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1975/05/13 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 大蔵委員会 第6号
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1975/05/13 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 大蔵委員会 第6号

#1
第077回国会 大蔵委員会 第6号
昭和五十一年五月十三日(木曜日)
   午後二時四十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     粕谷 照美君     村田 秀三君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     岡田  広君     山崎 五郎君
 四月六日
  委員山崎五郎君は逝去された。
 五月六日
               補欠選任
                斎藤 十朗君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     寺田 熊雄君     小柳  勇君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     斎藤 十朗君     石本  茂君
     小柳  勇君     寺田 熊雄君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     石本  茂君     斎藤 十朗君
     近藤 忠孝君     内藤  功君
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     斎藤 十朗君     植木 光教君
     大塚  喬君     山崎  昇君
     内藤  功君     近藤 忠孝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩動 道行君
    理 事
                戸塚 進也君
                中西 一郎君
                野々山一三君
                矢追 秀彦君
                栗林 卓司君
    委 員
                河本嘉久蔵君
                嶋崎  均君
                土屋 義彦君
                鳩山威一郎君
                藤川 一秋君
                宮田  輝君
                大塚  喬君
                寺田 熊雄君
                福間 知之君
                鈴木 一弘君
                内藤  功君
                渡辺  武君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
   政府委員
       大蔵政務次官   細川 護煕君
       大蔵大臣官房長  長岡  實君
       大蔵省主計局次
       長        田中  敬君
       大蔵省主税局長  大倉 眞隆君
       大蔵省理財局次
       長        吉岡 孝行君
       大蔵省銀行局長  田辺 博通君
       大蔵省国際金融
       局次長      旦  弘昌君
       国税庁長官    中橋敬次郎君
       国税庁次長    横井 正美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      吉田 淳一君
       運輸省航空局監
       理部監督課長   小林 哲一君
       会計検査院事務
       総局第五局長   柴崎 敏郎君
   参考人
       日本輸出入銀行
       理事       林  大造君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩動道行君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 議事に入るに先立ちまして、一言申し上げます。
 本委員会委員山崎五郎君は、去る四月六日逝去されました。まことに哀悼痛惜にたえません。ここに委員各位とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表し、御冥福をお祈り申し上げたいと存じます。
 どうぞ御起立を願います。黙祷願います。
  〔総員起立、黙祷〕
#3
○委員長(岩動道行君) 黙祷終わります。御着席願います。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(岩動道行君) 委員の異動について報告いたします。
 去る三月三十一日、粕谷照美君が委員を辞任され、その補欠として村田秀三君が選任されました。
 また、去る六日、斎藤十朗君が委員に選任されました。
 また、昨十二日、近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。
 また、本日、斎藤十朗君が委員を辞任され、その補欠として植木光教君が選任されました。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(岩動道行君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税及び金融等に関する調査のため、本日参考人として日本輸出入銀行総裁及び役職員の出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(岩動道行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(岩動道行君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 去る三月四日の委員会において大平大蔵大臣から聴取いたしました財政及び金融等の基本施策に対し、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次発言を願います。
#8
○大塚喬君 初めに、昭和四十七年十一月十三日成立いたしました対外経済関係を調整するための租税特別措置法等の一部を改正する法律について、大蔵大臣初め関係の各省庁に質問をいたしたいと存じます。
 第一に、日本輸出入銀行法の改正、この特別措置法の一つになっておるわけでありますが、これについて大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 当時の提案理由の説明によれば、「輸入金融の対象となる重要物資の範囲を拡大するとともに、前払い金以外の融資も行ない得ることとする等輸入金融を拡充すること」といたしましたと述べております。この法改正によって、初めて航空機が輸銀の輸入金融の対象となったわけであります。重要物資の範囲を拡大すると、こういう名目で航空機が入ってきたわけでありますが、どうしてここで航空機及び部品だけが、航空機だけが重要物資ということで指定になったのか、改めてひとつここのところ大蔵大臣から理由をお聞かせいただきたいと思います。
#9
○政府委員(田辺博通君) 御指摘のとおり、四十七年十一月に成立しました改正法には、従来のそれまでの輸入金融につきましては、いわゆる重要物資ということであったものを、そのほか設備を入れるということをはっきりしたわけでございますが、ただそのときに、これは法律の字句上の技術的な要素がございますが、設備という言葉を使っておる条文が輸出金融の方に従来あるわけでございまして、その輸出金融の条項の設備というものの中に、航空機及び部品も含むという念のための規定を入れております。これは私も詳しくは、その当時いませんので申し上げられませんが、設備というと、何といいますか、プラント、多くの場合は工場であるとか、機械装置というものに解釈されやすいのでありますが、動くものである航空機も当然その設備の中に入るのであるという念のための字句を挿入した、それは当然輸入金融の方に設備という言葉を加えましたから入ってくる、こういうことになっておるわけでございます。
#10
○大塚喬君 念のためとか当然とかというもっともらしいことばでおっしゃるわけですが、輸入の項目に重要物資の範囲を拡大してと、こういう中には航空機だけしか入っておりませんね。大層な名目で重要物資の拡大、こういうことを言っておるわけですが、航空機だけを加えたということに私はどうしても疑惑を払うことができません。そこで、これはひとつ技術的なことでなしに、当時大平大蔵大臣は外務大臣ということでこの質問に一番重要な私関連を持っておると思うものですから、大平大臣に、ひとつ大臣から直接お答えをいただきたいのですが、この法改正に至った経緯を、当時の時代的な背景等もあろうと思うのですが、ひとつ大蔵大臣から、この答弁をはっきりお聞かせをいただきたいと思います。
#11
○国務大臣(大平正芳君) 法改正当時、わが国の国際収支は大幅な黒字基調を維持しておりまして、ところがわが国の法制では輸出優遇でございますとか、輸入抑制の制度が依然として残っておりますることに対しまして、海外から各種の批判が強く行われておったわけでございます。こういう事態に対処いたしますために、輸出優遇措置の縮小を図る一方、輸入の促進を図るために、関税政策でございますとか金融政策でございますとか、そういう措置を緊急に講ずる必要があると判断したために、この改正が行われたわけでございます。これは本院の予算委員会で私が御説明申し上げたところでございますが、全く航空機というようなもの、航空政策なんかとは全然関係ないことでございまして、航空機というものは、当時航空機会社はアメリカの輸出入銀行並びにアメリカの市中銀行の協調融資で融資を受けて輸入しておったわけです。でございまするから、政府の方で日本の輸出入銀行から融資をして差し上げようが差し上げまいが、それは全然、たとえば全日空なら全日空にとりまして関係のないことなんでございます。ただ、こういう状況でございますから、外貨がたまった、そいつを活用するために従来のアメリカの金融によっておりました航空機を、日本の金融に切りかえるということにいたしたわけでございまして、条件はしたがって同じだと、アメリカから受ける融資の条件と日本の輸出入銀行から出す融資と条件は同じだということにいたしたわけでございまして、これは疑惑の余地の全然私ないことだと思うんです。で、金融が窮屈になりましたので、またこれはもとに返って現在ではたしかアメリカの方の融資によって輸入しているはずでございます。当時の、外貨がたまってきたのを、これを活用するということの方便として政府が考えたことでございまして、航空機の輸入の促進とかいうようなことではないので、全然それとは関係ないことなんで、航空機はそういうことによらなくてもアメリカの融資で必要にして十分な資金は得られておったんです。またアメリカがそれを断ったんであればまだしもですけれども、アメリカはいままでどおりまた融資してようございますという態度であったわけですけれども、日本に外貨があるんだから日本の金を使いたまえということで使ったわけでございまして、したがって条件も同じにしたというだけの話なんです、これは。
#12
○大塚喬君 いまの答弁で、まあ政府の方が全日空や何かに金を使えということである程度話を導入したというか、そこへ導き込んだと、こういうかっこうだということですね。それで、まあそれらに関していよいよどうも私もわからなくなってくるわけですが、輸銀法改正、これは主務官庁は大蔵ですね。それから、一体どこがこの法改正の発議というか、言い出しをしたところなんですか、大蔵なんですか、運輸なんですか、通産なんですか、あるいは総理大臣からこれはぜひやれと、全日空に日本の金を使わせろと、こういうことで法改正をやるんだからやれと、こう言ったのですか、あるいは全日空なり丸紅なりそういうところから、ぜひ日本の金をそういうことならば使わせてくれということで陳情があってやったのですか、あるいは児玉なら児玉からそういうところに圧力があってこういう法改正をやったんですか、そこのところをひとつ――このもとになった、十月の二十七日閣議決定をする、その前に第三次円対策ということで経済関係閣僚懇談会が開かれた、そういう中でこういう下地が順々につくられていったと思うわけでありますが、一体この発議というのはどこがなして、そしてこういう法案の成立、航空機だけを入れると、全日空をそこへ導き込むんだと、こういうことをだれが一体やったわけですか。
#13
○国務大臣(大平正芳君) それは大蔵省が閣議に出して、閣議を通して法律案として決定して国会に提案したものです。
#14
○大塚喬君 そうしますと、この改正は大蔵省が主導して、イニシアをとって全部この法改正をやったと、全日空にこの政府資金を使わせるために法改正をしたんだと、こういうことになりますね。念を押してここのところはっきりお尋ねをいたしておきたいと思います。
#15
○国務大臣(大平正芳君) 輸銀法の改正を大蔵省以外がやったりしたら大変です。大蔵省の責任でやったことです。
#16
○大塚喬君 そうしますと、全日空に日本の持ってる、余ってる外貨を使わせるために一応大蔵省が一生懸命骨を折ったと、こういうことになるわけですね。
 それと一緒に、いままでの輸銀の融資というのは前払い金と、まあこういう一つの制限があったわけでありますが、その前払いということを撤廃をして、ともかく全部にこの輸銀の融資の適用がされるようになったと、こういうことの理由は一体これは何ですか。
#17
○国務大臣(大平正芳君) それは、いま先ほど申しましたように、国際収支に黒字がたまってまいりましたので、頭金だけでございましたものを輸入額もあわせて金融の対象にするということにいたしたわけです。それだけの金融余力を日本が持つようになったということでございます。
#18
○大塚喬君 そうすると、その融資の枠を航空機に広げ、それから前払いだけでなくて全部に融資の対象を広げたと、こういうことは大蔵省が一生懸命音頭を取って、骨を折って、そしてこの法改正をやったと、こういうことになるわけですね。間違いございませんか。――円対策、ドル減らしということで十月二日に経済閣僚懇談会が開かれてこの法改正の下地ができたと。しからば、この法改正によって一体ドル減らしということについてどれだけ実効があったものでしょう、具体的に数字を挙げてひとつ。せっかく一生懸命大蔵大臣以下大蔵省が全部骨を折って法改正をやったということでありますが、この法改正やった実効というのは一体中身は何ですか、ひとつ具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
#19
○政府委員(旦弘昌君) ただいま先生の御指摘のありましたように、輸銀法の改正はおっしゃるようにドル減らし対策の効果をねらったものでございますけれども、具体的にこの改正によりまして個々の案件がどの程度促進されたか、またどれだけの外貨減らしの効果が生じたかということを正確に分析することはなかなか困難ではなかろうかというふうに考えます。このときの改正は、輸入金融、それから海外投資金融の拡大、それから借入金の限度額の拡大というような、いろいろな要素がございますので、それぞれにつきまして検討いたしますのはなかなかむずかしいんではないかと、こう思う次第でございます。ただ、たとえばいま問題になっております輸入金融の融資承諾額を見てみますと、四十七年度――この改正は四十七年の十一月でございましたが、四十七年度にこの輸入金融の融資承諾額が九百九十一億円でございました。それが翌年度の四十八年度には千八百六十九億円になっておるのでございます。また四十九年にはさらに二千四百三十一億円というふうに、非常に大幅に増加いたしております。私どもといたしましては、このそれぞれの増加額の相当分がこの改正によって促進されたんではなかろうかというふうに考えております。ただ、この輸入金融の拡大だけがこの法律の改正の効果ではございませんので、その他の要素を加えませんと正確なところは何とも申し上げられないというのが実情でございます。
#20
○大塚喬君 その実効については、余りどうもはっきりした、そういう納得のいく答えをいただけませんが、ドル減らしということに関しては、私ども受け取るところはほとんど実効がなかったのではないかと、そういう感じを強くいたします。そして、結果的に残ったものは、いま大変大きな問題になっております輸銀からの融資がこの法改正によって初めて行われたと、トライスターL一〇一一が二十一機発注をされ、現在までに十五機、これは丸紅の数字で発表申し上げますと、実に二億八千九百七万二千七百八十ドル十五セントという膨大な金でそういう購入ができたと、その呼び水になったのは、政府資金をこのロッキードの買い物に使う道を開いたと、こういうことが大きな要因になっておるものと思われます。それと一緒に、いまロッキードに関する黒い金が流れておる、二十三億二千万円とかいわれる、そういう賄賂が政府高官に贈られたという、こういうようなうわさが飛んでおるわけでありますが、それらのもとになったのは、このロッキード二十一機発注をし、十五機を購入したと、その資金を政府資金で賄ったと、こういうことの中にこれらの事件が起きたわけであります。結果としては、日本にこのような一大疑獄事件、汚職事件を引き起こした、こういうことの骨折りを大蔵省が本気になって一生懸命地ならしをしてこの体制をつくり上げた、こういうことになろうと思うわけでありますが、これに対して大蔵省のひとつ所見を、その点についてどうお考えになっておるのかお聞かせをいただきたいと思います。結果論にはそれだけしか残っていないでしょう。
#21
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、航空機の輸入という問題は、航空機の会社が決めることでございまして、大蔵省が関与する問題ではないわけでございます。で、航空機会社が決めました航空機の購入代金は、従来、先ほど申しましたように、アメリカの輸銀と市中銀行の協調融資によって金融を受けておったということでございますし、航空機会社がそのままその融資を続けていこうとすれば、それはできない相談ではなかったようでございます。ただ、日本に黒字がたまってまいりましたので、日本の保有のドルを活用せにゃならぬので、同じ条件で日本のドルを使ったらどうだということに切りかえただけの話でございまして、航空機会社が航空機を購入する問題と、金融の問題と、これ、全然別な問題でございまして、金融で購入を左右したというような性質の問題は、全然、本末転倒な話じゃないかと思うのです。金融をつけるから買えという性質のものではないので、決まっておる金融のやり方をこちらの方に切りかえていただいただけの話なんでございまして、大塚さんの言われますことは、本末をひっくり返した御判断のように私には受け取られるわけでございますが、いかがでございましょう。
#22
○大塚喬君 いまの続きはまたひとつ、大蔵大臣がちょっと中座をされるそうでありますので、戻ってからまたひとつお願いをいたします。
 関連して、次に運輸省の方、どなたか御出席いただいておりますか。
#23
○委員長(岩動道行君) はい、来ております。運輸省の航空局の小林監督課長。
#24
○大塚喬君 ここのところもやっぱりちょっと大蔵大臣がいないとあとで……、ちょっと十分間ということなら十分間休憩願って……。やっぱり大蔵大臣にも聞いてもらわないと、その次の話がどうもつながらないんですが……。
#25
○委員長(岩動道行君) ちょっと速記をとめてください。
  〔午後三時七分速記中止〕
  〔午後三時三十六分速記開始〕
#26
○委員長(岩動道行君) 速記起こして。
#27
○大塚喬君 大蔵大臣。先ほどの大臣の答弁で動機が決して悪くなかったという意味の、私の考えが少し勘ぐり過ぎていると、こういうような趣旨の答弁があったわけですが、ここで倫理学の問答をするつもりでありませんが、結果としては、私はこの政府資金の融資の道を開いたということが一大疑獄事件のやっぱり重要な要因になっておると、結果としては大変遺憾なこういう事態になったと、私はこのことを指摘をいたしておるわけです。動機がよければ結果がどんなになってもそういうことは大蔵大臣として責任は痛感しない、痛痒を感じないと、こういうことなら別でありますが、やっぱり私は大蔵大臣としてもきわめて遺憾な結果になったことを認めざるを得ないのではないかと、そう思うわけであります。
 ところで、四十七年の九月の田中・ニクソン会談、ここで並行して行われた鶴見・インガソル会談の中で、日本の円対策として十一億ドルの緊急輸入が認められたという、こういう発表がございます。十一億ドルの緊急輸入が決定したと、こういう発表がなされておるわけであります。その中の内訳の一つとしてエアバスの三億二千万ドルという数字が出されたわけでありますが、ドル減らしの効果をねらったこの法改正というのは、実際は焼け石に水で効果が全然なかったと、そして四十八年の一月、十月に行われて、四十八年の一月には百九十億ドルを超える外貨が増加をいたしておるわけであります。ですから、ドル減らしということは単なる口実だけであって、実際はこの法律改正、大蔵省が一生懸命骨を折った法改正というのは何ら実効を上げ得なかった、こういうことを指摘せざるを得ないわけであります。
 そこで、その鶴見・インガソル会談の内容について少しく初めに航空、運輸省関係にひとつお尋ねをいたします。この発表の二項の(b)のところに「日本の民間航空会社は、米国から約三億二千万ドル相当の大型機を含む民間航空機の購入を計画中である。これらの発注は、四十七及び四十八会計年度になされることになろう。」と、こういうことを外務省の代表、当時大平さんも外務大臣としてこのハワイ会談に出席をされておるものですから、詳細御承知だと思うわけでありますが、そういう発表がございます。私が一つ初めに疑問に思うことは、その外務省の一代表が、少なくとも外務省が買うんではない、大蔵省が買うのではない、民間の航空機について具体的に三億二千万ドルと、こういうはっきりした数字を挙げて購入の約束をしたと、会談が、協定というか、そういうことに落ちついたと。こういうことになったこの数字の積算基礎は一体どうしてつくられたものであるか、初めに運輸省からひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#28
○説明員(小林哲一君) 三億二千万ドルの内訳でございますが、実はこの数字をはじきましたのは四十七年の夏ごろでございますが、民間航空会社が航空機を四十七年度及び四十八年度に総額どの程度発注するかという検討を運輸省でいたしたわけでございます。この検討につきましては、まず航空会社からヒヤリングを行うとともに、運輸省におきましても、当時いろいろな不確定な要素はあったわけでございますが、将来の需要の動向等を勘案いたしまして、四十七、四十八両年度において少なくとも三億二千万ドル程度は民間航空会社が発注するであろうという判断でこの数字を固めたわけでございます。
 そこで、この三億二千万ドルの内訳でございますが、四十七年度発注分といたしまして、一億七千三百万ドル。具体的な機種といたしましては、大型ジェット機が七機、在来機が九機。四十八年度の発注分といたしましては、一億九千二百五十万ドル。これは全部大型ジェット機でございまして、九機でございます。両年度合計いたしますと三億六千五百五十万ドルになるわけでございますが、この中から四十七年度の発注予定の機材の中で、リース――購入じゃなくて賃借り、リースにかわる可能性のある機種もございまして、その分を四機分から差し引きまして、あと数字の整理をいたしまして、三億二千万ドルという数字を出したわけでございます。
#29
○大塚喬君 いまの答弁、これは具体的にその当事者である日航あるいは全日空、東亜国内航空、そういうものの機材計画に間違いなくのっとってそういう計画を出したわけですか。それらの各航空会社の計画に基づいたとするならば、その航空会社ごとにその選定したというか、購入しようとした機種、その機種の単価、それから機数、こういうものをひとつ、いまの三億六千五百五十万ドルですか、その数字のもとになったそういう数字をひとつ具体的にここでお示しをいただきたい。
#30
○説明員(小林哲一君) 当時、この積算をしたのは四十七年の七月の時点であったと思われますが、その当時、日本航空は四十七年の八月に五ヵ年計画をつくっておりますが、まだこの段階におきましては、はっきりした計画はなかったわけでございます。そこで、一応のその時点における各エアーラインの機材の購入の見通しという点で出してもらいまして、それを基礎にして運輸省で需要予測その他いろいろな要素を勘案いたしまして出した数字でございます。で、もとになりましたのは、各エアーラインの七月の時点において出してきた数字でございますが、四十七年度発注分につきましては、日本航空は、ボーイング747、これはLRと申しまして国際線用の機種でございますが、これが一機、契約金額といたしましては約二千七百万ドルでございます。それから、そのほかに大型ジェット機が五機、これはまだこの時点におきましては機種が決定しておりませんので大型ジェット機ということで入ってきておりますが、これが五機、契約金額といたしましては約一億三千百万ドルでございます。それからそのほか、DC8の61という機種が八機、これが約五千二百万ドルでございます。合わせまして十四機。契約金額といたしましては二億一千百万ドルでございます。それから全日空といたしましては、ボーイングの727−200という機種でございますが、これが五機でございまして、契約金額といたしましては四千百万ドル。そのほか、大型ジェット機として四機、これは一億二千四百万ドル、合わせまして九機、一億六千五百万ドルになります。東亜国内航空は、四十七年度の発注機材としてはここに出しておりません。
 それから四十八年度の発注機材でございますが、日本航空につきましては、ボーイングの747、これはLR――国際線型でございますが、これが六機、金額といたしましては一億七千百万ドル。大型ジェット機が二機、五千五百万ドル。合わせまして八機、二億二千七百万ドルでございます。全日空については、四十八年度は未定ということになっております。それから、東亜国内航空につきましては、四十八年度分につきましてボーイング737クラス四機、これは二千五百万ドル。それからDC8クラスが四機、四千万ドル。合わせまして八機、六千五百万ドルということになっております。以上、総計いたしまして、四十七年度分につきましては二十三機、三億七千七百万ドル。四十八年度は十六機、二億七千二百万ドルということでございます。この各航空会社から出てきました数字をもとにいたしまして三億二千万ドルという積算を運輸省においていたしたわけでございます。
#31
○大塚喬君 いまの積算の基礎になりました各航空会社の機材計画、これはやっぱり具体的に資料として本委員会に提出をしていただきたい。この修正をしたそれらの理由、こういうふうなことも含めて、三億二千万ドルの基礎について資料を提出いただきますようにぜひ委員会でお計らいをいただきたいと思います。
#32
○委員長(岩動道行君) 後ほど理事会で協議いたします。
#33
○大塚喬君 先ほどの数字で、運輸省が査定の上積算したという国際線大型機の数字で、それぞれの航空会社がともにボーイング747を購入する計画を持っておったと。これが十月一日にこの声明がなされて、一ヵ月足らずの間に今度はロッキードL一〇一一――トライスターの購入に変わってきたわけでありますが、そこらのところでやっぱり疑惑を払拭することができません。しかも、いま聞いた範囲では、運輸省のきわめて非論理的なこういう積算をやったとしか感ぜられないわけでありますが、これは、単なる数字合わせというか、ともかく、外務省の審議官が持っていった――大平さんもその当時ハワイにおいでになった。そういう数字を出したわけなんですが、大蔵大臣はこの三億二千万ドルの飛行機をどういう機種で何機お考えになるということで、その当時の外務省の責任者でおられた大蔵大臣は、ハワイでその鶴見審議官の会談の指示や相談をなされたと思うわけでありますが、どういうことでこれはなされたんですか、どういう基礎で。
#34
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申し上げましたように、当時、わが国の国際収支は大変黒字が続きまして、もっと輸入をふやすようにという要請が各国からありまして、とりわけ対米、日米間の貿易のアンバランスが大変ひどかったわけです。当時、私の記憶では四十二億ドルぐらいに達するのじゃなかろうかとか、いやそんなにはなりませんでしょうとか、日米の間にいろいろな議論が闘わされておったと思います。そこで、先方から通商代表が参りまして、もう少し輸入の努力をしてくれないかということがございましたので、箱根におきまして日米間の通商代表の会談を持ったわけでございます。そこで、政府といたしましては、日本がアメリカから輸入する計画が、たとえば食糧庁はどのぐらい持っておるであろうか、民間の航空機会社等はどのぐらい輸入計画を持っておるであろうかとか、あるいは原子力発電のための燃料関係ではどのぐらい買う予定をしているかとかいうような検討を受けまして、このように買う予定があるので、相当程度近い将来、そのアンバランスは是正されることになるであろうというような説明をアメリカ側にいたしたわけでございます。で、そういう仕事は首脳会議でやる時間もございませんし、また、やるに適したテーマでもございませんので、鶴見審議官と、先方はインガソル大使とが出てまいりまして、首脳会議より前にそのレベルで会談をして、会談の結果を発表するという形でまず終えていただいて、それから首脳会談に移ったわけでございます。そういう経緯が一つあります。
 それからもう一つは、日本の場合は大塚さんも御承知のように、自由な貿易体制をとっておりまして、何を輸入するか、しないかというような問題は政府が決めるわけではないわけでございまして、どういう機種を輸入するかというようなことは航空機会社が決めることでございまして、政府がタッチする接点は何かというと、輸入許可をするというところで関係が出てくるわけでございます。で、日米会談ではこのようなアンバランスがあるわけでございますから、できるだけこれを是正するということ、長いつき合いでございますからできるだけ貿易のバランスはとっていくように努力をすることは当然なことでございますので、貿易のバランスを回復するようにできるだけ努力をすると、対米輸入につきましてはそれをファシリテートする、容易にする努力をいたしましょうというような言葉が日米会談の声明にはあったと思います。ファシリテートするという意味は、輸入の許可をするという場合に、進んで輸入許可をするように努力しましょうということでございまして、政府が何年度に幾ら輸入することを計画して、それはどういう種類のものにするかとかいうようなことは、食糧庁は食糧庁として、これは政府が管理している貿易でございますからできますけれども、航空機みたいなものは政府はそういうことをできる立場にないわけでございますので、どういう機種を選定されますか、そういうようなことは私ども関知していなかったし、する必要もなかったわけでございます。
 それが当時の経緯でございました。
#35
○大塚喬君 大蔵大臣、輸銀法の改正というのは十月の二十七日に閣議決定、そして同日法案の提出と、こういうことになっておるわけであります。ハワイ会談の声明が出たのが十月一日、それで全日空がトライスターの購入を決定したのが十月の三十日ですね。ハワイ会談が一日、法案の閣議決定、提出が十月の二十七日、そして十月の三十日に購入を決定したと、データ・オブ・インテンツ――購入計画書というのが十一月の二日になされておる。一カ月の間にこういうことが行われたわけです。で、先ほどの運輸省の答弁では、その三億二千万ドルというものの積算基礎はボーイング747SRを基礎にして積算基礎を出したということでありますが、ここのところで一カ月の間にがらりそういうものが変わってきておると、ここらに少し私はどうも不審が残ると思います。そしてこの法案の成立が十一月の十三日、これが決定してちょうど一カ月後の四十八年の一月十二日に、全日空はロッキードとトライスター購入の契約を成立させておるわけであります。これらの一連の経過をたどってみますと、不思議なことに符節が合って、そして政府が地ならしをしてトライスター購入に一生懸命拍車をかけたと、こういう結果が残るわけであります。また、大蔵大臣、少しそれはうがち過ぎた解釈だとお考えになるかもしれませんが、結果としてはみんなそういうふうに一連の続いたことでなっておるわけです。で、特に問題は、ロッキードスキャンダルの中で、児玉の領収書というのが二十三枚、そのほかに佐藤某、それから丸紅の前専務の大久保利春氏、これのいわゆるユニット領収書が二枚、金額にすれば総計十四億五千万円以上の黒い金が動いておる。それがちょうどこの十月から十一月にかけて集中的に動いておるわけであります。で、贈収賄事件を引き起こしたわけでありますが、私はこれは最も構造的な汚職のモデルというか、典型的なものだという、そういう感じを受けます。
 大蔵大臣、法改正でこういうことの運びにずっと一連の動きが続いたわけでありますが、大蔵大臣として何らその責任を感ずるところでございませんか、いかがでしょう。
#36
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど冒頭に申しましたように、飛行機の購入資金をアメリカの金融から国内の金融に切りかえたのは、日本に黒字がたまってきたので、従来、アメリカの金融に頼っておったのを国内の金融に切りかえただけでございます。これはアメリカが金融をしなくなって、日本が金融をしないと、全日空が輸入できなくなるからそうしたんではないんです、先ほど私たびたび申しましたように。アメリカから引き続き金融を受けようと思ったら受けられるわけです。なんとなれば、アメリカというのはそれ輸出なんですから、アメリカは輸出金融をやることがあの国のポリシーとしてあるわけでございまして、アメリカの輸出入銀行とアメリカの市中銀行の協調融資によって全日空はそれまで融資を受けておったし、今後も融資を受けられる立場にあったわけなんです。そのままほっておけば、恐らく私は全日空はそういう融資の方式で必要な飛行機は輸入したに違いないと思うんです。たまたま別途、別の問題として、日本の貿易が黒字になってまいりましたので、たまりましたドルは活用せにゃならぬので、飛行機ばかりじゃございませんで、頭金はかりでなく、輸入資金までもほかの物資のものも皆含めて、日本の金融でファイナンスをいたすように法律で直したわけですが、そうすることによって、たまったドルを活用しようということをやったわけなんでございまして、飛行機会社に関係のないことなんです、これは。だから飛行機会社はアメリカの融資を受けると同じ条件で金融しましょうということでいたしておるわけなんです。でございますから、まずそのスタートが全然関係ないことを、まずあなたはこれはスキャンダルと関係があることを、構造的な関係が大蔵省もかんで、ここからあなたのストーリーが始まるわけですから、そう創作されちゃ困るわけです、大蔵省では。大蔵省はそういう趣旨で法改正をやったわけでございまして、このロッキードの問題は別に、別途解明が進んでおるわけでございますけれども、私はこの問題について解明する立場にございませんけれども、いずれこれは解明されるでございましょう。ございましょうけれども、私はそういうものと、この輸銀法の改正というのは全然関係ないことだということだけは大塚さんにわかってもらわぬと、大蔵省の名誉のために困ると思うんです。これはもう私は何度でも説明申し上げて、あなたがわかるまで説明しないといかぬと思うんです。そういう基本的なことを誤解されておったんでは非常に大蔵省の名誉のために困る。
#37
○大塚喬君 大蔵省がこれに絡んでおるということで申し上げたわけでなくて、地ならしを一生懸命やったと。私は結果としてそういうことが現実の姿だと、私はこういうことを指摘しているわけなんです。そこで、輸出入銀行でどなたかおいでになっていますか。――輸出入銀行にお尋ねをいたします。
 この輸銀からの融資の条件についてお尋ねをいたしますが、輸銀と全日空の融資契約の成立が、第一回六機分、四十八年八月二十九日契約ですね。で、これはドル建てで一億一千二百万ドル、円にして約三百三億六千万円。そのときの金利が年六・一%、期間が十年。第二回が四機分、これは四十九年六月の二十六日契約。ドル、円両建てで、ドル建て分が三千六百万ドル、円建てで約百四億円。これの金利が七・三、期間が十年、このときに輸銀の業務方法書を調べてみますというと、輸入金融については第一回分については四%ないし七%、それからその後改正があって、第二回分のときには五・五%から八・五%、こういうことに業務方法書によればなっております。で、全日空という一つの大企業と申しますか、ここにこれらの融資条件で出されたことが適正な貸し出し条件ということになるのかどうか。立ち入り検査、立ち入り調査ということも行われたということを耳にいたしております。この点について輸銀の責任者からひとつはっきりしたお答えをいただきたいと思います。
#38
○参考人(林大造君) ただいま大塚先生から挙げられました数字、全部正確でございますが、一つだけ、第一回の六機分の一億一千二百万ドルの円換算額につきましては、これは換算レートのとり方で若干違う数字も出ます。これだけを申し上げておきます。
 それで金融の条件でございますが、この金融の条件につきましては、大蔵大臣からるる御説明がございましたとおり、米輸銀から借り入れ可能であったものを日本の輸銀の融資に切りかえるということでございまして、それを業務方法書の金利の範囲内で貸し出したわけでございます。したがいましてこれら融資の金額、融資の条件すべて当局の御方針に沿っていたわけでございますし、適当なものであったと判断いたしております。
#39
○大塚喬君 輸銀の資金運用部借り入れ金利の推移を調べてみますと、第一回分のときには輸銀が資金運用部から借り入れをする際の金利は六・五%、それで輸銀が全日空に貸し出しの金利は六・一%。それから第二回目のときには資金運用部からの借り入れ金利が七・五%、そして貸し出し金利が七・三%。結果としてはまさに政府の機関であっても逆ざやということになるわけですね。この問題についてひとつはっきりと私どもが納得できるような解明をいただきたいと思います。
#40
○参考人(林大造君) ただいま大塚先生御指摘のとおりの逆ざやになっております。それで輸銀の金利が具体的にどういうふうに決められるかということにつきましては、業務方法書上の金利は、先ほど先生が御指摘になったとおりでございますが、輸銀の貸し出し金利は全体といたしまして資金運用部からの借り入れ金利よりも平均で低くなっております。すなわち全体として逆ざやになっております。これは今国会にも改正を、政府の方から輸銀法の改正ということでお願いしているそうでございますが、このように承っておりますが、輸銀は政府から出資をいただきましてその四倍までの借り入れをなし得ることになっております。そのうち自己資本の分につきましては利益が生じませんので、例年通常は配当のお支払い、あるいは民間でいえば配当のお支払いでございますが政府への納付をいたしていない実情でございます。と申しますのは、全体といたしまして借り入れ金利よりも若干安い金利で貸し出しをしているわけでございます。これは輸銀法の改正の趣旨からいたしまして、輸銀は当初は後進国、開発途上国に対する融資も多額に行っておりましたし、それは当然のことながら非常に優遇された条件で行っているわけでございます。で、また輸出金利につきましては、最近はかなり高い金利で融資をいたしておりますけれども、かっての輸出優遇時代には低い金利で融資が行われていたわけでございまして、この輸入金融が行われました四十七、八年ごろにおきましても五%前後の輸出金融の金利はかなり一般的に行われていたわけでございます。したがいまして、ロッキードの航空機の輸入金融についての金利が逆ざやであるという点で特に際立ったものではないわけでございます。
#41
○大塚喬君 この第一回分が三百三億、それから第二回分が、これはまあ為替レートの問題で二百十億前後になろうかと思うわけでありますが、この購入費の八割という輸銀融資の比率の問題はいかがでしょう。ここについてひとつ解明をいただきたいと思います。
#42
○参考人(林大造君) ただいま大塚先生御指摘の八割という数字は、頭金二割を除きました残りの八割につきまして輸銀が全額を融資いたしたわけでございます。で、従来から輸入の金額を一〇〇といたしますと、そのうち二〇はその航空機を輸入をする航空会社が頭金として自己の手金で払っていたわけでございます。残りの八割につきまして米国の輸出入銀行その他からドル建てで融資を受けていたわけでございます。そのかわりに日本の輸銀が、先ほど大蔵大臣からお話のございましたドル減らしという政府の御方針に従って融資をすることになりました関係上、その八割が融資金額になったわけでございまして、これは全体の出資からしてそうあるべき数字であったのではないかということで、そのように輸出入銀行としても実行機関として処置したわけでございます。
#43
○大塚喬君 一つは、日本輸出入銀行の業務方法書によれば、「銀行との協調融資の貸付割合」は「協調融資の総額に対し、本銀行の貸付金額が七割をこえない割合とする。」と、こういう業務方法書がございますね。私はこれと、この全日空の場合には特恵的な条件をつけてやってこの業務方法書の内容に違反をしておると、私はこう考えざるを得ないわけであります。
 それから、先ほどの答弁で、大蔵大臣それから輸銀、これは政策的な問題になると思うわけでありますが、このような大企業に政府出資があるから逆ざやでも、そして輸出振興のために必要なんだと、まあこういうようなお考えがにじみ出ておるわけでありますが、この政策自体が明らかに大企業優先の大企業の優遇する政策、そういうことにそっくりこれが当てはまる法律であると、私はそのことを指摘せざるを得ないものであります。で、いまの業務方法書とそれからこの全日空との貸し付け、これらの内容についてもう一度ひとつ明快に国民の疑惑を晴らすような答弁をいただきたいと思います。
#44
○参考人(林大造君) ただいま御指摘になりました業務方法書上、原則七割を輸銀が融資いたし、残りの三割は市中銀行に融資させるという点はおっしゃるとおりでございます。ただ例外として八割を融資するのは、プラント類の輸出金融については通常行っているところでございますが、協調融資なしの全額を融資したというのは確かに例外でございます。で、例外であったのには当然そこにそれなりの理由があったわけでございまして、これは全部、ことに第一回は全部外貨貸しでございます。外貨貸しと申しますのは、日本輸出入銀行と全日空の間の貸借契約でございますから、為替管理上の居住者間の貸借ということになりますと、日本の居住者は当然のことながら円で貸借をするのが原則である。それを外貨で貸借をするに当たりましては、為替管理法の規定によります許可が要るわけでございます。その許可を得る関係で、大体の方向といたしまして、政策の目的を達成するためにはやはり一〇〇%の融資をした方が適当であるという理由もあったわけでございます。で、協調融資団組成のための時間的余裕がなかったという事情もあったわけでございますが、そのほかに、外貨減らしをするためには、やはり全額輸銀から金を出さないといけない。それは若干専門的な御説明を要することになると思いますが、私が承っておりましたところでは、民間からドルを借りますと、民間の銀行と申しますのは為替で大変大きい損失をこうむることがないようにするのが銀行の健全経営の原則でございます。したがいまして、ドルを貸したときには必ずそれに見合うようなドルの借り入れをするというのがこれが一つの為替の業務運営の常識になっているわけでございます。で、当時民間にドル貸しをさせれば、民間はドルを借りなければいけない。ドルを借りるのに国内では貸し手はございませんでしたから、当時はドルは弱い、為替リスクが非常に大きいと思われているような状況で、ドルを貸す貸し手はないとなれば、海外からドルを借りるよりほか仕方がない。外貨減らしで外貨を減らすときに海外からドルを借りてきてはまことに、何というか、政策目的が達成できないわけでございまして、したがいまして全額、政府の御方針を踏まえて、輸銀が融資するのが適当であるというふうなことで私ども了解をいたしまして、申請どおり一〇〇%の融資をいたした。八十分の八十でございますから一〇〇になりますが、融資をいたしたわけでございます。で、先ほど申しました銀行の為替の業務の実務と申しますのは、過日ヘルシュタット銀行という銀行が大きな欠損を出しまして、大変な問題を起こしましたが、そういうようなことにならないために、専門語でスクエアーの原則と申しておりますが、そのようなことで行われたのであるというふうに了解いたしております。
#45
○大塚喬君 ただいまの答弁、どうもいよいよ疑惑が深まるばかりです。日本輸出入銀行業務方法書というのがありますね。こういう規定が、ドル減らしということを美名にしてそういう御都合主義、その都度勝手にそういうようなあれをやってよろしいんですか。
 それから、その許可を受けたと言うんですが、これは大蔵大臣の許可を受けたんですか。だれが絡んでいるんですか。
#46
○政府委員(田辺博通君) いまの協調融資の原則に対する例外ではないかと、その例外の根拠というようなことでございますが、日本輸出入銀行法十八条の二の第二項には協調融資の原則をうたっております。ただ、これにはただし書きがついておりまして、「ただし、銀行が日本輸出入銀行とともに資金の貸付をすることが著しく困難であり、かつ、日本輸出入銀行による資金の貸付が当該各号に規定する貸付の目的を達成するため特に緊要であると認められる場合には、この限りでない。」。つまり、協調融資でなくても全額を貸せるという法的根拠があるわけでございます。先ほど来輸銀の方からお答えになりましたのは、一つは、外貨減らしの目的のために輸出入銀行から、政府といたしましては外貨貸しをやるという方針を決めておりまして、ほかの銀行の分は外貨貸しになりにくい、それからやっぱり実務上も緊急に輸入する場合には協調融資団を組むということは、一番、いままでアメリカのEXIM及び米市中銀行から借りておった慣習があったわけでございますので、そうとっさに国内の金融融資団を組むというのはとてもめんどうでなかなか緊急の間に合わない、こういう事情もあったかと思います。
#47
○大塚喬君 大変外貨減らしということにすべてを隠れて責任を回避する、そういう態度がうかがわれるわけでありますが、会計検査院できょうお見えになっておりますか。会計検査院にお尋ねいたしますが、この一連の全日空に対する融資事件、これはいまそういうふうな御都合主義の法解釈をやって特恵的な恩典で融資を実施した。政府資金です、これは。こういうものが一企業に対して特別にそういうことが、外貨減らしだ、緊急の措置だというようなことで許されるものかどうか。会計検査院が立ち入り検査、立ち入り調査というようなことをなさったという話もあるやに聞いておりますもんですから、この問題についてその検査、調査した結果についてひとつはっきりとその結果をここで説明をいただきたいと思います。
#48
○説明員(柴崎敏郎君) 私どもではこの輸銀融資に関連いたしまして、従来から輸銀の融資については当然のことながら検査をいたしておりますが、特に今回疑惑が生じましてからさらに見直しというようなことで特別の検査を実施いたしました。そこで、いま先生がお話されておられるくだりにつきましては、まず第一に輸銀の融資の根拠の問題、次に貸し付けの条件の問題、この点がいまお話に出ているわけでございますが、これも当然のことながら私どもといたしましては検査の着眼点として検討をいたしました。そこで根拠につきましては、これは輸銀法にその根拠が求められるということでございます。それから、いまお話が出ております諸条件でございますが、これにつきましても先ほど来当局あるいは輸銀から御説明がありましたようなことで、法律の面あるいは業務方法書の面、それらの点に照らし合わせまして、また当時の諸般の事情というものと考え合わせまして、輸銀の融資の手続においてその限りにおいては特段不適切な点はなかったと、このように考えております。
#49
○大塚喬君 一つは、委員長にお願いをいたしますが、この輸銀に対する全日空の貸付申請書、それから輸銀の、これは貸付何と言うんでしょう、許可証というのか、承知したというその関係の書類、この写しを委員会に証拠というか、資料として提出をいただきますようにひとつ委員長でお計らいをいただきたいと思います。
#50
○委員長(岩動道行君) 後ほど理事会で相談することにいたします。
#51
○大塚喬君 私は、いま会計検査院の報告にはどうも納得しかねます。幾つかの行政上の疑義がこの融資に絡んで私は残ると思います。これらの問題についてはひとつぜひ継続して、適正な検査結果がこの本委員会にも報告できますように特段のお骨折りをお願いしたいと思います。そう申しますことは、幾つか円対策ということできわめて有利な条件が次々に重なっておることについて私は疑義があると、こういうことを申し上げたわけであります。
 次、大蔵大臣に質問いたします。
 このいわゆる対外経済関係調整法と申しますか、この法は十一月の十三日に成立をいたしておりますが、この法案の提出される前に、同じく四十七年の五月に、佐藤内閣が瓦解する前に同趣旨の法案が提出されておりますね。これは結果として国鉄運賃の値上げやなんかでどさくさで廃案になったといういきさつがございますが、この法案と、この成立をいたしました四十七年十一月分の二つの法案、これを比較いたしますと、その内容に、趣旨は同様の趣旨のようでありますが、相違がございます。一つは、航空機というものがその五月のときの法案には全然入っておらなかった。それが十一月の、いわゆる十月の二十七日閣議決定の法案には入っておる。この五カ月の間に航空機を入れたというその説明をひとつ、なぜ航空機を入れたのか、緊急輸入対策ということで濃縮ウランなり農産物なりヘリコプターなりというような重要項目が出てきたわけですが、航空機を輸銀法の改正の対象にしてここへ入れたということの理由ですね。
 もう一つは、この五月の法案については、利子補給をするということの内容が明らかに法案の中に示されております。先ほどのいわゆる逆ざやになったそういうものでも差し支えないと、こういうこととの関連において、五月の法案についてはその利子補給の内容が盛られておって、そしてそれよりもっと深刻に円対策が必要になった段階で利子補給という条項が削られた、この明確な解明をひとつ大蔵大臣からお願いをいたしたいと思います。
#52
○政府委員(田辺博通君) 御指摘のように、四十七年十一月に成立しました輸出入銀行法の一部改正では、輸入の対象のところの必要な物資というものの中に設備を含むという条項を入れております。字句を入れております。それは、その設備の中には航空機も含まれるということは先ほど御答弁いたしましたが、その前の五月の段階で提案されました対外経済関係調整特別措置法、これはその輸入金融のところの必要な、重要な物資というところの規定は、字句はいじっておりません。ただ、前払いに係る輸入というものの前払いを除いてしまう、つまり一般の輸入もよろしいということになっておるわけでございます。これはやはりその当時の事情が、たとえば鶴見・インガソル会談の結果が発表されましたのが九月でございます。まだこの対外経済関係調整特別措置法案の段階では、具体的に設備、航空機というようなものの発想がなかったんだと思われます。
 それからもう一つ、利子補給の規定がその廃案になりました法律にはありました。この利子補給はやはり輸入を促進するという意味合いでございますけれども、考えられておりましたのは、資源の開発輸入ということが考えられていたようでございまして、それに対する輸銀からの貸し付けの金利を非常に安くしないとそれが進まない、輸入が促進されないという事情でもって相当安い金利が想定されておった。したがって、そこまでは一般的な輸銀の自己資本と借入金とを混合した金利でもってはとても賄えない。むしろこれは輸銀ばかりではございませんで、ほかの政府関係の機関からの貸し出しも想定されておったようでございますが、一般会計からその利子の差額はそれぞれの機関に対して補給するという権限を与える根拠規定を置いた、こういう事情でございます。それは今度は成立いたしました十一月の法案には何も載っていないという点は、前者、廃案になりましたものは、これは当分の間という、まあ臨時の特別措置法という考え方で、目的条項のところにも当分の間というようにある種恒久立法ではないという考え方が出ております。十一月に成立いたしました輸銀法の改正は、これは恒久的にこういうことにするんだということで改正法ができたわけでございます。実体問題としてもそういった利子補給の必要が特にその時はなくなっているし、それから利子補給を永久に続けるというようなことでもないものでございますから、恒久立法の対象としては、こういうものは考えなかった、こういう事情でございます。
 それから、先ほどちょっと輸銀の航空機の外貨貸しによる輸入の場合の金利が特に安過ぎるんじゃないかと、こういうお話がございましたけれども、これは、この金利条件は全くアメリカから輸入社が金融を受けた場合に支払わなければならない金利条件と全く同じにするという考え方でもってはじかれた六・一%なり七・三というようなのは、そういうことではじかれたものでございまして、ちなみに、四十八年度の当時の輸銀の一般の輸入金融の金利はむしろそれよりも安い金利になっておるわけであります。もっぱらアメリカの方から融資を受けた場合に企業が負担すべき金利と同一条件にするために六・一というような金利を決めたので、特に安いというわけではありません。
#53
○大塚喬君 大変時間がなくて残念なんですが、いまの銀行局長の答弁、前段の方は、これは答弁になりません、なぜ入ったかということの。
 それから、アメリカと同じだということで正当づけた理由づけをなさっておりますが、これも大企業優遇ということのあれで、私もどう説明を聞いても釈然といたしません。
 あと重要な質問がございますのでひとつ次に進みます。運輸省の方いらっしゃいますね。――全日空のトライスター購入の成約価格は一体幾らですか。
#54
○説明員(小林哲一君) トライスターの価格でございますが、これにつきましては購入をいたしました時期あるいは仕様がそれぞれ異なりますので、ドル表示でまいりますと約千七百二十二万ドルから二千百四十五万ドルという幅がございます。平均いたしまして千九百四十七万ドルでございます。円表示では平均で五十六億七千五百万円でございます。
#55
○大塚喬君 重ねてお尋ねをいたします。
 五十一年一月十八日現在で、トライスターを購入しておる国が幾つかあるわけですね、百二十五機。それで、アメリカの国内用として八十一機、全日空が十四機、一月の十八日ですから。それからエアカナダで十機、イギリスのBAで六機、西ドイツのルフトハンザで一機、香港のキャセイ航空で一機、サウジアで二機と、それぞれの各国でトライスターを輸入した輸入価格についてここで数字をお示しいただきたい。
#56
○説明員(小林哲一君) 外国のエアラインがトライスターを幾らで買ったかということでございますが、通常、売り手であるメーカー、あるいは買手であるエアラインは通常は公表をいたしておりませんので私どもとしては正確な数字は把握しておりません。ただ、これは外国の雑誌でございますが、アブマークという雑誌がございまして、そこに二、三載っておりますのを見ますと、たとえばアメリカのデルタという航空会社がございますが、これの平均の価格は一千九百九十八万四千ドル。さらにイースタンという会社がございますが、これの平均が一千八百九十九万ドル、TWAが一千九百五十四万一千ドルというふうな数字が雑誌に載っております。
#57
○大塚喬君 ただいまのような答弁では納得できません。と申しますことは、トライスターの輸入価格についてロッキードのホートン会長が米上院の証言において、賄賂分を製品価格に転嫁しているのでロッキード社は損をしていないと、こういう証言があるわけです。こういう問題があって、ロッキードがこれだけ騒ぎになっておる際に、その主務官庁である運輸省が、トライスターの各国の購入価格、これがわかりませんということでこの問題が済むとお考えになるんですか。これは、この賄賂分は全日空が輸入をしたトライスターの価格に上乗せをして売っているとロッキードの会長が言っているわけです。そしてその資金というのは、先ほどから私が質問を続けておりますように、巨額な政府資金を使ってロッキード社にその金が流れる。その金が流れるからこそ、二十三億二千万円というような政府高官に対する政治献金が出てきた。それは皆政府資金を使ってそういう賄賂が行われているわけです。ロッキードの会長は、日本にそういう、これらの問題について証言をした中で、賄賂分は上乗せしていると言うのですから、そこらのところを主務官庁である運輸省が正確に、あらゆる努力を重ねて調べるというのは当然じゃないですか。そのことを明らかにしない限り、これらの問題の解明はできないと思います。早急にひとつ、本省に帰って、これらの資料を調査をして、この委員会に提出をいただきますようにお願いをいたします。それでなければ審議になりません、これは。
#58
○委員長(岩動道行君) それでは、本件につきましては理事会で協議をいたしたいと思います。
#59
○大塚喬君 それじゃとてもだめですよ。ひとつ至急に数字を出さしてください。
#60
○説明員(小林哲一君) 先ほど申し上げましたように、メーカー、あるいはエアラインというものは通常公表いたしませんが、できるだけ努力いたしまして、調査するようにいたしたいと思います。
#61
○大塚喬君 この事件が表ざたになったのは二月四日、二月六日ですね。それ以来、日本のもう上下を挙げて混乱、もう何カ月過ぎておると思うんです。そして、これらの事実の解明がなされない限り、国会でいろいろ国会の審議をしたり、その国会がこのような日本の政情が続いておる、こういう問題の解明にはならぬじゃないですか。一体いつまでにそれらの正確な資料を作成して本委員会に提出するのですか、そこのところをはっきりさせてください。
#62
○説明員(小林哲一君) 私どもは現在正確なデータを持っておりませんで、これは各メーカーあるいはエアラインの方に問い合わせをしてみないと正確な数字というものは把握はできないわけでございます。できる限り努力いたしまして早く提出させるようにいたしたいと思います。
#63
○大塚喬君 できる限りなどということでなしに、やっぱり日時をひとつ区切ってください。どれだけの期間があれば資料が提出できるのか。
 それからもう一つ、大蔵大臣、さっきから大蔵大臣やなんかに質問しておりますのは、ロッキード社の自分の自腹を切ってこれらの賄賂を使ったのじゃないですね。政府資金を使って、政府がその道を開いてやって、その金を都合つけてやったから、政府高官に賄賂が出たのだ、それはいわゆるその政府高官のところへ渡っているのだ、こういうことなんですよ。いや、幾ら首を振ってもそれは現実でしょう。
#64
○国務大臣(大平正芳君) 違うんです。
#65
○大塚喬君 違うと言ったって、そんなら違うということをはっきりここであれしてください。明確に答弁してください。
#66
○国務大臣(大平正芳君) 第一、二つのことをあなたに申し上げておかなければいかぬと思います。
 一つは、賄賂の問題とか、ロッキード問題でございますが、これはまだ、解明いたしておりません、賄賂が渡されたとかどうとか、どれだけ渡されたか、どこからだれにどれだけ渡されたか、そういうような点はまだ解明されておりませんので、私は存じません。したがって、そのことについて言及することは差し控えたいと思います。
 それから、第二でございますが、政府資金が使われて何か飛行機の取引が行われてスキャンダルを誘致したという推理でございますが、これは大塚さん特有の推理だと思うんですよ。つまり私どもの方は冒頭にあなたにお断り申し上げたように、この取引の系列は政府資金と関係なく進んでおるわけですよ。輸銀法が改正されないで、日本の輸銀資金が使われなくても、この取引はちゃんと進んでおったはずなんです、これは。ただ、こちらの方に日本でドルがたまりましたから、同じ条件でこちらの金融を使ってくださいと政府がそういう要請をして輸銀の方の金を使ってもらったにすぎないわけなんでございまして、こちらがそうしたから、こちらの取引がそれを契機として進んだわけでは決してないのですから、私が言いましたように本末を転倒しないようにしていただかないと非常にこちら迷惑するわけなんですよ、その点ね。
#67
○大塚喬君 私も本末を転倒して大蔵大臣が答弁されることに大変憤慨を感じます。現にアメリカの輸出入銀行なりアメリカの市中銀行なりの金を使って、そういう道が開かれたかもしれません。しかし、現実に使ってあるのは政府資金が使われておるのです。その金がロッキード社に入って、その金が入る見込みがあるか、あるいは入ったからこそそういう政治献金がなされたわけです。ですから、その金は、これは政府資金以外の何ものでもない。現実にそういうアメリカの輸出入銀行の金を使ったわけじゃなし、あるいはアメリカの市中銀行の金を使ったわけでなし、現実には政府資金を使ってこれらの行為がその上につくり上げられたわけですから、大蔵大臣のおっしゃるのはそういう理屈もある。だけれども、現実にこの行為が起こったという、疑獄事件と見られる事件が起きたというのは、政府資金がその中に流れたから、こういう事件が現実に起きたわけです。そこのところは大蔵大臣の考えは、私はそういう論理、話には納得できません。
#68
○委員長(岩動道行君) この際、委員長から発言をさしていただきます。
 大塚君の先ほど来の質疑に対する資料は、政府側において早急に調査をした上、速やかに本委員会に提出するように御努力をお願いいたします。
#69
○鈴木一弘君 最初に、アメリカと日本の間の情報交換の問題ですが、日米租税条約の第二十六条に基づいて、国税庁長官がアメリカの内国歳入庁長官に対して、二月二日の日にロッキード事件にかかわる税務調査のため情報交換を要請したということのようでございますが、その要請の内容と、その後の経過はどうなのかちょっと伺いたいと思います。
#70
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお尋ねのアメリカの内国歳入庁に対しまして、いわゆる日米租税条約によりますところの資料の提供依頼は二月の十日前後だったと思います。お示しの日よりは少しおくれたんですが、二月十日前後にいたしました。それに対しまして、すでに一部の回答はございますけれども、なお大部分は先方の内国歳入庁が目下当該会社に対しましても調査中とのことでございまして、回答はその結果によることとなるというふうに思われます。したがいまして、まだ大部分の情報というのは今日まで私どもは得ておりません。
 どんなものを要求したかということにつきましては、毎々申し上げておりますように、租税条約上もこれは秘密にするということでございますのでお許しを得たいと思いますけれども、
  〔委員長退席、理事中西一郎君着席〕
当該事件のわが国におきますところの税務上の解明について必要な資料をお願いしてございます。
#71
○鈴木一弘君 その税務上の解明のために必要なものということで、その中にはいわゆる政府高官名、その収賄にかかわる資料ということの提供も当然含まれているのだろうと思いますが、その辺はいかがでございますか。
#72
○政府委員(中橋敬次郎君) その内容にわたることはお許しを願いたいのでございますけれども、むしろ私どもがいわゆるロッキード問題につきまして、日本におきますところの個人あるいは法人について、課税するにつきまして参考となる資料をお願いしたわけでございます。
#73
○鈴木一弘君 先ほどの話の中では、すでに一部の資料の提供があったと、それはどういうようなものかということと、これから、まだ来ておりません大部分の資料というのがございましたですが、その要請しているものはどういうものなのか。確かにこれは第二十六条では守秘義務があるようでありますけれども、概略明かされるものなら言ってもらいたいと思うのです。
#74
○政府委員(中橋敬次郎君) 先ほど来お答えをいたしておりますように、わが国におきまして、わが国の所得税なり法人税を課税するということになりますれば、必要となると思われるような資料について、しかも向こうの内国歳入庁が向こうの法人なり個人につきまして調査をしたときに得られるであろうというような、おおよそ向こう側におきますところの処理の内容というものについてお願いをしたわけでございます。一部参りましたといいますのは、ごくわずかでございまして、それは大部分はいわゆる外交チャンネルでもって別途いただきましたのと大体似ておるというふうに御了解をいただきたいのでございます。
#75
○鈴木一弘君 いまの別途外交ルートで云々というのは、この三月二十四日の日の日米司法当局間で行われたロッキード・エアクラフト社問題に関する法執行についての相互援助の協定ですね、手続、それが調印されたという、それによって出たものと、こういうふうにとってよろしいですか。
#76
○政府委員(中橋敬次郎君) 日米両司法当局間によりますところの取り決めで、日本の法務省といいますか、検察当局が入手せられました資料がいかなるものであるかということは、私どもはまだ承知をいたしておりません。私が申しましたのは、むしろそれよりもっと早い時期、二月の段階でございましたか、あの問題が起こりましたときの状態のときに外交チャンネルを通じて得ました資料のことを言及したわけでございます。
#77
○鈴木一弘君 租税条約二十六条による情報の交換、この要請の扱い、こういうことが今度の司法当局のあの例の取り決めのために何か変化が起きるとかいうようなことはありますか。
#78
○政府委員(中橋敬次郎君) 両者は私どもは別途だと考えております。したがいまして、いわゆる日米租税条約によりますところの情報というのはそれはそれとしまして、あの条約の規定によりましてお願いをし、また私どもが入手し得る資料であるというふうに思っております。
#79
○鈴木一弘君 ちょっとここで、このことに関連して伺っておきたいんですが、租税条約に基づいて情報交換をしている件数が、四十七年に提供件数が六千件、収受件数が二千件、四十八年に四千件ずつ、四十九年に提供件数が五千件、収受件数が二千件、五十年に提供件数が八千件、こういうような膨大なものが収受をされておりますけれども、これは大体どういうようなものが多いんですか。
#80
○政府委員(中橋敬次郎君) いまお話の何千件というものの内容について私は詳細にはちょっと存じませんけれども、第一線におりますときの経験から申しますと、たとえば、向こうの会社からわが方の会社に支払いましたものが一体どのような金額として入っておるかというような収受の問題であったというふうに思っております。
#81
○鈴木一弘君 今度はちょっと児玉譽士夫の問題で伺いたいんですが、いま国税局が脱税容疑で告発をしている、その内容をまず御説明をしていただきたいです。
#82
○政府委員(中橋敬次郎君) 児玉譽士夫の脱税容疑でございますが、例のロッキード事件が始まりましてから、当初私どもは、まずは、いわゆる普通の課税調査を行い得ます当局の職員を動員をいたしまして調査してまいったわけでございます。あの事件はたしか二月の五日ぐらいから私どもも関知をいたしましたわけでございますが、それから二月の二十三日まで、これがいわゆる第一次の調査段階と私ども考えておりますけれども、それまではもっぱらそういう普通の税務調査に従事します職員でございまして、約四百五十五人動員をいたしました。金融機関、証券会社を通じまして十八行、二十四店舗にわたりましていろいろ調査をしてまいったわけでございます。
 それから、それまでに別途またいわゆる査察調査につきましての内偵というのももちろんやってきたわけでございますが、御承知のように、二月二十四日に国税犯則取締法によりますところの強制調査を実施をいたしました。強制でもって二十四カ所、任意で二十一カ所調査をいたしました。約二千六百点余りの差し押さえ物件を押収をいたしました。当日二百十七人の国税査察官を動買いたしたわけでございます。それでもって、三月十三日に児玉譽士夫につきまして所得税法の違反としまして東京地方検察庁に告発をいたしました。
 したがって、いわゆる第二次の段階と申し上げますか、二月二十四日から三月十三日までの調査につきましては、先ほどの例にならって申し上げますと、金融機関、証券会社も含めまして五十三行、百十七店舗について調査をいたしました。それから、調査に従事いたしましたのは延べ三千二百八十二人動員をいたしました。これを受けまして、同日東京地方検察庁におきましては所得税の違反事件として起訴されたわけでございます。その内容につきましては、これは起訴状において明らかでございますが、昭和四十七年分の所得税につきまして八億五千三百七十四万七千五百円免れたということでございます。それと同時に、税務当局といたしましては昭和四十五年分、六年分につきましても所得税について更生をいたしました。
 それから、その後におきましては、昭和四十八年分以降についてなお現在調査中でございます。これはいわゆる第三期に入るわけでございますが、三月十四日から五月十二日までの経過で申しますと、金融機関、証券会社を含めまして三十五行、八十二店舗について調査をやっております。大体そういうことで、従事をいたしております査察官は延べで千八百四十六人ということでございます。
 なお、その後に五十年分の確定申告が提出をされましたから、これにつきましてもあわせて今後とも検討をいたさなければなりませんが、昭和四十八年分以降につきましてはできるだけ早く調査をいたし、所要の手続をとりたいというふうに考えております。
#83
○鈴木一弘君 非常に調べられておりますけれども、児玉の資産の中には、不動産のほか預金あるいは有価証券、そういうのが相当ある。この場合の利子、配当、こういう収入、こういうことについてもやはり脱税の事実というものが判明をされてきているわけですね。
#84
○政府委員(中橋敬次郎君) もちろん、私どもの税務調査、査察も含めましての調査でございますが、年々の所得計算と、それから財産計算、両方から調査をいたすわけでございますから、いまお示しのような資産形態についてもいろいろ調査をいたしております。
#85
○鈴木一弘君 大体そうであるならば、一体どのぐらいなのかということがわれわれ非常に関心があるところなんですけれども、それをわかったら教えていただきたいのと、それから今回の、伝えられるところでは児玉邸、あるいは北拓の築地支店、極東証券、野村証券などから時価十三億円以上の株券があったというようなことが伝えられておりますね。しかも、この大部分が一流企業のものだという、これは相当の配当ということになる。何千万となるわけでございますが、その辺の調査の結果はどうなんでございましょうか。
#86
○政府委員(中橋敬次郎君) 調査の結果で一体どのくらいの資産、あるいはどの種の資産を把握したかということにつきましては、先ほど来御説明をいたしましたように、四十五年、六年、七年につきましてはいろいろ問題がいま進行中でございますし、特に七年につきましては刑事事件がこれからいよいよ始まるところでございますので、その内容については、特にその数字につきましてはお答えすることを御容赦願いたいのでございます。
#87
○鈴木一弘君 その児玉が所有している株券の中にはいわゆる株券の発行した会社から謝礼として受け取ったと思われるようなものが相当あるというような話ですけれども、その場合にはこれは贈与税の対象にもならざる得ないだろう、そういう点はやはりその調査の対象といいますか、なっているのか、あるいはその点はどうなんですか。
#88
○政府委員(中橋敬次郎君) 株式の発行会社から出たかどうかということは別にいたしまして、いろいろそういう種類の所得がそういう資産の形態でもってあるということでございますれば、もちろん所得税の問題になるわけでございます。あるいはそれについての譲渡行為がありますれば、また所得税法上課税になるということもあるわけでございます。しかし、その内容につきましては、具体的にはまだ現在調査中でございます。
#89
○鈴木一弘君 調査中、調査中で全然数字がわからないので、話がかみ合わないんですけれども、伝えられていることだけで言う以外にないんですけれども、資産の中に五億とか六億の預金があったとか、その中のほとんどがいわゆる架空名儀預金というのですか、いわゆる特別定期預金ということになるんだろうと思いますが、そういうのか無記名だと、架空か無記名か、いわゆる特別定期預金か架空名義だったという、こういう話ですけれども、この点はいつもこの委員会でも非常に問題になってきているわけですけれども、こういう預金制度そのものに問題があるというふうに考えざるを得ないわけですね。いろいろ収賄をしておいて、しかも架空名義である、あるいは許されている特別定期預金という無記名預金で支払い調書も出さないでやるようになる、そういうもので何とかごまかそうというふうになるわけでございますが、そういう預金制度そのものに問題があると思うんですけれども、その点はどういうふうに思われますか。
#90
○政府委員(中橋敬次郎君) いわゆる今日の児玉譽士夫の脱税事件に関しまして、いまお示しのような形態の預金を含めまして現在私どもは解明も相当いたしましたし、今日もなおそれを続けておるわけでございます。一般的に申しまして、課税をいたします場合に、私どもは従来から申し上げておりますように、確かに無記名預金でございますとか、架空名義預金というものについては、その真の受益者を見出すについては、やはり税務調査上、かなりの困難を感じてきておるということを申し上げざるを得ないのでございます。
#91
○鈴木一弘君 この無記名預金制度そのものが昭和二十二年五月に創設をされて、そうしてシャウプ勧告を受けて総合課税に移すということで、二十四年十二月に新規の、それ以後の取り扱いを停止をしているわけですね。それが突如として二十七年に大蔵省銀行局通牒をもって復活をされたと、ここに私は大きな問題があると思うんですけれども、今日までこんなことをやってきた、言われていることは、経済自立のために貯蓄を増強する必要があるということで無記名を許したということなんですが、それが資産を隠したり、いわゆる怪しい金を隠しておくというために、あるいは脱税のために用いられるということになると、これは非常に大きな問題を起こすということにならざるを得ないわけでございますから、この点はいかがお考えでございますか、無記名預金制度については。
#92
○政府委員(田辺博通君) ただいま御指摘のとおり、無記名預金の制度は特別定期という名称をもちまして昭和二十年代から続いてきておるわけでございます。税務の調査上は困難を感ぜられるということでございましょうが、これやはり国民の貯蓄なるべく秘密にしておきたいというような、これは健全な意味での預金者心理というものを尊重して、貯蓄増強という目的からしているものでございまして、長年やっているというこの事実をどう考えるか。また、国債や債券などの他の貯蓄手段でありますところの有価証券、こういうものは原則として無記名でございますので、それと預金と貯蓄手段としてのバランスということも考慮しなければならないのではないかと思います。
 なお、架空名義預金は、これは私どももやってはならないということを前々から指導しておりますし、銀行の方も窓口の係員に対して、やってはならないと、当行では架空名義は取り扱わないのだということを、これは繰り返し店頭において表示する等の措置をとって、架空名義預金は認めないんだという方針をとっておるわけでございますが、無記名預金を廃止すると、あるいはそちらの方が利用される危険といいますか、そちらがふえるんではないかという心配もしなければなりませんので、この辺は今後の課題といたしまして慎重に検討してまいらなければならないと思っております。
#93
○鈴木一弘君 これは非常な矛盾ですよ。架空名義預金の自粛ということについては徹底を一生懸命やっている。で、一方でいま言ったような無記名預金はいい、許している、それをやめれば架空名義がふえるからじゃないかといっても、経済の自立を達成することが緊急で、そのためには資本の蓄積、貯蓄の増強が急務だから、というのがこの制度復活のいきさつなんですよ。ところが、それはもうその目標はすでに達成されている。むしろ不公平税制というようなことがいわれているようなときなんですし、この児玉譽士夫の場合でも、先ほどから長官は金額等については言われておりませんけれども、新聞等を見ますと、二千万、三千万、五千万、七千万というふうに出てきておるわけです。そういうのを国税庁は児玉譽士夫のものと、六千万円を断定したというふうにまで報道されている。これがいわゆる無記名定期預金は、御承知のように、所得税法は規定されている税務署に出さなければならない支払い調書の作成も免除されているわけでしょう。こういうのですから、脱税をやりやすいようにしてあるわけです。そういうものを許しておくというのが今度のような事件をさらに助長させるものであると思うんです。とにかく現在の預金の中の一%近くがこれだと言われております。総預金の中の一%が無記名定期預金ではないかと言われているぐらいなんですから、そういうことから考えても、これは手を打たなきゃならない、脱税をやめさせるためにも、税を公平にさせるためにも、この特別定期預金という無記名預金は、もうすでに目標も達成されたことですし、目的も達成されたんだから、もはややめてしまって、普通の状態に戻すべきが本当じゃないかと思うんですが、この点、大臣はいかがお考えですか、政治家として判断がこれは一番大事な問題だろうと思うんですけれども。
#94
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど銀行局長からお答え申し上げましたように、預金の秘密性を尊重すること、他の貯蓄手段とのバランス等、言い古されたことで、もっと検討さしてくれということなんでございますけれども、そもそも蓄積を進めて、経済の自立を図るということが仰せのように目的であったわけでございますので、何らかの処理がなされなけりゃならぬ段階に来ておりますことは、鈴木さんが仰せのとおりだと思うんでございます。
 で、まず第一の問題は、課税の公平の問題でございますが、これは預貯金全体を通じまして五年間の余裕をちょうだいして、総合と源泉との選択制度を――五年間の間に総合に移る用意をどこまでできますか、政府がひとつやってみようということに相なって、ことしの一月からは三〇%まで高い課税を行うことにいたしておるわけで、税の問題の解決に一歩踏み出しておるわけでございますが、制度の全体をどう取り扱うかという問題は、金融制度の問題といたしまして、もっとドラスチックな検討が要ると思うんでございまして、せっかく金融制度の検討も別途お願いしておる段階でございますので、それらと並行いたしましてなお検討を進めますけれども、非常にむずかしい問題であるということは、鈴木さんも御承知願っておると思います。けれども、そう言っておられない問題であるということもまた仰せのとおりでございますので、私どもといたしましても、検討を引き続き進めるということできょうのところは御勘弁をちょうだいしたいと思います。
#95
○鈴木一弘君 これはどういう方法で検討するのか、本当は廃止の方向で検討すべきだと、無記名の預金の問題、恐らく無記名の債券、金融債やなんかの、そういう問題との絡みもあることはわかっておりますけれども、それであればあるほど、いわゆる一般国民から見れば、無記名の債券で大量に持っている、一方でまた無記名の預金で入れている、それで足らなくて架空名義で入っている。法の盲点をうまいぐあいに使って大口脱税をしているとしかとれないわけですね、こういうことが、これは納税意欲をなくすことははなはだしいわけです。ことしぐらい各税務署の職員の方は困ったろうと私は思うんですけれども、そういう点まで含めて、やはり廃止の方向ということで検討してほしい、こう思うわけですけれども、いまのところどちらの方向で検討なさるのか、さっぱりわからない御答弁ですので、そこを伺いたいと思います。
#96
○国務大臣(大平正芳君) まず、第一、課税の強化と申しますか、課税上の不公正を縮めていくと申しますか、そういうところからのアプローチがまずなされなければならないと思うんでございまして、制度の改廃というような問題は、それと裏腹の問題にもなりますけれども、第一のアプローチは、やっぱり不公正の是正――課税面ではないかと私は思います。
#97
○鈴木一弘君 よろしゅうございます。
#98
○渡辺武君 私は先ほど大塚委員からも御質問がありましたが、一九七二年の輸銀法改正問題について伺いたいと思うんですけれども、この改正のあった月が四十七年の十一月十三日、すなわち、いま、重大な問題となっているロッキード問題のまさに焦点の一つとなっている時期であります。この内容については、先ほども御答弁がありまして、なかなか多面的でありますけれども、最大の重点は、従来の原材量などに対する輸入金融に設備をその対象物資に加えて、そうしてこれに航空機を含めたということ、また、融資対象資金に前払い資金だけではなく、所要資金を加えたという点だと思うんです。
 そこで、これは輸出入銀行に伺った方がいいのか、大蔵省の銀行局に伺った方がいいのか、この措置による融資の実績ですね、特にここで改正になったのが設備、それから特に航空機ですから、その実績はどうなっているのか、おっしゃっていただきたい。
#99
○政府委員(田辺博通君) 手元にあります資料でお答え申し上げますと、そのときに輸銀法の改正が行われました内容、輸入金融の拡充、それから直接借款をアンタイドローンを許したと、それから海外投資につきまして長期運転資金も、設備資金以外にも貸すというように拡充をしているわけでございますが、この中で、輸銀から輸入金融の中で、設備、それから前払いを外したという、なかなか計算がむずかしゅうございますが、輸入金融としては、いままでのところ、現在までのところ融資承諾ベースで二千四十五億円という計算になります。あと、直接借款では八百億……
#100
○渡辺武君 いや、輸入金融だけなんです。
 航空三社への融資実績は、この改正以後どうなっておりますか。
#101
○参考人(林大造君) 御質問の航空三社、日本航空、全日本空輸、東亜国内航空、三社に対します貸付金、ドル建てと円建てとございますが、三百八円のレートで換算いたしまして、承諾額で千六百六十四億円になっております。
#102
○渡辺武君 もう少し詳しく、たとえば貸付約定期がいつで、円建て、ドル建てそれから融資対象の機数ですね、それから機種、これを各社別におっしゃっていただきたい。
#103
○参考人(林大造君) 日本航空でございますが、日本航空に対します分は、ボーイング747四機、それから同じく追加で二機と、それからさらに六機と、合わせて十二機、それからDC8が二機、合計でドル建てで一億八千八百万ドル、円建てで二、百七十八億円。
#104
○渡辺武君 それはいつですか。
#105
○参考人(林大造君) 時期は最初の747四機が四十八年九月、それから次の二機が四十九年一月、それから最後の六機が四十九年の八月になっております。
 その次に全日空でございますが……
#106
○渡辺武君 それ、ドル建てはどのくらいですか。
#107
○参考人(林大造君) ドル建ては合計で……
#108
○渡辺武君 いや、だから約定契約日ごとにおっしゃっていただきたい。
#109
○参考人(林大造君) わかりました。
 それでは第一回の四機分、これは全額ドルでございます。八千六百万ドル。それから次の二機、これはドルと円とでございまして、ドルが二千百五十万ドル、円が六十四億円でございます。それから最後の六機が四十九年八月は円、ドル併用でございまして、七千万ドル、それから円分が二百十三億円でございます。端数は切り捨ててございます。
 それから、全日空の分でございますが、全日空は同じように割って申し上げますと、四十八年の七月にL一〇二六機これが全額ドルでございまして、一億一千二百万ドル。それからその次にボーイング727型を三機導入しております。これが九百八十万ドルと円の二十七億、ドルの併用でございます。
#110
○渡辺武君 それはいつですか。
#111
○参考人(林大造君) それは四十八年十一月でございます。
 それから第二次。その次が四十九年六月にL一〇一一の四機追加で入れておりまして、これが円、ドル併用で、ドルが三千六百万ドル、円が百四億円。それから一番最後に航空機の減音装置というのを若干、これは金額少のうございますが、円、ドル併用で二百万ドルと六億円ということで入れております。
#112
○渡辺武君 それはいつのことですか。
#113
○参考人(林大造君) それは五十年三月です。
 それから一番最後に東亜国内航空でございますが、これは四十九年の三月から九月にわたりましてDC9を八機入れております。それでこれはちょっと金額が一機一機割れておりますので後ほどまとめて申し上げますが、第二回が四十九年の一月から五十年の七月までに同じくDC9を合計三機、これはいずれも全額円建てでございまして、合計で金額は東亜国内航空の分は百七十三億円でございます。
#114
○渡辺武君 いまずっと伺いましたが、これちょっと後で資料として、航空三社についてのこの融資実績ですね、詳しいものを御提出いただきたいと思います。委員長、よろしく頼みます。
 そこでこの輸銀法改正がいまのお話でもわかりますように、問題になっているトライスター導入、このために大いに役に立ったということは事実がこれ示しているわけですね。しかも、この四十七年十一月のこの輸銀法改正の前に、六十八通常国会で、ここでも対外経済関係調整法が提案されて、この中でやっぱり輸銀法の改正の問題が出ておったと思うのですが、これには輸入金融について設備を融資対象にするとか、あるいは航空機を融資対象にするとか、こういうものがなかったと思います。この点イエスかノーかで答えてください。
#115
○政府委員(田辺博通君) 先ほども大塚先生にお答えしましたように、そのときの法案には、設備それから航空機というものは輸入金融の中に含まれておりません。
#116
○渡辺武君 そこで大蔵大臣に伺いたいのですけれども、突然というとなんですけれども、新たにこの輸銀法改正で航空機が輸入金融の対象になった、これはもういまの御答弁ではっきりしているわけですけれども、これが事実上いま問題になっているロッキード社からのトライスター輸入のために役に立っている、これは事実が示しているところですね。しかし、ただ単にこの事実がそういうことを示しているというだけでなくて、この当時の輸銀法改正をめぐる経過、これはまことに疑惑に満ちた経過だというふうに私は言わざるを得ないと思うのです。
 一、二の例を挙げますと、四十七年の八月三十一日から九月一日に日米ハワイ会談が行われた。先ほども大臣かち御答弁がありましたが、鶴見・インガソル会談で、日米貿易収支の不均衡是正と、言ってみればドル減らしのために約三億二千万ドル相当の大型機を含む民間航空機の購入というようなことが取り決められております。そうしてそれが終わったわずか一週間後の九月七日に、ロッキードのホートン会長は、全日空はトライスター六機を買うだろうということを言明したわけですね。そうしてその翌日の九月の八日の日に、内閣総理大臣が輸銀法改正を経済閣僚懇談会の席上で指示している。そうして十月の十七日に閣議で輸銀法改正が正式に決定されて、二十七日には法案が閣議に提出されて正式決定になった、こういう経過です。そうして問題は、まさにその翌日に、全日空がトライスター導入をこれを内定した、そうしてそれから二日後の十月三十日にはトライスター導入を正式に決定すると、こういう経過になっているわけであります。したがって、この輸銀法改正と、そうしてロッキードの全日空に対するトライスター売り込みということが緊密にもつれ合いながら進行しているということが、これは明らかだと思うのですね。同時に、私申し上げるまでもなく、この時期こそあの児玉譽士夫が、これが全日空から金を大量に受け取って大量の領収証を発行しているという時期と一致しているわけです。したがって、この輸銀法の改正が、この賄賂がらみのロッキードの売り込みを成功させるためのものであったというふうに見なければならない、そういう疑惑が非常に濃厚です。大臣この点についてどうお思いでしょう。
#117
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど大塚委員にもお答え申し上げましたけれども、そういう創作と所見を異にするということは、先ほど私、大塚委員にお答えしたとおりでございまして、輸銀法の改正というのは、その当時ドルがたまりましたので、それを活用する道を考え、もしこれを考えなければ政府の怠慢になったと思うのでございまして、航空機の購入を目当てにそういうことをやったわけでないことはちょっとお考えをめぐらしていただければすぐ御了解がいくはずだと思います。
#118
○渡辺武君 大臣いま創作などとおっしゃいましたけれども、少しこれはお言葉不謹慎だと思います。私はやはり私なりにしかるべき材料をもって大臣に伺っているわけですから、決して創作などというものじゃない。もう少しまじめな態度でお聞きいただきたいと思うんです。いま大臣もちょっとおっしゃったかと思いますけれども、先ほど大塚委員に対する御答弁の中で、この輸銀法改正は、これはドルが当時日本にたまっておったんで、これを活用するためだと、ドル減らしのためだというふうにおっしゃったかと思うんです。しかし、この輸銀法改正で輸入金融、特にこの設備ですね。これについて輸入金融の道が開かれたのにもかかわらず、その後もやはり依然としてアメリカの輸出入銀行の融資がついた物資がアメリカから輸入されていると思うんです。どういうものが輸入されておりますか。特に設備についてだけでいいです。原材料はいいですから。
#119
○政府委員(旦弘昌君) お尋ねは、設備の輸銀に対しますアメリカ輸銀の融資の実績であろうと思いますが、四十七年以降現在までに融資契約べースで十九件、金額で四億四百万ドルになっております。主な品目は、原子力発電プラント、それから航空機の輸入等でございます。
#120
○渡辺武君 綿花などの原材料に輸銀融資は依然としてつけられている。それだけじゃなくて、いまおっしゃったように、まさに改正輸銀法、これによって日本の輸銀融資に切りかえることのできるようなものについてまでも、つまり設備について、アメリカの輸出入銀行の融資は依然としてつけられておる。いまの御答弁のとおりです。私どもはアメリカのこの輸銀の年次報告書を検討して、もっと細かい品目についてもここに資料ありますが、時間がありませんので、次に移りますけれども、そういう状態です。ただ単にドル減らしだということであれば、そういう物資についてもこれは日本の輸銀融資に切りかえられるはずですね。それが切りかえられていない。これはドル減らしが唯一最大の目的であったというふうには言いがたいと思う。特に私は、大蔵大臣に伺いたいんですけれども、実際この日本の輸出入銀行の融資約定が行われたその年月ですね。これは先ほど御答弁がありました四十八年の六月、九月あるいは四十九年の六月とか八月とか、こういう時期ですね。これはまさに四十八年と言えば、日本の外貨は急減しつつあった時期でしょう。私ここに日本銀行の統計を持ってまいりましたけれども、念のために申し上げてみますと、日本の外貨準備高は一九七三年つまり四十八年の二月が百九十億六千七百万ドルと、それが八月には百五十一億二千六百万ドル、半年たつかたたない間に四十億ドル近くも急減しているんです。そういう時期に輸出入銀行は、これは大臣のお言葉によれば、アメリカから輸銀融資を借りられるのにもかかわらずそれを借りないで、日本の輸出入銀行の融資に切りかえたんだと言われる。外貨減らしに何で役に立っているんですか。外貨が余っているときはそういうこともできるでしょう。言おうと思えば。しかし外貨が急減しているときにこうした約定を結ぶと、これがどうして外貨減らしに役に立っているんですか。立ってないことは明らかじゃないですか。実績から見ましてもまさにトライスターを初めとする米民間航空機導入のために、この輸銀法の改正が行われたというふうにしか見えないんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
#121
○政府委員(田辺博通君) これは私余り直接あれではございませんが、航空機のようなものの輸入に関する手続、それからその購入契約を結んでから実際にそれができ上がって輸入されてくるときの融資契約、そういう一つずれの問題があると思いますが、それからいまおっしゃいました四十八年の夏ごろは外貨が急減していて、もうそういう時期ではなかったんではないかとおっしゃいましたけれども、その当時はなお四十八年の二月に円のフロートを行いまして、二百六十円台ということになって、なおさらにそれが下がってフロートダウンしていくんではないかという一種の非常な心配をされた時期でございまして、現に四月に二百六十四円から二百六十五円でございましたものが、やはり十月に至りましても二百六十五円から二百六十円というような相場になっておりまして、その十月に実はオイルショックが起こったわけでございますが、十一月、十二月という月を経まして、十二月に二百八十円台になっております。二百八十円になっておりますが、そこでまあ外貨貸しによるところのこの輸入政策というものは、輸銀の窓口から融資をするという方式は、四十九年に新たに購入するというようなものからはもう適用しない。またアメリカの輸出入銀行の方の金融にシフトバックする、こういうぐあいにしたわけでございます。実際に融資実行はそれから後になりますものですから、そこにはずれがございます。
#122
○渡辺武君 融資実行のずれは認められたけれども、融資約定契約を結んだという時点、これまた外貨の急減している時期じゃないですか。いろいろおっしゃったけれども、統計上明確だ、大蔵省がそのくらいのことがわからないはずがない。そうでしょう。これ外貨減らしのためじゃないですよ。まさにトライスターを初めとする民間航空機導入のためにこうした融資約定が行われた、これは明らかじゃないですか。
 それだけじゃありません。大蔵大臣は先ほどアメリカの輸出入銀行の融資が受けることができたんだけれども、外貨減らしのために日本の輸出入銀行の融資に切りかえたんだという趣旨のことをおっしゃったけれども、それは本当ですか。少なくともロッキードについては本当ですか。当時ロッキードは、アメリカの輸出入銀行の融資を受けることができないような条件にあったんじゃないですか。この点どうですか。
#123
○政府委員(田辺博通君) そのようなことは全くないと思います。日本の輸出入銀行は全日空に融資をしているわけでございます。
 なお、先ほどからの御質問は、全くロッキードと結びつけてお考えになっておるようでございますけれども、先ほど来輸出入銀行の方から詳しく答弁がありましたように、これはダグラスもボーイングもみんなその対象になっているわけでございまして、全く関係のないことだと思っております。
#124
○渡辺武君 ダグラスやそのほかのボーイングも、確かに日本に輸出に当たって日本輸出入銀行の融資を受けている。これはさっきの答弁の中ではっきり事実が証明しているんです。しかし、法律というものは、これは日本の輸入金融、これに設備も対象になるのだと。その設備の中には航空機も含まれるのだと一般的に書かれているわけですね。全日空のトライスター導入に当たってだけその輸入金融をつけるんだなどというふうには書かれていない。だから当然これは日本航空もあるいはまた東亜国内航空もそれはアメリカから飛行機を輸入するときは、同じ措置を受けるというのは当然ですよ。
  〔理事中西一郎君退席、委員長着席〕
しかし、問題の中心は、これはその中に全日空のトライスターの輸入が含まれている、重要な役割りを果たしている。この点ですよ。ですから、日本航空その他がこの輸入に当たって輸入金融を受けられたということは、これはいま私が申し上げた疑惑を打ち消すものじゃない。煙幕にすぎないのです、一種の。そうでしょう。
 ところで、第二点で私が先ほど御質問した件はどうですか。ロッキードはアメリカの輸出入銀行の融資を当時は受けるような条件になかった。受けていたと言うけれども、いつですか、受けたのは。――全日空です。全日空がロッキードからトライスターを買う場合。
#125
○政府委員(田辺博通君) 従来のやり方でございますと、全日空がアメリカの輸出入銀行から融資を受けるということになるわけですが、それが受けられないので輸出入銀行から貸すことにしたという事実は、全然私聞いておりません。
#126
○渡辺武君 それはあなた聞いてなくて知らないなら、この事実を私後ほどあなた方に調査していただくことを要求したいと思っています。
 ここに私どもが全日空の有価証券報告書から調べたボーイング社からの全日空の民間航空機輸入に当たっての融資内容、これがあります。四十六年の三月ボーイング社五億八千万円、それからボーイングファイナンシャル社二億六千百万円、それから四十七年三月もありますが、四十八年三月の例を挙げますと、ボーイング社から六億四千七百万円、ボーイングファイナンシャル社から九億九千万円、ボーイング・インターナショナル・セール社、これから七億七千七百万円航空機輸入に当たって融資を受けている。そうして同時にまた、これはドルで来たのか、それとも円で来たのかそれはわかりません。円建てで表現してありますからね、有価証券報告書。同時にこのときにアメリカの輸出入銀行からも融資を受けている。四十六年の三月期以降の全日空のボーイングからの借入金の累計は四十三億九千万円で、同じ時期のアメリカの輸出入銀行からの借り入れば二百四十三億六千八百万円。アメリカの輸出入銀行からの融資の約一八%はボーイングそのもの、もしくはボーイング自身が持っているボーイングファイナンシャル社とかあるいはボーイング・インターナショナル・セール社とか、そういうところから融資がつけられておる。こういう状況。なおそのほかにも資料はありますけれども、時間がないので、さらに申しますと、私どもがいまここに日本航空の施設調達課から手に入れた内部資料があります。これによりますと、昭和四十三年の当時、ロッキードはダグラスと並んで日本航空にトライスターの売り込みをやっていた。そのときにロッキードが日本航空に提示した条件がある。売り込みに当たっての融資ですね。これはマル秘と判こを打ってあります。これを見てみますとロッキードはL一〇一一、これはいまのトライスターですね。これのナンバー1についてこういうことを提起しております。融資条件として、ロッキードそれからEXIMつまりアメリカの輸出入銀行、それから米国市銀、つまり市中銀行、それからロールスロイス共同で金融を行うことにより実際の支払いは次のどちらかにすればよいといって、プランAとプランBと二つに分けて言っているのです。ここで問題にしたいのは、ロッキード社でさえも昭和四十三年の当時には日本航空にトライスターを売り込みに当たってロッキード自身も金融をつける、それからまたアメリカの市中銀行の融資もつけますと、それからまたロールスロイスも融資をつけますと、そして同時にアメリカの輸出入銀行からの融資ももらって共同で融資をつけますから、トライスターを買ってほしいということを申し入れているんです。これが私はアメリカの航空会社が日本に航空機を輸出する場合の、アメリカの輸出入銀行融資をそれにつける場合の通常のやり方だと思う。アメリカの輸出入銀行だけが融資をつけるというようなことではなくて、自己金融もやれば、アメリカの市中銀行の融資も協調融資としてつけるという形が普通のやり方だと思う。それが昭和四十七年の当時にはできなくなった。その条件は何かといえば、御承知のようにロッキード社はあのC5Aギャラクシー、これの製作と販売に大失敗をした。大きな経営危機に見舞われておった。そうしてそれに加えて七一年の二月四日にはロールスロイスが倒産をした。大変な経営危機に落ち込んだ。そうして七一年の五月の六日にはニクソン政権は融資保証法を発動して二億五千万ドルの融資をロッキード社に保証すると、こういうことです。いま私が日航の内部資料で申し上げた、ロールスロイス社からの協調融資なんというのは、もうロールスロイスの破産によってできなくなった、政府の融資保証を受けなきゃならないような事態になったロッキード社が自己金融力なんてあるはずない。市中銀行からの融資などというものを動員できるはずはない。このためにアメリカの輸出入銀行の融資はこれはもうつけることが非常に困難になった。こういう事情があるからこそ、このロッキード社の不利を救うために、日本の輸出入銀行がアメリカの輸出入銀行にかわって輸入金融をつけるという措置をとったんじゃないですか。この点どうですか。
#127
○政府委員(田辺博通君) 先ほどからお答え申しておりますように、従来方式で、それ以前の方式でありますと、全日空が米輸銀及び市中との協融方式による借り入れを行う、ロッキードから受けるのでもありませんし、ロッキードが借りてまた貸しするわけでもございません。それからこの輸銀法の改正によって輸入金融を拡充された、その輸出入銀行から全日空に貸しておるわけでございまして、これはどうもロッキード社がどういう状態にあったか私存じませんが、その航空機の輸入が確実にちゃんと全日空の手によって行われるという場合に、その全日空の問題でございまして、輸銀から融資をするのはその法に基づいて当然であると、こう考えます。
#128
○委員長(岩動道行君) 時間ですから、簡単にお願いします。
#129
○渡辺武君 時間過ぎたんでは簡単に済まさなきゃならぬ、残念ですがね。いまあなたは全日空が借りるんですから、ロッキード社がどうなっていようとも関係ありませんという趣旨のことをおっしゃいましたね。ところが、これは事実に反しているんじゃないですか。私、日本輸出入銀行の海外投資研究所の海外相談室から伺ったんですけれども、アメリカの輸出入銀行は融資をするに当たって、もちろん輸入当事国の会社の状態、これを融資のいろんな条件にすること、これは当然のことですよ。これは日本の輸出入銀行だってそうだ。同時に輸出する側、つまりアメリカのメーカーですね、これの経営状態がどうかということを、これを重要な判断の材料にする。メーカーが民間資金をどれくらい導入することができるかどうかなどが判断の材料となる、こういうことを言っておる。したがって、全日空にはそれは確かに信用があるかもしれません。しかし、ロッキードが破産状態になって、政府から融資保証を受けなきゃならぬという事態になっている。したがって、アメリカの輸出入銀行は、その点を考慮して融資をすることをこれは困難だという事態にあったればこそ、そのロッキード社の不利をカバーする、これはほかのボーイングやその他の会社にはそういう条件がないわけですから、競争上ロッキードはアメリカの輸銀融資がつかなければ不利になる。それを救うために日本の輸出入銀行の融資がつくような道を開いた、輸銀法改正で、こう見なければならないんじゃないですか。
 そこで、時間がきたので、最後に大蔵大臣と、そして刑事局長に一言ずつ伺いたいと思います。
 大蔵大臣、いまの三木内閣はこのロッキードの疑惑については徹底的に真相を究明するということを何回も公式に発表されておられる。日本の国家金融機関である輸出入銀行の融資が全日空についた。ところが、そのトライスターの導入をめぐってまさに賄賂がらみの商法が行われたということがアメリカの上院の多国籍企業小委員会でも、あるいは銀行関係の小委員会プロクシマイヤー委員会でも大きな問題になっている。特にアメリカのサイモン財務長官は昨年八月のプロクシマイヤー委員会でどういうことを言ってるか、政府が融資保証をしたボーイング社が賄賂商法をやった、これは国として許すことができないから徹底的に真相を解明するんだということを公然と証言している。日本の大蔵大臣は一体この疑惑について徹底的に究明する意思があるかどうか、この点を伺いたい。事実を徹底的に解明すべきだと思いますが、その点を伺いたい。
 それからもう一点刑事局長に伺いたいと思います。私が特に法務省に申し上げたいのは、この事件は当時の総理大臣の田中角榮氏が主導的な役割りを果たしている。特に、田中角榮氏が総理大臣の職務にいなければできないようなことの数々をこの事件ではやっておられるというのが私は特徴だと思うんです。たとえば、さっきも申しました日米ハワイ会談、これは田中前総理大臣が出席されて、そうして共同声明を出された。その共同声明の中で、先ほど申しましたようにトライスターを含む民間航空機の導入……
#130
○委員長(岩動道行君) 渡辺君、時間が超過していますので簡潔にお願いいたします。
#131
○渡辺武君 はい、簡潔にやります。
 それと、政府のこれに対する協力というような趣旨のことが盛り込まれている。
 もう一つ申し上げたいのは、ここに新聞記事がございますけれども、これは日本経済新聞の四十七年の九月八日付けの記事です。「輸銀22年ぶり全面改組」ということで、この内容を見てみますと、八日の経済閣僚懇談会で田中総理大臣が指示して輸銀法改正をやれということを言っておられる。当時です、田中総理大臣は事実上大蔵省も直接動かしていたと、事実上の大蔵大臣の活動までやっておられたというような状況です。そうして、十月十七日に閣議でこの輸銀法改正が決定されましたが、その同じ日に田中前総理大臣はインガソル・アメリカ大使と会談をしている。二十四日には若狭前日空社長とも会談して、その三日後の二十七日に法案が閣議で提出されて、そうして輸銀法改正が決定された。そうして同じ日に、全日空はトライスターの導入ということを内定して三日後の三十日には正式決定をしたと、こういうことです。特にコーチャン・ロッキード副会長がチャーチ委員会で児玉と小佐野の問題について、小佐野は大変役に立ったということを言っている、その小佐野は田中前総理大臣が刎頸の友だといままで言ってきた方でしょう。こういう疑惑について法務省としては調査をなさるかどうか、追及すべきだと思うがどうでしょう。
 それからもう一つ、田中前総理大臣の乙の行為、もし贈収賄の事実があったとすれば、公務員その他の職務に関しての贈収賄ということに該当すると思いますけれども、どうでしょうか。これについて伺いたい。
#132
○国務大臣(大平正芳君) 日本輸出入銀行の融資につきましては間違いはないものと確信いたします。今後も法律の定むるところにより、厳正に業務を行うことと思いますけれども、大蔵省といたしましても周到な注意を怠らないつもりでおります。
#133
○説明員(吉田淳一君) ロッキードの事件につきましては、現在東京地方検察庁において鋭意捜査中でございます。御承知のように三月十三日に、先ほど国税庁長官からおっしゃいましたように、八億余円に上る脱税、それから五月十日に四億四千万円に上る外為法違反について起訴をしておるわけでございます。本件につきましては、私自身実務取り決めに参加した者でございますけれども、米国から必要な資料の提供を受け、鋭意その真相を解明すべく努力しておるのでございます。いかなる立場にもとらわれず、証拠に基づいて真相を解明すべく目下努力しているわけでございます。その捜査の内容についてここで申し上げることはこれはできません。これはひとつ御容赦願いたいと思います。
 また、仮定の問題について犯罪が成立するかどうかということについてもお答えいたしかねるのでございます。
#134
○栗林卓司君 物価問題について二、三お尋ねをしたいと思いますけれども、大臣のこの国会の財政演説は一月二十三日ですから、もう大分前になりますけれども、その財政演説の中で物価に触れてあるものを見ますと、物価もようやく安定した、あるいは物価の落ちつきが定着化しつつあるという評価をされておられましたけれども、以後今日までの経過を見ながら、物価動向に対する御判断というのは少し変わってきたのではないかと思いますけれども、現在どのようにごらんになっているか伺いたいと思います。
#135
○国務大臣(大平正芳君) 御承知のように消費者物価の方はどうやら政府の目標値の中におさめ得て年度を越すことができたわけでございますけれども、最近になりまして卸売物価の方が内外の要因から若干高まる気配を見せてまいっております。最近のロイター指数では銅でございますとか、すずでございますとかあるいはコーヒーでございますとか、そういったものが相当異常な高値を呼んでおるようでございます。けれども、まあ原油であるとか、あるいは鉄くずであるとか鉄鉱石であるとか、そういうようなものは比較的安定いたしておるようでございます。しかし、これはまあパウンドで表示してありますので、これをドルに換算して考えてみましても、ここ二、三カ月の間に一四、五%の値上がりというのは軽視できない海外高であろうと思います。国内におきましては減産政策が各企業において一部の企業においてとられまして若干の値上がりを来たした物資があるようでございます。そういった内外の情勢から卸売物価が若干高目な歩みを示しておることが警戒を呼んでおるわけでございます。したがいまして、そういった点につきましては、今後の財政金融政策、経済政策の運営に当たりましては十分注意いたしまして経済の安定には気をつけて対処していかにゃいかぬと考えておりますけれども、いまそれがために経済政策、金融政策を改めまして引き締めに持っていくとかいう必要があるかというと、私はそういう局面であるとはまだ判断いたしておりません。
#136
○栗林卓司君 結局いま大臣が言われたその辺をどう見たらいいかが、いま大変むずかしい問題だと思いますけれども、まあ五十年の十二月、五十一年一月、二月、三月と卸売物価の対前月比上昇率を見ますと、単純に年率に置き直しても八%以上、相当高い水準でいま卸売物価が上がっていると思うんです。で、輸入物価の方はこれよりは若干下でございますから、相当国内的要因をはらみながら卸売物価が上がっていると判断せざるを得ない。従来の経験ですと、これがある期間置いて消費者物価にもはね返ってくる。そうなると、まあいまにわかに金融政策をどう変えるかという議論は別にして、今日の卸売物価の動きは相当警戒すべき水準に達しつつある、警戒すべき対象となりつつあると見るべきだと思いますが、念のためにお伺いいたします。
#137
○国務大臣(大平正芳君) 警戒すべきことは十分心得ております。
#138
○栗林卓司君 そこでお尋ねしたいのは、財政金融政策を含めて経済政策として取り組みたいという、物価問題ですが、お話なんですけれども、ただどういう財政金融政策が果たしてとれるんだろうかと、こう考えてみると、たとえば仮に西ドイツの例を引きますと、別に意図あって引いているわけではありませんけれども、物価対策としてまず引き締め政策がございました。安定国債の発行もありました。さらには高額所得者に物価安定付加税一〇%、投資税一一%ただし税収分は凍結、あるいは定率減価償却法の一年間停止、公共投資の削減、これは別に珍しいやり方ではなくて、おおむねこんな形で財政金融政策としては物価の安定化をねらっていくんだろうと思いますけれども、いまわれわれがそれではこういう政策がとり得る条件が財政の面から見てあるんだろうか、また景気の面から見てあるんだろうかと、そう考えてまいりますと、卸売物価の動向は大変警戒すべきであると言いながら、どういう対策を準備していったらいいんだろうか、この辺の御見解ございましたら伺っておきたいと思います。
#139
○国務大臣(大平正芳君) 前提としての考え方がまだ経済は回復期にあるわけでございまして、生産もここ四カ月連続増加いたしておりまするし、出荷もふえておるし、在庫の整理も進んでおりますけれども、しかし稼働率はまだ八六%程度でございますし、これを操業度に引き直しますと八〇%をまだ割っておるような段階でございますので、まだしたがって多くの設備が遊んでおるというような状況でございますから、私どもが本格的に経済政策をやるという、引き締めるとか、あるいは緩めるとかいうようなそういうことより前に、まずある水準にまで用心深く持っていくということが第一だと思うのでございますが、そういう道程におきましていま申しましたように若干警戒すべき傾向が卸売物価に出ておるのはなぜだろうかということにつきましては、原因をよく究明いたしまして、それに対して注意を怠らないように配慮しながら経済全体をまずまずのところの水準に持っていくということだと思うんです、基調は。したがって、去年とかことしとかいう段階はそういう経済政策から言えば段階であろうと存じておるわけでございまして、いまの足取りはそういう意味ではまずまず比較的順調に行っておるんじゃなかろうかと、したがって財政政策も金融政策も経済政策全体も、いま先ほど申しましたように基調を変える、どちらの方向にも変えるということをやらないで、手がたくいまの姿勢を堅持していくということで足りるのではないかというのが大まかに申しまして政府の立っておるスタンスでございます。
#140
○栗林卓司君 そうしますと、同じように警戒的に見なければという声も出始めておりますマネーサプライの伸び率なんですけれども、これも最近急速に対前年の伸び率が上がってまいりました。これもまたある期間を置きまして物価にはね返ってくるというのが日本の場合でも経験則であるわけですけれども、そこでいまのマネーサプライの伸びが一応いまの財政のスタンスをとっていくものとして許容できるというふうに御判断なんでしょうか。
#141
○国務大臣(大平正芳君) 日銀当局の判断もよく聞いておりますけれども、まあ三月一五・七というのは従来から見るとややM2が高目じゃないかという判断が皆あるようでございます。けれども、これがまあ二〇を超えるというようなことになりますと、あるいは問題かもしれませんけれども、いまこの程度のことでは特に金融政策の基調について何か考えにゃいかぬというような判断を中央銀行当局もしていないようでございまして、また三月の指数だけでいま早急な結論を出すのも性急過ぎるんじゃないかとも思いまするし、もう少し推移を見さしていただきたいと思っております。
#142
○栗林卓司君 確かになかなか判断しづらいところなんですけれども、マネーサプライの伸び率がずんとこう上昇傾向をたどっているだけに、先行き一体どうなるんだろうかという不安がどうしても消えないわけですけれども、先行きの見通しとしては大体どのような推移だと御判断になっておりましょうか。まあ多くてもたとえば十数%のところでとどまりながら横ばいであろうとか、二割にはいかないであろうとかという御判断だろうと思いますが、もう少し突っ込んで、どういった展望をお持ちになっているのか伺いたいと思います。
#143
○政府委員(田辺博通君) 先行きたとえば今年度中にどういうかっこうになるかという大変むずかしい問題でございまして、作業もいろんな仮定を置いてやらなければいけませんし、まあ経済の実態の動きとのいろんな物価とかそういう指標とにらみながらマネーサプライも――マネーサプライだけを一時的にやってはいけないと思うんですが、いまのマネーサプライの前年同期比の伸び率がもう少しふえていってもそう悪い影響はないのではないか、これは景気回復期といいますか上昇期といいますか、そういう場面における一つの特徴ではないかと思っております。具体的にあと一年間で二〇%を超えるか超えないかというようなことは、ちょっと自信を持ってお答えする作業まではいっておりません。
#144
○栗林卓司君 年末にかけてどうなるかということは、今後の政策と絡むわけですから、前提がある話ですから、軽々に見通しができないと思いますが、お答えを伺っておりますと、何をさしておいてもいまはとにかく景気の方が心配なんで、とりあえず物価の方はわきに置きながら経済運営をしていかざるを得ない。よく物価も景気もといいますけれども、いまのところはとにかく景気対策が重点にならざるを得ない、こういうような印象で受け取ったんですけれども、そういうことでございましょうか。
#145
○政府委員(田辺博通君) それはちょっと答弁の仕方が悪かったんでございましょうか、そういうっもりではございません。いまのようなマネーサプライの数字というものが特に将来必ず物価に悪い影響を与えるという見方はしておりません。ただ、現実の物価の動きというものは、確かに先生の御指摘になりますように、かなり早い上昇率であると。したがって、いまのような傾向が将来もそのまま伸びていくようだと、それはやはり何らかの措置を考えるべきことだろうと思いますが、そういう物価にも十分注意しながら、これ以上の上昇率が伸びないようなという期待を込めながら両方の政策をやっているということでございます。
#146
○栗林卓司君 もう時間ですからこれでやめますけれども、物価の動向に注意をしながら、これが相当な危険な状態になったら何らかの対応策をとらざるを得ないであろう。そこで、実は最後にお伺いしたいのは、景気も回復してこない、望ましいところまで達していない、しかし物価は警戒すべきところにすでに達してしまった、こうなる危険性の方が強いんじゃないか。そこで、どういう財政金融政策をとれるんだろうか。といって景気を金融引き締めでさらに落とすというわけにいかぬ。何か物価対策を取り組みたくてもそういうフリーハンドをかつてほどわれわれは持ってないんではないか。本当に物価のことを考えるということになると、相当思い切った行財政を含めた見直しをしていかないとなかなか困難ではないんだろうかという気がするもんですから伺うんですけれども、仮定の問題ですが、お答えいただきたいと思いますが、これで年度半ばを過ぎて物価がいまの上昇率をたどっていったとすると、やはり金融引き締めを含めた物価対策を政府としては決断せざるを得ないかもしらぬ、そう考えてよろしいですか。
#147
○国務大臣(大平正芳君) そこが経済学が陰うつな学問であるゆえんなんです。要するに、景気は回復したいし、物価は上げちゃならぬし、しかしこの両者をバランス――この両方の馬をうまく御し切った経済政策というのはかってなかったし、今後もなかなかないであろうというのが世界の経済学の結論なんでございまして、なかなか自民党政府だってそんなにうまいこと、うまくこれを御し切ってお目にかけますというようなりっぱなことを言えた――口をきこうとも思いませんけれども、私はいままではともかくも、一応の私どもが予想しておったテンポよりやや早目に景気の回復の足取りはきておるという感じがいたしておるんでございますが、それよりまたより早目に物価に対する警戒を要するような問題も同時に出てきておると。したがって、問題の出方が少しいずれも早目にきたという感じでございます。しかし、いま経済政策は、財政政策と同様、年度が始まったばかりでございます。予算がこの間通ったばかりでございますし、歳入法案の大宗はいまからお願いせなければならぬというようないま段階でございますので、まずこれをやって、それで弾力的な対応をさせていただきながら対応してまいりますならば、非常なおしかりをこうむるような事態は避けられるんじゃないかというように考えております。
#148
○野末陳平君 国税当局にお伺いしますけれども、先ほどの委員の質問とダブるかもしれませんけれども、ロッキード問題に絡まる容疑の対象として調べた中に、政治家といいますか政府高官といいますか、そういう人たちの名前は含まれていましたか、いままでの調べの中で。
#149
○政府委員(中橋敬次郎君) 私どもはいままでいろいろどなたを調べ、どういう会社を調べたかという全貌については詳しく申し上げることは差し控えさせていただきたいんでございますけれども、先ほども御説明しましたように、二月のあの事件がわかりまして以後、私どもの主力はもっぱら児玉譽士夫の所得税の問題、それからその周辺の人たち、それからその周辺の会社に主力を注いでまいっております。
#150
○野末陳平君 そうしますと、その児玉ないしその周辺に力を注いだ中で、税務上の疑惑を持たれるような、そういう偉い人の名前というのは浮かんできたんですか。
#151
○政府委員(中橋敬次郎君) 個々の内容を申し上げるわけにはまいりませんけれども、もっぱら児玉譽士夫個人の所得税の問題について非常に努力をいたしまして、先ほど来申し上げた経過で告発に至り、なおいま調査中でございます。したがいまして、いわゆるいま御関心のある問題には、私どもはまだ全然関係がないというような事情というふうに御了解いただいて結構だと思います。
#152
○野末陳平君 そうしますと、地検などと連絡をとり合って協力関係で調べているんではないかと期待をしているんですけれども、そこまではまだいっていないということなんですね。
#153
○政府委員(中橋敬次郎君) だんだん内容についての御質問でございますけれども、地方検察庁とは東京国税局で、先ほど来申しましたように、二月の二十四日に同時に児玉譽士夫の所得税違反容疑事件として立件をいたしまして、双方同時に並行的に調査をし、三月十三日に私どもは告発をし、それを受けて東京地方検察庁では起訴をされたわけでございます。それから別途、これも先ほどお答えをいたしましたように、日米両司法当局間におきましてあの取り決めによりますところの資料の授受がございました。それについての解明は現在地方検察庁を中心にやっておられるというふうに聞いております。
#154
○野末陳平君 こちらの関心のあることは答えてもらえそうもありませんけれども、先ほどの鈴木委員の質問にもありましたが、児玉がどうも隠し預金を持っていたらしく思われますけれども、その銀行とかその額はお答え願えないとして、どうなんでしょうか、そういう隠し預金が児玉のものであるということは、銀行の方がすんなり認めたからわかったのか、それとも当局が苦心をして突きとめたのか、想像ですが、こういう場合に、特にこの隠し預金、無記名、架空名義のものなどについては、非常に銀行というのは非協力的な態度をとるんではないかと思われたりするんですが、児玉の場合はどうでしたか。
#155
○政府委員(中橋敬次郎君) 所得税の問題を解明いたします場合にも、いわゆる所得、フローの面から押していくものと、それから財産、ストックの面から押していく面とがございます。それを両方兼ね合いながらいろいろ調査をするわけでございまして、いまおっしゃいましたように、いろんな財産形態を解明しながらその年分の所得というものを定めてまいるわけでございますが、そのときにいまお尋ねのような無記名とか仮名とかいうものにつきまして、それが一体真実の所得者がだれであるかということについて税務調査上は非常に苦労をするわけでございまして、それはいかなる税務調査についても同じような事態でございます。
#156
○野末陳平君 そこで、この児玉を調べた結果、よく無記名あるいは仮名預金が脱税の温床になっているということは言われまして、そちらがときどき発表される資料の中でもそれらしきことを感じるのですが、この児玉の場合もやはりそれを裏づけていましたか。つまり脱税の隠れみのとしてはっきり隠し預金をかなりの額持っていたというふうにとっていいでしょうか。
#157
○政府委員(中橋敬次郎君) その点につきましても、先ほど鈴木委員にお答えしましたとおりでございまして、そういった形態の資産も含めながらいろいろ資産の解明をやってまいりましたし、なお今日もそれに努力をしておる最中でございます。
#158
○野末陳平君 大臣にお伺いしますけれども、これはまあ無記名預金は認められているわけだし、それから架空名義については自粛するようにいろいろな指導があるとは思いますけれども、現実にはかなりこれがあるというんですが、無記名の場合なぜこれが必要なのかということを少し教えてほしいのですが、無記名預金を認めている理由というのはどういうところにあるのでしょうか、大臣に教えてほしいと思いますが。
#159
○政府委員(田辺博通君) これも先ほど御答弁申し上げましたとおり、やはり預金者の心理というものは貯蓄を大切にするという意味合いから言いまして尊重し、あるいは利用するといいますか、そういう必要があると思いまして、先ほども御質問ありましたように、二十七年に復活をいたしまして今日まで来ているわけでございまして、まあ結局預金を、貯蓄を大事にするといいますか、そういう政策、そういう考え方から置いておるものだと思っております。
#160
○野末陳平君 預金者の心理を大切にするというまあそれがいわばプラス面だと、その政策面のねらい、いまお答えになりましたけれども、しかし同時に、脱税というものとこれが結びついているというこのマイナス面とどっちが大きいかを考えると、当然いまマイナス面の方が大きいと思うのですよ。なぜかというと、いま局長お答えになりましたが、預金者は貯蓄を大事にするんだと言いますが、何も無記名のこういう制度がなくても、預金者は現に貯蓄についてはもう大事にしているわけでしょう。それからこれを利用する人は、それは一部の人じゃないかという気もしますね。ですから、いまの政策目的というのは、この現代において、二十七年に復活した当時はともかく、いまこの無記名預金が必要であるという積極的理由とは思えないのですが、どうでしょうか。
#161
○政府委員(田辺博通君) 確かにこれを利用している人は一部の人でございます。ただ、これは先ほどもお話し申しましたように、預金と債券その他の有価証券、いろんな貯蓄手段があるわけでございまして、逆に申しますと、ここを穴をふさいでしまうといいますか、無記名預金というものをやめてしまうということがいかなるプラスをなすかということは、税務上の観点を考えましても、まあいろいろほかの有価証券とのバランスを考えなければいけないでありましょうし、またそういう意図を持ってといいますか、特に課税を免れようというような気持ちでもって故意にそういう手段を選んでいる人は架空名義というようなことに逃げ込んでしまうと、そういうことも考えなければならないので、この辺がなかなか判断のむずかしいところだと思います。
#162
○野末陳平君 そういう見方をしていきますと、技術的にもこれをなくすにはどうしたらいいかとか、複雑になってきますので、私は大臣にちょっとこの無記名預金について意見をお聞きしたいんですよ。やはりこれは、いま債券の話も出ましたけれども、全廃するといっても簡単にはできそうもありませんが、大口ですね、大口というのはこれはやはり特殊な人が利用しているのだと思うのですね。だから大口の無記名預金、まあ架空名義は当然いけないと思いますが、大口の無記名預金というのは、これはやはり限度を設けて実名でするという、その方向で検討するのが当然じゃないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。余りにもこの無記名預金のマイナス面の方が現実には目立っているんだと、プラス面はそんなにないと判断しているんですがね。
#163
○国務大臣(大平正芳君) だけれども、これは幾らでも分割できますからね。どういうように技術的に、あなたが言われることはお気持ちはわかりますが、それを実効あらしめる手段があるかというと、それこそ大変むずかしい問題でございますが、しかし、野末さんのおっしゃる、こういう制度が社会的公正の立場からどのように規制できるもんだろうか、規制すべきものだろうかと、規制すべきものだとすればどういう方法があり得るんだろうかというような点につきまして全然放置しないで検討をすべきじゃないかという御提言だろうと思いますが、そういうことにつきましては、私どもといたしましても検討はするにやぶさかでございません。ただ、先ほど申しましたように、いろいろな社債であるとか、金融債であるとか、いろいろなこれ無記名になっておりますし、そういう形態における財産と、これとの関係をどのようにバランスをとってまいりますか、個人の財産形態というものはできるだけとにかくバラエティーに富んだ多彩のものがあることがある意味において望ましいことでございまするし、そういった意味でこれがもっと進んだ財産形態に発展していく、魅力のあるものとして何か考えられないかというようなことでございますならば、もう少し勉強してみたいと思います。
#164
○野末陳平君 しかし、そういう大臣の考えの前提に立っているのは、こういう無記名あるいは架空名義をもう一般大衆みんなが非常に便利な、そして自分にとって貯蓄手段として大切なものであるという意味で利用しているというような前提があってこそ言えるので、これを利用しているのは非常に特殊な、特殊というか、やはりある意図を持って金をためようという人たちですからね、現実には。だから、ぼくはそういう考えでもって何か非常にむずかしいからこれを残しておく考えは賛成できないんですがね。やはりもう少し実態を、だれが一体無記名とか架空名義、どういう人たちがどういうつもりで利用しているのか、その実態を早くつかめば、積極的にこれに対してもっと規制するのが当然だという考えになると思うのですよ。だから、社会的公正とか、財産の形態とか、そういう見方をやめて、マイナス面にもう少し目を注ぐべきじゃないかと、そういうふうに思うのです。どうでしょうか。
#165
○国務大臣(大平正芳君) 一歩進んで、全国民を中高所得者に全部しちゃうという方向に施策することも一つの着眼じゃないでしょうか。チェックする、規制するばかりが私は政治でないと思うのですね。ですから、それは確かにむずかしい課題でございますけれども、言わんとするあなたのお気持ちはよくわかります。
#166
○野末陳平君 じゃ、もう時間来ましたから、ぼくの考えというか、この間うち減税をお願いしていたときに、減税してもそれは消費に回らないから、景気浮揚にはならないと、減税した分はみんな貯金しちゃうというような、これが日本人だということを大臣、皆さんお答えになったわけですが、しかしそれであるならば、何も貯蓄という立場からこんな制度を持っている必要は全くないんで、根本的にどうもおかしいなという気がするのです。まあいずれにしても、無記名とか架空名義のマイナス面に目を注いで、もう少し自粛を徹底させてほしいと思います。終わります。
#167
○委員長(岩動道行君) 本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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