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1975/01/28 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 本会議 第4号
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1975/01/28 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 本会議 第4号

#1
第077回国会 本会議 第4号
昭和五十一年一月二十八日(水曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和五十一年一月二十八日
   午前十時開議
第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
第二 参議院予備金支出の件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一及び第二
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員及び裁判官訴追委
  員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、裁判官訴追委
  員、国土総合開発審議会委員、首都圏整備審
  議会委員及び台風常襲地帯対策審議会委員の
  選挙
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。二宮文造君。
   〔二宮文造君登壇、拍手〕
#4
○二宮文造君 私は、公明党を代表して、さきの政府演説に対し、若干の質問をいたしますが、わが党の基本的姿勢につきましては、すでに昨日竹入委員長から総括的に明らかにされていますので、私はそれを受けて、主として各論的に問題を進めてまいります。
 さて、昭和五十一年は明けました。三木政権二年目です。しかし、それを迎えたわが国は、一口に言って船長不在、行く先不明の船に乗せられて吹雪の中に漂流し続けるという現状です。三木政権のもと、景気回復と国民生活改善を約束した政府の甘い経済見通しは、一年で完全な幻想に終わろうとしています。
 具体的には、月千五百件に迫る企業倒産、百三十万人にもなろうとする完全失業者、有効求人倍率〇・五二、新規学卒者の就職難、稼働率七五%、需給ギャップ二十兆円ないし三十兆円、そして国民大衆の生活水準引き下げ等、政府発表の経済指標はすべて暗く、しかも戦後最悪のものばかりです。政府が自画自賛する物価の鎮静も、なお定期預金金利を超えていて、せっかくの貯金が目減りをする一方です。この原因は総需要抑制、賃金抑制、そして小刻みでかつ実効の上がらない景気対策等にあり、まさに政策不況と言うべきですが、総理の反省はどうですか。
 総理は、ことしは実行の年、そして不況脱出の年として五十一年度経済見通しを提示していますが、個人消費支出にしても、民間設備、住宅、在庫投資にしても、あるいは輸出にしても、どの有効需要が伸びるか全く確証がないのです。総理、五十一年度は経済を順調な回復軌道に乗せると約束ができますか。マクロの数字では国民にはよくわかりません。企業経営の見通し、特に企業倒産は、中小企業の経営難は、失業者の数はどのような姿になるのか、国民生活に最も密接な指標で説明をしていただきたい。
 わが党はかねてより、政府の公共投資偏重型の景気対策は大企業向けであり、かつ、業種と地域に偏りが生じやすい弊害を指摘し、さらに不十分な地方財政対策にも警告をしてきました。また、減税政策を活用して個人消費支出の拡大による景気浮揚も提案をしました。しかし、政府はそれを退け、結果として景気回復をおくらしています。五十一年度もまた同じように公共投資中心、減税はゼロで実質増税、その上社会保険料、公共料金の軒並み値上げというやり方です。これでは国民は一層生活防衛に駆り立てられ、景気対策は再び失敗を繰り返すのではないかと思いますが、どうですか。
 以下具体的に伺います。
 第一は、公共事業についてです。
 政府は大型プロジェクト中心、いわゆる列島改造型の公共投資を重点的に取り上げ、生活関連部門を軽視しています。これはかつての列島改造批判者としての総理の政治姿勢にもかかわる重大な問題です。たとえば、五十一年度一般会計公共事業費三兆五千億円余のうち三分の一は道路整備費で、相変わらずの道路中心の政策です。総理が公約した国民生活優先の立場から、かつ、仕事を渇望する中小企業救済のためにも校舎、保育所、公園、病院、保健所、老人ホームなど福祉型の公共投資に力点を注ぎ、あわせて浮揚を図るべきではないでしょうか。
 公営住宅の拡大もそうです。私は昨年、「東京都内の公務員宿舎を高層化するだけで国または公有地が二千六百ヘクタールも生まれ、三十万戸以上の住宅建設が可能だ」と提案をしました。総理は、「国有地は利用すべきだと思う」と答弁しましたが、五十一年度予算では、公営住宅の建設予定戸数は五十年度の横ばいで一戸もふえていません。その理由は何ですか。住宅難に悩む低所得者のため、総理は国有地の利用についてどのように検討したか伺いたい。
 これに関連して、東京中野区の場合、老人用住宅を確保するため民間賃貸住宅を区で借り上げ、安い家賃で老人に賃貸をしています。このことは、大都市の住宅難世帯を救済する道を開くものです。政府は民間既存住宅の公的活用について思い切った施策を講ずる考えはないかどうか。また、五十一年度から発足する第三期住宅建設五カ年計画ではその六割を民間自力建設に依存していますが、その促進には特段の配慮が必要です。どのような施策を用意しているのか伺いたい。
 第二は、公共料金の値上げです。
 今回の特徴は、空前の値上げラッシュとも言えるほどの多くの項目にわたっています。すなわち、すでに酒、たばこ、郵便料金は暮れから年頭にかけて値上げが実施され、続いてNHK受信料、麦、塩、国立大学の授業料、国鉄運賃、電信電話料金及び地方自治体の高校授業料、各種手数料などの大幅値上げが待っています。政府はこの値上げ分による消費者物価の上昇は二%程度と発表していますが、生活実感ではとうてい二%程度では済みません。まさに国民生活を無視した財政優先、財政エゴそのものです。経営の合理化や経営努力の徹底、慣行と称する役得の整理を実施することが先決だと思いますが、どうですか。
 昨年十一月、通産省の行政指導の名のもとに決まったナフサ、C重油の値上げは新価格体系移行への第一歩と言われ、諸物価への波及は必至です。すでにセメント、鉄鋼、電力料金、石油化学製品の値上げが云々されています。そのように政府主導型のこれらの公共料金の値上げは必ず他の物価値上げを誘発しますが、総理はこの悪循環をどこで断ち切ろうと考えているのか、見解を求めます。
 関連して国鉄財政再建について伺いたい。国鉄はさきに旅客五〇・四%、貨物五三・九%の大幅値上げを申請しました。しかも、五十二年度にはさらに五〇%以上の値上げを予定し、国民は戸惑う一方です。二年連続の値上げで果たして財政再建ができますか。私はそうは思いません。この際、輸送分野の大きな変化に対応した、また国鉄の公共機関としての位置づけを盛り込んだ総合交通政策の策定が急務であり、運賃問題はその一環として取り扱うべきだと考えますが、どうですか。さらに、今回の値上げ申請で、私鉄との競合路線はすべて国鉄運賃が上回るばかりでなく、航空運賃の方が安くなるところも出ておりますが、この実態をどう考えますか。政府のとっている財政エゴの姿勢はこうした不合理を生んでいます。したがって、この値上げは私鉄並びに航空運賃の再引き上げに影響することは必至ですが、政府の方針はどうですか。
 第三は、赤字国債等五十一年度予算に直接関連する問題です。
 五十一年度予算は当初から百兆二千百百五十億円、依存率二九・九%という赤字国債に抱かれ、かつて経験したことのない苦しい財政事情です。しかしこれは、われわれが警告してきたように、取るべきところから税も取らず、また各種補助金等、不要不急の財政支出の整理を怠っている政府・自民党の財政運営の失敗です。また、五十一年度末の国債残高は二十三兆円を超え、その半分以上がここ両年度に発行されたことを思うとき、将来の国債費のあり方にも関連して財政圧迫の要因となり、三木内閣の責任は重大です。国債の償還期限は十年、その財源は国民の税金です。総理は借りかえはしないと説明していますが、根拠が明らかでありません。当然長期の展望と計画性が要求されますが、長期財政計画を策定するのかどうか伺いたい。そして、その財政計画には、歳入面では今後の新税創設の構想、租税特別措置の整理、国債発行の見通しなどを、歳出面では主要経費別の見通し程度を最小限明らかにして、赤字国債脱出の時期と条件、その手順を国民に説明すべきですが、あわせて見解を承りたい。
 さらに、昨年の国会で、資金運用部資金での国債引き受けに関連して、その余裕金について論議が交わされましたが、その内容は全く不明のままとなっています。五十一年度では十兆六千百九十億円の財政投融資が計画されていますが、明らかになっているのはすべて期間五年以上のものです。五年以下は不明。その上各年度の貸付先からの償還額、利子収入については、従来も一切国会に報告していないのです。これらの資金はもともと郵便貯金とか厚生年金、簡易保険等国民一人一人からの積立金であり、その運用をガラス張りにするためにも国会により具体的内容を報告すべきだと思いますが、どうですか。
 なお、今回新たに公共事業等予備費千五百億円が計上されていますが、その真意は何ですか。公共事業費には、実質的な予備費とも言える調整費百九億円が計上されています。こうした予備費の計上は財政紊乱の原因となり、また憲法八十七条に違反するのではないかとの意見も出ていますが、どうですか。
 第四は、不公平税制の是正です。
 政府の減税ゼロ、実質増税は全く国民泣かせです。所得税が名目所得に課税され、累進構造の現行税体系のもとでは、十六年ぶりの減税見送りがそのままきつい増税になります。たとえば五十一年に年収が一〇%アップすれば、夫婦子供二人の標準家族の場合、所得税は五十年の年収二百万円の人は前年に比べて一八・七%、三百万円の人は三五・九%、五百万円の人は二三・六%の負担増です。総理、五十一年度の減税ゼロ政策は、所得税の納税者数の六割前後を占める年所得三百万円程度の人々には非情とも言われるほどの重課となり、高所得者層は相対的に負担増が軽く済むという上薄下厚の不公平税制となるのです。これは社会的不公正是正の方針をみずから破壊したことになりますが、どうですか。
 さらに、五十一年度の消費者物価が八・八%も上昇しますと、一〇%程度の年収アップは実は物価調整で消えてしまいます。地方税増税、公共料金値上げを考えますと、私ども公明党が主張しますように、物価調整減税は必要最小限度の施策として実施すべきですが、どうでしょうか。
 この国民大衆への課税強化とはうらはらに、租税特別措置の整理は若干の準備金、引当金の手直しがあったものの、大企業や金持ち優遇の基本には全然手を触れていません。価格変動準備金、海外投資等損失準備金などの各種準備金、特別償却制度の廃止、また交際費課税の強化を実施すべきですが、どうですか。
 さらに、東京都新財源構想研究会の資料では、法人の税負担率は、資本金二千万円から五千万円までの企業を頂点に資本金を増すごとに逓減をし、資本金百億円以上は特に低くなっています。したがって、大企業の法人税率を引き上げるとともに累進課税方式を導入するべきだと思いますが、どうですか。また、もうけ過ぎ企業に対する会社臨時特別税を廃止したことは不公平税制をさらに拡大するものですが、この理由を明確に御答弁をいただきたい。
 第五は、地方財政についてです。
 地方自治は民主主義政治の基盤です。また、革新自治体が先導的な形で展開してきた住民参加の福祉行政の推進は、おくれていたわが国の国民福祉の向上に大きな力となりました。しかし、その地方財政も政府の失政による不況とインフレの波で二年続きの借金財政を余儀なくされています。その実態は地方債の発行に顕著で、五十一年度は前年度当初に比べ六九・三%増の四兆八千億円と戦後最高の伸びです。これとは対照的に、地方債を消化するための政府資金は戦後最低に落ち込み、従来は六割以上を国がめんどうを見てきたのに、五十一年度は半分の三割を切っています。結局、地方債による資金調達はこれまでと逆転し、その大半が民間消化を強いられることになりますが、国債の大量発行、民間資金需要との関連でその消化は容易ではないと危惧されますが、どうですか。
 総理は昨年、「国と地方の事務の再配分、地方の自主財源はどう考えたらいいのか」云々と述べ、最後に「地方自治のあり方に対しては全面的に検討いたす所存」と確約しましたが、政府予算案で見る限り改革の芽はなく、また、昨年地方制度調査会に対して三木総理からは何らの諮問もなかったようです。総理の答弁がその場限りというのでは余りにも権威がなさ過ぎますが、どうですか。この際、本来の地方自治の役割りを果たすため、超過負担の解消、補助金行政の見直し、行財政の再配分、地方交付税率の引き上げを含めた自主財源の強化など、全般にわたる制度の改革について改めて総理の見解を承りたい。
 また、住民税の課税最低限は、給与所得の平年度化に伴い、夫婦子供二人で百二十一万八千円から五十一年度では百三十万九千円、わずかに七・五%の引き上げになっています。昨年の賃金上昇率を平均一三%としますと、従来非課税であったものに課税されるという低所得者には過酷な負担増となり、また住民税の均等割りの二倍引き上げも問題です。一方、法人事業税では外形標準課税導入が見送られ、まさに大企業優先の不公平税制です。ともに再検討すべきではないでしょうか。
 第六は、福祉政策の後退です。
 三木内閣の福祉切り捨てないし後退の姿勢はきわめて遺憾です。政府案では社会保障関係費の伸び率が一般会計予算の伸び率一四・一%を上回っていることから、政府は手厚い財源配分を行ったと発表しています。しかし、五十一年度の生活扶助基準を初め、老齢福祉年金などの主な費目は、昨年に比べてわずか一二%台のアップにとどまっています。これは物価上昇分八・八%を差し引くと、実質改善分は三%強にすぎず、また実際にそれぞれの項目別では一日当たり百円玉一つの改善にもならないのです。総理は、昨年、「社会保障については五十一年度から長期的な社会保障計画を立てる。その年その年ではなくて、長期計画を策定して、制度を見直していく」と述べていますが、その計画はできましたか。そして五十一年度の社会保障予算は、その計画の中でどういう位置づけが行われたのですか、答弁を求めます。
 さらに政府は、今回もまた医療保険制度の抜本的改正を見送り、わずかな給付の改善と引きかえに保険料率の引き上げを図っています。中でも初診料、入院料の増額、高額医療費の自己負担額の引き上げは、保険という制度のたてまえからも改悪です。政府が受診抑制のためのかきねとして初診料の引き上げを図れば、早期発見、早期治療の機会を失するばかりでなく、所得の低い人を医療保障の枠から締め出すことにもなります。再考を求めます。あわせて、医療保険制度の抜本的改正についての決意と手順をお伺いしたい。
 また、予算編成の過程で、老人医療の無料化打ち切りや福祉年金据え置きを大蔵原案の段階で打ち上げておいて、復活折衝で大臣に花を持たせたり、大幅改善をしたかのような演出をしたことは、それ自体福祉後退の姿勢として強く批判されています。反省を求めると同時に、今後の老人医療無料化の扱いについて、総理の確答を求めます。なお、今回の児童手当据え置きは、制度創設の趣旨並びに今日までの経過に反しますが、廃止を前提としたものかどうか、伺いたい。
 次に、当面する課題について項目別に質問をいたします。
 第一は、独禁法についてです。
 独禁法改正は総理の公約です。今日までのおくれは重大な政治責任であり、総理・総裁としてのリーダーシップも問われています。今国会に提案するとのことですが、念のためにお伺いしたい。すなわち、改正はさきの五党修正案を最低線としてこれを守るべきです。伝えられるように、公取の権限縮小とか専任大臣を置くとかは総理の趣旨に反すると思いますが、どうですか。この点について先日来の総理の答弁は、国民の納得のいく方法でなどときわめて抽象的です。総理のリーダーシップを問われている今日、改正すべきだと考えている点を具体的に御説明をいただきたい。また、少なくとも改悪につながる提案はしない、まだ不成立の責任を国会に押しつけないと総理は約束しますかどうか。
 これに関連して、不況の長期化、深刻化に伴って、東洋紡など大手三社による繊維業界の提携、伊藤忠、安宅産業の商社の提携、平炉メーカー、精糖業界、石油業界等々、企業の業務提携、合併の動きが活発です。しかも、それらの動きには常に取引銀行が顔を出し、リーダーの役割りさえも果たしています。通産省側も、「ことしは産業再編成の機運が高まるが、業界の体質強化のために積極的に援助する」との方針のようです。業務提携、合併はときに有効な競争関係をなくして消費者の利益を損ない、また行き過ぎた市場支配力を持つ危険を招きます。さらには、業務提携に名をかりたやみカルテル、独禁法で禁止している会社の株式保有制限や役員兼務の制限に抵触することも考えられます。総理はどのように対処するお考えか。独禁法改正の中に、業務提携のあり方や制限、監督官庁の行政指導ないし誘導によるこの種の行動に何らかの基準、規制を設ける考えはないか伺いたい。
 第二は、教育の問題です。文部大臣は昨年「これからの教育−課題と展望」と題する講演の中で、国立、私立大の格差解消、小中高校の過密カリキュラムの是正、国立大学の共通テストなど入試制度の改善、学歴偏重の雇用形態の再検討などを教育改革の柱として、いわゆる四頭立て馬車論を述べました。就任一年、それなりの検討があったとは思いますが、問題はますますエスカレートし、さまざまの社会問題を引き起こしている試験地獄の緩和に真に役立っていないのではないかということです。また、学歴偏重の雇用形態にしても、企業に任せるだけでなく、文部省主導の調査及びそれに基づく検討をより積極的に進めるべきです。大臣の見解と抜本的改革の見通しを伺いたい。
 また、大臣も年頭所感で述べているように、教育には国民的合意が必要です。この際、文部省のもとにある各種審議会は、従来の慣例を改めて、その構成を教職員団体、父母、学者、文化人、政府、地方教育担当者等々、国民の各界各層の代表から成る協議会にして課題の検討をすべきであり、またそれが教育を政争の外に置くための方策だと思いますが、どうですか。
 さらに、東京都では、昨年約二千人が全日制高校に入学できず、いわゆる中学浪人という事態が発生しています。高校新増設補助金の計上は遅きに失したと思いますが、中学浪人解消の具体策を伺いたい。あわせて、国立大学授業料の大幅引き上げは私大の学費値上げの導火線となり、父兄の悩みは一層拡大されようとしていますが、対策はどうですか。
 第三は、総合食糧政策についてです。
 政府は国内自給力強化と生産体制の整備など、食糧の安定的確保を目指すとしていますが、相変わらずの米切り捨て政策は歴然で、五十一年度予算案の食管会計の伸び率はゼロとなっています。これは消費者米価の値上げがない限り生産者米価の引き上げはないという食管制度の形骸化を図り、米農政からの転換を強行するものです。農業見直し、自給率向上と言われながら、農業人口の減少、農地の壊廃は進行し、農業は後退する一方です。政府は六十年度を目標に農地の造成並びに改廃で、差し引き十六万ヘクタールの増加と計算していますが、この程度でいわゆる自給率向上が確保できますか。最低六十万ヘクタールまでの拡大が必要と思いますが、どうですか。
 また、四十八年には百三十四万八千人が離農し、新規学卒者の農業就業者数も昭和三十三年の三十万人に比べて五十年はわずかに一万人です。深刻な農業後継者問題について政府の分析と説明を求めます。
 さらに、五十一年度から実施する大豆三十万トン、飼料穀物五十万トンの備蓄構想は、初年度から後退を余儀なくされたようですが、どうですか。
 関連して、昨年も伺いましたが、世界の大勢となっている領海十二海里、経済水域三百海里説に対し、昨日の閣議では、領海十二海里に踏み切るが、三月の国連海洋法会議の結論を待って新立法を国会に提出するとのことですが、なお早期実施の要求もあり、改めて政府の見解と手順を伺いたい。
 あわせて、ソ連トロール船の操業による関係漁民の漁具破損、乱獲などの被害は大きく、漁民の間では船名のわかった分について損害賠償を提起するようですが、政府の対策はどうですか。
 なお、去る十人目沖繩海洋博がその幕を閉じましたが、憂慮したとおり、入場者は予想を百万人も下回り、地元関係業者にそれぞれ大きな打撃を残しています。すでに昨年一年間の県内企業倒産は対前年比、件数で五倍、負債総額で三倍を記録し、失業率も六%で全国平均の三倍に達しています。ポスト海洋博の万全を期すべきですが、跡地利用を含めた今後の沖繩振興の構想はどうですか。その一環としてのモノレール導入についてですが、すでに那覇市の調査依頼に対して日本モノレール協会から実現可能と報告をされています。政府の対応策を伺いたい。
 次に、外交について端的に質問いたします。
 まず、日中平和友好条約の締結について、総理は去る二日、河野参議院議長との懇談で、総選挙前に締結したいと語ったと伝えられていますが、事実かどうか。さきの日中共同声明の趣旨にのっとり、締結促進は当然のでと、また、総理の意欲は多としますが、総選挙という内政上の考慮から、相手の意向もくまないまま、時期を限って外交交渉に臨もうとする姿勢は反省すべきだと思いますが、どうですか。また、いわゆる反覇権問題について、竹入質問に対し、「双方に大きな違いはないので」云々と答弁しましたが、具体的に説明をいただきたい。
 あわせて、日ソ平和条約の締結及びその前提となる北方領土問題は長年の懸案事項ですが、今後どのように交渉の手順を進めようとするのか伺いたい。
 さらに、総理は近く行われるASEAN首脳会議に出席を希望するなど、東南アジア外交の積極的展開を意図しているようですが、会議出席の見通し、またアジアの平和、安定的発展に果たすべき日本の役割りをどのように考えていますか、答弁をいただきたい。
 なお、核防条約批准のおくれは、総理のリーダーシップを問われるばかりでなく、国際信義の上からもきわめて重大です。国会提出の時期、あるいはその際、非核三原則の堅持についてどのような手続をとるのか伺いたい。
 最後に、政治姿勢について具体的に問題を提起して答弁を求めます。
 初めに、新聞報道によれば、自民党は越年のもち代として所属国会議員にそれぞれ百万円配った。これとは別に、派閥の方も恒例で三木派と田中派が各二百万円、大平派百万円から二百万円、副田、中曽根派各百万円とかとなっています。総理は御承知かどうか。
 またそのころ、新年から発効する新政治資金規正法の網をかわして、自民党が抱えた百億円の借金のうち半分を穴埋めするため、鉄鋼、銀行など大企業の駆け込み献金が行われたとか、事実の有無を伺いたい。さらに、同じ報道で、ある自民党議員は、政治資金として年間五千万円必要だと署名入りで語っていますが、総理はこの点をどう解釈しますか。
 総理は、三年間で企業献金を個人献金にと、そして自民党の金権体質の改善を公約して国民の期待を集めました。しかし、その総理のもとで、相変わらずの積年の悪弊がまかり通り、政権を担当する政党がみずからつくった法の網をくぐったり、その一員が、生活防衛に疲れ切っている国民感情を逆なでするように、議員という特権意識に甘えるということでは、まさに金権政治の復活であり、政治の信頼回復にも逆行しますが、どうですか。
 次に、総理は年末の経団連評議員会で、「企業がつぶれたら日本もつぶれるのだから、経済界と政府の関係は緊密に」云々と述べたようです。その財界に対して、去る九月でしたか、自民党総裁として借金の肩がわりを要請したと報道されたことを記憶します。政府と自民党の使い分けはあっても、総理・総裁は今日一体不可分です。総理は昨日、自民党政治が献金によっていささかも影響を受けるものではないと胸を張りましたが、総理の釈明はどうであれ、鉄鋼、銀行業界が自民党への政治献金再開を決意した直後に鉄鍋値上げや預貯金利率の引き下げが認可されたのでは、クリーン三木の色はあせ、国民はその財界癒着の姿に再び政治不信のからに閉じこもるのは当然です。その上、景気対策に名をかりた施策は大企業優先そのもの、倒産と失業、所得減税はしない、福祉は後退するでは、総理の社会的公正を確保するという公約は吹っ飛んでしまいます。答弁を求めます。
 さらに、三木内閣の支持率は、発足当時の四〇%台からこの一年間で政権末期を思わせる二〇%台に落ちました。総理はどう受けとめますか。これについて福田副総理は、「これは三木体制というものが弱い、指導力のある政治ができないというところに国民が不満を持っているのだと思う」と語っていますが、その総理は、いまや指導権の発揮を焦らず、党内の大勢に順応して、ただただ三木政権の延命を図っているだけだとも言われています。このリーダーシップの欠如について総理の所見はどうですか。
 もう一点、今日国政レベル選挙での自民党の得票率は四〇%台で半数を割りながら、議席は過半数を超えて、辛うじて政権を維持しています。いわば国民の意思に沿わない少数支持の政権です。総理はこのことをまず施政の原点に踏まえるべきです。にもかかわらず、前国会の審議経過にも明らかなように、数を頼む強行に次ぐ強行は、それ自体議会政治の破壊であり、多数の国民に背を向け、政治の信頼回復への道を閉ざすものですが、どうですか。
 あわせて、来年の参議院通常選挙を控え、地方区の定数是正が強く求められていますが、どうですか。たとえ、結果として保革逆転が云々されるにせよ、それを避けるために全国区抱き合わせの改悪とか、あるいは是正封じ込めとかの手段は許されないと思いますが、総理の決意と是正へのスケジュールを伺いたい。
 三木政治一年、出直し時代の象徴という総理に対する夢は、私の質問の中でも具体的に指摘しましたが、その美辞麗句と有言不実行の中にはかなく消えて、国民の二木離れはきわめて顕著です。また、古き皮袋――国民不在の自民党政治も終わろうとしています。政治転換はいまや多くの国民の願望であることを申し添え、衆議院の解散、総選挙を要求して私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(三木武夫君) 二宮君にお答えをいたします。
 政府の発表する経済指標は戦後最悪のものばかりではないかという御指摘でございましたが、事実、現状は戦後の中で一番深刻なんですね、現状が。政府もできるだけその指標を赤裸々に国民の前に明らかにしまして、国民の理解と協力を得たいということで、できるだけ悪い指標であろうが何であろうが、赤裸々に発表をいたすことにしておるわけでございます。政府はこういう難局でありますから、常に反省を加えつつ、経済を順調な回復軌道に乗せるために全力を挙げる所存でございます。これはどうしても経済の軌道を順調な軌道に乗せなければならぬわけでございますから、このために全力を尽くしたいと考えておる次第でございます。
 また、予算税については大蔵大臣からお答えをいたしますが、一言申し上げたいことは、今回の予算が国民の福祉ということに対して重要視してないような御意見がございましたが、今回の予算の中には生活関連施設というものに対しては相当に重点を置いたわけでございます。たとえば住宅にしても二三・三%、下水道、環境衛生施設、公園等の生活環境施設は三一・二%増となっておって、公共事業の伸びに比べて一段と高いわけでございます。また道路、港湾などについても、将来これは日本の安定的成長を図るためには、これは基盤をなすものですから、市町村道であるとか、交通安全施設であるとか、地方の離島、港湾などを重視しておりまして、国民の生活というものをこれは優先したいという考え方を頭に入れた予算の編成をいたしたつもりでございます。
 それから、公営住宅についていろいろ提案をしたが、国有地の利用はどうなっておるかということでございましたが、公営住宅については、従来とも公用とか公共用優先の方針のもとにこれは有効利用に努めておるところでございますが、二宮君御指摘のように、国有地の利用というものは確かにこれは今後とももっと活用を図らなければならぬ問題であると考えますので、公的な需要と関連をいたしまして、極力国有地の活用を図ってまいりたいと思っております。
 また、大都市の住宅難世帯を救済するために民間の既存住宅というものを、これもやっぱり公的な活用の施策を講ずるという考えも提起されておりますが、いま直ちにこれは実施することは困難でございますが、今後は研究をいたしたいと思います。
 また、第三期の住宅建設の五カ年計画の中に、民間の自力建設に非常に大きく依存しておると、特段の配慮が必要であるということについては全く同感でございます。このためには税制上の処置、民間住宅金融の拡大、関連公共施設の融資、住宅生産の工業化等を推進して、民間の自力建設というものが推進していきやすいような状態をつくり上げたいと考えております。
 それから、公共料金というものが物価値上げを誘発するという、これの悪循環を断ち切れということでございましたが、やはり公共料金の値上げに対しては、余りにも急激になりますと国民生活に与える影響が非常に大きくなりますから、できるだけ段階的に行う配慮をいたしておるわけでございます。したがって、国鉄についても五十一年、五十二年度両年度、また電電についても両年度にわたって改定をしようと考えるのは、そういう配慮からでございます。しかし、公共料金は長期にわたって抑制をいたしますと、一遍に値上げをせねばならぬ時期がやってまいりまして、かえって混乱を起こしますから、やはり採算のとれる公共企業体であることが企業経営の健全化を図るゆえんでございますし、社会的な公平という観念からしても、利益を受ける人が応分の負担をするということが公平であろうかと考えますから、今後とも受益者の負担を原則として公共企業というものを採算のとれた企業体にするという政府の考え方でございます。
 次に、自治体の地方自治の問題について、地方制度調査会に諮問してないということですが、諮問はいたしておるわけでございまして、やはり地方自治体が自主的で責任のある地方行政をやってもらいたいと、そういうことで地方行財政のあり方というものは地方制度調査会で審議を願っておるわけでございます。この答申を得て政府としても地方自治体のあり方というものに検討を加えてまいりたい、いきたいと考えております。
 社会保障関係費でございますが、これは経済の長期の見通しも現在、この春ごろには答申が出ることになっておりますから、したがって、そういう答申を踏まえて社会保障の長期計画というものを策定をしたいという考えでございます。
 それから老人の医療問題、児童手当などについていろいろお話がございましたが、これにはいろいろな問題があって、実態の調査はいたしますけれども、いまこれを廃止するという前提のもとに実態の調査を行うわけではないわけで、いろいろ問題があるので実態を知りたいと考えておるわけでございます。
 それから独禁法の問題は、これはしばしばお答えしておりますごとく、ただいま自民党において調整中でございまして、その調整をする場合に、さきの五党修正案というものが一つの大きな前提になることは明らかでございます。国民の納得のいくような形の改正法案を得て国会に提出をしたいと考えておるわけでございます。
 それから、沖繩の問題についていろいろ御質問がございましたが、この沖繩の海洋博、二宮君は失敗であったというようなお話でございましたが、私はそうは思わないわけでございます。確かに入場者は少なかったけれども、たくさんの人が沖繩に行かれて、そして本土と沖繩の人々の一つの大きな理解が深まったということ、あるいはまた社会資本というものをいろいろと充実する機会になって、将来の沖繩の発展の一つの基盤づくりにもなったということで、海洋博というものを二宮君のように失敗であったと考えていない。むしろ私はよかったと思っておるのでございます。ただ、今後が問題である。今後が問題であって、やはり跡地の利用については海洋博を記念する公園として整備していこうということで、具体案は関係各省庁の間で構想を検討中でございますし、またこの海洋博を機会にいろいろ社会資本というものが開発されたわけでございますから、これを出発点として豊かな地域福祉社会をつくるために、今後ともわれわれは積極的に沖繩の発展というものには政府としても努力をしてまいりたいと思っております。
 また、モノレールについては現在調査中でありまして、まあ導入のための路線等についていろいろ調査をいたしておる段階であって、結論は出ておりません。
 また、日中の平和友好条約について河野議長と私が総選挙前に締結したいという発言をしたということは事実に違います。私は、早期に日中の平和友好条約を締結をしたいということはいままでしばしば言ってきたわけで、その考え方には変わりはないわけでございます。また、両国の理解もだんだんと深まってきたと思いますが、覇権問題、覇権条項というものについて二宮君のお尋ねがございましたが、昨日も私は御答弁の中で申し上げたとおりに、覇権は反対というのは、日本もやはり覇権反対である。それは、その覇権反対ということは、いずれの国、いずれの地域においても覇権反対である。だから、もう世界共通の平和原則の一つとして覇権反対を日本はとらえておる、これが日本の立場でございます。こういう日本の考え方、また、中国というものがやはりそういう考え方というものでお互いに理解が深まるならば、そんなに日中平和友好条約の締結が非常に大きな支障があるとは私は思ってないわけであります。いつという時期を一方的に予定することは困難でございますが、できるだけこの問題は早急に解決をしなければならぬ問題だと考えております。
 それから、日ソ平和条約は、二宮君御承知のように、北方の四つの島、この一括返還を得てから平和条約を結ぶというのが政府の基本的立場でございます。グロムイコ外相も先般来日をされましたけれども、領土問題に対する余り前進というものはなかったわけでございます。しかし、これは国民的総意でもある。四島の返還を求めるということは国民的総意でもございますから、今後ともしんぼう強くこの問題の解決に努力をいたしてまいります。
 また、ASEAN諸国との関係についてでございますが、日本はアジア太平洋地域の安定ということが日本の安定に通ずるという考え方のもとに、東南アジアの平和と安定というものに対して重大な関心を持っておると、その東南アジアの中で、ASEAN諸国というものは、主たる国々が皆これに入っておるわけでございますから、ASEAN諸国というものの地域全体が強化されていくことは、アジア・太平洋の安定に役立つということで、この地域協力、地域の連帯性が強化されていくことに日本はできるだけ協力をいたしてまいりたいと思うわけでございます。また他方、新体制のもとにあるインドシナ諸国との間にも友好関係を増進してまいりたいと考えておるわけでございます。そのことが日本の平和と安定にも大きな基盤をなすものであると、東南アジア諸国との相互理解、相互協力というものが必要であると考えておるわけでございます。
 核防条約は、二宮君も御承知のように、いろんなこれはいきさつがいままであったわけで、政府がこれをできるだけ、こういう将来にわたって拘束する条約でありますから、全会一致のような形でこれが批准できれば好ましいと考えて、いろいろその時期を考えておったわけでございますが、しかし、いつまでもこの問題の批准を延ばすことは、日本が非核三原則を持ちながら、核に対していかにもフリーハンドを持とうとしておるような誤解を世界に与えますことは、核兵器を持たぬという日本の趣旨にもこれはいろんな誤解を生じますので、この機会にはぜひともその核兵器の不拡散条約というものは批准を受けたいと、今国会の批准を、政府は、国会に対して批准をされることを強く望んでおるわけでございます。
 また、自民党の内部についていろいろと例を挙げてお話がございましたが、私の知らないこともたくさんあるわけでございますが、私は、政治資金規正法という法律、二宮君、この法律をよく御検討願えれば、現在の時点ではかなり厳しい規制である。やはり寄付の限度を設け、全部公開の原則を貫いたのですから、これは一挙に政治資金規正法を革命的に改正しようという方々には御不満があると思いますが、現実の政治を踏まえて、もう最大の改正である。この改正を私が推進するために非常なやはり努力をしたことは二宮君御承知のとおりである。私が金権政治の復活を願っておる政治家ではないということである。そのことはどうか御信頼を願いたいと思うわけでございます。
 また、鉄鋼とか、銀行の献金を取り上げて、自民党の政治が何かそれによって曲げられるのじゃないかと、これはもう絶対にない。私は、企業が何か献金をしたから、自民党がそれによって政策を曲げるということは絶対にしない。そんなに自民党というものが、こんなに長期にわたって国民の信頼を得て政権を持ってきた政党が、企業の献金によって自民党の政治が曲げられるようであるならば、これはやっぱり今日の国民の信頼というものは続いておらないわけであります。絶対にないということを私は明らかにしておきます。
 また二宮君は、私の支持率などをお挙げになりましていろいろお話がございました。私はリーダーシップというものをこういうふうに考えておるのです。独裁的に何でも決めるのではなくして、衆知を集めて決めたことを実行するというやり方がまあ近代におけるリーダーシップだと思うのであります。しかし、大きな期待をもって迎えられた三木内閣の一年は必ずしも満足すべきものでなかったことは私も認めます。こういう反省の上に立って、そうしてこの難局を乗り切って国民の期待にこたえたいと思うわけでございます。
 また最後に、自民党の支持率にお触れになりました。御指摘のような事実はこれはございますが、しかし、また一方において二宮君にもお考えを願いたいことは、現行の選挙法のもとで常に多数党たらしめたということは、国民の支持が自民党にあったということでもあるわけです。そのことが長期にわたって自民党の政権というものを通過してきたわけでございますから、二宮君の御指摘のような全国民の投票率ということもこれは反省の材料にしなければなりませんが、やはり長期にわたって国民が支持してくれたということに対して責任を感じて、国民の期待にこたえたいと考えておる次第でございます。
 最後に、参議院の定数是正の問題は、私はしばしば申し上げておりますように、これは参議院の各派においても重大な問題でございますから十分お話し合いを願って、でき得べくんばこの問題について参議院のコンセンサスが得られることが私は一番好ましいと思いますから、どうか各党においてもこの問題を御検討を願いたいと思うのでございます。そういう成り行き等もにらんで、政府が法案を、改正案を提出するにしても、提出をいたしたいと考えておるわけでございます。
 衆議院の解散の問題は、これは任期が十二月まででございまして、もうどんなことをしてもこの解散は避けて通るわけにはいかないわけですから、適当な機会に解散を行いまして国民の審判を受けたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(福田赳夫君) 二宮さんから、五十一年度におきまして果たして景気の回復ができるのか、特に公共投資偏重の行き方でそれができるのであろうかというような疑問を交えての御質問でございます。確かに五十年度におきましては公共投資、かなりこれを景気対策として使ったわけであります。しかし、何分にも私どもが思ったような全体としての景気上昇が実現できなかったということは、これは事実でございます。それは世界情勢が非常な深刻な状態でございまして、先進諸国という先進諸国は全部マイナス成長、総落ち込みである。そういう中におきまして、ただひとりわが日本だけが、微弱ではありまするけれども、プラス成長になったというゆえんのものは、これは公共投資を中心とする財政政策が大きな貢献をしておるんだと、かように私どもは考えております。五十一年度を展望してみますると、これは様相が非常に変わってきます。つまり、総落ち込みでありました世界経済が今度は総浮揚という情勢になろうとしておる。現に、御承知のようにアメリカなんかは景気回復の軌道を固めたと、そういうふうに私どもは見ております。また、ドイツにおきましてもそのきっかけをつかんだというふうに見ておるのであります。その他の諸国におきましても、これは景気回復のための相当の努力をいたしておるわけでありまして、専門家が暮れに集まりましたところの統一した見解では、世界経済は浮揚の年となるであろう。それから、この年におきましては世界貿易はかなり上昇するであろうと、四、五%実質とも言うんですが、私はパーセントにはこだわりませんけれども、貿易がかなり伸びることは、これは私はそう展望して差し支えないと思うんです。そういうことを背景にしますと、わが国の輸出もかなりこれをふやし得ると、これは私は相当の期待を持っていいと思うし、また、そういう期待を込めて財政金融上の貿易対策のための仕掛けをいろいろしておる。まあ同時に、そういう輸出がかなり期待できるというのと並行いたしまして、国内的に公共事業を中心とする財政金融上の積極的な考え方を進めますれば、私はわが国の経済はことしはまあとにかく着実な景気回復が実現できるのじゃあるまいかと考えておるし、また、ぜひそういたしたいといって各般の施策を進めてまいりたい、かように考えておるのであります。
 それから、二宮さんから、他方、公共料金が軒並み上がるじゃないか、そういうことになると物価は一体どうなるんだという、物価の先行きに対する御懸念の御表明があったわけです。確かにこの公共料金という問題は、いま物価政策を進める上におきまして非常に重荷に思っておるんです。まあ、一昨々年の十一月、石油ショック、そして一昨年の一月一日には石油の輸入福原価が四倍に引き上げられる、それに伴いまして、あのいわゆる物価の狂乱状態というものがさらに激化されるという事態であったわけですが、そういう過程でこの公共料金は、大方これが原油価格の引き上げに対する調整を抑制してきたわけです。しかし、この抑制をそう長続きさせるわけにいかぬ。長続きさせますれば、これは公共企業、これも企業でありますから、その企業としての公共企業体の内容が弱体化する、また、そのしわ寄せが国家財政にも響いてくる、こういうようなことで、これはどうしても、もうぽつぽつこれが調整を実行しなけりゃならぬ時期に来ておるわけであります。さればといって、これを一挙に大幅にという引き上げの形で調整いたしますれば、これはまた物価政策に影響する。そこで、なだらかに段階的にその調整をいたしていこう、こういうふうに考えるわけであります。そういう考え方で五十年度は酒、たばこ、郵便料金につきましての調整を行ったわけでありまするが、その他公共料金全体を含めますると、これは消費者物価にいたしまして二・七%ぐらいこれを引き上げる影響力を持つわけです。しかし、そういう大きな物価引き上げの影響があるにもかかわらず、とにかく五十年度は一けた台の物価上昇にこれをとどめ得るという見通しである。五十一年度はさらに公共料金の引き上げ、その幅を政府また地方公共団体、民間、全部をひっくるめまして二%強にとどめる、こういうことでありますので、私どもが五十一年度中の年間消費者物価上昇率八%というふうに申しておりますが、この見通しはさような公共料金問題がありまするけれども、実現は可能である。この公共料金の問題さえなければ物価政策はいま非常に楽なんですが、これはよけて通ることのできない道である。しかし、よけて通ることのできない道でありまするが、心してまいるというふうに御了承願います。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(大平正芳君) 当面の財政危機に関連いたしまして、まず、政府の対応策はなまぬるいではないかという御指摘と、これに関連いたしまして、長期の財政計画が打ち立てられなければならないではないかという御質疑でございました。仰せのように、今日の財政危機に直面いたしましてなすべきことが大変多いわけでございますが、政府といたしましては、まず歳出面におきまして行政経費の厳しい削減、機構の膨張の抑制、定員管理の徹底を図ります一方、歳入面におきましてはしばらく減税を御遠慮いただきまして、租税特別措置法の徹底的な見直しと一部の増収計画を立てさしていただいたわけでございます。
 減税は、この際景気浮揚の観点からもやるべきではないかという御指摘でございますけれども、すでに数次の減税によりまして相当大幅な減税ができておりまするし、諸外国と比較いたしまして税負担はある程度低目にございますような状況でありまするので、公債をたくさん出さなければならないような状況に顧みまして、ことし減税を見送らしていただきましても国民の御理解が得られるのではないかと考えております。
 第二の、長期の財政計画でございますが、仰せのように、この危機はいつごろどういう姿で突破されるか、その時期と手順、その場合の主要経費のあり方、財源の調達の仕方等について展望を持ちたいという仰せはもっともだと思うわけでございます。しかし、この前からも申し上げておりますように、長期的に財政の計画を立てるということは、非常なむずかしい作業でございまして、数字的に財政計画を綿密に長期にわたって立てるということまではまだ力が及ばないわけでございますけれども、しかし、五十年の前半、前半期におきまして、もろもろの政府の諸計画との整合性を図りながら財政の展望を明らかにしていきたいと、それを通じまして、二宮委員の言われるような財政の将来についての展望がつかめるような状況に鋭意持っていきたいと存じましていま作業をいたしておるわけでございまして、予算の御審議をいただく過程におきまして提出いたしまして御審議を仰ぎたいと考えております。
 それから、各論的に若干の御質疑がございまして、逐次お答えいたします。
 第一は、資金運用部資金の運用の状況を具体的に国会に明示すべきでないかということでございます。仰せのように、この問題は四十八年に法律ができまして、長期運用につきまして国会の議決の対象になっておりまして、したがって、特別会計の予算総則におきまして、融資対象機関別に国会の議決を経ておりますことは御案内のとおりでございます。一方、この運用部資金がどういう使途に振り向けられておるかということにつきましても、使途別の状況を毎国会に参考に提出いたしておりますので、御要望のようなラインで政府は鋭意努力をいたしておるつもりでございます。
 それから第二に、公共事業等予備費の創設は憲法上あるいは財政法上問題があるのではないかという御指摘でございます。御案内のように、憲法と財政法によりますと、国会の議決の範囲内におきまして内閣の責任で予備費を支出することができることになっておりますが、この公共事業等予備費は、国会によって授権された政府の権限の範囲内におきまして予備費の使途を特定しようとするものでございますので、政府といたしましては、憲法上も財政上も別段問題があるものとは考えておりません。
 それから租税特別措置の整理についてのお話でございました。仰せの価格変動準備金、海外投資等損失準備金の積立率の引き下げでございますとか、あるいは特別償却制度の改定でございますとか、そういう点につきましては、この国会で御審議をいただく政府の税制改正案に盛り込んでございまするし、交際費課税につきましても、社用消費抑制の見地から損金不算入割合の引き上げをいたすべく提案をいたしておるところでございます。
 次の問題は、大企業の法人税の引き上げと、それを累進課税方式にする考えはないかという御指摘でございます。いまの法人課税は、法人税、法人住民税、法人事業税を合わせますと約五〇%に当たっておるのでございまして、先進諸国と比較いたしまして、ほぼバランスのとれた状況にあるものと判断いたしておりますので、私ども法人税だけを取り上げて、いまこれを増徴を図るつもりはございません。で、この累進課税にするということでございますが、これは所得や財産が最終的に個人に帰属する場合になじむ課税方式でございまして、法人のようなものに累進課税を適用することは私は適当でないと判断いたしております。
 それから、会社臨時特別税をやめる必要はないじゃないかということでございますが、これは二宮議員も御承知のとおり、最近における物価の高騰、その他わが国経済の異常な事態にかんがみ、臨時の措置として二年間に限り創設されたものでございまして、そのような事態が解消いたしました以上、立法の趣旨に従いまして、期限到来とともに廃止されるのが立法の趣旨に忠実なゆえんと政府は考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣永井道雄君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(永井道雄君) 二宮議員の御質問は四点にわたっておると思いますので、順次お答え申し上げたいと思います。
 第一に、受験体制が過熱しておる。これについて私が昨年、四頭立ての馬車ということを申しました。それは今日の受験体制の過熱化というものは一日でできたものではなく、長年の蓄積でございますから、構造的である。したがって、教育課程の改善も必要である。第二番目に試験制度を変えなければいけない。第三番目に大学の格差是正、多様化を図らなければいけない。さらに第四番目におきまして、企業における雇用の形態が変わることが必要である。この四頭立ての馬車ということを申したのでありますが、しかし、なおかつ事態が深刻であることは私も非常に憂慮している点であります。
 そこで、昨年考えたことだけで本年に処していけないということは当然でありますから、二宮議員が御指摘になりましたように、昨年度は雇用形態について企業において御調査を願いました。その結果、雇用形態のうち、昇進につきましては比較的学歴というものに左右されていないということがわかったんでありますが、採用はそうでないということがわかりました。この種の問題につきまして調査をしたり、あるいは文部省として今後一層企業に新しい形を要望するということはきわめて必要であると考えますので、本年この一月に入りまして、労働大臣と私を中心に両省で協議をいたしました。そうして企業の新しい採用の雇用の形態、これは文部省だけでできることでありませんから、そういう形で考えていきたい。一例を申しますと、たとえば本年は百二十万人に及びますところの各種学校というものが――学生の数ですが、ございますが、中でも整備されたものについてこれを専修学校といたします。専修学校というのは、職業的な教育を受けて、単なる学歴主義というよりは実力を持つような教育でありますから、こういうふうな人たちを採用に当たって十分配慮するように、かようなことが労働省と話し合ったことの一例でございますが、そうした線に従って一層この受験体制の過熱化というものを何とかしていくということにつきましては多角的に努力をいたしていく考えであります。
 第二番目に、教育行政については国民的合意が必要ではないかという二宮議員の御意見でございますが、私は賛成でございます。さて、これをどのように実現すべきであるかという問題につきまして、二宮議員は協議会というような形にしてはどうかということでありますが、今日、私どもは協議会という形を直ちに実現することを考えてはおらず、審議会ないしは懇談会というふうな形で教育行政を多面的に検討いたしておりますが、しかしながら、その審議会や懇談会の運営の方法につきまして、主として専門家の意見を反映するということは重要でありますが、しかしながら、国民的な合意を得るというような意味合いにおきましては、いろいろな方面あるいは立場の方の御意見を聞くということも重要であるというふうに考えております。したがいまして、たとえば教育課程審議会におきましては昨年度、日教組の委員長ないしは書記長というような組合のリーダーではなく、それよりもむしろ問題を専門的に御研究になっている日教組の教育制度検討委員会の委員長である梅根悟和光大学学長の御意見も承るというような姿で、今日まで教育課程審議会も運営を図ってきておりますが、今後も、御趣旨のごとく国民的合意を得るように、広く人々の意見を反映して教育行政を展開してまいりたいと思っております。
 次に、高校新増設につきまして、これがおくれているから中学浪人問題があるではないか。この問題でありますが、これはまたきわめて重要な問題であります。で、これについては二つの方法を考えております。一つは、高校という入れ物を拡大し、機会の拡充というものを図っていくということでありまして、本年度初めて高校新増設に対する国庫助成に踏み切ることに相なったわけでございます。そのほか、起債枠を五百億円にするというような方法で問題に対処してまいりたいと思うわけであります。
 第二、いわゆる中学浪人の中には、ある種の高校に入れるんですけれども、しかしながら、その高校に入るぐらいならば浪人になった方がよろしいというようなことから浪人になっている人も含まれておりますので、これにつきましては、進路指導というようなものについて高等学校における教育の強化を図っていくという方法をとるというのが第二点でございます。
 第三点に、国立大学の授業料の値上げ、さらに私立大学の学費値上げという事態をどのように考えているかということでございますが、これは私は、国公私の別なく、すべて社会的な公正という角度からまず考えていかなければならない。さように考えますと、御承知のように私立大学の授業料というものは非常に高い。これがどこから起こってくるかということになりますと、経常費が足りないということでございますから、私学振興助成法に基づきまして本年度は千二百九十億円、二八%強の増額を図ることになりました。そのほか、私学振興財団からの融資の枠も二〇%拡大をいたしまして、まず私立学校の授業料の値上げ、事実上これが起こっておりますが、しかしながら、こうした施策がなかったならばもっと授業料は値上げされるであろうというものを、幾分かでもこれを抑えることが私たちの考えであるわけでございます。そしてさらに重要なことは、育英資金の充実でございます。これもまた国公私にまたがって重要でございますから、育英奨学資金の充実につきましては、政府の貸付金の枠を四十八億円増加いたしますことによりまして、学生の中で、優秀であるけれども経済的に困るという諸君についてでき得る限りの援助をいたしたいということでございます。
 さて、その中におきまして、国立大学の授業料の値上げがあると、そのような政策があってもなお困るではないかという御意見があることは事実であり、またそうした実情がございますので、国立大学につきましては授業料免除の枠を五%から一〇%に拡大いたしまして、わが国の国立大学においてこれまで貧富の別なく優秀な人々が勉強してきた、そして研究教育の上に成果を上げてきたという伝統は、この経済的な状況におきましても何とか守り抜きたい。かような考えで国立、私立の授業料問題に対処しているわけでございます。
 以上、答弁でございます。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(安倍晋太郎君) 総合食糧政策についての二宮さんの御質問の第一点は、今日の農政は米切り捨て農政ではないかという御指摘でございますが、米につきましては、御案内のように、食管会計に必要な予算を計上いたしまして、その需給及び価格の安定を図るとともに、米管理の運営の健全化を図り、重点的に農政費の伸長を期しておるところでございまして、食管会計の形骸化や米切り捨て等は全く考えてないわけでございます。
 また次に、農地の造成につきましては、昨年閣議決定をされました「農産物の需要と生産の長期見通し」におきまして、昭和六十年に農地五百八十五万ヘクタールを確保することを目標にいたしまして、昭和六十年までに八十六万ヘクタールの造成を見込んでおるわけでございます。
 なお、その間における農地の壊廃につきましては、農地法の厳正な適用によってこれを極力抑制をしなければならないと考えております。
 第二点の後継者問題でございますが、その現状は、青年農業専従者の数は近年かなり減少をしておるわけでございます。また新規学卒者の就農者は、高校卒の占める割合は高まってはきておりますが、全体の就農者数は減少をしておるところでございます。したがって、この農業後継者育成はこれからの農政上非常に重要な問題でございますので、まず第一に、やはり農政の基本であるところの生産基盤の充実と、さらにまた農村環境の整備等を図りまして、住みよい農村をつくることに努めるとともに、農業者のための研修教育の充実、農業後継者育成資金等制度金融の拡充、農業者年金制度の改善等の措置を講ずることといたしておるわけであります。
 第三点の備蓄でございますが、大豆及び飼料穀物の安定的な供給を確保するために備蓄対策を強化する考えでございまして、それぞれ新たに公益法人がみずから買い入れ、備蓄する体制を確立することといたしまして、これに要する経費は全額国が助成すること等により積極的にその推進を図ってまいる考えでございます。初年度におきましては、大豆五万トン、トウモロコシ十万トンの備蓄を推進をする考えでございます。
 第四点のソ連漁船によるところの被害につきましては、従来はソ連側に賠償請求を行うことは困難であったわけでございますが、今後は、昨年十月に発効いたしました日ソ漁業操業協定に基づきまして設置される委員会を――まだソ連側の委員が着任をいたしておりませんが、ソ連側委員の着任を待って早急に発足をさせまして、請求が実現をされるように努めてまいりたいと考えております。現在のところは千二百三十五件程度の被害について賠償請求を行う考えでございます。
 なお領海の十二海里の問題でございますが、政府といたしましては、いろいろと検討をいたしました結果、領海幅員を十二海里とすることが適当であると考えておりまして、現段階で領海を十二海里とするには法律の制定を必要とするということで結論を得ておるわけでございます。この具体的な実施の時期及び態様につきましては、海洋法会議、あるいはこの問題をめぐる諸般の情勢を十分勘案しながら検討を進めていくべきであると考えておるわけであります。(拍手)
#10
○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。福田国務大臣。
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(福田赳夫君) 公共料金につきまして答弁漏れがありましたので補足さしていただきます。
 つまり二宮さんは、公共料金の改定をするに当たりましては、その前提といたしまして、経営の合理化、企業経営の努力、また役得の整理などですね、極力努力をしなければならないと、こういうことであり、特に国鉄につきましては、これは総合交通体系の中で国鉄の使命、その位置づけを行って、それに基づいて国鉄の整理、合理化を断行した上これを考えるべしと、かような御意見を含めての御質問でありましたが、これはことごとく私は賛成でございます。そのとおりにしなければならないと、かように考えております。特に国鉄につきましては、政府におきましてもすでに昨年末、国鉄再建対策要綱というものを了解しておるわけであります。つまり、要員の合理化、増員の抑制、赤字ローカル線の運営の取り扱いを検討する、貨物輸送の近代化、合理化等を行うと、それから資産の活用及び処分、附帯事業の増収の計画的推進を行うと、このようなことでございますが、これは国鉄に限りません。その他の公共事業につきましても、その料金の改定を行うに当たりましては、それらの合理化をこれはもうとことんまで突き詰め、よって足らざるところを料金改定に回す、かような方針でまいりたいと、かように存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(河野謙三君) 沓脱タケ子君。
   〔沓脱タケ子君登壇、拍手〕
#13
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、三木総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず私は、昨日の衆議院本会議におきまして、民社党春日一幸議員が行いました質問と、それに対する稻葉法務大臣の答弁についてただしたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 昨日、春日議員は、わが党の宮本委員長に対する三十一年前の軍国主義下の暗黒裁判の不当きわまる判決を取り上げ、それを判断する何らの権限もない内閣に、あえてその判決内容の真否を問うという不当な質問を行いました。この質問に名をかりた卑劣な反共攻撃と、これに積極的に呼応した稻葉法務大臣の答弁は断じて許すことのできないものであります。
 法務大臣、あなたはきのうの衆議院本会議における答弁におきまして、「宮本氏に対する判決の原本は現存しています」と明白に述べています。それならば、その判決原本の末尾に「本判決ハ昭和二十年十二月二十九日公布勅令第百百三十號「政治犯人等ノ資格回復ニ關スル件」第一條本文ニ依リ將來ニ向テ其ノ刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」と明記されていることを当然熟知していたはずであり、このことこそが三十年前から今日まで疑問の余地なく明らかになっている事実であり、法律上確定していることであります。法務大臣はなぜこの最も重大かつ根本的な事実を答弁で明白にしなかったのですか。国家が明白に「將來ニ向テ其ノ刑ノ言渡ヲ受ケサリシモノト看做」したのですから、いわばこの判決はもはや存在しなくなっているのであります。存在しなくなった判決を引用して事実関係を云々したり、調査し、資料の提出に応ずるなどということは、政府として、法務大臣としては絶対に行ってはならないことなのであります。法を無視した違法な答弁であることは明白ではありませんか。
 そもそも問題とされた宮本氏に対する判決は、希代の悪法と言われる治安維持法に違反するものといたしまして、宮本氏の日本共産党中央委員としての正当な政治活動を処罰したものであります。この治安維持法なるものの犠牲となった人々は、侵略戦争に反対した共産党員やその支持者はもとより、社会主義者、自由主義者、侵略戦争に疑問を抱く学者、文化人また宗教者などに至るまで数十万人にも及んでいるのであります。この弾圧は、軍国主義と侵略戦争によるはかり知れない苦難を国民に強要するためのものであったのであります。だからこそ、この治安維持法は戦後の日本の民主化の過程の中で真っ先に廃止されたのであり、現在の憲法とは絶対に相入れないファッショ的悪法であることは歴史が証明しているところであります。(拍手)
 ところで、民社党春日議員が取り上げた事件なるものは、日本共産党内に送り込まれたスパイ・挑発者を摘発、調査した経過の中で起こった一人のスパイの予期しない突然の死という不幸な出来事を特高警察がリンチ事件などとでっち上げたものであります。すなわち、当時の特高警察はスパイ・挑発者を使って党員の検挙を手引きさせるだけではなしに、銀行強盗、金銭拐帯等々の破廉恥罪的行為を党員に行わせようとし、あまつさえ党指導部をスパイ・挑発者に占拠させて、党を平和、民主主義、国民生活擁護の路線からそらそうとはかっていたのであります。(拍手)
 宮本現委員長らの党中央委員会は、党中央に潜入していた二人のスパイ・挑発者を摘発して特高警察の卑劣な野望を打ち破ったのであります。スパイ・挑発者に対する党の最高の処分は、党から除名してそれを公然と発表することであり、リンチ、すなわち私的刑罰などということは何ら党の方針でないことは、当時においてももちろん確認されていたものであります。現に二人のスパイの調査も、軒を接した小さな一民家で行われたものであり、その場所から一メートルほどしか離れていない隣の人々――その中には現職警察官の家までありましたが――全く異常な物音も聞かなかったと証言するほど平穏に行われていたのであります。もし判決の言うようにリンチなどということが行われていたのであるならば、物音や叫び声が外に聞こえ、たちまち党中央委員会の一斉検挙という事態に立ち至っていたことでありましょう。ところが特高警察は、この調査の二日目にスパイの一人の小畑氏が突然急死したことを逆用しまして、事実の調査も抜きにして、「党内派閥の指導権争いによるリンチ事件」だとして発表し、大々的な反共デマ宣伝を行ったのであります。当時の特高警察は、悪名の高いCIAにまさるとも劣らない政治弾圧と謀略の警察であり、昨家の小林多喜二など多数の人々を拷問によって虐殺をし、あらゆるでっち上げを行った暴虐きわまりないものでありました。これに呼応する当時の軍国主義下の裁判は、特高警察のでっち上げを裁判の名において追認する役割りを演じているにすぎないのであります。治安維持法事件被告の弁護士まで逮捕し、証人さえ調べようともしない全く一方的なものでありました。宮本氏はこの不当な弾圧と不屈に闘い、拷問や密室下の暗黒の審理を拒否し、公判では真実を明らかにし、特高警察のでっち上げを弾劾して闘い抜いたのであります。だが、裁判所は宮本氏の主張には全く耳をかさず、申請した証人はすべて却下して、強引に特高警察の筋書きをもとにした全く不当な判決を下したのであります。
 法務大臣、あなたは、戦前のこの悪法下で行われた特高警察のスパイを使っての秘密捜査と逮捕、数多くの虐殺に至るまでの残虐な拷問による取り調べや破廉恥罪的行為の使嗾、さらには、当時の裁判所が被告人や弁護人の主張には耳をかさず、証人喚問もすべて却下して特高警察のでっち上げを追認した当時の暗黒裁判等々、これらは、国民の権利を保障した現憲法下の法体系の観点から見れば当然許されないし、裁判の公正と両立しないことは明確でありますが、戦時下の裁判の公正さについてどういう考えを持っておられるのか、明確な答弁を求めるものであります。
 その暗黒裁判の一例として、昨日の民社党春日議員の質問や法務大臣の答弁の中に出てきました外傷性ショック死という問題を、私も医師であるという立場から一言しておきます。
 宮本氏に対する判決では、小畑という人物の死因を外傷性ショック死とする鑑定が有罪判決の証拠の一つとして採用されました。しかし、この鑑定は初歩的な法医学の常識にも反します。外傷性ショック死というときは、当然外傷による筋肉挫滅が存在をし、また腎臓に病変が見られるはずであります。ところが、宮本氏の裁判に提出された当時の解剖検査記録と鑑定及び再鑑定のいずれを見てみましても、筋肉挫滅や腎臓の病変という所見はないのであります。したがって、外傷性ショック死という断定には医学上の根拠がないのであります。初めの剖検所見と鑑定は、偏見と予断に満ちたきわめてずさんなものではありますけれども、その中でさえも、胸腺組織の残存、心臓肥大、心臓への脂肪沈着、肥厚斑の存在など特異体質ないしは心臓死と判断される明白な所見があります。二回の鑑定はいずれもリンチがあったとする偏見と予断によって、これらの重要な問題点をあえて無視してまいりました。宮本氏は当時公判で心臓死の可能性を指摘し、鑑定人の証人喚問を要求いたしましたが、当時の裁判所はそれさえ却下して真相究明を拒んだのであります。この一例を見ましても、当時の裁判がいかなるものであったか、文字どおりの暗黒裁判であったことはきわめて明瞭なのであります。だからこそ、治安維持法下の暗黒裁判への反省に立って、戦後宮本氏に対する不当な判決について「刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」と、国家みずからが確認した、そのことが判決原本にはっきりと書き込まれているのであります。法務大臣がこのことを十分承知しながら、民社党春日議員の質問に迎合して、すでにその生命を失っている判決文の一部を故意に読み上げ、答弁したことは、全く言語道断であります。稻葉法務大臣、いかにあなたが人も知る憲法改正論者であろうとも、旧憲法下の、戦前の治安維持法時代に戻ることは絶対に許されないのであります。あなたが大臣として許されざる答弁をあえて行ったのは一体なぜなのか。それは国会の演壇を利用して、治安維持法のもとでの暗黒裁判を擁護し、反共キャンペーンを鼓舞激励しようとする醜い心があるからではありませんか。もしそうでないならば、治安維持法下の暗黒裁判を是認する、法律上許されない答弁を取り消して、主権在民と民主主義、基本的人権を尊重する現憲法秩序を厳守する法務大臣としての姿勢を明示するべきであります。法務大臣にその意思があるかどうか、明確な答弁を求めます。
 次に、教育問題について御質問をいたします。
 小学生、中学生の自殺は、この二年間に二百人近くに上っておりますし、少年の非行問題は受験競争とともに一層深刻な事態をつくり上げております。そして差別と選別の教育は授業についていけない子供をつくり出し、「ぼくはできないんだ」「私はだめな子なんだ」と言われるように、小学生のころから希望と確信を失う子供が激増いたしております。受験地獄は年々激しくなり、親と子の神経をすり減らしています。学歴差別は有名大学と他の大学の格差を広げ、その中で高校の格差も広がる一方であります。こうした事態を解消することは、いまや政治に課せられた緊急の重大責務と言わなければなりません。私は、この緊急課題を解決するために、父母と子の切実な願いを込めて次の提案を行います。
 その第一は、授業についていけない子供の激増と学力の低下を防ぐために、細切れ知識の詰め込み教育を改めるとともに、一教室の定員を四十人以下とする措置を講ずることであります。そのために必要な教室と教師、教材を国の責任において保障すること。さしあたり、小中学校の九千の不足教室を速やかに解消することであります。
 第二には、政府、文部省の教育政策を転換し、子供を競争に駆り立てる不合理きわまる五段階相対評価を改め、子供の基礎学力と体力、豊かな情操を身につけることができるように教育行政と教育内容を改めることであります。
 第三に、そのために教員、父母、学者、専門家及び各界各層から成る民主的な検討機関をつくり、公開審議を通じて教育と教育内容を検討することであります。
 第四には、教育に対する官僚統制を持ち込む主任制度の強行をやめて、教師の自発性と自主的努力、研修を励ます措置を促進することであります。
 第五に、高校進学率九二%に及ぶこの父母の強い要求にこたえて、今後三年間に四百四十一校の高校新増設に対し、用地費を含み三分の二を国庫負担とし、全員入学を保障する具体的な措置をとることであります。
 第六に、大学、高校の格差を一掃するために、高校の増設とともにすべての県に大学院を持つ総合大学をつくり、教育研究条件を年次計画を立てて整備することであります。
 第七に、私学助成を拡大し、学費負担を大幅に軽減し、また奨学金制度を拡充するなど、教育の機会均等を保障することであります。
 先ほどの御答弁にもありましたけれども、本気でやるなら高校への補助金四十二億などというふうなことは、これは全くお話にならないのでありますから、総理並びに文部大臣の本当に具体的な答弁を要求するものであります。
 次に、今日の不況とインフレの中で最も大きな犠牲を強いられております婦人の問題について質問をいたします。
 昨年は婦人の地位向上と差別撤廃を目指した国際婦人年でありました。これを記念いたしまして七十五国会では婦人の地位向上の決議が行われ、またメキシコ会議では世界行動計画が採択されたことは記憶に新しいととろであります。総理はこの決議を尊重し、世界行動計画のわが国における具体化のためにどのようなことをなされるのか、特にあらゆる社会的分野への婦人の進出と民法上の婦人の地位の向上を図るためにどのような措置をとられるのか、まず最初にお答えをいただきたいのであります。
 次に、婦人の暮らしについて、特にいま農家の婦人は今日の農業危機のもとで出かせぎのために夫を奪われ、農作業に、賃労働に、家事労働に、一家の中心的働き手といたしまして、口にあらわせないような苦労をいたしております。農家の婦人の二分の一もが貧血に苦しみ、妊産婦の死亡や流産が年ごとにふえております。これこそ、わが国の農業を今日の状況に追い込んだ自民党政府の責任と言わなければなりません。政府はこうした事態を解決するために、少なくとも婦人の健康を守る緊急対策として、定期的な健康調査と日常的な保健指導、分娩施設の整備、特に産科の救急体制を確立することが必要であります。さらに農村に保育所を児童福祉の立場からも大量につくる具体的な措置をとる必要があります。この点について政府の所見と具体策をお聞きいたしたいのであります。
 また、いま全雇用労働者の中で三分の一を占め、一千万人を超えております勤労婦人の母性保護の問題についてただしたいと思います。
 私は議員の立場といたしましても、また医師の立場といたしましても、政府に、産前産後の休暇を各人週間に延長すること、つわり休暇、通院休暇を制度化し、生理休暇を有給とすることを強く求めます。政府は、昭和四十五年に労働基準法研究会が発足して以来すでに五年間、ここでの検討を待ってからといって言い逃れをしてきました。全勤労婦人のこの共通の要求を政府は一体いつ実現させるおつもりなのか、お答えを聞きたいと思うのであります。
 また、いま婦人の平均賃金は男子のわずか半分にすぎない、不況の中で真っ先に首が切られ、就職は特に困難であるというふうな不当な差別がいまなお婦人を苦しめているのであります。政府は、労働基準法に「性による差別の禁止」を明記し、職務職能給という名の差別的賃金体系を廃止するなど、厳しい措置をとるべきであると思います。
 また、幼稚園や保育所、学童保育所の大量の増設を行い、子供の世話や店の経営や家事など一切を切り盛りしておる商店や中小商工業者の奥さんなど、家で仕事をしておる勤労者の人たちの子供を保育所に入れることができるようにするべきであります。関係大臣の答弁を求めます。
 ここで、福祉問題についてただしたいと思います。
 総理、閣僚も御存じのことと思いますが、深刻な国民生活の危機の中で、生活困窮者、お年寄り、母子世帯、障害者などに対する社会保障、福祉政策の充実は、すぐに手をつけなければならない政治の義務になっています。しかし、実態はどうでしょう。五十一年度予算の社会保障費の伸びは、昨年も一昨年も三五%を超えていたのに比べてわずか五十一年度は二二%というありさまであり、老齢福祉年金はわずかに一万三千五百円に抑えられました。そしてその反面、社会保険料のこれまでにない大幅な引き上げだけが強行されようとしております。総理、あなたは、わが国が資本主義国第三位の経済大国でありながら、国民一人当たりの社会保障費はイギリスやフランスの何分の一という恥ずべき状態にあることは御承知だと思います。五十一年度予算にあらわれたあなたの日本型福祉政策、生涯設計計画とは、この低福祉を事実上くぎづけにし、高負担だけを押しつけるものであることを示しているではありませんか。政府は、国民の切実な要求にこたえて、総合的社会保障の年次計画を策定して、今日の低福祉を抜本的に改善すべきであり、当面、老齢福祉年金を六十五歳から月三万円に、国民年金を六十歳から月一人四万円、夫婦で八万円に、厚生年金を平均十万円に、遺族年金と公務扶助料を八割に引き上げて、「全国生活と健康を守る会」等が要求しておるように、生活保護費を四人家族で三万円引き上げる措置を講ずるべきであります。もちろん財源の問題は重要であります。政府は年金の積立方式を賦課方式に変え、また厚生年金と共済年金の負担割合を労働者三、事業主七に改め、国民年金の財源の一定割合を大企業と高額所得者に対する年金特別税で賄うなどの措置をとるべきであります。
 また、福祉年金を受ける生活保護世帯に対しまして扶助料を四千円から六千円も差っ引くという政府の冷酷な措置、これは撤回すべきであると思います。老人医療費の無料制度は今後も継続するべきでありますが、総理は昨日の衆議院でその継続の言明を避けましたが、これはお年寄りに対する余りにも冷たい仕打ちであります。全国のお年寄りに対し、改めてこの無料制度の継続を言明していただきたいと思います。
 今日、中小企業が戦後最高の倒産などますます深刻な状態にあることは総理も御存じのとおりであります。総理は、「中小企業と農村漁業の振興なくして日本経済の繁栄はない」と大変りっぱなことを述べておられます。しかし、五十一年度の中小企業関係予算は、四十九年度、五十年度と同じく総予算のわずか〇・六%にしかすぎません。これが中小企業の振興を真に願う政策と言うことができるでしょうか。特に私は、いま中小企業が大島紬、友禅、ちりめんなど競合商品の外国からの輸入や、豆腐、クリーニング、軽印刷、理化医ガラス、紙器その他中小企業分野や商店街などへの大企業の進出によって重大な危機に襲われていることを強く指摘しないわけにはいきません。ところが政府は、これらの輸入や大企業の横暴な進出を抑えるどころか、今年度施策の重点に中小企業の事業転換促進を掲げ、そのための法案まで準備をしております。この不況の中で、どこへ転換せよというのですか。まさに中小企業見殺し政策と言わなければなりません。
 わが党は、中小企業分野への大企業の進出を法的に規制する中小企業事業分野確保法や、大手スーパー、百貨店などの新増設を都道府県知事の許可制にする大規模小売店舗法の改正案、さらには地場産業、伝統産業の存立を脅かす競合商品の輸入を規制する伝統的工芸品産業等保護のための輸入制限法案などを国会に提出をし、その成立のために努力をいたしております。政府は、協議を通じて解決するなどと言い逃れをいたしておりますが、法律によって規制する以外に道のないことは、これまでの実情がはっきりと示しているではありませんか。政府は、以上のような諸問題から中小企業をどのように守るのか、実効ある措置をお伺いいたしたいのであります。
 次に、農業の危機打開策についてであります。
 いま、わが国の農業は、穀物の自給率わずか四〇%という、欧米諸国にも例のない危機的状況に立たされております。しかも、重要なことは、割りの合わない、低い農産物価格を押しつけられた結果、農業が働きがいのないものにされているということであります。昭和三十五年以来、農業で暮らしを立てていこうとする人は半分近くまで減ってしまっております。特に、高校で農業を専門に修得した生徒数約二十万人のうち、卒業後実際に農業に従事する者はわずか一万人という状態であります。総理は「魅力ある農業」などと述べられておりますけれども、との現実をどう見ておられますか。本当に農業を魅力あるものにするためには、共産党がかねてから提起しているように、現在の農産物価格補償制度を抜本的に改善をし、穀物、畜産物、果樹、野菜など主な農産物に生産費を償う価格補償制度を確立をし、安心して農業を営めるようにするとともに、消費者には安い肉や牛乳、果物などが供給できるようにするべきではありませんか。
 ところが、政府は五十一年度予算案で農業予算の割合を全体の一〇%以下に落とし、特に食糧管理費の伸び率をゼロに抑えているではありませんか。このことは食管制度の原則である二重米価制の機能を麻痺させ、日本農業の柱、米づくりに大きな打撃を与えるとともに、消費者に新たな負担を強いる以外の何物でもありません。これでどうして農業を守ることができますか。米の消費を拡大するためにも、今日の深刻な経済危機のもとでこそ二重米価制を厳重に、厳正に実行するべきであります。
 また、わが国の動物性たん白質資源の半分以上を供給しております漁業の振興も重要であります。現在、漁民は一戸当たり平均七十九万円を超える赤字を抱え、借金地獄にあえぎ、倒産や廃業も相次いでおります。それは沿岸漁業が公害や工業開発で大きな打撃を受けた上に、特に石油が三倍にも値上がりをした一方で、魚の価格が一割の上昇にとどまっているためであります。総理、これに対してあなたがやろうとしていることは、借金に借金を重ねさせることで当面の事態を糊塗しようとしているではありませんか。
 わが党は、漁業関係予算を大幅にふやし、魚価支持制度を確立するとともに、当面、漁業用燃油の値上がった分のせめて半分だけでも国が助成し、漁業の危機打開の突破口を切り開くべきであると考えます。
 いま、わが国の美しい海は汚され、漁業は衰え、ノリやハマグリやアサリまでが外国から輸入されるというありさまになってきております。外国農産物の大量の輸入とともに、国民の食ぜんからは日本の味が失われつつあるのであります。わが国の農業、漁業を働きがいのあるものとし、国民が米を含めて豊かな日本の味を楽しめるようにすること、このことこそが本当の民主、平和日本の姿でなければなりません。
 私は、このことを特に強調いたしまして、政府の具体的な具体策、これを求めて質問を終わりたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(三木武夫君) 沓掛君に……(笑声)失礼をいたしました。沓脱タケ子議員にお答えをいたします。
 教育問題については文部大臣から、社会保障に対しては厚生大臣からお答えをいたします。
 沓脱君は、国際婦人年に当たって婦人の地位の向上についていろいろ御質問がございました。国際婦人年を契機といたしまして、政府におきましても婦人の地位の向上ということについて婦人問題企画推進本部というものを置いたわけで、そしてメキシコの大会で決められた婦人問題の世界行動計画というものを日本の国情に照らしてできるだけこれを実現をしていきたいということで、こういう本部を設けたわけでございます。また、それと同時に、広く民間の有識者の意見も聞きたいと考えまして婦人問題企画推進本部というものも置きまして、そしていろいろ意見を聞きながらこの問題を推進をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
 そこで、いろいろ御指摘になりましたような問題について、たとえば婦人の社会的分野への進出という問題について、民法上の具体的な問題などについては現在法制審議会で検討中であります。その結論を待ちたいと思っております。しかし、婦人の社会的な進出の問題について、たとえば勤労婦人の母性保護について、労働基準法の施行と相まって、勤労婦人福祉法に基づいて種々の処置について事業主等をいろいろ指導をしておるわけでございます。労働基準法の上においては区別をしてはならぬということになっておるわけですが、いろいろ事実上それに反するようなこともあるやに聞きますので、こういうものに対して、労働基準法上の女性保護に関する規定については、学識経験者を委員として労働基準法研究会というものを設けて現在実情を調査しておるわけでございます。こういう実態的な調査研究とも相まって、そうして事実上の婦人の差別というものに対して、勤労婦人の差別的な扱いに対して結論を得て対処したいと思っておるわけでございます。
 それから、賃金とかあるいはまた雇用関係などにつきまして、福勤労婦人の扱いがいろいろ差別を受けておるというようなことについては、これは事業主などの協力を得なければならぬ問題がありますから、強力に指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。また、賃金などに対しても、待遇の差別的な取り扱いのないように、この問題についても事業主などに対して強力に指導をしてまいりたいと考えております。
 この婦人の問題いろいろと広範な問題を含んでおりますが、この問題は国際婦人年というような大きな婦人問題というものを前進さす一つの機会でもありますわけでございますから、具体的に問題をとらえて、婦人の地位の向上に対して政府は今後努力をしてまいりたいと思っております。
 次に、中小企業の問題についていろいろお話がございました。やはり中小企業は日本の経済の一つの大きな安定的な発展の基礎になるわけであります。雇用から言っても七八%、生産から言っても五〇%中小企業は占めておるわけですから、中小企業というものが安定をしなければ日本の経済は安定しない、こういう点で中小企業対策というものを進めておるわけでございますが、中小企業というものがいろいろ今後において転業をするというような場合も考えられますが、これは中小企業者自身の自主性に基づいて実施されるものであって、自主的でないのに、政府が中小企業者の意見によらないで転換を促進していく考え方は持っておりません。
 また、中小企業者というものが大企業というものの圧迫を受けていくことはいけませんので、大企業との間に調和をとるための立法的な措置は講じはいたしませんが、現在の現行法の中で、あるいは行政指導によって、そして中小企業と大企業との分野というものをできるだけ調和のとれたものとしたいと思うわけでございます。
 また、競合商品の輸入の制限については、とれ、どうも貿易立国ですから、よその国から入ってくるものに対して国内産業保護という立場から、いろいろと制限をするということは、全体の日本の貿易立国であるという立場から見ても、これはそういうことは慎重にいたさなければならぬし、また、物価問題などに対する影響なども国民生活に大きな影響を与えますから、これは慎重に対処したいと考えておる次第でございます。
 それから、農業の問題についていろいろお触れになりましたが、やはり中小企業と同じく、農業、中小企業というものは日本の安定の基礎をなすものでございますから、この問題については、食糧の自給度を高めると、そういうために生産の基盤、農業の基盤整備を中心として農業政策を推進しておりますが、これは農林大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣稻葉修君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(稻葉修君) 昨日の衆議院本会議における春日民社党委員長の質問に対する私の答弁を、不当で間違っているから取り消せとの沓脱さんの御質問と御要求にお答え申し上げます。
 私は、昨日の私の答弁が間違っておるとは思いませんから、取り消す意思はございません。(拍手)
 沓脱議員は本件について、いろいろの事実を挙げて、この事件が官憲によるでっち上げであるかのように述べられましたが、その詳細な経緯につきましては、判明せざる点も多々ございます。昨日も答弁で申し上げましたとおり、何しろ時日もたっておりますし、占領下のああいう状態でもあったものですから、今後の調査にまたなければなりません。戦前の裁判所が下した判決の内容の当否について意見を申し述べる立場には私はないわけです。ただ、当時この事件について判決の言い渡しがあったことは事実であり、その判決の原本が存在していることも事実でございますので、私はその原本に基づき、判決が認定した事実を申し上げたにすぎません。したがって、これだけで私の答弁が不当、不公正な間違った答弁であると断ぜられるには、私は承服できません。(拍手)私は、春日委員長からの御質問が、宮本氏らの行為があったのかどうか、小畑氏の死因が外傷性ショック死であったのかどうか、そういう質問でありましたので、それに関しお答え申し上げたものであります。宮本氏の判決書の末尾には、現在、「本判決ハ昭和二十年十二月二十九日公布勅令第七百三十號「政治犯人等ノ資格回復ニ關スル件」第一條本文ニ依リ特來ニ向テ其ノ刑ノ言渡ヲ受ケザリシモノト看做ス」と記載されていることは、御指摘のとおりであります。でありますればこそ、昨日も宮本氏がこの勅令第七百三十号被適用者としてすでに資格回復者としての取り扱いがなされていることについては、明確にお答えしてあります。
 判決の効力が勅令七百三十号で失われたという結果、直ちに昭和十九年十二月五日の東京刑事地方裁判所の判決が昭和二十年五月四日上告棄却で確定したという事実まで、その事実まで全部なくなってしまうわけではありませんので、その事実として残っている判決によればこう書いてあると、そして、いろいろあの事実を列記した一番後のところで結論として、この小畑氏の死は外傷性ショック死とされ、その死体は床下に埋めたということになっていると、こういうことを答えたにすぎません。あなたと、質問者と同じ立場に立たれる共産党の諸君が、ショック死ではなく異常体質死だと主張されているという事実も承知しております。いずれ、真実は判明する時期があろうかと思います。
 要するに、私が昨日宮本氏に対する判決の存在について触れたのは、春日委員長の質問に対し判決のあった事実をそのままお答えしたにすぎないものであって、その答弁が不当、不公正であったとは考えておりません。したがって、取り消すというわけにはどうしてもまいらぬと私は思います。(拍手)
   〔国務大臣永井道雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(永井道雄君) 沓脱議員の御質問は数点にわたっておりますから、順次お答え申し上げる次第でございます。
 第一に、わが国の詰め込み教育の現状におきまして、子供の心が荒廃する、これを是正することが必要である。私もまことに同感であります。
 そこで、そのためには第一に、教育課程をどう考えるか。これは競争主義ではないという方向が一つ。さらに一つは、現在は教科書中心主義に傾いておりますから、教育課程審議会におきましてもスポーツないしは芸術などの強化を、教育活動を今後一層強めるようにという方向で審議が進んでおりますが、私は教育課程審議会の答申を待つ前に、クラブ活動というようなものでスポーツないしは芸術の活動を早急に強化する方向で進んでまいりたいと思います。
 次に、五段階評価につきまして、もしこれを機械的に取り扱う場合には欠点を伴うということも御指摘のとおりでありますが、現段階において文部省がとっております方法は、絶対評価を加味しながら五段階評価を行っていく。すなわち、正常分配理論というものに機械的に寄りかかって五段階評価を行わないという方向でございます。
 さらに、一教室の生徒の数を四十人以下にすべきである、この御意見でございますが、私どもが考えておりますのは、確かに先生の数がふえていくのは結構でありますが、編制基準につきましては現状においては検討中、そして昭和四十九年度から始まりました定数増の五カ年計画を進めまして、昭和五十三年には二万四千四百人の増を図るという方向におきまして、教室における先生と生徒の関係を親密にしたいと考えているわけでございます。
 さらに、小中学校教室九千の不足をどうするか。これにつきましても、プレハブ教室等の問題が深刻でございますから、本年度予算におきましても特に重視をいたしまして、一千億円以上を教室の充実のために充てることにいたしました。これはこの面の予算として大幅な伸びがあるわけでございます。
 さらに、教育行政に関する討議というものは民主的であって、公開にすべきである、私も原則的に賛成でありますが、それをいかように行うかという方法につきましては、現状、たとえば教育課程審議会について申しますと、中間まとめという段階でこれを公開して社会の批判を求めるとか、あるいは公聴会というような形で人々の意見を反映させるようにするという方法をとっているわけでありまして、常時審議会を公開という形はとっておりません。
 さらに、高校増設、これにつきましては、先ほど二宮議員の御質問にお答えいたしましたように、新増設費補助、また起債の方法をとっておりますが、沓脱議員が御指摘になりましたように、三分の二まで高めよという、そうした定率の考えは現在持ち合わせておりません。
 さらに次に、主任制について、これが権力的な官僚統制であってはならないという御意見でございますが、これについて私は全く賛同するものでございます。しかるに、自民党の一部におきましては、これまで主任制というものを管理的な角度からとらえる考えがありました。また、主任というものは自然発生的なものでありますが、現場の先生方の中においても、これを管理的なものととらえるという考えがあるということは、最近の教育研究集会における討論においても取り上げられたようであります。私は、わが国の教育行政上最も重要なものは何であるかという某大新聞の一月十四日の全国世論調査によりますと、教員の質の強化、これを五四・五%の国民が望んでいるのでありますから、主任というものは管理ではいけない、教育的リーダーシップを発揮して、官僚統制的、権力的なものをとらないという政策を出したわけでございます。
 さらに最後に、大学というものの格差をなくし、多様化を考えるべきではないか。御指摘のように、地方大学というものを充実してまいりますが、各県それぞれに大学院を置くという方向よりも、今後、考えておりますのは、総合大学院という角度あるいは独立大学院という角度。さらにまた私学助成につきましては、これを助成費を数倍にせよというお言葉でございますが、高校以下につきましては、本年度一二五%増、すなわち二・二五倍でございますから数倍という段階でございますが、遺憾ながら大学につきましては、二八%増というところでございますが、全力を挙げて私学の充実というものを図らなければならないと考えている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(田中正巳君) 沓脱議員にお答え申し上げます。
 まず第一に、農村婦人の母性保護対策についての御質疑がございました。一般的に母性保護対策は、わが国の未来をつくる重要な問題であると考えておりまして、なかんずく妊産婦対策としては、保健所を初め一般医療機関等における健康診査、保健指導を実施しております。特に農村地域において、従来から母子健康センターの整備、保健婦の配置等を行い、また農村検診センターの設置を行うよう、いろいろと努力、工夫をいたしております。また、保育所については、都会地のみに偏ることなく、最近では農村地域においてもその増設に努めておるところであります。また、農村地域では、その特殊性にかんがみ、小規模保育所の設置も次第に普及をしているととろでございまして、今後とも努力を払っていきたいと思います。
 次に、保育所並びに学童保育、特に中小企業の児童についての保育の問題についての御指摘がございました。保育所の整備については従来から努力してきたところでありますが、今後ともこれを推進するとともに、留守家庭児童の健全育成を図るため、児童館の整備をしてまいりましたが、これで間に合わない点については、沓脱先生かねがね御主張になっておりました都市健全育成事業の実施を今年から始めることになりまして、この面についての政策要請にこたえることにいたしました。また、中小企業等の自宅就労の場合であっても、保育に欠ける場合には入所を認める方針であることについては変わりはございません。
 次に、社会保障の主な政策の給付水準についてお尋ねと御主張がございました。一般的に社会保障の給付水準の向上を私も願ってやみませんが、年金制度については、厚生年金及び国民年金の財政再計算期を五十三年から昭和五十一年に繰り上げ、年金額の引き上げを初め、種々給付の改善を図ることといたし、また福祉年金等につきましては、財政上の理由及び他の公的年金、なかんずく五年年金等の経過年金とのバランスを考え引き上げをいたしましたが、お説のとおりの給付額に改めることをいまいろいろと金額を挙げて御主張になりましたが、そうした金額に改めることについては、財政及び国民の拠出能力に基づく年金数理の上で困難かと存じます。
 生活扶助基準については、経済動向、国民の消費支出の伸び等の見込みを考慮いたしまして、五十年度当初に比しまして一二・五%引き上げることとし、この結果、標準四人世帯一級地では約九千四百円増額され、八万四、五千円というふうになるはずでございます。
 年金の財政方式、保険料の負担比率等についての御質問がございました。年金の財政方式として賦課方式の導入を御主張になりましたが、私も賦課方式については、将来の年金の財政方式としては十分考慮に値するものであることについては従来からしばしば申し述べておるところでありますが、問題は、いついかなるプロセスと範囲でこれを制度に導入するかということについて細心の注意を要するということは、世代間の著しい不均衡を生じないようにという配慮等と絡めて必要なことであると私は考えております。私としては基礎年金構想の基礎部分にこれを導入することを考慮検討中でございます。
 保険料の労使折半は、制度発足からとられてきた、わが国に根強く定着したシステムでありますが、これを改めることについては、その影響等についてしさいに検討をする必要があると思われるわけであります。
 国民年金の財政について、いろいろな財源捻出方法についての御主張がございましたが、これは今後加入者の適正な拠出を求めることについて理解と御協力を願わなければ、国民年金の財政の中はなかなか実は容易ではございませんので、そうしたことについて努力を払い、加入者の理解と御協力を願うような方法をとらなければならないと考えております。
 次に、生活保護制度と福祉年金との関連についての御指摘がございました。生活保護制度では、一般的に保護を受ける者に収入がある場合にはこれを差し引くことになっているのが原則でございますが、しかし、老齢者や身体障害者などの場合には特別な経費が必要となると考えられますので、一定額を積み上げるいわゆる加算方式というものをとっておったことは沓脱先生御承知のとおりであります。従来福祉年金が金額が少ない場合には、これを同額の加算を認めておったわけであります。福祉年金と同じ額の加算制度を認めておったわけですが、最近の福祉年金の額を勘案いたしてみますると、これを全額加算することは、他の生活保護世帯とのバランス上問題があるということで、これに関する加算制度を一部改めたものであります。
 次に、老人医療の一部負担問題について御質問がございました。この問題については世上いろいろな議論があることは事実でございますが、しかし、私どもとしては、そうした世上の議論によって政策を決定することは不穏当だと思います。今後、医療の問題のみならず、老人福祉施設のあり方、たとえば現在の特別養護老人ホームをもう少し医療面を強化するなどという、そういったようなことを含めて、今後しさいに調査検討の上妥当な結論を求めていく所存であります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農政の展開に当たりましては、その自給力を高めることがその第一でございますが、そのためには、総理も申し上げましたように、基盤整備あるいは生産体制の充実等を図っていかなければならないわけでございますが、五十一年度予算においては、その点につきましては相当前進したと考えております。特に米につきましては、農業及び食生活に占める重要性にかんがみまして、消費の拡大を図りつつ需要に応じた計画的な生産を十分確保してまいりたいと考えております。
 また、水産業につきましても、食生活に占める水産物の重要性にかんがみまして、食糧政策の一環としてこれをとらえ、漁業経営の安定や漁場の整備、確保に努めたいと考えます。
 農産物価格政策についてお触れになったわけでございますが、この農産物価格政策につきましては、従来から農産物の特性に応じた価格支持の仕組みと価格算定方式に基づきまして、需給事情、物価、賃金等を十分勘案をして適正な価格水準の実現に努めておるところでございますが、今後とも国民食糧の安定供給を確保していくという上におきまして価格政策は非常に大事でございますので、適正な運営に努力してまいりたいと考えております。
 米価につきまして二重価格制を維持せよというふうな御指摘でございますが、食糧管理法ではいわゆる米価は二重価格制度を決めておるものではないと考えております。むしろ、両米価の決定に当たりましては、その相互の関連を十分考慮に入れて処理することが米穀管理制度の適正な運用を期する上で望ましいと考えておるわけであります。
 漁業、特に沿岸漁業の振興につきましては、五十一年度は沿岸漁場整備開発計画の策定、あるいは水産物調整保管事業の拡充強化、同事業を補完するための基金の設立、あるいは漁港施設の整備等に重点を置きながら予算の大幅増額を図ったところでございまして、この線に沿って水産諸施策を総合的に推進してまいりたいと考えます。
 なお、漁業公害に対しましては、被害防止のための漁場環境保全対策を実施するとともに、公害関係諸規程の厳正な運用によりまして漁場汚染の未然防止に全力を注ぐ考えでございます。
 最後に、漁業用燃油の値上がりについて直接補助金を出せという御質問でございますが、この点につきましてはいろいろと検討いたしたわけでございますが、これを補助金で補うということは非常に困難でございまして、したがって、融資によって対処することといたしたわけでございまして、漁業経営の維持安定資金制度、あるいはまた漁業用燃油対策特別資金の低利融資、合わせて千二百億でございますが、低利融資によりましてこうした漁業の経営改善、燃油対策等に対して対処をいたしたことでありまして、この点につきましては水産関係から非常な好評を得ておるわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
#19
○副議長(前田佳都男君) これにて午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十八分開議
#20
○議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。向井長年君。
   〔向井長年君登壇、拍手〕
#21
○向井長年君 私は、民社党を代表いたしまして、総理の施政方針並びに外務、財政、経済、それぞれ大臣の所信に対する質問をいたします。
 政府に質問に入ります前に、国民の前に明確にしなければならぬと思いますから、若干時間をいただいて、先ほど共産党の沓脱議員からの発言、昨日のわが党の春日委員長の政府に対する質問、これに対して明確にいたしたいと思います。
 これは、共産党の諸君がなぜこれを取り上げて感情的に指摘されるか、私は不思議でならぬのであります。(拍手)少なくともかかる問題に対しましては、いま週刊雑誌なり、あるいは「文春」において世論の中に出され、それに対して共産党の皆さん方は「赤旗」を通じて反駁をされておるのであります。したがって、国民はその真相に対して疑惑を持っておる問題であり、これを国会で政府に対して明確にすることは、当然のわれわれの義務であります。(拍手)共産党の皆さんが――わが党は共産党を攻撃、誹誇、中傷しておるのではありません。当時の問題を明確にしようではないかと言って春日委員長が取り上げた問題であります。共産党の皆さんは、春日委員長に感謝こそすれ、誹誇する何物もないのであります。なぜ共産党の皆さん方がこれをみずから取り上げて、宮本委員長のリンチ事件はこうだったという真相を取り上げて政府になぜ究明しないんですか。「赤旗」で国民にやっているだけでしょう。したがって私は、この問題は非常に国民はただいま疑惑を持っておるから、この疑惑を解こうではないかというので、春日委員長が政府に質問をぶっかけたのであります。したがって、私はきょうこの問題について申し上げたいことは、きょうの新聞を見ましても、共産党の不破書記局長が、党利党略のために国会を利用しているがごとき非難がされておりますが、決してそうではないということだけを国民の前に明確にいたしておきます。(拍手)いずれこの問題につきましては、私はきょうのこの質問の中では申し上げませんが、予算委員会を初めその他の委員会におきまして、他党の皆さんの協力を得まして、徹底的にこれは明確にしたいということを国民の前に明確にいたしておく次第でございます。(拍手)
 そこで、まず政府に質問をいたしますが、質問の第一は、三木総理の政治姿勢についてお伺いをいたします。
 あなたは、「二十一世紀へのスタートの年としての新しい芽を育てる決意であります。」と表明されておるのであります。」そのためにも、これはいまさら言うまでもないことでありますけれども、議会制民主主義政治の機能を高め、国民の負託に適切にこたえるためには、政治家自身が国民の意思を敏感に受け取り、その政治に対して責任を明確にすることであります。
 いま、一昨年の年末に思いをはせますとき、当時の田中内閣の崩壊の後、混迷のうちに突如として三木内閣の誕生を見たのであります。狂乱物価に苦しめられていた国民、そして異常なほどの社会的混乱のさなかにあった当時の国民に対し、三木新総理は、対話と協調の政治を提唱し、三十七年に及ぶ議会生活を背景に、いままでの官僚出身自民党内閣とは違った新しい政治が展開されるかのような期待感を国民に持たせたばかりか、みずからも独禁法の改正、社会的不公正の是正、国と地方に及ぶ財政硬直化の打開、行財政改革、国民福祉の向上、核防条約の批准、日中、日ソの平和条約の締結等を公約されてまいったのであります。
 確かに、従来の自民党内閣が口にも出さなかった幾つかの公約をされ、国民の関心と期待を高められたと思います。しかし、いざその具体化に、あるいはまた実行段階になりますと、自民党固有の政策の枠内で雲散霧消するばかりか、あまつさえ経済の見通し、歳入欠陥等、大きな誤謬を犯し、その責任は重大であります。みずからその党内指導もなし得ないのに、国民に淡い夢を抱かせたのは単なるポーズをとる政治家にすぎないというのが国民の偽らざる実感であり、そのことは最近の各新聞社による世論調査で三木内閣への支持率が二十数%ときわめて低下していることが明らかな証明と思うのであります。私は、いま述べました三木政治一年余りの経緯に照らし、政権担当者として責任をいかに考え、虚心坦懐なる反省がなければならぬと思います。いかに責任を考え反省されているか、このことが、本年度のあなたの施政方針が国民に理解されるか、あるいはやっぱり夢であったかという不信を買うかにかかっておると思います。三木総理の率直な答弁をお願いいたします。
 第二番目は、三木総理、あなたは一年有余政権を担当しておられますが、主権者である国民からの信任はいまだ受けていないのであります。今日まで、不況対策が先で衆議院解散は考えておりませんとたびたび言ってこられました。本年度初頭に入り、春解散を意識しての発言がなされておるのであります。真意はどこにあるのか、憲政の常道から言って一日も早く国民の信を問うということが当然であると思います。総理の所信のほどを伺っておきたいのであります。
 次に、私は行政改革についてお伺いをいたします。
 この問題につきましては、総理に質問をいたしますけれども、きょう、ひな壇にお並びの閣僚の皆さんは耳を澄まして聞いていただきたい。いまや政治が避けて通ることのできない課題であります。いまこそまず国民の前に行政府がえりを正して、奉仕の精神に徹し、行政の簡素化、効率化、合理化、経費節減等、行財政の一大改革を断行すべきと思います。これは三木総理の公約の一つでもあります。今日まで、臨時行政調査会答申以後、若干の量的な圧縮の改善が行われましたけれども、質的な改善を含めた本格的な行政改革には全く手がつけられていないのであります。これを国民の側から批判いたしますと、行政の能率化が軽視せられ、それに反比例して行政費用の増大にもかかわらず、行政サービスが質、量とも低下し、まさに国民への奉仕を忘れた行政と言うべきでありましょう。こうした行政の状態が国と地方を通じて同様であり、納税者国民の立場はまさに無視されっ放しであります。その忍耐はもはや極限に達しておると思います。もちろん、国民の生活多様化あるいは複雑化に応じて予算規模なり行政経費等の膨張は避けられず、それが福祉国家を目指すとするならば財政規模の増大も当然でありますが、現実の水ぶくれ行政、非能率行政、奉仕の精神を欠いた行政は、ノーマルな要請と目的に適応しているとは決して言えないのであります。これを言いかえますならば、高度経済成長を達成するために行政がいかに対応するかという目的のもとに形式、質的を整えてきたのが今日までの行政であります。断じて福祉国家の建設を目的とする行政の体質でないことであります。しかも国、地方を問わず、行政規模は今日のごとく巨大化し、内面において著しく複雑化した現状では、担当大臣でさえ行政の実態がわからないでしょう。こうしたところに高級官僚から末端に至るまでのなわ張り主義、排他行政、そして役人安住機構を拡充する穴があるのであります。
 このように悪弊の山積している現在の行政を改革するためには、何よりも政治が行政を管理することに徹し、政治主導のもとに、福祉国家建設に適合する行政体質に転換させるための大改革が必要であります。要は、行政の最高責任者である総理に、こうした行政の大改革を断行する決意があるかどうか、総理の決意のほどを伺います。
 また、それを具体化するためには、専門的な知識を有する方々の協力を得て、わが党は、仮称ではありますけれども、行政改革実行委員会を内閣に設けて、実行案の策定を強力に実施、推進すべきだと思いますが、この提案に対して総理はどう考えられますか。
 行政改革の第二の問題は、国、都道府県、市町村にまたがる重複行政の刷新であり、それによる中間浪費的経費の排除であります。そもそもこうした問題が生ずる原因は、各行政段階に固有さすべき事務の再配分を行わず、安定的で大量の税財源を中央が握ることに終始してきたことにあります。こうした実情の上に中央官僚が地方支配の体制をつくり上げ、この仕組みに政権を持つ党の政治家が乗るという古い政治体質との相関関係において維持されておると言っても過言ではないのであります。
 たとえば、保育所行政を見るときに、実際には公、私立を問わず、市町村に建設せられ、運営されているのであるが、その認可権は都道府県知事にあります。補助は国と都道府県、市町村が行う仕組みになっております。各行政段階にはそれぞれそうした事務を扱う部門が設けられ、人員が配置されており、事務経費と人件費は莫大な額に達しておるにもかかわらず、保育所の数の不足や運営上の問題は決して解決していないのは一例にすぎません。われわれの見るところ、こうした浪費と必要以上の重複行政は国の各省庁にわたってきわめて数多く行われているのであります。これこそ税金のむだ遣いの典型であります。行財政の効率化を阻害している最大要因であると思います。国、都道府県、そして市町村にわたる思い切った行政事務の再配分とそれに伴った財源再配分の断行がいまや必須であります。総理の見解と決意のほどを伺います。
 また総理は、元旦の新聞で、「行政に対する国会の監督機能を高めるため国会に行政監察委員会を新設する」との試案を発表されております。これまで何ら具体的な案を示されなかった政府・自民党としてみれば一歩前進の構想と私は評価するものであります。そこで、この構想を示された総理の意図するところ、今後、この具体化について総理の答弁を求めます。
 次に私は、不況対策と経済、財政、そして予算問題についてお伺いをいたします。
 まず、景気対策についてでありますが、政府の言われる「インフレなきなだらかな景気回復」が本当に期待できるのかどうかということであります。福田副総理並びに大平大蔵大臣等の真実にして明快な答弁をお願いいたします。
 一九七一年八月のニクソン新経済政策によって金、ドル交換が一方的に廃止せられ、このことによるIMF体制の崩壊、その後アメリカからの大量なドルの対外流出と国際通貨危機の未解決な現状、そしてドル購買力の低下に対抗した七三年十月の石油ショックによる原油価格の大幅引き上げ、鉄鉱、非鉄、木材など第一次産品輸出国機構の発足による全般的な原料価格の引き上げが、現実の状況のもとでは、資本主義先進工業国を襲っているインフレと不況の同期共存の現状から一国だけの努力で不況脱出ができないのではないかという懸念があるのであります。政府も昨年のランブイエ首脳会議への参加、キングストーン会議の出席等で各国の協調に努力しているようでありますけれども、いまだ新しい確定的な合意が得られないようであります。しかも、これまで不況時における景気の下支え役を果たしておりました個人消費需要が遅々として伸び悩み、昨年度のごとく前年度比二・三%程度と低い事態であり、これがノーマルに回復する兆しを見せていないことをあわせ考えるとき、果たして政府の言う「なだらかでインフレなき景気浮揚」が本当に可能であるか、真意を伺いたいのであります。また、内需の伸びが期待薄になるとするならば、輸出の伸びが相当になければなりませんが、確信ある見通しをお持ちならば披瀝願いたい。
 政府は、さきの第四次不況対策とそれに伴う補正予算によって五十年度下期の成長率は対前期比で三・一%になり、それを年度に直せば六・三%の成長が達成されると公約し、設備の稼働率もこの二月には九〇%にまで回復するものと見通しを発表いたしておるのであります。しかし、実際はどうでありましょうか。たとえば企業倒産は十二月で千四百三十九件で戦後最高、失業者は約百万を突破、十六年ぶりの高水準である二・一六%の失業率、また設備の稼働率は十月の八三・五%という低いものであります。その後は鉱工業生産指数が前月比一・一%、前年同月比で二・一%とそれぞれマイナスを示しているのがいまの現状であります。低下の方向を示しております。こうした実情の中で三木総理は、公約された下期三・一%の成長、稼働率九〇%の実現に確信を持っておられますか、明確な答弁をお願いいたします。
 次に指摘したいのは、政府の明年度予算案によるならば、所得税は実質増税となり、これまで非課税であった約三百二十万人が新しく課税対象となるほか、年金、自動車税の増税、健保の負担増、各種公共料金の引き上げなど、一般国民はいよいよ重い負担を強いられ、生活の困窮の度を加えることになり、なお、社会保障給付の増は軽視せられ、しかも、物価は八%という大幅な上昇が予定されるに至っております。まさに勤労国民を犠牲にしてはばからない予算であります。また、経済運営全体を見ますと、新幹線、本四架橋、産業道路など大型プロジェクトの推進によって景気回復を図らんとしておりますが、住宅建設や下水道、生活関連公共事業が控え目にとどまっております。一方においては国民負担増と百兆三千億に達する公債発行とをあわせ考えるとき、いかに弁明しようとも、依然として財界、産業界に向けた予算案であると言うべきでありましょう。総理、大蔵大臣は、これにどうお答えになりますか。
 第三は、国民所得の五割以上を占める個人消費需要の正常な回復を図るため、少なくとも一兆円以上の大幅減税を行うべきと思うが、政府の見解をお伺いいたします。
 第四は、地価の強力な抑制措置を講じつつ、住宅建設や生活環境整備事業を画期的に拡大し、国民の要請にこたえると同時に、福祉型景気浮揚の本格的な目玉政策に位置づけるべきだと思うが、副総理の見解をお願いいたします。
 第五は、増大する財政需要を賄うため、政府は大衆負担増と近く付加価値税の創設を意図しておるようでありますが、付加価値税がどのような形で実施されても、消費者物価の引き上げ、中小商工業者へのしわ寄せ、そして税務当局による監視体制の強化になることは確実であり、われわれは断固反対するものであります。問題は、インフレによる資産の水ぶくれ的な利益を得ている資産家に対しいまこそ富裕税を新設して、少なくとも年に一兆円を超える税の増収を図ることが社会的公正の観点からも急ぐべき課題であると私は思います。大蔵大臣、いかがですか。また、政府は明年度より会社臨時特別税の廃止に踏み切ったのでありますが、これを廃止した理由は何か、この二点について総理、大蔵大臣から答弁を求めます。
 次に、福祉政策についてお伺いいたします。
 さきに指摘いたしました、政府は四次にわたる不況対策を講じたにもかかわらず、いまだに景気の浮揚はおろか、ますます不況は深刻な方向にあります。その中でも雇用不安は急を要するにもかかわらず、一方においてはいまなお福祉部門の人員不足が大きな問題となっております。福祉国家の建設を目的とする社会での雇用政策は、このような就業構造の改革に着手しなければなりません。私はこの見地から、労使及び学識経験者による産業就業構造転換計画推進会議の設置並びに福祉部門の人材確保法として社会福祉事業従事者の待遇改善特別措置法の制定、これを提唱いたしますが、政府のこれに対しての見解をお伺いいたします。
 また、当面緊急の対策として雇用保険の失業給付日数の大幅延長並びに雇用調整給付金の対象業種の拡大及び支給限度日数がただいま七十五日でございますが、少なくとも二倍に改めること、政府はこれにこたえる用意があるかどうか、見解をお願いいたします。
 次に、私は中小企業問題について二点ほど簡単にお伺いいたします。
 今日の不況下にあってその犠牲をだれよりも強いられているのは中小企業であり、その中で働く人たちであります。これに対して金融面では若干対策が行われておりますけれども、いま一番中小企業が困っておる問題は、不況が長引けば、大企業の経営が困難を生じますと、もはや道義もわきまえず、金にさえなればと大企業の人たちが他人の死活など考えず、金と力に物を言わせて、本来中小企業の分野であるべき業種に食い込んでいることであります。これに対して中小企業者及びその従業員の生活権を保護し共同社会のルールを確立するために、この際、官公需の拡大と中小企業産業分野の確保法の制定に最大の努力を傾けるべきだと思います。この問題は政府・与党の態度にかかっております。総裁としての総理としての、あるいは担当大臣のこれに対する答弁を求めます。
 次に、公共企業体スト権問題についてお伺いいたします。
 この問題は今日差し迫った政治的な課題となっております。昨年末これが回復のため公労協の違法な長期ゼネストが決行されましたが、イエスかノーかという力の圧力はまさに法律を無視した行動であり、断じて許すことではありません。多くの国民の批判にこたえて政府はその圧力に屈しなかったことに対して私は評価いたします。しかし、それでいつまでも放置していいということではないのであります。わが民社党は、議会制民主主義にのっとり昭和三十八年以来、電力・石炭労働者のスト規制法に対して毎年撤廃の改正案を国会に提出し、強く政府にその要請を続けてまいりました。これはわが民社党のみであります。たとえ悪法であっても、法治国家の国民として法律を守り、公益性の観点から社会的責任を考え、自重してきた電力労働者を自民党政府は今日まで放置してきたのであります。この問題に対して……
#22
○議長(河野謙三君) 向井君、向井君、時間が経過いたしました。簡単に願います。
#23
○向井長年君(続) この問題に対してどう処置されるか。そしてまた公企体の労働者スト権に対しましても、わが民社党はいち早く具体案を作成し、公企体の業務の性格から国民生活にかかわる公共性と調和を図るため、条件つきスト権付与の具体案を公表したのであります。政府はこの問題について今後どう解決しようとするか、この国会にこの問題の解決をする意思があるかどうか、政府にお聞きします。
 最後に私は、各党から提示されました参議院定数問題について(発言する者あり)−皆さん方の問題だ、黙って聞きなさい。さきの国会において公選法改正に伴い、人口増による衆議院選挙区の定数が、分割を含めて定数是正が行われました。この法案議了の際、参議院定数是正も緊急の課題として、これが是正のため附帯決議がつけられたのであります。昨年、本院の公選法審議に当たってこの定数是正について、とりわけ地方区の定数是正については緊急の問題としてこれは結論を出さなければならぬ、こういうことで各党とも相談をし、全国区を切り離して、参議院定数是正の問題について、しかもこれは総理、三木総理、簡単な、おざなりの答弁ではいけないのであります。この問題につきましては――ここにおられる各党、自民党から社会党、公明党、共産党、民社党、あるいは二院クラブ、各党も賛成の問題であります。そういう中から……
#24
○議長(河野謙三君) 向井君、向井君。
#25
○向井長年君(続) はい。
#26
○議長(河野謙三君) 結論を出してください。
#27
○向井長年君(続) それでこの問題につきましては、自民党も賛成をしております。三木総理、いま渡しましたように、自民党の安井会長も、地方区定数是正、今国会において、そして来年度これは実施するということで確認をしております。この問題についてあなたの決断が必要でございますから、これについておざなりな答弁ではなく、明確な答弁をお願いいたします。
 時間が参りまして、まことに申しわけありません。外交問題につきましては、他の機会でいたすことといたしまして、私の質問を終わります。どうぞ誠意ある答弁をお願いいたしまして私の質問を終わります。
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(三木武夫君) 向井君にお答えをいたします。
 経済政策に対するいろいろ責任ということをお話しになりました。もちろん経済の動向には国際的要因もありますし、経済、いろいろこう以前からの続きという関係もありますが、一面だけを取り出して論じられない面はあるにしても、私は責任を非常に痛感をしておるわけです。この難局に政権を担当する者として責任を感じて、絶えず反省を加えておるわけでございまして、施政方針演説にも異例と思われる反省の言葉を申し述べたわけでございます。今後国民の期待にこたえて全力を傾けたいと思っております。
 それから解散の問題についてでございますが、向井君御指摘のように、私は国民の審判をいまだ受けてないわけですから、適当な機会に解散を行って国民の審判を受けたいと考えております。
 次に、行政改革についていろいろと向井君お話しになりました。私も同様に考える。これだけの経済的に困難な状態のときに、官庁だけがこういう困難な事態に適応した行政の効率化、合理化をやらぬということでは国民にも相済まぬわけでございますから、今年も国家公務員数の縮減であるとか、行政機構の膨張の抑制であるとか、特殊法人の整理、合理化、行政事務の整理、簡素化等にも努力はしてきたのでありますが、私はこういうことでは足りないと思うのでありまして、今後一層行政の効率化、合理化を徹底をいたしまして、行政コストの節減、国民負担の軽減を図って国民の期待にこたえなければならぬと、そういう決意を固めておる次第でございます。また、公務員が国民全体の奉仕者として、公務員としての意識の徹底を図り、綱紀の粛正を保持せなければならぬことは申すまでもないし、職員の能力、成績に基づいて、適切な運用などにより、今後行政というものに対する姿勢を正してまいりたいと思っております。
 国と地方との行政事務の再配分についても、いろいろと地方制度調査会から答申もいただいておりますが、これはやはり国と地方との行政事務というものはもっと明白に、明確に再配分というものを行って財政の硬直化を是正する必要がある。今後具体的方策というものを進めてまいりたいと思っております。
 それから、私が新聞紙上に行政監察委員会の制度を新設するという提唱をしたということでございましたが、私の提案ではないので、私が依頼をした一つのグループの提案でありますが、やはり一つの研究の課題であると私は考えております。
 それから、予算とか税関係については大蔵大臣からお答えをいたします。
 それから、この雇用のあり方についていろいろとお話がございまして、産業就業構造転換計画推進会議というようなものを設置してはどうかということでございました。これは雇用の問題というものは、これは大問題でございまして、政府としても、総理府に雇用審議会を設置して、実質的に労使の代表者を含めた学識経験者にも参加していただいて、雇用に関する基本的な事項について御審議を願ってきたところでありますが、同審議会でも雇用対策基本計画というものを策定しようということで検討を願っておるわけでございまして、向井君の御提案のような趣旨は、同審議会の適切な運営によって実現できないかと、まあ考えるわけでございます。
 それから、雇用調整給付金の指定業種を拡大したり、現行の支給限度日数を倍にしたりすることはどうかというお話がございましたが、業種の指定については、各業種の実情に応じて新規指定するものはし、指定の延長を行っていきたいということでございますが、今後とも、失業の防止を図る見地からも、各業種の実情を踏まえて適切に対処してまいりたい。現行の支給限度日数については、応急的対策としての本制度の趣旨や雇用保険の失業給付日数との均衡などを考えて、いまこれを直ちに引き上げる考え方は持ってないわけでございます。雇用保険法については、高年齢者など再就職の困難な者に対しては給付の日数を長くするとともに、給付日数の延長制度についても整備、拡充を行ったところでございまして、こういう現行制度の適切な運用によって対処してまいりたいと思っておるわけでございます。予算については、まあ現在の経済諸情勢にかんがみて政府としてはできるだけ最善のものと考えておりますので、どうか今後予算委員会で十分御審議を願いたいと思うわけでございます。
 またスト権ストの問題でございますが、これは向井君の御指摘のように、やはりその法律が気に入らなくても、現行法律がある以上はそれを守るということじゃないと、社会の秩序は維持できないわけでございまして、そういう意味で違法ストという問題、これをめぐって労使関係の悪循環がもう最近数年にわたって続いておる状態、これを断ち切るためには、公労協が現在の法律は守るんだと、こういうことに徹してまいりますならば、この問題の解決というものに対しては非常によい環境が生まれてくると思っておるわけで、公労協がまあ遵法精神に徹するということを願うわけでございます。
 また向井君は条件スト付与の問題、条件づきでストを付与したらいいという御意見でございますが、この二公社五現業というものについては、これはもう中途半端な考え方は私は持たないんです。この際、徹底的にメスを入れたらいい。経営のあり方とか、当事者能力であるとか、また関係法令の改正、こういう点については、ただその場その場で問題を器用に処理していくというんじゃなくして、三公社五現業のあり方に対して根本的な検討を加えて、今日のような状態を再び繰り返すようなことのないようにしたいと思いますので、専門家の意見も十分聞いた上で、多少時間をかけて、腰を落ちつけてこの問題に対する方針を出したいと思っておるわけでございます。
 それから、地方区の定数是正の問題については、やはり選挙区の定数の問題であるとか、選挙制度というものについては参議院の議員の方々全体もこれは最大の関心をお持ちになっておるわけでございますから、どうか各党においてもこの問題は真剣にいろいろお話し合いを願って、でき得べくんば各党の合意ができるということが私は必要である。そういう意味で、どうか各党においてもこの問題を取り上げて、参議院の選挙制度全般の問題としてこの問題を取り上げてお話し合いを願いたいわけでございます。政府は、でき得べくんばそういう各党の合意に基づいて法案を提出することは一番好ましいわけでございますが、しかし、この問題はできるだけ早く解決をいたそうということを政府も申してきておるわけでございますから、政府自体としても十分な検討をいたすことは、これはもう申し上げるまでもないわけでございます。
 他の問題につきましては、関係の各大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申します。
 向井さんは、世界経済が非常な混乱状態である、そういう中においてわが国が不況脱出といってもそう簡単にいかぬのじゃないか、非常にむずかしいと思うが、どういうふうに考えるかというようなお尋ねでございます。確かに御指摘のように、世界経済は非常な混乱しておると、これはもう事実でございます。七〇年代に入りましてから通貨不安、それに刺激されまして通商不安というか、さらにそこへ石油ショックということで、特に昨年、一昨年の世界経済は非常な悪い事態に当面しており、昨年のごときは先進諸国全部がマイナス成長を記録すると、こういうような状態であったわけであります。そういう中において、まあ、一つ一つの国々も努力はしております。おりまするけれども、どうも世界的な広範な協力なしにはこの事態は、一個の国の努力ではこれは解決できない、そういう状態であります。そういう中で、あるいはお話のように六カ国首脳会談が設けられるとか、あるいは国際経済協力会議が開かれるとか、あるいはIMF通貨基金の暫定委員会が開かれますとか、国際協力ということが非常に進んでおるんです。そういうことを背景といたしまして、世界経済は昨年が底である、ことしはかなり明るい展望が期待されるという状態まで来ておるんです。そういう中のわが国の経済の運営でありますので、これ非常に力強い背景を持ったというふうに考えております。ただ、向井さんが御指摘のように、ことし五十年度の下半期の経済活動、これは前の臨時国会において申し上げたところでありますが、第四次不況対策なんかが功を奏しまして、三・一%成長が実現できるのじゃあるまいか、それから製造業稼働率指数なんかも、これも九〇に近接するのじゃあるまいか、こういうことを申し上げたんでありますが、実はまことに申しわけないんでありますが、第四次不況対策の効果浸透というのにかなりのずれがあるわけです。でありますので、三・一%成長、下期における実現、また下期における九〇%製造業稼働率指数、これはなかなか達成できそうもないんです。若干のずれが出てきておると、こういうふうに見ております。ただしかし、事をそういうふうに短期に区切らないで、五十一年度とくるめまして、これからの十五カ月というような展望になりますると、世界経済の好転、それを背景といたしまして輸出がかなり伸びると思っております。それから同時に、政府自体の財政政策、これもかなり多くの貢献をすると、こういうふうに見ておるのでありまして、十五カ月先、つまり五十一年度の末ごろになりますると、稼働率指数は九〇%じゃない、大体九三、四%のところまで上昇し得るのではあるまいか。そういうことになりますれば、これは雇用の情勢も非常に好転してくる、企業の経営につきましてもかなり貢献し得るのではあるまいか、さように考えておる次第でございます。
 それから最後に、春季賃金交渉、それに政府は介入しないと言っておるが、実際には陰に陽に介入しておると思われる、本当に介入の意思なしと明言できるかと、こういうお話でございますが、賃金決定は労使双方の良識ある解決にまちたいと、かように考えておりまして、裏でも表でも、これに政府として介入する考え方は全然ありません。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(大平正芳君) 世界経済とわが国の不況克服との関係につきましては、副総理からお話がございましたので重複を避けたいと思います。したがいまして、具体的な御質問に対しまして逐次お答えいたします。
 第一は、ことしの予算におきまして、公共料金の引き上げを織り込んだことは、国民に不当な犠牲を強いるものではないかという御指摘でございます。公共料金は、私ども、その料金が適正である限り、利用者によって本来負担されるのが適当な成り行きであると考えておりますが、しかし、事情によりまして、財政がこれに対しまして若干関与いたしてまいったことは御指摘のとおりでございますが、できるだけ利用者の負担の原則に立ち返っていただくのが適当であると考えております。その意味におきまして、ことしの予算におきましても、物価政策あるいは公共企業体の運営政策等との関連で、許す限りにおきましては、公共料金の改定を織り込ましていただいたわけでございます。
 次に、自動車関係諸税の増徴についてでございますが、これは御案内のように、二年間の時限立法をもちまして特別の税率が設定されておりましたが、その期限が到来いたしましたわけでございますので、この機会に中央、地方を通ずる財政の事情、資源の節約、あるいは環境の保全等の政策をいろいろ考え、かつ道路財源の充実等も考慮に入れまして、向こう二年間さらにこの特例措置を延長いたしまして、その延長の機会に若干の税率の改正をお願いいたしたわけでございます。自動車関係諸税は、諸外国に比べまして必ずしも高くないばかりか、営業用の車両につきましては非常に著しく低位にありますことは向井さんも御承知のとおりでございますので、この程度の税率の引き上げは御理解いただけると判断いたしたからでございます。
 それから、その次は一兆円減税につきましてのお尋ねでございましたが、これは今朝、二宮先生にお答え申し上げましたように、私どもことしのような財政事情でございますので、本来、増税をお願いすべきところだが増税は思いとどまりますと、しかし、一般的な減税を行えるような状況ではございませんと、また、そういうことを国民にお願いいたしましても、決して無理な注文ではないと判断しておる旨は、けさほど二宮さんにお答えいたしましたとおりでございます。
 次に、付加価値税、富裕税等についてどう考えておるかというお尋ねでございます。今日、七兆円を超える公債に依存しなければならない財政というものは、いつまでもこういう状態ではいけないので、できるだけ早く公債財政から脱却する方途を探求していかなければならぬわけでございまして、新たな税源をどこに求めるかということは、これから政府にとりまして重要な問題になってこようかと思っております。で、ただいままでのところ、政府は税制調査会に対しまして、国民の税負担はどの程度が適当であると判断するかという問題について御検討をお願いいたしたわけでございまして、まだ具体的な税目についての御検討をお願いしたことはないのでございます。将来どういう税目において税源が期待できるかという点につきましては、付加価値税も含めまして御検討いただくことになるのではないかと思いますけれども、まだそういう手続はとっていないのでございます。しかし、この問題は非常に重要な問題でございまして、ひとり税制上の問題ばかりでなく、政治の大きな問題として検討しなけりゃならない問題であると私は考えております。
 富裕税でございますが、これはたびたび本院におきましても御説明申し上げましたとおり、税源の捕捉という意味におきまして、ただいままだ適当な行政能力を持っていない状況でございまするし、また、直ちに現在の上げた収入を課税対象とする、課税標準とするということでなくて、財産課税の性格を持っておるわけでございますので、それの捕捉という点につきましての十分な用意がなければいけないわけでございまして、そういった検討を重ねておるわけでございますけれども、いま直ちにこれを取り上げるというところまではまいっていないととは御理解いただきたいと思います。
 最後に、会社臨時特別税はなぜやめることにしたかということでございますが、これも二宮さんにお答えしたとおりでございまして、二年間の時限立法として、異常な事態に対処いたしましての税金といたしまして、その任務を果たしたわけでございます。この特別措置が予定いたしておりました事情が解消いたしたわけでございますので、立法の趣旨に沿いまして、これを継続しないということは当然の道行きかと考えております。(拍手)
   〔国務大臣河本敏夫君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業対策について御質問がございましたが、現在、政府は中小企業対策といたしまして、まず第一に金融面で十分な配慮を払うこと、それから仕事の量をできるだけたくさん確保するということ、この三つの面から対策を立てております。この仕事の面を確保するという意味から、官公需における中小企業の仕事の量をできるだけ増加させるという意味におきまして、四十八年度は約二七%、それから四十九年度は約三〇%、それから五十年度は三三%を目標といたしまして、本年度の上半期は、すでにこの実績を達成しております。今後は幾らかでもこれを上回りたいということを目標といたしまして努力をいたしておるところでございます。今後も引き続きまして増加をいたしますように一段と努力を続けるつもりでございます。
 それから、次に分野調整についての御質問がございましたが、大企業と中小企業が調和のある発展を続けて行きますために、この分野調整という問題が大きな課題になるわけでございまして、これを立法によって指導して行くか、あるいはまた行政によって指導して行くかという二つの考え方がありますが、立法によってこれを規制しようという場合には、技術の進歩であるとか、あるいは産業の合理化、消費者保護の立場、あるいは立法技術上の問題、こういう問題がありますので、政府といたしましては、これまでも行政指導によりまして大部分の問題を解決してまいりましたし、今後もさらにこの紛争処理の機能を強化いたしますと同時に、紛争の実態を正確にかつ速やかに把握する体制を強化いたしまして、行政指導を中心といたしましてこれに対処してまいりたいと存じておる次第でございます。(拍手)
#32
○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(三木武夫君) 向井君の御質問の中に、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の規制に関する法律についてはどうなっているかという御質問がございまして、お答えをしませんでした。
 労働省内にその検討のための研究会を設けて、いま検討中であります。まだ結論は出ておりませんが、その結論を待って処理してまいりたいと考えておりますので、補足をいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○議長(河野謙三君) 小野明君。
   〔小野明君登壇、拍手〕
#35
○小野明君 私は、日本社会党を代表し、三木総理並びに関係各大臣に対し、若干の質問を行うものであります。
 三木総理、あなたは政治の基調として「対話と協調」を国民に公約をされております。しかしながら、あなたの「対話と協調」というのは果たして本物であったでしょうか。あなたが政権の座につかれて一年二カ月であります。その実績が何よりもうそであったことを証明をいたしております。この一年間、公共料金を強引に引き上げた国会運営を見てください。まさにクリーン三木ではなくて、何でもつり上げるクレーンの三木ではありませんか。(拍手、笑声)強引そのものであります。また、スト権ストの際における急激なタカ派への変身は一体どういうことでありますか。一国の宰相とはそんなものでありましょうか。野党に対しては「対話と協調」でおっかぶせ、党内タカ派に対しては「妥協と譲歩」があなたの本当の姿ではないでしょうか。あなたはいろいろな成果を強調される。まさに巧言であり令色であります。しかし、肝心の日中平和条約はどうなるんでありますか。また、約束をいたしておりました独禁法改正並びに参議院の定数改正はどういたしますか。先ほどの御答弁では、一体あなた自身の決意というものはどうなっておるか、全然不明であります。あなたはさらに憲法改悪を許容しております。靖国神社参拝を初めておやりになりました。アメリカに行っては、朝鮮半島の分割を固定化、緊張を激化させる声明を発表する等、多くのことを手にかけられております。しかし、これでは支持率が急速に半分以下になるのも当然と言うべきでありましょう。また総理は日本型福祉社会を提唱しておられます。それは一体どんなものでありますか。その姿がわれわれの頭には一向に描かれません。具体的に財政あるいは経済演説に総理の構想としたものはあらわれておらなければなりませんが、一向に整合性はございません。いわゆるあなたの日本型福祉社会というのは、羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいの施政方針ではないでしょうか。
 次に、今回の政務次官人事における失態は何ですか。沖繩県民、国民を愚弄していると言われてもいたし方のない結末ではなかったでしょうか。一言弁明あってしかるべきと考えます。
 総理、ことしは言われるように内外ともに重大な年、そして重大な国会であります。この国会に当たって、「対話と協調」を掲げられるあなたが、再び公共料金、財政特例法等重要法案の審議に当たって一体いかなる方針で臨まれるのか。解散、総選挙を背景にタカ派三木をむき出しにされるのかどうか。二十一世紀の云々という大ぶろしきは別として、この国会に臨む自民党総裁としての態度を明らかにしていただきたいのであります。
 以下、具体的に質問を進めてまいります。
 まず、教育について総理並びに文部大臣にお尋ねをいたしたい。その第一は、わが国の学校教育に影響を及ぼしておる学歴主義の是正についてであります。わが国の学校教育の荒廃は各方面から指摘をされております。競争第一主義の中で、級友が病気で休めば順位が一つ上がると内心ほくそ笑む子供、朝五時ごろから予備校の前に列をつくる姿、睡眠時間を切り詰め、半病人といった健康状態になるまで受験勉強に励んでいる状況、また、一方では授業について行けない子供が小学校低学年で三割、上学年で五割、中学校で七割、いわゆる七、五、三教育とも、新幹線教育とも言われている現実があります。この姿は子供の目にはまさに異常としか映らないでありましょう。このような危機的な状況を認識されてのことと思いますが、総理も施政方針演説の中で、競争第一主義、入試第一主義を排することを述べておられます。また、文部大臣は、かねてから四頭立ての馬車と称して共通学力テストの実施、入試の改善、あるいは教育課程の改善等を提唱されております。しかし、これらの考え方についてはいま一歩具体的な施策を明らかにし、実施に移さなければ、絵にかいたもちとなるのではないでしょうか。たとえば「教育課程の改善」は、現在の受験体制の中で精選をいたしましても、塾やあるいは予備校での受験勉強がエスカレートしかねない心配もあります。また、「共通テスト」も大学の言う入試事務の簡素化には役立つといたしましても、運用次第では受験生に二重の負担を課すことになりかねません。これらの問題は、学歴が士農工商にかわる新たな身分制度と化しているわが国の社会構造と基本的にかかわっております。そこにメスを入れない限り解決は不可能であると考えます。そこで、この問題を解決するためには、単なる対症療法ではなくて、第一に学歴偏重の価値観の転換に取り組むこと、第二は全国一律の学級編制基準を抜本的に改正をする。小、中、高校教育の充実を図ってまいる。第三には官庁、企業等における採用、昇進、給与体系等を再検討すること。第四は高校、大学の学校間格差解消にいま一歩強力な施策を進めること等が考えられます。学歴偏重の社会を是正し、教育の正常化を図るための具体的な対策について、総理及び文部大臣の見解を伺います。
 第二は、いわゆる主任制度についてお伺いをいたしたい。申すまでもなく、教育は一国の将来、また国民一人一人の未来に係る最も重要な事柄であります。したがって、教育に関する制度の創設や改廃というものは、他の制度の場合以上に、子供の教育をどう保障するかの立場から慎重な手続を経、関係者の十分な理解のもと、さらには子供の教育に与える影響について十分な検討を経た上で行うべきであります。しかるに今日の制度化は、教育の立場からではなく、いわば人確法の総仕上げという観点から発想されており、おまけにその手続は拙速であり、不備である。ために国民、教育関係者の反対も強く、教育現場に与える悪影響を危惧する声が広く起こっているのであります。総理が施政方針で述べておられるように、教育を真に重視をしておられるならば、このような拙速による主任の制度化はとれなかったはずであり、総理の基本方針と矛盾する措置であったと言わなければなりません。総理の本音は、国民すべての教育を重視することよりも、自民党に都合のよい教育の改造と言われてもやむを得ないのではないですか。そこで、改めて総理の教育に対する基本的な考え方、主任の制度化を急いだ理由を国民に納得のいく説明をされたいと存じます。
 次に、総理並びに永井文部大臣は、教育を政争の外に置くとの基本方針を打ち出しております。国民やわれわれはこれに、大きな期待とは言い得ないのでありますが、淡い期待を持ったと思うのです。ところが、今回の制度化はまさにそれとは逆に、教育を政争のど真ん中に持ち込み、あえて教育界を混乱させるものと言わなければなりません。総理及び文部大臣は、単なる人気取りでこのような方針を打ち出したのであるか、あるいは今回の制度化の措置によってこの方針を放棄したものであるかどうか。もし現在でもこの方針が生きておると強弁されるならば、主任の制度化がこの方針と矛盾しないという理由を説明いただきたい。
 次に永井文部大臣、あなたは主任の制度化に当たって、主任は上司として職務命令は出せない、教育に関する指導助言と連絡調整に当たるということを国会において述べておられます。しかし、主任が制度化され、手当が支給されることになるとすれば、わが国の現在の社会組織を見てみますときに、あるいはこの社会風土と相まって、主任が中間管理職化し、校長、教頭への出世の一段階になるおそれが強いこと、これは日の目を見るよりも明らかではないでしょうか。主任の制度化に関する文部次官通達が、主任を上司と解釈できる余地を残しているところにも、この点想像にかたくないところであります。校長、教頭の権限強化と教育委員会への従属化、さらには勤評の実施等によって、自由な雰囲気が阻害されつつある教育現場が、主任の中間管理職化によって一層暗くなり、教職員の自主性、創造性が損なわれることを心から憂慮するものであります。もし、このことによって子供に深刻な悪影響を与える事態が起こった場合、文部大臣は一体いかなる責任をおとりになるんでしょう。また、文部大臣は助け合い教育を提唱しておられます。そのためには、まず第一になすべきことは、教職員相互間の協力、助け合いこそ必要ではないでしょうか。しかるに、主任の制度化は教職員間に対立と不信をもたらすものであります。大臣のこの方針と相反する措置と言わなければならないと思います。文部大臣は口できれいごとを言うだけではなくて、助け合い教育ができるような条件の整備こそ必要ではないんですか、大臣の御見解を伺います。
 最後に、教育界の混乱を避け、子供の教育を第一に考える立場から、従来の行きがかりを捨て、国民と教育関係者の合意を得るまで主任の制度化をひとまず中止することが文部大臣の従来からの発言の一貫性を保つゆえんではありませんか。(拍手)この際大臣は、職を賭しても主任の制度化を中止するお考えはないのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
 第三に、障害児教育の問題であります。障害児教育の重要性は今日論をまちません。幸いに養護学校の義務化が五十四年度から実施されることに相なりました。しかし、障害児教育の重要性にかんがみ、幼稚部、高等部の義務化を早急に打ち出し、これらの施設費についても国庫補助を行うべきであると思いますが、いかがでしょう。
 次に、障害児教育の全面義務化に伴い、重症心身障害児も教育の当然対象となりますが、この問題は、教師、医師、訓練、そして心理学者、施設の職員等の協力による一体となった措置によって初めて就学権、生活権が保障されてまいるのであります。文部大臣は、これらの不自由な子供たちの立場に立って、臨床及び教育における有機的な指導をどのように保障し、実施するおつもりであるのか、御見解を伺います。
 第四に、コンピューターによる教育情報システムについて伺います。栃木県教育委員会が昨年四月からコンピューターを活用しての教育情報システムを実施したと朝日新聞が報じております。もし、教師や児童生徒たちの個人情報も入力されるということになると、これは個人のプライバシーに対する大きな脅威となることは必定であります。個人の尊厳と人格の自律を破壊するおそれがあると考えます。教育診断が目的と称してコンピューターの記録が一生ついて回る。子供の将来を規定する危険性が感ぜられるところであります。そしてまた、学校は徹底した人間淘汰の機関となりかねないと思います。今後、この問題は全国的に波及するおそれがあります。文部大臣は、主任制度云々をおやりになる前に、こういった大事な教育におけるプライバシーの侵害について、コンピューター活用の教育情報システムのあり方について根本的に再検討するおつもりはないのであるか、お伺いをいたします。
 次に、財政の問題について総理、副総理、大蔵大臣にお伺いをいたします。
 端的にお尋ねをいたします。借金財政は一体いつ終わりになるんでしょう。これは個人の家計でも同様でありますが、きわめて重大な問題であります。赤字財政というのは一体五十二年で終わるんでありますか、五十五年でありますか、もっとずうっと続くんでありますか、お答えをいただきたい。
 また、福田副総理は、五十一年度を日本経済の三カ年の調整期間の総仕上げ、こう言われております。仕上げの年が借金の一番大きい年である。すなわち、公債依存度を二九・九%としてしまったこととどう結びつくのであるのか。財政が最も悪い、最悪の事態に向かった年を仕上げの年という日本語は、一体何を意味するのでありますか、お尋ねをいたします。
 また、借金財政の打開の方策として、政府は当面、選択的増税と各種公共料金の値上げ、社会保険料負担の引き上げ、福祉の切り下げを打ち出し、長期的構想としては、一般的消費税としての付加価値税の導入を企図しておることがきのう、きょうの答弁によって明白であります。しかし、西欧のように一定の成熟した段階に達した後ならば、福祉の停滞あるいは付加価値税の導入ということもあるいは許されるかもしれぬ。しかし、日本の現状のように、年金水準がわずか一万三千五百円である。子供のお年玉程度。日本経済の到達している水準から比較をいたしまして極端に低く、しかも、産業も二重構造が依然として解消していない、こういう時期に付加価値税を実施するならば、必ずや大衆課税、そうして物価騰貴につながる。こういう状況のもとにおいては、福祉切り捨て、付加価値税導入といった財政再建策は根本的に誤っていると言わなければなりません。付加価値税の導入あるいは福祉の後退は、少なくとも福祉の水準が先進国の段階になる以前は手をつけるべきでないと思いますが、いかがですか。
 それでは借金財政を脱却する方途いかん、こういうふうに相なろうと思いますが、私は、まず従来の財政金融の構造を転換する必要があると存じます。すなわち、四十七年度においては過剰流動性対策を誤っておる、四十九年度におきましては租税収入を過大に見誤った、そして財政危機を招来した大蔵省を改組し、国民の代表によって監視する機関をつくり、そのもとに技術的に予算を編成する予算局に権限を移してはいかがでしょうか。
 第二には、日銀政策委員会にメスを入れ、その権限及び人選を改め、労働者の代表、消費者の代表を参加さして発言力を強めさせてはいかがですか。こうした基盤の根本的改革の上に立って財政政策を財界一辺倒から国民大衆のものへと転換することが長い目で見て財政危機を突破する方向になるのではないでしょうか。総理大臣、経済企画庁長官、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 次に、経済政策、経済見通しについてお伺いをいたしたい。
 副総理は景気刺激のための減税はとらないと答弁をされておられます。これでは一億総貧乏政策ではないですか。現にアメリカでは大衆減税によって景気対策に成功を見つつあるではないですか。もともと、言うまでもなく、経済は国民生活に奉仕するものという理念を失っておられるのではないでしょうか。
 また、経済見通しの中で雇用者所得の数字をお示しになっていない。この理由を伺いたい。この数字は所得税推計には必ず使われるものであることは周知のとおりである。たまたま日経連が春の賃上げはゼロから一けたであると、これを発表しておる。こういうことから、その圧力に屈してこの重大な数字を落としたんではないですか。
 次に、公共事業について伺いたい。
 政府のこれまでの公共事業予算の内容を見ますと、厳密な区分はもちろん困難でありますけれども、道路、港湾といった産業関連事業費と、住宅、下水道といった生活関連事業費との割合はほぼ七〇対九で産業が圧倒的に多い。政府が高度成長政策への復帰を考えないと言うのなら、この比率を根本的に改めることが必要だと思います。今回の五十一年度予算における産業関連と生活関連との比率はどうなっておりますか。また、この数字と低成長経済への転換というのは、どういう関係になっておるのか御説明をいただきたい。
 次に、住宅問題について伺います。日本の住宅難世帯は、昭和四十八年度で二百四十七万世帯、意識の上で住宅困窮を感じている世帯数は実に一千三万戸に及んでおります。三木内閣は発足後一体この住宅難世帯をどれだけ解消したのか、第二次五カ年計画の達成状況とあわせて御説明をいただきたい。また五十一年度予算に伴い第三次住宅五カ年計画が決定されておりますが、との計画によって住宅難世帯はどの程度解消されるのか。なお、第三次計画では、従来のとおり公的資金と民間資金との比率は四〇%対六〇%で、民間依存の傾向となっております。これで果たして計画の達成ができるとお考えになっておられるのかどうか。
 第三の問題は、肝心の国民の取得能力であります。昭和三十年から十七年、四十七年まで取得費用は十七倍であるのに対し、勤労者所得は五倍という数字を示しております。四十八年以降の建築費上昇分と、不況による所得の停滞を考えますと、政府の第三次計画は全く実態に即していない、同様の過ちを繰り返すものと考えられますが、いかがでありますか。
 次に、最後の問題として地価対策であります。今回の新しい国土利用計画における宅地対策はどうなっておりますか。地価鎮静の趣旨が貫かれておるのかどうか、お尋ねをいたしておきます。
 次に、部落問題について総理並びに総理府総務長官の御見解をいただきたい。
 言うまでもなく、部落解放の課題は、日本の民主主義の実現と、憲法でうたわれた基本的人権に関する問題であります。人間の自由と平等の内容を問う重大な問題であります。一九六五年に提出された同対審答申はこのことを明確にしたものである。その後この答申を受けて制定された十年の時限立法である同和対策事業特別措置法は、部落の完全解放を果たす責務が国並びに地方自治体にある、まさに国民の課題であることを法的に明確にしたものであります。しかし、こうした理念や思想及び法的な根拠に基づいた部落大衆の正当かつ切実な、さまざまな要求があるにもかかわらず、結婚や就職、あるいは教育を初めとする差別事件は、日常一向に減っておりません。むしろ巧妙、悪質化いたしております。昨年発生した同和地区名鑑なる差別文書発行問題などその典型であります。この措置は一体どう相なっておりますか。
 また、狭山高裁判決に見られたように、有罪を前提とする予断と偏見に基づき、必要不可欠な証人調べ請求を却下するなどの誤りを犯し、適正手続を保障した憲法三十一条に違反するものとなっております。きわめて反動的な傾向さえも露骨と相なっております。とのような理念と現実のギャップをどう見るのか、改めて部落の完全解放を実現すべく、政府の態度を再度承りたいと存じます。
 また、特別措置法については国の補助は三分の二でありますが、実際は三分の一程度で、事業によっては十分の一にも満たないものさえあるくらいであります。そこで、現在政府が実施しておる全国同和対策長期計画について、これまでの実績を総点検し、残された三年間でおくれをどう取り戻すのか、その方針を明確にしていただきたいのであります。
 以上で私の質問を終わりますが、「対話と協調」、見せかけの姿勢ではなくて真の姿、真の答弁をひとつ率直に三木さん出していただきたいと要請をいたしまして質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(三木武夫君) 小野君にお答えをいたします。
 第一問は、私の「対話と協調」は本物かということですけれども、これはもう本物も本物、これは私の議会政治家としての信念でありますから、これは本物であることに間違いはないわけです。大体議会政治は、少数者の意見をよく聞いて、それで最後は多数決によって賛否を表決によって決める、これがやっぱり議会政治の仕組みであります。それをこうつないでおるものは対話と協調なんですね。その潤滑油がないと議会政治は有効に機能を発揮できない。だから、「対話と協調」というこの一つの基本的な姿勢を議会政治家は崩してはいけないということが私の信念であります。ただ、まあいろいろと例をお挙げになりましたけれども、日中の平和友好条約とか、靖国神社参拝問題とか、アメリカに行って朝鮮半島の現状は維持した方がいいということをとらえていろいろお話になりましたが、これは何も私の政治姿勢というものが、自分の信念に反したことをしておるわけではないわけです。日中の平和友好条約、私は一日も早くこれを結びたいと、これは皆さんと変わらない。しかし、これは両国民が納得のできるような形で永遠の日中の友好関係を築きたいというんですから、そういうことで熱心に中国側と外交交渉を続けておるわけであります。靖国神社参拝、終戦後三十年、一つの歴史のけじめで、私が一私人として靖国神社を参拝するということは何にも私の信念に反することではないわけであります。また、アメリカに参って朝鮮半島の現状を維持することが必要であると言ったということも私のこれは信念です。一つの国際情勢というものは、革命的に変更をいたしますと安定を伴わないです。安定を害する。やっぱりこう徐々に徐々に変えていくことはいいけれども、一遍に現状を革命的に変革することは安定をもたらさない。そういう点で、朝鮮半島の安定のためには現状を、やはり当分現状を維持することはいいと言うのは、私の政治家としての信念から出ておるので、どの一つをとらえても、私が自分の信念にないことを妥協を図っておるのではない。小野君、この点は小野君自身も誤解のないように願いたいわけでございます。
 それから、国会運営についていろいろお話がございました。国会運営について私は野党の皆さんにもお願いしたいのは、対話と協調の姿勢を私は崩しませんよ、貫きますが、しかし、国会というものは会期を持ってるんですから、無制限にいつまでもこう永久にやっておるわけでないんですから、ある会期の間に結末をつけなければならぬわけですからね。だから、審議は尽くして、審議を尽くされれば、やはりこれは賛否を表決によって決めるということじゃなけりゃ決まりはつかないわけですから、どうかことさらに審議を引き延ばさないで、議論するものは議論をやって、議論が済めばこれはもう決着をつけると、こういうふうに国会のルールを、そういうルールを確立していただければ、私の「対話と協調」というものは非常にこう有効に機能してくると考えるわけでありますから、どうか自民党を、自民党だけで採決せんならぬような羽目に落とし込むようなことのないように野党の方々も御協力を願いたいと思うわけでございます。
 それから、私の生涯の福祉計画というものに対していろいろと御批判がございましたが、当面の福祉政策というものは、いろいろ御説明しておるように、政府は相当にこういう窮屈な予算の中においても重点的に扱ったわけですね、当面の福祉政策。しかし、将来のビジョンとしてはどういう社会をこの三木内閣は考えておるかということは国民に示す必要がある。そういうことで、何かこうよその国の模倣でない、日本の風土に適した福祉社会をつくろうと考えてビジョンを描き、これを具体化しようとすることは、何ら、小野君の言うように、三木内閣のほかの政策と矛盾するものではないということを申し上げておきたいのでございます。
 それから、教育の問題については文部大臣からお答えをすると思いますが、どうも小野君は主任制度に対しては大変な誤解があると思いますね。やはり校長や教頭という者は管理、管理ということで忙殺される。管理というものに忙殺されないで、教育の内容を充実する仕事に当たってもらいたいというのがこの今度置こうとする主任なんですね。われわれは、三木内閣は教育というものを権力的に支配しようという考えは全くないですよ。そんな考えない。そういう考えがあったら永井文部大臣なんか私は起用しないんですよ。政党人でない文部大臣を私が起用するゆえんは、やはり教育というものをこれは政治の争いの場に巻き込みたくはないという私の配慮が、こういう文部行政の中に私の考え方というものを生かしたいと思っておるわけですから、したがって、この教育の内容を充実するために、主任制度というもので、そうしてよい日本人、よい世界人をつくり上げてもらいたいという念願以外に何物もないわけ福でございますから、どうかこれをすぐに反対というのでなくして、その誤解を解いて、この主任制度を日本の教育の質的充実のために生かすということについて小野君も御協力を願いたいと思うわけでございます。
 それから、その他の問題は文部大臣からお答えをいたします。
 また、財政の問題については、財政の計画を示せというような意味の御質問ございましたが、五十一年度の予算審議の過程を通じてできるだけ明らかにいたしたいと思うわけでございます。とにかく、特例公債に依存しておるようなことは、これはいつまでも続けていくべきではない、こういうふうに考えておりますから、速やかに特例公債に依存しないような財政にいたしたいと考えております。
 次に、住宅問題についていろいろお話がございました。確かに第二期の五カ年計画というものは、遺憾ながら小野君が御指摘のように、八七%ですか、目的を達してないことは事実でございます。しかし、第三期の五カ年計画では、これから三木内閣は特に住宅というものに対して力を入れていきたいと、そういうことで、その住宅というものもただ戸数が多いというものではなくして、適正な居住の水準というものを維持したい、適正な居住の水準を昭和六十年に実現することを基本にして作成したのが今年の第三期五カ年計画でございます。だから、住宅というものには今後特に三木内閣の施策の中で力を入れていきたいのだということを申し上げると同時に、この土地の問題については、住宅の確保のための地価対策としては国土利用計画法を適確にこれを運用していきたいと、こうなってくれば未利用地の有効な利用を促進することができる、こういうことで国土利用計画法の適切な運用によってその目的を達成したいと考えております。そうして、大都市地域における住宅地の供給の促進策を講じて、地価安定の傾向もございますから、国民のために住宅地を確保したいと考えております。
 同和問題については、具体的なことについては自治大臣からお答えをすると思いますが、憲法に保障された基本的な人権にかかわる重要な問題でありますから、政府としては、従来、同和対策事業特別措置法及び同和対策長期計画を基本として同和対策事業の推進を図ってきたわけでございますが、今後とも同和対策審議会の答申を尊重して、国民的な大きな課題であるこの問題の解決のために一層努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
 お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣永井道雄君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(永井道雄君) 小野議員からの御質問は四点にわたっていると思いますので、順次御答弁申し上げる次第でございます。まず第一に、学歴主義社会というものがわが国にあるが、それについて、私が申しているようないわゆる四頭立ての馬車というようなことでは間に合わない状況ではないかということでございますが、私も決してそれが直ちにすべての問題を解決すると考えているわけでもなく、また、さらにこれを強化していかなければならないと理解しているわけでございます。特にそれとの関連におきまして価値観の転換が必要であるというふうに言っておられますが、私も全く同感でございます。単なる構造改革ということだけで問題が変わるのではなく、やはり小中高の段階におきまして連帯あるいは協力というようなことが、単なる観念ではなくて、実践において学ばれていくということが必要であると考え、そうした角度から助け合い教育というようなものをどのように実現すべきかということを、一つの課題として提示したわけでございます。
 そのほかに、またわが国の学校、これは大学に非常にはっきりした格差がございますが、しかしながら、小中高におきまして学級編制基準あるいは教員定数などについてでこぼこがあるという問題がありまして、そうしたことがやはり非常に不利な状況を一部につくっているということは否定できない点でございますので、いまわれわれが考えておりますのは、非常に不利であるようなそうした学級につきまして編制をなるべく早く変えていく。複式学級、特殊学級、小規模学校、養護学校、こうしたところにつきまして、なるべく早くまずこうしたところの落ち込みを救っていく。まあ、こうしたいろいろな角度から学歴主義社会、それから生じる教育のゆがみというものを正していかなければならないと考えている次第でございます。
 次に、主任制度の問題でございますが、この主任制度の問題について、かえって混乱を招くのではないか、もっと話し合いをしてはどうかという御見解と承っております。私は、この主任につきましては、昨年の春先から資料を集めました。そうして昨年の秋から、教育のいろいろの関係方面と文部省が話し合いに入ったわけでございます。しかるに、その話し合いの過程におきまして、大変不幸なことでございますが、実は日本教職員組合とは十月中ごろ話し合いに入りましたけれども、話し合いに入ったそのまさにその時点において、制度化反対、ストライキ断行という方針を打ち出されたわけでございます。で、こうなりますというと、なかなか話し合いはできないということに相なります。そして、御承知のように十二月十日にストライキがございました。しかし、そうした状況におきましても、幸いに日教組御出身の先生方が国会において、衆参両院合わせまして、文教委員会で十九時間にわたって御討議をいただいたことは、きわめて幸いであると考えております。さらに、そうした場以外にも世論調査というようなものもあり、そうしたものを踏まえまして、私どもは省令化に踏み切ったわけでございます。そこで、その後におきましても、なおかつ教育長協議会などにも疑義があり、さらにまた、教育委員長会議の問題でもございましたから、これらのところにおいても討議を続けてきておりますし、また今後も話を進めてまいりたいと思っておりますが、私として特に御理解を願いたいことがございます。
 それは本院においてしばしば与野党の方々から御指摘がございますように、わが国の教育というのは、現状におきまして、私は決していい状況にはないと考えます。それはどういうことであるか、いろいろな問題がありますが、全国世論調査によりますと、これは受験地獄が第一であるということでございます。さて、そういう状況において、先ほど総理は、まあ校長、教頭は管理に忙殺されているから、主任はせめて教育指導をと言われましたけれども、実は私は、校長、教頭にも教育指導というものをやっていただきたいという考えであります。さらに主任が一層そういうことを中心に仕事をしていただく。そういう形でいきませんというと、このむずかしい状況の中で、わが国の受験体制、その激化の中で価値観を転じて新しい教育を展開していくことはできない。したがって、中間管理職というとらえ方は絶対してはいけない、こういう考え方で、私自身の見解を二度にわたって示したばかりでなく、省令、通達も一貫してその考えを示しているわけでございます。先ほど次官通達がそれと異なっている面があるというようなお言葉がございましたけれども、次官通達のどの場所をお示しになるのかわかりませんが、私はこの問題につきましても、追加補足大臣見解におきまして、改めて職務命令を出す上司ではないということを明記いたしておりますので、そうした誤解を生じないものと考えております。
 なお、助け合いと主任というものは矛盾するではないかという御見解でございますが、実は、教育指導というようなものは命令、服従の関係ではございません。これは教育指導と言う場合には、それぞれの先生方の自主性を生かすということでございますから、当然、主任の方と他の先生の方々は相互に対話をするという関係でございますから、したがいまして、そういう意味合いにおいてまさに助け合うと、そういう関係が主任との間に成立をする方向に私は教育を強化していかなければならないと、かように考えている次第でございます。
 さて、第三点は、障害児教育、この問題をどう考えるかということでございますが、私は、当然わが国においてすべての日本人の教育が尊重されなければならない。その中において不幸にして障害児である方々――まず、その私の基本的考えを言えというお言葉でございますが、基本的考え方は、特殊、普通という分け方をして、固定観念を持って、これは障害者というふうに隔離するような方向、そういうことであってはいけないので、まず基本的に人間ということで障害児を含めてすべての児童をとらえる。そうした観点に立ちまして障害児教育というものを強化していきますために、いろいろな角度からの努力が必要でございますが、養護学校の義務化、これを早くしていくということも一つでございますし、また、普通学校における特殊学級を強化していくということもきわめて重要なことであり、この施策を進めていく進め方につきましては多岐にわたる面がございますが、その詳細は省かしていただきたいと考える次第でございます。
 第四点は、栃木県におきまして教育をめぐってコンピューターが使用されているが、これは個人のプライバシーを侵すようなおそれがあるのではないかという問題でございますが、私は、その場合に一番重要なことは、コンピューターを使っていくということは今後の社会における情報の整理上避けがたいことであると思いますし、また、場合によっては非常に有効に用いられると思いますが、何がコンピューターにインプットされるかというところが非常に重要だと考えております。そしてインプットされるものがプライバシーを侵したり、あるいはその人の生涯にわたる不利な記録として残るというようなことがございますならば、これは全く教育の本旨に反することでありますから、そうしたことがあってはならないと考えております。その問題について基本的な検討を行っているかということでございますが、いまこれは私たちもコンピューターをどのように教育の情報に関連して使っていくかということについて検討いたしているところでございまして、その眼目は、先生の御指摘のごとく、プライバシーというふうなものを侵害しない、そうした形でコンピューターを使っていかなければならない、その方法を精細に明確にしていくというところにあるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(福田赳夫君) 第一点は、昭和五十一年度は三カ年の調整期間の総仕上げの年であると言うが、それはどういう意味であるかということと、それから総仕上げにしては財政赤字が多過ぎるじゃないか、それで総仕上げと言えるかと、こういう御趣旨の御質問でございますが、この経済社会のあるべき姿、この望ましい姿というものは、インフレのない成長のある経済社会、そういうふうに考えておるわけです。ところが、石油ショックによりましてわが国の経済社会は非常な深刻な打撃を受けております。つまり、きわめて深刻なスタグフレーションという状態、不況とインフレが同居するという状態に追い込まれたわけです。これを、この事態を克服しなければならぬ。ところが、インフレに対してこれが抑圧の政策をとりますと、それは景気を悪くしがちである。今度は景気政策をとるということになると、これはインフレを誘発しがちである。この両者をともども抑えるということはそう容易なことじゃないんです。しかし、三カ年の日子を使ってこの相矛盾する二つの動きを完全に克服をする、そうしてインフレのない成長を実現をする、これが昭和五十一年度の最大の課題であると、こういうことを申し上げておるわけなんです。ただ、そういう経済の混乱を克服する過程におきまして財政赤字が出た。ですから、経済は大体正常化し得る年に五十一年度はなると思うんですが、財政赤字の方、つまり、この混乱のつめ跡というものは、これはかなりまだ尾を引きそうである。しかし、経済が健全でありますれば、財政の方のこのつめ跡もやがては治癒できると、かように考えております。
 それから第二点は、景気対策として大衆減税をなぜ行わないのかと、こういうお話でございます。この問題に対する考え方の前提といたしまして、大衆の消費が非常に落ち込んでおると、こういうふうな見解に立っておられるようでございまするけれども、実はそういう状態でもないんです。まあ、伸び悩みというか、伸びが鈍化しておるという状態ではある。しかしながら、着実な伸びは示しておるわけでありまして、ことし、五十年度という年度は大変不況色の強い年でございまして、経済成長から言うと実質二%何がしぐらいの成長です。その中で個人消費は実に五%伸びると、こういうような状態であります。私は、今後を展望いたしましても、この伸びの状態というものは続くであろう、またさらに景気が回復する、それからインフレがおさまるというのにつれましてこの状態は改善されるだろうと思います。そういう状態の中で人為的に工夫をして消費を刺激するという考え方は私は妥当でないと、こういうふうに考えておるのであります。とにかく、世の中がさま変わりに変わってきておる。省資源、省エネルギーである。そういう際には政府もそういう考え方で徹しなければなりませんけれども、企業でも家庭でも省資源、省エネルギーという姿勢は非常に大事である。まあ、そういう中でとにかくこの消費を堅実化しよう、生活の合理化を行おうという動きは、これは私はディスカレッジしてはならぬことである、こういうふうに思うのです。そういう際に、景気政策のためです、減税をしてみます、どうかそれだけ物を使ってくださいというような行き方は、これは私はとり得ない考え方である。
 それから財政のそれ自身の立場から言いましても、とにかく七兆三千億円、皆さんに御心配願うような額の多額の公債を発行する。これが完全に消化されませんと、皆さん御心配のようなインフレという問題が起こってくるのです。これは完全消化しなければならぬ。完全消化するにはどうするかと言いますれば、これはやはり国民全部の方々に貯蓄で御協力を願うほかないのです。そういうことを考えましても、この消費という問題と相対立するこの貯蓄、この貯蓄のことを考えまするときに、消費をひとつ奨励いたしましょうという、そういう考え方はとれない。
 また、その財政効果の点から言いましても、仮にここに減税を行わんとすれば、一兆円なら一兆円の財源が要るわけです。しかし、景気対策だというために一兆円の減税を行うというよりは、一兆円の財源があるならば、住宅を建てます、あるいは下水道、上水道の工事をやりますといった方が、これは波及効果がかなり高いものであるということも御了承願いたいし、また同時に、いま当面している問題は何だと言えば、雇用問題です。減税じゃ、減税を受けるその人だけしか好ましい影響はないわけです。ところが、さあ公共土木事業を行いますということになりますれば、多数の者に雇用の機会を与える、こういうことにもなるわけで、あらゆる立場から考えまして、いま人為的に減税を行って消費を刺激するという考え方は、私は妥当でない、かように考えております。
 次に、昭和五十一年度における雇用者所得の見通しいかんと、こういうお尋ねでございます。
 雇用者所得の見通しにつきましては、五十一年度の国民所得の姿を分配面からマクロ的に描く場合の一つの項目といたしまして、役所の中ではこれは計算はしてあります。ところが、これにつきましては、政府が賃金誘導にこれを使うんじゃないかというような御批判もありますので、これは避げた方がいい、そこで誘導というものはしちゃならぬと、こういうふうに考えておるんです。そこで、そういうような誤解を招くこの雇用者所得、この数字は私ども持ってはおります。おりまするけれども、役所はこういうふうに考えるというような公の形でこれを公表する、これは妥当でないと、かように考えております。
 それから、これからの社会はこれは生活中心でなければならぬ、そう政府は言いながら、政府の施策はそうなっておらぬじゃないかと、こういうようなお話でございますが、これはこれからの長期計画、つまり「昭和五十年代前期経済計画概案」をごらん願いたいんです。この概案におきましては百兆円の公共投資を考えておりますが、その配分、これは環境衛生というか、下水道だとか、廃棄物処理でありますとか、上水道、そういうようなものに非常にウエートを置いておるわけであります。この全投資額の配分、いままでの計画で言いますると、これらの環境衛生に対する配分が八・七%です。今度それを一三・六%へ持っていこうと、これは非常に大幅な改善でございます。
 なお、この厚生福祉の施設でありますとか、あるいは教育でありますとか、あるいは農林漁業、これらに対する投資額の配分、これはいままでの計画に比べますとかなりの増額をいたしておるわけであります。反面におきまして、道路というような種類のものに対する投資は、配分率はこれを落とすというようなことを行うわけでございまして、とにかくそういう姿、つまり、これからの経済運営におきましては、これは成長中心から生活中心へという太い線で貫いてまいりたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(大平正芳君) 赤字財政をいつ脱却することになるかという御質問でございました。総理からお話がございましたように、できるだけ早く脱却しなけりゃならぬと。しかしながら、いまの経済回復の足取りから見まして、一両年の間に私どもが完全に特例公債から脱却できるときを迎えることができるかどうかという判断になりますと、私は消極的にならざるを得ないのでございます。しかしながら、五十年代の後半にまで赤字になりまして、依然として特例公債に依存しなければならないような状態であってはならないと考えるのでございます。したがいまして、政府の各種の政策との整合性を勘案しながらいま鋭意試算をいたしておりまして、遠からずお示しをして御検討をいただきたいと考えております。
 第三に、今日の財政危機に臨んで、政府が付加価値税でございますとかを取り上げるとか、あるいは福祉の後退を意味するような公共料金、あるいは社会保険料の改定を考えるというようなことは時期が熟さないではないかという御指摘でございました。付加価値税につきましては、先ほど二宮さん、向井さんにお答えしたとおりでございまして、政府はまだ将来の検討項目とは思いますけれども、まだ税目を指定して具体的な検討に入ったわけではございません。今日日本の税制が直接税に偏重いたしておる構造を持っておりますことは小野さんも御承知のとおりでございまして、今後新しい財源を直接税に求めるべきか、間接税に求めるべきかという問題は確かに大きな課題になるに違いないと思うんでございまして、その場合に付加価値税も一つの検討項目になりかねないものとは思っておりますけれども、まだ政府といたしましてこの税目を取り上げるというようなことを決めておるわけではございません。
 それから、福祉の公共料金でございますとか、社会保険料の改定につきましては、たびたび弁明いたしておるところでございますが、たとえば社会保険料にいたしましても、ことしの予算におきましてスライド的な措置は講じてございますけれども、これはいわば負担の公正を期したまででございまして、小野さんの言われるように福祉の後退であるというきめつけ方に対しましては、私もやや抵抗を覚えるものでございます。
 それから、ここのところ過剰流動性の問題あるいは過大な税の歳入不足を結果いたしました財務行政は大変遺憾であると、したがってこれに対処するに、たとえば予算局の新設あるいは日本銀行政策委員会の改組、そういったことが必要でないかという御指摘でございました。私ども過剰流動性を――四十八年を中心といたしまして多くの過剰流動性を生み出して今日その後遺症を残しましたことにつきましては、財政当局としてもいたく反省をいたしておるところでございますし、私の代になりまして税の過大な見積もりの間違いを犯した。これにつきましても痛いほど責任を感じておるものでございます。しかしながら、こういったことは予算局を新設したから解決できるという性質のものではないのでありまして、予算は、歳出もさることながら、それ以上に歳入あるいは財投あるいは金融政策との一体性を尊重しなければなりませんので、むしろ予算局の新設というようなことは、財政、行政機能を弱めはしないかということを恐れるものでございます。
 日本銀行の政策委員会の改組の問題でございますけれども、今日、日本銀行の政策決定機関としての委員会は、政府と日銀の代表者それから金融と産業に経験と識見を持った者をもって構成をいたしておるわけでございまして、国民の特定の層の利益代表という姿ではなくて、こういう構成をもちまして公正妥当な政策の決定を期待いたしておるわけでございまして、いま小野さんが指摘されたような政策につきまして、この体制でもって対応できないはずはないと私は思っておるわけでございまして、関係者の一段の御精進を期待いたしておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣植木光教君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(植木光教君) 同和問題に対する基本的な姿勢につきましては、小野議員が御指摘になりましたことと全く私も同感でございまして、総理からもお答えがあったとおりでございます。
 そこで、対策事業推進に関してでございますが、同和対策関係予算の編成に当たりましては特に意を用いまして、予算の増大及び国庫補助対象事業の拡大を図ってまいっておりまして、過去七年間一般会計の予算の平均伸び率は約二〇%でございますけれども、同和対策事業予算は平均五三%の伸びを示しているのでございます。
 なお、このほかに一般公共事業といたしまして実施されております公営住宅建設事業、街路事業、農業基盤整備事業等もございまして、これらを含めました過去七年間の総予算額は約二千五百二十八億円となっております。また、補助対象事業も十三事業でございましたのが、昭和五十年度におきましては四十八事業へと拡大をされております。
 実績を総点検しろというお話でございましたが、この点につきましては昭和五十年度におきまして全国同和地区調査を実施したところでございまして、同和対策事業の基礎資料といたしたいと存じております。
 このように積極的に同和事業推進に努力をしてきておりまして、今後生活環境の整備等のいわゆる物的施設面の施策を推進をいたしますほか、人権擁護活動、同和教育、雇用促進等物的施設以外の施策等についても積極的に努力をしてまいる決意でございます。
 それから「人事極秘・特殊部落地名総鑑」という悪質な差別文書が発刊されましたことにつきまして報告をしろということでございますが、これはきわめて重大な事件でございますので、問題が発生をいたしました直後、直ちに総理府総務長官と労働大臣がそれぞれ談話を発表いたしまして、いやしくも同和地区住民の就職の機会の均等、その他さまざまの差別を招来し、助長するようなことがないように、同和問題に対する国民と企業の理解と協力を訴えたことは御承知のとおりでございます。さらに、関係省庁の事務次官の連名による企業団体に対する要請、地方公共団体に対する通達も行いました。
 なお、本件につきましては、法務省人権擁護局において、昨年十一月以降、人権侵犯事件として調査をしておられまして、現在も調査中でございますが、とりあえず十二月末現在において判明をいたしております販売せられました冊子及び未販売の冊子については、購入企業及び発行者からの提出を受けまして、十二月二十五日、法務省及び総理府職員立ち会いのもとに焼却処分を行った次第でございます。
 以上のとおりでございます。(拍手)
#41
○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#42
○国務大臣(三木武夫君) 小野君の御質問の中に、松岡政務次官に(「どこが悪かったかはっきりしてもらおうじゃないか」と呼ぶ者あり)一言触れておられましたので、お答えをいたします。
 松岡君は、小野君の言われるように、沖繩県民を愚弄するというような考え方は絶対にありません。ありません。沖繩というものの置かれておる立場に対して深い同情を持ちさえすれ、愚弄するという考え方は毛頭ないことを本人のために申し上げておきたいのでございます。しかし、松岡君はすでに辞表を出しておりますので、これ以上のことは私は申し上げません。(拍手、「沖特委員会の答弁と違うじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#43
○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。三木内閣総理大臣。
   〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#44
○国務大臣(三木武夫君) 松岡君は、一身上の都合で辞表を提出をしたわけでございます。当然、政務次官というものの任命というものに対しては政府の責任でございます。これはいずれの場合においても、政府は政務次官というものの任命に対しては責任を持つことは当然でございます。しかし松岡君の場合は、先ほど申したように、本人は沖繩に対して深い関心を持っておったことは事実でございまして、政府もまた今後ですね、沖繩に対しては、私は答弁の中でも申したように、海洋博は終わったわけでございますが、あれが沖繩に対するいろいろな公共事業のこれは終わりではなくして、今後とも政府は沖繩の開発というものに対しては積極的に取り組んでまいりたいと思いますから、その点は沖繩の方々に対しても、政府がそういう方針であることはよく御理解を願いたいと思うわけでございます。(「言いわけばかりして」「休憩」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#45
○議長(河野謙三君) 山崎昇君。
   〔山崎昇君登壇、拍手〕
#46
○山崎昇君 私は、日本社会党を代表して、去る一月二十三日行われた政府演説に関連して、当面する政治課題として社会保障、特に老人対策について、未曾有の危機にさらされている地方財政対策について、
   〔議長退席、副議長着席〕
国民の権利として憲法第二十八条に保障されている公務員労働者のストライキ権回復等について、三木総理及び関係大臣に対し若干の質問をいたします。
 深刻な不況とインフレの中で国民は一九七〇年代の後半を迎えたのでありますが、この暗くて長いトンネルの向こうにどのように明るい平野を望むことができるのか、かたずをのんで三木総理の政治姿勢を見守ってきたところであります。施政方針、そして昭和五十一年度予算に示されたものは、増税と公共料金の値上げと低福祉、高負担であり、新年の初夢は無残にも打ち砕かれ、三木総理のもとで、この先さらに不況とインフレのもとに生活をすることは、もはや耐えられないというのが国民の偽らざる心境だと言わねばなりません。あしたに国会解散を口にし、夕べには党内各派の口封じに遭い、総理・総裁としての権威はおろか、ただその日暮らしの政界遊泳に身を任している三木総理に一九七〇年代後半の展望を切り開く力などはありません。
 昨年十二月の新聞報道によれば、三木内閣の支持率は二八%にしかすぎず、就任当時の四五%を一七%も下回り、不支持は三四%で、支持率をはるかに超えています。三木総理は、昭和四十九年九月、三木派研修会で、当時の田中前総理の政治姿勢に関し、「田中首相は国民の支持率がいかに下がっても気にしない。一人になってもやると言っているが、国民の支持を求めない政治姿勢に謙虚さを欠き、国民とともに歩む政治の姿ではない」と痛烈に批判したのであります。田中前内閣にまさるとも劣らない低い支持率の三木内閣の今日の姿を見るとき歴史の皮肉とも思えるのでありますが、「国民とともに歩む政治」を政治的信念にしている三木総理であるなら、この急激な支持率の低下をどう判断されるのか。みずから進退について考えるときと思いますが、所信のほどを聞きたいのであります。
 総理は、施政方針演説の中で社会保障について、「英国型、北欧型でもない日本型福祉政策を目指す」と述べております。言葉としては響きはよいのでありますが、具体的な内容はなく、その実態は低福祉、高負担であり、先進国の福祉水準よりはるかにおくれていることに対する言い逃れとしか国民には聞こえないのであります。
 以下、私は老人問題にしぼって、そのおくれを明らかにし、現状認識と今後の対策について質問いたします。
 まず、社会保障の基本として長期展望について質問いたします。昨年十二月、社会保障制度審議会は、「今後の老齢化社会に対応すべき社会保障の在り方について」という建議書を総理に提出しています。その冒頭で、最近における社会保障の改善は、「多く既存の制度の部分的改善や補正にとどまり、制度全体の根源の洗い直しや各種制度間の不均衡、不公正の調整は行われず、しかも、あるべき社会保障についての長期の展望を欠いたものであった。」と述べるとともに、老齢者扶養の変貌と、今後の経済成長と社会保障、老齢者対策として取り上げるべき諸問題の二本の柱が示されています。低成長の経済下においても社会保障の充実は一層重要かつ緊急の課題であり、長期展望を持つことなしには今後の社会保障の前進はないと思われます。政府はこの建議書に基づく社会保障制度の長期計画を早急に作成する考えがあるのか、また、いつころまでに作成するつもりなのか、所信を聞きたいのであります。
 厚生省人口問題研究所の資料によれば、わが国の人口構造は、二十一世紀初頭には六十五歳以上の人口の割合は一三%であって、オーストリア、スウェーデンの一四%に次いで現在の西欧先進国とほぼ同じ水準になるのであります。また、出生率の低下の影響がようやくそのころにあらわれ、老齢人口と労働力人口との割合は、一対九から一対五にまで老齢化するものと推計されています。今後における老後の生活責任は、私的扶養から公的扶養への依存がますます高まってくるものと思われますが、公的扶養としての老齢年金の財源を負担するものは今日の若年層であり、今後確実に到来する高齢化社会を迎えて老齢年金を充実していくためには、青少年世代と老人世代との社会連帯意識いかんにかかっていると言っても過言ではありません。老人問題、老後問題について国民のコンセンサスを得るためどのような考えを持っているのか、また今後老人と起居をともにする勤労世帯に対しては課税負担の軽減などの措置が必要と思うがどうか。さらに、学校教育、社会教育の場でもこの問題をとらえる必要があると思うが、その政策について見解を聞きます。
 次に、老齢者扶養と密接不可分のものとして居住の問題についてお尋ねいたします。
 わが国の急激な工業化、都市化は都市における人口の過密化、住宅難等をもたらし、老齢者も含めて家庭の雑居ないし別居を余儀なくされております。住宅対策はわが国の戦後諸政策のうち最も立ちおくれております。特に老人住宅対策の一環として老人世帯向け公営住宅の建設が進められておりますが、公営住宅法の規定により単身者の入居は認められていないのでありますが、単身者でも老人世帯向け住宅へ入居できるよう法律改正をすべきだと思いますが、見解を聞きたいのであります。さらに、北欧を中心とする先進国においては、公的に住宅の建設を推進するほか、住宅手当制度を確立して、民間住宅に適正な家賃で入居できるようになっているのでありますが、住宅手当制度を創設する考えはないか、あわせてお答え願いたいのであります。
 次に、高齢者の災害対策と都市環境について質問をいたします。
 高齢者にとって、安らぎと潤いのある、かつまた生きがいを創造できる地域社会をつくることは、高齢者対策の重要な課題と考えます。高齢者の交通事故は六十歳以上の者が全体の二三・一%、火災事故死は三五・七%を占めております。これは現在の都市構造が高齢者にとって交通事故や災害の際における危険度のきわめて高いことを示すものであり、道路、ビル、駅等の公共施設、交通機関等における構造の安全性、安全施設の設置など、高齢者に利用しやすい構造に特段の配慮が痛感されるのであります。現在の都市は、まさしく若者に適応できても、老人にとってはきわめて住みにくいものになりつつあります。住みよい環境の整備、交通安全対策等についてどんな具体的方針を持っておられるのか、所信を伺います。
 次に、老人の生きがい対策について質問いたします。
 世界の主要国における六十五歳以上の老人自殺死亡率調査によれば、わが国は男性の場合第九位、女性の場合第一位となっております。東京都では一日一人以上の老人が自殺をしております。自殺の原因は、病苦、貧困、家庭の不和等々、いろいろ考えられますが、つまるところ、社会面、精神面での孤独感、ひいては生きがいのなさに帰着するものと言えるのであります。老後生活に関する調査によれば、老齢者の半数近くは何の趣味も娯楽もないと言われております。このような状況を見るとき、老人の就業、雇用問題、余暇対策、社会活動への参加は、生きがい対策として重要な意味を持つと思います。もとより、生きがいはみずからのものでもありますが、社会もまた生きがいが得られるような機会や場を提供し、保障し、そのための条件、環境を整備することが大切と思いますが、生きがい対策について政府の所信を伺います。また、欧米先進国には、老人余暇対策の一つとして交通運賃の割引がありますが、身体障害者に対すると同様、老人に対しても国鉄運賃の割引制度を適用すべきだと思いますが、所信を伺います。
 次に、戦後三十年の地方自治の歴史の中で、昭和三十年及び昭和四十年当時をはるかに上回る地方財政危機は、インフレによって学校、保育所など生活環境施設の整備費が増大する一方、不況によって税収が急激に落ち込んだためでありまして、自民党政府の経済政策の失敗と地方財政軽視にあることは明らかであります。昭和五十年度の約二兆円に及ぶ借金に加え、昭和五十一年度においても財源の不足額約二兆六千億円の大部分を借金で埋めようとしております。借金政策によって昭和五十年度末の地方債の残額は二十兆円にも達し、これまでわずかに存在していた地方財政の弾力性も全く失われることになります。国の財政投融資計画が第二の予算と呼ばれておりますが、大幅赤字国債の発行とリンクされ、戦後最高の一一%近い地方債の発行をもって大企業優先の不況対策を実行しようという政府の政策は、いまや地方財政を「第三の予算」と呼ばざるを得ないところ福まで変質させています。
 以下、政府に対し具体的に質問をいたします。
 第一に、わが党は地方財政の危機をかねてから指摘するとともに、この危機の打開をするため、一つ、所得税の地方移譲を図ること。二つ、国、地方の税財源を五対五とすることを基本に、第二地方交付税の創設も含め、地方交付税率を四三%まで引き上げること。三つ、大企業課税の強化を図ること。四つ、国庫補助制度の民主化によって超過負担の解消を図ること。五つ、住民の公共料金負担の増大を抑えるため、地方公営企業の利益主義からの転換を図ること。六つ、自治体の財政自主権を保障すること。七つ、経済変動から住民生活を守るため地方財政安定基金を創設することなど、地方財政七大改革を提案してきたところであります。
 こうしたわが党の積極的な提案を速やかに実施していれば、少なくとも今日の地方財政危機は起こり得なかったと言えるのであり、政府の責任はまことに重大と言わねばなりません。政府は、地方財政の確立を期すわが党の提案に対してどのように考えるのか、見解を聞いておきたいのであります。
 第二は、地方交付税制度のあり方についてであります。国、地方の税財政制度の改革に当たって地方交付税制度のあり方を根本的に改革することは、緊急にして最大の課題と言わなければなりません。今日、自民党政府の高度成長政策による地域経済の不均等発展が過密、過疎を極度に進行させた結果、都道府県、市町村の区別なく、地方交付税に対する依存度を高めております。このことは、昭和四十一年に交付税の不交付団体が百六十団体あったのに、昭和五十年には八十二団体と半減している事実からも十分うかがわれるのであります。また、一方においては、昭和四十二年以降、地域格差是正という静態的財政調整から投資的経費優遇の動態的調整に大きく転換し、国庫補助制度の補完機能を強めております。さらに、いわゆる建設国債の発行による公共事業によって地方自治体の財政負担を増大させておきながら、交付税率を三二%に据え置いている以上、交付税制度が破綻するのはあたりまえであります。自治体の財政需要と交付税総額との間に、昭和五十年度においては一兆一千億円、五十一年度においては一兆八千二百億円もの乖離を生じている以上、交付税率を引き上げるととは当然の措置であると考えますが、政府の見解を伺いたいのであります。
 第三は、地方税制、とりわけ大企業課税のあり方についてであります。福岡県大牟田市は御承知のとおり保守市政でありますが、その大牟田市で、今日の地方財政危機打開のために、大企業に対する電気税の非課税措置を憲法違反として現在裁判に訴えているのでありますが、政府は依然として大企業に対するこうした優遇税制を廃止しようとしないのであります。昭和五十年度政府の見込みにおいても、国税及び地方税による非課税措置によって地方自治体は三千九百八十二億円の減収を余儀なくされているのであり、この際、政府はこうした優遇措置を一切廃止すべきであると思うが、政府の明快な答弁を求めます。(拍手)
 第四は、地方債とインフレの問題についてであります。四兆八千億円に及ぶ大量の地方債の発行は、地方財政の質を悪化させるばかりか、政府資金がわずか一兆四千二百億円と極端に少なく、七〇%を市中金融に依存せざるを得ない実態にあり、現在の金融状況からして、赤字公債に対する日銀の買いオペを促進することになり、インフレを促進することは明らかであります一本来地方債は、住民のための環境施設整備を行うため、住民の判断によって自由かつ適度に発行することが必要であり、政府の財源対策として大量の発行をすることは、まさに政府の経済政策がインフレよりも不況対策を重点としていることの端的なあらわれと言わねばなりません。国民の納得のいく答弁を求めます。
 第五は、赤字団体の再建についてであります。昭和三十年当時と量的にも質的にも様相を異にする今日の地方財政危機を考えるとき、当時制定された地方財政再建特別措置法をそのまま適用することはきわめて不合理であると言わねばなりません。特に標準税収入において、都道府県は五%、市町村では二〇%を超える赤字を出した場合、起債制限が加えられるという措置は、今日の実態からして全く非現実的であり、地方自治体の自主的再建を阻害するものであります。地方自治体の内部努力を評価し、住民自治の立場に立って自主再建を促進するためにも、この際地方財政再建特別措置法を改正すべきであると考えますが、政府の見解を伺います。
 さて私は、地方財政について幾つかの具体的問題点とわが党の政策を述べてまいりましたが、地方財政の質問を終わるに当たって、毎年政府が地方自治体や住民の意向を無視して一方的に策定をする地方財政計画を、住民代表、学識経験者、自治体関係者から成る地方財政策定委員会を設け、民主的な地方財政計画を作成することを提案をしたいと思いますが、政府の見解を承りたいのであります。
 次に、三木総理から、この際地方事務官制度の廃止についての決意を伺いたいと思います。
 一昨年、両院の地方行政委員会において昭和五十一年三月三十一日を目途に地方事務官制度を廃止し、地方公務員とすることの決議が全会一致でなされており、あと二ヵ月で期限の三月三十一日となります。三木総理は、昨年わが党の和田静夫議員の質問に対し、次期国会には改正法案を提案すると答弁しておりますが、関係法律案はいつ国会に提出されるのか、明確な答弁を求めます。
 次に、公務員労働者のストライキ権の回復について総理の所信をただしたいと思います。
 三木総理は、問題処理の原則について、「私は問題をとらえる場合、まず原点に立ち返ってその本質をきわめることにしている。そこに問題に対する解答の示唆を見出すことができる。第三次大戦中のイギリスの宰相チャーチルも、「迷ったときには原理、原則の原点に立ち戻って判断した」と言っている」と述べています。まことに正しい態度であり、私も同感であります。公務員労働者のストライキ権を回復するに当たっては、まさにこの原点と本質に戻って考えなければならないと思います。
 昭和二十一年三月一日、旧労働組合法が施行され、警察、消防職員を除き、すべての公務員にスト権を認め、新憲法第二十八条で国民の権利として保障されるに至ったものであります。昭和二十三年七月二十二日のマッカサー書簡に基づき、政府は昭和二十三年七月三十一日、政令第二百一号を公布して、公務員の一切の争議行為と団体交渉を禁止したことは御承知のとおりであります。昭和三十三年十二月、第四国会において国家公務員法の改正、公労法の制定が行われるに至ったのでありますが、当時の国会議事録によれば、公労法制定の理由として、当時の労働委員長の報告は、本法案により、「労働三法の適用の除外せられる結果となることは必ずしも妥当なりとは言いがたきも、現下の客観情勢上やむを得ざるにつき、総国民の民主的努力によって本法を必要とせざるに至る経済的、社会的状態を一日もすみやかに招来して、しかる上に本法を廃止すべきことが妥当である」と述べています。また、当時三木総理の所属していた国民協同党代表は、「かかる過渡的な、一時的な国辱的法案が撤廃される」ことを切望して本法案に賛成する。また、民主党代表は、「日本経済の再建まで過渡的にこの争議権を禁止することも、やむを得ない非常措置と考えるのであります。私はかような観点からも、善良なる労働者諸君が将来再び争議権を獲得さるる状態に立つことのある日を確信しつつ、本法案に賛成するものであります。」と述べています。このスト権の禁止は、占領状態下における暫定措置であったことは、以上の発言からも理解されるところであります。したがって私は、このスト権の禁止状態は、少なくとも政府の責任で検討され、解消されることが重大な政治課題であったと思います。
 その時期は、第一に、昭和二十六年のサンフランシスコ条約締結のときであったと思います。日本は独立国家となり、平和憲法下の政治に名実ともに復帰する時期であったからであります。超憲法理論の上に組み立てられた公労法等は当然その存在理由が消滅したと判断されるからであります。しかるに、政府は何らの検討も加えず、占領政策をそのまま残しているところに問題があります。さらに、日本経済の復興という三つ目の理由は、昭和三十年の経済白書で、「もはや戦後ではない。日本経済は戦前の水準に回復した」と声高らかに経済発展について宣伝したのは政府自身であったのであります。したがって、一歩下がって考えても、昭和三十年の段階で公労法制定の理由は全くなくなったと判断することが最も率直であり、この問題の原点であり、本質ではないでしょうか。政府の検討もせず放置したその責任は許されない。反省すべきは政府であって、組合を責める資格はないと断ぜざるを得ないのであります。
 第二の時期は、昭和三十九年九月二十九日、臨時行政調査会の答申の出されたときであります。御承知のとおり、この臨時行政調査会は法律によって設置された調査会で、和製フーバー委員会と評価され、百三十八名のスタッフ、二年七カ月の歳月、当時の予算で二億円を費やして行政改革全般について答申が行われたのであります。その内容をこの場で述べることはとうてい不可能でありますが、スト権に関連した部分を述べれば、非現業の公務員については「政府と公務員との間に相互理解と信頼とが確保されなければ、公務の能率向上は期しがたい。ゆえに勤務条件の改善、人事管理の基準等につき、常時意見の交換を行なう慣行を制度化するとともに、原則として労働基本権を認めることとすべきである。」また国鉄、電電公社等の運営については、「(1)経営自主権の確立について 監理委員会または主務大臣が承認または決定する事項のほかは、すべて公社総裁の責任と権限において決定すること。なお、公社役員の責任体制を確立する方途を講ずること。(2)外部資金の調達について 資金予託については、国庫予託のほかに市中予託のみちをひらき、一般公募債の発行および市中金融機関からの資金調達の方途を講ずること。(3)労使関係について 審議会を設けて、労働基本権の拡大を争議権を与える方向で検討し、特に、公社側の当事者能力の確立をはかること。」と答申しています。しかるに、政府はこの答申を無視し、何らの検討も加えずに今日に至っていることは言語道断であって、この点からも組合を責める資格はないと言わねばなりません。
 第三の時期は、昭和四十年八月、ILOドライヤー報告が出されたときであります。このドライヤー報告は、自治労を初めとして多くの組合が人事院勧告の完全実施、処分の撤廃、実損回復等を求めての提訴に応じての調査であって、その報告もまた膨大なものがあります。その要旨を一、二点御説明申し上げれば、一、日本は法律万能主義であって、これが労使間の不信を招いていること。二、一律にスト権を禁止していることは妥当でないこと。三、人事院や人事委員会勧告が完全に実施されていないことは代償機能が機能していないこと。四、処分等の実損回復についてはもっと人間尊重の立場から考えること。五、人事院等の委員任命に当たっては、組合の発言権をもっと認めること等であって、これは国際的常識であります。これらが守られなくて、例年、組合の実力行動が行われ、スト−処分−ストの悪循環が繰り返されたことは御承知のとおりであります。したがって、政府はこのドライヤー報告を真剣に検討し、所要の改善を図ることは国際的義務であったと思います。しかるに、このドライヤー報告についても、政府の都合のよい解釈のみに終始し、何らの考慮も払われなかったのであって、政府の怠慢ここにきわまれりと断ぜざるを得ないのであります。政府は、今日まで積極的な姿勢を示さず、労働組合がストライキを実施して初めてストライキの収拾を理由に検討の約束をしてきたのみであったのであります。私は、以上の経過から見て、スト権の回復の原点は、その存在理由のなくなった公労法等の廃止であると思うのでありますが、総理の所信を承りたいのであります。
 三木総理は、昨年十二月一日、声明なるものを出しましたが、その声明を出す過程に次の欠陥のあることを指摘をいたします。第一は、春闘の際の合意当事者である労働大臣が締め出され、疎外されたこと。第二は、当事者の組合と事前に協議することなく、一方的な声明となり、交渉のルールを破ったこと。第三は、経営責任者であり、労使問題の直接の当事者である三公社総裁の見解が全く無視されたこと。第四は、交渉に当たった日本社会党との約束を破ったこと。第五は、日本における行政、司法官も含め五百名にも上る労働法学者の一致した見解を無視したものであること。第六は、最高裁の判断後でありながら、地方裁判所の判決のほとんどが公労法第十七条は憲法違反と判決していること等であります。これらの点についてどのように考えるのか、総理の見解を聞きたいのであります。
 最後に、三木総理、あなたは施政方針で国会の運営について触れています。憲政の神様と言われた故尾崎行雄先生が「憲政の危機」という中で「元來議會なるものは、言論を戦はし、事實と道理の有無を封照し、正邪曲直の區別を明かにし、以て國家民衆の幅利を計るが爲に開くのである。而して投票の結果が如何に多数でも、邪を韓じて正となし、曲を變じて直と爲す事は出來ない。故に事實と道理の前には、如何なる多数黨と雖も屈服せざるを得ないのが、議會本來の面目であって、議院政治が國家人民の利幅を増進する大根本は、實に此一事にあるのである。然るに」「表決に於て多藪さえ得れば、夫れで満足する傾きがある。即ち議事堂とは」「名ばかりで、實は表決堂である。」と述べられ、鋭く多数決万能に対して指摘しています。議会の子をもって任ずる三木総理は、この言葉の重みを十分かみしめ、与党の総裁として、多数決万能に走らず、真に表決堂から議事堂にするよう強く要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(三木武夫君) 山崎君に対する答弁に先立って、先ほどの政務次官の人事問題について補足をいたしておきたいと思います。
 松岡政務次官の問題については、本人の一身上の問題で辞任をしたものであり、先ほど申し上げましたように、松岡次官は沖繩問題に真剣に取り組んでいこうとしていたものと信じます。しかしながら、この問題で種々の誤解を招いたことは、その任命権者である政府として遺憾であります。今後政府といたしましては、沖繩問題の重要性にかんがみ、沖繩県と沖繩県民のため、一層格別の努力をいたす所存でございます。
 山崎君は、最初に三木内閣に対する国民の厳しい批判にお触れになりましたが、私もいろいろ三木内閣に対して国民の厳しい批判があることは承知いたしております。したがって、そういう声に謙虚に耳を傾けて、この難局を切り抜けるために全力を尽くしてまいりたい、そして国民の期待にこたえたいという決意を新たにいたしておる次第でございます。
 社会保障の問題については、厚生大臣からお答えをいたしますが、公営住宅の問題について、二つの提案を山崎君はなさいました。たとえば老人とか寡婦とかいう単身世帯が公営住宅に住めるようにしたらどうか。もう一つは、入居者の家賃というものが一定の負担割合を超えるような場合には、公的な援助を行ったらどうかという二つの御提案でございます。これは、いままでは公営住宅は二人以上の世帯を対象にしておりましたのですが、最近の住宅事情等は、老人、寡婦の単身世帯が増加の傾向にございますので、何とかそういう人たちも住めるようにならないかという見地から、いま検討をいたしておる次第でございます。また、一定の所得からして、家賃というものに対して公的な扶助を行うということについても、これは実施しておる国もあるわけでございまして、研究をすべき課題であると考えておるわけでございます。しかし、この制度をわが国に導入するに当たっては、なお解決を図るべき重要な問題が多いわけでありますので、そういう点もにらみ合わせながらこの問題は真剣に取り上げてみたいと思っておるわけでございます。
 それから、老人の交通事故とか火災などの災害が非常に多いということ。これは私も新聞紙などを読みながら心を痛めておることでございまして、全体の国民が、老人というものに対してみんなで、その安全というものに対してできるだけ守ろうという意識というものが必要であろうと思います。しかし、高齢者の交通事故などに対しては、やはり歩道橋をつくるとか、立体交差にはスロープなどをつけて、老人が歩きやすいようにするとか、駅の施設とかバスの車両などを老人向けに少し改善をするとか、そういうことを行うことにして、交通事故による老人の被害というものができるだけ少なくなるように配慮をしてまいりたいと思っております。
 それからまた、老人に対して国鉄の優遇措置を講じたらどうかというお話もございましたが、現在老人に対しては、国鉄の内規によって、国鉄の指定を受けた老人の福祉施設で、そこに救護されている者が旅行する場合に限って割引券を発行しておるようです。一人一回に限り、しかし、これを全体として、山崎君の言われるように全体の老人に対して割引をせよということは、国鉄財政の収支の現状にかんがみて、運賃の割引をさらに一般高齢者などに対しても一般に拡大するということはなかなか困難であろうと考えておる次第でございます。
 それから、地方財政のことについては、自治大臣からお答えをいたします。ただ、私に対して地方事務官の問題について御質問がございましたので、お答えをいたしておきます。
 地方事務官の問題については、地方自治法等関係法律の改正の今国会への提出を目途として、現在関係省庁間で調整を行っているところであります。いつまでということを申し上げればいいんですが、まだ政府として日にちを切ることはできませんが、できるだけ早くこの国会に提出をしたいと考えておる次第でございます。
 また、公務員のスト権の問題についてお触れになりまして、歴史的な経過などを山崎君、詳細に述べられたわけであります。私は、物事を原点に返って考えるということは必要だとかねがね考えておるわけですが、しかし、その原点の以後においていろんな現実の事態というものが起こってきておりますので、現実の事態、原点だけですべてを割り切れるということならば簡単ですけれども、労使関係のようなことはその後の歴史の間にいろいろな事実、現実の事態が起こっておりますから、そういうことも考慮しないと、ただいきなり二十二年なら二十二年にさかのぼって考えればいいじゃないかというものでもないわけでありまして、その間、現実の事態ということも考慮しながらこの問題は結論を出さなければならぬと考えておるわけで、今回は根本的に解決をしたいという考え方で、政府も専門家の意見等も徴して、そうしてこの問題に対する最終的な政府の方針を打ち出したいと思っておるわけでございます。
 また、先般十二月一日の政府声明を出す場合に、いろいろとこれについて御批判がございましたけれども、これはわれわれの三木内閣の中における関係閣僚の協議会、これは六回にわたってですか、私も出席をして十分論議したのでありますが、そういう結果を踏まえて閣議決定をして、十二月一日の政府声明が出たわけでございまして、基本方針というものは、従来の約束を山崎君は破ったと言うけれども、私は破ったとは思っていない。従来の約束を破ったということもございませんし、またこの基本方針は、国民的な立場に立って広い視野から検討の上に、労働法学者や三公社の総裁の意見も承知の上で出したものであって、私は妥当な政府の一つの方針であったと考えております。
 それから、国会運営について多数決というものを乱用したりしないで十分議論を尽くすべきである。尾崎咢堂先生の国会における発言なども引用されましたけれども、私はやっぱり議会政治というものは少数者の意見を尊重するということが必要なことは、山崎君の御指摘のとおりでございます。しかし、その少数者の意見は、審議の過程を通じて少数者はいろいろ発言をして、しかも、それに対してできるだけ尊重するという態度は必要ですが、しかし、最後はやはりこの賛否に対して表決で決めるというのが議会政治のルールであります。表決で決めるということがないならば、いろんな法案を出しても、これに対して決着はつかないんであります。だから、最後は賛否を表決によって決めると、これがやっぱり議会政治の原則であります。それに至るまでの過程において少数者の意見というものをできるだけ尊重するという態度が要ることは申すまでもないということでございます。そういうことで、今後は、自民党が多数だからといって、私はその多数を乱用するという考えはありません。やはり国会の正常な運営というものを私は願っておるものですから、できるだけ「対話と協調」という議会政治を円滑に運営さす潤滑油、これがやはり健全に働いて、そうして議会政治というものの健全な運営というものを私は願っておるものでございます。乱用をする考えはないとお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(田中正巳君) わが国の今後の社会構造、年齢構成、その間の負担関係の分析については、山崎議員のおっしゃるとおりだろうと思います。老人人口の増加に伴い、若年世代が老人世代の生活、医療の費用を分担しなければならないことは所説のとおりでありまして、このことなくしてわが国の社会保障の前進はあり得ないと考えております。この分担が税の形式になるか、保険料になるかは別として、このことはやむを得ないことだろうと思います。問題は、それを若い世代の人々に理解させ、協力させる努力を怠ってはならないし、また、できるだけなだらかな姿でこれを増加していかなければならないものだと思います。このことは、わが国の二十五年先の老齢人口をすでに現在人口に包蔵しておる西欧の社会保障費調達の歴史的変遷に照らしても、このような経緯をたどっているわけでありまして、今後、わが国のこの種の問題の進め方に多くの教訓を与えているものというふうに思います。
 次に、社会保障の長期計画についてでございますが、これにつきましては、「昭和五十年代前期経済計画概案」というのがこの間閣議了解されましたが、この中にも社会保障長期計画は早期に策定する旨のことをうたっております。したがいまして、この概案が本案となるのが大体四月ごろの由に承っておりますので、その四月ごろに概案が成案になった場合に、これを踏まえて社会保障の長期計画を策定をいたすべく、今日私の諮問機関である社会保障の長期問題懇談会、長期懇等の意見を聞きつつ、鋭意この策定の作業に努力をいたしている次第であります。(拍手)
   〔国務大臣福田一君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(福田一君) 山崎さんから六項目にわたって御質問がございましたので、以下、順次お答えをさしていただきます。
 まず、社会党の地方財政七大改革内容というものを知っておるかどうか、また、それを適用しておったならばよかったではないかという御質問でありますが、われわれはもちろんこれは了知いたしておるところでありまして、そのうちでも超過負担の解消をしなければいけないとか、大企業の社会的負担の問題等についても考慮すべきだと、こういうことではわれわれは順次やってまいっておるわけでありますけれども、その項目全部を皆意見が一致しておるというわけでもございません。しかし、重大な示唆を含んだ提案ばかりでございますから、今後地方財政の運営に当たっては十分参考にさしていただきたいと思います。
 その次に、交付税率を引き上げて、そして地方財政を強化すべきではないかと、こういうお言葉でございます。まあ、この税率の問題につきましては、二年赤字が続きますというと、どうしても三年目からはこれはもう変えなければならないことは法律で決まっておりますから、やはり今年末においてはこういう問題を真剣に考えなければならないと思いますが、ことしは御案内のように不足額が大体二兆六千二百億円でございますけれども、そのうちの一兆三千七百億円は、これはこの臨時特例交付金で、また政府資金を地方交付税会計が借り入れましてそうしてこれを地方に配る、残りの一兆二千五百億円はこれは地方債によると、こういうことにいたしまして、大体二十五兆二千億円余必要――ことしは二十一兆五千億円であったのでありますが、二十五兆二千億円余の地方財政計画というものをただいま策定をいたしておりまして、これによって一応地方が必要とするところの歳入は確保ができるものと考えておるところでございます。こういうわけでございまして、今年末においてまた景気の浮揚の問題等もにらみ合わせながら十分考慮をいたさなければならないかと存じておるところでございます。
 それからその次は、大企業に対する措置について、特に電気税の問題で言及されたのでありますが、御案内のように五十年には二十八品目を、またことし五十一年には八品目を非課税措置にすることにいたしたわけであります。しかし、これで決して十分とは申しません。今後もこの問題については大いにこの方策を進めてまいる必要があると私は考えておるところでございます。
 その次の問題は、地方債の増発をやるというと、それがインフレに通ずるではないかというお話でございますが、実はもうこれは山崎さんも御承知だと思うのでありますけれども、地方債はいま担保適格債になっておらないわけでございます。そこで、地方債を引き受けますと、地方銀行はその資金がどうしても固定をいたす傾向があるのでありまして、その分が中小企業に悪い影響を与える、金融に悪い影響を与えることがございます。これらの点を十分勘案していかなければならないと思うのでございます。
 次に、地方財政再建促進特別措置法というものはもう時代のあれに合っておらないからひとつやめてはどうかと、また改めてはどうかと、こういうことでございますが、これはもう昭和三十九年に赤字団体がふえましたのでこういう法律をつくったのですけれども、この法律は、結局赤字団体が議会の議決を経て、そうして財政計画を立てまして赤字の解消を図るというものでございまして、私は現在においてこれは有効に働いておると思っておるのであります。先般ニューヨークがああいう財政危機に陥りましたときにも、日本のような地方財政再建促進特別措置法のようなものがあったらいいんだがということを向こうの有識者が言っておったこともあるわけでございまして、私はこれは非常に価値があると思っておるわけであります。
 その次に、地方財政計画を民主的に作成するためには地方財政計画策定委員会、こういうものをつくってはどうか、こういうお話でございます。一つの考え方とは思いますけれども、しかし、今日われわれが地方財政計画をつくります場合においては、標準的な水準にありますところの地方財政の収入支出の均衡的な資料を基礎といたしまして、そうして地方財政計画をつくっておるのでございまして、ただいまのところ、そのような委員会をつくる意図を持っておらないということを申し述べさしていただきます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質疑は、老人を扶養する世帯に対しまして税の負担を軽減する道はないかという趣旨の御質問でございました。
 御案内のように、今日の制度といたしましては、七十歳以上の老人を扶養する世帯に対しまして、一般の扶養控除にかえまして老人扶養控除制度がございます。一般が二十六万円でございますけれども、老人の場合には三十二万円の扶養控除を認めてこれに対応いたしておるわけでございます。さらにこれを拡充するということについては、なお検討さしていただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#51
○副議長(前田佳都男君) 下村泰君。
   〔下村泰君登壇、拍手〕
#52
○下村泰君 私は、第二院クラブを代表いたしまして、政府の施政方針演説に対し、関係閣僚に若干の質問を行いたいと思います。山ほどありますが、私は、主として三木内閣の政治姿勢並びに福祉政策の二点にしぼって質問を進めてまいりたいと思います。
 総理は、施政方針演説の中で、国民の政治不信を解消することが緊急課題の一つであることを強調され、政治浄化と近代化、そうして社会的公正の確立をうたわれ、えりを正して国民の批判にこたえなければならないと言っておられます。私もそのとおりであると確信いたします。しかし、演説の中の言葉はりっぱであっても、現実の政策は果たしてその方針を満たしているでありましょうか。私は、そのりっぱな方針は生かされていないと考えるのであります。
 政治浄化を叫ぶ総理の声とはうらはらに、今年度の予算案を見てまいりますと、議員の文書通信交通費の増額十八億四千五百四十万円が目に入ってくるのであります。現在、大多数の国民は、すでに値上げされた公共料金並びにこれから値上げされる公共料金、それによって生ずる競合諸物価の値上げによってますます生活危機に追いやられようとしております。最近の新聞によれば、来年度のべースアップに対する日経連の態度は、ゼロまたは一けたという厳しい姿勢を打ち出しているのは御存じでありましょう。片や大幅な値上げ、そして片やさびしいべースアップといった板ばさみの中で、国民は一体どうやって生活していけと三木総理はおっしゃるのでしょうか。こうした身を切るつらさの中で何とか生活をしていかなければならないと歯を食いしばっている国民の悲痛な決心をよそに、議員のみがお手盛りで税金から補てんする予算に組んでいるのは一体どういうことなのか。これで果たして国民の合意が得られると本当に思っておられるのかと、私は言いたいのであります。先憂後楽という言葉があります。政治家たるもの、その精神がなければ政治は乱れに乱れるばかりであります。今回の文書通信交通費のお手盛り増額は、まさに先憂後楽とは逆に、先楽後憂と言って決して言い過ぎではありません。政治不信を解消し、社会的公正の確立を図るものとは逆に、政治不信を助長し、社会的不公正の拡大を図るものと断ぜざるを得ないのであり、事実、多くの国民はその増額案の撤回を求めているのであります。もし総理が、言葉でなく、本当に政治不信を解消し、社会的公正の確立を目指し、そのためにはえりを正して国民の批判の声を率直に受け入れようとされるならば、自民党総裁でもある三木総理は、まず、文書通信交通費の増額を自民党議員に指示をして撤回させることが必要であると私は確信をいたします。指導性に乏しいと言われている総理ではありますが、せめてこのくらいの指導性は持っていただきたいと思うのであります。
 また、物価総値上げの引き金となる公共料金の値上げに対しては、絶対に行うべきではないと思います。この点に関して、自民党総裁でもある三木総理の見解を伺いたいと思います。
 次に、三木総理並びに厚生大臣の福祉政策についてお伺いしたいと思います。
 総理は、国民福祉に対して総合的に取り組むことが必要であり、日本型福祉政策を目指し、二十一世紀へ向けて民族の繁栄の基礎固めを行いたいと強調されておりますが、足元もしっかりせぬのに、率直に申し上げて、私は二十一世紀への基礎固めと言うのは大それた方針ではないかと思うのであります。わが国の福祉は、四十八年が福祉元年と言われたほどおくれております。いわば、わが国はいまなお福祉発展途上国であり、五十年も百年も福祉の面では立ちおくれているわが国にとって、福祉の充実こそが国の施策の第一義的なものとされねばなりません。三木総理は、福祉社会建設こそ近代民主政治の目標であると言われましたが、財政が苦しくなるとすぐ福祉の見直し、福祉の行き過ぎが政府の見解となり、福祉政策の締めつけが行われるといった現状は、果たして三木総理の言われる福祉社会建設への道を歩んでいると言えるのでしょうか。政府は、昨年度に比べ厚生省予算二一・三%増しだと、いかにも福祉予算が伸びたかのごとく自賛しておりますが、その伸びの内容を見ますと、人件費など自然増が一五%を占め、実際には六・三%増しにとどまり、そのため実際の弱者救済措置に回るべき新規施策は、そのほとんどが削除されているといったのが現実であります。
 たとえば社会福祉施設整備費のうち、肢体不自由児施設の施設整備費は前年度より六千七百七十万円も少なく、わずかに二千九百万円という少額で、前年度に比べふえるどころか逆に七〇%もの減となっています。また、心身障害児者福祉協会の施設整備費についても、前年度において二億円強であったものが今年度においてはわずかに二千百五十万円と、一億七千九百八十一万円もの減となっています。いかなる理由によってかくも削減になったのか、福祉問題に対して御理解ある厚生大臣、しっかり私はお伺いしたいと思います。こうした施設に入りたくとも入り得ない心身障害児者の数多くいるという現状から見て、この冷遇ぶりはまことに理解に苦しむところであります。さらに、この実質わずか六・三%の予算増にしても、これから次々と実施される各種の公共料金等の値上げを勘案するならば、むしろすべて値上げ分に吸収されてしまい、増額されたというよりは、結果として減額されたと言う方が適切な表現ではないかと思います。これで果たして国民福祉に対し新しい取り組みをしたと言えるのでありましょうか。福祉はやりたし金はなしというのが総理のお答えではないかと思いますが、財源はないとは思えません。不要なところに、金力、権力の働くところにばらまかれているのではないかと、私のみならず一般国民は思っているのであります。
 先ほど政治姿勢をただしたときに、文書通信交通費の増額は両院議員で十八億余になることを指摘いたしましたが、十八億というお金でどれだけ国民が望んでいる施策ができるかということを調べてみました。十八億あれば、受験地獄に苦しむ子供たちのために高校が六校ないし七校増設でき、公害防止のための施策がいまの二倍もでき、そして母子家庭に貸し付けるお金が二倍に増額できるのであります。一方、このお手盛り増額に関し、国民の側から言わせれば、どういう感情を持つでしょうか。ちまたの焼き鳥屋で一杯飲み、一日の疲れをいやしている庶民の人たちは、ふざけるな、こういう言葉を使います。てめえたちで勝手に郵便料金を値上げしておきやがって、さらに正式値上がりの日の一月二十五日前に、足りねえからといっててめえたちで上げるという法があるかいと、恐らくこういう言葉を交わしているのではないかと思います。これが素直な国民感情ではないかと思うのであります。現実に私に対しても同様な意見が寄せられております。今朝の新聞にもすでにこの種の投書が来ております。
 三木総理、総理のおっしゃった信頼される政治は一体どこにあるのでしょうか。これで信頼される政治と言えますか。信頼されるどころか、ますます三木内閣に国民は背を向けることは火を見るより明らかなんです。この件については議院運営委員会で決められたことで政府としては関知しない問題です、と総理はお答えになられるかもしれません。しかし、一般の国民大衆は、皆様方は御存じだろうと思いますが、国会の仕組みを知りません。したがって、率直にはだで感じたことがそのまま答えになってはね返ってくるんです。そこで、私は自民党総裁でもある三木総理に再度お尋ねします。総裁としての立場から、自民党議員に対しこの文書通信交通費のお手盛り増額の撤回を指示できるはずですから、いかがでしょうか、増額の撤回を指示されますか、されませんか、明確にお答え願いたいと思います。
 文書通信交通費のみを一例に挙げましたが、強いところへは乏しい財源の中からでも予算が優先的に配分されているのが現状ではないかと私は思うのであります。こうして考えてまいりますと、総理のおっしゃる日本型福祉政策なるものは、金のある者、権力のある者が楽になり、労働者、弱者はいまのままでよいという政策ではないかと考えたくなるのであります。議会人として政治に精通していらっしゃる三木総理は、政治の行使いかんによっては善政にもなるし悪政にもなることはよく御存じのはずであると思います。政治というものは明るいところに光を当てるのではなく、日の当たらないところに政治の光を当ててあげるのが政治家ではないでしょうか。総理が言われる日本型福祉政策が弱者のためのものであるならば、この際、予算を洗い直し、政治献金型配分、圧力団体型配分をすべて一掃し、改めて弱者のための予算を組み直されるのがあたりまえのことだと思いますが、総理並びに厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。
 さて、最後になりましたが、政策批判だけが私の本意ではありません。前国会の予算委員会において厚生大臣が約束された優生保護法の妊娠中絶時期八カ月未満を一カ月短縮し、七カ月未満とした次官通知が出されたことは、遅々として進まない政府の諸施策の中で早期に実現された努力に深く感謝する次第であります。ただし、この妊娠月数の判断について指定医師の判断によるとある点がどういう意味合いであるか若干の疑問が残るのであります。が、とりあえず一歩前進したという認識に立ち、厚生大臣に対し深甚なる謝意を送って私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#53
○国務大臣(三木武夫君) 下村君にお答えをいたします。
 文書通信費を国会でこれに対して値上げをしたということ、いろいろ御批判になりましたが、これは国会で決めたことでございますので、私はこれに対していろいろ私自身が批判をするというような立場では私はないと思うわけでございます。
 次に、福祉の問題についていろいろ御質問になりました。今年は、御承知のように、相当社会福祉ということについては政府も予算の上に配慮をいたしたわけでございまして、たとえば五十一年度の予算においても、社会的、経済的に弱い立場にある人々の生活の安定を図るために、生活扶助基準の引き上げ、社会福祉施設の入所者の生活費の引き上げ等も行いましたし、各種年金の手当の改善等もできる限り配慮をいたしたことは、下村君御承知のとおりでございます。また、社会保障関係費全体が一般会計の伸び一四・一%を大幅に上回る二二・四%を伸ばしたわけでございます。去年は社会保障というのは大幅に増額をしたわけです。今年はこういう厳しい財政事情であって、去年のようにはまいりませんでしたけれども、しかし、相当この予算の規模の中では社会保障費の増額には力を入れたわけであります。やはり、今後は下村君も御指摘のように、この福祉社会の建設ということがお互いの政治の共通の目標であります。で、この福祉政策というものに対して私は、私自身が生涯の総福祉計画というものを、これを政府としても党としてもこの問題を取り上げてこれから検討しようと言っておるのは、福祉というものが何かこう社会保障というものだけではないのではないかと、教育も、医療も、就職も、住宅も、もう少し総合的に福祉をとらえる必要があるということと、老後とか、失業したとかいうそういう一時期のものではなくして、一つの人生の生涯を通じての福祉というものを考えるべきではないかと。またもう一つは、どうも福祉というとイギリスとかスウェーデンとかというものをすぐに直輸入しようとするわけですが、私は必ずしもそうでないのではないかと。たとえば老人の問題にしても、老人はいい老人ホームに入れてくれるよりも家族と、やはり孫なんかと一緒に暮らしたいという老人も相当にあるわけですからね。ただ、だから老人ホームをつくってそこへ、いい老人ホームをつくって老人を送るというのでなくして、日本の家族制度から言って、そうして孫なんかと一緒に住みたいというそういう目的が達成できるような老後の生活というものもやっぱり考えるべきではないかと思います。日本的な風土というのは、まあ一例を挙げたらこういうことを言うのであります。しかも、社会福祉というものが、ただ国や地方の公共団体から取ればいいんだということでは、国と言ったところでこれは財源は国民の税金ですからね。だから、やはりあるもうナショナルな最低の保障はあるにしても、それ以上は、努力する者が報いられるという社会でないと、これはやっぱり皆が怠け者になってしまうわけですから、そういう自助的な努力と、お互いにこう助け合って、相互扶助といいますか、お互いに助け合って社会は成り立っていくんだという相互扶助、これを組み合わせた日本的な福祉社会というものは考えられないかというのが私の考え方でございます。だから、いまは当面の福祉政策はやっておきますが、将来のビジョンとしては、この問題は何とか体系化して考えていきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣田中正巳君登壇、拍手〕
#54
○国務大臣(田中正巳君) 下村議員にお答えいたします。
 御質問の肢体不自由児施設整備費、これは東京都内にある整肢療護園の建設費であります。それからいま一つ、心身障害者福祉協会施設整備費、これは高崎にあるあの高崎コロニーの、のぞみの園における施設整備費であります。これは東京の方は昭和五十年度予算でほぼ完成をいたしました。それから高崎の方は五十年度当初予算と補正予算でほぼ大部分が完成をいたしました。したがいまして、あと手直しをするだけになっておりまするものですから、したがいまして相当の減額になっているわけでございますが、事の性質上やむを得ないものというふうに思います。ただ、一般における社会福祉施設整備費は三百七十六億円を計上し、昨年度に比して二十五億一千三百六十万増額をいたしておりますから、一般の社会福祉施設整備費については事欠かないものというふうに考えております。
 今日安定成長下、低成長下でございますが、従来のような手法をもって、いわゆる高度成長による自然増収のシェアを大きく社会保障に持ってくるという手法では、もう簡単な手法では社会保障の前進は望めなくなりました。新しい社会保障というものを、こういう時世ではございますが、これを確立し、何とか国民の負託に沿えるような社会保障の前進をやらなければならないということでせっかく腐心中でございます。(拍手)
#55
○副議長(前田佳都男君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#56
○副議長(前田佳都男君) 日程第二 参議院予備金支出の件を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長鍋島直紹君。
   〔鍋島直紹君登壇、拍手〕
#57
○鍋島直紹君 ただいま議題となりました参議院予備金支出の件について御報告申し上げます。
 今回御報告いたしますのは、昭和四十九年十二月二十七日から昭和五十年十二月二十六日までの間に支出されたものでありまして、支出額は昭和四十九年度分四百二十五万九千円であります。
 これは、在職中に死亡されました議員の御遺族に対しまして弔慰金として支給されたものであります。
 この支出につきましては、あらかじめ議院運営委員会の承認を経ておりますが、ここに国会予備金に関する法律第三条の規定により本院の承諾をお願いいたす次第でございます。(拍手)
#58
○副議長(前田佳都男君) これより採決をいたします。
 本件は委員長報告のとおり承諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。よって、本件は承諾することに決しました。
     ―――――・―――――
#60
○副議長(前田佳都男君) この際、お諮りいたします。
 阿部憲一君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、白木義一郎君から裁判官訴追委員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#62
○副議長(前田佳都男君) この際、裁判官弾劾裁判所裁判員、
 裁判官訴追委員、
 国土総合開発審議会委員、
 首都圏整備審議会委員、
 台風常襲地帯対策審議会委員おのおの一名の選挙を行います。
#63
○和田静夫君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#64
○内田善利君 私は、ただいまの和田君の動議に賛成いたします。
#65
○副議長(前田佳都男君) 和田君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○副議長(前田佳都男君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に白木義一郎君を、
 裁判官訴追委員に宮崎正義君を、
 国土総合開発審議会委員に矢原秀男君を、
 首都圏整備審議会委員に片岡勝治君を、
 台風常襲地帯対策審議会委員に鶴園哲夫君を、それぞれ指名いたします。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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