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1975/05/22 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 外務委員会 第9号
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1975/05/22 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 外務委員会 第9号

#1
第077回国会 外務委員会 第9号
昭和五十一年五月二十二日(土曜日)
   午前十時二十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     初村滝一郎君     増原 恵吉君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         高橋雄之助君
    理 事
                亀井 久興君
                秦野  章君
                戸叶  武君
    委 員
                伊藤 五郎君
                糸山英太郎君
                大鷹 淑子君
                安田 隆明君
                田中寿美子君
                竹田 四郎君
                田  英夫君
                羽生 三七君
                塩出 啓典君
                立木  洋君
                塚田 大願君
                向井 長年君
   国務大臣
       外 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       外務省経済局長  本野 盛幸君
       外務省条約局長  中島敏次郎君
       外務省条約局外
       務参事官     伊達 宗起君
       外務省国際連合
       局長       大川 美雄君
       大蔵省国際金融
       局長       藤岡眞佐夫君
       文部省学術国際
       局長       木田  宏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        服部比左治君
   説明員
       外務省国際連合
       局外務参事官   大塚博比古君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国際通貨基金協定の第二次改正の受諾について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際連合大学本部に関する国際連合と日本国と
 の間の協定の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
○反覇権条項を明記した日中平和友好条約の即時
 締結と批准に関する請願(第三号)(第八四八
 八号)(第八六六〇号)
○核兵器全面禁止国際協定の締結等に関する請願
 (第一二四号)
○日米安保条約の廃棄並びに核兵器完全禁止国際
 協定の締結促進に関する請願(第一九〇一号)
 (第五四五四号)
○日中平和友好条約の早期締結に関する請願(第
 二九九八号)
○金大中氏拉致事件の真相究明に関する請願(第
 八四八七号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(高橋雄之助君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、初村滝一郎君が委員を辞任され、その補欠として増原恵吉君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(高橋雄之助君) 次に、欠員中の理事の補欠選任を行います。選任の方法につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(高橋雄之助君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に増原恵吉君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(高橋雄之助君) 国際通貨基金協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件
 及び、国際連合大学本部に関する国際連合と日本国との間の協定の締結について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)
 両件を便宜一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○竹田四郎君 今度のこの第二次改正の主眼点というのは、恐らく固定相場制というものが現状の変動相場制という、現状を一つ追認したということにあるし、もう一つは、IMFが持っていた金を返却ないし売却をするという問題と基金の出資の問題、あるいは途上国に対する貸付枠の拡大というようなものが大体主眼になっているように思うんです。そこで、変動相場制ということがこれから公認になって、いつ固定相場制へ返っていくかということは、これはちょっといまのところ考えられないことだし、また、固定相場制に返るにいたしましても、これはかなり問題があるんではないかというふうに思うんです。
 そこで、この協定の改変とこれからの日本経済というものを考えていきます場合に、いままでは、固定相場制の場合には天井というものを常に意識して国内経済の好不況というものをコントロールすることができたということなんですが、変動相場制になるということになりますとそういう拘束あるいは神経を使うといいますか、こういうようなものがわりあい外れてくる。そうなりますと、国内の景気いかんというところに神経が集中されていく可能性があるんじゃないか、こういうことで世界経済の同時的な循環、今度の不況というのは大変そういう意味では世界の不況というものがシンクロナイズされたところに世界経済の一層の深刻さというものを増したように思うんですけれども、これはやっぱり変動相場制の問題と私は全然不可分の問題じゃない。変動相場制の問題がやっぱりこれに関連をしていたんではないだろうか。そういう学者の意見もあることは御承知のとおりだと思うんです。そうなってまいりますと、いままで以上に経済運営というものがむずかしくなってくる、こういうふうに思うんですけれども、その辺は、変動相場制になって世界経済と日本経済とのかかわり合いというようなものが一体どうなっているのか、これは大変心配だし、同時に各国の節度、経済運営の節度、まあよく私はそういうことを言いますけれども、それとの関連というものが私は非常に出てくるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
#7
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 為替相場制度と経済政策との関係という非常に大事なむずかしい問題を持っておいでになったわけでございますが、確かに、固定相場制度のもとにおきましては民間が貿易取引の先行きについて、あるいは資本取引につきまして安定した見通しが立ち得るというメリットがございました。もう一つは、いま竹田委員御指摘のように、政府当局におきましても、固定相場を守るというために経済政策を健全にもっていかなければならないというふうな長所があったわけでございます。それがブレトンウッズ体制の崩壊とともに全面的フロートになりまして、いま御指摘になりましたような各国の通貨が変動し、そしてともすればインフレ対策とか、そういった健全な経済政策が十分に守られないんじゃないかという懸念が出ておるわけでございます。
 今回提議されておりますIMFの第二次協定は、こういいましたいわゆる全面フロート的な無秩序な国際通貨制度を立て直そう。ただ、立て直すにつきましては、前回のブレトンウッズ体制のようにかなり厳格な固定相場制度に戻すことはできませんので、相場制度につきましては各国の自由な選択に任す、任せますけれども、各国が勝手なことをすることによって通貨体系が無秩序になるのは困りますので、それを回避するためにIMFの監視のもとにこのフロートを運営していこうということになるわけでございます。
 現在、もうIMFの理事会が決めましたフロートのガイドラインというものはあるわけでございますが、この第二次協定改正案が通りますと、この協定に基づいてそのIMFがフロートについてのいわばガイディングプリンシプルを与えるということになりますので、国際協調がよりIMF中心に強まってくるというふうに私は予想しておるわけでございます。
#8
○竹田四郎君 固定相場制を崩していった大きな原因というのはアメリカの過剰ドル、これが一つやり玉に上がっているわけですけれども、具体的に固定相場制を崩さざるを得なかった大きな直接的な要因というのは、これは私はユーロダラーだとか、こういう短期資金の激しい投機、こうしたものがかなりそういうものを実際は突き崩していってしまった。各国でも変動相場制になっても、フランスのフランやポンド、リラ、こういうものを見ましても、やはりそういうものの動きというのが非常に大きくなってきた。
 それから、それぞれの国でユーロダラーについてのコントロールというものは恐らくできないだろうと思うし、国際的にもいまの段階でできるかどうか、私は恐らくできないだろうと。もう一つは多国籍企業、これの資金の相互の動きというものは、これは一つの企業の内部での動きでありまして、これもなかなかコントロールになじまない問題だろうと思いますが、こういう動きというものが、まあこの前の例のニクソン・ショックのときも多国籍企業の資金移動というものはかなりあったわけでありますし、また、最近のように日本の銀行でも海外に多くの支店を持つ、日本の銀行の中でもそういう意味では外国の銀行から金を借りて、ドルを借りて、それを海外支店から本店に送って、そして市場で売って円を買うというようなことも現実に行われて、それに対する疑惑というものも非常にあったわけですね。ですから変動相場制になって、国際的な査察が若干あるにしても、恐らくこういう暴れ者といいますか、そういうものがある限りはやっぱり変動制というのは乱高下といいますか、こういうようなものを私は生み出すことになっていると思うんですけれども、今度の協定でその辺をコントロールできる体制というのは一体できるのかできないのか。やはり貿易をやっていく、あるいは資本取引をやっていく、しかも、恐らくこれから長期の資本取引というようなことはかなり重要な分野に私はなると思うんです。そういうのに余り変動制で動き、乱高下するということになりますと、やっぱり先行き不安というようなものが起きるでありましょうし、民間企業として果たしてそういうものに積極的にやっていくかどうかということになると一種の心配があるわけでありますけど、まあ輸出保険制度なんかもありまして、若干はそれは補てんをされるにしましても、やっぱりかなりの心配があるということなんですが、そういう国際的な暴れ者を今度の協定で何らかの形でコントロールできるのかできないのか、それは一体これから、このキングストンの会議は最終的な会議じゃありませんから、これからそういう問題というのは検討の材料に恐らくなっていくだろうと思いますし、今度のキングストンの会議というのは、言うならば一つの段階だけであって、これで問題が解決されたというふうには思われませんし、国際通貨の安定ということはこれで可能だなどと私も思っておりませんし、世界的にもそんなことは思ってないと思うんですけれども、問題はその辺だろうと思うんですけれども、どうでしょう。
#9
○政府委員(藤岡眞佐夫君) まず、固定相場制が崩壊しました背景として、御指摘のようにユーロダラーの動きが大きくそれに寄与したということは、これはそのとおりだと存じます。一九五八年の西欧諸通貨の交換制回復後、アメリカの国際収支の赤字も手伝いまして、国際的な為替自由化の波に乗ってユーロダラーというものが非常に大きな影響を国際通貨情勢に与えることになったわけでございます。もちろん、このほかに固定相場制が崩壊した背景には、戦後のブレトンウッズ体制を支えてまいりました米国の政治経済力と西欧、日本の経済力とのバランスの変化というものもございまして、そのもとにおきまして、固定相場制度のもとでは十分なる為替調整ができなかったという点もあるわけでございます。この後の点につきましては、今回の流動、フレキシブルな通貨体制においてはかなり解決されるんではないかと存じますが、前の第一点につきましては、これは今後多少持ち越されている問題ではなかろうかと思います。
 そこで、まず先生御指摘の為替相場の乱高下が今後どの程度回復できるかということでございますが、これは先般のランブイエの主要国会議でも主な議題になったわけでございますが、そこでの認識は、為替相場の乱高下は、相場という現象面だけではなくて、そのもとにございます経済金融の諸条件、こういった実体経済の調整なくしては相場の安定も図れないということで、主要国は実体経済についてよく情報を交換し意見を交換しよう、できれば協調体制をつくろうということになっておるわけです。
 それから、もう一つの流動性の管理の問題でございますが、これは通貨改革の過程を通じましてずいぶん議論をされまして、先般の二十カ国委員会でまとまりました通貨改革には大分これは触れられておったわけでございますが、今回キングストンでまとまりましたIMFの第二次改正におきましては、問題意識はございますけど、十分に流動性の管理というところまで行っていないわけでございます。この問題につきましては、これからまあ従来の暫定委員会にかわりまして評議会というふうな協定に基づいた委員会も、総務会で委員会もできますし、IMFの理事会の討議その他を通じましてさらに努力を続けていく必要があろうかと存じます。
#10
○竹田四郎君 そこで、まあいままでは固定相場制でありましたから、各国の通貨当局が介入して固定相場制を維持をするということが義務づけられたわけでありますけれども、今度はそういう義務はなくなるわけですけれども、しかし、現実においてはことしの二、三月ごろですか、これはどういう意味だったのかぼくはよくわからぬですけれども、一つは輸出を促進するという意味もあったかと思いますけれども、日銀が大分買い支えをしたわけですね。実際のいまの円・ドルの関係といえば恐らく三百円台を割っていると私は思うんですよ。まあいまの相場だって二百九十九円八十銭ぐらいの相場は常に出ているわけで、あるいは八十八円ぐらいになるときすらあるわけですね。それを大体三百二円ぐらいにかなり努力をした。言うならばいままではダーティーフロートといって、大変国際的にも非難されたことなんですけれども、今度はそういうものは恐らく非難はされないだろうと思うんですけれども、しかし、そういうことをあんまり、まあさっき言った暴れ者もありますから、そういう暴れ者が入ってくるのを防ぐという意味では、ほかの通貨管理体制をしくとともに、まあ買い支えなりあるいは売り支えなりするということが必要であろうと思いますけれども、しかし、それをやり過ぎると今度は変動相場制にした意味というのが私は余りないと思うんですけれども、その辺の基準というのはなかなか日銀もおっしゃらないし、するんですけれども、その辺は、政府としては介入するかしないか、こういう面での基準というのは何かお持ちなんですか、それともそれは日銀に任せっきりということで、日銀の判断だけでやっているというのか、その辺はどうなんでしょうか。
#11
○政府委員(藤岡眞佐夫君) いま先生おっしゃいましたように、一時はいわゆるクリーンフロートはよくて、介入をいたしますダーティーフロートはよくないと言われた時期があったわけでございますが、最近はダーティーフロートという言葉を使っておりませんが、マネージドフロート、管理されたフロートが適当であるということで、大体国際的な考え方は一致していると思います。私どもといたしましては、基本は市場の実勢に応じて為替レートというものは形成されるべきである。ただし、市場といいましてもいろんな思惑で、あるいは外国からの影響で非常に乱高下するおそれがございまして、そういう場合には乱高下を防止するために介入をするということでやっておるわけでございます。確かに二月、三月私どもは市場で介入をいたしましたが、先生御案内のように、ことしの初めには一ドルが三百六円超えるという比較的弱いレートからスタートしたわけでございますが、ヨーロッパにおきます諸通貨の混乱、たとえばイタリアの為替市場の閉鎖とか、ポンドが下落するとか、それからフランもアタックを受けるとか、そういった過程を通じまして、市場では弱い通貨と強い通貨と分けて考える受け取り方がございまして、円は強い通貨に入るんじゃないかというふうな心理的な影響も多少ございました。
 それから、一月ぐらいからわが国の輸出の指標に先行き明るい見通しも出てまいりまして、そういうことが重なりまして、二月のころには、いわゆる短期資金が、たとえば日本の短期国債を購入するとか、自由円預金勘定にお金が入ってくるとかいうふうな短資の流入がございましたので、一時的な乱高下防止ということで買い介入をしたわけでございますが、大勢的に見ますと、三百六円でスタートいたしましたレートが四月ぐらいから二百九十八円から三百円ということで今日まで安定した動きを示しておるわけでございます。
#12
○竹田四郎君 それで外務大臣、これは日本の国の経済あるいは国際経済を担当するという立場で、なかなか言いにくいことだろうと思うのですけれども、いっときに円を上げろということはなかなか、生きている経済ですからむずかしいだろうと思うんですけれども、大体円・ドルの関係をどのぐらいまでにしておけば、一遍にそこまですっと持っていくわけにはこれは恐らくいかぬでしょう、下手に持っていけばまた暴れ者が暴れるでしょうから。ですけれども、いまの二百九十八円くらいの円の地位というのは、まあこの一年ぐらい、そのくらいが適当と思うんですか、あるいはもう少し円の値打ちを強化した方がいいと思いますか、どうですか。
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどからの御議論というのは、全く尽きることのない興味の深い御議論であるわけですけれども、結局政府の申し上げていることは、ステープルではあってほしいがアジャスタブルであってほしいということを申し上げておるわけで、ですから、マネージドフロートというような話になってまいるわけでございますね。私は、仮にこれから半年あるいはことし一年、円とドルのレートがどのようになればいいかということよりは、急激な変化がないことの方が必要なのではないかという感じがいたします。すなわち、ある程度のマネージしたフロートというんでございますか、そういうものが一番大事なのではないか。二百九十九円とか九十八円というものが、仮に円が強い方向へ行くにいたしましても、突然それが急激に起こるというようなことは好ましいことでございませんでしょうし、また、仮に円が弱い方へ行くにいたしましても、それが突然そっちへ行っては好ましくないわけでございましょうから、結局、どちらに変化があるにいたしましても、それがスムーズに円滑に時間をかけて動きますために、売りにしろ買いにしろ、その程度の介入をするというようなことでよろしいんではないかという感じがいたすわけでございます。
#14
○竹田四郎君 結局、相場というのは、日本の場合には今後の日本の輸出輸入の関係、これへの結びつきというのはきわめて密接なわけです。ですから、この前予算委員会のときにも大臣いらっしゃったわけですが、いまの日本の輸出状況などというのは私はちょっと異常なような気がするんです。それはやがて日本の輸出に対する大きな壁となって出てくる可能性もあるわけでありますから、その辺はとにかく確かにステープル・アンド・アジャスタブルが望ましいことはこれは世界各国もそのとおりだと思うんです。しかし、具体的に日本の場合には、日本の国の経済情勢、特に貿易情勢というものと関連してその辺を決めていかないと、いろいろな非難も来るだろうし、あるいは日本の景気の過熱という問題も生まれてくるし、あるいは資源不足という問題が出てくるかもしれない。その辺は相当先を見通しながら慎重な運営をしていただかないと、確かにおっしゃられるとおりに、急激に十円上がる二十円下がるというようなことは私は為替相場を混乱させるゆえんのものであるからいけないと思いますけれども、しかし、ある程度の日本の経済の現在の動向から見て考えてみないと、むしろ国際間におけるところの経済の不均衡をそれによってさらに助長してしまうということになれば、またそれは通貨の問題にはね返ってくるわけでありますから、その辺は十分慎重に考えてもらわなくちゃいかぬと思うんです。まあいま幾らにしろと言ったって、それを具体的に言えばまた問題が起きるかもしれませんからそれ以上は私申し上げませんけれども。
 もう一つは、これはそう心配ないかもしれませんけれども、いままではある意味では固定相場制で占められておりましたから、それに対する義務もありましたからやっていたんですが、為替の切り下げ競争、不況が深刻化されれば、変動相場制ですから輸出対策と非常に結びつきやすいということが私は言えると思うんですね。そういう意味で、いま景気が直ってきたからいいですけれども、景気がちょっと悪くなると非常に切り下げ競争というようなものが今後起きてくる。そういうことによって、それがまた国際的なインフレにつながっていくというような心配、こういうものが出てくるんじゃないかという気がするんですが、その辺はどうでしょうか、その辺に対する何かチェックがありますか。
#15
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 確かに、世界が不況に陥ります場合には、為替レートを下げて輸出をふやし景気を回復したい、同時に国際収支の赤字を埋めたいといういわば誘惑が起きるのは考えられるところでございますが、先ほど申し上げましたように、私ども、ほかの国もそうだと思いますが、やはり為替相場の運営は市場の実勢に合わせて行うということで、たとえば不況対策であるとか輸出助成というふうな特定の政策観点から為替相場の運用をするのはこれは正しくないんじゃないかと。逆にまた、物価対策の見地からいいますと、円が強い方がいいわけでございますので、物価を下げるために為替をもうちょっと強くできないかという御意見もよく聞くのでございますが、これも問題があるんじゃなかろうか。やはり基本的には為替相場というのは市場の実勢できめてもらう、人為的に高くするとかあるいは安くするということになりますと、どうしても無理が生じまして、結局はいろんな混乱のもとになるというふうな考えを持っておるわけでございます。
#16
○竹田四郎君 時間がありませんから金の問題に移りたいと思うんですけれども、金を準備に使うのかそれとも金廃貨の方向に行くのかというのはこれは国際的にも大変議論のあるところで、フランスを中心としてヨーロッパはどっちかと言えば金選好ですよ。アメリカあたりはむしろ金廃貨の方向、本当に言っているのかどうかわかりませんけれどもね、この辺は政府は、アメリカは金廃貨の方向で国際的にひとつ考えているのかどうなのかというと、私は非常に疑問が多いんですね。たとえばその辺の疑問というのは何かと言うと、やっぱり金のドルとの、金価格の引き上げなんというのを非常に反対しているというゆえんのものは、どうも金廃貨じゃなくて今度は拝金的な考え方がかなりあると思うんですが、その辺はどういうふうに認識されておられるんですか。
#17
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 米国は、今般の通貨制度再建への論議を通じまして、終始、国際通貨制度における金の役割りを減らそうということを主張してきたわけでございます。金選好の強いと言われておりますフランスも、そういう方向自身には実は反対をしていないわけでございます。アメリカは、こういうふうに金の役割りを通貨制度上減らしていこうというのは、決して金が値打ちのないものだと思っているわけではなくて、多少うがった考え方になりますが、金はやはり価値があって大事である、たとえば、国防上と言うと問題あろうかと思いますが、大事なものであるが、その金が通貨制度において大きな役割りを占めるということになりますと、たとえば金との交換制をどうするかというふうな問題も出てまいりまして、アメリカとしては逆に困る面もあるんではないかという感じがするわけでございます。そういうことで、アメリカが通貨制度上金の役割りを減らしたいというのは、やはりいろんな動機があろうかと思いますが、本当にそう思っているんではなかろうかと思うわけでございます。
#18
○竹田四郎君 今度、IMFの保有している金の六分の一は出したところに返す。六分の一は一般に売って開発途上国の援助の基金にやる。三分の二はこれから論議をしようということで、しばらくはIMFが持っているという、そういう形になると思うんですが、日本に返ってくるその六分の一というのは具体的に何オンスぐらいになるんですか。金額にすると、米ドルで換算すると幾らぐらいになるんですか。
#19
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 日本のシェアに応じて返ってまいりますんで、約百万オンスで、米ドルにいたしますと、いまの公定価格で言いますと四千二百万ドルぐらいになります。
#20
○竹田四郎君 返ってきたその金はどうなさるんですか。
#21
○政府委員(藤岡眞佐夫君) これは現在、IMFへの出資は外国為替特別会計の負担になっておりますので、返ってくる分もそこへまず入れるということになろうかと思います。
#22
○竹田四郎君 日本のいままでの準備というのは、ドル準備が主体であったと思うわけですよ。恐らく先進国の中で日本ほど金準備の少ない国というのは珍しいくらい少ないだろうと思うんですが、いまどのくらいありますか、八億ドルから九億ドル程度あると思うんですけれども、日本が金準備ということについてはやっぱりメタリズム的な考え方を持っていない。そういうことからいままで余り金準備というものを、金を買い入れなかったということだろうと思うんですけれども、それはどうなんですか、むしろ思想的に金というものの裏づけというのはこれからはずした方がいいという考え方に基づいていたんじゃないんですか。買える機会は私は相当あったと思うんですね。この前あたりだって、大変日本に外貨の蓄積が多くて、恐らく二百億ドル以上のものがあったというようなときも余りそれやらなかったわけですけれども、どうなんですか、その辺の基本的な考え方は。
#23
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 一番大きな理由というのは、現実的なことになりますが、金が値上がりする直前にたくさん買っておけばこれはもうかるわけでございますが、戦後一貫して日本の外貨準備少のうございまして、金を買うゆとりはなかったということでございます。ようやく日本の外貨準備にゆとりができましたのは四十六年の五月ぐらいかと思いますが、すでにそのころ、四十三年の三月にいわゆる金の二重価格制度というものができまして、民間からは政府が買えないということになっていたわけなんです。そうして、すぐその後の八月には例のニクソンの新経済政策が発表されまして、ドルと金との兌換停止ということになりまして、公的にもまた買えないということになってしまったわけでございます。思想的に金がきらいで買えなかったというよりは、そういった現実的な背景があるわけでございます。
 もちろん、通貨制度を考えます場合には、私どもといたしましても、金が中心的役割りをいつまでも続けるというよりは、今回IMFの協定改正にございますように、金の役割りが減ってSDRを育成していくという方が好ましいという思想は持っておりますが、より大きな理由は、さっき申し上げましたような現実的なところから来ていると存じます。
#24
○竹田四郎君 いままでは少なくともSDRというものも、二五%分というのは一応金によって保証されていたというふうに見てもいいと思うんですよ。その金をとにかく今度の協定では全部離してしまうという考え方だと思うんです。三分の二についてはどうするかということは、離すことは離すんだけれども、それをどうするかということは、とにかく八五%ですか何かの同意がなければこれはできないわけなんですけれども、だから、IMF自体も金廃貨の方向をやっぱり目指しているということは言えるんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょうか。
#25
○政府委員(藤岡眞佐夫君) IMF自身も、金の役割りを減らすというふうな方向で動いておると存じます。
#26
○竹田四郎君 そこで、私ども非常に興味があるのは、途上国の基金にするという六分の一、これを一体どういう価格で売るかということ、あとの三分の二を将来どういう価格で売るか。この辺は、果たして金廃貨を目指していると言いながら、やっぱり金というものが、IMFは準備には使わぬにしても、現実には各国が金準備に返っていく。SDRだって、今度もふやすわけですけれども、本当に使えるだけのものになるかどうかということになると、そうでもない。恐らく世界のドルの通貨に比べればSDRなんてまだごくわずかなものだと思うんですよ。だから、本格的にバランスが崩れてくると、果たしてその少ないSDRで本当に公的決済ができるかどうかということになると、どうもできないんじゃないですか。そういう事態になると、金廃貨を目指していながら現実にはやっぱり金に返っていくんじゃないか、そういう心配を私は持っているわけなんですがね。ですから、はっきり金廃貨と確実に言い切ってしまわない点がその辺にあるだろうというふうに私は思うんですけれども、その辺は私ども一番わからないところだし、あとの六分の一を売るときのIMFの態度というものは、非常に興味を持って実は見ているわけなんですけれども、そういう心配はないでしょうか。
#27
○政府委員(藤岡眞佐夫君) まず、IMF保有金の六分の一を売却する点でございますが、IMFはいま一億五千万オンスほどの金を持っておりますので、六分の一といいますと二千五百万オンスですが、これを四年間にわたって売ろうということになっております。したがいまして、一年間に六百万オンスぐらい、それをさらに一年間に八回ぐらいに分けて売るということでございまして、第一回目の売却は来月の二日、六月二日に七十八万オンスやろう。これは競争入札でいたしますので、まあ民間の希望者がどういう値段をつけるか。きょう現在ですと金は一オンス百二十七ドルぐらいでございますけれども、どういう値段がつくかというのは、実は私どもも興味を持って見ておるわけでございます。これと公定価格との差額を開発途上国のために使うということになっておるわけでございます。
 それから、金の役割りを減らすと言ってIMFからだんだん出しましても、それを各国が買ったりして再び金の役割りは高まるんじゃないかという御懸念、確かにこれはあると思うのでございます。しかるがゆえに、先般このIMFの協定改正の議論と並行いたしまして十カ国で紳士協定をしたわけでございます。その中身の主な点は、一つは実質的な金の価格のサポートをしない、事実上公定価格になるようなものをつくらないように努めよう、それからもう一つは、お互いの国とIMFとを足しました金の総量をふやさないということでございます。そのほかにも細かい点ございますが、そういう紳士協定を二年間続けようということになっております。まあ二年間終わりましてこれをやめるのか、もう必要がなくなったというのでやめるのか、あるいは継続するのか、あるいは多少修正するのか、その辺はまだ見当はつかないわけでございますが、確かに、この金の公定価格が廃止されるとか、それに伴って中央当局間の取引が自由化される、いまのような歯どめはございますが自由化されるということになると、多少金が流動化されるということはあろうかと思います。しかし、大勢といたしましては、やはり通貨制度における金のウエートというものは減っていく方向にあるのではないかと存じます。
#28
○竹田四郎君 もう時間がきましたから、まだまだ聞きたいことは多いし、これをわずかな時間で討議をしろということ自体が本来は私は非常に無理だというふうに思っておりますけれども、やはりSDRと金の問題ということは、日本の政府がそれをどう考えるか。六分の一の百万オンスの金が日本にきたときに、それをどう措置をするのか。この辺も大変興味があるし、また、そのときに論議をする場というものはきっとあるだろうと思いますけれども、そういう意味では私は今度の協定はある意味では事実確認、現実の確認という協定でもあるわけですが、その辺については、金の問題についてはやっぱり相当今後議論をしていかないといけないんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、そういう議論はひとつ今後に譲りまして、私の質問時間も過ぎましたから、きょうのところはこれで終わりたいと思います。
#29
○田中寿美子君 私は、国際連合大学の本部設置に関する協定の問題をお尋ねするわけなんですけれども、外務省情報文化局がお出しになった国連大学に関する解説を読ましていただきました。
 もうすでに本部は渋谷の東邦生命のビルに設置されていて、学長としてジェームズ・M・ヘスター博士が、そして副学長の一人には前東大総長の加藤一郎先生が就任していらっしゃる。それから理事会の議長にも前田義徳さんが就任していらっしゃるということで、日本は大いに一生懸命のようなんですけれども、どうも私、解説を見たり、あるいは新聞記事を見たり、あるいはいろいろの状況判断をしてみまして、なぜ日本がこんなに一生懸命に推進しているのに、世界各国があんまり熱心じゃないのか。
 もともとこの国連大学というアイデアは、ウ・タント事務総長が四十四年に国連総会で発言されたのがきっかけだというふうにありますけれども、そもそもそのアイデア自身が日本が大変推進したんじゃないかなというふうに想像するんですが、その後の状況の中で、なぜ日本がそんなに一生懸命に推進しているのか、何を一番ねらっているのか。そして、なぜほかの国があんまりついてこないのか。拠出金にしましても、大体基本金五億ドルですか、必要だという中で、四十八年、大平外務大臣のときに、日本は一億ドル出す用意があるということも声明されて、そしてすでに二千万ドルですか、日本はちゃんと出しているわけです。いままでに拠金した国というのはセネガル、スウェーデン、ベネズエラぐらいで、その後アメリカとかイギリスとかカナダとか、大きな国は一体どういう態度をとっているのか。つまり、日本が非常に推進している理由は何なのか、何を一番ねらっているのか。そして、なぜほかの国がそんな消極的なのかということを最初に伺いたいのですが。
#30
○説明員(大塚博比古君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、国連大学設置の構想は、一九六九年に故ウ・タント国連事務総長が提唱されまして以来、今日やっと実現の運びに至った長い経緯がございますんですが、その間に、最初にウ・タント総長が提唱されました構想が、その後、国連総会の審議あるいはユネスコにおける審議等を通じまして、当初の構想が若干変更になりまして、現在国連大学憲章に決まったような構想に変遷していったわけでございます。したがいまして、その間におけるいろいろな変遷には、それぞれの専門家のいろいろな意見を十分にしんしゃくして今日のように決められたわけでございますけれども、最初の御質問の、なぜ日本が非常にこれに熱心に誘致を求めたか、これらに対する御質問に関しましては、一般論といたしまして、日本政府は平和外交というものを国是とする国柄から、特にこの国連大学設置の問題につきましては、こういった知的な側面から全人類が直面する資源、公害、南北格差、そういった問題の解決に世界の頭脳を結集いたしまして貢献しよう、こういった高い理想を掲げているわけでございますけれども、こういった理想を推進することこそ日本の国連外交あるいは平和外交を推進するのに最も適当な次第であると考えて誘致を進めてまいったわけでございます。
 それから第二の御質問だったと思いますが、それでは日本以外の国が、特に欧米の先進国がどうしていままでのところそれほど熱心ではなかったのかという問題でございますが、この問題は、まさに大学自身の構想が先ほども申し上げましたように当初の構想から現在の構想に至るまでに若干の変遷があったということ。そういったことに対する理解といいますか、各国の理解、これももちろんわれわれも非常に極力理解の開発には努めているわけでございますけれども、そういったことがまだ十分徹底をしていなかったきらいがあることは事実でございます。大変残念でございますけれども。
 それからもう一つ、そういった現在考えられております国連大学の構想というのは、非常にいわば大学とは申しまするものの、いわゆる既存の大学というイメージとは大分違った機能、そういったものを持っておりますことから、なかなかまだ国際的になじまないという点も実は指摘されるのじゃないかと思います。こういう点も、先ほど申し上げましたように、われわれの今後の努力にまつところが非常に多いわけでございます。したがいまして、大学が発足したものの、まだ本当の大学というものの機能というものが理解が至っていない。それは一つにはこの大学が発足したばかりでまだ本格的な活動を開始するに至っていないということにもある。結局うらはらの関係にあるわけでございますけれども、この間、先生御承知のとおり国際的にいろいろな経済的な変動がございまして、各国の台所が非常に苦しいという問題のあったことが、たまたま時期が重なったということも事実でございます。しかしながら、政府としては、この大学というものは本当の意味で国際的な基盤を有するということを非常に重視しておりまして、その関係から、これは何も日本がまる抱えのあれではないのだという点をあれすることと、それから本当に国際的な基盤を強めるという観点から、現在国連大学のへスター学長が世界の各地を回って非常に募金運動を要請しておられますけれども、政府といたしましても側面からこれを強力に支援いたしておるわけでございます。
 なお、その一環といたしまして、昨年の国連の総会では、わが国が決議案を出しまして、この大学に対する各国の拠金を呼びかけるという決議案が全会一致をもって採択されております。そういった経緯からもおわかりのように、当初は確かにこの大学の構想というものが変遷した。したがって、その間において欧米各国あるいは社会主義諸国、そういった国たちの協力といいますか理解が足らなかったということは事実でございまして、それが今日の財政的な基盤に反映していると思いますが、いま申し上げましたように、昨年の決議は全会一致をもって採択されているという事情もありまして、そういった各国の理解はだんだんに深まっていくものと思っております。
#31
○田中寿美子君 大変短かい時間でございますので簡単にお答えいただきたいと思うのですけれども、その理想は私は非常に高い理想だからいいと思います。ただ、ちょうど大平外務大臣が行かれて、五億ドルのうち一億ドルを出すということを宣言なさったときというのは、田中内閣のもとで非常に日本は景気いいことを方々に言っていた時代でもありますし、いろんな計画を立てていたようです。何となく日本だけが先走っている感じがいたしますんですが、いまおっしゃったように、普通の大学という観念じゃない大学で、本部を置いて、これは国際的な学者の共同体であるというようなことが憲章にありますね、それで一種のシンクタンク、世界のシンクタンクだと。そういうものが必要なことは私も本当に認めますけれども、日本かそれほどのことを果たす――本部を日本に置く以上は、非常にたくさんの責任を負うわけです。本部の費用ももちろんのこと、職員も、それは世界各国から入れるとしても、日本からの職員が一番多いかもしれません。そういう費用は全部負担をしなければならないわけですし、それから学者を集めてくるということも大変な事業だろうと思います。ですから、簡単に進みそうもない感じがしますが、七七年の終わりまでには本部のスタッフはそろえて発足していくはずであるということ。それから世界各国に研究訓練センターというのをつくる、それでそういう考え方を持っている国が一体どのくらいあるのか、また、日本は当然のこととしてセンターを設けなけりゃならないと思うんですが、一体どこにそれを設けようとしているのか。それから、そういう構想なども具体的に幾らか進みつつあるのかというようなことをお伺いします。
#32
○政府委員(木田宏君) 国連大学が国連大学本部のほかに研究研修センターを世界の各地につくる構想を持っているわけでございますが、現在の段階は、国連大学自体の足もとを固めていく、まず基金を集めていくという段階でございまして、具体的にどの地域にどういう研究研修センターをつくるかというような構想にまでまだ論議が進んでおりません。わが国の場合も、わが国が当初国連大学を積極的に誘致するということを考えました際には、研究研修センターといいますか、教育機関的なものを中心に誘致を考えておったわけでございます。また、わが国の提案の中にも、日本が研究研修センターを持ちまして、日本にその一つが置かれるようになった場合のこともすでに提案してございます。しかし、どういうものをどういうところにつくるかという点につきましては、いま日本の研究者を中心にした国連大学協力会というのがつくられておりまして、国連大学の事業の進みぐあいに対応して、どういうものをつくる意味があるかということを日本の立場でいま検討をしておるという段階でございます。現在はまだスタートしたばかりでございますから、これらはいずれも将来のこととして論議を得たいと思っております。
#33
○田中寿美子君 このあれを見ますと、研究の領域としては、「世界における飢餓」「天然資源の管理、使用及び配分」「人間、社会開発」、こういう大きな項目が挙げられてそれに沿ってやる。日本の場合に研究研修センターを置けば、当然のこととしてアジア・太平洋地域あたりに焦点を当てた研究センターになるはずであろうというふうに私は思うんですけれども、アメリカなんかがどの程度積極的な態度をとっているのかと思いますが、アメリカはハワイにイースト・ウエスト・センターを持っておりますね、あそこなんかはもうそういう仕事をやっていると思うんですね。だから、改めてこれを設けた場合にどういう態度をとるんだろうか、それはアメリカはグローバルに考えるかもしれません。日本の場合、アジアの発展途上国との関連で非常に重要な役割りを持つはずだと思うんですけれども、現在すでに行われている文化交流とか学術研究なんかに関して、日本がアジア地域でやっておりますのにいろいろとまだ問題があるわけですね。これはいつか日を改めて私はお伺いしたいと思っているんですけれども、現地におります非常に熱心に日本とそれからアジア諸国の文化交流を考えている良心的な人々が、日本のその交流の仕方というのが非常に短期的で、たとえばいまの政権が軍事独裁政権で、これはいつまで続くかわからないからちょっと模様を見てというような短期的なものが多くて、政権がどう変わろうと、そこにおります人民との長い理解と交流というようなことを考えるような点が欠けているということを非常に指摘されるわけなんです。そういうようなこと考えますと、ここに国連本部も設け、それから研修センターもつくるというようなことは、これまでのそういう文化交流あるいは学術研究の交流などに関しての、その十分な反省の上で、それらをも吸収するような形で運用されていかなきゃならないというふうに思うんですが、そういうようなことは議論されておりますでしょうか。
#34
○政府委員(木田宏君) いま御指摘になりましたように、わが国の学界あるいは教育界というのは、国際的には、外へ出かけて行きまして、向こうで個々の研究者等が勉強してくるということは非常に活発なんでございますけれども、自分の土俵へ受け入れて、日本の中で、日本の大学の中で一緒に研究していくという点については必ずしもうまくいっておりません。また、それほど、御期待があるほど大きな事業にもなっておらぬのでございます。そのことを実は国連大学の本部あるいは研究研修センターを誘致いたします場合に私どもは一番強く意識をしてございます。そして、国際機関としてこういうものが日本に置かれるようになりましたならば、わが国の教育研究機関がいままでやっております国際交流に対して非常にいいお手本になるであろう、そしてまた、われわれの大学やなんかが抱えております問題点もおのずから解消していくという方向へ進んでいくであろう、こういうことが、われわれといたしまして国連大学本部あるいはその研究研修機関を日本へ持ってきたいということの一番大きな点の一つかと思うのでございます。
 日本がただ場所だけ提供しているということであっては意味がございません。少なくとも、日本政府がこれだけ積極的に基金を入れ、あるいは施設を提供するということをいたすわけでございますから、それがわが国の学界が国際的に活躍するのに意味があるようにつなげていく、また、日本の学界が国連大学の活動を通じて国際的に寄与できるようになっていくということを、これからの一番大事な課題として進めていきたいと思っております。
#35
○田中寿美子君 ぜひそういうふうになってほしいと思います。
 それで、その本部の職員は、七七年の末ごろまでには一応二百人近いものを置くということになるわけですが、その職員の身分というのは国際公務員でございますね、ですから保障されなければならない。それからその人たちの入っている本部の建物は不可侵であって、治外法権的なあれを持つはずなんですが、そういうことへの保障というのは、つまり家族も来るでしょうから、住宅もつくってあげなけりゃいけないでしょうし、その人たちの住宅なんというのは、やっぱり在外公館の人たちと同じように保障されるんだろうかどうか、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
#36
○説明員(大塚博比古君) 全く先生御指摘のとおり、現在、国連大学というのは発足したばかりでございまして、現在の職員は日本人も全部合わせまして四十四名でございますので、まだ問題は比較的大きくなっていないわけでございますけれども、将来、先生がおっしゃいましたように、われわれのこれは希望でもあるわけでございますが、二、三百名の世帯になりましたときに、いまのような事情はだんだん大きな問題になってくると思います。ただ、これにつきましては受け入れ側の政府といたしましても非常に十分留意しておりまして、事実、学長及び高級職員の住居については若干の考慮が払われているというふうに私どもの方は了解しております。今後しかし、これは非常にまだ規模が大きくなるにしたがいまして、大きな問題になってくることは十分われわれとしては自覚しております。
#37
○田中寿美子君 それではお聞きすることありますけれども、もうやめまして、これちょっと大臣に、違う問題なんですが、新しい在外公館を設置する問題のときにお聞きするべきことだったんですけれども、外地を回りまして在外公館の人たちから強いお訴えが幾つもありますけれども、そのうちの一つ、相当数の人がいまは在外公館に勤務している。それからそれは商社の人たちもいるし、相当のたくさんの人がいるんだけれども、そういう人たちの選挙権を何とか行使できるようにしてほしいというお訴えがございました。国によってはちゃんと保障しているやり方もあるようでございますが、そういうことをお考えになったことがないかどうか。そして、もしないとすればぜひそれは、いろいろな意味で不便も受けながら在外公館で働いている人、あるいはそれだけではない、いまは外国に在住している日本人もたくさんいるわけですが、そういう人たちの選挙権を行使できるようにする方法をお考えになってみてくださらないかどうかということを最後にお尋ねします。
#38
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は実は検討をいたしたことがございますし、宿題になっておるような問題でございます。
 さしずめ、非常に困難を感じておりますのは、どこの選挙区において選挙権を行使するかということがいろいろ複雑な事情で決めにくいわけでございます。参議院の全国区の選挙権だけはこれは問題なく行使できることになるわけでございますけれども、それ以外になりますと、どこの選挙区で選挙権を行使するかという問題の解決がうまくできませんで、その辺のところがひとつ現実に困っておる問題でございます。しかし、相当の数に実は上っておりますし、その人たちが選挙権を行使できないのはいかにも、筋道としてはよろしいとは思いませんので、何か考えなければいけないという懸案事項になっております。
#39
○田中寿美子君 研究してください。
#40
○塩出啓典君 それでは国連大学の問題についてお尋ねしますが、いただきました資料によりますと、国連大学の最初の提唱者は亡くなられたウ・タント事務総長である。それで、最初の国連大学の趣旨というものがかなり以後変更をしておる。最初は学生もキャンバスもあるそういう大学をウ・タント氏は考えていたのが、結局研究所のような、そういうように変わってきた。このあたりのいきさつがどうなったのか。そして、たしか日本政府も「国連大学に関するわが国の意見及び提案」、こういうものを国連に出しているようでありますが、わが国の主張はどういうところにあったのか、その点をお伺いいたします。
#41
○政府委員(木田宏君) 先ほど大塚参事官の方からもお答え申し上げましたが、当初ウ・タント氏が提案されましたときには、やはりかなりの学生を予定した教育機関的な大学ということを考えられた節があったようでございます。しかし、そのことにつきましては先進諸国がすでに先進諸国で持っておる既存の大学自体が国際的に開かれているものであって、わざわざ国連でそういうものを別に新たにつくる意味というものは余りないではないかという批判がございました。そうした関係者の論議をずっと進めていきまして、しかし、なおかつ地球上の諸国が今日抱えている大きなグローバルな課題というものをみんながもう少し真剣に取り組んでいくというために、それじゃどういうふうなものをつくったらいいかという論議を国連とユネスコの場で重ねました結果、結局、研究と大学院教育とそしてそうした高い知識の普及を図ることを中心にした学者の国際的な共同体をつくろう、こういう方向に専門家の意見が落ち着いてきたわけでございます。したがって、当初の教育的な色彩のものから研究的な色彩のものに動いてきた。これが国連大学憲章ができますときの経緯の中で見られた一番大きい課題でございました。
 わが国は、当初やはりこういう知的な国際協力の機関ができるということについて積極的に支援をしたい。特に、日本の研究教育機関というのは余り国際的な活躍を十分しておりませんために、日本の研究機関の国際協力の実を上げるためにも、日本にこういう国際的な研究協力機関ができますならば、先ほども御説明申し上げましたように非常に日本自体も裨益するところが大きいし、世界のこうした流れに沿っていくことになるという考え方から、積極的にこの国連大学の設置に賛意を表したわけでございます。ですから、国連大学は主として開発途上国と日本を中心にいたしました若干の国々が新しい意味での国際的な研究教育機関をつくろうということで進んでまいっております。当初日本から提案いたしましたときには、これは教育機関的なところにも考慮を払っておりましたけれども、専門家委員会にも日本から代表が出まして参画をして最終案を固めました経緯もございますので、逐次その過程の中で日本側としてもこの新しい国連の趣旨に対応していくような意味で日本の寄与を考えたいというふうに考え方が動いてきた次第でございます。
#42
○塩出啓典君 そうしますと、いわゆる学生もキャンバスもある教育機関的な最初のウ・タントの提案が変わってきたわけですけれども、いまのお話しでは、その主張は主に先進国の主張であったと、日本はそれにまあやむを得ず賛成したのか、黙っておって決まった方向についてきたのか、その点はどうなんですか。
#43
○政府委員(木田宏君) その国連大学の構想の論議の中で、やはり先進国のためにだけこういうことを考えるという意味よりも、国連大学の憲章自体が書いてございますが、特に開発途上国の活発な学界活動を奨励していく、開発途上国の持っている頭脳を高めていくということがこの国連大学として考えなければならない非常に大事な使命だ。したがって、世界のシンクタンクとしての研究者の共同体という面を持ちながら、当然そこに力を注ぐべき一番大きい課題は、開発途上国の人たちが先進国にみんな流出してしまうということにならないようにしようということが一番中心の議題になったわけでございまして、そのことは、国連大学憲章の中にも第一条の目的に明示をしてあるわけでございます。したがって、当初の教育機関的な色彩はやはり研究研修センターというものを幾つかの地域に設けて、若い頭脳を研究者として、あるいは高度の知識人として養成していく、この構想はずっと残っておるわけでございますから、先進国側の大学に対する研究機関としての主張と、それからその意味をむしろ後進国の研究者の養成として教育訓練というニュアンスとしては当然残すべきだということが今日の憲章の中に両方一緒に入っておるわけでございます。
#44
○塩出啓典君 それはよくわかりました。
 私は、日本の主張は、結局私の意見は、率直に申しまして、やはりウ・タントの最初の提案のようにすべきだという意見なんです。それは、後また外務大臣の御意向も伺いますけれども、余りよく知りませんけれども、率直な私の感想といたしましてはね。このように変質したことに対して、日本政府としてはやはり最初のウ・タントの提案、ここに書いていますが、「世界中の国から学者や学生が集って、国際的な雰囲気の中で共に学び、共に生活するような場を作ろうではないか。そうすれば、異った文化を代表する人々の間の相互理解も進み、ひいては、国と国の間の理解を妨げているものも取り除けるのではないか。そのために、平和と進歩という国連憲章の目的に沿った本当に国際的な性格の大学を作ろうではないか。」と、これは一九六九年の国連の活動についての年次報告の序文にそう書いている。これは外務省情報文化局からの資料にそう書いているわけです。そういう点で外務大臣、どうなんでしょうか。
 私は、外務大臣の前にもう一回文部省にお尋ねしますが、そういう大学は屋上屋を重ねる懸念があるんだ、すでにフランスのパリ大学とか、イタリアのボローニャ大学、スペインのサラマンカ大学等々、ドイツのハイデルベルク大学ですか、こういうようなものはもう世界に門戸を開放しておる、そういうように言いますけれども、しかし、やはり本当に世界各国の次代の、それぞれの国の将来を担う青年が一堂に会する、そういう大学というものが必要なんじゃないか。いま言ったような大学はそれぞれ来ているでしょうけれども、それは大部分はやっぱり自国民であって、しかもヨーロッパの場合はヨーロッパ近辺に偏っておるわけであって、そういう点から屋上屋を重ねるというのはちょっとぼくらとしては理解しがたいわけなんですけれども、そういう点、文部省としてはどういう見解を持っているのか。
#45
○政府委員(木田宏君) 実は、ウ・タントさんの御提案の数年前から、エリザベス・ローズという外国の御婦人でございましたが、日本にぜひ国連大学とでもいいますか、国際的な大学をつくって、平和な国としての日本が世界のために教育ということを考えないかということを言ってこられた方がありまして、その当時から一部の知識人の方々の間で、一体どういうことが日本としてできるであろうかという論議もやったことがございました。そして私どもも、戦後二十数年でございますが、留学生の受け入れその他のことの経験を通じてみまして、結局高校卒の段階でアンダーグラジュエイトの学生を入れるよりは、せっかく国際的な大学というものをつくる場合には、やはり一応のあるレベルまで達した人たちを大学院以降の大学で考えて、研究的な活動を中心にして高い知識をねらった方が意味があるというのが、その当時にも一部有識者の間の意見でございました。
 したがいまして、ウ・タントさんの御提案によって専門委員会がつくられました際に、日本から出かけていきました関係者も、そうした論議を踏まえて、むしろ本当に意義のあるのは高校卒業生を受け入れるような大学ではなくて、ある程度各国の大学レベルまで整った教育水準を前提にし、それを受けた指導者層を受け入れる大学院大学とでも申しますか、そういう意味合いのものにした方が実質的に意義がある、そして運営上もより効果の高いものになるであろうという論議がございました。ですから、日本側といたしましても、一般的には国連大学というイメージで、高校から入る大学のような印象を国民の多くの方に与えたと思いますけれども、留学生の扱いその他の現実から考えてみまして、研究的な大学ということにした方が日本の寄与もしやすいという判断をかなり前から持っておった次第でございます。
#46
○塩出啓典君 外務大臣、いまそういう研究をして、そういう研究のレベルを上げていくことももちろん大事ですけれども、しかし、本当に世界平和を考えるときに、研究のレベルも上がることも大事だけれども、研究のレベルが上がるということは、科学は両刃の剣ですから、結局レベルの上がった研究を悪に使えば、これはむしろ地球の破滅に結びついていくわけですね。そういう意味で、研究のレベルが上がることも大事ですけれども、その前に、やはり先ほど読み上げたように、国境を越えたお互いの信頼と友情というものが生まれてこなければならない。そういう意味から、私はやはり国連大学というものができて、そして各国から集まってきておる。そういう人たちは皆それぞれ自分の国へ帰って、将来国の将来を背負うためにそれぞれのポストにやはりがんばるわけですから、そうすると、私がもし国連大学を卒業したとすれば、私と一緒に勉強したやつがヨーロッパのあそこにもいる、またアメリカにもいる、アフリカにもいる、東南アジアにもいる。また、そういうのがときどき同窓会をやって集まるとかいうようなことで、私は非常に、研究も大事、研究のレベルを上げることも大事だけれども、いま人類が直面している諸問題を考えるときに、私はもっと最初の提案にあるような大学をつくった方がよかったんじゃないか。いまのこの構想も反対じゃないですよ、あるにこしたことはないですけれども、同じ金を出すならばこちらの方にももうちょっと力を入れるべきではなかったのか、こういう感じがするのですけれども、外務大臣の見解をお伺いしたいと思いますけれども。
#47
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、確かに塩出委員の言われるようなお考えも、私は、財政負担とかというようなことを全然別にいたしまして、構想としては十分理解のできる構想だと思います。ですから、そこに選択の問題が生じたわけだと思いますけれども、国連においては、いわゆる普通の大学、大学院大学の前の普通の大学というものは恐らく主権国家がおのおのいたすべきことであるという基本的な考えがあり、いや、その場合の国際交流が大事なんだというのであれば、国際交流を旨とした世界に開かれている大学は歴史的にもヨーロッパにはたくさんある。いまお読みになったような学校がそうでございますけれども、そういうことになってしまって、それではどういう役割りを与えるべきかということで、一つはインターディシプリナリーな、一つ一つに科目別に分けちれないいわゆる学際というものですか、そういうものの研究である。もう一つは、とかくそういう機会に恵まれない発展途上国に重点を置くというようなものがこの大学の一番ふさわしい仕事ではないかといういきさつをたどったのであろうと思います。塩出委員の言われるような発想というものも私は十分あり得ただろうと考えます。
 それで、先ほど田中委員のお尋ねといまの塩出委員のお尋ねを続けて申し上げますと、確かにそういう性格を帯びましたから、国際的にややわかりにくいものにいまの段階ではなっている危惧はあるわけです。ことに、国連と学問というものは、結びついて悪いことはございませんけれども、国連というのはいろいろ仕事があるのに、学問までいくかというようなひとつ感じがございまして、決議を出せばむろん反対をする人はおりませんけれども、ことに日本という大国が引き受けたということがありますものですから、みんな何となくこれは日本がやってくれるのだというようなことを感じやすい。それがまた募金のことなんかにいろいろ影響するといったような、いろいろそういう経緯があって、いまこの大学を育てていくのにいろいろ苦労があるわけだと思います。ですから、一つはこの大学の使命はこういうことであるということをこれから各国によく徹底をさせるということ、これは学長以下やっておられるわけでございますけれども。そうして、そういうことであるから、日本としても、基金への拠出については各国も応分の負担をしてもらいたいと考える。これは日本は金を集める当事者ではありませんけれども、ある意味ではホストでございますからそういうことを働きかける。相当これから苦労しなければならない仕事であろう。わが国がやるのには私は非常にふさわしい仕事だと思いますから、ぜひやらなきゃならないと思っているわけですが、そういう意味ではなかなかこれから苦労が要る仕事だろうと思っております。
#48
○塩出啓典君 東欧七カ国が一番最初の国連の国連大学設置の決議に反対をしている。ソ連ほか東欧諸国が七カ国反対をしている、このように資料に書いてあるわけですが、この反対の理由は一言で言ってどういう理由で反対したんでしょうか。
#49
○説明員(大塚博比古君) 簡単にお答え申し上げます。
 反対の主な理由は、国連大学の機能が専門機関、いろいろな専門機関がございますけれども、専門機関の機能と重複している。それから国連において、国連ファミリーにおいて国連大学の占めるべき地位が明らかでない、明確でなかったというのがその主たる反対理由であります。
#50
○塩出啓典君 まあ私は、外務大臣の御意見は、私の提案にも賛成だけれども、結局いまの方向ではやむを得ない。財政的な理由もあるやに、そういう感じ受けたんですけれども、私はやはり最初のような大学をぜひとも推進をしていかなきゃいかぬ、こういう考えで今後いきたいと思うんです。
 そこで、いろいろな研究訓練センターで、テーマが世界における飢餓の問題、あるいは天然資源の管理、使用及び配分の問題、あるいは人間、社会開発、発展途上国への技術移転の問題、こういう問題は決して私は悪い問題じゃないと思うんです。確かに食糧難の問題、天然資源をどうするか、こういういろいろな研究も大事ですけれども、しかし、これは核防条約を審議した後ではございませんけれども、何と言っても世界での一番大きなむだはやはり軍拡競争であり、また食糧の問題を見ても、アメリカでは栄養過多でぶくぶく太っている人がおると思えば、アフリカの方へ行けば栄養失調で死んでいる。そういうことで、世界における飢餓の研究というものを幾ら研究室でやっても、それも大事かもしれぬけれども、それ以前にやっぱり世界の人たちがお互いに地球人ではないかという認識に立たなければ、幾ら技術が進んでもその技術というものは生かされてこない。それが一部の国のエゴイズムに利用されては何にもならないわけでね。そういう意味で非常に選んでいるテーマもきれいなテーマではありますけれども、もっとやはりどろ臭いというか、いろいろ意見の対立はあるかもしれぬけど、もうちょっと本当に取り組んでいかなければならない、もっと根底にお互いの各国の不信を取り除き信頼を生むために、また、お互いに理解をしていくためにもうちょっとやるべき問題があるんではないか、そういう感じがするんです。決して私はこういうのが悪いというんじゃないのですけれども、もっとやはり、言葉ではよく言えませんけど、そういう感じがするのです。そういう点はどうなんですか。
#51
○政府委員(木田宏君) 御指摘のように、国連大学自体はかなり幅広い問題意識をもって大学憲章にその目的をうたっておるわけでございます。大学憲章の第一条には、大学は、「国際連合及びその諸機関の関心事である人類の存続、開発及び福祉という緊急な全世界的問題の研究に専念する。」と、こうありまして、それに続けて、この大学の「研究プログラムは、特に次の主題を含む」として、第一に上がってまいっておりますのは、「異なる文化、言語及び社会体制の諸国民間の共存」ということをまず第一に掲げております。それから、「国家間の平和的関係並びに平和及び安全の維持」ということが第二に書かれておりますし、「人権」というようなことも第三番目に書かれております。続いて、「経済的社会的変化と開発」とか「資源の適切な利用」とか「科学技術の成果の適用」であるとか、あるいは人間の価値の向上であるとか、そういうことを研究プログラムとしては包括的にうたっております。
 昨年の一月、東京で第四回の理事会が開かれました際に、こういう広い目的の中から特に出発の当初どういう具体的な焦点を決めて事業活動を開始するかという理事会の論議がありました際に、三つばかりの大きい研究テーマが上がっておったのでございますが、その中から、いま御指摘がございました「世界の飢餓」とか「人間と社会の開発」とかあるいは「天然資源の管理」という、これ自体もまたかなり包括的なものでございますけれども、三つのテーマをしぼったわけでございます。しかし、その趣意は、結局国連大学が考えております、異なった文化とか社会体制の共存を図るために食糧資源というものをみんなでどういうふうに大事にしたらいいかという具体の課題と理念とを結びつけて事柄としては研究していこうという姿勢になっておる、このように現在の段階では理解しておるわけでございます。
#52
○塩出啓典君 ひとつ、この問題の最後に外務大臣に要望しておきたいんですけれども、せっかく日本にできるわけですから、そういう点には日本政府としても万全の配慮をして、日本へ研究に来た人がそれぞれやはり本当に日本は平和国家だと、そういう印象を持って帰るようにしてもらわないと、現在東南アジアから留学生がたくさん日本に来ておるわけですけれども、そういう中には、日本へ来て反日感情を持って帰ったというような話を聞くたびに、われわれは非常に残念に思うわけです。そういうことは決して全体ではない、一部の話が大きく伝わっているんだと思うのですけれども、そういう意味で、この国連大学が本当に所期の目的をりっぱに果たすことができるように、日本政府としても最大限のひとつ努力をしていただきたい、そのことを要望しておきます。
#53
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国としては、積極的にこの大学を引き受けるという当初からの態度で、また、現実にそれに基づいて引き受けたわけでありますから、何としても国連に対する責任を果たさなければならないわけであります。また、その責任をりっぱに果たすことによって、この大学に来られました指導者たちが、日本というものについても正しい理解を持って帰られることであろう、副次的なそういうことも考えられるわけでございますから、ともかくこの責任を果たさなければならないというふうに政府としては決意をいたしてあります。
#54
○塩出啓典君 それでは、あとIMF協定の問題につきまして、時間ございませんので二、三お尋ねします。
 一つは、ジャマイカで行われました国際通貨基金の暫定委員会におきまして、新聞で拝見した範囲では、非常に発展途上国に対する第一クレジットトランシュというのですか、この割り当てを非常にふやせと、いわば発展途上国が非常に借りやすいようにしろという強い要望が出されたと書いているわけでありますが、そういう点については前進がこの第二次協定では見られているのかどうか。そういう点を一つお尋ねいたします。
 それからもう一つは、これによりますと加盟国の八五%の多数によって平価を廃止してフロート制に移行することができる、こういうことが今度の改正の問題になっているようでありますが、何かアメリカは二割ぐらいですか、投票権があるということで、そうなりますとアメリカ政府の拒否権というものがあるわけですね。アメリカがうんと言わなければ結局そういうことが動かない、こういうような体制は私は非常によろしくないと思うんです。そういうのはどうしてそうなったのか。
 それと、このIMF協定改正案が今回確定をし、追認の形でできたわけですけれども、今後これが変動を予想される国際金融情勢に適応できるのかどうか。そのあたりの大蔵省の見解をひとつ簡単に御答弁いただきたいと思います。
#55
○政府委員(藤岡眞佐夫君) まず、ジャマイカにおきまして開発途上国のために一般資金の利用枠を四五%ふやしたわけでございます。もちろんこれは先進国にも適用ございますが、特にねらいは開発途上国のためでございます。これはいわば一時的な暫定措置でございまして、今回第六次一般増資が行われますとそれに吸収されるという性質のものでございます。
 それから第二に、八五%の特別多数決で将来固定相場制へ移り得るという規定が協定改正に載っております。アメリカの投票権は今度少し下がりまして二〇%弱になりますので、その意味におきまして拒否権があると言えばあるわけでございますが、同様に、ECの諸国も二〇%以上の投票権を持っておりますので、その意味では拒否権がありますし、それから開発途上国の方もやはり二十数%の投票権を持っておりますので、やはり拒否権があると言えばあるわけでございますが、通貨体制の大きな方向を転換する場合にはいろんな主要グループの賛同を得て移るという必要がございます。ことに米国は、昔よりは非常に力が落ちておると言っても、まだ米ドルが世界的に使われているとか、そういうふうな大きな地位を占めておるわけでございますので、八五%という特別多数決は妥当なものではないかと思っております。
 それから三番目に、今度の協定改正が新しい通貨情勢にうまく適応できるかどうかということでございますが、今度まとまりました通貨体制は、理想主義的なものとは言えませんけれども、非常にフレキシブルで国際協調を中心とした現実主義的なアプローチをとっておりますので、ブレトンウッズの柱でございました固定相場制あるいは涌貨の交換性が崩れるというふうな問題も今度はございますん。
 それから、ブレトンウッズ体制後に通貨改革作業でまとめました二十カ国委員会のレポートのような精緻な通貨体制でもございませんので、その意味におきまして、今後変動する世界情勢に現実的に対応できる体制ではなかろうかと思っております。
#56
○立木洋君 IMFの件についてお尋ねしたいんですが、一九四七年にIMFが活動を開始してから三十年近くなるわけですけれども、その時期その時期、いろいろな出されてくる問題にどう対応するかということ自身非常に大切な問題だろうと思うんです。しかし、やはり長期的に見てIMFの問題、つまり国際通貨基金制度の問題をいまの時期でもう一遍よく考えてみる必要があるんじゃないかというふうな感じを私自身持っているわけです。
 それで、最初に大臣の御所見をお伺いいたしたいわけですけれども、四七年に創設されて活動開始したIMF、一九六〇年に先進工業国が経済的な発展を遂げて、それによって相対的にIMF自身がアメリカのドルやアメリカ経済に依存するというふうな形で生まれてきた状態の中で、やはり多少手直しをしなければならない状態が生まれてきた。そういう中で採用されましたのが先ほど来出されておりますSDR、これが設立された。しかし、実際にはアメリカがその後もやはり戦争経済をとる、あるいは海外への投資がふえていくという状態の中で、そういうドルのたれ流しの中で、一九七一年でしたか、ドルショック、つまり金とドルとを交換しないというふうな状態が起こってIMF体制の基礎が崩壊した。その後、スミソニアン体制ができたけれども、実際にはそれによってもなかなかうまくいかずに、一年余りで事実上うまくいかないという事態も判明してきた。その後、一九七三年、御承知のような石油ショックで産油国のああいう状態、それによって一つの流れの変化が生じてきたし、それから現在の状態を見てみますと、非産油国の開発途上国を見てみますと、昨年では国際収支の赤字が三百五十億ドルですか、ことしが三百十億ドルになる見通しだというふうに言われているという、いろいろな問題がやっぱり出てきた。今度のジャマイカで行われたあれを見ましても、一面評価できるけれども、一面どうも完全に成功したとは言えないという大平さんのお話もありましたし、こういう経緯を踏まえてみますと、やはりいまの時期、もう一遍よく考えてみる必要があるんじゃないかというふうに私は思うわけです。
 それで、こういう経緯を、つまり国際通貨基金制度というのに関連したこういう国際的な状況の中で発生したこれらの経緯についてどういうふうに大臣お考えになるのか。また、IMF体制というのを現在の状態でどうお考えになっておられるのか。それから、ニクソン・ショック以後のいわゆるIMF体制が崩壊したという後、いろいろなやっぱり動揺があったわけですし、こういう動揺が長期間続くというふうなことをどういうふうにお考えになっておられるか。その点を最初にお尋ねしておきたいと思うんです。
  〔委員長退席、理事奏野章君着席〕
私は、よくわかってしゃべっているわけではありませんから、わかるようにひとつお話ししていただきたいと思います。
#57
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆるブレトンウッズ体制の一環としてIMFが出発いたしまして、確かにいわば先進国間の一つの仕組みという色彩がかなり強い形で出発したと思います。しかし、その当時はドルとスターリングが基軸通貨であったわけでございますけれども、スターリングが脱落をいたしました。その後、立木委員の言われますように、アメリカがベトナム戦争等々いろいろな事情によって、キーカレンシーとしてのドルがひとりで世界経済の基軸通貨の役割りをしようのにいろいろな困難を生じてまいったと思います。ドルは依然として基軸通貨でありますけれども、少なくともいっときのアメリカは、世界経済をドルがしょうということにかなりの苦しみを味わったと思うんでございます。
 そういうこともあり、いたしまして、IMF体制の崩壊といいますか、再検討というものが、一九七一年の八月のいわゆるドルショックを契機にしてだれもが注目するようになったと思います。その間しかし、SDRというようなものが生まれてきたということは、金との関連もございますけれども、私はやはり人文科学の分野におけるこれは一つの注目すべき出来事ではなかったかと、戦後三十年におきまして考えてみまして、これが実際どう育つかということにはいろいろまだまだ問題がございますけれども、ともかくそういう考え方が観念としてだけではなく、一つの制度として登場して使われるようになったということは注目すべきことだと思います。
 それで、そういう経緯を経て、いまIMFが持っている問題はどういう問題かと申しましたら、今回のような解決が必ずしも十分では確かにございません。ございませんが、一つはやはり南北問題だと思います。それについては、発生的にこれが先進工業国を中心に頭に置いて考えた機構でありましたけれども、その後の世界情勢の変化によって南北問題というようなものを無視し得なくなった。これは今回の改正の中にもそういう認識がかなりはっきり出ておると思います。
 それからもう一つ残っております問題は、やはり私は東西関係であろうと思います。世界経済が、いろいろな事情はあっても東西というものが完全に分離されて運営されてはいないということ、それはコメコン諸国と西側経済との交流を見ても明らかでございますけれども、しかし、IMF体制そのものは、いわばほとんど西側の体制としてしかとらえられていない。若干の国が加盟をしておる、コメコンの国がしておるということは勇気づけられることでありますけれども、大部分は加盟をしていないという状態が続いて、これは経済の体制が違うとかいろいろなことがございますけれども、しかし、世界経済がだんだん一つの交流になっていくことが望ましいとすれば、この問題はIMFにとってなお残された問題であるというふうに、これは私の私見ということにでもなりますのでしょうか、私そんなふうな見方をしております。
  〔理事秦野章君退席、委員長着席〕
#58
○立木洋君 しかし、事実上、いま言われましたけれども、やはり今度のジャマイカにおける協定というものが必ずしも十分なものではない。基本的にはいままでのIMF体制のやっぱり底にあるものを引き継いでいくという内容になっておると思いますし、この点について今後の見通しといいますかに、ついてはどのようにお考えになっていますか。いまのこういう状態である程度、ニクソン・ショック以来引き起こされた状態というのが一定期間保持されるのか。
#59
○国務大臣(宮澤喜一君) やはりアメリカがベトナム戦争をやめたということは、基軸通貨であるドルに対しての私はかなり安定要因になると考えていいのではないだろうかと思っておりますわけで、それにSDRというようなものも誕生してきたことでございますから、南北問題にはまだいろいろ問題がございますけれども、しかし、過剰のオイルダラーというものも何となく先進国側の金融体制の中へ流れ込んでくるといいますか、その中で処理されそうな傾向になってきたというふうに見ておりますので、今後非常に極端な石油価格の引き上げというようなことが可能であるような条件が生まれてきません限り、この体制でさしずめの数年間の危機というものは、過去における危機というものは処理していけるのではないかというふうに私としては思っております。しかし、先ほど申し上げましたような大きな課題を将来に向かって残しておることには違いございません。
#60
○立木洋君 藤岡さんのほうに今度お尋ねしますけれども、為替相場制度というものについては、変動制か固定制かというのはアメリカ、フランス等といろいろ議論をされてきて、今回は変動制ということで、それぞれの国が任意の形をとり得るということが一応認められたわけですね。しかしこれはこういう協定を結ぶまでもなく、こういう形をとるというふうなことを協定で決めるということ自身によって実際にはうまくいくのかどうなのか、あるいはまた、そのそれぞれの国がどういう制度、変動制の中でどういうフロートをとるかという問題に関しても監視が行われるというふうなことがありますけれども、しかし、そういう監視自体がどういう意味を持つのか、その点大変いつも疑問に思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
#61
○政府委員(藤岡眞佐夫君) まず、今回の協定は、従来からいわば哲学論争とまで言われておりました米仏の対立を調整してできたものでございまして、いままではフロートというものには法的根拠がなかったわけでございます。したがいまして、そのフロートの扱い方についても確たる基準がなかったわけでございますが、今後は、米仏の調整の結果、まずこの協定発効後は、各国が自由な為替相場制度はとり得るということになったわけでして、その場合に、各国がてんでばらばらにいたしますと、また国際通貨秩序は無秩序になりますので、そこでIMFの監視のもとに一定のガイディングプリンシプルを与えようということになったわけでございますので、やはりその点で、同じフロートと言いましても、従来ここ数年間実施してまいりましたフロート体制とは大分違うものになるのではないかという感じがいたします。
#62
○立木洋君 内容を見てみますと、固定相場制に移行するといいますか、それに対してのどういう段取りでというふうな話し合いなんかも一応出されておりますけれども、しかし、事実上アメリカが単独で勝手に平価の取りきめを拒否するというようなこともできるようになっているわけですね。こういう固定相場制に復帰するというふうな見通し等については、先ほどもちょっと話されておりましたけれども、どういうふうな見通しをお持ちなんでしょうか。
#63
○政府委員(藤岡眞佐夫君) ブレトンウッズ体制が崩壊しました一つの原因は、固定相場制度がかなり厳格に保たれた結果、通貨の調整が十分弾力的に行えなかったということでございます。石油危機の後、世界経済というのは依然として流動的な状態でございまして、これから近い将来において固定相場制度に復帰するということはなかなか言えないのじゃないかと思います。今度の協定改正に織り込んでございますように、八五%の特別多数決によりまして、世界経済が安定したと見た後においては、一斉に固定相場に移行するという道が開かれておりますが、さしずめは各国の選ぶ為替相場制度、各国の選ぶ固定相場制度の中には当然フロートが入りますが、もし希望する国がございましたら、その希望する国の間で相互に為替相場制度を一定の幅で固定するといういわゆるスネークあるいは共同フロートというような形もとれるわけでございますので、そういう意味におきまして、フロートとは言いながら全く無秩序なフロートではなくて、従来よりは安定したフロートにいくのではないかという感じでおります。
#64
○立木洋君 その点でどうしても疑問が残るわけですがね。結局、アメリカとしては勝手に自分でやっていくことができる、平価の取り決めについても拒否権もあるわけですし、それで事実上はやはりこういう状態の中で、アメリカがいまのドルの相対的な低下ということから、最近では若干持ち直したというふうな状況がありますけれども、そういう点を利用してやはりドル本位制ということをアメリカとしては事実上考えておる、自分に都合のいいような状態にならないならば拒否権をいつでも発動できるような、そういうふうな状態になっているんではないでしょうか。
#65
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 今度のジャマイカでの合意は、従来のブレトンウッズ体制が金と、それから金にリンクしたドルを中心にして運営されてきましたのを反省するという形でできておるわけでございまして、さっき外務大臣が言われましたように、金の役割りが減るとともにSDRの役割りが高まるということになっております。それにつけ加えまして、通貨の地位も通貨体制上従来よりも減るということになろうかと思います。具体的には、いま外貨準備の大部分を占めておりますドルの量をどうコントロールするかということが今後の課題になろうかと思いますが、ほとんど米国一国の力で支えてまいりましたブレトンウッズ体制にかえて、主要国の協力で運営していこうという通貨体制になるわけでございますので、ドルの支配体制を続けるということではないと存じます。
#66
○立木洋君 その点になるとちょっと私たち違うんですけど、それは最後の結論の部分で若干またお尋ねしたいと思うんですけれども、今回あれしておりますIMFの保有金の市場売却による信託基金の設定の問題ですね、この問題どういう意味を持っているかということになるんですが、IMFに死蔵されておる金を売却していろいろ援助金等々に充てるだとかいうふうなことが問題になっているようでありますけれども、しかし、事実上金を売却すれば金の相場というのは低下する。そうすると公定価格とのつり合い、差額を見込んでおる信託基金のファンドというのはやはり減少せざるを得ない。それで、そういう苦肉の策として出されてきたのが国際決済銀行を入れるという考えのようでもありますけれども、しかし、実際にはこの信託基金の設定というのが、矛盾を持ちながらもどういう意味を持っておるのか、この基金そのものが。実際にはうまくいかないというふうに感じるわけですけれども。
#67
○政府委員(藤岡眞佐夫君) この通貨制度の問題は、先ほど外務大臣もお触れになりましたけれども、従来は先進国間の論議というふうにとらえてきたわけでございますけれども、ここ数年間、開発途上国のインタレストも無視をしてはならないという認識が高まってきたわけでございます。事実、金の一部を売りまして信託基金をつくって開発途上国を援助するということは、通貨を担当しておりますIMFが若干援助機関のような性格に移るんではないかという御批判もあったわけでございますけれど、先ほど申し上げましたような一般利用枠を拡大して開発途上国への資金の流れをよくする、その他輸出変動補償融資の制度を改善するとか、いろんな面におきまして開発途上国に対する手当てをしておるわけでございます。
 この金を売るということになりますと、結局IMFにおいて金の義務的取引がなくなるのと並行いたしまして、金の地位がIMFの内部あるいは国際通貨体制の内部で減っていくということになるわけでございます。ただ、この金を再び各国が買いあさるということになりますと、せっかく金の役割りを減らそうという目的に反することになりますので、そこは金の役割りを減らす、あるいは金の取引をこれから自由化するということは行き過ぎないように歯どめを設けるということで、先ほども申し上げましたように、十カ国の中では二年間の紳士協定で金の価格の支持をしないとか、あるいは金の保有総量をふやさないというふうな合意をしておるわけでございます。
#68
○立木洋君 開発途上国がこの信託基金の設立を要望しておるということはわかるわけですけれども、しかし、実際こういうやり方で先進国がこういうふうな対応の仕方をしても実際には問題の解決にならないんではないか。もっと考えるべきほかの手があるんではないだろうかという感じがするんですけれども、その点はどうですか。
#69
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 国際通貨制度に関連して開発途上国のために何かをするという道は、従来いわゆるSDRリンクという議論が通貨改革の際においては議論されたわけでございます。これはSDRの新規配分のとき、開発途上国より多く配分しようという構想だったわけでございますが、それは今回採用にならなかったわけでございます。したがいまして、通貨制度の面で開発途上国のためにめんどうを見るということになりますと、やはり今度のトラストファンドの設立であるとか、それから一般の貸付枠を拡大するとか、あるいはさっき申しました輸出変動補償制度等を改善するとか、その他石油危機の後、七四年と七五年にはオイルファシリティーというものをつくったわけでございますが、そういうことでやるということが現実的な解決策でございまして、大体考え得るような手段はいろいろと構じてきておるわけでございます。
#70
○立木洋君 次に、先ほどからまた問題になりましたけれども、アメリカが金の廃貨の問題を問題にしている。しかし、実際にはなかなかそうではないんではないだろうかという点についてですけれども、実際上ドルの価値や信用度というのをSDRではかるといったって、事実上はやはり金の相場が何ドルかというふうな形で問題になりますでしょうし、それからさらには、ドルと結びついておる各国の通貨の価値も間接的にはやっぱりそれによってはかられる。実際にアメリカね動向を見てみましても、やはりいろいろ金の相場がどうなるかということについてはアメリカはきわめて敏感ですし、そして事実上アメリカ当局は金の準備を放出して相場を鎮静化させる、そしてドルの威信を高めようとしているというふうな状態も見られますし、そういうふうな状況というのは、事実上金の廃貨というふうな主張をされているアメリカのとっている態度という点についてはどういうふうにお感じになるのか。
#71
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 先ほども申し上げましたように、アメリカは国際通貨制度におきましては金の役割りを減らそうというのは、本当にそう考えていると思います。ただ、金はいま商品といたしまして非常に価値があるわけでございまして、その意味で大事なものであるということは、これはもうアメリカを含めてだれしもが思っているんではないかと思います。ただ、商品でございますので、値段が非常に暴騰暴落しておりまして、さっき、最近一オンス百二十七ドルと申し上げたんですが、四十九年の終わりには百九十ドルであったということもあるわけでございますから、そういうふうに値段の非常に乱高下するものが通貨体制において中心になるということはなかなかむずかしいわけでございまして、今度の協定改正におきましても、IMFの取引とかあるいは通貨の価値をはかる場合には金ではなくてSDRにしようということになっておるわけでございます。
#72
○立木洋君 結局は、アメリカがいまの状態の中で相対的にドルが低下し、また、一応盛り返したといいますけれども、かつての状態から見ればそういう状態ではないということはもう明らかです。しかし、そういう中でもやはりアメリカは世界経済の中でリーダーとしての役割りを自負して、いまの状態の中でも何とかそれを維持していこうという考え方を持っていることは私は明白だろうと思います。それは力の政策の問題でもそうですし、国際通貨の問題に関してもやはりドル本位制といいますか、これを事実上内在さして、その状況に対応しながら、先進国の中ではそれをやっぱり認めさしていくというふうなことが基本にあるんではないかという、さっきの問題に返るわけですけれども、その点についてはどうですか。
#73
○政府委員(藤岡眞佐夫君) 現実に、ドルが世界の主要なる取引通貨でもあるし、それから世界の通貨当局の持っております外貨準備の主要な部分であるというのはそのとおりでございまして、そういう事態が一夜にして変わるということはないと思いますので、アメリカもそういうつもりがございましょうし、それからドルを使っておる人、またそのドルを持っておる人にもそういう考え方はあると思います。しかし、これは何もドルのいわば支配体制を継続しようということではなくて、むしろほとんどドルで支えてきた、あるいはアメリカの力で支えてまいりましたブレトンウッズ体制が壊れたわけでございますから、その後に来るものは当然ドルだけではなくて、主要国はその力に応じて協力して支えているという通貨体制になるというのが現実の姿じゃなかろうかと思っております。
#74
○立木洋君 アメリカはどんどん外国にドルをたれ流して、戦争経済にしろいわゆる海外投資にしろ、そういう状態で自分が事実上金によって買い戻しができない、いわゆる兌換できないという状態の中でああいうニクソン・ショックが起こってきた。その後の事態の中でも、やはりアメリカは世界経済のリーダーシップを、何らかの形で国際通貨の中でも維持していきたいということが私は根底にやはりあるというふうに考えるわけですよ。
 それから、同時にこの問題というのは、特にIMFの運営や政策の決定権という問題を見ると、私はやっぱり明白に出てきていると思う。その点で一番批判があるのが、発展途上国としてはIMFの機構を民主的に改革してほしいという要望もあるわけですし、しかし、事実上いわゆる重要問題を決定する、重要問題は八五%以上ですか、ところが、二〇%投票権を持っておるアメリカが拒否権を認めているわけですね。こういう状態というのが事実上変えられないと、IMFの民主化の問題に関しては二月のマニラの会議でも出されておる問題ですし、こういう状態というのはやはり改めていかないと、国際通貨の問題、先ほど出されました、大臣が言われた南北の問題もあるわけですし、開発途上国等々の問題が今後一層問題になっていく状況にある中で、こういう事態を続けていくというのは好ましい状態では私はないだろうというふうに思うんですけれども、その点は大臣の方にお聞きしたいと思うんですけれども。
#75
○国務大臣(宮澤喜一君) レーニンが、自分は最終的には金でもってモスクワの公衆衛生施設をつくるのだと言いましたときに、それだったらそういうときに通貨というものをどういうものとして彼は考えていただろうかということがやはり問題になると思うんでございます。それは国内でも国際でも私は問題になると思うんで、恐らく現実的には金が本当にそういうものになってしまったときに、やはり各国通貨のバスケットみたいなものを考えるしかなかったんではないかというふうに私は思うわけでございます。そうしますと、そのバスケットの中でおのおのの通貨がそれぞれの比重を与えられるということはどうしてもやむを得ないことで、いまSDRの中のドルの比重というのは三三ぐらいでございますか、これは好んでそうなったというよりは、やはり人がどの通貨を選好するかということの結果として生まれたというふうに私は思います。
 恐らくアメリカだけの都合から言えば、ドルが国内通貨であると同時に国際の基軸通貨であるということは、便利なときもありますが、実は非常にある意味で迷惑だと思っている要素もあるのではないかと思いますから、理想的に言えば、SDRの中において一通貨が三三%というような大きな比重を占めることでなく、もっといろいろな通貨が登場してきてその比重を分け合うということの方が恐らく立木委員の言われている状態に近づくのだと思いますけれども、しかし、それならばわが国なり西ドイツなりがそういう役割りを進んで買って出るかということになりますと、これはもう大変な国際的な責任を負うという問題もあるものですから、なかなか進んでは買って出ない、そういう状況が私はいまの状況ではないかと思うのです。
 ですから、これはどっちが結果でどっちが原因だという議論はありましょうけれども、アメリカがドルによる世界支配を意識的に何とかして維持し確立していこうというよりは、そういう意図がゼロだということも言えないかもしれませんけれども、世界の現状というものがなおドルに対してそれだけの信頼を寄せざるを得ないということではないかというふうに私は見ております。
#76
○立木洋君 まあレーニンの有名な話を大臣引用されましたけれども、それは一定のバスケットが必要だという点についてはそのとおりだろうと思うんです。しかし問題は、ドルの支配ということがただ単に通貨の問題だけではなくして、いまの国際経済全般に及ぼす影響、その中でアメリカがとっておるいろいろな行為を見た場合に、私はもっとやはり考えるべきではないだろうか。国際貿易の中でドルに対する依存度というのは、わが国の場合は相当やっぱり比重を占めているわけですから、そうすると、ドルがどうなるかで日本の国の経済というのは常にがたぴししなければならない。こういうふうな問題も考えると、やはり国際通貨制度のあり方の問題ですね、もっと民主的な改革の問題を要求している途上国の意見にも耳を傾けて考えるべきやはり時期に来ておるだろう。だから、いますぐ円が云々というようなことを私は言っているわけではないけれども、その点はやはり考えるべき点があるんではないだろうかというふうに考えるわけです。その点お答えいただいて、終わります。
#77
○国務大臣(宮澤喜一君) そういうことが現実に可能になりましたら、世界経済がもう少し何といいますか、公平感に合ったようなものになるではないかとおっしゃる意味で、私はそうであろうと思います。
#78
○委員長(高橋雄之助君) 他に発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、国際通貨基金協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件を問題に供します。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#79
○委員長(高橋雄之助君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、国際連合大学本部に関する国際連合と日本国との間の協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。
 本件に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#80
○委員長(高橋雄之助君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○委員長(高橋雄之助君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#82
○委員長(高橋雄之助君) 次に、請願の審査を行います。
 第三号反覇権条項を明記した日中平和友好条約の即時締結と批准に関する請願外七件を議題といたします。
 まず、専門員から説明を聴取いたします。
#83
○専門員(服部比左治君) 今国会中外務委員会に付託されました請願は、お手元の表のとおり全部で八件でございます。
 まず三号は、日中共同声明の覇権反対の条項を明記した日中平和友好条約の即時締結を要請するものであります。
 次に、二九九八号は、日中共同声明に明記された平和五原則に立って日中平和友好条約を早期に締結されたいというものであります。
 次に一二四号は、核兵器全面禁止協定の締結促進、非核三原則の立法化、わが国からの核兵器の撤去等を要請するものであります。
 次に一九〇一号は、フォード大統領の朝鮮半島における核兵器先制使用発言に抗議すること、日米安保条約の廃棄を通告すること及び核兵器完全禁止協定の締結を働きかけることを要請するものであります。
 最後に八四八七号は、米国国務省前韓国部長レイナード氏の米議会での証言、すなわち、金大中氏を拉致したのはKCIAのメンバーであるとの証言及び朴大統領が当時の田中首相に三億円を送って金大中事件をもみ消したとの証言につき真相を究明すること等を求めるものであります。
 以上でございます。
#84
○委員長(高橋雄之助君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#85
○委員長(高橋雄之助君) 速記を始めてくださ
 い。
 それではお諮りいたします。
 第二九九八号日中平和友好条約の締結に関する請願は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付することを要するものとし、第三号反覇権条項を明記した日中平和友好条約の即時締結と比准に関する請願外六件は保留と決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○委員長(高橋雄之助君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
#87
○戸叶武君 理事会で万場一致で決定しなければということになっておりますが、私たちが理事会で要請したのは、こういう請願の国民の願いというものは、できるだけ多くやはり取り上げるというのが憲法の趣旨だと思うんです。これは通らないから、これは実行不可能だからというのは、取り上げた後における一つの行政府なりあるいは国会における論議において決定すべきものであって、請願権というのを非常に制約するということをきわめて非民主的なやり方であって、これは自民党の人たちも、主として党の決定に従っていろいろな御発言をなされたことと思います。したがって、党の決定に対して野党の方からいろいろな強力な反対意見も開陳された、そういうことでは国民の請願権を極端に制約する傾向になるからそれはけしからぬというふうな要請があったということだけはお伝え願いたいと思います。これを決定したことにはやむを得ないから従いますけれども、そういうふうにしないと、国民の請願権の制約なんということは決して私はよいことではないと思います。このことは委員長にもしかと頭にとめておいてもらいたいと思います。
#88
○委員長(高橋雄之助君) ただいまの戸叶君の発言については、理事会で非常に活発な意見が開陳されたわけでございます。そのことについては皆さん御了承のとおりでございます。御発言として承っておきます。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○委員長(高橋雄之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#90
○委員長(高橋雄之助君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際情勢等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(高橋雄之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(高橋雄之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#93
○委員長(高橋雄之助君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○委員長(高橋雄之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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