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1975/01/27 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 本会議 第3号
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1975/01/27 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 本会議 第3号

#1
第077回国会 本会議 第3号
昭和五十一年一月二十七日(火曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  昭和五十一年一月二十七日
   午前十時開議
第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十三日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。小柳勇君。
   〔小柳勇君登壇、拍手〕
#4
○小柳勇君 私は、日本社会党を代表して、三木内閣の施政方針に対し、三木総理並びに関係大臣に、わが党の立場を明らかにして質問いたすものであります。
 いまや日本民族は、歴史的転換を図らねばならない時期に立たされておると考えるのであります。目を世界に転じますれば、資本主義諸国の内部矛盾の爆発によって社会主義国が成立し、近くは第三世界と言われる発展途上国の発生を見るに至ったのであります。そしてこれらの国々は、内部にそれぞれ深刻な問題を持ちながらも、その解決のために全力投球をして生々発展しているところであります。
 三木総理はその施政方針で、三十一世紀の展望を幾たびも述べられました。三木総理の頭の中には、日本資本主義の未来と大企業の行く末しか展望されておらないのではないか。われわれは、世界各国との友好を深めながら、日本国憲法の指し示す平和国家の建設と国民福祉優先の政治を確立し、日本の歴史的転換を闘い取る決意でございます。これがわが日本社会党の二十一世紀への展望であることをまず申し述べておく次第でございます。(拍手)
 そこで最初に、わが国を取り巻く国際情勢並びにわが国がとるべき外交姿勢について質問いたします。
 今日、世界経済は戦後最大の不況を経験し、先進資本主義諸国は共通してインフレと不況の再燃におびえておるのであります。この世界的なインフレと不況の同時進行という困難な問題を終息させるためには、国際通貨や世界貿易について国際的に統一したコントロールが必要であることは言うまでもありません。このことはランブイエ会議でも問題にされたようであります。しかし、他方、先進資本主義諸国は各国とも共通して、景気刺激策としてインフレ政策をとったり、国内産業を守るために輸入規制政策をとっている現状であります。この結果、国際的に資本主義体制を守るということと、国内的に資本主義体制を守るということとの政策的激突が常に繰り返されております。こうした事態の認識と、これにどう対処するのか、総理の見解を明確にお伺いしたいのであります。
 次に、発展途上国との経済協力の問題であります。
 わが国を初め、先進諸国の発展途上国に対する経済援助は大幅に後退する一方であります。資源の海外依存度が強く、国際一次産品の輸入が特に大きな比重を占めておるわが国は、各国との通商関係を拡大させ、世界経済と密接なかかわり合いを保ち続けることが必要不可欠であります。そのためには、過去において先進国の工業製品価格に比べて低く抑えられておった一次産品価格を先進国の工業製品価格にリンクさせよとの要求や、価格低落時の輸出所得補償制度の実施などについて、誠意ある態度を示していくべきであります。経済成長制約要因の増大、国際収支構造の激変など多くの困難な諸問題に直面してはいるものの、発展途上国の経済開発に対して、平等互恵の原則に立った積極的な協力を進めるべきであります。石油危機の際にとったような場当たり的な姿勢は決して許されるべきではありません。また、昨年十月にOPEC諸国は原油価格の一〇%の値上げを行い、今年上半期いっぱいはこれを維持することを決めているものの、それ以降については全く見通しが立っておりません。このような中で総理は、開発途上国の一次産品の価格政策要求とエネルギー情勢を踏まえた政策にどのように対処していくのかお伺いしたいのであります。
 四十八年の石油危機の際、わが国は、当時副総理であった三木現総理を初めとして、特使を中東諸国に派遣し、経済、技術協力を約束しましたが、通産大臣を今年中東に派遣するまでの約三年間、その実施をほとんどたなざらしにして各国から非難を受けており、こうした場当たり的姿勢は決して許されるべきものでありません。最近、産油国と消費国との間に対話と歩み寄りの機運が見えておるものの、問題解決までには相当の時間を要するものと思われます。このような中で、総理は今後のエネルギー情勢をどのように考え、どのような政策で対処していくのかお伺いいたします。また通産大臣は最近中東に行かれて、どのような見通しを持たれたのかお伺いいたします。
 私は、このような国際経済情勢にわが国が適切に対処していくためには、わが国外交政策の転換を図らなければならないと考えるのであります。ことに今日対外経済関係は、両国の政治的立場と無関係には成立しないのであります。インドシナにおける民族解放闘争の全面勝利というアジア情勢の変化を踏まえ、発展途上国と平等互恵の経済協力関係を確立していくためには、わが党の主張である非同盟、中立、核否定の立場に立った外交政策を推進することがますます重要になっているのであります。
 したがいまして、アジアの平和と日米両国の緊密な友好関係を維持強化するためにも、軍事同盟である安保条約は一日も早く解消すべきであります。また、日中共同声明を前進させた日中平和友好条約の即時締結を図ること、朴政権への政治的、経済的てこ入れをやめ、朝鮮民主主義人民共和国との交流を拡大すること、日ソ平和条約を締結し、領土問題の解決を図ることなど、近隣諸国との平和外交を積極的に推進することがきわめて重要であります。
 さらに、資源外交の観点からも、中近東の平和の維持に貢献することはわが国外交にとっていまや必須の任務であります。すでに国連安全保障理事会の討議の中で明らかなように、パレスチナ人の民族自決権尊重は世界の潮流であり、わが国とPLOとの正常な外交関係の樹立は急務であります。わが党もこの立場から最大の努力を払ってまいりましたが、総理が直ちにPLO東京事務所の設置を歓迎する意思をここで明らかにすることは、世界の流れにおくれない最低の道であると信じます。総理の意思表明を求める次第であります。
 次に、輸出拡大のために、財界の中には、戦後わが国の基本姿勢であった武器輸出禁止三原則の緩和を図り、武器輸出への道を求める声があります。あの痛ましい敗戦を経験したわが国民は、二度と戦争を繰り返すまいと、平和憲法維持に日夜努力をし、平和外交確立のために粉骨砕身しておるところであります。たとえどんな理由があろうとも、軍備拡大の一翼を担って戦争の火種を投ずる役割りを絶対に演じてはならないと信じます。総理の決意を表明していただきます。
 第二に、国内経済問題、ことに景気対策について質問をいたします。
 いまわが国経済は戦後最悪の不況とインフレという危機に直面しております。われわれもこの情勢を冷静に受けとめ、政府の方針をただしながら、わが党の建設的かつ具体的な政策を提起し、三木内閣の真意を尋ねたいと思うのであります。
 三木内閣は一年前、対話と協調、不公正の是正を看板にして登場したのであります。しかし、この一年間の経過を見ますと、公共料金の値上げに際して強行と対決を行い、狂乱物価の中で賃上げを抑え、財政危機を理由に国民に低福祉高負担を押しつけるという不公正の拡大を行い、全く言行不一致、失政のツケを国民に押しつけておるのであります。したがって、五十一年度におきましては、不況とインフレの犠牲を国民生活に絶対に押しつけないという政策を忠実に実行すべきであります。
 しかし、五十一年度予算案を見ますと、三木内閣の基本姿勢は国鉄、電信電話、授業料などの公共料金の軒並みかつ大幅な引き上げ、社会保険料の値上げによる国民の負担を増大するなど、国民生活の安定と向上を全く無視しているのであります。予算案は内閣の政策の数字的表現であり、内閣の顔であります。したがって、五十一年度の予算案は、これまでの高度経済成長政策によってもたらされたあらゆる社会的、経済的不均衡を是正し、不況とインフレを克服して、失業の増大と雇用不安を解消し、住民福祉を後退させないために、地方財政の危機を打開し、中小企業、農漁業など、いわゆる国民生活の基盤となっている産業の基本的対策の確立などを重点にして編成すべきであると思うのであります。
 そこで、具体的にお伺いいたします。政府は、景気回復策として、その柱を公共事業の拡大に置いておるのであります。この政策が有効に働いて景気が浮揚するかということであります。
 まず、一般会計は前年度に比べ一四・一%の伸びでありますが、景気刺激効果を持つという公共事業費は三兆八千百十六億円で、前年度比二一・二%、これに公共事業予備費を含めると二六・四%増になっておりますが、実際は、五十年度補正後で見ると、わずかに六%の増にすぎません。また、この公共事業費はすべて直接建設事業に充当されるものではなく、多くは土地買収料に取られ、しかも公共事業というのは、多くの場合地方の財政支出を伴うものであり、地方財政の危機の中では、地方自治体の予算執行がスムーズに行えないことが十分に予想されます。したがって、土地対策の確立、政府の手による地方財政の危機打開策が伴わない限り、公共事業による景気対策は有効性を発揮できないと考えますが、総理の明確な答弁をお願いしたいのであります。
 次に、公共事業の内容であります。本四架橋の着工、高速道路、新幹線など大型プロジェクトを中心としております。しかし、これでは大手建設業を初めとし、鉄鋼、セメントなど一部の事業にのみ需要が集中し、また工事は地域的にも偏在するため、需要波及効果は大企業、一部資本にしか及ばないと考えます。私は、景気対策は消費需要を喚起して下からの回復策をとるべきだと考えるものであります。そのためには、この不況のときにこそ所得税減税を行い、国民の購買力の向上を図るべきであります。しかし、政府は、歳入不足を理由に所得税減税を見送っておりますが、これは景気対策に逆行するものであると言わなければなりません。また、消費需要を拡大するためには、物価上昇率以上の賃上げを行う必要があります。そのためには、五十一年春闘の実質賃上げ率を上昇させることがきわめて重要であります。さもなければ、消費需要が減少して、政府の景気対策は全く効果を上げることはできないでありましよう。
 また、財源対策としては、わが党は、赤字公債の発行ではなく、大企業所有の土地再評価税で行うべきであることを主張しておることは、総理も先刻御承知のとおりであります。
 いま一つの景気浮揚策は金利水準の引き下げであります。不況の長期化により企業の利益率が大幅に減少しておりますので、この際、企業の金利負担を減少させるため、貸出金利を思い切って引き下げる政策をとるべきであると考えるのであります。
 以上の点につき、総理並びに関係大臣の答弁をお願いいたします。
 第三に、財政規模と景気浮揚との関係について質問いたします。
 政府は、昭和四十九年度、五十年度と二年連続で大型予算を組み、財政主導により景気を浮揚することを公約しました。しかし、現実には、この一年間の倒産件数は一万三千六百件、負債総額は一兆九千億に達するなど戦後最大の不況を招いております。その原因は一体何であるか。政府は五十一年度も赤字国債を発行して大型予算を組み、景気回復を国民に公約していますが、どのようなプロセスで景気が回復するのか、政府の見解を詳しく聞きたいのであります。(拍手)
 景気に関係する要素は財政だけでなく、利子率、貨幣量、貯蓄率などを考えねばならないことは御存じのとおりであります。財政は年度当初においてその規模を決められるために、その年の景気を左右する機能を持っておることも十分御存じのとおりである。そこで、私どもは、わが国の昭和二十八年から今日までの予算と経済成長率の実績を計算してみました。その結果によりますと、名目経済成長率が財政の伸びよりも大きいときには景気がよくなり、反対に小さいときには不況になるということが数字の上では明らかになっておるのであります。このことは、アメリカの一九五七年から今日まで二十年の実績をとって計算してみましても同じ結果がとれました。そこで、この結果だけで批判することはできませんが、政府が五十一年度予算で、一般会計一四・一%、特別会計がうんとことしはふえております。この両予算を合わせますと、五十年度に比べ二百・一%の伸びになりますが、これに対して経済成長率は二二%と見込んでおるのであります。したがって、経済成長率よりも予算規模がうんと大きいので、五十一年度も五十年度と同じように不景気であると、計算の結果では判断をいたしておるところであります。この数字は、九州大学の経済学者などによる経済法則研究所で十分検討した問題でありまして、直ちにいま即答はできかねると存じまするが、予算委員会などでわが党が十分に政府にただすところであります。昨日も成田委員長から質問がありましたように、予算が組まれて財政運営をして、この結果、景気浮揚ができないと判断しても、なお予算修正ができないのかどうか。われわれは年度当初におけるこの予算審議で、野党の要求が国民の負託にこたえることを十分に認識されて、野党の修正要求に応じられることを重ねて政府に要求するものであります。
 第三に、物価安定の問題について質問をいたします。
 国民が期待する景気浮揚が実現いたしますと、当然インフレの心配が発生いたします。物価安定のためには商品価格の形成に直接影響しておる原材料費、賃金、利潤及び輸送コストの問題を考えねばならぬことは御存じのとおり、言うまでもありません。ところが、原材料費の変動、賃金の高低、利潤の大小についてはすでに多くの場で論議されておりますが、貨物の輸送コスト――流通コストの問題については今日まで十分の論議がなされていません。経済学でも「流通は暗黒大陸である」と言われておるそうであります。現在、統計の中で貨物輸送費として計上されておりますのはわずかに三兆二千億程度であります。国民総生産が百八十兆円に及び、消費支出がその半分を占めますときに、流通コストがその程度の費用で物が運べるはずはございません。そのあとは一体何で運んでおるのか。言うまでもなく自家用トラックであります。営業トラックが現在四十五万台でありますが、自家用トラックはおよそ六百八十万台動いておるのであります。その費用は概算いたしまして、一年間の国の予算以上に三十四兆八千億円ぐらいかかっておるだろうと概算されるところであります。これは日本の経済統計に入っていません。これは運賃収入としてでなく、商品原価に算入されておるのであります。この金額は、昭和三十五年の景気が安定しておるころにはおよそ一般会計の半分ぐらいでございました。それが最近は一般会計を上回る程度に伸びておる。したがって、物価安定、インフレ防止を検討するならば、この際、いま野放しで走っておりまする自家用貨物自動車、世界各国でもこのような例はございませんので、この際に営業トラックに切りかえるものは切りかえ、その他部門は十分に検討して効率のよい輸送体制をつくるべきであろう。少なくとも自家用トラックを二分の一ぐらいに削減すれば、物価安定に大きく寄与すると考えるところであります。
 これに関連して、貨物運賃の決定方式についてもお尋ねしたいのであります。昭和三十年代の物価安定の時代には、貨物運賃は高級品には高く、生活必需物資には安かったのであります。すなわち、負担力主義運賃であります。しかるに、最近は、金塊一トンを運びますにも、砂利一トンを運びますにも、運賃は同じであります。すなわち原価主義であります。そのために高級品の運賃が割り安になるし、生活必需物資が割り高になっております。諸外国の例を見ましても、アメリカ、西ドイツ、社会主義の国ソ連におきましても、現在負担力主義をとっておることは御存じのとおりです。最近、負担力主義運賃制度は、資源の有効配分のためにも必要不可欠の条件であるという学説が出ました。日本のような資源の少ない国では公平な資源の分配が必要であります。また、物価安定のためにもこの際、原価主義運賃を負担力主義運賃に再検討すべきであると考えるが、政府の見解をお伺いしたいのであります。最近また国鉄再建論議が始まりました。根本論議は別の機会に譲るといたしまして、運賃の原価主義を現状のままにして、トラックと鉄道貨物とを野放しに競争させ、その上自家用トラックの横行を放任しておけば、鉄道貨物輸送は早晩壊滅することは必至であります。総合交通体系の樹立もなく、このような戦国時代的野放しの輸送体制のもとで国鉄再建を論ずること自体ナンセンスであることをこの際付言しておかなければならぬと思うところであります。(拍手)
 以上の諸点について政府の見解を承ります。
 第四に、私は、わが国経済構造のひずみを是正し、民主主義の基盤である経済民主主義を確立するために独占禁止法の改正について見解をただしたいのであります。
 三十年前にスタートした日本再建の基本方策は、平和憲法とそして独占禁止法でありました。しかるに、独占禁止法は二十四年、二十八年と二度にわたって改悪され、株式保有、カルテル、合併などの規制が骨抜きにされ、法の運用もまた後退の道をたどったのであります。四十四年の八幡・富士両製鉄の合併は、その頂点に位する出来事であります。この独占禁止法後退に猛威をふるったのは、財界及び政府であります。この後退過程から生まれるべくして生まれたのが日本経済構造の独占化、寡占化でありまして、これを最もよく象徴するのが総合商社及び大銀行を中核とする企業集団、特に三井、三菱、住友の旧財閥系三グループ及び芙蓉、第一勧銀、三和の都市銀行グループの六大企業集団であります。これら六大企業集団は、社長会メンバー百七十四社で八千五百の企業、日本全体の資本金の四一%、総資産の二一%を支配しております。戦前の四大財閥が五百四十四社、資本金で三五%を支配していたのをはるかにしのいでおるのであります。そして株式もち合い、役員派遣、系列融資などの手段によって価格操作、経営介入などを行い、日本経済に競争制限という大きなひずみを生じさしております。しかも最近に至っては、大蔵省の大口融資規制を逆用して企業集団の枠を超えた融資活動が進み、より巨大な企業集団形成の胎動すら見られるのであります。いまにして独占禁止法を強化してこれらの企業行動に歯どめをかけなければ、わが国経済構造のひずみは回復できなくなると私ははなはだ憂慮しておるのであります。今後のわが国経済は低成長時代に入ったと言われており、産業界は確実かつ容易な利潤確保の手段として、合併や業務提供カルテルによる値上げの道をとろうとしております。自動車、繊維、特殊鋼、砂糖、商社などの業界が進めている再編成はその具体的なあらわれであり、しかも金融界はこれを指導あるいは支援し、政府もまた産業再編成を産業政策の当面の重要課題としているのであります。このような状況を背景として、財界の独占禁止政策攻撃はきわめて露骨であります。三木首相が本当にわが国の経済民主主義を前進させ、経済構造のひずみを正そうとする意思があるならば、憲法及び内閣法が首相に保障している正当な権限を毅然として行使して、さきに衆議院を通過した独占禁止法改正案程度はこの国会で成立させるべきであります。首相の明快な誠意ある答弁を求めるものであります。(拍手)
 第五に、中小企業問題についてであります。
 中小企業は不況に入るとまず最初にその打撃を受け、景気回復後は最後にその影響を受けるのであります。昨年の倒産は、さきにも言ったように、一万三千六百件と戦後最高を記録し、常にしわ寄せを受けているのでありますが、不況の長期化と、今後の日本経済が低成長時代に入ったと言われる中で、中小企業は最近とみに大企業からの圧迫を受けているのであります。ことに最近、大企業が中小企業の事業分野に進出し、中小企業の存立を脅かしているのであります。これに対して大企業の無秩序な進出を規制する立法を図るべきであります。また、親企業と下請との関係において、下請企業を強める制度改正と運営を行える措置を講ずべきでありますが、政府の見解を求めたいのであります。
 第六に、農業問題について伺います。
 世界の食糧事情が過剰基調から不安定基調に大きく変化し、さらに不足基調への歩みを進めていることはきわめて明白な事実であります。したがいまして、わが国はいまこそ食糧自給の向上と抜本的な備蓄対策の基礎固めを行うべきであります。わが党は食糧自給率九〇%を実現し、食糧の本格的な備蓄体制を確立するため基本的な立法を行おうといたしております。政府は、昨年閣議決定された昭和六十年までの「農産物の需要と生産の長期見通し」によると、総合自給率が七五%、穀物自給率三百%というわが国民生活の安全性を期待するにははなはだ心もとない目標を立て、「総合食糧政策の展開」という方針を一応立てましたが、五十一年度の農林予算を見ますと、土地基盤整備にしても、食糧備蓄にしても、その実体ははなはだ貧弱で、政府の目標や方針にすら十分即応していないと考えざるを得ません。政府は、この際、総合食糧基本法を制定して、国家百年の大計を確立し、農業の抜本的な立て直しの基礎を固めるべきであると思うが、総理の所見を伺います。(拍手)
 第百に、福祉政策について質問します。
 来年度予算案に盛り込まれた医療保険、年金制度の改正案は、まさに暗い福祉社会の到来を告げる厳しい内容であると言わざるを得ません。
 まず、医療保険は、これまで二百円であった初診料が三倍に引き上げられるばかりでなく、入院料の自己負担の増額、高額療養費の自己負担額の増大など高負担を強いられることになっております。さらに保険料率の引き上げ、加えて医療費の引き上げ、公共料金の引き上げがメジロ押しに並んでおり、大衆の負担は目に余るものがあります。また、今回の改正では見送られましたが、老人医療の有料化が大蔵原案の段階で出されたことは、政府・与党の福祉対策の本質をあらわしているものと考えるのであります。これら医療保険の後退は診療抑制を意図したもので、真に国民の健康を考えた施策とは言えません。この際、財政的見地のみからする改正案に再検討を加えるとともに、医療の供給体制を含め抜本的に検討すべきであると思うのであります。
 次に、年金問題についてただします。政府は、厚生年金のモデル年金が年額百万円に、あるいは国民年金の二十五年加入者が年額九十万円になり、給付水準が改善されたと言っていばっておりますが、実際に厚生年金で百万円以上給付されておる者は一四%足らずであり、国民年金に至っては六十六年になってもあらわれない幻の年金であります。しかも、年金改正の目玉とされ、厚生大臣も約束しておった現在五割給付の遺族年金の給付水準の引き上げは加算制度にすりかえられました。さらに七十歳以上の老人に支給されておる老齢福祉年金についてであります。拠出制年金に加入の機会を与えられなかったこれら老人に、千五百円引き上げの一万三千五百円というのはいかにも低く、生活保障の色彩に全く合いません。昨年来の、厚生大臣が三万円出すと言っておった努力目標がどこへ行ってしまったのか。この際、わが党が年金について目標とする、「暮らせる年金」「わかりやすい年金」「国民の生活をコントロールする年金」という立場に立って抜本的改正を行うべきだと思いますが、医療、年金について政府の決意を伺いたいのであります。
 次に、選挙制度の改正の問題であります。
 参議院地方区における議員定数のアンバランスに対して国民はその是正を求める声を強めております。また、全国区における膨大な選挙費用は、わが国の議会制民主主義の根底を揺るがしております。衆議院の定数是正は不満足ながら昨年の公選法の改正によって行われましたが、参議院はそのままに放置されており、衆議院の定数是正に準じて早急に参議院地方区の定数是正を図るとともに、全国区制度についてもその改正を図るべきだと思うのでありますが、これに対する総理の決意を聞きたいのでございます。(拍手)
 私は、これまで国民生活にとって重要と思われる諸点について政府の見解をただしてまいりました。以上のほか、当面の緊急問題である地方財政危機の対応、教育問題その他につきましては、時間の都合上、同僚議員である小野明君、山崎昇君の質問に譲ることといたします。
 最後に、三木内閣の政治姿勢について見解をただし、三木総理の決意を聞きたいのであります。
 その第一は、教育の現場に主任制度を強硬に押しつけ、混乱を巻き起こしている問題であります。ここに、有力新聞に掲載された五十七歳になる高等学校教員の手紙があります。「自民党文教部会長藤波孝生代議士の「主任制について」の文を読んだ。日教組への不信と敵意が露骨である。この人たちの日ごろの言動は日教組の撲滅しかなく、永井文相のいう組合との「対話と協調」にはもともと賛成ではない。」「こうした対決で日本の教育が救われるだろうか。金をばらまけば人材確保ができるというのはあまりにも教育を知らなさすぎる。今年の受験生の動向にも、優秀な高校生の間に教員養成学部志向はほとんどみられない。」「若い代議士の多い文教部会の方々も永井文相のいう「対話と協調」を支持し自らも納得のゆくまで何回でも組合と公開の会談を持ってほしい。」「対決と憎悪からは何も生まれないことを知ってほしい。」と書いてあるのであります。
 永井文部大臣は教育者でありました。しかも、文部大臣になる前には中教審路線に含まれた主任制度には反対であったと聞くのであります。大臣になった今日、百八十度転換したことに対しても許しがたいものを感じまするが、そこまで大臣を追い込んだ自民党文教部会の政治姿勢と、文教部会に追い込まれておる文部省の行政姿勢、結論的には三木内閣の政治姿勢に許しがたい憤りを感ずるのでございます。主任制度についてはいま少し対話を続け、強行突破は絶対に避けるべきであると考えるがどうか。
 その第三は、スト権ストに対する過酷な処分と巨額な損害賠償などの問題についてであります。公労協の組合に対する処分は中止すべきであるし、最悪の場合でもスト権付与の結論が出るまで待つべきであるというのが私の見解であります。(拍手)
 その理由はこうであります。昭和四十九年四月、時の田中内閣は、春闘共闘委員会との間に五項目の合意事項を確認し、その中で、五十年の秋までにはスト権問題の結論を出すと明示したのであります。それから二カ年間、各労働組合は、この合意事項実現のために当局者及び政府機関と血のにじむような折衝を続けたのであります。一方、各労働組合とも全員投票にかけて、最悪の場合は実力行使をもあえて辞さないことを大会決議しておるところであります。アメリカ占領軍によって奪われたスト権を実力をもってでもこの際返してもらおうと大会で決議するのは、近代社会における大手を振って通る理論であると考えるし、この決議を適切に実施するのが指導者の当然の任務であったと言わなければなりません。合意事項が確認された以後満三年、政府は一体何をしたのか。各公社の当局者が、「企業再建のためには財政基盤の充実と労使関係の近代化は車の両輪であり、一体として解決しなければならない問題である」と国民と政府に宣言しておるにもかかわらず、政府はこれに耳をかそうともしなかったのであります。労働大臣、運輸大臣、郵政大臣、大蔵大臣は一体何をしたか。八日間国民に迷惑をかけたのであるから、国民の怒りがあるのは当然だと思います。しかし、もしストの責任を問うとするならば、それは行政が主導権を持たず、自民党内タカ派に追いまくられて、風にそよぐ葦のように無為無策、この問題から逃げ回った関係大臣がまず責任をとるべきであります。(拍手)スト−処分−ストの繰り返しをこの際断ち切ると言った三木総理みずからの責任であると断ぜざるを得ないのであります。
 以上三つの問題に示されたように、国民の幸せを築くためにあるべき行政が、自民党の旧態依然たる前近代的性格や派閥抗争のためにゆがめられ、国民を犠牲にし、不幸に陥れておることは許されないのであります。これから春にかけてこれらの問題は大きな政治問題となり、院内における国会運営をも大きく揺さぶるでありましょう。三木内閣は自民党内の派閥勢力に左右されるのではなく、主体性を堅持し、主導権を持って事態を処理されることを強く求めるものであるが、総理の決意を聞きたいのであります。
 日本社会党は、国民の皆さんの声に謙虚に耳を傾け、流した汗の報われる政治の実現のために全力を尽くす決意であることを明らかにし、総理施政方針演説に対する質問を終わる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(三木武夫君) 小柳君の御質問にお答えをいたします。
 予算関係は大蔵大臣、経済見通しは福田副総理、輸送問題は運輸大臣、中小企業は通産大臣、これがお答えをすることにして、それ以外の問題について私がお答えをいたします。
 最初の御質問は、保護貿易主義的な傾向が世界にいま起こっていると、これに対してどう対処するか。やはりこういう不況のもとに、ともすれば保護貿易主義的な傾向が生まれやすいわけであります。だからこそ、御承知のように、昨年十一月のランブイエの六カ国の首脳会議においても、自由貿易の体制を維持して、そして世界貿易を安定的に拡大しようという合意に達したわけであります。こういうふうな国際的な合意ができたということは、保護貿易主義的な傾向に走ろうとするものに対する抑止の積極的意義を持つものであります。今日は世界的に何も経済をコントロールできるわけではない。しかしながら、これだけ各国間の相互依存関係というものが深まってくると、やはり国際的にお互いに協調し合って生きていく以外に生きる道はないんですから、国際的な合意ができるということは、非常に各国の政策に対して、これに対する抑止的な意義を持つわけです。だから、これからのこういう保護貿易的な傾向というものが、各国ともそういう傾向が、そういう色彩が強くなると私は思わないんです。この問題については、単にランブイエのような会議のみならず、OECDの会議においても、あるいは三国間においても、こういう話し合いは常に行われるわけでありますから、今後われわれは相互の理解あるいはまた共通の認識、こういうことをお互いに持つことに努めることによって、保護貿易主義的な傾向があらわれて世界の貿易を縮小均衡に持っていくような事態を防ぎたいし、防ぎ得ると思っております。
 次に、経済協力の問題についてお触れになりましたが、小柳君の言われるように、日本はどうしても発展途上国というものに対してできる限り日本がその経済的な発展、民生の安定というものに寄与するということは、大きな日本の外交政策の目標だと思う。どうしてもこれだけの先進工業国と発展途上国との格差があって、それをそのままにしておいて世界の平和、繁栄というものは期しがたいわけでございますから、世界の平和を望み、そういうふうな外交を推進しようとしておる日本としては、この問題に対して積極的な関心と協力をすべきものであって、そのためには相手国との間に非常に十分な意思の疎通を図らなければいかぬ。日本の一方的な押しつけはいけませんし、十分な相互理解を深めて、そうして相手国の経済発展あるいはまた民生の安定という、そういうその国自身の立場に立って今後協力を進めていくべきだと考えております。
 次に、安保条約を解消せよというお話でございましたが、この点は小柳君と根本的に考えが違うのでありまして、小柳君がごらんになっても、今日の国際的な安全保障体制というものは、国際的集団安全保障体制の中にある。どういう軍事的に大国であっても、一国だけで自分の国を防衛できるという国はないわけであります。そういう意味で、どこをごらんになっても集団安全保障の体制の中に自国の安全を確保しておるというのが世界の今日の情勢であります。したがって、日本もまたみずからの防衛力を持つと同時に、一方において国際的な集団安全保障体制、すなわち日米安保条約、このことが日本の平和維持に対して大きな役割りを果たしておると考えますから、これを解消する考えはございません。今後とも日米の安保条約の体制を継続していく所存であります。
 それから、日中の平和友好条約を即時締結せよということでございましたが、これは全くわれわれと意見が一致するわけで、どうしても日中間の友好関係の基礎を固めるということがアジア・太平洋安定のこれは大きな基盤である。一日も早く日中の平和友好条約の締結をしたいという考え方は日本政府のみならず中国においてもこの点については見解は一致しておるわけでございますから、この問題については、両国民が納得のいくような形で、小柳君の御指摘のように、できるだけ早く締結をいたしたいと思っております。
 また、韓国の問題に触れて、朴政権へのてこ入れをやめよということでございましたが、われわれは、朴政権へのてこ入れというのではなくして、一番の隣国である韓国が経済的にも発展し、民生も安定をしてくれることを善隣友好の外交として当然に望んでおるわけでございますから、今後とも韓国との経済協力というものは、韓国自身の経済発展、民生の安定という見地に立って進めてまいるわけでございます。
 北鮮との間に対しては、施政方針演説にも申し上げましたごとく、これは漸進的に交流を進めて、交流を積み重ねてまいりまして、お互いに北朝鮮との間に何かこう正確な理解を欠いて、不要な疑心暗鬼というものや警戒心を起こすようなことは防ぎたいと考えておる次第でございます。
 また、北方領土の問題については、この点はわれわれも一日も早く北方領土問題を解決して日ソの平和条約を結びたいという考え方は、これは何人も異存のないところでございますが、そのためには領土問題を解決せなければならぬ。領土問題を抜きにして平和条約を結ぶという考え方は政府は持ってないわけであります。そのために、グロムイコ外相が参りましたときにも、領土問題というのは一番大きな話し合いの問題であったわけですが、残念ながら大きな進展はありませんでしたが、どうしても領土問題を解決して平和条約を結ぶという、この基本的な立場を政府は堅持して、今後も忍耐強くソ連との間に交渉を続けてまいる所存でございます。
 PLOの事務所については、しばしば政府も申しておりますように、このPLOが東京事務所を設置するということになれば、われわれ何の異存もないわけでございます。
 それから、武器輸出禁止に対しての御質問がございましたが、政府は従来から武器輸出三原則を設定をして、武器輸出に対してはきわめて慎重な態度をとってまいりました。政府としても、今後ともこの方針を変更する考え方は持ってないわけでございます。
 それから、独禁法についていろいろとお話がございました。われわれもやはりこの自由経済体制を維持したいというのがわれわれの立場でございます。その自由経済体制を維持するためには、これはやはり節度のある一つの公正な競争のルールというものがないと自由経済体制は維持できるものでございませんから、そういう意味において公正な競争のルールをつくるという必要性からして独禁法の意義を評価するものでございます。いま自民党内においていろいろ調整をいたしておりますから、調整が済み次第国会に改正法案を提出して御審議を願いたいと思っております。
 それから、食糧問題にお触れになりましたが、やはり食糧を確保するということは、これは国民の生存を維持する上において根本的なことでございますから、われわれとしても食糧の確保に対しては非常に大きな政府の責任として考えて、この点に対してはあらゆる場合を考えて対策を立てておるわけでございますが、やはり一つには食糧の自給力を高めるという、もう一つは、全部食糧を自給自足できないことは明らかでございますから、それだから、日本が必要とする食糧、これの輸入の安定的確保を図ると、この二つをもって日本の食糧というものの確保を図ることが実際的でございます。自給力の向上を図るためには、農業の生産基盤あるいは主要農産物の生産振興、農業生産の担い手の育成等各般の施策を充実してまいる考えのもとに、今回の予算の中においても一般会計の予算の率を上回って、農業の面に約二割の伸びを確保したわけでございます。
 それから、農政というものに対しては、これはもう今後とも日本の農政というものに対しては時代とともに検討を加えていかなけりゃならぬことは申すまでもございませんが、いま農業基本法を改めるという考え方は持ってないわけでございます。
 それから、いろいろ年金制度についてお話がございました。政府は今年度の、昭和五十一年度の予算においても、この年金というものに対してはいろいろ引き上げなければならぬという見地から改善を加えてまいったわけでございますが、これは小柳君の御指摘のように、年金制度というものは根本的に検討されなければならぬ段階に来ておるということは私も同感でございます。政府は公的な年金制度のあり方について、これは各方面の意見も徴しつつ、根本的に検討をいたす所存であることを申し上げておきたいと思います。
 それから、参議院の全国区あるいはまた地方区の定数是正について私の見解を求められましたが、選挙法の改正というものは、政府が一方的に法案を提出するというよりかは、やはり国会内において各党の意見というものが一致を見て、そういう上に立ってこの問題を提案するということが私は必要であろうと思います。衆議院においても御承知のごとく、定数是正をした場合には衆議院の小委員会においてああいう案がまとまったわけでございますから、参議院としても重大な関心をお持ちでございましょうから、各党間のいろいろと今後のお話し合いなどを基礎にしてこの問題に対する結論を出したいと思っておる次第でございます。各党の間においても、この問題は参議院の構成に関する重大な問題でございますから、十分大局的な見地からお話し合いを願いたいと思うわけでございます。
 また、教育の問題についていろいろお話になりましたが、私はやはり教育というものが国政の中で一番大事なものである。非常な優先してやはり教育は考えなければならぬものだという考え方を持っておるわけでございまして、やはり日本の場合は、いろいろ資源もないし領土も狭いわけで、一番の強味は人間でありますから、そういう意味において、教育というものに対してはどれだけ力を入れても入れ過ぎではないと思うんですが、今度、小柳君がいろいろ御指摘になった主任制度というものも。教育の質的な充実を図りたいと。いままでは、何か校長、教頭にしても管理面というものに、非常に教育の管理面に力を入れたわけですが、今度の主任というものは管理というんでなくして、教育の質的な充実、内容の向上、こういう方面に主任制度というものを生かしてもらいたいと思うのであって、教育に対する何か権力的に政府が教育を支配しようなどという考え方は毛頭持っていないわけであります。教育を政治の争いの場から外したいということは私の強い願いであるわけであります。まあ、そのために永井文相なども、政党人でない永井文相が就任をしておるわけでございます。
 次に、スト権の問題についてお話がございましたが、やはり労働基本権の問題というものに関連をするわけでございますが、労働基本権に対していろんな意見があることは事実でございますが、しかし、現在三公社五現業に対する職員のストというものは認められておらない。この認められておらぬのはけしからぬと、こう言って、その法律は守らなくてもいいんだということになってくると、社会の秩序というものは維持できないわけであります。やはり、その法律が悪いとするならば法律を改正しなきゃならぬ。その法律がある限りは、それを守るということが社会秩序維持のこれは基本であります。だから、現在はストは禁止されておるのでありますから、そのストをやることは違法ストになるわけです。違法ストというものをやめるということがいわゆるストと処分の悪循環を断ち切る一つの前提になるわけで、違法ストはやるけれども、処分はしないでくれということは、法治国家として容易にそういうことはできることではないわけでございますから、(拍手)どうか、私はもうこういう悪循環を本当に断ち切りたいと思っておるわけです。そのためには公労協がここで法律は守ると、法律は守ると、こういう前提に立って今後の労働組合運動がなされるならば、私はこの問題の解決というものに対しても非常に建設的な結果が出てくるのではないかと思うわけでございます。(拍手)われわれとしては、これは重大な問題でございますから、政府は経営のあり方、当事者能力、関係法令の改正、この二点についてこれはやはり専門家の意見も十分聞かなきゃなりません。この問題は三公社五現業の経営のあり方とか当事者能力というものの影響があるわけですね。全然当事者能力が欠けておるわけですから、やはりストライキというものは、話し合いの結果、話がまとまらないでやるのでありますが、その話し合いをする相手が当事者能力を欠いておるということは、労働運動を円滑に処理していくのには前提条件が欠けておるわけですから、研究しなければならぬと、こういうものを研究をいたしまして、国民の納得のいくような政府としての最終的な方針を打ち出したいと、いま公共企業体等関係閣僚協議会を設置して、これを検討を進めている次第でございます。
 他の問題は関係閣僚からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(大平正芳君) 景気浮揚という、主としてそういう観点から予算に関して御質疑がございました。
 まず第一は、公共事業についてでございます。小柳さん御指摘のように、当初予算に比して公共事業費は二一・三%であり、補正後に比較いたしまして六・四%に当たることは御指摘のとおりでございます。しかし、この補正予算が成立いたしましたのは十一月でございまして、これがようやくいま浸透の過程にあるわけでございます。したがって、政府といたしましては、この補正予算と今回御審議をいただいておりまする本予算と合わせましての効果に期待を持っておるわけでございます。内容につきましては、小柳さんが御指摘のように大きなプロジェクトに特に偏って予算をつけたわけではございませんで、たとえば住宅二三・三%、生活環境施設三一・二%、農業基盤二一・六%、漁港沿岸漁場整備二六・四%というようなぐあいに、その事業の社会的、経済的な効果と緊要度を図りながら、バランスのとれた予算のつけ方をいたしてあるつもりでございます。
 それから第三の御質疑は、所得減税をやるべきでなかったかという意味の御質疑でございました。所得減税につきましては、国会の内外におきましてこれを推進する有力な議論がありますことは政府もよく承知いたしておるわけでございます。ただ御案内のように、今日まで戦後、政府によりまして数次にわたる減税が鋭意行われてまいりまして、今日のわが国の税負担は、先進国に比較いたしまして一番低い状態にあると私どもは確信をいたしておりまするし、とりわけ課税最低限も一番高い状態にあるわけでございますので、ことし所得減税を見送りましても国民側におかれて御理解がいただけるのではないかと考えております。ただ、またこの所得減税をいたすとなりますと、当然公債の発行額がそれだけふえるということになりますので、公債は市中消化に限界もございまするし、極力その発行を抑えなければならぬ状態にありますことも御理解を賜りたいと思います。また景気政策上、この際といたしましては、即効性をとうとぶ意味におきまして公共事業の増額を選ぶべきでないかというのが政府の判断でありましたことも、あわせて御理解をいただきたいと思います。
 第三に、金利の引き下げを進めるべきでないかという御指摘でございます。仰せのとおりでございます。政府といたしましても、金融の緩和、金利の引き下げに鋭意努力してまいりまして、日銀もまたこれに相呼応いたしまして四次にわたる公定歩合の引き下げを実行してまいったわけでございます。ただいまコールレートにいたしましても、あるいは手形レートにいたしましても、あるいは債券の流通利回りにいたしましても、市場金利は着実に低下の方向をたどっておるわけでございます。したがって、いましばらく、これまでとりました政策の浸透を私どもは図ってまいるべきであると考えておりまして、新たな政策をいま考えるべきでないと思っております。
 最後に、しかし、政府がいま掲げました政策でもって景気が浮揚しない場合におきまして予算を修正するという用意があるかどうかと、とりわけ社会党の要求を入れて予算修正に踏み切るつもりはないかという意味の御質疑でございました。私ども、今日の物価の情勢、国際収支の状況の中で着実な景気の回復を図りながら、中央、地方の行財政の需要に応ずるために精いっぱいの予算を編成いたしたつもりでございまして、この予算の誠実な執行を通じまして景気の回復が期待できると確信をいたしておりますので、ただいまこれの修正というようなことにつきましては考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず、景気の先行きはどうなるのか、政府は公共事業を中心とした財政政策で景気の浮揚を図ろうとしておるが、一体そういうふうになるかというような御趣旨の御質問でございますが、確かに今日この時点は私はわが国経済が最悪の状態にあると、こういうふうに見ておるのであります。それは昨年−五十年という年が、これは世界経済総落ち込みである。アメリカでもドイツでもその他の国々でも、いずれの先進諸国をとりましてもマイナス成長である。そういうさなかにおきまして、わが日本だけは微弱であるけどれもプラス成長であったという状態でありましたが、そのわが国のプラス成長も非常に水準の低いものである。そういうことから、わが国の今日の事態というものは非常に景気活動停滞の状態であると、こういうことになっておることは事実でございます。さて、これがどういうふうに変わっていくか。第四次景気対策というのを採用したことは御承知のとおりでありますが、あれが大変実外れてきておるのであります。その効果の浸透、これはこれから本格化しようということになるのでありまして、その効果の浸透から見まして、これからの経済は上向きに転ずるであろう。そして、それを受けて五十一年度四月から始まる状態はどうなるかと言いますと、私はこれは比較的明るい展望ができると思うんです。つまり、昨年総落ち込みでありましたこの世界経済が今度は総浮揚である、どこの国を見ましてもプラス成長に転ずると、こう推しはかられる。それから、昨年の暮れに先進諸国の専門家が集まりまして、そして世界貿易はどうなるだろうという検討をした。その一致の結論は、かなりの伸びが世界貿易の中に見られるだろうと、こういうことなんです。世界経済、つまりわが国経済の背景というものが一変をしてきておる。わが国はその背景のもとに貿易を相当程度の拡大ができる。また、そのための財政・金融上の手当てもいたしておると、こういう状況でございます。しかし、それだけで一体景気上昇を決定的なものにできるかと言いますと、まだ不足じゃあるまいか。そこで財政ですね。この財政に決定的な役割りを演ぜしめると、こういう考え方をとるわけであります。私は、この財政の伸び、これは四十九年度、五十年度、特に公共事業は極端に抑えてきたわけでありますが、今度それを拡大する。そして、それに基づく財貨サービスの需要、これは大幅にふえるわけであります。この貿易と財政、これが牽引力となるとすれば、私はことしの経済というものは、これは相当明るい展望を持ってよろしかろう。私は経済演説で、インフレも不況もこれでおしまいだと、こういうふうに申し上げましたが、そのような年になり得る、かように考えておるのであります。
 なお、小柳さんは、この景気政策に関連いたしまして減税を提唱されたんです。大蔵大臣からもお答えがありましたが、さあ、その減税政策という、しかもこの景気政策のゆえに減税という考え方は私は妥当じゃないと思うんです。まあ、世の中は非常に変わってきております。もう資源有限時代である。いままでのような、つくりましょう、使いましょう、捨てましょうというような国の態度、あるいは企業の態度、国民の態度、これじゃもうやっていけないんです。ですから、景気政策のゆえに消費を刺激するんだという考え方で果たしていいのか。しかも消費は、言われているように、そんな落ち込みじゃありません、これは。まあ、頭打ちというような状態かもしれませんけれども、なお着実な伸びを示しておるわけでありまして、これを景気政策で、物をお使いください、それは景気のためですよ、というような姿勢で政府が国民に立ち臨むということは、これは私は妥当じゃないと考えるわけであります。まあ、いまここで政府が減税いたしましょうと言ったら、国民はそれは喜ぶかもしらぬ。しかし、それはつかの間の喜びなんです。これは長い目で本当に真剣に国家、国民のことを考えますれば、いまは減税ということじゃないんです。減税はがまんしてもらう、そのかわり公共事業は大いに伸ばして、そうして景気の浮揚を図る、その上、余力ができましたその際に減税と、こういうことじゃあるまいかと、さように考える次第でございます。
 なお、小柳さんから、この際は同じような趣旨において賃上げを進めたらどうだと、こういうお話でありまするが、賃金引き上げの問題につきましては、政府はこれに介入いたしません。
 最後に、流通コストについての問題。物価を長期的に考える場合に流通コストの引き下げということに配慮すべしと、こういう御意見でありますが、これは私はそのとおり考えなけりゃならぬことだというふうに思います。商品取引だとか物的流通面だとか、いろんな面で検討を進めたいと、かように考えます。特に小柳さんは自家用トラックのコスト問題にちょっとお触れになりましたが、これは一つの私は御見識だと、こういうふうに思います。私どもも、これはいろいろむずかしい問題あります。ありまするけれども、慎重に検討してまいりたいと、かように存じます。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(河本敏夫君) エネルギー問題に関連をいたしまして、中東諸国との関係につきまして御質問がございましたが、中東諸国は日本のエネルギー政策上一番大事な相手国でございます。そこで私は、先般三木総理の指示によりまして中東諸国を訪問いたしましたが、最近アメリカであるとかヨーロッパが非常な勢いで中東諸国に経済的な接近を図っております。しかし、中東諸国では日本に対する期待が非常に大きいということを痛感をいたしたわけでございますが、その一つの理由は、わが国が戦後短期間の間にこれだけの経済建設の実績をつくり上げたということ、この事実を高く評価をいたしまして、先方の国々の国づくりに日本のこの実績と技術というものを生かしたいと、そういう意味から強く協力を要請されたわけでございます。
 第二は、特にこの中東のうちサウジアラビアとイランは日本がそれぞれ必要とする油の四分の判ずつ買っておりまして、非常に大事な相手国でございますが、これらの国は往復貿易を計算をいたしますと、圧倒的にいま日本が第一位の貿易相手国になっておるわけでございます。しかも、今後日本との貿易取引がますます増大する可能性が非常に強い。こういう経済的な事実から日本に対する経済協力の要請が強いんだと、こういうふうに判断をいたしました。そういう意味で、懸案の諸問題につきまして話し合いを進めますと同時に、今後の油の問題を含めまして貿易の拡大ということにつきまして十分な話し合いをしたわけでございます。
 第二の御質問は、中小企業に関連する問題でございますが、一つは下請企業問題でございます。現在のような不景気になりますと、下請企業問題が非常に大きな課題になりますが、現在、親企業と考えられます企業が日本に約四千三百社ございます。それらの企業に対しまして、下請企業に不当なしわ寄せをしないようにと、こういう通達を何回かいたしております。それから同時に、法律もございますが、支払いがおくれないように、こういう点につきましても十分指示をいたしております。それからさらに仕事の面につきましては、各府県に下請企業の振興協会というのがございますが、これを通じまして仕事を積極的にあっせんさせるように指導をいたしております。それからまた金融面では、支払い猶予であるとか、あるいは担保の設定等につきまして弾力的に運用するように、さらにまた信用保険に基づきます不況業種の指定、これについては下請企業を優先するようにと、こういうことであらゆる方面から手を打っておるわけでございます。
 それから、次に分野調整の問題でございますが、これも中小企業問題におきまして非常に大きな課題でございますが、これは新しい法律をつくりまして法律によって分野調整をすることよりも、むしろ行政指導によってこれを行っていくということ、この方がよいのではないか、こういう考え方に立ちまして、現在、紛争の実態を速やかに掌握をするということ、それからさらに紛争処理体制を強化するということ、それから紛争が起こった場合に、中小企業調停審議会、これを積極的に活用すること、さらにまた、商工会議所に分野調整指導調査員を通産省の委嘱に基づきまして設ける。こういういろいろな対策を考えまして、行政指導によりまして今後も分野調整を指導していきたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣木村睦男君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(木村睦男君) 小柳さんの御質問の中で、貨物輸送の面についてお答えを申し上げます。
 自家用トラックは、生産あるいは販売、サービス業等が自分の業務として使っておりますので、その機動性とかあるいは便利性ではるかに営業用トラックとは違うわけでございます。そういうことで、同一には論じられない面がございますが、そのために現在自家用トラックの方が営業用トラックの十倍にもふえておるということでございます。にもかかわりませず、貨物の輸送の総量から言いますと、トンキロから言いますというと、十倍も多い自家用車の方が営業車による総輸送トンキロよりは少ないということでございまして、その辺に物価安定に非常に役立つ輸送コストの経済性というものが営業用トラックに見られるわけでございます。そういう意味で、私どもは御説のように、営業用トラックを主体としたトラック輸送体系を一層確立するために今後大いに施策を講じてまいりたいと、かように考えております。
 次の点は、トラック運賃につきましては、重量とそれから輸送キロ、これによって運賃を決めておるわけでございまして、御説のような、つまり負担力主義を加味すべきであるということでございますが、国鉄の場合は従来負担力主義を加味いたしてまいってきておりますが、これもだんだん等級の数を減してまいっておるような状況でございます。トラックの場合のように事業者が非常に多いという場合には、この負担力主義を加えまして品種別に運賃の差を設けますというと、事業ごとに輸送コストと受け取る運賃との間に開きができまして、その間の調整が非常にむずかしいということと、もう一つは、やはり運賃が的確に収受される、守られるというためには、なるべく簡単な運賃制度、これが必要である、かように考えておるわけでございますが、しかし、御主張の点は十分われわれも参考になりますし、そういう点も今後の検討課題として勉強いたしたいと考えておるわけでございます。
 貨物輸送につきましては国鉄、トラック等各種交通機関が特性を十分に発揮いたしまして、有機的に、効率的に輸送できるように輸送体系というものを形成する必要がございます。今後その方向で努力をいたす考えでございますが、特に国鉄につきましては、財政破綻の一つの大きな原因が国鉄の貨物輸送にあるわけでございますので、この点につきましても、トラックによる貨物輸送等の関連を十分考えまして、今後国鉄の貨物輸送における役割りを果たし得るように、合理的、経済的な輸送ができるように、再建とも絡んで検討をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(河野謙三君) 吉武恵市君。
   〔吉武恵市君登壇、拍手〕
#11
○吉武恵市君 私は、自由民主党を代表して、今回の政府の施政方針演説について、総理並びに関係閣僚に対し若干の質問を行うものでございます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 第一の質問は、三木総理の政治姿勢と今国会に臨まれる御決意に対してお伺いをいたします。
 三木総理は、一昨年の暮れ、三木内閣発足の当初より政治の基調を対話と協調に置かれ、今回の施政方針演説でもその基調を力説され、またその努力を払われてこられました。このことはまことに望ましきことであり、また今後もそうあってほしいと思うのでございます。しかし、昨年の通常国会及び臨時国会を顧みますると、通常国会は百九十日かかりました。そして選挙三法案を成立さしたのみに終わって、予算は成立いたしましたが、その重要なる歳入の裏づけとなる酒、たばこ二法案を初め郵便料金の値上げ法案はついに不成立に終わったのであります。したがって、引き続き九月臨時国会を開き、不況対策とともにこれらの法案を提出されたのでありますが、延長に延長を重ねて百六日の長きにわたり、ようやく財政特例法とともにこれが通過を見たのであります。それがために不況対策予算が成立いたしましても遅延をいたしまして、いまなお景気の回復を見ず、まことに遺憾に存ずるところであります。対話と協調も結構でございますが、おのずから限界がございます。今国会は不況対策という重要なる課題を抱えておる国会でありますがゆえに、総理はいかなる態度でもってこれに対処するおつもりでございますか、その御決意を承りたいのでございます。
 国会は国権の最高の機関であります。国会が国民の負託にこたえ、適正かつ円滑に運営されることが民主主義確立のための不可欠の要件であることは申すまでもございません。国会がよく国民の要望にこたえ、その機能を十分に発揮し、主権在民の最高機関としての任務を果たすことがいまこそ最も期待されておるときであると思います。そのためには、議会政治のルールを確立することが第一であります。さらに従来の慣行を見直して党派の利害を超え、国民のための議会政治に一日も早く近づけることが必要であると思うのであります。国会は与野党の単なる駆け引きの場ではなく、真の国民の声に耳を傾けて論議を尽くし、最後には多数決原理によってその結論を出すということが最も必要であると思うのでありますが、(拍手)総理の御所見を伺いたいのであります。
 一部に、予算が成立すれば直ちに解散が行われるのではないかという意見がございますが、予算が成立いたしましても、五十一年度予算は七兆三千億という膨大な公債発行によって編成されており、それを可能ならしめる財政特例法が成立いたしませんと、予算の執行は行われないのであります。そればかりではなく、この予算には必要な財源として一部の増税と公共料金等受益者負担の点も含まれておるのであります。これが成立しませんと、景気の回復や必要なる施策の推進はおくれざるを得ないのであります。したがって、一日といえども空白を許さない今日の情勢にあるのでありまするが、総理はいかにお考えでございましょうか。御見解を承りたいのであります。
 第三に、不況対策と今後の経済見通しに対し経済企画庁長官にお尋ねをいたします。
 昭和五十一年はわが国経済にとってきわめて重大な年とされております。石油ショック後のインフレ抑制については所期の成果を見るに至りました。しかしその反面、深刻な不況が押し寄せ、倒産も昨年十二月には一カ月で千四百件、一年を通じても一万二千件に上ったと言われております。その倒産の大部分は中小企業であります。また、そのため失業者の数も百万を突破しかねない状態であります。このような経済情勢に対処するため、昨年の臨時国会において景気浮揚対策として住宅その他の公共事業に追加補正が行われたのでございますが、まだその効果は十分に浸透せず、国民は一抹の不安を抱いておるのであります。五十一年度予算において政府はこの点を憂慮され、思い切った不況対策に心をいたし、住宅その他公共事業にさらに重点を置いた予算を編成されました。これによっていつごろになれば景気が回復するのでありますか、その見通しについてお伺いをいたしたいのであります。
 政府はこれまで四次にわたって景気回復にてこ入れをされてこられました。特に、昨年秋実施されました第四次不況対策の効果は一−三月には出てくるものと期待されたのでありまするけれども、企業の操業度は依然として悪く、したがって、不況対策の効果もおくれがちであると見られるのでありますが、そのお見通しはいかがでございましょうか。企業の一部では、この事態に対処して公定歩合をさらに引き下げ、金融面からも景気浮揚対策を検討すべきであるとの意見が出ておるのでありますが、これに対する御見解を承りたいのであります。
 次に、公共料金に関してその基本的な考え方をお伺いいたします。
 公共料金は政府が介入し得る価格であるところから、物価抑制の立場より一切これを凍結すべしという意見がございます。しかしながら、公共料金は受益者負担の原則によるべきでありまして、これを一般財源、すなわち税金をもって賄うことは、費用負担の公平、財政資金の効率的配分等の見地から適当ではございません。したがって、安易にこれを引き延ばすことは、それだけ財政の硬直を来すものであります。また、いずれ、かえって大幅な値上げを余儀なくされることになるのであります。したがって、物価抑制の立場を堅持しながらも、真にやむを得ない公共料金の値上げについては、その上げ幅、時期等に十分な配慮を加えて、計画を立てて実行することが望ましいものと考えるのでありますが、政府のお考えを承りたいのであります。
 しかしながら、物価がようやく鎮静の方向に定着しつつある今日、公共料金の引き上げによって再び物価が高騰することを懸念する向きもあることも事実であります。そのためにはあらかじめ広く国民によく説明してその理解を得ることが何より大切であると思うのであります。来年度予算に国鉄運賃の改定、また、電報電話料金の引き上げを考えられておりますが、そのやをむ得ざる事情と、その物価に及ぼす影響がどんなものであるかを十分に説明をして、その実現を図られんことを望むものでございます。
 なお、この際注意を要しますることは、低所得者階層に対する配慮と経営体の体質改善の努力が必要であるということであります。このことについても政府の御所見を伺いたいのであります。
 次に、五十一年度予算と不況対策について大蔵大臣にお伺いをいたします。
 新年度予算は、当面の不況の克服と雇用の安定を図ることを最も重視し、公共事業及び輸出等の促進に重点を置いた景気回復型とされたことは、現下の難局打開に即応したきわめて適切な処置であると思うのであります。この場合、いかなる公共事業に重点を置き、またいかなる輸出振興を図ろうとしておられるのか、またいかなる雇用安定の方途を講じようとされたか、その概要をお伺いしたいのであります。
 また、これまでの四次にわたる不況対策と昨年秋成立した補正予算に続く新年度積極予算で政府の景気回復の意欲はうかがえるのでございますが、これまでとかく予算成立後の施行がおくれがちで、後手に回りたことを考えますると、新年度予算が成立する以前にも、あらかじめ予算施行のための準備を進め、需要効果を早期につくり出すことを図らなければならないと考えるのでありますが、どのような配慮をされようとしておられますか。
 五十一年度財政は、深刻な長期不況により前年度当初予算に比べて大幅に税収の落ち込みが予想されておるのであります。この場合、歳出の規模を税収不足に合わして削減するといたしますると、経済の不況はさらに輪をかけて深刻になるのであります。さればといって、税収の不足を補うために不況のさなかに一般的な増税を行うといたしますれば、とれまた企業活動や国民生活を圧迫するばかりでなく、それでなくても萎縮しておる国民経済の全体の規模をさらに小さくするだけで、不況対策に逆行することになります。したがって、このギャップにつき、当面、特例公債を含む公債発行により対処することは必要やむを得ないものであると思われるのであります。一部には、赤字公債の発行を避け、財政支出削減と企業増税を行うべきだという意見を聞くのでありますが、景気の回復と雇用の安定が最も急務とされておる現在、このような考え方は、不況の深刻なる現実を無視した議論と言わなければならないのであります。(拍手)むしろ心配されることは、このような多額の公債の発行に当たって果たして市中消化ができるであろうかということであります。そのお見通しについて御見解を承りたいのであります。
 次に、社会保障についてでございますが、社会保障関係費も前年度比二二・四%増となり、一般会計に占めるシェアでは前年度の一八・五%から一九・八%に引き上げられ、景気対策とともに福祉の前進が図られたのであります。老人医療については今後そのあり方を再検討すべしとの論もあるのでありますが、この問題は医療保障の面のみならず、老人福祉対策全般にわたっての総合的な観点から十分検討すべきものでありますが、当面老人医療の無料化を堅持されましたことはまことに適切なる処置であったと思うのであります。
 また、厚生年金標準月額九万円に、国民年金標準月額百万五千円に引き上げました。社会的弱者に対する施策として老人福祉年金を初め母子、準母子、障害者年金、生活保護等の給付水準を引き上げるなど、実情に即したきめ細かなる配慮がなされておることは、財政窮乏の中にかかわらず、福祉政策をいかに重視されたかを示すものでありまして、高く評価するものでございます。反面、各種保険の保険料及び自己負担の増額が求められているのでありますが、一部には、この年金保険料の料率が若干引き上げられたことをとらえて、福祉政策の後退と言う者がおりますが、今後の福祉対策は高福祉、高負担の原則に立たざるを得ないと思うのであります。欧米各国の例を引くまでもございません。
 そこで、お伺いいたしたいことは、今日厳しい財政難の中で福祉向上を進め、福祉の後退が許されないとすれば、今後わが国においてどのようなお考えのもとに対処されていかれるつもりか、政府のお考えをお示し願いたいのであります。
 特に、三木総理は昨年ライフサイクルの構想を明らかにされてその検討を進められておるようでございますが、その基本のお考えをお示しいただければ幸せと存じます。
 次に、農業政策の基本についてお伺いをいたします。
 インフレによるいわゆる狂乱物価のときに著しい混乱を見ずに済んだのは食糧があったからであります。もしあの際に、いささかでも食糧に不足があったとしたら、恐らく大混乱が起こったであろうと思うのであります。しかし、世界的食糧の危機は叫ばれております。日本といえども、将来その心配がないとは保証できません。昨年は幸いにして豊作に恵まれ、予約限度超過米が生じたのでありますが、政府はその余剰米買い上げを勇断をもって処理されたので、農業者はようやく安心をいたしました。今後も、多少の余剰米があってもこれを備蓄に回して、農業者の食糧増産の意欲を阻害するような処置は絶対に避けなければならないと思うのであります。(拍手)
 次に、国民食糧の安定確保を図るためには、何よりもわが国農業の体質を強化して、国内自給力の向上を図ることが基本であります。
 それには第一に、農業生産力の前提である農業用地の開発、圃場整備等、農業生産基盤の整備を推進することが必要であります。
 第二に、農産物の生産対策を総合的に進め、すなわち、わが国の農業の基本的食糧である米については、その需要に応じた生産を確保するとともに、一方、学校給食の拡大等、米の消費拡大を進め、他方、水田の裏作奨励等を行い、麦、大豆その他飼料作物の積極的生産の拡大を図ることが重要であると思うのであります。
 第三には、意欲ある農業者が十分にその能力を発揮し、生きがいをもって生産活動に従事できるようにするため、いわゆる担い手対策を考えることが不可欠の要件であります。自給力の向上も、これを担う人を育成確保することなしでは絵にかいたもちとなってしまうのであります。
 次に、昨年における米価の決定に当たりまして食管の逆さやの不拡大を目標とし、食糧管理費の増高を抑制し、これを農業基盤整備の推進等、食糧の増産に向け得るようにされたことは、まことによき決断であり、今後ともこのような方針で積極的な生産の展開を図られんことを望むものであります。米の生産者の努力に報いるため、本年も生産者米価の決定に当たっては、生産費及び所得補償方式を堅持すべきであると思うのでありますが、いかがでございますか。
 今日農業者はようやく都市勤労者の所得と均衡がとれるようになったと言われておりますが、それは農外所得に負うところが多かったからであります。昨年来の不況のために農業者の出かせぎ等ができなくなり、農外所得が減退を余儀なくされておると思われるのでありますが、これに対してどのようにお考えでありますか、お伺いしたいのであります。
 次に、水産物の問題であります。水産物はわが国の動物性たん白の過半を供給する重要な地位を占めております。しかし、わが国の漁業の現状を見ますると、燃料油等の資材価格の高騰を初め、国際的な漁場制約の強まり等によって多くの難問を抱えておるのであります。新年度予算においても相当な考慮を払われているようでありますが、漁業経営の再建整備と沿岸漁場の計画的整備を図って水産資源の確保を図る必要があると考えられるのでありますが、政府の御所見を伺いたいと思います。
 次に、地方財政の危機対策についてお尋ねをいたします。
 地方財政は赤字再建団体への転落傾向などにも見られるとおり、国に劣らず極度な財政難にあえいでおります。五十一年度の地方財源の不足は三兆六千億と言われておりますが、政府はこれに対していかなる対策を講じようとされましたか。そして、その原因として挙げられることは、当面の不況による国税三税を初めとする交付税と地方税収入の落ち込み等によるものであると思われるのでありますが、その背後には、国と地方の行財政、税源の再配分といった基本的な問題と、同時にまた、これまでの高度成長時代の税収の大幅自然増収になれて、地方自治体の財政運営が放漫に流れがちであったという地方財政自体の体質の問題があることも否めない事実であります。したがって、このことに対処するに当たっては、これまでの財政的に恵まれていた時代に培われた財政放漫の体質改善を図らなければ危機は乗り越えられないと思うのであります。地方行財政の改革については、すでに財政制度審議会を初め地方制度調査会等から幾多の提言並びに要請がなされておるのであります。国及び地方におかれても、相携えて長期的な視野に立つ地方財政の体質改善を速やかに打ち出す必要があると考えるのでありますが、政府の御所見を承りたいのでございます。
 次に、外交上の重要問題について二、三お伺いをいたします。
 日米の友好関係は日本外交の基礎であります。昨年は天皇、皇后両陛下が初めて御訪米になり、親善と友好の実を上げられましたことはまことに感激にたえぬところであります。(拍手)日米安保体制は、単にわが国の防衛のみならず、世界、特にアジアにおける平和維持の基礎であります。絶対にこれを堅持しなければならないと思うのでありますが、総理の御決意を承りたいのであります。
 次に、北方領土問題についてお尋ねをいたします。
 アジアの安定のためには日米、日中と並んで日ソ間の友好関係が必要であることは申すまでもございません。このたびソ連外相の来日を見、第四回の日ソ定期会談が行われたのでありますが、報ずるところによりますると、北方領土問題はソ連の厚い壁にさえぎられ何らの進展を見られなかったということでありますが、全国民とともにはなはだ遺憾にたえぬところであります。国後、択捉、歯舞、色丹の北方領土はわが国固有の領土であります。(拍手)吉田元総理はサンフランシスコの講和会議においてこの点を強く力説されたのであります。小笠原、沖繩の諸島が日本に返還された今日、北方領土のみが依然としてソ連の手にあることは許されざるところであります。(拍手)今後さらに全国民の力を結集し、強くソ連に迫り、一日も早く日本に返還されんことを望むものであります。(拍手)一部に、歯舞、色丹の返還を実現をしてソ連との平和条約を締結したらとの意見を聞くのでありますが、かくのごとき安易な処置をとり、悔いを千載に残すことがあってはならないのでありまして、四島一括返還は絶対に譲ることなく、あくまでその貫徹を図っていただくことを強く望むものであります。
 次に、日中平和友好条約についてお尋ねをいたします。
 それについても、終始日本に好意を持ち、日中平和友好関係に努力を払われました中国の周恩来首相が日中平和友好条約の締結を見ないうちに御逝去されたことはまことに遺憾であり、心から御冥福を祈るものであります。
 日中平和友好条約の交渉は、覇権問題について日中両国の間に見解が分かれ、そのままになっておりますが、その後どのように相互理解がなされておるのでありましょうか。覇権の条項は、さきに田中前総理と周恩来首相との間に調印された日中共同声明の中に明記されておるところの問題であります。交渉以来相当の時間も経過しておるのでありますので、両国の親善友好関係を確立するためにも、速やかに交渉の促進を図り条約の締結に決着をつけるべきときと思うのでありますが、総理の御決意を承りたいのであります。
 最後に、スト権ストについてお尋ねをいたします。
 三木総理は、昨年末のスト権ストに対して政府声明を出し、三公社五現業に対するスト権に次のような見解を明らかにされました。
 すなわち、第一に、法を守ることがスト権問題解決の必須の前提である。第二に、専門委員懇談会の意見書の趣旨はこれを尊重し、その内容の具体化を検討する。第三に、三公社五現業の経営のあり方、また料金法定制度の改正を含む当事者能力の強化の方途を検討する。第四に、現行の公労法初め関係法規を全般的に検討し、必要なる改正を行う。
 以上をできるだけ早急に結論をまとめ、行政上の改革また法案の国会提案を行うと明らかにされたのであります。政府はいかなる手順に従ってこれを進められようとしておりますか、総理の御所見を伺いたいのであります。
 もちろん、憲法第二十八条には、すべての労働者は団結権と団体交渉権を保障されるとあります。すなわち、すべての労働者は労働組合を結成する権利と団体交渉をする権利を持っております。これは昭和二十年占領政策の第一に、GHQの指令により労働組合法が制定され獲得したところであります。それが何ゆえに公務員及び現在の三公社五現業はスト権が奪われたかということであります。それは言うまでもなく、二十二年二月一日、いわゆる二・一ゼネスト、またその翌年の三月闘争におけるゼネストがあらゆる国家の機能を麻痺させ、国民の生活に重大なる支障を与えようとしたからであります。スト権は労働基本権の一つではありますが、したがって尊重せらるべきものではありまするけれども、必ずしもスト権があらゆるものに優先する権利ではありません。すなわち、その業務の停止が国民生活や公共の福祉に重大なる影響を及ぼす場合は、スト権はおのずから制約を受けざるを得ないのであります。
 元来、スト権は団体交渉の一つであって、労働者の労働条件の確保につき他にこれにかわる代償があれば、その国々の事情により国内法によって規定しておるところであります。公務員においては人事院勧告というものがありまして、民間の給与水準を考慮し適当なる勧告を行っております。政府はまたその勧告を完全実施しておるのであります。三公社五現業においても公労法において公共企業体等労働委員会を設け、労働者側を代表する委員と使用者側を代表する委員と公益委員の二者構成によって当事者間の団体交渉の結果、公労委に調停が持ち込まれると双方の意見を聴取し、調停で解決しない場合にはさらに仲裁裁定に持ち込まれて、その裁定については政府側も労働者側も拘束を受けることになっております。これによって平和解決が行われ得るにもかかわらず、国鉄等においては調停中にストを行い、あるいは順法闘争と称して国民に多大なる迷惑をかけておるのが今日までの実情であります。
 スト権禁止は憲法違反と言う人がおりますが、憲法第十二条には、この憲法が国民に保障する権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならないし、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うと規定しております。また、特に公務員については、憲法第十五条で「すべて公務員は、全體の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」と規定しております。したがって、スト権はそれ自体尊重されるべきところではありますが、スト権にかわる公務員についての人事院制度、三公社五現業の職員については公共企業体等労働委員会の調停及び仲裁制度を初めとする適切なる代償措置があって、その目的とする労働条件の維持改善が確保されておるのでありまするから、公共の利益の見地から争議行為を禁止または制限されることは許されるべきものであります。最高裁判所の判決も、憲法第二十八条の保障する権利であっても、何ら制約を許さないという絶対的なものではなく、国民生活全体の利益の保障という見地からの制約は当然含まれておると言っております。以上の諸点は専門懇の報告書に詳細指摘されておるところでありまするから、政府はこれを尊重し、慎重に善処されんことを望むものであります。政府はこの声明に従い、いかなる手順をもって進められようとしておられますか、そのお考えを承りたいのであります。
 なお、総理は昨日の成田委員長の質問に対し、悪法もまた法であるから、これを遵守すべきであって、法律を守らないでいて処分はするななどと言っては、それでは法治国家としての法秩序は保てないと申されました。そのとおりであります。しかし、総理は悪法とお考えになっておるのでありましょうか。日本の公務員法による人事院勧告の制度及び公労法における公労委の調停及び仲裁制度はスト権にかわる最も合理的な、平和的な労使関係法であると信ずるのでありますが、総理の御見解を承りたいのであります。
 以上をもちまして私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(三木武夫君) 吉武君の御質問にお答えをいたしますが、最初に私の政治姿勢についてと国会に臨む決意を問うということでございましたが、いろんな政治の形態がありますが、やはり議会制民主主義というものが日本の国情に照らして一番すぐれている、これはやっぱり守っていかなきゃならぬ。そのためには議会制民主主義というものは、やはり与野党の間にむき出しの力で対決するのではなくして、対話、協調という精神がないとこれは機能を発揮できない。また、そういうことで機能を発揮しながら議会制民主主義は世界的な政治の一つのシステムとして発展をしてきたわけである。そういうことで私は、やはり対話と協調というものが本来の、議会制民主主義の本来のものである。この姿勢で貫きたいと思っておりますが、これは与党だけで対話と協調と言ってもできませんから、野党の諸君も議会制本来の姿に返って、対話と協調という一つのルールが日本の国会においても確立をされることを切に願うものでございます。しかし、最後は多数決であることは申すまでもないので、多数決の原理を否定してはこれは選挙も意味はなさないし、国会も結末はつかないわけでございますから、最後は多数決でいかなければならぬことは吉武さんの言われるとおりでございますが、多数決に至る過程というものに議会制民主主義というもののよさを発揮せなければいかぬということでございます。そういう意味において今日の議会のルールとか慣行というものを見直すべき時期に来ておるということは、私もそういう感をいたすものでございます。これは国会においても十分に御検討を願いたいと切に希望をいたすわけでございます。
 それから、解散の問題でございますが、私はこうしてまあ予算案、百兆二千億円にわたる公債を発行しながら、景気浮揚を念じつつこの予算案を提出し、それに関連する法案を出しておるのですから、どうか一日も早くこの予算案並びに関連する法案が成立することを望むものでございます。
 それから、福祉の問題については厚生大臣がお答えをいたしますが、私は、景気がいいから福祉をやるし、景気が悪いから福祉はやめだということでは、それはもう福祉というものに対する逆立ちした議論である。やはり景気がよくても悪くても福祉というものは増進をしていく。もちろん、その幅というものは財政の都合によって伸び率の少ない場合もありましょうが、やはりこの福祉の増進ということは近代政治が目標とする目標である。したがって、これを後退さす考えはない。
 詳細については厚生大臣からお答えをいたします。
 私の生涯福祉計画というものに対していろいろお尋ねがございました。私は、やはり日本の将来の社会に一つの大きなビジョンが要るという考えです。そういう意味でいろいろ考えてみて、やはり生涯の福祉計画という案をまとめて、これを政府の方でも取り上げ、自民党でも取り上げておるわけですが、これを各省の機構も動員をいたしまして、これを具体化さしたいと、非常に熱意を持っておるものでございます。
 その生涯の福祉計画というものはどういうところに特徴があるかというと、人生に幾つかの段階があるが、その全生涯を対象にして福祉というものを考えていく。老後なら老後というんじゃなくして、若いときからも教育の場、あるいはまた就職、住宅あるいはまた一つの余暇や医療の問題もありましょうし、いずれにしても総合的に福祉というものを取り上げていこう。しかも全生涯を通じての福祉の追求というものを考えていこうと。しかも、それをイギリスとかスウェーデンの方式を輸入するんでなくして、日本の国情に合うたような、こういう福祉の計画を立てていこうと。しかも、それは国とか地方の公共団体に全部おんぶするという考えではなくして、あるナショナルミニマムというものが保障されて、その上へもってきて、自分が努力するものはさらに報いられると、また皆でお互いに助け合って相互扶助をすると。自助の精神と相互扶助の精神というものを基本にして、そうして一つの生涯、皆が自由に安心して生活のできるような、こういう構想というものを組み上げたいと願っておるものでございます。これは単に一つの思いつきではなくして、ぜひ実現をさして一億の国民が安心して生活のできるような日本をつくりたいと考えておる次第でございます。
 それから、日米の友好関係について、これはもう日本外交の基礎であるというお話でございましたが、日米関係ぐらい非常に深い関係の国はよその国にないんですね。たとえば貿易や経済の上から言っても、あるいは民主主義の上から言っても、あるいはまた日米間における安全保障の問題から言っても、これだけ二国間で深い関係を持っておる国はないわけで、日米の友好協力関係を維持するということは、これはもう何人もこれを除いて日本の国の平和と安定というのは私は考えられない。平和、安定、発展は考えられない。だから、どうか野党の諸君も日米関係というものを正当に評価されることを私は望むものです。日米間の友好関係というものを維持せなければ日本の国の平和、発展というものはない。そういう点で吉武君の言われるとおり、これは堅持していかなければならぬ、日米の友好関係は堅持する、こういう考えでございます。
 また、北方領土の問題については吉武君と考え方は全く同感で、領土問題を解決をして一日も早く平和条約を結びたいというのが政府の基本的な立場でございます。今後はこの問題を忍耐強く領土問題の解決に努力をいたしまして平和条約を締結をしたいと思っております。
 日中の平和友好条約交渉についても、これは両国とも早期に妥結をしたいという熱意においては変わらないわけでございまして、覇権問題なども、私はこれは乗り越えられない障害ではないということを信じておりますから、これは両国民が納得するような形で早期に締結をできると考え、また、するために最善の努力を払っていきたいと思うわけでございます。
 最後に、スト権ストの問題について吉武議員がいろんな御意見も述べつつ、いろいろ御質問ございました。私もやはり、ストをやって処分をし、またその抗議ストをやるというこの悪循環を断ち切って、健全な労使関係を日本に打ち立てたいと心から願っておるものでございます。そのためには、大前提になるのは、やはり法治国家として法律を守ると、(「約束を守れ、それじゃ」と呼ぶ者あり)こういうことが大前提にならないと、違法のストはやる、違法のストはやるけれども処分はしないでくれと言われても、それでは法治国家としての秩序は維持できぬわけですから、やはり処分はせざるを得ない。そうするとまた抗議ストをするというんで繰り返すんですから、公労協の諸君はやはり法律は守る、この立場というものを明らかにされれば、この問題は私は非常に建設的な解決が可能である。だから、どうか法律は、いろいろ意見があっても、自分はこの法律がよくないと思うからこの法律は守らぬと皆が言い出したら、国の秩序というものは維持できるものではないわけですから、やはりその法律はよくないと思うなら、国会を通じて法律の改正をしなければならない。改正がなされてない現行法がある間はその法律を守るということがないと、それは国の秩序というものは維持できませんから、どうか公労協の諸君がとにかくいろいろ意見はあるけれども法律は守るんだと、その前提の上に立って政府と話をしようということならば、これは非常に問題はやはり前進をしてくると私は思います。政府としても、しかし結論を出すという約束をしておるわけですから、この問題は単純な問題ではない。経営のあり方とか当事者能力とか、いろんな問題を含んでおりますから、この問題は専門家の意見等も徴して、閣僚の協議会の議を経てこれは結論を出して、日本の労使関係の健全な確立ということに対して一層の努力を払いたいと考えておる次第でございます。
 他は、ほかの閣僚に対する答弁の御要求がございますから、私が触れなかった問題は各省大臣においてこれを補足いたすことにいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(福田赳夫君) 第一に、景気の見通しはどうかということでございますが、先ほど小柳議員に対しましても申し上げましたが、ことし――新年度、五十一年度は景気情勢は大きく改善されると、こういうふうに考えております。つまり、いまの企業の操業度、これを私は問題としておるわけなんです。これを何とかして引き上げるように持っていきたい。それには最終需要を増加する必要がある。そこで最終需要を五十一年度はどうなるかということを大体点検して見ますと、その大宗である個人消費、これは五十年度の勢いを大体続けるというふうに見ておるのであります。個人消費は伸び悩みといいますか、頭打ちといいますか、非常に活発な状態ではありません。しかし、かなり着実な伸びを今日示しておるわけでございまして、これが今日、現段階のわが国の景気の支えとなっておると言っても過言でないくらいな勢いでございます。その調子は五十一年度もまた続くと、かように見ております。
 それから設備投資につきましては、これは五十年度はかなりの落ち込みになりまするけれども、今度はプラスになっていくだろう。しかし微弱なプラスでありまして、そう景気に大きな刺激となるような程度まではいくまい。それから輸出は、先ほど申し上げたとおりです。非常にこれは多くの期待を持たれると、持ち得ると、かように考えております。そこへ政府の財政対策、これもかなりの影響を持つであろうと、かように考えますので、五十一年度全体を通じまして五%ないし六%の成長を実現する、これは私はかなりかたい見方であると、かように考えておるのであります。そういうことになりますると、五十一年度の末、つまり来年の二月の時点におきましては企業の操業度、それを測定する一つの資料である製造業稼働率指数が今日八三%ぐらいの水準じゃないかと、こういうふうに思いますが、これが一〇%ぐらい改善されまして、九三、四%の水準までいくんじゃあるまいか。そういうことになりますれば、企業においても過剰人員、過剰設備と、こういう問題が解決され、マクロにおいてもわが日本の経済は上昇というようなことになりまするけれども、ミクロに、つまり個々の企業につきましてもかなり改善されたという実感をお持ち願えるのではあるまいか、さように考えております。
 なお、吉武さんから金融対策につきましても考慮すべきであると、こういうお話でございますが、それはもうもちろんであります。そこで金融につきましては、量的また質的に緩和政策をずっととってきておるのであります。第五次の公定歩合の引き下げはどうかと、こういうようなお話でございますが、これは日本銀行が慎重に金融の状態を見詰めておりまして、まあ決断すべき問題でありまして、私はこれには触れませんけれども、私が申し上げておくことは、これはとにかく財政の運営につきましても、ことしの最大の課題は、これは不況からの日本経済の脱出である、そのために財政が重要な役割りを演ずると、こういうことでありますが、金融政策の運営に当たりましても、金融当局はそのような同じ認識でこれに取り組んでいくと、かようなことははっきり申し上げられることができるのであります。
 なお、公共料金につきまして、これは引き上げはもうやむを得ないことだろうがそのPRを徹底させよという御注意、これはまさにそのとおりと考えておりますので、大いにこの必要なるゆえんにつきましてはPRさしていただきたい。また、公共料金引き上げにつきまして、時期、幅、これについて物価対策上配慮すべしと、こういうことでございますが、そのように考えております。国鉄、電電等の問題が当面の課題になっておりまするけれども、これを一挙に大幅にということは物価対策の見地から妥当じゃないと思うんです。ですから段階的にこれをとり行うと、こういうふうにいたしたいと、かように考えております。
 なお、公共料金改定の際に低所得者に対する特別の配慮をすべきじゃないかと、こういうお話でございますが、これは技術的にできる限りにおきましてはそういたしたいと思います。しかし、技術的にこれは非常にむずかしゅうございます。ですから、そういう角度の問題は社会保障対策という面で考えるということが普通じゃあるまいか、そういうふうに考えますが、しかし、技術的にそういうようなことを考えられるものにつきましては考えてまいりたいと、かように考えます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(大平正芳君) まず第一の御質問は、輸出振興について予算上どういう措置をしたかというお尋ねでございます。これは三つの面から対処いたしております。
 一つは、輸出入銀行の貸付計画、五千八百六十億円に拡充いたしまして、前年度に比べて八一%の増枠でございます。プラント輸出につきましては六五%、船舶につきましては二五%の増枠をいたしまして、輸出振興に備えておるわけでございます。
 第二は、輸出代金の保険契約の限度額をこれまで三兆一千億でございましたのを四兆五千億に拡大いたしてございます。
 第三は、ジェトロに対する助成を強化いたしまして、その機能を強めてまいる措置を講じております。
 次に、雇用対策としてどういう措置を講じたかということでございますが、この予算は全体といたしまして雇用の安定を図ることを眼目として編成いたしたということは御案内のとおりでございまして、労働省の予算が一般会計、特別会計を通じまして九千三百億円、五八%の増加になっておる点から見ましても、これは象徴されておると思うのでございます。
 まず第一に、失業の防止でございますけれども、雇用調整対策の強化を通じまして、極力失業の防止に当たっております。
 それから職業転換対策、これは就職指導あるいは訓練等の手当の予算は相当増額をいたしておりますことも御案内のとおりでございます。
 それから、高齢者対策あるいは身障者の就労対策ということにつきましては特に意を用いたつもりでございます。
 それから、不幸にして失業いたしました方々に対する再就職の促進と生活の安定のために失業給付金等の増額を図っておりますことも御理解をいただきたいと思います。
 それから、さらに賃金不払い救済制度をことし初めて採用いたしたことも御評価をいただきたいと思います。
 それから第三の質問は、財政支出の需要創出効果を早期につくり出すように努めなければならぬという御指摘でございました。仰せのとおりでございます。政府といたしましては、今年度の予算の消化にいま努めておるわけでございまして、十二月末現在、五十年度の予算につきましては八九%の契約をすでに終えておるわけでございます。今度御審議をいただいておりまする新予算につきましては、これに伴う実施計画の策定を急ぎまして仰せの趣旨に沿いたいと考えております。
 次に、公債の市中消化は大丈夫かということでございます。百兆二千七百五十億円の公債の発行を予定いたしておりますけれども、そのうち、一兆円は資金運用部が引き受ける計画でございまして、市中消化は六兆二千七百五十億円を予定いたしております。すでに御案内のように、この下半期は月別にいたしまして五千億ないし六千億の公債の消化を市中にお願いいたしておるわけでございますが、今日までのところ円滑に消化されております。シ団の協力を得まして、市中消化に支障のないように配慮してまいりたいと考えております。
 最後に、地方財政対策についてのお尋ねでございます。仰せのように、二兆六千億の資金不足をどうするかということでございますが、これにつきましては、一般会計が負担するほか、交付税特会に対して資金運用部が一兆三千億余り貸し付ける、それから一兆二千五百億円の地方債の消化をいろんな手段を通じて促進する、三本立ての方法によってこの財政危機に対処することにいたしておりまして、ことしの補正予算から来年度の予算を通じまして一貫してこういうパターンで地方財政の危機に対処、対応しておるわけでございます。しかし、これは当面の危機の対策でございまして、地方行財政制度全体につきましては、仰せのように、今後深く検討いたしてまいらなければならぬ課題であることは私どもも承知いたしておりますけれども、いまの段階はそういう根本的な改革を行うべき時期ではないと考えておるわけでございまして、当面中央、地方相呼応いたしまして節度のある財政運営を図りながら財政の健全化の素地をじみちにつくってまいるのが当面の私どもの任務であろうと考えております。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(田中正巳君) まず、小柳議員の御質問中、医療保険の問題について総理の答弁が漏れておりましたので、便宜私からお答えいたします。
 五十一年度の健康保険等の制度の改定は、最近の経済変動に対応して現行の昭和四十八年度改正の内容を維持、運営するためのスライド的な措置が主軸になっておりますが、なお出産給付、葬祭給付等現金給付の改善やあるいは退職者の任意継続制度の充実等の内容も包蔵されておりまして、決して後退的な性格のものとは考えておりません。
 次に、吉武議員にお答えいたしますが、今日のような財源難の節に一体社会保障政策はどうするかという御質問でありますが、もともと国民の今日と将来の不安を取り除き、安定した生活を国民に保障することは近代国家として必要な政策要請でありますが、さらに、わが国においては今日、人口の老齢化、核家族化、就業構造の変化が急速に進行しておりまして、したがって、経済、財政の動向のいかんにかかわらず社会保障はこれを推進しなければならないということは申すまでもありません。しかし、社会保障の充実強化のためには財源を必要とすることは事実でありますが、わが国の最近のごとく、経済が安定成長または低成長に移行する場合、社会保障の充実強化を図るためには、これを従来路線の単純な延長の上にのみ求めることは許されないととろでありまして、特段の創意と努力が必要だと思われます。すなわち、政策の選択を誤りなく実施するとともに、既存の政策構造の再検討を行い、合理的かつ効率的な社会保障体系をつくり上げる必要があると思われます。また、必要な財源については、国民の負担と能力、積極的な理解と協力を求めつつその調達を図っていかなければならないものだと思います。かくは申すものの、政策のこのような軌道修正は言うべくしてなかなかむつかしい問題であろうと思われますが、私といたしましては、渾身の努力を払ってこのことを実現していく所存であります。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農政の基本につきまして種々御質問がございましたのでお答えを申し上げますが、まず国民食糧の安定確保を図るためには、御指摘のように、わが国農業の生産体制を整備し自給力の向上を図ることがその基本であると考えておるわけでございます。このためには農業生産基盤の整備等、各般にわたる総合的な食糧政策を強力に展開をしてまいりたいと考えております。
 具体的には農業基盤の整備につきましては、特に工期が遅延をしております国営事業等を中心にいたしまして、財政資金等も活用いたしまして、特段の工期の進捗を図っていくとともに、これに関連するところの農村環境施設の整備を推進する考えでございます。
 また、農産物の生産対策を総合的に推進することとして、米につきましては、米飯給食の拡大等、その消費の拡大に努めながら、需要に応じた生産を十分確保するとともに、水田裏の活用等、水田の生産力の総合的な利用によりまして、増産が必要になっておりまする麦であるとかあるいは飼料作物等の生産の拡充を図っていく考えでございます。
 さらに、農業生産の中核となる担い手の育成、確保のために、普及事業の強化あるいは意欲のある農業者を中心とした生産組織の育成等をも推進をする考えでございます。
 なお、わが国の気候、風土等の制約から今後とも海外に依存をせざるを得ない農産物につきましては、これが輸入の安定化を図っていきたいと考えております。
 また、五十一年度産米の生産者米価につきましての御質問がございましたが、この生産者米価につきましては、食管法の規定に基づきまして生産費、物価その他の経済事情をも総合的に考慮して、米価審議会の議を経て決めたいと考えておりまして、生産費所得補償方式によって再生産を確保する方向で決める考えでございます。
 また、農業者の出かせぎにつきましては、農政の基本といたしましては、出かせぎのない農業経営の確立が望ましいと考えておるわけでございますが、現実にはなかなか困難でございます。したがって、各省とも連絡を強化しながら、地元における就労の確保に努めてまいりたいと思います。
 水産業につきましては、非常に苦しい漁業経営の安定を図っていくために、固定化債務の整理を目的とするところの漁業経営維持安定資金制度を今回五十一年予算で創設することにいたしておりますが、そのほか、業界全体として構造改善を図る必要がある業種に対しての融資措置等をも講ずる所存であります。
 また、沿岸漁場の整備、開発を計画的に推進するために、新たに長期計画、これは百年間で三千億円の投資を予定しておりますが、この長期計画を策定をいたしまして、魚礁漁場あるいは増殖漁場の造成等を積極的に実施をしてまいる考えでございます。(拍手)
#17
○副議長(前田佳都男君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後零時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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