予算委員会で厚生大臣がはっきりと、サラリーマンの妻の年金権の確立については、五十一年度の改正で検討するとおっしゃいましたけれども、結論が出ておりません。検討されておりません。これはいつまでに結論を出すのかということが一つですね。
 それから、遺族年金、これも同じ予算委員会で、五割をできるだけ上げたいとおっしゃった。実行されておりません。ですから、約束を取り消すのか、それとも来年度に実行するのか。
 この三点、大臣がお答えになったんですから、大臣の御答弁をお願いいたします。
#413
○政府委員(河野共之君) 特例納付の点でございますが、特例納付の実績が収納件数約二百八十万件、収納金額は約六百二十八億円に達しておるわけでございます。これによりまして相当数のものが年金権を確保し得たものと考えるわけでございます。
 ただいまお話のございました未加入者の点でございますが、私どもとしましても未加入者の把握というようなことをいたしたいと思っているわけでございますが、ただ、国民年金の性質上、非常に大都市などでも把握しにくいというような点がございまして、今後未加入者の調査につきましてどのようにするか、さらに検討いたしたいと思います。
#414
○政府委員(曾根田郁夫君) 第二点の妻の年金権のお尋ねでございますが、これは昨年たしか私が予算委員会でお答えいたしましたので、その際、確かに妻の年金権というのは来年度つまりことしの改正の一つの問題点であり、現に関係審議会の検討項目の一つになっておると申し上げたところでありますが、その後関係審議会の方の審議が進みまして、八月に意見書をいただいたのでございますが、やはりこの年金権に関していろいろな問題があるわけですけれども、基本的に適用関係を含めるという問題は、これはもうとうてい本年度の改正に間に合わないという認識に立ちまして、実質的には加給年金の改善あるいは遺族年金のレベルの引き上げ、そういったことがうたわれたところでございまして、それを受けまして私どもも今回御提案申し上げているような改善策にまとめ上げたということでございます。今後、いずれにしてもこれは基本的な問題でございますので、引き続き重要な課題として検討を重ねていきたいと考えております。
#415
○柏原ヤス君 最後に一言。先ほどから事務処理体制の改善についていろいろ出ておりましたし、また大臣の御答弁もありましたが、これからの年金を考えますときには、いまは保険料を集めている段階ですけれども、やがて皆年金の体制で全国民が支給を受けることになるわけです。そういう点では非常な飛躍的な支給活動というものが行われるわけです。しかし、現在の支給の仕方を見ておりますと、一年に二度とか三カ月に一遍とか四カ月に一遍とかというような払い方も非常に問題になっております。そのほかスライド制が取り入れられても四月からは実施できないでいるというような問題が非常にあるわけです。こういうものをもっと迅速に、そして的確にやっていくのにはいまの体制ではとてもだめだと。まあ電算機をもっと使うとか、そうしてオンライン化をするとか、近代的、効率的な業務体制というものをつくらなければ大変なことになると思うんですね。年金額を充実させていくと同時に、この事務処理体制をしっかりさせていくことがやはり年金問題の一つの解決のポイントだと思うんですが、それについて大臣が余り大きなことを言っても次の大臣が困るから、まあ、この程度に言っているとかどうとかっておっしゃっているようですけれども、やはり国の一つの大事な年金体制の問題として、展望をお聞かせいただきたい、決意を述べていただきたいと思います。
 以上です。
#416
○国務大臣(田中正巳君) 年金受給者等に対するサービス向上、これは大変な私どもは今後の問題だと思っております。まあ、いまお挙げになった幾つかの点以外にもまだいろいろと問題があります。したがいまして、今後われわれの役所としては、こうしたことについての体制を強化することが最大の眼目であるというふうに認識をいたして、いろいろと準備を取り進めているわけでございます。しかし、これについては機械化などについても相当の実は予算、財源を必要とするものでございますが、しかし、これについては是が非でもやらにゃならぬということで、いろいろと今日検討、準備をいたしております。しかし、現実にこのようなことをすべてクリアすることは、先生考えるよりそう簡単なものじゃないんでありまして、たとえば年金の支給月を毎月にしろとか、あるいはスライドの時期を非常に早めろと、四月からやれというようなことはこれは言うべくしてできないということは、もうあの年金の実際の業務課の仕事を見ていると、私どもとしては、これは軽々には言えないなという感じがするわけであります。しかし、やはり受給者のためには何とかしなけりゃならぬなというところで、いろいろと苦労をしているわけであります。したがって、私は軽々しい食言になるような答弁はいやですから、私、慎重に申し上げているんですが、やらなけりゃならぬし、また何としても努力をしてこのことは解決をしようという気持ちについては人後に落ちません。
#417
○柏原ヤス君 展望がないんですかと聞いているんです。私は何も文句を言っているんじゃないんですよ。その気持ちはよくわかるんです。だけれども、大変だ大変だと言っているだけじゃなくて、やはり展望をきちっと示して後手にならないようにやったらどうですかと言っているんです。
#418
○政府委員(河野共之君) 私どもとしましては、事務処理体制の効率化等につきまして社会保険審議会等の御指摘もいただいておりますし、国民のニードに応ずるためにどのような体制が好ましいかということにつきまして、現在多角的に検討を進めているところでございます。
#419
○柏原ヤス君 以上で終わります。
#420
○柄谷道一君 老齢化社会への進行速度が先進諸国のそれの倍以上である。昭和四十五年七・一%でありました六十五歳以上の人口が、五十年国勢調査では七・九%になっている。七十年には一二・四%に達するであろう。そして、今世紀末には一五%前後に達しまして、かつて日本が経験したことのない社会に踏み込んでいく、それは諸統計の示すところであります。
  〔委員長退席、理事浜本万三君着席〕
 そして、こういう事態を踏まえて総合的老齢者対策の確立を急ぐ必要があるという声はすでに国論の大勢ではないかと、こう思うわけであります。私は、もちろん老齢者対策というのは、審議されております年金のみの問題ではなくて、医療、雇用、住宅、社会福祉、その他の施策がそれぞれ本来の機能を発揮しながら、その制度の効率化と拡充が有機的にかみ合って整合性を持って進められる、そのことによって国民の最低限度の生活を保障しながら、さらに生きがい対策、疎外感や孤独感の排除という面を生かした目的が達せられるものだと考えるわけであります。
 そこで、まず第一に厚生大臣として、これら老齢者総合施策の確立についてどのような基本構想とプロセスをお持ちなのか、お伺いをいたします。
#421
○国務大臣(田中正巳君) 柄谷先生の御意見、御質疑は、私はまことに的確な現在の日本の社会情勢に対応するものだと思うのであります。したがいまして、このことについて厚生省はもちろんでございますが、政府全体、各省庁にまたがる問題が多々あるわけでございまして、そうしたことを踏まえて、日本の急速な社会の高齢化に対応して施策を充実しなければなるまいというふうに思っているわけであります。で、これについては各方面から御提言がございます。また、総理が御熱心なライフサイクルとかいうのにも、この点は触れておるわけでございますが、先生おっしゃるとおり、年金等の所得保障のみに限ることなく、老人の医療、健康管理、あるいは在宅に対するホームヘルパー、あるいは高齢者の生きがい対策としての就労対策といったような各面についての施策を充実しなければなるまいというふうに思って、逐次これをやっているわけでございますが、特に、私どもはこの中の主軸をなす年金等の所得保障については、これについていろいろと今日まで発展、充実を図ってまいりましたが、今後はひとつさらに基本的な問題とも取り組んで、りっぱな年金をつくり上げるようにいたさなければなるまいというふうに思っているところでございます。
#422
○柄谷道一君 そこで、大臣、年金問題でございますが、昨年十二月一日、社会保障制度審議会が次のような建議を行っております。
 今日までの改正は、「多くの既存の制度の部分的改善や補正にとどまり、制度全体の根源の洗い直しや各種制度間の不均衡、不公正の調整は行われず、しかも、あるべき社会保障についての長期の展望を欠いたものであった。」と書いてあるわけです。私は、今回の年金改正案をながめました場合に、依然としてこれは従来の延長線上の改正であって、抜本改正問題は今回の提案の中には含まれていないと、残念ながら見ざるを得ません。私は、社会保障費用の問題、特に年金問題は、ストックにせよ、フローにせよ、国民所得再分配の問題であります。年金はその時代の稼働人口によって支えられるものでありますから、当代負担と後代負担、その後の後代負担が、それに続く後代負担によって支えられるというものではないかと、そうするならば、その世代間の負担が公平かつ合理的に行われるか否かに年金は係ると言っても過言ではないと、こう思うのであります。こうした視点に立ちますならば、さきに申し上げました総合的施策の関連を十分に見きわめる必要がございますけれども、まず第一に、従来の発想、すなわち経済の成長部分の中から社会保障の費用を賄うという発想ではなくて、国民所得の配分について全体的な調整を行うという配慮が必要であろうと思う。
 第二に、社会保障制度拡充のプログラムにつきましては、優先順位を定めて、限りある財源をいかに効率的に運用するか、そのための社会保障制度計画の設定と決断が必要になってこようと思います。
 さらに、さきにも触れましたように、国民の連帯意識を基盤とする世代間の合意をいかにしてつくり上げるか、これらが基本的な問題だろうと私は思うのであります。技術的に見ましても、老齢者の社会的扶養と私的扶養の役割りは、一体どう理解すべきなのか。給付水準についてその基準を一体どこに設定すべきなのか。各種年金間の不均衡と不公正をどのような具体的プロセスで是正を図っていくのか。年金におけるナショナルミニマムとの関連をどう明確に位置づけていくのか。妻の年金権や遺族年金のあり方をこのナショナルミニマムとの関連においてどう解明していくのか、さらに国庫負担のあり方や、現在横行しております積立主義と賦課主義との調整問題、こういった理念と手段と判断の確立というものが今日ほど急がれている時期はないと思います。こういった根本問題というものに対するメスを入れずして、部分的に年度年度年金の改善を行っていっても国民に本当の意味での老後の安心感を与えるということにはならないと私はかねがね思っているものであります。民社党はすでにナショナルミニマムの確立、年金ポイント制の創設、妻の年金権の確立などを中心といたしました具体的かつ財政計算も行った一つの試案を提示しているわけでございますけれども、大臣としてこれらの年金抜本改正に取り組む基本的姿勢と今後どのような形でこれらに取り組んでいこうとしておるのか、これをお伺いしたいと思います。
#423
○国務大臣(田中正巳君) いま先生がいろいろおっしゃいました後段に述べた問題は、私は現在のわが国における年金問題の、つまり問題点のすべてだというふうに思います。年金問題アラカルトというところではなかろうかと思いますが、いずれにしてもそうした問題があることは事実でございます。ただいま御審議を願っている法案の御評価についてはいろいろな評価の仕方があろうと思います。従来のいわゆる手直し的な改正というにはかなり踏み込んだものも実は中に盛り込まれておるわけでございまして、単なるいわゆるスライド的改正であるというふうな評価ではいささか酷だろうと思いますが、しかし、先生の考えている視点から見れば抜本的なものではないということは、私はやはりそういう評価を受けても仕方がないというふうに率直に認めたいと思います。私もそういう観点から今日の年金のあり方については、これを基本的に考え直して時代の要請に合った年金につくり直していかなければならぬものであるというふうに考えているわけであります。年金の財政方式をめぐる問題、つまり世上よく言われている積立方式か賦課方式かという問題、あるいは各種に分立している年金のできるだけの総合調整という問題、あるいは拠出と給付の公平等々いろいろな問題があるわけでございまして、こうした問題を今後解決をしなければ、私は今後のいわゆる老後に対する所得保障の確立は不十分であり、また極端に申しますると不安でならないという一面もないわけではございません。
  〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕
 そういうわけで、私どもは年金について相当基本的な総合調整と財政方式の改善を踏まえた検討をいたすべくかねがね実は事務当局に命じ、いろいろと素案をつくってもらっておったわけですが、過日来、省内にプロジェクトチームをつくり、さらにそれを精査をいたしておるところでございますが、これは何分にもいま現実に動いている各種の年金制度というものをこれに対していろいろと改善の手を染めなければなりませんから相当の大仕事でございます。そういうわけで、先般来、厚生大臣の私的諮問機関として年金制度基本構想懇談会、俗称年金懇というものを設けまして、各方面の学識経験者の御参加を願ってこの問題と真摯に取り組み、できるだけ早い機会に成案を得て世の御批判をいただきたいものだというふうに考えて、せっかく努力中でございます。
#424
○柄谷道一君 大臣は昨年十一月十六日札幌における記者会見で、いわゆる基礎年金構想なるものを発表されました。
 その内容は、一口で言うならば、基礎年金は全国民を対象とし、定額制の年金にする。現行の年金制度は再編成するが、報酬比例制、期間比例制の付加年金として基礎年金制度に積み上げる。基礎年金の給付水準は、福祉年金を含めて同額としたい。基礎年金部分については賦課方式を導入する。これが新聞紙上報ぜられたところの大臣の構想でございます。
 さらに、ライフサイクル計画に盛り込まれた年金制度改革案、社会経済国民会議が発表した「年金制度改革の基本構想と当面の改善に関する提言」、私はアイデアだけはまさに百家争鳴の感が現在あると思うのであります。しかし、具体的な改正のスケジュールは遅々として進んでいない。
 昨年の国民年金法等の一部を改正する法律案の附帯決議は、「五十一年度に繰上げ実施する財政再計算期に際し、各制度相互間の均衡を図りつつ、年金制度の抜本的な改善を図ること。」、これに対して大臣は鋭意努力しますという答えをされたわけでございます。こういう両院の抜本改正に対して期待するものと、いま大臣は年金制度基本構想懇談会を設置すると、こう言われたわけでありますが、私、聞くところによりますと、その答申は来年の九月ごろまでにしてもらいたい、ここで構想が出ます。それを厚年なら厚年、国年なら国年、各共済制度なら共済制度と持ち帰ってまた検討が進められるということになりますと、現在のスケジュールを推し進めていきますと、どうしても早く見て国会に抜本改正の提言がなされるのは昭和五十四年度の通常国会あたりになってしまうのではないか、こういう感が非常に深いわけであります。私は現下、冒頭申し上げました時代の要請からすれば、これは両院の期待するところとも考え合わしてややスピードが遅過ぎるのではないかと思うわけであります。大臣として一体何年度の通常国会にこれらの問題を提案するという、これは努力目標でございますから、狂うことがあったとしても意欲を持って取り組もうとしておられるのか、お伺いをいたします。
#425
○国務大臣(田中正巳君) 私が新聞に申した基礎年金構想というのは、先生おっしゃる、おおむねそういうものであります。しかし、これはあくまでも非常にラフなアイデアでございまして、これそのものを私がそのままで実行をしようというわけでは実はございません。各種の、いま先生がお挙げになったライフサイクルや社会経済国民会議等々からも類似の実は構想が出てきているわけであります。まさにこうした政策要請は私は世論になっているものというふうに思うわけであります。また、昨年の附帯決議にもそうしたことが書かれておるわけであります。世論はその方向に向いているものと、思うわけであります。しかし、何分にもこれは既存の制度というものを、しかも相当精細になっている、精細に組み立てられている既存の制度というものを改定するということは一朝一夕にして机上で考えるほど簡単ではございません。そこで、しかし、これを何とかして実現をしなければならないというのがまたわれわれに課せられた任務だろうと思います。したがって、年金懇につきましてももう少し時間をかけてやりたいという御意思も実は中にあったわけでございますが、私どもとしてはできるだけ早くやってもらいたいということを申しまして、明年の遅くも秋までにはひとつ成案を得るようにということを申しておるわけでございます。そうした過程において各省庁等とか、あるいは各制度との間の打ち合わせ、あるいは理解、了解を得るというようなこともできるだけ早くやりたいと思っておりますが、しかし、問題が問題だけにやはりある程度の期間が要ることはひとつ御理解を願いたい。しかし、私どもとしてはじんぜん日を過ごすような気持ちは毛頭ございません。できるだけ早くやりたいと考えておりますが、五十四年になりますか、五十三年になりますか、その辺のところは今後の作業の推移を見てやりたいと思いますが、できるだけ早くやりたいというのが私の考えであります。
#426
○柄谷道一君 果たして大臣、これは最後には政治的決断の問題になってこようと思うんです。私はいまや類似しているいろんな基本構想を見ますと非常に類似点が多いのです。共通点が多いのです。ただ現実に既存制度がありますから、この既存制度を一挙に改革していくということになりますと、これはその面におけるまた既得権という面での抵抗も出てくると思います。しかしまあ、ことしの秋ぐらいまでやられる、案が出てくる。そのときにまたどうしましょうかというよな姿勢では、これはなかなか前へは進まぬと思います。ぜひこれらの基本懇の意見等が出ました場合は、ひとつ大臣の勇断をもってその方向を示し、そしてその方向に向かって各議論が集中して行われるという審議の体制をぜひお願いをいたしておきたいと思います。
 次に、保険料率の問題でちょっとお伺いをします。まあ改正はされましたけれども、当初の政府原案は料率千分の十八引き上げでございました。その背景となっております政府による収支見通しは昭和八十五年で年度末積立金三百四十八兆五千八百四十六億円と一応計算をされているわけであります。昭和八十五年の支出額百四十三兆八千五百十三億と比較いたしますと、約二年半分の積立金分を持ちたいというのが料率算定の私は背景にあると、こう思います。大体千分の四で約百兆と私理解しておりますから、今回千分の三引き下げたと言いましても、なお昭和八十五年度時点におきましては二百五十兆を超える積立金がその時点において備わっているということになろうと思うんです。ところが、大臣果たして昭和八十五年まで修正積立方式が維持されるものだろうかどうか。大臣の構想でも基礎年金部分には賦課年金方式をひとつ採用したいと、こう言っておられます。こういった事態を考えますならば、私は次回の抜本改正の際には、そろそろ従来のような修正積立方式というものはここで考え直されるべき時期に到達をするのではないか、こう思うんです。またその時点における社会経済情勢というものも配慮しなければなりません。私ちなみに計算をしてみたんですが、仮に妻と子二人を持つ勤労者が年間給与が八・五%上がった。年間の賞与支給額は六カ月であるということを前提として計算をいたしますと、給料十五万円の者は年額十八万円の増収になりますが、所得税、住民税、厚生年金、健保、これは年金は十五度引き上げで計算をしておりますが、これで四万三千四百七十九円、いわゆる支払うものが多くなりまして、十三万六千五百二十一円、月当たり一万一千三百七十七円の増額にとどまる。同じような計算で仮に極端な今度の上限であります三十二万円の層を考えてみますと、実に年間の税金公課のふえる分が二十五万八千八百九十七円で、実質の年間所得額の増加は二十八万一千百三円。これを月割りに直しかつ一〇%の消費者物価の上昇というものを考えますと、私の計算では十五万円の者では実質月当たり三千六百二十三円の実質賃金の低下、給料三十二万円では八千五百七十五円実質賃金が低下するという計算が導き出されるわけであります。私はこういうことを考えますと、特に厚生年金、再計算期は五年であります。まあ短縮されて、四年になったり三年になったりしておりますけれども、その再計算期ごとに料率を一遍にぽんと引き上げるわけです。そのことによってこの実質賃金に対するはね返りがきわめて大きいということを示唆しているんではないか。私はこの料率引き上げに対しましては、こういう形で再計算期ごとにぐんぐん上がっていくという形ではなくて、これをならして段階的に実施をしていく。ベースアップは率は別にいたしましても、毎年ベースアップはあるわけですから、段階引き上げの構想を今後配慮すべきではないか、今回配慮してもらいたいと思っておりましたが、これはすでに衆議院段階における修正が終わっておりますので、修正案を出すというようなことはいたしませんけれども、今後の方針としてお伺いをいたしたい。
#427
○政府委員(曾根田郁夫君) いま御指摘の点はまことにごもっともな御意見と存じまして、実は関係審議会でもそのような意見が一部に現にございました。従来の例もございますので、それについて完全な合意を得るところまでは至りませんでしたけれども、一遍に急激な負担増を招くということを避ける意味からも非常に効果的な考え方だと思いますので、次期の再計算の改正の際には十分検討いたしたいというふうに考えております。
#428
○柄谷道一君 次に、遺族年金でございますが、これは審議会も答申をしておりますように、本来給付率の引き上げを目指すべきものであるとうたわれております。で、私は政府の、厚生省も当初大蔵省に要求する前の段階では、給付率の引き上げということを大分考えておられた。七割給付の実現を目指しておられた。それができなかった。そこで寡婦に対する加算額でこれを操作して、実質七割支給にしようとされた。ところがこれをやりますと、恩給法へのはね返りがあるということで、大蔵省の大反撃を受けまして、まあ現在のような形に落ちついたと私は理解しております。真偽はわかりません。しかし審議会の答申にもありますように、本来的な姿としては、給付率の引き上げという問題を目指すべきではないか。さらに私は、政府が恩給法との関連というものをよく述べられるわけでありますけれども、しかし給付水準も給付開始の年齢も、そして年金計算となるその基礎額のとり方も、スライド制も、それでは恩給法によるものと厚生年金が同じであるか、恩給法の方がはるかにいい条件をとっているわけであります。何かいいとこどりをして厚生年金が一歩でも前へ出ようとすると、それを恩給法を盾にこれを抑えつけていくという姿勢そのものが私としてはどうも理解できないわけでございますが、大臣として、そのような方向で今後努力されますか。
#429
○国務大臣(田中正巳君) 遺族年金の改善につきましては、私どもは先生御承知のとおり七割で予算要求をいたしました。しかしわが国における遺族年金の給付条件が、諸外国の例と比較をいたしますると、かなり実は緩やかになっているなどという理由等がございまして、そのことは残念ながら実現をいたしませんで、寡婦加算制度というものになって実現が見たわけであります。私どもは決してこれが本意ではございませんでした。したがって今後いろいろな検討もいたし、理論武装もいたしまして、今後さらに改善について努力をいたしたいと思いますが、年金制度の基本政策でもございますので、私どもとしては次の財政再計算時までにそうしたことをひとつやって、今度はさらにそういう態度で取り組みたいというふうに実は思っているわけであります。
 恩給との関連については、これが今回の問題の実現の支障になったという本質的な理由だとは思っておりませんが、そうしたこともなかったとは言い切れないと思います。先生の所説については私もまた恩給と年金との違いについては首肯し得る面が多々あるものというふうに思っておりまして、こうした面についてのやはり今後のPRあるいは理論武装等もやっぱり十分やっていかにゃなるまいと思っておるわけでございます。
#430
○柄谷道一君 時間がありませんので、私は指摘だけにとどめたいと思いますが、今日までの各委員からの質問の中にも含まれておりましたように、今日までいろいろ当委員会で審議いたしてまいりました問題の中で、妻の年金権につきましても加給年金額を引き上げたことと、寡婦加給年金制度の創設によって肩がわりはされておりますけれども、妻の年金権はこれで解決されたという問題ではないと思います。さらに、五人未満事業所に対する適用拡大、スライド制の改善、労使負担比率の改革、積立金の管理・運用、老齢年金の非課税問題、業務処理体制の整備問題、国庫負担の拡充問題などはいずれも今回の改正から見送られているわけであります。ぜひこれらの問題について引き続き今日までの当委員会の審議経過を十分踏まえて次回改革の際に盛り込んでもらいたい。あわせまして、その検討の中で年金ポイント制、現在の年金の計算方法は非常に複雑でわかりにくいという不評、風評がもっぱらでございますから、これらの年金ポイント制の採用についても検討の項目に入れていただきたい。さらに、老齢年金、障害年金等は受給開始時期主義をとっております。したがいまして、障害を受けた者、老齢年金の受給を受けている者が結婚をしても、子供が生まれても、――老齢年金受給者には子供が生まれることはないと思いますが、再婚しても年金額はふえない。逆に死んでしまえば即刻条件が変動したとしてそれは打ち切られてしまう。それでは老人には一人寂しく再婚せずに生きよということかと、こういう切実な訴えが私の方にも参っておりますので、審議会等でこれらも検討の中にぜひ加えていただきたい。時間の関係で問題の指摘だけにこれはとどめておきたいと思います。
 次は国民年金でございますが、私は前回の五万円年金改定の際は厚生年金と同一水準にするということが一つ前提となっておりました。しかし、今回の十万円年金についてはその前提が外されております。これはいろいろ分析をいたしますと、付加年金の充実改善が今回の改正で見送られているというところに最大の理由があるのではないかと、こう思うわけであります。今回の改正は私はやむを得ないと思いますけれども、給付水準の引き上げにつきまして、たとえば所得比例制、所得別段階制、低所得者に対する特別措置という方法も検討に値する一つの方法であろうと思うんです。これらを含めまして各種年金を横断する水準の基準というものを明確にしつつ総体的な引き上げを図っていくためにはひとつこれはぜひ真剣に検討すべき問題であろうと思います。
 さらに、福祉年金の引き上げ額千五百円も余りにも低額過ぎるのではないか、このように感ずるのであります。ナショナルミニマムの検討ともあわせこれらの国民年金と福祉年金についても同様並行した抜本改正のメスが入れられることを強く求めまして、時間の関係から健保に移りたいと思います。
 医療保険の抜本改正の声が上がってからすでに久しいものがあります。特に昭和四十六年には、私も当時審議会の委員でございましたが、社会保険審議会で五十五回に及ぶ検討を経まして、医療保険の根本的改正についての答申を大臣にいたしております。また、制度審も医療保険制度の改革についての答申を同年行っております。また、昨年十二月二十三日、社会保険審議会の健保問題等懇談会もその意見書の中で緊急提言の前提としての抜本改正の必要性を強調しているのであります。しかし、今回の改正案は二月九日の保険審で保険審答申、同十二日の制度審答申の中でも指摘されておりますように、依然として財政対策中心でございまして、抜本改正というものにつきましては遺憾ながらその取り組む姿勢が怠っていると指摘せざるを得ない提案であります。まことに私としては残念であります。
 そこで、大臣として各種審議会の答申を踏まえて、今後これら抜本改正問題にどのような姿勢で取り組んでいこうとしておられるのかお伺いをいたします。
#431
○国務大臣(田中正巳君) 確かに今回の改正法案についての審議会の御答申にもそのことが触れており、また四十六年社会保険審議会は十月八日でございますか、同時にまた制度審においてもいろいろな御提議がございました。まことに広範多岐にわたっているわけでございまして、この中の一部については四十八年改正で実は実現を見たものもございます。しかし、その他の問題についてはいろいろと解決をいたさなければならないと思いつつも問題が非常に現在の制度の中に根深く根をおろしているものがあり、関係当事者の利害も鋭角的に対決をしているというようなこと、あるいはまた物によっては保険の財政力がある程度余裕がなければ実現のできないもの等々がございまして、現下の事情では四十八年の改正の水準というものを維持するだけが精いっぱいというのが偽らざるところでございまして、したがいまして今回はいわゆる抜本改正と称せられる多くの項目の中のものを取り入れることはできませんでしたが、いわゆる任意継続制度、任継などはその一種であろうと思われますが、そうしたことも取り入れましたが、基本的なこうした構想についての項目についてこの法案にないことについては私どももまことに残念でございます。今後引き続き精力的に検討もいたし、また関係者の御理解と納得を得つつ、そうしたことについてこれは一遍にやろうとしても私は言うべくしてできないと思いますんで、ステップ・バイ・ステップでこの問題を解決するという方向でいかなければなるまいと思いますが、そうした方向で解決を進めていきたいと思っております。
#432
○柄谷道一君 大臣、最近の医療費の急激な増加、これは抜本改正問題に対して決断をしませんとわが国の医療制度はパンクしちまいますよ。そして、医療の荒廃と国民の健康を守るという質は低下する。まさにこれ大きな曲がり角に日本の医療制度は来ているのではないか。確かに大臣の言われるような鋭角的な対立はあります。抜本改正を阻むいろいろの要因は私も知っております。しかし、それをもう解決できない問題だとあきらめてしまう、そのことによって生ずる弊害というものは実にはかり知ることができないと私は思うのです。非常にこれはむずかしい問題ですけれども、時の政府がやはり勇断をもってこれらの対立点というものを解きながら、思い切った抜本改正の方法を進めるという姿勢をぜひとってもらいたい。
 そこで、私は保険局発行の昭和五十年版「健康保険法の解釈とその運用」というのを読んでみましたところ、昭和三十二年三月の健康保険法改正の趣旨は保険医療組織を個人指定方式から機関指定方式に切りかえたことにあるということで、その理由が非常に詳しく明快にここに書かれているわけでございます。また健康保険法四十三条四項によりますと、療養の給付を担当するのは保険医療機関または保険薬局という機関が指定されているわけでございます。こういういろいろの事情を考えますと、いわゆる機関指定でございますから、中医協そのものの委員構成についても法が昭和三十二年に改正されたという趣旨を踏まえて機関の代表を選ぶべしということに当然なってこようと思うのです。ところが、現実には病院という組織医療を行っております代表は残念ながら中医協の委員にはなっておりません。私はどの団体を擁護するとか、どの団体にけちをつけるとか、そういう意味ではなくて、昭和三十二年のこの法改正というものの趣旨を踏まえるならば、当然医療機関の機能に応じてその意見を代弁できる人々を広く中医協に参集させることによって私は適切な診療報酬体系の確立が初めて可能なのではないか、こう思うわけです。いかがですか。
#433
○国務大臣(田中正巳君) 中医協における二号側委員、つまり医療側の委員というものについては先生おっしゃるとおりの方針で臨むべきものだと思います。しかし、三十二年の例の機関指定、俗にいう二重指定問題の帰結というものが現在の中医協の委員の構成に直接影響を与えるものだとは論理的帰結は私はないと思うのであります。もちろん病院については御承知のとおり非医師の開設者というものが認められていることも事実でございますが、しかし、大宗はやはり医師が開設者にもなっているということでございますので、したがって、こうした病院の利益を代表するようなお医者さんが、医師が中医協の中に入ってくるということが私は一番正しいのだろうと思います。したがって、今日いろいろな経緯がございました。私いまから十六、七年前に厚生政務次官をやっておったころに、いろいろとこの問題が華やかに出たことも先生も御記憶だろうと思いますが、今日では私どもが委嘱をしておるところの中医協委員はやはり診療所、病院、両方のそれぞれの保険医療機関の実態を踏まえ、その利益を十分代表しているものというふうに認識をし、委嘱をしている次第でございます。
#434
○柄谷道一君 大臣、私も言いたくないですけれどもね、現在のそれでは中医協に参画されている病院代表と称せられる方々の病院内容をみんな私持っております。いま大臣そう言われますけれども、本当に病院代表が中医協の中に入っておるというのはいわゆるこれは言いわけであって、自治体病院の代表も入ってなければ大病院の代表も入ってないわけです。これはひとつただいまの大臣答弁では私は了承いたしかねますけれども、こればかりやっておりましても時間がございませんから、また改めての機会に中医協構成問題は細部の法律的な根拠もひもときながらひとつ善処を求めたいと思います。
 次に、同じ機関でございますが、医務局に医療審議会という機構がございます。この医療審議会の医療審議会令第二条によりますと「医師、歯科医師、薬剤師、医療を受ける立場にある者、学識経験のある者及び関係行政機関」から委員を選ぶということになっているのでありますが、現実をながめますと薬剤師も入っておりません。また健康保険の被保険者代表も入っておりません。審議会令第二条が適切に運用されているものとはとうてい思うことができません。
 また、同審議会令第六条によりますと、「審議会に、医療機関整備部会及び診療報酬部会を置く。」、置くことができる、ではございません、「置く」と明確に書かれておるにかかわらず、診療報酬部会はまだ委員も選任されないまま開店休業というよりも開店もできないという状態でございます。
 このことにつきましても私は質問をしたかったわけでございますが、これまた時間がありませんので問題提起に本日はとどめておきまして、厚生省といたしましても法の番人でございますから、法の定めるところにはやはり忠実に運用を図ってもらいたいということだけを申し上げておきたいと思います。
 次に、出産手当の問題でございます。労働基準法では、出産予定日がおくれた場合は、実際の出産日まで出勤として取り扱う、こういう運用がなされております。すなわち働いている者は何月何日出産予定日ということになりますと、四十二日前から休み出すわけであります。早く出産すればそれをもって産前の出産手当金は打ち切りになります。しかしおくれた場合は四十二日をもって打ち切りでありまして、空白ができるわけです。労働基準法の取り扱いと健康保険法による取り扱いにはそこに断層が生まれております。どうしてこんなことになったのか歴史を勉強するために私は「健康保険三十年史」をひもといてみたのでありますが、大正十一年の法律第七〇号には、出産予定がおくれたときは七日間は延長できるという特例がございました。ところが、昭和二十一年四月一日の勅令一八五号でこの特例が廃止されております。私は出産手当というものの目的は何か、出産のために休業する、その休業期間中の生活を保障するために出産手当金が支給されると、こう理解するわけでありまして、当然労働基準法と同じように早まれば早まった期間まで、おくれた場合はこれは個人が選択するわけじゃなくて、医師の診断に基づいて休み始めるわけですから、過去ございましたような特例の措置が当然行われてしかるべきものと思うのであります。法制局にいろいろ問い合わせましたところ、これは法律改正をしなければそれができないということで今回の修正案に盛り込むことができませんでした。大きな幹を生かすためにあえて修正案として出すことは私は控えますけれども、ぜひ次回の改定にはいま指摘いたしました問題は当然厚生省としても法改正の一項目として前向きに検討されるべきだと思いますが、いかがでございますか。
#435
○政府委員(八木哲夫君) ただいま先生から御指摘ございましたように、労働基準法、それから健康保険法の出産手当金の関係につきまして差があるわけでございますけれども、現在の健康保険法のたてまえにおきまして、二十二年の労働基準法の改正の際にいまのような制度になったわけでございますが、一応画一的な所得保障を行うというための金銭給付でございますので、どこかで線を引かなければいかぬというようなことからこういうような実情になっておるわけでございますが、先生御指摘のような問題もあるわけでございまして、やはりきめの細かい配慮ということも必要ではないかというふうに思われるわけでございますので、貴重な御意見を賜りましたので、今後の問題として十分研究さしていただきたいと思います。
#436
○柄谷道一君 これはもう時間がなくなりましたので、一部負担につきましては、今回修正によって全部現行どおりになりましたけれども、一部負担というものを一体どう考えていくべきか、これは度重なる審議会の答申もございます。しかし今回の政府提案は、これらの答申を忠実に踏まえたものとは理解することができません。一部負担のあり方につきましても、これは根本的な検討が必要でございましょう。高額医療の問題もすでに他の委員が指摘されてきたところであります。また、退職者医療制度の創設もその実現を望む強い声があることは大臣も御承知のところでございます。これらの問題につきましてもひとつ積極的な御検討を賜りたい。
 最後に、支払基金法の改正について御質問いたしますが、私は支払基金の問題につきまして、四十九年の十月二十五日と昨年十一月十八日の二回にわたりまして質問をいたし、政府の善処を求めました。今回法制定以来初めて本法に日が当たりまして、初めて洗い直しが行われ、一部改正案が提案されたことを評価いたします。しかし、改正案の内容は業務範囲の拡大と、審査委員会の委員定数是正の二点にしぼられているわけであります。四十九年十月、基金理事会で公益、診療側、支払い側、保険者側が満場一致で決定し、大臣に要望いたしました項目、すなわち基金の基本的性格の再検討、常勤役員の増員、職員の給与関係等規定の整備、事務費に対する国の負担・補助、出資金の増額などはいずれも今回の法改正からは見送られております。私はこれらの問題は各側満場一致の意見でございますので、次回改正の際には当然そんたくされるものと理解いたしますが、いかがでございますか。
#437
○政府委員(八木哲夫君) ただいま先生からお話しございましたように、四十九年に基金の方からの特別委員会で検討いたしました要望書というのが提出されているわけでございまして、先生からも前回の当委員会におきましても御質問があったところでございます。確かに、先生からお話しございましたように、支払基金の制度の今後の問題につきましてはいろいろな問題があるわけでございますが、厚生省におきましても、支払基金とも連絡会を設けるというようなことで、この問題を検討しているわけでございますが、当面最も緊急を要するというようなことで、今回の業務範囲の拡大なりあるいは審査委員の定数の改定ということを改正案におきまして御審議をお願いしているわけでございますが、今後の問題につきましても引き続き検討して取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#438
○柄谷道一君 時間がまいりましたので、予防接種の問題につきましては、すでに各委員から指摘されているところでございますが、私は今回の制度は確かに一歩前進ではございますが、それでは副作用はないのかと言いますと、副作用は残っていると思います。すでに死亡した被害者に対する行政措置の問題、被害防止対策確立の問題、救済のための給付率の拡充の問題、被害認定と認定手続の問題、健康回復とリハビリテーション対策充実の問題、さらにセーフティファクターと申しますか、安全基準確立の問題など、さらに宿題が残っていると思うわけであります。これらの問題について引き続き当局としての前向きに積極的な御検討を要望したい。さらに原爆被爆者に対する特別措置に関する法律の一部改正案につきましては、すでに他の野党議員からも指摘されておりますように、いわば国家補償の精神に立って手厚く措置すべきであるという野党の主張と、社会保障の枠内論に立つ政府与党との主張の対立が現在も続いております。継続審議とはなりますけれども、私はいつまでも並行線のままこの問題が存置されることは決して望ましいこととは思いません。ぜひ政府としても積極的な検討を要望したい。さらに前回の援護法制定の際に、本委員会が昨年七月一日満場一致決定した附帯決議に対する政府の対応策を見ましても、時間の関係で一々申し上げますのは省略しますが、確かに一歩前進の足跡は見られますけれども、なお附帯決議を十分満たしたものとは考えられないのであります。これらに対する努力も要望いたしまして、ちょうど時間になりましたので、私の質問を終わります。
    ―――――――――――――
#439
○委員長(戸田菊雄君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、小川半次君が委員を辞任され、その補欠として斎藤十朗君が選任されました。
    ―――――――――――――
#440
○委員長(戸田菊雄君) 他に御発言もなければ、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、健康保険法等の一部を改正する法律案、予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#441
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#442
○委員長(戸田菊雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#443
○浜本万三君 私はただいま可決されました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党共同提案の附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について実現に努めること。
 一、原爆被爆が人道的にも、国際法的にも、医学的にもきわめて特異なものである点にかんがみ、被爆者からの援護対策充実強化の強い要望を配慮して、被爆者の療養と生活の保障を更に一段と充実するための援護体制を検討すること。
 二、原爆病院の整備及び運営体制について検討を加えるとともに、病院財政の助成に十分配慮すること。
 三、原爆養護ホームの内容の充実を図るとともに、被爆者に対する家庭奉仕員制度の充実、相談業務の強化等在宅被爆者に対する福祉対策を強化すること。
 四、各種手当の額を更に引き上げるとともに、所得制限の撤廃、適用範囲の拡大を図り、もつて被爆者に必要な施策の整備充実に努めること。
 五、特別手当について生活保護の収入認定からはずすよう努めること。
 六、原爆症の認定については、被爆者の実情に即応するよう改善すること。
 七、被爆者の医療費については、全額公費負担とするよう検討することとし、さしあたり国民健康保険の特別調整交付金の増額について十分配慮すること。
 八、被爆者の実態調査を、今後の被爆者援護施策に十分活用するよう努めるとともに、復元調査を更に整備充実し、被爆による被害の実態を明らかにするよう努めること。
 九、被爆者とその子や孫の放射能の影響についての調査研究の十全を期するため現存する原爆医療調査機関の一元一体化について検討し、その促進をはかること。
 十、沖繩在住の原子爆弾被爆者が本土並みに治療が受けられるよう専門病院等の整備に努めるとともに、沖繩の地理的、歴史的条件を考慮すること。
 十一、葬祭料を大幅に増額するとともに、過去の死亡者にも遡及して支給することを検討すること。
 右決議する。
 以上です。
#444
○委員長(戸田菊雄君) ただいま浜本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#445
○委員長(戸田菊雄君) 全会一致と認めます。よって、浜本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田中厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田中厚生大臣。
#446
○国務大臣(田中正巳君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたして努力いたす所存でございます。
#447
○委員長(戸田菊雄君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#448
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#449
○委員長(戸田菊雄君) 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題とします。
 沓脱君から委員長の手元に修正案が提出されております。
 修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、本修正案を議題といたします。沓脱君から修正案の趣旨説明を聴取いたします。沓脱君。
#450
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、本修正案の提案理由を御説明いたします。
 お手元に配付させていただいていますが、まず、本修正案の内容であります。
 修正の第一点は、厚生年金並びに船員保険の保険料の引き上げをやめ、保険料率を現行どおりの率に据え置くこととし、関係条文を削除するものです。
 第二に、国民年金保険料を五十二年度から月額二千二百円とするのをやめ、現行どおりに据え置くこととし、関係条文を削除するものであります。
 第三点は、国民年金保険料を五十三年度から月二千五百円とし、さらに、物価スライドにより保険料の引き上げを行うとする条文を削除することといたしました。
 以下に、その理由を御説明いたします。
 その第一は、政府提出の法案による厚生年金、船員保険の年金部分、並びに国民年金の保険料の大幅な引き上げは、不況とインフレに苦しむ国民の生活を一層圧迫するからであります。
 第二の理由は、厚生年金に見られるように、保険料の大幅な引き上げは、当面する給付改善にはいささかの影響もないし、単なる積立金累増をねらったものであるからであります。
 政府の厚生年金財政の収支見込みによれば、昭和八十五年の年金給付費総額は、五十一年度価格で見れば十四兆円で足りるのに、実質価値の低下により百四十三兆円の巨費がいるとしているのであります。このことは、現在、被保険者が生活水準の大幅な切り下げをがまんして拠出した保険料が十分の一の実質価値に下落してしまうことを政府自身の手によって示したものであります。このように被保険者に多大の損害を与えることになる積立金累積のための保険料の引き上げは行う必要のないものであります。
 第三の理由は、国民年金財政を国民の保険料引き上げだけで対処しようとする政府のやり方は抜本的に再検討すべきものであります。
 国民年金被保険者のうちの農民の比率を見ると、昭和三十七年には三七%、四十二年に三六%であったものが、四十七年には二七%と大幅に減少しているのであります。これは高度成長と、政府の農業政策の結果、多くの農民の子弟が農業を離れ、都市の勤労者となった結果であり、年金制度で言うならば、国民年金の被保険者となるべき人々が厚生年金の被保険者となったのであります。五十一年度の国民年金財政は収支ゼロとされております。今後の国民年金財政については、単に被保険者の保険料負担の引き上げで賄うだけでは足らないのであります。すでにフランスでは、農民や自営業者の年金制度には社会連帯税といった形式による大企業が負担する目的税が導入されています。わが国においても、厚生年金を賦課方式にし、大企業と高額所得者による年金特別税ということでの国民年金財源を実現するならば、保険料を引き上げずに大幅な給付改善を可能にするのであります。さらに言うならば、国民年金保険料は五十二年度以降の引き上げも予定しての法案であるので、当面の給付にはさしあたり影響がないのであります。
 私どもは、以上に申し上げた理由により、年金財政のあり方を抜本的に再検討し、保険料を引き上げることなく、厚生年金の給付を月平均十万円、国民年金拠出制の給付を夫婦で月八万円に引き上げることを直ちに実現されることを願うものであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたしまして、私の提案理由説明を終わります。
#451
○委員長(戸田菊雄君) ただいまの沓脱君の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。田中厚生大臣。
#452
○国務大臣(田中正巳君) ただいまの修正案については、政府としては反対でございます。
#453
○委員長(戸田菊雄君) 他に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、沓脱君提出の修正案を問題に供します。沓脱君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#454
○委員長(戸田菊雄君) 少数と認めます。よって、沓脱君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#455
○委員長(戸田菊雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#456
○粕谷照美君 私はただいま可決されました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党共同提案の附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。
 一、公約年金制度全体を通じ、各制度間の関連を考慮しつつ、その基本的なあり方について検討を加え、年金制度の抜本的な改善を図ること。
 二、遺族年金及び加給年金については、更に改善に努めること。
 三、在職老齢年金制度の支給制限の緩和について、なお一層検討すること。
 四、各福祉年金について、その年金額を更に大幅に引き上げるとともに、その実施時期及び支払時期について検討を加え、本人の所得制限及び他の公約年金との併給制限についても改善を図ること。
 五、厚生年金、国民年金のスライド改定実施時期について検討すること。
 六、老齢年金及び通算老齢年金は、非課税とするよう努めること。
 七、年金制度の負担のあり方及び財政方式特に賦課方式への移行については、将来にわたる人口老齢化の動向を勘案しつつ、その改善について積極的に検討を進めること。
 八、被用者年金加入者の妻の年金権の整備に努めること。
 九、五人未満の事業所の従業員に対する厚生年金保険の適用問題については具体的方策の樹立に努めること。
 十、積立金の管理運用については、被保険者の福祉を最優先とし、特に被保険者住宅資金の転貸制度の普及を図るとともに、積立金の民主的運用に努めること。
 十一、児童扶養手当、特別児童扶養手当、児童手当及び福祉手当の支給額を一層増額する等支給内容の改善充実を図るとともに、所得制限を更に緩和すること。
  右決議する。
#457
○委員長(戸田菊雄君) ただいま粕谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#458
○委員長(戸田菊雄君) 全会一致と認めます。よって、粕谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田中厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田中厚生大臣。
#459
○国務大臣(田中正巳君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
#460
○委員長(戸田菊雄君) 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#461
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#462
○委員長(戸田菊雄君) 健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 健康保険法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#463
○委員長(戸田菊雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#464
○片山甚市君 私は、ただいま可決されました健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び足社党共同提案の附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。
   健康保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。
 一、医療供給体制の整備、医師・看護婦等医療従事者の確保等を計画的に実現し、国民医療の推進を図ること。
   特に救急医療体制等の整備は、緊急な対処を要する問題であり、積極的かつ具体的な改善策を早急に講ずること。
 二、保険料率の弾力的調整規定の適用については、現下の厳しい情勢を考慮し、慎重な配慮を行うこと。
 三、政府管掌健康保険の運営について必要な人員及び予算を確保し、行政努力に一層配慮すること。また、五人未満事業所等の適用推進については格段の努力を払うこと。
 四、差額ベッド等保険外負担については、行政指導の徹底を期する等その対策を強化し、患者負担の軽減を図ること。
 五、医薬分業については、その前提条件を整備しつつ、これが一層の推進を図るとともに、技術を中心とした合理的な診療報酬体系の確立を期すること。
 六、国民健康保険組合に対する助成については、市町村の国民健康保険事業に対する定率補助との均衡を考慮し、特に財政基盤のぜい弱な組合に配意して早期改善を回ること。
 七、高齢退職者に対する医療のあり方を検討するとともに、難病者対策等については、その充実を期すること。
 八、船員保険(疾病部門)に対する国庫補助の強化を図るよう格段の努力をすること。
 九、一部負担金の徴収に関する保険者の責任について検討を加えること。
  右決議する。○委員長(戸田菊雄君) ただいま片山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#465
○委員長(戸田菊雄君) 全会一致と認めます。よって、片山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田中厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田中厚生大臣。
#466
○国務大臣(田中正巳君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重をいたしまして努力をいたす所存でございます。
#467
○委員長(戸田菊雄君) 健康保険法等の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#468
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#469
○委員長(戸田菊雄君) 予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案を議題とし、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#470
○委員長(戸田菊雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#471
○小平芳平君 私は、ただいま可決されました予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党共同提案の附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項についてその実現に努めること。
 一、予防接種については、ワクチンの改良開発、サーベイランス体制の充実を図るほか、検疫・防疫体制の強化、環境衛生の向上等総合的な伝染病予防対策を実施するよう努めること。
 二、種痘については、諸外国の流行状況等を適確に把握し、適切に対応すること。
 三、麻しん及び風しんの予防接種については、準備体制を一層整備し、速やかに実施に移せるよう努力すること。
 四、救済のための給付の額は、他の公的な補償制度の給付水準、被害者の実情を十分考慮し、適正な額とすること。また、物価水準の変動等に応じて速やかに改定の措置を講ずること。
 五、給付の額、支給方法、障害等級等を定めるに当たつては、伝染病予防調査会の意見に被害者側の意向が十分反映されるよう配慮すること。
 六、すでに死亡した被害者については、今回の立法趣旨にかんがみ、適切な行政措置を講ずること。
 七、予防接種による健康被害者に対する救済は、そこなわれた健康を回復することが最も重要であるので、健康被害者及びその家族の実態等を十分把握し、調査研究を進め、補装具の支給、リハビリテーションの実施等実情に応じた効果のある福祉事業の推進に努めること。
  右決議する。○委員長(戸田菊雄君) ただいま小平君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#472
○委員長(戸田菊雄君) 全会一致と認めます。よって、小平君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田中厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田中厚生大臣。
#473
○国務大臣(田中正巳君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして努力をいたします。
#474
○委員長(戸田菊雄君) 予防接種法及び結核予防法の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#475
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#476
○委員長(戸田菊雄君) 継続審査要求に関する件についてお諮りをいたします。
 原子爆弾被爆者等援護法案、母子家庭の母等の雇用の促進に関する特別措置法案及び母性保障基本法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、これら三法律案の継続審査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#477
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#478
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#479
○委員長(戸田菊雄君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、これら二件の継続調査要求書々議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#480
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#481
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#482
○委員長(戸田菊雄君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障制度等に関する調査並びに労働問題に関する調査のため、委員派遣を行う必要がある場合にはこれを行うこととし、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#483
○委員長(戸田菊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後七時四十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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