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1975/07/28 第77回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第077回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第18号
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1975/07/28 第77回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第077回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第18号

#1
第077回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第18号
昭和五十一年七月二十八日(水曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 田中伊三次君
   理事 大橋 武夫君 理事 亀岡 高夫君
   理事 谷垣 專一君 理事 中村 弘海君
   理事 松永  光君 理事 田中 武夫君
   理事 横路 孝弘君 理事 松本 善明君
   理事 坂井 弘一君
      宇都宮徳馬君    上村千一郎君
      内海 英男君    小山 長規君
      佐藤 文生君    菅波  茂君
      瀬戸山三男君    古屋  亨君
      箕輪  登君    渡部 恒三君
      稲葉 誠一君    大出  俊君
      楢崎弥之助君    松浦 利尚君
      村山 富市君    庄司 幸助君
      三浦  久君    近江巳記夫君
      河村  勝君    永末 英一君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        法 務 大 臣 稻葉  修君
 委員外の出席者
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        ロッキード問題
        に関する調査特
        別委員会調査室
        長       中里  煥君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月二十八日
 辞任         補欠選任
  斉藤 正男君     村山 富市君
同日
 辞任         補欠選任
  村山 富市君     斉藤 正男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 ロッキード問題に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 ロッキード問題に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告があります。順次これを許します。
 まず、大橋武夫君。
#3
○大橋(武)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、総理に御質問申し上げる次第でございます。
 昨日、東京地方検察庁は、ロッキード事件の疑惑の中心にある最も重要なる人物に対し、逮捕状を執行いたしました。自民党は、一度はこの人を総裁と仰ぎ、二度にわたって内閣首班に指名いたしました。この人は、わが自民党が育て、わが自民党が国政をゆだねた人であります。われわれ自民党員たる以上、だれ一人として全国民の前に今日の事態について責任を免れることはできません。
 三木さんが昨日の記者会見を通じて、かかる事件を起こしたことは国民に相済まない、現在の自民党総裁として国民に対し責任を感じると述べられたことは、全党員の気持ちを端的に言われたものとして同感の至りであります。
 そこで、まず第一に伺いたいことは、総理はこの自民党の責任を明らかにするために具体的には何をなそうとしておられるか、そのお考えを伺いたい次第であります。
#4
○三木内閣総理大臣 大橋君の御指摘のように、田中氏は自民党の前総理であり、総裁であった。この田中氏が、これから取り調べを通じてどういう内容であるかということについては明らかになるでしょうが、逮捕されるという不名誉なことを起こしたことに対しては、これは自民党として深刻に受けとめなければならぬということを感じ、われわれとしても国民に対して相済まぬ気持ちであるわけでございます。
 ただ、この責任をどのようにして果たしていくかということでございますが、まだロッキード事件は政界関係では田中氏の逮捕というだけでございまして、真相はさらに明らかにされなければならぬ。田中氏の逮捕でロッキード事件というものが終わったというわけではないわけであります。まずこの真相を明らかにするということが政治を粛正していく第一歩であるということ、また、真相を明らかにするだけでは、これは余りにも犠牲に対してロッキードの教訓が生かされたとは言えぬわけですから、再びこのような不名誉なことを起こさないように、これは党が党の体質を思い切って改革をし、そして二度と再び不祥事件が起こらないような、こういう党の改革が行われなければならぬ。また国民も、自民党に対する支持者というものは圧倒的に多いわけですから、自民党が再生をして国民の信頼にこたえ得る政党になることを望んでいられる国民の多数の方々がいられるわけですから、この期待にこたえなければならぬと考えておる次第でございます。
#5
○大橋(武)委員 昨日逮捕になりました人物は、金脈政治という新造語をこの世に流行させる原因となった人であります。この人は、池田、佐藤両総裁の時代には、政府及び党の要職を歴任し、その間逐次党内において勢力を蓄積し、ついに党総裁のいすをかち取り、党内の最大の派閥を築き上げ、総裁引退後においてもその勢力を維持しておったのであります。この人がわが党においてあたかも魚の水を得たるがごとく目覚ましい成長を遂げてここまで達することができたというところに、わが党の持っている金権的体質について深刻な反省をせざるを得ないと思うのであります。
 一昨年、前内閣が金脈政治の批判をこうむり退陣するに至りましたときは、この批判の原因になったもろもろの事件について、三木内閣としては当然究明すべきことが期待されておりましたが、いまなおその究明は行われるに至っていないのであります。これではわが党の従来から言われている金権的体質に対する反省を国民に認めてもらうわけにはまいりません。かの前内閣の致命傷の一つとなった信濃川河川敷問題にしても、行政管理庁は、関係書類の紛失を理由として調査をうやむやに終わらせている現状でございます。総理は、わが党の総裁、また総理大臣として、この点についていかなる反省をなされているか、承りたいと存じます。
#6
○三木内閣総理大臣 三木内閣が生まれましたその背景には、金権政治に対する非常な世論の高まりというものがあったわけであります。これに対してこたえなければならぬというのが三木内閣の出発の当初の大きな課題でありました。そこで、各位の御協力を得まして、政治資金規正法、公職選挙法、あるいは、これは自民党だけのことでございますが、総裁選挙に対する総裁の公選規程の改正、この三つを組閣早々に私は私自身の持っておる原案を示して党に対して検討を求めたわけでございます。
 公職選挙法あるいは政治資金規正法、こういうことは内閣はたびたび手がけて果たし得なかったものでございまして、理想的に考える方々からは、非常に手ぬるい法案であると言われますけれども、現時点においては相当思い切った改正である。裏道を考えないで議員がこの公職選挙法を厳正に履行しようとするならば、私は、選挙界の空気というものは相当に変化するはずだと思う。いろいろ裏を考えれば別ですよ。公職選挙法を厳重に守っていこうということならば、これはやはり相当な選挙界に対しての変化が起こる。政治資金規正法でもそうです。これは、いまになってみて、相当に厳しい法の規制であるということはみなわかったはずであります。これは、いわゆる政治資金というものが幾らでも多ければ多いほどよいというものではないわけですから、一つの限度を設けて、しかも内容に対しては秘密にはできないわけですから、全部やはり公開ですから、会員制度というようなことで資金の出どころを不明確にすることは許されないのです。だから、こういうことで、これは根本においては金権的な政治というものを打破しようという党員自体の自覚が第一番でありますけれども、自覚ばかりでは目的を達成できぬというので、法案の前提になる改正を行ったわけです。総裁公選の規程は残念ながら――今日まで私の提案したことは検討はされておるわけですね。検討はされておりまして、相当前進はしておるわけです。全党員による予備選挙を行うということは党議で決定しておるのですが、それ以後のしぼり方について党の意見の一致を見ていないわけでございますが、そういうことで、総理、総裁として金権政治を打破しな一ければならぬという前提になる立法的措置は講じたつもりでございます。
 信濃川河川敷の問題は、ただいま捜査中でありますから、刑事局長からお答えをいたします。
#7
○大橋(武)委員 いや、よろしゅうございます。
 ロッキード事件は一つの構造汚職と言われております。構造汚職は政治家と官僚が因縁によって癒着して一体的構造をつくり、行政機構の内部にこれが巣くっており、この構造を媒体としてきわめて巧妙に、きわめて容易に贈収賄が成立し、しかも法による摘発をきわめて困難にいたしておるのでございます。現在構造汚職が頻々と発生していることは、各種業界の風評から見てもおおむね想像できるのでありますが、ほとんど犯罪として指摘されていないのであります。今回のロッキード事件も米国において発覚しなければ永久に葬られていたのではないかと思われます。
 この構造汚職の温床は、全く政治家と官僚との癒着が行政機構に巣くって行政の正しい運行を阻害していることにあるのでありますから、構造汚職の根絶を図るには、この政治家と官僚の癒着をなくす必要があることは申すまでもございません。そのためには政府及び党の人事に細心の注意を払う必要があると思うのでございます。たとえば、他党は知らず、わが党の人事について言えば、同一大臣を、常に同一派閥の出身者を任命するがごときことを避けるとか、あるいはまた常任委員を適当な期間ごとに交代せしむるとか、かような点に注意を払う必要があると思いますが、総理はいかにお考えでございましょうか。
#8
○三木内閣総理大臣 日本の官僚は優秀でございます。だから、政党政治のもとにおいて政党いわゆる政治家と官僚というものとの間に緊密な連絡をとることは、政治の有機体として必要でございますが、大橋君の御指摘のように、妙な不正を行うための癒着というものは許されない。そういう点で、いろいろ最近は汚職事件など地方政治にもそういう問題が相当顕著に起こっておることに対して私は憂慮をしておるわけであります。この不正を行うための癒着というものを断ち切らなければ、汚職というものの後を断つことはできない。この問題はやはり政治家あるいはまた官僚のモラルの問題でもあるわけでございますが、御指摘のとおりだと思います。
 また、人事の点については全く私もそのように考えるので、これはやはり国会の問題でもございますが、常任委員なども余り長期にわたるということば、いい面もございますが、弊害の面もあることはあると思います。そういう点で、同じ派閥から大臣がいつも出るということは、同じ派閥から出ても、そのことによって行政を曲げるとは思いませんが、弊害の面もなきにしもあらずという御懸念は私もよくわかります。人事はこういう点については配慮しなければならぬ点だと、御注意に対しては非常に謹んで承る次第でございます。
#9
○大橋(武)委員 近年官庁関係の競争入札におきましては、しばしば天の声がささやかれつつあるのでございます。天の声はいまや地方の公共事業においてまでしばしば聞かれるようになりました。これは工事発注者が入札前に契約者を指定する行為でありますから、明らかに競争入札の実質を失わしめる行為であり、明瞭なる違法行為と考えられます。構造汚職の重要な手段として中央地方を通じて横行いたしておるのでありますが、総理はかかる不正行為を根絶するため、速やかに行政上、立法上の手段を講ぜられる御意思はございませんか。
#10
○三木内閣総理大臣 私も、地方政治に最近いろいろ事件が起こっておるのを見ますと、地方の土建と県当局であるとかあるいは県会議員との間の乱れというものが非常に目につく、こういう点で請負契約などに対しても改革を加えなければいかぬのではないか、そういう資金によって地方政治が運営されるというようなことになれば、やはり地方の政治というものの姿勢を非常に乱すわけでございますから、立法的な措置というようなところまでは考えておりませんが、地方政治における土建業者と政治家あるいは県庁の職員との悪い意味における癒着というものに対しては、改革をしたいと考えておる次第でございます。
#11
○大橋(武)委員 最後の質問でございます。
 ロッキード調査特別委員会では、刻々に迫り来る時効を目の前にして、困難なる刑事捜査に全力を尽くしている検察当局が、自由にして適切なる活動をなさることのできまするように、目下委員会の証人喚問を遠慮いたしてまいりました。これは検察活動を支援するための意味でありました。昨日は一挙事件の核心に捜査が及んだことは、一応その成果のあらわれであるとも思います。しかし、これで済んだわけではございません。今後ともいやしくも関係人に対しては捜査の徹底を期待するはもちろんであります。当委員会としてもいつまでも証人調べを延ばすわけにはまいりません。できるだけ速やかに再開して、当委員会の使命達成を急がなければなりません。
 ついては、総理に当委員会の証人調べの再開の時期について何らかのお考えがありましたならば、当委員会の態度決定の参考にいたしたいので、承りたいと存じます。(発言する者あり)
#12
○田中委員長 お静かに。
#13
○三木内閣総理大臣 大橋君が御判断くださっても、捜査は核心に入りつつあることは事実ですね。したがって、時期をいつかということは申せませんけれども、そんなに遠い将来だとは思わないのです。これは全部いわゆる検察の捜査活動が終了してしまわなければならぬとも考えていないわけです。やはり一応の山を越すといいますか、そういうときは少し時期をずらしていただいた方が、捜査活動というものが何らの支障なしに行われる、捜査活動というものを効果的に行うためにそういう御協力を願えまいかというわけでございますから、当然に国会は国政調査権に基づいて、政治的側面からの責任追及というものは国会の大きな仕事でございますし、またこういうロッキード事件を通じて立法的な処置もいろいろお考え願うことは国会の役割りでもございますから、したがって、近い将来証人の喚問をされて、国会が国政調査のもとに政治的側面からの真相の解明に当たられることに対しては、全く異存のないことでございます。
#14
○田中委員長 田中武夫君。
#15
○田中(武)委員 昨日の事態、これはいまさら説明の必要はないと思いますが、そういう事態を受けて総理に端的にお伺いいたします。
 総理はいまどのような心境で、今後この問題、すなわちロッキード問題の真相究明について、新たにどのように決意し、どうしようと考えておられますか、お伺いします。
#16
○三木内閣総理大臣 私の心境ということでございますが、田中氏は前総理、前総裁でもあったわけです。この田中氏が逮捕をされたということは、人間としてやはり深刻に受けとめざるを得ない事態であることはもう説明を要さないことであります。ただしかし、法の前には万人は平等である、これは法治国、民主主義の大前提でございますから、前総理であろうが現総理であろうが、やはり法の前には何らの特権はないわけでございまして、やむを得ないことだと思います。したがって、これからは、田中氏の逮捕によって事件が解決したというものでもございませんから、ロッキード事件の真相というものをさらに解明をいたしまして、そして国民がロッキード事件に対して持っておる数々の不信、疑惑、これを解消しなければ政治の信頼は回復できない。それが一つ。
 もう一つは、このロッキード事件を一つの契機にして日本の政党の健全化、日本の民主政治というものの基礎をもっと強固なものにしなければならぬ、この一つの転機にこのロッキード事件というものをしなければならぬという責任を一層強く感じておるということでございます。
#17
○田中(武)委員 総理はいつも抽象的な答弁ではなかなかいいことを言う。だが、具体的に何をするのかということになると、余りいい答えが返ってこないのです。
 そこで、重ねてお伺いしますが、あなたは田中内閣当時副総理であったわけなんです。したがって、その立場で総理みずからが責任を感じなくてはならないと思います。国民に対してどのように責任を感じ、どうするのかをここでお約束願いたいと思います。国民は、この事件が中途半端で終わることを懸念いたしております。したがって、政治に対する国民の信頼を回復するためには、ここで総理がぴしゃっと、今後具体的にどうするのかを国民に約束する必要があると思いますが、お答え願います。
#18
○三木内閣総理大臣 私は、国民に対しての責任を果たすということは、この責任を中途半端に投げ出すことではないと思っているのです。私のこの責任のとり方というものは。それはやはりロッキード事件というものの真相を解明しなければならぬ。田中君がごらんになっても、私が真相を解明したいと願っておるということをお疑いになりますか。私はやはりこの事件というものは……(田中(武)委員「各論ではどうもね」と呼ぶ)各論というのではなくして、これだけの戦後最大と言ってもいいほど疑惑に包まれた事件を中途半端でこれにふたをするようなことで、どうして政治の信頼というのは回復できるのでしょうか。それは少し田中君疑い過ぎますよ。私は真相を解明したいということに裏も表もありませんよ。今後真相を解明して、その解明することが日本の政治の粛正の大前提ですよ。中途半端に置いておいて粛正はない。そして日本の政治の――これは田中君から言えば、自民党を攻撃されることもいいですが、やはりこれを機会に日本の政党の健全化あるいは日本の民主政治の基礎を強固にするということに対して、これは日本の政治に携わる者全体としてもお考え願いたいということを私は申し上げておきたいのでございます。
#19
○田中(武)委員 私を疑っておるのか、こういうことですが、疑わざるを得ないような態度があるからです。
 そこで、いま同じような質問がございましたが、野党では当委員会に国会議員を中心とする四名の証人、さらに小佐野賢治君に対しては証人として喚問することは決定しているが、まだ日時は決まっていないのであります。これは単なる刑事事件に終わらしてはならない。いわゆる政治的道義的責任、これは国会の当委員会において明らかにしていく必要があるわけであります。したがって、この証人喚問については、私はむしろ急がねばならないと思っています。いま自民党はこれに対して反対という強固な意見を持っており、そのために当委員会における真相究明が中断しておるといいますか、そういう感すらあるわけなんです。
 そこで総理、あなたは自民党総裁として、かたくなに証人喚問を拒否しておる自民党内をひとつ説得してはいかがですか。あなたが本当に、先ほど言ったように、私を疑うのかと言うなら、疑わなくてもいいように御答弁をお願いします。
#20
○三木内閣総理大臣 私が申しておるのは、少し証人喚問の時期をずらしてもらえないかということで、呼ぶことに異存はないのですよ。やはり大いにこの国会で必要があれば、これは国会というものは余りだれもかれもというようなことになって、それが何か政党間の争いに調査権を利用されるようなことはむろんないとは存じますが、そういうことにしては、これはやはり証人喚問ということがよき伝統として日本の議会政治に育っていかないと思いますね。それはやはり節度が要ると思いますよ。しかし、国会が必要であるとして証人喚問をされることに対して、これは当然のことでございますが、国会は証人喚問ということばかりでなしに、政治的責任の側面ばかりでなしに、このような不祥事件を再び繰り返すことを防ぐための立法的な措置というものもやはり検討されなければならぬ国会の一つの課題ですからね。だから、いま証人喚問を少しずらしてくれと言ったら、国会は、ロッキード問題の調査特別委員会はやる仕事もないんだというふうに私は考えないのですよ。少し時期をずらしていただければ、これは大いに証人を喚問して政治的側面から真相の解明に当たっていただきたいと申すので、そうむやみにこれを抑えようという意図ではないことは、賢明な田中君、御理解を願いたいと思う。
#21
○田中(武)委員 行政府の長が国会のやることに対して抑えるという権限はありません。私は、むしろ自民党内を説得してほしい、こう言っておるんです。さきに総理は、重要な人物の逮捕が終われば証人喚問を再開してもいいといったような意味のことを言われておる。きのうの事態は重要な人物の逮捕ではなかったかと思うのです。
 したがって、その辺のことともう一つ、自民党の重要な役員あるいは現閣僚に近く逮捕者が出るのではなかろうかと言われておる。その場合、総理はその責任をどのようにとろうとしておられるか。いや、そういう仮定には答弁できないあるいはそういうことはないと信ずるというような抽象的なことでなくて、私はそのような場合どうするのか。これは仮定ではない、現実の問題です。したがって、シーメンス事件の先例もあります。総理、どうせられますか。
#22
○三木内閣総理大臣 田中君が最初に、田中氏の逮捕でもう捜査はこれで山を越したのではないかと言われますが、私はそうは思わないので、ロッキード事件というものは田中氏だけの事件ではないわけでございますから、もう少し真相を解明するのには、捜査の山と申しますか、それが越えたというふうな判断はいたしていないわけでございます。
 もう一つは、閣僚の中に被疑者が出た場合にどうするかという御質問ですが、まあそういうことは私自身が考えてもおりませんので、どうするこうするということはいま何も考えてはおりません。これは仮定でないと言われますけれども、これもまた多少独断に過ぎるのではないでしょうか。現閣僚の中からも出るという前提で、その場合の処置をいろいろ御質問なさるということも、多少これは仮定と申し上げるよりほかないわけですが、これは現実にそういうことの事態がもし、そういうことはないと信じますが、そういうことがもしあるとするならば、私の政治家としての良心に従って措置をいたす所存でございます。
#23
○田中(武)委員 もう仮定でなくて現実の問題として起こりつつあるのですよ。それはいいですよ。
 そこで、総理は、四十七年十月九日国防会議においてPXLの国産化が白紙還元せられた。そのときあなたは議員の一員として、その構成メンバーとして参加せられておったはずなんです。したがって、この白紙還元について、総理はメンバーの一員としてどのように関与し、あるいはその経過についてどの程度お知りになっておったのか、お伺いいたします。
#24
○三木内閣総理大臣 その国防会議では、田中前総理から、こういう非常に高度な技術的な知識を要する機種の選定については、専門家の意見を聞くことが適当なんではないかという提案があったわけですね。私はもっともだと思ったのです。いきなり対潜哨戒機の機種を何に決めたらいいかという予備知識もないのに、すぐにノー、イエスということを言うことは実際問題として困難でございますから、それは私もあれだし、皆がもっともだと思ったわけです。そういうことで賛成をしたわけで、それに至るまでの経過というものは、今日いろんなことが明らかになっておりますが、私には何も知らされてはおらなかったわけでございますから、承知をしていなかった。その場の判断としては、もっともだと思ったから、皆と一緒に賛成をしたわけでございます。責任を回避するものではないけれども、事実はそういうことでございますから、申し上げておくよりほかにはございません。
#25
○田中(武)委員 私は、今回の検察の措置は高く評価いたします。それを踏まえてひとつやってもらいたいと思うのですが、同時に、この事態を単なる派閥次元においてとらえてはならないと思います。しかしながら、田中派の現四閣僚がおるのですか、が近く辞任するかもわからぬ。これはあくまでそう伝えられておるということなんですが、もしそのような場合は総理はどうします。
#26
○三木内閣総理大臣 そういうことは私は信じておりません。このロッキード事件というものを、もし派閥単位で、これを派閥的な立場からこの問題を受けとめようとするような者があるならば、私は、やっぱりそういう者はこのロッキード問題の深刻というものを自覚していないものだ、こう考えます。派閥次元でこれを受け取るべきでない。自民党の前総理、前総裁というものが逮捕されたという事態に対して、派閥を越えて深刻に受けとめなければうそだ。それを派閥的な行動で出るという者があるならば、私はそういうものは許さない。
#27
○田中(武)委員 もう一問で楢崎委員に譲りますが、総理、このような事態の進展と臨時国会の召集ということをどのようにとらえておられますか、それが一点。
 それから、あくまでも当委員会においては刑事責任ではなく、いわゆる灰色高官というか、政治的道義的の責任を明らかにするという点にあろうと思います。したがって、灰色高官の範囲とかあるいはその発表の仕方等々でいろいろ論議があろうと思います。そこで、もうそれは発表しておられる党もあるわけなんです。当委員会においても、これは委員長も一緒に聞いてもらいたいんだが、その問題を真剣に討議する時期が近いと思います。
 そこで、総理、これはあなたが言われたからそうするというわけじゃありません。しかし、灰色高官の範囲及びその発表の方法について総理としてどのように、むしろ自民党総裁としてどのように考えておられるか、お伺いいたします。
#28
○三木内閣総理大臣 灰色高官ということが世間に言われておるわけですが、法律に精通しておられる田中議員として、法律的な用語でないことは事実ですね、これは。したがって、この範囲というものがどういうものかということは何も定義はないわけで、国会においてもいろいろ御論議を願っておることは、将来これは公表しなければならない、事件が終了した後においてはロッキード事件はこういう事件であったということを国民の前に明らかにすることは、政治の責任だと私は思っております。しかし、それをどのように、いわゆる灰色高官というものに対して言われておる、世間も知りたがっておるこのいわゆる灰色高官というものがどういう範囲のものかということは、私自身も結論を持ってないんです。捜査が終了の段階で、具体的な事例に従って適切な方法でこれを明らかにさるべきだと思いますが、いまのところ、こういう範囲でということは考えておりませんので、いろいろ野党の諸君からも本委員会においてもいろいろ御意見を御開陳になっておることは、貴重な参考にいたしたいと思うわけでございます。
#29
○田中(武)委員 それじゃ、楢崎委員とかわります。
#30
○田中委員長 楢崎弥之助君。
#31
○楢崎委員 最後の田中質問に関連をしてまずお伺いをしますけれども、四十七年十月九日の国防会議で、いわゆる国産化が白紙還元され、そして、輸入にするか国産にするかは専門家会議に任せる、そういうことが十月九日の結論であった。ところが、それから二日後に、四十七年十月十一日、田中前総理は外人記者クラブで、みずからそう決めながら外人記者クラブでは、次期PXLは輸入に重点を置いて考えるという発言をなさった。外人記者クラブのその発言を、三木総理は当時御存じでしたか。
#32
○三木内閣総理大臣 この対潜哨戒機の問題というものは、このごろになってきていろいろなことが、私にもなるほどそういうことがあったのかということがわかるので、外人記者クラブの発言も、そのときの発言は、楢崎君、その当時のことを、新聞をごらんになっても大きな扱いではなかったですからね、私も存じませんでした。外人記者クラブでそういう発言があったということは、最近になって知ったわけでございます。
#33
○楢崎委員 その二日後にそういう発言をなさったことについて、私どもは首をひねるわけですが、総理はそういう輸入に重点を置いて考える、たった二日後にそういうことを田中前総理が言われたことについて、けげんに思われませんか、現在。
#34
○三木内閣総理大臣 そのときは実際は日本の新聞にもそういうものは大きく報道もされませんし、私も外人記者クラブでどういう演説をされたか、テキストを私自身が見たわけでもないわけですから、存じませんでしたが、どういうことで言われたのか知りませんけれども、専門家会議で検討をしようという提案をされたのですから、余り自分の主観的意見は述べない方が適当だ、いまからはそう思います。
#35
○楢崎委員 そこで、昨日来参議院でも当委員会でも、三木総理のいわゆる政治責任の追及がなされております。大別すれば、一つは、事件の起こった当時の田中前総理を補佐すべき立場にあった副総理としての責任、それからPXL白紙還元の国防会議の有力議員としての立場、三番目に、これは私は非常に遺憾に思うのは、やはり田中金脈問題の解明、これについて三木総理は重大な責任を持ちながら総理・総裁の座につかれたわけですね。私ども衆参両院にわたってこの田中金脈問題の解明に全力を尽くしたのは御案内のとおりです。三木総理は、この田中金脈問題の解明について全力を挙げたと確信を持って自負できましょうか。あるいは、田中金脈問題が御承知のような結論になったのですけれども、あれで十分だったとお思いになっておるかどうか、その点をお伺いします。
#36
○三木内閣総理大臣 田中氏の疑惑に対して私はこれをことさらに抑えるという考えは全然ありませんでした。そのときのやはり法制に従って、そうして違法行為は当然に処置されなければならぬということで、そういう見地に立って田中氏に対しての違法行為は処置をいたしたわけでございますが、しかし、十分であるかどうかということについては、私自身は、田中氏自身が説明をされることが非常に、ことに道義的な責任問題ということになれば、そういう国民に対して疑惑があるわけですから、こういうことに対して御自身がこれを解明されることが一番適当である、したがって、本人自身も、自分がそういういわゆる金脈問題というものに対して世間の疑惑にこたえたいという、御自身がそういう意思表示をされて、私はもっと早くこういうものが明らかにされるものだと思ったのですが、非常に長期にわたる商取引にも関係があるということから、延び延びになっておることは残念であって、そういう点で世間のいろいろな疑問に対して田中氏の問題が十分に解明されたとは私は思っておらないわけでございます。
#37
○楢崎委員 そこで、私はこの点は本当に残念でならない。たとえば、この田中金脈問題に関連をして田中前総理自体の、四十六年から四十八年にかけてだったと私、記憶しますが、所得申告のやり直しと申しますか、更正が行われたわけですね。ちょうどそのとき、逮捕状にあるように、いわゆる五億の金が渡った時期とダブっておるわけですね。なぜこの金の解明が国税でできなかったのであろうか。そのときにもう少し真剣な解明が行われておれば、もう少し政治の粛正というのは早くなった、非常にこれは私は残念だと思いますが、この際、田中金脈問題の解明も同時になされるべきであるとわれわれは思いますが、総理はどうお考えでしょうか。
#38
○三木内閣総理大臣 いろいろ不正行為があるとするならば、これは常に解明をさるべきものでございますから、そういう不正行為の御指摘があれば、当然にこの問題は常に新たなる問題として提起されると考えておりますが、不正行為というものが何にも御指摘なしに、こうしてもう一遍調べてみたらということは、問題の扱いとしては余りにそれは適当ではないと思います。
#39
○楢崎委員 もうすでにその当時五億という金が渡っているというのが逮捕の理由になっているわけでしょう。手に入っているわけです。それをどうされたかは、まだこれからの捜査当局の解明を待たなくてはなりません。そこに、すでにその金が裏金として所得に出てこなかったということも事実でしょう。そうすると、これは違法じゃないですか、そのことだけ考えても。だから、その辺も含めて、やはり田中金脈問題の解明がこの際徹底的になされる必要があると私どもは思うのです。どうでしょう。
#40
○三木内閣総理大臣 楢崎君の御指摘のような点は、当然に起こってくると思いますね。まだきのう逮捕されていま取り調べが始まったばかりですから、五億円という金がどういうふうな形で受け取られて、どういうふうにこれが使われたかということはこれからの問題でしょうが、しかし、そのことは、当然に楢崎君の御指摘のような問題が新たに提起されるであろうということは、想像のできることでございます。
#41
○楢崎委員 稻葉法務大臣はどうお考えですか。この田中金脈問題の解明というのをもう一遍やり直す必要がある、この際。どう思われますか。
#42
○稻葉国務大臣 きのう逮捕して、これから調べる過程において、当然金脈問題にも触れて捜査が行われると私は思っております。
#43
○楢崎委員 それで、逮捕状によると、田中前総理はロッキードからの金と知りながら五億円を受け取られておるわけですね。ロッキードはなぜ田中総理に五億という大金を要求に応じて出したのか。それだけの理由があったからでしょう。また田中前総理としても要求するだけの理由があった、だからくれたんだ、こう思わざるを得ません。そうすると、その金は、四十八年から四十九年にかけての金ですから、一体どういう意味を持つか、私は二つしかないと思います。
 それは、トライスター決定のお礼か、あるいはその後のP3C導入に関する工作資金か、どっちかしかないわけですね、理由はそのほかに。しかし、この年度から考えれば、トライスターが決められたのは四十七年の十月三十日ですから、この金が渡ったのはそれから一年後ですから、当然もうトライスターではなしに、これはその後の問題、つまりP3Cがその後の問題ですから、これがやはり中心であると思うのが当然だ。総理はどのようにお考えですか。
#44
○三木内閣総理大臣 まさに楢崎君の御指摘のような問題が、これからの捜査の内容にわたる問題だと思いますね。それは今後取り調べを通じて明らかにされる。明らかにされなければ、これから刑事的な責任追及の問題をするにしても、外為法の違反という問題を追及するにしても、金がどういう意図であったかという楢崎君の御指摘のような問題が明らかにされなければ、それはやはりできないことでございますから、これからの捜査の内容の問題だと思います。
#45
○楢崎委員 それじゃ、時間が参ったようですから、まとめて聞きますから、法務大臣なり刑事局長なり、どちらでも結構です。
 その田中逮捕の容疑事実はピーナツ、ピーシズになっておりますね、その五億円。ユニット領収証が外されておりますね。これはユニットの方は四十七年十月、十一月ですから、これは時効の関係で外されておるのであろうか、それが一つ。あるいはまた、このユニット領収証の行き先というのは大体解明できておるのかどうか、それが二番目。三番目に、いままで公表されたチャーチ委員会の領収証関係でいまだ解明されずに残っておると考えられるのは、四十七年十二月上旬の佐藤印の六千万円の領収証、これは一体どのような捜査が進んでおるのか、おっしゃられる範囲で結構ですから、それだけお願いをしておきます。
#46
○安原説明員 冒頭のユニット領収証の関係についての捜査のことでございますが、ユニット領収証に記載の一億二千万円相当が大久保利春によって受領されたということは、捜査当局としては相当の嫌疑を持っておりまするが、その金の趣旨、その用途というものについては、ただいま究明中でございます。
 それから今回の被疑事実、田中前総理の五億円の被疑事実の金額はいわゆるピーシズ、ピーナツに相応する金額かということでございますが、それはそのとおりであるという嫌疑を持っておる次第でございます。
 それからもう一つは、いわゆる佐藤領収証というものの入金の事実については究明したかという点でございますが、これは目下究明中でございます。
#47
○楢崎委員 これで終わります。
#48
○田中委員長 松本善明君。
#49
○松本(善)委員 総理に伺いますが、昨日田中角榮が逮捕されました。この総理までやったという政治家がいまは賄賂の代名詞ということで子供までが知っている。このピーナツを食べていた、これが明らかになって、しかも逮捕をされるまで国民をだましていたということになるわけであります。これは重大な問題だと思います。この責任はきわめて大きくて、私は日本の国民の顔にどろを塗ったような、そういう問題であろうかと思います。総理の所属する自民党の前総裁でありました。
 私は、総理は、こういう場合でありますから、いかなる私情にもとらわれないで、断固としてこの刑事責任を徹底的に追及するというのが国民から負託をされた使命であろうと思いますが、総理はどのようにお考えでありますか。
#50
○三木内閣総理大臣 これだけの国民の注目を浴びたロッキード事件でございますから、この真相は徹底的に解明されなければならぬと考えております。
#51
○松本(善)委員 総理は、昨日も本日も、この解明が派閥次元でなされてはならぬということを言われました。
 委員長、資料を示して御質問したい。配付をしたいのであります。
 これは「佐藤孝行後援会々報」というもののリコピーであります。これは七月十五日付でありますが、この佐藤孝行時局大講演会に稻葉法務大臣が出席をされて、次のように演説をされているということが出ております。二ページ目ですね。「佐藤君はわが中曽根派を背負うに足りる力量を身につけた立派な人物である。」中略。「今や押しも押されぬ中曽根幹事長の懐刀としてその存在は自他共に認められていることを皆様にお知らせしたい。ロッキード事件の渦中に巻きこまれ巷間いろいろ取沙汰されているが「出る釘は打たれる」の例えのとおり、やっかみもあることは事実と思う。然し私は彼れの潔白を信頼している。近い将来、佐藤孝行君はもっと大きく成長、不動の地位を築きあげ、リーダー格となることを疑わない。中曽根幹事長に代って、わが党の誇りとする佐藤孝行総務局長の活躍ぶりを皆さまにご紹介いたします。」こういう話であります。
 そこで伺いたいのは、法務大臣、これは潔白のお墨つき演説だと思いますが、この佐藤孝行氏は、わが党を初め各野党が証人喚問を要求している人でもあります。法務大臣は佐藤氏が潔白であるということを捜査当局の報告で知っておられるのでありますか。
#52
○稻葉国務大臣 ロッキード事件が勃発した当初のことでございまして、そのころ選挙区へ行って応援演説をするのに、不潔白でございますなんて演説はできないわけですよ。しかし、その後の状況で、私は、佐藤君が出たいと言っているというのだから、証人喚問に出させてやったらいいのじゃないか、こう理事さんたちにも申したことがあるのです。そうすれば、自分で申し開きをして肩の荷がおりるのじゃないか、こういうことを言うたことがあるくらいです。その当時はそんなに進展していませんでしたからね。まあ、その人の選挙区の応援演説というものは、少し――その当時ですよ。ですから……(「事前運動に行ったのか」と呼ぶ者あり)いや、選挙演説なら何でもいいというわけではないのだ。やはり、後援会の人たちに応援を頼むわけですから、私は、その当時はそういうふうに思っておりましたから、そのとおり申しました。
#53
○松本(善)委員 総理と法務大臣にお聞きしますが、法務大臣と同じ派閥の所属であるからといって特別扱いがされるというようなことは、もちろんあってはならないわけであります。やはり、真相解明は徹底的になされて、およそ法務大臣や総理大臣は、捜査当局に圧力になるとか捜査の方向を示唆するような発言は絶対にすべきでない、こう思いますが、御意見を伺いたいと思います。お二人から伺います。
#54
○三木内閣総理大臣 そのとおりでございます。そういうことはやるべきではないことは、もう申すまでもないことでございます。
#55
○稻葉国務大臣 同一派閥の人であろうと他の派閥の人であろうと、同郷であろうと他県の人であろうと、区別するわけはないじゃないですか。貴見のとおりです。
#56
○松本(善)委員 総理に伺いたいのでありますが、昨日もきょうも、私はその趣旨にうかがわれる可能性のある答弁があったと思っております。それは、自分の内閣から逮捕者が出るとは考えていないということであります。昨日は、わが党の橋本議員が、竹下、小沢、金丸三大臣につきましてお聞きして、この点について他の党の議員も質問をして、そういう答弁がありました。私は、この点につきましても、捜査当局に一定の示唆を与えるような発言であっては決してならぬと思いますが、真義を御説明いただきたい。
#57
○三木内閣総理大臣 私は、派閥とか、あるいはまた三木内閣の閣僚であろうが、やはり違法行為があるならばこれはもう何の手かげんもあっていいわけではないわけでございますから、そういうことは全然考えておりません。
#58
○松本(善)委員 木村運輸大臣は、六月二日の答弁で、「運輸省の政府職員には言われるようなやましいことは一点もないという確信を持っております。」という答弁をされました。で、本委員会での追及にも、すべてこういう立場で答弁をしておられます。
 田中逮捕の時点で、よくお聞きをいただきたいと思います。木村運輸大臣のこういう姿勢を一体総理は支持をされるのかどうか。こういう答弁をしてこられた木村運輸大臣の責任をどういうふうに考えられるか、総理の見解を伺いたいと思います。要するに、この点については疑惑がないという趣旨の答弁をずっとしてこられたわけです。私は、いまの時点で、こういう立場での運輸大臣のあり方は正しくないと考えます。総理はどうお考えになりますか。
#59
○三木内閣総理大臣 そのことによって検察当局が何らの影響を受けるものではありません。日本の検察というものは信頼してしかるべきですが、そういうようなことのない前には、やはりそういうことはないと自分は信じておると言うことが普通の常識でないでしょうか。初めから人を疑って、あれはもう怪しいというようなことを言うことが常識だと思いません。しかし、そのことによって何らかの示唆を与えるとか、大臣がこういう答弁をしておったから手かげんを加えるというような検察当局ではありませんよ。そういうことで何らの影響を受けるものではないと信じ、受けてはならない、こう考えております。
#60
○松本(善)委員 大事な質問ですから、よくお聞きをいただきたい。私は、捜査当局のことをこの点で聞いておるのじゃないのですよ。運輸大臣は一貫して、運輸省の政府職員ではやましいことは一点もないと確信をしている。――しかし、実際にはこのトライスター問題について、もちろんこれに関係していると思います。田中逮捕という事態が起こったのです。私は、政府部内の行政規律を正すという観点でも、これは捜査当局という立場ではなくて、大臣という立場からしても、この疑惑を解明するという立場がなければいまの大臣はならないと思うのです。そういう点で、一体木村運輸大臣のこういう態度を支持されるのか、一体その責任はどう考えているかということをお聞きしたわけです。簡単にお答えいただきたい。
#61
○三木内閣総理大臣 大臣は、やはり部下のいろいろな行動に対して大臣自身も責任を感じて、そして真相というものを常に把握しておることが必要でございますが、自分が現在そういうことのいろいろ調査をしてみて、自分の判断としてやましいことはないというふうに大臣が考えて、それを発言することが行政の姿勢を乱しておるというふうには私は考えない。自分の判断として、いろいろ調べてみたけれども何も不都合はなかったという感じを自分が持っておるならば、それを率直に述べるということは、――述べることはいけないのだと、質問があったから答えたわけですが、そのことが行政の姿勢を乱しているというふうには私はとらないのでございます。しかし、それが事実と違いましたときには、それはやはり本人がそういう発言をしたことに対しては、いろいろな意味の責任というものが生まれてくることは事実でございます。
#62
○松本(善)委員 田中が逮捕されましたのは、昭和四十八年八月九日ごろから四十九年二月二十八日ごろまでの間の前後四回にわたり五億円を受領したという、外為法違反であることは申し上げるまでもありません。自治省への届け出によりますと、木村運輸大臣はこのころ、すなわち四十八年七月一日以降四十九年十二月三十一日ごろまでの間、越山会など田中角榮系の政治団体から五回、計六百五十万円を受領しております。この金の中にロッキードの金が入っていないという保証はありません。運輸行政の疑惑を解明するというのに、こういう運輸大臣を一体適当とお考えになるかどうか、総理の御見解を伺いたい。
#63
○三木内閣総理大臣 それは、政治資金規正法によってそういう資金の収入を届け出たわけでございまして、それがロッキードの金であるというふうな断定を下すことは、これはやはり独断に過ぎると私は思います。
#64
○松本(善)委員 断定はしてないのです。そうでないという保証はないというのです。(「あるという保証もない」と呼ぶ者あり)そうです。あるという保証もありませんけれども、李下に冠を直さずということわざもあります。そういうような運輸大臣で一体いいだろうか。やはりそういう疑いは一切持たれないというようなことでなければならない。どうお考えになるかということを聞きたいわけであります。
 続いて、一緒にお答えいただきたいと思いますが、坂田防衛庁長官、これは昨日の閣議後、PXL問題についてはこれまでの調べでも疑惑を感じられなかった、いまもそう思うということを新聞記者にしゃべっておられます。これは広く報道されています。いまの問題も同じでありますし、先ほどもこの委員会で質問がされましたけれども、この五億円の受領というのは、全日空がトライスター導入を決定してから約十カ月後から始まっているのです。これはPXLと考えるのが当然じゃないですか。防衛庁長官がこういうことで一体疑惑を解明できると思われますか。総理は、PXLについては疑惑を徹底的に解明すべきであるということも言われました。一体、坂田防衛庁長官のこういう態度を総理はどう考えられるか、お答えをいただきたい。両方お答えをいただきたい。坂田氏とそれから木村氏と。
#65
○三木内閣総理大臣 木村運輸大臣の政治資金が越山会から入っている、その金というものはロッキードから出た疑いがあるというようなことは、これはやはり別個の問題だと思います。そしてまた、木村運輸大臣がロッキードからの金であるということを前提にしてそういう政治資金をお受けになるとは考えられませんから、これはいま容疑の事実になっている五億円という金がどういうふうに使われたかという事実の解明等待たなければ、ここでいろいろな仮定で考えることば、いま時期として私は適当でない。五億円の金をどういうふうに、もし入っておるとするならば、その金がどう使われたかということは当然に解明されますから、そういう場合にその金が一体どこへ行ったかということでまた新たなる問題が起こってくる場合があると思う。いまはまだそれは取り調べ中でありましょうから、いまこの段階で仮定はできない。
 また、坂田防衛庁長官が、PXLについていままで調べたところでは何ら疑点はなかったということを……(松本(善)委員「いまもそう思っていないと言うのですね」と呼ぶ)いまもそう思っていないということは、大臣がそう考えておるとするならば、質問を受けて答えることをいけないのだと、いまそう思っておるのに違うことを答えることは、私は、どうでしょうかね、そういうことは。やはり、自分が調べてみてそう思うから、そう思うと答えることは――その答えが違っておるという場合には責任は追及されましょう。しかし、いまは自分が考えておることを率直に述べることは、松本君のようにいけないのだ、そう思っておっても少し怪しいのだという答弁をする方がかえって不正直な答弁でよくないと思う。
#66
○松本(善)委員 私は、総理のいまの答弁がそのまま三木内閣の姿勢だということを国民の前に明らかにしたいと思います。
 私、最後の質問で、これで終わりますが、田中金脈問題についていろいろ質問がありました。信濃川河川敷については、田中氏は農民から詐欺で告発をされ、事情聴取をされております。農民をだまして土地を手に入れたと言われている。これは総理も、延び延びになって残念だ、十分解明されているとは思わないということを先ほど答弁をされましたけれども、そして基本的には本人がやるんだという趣旨のお話をされましたけれども、いま田中が逮捕をされたという時点、これでも本人に期待をするということはできますか。私は、これは徹底した厳正な捜査がなされるべきだと思いますが、御見解を伺います。
#67
○三木内閣総理大臣 信濃川の河川敷の問題は、いま捜査中でございますから、その経過等については刑事局長から答弁をいたします。
#68
○安原説明員 信濃川河川敷の問題についての田中前総理に対する詐欺の告発事件につきましては、捜査中でございまして、すでに国会でもお答え申しておりますように、被告発人である田中前総理からも事情を聴取しておりまするが、なお、関係者が三百人に上る関係もございますし、なお逆にこの件について誣告罪の告訴もあるというようなことでございまして、捜査中でございますが、遠からず処分ができるものと思っております。
#69
○松本(善)委員 終わります。
#70
○田中委員長 それでは坂井弘一君。
#71
○坂井委員 昨日、ロッキード問題の閣僚連絡協議会が持たれまして、一連の強制捜査の経緯等につきまして報告がなされたようでありますが、さきに稻葉法務大臣が、重大な段階に来たならば国会に対して中間報告をするというお約束があるわけであります。
 そこで、三木総理にまず伺いますが、今回の事件の一連の経緯、それからこの見通し等につきまして、総理はかなり詳しく報告をお受けになったかどうか、同時に、国会に対して中間報告をなさる御意思があるかどうかについてまずお伺いしたいと思います。
#72
○三木内閣総理大臣 私は、検察当局に対して全幅の信頼を寄せて、政治的な介入はしないから、したがって法の厳正な執行をしてもらいたいということを言っておるわけで、その捜査の進捗状態については一々詳細な報告は受けておりませんが、重大な問題については事前に法務大臣から私に報告はございます。しかし、捜査の進捗状態に対して常に報告を受けておるということはいたしておりません。
 それから、中間報告を私から国会にする意思はございません。最終的な捜査が終了した段階においては、どういう方法でするかということはいままだ結論には達しておりませんが、真相は明らかにされなければならぬ、こういうふうに考えております。それはこの事件の捜査が終了した段階を考えております。
#73
○坂井委員 田中前総理の逮捕、これはいわゆる政治権力の最高の座にあった人が権勢欲をほしいままにしようとした、私はまことに忌むべき、また恥ずべき、金でもって政治を動かそうという、そういう事件であろう。ただ、これは田中氏個人の問題ではなくて、少なくとも戦後の保守自民党のいわゆる金権体質そのものが吹き出した一つの焦点と見るべきではないか、こう思っております。
 そこで、政治に金がかかるということがしばしば言われるわけでありますけれども、しかし、この金については一定の節度を持たなければならぬ。これは常々総理もそうおっしゃっておる。
    〔委員長退席、大橋(武)委員長代理着席〕
この金のかかり方ということは、一つは、自民党に限って言うならば、いわゆる総裁選挙に対して派閥次元での金が乱れ飛ぶ、いま一つは、選挙に汚い金が投げられる、こういうことだろうと思う。そこで、政治資金規正法の問題が問題になるわけですけれども、総理は、先ほど非常に厳しく規制をしたということを言われたわけでありますけれども、私は決してそうではないと思う。
 そこで、具体的に伺いますが、たとえば今回の田中前首相の場合を見ますと、これはおしなべて自民党に言えることだろうと思いますけれども、これの腐敗の温床というものはやはり自民党そのものの政治団体の金がきわめて乱脈であるということに象徴されているのではないか、こう思うわけであります。田中前首相の関係の政治団体、たとえば越山会、政治経済調査会、新政経振興会、財政調査会、こういう四つの団体を見ますと、寄付金の出し入れについて食い違いがあるわけであります。これは政治資金規正法の届け出の分に限って私は申し上げているわけでありますが、たとえば四十六年の下期から五十年上期までの四年間に越山会においては二十三件七千二百九十万、政治経済調査会七件千八百万、新政経振興会二件八百万、財政調査会七件千五百万、合計三十九件一億一千三百九十万円という金が、一方では出たと言いながら一方では受け入れていない、それが収支の届け出の中で明らかになっておる。一体こういう問題を総理はどうお考えになるか。総理みずからもやはり範をたれて、こうした政治資金規正法による届け出は適正を期さなければならぬと思いますが、そうした点について一度総点検をされたらいかがですか。
#74
○三木内閣総理大臣 今日の政治不信の中心になっている問題の一つは、金にまつわる問題が非常に多いわけです。したがって、こういうロッキード事件というような戦後最大の問題を惹起したわけでございますから、私はやはり――政治資金規正法もこの一月から改正になったわけでございますし、いままでの坂井君の御指摘のような少しルーズな点は確かにあったと思いますね。やはりこの際は、政治資金規正法による金の出し入れに対しては、いままでのような多少ルーズに流れておるようなことを改めて、厳重にこれを処置するように私は党員全体にこれを指示してまいる考えでございます。
#75
○坂井委員 法務大臣、私がいま指摘しますような政治資金規正法違反につきましても、当然今度の捜査の金の流れを究明する中で問題になり得ますね。
#76
○稻葉国務大臣 なり得ると思います。
#77
○坂井委員 総理に伺いますが、私は、さきの当委員会におきまして、実は政治家個人が政治活動として受け入れる政治献金、これが全く旧法においては無制限である、しかもそれを政治活動のために全部使用したというならば税法上申告の義務を生じない、こういう矛盾点があるということを実は指摘したわけであります。総理の認識においてはちょっとおかしかったのですね。で、いま私が申しましたことはそのとおりだ、これはお認めになりますね。
#78
○三木内閣総理大臣 いまこれは検討を加えております。やはりその点はいろいろの矛盾があると思いますね。したがって、これはいわゆる生活費などに流れる場合もなきにしもあらずでしょうから、そういうことで何かそこに不明朗なものがあってはいけないと考えますので、これはどのように措置するかということは検討を命じておる次第でございまして、その結論が出ますれば政府の考え方を申し述べたいと思っております。
#79
○坂井委員 重ねて法務大臣に伺いますが、今度田中前首相が受け取ったと言われる五億の金、これがいわゆる政治団体に対する寄付金の形で受け入れられていない。田中氏個人が政治献金だということでもって受け取っておった。しかしながら、ここには賄賂性という色彩がきわめて強いではないかというような点について捜査が着目をして、当然この金の性格なり目的というものを究明しなければならぬ、こう思います。政治資金規正法では、つまり個人が受け取った金については規制する何物もない。こういう点を十分踏まえて、この金の性格なり目的、さらにはどこに流れていったかということについて、かなりな部分まで捜査は進行しておりますか。
#80
○稻葉国務大臣 昨日、逮捕して取り調べが始まったわけですから、あなたがおっしゃるような五億円がどこへ行ったか、その法的な性質はどういうものであるかということは、これから調べるわけです。
#81
○坂井委員 いま申しましたことを十分腹に置いてお考えの上でやっていただかないとならぬということを、問題提起として、指摘として申し上げておきたいと思います。
    〔大橋(武)委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで総理、先ほどからのお答えですけれども、三木内閣の閣僚にかなり疑われる人がおる。あなた御自身の手で一度よく事情をお聞きになるなりお調べになってみる必要があるのではないでしょうか。
#82
○三木内閣総理大臣 これはいま御承知のように刑事上の責任というものについては検察当局で鋭意解明に当たっておりますから、したがって、世間で三木内閣の閣僚についていろいろうわさがあるからといって私自身が調べるというのはどういうことでしょうか。いろいろなそういう問題があればいろいろ事情を聞いてみるようなことはあり得ても、私から調査をするということは、それは検察も鋭意捜査をいたしておるわけでございますから、私自身が改めて調査をするというよりかは、そういう検察の活動に任したいと思います。しかし、閣僚のことでございますから、いろんなそういう世間で疑われるような場合、どういうことかと事情を聞くようなことはあり得ると思います。
#83
○坂井委員 私がなぜそのことを申し上げるかといいますと、木村運輸大臣も、当時のエアバス導入問題等につきまして当時の運輸大臣の橋本登美三郎氏に事情を聞いた。総理としても当然、閣僚の中にかなり疑惑が濃厚であるということでいろいろなことが言われるわけでありますから、そういう必要は内閣の統括責任者としておありじゃないかということを申し上げたわけであります。
 そこで、いま一点伺いますが、いわゆる灰色高官の問題であります。
 私がさきに質問した際に、総理は、国会においても十分ひとつ検討してもらいたい、また一方、先般井出官房長官に、しかし政府においても当然やるべきじゃないか、これは何も国会に全部ゆだねて政府は素知らぬ顔をするというのでは政府の責任を果たすことにはなりませんよ、こういうことを申し上げたら、当然そうだ、こういうことでありました。また一方、稻葉法務大臣は、灰色高官の枠はかなり広げるべきである、あるいは、この定義づけにつきましては事務当局に指示をされたかのような御発言もあったようであります。
 ここで総理に伺いたいのですが、捜査終結を待ってということでありますが、それではちょっと遅いのではないか。少なくともいま総理の腹組みの中には、すべからく公表するのであるという前提に立って、その定義等を――前には稻葉法務大臣は、一般論ですけれども五つの定義づけをされましたね。そういうことを基本に踏まえながら総理はすべからく公開するのだという基本姿勢に立って腹組みの中ではいまお考えでしょうね。いかがですか。
#84
○三木内閣総理大臣 いわゆる灰色高官と言われる人たちの公表問題ですが、私は実際は捜査が終了してからということをなぜ言うかというと、これは抽象的な問題でなくして具体的な事例についてこれを公表すべきかしないかということを検討することが適当だと思います。抽象的にいろいろ言うのでなくして、今度のロッキード事件というものに関して具体的な事例ごとに公表すべきかすべきでないかということを判断することが適当だと思いますので、いま言ったような捜査の途中でこれを公表する考え方はないわけです。終了の段階においてやる。しかも、これは私も非常に関心を持っておりまして、公明党のいわゆる灰色高官に対する基本的な見解というものを拝読をいたしました。いろいろとこういう発言に対しては十分な注意をいたしまして、国民が真相を知りたいという、こういう国民の願望に対してはこたえなければならぬと考えておる次第でございます。
#85
○坂井委員 最後に一点伺っておきます。時間がありませんからちょっとお見せだけしておきますが、これは川崎重工でつくられつつありますいわゆるPXLの木型模型ですね、これはお見せだけしておきます。
 それで一つ伺いますが、実は総理、エアラインが、航空会社がどの機種を導入するかということについてはその航空会社みずからが自主的に判断をして決めるのである、これは原則はそうなっているわけです。これは運輸省の航空局も「航空会社が自社の事業用のいずれの機種を選定するかは、航空会社の独自の検討によって決定されるものである。」文書においても明確であります。そこで一つ伺いますが、議事録ちょっと読みますから、総理、冷静に御判断ください。
 質問は省きますが、田中角榮総理の答弁であります。「私と橋本幹事長と、ときどきゴルフをやっておったんですが、この一、二年やってないのでいつかやろうと、こういうことでございまして、寄ったわけでございます。私は、いま、次の日曜日にそういうことができるかどうか予定を組めないような状態だから、別な人とやってくれと、こういうことを述べたときに、DC9の問題に対して四、五分話がありました。これは、東亜国内航空というものの運営上必要な、適当な機種であるということで、いま運輸省にお願いしていますと、運輸省でも国会でも議論があった問題だし、運輸省は安全第一で慎重に調査をしておるはずだからその結果を待ちなさい、その結果を待つ以外にないと、こういうことでありました。」
 つまり、運輸省においてもいま十分検討しておる、だから早く決めろと言うけれども、しばらく慎重な検討の結果を待ちなさいということは、これは一体いかなる意味か。常識で判断いたしましても、少なくとも当時田中総理も当時の運輸大臣も、機種の選定については運輸省――総理みずからも機種決定は運輸省、これが最終はやるんだからその判断に待ちなさい、こういう答弁であります。総理はどう思われますか。
#86
○三木内閣総理大臣 坂井さん、これは何か官制上の規定があるようですから、法制局長官からかわって答えます。
#87
○真田説明員 突然のお尋ねでございますが、いま六法を探しまして該当する条文が見つかりましたのでそれを申し上げますと、航空法の百条に免許の制度がございまして、それから事業計画の変更に該当する場合には当然事業計画の変更の認可を運輸大臣に申請する、そういう観点から運輸大臣の方で審査をいたしまして認可をするかしないかの処分をする、こういう関係に相なります。(坂井委員「それは違う、問題が違う」と呼ぶ)
#88
○田中委員長 法制局長官、機種それ自体の選定はユーザーの自由である、そうじゃありませんか。
#89
○真田説明員 機種それ自体の選定はもちろん航空会社が決めるわけですけれども、それがどういう種類のものを購入してどういう運航に供するかということによって事業計画の変更に大体当たる場合が多いんだというふうに私は聞いております。
#90
○坂井委員 総理、ちょっと答弁になっていないのですよ。ぼくは簡単な常識的なことを申し上げているわけです。運輸省ではそういう方針なんです。機種の決定まで介入しませんよ、どの航空会社がどの機種を選ぶか、機材を選ぶかはその航空会社の自主的な判断ですよということを先ほど文書でもって申しました。しかるに、先ほどの前総理の答弁によれば、運輸省の結果待ちということを言っているわけですね、おかしいじゃありませんか、こう聞いたのです。総理も常識的に判断してそれはおかしいならおかしい、おかしくないならおかしくない――おかしくないなんと言うはずはないと思う。確かにおかしい、そうおっしゃるだろうと思いましてお聞きをしたわけです。いかがでしょうか。
#91
○三木内閣総理大臣 最終的にはやはり航空会社が決めるのでしょうが、ところが、いままでその機種はそれなら大型機を使うということになれば、便数なんかも減らすような場合もあるかもしれないですね。やはり事業計画に機種の選定というものは無関係だとは言えないですね。だから、実際は行政指導ということで、運輸省なんかにそういう決定権はないのですけれども、了解を求めるようなことが、そのことのいい、悪いは別ですよ、そういうことになってきておったのではないでしょうか。それはしかしきちんと責任をもっと明確にすることが運輸行政を明確にするために必要かもしれませんが、これは従来の行政指導の名のもとにいろいろ了解をとっておったようなことは、この規定に沿うたようなことは別ですけれども、直接に沿わないようなことで必要以上の行政指導ということは、やはり運航事業の決定に対して不明朗にする余地もありますから、十分に研究をさせてみたいと思っております。
#92
○坂井委員 時間が過ぎておりますので終わりますが、この件につきましては改めて明らかにしたいと思います。
#93
○田中委員長 永末英一君。
#94
○永末委員 昨日田中総理が逮捕されましたが、三木総理は、この田中前総理の逮捕をいつ御存じでございましたか。
#95
○三木内閣総理大臣 昨朝、法務大臣から報告を受けました。
#96
○永末委員 報道によりますと、あなたは二十四日ごろから知っておったのではないかという説がございますが、そうではございませんね。
#97
○三木内閣総理大臣 そうではございません。
#98
○永末委員 あなたはこのことを知られて、来るべきものが来たとお感じになりましたか、きわめて意外でショックを感じられましたか。
#99
○三木内閣総理大臣 私も、この逮捕というものが田中氏の身辺にいきなり及ぶとは考えておりませんから、実際のそのときの感じとしては驚いたわけでございます。
#100
○永末委員 いきなりということで驚いたというのですが、いきなりでなければ驚かなかったという御心境でしょうか。
#101
○三木内閣総理大臣 田中氏に対していろいろ世間様からも言われておりますから、一度はやはり、どういう形かは知りませんが、田中氏にロッキード問題について事情の聴取はあるものであると考えておりました。
#102
○永末委員 あなたは昨日の記者会見で、現総裁として不名誉な事件に対し責任を感じている、こういう御発言がございました。当委員会におきましても責任を感じている旨の心境を述べられております。責任を感じると申しましても、いろいろあるのでございます。どういうところに一番責任を感じておるのか、この辺のところを明らかにしていただきたい。
 まず第一に、田中総裁の選挙のときにあなたの方は田中総裁の実現に努力をしたと伝えられておりますが、そういうことについて責任を感じておられるのですか。
#103
○三木内閣総理大臣 総裁選挙のときには、政策協定を行って、その政策協定の中心になっているものは中国との国交正常化、これがやはり中心の政策協定で、これをいずれの者が――そのときはまだ総裁選挙をしておりませんでしたから、だれが首班になろうとも日中の国交正常化はやる、こういう政策協定を行いましたから、その政策協定に従って第二回目の投票は田中氏に投票したわけでございます。
#104
○永末委員 いや、経過を伺っておるのではございませんので、逮捕されるような人をそのときは知らなかったから推したということに責任を感じておられるかどうかということを伺っておる。
#105
○三木内閣総理大臣 むろん、そのときにはこういうことになるとは想像もしておりませんでしたので、いずれにしても、内容はどういうものであったかということはこれからやはり取り調べの結果を見なければわかりませんけれども、疑いを持たれて逮捕されたということは不名誉なことでございまして、そういう点では私自身としても自民党員の一員、しかも総理、総裁の地位にあるだけに非常に重く責任を受けとめておるわけでございます。
#106
○永末委員 私が伺っておるのは、もう少し明確に、責任を感じている、その責任の所在を突きとめたいということで質問申し上げているのであります。
 それでは、逮捕の被疑事実というものは田中前総理が総理時代に起こったことであるということで逮捕されておるわけでございまして、あなたはそのときに明らかに副総理であられた事実がございまして、そのことを知らずして副総理を務めておったということについては責任は感じられておりますか。
#107
○三木内閣総理大臣 こういう事件がアメリカから問題を提起されたわけですが、こういう問題が起こってきて、私はロッキード事件というものを知ったわけでございますが、そういうことをあらかじめ――そういうことが一遍に起こるわけではございませんから、その過程があるわけですが、そういう過程に、全然そういうことに対して知らなかったということには私自身も責任を感じざるを得ないと思います。
#108
○永末委員 さらに、あなたの内閣ができました一つの柱が、いわゆる田中金脈問題の解明であったと思います。もしこの金脈問題の解明を徹底的にやっておるならば、今日のこのロッキード問題はその中から出てきたはずだと思われます。しかるにかかわらず、この金脈問題の徹底的な究明があやふやになっておるということのために、ロッキード問題がアメリカで明らかになって以来これが明らかになってきておる、こういうことが経過でございます。したがって、あなたはこの金脈問題を徹底的に解明しなかったということに責任は感じられますか。
#109
○三木内閣総理大臣 私は、このいわゆる金脈問題については、税法上いろいろな違法行為があればこれはあくまでも追及しなければならぬということ、そのときの法律に照らして違法行為を追及するという立場であったわけでございまして、金脈問題というものの、私が内閣の首班として国政に対して責任を持つようになったことは、金権政治を打破しなければならぬということが私の出発点であって、金脈問題は法律に照らして追及するものは追及するということで、この金権政治打破ということが三木内閣の出発点であったわけでございますから、いま最初にも申したように、公職選挙法の改正であるとか政治資金規正法であるとか、総裁公選の規程というものに対して私が組閣早々に私の案を党に提示したのも、そういう私自身の内閣が発足した背景をそう受け取ったからでございます。
#110
○永末委員 あなたは言葉を他の問題にそらされますが、私が端的に聞いたのは、国民は、あなたは金権政治の一掃と言われたが、金権政治の中には田中金脈問題で前内閣は倒れたのだから三木さんはこれを明らかにしてくれるだろうという期待があったと思う。もしそれが期待に沿っておるならば、ロッキード問題はそのときに、その究明の過程において出てきておったはずだと私は思いますけれども、ところが、それがあいまいになっておるから、いま再び田中金脈問題とロッキード事件との関係が問題になっておるのであって、あなたはそれに責任は感じられませんか、端的にお答えを願いたい。
#111
○三木内閣総理大臣 法治国家でありますから、法律に照らして不正行為があるということでないと、なかなか問題の追及はできませんよ。漠然といろいろなことがあるとかなんとかいうことだけで人を追及することはできない。やはり法治国家としての追及の仕方というものはあると私は思う。ロッキード事件というものは、こういうふうな法律的な問題を提起したところにこの問題が進んでくるわけであります。だから田中氏の場合でも、法律に照らして不正行為に対しては、これに対して何もこれを抑えるようなことは一切したわけではないわけで、追及をしたわけですが、それは追及の仕方がいろいろ手ぬるいじゃないかという御批判はあろうと思いますが、不正行為というものがなければ、やはり追及と言っても、それには限度がありますから、そういう意味においてロッキード事件というようなものがそのときの追及が手ぬるかったからという、起こったことはその前でありますから起こっておったのでしょうが、もっと早くこういう問題が発覚されたのではないかということについては、これは何とも言えない。そういうことになったかもしませんけれども、これはしかしそのことでロッキード問題というものがもう少し早く出たかどうかということは、私はどうもいまそうだとも申し上げられないわけでございます。
#112
○永末委員 ロッキード事件の真相解明という言葉をしばしば総理は口にされますが、真相解明というのはどういうことですか。
#113
○三木内閣総理大臣 一つには、やはり不正行為があったかどうかということ、これは検察当局でやること、これに対してそういう法律的な側面と政治的な政治責任という問題があります。政治道義的な責任、この二つの側面からロッキード事件というものはこういう事件であったということを解明をすることが真相の解明であるというふうに考えております。
#114
○永末委員 普通でございますと、起訴された者のその真相が決着するのは、裁判があって初めてこれが事実であり、真実であったということになるというのが一般の通念であります。しかし、この場合は、いわゆるあなたの言われている法的、政治的責任とこう二つに分けられましたが、真相解明というのは、当該者が起訴になったときと解釈してよろしいか。
#115
○三木内閣総理大臣 最終的には裁判が確定したときが一つの事件というものが決着をしたということでございましょう。しかし、そういうことになれば、御承知のように、非常な長期にかかりますから、私が考えた、私の責任における真相の解明というものは、起訴とか不起訴とかそういう問題の決着がついたときをやはり私が考えておる、一つの捜査の終了ということをそういうことを考えておるわけでございます。
#116
○永末委員 いま総理は、総理大臣として、行政府の責任者として起訴、不訴起ということの決定の時期が真相解明の時期だ、こうおつしゃいました。田中前総理の勾留期限が延期をされましても、大体八月の十八日ごろその勾留期限が来ますので、恐らく検察庁としてはそのときには起訴、不起訴を決定しなければならぬ段階になると思います。そうしますと、大体そのころには一切のことを明らかにする御決意ですね。
#117
○三木内閣総理大臣 そうはいきません。田中氏がすべてではないわけですから、したがって、今後は田中氏一人で終わるというふうにも想像できませんから、そういうロッキード事件に関連した者の捜査が終了しなければ、田中氏の起訴、不起訴が決まっただけでロッキード問題は捜査は終わったんだというふうには考えていないわけでございます。
#118
○永末委員 もちろん、今回の被疑事実によりますと、いわゆる丸紅関係のピーナツ、ピーシズ領収証に関する被疑事実でございますが、しかし、その他にもいろいろございます。最もよくわからないのは児玉関係のことであります。すでに全日空関係も逮捕者があるのでございますから、ロッキード事件はこの被疑事実だけで終わるのでないことは百も承知である。しかしながら、収賄側の第一号として、しかも内閣総理大臣になった者が逮捕されておるならば、それの起訴が決定されるときには、相当なこれが一つの山場であり、大体事件の全貌がわかっておればこそその起訴、不起訴が決定せられると見るのが国民の大多数の考えではなかろうか。にもかかわらず、あなたの言われるように、いやそればまだ一山であって――一山とは言われなかったが、まだまだ後にしっぽがあるかのごとき、それが一体いつ終わるのかわからない。真相解明の時期はわからぬ、こうなりますよ。あなたはどうお考えですか。
#119
○三木内閣総理大臣 そう逮捕するような人たちが後々出てくることを期待しておるわけではないのですけれども、それは永末君お考えになっても、田中氏だけで、これでもうロッキード事件の捜査というものばほとんど、一番の核心というもはこれで解明ができたというふうに、そう断定するのも少し断定に過ぎるのではないでしょうか。だから、もう少しこの問題、関連する人たちの真相というものを解明されないと、ロッキード事件の全貌ということにはならないのではないかと思うわけでございます。もちろん、これはそんなにこのロッキード事件の問題は、捜査当局だってこんなに精力を集中して捜査に当たっているのですよ。こんな状態がいつまでも続けられるわけじゃないですから、おのずから限度はございますが、ここで私からいつまでということを、いろいろな不確定な要素もございましょうから、時期は断定できませんが、そんなに遠い将来までロッキード問題の捜査が続くとは思っておらないわけでございます。
#120
○永末委員 続かぬ。これから、八月十八日ごろと申し上げましたころまでにはやはり逮捕者も出ると思うのです。したがって、起訴の決定は田中氏の場合よりおくれるかもしれませんが、大体そのころ事件の全貌がわかっておると期待しておる国民がありとすれば、当然でありませんか。もう一度お答え願いたい。
#121
○三木内閣総理大臣 まあ、私自身もこれはいま申したように、そう遠くない将来に事件の捜査は終了するだろうと考えておるわけでございますし、また、実際問題として、いつまでも捜査が終わらないというものではないと思いますが、いまここで、永末君の八月十五、六日という日を切って、それまでには大体の捜査は終わるかという質問にお答えするのは、私自身捜査当局からの報告もまだ受けておりませんし、したがって、ここでそういうことを申し上げることができないことは残念に思いますが、そうむやみに長く時間がかかるものではないとは考えております。
#122
○永末委員 時期はなかなかはっきりいたさないようでございますが、そう長くない時期だ、とうなりますと、いわゆる起訴される者は黒い人物でございますが、いわゆる灰色高官名というものについてはそれぞれの政党で基準等を発表いたしております。われわれも用意いたしておりますが、十五日の当委員会で他の委員からの質問がございましたときに、党首会談などはどこの党も申し込みがないので考えておらぬという話でございます。国会の場でどういう政治的道義的責任があるか明らかにしようということが問題となった場合には、私どもも当然そういう角度から各政党間の意見を調整する必要があると考えます。
 その意味合いで総理、自民党総裁として、わが党はすでに党首会談をこの点について開く必要があるということを天下に発表いたしておりますが、あなたはこれを受けて、それまでの時期、先ほど申し上げましたような時期と関連をしつつ党首会談を開き、いまのような灰色高官等の範囲等について御相談に応じられる御意思はございますか。
#123
○三木内閣総理大臣 私は、各党が国民が関心を持っておると思われるいわゆる灰色高官、この範囲についていろいろな貴重な御意見を御開陳願うことは非常に貴重な参考になるわけですが、私がこの問題をここで明確にこの範囲ですということを断定しないのは、この事件の真相というものは一体どういうものであったであろうか、それだからこの事件を解明して、この実態に沿うて、こういう内容であった、それならばこの結果に対して国民に報告するのにはこの範囲が適当であろうという、もう少し事実に即して範囲を考えるという慎重さが要るのではないか。いまロッキード事件について漠然と皆がこういう事件であろうという予測はしていますが、もっと実際に調べてみて、内容がこういうものであったということで、その実際の内容に即して、それならばこの程度は国民の前に公表することは当然であろう、実態に即して範囲を考えるという、そういう慎重さも要るのではないか。ただここで個条書き的に言うことは少し慎重を欠く態度ではないかと考えますから、いま政府の方から範囲を決めろということに対して、私がそういたしますというお答えをしないわけでございます。これはやはり国民がこれだけの関心を持った事件でございますから、事件の内容はこういうものであったということを国民に真相を明らかにすることは政治の責任である、こう考えておるわけですが、いま個条書き的に灰色高官の範囲について私から申さないのは、そういう配慮があるからであることを永末君も御了承を願いたいのでございます。
#124
○永末委員 私の伺ったのは、政治的道義的責任の所在を明らかにするというのは、これは国会においてもきわめて重要な政治的課題でございますから、そういうことをいよいよ政府として腹構えをされる前には、各政党の党首と腹を割って話し合われて、そうしてその範囲をお決めになる御用意がございますかと伺っておる。これをひとつお答え願いたい。
#125
○三木内閣総理大臣 党首会談というものは、いまこの問題で開くとかいうふうに問題を限ってお答えはできませんが、必要があったならば必要に応じて党首会談を開いて御理解を得たいと思っております。この問題で党首会談を開きますとか、問題を限って具体的にお答えはできませんが、必要があったら私はいつでも開きたいという考えでございます。
#126
○永末委員 終わります。
#127
○田中委員長 次回は、明二十九日午前十時理事会、十時三十分委員会を開きます。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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