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1975/08/11 第77回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第077回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第21号
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1975/08/11 第77回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第077回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第21号

#1
第077回国会 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第21号
昭和五十一年八月十一日(水曜日)
    午前十時十三分開議
 出席委員
   委員長 田中伊三次君
   理事 大橋 武夫君 理事 亀岡 高夫君
   理事 谷垣 專一君 理事 中村 弘海君
   理事 松永  光君 理事 田中 武夫君
   理事 横路 孝弘君 理事 松本 善明君
   理事 坂井 弘一君
      上村千一郎君    小山 長規君
      佐藤 文生君    菅波  茂君
      瀬戸山三男君    古屋  亨君
      稲葉 誠一君    大出  俊君
      斉藤 正男君    楢崎弥之助君
      松浦 利尚君    増本 一彦君
      三浦  久君    鈴切 康雄君
      河村  勝君    永末 英一君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 稻葉  修君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 木村 睦男君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局長 土金 賢三君
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        通商産業省通商
        政策局長    矢野俊比古君
        通商産業省通商
        政策局次長   間淵 直三君
        運輸省航空局長 高橋 寿夫君
        運輸省航空局次
        長       松本  操君
        運輸省航空局監
        理部長     山元伊佐久君
        日本輸出入銀行
        理事      林  大造君
        ロッキード問題
        に関する調査特
        別委員会調査室
        長       中里  煥君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月十一日
 辞任         補欠選任
  庄司 幸助君     増本 一彦君
  近江巳記夫君     鈴切 康雄君
同日
 辞任         補欠選任
  増本 一彦君     庄司 幸助君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 ロッキード問題に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田中委員長 これより会議を開きます。
 ロッキード問題について調査を進めます。
 質疑の通告があります。順次これを許します。まず斉藤正男君。
#3
○斉藤(正)委員 法務大臣に伺います。
 田中前総理が先月二十七日に逮捕されて、きょうでもう十五日、その後、事態は全く進展していない、膠着状態。逮捕者が出たということが別に真相解明が進んだとは私は思いませんけれども、何かこう厚い壁にぶつかって新しい事態の解明が進んでいないというように思う。その壁は何ですか。ずいぶん、そのうちにそのうちにという思わせぶりな発言も公式、非公式を問わず、あったわけですけれども、何かこう分厚い壁にぶつかって、にっちもさっちもいかないような状態になっているのじゃないかというふうにしかとれないのですけれども、どういうことですか。
#4
○稻葉国務大臣 分厚い壁にぶつかって、にっちもさっちも動かぬようには私、思えませんね。逮捕者がどんどこ、どんどこ出るということが、壁がなくてどんどん進んでいる、それが出なければ壁にぶつかっているというのではないんで、捜査というものは、じりじりじりじりといくわけですから、前総理の逮捕が二十七日で、ずいぶん日にちがたっているから捜査がちっとも進んでいないと思ったら大間違いだと私は思いますな。
#5
○斉藤(正)委員 あなたは、いろいろなところで、いろいろな物を言っておりますけれども、非常に重要なことは、八月末には捜査本部を解散し万歳、乾杯としたいものだ。大相撲九月場所の中日前日、これは九月十七日ですね、千秋楽の前日、これは九月二十四日ですけれども、この切符を二ます買ってある。そこで、検察首脳七人衆と相撲を見ながら乾杯をしたい、こういうことも言っておられますけれども、八月末には捜査本部を解散して乾杯、万歳といきたいという発言、あるいは大相撲九月場所の中日なり千秋楽前日の二ます予約済みといったようなことからして、どうも、あなたの思っているような日程に真相究明が進んでいない。あなた自体が多少やきもきしておられるんじゃないですか。私が先ほど申し上げましたように、逮捕者が出ないから捜査が全く進んでいないというわけじゃないという言い方ですけれども、こういう発言からいたしますと、あなたも内心やきもきしながら検察陣を叱咤激励しているんじゃないですか。心境は率直に言ってどうですか。
#6
○稻葉国務大臣 まず八月末には乾杯、これはずっと前、言ったのですね。それから二ます予約したのは、ずっと後になってからなんですね、そういうことになるとありがたいかなと。とにかく、やきもきしているんじゃないかと言われれば初めからやきもきしている。一日も早くこういうものは片づけなければならぬ責任がありますから、一日も早かれという意味ではやきもきでしょうけれども、そのほかのことは、もう全面的に捜査当局を信頼して、自由にやりなさい、私が政治介入の防波堤に立ちますから自由にやりなさい、こうなっているのですから、そういう意味では安心し切っているとも言える。一日も早く片づけてほしいという点から言えば、それは刑事訴訟法にも迅速にと、ちゃんと書いてあるのですから、そういう点から言えば、やきもきと言えるでしょうな、やきもき、かつ泰然自若。
#7
○斉藤(正)委員 言いようによっては心情的には、やきもきという気持ちもあるけれども、また一面、泰然自若として動じていないという言い方もある。全く距離のある表現でありますけれども、これは本事件の重要性にかんがみ、あなたの気持ちを率直に言うと、一面は、やきもきしているけれども、一面は、そんなにやきもきしたってしょうがない。この際、落ちついて厳正公平な当局の捜査を待つという気持ち、人間稻葉として私はその二面の気持ちというのはわかるのです。わかるけれども、たとえば最近も選挙区へお帰りになって、自民党内には田中前首相が党のために金を集め、使ったという声があるが、恬として恥じない風潮は間違っているというような意味の発言をなされている。自民党内には田中前首相が党のために金を集め、党のために金を使ったんだから何も悪いことじゃない。しかも別件逮捕などということで、いやしくも前総理、前総裁を逮捕したなんということはとんでもない話だ。あるいは、あの際は指揮権発動があって当然ではなかったのかというような発言があったかのように聞いておりますけれども、こういうことを御承知の上で、こういう発言をされたと思います。同時に、社会的地位がどうであろうと悪いことをしたら刑務所へ行くことがはっきりしたことは、わが国の民主政治の発展にマイナスではないというような発言もされたと聞いておりますけれども、これらは人間稻葉がやはり歯に衣を着せない率直な発言であろうというように私も思うわけであります。
 問題は、首相の首をすげかえただけで人心一新にはならない。首相がやめないと言ったら不信任案を出すのか。そのうち雷でも落ちると党内は仲よくせざるを得なくなる、こういう意味のことを言われたそうでありますが、雷が落ちるというのは、たとえば田中前首相の逮捕を大地震が来たというように形容するならば、森羅万象、天然自然現象として雷が落ちるというのは、たとえば田中総理の逮捕を地震で揺れたというように言うなら、一体、何を言っているのですか。雷が落ちたら自民党の内紛もなくなるだろう、静かになる、何か、こう非常に暗示的な、意図的な、あなたにしては珍しい発言だと思うのですけれども、何をお考えになって、こういう雷という表現をお使いになったのですか。
#8
○稻葉国務大臣 そういう新聞に出ている片言隻句をとらえられて、雷とは何ぞやというように追い詰められると困りますのですが、余り言論を――何でも物をしゃべれなくなるね。まあ、その程度のことは御想像にお任せしたいと思いますがね。
 私はこの際、申し上げておきたいのは、これは大事件ですわ。そういう大事件を捜査当局もあれだけ一生懸命にやっており、私なども、やせる思いでいるわけですな。それだのに党内がいかにも揺れ動いて、田中前総理の逮捕以来、急に大騒ぎに揺れ動いているような姿は、やはりこの事態の究明のためには、いい影響は与えないと思って心配しているのです。しかし、あれだけの陣容で、ここまで不偏不党に、厳正公平にやってきたんだから、これからも不偏不党、厳正公平にやって事態の進展がどんどん進んで全貌が大体こういうものですということになれば、こんなことをしていられないのじゃないですかねという意味なのです。
 総理をかえたからといって人心一新にならないという意味は、私はこういう際、いまさらのごとく、ロッキードの解明がここまで進み、特に前総理まで逮捕されるという事態は、党全体としても国民にまことに責任を感ずべきことになっているんじゃないか。私らも田中総裁推進派でしたから、非常に責任を感ずべきではありませんか。そういう反省を要するものと考える。そこで私は、いまさらのごとく政治とは何なんだ。政治と司法との関係、司法と密接な関係にある犯罪捜査活動と政治との関係、国会と司法行政との関係、さらには政治と道徳、政治家の道義感、人生観、政治腐敗の原点の反省を要する時点である。それなのに、もう少し法務大臣は政治的な立場で党を擁護したらいいじゃないかと言わんばかりの風潮は断じて私、許すわけにはいかぬ、反省なきもはなはだしい、こういうふうに思うものですから、それが相当に長いのですけれども、新聞で要約されると、そういうどぎついといいますか、いかにも、ただ人を非難している、自分の責任はちっとも感じないのかというふうな表現になっていますけれども、自分がまず反省の上に立って、そういうことを申し上げました。
#9
○斉藤(正)委員 私は、稻葉さん、あなたの言論を決して非難していないのですよ。非常に検察の元締めとして、しっかりやっておられると思っている。したがって、あなたの地方における発言を非難したり批判したり罵倒しているわけじゃない。あなたの言っていることの方が筋が通っているのですよ、確かに。通っている中で、そのうちに雷でも落ちれば党内紛争も静かになるだろうというような意味のことを言っておられたので、雷というのは何だろうかな、こう伺っただけであって、うんとしゃべってください。いいですよ。決して私はあなたの発言を非難はしていません。言論は自由ですし、また、あなたは肝心かなめなことになれば絶対、口は割りませんからね。その点も信じています。法務大臣として言うべきこと、言って悪いことは知っている人だと、私もその点では尊敬していますよ。ただ、いかにも、そういう思わせぶりな、断片的であっても前後を釈明いただけば真意はそうでなかったというようにわかるにしても、いまや、あなたはマスコミの寵児です。したがって、そういうことを書かれるのでして、これはまた当然のことだと思うのですよ。したがって、そういうお尋ねをしたわけですが、先ほどから、壁にぶつかったとは言えない、捜査は進んでいるというような言い方ですけれども、少なくも自信を持って田中前総理を逮捕し、そして本来ならば児玉も逮捕をする条件は一〇〇%整っているけれども、病身なるがゆえに逮捕できないということになってくると、これは雷の部類じゃないんですな。そうすると、もう一人残っていますね、もう一人。ロッキード三悪人、それのことをあなた、多少頭の中にあって物を言われたのじゃないですか。ロッキード三悪人というと、私がいま言った田中、児玉、もう一人だれですか。あなた、どう思います。
#10
○稻葉国務大臣 それは捜査が進むに従ってわかるべきことであって、初めから捜査番付などをつくって、ねらい打ちでやるべきものでは捜査はありませんからね。真実を究明しなければならぬのですから、先入観を持ってやるべきものじゃありませんから、そういうことを問われても本当に返答に困る。私、素人ですけれども、捜査にはいろいろな山があるのじゃないですか。一山、二山、三山越えといって、そういうのはあるのじゃないですか、どうでしょう。そういうことで、そう特定人をだれだなんという質問は答えられない。捜査の重要なことに先入観を与えるような発言は法務大臣がして、たまるものですか。余り際どいことを聞かないでください。
#11
○斉藤(正)委員 炭坑節の歌詞を引用されましたけれども、田中、児玉が二悪人であることは間違いないでしょう、あなた、どうですか。
#12
○稻葉国務大臣 事件の重要人物であることは間違いないけれども、アメリカにもいますわね。重要人物という意味で二悪と言うなら二悪でしょう。
#13
○斉藤(正)委員 ここは日本の国会であって、私はアメリカのことなんか言っているのじゃないですよ。ロッキード事件に関係をして日本国内で重要な役割りを果たした三人がいる。そのうちの一人は田中であり、一人は児玉であり、れっきとした日本人で、もう一人いるんじゃないですか。その捜査が行き詰まっている。非常にガードがかたい。てこずっているのじゃないかというように思って聞いているわけなんでして、私どもが与野党こぞって小佐野賢治氏の再度の証人喚問を要求し、決まっているわけですね。ところが、なかなか手続をとらない。これは国会自体の問題であろうと思いますけれども、そうこうしているうちに児玉とほぼ同じような症状の病気になってしまった。これは仮病であるか本病であるか知りませんけれども、血圧が二百五十にもなってしまって、いまさら証人として国会が要請しても出てくるのは診断書だけだ。そして証人としての陳述が不可能のような状態になったということも聞いているわけであります。したがって、考えようによっては小佐野がこうなるのを待っていて今日になってしまったというようなことになれば、これは国会としても重大な責任問題だ。特に、ようやく与党も合意をしたわけでありますけれども、野党がこぞって要求していた段階でこれができなかったというようなことに、時間的な経過から言えば、なるわけでありまして、非常に残念であり、このことが一つの壁になっているのじゃないかというようにも思えるわけです。この点は国会自体の問題としても、きわめて遺憾に思うわけでありますけれども、大臣も、ある時期、非常に重要な段階だから、この際、証人喚問はというようなことを言われました。そのとき大臣の腹の中には、われわれが要求した証人田中角榮であり、その他の自民党の国会議員を描いていたと思うのですけれども、当時あなたの腹の中には小佐野のことは全くありませんでしたか。もう少し証人喚問を待ってほしい、いつまでとは言わない、時期がありますというようなことを言われたときに、あなたの腹の中には小佐野というような者のイメージは全くありませんでしたか、いかがです。
#14
○稻葉国務大臣 捜査の進展に照らし合わせて、核心に入ってきたのですから少し時期をずらしてほしいというのは、私も総理も申し上げました。それは別に田中前総理のことを描いたり――私、知らないのですから。どういうふうに捜査が進んで、どこまでいっているかということは自発的な報告を受けるまでは全然知りませんからね。ですから、描くも描かぬもないのですよ。具体的な人物を描いて証人喚問を延ばしてくれとか言うておるのではありません。いつでもそうです。
#15
○斉藤(正)委員 あなたらしい答弁で、そういう答弁だろうと思ったのですが、それじゃ、もう一度聞きますけれども、いまの段階で小佐野氏を第二次喚問することは捜査に支障がございますか。これは大臣、答えてくださいよ。大臣の勘の方が正しいのだから。
#16
○稻葉国務大臣 差し支えないとか差し支えがあるとかいうことを申し上げません。
#17
○斉藤(正)委員 あなた、おかしいよ。そこらになると、やっぱりおかしくなってくるのだな。われわれが証人喚問について小佐野氏を含め、たびたび要求したのです。そのときの答弁では、いつまでとは言わない、いま、その時期ではありません、非常に重要な段階ですから、いましばらくというようなことで終始しておったのですよね。いまになって差し支えがあるとかないとか言えませんというのは、差し支えがあると思っているのですか。ないのじゃないですか。それをやらなければ、どうにもならぬのじゃないですか。自信がありますか。国会が証人として小佐野氏を再喚問することが捜査進展のステップになると思っていらっしゃるのでしょう。どうですか。
#18
○安原説明員 かつて国会における証人尋問が捜査に支障があるかどうかということについてのお尋ねのございましたときにも、当委員会の理事会ないしは当委員会の席上で申し上げましたのは、あくまでも一般論でございまして、現に捜査中の段階でございますので、当該特定の証人を呼ばれることは支障がございますと言うこと自体が捜査の内容を露呈することになりますので、あくまでも一般論で、そしてお決めになるのは、あくまでも国会御当局でございますので、私どもは今回の問題お尋ねの問題につきましても支障があるかどうかは申すわけにはまいりません。あくまでも国会でお決めになれば、その状況下において検察当局としては、その状況を踏んまえて最善の努力をするということでございます。
#19
○斉藤(正)委員 そうすると、われわれが要求した段階での、いましばらく、いつまでとは言いませんという時期は過ぎて、いまは国会が自主的に喚問する、しないを決めて結構です。こういうことであって、差し支えがあるとか、いましばらくということは、もう言わぬということですね。
#20
○安原説明員 立場は、この前申し上げたときと何にも変わっておりません。あくまでも一般論を申し上げて、国会の自主的な判断にお任せをしているわけでございます。
#21
○斉藤(正)委員 まあ、安原さんとしては、そういう答弁しかできないと思います。思いますが、田中逮捕以来、次は何が出るのだろうかということは、国民注視の的なんですよ。それが十五日間、そういう形では全く事態の進展はない。あれで終わりになっちゃうのではないかという、裏切られたという国民世論も、ぼちぼちあるのです。何だかんだといっても田中派の巻き返しにあって、さすがの三木も稻葉も、それから世界に冠たる検察陣も、よたってきたというような国民世論もあるのですよ。これにこたえるには、やはり車の両輪の一輪が、しばらく休んでいたのですから、もう始動してしかるべきだというように思う。そういう意味では、時期尚早だとか、あるいはしばらくとかいうことではない、国会がおやりになるなら勝手におやりなさい、大臣、そういう答弁、してください。
#22
○稻葉国務大臣 答弁の内容を自分で言うて、そのとおりにやれと言ったって、そうはいかないね。
#23
○斉藤(正)委員 私がこういう答弁をしろと言ったって、それは無理ですけれども、あなたのことだから、私の腹の中も読んでいただいて、何か言いようがあるのじゃないですか。私、あなたの答弁を制約いたしません。勝手に言ってください。
#24
○稻葉国務大臣 捜査当局はそんな脆弱なものでもなければ、何か反撃にあって、ふらふらするとか、そんな総理でも法務大臣でもございません。
#25
○斉藤(正)委員 水かけ論のような形になりますので、この際、委員長にお願いしたいのですけれども、われわれの感触では、やはり行き詰まっている現状打開のためには重要証人の国会喚問の時期が来たというように思いますので、善処を要望いたしておきます。
 次に、輸出入銀行がお見えでございますので、伺いたいと思うわけでありますが、このことは同僚議員からもすでに質問をした問題でもあります。
 私どもの調査では、全日空がトライスター一〇一一の購入に当たって、いろいろな契約事項がございますけれども、特に一番機から一〇番機までの中で、各番機によって支払われた金額が違っております。それは、いろいろなものが各番機によって含まれ、違っているからであります。しかし、われわれの調査で明らかになっているのは、宣伝費として六番機までに一機当たり五万二千ドル、別に五万ドル、中古機の、これ何というのですか、引き取り料というのですか、下取り料というのですか、それが一機について五十万ドル、シミュレーター分として三百ないし四百万ドル、これとは別に最終的に六番機までは各機四十万ドルの値引きということになっているはずであります。したがって、これ以外の金が、もし入っているとすれば^それはすべて裏金だと思うわけであります。
 そこで伺いますけれども、ここに四番機のインボイスと思われるものがあるわけであります。この四番機の一そろいのインボイスを見ますと、四番機について部品なり、あるいは値引き分なり何なりが全部出ているわけであります。そして最終的には正味合計一千八百六十一万七千三ドルということになっております。このインボイスは、これが出てきて初めて輸出入銀行が金を支払うという形になると思うのですが、一番機から一〇番機まですべてにわたって、この書類の様式で代金の支払いが行われていると思うのですけれども、いかがでございますか。
#26
○林説明員 お答え申し上げます。
 輸出入銀行が全日空に対しましてトライスター関係の融資をいたしますに当たりましては、六機口と四機口に分けまして一次、二次と融資を実行いたしております。いずれにつきましても、その融資を実行するに当たりましては、一々その支払いの事実を各種証票につきまして確認いたしまして、支払われた実績に基づきまして、その八割相当額を融資しているわけでございます。したがいまして、そのような証票としてインボイスも重要な資料でございます。
 その金額の確認に当たりましては、各種の値引き、先生がおっしゃったのがあるのも事実でございます。その各種の値引きと申します場合に、二通りの意味があるわけでございまして、これは全日空とロッキードとの間に価格の合意に達するまでに、いろいろな過程がございます。足したり引いたり、その過程における値引きと、それから、そこで一応合意いたしました後に、実行に至りますまでに、いろいろ事情の変更がございまして、その事情の変更を調整するために、いろいろなプラスマイナスが行われる。その差し引きが結局マイナスになって、それが値引きというふうに言われているものがございます。私どもは、現実に融資をするに当たりましては、その最終の姿の金額に基づきまして、その金額が実際に送金されたということを確認して融資しているわけでございます。ちなみに、一号機から六号機、それから七号機から一〇号機と申しましたけれども、この融資の中には、機体本体ばかりでなくて、予備エンジン等もございますので、そういうものにつきましても、同じような確認手続をして融資を実行しているわけでございます。
#27
○斉藤(正)委員 われわれの調査でも、そのとおりであって、私は日本輸出入銀行が融資をした金額その他について誤りがあるとか貸し過ぎだとか、そういうことを言うつもりは毛頭ないのです。このインボイスに従って支払った金額が正式なものである。したがって先ほど私が言いましたような各種の値引き等々も、このインボイスの中に入っていれば、それは正確なもの、それはたとえば一機四十万ドルというのがありましても、一番機、二番機では引かずに三番機へ三機分をトータルしてあって、その分が値引きされているとか、あるいは補助エンジンが四番機へ加算をされているとかということはインボイスを見れば明らかです。
 したがって、お願いしたいことは、この前半、後半に分けた六機、四機に分けておりますけれども、その各番機のインボイスを、この際、委員会へ提出をいただきたい。これは私個人の要請では日本輸出入銀行は出さないわけであります。全日空へ要求すれば資料は全部持っていかれたと言うし、理事会で協議をいただきたい。これが明らかになれば、これ以外の金は裏金であって、後ほど検察庁にも伺いたいと思うのですけれども、全日空関係の入りについて、まだ不明確でしょう。それは私が申し上げるまでもなく御存じのはずでありまして、四十九年六月に二千七十二万円、四十九年七月下旬に三千三十四万五千円、そして四十九年一月七日付で四十五万ドル、これが一億二千、そして丸紅へ入ったユニット、四十七年十月の九十個、四十七年十一月の三十個、一億二千の何がしかが丸紅から全日空へ流れている、こういうことで三億とか、いろいろ言われているわけであります。ところが、先ほど申し上げましたような公認されている値引き、割引等々を含めてインボイスには明らかにされておりますから、これが入手できれば検察、警察でも捜査は非常にやりよいし、二億数千万円だとか三億円近いとかということを言っていなくても明瞭になると思うわけでございます。
 したがって、法務省にちょっと伺いますが、全日空の重要書類について、こういうものは入手していると思うのですけれども、全日空側からこういうものが押収されているということになると思うのですが、その点はどうなっていましょうか。
#28
○安原説明員 原則といたしまして、捜査の過程で押収いたしました証拠物の内容については申し上げるわけにはまいりませんが、それとは別に、いま斉藤委員御指摘の事柄は公表された資料の中にある問題を御指摘でございますので、ついででは恐縮でございますが、そのことについてお答えできる範囲でお答えをいたしたい、かように思います。
 まず、先ほど御指摘の四十五万ドル云々の問題でございますが、米国の上院外交多国籍企業小委員会が公表いたしました資料の中に、一九七四年、したがって昭和四十九年一月七日付の四十五万ドルの支払い依頼書がございます。そしてその説明の欄を見ますと「L一〇一一手数料(全日空)」という記載がございますが、そういう支払いが全日空に向けてなされたかどうかということの事実の有無、内容につきましては承知をいたしておりません。
 それから、先ほど一九七四年一月二十四日、いわゆる昭和四十九年一月二十四日付の金額四十万ドルの送り状も同じ委員会の公表資料の中にあるわけですが、その送り状の金がどういう性質のもので、どういうことに使われておるかというような事柄につきましては、実は捜査の内容に関連いたしますので、この席でお答えすることはできないのを御理解いただきたいと思います。
 なお斉藤委員御指摘の三億円云々の裏金というのは、あくまでも新聞の推測でございまして、捜査当局として、そこまで公表したことはないわけでございます。
#29
○田中委員長 ちょっと林君。先ほど要求のインボイスに関する資料、出せますね。
#30
○林説明員 非常に複雑でございますし、かえって誤解を招くおそれもありますし、私どもは……
#31
○田中委員長 理事会一致の要望でもあるから、差し支えのない限度で提出してください。
#32
○林説明員 インボイスでございますか、これは私ども監督官庁と御相談いたしませんと……
#33
○田中委員長 帰って、よく相談してみてください。(「声が低くて聞こえない」と呼ぶ者あり)監督官庁はここにおらぬから、信頼をして、監督官庁と相談の上で出せる限り出させます。委員長にお任せを願いたい。
#34
○斉藤(正)委員 それで結構ですが、いま何か、ひそひそ話を聞いておりますと、非常にインボイスというのは複雑であって云々ということですけれども、四番機のインボイスは、いま理事も認めたんですよ。これはわずかなものですよ、一機でこれだけですから。英文と和文とあるわけですよ。もうすでに四番機のものはあるわけですから、この一番機から一〇番機のインボイスの内容を全部見れば、先ほど私が言った正式に支払った金と、そうでない金が明らかになって、そうでないものは全部裏金だということになって、二億数千とか三億とかと言っているけれども、それはもう明瞭になる、こういうことですね。しかも日本輸出入銀行には検察、警察の調査も行っていないのですよ。これはやはり一つのポイントになると思いますので、委員長の方におかれましても、ぜひ、この点は精力的にお願いをしたいと思うわけであります。
#35
○田中委員長 それで林君、いまもお聞きのとおり、御発言のインボイスの限度で十分ですから、上司と相談の上で出す方針をひとつ。
 斉藤君、さように計らいます。
#36
○斉藤(正)委員 時間が来てしまいましたので、関係者には大変申しわけありませんけれども、私の残りの質問は後日することにして、本日はこれで終わります。
#37
○田中委員長 運輸省の分が残りましたね。
#38
○斉藤(正)委員 またやりますから、いいです。
#39
○田中委員長 それでは増本一彦君。
#40
○増本委員 私は、田中角榮の五億円の収賄事件に関連して、当時の中曽根通産大臣、佐々木運輸大臣の行動について質問をしたいと思います。
 田中の収賄に関する被疑事実は、田中が昭和四十七年夏ごろ、ロッキードの指示を受けた丸紅前会長の檜山よりトライスターの売り込みの協力を頼まれて、当時のドル減らし政策に絡めて、田中・ニクソン会談などを通じて三億二千万ドル相当の大型機、エアバスを含む民間航空機の輸入を進めて、トライスター導入に道を開き、その謝礼として五億円の賄賂を受け取る約束をしてそれを受け取った、こういうものであります。
 この事実関係に基づけば、田中が当時内閣の首班として、エアバスなどの対米緊急輸入を担当する中曽根通産大臣、エアバス導入を所管する佐ヵ木運輸大臣や、それにこの日米緊急輸入交渉を所管する当時の大平外務大臣に対してどのような指摘監督をしてきたのか。特に田中は、当時の中曽根通産大臣や佐々木運輸大臣に対して、ロッキードや丸紅からトライスター売り込みへの協力要請があることを伝えていたのではないか、こういう疑惑が生まれるのは当然であります。
 そこで、まず捜査当局にお伺いをしたいのですが、当時のこれらの具体的な職務権限を持っていた通産大臣、運輸大臣であった中曽根氏や佐々木氏から事情を聞いたことがあるかどうか、この点をまず確かめたいと思います。
#41
○安原説明員 増本委員は先ほどから収賄の被疑事実をるる述べられましてお尋ねでございますが、捜査当局は現在外国為替管理法違反で捜査中でございますので、それを前提にひとつお答えさしていただきたいと思います。
 現に捜査当局がその五億円の金の趣旨についてその解明に努めておることは事実でございますが、その関連等におきましてだれを調べたかということは申し上げるわけにはまいりません。
#42
○増本委員 しかし、少なくとも今日の嫌疑事実は、この五億円が外為法違反であるという外形事実のほかに、その五億円の贈収賄の目的自身が重大な嫌疑になっているわけであります。そういう関係からすれば、当然それに関連する中曽根氏や佐々木氏から事情を聞いてしかるべきではないか。そういう事実があったのかどうか、この点についてあなたの報告されている範囲で答えてください。
#43
○安原説明員 増本委員の御意見は御意見でございますが、先ほど申し上げたとおり、だれを取り調べたかということはいま申し上げるわけにはまいりません。
#44
○増本委員 これは派閥次元の政治的配慮に基づいておっしゃっておられるのか、あるいはもしやっていないとしたら、これは重大な捜査の怠慢であります。
 もう一点聞きますが、檜山ら丸紅側は田中に対していろいろな働きかけをしてきた。当然田中のほかに、輸入権限を持っていた当時の通産大臣中曽根氏や、エアバス導入について権限を持っていた佐々木運輸大臣にも働きかけてきたはずであります。檜山らがこの中曽根通産大臣や佐々木運輸大臣にハワイ会談の前後何回ぐらい会っていますか、お答えいただきたい。
#45
○安原説明員 ロッキード事件の捜査は、当然に、ロッキード社の製品の国内における売り込みに関連して不正行為があったかどうかということを究明するのが検察の使命でございますので、トライスターと申しますか、広い意味でのエアバス導入の経緯、バックグラウンドということにつきましては、検察当局としては当然に関心を持っておるわけでございまして、その関心を持っており、また、その背景事情については当然に捜査をするものと思っております。
#46
○増本委員 私の質問は、檜山たちが中曽根通産大臣や佐々木運輸大臣に前後何回ぐらい会っているのか、その点については捜査をされているのか、報告を受けているのか、この点です。いかがですか。
#47
○安原説明員 先ほど申し上げましたように、エアバス導入の背景事情というものには関心を持っており、必要とあれば捜査をしているであろうということでひとつ御理解をいただきたいわけでありまして、だれがだれに何回会ったかということは、現に私は承知しておりませんし、承知しておっても申し上げるわけにはまいらない事柄と存じます。
#48
○増本委員 この点は、国会での事実の解明の上でも非常に重要な問題だと思いますので、委員長からひとつ、この委員会終了までに報告が求められるなら求めていただきたい。善処をお願いしたいんですが、いかがですか。
#49
○田中委員長 増本君に申し上げますが、いま安原君の答弁をお聞きのとおり、捜査の機密に属するものと認められているので、これは無理かと思いますよ。御了解を願います。質問を続けてください。
#50
○増本委員 檜山、田中のいま捜査の進展ぐあいを見ると、再三申し上げているとおり、贈収賄の目的がハワイ会談でのエアバスを含む民間大型機の大量購入にあったわけであります。そうなると、四十七年九月一日のあのハワイ会談で発表になった鶴見・インガソル会談についての公式発表に掲げられている「日本の民間航空会社は、米国から約三億二千万ドル相当の大型機を含む民間航空機の購入を計画中である。これらの発注は、四十七及び四十八会計年度になされることとなろう。」この取り決めは田中の一存で決めたというものではないだろうと思うのです。当然、事前に中曽根通産大臣や佐々木運輸大臣にも話があったはずであります。そのときの経過がどうなっているか、通産大臣と運輸大臣から経過を説明していただきたいと思います。
#51
○河本国務大臣 正確を期すために、資料に基づきまして事務当局から答弁させます。
#52
○間淵説明員 昭和四十七年当時の状況でございますが、四十六年暮れのスミソニアン会議における大幅な円の切り上げにもかかわらず大幅な黒字が継続するという見込みでございましたので、この黒字の解消、なかんずくアメリカからの貿易幅のインバランスの解消ということが当時の緊急の課題でございました。政府といたしましても、こういう線にのっとりまして米国からの輸入の拡大ということにいろいろ検討を加えておったわけでございます。こういう背景のもとにおきまして通産省といたしましても米国からの輸入を拡大するということに努力をしておったことでございまして、具体的にどういう会議の席、どういう席で何をどうといったようなことは、細かい資料で確認することができないわけでございますが、一般問題といたしまして、こういうような背景のもとに関係各省に米国からの輸入の拡大ということを要請しておった、こう思われます。
#53
○木村国務大臣 当時の経緯の詳細につきましては、事務当局の方から御説明申し上げます。
#54
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 この問題のバックグラウンドにつきましては、ただいま通産省の方がお答えになったとおりでございますが、運輸省の事務当局としていまわかっておりますことを申し上げますと、昭和四十七年の七月二十一日に対外経済関係閣僚懇談会が開かれまして、恐らくその懇談会の取り決めだと思いますけれども、それに基づきまして、その事務局からだと思いますが、運輸省に対しまして緊急に輸入可能な物資について調査をしてくれ、こういう話がございました。私どもはこれに基づきまして、四十七年度、四十八年度、二年度間に一体どのぐらい発注できるのかということをエアラインに聞きまして、エアラインの発注可能額というものを緊急にまとめまして、概算六億七千万ドルぐらいの発注ができるであろうということをまとめたわけでございますが、その後経済関係閣僚協議会が何遍か開かれまして、それと相呼応いたしまして各省会議がございまして、何遍かの各省会議の席でだんだん煮詰められてまいりまして、最後に三億二千万ドルという数字にまとまったというふうに考えております。
#55
○増本委員 あなた方の説明は何にも疑惑がないように言っていますが、たとえば七月二十九日に中曽根・エバリー会談が開かれています。この中曽根・エバリー会談は、私たちが当時の通産省の人たちにいろいろ事情を聞きますと、中曽根氏自身の口から言い出して開かれたものだ、しかもエバリーはこの会談の後で、エアバス、農産物、濃縮ウランについて作業部会をつくることになった、こう発言をして、あわてて通産省は取り消したけれども、しかし、その当時これを担当しておった通産省の市場第一課長の平林氏のお話ですと、政府はエアバス、農産物、濃縮ウランの三つについて専門委員会をつくって、エアバスについても作業部会、専門委員会のようなものはあった。だから当時中曽根・エバリー会談で密約があったんじゃないか、こういう疑惑も持たれたわけであります。しかも八月八日の経済閣僚懇では、中曽根氏自身がエアバスの導入について検討をしろということを佐々木運輸大臣に要請をして、そのときに田中自身が勇断をもって事に当たれということを佐々木運輸大臣に言っている。
 八月十五日の経団連との懇談会に中曽根氏自身が出席をして、そのとき同時に開かれていた緊急輸入の関係各省の局長会議では、エアバスか濃縮ウランか、両方を輸入するのは無理だというふうな意見もあったにもかかわらず、あるいはまた運輸省自身は空港の能力とか騒音問題とか、あるいはまだ機種が決まっていないとかいうようなことを理由にして消極的な態度をとっていたときに、この経団連との懇談会でエアバスの導入を図ってドル減らしをやるのだということを公然と言っている。このときから中曽根氏自身が大型航空機の導入にきわめて積極的であったということは事実が裏づけているはずであります。
 この点で特に重要なのは、日米会談を前にした八月二十六日の出来事であります。八月二十六日には午前八時二十五分から四十分間、中曽根氏が田中の私邸に出かけていって早期の田中・中曽根会談をやっています。
 まずお聞きしたいのですが、この田中・中曽根早朝会談は、田中から呼ばれて中曽根氏が行ったのか、それとも中曽根氏の方から出かけていったものなのか、その点を明らかにしてください。
#56
○田中委員長 間淵次長でわかりますか。
#57
○間淵説明員 私どもにはそれはわかりかねます。
#58
○増本委員 調べてお答えいただけますか。
#59
○間淵説明員 はい、調べてみます。
#60
○増本委員 この八月二十六日の三日前、八月二十三日には田中は檜山と会っています。二十三日の朝の田中・檜山会談で、檜山から田中に対して五億円の賄賂を申し出たというように伝えられています。この点は事実かどうか。
#61
○安原説明員 公表された資科によりますと、田中、檜山氏が八月二十六日に会っているというように公表されておりますけれども、それ以外のことは承知いたしておりません。
#62
○増本委員 八月二十六日には早朝に田中、中曽根氏が四十分間会った。そしてその日の昼間に関係各省の局長会議が開かれています。
 事態を追ってみますと、八月二十三日、そして八月二十五日に鶴見・インガソル会談が開かれて、そこまではまだエアバス、大型航空機の輸入の点では二億ドルから二億四千万ドル、航空管制装置やヘリコプターを含めても三億ドルの話しか出ていない。それが八月二十六日の昼間開かれた関係各省の局長会議では急遽航空機三億ドルというようにふえている。私たちが当時の担当課長の人たちから事情を聞いたところだと、普通関係局長会議には担当課長も出席をするのに、この八月二十六日の局長会議には担当課長は呼ばれていない。これは八月二十六日の田中・中曽根早朝会談でトライスター購入の機数の枠をふやすために一挙にこの一億ドルの枠をふやす、こういうように決めたのではないかというように疑惑が持たれるわけです。この田中・中曽根会談の話いかんでは、中曽根氏も田中・檜山・ロッキードの関係について事情を知るようになった、こういうように思われるわけです。捜査当局としてはこういう点も、八月二十六日のこの動きも厳重に捜査するのは当然ではないかと思いますが、いかがですか。
#63
○安原説明員 たびたび同じ答えで恐縮でございますが、先ほども申しましたように、エアバス導入のバックグラウンド、経緯につきましては重大な関心を持っておるものでございますから、必要とあれば捜査をしているものと思います。
#64
○増本委員 この緊急輸入の問題では、当初は運輸省はかなり消極的だった。八月八日の経済閣僚懇で、さっきお話ししたように、中曽根通産大臣と田中からエアバスの導入について勇断をもって当たれというように言われたけれども、その当時は、そうは言っても騒音問題で住民の反対もあるからなかなか無理だ、だから海上保安庁に大型のヘリコプターをたくさん買ってやるのだという、そういう記者会見までやっています。しかも鶴見・インガソル会談の八月二十五日までは、運輸省が試算してきた経緯を見ると、大型の民間航空機が七機、現有機が九機でそのうち中古が四機、これを合計しても二億ドルから一億四千万ドルぐらいにしかならない。レーダー施設などあるいは海上保安庁のヘリコプターを含めても三億ドル前後、こういう状況できたわけですね。ところが、八月二十六日のこの関係省庁の局長会議で一挙に民間航空機だけで三億ドル、それがさらに日米会談の発表の結果を見ると、二千万ドル上回って、大型民間航空機を含むもので三億二千万ドルというぐあいにふえた。しかも佐々木運輸大臣は八月三十日、渡米を直前の田中と会談をやっています。このときにエアバス問題で田中から話があったんではないか。
 私は再三申し上げるように、首班として内閣そのものを統括、指導監督するという内閣総理大臣の職務権限が問題になるんだったら、個々の輸入権限やあるいはエアバスの導入について具体的に権限を持っている通産大臣やあるいは佐々木運輸大臣、こういう人たちからも当然事情を聴取すべきではないか。一般的な内閣総理大臣の職務権限を問題にする以上、通産省設置法や運輸省設置法で具体的に大臣のそれぞれの権限が決められている、その職務権限とからんでこの五億円の問題が現に問題になっているわけですから、その点について捜査を進め真相を明らかにするというのは当然だと思うのですね。法務大臣、いかがですか。この点についても厳重に調べるべきだと思いますが、あなたの御意見を伺いたいと思います。
#65
○稻葉国務大臣 捜査すべきは捜査をし、捜査をする必要のないものは捜査しちゃいかぬ、人権に関しますから。厳正公平にやるべきものであると思います。私の意見はそうです。
#66
○増本委員 しかも中曽根氏は四十二年から四十三年にかけて運輸大臣をやりましたね。そのときの大臣官房参事官だった内村信行氏が四十七年当時も航空局長だった。中曽根氏がエアバスの大量購入について、運輸省に対しても圧力をかけるということも可能な状況にあったわけです。当時の通産、運輸関係の人たちの話を今日聞いてみますと、中曽根氏が運輸当局に直接話を持っていくことがあってもそれは不思議でも何でもない状況だった、こういう証言も得ているわけです。特に中曽根氏は自民党総裁選挙で田中支持に回ったことについてもいろいろと疑惑が取りざたをされています。だから、田中と二人三脚でトライスター導入に奔走した疑いを持たれるということがあっても仕方のない状況だと思うのです。ですから、その人たちが具体的に職務権限があって、そのことが田中をめぐる贈収賄事件で問題になる以上、その人たちからその当時の状況の事情聴取をするというのは当然ではないか。このことを私は申し上げているのですよ。だから、私の問いに対して、具体的に法務大臣のお考えを聞かせてください。
#67
○稻葉国務大臣 捜査当局が捜査すべきものと信じたら、どんどん捜査するでしょう。
#68
○増本委員 安原さん、いかがですか。
#69
○安原説明員 いま、たびたび申し上げますように、外為法違反で捜査中でございますから、いまのお話はすべて贈収賄の容疑の問題としての御意見でございますので、御意見としては承りましたが、一般にある人の職務権限が問題になる場合には、その必要の限度におきまして当然に調べるべきものは調べると思いますし、特に総理大臣ということになれば指揮監督権というものをお持ちでございますから、それに必要な限度でいろいろ調べるであろうということが一般論としては言えるだろうと思います。
#70
○増本委員 最後に、田中は受け取った五億円を何に使ったのかということも問題だと思います。五億円が越山会などの田中の政治団体には入金されていないとすると、政治家に極秘に配られたものも当然あるはずです。あの日米の九月一日の取り決めの発表の中でも、この民間航空機の購入を容易ならしめる意向であるということを政府が約束して、輸銀法の改正とかあるいは外貨貸しの制度もつくった。だから、こういうエアバスの導入をめぐる問題について努力をした政治家たちからも、この点についての裏づけの事情をきちんと聞くということは当然だと思うのですね。この点については、運輸、通商の行政そのものを私たち国会の側からも十分に解明をする必要がある。私はこの点についても捜査当局は十分に捜査すべきだと思いますし、それから国会としてもこの点についての事態を究明する必要があると思うのです。
 そこで、私はぜひ当時の通産大臣であった中曽根康弘氏を国会に証人として喚問をいただいて、その関係の事情も十分に究明をすべきだと思います。この点について、ぜひ理事会等に諮っていただいて、委員長としても善処をしていただく、このことをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#71
○田中委員長 さようにいたします。
 坂井弘一君。
#72
○坂井委員 日米通商会議いわゆる箱根会談におきまして、対米貿易不均衡の改善のために米側から出てました要求は九項目及び緊急輸入措置といたしましてエアバスの購入の要求が出される、ついては日本側はそれに対する対応といたしまして、あらかじめ事務レベルの討議資料を用意いたしました。その中には、エアバスの購入を米側が要求した場合、わが方は日本航空を初めまだ導入計画等については未確定要因があるのできわめて困難である、こういう回答があらかじめ用意されたようであります。
 さて、この箱根会談が二十八日に終わりまして翌日の二十九日、エバリー特別顧問が通産省を訪ねまして当時の中曽根通産大臣と会談をいたしております。この会談の目的、そしてそこで合意した主なる事項は何でしょうか。通産大臣、あらかじめ御調査されて委員会に御出席だと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
#73
○河本国務大臣 四十七年七月二十九日、当時の中曽根通産大臣は、エバリー米国大統領府通商交渉代表部大使から表敬訪問を受けました。その際に、事務レベルで行われました箱根会談におけるIC、電算機、小売業資本自由化等の輸入自由化の推進、米国産品の購入、アンチダンピング制度の改善等についての合意内容を確認し、これを忠実に履行する旨を明示いたしております。
#74
○坂井委員 具体的にその会談で合意されました内容は、エアバス輸入について積極的に進めていきましょう、つきましては両国大使館に専門家によるところの作業部会を設置してはどうか、よろしい、こういう合意がなされたということについては、お聞き及びではないでしょうか。
#75
○矢野説明員 私どもの調査をした範囲におきましては、いま大臣が御答弁されましたように、通産省所管の自由化問題ということが中心でございます。それ以外に、いま先生御指摘のようなエアバス云々というふうなことに絡む議論はなかったというふうに聞いておりますし、作業部会云々ということも実は私ども全く不明でございます。
#76
○坂井委員 それでは続けますが、このエバリー・中曽根会談は九時半から約一時間二十分行われておりますが、終わりまして、エバリー氏は当時田中総理に会っております。十一時。エバリー氏はそこで田中前総理とどういう内容の話が交わされたか。少なくともエバリー氏が田中総理と会った、同日であります。十一時から約五十分間、そこに同席したのは鶴見審議官及びイソガソル駐日米大使であります。エバリー氏と田中前総理の会談、これがなされたということは通産省も御存じでしょうね。
#77
○矢野説明員 御指摘の事実につきましては、私ども確認をしておりません。
#78
○坂井委員 通産大臣、御存じでありませんか。
#79
○河本国務大臣 私は知りません。
#80
○坂井委員 お調べいただけるでしょうか。
#81
○矢野説明員 調査をいたします。
#82
○坂井委員 実はこの期間中にコーチャン氏が来日をいたしております。
 捜査当局に伺いたいのでありますが、コーチャン氏の在日は七月の二十三日から二十九日までの七日間でありますが、この足取りは今回の事件解明のために非常に大事であろうと思う。コーチャン氏はエバリー氏に会っていますね。いかがですか。
#83
○安原説明員 申すまでもなくコーチャン氏の在日期間中における行動については重大な関心を持っておると思いまするが、いま具体的にお尋ねの点については私、承知いたしておりません。
    〔委員長退席、大橋(武)委員長代理着席〕
#84
○坂井委員 コーチャン氏が七月の二十九日に――七月二十九日といいますと、箱根会談を終えまして明くる日、エバリー特別顧問が通産省に中曽根通産大臣を訪ね、その直後田中前総理大臣に会っておる、その中曽根・エバリー会談の時期であります。コーチャン氏が実はこういう発言をしております。ロッキード社のエアバス、トライスターL一〇一一、その採算分岐点が二百六十五機だ、いますでに百五十二機の引き合いが続いた、日本はトライスター売り込みのためのきわめて重要な戦略的マーケットである、――今回の箱根会談等を通じまして、さらにその後の恐らく中曽根・エバリー会談を指すのであろうと推測するわけでありますが、トライスターを日本が購入する、それは日航よりも全日空が早く購入するであろうという見通し、その可能性、これはきわめて大きい、こういう趣旨の発言をしておりますが、通産省、法務当局、御存じでしょうか。
#85
○矢野説明員 いまの発言は全然存じておりません。
#86
○坂井委員 その際コーチャン氏は、多数の航空関係者に会ったと、こういう発言もしておりますが、捜査当局、御存じでしょうか。
#87
○安原説明員 コーチャン氏の言動については捜査当局は重大な関心を持っており、今回到着した証人尋問調書の内容についてもそういう点に触れているかもしれませんけれども、現に私は承知いたしておりません。
#88
○坂井委員 運輸省に伺いますが、コーチャン氏は当時、運輸省航空局長内村氏に会っておりますね。
#89
○高橋説明員 私どもが直接に確かめておりませんけれども、内村さんは会ってないと思います。
#90
○坂井委員 直接承知しておらないのに、会っていないとどうして言えるのですか。私は会っているということを言っているのです。
#91
○高橋説明員 私は現にここでそれを確認する資料を持っておりません。
#92
○坂井委員 調査をされますか。報告も願いたい。
#93
○高橋説明員 承知いたしました。
#94
○坂井委員 内村氏は、さきの証言におきましては、私はコーチャンとは会っていないと思う、しかしもし会ったとするならばパーティ等の席上で会ったかもしれないから、ここで会っていませんということを明確に申し上げますとうそになる、したがってそういう意味では会っていないと明言はできませんけれども、私の知る範囲では会っていないんだ、こういう趣旨の証言をされておりますが、いま私が申し上げたのは、会っておるということを申し上げたわけでありますので、これは慎重にかつ徹底的にひとつ御調査をされて答弁をいただきたいと思います。
 それから、下りまして四十七年の八月の八日でありますが、閣議が行われました。その閣議後に経済関係閣僚協議会が持たれておりますが、当然田中総理を初め関係閣僚が出席をされまして、そこで協議がなされた。その際、中曽根通産大臣から特に発言があったようでありますが、エアバスの輸入に触れての発言がなされた。当時の佐々木運輸大臣に対しても要請という形で中曽根通産大臣から、エアバスの導入についてはこれを繰り上げて輸入をする、そういう方向で協力をという趣旨の発言、及びそれを受けまして田中前総理が、その点については運輸省はどうか勇断をもって協力をしてもらいたいという趣旨の発言、そういう一連の発言がなされたということを、運輸省、通産省、捜査当局は確認されておりますか。
#95
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 運輸省といたしましては、いまの具体的事実については覚えておりません。
#96
○矢野説明員 私どもは現存する資料で調査をしたのでございますが、いついかなるような形になるかというふうな具体的な点について、現在のところわからないというのが実相でございます。
#97
○安原説明員 先ほども申し上げましたが、エアバス導入の経緯につきましては、まさに重大な関心を持っておることでございますので、そういう方向にも捜査をしておると思いますが、現に私は承知しておりません。
#98
○坂井委員 捜査当局は別としましても運輸省、通産省、お調べになったらすぐわかることじゃありませんか。どうしてそういう答弁しかなさらないのですか、わかり切ったことを。大事なことを話しているじゃありませんか。重要な発言があるじゃありませんか。そんなことに対して何一つ答えようとしない姿勢、これは問題だと思いますよ。とんでもない話ですよ。
 下りまして八月の十九日、いわゆる田中・キッシンジャー会談、これに先立ちましてその前日の十八日の午後、当時田中前首相は軽井沢におりました。わざわざ前日の十八日に外務省のだれかわかりませんが、だれかが田中さんの別邸を訪れて田中前総理に会っていますね。外務省はおいでじゃありませんので、そういう事実があるということを指摘した上でお尋ねをしますが、その報告に基づきまして当時の中曽根通産大臣が十九日、つまり田中・キッシンジャー会談が九時半から行われる十九日の早朝七時半に軽井沢の田中総理を訪ねた、そういう事実はありますか、通産省。
#99
○矢野説明員 大変詳細なお話でございますが、私の方はまだ全然そういう点は確認ができておりません。申しわけありません。
#100
○坂井委員 同席者も全部あるのですよ。すらすらっとわかるのじゃありませんか。案内した人もおりますしね。――よろしい。お調べください。
 そこで、いわゆる鶴見・インガソル会談、九月一日の合意の発表によりますと、約三億二千万ドル相当の大型機を含む民間航空機の導入を初めといたしました総額十一億ドルということで合意したわけでありますが、当初わが方が予定してありましたものは、少なくとも事務レベルにおいては六億数千万ドルという程度の額であった。それがだんだんとふくらんでいきます。米側の要求は大体十億ドル見当であった。最終は十一億ドル。一体この最終の額がどこで合意されたのかと言いますと、十九日に行われました田中・キッシンジャー会談、それに先立ちましたその早朝、当時の中曽根通産大臣が軽井沢の田中邸を訪れて田中前総理と会談をしておる。この時点においてすでに決定したのではないかという疑い、きわめて濃厚であります。
 運輸省に伺いますが、運輸省がエアバスの輸入を決定したのは、最終はいつですか。
#101
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 この三億二千万ドルの問題につきましてのお答えでございますれば、これは八月の二十日過ぎに三億二千万ドルという数字にまとめ上げたと思います。
#102
○坂井委員 八月の二十二日に、当時佐々木運輸大臣が記者会見しましたね。そこでの発表は、「運輸省関係では四十七年度の契約金額で大型航空機十六機を含む総額三億ドル前後の輸入を考えており、必要な財政措置について大蔵省と折衝中である」この趣旨の記者会見での発表がございますが、お認めになりますか。
#103
○松本説明員 当時の八月二十二日の新聞に、いまおっしゃいましたように、閣議後の記者会見の談として、当時の運輸大臣が、四十七年度契約として、大型機は未定であるが、これらを含む新型機、在来機の計十六機約二億ドル云々と、こういう発言をいたしております。
#104
○坂井委員 一連のそうした発言がございまして、ハワイにおきます田中・ニクソン会談、これが行われました際に、キッシンジャー補佐官がやはりハワイにおりまして、並行して行われます鶴見・イソガソル会談の直前に、実は次のようなことを言っております。すでに鶴見・インガソル会談で合意する内容につきましては、何回かの事前の日本側との折衝において合意を見た内容である、ニクソンもその内容については満足をしておる、こういう趣旨の発言をハワイにおいて行っております。このことから推しまして、十九日の田中・キッシンジャー会談、先ほど申しましたとおり、その時点においてエアバス導入の最終の合意がなされた、こう見て間違いないと思いますが、同時に、当日朝行われました中曽根・田中会談も同じ内容の相談がなされたであろうということは、これまた想像にかたくありません。
 実はそうした一連の経緯を私はあらまし申し上げたわけであります。つまり要約して申しまして、七月二十九日、中曽根氏とエバリー氏の会談、これは航空機の作業部会を設置する、こういう合意であります。次いで八月八日、経済関係閣僚協議会における運輸省には特にエアバスの購入を繰り上げて願いたいという要請、及び八月十九日の中曽根氏が田中前総理を訪れての軽井沢の会談、及び八月二十六日、中曽根氏が早朝田中邸を訪れての会談等々一連の経緯を追ってまいりますと、今回のエアバス緊急輸入の決定に当たりまして、少なくとも関係各省の事務レベルよりも先行した形で行われておったということはこれはもう疑う余地がない、実はこう言わざるを得ないわけでございます。
 時間が参っておりますので、そうした意味におきまして、この経緯を明らかにし、今回の問題の真相の解明のために中曽根康弘氏を証人喚問として要求をしたい、お取り計らいをいただきたいと思います。
#105
○大橋(武)委員長代理 理事会で協議の上処置いたしたいと存じます。
 永末英一君。
#106
○永末委員 八月九日に田中前総理の秘書官榎本敏夫が起訴されました。これは外為法違反で五億円を受領した、こういうことだと思いますが、相違ございませんね。
#107
○安原説明員 御指摘のとおりであります。
#108
○永末委員 逮捕の被疑事実によりますと、この榎本敏夫は田中前総理と共謀しておる。もし犯罪ありといたしますと、これは共同正犯関係になるのではないかと思います。榎本敏夫にいまのような起訴するに足る構成要件が充足しておるとしますと、田中前総理についても同様のことが同様の条件にあると見てよろしいか。
    〔大橋(武)委員長代理退席、委員長着席〕
#109
○安原説明員 同様の条件というのはいかがなことか、ちょっとお教えいただきたいと思います。
#110
○永末委員 榎本敏夫について起訴し得る状況、その同じ状況は田中前総理についてもある、こう判断してよろしいでしょうか。
#111
○安原説明員 今度の榎本の公訴事実も田中角榮と共謀の上ということになっておりますので、基本的には、榎本のサイドから見て、田中角榮前総理と共謀の上で五億円を受領したという事実を、検察当局としては確信をもって公訴提起をしたわけでございます。
#112
○永末委員 したがって、田中前総理に対する公訴提起をしようとすれば、その要件はちゃんと満足せられておる、こういうことですね。
#113
○安原説明員 共犯であるという最小限度のことにつきましては捜査当局としては認定をしたと思いますけれども、共犯であるということのほかに、犯罪の情状その他もございますので、同時に公訴提起をしなかったものと思います。
#114
○永末委員 共謀して同じ行為をやっておる。つまり当初の被疑事実は五億円に対する受領である。そのことは両名ともに同様の法律的行為をやっておるわけだから、そのことについて片一方が起訴せられれば片一方も起訴せられる要件を十分満たしておる、こう見なければならぬにかかわらず、片一方が起訴せられて片一方が起訴せられていないというのは、一体どういう判断が働いておるか、伺いたい。
#115
○安原説明員 たびたび申し上げますが、先ほども御指摘のありました構成要件事実の充足という意味においては捜査は完了しておると言うべきでありましょうが、犯罪には情状というものもございますので、その点等も調べておるものと私は理解しておる次第でございます。
#116
○永末委員 情状というものの内容をひとつお知らせ願いたい。
#117
○安原説明員 たとえば受領した金の性質というようなことも犯罪の情状でございます。
#118
○永末委員 たとえば受領した金の性質と申されましたが、先ほどから外為法違反についての捜査をいたしておるということでありますが、外為法違反には金の性質など余り問題にならぬのであって、金の分量が動いたということが外為法違反である。金の性質ということになりますと、田中前総理についてはいまや捜査の中心は収賄罪が成立するかどうかということにかかっておるから、外為法違反では起訴しなかった、こういうことに了解してよろしいか。
#119
○安原説明員 構成要件を充足しておるとは認められるけれども、犯罪には情状というものがございまして、どういうわけでこういう金を受け取ったのかということも外為法の情状としては必要でございます。
#120
○永末委員 同日付で大久保利春、伊藤宏が外為法違反で追起訴されておりますが、これは榎本敏夫起訴に見合う五億円の支払い側である、こういうことですね。
#121
○安原説明員 そのとおりです。
#122
○永末委員 大久保利春、伊藤宏と共謀いたしておりましたそういう被疑事実を持っておりました檜山広が、なぜ共謀の事実があるにかかわらず追起訴されていないのですか。
#123
○安原説明員 追起訴というと、どういうことでしょうか。そういうことはないのですが……。
#124
○永末委員 槍山広はなぜ今度起訴されなかったのですか。
#125
○安原説明員 すでに起訴済みでございます。
#126
○永末委員 外為法違反だけれども、今度大久保と伊藤と檜山とは――檜山は外為法による受領で起訴されておりますね。しかし、先ほどあなたの答弁によりますと、大久保、伊藤は支払いで起訴されたのだから、違うでしょう。なぜ支払いで追起訴しないのかと聞いているのです。
#127
○安原説明員 檜山も支払いで起訴してございます。
#128
○永末委員 してあるのですか。支払いで起訴されておるというならば、それはそれで大久保、伊藤といまや同じ条件にあると考えてよろしいですね。
#129
○安原説明員 檜山、大久保、伊藤らがクラッターらと共謀の上支払ったということでございます。
#130
○永末委員 支払いを確認いたしましたが、この外為法違反により榎本を八月九日に起訴したことによって時効停止が行われたと言われておりますが、相違ございませんか。
#131
○安原説明員 公訴の提起によって時効は中断するわけでございます。
#132
○永末委員 その時効の中断は田中前総理にも及びますか。
#133
○安原説明員 刑事訴訟法の二百五十四条によりまして「共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は、他の共犯に対してその効力を有する。」という規定がございますので、共謀を認定して公訴提起をしておりますので、田中前総理に対する外為法違反についても時効が中断したことになるという考えでおります。
#134
○永末委員 外為法違反に対して時効が中断をいたしておる、そして捜査が続けられておる。こういう場合に、贈収賄罪が成立すれば贈収賄罪に関する時効は無関係である、こういうことになりますか。
#135
○安原説明員 仮定の問題でございますが、外為法違反のいわゆる受領という違反行為と、受領した金の性質が賄賂であるという場合における収賄罪との関係が、刑法でいう一所為数法、一個の行為にして数個の罪名に触れるかどうかということについては議論の存するところでございまして、一所為数法であるというならば、当然に時効が中断したことになるはずでございます。
#136
○永末委員 先ほどの檜山広に対して、われわれこの委員会にあなたの方から被疑事実の要旨というものが提出されておる。それによると、檜山広は支払いの受領をしたものである、こうなっておって、支払いというのは、そのときにはなかった。後でつけ加えられたのですか。正確にお答え願いたい。
#137
○安原説明員 逮捕のときの被疑事実は、まさに御指摘のとおり支払いではなくて、受領でございました。しかし、逮捕後における捜査の進展の結果、共謀の上で田中前総理に支払ったのだということに認定が変わったわけでございますので、勾留状はそのままでは効力を有しませんので、公訴提起と同時に新たに裁判官から勾留状を得て、支払いということで目下勾留中でございます。
#138
○永末委員 この外為法違反によりましても四回にわたる資金支払い並びに受領ということになっておるわけでありますけれども、これがもし贈収賄罪になるとしますと、四件がばらばらではなくて、包括して一罪になるというお見通しでございますか。
#139
○安原説明員 仮定の御質問でございますが、賄賂を供与する、一定の金額を単一の意思のもとに数回にわたって払ったということになれば、一般論としては包括一罪ということで、一罪でございまするから、時効の起算点は最後に支払ったときということになるわけでございます。
#140
○永末委員 最後に支払ったときと申しますと、四十九年三月一日が最後の受領日でございますから、五十二年三月まで時効はまだ中断されない状態が続く、こう見てよろしいか。
#141
○安原説明員 私は一般論を申し上げているわけでございます。
#142
○永末委員 法務大臣は、選挙区に帰られて、いろいろ言われておりますが、田中前総理逮捕の場合に、収賄の容疑は固まっていないが、外為法違反は大丈夫だと言われたから逮捕請求の許可をやった、あなたはこういうことを言われたと伝えられておりますが、事実、相違ございませんか。
#143
○稻葉国務大臣 そうは言っていないのでして、被疑事実は何ですかとだけ聞いた。外為法違反、十分自信がある。ああ、そう、こう言っておる。
#144
○永末委員 田中前総理は、先ほどからの質疑で明らかなように、外為法違反でいま捜査をされておりますが、あなたは、ああ、そうと言われましたけれども、贈収賄罪が成立すると思っておられますか。
#145
○稻葉国務大臣 捜査の機微に触れますから、私が法務大臣として、思っておるとか思っていないとか明言することを避けます。
#146
○永末委員 あなたは捜査の見込みにつきまして、たとえば臨時国会が始まった場合になお捜査が終了していなければ、逮捕請求が出ると捜査の手のうちがわかるので困るような発言をされたり、あるいはまた、捜査がいつ終わるかということはいま言えないという趣旨の発言をされたと伝えられております。あなたの気持ちとしては、一体捜査と臨時国会とはどういう関係が一番望ましいと思っておられるのですか。
#147
○稻葉国務大臣 起訴までとは言わないけれども、強制捜査が大体済んだというふうなときが望ましい、こう思います。一般論としてそれだけは言えると思います。
#148
○永末委員 このごろ新聞や雑誌にいろいろな人の名前が出るわけでございまして、与党も野党も推測されるような人が、その人と推測されるような記事が出てくる。これはやはり捜査が進展するにつれていろいろなところから、マスコミも調査をいたしますので出てまいるわけです。あなたは政治家として、なるほど捜査だけにポイントを置けば、迅速と言いますけれども、正確を期すのが第一ですね。しかし、ある意味でそういうようなことが巷間に伝えられるようになった場合には、やはりこれは迅速も迅速、正確は期さなければなりませんけれども、迅速にやらねば、政治的な立場としては十全の立場と言えないと思いますが、あなたはどう思われますか。
#149
○稻葉国務大臣 うっとうしい事件ですから、一日も早くからりと晴れたいという気持ちです。
#150
○永末委員 若狭起訴に当たって、偽証罪容疑については処分が留保されておりますが、この理由はどういうことですか。
#151
○安原説明員 若狭氏の偽証につきましては、オプションの問題とそれから金の出入りの問題という二つが偽証のいわゆる告発事実になっておりましたが、その全部につきましてまだ捜査が完了しないということでございます。
#152
○永末委員 この偽証の中で問題となりましたのは、そのうちの一つ、たとえば沢らが共謀して約五千万円余の金を全日空のために受領したということは起訴になっておる。ところが藤原関係の一億一千二百万円については、これまた再逮捕されてやられておるのでありますが、偽証罪の対象は沢らのものではなかったかと思います。だといたしますと、大庭関係との証言の食い違いの点については、これは一体まだ調査をしておるということなんですか、どうなんですか。
#153
○安原説明員 御指摘のとおり、沢らの関係におきましては、金の入ったということは、すでに外為法違反で公訴提起をしておるわけでございますから、その点は明瞭でございますから、強いて申し上げるならば、オプションの関係について捜査が不十分であるということになると思います。
#154
○永末委員 植木が保釈を認められましたが、同じ共謀の事実で沢、青木等も起訴されたわけでありますが、なぜ植木のみについて保釈が認められたか、御説明を願いたい。
#155
○安原説明員 保釈するかどうかは裁判官の御判断でございますが、人にはそれぞれ違う事情もございますので、植木については保釈相当という裁判官の判断がなされたものと思います。
#156
○永末委員 一般論でお答えになりましたが、どういうような見解でそうなったかは御存じないのですか。
#157
○安原説明員 恐らくは罪証隠滅等のおそれはないということで裁判官が保釈されたものと思います。
#158
○永末委員 質問を終わります。
#159
○田中委員長 それでは、明十二日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開きます。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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