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1975/05/14 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 大蔵委員会 第7号
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1975/05/14 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 大蔵委員会 第7号

#1
第077回国会 大蔵委員会 第7号
昭和五十一年五月十四日(金曜日)
   午後二時三十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     植木 光教君     福井  勇君
     山崎  昇君     大塚  喬君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩動 道行君
    理 事
                戸塚 進也君
                中西 一郎君
                野々山一三君
                矢追 秀彦君
                栗林 卓司君
    委 員
                青木 一男君
                土屋 義彦君
                鳩山威一郎君
                桧垣徳太郎君
                福井  勇君
                藤川 一秋君
                宮田  輝君
                大塚  喬君
                寺田 熊雄君
                福間 知之君
                村田 秀三君
                鈴木 一弘君
                近藤 忠孝君
                渡辺  武君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
   政府委員
       大蔵政務次官   細川 護煕君
       大蔵大臣官房審
       議官       山内  宏君
       大蔵省主計局次
       長        田中  敬君
       大蔵省主税局長  大倉 眞隆君
       大蔵省証券局長  岩瀬 義郎君
       大蔵省国際金融
       局長       藤岡眞佐夫君
       国税庁長官    中橋敬次郎君
       国税庁次長    横井 正美君
       国税庁直税部長  熊谷 文雄君
       国税庁調査査察
       部長       系  光家君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉本 金馬君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      吉田 淳一君
       自治省財政局指
       導課長      関根 則之君
       自治省税務局府
       県税課長     宮尾  盤君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩動道行君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 昨十三日、内藤功君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。
 また、本日、植木光教君が委員を辞任され、その補欠として福井勇君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(岩動道行君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 昨日に引き続き、財政及び金融等の両施策に対しこれより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○寺田熊雄君 大蔵大臣に御質問をいたしますけれども、昨日来各紙一斉に報道せられております。自民党の椎名副総裁が三木総理の退陣を図って、自民党の各派閥の実力者、とりわけ田中前総理であるとか福田現副総理であるとか大平大蔵大臣などと会談をしているというようなことが報道せられております。それで三木総理が当然にこれに対して抵抗を示して、日経連の総会の席上を利用して、自分はロッキード事件の徹底的な追及という使命があるので、任期中に辞職するようなことはないというような趣旨をことさらに強調するなど、私どもから見ますと、まあ自民党の内部の動きについてまで私ども他党の者が内政干渉をしようという意図はございませんけれども、しかし、福田副総理というのはある意味でいまの三木内閣の大黒柱でしょう。それから大平さんにしましても財政を担当するという地位は非常に重いものがあります。そういう重い地位にある閣僚が現在の首相の退陣を迫る動きをするというふうなことは、私どもの見るところではこれは内閣は事実上瓦解したに等しいという感じがするんです。大平さんはどのように考えていらっしゃるんでしょうか、お考えをまず承りたいと思います。
#5
○国務大臣(大平正芳君) 私は、大蔵大臣といたしましてその職責を全うしなければなりませんので、不敏ながら今日ただいまも職にあってベストを尽くしておるわけでございます。
#6
○寺田熊雄君 そういう私のお尋ねに対して、的を外したような御答弁では困るんですが、最近、椎名副総裁とあなたとが会談をなさったということは間違いないんでしょうね。
#7
○国務大臣(大平正芳君) 同じ党内のことでございますから、過去におきまして椎名さんとはたびたびお目にかかる機会がありましたことは事実でございます。
#8
○寺田熊雄君 私がお尋ねしているのは、過去においてたびたびお会いしたかどうかということじゃないんです。それは常識上当然でしょうが。この昨朝来の新聞は、きわめて現在に近接した日時にお会いになったと、しかも、それが三木さんの退陣を含めた話し合いのためにお会いになったと報ぜられているわけですね。ですから、そういう最近にお会いになったことがあるかどうかとお尋ねしておるんです。
#9
○国務大臣(大平正芳君) 同じ党内のことでございますから、椎名さんと私がたびたびお目にかかる機会を持ったこと、最近におきましてもそういう機会がありましたわけでございますし、今後もそういう機会はあろうかと思っております。
#10
○寺田熊雄君 で、最近お会いになったことをお認めになったんですが、そのときに、各新聞紙が報道するように、三木さんの退陣を含めたお話し合いというものがなされたんでしょうか。その点正直におっしゃっていただきたいと思いますが。
#11
○国務大臣(大平正芳君) そういうお話をいたしたことはございません。
#12
○寺田熊雄君 何かずいぶんちゅうちょしておられて、それは述べにくいんでしょうけれども、そういうことを含めた話し合いというものが本当になかったんですか。わりあい大蔵大臣はいままであれでしょう、正直に御答弁になったと私どもは思っているんですが、今度は偽りじゃないんでしょうね、宣誓はしてないですけれども、正直におっしゃってください。新聞紙の報道をするところがまるっきり的を射てないものですか、それとも多少的を射たものがあるんですか、いかがでしょうか。
#13
○国務大臣(大平正芳君) 一々記憶はいたしておりませんけれども、自民党並びに政府をめぐる諸問題につきまして意見を交換いたしたことは事実でございますし、そういうことはまた許されてしかるべきことと思っております。
#14
○寺田熊雄君 ある程度核心に近いような御答弁になったんですが。そういう自民党の将来についていろいろ話し合いをしたことは当然だとおっしゃる、その中に内閣の将来についてどうすべきかというようなお話も含んだと理解してよろしいですか。
#15
○国務大臣(大平正芳君) そういう際どい微妙なお話は別段いたしていないんでありまして、国会内外の諸問題につきまして、私も法案を提出いたしておる身でございまするし、これを通さなけりゃならぬ身でございまするし、それの審議の状況その他は副総裁に詳細にお伝えいたしたことはございますけれども、内閣の命運というような大それたお話を、わざわざ副総裁をお訪ねしてお話しするようなつもりは初めから持っておりません。
#16
○寺田熊雄君 それから、事実退陣を椎名氏が迫っているということが堂々と新聞紙上に報道せられておるんです。これは大蔵大臣も御存じでしょう、毎日の新聞には目を通されるんですから。で、その事実は大蔵大臣も御存じなんでしょうね。
#17
○国務大臣(大平正芳君) それは大変恐縮ですけれども、椎名さんにお尋ねをいただきたいと思います。
#18
○寺田熊雄君 いや、椎名さんに尋ねる機会がないから、私は椎名さんに聞こうと思わないんです。椎名さんがそういうふうな考えを持って動いているという新聞紙上の報道がなされていますから、あなたの理解においては、それが事実なのかどうか、あなたの御理解を伺っているんですよ。あなたがどういうふうに理解されて椎名さんに会っていらっしゃるかいうことは大きな問題でしょう。ですから、どういう理解を持っておられるかということをお尋ねしているんです。
#19
○国務大臣(大平正芳君) 椎名さんの御見解を大蔵委員会で披露する自由を私は持っていません。
#20
○寺田熊雄君 いや私は、大蔵大臣が行動していらっしゃることを伺っているんです。そうでしょう。大蔵大臣がどういう意図で動いていらっしゃるかということは、この大蔵委員会の一般質問で当然許されるでしょう。その質問が許されないとおっしゃるんですか。大蔵大臣がどんな理解を持って大事な政治的な活動をしていらっしゃるかということをお尋ねすることは、大蔵委員会の一般質問の当然の権限ですよ。あなたは権限がないとおっしゃるんですか。
#21
○国務大臣(大平正芳君) 椎名さんが政局に対してどういう見解をお持ちかということは、椎名さんにお聞き取りいただきたいと思いますが、私が椎名さんとの会談におきましては、大蔵大臣といたしまして、予算案、法律案等を提案して、責任ある立場にあるわけでございまして、十分副総裁の理解と支援を得なければならぬ立場にあるわけでございまして、衆議院、参議院における審議の状況、そこで論議されておる問題点等につきましては、詳細に報告をし、副総裁の理解を求めること、それを主眼として過去におきまして何回か会談を持ちましたことは事実でございます。
#22
○寺田熊雄君 どうもお言葉はいんぎんですけれども、的を外してのみお答えになるんですがね。私は、あなたが椎名さんがどういう意図を持って動いているかということについて、どんな理解でおられるかということ、これは当然おわかりになっていらっしゃると思いますし、またそれを私もお尋ねすることは決して私の権限を越えたことじゃないと思うんですよ。お答えになることができないんですか、どうなんでしょうかね。それともこらえてほしいと言うんでしょうか。それとも私は椎名さんがどんな考えを持っているか全く知らないとおっしゃるんでしょうか、どうでしょうか。
#23
○国務大臣(大平正芳君) 私からお聞き取りいただくことは御遠慮いただきたい、勘弁していただきたいと思います。もし委員会の御権限で御聴取したいのでございましたならば、そういうお手続を委員会においておとりになられたらいかがでございましょう。
#24
○寺田熊雄君 勘弁してくれと言うんならわかるんですよ。私もまあこれ以上追及しないことにしましょう。
 それから、もう一つお尋ねしたいのは、この財政特例法がきょう提案されたわけですけれども、いままでしばしば財政特例法がもしもこの国会で通過しないようなことがあったならば、大蔵大臣として重大な決意をするというようなことが報ぜられておったんですね、これはあなたもお読みになったでしょうが。そういうような決意を本当に現在でもなさっていらっしゃるのですか。その点いかがでしょう。
#25
○国務大臣(大平正芳君) 大変そういう記事は私にとって迷惑でございます。私は公債特例法案が国会を通過しないというようなことは全然考えていないわけでございます。国会の良識を一〇〇%信じておりますことは、たびたびの機会に申し上げておるとおりでございます。何となれば、それができなければ財政の運営が不可能であるからでございます。
#26
○寺田熊雄君 あなた御自身が財政の運営が不可能になると、もしも通過しない場合は。そういうふうに思い詰めていらっしゃる、そういう重要法案がもしこの今国会に通らなかったらどういう決意をなさるのか、これはぜひお聞きしたいのですよ。というのは、河野参議院議長でもこれは無理だと、だから継続審議だというような御意向を漏らされたというようなことが現実に新聞記事になっているわけです。だからお尋ねするのです。全く架空のことじゃないのです。それはきわめて現実性を持ったいま課題になっているわけです。そういうことでお尋ねするのです。
#27
○国務大臣(大平正芳君) いま大蔵委員会の手にありまして鋭意審議中でございまして、私はその成立を期するために委員各位の格段の御理解を求めなければならぬと思いまするし、どういう御審議に対しましても誠心誠意こたえていかなければならぬという決意でございまして、私はこれが通らない場合などということをいま考える余裕はありません。
#28
○寺田熊雄君 この問題は、私がこれ以上聞いたら恐らく大臣との間の押し問答が無限に続くでしょうから、これはここで一応とめておきます。またお尋ねする機会があるでしょう。
 それから、きょうは法務省の刑事課長に無理しておいでをいただいているんでちょっとお尋ねしたいのです。
 あなたの方から児玉譽士夫に係る外国為替管理法違反、これの起訴状の要旨をいただいたんですけれども、いまここにちょっと見つからないんだけれども、あれを拝見しますと、ジョン・ウィリアム・クラッターから児玉の自宅でロッキード社の支払いのための金員四億四千万円を受領したということになっていますね、要旨は。そうすると当然クラッターが共犯だということになるわけだけれども、クラッター自身も同じ法律の違反者だということになるけれども、これは間違いないでしょう。
#29
○説明員(吉田淳一君) ただいまお尋ねにありましたように、五月十日に児玉譽士夫を外為法違反で起訴した事実の要旨はいま御指摘のとおりであります。条文で申しますと外為法二十七条一項三号にいうところの「非居住者のためにする居住者に対する」「支払の受領」ということでありまして、これは一定の場合を除いては禁止されているものでございます。その罰則がございまして、その罰則の適用をして公訴を提起したということであります。
 問題は、この起訴状に出ておるジョン・ウィリアム・クラッターの刑事責任の問題でありますが、これは基本的には今後この公訴事実につきまして御承知のようにいずれ公判が開かれて立証するという段階にかかる事項でございますので、公判の立証前にいろいろこの事実の関連で申し上げることはなるべくなら御容赦いただきたいのでございますが、一般論といたしましては御指摘のように支払いをした方――支払いを受領した方は児玉でありますが、支払いをした方につきましても外為法違反の疑いがあります。
#30
○寺田熊雄君 これは課長、この公訴事実から当然に出てくる結論なんで、そういう場合などというような問題じゃなくて、これはクラッターが同じような事件の容疑者というか、当然にこれは法を犯した者というふうに見られると思うのだけれども、これはもう論議の余地ないと思うのだけれども、余りそこまで隠す必要はないんじゃないだろうか、これは公表された公訴事実だから。それで、これはクラッターはお調べになったのだろうかどうか、その点お尋ねしたいのだけれども。
#31
○説明員(吉田淳一君) この公訴を提起するに当たりまして東京地方検察庁でいかなる関係人を取り調べたかということは、決して隠しているというようなつもりでは毛頭ございませんけれども、どういう者からどういう供述を得たかというようなことについては原則として申し上げられないのは御了解いただけると思います。
 それで、クラッターについて取り調べをしたかどうかということでございますが、クラッターは現在米国におりまして、日本にはおりません。そういうことでございますので、これらの関係人を含めまして日本の東京地方検察庁といたしましては、この事実に限らずいろいろ事情を聞く必要がございますので、鋭意その表現に努力しているところでございます。
#32
○寺田熊雄君 あなたが司法関係者だから、余り無理を強いるつもりはないのですけれども、こういう事件では当然に金銭の授受だから、受け取った人間だけを調べて渡した人間を調べないということはこれは法律家としての常識に反するから調べざるを得ない、これは当然でしょう、あなた認められるでしょう。そこで、いままでに調べたのか、これから調べるのか、そういう点が、今度塩野法務次官が行かれてアメリカの司法省といわゆる司法共助協定ね、長い名称でやっているけれども、「ロッキード・エアクラフト社問題に関する法執行についての相互援助のための手続」というのがある。あれの第七項に該当するんだろうか、クラッターを尋問する手続を嘱託するというか、その点どうでしょうか。
#33
○説明員(吉田淳一君) いまの御質問にお答えする前に、検察庁として起訴をいたします以上は証拠に基づいて十分確信が持てるということで公訴を提起しておるのでございます。で、その内容については申し上げられませんけれども、もとよりそれに基づく物証あるいは人証等について捜査できることは、十分すべて手を尽くした上で証拠に基づいて認定ができるということで公訴を提起しておるわけでございます。で、このいわゆる司法共助と言われているこの手続のことでございますか、御指摘のこの手続の七項は司法共助――ここで「司法当局により発せられる嘱託書」とございますのは、この司法当局というのは裁判所のことでございますので、裁判所が裁判所間で嘱託をする。たとえば証人尋問とか書類の送達とか、そういうことを嘱託する。そういう際にその嘱託事項を迅速に実施しようと。しかし、この取り決めをするものはわが国の法務省と米国の司法省でございますので、裁判所ではございません。したがって、そういうことを実現することについて最善の努力をしましょうというのがこの取り決めの趣旨でございます。で、もとより法務省、司法省はそれぞれ検察官をその所属としているものでございますから、検察官は裁判所に対しまして刑事訴訟法に定めるところにより裁判所にいろいろ意見を申し上げることはできるわけでございますから、そういう際にいろいろ最善の努力をいたしましょう、こういう趣旨でございます。で、これは司法共助のことでございまして、いまお尋ねのことが検察官が関係人を直接調べるというのはこの規定ではございません。いわゆるこの司法取り決めにはその面接をして取り調べるという関係の条項はございません。しかし、その点につきましてはすでに日米の間に基本的な了解が達しておりまして、米国政府機関はすべてこれを了解しております。それに従っていろいろその協力を得て東京地方検察庁の検事が何分の努力をしていく、こういうことでございます。
#34
○寺田熊雄君 そうすると、もう司法共助協定以前に東京地検の検察官が米国に出張して、いろいろと本件の犯罪も含めて調査を、あるいは捜査をなさっておられると、そういうふうにあなたの御答弁を理解してよろしいな。
#35
○説明員(吉田淳一君) そのとおりでございます。いつからかということはちょっと申し上げられませんけれども、この取り決めをするときにはすでにその了解を得ておりましたので、わざわざ、イタリアの取り決めとの間ではそのことが出ておりますけれども、その必要は全くなかったのでここに置いてないのでございます。で、検察官としてはもちろん他国で外国でやるわけですから強制的な処分はできませんが、いわゆる任意捜査でございますけれども、その範囲内で必要なものについてはそういう手続をとることを米国政府の基本的な了解を得ている、こういうことでございます。
#36
○寺田熊雄君 そして、まああなたはこの事件について公判維持をするに足る証拠はわが手中にありということを確信していらっしゃるということをおっしゃったわけなんです。そういうことからすると、もう当然クラッターは調べたというふうに私どもは理解せざるを得ないわけだけれども、そう理解してもよろしいな。
#37
○説明員(吉田淳一君) どうも先ほど来申しましておるように、だれを調べているかということはこれから公訴、公判の遂行との関係もございますし、一般論としては申し上げにくいことなんでございます。ただ先ほど申しましたように御指摘のクラッターはずっと最近米国側におりますので、その関係でわが国のこの公訴を提起する前に、その前に調べたのかどうかというお尋ねでございますが、できればその点は御容赦いただきたいと思います。
#38
○寺田熊雄君 いや、あなたが公判維持するに足る十分な証拠を持っていると確信しているということをおっしゃるから、それだと法律家の常識として当然クラッターを調べざるを得ないんで、裁判所が一方だけのあれでもって、いまにわかに有罪の判決をするようなことはない、いまの裁判所の証拠法から言いますとね。だから、そう理解せざるを得ないじゃないかと、こういうふうにお伺いしたわけです。まあどうしてもあなたが立場上苦しいと言うならそれ以上追及しないけれども、大体そういうふうに理解しても構わないと思うんだけれども、もし差し支えがあったら言うてください。
 それから、いまの司法共助協定の第七項、これは将来刑事訴訟法の第二百二十六条、これはやっぱりこの司法共助協定の第七項の場合にこれが生きてくることがあるんですか。
#39
○説明員(吉田淳一君) まず起訴をした証拠の関係でございますけれども、一般論で申しますれば、御指摘のように相手方を調べるのが常道だと思いますが、仮にそれが欠けている場合でも、他の有力な物証その他の周辺の関係人等から十分その事実を立証できるということは一般論としてはあると思います。それ以上の点はこの事実の関係でそうだったのかという点については差し控えさせていただきたいんでございますが、その取り決めの七項のいわゆる司法共助は、日米両国においてそれぞれの刑事手続訴訟法に基づいて裁判所がやり得る事項をすべて含んでおります。したがって、わが国では起訴後が証人尋問普通でございますけれども、起訴前にそういう裁判所の行う一定の証人尋問の手続がございますので、それも司法当局により行われる手続でございますので、それも実施を図るべく最大限努力するというその手続の中身に入っております。
#40
○寺田熊雄君 あなたがいま一般論として確実な物証だけでも有罪の認定が得られないことはないということを特に付言せられたから、で、まあそうなるとお尋ねせざるを得ないんだけれども、そうなると、児玉名義の受領証というのが送られてきてますね。これは送られてきているかどうかという点はあなた言えないかもしれないけれども、それがあることは確実なんだけれども、その児玉名義の受領証というものもあなたのおっしゃる有力な物証の中に入っていますか。
#41
○説明員(吉田淳一君) 余り一般論ばかり申し上げるので、再度のお尋ねだと思うんでございますが、何せこれから公訴を提起する刑事事件でございますので、御了解いただきたいのでございます。で、証拠の内容としてどんなものが入っているか。それはすでに司法取り決めができる以前にチャーチ小委員会から公表の資料を相当数外交ルートで入手しておりまして、それは関係機関に配付されておるわけでございます。もとよりそれらの資料につきましては、東京地方検察庁にも必要な資料として配付しておりますので、それらの資料もこれらの事件の貴重な参考になっておると、それだけ申し上げておきます。
#42
○寺田熊雄君 大体わかりました。それから所得税法違反、これも含めて児玉は俗に言う自白をしたんだろうか、それともやっぱり否認のまま起訴したんだろうか、その点はどうなんでしょうか、外為法も含めて。
#43
○説明員(吉田淳一君) その起訴した相手である被告人がどういう捜査当時供述をその公訴事実にしていたかということは、まさしく今後の本件の関係の立証に関連することでございますので、新聞紙上等いろいろ報道されておりますそれは私もよく承知しておりますけれども、責任ある検察当局を代弁する法務省刑事局としては、否認していたか自白していたか、そういうことの証拠の内容にわたることについて申し上げることはできないのでございます。
#44
○寺田熊雄君 きょうは課長、これだけで結構です。ありがとうございました。
 次に、国税当局に伺いたいのですけれども、この児玉の所得税法違反で起訴になったことは、これはお聞きしなくても当然御存じでしょうからね。それから司法当局は起訴をした、あなたの方は行政当局として更正決定、更正通知をなさっておられるわけでしょう、その点間違いないですね。
#45
○政府委員(中橋敬次郎君) 私どもの方としまして二つのことをやったわけでございまして、地方検察庁に対しまして所得税法の違反事件として告発をいたしました。それからもう一つは、課税処分といたしまして四十五年、六年、七年につきまして更正処分をいたしました。
#46
○寺田熊雄君 で、検察庁の係官、それから警察の係官が児玉を直接調べたことは、これはもう間違いないことで、写真でぱっぱぱっぱ写されて、テレビにも出るし新聞にも出るし、ほぼ間違いないんですが、国税職員もその所管の告発をするに当たり、それから更正通知をなすに当たり、児玉に直接当たられたのですか、それとも児玉には当たらなかったのか、その点どうですか。
#47
○政府委員(中橋敬次郎君) きのうもお答えをいたしましたように、私どもの方ではもっぱら資金の系統に主力を注いで調査をいたしましたので、児玉の周辺のそういう金融機関、証券会社あるいは児玉の周辺の関係会社、それから児玉の周辺の人たちというものにもっぱら調査の対象を求めたわけでございます。
#48
○寺田熊雄君 そうすると、児玉本人にはあなた方の部下の職員は直接事情聴取をなさらなかったと。
#49
○政府委員(中橋敬次郎君) 児玉譽士夫の所得税法違反事件につきましては、検察庁と東京国税局とはそれぞれいわば同時立件をいたしましたものでございますので、それぞれの調査対象というのを、主としては検察庁が中心になってやられたところでございまするので、それぞれいわば調査対象の分担がございましたから、私どもの方は先ほど申しましたところに調査の主力を向けたわけでございます。
#50
○寺田熊雄君 それはよくわかるんですよ。それであなた方がまことによく調査されたと思って私の方、実は感心しているんだけれども、まあ検察庁は、自白したか自白しないかという点はこらえてほしいということを言っているわけで、調べをしたということは当然認めているわけなんだけれども、あなたの方は直接児玉本人に事情聴取したかどうか、それとも周辺のいわゆるあなた方の言う確実な資料の入手だけでそういう処分に踏み切ったのか、そこのところをお尋ねしているわけです。
#51
○政府委員(中橋敬次郎君) 先ほどお答えしましたように、私どもの方はそちらの方は一応検察庁の方の御調査にまったわけでございます。
#52
○寺田熊雄君 そうすると、あなたも言外に、自分たちは児玉本人には当たらないで検察庁に任せたんだと、こういうことをおっしゃるわけだね。そういうふうに理解してよろしいな。つまり児玉本人の取り調べは検察庁にゆだねて、私どもの方はその周辺の資料の収集に当たったんだと、そうおっしゃるわけでしょう。
#53
○政府委員(中橋敬次郎君) そのように理解していただいて結構でございます。
#54
○寺田熊雄君 この外為法違反の方は、所管の局長はだれなのか。外為法違反の問題についてもやはりいま国税庁長官が答えられたと同じように理解していいんだろうか。つまりあなた方は児玉には当たらずにそれは検察庁に任せて、大蔵当局としては、いわゆるそれを立証するに足る資料を児玉の周辺に調査の的をしぼってそれに没頭したんだと、そういうことかしら。
#55
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 為替管理の関係につきましては、税とは違いまして私どもには捜査の権限もございませんので、捜査当局に周囲から協力するということでございます。
#56
○寺田熊雄君 それでは、この外為法違反の問題はまた後でさらに追加してお尋ねすることにして、国税庁長官にお尋ねするんだけれども、今回の更正処分とか、あるいは公訴提起とかいうのを見ますと、四十七年の所得が児玉は確定申告では四千六百万円程度のものだと言って申告をしておるのに、あなた方の調査によると所得が十一億余ありますね。そして、脱税額が実に八億五千三百七十四万という、これは事実とすると非常にきわめて悪質な税法違反であるということもわかるし、そんなにも所得があるというようなことが所轄税務署というものにわからなかったのかどうか、全く調査をしなかったんだろうかという、そういう不審の念を抱かざるを得ないんだけれども、その点は長官どうでしょう。
#57
○政府委員(中橋敬次郎君) そういう御指摘に対しましては、私どもは何ともお答えできないくらいに非常に反省をしておるわけでございます。確かに私どもは従来ともいわば多額の所得のありそうな方、あるいは相当の資産を持っているような方というのは、局署を通じまして特別の管理をいたしまして、相当手をかけて調査をしておるわけでございますが、本件がたまたま二月の上旬に報道せられまして、私ども全くそういうことについて知らなかったわけでございます。たまたまそういういまおっしゃいましたような一年分でも所得税額が八億五千万円余りも違うくらい所得に差があったではないか、それがわからぬでどうしたのかと言われますと、全くそれは一言もないわけでございますけれども、まさにその起因となりますところの契約書とか、あるいはそれの金員の授受とかいうことが私どものいわば調査の爼上には全然上がってきていなかったということでございまして、こういうことにつきましても、従来からわれわれもわが国の企業が相当海外との取引が盛んになっておりましたから、海外取引面についても相当に、特に法人税を中心にいたしましてやってはきましたけれども、こういった形で、いわば国際的な多額の資金の授受ということがあるということについては、思いも至らなかったわけでございますが、今後はそういうこともわれわれの参考としながら勉強いたさなければなりませんけれども、そういうことについて放置しておったではないかという責めは甘受をいたします。それからこれからも勉強いたさなければならないと思いますが、それだからといってそれじゃ児玉譽士夫について全然放置をしておったのかというとそうではございませんで、冒頭に申しましたように、かなりの数のいわゆる高額所得者につきましては、いまの体制の中ではできるだけ調査をしてまいったこともまた事実なんでございます。
#58
○寺田熊雄君 いや、というのは、一般の庶民がちょっとした家なんか建てますと、税務署の職員が参りまして、その建築資金をどこから出されましたかというようなことをずいぶん根掘り葉掘り調査するわけですよ。私どもも法律事務所の建築をしたときに、個人的なことになるけれども、広島国税局から一人来られまして、一週間私の事務所に居座ったのです。私も、私の机の前に座らして、もう何でも見ろと、一切の資料をオープンにした。で、すっかり向こうも恐れ入って、全部見せていただいたのでわかりましたということで余り問題なかったのだけれども、それほど一般の庶民には、われわれ大衆には厳しいのが、どうして児玉のような、あの金殿玉楼でしょう、特攻機が体当たりするなんということは一般の庶民にはできません、ああいうことは。つまり空間がないから。そんなに大きな豪壮な邸宅で、特攻機が体当たりするような、そんな金殿玉楼に住んで、しかも太刀川なんという秘書を初めとして、聞いてみると何かかなりな使用人を使っているのですね。そういう人があれだけ、四千万円程度の所得でできないということは、もうあなた方専門家だったらすぐわかっちゃうのじゃないかと思うのだけれども、あなた方がそれをわかりながら不問に付しているというような、私はそんな疑いを持つわけじゃないですよ。ただ、やはり右翼だとか暴力団だとか、あるいは権力者であるとか、そういうものにはやっぱり知らず知らずあなた方が遠慮しているんじゃないか、そう思わざるを得ないわけですね。でなければあんなにひどい所得税法違反なんというものは出るわけはないから。その点がどうもちょっとやはり長官、あなたよほど考えていただかなきゃいかぬと思うが、事実として金殿玉楼その他について疑いを持たなかったのかどうか、過去において、どうでしょうか。
#59
○政府委員(中橋敬次郎君) 一年間に十一億円余りの所得が抜けていたということでございましたが、それをいまおっしゃいますように、たとえば財産面から相当に把握できる余地がなかったのかどうかという御指摘だろうと思います。確かにそういうふうに財産面で年々の所得、回帰的に生じていきますところの年々の所得というのをつかむ方法も実はやっておるわけでございます。それでもってなおわからないものはまだ調査の不徹底さがあるんではないかと言われますれば、それはもうまさにおっしゃるとおりでございまして、結果がこういうふうに出ておるのでございますから、私どもの調査の至らないところはもうおっしゃるとおりだと思います。ただ、過去の蓄積と年々の所得というものとの結びつきを実際どういうふうに所得税の調査上活用していったらいいかという問題がございますし、もちろん私どもとすれば先ほど申しましたように局署を通じて大口の所得者と目される人についてはいろいろな資料を収集いたしまして、集めて、そして申告についての補正とか修正処分をやってきてはおりますのですけれども、とにかく何しろ私どもの予想外のけたはずれのものでございましたものですから、おっしゃいますようにそういう点での抜かりがあったという点は重々反省をしなければならないと思っております。
#60
○寺田熊雄君 いや、私どもの特にあなたに要望したいのは、一般の零細な庶民なんかをやたらに第一線の人がつつかずに、やっぱり重点はそういう大口の資産家であるとか大企業であるとか、そういう脱税というものをびしびし取り締まってもらいたいと、こういうことなんですよ。その点長官の決意を伺いたいのですが。
#61
○政府委員(中橋敬次郎君) その点に関しましてはまさに基本的には私どもの調査体制というのもそのとおりにやっておるつもりでございます。法人税につきましても所得税につきましてもいわば高額重点でございますが、では、いま御指摘のように、それじゃ個人の所得税につきましてある一定金額以下は全部捨ててしまっていいではないかということも考えられないことはないのでございますけれども、私どもといたしますれば、やはり個人の申告所得税と源泉所得税という関連もございまするから、やはりある程度のバランスを持った調査体系というものを持たなければなりませんし、そういたしますと、たまたま先ほど御例示になりましたように商売をしておる人の中でもやはり調査対象として選ばなければならないものもあるわけでございます。しかし、そういうもので一体実際に調査しておる率がどの程度かということになってまいりますれば、法人で申せば巨大な法人については毎年調査をいたしておりますし、下の方の法人についてはほとんど行っていない。極端に申せば十何年に一回ぐらいしか行っていないというような実情でございます。ましてや個人におきましてはもっともっと出張の割合というのは低いのでございます。その中でやはり御指摘のようにできるだけ高額の所得者、高額の会社重点という体制は持ってきておりましたつもりでございますし、今後ともそういう方向は続けてまいらなければなりませんけれども、全部下の方まで捨ててしまうということもなかなかできないという事情も御理解願いたいのでございます。
#62
○寺田熊雄君 なお、国税当局としましては、児玉も非常に悪玉だということで国民の怒りを買ったわけですけれども、もう一つ、丸紅の会社、それから証人として衆議院の予算委員会に出ました大久保利春さんと伊藤宏さん、これは会社のかいらいとしてやったから、個人としてはある意味では気の毒だけれども、まあ悪玉になっているわけでしょう。どちらもユニット――これは大久保氏の場合はユニット、それから伊藤氏の場合はピーナッツとか、ピーシズとかいうことで、それがチャーチ委員会の公聴会の議事録を見ると、ピーナッツ一個が百万円に相当するように書いてあるんだけれども、そういうような点についても、私は国税当局としても、当然所得調査の見直しということをやっぱりやるべきだと思うんだけれども、これはどうだろうかしら。
#63
○政府委員(中橋敬次郎君) いま御指摘になりました株式会社丸紅につきましては、たまたまあの事件が公になります前から、普通の調査でございますけれども、毎年調査いたすものですから、調査をやっておりまして、そういう点につきましても気をつけながら、なお今日まで調査をいたしております。
 それから、専務でありますところの二人が、金員の授受があったというふうなことが言われておりますが、もちろんそれについて否定をいたしておりますけれども、そういうことを含めまして、もちろん二人の所得につきましての調査もやっております。
#64
○寺田熊雄君 その方はもう結論が出たのかどうか、まだ出ていないのかどうか。
#65
○政府委員(中橋敬次郎君) まだ調査中でございます。
#66
○寺田熊雄君 長官何か御用事だと言うから――次長、いま長官のお話を伺うと、丸紅についてはもちろんだし、それから伊藤宏、大久保利春両専務についても、所得の見直しについて調査を現にやっていらっしゃると、それはまだ結論は出ていないと、こういう御答弁だったんですが、これは本人には当たられたのかしら、伊藤、大久保という本人には。さっき、児玉については長官が、言外に自分はそれは調べてないと、検察庁にお任せしたと、こういうことなんですが、この二人はどうですか。
#67
○政府委員(横井正美君) 長官からお答え申し上げましたとおり、一月の十九日に丸紅の定例の調査を開始いたしました。もちろんこの時点におきまする各種の情報等をもとにいたしまして調査を開始したわけでございます。二月の四日、六日、アメリカの多国籍企業小委員会の公聴会の様子が報道されるというふうなことから、これらを着眼点に加えまして、引き続き丸紅の調査を進めておるという状況でございます。
 で、二月二十四日に児玉譽士夫の所得税法違反につきまして強制調査に入ったわけでございますが、国税庁といたしまして、丸紅なり、伊藤、大久保両氏につきまして、所得税法違反あるいは法人税法違反という容疑を得るには至りませんでしたので、これにつきましては、引き続き任意調査ということが続いておるわけでございます。その過程におきまして、検察、警視庁当局におきまして丸紅を外為法違反ということで強制調査をなさるということになったわけでございますので、国税庁といたしましては、警察、検察の調査の推移を見まして、今後お話のような点を検討いたしてまいりたい。現在までのところは、伊藤、大久保両氏を所得税法違反等で調べておるということはございません。
#68
○寺田熊雄君 それから、国際金融局の方のことでお尋ねしたいんですが、この外為法違反の事件というのは今度が初めてでなくて、ずいぶん実際は氷山の一角だというふうに聞いているんだけれども、あなた方の調査ではどうなんでしょうかね。ほかにもたくさんあるように把握しておられるかどうか。
#69
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 外為関係の法令はかなり複雑になっておりますので、細かいところでたとえば報告の一部分を書き忘れたとか、そういうたぐいのものは往々にしてございますが、それは注意して直させております。大きな事件につきましては、捜査当局の方でお調べになるということになっておりまして、私どもは通知を受けている例はございますが、それほど多数には上っておりません。
#70
○寺田熊雄君 そんなにたくさんないと言うけれども、これは朝日新聞で見たのだけれども、五十一年三月十二日付の報道で、国際的な両替商のディーク社、これはロサンゼルスですか、ロサンゼルスに本店があるんでしょうかね。ところが、香港にも支店があるということで、これはもう小切手というようなものじゃなくて、現ナマを堂々とトランクに詰めて持ち込んでいるんだというようなことがあるんだけれども、これはしかも事実上フリーパスだと言うんだが、こういう報道があるが、こういうことはあなた方お調べになっていらっしゃらないんですか。
#71
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 海外から資金を日本に持ち込む場合の規制でございますけれども、役務契約の対価その他貿易外取引の場合、外国から本邦に円を持ち込むのは自由になっております。携帯移入するのは自由になっておるわけでございます。それから、ドルを持ち込む場合も、これは支払いの対価として持ち込む場合は自由になっておるわけでございまして、大部分の取引は自由化されているわけでございます。
#72
○寺田熊雄君 そうすると、あなたとしてはこれは円を持ち込むのは自由だし、ドルも支払いの対価としてなら自由だと、こういうふうにおっしゃるわけですね。だけれども、この事件で問題になったのはそういうことじゃなくして、それがいわゆる違法な目的で、今度アメリカのSECの発表では、何十社という多国籍企業が、賄賂としてそういうものを小切手で支払うわけにいかないから、そういう目的のために現金を持ってきたんだと、こういうことで問題になっているわけだけれども、あなた方としてはそういう目的はもう一切自分の所轄外だと、関与すべき問題じゃないと、だから構わないと、こういう態度をとっていらっしゃるわけですか。
#73
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 外国から資金を受領する場合に、標準的な決済方法、さっき申し上げたのはその一つでございますが、そういう標準的な決済方法で受け取る場合は自由になっておるわけでございます。そこで、悪い行為の見合いに金を受け取る場合にチェックできるかどうかということでございますが、外為法の第一条に目的として規定してございますように、この法律は「国際収支の均衡、通貨の安定」等を目的としておるわけでございまして、標準的な決済方法でお金がまいります場合に、何か悪い行為をしたお金だということを一々チェックする仕組みにはなっていないわけでございます。
#74
○寺田熊雄君 そうすると事実上通貨としての性格からして何の目的かわからないから野放しにせざるを得ない、結論としてはそうなるわけですね。
#75
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 全く何でも野放しというのではございませんで、もう少し詳しく申し上げますと、標準的な決済方法といいますときに、貿易につきましては一定の要件を備えた輸出手形によって決済を受ける方法というふうなものが主要なものでございますし、役務契約の対価の受領といったような貿易外取引の場合には、まず第一に外国にある非居住者から外貨により、または非居住者外貨預金勘定、または自由円勘定を通じて受領するというのはよろしいし、第二に、日本における非居住者からの受領の場合には、自由円勘定を通ずる方法または外貨交換済み証明書のついております円で支払いを受ける場合にはよろしい。それ以外の場合におきましては、標準外決済ということになりますので許可が要るということになっております。その許可を取らないというときには、これは違反ということになるわけでございます。
#76
○寺田熊雄君 あなた方のいままでの職務執行の上で知り得た知識の中では、香港のディーク社がずいぶんたくさん円を持ってきたとか、あるいはドル小切手を持ってきたとかいうようなことが報道せられておるんだけれども、それはきわめてそういう合法的なものだったんですか、それともそうじゃなかったのか、そういう点は調べていらっしゃるのかどうか。
#77
○政府委員(藤岡眞佐夫君) ディーク社は先ほど先生がおっしゃいましたようにアメリカに本店がございまして、香港その他に支店があるわけでございますが、日本の中には営業所がございませんので、私どもの管理法令の規制の中にないわけでございます。そこでいろいろ情報を通じてその取引を知るにすぎないわけでございますが、ディーク社から金を日本へ持ち込む場合、先ほど申し上げましたように携帯輸入の形で円が入ってくるのか、あるいはどういうかっこうで入ってくるのかその辺がいろいろとその形態がございましょうし、もし事件があるというふうな場合には周知のことにつきましては捜査当局が動くということでございまして、その場合にその周囲から協力を申し上げるということでございます。
#78
○寺田熊雄君 いままでよく新聞紙にも報道せられましたね、日本に帰化した、これはスペインだったかな、あるいはポルトガルだったか、宣教師のホセガルディアノ、日本名を保世新宮という人、これなどが昭和五十年、昨年の七月十八日に東京地裁でこれは判決を受けていますね、有罪の。この判決文などを読んでみますと、やっぱり一番大活躍をしておるのはディーク社のようだけれども、そういう今度のロッキードだけじゃなくて、過去にもこういうふうにあったようだけれども、こういうものを何かあなたの方で調査をして、これをしかるべく規制するというような計画はお持ちじゃないんだろうか。
#79
○政府委員(藤岡眞佐夫君) いまのお示しの件は、いわゆる地下銀行の事件だと思いますが、いわゆる地下銀行と申しますのは、先ほど申し上げましたように、普通の行為ですと正規の手続でかなり自由に行われるんですが、何かこう公開をはばかるようなことをしたいという場合には裏ルートといいますか、そういうルートをとってやっているんじゃないかと思います。したがいまして、為替管理をそこまで網を広げてやるということになりますと、これは先生よく御存じのように、いま日本の対外取引が貿易だけで往復一千億ドル、その他もう何百億ドル、もう毎日毎日巨額の金が動いておりますんで、それを一々事前にチェックするということは、これはとうていできません。そこで違反が見つかりましたときには一罰百戒と申しますか、そういうことでつとめて為替管理法令は遵守されるような仕組みをいまのところとっております。
#80
○寺田熊雄君 これは国税庁次長もいらっしゃるし、それから主税局長には大もとのこれは責任がおありなんで、これは主として主税局長にお尋ねをした方がいいのかもしれませんが、守秘義務の関係でいままでもこの委員会でずいぶんあなた方と議論を闘わしたんだけれども、どうしてもあなた方のおっしゃることは一般的になかなか理解しがたいものがあって、大蔵大臣は前も田中金脈はもう解決したんですということを衆議院の大蔵委員会でも高沢さんにお答えになっていらっしゃる。ただ世間は、あれはやっぱりうやむやにごまかされたという、これは何人に聞いてみられてもそう言うわけです。だから、大臣がもうあれは解決したんですと、国税当局を信用してくださいと、こういうふうにおっしゃるけれども、それはまあ大宮人だね、あなた方雲の上にいらっしゃる方の言われることで、一般大衆はもう絶体にそういうふうに見てないわけですよ。だから、これはやっぱり重ねてあなた方の翻意を促さなきゃいかぬと思うんだが、ことに最近、国民税制調査会で「税務職員の守秘義務についての意見」というのが発表せられました。この国民税制調査会の結論としましても、田中前総理のような公の立場にあった人、それの修正申告、そういうようなものが守秘義務の壁で公開を妨げられるということは現行法上も根拠はない、法理論的に根拠がないという結論が出ているわけです。私ももちろんそう思うんですけれども、結局、これはまあ主税局長にまずお伺いしたいんだけれども、この守秘義務は所得税法のまず二百四十三条に規定がありますが、同時に一千万円以上の所得を持った人については第二百三十三条で申告書の公示が認められておりますね。で、いままでの答弁ではこの公示ということによって守秘義務はその面において解除せられるんだということになっているんですが、これはいま局長としてもお認めになるんでしょう。
#81
○政府委員(大倉眞隆君) おっしゃるとおりでございます。
#82
○寺田熊雄君 そこで、その解除せられたものが、まあ誤りがあったんだということで修正せられたときに、途端にそれがまた秘密のベールの中に入ってしまう、つまり一たんカーテンは開いたんだけれども、それが修正というところになるとまたカーテンを閉めちゃうんだということは、これは実に不合理なことで、なぜそんな不合理なことがあるんだということを私がずいぶんいままでにつついたんですけれども、きわめてそれを公示するということになると数が多いんで、コンピューターに頼る事務量の増大というような事情があるんですとかいうようなことを前の主税局長がるる陳弁するわけです。しかし、国民が見たい見たいと思っているそのものが、一たんは開示されたものがもう一遍カーテンで閉じてしまうというのはどう考えても不合理なんです。それが事務量の増大というようなことで阻まれるということはどう考えても納得しがたいんだけれどもどうですその点、主税局長。
#83
○政府委員(大倉眞隆君) 前国会におきまして、当委員会で寺田委員から御質問があり、それに対しまして、当時の主税局長と、現在も同じ次長とがこもごもお答えしておる速記録丹念に私も拝見させていただきましたが、ただいまおっしゃいました中で、政府側がお答えしていることと、寺田委員のおっしゃっていることに微妙な食い違いがやはりあるように思います。寺田委員の御指摘は、一たび解除したものがまた秘密に戻るというふうにおっしゃっておられるわけですが、私どもの方で御説明しておりますのは、やはり守秘義務というのが一般的にまずあって、それは課税の適正な確保のために必要なものであると。そのうちで、しかしながら同時に、課税の適正な確保のためにある部分を公示すると同じ思想から公示というものも出てきておると。しかりとすれば、公示する範囲は法令で定めておいて、定められた範囲に関する限りは守秘義務は解除される、そのように理解しておる。したがって、御質問の点は、具体的には個人の所得税の修正申告に関してはいつまでの修正申告なんということにしないで、いつ出たものでもすべて開示すべきではないかというところに焦点があると私理解しておりますが、それはやはりこもごも当時お答えしておりますように、どの範囲を公示すれば本来考えておった課税の適正な確保という目的に沿うであろうかということで考えるんだ、その場合にやはり大量の事務処理とか、公示の時期とかいうものを一緒に考えて立法をお願いする。現在の法制のもとでは五月一日に公示をしましようと。暦年課税で毎年ある課税でございますから、たとえばX年の課税についてはXプラス一年の五月一日に公示をいたしましょうと、そのときまでに申告されたもの、あるいは申告に誤りがありましたといって修正されたものを公示するということで、X年における所得について、申告者本人でない方が、ははあ、あの方の申告はこれくらいなのかといって何らかの意見をお持ち願う機会を与える、そこでいいのではないかというのが、いまの法制の考え方だと私は理解いたします。したがって、どの範囲まで課税の適正な確保のためにほかの方にお見せする、名前と所得を、というのはどの範囲までなんだろうかという、むしろ立法論の問題なんだと思うんです。
 どうしても、いやしくも申告が出た以上は、たとえばX年の申告についてXプラス三年でもXプラス四年でも、やはりそれは公示すべきだというふうに考えるかどうかという問題ではなかろうか。やはり大量処理であり、また、事柄の本来の基本的な考え方が、守秘義務と全く同じように、できるだけ適正な課税を確保したいというところから出ている、その場合に時間的にどこまでのものを公表すれば目的が達せられるかというふうに考えた場合には、私はやはりそのときの政府側のお答えいたしておりましたように、Xプラス一年の五月一日までのもので目的は達せられるんではないかと私個人としても考えますが。
#84
○寺田熊雄君 それが、国民の監視を仰いで課税の適正を貫徹するんだという、そういう趣旨からいいますと、むしろなるべく公示の期間なんというものは長い方がいいんで、というのは、すでに児玉の問題でも、いま国税庁長官も全く弁解のしようがない、反省をしているとおっしゃる。田中角榮氏の場合でもそうだし、やはり後で過誤を発見する、あるいは脱税を発見するということはきわめて多いわけで、国民としてはやはりそれを知りたいと思っているわけです。ことに公の立場にある人の問題については一層それは知りたいわけだね。というのは、公の立場にある人は元来廉潔でなきゃいけない、正直でなきゃいけない、それが廉潔でなかった、正直でなかったということになると、やはりそれは政治的にその地位にあってほしくないわけだね。われわれは、自己の政治的な立場からそういう悪い人はのいてもらいたいわけです。そういう政治的な意思を決定するためにも知りたいわけです。ところが、もう全く事務的な事情からそれはもう知らせないんですと、守秘義務ですということを言ってしまうことはきわめて不合理なので、だから私としては、第一に立法論として、まああなた方が立法論として特にこの場合によりどころとしておられるのは、所得税法施行規則の第百二条でしょう。そうでしょう。だからこの百二条を改めるということがあればもういいわけですね。それは一にかかって大臣の権限内にあるわけですよ。そうでしょう、大臣。
 だから私は、大臣、そういう、ましてこの場合は国民の知る権利以上のものなんですね。国政調査権という国民の知る権利よりもはるかに高いと言っちゃ語弊があるかもしれぬけれども、政治的な高い評価を受けなきゃいけない公の権限さえも、あなたは、所得税法施行規則百二条というあなたの権限にあるものを振りかざして阻んでいるわけですから。そうでしょう。だから局長としても、当然これは――立法的な技術はこれは非常にむずかしいと思うんですよ。だけれども、私の言わんとするところは、大臣の権限にある施行規則の百二条ということをよりどころにして国政調査権さえも粉砕してしまうという、そういうことが許されてはいかぬのじゃないかということなんです。どうですか。
#85
○政府委員(大倉眞隆君) 大臣からお答えいただきます前に、やや技術的な側面だけをお答えいたしておきたいと思いますが、法令の技術といたしましては、御指摘のございました所得税法施行規則、これは大蔵省令でございます。大蔵省令で、いつまでに出された修正申告書について公示を行うかというたてまえででき上がっておりますから、おっしゃいますとおり、省令を直しまして、ある年の申告書にかかわる修正申告書は、将来どんなに後になって出てきてもこれも公示するというふうに直すということは、これは技術的には可能でございます。ただ、先ほど私がお答えしましたのは、やはりそういう技術的可能性を踏まえた上で、なおかつ、どういう趣旨でこの申告公示全体ができておるか、それから申せばX年のものについてはXプラス一年の五月一日までの状況でいいんではなかろうかというふうに私が考えているということを申し上げたわけでございますが、もう一つ、繰り返しになって恐縮でございますけれども、当時の委員会で国税庁からお答え申しておりますように、実は、現実の個人の所得税の調査事務の結実の仕方と申しますのは、やはり修正申告書を出していただいて処理するというやり方があるということを申し上げておる。修正申告者を出していただいて処理を終わるというやり方がある。それは、実はそういう手続をとっていただくということであって、更正することと内容は同じでございますということを申し上げておりますんですね。その意味で、仮に技術的に修正申告書のところを表現を直して先へ伸ばしてみましても、そうか、それ公示されるならいやだと言えば更正になってしまう。更正した場合には公示ということはいたさないということでございますので、その辺もあわせて考えてみますと、仮にそこを伸ばしましても、必ずしも実質的に寺田委員が欲しておられる結果がそのことによって生まれるとも思えないという面があるわけでございます。
#86
○委員長(岩動道行君) この際、午後四時十分まで休憩いたします。
   午後四時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時十八分開会
#87
○委員長(岩動道行君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#88
○寺田熊雄君 先ほど主税局長からるる御説明があったんですが、結局一言で言いますと、まあいままでの御説明ではやはり守秘義務の中心はプライバシーの保護にある、同時に税務職員にありのままに事情を述べ、資料を提供してくれる、そのためには自分たちがやっぱり信頼してもらわにゃ困る。そういうことがなくなると、税務行政が円滑にいかないから、だから秘密にするんですと、こういうことなんだけれども、ただ、一千万円以上の人は一たん公示しますから、公示するともうそれは秘密でなくなるから、一応、総所得金額に関してはもう外に出たわけだから、女性で言えば恥ずかしい恥ずかしいと思っていた体がもう皆に見せられたわけだ、写真撮られたわけだ。それと一緒だから、だからそれをもう一遍隠したって意味がないわけで、当事者にしたって、もう自分には秘匿する権利はないんだということはもう認識しているわけだから、それをまたもう一遍カーテンをおろさなければプライバシーのまた侵害になるんだということは、ちょっと理屈に合わない。それから、どうせ秘匿されることはもうないんだと、一千万円以上だから秘匿せられることはない、開示されるんだということを覚悟して述べているんだから、それを開示したからといって、それが税務の円滑な行政の支障になるというものでもないし、だからあなた方の御説明はどうも客観性がないというか合理性がないというか、だから私は更正決定の場合をどうするかということは一つのまた課題になるけれども、いまのこの大臣の権限の中にある法施行規則百二条の規定をよりどころにして総所得金額というものを一たん修正したら、もう一遍カーテンおろして見せないんだというその規定は、これはぜひ改めてもらいたいと思うのです。で、前のたしか主税局長も、私がるるそういう点を説明したところが、「それで、そういう趣旨を全然検討する余地はないのかという御質問でございますけれども、もちろん私どもとしまして、今後においてますます公示の件数というものが、今日におきますところの金額で、一体どの程度になってくるのかということもございますので、そういう件数と、それから大量的に税務署で公示をいたすその手数と、それからおっしゃいますような問題とを合わせ考えて、もちろん今後検討してみたいと思っております。」と、こういう答えをしておられるわけです。これは五十年の三月二十七日の議事録の十四ページです。だから、検討課題だというので、当然私は検討していただいておると思っておったのです。だからどうでしょうか、この点、検討していただいたのかどうか。
#89
○政府委員(大倉眞隆君) 先ほど申し上げましたように、こういう御質問があり、こういうことをお答えしておるということは、私、引き継ぎのときに聞きまして、それ以後、勉強は続けておるわけでございます。で、私どもとしては、現在のところ、いまの省令で所期の目的を達し得るんではないかというふうに考えておることを先ほどお答えいたしたつもりでございます。しかし、もう一遍時間をかけてよく考えてみろということであれば、もちろん検討するにやぶさかではございませんけれども、いままでの勉強の結果では、現在の段階では私はやはりなぜこういうことがあるのかということを考えてみて、それからまた税務の現実で修正申告の慫慂と更正というのがどういうふうに動いておるかということを考えてみて、やはり現状ではいまのシステムのままで目的は達せられているんではないかと考えているということをお答えしたつもりでございます。
#90
○寺田熊雄君 それでは田中金脈の問題で、国民がやっぱりあれはうやむやにされたというような感じを否定することができないわけですね。やっぱりあなた方は守秘義務というものを何か自分の特権のように考えて、これはどうしても守ってしまうんだと、それで国民なんというものは寄せつけないと、はなはだもって官僚的な非民主的な考え方を根拠にしておられるから、そういう守秘義務なんというのは、いま言ったように、一般にはもう一千万円を超える者は公示されるんだから、見せるんだから、その見せることのできるものを、何か技術的な見地からもう一遍閉じてしまわなければいけないのだという、そういう考え方が、どうしたって私は国民の納得を得られないと思いますよ。国民の知る権利を非常に侵害している。大臣、いかがとしょうか、国民の知る権利。あなたの百科事典には知る権利というのはないんですか、どうですか。古いのじゃないですか。国民の知る権利をお認めになりますか。
#91
○国務大臣(大平正芳君) 守秘義務というのは、たびたび申し上げておりますように、税務の申告納税制度を軸といたしまする税務の執行上、職務上知り得た秘密を外部に漏らさないということによりまして、税務の適実な執行を保障しようという趣旨のものでございまして、これは税の執行ということを考えた場合に、当然そういうことは御理解いただける制度であると思うのであります。ただ、それを特定の立場にある方の場合に――そこまでは寺田さんも私は御理解いただけると思いますが、田中さんの場合で問題になったように、総理大臣なら総理大臣というような立場にある人は、守秘義務ということで、開示すべしということに対して税務当局がお断りするということがどうもいけないと、知る権利を不当に制約しておるんでないかということについてたびたび寺田さんから御指摘があるわけでございます。私はそれは全く税務当局の問題でないと思うんです。税務当局ではなくて、これはまた今度は税法にそういうことを求めるべきではなくて、これは立法政策の問題としては別な問題であって、税務当局といたしましては、総理大臣であれ、だれであれ、税務を適切に執行する上におきまして、守秘義務を守って、ちゃんと取るべき税金は確保していくということで、そのような納税者の身分とか立場とかいうことにかかわりなくやってまいる立場にあると思うのでございます。これに対して、立場を考えなければならぬという別な政策目的が仮にありとすれば、それを税法に求めるというのはいかがかと思うのでございます。私どもとしては、立法政策の問題として考えるとすれば、これはやっぱりそういう立場にある人がみずから自分の所得を自発的に開示することが一番望ましいし、それから、それよりも前に、そういうことをする、しないより前に、われわれは法律を守る、守らないより前に、人間として良心に照らしてちゃんとやっているかやっていないかが根本的な問題なんで、そういうことこそ偉い人は考えるはずなんでございますから、法律、制度なんかで縛るというようなことは私は何となく――それで寺田さんもそれで足れりというものでもないと思いますけれども、そういうことでなくて、やっぱりそれぞれの自覚、自省によってちゃんと政治家なら政治家が事を処理されるということが一番望ましいんで、法律にかけて考えるというようなことは余り私はいいやり方ではないのじゃないかと。仮にそれをやるといたしましても、税法にそれを求めることは私はいかがかというような感じが私にはいたします。
#92
○寺田熊雄君 何か大臣非常に誤解しておられるようで、何も法律で田中角榮に懲罰を加えるなんということをいま課題にしているわけじゃないのですよ。いま課題にしているのは、田中角榮氏がああいう修正申告をした、その結末を、あなたには守秘義務の壁で、われわれがその中を明かせというのを、実に強引に阻んでこられたわけです。その阻んでこられたものを追及していくと、結局帰着するところは、あなたの権限内にあるこの施行規則の百二条に帰着しちゃったのですよ。これがなければ、百二条のこの三月末日までに修正申告したものに限るという一片の規定だになかりせば、あなた方はどうしてもそれを開示せざるを得なかった。われわれの国政調査権の前にあなたはそれを答えざるを得なかったわけですよ。だから、そこを私はお尋ねしている。あなたが何でそんな守秘義務なんというものを大事にして、一たん見せたそのものをもう一遍隠そうとするのか。しかも、それがちょっとペンキを塗ったからもう隠さなきゃいけないんだとする。それは合理的じゃないじゃないかということをお尋ねしているわけです。しかも、それはあなたの権限にあるこの百二条をいじればいとも簡単にそういう矛盾は解消するんだから、その矛盾を解消すべきではないかと言ってお尋ねしているんです。
#93
○国務大臣(大平正芳君) ああ、そういうことですか、それを寺田さんが問題にされておるとすれば、それは私もわかりますけれども、そもそも公示制度というのは、その申告納税制度の一つの補完するというか、これを助ける一つの補助的な制度でございまして、それがなければ申告制度が成り立たぬというものでなくて、それがあることによって申告制度がより完全なものになるための一助になるという制度だろうと思うんです。これがなければもう申告制度が成り立たぬというなら、私は、あなたの言うように非常にこれは完璧なものにしておかぬといかぬと思うのですけれども、こういう制度の補完的な制度をもって申告制度を助けてきているわけでございまして、それはそれなりの役割りを果たしてきておると。で、寺田さんはそれをより完全なものにすれば、それだけ確実にすればザベターになるじゃないかというお考えだろうと思うので、それはわかりますよ。しかし、いまの制度でまず補完的な役割りは一応果たせるじゃないかと。事務上の分量からいっても税務署にとっては相当のものだから、まあこの程度の補完的な制度とすればこれだけ機能しておれば、これでひとつ勘弁してくれませんかということも御理解いただけるのではないかという感じがするわけです。しかし、先ほどもお話がございましたように、なお検討をせよということでございましたなら、検討するにやぶさかでございませんけれども、私といたしましてはこの制度はそういう意味のものじゃないかというふうな感じがいたします。田中金脈問題にひっかけてこの制度の是非を論ずるというものではなくて、申告納税制度の補完的な制度としてできて、それがちゃんと機能しておると。そういう中でずっとごく素直に問題を処理していったんです。田中さんの場合も処理してきたつもりですが、私は。
#94
○寺田熊雄君 結局、あの場合、大臣、あなたのそういう守秘義務をあくまでも守り抜こうというそうした態度が国民の知る権利、それからわれわれの国政調査権、それを両方とも、何といいますか、粉砕してしまったわけですよ。そのことはお認めになるでしょう。いや、そうでしょう。だって田中の修正申告の結末を知らせと。まさにその結末を知りたいんだと。あなたはプロセスだけは明かしたじゃないか。その結末はこの条文でできないんだということだったんでしょう。だから、結局国民の知る権利、国政調査権というものを台なしにしてしまったんですよ。そう思いませんか。
#95
○国務大臣(大平正芳君) 私といたしましては現行税法の手順を忠実に踏みまして田中財産問題というのは処理いたしたつもりでございます。
#96
○寺田熊雄君 その結果が。
#97
○国務大臣(大平正芳君) それにすぎないわけで、台なしにしたとか、知る権利を踏みにじったとか、そんな大それたことを言われたんでは非常に迷惑なんで、きわめてもう忠実に税法の執行をやり、そしてそのことはわれわれの方がやり、会計検査院もそれを後でフォローして検査されておられるはずでございまするし、相当の手数をかけて丹念にやりまして処理をいたしておるわけでございますので、私はわれわれの政府を御信頼をいただきたいと申し上げておるわけで、政府を信頼するかしないかという、つまるところそういう問題になるのではないかと。日本ではやっぱり私は、いやもう政府は信頼するに足らないんだというわけじゃなくして、やっぱりお上のやったことというのは私は御信頼いただいておるんじゃないかというように思います。
#98
○寺田熊雄君 まさに非民主的な考え方ですよ、あなたのは封建的な。結局よらしむべし知らしむべからずという思想じゃありませんか。信用しなさい、信用してくれと、その一点に尽きるわけでしょうね。だけど、われわれの本当に、田中のそれじゃ修正申告の結果はあなたはついに秘匿したでしょう。私どもに結果を教えてくれなかったでしょう。それはわれわれの国政府調査権のそれをまさにあなたは踏みにじったんですよ。国民が知りたいと思うその知る権利も奪ったんですよ。そうじゃないでしょうか。それをあなたはわれわれを信用してくれということで切り抜けようとしている。それはまさによらしむべし知らしむべからずという封建的な思想じゃありませんか。そうは思いませんか。
#99
○委員長(岩動道行君) 横井次長。
#100
○寺田熊雄君 よろしい、よろしい。国税庁次長の答うべきことじゃないですよ、これは。改正しろと言ってんです、私は。百二条を改めなさいと言ってんだ。それを改めないことによって知る権利が奪われているから、これを改正しなさいとお尋ねしているんで、国税庁次長が改正するかしないかの問題じゃない。
#101
○政府委員(横井正美君) 技術的な点だけ。
#102
○寺田熊雄君 技術的な問題じゃない。
#103
○政府委員(横井正美君) 先ほど主税局長からもお答えしましたこととも関連するのでございますが、現在の所得税の執行の仕組みと申しますのは、申告当時におきますところの申告の所得金額につきまして一定の方について公示をする、調査によりますその結果につきましては、公示はいたさないというたてまえになっておると考えるわけでございます。それで、修正申告という言葉でございますけれども、実際は全部が調査の結果によるものでございます。したがいまして、それについては公示をしないということがこの慣行、制度になっておりますので、それを前提にして執行が進んでおるわけでございます。修正申告の……。
#104
○寺田熊雄君 それはわかったから。
#105
○政府委員(横井正美君) はい。そういうことでございますから、かえってこれを改めますと、先ほど主税局長申しましたような弊害も生ずるというふうに存じますので、その辺を御理解いただきたいと思うわけでございます。
#106
○寺田熊雄君 時間がないから簡単に言いますが、そんなことはないですよ。これが改まって修正申告を発表したから税務の行政がどうこうということは絶対にあり得ないわけで、むしろ私は五十年の二月四日に前の次長がこう言ってるんですよね。「寺田先生御指摘のその問題というのは、実は私も非常に悩んだ問題でございます。これを発表するということがほんとうに税務の信頼というものにつながってくるか、あるいはこれを秘匿しておくということが税務の信頼というものにつながってくるかという二つの問題、これは私たち事務当局の者としては非常に悩んだ問題でございますけれども、」とおっしゃっている。「しかし、結論として、先生のいまおっしゃいました御議論というものは私は十分尊重してまいりたいと思いますし、また傾聴に値すると思いますけれども、事務当局といたしましてはこれは発表しないほうがいいのではないかという結論に達したわけでございます。」。これは非常に悩んだと言うのですよ。それは良心的な人は悩むと思うんですよ。隠して何が国民の信頼を得られるのか。むしろ隠す方が信頼を失うんでね。明らかにして、差し支えないならば明らかにした方がはるかに国民は信頼するので、この方がはるかに良心的なんで、隠そう隠そうという精神はまことによろしくないと思います。だけど、どうしてもあなたが頑強にがんばるんだったら、しようがない、きょうはこんなところでとめておきます。
 それから次に排ガスの規制の問題をお尋ねしたいんですが、時間がないので結論だけを言いますと、これは主税局長、排ガス規制で高公害車、公害の高い車、これと低公害車との間の税法上の差をもっとつけてくれということを前々からあなた方にも要望しておいた。大臣にももちろん要望した。ところが大臣は、税務行政がそこまで先走っちゃいけないんだ、環境庁や通産省の方から要望があってわれわれが乗り出すので、積極的に税務当局の方から低公害車の製造を促進するという、そういう産業行政の面に税制の面を入れていくのは、先走って入れるのはどうかという御意見があったんだけれども、私が調べたところでは、むしろ一貫して環境行政当局は税務当局に対して考えてほしい、税制の面をもっと生かしてほしいということを要望しておるようですよ、どうです。
#107
○政府委員(大倉眞隆君) 環境庁からそういう趣旨の要望は来ているわけでございます。私どもも税制調査会にその問題点もお示しいたしました。税制調査会では、どの税でやったら一番いいだろうかということを御議論いただいて、低公害車といわゆる高公害車との負担の格差は、この答申で提起する税制としては保有税の方でやったらいいんじゃないかという御提案がございました。で、今回の地方税法改正で自動車税の税率を引き上げますときに低公害車の方は引き上げない、つまり結果的に高公害車の保有負担が高くなるということにさせていただきました。
#108
○寺田熊雄君 もう一つだけ。
 ところが環境庁としては、局長ね、保有税というのはなるほどあなたのおっしゃるように地方税としては自動車税もあります。だけど国税としては重量税があるでしょう、両面にわたって生かしてほしいという要望があるようですよ、きのう私、環境庁の職員を呼んで聞いて確かめた。それもまた環境庁名ではっきりと税制二課の方に書面で出していると言う、それは認めるでしょう。そういうふうに大臣は、先走って、低公害車の製造を奨励するために税務行政が先走っちゃいけないから私はこの程度にとどめたんだということを盛んに陳弁したけれども、調べてみると環境庁の方が要望しているんだな、もう前から。それをあなた方の方は今度でもまた自治体の方の地方税である自動車税だけに差をつけて――わずかな差だ、それも。実際は維持管理のアンバランスを埋めるほどじゃないんですね。燃料の効率を埋めるほどではない、わずかだ。重量税の方はほっかむりしてしまった。これははなはだけしからぬと思うんで、やっぱりそれは地方に負担をかけるだけじゃなくて国も、そういう環境庁が要望しているんだから、低公害車の製造を奨励するために税制の機能というものを活用すべきだと思う、私は。これはそうしてほしい。どうですか。
#109
○政府委員(大倉眞隆君) 時間の関係でできるだけ簡単に申し上げたいと思いますが、低公害車を優遇するというやり方では物品税でやっておる。それから高公害車の負担を高めるというのは今度自動車税でやったということになっておりまして、その間おっしゃるように自動車重量税でもやったらどうかという意見があり、御検討をいただきまして、結論としては自動車重量税ではなくて、保有課税でやりなさいという御答申をいただいたわけでございます。後ほど時間をいただきますれば、答申そのものをごらんいただければ……
#110
○寺田熊雄君 重量税も一種の保有税じゃないの。
#111
○政府委員(大倉眞隆君) 保有課税である自動車税において考慮されることが適当であるという御答申でございまして、経済的な意味では自動車重量税も保有税であるという考え方はあり得ると思うんです、経済的な意味では。ただ創設の経緯その他からしますと、これは保有税ではなくて、やはり一種の道路損壊税であるというふうに考えられていたと私は理解しております。
#112
○寺田熊雄君 時間ですから終わります。あなた、あとでそれ私にください。
#113
○鈴木一弘君 法務省の刑事課ですか、お約束でございますので冒頭申し上げたいと思いますが、先ほど例の児玉の外為法違反の内容、いろいろ寺田委員から御質問がありまして、二十七条の非居住者に対して渡してはならないというその項目でという話でありましたけれども、これはこのたびの起訴では四十八年五月と六月に受けた四億四千万円が対象とされているようですけれども、その他の受領についてはどうなっているのか。刑の上から見ると、公訴の期限は三年が時効のようでありますけれども、そういう成立しているものについては一体どういう考え方を持っているか、この二つをお聞きしたいのですが。
#114
○説明員(吉田淳一君) 先ほど御説明いたしましたように、児玉に対する五月十日の起訴の事実は外為法の二十七条の一項三号で「非居住者」――非居住者というのは、この場合ロッキードの会社でございますが、「非居住者のためにする居住者」、すなわち児玉でございますが、「に対する支払」の受領、ということで起訴しておるわけでございます。金額は仰せのとおり四億四千万円につきまして起訴したわけでございますが、この点は御指摘のように時効がこの分について切迫しておりましたので早急に処理をする必要があったのでございます。それ以外の分については、これも先ほど申しましたように、すでに米国から提供を受けている公表の資料にもそれ以外の領収書等がございまして、そういうものについては目下特に警察、警視庁を中心として捜査を続行している、そういうことでございまして、もちろん検察庁も並行して捜査をしておりますが、まだ警視庁からは事件の送致は受けておりません。なお、つけ加えますと、起訴したこの四億四千万については、この五月十日起訴する前に警視庁から事件の送致を受けまして、その上で起訴しておるわけでございます。
#115
○鈴木一弘君 これは時効の成立しているものについてはどうにもならないということなのか、その辺のところ何か方法があったらば教えてほしいと思います。
#116
○説明員(吉田淳一君) いわゆるロッキード問題というのが起こりましたのが二月四日、六日にわたるアメリカの上院の委員会で証言が行われて、そこから直接端を発しておるわけでございまして、検察庁、警視庁、それから国税局三者が合同して実検して捜索、差し押さえをしたのが二月二十四日でございます。したがいまして、それ以前にすでに時効になったものだと思われるものについては、これは遺憾ながら刑事捜査の対象になり得ません。訴追ができませんので、これは刑事訴訟法としては、時効が完成されたものについて捜査を行うというのは刑事訴訟法の精神として許されないと思います。
#117
○鈴木一弘君 今度の外為法違反容疑事件、この起訴になった、その手がかりになったのは例の盗難小切手の問題というふうに伺っているのですけれども、その件については、玉川署へ出た盗難届けでは、児玉宅の一階八畳間のアタッシェケースの中に四億四千万円というのですか、そういうのが四十八年の一月三日の午後三時から六時の間に盗まれたとかなんとかと、こういうことなんですけれども、普通の盗難事件に比べるとすごく奇妙な感じもあるわけでございますし、その点についてはどういうふうな調査、まあ明かせられる面もあるし、明かせられない面があると思いますが、われわれ非常にこう妙に感じられる時間帯でもあり、おかしな感じもございますので、その点はどうでございますか。
#118
○説明員(吉田淳一君) この四億四千万円が児玉に支払われたというのが公訴の事実でございますが、それのいわば経緯といたしまして、昭和四十八年の一月の初めに児玉宅でドルの小切手が盗難に遭ったという、その盗難に遭った小切手に対する見返りと申しますか、そういうものとして現金が支払われたというのは大体まさしく御指摘のとおりでございますが、これらの事実につきましては、もちろん検察当局としてはその経緯については詳細調べておると思いますが、その御不審の点についてどういうふうに考えたらいいのかという点は、証拠の内容にかなり絡んでまいりますので、できたら御勘弁いただきたいと思うわけでございます。
#119
○鈴木一弘君 どうも午後三時から六時なんという時間に盗難なんということになると、盗難されたんじゃなくて何か作為的なものがあったんじゃないかというふうにも受けとれるんですけれどもね。その辺までちょっとお伺いをしてみたいと思うんですが、いかがですか。
#120
○説明員(吉田淳一君) 再度のお尋ねでございますが、この関係につきましては、警視庁と東京地検はこの外為法違反の成否についての必要な限りでこの経緯、それからこの四億四千万円の現金の性質等については十分調べておると思いますが、まことに申しわけありませんが、私自身その詳細は承知しておりませんし、そういう御指摘の点などについては捜査に必要な限り十分手を尽くして調べておると思うのでございまして、その内容については本日お答えができないということで、これは仮に承知していてもなかなかそこまでは、これ公訴事実としてこれから証明しようとする事実の経緯に絡んでおる背景事情でございますので、御勘弁いただきたいと思うのでございます。
#121
○鈴木一弘君 児玉が四十四年の一月からロッキード社とコンサルタント契約をしておりますけれども、丸紅の場合は丸紅レポートを出しております。児玉の場合も定期的にロッキード社に報告書を提出していたという見方から、児玉レポートがロッキード社に行っていたというような、まあそういうように思われるという声があるんでありますけれども、その辺は存在していたんでしょうかね、こういう児玉レポートというものは。
#122
○説明員(吉田淳一君) どうも事が捜査に関連いたしますのでお答えしにくいことばかりになるので申しわけないんですけれども、この資料の関係につきましては、たとえば米国から提供を受けました資料については、先ほど御紹介ありましたようにいわゆる司法取り決めによりまして秘扱い、秘密を保持するということを条件にしてそれで資料の提供を受けておるのでございまして、その資料の内容がどういうものであったかということを申し上げるわけにはこれはもういかないのでございます。
 そのほか、公表関係で、それまでにいろいろ米国から提供を受けた資料、これは公表されておるのは御承知のとおりでありますが、そのほかに、二月二十四日捜索差し押さえをした。それ以後警視庁は再度の差し押さえをしておるようでございますが、そういう関係でどういう証拠品が押収されているか、これは多数の証拠品が押収されていることは間違いございません。その必要な証拠品については相当分析を重ねた上で捜査していることも、これまた御承知のとおりでございます。その中に児玉レポートというものが存在しているのかしてないのか、この点についてのお尋ねでございますが、令状を持って、強制力を持って捜索差し押さえをいたしました証拠品の種類や標目を申し上げるのはいかがかと思いますので、御勘弁いただきたいと思います。
#123
○鈴木一弘君 じゃ、その点は私の方もくどく伺いたくないんですけれども、やはり児玉レポートというものの存在、こういう点は検察当局としても当然こういう重要な資料の問題はアメリカに資料提供の要請を行うべきだろう、こういうふうに感じるわけですけれども、その点はいかがでございましたですか。
#124
○説明員(吉田淳一君) フォード大統領の返書に基づいてこれを受諾するという閣議決定のもとに司法取り決めが行われたわけでございます。それには第二項で資料の提供の要請があったときは最大限の協力をするというふうに司法取り決めでうたわれております。それに基づきまして東京地方検察庁といたしましては、必要な資料について米国司法省に対して要請をしております。その結果資料が入手されていることはもう御承知のとおりでございます。いつどういうものが入ったのかということは先ほどの理由で申し上げることができませんが、御指摘のような重要なものであれば、それについて重大な関心を払ってその捜査の過程で必要なものは要請をしておるものと考えます。
#125
○鈴木一弘君 結構です、もう。大変ありがとうございました。
 次に、株の売買の問題で若干伺いたいと思うんですけれども、一つは、児玉譽士夫がジャパンラインの株の買い占め事件にかかわっております。またこれは新聞の報道するところでありますけれども、小佐野賢治氏の東京スタジアムの株の売却をめぐる、そういうことについての疑惑の報道がされております。それで伺っていきたいんですけれども、三月十日の讀賣、それから三月二十六日の夕刊フジ、こういうのに東京国税局によると、「小佐野氏は、四十八年六月から四十九年二月にかけ、」東京スタジアムの「株式五百四十万株のうち、自分の持ち株百二十二万株」、夕刊フジでは百二十万株になっています、「を、数回に分け」現在の球場所有者である「竹中工務店に売却、約三億八千六百万円の差益を得た。」、その際に名義の書きかえ時期をずらすなどの方法で申告を免れた疑いがあると、こういうように書かれております。またもう一つ、四月十七日の讀賣新聞の朝刊に、東京国税局は「児玉が四十七、四十八年のジャパンライン株買い占め事件に介入した際、紛争解決の手段として買い入れた株を、ジライン側に高値で引きとらせ、少なくとも数億円の収入を得ていた事実をつかんだ。」、それぞれ報道されているわけでございますが、どちらもこれは国税局の名前が出ております。この二つの事案についてこの事実の有無と、いままでの調査の結果はどうであったのかを伺いたい。
#126
○政府委員(横井正美君) お答え申し上げます。ただいま御指摘の株式に関連する問題につきまして、私どもも情報を得ておりますので、それに基づいて調査をいたしておるわけでございます。ただ事案の内容につきましては現在調査中でございますし、また調査に関して知り得たことということでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと考える次第でございます。
#127
○鈴木一弘君 一つは、これは果たして買い入れだったのか、ジャパンラインの株の買い占め事件に介入したときに買い入れだったのか、それとも謝礼として億単位を受け取ったのか、その辺おわかりになりませんか。
#128
○政府委員(横井正美君) お話のような点について、現在鋭意解明をいたしておる段階でございまして、そのどちらなのかというふうなことも含めまして、答弁は差し控えさしていただきたいと考えます。
#129
○鈴木一弘君 児玉自身がこの事件の介入に入るに当たって、いわゆる六百億円の金を集めたと、これも、というふうに話しているということでありますけれども、関係金融機関の調査でもそういう点ははっきり出てきているんでしょうか。
#130
○政府委員(横井正美君) お尋ねの点につきましては、検察当局とも共同で調査を進めておる段階でございまして、中身につきましては答弁を遠慮さしていただきたいと思います。
#131
○鈴木一弘君 単数の機関なのか、かなりの数の多い金融機関なのか、どちらなのですか。
#132
○政府委員(横井正美君) お尋ねの点につきましての金融機関の数は、それほど多くはないと聞いております。
#133
○鈴木一弘君 先ほど私が申し上げたように、この報道のとおり、たとえば事件介入の謝礼といいますか、として、紛争介入の手段としてというふうになるのか、いずれにしても株を買い入れた、それを、その株をジャパンライン側に高値で買い取らせたと、そうして数億円の収入を得たと、こういう報道か――国税庁ではつかんだと、こう出ておるわけでありますが、これが事実であるとすると、証券取引法の百九十七条あたりに引っかかってくるのかどうか、ちょっと伺いたいと思います。
#134
○政府委員(岩瀬義郎君) 児玉が株の買い占めの際に介入したということで、もしそれがいわゆる証券の売買の媒介というようなそういうものに当たるかどうかということがいま問題かと思いますけれども、これは営業として行ったものではなくて、一回か数回かわかりませんが、反復継続してやっている営業でないということでございますと、証券取引法上の違反という問題は出てまいりません。
#135
○鈴木一弘君 たとえば百九十七条に言う相場の変動を目的とする不正行為というか、非常にわざと高値で引き取らせたということであっても引っかかってはこないですか。
#136
○政府委員(岩瀬義郎君) 当時の株価でございますけれども、これは私どもずっとその前後の株の動きを調べておりますけれども、過剰流動性の非常に激しいころに株価が大体一歩ずつ上がってまいりましたのと同じ平灰のようなことで上がってきております。その取引の前後余り大きなその株価の変動がないのでございます。したがいまして、その点から特に私ども特別のそこに操作があったというふうに解釈すべきかどうかという点は、これはなかなか議論のあるところだと思いますけれども、今回の面を見ますと、いまの株価は特別な株価操作が行われたというふうには考えられないというふうに考えます。
#137
○鈴木一弘君 ですから、現実に言えば、果たして適当な値段で引き取らしたのか、あるいは高値で引き取らしたのか、その辺が調べてみなければわからないことかもしれませんけれども、そういう、いままであった両方から見て、児玉及び小佐野賢治氏のいわゆる株操作が事実であった場合、いわゆるこれは税法の問題ですね。所得税法第九条第一項第十一号という、いわゆる「有価証券の譲渡による所得のうち、次に掲げる所得以外のもの」は課税の対象にならないということで、いろいろ逃げられるようになっておりますけれども、その課税の対象にならない方でない方に入って課税ができるということは可能なものなのかどうなのか。
#138
○政府委員(横井正美君) いわゆる買い占めかどうかと、こういうふうな判定につきましては、私ども、取引所の判断等を重視いたしておりますので、今回のただいま御指摘の点につきましてはこれには該当いたさないのではないかと、かように考えておるわけでございます。
#139
○鈴木一弘君 つまり、該当しないということは、所得税の対象にならぬということですね。そうじゃなくて……。
#140
○政府委員(横井正美君) お話のとおりで、児玉が株を買い占めたということではないようでございますし、また、取引所の方でこれに該当するような条件を満たすものという御判定もないようでございますので、課税関係はこの意味におきましては起こらないかと考えております。
#141
○鈴木一弘君 そうすると、それは所得税法施行令の二十六条の、いわゆる売買益に特典を与えておりますけれども、売買回数が五十回以上、株数、口数の合計が二十万以上という、そういうもので、まあそれ以上の継続取引をしてない限りという、そこに入ってくるわけですか。
#142
○政府委員(横井正美君) ただいま御指摘の条項に当てはまるかどうかということも念頭に置きながら、児玉の株式売買への関与につきまして調査を進めておるということでございます。
#143
○鈴木一弘君 調査を進めているということであって、これ、五十回以上あるいは二十万株以上という、この辺はどうなっていますか。その辺がまだはっきりわかっていないということですか。
#144
○政府委員(横井正美君) この三光・ジラインの問題のほか、別の株式の売買に関与したというふうな情報も、ただいま先生から御指摘もあったわけでございますが、いろいろ関係の株式売買等がございますので、それらにつきまして五十回以上かつ二十万株以上というふうな条項に当てはまるか、あるいはまた買い占めというふうな条項に当てはまるか、この辺をいろいろ調査をいたしておるというところでございます。
#145
○鈴木一弘君 買い占めというのは二十七条のことですね。二十七条のいわゆる「買集めによる所得」、その場合は同一銘柄の有価証券を相当数買い集めて、その所有者たる地位を利用して売却することによって生じた所得、これにひっかかるというふうに本当になればこれはありがたいんですけれども、実際なるかどうかです。どちらにも――この施行令は二十六条の方と二十七条と読んでいくと矛盾したようなものがありますからね、果たしてどっちになってきますか。そちらに該当するとして課税をすると、こういうことなのか、どちらなんですか。
#146
○政府委員(横井正美君) ジラインの問題に限って申しますと、この「有価証券の買集めによる所得の範囲」という二十七条の要件には該当いたさないんではないかと、かように考えております。一つには、この児玉が株を買い集めたということではなさそうであるということ。第二には、先ほど申しましたように、証券取引所等の御判断にまつわけでありますが、それが出ておらないというふうなことからでございます。
#147
○鈴木一弘君 そうすると、これはまたほかのものを引きたいんですけれども、この問題でちょっとやはりいわゆる不公平税制を直すということになると、いまの言われているこの所得税法で、この九条一項ですか、いわゆる所得の範囲にしないといいますか、そういうような有価証券の譲渡による所得でも次に掲げるものは所得の範囲にしないと言って、いわゆる五十回以上二十万株以上の継続した売買とか、あるいはいま二十七条の場合の買い占めでもいまのは該当しないんじゃないかと、こう言われていると、そういうことになりますと、これは脱法行為というものを、脱法行為というわけじゃありません、これはありますからね。しかし、われわれから見るというとどうも納得ができない。やはりこの所得税法九条一項十一号というか、それに伴ってこれは税の対象ではないと言っている、所得ではないと言っている、この第二十六条、二十七条といいますか、こういう施行令というのはこれは根本的にこの辺でやり直しをしてこないといつでも問題になることです。問題になることですけれども、私たちとしてはこれは納得ができない感じです。こういうのがきのうも、きのうは無記名預金のこと取り上げましたけれども、株の問題についても同じような、いわゆる税の不公平というものをつくるような抜け穴が、これは政令自身の中にできてきていると、あると、構造汚職といわれているのは、やっぱりこういう法律、政令そのものの洗い直しをしなければなくならないという姿を私は示しているんだと思うんですよ。そういう意味でこの施行令の抜本的検討、これは省令でできるわけでございますから、大臣の力でできるわけでございますが、その点はいかがにお考えでしょうか、伺いたいんですが。
#148
○政府委員(大倉眞隆君) この問題はかねてから当委員会でも、また衆議院でも御指摘を受けております。やはり現在の政令の規定のもとでは課税にならないというケースを具体的によく勉強をいたして、それがやはり五十回、二十万株ということで課税にならないということで果たして御納得をいただけるかという問題は、少なくとも私としましては十分に研究をいたしてみたいし、またその時期ではないかと、まあ具体的にどういうことをやるかということにつきましては、まだお答えを申し上げるほどの段階でございませんけれども、内々専門家との間で一つの勉強会のようなものをつくりまして勉強を始めております。具体的にどこをどう直すかということにつきましてなお相当の時間をちょうだいしなくてはならない感じはいたしておりますが、少なくともいまの規定のままでもういいんだというふうには私としては考えておりません。もう少し何か直す余地があるんではないかというつもりで勉強を続けております。
#149
○鈴木一弘君 それは二十六条、それから二十七条についても同じことですな。
#150
○政府委員(大倉眞隆君) 二十七条の方は、やはりこの規定をつくりますときに、相当議論を重ねてできているというふうに聞いておりますので、やはり証券取引所または証券業協会から、これはちょっとおかしいんではないか、どうしたんだというふうなことを条件にするというのは必要かもしれません。なお勉強はいたしてみます。
#151
○鈴木一弘君 それからまださらに児玉譽士夫については四十八年三月に国民相互銀行の株十万八千株を取得して、その増資株を加えて十二月四日に国際興業の小佐野氏へ同株十八万三千六百株を譲渡し、三日後にまた同株一万株を今度は児玉が取得している。これは国民相互銀行の株の売買についてはどんなふうな調査をなさっておられますかね。わかりませんか。
#152
○政府委員(横井正美君) 御指摘の国民相互関係の株の売買に関する情報、これにつきましても私ども鋭意真相の解明等に当たるということで調査を進めておるわけでございます。まあ内容につきましては御容赦いただきたいと思います。
#153
○鈴木一弘君 時間がなくなってきましたので、もう一つ伺いたいのですが、いわゆる児玉譽士夫の脱税事件について、児玉自身及び児玉の使用人である側近ナンバーワンの太刀川恒夫秘書、それから南善一財務担当秘書、それから関係税理士である幸宗次、こういう人についてのまあ脱税面での法的な責任というのは一体どういうふうにお考えでございますか。
#154
○政府委員(横井正美君) 先ほど国税庁長官からも寺田委員の御質問にもお答えいたしたかと思うのでありますが、児玉の所得税違反に関連いたしまして、児玉の周辺の方につきましても調査を進めておるところでございます。で、その周辺の方の一部につきましては、三月十三日の段階で課税の更正をいたしたという方もございます。なお、幸税理士につきましては、過日衆議院の大蔵委員会で御質問がございまして、私からも御答弁申し上げたことがございますが、児玉の関連会社の監査役をいたしておるというふうなことがございますが、児玉のいわゆる正規の関与税理士と、あるいは顧問税理士という立場にはないと承知をいたしておりますし、また脱税工作等に関与したということもないというふうに承知をいたしております。
#155
○鈴木一弘君 これは本当は国税じゃないかもしれませんけれども。たとえばちょっと判例を見ると、昭和三十年の五月二十七日の東京地裁の判例でも、取引の一部だけを営業係員から会計係員に通知せしめて帳簿を作製させて、会計係員がその帳簿をもとにして作成した過少所得の決算、過少所得ですね、その提示を受けてこれを承認して、個人をして確定申告の提示をさしたと。これは詐欺その他の不正行為であると、こういうふうになっておるわけですね、判決は。それから二十四年十二月二十三日の大阪高裁の第七刑事部での判決は、過少な申告が常にいわゆる詐欺その他不正な行為に当たるとは言えないけれども、二種類以上の所得があって、そのうちの一種の所得を隠匿して申告しなかったときは、その過少申告自体が詐欺その他不正の積極的作為に当たり、いわゆる単純な不正申告の場合とは違うと、こういう判決が出ている。同じく判例として、二十六年五月二日の福岡地裁でも、詐欺行為は不正行為の例示であり、不正行為とは脱税を目的としてこれを可能ならしめる一切の行為を含むといって書いてあるわけです。こういうのから見ますというと、これは一人一人、これは児玉譽士夫の脱税事件について、いま幸税理士の件についてはわかりましたけれども、そのほかの人たちについてはいわゆる脱税という問題だけじゃなくて詐欺その他の不正行為というようなものにまで広がってくるんじゃないか、その辺については国税庁として当然これはまあ取り上げていかなきゃならない問題じゃないかと思うんですが、この点はいかがお考えでございますか。
#156
○政府委員(横井正美君) ただいまお示しいただきましたような判例等につきましては私どもも常々勉強いたしておるところでございます。この児玉の周辺の方等が御指摘のようなことで偽り、不正というふうなことに該当いたしますならば重加算税を取るとか、あるいはまた告発起訴を行うとかいうふうなことにもなるわけでございますが、先ほど申しました三月十三日段階におきまする周辺の方に対する更正に当たりましては、その辺を検討いたしました結果、それまでに至らない通常の所得調査であり得るような課税漏れがあったということでございまして、そのような意味合いにおきまする所得税の更正を行っておるという次第でございます。
#157
○鈴木一弘君 時間がないのでこれで最後にしますが、大臣にぜひお答えいただきたいんですが、先ほど主税局長が所得税法九条のいわゆるそれに伴う政令についていま検討をしていると、そうして何らかの措置をという話でしたが、まあ検討ばかりされていていつまでも実現しなけりゃ、これは不公正是正いつまでも直らないわけでございますが、その点については一体いつごろまでにというような御指示なりめどなりをおつけになってやらさしていくようになさるのかどうか、それだけを伺っておきたいと思うんです。
#158
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘の問題につきましてはこれまでの経過もよく検討いたしまして、それから各方面の意見も聴取しなければなりませんが、いつごろまでということでございますが、できることならば今年中ぐらいに一応の見当をつけたいものと思っておりますが、必ずそれにそのタイミングの中でつけられるという確信をいま持てるわけじゃございませんけれども、それを努力の目標といたしまして、極力努力をしてみたいと思います。
#159
○近藤忠孝君 最初に、いま問題になっております児玉の脱税関係から質問に入っていきたいと思います。
 児玉の関係ではロッキード社とのコンサルタント契約年間五千万円の報酬と、それから航空機の販売手数料契約、こういったものが脱税ということでいま起訴されているわけです。
 そこでお伺いしたいのは、税法上の性格としてどんな性格の所得なのか、この点いかがですか。
#160
○政府委員(横井正美君) お尋ねの点につきましては、私どもも過去の取り扱いの事例等もいろいろ参酌いたしまして十分検討をいたしたわけでございます。この児玉のいまお尋ねの収入金額から生ずる所得につきましては、契約書その他念査いたしました結果、営利性が高いということ、それから反復継続しておるということ、長期にわたっておるということ等からいたしまして、事業所得というふうに判断を最終的にいたしたものでございます。
#161
○近藤忠孝君 そうしますと、すべてが事業所得でしょうか。いまのところそれ以外のもの、たとえばこれは要するに工作費ですね、受け取ったものとか、そういった事業所得以外の性格、いわゆる雑所得とか、そういうぐあいに見られるものはないんでしょうか。起訴された段階ではそれはいまのところ事業所得かもしれません。しかし、いまほかの性格の金があるかどうか、こういう面でいろいろ調査しているという、そういったことはないでしょうか。
#162
○政府委員(横井正美君) 三月十三日に私どもが告発し検察庁が起訴をされました額につきましては、先ほど国税庁長官よりも寺田委員等にお答えしたかと思いますが、同日玉川税務署より四十五年分、六年分、七年分の所得税の更正をいたしております。これは金額については申し上げますことを差し控えさしていただきたいのでありますが、告発起訴になりましたもの以外の所得も加えて更正をいたしております。その中には事業所得以外の所得に属するものもございます。
#163
○近藤忠孝君 そうしますと、これは大変大事な問題でありますけれども、事業所得以外の所得としますと何になるんでしょうか、それ申していただけますか。
#164
○政府委員(横井正美君) お尋ねは、いわゆるフィクサー料というふうなことに関連するお話かと思いますが、先ほど申し上げましたように、営利性、反復継続性等との関連でございますので、たまたまそういうフィクサーとしての仕事に伴いまして所得を得たというふうなことでございますと、通常は雑所得ということになろうかと思います。そのほかたとえば株式の配当について、これは鈴木委員からも御質疑がございましたが、その辺も見直しをいたしておるわけでございますので、株式の配当所得というふうな場合もないわけではございません。
#165
○近藤忠孝君 雑所得があるということを伺ったんですが、雑所得といたしますと、たとえばそれを受け取ってほかへまた渡すということがありますね。この場合にはいわゆる政府高官に渡ったということなんですが、そういうものはこれは雑所得、一般論として聞くんですけれども、これは経費にはならず、全部が児玉の所得になる、こういうぐあいに聞いてよろしいんでしょうか。
#166
○政府委員(横井正美君) お尋ねの点は事業所得につきましても、雑所得につきましても同じであろうというふうに思いますが、一たん児玉の所得になりましたものの中からどなたかに贈与をするというふうなことでございますならば、児玉の経費にはならないということでございます。
#167
○近藤忠孝君 そういたしますと、事業所得も雑所得も含め、まずその額に対して児玉に課税される、それから今度は政府高官に渡った場合、これは場合ということでひとつお答えいただきたいんですが、渡った場合には、その渡った金の性格は税法上どういう性格なんでしょうか。
#168
○政府委員(横井正美君) 現在調査中でございますので、かつまたお尋ねの点は検察庁中心で進められておりますので、実際どうなのかというのはお答えできかねるわけでございますけれども、仮にそういう場合がございます場合は、この渡した児玉の側につきましてはいわゆる経費にならない、あるいはまた寄付金控除というふうなこともないということでございます。で、受け取りました側でございますが、高官というのが仮にでございますが政治家であります場合におきまして、政治資金ということで受け取ります場合もございましょうし、あるいは新聞報道等その他では賄賂というふうな意味合いもあろうではないかということもございますが、それぞれの資金の性質に従いまして所得税の課税対象になるとか、あるいは贈与税の課税対象になるとかいうことを検討いたさなければいけないかというふうに考えています。
#169
○近藤忠孝君 政治資金と賄賂ということで、政治資金の場合には届け出なければまずいですからね。恐らくこの場合には大方賄賂ということになろうかと思うんですね。で、賄賂ということになった場合、これは贈与でしょう。贈与になりますね。どうですか。
#170
○政府委員(横井正美君) 政治資金ということになりました場合は、御案内のように、政治資金の収入を雑所得の収入といたしまして、政治目的のための支出を雑所得の支出といたしまして、差額が、残りがございましたならば申告を要するということになるわけでございます。ゼロまたは赤字の場合には申告を要しないということになります。
 で、賄賂の場合でございますが、贈与というふうに考えるのが相当ではないかというふうに考えておるわけであります。
#171
○近藤忠孝君 それじゃ、その贈与の分に限って伺いますが、この場合には受贈者ですね、いわゆる政府高官に。その額がこの場合には控除されるべきものないですね。全額やはり課税の対象になると、こう聞いてよろしいですか。
#172
○政府委員(横井正美君) そのように御理解いただいて結構かと思います。
#173
○近藤忠孝君 いわゆるダブル課税になるわけですね。そうしますと、これは国税当局としますと、もちろん児玉に対して追及していくと、いままでしてまいりました。で、今後もあると思うんですが、と同時に、いわゆる政府高官に対しても、これは当然贈与があった可能性が大変強いわけですから、そこを徹底的に糾明し、これは国民のためにもそこから徴収すると、しかもこれだけ一定の証拠を、受け取ったことを、だれかはまた別として、だれかが受け取っていると、こういう一定の可能性がある場合には放置してますとそれだけ税収が減るわけですから、それは国民に対する責務としてもそういう角度から徹底的に追及していく、こういう立場で取り組んでおられるかどうか、いかがですか。
#174
○政府委員(横井正美君) 一つ申し忘れたことがございますので、追加させていただきます。仮にいま政治家の方が収賄ということで受け取りまして、一応贈与ということになるわけでございますが、この収賄の容疑でもって起訴されるということになりますと、御承知のように刑法の没収、追徴の規定との関連で必要没収という対象になるものと思われるわけであります。その場合におきましては、没収あるいは追徴ということによりまして、経済的利益はなくなるということになりますので、その場合におきまして、検察と税務が同じ政府の一員といたしまして考えますと、収賄に当たる金額について課税をいたすのは避けるべきだろうと、こういうふうに考えます。
 なお、お尋ねの点につきましては、もちろんでございますので、今後そういう点について努力をいたしたいと思いますが、なお日米司法当局間の取り決めでは、御承知のように、第三項におきまして、米国側から検察当局へ参りました資料は刑事事件の捜査、調査にのみ使われるということになっておりますので、いわゆるその点についてのアメリカの資料は私どもの方に開示されることを予定してないということでございます。で、刑事事件になる、つまり私どもでは査察事件になるというふうな資料につきましては開示になるということでございますし、日米取り決めができました直後、私どもから検察庁当局に対しまして、資料の開示方をお願いしてあるという状況でございます。
#175
○近藤忠孝君 いま言われた刑事事件となるという場合には、収賄と、もしくは脱税と二つありますね、どうです。
#176
○政府委員(横井正美君) 収賄の関係は検察庁でおやりになりますので、当然に三項の規定で使われるわけでございます。それから、私どもの方へはその三項のうちで脱税査察調査ということで必要な場合に開示になるということでございます。
#177
○近藤忠孝君 で、一応脱税ということでその資料が見せてもらえるわけですね。
 そこで、先ほどの答弁ですと、金を受け取ってもまた没収されちゃう、だから経済的利益はないということは、その言葉からうかがえることは、結局私が先ほど言ったような観点では調査はしていない、また調査する気もない、こういうぐあいに聞こえるんです。要するに、結局贈与として課税されるわけでしょう。しかし、また没収で経済的利益なくなっちゃうから、したがって、国税庁としてはこれは調査はしないと、こういうぐあいに聞こえるんですけれども、いかがですか。
#178
○政府委員(横井正美君) 法律論としてはそうでございますけれども、そういうことになるかどうか、事実関係を十分念査する必要があるわけでございますから、私どもといたしましては検察当局と共同いたしまして、児玉の資金の流れ、これを追及するというふうな構えで銀行調査その他を鋭意進めておるという段階でございます。
#179
○近藤忠孝君 法律的にはそうなると言うけれども、果たしてそうでしょうか。いまの訂正することないでしょうか。そのとおりでもいいんですか。
#180
○政府委員(横井正美君) 先ほどお答えしたようなところであろうと思っております。
#181
○近藤忠孝君 大きな抜け穴があるんですね。というのは、収賄罪が成立するのは職務に関してだけです。そうでしょう。金を受け取りましても職務に関係しなければ、これは少なくとも収賄罪にはならぬでしょう。しかし、脱税は残るんですよ。残りますね。これは刑事事件になる。では資料は見せてもらえる。となれば、収賄罪にならない、職務に関係しない可能性のあるこの部分は、これはやっぱり徹底的に全面的に贈与として追及しなければいかぬじゃないですか。で、この部分は刑法的には没収ないんですよ。どうですか。
#182
○政府委員(中橋敬次郎君) ちょっと私、先ほど来ずっと聞いておりませんので、重複することがあるかと思いますが、日米司法当局間におきますところの取り決めにおきまして、私どもは次のように理解をいたしております。
 すべての資料の開示は、刑事捜査手続上必要な部分に限りまして法執行機関に対して行われるということでございます。それで、まず第一次的には検察庁なり警視庁なりにおきまして、いわゆる刑法に関します調査はそれに基づいておやりになると思われます。その場合には先ほど申しましたように、仮にそこで収賄というような刑法の罪が行われましたときのそれに付随いたします課税関係は、先ほど国税庁の次長がお答えしたとおりでございます。私どもにまだどういう問題が開示されるかということは実はわかりませんけれども、これも先ほどお答えいたしましたように、われわれに開示されると予定されておりまするのは、やはり刑事捜査手続に関しますものでございまするから、国税当局としてそういうものとして考えられますのは、いわゆる脱税事犯についてのものだと思われます。したがいまして、刑法の罪というよりは、むしろ脱税事犯として私どもの方で調査の必要があるというものについては、検察当局から私どもの方の国税当局に対しまして、あの取り決めのとおりの条件でもって開示が行われると思われます。そうしますと、私どもといたしますれば、やはり国犯法の適用によりましてその調査を進めるということになると思います。
#183
○近藤忠孝君 ですから、要するにダブル課税の可能性が大変多いわけですよ。ですから、その分に限っては、これは徹底的に追及しなきゃいかぬわけですが、ただ先ほどの答弁を見ておりますと、どうもその辺あやふやなんですね。
 そこで、大臣、先ほど来のやりとりを聞いておわかりのとおり、児玉にも課税されるけれども、いわゆる政府高官にも課税される、没収される場合は別として、されない場合もあり得るわけですから、そういう部分も徹底的に追及していくという、こういう点で国税当局の上に立って徹底的にやっていくと、こういう決意はおありですか。
#184
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりです。
#185
○近藤忠孝君 次に、丸紅の関係についてお伺いしますが、先ほどの答弁の中で、丸紅を強制捜査した結果では、法人税法違反の容疑はない、その後、あとは任意捜査で対処していると、こういうことだったんですが、それは間違いないですか。
#186
○政府委員(横井正美君) 先ほど御答弁申し上げましたのは、丸紅について一月中旬から法人税法に基づく調査をいたしておりました。で、その後御承知のような裁判官の令状をもらうに必要な疎明資料等を得るには至っておりませんので、強制調査には踏み切らないで、引き続いて任意調査をいたしておるということを申し上げたわけでございます。
#187
○近藤忠孝君 そこでさらにお伺いしますが、一般には空領収書であっても、実際入金があったことをうかがわせる証拠がありますと、これはなかなか勘弁してもらえないですね。逆にその領収書が本当に空の領収書であって、これこれしかじかによって金が入ってないんだということを完全に納税者が立証しない限りは、これは税務署は徹底的に追及していく、そしてはっきりしない場合には、むしろそれに基づいて課税していく実例を私どもずいぶん見ているんです。こういう点から見てみますと、ピーナツとかあるいはユニットということで、いわゆる外形的には金が入ったことを十分にうかがわせる、こういう証拠があるわけです。で、いままでのずっと一連の経過の中でも、アメリカのコーチャン証言の信憑性は大変高いと、こう言われておりますね。となると、一般の事例から見れば、これはもう完全に反証を丸紅が挙げるまでは、入金がされたものということで、これは追及すべきだと思うんです。実際こんな金は丸紅の帳簿には入っていないわけですよ、入れるはずはないんですから。となれば、帳簿外の金があるという重大な疑いを持って徹底的にやるべきだと思うんですけれども、そういう立場でやっていましょうか。
#188
○政府委員(横井正美君) お話のような態度で私どもとしてはこの問題について十分努力をしておるというつもりでございます。ただ専門家であられる近藤委員御承知のとおり、疎明資料かなりのものを持ってまいりませんと令状がいただけないということでございますし、アメリカ側での証言は確度の高いものだということも言われますけれども、それだけで強制調査のための令状が得られるというものでもございませんので、私どもとしては強制調査をいたしておりませんけれども、通常の法人税調査という中でこの問題を十分解決するという構えで現在は調査を進めておるということでございます。
#189
○近藤忠孝君 そうしますと、少なくともピーナツとかユニットとかのこういう領収書に基づく疑いは、まだ反証は挙げ得てない、こういうことで依然として捜査はそういう角度から続けておると、こう聞いてよろしいですか。
#190
○政府委員(横井正美君) そのとおりでございます。
#191
○近藤忠孝君 それから、丸紅の場合にも、先ほどの児玉からいわゆる政府高官へと同じようにダブル課税の問題出てきますね。同じように扱う意思はありますか。
#192
○政府委員(横井正美君) 渡す側が法人と個人という違いがございますので、若干の違いはございますけれども、おおむね同じ考えでおるわけでございます。
  〔委員長退席、理事中西一郎君着席〕
#193
○近藤忠孝君 じゃ、そういう角度から一層徹底的に追及していこうと思っております。
 そこで次に、租税特別措置の問題について入りたいと思いますが、これは大臣の所信表明演説でも言っておりますように、こういう大変財政危機の折なので「租税特別措置につきまして一層の負担の公平を期する見地から全面的な見直しを行い、いわゆる企業関係の特別措置を中心として相当大幅な整理合理化を行う」こう言ってきたわけであります。しかし実際はどうもそうなっていない。これは後で指摘いたしますけれども、こういう租税特別措置を初めいわゆるわれわれが特権的減免税と呼んでいるものは、いまの日本の経済あるいは地方財政に対してもいかに大きな影響を与えているか、こういったことを一つ指摘した上でこの問題に入っていきたいと思うわけであります。
 自治省は来ておられますか。――わかりました。
 そこで大臣に聞く前に一つ自治省にお伺いいたしますけれども、四日市を中心とするコンビナートの関係でありますけれども、いろいろな租税の減免措置によって企業の収益が帳簿上は大変落ちているわけですね。そういう結果、法人事業税が、これはたしか五十年度ですか、ゼロになるという企業が大変多い、それから法人県民税も均等割りしか払っていない、こういう状況が大変多いわけであります。そこで、これは三重県議会でありますけれども、私どもの党の県会議員が県知事に質問したことでありますが、三重県内の主要法人百二十社のうち三十五社が赤字決算である、その中には四日市のコンビナート企業が軒並み名を連ねている、一方県費の中から十五億円の環境部予算が出ているわけでありますが、それは四日市のコンビナートを中心に主に使われている、こういう点を指摘して県知事に見解をただしたわけであります。それに対する県知事の答弁は、「御趣旨には全く私も賛意を表したいところがあるのでありますが、制度の問題としてとりくんでまいるわけでございまして、知事は一体何をしているのだというお叱りでございますけれども、どうかそういう意味で国の段階においても格別の御支援をお願いしたいと思っております。」、要するに県へのこういうコンビナートからの税収よりも、むしろ出費が多いじゃないかという、基本的にはこういう主張に対して、県知事の答弁は、もうそれは県の段階の問題じゃないのだ、国政上の問題なんだ、だからいわば国の方へ文句言ってくれ、こういう答弁のように聞こえるわけであります。そうなりますと、これはここで議論をしなければいかぬわけであります。半分ぐらいはこれは地方行政委員会でやるべきことかもしれませんが、大蔵大臣とも関係しますので、ひとつこういう県知事の答弁を受けて、自治省としては一体この問題どうとらえられ、どう対処されるつもりか、この点についてお伺いしたいと思います。
#194
○説明員(関根則之君) コンビナートから上がります県税収入なり、市税収入というものを的確に把握するということは実際問題として非常にむずかしい話でございますが、一応県の方で試算した数字を見ましても、昭和四十九年は県税収入がコンビナート関係から約二十七億程度入っておりまして、公害関係に使った県費が三億程度でございます。それが五十年度では確かに税収が落ち込みまして、コンビナート関係からの税収が七億程度、それに対して公害対策関係の事業費としては、県費で約三億程度という形で、この比較に関する限り、公害対策その他、これは関連事業も含めての話でございますが、公害関係の経費がコンビナート関係から入ってまいります税収をオーバーするというような事態までにはなっていないようでございます。
 まずそれ、事実関係だけを申し上げておきまして、考え方でございますが、私どもは当然四日市関連において必要な県費及び市の経費につきましては、地方財政計画並びにそれをもとにいたしました交付税措置によりまして、支障なく事業ができるだけの財源を捕捉いたしまして、必要であれば交付税によってそれを配分する、一時的な支出につきましては、地方債の許可をしていく、こういう形で一応の財源措置はできておるというふうに考えておる次第でございます。もちろん、現在の四日市市は不交付団体でございますから、交付税は行っていないわけでございますが、私どもの方で交付税法に基づいて計算をいたしますと、みずから徴収し得る税収の中で何とか賄っていける、そういうような形になっているわけでございます。
#195
○近藤忠孝君 いまの答弁に二つ問題ありまして、一つは公害対策費が三億というこの把握ですが、恐らくこれは直接的な、本当に直接的な公害対策費だと思うんですね。三重県の、私が先ほど申し上げたのは、環境部予算と申して、これはもっと広く申したんですが、コンビナートできますと、直接そのいわゆる公害対策費だけではなくて、これはもう自然環境に、あるいはもっと大きくは、経済体制全体への大きな影響ありますから、その自治体あるいは国からの出費は間接費がもっと大きくなると思うんです。ですから、そういう点では特に五十年度は税収が七億になりますと、これはそういう間接的な金も含めますと、もう上回る可能性がずいぶん出てくることがあろうと思います。
 それからもう一つは、なぜこういうコンビナート関係の各企業がここで赤字になったんだろうか。その中にはこれは県議会でも議論されておるんですけれども、いろいろな減免措置があって、いわゆるこれは帳簿上の赤字じゃないか、実際そういういろんな制度がなくなれば、もっともっと企業の所得は、純利益は出てくるはずだ、こういった議論があるんですが、そういう点についてはいかがお考えでしょうか。
#196
○説明員(宮尾盤君) いわゆる企業に対します特権的な減免税というものについてどういうふうに考えるか、こういうことでございますが、この点につきましては、私どもといたしましては、いわゆる租税特別措置につきましては、国税、地方税を通じまして、常にこれをできるだけ既得権化あるいは慢性化しないような形で洗い直しまして、まあ廃止をするものが適当なものであれば廃止をする、あるいは縮減をしていく、こういうことに努めておりまして、本年度におきましても、地方税あるいは国税を通じまして、相当程度の整理縮減を行ったわけでございます。
  〔理事中西一郎君退席、委員長着席〕
企業が赤字を出す、いまほとんど税金を納めないということにつきましては、租税特別措置の問題ももちろんある程度いろいろな形での関連はあるわけでございますが、そのほかに最近の景気の影響を受けまして、たとえば地方税であります事業税につきましては、若干の特殊な業種を除きまして、大多数の業種につきましては、法人税と同じように所得を課税標準とする、こういうたてまえをとっております。したがいまして、最近のような経済情勢を反映して法人事業税についてもほとんど赤字だから納めないという、別の角度からの問題点といいますか、そういう点もあるわけでございます。いわゆる赤字決算だから、それがすべてそういう特別措置の影響を受けて、そして地方税を納めないんだ、こういうことでは必ずしもない、こういうふうに考えております。
#197
○近藤忠孝君 私もそうは言っておるんじゃなくて、これは特権的減免税はその一部であるということはもちろん間違いないと思います。それから地方税法の改正の問題とか、あるいは法人住民税の均等割りを資本金クラス別に改めるとか、いろいろ措置はあると思うんです。これは別の機会に譲りたいと思います。
 そこで、大臣に対してお伺いしたいんですが、いまの議論をお聞きになっての大臣の御意見を聞きたいと思うんです。きょうは時間がなくて、本当は租税特別措置の見直しがきわめて部分的であるし、なすべきことをなしてないということを申し上げたかったんだけれども、時間がないので、これは次に譲りたいと思うんですが、いまも指摘があったとおり、やっぱりそこにかなり重要な部分として、そういう特別措置があるために帳簿上の赤字が出てくるという、そういう原因になっていることは明らかだと思うんです。しかも、その公害対策費と税収とがほぼ同じ、あるいは逆に上回るというような事態が各地方自治体に出ている、あるいは出る可能性があるとなりますと、これは大変大事なことだと思うんです。
 たとえば生活保護世帯が、そういう税収と、それからそこへ対する金が与えられるのが逆になることは、――これはもう当然ですが、いわばこれは自民党の議員さんに言わせれば、日本の社会を支えている企業、しかも大企業です、この大企業が逆にその対策費の方がよけいに額が多い、こういう事態というのはこれはまあ大変なことだろう。こういう事態が各地に出始めるということは、それこそこれから租税特別措置などの見直しをそういう角度からもしていかなければいかぬ、こう思うのですが、次回に具体的に申し上げたいと思うんですが、きょうはいわば総論的にそれに対する御見解を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
#198
○国務大臣(大平正芳君) まず近藤さんの御議論を、問題提起を聞いておりますと、一つのある期間、単年度、あるいはこういう不況期のある期間を限って収支を見る、あるいは歳出と歳入を比較する、コンビナートをめぐる地方の歳出と歳入を比較するというようなことをされるということ、そういたしますと、厳密に言いますとそれにはいろいろな問題がありまするけれども、しかし、あなたの言われることも首肯できる面がございますけれども、しかし、租税制度、財政制度というのは、長い生命体を持った国あるいは地方公共団体の制度でございまして、好況もあれば不況もあるわけでございまして、そういった長い時間帯において制度のメリット、デメリットというものは評価していただきたいというのが私の一つのお願いでございます。
 それから、租税特別措置でございますが、これとても、あるそういう制度を置くこと自体が、もともと絶対悪という観点にお立ちにならないで、これはある程度、こういう政策目的を達するために租税を利用していくということは考えられてしかるべきことだと思うんでございまして、それは長い目で見て税源を培養する、涵養していくということに役立っておるわけでございまして、それあるがゆえにやっているわけで、悪いことをやるというんなら、租税特別措置なんていうのは初めからやらぬ方がいいわけなんで、これをやっておりながら毎年見直していっておるということは、これをよりよい制度にしようという努力なんでございますので、私は、そういう意味であなたの言われることがわからぬわけではございませんけれども、しかし制度自体をもう少し長い目でごらんいただくということ、それから制度自体のメリットの判断というものをもうひとつ彫り深く御理解いただきたいものと思うんでございます。
 なお、あなたの属する政党では租税特別措置に絡んで会計制度あるいは商法等で認められておる会計原則上の問題をやめたら税収が多くなるじゃないかという議論が非常によく行われるわけで、そういうことについていつも私の方は、いやそうでなくて、これは税源を培養する上におきまして必要なことでございますと、企業を維持する上において必要でございますということは、たびたび申し上げておりますことも一つつけ加えておきたいと思います。
#199
○近藤忠孝君 その議論は次回にしたいと思いますが、ただ一つだけいわば短期間だけで見るのではまずいじゃないかということですが、私は問題をわかりやすくするために、いま五十年度という一つの短期間をお示ししたんですが、これはものを考えていく一つの端緒だと思うのです。そこから租税特別措置をもう一度見直しますと、本当に考えていくことはまたたくさんあると思いますので、この問題は次回にしたいと思います。
#200
○委員長(岩動道行君) 本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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