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1975/05/14 第77回国会 参議院 参議院会議録情報 第077回国会 本会議 第11号
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1975/05/14 第77回国会 参議院

参議院会議録情報 第077回国会 本会議 第11号

#1
第077回国会 本会議 第11号
昭和五十一年五月十四日(金曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十一号
  昭和五十一年五月十四日
   午前十時開議
 第一 第五次国際すず協定の締結について承認
  を求めるの件
 第二 千九百七十五年の国際ココア協定の締結
  について承認を求めるの件
 第三 アジア=オセアニア郵便条約の締結につ
  いて承認を求めるの件
 第四 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第五 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
 第六 昭和四十二年度以後における国家公務員
  共済組合等からの年金の額の改定に関する法
  律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
  議院送付)
 第七 昭和四十二年度以後における公共企業体
  職員等共済組合法に規定する共済組合が支給
  する年金の額の改定に関する法律及び公共企
  業体職員等共済組合法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第八 学校教育法の一部を改正する法律案(第
  七十五回国会内閣提出、第七十六回国会衆議
  院送付)
 第九 金属鉱業事業団法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第一〇 身体障害者雇用促進法及び中高年齢者
  等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 第一一 林業改善資金助成法案(内閣提出、衆
  議院送付)
 第一二 漁業再建整備特別措置法案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第一三 中小漁業融資保証法の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第一四 漁船舶主責任保険臨時措置法案(内閣
  提出、衆議院送付)
 第一五 地方交付税法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第一六 地方財政法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一より第一六まで
 一、昭和五十一年度の公債の発行の特例に関す
  る法律案(趣旨説明)
     ―――――・―――――
#3
○副議長(前田佳都男君) これより会議を開きます。
 日程第一 第五次国際すず協定の締結について承認を求めるの件
 日程第二 千九百七十五年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件
 日程第三 アジア=オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件
 以上三件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員会理事増原恵吉君。
   〔増原恵吉君登壇、拍手〕
#4
○増原恵吉君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 まず、第五次国際すず協定と千九百七十五年の国際ココア協定は、いずれも現行協定にかわるものでありまして、大綱において現行協定の内容を踏襲しており、それぞれすず地金とカカオ豆について一定の価格帯を定めるとともに、すず協定にあっては緩衝在庫の操作と輸出統制、ココア協定にあっては輸出割り当てと緩衝在庫の操作によって需給を調整し、市場価格をこの価格帯内に安定させることを主たる目的とするものであります。
 次に、アジア日オセアニア郵便条約は、万国郵便連合憲章が認めている地域的郵便連合の一つであるアジア=オセアニア郵便連合の基本文書として、連合の組織、任務、加盟国間の通常郵便物の取り扱い等を規定したものでありまして、現行条約を修正更新するものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。
 昨十三日質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#5
○副議長(前田佳都男君) これより三件を一括して採決いたします。
 三件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○副議長(前田佳都男君) 総員起立と認めます。よって、三件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○副議長(前田佳都男君) 日程第四 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長田代富士男君。
   〔田代富士男君登壇、拍手〕
#8
○田代富士男君 ただいま議題となりました刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審議の経過と結果を報告いたします。
 本法案は、無罪の判決を受けた者に対する補償の充実を図るため、無罪の判決が確定したときは、国は当該事件の被告人であった者に対し、その裁判に要した費用を補償するものとし、補償すべき費用の範囲、補償の手続等について新たに規定を設けるとともに、現行の上訴費用の補償等に関する規定を整備しようとするものであります。
 委員会におきましては、本法案が提出された経緯並びに費用補償制度新設の根拠、補償を無罪の判決に限った理由、補償すべき費用の範囲の拡大、国選弁護人との関係、請求期間等について熱心な質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了しましたところ、日本共産党を代表して橋本委員より、免訴または公訴棄却の裁判が確定した場合にも、免訴または公訴棄却の裁判をすべき事由がなかったならば、無罪の裁判を受けるべき十分な理由があると認められる場合には、無罪の判決が確定した場合と同様に費用の補償を行い、また、補償の請求期間を「六箇月」とあるのを「三年」にする旨の修正案が提出され、その趣旨説明を聞きました。
 修正案に対する質疑も別になく、原案並びに修正案に対する討論に入りましたところ別に発言もなく、直ちに採決に入りましたところ、まず修正案は賛成少数をもって否決され、次に、原案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#9
○副議長(前田佳都男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#10
○副議長(前田佳都男君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#11
○副議長(前田佳都男君) 日程第五 恩給法等の一部を改正する法律案
 日程第六 昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案
 日程第七 昭和四十二年度以後における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長中山太郎君。
   〔中山太郎君登壇、拍手〕
#12
○中山太郎君 ただいま議題となりました三法案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、恩給法等の一部を改正する法律案は、現在の恩給年額を昭和五十年度における国家公務員給与の改善傾向に基づき、本年七月分以降六・六%ないし一一・五%増額するほか、普通恩給等の最低保障額の引き上げ、扶助料に係るいわゆる寡婦加算制度及び遺族加算制度の創設、六十歳以上六十五歳未満の旧軍人等の加算減算率の緩和等の措置を講じようとするものであります。
 次に、共済関係二法案は、共済年金額を恩給法等の改正に準じて引き上げるほか、いわゆる寡婦加算制度及び遺族加算制度の創設による遺族年金の給付水準の改善、通算遺族年金制度の創設、任意継続組合員の組合員期間の延長等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、以上三法案を一括して審査し、恩給、共済年金の今後の改定方式のあり方、扶助料及び遺族年金の給付水準の改善方法、恩給、共済年金改定の実施時期、今後における公務員年金の位置づけ、恩給進達事務の促進、加算年の取り扱い及び従軍日赤看護婦等に対する処遇等広範にわたる質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終わりましたところ、岩間委員から、恩給法等改正案に対し、戦地勤務に服した日本赤十字社の看護婦等に対し恩給法を適用することを内容とする修正案が提出されました。
 次いで、三法案及び修正案を一括して討論に入り、日本社会党を代表して野田委員、公明党を代表して峯山委員から、別途同一趣旨の特例法案を提出している経緯等から修正案に反対、三法案に賛成する旨の発言がありました。討論を終わり、採決の結果、修正案は否決され、三法案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三法案に対し、それぞれ恩給、共済年金受給者の処遇改善に関する各党共同提案に係る附帯決議が付されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#13
○副議長(前田佳都男君) これより三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#14
○副議長(前田佳都男君) 総員起立と認めます。よって、三案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#15
○副議長(前田佳都男君) 日程第八 学校教育法の一部を改正する法律案(第七十五回国会内閣提出、第七十六回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長山崎竜男君。
   〔山崎竜男君登壇、拍手〕
#16
○山崎竜男君 ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案について、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、大学院の研究科の設置廃止を認可事項とし、後期三年のみの博士課程の設置を可能とするとともに、学部を置かない独立大学院制度を創設する等大学院制度の整備充実を図ろうとするものであります。
 なお、専修学校制度の創設に伴い所要の規定を整備する衆議院修正が行われております。
 委員会におきましては、学術研究体制の整備充実の重要性、連合大学院構想等独立大学院制度の具体化の構想と既存の大学院の整備充実との関係、大学間格差是正の必要性、大学院生の研究生活条件の改善とオーバードクターの対策等について熱心な質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終わり、有田委員より、私立学校法第五十九条の改正を内容とする私立学校振興助成法が施行されたことに伴って所要の規定を整理する旨の五党共同の修正案が提出されました。
 討論もなく採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決され、よって本法律案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 次に、久保委員より、独立大学院構想の具体化に当たっては、現行の大学制度の理念を尊重し、既存の大学の内容の充実に努めるとともに、高等教育のあり方について総合的に再検討すべきである等を旨とする五党共同の附帯決議案が提出され、これまた全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#17
○副議長(前田佳都男君) これより採決をいたします。
 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#18
○副議長(前田佳都男君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって委員長報告のとおり修正議決されました。
     ―――――・―――――
#19
○副議長(前田佳都男君) 日程第九 金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長柳田桃太郎君。
   〔柳田桃太郎君登壇、拍手〕
#20
○柳田桃太郎君 ただいま議題となりました法案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、わが国の鉱物資源の安定的供給を確保するため、需給の変動にかかわらず、輸入量を安定させるための措置を講じようとするものでありまして、その主な内容は、金属鉱業事業団の業務として新たに金属鉱産物の備蓄に必要な資金の貸付業務を加えること、また、これに要する資金を円滑に調達できるようにするため、金属鉱業事業団の市中銀行からの借入金に係る債務について政府が保証すること等であります。
 委員会におきましては、参考人の意見を聴取するとともに、わが国の鉱業政策のあり方、国内鉱山の育成、関税制度の改善、備蓄制度の概要等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、備蓄制度の充実強化、国内金属鉱山の育成及び労働福祉対策の充実等について政府は努力すべき旨の附帯決議が付されました。
 以上報告申し上げます。(拍手)
#21
○副議長(前田佳都男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#22
○副議長(前田佳都男君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#23
○副議長(前田佳都男君) 日程第一〇 身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長戸田菊雄君。
   〔戸田菊雄君登壇、拍手〕
#24
○戸田菊雄君 ただいま議題となりました身体障害者雇用促進法及び中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法律案の主なる内容は、まず、身体障害者の雇用の促進を図るため、第一に、すべての事業主は、身体障害者雇用に関し共同の責務を有すること及び身体障害者自身も職業人としての自覚、自立に努めるべきであるという原則を明確にすること。
 第二に、身体障害者雇用率制度を改善し、雇用率達成を法的義務にするとともに、雇用に消極的な企業名を公表できるようにすること。
 第三に、身体障害者雇用納付金制度を創設し、雇用率が未達成である事業主からは納付金を徴収し、雇用率を超えて雇用している事業主には雇用調整金及び報奨金を支給するほか、必要な助成を行うこと。
 第四に、身体障害者雇用促進協会を設立し、雇用促進のため職業生活相談員の講習など必要な業務を行わせること。
 第五に、精神薄弱者については、附則によって職業紹介、適応訓練、納付金の減額、納付金による助成などの規定を適用すること。
 また、中高年齢者の雇用促進については、第一に、高年齢者雇用率制度を設け、事業主は雇用率以上の雇用をするよう努めなければならないこと。
 第二に、雇用率未達成事業主には、雇用率達成計画の作成を命じ、その適正な実施について勧告ができるようにするとともに、雇用の安定に必要な措置を要請することができるものとすること。
 委員会におきましては、慎重な審議を行いました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 質疑終了後、日本共産党沓脱委員より修正案が提出されました。
 討論なく、採決に入りましたところ、修正案は賛成少数をもつて否決され、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し、身体障害者の雇用促進の強化、職業訓練の整備拡充、職業安定所の業務の充実と機能の強化等を内容とする附帯決議を全会一致をもって付することに決しました。
 以上報告を終わります。(拍手)
#25
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#26
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#27
○議長(河野謙三君) 日程第一一 林業改善資金助成法案
 日程第一二 漁業再建整備特別措置法案
 日程第一三 中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案
 日程第一四 漁船船主責任保険臨時措置法案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上四案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長小林国司君。
   〔小林国司君登壇、拍手〕
#28
○小林国司君 ただいま議題となりました四法案につまきして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 まず、林業改善資金助成法案について申し上げます。
 本法律案は、最近における林業経営の状況等にかんがみ、林業従事者等に対する中短期の無利子資金であります林業生産高度化資金、林業労働安全衛生施設資金、または林業後継者等養成資金の貸し付けを行う都道府県に対し、政府が必要な助成を行う制度を確立しようとするものであります。
 委員会におきましては、最近の林業の動向、木材需給、間伐材の利用、振動病対策、林業後継者対策、林業金融等について各般の質疑が行われ、別に討論もなく、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、全会一致をもって附帯決議を行いました。
    ―――――――――――――
 次に、水産関係三法案について申し上げます。
 三法案はいずれも漁業を取り巻く厳しい情勢に対処するためのものであります。
 まず、漁業再建整備特別措置法案は、中小漁業者の緊急に必要とする資金の融通の円滑化、特定業種の構造改善及び整備の推進等を図ろうとするものであります。
 次に、中小漁業融資保証法改正案は、政府の行ってきた中小漁業融資保証保険の業務を中央漁業信用基金に移行するとともに、中小漁業融資保証保険特別会計を廃止してその権利義務を中央漁業信用基金に承継させる等の措置を講じようとするものであります。
 最後に、漁船船主責任保険臨時措置法案は、試験的に漁船保険組合が漁船船主責任保険事業等を行い、漁船保険中央会がその再保険事業を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、三法案を一括して審査し、参考人の意見も聴取いたしました。問題になりました主な内容は、漁業再建対策の基本的なあり方、海洋法会議その他国際漁業の動向、沿岸漁業の振興、水産物輸入対策、緊急融資資金の融資枠及び条件、自主減船と離職者対策、中央漁業信用基金及び漁業信用基金協会に対する出資及び出資補助の増大、漁船船主責任保険の保険料のあり方等であります。
 質疑終局後、日本共産党から漁業再建整備特別措置法案に対する修正案が提出されましたが、別に討論もなく、順次採決の結果、右の修正案は否決し、三法案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三法案に対して全会一致をもってそれぞれ附帯決議を行いました。
 右御報告申し上げます。(拍手)
#29
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 まず、林業改善資金助成法案、中小漁業融資保証法の一部を改正する法律案及び漁船船主責任保険臨時措置法案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#30
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、三案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#31
○議長(河野謙三君) 次に、漁業再建整備特別措置法案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#32
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#33
○議長(河野謙三君) 日程第一五 地方交付税法等の一部を改正する法律案
 日程第一六 地方財政法等の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長上田稔君。
   〔上田稔君登壇、拍手〕
#34
○上田稔君 ただいま議題となりました二法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 まず、地方交付税法等の一部を改正する法律案は、昭和五十一年度分の地方交付税の総額につき、現行の法定額に、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れられる臨時地方特例交付金六百三十六億円、同特別会計の借入金一兆三千百四十一億円を合算した額とする特例を設けるとともに、普通交付税の算定方法について、社会福祉の向上、教育の充実等に要する財源確保のための単位費用の改定等を行い、昭和五十一年度に限り、地方財政法第五条の規定による場合のほか、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるための地方債を起こすことができる特例を設け、さらに公営競技を行う地方団体の公営企業金融公庫に対する納付金の納付期間の延長、新産業都市建設、首都圏の近郊整備地帯の整備等に係る財政上の特別措置の適用期間の延長等、所要の措置を講じようとするものであります。
 次に、地方財政法等の一部を改正する法律案は、地方公共団体またはその機関が法令に基づいて実施しなければならない事務に要する経費のうち、国がその全部または一部を負担すべきものの範囲について整理を行い、あわせて関係法律における国庫負担に関する規定の整備を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して質疑を行い、特に地方交付税法等改正案については参考人より意見を聴取するなど、慎重に審議いたしましたが、その詳細は会議録に譲ることを御了承願います。
 両案について質疑を終わりましたところ、まず地方交付税法等改正案に対し、小山委員より日本社会党及び公明党の両党共同提案として地方交付税率を三五%に引き上げる、国税三税の八%に相当する第二地方交付税を創設する、交付税特別会計の昭和五十一年度の借り入れ措置を廃止するなどを主な内容とする修正案が提出され、次いで神谷委員より日本共産党を代表して、地方交付税率を四〇%に引き上げる、交付税特別会計の借入金を増額し、国の負担により償還するなどを主な内容とする修正案が提出されました。両修正案は予算を伴うものであり、福田自治大臣から、政府としては反対であるとの意見が述べられております。
 地方交付税法等改正案及び以上の両修正案について討論に入りましたところ、日本社会党を代表して赤桐委員より、日本社会党及び公明党共同修正案に賛成し、日本共産党修正案及び原案に反対、自由民主党を代表して金井委員より、原案に賛成し、両修正案に反対、公明党を代表して多田委員より、日本社会党及び公明党共同修正案に賛成し、日本共産党修正案及び原案に反対、日本共産党を代表して神谷委員より、日本共産党修正案に賛成し、日本社会党及び公明党共同修正案に棄権、原案に反対の意見がそれぞれ述べられ、採決に付しました結果、両修正案はいずれも賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次いで、地方財政法等改正案を取り上げましたところ、神谷委員より日本共産党を代表して、耕土培養に要する経費等を削除しないこととし、地方公共団体に係る国の直轄事業負担金を廃止する等の修正案が提出され、修正案は予算を伴うものであり、福田自治大臣から、政府としては反対であるとの意見が述べられました。
 討論に入りましたところ、日本共産党を代表して神谷委員より、日本共産党提出の修正案を含め原案に賛成の意見が述べられ、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、地方交付税法等改正案に対しては、地方行財政の抜本的改革について早急に検討し、昭和五十二年度を目途にその実現を図るとともに、借入金等の償還財源の確保、超過負担の完全解消措置等八項目について政府の善処を求める附帯決議を、また地方財政法等の改正案に対しては、国と地方との財政秩序の確立を図る趣旨の三項目の附帯決議を付しております。
 以上御報告いたします。(拍手)
#35
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 まず、地方交付税法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#36
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖
   〔投票箱閉鎖〕
#37
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#38
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百二十二票
  白色票          百二十二票
  青色票             百票
 よって、本案は可決されました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十二名
      安孫子藤吉君    青井 政美君
      青木 一男君    有田 一寿君
      井上 吉夫君    伊藤 五郎君
      岩動 道行君    石破 二朗君
      石本  茂君    糸山英太郎君
      稲嶺 一郎君    今泉 正二君
      岩男 頴一君    岩上 妙子君
      上田  稔君    上原 正吉君
      植木 光教君    江藤  智君
      遠藤  要君    小川 半次君
      大島 友治君    大鷹 淑子君
      大谷藤之助君    大森 久司君
      岡田  広君    岡本  悟君
      長田 裕二君    加藤 武徳君
      鹿島 俊雄君    梶木 又三君
      片山 正英君    金井 元彦君
      上條 勝久君    亀井 久興君
      川野 辺静君    河本嘉久蔵君
      神田  博君    木内 四郎君
      木村 睦男君    久次米健太郎君
      久保田藤麿君    楠  正俊君
      熊谷太三郎君    黒住 忠行君
      剱木 亨弘君    源田  実君
      小林 国司君    古賀雷四郎君
      郡  祐一君    佐多 宗二君
      佐藤  隆君    斎藤栄三郎君
      斎藤 十朗君    坂野 重信君
      迫水 久常君    山東 昭子君
      志村 愛子君    塩見 俊二君
      嶋崎  均君    新谷寅三郎君
      菅野 儀作君    世耕 政隆君
      園田 清充君    高田 浩運君
      高橋 邦雄君    高橋 誉冨君
      橘直  治君    玉置 和郎君
      土屋 義彦君    寺下 岩蔵君
      寺本 廣作君    戸塚 進也君
      徳永 正利君    内藤誉三郎君
      中西 一郎君    中村 太郎君
      中村 禎二君    中村 登美君
      中山 太郎君    永野 嚴雄君
      夏目 忠雄君    鍋島 直紹君
      西村 尚治君    温水 三郎君
      橋本 繁蔵君    秦野  章君
      初村滝一郎君    鳩山威一郎君
      林  ゆう君    林田悠紀夫君
      原 文兵衛君    桧垣徳太郎君
      平井 卓志君    平泉  渉君
      福井  勇君    福岡日出麿君
      藤井 丙午君    藤川 一秋君
      藤田 正明君    二木 謙吾君
      細川 護煕君    前田佳都男君
      増田  盛君    増原 恵吉君
      町村 金五君    丸茂 重貞君
      宮崎 正雄君    宮田  輝君
      最上  進君    望月 邦夫君
      八木 一郎君    矢野  登君
      安井  謙君    安田 隆明君
      柳田桃太郎君    山崎 竜男君
      山本茂一郎君    山内 一郎君
      吉田  実君    吉武 恵市君
      亘  四郎君    松岡 克由君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百名
      阿具根 登君    青木 薪次君
      赤桐  操君    茜ケ久保重光君
      秋山 長造君    案納  勝君
      上田  哲君    小野  明君
      大塚  喬君    粕谷 照美君
      片岡 勝治君    片山 甚市君
      川村 清一君    神沢  浄君
      久保  亘君    栗原 俊夫君
      小谷  守君    小柳  勇君
      小山 一平君    佐々木静子君
      沢田 政治君    志苫  裕君
      杉山善太郎君    鈴木美枝子君
      瀬谷 英行君    田中寿美子君
      竹田 現照君    竹田 四郎君
      対馬 孝且君    辻  一彦君
      寺田 熊雄君    戸叶  武君
      戸田 菊雄君    中村 波男君
      中村 英男君    野口 忠夫君
      野田  哲君    野々山一三君
      羽生 三七君    秦   豊君
      浜本 万三君    福間 知之君
      藤田  進君    前川  旦君
      松永 忠二君    村田 秀三君
      目黒今朝次郎君    森  勝治君
      森下 昭司君    矢田部 理君
      安永 英雄君    吉田忠三郎君
      和田 静夫君    阿部 憲一君
      相沢 武彦君    内田 善利君
      太田 淳夫君    柏原 ヤス君
      上林繁次郎君    桑名 義治君
      小平 芳平君    塩出 啓典君
      白木義一郎君    鈴木 一弘君
      田代富士男君    多田 省吾君
      中尾 辰義君    二宮 文造君
      原田  立君    藤原 房雄君
      三木 忠雄君    峯山 昭範君
      矢追 秀彦君    矢原 秀男君
      山田 徹一君    岩間 正男君
      上田耕一郎君    小笠原貞子君
      加藤  進君    春日 正一君
      神谷信之助君    河田 賢治君
      沓脱タケ子君    小巻 敏雄君
      近藤 忠孝君    須藤 五郎君
      立木  洋君    塚田 大願君
      内藤  功君    野坂 參三君
      橋本  敦君    星野  力君
      山中 郁子君    渡辺  武君
      田渕 哲也君    中村 利次君
      向井 長年君    市川 房枝君
      下村  泰君    野末 陳平君
     ―――――・―――――
#39
○議長(河野謙三君) 次に、地方財政法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#40
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#41
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。大平大蔵大臣。
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、石油危機以来、政府はインフレの克服に最重点を置いた政策運営に徹してまいりましたが、幸いに国民各位の理解と協力を得まして所期の成果をおさめつつあります。今後におきましては、物価の安定を維持しながら、景気の着実な回復と雇用の安定を実現してまいることが最も重要な政策課題であると考えられます。
 昭和五十一年度予算編成に当たりましては、このような考え方に立ちまして、国民生活と経済の安定及び国民福祉の充実に配意しつつ、景気の着実な回復と雇用の安定を図るとともに、財政体質の改善合理化を進めることを主眼といたしたところであります。
 ところで、昭和五十一年度においては、五十年度に引き続き租税収入に多くを期待することができない状況でありますが、他方、現下の経済情勢からすれば、大幅な歳出の削減や一般的な増税を行うことも避けるべき時期であると考えられるところであります。したがって、適正な行財政水準を維持し、さきに申し上げました財政の課題にこたえていくためには、財政体質の改善合理化に努めるとともに、昭和五十一年度の特例措置として、財政法の規定による公債の発行のほかに、特例公債の発行によらざるを得ないと考えるものであります。
 このような状況に顧み、昭和五十一年度一般会計歳出の財源に充てるため、国会の議決を経た金額の範囲内で特例公債を発行できることとする法律案を提案するものであります。
 しかし、このような措置はあくまでも特例的な措置であり、速やかに特例公債に依存しない財政に復帰することが財政運営の要諦であることは申すまでもありません。政府としては、財政の正常化をできる限り速やかに実現するよう努力を傾けてまいる決意であります。
 以上、昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案の趣旨について御説明申し上げた次第であります。(拍手)
#44
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告があります。順次発言を許します。福間知之君。
   〔福間知之君登壇、拍手〕
#45
○福間知之君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案につきまして若干の質問をいたし、三木総理ほか関係大臣に国民が納得し得る誠意のある答弁を求める次第であります。
 今日、わが国の政治、経済をめぐる国際、国内的環境はきわめて厳しく、かつ、国及び地方を通じて財政の危機的様相が深刻化しつつあることを考えるとき、これはまことに容易ならざる事態であり、政治の責任はきわめて重大であると存ずるのであります。経済政策も、財政・税制のあり方も、その根本は国民生活の改善と安定を基本として策定、推進さるべきものであり、国民の生きがいと働きがいをいやが上にも高揚するものでなければなりません。したがって、その目指すところは、あらゆる部面において社会的公正の厳正な追求と確保はもちろんのこと、真に花開いた民主主義の実現と、その上に立った福祉の充実した社会の創造であると考えます。
 そこで、今日何よりも大事なことは政治に対する国民の信頼回復であり、そのためにはまず政府の清潔で責任ある政治姿勢が何よりも肝要であると存じます。さらに、今日までの惰性的な諸慣行、諸制度、さらには国会のあり方に至るまで抜本的な改革を決意すべきであります。それなくして、とりわけ直面する膨大な建設公債並びに特例公債の発行、それに伴う十数年の長期にわたる国民的負担を強いる重大な政策を軽々に決めるなど、後世に対して無責任な態度は断じて許されるものではありません。そのような立場からも、わが党は本法案にはきわめて重大な問題がひそんでおると考えますので賛成できません。
 そこで、三木総理にお伺いいたします。まず第一に、ただいま述べましたように、これからのわが国の社会の目指すべき目標とそれに対するナショナルコンセンサスの促進に、総理は内閣の責任者としてあるいはキャリアある政治家の一人としてどのような決意で対処されようとするのか、また、時代の変革に適応した革新性のある政策的抱負を明らかにしていただきたい。
 第二に、ロッキード問題に見られる政財界の腐敗体質の改革は政治の信頼回復にとってきわめて重大であり、われわれも含め、とりわけ政府の厳正なる態度が求められていると思いますが、三木総理の進退をも含めた決意をお伺いしたい。と同時に、先般の国会正常化に関する両院議長裁定の精神に基づき、いわゆる灰色の政府高官名についても公表するということをこの国会を通じて国民にお約束されたい。また、本院に設置される調査特別委員会は、党利党略にとらわれず徹底的に真相解明に当たるべくその機能を発揮するよう、総理は与党の総裁として積極的に指導性を発揮すべきと思うが、いかがでしょうか。さらに、国会の国政調査権を名実ともに充実強化することが必要と考えられ、そのため国会法並びに議院における証言法など議員立法を通じて所要の法律改正を図るべきだと思うが、長い議員活動経験を持たれる三木さんとしては異存はありませんね、いかがですか。
 第三に、特例公債は本来財政法上禁止された公債であり、したがって、政府は経済運営の見直し、財政支出のあり方や行政機構の改革、大企業優遇税制の抜本的是正など多面的、積極的な改善策を講じ、その上でなおかつやむを得ない緊急措置として初めて考慮すべきものだと思うのですが、政府の態度からは残念ながらそのような熱意をひしひしと感じ取ることはできません。総理はどう考えておられるか、真意を吐露していただきたい。
 第四に、独禁法の改正についてお伺いします。政府・与党の修正を加えた最近の改正案なるものは、財界の意向のみを強く反映し、重要な構造規制などの面で後退をしており、きわめて遺憾であります。総理がよく口にされる自由経済社会を守り発展させるために独禁法改正が必要という趣旨からいたしましても、守るに値する経済社会を生み出すためにこそ独禁法の改正が意義を持つのであります。したがって、今後の審議において、せめて以前の与野党一致で衆議院を通過した内容に戻すため柔軟に対処することを約束されたい。
 次に、多額の公債を今年度のみならず引き続き数年にわたって発行する前提として、これからのわが国経済の展望が果たしてどうなのかという点がきわめて重大だと思います。これからの経済をめぐる制約的要因としてインフレーションの潜在的加速性の存在、環境問題、資源エネルギー問題、国際収支と貿易問題などが考えられることは言うまでもありません。そこで、福田副総理・経済企画庁長官にお尋ねをいたします。
 一つは、わが国経済における潜在的成長力あるいは成長率についてであります。それを規定する要素として国民総貯蓄の供給、労働力供給、さらには技術進歩などの要因が考えられます。そのほか国際収支、交易条件、環境、資源など諸要素も存在することは言うまでもありません。特に前三者が一九六〇年代に比較してわが国経済成長に与えるインパクトについて副総理はどのようにお考えになっておられますか。
 二つ目に、一昨日発表された経済審議会の答申、昭和五十年代前期経済計画案の内容について若干お伺いをいたします。
 年率で前半六%強、後半六%程度という成長率の見通しについて前半と後半で微妙な表現の違いをしておりますが、いままでにないことでありますし、どれほどの意義があるのでしょうか。また、水準それ自体について副総理はどのように考えられますか。
 次に、物価上昇について消費者物価六%以内、卸売物価四%台に抑えるという見通しについて果たして自信はおありでしょうか。
 また、この計画によりいまよりも二百五十万人余りも増加する労働力人口に対して果たして完全雇用を確保し、過剰雇用、過剰設備を解消することは可能とお考えになりますか。
 また、環境、住宅、教育など、社会資本整備のため期間中百兆円に上る公共投資を考えておりますが、これも可能と考えてよろしいでしょうか。また、五十五年度の社会保障費を五十年度の約二・二倍、約二十三兆円余り、対国民所得比で一・五%高め、一〇%程度に引き上げると言われますが、これも実行が可能でしょうか。
 いずれにしましても、経済は生き物でありますし、また、潜在成長力の強いわが国では適時適切に計画に対するローリング方式を採用するべきだと思います。二年ぐらいで大きく変わる計画では、権威もなければ、だれも信用しなくなってしまいます。その点を十分に考えていただきたいと思います。
 三つ目に、今世紀末あるいは二十一世紀にまたがる長期的な経済を展望するときに、資源、食糧、環境、インフレ、国際通貨体制など諸問題から、まさに文字どおり低成長あるいは微成長時代を視野の中に入れておく必要はありましょう。当面、中期的にはOECD諸国のほとんどが一九七六年から八〇年にかけての成長率を一九六〇年代と同程度になると想定をしております。例外は、大幅に成長率を低下させるわが国と逆に高度成長を予想しているノルウェーとの二カ国だということであります。この点についてその妥当性を福田長官の見識としてはいかが判断されておりますか。
 四つ目に、ところで私は、今後における問題の核心は、わが国経済社会に内在する諸要因、さまに挙げた公害その他の諸問題、大企業の管理価格初め、二重構造の拡大、産業構造転換のおくれ、米価、公共料金問題など、これら多くの課題は単に中ないし低成長への軌道修正ということだけで解決することは困難だと思うのであります。したがって、あわせて目的意識的に政策体系と諸制度の組み合わせを積極的につくり変えていくことが重要だと存じます。そのためには勇気をもって国民的合意を促進することこそ真の政治の姿ではないかと思うのです。その意味で今日の時点は、政治も経済もそしてまた国民的意識の面でも新時代への歴史的な再出発点と考え、対処するべきだと存じます。副総理の所信をお伺いします。
 次に、大蔵省当局の発表した今後の財政展望によれば、昭和五十五年度までに建設公債と特例公債の合計で毎年七兆円を上回る国債発行が予定されております。すでにこの二年間で十二兆八千億円が発行され、過去十年間の発行総額を上回っております。五十五年度の国債累計残高は五十年末の三倍を超えて五十一兆四千億円に達すると予想されているのであります。そしてその元利償還に充てるための国債費は四兆四千二百億円を必要とし、この額は今年度予算の社会保障関係費の規模に相当するもので、財政の硬直化はきわめて問題視すべきであります。申すまでもなく、あらゆる単位経済体において、入るをはかって出るを制すという均衡財政の原則なり正統性は常に忘れてはなりません。特に、今後のわが国の経済展望、インフレーションの危惧、国民生活圧迫の諸要因などを考え合わすとき、膨大な特例公債の発行は慎重の上にも慎重を期して行なうべきであります。
 そこで大平大蔵大臣にお伺いをいたします。まず、財政法上本来禁止されている特例公債の発行を数カ年にわたって行うということは、法の趣旨に反するだけでなく、最も重要な健全財政原則を形骸化することにも通ずると思いますが、いかがですか。大蔵大臣は、昨年十月三十日本院において、赤字公債の発行は異例中の異例と述べられました。その異例中の異例が五十五年度まで毎年続くということになりますが、これはいかがですか。
 第二に、国債の大量発行に伴うインフレーションの危険と、あるいは国債依存率、金利などの問題についてお伺いします。わが国公債市場の現状は、アメリカや西ドイツあるいはイギリスの状態までにも成熟しているとは思われません。国債管理政策における政府・大蔵省の行政指導の強さ、シンジケート団による引き受け方式、一年後の日銀の買いオペによる成長通貨の供給などの姿に見られるように、制度的な欠陥が存在していると考えます。したがって、法人、個人の資産選択の一つとして正確な意味での市中消化が図られにくいのが現状であります。
 ちょっと付言しますが、昨日大蔵省の発表で中期国債の構想などが発表されましたが、国債の魅力化という面においては、私は、最小限必要なことでもあり、悪いことではないと思います。
 で、もとに戻りますが、金利水準などにつきましても、御承知のとおりわが国は人為的な規制が行われているのが現状であります。
 以上述べましたこれらのことは、国債発行の規模に対する歯どめの欠如ということにもなっておるのであります。また、金融政策の独自性が損なわれ、適切なマネーサプライの実施をもむずかしくしております。そこには重大な過剰流動性インフレーションの危険を宿していると言えるのであります。そこでお伺いしますが、インフレーションの危険に対しどう対処するお考えでございましょう。あるいは、当面公債依存率はどの程度が望ましいと考えておられますか。また、公債市場の改革について、将来的には金利の自由化や金融機関の再編成など思い切った手段を講じるべきだと思いますが、そのようなお考えをお持ちでしょうか。
 第三に、これらと関連して日銀政策委員会や金利調整委員会の閉鎖的、密室的構造を改めて、消費者代表、労働組合代表などを加えた社会的公開化、民主化を図るべきだと思いますが、いかがですか。
 第四に、公債の償還計画についてですが、国債総額の百分の一・六相当額とは六十年償還並びに書きかえ可能な建設公債を前提としたものであり、書きかえなしの十年償還の特例公債においては百分の十あるいはそれに近い償還財源措置が必要でありますが、いかがにお考えでしょうか。また、多額な公債をはらんだ予算の執行に当たって剰余金を出して償還することも問題があり、国債整理基金に回す財源を充ててもさして効果があるとは思えません。とすると、特例公債償還のめどは実際的にはきわめてむずかしいということになりませんか。健全財政への復帰はまさに崩れ落ちる危険がこの点からも出てまいりましょう。
 最後に、税政策についてお伺いいたします。一つは、本年度及び五十二年度も所得税減税は考えられないというのですが、消費支出の五十数%を占める個人消費支出の増大による景気浮揚への効果的配慮はなされず、今日の国民生活の実態への思いやりも欠けているのではないでしょうか。申し添えますが、去る二月下旬から三月十三日まで二十二日間をかけて大阪から東京まで徒歩で減税大行進が行われ、参加人員は延べ十万人余、集会参加者は延べ二十五万人余、沿道署名者は百万人を超えました。一般勤労者、中小零細企業者、主婦などが参加したのです。わが国ではもちろん、世界でも珍しいことと存じます。私は政治に身を置く者の一人として、所得減税への強い国民の期待をそこに感じ取るわけであります。その要求はきわめてつつましく、一人三万円、総額一兆円であります。すでにわが党を中心に野党三党は同趣旨の減税法案を提出しておるところであります。
#46
○議長(河野謙三君) 福間君、時間が経過いたしました。簡単に願います。
#47
○福間知之君(続) はい。
 前向きの誠意のある態度を強く要請する次第です。
 なお、これに関連して景気対策の一環として行われたアメリカにおける昨年度のキャッシュ・バック・システムの所得減税及び今年度の減税政策についてどのようにお考えでありますか。
 二つ目は、租税特別措置法の抜本的改正を来年度に向けて行うことを大蔵大臣として表明を願いたいと思います。
 時間が参りました。ことしはすでに自動車諸税、住民税も引き上げられようとしております。今後付加価値税を初め新税の創設についてどのように考えておられるのか。また直接税と間接税の割合はどの程度が妥当と考えておられるのか。
 わが党は今日の中央、地方を通じた財政の深刻化に籍口した安易な大衆課税の増徴には断じて反対することを表明し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(三木武夫君) 福間君にお答えをいたします。
 第一点は、社会的公正の確保と福祉の充実ということが必要である、これに対しての決意はいかんということでございます。社会的公正を確保して国民生活の安定と福祉の向上を図ることは、福間君御指摘のとおり、きわめて重要な課題であり、政府はこのために社会保障施策を初め、各般の施策はいままでやってまいっておるわけでございますが、今回は生涯福祉設計のただいま検討に入っているのもその趣旨によるものでございます。今後とも一層の推進を図る所存でございます。
 また、ロッキード問題の究明に対する決意の御質問でございましたが、これだけの国民的な疑惑に包まれた事件の解明を図ることは、日本の政治に対する不信を解消するためにもこれは絶対に必要である。これが私に課されておる責任であり、使命であると私は受けとめておりますので、この目的を達成するために全力を傾ける所存でございまして、中途半端でこの使命と責任を放棄する考えはございません。そういうことによって、私の責任を果たしていきたいと考えております。
 また次には、両院の議長裁定について、政府高官名の公表を約束されたいというお話でございましたが、議長裁定は福間君御承知のように、第四項の中に「国会の国政調査権の行使に当たっては、政府は、事態の推移をみて、刑事訴訟法の立法趣旨をも踏まえた上で事件の解明に最善の協力を行うものとする。」と。こういう裁定がございましたので、政府としては国会の国政調査権に対しては、この趣旨に沿うて最善の努力をいたすということが今日の政府の態度でございます。
 また、国会に設置される調査特別委員会は、党利党略にとらわれずに徹底して真相の解明をやらなければならぬということは、これは福間君の言われるとおりでございまして、こういう問題を党利党略の具に供するということでは、こういう特別委員会を設置した目的には反するわけでございますから、国会において党利党略を離れて真相の解明に当たっていただきたいと存じます。自民党もまたそういう態度で臨む所存でございます。政府としてもできるだけの協力をいたす所存でございます。
 それからまた、この国政調査権について、国会法とか、議会における証言法などの所要の法の改正を行うべきではないかという御意見でございましたが、これはまあ国政調査権、いろいろと草々の間に制定されたものでございますので、いろいろと改良を加えるべき点もあると思いますが、これは国会において十分御検討を願いたいと思うわけでございます。
 次に、独禁法の改正について、昨年の与野党で一致したのが後退しておるのではないかというお話でございます。衆議院において、与野党一致の独禁法の改正案が衆議院を通過したことは事実でございますが、参議院においては御審議を願ういとまがなかったわけでございます。そこで、このたび自民党においてもいろいろこの法案について検討を加えましたが、独占的状態に対する処置についてはいろいろの議論がございましたが、いまこの独占的状態に対する処置は現実にこれを適用せなければならぬ事態はないわけでございます。まあ予防的な処置と申しますか――。したがって、これは独禁法の根本の問題にも触れる問題でもございますので、十分御検討願うこととして、課徴金制度であるとか、株式の保有制限とか、あるいは罰則の強化とか、いま現実に必要なる点について独禁法の改正を行ったわけでございまして、独禁法の改正という意味から言っては相当なこれは前進であるし、日本に、自由経済に一つの秩序を確立したいという趣旨にかなうものでございまして、やがて国会に提出された場合においては十分な御審議を願いたいと思うわけでございます。
 また、特例公債についていろいろと抜本的な税制改革あるいは行財政改革などというものを積極的にこれを進めた上でやむを得ない処置としてではないのではないかという御意見でございましたが、特例公債の発行は、現下の経済情勢からいたしましてどうしてもこれを発行して行財政上の目的を達成する必要がありましたのでこれを発行することにいたしたわけでございますが、歳入歳出両面にわたって、現在においてはでき得べき最善の努力を払った上でなおかつこういう特例公債法の提出をせざるを得なくなったわけでございましたが、今後とも、御指摘のあったような税制あるいは行政各般にわたって、いままでのような高度経済成長期のいろんな仕組みというものは見直していく努力はいたしていく所存でございます。
 お答えをいたしました。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(福田赳夫君) まず第一に、今後のわが国経済を展望しますと、資源、エネルギーなどのいろんな制約要件があることはよくわかる、しかし、この労働力や総資本、技術などは一体どうなっているのかと、こういうお尋ねでございます。
 労働力につきましては、労働力人口が、今後五カ年間を展望しますと、一%弱は伸びると、こういうふうに見ておるわけです。ただ労働時間の方はややこれは短くなる。彼此総合しますと相殺される要素が多いのでありますが、今後労働効率を向上するということで対処しなければならないと、かように考えます。
 それから総資本の方は、経済が発展する、それに従いましてこれは拡大される。しかし、私どもの考えでは、今後はこれは生活関連投資、そちらの方へ重点を置くわけであります。また、個人消費も伸びるでありましょう。また、住宅も建設を急ぎたい。そういうことを考えると、産業に回る投資の方は、これは減少せざるを得ない、そういうふうに考えます。
 技術進歩につきましては、世界的に戦後三十年間非常な進歩である。そこで、これは飽和状態というふうに言ってもいいくらいかと思いますが、まだそこに立ちおくれている部面もありますので、その辺に鋭意努力いたしまして、その進歩発展にまあ努力いたしたい。とにかくわが国は資源小国になっておるわけでありますから、やっぱり技術に非常に力を入れる必要がある、そういうふうに思います。
 それから第二に、五十年代前期経済計画についていろんなお尋ねでありますが、十年間を展望しますと一〇%程度の成長だと、しかし、前期五カ年におきましては一〇%強と言っているがその違いは何だ、こういうふうに伺われておるわけであります。私は、これから先の経済を展望しますと、あんまり高い成長はこれはできない。つまり資源、エネルギー、土地だあるいは水資源だ、また公害の問題、いろんな制約があります。しかし、あんまりまた低い成長はできない。つまり雇用問題というものがある。その調和をどこへ持っていくかということでございまするが、その調和の最もふさわしい点は今後十年間を展望すると六%程度、しかし、いま非常に不況であります。そうして企業の操業度が低い。その結果、過剰労働力がある、過剰設備がある。それは速やかに解消する必要がある。こういうふうに考えるのでありまして、前期五カ年計画におきましては、十年間の平均よりはやや高目の成長を実現をする必要がある、こういうふうに考えたので、この違いが出てくる、こういうふうに御了解願います。
 それから、消費者物価と卸売物価、これは目標実現可能かというお尋ねでございますが、やっぱり私は、一番大事なことは成長管理というか総需要管理、この体制を堅持していく、そして成長があんまり突っ走るようなことのないように、また落ち込むことがないように、そういうふうにしなきゃならぬだろう、こういうふうに考えておりますが、それと同時に、競争政策また構造政策、そういうものを総合的にやってまいりまして、大体この程度の目標は実現をし得ると、かように考えております。
 それから、計画の最終年度ごろになって大量の失業が出るんじゃないか、あるいは過剰設備が出るんじゃないかというお話でございますが、いま失業者が多い、過剰設備がある。しかし、前期五カ年におきまして六%強の成長をする、こういうことになりますると、これは労働力は大体均衡する、つまり完全雇用状態を実現し得ると、こういうふうに考えております。
 それから、社会資本整備のために百兆円に上る公共投資が一体可能なのか、こういうお話でございますが、これは五カ年間の国家経済を精細に展望いたしまして、公共投資をなるべく多くをやろう、こういう考え方を持っております。従来よりも国民総所得における配分を公共投資に多くする、そういう考え方で百兆円の投資はぜひ実現をいたしたいと、また可能であると。
 また他面、社会保障費対国民所得比率を一〇%にすると言っておるが、それは可能かというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、これからの経済は、これは生活環境及び生活条件の整備、これに重点を置きますので、ぜひ国民所得対比一〇%程度は実現をいたしたい、こういうふうに考え、またそれが実現できると、かように考えております。
 また、わが国がノルウェーなどOECD諸国に比べると低成長に過ぎるじゃないか、こういうお話でございますが、ノルウェーは格別です。しかし、六%成長といいますと、これは先進諸国の中で先端を行くグループあるいは最高であるかもしらぬ、そういうふうに考えておるんです。なるほど高度成長期に比べれば低い、低いけれども、国際社会におきましては最先端を行く成長率である、かように御理解を願います。
 なお、総括されまして、新経済計画におきましては新時代への適応だと、そういうようなことで、出直し的な、歴史的改革段階と認識する必要があるのではないか、そういうことでございますが、まことにそのとおりなんです。いままでは高度成長というので、率直に言うと、非常に背伸びした姿の経済でございましたが、これからはこの内外の情勢の変化、それを踏まえてこれは厳しい態勢で臨まなけりゃならぬ。そこで、成長率も従来は一〇%以上の成長です。それをとにかく六%程度に落とそうというのですから、これは非常に大きな変化であります。しかも、内容におきましては、これは量的拡大よりも質的充実へ、つまり成長よりも生活関連へと、生活重点へと、こういうふうに移行するわけでありまして、これは非常に大きな変化である。この変化に対応してこれを着実にやっていくためには、これは非常に努力を必要とする。そこで、この五カ年計画、またさらにその先もそうでありましょうが、成長管理というか、あるいは需要管理といいますか、そういう国家の政策手段を整備し、そしてそれを有効に実現をしていくという構えが必要であると、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、特例公債が去年もことしも、さらにこれから先しばらく続くというような状態は財政法の精神を根本からじゅうりんするものではないかという御質問でございます。残念ながら大変彫りの深い長期にわたる不況を受けまして、赤字財政から脱却するのに時間がかかっておりますことでございますので、しばらくこの状態が続きますことは大変残念に思いますけれども、政府といたしましては、五十年代前半には何としてもこの状態から脱却をしなければならぬと鋭意努力をいたしたいと決心をいたしておるところでございますので、今後とも御協力を願いたいと思います。
 第二は、公債とインフレとの関係でございます。仰せのように、多額の国債の発行がインフレを招きやすい傾向を持ちますことは御指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましては、まずそれに対する歯どめといたしまして、なるべく公債の発行額を押え込むということに財政運営上気をつけなけりゃならぬことは当然でございます。同時に、発行いたしました公債につきまして市中消化の原則をあくまでも厳格に守ってまいりたいと考えております。その場合の市場の整備あるいは条件の改善、あるいは発行方法の工夫等は仰せのようにいろいろ考えてまいらなければならぬと思っております。さらに、過剰流動性を防ぐ意味におきましても、中央銀行の適正通貨の供給につきましての信用政策は厳正に行われることを期待しなければならぬと考えております。
 第三に、公債依存率をどの程度に考えておるかということでございます。四十一年度に財政制度審議会から御答申がございましたように、まず五%程度の公債依存率が常識的でないかという御指摘がございまして、政府もまたそういうことを目標にいたしまして努力すべきであるという考えを国会を通じて表明いたしておるわけでございまして、私どもといたしましても、究極におきましてそういった道標を見詰めながら年々歳々の財政運営の努力を傾注してまいりたいと考えております。
 第四に、金利の自由化と金融機関の合理化についてどう考えておるかということでございます。これは金融政策の基本にかかわる問題でございまして、福間議員のおっしゃるように、こういう基本の方向に即して金融政策を考えてまいらなければならぬことは政府としても当然と考えております。
 第五の御質問は減債制度でございますが、百分の一・六という繰入率では足らないので百分の十を特例債については考えるべきではないかという御提案でございます。確かに建設的な御提案と思いますけれども、私どもは、特例債は異例中の異例でございますので、早くこの特例債財政から脱却することをいま念願いたしておるわけでございまして、減債制度は、特例債を考えずにノーマルな財政状態を基礎にして考えておくべきであろうと思うのでございまして、特例債のための減債制度を特に制度として設けることにつきましては消極的に考えておるわけでございますけれども、しかし、特例債の減債を急げということにつきましては、御趣旨の点はよく了解できるところでございますので、極力努力を重ねたいと思います。
 それから、減税政策を精力的に進めなければならぬではないかという御指摘でございます。政治の要諦は、申すまでもなく減税にあることは全く同感でございます。幸いにいたしまして、わが国は先進諸国に比べましていま租税負担率は比較的低位にあるわけでございます。先進諸国が三〇%ないし四〇%程度の水準にありますが、わが国は二〇%前後、中央、地方を通じてその程度の負担にとどまっておりますことはまだ幸いだと思っておるわけでございますが、今後経済力の着実な充実の度合い、政府各機関の合理的な運営、また対国民に対するサービス等を勘案しながら、究極の道標として減税を極力推進する方向に財政政策は運営されねばならぬことは仰せのとおりでございまして、そういう方向に鋭意努力してまいるつもりでございます。
 租税特別措置の整理について今後どうするかということでございます。ことしは法人についての特別措置を中心に相当大幅な特別措置の整理をやらしていただいたわけでございます。毎年この措置が既得権化することのないように、慢性化することのないように、年々歳々見直してまいることは当然の責任でございますので、今後も鋭意見直しを続けてまいるつもりでございます。
 今後の租税政策は大まかに言ってどういう方向をとるのか、直・間の比率をどう考えるかという御質問でございます。直接税、間接税、いまほぼ七割は直接税、間接税はほぼ三割に満たないアメリカ型の租税体系をわが国はとっておるわけでございます。で、これについてはいろいろな批判があるわけでございます。また特例債財政からの脱却から、将来租税政策について見直さなければならぬ時期に来ておるわけでございまして、仰せのように、今後どういう税目について見直しを行うべきかということは、税制調査会等で真剣に御勉強いただかなければならぬわけでございますけれども、いまどういう税目をどの程度、どのようにあんばいしてまいるかというようなことにつきまして、国会でいま具体的に御答弁を申し上げるまでに熟した考えを政府はまだ持っていないわけでございまして、いずれ国会に御報告できる段階になりましたならば御報告を申し上げることでお許しをいただきたいと思います。
 アメリカの政策についてどう思うか。アメリカは減税政策を実行したが日本は減税政策をとらなかったことに対するごふんまんであろうと思うのでございますが、各国はそれぞれ客観的条件を異にいたしておるわけでございまして、アメリカは減税政策を行いましたけれども、思い切って、一方、歳出は削減をいたしておるわけでございます。わが国の場合は、中央、地方を通じまして行財政水準は維持すると、しかし、ことしは財政不如意でございますので減税はしばらく見合わしていただくというようなことを考えたことは、決して許されないことではなかろうと私は判断いたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
#51
○議長(河野謙三君) 矢追秀彦君。
   〔矢追秀彦君登壇、拍手〕
#52
○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案について、総理並びに関係閣僚に対し、若干の質疑をいたすものであります。
 私は初めに、昨五十年度に引き続き巨額の赤字国債の発行を余儀なくされたのは、深刻な不況を長引かせた政府の財政、経済、金融政策の失敗によるものであり、その元凶はGNP至上主義と大企業優先に徹した高度経済成長政策にあったことは明々白々たる事実であり、その結果、国民はインフレ、不況、失業という大きな苦しみを背負わなければならなかったのであります。このように国民生活を圧迫した政治責任は当然問われなければなりません。
 さらに、ロッキード事件という、長期保守党政権の持つ体質とも言うべき構造汚職が国民の前に明らかにされたのであります。このロッキード事件の真相究明こそ、政治の信頼を取り戻し、自由と民主主義を守るために最も必要なことであります。しかるに、政府、ことに三木総理は、真相究明を口にしながらも、現実にはいまだいわゆる灰色の高官名の発表すらもちゅうちょし、司法権の独立、捜査の妨害あるいは日米取り決めを盾に、事実を覆い隠そうとしているのであります。これでは長年の保守党政治が行ってきた構造汚職にもメスを入れることはできず、このままでは国民の望む政治刷新、政治転換も行われないのであります。したがって、この強い国民の要求にこたえられない三木総理は早期に総辞職、解散を行い、国民に信を問うべきでありますが、総理の所信をお伺いしたい。(拍手)
 次に、本論に入り、質問の第一は償還計画についてであります。五十年度赤字国債発行の際、先国会において政府からは一応償還計画表並びに補足説明書が提示されました。しかし、これらの説明では、赤字国債については借りかえを行わないことと、財政法第六条の繰り入れについては剰余金の全額を繰り入れること、そして予算繰り入れについては赤字財政脱却後に行うことを明らかにした程度であり、国民の納得のいくものではありません。さらに、本年二月六日、政府は財政収支試算と称する五十五年度までの中期財政計画を発表しました。これによりますと、赤字財政を五十四年度までに脱却するとすれば、五十年度より五十二年度において二四%台という税収の伸びが必要である。また、それより一年早く脱却するとなれば、税収の伸びはさらに高い二六%台にしなければだめであるという、言うなれば国民に対するおどし以外の何物でもない財源計画であります。税収の伸びを何によって実現しようというのか。それを示さないで財政計画などと言えるはずがありません。このような無責任な態度をわれわれは許すわけにはまいりません。
 しかも、五十年度発行の二兆二千九百億円の赤字国債は十年後の六十年度に、今回の三兆七千五百億円は六十一年度に、間違いなく償還期限が到来いたします。さらに、五十四年度まで赤字国債の発行が続けられるとすれば、引き続いて六十四年度まで巨額に上る償還財源を積み立てるか、単年度予算で繰り入れるかの羽目に追い込まれ、将来の日本財政の重石となるのであります。また、赤字国債発行下においては償還財源となるべき決算上の剰余金は生じようはずはありません。また、定率繰り入れば建設国債の償還期限六十年を前提とするものであり、赤字国債償還の財源としては不十分であります。さらに、経済審議会から出された五十年代前期経済計画の「公債政策のあり方」によりますと、「計画期間中にできるだけ早く特例公債に依存しない状態に復帰するものとする」と述べられているのみで、ここにも償還財源の調達については不明確であります。さらに実質成長率六%と、税及び税外負担を三%程度の上昇と見込んでおりますが、これで五十五年度までの財政計画が果たして健全なものになるのかどうか非常に不安であります。ここで財源調達計画をさらに国民に理解されるようもっとすっきりしたものとして出すべきであると思うが、この点について大蔵大臣はどう思うか。また財源調達計画については、五十五年度以降も含めて、具体的にして説得力のあるものを提出していただきたい。さらに、五十年代前期経済計画によって五十五年までに健全な財政に戻るのかどうか、具体的に経企庁長官にもお伺いをしたいのであります。
 質問の第二は、現在の減債基金制度の基幹となっている国債整理基金特別会計についてであります。私は五十年度補正予算審議の際、その運用収入が予算と決算ではその金額に著しい相違があることを指摘し、その改善を要求した結果、確かに五十一年度予算においては、前年度比約七倍に当たる二百億円を計上しております。しかしながら、両年度歳入と歳出が同額であり、しかも、巨額な運用収入がどこにあるのか全く不明であり、この運用収入を生む元金は一割の利子でも二千億円であります。このような大金が国民に全くわからない状態であるのは、財政民主主義に反するものであります。政府はこの内容を公表すべきでありますが、明快な答弁を願いたい。
 質問の第三は、今後の税収見込みと増税計画についてであります。五十一年度においては、所得税減税を見送り、加えて間接税の増税を行っても、税収の伸びは前年度比一七%にしか達しておりません。政府の見込んでいる五十二年度及び五十三年度の名目GNPの伸びはともに一五%であり、これに対し二四%台あるいは二六%台の税収の伸びを見込むということは、五十二年度以降大幅な増税計画があることを示唆していると言わざるを得ません。特に、五十年代前期経済計画の「租税負担等のあり方」において、「現行税制の仕組みの中で、負担の現状を考慮しつつ選択的に増収を図るとともに、経済情勢の推移に応じ、今後の財政支出を安定的に賄う新規財源について検討を進める」とあるのを見ても、新税の導入、特に付加価値税の導入なしには不可能だと思わざるを得ないのでありますが、政府の真意はどうかを明確にされたいのであります。
 さらに、国民の強い要望であり、わが党がしばしば主張しております不公平税制の改革についてでありますが、改めて抜本的、具体的な方途をこの際はっきりと示していただきたい。
 質問の第四は、マネーサプライによる過剰流動性についてであります。政府は、これまでデフレギャップが大きい状況のもとでは国債の発行はインフレをもたらすことにはならない、むしろ景気の浮揚に役立つとの立場をとってまいりました。しかし、国債の大量発行の影響が表面化するのはこれからであります。景気回復の進行とともに、民間の資金需要は徐々に拡大し、その結果、再び金融引き締めを予測する報道も一部に見られます。加えて地方公共団体の巨額の地方債引き受けのため、地方銀行の企業への貸し出し余力は縮減されつつあります。これに加えて、大量の国債を発行し続けると、当然のことながら中小企業を中心としたクラウディングアウトが発生することとなりますが、これを回避しようとすれば、金融を引き締めるべきときに日銀信用の拡大を通じて金融を緩和しなければならず、これは直ちに過剰流動性の状況につながることとなります。五十一年三月末の通貨供給量M2は前年同月比で一五・七%の増加を示し、前年度末の一二・三%増に比べると著しい増加ぶりを示しております。政府はしばしば過剰流動性は起こらないと言明しておりますが、現在すでに株式や債券の異常買いを初めとする投機的流通行為が起こり始めております。かつて土地投機を初めとする投機的流通行為によるインフレが起こったのも、そのもとはマネーサプライを軽視した結果であります。この投機的流通行為を起こさないための環境づくりを政府はどうするのか、お答えいただきたい。
 さらに、今後の景気回復の過程における金融のあり方、国債の市中消化、そしてマネーサプライとクラウディングアウトの問題など複雑な状況の存在の中できめ細かい経済運営を行い、インフレを抑え、不況の克服を図らなければなりませんが、政府の具体的な対策を伺いたい。
 最後に、年度当初から赤字国債発行の特例法案が提案されたのは今回が初めてであります。この法案は運用いかんでは五十一年度の歳入補てん公債発行の根拠法となる規定の仕方をしており、今後補正予算の提出が必要な場合、予算で赤字公債発行額を増額さえすれば足りる仕組みをとっております。こうした財政民主主義に反するやり方は許されないのであります。この特例法は当初予算計上赤字国債三兆七千五百億円についての法案であって、これを増額する場合は別に法律を提出することを約束するかどうか、大蔵大臣の見解を伺って私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#53
○国務大臣(三木武夫君) 矢追君にお答えをいたします。
 矢追君は、このような巨額な特例公債を発行したのは不況が長く続いた結果である、これは政府の財政、経済、金融政策の誤りではないかという御指摘でございましたが、矢追君も御承知のように、三木内閣が発足いたしましたときは、狂乱物価と言われる異常な物価高の中に出発をいたしたわけでございますから、まず物価を鎮静するということが最大の政策目標であったわけでございます。その結果、物価に対する政府の公約はことごとくこれを履行してまいったわけでございます。しかし、その結果、総需要抑制政策をとらざるを得なくなったわけでございまして、不況が伴ったことは事実でございますが、物価の鎮静という最大の国民の要望に沿って、物価の鎮静の情勢というものが明らかになってきた。これを踏まえて不況対策に乗り出したわけでございまして、今年度の予算の中にも、住宅とか公共事業、あるいはまた輸出の拡大のために輸出金融の拡大等をいたしまして、すべての経済指標というものは上向いてまいっておるわけで、景気は着実に回復の基調の上に乗ってまいったわけでございまして、こういうインフレと不況とが共存するというかつてない困難な経済情勢の中で、政府は大筋において政府の経済政策は誤ってはいなかったと考えておる次第でございます。
 次にまた、ロッキード問題の真相究明は政治の信頼を取り戻す道である、いわゆる灰色高官名も公表せよというお話でございました。私も矢追君と同じように、ロッキード問題の真相を明らかにすることが政治の信用を回復する道であるという考えでございますが、ロッキード問題に対してまだ捜査も終了していない時期に、いわゆる灰色高官をどうするとかこうするとか申しますことは、いま捜査の途中で、捜査活動に対しても悪影響を与えることは矢追君も御理解が願えると思うのでございます。したがって、国政調査に対しては刑事訴訟法その他の法令によるできる限りの協力をいたしてまいるということ以上に申し上げることは適当でないと思うわけでございます。
 また、ロッキード問題の真相を解明できなかったような場合はこれは責任をとらなければならない、総辞職、解散というようなお話がございましたが、これは私は全力を傾けてロッキード問題の真相を解明したいということでございまして、それ以外に総辞職する考えもございませんし、解散はいつかやらなければなりませんけれども、具体的にいつやるということはいま考えておらないわけでございます。とにかく、真相を解明するということに全力を尽くすということが今日私に課されておる責任である、こう考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#54
○国務大臣(大平正芳君) 第一は、公債の償還計画についてのお尋ねでございます。特例公債につきましては、満期までに全額現金償還することといたしまして、借りかえを行わない方針で臨んでおります。このための財源といたしまして、御案内のように百分の一・六の定率繰り入れ、それから特例公債の償還までの間は剰余金全額の繰り入れ、それから必要に応じて予算の繰り入れを行うということによりまして、特例公債の償還に支障のない配慮をいたしておるわけでございます。しかしながら、これらの財源につきまして、それぞれ具体的にどのぐらいの額となるかということにつきまして、現段階で確たる見通しを言えということでございますけれども、そのときの財政状態というものを的確に見通すことは残念ながらきわめて困難でございます。すなわち、剰余金の発生は今後の経済の動向、その中での財政収支の状況がどのようになるか、それにつきまして、今後十年以上のものを、長期間にわたる見通しを行うことは、残念ながら大変困難でございます。また、予算繰り入れにつきましては、その他の財源の状況を考慮しながら、かつ財政収支の状況を勘案しながら必要に応じてやってまいる考えでございまして、現段階でいつどのぐらいの額の予算繰り入れができるかということを具体的に申し上げることは、残念ながら大変困難でございます。政府としては、特例公債の償還を支障なく行うために、まず特例公債の発行を最小限度にとどめて、できるだけ早くそれからの脱却を図るということに全力を傾注してまいる所存でございます。
 御質問の趣旨が、特例公債の償還の裏づけとなる税の増収につきまして、自然増収か増税か、仮に増税だとすれば、その具体的な税目、その実施の時期を示せということでございますが、そういうことであるとすれば、今後税の自然増収がどの程度見込めるか、今後の経済情勢の推移いかんにかかるものでございまして、仮に自然増収のみでは所要の税収を賄えない場合でも、増税ないし新税の導入を図るべきか否かにつきましては、そのときの経済情勢、財政事情等を総合的に勘案して判断しなければならないことは矢追さんも御承知のとおりでございます。現段階で政府といたしましては御質問のような具体的な増税計画を持っているわけではございませんで、いずれ国民の負担に重大な影響がある問題でございますので、今後税制調査会を初め各方面の慎重な御検討をお願いしたいものと考えております。
 次に、国債整理基金の歳入となる巨額の運用収入を生む元金はどこにあるか不明で、財政民主主義の立場からも困るではないか、この点について公表することができるのかという意味の御質問でございまして、国債整理基金の運用収入は主として公債の減額のための積立金から生まれるものでございますけれども、御指摘のように、これらの残高は予算書またはその付属書類に記載がないのが事実でございます。これは国債整理基金特別会計の性格から申しまして、将来の償還に備えて繰り入れの都度歳出権を付与することになっているためでございまして、予算においては歳入歳出が同額となるものでございます。したがって、国債整理基金の残高は、すでに歳出予算で歳出権を得た逓次繰越額でございまして、これは予算書に計上しておりません。しかし、この点につきましては、別途決算書類において明らかになるものでございます。
 なお、御質問の趣旨でございまする国債整理基金の資金残高等につきましては、参議院予算委員会に対しましてその要求により資料を提出いたしておるところでございます。
 それから、過剰流動性の問題についての御質疑がございました。現在、過剰流動性が発生しつつあるのではないかという懸念が確かにあることは事実でございますが、私どもの見るところ、現在は一応大丈夫であろうと見ておるわけでございます。したがって、当面金融政策についてさらに引き締めに転ずるとかいう必要を認めていないわけでございます。しかし、これは私どもがいま全然警戒心を解いているわけではなくて、今後の金融状況を十分ウォッチしながら十分注意しなければなりませんけれども、いまの状況では特に金融政策の基調を転換しなければならない状況であるとは判断していないわけでございます。
 それから第二に、公債の市中消化の点でございますが、これは福間先生にもお答え申し上げましたとおり、インフレを招来しないために厳格に守ってまいる原則でございまして、市場の整備、条件の改善、それからいろいろ発行方法の工夫等を通じまして、今後十分配慮してまいらなければなりませんが、とりわけ過剰流動性との関連におきましては、市中のシ団との打ち合わせにおきましては、市中の金融の状況を勘案しながら月々の発行額を適切に調節しながら、矢追さん御心配のクラウディングアウトの現象を生まないように気をつけてまいる所存でございます。最近クラウディングアウトにつきましても、過剰流動性に関連いたしまして御心配の向きがございますけれども、私ども若干の懸念を指摘する向きもございますけれども、過剰流動性のところでいま述べましたように、特に金融政策の基調を変えるほどの状況にあるものとは判断しておりません。
    ―――――――――――――
 なお、この機会に、先ほど福間議員にお答え申し上げるところを一つ落としておりましたので、お許しをいただいて御答弁申し上げたいと思います。
 それは日銀政策委員会とか、金利調整審議会等が閉鎖的でございまして、国民各層、とりわけ労働者、国民各層の意見を十分吸収することができているかどうかということに対して疑問が投げられたわけでございます。私どもの見るところ、日本銀行政策委員会も金利調整審議会も、その構成につきまして、金融界、商工界、農業界、あるいは産業界、金利調整審議会は学者あるいは労働代表等相当広範にわたって委員を委嘱いたしておりまして、国民各層の立場に立ちまして、国民経済的な立場に立って公正な判断ができるような仕組みになっておりますし、さような方向で機能いたしておるものと判断いたしておりますので、御懸念のようなことはないものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#55
○国務大臣(福田赳夫君) お答えします。
 五十年代の前期経済計画では五十五年度までの財政の姿をどう想定しているか、果たして健全にいくかというお尋ねでございますが、私はその点はまあ大変私自身も心配はしているんです。しばしば申し上げておりまするように、石油ショックであれほどの衝撃を受けた日本経済、日本社会でございますが、大体五十一年度中には、インフレにおきましてもあるいは不況におきましても大体の粗ごなしができる、さように考えておるわけでありますが、しかし、あれだけの大ショックでありますので後遺症が残るんです。その後遺症の最大のものが財政です。いまとにかく七兆円という公債、これはまあ異例のことでございますが、私はことしのこの公債、そういう多額のものでありまするが、それには心配はいたしておりませんけれども、これが長期にわたるということになりますると、これはいわゆる財政インフレ、そういう事態になりかねない。そこでどうしても最小限、この赤字公債、これを早く断ち切らなきゃならぬ。そこでこれからの財政を展望してみますると、経済の成長率が落ちてくる、それに伴いまして自然増収の伸び率が従来のようなわけにはまいりません。他面におきまして、この新しい十年間を展望しますと、国の施策の重点も生活関連という方向へ指向しなきゃならぬ。そのためには社会保障費が要る。あるいは生活関連投資が要る。こういうようなことを考えまするときに、財政の需要、支出、歳出の需要というもの、これがかなり要請されるという立場にあるわけです。そういう状態で、なかなかこの赤字公債解消問題はむずかしい問題ではございまするけれども、これを長く放置することはできない。そこでこの前期五カ年計画におきましては、五十二年度、五十三年度は、これはもうやむを得ない。赤字公債は続けざるを得ない。しかし、五十四年度、遅くも五十五年度におきましてはこの赤字公債を全部なくすることにいたしたい、かように考えておるのであります。そういう考え方をとりますと、矢追さんがいま御指摘のとおりの問題になるわけでありますが、税及び税外負担、これが三%程度ふえてくることになるのじゃないかと、こういうことになりますが、もうそのとおりでございまして、しかし、まあこのことを考えないで、赤字公債の五十四年度、五十五年度解消ということができない。そこで三%租税負担率が上がってくる、こういうことになりますが、この三%の租税負担率は必ずしも増税によるということじゃないのです。これからの経済の推移にもよります。自然増収も期待されると思うのです。もし自然増収でこの三%の負担率上昇をカバーできないという際におきましては、これは増税を考えなきゃならぬということになるわけでありますが、まあその具体的な増税への負担割合というようなことがどうなるか、いま今日、このような情勢におきまして判断することはできないのです。もう少し推移を見まして、自然増収でどのくらいカバーできるか、増税にどのくらい期待しなけりゃならぬかということが見通し得る段階になりましたならば具体的施設を考えたい、こういうふうに考えておるわけでありまして、したがいまして、もとよりいわゆる付加価値税の導入をいま予断しているというようなことは絶対ありませんから、その点は御安心願いたいと思います。(拍手)
#56
○議長(河野謙三君) 答弁の補足があります。大平大蔵大臣。
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#57
○国務大臣(大平正芳君) 矢追議員の御質疑の中で、特別債の発行額は、いま御提案申し上げている法律では、予算の定める金額の範囲内で発行できるというようにお願いいたしておるわけでございますけれども、法律の中で金額を記載して法定すべきでないかという御趣旨の御質問だったと思います。この点につきましては、衆議院の大蔵委員会におきましても問題が提起されたわけでございます。それで政府部内でいろいろ議論を重ねたところでございますが、法理論といたしましては、ただいま御提案申し上げているような形で一応許されるのではないかという見解でございます。しかし、政治論といたしましては、確かにこういう財政危機の状況でございまして、赤字公債を発行するについての歯どめが政治的にやかましく論議されておる段階でございまするので、私から、年度の途中におきまして一たん予算に定められた金額以内での発行ではなお不足して追加発行をお認め願わなければならないような事態は避ける決意で緊張した財政運営に当たるつもりでございますということをお答え申し上げました経緯がございます。政府といたしましては、さような精神で、決意で財政運営に当たるということをあわせて御披露申し上げまして御了解を得たいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#58
○議長(河野謙三君) 加藤進君。
   〔加藤進君登壇、拍手〕
#59
○加藤進君 私は、日本共産党を代表して総理並びに関係大臣に質問いたします。
 わが国の国民は、かつて戦時中の赤字国債の乱発を原因とする悪性インフレに塗炭の苦しみを味わい、その後も引き続いて異常な物価上昇に苦しんでいることは事実の示すとおりであります。ところが政府は、この法案によって三兆七千五百億円という巨額の赤字国債を昨年に引き続いて発行し、さらに、大蔵省発表の財政収支試算がおくめんもなく示しているように、五十三年度もしくは五十四年度までこの赤字国債を発行する意図を示しているありさまであります。大蔵大臣は、赤字国債の発行は「異例な措置である」と繰り返し説明しています。不況期などの緊急な際の例外措置として赤字国債の発行があり得るということを認める財政学者もないわけではありません。しかし、政府が本年度は当初予算から赤字国債の発行を組み込み、さらに五十三−五十四年度まで引き続いて発行を予定していることは、すでに不況を克服し、好況もしくは通常の経済状態に回復してもなお赤字国債を発行することを意味しているものであり、不況時の緊急避難的性格のものとはとうてい言うことはできません。大蔵大臣は、このような措置が赤字公債の発行を原則的には認めていない財政法の上から許されることとお考えになるのか御答弁を求めます。
 また、本法案第一条には「租税収入の動向等にかんがみ、同年度の財政運営に必要な財源を確保し、」と規定し、五十年度の特例法とは異なり、赤字国債発行の目的を財源確保に一般化しております。これは赤字国債発行の恒常化に法的にも道を開くものではありませんか。大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
 政府のとっている以上のような態度は、結局、政府・与党の多数による国会の議決さえあれば、緊急避難的な性格のものでなくても、赤字国債の恒常的な、制度的な発行ができるということを意味しているものであります。このような態度が財政法の第四条と根本的に対立することは明白であります。総理は財政法第四条に誠実に従う意思を持っておられるのか、また、今後赤字国債の発行を特例法によらずに行うために財政法に手を加えることまで考えておられるのであるか、明確な御答弁を求めます。
 財政節度を失ったこのような政府の政策によって、国債の累積残高は今年度末には二十二兆六千億円、五十五年度末には実に五十一兆円以上、GNPの一八%にもなると予想されています。このことは、GNPに占める国債残高の比重がイギリスの四五%、アメリカの二八%に次ぐものとなり、現在これらの国が陥っている不断のインフレと経済成長の停滞という事態にわが国経済が急速に接近することを意味するものであり、重大な事態と言わざるを得ません。
 政府は、公債発行とインフレの歯どめは財政と経済のバランスにあると主張しています。長期にわたって累積する公債の発行とインフレの歯どめを毎年度の経済バランスでつけるということができるとするこの主張は、まさに欺瞞と言わざるを得ません。政府はGNP比、国債残高など適切な指標を設けて歯どめを行うべきであると思うがどうか。
 また、現在、政府の公債増発政策を重大な原因として、不況下にもかかわらず通貨供給量が急増し、いわゆる過剰流動性が問題となり、物価も一段と上昇しつつある気配を示しております。このような事態のもとで今年度も国債を大量に発行するならば、景気回復とともにインフレの高進を避けられないものとすることは明白であります。政府はインフレ阻止のために少なくとも赤字公債の発行をやめ、また通貨供給量に適切な指標を設けて、通貨の増発を規制する措置をとるべきだと思うが、経済企画庁長官の答弁を求めます。
 さらに重大なことは、このような公債の累積とともに、金利支払いなどのための国債費が急増することであります。財政収支試算によれば、国債費は昭和五十年度の一兆一千億円から五十五年度の四兆四千億と四倍となり、財政支出に占めるその割合は五%から一〇%以上に倍加することとなっております。この国債費こそ、大銀行、大資産家などにぬれ手にアワの莫大な不労所得を保障し、国民には重税を強要するまさに不公平きわまりないものではありませんか。また、財政収支試算は、今後の生活関連施設などの公共投資や社会保障費は伸び率がこれまでよりも大幅に落とされ、農漁業や中小企業対策費、文教対策費なども大幅に圧縮されると見込まれていますが、その重要な原因は、この国債費の急増にあると思うがどうでしょうか。特に、政府が今後大増税や社会保障保険料の引き上げなどによって、今後、名目GNPの三%、すなわち一世帯当たり二十一万四千円もの負担増という大収奪を見込んでいるということは絶対に許すことはできません。政府は国民の反対に押されて、五十二年度には付加価値税導入を行わないなどと述べていますが、このような最悪の大衆課税は五十二年度以降も絶対に導入すべきでないと思うがどうか。総理の答弁を求めます。
 わが党は、今回の財政危機を打開するために軍事費、対外進出費などの不要不急の歳出を削減し、歳入確保のために大企業、大資産家に対する特権的減免税制度を徹底的に改廃することなど財政、税制、金融の根本的転換を繰り返し主張してまいりました。この道以外には亡国国債と言うべき赤字国債の発行を取りやめ、真に国民生活を守る道はないと確信するからであります。ところが、政府が今年度税制改正で行ったものは、租税特別措置法の二百余項目のうちわずかに十一項目を廃止したにすぎず、利子・配当の分離選択課税や支払い配当の軽課措置などを初め、退職給与引当金や貸し倒れ引当金など、大企業、大資産家への減免税額の特に大きなものには全く手を触れていないありさまであります。それのみか、会社臨時特別税を廃止する一方、国民には所得税の実質増税や自動車諸税の引き上げなど大きな負担増を強いているのであります。これはまさに欺瞞的改廃措置であり、財政危機の打開を国民生活の犠牲によって乗り切ろうとする態度だと断ぜざるを得ません。総理は、大企業、大資産家優遇の特権的減免税制度の徹底的な改廃など、財政、税制政策を根本的に転換して、赤字公債の発行を防ぎ、今日の危機を国民の要求に沿う方向で打開すべきであります。総理並びに大蔵大臣の明確な答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#60
○国務大臣(三木武夫君) 加藤君にお答えをいたします。
 総理は財政法第四条の規定を守り抜いていくのかと、財政法自体に手を加えるような考えであるのではないかという御質問でございましたが、財政法の建設公債の発行を財政運営の基本的な原則としていくという考え方に変わりはございませんから、財政法四条の規定は守っていく考えでございます。財政法そのものに手をつける考えは持っておりません。
 また、付加価値税を五十二年度以降も導入をやめろというお話でございます。まあ財政運営を考えますと、何らかの税負担の増加について国民の御理解を得なければならぬ場面もあると考えられますが、新税の創設というものは国民生活にも重大な影響がございますので、税制調査会を初め各方面の意見を十分参考にしながら慎重な検討をいたしてまいりたいという考えでございます。
 また加藤君は、国債の発行というものは大銀行や大資本家に公債の利子を保障して国民には非常な負担をかけるものではないかというような御指摘がございましたが、公債発行によって得たその資金というものは、社会資本の充実等国民生活に必要な支出に向けられて、低所得者のいろんな施策にもこれが向けられるわけでございますから、したがって、利子の支払いの点だけをとらえて、国債発行が財政の持つ所得配分の機能を失うという加藤君の説には同意することはできません。
 また加藤君は、租税特別措置法の改正というものが不徹底である、こういうことでは財政危機に対応できぬではないかというお話でございます。租税特別措置については、昭和五十年度の税制改革において行われた土地譲渡所得に対する課税の特例、利子・配当所得に対する課税の特例に関して改善合理化が本年の一月から実施されているほか、五十一年度の税制改革に当たっても租税特別措置については全面的な見直しを行い、企業関係の税制を中心として大幅な整理統合を行ったわけでございます。これで十分だと考えておるわけではございませんので、今後とも租税特別措置の整理、合理化については一層努力をしてまいる所存でございます。
 お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#61
○国務大臣(大平正芳君) 総理大臣から概略御答弁でございましたので、私から若干の補足をさしていただきたいと思います。
 若干重複になりますけれども、特例債を発行するという、しかも数年度にわたって発行するということと財政法との関係でございますけれども、財政法上特例債が認められていないことは御指摘のとおりでございます。したがって、こういうことは異例中の異例でございますので、できるだけ早くこの特例債財政から脱却の方途を考えることを財政運営の基本にいたす決意で真剣に対処いたしておりますことを御理解いただきたいと思うのであります。
 第二の問題は、公債費がかように急増いたすために、五十年代の後期の経済計画に乗りました公共投資、振替支出等の伸び率が落ちたのではないかという御指摘でございますが、さようには私は考えません。このように減速経済になりました状況におきまして、GNPの伸び率をさらに超えた、公共投資において平均一五・五%、振替支出におきまして平均一七%の増率を、伸び率を確保し、それを財政的に賄うためにはこのような工夫が要るというようなことで財政収支の試算を出しましたことは加藤さんも御承知のとおりでございまして、私どもこの経済計画を何とか財政的に裏づけしたいということのためにいろいろな工夫を、公債の発行も含めまして工夫をいたしておるわけでございまして、公債を発行しておるがゆえにこういう公共投資、振替支出が減ったというようなことにはならないと考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#62
○国務大臣(福田赳夫君) 長期財政収支試算ではインフレは不可避と思うがどうかと、こういう御質問でございますが、長期財政収支に示した公債の程度におきましてインフレの危険があるとは考えません。この公債は、多額にしかも長期にわたって発行するというようなことになると確かにインフレの危険を感じます。しかしながら、政府におきましてはいわゆる赤字公債、これをもうこの二、三年ぐらいの時点で打ち切りというふうにしたいという努力をいたしますので、その間経済、財政のバランスが調和をとれ、また発行されましたこの公債につきまして市中消化が完全に行われるということになりますれば、これはもうインフレの危険はない、そのようにまたいたしたいと考えております。
 それから、公債は長期にわたって累積するものであるから、公債残高などについて適切な歯どめの指標が要るんじゃないか、こういう御指摘でございます。確かに一つのお考えではございましょうが、しかしやっぱり、まあ申し上げましたように、この公債を出すその財政下における経済全体、特に経済全体の中における財政の節度というものが、これが完全にとられておるという限りにおきましてこれがインフレ問題を巻き起こす危険はないので、やっぱり節度ある経済、財政の運営、それから市中消化原則、これを、指標という数字じゃなくて、考え方の基本として進めていくという考え方をとりたいのであります。
 それから第三に、現在過剰流動性が問題になっておるが、通貨供給量に対する適切な指標を設けたらどうか、こういうお話でございます。確かにそういう議論はあるのです。何か一定のマネーサプライの比率を設定いたしまして、そこで経済活動、財政活動を抑え込んでいくと、こういう考え方でございますが、これは余りに私は本末転倒だろうと思うのです。つまり経済活動、財政活動、その結果がこのマネーサプライということになってくる。それが非常に大きな変化を示すというようなことになりますると、これは財政活動あるいは経済活動においていろいろ調整しなければならぬと、こういう問題が起こってくるわけでありまして、どうも金を供給をとめちゃう、その中で経済活動を、財政活動を規制するという考え方は逆な考え方じゃないかと、私はそういう考え方を持っておるわけであります。しかし、そのマネーサプライ、これがどういうふうに動いていくかということにつきましては、財政運営上あるいは経済政策運営上十分これは注目していかなければならぬ、そういう問題であるということでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#63
○議長(河野謙三君) 栗林卓司君。
   〔栗林卓司君登壇、拍手〕
#64
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十一年度の公債の発行の特例に関する法律案について、総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。
 聞くところによりますと、今年度予算に含まれる建設公債は、四月に五千億円、五月に一兆二千億円、六、七、八の三カ月に各月六千億円として一兆八千億円、したがって、八月末までに総額三兆五千億円余りをすべて発行し終わる予定だそうであります。したがって、九月以降の公債発行は、ただいま議題となっております特例公債が対象になるものと思われます。ところで、総額三兆七千五百億円を九月から来年三月までの七カ月間に発行することが可能なのでありましょうか。月平均にならせば五千億円強であります。過去の例に照らして、それ自体異常に多いという金額ではありません。しかし、今年度の場合、国債と並行して地方債も巨額な発行が予定されております。不況のどん底にあった過去一年と違って、いまは生産販売活動に回復の兆しがあります。年度後半には民間の資金需要も増加するでありましょうし、また、それを期待するのが政府の立場のはずであります。
 また政府は、昨年の預金金利引き下げ以来、長期貸出金利を含めて金利水準引き下げの政治的義務を負っているはずであります。したがって、政府が発行する国債は少なくも公社債市場の利回り上昇を伴うものであってはなりません。予算に計上したから、したがって政府の御用金なのだからといって、はたの迷惑も顧みずに押し切るわけにはいかないはずであります。
 以上の観点に立って考えた場合、三兆七千五百億円の特例公債の発行は果たして可能なのか。また、その判断の前提として、金融の面から見た年度後半の経済情勢について、また、公債発行に当たって配慮すべき諸条件について大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
 ところで、この質問は、実は来年度についても通用する質問であります。政府は、昭和五十二年度についても特例公債の発行を予定しているとたびたび言明してまいりました。その発行の規模は来年度予算編成上の問題としても、その規模が今年度に比べて著しく縮小される見通しはいまのところありません。政府の試算でも、その額は今年度同様に三兆円を超えております。一方、民間の資金需要は今年度に比べて増大するでありましょうし、もしそうならないとしたら、むしろ景気対策上のゆゆしい問題であります。
 また、政府が物価抑制の態度を貫こうとするなら、赤字に苦しむ企業の貸出金利の引き下げを求める声は、強まることはあっても弱まることはないでありましょう。同時にまた、物価への影響を考えると、いますでにじりじりと上昇を続けているマネーサプライの動向について、将来とも目を覆っていることが許されるのでありましょうか。この意味で、政府が来年度に予想している特例公債についても、その消化の見通しについてお尋ねをしなければなりません。
 以上要するに、公債の発行予定額とは、あくまでも発行を許される限度額という意味であり、努力目標であるにすぎません。そして、年度を通じてどのぐらいの公債を発行し得たかは年度末の結果を見て初めて判明する筋合いのものであります。公債の発行について、民間に迷惑が及ばないよう、金融市場の実情に応じて行うという態度をもし政府が守ろうとするなら、当然そういう結論になるはずであります。大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
 さて、問題はその次であります。特例公債三兆七千五百億円がその性格として限度額であり、努力目標であるとしたら、今年度の予算の執行は一体どういうことになるのでありましょうか。歳入が不確定であるということは、歳出が不確定ということであります。もちろん、通常の税収にしても、年度当初から確定しているわけではありません。しかし、従来は歳入に狂いが出たとしても、それは増収であり、仮に減収になったとしても、建設公債の追加発行で補正することも可能でありました。したがって、歳出予算は年度当初から確定額として取り扱っても支障がなかったのであります。
 しかし、今年度の場合は基本的に状況が異なります。建設公債はすでに目いっぱいの発行が予定されております。そして、これでも足りずに特例公債を発行するわけであります。しかるに、その全額発行が困難ということにもしなったとしたら、歳出予算そのものに影響が及ぶでありましょう。すなわち、今年度予算は衆参両院を通過したとは言え、その内容は依然として不確定だということであります。公債の発行可能額を決定するものは、政府でも国会でもありません。そのときどきの金融市場の状況であり、また、物価の動向を含む経済情勢であります。しかも、その的確な予測が困難である以上、公債を抱いた財政とは本来不確かなものであります。それにもかかわらず、政府が今年度予算を確定したものとして執行したいと言われるのなら、次に述べる三つの方法のうちいずれかを選択しなければなりません。
 その第一は、民間の迷惑をも顧みず、物価への悪影響も度外視して、御用金として公債を押しつける方法であります。
 第二には、年度内増税の道であります。
 第三には、予算が成立した後でも常に歳出の必要性、妥当性について見直しを行い、むだを排除して歳出の圧縮を図り、財政金融政策のフリーハンドの余地を大きくするやり方であります。
 政府はそのいずれを選択されますか。もちろん、第一に選ぶべき道は、歳出の削減、合理化であり、行政の改革でなければなりません。財政の危機に直面した今日、行政改革の問題は単にお題目として唱えているだけでは済まされません。予算が国会で成立しても、またこの特例法が成立したとしても、予算の全額が使えるかどうかわからないと覚悟すべき事態なのであります。そして、もし政府にこの認識がないとしたら、そのような政府にわれわれは特例公債を発行する権限を与えるわけにはいきません。総理の見解をお尋ねいたします。
 次に、特例公債からの脱却の見通しについてお伺いをします。公債の引き受けが今日のように市中金融機関が中心である場合、結果としてマネーサプライを増加させ、インフレの有力な原因となることはいまさら申し上げるまでもありません。すでに今日、卸売物価は警戒すべき上昇傾向をたどっております。加えて、現在の景気を支えている輸出は、反面で外貨の流入を増加させつつあります。したがって、物価対策の面から考えると、金融引き締めへのひそかな配慮が必要になってきたと言わなければなりません。国民の福祉を考えた場合、物価の安定はいまもなお最重要課題であります。したがってわれわれは特例公債から一日も早く脱却しなければなりません。そして、この脱却に要する期間として、一体何年間を想定するのか伺いたいと思います。現在政府は、昭和五十五年度に特例公債をゼロとする場合と、五十四年度にゼロとする場合の二つに分けて試算を発表しております。しかし、五十四年度でも五十五年度でもどちらでも構わないというような性格の問題ではないはずであります。一体政府として、今後何年以内に特例公債から脱却しようとしているのか、副総理にお尋ねします。
 ちなみに、昭和五十年代前期経済計画を見ると、年平均の名目成長率が二二%強、これに対し政府から個人への移転支出は一七%の伸びであります。すなわち、経済の伸びよりも政府の経費のふくらみ方の方が大きいのであります。その理由は福祉政策の一層の充実ということなのかもしれません。しかし、財政危機の実態を深刻に受けとめ、かつその背景に経済の高度成長から安定成長への質的転換があることを考えたとき、政府として、福祉政策についても何を伸ばし、何を捨てるかについて真剣な再検討が必要なのではありませんか。福祉政策について多々ますますを願うのは人情であります。しかし、その財源が赤字公債というのでは、福祉政策で恩を売りながら、結局は物価高でごっそりと取り上げるということになるのではありませんか。財政危機の克服という課題を踏まえた上でどのような政策的配慮があったのか伺いたいと思います。
 最後に、大蔵大臣にお尋ねします。現在、多くの国民にとって財産形成の道は決して広くありません。資金も少なく、かつその運用について、適時適切な情報が与えられているわけではありませんし。いま、多くの国民が望んでいるのは確実かつ有利な財産形成の道であります。この国民の希望と財政資金の調達という目的を同時に満足させるために、さらには公債の金融機関引き受けに伴うインフレの弊害を排除するために、かねて中期、短期、低額の公債発行が主張されてまいりました。しかし銀行の反対が強く、いまだ実現を見るに至っておりません。しかし、銀行が公債を引き受けるといっても、そのもととなるものは国民の預金であります。結局は国民が引き受けているのと変わりがありません。しかるに、国民と政府の間に銀行が介在し、中間的な利益を吸い上げているのが銀行引き受けの実態なのではありませんか。この際、断固として中期国債の発行に踏み切り、個人消化を大幅に拡大すべきであります。そして、かねて懸案の公社債市場の育成を期すべきではありませんか。
 大蔵大臣にお伺いするとともに、すでに述べてまいりました諸点を政府として明らかにすることが本法案審議の不可欠の条件であることを強調して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#65
○国務大臣(三木武夫君) 栗林君にお答えをいたします。
 栗林君は、歳入に予定された公債、これが消化できなかった場合はどうするのかというお話でございます。まあ五十一年度の公債は年度間を通じて計画的に発行を行っていけば、今日の経済情勢から消化に支障はないと政府は考えておるわけでございます。したがって、五十一年度の予算が成立したばかりで、いま歳出の削減というものは考えておりませんが、こういう事態における予算の執行に当たっては節約あるいは効率化、これに努めなければならぬことは栗林君御指摘のとおりだと考えております。政府も努力してまいる所存でございます。
 また、政府が抜本的な行政の改革を進めるべきだと思うがという御意見でございましたが、高度経済成長から安定成長へ大きな路線の変更があったわけですから、この変化に即応して行政機構というものは見直していく必要があることは御指摘のとおりだと思います。政府は、従来、国家公務員数の縮減であるとか、行政機構の膨張の抑制でありますとか、特殊法人の整理合理化、行政事務の整理簡素化、こういうものに対しては努力をしてきたわけでございますが、こういう時代の変化に即応して一層徹底的な行政の改革を進めてまいる所存でございます。
 お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#66
○国務大臣(大平正芳君) ことしの公債の消化の展望でございますが、先ほど総理からもお話がありましたように、計画的な消化、シ団との間の話し合いが円滑にまいって、その計画が適正である限りにおきましては消化に支障はないと考えております。何となれば、当面、民間の資金の需要はそう強くないようでございまして、下期になりましてあるいは相当強まるのではないかという意見がないわけではございませんけれども、私どもといたしましては、そういうことも配慮いたしまして、上半期に相当繰り上げて出し得る公債は出しておるわけでございまして、繁閑を見ながら適正な消化に努めて、計画的な消化は確保したいと考えております。
 明年度の問題でございますが、これはまず明年度の予算を通じまして、第一に発行額を適正に抑制してかからなければならぬと思います。その上で円滑な消化、計画的な消化に遺憾のないようにやってまいりますならば、御懸念のようなことはないと確信いたします。また、そういう事態を起こしてはならぬと考えております。
 第三に、ことしの財政運営の方針はどうかと、公債を無理に押しつけるのか、あるいは年度内の増税を考えるのか、あるいは歳出をカットするのかという、そういうような選択を迫られはしないかという栗林さんの御懸念でございますが、私といたしましては、この三つとも考えていないのでございまして、せっかく御承認を得ました予算は歳入歳出ともそのとおり実行いたしたいという決意で当たっておるわけでございますので、御提案申し上げておる歳入法案につきましても、速やかに御賛成を願いたいとお願いする次第でございます。
 それから最後に、財産形成の道といたしまして、公債の市中消化、とりわけ個人消化について中期国債の発行その他特段の工夫をすべきではないかということでございます。おかげさまで去年からことしにかけまして漸次個人消化がふえてまいりまして、いまでは月々五百億を超える消化が期待できておるわけでございます。中期国債は、わが方で市場にこの構想を示しまして検討を願ったわけでございますが、金融債、社債その他の消化と、国債との間に競合を来すおそれがあるというので、もう少し検討をさしてもらいたいということでございますので、シ団と政府との間に十分の意思の疎通と協調を必要とする段階でございますので、無理押しは慎まなければなければならぬと存じますので、しばらく検討の時間を持っておるのがただいまの姿勢でございます。仰せのように、個人が資産形成の一つに多彩な方法を用意いたしまして行く中で、国債を将来選好される道をできるだけ豊富に用意していくということにつきましては、今後一層努力を続けてまいるつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#67
○国務大臣(福田赳夫君) まず第一に、長期財政収支計画を見ますると、赤字公債がなくなるのが五十四年または五十五年となっておる、そういう不安定なことではどうかというような疑問を含めてのお尋ねでございます。確かに、こういう長期計画におきまして、五十四年または五十五年だというような行き方は、これは異例なことなんですが、しかし、今後の財政を展望してみますと、なかなかこれは見通しが非常にむずかしいんです。ことに、今後の五カ年間を見てみますると、五十四年度にいたしましても、あるいは五十五年度にいたしましても、その時点から赤字公債をなくすというためには租税負担率が大体三%ぐらい上がらなけりゃならぬ。さあそのコンセンサスをいついかなる時点において求めるかによって赤字解消は五十四年度にもなり五十五年度にもなる、こういう内容を含んでおるわけでございます。そういうようなことで、またはということにいたしましたが、気持ちといたしましては、なるべく速やかに国民のコンセンサスを得て租税負担率の三%程度の上昇を図り、そして五十四年度または五十五年度と言っておりますけれども、五十四年度の方にできればいいなあと、かように考えておる次第でございます。
 それから次に、新しい経済計画では赤字公債下にもかかわらず、そして名目成長率が一三%ある、それにもかかわらず一七%の振替所得、つまり社会保障費の増加を見込んでおるが、これは一体どういうことか、実現できるかと、こういうようなお話でございますが、先ほども申し上げましたが、今度の計画は量から質へだと、また成長から生活重視へだと、そういう大転換を試みておるのであります。その象徴的なあらわれが名目成長率が一三%だと、にもかかわらず振替所得、つまり社会保障費の伸びが一七%であると、こういうことになっておるので、この点はひとつ評価していただきたい。かように思うわけでありますが、その中身を一体どうするかということになりますると、これはまた、いま社会的に人口老齢化現象なんか出ておりまして、そういう点で従来のこの社会保障の考え方に加えて、さらにむずかしい諸問題が出てきておるのであります。そういう変化をとらえまして、従来、とかく言われましたが、できなかった社会保障長期計画を今度こそは策定いたしまして、そしてこの一七%の伸び、その中におきまして有効な施策を実現していきたいと、かように考えております。(拍手)
#68
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。
  午後零時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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