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1975/05/13 第77回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第077回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号
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1975/05/13 第77回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第077回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号

#1
第077回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号
昭和五十一年五月十三日(木曜日)
    午前十時十七分開議
 出席委員
   委員長 中村 重光君
  理事 小宮山重四郎君 理事 田川 誠一君
   理事 中村 弘海君 理事 前田 正男君
   理事 宮崎 茂一君 理事 石野 久男君
   理事 八木  昇君 理事 瀬崎 博義君
      竹中 修一君    森山 欽司君
      近江巳記夫君    小宮 武喜君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      佐々木義武君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     小山  実君
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        科学技術庁原子
        力安全局長   伊原 義徳君
        運輸省船舶局長 内田  守君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第四号)
 科学技術振興対策に関する件(科学技術振興の
 基本施策)
     ――――◇―――――
#2
○中村委員長 これより会議を開きます。
 去る五月六日本委員会に付託になりました日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、提案理由の説明を聴取いたします。佐々木国務大臣。
    ―――――――――――――
 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
  律案(内閣提出第四号)
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○佐々木国務大臣 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 わが国における原子力船開発に関しましては、原子力第一船の建造、運航により、原子力船に関する技術の確立を図るため、その開発を担当する機関として日本原子力船開発事業団を設立することとして、昭和三十八年に日本原子力船開発事業団法を制定いたしました。
 日本原子力船開発事業団は、原子力委員会が決定した原子力第一船開発基本計画に従いまして、原子力船「むつ」の開発に努めてまいりましたが、昭和四十九年九月、出力上昇試験の際に発生した放射線漏れのため、現在、母港の岸壁に係留の状況にあり、原子力船開発は一時中断のやむなきに至っております。
 このような事態に対処し、政府においては、「むつ」放射線漏れの原因を調査するため、総理府において「むつ」放射線漏れ問題調査委員会を開催し、専門的な調査検討を求めたのでありますが、同委員会におきましては、自主技術による原子力船開発を達成するためには、「むつ」の開発を引き続き推進すべきであること、及び「むつ」は技術的に見て全体としてはかなりの水準に達しており、適当な改善によって所期の目的を十分達成し得るものであることが結論として報告された次第であります。また、このことは、原子力委員会において、原子力船開発のあり方等について各分野の学識経験者の意見を徴した原子力船懇談会におきましても、確認されたところであります。
 政府は、右に述べました各委員会等の意見を尊重し、検討した結果、引き続き日本原子力船開発事業団が中心となって「むつ」の開発に当たり、安全性総点検、改修、出力上昇試験、実験航海等を行い、原子力船建造の経験を得るとともに、原子力船の安全性、信頼性を確保するための技術を蓄積する必要があると判断いたした次第であります。
 この法律案はかかる判断から、日本原子力船開発事業団の設立目的を達成するため、日本原子力船開発事業団法の存続期限を現行法に規定する昭和五十一年三月三十一日から十年間延長し、昭和六十一年三月三十一日に改正しようとするものであります。
 以上、この法律案の提案理由並びにその内容を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
#4
○中村委員長 以上で提案理由の説明聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
#5
○中村委員長 次に、科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 科学技術振興の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮武喜君。
#6
○小宮委員 大臣は所信表明の中で、「来るべき原子力船時代に備えて原子力船の開発を引き続き推進するため、日本原子力船開発事業団法の存続期限を延長するとともに、原子力第一船「むつ」の開発を軌道に乗せてまいりたい」、こう述べております。
 ところで問題になるのは、現在の時点において事業団法が存続しているのかいないのかという問題がいろいろ論議されておるわけですが、もちろんわれわれは、この原子力船開発事業団法は三月三十一日で廃案になっておるもの、このように理解しておるわけですが、大臣の所見を承りたいと思います。
#7
○佐々木国務大臣 私どもは、お話のようには解釈しておらないのでございまして、きのうも御説明申し上げましたとおり、現在の事業団法の附則第二条に、「この法律は、昭和五十一年三月三十一日までに廃止するものとする。」という規定を設けてございますが、これは通常の時限立法とは違いまして、この意味するところは、十カ年間この法律が存続した後において、それまでに任務は達成できると思うが、さらにこれを廃止するか延長するかについては、日進月歩の技術の進捗状況でございますので、その時点になって考えたらいいじゃないか、その際は、はっきり廃止するんであれば廃止法案を出し、存続するんであれば存続法案を出して、政府としての明確な意思表示をし国会の御承認を得なさい、こういう趣旨に解釈してございます。それに従いまして、私どもは、さらに延長の要ありと思いまして、延長法案をただいま提出している次第でございます。したがいまして、廃止法案が仮に国会に提出されまして可決されました暁におきましては、当然この法律は廃止になるのでございますけれども、そうではなしに、十年間延長してもらいたいという法案を出している現在でございますので、この法案が通れば一番よろしいわけでございますが、通らぬにしても、法律自体が失効するというふうには解釈してございません。
#8
○小宮委員 原子力船懇談会の報告書の中を見ても、八ページに「現在の事業団法は昭和五十一年三月三十一日をもって廃止されることとなっているが」云々という言葉もあるわけですが、いま言われるように、たとえば、今回この存続法案が通らなくても、結局いまの事業団法は有効にいつまでも存続していくのだというような解釈になれば、われわれの理解からいけば、法律そのものを改正する必要がない場合はいまの事業団法が五年でも十年でも続いていくというように、われわれはいまの大臣の答弁を聞いていてどうも納得しかねる問題ですけれども、この問題についてはいろいろやっても水かけ論です。
 それでは、もう一つお伺いしますが、この事業団法が当初三十八年から四十六年度末までの時限立法として制定されたわけですが、その際、法律改正は四十七年三月三十一日までに行われたかどうかということを、御参考のためにひとつお聞きしたいと思います。
#9
○山野政府委員 前回の改正のときの事情でございますが、当初、御指摘のように、この原子力船開発事業団法は、同じく附則二条におきまして、「この法律は、昭和四十七年三月三十一日までに廃止するものとする。」となっておったわけでございます。
 私どもといたしましては、この法律の目的を達成いたすためには、この四十七年三月三十一日までというのではとても無理で、今後四年間程度の延長が必要であると判断しまして、この延長改正法案を四十六年の二月五日に国会に御提案申し上げております。その結果、四十六年の四月二十三日に成立いたしておりまして、前回の改正におきましては、この「廃止するものとする。」とされました期日の前に延長法案が成立いたしております。
#10
○小宮委員 その意味からすれば、今回の存続法案もこの三月三十一日前に国会に提出しておるわけですけれども、この法律を改正する理由がある場合はそのような手続をとっておられる。しかし、もし法律を改正する理由がない場合、今後もずっと現行法でいけるという場合、果たして改正法案をその時限までに出すのかどうかという疑問が一つあるわけです。しかしながら、今回のは十年間の時限立法ですから、またその時点で今後の問題をどうするかという問題が出てまいりますから、この改正案を出されると思いますけれども、どうもいまのような理由を聞いていると、何かこじつけておるような気持ちがしてならないのです。
 一つの例としては、大学管理法案もそのような解釈をしておるんだということになっておりますけれども、どうもそういうような理解の仕方じゃなくて、やはり、三月三十一日までに廃止になるんだから、そのために私たちはこうして存続法案を出したんだ、しかし国会の事情でこうなったので、現在は三月三十一日で廃案になっておるけれども、しかしいま存続法案も出しておることだし、それの議決されるまでは、いまの法律がなくなったといっても事業団を解散するわけにもいかぬから、その間ひとつ御理解してくださいと、むしろこう素直に言った方がいいんじゃないか。これはもう私の気持ちですけれども、どうもいまの答弁の中からは、こじつけのような理解しか出てこないのです。
 しかし、これは有効か無効かということになれば、最終的には裁判で争う以外にないでしょうから、ここでいろいろやりとりしてみても、これはしようのないことですから、次に移ります。
 そこで、昭和四十九年九月一日に発生したいわゆる原子力船「むつ」の放射線漏れ原因を調査するために設置された放射線漏れ問題調査委員会がありますね。この調査委員会でいろいろ調査された結果が報告され、われわれもそれをつぶさに拝見したわけですけれども、その中で、事故が起きた問題点として、原子力船開発事業団法が時限立法であるために優秀な人材が定着しなかった、また国家事業として推進してきた原子力船開発が技術的な完結に達しないまま挫折してしまうおそれがあるということが指摘されてあるわけです。いわゆる時限立法であるからこういうような事故が起きたんだ、ということ。それが全部ではありませんけれども、やはり事故が起きた一つの要因になっておるんだ。優秀な人材が集まらなかった、また、こういった時限立法では技術的に完結しないという問題が指摘されてあるわけですが、それにもかかわらず、政府は今回再び、十年間延長しようとするいわゆる時限立法を提案しているわけです。この時限立法の問題は、各立場においていろいろありますけれども、では、この十年間に原子力船開発が技術的に完結するのかという点については、御所見はいかがですか。
#11
○山野政府委員 一昨年の放射線漏れ以降、各種委員会、懇談会等で検討いただきました結果は御指摘のとおりでございますが、これを踏まえまして、原子力委員会並びに政府部内におきまして、今後事業団法を何年延長すれば目的を達成し得るか、また大山委員会等で指摘されておる点にこたえ得るかという点につきまして、いろいろ検討したのでございますが、結論的に申し上げますと、現在の遮蔽改修並びに総点検作業と申しますものを三年間程度で終了いたしまして、その後、出力上昇試験並びに実験航海等、タイムスケジュールを組んでみますと、ほぼ十年あれば所期の目的を達成し得、かつ、信頼性並びに安全性についてのデータ等を蓄積し得るという見通しが立ちましたものでございますから、第一船についての開発を終了しますまでの間十年間この事業団法を延長し、事業団を存続しまして、それ以降、ここで蓄積されました技術成果なり人材といったふうなものをできるだけうまく実用船の建造母体にバトンタッチする体制、あるいは原子力船に関連いたします諸研究を進めます体制等につきまして、その時点で改めて検討しようということで、今回十年間の延長法案の御提案を申し上げておるわけでございます。
 大山委員会で、恒久法でないから人材も集まらなかったし、また開発が技術的にも完結しないままに挫折するようなことになりかねないおそれがあるのだという御指摘があるわけでございますが、十年間という期間であれば、事業団の職員も安心して業務に専念し得るであろうと判断した次第でございます。
#12
○小宮委員 原子力船「むつ」の建造の意義はどこにあるのですか。
#13
○山野政府委員 原子力船開発の必要性等につきましては、わが国のみならず、原子力船開発の先進諸国におきましてつとに認めておるところでございまして、欧米等の原子力船先発諸国におきましても、大体一九八〇年代の後半には本格的な原子力船時代が来るものであろうというふうに予測されておるわけでございますし、私どもも全く同様な考えを持っておるわけでございます。特にわが国の場合は、非常にエネルギー資源等に乏しいことでもございますし、また、海運国あるいは造船国といたしまして世界の一位を誇っておるわけでございますので、そういう観点からも、将来、造船、海運界におきまして非常に大きな役割りを果たすと思われます原子力船の開発を鋭意進めるべきであるという過去の判断があったわけでございます。
 そこで、長期的な原子力船開発を進めます第一段といたしまして、実験船を開発いたしまして必要な自主技術を蓄積し、先ほども申し上げましたように、信頼性、安全性といったふうなものに関する技術も蓄積しまして、かつこれに加え、船を建造し運航するのみでなく、操船等についての技術といったふうなものもこの第一船で培いまして、これをその後に続くであろう実用船の建造につなげてまいりたい、かように考えてこの第一船「むつ」の開発を計画した次第でございます。
#14
○小宮委員 放射線漏れ問題調査委員会でも、「現時点における「むつ」の本来の意義は、将来船舶の推進エネルギーとして原子力を取り入れるべきかどうかを判断するときの根拠の一つとなるべきものであって」「あくまでも後世に対する責任としての自主技術の開発・確立のため」である、こういうふうに言われておるわけですね。そうしますと、今回の存続法案も十年間の時限立法でありますが、この「むつ」で得られたすべての技術あるいは知識、こういうようなものを後世に継承させるためには、だれがどこでどうして継承するのか。たとえば「むつ」問題だけであれば、十年間の存続立法の中で、ある程度そういった知識なり技術なりが確立されるでありましょう。しかし問題は、いま問題調査委員会が指摘しておるように、実験船として将来に対してこれを生かしていくという立場にあるわけですが、いまの存続立法だけを見ておると、ただ「むつ」の修理をする、いろいろな試験をするというために十年間が必要だということでなされておるわけですから、そういった意味で、調査委員会が指摘しておる問題――調査委員会が指摘しておるからそのとおりにしなければならないということでもないでしょうけれども、しかし、政府が原子力船開発について根本的にどのような立場で臨んでおるかということについて、若干の疑義を私は感じておるわけです。
 また、こういうようなことも調査委員会の指摘の中にあるわけです。「原子力船という大きな開発を、効果的に遂行するためには」「使命感をもってことに当る指導者を持つことが必要であり、そのためには原子力第一船のみの開発でなく、それ以後の原子力船の取り扱い、実験・研究などを含めた長期プロジェクトが必要である」と、この問題調査委員会が提言しているわけです。だから、そうした場合に、いま十年間の時限立法の中で、「むつ」問題は、安全性の問題等がどうなるかは別として、これで一応済んだとしても、それを後世に残していくためには、そういうような技術者や専門のスタッフが要るわけですから、その人たちがもし散ってしまったら、三年、五年たってからその必要性が生まれて集めようといっても、そういう人たちの技術は全部なくなってしまうわけですよ。だから、その点が非常に問題になっておるのであって、このことについても、この調査委員会は、原子力船の平和利用は依然として開発途上にあり、衆知を集めた自主開発が不可欠である、こういうことにもなっておりますので、そうすると、いま「むつ」で得られたすべての知識なり体験なりを資料としてそろえておることは当然でしょうけれども、そういった技術者が四散した場合、また必要になった場合に、そういうような技術を果たして得られるかどうか私は非常に疑問に思うわけです。だから、ただ「むつ」だけを何とかおさめればいいというような考え方に立っておれば、今回の十年間の存続法案だけで事足りるかもしれませんが、将来の問題を考えた場合どうするのかという問題についても、問題が起きるわけです。だから、それでは第二船の建造ということについては全然考えられておらないのか、あるいは自主開発ということを放棄したと見ていいのか、その点いかがですか。
#15
○山野政府委員 ただいまの、技術的成果あるいは人材といったふうなものを将来自主開発なり自主建造といったふうなものにできるだけ生かすべく後にバトンタッチをする必要があるという点は、私どもその重要性につきまして全く同感でございまして、現在の第一船の開発と申しますのは、御承知のとおり広く官民の協力によって進めておるところでございます。
 御参考までに申し上げますと、現在事業団に職員が百二十名ばかりおりますが、その中に造船関係各社から十五名程度、また海運各社から二十名程度の人も出向しておられまして、そういう意味でも官民合同で進めておるプロジェクトでございまして、こういう人材を通じまして、広く産業界にもこの技術成果というものは生かされると思いますし、また将来、この事業団に蓄積されました成果というものは、広く関係方面には公開いたしまして、十分な活用を願いたいと思っておるわけでございます。
 それからいま一つ、これから十年間第一船の開発を進めてまいるわけでございますが、十年で「むつ」ができれば、それでおしまいというふうには私どもは考えておりませんで、おっしゃいましたこの技術なり人材というものを、さらに継続的に生かしてまいりますために、十年以降は、引き続き事業団がよろしいのかあるいは研究所といった形がよろしいのかといった、そういう体制問題等を含めて今後鋭意検討してまいろうというふうに考えておるわけでございます。
#16
○小宮委員 いまの御答弁で考え方はある程度理解したつもりですが、資源問題についても非常に危機に瀕しつつあるという情勢の中で、わが国のエネルギー政策に関して研究開発が必要だ、そのためにこの種の技術開発は非常に長い年月を必要とするのだ、したがって、一たん中止したら簡単に再発足できるものではない、あくまでも技術者をどう温存していくかというのが非常に大事ではないかと、こういうようなことも指摘されておるし、だからその意味では、もし中間でブランクができれば、今後その必要性が生じて第二船でも建造するということになった場合に、また第一船の「むつ」と同じような事故を起こす可能性、起こす危険性があるということを私は指摘したいのです。だからその意味で、いろいろ法律の体系だとか制度というのは、これはできますよ。一遍つくったらいつまでも存続できますけれども、しかしながら、そういった法体系だとか制度がいかにりっぱなものができても、やはりしょせんは人に付随するものですよ。組織は人なりという言葉がありますように、組織は人を得なければ有効に働かないことは当然です。だから、「むつ」の事故原因にしても、そういった意味で、時限立法であるために人材が集まらなかったということで指摘をされておるのではないか、こういうように考えます。
 そういう意味で、先ほどちょっと答弁の中にもありましたけれども、それでは、こういった研究者あるいは技術者を温存していくために、いまの事業団にかわるべき何かを考えておるのか。たとえば原子力船研究開発センターというようなものでも考えて、そこの中に専従の研究技術者をそのまま温存していくということを考えられなければ、ここで一とんざしてしまう。また次に必要性が起きた場合には、また同じような苦しみ、あるいは同じような失敗を繰り返す危険性があるので、こういうようなことを質問しておるわけですが、その意味で事業団にかわるべき何らかの機関を残す、何らかの機関を設置すると、その点を明確にしてください。いかがですか。
#17
○佐々木国務大臣 実はその大山委員会の結論を見ますそれと並行いたしまして、原子力船懇談会というものを原子力委員会の中につくりまして、これは、業界の人たち等、それぞれ専門家が多方面から集まりまして、今後の原子力船というものは世界の中でどういう地位を占めるか、日本はどういう地位を占めるかという、そういう大きいサイドからの検討をしました。
 その際に、一番疑問になりましたのは、大山委員会で出しました、原子力船「むつ」を修理、点検して実験船として使う、データを蓄積する、これはだれも異論がなかったのでありますけれども、将来の実用船時代との間ですね、その間の期間はどうするのだ、言うなれば第二船はだれがつくるのか。それから、その第二船までいくために、いままで蓄積したデータをどういうふうに活用していくのかという問題が、実は非常に中心問題でございました。その際、結論に至らなかったのは、第二船を国でつくるのか民間でつくるのかということを今日この段階で結論づけるのは、とうてい無理じゃなかろうか。しかし、一つ言えることは、それじゃ研究はどこでやるのだということになりますと、実験船でデータを集めて、その蓄積したデータを第二船に継いでいかなければいかぬわけですから、言うなれば、そういう研究的な性格は、これはやはり国で民間の協力を得てやっていくという体制が望ましいということが皆さんの意見でございまして、その集まった資料、人材を全部ばらまいて、そして各会社がそれぞれやってくださいというふうには、皆さんどうしても考えられないという議論が多うございましたので、大体いま指摘ございましたように、今日の段階では事業団がやりますけれども、いろいろ実験の成果等を踏まえつつ、そういう時点になりますと、そういう研究所的な性格にあるいは変えた方が一番妥当になるかもしれません。もう少し時期を待ってからはっきりした方向を考えてみたいというふうに実は考えております。
#18
○小宮委員 その第二船をどこでつくるか、そういった問題は、これは国でつくろうと、あるいは民間でつくろうと、それはかまわないのです。しかし、それはいつつくるのかという問題も、いま明確にはないわけですけれども、私はそういうような場合、いままでの研究成果のいろいろな資料、データはみんなあるけれども、一応保存しておくということで、さあ要りますよと必要になった場合、そのデータとか資料とか技術を出したって、そのときはまた人間がかわってみたりしたら、そのとおりにはやはりいかないものですよ。だから、いま指摘をされておるように、長期的なプロジェクトが必要だというのはそこにあるわけですが、幾ら資料があっても人間がかわったら、またかわった人の立場でやはりいろいろ考え方が違う場合もある。これは大臣でも同じでしょう。科学技術をいま佐々木長官がやっておるけれども、また一年たってかわる。かわったらかわった人で、それぞれまた考え方も違う。また、いま科学技術をやられておっても、長官また今度は、十年先で長官をやられた場合、果たしていまのような知識というものが頭の中に残っておるかどうかということも疑問ですから、資料を見れば一度でわかるというようなものでもないんですね、特に科学技術というものは。そういうようなために、何らかの機関を残すべきであり、また何らかの機関でそういうような技術の温存をする。これは民間に任したら危ない。だから、国がそういうような研究機関なり何らかの機関を存置して、ここでそういったすべての技術を温存していくということを考えなければいかぬのじゃないかということを言いたいのです。
 それでは御参考までに聞きますけれども、欧米の先進諸国で原子力船を開発しておるところあたりで、原子力船建造体制がどのようになっておるのか、どのような状態において技術研究開発の成果を温存しておられるのか、その点ひとつわかっておれば説明を願いたい。
#19
○山野政府委員 大きいのは二つございまして、ドイツとアメリカであろうかと思いますが、ドイツの場合はGKSSと申します。これは大体日本と同じような特殊法人形式でございますが、ここで原子力船の開発、建造をいたしておるわけでございまして、この機関が御指摘のような技術情報の蓄積機関というふうなことになっていようかと思います。また米国の場合は、これはお国柄から申しまして、特殊法人形式ではなく民間主体でもって進められておりまして、政府ももちろん、この原子力船開発の技術開発、技術蓄積というものに非常に関心を持ち、力を注いでいるわけでございますが、母体といたしましては民間企業といったふうなことになっております。
#20
○小宮委員 それでは、この時限立法の是非の問題についてはこれくらいにして、次に移りたいと思います。
 「むつ」放射線漏れ問題調査委員会の調査報告書を拝見しますと、事故が起きた原因として、大別して四つの問題点が挙げられているわけです。まず一つは政策上の問題点、二つ目は事業団の組織上の問題点、三つ目は技術上の問題点、四つ目は契約上の問題点、こういうようになされておる上に、さらに今後の「むつ」の研究開発計画の進め方についても提言がなされておるわけです。したがって、一つ一つ小さい点もついていきたいのですけれども、時間もございませんから。ただ、これらの調査委員会から指摘された問題点なり提言が行政上、技術上どのように生かされたのか。今度の事業団法の改正に当たっても、どのようにして生かされておるのか。その点、私は四つの問題点を挙げましたから、その問題点に対して一つ一つ具体的に御答弁を願いたい。
#21
○山野政府委員 まず体制につきましては、事業団と行政府と両方あろうかと存じますが、事業団の体制、組織につきましては、大山委員会で単なる事務処理機関的な性格が強いというふうな御指摘もあるわけでございますし、また、いま先生おっしゃいました、一貫して責任を持って技術を残すという体制に欠けておるというふうな指摘もあるわけでございますが、これに対しましては、昨年の四月から六月の間にかけまして、事業団の理事長以下の全役員に交代をお願いいたしまして、こういう分野で非常に経験の豊かな技術的能力の高い方々に理事者として御就任をお願いしております。それからまた、事業団の中堅技術幹部につきましても、課長二名、課長補佐数名の方々を交代いたしまして、強化した次第でございます。
 またさらに、技術蓄積といったふうなことを十分に配慮しまして、部内にそういうふうなことを専門に扱います技術管理室というふうなものも設けましたし、技術系職員をできれば本年度は十数名増加したいというふうに考えておる次第でございます。
 また、この運営につきましても、事業団が単独で技術的諸問題を処理するということではなくて、事業団の部内に、遮蔽の専門委員会あるいは安全性の専門委員会といったふうな各種の専門委員会をつくりまして、広く事業団の外の有識者の方々の御意見も徴していくといったふうな体制に改めた次第でございます。
 それから、行政上の体制につきましては、本年の一月に、先生御承知のように、安全性についての責任体制を明確にするという趣旨で、当庁に原子力安全局というものができたのでございますが、さらに、この運営につきまして、他省庁との連携も含めて、先ほどの行政懇談会の結論をできるだけ実行面で経過的に反映していくようにという配慮で、いろいろと工夫をしておるところでございます。
 また、日本原子力船開発事業団に対しまする指導監督というものは、科学技術庁のみならず運輸省も共管省でございますけれども、運輸省と共同でむつ総点検・改修技術検討委員会というものをつくりまして、私どもがこの事業団を指導監督するに際しましても、外部の学識経験者の方々のお知恵を拝借するといったふうな体制を整えた次第でございます。
 それから、大山委員会の指摘は、そういった事業団並びに行政府の体制上の問題だけではなくて、放射線漏れを起こしました原因、また、広くこの原因から拡大いたしまして、将来出力上昇試験を進めていき、実験航海等に移りました段階で安全上重大な欠陥は出ないかといったふうなことまでを含めまして、いろいろ技術上の御指摘があるわけでございますが、これにつきましても、先ほど申し上げました技術検討委員会の場をかりまして十分に御検討いただきまして、これから進めようといたしております遮蔽改修、総点検の内容等につきましても、十分に大山委員会報告の御指摘についてこたえたつもりでございます。
#22
○小宮委員 今回の改正案の中身は附則第二条の改正だけというふうに理解しておるわけですが、いろいろいままでの問題調査委員会の報告書あたりを読んでみて、ただ十年間延長しますよというような附則第二条の改正だけで十分なのかどうかということを私は危惧するわけです。
 たとえば、調査報告書を見ても、事業団の業務範囲は、原子力船の設計、建造及び運航を行い、その目的を達成するため、研究を含めて必要な業務を行うこととしておりますが、「現実には基礎的な研究や実験についてはその業務に含め得なかったきらいがある」とか、また、「遮蔽実験は、事業団、原研、船舶技研の三者の共同研究で行われ、実験結果を原子力第一船に反映させる責任は、本来事業団にあったにもかかわらず、十分機能することはできなかった」というような問題点を挙げておるわけです。そういうような点を見た場合、果たして十年間延長するということだけで十分なのかどうかということと、また、原子力行政についての原子力行政懇談会の意見によれば、安全審査の一本化、原子力安全委員会の設置などが指摘されておるわけですが、そういった問題が、法律改正を行わずに、ただ政令か省令だけで必要な措置がとられるのかどうか。また、とられたのかどうか。原子力安全局を設けたということは知っておりますけれども、安全委員会だとか、安全審査の一本化だとか、こういうような問題をいろいろ挙げられておるのに、ただ事業団法は十年間延長しますよというだけでいいのかどうか。その後段指摘された点は他の省令か政令で必要な措置をとられるのか、またとったのか、その点について聞きたいと思うのです。
#23
○山野政府委員 まず、日本原子力船開発事業団法附則二条の改正だけではないかという御指摘でございますが、御承知のように原子力船開発事業団法は、目的が「日本原子力船開発事業団は、原子力基本法の精神にのっとり、原子力船の開発を行ない、もってわが国における原子力の利用の促進並びに造船及び海運の発達に寄与することを目的とする。」という非常に広範囲な内容を含んでおりますし、また、二十三条の「業務の範囲」におきましても、今後私どもの進めていこうといたしておりますものはすべて網羅されておると思っております。したがいまして、原子力船開発事業団が業務を今後十年間進めてまいります上で、この附則二条以外にこの際改正を要する条項はないと考えます。
 いま一つ御指摘の行政懇談会の中間取りまとめ、さらに今後最終答申も出るかと存じますが、これを踏まえての今後の抜本的な行政体制の改革、改正といったふうなことにつきましては、これは行政組織上の問題でございまして、日本原子力船開発事業団法とは直接の関係はないわけでございますので、成案を得ました上で所要の別の法律改正を行う必要があろうかと考えております。
#24
○小宮委員 科学技術庁の方で、今回の「むつ」の修理に対してもいろいろ説明をし、いろいろな計画もなされておりますけれども、問題は、そのような体制をつくったにしても、また、こういうふうに修理をしますよと言っても、これは、国民、特にそういうような直接影響のある長崎県の人たちあたりには、幾らああいうようなことを書いてやってもらっても、ここで安全だというふうな何物もないじゃないかというようなことが異口同音に指摘されているわけです。皆さん方の方では安全だと言う。片一っ方では、漁民の団体やあるいは被爆者団体、いろいろな反対運動をやっておる人は、そういうような体制をつくったにしても安全だということは言えぬじゃないかというふうな、素朴な疑問がいっぱい出ておるわけですよ。だから、原子力行政についても、責任体制なりいろいろな問題を明確にして国民の前に明らかにしないと、こういうふうにして改革していくのだ、「むつ」の問題についてはこういうような欠陥があった、その原因はこうだ、原因はこうだから、その指摘された原因に対しては一つ一つつぶしていくのだということを明らかにせぬと、ただ皆さん方が大丈夫だ大丈夫だと言ってみても、だれも本当に大丈夫だろうかというような疑問を持つのは当然ですから、そういった意味での体制づくりを国民の前に明らかにすべきだ、こういうふうに考えます。これは意見として申し上げておきます。
 それから、いわゆる総点検実施計画及び遮蔽改修計画については、放射線漏れ問題調査委員会の指摘事項が一〇〇%尊重され採用されておるのかどうかという点を一つ確認しておきます。
#25
○山野政府委員 大山委員会報告におきましては、技術的事項につきましては、すでに判明しております放射線漏れについては、必要な改善、改修をまず行うべきであるということは、これは当然でございますが、これに加えまして、今後さらに出力を上昇いたしました時点でふぐあいが生ずるような懸念のある部分については、十分な対策を講ずべきであるというのが大山委員会の報告でございますが、この点、結論的に申し上げれば、私どもは、十分に尊重いたしまして、今回の遮蔽改修総点検計画に盛り込んだものと考えております。これは、まず第一点の放射線漏れについての対策というのが遮蔽改修計画でございますし、一般的に将来の不測のふぐあいに備えるというのが、原子力部門を中心といたしました安全性の総点検でございまして、十分にこの大山委員会の報告を尊重してつくったつもりでおります。
#26
○小宮委員 この「むつ」の遮蔽改修については、一応の基本計画が作成されておるようですが、その中で、遮蔽材料試験とか遮蔽モックアップ試験、遮蔽構造試験が行われることになっておりますが、すでにこういった試験には試用試験を実施しておるのか、あるいはその準備をしておるのか、そういうような点はいかがでしょうか。
 そうしないと、ただ、こうします、ああしますと言ったって、その前提になるものは、こういうようなものを試験をしますよということになっておるわけだから、そういうようなものは、試験もやられないまま、あるいはただ机上プランで、ペーパープランで書いて、これで安全ですと言ってみたって、その前提になる、こういうような試験がどうなっておるのかということがまた問題になってくるわけですから、この点、どのように準備しておりますか。もう試験に着手しておるのですか。
#27
○山野政府委員 遮蔽改修実験につきましては、同じく大山委員会で御指摘がございまして、過去の遮蔽改修実験というものが必ずしも十分ではなかったのではないかということで、具体的にいろいろ御指摘があるわけでございますが、この御指摘を十分に尊重しながら、五十年度におきましても、遮蔽の材料実験、あるいは遮蔽のモックアップ実験といったふうなことをいたしておりまして、こういう実験データを十分に尊重しながら、今後の基本設計、あるいはさらにそれに続く工事といったふうなものを進めてまいるつもりでございまして、お説のとおり十分に実験は行ってまいりたいと考えております。
#28
○小宮委員 この安全性総点検計画内容によれば、原子炉プラント機器点検において制御棒駆動機構試験が行われることになっておりますが、この、試験によって放射能が発生するということはないかどうか。
#29
○山野政府委員 制御棒駆動試験は、この制御棒の駆動機構の健全性を確認いたしますために行うものでございますが、この実施につきましては、一本ずつこの駆動機構についてチェックをするということでございまして、同時に二本以上の制御棒が抜かれるということはないようになっております。もともと修理港におきましては、原子炉は停止いたしましてこのような総点検を行うわけでございますが、制御棒駆動機構の試験を行うことによってこの原子炉の停止状態が解けてしまうといったふうなことは絶対にないと考えております。
#30
○小宮委員 その制御棒駆動機構試験の際一本ずつということを先ほど言われた。それで二本は絶対しない。それは、二本すれば放射能が発生して危険があるから、一本ずつということになるのじゃないか。その点いかがですか。
#31
○山野政府委員 どの程度で臨界になるかということでございますが、これは水温五十度で同時に四本まで抜いても、まだ臨界にならぬという状況でございますので、一本だけということは十分にその点は満足しておると思います。
 それから若干つけ加えますが、現在の状況というのは、一言で申し上げれば、一次冷却水というのは通常の飲料水と同程度の放射能レベルでございまして、この制御棒の駆動機構試験をすることによりまして、これに変化はないということを申し上げておるわけでございます。
#32
○小宮委員 また、原子炉プラント設計の再検討の結果、原子炉に改修を加えるというようなことにはならないかどうか、その点が一つ。いかがですか。
#33
○山野政府委員 この総点検と申しますのは、原子炉プラント機器、これは特に安全性に非常に関係の深いと思われます主要機器について行うものでございまして、この総点検の結果必要があると考えた場合には、補修工事等はすることになろうかと思いますが、もし先生の御質問が、原子炉本体についてどうであるかという点でございますれば、これは私見ではございますが、恐らく原子炉本体について改修が必要になるといったふうなことはまずないのではないかと考えております。
#34
○小宮委員 だから、いまのところ皆さん方が言っておるのは、原子炉は凍結して全然手を加えないのだ、だから安全だ安全だと言っているわけですね。しかし、このスケジュールによれば、安全性確認作業の大半を五十一年度中に終了させ、それらの結果必要な場合には、五十二年度後期に原子炉施設の設置変更許可手続を行って五十三年度前半には改修工事に着工する、こういうようになっておりますので、そういうことがいま事前に予測されておるのかどうかということなのです。
 それと同時に、その際は、この燃料棒の引き抜きの問題も考えられてくるので、そういうスケジュールを見ると、そういうようなことをわれわれが考えるのは当然であって、その点はどうかということを聞いておるのです。
#35
○山野政府委員 遮蔽改修につきましては、ただいまは概念設計案ができ上がっておる状況でございまして、これから、先ほども御指摘がありました実験等を加えて基本設計に移行し、さらに基本設計から詳細設計、詳細設計から工事というふうに進んでいくわけでございまして、その節々で遮蔽改修総点検技術検討委員会によくよくチェックをしていただきながら進めていくということでございまして、これは全く純技術上の問題でございますので、現時点で将来その結果どういうふうなことになるだろうということは、的確に申し上げるわけにはいかぬと思います。むしろ、そういったふうなことは、今後の進展に応じて明確になってくるものと考えております。
#36
○小宮委員 いまは明確にどうだということは言えなくても、やはり今後の計画の中でずっとやっていった場合に、そういうような問題が起こり得る可能性があるのかということを言っておるわけです。というのは、原子炉なら原子炉が、いまの原子炉で大丈夫なのかどうか。あるいは原子炉についてもいろいろなタイプがありますから、必要に応じてはそういうタイプを変えるとか、あるいは設置場所の変更をするとかいうことになれば、当然原子炉自体も手を加えるということにならざるを得ない。その場合は、いま言う燃料棒の引き抜きということも考えられてくるのではないかというようなことを考えれば、果たして皆さん方が言っておるようなことを真に受けていて大丈夫かなということをわれわれは感ずるものですから、このことを言っておるわけです。だから、そういうようなものに対して、いや原子炉の設置変更とか原子炉の設計変更によってこういうふうなことはあり得ないのだということがはっきり明言されれば別です。しかしながら、このスケジュールの中には入っておるわけですから。それは念のため点検とかいうことも多々含まれておると思いますが、そういうような点が予測されるとすれば、やはりこれは大きな問題ではないかということを懸念するものだから質問しておるわけです。その点もう少し明確に言ってください。
#37
○山野政府委員 安全審査の問題につきましては、これは安全審査をいたします際には設置許可申請というものが出されるわけでございますが、今後この概念案が基本設計に移される段階で、過去における設置許可申請書の記載事項に変更があるといったことになる場合には、設置の変更許可申請が必要になり、それに基づいて安全審査が必要になろうかと思います。しかし、それは必ずしも原子炉本体だけについての変更ということではございませんで、広く各種機器を含めました原子炉プラントとしての安全審査でございますので、この技術検討委員会の報告の中に、将来要すれば安全審査を受けるという表現がございますのは、必ずしも原子炉本体を変更するということを指摘しておる問題ではないと考えております。
#38
○小宮委員 時間も迫ってまいりましたので、それでは長崎県の佐世保市に「むつ」の修理港をいま要請しているわけですが、御承知のように、長崎県は広島と並んで被爆県であるという特異な県でありますが、それだけに放射能に対する拒絶反応というのは非常に敏感であるわけです。にもかかわらず佐世保に修理港としての要請をしたのは、こういうような被爆県としての、被爆者たちの感情というものをどのように配慮されたのか。その点いかがですか。
#39
○佐々木国務大臣 お話のように、長崎市は原爆の被害を受けて、大変大ぜいの方が苦しんでおるという点に関しましては、まことに不幸なことだと思っております。ただ私どもが考えておりますのは平和利用の面でございます。したがって、原子力船自体が爆発するという性質のものでもなし、また、これが潜水艦のどうのという戦事利用につながるものでもなくて、いわば日本全体の国民の福祉、経済の発展をするための一つの平和的な手段として必要だということで考えておるのでございます。もちろん、といってこれの本質を御理解をいただくまでには、いまお話がございましたように、特殊な県でございますので、いろいろ困難な面もあろうと覚悟しております。しかし、いま申しましたような点で安全なものでもあり、その目的はこういう目的であって、原爆のように、皆様に御迷惑をかけるようなものではございませんということをよく理解いただけば、だんだんそういう人たちも御理解いただけるのじゃないかということで、慎重の上にも慎重を期し、また短兵急に事を運ばないで、ゆっくりひとつ御理解いただけるように運びたいというふうに実は考えております。
#40
○小宮委員 また、漁業団体もこぞって反対しているわけですが、修理に際して漁業者にどのような影響を与えるのか。そして修理する際に一次冷却水が出るのか出ないのか。出るとすれば、どれくらいの放射能を含んでおるのか。その点ひとつ明確にしてもらいたい。
#41
○山野政府委員 今回の修理に際しまして、海洋に放射能汚染が生ずるおそれがあるかどうかという点でございますが、これは結論を先に申し上げますと、そういったふうなことは絶対にないと考えております。御指摘のように、長崎県が水産県であるということは、私どももちろん重々承知いたしておりまして、水産業者の方々が海の汚染を心配されておるということもよく理解しておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、海を汚染することがないように万全の措置を考えてまいりたいと考えておるわけでございます。
 その一つは、先ほど申し上げましたように、まず修理港においては原子炉は運転しないということが第一点でございますし、第二点は、過去に若干の出力上昇試験をいたしまして、炉内に核分裂生成物はあるわけでございますが、これはごく微量でございまして、十分に燃料棒の中に密封されておりますし、その放射能濃度も、先ほど一次冷却水で例示申し上げた程度にかなり低いものでございます。それから廃棄する水でございますが、これも安易に港に流すといったふうなことはいたしませんで、厳重に船上に保管して管理していくということにいたしておりますので、海を汚染するという心配はないと考えてよろしいと思います。
#42
○小宮委員 時間も来たようですからこれくらいで打ち切りますが、そういうような意味で、いま非常に反対運動が強く起きているわけですけれども、これを説得する自信があるのかどうか。もしどうしても説得できない場合は、修理港の佐世保要請は撤回する考えがあるのかどうか。その点ひとつお伺いいたしたい。
#43
○佐々木国務大臣 私どもは県、市当局に検討をお願い申し上げまして、県、市からのお話がございまして、県、市には安全性に関する技術的な説明等はなかなか人材的にも不足しておりますので、国として責任を持って進めてもらいたい。お話のとおりだと思いましたので、私の方は、きのうはいろいろお話ございましたが、できるだけ出向きまして、県、市ともども県民の御理解を得るように努力を続けている最中でございます。
 私は、いま申しましたように、根が危険なものでありますれば、幾ら説明してもこれは危険なんでございますが、そうでなくて、持っていくのに、もう補助エンジンで重油で持っていって、原子力は何も関係ございませんで、そのまま船が入っていくわけでございます。それを修理している間、いま申しましたように、一次水等を流すことは全然ございませんし、炉を運転するわけでもございませんし、言うなれば原子力は何も関係ないことなんです。こういうことをだんだん御理解いただけば、そういうことかということで納得してくださるのではないかという確信を私は持っています。ですから、時間をかけまして熱心にその必要性なり安全性なり説いてまいりますれば、必ず皆さん御理解くださるのじゃないかというふうに考えております。必ず御理解いただけるもの、また県、市も、県民の御理解の度合い等を判断して、そして検討の結果イエス、ノーの御返事を下さるものというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、仮にノーだという場合があった場合でも、それでも強行するかといいますと、そんなことは考えておりません。
#44
○小宮委員 これで質問を終わります。
#45
○中村委員長 次に、小宮山重四郎君。
#46
○小宮山委員 昭和四十八年に石油ショックということで日本経済が大変混乱し、物価狂乱等々がございました。その石油ショックで国民の経済とか福祉とかというものを保持し、あるいは発展させるために、当時を思い出しますと、エネルギー問題が大変討論されたのでございます。特に、石油にかわるエネルギーとして、最も現実性、また手っ取り早くわれわれの手元で使えるものは原子力が一番いいという考え方でございましたけれども、しかし、その翌年、昭和四十九年、衆議院の予算委員会あるいは当委員会で、日本分析研の問題、あるいは原子力発電所の事故の続出、原子力委員の辞任等がございまして、それに引き続き原子力船「むつ」の事故というか、太平洋上に漂流したということをもって、日本の原子力行政というものが大変停滞し、また、多くの国民が原子力というものを恐れるというか、ある意味では忌避するような風潮もでき始めた。これは大変日本にとっても不幸な問題でもあり、そういう意味でも、科学技術庁の責任というものは大変重大であったと考えるのであります。私は、そういう問題を踏まえての科学技術庁の反省とか、今後どうあるべきか、たとえばそういう中での科学技術の技術者あるいは原子力関係に携わっている人たちのディスカレッジといいますか、そういうものが大変あった。私は、科学技術庁はそういう技術者をエンカレッジするという問題も含めて、過去の四十八年、四十九年の事故等のことから、今後それを踏まえて、科学技術庁長官はどのようにお感じになっておるか、まずお聞きしておきたいわけでございます。
#47
○佐々木国務大臣 大変貴重な御質問でございまして、私見でございますけれども、少し申し述べさせていただきたいと思います。
 お話のように、ここしばらくの間、いろいろな問題が生じまして、科学技術庁の職員一同、どちらかといいますと、暗い気持ちになっておったように見受けられますのは事実かと存じます。そういう際に、何といっても一番重大なのは、自分らが人類の歴史あるいは日本の経済発展、民族がどういうふうに生きていくかという、その問題に対してどういう位置づけを持っているかといういわば認識の問題、したがって、その問題がはっきりいたしますれば、おのずから使命感というものが出てくるわけでございますので、やはりそういう点は、もう一度原子力時代が始まった当時の気持ち、原爆をこうむって、そうして進駐軍に押さえられて、わずかにあったサイクロトロンすら品川沖に捨てられたというふうな苦しい時代を経過して、それでもやはり原子力時代というものは必ず人類に来る、そのときに日本がおくれをとったならば、資源のない日本であるからどうにもこれは生きようがないぞという思い詰めた空気から、日本が占領を解除されてすぐ原子力の研究開発に着手したわけでございますけれども、それだけに当時は非常な使命感に燃えておったのじゃないかと私は思います。いまその使命感がありやなしやと申しますと、私は、眠ってはおりますけれども、当然使命感に燃えなければならぬ。またさらに、油の問題が発生して以来、その必要性が再認識されつつある今日、やはりそういう大所高所からの見解、認識を新たにして、そうして使命感に燃えてまいりますれば、私は、必ずやエンカレッジされた、心からふるい立った一つの吏道として確立していくのじゃないかというふうに実は考えてございます。
#48
○小宮山委員 大臣は最初の原子力局長であります。当時大変な熱の入れようで、今日の原子力体制というものができ上がった。しかし、当時と違って現在では、大変な違った分野、たとえば原子力委員会においても、できた当初はそれで十分であったろうが、現時点ではやはり、当委員会でも討論されるように、安全性の問題がある。また行政組織においても、原子力安全局というようなものができ上がった。そういう意味で、原子力委員会のほかに原子力安全委員会のようなものを早急につくるべきであろうかと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
#49
○佐々木国務大臣 お話のとおりでございまして、「むつ」問題の一つの再建運動と申しますかのあらわれとして、内閣に原子力行政機構懇談会が設けられまして、その中間報告が去年の暮れ出ましたことは御承知のとおりでございます。その一番のねらいは、いまの原子力委員会を二つに分けまして、そして新しくできる方は原子力規制面を担当していくべきだ。したがって、開発と規制が相矛盾するやに考えられるものが同居しておるのじゃなくて、二つ分けてそういう問題は進むべきじゃないかという新しい概念に沿いまして、そういう結論が出されておりますので、それともう一つは、検査、監査の仕方の問題がございますが、それ等も兼ねまして、来年度の五十二年度には、ぜひひとつ国会に法案を出しまして御審議をいただきたいという意味で、ただいま準備中でございます。
#50
○小宮山委員 さて、先ほど申しました原子力船「むつ」、いまだもって青森県大湊港につながれております。今朝、大臣がお読みになりました法律案、これには種々の意見がありますけれども、期限の切れた――「廃止するものとする。」というような文言が書いてありますけれども、私はこれは時限法ではないと考えますので、大臣自身、科学技術庁に法的な見解を求めるのは大変あれかもしれませんけれども、科学技術庁のこの見解をお聞かせいただきたいと思っております。
#51
○佐々木国務大臣 私も同意見でございまして、法律そのものの解釈からいたしますと、いわゆる時限法でありますと、効を失するとか、あるいは廃止せねばならないとか、廃止するとかいうふうに断言しておるわけでございまして、「廃止するものとする。」という非常にソフトなニュアンスを使っているそのことは、いま小宮山委員の御指摘のとおりのことだと存じます。
 この法律をつくった当時のことを考えてみますと、やはり同じ解釈でございまして、こういう表現を用いたゆえんのものは、十年後になってその時点で必要かどうかということを判断しなさい、必要でないと思うならば廃止法案を別途出して、そして廃止しなさい、必要であるならば存続法案を出して存続に踏み切るべきだ。いずれにしても、その時点で政府の意図を明確にして国会の承認を得なさいというのが、この趣旨のように考えております。
#52
○小宮山委員 私もそうだと思います。時限法ならば効力を失うものとするという前提で、最初にその期限が切れたら法律が切れる。あるいは時限法でないこの原子力船事業団のような「廃止するものとする。」というものは、多分この十年間にそのようなものができ上がるだろうという予想のもとに書いてあるのでございまして、今後とも、事業団の事業その他はどの程度までできるか、また従来と変わらないのか、その辺お答えいただきたいと思うのです。
#53
○山野政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたように、「廃止するものとする。」という法形式によりまして、私どもは現在でも事業団法はもちろん有効であると考えておるわけでございますので、今後事業団の行うべき業務というものも当然にできると考えておりますが、いま御指摘の範囲につきましては、現在、立法府におかれまして、これを存続するのか、あるいは存続しないのかという意思決定をされていない段階におきまして、非常に長期にわたる大規模な開発をどんどん進めていくというのは必ずしも適当でないのではないか。たとえば新しい舶用炉についての研究に着手するというようなことは適当でないのではないかと考えております。従来行いました開発の成果につきましての維持管理といったような仕事は、当然できるというふうに考えております。
#54
○小宮山委員 大体の趣旨はわかりましたけれども、この法律案については、後日また討論させていただくことといたします。
 この四月に、科学技術庁、運輸省が「原子力船「むつ」について」、こういうパンフレットを出されました。内容を見てみますと、大変高度のことが書いてあります。技術者の方々がこれをお読みになると、大変初歩的なのかもしれませんけれども、一般国民については、これは大変高度のものだと思います。地元の住民の方々におわかりになるようなものも、ぜひつくっていただく必要があろうかと思いますけれども、とりあえず、その点について初夢的な質問からお答えしていただきたいと思います。
 まず第一、「むつ」は八千トン、原子炉は何トンぐらいあるものでございますか。
#55
○山野政府委員 これは大ざっぱに申し上げまして、原子炉周りの遮蔽等すべてを含めますと、三千トンございます。これは一番重いのは二次遮蔽でございまして、これが約二千トン、それから原子炉本体並びに一次遮蔽等が約一千トン、合計三千トン弱であると考えております。
#56
○小宮山委員 「むつ」はいま大湊に入っております。政府はそこから佐世保へ持っていって修理をしたいということでございますけれども、原子炉を外すのですか、外さないのですか。
#57
○山野政府委員 原子炉を外すとおっしゃいます意味が、船から舶用炉を引き抜いて取り出してしまうという御趣旨の御質問でございますれば、そういうふうなことはいたしません。これは現在の原子炉が組み込まれたままで回航する予定でございます。
#58
○小宮山委員 そうしますと、原子炉をいじらない、遮蔽だけの修理をするということでございまして、それによって、従業員、科学者あるいは地元に影響が出るものですか、出ないものですか。
#59
○山野政府委員 原子力船の修理港への回航につきましては、原子炉は運転することなく、補助エンジンで回航する予定でおりますし、また、修理港における遮蔽改修、あるいは原子炉機器等の総点検、並びにその後における必要な補修というふうな作業は、すべて原子炉を停止したままの状況で実旋するということを考えております。現在、炉内にはごく微量の放射能があるわけでございますが、これについても厳重に維持管理をするつもりでおりまして、一次冷却水等は絶対に船外に出さないという管理をしようと考えておりますので、今回の遮蔽改修並びに総点検作業の過程におきましては、お説のような心配はないものだと考えております。
#60
○小宮山委員 いま、冷却水等は船内でためて、多分別のところへ持っていくという意味だろうと思うのでありますが、原子力船で使ったほかのいろいろなものについてはどう処理いたしますか。
#61
○山野政府委員 廃棄物につきましても、これは厳重に管理いたしまして、後日しかるべき処分方法、例示的に申し上げれば、たとえば日本原子力研究所に運搬の上、減容して保管するということも一案かと考えますが、しかるべき管理方法によって、環境に出ることが絶対にないようにしていく考えでおります。
#62
○小宮山委員 そうしますと、佐世保へ入れても、それによって被害を受ける人はいらっしゃらないということですね。
#63
○山野政府委員 私どもはそのように考えております。
#64
○小宮山委員 そのように考えておるということは、あるかもしれぬという意味ですか。
#65
○山野政府委員 絶対にないと考えております。
#66
○小宮山委員 太平洋の漂流中ではございませんけれども、大湊ではそういう事故がございましたか。
#67
○山野政府委員 いま事故とおっしゃいました意味が、環境に放射線による被害を与える、災害を与えるという趣旨でございますれば、そういうふうなことはございませんでした。
#68
○小宮山委員 そうすると、大湊では何ら地元に対して被害を与えたようなことはないということですね。
 もう一つ聞いておきますけれども、陸奥湾では漁業関係者に被害が出ましたか。
#69
○山野政府委員 漁業関係者に直接本船の放射線漏れ等による被害があったということは聞いておりません。
#70
○小宮山委員 そうすると、青森県では、特に大湊港、陸奥湾では、漁民にも何も被害を与えなかった。しかし、科学技術庁は、反対する漁民等に、あるいは地元にいろいろな補償をされてまいりました。それは、どういう意味で出され、またどのくらい出されたかお伺いしたい。
#71
○山野政府委員 一昨年秋のいわゆる四者協定によりまして、原子力船の定係港をほかに移すということが決まったわけでございますが、新しい定係港が決定しますまでの間は、なお引き続き大湊港に「むつ」は係留していく必要があるわけでございます。そういう趣旨におきまして、非常に息の長い原子力船の開発を進めていきます一過程といたしまして、この陸奥湾に係留するということは、やむを得ず必要な事態となったわけでございますので、この開発の一環として、引き続き暫定的に新定係港が決まるまでの間地元に協力をしていただくという趣旨で、お説のような地元に対する対策費、私の記憶では約十三億円強のお金であったかと思いますが、支弁した次第でございます。
#72
○小宮山委員 そのような地元対策費はいかように使われておりますか。
#73
○山野政府委員 これは中心をなすものは、水産業者に対する魚価低落に対する資本金なり、あるいは生産性を向上いたしますための漁業振興策といったふうなものが中心的なものでございますが、このようなものは、農林省にわが方の予算を移しかえました後に、農林省において実行いたしてもらっております。また、原子力船開発事業団が直接予算をとりまして実施いたしましたものに、有線放送施設あるいは体育館の建設といったふうなものがございますが、これは、事業団にしかるべき予算を計上いたしまして、執行いたしております。
#74
○小宮山委員 「むつ」によって漁獲が減った、あるいは魚価が下がったというような事実は大湊ではございましたか。
#75
○山野政府委員 「むつ」によってというところ、非常にむずかしい御質問でございますが、「むつ」が放射線漏れを起こしました後帰港いたしますに際しまして、非常に水産業者の方々の反対に遭いまして、港において封鎖行動等があったわけでございますが、そういったことのために、漁業者の方々が生業であるホタテガイの養殖の方に十分な手を入れることができませんで、結果的に悪影響を及ぼしたといったふうなことはあったと聞いております。
#76
○小宮山委員 それはそうではなくて、ホタテをよけいあのかごの中に入れ過ぎたということじゃないのですか。
#77
○山野政府委員 おっしゃいますように、ホタテの量が膨大になり過ぎましたために、水中のプランクトンそのほかの理由によって稚貝が死んだといったふうな意見もございますし、また、先ほど申し上げましたように、十分に目が行き届かないためにそういうふうなことを加速したという説もございまして、この辺の因果関係を突き詰めるということは大変むずかしいと考えております。
#78
○小宮山委員 では、そこで水揚げされる魚、あるいはホタテガイの市場価格は下がったのでございますか。
#79
○山野政府委員 原子力船「むつ」によって、ホタテガイの価格が大幅に変動したということは聞いておりません。
#80
○小宮山委員 「むつ」では、魚価に、あるいはホタテの値段には影響はなかったということで、それだけ大変政府が原子力行政に意を使っている。大変重要なことだと思います。
 もう一つ、先ほど局長が申しておった原子炉の中に幾らかのまだ放射能等があるという話がありますけれども、それはどのくらいのことというように、何か事例をもって表現できますか。
#81
○山野政府委員 ただいま燃料棒の中にございます放射能は約十キュリー程度と推定されておりまして、これは、工場等において非破壊試験に使います線源と、ほぼ同程度のものであろうと考えております。
#82
○小宮山委員 素人ですから、もう少しわかりやすく言ってください。
#83
○山野政府委員 普通の工場におきまして、物の内部を検査いたしますときに、放射線を照射しまして検査する方法があるのでございまして、これを、物を壊さないで検査をいたしますので、非破壊検査と申しております。そういったふうなものに使用しております線源と同程度のものでございます。
#84
○小宮山委員 十分わかりませんけれども、まあよろしいでしょう。
 佐世保へ船が移ったとしますと、その補償その他については、大湊港その他と同等あるいはそれ以上のことを、長官はお考えになっておるのでございますか。
#85
○佐々木国務大臣 いまは、安全サイドの問題で地元の御理解を得るべく、県、市とも協力いたしまして一生懸命努力しつつある最中でございまして、まだそういう交渉事まで入っておりません。県、市からも正式にはそういう申し入れもございませんので、これからだんだん安全性の御理解が深まってくると同時に、そういう問題が起きてこようと思いますけれども、その際には、事柄の合理性を考えつつ、やはり地元の将来のためになるようないろいろな手は考えてみたいと思っております。
#86
○小宮山委員 それはたとえば、六、七月に佐世保市議会あるいは長崎県会が決議した後になりますか。
#87
○佐々木国務大臣 六月、七月に長崎県なりあるいは佐世保市で県会、市会で決議するというふうな話はまだ承知してございませんけれども、その安全性に対しては御理解がいった、ついては地元としてはこういう要望をかなえてもらいたいというような希望がございますれば、それを受けとめまして、検討した上で問題の解決を図りたいというふうに一応考えております。
#88
○小宮山委員 その話し合いというのは、別に審議会というものを設置するのか、あるいは地元と科学技術庁等と直接、あるいは原子力船事業団と直接話し合いをするのか、その辺のところの手続の問題はいかが考えておりますか。
#89
○山野政府委員 今後の問題でございますので、私どもの予想で申し上げるわけでございますが、佐世保港に修理をお引き受けいただくことについての検討の依頼は、内閣総理大臣から長崎県知事並びに佐世保市長に依頼申し上げておるところでございますので、当然地元において御検討がお済みになりました暁には、県知事並びに市長から、政府当局、内閣総理大臣あるいは科学技術庁長官、あるいはまた運輸大臣等に御返事があろうかと存じますので、その過程においてお説のようなことはあろうかと思います。私どもが直接各団体と個別にそういったふうな話し合いの場を持つといったようなことはないんじゃないかと考えております。
#90
○小宮山委員 大体のことはわかりました。
 もう時間もございませんから、最後に一、二問御質問申し上げて話を終わりたいと思いますけれども、この原子力船事業団改正法の十年後に、原子力船研究所のようなものを建てて、原子力船の日本独自の開発――これは、過去の与野党一致して独自の開発をしろという考え方が、この原子力船事業団の中に一本貫かれている。将来、原子力船研究所のようなものをお考えになっておりますか。
#91
○佐々木国務大臣 先ほども小宮先生の御質問がございまして、実は去年の夏、原子力委員会に設けました原子力船懇談会で、その点が一番長く討論されたところでございました。いまの「むつ」を実験船として自主技術の開発あるいはデータの蓄積に使う、あるいは乗員を訓練する、そういう面ではどなたも異論がなかったわけでございますけれども、これがだんだん進んでまいりまして、いよいよ世界が原子力船実用化時代に入ってきたという場合に、第二船を日本としてはどうするのか、この原子力船事業団でつくるのか、それとも民間でそれぞれ思い思いにつくるのかという問題をいろいろディスカスしましたが、その際、委員の皆様のほとんどの意見は、いまの段階でそれを判断するのは少し早いんじゃないだろうかということで、言うなれば、いつからだれが第二船に着手するかということは決めませんで、ただ、それまでの、ただいまの原子力船事業団で蓄積したその技術、資料等を第二船にどういうふうに生かしていくか、結びつけていくか、人的なつながりをどうするかといったような問題が非常にむずかしいと申しますか、重要な問題でございますので、それに関しましては各委員とも、いま民間でいまから研究所をつくってどうといっても、これはなかなか困難なことでもありますので、どうぞひとつ原子力船事業団で実験を深めつつ、そういう第二船等に対する、将来の原子力に対する研究を進めてもらいたい。言うなれば、それの延長線として研究所的な性格を強めてもらいたいという意向が実は非常に強うございました。いまの段階ですぐそういうふうに変えますという断言はできませんけれども、非常にそういう希望が強かったことだけは申し上げておきたいと思います。
#92
○小宮山委員 私の申し上げたいことは、人事もかわったからよろしゅうございますけれども、いままで原子力船事業団の機構、陣容等に大変問題があったということも踏まえて申し上げておるわけで、その辺も大臣御理解いただいて、今後ともその行政監督を十分やっていただきたいと思います。
 話はずっと変わりますけれども、最近アメリカ、ヨーロッパでは、がんの治療にパイ中間子の研究が大変行われております。実際、諸外国では臨床実験も行われておりますけれども、日本ではまだそのようなことは行われてないやに聞いておりますので、この辺については、科学技術庁等は、パイ中間子の臨床実験についての研究を今後とも進めていくのか、またやりたいと思っているのか、その辺をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#93
○山野政府委員 御指摘のマイナスパイ中間子というものの重要性というのは、私どもも十分に考えておりまして、実は昭和五十一年度におきます私どもの方の平和利用委託費という研究開発の資金をしかるべき機関に交付いたしまして、本件についての研究を強力に進めてまいりたいと考えております。
#94
○小宮山委員 終わります。
#95
○中村委員長 次に参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。原子力船「むつ」に関する問題調査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、参考人の人選、出頭の日時等につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 次回は、来たる十九日に開会することとし、開会時間は追って公報をもってお知らせいたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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