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1975/05/20 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 文教委員会 第8号
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1975/05/20 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 文教委員会 第8号

#1
第077回国会 文教委員会 第8号
昭和五十一年五月二十日(木曜日)
   午前十時十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     中村 登美君     岡本  悟君
     須藤 五郎君     橋本  敦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山崎 竜男君
    理 事
                有田 一寿君
                内藤誉三郎君
                久保  亘君
                小巻 敏雄君
    委 員
                久保田藤磨君
                山東 昭子君
                高橋 誉冨君
                中村 登美君
                藤井 丙午君
                二木 謙吾君
                小野  明君
                鈴木美枝子君
                宮之原貞光君
                内田 善利君
                白木義一郎君
                須藤 五郎君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       文 部 大 臣  永井 道雄君
   政府委員
       文部政務次官   笠岡  喬君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部省学術国際
       局長       木田  宏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際連合大学本部に関する国際連合と日本国と
 の間の協定の実施に伴う特別措置法案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山崎竜男君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 国際連合大学本部に関する国際連合と日本国との間の協定の実施に伴う特別措置法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。永井文部大臣。
#3
○国務大臣(永井道雄君) このたび、政府から提出いたしました国際連合大学本部に関する国際連合と日本国との間の協定の実施に伴う特別措置法案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 政府はかねてから、世界的な緊急課題である人類の存続、開発及び福祉の諸問題を研究し、あわせて開発途上国の若手研究者の研修を行う機関として国際連合が提唱した国際連合大学の設立と、その大学本部のわが国への招致を推進してまいりました。国際連合は、わが国の熱意にかんがみ、一九七二年(昭和四十七年)十二月、第二十七回の総会において国際連合大学の設立を決定し、一九七三年(昭和四十八年)十二月、第二十八回の総会決議により、国際連合大学本部を東京首都圏内に設置することを決定しました。国際連合大学本部は、昭和四十九年十二月に仮事務所を東京に開設以来、「世界の飢餓」「人間と社会の開発」及び「天然資源の利用と管理」の三研究領域について研究・研修事業を開始しつつあり、開発途上国を含む世界各国から多大の期待と関心を集めております。
 国際連合大学本部がわが国に設置されることに伴い、この本部の円滑な運営を国るために、国際連合大学本部に関する国際連合と日本国との間の協定を締結する必要が生じ、交渉を進めてまいりましたが、このたび合意に達し、署名を行いましたので、別途国会の御承認を求めるため、その協定を提出したところであります。
 この特別措置法案は、その協定の実施に伴い、必要となる国内法上の措置をとるとともに、これによって、すでに活動を開始した国際連合大学の円滑な運営を図るためのものであります。
 その内容の第一は、国は、国際連合大学に対して国有の財産を無償で使用させることができることとすることであります。
 国の財産は、財政法第九条第一項の規定により、法律に基づく場合を除くほか、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならないこととされております。そこで、政府は、国際連合に対して、昭和四十八年六月十三日付書簡をもって、国際連合大学本部を設置するための資本的経費の全額を負担する等を回答していることにかんがみ、国際連合大学に国有の財産を無償で使用させることができるよう、法律でこれを規定しようとするものであります。
 第二は、国際連合大学でない者は、国際連合大学という名称またはこれに類似する名称を用いてはならないものとすることであります。
 国際連合第一回総会において、国際連合の標章、公印及び名称・略称の保護に関する決議が採択されていること及び国際連合大学本部を招致したわが国の国際的信用を保持する必要にかんがみ、国際連合大学でない者が、国際連合大学またはこれに類似する名称を使用することのないよう、名称の使用を制限する措置をとろうとするものであります。
 なお、大学の名称については、学校教育法第八十三条の二第一項の規定が、同法第一条に掲げる学校以外の教育施設は、大学等の名称の使用を禁止しておりますが、国際連合との協定に基づく国際連合大学に対しては、同法第八十三条の二第一項の規定の適用がないことといたしております。
 以上がこの特別措置法案を提出いたしました理由及びその内容であります。何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
#4
○委員長(山崎竜男君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○宮之原貞光君 本特別措置法案は、いわゆる国連大学の問題に対しまして国有の財産を無償で使用させるという思い切った一つの条項があるのですが、いわゆる国際連合大学の存在の意義と申しますか、それをどのようにお考えになられておるからこういうような思い切った措置をとられておるのか、まずそこからお聞かせ願いたいと思います。
#6
○国務大臣(永井道雄君) 国際連合大学は、そもそも一九六九年ウ・タント事務総長の提案に発しまして具体化したものでありますが、これをわが国に誘致いたしましたことには四つぐらいの重要な理由があるかと思います。
 まず第一は、国連大学は本格的な国際機関でありまして、研究教育を通じてわが国の国際協力の姿を世界に示しまして、わが国が平和国家、文化国家であるということを具体的にこの大学の活動を通して世界に理解をしてもらうべきものであるということであります。
 第二点といたしましては、国連大学には洋の東西を問わぬ世界の頭脳が結集されるものでありますから、わが国社会への刺激もまた大きいであろう。第三点といたしまして、わが国の学界、教育界というものにとかく閉鎖的な側面があるということが問題とされてまいりましたが、国連大学に協力いたしますことによりましてわが国の大学とか研究所というものはいよいよ開かれたものになって、わが国の教育研究活動というものが一層盛んになる。第四点は、国連大学本部がすでにわが国に設けられましたが、こうしたことによりまして、一般の人が国連大学を通じまして国際的視野を広めて国際理解を深めるようになる。
 そうした四点にわたりますような意味合いを考えますと、国連大学の本部を誘致いたしましてこれを発展させるためにわが国としていろいろな措置を講じていくということ。これは、すでに五カ年間をめどとして一億ドルを拠出するということも申しておるわけでございますが、そうしたことと国有財産など関連をいたしますが、すべてそういうわが国としての積極的な協力ということが重要であろうという考えでございます。
#7
○宮之原貞光君 私が最初お尋ねしたのは、実は国連大学そのものの存在意義ということについてお聞きしたかったのですけれども、いま大臣の御答弁は、東京に本部を誘致した意義ですかね、そのことについてるる御説明があったわけなんですが、まあいいでしょう、それは。
 そうすると、今度は、東京の国連大学の本部の任務というのは一体どういうことになりましょうか。本部はこっちに置かれますね、この本部の役割りというのはどういうことですか。
#8
○国務大臣(永井道雄君) 本部の役割りは、まだ国連大学はただいま提案理由で申し上げましたようにわが国において発足をいたしましてから非常にわずかの時日でございますが、現在では仮事務所を持っておりますけれども、本部の役割りと申しますのは今後の設計というものをいたしますことが第一でございます。そこで、三つのテーマを選ぶことが本部案として決まりまして、これは理事会においても承認を得て、第一に世界の飢餓、食糧の問題、二番目に開発の問題、三番目に資源の問題、こういう人類共通の問題をテーマとする。もうすでに会議も何回か開いておりますが、専門家の国際会議を開いております。しかし、将来の計画といたしましては、本部はこの計画に基づいて関連する研究所を新設したり、あるいは既設の研究所というものを本部の計画に基づいて国連大学の一環にするというような形で、日本にとどまらず世界全体に国連大学のこの三つのテーマをめぐりますところの研究のネットワークをつくる、それを主要な任務といたしておると理解いたしております。
#9
○宮之原貞光君 いろいろ説明があったのですが、国連大学におけるところの実際の研究とか研修は、今後はできておるところのいろいろなそれぞれの国の研究機関に依頼をするとか、あるいはいま大臣の答弁があったように新しく設置をするとか、実際行うのは本部で行うわけじゃないのですね。そうすると、本部の役割りというのは何かということを私はお聞きしたかったのですよ。いま大臣のお話をお聞きいたしますと、国連大学全体を動かすところのプログラムですか、それをいろいろ作成をしていくのが本部の仕事だと理解できるのですがね。そこらあたり、たとえばそうでなくて、いや日本にもいろいろな機関を置いて実際の研究をやるのが国連大学本部の仕事だというふうに理解をするのか。私は、いま申し上げたように、少なくとも全体のプログラムをつくるところが本部の役割りだと理解をしておるのですけれども、その点はどうなんですか。
#10
○国務大臣(永井道雄君) 日本を含めまして世界じゅうにそういう研究所のネットワークをつくっていく仕事でございます。でありますから、プログラムもございますが、既存の研究所が国連大学の一部になりたいというようなことを申し出た場合には、当然基準に基づいた審査というようなこともしなければならないわけです。また、自分の方が申し出ません場合でも、ある研究所はぜひ国連大学のネットワークとして必要であるというような場合には、積極的に働きかけてその研究所にネットワークの中に入ってもらう。それからやはり新設ということは相当の大事業でございますから、新設の場合には、ただプログラムだけではなく、新設の研究所をつくっていくそうした作業も行う、私はそのように理解をいたしております。
#11
○宮之原貞光君 そうすると、先ほど大臣から答弁のあったいわゆる国連大学の具体的なことしの活動のテーマと申しますか、一月にベネズエラの第六回の理事会ですかね、そこで学長から提案になって承認されたという三つの事項、これがことしの具体的な行動の目標だと、私はこういうふうに理解をするわけですがね。大臣の説明をされたところの「世界の飢餓」「人間と社会の開発」「天然資源の利用と管理」というテーマの問題がことしの大きなテーマだという話を聞くのですが、私はその中で一つお聞きしたいのは、「世界の飢餓」の問題というテーマの中の一番の焦点になるものはことしは何になっていくのか、それぞれ研究機関のテーマの中でですね、それをちょっとおわかりだったらお聞かせ願いたい。
#12
○国務大臣(永井道雄君) 私がただいま聞いておりますところでは、飢餓というものを解決いたしますためには、当然食糧また栄養ということが非常に重要な解決の方法でございますから、現在、国連大学本部は、一方ではインド、他方ではラテンアメリカの既存の研究所と連絡をいたしまして、これをネットワークの中に入れまして、そうした地域における飢餓の解決のための食糧の生産、それから栄養の供給ということの研究の開発に努力をしていくというふうに聞いております。
#13
○政府委員(木田宏君) ちょっと補足して御説明を申し上げたいと思います。
 「世界の飢餓」につきましては、その中で大きく分けて四つの項目を取り上げておりまして、第一は収穫後の食糧の保存加工技術でございます。これは、生産をいたしましてもかなりネズミの害があるとか、腐るとか、いろいろなことのロスがあるものでございますから、しかもその点についての研究が必ずしも世界的に見て十分でないということから、収穫後の食糧の保存加工ということを第一に取り上げております。
 それから第二番目に、人間が必要とする栄養の研究を取り上げております。
 第三番目に、開発計画における栄養と食糧とに係る目標の設定という項目を取り上げております。
 第四番目に、農業生産と食糧栄養研究の相互の連携、そういうテーマを取り上げて、先ほど大臣が御説明申し上げましたグアテマラの中央アメリカ・パナマ栄養研究所という一種の国際的な研究機関でございますが、それとインドのマイソールにあります中央食品技術研究所という二つの研究所と最初の提携協力を取り決めたように聞いておる次第でございます。
#14
○宮之原貞光君 おおよそわかりましたが、あとの二つのテーマですね、「人間と社会の開発」「天然資源の利用と管理」、こういうところの一番の問題のポイントについて続いてお聞かせ願いたいと思います。私は加藤一郎さんが帰ってこられたところの報告はちょっと横読みしたことがあるのですけれども、そこで、局長の方からでもいいですが、ことしの問題点というのをちょっとお聞かせ願いたい。
#15
○政府委員(木田宏君) 「世界の飢餓」についてのプログラムが一番具体的に先に走っておるわけでございまして、第二番目の「人間と社会の開発」というプログラムにつきましては、ことしの四月に上智大学の武者小路教授が副学長に就任され、ちょうどこの「人間と社会の開発」というテーマを担当されることになったわけでございます。
 いま漠然と四つほどの項目が上がっておりますが、それを御参考までに申し上げますと、第一は社会に即した科学技術の開発というテーマであります。第二番目は、開発のための教育というテーマであります。それから第三番目に、生活のいろいろな方法と国家との関係というテーマであります。
 四番目に、世界的なモデルと、全地球的な課題、どうもこのヘディングを見ただけではまだ私ども議論がどういうふうに熟していくのかよくわかりませんけれども、一応訳してみますといま申し上げましたような四つの項目になっております。
 しかし、最近武者小路副学長からその後の動きを聞いておりますと、この六月に東京で専門家会議を二つばかり持ちまして、そして七月の初めに東京で開かれる理事会でこの「人間と社会の開発」の具体的なプログラムというものを少し考えていきたい。その中の一つとして考えておりますのは、何が人間社会の開発であるかという物の考え方の指標を国際的に少し明確にしていこうというような事柄につきまして副学長を中心とした関係者の議論が進んでおるようでございます。もう一つは、発展途上国に対します技術移転という問題、いろいろなところでいろいろな努力が払われておるわけでありますけれども、それをどのように考えていったらいいか。国際機関もたくさんございまして、すでに技術移転につきましての論議が進んでおるわけでありますが、そういうものを国連大学として基本的にどう考えたらいいかというような二つの焦点をできるだけ早く取り上げてみたいというふうに担当副学長は考えておるようでございます。しかし、これらはこれから国連大学としての手続を経て事柄を決めていくことになろうかと思います。
 第三番目に天然資源の問題でございますが、これはまだプログラムを推進する担当者も決まっておりません。いま学長は、担当副学長を一生懸命探し求めておるという段階でございまして、天然資源についての国連大学の今後の課題はきわめて一般的に抽象化されたテーマだけが上がっております。でございますから、ここに御説明申し上げるほどの中身のものにはまだなってございません。
#16
○宮之原貞光君 これは、いまの御説明によりますと、特に三つのテーマの中でわりに進んでおるのは先ほどの第一の議題の「世界の飢餓」の問題、これがもう具体的にそれぞれの国際的な研究機関にも依頼をして進んでおる。ほかの問題はこれから具体化されていくのだ、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
#17
○政府委員(木田宏君) 御指摘のとおりでございます。
#18
○宮之原貞光君 先ほどの提案理由にもあったように、一九七二年の十二月の国連決議に基づいてできたわけで、ああいう国際的な機関でございますから、なかなか動き出すまでには相当の日時がかかるというのはわかるのですが、私は、やっぱり早急に動き得ないところの一つの要素として、いわゆる国連大学の運営の基礎となる基金の問題がきちんと固まっておらない、また基金がそれぞれの国が十分協力できるような体制にないことにも一つの大きな要因があるのじゃないかと思うのですよ。ここに有田先生がおられますけれども、何か新聞を見ますと有田先生などもアメリカへ行って要請をしたということなどを新聞で見たことがあるのですが、現在、基金の集っておるところの各国の基金面におけるところの協力体制と申しますか、それはどうなっておるのでしょうか。先ほど大臣からは日本は五年間に一億ドルだ、しかも二年分の四千万ドルはすでにもう払っておるようでございますが、ほかの国の基金に対する協力状況、それをお聞かせ願いたい。
#19
○政府委員(木田宏君) 国連大学は、毎年関係国から経常経費を援助を受けるという形ではなくて、数億ドルの基金をもとにして大学自体が自主的に研究活動をしていこう、こういう構想でつくられておりまして、その基金は国連あるいはユネスコ加盟各国の任意の寄付、あるいはその他いろいろな世界の関係団体、財団その他の団体、個人からの善意の寄付を中心にして基金をまとめたいという構想でございます。当初いろいろと論議もございましたが、今日国連大学は五億ドルを目標にして基金を持ちたいというふうに考えております。日本政府は、国連大学を招致いたします際に、他の方面からもいろいろの協力があるということを前提にした上で、五カ年間に一億ドルの基金への拠出を考えましょうという約束をいたしておるわけでございます。そこで、招致をいたしました日本といたしましては、今日までいま御指摘がございましたように四千万ドルの拠出をさせていただきました。ほかの国は、金額として大きいものはベネズエラの二百万ドルを除いてはまだ余りございません。そのほか、しかし、セネガル、ガーナ、スウェーデン、ギリシャ、ノルウェーといった国々が二十三万ドルから一番小さいところで二万ドルという少額ではございますけれども寄付を寄せておられます。総計四千二百四十八万ドルというのが現在の状況でございます。
#20
○宮之原貞光君 ベネズエラの二百万ドルも、何かことし向こうで理事会があった席で向こうの大統領が言ったというふうに新聞には報じられておるのですがね。ただ、いま局長の答弁を聞いてみても、やっぱり非常な疑問が残るのですよ。ガーナにしても、セネガルにしても、あるいはベネズエラにしても、ほとんど大部分が開発途上国なんですね。ところが、アメリカなりあるいはイギリスなりといういわゆる先進国と申しますか、そういう国々の具体的にこの基金の面での援助というものが見られない。そうなりますと、やっぱり国連大学を通して国連というものに対するところの見方にも通じかねないところの問題だと思うのですけれども、私が冒頭にお聞きしたかった国連大学の存在の意義いかんというところの面から見ますれば、なぜ世界の先進国と言われるところの国々に積極的な協力体制がないのか、それをどう考えられておるのか、そこのところの姿勢の問題について皆さんはどうお考えになっておるか。ただもう日本は日本に本部を誘致したいものだから金を一億ドル出したというかっこうだけになっておるのかどうか。えてして、これはまあ外務委員会でも恐らく論じられることだと思いますけれども、国連あるいは開発途上国に対するところの援助とかいろいろなことを言いながら、先ほど私がお尋ねしたところのテーマにしても、まさにこれは開発途上国にとってはきわめて重要な問題点等だけに、非常な期待があるからこそまたそういう国々がなけなしの金を払ってでも協力をしてやっておると思うのですがね、そこの点が非常にちぐはぐに感じられてならぬのですが、それは一体どういうふうに理解されておるのですかね。
 それと同時に、本部を誘致したところの政府として今後どうしようとお考えになっておるのか、そこらあたりも、局長から、終わった後大臣から、きちんと基本的な物の考え方というものを聞き、方向性を明らかにさせてもらいたい。
#21
○政府委員(木田宏君) 国連大学は、国連大学憲章の中にも、大学の基本的な任務として「人類の存続、開発及び福祉という緊急な全世界的問題」を研究するということを一つの大きな使命としておるわけでございます。この大学が構想されましてからいろいろな専門家の論議がありまして、当初は学生の教育に主眼を置いたような構想もございましたが、学生の教育に主眼を置いたような国連大学に対しましては、先進諸国の方から、学生の教育ということならばわれわれの先進国にある大学が国際的にすでに活躍をしておるではないかというような論議もありまして、結局、地球全体としての人類の将来の頭脳を結集していくという研究機関的な、シンクタンク的なものを主眼としたものに性格が変わったわけであります。この国連大学憲章が国連で制定されましたときには、一部の少数の反対、棄権等がございましたけれども、最終的には先進国も含めまして大多数の国の賛成を得て誕生したものであります。しかし、この国連大学に対しまして開発途上国からの強い期待があったということはこれまた明白なことでございまして、その後憲章ができましてから、世界の国を代表したわけじゃございませんけれども、重立った国から有力な理事が選任されまして、そして国連大学がこの理事会を中心にして独自の歩みを始めたわけでございます。しかし、現実にどういう大学になるかということは、学長その他のスタッフが決まり、ある程度理事会の議を経てプログラムが固まってまいりませんと、多くの国の方々の理解を得るというところまでいきかねる。発足の最初にはいろいろと鶏と卵のような関係もございまして、そこで学長その他関係者は鋭意関係国の当事者の理解を得るために世界を行脚しておるわけでございますから、そのためにもやっぱり何をやるのだという具体の中身を持って国連大学はこういう仕事をするという説明をしてまいりたいというので、現在の段階では先ほど御説明申し上げましたプログラムの作成に各国からの権威者の参画を求めて努力をしておるのが現状でございます。世界じゅうを相手にした国際組織でございますから、国内で事を運ぶように簡単にはなかなかいっておらぬと思います。学長の選任にかれこれ一年かかりました。副学長の選任があと四、五人まだ予定されて、枠取りは五人ほど予定しておるのでございますけれども、現実に人選を進めていくということにも時間がかかっておるわけでございます。したがって、こうした事柄につきまして加盟国の理解を得るためには、相当の時間と関係者のたゆみない努力を必要とすると思っております。
 今日まで先進国の方が比較的冷淡ではないかという御指摘は、確かに結果的に見ますとそういうふうにも見えますけれども、すでにアメリカでも国会の各党協力したお働きかけをアメリカ議会にもいただきまして、一九七七年度以降一千万ドルの支出法案も決めていただくというような呼びかけもしていただいたわけでございますから、そうした日本の中の関係者の動き、そうしてそうした声をバックにしながら、いま学長が一生懸命アメリカにもカナダにもそれからヨーロッパ各国、アラビア諸国にも足を運びまして、関係者に基金の拠出を訴えておるわけでございます。ベネズエラは、ちょうどこの一月の理事会を本来なら日本で開く予定でございましたけれども、ベネズエラから積極的に自分のところで理事会を開いてくれという要請がございまして、五カ年間で一千万ドルという拠出を約束されております。先進国の中からもフランス、ドイツ等、かなり積極的に関心を寄せてもらっておるという学長のお話を聞いておりますけれども、これからの努力に待ちたいというふうに期待をいたしておるところでございます。
#22
○国務大臣(永井道雄君) ただいまの宮之原委員からの御指摘は大変重要な問題と思います。
 当初、国連大学が国連において討議されましたときに、先進諸国、すなわちアメリカ合衆国であるとかあるいはイギリス、フランス、またソ連邦なども含めまして、すでに先進諸国は二国間協力援助という形で開発途上国に援助をしているのであるから、現在のような経済情勢の中で新たに国連大学をつくるという意味は余りないというような考え方が学界等においても強かったということは事実であります。しかしながら、その後の発展の過程において、財政需要は引き続き続いているわけでございますが、日本側の提案というのは、確かにそういう二国間の援助協力というのはありますけれども、ただいま局長から申し上げましたように、開発途上国からの非常な支持というものがあります段階におきまして、二国間だけではなくやはり多国間においてやっていく。しかも、日本は実は二国間援助というものも余りこれまで活発にやってこなかった国でございますから、そうした意味においては従来の先進諸国よりも一歩進んだ姿でその本部を誘致して積極的に進めていくという考えでございます。そこで、この四月にも広島大学で、こうした問題をめぐりまして十数カ国の国の学者を集めて、国連大学は日本で活発に進んでいくことの説明をしているわけでございますが、次第に御理解を得て、先進国の場合にはただいまの段階ではノルウェー、それからスウェーデンにとどまっておりますけれども、学者の間には非常に関心が高まってまいっているわけでございます。わが国といたしましては、ある意味ではこれまでの先進諸国以上に開発途上国段階において苦しんでまいったわけでございますから、二国間ではなく、多国間のこうした教育研究の中心になるということが世界の新しいあり方であるということで積極的な姿勢を示していくことが望ましいのではないかと思います。ただ、世界的な財政需要につきましては非常に多くの問題をはらんでいるところでありますから、確かに事務総長が提案されました時期に比べますとむずかしい局面にありますから、これは相当の根気を要することであるということは否定できないと思います。
 なお、これは開発途上国だけのことを考えているかといいますと、先ほどの三つのテーマでございますが、たとえば「人間と社会の開発」というような問題に関連いたしまして、先進工業国においても環境問題というようなものを生じているわけでございまして、先進工業国もわが国を含めまして新たな開発の問題というものが当然考えられなければいけない。開発というのはむしろそうした環境問題を乗り越えて新しい形の生活を生み出していく。あるいは第三テーマでございます天然資源の問題というところには、おのずから石油の問題等も含まれるわけでございまして、先進国それから開発途上国の別を問わずに、限定されております世界の資源をどう活用していくかという点におきましては、必ずしも開発途上国だけの問題を解決していくということではなくて、非常に基本的な問題について人類が協力をいたしていくと、そうした方向で会議も行われてきている。飢餓の問題、食糧、栄養の問題も、決して先進国のことが除外されているという角度ではないというふうに理解をいたしております。
#23
○宮之原貞光君 ぼくは、いろいろ御答弁いただいたのですが、大学はできてそう長くならないというような点から、まだこれからだということはわかりますけれども、ぼくはやっぱりいまお聞きしたことから端的に示されておるのは、いわゆる先進国と言われているところの国々がもし日本を含めて先進国と言うならば、日本以外のこれに対するところの関心というか、ぼくは、これはもう端的に言えば、国際協力のあり方の基本的な今日の現実の姿をあらわしておるのじゃないかと思うんですよ。何か口ではいろいろ言われておりますけれども、何のことはない、これをめぐるところの国連におけるところのいろいろな議論を踏まえても、ぼくの国は何々国との間に二国間協定でやっておるのだと言うなら、先進国はある特定の発展途上国に対して援助をすると、これは突き詰めていけば、結局、その国の利益ですか、国益というものが優先をしておるというところに本当は政治的な問題点が介在しておる。それだけに、真に世界的、国際的なもの云々というような点から考えるとならば、まだまだそこまで行っておらないところの政治の現実というのが端的にこの資金の面、基金に対するところの拠出の面にもあらわれておるのじゃないだろうかと思うんです。したがって、学者のものを見れば、確かに学者の皆さんが、昨年の秋の三つの専門家会議を見ましても、三十三カ国、六十九人の皆さんが集まってくる。相当の広範囲の国々が集まってくる。しかも、先ほどのあれから見れば、これはそれぞれの、いまの大臣の説明からもお聞きしますように、開発途上国に対するものというよりは、むしろ頭脳センターというか、シンクタンク的な役割りをするとするならば、この持つところの国際的な意義というものはきわめて大きいわけなんですね。しかし、先進国と言われるところの国はなかなかそこまでも理解がないというのは、ぼくは、やっぱり一枚皮をめくれば、まだまだ国際協力というもののあり方の根本という問題について非常に多くの問題点を現状の姿が示唆しておると思うのです。それだけに、そういう意味で言えば、日本は大学の本部をこっちに誘致するという一つの意図もあったでしょうけれども、まだまだ私はやはり日本としては救われておるところの面が確かにあると思うんです。そういう意味から私どもはいまこの国連大学の誘致ということについては積極的な意義があると思って評価をいたしておるわけですけれども、しかし、やはりこの問題は今後の大きな課題であるだけに、何といっても基金というものをつくっていかぬことには、これは幾らやってみても絵にかいたもちにしかならぬわけですから、これは文部当局に要請されるということよりも、日本政府全体として、この問題の意義づけと申しますか、そこについて先進国と言われるところの国々に積極的にやっぱり働きかけていく。単にヘスター学長にだけ任すということではその目的というのは達せられないのじゃないだろうか。こういうことをこの基金の状況に非常に問題点を感じておるだけに、ぼくは、今後のやっぱり一つの文部省と申しますか政府全体の努力の方向性としてぜひとも努力していただきたいということをこの機会にも申し上げておきたいと思います。
 なお、時間も限られていますから、この問題と関連をして一、二の問題についてお尋ねしておきたい。それは、先ほど大臣は、日本に本部を誘致したところの意義の第三の問題として、日本の学界あるいは日本の教育界というものが閉鎖的である、言葉をかえて言うなら国際性がないと、こういう問題がこの本部を誘致することによって打破できるのじゃないだろうかということを申されておったのですが、その問題とも関連してお聞きいたしたいのですけれども、確かに私はそれは一つの重要な意義だと思うのですが、ただしかし、この問題は国連大学の本部をここに誘致しただけではこれは解決つかぬと思うのです。そこで関連してお尋ねしたいというのは、日本の高等教育におけるところの国際化と申しますか、いかにして国際性を日本の大学に広めていくかということについて、文部省としてはどのような方針をもって処理をされておるか、お聞かせ願いたいと思います。
#24
○政府委員(木田宏君) 一つは、日本の大学で学生、教官を中心にした国際化のことでございますが、一般的に申しまして、諸外国から日本の大学に勉強に来る留学生の受け入れ問題をどうこなしていくかということで、これは過去二十数年間いろいろな努力を重ねてきたわけでございます。今日約五千人を上回る留学生を日本で迎えるところまで伸びてまいりました。
 もう一つは、日本から外国の大学に出かけていく学生の数、これは一万人を上回るほど出ていっておるかと思いますが、こういう人たちの外国での勉強と日本の国内での勉強というものをどういうふうにリンクさせるかというようなことを考慮いたしまして、もう四年ほど前になりますが、学校教育法の規則の改正も行いまして、外国の大学で勉強した中身であっても、日本の大学で勉強したのと同じように単位の認定をできるようにしようということにいたしました。したがって、学生から見ますならば、海外の大学で勉強したものが日本の大学で勉強したことと同じように考えられるというようなことも進んできたのでございます。
 また、一般的に教官の面で考えますと、日本の大学の教官が外国の大学へ出かけてまいりましてそうして向こうの研究者と一緒に研究をするということは、これはかなり活発なのでございますが、日本の大学に外国の研究者がやってまいりまして日本で一緒に研究をするということにつきましては、必ずしもといいますか、これがきわめて乏しいというふうに申し上げられるかと思います。いまこの点につきましていろいろな努力をいたしております。具体的には、最近でございますが、大学に、いわゆる外国からの教師を迎えるポストといたしまして、従来主として語学の先生だけを中心に迎えておりましたけれども、ことしからは専門の領域につきまして非常に高度な学識者を日本の大学に、場合によれば三カ月、半年というふうにお迎えできるようにしたいということで、人数は十人にも足らなかったかと思いますが、予算化をさしていただくことになりました。
 もう一つは、研究者との関係で、日本へ来ていろいろな研究をしようという方々のことであります。この点につきましては、ごく最近とりました措置から申し上げますと、分子科学研究所という新しい研究所を昨年つくっていただいたわけでございますが、この分子科学研究所の評議員にお二人、カナダとドイツから外国の学者に評議員として加わっていただくという措置をとることになりました。また、京大の東南アジア研究センターには、外国からの研究者を迎える研究講座をつくるという措置もいたしました。こうした研究領域につきまして、外国の研究者に日本の研究機関へ参画してもらうということは、このほかにもいろいろな研究事業を推進いたしまして従来から努力をしてきておるわけでございます。それは日本学術振興会という特殊法人の事業を中心にいたしまして、いろいろな国から学者の交換についての呼びかけがあり、それにおこたえをするという形で進めておりまするし、また個々の研究所におきましても、そうした研究者を迎えるというようなことなどはいたしております。しかし、一般的に申しまして、大学あるいは研究機関という組織の中に研究者が諸外国から適宜研究テーマに応じて参画するという体制は、日本の社会事情と言葉の問題がございまして、必ずしも十分に行われておるとは言いがたいわけでございます。今回国連大学ができまして、ここにいろいろな研究者が外国から随時集まり参じるようになりますことは、日本の従来の大学、研究所に非常に大きな刺激になり得るし、その成果を活用できるという楽しみを感じておる次第でございます。
#25
○宮之原貞光君 これは去年の五月でしたか、大臣が上智大学で演説をされた。その中で、経済的に大国の日本が外国人教授の寄付で日本の大学が維持されているのは恥ずかしい云々という演説をされたのを私は新聞で読んだ記憶がするのですが、そういう点から見ましても、私はいま局長の答弁をされた点はきわめて多くのやっぱり今後の課題として残されておると思うのですが、なおそれ以外に、教授ユニオン制度ですかね、この交換教授の制度を拡充するという問題も一つ私は大事な問題だと思うのですが、そこらあたりはどうなっておるのですか。いま局長の答弁は、外国からの大物の教授を呼ぶとか、あるいは外国の教授にいろいろな評議員にもなってもらうというような点はわかったのですが、これは同時に、日本の大学のそれぞれの、国立なり公立でもどこでもいいですけれども、それと外国の教授との交換をする、そういう何かプール制と申しますか、そういう交換教授の制度を何かつくっておくということも大事なことだと思うのですが、そういう点については具体的に検討されておりませんか。
#26
○国務大臣(永井道雄君) 昨年の上智大学の問題は、確かにそういう講演をいたしまして、それからずっとそれを継続して続けておりまして、私学振興のための国庫補助の中の特別補助という中に、これは私学振興財団の運営審議会において最終的に決定をしていただきまして、外国人教師の数が一定数以上であるところ、また留学生の数が多いところ、これに対しては昨年度の予算ですか、の配分をいたしましたので、上智大学等に――だけではありませんが、等につきましては、従来ほど外国の先生が日本に来て拠出をするというのに依存をしないような方向に踏み出すことができたわけでございます。これは私立でございますが、国立につきましては、先ほど局長が申し上げましたように、国立大学に語学以外の先生ということを設けますために、目下それぞれの大学と外国の先生との間の折衝を続けているわけでございます。これは数の上で申しますと、先ほど局長が申し上げましたように十人に満たないわけでございますけれども、これをやはり定着させていくということを考えております。また、そのほかに学術振興会におきましても、これは詳細は局長から御報告いたしますが、相当数の外国人教師、これは十人というような数ではなくお迎えをいたしまして、わが国との交流を盛んにする。それから単位の互換という方向もまた検討しているわけでございます。そこで、従来の方向と変わってくるわけでありますから、こうした幾つかのものの組み合わせを次第に明確にしてまいりまして、ただいま宮之原委員が言われましたように非常に本格的なものにしていくべきであると思いますが、その前にちょっと局長から追加の報告をさしていただきますと実情は明らかになると思います。
#27
○宮之原貞光君 時間がないですから議事進行に協力する意味でもういいですが、最後に一点だけやっぱりお聞きしておきたいのは、ぼくは外国の優秀な教授を従来あった語学とかあるいは一定の限られたところの分野にだけでなく招致するというのは積極的にやらなけりゃいかぬと思うのですが、一つの隘路がありますね。例の国家公務員法の国籍規定の問題ですよ。これをそのままにしておいて、それは何ら手を触れないでおって、幾ら皆さんがおっしゃったって、これは限度があると思うのです。ぼくは、少なくとも日本が国連大学の本部をここに誘致をするわ、あるいは先ほど答弁になったように大学間の国際交流、日本の大学の国際化ということについて今後ウエートを置いていこうということになるとするならば、この阻害になっておるところの国家公務員法の国籍規定ですね、これをいじらないでおってその枠内でやるといったって、これは限界があると思いますよ。国連大学を誘致して、本当の意味の世界の連帯を強めていこうとするならば、私は同時にこの問題についても文部省は積極的にやっぱり手直しするぐらいの意欲を示してやってもいいのじゃないだろうかと思いますがね。これはもう申し上げるまでもないけれども、何かいまのこの法の趣旨は、公権力や国家意識の形成に直接影響を及ぼすから云々という、そこのところだけをこう心配しちゃって国籍規定で枠を縛られておる。したがって、皆さんは枠の中で十名ないし二十名ぐらいしか採れないと言う。これでは、片一方では国連大学の本部をわが国に設置をしていってこう積極的な法案を出しながら、個々の面ではそれを締めつけておる、手を入れないということでは、本当だろうかという疑念さえわくので、ぼくは、この問題について文部省としてどう考えておるのか、積極的に手直しをするところの意図はないのかどうか、これをお聞きして質問を終わります。
#28
○政府委員(木田宏君) 積極的な御鞭撻をいただきまして、本当に感謝にたえません。私どももかねてからそのことの問題は感じております。相当関係者とも討議を進めておる段階でございますので、できるだけ早い機会に解決策を実現していきたいものだというふうに私もその一員として感じておる次第でございます。
 また、こうした日本の国際化ということを図りますためには、実は制度の表にあらわれてまいりません生活環境の問題が非常に大きゅうございます。留学生にいたしましてもそうでございますし、教官を迎えるにいたしましてもそうでございます。今度の国連大学のこういう世界の学者を迎えるにつきまして私どもが現実に困っております問題は、来られる方々のお子さんの教育問題であり、住宅問題、交通問題等でございます。これらはなかなか制度だけではいかない面もございますけれども、やはり国連大学誘致の機会にそうした生活関連のことも含めまして何とか国際化の実が上がるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#29
○内田善利君 まず最初に、国際連合大学と国際連合との関係ですね、国際連合による国連大学の位置づけと申しますか、この関係をちょっとお聞きしたいと思います。
#30
○政府委員(木田宏君) 国連大学は、大変恐縮ですが、お手元にこういう資料を学術国際局の名前で差し上げてあるかと思いますが、それの七ページ以降に挙がっております国連大学憲章というものでつくられたわけでございます。この国連大学憲章は、国連が総会で議決をした憲章でございまして、いわば国連自体がその意味では生みの親であるというふうに考えております。そうして、国連の傘下にありますいろいろな国際機関の一つとしてつくられたもので、ただ、その世話をする組織としては、これが大学であり研究教育の場であるということにかんがみまして、国際連合とユネスコとの共管のもとに生まれた、こういうふうに制度づけられておるわけでございます。しかし、一たんつくられました国連大学は、これは大学の自活という立場を堅持してできるだけ自主的に研究教育ができる、こういう関係になってございます。そういう関係から、毎年毎年国連からのお金をもらうということではなくて、自前の基金でできるだけ自主的な主体であるという位置づけがなされておるわけでございます。
#31
○内田善利君 そうしますと、職員構成ですけれども、国際連合職員と、国際連合職員でない学長以下の研究教育職員、それから行政職員と、こういうふうになってまいりますが、そういう国際連合職員でない職員ですね、そういうメンバーはやはり国際連合のそういった目的の中に入ってしまうわけですね。任務といいますか、補助機関という立場で国連大学ができるわけですが、職員構成の任務といいますか、いろいろな人が各国から集まってくるわけですが、国際連合職員という職員とそれから国内で充足される研究教育職員及び行政職員、そういうものが出てくるわけですが、この点の関係はどうなっておりますか。
#32
○政府委員(木田宏君) 国連大学には、学長とそれから大学本部の職員とが置かれるわけでございますが、いずれも国際機関の国連職員としてのステータスを持っておるものというふうに考えております。
#33
○内田善利君 そういうことになるのですかね。
 それと、研究生はどの程度考えられておりますか、研修生は。
#34
○政府委員(木田宏君) 今回御審議をいただいておりますこの国連大学本部そのものは、本部職員の構成と、そこにいろいろな国の専門家が出入りをするという形になっております。将来、国連大学の一つの直轄の組織といたしまして研究研修センターというものが設けられることになりました場合には、そこにいわゆる研修生という形の人が参画をしてくるということは予定されるわけでございますが、現在の段階では、この本部そのものには研修生というものを受け入れるような仕組みには必ずしもなってございません。わが国も研究研修センターを一つは誘致したいものだという希望を持っておるわけでございますが、それができました暁に研修生の問題は起こってまいります。この研究研修センターのことにつきましては、また別途御審議をいただくようなことに相なろうかと思います。
#35
○内田善利君 国連大学本部は日本にできるわけですが、いわゆる国連大学といいますか、研究研修センターといいますか、そういうものは各国に考えられるわけですね。大体どれくらいどの国にできるか、おわかりでしょうか。
#36
○政府委員(木田宏君) 国連大学そのものの将来構想というのが、現在の段階ではまだ必ずしも固まっておりません。ただ、国連大学の憲章の中では、国連大学に研究研修センターというものが幾つか予定されておるという枠組みだけが決まっておるわけでございます。今後どのように具体的に配置されていくようになるかというのは、プログラムの固まりぐあいとか、あるいはそのプログラムに期待する関係者の期待、あるいは国連大学自体の基金の集まり方ということなどを勘案しながら、大学理事会当局が将来の課題として計画を進めていくであろうというふうに思っておるのでございます。わが国は当初からこの研究研修センターを含めた意味のものとして招致を関係者が希望したわけでございますので、国連大学のプログラムの発展に対応いたしまして、その意義のあるものを日本にも実現したいものだということで、関係者と折々相談をいたしておるというのが現在の実情でございます。
#37
○内田善利君 国際連合大学の国連総会における位置づけというのが大体わかったわけですが、それにしては、先どほも宮之原委員から質問があっておりましたけれども、財政面における拠出の面ですが、これで果たしていいのかなと思うのですが、日本自体も本部を置き非常に責任は大きいと、こう思うのですが、五億ドルが目標でありながら、日本は一億ドルの拠出を約束しておるわけですね。この一億ドルは大体何年度までに日本は責任を持つ予定なのか。それと、先ほどからの国連大学の位置づけを聞いておりますと、アメリカ自体もまだ全然拠出していないし、一九七七年に一千万ドルですか、ということですけれども、なぜいままでアメリカは拠出しなかったのか。やはりこういう大国が拠出しなければ、小さい発展途上国が一生懸命になって拠出していると、こういう状況ですが、質問の内容は、日本の拠出の計画、それと、なぜアメリカはいままで拠出しなかったのかという二点を、お伺いしたいと思います。
#38
○政府委員(木田宏君) わが国は、国連大学に対しまして、他の国々もみんなが基金を持ち寄るということを前提にして、五カ年間で一億ドルを基金に入れる用意がありますということを約束しておるわけでございます。で、今日まで二年度にわたりまして二千万ドルずつ、四千万ドルを拠出をいたしました。日本からでも進めていかないことにはこれは広がっていかないわけでございますから、どうしても招致国としての日本がいろいろな意味でイニシアチブをとって仕事を進めていかざるを得ないというふうに考えております。
 アメリカ、カナダその他の先進国に対します国連大学の理解というのは、先ほども御説明申し上げましたように、いま国連大学の学長、あるいは担当のクワポンという副学長がそれぞれ手分けして各国に行脚をいたしております。アメリカは、日本の国会の諸先生方のお呼びかけもありまして、一応現在のところ、ことしめ十月以降の会計年度におきまして一千万ドルという法律が制定されたところでございます。あと、学長の話を聞きますと、フランス、ドイツも好意的に早目に対応を考えようという構えである、あるいはアラブの国でも関心を持って理解をしてくれておるという話も聞いておりますから、遠からぬうちに関係国の理解も集まってくるものというふうに期待をいたしておるところでございます。
#39
○内田善利君 この法案が通過いたしますと直ちに本部ができると思いますけれども、現在の渋谷の仮事務所はいつまで続けられる予定なのか。本部事務所を首都圏に置くと、そういう予定だと聞いておりますが、候補地はどのようなところを考えておられるのか。
#40
○政府委員(木田宏君) 国連大学の基金の集まりぐあい、その他将来の手順が必ずしもまだ明確でございませんので、渋谷の仮事務所を何年までというふうに日限を切っておるわけではございません。しかし、この協定の御承認もいただき、法律も制定さしていただきましたならば、これは日本政府としてもできるだけ早い機会に将来の本部敷地と本部施設というものを確定してまいりたいというふうに思っておるのでございます。今日の段階では、場所等につきましても全く未定でございます。
#41
○内田善利君 予算とか規模もそうですか。
#42
○政府委員(木田宏君) 今日の段階におきます予算は、渋谷の事務所を借り上げて提供しておる予算が中心でございまして、将来の本部敷地あるいは本部施設につきましての予算は、五十一年度はまだ計上してございません。
#43
○内田善利君 その次にお伺いしたいことは、いよいよ国連大学本部ができますと、国際交流というのが非常に激しくなってくると思うのですね。国連大学を日本が中心になって推進するということは非常に好ましいことだと、こう思います。思いますが、何回もこの委員会で私は質問してまいりましたが、留学生の問題ですけれども、国際交流が非常に激しくなってくるに従って、日本の交流の仕方が今日までのようなお粗末なと言いますか状態ではいかぬので、国連大学本部を推進していくためにももう少し留学生問題に対して文部当局は対処すべきじゃないか。特に、海外からの留学生の受け入れ、待遇改善、人員の増加、そういったことを真剣に考える必要があるのではないか。ただ国連大学本部だけじゃなくて、一緒になって留学生の問題も考えるべきではないか、こう思いますが、この点はどうでしょう。
#44
○政府委員(木田宏君) 私どもも御意見のとおりに考えるわけでございまして、国連大学ができることによりましてまた私どもの従来の大学における留学生その他海外の研究者の受け入れの体制が進んでいくということを強く期待もし、またそういう施策もあわせて進めていきたいと思っておるところでございます。
#45
○内田善利君 大臣にお聞きしたいのですけれども、国連大学は非常に国際協力の大きな柱になってくると思うのですが、大臣は「文部時報」の本年の一月号の巻頭にわが国がこれから国際交流を進めていく上において、四つの原則が考えられる。一つは平等、対等の原則、二は主権尊重、三は土着性あるいは伝統の尊重、四はこの一、二、三の相互性の尊重、この四つを述べられておるわけですが、この四原則をやはり国連大学においては反映していかなければならないと思うのですが、どのように反映していくおつもりなのか、お聞きしたいと思います。
#46
○国務大臣(永井道雄君) ただいまお読みになりました四つの原則というのは、そもそも国連自体もまさにそういう原則であると思います。対等、主権の尊重、それから相互に協力するという原則であると思います。したがいまして、国連大学というものも全くそれと同じ趣旨で世界のすべての国々の主権を尊重する、そしてまた対等である。そして、先進国というものは完全なモデルであって、他の開発途上国は先進国をまねればそれでいいというようなことではない。この点は私は国連大学の本部の方々とも何回も話し合っておりますが、本部の学長以下もそういうお考えであるわけでございます。
 そこに述べましたのはわが国の国際的な教育の原則でございますが、国連大学は当然われわれとしていろいろ御協力をいたしますが、しかし、国連大学の当該の中心の方々が自治の立場で進めていかれるものでありますから、われわれとして組織の内容に余り干渉したりすることは不適当でございます。しかし、幸いに国連大学の方針というものも先ほど挙げました三つのテーマというものを解決していく上で同じ精神に立って進めておられるものと私は確信をいたしております。
#47
○内田善利君 同じく大臣は巻頭の中に、「国連大学によって、何年か先には日本の国公私立各大学に」国際交流の「波及効果が出てくることが期待される」と、このように希望的観測といいますか述べられておるわけですが、果たしてそういう効果が出てくるのかどうか。いまも申されましたが、日本の国際交流の充実ということは非常に大事な現在の問題ではないかと思いますが、この点どのようにお考えですか。
#48
○国務大臣(永井道雄君) 国連大学の研究所のつくり方につきまして、二種類あるわけです。一つは、新設のものをつくっていく。これは、相当、費用それから新しい人を集めるという意味で、今日及び今後の経済がいままでのような形の高度成長でないというときにそうむやみにつくっていくことはできない。しかし、もう一つの考え方は、既存の研究所というものを協力研究所にするという考え方があるわけでございます。私は、実はこの問題について内容に干渉しているわけではありませんですけれども、国連大学設立以前から国連大学を設立しようという学者の方たちとも話し、また本部でへスター学長らともお話をしておりますのは、日本だけでなく、諸外国の場合に、すでに先ほどからの三つのテーマを研究している相当の研究所がございますから、こういうものを基準を設けまして、そうして国連大学の協力研究機関にするということが今後の発展の上で実際的ではないかということを提案いたしております。これについてかなり積極的な反応がございますから、私は、将来そういう方向に向かい得るし、また向かうべきものであると考えているわけでございます。
 大体、教育が変わりますのは時日を要しますけれども、しかし、世界史の潮流に沿ったものでありますならば、時日を要しましても必ずそれは将来に大きな影響を及ぼすと思っておりますが、いま申したような角度で進めてまいりますのと、それからもう一つ、人間の開発という第二テーマとの関連において、国連大学がやはり教育の中での国際化をどうするかということを考えるべきであるということも本部において検討されておりますから、私は直ちにわが国の国公私の教育が変わるということはないと思いますけれども、しかし、わが国としてはこうした本格的な国際機関、しかも教育研究機関を設けるということは、世界のどこにもないことを初めて引き受けたわけでございますから、これをしっかり育ててまいりまして、先ほどから申し上げたような具体的な施策を着々と進めてまいりますならば、必ずや将来に大きな効果を持ち得るものと信じているわけでございます。
#49
○内田善利君 「既存の大学やその他の機関は、国連大学の仕事にどのように参加するのでしょうか」という質問に対して、「国連大学の提携機関になること、これが既存機関が国連大学の仕事に参加する主要な方法です。」と、こうありますが、この提携機関ですけれども、既存の大学のほかに具体的な提携機関というのはどのようなものがあるのでしょうか。
#50
○国務大臣(永井道雄君) 具体的にいまどこどこというようなことを私が申し上げるのは不適当であると思いますのは、国連大学においていろいろと検討しておられるからでございます。ただ、諸外国で提案されている案を申し上げて御推察をお願いいたしますれば、たとえばピッツバーグ大学というような大学がアメリカにありますが、そういう場合に大学全体が協力機関になるというわけではなくて、その中の研究所というものが非常に国際的な性格を持っているときに、研究機関になりたいというような申し出が国連大学にあるわけでございます。わが国の場合にも大体そういうふうな形でいろいろな研究所の検討というものが国連大学本部において行われていると理解いたしております。
#51
○内田善利君 最後に、この国連大学の任務ですけれども、人類の存続、開発、福祉という緊急な全世界的諸問題の解決にあると、こうありますが、非常に結構なことなのですが、先ほども質問があったかもしれませんが、ただ国連が大国エゴに左右されてこういう問題が左右される一面が出てくるおそれがあると思いますが、そういうことにならない、国連大学にはそういった大国エゴは持ち込まない、そういう歯どめは考えておられますか。あるのかないのか、ないようにするためにはどうすべきか。
#52
○国務大臣(永井道雄君) 私が理解いたしておりますところでは、一九六九年の国連総会にウ・タント当時の事務総長が国連大学案というものをみずから提案されたわけであります。その提案された理由は、まさにただいま内田委員が御指摘になりましたように、国連が発足をいたしましてそうして本来の目的に沿って活動すべきであるのに、いろいろな大国のエゴというようなものがあって国連というものが本来の機能を果たし得ない。そこで、国連大学というものをつくることによって国連というものの本来の目的をぜひ果たしたいという、そうした発想から提案されたものと聞いているわけでございます。したがって、私は、そもそも国連大学の発足それ自体が国連がはらんでおりますところのいろいろな大国間の問題というものを本来の目的に戻すための提案である、それだけに意味深いものと考えております。
 確かに、こうしたものができ上がりますと、たとえば基金がどこからたくさん出てくるか、あるいはスタッフがどこから集まるかというような場合に、当然既存の国々というものに影響を受けるる。その意味では開発途上国の発言権が弱まるおそれもありますけれども、しかしながら、他方においてもう一つ問題になっておりますことは、国連総会におけるボートは、これはまた国の大・小、あるいは先進・開発途上を問わず同じ一票であるということでございますのと、またそれに基づいて構成されました国連大学理事会というものもまさに先進・開発途上、東洋・西洋の別を問わず構成されておりますのと、幸いにこの問題をめぐりましては最終のボートにおいては全くイデオロギーの別を問わぬ全国総会の全会一致でございますから、すべての問題を解決していくときに大国のエゴが常に全然ないということはないと思いますけれども、しかし、そうした問題を克服いたしてまいります制度的な歯どめというのは、いまの総会、理事会等から見ましても、私は相当程度これはあるものであると理解をいたしておりますし、また、ヘスター学長のお考えによりますと、副学長を進めます場合にも、招致国である日本は当然尊重されるわけでございますが、しかし、世界の各地域から副学長を集めるという考えで、すでにたとえばガーナのクワポン副学長はアフリカ大学協会会長でございますが、アフリカから見えて参加しておられるわけで、今後はラテンアメリカあるいはアジアなどの方々が参加されることに相なり、そうした意味において開発途上の国と先進的な国の方々が相互に協力する体制に進んでいくものと考えているわけでございます。
#53
○内田善利君 最後に一問。
 国連大学本部ができると同時に国際交流が激しくなることが予想されると申し上げましたが、現在文部省には国際交流を振興する組織として文部省所管の機関が特殊法人が三、公益法人が三十三、任意団体が八と、こういうふうにあるわけですけれども、それがなかなか横の連絡といいますか機能といいますか、十分発揮されていないと現在の交流状況を見ましてそう思うわけですが、もう少しこういった面の指導助言等をしていただいて国際交流を進めていただくよう要望いたしまして、意見があれば意見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
#54
○須藤五郎君 この法案はきょう配られましたので、ずっと目を通して見るといろいろな問題が含まれておるように思うのです。逐条審議する必要もあるように思いますけれども、いろいろな問題は外務委員会などでも検討することでしょうから、国際的な問題は外務委員会の検討に任したらいい、私はこういうふうに考えます。そこで、簡単な質問ですが、二つ三つちょっと質問しておきたいと思うのです。
 この第二条の「国は、協定を実施するため、国有の財産を大学の用に供する必要があるときは、無償で、大学に対して当該財産を使用させることができる。」と、こういうふうになっていますが、これは必要があると認めるのは日本の国なのですか、それとも国連大学がそういうふうに認めた場合ということになるのですか、どうなんですか。
#55
○政府委員(木田宏君) 日本政府でございます。日本政府がその必要があると認めた場合はということでございます。
#56
○須藤五郎君 そうすると、向こうから、われわれの研究にこれこれのものを使わしてもらいたいという要求が出ても、日本政府は、その必要がなし、こういうふうに認めるならばその要求に沿わない、こういうことになるのですか。
#57
○政府委員(木田宏君) 法文上はそのとおりかと考えます。
#58
○須藤五郎君 法文上はそうであっても、実際はどうなるかということを私は聞くのですよ。
#59
○政府委員(木田宏君) 実際は、日本側は国連大学を招致いたしまして、その国連大学の機能が憲章の趣旨に即して的確に運営されるようにいろいろな意味で支持を与えていくべき立場にあると思います。ですから、そのことのために必要なものはできるだけ便益を供与するということが必要かと思いますけれども、すべてが国連大学の注文のとおりにやらなければならないというふうにも考えておりません。
#60
○須藤五郎君 私はなぜこういうことを言うかといいますと、アメリカの占領軍が日本にいるときに、向こうが要求するものは皆無条件で提供するという長い間の習慣がずっとついてきておるわけですね。今度は占領軍はもういなくなっても、国連大学が来て同じことがまた日本国内で起こるということになれば、はなはだ日本人としておもしろくないことだと思うのです。日本人の自尊心を傷つけることになるし、国の独立の面から言ってもはなはだおもしろくないことが起こる。必ず摩擦が起こると思うのですね。だから、この点をはっきり私は言っておくのですが、そういうことは全然ないのですか。日本の自主的な判断によってこれをちゃんと処理していくのですか、どうですか。
#61
○政府委員(木田宏君) この「大学の用に供する必要があるときは、」というのは、日本政府の判断でございます。
#62
○須藤五郎君 将来恐らくいろいろな問題が起こる可能性のある条項だと私は思って一応質問をしておくわけですが、絶対そういう向こうの意向に無条件で従っていくというようなことはあり得ませんね。
#63
○政府委員(木田宏君) この法律を御提案申し上げている限りにおきましては、大学の用に供する必要があるという認定は日本側がいたすことになっておるわけでございます。
#64
○須藤五郎君 その日本側が判断する機関というものはどこなのですか。
#65
○政府委員(木田宏君) この物品の提供等につきましては、いままでの経緯もございまして文部省が中心になってお世話をいたしておりますから、私どもが実務的には中心になりまして、そうして必要な場合には大蔵あるいは外務関係のところと御相談をいたしながら決めていくことになろうかと思います。
#66
○須藤五郎君 これは国会の承認を得なくても政府機関の承認でそういうことが自由にやっていけるということなのですか。国会の承認は受ける必要がないのですか、その場合に。
#67
○政府委員(木田宏君) 個々の財産あるいは個々の物品につきまして一つ一つ御承認をちょうだいすることにはならないと思います。一般的にこの法律の規定によりましてそのような立場を行政当局にお与えいただきたいというのでこの法律を御提案申し上げておる次第でございます。
#68
○須藤五郎君 ぼくは、後で問題の起こらないように、一応そういう問題が起こった場合は国会に報告してそうして国会の承認を得ておるというそのたてまえの方が正しいように思うのです。何といったって国有財産を無償で提供するんですから、そのぐらいの手はずは踏んでおくべきだと私は思いますよ。
#69
○政府委員(木田宏君) 現実の措置といたしましては、大学の土地あるいは建物等につきまして、予算で国会の御承認をお願いしなければならないところが一番多かろうかと思うのでございます。それ以外の件につきましては、国内法のいろいろな所定の手続によって行政的に処理のできるところは行政的に処理をする、国会の御承認をいただかなければならない部分はそういう形で国会の御承認をいただく、こういうことになろうかと思います。
#70
○須藤五郎君 国有財産というものの内容は一体どういうことかということを一応私は聞いておきたいと思うのですね。これをずっと読んでみますると、国有財産とはこういうものを称するのだということは出ておりますが、これで間違いないのですか、どうですか。
#71
○政府委員(木田宏君) この条文にも書いてございますように、国有の財産といたしまして、国有財産法に規定する国有財産、それから物品管理法に規定する物品及び国有財産法の適用を受けない国有の権利というふうに書いてございます。御説明資料にこの中身のことも差し上げてあるかと思いますけれども、その説明資料のように考えておるわけでございます。
#72
○須藤五郎君 これによりますと、
  この法律において国有財産とは、国の負担に
 おいて国有となった財産又は法令の規定によ
 り、若しくは寄附により国有となった財産で
 あって左に掲げるものをいう。
  一 不動産
  二 船舶、浮標、浮さん橋及び浮ドック並びに航空機
  三 前二号に掲げる不動産及び動産の従物
  四 地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利
  五 特許権、著作権、商標権、実用新案権その他これらに準ずる権利
 こういうことになっていますが、こういうものは向こうが希望すれば無償で提供すると、こういうことですか。
#73
○政府委員(木田宏君) 基本的には、この協定の方でごらんいただきますことになりますけれども、大学の本部施設及び暫定的な施設を提供し、物品を提供するというのがこの協定によります基本の内容になってございます。したがいまして、端的に申しますと、土地建物、それから若干の物品というのが国連大学の機能を助けるために日本政府が援助すべき中身になろうかと考えるのでございます。ただ、何らかの事情で国連大学の活動の中でそれ以外の国有財産に関係の起こることがあり得るかもしれません。ですから、その意味で若干国有の財産という幅広い規定をさしていただいておりますが、現実には土地建物を中心にしたものになろうかと考えております。
#74
○須藤五郎君 それならば、ここに言う国有財産とは土地建物のことであるとかなんとか、やはり限定していく必要があると思うのです。これほどただ単なる国有財産という言葉で表現されると、それじゃ国有財産というのはどの範囲だと、こういうことになりますね。論議されますね。そうすると、国有財産というのは国有財産法でこう決められたものだとここにずうっと出ているわけですね。こうなってくると、私たち非常に疑惑を持つんです。というのは、もう一つ例を挙げてみますならば、一体、特許権、これも向こうから要求されるならば政府の考えいかんによって無償で提供するのですか、どうですか。
#75
○政府委員(木田宏君) 国連大学の活動が日本側の特許権を使わなければできないような活動がいまの段階では私には予想できないところでございます。また、そうした現実が起こり得るかどうかということは、その事態がもしありましたならば、その時点で日本側が必要があるかないかということの判断をする立場にあるというふうに考えます。ただ、無体財産権でありましても、国連大学がいろいろな研究活動をいたしますために、日本の政府の持っております出版物、著作権につきましてはこの部分を使わしてくれ、国連大学の研究物の中にこれを一緒に取り入れて扱わしてくれというようなことは起こり得ると思います。ですから、無体財産権は一切使わせない、有償であるというふうに言う必要もなかろうかと思っておりますけれども、これはやはり国連大学の先ほど来御説明申し上げました研究活動、事業活動の内応に即して、本当に日本側として支援すべき意味があるかないかという判断を日本政府がした上で協力することになる次第でございます。
#76
○須藤五郎君 私は、さっきから各委員の質問を聞いてみますと、一面でいわゆる治外法権的なことが認められていると同時に、もしも特許権や著作権を無償で提供するということになると、これは財産権を否定することになってくるおそれがあるんです。これは、私は特許権法のときにも質問したことがあるのです。これは個人の特許権ではないと思うのですね。国が所有している特許権になる。しかし、その国が持っている特許権でも、やはりそれをつくった人、これは大学教授が大学の設備を利用してそれで一つの研究をして特許権を取るわけですね。その特許権は、国が没収すると言うと語弊がありますが、しかし、所有は国になっているわけですね。私、それ自体がけしからぬじゃないかと、個人の官吏、教官といえども個人の頭から出た特許なのだから、その所有権はあくまでもその個人に所有すべきものじゃないかと、所属するのが当然だという議論をいたしました。それで、特許権には人格権と財産権があるのですね。これは著作権でも人格権と財産権があるわけですね。そのときもそういう点について私は議論をいたしました。そうしたら、政府はこういうふうに答えましたよ。大学教授が研究して特許権を得ましたと、確かにそれは大学教授の名前で特許を取っていますと、そうしてその特許権から何らかの利益が生まれた場合はその教授に対して国から何がしかの利益を分配していると、こういう意見でしたね。
 そうすると、これはどうなんですか。無償で提供して、それで特許を持っておるその大学教授なり研究者ですね、それに対しては費用を払わなきゃならぬという、こういうことが起こりますよ。その場合、その費用はどこが負担するのですか。
#77
○政府委員(木田宏君) かなり現実の課題として多岐にわたった問題意識を御指摘くださったわけでございますが、第一に申し上げておきたいと思いますことは、日本の政府が持っております国有特許を使わなければこの大学の事業が展開しないのだというような事例は、ちょっと現在の段階において私自身想像できませんので、一般的にまずそのことは申し上げておきたいと思います。
 それから大学の教官の発明にかかわるものが、国立の大学の場合のことを須藤委員はおっしゃっておられると思いますけれども、これが全部国有の特許になるというふうには必ずしもなっておりません。国立大学の教官の発明にかかわるもののきわめて一部が国有の特許として国が実施権を持っておる特許として位置づけられておるというふうに了解しております。しかし、これは国が実施権を持つことにつきまして発明者本人に対しましてはそれなりの手続を踏んで報いるべきものはもうすでに報いてあるわけでございますから、国連大学に無償で提供させることによる問題というものは発明者本人との関係においては私は起こってこないというふうに考えます。
#78
○須藤五郎君 それは財産権の否定ですよ。私有財産の否定になりますよ、そんなことを言うと。特許権でも著作権でも、権利の及ぶ年限というものは決まっていますよ。著作権なんかは五十年間ですよ、死んで。その間に国が著作権を――ぼくは国が所有する著作権というのがどんなものかまだ疑問があるのですが、仮に芸大の教授が学校のオーケストラやピアノを楽器を使って一つのものを作曲するとこれに著作権ができる。それを国がこれは国の著作権に属するものだよと言ってそうしてその本人に納得させるということがあっても、それを無償で国連に提供した場合、国連がそれを自由に使って著作権料を払わないということはおかしいのですね。それじゃ、もしもそうなれば、国が著作権料としてその著作者に金を払わなきゃならぬという事態が起こりかねないと思うのですよ。あなたは、今日は心配ないとか、今日の段階ではというようなことを言っておってはだめなんですよ。この法律は今日だけの法律じゃないのです。ずうっとさかのぼっていく法律ですから、いつまでも続く法律と考えていかなきゃならぬですね。だから、そういう場合にそういう矛盾が起こってきやしないか、起こった場合どういうふうに処理するのか。だから、そういう問題の起こらないような法律にしておいた方がいいじゃないか、これがぼくの意見なんですね。さっきの問題でもそうですよ。みなそういうことなんです。どうですか。あなたは、いまはそういうことは考えられないとか何とか言いますけれども、そうじゃないのです。いろいろな問題が起こってきますよ、使用権の問題で。どうですか、その場合。
#79
○政府委員(木田宏君) 大学の研究者個人の名前で発表されました著作物は、国有のものではございません。国有の著作権があるといたしますと、政府自体で出版したものでありまして、その政府自体の出版に対しましていろいろな専門家の方々の協力と執筆をお願いするというケースはあろうかと思います。しかし、その際には、その政府自体の著作物を専門家の協力を得て執筆していただいたときにすでに著作物に対するお礼は払ってあるわけでございますから、あとのことにつきましては政府が政府の著作物として活用するという面があろうかと思います。そういう出版物を仮に国連当局が一部分利用するというようなことはこれは起こり得る、私は想像できるというふうに申し上げました。たとえば文部省でつくりました教育白書というもののある部分を世界に国連大学の名において出す出版物の中にまとまって入れるというようなことは、これは当然あり得るかなというふうに思うのでございます。しかし、その場合に、仮に文部省の教育白書に協力してもらった人方に対して何がしかのお礼をすでにしてあるといたしますならば、そのことはこの執筆者の権利を侵害することにならない。もうその場限りで全部解決をしておる問題でありまして、あと日本の文部省として国連大学にこの部分は御活用くださいということを申し上げて差し支えないかと思っております。
#80
○須藤五郎君 あなたは著作権の精神というものを理解していないようですね。著作権というものは、人格権と同時に財産権、これは長く続くものなんですよ。本人が死んでも、遺族にまでずうっと続いていくものなのですね。だから、一時的な一時金を払ったからもう著作権というのはないのだというような意見は、それはおかしいと思うのですね。それは買い取りということもありますよ。著作権を買い取る、そのときは多額の金を出さなきゃならぬです。しかし、実際はそういうことをされていないと思うのです。官吏が大学教官などが特許を取っても、それに対してそんな何千万、何百万というような高額の金は払っていないのですよね。それよりも、政府はそれから利益が上がった場合に特許権者に何がしかの金をお払いしていると、これがまあこれまでの例だと思いますよ。だから、あなた、一時金を払ったからもうこっちは政府のもので何もかも自由勝手だというようなことは、それは著作権法による著作権者、特許法のその特許を持った人に対する私は侮辱だと思いますよ。そういうふうにその人の持っている人格権まで無視するようなことは言わない方がいいと思うのですね。
#81
○政府委員(木田宏君) 須藤委員御指摘のように、もし無体財産権に本人自体に帰属すべき権利があるといたしますならば、それは何も無償で政府が提供すると言っているわけじゃございません。政府の持っております権利、財産につきまして無償で提供できるということを申しておるだけでございまして、もし本人の権利が残っておりますならば、それは全く別個の問題でございます。
#82
○須藤五郎君 私はもっとこの問題について政府と質問を詰めておきたいと思う点があるのです。第一、これからコンピューターのプログラムの問題、これもいまは特許権はない、著作権はないけれども、やがて特許権、著作権ができ上がるわけなんですね。日本人が苦心してつくったそのプログラムすらも自由に無償で提供されるとなると、これは問題が起こりますよ。しかし、私、きょうは隣の法務委員会で法案の採決があるのです。そうしてきょううちの法務委員が外国に行っているために、採決に私がかわって入らなきゃならぬのです。いま呼びに来ましたから、私、この質問はここでとめておきますから、後日いろいろな問題が起こることをよく検討して、そういうことのないように十分の注意をしてもらいたいということだけ一言言っておきます。また機会があったらやりましょう。
#83
○藤井丙午君 時間がありませんのでごく簡単に申し上げますが、国連大学については、先ほど宮之原委員からまことにポイントをついた質疑が行われましたので、重複を避けます。ただ、私が申し上げたいのは、先ほど大臣の提案理由の中に、「世界の飢餓」 「人間と社会の開発」及び「天然資源の利用と管理」と、この三つの重点の研究研修課題を御説明になったのでございますが、実はこの第一の「世界の飢餓」の問題ですね、これは御案内のように世界の人口はいまや四十億になりました。そのうちで先進工業国が十一億、あとの二十九億は開発途上国でございます。しかも、人口の伸び率は先進工業国は一%で発展途上国は二・五%、なかんずくこの六〇%を占める東南アジアは三%でございまして、この率でいきますと、二〇〇〇年には世界の人口は六十五億と予定され、その中で先進工業国はわずか十五億、発展途上国が五十億、こういうことになるわけです。としますと、現在すでにインドその他発展途上国においては食糧不足、いわゆる飢餓の問題が非常に深刻になっておるわけでございますから、この三つの項目の中で「世界の飢餓」即食糧不足の問題について、特に日本が国連大学を招致したということは、この大半を占める東南アジアにおける唯一の先進工業国という意味においてやっぱり重大な意義があるので、この点を非常に重視していただきたいということと、同時に、すでにローマ会議等でも問題になりましたように、世界の資源のいわゆる有限論というものがあって、今後の世界の経済の発展と同時に「天然資源の利用と管理」ということが重大な問題になるわけです。ところで、天然資源の非常に大きな部分がいわゆる発展途上国に包蔵されておるわけでございまして、この問題は世界経済の今後のあり方と同時に「天然資源の利用と管理」という問題は非常に重大な問題でございますから、この問題が第二番目に非常に大きな問題になるわけです。それに伴って「人間と社会の開発」、これには当然三番目に申しました「天然資源の利用と管理」に伴う公害環境等の問題が含まれるわけでございますが、この食糧の不足と「天然資源の利用と管理」という問題を重点項目にして、この国連大学で十分にひとつこういった学者なり研究者なりを網羅して、世界的にこの問題の解決に当たるということをぜひ考えていただきたい。
 その他の問題は、宮之原委員から御指摘になったように、特にアメリカを初めとする先進工業国の協力がまことに微弱でありますので、今後政府として、これは文部省だけの問題じゃございませんが、政府として積極的にこの国連大学を本当の意味で意義のあるように、いま申し上げましたような問題を含めて大いにひとつ充実したものに、真に実りあるものにしていただきたいということを希望しまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
#84
○国務大臣(永井道雄君) ただいま御指摘の点は、十分に考えまして私としても全力を挙げるようにいたしたいと思います。
#85
○委員長(山崎竜男君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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