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1975/05/11 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 外務委員会 第4号
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1975/05/11 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 外務委員会 第4号

#1
第077回国会 外務委員会 第4号
昭和五十一年五月十一日(火曜日)
   午前十時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         高橋雄之助君
    理 事
                亀井 久興君
                秦野  章君
                増原 恵吉君
                戸叶  武君
    委 員
                伊藤 五郎君
                糸山英太郎君
                大鷹 淑子君
                亘  四郎君
                田中寿美子君
                竹田 四郎君
                田  英夫君
                羽生 三七君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
   国務大臣
       外 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       外務省経済局次
       長        加陽 治憲君
       外務省条約局外
       務参事官     伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       大川 美雄君
       特許庁長官    片山 石郎君
       特許庁特許技監  大谷幸太郎君
       特許庁総務部長  仲田 嘉夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国際特許分類に関する千九百七十一年三月二十
 四日のストラスブール協定の締結について承認
 を求めるの件(内閣提出)
○第五次国際すず協定の締結について承認を求め
 るの件(内閣提出)
○千九百七十五年の国際ココア協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出)
○アジアIIオセアニア郵便条約の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出)
○核兵器の不拡散に関する条約の締結について承
 認を求めるの件(第七十五回国会内閣提出、第
 七十七回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(高橋雄之助君) ただいまから外務委員会を開会いたします。国際特許分類に関する千九百七十一年三月二十四日のストラスブール協定の締結について承認を求めるの件(本院先議)を議題といたします。前回に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○田中寿美子君 この国際特許分類に関する協定の批准に関しては、もう大分前に、ここでわが党では戸叶先生がほんの少しだけ質問なさいました。私はそれに続けてやるわけなんですが、大臣もおいでになりますので、いまちょうどUNCTADの会議が開かれている最中でございます。わが方では木村代表が行ってらっしゃいまして、UNCTADでの一番重要な議題は、もちろん先進工業国と発展途上国との間の貿易関係をどのようにうまくやるかという問題でございますし、特に、発展途上国からは大変強い要求というか突き上げが出てくるということを予定されておりますが、私、この際ちょっとついでですので申し上げたいと思います。一月の末にバリ島でASEANの首脳会議がございました。ちょうどそのころ私インドネシアに行っておりましたのですが、三木総理がどうしてもあれに出たいような意思表示をなすって、外務省が審議官を派遣なさって向こうの意向を打診なさいましたですね。あのころインドネシアでは、直ちに情報省がASEANのメンバーでもない国が出てくるなんていうのは大変筋違いだということを大分でかでかと現地の新聞に出しておりました。やっぱり先進工業国でありますところの日本がASEANの首脳会議なんかに、あるいはその他の発展途上国の会議に出ていくなんていうときに、結局、向こうでよく聞いてみますと、相当具体的なものを持ってこないで、精神的な観念論をぶってもらったって何にもならないのだということが一つあったように思います。それから、現地の日本の企業の人たちの話では、この前、田中前総理が来られたときに大変反日デモがございました。こういうときに三木総理に来られたのでは自分たちの企業はつぶされてしまうというようなことを言っているところもあったくらいなんです。ですから、発展途上国に対する態度というのは非常に大事だと思うんですが、今回のUNCTADの会議でも、この特許関係のことも出るわけです。それで、全体として、具体的にいま一番問題になっている発展途上国の一次産品の価格を保証するとか、そのためにどういう態度をとるかというようなことについて、政府としては相当具体的な考え方を持って代表がお出になっているわけでしょうか。これはちょっと外務大臣に伺いたいと思います。
#4
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびのUNCTAD第四回会議によって取り上げられておりますいわゆる南北問題でございますが、私ども基本的な考え方としては、やはり過去、第二次大戦後、世界が比較的平和に推移したということの中から、いわゆる南北問題というようなものも本当に真剣に考えなければならないという空気が出てきたものというふうに考えておりまして、そのこと自身は、人類社会としてはやはり進歩であると私は思うわけでございます。で、この問題が取り上げられましたのは、本来から言えば六〇年代の初めのころでございますけれども、正直を申して、そのころには、まあ何とか時間かせぎをしたいというような気持ちが先進国側に正直を申しますと相当強かったと思うのでございます。しかし、その後十数年を経まして、だんだん問題の必然性といいますか、が理解ができてきた。しかも別の要因から、一九七三年のアラブの石油問題というものが出てまいりましたことによって、別の観点からもこの問題はやはり正面から取り組まざるを得ないというふうに先進国側は考えてまいっておるというのが大体現状であろうと思うのでございます。したがって、ただいまお尋ねの一次産品等の問題についても、わが国としましても、先進国側とも相談の上ではありますが、具体的に真剣に取り組まなければならないというふうに考えております。問題は発展途上国側で、やはりどうしましてもこの問題についての緊要度の認識といいますか、やはり何といいますか、攻める側と守る側というような感じが全然なくなってしまったというわけではありませんで、発展途上国側が相当大きな、しかも総合的な一つの構想として、仕組みも金もきちっとそろえたいという意識がどうしても強うございますが、先進国側は、問題はよく認識をした。したがって、われわれは決して問題を粗末には考えていないので、できるところからひとつやっていこうじゃありませんかという、基本的にはそういう態度でありますけれども、そのできるところからやっていこうということではどうも満足ではない。すっかり金も仕組みもそろえなければ承知できないというような雰囲気がございます。そこのところが、大まかに申しますと、どの辺で両方の話がついていくだろうかというのが、今回の会議のこれからの経緯によって決まるわけでございますけれども、私どもとして具体的にそういう問題を取り上げていかなければならない、取り上げるべきであるという考えははっきり持っております。
 他方の問題として、これらの品物の中にはかなりの農産物がございますし、また鉱産物もございます。場合によって、軽工業関係のものも多少出てくるかもしれない。そうしました場合に、国内産業との関連というものはないわけではございませんし、また、財政負担というようなものもおろそかにできない問題でございますから、やはりわれわれの意識と体の動き方とがなかなか一緒についていきませんで、少しずつばらばらになりがちだということは依然としてございますけれども、しかし、だんだん国全体が、やはりこの問題はわれわれとして正面から取り組まなければならないという認識は少しずつ深まっておりますので、そういうこともございまして、今回やはり正面から取り組まなければならない問題だという認識のもとに、木村代表に訓令をしておるようなことでございます。
#5
○田中寿美子君 キッシンジャーが構想を発表いたしましたね。ああいうものに対しても、日本政府としては具体的にはどういう意見を持っていらっしゃるのかということ、一言だけ伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 米国国内の事情もございまして、それから多少戦術的な考慮もあると思いますけれども、あの構想は、ある程度から先のところは必ずしも明快でないところがございます。しかし、全体言っておりますことは、流れとしてははっきりしておりますので、わが国としては基本的に賛成であるという態度を表明いたしたいと思っております。
#7
○田中寿美子君 この国際特許分類に関する協定の内容ですけれども、これはもう商工委員会で相当議論されてきているものでございます。
 それで、私はいま発展途上国の問題を問題にしましたので、続いて、現在開かれておりますUNCTADの会議、ナイロビの会議で技術移転の問題があるわけですね。これは大変重要な議題だというふうに考えられている先進工業国から発展途上国に対する技術移転の問題。その問題に関連して、特許制度の改正の問題というのが取り上げられているのかどうか、どういう議題が今回の会議でこの特許制度あるいは特許分類制度に関して取り上げられているのかを説明していただきたいと思います。
#8
○政府委員(大川美雄君) 今回の第四回UNCTADでは、大きく申しまして議題が九つございます。その中で一番重要と思われます議題は、例の一次産品の問題、債務累積の処理の問題、それからいまおっしゃいました技術移転の問題であろうかと思います。その技術移転の議題の中で、大きく申しまして技術移転に関する国際的な行動基準と申しますか、コード・オブ・コンダクトというものを採択すべきであるという副議題、それからもう一つは、国際特許制度の改正といった趣旨の議題、副議題がございます。大きく分けまして二つ、技術移転の項のもとで設けられております。
#9
○田中寿美子君 それでは、その国際特許制度の改正の問題に関して、日本はどういう態度をとって、相当な役割りを果たす用意があるのかどうか、専門家が行っているのか、その辺はどういうふうにしていらっしゃいますか。
#10
○政府委員(大川美雄君) わが国は、明治以来、外国からの技術を導入することで日本経済の近代化、発展を心がけてまいりましただけに、ほかの分野でもそうでございますけれども、特にこの技術移転の分野では開発途上国のいろいろな要望でありますとか願望を理解できる立場にあるわけでございます。もちろん、その開発途上国の自助努力がまず第一に必要だと考えておりまして、先進工業国がその開発途上国の自助努力を補完するというような形が一番有効であろうかと思いますけれども、それでも特にその技術移転の分野では、日本自身の過去百年間の経験に照らしましても、できるだけ積極的に開発途上国側の要望に応じまして具体的な問題についての検討に積極的に応じていこうという姿勢を従来から打ち出しております。
#11
○田中寿美子君 もう少し具体的に伺いたいわけなんですがね。日本はエネルギー資源の八五%を海外に仰いでいる。それから食糧は五〇%、鉱物資源は六〇から八〇%。それらはほとんど全世界から輸入しているわけですが、一体、日本のアジアにおける投資はどのくらいの比率なのかということ。技術関係の貿易はどんな状況にあるのか。そして、日本が外国に対して特許の出願をしている状況。それと日本の国内での外国の特許出願の状況、あるいは発展途上国における日本の特許の状況、獲得している状況。その辺、少し具体的な御説明をお願いしたいんです。どういう状況にあって、だから日本はどういう役割りが果たせるのかというようなことがないと、特許制度の改正の問題で日本が果たす役割りというのはよくわからないんですが。
#12
○政府委員(片山石郎君) いま、先生御質問の中で、データ的な点でとりあえずわかっているところを申し上げたいと思います。
 日本人が外国へどのぐらい特許を出願しておるかという点でございますが、昭和四十九年がいまちょっと手元にあります最新のデータでございますが、特許と実用新案ございますが、外国に対する出願が、四十九年におきまして三万三千四百三十二件。全体の内国人の出願は十二万一千五百九件でございますから二七・五%を占めております。もっとも、内国人の出願の中で、それが優先権に基づきまして外国に数カ国出願するというのが通例でございますので、実際の発明の件数から見ますと、その何分の一かになるわけでございます。実用新案に至りましては非常に少のうございまして、外国への出願は四十九年二千三百三十七でございまして、国内の内国人出願は十五万五千六百八十一ということでございますから一・五%ということで非常に少のうございます。これは、実用新案というのは外国でも特にとっておかなくちゃならぬというものでもないし、また、実用新案は、外国で制度を持っておる国も少のうございますのでこういう結果になっておるわけでございます。
 それから、主要国から日本への出願はどんなふうになっておるかという点でございますが、出願件数で申しますと、これは昭和五十年の数字がございます。昭和五十年で、トータルで二万四千七百三件ございます。日本人も入れましたトータルの出願は十五万九千八百二十一でございますから、比率としまして一五・五%ということになっております。これが特許でございますが、実用新案は、出願が、同じく五十年に千六百六十八件ございまして、トータルが十八万六百六十件でございますから〇・九%という数字になっております。
#13
○田中寿美子君 私がお聞きしたいのは、発展途上国で付与された特許のうちに日本はどのくらいの割合を占めているのかということ。それから日本に対する外国からの出願件数。日本は、特許権を取る割合が世界でどういうような地位にあるのかということをひとつ…。つまり、多いのか少ないのかということなんです。
#14
○政府委員(片山石郎君) 簡単に申しますと、いま、正確な数字は調べれば出てまいりますが、日本人が外国で取っております特許の数というのは非常に少のうございます。それから、発展途上国から日本へ来ているというのは非常にまたこれ少ないと思います。発展途上国から日本へ出願されて特許になっているものも非常に少のうございますし、それから日本がおよそ外国に対して取っておる特許というのは非常に先進国に比べまして少のうございます。
#15
○田中寿美子君 発展途上国において日本が取っておる特許の数というものは大変少ない、比率も大変少ないということですね。どこの国が一番多いんですか。
#16
○政府委員(片山石郎君) 特許で申しますと、圧倒的に多いのはやはりアメリカに対して取っておるのが多うございまして、先ほど申し上げました特許の出願件数三万ぐらいの数字の中で約八千五百がアメリカでございます。ずっと先進国が非常に多うございまして、先進国十カ国ぐらいを除いたその他という数字がございます。これは発展途上国が多いと思いますが、それは全体で合わせまして三千三百件ぐらいでございます。
#17
○田中寿美子君 数を余りやっていますと時間がかかりますので、私がお聞きしたいのは、日本は発展途上国、特にアジア関係には投資は非常に比率が大きいわけですね。ですけれども、特許権を取っておるという数は非常に比率は少ない、また、外国から日本に出願して取る比率も少ないと、特許に関する限りは日本はわりと独立した感じがするわけなんですね。
 そこで、投資と特許の関係なんですけれども、発展途上国が、私が読ませていただいた資料によりますと、一九六一年ブラジルから決議案が出ております。そして、つまり特許権を発展途上国でどんどん外国が入ってきて取る。しかし、その取った特許権をすぐに生産の方に回すような状況に発展途上国は工業の度合いがそんなに進んでおりませんからないわけですね。そうしますと、その特許権を取った外国の企業が他の外国から、あるいは自分の国から、輸入としてその取った特許権を使う、つまり非常に発展途上国をそういうことで締めつけていく、特別な特恵の関係ができてしまう、この辺を私が伺っているわけなんです。そういうような状況は果たしていいものであるのかどうであるか。それに対して国連あるいはUNCTADなどがどういう政策をこれまでとってきたかということです。それをちょっと簡単に御説明いただきたいと思います。
#18
○政府委員(片山石郎君) 先生御指摘の問題は、最近非常にやかましい問題になっておりまして、UNCTADはもちろんでありますが、工業所有権の専門機関でありますWIPOという機関がございますが、ここでは特に法制的な問題と、むしろ経済的、政策的な問題はUNCTADというような感じで議論されておるわけでございます。
 もともと特許権という制度は、これは独占権を与えるかわりに公開をするということでございますから、技術を公開することによって一般の人もそれを参考にしながらいろいろ利用していくという可能性があるものでありますので、通常の場合ですと、つまり従来でございますと、非常にいろんな意味で技術の発展に貢献してきたわけでありますけれども、最近の発展途上国との関係におきましては、先生御指摘のように、そこの国でその特許権を使って物を生産するということをしないで、もっぱら独占的な輸入ということに使われておるということで大いに議論はされておるわけでございます。ただその場合に、それじゃどういう対策を講ずべきか、こういうことが議論になっておりまして、先ほど外務省の方からもお話がありましたように、コード・オブ・コンダクトというようなものをつくろうじゃないかと、たとえば、特許権を生産に使用しないでもっぱら輸入なんかに使っておる場合は、その特許権はもう消滅さしてしまうとか、あるいは強制的に実施をしなければならないとか、そういう制度をつくったらどうか、これを法律的にちゃんとつくり上げたらどうか、こういう議論が出ておるわけであります。
 ただ、特許制度と申しますのは何分にも九十年の歴史があって非常に精緻な制度でございまして、非常に各種の権利のバランスの上に成り立っておる制度でございます。したがって、それをその必要性があるからといって一挙にやればどういうような影響を及ぼすかという点についての詰めがまだ十分にできておりませんで、これをいまUNCTADとそれからWIPOで専門的に議論しておるところでございます。
#19
○田中寿美子君 ですから、日本はこの特許権に関する限りは、発展途上国で他の外国がやっているような特許独占とか輸入独占みたいなことはやっておらないということですね。
 そうしますと、いまUNCTADでもこれが議題になっているわけなんですが、日本はどういう役割りが果たせるのかということですが、もうちょっと具体的に、その間の調整を図るなんということじゃなくて、日本はどういう提案をしているのかということや、それから特許に関する専門官が行っていらっしゃるのかということです。
#20
○政府委員(片山石郎君) 現在のUNCTADの会議には、特許の専門官と言われる人は行っておりません。ただ、特許のことに知識経験のあるという方が行っておられます。
 それから、具体的にはどういう点かという点につきましては、これは何分にも非常に影響するところの大きな問題でございますので、どういう影響になるのかどうかという点の詰めが不十分であるということでもって、その辺をまずよく議論するのが先決ではあるまいかということで、慎重な態度をとっておるわけでございます。
#21
○田中寿美子君 先ほど大臣も言われましたけれども、UNCTADでは、ことに一次産品の価格の問題なんかに関しては日本は積極的な提案も具体策も出すつもりだというふうに言われているわけなんですが、この特許の問題というのは、私も自分ではいままで知らなかったことなんですが、今回少し勉強してみて大変おもしろいというか、重要な問題であるということがわかったわけなんですが、日本が少なくとも発展途上国に、特にアジアには投資をしている。しかし、特許権に関してはいわゆる輸入独占みたいな変な行動はやっていない。そうすれば、この特許権に関しては日本はこれまでそういう逆の特恵的な立場にあったような外国と、それに対して巻き返しをしている発展途上国の方の言い分の中間に立って相当の役割りが果たせるんじゃないかというふうに、私は大変素人で考えるわけなんです。それにしては何か特許関係手薄のような、いま専門官も行かないとおっしゃいましたけれども、重要な議題になっているのにどうして専門官も派遣されないのかということを伺いたい。どういう役割りが積極的に果たせるだろうかということ、積極的な態度があってしかるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
#22
○政府委員(大川美雄君) UNCTADにおきましては、最近技術移転に関する専門の常任委員会というのができました。そこでいろいろ特許の問題をも含めまして、技術移転一般の問題について専門家的な立場からの議論が行われておるわけでございます。そのほかにもう一つ特許自体についての専門家会合と申しますか、政府間会合も昨年から作業を開始しております。でございますので、UNCTADの総会におきましては余り細かい専門的な立場からではなくて、もう少し大きな政策的な次元からの意思決定を目がけていろいろ討議をやっておりまして、それを受けまして今度はジュネーブの技術移転委員会、あるいは特許に関する専門家の会合におきまして、さらにその詳細な詰めを行う仕組みになっているわけでございます。ですから、ナイロビに特許の専門官が行っておりませんのも、そこまでナイロビでは細かい技術的な話には必ずしもならないという事情があるわけでございます。
#23
○田中寿美子君 それであれば、その専門委員会にもっとちゃんと毎回係官を派遣するとか、専門官を派遣するとか、あるいは国際的な機関に常駐者を置くとかいうことがあってもいいと思うんですけれども、大変その辺を手薄に思います。私、これを今回初めて知って少し調べてみたらそうなんであって、日本が積極的な役割りを果たそうと思うならば、この点ではもっと陣容を整えて、そして専門家会議にもほとんどたまにしか出ていない様子ですね。ですから、そういうようなことじゃなくて、もっとこれは強化しなければならないというふうに思いますが、いかがですか。
#24
○政府委員(片山石郎君) 先生御指摘のとおり、特許はもともと国際的な問題であるにもかかわらず、特に最近は非常に国際的な要請が強まってまいりますし、日本がその場で活躍しなくちゃならぬ場面も非常に多くなっているわけでございます。残念ながら、主としてこれは予算上の問題でございますが、でもって、必ずしも従来十分であるとは申せない状況でございます。先生の御指摘を待つまでもなく、われわれといたしましては、先生の御指摘の趣旨に沿って今後大いに努力をしてまいりたいと思います。
#25
○田中寿美子君 それでは私、念を押しておきたいんですが、ジュネーブの国際機関に人員を必ず確保するというようなことがないと、年間、日本国内だけでも三十万件から特許の申請があるということですね。そういう状況の中で、全世界的にたくさんの処理をしていく、しかも、今度は世界的に共通の分類に切りかえていくわけですね。ですから、仕事も多いだろうと思いますが、調整しなければならないことがいっぱいあると思うので、どうしてもそこに人員を確保していかなければならないということを私は、これはあなたに申し上げただけでもしょうがないんで、大蔵省にも言わなければいけないことかもしれませんけれども、要望したいと思います。
 次に、情報サービス機関のことをちょっと伺いたいんですが、私、この特許白書だとか、何冊か読ましていただいた知識で知ったわけなんですけれども、国際的にはダーウェントという情報機関がありますね。この図を見ますと、非常に独占的な機関のように思われます。特許情報独占とでも言える、これ英国の会社のようですけれども、会員として世界で四百四十社が入っているんですが、そのうち欧州二百社、アメリカ百十社、日本百十社も入っておりますね。日本の会社もみんなこれにほとんど入らなければならないくらいに情報を独占している機関のように思われますけれども、こんなふうに、特許情報というのは技術開発に非常に重要な関係があると思うんですが、大きな、ほとんど独占的な機関に日本も任せていていいのかどうか。日本にもJAPATICというのがありますが、この辺はどうお考えですか。
#26
○政府委員(片山石郎君) 先生御指摘のダーウェント社でございますが、先生御指摘のとおり、ダーウェント社は非常に大きな会社でございまして、強力でございます。ですが、これと同時に、ほかの情報機関にも、必ずしも一社独占というわけじゃございませんで、幾つか世界的にやっぱり活躍している情報提供の会社がございます。
 もともとダーウェント社と申しますのは、いろいろ各国が特許の公報を出します。その公報を出したのを英文で抄録する、そうすると各国が非常に読みやすいということでございまして、そういう意味の会社はほかにもございますが、ダーウェント社は非常に大きゅうございます。ただ、ダーウェント社は中心的な分野が化学関係でございまして、これは非常に伝統のあるところでございますが、全分野を網羅しているわけじゃございません。同じく化学関係にも、たとえば有名なCASというのがございますが、これはケミカル・アブストラクトという非常に有名なアメリカの組織でございます。
 それに関連しまして、いまJAPATICのお話がございました。JAPATICも、この情報の洪水といわれるような現在の特許から出てくる情報、これをいかにサービスするかということを目的にしてやってきているわけでありますが、いま、たまたま御指摘の抄録につきましては、公開公報の和文抄録を数年前から手がけておりまして、これは質からいいましても非常に高度なものでございます。したがいまして、和文抄録は今後ともこのJAPATICを中心にしてやってまいりたいと思いますが、同時に、日本の分の英文抄録につきましても、本年度から翻訳して海外にも出すというような予算も認められました。したがって、和文抄録は全部現在JAPATICが手がけておりますし、それのうちの重要な分野について英文抄録もやっていこうということで、日本の特許情報に関する限り、われわれは何としてもJAPATICを育成して、決してほかのところに負けないものに育ててまいりたいというつもりでやっております。
#27
○田中寿美子君 そうしますと、ダーウェントとJAPATICが競合する部分というのがないのかどうか。
 それから、いまおっしゃったように、日本のJAPATIC、特許情報サービスセンターですか、これを強化していく具体的な政策を持っていらっしゃるんですかということ。
 それから、時間があれですからもう一点、いまおっしゃった和文の抄録というのは、特に私は国内では中小企業にとって必要なものだろうと思うんです。中小企業が大企業と対抗していくのには、どうしてもそういう技術の特許なんかの情報を手に入れなければならないわけですね。そういうものへのサービスは一体十分行われているかどうか。資料で見ますと、図書館とか試験場とかあるいは発明協会なんかで公開することになっておりますね。これは今度国際的に共通の分類にまた編成がえもしていくわけで、大変な作業があると思うんです。ですから、つまりそういう部分の大きなものをダーウェント社の方に任せて、国内のものだけというようなことになろうとしているのかどうか、競合するところがあるかないか。日本のJAPATICを強化する方法はどういうものか。中小企業対策はどうするかということ。
#28
○政府委員(片山石郎君) 競合する分野は潜在的に現在ございます。現在直接は競合いたしておりません。と申しますのは、化学の分野におきまして、日本の文献についてもダーウェントが自分でもって英文でいま一部出しつつあります。日本文でも出そうという計画がございました。しかし、この日本文で出そうという計画は、われわれもいろいろダーウェントと直接間接に話をいたしまして、これはどうやらあきらめるようでございますので、恐らくその面では競合しなくなるだろうというふうに考えられます。いまJAPATICの育成策につきましては、そういったダーウェント社からのいろいろな働きかけに対しまして、特許庁としましては、あくまでも特許庁はJAPATICをバックアップしてここに全面的に資料も提供し、りっぱな資料をつくってもらうということにいたしておりますので、そういう点では若干の予算的な補助もございますが、何分特許庁自身がJAPATICを、一種の、言葉は悪いけれども、分身みたいなかっこうで援助していこうという姿勢をとっておりますので、そういう点でJAPATICのいろんな面で、ダーウェント社などとの交渉におきましても、有利な面が出てきておると思います。
 なお、中小企業の点につきましては、先ほどのように、いろいろ閲覧所などを充実しまして、手軽に見ていくということができるようにということで、なるべく広くたくさん閲覧所をつくったりなんかすることを手がけてまいりたい、こう思っております。
#29
○田中寿美子君 私、国際企業に特許情報サービスを独占され――いま日本国内でその情報を発行し始めているとおっしゃいましたね、大変これは大きな会社だし、それから化学というのは大変重要なものだと思うんで、独占されてしまうということは非常に危険を伴うんではないかというふうに私は心配するわけです。ですから、やっぱり国内の特許情報サービス機関をうんと強化して、ほとんど大きな会社が、日本が百十社もダーウェントの会員になって、そこから情報を得なけりゃならないというような状況じゃなくしなきゃいけないんじゃないかというふうな危惧を抱くわけなんです。
#30
○政府委員(片山石郎君) 一つ、ちょっとあるいは誤解を与えたんじゃなかろうかと思うんで訂正したいと思いますが、現在、ダーウェントが和文でもって日本の特許の抄録を出すということは、計画はあったけれどもこれはあきらめさせようと、ほぼあきらめさしたと。したがって、英文で出しておる分は、最近出しておりますが、ダーウェント社というのは、世界各国のやつを英文で出しておるわけでありまして、そういう意味では、ここまでやめろということはなかなかむずかしいかもしれません、こういう意味でございます。
 そういう意味で、われわれとしましても必ずしも従来十全ではございませんでしたけれども、JAPATICの日本における育成強化という点は、これは非常にいまや全力を挙げてやっておりますので、ぜひ先生に御安心いただけるようにさせたいと思っておりますので、どうぞ御了承願います。
#31
○戸叶武君 関連発言をいたさせていただきます。
 先ほどの片山長官の御答弁の中に、特許は国際的問題であるのに予算上の問題で特許庁の機能が十分に果たせない状態にあるという現状を訴える言葉がありました。私たちもそれを一番心配するのは、特許のことはどちらかと言えば商工委員会で、この問題に関連して昨年衆参両院において附帯決議がつけられたのでありますが、今回もやはりそういうことを含んで、この法案を通すのはよいが、国際化に対応すべき処置であるのにもかかわらず、内外に対しての整備が十分にできていなんじゃないかというのが、いまの質問応答を聞いても十分考えさせられるのであります。
 そういう意味において、商工委員会ですでにそのことを憂えて附帯決議を行ったような内容を、もっと要約して、外務委員会でも附帯決議をつけたいというのが私たちの考えでしたが、いままでに外務委員会の歴史の中において二回ほどしか、その種の意味の附帯決議が出されていないので、そういう意味合いにおいて委員長の先ほどの裁断によって、理事会において私は説明したので、その趣旨は十分わかるし、他の委員からも、その趣旨には賛成だが、附帯決議は今回はつけないようにというのが結局委員長の裁断でした。
 それを受けて、私は、やはりその趣旨には賛成だがと言われておるにもかかわらず、附帯決議がつけられない。附帯決議にこだわるわけではありませんが、いままでの討論の過程を見て、これだけはどうしても強く外務委員会においても要請しておくべきじゃないかという立場から、次のことを要望する次第であります。
 一は、特許情報の複雑多様化、国際化の進展に伴う特許分類の重要性にかんがみ、特許分類審査機構の抜本的拡充を図るとともに、特許分類についての法的措置を速やかに講ずること。
 二、工業所有権制度の国際化に対応し得るよう、専門の職員を内外において確保すること。特にジュネーブ国際機関日本政府代表部の人員の確保を早急に実現すること。
 三、日本特許分類から国際特許分類への変換に伴い、審査体制の抜本的再検討を進めるとともに、公報の利用等について過渡期の混乱を極力避けるため、これらの内容の周知徹底を図り、その円滑な運用に努めること。
 四、特許情報の有効的利用を促進し、特に、中小企業等の利用の便宜を図るため、地方における閲覧体制の整備等、特許情報サービスの強化拡充を図ること。
 五、特許情報に関する国際企業の進出に対処するため、(財)日本特許情報センターの強化拡充を図ること。
 以上のとおりでありますが、趣旨には全部賛成だという御意見を受けて、しかし、附帯決議はつけないということになっていますが、趣旨に賛成という意味から、委員長の附帯決議はつけないということに私は譲歩したんですが、精神は賛成で、花も実もある処置をしてもらいたいと言ったが、実の方は――あとは花が咲かなかったんで、ひとつこれは委員長から花も実もあるような処置、とにかくこの問題に対しては、外務委員会においても、責任を持ってこれだけの要望を支持するということに対する明確な委員長からの今度は御答弁をお願いしたいと思います。
#32
○委員長(高橋雄之助君) ただいま戸叶委員から発言がありました内容については、先刻理事会でもいろいろ協議いたしまして、その趣旨に対してはわれわれは反対するものではない。しかし、外務委員会としては、過去に、いまもお話ありましたとおり、第十六回ないし第二十五回、二回だけ附帯決議をつけたことがあるわけでございます。それこそ条約そのものについての関連でございました。そういうことでございますが、戸叶委員の発言に対しましては、政府もいまお聞きのとおりでございますから、十分これを理解して努力していただきますことを望んでおります。
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの戸叶委員の御発言並びに委員長からの御要望でございますが、特許制度の国際化に対応する体制を整えますために、政府といたしましては関係省庁間で十分に協議をし、努力をいたす所存でございます。
#34
○戸叶武君 委員長並びに外務大臣からの御答弁には誠意が中に秘められているものと思って感謝しますが、一言だけやはり外務大臣にもお願いしておきたいのは、外務委員会というのは、いままでの外務委員会と違って、新しい平和外交の出発点にいまなりつつあるのでありますから、形式的な形における消極的な外務委員会というよりは、ウエートが特に経済関係にかかって、経済外交というものが重要な面を持ってきておるのでありますから、どうぞ今後においては、外務委員会は既往においてこうこうだという一つの既存概念にとらわれないで、積極的に、やはり経済外交なり文化面における推進なり、そういう問題と取り組んでいただきたいと思いますので、外務省に対する一つの不満というものは、どうも外務省はコンサーバティブであって、新しい時代に対応するだけの積極的な姿勢が欠けているという非難もありますから、どうぞきのうの核防条約批准を機会に、新しい外交を展開するという形において、そういう意味の意欲をもっと持って、守ることだけにかたくなであって前に進むことに怯懦であるような外交姿勢は改めていただきたいということ、これは私の方からお願いして、どうもありがとうございました。
#35
○塩出啓典君 それでは、時間が非常に限られておりますので、答弁の方もひとつ簡潔にお願いしたいと思うんです。
 まず、特許庁長官にお尋ねしますが、日本の国は非常に特許の出願件数が世界でも一番多い、しかも、年々いまふえている現状であります。四十五年に特許法が改正になりまして、余り日本は要処理期間が長いから、審査請求制度を取り入れて特許の審査期間を早くしていこう、このようになったと私は判断をしているわけでありますが、その後、いわゆる特許、実用新案の要処理期間というものは大体短縮の方向にあるのか、その点は特許庁がこの法改正において予想した方向に進んでいるのかどうか、その点はどうですか。
#36
○政府委員(片山石郎君) その問題は、確かに一時八十三万件という、いわゆるわれわれ滞貨と俗に呼んでおりますが、未処理件数がございまして、その処理期間は五年数カ月を要するということになっておったのが法改正前の姿でございました。法改正後、審査請求制度を取り入れたためにだんだんそれが減ってまいりまして、昨年は要処理期間でいきまして二年十カ月程度に下がりました。ところが、最近に至りましてまたぼつぼつ増加の傾向をたどっておりまして、現在の姿は三年二カ月ぐらいのところにきておる。これはいろいろ原因がございまして、予想したほど審査請求の数が少なくなかったというようなこともございますし、依然として、これは世界に最も例を見ないような出願の、あるいは審査請求の絶対量及び伸びがございます。そういうことが重なり合いまして、いまここで申し上げられるのは、近い将来これが減少傾向にいくということはちょっと申し上げがたい状況でございます。
#37
○塩出啓典君 そういう点、これは今後どうするかというのは大きな問題ですから、ここで論議のできない問題と思うんでありますが、ひとつ特許庁においてもその体制を当然組んでいかなきゃいけないと思うんです。
 そこで、次の問題に移りますが、この協定は五年間も批准をしてないわけであります。いろいろ準備が必要であったということですが、その準備というのは特許庁の方の準備なのか、外務省の方の準備なのか。どういうことの準備で五年間遅れたのか、それを簡単に説明してください。
#38
○政府委員(片山石郎君) それは主として特許庁サイドの準備でございまして、先ほどからお話ありましたように、IPC、この分類制度に転換するということは非常にいろいろな面で作業を伴うわけであります。それで、大体過去数年間にわたりまして、事実上IPCという分類をダブってつけて公報を発行しているという状況でございます。それの動きとか、過去に特許公報がたくさんございまして、これを一応やっぱりIPCでもって再分類するというような必要性もございます。そのめどがおおむねつきかかったという段階で国会提出を考えたわけでございまして、その後、いろいろな点で事情はございましたが、いま申し上げましたような事情でわりに時間を要したということでございます。
#39
○塩出啓典君 この条約は、それぞれの国が主たる体系として使用するか、独自的体系として使用するか、そのことはいずれかとなっておるわけでありますが、わが国の場合は、将来は国際特許分類の一本化ということを考えている、このように衆議院の外務委員会で答弁がなされておるわけでありますが、そういう方向であるのかどうか、もう一回確認をしておきたいと思います。
#40
○政府委員(片山石郎君) 加入いたしますと、一年後には発効いたしますが、その段階ですぐに主分類として採用するということじゃございませんで、それから数ヵ年は従来と同じようにダブって日本分類が主であります。しかし、恐らくは昭和五十五年度ぐらいには過去の膨大な二百五十万件に及ぶ特許文献につきましても分類をつけ終え、それをファイルし直して審査にも使えるというようなかっこうにいたしまして、準備を終えた段階で主分類に転換したい、こういうふうに考えております。
#41
○塩出啓典君 そうしますと、これから新しく申請に載るのは新しい番号をつければいいわけですけれども、いま言ったように、過去の二百五十万件のものを全部分類し直すということは大変な作業じゃないかと思うんです。先ほど申しましたように、現在の特許の審査だけでも処理期間が延びている現状の中で、これだけの二百五十万件についての分類を国際分類にするということは大変な作業だと思いますが、それを五カ年計画になりますか、五十五年までということになりますとあと四年ぐらいですけれども、その間にどれだけの予算と人員でそれをやっていくのか、そういうような確保というものはどうなっているのか。来年度からの予算は、これは予算がまだ出ておりませんが、今年度予算では、そういう点の予定はどうなっているのかですね。
#42
○政府委員(片山石郎君) 先生御指摘のとおり、大変これは労力を要する問題でございます。分類を審査官が余暇を見つけながら一々つけますが、そのつけたものを電算機に入れまして、それでもってファイルをし直すというような作業になるわけでございまして、五カ年計画で平均しますと一年間五十万件の分類づけをするということを現在、昨年度から始めております。その関係では労力は必要でありますが、特にお金が必要なわけじゃございませんが、電算機を使っていていろいろな整理をしなければいけません。ファイルをし直す、その金が必要でございまして、それに必要な予算は大蔵省の方で本年度からつけていただいておりまして、データの入力費としまして今年は二千六百九十万円、それにIPCのデータを処理するシステムをつくらなければいけない。そのシステムの開発費としまして千四百十万円、それ以外の雑件としまして約百万円というお金がつけられておりまして、これでどうやらやっていけると考えております。
#43
○塩出啓典君 わかりました。去年から始めているというけれども、去年は大体何件ぐらいあるのですか、いま分類のし直しは進んでいるのですか。
#44
○政府委員(片山石郎君) 昨年度ほぼ予定どおり五十万件でございます。
#45
○塩出啓典君 それから、この国際特許分類は、ヨーロッパの欧州条約ですか、こういうものが基準になっておるために、非常に分類体系というものが日本には適応しない、そういうような点があると思うんでありますが、これは日本において特に日本独特の技術とか、日本で非常に進んでいる分野とか、こういうような点、このIPCが不都合はないのかどうか、その点はどうですか。
#46
○政府委員(片山石郎君) 結論的に申しまして、現在のところ特に不都合な点はございません。ただ、日本独特のいろいろな食品類その他ございますし、それから特にエレクトロニクスでありますとか、そういった日本が特に進んでおりまして、そういう点につきましてはもう少し細かい分類にいたさないと、どうも実情を十分表現することはできないというような分野もございます。こういう点につきましては、過去におきましてもすでに提案をいたしまして大分取り入れられております。しかし、まだ完全ではございませんが、今後の改正というのが五年に一回ずつございます。その点で、特に細分類の方でございますけれども、細分類の方については現在もすでに提案をしておりますし、今後もやって実情に合うようにいたしてまいりたい、こう考えております。
#47
○塩出啓典君 IPCは一度決定されると五年間変更できない、五年に一回そういう改正作業がある、改正が行われるわけですが、その改正のためのいろんな国際会議が絶えず毎年かなりの回数行われているようでありますが、これは一年間に特に特許分類を中心とする会議がどの程度開かれておるのか、それに対して日本としてはどのぐらい参加をしているのか、これがわかりますでしょうか。
#48
○政府委員(片山石郎君) この協定に関する会議は、協定発効後で申しますと、専門家委員会というのが重要な改正をする会議でございますが、これが昨年一回開かれております。それから、運営委員会というのがその下にございますが、それが去年は開かれずに、ことし開かれる予定になっております。それから、作業部会でございますが、これが非常に細かいところをやるわけでございますけれども、作業部会が五つございまして、トータルしますと昨年は一回、ことしは多うございまして五回程度開かれることになっております。
#49
○塩出啓典君 いま、これは昭和四十九年の一年間のデータなんですが、これはわが党の中尾議員が商工委員会の関係で要求した資料でございますが、これを見ますと作業部会なんというのは非常に多いわけですね。これは二月十一日から十五日、IPC第二作業部会、三月には第一作業部会、また三月には第三作業部会、五月には第四作業部会、七月には第二作業部会、七月にはまた工業所有権統計作業部会、九月にはIPC第五作業部会といって、たしかその前の年にもこれぐらい開かれておるわけですけれども、いまのお話では作業部会は五回とか一回とかという、これはどういうわけですか。
#50
○政府委員(片山石郎君) ちょっと申し上げましたのは、作業部会は五つございますので、おおむね一年間に各部会が一回ぐらい開かれる予定になっております。それ以外の専門家委員会あるいは運営委員会というのは大体一回程度開かれることになりますが、私、先ほど昨年出ておりませんと申しましたのは、協定発効後の話を申し上げましたが、協定が昨年の十月に発効しましたので、そういうことでございます。
#51
○塩出啓典君 これを見ますと、ときどきわが国から出席をしているわけなんですけれども、ほとんどこの作業部会には余り行っていないわけですね。たとえばIPC第二作業部会というのは二日十一日から十五日、これは六カ国六人が参加しているけれども、日本は行っていない。こういうように、ほとんど作業部会には出ていないわけですね。われわれの感じでは、特許のいろいろの分類の一番第一線の人がやるのが作業部会で、そこでいろいろ検討されたことがやがて上へどんどん上がっていくんじゃないかと思うんですけれども、こういう作業部会等には出る必要がないのかどうか、その点はどうなんですか。
#52
○政府委員(片山石郎君) 必要がないということはございません。出た方がよろしいことは間違いないわけでございますが、先ほどからちょっと申し上げておりますように、主として財政的な観点から、最も効率的に、いろいろな会議がございます、その会議の重要性、必要性を勘案して、そういった会議から順次出していくということをやっております。ただ、作業部会は事実上過去においても非常に少ない回数しか出ておりません。たしかいままで、発効前で一回ぐらい出たことがございますが、それでは作業部会に対しては何もしてないのかということではございませんので、作業部会に対しましては書面でもっていろいろな意見を聞いてまいります。こちらも意見を提出いたします。そういうことでもっていままでの日本の必要な、たとえば改正みたいなものを取り入れていただいておるというのが現状でございます。
#53
○塩出啓典君 これは外務大臣にもよくお聞きしたいと思うんですけれども、そういう問題の特許のいわゆる作業部会、いまのお話では出るに越したことばないけれども、結局予算の関係で出れない。今度のUNCTADの総会には、たしか七十名ぐらいの日本の代表団が行っておるわけです。われわれはもちろんそれも大事なんですけれども、その特許の一番大事な作業部会等は、私は日本の今後の技術進展に及ぼす影響か非常に大きいんじゃないかと思うんです、非常に地道な仕事ですけれども。そういう意味で、アメリカあたりはこの改正には非常に熱を入れておるようなんですが、日本も書面で参加するんじゃなしに、実際に担当者が参加できるようにそのあたりできないものかどうかですね。先ほどの要望にもありましたように、ジュネーブの国際機関日本代表部に特許の専門家を一人、通産省からは行っておるようですけれども、やはり本当の特許の専門家という者をそちらへ常駐さしておけば、そういう会議にもしょっちゅう出れるんじゃないか、こういうような点を考えるんですけれども、その点はどうなんですか。
#54
○国務大臣(宮澤喜一君) 国際会議がございますときに、やはりわが国はいろいろハンディキャップがございまして、ジュネーブにいたしましてもニューヨークにいたしましても、時間と旅費というものは、ことにヨーロッパの国に比べますといろいろ不便があることは御承知のとおりなんでございますが、できるだけこの節は大事なものはそれをいとわずにというふうに、政府としては全体考えております。特許の問題でございますと、会議はジュネーブでございますから、代表部を増強すればいいということに、お話のように話の筋としてはなるわけでございますが、なかなか急にそこまでもまいれない事情も御承知のようにいろいろございます。ジュネーブには通産省からは当然、代表部に行ってもらっておりますので、二人おりますでございましょうか、とりあえずそういう人たちに、これは特許は非常に専門的な分野でございますので、勉強してもらわないと簡単に代役ができるというわけでもないと思いますが、とりあえずは、やはりそういう勉強もしてもらうというようなことでいくべきでないかと思います。
#55
○塩出啓典君 これは長官にもひとつお願いしますけれども、もちろん日本の政府も限られた予算の中でいろいろ国際会議にも出、ジュネーブの国際機関の日本代表部にも各省から配置をしなきゃならぬわけで、そういう中で特許庁だけというわけにはまいりませんけれども、しかし、日本というのは先ほども話があったように、特許の出願件数では世界で一番多いわけで、それだけに国際特許、国際分類のあり方、あるいは国際関係の条約というものが日本の政治に及ぼす影響も非常に大きいわけで、どこの国よりも力を入れていかなければいかぬわけでありまして、ひとつ特許庁長官としても、そういう点には力を入れてがんばってもらいたいことを要望しておきます。
 時間がないから次へ進みますけれども、このストラスブール協定を批准した後に、次には当然特許協力条約に関する問題がクローズアップしてくるものと思うわけでありますが、この発効の見通し、あるいはまた、この特許協力条約に入ればどういうメリットがあるのか、これをひとつ簡単に説明してください。
#56
○政府委員(大川美雄君) 特許協力条約は、御指摘のとおりまだ発効しておりません。その条約の発効の手続といたしましては、条約の第六十三条によりまして、少なくとも八カ国が批准して、その批准書が寄託されてから三ヵ月後に発効すると、ただし、その八カ国のうち四カ国については、六十三条に規定してありますいろいろの条件を満たしているかどうかということによって、効力が発生するかどうかが決まるわけでございます。現在私どもが調べたところでは、九カ国批准ないし加入をいたしておりますけれども、その九カ国の構成を見ますと、六十三条に規定されている条件を満たしている国がまだ一カ国しかいないということで、後、その条件を満たす国がもう三カ国加入ないし批准をいたしませんと、条約は発効しない仕組みになっておるわけでございます。
#57
○塩出啓典君 特許庁としては、昨年の十月十四日に庁内に特許協力条約委員会をつくったと、そうして五十三年四月加盟をめどに非常に努力をしておる、このように聞いておるわけですけれども、この特許協力条約批准に当たる特許庁の体制、これがまた非常に大変なようでありますが、そういう点の計画はどうなっておるでしょうか。
#58
○政府委員(片山石郎君) いま先生御指摘ありました準備、特許協力条約に加盟するための準備というのは、大変いろいろございます。その準備につきましては、従来からいろいろな点で、たとえば一番の大きな問題は、まず、審査資料というものを整備する必要がございます。これは最小限のドキュメンテーション、ミニマムドキュメンテーション、こういうふうに呼ばれておりますけれども、これを主要七国、中心は主要七カ国の一九二〇年以降の文献を審査に利用できるように準備するという要件がございます。これは文献としましては当庁に一応存在いたしますが、審査に利用できるようにということは、膨大な資料をただ並べておるだけでは審査ができないわけでありまして、たとえば二次文献をさらに入手するとかいうような問題は若干残っておりますが、これにつきましては、逐次準備が進められておりますので、近いうちに、加入までには何とかめどがつくという予定でやっております。
 それから、第二点は要処理期間、先ほどの滞貨問題に関連した問題でありますが、要処理期間をある程度短くする、われわれは二年程度を何とか目標としてやりたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、現在はやや長くなる傾向にありますので、この点はぜひともいろいろな手を使いまして、二年程度を目標にやってまいりたい、こう思っております。
 さらに、それをやろうということになりますと、当然条約の批准と同時に、法律の改正もお願いしなくちゃならぬという点がございまして、子の必要な法律は特許法、実用新案法はもちろんでありますけれども、通産省の設置法とか、その他関連の法律につきましても改正をしなくちゃならぬというようなことで、その辺の主に大きな三つの点につきまして鋭意準備をいたしまして、なるべく国際的な発効の状態に間に合うようにやってまいりたい、こう考えております。
#59
○塩出啓典君 いま長官がお話しになりましたように、ミニマムドキュメントというんですか、いわゆるこれだけのものは審査資料として使えるような態勢にしておかなきゃならない。そのためには、少なくとも英文抄録というものをつくらなくちゃいけない。そうなりますと、先ほどの国際特許分類の場合はただ番号だけ変えりゃいいわけですけれども、今度はいろんな文献の要約をまとめてそれを英文にするということ、これもまた大変なことじゃないかと思うんです。そういうものが五十三年四月加盟をめどということになると、余り日にちもないわけですけれども、そういう資料の英訳とか抄録をつくるための予算とか、その態勢はどうなんですか、大体順調に進んでおるわけなんですか。
#60
○政府委員(片山石郎君) 文献の整備には非常に大変な問題があるわけでありますけれども、わが方の、いままでも準備を鋭意やってまいった結果、いま御指摘の二次文献みたいなものが必要になるわけでありますけれども、これにつきましては、すでに先ほど七カ国と申しましたが、そのうちの米、英、西独、ソ連、フランスは、――フランスの一部ですけれども――おおむね整備が進んでおります。それから、いまフランスの一部と申しましたが、フランスの残りの部分と、それからスイス、これは今後整備をしていかなくちゃならぬものでありますけれども、これも何とかやれるんじゃなかろうか。ただ、先生いまおっしゃいました五十三年の四月加盟というタイムリミットについては、これは先ほど外務省の方からもお話ありましたが、必ずしもそこでどうしてもやらなくちゃならぬという国際情勢でもなさそうでありますし、それから当方の準備もにらみ合わせ、ある程度弾力的に考えていってよろしいのではなかろうかというふうに考えております。
 なお、国際特許分類で資料を再編成しなくちゃならぬのじゃないかという御指摘もございましたが、その点につきましても、先ほど御説明申し上げましたような、国内のものも進んでおりますが、国際協力によりましてそれをIPCに編成がえする作業が進んでおりますので、その作業を大いに協力して利用してまいりたい、こう考えております。
#61
○塩出啓典君 それから、現在特許庁は二つの庁舎に分かれまして、特許、実用新案等の審査をするところと、それから資料館ですか、これが非常に離れておる。われわれ素人の考えかもしれませんが、審査には当然いろいろな資料が要る。そうするといま言ったように、ますます仕事が多くて人員が足りないのに、その上建物が二カ所に分かれて、毎日毎日あっちへ行ったりこっちへ行ったりしておるのでは、これはますます能率も上がらない、こういうようなことで、これを一緒にするということは特許庁の年来の悲願でもあるようにわれわれは聞いておるわけなんですけれども、なかなか進まない、こういうような問題はどうなんですか、長官としてあなたの在職中にやはりめどをつけるとか。
#62
○政府委員(片山石郎君) 庁舎が二つに分かれております点は、特に特許庁のような資料その他を頼りに仕事をすることの多い役所におきましては、非常に不便な関係がございます。したがいまして、何としてもできるだけ早く一つになろうということで、これはそういう予定になっておったわけでありますが、たまたま通産省の方の新しい庁舎を建てるという計画がいろいろな経済情勢もありまして延び延びになっております。それが完成いたしますと、いま通産省が入っております新館と称しておりますが、新館の方に特許庁が入るということは既定路線でございまして、もっぱら新しい通産省のできるのを促進するということによって、ぜひともなるべく早く一緒になるというふうに努力したいと思っております。
#63
○塩出啓典君 あと、いろいろ細かい問題もあるわけですが、時間も余りありませんのでこれで終わりたいと思いますが、非常に特許庁としても要処理期間がいま延びる傾向にある。これはやはり特許協力条約に加盟するためにはもっと短くしていかなくちゃいかぬ、しかも、いわゆる出願件数はどんどんふえている、出願件数の中に占める審査請求の件数はどんどんふえておる、それに国際特許分類の仕事あるいはまた庁内資料の整備、こういうように非常にやることがどんどんふえていっている中に、特許庁の立場というのが非常にじみな役所であるために忘れられている存在じゃないか。日本は世界で最も特許の出願件数も多い国なんですから、それだけにやはり国際的にもリーダーシップをとれるようにしていくことが、ぼくは大きな意味での世界平和への貢献にもなるのじゃないかと思うのですね。そういう意味で、きょうは通産大臣、大蔵大臣もいないので、これは閣僚の一人である宮澤外務大臣がいらっしゃるわけで、そういう点を、外務省としては関係ないかもしれませんけれども、この条約を今回批准をするこの委員会であることにちなんで、そういうような点にももっと政府としても力を入れて、先ほどお話がありましたように技術移転の問題とか、こういうようなことで南北問題にもこれは大事な問題じゃないかと思います。そういう意味で、政府全体としてももっと特許の問題にもひとつ力を入れて、特許を通して世界の平和に貢献をしていく、こういう姿勢をとってもらいたい。長官はもとより、外務大臣も側面的に応援をして整備をしていってもらいたい、このことを最後に要望いたしますので、外務大臣の決意をお聞きいたしたい。
#64
○国務大臣(宮澤喜一君) 私も、かつて通産大臣をいたしましたときに、ちょうど特許庁の重要案件が国会との関連でございまして、かなりの時間を割きまして、つけ焼き刃でありましたけれども、いろいろ話を聞きまして、非常にむずかしいということと、ただいま塩出委員の言われましたように、しかしこれはなかなか大事なことで、しかし世間的にはどっちかと言えばじみで、たくさんの人には余り関心を持ってもらえないという種類の仕事だということを痛感したことがございます。いま言われましたことはごもっともなことだと、自分のわずかな経験でございますけれども、からも感じております。通産大臣にも大蔵大臣にも申し上げますとともに、御趣旨に沿うように私としても努力をいたしたいと思います。
#65
○立木洋君 本協定の批准によっていろいろな利点があるという点については、前回いろいろお話がありましたから、きょうはその点は省きますけれども、いままでの質疑の中でも、いわゆる国際特許分類の業務に関して、それの機構との関連の検討の問題、それから国際特許分類への移行体制の整備、あるいは滞貨期間の問題等々、いろいろな問題が出されておると思うんですが、私もその点について若干質問したいと思うんです。
 現在、国際特許分類と日本特許分類が併記されておる、これが一本化するというのが大体五年先の見通しだというふうなお話でしたが、この一本化されるに至るまでの間にいろいろとやらなければならないことがあると思うんです。特許庁の審査の分担の問題や公報の発行区分や諸統計など、いろいろな問題に影響が生じてくると思うんですが、こういう問題について、五年間の見通しできちっとそれらの対策が立てていけるのかどうなのか、そういう問題について最初に質問したいと思います。
#66
○政府委員(片山石郎君) 五年先に主分類に移りたいというのが現在のわれわれの計画でございまして、そのためにはいろいろなことをやらにゃならぬわけであります。従来、すべて日本特許分類、JPCと言っておりますが、JPCを基礎として資料の配付から審査の体制をどうするかという決め方から、公報発行をどういうふうに発行するかという発行の仕方、いろいろな統計をつくる、すべてJPCでやってまいっておりますので、今度はその基礎をがらっと変えなくちゃならぬということでありますから、慎重な準備体制が必要でございます。しかしながら、同時に、その審査のためには、いま申し上げたことと同時に、過去の蓄積された非常に膨大な資料をIPCによって分類し直し、それを審査に適するようにちゃんと再編成するという必要がございまして、これらにつきましては、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、準備が着々進んでおるわけであります。それから、これをIPCに全面的に切りかえてJPCを外してしまうということになりますと、特許庁だけではなしに、さらにこれを利用する一般の業界なり何なりというものもそれに慣れないといけないという問題がございますので、いろんな方面の手を打っていかなくちゃならぬということで、総合的な観点から漏れがないように着々準備をやっておるわけでございます。
 審査体制につきましては、内部の問題でございますから、これの切りかえ作業をうまくやるように、鋭意委員会を設けて検討中でございますし、それから、分類し直す作業は先ほど申し上げました。
 それから、一般にIPCというものを十分に理解し、これに習熟してもらう、五年後には非常に楽にIPCから民間が利用できるようにしてもらうという、普及といいますか、そういうことも非常に積極的に昨年以来やっておるわけでございます。公報の発行体制というのも一つの問題でございまして、これについても現在検討を進めております。閲覧体制についても着々手を打っているわけであります。いろいろ申し上げましたが、結論的に大体五十五年にはそうトラブルなしに移行できるという、そうしなけりゃならぬというつもりで、鋭意準備を進めておる段階でございます。
#67
○立木洋君 昨年、衆議院と参議院の商工委員会で特許法の一部改正に関する法案ですかの審議がなされたときに、もうすでにその時点では、いわゆるこのストラスブール協定が発効する、それをやはり早期に批准しなければならないというふうな問題が明確になっておった時点で衆参で審議されたわけですね。そのとき審議された結果、附帯決議として、もうこれは御承知だと思いますけれども、たとえば衆議院の場合ですと、「特許情報の激増に対処し、その効率的利用を図るため、特許庁における分類審査機能の強化及び審査資料の収集整理についての改善を含め、情報処理業務と機構の拡充を図り、特に公開公報の内容及び発行の態様につき早急に再検討を加え、必要な法的措置を速やかに国会に提案すること。」というのが第一項目に掲記されているわけですね。それから参議院の場合も同じように、「特許情報の増大、国際化の進展に対処するため、発明の要約の整備等の対策をすみやかに検討するとともに、特許分類付与の精度向上のために、万全の措置を講ずること。」こういうことが附帯決議の一項目に掲記されておる内容だと思うんですが、すでにもう一年間たっているわけですけれども、こういう趣旨に基づいてどのような対応策が講じられてきたのか、その点についてお聞きしたいと思います。
#68
○政府委員(片山石郎君) 何よりも一番大事なことは、分類を審査する専門官というものがまだ量的に少ないという点がございます。たとえば現在、分類審査官という人は二十三人おりますが、この人をどうしてもふやしていかなくちゃならぬ。もちろん、分類審査官というのは一人で全部やるわけじゃございませんで、いろいろな審査官との協力関係もございますし、若干の下働きをしてもらう調査員というような方もございます。しかし、それにしましても絶対量は非常に少のうございます。どうしても、毎年ふやしていただいてはおりますけれども、さらにこれはふやさなくちゃならぬというふうに考えておるわけであります。
 それから、やはり分類の審査というものは相当な専門知識を必要とするわけであります。したがいまして、だれでもすぐに分類審査官にぽっとなれるという性質のものじゃございません。しかし、これにつきましては、鋭意研修というものを強化いたしまして、なるべく早く分類の専門家になってもらうというような努力をいたしております。
#69
○立木洋君 この分類の審査官の問題については後ほどまたお尋ねしたいと思いますけれども、いわゆるIPCへ変換する場合、いろいろ機構上の改革も必要になるだろうと思うんです。これはここでも、これらの附帯決議の中でも、いわゆる「必要な法的措置を速やかに国会に提案する」と。五十五年までにいわゆる一元化するという見通しのもとで、そういう法的な措置についての検討は開始されているのかどうなのか。
#70
○政府委員(片山石郎君) 附帯決議にございますように、いろいろ問題がございます。ただ同時に、先ほどから御議論のありました特許協力条約、この問題とIPCの問題というのは非常に絡み合っておりまして、どうしてもPCTに加盟するというときには、いろいろな面での、制度改正も含めた手当てをしなくちゃならぬということになっております。したがいまして、このPCTの加入ということを頭に置きまして、先ほどちょっと申し上げましたように、法律的な問題はいろいろ検討しなくちゃならぬ問題でございますので、これを鋭意検討していきたいと思います。
 IPC自体につきましては、確かに内部の審査体制を変えるというような問題がございますが、どうしても法律でもって手当てをしなくやならぬということは直ぐには出てまいらないわけでありまして、PCTと含めてより効率的なと申しますか、よい形に変えたい、制度を変えてまいりたい、こう考えて検討をいたしております。
#71
○立木洋君 先ほども出ておりましたけれども、主要国の中でわが国の特許の出願件数が非常に多いというお話ですが、主な国々との比較の上でどのぐらい出願件数が多いのか、まずそれをお聞きしましよう。
#72
○政府委員(片山石郎君) 出願件数は非常に日本の場合は多いわけでありまして、四十九年をとってみますと、アメリカの場合ですと約十万件でございます。イギリスは五万六千件、フランスが四万三千件、西ドイツが六万三千件、カナダが二万七千件、これに比しまして日本は十四万九千件でございます。ちなみに、これらの国の中で実用新案制度をとっておる国というのは西ドイツと日本だけでございますが、したがって、その出願が別途ございまして、西ドイツの場合は実用新案が四万三千ございます。日本はこれが十五万七千ということでございますから、両者合わせますと日本は四十九年におきましてすでに三十万件を超えるということでございます。非常に大きな数字になっております。
#73
○立木洋君 アメリカに比べても三倍近くということになるわけですね。これらの主な国における、各国での分類の審査官というのはどれぐらいの人数が配備されておるんでしょう。
#74
○政府委員(片山石郎君) ちょっといま手元にございませんので、調べまして報告いたします。
#75
○立木洋君 アメリカだけのあれを言いますと、私の手元にあるんですが、欧米特許情報調査団の報告書が、四十九年の十月に行った十九名の調査団による報告によれば、アメリカの場合には直接これに担当している、いわゆる分類の審査を行っている担当官というのが八十三名。そうすると、日本の場合には二十三名ですか、五十一年度の予算が通過しましたから二十六名に増員ですか、それでも事実上いわゆる特許、実用案件というのは大体三倍ですね。これは体制上から言っても全く大変な状態であるというふうに言えるんではないかと思うんですが、そういう点についてはどのようにお考えになっておられますか。
#76
○政府委員(片山石郎君) 先ほど失礼いたしました。審査官の数は、分類審査官の数ですと手元にございました。先生のおっしゃるとおりでございます。
 わが国の分類審査官は、先ほど申し上げましたように五十一年度二十三人と申しましたが、予算が成立いたしましたので二十六人になっております。アメリカが二十七人でありますけれども、全部、テクニシャンという人がありますから八十数名になっておるわけであります。日本の場合は確かにこれでは絶対数におきましても非常に少ないわけでありまして、どうしても増員というものが必要になるわけでありますが、それでは現在どうやってやりくり算段をしているのかという点になりますと、これは相当一般の審査官に協力を願ってやらざるを得ぬということで、したがって、一般の審査官が相当通常やるべき審査をある程度犠牲にして分類の方に協力しているというのが一つでございます。
 なお、先ほどちょっと触れましたが、調査員という人を、わりにこういうことに堪能な人を、常勤じゃございませんけれども、補助と申しますか、そういうかっこうで使っておりまして、そういう人たちにも下審査をやってもらうということをやってしのいでおるというのが現状でございます。
#77
○立木洋君 分類審査室は、実際上書類を仕分けするだけでほとんど手がいっぱいだ。一般審査官に事実上付与の協力をしてもらわないとできない状態だと、先ほど言われましたけれども、いわゆる分類の審査官というのは特別の専門的な知識がなければ十分にできない、それが事実上分類の審査室ではもう書類をさばくだけで手がいっぱいで、一般の審査官の協力を得なければならない。滞貨の状態もまたふえる状態だというふうなことで、事実上やっていける見通しがあるのですか。
#78
○政府委員(片山石郎君) やっていける見通しと言われますと、どうしてもやっていかにゃならぬものですからやっているわけでございまして、今後もやっていかざるを得ぬと、これは相当一般の審査官の負担増になりますけれども、やっていかなくちゃならぬ。しかし、これは決してノーマルな姿じゃございませんので、何としてもこの点につきましては相当腰を入れて対策を考えていかにゃいかぬと思っております。いま先生御指摘のように、分類審査官というところは、こう資料をばっと配るぐらいでですね……
#79
○立木洋君 いやそう単純には言いませんよ。
#80
○政府委員(片山石郎君) いや、その点もある程度は当たっておるのでございまして、分類審査官というのは単に分類付与だけをやるわけじゃございません。たとえば、今度のこのIPCの改正問題についての意見を出すというときは、どうしてもこれは分類審査官のところでやっていかにゃいけませんので、ある程度われわれにとってみれば政策的と申しますか、そういった仕事も分類審査室でやらざるを得ぬということもありますので、なかなか手が回りかねるという現状でございます。
#81
○立木洋君 結局は、いまのところでは分類審査官や一般の審査官のいわゆる労働過重、強化といいますか、によって何とかやっておると、そういうことですか。
#82
○政府委員(片山石郎君) 端的に申しますとそういうことでございます。
#83
○立木洋君 それはやっぱりきわめて不正常な状態だと思うのです。いま長官も言われましたように、これは至急改善しなければならない点だと思うのです。
 それで、先ほども出されましたけれども、IPCの場合の改正作業というのは、五年が一つのサイクルになってやられているわけですが、日本の審査官や調査官の交代というのは二年交代だというふうなことを聞いているんですが、そうなんですか。
#84
○政府委員(片山石郎君) 分類審査室関係につきましては、そのようでございます。
#85
○立木洋君 五年が一つのサイクルになって、まあ改正作業が事実上IPCではやられている。それを国内の分類審査官は二年で交代する、これは実情に合うのかどうなのか。いわゆる専門的な知識を十分に必要としなければならない状態からいってそれはどういうふうにお考えになっているのか。
#86
○政府委員(片山石郎君) あるいは、もう少し長くやった方がよろしいかという問題はございます。したがって、その点についてはもう少し検討してみたいと思いますけれども、現状は二年程度で何と申しますか、わりに分類一般の審査官の中で分類問題を特に得意と申しちゃおかしいですけれども、手がけているような人を分類審査室へ持ってきまして、そこでやっていただくというようなことをやって、その人がまた審査官のもとのところへ戻るというときには、またその人たちの知識がその辺の一般の人にも活用できるというようなことも考えてやっておるわけでございますが、あるいは再検討した方がよろしいかもしれません。
#87
○立木洋君 これ素人考えでも余り合理的ではないように思うんですね。やはり現地で働いている方々、特許分類の審査官の方々の意見も聞いてもらって必要な改正はやっていく、事実上そういうIPCへの移行に伴って多様化するわけですから、そういう点については十分に配慮していただきたいということを申し述べておきたいと思うんです。
 次に、特許管理担当調査官というのができているんですが、IPCの担当調査官というものをやはり設ける必要があるんじゃないでしょうか、その点はどうなんでしょう。
#88
○政府委員(片山石郎君) 特許管理の調査官というのは、本年度からできることになりました。IPCの方は現在ございませんが、兼務で国際問題担当の調査官かやっておりますが――失礼しました、分類室長がIPC問題を担当いたしてやっております。これも専門的な人を設ける必要があるのかどうか、その点については再検討いたしてみたいと思います。
#89
○立木洋君 大臣、いまお聞きのように、IPCへの転換に伴って、いろいろ国内の整備の上ではまだまだ大変な問題が残されているというふうにお感じになるだろうと思うんですが、これはもう通産大臣やられた御経験者ですからよくおわかりだろうと思うんですけれども、こういう状態で協定を批准して、事実上五年間の見通しでいま一元化を図るという点にいろいろ大変な問題があるわけですから、この点はもうくどく言いませんけれども、十分に先ほど来出されている問題点をお考えいただいて、態勢の整備の上でもしかるべき協力を大臣としてもお願いしたいということを要望しておきたいと思うんです。
 それで、先ほど問題になりましたけれども、やはり日本の技術の発展やその多様化に伴って、いわゆるIPC、国際特許分類の改正作業、これに積極的に日本の意見を反映さしていく、そしてそういう面でもやはり習熟し、国際的な作業の内容を国内的な仕事の上にも反映さしていくということが非常に大切になると思うんですが、先ほども問題になりましたけれども、国会にこのストラスブール協定を提出する期間が非常におくれたというのは、特許庁の体制の確立の上で主に問題があったというふうにお答えになったと思うんですが、事実上この協定の発効前に作業部会、ワーキンググループが五つに分かれておる、これを見てみますと、合同暫定委員会だとかビューロー会議等々にはそれぞれ欠席があっても大体出席されておる。ところが協定発効前、作業部会、このワーキンググループを見てみますと、五つのグループが一九六九年から七五年までの間全部で十八回開かれておるわけです。これはおたくの資料ですから間違いないと思うんです。ところが、日本の出席したのはわずかに第四ワーキンググループ一回だけなんです。ほかのワーキンググループには全然出席していない。こういう事実上具体的な詰めを行う作業部会に一回も出席しなくて、特許庁のいわゆる体制整備、IPCへの転換に伴う整備を行っていく作業というのは、こういう状態ではやはりうまくいかないんではないかというふうに思いますが、この点についてはどのように処理され、そして具体的にこういう会議に参加できなかった場合にはどういうふうに処置されていくのか、支障がないのかどうなのか、この点についてお聞きしたいと思います。
#90
○政府委員(片山石郎君) 先ほども申し上げましたが、作業部会に出ないということは決してそれで済むといいますか、結構なことであるというわけにはいかぬわけでありまして、作業部会にもできれば何とか出たい、出したいというのが実態でございます。ただ、それでは出ない場合にいかにしてしのいでおるのかという点でございますが、これは特許というのはわりに文書というもので仕事をする習慣といいますか、そういうものがございまして、当庁では非常にまじめにというか熱心に、その一々の作業部会につきまして、テーマはこういうテーマというようなものにつきまして、こちらの意見というものを非常に熱心に勉強しまして、それを一々文書でもってWIPOの事務局の方へ送って、これを外国といいますか、そちらの会議では相当注意を払ってやっていただきまして、当庁のどうしてもという主張は一応いままでのところ取り入れられてまいっておるということで、現在までのところ大過なくと申しますか、そういうかっこうでまいっております。しかし、これから非常にデリケートな問題が多々出てまいることになると思います。特に、先端技術分野における非常にデリケートな分野というのは、先進国との間でもいろいろ議論が分かれるところだと思いますので、そういう重要会議にはなるべく出席するようにしたいと思って思っておりますが、まあお金も十分あればそういうことも自由にできるわけでありますけれども、なかなか不如意な点もございますので、その辺は重要性を取捨選択しまして、どうしてもという会議にはぜひ出すようにさせたいと思っております。
#91
○立木洋君 この問題も結局やはり分類審査官の努力によって大過なくということになっているわけで、実際にはそれは会議に出席しなくて、文書で意見を述べ、あるいは報告を読んで一生懸命研究してやればそれでいくということであれば、もともと会議なんか要らないということにもなりかねないわけですから、実際にはそういう形で努力をしても、やはり会議に参加して事実上意見を述べ意見を聞くということに比べるならば、やっぱり限界があるだろうと思うんですよ。この点についても、昨年の五月、衆議院の商工委員会でこの問題が論議になって、そのときに河本通産大臣が、「先ほど来、わが国の工業所有権制度の問題についての国際会議における出席、活躍発言等についてのいろいろなお話がございました。よく整理をいたしまして、政府部内でも手落ちのないように今後十分気をつけていきたいと思います。」、その前の議論は読みませんが、これはもう会議の出席率が悪いということが大変問題になったわけです。問題になった結果、大臣が、「今後十分気をつけていきたいと思います。」というふうに述べられた。きょう通産大臣がおられれば直接御意見を聞くわけですが、ところがこれが、協定が発効したんですよね。発効後のいわゆる開催状況を見てみますと、このワーキンググループ、一から四まで四回、それぞれ一回ずつ開いています。ところが、この四回、ワーキンググループ、作業部会が開かれているわけですが、日本からは出席がゼロ。河本通産大臣は今後十分気をつけますと言ったけれども、四回開かれた会議に一回も出席しない。これは一体どういうことなんでしょうか。それは長官にお答えいただいてもちょっと無理かもしれませんが、通産大臣がおられれば直接お尋ねするところですけれども……。
#92
○政府委員(片山石郎君) どうもはなはだ答弁を、どういうふうに答弁申し上げたらよろしいのか、ちょっと迷っておるわけでありますが、まあ端的に申しまして、ざっくばらんに申し上げまして、出張するためのお金がない、したがって、まあその、予算はそれ相応についておるわけでありますけれども、ほかにどうしても欠かせないというものがどうしても優先される。ワーキンググループはその上に運営委員会があったり専門家委員会がある。そこで、相当ワーキンググループでは文書でやっておいて、それで粗ごなしを文書でお願いしておいて、その上の運営委員会なり専門家委員会でもやれるという安全弁がまだ残っているということもありまして、予算の有効活用と申しますか、そういうことでやってきておるわけでございます。これはしかし、決して好ましいことじゃございませんので、来年度、ことしの予算もそれほどたくさんでございませんので、ここではっきりお約束はできるわけではございませんので、来年度は大いに努力したいと、こう考えます。
#93
○立木洋君 それは大変長官に答弁していただくというのは苦しいかもしれませんけれども、これはやはり、いわゆる特許法の中で分類ということが全然問題にされていない。特許法を見てみますと分類という言葉がもうほとんどないんじゃないですか。これは結局、特許の分類ということの事実上正当な位置づけが法的にもなされていないということとも関連があるんではないかと思うのですが、その点はどうなのですか。
#94
○政府委員(片山石郎君) 現在公報類を発行する場合には、いろいろなことを明記しなくちゃならぬということになっておりますが、その記載事項の中に、確かに分類というのは特にはメンションいたしておらないわけでございます。ただまあ、分類というのは権利義務に、日本の法律の考え方から申しまして、これはつけたというのは、検索が非常に容易になる、あるいは非常に審査がやりやすくなる、あるいは情報の利用が非常にやりやすいというようなものであって、これによって特許権の権利の範囲を決めるとか、そういったことには一切関係はないという考え方から、この協定の中でも事務的性質のみを有するというふうに書いておるわけでおります。したがいまして、これはたまたまそういうこともあって、これを特に何か法律で明記をしなくちゃならぬというふうにはわれわれ考えておらないわけでございます。
#95
○立木洋君 だけど、これは分類の付与が正確に行われないとやっぱり特許の申請をした人々にとってもいろいろと迷惑がかかるという問題もあるわけですし、今後技術がますます発展して多様化する状況の中では、この仕事というのは正確にやらないといろいろ問題が起こるし、国際的にもトラブルが起こるという事態をも考えられるならば、この問題は法的にもきちっとしておく必要があると思う。いま長官が言われましたけれども、その点は私はぜひ検討していただきたい。この問題についても、前回の衆議院、参議院の商工委員会でもいろいろ議論のあったところでありますから、このことも踏まえて、十分に検討していただきたいと思うのです。
 最後に、いまお聞きのように、いろいろ問題点がありますので、ひとつ外務大臣も、協定批准が終わればそれでもう外務省は無関係ということではなしに、今後とも、そういういろいろ問題点がある、国内的な対応の措置をスムーズにいくように協力をしていただきたいということを最後に要望して、私の質問を終わります。
#96
○委員長(高橋雄之助君) 他に発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 国際特許分類に関する千九百七十一年三月二十四日のストラスブール協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#97
○委員長(高橋雄之助君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(高橋雄之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#99
○委員長(高橋雄之助君) 次に、第五次国際すず協定の締結について承認を求めるの件
 千九百七十五年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件
 アジア=オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件(いずれも本院先議)
 及び、核兵器の不拡散に関する条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
 以上四件を便宜一括して議題といたします。
 政府から逐次趣旨説明を聴取いたします。宮澤外務大臣。
#100
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました第五次国際すず協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この協定は、本年六月三十日に有効期間が満了する第四次国際すず協定にかわるものとして一九七五年の五月から六月にかけてジュネーブで開催された国連すず会議において採択されたものであります。
 この協定の実質内容は、大綱において第一次から第四次までの国際すず協定の内容を踏襲しており、一定の価格帯を定めるとともに緩衝在庫の操作及び輸出統制によってすずの市場価格をこの価格帯内に安定せしめることを主たる目的としております。
 一九六一年以降第二次、第三次及び第四次国際すず協定に参加してきたわが国が引き続き第五次協定に参加することは、協定の運用において消費国としてのわが国の立場を十分に反映せしめるためにも、また、東南アジアを中心とするすず生産国の経済発展に協力する姿勢を示す意味からも、きわめて望ましいものと考えられます。
 よってここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、千九百七十五年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この協定は、本年九月三十日に有効期間が満了する千九百七十二年の国際ココア協定にかわるものとして、一九七五年の九月から十月にかけてジュネーブで開催された国連ココア会議において採択されたものであります。
 この協定の実質的内容は、大綱において千九百七十二年の国際ココア協定の内容を踏襲しており、一定の価格帯を定めるとともに、輸出割り当ての実施及び緩衝在庫の操作によってカカオ豆の市場価格をこの価格帯内に安定せしめることを主たる目的としております。この協定によって修正された点は、価格帯の引き上げ並びに輸出割り当ての調整及び緩衝在庫操作についての変更が主なものであります。
 千九百七十二年の国際ココア協定に参加してきたわが国が引き続き千九百七十五年の国際ココア協定に参加することは、開発途上にあるココア生産国の経済発展に協力する姿勢を示す意味からも、また、協定の運用において消費国としてのわが国の立場を反映せしめるためにも、きわめて望ましいものと考えられます。
 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、アジア=オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、万国郵便連合憲章が認めている地域的郵便連合の一つであるアジア=オセアニア郵便連合の基本文書であり、連合の組織、任務、加盟国間の通常郵便物の取り扱い等について規定しているものであります。同連合には現在わが国を含め十一カ国が加盟しております。条約の改正は、通常五年ごとに開かれる同連合の大会議において旧条約にかわる新条約の形式で行われることになっており、一九七五年十一月にメルボルンで開催されました第三回大会議において、現行条約にかわるものとしてこの条約が作成されたものであります。
 この条約の主な内容は、地理的に近接していて多くの面でつながりの深いアジア=オセアニアの地域の諸国が、地域内の郵便業務の効果的な運営を図るとともに、郵便上の問題につき協力するというものであります。
 わが国は、一九六八年九月にアジア=オセアニア郵便連合に加盟しましたが、この条約の締約国となり引き続き連合の活動に積極的に参加いたしますことは、この地域内の郵便利用者の利便の増大及び地域的国際協力の増進を図る上にきわめて望ましいと考えられます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、核兵器の不拡散に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 核兵器の不拡散に関する条約の作成につきましては、一九五八年の第十三回国連総会においてその重要性が指摘されて以来、国連及び十八カ国軍縮委員会において審議が行われましたが、一九六八年の第二十二回国連総会は、軍縮委員会より送付された条約案を審議し、改定を加えた後、この条約を推奨する決議を採択いたしました。その結果この条約は、一九六八年七月一日ロンドン、モスクワ及びワシントンで署名のために開放され、わが国は、一九七〇年二月三日、右の三都市において署名いたしました。この条約は、一九七〇年三月五日に効力を生じ本年四月一日現在締約国は九十五カ国となっております。
 この条約は、核兵器国が核兵器その他の核爆発装置またはその管理をいかなる者にも移譲しないこと、非核兵器国が核兵器その他の核爆発装置またはその管理を受領せず、また、核兵器その他の核爆発装置を製造その他の方法により取得しないこと、すべての締約国が原子力の平和的利用の分野における国際協力を進めること等を主な内容とするものであります。
 わが国がこの条約を締結することは、核拡散防止体制の強化を図り、軍縮の分野におけるわが国の主張をさらに進め、また、わが国における原子力の平和的利用を推進する見地からきわめて望ましいと考えられます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#101
○委員長(高橋雄之助君) 続いて、順次補足説明を聴取いたします。伊達条約局参事官。
#102
○政府委員(伊達宗起君) 第五次国際すず協定についてでございますが、すずの国際価格安定のための国際協力の動きはすでに戦前から見られたのでございますが、戦後に至り、国際連合を中心に協定案作成の努力が続けられまして、一九五六年に第一次国際すず協定が発足いたしました。わが国は、この第一次協定には参加いたしませんでしたが、一九六一年に第二次協定を受諾し、引き続いて第三次、第四次協定にも参加して現在に至っております。
 現行の第四次国際すず協定の運用状況を振り返ってみますと、すずの国際価格は、協定発効の直後の通貨問題の影響もありまして、協定の価格帯の中にあって軟調に推移しておりました。しかし、一九七三年以降、世界経済の激しい動きの影響を受けまして、すずの価格にも異常な騰貴、下落の現象が見られたのでありますが、第四次協定のもとで理事会の行いました輸出統制でございますとか、あるいは、緩衝在庫による市場の介入はそれなりに効果を示してきたものと言えると存じます。
 次に、第四次協定の参加国についてみますと、生産国といたしましては、マレーシア、ボリビア、インドネシア、タイ等、世界の主要生産国のすべてが参加しております。他方消費国につきましては、日本、EEC諸国、ソビエト連邦等は参加しておりますが、世界最大の消費国である米国は従来協定の締約国となっておりません。ただ、この第五次協定につきましては、米国は参加する意図があることを早くから表明いたしておりますし、すでに署名も了しておる次第でございます。
 次に、国際ココア協定でございますが、この協定の対象産品でございますカカオ豆は、主としてチョコレートの原料として使用されておりまして、その大きな消費国は欧米諸国を初め、主として先進諸国でございます。他方生産国はアフリカ、南米、アジアの開発途上国となっており、特にガーナ、ナイジェリア、象牙海岸共和国、カメルーン等、西アフリカのカカオ豆生産国におきましては、カカオ豆による輸出収入の増大が今後の経済発展にとってきわめて重要な要素になっております。
 カカオ豆の価格につきましては、現在のところカカオ豆の需給状況が比較的均衡しておりますために、御審議いただきますこの新協定において定められている最高価格の一ポンド当たり五十五セントを上回って推移しておりますが、今後の見通しにつきましては、国際ココア理事会は、七〇年代当初から輸入国側の要望に応じて増産のために植えつけられましたカカオ樹の状況によっては、近い将来供給が過剰となり、価格が低落するおそれもあるとの指摘を行っております。
 このような事情のもとに、生産国は、本年九月三十日に失効いたします現行ココア協定の継続を強く要望いたしまして、昨年九月から十月にかけてジュネーブにおいて新協定作成のための国連ココア会議が開催されました結果、採択されましたのがこの協定でございます。
 次に、アジア=オセアニア郵便条約でございますが、万国郵便連合憲章は、加盟各国が地域ごとにその地域に特有な郵便業務上の問題を検討し、業務の改善、利用者の便利の増大等を図るとともに、万国郵便連合の場において共同歩調をとりやすくするというような趣旨から、地域郵便連合を設立することを認めております。
 このアジア=オセアニア郵便連合は、現在八つございますこのようないわゆる限定連合の一つでございまして、その主な活動といたしましては、地域内における郵便料金の引き下げと技術協力との二つを挙げることができます。
 わが国は、郵便料金の引き下げにつきましては、加盟国あての船便の書状及びはがきにつきまして国際料金の六〇%の特別料金を適用しておりますし、また、技術協力の点につきましては、従来からこの連合の加盟国の郵政職員を東京等に集めまして郵便セミナーを開催するなど、積極的に行っております。
 最後に、核兵器の不拡散に関する条約でございますが、核軍縮に関する条約といたしましては、この核兵器の不拡散に関する条約のほかに、大気圏内、宇宙空間及び水中における核兵器実験を禁止する条約、核兵器及び他の大量破壊兵器の海底における設置の禁止に関する条約が成立しておりますし、そのほか、南極条約でございますとか、あるいは、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約という条約にも関連の規定を含んでおりますが、これらの条約は、一定の状況における核兵器実験等の禁止、あるいは、一定の地域等における核兵器等の設置の禁止などを内容といたしております。
 この核兵器の不拡散に関する条約は、核兵器を有する国が増加するに従いまして、核戦争の危険が増大するとの認識に立ち、核兵器の拡散を防止することを内容とするもので、先ほど申し上げました諸条約とともに、核軍縮推進の一歩たることを目的としておるものでございます。
 この条約は、一九七〇年三月五日に発効いたしましたが、その後、核兵器の拡散防止につきましては、一九七四年五月のインドによる核爆発実験を一つの契機といたしまして、また、最近の原子力平和利用面における原子力技術の拡散傾向に伴いまして、その重要性が国際場裏及び各国において一段と認識されるに至っておりまして、この問題は、国連総会やジュネーブの軍縮委員会におきましても取り上げられております。
 この条約第八条三の規定に従いまして、条約発効の五年後に当たる昨年五月、ジュネーブにおきましていわゆる条約再検討会議が開催されまして、この条約の体制の強化をうたった最終宣言が全会一致で採択されました。わが国は、この再検討会議に署名国としての資格で参加いたしまして、核軍縮に関するわが国の主張について各国の理解を得るように努めた次第でございます。
 この条約は、第三条で、締約国である非核兵器国が、この条約に基づいて負う義務の履行を確認することを目的といたしまして、国際原子力機関との間で締結する協定に定められた保障措置を受諾することを定めておりますが、わが国の原子力の平和利用の発展上、この協定が他の国々と比しまして不利なものとなってはならないわけでありますが、政府といたしましては、原子力機関と予備交渉を行いまして、わが国の利益を十分確保できる内容の保障措置協定案文について、昨年二月に実質的に合意に達している次第でございます。
 以上でございます。
#103
○委員長(高橋雄之助君) 以上をもって説明は終わりました。
 四件についての質疑は後日に譲ることにいたします。
 これにて散会いたします。
   午後零時五十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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