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1975/03/04 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 文教委員会 第4号
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1975/03/04 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 文教委員会 第4号

#1
第077回国会 文教委員会 第4号
昭和五十一年三月四日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山崎 竜男君
    理 事
                有田 一寿君
                内藤誉三郎君
                久保  亘君
                小巻 敏雄君
    委 員
                久保田藤麿君
                山東 昭子君
                志村 愛子君
                高橋 誉冨君
                中村 登美君
                藤井 丙午君
                鈴木美枝子君
                松永 忠二君
                宮之原貞光君
                内田 善利君
                白木義一郎君
                須藤 五郎君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  永井 道雄君
   政府委員
       人事院事務総局
       給与局長     茨木  廣君
       文部政務次官   笠岡  喬君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部省初等中等
       教育局長     諸沢 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省学術国際
       局長       木田  宏君
       文部省管理局長  清水 成之君
       文化庁次長    今村 武俊君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       自治省財政局地
       方債課長     花岡 圭三君
       自治省財政局指
       導課長      関根 則之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○学校教育法の一部を改正する法律案(第七十五
 回国会内閣提出、第七十六回国会衆議院送付)
 (継続案件)
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
 (主任問題に関する件)
○派遣委員の報告に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山崎竜男君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 この際、永井文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永井文部大臣。
#3
○国務大臣(永井道雄君) 去る二月十二日の参議院文教委員会において指摘がございました鹿児島県における主任制度の実施につきまして、鹿児島県の教育委員長、教育次長、それから教職員課長から事情を聴取いたしました。その結果を初等中等局長から御報告いたします。
#4
○政府委員(諸沢正道君) 御報告申し上げます。
 鹿児島県教育委員会は、昨年十二月二十六日の学校教育法施行規則の一部改正を受けて検討した結果、去る一月二十七日、市町村立学校管理規則(準則)の一部改正を各市町村教育委員会に通知しました。
 この件について、二十七日の夜、県教育委員長と会った教職員組合の幹部に、県教育委員長は、そのようなものが教育委員会において決定され通達されたということは自分は知らないと言ったという指摘がありましたが、一月二十七日夜、県教育委員長は、個人的会合の席に訪ねてきた県教組委員長及び高教組委員長に対し、教育委員会の会議の席上での決定はなかったという趣旨の答えをしたものであります。しかし、準則決定は、教育委員会の議決事項ではないが、大切な問題であるので、あらかじめ全教育委員の了解を得ていたと聞いております。
 鹿児島県教育委員会が発した準則の一部改正の通知を受けて、各市町村教育委員会は、検討の結果、二月十三日までの間に、県下九十六市町村教育委員会全部が管理規則の一部改正を決定し公示しました。さらに、県立学校管理規則の一部改正についても、二月十七日、鹿児島県教育委員会において決定し公示しました。
 ここに至るまでの鹿児島県教育委員会と知事部局、市町村教育委員会、校長会、教職員組合との話し合い等の状況は、次のとおりであります。
 まず第一に知事部局との関係についてでありますが、主任制は、学校の教育指導組織の問題であり、手当の問題とは一応別途切り離すこととして事務処理をしましたが、市町村立学校管理規則(準則)の内容について、一月二十六日には教職員課長から総務部次長経由総務部長に、一月三十一日には教育委員長と教育長が知事に、それぞれ説明を行っており、主任制度の趣旨と実施の方針については了承を得たと聞いております。
 主任の制度化は教員給与の改善とも関連する問題でもあるので、県教育委員会としては、知事部局となお緊密な連絡をとることとしましたが、それまでの過程においても一層緊密な連絡をとればよかったと考えられます。
 また、二月二日の県議会運営委員会で、教育長の教育行政のやり方について批判があったという件につきましては、主に公立高等学校募集定員等決定の経緯についての批判であり、この問題については、県教育委員会から関係者のところへ出向いて事情を説明し、十分了解を得るように努めたので、現在はその不満はやわらいでいると聞いております。
 第二に市町村教育委員会との関係についてでありますが、市町村教育委員会に対しては、昨年十二月十七日に「調和のとれた学校運営について」及び「給与改善について」の文部大臣見解、一月七日に学校教育法施行規則の一部改正及び文部大臣の補足見解を配布し、主任制についての理解を深めるようにいたしました。その後、一月九日の市町村教育長代表者会において、主任制の内容を説明するとともに、主任の種類、主任の命じ方、主任の任期等について意見を求め、一月十九日の市町村教育長代表者会において、これらの事項について意思統一を図りました。
 この件については、県市町村教育長会側の話として、各地教委の教育長はほとんど検討、審議する時間的余裕はなかったとの趣旨の記事が二月五日の南日本新聞に出ていた事実がありますが、これは、市町村教育委員会の置かれている立場としては、省令、準則をもとにして規則を制定しなければならないものであることを説明した際に、準則通知以前にもう少し時間があればよかったという趣旨のものであったと聞いております。
 また、県教育委員会は、主任制度に関する指導文書なるものを秘密裏に関係者に流しているとの件については、主任制反対闘争に対する基本的姿勢と題する文書を配布したことは事実でありますが、これは、不幸にして制度化に当たって組合運動に直面せざるを得ない事態にあったため、市町村教育長や校長が組合員と対応するに際し、学校教育が影響を受けることのないようにとの配慮から、市町村教育長に指導したものであり、また、組合との交渉の対応の仕方については、従来もその内容の一部については口頭で指導していたことはあるように聞いております。
 第三に校長会との関係についてでありますが、小・中・高校の各校長会に対しては、一月七日に学校教育法施行規則の一部改正、文部大臣見解等の資料を配布し、主任制についての理解を深めるようにするとともに、数回にわたり校長代表者に主任制の趣旨等の説明、意見交換等を行い、一月二十八日に学校管理規則(準則)通知について説明を行ったものであります。
 第四に教職員組合との関係についてでありますが、県教組及び県高教組は、昨年十二月二十三日、県教委に対して主任制導入絶対反対の申し入れを行いました。県教委は、絶対反対では話し合いの持ちようもないので、話し合いをするには至らなかったものであります。
 この間、二月二日に開かれた県PTA連合会評議員会において、県教育長は、PTA役員の要請を受け、県教組及び高教組両委員長とのトップ会談を無前提で行うことを教職員組合側に申し入れました。しかし、教職員組合側は、この申し入れに対し、交渉事項であるとの確認をしない限り応じないとして、これを拒否したと聞いております。
 以上、鹿児島県教育委員会と知事部局、市町村教育委員会、校長会、教職員組合との話し合い等の状況を、さきの参議院文教委員会で指摘のあったことを含めて簡単に説明いたしました。
 その後、二月十八日に至って、鹿児島県知事のあっせんにより、県教委、県教組・高教組の間で、小・中・高校とも主任の発令を延期し、県教委及び両教組は五十一年四月以降、誠意をもって話し合い、円満な解決を図るよう努力する旨の了解に達して今日に至っていると聞いております。
 以上であります。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(山崎竜男君) 次に、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、本案に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○白木義一郎君 法案審議の質問に入る前に、文部大臣に教育に関する基本的な考え方をまずお尋ねをしておきたいと思います。
 大臣は所信表明にも述べられておりますが、世間ではよく一流大学とかあるいは二流大学とかいうような大学を評価する言葉が言われておりますが、また現在の社会機構もそれを認めている状態でありますが、このような状態は教育の根本精神から言っても大変な間違いであると思います。大学院等の高等教育制度を充実することも大切でありますが、各大学の格差是正をすることもより大切であると私は思っております。また、幼児に関しても、幼稚園などは入園希望者の四、五歳児に対しては、御承知のとおり約五〇%ぐらいしか入園できないような現状であります。このような状態を見ますときに、わが国の教育の施設、制度は大変大幅におくれております。また欠陥も大変多くあると痛感しておりますが、このような問題について大臣はどのようなお考えで臨んでいらっしゃるか、まず最初にお伺いをしておきたいと思います。
#7
○国務大臣(永井道雄君) ただいま白木委員から御指摘がありましたことは、わが国の教育の根本問題であると考えますが、御指摘のとおり、多々今後解決を要する非常に重要な問題があるという点につきましては、私もまことに同感でございます。
 中でも、やはり一番重要なことは、明治以来引き継がれ、さらに第二次大戦後拡充いたしました義務教育というものを私は一番重要視をいたしていくべきものと考えます。義務教育につきまして、その内容等がいま白木委員のの御指摘がありましたようないわゆる一流校受験の受験体制化しているという実情も、全般ではございませんが、特に都市部などを中心に強くございますから、そういう点も勘案して、義務教育をどうして充実していくべきかということに力を注ぐべきであると考えます。
 なお、そのいわば上級学校であります高校、さらに高等教育につきまして、一、二流校の格差是正というお言葉がございましたが、私は格差是正という角度と同時に重要でありますと思いますのは、多様化ということであろうかと思います。つまり、いまわが国にあります短大を含めて千の大学が全部一様になってしまうということはかえって望ましくなく、一方において科学技術の発展もございますから、そうした基礎を強化する大学あるいは芸術の大学、体育の大学等多様化して、そして将来の文化を築くようにしていかなければならないと思います。
 さらに、義務教育のいわば下に当たります幼稚園教育の充実について先生御指摘がございましたが、これもまた計画的に充実をしていくべきことは時の勢いでございます。
 なお一つつけ加えますと、以上はいわゆる学校教育体系でございますが、そのほかに社会教育も重要であり、あるいはある意味において学校信仰とでも言うべき状況がございますから、社会教育、家庭教育、あるいは学校の中では最近の専修学校制度のごときものも十分勘案して、全体的な観点から教育の改善に努めなければならないと考えております。
#8
○白木義一郎君 次に、連合大学院の件についてお尋ねをいたします。
 自民党の文教部会では、連合大学院構想として旧七帝大を中心とした連合大学院制度を検討をされていると聞いておりますが、これに対する文部省の御意見はどのようなお考え、あるいは構想をお持ちになっているか、お伺いしておきます。
#9
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘の連合大学院の構想は、現在御審議をいただいております独立大学院制度の創設なり、あるいは後期三年のみの博士課程の設置などを可能とする法律の改正によりまして、制度的には実現が可能となるものでございます。現在さまざまな構想が各方面で検討されておりまして、文部省としても、具体的な構想が固まりつつありますものにつきましては調査費を配賦する等の措置を講じましてこれを援助しているわけでございます。
 ただいま御指摘のございました旧七帝大を連合して一つの大学院をつくるというふうな構想は、私どもは承知をいたしておりません。むしろそうではなくて、たとえば宮崎大学の農学部を中心として九州の国立大学の農水産学部で一つの博士課程の連合大学院をつくってみたいとか、あるいは中国、四国の国立大学の工学系の方々が連合して大学院をつくるとか、あるいは同じく中国、四国地区の農学部門の大学が連合して新しい連合大学院をつくるとか、さらには関東周辺地区の国立士学の連合大学院の構想が農林水産系の課程で構想されているとか、そういった地方の大学がそれぞれその特色を連合大学院によって伸ばすというふうな形で現在の連合大学院の構想は進められているものと承知をいたしております。
#10
○白木義一郎君 また、その連合大学院の構想として、国立とかあるいは公立、私立別々にするということは教育の根本精神にちょっとたがうのえはないかというような考え方もございますが、その点文部大臣の御見解はどのような御見解であるか、伺っておきたいと思います。
#11
○国務大臣(永井道雄君) これは今後の検討課題と思いますが、まだ法改正も行われておりませんから、連合大学の法改正を経た後の姿というものについては、大学院問題懇談会などで御検討いただいていることでございます。しかしながら、その前に、いわゆる法改正の前に、たとえば東京工業大学におきまして大学院の特別の研究科ができましたが、ここには学生としまして早稲田大学、慶応義塾大学の学生も受け入れるというような形で、国立だけに偏しない方向で新しい施設設備、そして教授陣を活用していくという方法をとっておりますし、また、関西においては、国立民族学博物館におきましても、関西学院大学との間に同様国立、私立にまたがる形の研究を始めてきております。こういうものは、当然今後検討されてしかるべきものと考えております。
#12
○白木義一郎君 最近の動向としては、大学院博士課程を置く大学と、修士課程までの大学、学部だけの大学と、そういったような格づけのもとに国立八十三大学を類型化していく傾向がはっきりしているように思います。少なくとも、大学院を置くかどうかが旧帝大と地方新制大学という不当な格づけと結びつけられている現状は何とか根本的に改めるべきではないかと思いますが、この辺について、どのように文部省としては指導をお進めになっているかどうかをお伺いしておきたいと思います。
#13
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、国立大学に関しましては、博士の課程を持っている大学はごく限られているわけでございます。一般に大学にどのような形で大学院を設置をしていくかということは、大学院の卒業生の需給の問題等を含めまして非常にむずかしい問題をはらんでおります。そこで、現在、大学院問題懇談会で、一般の大学にどういうふうにこれから修士あるいは博士の大学院を置いていくことが適当であるのか、あるいは独立大学院等のあり方等を含めて御検討をいただいているところでございます。修士の課程までは、学部の段階が十分に教育研究の面で充実をいたしてまいりますれば修士の研究科を置いていくということについては、従来からおおむねその方向で私どもも施策を進めてきたわけでございますが、博士の課程を置くかどうかについては、これよりもさらにむずかしい種々検討すべき課題がございます。たとえば今度予算でお願いをいたしております静岡大学の工学部に後期三年のみの博士の研究科を置くとか、あるいはお茶の水女子大学にも同じように後期三年のみの博士の課程を置くというように、特に伝統のあるすぐれたピークを持ったところについてそういう特別の博士を考えていくというふうなことも現在お願いをしているわけでございますけれども、そういったことも含めまして、博士の課程をこれからどのように整備をしていくかということについては、先ほどの連合大学院の構想もその一つでございますけれども、慎重に検討いたさなければならないと考えております。
#14
○白木義一郎君 財政難の私学では、大学院をつくろうと思ってもなかなか財政難で困難が横たわっております。したがいまして、国立、公立、私立間の大学の格差がますます今後ひどくなっていくのじゃないかと思います。これは、一面、いま御説明のあったような点でやむを得ない面があると思いますが、国民の教育という面から言えば、何とかこの開きを縮めていく必要があるのじゃないか、このように考えておりますが、その点について大臣は将来この問題をどのように進めておいきになるお考えであるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
#15
○国務大臣(永井道雄君) すべて国公私の大学同じように大学院を持って一様にしていくということは非現実的なことでございますし、私はそういうのが格差是正という方向とも考えないわけでございます。むしろ国公私のどこにいる人でも非常にすぐれた人材の人は研究の機会に恵まれるという方向を生かしていって本当に研究を強化していくというのが大学院でなければならない。
 そこで、具体的に進んでいる状況を申し上げますと、国立共同利用研究所におきまして、現在五カ所ございますけれども、先ほどそのうちの一つの大阪のケースについて申し上げましたが、他の場所につきましても、国公私の別を問わずに研究者が集まって研究ができるという方向を考えてきておりますし、事実ある程度そういう方向に進んでおります。
 そこで、将来連合大学院というものがこうしたいわゆる共同利用研究所以外のものとしてでき上がってまいりましたときに、仮にそれが国立の場所にできるといたしましても、国立の研究者だけが独占してしまうということではなく、公立、私立の別なくその新しい研究機関あるいは大学院というものを活用する方向であらゆる形のいわゆる異なった学歴を持った人の才能、適性というもののを活用いたしまして研究を強化していくようにしなければならないと考えております。
#16
○白木義一郎君 現在は、政府として、科学者とかあるいはその他の学者を自由に利用して、各審議会やあるいは学術研究を行政目的のために従属をさせ研究をさせている。そして、多くの各省に直轄の研究所がたくさん現在設けられております。
 そこで、いまお話のあったとおりに、研究の相互化あるいは研究組織の充実を果たすためには、国立大学の共同利用研究所や付属研究所との連携体制を強化する必要があると思います。いま大臣がそのようなお考えを持っていることを伺いまして大変意を強くしたわけですが、そのことが学術研究を再び戦争に利用しようとする各種の動きに対して歯どめになっていくのじゃないか。で、学術関係者あるいは大学がそれぞれ連携をして厳しく監視をし、その動きを阻止することにもつながっていく非常に大切な構想であり、また考え方であろうと思います。ぜひともひとつ大臣のいまのお考え方をさらに深く研究し検討されて実施の方向へ強力に進めていただきたい、このように考えておりますが、その点さらに重ねて御所信をお伺いしたいと思います。
#17
○国務大臣(永井道雄君) わが国の学術研究のみならず、教育が最終的な目標として平和の達成、また民主主義の発展のために寄与することを理想といたすことは申すまでもないことでございまして、私たちはそういう方向で努力をいたしたいと考えております。
 なお、ただいま白木委員から御指摘がございました各省庁にあります応用研究所的なものと、それから大学内にあります付置研究所というようなものも、これも連携を強めていくことは非常に重要な今後の課題と考えております。現状におきましても、たとえば東京大学の宇宙航空研究所、これは比較的基礎的な研究をやっておりますが、気象庁が持っております研究機関がほかにあり、また郵政省が持っております電波研究所がこれに関連いたしておりますが、そういうものは、つまり行政官庁に近い研究所というのは応用研究面が強いわけでございまして、大学は基礎、いわば官庁の研究所は応用的でございますが、この相互間の交流というのは現状においてもある程度はございます。というのは、官庁の研究所から大学の研究所に委託研究という姿で研究が行われることもございますし、他方はまた官庁の研究所におられる方にも科学研究費を出すというような方向も考えておりますが、しかし、まだ私どもの判断ではそうした相互の連絡が十分であるとは考えません。したがいまして、なおそういう相互の連絡、協力関係が緊密になりますように、いま申し上げたような方向で努力しなければならないと考えております。
#18
○白木義一郎君 大臣の諮問機関である大学設置審議会は、大学院の役割りとして、すぐれた教育研究者の養成と、高度の専門性を備えた職業人の養成をうたっております、御承知のとおり。このことに関しては私どもは異議をはさむものではありませんが、最近の一例を挙げてお尋ねをしたいと思います。
 先日、東大教授の核融合研究学者である吉川庄一氏が海外に頭脳流出をされました。私も、国民の一人として、前途有望なこの吉川教授の出国は非常に残念な思いがしてなりません。この件に関して、将来とも起きることであると思いますが、大臣の率直なお考えをお尋ねしたいと思います。
#19
○国務大臣(永井道雄君) これはなかなかむずかしい問題でありまして、吉川教授のように日本に帰られましてまた後にアメリカに行かれたというような場合、これについてその理由が何かというようなことは新聞報道にございますが、しかし、これは十分実態を調べるべきことと思います。しかし、一般的な方向といたしまして、私は、わが国の優秀な学者の方々が日本の研究条件が非常に情けないために海外に行ってしまうというようなことがあってはならない、そういう意味合いにおきましては研究条件の整備ということのために文一部省は努力をいたさなければならないと考えております。
 他面、またそうしたいい条件があった中で日本のすぐれた研究者が外国に行かれるという場合、これはやはり海外で日本人が活動されることも望ましいことでございますから、それはそれとして望ましいのではないか。
 もう一つ、いま文部省として考えておりますのは、海外からの頭脳流入でございます。出て行く以上は入ってこないといけないというので、本年度から強化をいたしてきておりますことは、岡崎の分子科学研究所の評議員、それから京都における東南アジア研究センター、それから明年度は全国の国公私の大学を一応問いませんでノーベル賞ないしはそれに準じたような海外の学者、少なくも五人を予算も計上いたしまして、お認めを願えますならばこれをわが国に迎えまして、わが国から出ていくだけではなく入ってくると、そして国際的にどこの国の人も日本で自由に活動されると同時に、日本からもすぐれた方は海外に貢献されるという方向を目指しているわけでございます。
#20
○白木義一郎君 ただいまの大臣の御答弁を伺いまして、大変将来に曙光を見出したような思いでございますが、これは当然のことでありまして、現在はなはだ世間の非難を受けている経済の問題よりも、いま御説明のあったような世界の頭脳の交換といいますか、輸出入というようなことを通じて世界の大きな発展のために、また文化の向上のために、これはもっともっと積極的にやるべきである問題だと思います。そのような大臣の御構想を伺いまして、さらに私どももともにお手伝いをさせていただいて、広くこの問題を世界にアピールをしていくべきだと痛感しております。
 次に、法律案の附則の2の部分にある各種学校及び専修学校についてお尋ねをいたします。
 現在、各種学校及び専修学校の大半は、医療、保健、看護、保育、栄養など国民生活に密接にかかわる研究と教育がゆだねられておりますが、この現実を見ますときに、これは高く評価をしなくてはならない問題であり、同時に、働く青年の学習を保障するという立場から、特に文部当局、大学関係者はその発展については積極的に協力をすべきではないか、このように思いますが、この点について当局のお考え、あるいはさらにこれらの問題についての将来の構想をお聞かせ願いたいと思います。
#21
○国務大臣(永井道雄君) 各種学校と申しますのは、本当に各種ございますから各種学校と言うわけでございまして、先生御指摘のように、まことに多方面の教育を含んでいるものでございます。
 そこで、現在各種学校で学習しております人たちの数がおおよそ百二十万人に上るわけでございますが、文部省では昭和四十二年当時からこうした各種学校の重要性に着目してまいりました。そこで、なぜ着目してまいりましたかといいますと、一方にいわゆる学校教育法一条にありますところの従来の既存の学校体系の中の学校、これがすべての要求を満たしていないからやはり各種学校が出てくる。つまり、国民の教育要求からおのずから各種学校が出てくるという側面がございますから、それだけに注目をすべきだという考えでございます。しかしながら、その各種学校全体を今度専修学校というふうにするというのではなく、非常に数が多くございますから、専修学校を設けるに当たりましては、その基準を設けまして、そうしてその基準について必要があれば詳細管理局長から申し上げますが、その基準に合いましたものについて専修学校という制度を設けましてこの各種学校を認可いたしましてその充実に努めるようにしていく。ただ、制度をつくりますというと、各種学校がせっかく各種であるのに、画一的になりますと角をためて牛を殺すがごときことに相なってしまいますから、そうしたことは十分に注意をして、各種学校が持っている性格というのは、大別いたしますと、中卒で入るもの、高卒で入るもの、そのほか一般教養的なものと三種ございますけれども、そうしたものの特色というものをそれぞれ生かすような方向で各種学校の一部を基準に合ったものを専修学校にして強めていく。これをいたしますと、私どもの考えとしては、将来は実は従来の既存の学校というのもかえって強化されるのではないかという考えを持っております。一種の刺激を受ける。一例を申し上げますと、各種学校の中に語学の学校が非常に多いのでございますが、これは実はいままでの学校体系の中でも語学はやっているわけです。ところが、にもかかわらず各種学校の語学校にこう大ぜい行くのは、そこがやはり教え方がよかったりするという、そういう魅力に富んでいるわけでございますから、そうしたものの強化充実というのは従来の学校教育というものを強めていく上にも役立つものと考えているわけでございます。
#22
○白木義一郎君 ただいま御答弁のありましたように、各種学校、専修学校等は、百二十万あるいは百三十万人以上と言われる青年、特に大半が高校卒業生、そういうような立場の青年に教育の、学習の場を提供をしているわけであります。したがいまして、これらの働く青年の切実な要求がさらにスムーズに、さらに幅広く確保されるように、私どもはこれらの高学歴社会に対する批判も含んで、今後大いに発展あるいは助長せしめなければならない重大な点であると、このように思っております。したがいまして、今後各種学校及び専修学校の拡充が促進されなければならないと、そのように痛切に考えております。最後に、その点もう一度、ひとつ大臣の将来に対するお考え、あるいはビジョン、御意見等をお伺いしておきたいと思います。
#23
○国務大臣(永井道雄君) 各種学校、専修学校につきましては、私が申しおくれたことについて先生がいま申された点、特に勤労している人たちが各種学校を活用している、この点が非常に重要であるということは、先生の御指摘のとおりでございます。
 そこで、経済成長期に高等学校ないし大学学生人口というものが非常に拡張いたしましたが、拡張の過程におきましてやはり急膨張という現象がありましたから、たとえば専門的な準備あるいは職業活動についていく上での準備という点で必ずしも充実していない、充実度が足りないというものが従来の学校にもございましたから、そういう意味において私はこの各種学校、専修学校というのは非常に重要だと思います。しかも、働きながらある一定期間専修学校で勉強いたしますと、これは最近のリクルートセンターの調査結果がございますが、就職率も非常に高いのでございます。でございますから、そういう意味合いにおいても勤労大衆にとって意味ある存在でございますから、私たちはこれを大いに重視して充実していくように努力したいと考えております。
#24
○中沢伊登子君 お尋ねをいたしますが、現在、博士号を持っているか、あるいは博士課程を終えても就職口のないいわゆる博士浪人、こういう人たちの数は、国公立大学だけでも千五百人、私立大学を含めると全国で三千人ぐらいいると言われておりますが、しかもその数は毎年着実に二〇%ずつ増加していると聞いております。大臣は、このような博士浪人の存在をどのように考えておられますか。また、その発生の原因はどこにあるとお考えでございましょうか。
#25
○国務大臣(永井道雄君) この博士浪人というのは、先生御指摘になりましたように非常に重要なことでございますが、どう定義するかということになりますと、浪人性というのにかなりいろいろな性格があるように思います。一つは、博士を取りましてなおかつほかに就職をせずに研究を続けているという場合、これは研究者として相当条件が悪くても努力をしている、そういうケースでございます。それから次には、博士課程は全部終えたけれども論文は書かないという形の浪人がございます。これの場合には、実は就職してしまっていてそしてもう論文は書かないというのがございますが、これは比較的文科系に多いのでございます。そうしますと、いままでの課程のやり方に問題があるということになります。三番目には、博士課程の中途で、何か続けてやるのかやらないのかわからない状態で在籍しているというのがございます。そこで、いわゆるこの博士浪人というのは、いま申し上げましたほかにも種類があると思いますか、大別いたしますと少なくも以上のようなものかございますから、これはやはり今後、たとえば博士課程、それから論文を書くというようなことについて、課程の充実を図っていく、課程を受けた人はちゃんと論文を書いてそして博士になる。あるいは中途で何か、これは親が支える場合もあったりいろいろでしょうけれども、中途で課程に身を置いて半分休学みたいな状況にある、こういりふうな人たちは、これは大学院等の協力を得なければなりませんが、いろいろ考えていかなければならない。もう一つは、これは後で必要でしたら大学局長からいろいろ補足をいたしますが、従来、博士課程をつくっていく過程で、国立大学につきましては比較的基準もきちんといたしまして、そうして元生方の数も整っておりますけれども、私立の博工課程をつくるときに、比較的容易につくるといりような姿でつくられたということも否定できない事実でございますので、そのことがいわゆるオーバードクターに関連している面もあるかと思いますから、国公私を問わず、そもそも博士課程とは何であるのかということを非常にきちんとしていくということがこのオーバードクター問題、いわゆる博士浪人問題を解決していく端緒ではなかろうかと考えております。
#26
○中沢伊登子君 いまおっしゃられたいろいろな点につきまして、私は、博士浪人つまりオーバードクターというのを多数発生させた大きな原因は、大学院生に対する国家的必要性あるいは社会の要請といった基本的な要因を考慮することなく、もっぱら世間的の体面を保つだけの目的で大学院を設けてきた各大学と、こういうものがいまあるとおっしゃった。そのとおりだと思いますが、同時に、こういう大学を認めてきた文部省にやっぱりその一部の責任があると考えておりますが、その点はいかがでしょうか。
#27
○国務大臣(永井道雄君) やはり、従来の博士課程の基準というもの、そしてそれを認める認め方に問題があったという点につきましては、文部省も完全にそのことに関係がなかったとは申せないのでございます。それでありますだけに、現在、大学院問題懇談会というものをつくり、そして独立大学院、それから連合大学院だけではなく、とにかく本格的に大学院の問題に取り組んでいくという段階になったわけでございまして、確かに文部省としてこれは一段と力を入れていかないと、わが国の将来の社会をつくってまいります基本的な科学技術ないしは広い学問の要請にこたえていけないのではないか、かように考えております。
#28
○中沢伊登子君 私は、そのオーバードクターのうちの優秀な者を地方の大学に就職させるということになれば、地方の大学の内容を充実させ、また大学間の格差是正につながるとともに、オーバードクターの解消策の一つにもなると思うのでございますが、大臣はその点についてはどうお考えでございますか。
#29
○国務大臣(永井道雄君) 実は、そういう御質問をいただくことは非常に心強いのでございます。といいますのは、先ほど白木委員からの御指摘もあったのでございますが、私どもが念願をいたしておりますのは、各大学、国公私それから中央地方を問いません人事の交流でございます。
 ところが、この人事の交流というものを文部省も望んでやってまいりますと、これに積極的に対応していただける大学というのもあるのですが、他方、大学の自治というものが比較的従来の人事というものを守っていくということになります場合もありますので、まあ私どもとしましては現在でき得る限り人事の交流をやっていく。それの一例として先ほど共同利用研究所のことを申し上げましたが、それだけでなく、特に大学院というところはこれから新しく充実していくところでございますから、そうした人事の交流を行っていく。で、御指摘のように、地方の大学にいわゆるオーバードクターの中で非常にすぐれた人材の人がどんどん行かれるというような方向が開かれていくことは、きわめて望ましいことだと思います。
#30
○中沢伊登子君 先ほどお答えをいただきました中に、私立大学の中にドクターコースをつくるときにわりあいに容易な気持ちでつくったところがあると、こういうお話もありましたけれども、大学院のこのような設置上のいきさつから考えてみて、各大学の大学院はおおむね建物や施設、あるいは図書、教師、そういったもののすべてを既存の学部におんぶしたものでございますし、これが大学院教育のレベルダウンと大学院生の質の低下を招く大きな原因になったと思います。したがって、わが国の大学院教育の発展を図り、質量ともに社会の期待にこたえ得る大学院となるためには、建物や施設などはともかくとして、大学院独自の教授陣、研究スタッフを持ち、大学の予算も学部とは切り離して独立して編成すべきことが最低限必要であると思いますが、その点はどうお考えでございましょうか。
#31
○国務大臣(永井道雄君) これはもう当然もっと早く取り組むべき問題だったと思うのでございますが、わが国の大学院というのは学部依存という形で学部の教授が大学院の教授を併任する、そうして予算、設備の利用につきましてもそういう状況で来たということが大学院の停滞を招いたことは否定できないと思います。そこで、いま、一つの活路といたしまして、どうも例が少なくて恐縮でございますが、東京工業大学の独立研究科では大学院専任教官を置くという方向が開けてまいりましたので、これは将来の定員問題とも非常に関係するむずかしい問題でございますけれども、私どもとしては、そうした意味において、大学院の学部からの独立ということを一つの重要な課題としてこれから取り組み、強化しなければならないと思っております。
#32
○中沢伊登子君 いままでお尋ねしたようなそういった意味において、今回のこの改正は、学部を持たない独立の大学院を設ける道が開かれたことは、私どもとしては率直にこれは評価をいたしております。
 そこで、お伺いしますが、このような独立の大学院を設けようとしている大学はどこら辺にあるのですか。あるとすれば、それはどういうところで、その内容はどのようなものか。先ほど来散発的にいろいろな例が出されましたが、ひとつまとめてお答えをいただきたいと思いますし、文部省が今後進めようとしている独立大学院構想はどのようなものでございますか、お答えをいただきたいと思います。
#33
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほどもお答えをしたところでございますが、一つは、宮崎大学の農学部が中心となりまして九州農水産学研究院、この名称は全くの仮称でございますが、そういった構想がございます。これは九州の国立大学の農水産学部に属する教官で構成をいたしまして、博士課程のみの大学院を連合してつくろうとするものでございます。それからまた、中国、四国国立大学連合大学院工学系の構想がございます。これも、中・四国の国立の九大学の共同管理組織として博士課程のみの連合大学院を持とうとするものでございます。さらに、同様に、中国、四国地区におきまして国立大学連合大学院博士課程の農学部門の構想がございます。これも、中国、四国地区の国立大学の共同管理組織として博士課程のみの連合大学院をつくろうとするものでございます。さらに、関東周辺地区国立大学連合大学院農林水産系博士課程構想というのがございます。これも、関東周辺地区の国立大学が協力をいたしまして博士課程を設け、共同して管理運営に当たろうとするものでございます。これらはいずれも関係の大学が非常に熱心に御検討になっているものでございますが、昨年度文部省としてはこの一部に調査費を配分をいたしましてその調査をお助けするというふうな措置を構じております。
#34
○中沢伊登子君 今度のこの法律改正によって、主に工業高等専門学校の卒業生を対象とする技術科学大学が設けられることになりましたが、その設置理由と、定員及びその内容はどのようなものでございましょうか。
#35
○政府委員(佐野文一郎君) 近年の著しい技術革新に伴いまして、現実的な課題に対して適切に対応のできるいわゆる実践的、創造的な能力を身につけている指導的な技術者を養成するということについて、非常な社会の需要がございます。こういった社会的な要請にこたえますために、既存の大学とは違った新しい想構に基づいて実践的な技術の開発を主眼とし、大学院、これは修士課程でございますが、修士課程に重点を置いた教育研究を行う工学系の大学を新設しようというのが技術科学大学の創設の構想でございます。
 このような趣旨を実現いたしますために、この大学は、若いときから理論的な基礎とともに実験、実習を重んじて実際的技術に触れてきている、そういう教育を行っております高等専門学校に接続するような教育内容を持ったものとすると。そして、その卒業生を主たる対象として受け入れるということを考えますとともに、高等専門学校と同様に、若いときからやはり実際的な技術教育を受けております工業高校の卒業生をも受け入れるようにしようと、そういうことを具体的に考えております。したがって、入学定員の段階におきましては、学部の一年次は主として工業高校の卒業生を対象といたしまして六十人を受け入れる。そして、学部の三年のところで大幅な編入定員を設けまして、高等専門学校卒業者を主たる対象として受け入れる。この定員を二百四十人程度予定をいたしております。そして、大学院の修士の入学定員は、この学部四年次の定員と同数の三百人、それを受け入れることといたしたいというふうに考えているわけでございます。
 そして、教育の内容につきましては、学部と大学院の修士課程を一貫いたしまして、力学・エネルギー工学、電気・電子工学、物質工学、生産システム工学、情報工学、建設工学の六つのコースあるいは専攻を置きまして、そしてそれぞれ特定の学問分野に偏らないで実際的な課程に対応し得るようないわゆる学際的な教育課程の編成を行う、そして実験、実習を特に重視をしてまいると、そのようなカリキュラムを現在検討中でございます。
#36
○中沢伊登子君 日本が経済成長を始めましたあの当時、この工業高等専門学校というのは非常に華やかな存在であったと記憶をいたしておりますが、今度これが技術科学大学になるわけですけれども、いまお話を伺っておりまして、この技術科学大学に修士課程ばっかりを置いてドクターコースを置かなかった、この理由はどういうことでございましょうか。
#37
○国務大臣(永井道雄君) これは、いま大学局長から申し上げましたように、従来の工学部というのは、工場実習というようなものもございますけれども、しかしながら、工場とのもっと密接な関係を持って実習を強化した形の技術者養成をやってこなかったわけでございます。そこで、高等専門学校の場合、高専の場合、そういう方向が出てきた。今度技術科学大学をつくり、さらに修士課程を設けるときも、従来の工学部の学部ないしは修士課程というのとは違って、一つの言葉で申しますと、サンドイッチ的と申しましょうか、つまり実習的な要素と理論的な要素を組み合わせるような方向でいま御検討を願っているわけでございます。そうしますと、あるいは将来博士課程を設ける必要も生じてまいるかと思いますが、ここで直ちにそれを考えておりませんのは、修士課程を出て社会に行って活動をしてまた帰ってき得るような、そういう博士課程というものも考えられるのではないか。しかし、それはもう少し進んだ段階において考えたいということで、現段階においては修士課程までを考えているわけでございます。
#38
○中沢伊登子君 大臣のお答えでございますけれども、私どもは、今度の技術科学大学というのは、いわゆる先ほどからも申し上げております高専の卒業生があの当時社会に出て大変もてはやされましたけれども、ある程度以上にはもう上がれないということになりましたね。そういったことで、高専の卒業生のしりぬぐいの対策として今度の技術科学大学が必要とされたと思いますが、それと同じような理由で、やっぱり将来はその技術科学大学にも博士課程を置かざるを得ないようなことになるのではないかと、このように実は考えておりますが、いま大臣のお答えによって、まあ一度これをやってみてその後で博士課程をつくらなければならないかもしれない、こういうようなお話でございましたが、この大学の卒業生が、つまり修士課程を済ませた大学生が一般の大学院のドクターコースに入学することは、授業の内容等から見ても制度的に保証されるのかどうか、その点についてお答えをいただきたい。
#39
○政府委員(佐野文一郎君) この大学の修士を出ました者は、もちろん法令上博士に進学する資格がございます。問題は、その場合に、教育内容において、先ほど来申し上げておりますように、学部、修士を一貫して実践的技術ということに重きを置いた教育を行うということから、一般の大学の方の博士にうまくつながるかという問題があるわけでございます。しかし、その点につきましても、やはりそれを頭に置いてカリキュラム等については検討をいたしておりますので、一般の大学の修士課程終了者が他の大学へ進学する場合よりも特に不利になるというふうなことはないというふうに考えております。
#40
○中沢伊登子君 この技術科学大学の運営は筑波大学方式を採用すると、こう伺ったのですが、この大学の管理運営はどのような方法で運営されますか。
#41
○国務大臣(永井道雄君) 今度の技術科学大学の管理運営につきましては、現行の関係法令に基づいて国立の単科大学と同様の形で教授会を中心として運営することになりますので、いわゆる筑波運営方式をとらないことになります。
#42
○中沢伊登子君 それでは、最後に、研究災害補償制度について二、三お伺いをしておきたいと思いますが、昭和五十一年度から学生並びに父兄の長年の懸案でありました大学生の研究災害補償制度が制度として発足を見ることに至ったことは、大変うれしいことだと思います。
 そこで、私はこの制度の具体的な項目について次の点についてお伺いをしたいと思いますが、加入できる学生の範囲として、財団法人学徒援護会の賛助会員となった大学に在学する学生となっておりますけれども、学生は参加を希望するのに大学が賛助会員にならないという事態が発生したとしたら、その当該学生の災害補償はどのようになるのでしょうか。
#43
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、今回実施をいたしますこの保険は、国内の損保会社二十社と財団法人学徒援護会との間に団体保険契約を結んで行われるものでございます。したがって、この保険については、保険を採用しようとする大学が学徒援護会の団体保険の取りまとめ業務につきまして賛助会員として事務処理の一部に携わっていただく、そして賛助会員の大学の学生がこの保険に加入できる、そういうシステムをとっているわけでございます。これは全国二百万人に上ります学生を対象といたしておりますので、大学で一たん加入者をお取りまとめいただきまして、さらに援護会が全国的に取りまとめる、そういうことによって学生が個別に援護会あるいは保険会社に直接加入申し込みをすることによる繁雑さを避ける、さらに学生の掛金負担の軽減を図る、そしてできるだけたくさんの学生がこの保険に加入できるようにしたい、そういう趣旨でこの団体保険のシステムをとったものでございます。この賛助会員の大学につきましては、若干の事務はお願いをいたしますけれども、特別に会費等の負担は一切おかけいたさないことになっておりますので、大学が保険制度の趣旨を十分に御理解になり、学生に対して積極的に加入を勧誘されるとともに、学徒援護会の賛助会員になっていただきますように、現在各大学にお願いをしているところでございます。
#44
○中沢伊登子君 保険金が支払われる場合の条件として、大学の正課中もしくはこれに準ずる教育研究活動中に生じた急激かつ偶然な外来の事故によって身体に傷害をこうむった者とされておりますね。いま申しました後者の準ずるものの条件をそして幾つか挙げておられますが、もし正課中でもなく、また卒業論文や学位論文に関係もなく、しかも学校内において学生が全く自主的に実験等の研究活動を行っているときに事故に遭った場合、救済の対象となるのでしょうか、ならないのでしょうか。
#45
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘の点につきましては、給付の対象となり得ます事故の範囲につきましては、大蔵大臣の認可を受けた保険約款に定められているわけでございます。そして、学生全体の大学における教育研究活動から見れば特殊と思われるような場合、あるいは教育研究活動と直接には関係がないと思われる場合には、補償の対象とはならないという、そういうたてまえでございます。したがって、いま御指摘の卒論なりあるいは学位論文の作成のための実験あるいはそれと関係のない実験が授業の延長として指導教官の指示に基づいて授業と一体となって行われているものでございます場合は別でございますけれども、そうではなくて、全く自主的に行われている場合には補償の対象とはなりません。
#46
○中沢伊登子君 それではもう一つ、学会への出席などのために交通機関を利用し、その途中で事故に遭った場合、その場合は本制度の適用の対象になるかならないか、お答えをいただきたい。
#47
○政府委員(佐野文一郎君) 学会への出席が卒業論文の研究あるいは学位論文の研究のために必要であるというふうな事情が認められる場合もあろうかとは存じますけれども、交通機関利用中は通常研究活動を行っていることにはならないというふうに考えられますので、交通機関利用中の災害は補償の対象となりません。
#48
○中沢伊登子君 時間が大変余りましたけれども、これで私の質問を終わります。
#49
○委員長(山崎竜男君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#50
○委員長(山崎竜男君) 次に、教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件を議題といたします。
 本件に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#51
○鈴木美枝子君 永井文部大臣にお伺いいたします。
 文部大臣も御承知かと思いますけれど、最近、小学生、中学生の非常に年の若い子供さんの自殺がふえてきたことでございます。それで、自殺する理由とか年齢とかを文部省から取り寄せまして調べてみましたら、四十九年のしかないようでございまして、昨年五十年をあわてて私自身が調べてみました。調べてみますと、大体、年齢から言いますと、小学校五年生、小学校六年生、中学三年生――これは五十年度でございますけれど、大体、年齢からいいますとそういう小学校、中学校の子供さんばかりでございます。そして、自殺のやり方からしましても、最も残酷なやり方をしておりまして、ガス自殺、首つり自殺、あるいは高度な場所からの飛びおり自殺というようなやり方で、ほとんどが首つり自殺をするというような傾向を持っております。これは五十年度の記録で、現に五十一年になりましてからももう何人か自殺しております。最近のことは新聞でも御存じと思いますけれど、高校生で二月の三日に日比谷高校生が飛び込み自殺をしたという、そうしてもう五十年度で百人になんなんとしているわけでございます。
 このことを、この記録された世論といいますか、新聞に書かれていることを申し上げますと、「小中学生の自殺は四十七年を境に確実にふえている。厚生省が医師の死亡診断書を基に作っている人口動態統計によると、」五歳から十四歳の自殺は「四十年にわずか四六件だった。ところが、四十七年には八六件、四十八年九五件、四十九年六十八件、」そして、ただいま申し上げましたように、五十年は約九十件以上を超えようとしている。「自殺年齢が低下傾向にあることがわかる。」死因順位も十歳から十四歳の男子、小中学生に最も多いのだ。いまや小中学生の自殺は一部の特殊な現象ではない。まして、一人の自殺児童の周囲に十人の未遂者がいるかもしれない。また、その周りに、百人、千人の悩める自殺準備状態を持っている子供がいるかもしれない。これは、慈恵大学の精神医学の大原先生が談話として発表していることでございます。そして、また続けて大原先生が言っているのでございますけれど、「最近の自殺の特徴は、年齢の低下とともに動機もまた受験や異性問題など昔は成人特有のものが子どもにも移行していることだ。またウツ病や分裂病といった自殺の原因となる精神病もこれまでは高校生以降とみられていたが、最近の児童の体位向上で小中学生にもみられるようになった。自殺を考える子どもはまず耐えがたい環境から逃げようとする。家出や非行もその意味で自殺と同じ逃避形態である。だから自殺者が最初に考えるのは自殺ではない。苦しい状況から救ってもらいたいのだ。」そこで、子供は親や兄弟にそのことを訴えようとしている。その言葉が「死んでしまいたい」「どうしていいかわからない」という言葉をさりげなく出すということがあるのだ。そういう徴候に対して、これは五十年度百人に近いといっても、周りに自殺をするという可能性がもうすでに千人も二千人も控えているのだということに注意をしなければならないということを言っているわけでございますよ。私も全くそう思うのでございます。
 永井文部大臣は、一月四日の朝日新聞に、「助け合い教育」を推進するんだと、競争第一主義を改めるんだというようなことを発表なさいましたね。そうしてまた、それと前後して、主任制の定着という問題と絡め合わせて「助け合い教育」という言葉をお出しになりました。そうしてまた、競争第一主義を改めるんだとも言っているわけでございます。いま、この言い方は、大臣が、自殺年齢が低下してきた、そしてふえてきたことを御存じの上で、競争第一主義という問題も言っているのじゃないかと思うのでございますが、「助け合い教育」というこの言葉だけではちょっと漠然としておりますので、この自殺に対して永井文部大臣のお考えをちょっと伺っておきたいと思います。
#52
○国務大臣(永井道雄君) 自殺、特に若い人の自殺の問題というのは、非常に複雑な問題でございます。
 ただいま鈴木先生の御指摘がございましたように、自殺年齢の低下現象というものがありまして、十歳から十四歳の水準のところがふえてきているわけであります。ただ、ここでも幾分むずかしい問題は、昭和三十年という時点が頂点になっておりまして、それから減ってきている。そうして、さらに最近になってふえたという現象があります。
 それから国際比較の問題でありますが、自殺は、わが国は、全人口中に占めます自殺というものは非常に多い国として知られていたわけでございますけれども、現状ではそうではございませんで、オーストリア、チェコスロバキア、デンマーク、フィンランド等が自殺の数が非常に多い。さらに低年齢層の自殺、五歳から十四歳についての国際比較をいたしますと、オーストリア、チェコスロバキアが十万人中一を超えております。スイスも一を超えております。わが国の場合は〇・五でございまして、比較的国際的に見ますというと、そういう意味でパーセンテージは少ない。
 そこで、自殺はなぜ起こるかといういろいろな研究がございますけれども、自殺は非常に研究しにくいわけです。というのは、いろいろ自殺の前の行動あるいは言動から推定をするわけでありますが、非常にむずかしい。いまおっしゃいました競争というふうなこともあると思いますが、他面におきましては、たとえばスイスのような国がなぜ多数の子供が自殺をするかというような問題もあって、わかりにくいわけであります。わが国の研究の場合にも、いわゆる進路問題、これは受験勉強でございますが、そうしたことからと推定されるもののほかに、家庭事情、あるいは非常にとらえどころのない厭世、それから異性の問題等がございます。
 そこで、私は、助け合いのことを考えたときに自殺の問題を考えていたかという御指摘でございますが、私は自殺そのことだけを取り上げて考えるというよりは、これは現在においていわゆる塾が盛んになっているというふうな問題が、初めは高校であったのが中学に下がり、さらにまた小学校の段階にまで下がってきているというところで、子供たち同士が非常に競争している。その中に自殺の問題も含まれる場合があると思いますが、含まれない場合もありますが、そういう風潮の中でやはり助け合っていくというような空気がつくられていくことが望ましいということでそういうことを提唱いたしました。ただ、これが観念的な提唱に終わるということはよろしくありませんから、私がいま眼目といたしまして始めておりますのは、特に低年齢層の人たち、いわゆる小中の生徒の人たちにとって実践を通して助け合うことを学んでいく、あるいは身につけるという意味合いにおきまして、スポーツと芸術活動というものに力を入れようとしているわけでございます。
#53
○鈴木美枝子君 自殺の原因について、私は母親、何人かの人々を調べてみました。中学校三年生で高校の入試の問題なのでございます。いま、偏差値、それから内申書の問題、この二つについて、偏差値については文部大臣は御存じでございますか、大臣の知っていることをおっしゃってください。
#54
○国務大臣(永井道雄君) 偏差値が現在いろいろな機関が、主として三つぐらいと思いますが、偏差値を出してそれを子供に示しているということを承知しております。
#55
○鈴木美枝子君 どういう形で試験がされているか、御存じでございますか。
#56
○国務大臣(永井道雄君) 私が理解しておりますのでは、偏差値について特に推進しておりますのは、東京都で申しますと、進学教育研究会、そして新教育研究会、東大学力増進会という三つの集団でありまして、テストを繰り返しまして、そうして母集団が変わりませんから、その同じ母集団の中でどの点にその特定個人の偏差値が置かれるかということが行われているというふうに理解しております。
#57
○鈴木美枝子君 それ以上は御存じではないのですか。東京都を初め日本全国の中学中では九九%行われているということなんでございます。東京都の中では二%しかやってない学校はないというのです。どういう方法で試験がされているか、御存じでございますか。御返事ください。
#58
○国務大臣(永井道雄君) ただいま九九%という数字をお示しになりましたが、偏差値というものを学校自身で出している場合よりも、いま申し上げましたように、東京都も三つの、これはいわば受験補強団体的なものでありますが、そういうものが全国にございますから、そういうところで偏差値を出すということでありましょうが、それが何%に及んでいるかということは、大変恐縮ですけれどもつかんでいないわけでございます。
#59
○鈴木美枝子君 これは父兄から取り寄せたものでございます。高等学校の四千九百十六校のうち、国立が十七校ございますね。そして公立が三千二百五十九校、私立が千二百二十三校、そうして分校が六校ございます。高等専門学校、各種学校七千九百九十六校、この業者の出した偏差値の表を一度ごらんになっていただきたいと思うのでございます。都立は、内申点をとることと偏差値をとること、その点数をはっきり二つの方法で出しております。普通高校へ入学の場合には、内申書じゃなく、偏差値を全部使って受験の対象としているのでございますね。このように全部使って行われていることを文部大臣は御存じないとしたら、大変なことだと私は思うのでございます。きのう、早速、いま先生がおっしゃいました偏差値を行っているところの業者、みんな業者という言葉で言っているんですよ、新教育研究会へ電話をかけて聞いてみました。この資料をお渡しください。電話して聞きましたら、文部省と関係ないんですと言うのですね、業者の人は。それじゃ、学校では日教組の先生が関係あるんですかと聞きましたら、日教組の先生も関係がないんだと言うのです。確実に毎月一回ずつ試験をするテストをするのに、文部省も関係がなく、そして日教組の先生も関係なく、そして毎月一回ずつ確実に行っているということが現に学校の教室で行われているこのことを大臣は御存じないと言う。このことは、自殺のことに関係して大変な問題だと私は思うのです。
#60
○政府委員(諸沢正道君) 御指摘のこの資料を見ますと、たとえば九段・日比谷・三田の学校群では、男子来春合格圏内申点、偏差値として四〇、六一というふうに書いてございますが、これは恐らくいま先生が御指摘になった業者がこの資料をつくったのだと思います。そして、自分のところでやっておるその偏差値の計算の出し方からしますと、従来の経験で九段・日比谷・三田の学校群の合格点数は四〇、六一ぐらいのところですよと、こういうことを示したものではないかと私は思います。したがいまして、九段そのものがこういう偏差値を使って採点をしているというのではなくて、九段の合格者を業者の側から見て点数に換算するとこういうことになりますから、自分の方の偏差値のテストを受けた場合にはこのくらいの点になればどこの学校へ入る予想が立つでしょうと、こういうような意味でのこれは指導では、指導といいますか、業者の方の文書ではなかろうかというふうに私は解釈いたします。
#61
○鈴木美枝子君 その資料は、父兄、母親からいただいたのです。そしてまた、ここには、その表ですね、標準学力テスト個人成績表という確実な表になっておりますね。学力テストというのと会場テスト、この二通りあるんですよ。そして毎月教室におけるのと会場テストというのをやってるのです。テストがどのぐらい、大臣は御存じないようだから申し上げますが、この母親の持ってきた偏差値のテストは最低二五点、毎月やっているのですよ、毎月教室で。そして、最高が七五点なのです。中間が、四五点以下の生徒は普通高校を受けることができないということなのです。これもちょっとごらんになっていただきたいと思いますね。見たことございませんか。
#62
○国務大臣(永井道雄君) いや、私、実はそれでしたら見ているんです。そういう偏差値を出しまして、そうして大体偏差値六〇であると都立の群ですとどの辺をねらえるかとか、あるいは五五であると私立ですと大体どこであるかというのを、やりまして、これを繰り返しテストをやって、そしてその偏差値の何といいますか、安定度が高いという場合にはなお高まると、こういうふうな形の繰り返しテストを行われてそれが広く頒布されていることは承知いたしております。ただし、学校はその偏差値によって入学させているというのではございませんから、したがいまして、その偏差値にもかかわらず受けますと入るという場合もたくさんありますし、そういう意味において、偏差値がいま広く母親の方々の間に大きな関心にたっているということは承知いたしておりますし、そうした表も見ておりますけれども、それと学校が子供を入学させるときの基準は異なっているわけでございます。
#63
○鈴木美枝子君 それが確実になっていないということはないのです。「高校受験案内」、これを手がかりに学校を選ぶということはあるんでしょう。自由に選ぶことはできないということは御存じですね。偏差値テストの点によりましてここに全部記入されているわけでございますから。偏差値が四三点、内申は二七点、そして偏差値の毎月やった成績の中で中学生の中の三年の二学期にやった点数が高校を選ぶ基準になってくるのです、総合点じゃないのでございます。中学生の中間テストと期末テストは御存じでございますね。それじゃ、どのぐらいテストをやるかということをちょっと読み上げてみます。中学校の子供が第一学期に中間テスト、期末テスト、二学期に中間テストに期末テスト、それから三学期に期末テストをやる。一年に五回やるわけですね。その五回の間にこの偏差値を毎月一回ずつテストをやるのです。期末テストと毎月一回やる偏差値テストのほかに、教室以外でやる会場テストというのがあるのです。教室のテスト以外に会場テスト。そして、毎月やるテスト用紙のために六百円ずつ取られるのです。ですから、義務教育が無料化だということは、無料化と言えない。テスト費用を払っているということになるんです。そして、会場テストには千円払うのです、千円。ですから、義務教育の無料化というのは、業者という立場をとりながらお金も取っているのです。毎月金を取っている。中学生の自殺がふえてきているということは、小学生の自殺がふえてくるということは、十歳から十四歳のこの小さい子供に網の目のように試験で子供をもうどうにもならないようなところへ追いやっているということです。文部大臣は、これをいま確実にやっていると思っていらっしゃらなかったんですね。いまの御答弁でそう思いました。毎月一回偏差値のテストをしているということを大臣は知らなかったのですか。
#64
○国務大臣(永井道雄君) 先ほどから申し上げておりますように、私はそういう組織の名前を申し上げました。業者という言い方でもできるかと思いますが、それが毎月一回行っている場合、あるいは場合によっては隔月で行っている場合等あることは承知いたしております。
#65
○鈴木美枝子君 承知しておいでになったのですか。承知をしていて、子供がどうなるというふうにはお思いにならないのでしょうか、心理的に。子供の肉体とそして心理的にどうなるとお思いにならなかったのでしょうか。
#66
○国務大臣(永井道雄君) これは、しかし、学校が行っているのではなく、そうして希望する子供が行っている。私はそれを望ましいと申し上げているのではないんです。望ましいと申し上げているのではない。そういうふうな形でいま偏差値というものが非常に母親と子供の関心になっておりますけれども、むしろこういうふうな形で将来、また今日もそうでございますが、子供の選択が行われていくということは望ましい方向ではないというふうに考えております。
#67
○鈴木美枝子君 いま望ましいことではないということを聞いたので、その考え方を入り口にしまして以前から続けられているテスト偏差値をやめることです。ある母親の細かい日常生活のある一日を、その偏差値と学力テストの二つの二重の絡み合いの中でどういうふうな環境にあるかということを申し上げます。
 この場合は、偏差値が六五点で、内申が三六点でございます。これを基準にして学校を選ばなければなりません、この二つのものを基準にして。これは都立の資格を取るために毎日徹夜で勉強して偏差値六五点、内申点が三六点、これが大体中位でございます。中位の成績。この偏差値六五点を取るために一日の時間割りをこの子供はどうしているかといいますと、朝八時四十分に学校へ行く。そして勉強して、午後の四時三十分に帰ってくる。そして夕食。勉強、学習するために十時まで寝る。そして十一時から勉強し出して朝の八時まで勉強する。そして朝の八時四十分学校へ出かけていく。これを一年間繰り返しまして、そうして偏差値六五点をやっと取ったということなんです。というのは、偏差値が先ほど申しました七五点でなければ国立付属高校なり都立高校へ入ることができないのですよ。入ることのできない決定的な決め方が、偏差値と内申書のこの両方の点によって学校を指定されているのです。子供は夜中に寝ないで一年間それをするわけです。寝ないですれば、子供はもう試験のすき間の中で親に対してはどう思うでしょうか、先生に対してどう思うでしょうか。そして小学校、中学校という遊び盛りのときに、情緒的な言葉じゃなくて、人間を信頼しなければならない重要な時期に、そういう立場に追いやっているのが偏差値のやり方なのです。毎月毎月のテストを教室で、学外でやるテストのときには公会堂でやるそうですね、あるいは講堂で。それは東京都の一群、二群というような定め方の中にある学校を全部集めまして、この母親の話によりますと五千人一斉にやる。五千人一斉にやるときには千円のお金を前もって払う。千円が五千人になったら業者はなかなかもうかりますね。学校の教室を借りて試験、テストをする、業者が紙を配るということを教育委員会が簡単に承認するわけがございませんでしょう。校長が承認することがないでしょう。それを許しているということはどういうことなのでございますか。
#68
○政府委員(諸沢正道君) 学校の施設を管理するのは教育委員会であり、現実には校長に管理を委託されておるわけでありますが、校長はまあ学校の施設を公の目的その他学校教育に支障のない範囲で一般的には貸すことの自由があろうかと思うわけでありますが、御指摘のような点について、その会議の目的その他を十分に審査して貸すのが適当かどうかということは、当然校長が判断してこれは許可する、しないをやるべきものだと、こういうふうに思うわけでございます。
#69
○鈴木美枝子君 許可するかどうかという御意見でございますから、いまだに校長からあるいは教育委員会から文部省に通知がないのでございますか。このように確実に毎月一回ずつやり、学外会場テストということもやっているという。この会場テストの方は、一月に一回とは限ってないそうでございます。そうしてそれが高校入学を決めていく、高校を決めていくという状態にあるんですよ。お伺いいたします。
#70
○政府委員(諸沢正道君) 個々の学校の施設をどのように貸しているか、あるいは開放しているかというようなことにつきましては、個々具体について文部省が指示をしておるわけでもございませんし、学校からあるいは教育委員会から報告があるわけでもございませんが、御指摘のような件につきましては教育委員会及び校長が良識をもって判断してやるべきことだろう、こういうふうに考えるわけでございます。
#71
○鈴木美枝子君 それは自主的に任せるということですね、いまの御意見では。文部省がそれに対して教育の偏差値に対しての弊害について指示するということはないのでございますね。文部大臣からお伺いいたします。
#72
○国務大臣(永井道雄君) 私、この偏差値の問題が出てきていることを承知しているわけなんですが、それでありますからこそ、これは従来偏差値の前には知能指数テストを盛んに用いるという方向があったわけです。最近は偏差値の方が母集団との関係で位置づけがやりやすいということから、知能指数テストにかわってこのやり方が非常に盛んになってきた。そういたしますというと、つまり大体自分が競争場裏の中でどの辺に位置づけられているかということがわかりやすいということから、偏差値を使用する傾向が強くなってきたわけでありますが、これについてどう考えているかということですが、これは私は非常に深刻な問題だと思うのです。
 深刻な問題だと思いますのは、まずこれはどうしてもわが国の受験体制というもの全体との関連においてこの問題も考えていかなければいけない。つまり、そもそも大学入試のところが非常に激化しているというところに端を発しているわけです。それが高校に行きまして、また高校もどういう形で入学をさせるかということで、たとえば東京都の場合は群というふうな方向で苦労をされている。しかし、それがまた新しい問題も生じてきたということで、昨今も新しい方向を模索しておられるわけなんです。そこで、私は就任以来非常に考えておりますのは、一体わが国のこの受験体制の激化をどうするか。それをしませんと、いままさに鈴木委員が御指摘になりましたような形の学習が中学ないしは小学校にさえ及んでくる。ですから、これは基本的にも変えていかなければいけないわけなんです。
 で、偏差値それ自体を業者が使うのはどうするかという問題、実はこれだけを解決しましてもなかなか問題が取り除けないように思います。そこで、業者というのが学校以外の大きな会場を用いてやっているということを私は聞いております。それから学校によってこれを導入している場合があるということを聞いております。確かに、おっしゃいますように、業者というのは文部省も日教組も関係がないというふうに言ったのはそのとおりだと思うのですが、それでそういう姿で学校外でやるものを非常に子供たちやあるいは親が信じるという方向が出てくるのは、結局のところ、現段階においては、大学、高校というところの受験熱のいわば過熱現象が基本でございますから、そこのところを突いていきませんと、この偏差値問題だけでなかなか問題が解けないというふうなのが私の認識でございます。しかし、学校が進んで偏差値というふうなものによって子供に必要以上の不安を抱かせるというふうなことは、これは当然避けるようにしなければならないものと考えております。
#73
○鈴木美枝子君 先ほど申しました子供の生活は、長男の場合でございます。二人の子供がいるわけですが、この次男の場合には、一年間夜明かしで勉強をしなかったのです。夜明かしで勉強しなかったために、偏差値が四五点で内申が二二点だったのです。住んでいる場所は三多摩の国立市なんでございますが、三多摩じゅうの学校へ入ることができないんです。これでもう偏差値の点も決められておりますから、高校を受験することができない。山梨の方の学校に行かなきゃならない、中学から高校は。そして、その上二十万円のお金を使わなきゃならない。二十万円使って山梨の方まで行く。このことは、もうすでに新聞に出ているんですね、中学生の自殺の問題と絡めてことしの補欠入学金は二十万円だって。私がいま申し上げたのは、事実をその母親から聞いた話です。そして、裏金を百万円ぐらい使わなきゃならない場合があるというのがこの朝日新聞の偏差値、入試の問題を絡めてでございます。この資料を委員長初め先生方にお回しいただきたいと思います。学力テストと会場テスト、これは毎月やっているものですから。自殺の問題に絡めて――大臣の調和というのは、子供の上にペンキを塗って、先ほどおっしゃいましたように、話し合いとかやわらかくと言ってみたり、東京の教育委員会が出している「児童・生徒の心の健康とその指導」「自殺・家出・登校拒否の予防のために」というこういう本を出す前に、業者テストのこういう毎月やるテスト、それから期末テスト、中間テストを絡めて、こうテストの網の中に入れちゃうというような子供の教育のやり方の中で、「高校受験案内」の中にはっきりと偏差値、内申の点数によって差別、識別をして子供を苦しめるようなやり方、十歳から十四歳の子供が悩み悩んで自殺をしているんだということをもっと哲学的にお調べになる必要があるのじゃないでしょうか。
 先ほど、永井文部大臣は、ヨーロッパの例を挙げました。私も列国議会でヨーロッパへ行きまして、ロンドンで列国議会があったわけでございますが、委員長と御一緒に行ったわけでございます。英国の上院議員が、一昨年ありました日本の列国議会から帰りまして、日本の日常の生活を見ていて、一日じゅう夜中までテレビをやっていて、夕食の時間には御飯を食べながらギャングドラマや人を殺すドラマを見ている日本の子供が大人になって暴力的になるのはわかるような気がするという意見を聞きました。その上に、この試験で中学校内申、中間テスト、期末テスト、一年間五回に、毎月毎月業者のテスト、これでは子供には自由は全くありません。子供というものをお知りにならないのじゃないでしょうか。子供というものはどういうことが一番大切なのかということをお知りにならないで、差別と識別とその業者テストと中学テスト。学テあるいは内申書問題の裁判があることは御存じでございましょう。これはまあ多分政治的な絡み合いというふうにお思いになるでしょうけれども、学テ裁判の中でも東大教授の憲法学者が言っているように、「学テが教育基本法一〇条に違反するのではないかという点にある。」と、これは裁判のことでございます。「同条の趣旨は、教育が「不当な支配」を受けることなく、国民全体のものとして自主的に行われるべきであり、教育行政もこの自覚の下で、教育目的に必要な条件整備を目ざしてなされなければならないということである。いいかえれば、教育本来の目的を達成するためには、教育の場で子供達に接する教育者の自由と責任を重んじ、教育の自律性をゆがめるような外部からの不当な干渉は許されない、」のである。文部大臣がよくおっしゃるところの教育基本法第十条は、ここにも問題となって闘われているわけでございます。そしてまた、第十条の「(教育行政)」について、「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」これは「整備確立」という点について、業者の導入に対していまのお答えは教育全体の答えとしてはちょっと足りないのじゃないか。御答弁ください。
#74
○国務大臣(永井道雄君) 実は、私の子供は高校一年生と中学今度二年になるのがありますから、子供のことはよく知っていますし、それからちょうどそのぐらいの年齢をよく……。それで、どういう偏差値のテストがどこで行われているかということも知っているんです。
 で、偏差値を絶対視するのは間違い、本当に。ですから、私の子供には受けさせないようにしていますけれども、(笑声)本当にそうなんです。これは東京都もどういうふうに指導しているかといいますと、私先ほど申し上げたように、いまは受験体制というものが非常に激化しているという状況の中で現在は偏差値なんですが、ちょっと前は知能指数信仰というものがあったんです。その場合も、実は知能指数というのもそんなに信用のできるものでなくて、それで学校が決まるのでないんですが、今度は偏差値ということで、そういうふうな形の考え方というものが非常に広まってきているわけです。で、都の教育庁が学校に対して行っている指導を申し上げますと、学校でこの偏差値というものを使う子供がある場合、これは参考程度にとどめるべきであると、参考程度に。いまの黄色い本ですね、そういうものを参考程度にとどめる。そうして、そういう方針で学校は指導を強めるべきである。さらに、その文章から読んでいるわけです。私立高校がこのようなものをもとに生徒の選別を行おうとしていることについて、そういう傾向があることは否定できないのです。それはその黄色い本の、特にいまの二十万円云々というふうなことは私立高校の問題だと思いますが、そういう場合にはどう都の教育庁が言っておるかと申しますと、試験を受ける前に合否が決定的であるかのような印象を持たせているのですが、実はそれほど偏差値に信頼度がないので好ましくないということを警告してきていると。それから業者が企業目的でやっているのであって、これはただだめなんだということを言ってもなかなか効果がない。どういうふうにして効果を生んでくるかというと、業者の指導で志望校が決まっているというような主客転倒した方向というものをひっくり返さなければいけない。これは学校の指導で決めなければならないものであるというんとを、これ東京都が各学校に示していることでございますが、私も全くそういう方向で進めるべきものと考えております。
#75
○鈴木美枝子君 もう一問。いままでは放置していたということですね。文部大臣は、私が質問した偏差値テストを調べて直す可能性がございますね。いままで文部省は放置していたということは言えると思うのです。ずっと続いていたのですから、毎月確実に。そして「高校受験案内」でもうこれが書いてあるのですから、偏差値何点、これ以上の者はこの学校を受けていいと。これも一度お調べになってください、書いてありますから。偏差値何点、内申何点と。この学校には何点をとらなければだめなんだとなっておりますから、これも調べてください。毎月やられているということをいま文部大臣がおっしゃったよく調べると言われたことを信じまして、文部省の方もそれを取り除くようにしてください。業者に教育を任せていちゃいけないですよ、業者に。いままでの結果はそうなると思うのですね。だから業者に教育を任せるのじゃなくて、これを訂正していただくということを確認さしていただきたい。確認のお言葉をいただいておきましょう。
#76
○国務大臣(永井道雄君) 当然、教育の指導は学校で行うべきでございます。当然そうでございます。
#77
○内藤誉三郎君 ちょっと関連で私は質問さしていただきたいのですが、非常にこれは重大問題だと思っているのは、内申書というもので本来なら学校が審査するのが当然です。内申書が遺憾ながら学校差があり過ぎるのですよ。そこで、どうしても共通の物差しが必要なわけです。私は、文部省にいるとき、実は高校入試をやめたいと思って、五教科の一斉学力テストをやったんですよ。私は必要があればその方がまだいいと思うのですが、とにかく業者という非常に無責任な団体が学校に介入するというのは教育権の侵害だと私も思う。そこで、学校を貸すなんというのはもってのほかだと思うのです、学校外ならともかくとしても。その偏差値をとにかく学校が何らかの形でこれを参考にするというようなこと、これが一番悪いと思うのであります。これはもう文部省は厳重に調査して、私はこういう業者は追放してほしいと思うのでございます。で、必要があるなら、文部省なり教育委員会がやったらいいですよ。文部省なり教育委員会が教育的立場でやるべきであって、これは業者にやらせるよりは私は責任があるところがいいと思うのですが、いずれにしてもこの問題は非常に重大な問題だから、文部省で徹底的に調査してほしいと思います。
#78
○国務大臣(永井道雄君) ただいま内藤委員からの御指摘のとおりと私も思います。学校外でやっている場合はまだしもなんですが、学校が認めてやるということはおかしい。学校外の場合は個人でございますから、これは別になるわけでございます。で、本年度の調査の中に塾に関する調査、そしていわゆる受験競争を学校以外の組織でやっているものについての調査を実はお願いして予算の中に含めておりますので、これは徹底的に調べていかなければならないと考えております。
#79
○委員長(山崎竜男君) 本件に対する午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時四十四分開会
#80
○委員長(山崎竜男君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件を議題といたします。
 休憩前に引き続き、本件に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#81
○宮之原貞光君 まず、先ほど初中局長から報告のあった鹿児島の調査報告の件についてお聞きをいたしたいと思います。
 先ほど、大臣の話では、この報告をつくるに当たって鹿児島県の教育委員長、教育長、教職員課長を呼んで話を聞いたと、こういうことでございましたが、そのほかにはだれもおらなかったんですか、どうですか。
#82
○国務大臣(永井道雄君) そのほかの方をお呼びいたしませんでした。
#83
○宮之原貞光君 それでまあ私報告を聞きながら、一体調査とは何かということを改めて考え直さなければならない気持ちになった。普通、委員会で調査してもらいたい、しますと、こういう約束があった場合は、その調査するところの問題点の真相をやはり確かめて、さらに要すればその中から問題点はこうこうこういうところに問題点がある。さらにはまた、それに対するところの行政府としての所見があるなら所見を加えるというようなもの等々が大体調査されて報告されるところの概念だと、こう思ったのですがね。しかし、出てきたところのものを拝聴いたしますと、どうもそのようじゃなくして、しかも、いまも大臣が確認をされたように、何のことはない、ここで問題になったところの県の教育委員会のスタッフだけを呼んで、調査いたしましたらこういうふうに思われますという調査では、いささか私は公平を欠くと思うのですが、どんなものでしょう。
#84
○国務大臣(永井道雄君) 常に調査というのはいろいろ問題点を中心にして調べるべきものと思いますが、先ほど申し上げました三人の方々の話を伺いましたのは、教育長に関連する疑問点がいろいろありましたから、教育長個人から聞きますことよりも、むしろ教育委員長、それから次長、それから教職員課長等から事情を聴取すべきであるという考えで行ったわけでございます。
#85
○宮之原貞光君 教育長の問題だったら、教育長の同じ部下であるところの教職員課長とかあるいうじゃないかと、こう言っておるんですからね。けれども、いま私が指摘いたしましたように、教育委員長とか当事者とか教職員課長という部下を呼んで、これで公正でございますと、これは言えないでしょうが。私はこの問題についてもう一回やっぱりこの問題について文部省として一体そういう呼び方が妥当かどうかを再検討してもらいたいと思いますよ。もしそれがノーなら、ぼくはやっぱり理事会にこの問題について要求したいと思う。これはあくまでも妥当だとお思いですか、どうですか。
#86
○国務大臣(永井道雄君) 妥当を期して行ったわけでございますので、内容について御検討いただきますれば幸いであると思います。
#87
○久保亘君 関連。
 いまの問題で、この調査を私どもの方が求めましたのは二月の十二日なんです。そして、十七日一理事会で二十六日に報告を求めるという段取りを決めたわけです。二十四日に関係者を呼んで、関係者というよりは教育委員会を呼んでお聞きになったというふうにさっきお聞きするのですが、それは間違いありませんか。二十四日ですか。
#88
○政府委員(諸沢正道君) 最初、二月の十七日に教育委員長以下をおいでいただいて調査をすることにしておったわけでございますけれども、この日は教育委員長だけはどうしても御都合がつかないということでございましたので、十七日には教育次長と教職員課長に来ていただきました。
#89
○久保亘君 教育次長ですね。
#90
○政府委員(諸沢正道君) はい、教職員課長と二人です。そして二十四日の日に委員長の御都合がつくということで、この日に来ていただいたわけでございます。二度にわたって調査をしたわけでございます。
#91
○久保亘君 その事情聴取の仕方も、やっぱり非常に文教委員会の日程に合わせて少し報告書づくりのためにやられたような感じもいたします。もう少し、十二日に私どもの方は調査を求めているのですから、もっと積極的に時間をかけていろいろ調査をせられるべきだと思いますし、それからいま宮之原委員が指摘されますように、公聴会とか地教委の関係者とかあるいは教職員組合の関係者などについても事情を聴取するために当然文部省が鹿児島に出かけて実態を把握するということの上で報告書はまとめられるべき責任があったのではないか、このように思いますが、その点を大臣はどうお考えになりますか。
#92
○国務大臣(永井道雄君) ただいま久保委員から御指摘がございましたように、こちらから出向いて調査をするという方法も確かにあると思います。ただ、私どもがとりました方法は、今回この問題につきまして鹿児島から東京に来ていただくという方法をとったわけでございます。
 そこで、調査方法の問題は当然内容に関連いたしてまいると思いますが、私どもはそういう方法をとりましたけれども、妥当であることを期して行ったものでございますので、内容の側面から御検討をいただきますならば幸いであるというふうに考えているわけでございます。
#93
○宮之原貞光君 まず委員長に聞きますが、この調査報告というのは、あれなんですか、一応報告があった、委員会としてそれを確認をしたということに相なりますか、それとも、聞きおく程度というかっこうになるのですか、どうなんですか、あの報告というものは。まず僕は委員長に聞きたい。もしその結論を得なけりゃ、理事会で明確にそれをしておいてください、この取り扱いを。
#94
○委員長(山崎竜男君) 理事会で明確にします。
#95
○宮之原貞光君 しなければ次に質問を続けられませんよ、それは。
#96
○委員長(山崎竜男君) 本日は報告を聞きおくということにしておきます。
#97
○宮之原貞光君 聞きおくという程度のようでございますけれども、しかし、私は、それは聞きおくにいたしましても、この調査、本委員会から要求をされたところの調査のあり方としてはきわめて不適切だと思うのです。したがって、改めてこの問題は、内容の問題もさることながら、この呼び方、いろいろな調査の仕方についても、いわゆる課題になっておりますところの現地の皆さんを呼んでここで聞くという問題を含めて、理事会でひとつ検討を願いたいということを要望しておきます。その点、よろしゅうございますね、委員長。
#98
○委員長(山崎竜男君) よろしゅうございます。
#99
○宮之原貞光君 ただ、私は、聞きおく程度にしても、聞きおくわけにいかぬのです、これは。というのは、ちょっと耳で聞いただけでも非常にやはり問題点の多くを感ずるのです。したがって、私は要求しますけれども、午前中初中局長の報告のあった点は、きちんとしたやっぱりプリントで全員に配って、やはり後刻理事会で問題になりましょうから、的確な判断をさせてもらいたいと思います。
 それで、私がざっと聞いただけでも、この中身に非常に問題があるというのを若干指摘しておきましょう。たとえばその準則決定の問題について、「議決事項ではないが、大切な問題であるのであらかじめ全教育委員の了解を得ていた」云々という表現になっております。私はこれを見ながら、それほど大切な問題だと本当に理解しておったのだろうかどうだろうかという、重要な問題だという理解があったのだろうかどうかという疑問を持たざるを得ない。もしそれほど重要な問題だと思うならば、常識的には県の管理規則との関連がこれがどうなるのか、これが二十七日に通達をされた場合に、いわゆるコミュニケーションが非常に不十分だったのですから、少なくともそういう段階に突如出されたらどうなるのだろうか、そういう問題についても教育委員会を開いて十分意見を交わして、これは専決事項にしても当然やらなきゃならない。しかしながら、先ほど聞きますと、これにもうまく表現はなっていますけれども、ただ委員の個人個人に電話や口頭で聞いて持ち回りでやっているんですよ、持ち回りのかっこうで。そういうふうなことで、これは大事な問題だという認識が果たしてこういうものについてあるかどうかということをもう私はやっぱり第一点非常に疑問で、一応便宜主義で、ただ何かのかっこうで通知さえすれば事済むというような県の教育長の官僚主義的な物の考え方ということがきちんとやはりにじみ出ておるという点は指摘しておかざるを得ない。
 それから第二点の知事部局との関係でございますけれども、これを見ますと、一月の二十六日に県の教職員課長から何か総務部の次長を通じて総務部長に行ったとか、あるいは一月三十一日に知事に説明し了解を得た云々というかっこうになっている。しかし、これも私は全くきわめて一方的なものだと、本当に文部省自体もそのように理解しているのかどうかと問いたいぐらいなんですよ。まさにこれは教育委員会側がおたくに報告したものをそのまま書いているだけにすぎない。だって、二月一日の南日本新聞、現地の新聞を見ますれば、知事はこう言っていますよ、談話として。きょうは説明を聞いただけだ、三十一日には。御当人は御丁寧に、説明をし、了解を得たと皆さんに報告をしておる。あるいは二月三日に知事と私どもがお会いしたときにも、知事は、余り世間がこの問題についてやかましくなったので、一体どうなっておるんだと自分の方から教育長と教育委員長を呼んで聞いたんだと、こういう物の言い方を私どもに事実問題としてやっているんです。しかも、総務部長も、騒ぎが大きくなってから何か次長の方から後から話を聞いたんだと、こう言っているんですよね。こういうような事実関係を踏まえて見た場合も、おたくの方から報告のあったものが、知事に説明をし了解を得たなんて、とんでもないことなんです。これは余談でございますけれども、大体、あの教育長は、自分が説明をすると、相手が黙っているとみんな了解したと思っているらしい。これはもう事実ですがね。たとえばうちの江田副委員長が行って教育長から聞いた。そうすると、帰って知事に、江田副委員長にも説明をし了解を願いましたと、しゃあしゃあと知事のところにも言っているんですよ。知事から逆に注意をされている。こういう事態の問題にしても、こういう報告を文部省がうのみにするなんということになると、どうもおかしいと私は指摘しておかざるを得ない。あるいは二月二日の議会運営委員会の問題についても、どうも話を聞きますと、これは高校の募集定員の問題について非常に不満があったんで、いまはこの不満もやわらいでおりましてこの主任制問題とは別なんですという物の言い方をしていますよ、皆さんの報告を聞きますと。これは全く地域が違うんですよ。これも私はやはりできるだけ客観的に言いたいと思っていろんな新聞を引用しますけれども、二月三日の南日本新聞を見てごらんなさい。そうすると、県議会の議長はその議会運営委員会に出て次のような発言をしている。この主任制の問題は県民の間からもいろいろ意見も出て重大な関心を持っておるが、いまだ教育委員会からこの問題について話を聞いたこともないし、説明を受けたこともない。ただ何か書類が私の机の上に置いておかれただけなんだと、こういう話をしている。したがって、そういう説明等を受けて、いわゆる議会運営委員会の中では、教育の問題以前の問題として、賛否は別にして、以前の問題として、こういう教育長の姿勢は許すことができないという与野党を含めての批判が厳しく出たというふうに報道されていますよ、これは。けれども、皆さんの報告は、そんなことは大したことはありませんという物の言い方でしょう。
 あるいは、もう一つ言いましょう。市町村教委の説明の問題にいたしましても、準則の通知前にもう少し時間があったらよかったという程度のものの反省しかされておらない。しかし、あの二月九日の新聞の中に、地教委の教育長会長の鹿児島市の教育長があれだけ大胆に物を言われるということは、よっぽどのことじゃないでしょうか。いかがでしょう、大臣。こう言っていますよ。一月の十九日の全県下の教育長会議のところで問題になったときには、どうも新聞を見るとわからぬかり来て説明をしてくれないかといって地教委の方から県の教職員課長かだれか来てもらったというんですよ。そこでもいろいろさまざまな意見が出たということは、この間の議事録にもあるとおり。だからして、教育長はそれでもわからないと、地教委の教育長はわからないと、こういうような状態のところへ、二十七日、準則がぽんとおりてきた、こういう物の言い方をしておりますよね。しかもまた、いわく、現場の校長が一番困るんじゃないだろうか、しかしこれに対していろんな批判をすると職務命令を受けて校長は不適格となるからねと、こういう物の言い方を地教委の責任者がやらなければならないということは、相当地教委の教育長としては、責任者としては、県の教育長に対しての物の言い方、公の新聞に出るくらいですからね、思い切ってせっぱ詰まった物の言い方だと理解するのが常套じゃないでしょうか、普通じゃないでしょうか。それを、皆さんの先ほどの報告では、もっと話し合うことに時間が少し少な過ぎたというところぐらいのものだと、こういうようなものをしゃあしゃあと文部省も御報告いただいている。いま申し上げたように、事ほどさようにこの問題は私はあの調査報告は単に聞きおく程度にしても聞きおく程度にするわけにいかないところの問題点があるということを指摘せざるを得ません。したがって、先ほど委員長にもお願いを申し上げましたように、きちんとプリントをして出してもらって、私はやはりこの問題が本当に文部省の調査として公正を期するという立場からされているのかどうか。常識的には、公正を期するとするならば、いろんな各方面の意見を聞いてまとめるのが至当ですよ。そういう点もあるし、そのことについては今後いろいろ相談をしてもらえるそうですから、私はその点だけはここでとりあえず指摘をして、次の問題に移りたいと思います。
 次は、これは先日の委員会で初中局長の答弁として、制度と手当との関連について次のようにいろんな私の質問に対して言っておられます。両者は関係がある、それから給与の面、財政の面についても十分相談をせよと指導をした、地教行法三十三条でもあらかじめ財政当局と相談をせよとあるからこういう点も指導をしたと、こういうことを御答弁をいただいたわけですが、そのことは間違いございませんね、議事録にも明白に出ておりますから。
#100
○政府委員(諸沢正道君) 地行法の三十二条の点については、多少言葉の足りなかった点はあったかと思いますけれども……
#101
○宮之原貞光君 いやいや、さっき言ったところの点だけのノー、イエスを言ってください。
#102
○政府委員(諸沢正道君) 御趣旨としてはそのとおりでございます。
#103
○宮之原貞光君 そこで、いまからお答えになろうと予定をされている点について聞きますよ。
 そのことと鹿児島県教委のとった措置とは全くそごがないというこの間答弁だった。しかも、あなたは、県の規則を決める前だったからいいんだというような物の言い方をされておったのですが、あるいは恐らくその点についての補足かとも思いますが、ちょっとそごがないという理由をもう一回聞かしてください。
#104
○政府委員(諸沢正道君) この間も申し上げましたように、主任制度化と手当の問題は密接に関連があるわけでありますから十分に財政当局と話し合いを事前にしておく必要がある、そういう意味では、報告にも申し上げましたように、なお一層緊密に連絡をすればなおよかったろうと、こういう判断を私どもしておるわけでございます。ただ法律的な面からこのことを見ました場合には、地行法の三十三条の一項の規定の関連が出てくるわけでございますが、この三十三条一項の規定は、教育委員会は、学校の組織編制等の学校の管理運営の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定めるものとすると。そこで、この前段の規定によりまして主任の法制化をするわけでありますが、「この場合において、当該教育委員会規則で定めようとする事項のうち、その実施のためには新たに予算を伴うこととなるものについては、教育委員会は、あらかじめ当該地方公共団体の長に協議しなければならない。」、こう書いてあるわけでございます。そこで、委員会規則をつくるその教育委員会と、それに対応する地方公共団体というのは、県の段階であれば県の教育委員会と県知事、市町村であれば市町村の教育委員会と市町村長以下と、こういう関係になるわけであります。ところで、この市町村の段階についての委員会規則というものは、管理規則は市町村の教育委員会がつくりますけれども、予算、財政の問題からいたしますと、これは県の財政にかかわる問題になるわけでございます。その点が一点と、なお、この「当該教育委員会規則で定めようとする事項のうち、その実施のためには新たに予算を伴うこととなるものについては、」云々とございますが、この「実施のためには」という考え方は、たとえば学校をつくるというようなことでありますれば直ちに予算を伴う問題になるわけでございますが、主任の制度化と手当の問題は、そういう意味では制度化すればすぐ手当がつくというような法律関係にはないわけでございますので、その点が一つあるであろうと。しかし、いずれにいたしましても、この法律の解釈を離れて考えれば、先ほど申しましたように、この主任の制度化というものと手当というものは事実上密接に関連するのであるからあらかじめ十分話し合いをする必要があると、そういう意味で私はもう一層連絡を密にしておればなおよかったであろうと、こういうふうに申し上げたわけでございます。
#105
○宮之原貞光君 その皆さんの報告にも関係しますけれども、一層やればよかったろうという程度の問題じゃないですよ、これは、この間も指摘をしたように。なるほど、あなたは、形式論議で県の教育委員会規則は二月の十七日に決めたんだから、三十一日に話したんだ云々と、こうおっしゃいますけれども、もう二十七日には――身分はやっぱり県費職員でしょう、これは。その関係があって、いまもあなにが答弁をされたように、県の財政と関係あるところの問題については事前の相談なんか全然ないんですよ、これは。しかも、その報告書は、かっこうを合わせたように、前の一月の二十六日に総務部の次長を経て総務部長に連絡したなどと言ってかっこうよくつじつまを合わせておりますけれども、総務部長も全然知らぬと言っているんだから。しかも、知事さえもその日に先ほど申し上げたような状態であります。そういうようなことで、一層今後注意をしますどころの話じゃないんですよ。これは明らかに私から言わせれば三十三条にもとるところの行為を平然としてやっておる。これは一応制度と予算とは別だと言ったって、皆さんが一緒というものを見込んで、三月一日に発令をしなさい、三月一日から予算がついていますからと、こういう指導をしておるんでしょうが。なるほど、決まるところの時刻は別にしても、予算の裏づけというのは三月からあるんですよ。同じじゃありませんか、これは実質的に。それを、たとえば建築予算の実施のためのものとは違うんですなどと、こうおっしゃってみても、世の中は通るでしょうか。いかがでしょう、局長。これはやっぱりまずかった、まずかったと、そういうような――あなた方自体も、先ほど改めて確認したように、あらかじめやはり財政当局と十分話しなさいよと、こういう指導をしたと言うんでしょう。こういうようなやり方は適切だと思いますか、どうですか、聞かしてくださいよ。
#106
○政府委員(諸沢正道君) 先ほども申しましたように、地行法三十三条との関係では私はこの規定に触れるものではないと思いますけれども、趣旨は、いま申しましたように、事実上財政当局と非常に関連の深い事柄でございますからあらかじめ十分話し合いをすべきでありまして、その点では鹿児島県においては多少配慮に欠ける点があったように思うわけでございます。
#107
○宮之原貞光君 多少どころじゃないんでしょうが。適切でなかったんでしょうが。まあ、私、あなたにここでせっかんして違法だとまで言ってもらわぬでいいから。適切でなかったでしょう、それは。これは大臣どうですか、お聞きしていて。適切でないものは適切でないと言うのが文部省の指導が権威を持つことじゃないんですか。物事はぼくはやっぱりあっさりしたところはあっさりした物の言い方をしてもらわないと困ると思うんですよ、これ。いかがでしょう。大臣に私はお聞きしますよ。
#108
○国務大臣(永井道雄君) ただいま初中局長が申し上げたように、二面を含むと思います。一つは法的な側面がございますが、事実上給与との関係がございますから、私は配慮を欠いていたものと思います。
#109
○宮之原貞光君 配慮を欠くということは、これは適切でないということですよ、言葉をかえて申し上げれば。
 ここで、特に地教委との関連にもなりますけれども、たとえばさっきの局長の答弁では、市町村教委は市町村長とやっぱりやるんですか、この趣旨から言えば。さっきのお話の趣旨から言えばそうなるんですか。この三十三条の適用というのもそうなるんですか。たとえば、おたくで出された一月十三日の省令改正の通達の十ページ「その他ア」項にはこう書いてあるんです。「これらの主任等は、学校の組織編制に関する基本的事項に該当するものであるから、」三十三条に基づく規定の整備だと、こう述べておるんですよ。こういうようにして明確に三十三条に沿ってやりなさいよと、こう言っているんですよ。だから、私は、先ほどから、文部省の意図とも違った勇み足を鹿児島の教育長はやっているんじゃありませんかと、こう言っているんですよ。だから、そういう勇み足、はみ出たやつまであえて守ろうとするから、ますます文部省がこれはもうくそでも何だというようなかっこうになっちゃうんですよ。だから、そういうようなおたくの指導文書から見れば、通達から見れば、それと、さっきの局長の答弁の市町村長と地教委の云々というのは、そこともやっぱり関連するんですか。どうなるんですか、そこは。
#110
○政府委員(諸沢正道君) 三十三条の趣旨は、当該市町村の教育委員会の管理規則で定めるような事項で、それが予算を伴う場合は、当該市町村の教育委員会が予算に関連する事項、そういうようなものを予定して規定したことでございますから、法律的に申しますならば、今回の県費負担職員の問題のようなものはこの三十三条の規定では予定していない、こういうことになろうかと思います。
#111
○宮之原貞光君 だから、私がこの間も指摘をしたように、県費職員だから、いわゆる地教委に準則の通知を出すときにはあらかじめ県の知事当局とこの三十三条のところに該当するから話し合うということが、協議しなけりゃならないと書いておるんです。話し合いだけじゃないんです、この法文は。あらかじめ協議しなければならないと明確に規定しておるんですからね、局長。こういう法文ですよ。しかも、いまおたくが答弁されたように、これは市町村じゃなくて県なんだから。それをやらないでいて通知だけを出して早くやれと、こういうしりのたたき方というものは、これは違法だと言ったっていいんですよ。恐らく行政訴訟という問題が出てくるかもしれません、今後。しかし、少なくとも、先ほど私何回も指摘するように、これはもう適切でないということは明白でしょうが。だから、その点はやはりきちんとしておかなければ、今後それぞれの県でまた間違いを起こしますよ、これは。したがって、私は、くどいようですけれどもそのことを確かめておるんですが、やはり皆さんの通達にいたしましても、三十三条にちゃんと対応しようとしてこうやっているし、これは当然やはりあらかじめのものがなければならぬはずなんです。だから、そういうようなことに沿って、鹿児島の苦い経験もあるんだから、今後それぞれの県には改めて今後は間違いをしないようなやっぱり行政指導をすると、指導助言をすると、こういうことはお約束できますね。
#112
○政府委員(諸沢正道君) 今後規則を制定する各教育委員会につきましては、御指摘のような点につきましては十分相談をするように指導いたします。
#113
○宮之原貞光君 関連をする問題ですが、これは地方自治法の二百二十二条の二項の問題とはどういう関係になりましょうか。
#114
○政府委員(諸沢正道君) 二百二十二条の二項の規定は「普通地方公共団体の長、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関は、その権限に属する事務に関する規則その他の規程の制定又は改正があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられることとなるまでの間は、これを制定し、又は改正してはならない。」ここで先ほどの地行法の三十三条一項後段の「その実施のためには新たに予算を伴うこととなるものについては、」というくだりでお話を申し上げましたように、今回の主任制度の問題は主任と手当の支給とは密接に関連いたしますが、規程の改正、制定そのものが新たに予算を伴うこととなるということでは解釈いたしておりませんので、その規定は私は適用はないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#115
○宮之原貞光君 この規定は、あれですか、これは入らないとなれば、先ほどの三十三条もそういう論理になりますよ。なるほど決めるところの日は別でしょうけれども、先ほどから何回も言うように予算の裏づけもあるんです。ただ、予算の配賦がおくれておるだけですよ、国会との関係でね。だから、私は、この条項が、たとえば地教行法のこの教育公務員の場合にはこれよりもここに該当するんですと言うんなら話がわかるんですよ、ここの解釈で。ここですよね、こことほとんど同一みたいなものだから。けれども、これは別なんですよというわけにいかないでしょう、これは同じ趣旨なんだから。だから、そこらあたりにもぼくはやっぱり皆さんは無理な答弁はしてもらっては困ると思うんです。これはもう一番困るのは県教委、地教委なんですから。だから、先ほど明確に申し上げたように、やはりこの問題は予算と関連する問題だということはだれの目にも明らかなんですから、きちんと指導していただきたいと、こう申し上げておるんです。答弁は求めませんが、次に進みます。
 次にお聞きしたいのですが、昨年の五月の二十二日ですけれども、宮崎地裁で確定判決になりました四十四年五月の宮崎における指導主事の学校訪問をめぐる団交事件の判決がありましたね。あれは御存じないですか。――じゃ、こういうことですよね。これはいわゆるその指導主事が学校訪問をすることが教職員団体との交渉対象事項になるのかならないかということと、これをめぐっての交渉のトラブルというのがあったんです、残念ながら。そこにあの摩擦が物理的にそれが暴力行為に入るか入らぬか、この二つの問題が法廷で争われている。そうしたところが、判決の中では、いわゆる団交の際のトラブルにはやっぱり若干の暴力行為があったと、したがって、それは五千円の罰金だとなっておる。それはあったとすればこれはやはりいいことじゃないのですから、これは罰金を払わなければならない。しかし、私がここで問題にしたいのは、いま一つの団体交渉の一体交渉事項の対象になり得るかどうかという問題に関連して地裁が判決をやった。しかも、その地裁判決の一審でなくて、もうそこで判決は上告を県教委の方も認めたからこれは確定しておるのですよ。こういうような判決になっていますよ、それは。「本来、団体交渉の対象事項は流動的なものであって固定化になじまない本質を有し、概念形式的に限定すべきものではない。管理運営事項もそれが勤務条件に関する事項と密接に関連するかぎり、その面において交渉の対象とすることができることは論をまたない。」と、こういう判断を下しておるのですがね。それをいま取り寄せ中でございますから、私はこれはどうだと、こう言いませんから、それを早く、こういう判断を示しておるが、これについてのあなた方の御見解はいかにということを一応聞いておきたい。
 ついでにもう一つお尋ねしておきますが、これまたそこに用意がないと思いますけれども、これは一昨年の四月、東京高裁で控訴棄却になって確定をしたところの判例です。埼玉県の県陽高校の職場交渉事件というのがやはり浦和地裁で出ているのです。これの問題の争点になったのは、先ほど申し上げたところの団体交渉の問題で、校長とのいろいろなトラブルの問題があっての傷害事件が一つ問われておるということと、もう一つは、登録団体でない学校分会に一体交渉権というのがあるのかないのか、このことがまた争われている。このことについては、明確に登録団体ではない学校分会も地公法五十五条一項に基づいて交渉を申し入れることができ、校長はその申し入れに応ずべき地位にあるとして団交権の正当性を認めるという判決が出ている。こういうことに対して、恐らく私はそれぞれの県教委が上告をするかどうかというようなことは文部省に問い合わせて相談があったと思いますが、こういう問題について一体どうお思いになりますか。
 この二つをまずお聞きをしておきたいのですがね。これは私も予告しなかったので、いま云々と言えば取り寄せるにしても、しかし、これは教育のいろいろな問題の判例、裁判判決ですから、やはり皆さんは優秀な皆さんですから頭の中にあると思って私は言わなかったのですが、これはどうなんですか、二つの問題についてどれぐらい時間がかかりますか。
#116
○政府委員(諸沢正道君) 第一番目の管理運営事項として団体交渉の対象とならないものということについての御指摘でございますが、ただいまのお話のような判決を私は見ておりませんので、このことについては申し上げることを差し控えさせていただきますが、先般も申し上げましたように、地方公務員法五十五条第三項の「地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は、交渉の対象とすることができない。」というこの規定からいたしますれば、この主任の制度化というものと手当の支給というものは事実上は非常に密接な関連がありますけれども、制度としては別個のものでございますから、したがいまして、制度化そのものをとらまえてこれを交渉の対象とすることはできないというふうに考えております。手当につきましては、それはまた勤務条件に入ることでございますから、交渉の対象となり得ることはあろうと、こういうふうに思うわけでございます。
#117
○宮之原貞光君 御自分たちの指導の都合の悪い点は、よく忘れたり、よく読んでおられないようですが、実はいまあなたの答弁なさったところのこの観念的、概念的、形式的な答弁というのが、先ほどのいろんな事件が起きて、そうしてこういう次々とした判決が出ておるんですよ。何も、五十五条の三項ではないと、一項に該当しますという答弁はいまだかつて文部省はしなかった。しなかったんだけれども、そのことが下で問題になって、それぞれの下級裁判なり中級裁判で問題になって、先ほど申し上げたものが出てくるんですよ。そういう裁判のいろんな判決、そういうものについては、皆さんは全然自分の考え方と違うからといって耳をかす気持ちはないんですね、そんなら。知らないというかっこうなんですから、おたくの方は。どうなんですか、そういう行政の姿勢として。これはむしろ大臣にお聞きした方がいいですね、その姿勢の問題ですから。いかがなものでしょう。
#118
○国務大臣(永井道雄君) 何が交渉事項に入るか入らないかという問題は、これは非常にむずかしい問題だと思います。で、個々のいまの判例につきましては私は詳細存じませんから、事務当局からお話し申し上げるべき問題と思います。
 しかし、一般的な問題としましては、入るか入らないかわからないというようなことについては、交渉事項ということ以前に、話し合いという形が行われることが望ましいのではないかというふうに考えております。
#119
○宮之原貞光君 その話し合いの問題はまた後から触れるにして、実は、大臣ね、じゃ私もう一つ聞きますが、これはお答えできると思うのです。
 四十八年の九月の三日に出た公制審の答申ですね、これの第三項の「管理運営事項と勤務条件との関係について」という答申はどう言っていますか、それをちょっと説明してください。
#120
○政府委員(諸沢正道君) 「管理運営事項と勤務条件との関係について 管理運営事項と勤務条件については、管理運営事項の処理によって影響を受ける勤務条件は交渉の対象となるものとする。」と、こういうふうになっております。
#121
○宮之原貞光君 そうしますと、あなたのさっき答弁された文部省の態度というものとどういうことになりましょうかね。これが出たときに政府はこれを尊重すると、そしてこれの具体化を図るために関係閣僚会議を設けるということでずっと議論をしておるんですね、尊重するという。言うならば一番関係閣僚会議の問題になるのは、ここよりもスト権を与えるかどうかの問題でもめておるだけであって、ここは大して問題はないんですよ。しかも、政府は、原則的にはこれはよろしいと言っている。ここに問題があるというんですよ。この公制審の答申の中でも「管理運営の処理によって影響を受ける勤務条件は交渉の対象となるものとする。」と、こう明確に公制審の答申も出ておるんですよね。しかも、こういうような状況があるから、私が先ほど具体的にお聞きしたところの地裁やあるいは高裁で棄却されて確定されたところの判決も、これらの問題についてはいわゆる形式的にただ概念的だけにこれはここだ、これはここだという分けるものはまずいんですと、こういう判例を示しているんです、判断を。しかも、これは、大臣、あれでしょう、大臣は国際関係には非常に通暁しておられますけれども、単にこれは国内だけじゃないんでしょう。ILOの対日調査団のドライヤー報告、この中にもその点を指摘しているんですよね。これは二千二百二十九項だけれども、政府の管理運営事項は交渉の範囲から除外されているが管理運営と雇用条件の双方に影響する事項などは団交の枠外に置くのは問題なんだと、こういう日本の労使関係のあり方について鋭い指摘がある。恐らく私はその当時大臣は朝日の論説などでこれの問題点を指摘されたんじゃないだろうかと思いますがね。また、これは政府の代表として文部省から出たところのILO・ユネスコの採択勧告文にしても、この問題については非常に弾力的な物の考え方ということを出しておるんですね。
 こういうようなものをずっと具体的に私が指摘をしましたところを拾い上げていく、あるいは政府に勧告をされるところの問題を見れば、さっきの諸沢局長のような答弁が果たして出るでしょうか。また、そういう行政指導をされているところに問題をよりこじらせているところの問題があるんですよ。それでも、あくまでもこの間の有田委員への答弁のごとく、あの主任制度の問題はあれは勤務条件とは関係ないんだから団体交渉の対象外ですと明確に言い切れますかね。どうですかね、局長。これはもう少し検討の余地はございませんか。――ちょっと待ってください。ぼくは大臣からまずお聞きしたい、その物の考え方というものを。世の中がこういうふうに動いている中で、いままでの皆さんのあり方というものについて反省をしてもらいたいと思うのだ、これは。
#122
○国務大臣(永井道雄君) 私は、ですから、先ほど申し上げましたように、この交渉事項に何が入るかというふうな問題については、いまの公制審の言葉もあります、またいろいろな他の判例もございますので、この種の問題について交渉事項以前の問題として考えるべきことは話し合いという方法が十分にあるわけであって、この方法を活用することがまず望ましい方法としてあるのではないか、この点を申し上げたわけでございます。
#123
○宮之原貞光君 その話し合いというのは、組合というのは一つの団体でしょう。そうすれば、やはりその権限を持ったところの教育長とは違って、いわゆるトップだけ来てお茶でも飲みましょう、話し合いしましょうと、そういう話し合いでは、これは特にこういう問題なんて話はつかぬでしょうが。話し合いというのは、それぞれの組合の代表というのがやっぱり一定数おって、それでいろいろテーブル、丸いテーブルに着こうが、横のテーブルに着こうが、それはやっぱり実質的には交渉になるかもしれない。そういうものの意味でなければ、おたくのおっしゃるところの話し合いにならぬでしょう。ただトップ会談をやりましょう、お茶を飲みながら話し合いましょうと、こういうことの話し合いというものを一体大臣は想定をされて話し合いというふうに言われているのか、どういうことか、ちょっとそこらあたりを聞かしてください。
#124
○国務大臣(永井道雄君) まあお茶を飲みましょう、漫然と話しましょうということではないです。
#125
○宮之原貞光君 それでいいが、もう少し、じゃ、どういうことを想定しているんですか、大臣は。
#126
○国務大臣(永井道雄君) 私が考えておりますのは、これは当然事柄があるわけですから、その事柄について話し合うということで、まあお茶は出るかもしれもせんけれども、決して漫然と話し合うということではなくて、やはり中身をめぐっての話し合いが行われるということだと考えます。それを形式的に交渉事項と限定するかどうかというふうな問題については、これは判例上との関係もあり、いま私は答えを留保さしていただいておるわけでございます。
#127
○宮之原貞光君 局長、聞いてくださいよ。大臣は、団交対象事項かどうかという問題について、あなたみたいに、じゃありませんとはっきりおっしゃらぬ。非常にむずかしいいろんな要素の問題があるので答えを留保したいと、こうおっしゃる。まだやっぱりこれは問題点、矛盾点があるというから簡明率直なことが言われぬのですよね。いいですか、そして、大臣は、話し合いと言うと。しかし、大臣の言う話し合いというのは、お茶を飲みましょうか、一、二名で話しましょうかということでもなさそうだ。これはやっぱりテーブルは丸くなろうがどうあろうが、世の中で第三者的に見れば交渉と言われようが言われまいが、実のあるところの話し合いという討論、討議というものをやりたいというのもそれに含まれているような物の言い方なんです、大臣の言い方は。ところが、あなたの先ほどの答弁は、木で鼻をくくったみたいなものですよね。一体、こういう文部行政の指導の仕方というものでこの主任手当の問題というものが、あれは団体交渉の対象ではありませんとぽんと切り捨てたかっこうで、この問題の問題点のお互いが話し合って問題を解決するということはできると思いますか、どうですか。あなたに聞きたい。
#128
○政府委員(諸沢正道君) 事実上、非常に詰めた話し合いをしているという場もあることも承知しております。ただ、私は、その地方公務員法の規定を引いてこの主任の制度化という問題が交渉事項かどうかと法律論をするならば、これは立法論としてはいま先生がおっしゃったような考え方もあることも承知しております。しかし、現実の法律の解釈としては、やはりこれは三項の管理運営事項に該当するから、法的に言えば交渉の対象にはならないと、こういうふうに考えておりますし、またそういうふうに指導もしておるわけでございます。
#129
○宮之原貞光君 だから、先ほどから、そこに問題がありますよと、三権分立といわれるもう司法のところで次々とその問題が崩されておりますよと言っているんです。具体的に指摘をしているんですよ、判例をもって。日本の官僚や文部官僚が考えられておるところの物の考え方が独善的でひとりよがりだということを司法が次々と示しておるじゃありませんか。しかも、あなたは、この主任という問題はこれは手当とは別なんだとおっしゃるけれども、先ほどの答弁は密接に関係がありますと、あるから三十三条の「あらかじめ」云々というものもこれは前もって相談をしておきなさいよと、こういう指導をしておると答弁されておるじゃありませんか。そういう指導をされておるということは、とりもなおさず手当と制度というものは不離一体のものだという理解に立っておるからなんでしょうが。だから、県の教育委員会には先ほど何回もその線に沿って指導しますとあなたは答弁――指導もしましたけれども、鹿児島のようなまた事件が起きたので再度指導しますとあなたはおっしゃる。おっしゃっているゆえんのものは、手当と制度とは別じゃないということなんですよ、これは。だからでしょう。もし二つ切り離すものだというならば、これは後から予算が決まったときに、あるいは法律で決まったときにやればいいという指導をされているはずなんです。そこが非常に矛盾しておるんですよ、あなたの答弁は。地教行法三十三条の手当と制度との問題についての予算上の問題は密接不可分の問題だと言いながら、今度は団体交渉の問題は地公法五十五条の一項か三項かという問題でお尋ねをいたしますと、これは全然別ですからね、あくまでも団体交渉の対象ではありませんというお話なんですね。これはちょっと聞こえぬ話じゃございませんか。片一方がそうであるならば、いま一つのところも当然これはやはり関連をするものという理解に立つのが常識じゃないでしょうか。私は行政には常識がなけりゃならぬと思うのですが、いかがなものでしょう。
#130
○政府委員(諸沢正道君) 今回の場合、主任の制度化と手当の支給ということが関連して相まって考えられておりますから、おっしゃるように、その制度化と手当の支給ということについては十分財政当局と話し合う必要があるということは、再三申し上げておるとおりでございます。
 ところで、この主任の制度化というものは今回が初めてではないわけでありまして、従来も保健主事あるいは進路指導主事等は省令において制度化されたわけでございますが、それらの制度化の際におきましてもこれが交渉事項であるというようなことは言っておらないわけでありまして、今回におきましてもその考え方は同じであろうと思うわけでございます。
#131
○宮之原貞光君 そこに問題があると言うんですよ。聞きますけど、いままでの主任というものは、手当とか給与とかいうものを含む勤務条件に直接関連しなかったんでしょうが、いまあなたが答えたものは。ところが、今度の主任については、範囲は別にして手当がつくことになるんでしょう。そこにまた本命があったということもこの問題の経緯を見れば明らかなんだ。だから、従来と違うのじゃありませんか。いかがですか、まず聞きましょう。そんなら従来の主任というものと今度の主任というものは同じですかどうですか、性格も中身も手だても。
#132
○政府委員(諸沢正道君) 制度化された主任という意味では、従来の主任も今度の主任も同じであろうと思っております。
#133
○宮之原貞光君 私の聞いておるのは、中身も手だても同じですかと聞いているんですよ。しっかり答えてくださいよ。
#134
○政府委員(諸沢正道君) 現在制度化されております主任というのは、省令にありますのはその設置の根拠とその職務内容を規定しておるわけでありまして、それは従来のものと同じような性格でもあります。ただ、別途これに手当を支給するという給与制度上の手当をいま考えておると、こういうことであろうかと思います。
#135
○宮之原貞光君 そこにあなた方の無理な解釈があると言うんですよ。そうでしょう。従来だったら、主任は、校務分掌なり、あるいはその主任というものについては、単なる主任だったんだ、今度は麗々しく中間管理層ではありません、指導職です。御苦労さん代の手当をつけますと、こういうんでしょう。それならば、当然これは一般の教職員の皆さんの勤務条件に関連してくるんでしょうが。従来と違うんでしょう、今度のやつは、制度の名前は同じであるにしても。しかも、あなたは、従来と寸分違わないと、こうおつしゃいますけれども、たとえば保健主事の問題はどうですか。保健主事は「管理に当る。」と書いてあるんですよ、いまだに。これは明確に従来のものと違うんです、今度のやつは。したがって、あなたの御答弁は、従来の主任とか主事というものと全然同じですということもおかしいし、しかも、今度の場合には手当というものが裏づけになる、そこにも違いが出ておるんです、実際問題として。しかも、あなたは、先ほどの御答弁の中では、いいですか、御答弁の中では、手当と制度との問題は密接不可分の関係にあるんだから、地教行法の三十三条のように知事部局ともあらかじめ相談をしなさいという指導をする。しかも、先ほど私とのやりとりの中では、皆さんは三月からの予算も手だてしておるんだから、金は後から配られるにしても、手当とうらはらの問題としてこれができておるんですよ、これは。そういうしろもののものを、あくまでも制度でございますから、従来も主任の問題の設定についてはこれは管理運営事項ですから団体交渉の対象外です、こう言いながら今度もそれでいきますというのは通らぬでしょう、それは中身や手だてが違うんだから。どこに同じでなければならぬという理由がありますか。それをちょっと聞かしてください、今度は同じでなければならぬという理由を。情理を尽くして聞かしてください。
#136
○政府委員(諸沢正道君) 従来の主任も今回の主任も、学校教育法の施行規則にその設置の根拠と、「教諭を以って、これにあてる。」ということと、その職務内容を規定するという意味合いにおいては、同じでございます。ただ、職務内容の規定の仕方等はそれぞれの主任の性格によって規定の内容は異なりますけれども、主任の制度化という意味では従来のものと私は同じであるというふうに考えておるわけでございまして、それとは別個に、給与制度の上でそれらの主任のうち特定の者について手当を支給する方法をいま検討していると、こういうことでございますから、主任の制度化というものはやはり団体交渉の対象になるものではないというふうに考えるわけでございます。
#137
○宮之原貞光君 それなら聞きますが、逆に聞きますよ。じゃあ、府県で、文部省の考えは従来と何ら変わらないと言うから手当はやめましょうと。名実ともに前と同じようにするのだから、それだったらそれでもいいのですね、それなら。それでいいでしょう。手当は平地に波乱を起こすみたいだから要らないと。そうすれば、あなたがおっしゃるように団体交渉の対象外でもいいですよ、それは。それで解釈していいでしょう。どうですか、それは。
#138
○政府委員(諸沢正道君) 手当そのものにつきましては、御承知のように、給与の問題として別途教育公務員特例法の規定がございます。特例法の規定によれば、公立学校の先生の給与の額と種類は、国立学校の先生のそれを基準として定めるということになりますので、国立学校について主任についての手当の制度が発足いたしますれば、当然公立学校の先生についても同じような措置がとられるものと私どもは考えております。
#139
○宮之原貞光君 それならば、やっぱり手当がつくんでしょうが。つけなきゃ困るでしょうが、また法律上も。それならば、当然手当を必要とするものは、これは勤務条件ですよ、何と言われても。だからこそ、先ほど私がいろいろ公制審の話をお尋ねをしたり、あるいは埼玉や宮崎の裁判の判例を特に言っているのは、そこなんですよ、概念的に形式論ではものはいきませんよと。しかも、政府に対しても、公制審は分けるということは勤務条件にかかわる問題と、こう言っているんですからね。これはあなたの方で軌道修正してもらわなきゃ困る問題ですよ。きょうは傍聴さんもたくさんおられますけれども、これは理解できないですよ、どんなに考えても。
 大臣、一体どういうことになりますかね。従来と変わらないものだと、制度上は、こう答弁をされる。それなら手当をもらわぬでもいいですかと、こう言われたら、手当はもらわなければ困ると、こう言うんでしょう。法律で決まっておる。それならば、制度という問題と手当という問題は、これはうらはらの問題と考えられるでしょう。そうなっちゃうと、好むと好まざるにかかわらず、これは教員の勤務条件と関連しませんか。ぼくは、文部省のそういうかたくなな指導が問題を混乱させておるだけに、これはやっぱり少し考え直してもらわなければならぬと思うのですが、どうですか。こんな矛盾する話をしゃあしゃあとのけて、文部省でござると胸を張れますか。理解できませんよ、これは。
#140
○久保亘君 いまの問題ね、少し文部省側に時間をやるから、きちっとまとめて答弁してください。ただ反射的に手を挙げてどうのこうの言うちゃいかぬ。だから、まとめてください。
#141
○委員長(山崎竜男君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#142
○委員長(山崎竜男君) 速記をつけてください。
 五分間休憩いたします。
   午後一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時一分開会
#143
○委員長(山崎竜男君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 教育、文化及び学術に関する調査中、文教行政の基本施策に関する件を議題といたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
#144
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの問題は、公制審の見解はこれは立法論でございましょう。また、現行法の解釈というのはもう一つの問題と思います。立法論と違う角度から行われる。さらに、判例は、個々の具体的な例についてのものでありまして、非常に多様なものが含まれていると理解いたしております。先生がお挙げになったものもありますが、そうでない種類のものもあります。
 そこで、どういうふうにこの問題を考えていくかという場合に、私は望ましいことは、学校教育のことでございますから、これはでき得る限り静かであるということが第一でございますし、また十分に話し合いながら問題を解決していくということがきわめて望ましいのではないかと考えます。しかしながら、事実問題として教育委員会と組合との間に対立を生じたりしている事態もあるわけでありますから、そこでこういうふうな問題をどう解いていくかということだと思います。私が先ほど申し上げましたように、交渉事項の問題、そこに入るか入らないかという法律論、そうしたいわば形でじりじり問題を解決していくということよりも、決して漫然とお茶を飲むわけではないのでありますから、私は、こうした問題については、まず話し合いという方法は当然認められるべきことであり、そして、先ほどから申し上げましたように、立法上の立場と判例その他との間にいまだに必ずしも全体的な一致がないわけでありますから、法的に考えてもそうした方法が妥当なものではなかろうかと考えている次第でございます。
#145
○久保亘君 いま大臣が言われている意味は、法的に交渉事項であるという断定をあなた方の方でなかなかしかねるという立場に立っておられるようですが、そのことはまた一方から言うと、交渉事項でないと言い切ることも非常にむずかしい問題だと思うんですよ。だから、実態論としてはそれが交渉事項であるとかないとかいうようなことに結論を出し切っていなくても、職員団体と教育委員会との間でその問題について団体との間に協議が行われてしかるべき問題だと、こういうふうな理解に立っておられると考えていいんですか。
#146
○政府委員(諸沢正道君) 大臣の申されました趣旨は、現実の問題として両者間で話し合いをするということはあり得るだろうし、またそういうことはあってもしかるべきことだということでございますが、法律問題としてこれを考えました場合に、やはり主任の制度化というものはこれは学校の組織編制の問題であり、これに手当を支給するというものは給与上の取り扱いでございますから、前者は五十五条三項の言うところの「管理及び運営に関する事項」であって交渉の対象ではないと、こういうふうに考えるわけでございます。
#147
○久保亘君 いまのようにまたあなたが断定的に言われると、大臣の言われた実態論というものが生きてこないわけですよ。だから、私は大臣に答えてもらいたい。これは、ただ組合の役員をしている者が個人的にこういう問題について教育委員会側と雑談的に話をすることぐらいはあってしかるべきだろうと、こういうような意味ではなくて、やっぱり職員団体を代表して、教職員の勤務条件にかかわっている問題として、そのことが交渉事項であるないの法律上の解釈はさておくとしても、職員団体を代表してその問題で教育委員会と協議が行われることは現実問題として必要となってきているだろうと、こういう意味で大臣は言われているんだと私は理解しているのですが、そのように了解してよろしゅうございますか。
#148
○宮之原貞光君 そこのところをはっきりおっしゃってくださいよ。
#149
○国務大臣(永井道雄君) 私が申し上げておりますのは、交渉事項である、あるいは交渉事項でないということが先ほどから議論のポイントになっておりますけれども、もう一つ、実態論というものが非常に大事だという点で先生と同じ考えがございます。
 その実態論とは何であるかというと、確かに給与とそれから制度との間に関連があるということが実態の一面、もう一面は、組合とそれから教育委員会との間にともすれば対立を生じやすく、そういう事態が方々にこれまでもあったと。また、鹿児島の場合もそういう側面を含んでいたということでございます。そこで、そういう場合に、先生もそうだと思いますが、私どもも、問題の解決というものはなるべく静かな話し合いによって行われるべきである、そのことが望ましいのではないか、それが実態である。であるから、したがって、私はこの問題については話し合いという方法が行われてしかるべきものであるということを申し上げたわけでございます。
#150
○久保亘君 その話し合いというのは、個人としての問題ではなくて、やっぱり職員団体という組織というものとの間に行われる、職員団体の組織を代表する者との間に協議されると、こういう意味で理解されておりますか。――大臣、大臣がいまおっしゃった意味です。
#151
○国務大臣(永井道雄君) 当然、話し合う場合には、教育委員会の中で責任を持った人が話すでしょうし、また組合の方もそうでございましょう。漫然たる個人が二人で話すということではない、さように理解いたしております。
#152
○松永忠二君 ちょっと関連。
 ただ、しかし、これはその程度のことでは済まないのじゃないかというふうに私は思いますよ。地方公務員法で言えば「(交渉)」の第三項に該当するという話を、第一項の事項じゃないということを言われているのですね。そういうふうなことになると、極端に言えば、三項でないとすれば、これは手当を出さない、主任手当を出さなくてもいいというところへもこう理屈は進んでいくわけですね。しかし、一方で、地方教育行政法の第三十三条で、予算を伴うもので協議をしなければいけない事柄に相当しているから十分に協議も必要だと、こう言っているわけでしょう。そうすると、協議をして、当然手当の伴うものだとして考えていくとするならば、これは明らかにやっぱり勤務条件に該当して、いわゆるいまの話の地方公務員法の五十五条第一項に該当するからいま話のとおり話し合いを持つ、交渉も持たれていくべき筋合いのものだと思うのです。それじゃ、いま一体文部省の言うことを全面的に適用して、いわゆる地方教育行政法の三十三条だということになれば、今度は地方自治法の中のいま話の出た二百二十二条にはこれは関係ないという話もされているけれども、この二百二十二条の中には、二項に、「普通地方公共団体の長、委員会」もちろん教育委員会はこれに該当するわけですけれども、これは「必要な予算上の措置が適確に講ぜられることとなるまでの間は、これを制定し、又は改正してはならない。」ということが出ているわけです。そうすると、いまのようなことで、鹿児島のような形の中で十分な協議も行われないで実施をされるということは、とてもじゃないが実行できる筋合いのものじゃない。つまり、地方教育行政法の三十三条を適用するというなら、地方自治法のこの二百二十二条の二項の適用には当然該当するわけです。今度は、そうじゃなくて、全然つまり団体交渉の相手じゃないということになってくれば、これはまた地方で主任制度をつくっても結果的にはこれらに手当を出す必要がないとすれば、手当を出さないことを当然だといって認めなきゃいけないことになるわけです。いま文部省の説明の仕方で重点を置いているのは、予算を伴う問題だから十分協議をするということを中心にしているわけでしょう。そういう説明を常にされているわけです。それを演繹して、これはいわゆる管理運営の問題なんだから団体交渉の対象にはならないという説明をしているわけです。その中心を置く第三十三条の、予算を伴うものだから十分協議をしなければできないということになれば、地方自治法の方の二百二十二条の二に該当するということになってくるわけです。全く矛盾して、どうこれは一体法的な解釈をしているのか、いまの説明では全然わかりませんよ。だから、三十三条の状態から言って、鹿児島の場合には十分適切な協議が行われないことが適正を、妥当を欠くというような解釈を文部大臣もされたわけです。そうなってくると、そういう予算の伴うものについては自治法の項目が適用になるわけです。どっちへ一体重点を置いた解釈をしているのか、それを統一してひとつはっきりと言ってください。いまのような話では、私たちはとても納得はできません。もし言うとおり団体交渉の対象でないというならば、これはいわゆる手当などを出さなくてもいいというようなことなんかが地方で行われてもいいのか。手当といわゆる規則とは分離してするものだというふうな説明の仕方をしている。それで、その場合には、説明して、これは国家公務員に適用するから準則でできるわけで、準則ならそれはそのとおり実行しなくてもいいということになるわけです。それは拘束力も何も持っているわけじゃない。どこに統一的な解釈があるのか、その辺をはっきりと説明をしてください。団体交渉の対象にならないと言うならば、言うとおり、仮に国家公務員の教育公務員には適用されても、準則なんだからそれを法的に適用させる根拠はないし、当然、したがって、言うとおり手当も出ていないということになれば、これは管理運営の規則だという言い張り方も一応筋が通ることになるわけです。そこを、もう前段階において地方教育行政組織法の第三十三条の予算を伴うもので協議をしなければできないということになると、地方自治法の適確な予算的な措置ができない限りは教育委員会といえどもそういう改正をしちゃならないということがちゃんと書いてある。改正しちゃいかぬと書いてある。そうなれば、いまの主任制度の進め方なんというものは、全然法律的にも誤っているということになるわけです。どういう一体理論的な組み立てになっているのか、お話をしてください。
#153
○宮之原貞光君 答えていただく前に、これは先ほどから堂々めぐりをしておるんですがね。整理をすれば、いわゆる地教行法三十三条の一に該当しませんかという面から見れば、この制度と主任との問題はうらはらの問題だから、これはそうですと皆さんは答弁されておる。したがって、手当は後から来るにしても、この問題については条例を決める場合にはあらかじめ知事部局と協議をしなさいという指導をするというのが皆さんの考え方ですね。そう言いながら、今度は団交権の問題にいくと、地公法の五十五条の一項と三項はどうなるのかというと、ぼくらが一項じゃないかと言うと、皆さんは三項だとくる。そうすると、それをなぜ三項かと言うと、手当と制度とは別ですと言うから、非常にまた問題がこんがらがってきておるんですよ、これは。そうでしょう、大臣。いままでの議論はそうですね。片一方の法律論だけ出て、立法論のそれの三十三条は、一緒だからしなさいよと行政指導している。片一方は都合が悪いからでしょうね。だから、地公法の五十五条の三項なんですよと、団交権の外ですよと、こういう指導をしておるところに、私から言わせれば、皆さんも非常に終始首尾一貫をしないところの指導があるんですよ。御都合主義なんです、言うならば。しかも、三十三条の問題も、たまたま鹿児島の問題が出てきてようやくお認めになったというかっこうなんです。こういうところに問題がある。しかも、それは切り離すところの問題かどうか。そうすると、片一方じゃ、規則を――手当をもらわぬでもいいかと言うと、いやこれは法律事項だからと。法律事項と言ったって、やがて来週出ると言われているものは、人事院規則の特勤手当の中にちょこっと入れるらしいですけれどもね。その規則なるものは、一体厳密な意味の手当なのかどうかでも議論はありますけれども、法律上どうなのかということもね。これはまあ別にして、そういうそごがある。しかもまた、いろいろ聞いてみると、法律論ではそうですと、こう先ほど大臣は答弁をされた。法律論としても、私は具体的に判例をもって申し上げたように、あの法律論には問題があると指摘されておるわけでしょう、司法において。それさえも議論がいろいろ分かれるところなんです。いろいろ分かれる。したがって、立法論からしてILOとかあるいは公制審のようなものでして、法律論は私のものが正しいんですという論理もこれは成り立たぬのですよ、現に法律論として問題出ておるんだから。事ほどさようにこの問題は非常に問題がある。そこに休憩を求めていろいろ御協議願ったのだけれども、先ほどのものを解明していただくわけにいかない。どうしてもできない。そこで、久保氏からもお話があったわけですがね。
 じゃ、私も、それは一歩引きましょう。引くにしても、それはいわゆる主任の制度と手当との問題については、いわゆる勤務条件にやっぱりかかわるところの問題、関連することは事実でしょう、大臣。聞いてくださいよ、大臣。したがって、これが交渉事項であるかないかというのは、先ほど大臣が答弁されたようにいろいろ問題があるにしても、これは断定はなかなかむずかしい。そこも大臣はさっき言われた。そうでしょう。したがって、その問題は一応たなに上げるにしても、事実問題としてこれはそういう問題とかかわってくるところの問題だから、話し合いをしなければ、実質的な交渉をしなければだめなんですよ。言うならば、いわゆる職員団体と理事者との間に十分なやはり話し合いといいますか、協議といいますか、こういうものが行われなければならないと大臣は考えると。これが縮めて言えば久保委員に対するところの答弁だったと思うんです。そういうふうに理解をして、そういう立場から皆さんは積極的にこの問題については、その問題の相互の意思の疎通のために努力をせよという指導をされるのかどうか、そこのところをもう一回大臣からお聞かせ願いたい。それをまた、木で鼻をくくったみたいな答弁をしようとおっしゃるのか。どうも、先ほどの大臣の答弁を整理をしますと、これはそうなってくるんですよ。だから、そういうように文部省としてもやられるつもりかどうかということを私は大臣の御見解をお聞きしたいと思います。私が、大臣――大事なところだから聞いておいてくださいよ。そっちから入れ知恵されてせっかくの私の話がまたどこかへ飛んだら意味がわからない。なぜそう言うかというと、実は今日のこの主任制度の問題に絡む学校におけるところの紛争、相互の不信感の拡大というものは、先ほど私が何回も指摘をしますように、概念的な形式論的な文部行政指導というところに問題があるんですよ、これは。本当に大臣が、いわゆる「調和のとれた学校運営」の大臣見解の一番最後のくだりね、最後のくだりですよ、そこに、大臣はこう言っている。「この見解をめぐって具体的で、かつ冷静な討議を経て今後の主任のあり方を明確に定め、」と、こう言われておる。あなたの言葉をそのまま尊重すれば、私が一つ一つあなたにお尋ねし確かめたところの久保質問に対するところの御答弁というのは、これはそのようなものだと私は理解するんです。したがって、そういう方向に今後皆さんが指導をされるとおっしゃろのかされないのか、そこのところをぼくは大臣の行政指導の姿勢としてまずお聞きしておきたいと思います。
#154
○国務大臣(永井道雄君) ただいま宮之原委員からきわめて委曲を尽くした御質問がありましたことに対して、感謝をまず申し上げたいと思います。
 私の文章の最終の場に書いてありますのは、具体的かつ冷静に話し合いをするということでございます。で、久保委員のお尋ねに対して私が先ほど申し上げましたのも、実態というものを考えていく場合に二つの側面があって、一つは給与との関連があるけれども、もう一つ冷静を欠くような事態を生ずることも間々あったということも、またわれわれは十分に考えなければいけない。したがって、私が申し上げております話し合いというのは、具体的ということが一つでございますが、もう一つ、絶対に冷静であるということがもう一つの重要な条件でございます。
#155
○宮之原貞光君 いや、感謝をされてありがたいんですが、ただしかし、私の質問には的確に答えてもらわなければ困りますよ。だから、私は、いろいろこう議論をしていますけれども、時間もないから、交渉事項かどうかという論議はじゃあ一応このままにしてこれを留保しておきましょうと言うのだ。けれども、いま初中局長の答弁にあるものぐらい矛盾したものはありませんよと先ほどから言っているんですよ、もう一回言いますけれども。いわゆる地教行法の面では両者不可分のものですと言いながら、今度は地公法的な条項では別ですというものの謂でしょう。同じ法律解釈が同じ事象に対して都合のいいように食い逃げされたのじゃ話はまとまりませんよ、これは。したがって、しかしそれはもう議論はまだ続きそうですから、延々と幾らやったって、それはまあ別にしてたな上げにしておきましょうと。しかしながら、この問題は大臣のいわゆる見解表明にもあったように、事は具体的な問題なんだから、したがって、これをどう解決するかというものは学校の教職員から見れば自分の身分に関係する勤務条件に関することなんだから、これは関係するのだから――手当はつけないでもいいというなら別ですよ、従来と変わらぬというのなら。そうでもないとおっしゃるんだから、そうなれば、当然この問題は、おたくが話し合いと言おうが、私が協議と言おうが、具体的に話をしなきゃならぬ問題でしょうと言うんです、具体的にそれは。しかも、サロン的なトップ会談という、お茶でも飲みましょうかという話し合いでは困りますよと、これを先ほどから言っている。したがって、教職員の代表、団体の代表というものとの具体的なやっぱり話というものが当然なされなきゃならぬ。それは、話し合いによって解決つかぬ場合もあるでしょう。あるいはまた、ああそういうのだったかと、じゃあここまでどうしようという話もできるかもしれぬ。話もなにもさせもせぬでおって、あるいは片一方から初中局長の言う物の言い方をしておって、それではこの問題についての紛争がますます拡大するのは当然でしょう。したがって、大臣はどういう立場に立っていま私が具体的に申し上げたようなことを指導されるところの御意思がありますかどうですかと聞いているんです。それとも、先ほどの初中局長の答弁のように、木で鼻をくくったようなかっこうでずうっと指導されるんですかどうですかと聞いておる、文部省の態度は。――いや、最高責任者としての私は永井さんの御意見を聞きたい。
#156
○国務大臣(永井道雄君) 初中局長は木で鼻をくくったような考えを持っている人ではないことは、あなたたちに申し上げておきます。やはり現行法に基づきまして行政を行っていく責任者としての見解を述べたものでございます。そして、初中局長の、私は別に打ち合わせしたわけでないですけれども、意図するところは、具体的かつ冷静にこの問題を進めていくということが望ましいという観点に立った場合に、これは交渉事項であるというような、鹿児島の場合にもそのことをめぐって話し合いを求めた場合にお断わりがあったという事態もあるのでございます。そうすると、そういうふうな事態がありますというと、これはやはり交渉事項ということについて初中局長が静かに話していこうとすればするほど、いまのような、先ほどの見解も述べたわけでありまして、私は、文部省全体の見解といたしましては、先ほど申し上げましたように、また宮之原先生の御見解もさようなものと理解いたしておりますが、私どもの省令並びに通達などの意を十分に尽くす上では、これは教育委員会にとどまらず、御父兄はもとよりのこと、当事者である教員の方々に対して十分な理解を得るように話をするということがきわめて大事であると、これは繰り返して申しているわけでありますが、それがかなりむずかしい状況にあるということで、法に基づく行政を行う立場として初中局長がさように申したわけでございまして、その目標とするところは、先生と私がいま相互に見解を交換いたしたところと全く同様であると考えております。
#157
○宮之原貞光君 そうすると、大臣としては、私が質問申し上げて質問にお答えいただいたような方向で行政指導されるという意味ですね。そういうふうに理解してよろしゅうございますね。それでなけりゃあなた困るでしょう、委員会だけの話で終わったのじゃね。そうお聞きするとまた皆さんと相談せにゃできぬようなことでは、これは話は始まらぬですよ。ノーかイエスか、はっきりおっしゃってください、もう簡単に。
#158
○国務大臣(永井道雄君) 先ほどから申しているような話し合いについて、私たちは指導助言の立場で臨んでいく考えでございます。
#159
○宮之原貞光君 ただ、現行法云々から言ってみれば、先ほど来何回も申し上げましたように、非常に問題があるという点だけは申し上げておきますよ。非常に御都合主義だということだけは指摘しておきますよ。大体、その法律によって同じ事象に対して別々な角度で御都合よくやっておるんです。しかし、そのことはやめておきましょう。
 ただ、その点から鹿児島のやつを今度はまた振り返ってみますが、先ほどの報告によりますと、教育長はトップ会談をやろうとしたら、組合は交渉事項、交渉でなきゃだめだと言ってけったというんだが、大臣、聞いてくださいよ。教育長の言うトップ会談というのは、両教組の委員長さん出てきなさい、お互いに茶でも飲んでお話ししましょうと、こういうことなんです、お茶でも飲みながら。そうすると、私どもが行っていろいろ聞いたらだんだん折れてきて、じゃ組合の三役ならいいですと、こう言っている。三役の皆さんが行って今度は物を言っては困る。大将の委員長が言ってもらわなきゃ、ほかの人が言えば、いやだめだと、こういうんでしょう。そんな物の話し合いというのが実はこれなんです、ここに報告されている。こんなもので解決つきますかというんです。だから、先ほど久保委員が言ったように、いわゆる職員団体というのがあるんですから、そこのやっぱり代表の皆さんと十分意見交換できる、たとえば私が大臣と話すると、横の方から局長が何とか足を引っ張ってみたり、またちょっと立っていってみたり、あるいは課長が行ってみたり、そういうようなものでなければ話し合いにならぬでしょう。それを言う人は、教育長と組合の委員長だけ言いなさい、後はそこにはんべっていなさいという話し合いというんですよ、中身は。こんなことでは、おたくが最後に報告のあったところの、両方で一応休戦協定になったところの四月以降両方誠意をもって話し合いしましょうというのはまた実りませんよ、その姿勢を皆さんが指導しない限りは。そういう形式論じゃなくして、本当は具体的にやはり解決せにゃならぬところの問題なんだから、こうこうしなさいという指導をやらなければ、ただ一月事態が延びただけなんです、これは。それでは、私は知事のあっせんというものはこれは意味ないと思うんですよ。そうでしょう、大臣。本当に次の機会に話し合う場合は、話が実るような努力をしなきゃならぬわけでしょう。その話し合いをさせるための実りあるところのものにするためには、先ほど冒頭にも言いましたように、あの報告をうのみにされて、ああごもっともでございます、これでよろしゅうございますと出されたんじゃ、これは見込みはありませんよと私はここで指摘をしておきます。事ほどさように、あの中は、文章表現は、それはだれの筆か知りませんけれども、局長の筆でしょう、非常に苦労して使われているというのはわかります。しかしながら、問題は、みんな何でもかんでもきれいごとして委員会にも言って、教育長のやったことは何でもよろしいという物の言い方の中では解決をしないということだけは私は指摘しておきます。したがって、本当に四月以降話し合いの中で解決させるというならば、従来のお互いの物の考え方というものは取っ払って、本当に職員団体ともとことん話し合ったらどうかという指導があってしかるべきじゃないだろうかと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
#160
○国務大臣(永井道雄君) 私の考えはもう先ほど申し上げたとおりでありますから、あえて繰り返しません。
 鹿児島のケースについて承りましたが、これは私どもの報告でございますが、私が望んでおりますのは、各地におきましてどこでも冷静かつ具体的なそういう意味合いにおける話し合い、これが行われることでございます。
#161
○宮之原貞光君 だから、そういうように具体的に話をするようにあなたは御指導なさいますかということをお聞きしているんですよ。ですから、一般論じゃ困るんですよ。だから、この問題の事態の収拾というのはそういうことしかできません、私の判断では。そこをそういうふうに積極的におやりいただくという意思表示をしていただけますかどうかということを聞いておるんです。ただ首を振られるだけでは速記に載りませんから、やっぱり立って言ってもらわなきゃ困る。
#162
○国務大臣(永井道雄君) 文部省の立場は、わが国の教育を改善いたしていきます上でなるべく波風というものが立たないで、そしてよい制度ができ上がっていくことを望むものでございますから、当然具体的かつ冷静に話し合いが行われるよう助言の立場をとりますのが文部省でございます。
#163
○宮之原貞光君 報告書をお聞きしてまだ問題があるんです。たとえば、先ほどもあったところの「主任制反対闘争に対する基本的姿勢」というものを出した。交渉のというか、交渉と書いてあるんでしょう。それで後ろにまた話し合いと書いてある。これも、先ほどの話からすると、大分矛盾した文書を流しているのだね、県の教委は。そういう中身を見ますと、本当にこれは一体教育行政の当局がやることなのか、警察当局がやることなのか、わからぬようなことがたくさんありますよ。私は時間がないですからみんな読み上げませんけれども、たとえばこうあるのですよ。交渉のときには授業に支障のないように、これは一応常識的にわかる。または、勤務時間外に延びないようにしなさいと書いてある。夕方になっても延びないようにしなさいというのだね。そうすると、どうですか、勤務時間に食い込まないように、勤務時間外にならないようにすることになると、休み時間の十分ちょこちょこっとしかないんでしょう。そんなことで話し合いをしなさいということができますか、こういう重要な問題を。あるいはこう書いてある。それをはみ出た場合には正常な勤務につけと明確に指示し、十分してから職務命令を出しなさいと言う。後はこれを繰り返し、または無言、相手の誘導に応ずるな。一時間を超えるおそれがある場合はこの実情を地教委に報告する旨伝え、退去、脱出を図る。同時に、外部、警察、PTAと連絡をする。こういう文書を校長の指導文書としてやっておるのですよ。これは、大臣、きれいごとでは済まされぬのです。だから、昨日話に聞きますと、衆議院でも例のストライキ権問題について調査報告があったみたいですけれども、あれも中身は問題がある。たとえば、ひどいのは、組合の役員の勤務外の時間におけるところの行動についても逐一校長は報告をしなさいと書いてあるのがある。まるで特高か公安警察がやっているみたいなことを校長にさせておるところの文書があるんですよ。こういうふうな状況というのが日ごろ積み重なって、その上にこの主任制問題というのはたまたま出てきておるのですよ、大臣。そこにまた、この問題が必要以上に不信感を、あなたの意図とは違って、主任制の導入というものが、本当に明るい職場づくりをしようというのが逆になっているところの要素がある。したがって、私は、こういう実態というものが残念ながらあのきれいごとの中に何も出ていない。それは出ないはずですよ。向こうの教育委員長と教育次長と教職員課長を呼べば、そんなことを言うはずはないんです。したがって、私は冒頭にも指摘をしたような、皆さんにもう一回再検討を要求するわけですけれども、いずれにしても、こういう事態が出ないような本当にやっぱり人間味のある行政というのを行うのが文部行政だと、教育行政だと思うんです。そういうような立場を私はやっぱり大臣がそう思うなら積極的に指導していただきたいというようなことで大臣に一言申し上げたい。
#164
○国務大臣(永井道雄君) ただいま御指摘の点も、それぞれきわめて重要なものであると思います。事柄にやはり両面というものもございます。私は宮之原委員に別に申し上げたくはないのですけれども、もうこれは昨年にさかのぼりますけれども、主任の制度化絶対反対、ストライキということが決まりましたのは十月のことでございます。その後、主任の内容につきまして、管理的なものでなく、やはり指導というものを強化して、わが国の学校教育の中でたとえば新任の先生方が成長していかれる過程において、主任というベテランから指導助言を受けることも望ましいという立場を文部省が明らかにいたしました後にも、残念ながら組合においてやはり管理化をねらっているものであると、したがって、制度化絶対阻止というお立場も示されたというもう一つの面もあります。そういたしますと、今度は教育委員会も、これまたなかなか大変であるぞという一種の緊張状態というものも生じてくるわけでございます。私は、別に宮之原委員が日教組と御関係が深いから申し上げて責めようなどという気持ちは毛頭ないのでございます。そうではない。そういう気持ちでなく、ただ事柄の両面というものを考えまして、そして何はともあれ、本日もそうでございますが、一体主任は何をするのか、そうしてどういうふうに子供たちをよくしていくのかという話も遺憾ながらこの席において私どもはすることが意外に乏しかった。こういう議論が重ねられていく現状というものをいかように克服していくかということが私は宮之原委員のお心の中にも最大の御関心事であろうということはかたく信じて疑わない次第でございますので、そこで、文部省といたしましても、先生方のそういうお気持ちに呼応いたしまして、事に両面があり、そういう場合に双方を責めるということよりも、むしろ建設的な道をいかにして切り開いていくかという角度から考えるべきであると思っている次第でございます。
 さような立場に基づきまして、先ほどからいろいろ御注意をいただきましたことについて注意をいたし、また感謝をいたしまして、私たちの指導助言の立場に当たっていきたい、かように考えておる次第でございます。
#165
○久保亘君 いまいろいろと質疑応答がありましたことと関連をしながら二点だけお尋ねをしておきますが、現在文部省が把握されております状況では、三月一日をもって規則制定を終わり、主任の制度に基づく発令を完了した県名を挙げてください。
#166
○政府委員(諸沢正道君) 岩手県……
#167
○久保亘君 発令を完了した県名ですよ。
#168
○政府委員(諸沢正道君) 発令を完了した県を申し上げますと、宮城県、富山県、徳島県、香川県、以上でございます。
#169
○久保亘君 大臣にお聞きしておきたいのは、結局文部省が大変省令を急いでお決めになって年末忙しい時期に各県におろされたわけでありますが、この文部省の考えどおりに実施できた県は四県にすぎない。いまの文部省側の把握によっても四県にすぎない。こういうような状況の中で、結局、このことは、先ほど鹿児島県の場合に配慮に欠けたという御発言がありますが、父母や教師を初めとして、国民の合意を完全に十分に得ないままに実施を急いだうらみがあるのではないか。そういう点について大臣は率直にやっぱり御反省はおありでしょうか。
#170
○国務大臣(永井道雄君) 私の考えでは、これは三月から発足するということが望ましいと思っておりましたが、いま初中局長が御報告申し上げたのは発令県でございまして、制度ができ上がったところを数えますと十四ですか、十四があるわけでございます。
 しかし、それにいたしましても、四十七の中で少ないのですが、さてその理由は何であるかと言うと、大体四つに分けることができるように思います。
 一つは、組合と委員会の問題ですから、これはもう申し上げたから省きます。
 第二番目の問題は、県の教育委員会において制度化される場合に、市町村の教育委員会の意向を十分に聞かれる必要がある。その実態を把握した上で県の規則を決めなければならないわけでありますし、また市町村の教育委員会もこれまた校長等の御意見を承らなければいけない。そういう意味での実態把握に時間を要しているということでございまして、これは無理からぬことと思っております。
 第三番目の理由といたしましては、財政事情がありまして、これはやはり給与と関連がございますから、実は私どもも本年度のこの主任に限らず、先生方全体の給与を上げるということを一番の眼目にいたしておりますが、どうも財政事情が悪いということで、本年と来年に二つに分けまして第三次給与改善を行うというふうに相当ブレーキをかけたつもりでございましたが、やはり地方財政の事情が私どもが思っているよりもさらに悪いところがある。その点からおくれていると。つまり、条例を決める場合の議会との調整に時間を要しているということでございます。
 しかし、四番目が私はかなり大事な理由であると考えておりますのは、まあ従来この主任というものを管理的なものとしてとらえる考え方がかなり広く行われておりましたが、これはそうではなくて、教育指導、連絡調整ということで私どもは打ち出したわけでございますが、このことの御理解に相当時間を要している。これはそういう立場を打ち出しているのですが、どうもやっぱり管理ではなかろうかという疑いを持たれる方々も相当ございますがためにおくれている。
 大体以上四点ございますが、しかし、まあ私の考えといたしましては、これは十二月段階においてすでにいま宮之原委員がお読みになりました言葉どおり、冷静かつ具体的に理解を得ながら進めるべきであるというのが最初からの立場でございますので、私はまず十四県というものが発足いたしておりますが、それはそれとして理解できるペースでございまして、やはり今後もいまの四つの要因というものに配慮をしながら進めていくべきものであると、かように考えているわけでございます。
#171
○久保亘君 時間をとりますけれども、私が聞いていることに率直に答えてもらいたい。というのは、いまあなたが言われた四つの理由のうち、前の三つは、省令をお決めになるときにすでに予見されたことばっかりです。そんなことは、省令をつくられてから後に出てきた問題じゃないのです。その他の財政上の理由にせよ、日教組がこれに賛成していないということにせよ、全部予見されておったこと、予見されておったということよりも、現実に起こっておった問題ですよね、省令を出されるときに。何も新しく理由として起こってきた問題じゃない。にもかかわらず、あなた方が三月を指定してやられたんでしょう。それが、私は、あなたの言われる一番最後の問題、それを含めて国民の合意を得るという点において十分もっと手だてを尽くさなければならないのに、そういうことよりも、そういう予見された客観的な困難な情勢があるにもかかわらず、そういうものも乗り越えて三月にはやるんだということでやってこられた、そのやり方に無理な点はありませんでしたかということを私は聞いているのです。そこのところを答えてもらいたいのです。
#172
○国務大臣(永井道雄君) まあ私どもがやりますことが常に十全で満点というようなことは、私は毛頭主張するつもりはございません。ただ、御理解いただきたいことは、この三月は、教員全体についての給与、これを三月分に計上いたしましたのは、今会計年度にすでに計上いたしているわけでありまして、そこで給与改善の最初の月が三月であって、そうしてすでにそれだけの財源を確保しているということでございますから、そこに目標を置いて進めてきたわけでございます。
#173
○久保亘君 最後に、私はやっぱり大臣がそういうふうに言われますと、あなたは最初に大臣見解をお出しになりましたね。あの精神を実施に当たっては守られなかったのじゃないか、みずから放棄されたのじゃないか。あのときあなたが言われたのは、国民の合意を得たと判断したときに実施いたしますと、国民の合意の中身まで説明された。そして、つけ加えられたことは時期よりも手続であるということを繰り返し主張された。それにもかかわらず、そういう予算が組まれているからとか、それから予見せられる状況があるにもかかわらず三月一日ということでかなり強硬な指導をされた。そこにこういう問題が起きてきて、そして現実にはわれわれのペースでございますと言われた。十四県というのはわれわれのペースでございますと。文部省が省令を出されるのは、初めから三月から実施というのは十四県もやれば結構だということでおやりになったのなら、こういう制度を省令を改正してやられるということは私は問題だと思いますよ。だから、そういう点については、文部省としても、この主任制度の実施をめぐる文部省の行政指導なりやり方というものに対して、今度のことを振り返って私は真剣な反省があってしかるべきものだと思っております。あなた方が全部間違っているなどと言いませんよ。しかし、あなた方のこの問題に対する取り組みには誤りはなかったのか、その点について私は文部省として十分これを冷静に振り返ってみられることこそがこの問題についての本当の意味での国民的な合意と解決を求めていく道であろう、その点を放棄されるならば混乱はますます大きくなるばっかりだと、こう思います。
 そういう立場から、先ほどの鹿児島県の報告についても、求められた実態に対して具体的な調査をやるということではなくて、指摘された問題に対する教育委員会の弁明をここで御報告になるというようなことに終わったことは、大変遺憾だと思っております。したがって、この問題についても、私は、実情調査というのは今後の文部省のこの問題をいろいろやっていかれる上で非常に必要な試金石でありますから、だから鹿児島県の実態についてはさらに詳しく調査をされて具体的な事実に基づいて文部省の見解をまとめられるようお願いをいたしておきます。
#174
○政府委員(諸沢正道君) 先ほど、久保先生の御質問に対しまして、三月一日発令を済んだ県は四県とお答えいたしましたけれども、先ほど挙げました四県に加え愛媛がございますので、五県と訂正さしていただきたいと思います。
#175
○内田善利君 最初に委員長にお願いをしたいと思いますが、きょう大臣の報告があったわけですけれども、私は当然文書であるものと、こう思っておりました。ところが、口頭になりまして、局長の立て板に水を流すような報告で、書きとめることもできなかったし、内容もはっきりつかんでおりません。こういう報告のときには、前もって文書で出していただくようにお願いしたいと思います。
#176
○委員長(山崎竜男君) わかりました。
#177
○内田善利君 私も主任問題について少し質問いたしまして、あと授業料の問題について質問したいと思いますが、ただいまも久保理事から質問があっておりましたが、今日のこの事態はペースであると、こういうことですけれども、昨年私たちもこの問題は慎重に取り扱うべきだということを何回も何回も申し上げたわけですが、今日のこの実態を予測しておられたのかどうか、質問したいと思います。
#178
○国務大臣(永井道雄君) これは予測している面と予測していない面がございますが、予測していなかった方を申しますと、去年の七月に実は教育長協議会の方から主任の手当を支給するようにという御要求がございましたから、そういう意味合いにおきましては、文部省が初めから考えたというのではなく、教育委員会の御要望がございましたので、その点は幾分予測違いの面があります。
 それからさらに教育長協議会は本年にまた開きましたときに報告を得たわけでありますが、これは一県残らずこの制度に賛成であるが、その場合大体三月まで達成できるであろうという報告が現在よりもはるかに数が多かったという事実もございますから、そうした点では必ずしも予測したとおりではない。ただし、私どもといたしましては、先ほどから申し上げましたように、理解を得て進むということでございますから、予測しないような数字になったといたしましても、理解を得ようと教育委員会が御努力になっているという点は十分に私たちの了解できることでございますので、そういう意味でそのペースであるということを申し上げたわけでございます。
#179
○内田善利君 主任問題についてはいろいろ論議を交わしたわけですが、もう少し質問したいと思いますが、大臣は学校運営の基本をどのように考えておられるのか。
#180
○国務大臣(永井道雄君) これは非常にむずかしい問題と思いますが、やはり学校運営の基本というのは、全学校の、学校の全部の教員の方々が協力一致するということが基本的な条件であり、その協力一致に基づいて校長また教頭がリーダーシップをもってこの学校の方針というものに基づいて運営されていかれるものと考えております。
#181
○内田善利君 私は鹿児島県のこの状況から見まして、やっぱり、学校運営の基本というのは、校長のもとに何人かの先生がおられるわけですが、その先生方が教室に入ってしまったら、生徒とその先生との間柄の関係しかなくなってしまってくるわけですね。一つの密室の中でといいますか教育が行われるわけです。その場合に、先生方には教育の面で教授の面で能力のある先生もいらっしゃろうし、あるいは非常に研究熱心な、学問上優秀な先生もおられるでしょうし、いろいろな先生がおられてその密室の中で一時間の授業が行われていくわけですが、そういった場合に、やはり横の関係の連絡、話し合いというものが必要になってきて、そして現在の部長なり主任なり主事なりが民主的に決められて学校運営がなされておるわけですね。ですから、教育の面で、先生の教室内における自発性といいますか、創造性といいますか、内発性といいますか、そういうものによって教育がなされていくわけですね。ですから、指導主事というものが、あるいは学年主任というものが、あるいは学科主任というものが、自然に生まれてきているわけです。それを上から手当を出すから省令化でやるぞと、こうなりますと、本当のそういった教育がひずみを持って損なわれていくのじゃないかと、こういう懸念が私は前々からしているわけです。確かに、私も、教務主任を十年ぐらいしまして、非常に夜遅くまで仕事をしているときには、こんなんでいいかなと思ったこともありますし、御苦労賃というのもわからぬではありません。ですが、やっぱり上から命令してそういうものをつくりますと、先生方のそういった創造性といいますか、自発性といったものがだんだんなくなっていくのじゃないかと、そういう気がしてならないんですが、鹿児島で省令を受けて管理規則をばっとつくってそしてそれを押しつけよりとしていく。指導主任は指導職だといっても管理職ととられていくなと、そういう感じを新聞を見ながら私は感じたわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
#182
○国務大臣(永井道雄君) 私は、先生のような御見解もまた一つの重要な御見解と思います。ただ、この問題は私もいろいろ考えてきているわけですが、教員になります前の教育実習でございますが、教育実習は現在わが国で二週間でございますが、アメリカ合衆国は平均して十六週間ということで、約八倍になっておるわけです。それからイギリスの場合には、これは教員組合の方から主任というものは非常に教育指導上大事であるという要求が出て、やはり現場における一種の現職上、お互いに励まし合ったりあるいは指導したりといようなことがあるわけでございます。
 そこで、わが国の場合、これは教員養成のあり方というものも今後考えるべきことの一つであろうかと思いますけれども、そういうふうに教育実習という時間も非常に短い。そこで、いままでも教務主任の方々は非常に御苦労になってきているわけでございますが、承るところによりますと、実はその教務主任の中にすでにきわめて管理的な形でやっている人もいるということでございます。私は、そこで、むしろこの際、非常にはっきり主任の方々の仕事が指導助言とかあるいは連絡調整にあるということを明瞭にいたしまして、そして専門的なその責任制というものをはっきりする、そしてそうしたお仕事に対しては待遇という上でも考えるということをいたしますれば、一つのよい方法が開けるのではないかと考えた次第でございます。
 ただし、私は、制度を変えますとすべてがよくなるという式の議論の持ち主ではないわけでございます。したがいまして、この制度がただできればもう後は全部よくなるというようなことは毛頭あり得ないことでありまして、これからの運営が大事だと思います。そうしますと、主任はもとよりのこと、あるいは校長先生、教頭先生方が教育指導というものをどういうふうにお考えになるか、またそれの全国的な検討会というものをどういうふうに進めていくべきか、そうしたことを兼ね合わせていきませんというと、制度それ自体で万事が解決するという式のものではないと考えておりますので、いま先生が御注意になったような点も十分勘案していかなければならないものと考えております。
#183
○内田善利君 それと、もう一つは、現在省令によってある主任ですね、民主的にあるいは校長任命によって選ばれた主任、その中から省令によって画一的に主任を決めてこれには手当を出す、こういうこともちょっと学校内の民主的な雰囲気破壊することにならないか。この点はいかがですか。
#184
○国務大臣(永井道雄君) 今度手当を出すものの下敷きになりますような省令ができましたが、その場合の考え方は、やはり学校で非常に中核的といいますか、大事なことをやっていらっしゃるということが一つの基準、それからもう一つ、全国的な普及ということを基準にいたしまして選んだものを省令化したわけでございます。そこで、そうした意味合いにおきましては、今後人事院にそれを下敷きにお考え願うわけでございますが、確かにまたそこでそれ以外のもので生じてくる問題も起こり得るかと思いますが、それは無限定に拡大するということではないと思いますけれども、今後のやはり検討すべき問題であろうかと思っております。
#185
○内田善利君 それと、一月の二十二日に全国都道府県教育委員長協議会で、大臣が、省令に明記した主任以外に地域によっては研修、給食、図書等々の主任も手当支給の対象としていきたい、こういうことですが、そのとおりですか。
#186
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの報道は、これは教育委員長の全国協議会がございました後でございますが、実はその前にも教育長協議会がございましていろいろ御意見が出ましたので、そうしたことを検討課題としたいというふうに申し上げたわけでございまして、いまお述べになりましたものを直ちに来年は省令化して主任にするとかいう意味合いにおいて無制限に拡大するという意味でお答えしたのではないものでございます。
#187
○内田善利君 手当の出る主任と出ない主任があるんですが、現在ある各学校でつくっている主任ですね、これは必要性を認められますか、どうですか。
#188
○国務大臣(永井道雄君) これはもう必要性を私どもは認めますけれども、同時に、これは先生の方が私より詳しいと思いますが、非常に多様なものがございますから、その必要度につきましても私はおのずから軽重があるものと考えております。
#189
○内田善利君 必要性を認めるならば、本年度は二・五%で二百四十二億ですかの給与勧告が出るわけですが、人確法に基づいてですね、大体その中のどれぐらいになるのか。現在、小学校、中学校、高校に分けまして、省令化になった場合に主任の数が何名ぐらいになるのか。
#190
○政府委員(諸沢正道君) 全体のめどとして計上してあります予算のうち主任手当がどのくらいになるかということは、ただいま人事院におきまして検討をされておるわけでございますので、人事院の勧告が出ますればそれに基づいて計算をいたして算出する、こういうことになります。現在の段階では金額の方はわかりません。
 それから人間の数でございますが、これは現在おります主任が何名いるかというような悉皆調査をしたことはないのでございますが、逆に、教務主任、学年主任等につきまして、教務主任についてはすべての小中学校に、それから学年主任であれば二学級以上一学年の学校について置くというふうな計算をいたしますと、義務制の学校で、教務主任、学年主任、生徒指導主任、それから特殊学校の寮務主任、これを集めまして十三万八千三百三十五人、こういうことになっております。それから高等学校等の非義務制の学校につきましては、教務主任、学年主任、生徒指導主任、進路指導主任、学科主任、農場長、これらを通じまして三万一千八百九十八人、こういう数になっております。
#191
○内田善利君 人事院の勧告がなければ金額はわかりませんが、人確法の三次、五十一年度二・五%で二百四十二億ですね、そのうちのどれぐらいになるのかわかりませんが、もしできるならば現在のある主任ですね、全部ひっくるめてできないものか。省令化された主任が手当をもらって、現在同じように主任としてやっている先生方がもらえない、これは何ともおかしなことだと思うのですがね。そう思われませんか。
#192
○国務大臣(永井道雄君) これは、私たち調査の段階で非常に苦慮した点でございます。いまちょっと学校の名前を覚えておりませんけれども、主任という名前を三十八抱えている学校もございまして――三十八だったと思います。非常に大きな表でございます。そういう場合のときには、おのずから軽重があるんだと思います。
 そこで、今回省令化してそしてお仕事に対して待遇を考えていくという場合には、先ほど申し上げたような基準によるほかないというふうに考えまして、おおよそ二つの基準と言ったらよろしいと思いますが、この重要性と普及、その観点からとらえたわけでございます。しかし、その後に、またその前にも、それ以外にやはり重要な主任があるではないかという御意見もございましたので、その種のものはやはり検討課題としなければならないというふうに考えているわけでございます。
#193
○内田善利君 人事院はお見えになっていますか。――きのうですか、藤井人事院総裁が、主任手当を給与法に明記する方法でやる手段もあり得るが、給与体系は単純明快であるべきで、給与法上の別の体系でやるのは問題である、こう言っておられるわけですが、この問題というのはどういうものでしょうか。
#194
○政府委員(茨木廣君) 給与法には本俸と諸手当等が規定してございますが、これは大項目と申しますか、そういうもので規定してございまして、あとの細目は人事院規則でまた内訳をいろいろつくれるような体系になってございます。そこで、そういう意味では、大項目としての給与の種類を新設することはできるだけ差し控えていくことが給与体系全体としては好ましいという意味で、総裁は一応そのことを申し上げておるわけでございます。
#195
○内田善利君 それでは、その手当を支給する場合にそれはどのように考えておられますか。
#196
○政府委員(茨木廣君) これは昨年以来要望がございまして、制度化の状況等もいろいろ拝見さしていただいておったわけでございますが、その過程で、御案内のように、管理職ではないということが一つ出てまいったわけでございます。そういうことから言って、特別調整額でそれを処理するというわけにはこれはまいらないということになります。そういたしますというと、この権限等をお聞きしてみますというと、十三条の特殊勤務手当の体系が一つ問題になるものとして考えられるのではなかろうかというようなことが一つ爼上に上がってくるということでございます。その辺のことを先般衆議院の方の内閣委員会でできるかできないかという問題について技術的にお答えを申し上げた経緯がございます。
#197
○内田善利君 特殊勤務手当ということになりますと、著しく危険、不快、不健康、困難な勤務等に従事する職員に支給されるものと、こうなっておりますが、これに該当するわけですか。これは確定ですか。
#198
○政府委員(茨木廣君) まだ勧告が出ておりませんので、なおやはり検討中の段階というふうに申し上げさしていただきます。いまも院議の席からこちらにかけつけたばかりでございます。
#199
○内田善利君 勧告は出ておりませんが、きょうの答弁では、特勤の方に手当の方に入れると、そういうふうに言っておられるように思うのですが、間違いですか。
#200
○政府委員(茨木廣君) 先ほどから申し上げておりますように、いまの体系で新たなものをつくらないでおさめるということになれば、どうもそこにだんだん寄ってこざるを得ないのではないかという考え方でございます。
#201
○内田善利君 どうも納得できませんがね。先ほどは主任は管理職でないと、教育指導職であるということから、一般給与法を改正することはできないと、だから特殊勤務手当の方で考えておるということですけれども、教育指導職という職名に対して学校教育法施行規則で主任が制度化された以上は、人事院としても一般給与法を改正してこれに組み込むということは当然だと思うのですが、違いますか。
#202
○政府委員(茨木廣君) 私の方はたくさんの職種を所管させていただいておるわけでございますので、一つの職種の中にそういうものができました都度一つの大項目としての法律事項としての給与の種類をつくっていくということになりますというと、冒頭に申し上げましたように、いろいろとやはりそういう問題が出てまいる。できるだけ現行の大項目として法定されております範囲内でおさめていくことをやはり第一義的に私どもといたしましては考えてまいらなければいかぬというように考えておるわけでございます。そういう観点から、いろいろ御議論がございましたけれども、その中でおさめますというと何かということになって、一つは特別調整額という項目がございます。これの説明は、管理、監督というふうに書いてございます。そこで、管理職でないということを再三大臣はおっしゃっておられますので、その項目の体系でその関係の規則に入れていくというわけにはこれまいらない。そこで、十三条体系ということになるのではなかろうかというように考えておるわけでございます。
#203
○内田善利君 くどいようですけれども、一般職給与法でいう特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康、困難な勤務等に従事する職員に給与されると、こうなっているのですが、そのほかに該当する事項がありますか、主任をこれに入れるという……。
#204
○政府委員(茨木廣君) 私どもが考えておりますのは、去年の二次のときにもいろいろこの問題が出されておりますが、そのころからいろいろ考えておったわけでございますが、学校のいろいろ校務分担の実情というようなものもいろいろ各学校を回って拝見させていただいております。そういうところから、直接教室に立って対生徒との関係でいろいろお教えされる仕事のほかにいろいろ校務を分担されておる、あるいは部活動の顧問というような立場でいろいろお世話をされておる。大きく分けますと、そういう三つの仕事をそれぞれ諸先生方が分担していらっしゃるのではなかろうか。そういうことで、先ほど来御議論していらっしゃったような意味の主任その他のものもそれぞれの学校に置かれておったようでございます。それが一部今度制度化されたという経緯だろうと思います。
 そこで、私どもといたしましては、現在の本俸、それから昨年新設願いました義務教育等特別手当、それから教育調整額、この三つでやはりいま申し上げましたような先生の担当していらっしゃる全般の仕事に一応網をかけておるのだといううふうに考えております。昨年も四%の特別手当を新設されます場合にも、そういういろいろ校務を分担していらっしゃる事態をも踏まえて考えておるのだということを関係者にも申し上げておるわけでございます。今回、さらに全般の職員についてもまず第一義的に考えてくれろという要望でございますので、それらのいろいろ分担をしていらっしゃるというような事態も踏まえて全般に考えていくということをまず第一の足場としまして、その上で、かつ、困難度と申しますか、労苦性と申しますか、そういうもので著しい負担度がありますものについて特勤で処理をしていくのだという考え方で考えてみまするというと、現行の十三条のこの特勤制度になじまないものではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#205
○内田善利君 ちょっとなじまないように思うのですけれどもね。まあどんな方法によっても賃金が上がればよいというような問題じゃないと思うのですけれども、教師の待遇を改善するという場合に、主任制度でやるというのじゃなしに、主任制度と教師の待遇改善というのは切り離して考えるべきじゃないかと、このように基本的に思うのですが、人事院としてはどのようにお考えですか。どうしても特勤の方になじませるというのか。どうも、一部では、参議院の文教委員会は保革逆転しているので法改正ではだめだ、人事院規則の方でいくべきだと、そういうふうな批判もあっているわけですが、そういうなじまないものではないという非常に苦しい言い方をしてこの十三条の特勤に入れられるというふうに批判している向きがあるのですが、この点いかがですか。
#206
○政府委員(茨木廣君) 先ほど来申し上げましたように、指導職ということで一つの柱を立てて処遇すべきではないかという御意見のようにも承りますが、いまの体系でいきますというと、特別調整額という一つの制度があります。で、ここまで行けるものならばそこまで行ってしまうべきものなんでしょうけれども、それは再三にわたってそういうものではないということを文部省さんの方では言っていらっしゃるわけでございます。そうしますと、それを超えるようにまた新たな制度をつくっていくということはどうも大項目として新たに設けるほどの段階ではいまないというふうに私どもは考えておるところでございます。程度もそれよりも程度の低いものにならざるを得ないわけでございますが、一般的に先生の処遇をずうっと改善していきながら、その改善の足場としては、各先生がいろいろ仕事を分担していらっしゃる。その中には省令化されない主任もある。そういうものも含めて一般的な待遇をまず網をかけて、それから職場でもいま御苦労であるといって現に時間を軽減していらっしゃるとか、いろいろ職場でいままでも何らかの配慮を皆さんでやっていらっしゃるという実態もあるようでございます。そこをやはり着目して、幾らかの手当をその姿で出していくということは、やはり一番現段階において落ちつきのいいところではなかろうかという考え方をしつつあるわけでございます。
#207
○内田善利君 勧告はいつごろになる予定ですか。
#208
○政府委員(茨木廣君) できるだけ急いで出したいというふうに考えておりますが、まだきょうの段階でいつというふうに申し上げるまでには至っておりません。
#209
○内田善利君 文部大臣が年頭の所感で「助け合い教育」という目標を立てられたわけですが、私も「助け合い教育」という言葉には賛成でございますが、これは観念的に語られたのではいけないと思うのです。学校でも子供と親と教師が学習活動、教育活動の一つ一つの実践に即して助け合いが実践されなければならないと、このように考えるわけですが、先ほども鈴木委員からお話があっておりましたように、私も先日文部大臣にも会っていただいたわけですが、特殊児童の障害児が入学期を前にしてのIQテストによってどうしても特殊学級に入らなきゃならない、あるいは養護学校に入らなきゃならない。ところが、親がそういう同じ病気を持った子供たちだけを一室に入れないでほしいと、子供が苦労してもいいから普通学級に入れてほしいということで、普通学級に入れていただいた。ところが、非常に入れてよかったと、体も非常によく動けるようになったし、また不自由な場合には同じクラスの子供たちが助け合ってくれて非常によかったと、特殊学級あるいは養護学校に入れていたら、同じ病気の友達同士で過ごしてきて、こんなにはならなかったのじゃないかと、こういうことがありましたが、私はこういう子供同士の助け合い、あるいは学校においては先生同士が横のつながりが非常に強い学校という職場では横の関係の助け合い、これが今日まで少なくとも私が体験した限りでは「助け合い教育」がなされてきた、こう思うのですが、いよいよ手当をもらう主任ともらわない主任と出てくれば、この「助け合い教育」にも支障がくるのじゃないかなと、このように思うわけですが、一つ一つの教育実践の中から「助け合い教育」というのがなされていかなきゃならないと、こう思うのですけれども、この点はいかがですか。
#210
○国務大臣(永井道雄君) 全く私は先生の御意見に同感でございます。先般御紹介をいただきました特殊教育の例も、早速初中局の審議官の方に渡しましたわけでございますが、実はそのほかにすでに会合を開きまして、「助け合い教育」というようなものは文部省が呼びかけて観念論で押しつける種類のものではなく、ちょうど先般の例のように具体的に行われているもの、このケースを集めまして、そして整理をいたしまして、そしてほかの方にも紹介するということをまず先般会議で決めた次第でございます。でございますので、すでに進行している校内クラブ活動、校外にわたります中でいろいろ行われているものがございます。そうしたものを具体的に整理をいたしまして他の地域にも知らせていくという方法をとりたいと思っております。
 なお、観念的であってはいけないと思いますので、視学委員にスポーツと芸術の方々多数を実は御参加願うことにいたしましたが、これもスポーツとか芸術というのは別にいわゆる徳性涵養というような意味合いで文字を並べてやるということよりも実際の活動を通しまして協力活動などができるわけでございますので、これも校内には学校からの御依頼があるときにその視学委員の方々に参加していただくわけでございますが、それ以上に校外、つまり社会活動、社会教育活動、それからクラブ活動等におきまして、そうしたいわばスポーツや芸術のベテランの方々に現場に行っていただきまして、見ていただくと同時に参加をしていただくということをお願いいたす会合をすでに開きまして、早ければ今月中、遅ければ来月になりますけれども、場所を選びましてそうしたことを試みようというふうに考えているわけでございます。
#211
○内田善利君 以上で主任問題は終わりますが、次は授業料の面ですけれども、国立大学の授業料の基本的な性格、これを教えていただきたい。
#212
○国務大臣(永井道雄君) 大学局長から……。
#213
○政府委員(佐野文一郎君) 授業料につきましては、私どもは学校の利用者である学生生徒が学校の施設及び教職員によって提供される教育という役務に対して支払う対価、そういう性質を持ったものであり、また学校の教育に必要な経費の一部を利用者が負担をするという、そういう性質をも持ったものと考えております。
 なお、国立学校の授業料の法律上の性格につきましては、従来からいわゆる営造物の使用料というふうに言われてきております。
#214
○内田善利君 営造物の使用料あるいは学生の身分確認料というふうに聞いておりますが、それでは、国立大学の授業料の算定基準ですね、これはどこに置いておりますか。
#215
○政府委員(佐野文一郎君) 国立大学の授業料の額につきましては、従来から明確に理論的にこれこれであるべきであるとか、あるいは積算上明確な根拠があってこれこれの額にするというふうにして定められてきたものではなくて、やはりそのときそのときの事情によりまして学生が経費の一部を負担をすると、しかし、その負担が過大になってはならないということを考えながら、負担の公平の問題であるとか、その他いろいろな状況を考えて妥当な額を決めてきている、そういうふうな性質のものと考えます。
#216
○内田善利君 国立大学の授業料の算定の基準、根拠があいまいであると私は思うのですが、私立大学の授業料、これはあくまでもどんな本を読んでも受益者負担ということが原則になっておるようですが、これは間違いございませんか、確認の意味で。
#217
○政府委員(清水成之君) いま先生御指摘のとおり、受益者負担ということでございますし、授業料の性格につきましては、国公私通じて先ほど大学局長からお話を申し上げたところであろうと思います。
 ただ、受益者負担という場合に、学校でございまして、単に個人の利益だけの問題ではないという面があるわけでございます。卒業生のその後の社会の受け入れ、社会的な利益という点もございますので、全部が受益者負担ということが適当であるかどうか、こういうことにつきましては十分検討を要する点があろうと思うわけでございます。
#218
○内田善利君 そうしますと、国立大学と私立大学では授業料の性格が違うと、こういうことなんですが、国立大学の授業料も今年度は三倍に値上げをされる予定と聞いておりますけれども、そのときそのときの事情によると、こういうことですけれども、「文部広報」を見ましたら文部省はこのように言っておられるわけですね。国立大学の授業料改定の趣旨は「私立学校の授業料水準より著しく低く、特に国立大学についてみると、私立の高等学校や幼稚園の水準よりも相当低くなっており、負担の公平の見地から、また、諸物価」の云々と、こういうふうにあるわけですが、これはちょっとおかしいと、こう思うのですけれども、国立と私立の授業料の性格は全く違うわけですが、それにもかかわらず、値上げの理由として私立の高校、幼稚園に比べると低過ぎると、こういうことで文部省は値上げの改定の趣旨を書いておられるわけですが、この点、いかがでしょうか、矛盾がありませんか。
#219
○国務大臣(永井道雄君) ただいま大学局長と管理局長から申し上げましたように、国立大学の授業料は営造物の使用料、それから私学の方は受益者負担ということでございますが、管理局長が申し上げましたことの後段にございますように、私立学校といえども、その学校の活動それ自体が学校であります以上公共的なものでございます。したがいまして、後段管理局長が申した点は、受益者負担と言いましても社会がそれから裨益するわけでございますから、そうしたことはやはり私立大学の振興助成ということを国家が行っていくということにもつながってくる。また、その意味合いにおきましては、国立と私立の授業料にある種の共通性、つまり学校というものが公共的性格を持っているという限りにおける共通性というものはあるというふうに考えているわけでございます。
#220
○内田善利君 いま大臣のおっしゃったことはよくわかるわけですが、国立と私立では非常に差が激しいと、ですから、私立学校の水準よりも著しく低いから上げると、こういうことになりますと論理がおかしいのじゃないかと、そう思うのですね。むしろ私立大学の方を低くしていくと。いまおっしゃるように、受益者負担だけじゃなくて公益のためにもなるのだと、地域社会のためにも利益していくのだということであるならば、なおさら国庫負担を多くして私立の方を下げていくのが当然じゃないか。ところが、「文部広報」にはこういうふうに言ってあるわけですね。これは矛盾じゃないかと、こう思うのですけれども。
#221
○国務大臣(永井道雄君) わが国の国立大学の授業料というものは、後で必要がございましたら各国との比較を申し上げますが、比較的安いという特色がありましたために、家庭の経済事情にかかわらず非常に多くのすぐれた人々を集め得たことがわが国の学術、教育の発展に非常に役立ってきたということは、言うまでもないことでございます。そこで、今回授業料値上げを御検討願っているわけでございますけれども、そしてそれは先ほど先生が引かれたようなそうした事情というものを勘案いたしておりますが、やはり従来の伝統といいますか、そういう家庭的な背景というものと関係なくすぐれた人を守る、あるいは育てるということは維持していきたいと考えましたので、授業料免除枠を従来五%でありましたのを一〇%にまずふやしまして、そのほか育英資金の増額を図ったわけでございます。そういう形で維持し得るのではないか。ただ、他方、物価の変動等もありますから、負担していただけるそうした層に関しては今度の新しい授業料値上げということを負担していただくということも十分考えられるのではないか、かような考えに立って、一方では私学の助成を行うと同時に、他方において国立についていま申し上げたような方法をとって、でき得る限り国公私の別なく公正な授業料負担という方向を実現してまいりたい。これは、私学の方を一挙に全部下げられれば大変結構なことでございますが、これまでの坂田文部大臣以来の五ヵ年計画、そしてまた、今回の私学振興助成法に基づく助成というものを行ってまいりましても、一挙には下げられないというのが現状でございますので、以上申し上げたような方向で私学の授業料また国立の授業料について考えている次第でございます。
#222
○内田善利君 私立大学の教育環境、教育条件といいますか、一人当たりの教官数、あるいは教官一人当たりの学生数、あるいは学校施設の面積等、私立大学の教育条件、これをちょっと説明いただきたい。
#223
○政府委員(清水成之君) 私立大学の点でございますが、いま先生お尋ねの第一点の本務教員一人当たりの学生数でございますが、五十年度の数字で申し上げますと、私立が一二・二人ということに相なっております。これは国立に比べますと三・九倍、こういうことでございます。
 それから学生一人当たりの校舎面積、これは四十九年度の統計でございますが、一人当たり七・五平米ということで国立の約三四%、こういうことに相なっております。
#224
○内田善利君 いま報告ありましたように、非常に低いわけですね。特に諸外国に比べまして、アメリカあるいはイギリス、西ドイツ等に比べて、学生一人当たりの教育費といいますか、比較がありますが、問題にならないぐらいに最低であるわけですね。そういうことからいきますと、いま先ほど大臣からも私学のことについてお話があったわけですが、私学から非常に優秀な人材も出てきたし、また戦後日本の高等教育は私学に依存してきていると言っても過言ではないわけですが、現在も学生数では約七割が私大生である。こういうことを考えましたときに、教育環境、教育条件が非常に低い、最低である。学生一人当たりの教育費は諸外国に比べまして最低であるということを考えますと、だんだん知的エネルギーが少なくなっていくのじゃないかと、このように思うわけですけれども、この点どのようにお考えでしょうか。
#225
○国務大臣(永井道雄君) 確かに、わが国におきましては、実は大学の学生人口というものも非常に大きいという点におきまして、そしてまた、大学生該当年齢人口のうちの大学在学率が非常に高いという点でアメリカ合衆国に並ぶというか、それに次ぐところまでに来ております。
 ただ、その過程におきまして私学への依存度が非常に高かった、そしてまた急膨張が起こったという事実がございます。そこで、昭和四十六年から助成が始まったわけでございますが、しかし、残念ながらインフレーションの進行というものが他方にございましたために、当初計画どおりの充実というものが図れなかった。そこで、現在の財政事情にもかかわらず、私学振興助成法の御検討を願いまして幸いにその成立を見たわけでございますが、おっしゃいますように、これは非常にむずかしい問題としていまだに残っていることでございますので、われわれとしては何とかしてこの私学振興助成法の精神に基づきまして、わが国の私学の内容充実を図るように財政面からの条件整備を図るほかはない、かように考えているわけでございます。
#226
○内田善利君 私学助成という考え方ですけれども、まあこの委員会でも私学の助成については何回も何回も討議されてきたわけですが、助成というのは、自分でやりなさい、足らない分は助けてあげよう、こういう考え方があると思うのですけれども、先ほども大臣から言っておられましたように、学生個々にとってみれば、設立形態がどうであれ、高等教育を受けて、自分だけじゃなくて、将来は地域社会、日本あるいは世界に貢献していくという点では、全く国立、公立、私立変わらないと思うのですね。そういった面でいきますと、将来すぐにはできないかもわかりませんが、助成という考え方から私学国庫負担という考え方に発想を転換していった方がいいのじゃないかと、こう思いますけれども、この点はいかがですか。
#227
○国務大臣(永井道雄君) 先生のお考えはお考えとして私も了解をいたしますが、実は、私学といいますのは、大学だけではなく高等学校もございますし、その私立在学者のパーセンテージは三〇%に及んでおります。小中はそれほどでございませんが、さらに幼稚園があるということで、いまいわゆる私学依存度というものが教育体系の中で非常に高いということでございます。
 そこで、たとえば本年度の私学のための助成でございますが、高校以下につきましては二・二五倍、すなわち二二五%、昨年度に比較いたしますと一二五%の増でございますから、まあこれは現在の財政状況では破格の私は増であると思っておりますが、しかしながら、それをいたしましてもなお簡単には問題が解決しないというのが現状でございますので、私学を直ちに全部国庫負担にするという考え方を私自身がとっているかという先生の御質問に対しては、実際上の問題としてそのような考えをとっているのではなく、やはり現在の私学の状況、そして学校教育体系全体の状況に踏まえて振興助成を図っているというのがわれわれの考えであるというふうに考えるわけでございます。
#228
○内田善利君 私学にやっている父兄から見れば、国に税金を出してそれで国立大学を養っている、自分の子供は私学に出してまた高額の負担をしなければならない、こういうことなんですが、文教予算の中からでなくて、やはり国全体の予算の中から私学の問題はとらえていくべきじゃないかと、こう思うのです、なかなかむずかしい問題と思いますが。
 それからもう一つ最後にお伺いしたいことは、高等学校の問題も触れたかったのですが、時間がありませんので、最後に幼稚園の問題をお伺いしたいと思うのですけれども、幼稚園が国公立と私立とは非常に差がひどいわけですね。私立幼稚園に至りますと、父兄負担の金額が大き過ぎる。いまの幼稚園に出す階層というのは、若い世代の、二十代あるいは三十代の方々が多いわけですが、そういった若い世代の人たちが幼稚園に、特に私立幼稚園に子供を出した場合に、その負担が大き過ぎるわけですけれども、今後のこういった負担能力の低い点から考えてその対策、私立幼稚園に対する今後の対策はないのかどうか、お伺いしたいと思うのですが。
#229
○政府委員(清水成之君) 初中局とまたがる部分がございますが、便宜私からお答えさせていただきたいと存じます。
 まず、いま先生御指摘の点でございます低所得者層の幼稚園就園、こういう問題につきましては、御案内のとおり、またいま御審議中の予算案におきまして、幼稚園就園奨励費を公立、私立通じての問題でございますが、就園奨励費の増額を図っておるわけでございまして、この点が一点ございます。
 それから経常費の問題としまして、これまた御案内のとおり、本年度から学校法人立に対しまして国庫補助の道を開いた。それから五十一年度から、ただいま御審議をいただいております予算案におきまして、プラス個人立幼稚園の経常費助成を考えておるわけでございます。こういう直接のそういう経常費助成並びに地方財政措置といたしまして、基準財政需要額に、法人立の幼稚園プラス個人立の幼稚園分の経常費助成を県に対しまして交付税上措置すると、こういうことを五十一年度でお願いをしておるわけでございます。
 それから施設面につきまして、これまた結果的には父兄の負担軽減になろうと思うわけでございますが、私立幼稚園に対します施設補助につきまして、これが非常に需要が高うございますので、年々これの拡充を図ってまいっておりますが、この点につきましても今後拡充に努めてまいりたい、こういう対策を考えておるわけでございます。
 以上でございます。
#230
○内田善利君 昭和五十年度ですけれども、入園料が公立幼稚園の場合は二百八十五円ですけれども、私立幼稚園の場合になりますと二万二千百四十四円と、これは平均ですね。保育料も、公立の場合は一万三千八百四十一円が、私立になりますと八万四千五百五円、合計しますと、公立の場合が一万四千百二十六円に対して私立の場合は十万六千六百四十九円と、非常に差があるわけですね。こういったことから、いまの就園奨励費の大幅増額とかいろいろ対策を講じておられるようでございますが、所得制限の撤廃についていかがでしよう。
#231
○政府委員(諸沢正道君) 現在の就園奨励費の対象となります父兄の率は、全幼稚園就園児の五六%に上っておるわけでございまして、これを所得の階層別に分けますと、一番所得の少ない生活保護世帯から市町村民税所得割り課税額三万五千円以下の世帯までに分かれておるわけでございまして、これに対する減免限度額もその所得に応じて薄くしておるわけでございますが、いま申しましたように、対象率といたしましては五六%といたしておるわけでございますから、今後の考え方といたしましては、この対象範囲をさらに拡大するというよりは、むしろ最も所得の低い階層に対してどの程度手厚く減免をするように考えるかと、そういう点にさらに検討してみたいと、かように考えておるわけでございます。
#232
○小巻敏雄君 共産党を代表いたしまして、まず文部大臣にお尋ねをいたします。
 主任制の問題につきまして大臣がきょうまでに述べてこられた見解から二、三の要点を確認を求めたい。
 第一は、省令による主任制度化の趣旨ですね。この趣旨については、全国の小中高等学校で従来から校務分掌の一翼として存在してきたし、いまも存在をする主任に対して現状変更を求めるものでないと、こういう見解として承っておりますし、具体的な内容について言えば、多様に存在する主任の種類、これについては画一化しない、それから職務内容についても従来から指導に当たってきた、新しい内容を特につけ加えるものではない、こういうことですね。で、選任方法につきましても、これはだれが任命をするかと、どういうふうにやるかというような点で従来の内容変更を求めようとするものでない。こういうふうに言ってこられたと思いますので、まずそれをひとつただしておきたいと思うわけです。
#233
○国務大臣(永井道雄君) ただいま小巻委員が御指摘のとおり、まず主任の性格、それから任命方法等につきまして、従来というか、あるいは現状、これを尊重していく。ただ、場合によってはある種の混乱もあって、たとえば現在の主任の中に比較的管理職的に考えているものもあるというようなこともあるようでございますが、そうしたものはむしろ今後調和ある学校運営という点から言いますと、指導助言という方向がはっきりした方がいいのではないか。そういう意味では現状に踏まえておりますけれども、改善の側面というものも含まれていると考えております。
#234
○小巻敏雄君 大綱的には私のお尋ねをした点はそのとおりだが、文部省の出しておる趣旨と違って、主任を管理職的に取り扱り扱っているもの等は是正のための指導を続けると、こういうことですね。
 次に給与上の措置の問題でありますが、人確法の第二次給与改善に関して昨年の三月七日人事院勧告説明の際に、教員にかかる制度整備も重要な課題の一つというようなことがあり、この主任の職務と責任にふさわしい処遇として給与上の措置の実現をしようとすれば、やはりこの制度を整備しなければならぬと、こういう状況もあって文部省は鋭意制度の整備に取り組んだと、こういうふうに承知をしておりますが、そのとおりですか。
#235
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの三月七日の文章の中に、「規定の整備と相まって、」という表現もございますが、御指摘のとおりでございます。
#236
○小巻敏雄君 それでは、特に主任についての給与上の措置ですね、これは人事院勧告も追っておると、こういう状況からいま内田委員の方からも一部御質問があったわけですが、この点について特に人事院にお伺いをしたいわけであります。
 先ほどの説明でも、新聞で拝見するところでも、今度の主任に関する給与上の措置の方向は、法改正をやって主任のための職を設けるというふうな方法をとらないで、現行の枠内で特殊勤務手当を利用すると申しますか、そういう方向で進めていると、こういうふうにお伺いをしたのですが、もう一遍御説明願いたい、簡潔に。
#237
○政府委員(茨木廣君) 先ほどお答え申し上げましたように、現行の制度の中で処理をいたしますということになりますというと、そこで処理できますものでということで、十三条体系のものが一番近いのではなかろうかというように考えております。
#238
○小巻敏雄君 特殊勤務手当を利用するということになれば、この主任の職務内容なりそれから具体的な勤務形態が特殊勤務に当たるという解釈が可能でなければならぬと、こう思うわけですが、現在の特殊勤務手当というのは、これは一体どういう勤務の内容についてどういう範囲の人にあるいはどういう方法で支給されているかについて逐次お伺いをしたいと思うわけです。
 まず、一般的にどういうような人たちに支給をされておるのか。教員に関連してはどういうものがあるのかということをお伺いします。
#239
○政府委員(茨木廣君) これは法律に書いてありますように、危険、不快、不健康、困難その他の著しく特殊な勤務と、こういうふうになっておりますから、そういうような勤務をやっておる方にということになるわけです。たとえば危険というようなことでございますと、高所作業手当でございますとか、深所、深いところの作業手当、あるいは坑内作業手当、それから爆発物取扱手当とか、水上木材検査手当とか、航空手当とか、こういうようなものがございます。それから不快というような感じでございますというと、食肉市場の調査手当だとか、死刑執行手当、死体処理手当、伝染病作業手当、検疫手当等のものがございます。不健康ということになりますと、先ほどのとやはり重なりますが、いまの伝染病作業手当とか検疫手当、有害物取扱手当、放射線取扱手当、異常気圧内作業手当、潜水手当というようなものが出てまいります。それから困難というようなところで載っておりますのは、道路作業手当とか、除雪手当だとか、あるいは山上作業手当、移動通信作業手当とかというようなものがございます。あるいは夜間特殊業務手当、夜間看護手当というようなものがございます。
 教員のグループで申し上げますというと、大体困難その他というようなところに該当する項目でございますが、すでにありますので教員特殊業務手当というのがございます。それから多学年学級担当手当、それから教育実習指導手当、この三つが一番典型的なものでございます。
#240
○小巻敏雄君 どうも、いま聞いておっても、私の主任について持っておるイメージに似通ったもものが一つも出てこないのですね。特に危険や不快になってくれば特別ですが、死刑執行と主任の関係についてとか、あるいは高所作業と主任手当の類似性についてとか、幾ら考察してもなかなか類似点が出てこない。そこで、困難というような概念でとらえられるということなわけですね。まあ教職員の主任の業務というのは、道路の工事とか除雪とか、大体そういう範疇でとらえてここから払っていこうという御説明だと思うわけですし、そういうことなわけですか。
#241
○政府委員(茨木廣君) 世上、主任という概念でいろいろ昨年来議論されましたものは、やや当初は管理職手当的なもので議論されておったのだろうと思うのですね。それが昨年の秋以来大転換されて、教育指導職だという感じで物事をつかみ直されてきております。それから人数の点からもこれまた吟味をしなきゃいかぬわけでございますが、先ほどの方の御質問に文部省がお答えになったのでも、小中学校で約十三万人でございますか、校長と教頭がそのほかに管理職としておるわけですが、これが約六万からいるはずでございます、小中学校。そうすると、合計二十万近いものが管理職及び指導職ということになります。六十万のうちの三分の一がすでに現在の省令の中で該当するのではなかろうかと、こういうことになってくるわけですね。これがもっと広がって人数がふえるのか、その辺のところをやはりよく見てみませんと、どの程度困難性があるかということについてもなかなかむずかしいところだと思うのですね。ただ、少なくとも、そういう相当の人数のものが横広がりで決められつつあるというようなことも私どもとしてはやはり踏まえて見ますというと、当初宣伝されましたような意味の主任というようなものとやや少しイメージが変わりつつあるのじゃなかろうかという感じもいたしておるわけでございます。
#242
○小巻敏雄君 職務の性質と数の問題はまた別の問題になってくるかと思うのですが、いままで説明を聞いた中では、困難という範疇に出てくるものが一番類似性があるということなんですね。どうも、聞いておると、教育関係のものでもこの特殊業務手当、これは修学旅行とか非常災害とか、まあいわば体を使う方といいますかね、あるいは休日を返上するとか超勤手当的な肉体労務的な要素が大体あって、責任の度合いには余り比例していない。同じように修学旅行へ行っても宿泊を含まなければ払わないとか、それから学校行事で付き添いに行ってもそれが通常勤務の日であれば払わないとかなっておりますから、まあいわばこういう状況下における一つの超過勤務のような、私の理解ではそういう内容になっておって、類似性を非常に感じにくいわけですね。
 そこで、お伺いをするわけですけれども、この特殊勤務手当についての職務の概念規定、その困難とか危険とかというようなもの、それからもう一つは支給方法、これらについてもお伺いをしておきたいと思うのですね、その給与の支給方法。
#243
○政府委員(茨木廣君) 給与上の措置でございますから、立て方としましては、本来本俸体系で全部全勤務に対する対価が支払われるというのが一番好ましいわけでございますけれども、それ一本では処理し切れないものについて逐次変形をしていくという給与法上の立て方になっておるわけでございます。
 で、本俸的なものですぐ出てまいりますのが、調整額というのが出てまいります。これは非常に本俸と同じようなものでございますが、御案内のように、一般職の俸給表のほかにそれぞれの特別の俸給表が幾つか、教員もその一つになりますが、そういう意味のグループごとにつかまえられる範囲内では俸給表を異にしながら本俸で処遇していく、それができないものについてはさらに同じ俸給表の適用者でも調整額を適用していく、さらにしかし本俸的に扱うなどの必要性のないものについて特別調整額でございますとかこの特勤手当ということで処遇をしていく、こういう立て方になっておるわけでございます。でございますから、困難性とかなんとかというようなことも、相対的な感じで俸給表上なりでつかまえておりますものとその他のものとやはり区別してある程度拾い上げる必要があるであろうかなかろうかというところで区別されていくものでございます。でございますから、先ほどいろいろ列挙いたしましたようなそれぞれの種類ごとに、いろいろその判断の内容と申しますか、それは同じ困難といっても、あるいは危険といっても、違ってくるわけでございます。
 ですから、教員の場合には、先ほど来申し上げておりますように、本俸と、それから昨年できました義務教育等特別手当と、教育調整額と、この三本で一応全員に対して、教員が担当しております仕事全般を一応網をかけていく、その中から特にやはり御苦労であるということで、今度の場合、困難、労苦性というようなものでつかまえていかなければいかぬものは何だろうかということで、この主任というものをどの程度のところをつかまえていくかということだと思うのです。
 そこで、昨年来文部省さんにもお願いしておったのは、大変ないろいろな種類があり数があるではないか、ですからそこをはっきりやはりしていただかないと私の方で処理のしようがございませんということが昨年来の経緯であったわけでございます。で、省令化されたものでもすでに先ほど申し上げましたような人数が三人に一人の割合でもうそういうものがいるという人数が出てきておるわけでございます。そうしますと、その程度の労苦性とすればどの程度の処遇をしたらいいだろうかということで考えてみている、そういうところでございます。相対的にこれは決まっていく問題だと思います。これが人数がふえ薄まっていくならば、こちらの手当の考え方も金額を低めていかざるを得ないというものだろうと思いますし、それはやっぱり相対的なふうに考えていくべきものだろうと思います。
#244
○小巻敏雄君 いまの御説明で、なぜこの主任に対する給与を特殊勤務手当を該当させようとするのかの相関関係は、ほかのものでは都合が悪いからという御説明は大体わかるのですけれども、特殊勤務手当が適切だという説明はまだ一つも聞いていないように思うわけなんですね。職務内容というものが困難を伴う特殊な勤務である。その特殊性が説明をされると。この職務内容について、従来から存在をしておる特殊勤務手当の中にこういうふうになっておるんだという説明はどうもわからないですね。
 さらに、いま説明が落ちていますが、特殊勤務手当についてはそれでは本俸に入れるわけにはいかぬと、手当一般いろいろなやり方があると言うのだけれども、特殊勤務手当というのの支給の姿、具体的にどういうふうに支給をされておるのか。
#245
○政府委員(茨木廣君) 現在支給しております姿といたしましては、それぞれのその勤務の種類によりまして、時間でつかまえておりますものもございますれば、一日単位でつかまえておりますものもございます。
#246
○小巻敏雄君 月給というのはあるわけですか。
#247
○政府委員(茨木廣君) 現在までの種類の中では、月額で決めておりますものはございません。
#248
○小巻敏雄君 教員の勤務でも、ここに挙がっておる特殊業務、あるいは教育実習、多学年の学年担当等では、日数なり回数なり時間数を単価に掛けてやるという方法は理解できるわけですけれども、臨時的だとか断続的だとかいうこともありますから、これすべて特殊勤務手当というのは、月給を払うというようなそういうものにはなじまない性質の勤務であるのかどうか、これは原則的なものから来ておるのか、ここのところをお伺いしておきたいと思います。
#249
○政府委員(茨木廣君) これは私見的になりますが、純粋理論的に言えば、月額で出す場合の手当というようなものもあり得るのだろうと思います。ただ、従来はそういうものでつかまえる必要のあるものがなかったので、時間なり日にちで出してきたのではなかろうかというふうに考えております。調整額になりますと、これは当然月額でやっておるわけでございますが、これは本俸的な扱いでございますので、そこまでにいかないもので月額というようなものの制度もあってよいではないかという考え方はいたしておりますけれども、いままでのところはございません。
#250
○小巻敏雄君 調整額などのことを聞いておるのじゃないんです。特殊勤務手当というこの手当の性質上、月給で払うこともあり得るけれども、いままでは日給、そういうものだけであったということで、月給であるなり年俸であるような特殊勤務手当というのもこれから拡大していけば成り立つと。特殊勤務手当を立法したときのその精神の中には、月俸だとかそういうものも入り得るという、そういう解釈なんですか。
#251
○政府委員(茨木廣君) まあ、わりあいに職務でつかまえます場合には月単位でつかまえやすいのでございますが、この十三条の立て方が勤務ということで勤務をつかまえたものでございますから、それで恐らく時間とか日というようなふうなものがまず上がってきておったのではなかろうかと思います。立法当初から月額が一体なじまないものであったかどうかということは私もよく承知いたしておりませんけれども、条文の表現から言いますと、片っ方は職ですから、職務と申しますか、それでつかまえておる、片っ方は勤務でつかまえておるというところから来ておるのじゃなかろうかと思います。
#252
○小巻敏雄君 人事院の方でお出しになっておる解説を見ますと、そもそも特殊勤務手当というのは勤務に対する手当だから、その勤務がこれが非常に恒常的なものであって、そして責任が明確でこれを標準化し得るものならそういうところへ持っていかずに俸給にするんだけれども、具体的には恒常的でなくて臨時的に出てきたりあるいは断続的に出てきたりする場合ですね、そういう場合の間欠的であったり恒常的でないものに対して、こういう勤務に対しては、そういう範囲内のものを特殊勤務手当の範疇に入れるんだというふうにお書きになっておるわけですけれども、月給や年俸の勤務手当もあり得るということになるとかなり違っておりますが、そこはどうなんでしょうね。
#253
○政府委員(茨木廣君) まあ原則的には、いま先生がお挙げになったような一番ティピカルな定義で申し上げればそういうことだろうと思いますけれども、今度問題になっております主任につきましても、その人が一たんつきますというとずうっとその主任の職であるかどうかということについても、適性のある方ができるだけ多数いろいろおつきになることが好ましいのだというふうに大臣は言っていらっしゃいます。必ずしも持ち回りではないと、こういうふうな御表現であるようでございます。で、その辺からいきましても、その人に非常に密着したような感じの給与という形ではどうも出し得ないなという感じをまあその辺から私どももしておったわけでございます。そんなところから、この十三条体系でいいのではないかという一つの判断もあったわけでございます。
#254
○小巻敏雄君 つまり、いまの御説明では、主任という実態を見ると、今度の省令あるいは準則などを見ても、任期なんかが一年と決まっておってずうっと主任をやるものでもないと。そういう保証はないのだから間欠的な仕事だと、こういうふうな範疇の中に主任も入れても無理はなかろうと、こういうふうに説明をされているわけですか。
#255
○政府委員(茨木廣君) そういう面も一つの足場として踏まえております。
#256
○小巻敏雄君 大体、特殊勤務手当とはどういろ手当であるのかということは、御説明でおよそわかりました。危険であり、不快であり、不健康であり、困難である、こういう勤務のその一翼としての困難に該当をしてですね、そしてこれを典型的にこうずっととらえることはむずかしいので、やはり断続をする間欠的なそうして非恒常的な職務、そういう性質の職務が主任という職務なんだと、こういうふうに見てここに入れてなじむものだと、こういうふうに人事院としては主任の職務をながめて、この方向で行こうという検討が行われているということなんですね。
#257
○政府委員(茨木廣君) 大体そうでございます。
#258
○小巻敏雄君 それでは、ひとつここで文部大臣にお伺いしたいわけですけれども、主任の職務の解釈というのは一体こういうものなのかと。教員を指導する教員、もう重い責任と複雑な内容を持った職務だと、こういうふうにときには中間管理職ではないけれども指導上の中間職制というふうにも言われてきておるわけですね。こういういままでの説明とそれから現在の人事院の解釈、これは一体どうなるのか。受け入れられるものであるのか。それらの点についてひとつ文部大臣の見解をお伺いしたい。
#259
○国務大臣(永井道雄君) まあ、この給与の厳密な解釈につきましては人事院の方でお考えになるとおりでございますし、私としてとやかく申し上げる筋合いでないと思いますが、主任が教諭のままなるわけでございますから、教諭としての授業も担当して活動していく、さらに主任としての活動がいわばそれに加わる形でございますので、そうした意味における労苦を伴うものであるというふうに私どもも理解いたしております。
#260
○小巻敏雄君 人事院の説明だと、この職務の内容をはかって、手当を払う場合には時間単位の単価を出してそれに回数を掛ける。いままでのところこれ以外の給与の支給パターンはないわけですけれども、そういう段になったら、仕事の中身を計量、はかって単価に出すというようなことができるとお考えになるのかどうか、その辺についてもお伺いしておきたい。
#261
○国務大臣(永井道雄君) 一般に、これはもう先生に申し上げるまでもないのでございますが、教育上の労苦というのはなかなか計量しがたいものであろうかと思いますけれども、しかし、そうしたことも勘案されて人事院においてお決めいただく、それを私たちは尊重する考えでございます。
#262
○小巻敏雄君 そうすると、特殊勤務手当としてこれが主任の職務の内容に対する解釈としてその概念の中に入れるということについてはお任せをしておくと、大体そういうことで異存はないと、こういうふうに言われるわけですか。
#263
○国務大臣(永井道雄君) 私どもの立場といたしまして、特殊勤務手当であるべきだとか、あるいはそうでないものであるべきだということを申し上げることは、第三者機関としての人事院の公正に反することでございますから、私たちとして、人事院の方で、先ほどから承っておりますと、特殊勤務手当という角度でお考えになっておられるようでありますが、どういう形でお考えになるにせよ、実態に即してお考えになるわけでございますから、私たちとして当然これを尊重すべきものであると、かように考えている次第でございます。
#264
○小巻敏雄君 教員の服務の問題にしろ、指導の問題にしろ、責任を持ち、またこれについて給与上の措置をしようというので要求を上げてきた文部省が、職務内容の解釈に対してそれはあなた任せで、しばらくは主任であったり、また間欠的に主任でなくなったり、責任がとぎれとぎれになるというような解釈で主任をながめると。行政としても責任の重い人事院が、まあいわば私どもとしては受け入れがたい解釈だと思うのですけれども、そういう解釈をやってくることに対して、意見も言うことなしにそのままで受け入れていくと、こういうことになりますと、大問題だと思うわけです。特に主任というものを文部省はせっせとあれこれ宣伝してきているわけですけれども、少なくとも人事院にはこの程度に見てもらうことしか文部省はできなかったということなんですね。国民合意とか、あれこれ校長の意見を聞くとか何とか言ってきておりますけれども、人事院が学校教育における指導というものの中身を、少なくとも管理がつかない以上改めて職を設けるというだけの価値はないと。むしろやってくる仕事はこれは苦役の領域で理解をして、そうして断続的なものと、授業をやっておるときは主任ではないと、授業が終わったら主任になるとか、こういう解釈なわけですね。日曜日には主任ではないとか、こういう解釈として取り上げていくと。これに対してあなた任せと。一体、これだったら、主任というもののあり方が根本から問われてくるのではないでしょうか。まあこの点について、たまたまこれは自民党も熱心にパンフなどを出しておられますけれども、これを見てもこの主任制度の、従来から述べておった文部省の――自民党の方でも、この管理という考え方をこの際文部大臣の考えを受け入れて、主任は指導という職でよかろうと、そうしてこれに給与上の措置をするときは当然人事院の勧告とそれに基づく給与関係の法令の改正という手続があるなどと書いてある。これは国民のいままで少なくともこの問題を聞いてきた者、反対であれ賛成であれ、主任の教育職務が断続勤務で不愉快労働だというふうな範疇でとらえられると思ってきた者はないと思うわけですね。それで手当が入りさえすれば文部省のメンツが立つと、それでもできないよりよろしいと、こういうふうなことを言われる段になりますと、これは根本から考え直さなくちゃならぬという問題だと思うのですが、再度お伺いしますが、いかがですか。
#265
○国務大臣(永井道雄君) 私が先ほど申し上げましたのは、給与というものの性格についてこれを規定し、そして勧告をされるのは人事院であるというふうに申し上げたわけでございます。しかし、その場合に、それは要望その他実態に基づいて勘案されるものと理解いたしております。私たちは、主任について考えましたこと、そして省令、通達その他はすべて人事院にお示しいたしまして、そして先ほども管理職ではない、そういうふうに文部省は考えているようだからというお言葉がございましたけれども、そういうものとしてお願いいたしておりますので、当然そうした文部省が考えておりますところの主任の性格というものに対応して人事院において御配慮願っているものと理解しているわけでございます。
#266
○小巻敏雄君 人事院の説明も、いまの給与体系の方からながめれば、そっちの窓口からながめれば、バランス上ぼくも説明の筋というものは理解できるわけですね。一般教諭よりも指導的な地位にあって責任の度合いが重い教員というのが通常のバランスを失して非常に大きい位置を占めて、いわば学校の中での人数の比重なんぞはほかのものとつり合いがとれないというようなことですね。そういうような点からも改めて設けにくいと、そういう概念がないというような説明になっておるわけですね。むしろ私はここで人事院にも文部大臣にもお伺いしたんですから、だから人確法というのは教職員の賃金を全体で大きく引き上げて、そういう問題はその範囲内で自主的に解決していくんだと、少しアンバランスがあってもそれを一つずつ刻むことはできないんだというふうになっておったのではないか。それを重層構造、管理職のあり方のパターンを導入して、その枠内で切ろうとするからむずかしくなっているんだと。やっぱりこの問題についてはむしろこういう無理筋の解釈を適用することはこれはまあ許されないことだと思いますね。もとに返して、その点では人確法の法決定の趣旨を生かして、そこまで返って処置をすべきではなかろうかと、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#267
○国務大臣(永井道雄君) 小巻委員の御主張の点を理解いたしますけれども、しかし、私どもは、人確法を実現していく過程におきまして、やはり学校の内容、そしてそれをさらに魅力あるものにしていくということが同時に人確法の精神であるということに基づいて主任制度を考えた次第でございます。
#268
○小巻敏雄君 人事院の方にお伺いしますけれども、指導職というような新しい給与法改正のやり方というのは、むしろすっきりしておる給与体系を複雑化してむずかしくしていくというようなことを難点として言われておるわけですね。それなら、こういうものをいまほど月給で払ってもいいというようなことも言われたのですけれども、こういう指導の職を特勤手当に無理に入れていくということになれば、特勤手当の方の法の概念なり精神が混乱するのではないでしょうか。その点はどうなんですか。
#269
○政府委員(茨木廣君) それは、いま問題になっております主任とその他の教諭との間で、そういう困難性と労苦性というふうなものの差がないのかあるのかということだろうと思うのですね。それが差があるということであれば、いまの予算上の特殊勤務手当の概念を著しく混乱させるというようなものでは私はないというふうに考えております。
#270
○小巻敏雄君 やっぱり、この要求の趣旨は、指導上の責任の重さ、こういうものも含んで手当化ということが言われてきた。それはすべて人事院の方の考慮の中からは除外をされていくということになっておるわけであります。こういう点につきましては矛盾に満ち満ちたものであって、むしろこういうことをわかっておりながら、管理職手当の範疇に入れるか特勤手当の範疇に入れるしか入れる方法がないということで取り扱っておる今日の取り扱い自身に問題があると思うのです。
 ここでお伺いをするわけですけれども、結局のところ、もし現行の特勤手当というものをもって主任手当を支払っていくということになれば、さまざまな問題がさらにあると思うのですね。まず現行四十六種類ですか特勤手当があるわけですけれども、この特勤手当四十六種類をつくっていくときは、ことごとく省令の裏づけを必要としたのかどうか。これについてひとつ人事院の方にお伺いをしておきたい。
#271
○政府委員(茨木廣君) それは必ずしも省令の根拠が必要であるというわけではございません。
#272
○小巻敏雄君 こういう取り扱いになるのなら、もともと手当をつけるためには好むと好まざるとにかかわらず人確法を実行していくためには省令化が必要であったというようなことは、いまになればこれはナンセンスなんじゃないですか。特勤手当をつけるなら前から払えたわけなんじゃないですか。規定の整備をしたり省令を出したりしなければ給与を支払う道が開けないというのは、これはいまになってみれば偽りであったということになるのじゃないでしょうか。文部大臣、いかがですか。
#273
○国務大臣(永井道雄君) 私どもの方として三月七日の文書に「規定の整備と相まって、」というふうに申しましたのは、やはり主任というものについての明確な性格づけというものが必要であると考えたからでありまして、そしてその考えに基づいて作業を進めて、これが省令となったわけでございます。それで、それをいま人事院において給与の角度から御検討を願っておりますわけでございまして、私は昨年来の作業、それから省令というものは、やはり主任の性格を明確にしていく上で、そしてそれに対しての待遇を考えていただく上で、必要な手続であったと考えております。
#274
○小巻敏雄君 人事院の方にお伺いをしますけれども、第二次勧告の説明で、主任に手当でもつけるなりそういう特定の手当を改めて創設するためには、規定の整備というものを前提として持ってこいというようなことを言ったのですけれども、これは特勤手当など取るときにはそのときからやれたのじゃないですか。それから予算もちゃんとあったわけでしょう。そういうことをしないでおいて、規定を整備してこい。ここのところから全国に大きな混乱を巻き起こすような省令化と、そして各県の規則整備の問題が起こってきているわけですね。そして、いまになってみれば、三年前からでも五年前からでもやれた方法があったということで特勤手当を出してくる。これは人事院は大きな責任があるんじゃないですか。なぜやらなかったんですか、二次勧告のときに特勤手当というものを。どういうわけですか。
#275
○政府委員(茨木廣君) それは少し取り方が違うので、いま問題になっております特勤としてつかまえております困難性というか労苦性というものが一体どこから出てくるか。これは肉体労働的な物理的な意味の危険だとか、不快だとか、困難だとかいうことじゃないのですね、いま出てきておるのは。非常に精神的というか、専門職的な方の中でそういう仕事をやっていく上についての困難性だろう。そこで、一体どういう仕事をやるのだということが明快になってもらわないと困るのだという点が大変一つのポイントとしてあったわけです。今度の制度化で出てきたのがそれはいま指導職と言われておりますが、連絡調整、助言指導ということが中心概念として出てきておるわけです。その内容が職務分担なんだ、そういう内容の職務分担をやる上についての困難性というか労苦性というものが浮かび上がってきた、こういうことだと思うのです。そうでない従来のままでございますと、まず一体主任というようなものがあるのかないのかということは制度上の根拠が一つもない、どういうことを中心にやるのかということもない、任意のものであったわけでございます。それから人数も、大変いろいろ種類が多い。そういう点をやはり文部省の方の責任においてはっきりしてもらわなければいかぬじゃないかというようなことがいろいろあって、それで昨年の御要望の中にも制度化と相まってこちらの方で考えてくれろという要望になっておるわけです。ですから、やはり物理的にはっきりしておるものならそれはつけようがあるとは思いますけれども、そういうものではない。大変精神的な作用を伴うお仕事であるわけで、しかもいろいろな先生方がいろいろな職務分担をやっていらっしゃる。その中から特にこの人々がそういうあれが強いのだということをやはり文部省側のあれとしてはっきりしてもらわぬとこちらも料理のしょうがない、こういうことであったわけであります。ですから、やはりほかの場合とちょっと違いますものですから、そういう段階がどうしても入ってきてしまうわけであります。
#276
○小巻敏雄君 やっぱり、いまの説明によれば、もし従来から職場の中で育ってきた自主的な主任と今日でも同じでやるというわけですから、こういう人たちに現場から積み上げてきた主任に御苦労手当で要求をしていくなら、管理職でなければ二次勧告のときからやれたということじゃないですか。文部省の方は、それじゃ、管理職を取りにいっておったわけなんですか。管理職を取りにいったから、主任を管理職にするということで要求するから、それで規定をつくって出直せということになったと。初めから今日のように指導の職、特別な勤務に対するものを要求しておるのであれば、二次勧告のときにやれたわけなんじゃないですか。そうでないということにはならぬですね。先ほどからの説明は、どうしてもそうならぬですね。いかがでしょう。
#277
○国務大臣(永井道雄君) ただいま給与局長の方からもお話がありましたように、主任というのはわれわれもちろん実態を尊重いたしまして制度化をいたしましたけれども、しかしながら、その実態そのものの中にはきわめて多様なものがあるわけでございます。そこで、その多様なものの中に、たとえば仕事といたしましても、いわば労苦の軽重というものがあるものもあります。そこで、この制度化までの過程におきましては、学校の中における仕事の重要性であるとか、あるいは全国的な普及度であるとか、そうしたものをまずわれわれの作業として調査をする必要があったわけでありまして、それに基づいて省令をつくったわけでございますから、したがいまして、私は「規定の整備と相まって、」ということに基づいて今日までの作業が行われてきた上で人事院でお考えいただくというのは、いわば必要な、また当然のプロセスであったように考えます。
#278
○小巻敏雄君 第二次勧告から第三次勧告に至るまでに、文部省は主任に対する給与上の措置を求め続けてきたわけですね。そうして、それは管理職とするということで法整備を行って、そうして管理職としてつけるというふうにいま言われたところでは人事院も理解しておったし、そのために法の整備を必要とした、こういう筋道にどうしてもなっておると思うわけです。だから、もし初めから特殊勤務手当で御苦労賃を払うということなら、何も法の整備も要らないし、そうして二次勧告のときでも開かれる道はあったんだと。ところが、文部省はその道を通らないで、現に存在しておる主任を管理職化するということをこうねらってやってきておったから、この制度化が必要であったんだということにどうしてもなると思うわけであります。しかし、それはそれとして、文部大臣がこの主任を管理職員としてではなく指導の職員として今日まで民主的に成長してきたものを変更しないというふうに言われておるのは、私どもとしてはよいことだと思うわけですね。しかし、こうなってみると、もう制度化も何も要らぬのじゃないですか、どうですか。特殊勤務手当で払うというなら、もともと払うための必要な措置としての法制化というのは、実はここへ来るまでの一つの道筋であって、こういうものでやるということになれば、法制化の必要などは初めからなかった。だから、つくってしまったところは仕方がないとしても、いまから残っておるところですね、五県はすでに任用を行い、それを含んで十四県が規則制定をしたというのですけれども、残った多くの県はこの問題で悩んでおる。これに対して手当を道具に使っていままでずっと世論誘導をやり、そして各個撃破でこの法整備を迫ってきたのでありますけれども、もしも人勧が特勤手当というようなことでやるのなら、もう一切こういう問題に対する各県に対する規則整備の押しつけというのはやめてもらわなきゃならぬと思うのです。いかがですか、文部大臣。
#279
○国務大臣(永井道雄君) 私は、先ほど省令をつくるまでの手続と申しましょうか、プロセスについてお話し申し上げましたが、やはりその省令をつくるのには実態に基づいてつくる必要があったわけでございますし、そこで今度はまた、省令というものに基づいて自治体の教育委員会が規則をつくりませんというと、先ほどから申し上げますように、主任というのはきわめて多様でございますから、混乱を生じるのではないか。したがって、そういう規則をつくっていただくことが妥当なのではないかというふうに考えている次第でございます。
#280
○小巻敏雄君 それは、いままでの一般職給与法の中でなじまない新たな給与、職を新設するということになれば、その前に規定の整備もあるでしょうけれども、具体的にいまこの特殊勤務手当の法の状況をずっとつぶさにお伺いもしましたし、私も労働組合でやってきたんだからそのぐらいのことは知っているんです、初めから。この中からどこを見たって法制整備をしなければ特殊勤務手当を払わないなんということはないですよ、こういうことはね。だから、四十七種類か六種類に及ぶもの全部、これの背後になる法制が整備されておるか。そうでないでしょう。だから、結局のところ、いまからこういう状況になるというのなら、もう冒頭にお伺いをしたように、二点お伺いしたんですが、一つは、従来の主任を現状変更を行わないで充実させ育てていくと。二番目にお伺いした点についてですけれども、どうしても給与上の措置をかち得るためには、この省令化と規則制定というのは通らねばならぬ道であったということを言われておるわけです。しかし、もし人事院が勧告でこういう方法をとるのなら、通らねばならぬ道でなかったのだということを国民の前ではっきりさして、この点はひとつ根本から見直してもらいたいと思うのです。少なくとも文部大臣は、この内容についてこういう解釈を人事院から行われておるのなら、これに対してやっぱり一定の批判、見解も述べて抜本的に考え直すと、こういうふうにやってもらいたいと思うわけです。
 時間も参っておりますから、残った問題はまた引き続いてお伺いをしたいと思うわけであります。
 ここで須藤委員と交代いたします。
#281
○須藤五郎君 私は、きょうは高校建設費に対する国庫補助の問題で質問をする準備をしてきております。
 その前に、率直にこの主任制の問題につきまして一言私は意見を述べたいと思うのです。
 けさから私は各委員と大臣とのやりとりをずっと聞いておりました。しかし、私は教育者じゃありませんです、単なる音楽家ですが、その教育者でない私が父兄の立場に立って大臣のお話を伺っておりましても、何でこの主任制の問題が必要なのかということがどうしてものみ込めないんですね。教育というものは、人と人の和の上に成り立つものだと私は確信しておりますよ。それを、ことさら好んでそこに石を投げ込んで和を破るようなことをなぜしなきゃならぬか、その説明が何にもされていないように思うのですね。だから、私は聞いておって不思議で仕方がないのです。これは悪く勘ぐれば、どうも文部省の考えていることは民主教育を破壊することを考えているのじゃないかというふうにも勘ぐられる節があるわけです。だから、この点、大臣、よく考えて、本当の教育を守るという立場に立ってもっとよい方法があるはずだと私は思うので、その点よく考えていただきたい、これが私の意見です。また機会がありましたら議論をしてもよろしゅうございます。
 それで、高校建設費に対する国庫補助につきまして――大臣は五時に予算委員会の方へいらっしゃるという通知が来ましたが、大臣、もう少ししんぼうしてください、私は十五分ぐらいで仕上げたいと思いますので。
 来年度から初めて高校建設費に対して国庫補助費が設けられましたが、これによって来年度から建設されるすべての高校建設に対して国庫から補助金がつくことになるのかどうか、それとも、補助がつくものとっかないものとが出てくるのかどうか、これをひとつ簡潔にお答え願いたい。
#282
○国務大臣(永井道雄君) これは補助がつくものとつかないものがございます。
#283
○須藤五郎君 それはどういうことでしょうか。
#284
○国務大臣(永井道雄君) 管理局長から具体的に御説明申し上げます。
#285
○政府委員(清水成之君) 高等学校の新増設の経費につきましての国庫補助の問題でございますが、危険建物は除きまして、現在起債と交付税でこれに対応してまいるというのが高等学校建設費助成に対する基本的な原則に相なっておったわけでございます。それを今日の高校生急増期に対しましてほうっておけないということから緊急対策として国庫助成の道を開いておる。そういう緊急措置でございますので、補助に当たりまして要件を考えておるわけでございます。
 その場合に、要件といたしまして、建物を補助の対象としてまいる、そして補助率は三分の一にする、こういう前提が一つございます。あと、細部の補助基準と申しますか、交付要綱、こういうことにつきましては、五十一年度の各県におきます高校生の数あるいは進学率、こういうもの等をもう少し勘案する必要がございますので、具体的にはもう少し話まった段階で決めたいと思っておりますが、基本的な考え方といたしまして、緊急対策でございますので、一つは五十年度におきます進学率の全国平均というもの、こういうものと、それから五十一年度におきます各県の進学率がどういうふうに動くか、ここを一つ関係づけて考えていきたいという点がございます。もう少し申しますと、現在進学率九一・九%に相なっておりますが、それ以下の県もあるわけでございまして、過疎県等がございます。それを引き上げていくという教育機会均等の線がございます。一方、急増県におきまして、これをほうっておきますと全国平均すら満たし得ないという状況が近いうちに来るということを危惧いたしておりまして、その場合に五十年度の進学率をひとつ操作上考えてみたい、これは五十一年度の補助の場合でございます。
 なお、こういう情勢でございますので、公立におきましても調べてみますとあき定員が現にございます。それから私立につきましてもあき定員がございます。そこで、公立、私立のあき定員をお互い活用するということは、今日の情勢下当然ひとつ考えていただかなきゃならぬ。こういうあき定員を活用するという点。それから先般大臣が予算委員会でお答えいたしましたように、各県におきます適正な財政運営の自主努力、こういうものを配分上何らかのかっこうで反映をさせたいと、こういうことでございます。ただ、大臣が申しましたように、現在自治省が積算上持っております公立高校の授業料を三千二百円にしなければ一切補助対象にしないということは考えでおりません。
 こういう五十一年度の補助配分に当たりましていまのような三点を考えますと、先ほど大臣からお答えしましたように、補助対象になるもの、あるいはならないものも出てくるのではないか、こういうふうに予想をしておるわけでございます。
#286
○須藤五郎君 政府として金の点からそういう意見も出るだろうし、いろいろあると思いますけれども、大臣、高校建設のために各地方自治体が一様に苦労しているということもこれもおわかりのことだと思うのです。だから、私は、ここで文部省としまして来年度以降の高校建設に対してはすべての高校建設に補助をしていくということを方針として明らかに私はしていただいた方がよいと思うのです。これは私は文部省として当然とるべき方針だと、こういうふうに思っております。全国の都道府県当局はそのことを心配しておるんですね、みんな。ぜひすべての高校建設に国庫補助をしていくのが文部省の方針であるということを私はここで明らかにしておいていただきたいと思いますが、どうでございましょう。
#287
○国務大臣(永井道雄君) これは、高校新増設に当たりまして、従来起債によってきたわけでございます。そこで、今後も原則的にはやはり起債というものに依存するということは私は原則として今後も続くものと考えられます。ただ、文部省といたしましては、昨今の高校生の急増という事態がございましたので、従来から国庫補助によるところの高校新増設を考えておりましたのですが、これは幸いにして本年度これを御検討、御審議いただける段階に到達したわけでございますが、今年度だけでなく、今後五ヵ年間を算定いたしますと緊急事態というふうに考えますので、国庫補助を今後五ヵ年間にわたって緊急対策として考えていきたい、かように考えておりますが、しかし、すべての高校の新増設というものを起債から国庫補助に切りかえるというふうには考えていないわけでございます。
#288
○須藤五郎君 国の補助が全く不十分なために、各県ではどういうことが起こっているかということなんです。その一例を私はここで挙げてみますが、山梨県では五十二年開校の計画で二つの高校の建設が予定されておりますが、その用地買収につきまして多額の市町村負担がやられておるんですね、地元負担が。例を挙げますと、県立東高校の場合、市町村負担分が一億七千万円、うち甲府市は一億五千八百万円と、こういうふうになっております。それから南高校の場合は、市町村負担分が一億三千六百万円と、こういうふうになっておるわけですね。これは名目は自主的寄付だということになっておりますが、実際は用地買収費を市町村に割り当てておるのが実情なんでございますね。大臣はこのことをよく御存じでございましょうか。
#289
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの山梨の特定のケースについては、私は存じておりません。
#290
○須藤五郎君 私のところにそういう訴えが来ておりますから、そういうことを大臣に参考までに申し上げて、こういう事態があるということを頭に入れておいていただきたいのです。
 そこで、自治省に聞きますが、県立高校の建設費について市町村に負担をさせるということは一体正しいのかどうか。地方財政法ではどうなっておりますか。自治省の方にお答え願います。
#291
○説明員(関根則之君) 地方財政法の二十七条におきまして、県が建設事業を行いますときに市町村に負担金を課することができる規定があるわけでございますが、その中からは、高等学校の施設の建設事業が明文をもって除かれております。その意味からして、こういう形の負担金は取ることができないというふうに考えておるわけでございます。一方、同法の二十八条は、県の事業費等につきまして、その経費の負担を他に転嫁をしたり、あるいは法律で定められております経費の負担区分を乱してはならないというような規定があるわけでございまして、こういった法律の制度から考えまして、都道府県立の高等学校を建設いたします際にその経費を市町村に負担させるというやり方は、法律の趣旨に反するものであるというふうに考えております。
 ただ、問題は、全く純粋な寄付金というものがあった場合にどうかという問題でございますが、同じ地方財政法の四条の五におきまして割り当て的な寄付金というものは禁止をされておりますけれども、たとえば篤志家の寄付金でございますように全く自発的な意思に基づきました寄付金というものは禁止されているわけでございませんので、もしそういうものがあるとすれば、それは必ずしも違法ではないというふうに考えております。
#292
○須藤五郎君 地方財政法の二十七条の三でそういう寄付行為は禁止されておるということははっきりしておりますね。それでは、市町村の自主的寄付ならば認められると、こうさっきの答弁はおっしゃるわけですか。そうですが。
#293
○委員長(山崎竜男君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#294
○委員長(山崎竜男君) 速記をつけて。
#295
○説明員(関根則之君) 全くの自主的な寄付金というものは、私人でありましてもあるいは法人でありましても、一概に禁止をされておりませんので、そういうものは禁止をされていないというふうに考えております。
#296
○須藤五郎君 それじゃ、本当に自主的な寄付かどうかというその判断は一体どうするんでしょう。どこで見分けることができるのですか。
#297
○説明員(関根則之君) もちろん、法律の解釈といたしまして個別のケースが起こってまいりましたときに、個々の条件というものを判断をして判定をしなければいかぬというふうに考えております。ただ、もちろん自発的な寄付金という名前をかりまして県が実質上割り当てているとか、あるいは実態的に本人の本来の意思に反して、本人は出したくないけれどもそれを結果的に出さしておる、名前はたまたま寄付金という名前を使う、こういうものはもちろん禁止している違法な寄付金なりそういうものになるというふうにわれわれは考えております。
#298
○須藤五郎君 山梨県の一例を申しますと、県は国から補助がないからことし高校を建てることはできない、こういう言い分ですね。それで、市に対して補助を求めるというような形が出てくるわけですね。そうすると、この法律のたてまえから言ったらそういうことはできないはずなんですね。法を犯してまでも地方自治体におんぶしていこうと、こういうことなんですね、県は市に。しかし、これは市会でも問題になってきているんです、甲府市においてですね。これはおかしいじゃないか。やはり今日の情勢でいきましたなら、地方自治体でもどこでも財政は困難なんです。非常に苦しい立場に置かれているのですね。そのときに国が金を出さぬ、補助をしないために、県はそれをまた下の方へおっかぶせていくという、こういう状態がずっと起こってくるわけですね。そういうことは私は好ましいことじゃないと思うのですね。名目はあなたもおっしゃったように自主的寄付になっておりましても、実質は市町村に負担を転嫁しているのが実態なんですね、今日の。いろいろ事情を聞いてみますると、自主的寄付とはどうしても言えない面がたくさん出てまいります。自治省は、山梨県のようなこういう場合をどう考えられるか。好ましいことだとお考えですか。どういうふうに考えていらっしゃるのですか。
#299
○説明員(関根則之君) 山梨県のケースにつきましては、先生からの御質問があるということも事前に連絡がございまして、私どもの方で急遽県に連絡をしていろいろ事情は一通りは聞いておりますが、詳しい実情をまだつかんでおりませんので、この具体のケースが果たして違法なのかどうかということをいま断定的に申し上げることができないわけでございますが、先生おっしゃいますように、県の財政負担を軽減させるために実質的に市町村が出したくないものを取っておるというようなことであるとすれば、それはやはり好ましいことではないというふうに私どもは考えております。
#300
○須藤五郎君 そういう場合には好ましいことでないという自治省の見解を承っておきます。
 結局、こういうことが起こりますのは、県の財政が困難だから市町村にも負担をしてもらおうということになるわけですね。高校建設費、用地取得につきまして、自治省はどういう対策を一体持っていらっしゃるのか、その点をお伺いします。
#301
○説明員(花岡圭三君) 高校用地の取得、造成事業につきましては、すべて枠外の起債で措置をしてまいる方針でございます。
#302
○須藤五郎君 自治省と文部省は、山梨県のようなこのことがなぜ起こるのか、その原因を調べて私まで報告をしていただきたいと思うのです。また、他の人口急増県でもこういうことが起こっていないかどうかという点もよく調べて報告をしていただきたいと思います。恐らくよその人口急増県でもこういうことが起こっているというふうに私は思っておりますので、それを報告していただきたいと思います。どうでございましょうか。
#303
○政府委員(清水成之君) ただいまの点でございますが、文部省自体としましても、さようなことは好ましいことではないという前提で各県会議でも申しておることでございますので、調べまして御回答をいたすことにいたします。
#304
○須藤五郎君 結局、こういうことが起こりますのは、言うまでもなく、高校建設費、用地取得を含めまして、これに対しまして国の補助制度が確立していないというところからこういうことが私は起こってくると思うのです。こういうことをなくしていくためにも、私は、国庫補助制度を今後確立して、用地を含むすべての高校建設費に対しまして国が補助していくという方針を明らかにしていくべきだと思いますが、文部省の考えをここで伺っておきたいと思います。
#305
○政府委員(清水成之君) 先ほども大臣からお答えしましたように、緊急対策として開始し、いま予算案審議をお願いしておるわけでございますが、本補助制度の考え方としまして、今後におきます生徒数の増、あるいは進学率、こういうものを見る関係がございますので、さしあたり五年間ということに相なっておるわけでございます。そこで、少なくとも五年間は補助制度が継続される、こういう予定でございますが、いま先生から御質問ございました用地を含めて、こういう点でございますが、この用地費につきましては、このさしあたり五年間の対象にはなっていない。その考え方といたしましては、用地につきましては、御案内のとおり、いわゆる不動産でございますし、非償却財産でもございます。また一方、義務教育の用地につきましても現在急増市町村に限ってやっておることでございますので、用地につきましては従来どおり地方財政措置をもって対処してまいりたい、こういうことでございます。
 それからなお、いまの御質問ではございませんが、当初の御質問に関連しまして、後でまたそうじゃなかったというようなことがあっても困りますのでちょっと補足させていただきたいわけでございますが、先ほど三つの要件を申し上げまして、自治省がいま示しておられる三千二百円に授業料を引き上げなければ一切補助の対象にしないということは考えておりませんということは、大臣も申し上げたところでございます。で、それが授業料と全然無関係というふうにおとりいただくと、現在私どもの考えておることとはちょっと違うわけでございまして、一切補助の対象にしないということは考えていないが、配分上このことにつきましては何らか反映をさせるべきではないか、こういう考え方でおるわけでございますが、それではどのような反映のさせ方をするかにつきましては、これは県単位でどういうふうに授業料が決まるのか、こういう推移を見た上で具体的には考えさしていただきたい、こういう趣旨でございますので、あえて申し上げておきたいと存じます。
#306
○須藤五郎君 最後に意見を申し述べたいと思いますが、高校を希望する生徒を全部収容する、入学させるというのは、これは国の方針でしょう。そうでしょう。そうじゃないですか。高校に対する文部省の方針でしょう。希望する者は全部高校に収容するようにしていきたいというのが方針じゃないですか。それならば、国がもっと責任を持つべきだと私は思うのですね、教育に対して。親は非常な財政困難な中でも子供を教育したいという一念で高校へやるわけですよね。それに授業料をうんと取って自分で賄っていけというのは、もしもそんな気持ちで文部省がいらっしゃるならば、非常な間違いだと私は思いますよ。国のために教育を受けたいという人たちに、もっと楽な立場で教育が受けられるようにしていって、初めて私は文部省の役割りが果たせるものだと思っております。だから、そのためには、地方財政が困難な今日、すべて地方財政に任さないで、もっと国が補助率を引き上げて補助金をふやして、そして高校教育が十分になされるようにしていくのが私は文部省の方針でないかと、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
#307
○政府委員(清水成之君) ただいま先生の御意見でございますが、先生の御意見は御意見として理解できるわけでございますが、経済的に楽にしかも充実した高校教育が受けられるようにということは、もう全く同意見でございます。ただ、もう私から申し上げるまでもないことでございますが、国で負担と、こういうようなことにお考えでございましたが、御案内のとおり、文部省としましてできるだけ希望者は高校に入学できるようにという基本原則は持っております。しかし、また一面、この高校教育との適性能力等の関係もまた一面あろうかと思います。また、義務教育化されていないと、こういう点もございますので、そこにつきましてはちょっと先生と考えを異にする点もございますが、基調において、繰り返しますが、経済的に楽にまた充実した高校教育がなされるようにという基調においては同意見でございます。
#308
○須藤五郎君 あなたが誤解するといかぬからぼくは言いますが、いますぐ高校教育を義務化せいということを私は言っているわけじゃないんですよ。それはいろいろ問題がほかにありますから、そういう点をずっと解決していくべきものだと思っております。そういうことを私は言っているわけです。しかし、希望する人たちですね、やはりそういう人たちには高校教育を授ける場というもの、高等学校を全国的に建設していくということ、これはぼくは文部省の方針だと思うのです。それが文部省の方針でないとおっしゃるならばまたこれは別の議論になりますが、それは文部省の方針でしょう。だから、そのためならば、もう少し文部省が補助をしていくべきでないかというのが私の意見なんです。
#309
○政府委員(清水成之君) 先生の御質問を取り違えた面がございまして恐縮をいたします。
 いまの点でございますが、高校教育のあり方も踏まえつつ、できるだけ希望する人が高校教育を受けられるように、またその施設整備がなされる、それをできるだけの何と申しますか、奨励あるいはまた助長をしてまいるということは、文部省の責務であるというふうに考えております。ただ、その場合に、冒頭に申しました高校の設置あるいは管理につきます原則とのかね合いでどこまで国が持ち、また地方財政措置をするか、こういう絡み合いの問題もひとつ十分考えさしていただきたい、かように思っておるわけでございますが、国庫補助の増額につきましてはこれはさしあたり五年間と、こういうことに相なっておりますが、拡充には努めてまいりたい、かように考えます。
#310
○小巻敏雄君 終わりになってちょっと失礼なんですが、一、二分で終わります。文化庁関係の簡単な質問をいたします。
 大阪府の和泉市それから泉大津市両市にまたがる池上曽根遺跡というのがあるんです。堺のいわゆる仁徳陵の南の方で、いわば弥生遺跡の宝庫であります。日本最大の先祖の遺跡と言っていいと思うのです。御承知のとおり、これについては日本考古学協会、第二阪和国道内の遺跡調査会、大阪府和泉市、それが住民運動に支えられまして、いままでの間、法も昨年強化されるまでは文化財保護法の不備な状況の中で発掘保存に努力をしてきたところであります。幸い、文化庁も、昨年の十一月七日に国の文化財保護審議会の答申に基づいて、遺跡の中心部約十万ヘクタールを国の史跡とすることを内定されたということを聞いて大変現地も喜んでおり、私も朗報だと考えて喜んでおるわけなんですけれども、その後史跡指定の内定にもかかわらず官報告示が一向出てこない。その点で法的に正式決定となっていないので、和泉市ではここに苦しいところから緊急買い上げの一億円というような予算も準備しているのですが、年度がわりを前にして執行もできない。非常に心配をした話を再々聞くわけです。年度がわりも迫っておるこの状況下で遷延をされたのでは、せっかくの現地の熱意というものに対しても障害があるだろう、この点で速やかに官報にやってもらいたいと思うのですが、これをいつまでにやられるのか、一言お答えを願いたいと思うのです。
#311
○政府委員(今村武俊君) 文化財保護法によりますと、保護法による史蹟の指定は文部大臣が文化財保護審議会に諮問してその答申を得て具体的な指定地域等を官報に告示するとともに、所有者等に通知して行うことになっております。
 いま御指摘の池上曽根遺跡の問題につきましては、お話にございましたとおり、昨年の十月九日に文部大臣から文化財保護審議会に諮問し、同年十一月七日審議会から答申を得ていて、まだ官報に告示していないという段階にございます。この官報告示がおくれております理由は、現在この遺跡の東の端を縦断する形で第二阪和国道の建設が計画されており、この取り扱いについて大防府教官委員会と近畿地方建設局との間でこれまで調整をしてまいりましたが、まだ最終的な調整に至っていないためでございます。文化庁としては、官報告示に先立って、文化財の保護、財産権の尊重、公共事業の実施等相矛盾する要素の調整を図った方が自後の仕事に便宜であるので、このような措置をとっているわけでございますが、現地ではなかなか話が煮詰まらない模様でございますので、来週中に近畿地方建設局、建設省本省、大阪府教育委員会、文化庁の関係者が相集まりまして協議して話を煮詰め、なるべく速やかに告示するように努力するつもりでございます。
#312
○小巻敏雄君 年度を越えるようなことはないでしょうね、どうですか。
#313
○政府委員(今村武俊君) 利害関係が必ずしも一致しない関係者が集まって協議いたしますので、私どもとしてはなるべく速やかに告示できるように努力いたしますが、そのことについていまこうこうしませんとかこうしますとか、確言することはむずかしいと存じます。
#314
○小巻敏雄君 後ほど報告いただきたいと思います、私の方に。
#315
○委員長(山崎竜男君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
#316
○委員長(山崎竜男君) この際、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。
 先般当委員会が行いました文化財防災体制の実情調査のための委員派遣について、委員長の手元に報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#317
○委員長(山崎竜男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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