くにさくロゴ
1975/05/13 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 文教委員会 第6号
姉妹サイト
 
1975/05/13 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 文教委員会 第6号

#1
第077回国会 文教委員会 第6号
昭和五十一年五月十三日(木曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山崎 竜男君
    理 事
                有田 一寿君
                内藤誉三郎君
                久保  亘君
                小巻 敏雄君
    委 員
                久保田藤麿君
                山東 昭子君
                高橋 誉冨君
                中村 登美君
                藤井 丙午君
                二木 謙吾君
                小野  明君
                鈴木美枝子君
                松永 忠二君
                内田 善利君
                白木義一郎君
                須藤 五郎君
                中沢伊登子君
       発  議  者  鈴木美枝子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  永井 道雄君
   政府委員
       文部政務次官   笠岡  喬君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部大臣官房会
       計課長      宮地 貫一君
       文部省初等中等
       教育局長     諸沢 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省学術国際
       局長       木田  宏君
       文部省社会教育
       局長       吉里 邦夫君
       文部省体育局長  安養寺重夫君
       文部省管理局長  清水 成之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部少年課長   仁平 圀雄君
       文部大臣官房人
       事課長      松浦泰次郎君
   参考人
       日本育英会理事
       長        村山 松雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○学校教育法の一部を改正する法律案(第七十五
 回国会内閣提出、第七十六回国会衆議院送付)
 (継続案件)
○参考人の出席要求に関する件
○教育、文化及び学術に関する調査(当面の文教
 行政に関する件)
○女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の
 確保に関する法律の一部を改正する法律案(鈴
 木美枝子君外一名発議)
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和四十四年度以後における私立学校教職員共
 済組合からの年金の額の改定に関する法律等の
 一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山崎竜男君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、本案に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○久保亘君 七、八点についてお尋ねいたしますが、一番最初に、独立大学院の構想に関して、この独立大学院は、いわゆる共同利用研究所を基礎として設置をされていく場合が考えられているようでありますが、大学の学外にある共同利用研究所を基礎にして大学院が設置をされてまいります場合には、この独立大学院は従来の大学院と大変性格の異なったものになるであろう。と申しますのは、大学の学部と強い連携を持った形でつくられている共同利用研究所に大学院が設置をされる場合と違って、教育機関としての立場よりもむしろ研究機関としての部門が非常に強くなってくるわけでありますから、そういう意味では純然たる一つの研究機関に大学院が置かれる、こういうことになってまいりますと、従前の大学院と基本的に性格の異なるコースが設定されることになるのではないかと思うのですが、その辺について文部省のお考えをお聞きしておきたいと思います。
#4
○国務大臣(永井道雄君) 共同利用研究所を仮に基盤といたしました場合ですが、確かに研究は重視をいたしますけれども、しかしながら、やはりそこで教育を行っていくという意味合いにおきましては従来の大学院と本質的には異なっていないというふうに考えております。どちらの場合にも、今度の独立大学院、一般の大学院いずれも教育と研究の二つの機能をあわせ持っているという点では、学校教育法で申しております第五十二条と六十五条の大学院の目的、大学の目的に即したものであると考えております。
#5
○久保亘君 たとえば、原子力研究所とかこういうようなところにもこの法律に基づけば大学院の設置が可能になるのですか、ならないのですか。
#6
○政府委員(佐野文一郎君) 研究所を基盤とします独立大学院につきましては現在はまだアイデアの段階でございまして、具体的な構想が提案される段階には至っておりません。したがって、その具体的な検討は今後の課題でございますけれども、制度的にはもとより学校教育法一条の大学の一種として独立大学院を新たにつくることになるわけでございます。したがって、大学を設置することのできる主体というのは、学校教育法の規定に従いまして国あるいは地方公共団体、学校法人ということになっております。したがって、独立大学院また大学でございますから、大学として設置をするのでなければ、民間の研究所あるいは各省所管の研究所がそのまま大学院大学として独立大学院の形であっても大学院を設置するということはできないわけでございます。
#7
○久保亘君 共同利用研究所を基礎にして大学院が設置をされました場合にも、これは大学の学部などとやっぱり連携を持ちながら運営をされるということがかなり重視されないと、学部のない大学院大学という立場のみに重点が置かれてまいりますと、教育と研究ということのバランスがある面では従来と変わってくるのじゃないかと、こういう感じがいたしますので、その辺のところの配慮はどうなっているのか、お聞きしたいと思います。
#8
○国務大臣(永井道雄君) いま久保委員が御指摘になっておりますのは、現存の大学内にあります付置研というものを基礎にしてつくる独立大学院の場合だと思いますが、現在の付置研は、御指摘のように、学部との関係というものは相当緊密な関係を持っております。しかし、これからつくり上げていきます独立大学院の場合には、付置研というものを基礎といたしまして独立大学院というものをつくっていくかどうかということは、それこそこれから大学院問題懇談会や大学基準分科会でよく考えなければいけないことだと思います。また、御検討にすでになっていることでございますが、仮にそういうものが独立大学院になります場合にも、やはり十分の理由があっていままでの学部の教育体系というものとは独立をいたしまして研究教育をやっていくということに相なるかと思いますので、これは仮の問題でございますから、学内の付置研を中心にしてどうなっていくかということはまだ今後の課題でございますが、仮にそういうものを中心にしたり、あるいは活用していく場合にも、やはり独立大学院というのは研究、それから教育のカリキュラムのつくり方は学部と変わってくるというふうに考えます。
#9
○久保亘君 次に、連合大学院の考え方について、現在すでに連合大学院設置の構想がブロックごとにいろいろ話し合われているようでありますが、いま文部省が把握されておる連合大学院の構想というのはどこどこにあるのか、それから具体的にその構想としてどの段階まで進んでいるのか、御報告をいただきたい。
#10
○政府委員(佐野文一郎君) 連合大学院の構想は、現在御審議をいただいております法改正によって制度的にはその実現が可能となるものでございます。しかしながら、御指摘のように、現に関係者の間で検討されているものがございます。具体的には、農学系のもので関東の周辺地区の国立大学の間で連合大学院の構想がございます。また、南九州地区の大学の間で同じく連合大学院構想などがございます。工学系では、北陸、信越地区の連合大学院構想、中国、四国地区の国立大学の連合大学院構想などがございます。これらは、まだ構想がなお関係者の間で具体的なものを取りまとめるために検討が進められているものでございます。これらについては、文部省としましても、昨年度あるいは本年度調査費を配賦する等の措置を講じましてその検討を応援しているところでございます。
#11
○久保亘君 すでに新しい法律を想定しながら連合大学院の構想が文部省もこれを後押しする形で進められているということでありますが、連合大学院の考え方の中に、既存の大学に大学院をできるだけ設置をする、大学院をつくるということになれば学部を充実せにゃなりませんから、学部を充実して大学院を設置することによって現在の国立大学を充実をさせていくということのかわりに、財政的に非常に経済的と思われる連合大学院をつくることで振りかえていこうという考え方が一面にあるのではないかという危惧があります。したがって、この連合大学院というものがもし考えられるとするならば、そういう経済的に安上がりの大学院をまとめてめんどう見ようという形のものでないということになるならば、連合大学院の教官の配置であるとかいうようなことについて一体どういうふうにやられていくつもりなのか。そして、連合大学院の教官の確保などということが見通しが立ち得るのかどうか。その点について文部省のお考えをお聞きしたいと思います。
#12
○国務大臣(永井道雄君) 連合大学院の教官組織につきましては、先ほど大学局長から申し上げましたように、いろいろな構想が各方面から出ておりまして、またこれを検討している段階でございますが、これらの構想を見ますというと、教官というのは従来の大学に属して連合大学院の教官を兼任するという方式を考えているようであります。ところで、そういう教官組織を含めました連合大学院の具体的なあり方というのは、いま構想の中にはそういうものはございますが、なお大学設置審議会や大学基準分科会で十分に検討をいたさなければならないものと考えております。
#13
○久保亘君 この連合大学院がブロックを一つの基準にしてつくられていくということになりますと、既存の大学の教官がこの連合大学院の教官を兼務するというような形で果たしてこの連合大学院の運営が現実に可能なのであろうか。そういう点で、私は、各大学に大学院が設置される場合と、こういう連合大学院的なものにまとめられる場合と、果たしてどちらが教育研究の機関としてより充実し得るのかという点については長短いろいろあるのではないか、こういう感じがしてなりません。連合大学院が専任の教官を中心にして構成されるいわゆる新しい大学院大学の設置であるという考え方ならばまた別の見方もできるだろうと思いますが、そういう点で連合大学院の構想というのは財政上の立場を配慮に入れた安上がりの大学院、そのことは今度の法律の中で大学院の研究科を認可制にするということとも関連があるような気がいたします。つまり、認可制にすることによって、既存の大学院そのものはもちろん認可制でありますから、研究科も認可制にしていくことによって既存の大学の大学院の充実ということについては一応ストップをかけて、そして大学院は連合大学院の構想に全部移しかえていく、こういうような考え方であります。しかも、教官陣容は既存の大学の教官をもって兼務せしめる、こういうことになれば、連合大学院というのはいわゆる大学院大学としての一つの自立的な新しい大学院としての機能を生かしていけるのか、こういう点についてはどういうふうにお考えですか。
#14
○国務大臣(永井道雄君) まず三つ問題があると思うのですが、一つは、既存の大学院というものを軽視するおそれがないかということだと思います。これは既存の大学院はもちろん軽視するわけではなく、そういうものには引き続いて充実という方向を考えていくということでございます。
 第二番目には、今後、大学に従来のような大学院をつくらないかという問題でございますが、本年度の予算を見ていただきましてもわかりますように、本年度もやはり大学院を従来の形でつくろうとしているわけでございます。
 そこで、三番目に、連合大学院という問題が出てくるわけでございますが、確かに、連合大学院の場合には、従来の大学の大学院におられる先生方が併任されるということ、あるいは兼任されるということを構想の中でもいっておりますが、しかしながら同時に、たとえば関東地区の農林水産系連合大学院の構想を見ますと、多くの専門家が所属のいかんにかかわらず相互に協力することということでございますから、これは大学の関係の方も参りましょうが、しかしその他の研究所の人たちもまた参加するということに相なるのではないかと思いますので、やはり従来の大学院とは違って高度な学問的水準の研究並びに教育を行っていくことができるものではないかと考えております。そうした意味合いにおきましては、経済的であるから連合大学院をつくるということよりも、やはりいまわが国の学術の最高の水準というものを強化いたしていくということが非常にいわば差し迫った問題でございますから、そうした意味合いにおいて独立大学院なり連合大学院というものを考えている、かように私どもも考え、また、各方面、大学院問題懇談会その他においても、そのような意味合いで御議論を願っているというふうに理解をいたしております。
#15
○久保亘君 それでは、独立大学院や連合大学院の教官が兼任というような形で特に連合大学院の場合にその教官として構成される、こういうことになってまいりますると、この連合大学院の管理運営というのはどこでどういうふうにやっていくのか。特にそれじゃ現在の大学にありますような自治という考え方は連合大学院そのものにはどういう形で適用されていくのか、その辺は文部省としてはどうお考えになっておりますか。
#16
○政府委員(佐野文一郎君) 現在検討されております連合大学院について見ますと、参加する大学の教官がその連合大学院にどういうふうにかかわっていくかということにつきましては、二つのまずパターンがあるわけでございます。
 一つは、個人の登録方式とでも申すべきものでございますが、参加大学に所属をする教官のうち、希望する者が個別に連合大学院に登録をいたしましてその連合大学院の教官を兼ねるという方式でございます。これは関東地区の農水産系の連合大学院の構想等に見られる考え方でございます。
 それからもう一つは、講座連合の方式とでも申すべきものでございますが、参加大学に所属する同系統の講座がその希望によって連合して講座連合をつくる、そしてこれが連合大学院の基礎単位となる、そういう考え方でございます。この場合も、教官は兼務の形になるわけでございます。これは中国、四国国立大学連合大学院、工学系のものでございますが、その構想等に出ているものでございます。
 いずれの場合にしましても連合大学院の場合にはいずれの大学からもいわば独立をした連合大学院の本部というものを設けまして、そしてそこに委員長を置き、さらに教官をもって組織をする協議会を設けて、その大学院としての運営を独自に考えていくという構想になっているわけでございます。いずれにいたしましても、連合大学院の設置の基準につきましては、現在大学設置基準の中にはないわけでございます。で、法律改正がもしお認めいただけますならば、直ちに大学設置審議会の基準分科会の方に諮問をいたしまして、独立大学院の場合の設置の基準、これは教官組織の問題、特に専任教員をどうするかという問題、あるいは校地、校舎等の施設設備の基準の問題、さらには図書等の学術雑誌等の冊数の基準、そういったものについて御検討をいただくということにいたしているわけでございます。
#17
○久保亘君 これからまたいろいろ連合大学院の管理や運営については検討になるというようなことのようでありますが、原則として、連合大学院にしても独立大学院にしても、この大学院の運営というのは、従来大学に認められております大学管理機関の権能的なものがこの大学院についても適用されていくという、その原則は守られると考えてもよろしゅうございますか。それとも、本部をそれぞれの大学に置き研究所に置くことによって、大学院というのは、まあ言ってみれば主たるその人の身分にかかわる勤務ではなくて、これは副業的な立場で従属的な立場でその身分というものが大学院には連結される、そういうような形になるものですか。
#18
○国務大臣(永井道雄君) まず、この連合大学院の管理運営がどうなるかという問題の詳細につきましては、先ほど大学局長から申し上げましたように、今後の検討を経なければならないわけでございます。しかしながら、その原則というものについて申し上げますと、これは先ほど申し上げましたように、法律に定められました大学院でございますから、やはりその管理運営というのは、学問の自由を重んじまして、そして自治の原則によって運営されていくという点は従来と変わりなく、またそれが守られるものであると考えております。
 なお、併任ないしは兼任になります場合、どちらに重点が置かれるかということでございますが、たとえば旧来の大学院の方に重点を置いてそして兼任になるのかということでございますが、これはこれからでき上がっていく連合大学院の具体的な構造にも関係がございますし、さらにまた、それぞれ個々人によって変わってくる。つまり、連合大学院の方のお仕事の方がむしろ中心になりましてそして旧来の大学院でのお仕事が従になるという方もあれば、その逆の場合も生じてくる。そういうことを具体にそれぞれ検討いたしまして連合大学院を構成していくものであると考えております。
 こういうことは、日本の例で申しますと、理化学研究所、これは戦前でございますが、いろいろの大学に所属されました方々が理化学研究所でいわゆる素粒子グループということでいろいろ協力をされまして、その中から湯川博士や朝永博士が出られた、あるいは仁科博士も出られたわけでございまして、この場合には国立の機関ではございませんでしたけれども、しかし類似の形態のものはあったわけでございます。やはりそこからいま申し上げたような世界的に傑出した頭脳を生み得たわけでございますので、やはり連合大学院というものはそれぞれの大学でも相当の研究はできるはずでございますが、大学院問題懇談会の会長の正田先生御自身が世界的な数学者でいらっしゃいますが、正田先生の御見解でも、元来東大から阪大にお移りになりましてそしていろいろな刺激を受けたということが自分の学問の発展に役立ったと考えているという、そういうお考えの持ち主の方でありまして、懇談会においてもときどき御指摘になりますのは、まあおかしな言葉でございますが、他流試合といいますか、そういうことをやった方が伸びていく、そういう角度で考えていきたいということをよく述べておられますので、そういうふうな形で基本的原則としては考えられていくのではないかと思います。
#19
○久保亘君 独立大学院にしても連合大学院にしても新たな試みになっていくわけでありますし、また学術の高度な長足の進歩ということを考えれば、これらの構想というのが重要な意味を持つことはよく理解できるわけであります。しかし、この独立大学院や連合大学院が、ちょうど私どもの立場から言いますと、筑波大学が生まれることによって大学の管理運営というようなことについて違った新たな試みとなっておりますようなことが、大学の自治とか学問研究の自由という立場について私どもが危惧しますような形で文部省がこの新たな試みに対応されていくということになれば、大変問題があるだろうと思っております。いま大臣の方から、大学の自治、学問の自由ということについては原則的にこれは守られなければならないという立場で考えられるということでありましたから、また具体的にこれらの大学院の構想を出されます段階でいろいろ御質問を申し上げたいと思います。
 次に、いま連合大学院の構想が既存の大学の充実ということの方向に逆行することにならないかということを私は申し上げたのでありますが、文部省が教育白書の中でも学歴偏重の社会の転機を盛んに主唱されているわけでありますけれども、学歴偏重や受験地獄を生み出す要因をつくり上げているものの中に、縦の学歴偏重ではなくて、大学相互間の地域的な格差、大学間の格差というようなものが無用な受験地獄や学歴偏重の社会をつくり出している大きな原因であろうと思う。そういう意味では、既存の大学の充実ということについてもっと積極的に、特に戦後学制改革の中で新たにつくられました大学の充実ということについて、永井さんが文部大臣になられた後、何か積極的なそれらの大学の充実ということについて力が加えられたのかどうか、そしてそのことについてどういうお考えをお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
#20
○国務大臣(永井道雄君) 私は、既存の大学における問題は、久保委員の御指摘になりました地域的な格差ということもございますし、それからもう一つは、よく言われます国公私の格差というものもあると思います。
 そこで、前者につきましては、現在財政的にも容易でない事態ではございますが、本年度も地方の大学におけるいわゆる旧帝大でないようなところ、これはお茶の水あるいは静岡というふうなところで大学院の充実という案をつくりまして、これも御審議を願いましたわけでございます。
 さらに、国立公私につきましては、これは申し上げるまでもないことでございますが、私立につきましては国庫補助というものを法律に基づいて進めていく。その場合に、傾斜配分というものも考えまして、やはり非常に有力な強い私学というものが生まれてくるということを期待いたしております。また、公立につきましても、従来のように医科系に対するそうした高率の補助というものにとどまらず、芸術系公立三大学というふうなものに対する補助にも少額ではございますが踏み切りまして、そういう形で、従来見られました中央と地方の格差ないしは国公私の格差というものを、一挙にはこれは解決はできないと思いますけれども、方向といたしましてはわずかながらでもそちらの方に歩みを進めようと努力をしているわけでございます。
#21
○久保亘君 大臣の御努力になっていることはわからぬでもありませんけれども、それでは私ここへ文部省から資料として提出をしていただきました昭和四十九年度の国立大学の大学別歳出決算額の一覧表があります。この一覧表によりますと、文部省の国立学校予算の全体に占めます割合が東京大学の九・二七%を頂点にして、いま新設準備中の大学は除きましても、既存の大学で〇・一三%という予算しか配分されていない大学まで、八十余りの大学の予算が非常にアンバランスの状態で出されている。もちろん大学の規模とかいろいろなものによって差異があることはよくわかりますが、旧帝大七大学によって大学予算総額の三六%以上を占めております。そのほかの七十数大学で、残りの六四%弱を配分するということになっているわけでありまして、このことは大学教育予算のあり方としてかなりいろいろな問題があるのではないかと私は考えております。このことについて大臣の率直な御見解を承りたいと思います。
#22
○国務大臣(永井道雄君) これは、ただいま久保委員が御指摘になりましたように、上位からとりますと、わが国には旧七帝大というものがあるわけでございますが、御指摘のとおり、旧七帝大の帝を取りまして、要するにその大学というものが上位七位を占めているというのは事実でございます。これは、やはり過去の建設に基づく蓄積というものによって、たとえば付属病院あるいは付置研究所、こうしたものをこの七大学がたくさん抱えているということが最も主要なこれらの大学に対する国庫の財政の配分が集中してくるという理由であろうかと考えております。やはりそこに施設もあり先生方もおられるわけでございますから、研究所なりあるいは病院でいい仕事をしていただくというためには、直ちにこの七大学のお金を減らすということは実際的でないと思います。
 ただ、もう一つの考え方といたしまして、国立大学予算を見る角度としては、国立大学のいわゆる学校の部分と、それから二番目には病院の部分、それから研究所の部分、そういう三つの角度から見ることができると思いますが、病院並びに研究所というものを除きまして、国立学校という角度から見ますと、必ずしも実は七大学に集中しているわけではございませんで、国立学校に配分される予算というものを学生数で割りますというと、私の記憶では一番上位になってまいりますのが東京医科歯科大学になるわけでございます。なお、そのほか東京商船大学というものも非常に重要視されているわけで、東京大学がむしろその後に来るという状況でございます。これは医科大学、商船大学等においてやはり学生のための研究並びに教育というものが非常に経費もかかるということに由来すると思いますが、そういう角度から予算というものも見まして、そして、方向といたしましては、従来あるものを活用いたしますと同時に、やはり新しくでき上がっていく、あるいは学問分野別によって重視をしていくべきものを強化していくということは大事なのではないかと考えておりますが、詳細もしデータが御必要でございましたらば、会計課長から御説明申し上げます。
#23
○久保亘君 いま例を挙げられました東京医科歯科大学とか、それから商船大学などというのは、これは学生数に比べて実習船の問題であるとか、あるいは医科歯科だけを置く大学の場合には当然にその施設設備費が膨大になるわけでありますから、これを学生数で割る基準というのは、余り対比の目安としては役立たないと私は思います。総額で見ましても、東京商船大学は十四億であります。東京大学は五百九億であります。東京医科歯科大学で八十六億であります。私が問題としたいと思いますのは、一体、これらの大学について、研究費、それから図書費とか、そういうようなものについて格差があるのかないのか、これはすべての大学について全く同じ基準で行われているのかどうか、そういうことについてお聞きをしたいのです。
#24
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、教官に対して配当される研究経費につきましては、博士の課程を置いている大学の場合、修士の課程を置いている大学の場合、大学院を置いていない大学の場合で単価に差がございます。
#25
○久保亘君 そういうことだけじゃなくて、実際には既存のといいますか、いわゆる旧帝大といわれた格の大学と、それから戦後新たにつくられた大学との間には、いろいろな研究体制の上で財政上格差が現にあるのじゃありませんか。これは全くありませんか。そういう一つの大学の持っている構成上の基準によってすべて配分されておりますか。その点については、各大学の間に何の不満も残っておりませんか。
#26
○政府委員(佐野文一郎君) もとより、博士の課程を持っている大学に対して配当される教官当たり積算校費というものは、単価としては違いはないわけでございます。そのほかに、いわゆる実験系の講座の場合と非実験系の講座の場合では単価に違いがございます。そういったものはございますけれども、それはいわゆる七大学の場合であってもそれ以外の大学の場合であっても、ドクターを置いているということにおいて同じであれば、同じ積算の基礎において配分はされるわけでございます。ただ、先ほども大臣からお答え申し上げましたように、それぞれの大学がこれまでに発展した間において蓄積をしてきたさまざまな研究所あるいは研究施設等の相違というものはあるわけでございます。そういう意味で教育研究環境の差があるということはございましょうけれども、配分の上でそれ以外の配慮が行われているということはないわけでございます。
#27
○久保亘君 いまのような公式的なお答えですと、国立大学八十大学余りについて文部省としては全く各大学の教育研究について予算上平等な措置がとられておって何も問題はないと、こういうようなことのように聞こえますが、私は実際にはそうではないと思っております。
 それで、過去の蓄積ということを言われますが、これはやっぱりそういう過去の蓄積という名前のもとに、歴史の古い大学、従来日本の中で学歴偏重社会で高いランクの大学と考えられてきた大学に対する予算のつけ方と、それから地方の生まれたばかりの大学に対する予算のつけ方というものはかなり差がある、こう思います。そうでないと、総体予算においてこんなにも開きが出てくるはずはないと思うのであります。地方の大学の中にも総合大学でほとんどの学部を持ち、そして学生数においても旧帝大の後を受けました大学との間にそんなに差異のない大学等もあると思う。それでも、予算に関する限りは段違いの配分になっておる。こういう点は、私は大学間の格差是正ということについて文部省がもっと真剣に検討されなければならない問題を含んでおるのではないかと思うのですが、全くそのことについて問題はないのですか。
#28
○国務大臣(永井道雄君) これはいろいろな問題というものはあると思いますのは、高等教育懇談会でもこれからまず旧七帝大ということを別にしましても大学が大都市集中であるではないかということを指摘しておりまして、現在、これは国公私を含めることになりますが、全国の人口の二〇%を占める大都市に高等教育機関の四〇%が集中している。その結果、そうでない地域とでは、まあ大学というものはそれほど数もございませんし、進学率も比較的低い水準にとどまっている。そこで、こういう高等教育機関の適正配置というものを考えるということをいまいわゆる大学マップという角度から考えているわけでございます。
 私が就任いたしまして以来、実は東京大学というものを今後これほど拡張していく考えがないということも実は公に申しました。京都大学では部局長懇談会にも出席をいたしました。たまたま実は私のおりました大学ですが、今後拡張しないということを事実申したわけでございますが、そういう母校への言い方もあるなということを言われましたけれども、方針といたしましては私はそうであるべきであると考えております。
 たとえば東京大学の比率でございますが、やはり過去の蓄積ということが非常に重要で九・二七%になっていると思いますのは、この九・二七%というパーセンテージも逐年実は縮まってきているのです。ということは、相対的に旧帝大でないところを強化していくという方向だと思いますが、ただ、積算の基準につきましては、先ほど大学局長が申し上げましたように、別に旧帝大であるからそこに教授一人当たりの積算校費を変えるということではなくて、いわゆる博士課程その他そうした客観的な基準によってきているわけでありますから、私は、今後の方向といたしましては、高等教育懇談会でも指摘されていることであり、文部省としてはこれを受けまして、やはり地方の大学というもの、それが必ずしも旧帝大でない場合に、そういうところにやはり今後の重要な研究その他を配置していくということが大事であると考えております。
 さらにまた、今度考えております連合大学院というような考え方も、いま大学院懇談会で御審議を願っていることの一つでございますが、旧帝大だけに集中しないで、そうして他の私学あるいは新しくできました大学に優秀な諸先生もおられる、あるいは学生もいる、こういうわけでありますから、連合組織ができますと、そういうところに人々が交流をするという方向を強化していくことができる。さらに、ただ交流だけではなく、そのことによってかえって学術の水準を高め得るという議論を進めておられるのを私も承っているわけでございます。
#29
○松永忠二君 関連。
 久保委員が言われていることは、私はいまや地方大学の人たちのすべての人がいろいろ主張されていることだと思うのですよ。たとえば教官研究費だとか、教官旅費だとか、学生の費用なんかについて、積算の基礎は違っていないことは明らかだと思うのです。しかし、講座制大学と課程制の大学とは、これはもう教授やあるいは助手の定員などには差があるということは明確である。こういう点について、やはり課程の大学はこれを講座制と同様にしてもらいたいという希望が出ておることは明らかでありましょう。そうしてまた、現実に講座制の大学でもいわゆる昔の七大学とほかの地方大学とでは講座の定員の数にアンバランスがあるということも指摘をされていることであります。しかも、お話しのように、付置研究所であるとか共同研究所というのもその大学にあって、その予算がこれに入っているから自然膨大になって、それも歴史的な一つの積み上げだと言うならその点はそうだと思うのですね。しかし、むしろ私はいま久保委員が言ったより実態はもっとひどくなっていると思うのです。それは何が入っていないかと言うと、研究のいわゆる費用が入っていないわけなんです。これは、学術振興のための研究費については、各教官、教授を中心にして渡されることは事実だけれども、その各地方大学と七大学に渡されている先生の数、それでそれの金額というものをこれに上乗せをしていけば、そういう意味でもっとまたひどい差が出てくると思う。これは事は明らかであると思う。これはあなたの方の関係とは少し違うというなら、学術研究のこの費用ですけれども、学術研究の費用はそれは入っていないわけですから、ますます差はひどくなる。地方大学の先生は、つまり学術研究費についてももっとわれわれの希望をかなえてくれと、七大学にはこういうふうな特典があるじゃないかということを指摘をしているので、私はその質問を聞いていてみて、久保委員が言われて、決算のデータをもって指摘をされていることについてむしろ大学局長の方が積極的にやはりこういうふうな差異があることについて知ってもいるし、不満もあるし、こうだということを言ってしかるべきものである。いや、別に学生研究費は、学生の費用は同じです、教官研究費も同じですという、そういうことで、何か差が全然ないような言い方をすることは、私は答弁としてまことにどうも不親切な答弁じゃないかと思うのですね。そういう点についてはひとつもっと質問の趣旨に答えて、聞かれないから言われないじゃなくて、趣旨に答えてやはり問題点を明らかにして、そうしてその充実を図ってもらいたいということを――別に私は質問でもありません。しかし、久保委員が言われるとおりそれは問題は非常にあるのであって、そういうことを言い張っているならば、もっと細かいデータを要求すれば、これはもうますます明らかになってくると私は思うんです。まあひとつ、これに関連して質問されているようなので、もう少しいろんな要求も聞いているし、知っているんです。事実そういう不満が出ている。こういうことをひとつ考えて御答弁いただきたいということだけ私の希望として申し上げておきます。
#30
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、これから高等教育の計画的な整備を進めていく場合にその非常に重要な柱となりますものが地方大学の整備ということ、地方における国立大学の計画的整備であることは、高等教育懇談会も指摘をしているところでございますし、私どももそのように考えて、地方において学部あるいは学科の構成が必ずしも当を得ていないというふうなものにつきまして、それを計画的に整備をしていくということを考えて、各大学に対しても長期的な見通しのもとにそれぞれの大学の拡充計画というものをデッサンしてほしいということをお願いをしているところでございます。
 まず、基本的に、いま松永先生御指摘のように大都市に所在をしております古い伝統のある大学と、戦後新たにつくられましたいわゆる新制大学との間には、そういった学部学科構成その他において非常な差がございますし、各地方の大学にはそういった点をさらに地方の要請等にもこたえて充実をしていきたいという要望があるわけでございますから、それにこたえるということが一つ必要になってまいると思います。
 それから教官当たり研究費等の場合に、先ほど申しましたように、単価については相違はございませんけれども、その単価に差があるわけでございます。したがって、学科目制の大学の場合には、当然教育研究条件の整備をして、その大学に修士課程を置く、あるいは博士課程を置くというふうなことを望んでいるわけでございます。修士課程につきましては、私どもも教育研究条件が十分に整備をされてくればこれは修士課程を置いていくということは基本的に考えているわけでございます。そういう形で、地方の大学の要請には今後も積極的に対応をいたしていくつもりでございます。
 問題は、博士の課程をどのように整備をしていくかという問題でございます。これについては、現在、大学院問題懇談会で御検討をいただいているわけでございますが、わが国の大学院の場合には、大学院が社会的に機能している状況というものが専門分野によりましてかなり相違をするわけでございます。したがって、直ちに大学院を量的に拡大をしていけばそれで済むというふうな問題ではございません。十分に需給の状況を踏まえ、それから教育研究条件が博士の課程として十分に整備をされているかどうかというところを見定めながら慎重に対応をしていくことが必要になってまいるわけでございます。御審議をいただいております連合大学院の構想を可能にするような法律的な制度の整備というものも、そういった点を考えあわせまして、すでに地方において修士課程を持ち、そしてそれぞれ特色のある教育研究を実施している大学が相協力をしてさらに高度の分野について連合をしてドクターの課程を置こうという構想を可能にしようとするものでございます。そういったことを通じまして、いま御指摘のような実際に存在をしている各大学間の教育研究上のさまざまな問題というものについて私どもも対処をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
#31
○久保亘君 またこの問題についてはいずれ機会を改めていろいろ意見を申し上げたいと思っておりますが、地方の大学の中には、いま松永委員も言われましたように、講座などにも実際は欠陥講座が非常に多くて、教官定員はあっても非常に欠員が多い、こういうような状態のものが数多く見られます。そういうような形になりますと、自然、予算の総枠にも影響していくわけであります。そういう問題もありますから、ひとつ大学間格差の是正ということについて、特に地方の大学の充実ということで努力をしていただきたいと考えております。
 最後に、きのう衆議院で問題になっております大学教官の契約制任期採用の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、この問題は大臣は法律改正を行う意思はない、こういうふうに申されておりますが、それであるといたしますならば、国家公務員法、教育公務員特例法、教育基本法等に照らしましても、教官の身分というものを一定の任期を切って任用するということはできないことではないかと思いますが、それを大学のいわゆる自主的な管理機関の手によって任期制をとらせるということが現実に可能なのかどうか。特に、技術科学大学にその構想をまず持ち込んでみたいと考えておられるとするならば、新たに生まれる大学に最初文部省が教官を任命されるという形の中でこの大学の自主的な管理機関そのものに一定の構想を押しつけてそこでその構想を実現をさせるという、こういう動き方になってくると、これは大学に対する文部省の法や制度を越えた介入、こういうことになるだろうと思うのです。だから、この問題は法改正を行わないという立場をとられる限り、現実には任期制採用ということがいろいろ長所があって理想的だとお考えになっても今日の段階ではその実現は困難である、こういうふうに思いますが、大臣はその点はどうお考えになっていますか。
#32
○国務大臣(永井道雄君) この問題につきましては衆議院におきましても御討議をいただいたわけでございますが、まず明確にいたしておきたいことは、任期制というそういう制度をとりますためには法律改正が必要になります。したがいまして、技術科学大学の人事と管理運営については現行法令に基づいて行われるものでございますから、制度的な意味における任期制というものを考えておらないということでございます。
 ただ、衆議院でも申し上げましたことは、大学において身分保障というものは非常に大事であるというたてまえから従来の制度があるわけでございますが、そしてまたそれを重んじなければならないと思いますが、同時に、大学の人事の停滞性というものは実は大学紛争以来各大学においても討論をしてきたことであるということは客観的な事実である。したがいまして、この大学が発足した後、別に文部省が押しつけるということでなく、大学当局においてこの問題を考えていかれることであろうということを申したわけでございます。しかし、その場合も、仮に論じてある種の考え方を出された場合にも、当該大学に所属されておられる先生が現行法制に基づいてたとえば私はほかへ移りたくないということを言われる場合には、当然制度的にはそうなのでございますから、その先生は、仮にそういう方がいらっしゃるという場合には、疑いなく現行制度上は任期制というものがないわけですから、それに基づいた主張を法的になさるということが十分できる。そういう意味において、制度的な改革は考えておりませんが、しかし、当該大学において人事のやり方というものはいま大学各方面における議論であるから考えられるであろう、こういうことでございます。
#33
○久保亘君 将来の構想としていろいろ大臣の方もこういうことが理想的に考えられるということをいま言っておられる段階であって、現実に法改正がなされないで、その法改正をする意思も現在文部省はお持ちでないわけですから、任期制を新たにつくられる大学があったにせよ、そこに制度として導入することはできない、こういうことでございますね。――わかりました。そうすると、もしこれを任期制的なものを大学管理機関が自主的にいろいろ協議するとしても、それを構想として論じられることであって、現実にそれを適用していくということは制度がそうなっていない以上はこれは実際にはできない問題である、こういう理解でよろしいわけですね。
#34
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの御理解のとおりと思います。
#35
○内田善利君 私もこの法案について大学院構想について質問したいと思いますが、永井文部大臣の一連の大学の改革構想があるわけですが、各大学間の格差を是正するという一つのビジョンがあるように思われるわけですけれども、そういう大学格差を是正するとか、あるいはそうした改革論も必要だと思いますが、まずその前に、教育白書にも指摘されておるように、教育内容の質的向上が図られなければならない、これが大前提であると、このように思うのですが、現在の教育行政を思いますときに、質的向上についてどのように基本的にお考えになっておるのか、まずお聞きしたいと思います。
#36
○国務大臣(永井道雄君) 私は、教育白書において述べておりますとおり、従来拡張という形で進んでまいりましたわが国の学校教育というのは、現在質を充実するという段階に入っておると思いますが、おおよそそれは二点に分かれると思います。
 一つは、小中高の段階におきましての質的改善でございまして、これは主として教育課程審議会を中心にいたしまして現在御審議を願い、方向を見定めていただいている点であります。
 他方、第二点といたしましては、大学の質的向上ということでございますが、これはやはり格差是正とも私は関連いたしてまいると思いますのは、疑いなく私立大学の場合に非常に急膨張いたしましたから、そのためにたとえば経営の内容というようなものにつきましても問題を生じている点がございますから、まずそうしたものを是正しなければならないということが私学振興助成法の趣旨でもあり、したがいまして、それは質の充実と同時に格差是正というものをねらっているものと考えております。他方、しかし、国公立の大学につきましても、私立よりは経済的にいままで恵まれてきておりますが、ただいま先ほどからの御議論もありましたように、たとえば地方が弱いとか、いろいろそういう問題がありますので、こうしたものを一挙に解決はできませんが、逐次改造いたしながら新しい方向をつくり上げていくということが大事であると考えております。
#37
○内田善利君 従来までの大学院構想、画一的なものを改めて、学術研究の進歩あるいは社会の発展に即応するような柔軟な対応が必要だと思うのですが、一昨日も、ゆとりある小中学校の教育ということと、学校独自の独創的なものを十分発揮できるようにしていきたいということですが、大学教育においてもやはりもう少しゆとりがあり、かつ大学が大学院をつくるに当たって創意工夫、そういうものが必要であると思うのですが、この点はどうなのか。
 それと、大学院を設置するに当たって、教員の養成、これはどのようにお考えなのか、まずお聞きしたいと思います。
#38
○国務大臣(永井道雄君) 大学におけるゆとりという問題は、これは単位をどうするかというふうなことに関連いたしてくると思いますが、そうした問題は、私のいままでの見聞では、たとえば理工系大学などにおきまして相当授業数があるということでございますが、しかし他方、しばしば指摘されておりますように、わが国では高校を卒業するところまで非常に過密ダイヤであるけれども、一たび大学に入ると時間が余って困るというような風潮も事実あるわけでございます。そして、たとえば私立大学におきましては、実員が定員の五倍であるとか六倍であるというような学校の数も多数ございますわけで、そうしたような状況の場合には実は学生が大学に参りましても全部を収容して適切な授業を行い得ないというような状況でございますから、あるところではゆとりがあり過ぎると言うと語弊があるかもしれませんが、充実していないという面があるのではないかと思います。
 なお、大学をつくっていきます上では大学教員の養成というものが必要である、それはまことにそうでございまして、そのことのためにも、従来からもっと大学院の構想というものに基づきまして充実してくるべきはずのものであったと思いますが、今回大学院の問題にいろいろと取り組んでおりますのも、一つは研究でございますが、他方においてはそうした研究に基づく専門的な教育を行うことができる人を多数養成することを目標としているわけでございます。
#39
○内田善利君 私がゆとりある教育と言ったのは、時間数とかそういうことではなくて、せっかく大学に入っても、すし詰めでマンモス化された中で十分な勉強ができない。また、理想とした大学に入ってもがっかりしてしまって、せっかく高校まで勉強をしっかりしてきた青年が大学に入って希望を失ってしまう、そういうことのないようにしなければならないと、そういうことについてのお考えを聞きたかったわけです。
 その次に、教育白書について基本的なことをお聞きしたいと思いますが、教育費の規模ですけれども、国民所得に占める割合が日本では教育費が五・五%となっているわけですが、アメリカ、イギリス、ソ連等の先進国に比べてどうなのか、国民所得のパーセントでお願いしたいと思います。
#40
○国務大臣(永井道雄君) これは国民所得に占めます教育費の比率の問題は、実は国際比較が余り容易にできるというふうにまいりにくいわけです。たとえば、いま御指摘がございましたソ連邦でございますが、わが国の五・五%に対しましてソ連邦は八・八%でございますからはるかに高いわけでございますが、たとえばこの場合に公共放送というものもソ連邦の場合には教育費の中に入ってまいりますが、わが国の場合は公共放送というものはこれから除外して数値を出しておりますので、必ずしも国際比較としては妥当な形では現状直ちにできないということでございます。しかし、その前提で申し上げますと、わが国の五・五%というのは西ドイツとほぼ同等、フランスより若干一%程度高い。しかし、いま申し上げましたソ連邦に比べますと、三%ほど低く、またアメリカ、イギリスと比較いたしますと二%程度低いという形になっているわけでございます。
 なお、その内容について申し上げますと、わが国では小中高の学校教育に対する投資というものはこれは先進国と比較をいたしましても相当高いわけでございますが、むしろ高等教育の部門というものは従来さほど高くなかったというところに問題点があるかと思います。
#41
○内田善利君 西ドイツと大体同じということですが、米英に比較して低いわけですね。ですから、もう少しこの教育費――小中高に対しては先進国に比較して高いということですが、財源をもっともっと文部省としては対策を講じていただきたいと、このように思うのですが、今後の対策はどのようにお考えですか。
#42
○国務大臣(永井道雄君) 私が就任いたしまして経験をいたしました二度の予算でございますが、いわば予算の目玉となりましたのがたとえば私学助成であるというようなことからもわかりますように、高等教育という部門を財政的にも拡充してきておりますし、またそのほかに、いわゆる重要な学術研究というものを重視してくる。学術国際局の関係の予算でございますが、こういうものは非常に大事でありますし、今後一層充実しなければならないものと思います。しかし他方、小中以外に、高校段階におきましてやはり問題がありますために、これは各方面においても論議されているところでございますから、四十二億円国庫補助というものに踏み切ったわけでございますが、そうした緊急事態というものには、今後少なくも五カ年間、相当の注意を払わなければならないと考えております。
#43
○内田善利君 次に、こういう状態でございますが、外国人留学生ですね、この受け入れがここ十年間に全大学生の〇・五%ということになっておりますが、フランスあるいは西独、あるいは英国等は四%から九%台になっております。これに比べて、外国人留学生が日本の場合はきわめて少ない。しかも、私も何回か当委員会で留学生待遇問題を取り上げたわけですが、諸外国に比べて低い。文部省当局は先進国並みとおっしゃっておりますが、投書にも何回かこの留学生に関する投書が「声」の欄等に出ておりますが、これも一例でございますけれども、これは昨年の十一月の投書でございますけれども、「ベトナムの在日留学生数十人が、物価高の中で学資難に陥り、日本を見限って、米国に転じるということである。」と、こういったことで、もう少し留学生に対する日本の処遇の施策を講じてほしいということなんですが、こういうふうに諸外国に比べますと、フランスあたりは非常に多いし、しかもアフリカ等からの留学生が好感を持って帰っていっているということでございますが、日本の場合はこういうことでは好感情も抱かないし、せっかく日本に留学した学生がよりよく理解するわけにもいかないし、こういう状況ではアジアのあるいは全世界に対しても日本の好感情ということはなくなっていくのじゃないかと憂えるわけですが、この留学生教育に対する文部当局の対策をお伺いしたいと思います。
#44
○国務大臣(永井道雄君) 留学生の問題は、まことに御指摘のとおり重要でございます。
 基礎的な数字について申し上げますと、確かにフランスあるいはアメリカ合衆国等は非常に留学生の数が多いのでございます。なおまた、イギリスは統計上出ております数字は八千数百人でございましてわりに少ないのでございますが、しかし、実を申しますと、英連邦全体という形で参っております留学生は外国人というふうにカウントしておりませんので、そういうものをカウントいたしますと、フランスに十分匹敵する、あるいはそれを上回る数字であると私も理解をいたしております。
 そこで、そうした国々に比較いたしましてわが国の留学生が学生数の〇・五%であるという理由はどこにあるかということでございますが、この一つの理由は、わが国の学生人口それ自体が急膨張いたしましたために〇・五%ということで足踏みをしている。それでは、留学生それ自体の数はやはりふえなかったかというと、ちょうどわが国の学生と同じような程度にふえてきておりますから、したがいまして、過去十五カ年ぐらいの間に二・五倍程度はふえているはずでございます。
 そこで、次の問題でございますが、あとは数だけではなく、ただいま御指摘がございましたように、留学生に対する処遇の問題でございますが、これは各方面の角度から考える必要があり、現在一つの問題として日本語というようなことがございますので、日本語につきましては東京外国語大学等におきまして特別の日本語科をつくりまして、留学生というものがわが国の学校に言語上適応し得るようにというほか、諸外国の大学に日本語講座を設けまして、まずこちらに来られる前にも日本語を学習されるという道も開くようにしているわけでございます。しかし、何分にも留学生を受け入れる経験という点におきましてはイギリス、フランスのような国々に比べますと大変経験が浅いのでございますから、これは文部省はもとよりのこと、各大学あるいは関係方面の御協力を得まして、ただいま御指摘がございましたように、わが国に留学をいたしますと余り日本に好感を抱かず帰るという方が多いことは否定できないので、これを改善いたさなければならないと思います。
 なお、いま御指摘がございました、ベトナム留学生がお金がないのでアメリカに行くという投書の件でございますが、それは非常に重大な出来事であるというふうに考えましたので、特にベトナムに事態の急転がありました直後には、われわれ文部省でベトナム留学生に少なくもその先の見通しがつくことを予測をいたしまして月当たりそれに対して補助をいたしますという措置をとった次第でございます。
#45
○内田善利君 日本に留学して帰国した留学生に対するアフターケアですね、これは十分注意しなければならないと思うのですが、この点はどのようにお考えですか。
#46
○国務大臣(永井道雄君) これにつきましては、アジア学生文化会館に留学生同窓会という組織をつくられる御努力があり、穂積五一先生を中心にすでに数回にわたりましてアジア各地を回られましてわが国へ留学された方々のその後のフォローアップを御研究になっており、またそれらの方々を再びわが国に招きまして、その経験に基づいてどういうことを改善するかということもお考えいただいているわけでございます。われわれといたしましては、こうした文部省外における御活動というようなものも十分に注意をいたしましてアフターケアの問題を考えなければならないと思っております。
#47
○内田善利君 先ほどの質問あるいは前回の質問で旧帝大の国立大学を中心とした連合大学院構想は考えていないと、こういうふうに答弁があったと思いますが、そうしますと、大学院構想は一つの特色のある学部を中心とした連合大学院構想と、こういうふうに考えてようございますか。
#48
○政府委員(佐野文一郎君) たとえば、現在検討されております構想のうち一つを御紹介いたしますと、関東周辺地区の国立大学の連合大学院で農林水産系のものがございます。これは茨城大学、宇都宮大学、千葉大学、東京農工大学、東京水産大学、新潟大学、信州大学、岐阜大学、京都工芸繊維大学等の関東周辺地区の国立大学が協力をして博士課程を設けて管理運営に当たろうとするものでございます。先ほども御説明申し上げましたように、教官はこれらの大学のうちの教官で希望する者が登録制によってこの大学院の教官を兼ねるわけでございます。学生は、指導を求める登録教官の所属大学の研究室に配属されまして指導を受ける。そして、本部を持ち、独自の事務組織を持ち、また委員長を置き、さらに教官による協議会を設ける。で、学位審査を行うというふうな形のものでございます。現在、各地でこういった構想に類似のものが先ほどお答え申し上げましたように検討されているわけでございます。
#49
○国務大臣(永井道雄君) 先ほど私が申し上げたことから誤解を招くといけないと思いますので一言つけ加えさしていただきますと、私は、旧帝大、特に東京大学や京都大学を拡張するという方向でないというふうに申し上げましたが、連合大学をつくってまいります過程において、いま別に案があるわけではございませんが、事実上東大ないしは京都大学の教官が参加されましてそして連合大学をつくっていくということは十分にあり得るし、またそのことが重要であるということもあると考えておりますので、その点はもし誤解を――必ず旧帝大の人は除外するという意味合いにおいて申し上げたのじゃないので、そこだけ申し上げたいと思います。
#50
○内田善利君 大学院の以前の問題だと思いますが、各国立あるいは公私立等の交流、この交流については大学院の場合は非常にやりやすいのじゃないかと、このように思うのですが、こういう交流をやっているところはございますか、大学院の前の段階だと思いますけれども。
#51
○国務大臣(永井道雄君) 大学院以前の段階、学部レベルで現在単位互換制度について学内諸規程の整備を行って実施が可能になるよう体制を整えたところがございます。これは大学院でなく大学でございます。それは国公私立を合わせますと六十三校でございます。
 それは、具体的に申しますと、たとえば、北海道大学の経済学部と小樽商大、あるいは島根大学文理学部と岡山大学の理学部、そのほか多数そういう例が六十三校に現在まででき上がっているわけでございます。
#52
○内田善利君 この法案ですけれども、四十六年の六月に中教審の答申が出たわけですが、この高等教育改革の基本構想の中で提唱しておるいわゆる高等教育の多様化路線――一種大学、二種短大、三種高専、それから四種大学院、五種研究院と、こういう四種の中に修士課程に相応して独立大学院と、五種が研究院として博士課程に相応ということで中教審の答申が出ているわけですが、これを法制化する第一歩と、こう考えるのですが、そのとおりでしょうか。
#53
○国務大臣(永井道雄君) 中教審答申におきまして、ただいま御指摘のように、四種は大学院、そして五種は研究院というものを構想いたしております。ただ、今度御審議をいただいております独立大学院につきましては、大学とは別個の別種の機関として設けようとしているのではなく、従来の中教審の案は別種のものとして第五種を考えているのでございますから、今度のものはその点におきまして中教審の答申とは異なっているものでございます。全然、中教審の答申と、つまり法制的に申しまして全く異なっております。中教審で議論されました大学院レベルの教育研究というものを強化していく、そういう機関を設置せよというお考えがありますが、その中教審の答申の趣旨に実質的には沿っている面がございますが、法制上は全く異なっていると考えております。
#54
○内田善利君 高等教育の多様化路線を法制化することになると思うのですが、それに加えて大学進学率は五十年度では約三八・三%と、大学の大衆化は避けられない状態になっているわけですが、こういうふうな多様化と大衆化ということになってまいりますと、いわゆる高等専門教育の主流といいますか、これは学部課程から大学院課程に移ると、このように考えますが、いかがでしょう。
#55
○国務大臣(永井道雄君) 大学院の学生の比率というのは、諸外国を見ますというと、わが国よりも比率がはるかに高いわけでございますが、ただ、イギリスなどの場合には、実は大学の学生、学部の学生の数がさほど多くございませんために二二・七%というようなことになっているわけでございます。アメリカ合衆国の場合には、比率も一五・四%でございますし、実数も百万人を超えているということでございますから、実数、比率ともに大学院の学生の数が多いということでございます。わが国の場合には、学部が非常に大きく、したがって、大学院学生数というものを比率で見ますと大変低いというのが実情でございます。
 さて、今後の問題といたしまして、それではいわゆるアメリカ型になっていくかということでございますが、これは大学院問題懇談会等においても現在御検討願っていることでございますが、私の理解いたしますところでは、実はアメリカ合衆国は大学院の拡張をやり過ぎまして、かえってオーバードクターができたり、あるいは大学院、博士課程を終えた人の失業率も高いというものが部門別にもあらわれておりますので、わが国は現在の段階においても大量のオーバードクターがございますから、私はどういう姿で量を考えていくかということは十分慎重に進めていかなければならないことであると考えております。
#56
○内田善利君 現在ある大学院の中で私立大学院ですが、これは非常に厳しい条件下に置かれているわけですけれども、こうした私立大学院に対する特別な財政援助、これを与えなければ私立大学院は非常に格差がどんどんできてくると、このように心配するわけですが、実質的な崩壊にならないようにする歯どめ、これはいかがでしょう。
#57
○国務大臣(永井道雄君) 私立の大学院の問題でございますが、それについては文部省として考えておりますことは二点でございます。
 まず第一に、認可に当たって非常に厳選して注意してまいります。これは従来もそうでございましたが、なお一層そうした点に配慮をいたしたいと考えております。
 第二点といたしましては、本年度大学の助成に当たりまして大学院の博士課程を持っております私学に対する助成を行うという形で私学の大学院の充実に寄与すると、そういう努力をいたしているわけでございます。
 なお、さらに連合大学院というふうな構想が具体化されてまいりますれば、さらに第三点として、私学という場で行われている大学院の研究というものも強化される道が開かれ得るのではないかと考えております。
#58
○内田善利君 時間の関係で、あとまとめて質問いたしますが、大学間の交流も大切でございますが、いわゆる行政の研究機関、これと大学との連携、たとえば東大の宇宙航空研究所あるいは郵政省の電波研究所、こういうような行政と大学との研究機関の交流、これはどのように行われているのか、また、今後どのように考えられているのか、お伺いしたいと思います。
 と同時に、筑波大学の大学院ですけれども、経営政策科学研究科というのがいままでにない学科として発足するわけですが、そこに官庁、企業からの入学者を受け入れるということなんですが、この国内研究員制度が特に筑波大学の国内研究員だけがいままでの国内研究員に比べて非常に優遇をされるわけですが、その理由をお伺いしたいと思います。
 これだけまず聞きたい。
#59
○国務大臣(永井道雄君) まず第一に、大学の付置研と各省庁にございます試験研究機関でございますが、これはいわば目的というものが基本的に違っているわけでございます。付置研の場合には、研究者の自由な発想に基づいて基礎科学を中心とする学術研究を行う。省庁の試験研究機関は行政上の目的に基づきまして具体的な課題を中心とした応用開発研究を行うということでございますから、目的が異なっております。しかしながら、両者の間で研究成果を交換したり、共同研究を実施いたしましたり、研究者の交流が行われるというのが実情でございまして、国全体の研究開発の進行という観点から見ますと、その特色をそれぞれ生かしながら協力連携して研究を進めるということが重要であり、具体的には、先ほど御指摘になりましたように、東京大学の宇宙航空研、それから気象庁の研究機関、あるいは郵政省の電波研究所などは、たとえば宇宙の研究あるいはロケットの研究などについて応用的なものと基礎的なものとの研究交換を行うといっておりますのが一つの例でございます。
 なお、筑波大学にできました経営政策科学研究科でございますが、これは本年度設置されるもので、高度の職業教育、また職業人の再教育を行うことを目的とした修士課程の研究科でございます。その内容は、最新の経営科学的方法と、いわゆる公共部門のポリシーサイエンス、政策科学を共通の基礎理論として、そうしてそれを社会の専門分野に弾力的に対応させようというものでございます。御指摘のように、この機関には官庁に勤めております者が相当数入学をいたしました。相当数と申しますのは、二十人中七人であったと記憶をいたしております。それでございますが、これは筑波でそういう形が始まっておりますが、実は他の大学においてもそういうふうな形で政策科学的なものに現場で働いている人を迎え入れていくという考え方は筑波に限らず進められている実例がございますが、まだ実現に至っていないのでございまして、筑波はこれをたまたまほかより早く発足させたというものと理解いたしております。
#60
○内田善利君 国家公務員が海外に留学する場合は別といたしまして、国内の場合はよくて休職扱い、それから給料やボーナスも人事院規則で最高七〇%しか出ないと、退職金にも響くということなんですが、今度筑波大学で試みられる国内研究員制度は、休職にもならないし、給料も全額支給と、さらに授業料、交通費も支給されるという待遇なんですが、このように優遇し、ほかの場合と違ってくるということになると問題だと思うのですが、筑波大学はとかくもう批判があってできた大学でございますし、産学協同路線をとっていくのじゃないかと、そのように心配されるわけですが、やはり学問の自由を貫徹する意味からこういったことは歯どめする必要があると、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#61
○国務大臣(永井道雄君) いまの先生の御指摘の点は、人事院で行政官国内研究員制度というものを考えまして、それに該当するものとしていまのような待遇が行われているわけでございますが、これは別に筑波大学のためにできた制度ということでなく、他の大学においてこうしたものが発足していきます場合に同じように適用されるものと私は理解いたしております。
#62
○内田善利君 そうしますと、行政官長期在外研究員は、これは海外の場合はいいですが、国内に留学する場合は、いまの筑波大学の構想とは違うと思うのですが。
#63
○国務大臣(永井道雄君) 私の理解いたしますところでは、今度人事院か――私が人事院のことを答えるのはちょっとおかしいのですが、理解いたしますところでは、筑波大学にできましたものに対していまのような待遇を考えているわけでございますが、今後ほかの大学にできました場合にやはり人事院はこうした角度から改めて考えられるというふうに解しているわけでございます。
#64
○委員長(山崎竜男君) 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時五十分再開することとし、暫時休憩いたします。
   午前十一時四十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十五分開会
#65
○委員長(山崎竜男君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 休憩前に引き続き、本案に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#66
○小巻敏雄君 学校教育法の一部を改正する法律案、この学部に依拠しない大学院というものを今後の大学のあり方のその一翼としていまから道を開いていこうというのがこの法律の中身になるわけでございますが、大学院の目的、性格というものとの密接な関連の中でこれを具体化していく際におきましては、第一に現行の大学制度の理念を十分に尊重するという点、そして既存の大学の内容の充実に努める、高等教育のあり方について総合的に検討を深めていくと、この三つの問題との深いかかわり、一体の中でこの問題が具体化されていく、こういうことで進められていくわけでございます。この点については、衆議院でもこれを付帯条件として法案とともに決議をいたしておりますし、参議院におきましても審議を続けてきておるわけでありますが、その中でも各党各会派の質問を通じてもこの問題についてはさまざまな角度から質問が行われてきている。この三つの問題について文部省としては深く重視をして一体的に進めていくという点について一言大臣の御意見を伺った上で質問を具体的にしたいと思います。
#67
○国務大臣(永井道雄君) 衆議院において御決議をいただきました三点でございますが、「現行の大学制度の理念を十分に尊重する」これは今後の重要な原則でございますが、「既存の大学の内容の充実に努めること」という附帯決議の第二点につきましては、これは本年度の予算においても留意すべきことであると考えまして、既設の大学の大学院整備に注意をいたした次第でございます。一、二例を申し上げますと、たとえばお茶の水女子大学人間文化研究科、それから静岡大学の電子科学研究科の設置を図る。ほかにもいろいろ例がございます。
 さらに「高等教育のあり方について総合的に再検討すること」という第三点でございますが、これも私どもとして十分尊重すべきことであると考え、また高等教育懇談会その他文部省におきまして諸先生方にお諮りをいただいている懇談会等の御意見も尊重しながら総合的な検討というものを進めていく。この御決議の趣旨に沿うように努力をいたしたいと考えている次第でございます。
#68
○小巻敏雄君 理念の問題についてもさまざまな審議を通じて問題が提起されてきたところでありますけれども、何といっても大学制度全般に関して学部そうして大学全体に対して自由な研究を促進するために予算がどのように配当をされていくかということは、その理念の実体を成り立たせるために最も重要なことであると思うわけです。ともすれば、この新構想というような方向に重点的に偏って行政的な力点も置かれ、文部行政あるいは予算の配当もそちら側に偏るのではないかというのは、かなりの識者の憂慮するところであります。こういう点につきましては、この三つの付帯条件についても賛同して推進をされようとする文部省ですから、特に予算配当の上でもそのことが正しくあらわされるように進められて、つり合いのとれたものとして既存学部の充実、さらに既存大学に対する大学院の設置、そうして新たに道を開く、いわば先端的な問題の推進というようなことが進められなければならぬと思うわけですが、一番基礎になる各大学の研究経費の問題について今日の問題をお伺いしたいと思うのです。特に経常的研究費の貧困と伸びの悪さということは、各大学の共通の悩みである。この問題について、大臣の言明にもかかわらず、五十一年度予算などをながめても、この問題についての伸びが非常に悪いわけですね。こういう点では、全体計画の中で一方で新たな施策について力点を置き、予算を投じるとともに、力を入れて従来から追求をされておる教官当たりの積算校費の単価、これを戦前の基準まで復帰させるというような長年の目標に対して早急にこれを具体化していくということとあわせて進められていかなければならないと思うわけです。その点についてながめますなら、今年度の予算の配当というのは、非常に伸びが悪いと言わざるを得ないわけであります。特に、「我が国の学術」という五十年八月に出されたものの中でも、その点は一応指摘をしておるわけであります。この問題については、研究者の間には飢餓感が支配しているというようなことにまで触れて述べられておるわけですね。これに対して、一体、今後の展望として書かれたような戦前並みの実現というものを本当にやろうと思っておられるのかどうかというようなところでお聞きをしておきたい。
 この問題についていえば、国立大学におきまして基礎的研究の経費である教官当たりの積算校費の伸びというのは、国の一般会計予算の伸び率と文教予算の伸び率というようなものに比べて当を失して低い、私はそう思うのですけれども、一体文部省ではその点どう押さえておられるのか。一九七〇年度の予算を一〇〇として見ますと、一般会計はすでに三〇五・六という指数を示している、文教予算が全体として三二六・四という指数を示しておるのに対して、教官当たりの積算校費はわずか一八三・三にとどまっている。しかも、その間に消費者物価の上昇率は、これは七六年二月現在で押さえまして一八一・六という状況でありますから、どんなにひいき目に見ても横ばい、この点についてはゼロ成長というふうに見ざるを得ない。しかも、これが実際に使われる場面になっていきますと、これは講座の中で使うということになりますと共同経費などを差し引かれるのでありますから、マイナス成長になっておるということは、だれ人も認めないわけにはいかないと思うわけであります。さらに、この単価自身が、同じく一九七〇年を一〇〇として見ますと、講座制の大学で非実験系一四三・七、実験系一四二・三などを初め、比較的その指数が高くあらわれてくるものを見ても、学科目制の場合で最高で非実験系の一五六・八とか、その中でとりわけ助教授に一五九・六というような指数が出てくるにとどまって、一四〇ないし一六〇であって、物価指数の伸びよりもダウンをしておることは明らかだ。しかも、これが共同経費でかなりに物価の値上がりを受けて、実質的な講座の中で使う金というのはしぼりにしぼられておるのですから、これは飢餓感があるというこの記述よりも事実はもっと深刻であって、飢餓状況に置かれているというのが実態ではなかろうか。ほかのすべてのものの中で、このように基礎的領域がなおざりにされ、そして一面、足りるということはないにしてもいわゆる科研費の方に対してはかなり急速な伸びが見られる。これをグラフにでもしてみると非常に露骨でありまして、こういうところを見ますと、大臣の方で、つり合いのとれた発展、基礎を強化する中で先端の方を伸ばしていくというふうに言われましても、実が伴わないということになります。とりわけ、戦前と今日との状況に対して戦前復帰を目標とすると長く文部省で言われてきたこれの実現についてどのように迫られるのか、これをまずお伺いをしておきたいと思うのです。
#69
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のとおり、教官当たり積算校費は大学における教育研究を進めていく上においての基礎的な経費として非常に大切なものでございます。私どもも毎年その増額のための努力を続けてきているわけでございますが、率直に申し上げて教官当たり積算校費を大幅に増額をしていくということは、現下の財政状況等もございまして非常にむずかしい課題となっているわけでございます。本年度について見ますと、対前年度八%増というような形で査定が行われたわけでございます。これは、一つには、こういった研究費の伸び率というのは、国立大学だけの問題ではなくて、各省所管の研究所等にも共通する問題でもございますので、そういった共通の問題としてなかなか大幅の伸びが困難だという問題があるわけでございます。そこで、私どもとしましては、もちろん教官当たり積算校費そのものをさらに伸ばしていくという努力を続けることはもとよりでございますけれども、今年度からは特別教育研究経費というふうなものを新たに経費として設けまして、教育方法の改善であるとか、あるいは大学において進める特別なプロジェクト研究であるとか、あるいは大学の開放授業、あるいは相互間の交流授業、そういったものに対して経費が支出できるような道を開くことを工夫したわけでございます。こういった経費を伸ばしていくという努力もあわせて続けていきたいと思っているわけでございます。
 さらに、御指摘のように、教官当たり積算校費がまさに研究費として十分に使われますためには、清掃費であるとか、あるいは光熱水料であるとか、図書館の維持費であるとか、あるいは学生の厚生補導関係の経費であるとか、そういったいわば補完的な経費についての十分な増額ということを考えることが必要になってまいります。そこで、こういったものについては今年度は大いに力を入れまして、伸び率としては一七・三%というような伸びを確保いたしたわけでございます。その他設備の充実費につきましても二九・九%の増というような形で、御指摘のような補完的な面について十分な手当てをする、そして教官当たり積算校費が十分に研究のために役立てられるようなそういう配慮もあわせて講じていっているわけでございます。
 なお、学生当たり積算校費につきましては、大学院レベルに特に力を入れまして、博士の段階で二〇%増、文科の場合には三〇%増でございます。修士の課程で一二%増、文科で一八%増というような措置を講じております。
#70
○小巻敏雄君 今日の財政状況ではというふうに言えば、それはどれもこれも今日の不況というのが全体としてある中で、特にいわばマイナス成長する領域と、一定範囲で予算かかなりのカーブで年々成長させられておるものとの中に明らかに行政の選択が働いておるのであってこれが大学の要望に沿い、そうして国民の要望に沿っておるものであるのか、あるいは偏ったものではないのかというのが問題の中心になるわけであります。確かに、言われるように、一方では選択的、重点的な研究投資という方はかなりの急カーブで成長をしておりまして、そこから生まれてくる結果というのは、特に大規模大学では研究を続けていき研究費を獲得していく上ではそちらの方に重点が移るということが必然的に起こってきておる。これをバランスのとれたものにするためには、何よりも教官当たりの積算校費の方をこういう三つの付帯条件も付して新たな大学制度全体に関係のある飛躍をしようというようなときに見直して、そして財政当局にも理解を受け、大きく予算を積んでいくというような飛躍がなければ、これは付帯条件についての大臣の御答弁も空約束になるのではないか。特に、文部省が長年振りかざしておる戦前水準の復帰ということについて、具体策がなければこれはダウンが引き続いて進んでいくのじゃないか。文部省のこの書面によっても、昭和十年から二十年までを一として四千円相当であった非実験のものを見てみますと、五十年のところでその指数は三七八・九倍という程度の数字が上がっておって、消費者物価とダイレクトリーに対比をするというのは大ざっぱにはすぎるかもしれませんが、これの三分の一とは言わなくても、二・五分の一というような状況ですね、口で戦前復帰と唱えながらこういう状況にある。これが実は政策の選択から来ておるということになれば問題は重要であるということですね。さらにその問題について一言お答えを聞いておきたいと思います。
#71
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの教官当たり積算校費単価の問題は、他の選択的な研究費を重視するという問題もありますが、それを一応さておいて、それ自体をどうするかということでございます。そういう角度で考えます場合に、私はもちろん戦前の水準というものを目指していくことが望ましいと思います。同時に、いま小巻先生の御指摘の表を見ていただきましてもわかりますように、たとえば助手の段階でございますが、助手は実験、非実験ともに戦前は手当がなかったものを、戦後はむしろ助手にもそういう角度を考えていくという変化はあるわけでございます。しかし、そのほかのものについては、まさに消費者物価指数との比率におきまして御指摘のような問題を生じている。でございますから、戦後はまず一大学内におきましても、戦前と比べますと、教授、助教授、助手というその格差がどちらかと言えば狭まってきているという面はあると思います。また同時に、大学の数が非常にふえたということもあると思いますが、文部省が目標としているところは変わりなく、積算校費というものは上げるべく努力をしなければならないものと考えております。
#72
○小巻敏雄君 この問題については強く努力を要請するということで本題に入らなければならぬと思うのですけれども、いまのお答えにしても、配分される内部の問題について言及があるわけです。この問題についてはそれでまた一編の物語があるわけで、今後に譲りたいと思いますけれども、この伸び率のバランスというところは、あくまでも七〇年を一〇〇として七六年までのものを科学研究補助金の方で伸び率を見れば二七五というような係数が出ておって、これは講座費の方の一四〇−一五〇どまりになっているものとの格差というものは非常に大きいわけですね。しかも、これがとどまらない趨勢になって毎年毎年累積をしておるわけですから、この辺についての検討という問題もあるわけです。こういう点については、大臣に、特にこの状況がやっぱり正当であって今後もこういうカーブを描き続けるということであるのか、これについてはもっとバランスをとる方がいいとお考えになるのか、その点を大きな立場からひとつお伺いをしておいて進んでいきたいと思うのです。講座費と科研費との関係ですね。
#73
○政府委員(木田宏君) 先ほど御指摘になりましたように、国立大学の教官当たりの積算校費、これは教官一人当たりについての積算校費の伸びに分野別によっていろいろなばらつきがあるということでございますが、学校全体として考えまして、学校の全所要経費というものを、教官当たりの積算と学生当たりの積算という二つの大きな流れで国立大学に対しては予算のお世話をいたしておるわけでございます。したがいまして、一人当たりの積算校費をとってみますと、こういうような数値も出てくるわけでございますが、個々の大学の教官数の伸び、あるいは学生数の伸び、そうしてまた今日の大学におきます教育研究のあり方というものとの相関においてこの数字の意味を私どもは考えていかなければなるまいというふうに思っておるわけであります。大学局長も答弁を申し上げたと思いますが、いま私どもが特に力を入れておりますのは、大学院の研究経費、あるいは学生の指導経費等について、少しでも実態に即するようにということを当面の心がけにいたしておるわけでございますが、何分、国立大学におきます学生の増あるいは教官規模の拡大ということに対応して、それを上回るだけの十分な積算が、今日こうしてごらんいただきますように、予算の数字として見ますと出てきていないというところが一つあるわけでございまして、そのことは、一面から申しますと、確かに国立大学の教官の研究活動というものについて何がしかの心配が起こるのではないかというのは、われわれもっとに感じておったところでございます。そうして、今日の大学のような姿、これをどうするかということは、御審議をいただいておりますように、いろいろの改善工夫をしていかなければならぬわけでございますが、一面におきましては、もっと別の観点から科学研究の拡大ということに積極的な助成をする必要があろうということで、ただいま御指摘がございましたように、科学研究費の総枠の拡大につきましては数年来ことのほか私どもも力を入れまして、一般的な学校の校費の規模の十分でない点等、そのことによって起こってまいります研究活動の縮小あるいは研究活動の沈滞ということを来さないようにするために科学研究費に努力を加えておるというのが今日の私どもの考え方でございます。
#74
○小巻敏雄君 この問題については、科研費の増大という問題と、講座費のいわば実質的ダウンという問題が相まって、いわばそれぞれの研究室でも科研費が当たったか当たらなかったかというようなことが具体的に問題になってくると、そういう状況にもなり、しかも、大型のプロジェクトの研究というのは、これはやっぱり国家主導になると申しますか、公募のものよりも審議会の方から示唆をされたプロジェクトの方が重点になったりいたしまして、基礎に対する相対的な圧迫というような状況も憂慮される面がある。まあこれらの問題を考えますと、急増する科研費、これはこれで別途の意味を持つとしても、いま緊急のバランス上の課題と申しますか基礎的な問題は、この講座費の増額を財務当局にしっかりと認識してもらって、そして文部大臣が格段に努力をされて、この点で少なくとも戦前の二・五分の一とか三分の一とかいうことが大ざっぱに常識的にあらわれてくるような、内部にはいろいろありましょうけれども、この問題に対して大きく努力を傾けられることが当面目下緊急の重点であるということについて、ひとつ文部大臣にそういう御認識でやっていただくようにお願いをしたい。いかがですか。
#75
○国務大臣(永井道雄君) 大学におきまして講座当たりの研究費の問題が教官の間で一つの頭痛の種になっているということは、私も熟知をいたしております。したがいまして、教官の研究というものをやりやすい方向にしていくということについてはわれわれも十分考え、また財政当局にもその点を説明していかなければならないと考えております。
 ただ、やりやすい方法という場合にどうしたらいいかというのは、ただいま学術国際局長からも指摘がございましたように、現在の大学の構造というものが戦前とは変わってきているという側面も一つはございます。また、科研費の場合に、基礎的研究というものを必ずしも軽視するというのではなく、実は基礎的研究それ自身が学際的にいろいろな領域にまたがって大型になっているという面は、これは政府主導とか大学主導ということではなく、学問の性質が変わってきたというところからも起こってきております。
 そこで、以上のような学問の動向、それからまた学校の構造の変化というものを踏まえまして、教官が研究をしていく条件を整備するということを、小巻委員が御指摘になりましたような意味で、それぞれの教官が結局において非常に不満でこれでは仕事ができないという状況でないように、それを解消いたしますように努力をしたいと考えております。
#76
○小巻敏雄君 いわゆる独立大学院あるいは連合大学院といわれるようなものの具体化についてお伺いをするわけですけれども、いわゆる国立共同利用研究所を母体にして学部とは無関係に大学院をつくっていくと、こういうようなことが審議会のこの答申の中でも言われ、ある時期には筑波の高エネルギー研究所の問題がクローズアップをされたりいろいろ言われているわけでありますが、具体的にはどうなっておりますか。
#77
○国務大臣(永井道雄君) 具体的に、まず研究所を基盤とする独立大学院についてでございますが、いまいろいろのことが話題にはなっておりますが、現段階におきましてはいわばアイデアの段階でございまして、本当に具体的な構想というものは提案される段階には至っておりません。したがいまして、具体的な検討は今後の課題でございますが、その主たる教官スタッフや教育研究のための設備や施設につきまして既存の研究所を活用するというそういう方向はあると思いますが、ただ、その場合にも、制度上は学校教育法の第一条の大学の一種としての独立大学院を創設するという原則は守られて進んでいくということでございます。
#78
○小巻敏雄君 アイデアの段階であって、具体的にプログラムをもって登場しておるというような例はいまのところ存在しないと、こういうことだと思うわけですが、この点についてはさまざまな懸念を感じる中でやはり集中をして問題の出てくる点があるだろう。特に、国立共同利用研究所には、設置をされたとき以来の本来の任務というものがあって、必ずしも後継者の養成あるいは教育の領域で役割りを果たすという趣旨ではなかった面がある。しかし、実際には、共同利用研究所にさまざまの大学からやってきて、私は特にホームグラウンドと熊取などは近いわけですから、あすこの状況なんか今度大きなまた新しい炉も置くというようなことで周りの方の利用は一層活発化すると思いますけれども、この中で各大学の研究あるいは学位の取得あるいは後継者の養成と、こういう領域の中でも役割りを果たしているということは、これは承知をしておるわけであります。しかし、それは共同利用研究所としての機能を果たす中でやっておるわけですね。ところが、ここで今日の状況だと、たとえばあすこへ行って研究をしてきて、母校の大学に帰って学位論文を書いてそうして資格を取得するというような際には若干の不便があろうかとは思うわけですけれども、それが逆流をして、いわばそっちの共同利用研究所の方で学位審査ができるように新しい大学院をつくっていくということになると、さまざまな問題が出てくるのではなかろうか。特にこういう点で、できる限り各大学が個性ある充実と発展をするという問題と共同利用は、そこのところが後継者養成にも学位取得にも役に立つという状況を越えて独立大学院でひとり歩きをするということになるためには十分慎重であらねばならぬのではなかろうか。特に、これが具体化してくるときにこの道が開かれますと、国立の場合には現在は大学院がないのですから、置かれる場合には国会の審議にもかかるわけですね、これは。しかし、同様趣旨で、この点では私立と申しますか、学校法人の独立大学院も同じ原則からつくっていくことに道を開くことになっておるというふうに承知をしておりますけれども、そういうことでしょう。
#79
○国務大臣(永井道雄君) 御指摘のとおりでございます。
#80
○小巻敏雄君 その際に、現在たとえば民間の研究所ですね、スタッフを見るならかなり充実をした研究所は見られるところである。現実の問題ではないにしても、日立の中央研究所というようなのがあって、ここのスタッフは非常にすぐれておる。学位を与えるなり、大学院になればそういう点ではスタッフ的に不足はないというようなことが言われて、ここにいわば学校法人を基礎にした独立大学院がつくられるというようなことになれば、これは国会に諮ることも別に必要なく、大臣の認可はありますけれどもつくり上げられていくと、こういう筋道になるのじゃないでしょうか。
#81
○国務大臣(永井道雄君) これは、いまのような例でございますが、そういう場合にも独立大学院としてできていくという形はあると思いますが、これは学校法人というふうになります場合には、当然学校教育法の規定において設置する機関でございますから、そうしたものとしてまず十分の審査を受けなければならない。つまり、いま一例としてある企業の研究所があるがとおっしゃいましたが、企業は営利を目的とする団体でございますから、その研究所がそのままの形で大学院大学とはなり得ないものと考えております。
#82
○小巻敏雄君 そのままの形ではあり得ないということで、それは大学の理念を備え、そしてこの施設、物的人的にこれは基準というものがあるとは思うわけですね。しかしながら、そのことをいわば公開された場所で十分に検討されていくという歯どめというようなものがあるのかどうかということになれば、一般大学に新しい大学院を設ける際とあるいは国立のものに比べて、チェック機能というのは、たとえば国会を通過しないというような点でも、われわれとしてはかなり大きな不安を持つわけですけれども、制度としてはそういうことになるのじゃありませんか。国会審議は必要としないでしょう。
#83
○国務大臣(永井道雄君) ただいま御指摘がございましたように、学校法人というものとして認められ、そうしてそこに独立大学院ができますという場合には、大学設置審議会が審議するということに相なりますから、その点は御指摘のとおりでございます。
#84
○小巻敏雄君 これが杞憂になれば幸いでありますけれども、たとえば、防衛庁の長官は、昨年の六月三十日の横須賀市小原台の防衛大学校を視察された際に、防衛大学校に大学院を設置をするというようなことは必要で文部省にも申し入れるというようなことを言われたことがあるわけですね。山原議員が衆議院でこれを質問しました際には、文部省は申し入れを受けておりませんということでありましたけれども、たとえば制度的に言えば、この法案が法律となった暁には、学校法人の学部を持たなくても、自分で独立の大学院として、たとえば防衛医科大学校というようなものに大学院を設置をするというようなことは可能になり、道が開かれるのではないか。現在であれば医師免許状は取れるけれども医学博士にはなれないという防衛医科大学校が、スタッフをそろえて何を置いていくということになれば、ここに防衛医大大学院というのは法的には道が開かれたということになるわけじゃないでしょうか。
#85
○国務大臣(永井道雄君) まず、防衛大学校でございますが、防衛大学校はこれは幹部の自衛官の養成といいますか、それのための防衛庁の付属機関でございますから、そういう機関である限り、大学院大学とはなり得ないと思います。
 次に、医科大学校につきましても、これは医科大学ではなくて防衛医科大学校でございますから、したがいまして、それもまたそのような機関であります限り、大学院大学、ここで御審議をいただいているものになるということはあり得ないわけだと思います。
#86
○小巻敏雄君 しかし、なんでしょう、通産省の研究所だとか、運輸省の研究所だとか、また、三菱、日立というような研究所でも、これは学校教育法による学校法人として学部がないから現行の法律では大学院を持ち得ないけれども、独立大学院なら学校法人のつくる独立大学院として道が開かれることになるというふうに私は読み取っておったのですけれども、それはならないわけですか。それならそれで結構なんですよ。
#87
○国務大臣(永井道雄君) ただいまのような、先ほど日立、いま三菱のお話も出ましたし、他の官庁の研究所、防衛庁に限らない場合もお話に出たわけでございますが、これはただいま御検討いただいております独立大学院というのは、学校教育法でいっておりますまず大学なんでございますね。したがいまして、そうしたものでなければいけない、そうしたものとして教育研究上特別の必要がある場合に限定して設けるわけでございます。でございますから、先ほど申し上げましたように、たとえば私立の企業の研究所の場合には、当然まず学校法人として大学の根本的な目的に沿ったものとして認められなければ独立大学院になり得ないわけでございますし、また、官庁の研究所も、それがそのまま独立大学院になるということはあり得ないわけでございます。これは防衛庁に限らないわけであります。
#88
○小巻敏雄君 そうすると、かなり形態としては、医科大学校というようなことになりますと、目標は別として、実際に医師免許状もちゃんと出す上うになっておるのですから、姿としては大学と似通った形を持っておる。それは学部がありませんから、現行法規では絶対に大学でないところに大学院はできませんから、いまは道は閉ざされておるけれども、いわば大学院の実体があるから大学になるというような逆流方式が出てくるというようなことはないわけなんですか。
#89
○国務大臣(永井道雄君) 逆流方式というのは、大学院を先につくって、そしてそれに付帯して大学になるという場合だと思いますが、その大学院というものも、この学校教育法でいっております五十二条ですか、そして六十五条の大学というものの目的に沿っていなければならないわけですから、まずそのことが十分に認められなければいけないわけですから、簡単に独立大学院をつくってそして大学になるというふうにはなり得ないものと思います。
#90
○小巻敏雄君 共同利用研究所なりあるいは民間の研究所もしくは各官庁の研究所のごときものが、スタッフとか形式的基準で大学院たる実体にかなり該当するという状況を備えたにしても、その点は先に教育機関と認められることがあってその上でしか大学院を設置することは許されないと、そういう意味でかなり厳格な歯どめがあるというふうにお伺いをすればいいわけですか。
#91
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほど来大臣が御答弁申し上げておりますように、独立大学院というのは、どこまでも学校教育法の規定に基づいて設置をされるものでございます。設置の主体についても定めがございますし、そういう制度である限りにおいては、民間の企業の研究所であっても、あるいは各省所管の研究所でございましても、そのままの形では大学あるいは大学院になるわけにはまいらぬわけでございます。
#92
○小巻敏雄君 理論的にはやっぱり認定をする人の目で確認をされれば大学になることはできるわけだけれども、その過程では、形式だけでなくかなりの厳重な審査が行われる、性格を脱皮することを要求するような審査が行われるというように解すればいいわけかと聞いておるわけですが、そういうことですか。
#93
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほど来申し上げておりますように、制度の問題が基本にございます。そして、その上で、学校教育法で定める大学、大学院の趣旨に沿い要件を満たしているものであるかどうかについて厳重な審査をするということでございます。
#94
○小巻敏雄君 現実の問題としては、防衛庁ですでに準備をされておるというような話は聞いておりませんから、それは緊急の現実の問題ではないかと思うのですけれども、この点、学部を持たない大学院というものが学位審査をやるというようなことを中心に出てまいりますと、どうしてもよほどバランスのとれた全体的な大学のあり方が明らかになり、文部行政の姿勢が確立していなければ、一面では学校法人の独立大学院と、企業の研究所を基礎とするような大学院と、あるいは私はいま一例に防衛庁の問題を取り上げましたけれども、そこに道を開くことになっていくというようなことが制度的には従来とは違って道がつく、このことだけは間違いないことだと思いますので、それについてのチェック機能、これはいま言われましたけれども、非常にいわば不安のある問題だということを申し上げておく必要があります。
 特に、私立大学の場合にしても、一面では良心的に追求をしようとすれば非常に大きな財政上の負担になっているということがあり、私にとっても母校である早稲田大学などからも意見書が上がっておって、こういう点については大学として今日の社会要請にこたえては大学院を置かねばならぬ、しかしながらこれが非常に大きな負担だということがあります。逆に、これが安易に一つのトップレベルのところは高い水準で形成をされるけれども、それに歩調を合わせながら安易なものがつくられていくという危険もまた制度自身は必ずしもチェックをしていないのじゃないか、制度から自動的にこの危険というものは防止されていないのじゃないかということを申し上げるわけです。
 先般来、衆議院で、これも杏林大学もしくは短大にあらわれている驚くような、また一面では私の仄聞するところでも類似した例がしばしばささやかれておるわけですね。この杏林短大のように大学の教授会が十分確立しておるとは言えないというような非常に驚くべき実態とか、あるいは大学の側にあった財政上の大問題、こういうふうなものが政府にとって容易にチェックできないわけでしょう、これは実際問題として。形式的に適合しておれば認可からは落ちないわけですね。そういうようなところに国会のチェックも経ないで大学院を置く道がある。大体その道筋の上に、いわば防衛庁でも各省庁の研究所でも、無理やりに悪意で政府ぐるみで利用しようとすればさまざまなことをやる道筋がもう国会のチェックを経ることなくつけられていくというところに大きな問題がある。この点では、私立大学についても善意と良識を期待するのが基礎になっておって、必ずしもチェックすることはむずかしいのじゃないですか、どうですか。
#95
○国務大臣(永井道雄君) まず、私学について申しますと、従来、大学院ではなくて学部の方ですけれども、それを設置するのが日本の雇用市場が拡大する中で相当設置が急がれまして、数がふえてきたということは事実でございます。そこで、大学院の問題はさておきまして、私立大学それ自体を設置するということについても、現在はこれは振興助成法にもございますけれども、さらにまた高等教育懇談会の中にも大学というものの安易な拡張というものは留意しなければいかぬということがございます。さらにまた、私大審におきましても従来とは違って非常に厳重に審査するという方向が打ち出されているわけでございます。そういう趨勢の中で今度この独立大学院をつくるわけでございますし、それが私立である場合には当然大学設置審においても従来のような形ではなく厳重な審査が行われることと思います。
 で、制度的に申しまして、確かに国会が一つ一つの学校を御審査いただいてつくるという形ではないと思います。ないと思いますけれども、いま申し上げたような趨勢の中でかなり厳重に私立の機関を設けていくということでございますから、仮にもそうでないような場合には、一つの社会的な教育上の問題としていろいろな議論あるいは御検討というものの声が当然上がってくるという意味におけるチェックはございます。制度的な意味において設置を御審議願うということではないと思いますが、そうだと思います。しかし、まず設置を決めます組織それ自体がいま申し上げたようなわけで安易な設置を許さないという方向ですでにやっておりますことは、文章の上からも明らかではないかと思います。
#96
○小巻敏雄君 私大審、大学設置審議会、そして大臣の認可というようなプロセスがあるわけですから、その実力次第といいますか、そういう状況だということはわかるわけですけれども、今日のように長年あった大学の理念にもかかわるようなさまざまな改革が行われた場合に、それが正しく前進するのかしないのかという点は、法律の網の目だけではやっぱり万全ということではない。ちょうどこれに見合うようにというのか、ILO・ユネスコでは研究者の地位勧告というような、学術研究の上ではもしこれが日本の国でも全面的にたとえば研究者の基本法の制定とかそういう姿で実っていきますなら、こういう網の目というものも中身がきちんとつけられて、民間にあれ、あるいは基本的に大学の中にあれ、よしんば軍隊の中にあっても、研究者の地位というものについては、自主、民主、公開というような学問の持っておる独得の意味、内容を基本にして確立をしていくだろう。しかし、そういう点については不十分な点もあって、いわば新しい法改正がマイナスに作用するというようなことがあってはならないという観点で非常に危惧の念を持っておるということです。この際、私大審、大学設置審議会の認可という手続にもかかわらず、文部大臣の決意としては、これらの重要問題についてはもちろん私どもの方から国政調査権によって審議を要請するということでありますけれども、これらの問題についてはすべてプランも経過もそして計画も国会にも諮り進めていくというような姿勢でやっていくというようなひとつ決意を聞きたいということと、この際研究者の地位勧告に基づいて学術会議が基本法制定などについても動いておりますけれども、こういうものについては実現をするのが好ましいことであるのか、必要かというような点についてもひとつ大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
#97
○国務大臣(永井道雄君) このこれからできます独立大学院の問題につきましては、ここでいま御審議をいただいております法の精神というものを重んずるようにいたしたいと思います。ただ、法というのは基本的原則を定めているのでございますから、したがいまして、設置審議会等における検討というものも非常に厳重でなければならない。そこで、文部大臣といたしましては、そうした審議会におきまして法の精神が十分に反映されるように私としてこれは十分に配慮をいたしていく考えでございます。
 なおまた、この独立大学院につきましては、現在大学院問題懇談会におきまして御検討を願っている段階でございますから、そこの御意見というふうなものがまとまります段階におきましては、これは国会を含めまして社会あるいは学界にその懇談会の見解というものが公にされるということは当然のことであろうかと考えております。
 なお、基本法の問題につきましては学術国際局長から御答弁申し上げます。
#98
○政府委員(木田宏君) 昨日の日本学術会議の総会におきまして科学研究基本法を制定したらどうかという意味での勧告を政府に向けて出される旨の議事が多数の御賛成を得たということは、私どもも新聞を通じて承知をいたしました。いずれ所定の手続を経まして政府側にそうした学術会議での御意見が来ることと思います。関係省とも相談いたしまして慎重に検討いたしたいと思います。
#99
○小巻敏雄君 慎重検討というのは、慎重に検討するのかしないのかよくわからない言葉ですからね。ILOの地位勧告もあるという状況の中で提起されているという点は、戦後基本法については早い時期から学術会議では問題意識を持っておられたという中で一層具体的な色合いで問題が提起されてきておる。特にわが国もこのILOの地位勧告は批准をしておるわけでありますし、この点は前向きに検討するというような態度かとお伺いをしておるのですが、文部大臣、前向きに検討されますか。
#100
○政府委員(木田宏君) 一昨年になりますが、ユネスコの総会におきまして――いま小巻委員御指摘の件は、ILOでなくてユネスコの総会におきまして「科学研究者の地位に関する勧告」案というのがかかったわけでございます。私どもも日本政府といたしまして、その勧告の策定に賛意を表した次第でございます。そこに盛られております条項、その他現在の日本の現行体制から考えてみまして、十分に両立し得る中身のものではなかろうかという判断もございました。昨日の日本学術会議の御意見がそのユネスコの科学研究者の地位勧告というものを念頭に置いておられるやに承っておるわけでございますが、どのような中身のものをそこに御構想であるか、そうした点につきまして御説明もあることと思いますが、それを待ちまして私どもも考えたいと思っておる次第でございます。
#101
○小巻敏雄君 先ほど慎重検討ということでしたが、それは前向きの精神における慎重検討なんだというふうにお伺いして間違いないですね。
#102
○政府委員(木田宏君) 中身の実体につきまして意味のあることを考えていくということであろうかと思うのでございますが、きのうの論議の中身がどういうことでございましたか、どういう科学研究基本法ということを御構想になっておられますか、いずれ正式の書面とまた御説明を拝聴したいものだと考えておる次第でございます。
#103
○小巻敏雄君 続いて、いわゆる連合大学院の問題についてお伺いをしたいわけであります。
 この方面は、関東でも、農系もあれば工業系、こういうもので幾つかのプランを調査費もつけられて具体化中と申しますか、そういうふうに聞いておりますし、九州、四国の地域でも幾つかの問題が博士課程を中心に検討されているということですが、すでに審議会の置かれる前に報告段階からこれはやっぱりメリットとそれからリスクがあるという点については幾つか触れられておるわけです。非常に具体化してきた段階になりますと、それはフリートーキングの段階とは違って、危惧の念も具体化してくるわけですね。幾つかの問題で先生方の中にもあるいは研究者の中にもこれらの問題についてさまざまな不安と危惧の念を聞くわけでありますけれども、根本的に見て、現在進行中のもの、特に関東の茨城大初め農水系と申しますか、これを見ても、九つの大学が、茨城大学の農学部、宇都宮大学、千葉、東京、そうして新潟から信州大学、岐阜、京都工芸繊維大学にまで至るこういう広範な地域で、希望され登録される方々がこれが一つの大学院を構成をしていくと、こういう状況になって、一体まとまりがつくのか。それから研究室中心であって、大学の実体を備えるのか、これはいつまで続くのか、ひとり歩きをしてこれが定着していくのか、これは過渡期的なものであって、それぞれの大学の学部に次第にドクターなりが置かれることによって過渡期的役割りを終わるのか、それらの問題についてもわかりにくい点がある。また、具体的には、たとえば千葉大学の造園科かなんかのように、こういう状況の中ではみ出されてしまって参加ができないというようなところからくる不安も聞くわけですね。さまざまな問題がある。問題の根本は、これが過渡期的なものとして構想されるのか、これがひとり歩きして長期にわたってこういう方向を定着させる方向で考えられておるのか、ここらのところに問題の中心があろうかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
#104
○国務大臣(永井道雄君) この連合大学院という考え方は確かに新しいものでございますから、新しいものを実現していきます過程においてはいろいろな問題も生じ、そしてその問題を解決するための努力が必要になると思います。ただ、そういうわけでございますから、これは結局定着を目指すのではなく、過渡的なものかということですと、いま私どもが理解しております点では、この構想に関係の方々も、いずれも過渡的というふうにはお考えになっておらず、むしろ定着させたい。また、われわれの方も、この問題を考えるに当たって、過渡的にある種のものをつくるという考えではないわけでございます。
 そこで、問題は、この連合大学院というものが定着をしていきますためには、統一的な運営というものが当然必要になってまいりますし、また、教育研究の実を上げるためにもばらばらであるということではいたし方ないと思います。したがって、教官会議をどういうふうに開催していくか、あるいは合同セミナーの実施をどのように行っていくか、また、教官、学生の交流というものをどういうふうにしていくか、これらのことがとりわけ重要な問題として今後検討されなければならないものと考えております。
#105
○小巻敏雄君 いわゆる独立大学院、共同利用研究所中心のものはまだ具体化のプランを聞かないわけですけれども、こっちの方はかなりにすべっているというのか、走っておる状況であって、そして、これがいわば出発点では、修士まではあってもドクターがないとか、地域の要求はあっても現行学部ではこたえられない、研究者の要請もある、学生の希望もあるというようなところから、個別の大学の充実ということが現状でかなえられない状況の中で、研究者の中にあるいは相互乗り入れだとかあるいは連合だとかいう姿で当初は出発をしてきている。しかし、これがもしそういうことであるなら、ある時期に自分のところではないから連合大学院で処理しておるものが成長してそれぞれの大学が学部によってはドクターを持つというふうになれば、それは必要なくなるわけですから、やっぱり根本にそれぞれの個性があり、そして充実をした大学の拡充というのが基礎で、発展的展望を持っておるならば、やっぱりこういうものを定着させるという方向へ動かないのではないか。どう考えてみても研究室だけが学の場であって、大学というのはこれらの研究室の中だけにあるわけですね。農系連合大学院の場合を見ても、学の場というのは研究室だけに閉じ込められてしまう。教授会というのがどうあるのかと言われましても、どうも浮かんでこない。こういう点では一体どうなるのか。これが固定をされていきますなら、独立した大学院が大学の中で占める役割りというのは単位大学の中で一体どうなるのか、学部と大学院の関係はどうなるのかというようなことを描くにつれて、やっぱり一つのいわば従来の大学理念に沿わないような大学院というようなものが浮かび上がってくる。学部と大学院の関係と、大学自治と大学院のあり方というものが、まとまりと、調和というものがどうしても浮かんでこないわけであります。これらについては、私は、どうしても行政の基本は、それぞれの地域を想定しながら少なくともすべての大学に修士課程までは置くなり、そして博士課程を地域にバランスよく成長さしていく、一定時期までは連合するなりあるいは不十分である状況の中でも相互乗り入れをしてそして後継者を養成していくならば、このような形でひとり歩きをさせないでも済むのじゃないかというふうにも思うわけです。その点はどうでしょう。
#106
○政府委員(佐野文一郎君) 独立大学院の制度をそもそも構想いたしました趣旨は、すでに御案内のように、先般の大学院制度の整備のための設置基準の改正を実施することに伴いまして、大学院の組織について従来のような特定の学部に依存した教育研究組織ということだけでなくて、学部学科の組織編成にこだわらないで、広く内外の学部あるいは研究所等と連携をし、あるいは専任教員、専用施設等による独立の組織を設けるというような研究科の目的に即してより弾力的な組織編成ができるような手当てをするということを先般の設置基準の改正で実施をしたわけでございます。そういった方向をさらに推し進めまして大学院を充実をしていく場合に、教育研究上特別な必要がございます場合には、学部段階の組織を置かないで、もっぱら大学院だけ置くいわゆる独立大学院というものを構想しようというふうになってまいったわけでございます。そういう独立大学院を設けました趣旨というものを関係の大学が十分に理解をされて、そしてそれぞれの大学ですでに修士の課程をお持ちでございます。その修士の課程までのそれぞれの大学の教育研究組織というものの上に立って、さらにそれぞれの大学で特色のあるものをいわば持ち寄って一つの分野について高いピークを立てていこうということで独立大学院を構想されるわけでございますので、そういったものとしてこの制度が定着をしていくということは非常に望ましいことであるというふうに考えております。
#107
○小巻敏雄君 この問題は附帯決議でも高等教育のあり方について全体として総合的に見ていくという一環として進められていくわけですし、これを構想された基礎がそれぞれの各大学が今日とまた違った発展を総合的な中でやっていくという上では、これらの状況が全国に広げられるというようなことでなく構想できる方向がなければならぬと思うわけです。それはそういう状況の中でひとつやっぱり厳格に教授会と大学の自治、大学の理念というものを堅持しながら進んでいくという形でお考えを願いたいと思うわけであります。
 最後にお伺いをするわけですが、研究者の養成と学術の研究の発展ということは、やっぱり研究者の生活を抜きにしては考えられないだろうということですね。四十七年の三月十一日に基準分科会と専門委員会が報告をした中では、一つの重点として学生の処遇に触れておるわけですね、報告の中で。ところが、これが最終的な答申となってまいりますと、これは別紙の中で触れるにとどめられて、ことにフリートーキングの中で国際的な状況、国内の状況についてフリートーキングで行われて、恐らくさまざま出されたと考えられる意見中、問題はあるけれども、あくまでも大学院生は学生として勉強中の者であると、こういう意見が前面に出てきておるような姿になっておるわけですね、この別紙では。それにもかかわらず、しかし別紙の中で勧告もこと問題については文部省に対して「今後、その研究、生活条件の一層の改善について十分配慮する必要がある」というふうに触れております。もともと、今回のこの法改正その他を呼び起こす大学と研究の問題について、大学院及び学位制度の改善について包括的な問題の設定のうちで今度の法改正は一部であり、あわせてどうしてもこの学生の処遇の問題は法改正の処置とあわせて飛躍的に強化をされる措置を文部省は打ち出されるいわば道義的責任と申しますか、やっぱり責任があるだろうと思うのです。これについて、法改正を提出するのとあわせてどのような具体的な措置をいま提示され、またはしようとされておるのか、簡潔にその基本をお伺いしたいと思います。
#108
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの大学設置審議会の改善についての答申別紙、これは基準外の問題でございますので別紙になっているわけでございますが、ここにもございますように、大学院の学生は確かに一定の指導計画に基づいて授業を受け、あるいはまた研究指導を受けるという点では、教育研究を専門職とする教員とは立場を異にしております。というものの、わが国の教育研究の指導的な人材、それから社会の要請にこたえる高度の専門性を備えた人材の育成の立場から研究生活条件の改善が必要である、こういうことでございます。
 そこで、大学院生に対しましては、日本育英会の奨学金につきましては、人材育成の立場から、学部等と比べますと単価あるいは学生数に対する奨学生の割合につきましても重点的に配慮しておりますし、また五十一年度におきましても単価を六千円引き上げたという方向で拡充に努力をいたしているわけでございます。また、ポスト・ドクトラル・フェローシップの制度といたしまして、日本学術振興会の奨励研究員制度もございまして、これは大学院博士課程終了者または同程度の少壮有為な研究者に対して研究奨励金を支給することとして拡充を図ってきております。さらに、国立大学の大学院生に対する学生当たりの積算校費につきましても重点的な改善というものを図る、こういう幾つかの方法によりまして、この設置審の指摘しておりますように、わが国の高度の専門家を人材として育成していくようにしなければならないと考えているわけでございます。
#109
○小巻敏雄君 この点についてはさまざまな要求が非常に切実な色合いで提出をされておりますし、これにこたえるかこたえないかということは、これは院生に対する奨学金の問題にしても、あるいはオーバードクターに対する奨励研究員の制度にしても、これが実るか実らないかということは、オーバードクターの出しておる論文の数を見ても非常にたくさんありますし、わが国の学問水準あるいは将来の発展にも直接関連してくるだろうと思うのです。いま、ことしはいわば法律も通すときだから重点的に配慮をしたというふうな御説明なんですけれども、私が見ると、その点についてはほとんど格段の飛躍的な努力をしたとはとうてい思うことができないわけであります。
 私が少しさかのぼって奨学金の問題一つをながめてみましても、ドクターに対して独立をしてドクターとしての奨学金を置かれたのはたしか昭和三十七年か八年が初めてだと思うのですが、ここで一万五千円与えているわけですね。昭和たしか三十八年。それまでは奨学金が一種、二種の制度でマスターもドクターもなかったと思うのです。昭和三十八年にマスターに一万円、ドクターに一万五千円という奨学金を与えているわけですが、そのときの大体大学の中で似通った仕事をしながら働いている人、学卒の助手の初任給と比較をしてみますと、昭和三十八年段階では、学卒助手の初任給が一万八千円なのですね。それで、ドクターの奨学金が一万五千円なわけですよ。少なくとも助手薄給というのは天下の通り相場、昔から貧乏少尉と何とかというのはあったようですけれども、それでも奨学金の方が助手よりも高ければこれは逆になりますからなにとして、一万八千円と一万五千円といえば十対十・二ですから、おおよそ最低生活費と研究の必要にこたえてというので、初めて置くときはこのぐらいの関係で設定されているわけですね。マスターとドクターの格差については開き過ぎている、特にこれが生活と研究の必要にこたえて生活の比重が非常に大きい以上は、こういうような差についてはもっと埋めるべきだという意見はありますが、それはともかくとしても、ドクターの奨学金と今日の段階で学卒の初任給と比較してみると、もう非常にその点ではダウンをしておるというふうに見なければならない。これについては別に人事院勧告があるわけじゃありませんから、自然に補正係数のようなものはないけれども、やっぱり一つの生活の基本と研究の必要にこたえてアルバイトなどに頼らずに一定の範囲でやれるということを想定するならば、六千円ことし上積みされたというようなことでは、審議会の結論を得て飛躍的に取り組みを強めようという年として考えてみるなら、とうていふさわしいものとは言えないと思うわけであります。例年の上積みというものとさして変わりがない、こう言わなければならぬ。初めは私はこれは勧告の中でも文書に入ってくるものかと思ったら、これは若干性質が違って予算にかかわるものだから勧告から外したとはいっても、勧告する方から言えば同じ比重をもって勧告をしておる。受け取る方の受けざらが違うからこれは別紙にしておるのだと、こういう筋だろうと思うのですけれども、六千円の上積みということでは、これでは飛躍的な改善とは言えないのじゃないでしょうか。五十年の計数で見まして、ドクター四万二千円と学卒初任給七万九千円ですから、おおむね一対二という差になっておるわけですね。一対一・九ぐらいになるでしょうかね。それで六千円上積みをしたわけですけれども、やっぱり六千円ばかり初任給も上がっておりますから、たとえばこういうところと比較してみるなら、上積みはしなかったのとあんまり変わりはない。せいぜいひいき目に見ても一昨年レベルで見れば二、三千円の上積みぐらい、そういうふうなものと見られる。これは、単価の問題のほかに、奨学金はこれがどの範囲まで払われるかということ、そういう貸与率の問題が大きな問題がありますが、しかし、私は時間もありませんので象徴的にこの単価の問題を申し上げておるわけであります。これも理念として院生である研究者をどう見るかということにも大きくかかわってくる。実際の研究は院生もしくはオーバードクターの人たちがともに研究に携わるということを抜きにして、その実態は非常に大きな要素として研究者として働いておるわけであります。旅費を一つ取ろうとすれば自弁と、そうして恵まれたところで教授の方から講座費を使って、講座のポケットマネーと申しますか、さまざまなポケットマネーでやらなければならぬというような状況がある。そういうのとアルバイトですね。こういった状況に対して、基本的に大学のあり方をながめ、そうして新しく審議会の結論にも見合いながら状況を進めていくというなら、この点については恐らく新しい法律に従って出発する部分には今後も重点的に予算を配当されていくだろうと思うのですね。それと並行して、あるべきこういったふうなところに対して非常に不十分である。これは問題はたくさんございますから、追って要求も紹介をし、取り組みについても委員会ばかりにかかわらずお伺いをしていきたいと思うのです。私は、この点については、特に認識において研究者としての内容と大学の中での位置づけをよく見て講座費の増とともにやっぱり緊急の課題としての認識をして、むしろこの法律を付帯条件つきで賛成をして通しますから、これが実行に当たっていくという中では、やっぱりこれらの問題については少なくとも来年度予算なんかにおいてはこの記念すべき年にはこれだけの措置がされるというような方向で問題をながめてもらいたいと思うわけです。その点についての大臣の決意をお伺いしておきたいと思います。
#110
○国務大臣(永井道雄君) ただいま御指摘の数字、詳細な問題点をお示しいただきましたが、確かに数字の趨勢は仰せのとおりであると思います。そこで、大学院生の奨学金をなお充実いたしますことはきわめて重大な課題でございますから、これはせいぜい努力をするような決意で臨んでまいりたいと思います。
#111
○小巻敏雄君 それじゃまた細部の問題について引き続いて部課の方と詰めさせていただきますので、きょうの質問はこれで終わります。
#112
○委員長(山崎竜男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#113
○委員長(山崎竜男君) 御異議ないと認めます。
 有田一寿君から、委員長の手元に、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、以上五党共同提案による修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、本修正案を議題といたします。
 有田君から修正案の趣旨説明を願います。有田君。
#114
○有田一寿君 私は、ただいま議題となっております学校教育法の一部を改正する法律案に対する自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の提案に係る修正案について御説明申し上げます。
 修正案の案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略さしていただきます。
 修正案の趣旨は、私立学校法第五十九条の改正を内容とする私立学校振興助成法が施行されたことに伴い、所要の規定を整備しようとするものであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#115
○委員長(山崎竜男君) 別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(山崎竜男君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、有田君提出の修正案を問題に供します。
 有田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#117
○委員長(山崎竜男君) 全会一致と認めます。よって、有田君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#118
○委員長(山崎竜男君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
#119
○久保亘君 私は、ただいま可決されました学校教育法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、以上五党共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   学校教育法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、大学院の目的、性格の重要性にかんがみ、いわゆる独立大学院の個別の具体化に当たっては、本案審議における各意見、すなわち、
 一 現行の大学制度の理念を十分に尊重すること
 二 既存の大学の内容の充実に努めること
 三 高等教育のあり方について総合的に再検討すること
  などを重視し、かつ、今後の本委員会の意見並びに設置予定大学院の教育研究関係者その他学識経験者等の意見を十分に取り入れ、その構
 想を明確にするよう特に配慮すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 各位の御賛同をお願いいたします。
#120
○委員長(山崎竜男君) ただいま久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#121
○委員長(山崎竜男君) 全会一致と認めます。よって、久保君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、永井文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永井文部大臣。
#122
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、今後とも十分に御意見を拝聴して努力してまいりたいと存じます。
 特に、個別の独立大学院構想の具体化につきましては、第一に、独立大学院を大学の一つの形態として位置づける趣旨に基づき、学校教育法に定めます大学の理念を逸脱することのないよう十分留意してまいりたいと思います。
 第二に、独立大学院と既存の大学との連携協力関係を重視するとともに、独立大学院が既存の大学院の整備充実と相まってわが国大学の充実発展に資するよう配慮してまいりたいと思います。
 第三に、独立大学院が一般の高等教育制度と有機的関連を保ちつつ発展しますよう、高等教育制度全般のあり方との関連を総合的に考慮検討してまいりたいと思います。
 なお、これらの検討等を行うに当たりましては、個別の構想の関係者の御意見はもちろん、大学設置審議会を初め、関係団体、学識経験者等の御意見に十分耳を傾けてまいる所存であります。
#123
○委員長(山崎竜男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#124
○委員長(山崎竜男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#125
○委員長(山崎竜男君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化及び学術に関する調査のため、本日、参考人として日本育英会理事長村山松雄君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#126
○委員長(山崎竜男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#127
○委員長(山崎竜男君) 教育、文化及び学術に関する調査中、当面の文教行政に関する件を議題といたします。
 本件に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#128
○松永忠二君 大臣の所信表明に、「受験体制の過熱化の現状を打開し、」いろいろな施策をやりたいという話があり、本委員会の委員の皆さんの御質問も、受験体制の激化に対する対策という問題について質問が非常に集中されていると思うのです。ところが、それといわゆる今度出された教育白書との間に、その問題について非常に明確なものがないというところに、十分答えていないというところに私たちは一つの不満を持っているわけなんです。それは非常に高学歴化になった、量的拡大になったということを具体的に示すと一緒に、それに対してどう対応するかということについて、国民の教育に対する要請が非常に多様化してきたし、生涯教育を充実していくという点を強調されているわけでありますが、高学歴化になったことによってわが国の教育がどういう影響を受けているであろうかということについての問題点が私たちははっきりしていないのではないか。むしろ、高学歴化の結果、学卒者の就業構造に変化が出、学歴に対する社会的評価に変化が出てきたと、こう言ってむしろすこぶる楽観的に問題を考えていられるようだけれども、高学歴化に伴う教育に及ぼす影響というのはなかなか大きな問題がそこにある。
 その対策としてこの白書には、まず一つは、初等中等教育の教育課程の改編ということをいい、第二に、高等教育の整備充実を図る。第三に、生涯教育の重視ということをいわれる。この対策について私たちは反対でもないし、当然なことだと思うわけです。しかし、初等教育の教育課程の改編ということをいいながら、わからない子供がすでに学校に半分も出ているというそういう実態には何も触れていない。また、先ほどから話の出ている塾、受験準備の過熱の実態というものには何も触れていない。高等教育を整備充実するということは結構だけれども、いま高等教育を初めこれらのものにたとえば家計費の支出あるいは就学援助と育英奨学というような問題もあるけれども、これに対する教育費が父兄に大きな負担を与えて、入学金、寄付金あるいは塾、こうした問題についてどれだけ教育費の過重に苦しんでいるのか、こういう問題は明らかにされていない。また、高学歴化になったときに、高校の予算をこの際拡大していかなきゃいけない、あるいは私学の財政を抜本的に改正していかなきゃできぬけれども、こうした問題については具体的に何ら触れられてはいないわけです。あるいは生涯教育の重視として社会教育施設とか体育文化施設の整備とか研修学校、放送大学とか通信教育というものは書いてあるけれども、まさに衰退の一途をたどっている定時制教育あるいは滅びていくと考えられる青年学級の問題には何も触れていないわけです。こういうことを考えてみると、また一面学歴偏重という問題についても抜きがたい実態があると私たちは思うのだけれども、学歴と所得というところにむしろ学歴による賃金格差は年々縮小しているという楽観的なことしかそこに触れていないわけです。その触れていることもばらばらであるし、浅いし、いまの教育に私たちが持っている国民の実感というものに触れたいわゆる記述がなされないというところに私たちはまことにきれいごとに終わっているのではないかということを感ずるわけです。こうしたことを私たちはこの白書に求めていたけれども、そういう点が十分でない。したがって、大臣が所信表明して強調されたこと、またそのことは文教委員会で常に質問が集中されていることとこの白書の関連はまことに関係が薄いようなところに私たちは不満があるわけですが、私のこういう考え方について大臣の考え方をちょっと聞かしていただきたいと思います。
#129
○国務大臣(永井道雄君) 白書とそれから私が繰り返し訴えておりますこと、また委員会において御審議いただいていることとの間に若干のずれはあるかと思います。それはどうしてかといいますと、この白書は御承知のように経済企画庁の国民生活白書というようなものが年度ごとに出されますのに対して、五年ごとということでデータを集めてそしてつくり上げてくるという過程に時間をかけている種類のものでございますので、決していまの受験体制の問題を全然無視したということではございませんけれども、積み上げてきたデータに基づいて書かれておりますために、ただいま松永委員が御指摘になりましたような諸問題、たとえば塾の実態がどうなっているかとか、あるいは子供の授業の理解度がどうなっているという式の問題については実は触れられていないのでございますが、いまその調査というものは並行して進めているということでございます。つまり、そうした意味におきまして、白書も、学歴構成と雇用の変化、あるいは教育課程など、ずっとこの五年間のうちのある期間にわたって進んできたものを主として中心といたしておりますが、ここ最近にわたってまたこれから取り組んでいかなければならないそうした課題というものは特に調査したりしなければいけない問題というものは積み残されているという面はございます。しかし、白書というものは、性格上、いま申し上げましたように、五年前と比較をいたしまして大体五年ずつのインターバルを置きますと、わが国の教育がどういうふうに動いてきているか、そしていまは拡張より整備段階、そしてまた生涯教育の方向という、いわば長い間のこの五年間というふうな間における基本的な変化というものをデータの裏づけによって示そうとしたという点にこの討論の問題にすべて触れ得ないという面があった、こういうふうに私は考えております。
#130
○松永忠二君 そこで、私は、受験体制の過熱化という現状打破という問題に関連して質問をしたいと思うのですが、まず家庭教師派遣、日本家庭教師センター学院というのが東京の新宿にあります。これは新聞などの記事によると、登録教師三万一千人、生徒が三千六百人で、その中で五千人の現職の教師がいる。男が六〇%で女の人が四〇%。A、B、Cに分けて、Cというのが小中高の現職の先生がやるのであって、毎週二回五万一千六百円である。A、B、C平均して二万円だと、こういう。それからまた、代々木学院の中学受験クラスには、有名高校の教諭、特に区内有名中学校の教諭四十名の方々にお願いをして万全を期している。講師の氏名は省略したが、詳細は校内に掲示するというようなことが出ている。また、代々木ゼミナールの春期講習入学案内というのを見ると、東京大学、東京教育大学、国公立大学教授、付属国立高校、都内有名高校の教諭百二十名を網羅しと、こういうふうに書いているわけなんです。事実それを見ると、都立の高等学校の先生が二十名、その中で氏名を明らかにしているもの十四名、国立の大学付属高校の教諭が一名氏名を明らかにし、国立大学は某国立大学と名づけて二十二名、東京大学の講師一名は氏名を明らかにし、公立の大学の先生二名、こういうふうになっているわけです。ところが、これは私は法律的に問題がある。調べてみると、日本家庭教師センター学院というのは届け出がしてなくて、ほかの代々木学院と代々木ゼミナールというのは各種学校の届け出が出ているわけであります。ところが、御承知のように、教育公務員特例法の第二十一条の「兼職及び他の事業等の従事」という規定があって、教育に関する事業について他の職を兼ね、または教育に関する他の事務に従事することができるようになっている。しかし、それについては昭和三十四年の二月二十七日、文部大臣官房人事参事官あての人事院職員局長の通達があって、その範囲が決められているわけです。したがって、公立または私立の学校または各種学校の長及びこれらの学校の職員のうち、教育を担当し、または教育事務に従事する者については、これは兼職を認められている。認められているけれども、それについては昭和三十六年の三月十五日、そしてその後四十五年、四十七年の改正の通達によって「職員の兼業の承認・許可の手続等について」というものが出ているわけです。したがって、任命権者が文部大臣である場合には文部省、講師、助手の場合には所属の学校長が兼業報告書というものを出しております。四月、十月の月の当初に報告し、月の前六カ月分を取りまとめて文部大臣あて報告するということになっているわけです。地方公務員については大体準用されているのが例だが、東京都について調べて見たところが、「学校職員の兼職の取扱について」というのがあって、必ず事前に東京都の教育委員会の承認を受けなければならないということがあるわけです。
 そこで、私は具体的にお聞きをするのでありますが、代々木ゼミナールの某国立大学二十二名、東京大学講師だれだれという具体的なもの、某国立大学の二名、国立大学付属高校教諭、具体的氏名を挙げてあるが、これは一体承認申請書が文部大臣あてに出ているのかどうか、これをまず聞きたいわけです。
#131
○説明員(松浦泰次郎君) 代々木ゼミナールにつきまして調べましたところ、先生の御指摘のような氏名あるいは大学名の出ておる方、それから某国立大学ということで氏名省略というような方、あわせまして三十数名ございました。それで、早速、氏名とか大学名のわかっておりますようなところにつきまして照会――実は、先生の御指摘のような手続を要しますのは常勤の職員でございますが、そういう手続をとりまして文部省の方に報告したものがございませんので、具体的に当たれるところは大学に当たってみたのでございますが、現在はそういうことをやっていないという報告でございました。
 それで、疑問がございますので、代々木ゼミナールの方にも当たってみましたところ、そういう方につきましては、実は就任の交渉をいたしましたが、文部省の先般の指導等もございまして承認をいただいておりません。したがって、現在国立学校の常勤の先生でゼミナールの講師をやっている方はありませんというようなことでございます。
 以上でございます。
#132
○松永忠二君 そうすると、それは人に聞いた話だけれども、あなたのところへ届け出が出ることになっているわけでしょう。それを聞いているのです。
#133
○説明員(松浦泰次郎君) 先生の御指摘のように、これにつきましては任命権者の承認が要るのでございますが、文部大臣の承認を要すべき者につきましても一定の限度以下の者につきましては所属長の承認で済むことになっております。その手続をとって所属長の承認をしました者は文部省の方に報告をするようになっておるのでございますが、私どもの方にはただいまのところは一件もございません。
#134
○松永忠二君 一件も承認がない。それから都立高等学校の二十名、氏名が明らかになっている者十四名、これは事前に東京都教育委員会の承認を得ているのかどうか。これはきょう聞くのじゃないのであって、あなたの方へ調べておきなさいと言ってきのうも催促したわけですけれども、これの結果を言ってくれればいいのですよ。
#135
○政府委員(諸沢正道君) 都立学校の先生の教育に関する事務または事業につきましては、三十九年の教育長から都立高校長あての通知によって、この権限を高等学校の校長に委任をしておるわけでございます。したがって、校長限りでこれはやっておって、教育委員会の方では報告を求めていないので実情はつまびらかにしないと、こういうようなことでございました。
#136
○松永忠二君 それだからわからないという返事があったのですね。
#137
○政府委員(諸沢正道君) はい。
#138
○松永忠二君 ところが、この「学校職員の兼職の取扱について」というところには、きちっと必ず事前に東京都の承認を受けなければいけないと出ているわけです。どこの一体取扱規程に基づいてそういうようになっておるのですか。
#139
○政府委員(諸沢正道君) 私どもが聞きましたのは、昭和三十九年の四月一日、教人勤発五〇号、都教育長より各都立学校長あてということで、都の教育委員会の権限のうち、次の各号のものは委任しますということで、十二号に「職員の教育に係る兼職若しくは事業等の従事の承認に関すること。」というのがございまして、それ以前は昭和三十二年の通知によってやっていたようでありますが、それを三十九年の通知でいま申しましたように委任をしてやらしておると、こういうふうに聞いております。
#140
○松永忠二君 後ほど氏名を明らかにしますから、その人が一体具体的に代々木ゼミナールの届け出をしているのかどうか、学校長がそれを認めているのか、調べてください。とにかく、某国立大学二十二名、これは一九七六年ですよ、ことしのものですよ。一九七六年の春期講習、それに具体的に名前を書き、あるいは付属の高等学校の教諭の名前も出ている。そういうものが結局文部省に来ていないということになれば、文部省は認めていないのにそれに入っているということになると思うのです。これは聞いてみたらそうじゃないと言うなら、これはうそだということですよね。偽っているということでしょう。
 その次の代々木学院について、中学校受験クラス、有名高校の教諭、有名中学校教諭四十名というのは、一体事前の承認があったと言っているのか。これは都の教育委員会に聞いてほしいと言ったのだが、その結果はどうですか。
#141
○政府委員(諸沢正道君) 公立学校、市町村立小中学校の先生の兼職の承認につきましては、都の教育委員会規則によりまして区の教育委員会にその兼職の承認を委任しておるわけでございます。そこで、都の教育委員会に照会いたしましたところ、都の教育委員会では実態がわからないと、こういうことでございますので、さらに調査をして連絡をしてほしいというふうに要望してございますが、現在までのところまだ御返事がないと、こういうことでございます。
#142
○松永忠二君 これもことしのことですからね。ここにちゃんとそういうふうに出ているわけですからね。「上記有名高校の教諭の他、特に都区内有名中学の教諭約40名」「各講師の氏名は省略したが、詳細は校内に掲示する。」と書いてあるのですよ。だから、これはまた具体的に調べてもらいたい。
 文部省にお聞きをしますけれども、教育に関するいま言った事務の範囲で認められている公立、私立、各種学校に従事する者で、任命権者が文部大臣である職員の兼務の人数は、一体幾人あるのですか。
#143
○説明員(松浦泰次郎君) 教育公務員特例法第二十一条に基づくものにつきまして文部大臣が承認いたしておりますのが八百七十二件……
#144
○松永忠二君 公立、私立、各種学校に従事する者。
#145
○説明員(松浦泰次郎君) それはちょっと実は詳細をいま整理いたしておりませんが、所属長が承認しまして文部省に報告がありましたものが七千八百五十件、合計八千七百二十二件でございます。その内訳としましては、非常勤講師というのが八千二百五十六件ございます。委員その他というのが四百六十六件ございまして、いま先生御指摘のは非常勤講師の方に入っておるのではなかろうか……
#146
○松永忠二君 幾人。
#147
○説明員(松浦泰次郎君) 八千二百五十六件でございます、非常勤講師という分類には。
#148
○松永忠二君 その資格はどういう種類ですか。
#149
○説明員(松浦泰次郎君) その詳細はちょっとまだ整理していないのでございますが。
#150
○松永忠二君 これは詳細なことが手続に出ているんですよ。「任命権者が文部大臣である職員」ですから、これは国立の教授、助教授なんかそうなんです。それからそうでなくても所属長に属するというのは、これはそうでないほかの者だけれども、それについて承認を与えた場合には台帳をこしらえておけと。「事務局において個人別の併任・兼業台帳を作成し現状を適確に把握すること。」ということなんです。「台帳には氏名、現官職、職務の等級、所属部局、併任官職、兼業職務、期間、勤務態様、報酬、承認・許可年月日を記載する」ことと書いてあるのですよ。人の方にそれだけのことを要求しておきながら、自分自身のところのものについてはそういうものがはっきり数も言えないというようなことではどうにもならないじゃないですか、きのう言っておいて。だから、そういう実態だということがはっきりすればいいけれども、後で資料を明確に出してください、私のところへ。現在持っている、私立あるいは公立、各種学校に従事をしていることを文部大臣が認めた者、これは氏名もわかるわけですよ。数はもちろん明確にわかるわけです。どういう大学に何人あって、どういう大学に何人ある。それを見れば、これと比べたら、ほかのを比べればすぐわかるわけです、そうでないやつは。そうでなければうそを書いているということになる。ことしのものですよ。
 そこで、その次にもう一つ聞きますが、文部省の方針としては予備校は許可しないことになっているという話を尋ねたところが聞いているのですが、これはどうなんですか、その方針は。
#151
○説明員(松浦泰次郎君) 三十六年五月十九日付の大学学術局長から各国立大学長あてに通知がございまして、その内容の一部としまして、「入学試験関係者は次に掲げるような事項につき、いやしくも他から疑惑を受けることのないよう自粛の措置を講ずること。」といたしております。その内訳としまして、「(1) 受験雑誌等へのテスト問題の出題(2) 予備校講師の就任(3) 受験者の自宅指導」ということになっておりまして、いつかこういう問題がありましたとき以降、庶務部課長会議等におきまして必要なものはちゃんと手続をするようにというような指導をいたしております。
 先ほど先生の御質問のございました具体的な承認内容でございますが、資料がございますので、きょうはたまたま整理が不十分でございましたが、先ほど御指摘のように、後で資料を整理して御報告いたしたいと思います。
#152
○松永忠二君 そうすると、入学試験を出題するような関係者、そういうような人は予備校へは行かぬようにということでしょう。だから、そういうようなことは具体的に出ればすぐチェックできるという筋合いのものですよね、何もそんなに数がどうこうじゃなしに。とにかくそういう方針を持っているということですね。
 そこでその次に、一体全国に地方の教育委員会で教職員が正式に認可を得てこういう兼職をしている者の数は全部でどのくらいあるんですか。
#153
○政府委員(諸沢正道君) それぞれの市町村なり県の教育委員会が服務監督をする教員について兼職、兼業の承認をすることになっておるわけでございますが、私の方では現時点においてそのような数をつかんでおりませんので、お答えできない状態にあります。
#154
○松永忠二君 数はつかんでいない。その程度のやり方しかやっていないということですよ。
 それじゃ、兼職の取り扱いについて東京都のようなこういう規程を設けている県は一体幾つあるのですか、そういう調べはあるのですか。
#155
○政府委員(諸沢正道君) いま申しましたように、それぞれの教育委員会が服務監督権者でございますので、すべての市町村及び県の教育委員会規則においてそのような兼業等の場合の手続等に関する規程は整備されておるものと私どもは考えておりますが、一々全部の規則には当たっておりません。
#156
○松永忠二君 逆なんであって、東京都のようなものがあるのかどうかということを調査室の調べで千葉、埼玉、神奈川あたりで調べたところが、そんなものはないと、文書のようなものは出しちゃいないと、こう言うのです。調べもしないでおいて、その数もわからぬのに、そういうものを集めてきちっとやっているわけでも私はないと思う。じゃ、文書で出している県が何県あって、してない県が何県だという数が言えるですか。言えるなら言ってください。
#157
○政府委員(諸沢正道君) いまも申し上げましたように、服務監督権者としては当然予想される事柄でございますから、私はそれぞれの教育委員会において当然に規則をつくっておるだろうというふうに推定したことを申し上げたわけでございますので、御指摘のように、そういう規則をつくっていないという県があるとすれば、どういうふうにやっておるのかさらに調査をしてみたい、かように思うわけでございます。
#158
○松永忠二君 私は、受験体制の過熱状態を打破していこうというなら、こういうところに問題があるということははっきりしていると思うのですよ。そういうことについて、たとえば文部省自身が任命権者であるのに、その台帳がどういうふうになっているか知らぬし、その人数も余りはっきりしていない。具体的にこの人はどうなっているのか、調べてももらえない。もしこっちの方を信用するとするなら、これはうそを言って名前を書いているのでしょう。もうきちっと東京大学の講師の名前が出ていますよ。あるいは都立の高等学校、付属高校の教員の名前も出ている。どっちが一体本当なのか。ルーズにそういうことを見逃しているのか、これがうそを言っているのかということだと思うのですね。そこで、いわ言う代々木ゼミナール、代々木学院は、とにかく各種学校の届け出をしていることは事実だ。しかし、これにいわゆる兼職をしている者の届け出が明確であるかどうか。あなたの調査では、そういう人はいないという話のようだ。そういう人はいませんという話だ。ところが、これには現実にちゃんと書いてある。だから、そこにも一つ問題があるし、地方でそういうことをやっている者についての数が明確に把握できないし、省というものがそういうものの兼職の取扱規程というのはどういうふうにしなきゃいかぬかということについての指導も確認もなされていないというようなことで、私は受験体制打破なんというようなことを真剣に考えるなら、こういうところの手抜かりを十分考えにゃできぬと思うのですね。特に、日本家庭教師センター学院というのは、これは各種学校でもないわけです。これが五千人――あるとすれば、これはもぐりですよ、みんな。したがって、日本家庭教師センター学院の問題については、調査をして報告をしてもらいたい。
 それから同時に、文部大臣、このいろいろな問題で、さっきのお話にもあったが、児童、生徒の学校活動、私塾に関する実態調査を八百万円計上してことしやることになっているけれども、やはりこの実態もはっきり調べる必要がある。この点について文部大臣……。
#159
○国務大臣(永井道雄君) 本年度予算を編成するに当たりまして、塾という非常に社会的問題また教育的問題になっているにもかかわらず実態が明らかでないということで、塾に関連する問題の調査の予算を計上さしていただいたわけでございます。そこで、ただいま御指摘がありましたような各種学校として届けているもの、またそうでないものがあると思いますが、そういう実態をどのように把握していくかというのはかなり調査上むずかしい問題を含んでいると思いますが、でき得る限り実態に近いものを把握しなければいけないというふうに考えますので、この予算を計上いたしましたから、これはでき得る限り私は現在どこまでそういう形の教育というか受験体制が社会的に広まっているかを明らかにしたいと考えております。
#160
○松永忠二君 これは全国に二百社あると言っているのですよ。二百社というそういうことを言っているんです。もうはっきり日本家庭教師センター学院と称して、きちっとしたものがあるんですよ。当然この問題について調べておかるべきだ。私は、人材確保などで待遇も改善をされてきた、そういうときこそ、的確な監督や指導がなさるべきだと思うのですよ。しかも、それは、受験体制、いまの教育を自主的、創造的な教育に高めていこうという最も重要な問題に関連している問題であるわけです。したがって、これについて、さっき質問いたしましたような書類とか届け出等を含めて、具体的に一体どう指導するのですか、これはひとつ初中局長にお伺いしたい。
#161
○政府委員(諸沢正道君) 先生の兼職、兼業の問題は、国立学校の先生であればこれは文部大臣が任命権者でありますからそれ相応の手続は要るわけでございますが、公立学校の先生につきましては、その監督をする責任、地位にあるのは、市町村の教育委員会及び都道府県の教育委員会でございます。したがいまして、そのような兼務につきまして、本当に教育上支障がないかどうか、あるいは教師としての体面にかかわるようなことがないかどうかというような点についての判断は教育委員会がしなければならない問題でございますので、私どもといたしましては、ただいま先生が御指摘のように、今日いろいろ論議のあるところでもありますから、特にそのような服務監督につきましては、適正な監督ができますよう、さらに教育委員会関係者等を通じまして十分指導をしてまいりたい、かように思うわけでございます。
#162
○松永忠二君 したがって、文部省自身が、自分の任命権者の者がどういうふうな実態であるのか、まずそれを調べる、予備校とか。ほとんど大学の先生は出題に関係しているわけですからね、教授というのは。すでにもう文部省の方針に従っていないということになるわけだから、これをまずはっきりさせにゃいけない。また、学校長に任せて兼業台帳を出させるものについては、それがきちっとできて整理をされているのかどうか。それは文部大臣に報告することになっているわけですからね。文部大臣が任命権者でない者、その者についてもきちっと数を把握していかにゃできぬわけです。果たして台帳はきちっと整備しているのか、当該の責任者、学校長のいわゆる事務が明確になされているのかどうかという問題、これに触れるようなことはないのかどうか。それからまた、地方の教育委員会においてこういうことが文書として明確になり、しかもそういうものが届け出がきちっとされて確認をされているのかどうかというような点について的確な指導をすることを要求いたします。どうですか、初中局長、大臣。
#163
○政府委員(諸沢正道君) おっしゃるとおり、国公立学校を通じましてその指導の態様は異なるかと思いますが、御指示のように的確な指導をしてその服務の厳正なあり方を求めたいと、かように思っております。
#164
○松永忠二君 ところがまた、たとえばここにある、これは調査室の人たちにお願いしたのですが、こういう広告がたくさん入っておるのですよね、学期の初めに。たとえば東武がやっている「中学受験高校受験のための東武螢友会進学教室」これは旺文社のそれが担当して仕事をやっているわけですけれども、一体ここの東武螢友会進学教室の校長はだれだ。東京都立赤坂高等学校長、東京都立大泉高等学校長の所弘という先生だ。それから東武螢友会進学教室の顧問というのは朝倉秀雄という人、新宿区立の津久戸という小学校の校長なんだ、全国の小学校長でも相当なものをやっているわけだ。一体、こんな高等学校の校長が進学教室の校長をやっているというようなことは、届け出もきちっとしてあるのかどうなのかも問題だし、こんなことが行われてしかるべきではないと私は思うのですよね。
 またここに「進学積立プラン」というのがあります。これはいわゆる金融機関と組んで、同時にそれへ入った者についてはつまり安く進学指導をしてやるというものなんですね。しかも、これと結んでいる金融機関というのは、相当たくさんな数を持っているのですよ。これは進学のためのものなんですよ。要するに、受験準備のものなんです。ところが、これに、筑波大学の副学長の辰野なんていう先生が、「進学積立プランは、現代の教育情勢下において、まことに時宜を得たものといえましょう。」と。それから全日本中学校長会会長の両国中学校の校長の土橋という人が、「旺文社螢雪サークルの指導は、この指導要領のねらいによくマッチした内容といえましょう。」と、こう言うのです。それに、日本PTA全国協議会の方もこれを推薦されているわけですよね。
 一体、こんなことをしていて、受験体制を打破するとか、そうしていまの教育を正常化していくとかということができるのかどうか。こんなものに校長がなる。あるいは、これを積み立てると同時に学力と学費だといっていわゆる進学についてやっていることを筑波大学の副学長が時宜に適したことだと。そうしてまた、全国の中学校長の会長がこのサークルの指導は指導要領によくマッチした内容だと言って推薦をしているわけですよ。全くこうしたことの指導が的確に行われていないという事実を私は明らかにしていると思うのです。このことについては、早速文部省はしかるべき指導等をすべきだと私は思うのですが、そういう点についてまず大臣の見解をひとつ。
#165
○国務大臣(永井道雄君) ただいま松永委員の御提起になりました問題は、非常に重要であると考えます。でありますからこそ、私は、本年度文部省において塾ないしそれに関連する問題の調査ということに取りかかるようにいたしておりますので、いまの御提起になりました問題も含めましてこれはまず実態を明らかに把握する必要があると思います。そして、指導というのは、その実態がいかようなものであるかという把握に基づきまして適切にこれを行うという考えでおります
#166
○松永忠二君 文部大臣の適切な指導というのは、そういうものについてはやめてもらうということだと私は思うのですが、実際そういうことになっているということであれば、そういう指導をされるということなんですか。
#167
○国務大臣(永井道雄君) 指導は実態との関連において考えるべきでありますが、すでに先ほど人事課長から申し上げましたように、文部省のこの問題に関する指導の方針というものも一度は明らかにしているわけでございますから、少なくもそうしたものの徹底を図っていかなければならないと考えます。
#168
○松永忠二君 そこで、塾の問題がいろいろ出ているわけですが、私は、塾を取り締まるとかいろいろするということも必要だけれども、塾を必要としない教育というものをやらなければ、幾らやかましくいろいろなことを言ってみても問題は解決できないと思うのですね。
 そこで、まず、要するに学校で教えられたものが半分もわからないとか、いろいろなことについてのいろいろな調査がなされている。これは日教組の調査がきのうですか新聞に出ておりまして、国語と算数と数学について出ている。国語の中学の一年のもので平均点は七十七・二だけれども、零点が一・二%だとか、七十点以下のものが四人に一人だと。これでは教科書を読むことは因難だ。算数と数学については、小学校の五年で平均得点が五十九・七五、七十九点満点であるが、小数の割り算というのは一九・八%が零点だ、中学校の一年は平均点は二四・八九点で分数の加減とか、分数の乗除、通分の零点の者が二〇%あるということで、このほかに、実は全国教育研究所連盟などでも調査をしておるし、高校一年生の数学テストについては神奈川県の教育委員会が実施をした。ところが、小学校四年のものを理解していない者が一八%、六年のものを理解していない者が六四%、中学一年のものが十分理解されていない者が六八・三%から七八・四%あると、こういうのが出ている。文部省は一体どういう調査を持っているのですか、それでどういう実態を把握しているのか、それをひとつ聞かしてください。
#169
○国務大臣(永井道雄君) ただいま読まれました日教組の調査は、私も読みましたし、また、全国教育研究所連盟のものはそれより大分前でございますが、これもほぼ同じ傾向を示しておりますわけです。
 なお、これにつきましては、一層正確にこの種の問題を把握する必要があると考えまして、現在国立教育研究所を中心に一層精細な、生涯教育との関連において学力がどのような状態にあるかという調査を進行しているところでございます。まだ全体の統計を把握するところに至っておりませんですけれども、やがてこれは発表されることになると考えております。これは文部省の直轄の研究所でございますので、そこから出てきます調査結果を待っている段階でございます。
#170
○松永忠二君 私は、いかにそういうことが遅くあるのか、もっと悪く言えば怠慢であるのか、教育課程の改編ということをすでに俎上に上せてそれでこのことの進行している段階の中で、やはり教育課程について問題の点は、いまのものを理解することが非常に困難なものもあるという基点にも立っていることは事実なんです。それであるのに、いまごろ国立研究所で調べているというのは遅いことにも一つ問題があるが、それは一体いつ発表できるのですか。
#171
○国務大臣(永井道雄君) これは昨年度からすでに調査に入っておりまして、全部調査結果がまとまりますのはこの夏の後、秋の初めになるという予定でございます。
#172
○松永忠二君 そこで、これの解決の方法としていま文部省が言い、またしているのは、一つは教育課程の改編をしていこうじゃないか、あるいは教師の実力の向上を図りたいというようなことを言っておられるわけでありますが、これについて毎日新聞あたりも今度は塾長にアンケートを出している。なぜそうなっているかということについて回答を求めると、「新幹線過密授業」が二七%、「学歴社会だから」が二六%、「学校教師の指導力低下」が一八%、「父母のあせり」が一二%と、そういうものが出ているわけです。そうしてまた、こういう子供をなくすために努力している事例も実はあちこちにいろいろなものに出ている。たとえば、五十年十二月四日に例の「子供の森」というのに具体的に、教師集団全体でこれをやる。一人がやったってだめだということでやって努力をして、一週間ごとに勉強の目標を与えるとか、金、土の二日間放課後指導をやって個別指導をするとか、これでもだめだという話になって、最後に日曜にもそれをやった。そうして、塾へ通う子供よりも、逆にそういう指導をすることによって逆転をしているという事実の中から塾の無用性を父兄にわかってもらったという人が、これは事例も出ている。なかなかいろいろなものが出ている。私は、こういう、学力の不十分な子供に対して適当な補習授業というものがやはり必要なことも否めないと思うのですよね。私は、いま皆さんいわゆる人材確保の関連で主任手当を出したりなんかするようなことに金を使っているのですが、もし私たちにいまそれだけの金があればどういうふうに使うだろうかということですよ。私は、むしろいまの超過勤務手当をもう少しふやそうじゃないか、そのかわりわからない子供をなくしてもらうというそういうことに真剣に取り組んでくれと、そういうようなところに金を使うのは私は結構だと思うわけですよね、あるいは灘尾文部大臣は当時なかなか熱心に言われたけれども、いわゆる教師の研究費というものの支給の方法はあるとしても、そういうものを考えてみる。そうして、とにかく塾がこれだけはんらんし、これだけ教育をゆがめている中で、それを必要としない教育をみずからが実行していくということなくして、ただそれを取り締まってみたところが、私はできないと思う。それには、文部省自身がいまの子供の学力の実態をまず明確に把握して、これじゃ困るというそういう緊迫感とともに、問題の対策が具体的に出てきて真剣に取り組んでくる。また、さっきの話じゃないけれども、こうした家庭派遣教師の問題だってずいぶん新聞にもいろいろ出る。あるいはこうしたものが次々にあなた方のお宅の新聞にも入っているでしょう。これを見たときに、これじゃしょうがないじゃないか、どうなっているんだろうかくらいのことは、本当に受験体制を打破することがいまの文部大臣の中心的な努力であるというなら、文部大臣自身だって具体的なことを考えにゃいかぬし、関係した初中局でもこれについての真剣な努力がなさるべきだと思うのですよ。そういうことが結局本当に努力が不十分なところにやはり問題が出てきているのじゃないのか。私たちは、そういう点で、いまのは一つの意見ですけれども、そういうふうな感じを強くいたします。
 そこで、大学の問題もありますが、これはまた次の機会に譲って、いま御承知のとおりこういう受験体制を打破するという意味でも、いまの教育、特に高等学校の教育の正常化を図るという意味で、やはり大学の入試の問題について手をつけていることも事実だし、実行しているわけですが、公立の高等学校の入学者の選抜方法についてやはり検討すべきときに来ているのじゃないか。特に東京都の都立高校入学者選抜研究協議会というのは相当長い間いろいろ努力をしたけれども、最終の報告としては、高校増設計画が軌道にまだ乗っていない、文部省の教育課程審議会の動向がまだはっきりしないというようなことを理由にして、結局いまの学校群制度の問題についての一つの考え方はまとまらなかった。大阪府の教育委員会も四十六年に全府の規模で実施する地域学校群の統合選抜方式に努力しようとしたけれども、結論としては、教育環境を均等化する、あるいは公立と私立の間のいわゆる授業料とかそういうものの費用の均衡をどうするのか、公立高校の増設がどうなるかという問題と関連するといって、結局むずかしい問題だということにはなってしまったが、ある程度行き詰まってきている点もあるわけです。京都府、名古屋、そして三重、宮崎あるいは長野など、いろいろ具体的な工夫もしている。この問題についていまある程度一つの障害というかなかなか解決ができないというところにぶつかってきて弱っているというのがいま実態だと私は思うのですね。実は、教育白書の中にもこれについていろいろ書かれているし、数字も出ていることも事実なので、この八十五ページに学区制選抜方法とかいろいろなものが出ているわけでありますが、そこでこの問題について実態調査というものがはっきりしている、これだけ数字が出ているわけだから実態は調査されていると私は思うのでありますが、これに対する文部省の指導というのは、昭和三十八年に普通科の通学区の定め方というのが一度通達に出ている。昭和四十一年にまた通達が出ただけであります。いろいろ受験体制の過熱化の現状打破、高等学校の教育のいわゆる改善という上でどうしてもやはりこの高等学校の入学試験の問題は解決しなければいけない。そのために委員会をつくったりいろいろ努力しているけれども、ついになかなか結論が出にくいし、自分たちの力だけではなかなかそこまでいきかねているという状況で難航していると私は思うのですね。やはりここに文部省の協力指導というようなものがなされなきゃできないのじゃないか。本当にいわゆる受験体制を打破して教育の正常化を図ろうというならば、高等学校の入試問題についてここでひとつしかるべき対策をしていかにゃできぬ。そこで、一応実態の調査をしていることはここでわかっているわけで、高等学校の特に選抜方法の問題が結局いま問題になっているわけであります。これは学区制と絡む問題であるけれども、とにかく選抜方法をどうするかという問題が出てきている。そこで、まずそのための改善に委員会を持って相当な金を使っているわけですよね。何かやっぱり予算的に協力をし得るものがないのかということが一つです。もう一つは、こういうときこそ情報を提供し、あるいは専門の知識を供給してやる、そういう意味の協力というものをやらにゃいかぬ。文部省自身がそういうための懇談会であるとかそういうような審議会などを持って、そうしてその検討を各地方教育委員会にこれを提供して、そういう対策委員会のよい成果が得られるようにしてやる。これは各地域によって実情が違うので、そう簡単に押しつけるということはできない。けれども、体制はだんだん出てきている中で、やはり文部省の予算的措置がなされればそれぞれ委員会等を持って、それで具体的にいわゆる提供があれば、事実自分で各県を調べなきゃできない状況の中ですから、各県の状況が提供されてくる。しかも、高度ないわゆる専門的な知識も出されてくるということになれば、この難航している特に選抜方法を中心とした高校の入試問題の選抜については明るい方向が出てくるのではないか、また出てきてもらいたいと思うのでありますが、これについて一体文部大臣はどうお考えになりますか。
#173
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの御質疑の点と先ほどの御質疑の点と関連しているところがあると思いますので、両者を統一的にお答え申したいと思います。
 まず、この受験地獄、ただ塾を取り締まっただけではいけない、まさにそのとおりでありまして、学力がどうなっているか調査をする、あるいは塾の調査をするというのを二つ並行させていくというのは先ほど申し上げたとおりでありますが、しかし、それだけでは本当にわからせる授業というものができない。これがまた後の問題に関連するので申しますが、そういう意味におきまして、宮城教育大学には授業研究センターというものをつくりまして、それから本年度の予算においてお認めいただきましたのは東京学芸大学に教育指導実習、そうしたことに関するセンターをつくりまして、それが大学教授ではなくて現場の先生に大学に来ていただいて、その教授、助教授になっていただくということを目標にいまそれをつくり上げている、これがやはり一つの核になりまして授業のやり方というものを考えていく方法をとっているわけでございます。
 さて、そうした方向でだんだんに授業のやり方を強めていきますことができまするならば、さらにそのほかに昨年の春以来、文部省の初中局に教育の全国的な指導に関連いたします視学委員を設けまして、もう一年以上にわたりまして各地に参りましてその視学委員の先生方に学校における教育指導の強化のために活動していただいているわけでございます。
 さて、そうした下敷きといいますか、地盤と並行いたしまして、選抜というものに当たっては、一つは調査書でございますが、もう一つが学力検査ということでありますが、次第に調査書というものが重視され活用される方向というものを文部省は考えているわけでございまして、これは各都道府県においてもそうした考え方というものが強く出てきておりますが、その考え方というものを今後も強めるようにしていきたいというふうに考えております。しかし、御指摘のように、各都道府県とそれから文部省とがこの問題についてさらに協議をしていく、そして具体的に入学者選抜制度を変えていくということのためにどのような方法がなお適切であるかということを検討することは、きわめて必要であると思います。しかし、現状においては、そうしたことに加えまして、先般来鈴木委員が御指摘になっておりました偏差値業者の問題というものが入学者選抜に関連して起こってきている事実上の問題でありまして、そうした偏差値の問題というものがどのように高校進学に当たってはね返ってきているか。特にこれは私立の学校においてそうした問題が生じてきているということは明らかでありますから、この点は先般鈴木委員に御答弁申し上げたように、すでに調査段階に入っており、それに基づいてどういう対策を立てるかということについての指導を行うようにしなければならない。要するに、この入試問題は、御指摘のようにきわめて多岐にわたって包括的な政策が必要であると考えております。塾というふうなものに対して、そうしたものが盛んになるよりも、むしろ学校というところで本当にわかる授業が行われていく、実のある授業が行われていくということを強化し、そしてそれを踏まえた入学者選抜という方向、つまりそうした一つのものを押さえ、さらに学校を強化する。全般的に申しますと、そうした方向で文部省の政策を考えてきているわけでございます。したがいまして、教育課程審議会というものの答申を経て教科書が変わっていきますのはこれは相当年月を要しますから、別にそれにだけ依存をして入学者選抜を変えていくとかあるいは現在の受験体制を解消していくというのではなくて、現段階においてそうした少なくも三つのルートの政策を並行させながら私たちは受験体制の激化というものに対応していかなければならないというふうに考えている次第でございます。
#174
○松永忠二君 私は具体的に聞いているわけなんですよ。初中局長、ちょっと答えてみてください。やはりそういう問題を各県市がもう委員会つくっているわけだから、ずっと金も使っているわけだから、そういうものについて予算的な協力をするということができるのかできないのか、そういうことを考えていないのか。それからそういう結果の情報を知らせ、あるいはそういうことについての知識を供給するというための努力を払う具体的なことをやるのかやらぬのか、その意見はどうなのか、そのこと自身についてまずひとつ局長答えてください。
#175
○政府委員(諸沢正道君) 先ほど先生お読みになりました試験に関する文部省の通達を四十一年に出しておりますが、実はこの四十一年の通達を出します際に関係の方々にお集まりをいただきましてこの通達をつくったわけでございまして、中身はいまの……
#176
○松永忠二君 内容はいいんです。聞いた質問に答えてください。
#177
○政府委員(諸沢正道君) この通達にあります入試の改善の方向については、今日とも変わっていないわけでございます。そういう意味で、文部省では改めて通達を出すというようなことはいたしておりません。
 それから毎年公立高等学校の入試の実態につきましては詳細な調査をいたしておりますので、それを取りまとめまして各教育委員会等関係者にいろいろ情報の形で資料を提供をいたしております。そしてまた、毎年定期的あるいは臨時に各県の指導部課長等の会議がございますので、その際にいまの資料の説明、その他意見の交換等をいたしまして、また先ほど大臣もお話がありましたように、視学委員の巡察の結果等についても情報を提供するというようなことで、現段階で私どもがいたしておりますのは、各県相互の連絡と情報の提供ということで、具体的に予算措置を伴った援助というようなことは考えていないのでございます。
#178
○松永忠二君 私はそういうことを文部大臣に考えるようにしてほしい。いまやっているようなことでそれで十分なら、何も私はもう質問はしない。また、初中局長にしても文部大臣にしても、いまのそれでうまくいくとだけ考えているわけじゃないと私は思うので、そこで、私は、具体的にそれを一歩前進させるためには、つまり対策の委員会をつくり、それに対して予算的な何らかの協力をするとか、あるいは高等学校の教育の懇談会をつくるばかりでなくて、そういうことを指導する懇談会なりあるいはもう少し知識をつくるそういった場をつくって提供したらどうかということを具体的に言っているので、この点について文部大臣にひとつ検討してほしいということを要望しておきます。
#179
○国務大臣(永井道雄君) 高等学校の入試に関して懇談会的なことは、実は初中局長も申し上げましたように、視学委員でもう年来行ってきておりますが、しかし、それだけではもちろん十分ではございませんから、御提案のような問題についてもなお積極的に取り組んでいきたいと考えております。
#180
○松永忠二君 そこで、学歴偏重の是正という問題について大臣は非常に努力をされ、文部大臣の四頭立てというのをよく言っているわけですね。これについては、それぞれ大学入試、教育課程の改編、大学の格差是正、それから学歴偏重の是正というのがあるわけです。私は、この是正についてもう少しやっぱり強力にやらなきゃだめじゃないだろうか。五十年三月に経済同友会で調査した結果を見ても、私はそれほど楽観的なものじゃないと見ているわけですね。特定の大学を指定して求人することについてはさすがに、しかし、一部の特定大学からの採用がその基軸となっていることは否定できないと言って認めているわけです。それで、いわゆる企業の中にこの調査については企業別に特定の大学の人が何人いるかという調査がなければ、こういう点は触れていないわけですよ、この調査は。やはり条件を出して入れているのかといっているのであって、その企業に特殊の特定の大学の人がどれくらいそれぞれのところにいるかという調査もなければ、特定の大学を指定して求人するということについての具体的なものはわからぬと思うのです。採用後の昇進は実力によって左右されるというようなことを言っているけれども、実際に幹部要員を大学卒という学歴を持つ者に限っている構えを持っているものはないと言いながら、そういう姿勢でありながら、幹部は三二・二%つまり大学の出身者であるという事実もある。私立大学と国立大学に差がないと言っているけれども、ここの私立大学というのはエリートの私立大学であって、ほとんど国立と匹敵するようなところ、これを比べて差がないなどと言ってみたところが、それでは意味がないのじゃないか。今度の教育白書にもこの問題について触れて、学歴による賃金の格差は年々縮小されているというまことに楽観的なことを言っている。初任給については格差が是正されているかもしれぬけれども、年をとる五十歳から五十九歳のところでずっと差があることは、これは統計で見てもわかる。よく言う、何か口を開くと経済同友会の調査では差がありませんというような言い方、あるいは初任給はくっついているなんていう、そんなことじゃない。
 そこで、文部大臣、あなたはこの経済同友会の調査について、求人が一部有名校に集中していることは事実なので今後検討課題だと、こう言っているわけですね。一体どういうふうにやっていくのか。
 それからまた、官庁の実態は現在調査中なので近く公表するというようなことも言っているのだが、これは一体どういうふうになっているのか。
 第三に、時間もありませんので少しはしょってもう一点聞きますけれども、私は、採用するときに大学を出てくるということを条件にするような採用の仕方をしなくてもいいのじゃないか。いいですか、文部大臣、国家公務員の採用については国家公務員の上級も中級も初級も何も学歴の規定はないわけなんですよ。よく事例として戦前の海軍とか陸軍の学校あたりがやっぱりそうだった。何も学歴を規定する必要はないじゃないか。学歴偏重だというときなんだから、その人事院規則でも国家公務員の上級、中級、初級でさえも学歴を規定しちゃいないわけなんです。だから、各企業だって、学歴を基準にする必要はないじゃないか。大学を出てきた者でなきゃ悪いということは言う必要はないじゃないか。それに相当する学力があるかどうかということを企業は調べればいい。そんなことを企業ができないなんという筋合いじゃ私はないと思う。そういうことをすべきだし、これについて私はいろいろな機会に強調したことがあるわけですが、文部大臣と総理大臣が一緒になって、そうしてこれらの企業に対して学歴をもとにして採用をしないように、それに相当する力があるかないかというふうなことはその企業が適当な検査をしてやるべきことであって、だからこういう措置にしてくれというようなことを強く要請すれば、いま学歴偏重だといわれて、しかもこれが教育全体に非常に大きな影響を及ぼしていることも事実だし、幾ら教育の正常化を図ろうとしても、学校教育だけでできることじゃなくて、社会の条件がそうなければとうていできないわけなんです。これについて私はそういう必要がある。やっぱり人事院規則のように年齢を規定し、それにふさわしい力を持った者という条件で採用していくように、少なくもそこからでも学歴偏重を打破してもらいたい。そういうような実際の行動を起こしていけば、私は十分に要望にこたえられる。本気になってやるかどうかという問題だと思うのです。
 だから、この三点について、今後検討課題だと言うが、一部有名校に集中していることについて、官庁の実態は一体いつどうなるのか、採用試験の問題について協力を求めるというような考え方がないのかどうか、これを大臣から聞かしてください。
#181
○国務大臣(永井道雄君) まず第一の一部有名校集中の問題でございますが、これにつきまして御引用になりました統計は、経済同友会の問題だけではなく、実は労働省の統計も入っているわけです。ただし、労働省の統計があるからといって、また簡単に従来の学歴偏重はなくなるというものではないという点で御指摘のとおりであると考えております。そこで、実は労働省ともすでに連絡会議を開いておりますが、この一部指定校に集中しないようにということは労働省とも協力して私たちはすでに呼びかけてきているわけでございます。
 それから二番目の官公庁の調査については、これはすでに取りかかっております。
 三番目の問題は……
#182
○松永忠二君 官公庁の実態はどうなっているか、いつ発表するか。
#183
○国務大臣(永井道雄君) 三番目の方を先に申し上げます。実は実態調査を進めてきておりますから、これについては担当から御答弁申し上げます。
 なお、企業におきまして公務員と同じように全く学力にかかわりなく試験をするという方向は一体どういう形で可能であるかということは、一つの検討課題だと思います。といいますのは、いろいろ企業によって職種もあるということは申し上げるまでもないことであって、たとえばエンジニアというふうなものを取り上げた場合にどうなるかというようなことはあると思いますが、そうした職種別の検討というものを行って、その上でやはり考えていかなければならないことであると思いますが、十分検討に値する課題であると考えております。
#184
○松永忠二君 三番の問題は私はもう少し実態の話を聞かしてもらいますが、考えていただくと。決して形式的なものじゃなしに、とにかく学歴偏重がすべてそういうことの風習をつくっているものは産業であり社会であるということははっきりしているわけですからね。国家公務員でさえもそういう選考ができているときに、やはりそういうことを要望していくというのは強くやっていただきたいと思います。結果の発表について何か……。
#185
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘の点は、私どもの承知しておりますところでは、官房の調査課の方で検討をしているはずでございます。
#186
○松永忠二君 どこですか。
#187
○政府委員(佐野文一郎君) 大臣官房の調査課の方で当たっているはずでございます。まだ調査結果の取りまとめができたという話を私は伺っておりません。
#188
○松永忠二君 もう少し本気になってやってもらわにゃ困るですな。
 それでは、育英会の関係のことで、国立大学の授業料というものは三千円から八千円に今度後期においては改定するわけです。公立の高等学校の授業料は千二百円から三千二百円ですか三千円に上がる。国立の高校が八百円から二千円、私立大学の授業料、入学金、施設設備費というのが、いわゆる学生納付金が文部省から出してもらうと、五十一年に四十四万三千九百十六円、歯科と医科については学生納付金が平均百五十一万八千九百九十円、しかし、実際は、言うとおり私立の医学部、歯学部には大変な、平均千五百万という寄付金が、しかも補欠合格者に寄付金を取るということはもうほとんどどこでもやっていることであって、私立の高校についてもことしのは持っていないようでありますけれども、二十二万と言っているけれども、これも調べれば四十万、三十万、しかも学生の経費の調査などを見ると、平均五十七万一千円かかる。したがって、家庭の年間収入二百五十万以下の者は三六・三%もある中でこれは相当な大きな負担である。したがって、大学へ進学し、大学へ在学する者も比較的家庭の収入の多い者が非常に多くなってきているということはいろんな報告にも出ているところだ。奨学金の希望の調査をとると、必要なしと答えた者は四七・二%で、やっぱり半分ぐらいはこういうものを欲しいと言っているわけですね。大臣の所信表明の中にも、これに対処するために育英奨学事業の拡充と授業料免除枠の拡大措置をやったと、こういうふうに言っているわけですけれども、私はなかなか幾多の問題がそこにあると思う。
 まず第一に、貸与率を調べてみると、昭和三十八年に高等学校の貸与率が二・八%であったのが、四十九年でも二・一%、大学については二八・三%であったものが一〇・四%、大学院が三七・九%が五四・八%に上がっているけれども、貸与率というのはほとんど昭和三十八年当時より下がっている。全く貸与率が低い、全く改善が不十分ではないかと思うのですが、これについて、大臣、質問したことをひとつ時間もないので御答弁いただきますが、貸与率改善が非常に不十分だという点についてはどういうお考えでしょうか。
#189
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のとおり、大学生の規模が非常に広がってきていることもございまして、育英会の奨学金の貸与率というのは年々低下をいたしてきているのは事実でございます。もとより、これについては改善を図らなければならないというふうに考えております。特に、私立の特別奨学生の数等を中心にして従来から改善に努力をしてきておりますが、さらにその努力を続けたいと思います。
#190
○松永忠二君 この改善は全くはかばかしくいっていない。始まったときより低いわけですからね、幾ら生徒が多くなったとはいいながら。それで、特に私立についての配慮が全く不足している。私立の貸与状況というのを比べてみると、昭和三十九年に国立が三八・二%、公立が二〇・一%であるのに、私立は五・四%です。しかも、昭和三十八年は八・二六%であったものが五・四%。しかも、私立学校振興方策懇談会の報告では「国立・私立大学間の学費負担の格差を縮めるような貸与額の増額及び私立大学等の学生に対する貸与人員の拡大を図らなければならない」というように書いてある。昔は私立は金持ちが行き、国立は貧乏だと、こういっているけれども、いま私大は年収百七十六万以下の世帯の子供が一二・六%、東京大学は七六%が企業経営者、管理者、医者、弁護士の子弟で、貧乏人が国立なんというようなことはもう現実じゃないわけです。しかも、日本の特に大学の教育あたりでも七割、八割を負担してもらっているその私立のものに、もう貸与率においてはなはだ低い、しかも改善がなされないというようなことは、全く私は努力の不足があると思うのです。画期的な努力をやはりする必要があるのじゃないかと考えるけれども、大臣はどうですか。
#191
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、私立大学の在学生全体に対する比率で見ますと、国立との間に非常に開きがございます。私どもといたしましては、推薦基準適格者に対する貸与者の割合というものについて、国立と私立との間の開きというものをなくすということを考えているわけでございます。特に、特別貸与奨学生の貸与状況につきまして、そのような開きを解消するように従来から努力をし、貸与人員の増員を図ってきております。四十九年以降五十一年度まで、四十九年度においては千四百人、五十年度において三千人、五十一年度においても九百人の増員を私立大学の特別貸与奨学生について実施をいたしました。この結果、四十九年当時、適格者に対する貸与率が国立の場合には六六%強、私立の場合には四九%程度であったものが、五十一年度におきましては、おおむね私立の貸与率も六六%強に改善されるはずでございます。そういったことを中心にしてさらに努力をいたしてまいりたいと存じます。
#192
○松永忠二君 一部のものについてそういうふうなことはあったとしても、全体に対する貸与率の比較がこういうふうな事実はもう否定できないじゃないですか。それだからこそ、たとえば私立学校振興方策懇談会でもちゃんと言っている。こんなことこそ私はやはりなお一層努力の必要であるということを率直に認むべきだと思うのですよ、こういうことだと言うのじゃなしにですね。そういうことには何にも触れなくて、こういう特別なものについてはこうしているというような言い方じゃまずいと私は思う。特にそういう点を改善をしていかなければ。
 それからその次に、大学院の奨学金に偏っているのじゃないか。たとえば金額でいっても、高校は四十七億円、大学は二百七十七億円、大学院が百十六億円、人数は、高校が九万人で、大学が二十万人で、大学院が二万二千人。私は大学院についてこの研究なんかについて十分な措置をすべきだということを考えるし、それなりの振興会なら振興会の方でまた別個のことをやっているわけです。で、この育英会で大学院の研究の重要性を強調するような配分の仕方というのは、これは育英会の趣旨、奨学金の趣旨に逸脱をしているのじゃないのか。重要なところは他のところからやっていくべきであって、この育英会の中から大学院の研究の重要性をやるなんということは、これは少し間違いじゃないかと思うのでありますが、この点についてひとつ文部大臣、何か見解を持っておられますか。
#193
○国務大臣(永井道雄君) 私は、やはり大学院というものが現在の高等教育の中にきわめて重要な場を持ちつつあるわけでございますから、当然学部の学生に対しても奨学資金を貸与するということは大事でございますけれども、しかしながら、大学院の学生に奨学金を与えるということは妥当なことであると考えております。これはやはり大学院は除外していいのではないかというふうにはならないのではないか、今日の高等教育の態様を考えますとそのように考えている次第でございます。で、いずれも非常に強化することができれば望ましいということは申すまでもないことでございますし、また、御指摘のように、貸与率の減少ということが、母集団の拡大があるにせよ、あることは事実でございますから、私たちとしましてはでき得る限り奨学金というものの充実拡大を図っていくということはきわめて重要であると考えております。しかし、同時に大学院も非常に重視いたすべきものであろうかと思っております。
#194
○松永忠二君 私は、いま言う私立学校の配慮もある程度前進し、貸与率も前進しているなかで大学院を重視していくことは決して差し支えないと思う。また、大学院の研究については別個にまたやっている面もあります。そういう面でやはりめんどうを見ていくこともできるわけなんで、このいわゆる育英会の奨学金の中で、しかも相当な二万二千の人に百十六億もの金をかけて、半分の人が欲しいと言っているのにそれがたった二%か三%になっている状況では、やはり検討を要するのじゃないか。金高などで非常に措置をしていることは事実なんで、そういう点は私の意見としてひとつまた検討してもらいたいと思うのです。
 そこで、育英会の会長も来ているが、一体こういうものについて長期的な目標があるのか、どういうふうにしたいというふうに考えているのか。実は、中教審の答申に、五十五年の奨学金の受給率を三八%に、所要額は四千六百八十億、四十七年から五十五年、年平均二千六百億の金。ところが、四百五十億ですよ。また、文部省は育英奨学制度の改善に関する調査研究会というものも持っているわけだけれども、これは一体長期展望を具体的にどこまで持っているのか、どうしようというふうな目標があるのか、まず希望の方から聞かしてもらいましょうか。それとも先に、文部省の方からひとつ方針を長期的な目標を言ってください。
#195
○国務大臣(永井道雄君) 長期的な考え方でございますが、御指摘のように、中央教育審議会の答申におきましても、教育の機会均等を図って必要な分野に人材を誘致するために国の奨学制度のあり方について根本的検討を加える必要があるという提案がございます。
 今後の拡充につきましては、第一点といたしまして高等教育進学率が三八%でございますが、その現況が今後どのように推移するかということを十分に配慮すること。次に第二点といたしましては、貸与額の水準を対象人員の相関関係というものを考える。それは先ほど申し上げましたことと関連いたしますが、母集団と貸与率の問題並びに水準の問題でございます。第三番目には、そうした中で、先ほどお触れになりましたことにも関連いたしますが、研究者の養成とかあるいは教育界への人材誘致というようなことは社会の発展のために欠くべからざる要件でございますので、こうしたものは確保していくと。さらに第四点といたしましては、育英奨学資金の原資を従来のように一般会計資金のみに依存することは果たして妥当であるかどうか、こうしたことを基本的問題として考えていくべきではないか。いま長期的な計画を立てていくに当たって特に注視しなければならない要点と考えておりますのは、以上四点、これを踏まえまして今後の計画というものを進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
#196
○参考人(村山松雄君) 育英会は特殊法人でございまして、その事業費の予算は全額政府からの貸付金によっております。あと、すでに終了いたしました奨学生からの返還金を合わせまして事業費としておるわけでありまして、予算上各学種別の人数あるいは貸与金の単価は決められておりまして、それを間違いなく奨学生の方に貸し付ける、それから終了した者からの返還金を収納するということを仕事としておりますので、育英会として独自の何か計画を持つという性格ではございません。ただ、育英会は、政府からの貸付金をいただきまして大学なり高等学校と接触いたしまして奨学生を採用し、それを補導する立場でございます。したがって、学校なりあるいは奨学生諸君と直接接触しておる関係上、その生の要望などに関しましては文部省よりも切実に感じておるところでございますので、そういう要望、動向など把握いたしまして政府の施策に反映していただくように連絡を密にいたしておるところでございます。
 そういう感触からどういうところに問題があるかということはいろいろございますが、ことしの予算などに関連いたしまして端的な要望の強いのを二つばかり申し上げますと、一つは、私学について貸与金額、これは私学の学費との関連もございますが、貸与金額、特に特別奨学生の貸与金額を引き上げてほしいということ。それから先ほど松永委員からは若干批判的な御意見がございましたけれども、大学院の奨学生の数をふやしてほしいという要望がかなり強うございます。
 それから高等学校につきましては、これは各都道府県の意見をさらに聞きまして運営しておるわけでありますが、大都市関係と地方、僻地関係とではかなり事情がございますし、また、それぞれの間でもニュアンスの違いがございまして、これは一般的にふやしてほしいという御意見はありますが、特に指摘するようなまとまった意見というのは現在ございません。
#197
○松永忠二君 私は、いまのようなことではしようがないと思うのですよ、中教審あたりでも明確にそういう数字的なものを出しているわけだから。それからたとえば育英会の方にしたって、緒方会長のときには一つの構想を持ったでしょう、検討して。それから大臣の答弁もただ言葉で抽象的に言われたが、現にあれじゃないですか、いわゆる財政計画や何かにしても数字をきちんと示しているじゃないですか。これだけのものをこの計画の中でやりたいという数字を出さなければ、ただ言葉の上で言ったって、それはそんなことではとてもこの金額をふやしたりすることはできない。もっと具体的に、中教審でさえとにかくそういうことを言っている。ちゃんとそのための調査のあれも、時間がないからあれですけれども、私はやはり数字的に示してもらってそれをみんなでがんばっていくということが必要だと思うので、言葉としての方針などを聞いてみてもこれは実際のところ力にはならぬ。それからまた、育英会の方も、別に予算をもらったやつを配っていくというだけじゃなくて、諸外国の事例から見てこの程度のものにはしていかなければならないという目標を掲げて、そうして両者力を合わせてやっていくということでなければ、こういうような消極的なこんな態度では問題の解決はできないと私は思います。それから相当画期的な努力をしなければできない、それで新しい方法を見つけていく必要があるということはすでに答申でも出ているわけですから、もうこのままの状況ではだめです。
 そこで、私は時間がありませんから一問だけ質問いたしますが、私立大学の奨学事業援助制度というものも実施をされて、そうして五十年、五十一年に十億予定したものが実際にはどうなっているかというと、五十年は二億五千万しか貸し付けができていない、事実上。それからかつて、入学生の入学時の所要経費について貸そうじゃないか、そういうことを目的としていわゆるローンの制度の創設について考えたことがある。これも当時は貸与の対象を四十九年度の入学生の入学時の所要経費、貸し付けの総額は百五十億と考えて、一人十五万円を十万人の人に貸そうというようなことを考えた。そのために事務委託費と利子補給金というようなものも考えていたわけです。また、大学でも、こんなに新入生に対する一時金が多くなってきたものだから、私学自身で自分で貸与制度を始めたところもある。慶応大学などでも、授業料の分納を認める、四十人の枠で入学の手続前に授業料全額免除者を決めるというふうな措置も始めたわけです。日大あたりも、補欠の合格者が寄付金を出す、これもはっきりしているわけです。そこで、この日大も寄付金を廃止したいというようなことを考えたけれども、これもできないので、結果的に一部学債に切りかえた。とにかく、こんなたくさんな一時納付金を出さなければ私学はやっていけない。しかも、みんなそれは父兄の負担にかかってきているわけであります。しかも、さっき申しましたように、育英会の関係は二%そこらのもの、それでしかも、納付金は、さっき申しましたが、非常に額が多くなってきている。せめてそのときにだけでも金を借りてそれを返還していくというようなことになれば、これまた非常に――したがって、こういうことについて一体文部省は、入学時の一時金貸与問題についてなど新しい考え方のもとに来年はひとつせめてこういうことでも実施をしていこうというような構想があれば、これをお聞きをして、全く不十分でありましたけれども――一方、非常に学費の負担の重なってきているときである。もう一つ問題な点は、私学、国立を含めてこれから生徒数のふえていく高等学校の問題、私は時間がありませんからやりませんけれども、一体どうしてこの予算を出していくつもりなのか。そのことについて抜本的なやはり計画を立てていかなければならないのじゃないかという気持ちを持っているわけですが、そういうような意味で、一連の問題として、特に補欠合格者の金もはっきり公然とやられているし、しかも入学時の納付金がもうどんどん多くなってきているときに、いま従来のような育英金の貸与だけでいいと、このやり方だけではとてもやはり国民の期待にこたえられないのじゃないか。個別について新しい構想と努力、考え方を文部大臣からお聞きをして、質問を終わりたいと思います。
#198
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘の私立大学奨学事業援助事業というのは、まさに私どもが奨学制度の中に新しい一つの方向というものを求めようとして始めたものでございます。その実績が十分でない点も御指摘のとおりでございますが、私どもが現在検討しておりますのは、この私大奨学事業援助の一つとしていま御指摘の入学一時金の援助というものができないかどうか、これはもちろん大学側の意向も十分に聞かなければなりませんけれども、私立大学の方の御賛同が得られるならば、これも私大奨学事業援助の内容として入学一時金の面についての援助措置というものを考えてまいりたいというふうに思っております。技術的にはいろいろとむずかしい問題がありますし工夫は必要でございますけれども、御指摘のように、入学一時金の問題というのは非常に深刻になっておりますし、何とか積極的な対応を考えたいと考えているところでございます。
#199
○松永忠二君 私、委員長に希望しておくのですが、当委員会でいわゆる受験体制打破の問題というようなのが、皆それぞれ質問が出ている。こういうふうなだれもが問題を出してくるときこそ、委員会あたりでもう少しやはりその問題を詰めて、考え方をまとめたりあるいは意見を聞いたり、あるいはフリートーキングというようなものもいいでしょうし、何かやっぱりその問題に焦点を合わせて当委員会が努力をするようなことについてもう少し工夫してもらいたい。こういう点について理事会あたりでひとつ相談をしてもらってお願いしたいということを要望しておきます。
#200
○委員長(山崎竜男君) いずれ理事会に諮って時間をつくるようにいたします。
#201
○中沢伊登子君 大変お疲れだと思いますけれども、最後の質問者でございますのでお答えをいただきたいと思います。
 私は、きょうは、今後の高等教育の拡充整備についてという問題と、派遣主事の問題と、それから五月十日に設置されました警察庁の少年課の問題と、時間があれば学校給食の問題について、この四点について質問をしたいと思っております。
 まず初めに、今後の高等教育の拡充整備についてお伺いをいたしますが、わが国の高等教育は、この数年急速な量的拡大を遂げ、その学生数は二百万人を超えて、同年齢層の人口に対する進学者の占める割合は三七・八%を占めるに至っております。こうした現状が高等教育の大衆化あるいは大学の大衆化として認識せられ、エリートの養成を目的とした古い大学理念に立つ現在の大学制度との関係においてずいぶん多くの問題を生み出すに至っていることは、御承知のとおりでございます。このような大学の大衆化をもたらした原因は、わが国社会に根強い学歴社会の弊風、戦後の高度経済成長がもたらした国民の所得水準の向上、そして産業構造の変化に基づく研究、情報、出版等の知的生産の増大などに求められると思います。そうして、重要なことは、これらの大学の大衆化をもたらした諸原因は、今後とも引き続き持続するかあるいは増大するということでありまして、その結果、大学への進学希望者が今後さらに増大するだろうということでございます。
 ところが、一方このような大衆化した大学生を受け入れる体制はどのようになっているかと申しますと、五十年度の大学卒業生の就職率は七四・三%と新制大学発足以来三番目の落ち込みを見せ、定職もなくぶらぶらしている無業者は十人に一人にもなっていることが調査で明らかになっております。この現象は、今回の深刻な不況に伴う一時的な現象と見れば問題はないのですけれども、大学生の増大に伴ってこの傾向はさらに増大することが十分予想されます。また、大学卒業生のブルーカラー化も今後さらにふえてくると存じます。これらのことは、大学生がこれ以上ふえ続けても彼らを受け入れる社会的体制はもはやこれ以上増加しないということを意味すると思います。社会的な受け入れ体制もないままに大学の規模を拡大し大学生をふやすことは、大学生自身にとっても不幸を招くことにもなりますし、また社会の全体にとっても大きな損失であると思うのでございます。したがって、私は、高等教育を今後これ以上量的に拡大することはもはや限界に達していると思います。すなわち、今後の高等教育の拡充整備の方向は、量的に肥大化し、実質的にレベルダウンしている今日の高等教育を、質的に充実し、国民により質の高い教育を授けることにあると思います。このような根本的な立場に立って、私は大臣に次のような点について御質問を申し上げたいと思います。
 その第一点は、高等教育を量的に拡大することはもはや限界に達しており、今後は高等教育の質的拡充の面に政策の重点を置くべきだと思いますが、大臣はこの点についてどのような御認識を持っておられますか。
#202
○国務大臣(永井道雄君) 私は、ただいま中沢委員が御指摘になりましたように、高等教育は現在質的な充実の段階に入っていると考えます。また、高等教育懇談会自体も、すでに昭和四十七年以来の検討というものと若干違った方向で、今後五年間につきましては大学や短期大学の拡充というのは、地域間の格差とかあるいは専門分野構成の不均衡を是正するということは非常に重要であるけれども、無制限な拡充というものを行わないという方向を示しておられるわけでございます。なおまた、私学振興助成法につきましても、私学の新増設の抑制措置が定められております。そうしたことも配慮いたしまして、私は従来のようにただ無制限に高等教育を拡大するということについては非常に注意深くならなければならないと思っております。しかしながら、同時に、高等教育に対する国民的な要求というものは他方にあるわけでございますから、拡充と同時に多様化を考えまして、従来の大学、短大と違う姿のものも入ってくる。といいますのは、たとえば専修学校ないし放送大学、大学通信教育、こうしたものを十分に重視いたしまして、これを準備して対処することが重要であると考えます。
#203
○中沢伊登子君 いまのお答えにありましたように、そうすると、今後高等教育の拡充整備計画を進めるに当たりまして、高等教育に対する進学率をどの程度と見込んで計画をお立てになるおつもりでございますか。
 なお、その際、いまおっしゃったように、国民の教育を受けたいという要求の増大と社会の高等教育卒業者の受け入れ規模の微増との関係をどのように調整されるおつもりでございますか。
#204
○政府委員(佐野文一郎君) 高等教育懇談会が示しました今後五年間の拡充規模の目途というものは、従来の拡充のペースにしますと約一年間の拡充規模に相当する程度のものを五年間の枠として示しているわけでございます。で、今後五年間は十八歳人口がほとんど百五十万人台で横ばいをいたしますので、この高等教育懇談会の示した計画数値によりますと、五十五年度でも進学率は四〇・三%程度に相なるわけでございます。
 問題は、五十六年以降十八歳人口が再び増加の傾向に転じて、やがてまた二百万人台に六十年代にはなるわけでございますが、そのときの高等教育の規模というものをどのように考えていくかという点でございます。この点は、前期の五年間に、御指摘のような質的充実ということに留意をしながら今後の高等教育の発展の基盤を整備をするという作業を進めまして、その経違を見ながらしかるべき時期に後期の具体的な計画を策定をしたいというのが高等教育懇談会の考え方でございますし、私どももその方向に沿って五十六年以降の対応に誤りなきを期したいと考えているわけでございます。
#205
○中沢伊登子君 高等教育を質的に拡充するとした場合、大臣は何に重点を置くおつもりでございますか。
#206
○国務大臣(永井道雄君) 質的充実にはいろいろな問題があると思います。私どもが考えてまいりたいことは、いろいろな格差是正の問題がございます。それは地域間格差是正、これも高等教育懇談会において指摘されていることでございます。また、専門分野の構成につきましても、従来のようなやり方で果たして妥当であるかどうか、そうしたことが非常に重要な問題であると考えておりますので、今後五年間は地域間格差あるいは国公私の格差、専門分野構成の不均衡の是正、そうしたことが主要な充実のポイントになると考えておりますが、そうした角度で考えてまいりますと、学部レベルはいまのような形で大体において処理できるわけでございますが、そのほかに高等教育懇談会でも大学院制度の整備ということは緊急であると、ここで御審議をいただいたことでございますが、そうした大学院の改善充実ということはそれに加えてぜひとも質的充実の中で考えていかなければならないと思っております。
#207
○中沢伊登子君 私は、いまお答えいただきましたように、質的に拡充するという場合は次の問題が重要であると考えております。すなわち、第一に、高等教育の学生総数の七六・四%を占める私立学校を拡充強化して国公立との格差を根本的に是正すること、これはいま大臣のお考えと同じでございます。第二に、エリート養成という古い大学理念に基づいて営まれている現在の大学制度を大学の大衆化という実態に照らして改めること。特に、大学と社会との関係をより密接にすること。第三番に、高等教育の地域間及び専門分野の著しい不均衡を是正すること、これはいまお答えになられたとおりでございます。第四番に、より質の高いすぐれた大学教員を確保することなどであると思います。大臣はこの点についていまお答えをいただかなかった点についてお考えを述べていただきとうございます。
#208
○国務大臣(永井道雄君) まず第二点、特にエリート的でなく大衆化という問題でございますが、これがわれわれといたしまして多様化という形で通信教育、放送大学あるいは専修学校のような形で考えていかなければならないことであると考えております。
 なお、社会と大学との関連という問題も、おのずからいま申し上げました放送大学や専修学校、通信教育というものと関連いたしてくるかと思います。
 そして、一番最後にお述べになりましたすぐれた教員を養成するという問題は、当然大学院の充実という角度で対処していかなければならないことと考えております。
#209
○中沢伊登子君 次に、私立大学及び短大の質的充実についてでございますけれども、大臣は、私立大学をわが国高等教育の中でどのように位置づけ、今後の私立大学の拡充強化策としてどのような対策をお講じになるおつもりでございますか。
#210
○国務大臣(永井道雄君) 私立大学は現在も学生数の八〇%を占めておりますから、大変重要な高等教育機関であるということであると考えます。高等教育懇談会におきましても、私立大学というものの強化助成、これは中央教育審議会においても言われたことでございますが、そうしたものとの関連におきまして七十五国会において私立学校振興助成法が制定されました。その基本的な法の精神に基づいて対処いたすべきものであると考えております。ということは、やはり私立大学に対しまして文部省としては財政的な国庫補助を行うということが大事であると考えますが、その間において二つのポイントがあると思います。一つは、経営上の問題というものも含まれておりますから、そうした点を配慮いたしまして、私立大学ができ得る限り早い機会に経営上の体質改善というものが行われるように進めていくこと。第二番目といたしましては、私立大学というのは本来特色を持ちましていろいろ国立などでも果たし得ない役割りを果たしていくものでございますから、本年度始めました特別補助というふうなそうした方向、これは今後も強化されていかなければならないものであると考えております。そうした方向によりまして、私立大学というものの現在果たしております役割りというものが重要でございますが、今後数年のうちには量的拡大というものは抑制するわけでございますが、質的に非常に高まったものになることを期待しているわけでございます。
#211
○中沢伊登子君 ちょうど昨年ですね、私立学校振興助成法が制定されまして、私立大学に対する国の補助が法律的にも認められることになりました。しかし、その内容は、経常費の「二分の一以内を補助することができる。」こういう規定でございまして、はなはだ不十分なものとなっておると思います。したがって、この際、経常費及び施設費に対する国の二分の一の補助を法律的に明確にするよう法改正を行うべきだと思いますが、その点はいかがお考えでございますか。
#212
○国務大臣(永井道雄君) これにつきましては、御指摘のように二分の一以下ということになっておりますが、この法律に基づきまして五十一年度予算では前年度の二八・一%増というものを計上することができたわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、今後さしあたってはこの法律に基づきまして国としての高等教育政策上私立大学に対する質的拡充を図る、そして強化していくということを考える段階にあると考えておりますので、さしあたっては、直ちに法改正ということよりも、この法の中ででき得る限りのことを達成いたしたいという考えで臨んでいる次第でございます。
#213
○中沢伊登子君 さて、私ども民社党では、国公立と私立との格差を根本的に是正するためには、国公私立の別なくすべての大学が一定の公費によって自主的に営まれる特殊法人立化することを主張しております。大学の自治が保障され、大学の運営が各大学の自主性に任されているものとすれば、全大学を特殊法人化することも現実離れのする構想ではないと思うのですが、この点はどのようにお考えでございますか。
#214
○国務大臣(永井道雄君) 大学の設置形態を特殊法人とすることは、民社党においてもお考えになってこられたことであり、また中央教育審議会の答申も一つの考え方としてこれを示唆しているわけでございます。そこで、これは確かに大学というものが各方面からの多様な要請に柔軟に対処できるようにするための重要な方法で、一つの方法であると考えてはおります。私自身もそういうふうな考え方をとったこともあるわけでございます。
 ただ、いま考えておりますのは、国公立大学というものを特殊法人といたしますと、人事あるいは財政、そうした側面から検討いたさなければならない問題が相当多岐にわたっているということが一点。それからもう一つ、現存の大学というものも、国立公立を問わず、大学紛争以来、従来の枠の中で相当な改革を試みるべく努力をいたしている段階でございます。そうした段階でございますので、直ちにすべての国公立大学を特殊法人にという方向に踏み切るよりは、まず各大学の改革というものの推移を見ながらその意見も十分に徴して、次第に新しい方向がどのように開けていくかということを考えるべきではなかろうかと思っている次第でございます。
#215
○中沢伊登子君 大変結構だと思います。いい御意見をいただいて、私どもももう一遍この問題は考えてみなければならない問題だと思います。
 さて、これからの高等教育制度は、学習者の学習意欲が最大限に尊重されるものでなければなりません。すなわち、学習意欲のある者はいつでも必要に応じて教育を受けることが可能となり、しかも自己の能力の発達に応じて学習内容を深めていくことが制度的に保障されるものでなければならないと思います。この意味において、大学入試さえパスすれば自動的に卒業が可能となり、学習者の学習意欲の喪失と高等教育水準の低下を招いているという実態や、また、大学入試が高校以下の教育を受験のための詰め込み教育へとゆがめてしまっているという実態は、根本的に刷新しなければなりません。
 そこで、私のこれは全く個人的な見解ではございますけれども、大学制度を次のように改めたらよいのではないかという考えを持っております。すなわち、その一つは、大学は、修業年限を定めず、履修単位の取得を示す単位取得認定証を発行し、卒業証書は発行しない、これが一点です。第二点は、大学相互間の単位の交換制を認めること。第三番目に、大学における学科科目は多様として、その履修は一般から専門へ、総合から分化として、その履修の要件としては、常にその適性及び能力があるかどうかの認定がなされること。第四番目に、大学においては卒業、退学の制度は設けないものとして、社会あるいは自己が必要とする単位を修得した場合に、就職等で一たん大学を離れても、そして社会に出た者がいつでもその意欲あるいは必要に応じて再び大学に戻ってくる、いわば還流的生涯教育の中心的機能を果たす機関として大学を考える。こういうことはいかがなものであろうか、このように実は考えているわけでございますけれども、これらの点について、大臣の率直な御意見を伺わしていただきたいと思います。
#216
○国務大臣(永井道雄君) まず、大学で卒業免状を取るということだけが目的になって、中身が非常になくなってくるということは事実でございます。すべての大学でそうでございませんけれども、いわゆる学歴偏重は全くそういう形であらわれてきております。私は、そういう意味でも、この放送大学の中に、現在計画でもすでに大学の卒業という形でなく、コース別の学習というプログラムを考えております。また、専修学校は学位を出すものではございませんが、非常に就職率が高い。こうしたものが勢いを得てまいりますことが従来の大学に相当の刺激を与え得るのではないかと考えております。
 次に、単位の互換につきましては、これは大学、大学院を問わずもうすでに文部省としては非常に進めている点でございまして、大学が自治の立場でひとつこの方向というものにでき得る限り積極的に取り組んでいただくことを希望するものでございます。
 次に、大学のカリキュラムというものを編成する上で、やはり適性能力というものに合うように多様化を考えていったらどうかという御意見でございますが、これも全く賛成でございまして、そういう意味においてこそ私学というものが、私は、今度の助成対象もそうでございますが、たとえば語学の学習などにつきましても、従来英文学とかそういうものに偏っておったのですが、そうでないものをつくり上げていくとか、あるいは身体障害者の方たちを引き受ける学校というものに助成をいたしていく、そうしたことによって多様化が促進されることを希望いたしているわけでございます。
 次に、最後の点で、大学というのは若いときだけただ通過する一つの通過駅のようなものではなく、むしろ社会に出てさらにまた大学に戻るというような意味で、生涯教育の一環になっていくというような形が望ましいのではないかということでございますが、実は通信教育というようなものはすでに相当そういう役割りを果たしておりまして、NHKの通信学園は昨年の卒業生の最高年齢が七十三歳、本年は六十歳でございます。卒業式に参りまして非常にそういう意味で感銘をいたしまして、本年の卒業生の平均年齢は二六、七歳であったと思いますが、そういう形の高校もできているわけでございますから、私は放送大学というものが十分にうまく設計され、そして経営されてまいりますと、従来の形の大学とはかなり違う形で国民の生活に寄与できるのではないかと考えているわけでございます。
#217
○中沢伊登子君 この大学の問題やそれから入試の問題は、一昨日の委員会以来ずっと各委員がこの問題に触れておりますが、私どもも願わくば子供たちが塾に通って大学受験のために地獄のような勉強をしなければならないということがおいおい解消されていくことを心から願うものでございます。
 それでは、次に、派遣社会教育主事の問題についてお尋ねをいたします。およそ、教育というものは、家庭、学校、社会を通じて人間の一生涯にわたって行わるべきものでございます。しかるに、わが国においては、学校教育のみが教育であるかの観を呈しておりますが、家庭及び社会教育が全くおろそかにされているという現状にございます。行政上の施策が特に望まれる社会教育が軽視されているということは、大変問題だと思います。このことは、文教関係予算の中で社会教育予算が全体の〇・〇六七%にすぎないことからしても明白なことでございます。このような姿勢は、一刻も早く改めるべきであります。
 そこで私は、社会教育全体の問題は別の機会に譲るといたしまして、きょうは社会教育振興の要となる社会教育主事、特に派遣社会教育主事の問題について二、三の質問をしたいと思います。派遣社会教育制度は、市町村における社会教育の中核となる社会教育主事としてふさわしい人材を都道府県が市町村の求めに応じて派遣することができるように、国は都道府県に対して派遣される社会教育主事の給与の二分の一を補助するものとして、法律でこういうことで制度化されておりますね。社会教育は学校教育と異なってその主体が地域住民でございますし、短期間にその教育効果を得ることは困難でございます。したがって、社会教育主事となるべき人材は、少なくともその地域に定住し、生涯を社会教育に携わるような専門的知識を持った意欲ある人が望まれるわけでございます。
 そこで、お伺いをいたしますが、派遣社会教育主事の派遣期間は全国平均でどれくらいの期間でございますか。
#218
○政府委員(吉里邦夫君) 実態でございますので私からお答えをいたします。
 御案内のように、四十九年から国庫補助によります派遣社会教育主事の制度を設けたわけでございまして、まだ二年しかたっておりませんが、大体各県の派遣要綱を見ますと、ほぼ三年ということに相なっております。
#219
○中沢伊登子君 この間、全日本青年協議会ですか、こういう人たちの陳情を実は党本部で受けましたときに、この青年団の人たちから大変不満が出ておりました。大体その人たちのいわくは一年ないし二年だ、こういうようなことを盛んに彼らは言っておったわけでございます。そこで、一年か二年だということであれば、まだその地域に溶け込めないうちにもうかわってしまう、こういうことでむしろそういう方が見えると反発を感ずる、こういうことを大変申しておられたわけでございまして、それらの方々の要望に沿いましてきょうは御質問ということになったわけでございます。
  〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
 そこで、派遣社会教育主事が情熱と責任を持って社会教育に打ち込むことは、期間が短ければ短いほど不可能になってくるわけでございます。そこで、派遣社会教育主事の派遣期間は最低五年ぐらいにしてほしい、こういうことでございましたけれども、私どもも五年ぐらいはそこにとどまるべきだと考えておりますが、その点はいかがですか。
#220
○政府委員(吉里邦夫君) ただいまお答え申し上げましたように、国が補助をいたします派遣社会教育主事の大体の平均在職期間は三年ということでございますが、これは前提がございまして、それぞれの市町村にそれぞれ固有の社会教育主事が置かれることが望ましいし、あるいは人口段階におきましては義務づけているわけでございます。しかし、現状から言いますと、市町村の財政であるとかいろいろなことで、私どもの指導が至りませんこともありますけれども、全体がそれぞれの社会教育主事を充足するというわけになかなかいっていないというのが現状でもございます。したがいまして、そういうことも加味いたしまして国と県が二分の一ずつ負担をいたしまして補助を出して派遣をするということでございますから、それぞれの市町村の社会教育主事はまさにそれぞれの市町村で根を生やして一生懸命やっていただく、同時に、派遣の方も短くてはいけませんけれども、まあほぼ三年ぐらいでそれぞれの市町村の社会教育の体系を方向づけていただくということで、いまのところそういうような指導をいたしておるわけでございます。
 御意見は大変建設的な御意見でもございますので、いろいろなことを将来の指導の中で御相談をしたいと思っております。
#221
○中沢伊登子君 この派遣教育主事は、各町村は小さければ小さいところほど自費でこれを雇うわけにいかないわけですね。そこで派遣をしてもらうわけですけれども、そうすると、よそからの方が見えるわけですから、本当にしばらく三年ぐらいと言わずに五年ぐらいそこに定住をしてもらう、こういうことが私は必要だと思います。それで、またこの間の青年団の人たちもそれを大変希望をしております。まだそこの土地風俗になれないうちに帰ってしまう、こういうことでございますから、その辺はまたお考えをいただきたいと思います。
 それから派遣社会教育主事のほとんどが教職経験者で占められているということでございますが、それは実情はどうなんでございますか。
#222
○政府委員(吉里邦夫君) 実情といたしましては、約七〇%の者が教職関係の経験を持った者が派遣の社会教育主事に切りかわってきておるというのが実態でございます。
#223
○中沢伊登子君 そこでまた、派遣社会教育主事として派遣をされたあと、七〇%の人が教職者で占められておりますと、その人は三年なら三年いたら、もう一ぺん学校へ帰るわけですね。学校に戻った場合に、その教員の地位と給与が上がるというこういう仕組みになっていると聞いておりますが、その点事実はどうですか。
  〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕
#224
○政府委員(吉里邦夫君) 大体三年ぐらいのめどで一応の派遣をいたしておりますが、いまの御質問のように、大部分の者がやはり学校に帰ることは事実だと思いますけれども、場合によりましては他の市町村あるいは特に求めのある市町村へ回るというケースもございます。
 なお、御質問にありましたように、派遣社会教育主事に教育関係から参りました者が学校に帰る際に、おっしゃったようなことがシステムとしてあるのではなくて、やはり学校教育の中で育った方が、もちろんこれは主事の資格を持っておりますから、社会教育としても経験も学識も持っているわけでございますが、その上に経験を積んで学校に帰ると、やっぱり学校教育の中でもそれぞれの立場で相当やはり指導的な立場に立つ人が多いのではないかと存じております。
#225
○中沢伊登子君 お答えではございますけれども、派遣社会教育主事の人材が学校教育の一時的な腰かけの場とされたり、学校に戻った場合の給与や地位を上げるために利用されることは不合理だと思います。こういうことになりますと、社会教育を軽視することはなはだしい問題だと思います。社会教育は学校教育とはその対象、内容、方法等において異なることが多いものでありますから、民間の団体指導者や、社会教育経験者や、大学で所定の資格を得た若手などから派遣社会教育主事として広く人材を登用すべきではないのでしょうか、その点はいかがでございますか。
#226
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの御指摘の点でございますが、社会教育に関係を持たれている方々が派遣社会教育主事になられるということも重要でございますし、また、現在二三%強が社会教育主事として専門的に仕事に当たれる人でございますが、それも大事であると思います。ただ、私は、学校教員が七三%社会教育派遣主事になっているという場合に、腰かけにしましてそしてまた学校へ帰ってくるというのですと非常にまずいと思いますが、そうではなくて、学校も開放という方向にあり、また学校で教えている先生が社会教育を経験されるということから、かえって学校教育自体も体験に基づく上での発展が出てくる。また、社会教育の方も、学校での長い教育経験を持たれた方によって裨益する。ですから、腰かけに使って学校教育をただ伸ばす手段になりますとこれはいけないことであると思いますが、健全な意味での交流ということで、学校教育、社会教育が発展いたしていくような方向で活用される場合には、むしろ望ましい結果も期待できるのではないかと考えております。しかし、違う種類の人たちが相当いるということがそうした健全な交流を図っていく上で大事な条件と思いますから、御指摘のように、社会教育の十分な経験を持った人たちが他方にいるということが大事であると考えて
 おります。
#227
○中沢伊登子君 いま大臣のおっしゃいました健全な交流ということであれば、その派遣社会教育主事の身分が、平均三年とおっしゃられたわけですけれども、その身分が都道府県の職員となっているわけですね。これでは、市町村に密着した健全な交流というものがなかなかむずかしい。そこで、社会教育活動を行う上で大変不都合がありますので、その身分を、やっぱり期間を五年ぐらいにしますと、市町村の職員とすべきだ。そうすると、本当にそこに根づいた感じで健全な交流ができる、こういうことになるのではなかろうかと思います。その辺はどうなんでしょうか。
#228
○政府委員(吉里邦夫君) 先ほどお答えの中で言葉が足りなかったのではないかと思いますが、片一方の市町村固有の社会教育主事の設置に関しましては、地方交付税その他いろいろな手段を講じまして推進をいたしております。これはまさに市町村の職員でございます。しかし。先ほどお答え申し上げたように、現状ではまだまだ手が届かないところがございますので、それは市町村の求めに応じまして県の身分を持った者を派遣する。しかし、それは県の給与とそれから国が半分補助するという形で補完をしていくということでございますので、派遣社会教育主事を市町村の職員の身分にするということは、これまた別な問題でございましょうと思っております。
#229
○中沢伊登子君 よくわかりました。とかくそういう小さい田舎に行きますと、何か県の身分で来られますと、役所の中でもひとり何かえらいさんがいるみたいな感じでそこら辺がなかなか融和ができないと、こういう点を言っておられたものですから、御質問を申し上げたわけでございます。
 それから今度は派遣じゃなくて、社会教育の振興のためには指導者の充実、とりわけ社会教育主事の充実が不可欠の要件でございますが、このために、現在派遣社会教育主事のみに認められている給与費の二分の一の国庫補助、これを一般の社会教育主事にも適用すべきではないかと思いますが、これはいかがでしょうか。
#230
○政府委員(吉里邦夫君) 関係者から私の手元にもその旨の御要望なり、団体からもいろいろな要望が来ておりますけれども、社会教育そのものの本質から考えまして、やはり市町村が固有の事務として取り組む姿勢が大事ではないかと思っております。しかし、財政的な裏づけというものは、いまのシステムによりますと、地方交付税の中で補完をしていくということでございます。ただ、現実に交付税積算が低いとか、あるいは実態がそれより高いとかということもあろうかと思いますので、今後の私どもの力の入れ方といたしましては、地方交付税積算の単価を自治省当局とも相談をする、あるいは派遣の方につきましてもこれは地方交付税の算定単価によって算定をいたしておりますが、実勢が実態に合うように将来も改善を加えていくということで御希望の向きを満たしていきたいと、こう思っております。
#231
○中沢伊登子君 とにもかくにも、社会教育の重要性を認識されて、水面には顔を出さなくても、心を砕きながら社会教育に尽くしていてくださる隠れた指導者も大変多いわけでございますから、文部省としても十分にこの社会教育の問題には力を入れていただきたい、このことを要望させていただいておきます。
 それから次に、青少年の非行の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。五月十日に警察庁に少年課が新設され、これを核に全国に警察本部を挙げて少年問題に取り組むことになったとの報道がございましたが、これは世の母親や父親を初めとして、婦人会やPTA、あるいは有職者、社会教育関係等の人々にずいぶん喜ばれたのではないかと思います。私も快哉を叫ぶ一人でございますが、この十年間は本当に長い感じがいたしました。と申しますのは、この十年の間に私は予算委員会で青少年問題について都合四回取り上げてきたのでございます。すなわち、昭和四十二年の十二月の予算委員会で初めて当時悪書といわれた一部の出版界の弊風について質問をいたしました。当時は、悪書追放のために主婦がたすきがけでチラシを配ったり、羊の顔をしたポスト型の週刊誌の収集箱をあちこちに置いたものです。昭和四十二年の犯罪白書によりますと、検挙数が七十四万件で、性犯罪と過失犯罪が増加をしていると記されております。
 第二回目が昭和四十三年の四月の予算委員会でございました。このときは、大阪の関西主婦連が入念な資料を送ってくれまして、昭和四十二年じゅうに発見した悪書の種類は延べ九千九百七十八であり、悪書を置いてあった店が二千二百三十一店だと、このような記録を送ってくれたわけでございますが、低俗出版物に影響を受けた青少年の非行の事例等を本当に事細かく資料として出してくれたわけでございます。
 第三回目は主として未成年者の喫煙について私は質問をいたしましたが、きょう資料を探しておりましたら、その当時私が予算委員会で出しましたおもしろいものがございます。これは同じ禁煙でも、高校一年は本当の「禁煙」なんです。高校二年になると、近づく「近煙」なんですね。それから高三ぐらいになると、一生懸命でたばこをのむという、こういう「勤煙」なんです。こういうことが当時言われておりまして、私もこれを持って予算委員会に出たわけでございます。
 第四回目に取り上げたのが昨年三月の予算委員会でございました。このときには、永井文部大臣にも御質問を申し上げましたので御記憶にあると存じますが、大臣には最後にお答えを伺わせていただきますので、しばらく警察庁の方とやりとりをさしていただきたいと思います。
 この四回目のときは、急激に今度は女子少年の犯罪がふえてきておりましたし、週刊誌も四十二年のときから見るとはるかにはるかにえげつなくなっていましたし、興味本位に拍車をかけておりました。その上、いかがわしいエロ漫画がはんらんをしてきておりました。通勤電車の中で人前で堂々と朝からエロ漫画を見ている日本人とは何たるものぞと外人が仰天をしたという話も新聞に出ておりました。青少年の犯罪も多様化して、性犯罪や女子高校生の売春がいよいよふえ、傾向として残虐性が増大をしてきております。再三の私のこうした質問に対しまして返ってきた答弁は、その場逃れの適当なものであり、憲法で表現の自由、言論の自由が保障されているので取り締まるわけにはいかない、こういうことの一点張りでございました。そして、世論を起こすようにと、反対に私の方へボールを投げ返されたものでございます。昨年の質問のとき私は警察庁の方にずいぶんしつこく食い下がりましたが、これも需要と供給の問題もあってなどと適当にいなされた感じがしました。その後も、日に増し青少年を取り巻く環境は悪化の一途をたどってまいりましたので、本当に憂慮のほかありませんでした。もちろん、これは子供たちばかりを責めるわけにはまいりません。むしろ大人の負うべき責任が問われなければならない、この方がより大きいかもしれません。子供たちのために大人がもう少しがまんができないものだろうか。ロッキード問題等大人がえりを正さなければならないと思いますし、いずれにしても長い十年でございました。しかし、すでに各新聞の論調や記事にもありますように、テレビ、映画、出版物などについて表現の自由や芸術性などの問題と絡んで大変むずかしい問題であるでしょうと思いますが、警察が介入することでかえって批判もあるのではないかと案じられます。また、社会的コンセンサスを得るためにも息の長い根気が要ることでしょうが、とにもかくにも現状を見かねて立ち上がられたその意気込みに私は心から敬意を表します。
 そこで、お伺いをしたいのですが、第一番目に、大変むずかしい点が多々あろうかと思いますけれども、一番むずかしい点は何だとお考えでございますか。
#232
○説明員(仁平圀雄君) いろいろむずかしい点がございますけれども、主なるものを取り上げてみますと、一つには少年にとって何が有害であるかという判断基準が区々にわたっておるということでございます。二つ目には、表現の自由とか職業選択の自由というものとかかわっているということでございます。それから三つ目には、法令による指導、取り締まりのみによっては効果を期せられない、そういうふうに考えております。
#233
○中沢伊登子君 警察が手をつけられるということは本当にいろいろな困難があろうかと思いますが、昭和五十一年度の犯罪件数はどれくらいあったのでしょうか。そしてまた、青少年の犯罪の傾向がどのようになっていったか、あるいは特筆するような事件はどのようなものがあったのでしょうか。
#234
○説明員(仁平圀雄君) 昭和五十年におきます交通問題を除く刑法犯について見ますと、認知件数は百二十三万四千三百七十件、検挙件数は七十一万三千三十一件、検挙人員は三十六万四千百十七人でございまして、そのうち少年の検挙人員は十一万六千七百八十二人でございまして、成人の約三分の一ということでございます。
 それから少年非行の傾向といたしましては、一つには刑法犯を犯して検挙されました少年は昭和四十八年以降三年連続して増加しておりまして、これを人口千人当たりの検挙人員で見ますと、昨年は十一・八人となっておりまして、これは戦後で三番目でございます。それから傾向の二つ目といたしましては、年齢的に見ますと、十五歳、十六歳の少年による犯罪が増加しておりまして、昭和五十年では全体の約半数を占めるに至っております。それから三つ目には、万引き、自転車盗難などのいわゆる遊び型の非行が依然として多発しておりまして、全体の約三分の一を占めております。それから四つ目には、女子少年の非行が増加しておりまして、特に粗暴犯の増加が目立っております。それから五つ目には、中高校生の教師暴行事件が多発しております。それから六つ目には、暴走族による集団乱闘事件等が多発しております。七つ目には、シンナー等の乱用少年が急増しております。それから八つ目には、グループによりますところの性の逸脱行動というものが広まっております。
 それから最近記憶に残ります特筆すべき事件といたしましては、本年一月六日に、福岡県下におきまして、中学三年生、十五歳の少年でございますけれども、ポルノ映画やポルノ雑誌を見た帰りに、通行中の女子事務員から金品を強奪しようと試みまして、騒がれたためにこれを殺害して金品を強奪した上乱暴したというふうな事案がございます。
#235
○中沢伊登子君 昭和四十二、三年、私が質問を始めたころは、恐るべき十七歳という言葉がはやったものですが、いま伺ってみれば、それがまた年齢が低下して十五歳、十六歳が半数を占めております。それから万引きや自転車をかっぱらうというようなことがそれほど悪いと思わなくなってしまった。ここに私は問題があると思いますね。女子高校生なんかが売春をやりましても、それがちっともおかしい、悪いと、こういうふうな感覚を持たないというところに私は最近の青少年の非行のずいぶん重大な問題がひそんでいると、こういうふうに考えております。
 次には、映画や看板広告、あるいは出版物ですね、そういうものの質の基準をどこに決めるか、つまり線引き、どこに線を引くか、その点はいかがですか。
#236
○説明員(仁平圀雄君) 大変むずかしい問題でございまして、一応私どもといたしましては少年にとって何が有害であるかということを基準にして判断しなければならない。成人じゃなくて少年を基準に考えたいと思っております。したがいまして、少年にとってはもちろんのこと、成人にとりましても好ましくないような、いわゆる刑法にいうわいせつに当たるものは当然でございます。また、これに該当しないものでございましても、少年に対して著しく性的な感情を刺激するとか、あるいははなはだしく残虐性を助長するようなそういうものについても対象として対処していきたいというふうに考えておるわけです。
 問題は、これらに当たるかどうかという判断の問題になるわけでございますけれども、これは一口で申し上げますと、やはり社会通念といいますか、社会的な良識に待たなければならないというふうに考えております。
#237
○中沢伊登子君 刑法の百七十五条の運用としてもずいぶん大きな限界があると思いますね。大変な仕事だと思いますが、ポルノ映画や飲酒、喫煙、これを十八歳でチェックするという問題がありますね。映画なんかには十八歳以下の者は成人映画には入っては困る。ところが、それをチェックするといっても、制服を着ている場合はよくわかりますけれども、すぐに背広に着かえたり、ワンピースに着かえたりすると、果たしてこれが十八歳以下の子供であるか大人であるかという、その判断が非常にむずかしいと思いますね。その点もひとつ心していただきたいと思いますが、大変むずかしい問題で私も何と申し上げたらいいかわかりませんが、その少年の範囲ですね、これは何歳から何歳ぐらいをめどにしておられますか。
#238
○説明員(仁平圀雄君) 警察におきましては、一般的には少年法が対象としております二十歳未満の者を少年として取り扱っているわけでございますけれども、今回活動を強化してまいろうと考えております少年を取り巻く環境浄化活動につきましては、主として児童福祉法や府県の青少年保護育成条例が対象としております十八歳未満の少年を対象に考えていきたいというふうに考えております。
#239
○中沢伊登子君 そこで、先ほども私ちょっと読みましたけれども、かつてお母さん方がチラシを配ったり、たすきがけで外で何か悪書を追放しようというようなことがあったわけですけれども、地域の関係団体ですね、あるいは社会環境の浄化活動をやっていらっしゃるようなところの協力要請をすべきだと思いますが、その点もお考えでございましょうか。
#240
○説明員(仁平圀雄君) 御指摘のとおりでございまして、有害環境を浄化していくためには、もとより警察だけの活動によってこれがなし得るわけではございませんので、関係機関、団体等による広範な分野にわたる総合的な活動をお願いいたしたいというふうに考えております。そのため、地域の関係の団体等に対しましては、警察が把握しております有害環境の実態とか、あるいは少年非行の実態といったものにつきまして積極的にお知らせいたしまして御協力を願いたいというふうに考えております。
#241
○中沢伊登子君 取り締まりの強化と同時に、よいことを育てることも忘れずにPRすることもまたこれは必要なことだと思いますが、その点も考えていていただけるのでしょうか。
#242
○説明員(仁平圀雄君) これまた御指摘のとおりでございまして、もともと少年警察活動の目的は、少年の非行を防止し、その健全な育成に資するために少年の福祉を図るということを目的にしておるわけでございます。そういうことからいたしましても、単に有害環境を排除するということにとどまることなく、健全な環境を積極的に醸成していくということにつきましても関係機関とか団体等へ働きかけるなど、十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
#243
○中沢伊登子君 こういうことをなさるのについての予算はどれぐらいあるのですか。
#244
○説明員(仁平圀雄君) 昭和五十一年度におきます少年警察関係の予算全部で約五億五百万円でございます。このうち、少年を食い物にする暴力団等による福祉犯の取り締まり、少年に有害な出版物等の取り締まり等、いわば環境浄化活動のための経費ということになります予算は二億四千六百万円ということになっております。
#245
○中沢伊登子君 いろいろお尋ねをしてまいりましたけれども、とにもかくにも警察主導型にならないように、大変むずかしいのですが、もしもこういうふうなことになりますと、反対にかえって陰湿になったり悪質になったりするおそれもありますので、大変むずかしいでしょうが、心して、せっかく五月十日に発足をしたことですから、一生懸命でやっていただきたいと思いますし、また、きっといいPRなんかをなさったら、PTAだの母親クラブだのいろいろな方も御協力をきっと惜しまないと思います。
 最後に、文部大臣に、いままでいろいろのことを伺ってまいりましたが、大臣は文部大臣としてどのような御感想、お考えを持っていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。
#246
○国務大臣(永井道雄君) 私は、わが国の少年の間に非行がふえてきている、しかもそれが年齢的に低下いたしてきておりますし、また、統計によりますと、女性の非行というものもふえてきているということは、きわめて憂慮すべきことであると思います。こうした問題に対処いたしますために、警察において、たとえば毒物、麻薬の使用、さらに暴力の行使、あるいは喫煙、飲酒等について適切な取り締まりをやっていただくということはきわめて重要であると思いますけれども、しかし、実は教育の方におきまして積極的によい教育を行っていくということがきわめて大事であると考えております。徳育、そして情操教育、それから体育というふうなものがまず早期からきわめて重要である。さらに、思春期というのがむずかしい段階でございますから、特に中等段階において生徒指導というものを強化する方向でこのたび考えてきておりますこともそうした意味合いにおいて施策といたした次第でございます。
 また、この問題に対処するに当たりましては、学校教育という角度からだけではとてもできないことでございますから、まさに文部省におきましても学校教育と社会教育というものが協力をいたしまして、先ほどから申しましたような徳育、あるいは情操教育、そして体育というようなものにつきまして協力をして、そして子供に積極的にこの善悪の判断が行える道徳の感覚というものが自然に備わる、早くから備わるというふうに努力をいたさなければならぬと考えております。
#247
○中沢伊登子君 まだもう少し時間がありますから、学校給食について一言お伺いをしたいと思います。
 この間、はからずもテレビを見ておりまして私初めて知ったわけですけれども、きょうここに貸していただいてまいりましたけれども、いわゆるコンビネーションスプーンというのですね。すね。おさじとそれからフォークとナイフの役目をこれ一つでしているわけですね。これで子供が食事をしているテレビを見まして、これはちょっと大変だなと、なかなかこれでリンゴなんかを、女の子は上手にやっていますけれども、こういうことでいいのか悪いのかということがわかりませんのでちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、大変簡便という点では私はこれでいいと思います。ところが、学校給食法を読みますと、第一条にこう書いてあるのです。「学校給食が」ずっと書いてあって最後の方に「国民の食生活の改善に寄与するものである」。第二条の第一項では「日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。」それから第二項では「学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと。」第三項では「食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。」云々と、こう書いてあるわけですね。この学校給食法によっていろいろ私も考えてみたのですが、全国の義務教育の学校で学校給食をしているところは全部これを使わしているのでしょうかどうでしょうか、それをひとつ伺わしてください。
#248
○政府委員(安養寺重夫君) 学校給食法という規定がいま先生のお口から御紹介ございましたが、その法律に書きましたような趣旨を理想と掲げまして、いろいろ在来給食三十年ということで本年いろいろな新しい展望をしたいと思っておるわけでございます。現実にはいろいろと現場なりの制約もございまして、いろいろ施設設備の充実等々につきましても今後の課題という面が多うございます。
 いまお尋ねのいろいろな食器だとか、はし、フォーク、スプーン等々の使用します器具でございますが、全部、これをやるときに、はしでなくちゃならぬとか、この先割れスプーンが結構なものであるというふうなことにはいたしてございませんです。まあおのずから長年の、こう言うと失礼なのですが、生活の知恵というものの結晶で、一つことで多目的にああいうものができ上がったというような現状でございまして、それにもいろいろ問題がございます。問題がございますが、実際そういう状態になっておるということでございます。
#249
○中沢伊登子君 そうすると、これをみんな学校へ備えるのでなくて、各自が持っていくわけですね。これの値段を聞いたら四十円から六十円ぐらいだと。これはステンレスで、18ステンレスとどこかに書いてありましたね。まあ18ステンレスぐらいだったら、これは五十円か六十円で買えると思いますね。いま最高いいのは18−10というステンレスができておりますけれども、これはただ18ステンレスというから、そう高いものではないとは思いますけれども、こういうものが大変便利だということでこれを使っているのかもしれませんけれども、いまの学校給食法によりますと、「望ましい習慣を養なう」ということであれば、スプーンはやっぱり普通のスプーンで食べさせる、そういう習慣をつけること、あるいはナイフとフォークはこんなコンビネーションになっているのじゃなくてちゃんと使わせる習慣をつけていくこともまた必要じゃないかと、私はこう思ったわけです。まあいろいろ制約があるということはよくわかっております。そういう中で、おはしの持てない子があったり、おはしでなければ食べられない子供があったり、いろいろするわけでございますけれども、どこの家にも余分のナイフとフォークぐらいは二つも三つもあると思いますので、できればナイフとフォークの正しい使い方をさせる、あるいはスプーンもちゃんとしたものを持たして、スープを飲むときには音をたててはいけませんと、こういうような教育まで私は給食の中でやってもらえればいいなと思います。中には、日本の東洋流でいけば、物を食べておいしかったときには舌鼓を打つということで口を鳴らすのがいいのかもしれませんけれども、西洋に行きますと、スープを飲んで音をたてるとこれは大変不作法だということになりますので、西洋流と東洋流とは違うかもしれませんけれども、そういうことまで教えていだだくと大変いい習慣がつくのではなかろうかと思います。実は、大変りっぱな大人でもしょっちゅう口を鳴らすのでひょっとしたら投書が行ったのじゃないかと思うような節もございますので、そういうようなことも私は給食の中で教えていただけたらというような感じがしますが、その辺はどうなんでしょうか。
#250
○政府委員(安養寺重夫君) いまお示しのスプーンだとか使います器具は、全部学校の方で備えつけてございます。本年から米飯を給食に導入するということをめぐりまして、おはしをどうするかということが大変問題になっております。これは、お世話をする学校の方、特に栄養士の先生方から、その衛生管理、いろいろそういう面でその扱いについて工夫が要ると。これはもう一人は二本ですけれども、学校全体にすると大変な数になるわけですかち、その洗浄、保管、そういうことにつきましてまた新しい経験を積むということでございまして問題になっております。そういうことを一つ挙げましても、いろいろ現場の方でもナーバスに対応していただいているわけでございまして、お話しのように、いろいろ器具などもりっぱにしつらえまして、まさに望ましいような食習慣、マナーが身につくようにすべきが本当でございますけれども、そこはいろいろと現実とのかね合いで、何とか家庭のしつけ、実庭教育、社会教育一般と学校教育との協力の中で、あちらで悪ければこちらで直すとか、向こうの方で出過ぎれば学校の方で御注意申し上げるとか、いろいろなそういうことを総合的にこれはやらなくちゃならぬし、そうあるべきだというぐあいに考えておりまして、お示しの目標につきましては、文部省はもちろんでございますが、関係者一同とくと胸に置いて努力しておるわけでございます。
#251
○中沢伊登子君 その御努力は大変感謝を申し上げるわけですが、いまたまたま器具のことが出ましたが、最近、プラスチックの食器だの、あるいはわれわれがいろいなものを買いますね、たとえばお酢とかマヨネーズとか、そういうものの入れ物ですね、びんでないもの、そういうものからいろいろな悪いものが出るということで、いまこの追放運動をやっているわけですけれども、私のおります兵庫県の西宮市では、その食器がいままでアルミのお皿なんかを使っていたのですが、あれは御承知のようにべこべこになりますね。それで、洗いますとだんだん汚くなるものですから、いまそれがまさにプラスチックにかわろうとしているようでございます。このことをこの間西宮の方のお母さん方から陳情がありまして、できたらいまこういうときだからプラスチックにかわらない方がいいのだけれどというような話がありまして、これまた経費の問題いろいろなことでお困りだと思いますから、そう深くは追及はしたくはないのですけれども、いまそのおはしやなんかの洗浄、あるいはそれを乾かす方法、そういうものでもずいぶんいろいろな苦労が要るということを伺ったわけですが、そういった食器は熱風乾燥するんですね。そうすると、プラスチックなんというものは、むしろ熱風でやられますと可塑剤が出てくるわけです、熱に弱いですからね。それからそういうものは余り割れないといいながら、子供が投げたり傷がついたりしますと、そういうところから可塑剤が流出をしてくる、こういうような問題もあるということをこの間お母さん方から実は陳情を受けまして、さてどうしたらいいものか。本当は文部省の方にも給食関係の予算がうんとあれば、これをそれこそステンレスぐらいにかえていけば問題はないのかもしれませんけれども、そういうことがありましたので、きょうは私まだその予算のことも十分見ておりませんので、余り追及するとあなたの方がお困りになるでしょうと思うし、私もまだその実際を見てまいっておりませんので、一度給食の問題を現地調査をしてみたいと、こう思っているわけですがね。
 ここに、一つおもしろい言葉が最近はやっているのです。それは、このごろの日本人の食べるおかずをハハコトカラスと言うのだそうです。「母子とカラス」ですね。それはどういうことかと言うと、ハンバーグ、ハムエッグ、コロッケ、トンカツ、カレーライス、ラーメン、スパゲティ、これでハハコトカラスと言うのだそうでございますが、こういうふうにこのごろみんなの食べるものが変わってきているわけですね、食生活がずいぶん変わってしまった。そうすると、先ほどの話に戻りますけれども、やっぱりハンバーグやハムエッグやコロッケやトンカツやカレーライスやラーメンやスパゲティとなりますと、やっぱりスパゲティが出ると、いわゆるコンビネーションスプーンではちょっと無理じゃないですかね。そういうことやいろいろなことがあって、私の望ましい方法は、やっぱりナイフとフォークとスプーン、これは各自自分の家からでも持って来させたらどうかなということを実は考えているわけでございます。
 それから最近給食費も次々上がっているわけでございますが、子供が大変食べ残すことが多い。何とかこれをもう少し味つけをよくしていただいて食べ残しをないようにできないものだろうか。子供の舌というのは大変敏感でございまして、むしろ大人より子供の方が味の見分けは敏感かもしれません。そういう点で、できることならば給食費も上がったことだから、味をよくしてほしい、こういうようなことも要望にありましたので、この点はどういうことになりますでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
#252
○政府委員(安養寺重夫君) サンプル的な調査でございますが、小中学校等でパンなどが七、八%残る、牛乳なども若干飲み残しがあると、これはきらいな子が飲まないということだと思うのですが、そういう実態は毎年調べております。これは、たくさんの子供が一ところへ集まりまして、いろいろな個人的な差あるいは好みの違いというようなものがありますので、どうしても若干の残食が出るのはやむを得ないとも思いますけれども、それはしかしともかくといたしまして、いろいろ専門の栄養士の先生方もおられますし、調理に従事してくださる方々も一生懸命やっていただいているわけでございますので、もうお話しの点はまことにそのとおりだと思います。幸い毎年関係者の研修の会等も数多くやっておりますので、先ほどの容器の問題なども、これは前々からの問題ではございますけれども、そういうことも含めまして、一度いろいろと努力をして将来改善できるようなことにやってみたいと思っております。
#253
○中沢伊登子君 私もいまこれは陳情を受けたものですから取りとめのないような質問をいたしましたけれども、いずれ私も給食のところに行ってみて実際に自分で見てきて問題をピックアップしてまた改めて御質問申し上げたいと思いますが、文部大臣、この話を聞いてどうお感じになられましたか、最後にお答えをいただいて私の質問を終わります。
#254
○国務大臣(永井道雄君) 給食は、三度に一度のことであるばかりでなく、やはり学校の教育の重要な一環であると考えております。私も決して詳しいわけではございませんが、多少は給食について伺っていることもあります。そこで、給食というのは、やはり学校ですべての子供が一緒に食べるというところに意味があり、それにつきましておいしくしなければいけないということもありますが、他方において、余り好ききらいができるということも問題がございましょうし、そうした点をやっぱり教育的な角度から配慮していかないといけないのではないかと思います。
 好ききらいに関連して最後に感想的なことを申しますと、どうも国際的に活動をしてまいります上では、子供の時分に好ききらいができますと、非常に国際的活動がしにくくなるということがございますし、将来の日本ということを考えますと、少しそういう角度も給食の中にあって、やはり親御さんにも考えていただけるということがあってしかるべきではなかろうかと思っておるわけでございます。
#255
○中沢伊登子君 ありがとうございました。
#256
○委員長(山崎竜男君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#257
○委員長(山崎竜男君) 次に、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、発議者からの趣旨説明を聴取いたします。鈴木美枝子君。
#258
○鈴木美枝子君 ただいま議題となりました女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及びその内容を御説明申し上げます。
 去る第四十六回国会における本法の一部改正によって、女子の実習助手が法の適用対象に加えられ、国立及び公立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園に勤務する女子教育職員のすべてがこの法律の適用を受けるに至りました。その結果、いまや、学校教育の現場に勤務する教職員のうち、ひとり学校事務職員のみが本法の適用の対象外に置かれることになりました。
 学校事務職員は、その名称の示すとおり、学校の事務を担当しておりますが、その事務の内容は、文書の起案・整理、職員給与、共済、物品・教材の購入等を初めとして、統計作成事務、学校給食事務、施設、設備の管理事務などきわめて多方面にわたり、教員の教育活動と相まって学校運営を有機的、一体的に進めるために重要な役割りを果たしております。
 したがいまして、たとえば、女子の学校事務職員が一人のみという学校で、本人が出産のための休暇に入った場合、その仕事はすべて教員に肩がわりされることになります。ところが、教員は、元来そのような事務にふなれなため、病院あるいは自宅で休んでいる学校事務職員のまくら元へ仕事のことでいろいろと聞きに行くこととなり、本人は事実上安心して産休を完全にとれない状態であります。また、教員が学校事務を分担させられることにより、教育活動に手不足が生じ、教育の正常な実施が阻害されているのであります。
 また、一部の県では、学校事務職員が産休をとった場合、学校内の事情に通じている当該学校の教員を学校事務に当たらせ、その結果学級担任、または教科担当の穴埋めには産休補助教員を充てるという措置をとっているのであります。
 このようなやり方は、いずれも学校事務職員に対する産休補助職員制度が認められていないために生じた苦肉の策であり、これでは専門的な学校事務の遂行に円滑を欠くばかりか、子どもの教育にも支障を来し、学校内に二重の不正常な事態を引き起こすものであり、看過でない問題であると思います。
 ところで、学校事務職員の男女別割合を見ますと、女子事務職員の占める割合は、幼稚園で九五%、小学校で六九%、中学校で六〇%、高等学校で三七%、特殊教育諸学校で三八%という高率であり、国公立のこれらの学校に勤務する女子事務職員の総数は約三万名に達しております。これら多数の女子事務職員は、さきに申しましたように、その出産に際して、代替職員の臨時任用制度がないために、その大半が労働基準法で保障された産前六週間の休暇を十分にはとれない状況であります。
 このような不合理な実情を改め、かつ母体及び生児の保護と教育の正常な実施を確保するために、多くの県または市町村においてはそれぞれ独自な形で代替事務職員を置くことを認めざるを得なくなってきているというのが今日の実態であります。これは、当然速やかに国の制度として確立すべきであると考え、ここに本改正案を提出した次第であります。
 次に改正の内容としては、第一に、法第二条第二項に新たに「事務職員」を加えております。これによって、女子の事務職員の出産の場合も補助職員の任用が可能になります。
 第二に、法の題名及び本則中の「女子教育職員」を「女子教職員」に改め、「補助教育職員」を「補助教職員」に改めております。これは、従前、本法の適用対象とされていた者が教育に直接的に携わる「教育職員」に限られていたのに対して、今回、学校事務職員を加えるために、その字句を教育職員と学校事務職員の総称である「教職員」に改めるものであります。
 なお、この法律は、実施のための準備期間の必要性を考慮して、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することといたしてあります。
 本法案は第七十二回国会参議院本会議において全会一致をもって可決されました経緯もありますので、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
 そして、この法案は、過去、第四十八回、第五十一回、第五十五回、第五十八回、第六十五回、第六十八回、第七十一回の各国会に提出され、特に第七十二回国会では参議院段階で可決されました。しかし、衆議院で審査未了になりました。その後、第七十五回国会にも提出され、この法案が最初に提案されて以来十年以上の歴史を持ち、いまだ実施を見ていないのであります。
 今回は、ぜひとも本法案が成立するよう、一層の御理解と御協力をいただきたいと思います。(拍手)
#259
○委員長(山崎竜男君) 本案に対する質疑は、後日に譲りたいと存じます。
    ―――――――――――――
#260
○委員長(山崎竜男君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。
 なお、衆議院における修正部分につきましても便宜政府から説明を聴取することといたします。永井文部大臣。
#261
○国務大臣(永井道雄君) このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、昭和五十一年度における国立の大学の新設、学部及び大学院の設置、短期大学の新設並びに東京大学の宇宙線観測所の名称及び位置の変更について規定しているものであります。
 まず第一は、長岡技術科学大学及び豊橋技術科学大学の新設についてであります。
 これは、実践的・創造的な能力を備えた指導的技術者の養成という社会的要請にこたえるため、実践的技術の開発を主眼とした教育研究を行う大学院に重点を置いた工学系の大学を設置しようとするものであります。このような趣旨からこれらの大学は、早期からの実践的な技術教育をねらいとしている高等専門学校に接続するような教育内容を持ったものとするとともに、主としてその卒業者を受け入れるものとし、また、同様の趣旨から工業高等学校の卒業者にも進学の道を開くこととしております。
 なお、二大学とも昭和五十一年十月に開学し、昭和五十三年度から学生を入学させることとしております。
 第二は、高知医科大学、佐賀医科大学及び大分医科大学の新設についてであります。
 これは、近年における医療需要の増大と医師の地域的偏在に対処するため、無医大県の解消を図る施策の一環としてこれらの大学を設置し、医師養成の拡充を図るとともに、医学研究の一層の推進に資そうとするものであります。
 なお、三大学とも昭和五十一年十月に開学し、昭和五十三年度から学生を入学させることとしております。
 第三は、学部の設置についてであります。
 埼玉大学に理工学部を改組して理学部及び工学部を、岡山大学に医学部の薬学関係の学科を基磯として薬学部をそれぞれ設置し、これらの大学の教育研究体制の整備を図るとともに、徳島大学に歯学部を設置し、歯科医療需要の増大と歯科医師及び歯学部の地域的偏在に対処しようとするものであります。
 第四は、大学院の設置についてであります。
 これまで大学院を置かなかった福島大学に経済学の修士課程の大学院を新たに設置し、もってその大学の学術水準を高めるとともに、研究能力の高い人材の養成に資そうとするものであります。
 また、長岡技術科学大学及び豊橋技術科学大学は、大学院に重点を置く大学として新設するものでありますので、これらの大学にも大学院を設置し、昭和五十五年度から学生を入学させるものであります。
 第五は、熊本大学医療技術短期大学部の新設についてであります。
 これは、近年における医学の進歩と医療技術の高度・専門化に伴い、看護婦等の養成及び資質の向上に資そうとするものであります。
 第六は、東京大学の宇宙線観測所の名称及び位置の変更についてであります。
 これは、宇宙線の研究体制の整備を図るため、研究部門の拡充整備とともに、名称を宇宙線研究所に変更し、その所在地を東京都に変更しようとするものであります。
 なお、衆議院において施行期日等に関する附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
    ―――――――――――――
#262
○委員長(山崎竜男君) 次に、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。永井文部大臣。
#263
○国務大臣(永井道雄君) このたび政府から提出いたしました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 私立学校教職員共済組合は、昭和二十九年一月に、私立学校の教職員の福利厚生を図る目的のもとに、私立学校教職員共済組合法により設立されたものでありますが、それ以後、本共済組合が行う給付については、国公立学校の教職員に対する給付の水準と均衡を保つことをたてまえとし、逐次改善が進められ、現在に至っております。
 今回は、昭和五十年度に引き続き、国公立学校の教職員の年金の額の改定に準じて、私立学校教職員共済組合法の規定による既裁定年金の額の改定等を行うため、この法律案を提出することといたしたのであります。
 次に、この法律案の概要について申し上げます。
 第一に、私立学校教職員共済組合法の規定による退職年金等の額を、昭和五十年度の国家公務員の給与の改善内容に基づいて行われる国公立学校の教職員の退職年金等の額の改定に準じ、昭和四十九年度以前の退職者について昭和五十一年七月分以後増額することといたしております。また、これらに伴い、旧私学恩給財団の年金についても相応の引き上げを行うことといたしております。
 第二に、既裁定の退職年金、廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を、国公立学校の教職員の既裁定年金の最低保障額の引き上げに準じ、昭和五十一年七月分から引き上げることといたしております。
 第三に、標準給与の月額の上限を国公立学校の教職員の掛金等の算定の基礎となる俸給等の限度額の引き上げに準じ三十一万円から三十四万円に引き上げるとともに、下限についても五万二千円から五万八千円に引き上げることといたしております。
 最後に、この法律の施行日につきましては、他の共済制度の例にならって、昭和五十一年七月一日といたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
 なお、私立学校教職員共済組合法は、給付関係の規定については、国家公務員共済組合法の関係規定を準用することといたしておりますので、昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案が成立いたしますと、廃疾年金及び遺族年金の受給資格期間を他の公的年金制度の加入期間と合算して一年以上とすること、遺族が寡婦である場合に遺族年金に一定額を加算する制度を創設すること、通算退職年金の受給権者が死亡した場合にその遺族に通算遺族年金を支給する制度を創設すること、退職後に短期給付を受けることができる任意継続組合員の期間を二年に延長すること等につきまして、私立学校教職員共済組合の給付についても同様に措置されることになりますので申し添えます。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#264
○委員長(山崎竜男君) 以上両案に対する質疑は、後日に譲りたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト