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1975/05/19 第77回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第077回国会 決算委員会 第7号
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1975/05/19 第77回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第077回国会 決算委員会 第7号

#1
第077回国会 決算委員会 第7号
昭和五十一年五月十九日(水曜日)
    午前十時五十四分開議
 出席委員
   委員長 村山 達雄君
   理事 中尾  宏君 理事 萩原 幸雄君
   理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君
   理事 久保田鶴松君 理事 原   茂君
   理事 庄司 幸助君
      宇都宮徳馬君    大石 武一君
     橋本登美三郎君    高田 富之君
      浅井 美幸君    林  孝矩君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 桑原 敬一君
        労働大臣官房会
        計課長     谷口 隆志君
        労働省労働基準
        局長      藤繩 正勝君
        労働省婦人少年
        局長      森山 真弓君
        労働省職業安定
        局長      遠藤 政夫君
 委員外の出席者
        運輸省海運局定
        期船課長    熊木 藤吉君
        運輸省船員局船
        舶職員課長   新谷 智人君
        労働省労政局労
        働法規課長   松井 達郎君
        会計検査院事務
        総局第三局長  小沼 敬八君
        決算委員会調査
        室長      東   哲君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十九日
 辞任         補欠選任
  坂井 弘一君     林  孝矩君
同日
 辞任         補欠選任
  林  孝矩君     坂井 弘一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算
 昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算
 昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和四十八年度政府関係機関決算書
 昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和四十八年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (労働省所管)
     ――――◇―――――
#2
○村山委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、労働省所管について審査を行います。
 まず、労働大臣から概要の説明を求めます。長谷川労働大臣。
#3
○長谷川国務大臣 労働省所管の昭和四十八年度決算について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計の歳出決算について申し上げます。
 歳出予算現額は一千七百八十四億六百五十七万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額一千七百八十四億百七万円余、前年度繰越額五百五十万円となっております。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額一千七百五十三億六百四万円余、翌年度繰越額八千五百八万円余、不用額三十億一千五百四十四万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものについて申し上げますと、失業保険費負担金及び失業対策事業費等であります。
 これらの経費は、失業保険法に基づく失業保険給付等に要する費用の一部負担及び緊急失業対策法に基づき実施した失業対策事業に要したものでありますが、このうち、失業対策事業の主な実績は、事業主体数六百五十九カ所、事業数三千二十七、失業者の吸収人員一日平均十万二千人となっております。
 なお、不用額の主なものは、職業転換対策事業費等であります。
 次に、特別会計の決算について申し上げます。
 まず、労働保険特別会計について申し上げます。
 この会計は、労働保険特別会計法に基づいて昭和四十七年度に設置されたものであり、労災勘定、失業勘定及び徴収勘定に区分されております。
 初めに、労災勘定について申し上げます。
 歳入につきましては、歳入予算額四千二百七十七億九千二百三十三万円余に対しまして、収納済歳入額四千七十一億二百六十四万円余でありまして、差し引き二百六億八千九百六十八万円余の減少となっております。これは、徴収勘定からの受け入れが予定より少なかったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額四千二百七十八億一千三百三十六万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額四千二百七十七億九千二百三十三万円余、前年度繰越額二千百三万円余であります。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額二千百四十九億四千九百四十五万円余、翌年度繰越額七億四千四百九十一万円余、不用額二千百二十一億一千八百九十八万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものは、労働者災害補償保険法に基づく保険給付に必要な経費及び労働者災害補償保険事業の業務取り扱いに必要な経費等であります。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 保険給付の支払い件数は四百五十八万三千件余、支払い金額は一千八百三十億七百三十五万円余となっております。
 なお、不用額の主なものは、予備費等であります。
 次に、失業勘定について申し上げます。
 まず、歳入につきましては、歳入予算額四千八百十九億五千七百九万円余に対しまして、収納済歳入額四千八百五十一億八千百三十六万円余でありまして、差し引き三十二億二千四百二十七万円余の増加となっております。これは、徴収勘定からの受け入れが予定より多かったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額四千八百十九億六千四百八万円余でありまして、その内訳は、歳出予算額四千八百十九億五千七百九万円余、前年度繰越額六百九十九万円余であります。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額四千百八十三億九千四百十七万円余、翌年度繰越額二億九千八百二十四万円余、不用額六百三十二億七千百六十六万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものは、失業保険法に基づく保険給付に必要な経費及び失業保険事業の業務取り扱いに必要な経費等であります。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 保険給付の平均受給者実人員は、一般失業保険五十二万七千人余、日雇失業保険十四万人余でありまして、支給金額は、一般失業保険二千五百三十六億七千九百二十万円余、日雇失業保険七十九億二千百十七万円余となっております。
 なお、不用額の主なものは、予備費等であります。
 次に、徴収勘定について申し上げます。
 まず、歳入につきましては、歳入予算額六千六百十一億三千三百四十一万円余に対しまして、収納済歳入額六千四百六十一億二千五百八十七万円余でありまして、差し引き百五十億七百五十四万円余の減少となっております。これは、適用労働者の増加が予定より少なかったこと等により、保険料収入が予定を下回ったこと等によるものであります。
 次に、歳出につきましては、歳出予算現額及び歳出予算額とも六千六百十一億三千三百四十一万円余であります。このうち、予備費使用額は一億二千百五十七万円でありまして、これは主として業務取扱費の経費であります。
 この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額六千四百六十億二千八百七十七万円余、不用額百五十一億四百六十四万円余で決算を結了いたしました。
 支出済歳出額の主なものは、労災勘定及び失業勘定への繰り入れに必要な経費であります。
 この事業の実績の概要について申し上げますと、労災保険適用事業場数百五十三万二千余、労災保険適用労働者数二千八百七十六万二千人余、失業保険適用事業場数八十五万八千余、一般失業保険適用労働者数二千二百九十八万八千人余、日雇失業保険適用労働者数二十一万三千人余となっております。
 なお、不用額の主なものは、他勘定への繰り入れに必要な経費等であります。
 最後に、石炭及び石油対策特別会計のうち、労働省所掌分の炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費の歳出決算について申し上げます。
 歳出予算現額百九億四千七百六万円余でありまして、この歳出予算現額に対しまして、支出済歳出額百六億八千七百万円余、不用額二億六千六万円余で決算を結了いたしました。
 この事業の実績の概要について申し上げます。
 まず、炭鉱離職者援護事業につきましては、移住資金四千百四十二件、雇用奨励金五千四百二件でありまして、支給金額は、移住資金二億四千二百七十九万円余、雇用奨励金三億五千九百十六万円余となっております。
 次に、炭鉱離職者緊急就労対策事業につきましては、事業主体数四十六カ所、事業数三百一、吸収人員延べ八十二万一千人となっております。
 また、産炭地域開発就労事業につきましては、事業主体数四十八カ所、事業数百七十一、吸収人員延べ七十四万三千人となっております。
 なお、不用額の主なものは、炭鉱離職者援護対策費であります。
 以上が、労働省所管に属する昭和四十八年度一般会計及び特別会計の決算の概要であります。
 なお、昭和四十八年度の決算検査報告において掲記されております事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存じております。
 これらの御指摘事項につきましては、鋭意改善に努め、今後、このような御指摘を受けることのないよう一層の努力をいたしたいと存じます。
 以上をもちまして、労働省所管に属する一般会計及び特別会計の決算の説明を終わります。
 よろしく御審議のほどを、お願い申し上げます。
#4
○村山委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。小沼会計検査院第三局長。
#5
○小沼会計検査院説明員 昭和四十八年度労働省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。
 検査報告に掲記いたしましたのは、不当事項二件でございます。
 検査報告番号一〇四号は、労働者災害補償保険事業における建設工事等の有期事業に係る保険料の徴収に関するもので、保険料算定の基礎となる請負工事費の把握が適確に行われなかったなどのため、保険料の徴収が不足しているものでございます。
 検査報告番号一〇五号は、失業保険事業における給付に関するもので、保険受給者が再就職しているのに、引き続き失業保険金を支給していたなど給付の適正を欠いているというものでございます。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
#6
○村山委員長 これにて説明の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
#7
○村山委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
#8
○森下委員 私は、労働大臣には最後にまとめて御質問したいと思います。
 初めに、失業保険金の不正受給について、会計検査院並びに労働省両当局に御質問をいたしたいと思います。
 まず、会計検査院にお尋ねいたしますが、昭和二十六年度以降、毎年繰り返し失業保険金等の不正受給が不当事項として検査報告の中で指摘されております。これによりますと、毎年調査対象受給者の四%前後が失業保険金や就職支度金の不正受給を行ったことになっておりますが、検査院はどんな方法で、これだけ高率の不正受給を発見されておりますか。それから調査対象の選定方法、調査のやり方など、検査の概要について簡単に御説明を願いたいと思います。
 それから、会計検査の方で非常に程度の高い不正の指摘があるわけでございますけれども、やはり労働省自体も、この監査組織、制度があると思うので、労働省の方の不正受給の調査の実態、方法とか結果についても、時間の関係で簡単に両当局から御説明を願いたいと思います。
#9
○小沼会計検査院説明員 ただいま御指摘の点につきましては、本院といたしましては、あらかじめ検査計画を立て、検査計画に基づいた施行計画に基づきまして、最近の例でございますと、年間約九百人日程度の調査員の派遣を実施しております。一方、庁内にありましては、計算証明に基づきますところの関係証拠書類を常時調査官等が検査に当たって、内容につきましては、やはり給付の内容関係の書類が適正に整備されているか、たとえば二重の帳簿等がつくられておるというような事実の有無、給付の内容についての適否等につきまして、それぞれ各都道府県にわたりまして書面の検査並びに先ほど申しました実地の検査により、その挙証の根拠並びに実態、計数、検査の結果の額の確認、それらのことを実施してまいっておるわけでございます。
 その後、本院に戻りましてから、内容その他につきまして十分に慎重審議いたしまして、ただいま申し上げましたように、四十八年度につきましては四十九年中にその審査を経まして、最高会議を通しまして報告に至ったものでございまして、計数については十分これを吟味して報告いたしておる次第でございます。
 以上でございます。
#10
○遠藤政府委員 失業保険金不正受給につきましては、しばしば関係方面から御指摘を受けておりまして、こういう不正受給が起こりませんように、この制度の趣旨、手続等につきまして受給資格者、事業主に対します周知徹底をいたしますと同時に、手続等について適正な処理をいたしますように指導を強化いたしておるわけでございます。と同時に、労働省本省、地方それぞれに監察官を配置いたしまして、安定所の窓口担当職員と一緒にこういった実地監査、指導等を強化いたしますことによりまして、こういった不正受給の防止に努めておるところでございます。
 しかしながら御指摘のように、残念ながら不正受給がまだ後を絶つに至っておりませんが、五十年度から失業保険金の受給手続が新しく雇用保険制度に変わったわけでございますが、この保険給付の支給に当たりましては、コンピューターシステムを導入いたしまして、中央のコンピューターに登録されております就職の資格取得、それから資格喪失との関係を全部照合いたすことによりまして、不正受給を未然に防止するように措置をとってまいっております。と同時に、残念ながら不正受給が起こりましたものにつきましては納付命令の運用基準を定めまして、これによりまして、そういった措置が厳正に講じられますように処理をいたしておりまして、こういったことによりまして未然防止対策を強化すると同時に、不幸にしてこういった事態が起こりましたものにつきましては厳重な措置をとる、こういうことによって今後一層不正受給の防止に努めてまいりたい、かように考えております。
#11
○森下委員 五十年四月から雇用保険法に変わって、法の精神が十分生かされるようになると思います。ただ、失業保険法が雇用保険法に切りかわる時点において対象者が制限されることになるために、支給受給者が殺到して、予算での予想人員二万六千三百九十五人に対して申請が約十五万六千人、予備費を百八十六億円も使用するに至った、こういうことが出ております。いわゆるすべり込み申請の中に制度を悪用したと見られる者も相当あったのではないかと言われております。
 これは本決算、四十八年度の分ではございませんけれども、五十年度の支給状況についての労働省当局の調査結果がどうなっておるか、これも簡単にお願いしたい。
 それから会計検査院の方には、今後の問題でございますけれども、この点、申請の増加等に対して重点的に十分調査をしてもらいたい、これは要望でございます。
 労働省のお答えからお願いいたします。
#12
○遠藤政府委員 昨年の四月、五十年四月に雇用保険法が新しく施行になりました。従来の失業保険法によります就職支度金の制度、これにつきましては、当委員会におきまして、また関係方面からもいろいろ御指摘がございました。この就職支度金制度が当初の制度本来の趣旨からいたしますと、所期の目的を果たし得ないような、機能し得ないような状態になっておるということで、新しい雇用保険法におきまして、この就職支度金制度を廃止いたしました。それにかわって、本当に就職の困難な中高年齢者その他につきましての常用就職支度金という制度に改めたわけでございます。その切りかえに際しまして、昨年三月末、年度末にいわゆる駆け込み就職と申しますか、そういったことで、旧法によります就職支度金の受給者が激増いたしました。いわゆる駆け込み受給というような形が出てまいりまして、それによりまして、予備費から百八十数億円の予備費使用というような事態が起こりましたことは御指摘のとおりでございます。
 これはいわゆる悪用かと申しますと、法律に基づきます制度に照らしまして、正規の要件を満たしておりますために、悪用というわけではございませんが、趣旨からいたしますと、これは一種の乱用といったようなことになるかと思います。法律の定めた受給要件に照らしますと、やむを得ない事態ではございますが、決して好ましいこととは考えておりません。しかし、その後新法になりましてからは、新しい常用就職支度金という制度に変わりましたために、こういったものは一切ございません。いわゆる本来の就職困難な中高年齢者その他についての常用就職支度金の制度が、法律に基づく適正な運用が行われている次第でございます。今後ともこういった乱用といったような事態が起こらないように十分処置をしてまいる覚悟でございます。
#13
○森下委員 法は最低の道徳と言われております。そういうことで法の盲点をくぐって、適法でございましても、社会保障制度の精神を考えました場合に、そういうことは許すことはできない。それはやはり政治は最高の道徳でございますから、そこでチェックをしなければいけない。いろいろ過去の法律、いわゆる失業保険法の中で、たとえば特殊な業種によっては転職、転職でうまく失業保険金をたくさんいただいておる。そこに同じ社会保障とか社会福祉の中で、いわゆる平等の精神から社会福祉とか社会保障というものができておるわけでございますけれども、平等の中の不平等ができておる。これはまことに残念な話でございます。今後そういうことがないように、ひとつ政治で、法律の温かい血を通わせてもらいたいと思います。
 それから不況下――かなり脱却しておりますけれども、やはり雇用問題、特に新しく学校を出た方々の就職問題、これは戦争で犠牲を受けた方のように一生つきまとう不幸の一つの汚点でございまして、これも非常にお気の毒なわけでございます。経営関係は損をいたしましても、次にもうければいいわけでございますけれども、学校を出て、希望を抱いて職を求めながら就職できない、そういうことから悪の道に走るとか、前途に希望を失う。これは、私は就職問題以前の問題であるというふうに思っております。
 それからもう一つの問題は、不況になって一番しわ寄せを受けるのは、やはり中高年齢者それから身体障害者の方々が、職場からボイコットされるケースが非常に多い。特に母子福祉関係の問題で、働ける体、働ける意欲を持ちながら、いろいろな制約のために就職の機会が非常に狭められておるという寡婦等の雇用問題、これは奨励金がついておるようでございますけれども、もう少し雇い入れをする方にも、いわゆる寡婦が安心して雇用されるような前向きの方法が何かないであろうかということを、私は後で大臣から御答弁を願いたいと思うのです。
 それから、社会保障問題と労働問題、過去の経済の発展過程を考えました場合に、ちょうどことしはアダム・スミスが国富論を書いて二百年ということが出ております。どうもアダム・スミスの国富論が、資本主義はけしからない、貧富の差が大きくなる、格差が大きくなるということで、百年前にマルクスが出まして平等論を書いた。しかし、これも少し統制的なことで、五十年前にケインズが両方足して二で割ったような一つの経済理論を考えたという歴史的な過程をたどっておるように、実はわれわれは承知しております。
 われわれは、人間の性は善であると思いたいのです。しかしながら、法が案外人間をだめにする場合がございます。最近非常に公正な自由競争の中で、いわゆる福祉とかまた社会保障の問題で、平等論も加味した非常に近代的ないまの政治の仕組みになっておるように私は思いますけれども、ややもすれば過保護によってせっかくの勤労精神をゆがめてしまうような、ときには堕落するような法の運用があるように私は実は思っておるし、まことに、これは残念なことでございます。そういうことで革新の市長会あたりでも、福祉のばらまきは少しおかしいじゃないか、社会保障にしても社会福祉にしても、いわゆる平等がかえって悪平等になっておる面もある、この見直しもしなければいけない、こういう論も出ておるくらい、労働行政につきましても、私はやはり労働は神聖であって、勤労精神は高く評価されなくてはいけない、それが不正受給によって、とにかく頭を使えば法の盲点を利用して、うまくもうけることがいいのだというような風潮はよくないと思います。
 そういうことを踏まえまして、ひとつ労働大臣から将来の労働行政、福祉問題、それから社会保障問題、それもひっくるめての御答弁をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#14
○長谷川国務大臣 アダム・スミスの国富論あるいはマルクスの資本論あるいはケインズの経済学、いろいろ時代によって変遷があろうかと思います。私は、いま世界的にやはりモデルがなかなかない時代、それはもうスタグフレーション下において、雇用が不安があって、しかも不況であっても物価が高い、こういうところに新しい模索が世界的に行われている、こう思っているわけであります。
 そういう中に労働省を担当する者といたしましては、何といっても近代工業国家というものは、この国会においても雇用ということが、景気の問題と同時に、物価の問題と同時にうたわれているということからすると、近代工業国家は雇用の問題は、やはり大事に考えなければならぬ。そんなところから、当委員会などにおいて過去に私たちがいろいろ御指摘を受けるようなことなどは、こういうときにこそ、責任を持ってしっかりやるということで大いに責任を痛感し、将来に向かって戒めていきたい、こう思っております。
 中高年齢、身体障害者等々のことも御心配いただきましたが、私はやはりいまから先は、日本はこういうところに特に重点を置いて考える必要がある。ほかの委員会あるいは国会において御審議いただいております中高年齢者というのは、どうも日本ではいまからは老人社会、こういうところになるものですから、こうした法律を、雇用率を設定するとか、身障者の場合にも、いままでは努力規定でございましたが、これを今度は法律化するというふうなこと等、あるいは納付金を納めることによって、こういう人たちの支出もやっていくというような考え方を持っておる次第でございます。
 そういうふうな一つ一つを御協議いただきながら、こういう時代に沿うようなことをやってまいりたい。まあ平等の中に、私はやはり考えるのは公正というものが大事だ、そういう自由の背景には責任が必要と同時に、やはり平等の背景には、どうしても公正が必要だ、このことが大事なこととして、いまから先も考えて施策をしてまいりたい、こう思っております。
#15
○森下委員 終わります。
#16
○村山委員長 原茂君。
#17
○原(茂)委員 最初に、今月の二日と四日に天竜川の船下り、観光事業ですが、ここで実は二十一人の客、十七名の客を乗せた船頭が、幸か不幸か船頭が転落して死亡してしまった。幸いに二十一名、十七名の旅客には何らの死傷はなかった。これは非常に幸いだったと思うのですが、お気の毒に船頭さん二名は二日と四日、珍しく続けて転落死亡という事故が実はあったわけであります。日本には犬山の日本ライン下りですとか、京都の保津川下りですとか、秩父の長瀞下りですとか、いまの天竜川下りですとかいうようなものがあるわけですが、無動力船といいますか、この無動力船に対する監督なりあるいは指導なり、責任ある行政官庁の法に基づく規定というものが残念ながらはっきりしないように思うのです。
 今回の場合は、労働安全衛生法の第九十九条の規定が適用されまして、ほかにないものですから、いわゆる操船技術が未熟であることなどから「労働災害発生の急迫した危険があり、かつ、緊急の必要がある」と判断し、事業者に対し作業停止措置を命じたものである。現在は、実はもうその解除の措置がとられて運航をしているのですが、約半月、十日前後運航休止の措置がとられました。そのとられたのは、労働安全衛生法の第九十九条の規定によって緊急、急迫という事情でとられた。
 そこで第一にお伺いしたいと思いますのは、労働基準監督署がこの種の事業に対して労働安全衛生法の第九十九条の規定による定期的な点検なり指導というものがなくていいのかどうかを、まず第一にお伺いしたい。この法文の解釈というのは、そういった緊急の事態が起きたときに、その後に適用することが前提だとおっしゃるか、ひとつその解釈をまずお伺いをしておきたいと思う。
#18
○藤繩政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生が御指摘のような大変不幸な事故が連続して起こりましたことは、非常に残念でございます。
 経過もいまお話しになったようなことでございますが、この関係の主として災害を未然に防ぐ法規関係あるいは行政関係はどうなっているかという趣旨のお尋ねでございますが、今回の事故におきましては、幸い乗客は事故がなかったわけですが、お客さんの方は御承知のように船舶安全法で一般的には監督をされておるわけでございます。
 今回の緊急措置につきましては、いま御指摘の労働安全衛生法の規定で措置をいたしました。しかしながら元来が実は労働基準法に基づく、あるいは昭和四十七年以降は労働安全衛生法に基づく規則でございますが、労働安全衛生規則というのがございまして、この五百三十二条に「事業者は、水上の丸太材、網羽、いかだ、櫓又は擢を用いて運転する舟等の上で作業を行なう場合において、当該作業に従事する労働者が水中に転落することによりおぼれるおそれのあるときは、当該作業を行なう場所に浮袋その他の救命具を備えること、当該作業を行なう場所の附近に救命のための舟を配置すること等救命のため必要な措置を講じなければならない。」という規定がございまして、労働安全衛生法上の規制が行われているわけでございます。
 そういうことでございますので、労働基準監督署といたしましては、こういった事業場といえども、これを監督指導をする責任があるわけでございまして、現に私ども所轄の監督署では、五十年の二月三日に、実は監督をいたしておりまして、このときは主として労働条件につきまして、時間外労働の割り増し賃金の未払いあるいは就業規則等の変更届がないとか、賃金台帳の備えつけがないとか、それから定期健康診断が行われていないとか、いろいろな違反が発見されて、これは是正勧告をいたしたところでございます。
 そういうことで、一般的には私ども監督の責任があるわけでございますが、今回の措置は、いわば突発的な事故という形で起こりまして、まことに不幸でございました。そこで緊急事態といたしまして安全衛生法の規定に基づき作業の停止を命じた、こういうことでございます。
#19
○原(茂)委員 そこで、いまの基準監督署の責任と言っては大きくなるかもしれませんが、やはり問題があるのじゃないかと思うのです。いまも局長が言われたように、五十年の二月三日に、確かに監督署が行っていますが、その場合にも、いわゆる残業等に関する時間外賃金の問題が主で行ったのであって、この種の仕事をやっている事業場に対する、労働者に安全衛生というものを基準にして定期的に、またはそれがテーマで基準監督署はやはり指導をし、監督をするという義務があるのではないかと思うのですが、この点はどうなんですか。
#20
○藤繩政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、特に最近の労働基準監督の中では、安全衛生の占めるウエートは非常に高いわけです。建設現場などについても濃密な監督を行っておりますし、それから最近ではいわゆる職業性疾病、六価クロムでありますとか、塩化ビニールでありますとかいろんな問題が出てきておりまして、監督署も非常に多忙をきわめているわけでございますが、こういういわば遊覧施設でもございまして、どっちかといえば、工場なりあるいは建設現場の監督にどうしても重点が行きがちだという点が残念でございますが、この事業場につきましても、先ほど申し上げましたように監督を行いましたし、それから先ほど御説明申し上げました労働安全衛生規則に基づく措置といたしましては、救命具を備えるということが一つの法定条件になっておりまして、これは救命具は一応あったということを私どもとしては確認をしているわけでございます。
 しかし、こういった事故が起こりまして、先ほど申し上げましたように作業停止を命じました。その後さらに本事業場につきまして、救命具の着脱訓練の実施あるいは操船技術についての教育訓練の実施、業務体制の再点検というようなことを厳しく言いまして、これを確認いたしましたので、五月の十四日に作業停止を解除した、こういうわけでございまして、おっしゃるように平素から安全衛生の側面で、特に日ごろの教育訓練ということが非常に大事でございます。こういう不幸な事故を契機に、こういった事業場に対しましても手落ちのないように、今後さらに一層監督指導を強化してまいりたいというふうに思うわけでございます。
#21
○原(茂)委員 今回の遺憾な事件に関して、やはり労働基準監督署にその意味においては責任もあり、ある種の手落ちがあったというように私は見ているわけです。自今こういうことのないような、十分な国の指導をやっていただかなければいけないと思いますが、そこで、いまも措置として救命具の備えつけというような言葉が出ました。あるいは五百三十二条による、その場所に救命具等の備えつけを行うと言っているのですが、脱着訓練をやったそうですか、単に備えつけというんじゃなしに、やはり着衣じゃない、何というのか知りませんが、船頭なんかは落っこっちゃったから備えつけたところに取りにいくなんて、それなら生きているわけですから危険はない。
 したがって身にくっつけるということ、このことを指導をし、規定づけるべきじゃないかと思うのですが、どうもただ備えつけという言葉、それからそれと離れて、訓練には脱いだり着たりする訓練をしているということは、その間考えてみると、落っこったような危険があったときに、船の中に取りにいって、またそいつをくっつけるんだ。だから備えつけという言葉ではなくて、船頭に関する限り、この種の事件があったのですから、私は、着衣といいますか、救命具を身にくっつけるというような指導がないと、自今まだ起きる危険があると思う。つけたり脱いだりする訓練は幾らしたって、備えつけということでぼやけていると、私はどうもまだまだ危険があるんじゃないかというように思いますが、どうですか。
#22
○藤繩政府委員 この点も先生おっしゃるとおりでございまして、この事故を契機にいたしまして現在の規定が十分かどうか、もう一遍検討してみたいというふうに思いますけれども、実は一般的に申しまして、この安全衛生の場合に、先ほど六価クロムや塩ビの話も申し上げましたが、たとえば防毒マスクをつけるとか手袋なり防じんマスクをつけるとか、いろんな規定がやはりたくさんございます。事業場を監督いたしますと、りっぱにマスクがあり洗浄室があり手袋があるという状態があるのですが、おっしゃるように、これを実際に使うかどうかということがポイントでございます。
 安全衛生法では、事業主に大きな責任を課し、罰則もつけて強制をいたしておりますけれども、実は労働者にも罰則つきで強制をいたしておりまして、この点は、それぞれの現場における事業主あるいは労働者、その方々が、まず、みずからの生命を守る、健康を守るということで、その気になっていただきませんと実効がなかなか上がりにくいという点がございます。そういうことで、この事業場につきましても、重ねて事業主あるいは船頭の方々にも御注意を申し上げたいと思いますが、しかし、なお規定のあり方等につきましても検討させていただきたいというふうに思います。
#23
○原(茂)委員 そこで基本問題に入るのですが、無動力船ということで監督官庁がはっきり決まって、基本的な法規は何によるというようなことを考えてみますと、どうもこの点が余りはっきりしていない。強いて言うなら海上運送法ですか、その「旅客定期航路事業」というものに相当するんだという考えで法的な基準を求めていかざるを得ないのではないかと思いますが、この点どうですか。無動力船、櫓やかいによってのみ運航をする五トン以下のこの種のものに対して的確にびしっと、これに対してはこういう法律でやるんだということをひとつ教えていただきたい。運輸省から来ていますが、どちらからでも結構です。
#24
○熊木説明員 御説明いたします。
 海上運送法におきましては四十三条におきまして、櫓かいのみをもって運航するものについては現在適用除外になっております。先生御承知のように、海上運送法はその目的が、海上運送事業の健全な発達を図って公共の福祉を増進するという公共性にかんがみまして、事業の免許制または許可制、それから運賃、料金、それとか運送約款それから運航ダイヤ、それについての認可制という事業規制が行われておりますが、櫓かいのみをもって運転する船というものを使用して行われております事業につきましては、ほとんどが一杯船主等小規模なものが多く、いろいろ質業規制を行うほどではないという形で現在適用除外になっているかと思います。そういうことでございますので、現在のところ海上運送法を適用して、ろかいのみをもって行う事業について、これを適用するということは、現在のところは海上運送法上は考えておらないわけでございます。
#25
○原(茂)委員 ですから、たとえばいまの海上運送法でも、十三人以上運ぶ動力船に許可申請を義務づけるというのが主たる目的ですね。したがって、無動力船については許可申請は必要としないということになる。あるいは船舶職員法では、河川あるいは湖沼などで五トン未満の動力船を運航する場合、操縦士は四級小型船舶操縦士免許が必要だが、無動力船は対象外になっている。わずかに船舶安全法によって二年に一回の船体検査、乗客の定員と同数の救命胴衣などを積むように義務づけているだけというふうに調べてみるとなっているのです。したがって、先ほど言った今回の営業停止というのも、労働安全衛生法の第九十九条によって、とりあえずの措置はしたというようなことになっているのですから、そのどれをとらえても的確でない。
 たとえば、この天竜川の舟下りでも去年一年間で約十九万人運んでいる。これは年々歳々ふえていくのです。その船頭さん、あるいはその無動力船そのものを監督し、指導し、規制をするという法律の根拠が的確でない、これは重大問題だと思います。しかも全国ではどのくらいになるか知りませんが、保津川あり、長瀞あり、日本ラインあり、何ありというのを調べてみますと、あるところでは動力船というものを使用しているために、的確に法の適用を受けているラインあるいは個所もある。しかし、大部分はそうなっていない現状を考えると、天竜川だけで十九万人もとにかく輸送されているということを考えると、非常にぞっとするような感じがします。
 したがって、これに対しては的確な、いまもいわゆる欠陥は申し上げたわけですが、今後やはり基準法を新たにつくって、そして十二分な許可制度、認可制度、あるいはその船を操作する船頭等に対する法律的な義務づけなどが十分に行われるようにしなければいけないと思うのですが、この点は大臣から、ひとつ的確な御答弁をいただきたい。
#26
○長谷川国務大臣 私は、まだ天竜下りをやったことはないのですが、テレビではよく見ておるのです。それだと、お客さんが前と後ろに黄色い浮き袋をやっているのですね。船頭さんの方もやればいいのだろうと思うのですが、やはり熟練工のつもりだろうし、かっこうがいいというふうなこともあるのだろうと、私はその事故が起こった瞬間に考えたのです。しかし法律的に、脱着訓練とかなんとかというのは、きょう初めて聞いたことですが、これはいずれにしましても、働く諸君がそういう事故を起こすことは大変なことでございますので、所官が運輸省でございますけれども、私の方でも寄り寄り研究してみたい、こう思っております。
#27
○原(茂)委員 運輸省どうですか。
#28
○新谷説明員 船舶職員課長でございます。
 先ほどの先生の御指摘のとおり、櫓かいのみをもって運転する船舶の場合以外は、船舶職員法に基づきまして海技従事者の免許が要求されております。動力を持ちます船舶の場合には、その機械の操作に非常にふなれな十分な知識を持たない人がそういう船舶を操縦しますと、非常にスピードも速いせいもあって、あるいは機械の取り扱いいかんによっては暴走したりする危険もある、そういったようなことで、全国的な、統一的な一つの資格を要求しているわけでございます。
 しかし、こういう櫓かいのみをもって操縦される船、あるいは天竜下りというような、その地域の河川に非常に特殊な技術が要求される、そういったようなものについては、全国的な、統一的な基準によって資格制度を要求するというのは、どうもなじまないのではないか、むしろ個別的内容、具体的な事情に従った指導、そういうことが適当ではないかというふうに考えられますものですから、いまのところ、そういったものについては職員法を適用しない、そういうようなぐあいに考えておるところでございます。
#29
○原(茂)委員 そういった考えでいくから、結論的に、いまの法の不備を補って、新たに大至急に、やはり法の整備を行うという方針で検討してもらわなければいけないと思うのですが、どうですか。
#30
○新谷説明員 先ほど申し上げましたとおり、これは地域の非常に特殊な態様に依存する場合が非常に多うございますので、資格制度につきましては、一つの統一的な基準でやるということはむずかしかろうというように、ただいまのところ考えております。
#31
○原(茂)委員 たとえば、たくさん言っている時間はないのですが、海上運送法の施行規則に「運航管理規程の基準」というのがあります。その第七条の二の二項に「船舶の運航の管理を行なおうとする一般旅客定期航路事業に使用する旅客船のうち最大のものと同等以上の総トン数を有する旅客船に船長として三年又は甲板部の職員として五年以上乗り組んだ経験を有する者」でなければ、この運航管理者たる資格はないということがあります。今度のような事件を考えたときに、やはりこういったことを船頭といわれる労働者に、法律による義務づけを行わない限り、問題の抜本的な解決にはならないと思うのです。
 したがって、いまの答弁ではっきりしないのですが、この種の法律的な各法の整備を行って、無動力船五トン以下、十三人以下あるいは二十人以下というような、この種の舟下りをやる船に関して、あらゆる角度から別途基準あるいは規定が設けられるようにしないと、やがていつか旅客に迷惑がかかるような事態になると思うので、そういう点でもう一度明確に、そういった法の整備を行ってやるという方法をお考えかどうかを聞いておきたい。
#32
○熊木説明員 いまほど先生の方から運航管理規程のお話が出ましたが、運航管理規程及び運航者の点につきまして、これは昭和四十五年ごろにカーフェリーの関係で、船ではなくて、陸上サイドの積み込みの関係で、車が海に転落した事故がございました。そういう形で、船の運転というより、むしろ陸上サイドでのアプローチのことから運航管理ということが問題になりまして、海上運送法の改正が成ったわけでございます。
 あくまで、大きな船でやっているという場合に陸上といろいろな連絡をとらなければならない、そういうことを中心といたしまして、現在の運航管理者はこういう資格の人が適当であるという形で省令がなっておりまして、一杯船主と申しますか、船頭が実際にその海流の状況とか、それからそういう船の流れの状況、それを見て判断するということにつきましては、海の場合は、船長その他船の資格者にすべての判断が任されておりまして、ちょっとこの運航管理規程というか、そういうものを適用するのは、一杯の櫓かいのみをもってする者については、なじまないような気がいたしておりまして、海上運送法の適用については、その事業規制という目的からもなじまないのではないかというのが私、担当官としての考え方でございます。
#33
○原(茂)委員 いま私が言ったのは、たとえばという例で言っているのですよ。この種の船頭にも、ある程度法の規定がきちっとしてあって、そういう人でなければ船頭として運航してはいけないというようなものなんですね。この管理規程と同じようなもの――このことを論議しているのではないのです。ただ、こういうようなものが整備されないと、これは労働者には大変ですけれども、人命を預かっているのですからね。しかし、先ほど言ったように何法、何法、何法を見ても、みんな的確でないし、一つもないのですから、したがって新たに、この法の整備を行うということがはっきりしない限り、とりあえず、とりあえず、でやっている間に、乗客等の生命に大きく危険を及ぼしたときの責任は、一体どうなるのかということを、こういうときに考えなければいけない。
 ですから、課長さんで答弁できないのかどうか知りませんが、その方向でこれから検討することにしてもらわないと困るので、できなければ労働大臣から運輸大臣にはっきり伝えてもらう以外にない。こんなものをこのままで、法はちっとも的確でないが、とりあえずこうする、とりあえずこうするでおざなりに過ごしておくべき問題ではない、こう思うのですが、どうですか。
#34
○長谷川国務大臣 この委員会であなたからこういう話の出たこと、また、事務当局の考えなどもあることだと思います。私の方からも運輸大臣に申して、参考にできるならばしたいと思います。
#35
○原(茂)委員 船下りの問題は、それで終わります。
 次に、去年の八月八日に、同盟の天池さんと労働大臣が会談をしたときに、雇用行政の一元化をやろうという大臣からの発言がありまして、そのために、雇用問題の審議会は七つあるけれども、これを緊急に一元化整備をして、そのうちの五つは雇用審議会の部会として今度は系統立てていく、あとの二つに対してはどうのというような労働大臣の構想らしいものが述べられて、大きく関係者は期待したわけですが、何か労働大臣のあの当時の意向でいうと、ことし、この国会あたりに新たに雇用庁というような構想も法改正として出しながら、七審議会の一元化を図って、労働行政全体の一元化に資していきたいというようなきわめて明快な、いい方向が出されているわけですが、その後これはどうなっていますか。この国会に残念ながら法律改正が出ていないので、ひとつその後の考え方と今後の見通しを……。
#36
○長谷川国務大臣 こういう低成長になった場合には労働省の仕事が非常に重要でございますから、いろいろな面で物を新しく考える向きが必要だと思っております。そんなことなどが同盟の天池氏からも話があったときに出たことを記憶するものであります。役所の内部でもいろいろ研究などもしておりますが、といって、いまのところ機構を全体的にいじることが、果たしてその方が能率が上がるのかどうかというふうなこともございますし、それから、こうしたときにまた機構を拡大するというのもおかしいのじゃないかというふうなこともありますが、いずれにいたしましても、総合的な問題について、いまから先も検討だけはしてみたいというふうに考えておりまして、まだ煮詰まったものは一つもございません。
#37
○原(茂)委員 雇用庁構想というものは、まだ大臣の中には生きているのですか。
#38
○長谷川国務大臣 一時新聞などに雇用庁という記事などが出まして、それはいろいろな問題を中で考えている、そのうちの一つだったろうと私は思うのです。私のところにまでは、それは当時上がってこなかった、そういうふうに審議会の問題だ、いろいろな問題だで考えている向きはありますけれども、役所としては固まったものとして、私のところに相談がないということが現状でございます。
#39
○原(茂)委員 じゃ、また構想ができたら発表していただくよりしようがないと思います。
 次に、別の問題をお伺いしたいのですが、最近の経済情勢と雇用の情勢、それから使用者と被使用者の関係等からいきまして、現在の賃金制度、支払い制度というようなものが、日本の場合には、かつて時時代に禄高制度というのがあって、四公六民といいますか、配分をされて、二百石だ三百石だというので、ちょうど年俸、一年に一遍しか米ができないから年俸になったわけですが、その名残がずっと明治になっても続いて、高級官僚などは年俸制度というのがある時期まで続いていたわけですが、これは太政官令で、明治四年ですか、廃止になって、月給制というものが採用されたわけです。
 今日になって、三菱商事などを中心にして年収制というのが実施されているわけです。たとえば年額幾らというのを決めますと、その六割を十二等分して毎月の月給みたいに払って、残りの四割を二期に分けてボーナスという形で払う。年俸というものは一年にばっと決まっていますから、したがって、景気のいいときは別ですが、いまのような状況になってくると大変従業員の側から言うと何か安定して、いつボーナスがどのくらいになるかわからないとか給与が下がるとか下がらないとか、いろいろな不安がある状況が来ると、この年収制、年俸制というのが実施されている従業員にとっては、これはよかったと、こういった安堵感らしいものを与えられているので、日本の今後の賃金の支払い形態というものを考えたときに、そろそろ現在の月給制という制度と年収、年俸制というのが現に、たとえば三菱のごときはもう満二年になるのですが、ほかにもソニーがやったりいろいろしています。
 ですから、そういう事例を労働省は先に調べておいて、今後のいわゆる低成長下における、当分の間これは続くと思いますが、こんな状況の中で月給制あるいは年収制、年俸制といったようなものをそろそろ考えて、問題になったときの指導性というものもつくっておく必要があるだろうから、きょうこの問題に関して、今後そういう方向に行くことが望ましいとか望ましくないとか、あるいは、そういった傾向にあるとすれば、その問題のいいところは、こういうところにあるから、したがって好ましいとか何だとかいうような意見が労働大臣からお聞かせいただけるように、今後の一つの方向を、ある程度行政官庁としても指導的な立場で検討をされる必要があると、こう思いましたので、この所見、感懐をお伺いするようにということを事前に通告しておきましたから、大臣から考えをひとつ……。
#40
○藤繩政府委員 実務的な側面かございますので、まず私から実情を御説明申し上げまして、それから大臣からお答えをいただきたいと思います。
 先生御承知の、いまお話がありましたような毎月の定期給与と夏、冬の一時金を合算をいたしました年間賃金を基礎といたしました改定のやり方というのが最近見られます。三菱商事、それからデパート関係なんかでもそんな例がございます。これの背景といたしましては、労働側の受け取り方は、毎月の賃金及び一時金の平準化に伴いまして、年間の生活設計と年間の総賃金を結びつける考え方が強まってきた。いま先生が御指摘のようなことだと思います。
 それからまた、使用者側といたしましても、企業の長期経営計画の中で年間のコスト管理の重要性が高まってきた、こういうことであろうと思うのでございます。どういう賃金決定方式をとるかは労使の間で決められるべきものであろうと思いますけれども、労働基準法では支払いについては毎月一回定期払いということがございますが、額の決め方については別に決めてないわけでございますから、おっしゃるように、今後労使間でいろいろ御検討なさるべきものであろうというふうに思います。
 ただ問題は、たとえばここまでいきませんときでも、一時金について年間臨給制度というものがかなり一時普及をいたしました。しかし、ここ数年のインフレの時期にとても追いつきませんで、年間臨給協定を破棄した組合も幾つかあったわけでございまして、非常に安定的な側面、ただいま先生がいろいろ強調されましたメリットの面があると同時に、経済情勢の変動が非常に激しいときには一種の足かせ、制約要因にもなるという面があろうかと思うのでございます。まあライフサイクルというようなことが言われている時代でもございますので、やはり長期安定的な方法が見出せればいいのではないかというふうに、私は事務的には考えております。
 おっしゃるように大変高度な判断にも属する問題でございますので、大臣からも一言お願いしたいと思います。
#41
○長谷川国務大臣 私は、日本人というのはなかなか知恵がある民族だと思うのですよ。たとえばイギリスが社会契約説をやりましても、それは労働組合の方が、インフレが激しいから契約を自然に破らなければならない。ですから、あなたのおっしゃるように、いまから、先の問題とすれば、私たちがやることは、やはり環境づくりでしょうね。物価を初め働く諸君の環境づくり、それと同時に、経営者に私の方から言わせれば、雇用についてしっかりやってもらいたい。それから労働者の立場からすると、値打ちのある賃金がずっと入ってくるような姿、こういうものを実は私は考えているのです。そういう中に、いまのような三菱商事などの話もありましたが、やはり一年より二年の方が安定していいわけでしょうけれども、やはり環境づくりの方が大事なんじゃないか。いずれにしても労使がやることですから、そういうものを見守りながら、そしてまたそれがどういうふうに発展していくか。これはやはり社会の安定、雇用の安定、物価その他環境の安定の中で行われるというふうな感じを私は持つのです。
 私も一遍どういうふうな実態であるか、改めて役所の中で研究してみたい、こう思っております。
#42
○原(茂)委員 先ほど局長の言われたように、確かに業績が安定しないと、これはなかなか実施が困難なことはそのとおりです。現在のボーナス制度というのは、やはり景気との間のいわゆる調整機能を果たさせる意味でこれが自由にできるわけですから、これは不況あるいは安定しない企業にとっては大変有効な作用をしていることは間違いない。ただ労働者の側から言うと、賃金カットでございますとか、交渉をした結果、ついにボーナスは全然出なかったとか、それから、あるいはこれは労使双方の問題でしょうが、年に三回団交だそれ何だということが一回で済むとか、いろいろなメリット、デメリットはあるに違いないのです。しかし、この年収、年俸というものが現に行われている実態だけは労働省もよく把握して、どの程度の業績なり経営形態、いままでの経過から言うとどんな業種、どんな企業、大だからいいとか中だからいけないということはないようでございますから、そういったものをよく検討し調べた上で、時によって年俸、年収制というもののプラス、マイナスを労働省としても、はっきり現段階において検討した上で、ある時期にこれを発表しながら、指導的な役割りを果たさせるようにすべきではないかと思うのです。
 その意味では、確かにいまのような労使の激しい紛争の解消の一助にもなるだろうと思いますし、これが公労協と言われる諸君に適用が可能かどうか、あるいは民間だけが可能なのかどうかといったようなことも、そろそろ検討しておきませんと、後になって追いかけ行政でやっていくことのないように、ぜひしてもらいたいものだという考え方で実は質問しているわけですから、ひとついま申し上げたように業種間の問題、過去の業績の問題、これが単に民間だけに適用されるので、公務員なり公労協には無理であるかどうかというようなことも、あわせてそろそろ検討しておいていただいて、ある時期には発表をしていただくようにすることが非常にいいのじゃないかというふうに私は思いますので、そういうことをやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#43
○藤繩政府委員 経済社会の発展に伴いまして賃金の形がどういうふうになっていくか、あるいは労働時間の形がどういうふうになっていくかというようなことについては、絶えず関係労使の方はもちろんですが、私どもも関心を持って対応していかなければならないと思います。いまお話しの年間総賃金制と申しますか、この問題もその一つだろうと思いますし、あるいは一ころ出ましたフレックスタイムというようなものの考え方もそうだろうと思います。これから特に安定成長に入りまして、そういうものがどういうふうになっていくかということは十分検討してみたいと思います。
 いずれにしましても、先ほど封建時代のお話も出ましたが、フレックスタイムにいたしましても、こういうものにいたしましても、どっちかと言えば管理層あるいはホワイトカラーというような者から、だんだん広がっていくという傾向を持つだろうと思いますが、私どもとしても現状をもう少し勉強いたしまして、お説のように、その功罪等について見解が発表できれば非常に結構なことだと思いますので、せいぜい勉強してみたいというふうに思います。
#44
○原(茂)委員 管理層だけでなくて、三菱の例は調べたと思いますが、すでに全社員に実施していますし、そういうところはたくさんありますから検討していただきたい。
 欧米の場合はステータスシンボルというか地位の象徴というか、何か年俸だということに誇りを感ずるような、世間的な地位を高めるような、そんな感じも含めて、もうずいぶん古くから大学卒、エリートコースの幹部だと言われる者がすでに年俸になっている。欧米なんかみたいな、ああいう社会でも、そんなことに誇りを持たせることがいいか悪いか別ですけれども、年俸であるということが何か誇りを持つというか世間的な地位を高めるというようなことにも使われているということを考えて、ソニーあたりは御存じの課長以上というようなところに実施してみたり、これもステータスを考えたのかどうか知りませんけれども、そういった国際的な事例、性格というものもひとつ検討して、労働省としてある時期にはその検討の成果というものを発表する。それがまた間接的にでもいいから、何か労使間の問題ができるだけスムーズにいく上で、年々行われているような三回にわたる闘争などというものの緩和剤になればというような意味で検討して発表をしていただくように、これは私からお願いをしておきます。
 それから次に、きのうの新聞に出ていましたが、飛鳥田横浜市長が春闘に関しての大担な考えなり提案をしております。これについても御意見をお伺いするからと申し上げておきましたので、これをお読みになっているかどうか知りませんが、まずその中で特に「ユーゴスラビアの公益自主管理評議会のように新しい方式が必要である」と考える。いままでのような単に春闘と言われるものが、ことしでもう三年国民春闘という銘を打って行われてまいりましたが、この国民春闘、去年、ことしにわたって、いま労働者側の方から敗北だという何か反省をしたり、批判が起きているようでありますが、こういったものを踏まえながら飛鳥田横浜市長が、ユーゴスラビアの自主管理というようなものを取り入れて考えていくような、そういう春闘というものを今後考えないといけないのじゃないかということを、これは読売だったと思いますが発表しております。ほかの新聞にもあったかどうか知りません。
 私、ここで大臣に二点先にお答えを願いたいのです。
 この国民春闘と言われました、去年、ことしと三回やってまいりました春闘の結果について、労働者側の評価とは別に国の行政機関としての立場ではどう評価していますか。それが一つ。
 それからもう一つ、ユーゴの自主管理というようなものに関しては検討されていると思いますが、日本にこれが適用される、あるいは適用していこうとすれば、する下地があるというふうにお考えになるかどうか、この二点を大臣から先にお伺いしたいと思います。
#45
○長谷川国務大臣 過去二回の結果について、私がどう評価するかということでございますが、やはりこれは民間労使が良識を発揮して、なだらかという表現もありますが、そういう意味では、この不況下の日本経済をよく認識され、組合の中でも、雇用か賃金かなどというふうな話の中で行われたことでして、低成長に軟着陸するような、いい線が出たのじゃなかろうかというふうに私は評価しておりまして、勝ったとか負けたとか、組合の諸君はそういうことを言うけれども、この国で飯を食っているんだから、労使で話し合ってやったことで、だれが勝ったとか負けたとかというようなことはないのじゃないか、私はこう申し上げているわけであります。
 ユーゴの問題については、私まだいまのところ詳しく存じませんので、もしなんでしたら、松井君からでも……
#46
○松井説明員 私の方から御説明するように大臣からお話がございましたが、私自身、まだユーゴの自主管理制というような制度については勉強いたしておりませんので、格別これについて申し上げる知識もございませんので、ユーゴの問題については御意見を申し上げることを差し控えさせていただきたいと存じます。
#47
○原(茂)委員 いまの国際的な労働者の経営参加あるいは自主管理等の問題を、日本の労働運動を考えたときに行政機関としてはやはり考えていく必要があるので、一応国際的なものをお調べいただいて資料をちょうだいしたいと言ったら、出されてきたのには確かにユーゴスラビアは入っていない。ただ、飛鳥田市長が物を言っておるのを中心に聞きますよと言ったから、ユーゴのことはきっと勉強したなと思ったのです。
 そこで、ユーゴの自主管理という評議会制度のことを全然知っていないのでしたら、その方は一応おくとして、国際的な問題としていろいろ学者が著書を出しておりますが、現在労働省として、日本における団交あるいは経営協議会等が規定をされて、労使の間で話し合いを進めながら、詰めながら――同盟系あるいは国際金属労連系がある程度諸外国の事例を取り入れたと思われるような発言をしたり、そういう動向というものが、すでにもう出てきているわけです。日本の場合、現在非常に大きなセンターである総評などが、いまだにこれに対する反応を示さないといいますか、同調をしないといいますか、していないわけですが、イギリスなりドイツなりイタリアなりフランスなりの、現在やっておりますいわゆる経営参加等の方式か、いま日本でとの程度――たとえばいま言った同盟その他で取り入れられていると判断をされておいでになるか、その点を、では先にお伺いをいたします。
#48
○松井説明員 お答え申し上げます。
 いま先生からお話がありましたように、経営参加と申しますか、あるいは労使協議と申しますか、これは西欧の諸国では、最近は非常に熱心にこの問題に取り組んでいると思います。御存じのとおり、ドイツが相当前から熱心にやっておりましたが、最近はイギリス、フランス等におきましても、このような方向で問題を取り上げようというような動きが出ていることは、新聞なり雑誌なりにもいろいろと紹介されているところでございます。
 私どもこの問題を考えます際に、バックグラウンドとしてひとつ大きく違いますのは、日本の場合には御存じのとおり企業別組合でございまして、西欧諸国の場合には労働組合の生まれましたもとは職業別組合であり、あるいは産業別の組合であるということから、企業に直接労働組合が入ってくると申しますか、参加していると申しますか、そういう面では労働組合運動のタイプがはっきり違っておるのではなかろうかと思います。ところが御存じのとおり、企業におきまして生じております問題は、単に賃金の問題あるいは労働時間の問題という共通的な問題だけではなくて、福利厚生とか安全衛生とか、場合によりましては、さらに企業の経営にどの程度組合が関与していくかというような問題、そういうように企業活動万般にまで労働者の生活が影響されてくるという面が出てまいりますので、特に最近は西欧の組合もこういうものに熱心になってまいったのではなかろうかと思います。
 それで、わが国の企業別組合につきましては、もともと企業の運命と申しますか、経営の状況につきましては、企業別組合は大きく影響されるような形になり、それが組合の運動なり方針なりにも響いてくるというような形がございますので、そういうようなバックグラウンドの違いがあるとは思います。しかしながら問題は単に労働者の生活、労働条件というだけを超えまして、経営の問題まで広がってきておるわけでございます。それで欧米の組合も企業内における福利厚生とか安全衛生とか、そのような問題をさらに超えて経営の問題にまで入ってきておるのではなかろうかと思います。
 このような観点に注目して、日本の組合におきましても同盟その他の組合が経営参加の問題を熱心に取り上げてきておるのではなかろうかと思います。これに対しまして、この経営参加の問題については批判的な考え方を持っている労働組合もあるところでございまして、私どもといたしましては外国の状況もよく調べ、あるいは日本の各組合の考え方がどんなふうに変わってきているか、さらにそのバックグラウンドになっております経営の実際というような点にも十分検討を加えながら、今後一体この問題に対するどのような対処の仕方が日本の実情に最も即したものであるかというような検討を進めてまいりたいと思っております。
#49
○原(茂)委員 いまのお話で西欧を簡単に言った中に、ドイツ、イギリス、イタリア、フランス等をひっくるめてお話があったと思うのです。おっしゃることは、おおむね妥当だと思うのですが、言われている中に何回か、よく調べ、よく調査をしという発言があるのですが、たとえばユーゴのごときは、二十六年という苦闘の歴史の中から、現在の自主管理評議制度というのはできたわけですね。特に私が関心を持って飛鳥田発言というのを、きょうお伺いしようと思ったのは、日本で、いまあるバロメーターではありませんが、相当程度参考にしていいなと思うのは、私は、検討した結果では、ユーゴのこの事例というものは相当程度日本に取り入れるときに、大変取り入れやすい要素がいっぱいあるという考えを持っておりますし、ドイツの経営参加の責任分担のあり方等を見て、ちょっと日本では行き過ぎて無理だ、これはやはりユーゴが一番いいのだというふうに、いままで検討した中で考えていたので、飛鳥田はなかなかいいことを言ったなと思いましたし、日本の労働行政の指導的な地位にある労働省が、当然この種のものは調査し、検討を十分しているだろうと思ったし、その期待で実はお伺いをしていたわけですが、どっこい、私や飛鳥田が一番いいなと考えているこのユーゴスラビアあたりの自主管理評議委員制度というものに対しては、検討しておりません。こんなことで日本の労働省が、この労働問題というものの非常に政治的なウエートの強い問題を考えているとは言えないと私は思いますので、この点は皆さんが大変怠慢だと思います。
 したがって、西欧と言われる一般の中に、やはりユーゴも加えながら今後大至急に検討をして、私はある種のものを、日本の現状とユーゴなり、あるいはドイツなりなんなりというものの行っている現在の方向というものを、それが総評だとか同盟だとか、あるいは中立労連だとか国際金属労連だとか、そんなことに拘泥しないで、日本の現状からいって好ましい今後の経営参加の方針というのは、こういうものじゃないだろうかというようなものは、大胆に労働省として出していいのじゃないかと思うのです。
 何もびくびくびくびくして、こんなもの言ったのじゃ総評からやられやせぬか、これを言ったのじゃ同盟から反発だ。こんなびくびく行政が、私どもが見ていると、労働省のへっびり腰がまことに遺憾なんです。いい悪いは別ですよ。われわれも大胆に批判しますから、やはり私は大胆に出していいと思う。
 国の労働者全体の幸せを考えた上で、これが保守党であるから、その性格がにじみ出してこようと、あるいは革新政党であったために逆の何かが出てこようと、やはり時の行政をつかさどる監督者の立場から言うなら、私は、大胆に労働省というのが、日本の好ましい労働運動の今後の方向というものを、ずばりと出されるようになってこないと、いつまでも、あっちでもこっちでもいろいろ暗中模索して試行錯誤をやっている、そいつを見ているうちに、一番いいのだけおいしくちょうだいしようみたいな、あるいは何か口を出せば、やられそうなというようなことを、あんまり大木に気がねする、天池に気がねする、何に気がねするなんてばかなことをいつまでもやっていない、いわゆる労働行政というものが、指針的な、やはり労働省のこうあっていいのじゃないかというものが大胆にいまこそ出されないと、それがたたき台になって結構なんですから、それで国会でも論議しようじゃないですかというようなものが、いまは出されていい時期がもう来ている。
 高度経済成長のパターンが非常に大きく変化しながら、低成長下における労働運動のあり方というものを、みんな模索している最中ですよ。国の行政機関としては十分な勉強ができるはずですから、諸外国の例を取り入れながら、日本の現実を踏まえた上で、こういう方向が現段階ではいいのじゃないか、あしたはこれがいいのじゃないかというようなものを出してこないと、私は大変国民的な損失になっているように思う。
 これはもう時間のロスから言っても、あるいは何とか闘争、何とか闘争というのをやっていて、そこのどこかに何か支障みたいなものがあると、それがだんだん解消されていくようなことだって、われわれの側、労働者の側から考えることがあり得るのですから、そういう意味では、やはりいまの混迷した状況というものに対する指導的な役割りというものも、誇りを持って、自負を持って果たしていい時期が来たと私は思う。従来の態度はへっぴり腰で、あっちにも気がねし、こっちにぶつかったら大変だというような態度だったように思うのですが、これは大胆なものを出す時期が来ていると思いますが、大臣、どうですか。
#50
○長谷川国務大臣 非常に示唆に富むお話いただきまして恐縮です。私も新しいものを模索し、ときにはそれを国民の前にお知らせしまして、お考えいただくという形でいままで行政をやってきたつもりでございます。早い話が、よその国は所得政策をやるから日本も所得政策だろうと一様に警戒したことがございますが、私は一切所得政策はやらない。戦争中統制経済でいかにわれわれは悩み、生産が上がらず、役人にいばられ、そうして逆に物は生まれなかったというふうなことやらで、所得政策などは、よその国が失敗したものを改めて日本は採用することはないということなども言ってまいりました。
 そういう意味からしますと、私は、労働省のレーパーアタッシェが各国にいま八名ほど行っております。こういう諸君から、そのときのアップ・ツー・デートの問題をわざわざ取り寄せておりますが、ユーゴは私も五、六年前に参ったことがありますけれども、そういう経済問題、労働問題まで手を触れておりませんでしたから、改めてそういう問題のあることなども、きょうは御披露いただきましたから、何でも日本人というのは新しいいいものを見つけて、それをお互い吸収していき、今日まで来た民族ですから、いろいろな問題について、いまから先も検討してまいりたい、こう思っております。
#51
○原(茂)委員 大胆な指針的なものを、やはりたたき台として出すというようにぜひやっていただく。
 いま大臣のお話の中の、所得政策は断固反対、こういうお話ですが、もう日本には、すでに日本的なある種の所得政策がうまくちゃんと浸透している。ガイドラインだ、何々ポストだというようなこともその一環なんで、私の見解から言うなら、もうすでに日本的な所得政策と言える部分が、すでに実施され始めている。これがこの三年来の春闘に相当大きな影響を及ぼしているのだ。及ぼしているそのものが所得政策の一環だというのが、私の見解で、これは争おうと思いませんが、そういうふうに私は解釈して、日本的な所得政策のあり方もやはり考えなければいけないな、だらだらだらだらとうまく入り込んでくるような状態、それを所得政策の一部と見ないで受けとめ、対応している、この労働界もよくないというような考えを私は持っていますので、したがって大臣の言うこと、そっくりそのままちょうだいはしないけれども、どうかひとつ指針的なものを日本の労働運動の現状に合わせながら大胆にひとつ出していただくように、これは大臣もやられる意思がおありのようですから、うなずいていますから、ぜひひとつ早急にやる時期が来ているのだということを重ねて要請をしておきます。
 それからもう一つ、最近の傾向を見ますと、総評、同盟、中立労連等の組合員数の増減を見たときに、総評がふえて同盟、中立労連が減っているんですね。この傾向はどういうふうに見ていますか。どういう理由でこうなるのでしょう。大変、きわめて顕著に総評が増、同盟、中立労連が減という状況になっていますけれども……。
#52
○松井説明員 お答え申し上げます。
 御存じのとおり総評には官公庁、三公社五現業の組合がかなり大きな勢力を占め、同盟には民間の勢力が大きなウェートを占めているわけでございますが、いま同盟が停滞しておるのではないか、総評の方がふえているのではなかろうかというような先生の御指摘がございました。私、いま統計数字をつまびらかにいたしておりませんが、総評系につきましては官公庁系、たとえば地方の自治体とかあるいは先生とか、そういう人の増加に伴いましてふえるということがあります反面、民間につきましては、たとえばゼンセンにおきましては鐘紡労組が脱退するとか、そういうようなことが原因になっておるのではなかろうかというふうに存じております。
#53
○原(茂)委員 いまの説明だけだと言っているんじゃないだろうと思いますが、たとえば同盟を一つゼンセンを挙げましたね。しかし総評系の金属だって、いまどんどん中小はゼンセンよりはもっと大きな率でつぶれたり、解雇されたりというその率は、どっちが多いか疑問のほど余り変わっていない。私はいまの日本の労働者の、低成長と言われるこの経済状況の中に、あしたの不安を考えたときに、労働者の頼る度合いというものが、こういった状況になってくると総評というものに依存をする、あるいは頼るという気分が労働者の中によけい出てきて、そうして同盟に対する頼り方というものが、少し気分的に減っているというようなことが一番大きな大ざっぱな理由ではないかなという感じがしているのですが、そういう点はどうですかね。
#54
○松井説明員 いま先生の御指摘がありましたが、これは一人一人の労働者の心理的な側面と申しますか、そういう面にも関係いたしますので、これはなかなかむずかしい分析が必要なのではなかろうかと思いますが、私どもとしては統計数字にあらわれます数値の増減というのを見てまいりますと、私は担当いたしておりませんので、その辺つまびらかに存じませんが、私どもとしましては、先ほど申し上げた、そういう組織上の伸長につきましては、先ほどのようなことが原因になっているのではなかろうかと思います。
#55
○原(茂)委員 それもひとつ十分に労働省としては、そういった傾向が顕著になったときには、なぜだろうということを至急に分析検討するようなことが私は必要じゃないかと思うのです。アンケートをとってもいいですしね、いけなければ。しかし、もうちょっと前向きで、何か現象が起きたときに、これはなぜだというのを、いますぐに的確に把握すれば、次の前向きの考え方が出てくるわけですから、したがって、そういった検討は間髪を入れずやるような慣習というものが労働省としてあるべきだと思うのです。ぜひそれはやるべきだと思いますが、ひとつ大至急にこういった現象の出た、特にいまの総評、同盟、中立労連等に関して、なぜかなという検討をしていただくように、これも要望をしておきます。
 最後にストライキの問題について、大臣は労働問題のベテランですから、何でも大臣大臣と言うんだから、自民党の中では一番よく勉強しているし、まあまあ適格な労働大臣だなと私はほのかに尊敬もしているし、思っていますから、大臣にあえて最後に聞くのですが、私はストライキというのは伝家の宝刀ですから、むやみにやることに大反対。それ順法だ、それ何だというんで、定期的にスケジュール闘争でもって何でも電車、汽車をとめていくなんていうようなことが行われていいとは思っていない。原則としてはむやみに抜くべきではない。しかしストライキというものは、絶対に必要なときがある。現段階における日本の政治の実態なり、あるいは経済の方向性なり、また日本全体の国民的な立場なりというものを考えたときに、絶対にストライキが必要なときが一度あるというふうに私は思うのです。
 むやみにやることに反対であっても、このときにはやらなければいけないぞというのは、たとえば憲法が、かって第九条を中心に論議をされてまいりましたが、ついに自衛のための軍隊はいいんだということになり、自衛隊というものができ上がって戦後今日まで来ました。ここまではいいんですが、これがやがて何か間違って、かつての戦前と同じように再び戦争にこれが使われる、あるいは日本全体がある種の国際紛争に武力を中心に巻き込まれていくというようなことがあったり、あるいはそれを前提として、もう一度徴兵制度を復活するような憲法改悪と言われるものが行われようとしたりというようなときには、まだもう一つ身近な例を言うと、今回のようなロッキード問題などのこの真相究明というのが国民的にどうしても満足できないというようなときなどには、本当の意味のゼネストをやる以外には国民的な力を発揮するものはないんじゃないかという意味では、むやみにやっちゃいけないのですが、いま前段に申し上げたような場合に、これは思い切って公労協を中心に、もちろん動いているのはとめます。電気もとめちゃう。ガスも水道もとめる。パンをつくる職人もパンをつくらない。農協から米を出す労働者も農協から米を出さないというような意味の本当のゼネストというのが、やはりそういうときには行われていいんだと考えるし、またロッキード等の真相究明が、ついにわれわれが言っているように、ある種の意図を持って隠蔽をしようというようなことがありありとなったときには、徹底的に内閣に対するダメージを与えていこうというようなときには、ゼネストをやった方がいいんじゃないか。
 それ以外には、ちょっと、まあまあ本当の大衆の無手勝、何ら権力も武器も持っていない者は対抗する力を持っていないというふうに思いますから、したがってゼネストという立場から言うと私は、ぜひやらなければいけない、やるときが来たら、絶対にばらばらでなくて一斉にやるというようなことは、ぜひ必要だ。民族の興亡をかけたときには、そういうことが必要になってくるんだと考えていますが、そういうときに公労協にスト権のないのは、これが全然やらないで民間だけやってやろうといったって、これはだめなんです。
 したがって、そういう前提で私は国家的な見地から言って、やはり公労協のスト権というものは早期に与える。条件はつくでしょう、いろいろ。それが大事だし、必要なんだと考えていますが、大臣から最後にずばりとそういうことに対する見解を述べてもらって終わります。
#56
○長谷川国務大臣 原さんのような良識の人からゼネストの話を聞かされて大分おどかされますよね。まあストライキというのは、あなたが言うとおり抜くべきじゃないという一般論。しかも民間の場合は、これは民間の中において賃金問題でやることでして、これはやはり、それで最後はストライキなしで片づける。公労協、これはやはり何といたしましても賃金問題からしますと、それにかわるべき労働機関、委員会というものがちゃんとあって、そこで片づけることでして、そういうやはり政治的なことでは、賃金の問題で経済要求してくるものが、日本全体、スト権のないところがあわせてオールゼネストということになると、これは日本国破滅になりはせぬか。
 公労協のスト権の問題につきましては、それぞれ考えてみると、いろいろ途中のいきさつはございますけれども、私はよく言うのです。感情的にお互いにやはりならないようにしていかぬと物は片づかぬ。そういう中から、ちょうど政府の方でせっかく、いまから早急に結論を出したいというふうなことで、主なる方々の人選などをしてやっていき、またその中に私も関係閣僚の一人として入って推進してまいりたい、こう思いますので、まずゼネスト論だけは余りおどかさないでいただきたいということを私の方から要望申し上げます。
#57
○原(茂)委員 これで終わります。
#58
○村山委員長 庄司幸助君。
#59
○庄司委員 いま労働省に対する行政需要、これが非常に高まっていると思うのです。その点で、やはり行政需要に見合った人員なり体制の確保、これは非常に大事な課題だろうと思うので、大変じみな質問ですが、若干さしていただきたいと思うのです。
 最初に、身体障害者の雇用率の問題で考えたいのですが、これは労働省からちょうだいした資料を見ますと、やっと民間のいわゆる雇用率の悪い事業所の発表がございました。
 これが去年の十二月でありますが、これを見ますと、「全体としては法定雇用率一・三%を達成しているが、身体障害者雇用率を達成していない事業所がいまだ四割近くにも及び、その中で大企業ほど身体障害者の雇用割合が低い現況にある。」こう述べています。この公表する目安というのが去年の「十月一日現在のこれに該当する事業所で身体障害者の雇用の努力がみられず積極的な協力の姿勢のないものを公表することとした。」それで「これらの事業所については、今後積極的に身体障害者の雇用に取組むよう強い行政指導を行う」こうありますが、これを見ますと、百十五事業所ほどあります。
 それで、第一番目に私、疑問に感ずるのは、全国に相当の事業所があるわけですが、果たしてこんなものなんだろうかという点が疑問ですが、大体どういう基準で、この事業所をお選びになったのか、これで全部網羅しているのかどうか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
#60
○遠藤政府委員 この公表という制度は、今回御審議願っております身体障害者雇用促進法の改正という法案の中では、公表制度を法的に制定することにいたしておりますが、現行法では、この公表という制度がございません。身体障害者の雇用率未達成の企業で誠意のないところ、悪いところは公表したらどうだという御意見は、しばしば審議会等においてもございましたし、国会等でも論議が行われたようでございますが、私どもは、この身体障害者の雇用率達成を、いかにして法律に定められております制度の効果を上げるかということで、いろいろな努力をしてまいりました。
 昨年に至りまして、審議会におきましても公表問題をどうするかということで御審議いただきまして、法律的な制度ではないけれども、特にいま御指摘になりましたような、一部の大企業で雇用率達成についての努力の跡が見られない、こういうものについては、その努力を促す、効果をより上げるための一つの手段として、一定のものについて公表したらどうかということで御意見が一致いたしましたので、昨年の二月に、こういった措置をとります、十月の時点で調査した結果を公表することにいたしますということで、それによって一層こういった未達成の事業所における雇用率の達成についての努力を促し、効果を上げてまいりたい、こういうことで措置いたしたわけでございます。
 いま御指摘になりましたように、昨年の十月一日現在の調査結果、百十幾つの事業所につきまして、十二月に公表いたしたわけでございます。その公表の基準は、いま御指摘になりましたように、身体障害者の雇用について努力の跡が見られない、比較的誠意が薄い、しかも雇用の率が一定の割合以下である、こういうことで、五百人以上の事業所につきまして、いまお手持ちの資料にありますような百十五の事業所を公表いたしたわけでございます。
#61
○庄司委員 そうすると、大体五百カ所ぐらいしか調べていないということですね。そうすると、こういう事業所について強い行政指導、これはどういう手段を行使されるのか。たとえば官公需を受けている事業所が相当ありますね。そういうものについては官公需の規制をするとか、当該の省庁に対して連絡をとって、そういう規制もするような強い指導をなさるのですか。その辺ひとつ……。
#62
○遠藤政府委員 調査は五百事業所について調査を行ったわけではございませんで、法律に定められております雇用率の適用になります全事業所について調査いたしたわけでございます。
 で、どういうやり方で身体障害者の雇用を進めるかという御指摘でございますが、現行法にもありますように、身体障害者の雇用率未達成の企業につきましては、新規の雇い入れの際に、身体障害者の雇い入れの計画をつくらせる、あるいはまた、身体障害者の適職種につきましては、求人に対してそういった身体障害者を振り向ける、こういったことで行政指導を進めてまいっております。
 また、昨年の二月には、いま申し上げましたように十月現在で、そういった未達成企業につきましては公表しますぞということをあらかじめ予告いたしまして、それまでの間に従来非常に低率の状況にあります企業につきましては、特に各出先におきまして個別に企業を指導いたしまして、身体障害者の雇用を促進してまいったわけでございます。
#63
○庄司委員 大臣、このリストを見ますと、相当大手もあります。建設会社もあれば、商社もあります。そういう中には丸紅なんかも入っているわけです。これは丸紅が防衛庁、ロッキードの代理店をやるとか、そういうことをやっておりますが、そういう官公需の発注ですね、こういうものはやはり発注を制限するとか、少しその辺を手段にして、おたくの方から各省庁と連絡を取り合って、そういう面の規制もやって、ひとつ雇用率を高める、こういう方向を目指していただきたいと思うのですが、どうですか。
#64
○遠藤政府委員 身体障害者の雇用を進めるために、未達成の企業に対して官公需の発注をとめろ、あるいは多数雇用をしている向きについては優先発注をするように、こういった御意見もございます。しかしながら、審議会で各関係団体、関係者の御意見をいろいろ検討していただいておりますが、この身体障害者の雇用を進めるということは、そういった規制措置をとること、必ずしも、身体障害者の雇用を積極的に進めるという観点からいたしますと、適切な措置とも言えない面がある、こういう御意見がいろいろございまして、今回の雇用促進法の改正におきましては、むしろそうではなくて、身体障害者の雇用を進めるための姿勢を正す、まずそこの基本の哲学から始めまして、従来努力義務でございました雇用率を法的な義務に改める、同時に納付金制度を新たに採用いたしまして、身体障害者を雇うことによって起こってまいります企業における経済的な負担の調整、あるいは身体障害者を雇います場合に、健常者を雇う場合よりも、いろいろな経費の面の負担増になります、そういった面に対する積極的な助成措置、こういったこと、あるいは身体障害者の雇用の場を確保するためには、どうしても身体障害者自身の能力を開発し、能力を高める、技能を高めるということが根本的に必要でございます。
 そういった面の積極的な援助措置をとる、こういうことによりまして、むしろ規制措置よりも前向きに積極的な施策を講ずることによって、身体障害者の雇用を進めていこう、こういう趣旨で今回の法律改正を提案いたしたわけでございます。
 私どもは、この法律が成立いたしましたならば、この法律の各種の援助措置、積極策を活用いたしまして、身体障害者の雇用を一層進めてまいりたい、かように考えております。
#65
○庄司委員 ちょっと、これは百年河清を待つような感があるのです。というのは、民間なんかの場合、雇っても軽度の人しか雇わないという傾向があるのです。私も地元でそういう方々の声を聞いたのですが、率の問題もあるけれども、やはり重度の者、こういう者は全然雇用機会に恵まれないという声が非常に強いのです。ですから、そういう点やはり企業の良心、良心があるかないかは、私はここでは論じませんが、そういう自主的な側面にまつというだけではなくて、政府が注文出している企業が相当あるわけですから、やはりその面からも、強制的な、法律的な問題じゃなくとも、私は圧力をかけられるだろうと思うのです。その辺でひとつ要請だけしておきます。
 次に、政府自体の問題なのです。おたくの表を見ますと、一・七%あるいは一・六%の表がありますけれども、大体は達成しているような数字ですが、してないものがありますね。
 これもおたくのリストを見ますと、公安調査庁が二十九人不足だ。五十年末です。それから沖繩開発庁が九名、自治省三名、消防庁二名、内閣法制局一名、こうなっていますが、一番多いのは、率ではどうかわかりませんけれども、公安調査庁が多いと思うのです。こういったところはどうして達成してないのか、これはおたくの方からどういう要請がしてあるのか、それから、こういうところでは、どういう計画を持っていらっしゃるのか、これをひとつ伺いたいし、それから防衛庁なんかは、自衛官は別ですから、事務系統はどうなのか。この辺はリストに出ていないのです。あるいはまた何かに入っているかもしれませんが、その辺ひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
 それから国鉄、専売、電電公社、これはリストに載っていませんから、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
#66
○遠藤政府委員 身体障害者の雇用の問題につきましては、これは、官公庁、国、地方自治体、公共団体、こういったところが率先垂範して身体障害者の雇用に努めるべきことは当然でございます。したがいまして、官公庁につきましては、人事担当者会議あるいは閣議で大臣からも直接閣僚に御発言いただきまして、身体障害者の雇用を促進してまいっております。
 いまお挙げになりました五省庁につきまして、未達成が残っておりますが、この二年、三年の間に官公庁の雇用率は非常に高まってきております。例外的にいまのこういった五省庁が残っておるわけでございます。
 それから、いま御指摘のありました国鉄、電電あるいは郵政、そういった三公社五現業につきましても、一・六%という雇用率を上回っておりまして、すでに現業機関におきましては、五十年の調査では一・七三%ということになっておりまして、特に前々から御指摘ございました郵政省につきましても、ほぼ一・六%近いところまで最近雇用率が上がってまいっております。
 防衛庁につきましては、一・九五でございます。これは自衛官が除外職種で対象外でございますが、その他につきましては一・九五でございます。
 それから、いま御指摘になりました公安調査庁が二十九名、これは多うございます。沖繩開発庁九名でございますが、公安調査庁につきましては、職務の特殊性等から、いろいろむずかしい問題があろうかと思います。こういったものにつきましても御協力をお願いしておりますが、ただ公安調査庁なり沖繩開発庁につきましては、他省庁からの出向者がその大部分を占めている、こういった関係から、省庁自体で新規採用される向きが少ないために、早急に雇用率を達成することは、なかなかむずかしい状態もあろうか、こういうふうに考えられますが、それにいたしましても雇用率を達成していただくように御努力をお願いしておるわけでございます。
#67
○庄司委員 これは政府関係だけで伺いますが、この中でいわゆる軽度と重度、一級とかなんとかいろいろありますけれども、それを分類しますと、重度の占める割合、これはどれくらいになっていますか。全体で結構です。
#68
○遠藤政府委員 私どもは、身体障害者、いわゆる対象になりますもの全体として、この雇用率を定められておりますし、また、調査もそういうことで調査の結果が出ております。その中で重度がどれくらいになるかという調査が実は手元にございません。先般も社会労働委員会でもこの点が御要請ございましたので、各省庁の中で本省だけについて――出先は大変むずかしゅうございまして、現実的に調査が困難でございまして、さしあたり本省庁について、この重度障害者がどれくらいいるのかを調査いたしてみたい、かように考えております。
#69
○庄司委員 これは身体障害者の方々の非常に強い要望がありますから、ひとつぜひ重度の方の比率を高めるように努力してもらいたいと思うのです。
 たとえば車いすの方なんかですね、これは重度の部類に入ると思うのですが、省庁の建物からまた問題になるわけですね。これは労働省はスロープウェーやなんかつくっていらっしゃるという話を聞いていますけれども、そうでないような官公署がまだあるんじゃないかと思うのです。この国会自体が、車いすが入るような状況になっておりませんが、これは国会の問題ですから、まあ議運あたりでも、しかるべく配慮してもらうということになると思うのですが……。その辺でひとつぜひ、これは大臣に強く要望しておきますが、重度の方の希望もかなえられるようにしてもらいたい。
 身体障害者の就職相談ですね、これが現場の窓口でどういうふうになっているかという点で、ちょっと伺いたいのですが、中には言葉の不自由な方もいらっしゃると思うのです、あるいは耳の不自由な方もいらっしゃると思うのです。当然手話通訳者なんか各窓口に置かなくてはならないだろうと思うのですが、実は仙台の職安を調べてみたら、一人いらっしゃる。これはいいことだなと思ってみたら、毎週木曜日一遍しかいらっしゃらないというのですね。普通の健康体の人は毎日就職相談に行けるわけですが、こういう難聴者の方であるとかそういう方は、一週間に一遍しか行けない、こういう差別がやはり生まれると思うのです。こういう手話通訳者の問題で、これは労働省として、やはり、毎日配置できる状況、これをつくってあげる必要があるのじゃないかと私は思うのですが、その点どうですか。
#70
○遠藤政府委員 身体障害者の雇用の促進という中で重度障害者の問題が、これから、いままで以上に重要な課題でございます。したがいまして、今回の雇用促進法の改正の中で、重度障害者に対するきめ細かな手厚い援助措置、そういったものも盛り込まれておりまして、私どもはこれを活用しながら今後一層進めてまいりたいと思っております。
 全国六百の安定所の窓口におきましては、この身体障害者対策に重点を置きまして、各所最低一名、身体障害者の就職促進指導官が配置されております。こういった人たちが、身体障害者のいわゆるケースワーカー的な仕事をいたしまして、身体障害者の求人開拓あるいは職業相談に応じているわけでございます。
 中でも、聾唖者に対するいわゆる手話協力員も、ことしは八十名に増員いたしております。これは全部の安定所に配置するというわけになかなかまいりませんし、また現実の問題として、その必要性もございません。それと同時に、いま御指摘のように、これを常勤にして毎日というお話でございますけれども、これは毎週一定の日を決めて、その日においでいただくということを周知させれば私は十分だろうと思っております。むしろ、できるだけ数をふやして、できるだけ広い地域に配置できるように、今後とも努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#71
○庄司委員 そろそろ本鈴が鳴る時間なので、一応これで……。
#72
○村山委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十三分開議
#73
○村山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。庄司幸助君。
#74
○庄司委員 労働省の、われわれは定員外職員と言っておりますが、いわゆる日雇いの人、日給で雇っている人、あるいは相談員などという名前で雇っている人は何名おりますか。
#75
○桑原政府委員 定員外職員はおりませんが、いわゆる事務補助職員、あるいは統計調査等の仕事に臨時的に従事します職員が八百五十名おります。
#76
○庄司委員 出先も含めると何名ですか。
#77
○桑原政府委員 先ほどの数字は、出先も含めましての数字でございます。
#78
○庄司委員 これは協力員、共助員ですか、そういう方も含んでおるわけですか。
#79
○桑原政府委員 先ほどの数字には、共助員とか協力員というような名前の方たちは入っておりません。
#80
○庄司委員 これは仙台職安の事例ですが、一日二千三百円か四百円くらいで、日給で雇われて、常時事務補助をやっている女性の職員が四名おるそうです。それから定年退職者が五名おりまして、この方は共助員といいますか、名前は何と言うかわかりませんが、この方の月給といいますか報酬は四万九千円ぐらいだそうです。
 こういう方々は全国的にもいらっしゃると思うのですが、健康保険も失業保険もないようですね。その点で、雇用保険の全適などをうたっている労働省が、やはりこういう方々を多数抱えておられるという点で、おかしいと思わないのかどうか、これは当然必要な人員ですね。定員の方の関係もあるでしょうが、あるいはまたおたくの予算の関係もあるのでしょうが、こういう方々は、本当なら当然定員内に組み込んで、正規の職員として、正規の権利を保有する方々として扱われるべきだろうと思うのですが、その点どうお考えなんですか。
#81
○桑原政府委員 労働省におきましては、常態的に使用している賃金職員はおりませんで、労働保険の年度更新のとき、つまり非常に繁忙なときとか、統計調査業務を時期的にやらなければならないというようなときに、きわめて短期間に限って使用しているようなわけでございます。したがって、関係の保険等については、たてまえ上入らない、こういうふうになるわけでございます。
#82
○庄司委員 これは契約上は短期間だろうと思うのですが、しかし、実際上は短期契約を繰り返して常時お勤めになっておる。本当なら常用者と同じ性格だろうと思うのですが、その辺ひとつ改善してもらいたいと思うのです。必要な人はやはり雇う、これが大事だろうと思うのです。しかも、こういう方は健康保険もないのです。失業保険もない。雇用保険の全適の問題、あるいはあなた方の就職指導の問題からいったって、まず隗より始めよで、労働省が正さなければならない問題だろうと思うのですが、その点どうお考えなのか。
#83
○遠藤政府委員 ただいま官房長がお答えいたしましたように、一時的な統計業務、あるいは年度末の業務繁忙の際の業務を処理するために、きわめて短期的、一時期に雇用する人たちがございます。そのほかに常態として、そういう制度があるのではないかという御指摘でございますが、たとえば労働保険の相談員とか、職業相談員とか、あるいは婦人少年室の協力員、共助員といったような制度がございます。こういった人たちは、ほかに本業を持っておりまして、こういう仕事に熱意を持っておられる方々に側面から行政に協力をしていただくという形で委嘱をしておりまして、身分上は非常勤の職員でございますけれども、月間二十五日出勤して働いていただくのでなくて、週に一日とか、あるいは二日とか、あるいは物によっては、制度によっては月に不定期に一日とか二日御協力をいただくという形で行政に協力をしていただくために設けられた制度でございます。
 したがって、おっしゃるように、いわゆる常勤労働者といったものではございませんで、その点は明確に区別されておると思います。
#84
○庄司委員 常勤的に使っておる実態を私がつかんでおるから言っておるのです。それはごまかしたってだめだろうと思うのです。そういう人について改善してもらいたいと思うのですが、大臣の所見をひとつ……。
#85
○長谷川国務大臣 先ほどからあなたのお話、労働行政が非常に複雑そしてまた非常に仕事が多くなった、こういう情勢を踏まえられての御指摘でございまして、私などは、内部においての事務の簡素化とか能率化などをやりながらも、定員の問題についても何とかしたいというふうなことで、微力でございますが、いままでも努力してきたところであります。
 いま先生の御指摘されておるものが、そういうふうにすぐにどうこうということは、ここで結論を申し上げるわけにいきませんけれども、行政の繁雑化、事業の拡大化に伴いましての定員の増員については、いまから先も努力してまいりたい、こう思っております。
#86
○庄司委員 それはぜひその方向で進めてもらいたいと思います。
 それから婦人少年室ですね。おたくの資料を見ますと、昭和四十三年が本省の局で七十三名だったものが、昭和五十年には六十四名で九名マイナス。それから地方にあります婦人少年室、これは百九十九名だったものが百七十八、マイナス二十一ですね。これは昭和五十二年になりますと、百七十五になっておりますから、もっと減っているわけです。その辺ですね。この婦人少年局または婦人少年室の業務、この定員といいますか人員を減らすほど減ったのかどうか。あるいはまたコンピューター、これは恐らくコンピューターの対象にならないだろうと思いますが、こういうものの採用で人が省けたのかどうか、この辺ひとつ伺います。
#87
○森山(真)政府委員 最近の経済社会の変化に伴いまして、婦人及び勤労青少年に対する行政需要も変化し、またふえておりまして、先生御指摘のとおり婦人少年行政に対する期待はいよいよ深まり、また大きくなっていると私も考えておりますが、いまお挙げになりましたように、職員の定数は何年か前に比べますと、減りつつあるのは事実でございます。ただ、これは国家公務員に対します定員の削減計画に基づきまして、婦人少年局だけではございませんで、国家公務員全体の削減計画の中の一環といたしまして、婦人少年局にもその削減がかかってきたということでございまして、私どもといたしましては婦人少年局及び婦人少年室の職員の一層の充実強化、また資質の向上等を図りまして、新たな需要にこたえるべく努力をしていきたいと考えている次第でございます。
#88
○庄司委員 これは一つのアンケート調査なんですが、対象は平均年齢三十三・五歳の婦人ですが、労働強化などによる権利の侵害が相当あるというんですね。それから年次休暇三十日あるうち、平均取得率が十三日間だ。あるいは生休、これは八八%がとってない。こういうアンケートの回答があるのです。そのほか、不況問題も絡んで婦人の労働者に対する差別的な状況が非常に起きているのです。これはこの間も私、大臣に申し上げましたけれども、宮城県のアルプス電気であるとかその他の事業所で一番先に首になるのが婦人なんですよ。去年は国際婦人年で婦人の権利の問題について非常に強調された年ですから、この点でやはり森山さん、これはもっとひとつ大臣にがんばってもらいたいと思うのですよ。大臣が本当に男女同権の思想に基づいて行動されておるとすれば、これは局長のささやかな願いですから、これぐらいひとつ取り上げてやってしかるべきだろうと思うのですが、その点、大臣ひとつ簡単に。
#89
○長谷川国務大臣 庄司君御承知のように、私は女に弱い方でありまして、いわんや労働省では局長さんの言うことは何でも聞いて推進しております。いまからでもがんばってまいりたい、こう思います。
#90
○庄司委員 それから雇用調整給付金の制度ができたわけですが、さっき申し上げたアルプスの問題であるとか、最近では京浜精機の問題が角田で起こっております。これは、この間も申し上げたとおり、これらの会社が制度を活用しないで、ただしゃにむに不況を理由に首切りをやる。法律によりますと、大量の一定の労働者を解雇する場合は、事前に届け出るという制度があるわけですね。だから、そういう事前届け出があったのかないのか、あったにもかかわらず、これを許したのか。雇用調整給付金制度もできたわけですから、それを労働省が見逃していたのか、あるいは人手が足りなくて見逃さざるを得なかったのか、この辺が問題だと思うのです。
 労働省が制度をつくっていろいろ国会に法律を出してきますが、それが通った、そのたびにいろいろ附帯決議がつくわけです。その中に数々の、労働省の職員の増加をやりなさいという附帯決議が何回も出ているわけです。だから、制度だけつくって、それで魂入れない。これではせっかく国会で法案審査をやっても生きないだろうと思うのです。現に雇用調整給付金制度ができても、仙台の職安では増員が一つもない。それから東北全体でもゼロだ。そういう中からさっき言ったアルプスのような事例とか京浜精機のような事例が出るわけです。その点は制度をつくったら、その制度に見合っただけの行政需要が発生するわけですから、やはりそれだけの人員は補充する、増員する、これが当然だろうと思うのですが、これは出ないのはどういうわけなのか。今後どうなさるのか。これは大臣の所管だろうと思いますから、この辺ひとつお聞かせ願いたい。
#91
○遠藤政府委員 確かに新しい制度ができまして新しい仕事が増えている。そういう行政需要が増えますと、それに伴ってそれを処理するための要員というものが必要になってくることは御指摘のとおりでございます。
 私ども、雇用調整給付金制度なり雇用保険法ができまして、新しい仕事もふえてきております。この不況下では大変な効果を上げてまいっておりますが、これに伴って末端の窓口で、その業務上に必要な要員がどうなっておるかということだと思いますが、実は雇用保険法に基づきます失業給付、保険金の支給、こういった仕事が、従来は全部手作業で行われておりました。昨年から全面的に機械化いたしまして、一人当たりの処理時間が、全部機械が処理いたしまして、一分そこそこだというような事態になってまいっておりまして、いままで手作業で相当な人数を要したものが極端に圧縮されまして、人手を要しなくなってきております。
 そういったことで、従来あります業務を機械化し、合理化することによって人手を要らなくする、そういう節約でできました人員を新しい仕事に振り向ける、こういうことで新しい行政需要に備えるような体制をとっておるわけでございますが、今後とも、こういった雇用政策を進めていく上に必要な要員の確保には最大の努力をしてまいりたい、かように思っております。
#92
○庄司委員 最大の努力をなさると言っていますけれども、さっぱり見えないのですよ。それはいつでもおっしゃることでしょう。さっぱり見えないのです。
 それじゃ一体、事前届け出をしなかった事業所、これの監視なり、あるいは摘発なり――アルプス電気とか、あるいはさっき言った京浜精機とかは、一体事前届け出があったのかないのか、それを承認したのかどうかですね。それから雇用調整給付金の制度がございますよ、それを労働者にも知らせて協議するようなことをやったんですか。
#93
○遠藤政府委員 雇用調整給付金制度につきましては、これはもう事業主団体、各企業はもちろん言うに及ばず、関係労働組合、関係労働団体の人たちから私どもの方に、その適用について門前市をなすような状態で申請がございました。
 特に、いま御指摘のございました電機業界につきましては、一番利用度の高い業界でございます。アルプス電気の例は、実は私ども手元に資料を持っておりませんが、大量解雇の届け出は雇用対策法に規定されておりまして、これは励行されております。ただ、それを承認するとかしないとかいうことではなくて、これは一定数以上の解雇があります場合には事前に届け出機関に届け出てもらって、そのことによって離職した人たちの再就職を最重点に進めていく、こういう趣旨から事前の届け出制度が設けられておるわけでございます。ですから、これを見逃したとか、承認するしないという問題ではございませんで、その点は先生の誤解だと思います。
#94
○庄司委員 いや、これは誤解じゃないのです。大体労働者は知らないでしょう。事業所にだけ周知徹底する。労働者の方はそういう制度があるのを知らないものだから、事業所が不景気だからやめてくれと言うのを、みすみすうのみにする以外なかったのでしょう。知っていれば、こういう制度があるから、会社がこの制度をひとつ申請しなさいということになるはずですよ。そういう点でも、こういう制度ができたら、もっと人員を補充して、事業所にももちろん徹底する、あわせて県民全部に、特にそういう当該の労働者に徹底するような方策を講ずべきだと私は思うのです。
 それからもう一つは、雇用保険、この全適の問題で少し伺いたいのですが、適用事業所数、これは昭和四十年の統計だと五十五万、昭和五十年六月だと約九十五万くらいだと私は記憶していますが、七三%くらいふえているわけですね。宮城の例で言いますと、全部で三万五千強ありますが、その中で適用されているのが、ことしの三月末で一万五千ちょっとなんですね。約二万くらいが未適用で残っているという状況です。ところが、これは審議会の答申で、千名か何ぼふやせということで若干ふやそうとしたらしいのですが、全国で何名ふえたのか。ところが、ふやしたことはふやしたんだが、総定員法の関係が出てきて結局プラス・マイナス・ゼロになった。だからこれは、法律ができたのだけれども、そういう面での不備が大変多いようなんですね。
 おたくで五十年の三月二十五日に出した通達があります。この中の「適用拡大についての基本方針」これは三原則、こう言われているのですが、一つは事故発生事業所がまず大事だ。それから二番目は、自主申告するところだ。三番目は、労働保険事務組合を通じてやるものだ、こういうかっこうでやっていますが、この未適用の個所二万くらい、これは宮城だけですが、全国で相当あるだろうと思うのです。こういうところの労働者は全然恩恵を受けないということになると思うのです。だから、雇用保険について、この制度をつくったからには、やはりしかるべき人をつけて、全部の労働者にあまねく均てんするということが私は大事なんだろうと思うのですが、その点、人員の不足の問題、これをどう解決されるのか、これをひとつ伺っておきます。
#95
○遠藤政府委員 昨年雇用保険法が施行されまして、全面適用ということになったわけでございます。いま五人未満の一人二人雇っておりますような商業、サービス業、主としてそういう分野が多いわけでございますが、この事業所数は全国で百万と言われております。その百万ないしはそれに近い事業所を完全に把握できるかということになりますと、これは不可能と言っていいくらい、実際問題としてむずかしい問題だと思います。にもかかわらず、雇用保険法を制定いたします際に全面適用に踏み切った。これは物理的に行政能力から見て不可能だということであれば、全面適用は永久に、百年河清を待つと言っていいくらい不可能に近いわけであります。
 それをあえて踏み切ったその理由は、この法律制定の際、申し上げましたように、これをシラミつぶしに人海戦術で一つ一つ百万事業所を把握するのではなくて、いま御指摘になりましたような方法で逐次現実に適用を進めていきます。しかし、実際に適用の手続がとられてなくても、そこから発生した離職者については当然雇用保険の適用を受けることになります。こういうことを申し上げたわけでございます。
 全面適用を進めるに当たりましては、そういった行政能力の及ぶ範囲内で逐次適用を進めていくわけでありますが、それに必要な要員の確保も図ってまいります。ただ、いま御指摘になりましたような総定員法の関係その他いろいろな事情がありまして、一挙に定員をふやすことは、なかなかむずかしゅうございます。と同時に、今後行政処理の面におきまして機械化、合理化を進めていかなければなりませんし、具体的に雇用保険につきましては全面的に機械化を進めているわけでございます。そういうことによって、数年前と比較いたしますと、格段の行政能力が増大をいたしております。その増大した能力を新しい雇用保険の執行体制に振り向けているわけでございます。
 私どもは、適用問題につきましても、零細な百万に近い事業所を、これは新しくできるものもありますし、つぶれていく事業所もあります。そういった消長の激しい零細企業を全部シラミつぶしに適用を把握するということは実は考えておりません。そうでなくても、十分そこに雇われております人たちが、この雇用保険の適用を受け、失業した場合に給付を受け得るという態勢を整えるように万全を期しておるわけでございます。
#96
○庄司委員 いや、法律にはそんな人海戦術だとか三原則なんということは何も書いてないのです。この未適用の労働者、知らないために泣き寝入りする人も相当いるわけです。泣き寝入りしないように、たまたま職安の窓口にいらっした方が相談を受けて、こういう方法もありますよ、とこうなるのですね。だから、その辺でもっと行政というものを、法律に従って親切に、法律を知らない人にも均てんするようにやってあげるのが、たてまえじゃないかと思うのです。
 そのためには当然、法律が施行されたからには、それに見合った定員を要求してやまないというような強い態度が私は必要だろうと思うのです。その辺が、総定員法があるからどうのこうのと、どこの省庁もおっしゃるわけですが、しかし総定員法には、行政需要を圧迫しないようにしろということもうたわれているわけです。これは気象庁なんかでも、行政監察委員会の報告書にも載っているくらいですね。その点で、労働省がもっと腰を据えて、この定員問題なり人員問題に私は取り組んでいただきたいと思うのです。
 さらに、時間もありませんから、私は後でまとめて大臣にお伺いしますけれども、基準行政についても同じようなことをやはり言われているわけです。最近、山形県の朝日町で八人の農民が死にました。これは基準局が前もって入っていたらしいのですが、その前の二月に、これは栃木県だったと思いますが、労働者が六人死んだ河川の事故がありますね。それから去年の十一月には、千葉県下のゴルフ場でやはり農民が八人死んでいる。こういう点でももっと基準行政が前向きに、未然に防止するというたてまえに立たなくちゃならないだろうと思うのです。
 ところが現場の話を聞きますと、ガス検知器というのがあるにはあるが、非常にプリミティブといいますか、初歩的なもので、よその民間のものを借りなくちゃならない、あるいは警察のお世話にならなくちゃならない。消防署のお世話にならなくちゃならない。いつでも後ろめたい感じで、労働基準監督署の署員がいなくちゃならないという状態もあるのです。
 これは機材の問題ですが、それから、いわゆる適用の事業所数が非常にふえていますね。これに見合った人員の確保がないわけです。そういう中から労災事故が起きたり、賃金未払い事故が起きたり、私の方の会館には、しょっちゅうこの賃金未払いで交渉してくれという陳情があるわけです。これは代議士ですから、もちろんやらなくちゃならないのですが、本来なら、これは基準局がやらなくちゃならない仕事なんですよ。
 それからまた、時間外労働の割り増し賃金が未払いだとか、男女差別賃金があるとか、これでいわゆる地方銀行で相当のトラブルがあるわけです。この二年間だけでも三億一千四百五十万ぐらい、銀行側が後から裁判に負けて払っているのです。それから、私の地元の七十七銀行あるいは振興相、この辺でもやっとこの間妥結して、二億七千万円ほど労働者に後払いしている。これは基準局が本当なら、前もって査察してつかまなくてはならない問題なんです。あるいは訴えがあったら、直ちに行動を起こしてやらなくてはならない問題なんです。そういう点で、やはり人員が足りないという問題、これは私は肝に銘ずべきだろうと思うのです。
 国会が法案審議に当たって、いろいろ附帯決議をつけています。これでも、たとえば六十三国会で家内労働法が通るとき、労働基準監督官の確保の問題で附帯決議、それから六十八国会では労働安全衛生法で同じように監督官の確保の問題、七十一国会では労災補償保険法一部改正で関係職員をふやせ、七十四国会でも、やはり同じ改正で関係職員をふやせ、こういう附帯決議がついているのです。だから、私は、この間のロッキード問題じゃありませんけれども、これは衆参でついているのですから、院の決議を尊重する立場はまじめに考えてもらわないと、大臣も代議士でありますから、やはり国権の最高機関としての国会の尊厳、これを守っていただきたいと思うのです。
 その点で、一つは総定員法がありますけれども、その中でどういうふうに努力されるのか。それから総定員法、これは松澤行管長官あたりが、この間の新聞によりますと、そろそろ見直さなければならない時期にきている、こうなっているのですね。その点で、労働大臣として、また閣僚の一員として、労働省内部の努力と総定員法について、ひとつこれから労働行政の需要に見合う、院の決議にこたえる、この面でどのような御決意を持っていらっしゃるか、最後に伺って、私の質問を終わりたいと思うのです。
#97
○長谷川国務大臣 労働行政に対しての非常な熱烈なバックアップは感謝いたします。
 仕事がふえるから、すぐに人間もという話も当然生まれてまいりますが、こういうときは、やはりいろいろな機械などを使って合理化する、先ほど職安局長が申し上げたようなことでも解決いたしますし、なおかつ院の決議、あるいは時代の趨勢ということがございます。それらを十分踏まえながら、微力でありますけれども、いままでも定員増に対しては多少とも努力してまいりました。松澤行管長官発言などもあるようでございますが、そうした場合には、労働省がかねて院の決議などで言われており、また行政の非常にむずかしい問題については、そういう松澤君の話の中に私の方のものも入れてもらうように大いに努力したい、こう思っております。
#98
○庄司委員 終わります。
#99
○村山委員長 浅井美幸君。
#100
○浅井委員 まず、最初に私からお伺いをしておきたいことは、昨年からできました新しい制度であります雇用調整給付金制度、この給付要領について簡単に述べていただきたいと思います。
#101
○遠藤政府委員 詳細なことはもう先生御存じだと思いますが、基本は、企業が不況に際しましていろいろな雇用調整措置がとられてますが、その雇用調整措置の中で、いわゆる一時休業、操業短縮による一時休業を行います場合に、労働組合ないしは労働者の代表と事業主とが協議いたしました上で、この一時休業に対する雇用保険法による雇用調整給付金制度の適用を受けようという場合に申請がございますと、その申請が妥当なものと認めた場合には、大企業、中小企業それぞれ基準に照らして、その一時休業期間中の賃金に対しまして三分の二ないし二分の一の補助をする、こういう制度でございます。
#102
○浅井委員 いわゆる失業者に対する、何と言いますか非常に喜ばれる制度でありますけれども、私は、きょうここで、それがいわゆる不正受給というようなことが起こっておることについて、関連してお聞きしたいと思います。
 まず、昭和五十年あるいは五十一年度のこの予算はどのくらいでしょうか。あるいはまた、その支給決定をいたしました件教、大企業あるいは中小企業別におわかりになったらお示し願いたいわけです。
#103
○遠藤政府委員 この制度は一昨年の暮れに雇用保険法が成立いたしまして、当初の予定は五十年四月一日から施行する予定でございましたので、予算措置といたしましては五十年度百四十億の予算を計上いたしておりました。これに対しまして、実際には関係各側からの要望もあり、国会の決議、御意思もございましたので、昨年の一月一日にさかのぼってこの制度を施行することにいたしたわけでございます。
 そこで、昨年の一月からことしの一月までの十三ヵ月間に支給されましたこの支給状況でございますが、合計で約五百七十一億四千万になっております。そのうちで大企業、中小企業別に見ますと、大企業が約二百二億円、中小企業が三百六十八億六千万、こういうことでございまして、その割合は大企業が三五・五%、中小企業が六四・五%、約二対一の割合で、中小企業に重点が置かれております。
#104
○浅井委員 今般、この不正受給をした企業があったと聞いておりますけれども、これについて、その経緯あるいはその企業名、それについてお答え願いたいと思います。
#105
○遠藤政府委員 私どもは、いま御指摘になりましたように、この雇用調整給付金制度は、こういう非常な不況の際に、できるだけ失業者を出さないようにしよう、企業の負担で失業に至らさしめずに抱えていただこう、そのための援助措置ということで発足したわけでございます。
 しかも、この制度の運用は、労使の協議の上に立ってこの制度が運用されるということになっております。労使相協議して、失業者を出さないように協調していただく、しかもその決定は労使の協議の上において行われる、こういうことでございますので、昨年一年間、いまも申し上げましたように、予算措置が百四十二億にもかかわりませず、実際にはそれの四倍を超えるような、五倍近い実績になっております。それだけに失業の予防の効果としては大変な効果が上がったものだと考えておりますが、そういう制度の運用の面におきまして、きわめてごくわずかの例ではございますけれども、不正な事件が起こりましたことは、きわめて遺憾なことだと考えております。
 その具体的な例は長崎と福井と千葉に、三件ございます。で、福井と千葉の件はきわめて零細な事案でございますが、長崎の例はつい最近発見されまして、総額で二千五百万円ということでございます。これは長崎県佐世保市の佐世保重工業の下請を行っております西原工業という会社でございます。これはもちろん労使の協議の結果、申請が出てまいっておりますが、実態を調査した結果、妥当だと認めて処理をいたしたわけでございますが、その調査が不十分であったということで、帳簿上の処理はできておりましたが、実態がそれに伴っていなかったということで、不正だということが明らかになりまして、この三件いずれも全額返還の措置を講じておるわけでございます。
#106
○浅井委員 先ほど件数も伺いましたけれども、この利用状況も相当いい。しかしながら、こういう不正というものが、労使の協議があったということでありますけれども、未然に防げなかった。この辺に私は問題点があろうと思います。せっかくこれだけのいい制度といいますか、恩典というか、不況を救済しなければならないという立場から、これだけのいい制度ができておりながら、それが悪用される、私はこれは非常に問題だと思うのです。これに対するいわゆるチェックといいますか事前審査といいますか、職業安定所等で行っておられるようでありますけれども、どのようなチェックをなさっておられますか。
#107
○遠藤政府委員 こういったたぐいの制度につきましては、行政当局側だけのチェックに加えまして、今回の場合は労使協議して、労使合意の上で申請が行われる、こういうことで、いままでの各種の制度に比較いたしますと、こういうチェック体制としては、きわめて十分なものであろうかと実は私ども考えておったわけであります。にもかかわりませず、この一年間に数万件の利用の中で、わずか三件ではございますけれども、こういったチェック体制を逃れて、こういう不正の事案が出たということは、まことに残念だと思っております。
 この三件のうちの二件は、福井の件は百万円、千葉の件は二十九万円ということで、これは労働組合といったようなものがない、いわゆる小企業、零細企業のたぐいでございまして、労使によるチェックという体制の網から逃れておるわけでございますが、長崎の佐世保の西原工業の場合は労働組合がございますし、そういった意味で労働組合、労働者の代表が参画しながら、こういう事案が起こったということは、まことに私どもとしては遺憾でもあり、不信にたえないわけでございます。
 通常のチェック体制としましては、安定所で労使の合意書をもとにした申請書を受け付けまして、一応書面審査をいたしました上で、基準に適合するものにつきましては実地調査をいたしまして、実態を調査いたしました上で最終的に適用の決定をするという体制をとっておりますが、同時に事業主団体、関係の労働組合にもこの趣旨の徹底を図っておりまして、こういった趣旨で十分活用されるように、ということは、私どもはこれが不正に利用されるということは夢さらさら考えておりませんで、こういう労働組合側の協力が十分得られるということを前提にいたしまして、この制度を発足したわけでございます。
 しかしながら、にもかかわりませず、こういう事案がわずか三件とはいいながら起こったことにつきまして十分このチェック体制についても反省をいたしまして、今後書面審査重点主義から、不審なものについては現地実態調査を十分厳格に行うというように指導いたしまして、この制度に対して労使双方から非常に大きな期待がかけられておりますのに、こういうわずかな不正の事件のために、この制度に対する信頼を損なうようなことのないように今後とも十分戒心してまいりたい、かように考えております。
#108
○浅井委員 ほかに問題かございますので、この点については余りくどく申し上げませんけれども、今日まで職業安定所におきましては、書類審査だけで実地調査に行く人員がいない。そういう手薄において、今回のように提出した書類と社内に置いておる書類と、いわゆる二重帳簿といいますか、そういうことで、この事件がなかなか発覚されにくい性質であるということ、それと、今回西原工業株式会社がこうやって明るみに出たのは、社内からの一部通報があった、これによって事件が発覚したと私は聞いております。そういうことがなければ発覚をしない。いま御答弁の中に、これが喜ばれる制度として数万件の利用がある。しかしながら、その数万件が果たして正しい受給であったのか。不正がなかったのか。これは氷山の一角であって、さらにこの点について不正な受給がもっと数多くあったけれども、それが発覚をしていない、このようにも私どもは考えられるわけであります。
 したがいまして、今後、このいわゆるチェック機関といいますかチェック機能というか、このことについて厳重な具体的な方法を確立しなければ、これはせっかくこの法の制度ができながら悪用されるということになると思います。この点について結論的に御答弁願いたいと思います。
#109
○長谷川国務大臣 オイルショック以来の異常な経済の変動、そしてまた失業者が出るということでして、国会でも電機あるいは繊維、一番先に失業者が出そうなところがこの法案を待っておったことは御案内のとおり。そこで臨時国会においてこれが全会一致で通って、そして、四月に実施するのを一月直ちに発動して、当初百三十八億が五百億円以上使って、約三千万人の方々が職場を離れないで済んだというふうに歓迎されているわけです。
 そのときに私たちが一番期待を申し上げたのは、これは事業主からだけの申請にあらず、そこに働く諸君が失業しない、そういう願いがあるということで、労使が合い議をして持ってくるというところに実は御信頼を申し上げてやったことでありまして、いまから先のチェック要因といたしますれば、やっぱり経営者と労働組合、そこに働く諸君、これをまず私は一番先に信用していこう、そして不正のないように、さらにはいろいろなこともやりますけれども、まず、第一前提はそこだというふうな構え、そして悪いものはとにかく返還してもらう、また、そういうところが公表されれば、いろいろな話題になれば、それぞれ社会的制裁がある、そしてこの制度はいろいろな面でいい意味の活用をしていきたい、こう思っております。
#110
○浅井委員 いまの大臣の結論で私もほぼ了承しますけれども、いい制度であればあるほどそれを育てていかなければなりません。育てていくには、そういうもののチェック体制、いわゆる善意の信頼、この善意の信頼の盲点というのが今回の事件の一つの大きな原因ではなかろうかと、こう思うわけであります。したがいまして、労使協議による、そのことだけがいわゆる信頼であったという一つの盲点ではないかと私は思いますので、職業安定所のチェックということ、書面のチェックあるいは現地調査、いろいろな角度からこういう問題が二度と起こらないようにしてもらわなければならぬと思います。
 会計検査院に、この問題についてお聞きしておきたいんですけれども、この事件について会計検査院では掌握をしておられますか。また、すでにそういうことがありましたから、今後どのような方法をとればこういう不正が未然に防げるか、その点お願いしたいと思います。
#111
○小沼会計検査院説明員 お答えいたします。
 本院としましては、今回の事故もあらまし存じております。その後、直ちに労働省を通しまして実態の調査の報告を受けているところでございますが、いままでお話しになりましたように、やはり雇用状況の是正とか、あるいは失業の予防という法の精神がありますので、その法の精神に照らしまして、私どもも実地の検査を通しまして対処していきたい、このように考えております。
 なお、ことしに入りまして、やはり雇用調整給付金の問題は、これは一つのりっぱな制度であると同時に内容実査の必要性も考えられましたので、これまでに実地検査をかなり重点を置いて実施しておりまして、多少、小さなものでございますが、散見されているような事案があります。今後ともこの問題につきましては、検査も進行中でございますので、十分監視をして、関心を持ってまいりたいと存じております。
#112
○浅井委員 これからやはりその点について労働省も留意をされて、この制度の運用をお図り願いたいと思います。この点は要望しておきます。
 そこで私は次の問題に移りますけれども、閣議決定をいたしました「昭和五十年代前期経済計画」、これに基づいて、雇用問題といいますか、労働問題というか、この点について大臣にお伺いしたいわけですけれども、この中で述べておられる中で、今後は成長率の低下に伴って「雇用問題の重要性が増大する」と、こういうふうに指摘をされておりますし、物価の安定と並んで、この計画の一つの大きな目玉になっておる。その経済成長を六%ということに一応定めておられますけれども、六%という数字において、この期間中に日本の経済を見るときに、世界経済の動向あるいはその関連性というかその影響性というか、その中にあって日本経済だけがいわゆる六%実質成長率を保っていけるかどうかということは非常に疑問に思います。
 それとともに、資源エネルギーの制約の強まりや、あるいは環境公害問題の深刻化あるいは物価等の絡みもございますので、雇用問題だけを配慮して、そして雇用の安定のために経済成長だけだ、こういう高い経済成長を望む声もありますけれども、いま六%というふうに決めた場合、労働省としては完全失業者がないという状態での雇用関係は六%の経済成長で十分なのかどうか、まず、この点からお伺いしたいと思います。
#113
○遠藤政府委員 先生も御承知のように、従来労働行政、雇用政策というのは、言ってみれば産業政策、経済政策の後追い、後づけ、しりぬぐいといったような形で行われてきたきらいがございました。いま御指摘になりますように、国際環境あるいは国内の諸条件の制約の中で、これから安定成長といいますか、減速経済といわれる、いわゆる低成長時代に入ってまいるわけでございます。そうなりますと、いま御指摘になりましたように、これからは雇用の問題、人の問題、これが最重点課題になってまいります。そこで雇用政策もいままでのような産業政策の後追いではなくて、雇用の問題と経済の成長とどう調和させるかというのが、これからの大きな課題であり最重点になってまいるわけでございます。
 そこで、私どもの方では一昨年から、労働大臣の諮問機関でございます雇用政策調査研究会というのがございまして、ここに昭和五十年代、六十年までの労働力の需給展望について検討をお願いしておったわけでございます。昨年の九月に、その報告書が提出されまして、それによりますと、昭和六十年の時点で労働力の供給水準五千六百五十万ないし五千七百五十万という供給の展望が示されております。この労働力供給水準からいたしますと、五千六百五十万ないし五千七百五十万の労働力供給に対して完全雇用を確保していくためには、日本のこれからの産業構造の転換等も含めまして、一体どれくらいの経済成長を確保すればいいかといったような点も検討いたしまして、この労働力の需給のバランスを確保していくためにはどうあるべきかという点も、今回の閣議決定されました経済計画の策定の作業の段階でも十分調整をとりながら進められたわけでございます。
 一応いろいろな制約の中で五ないし七%の経済成長が可能だという場合に、六%程度であるならば、一応完全雇用の状態が確保できるのではないか、こういうふうに考えられたものだと承知いたしております。
#114
○浅井委員 労働大臣は、たしか一昨年あたりから六%ならば十分だという話があります。いろいろな統計のとり方によっては、六%では無理で、七%でなければという話もあります。確かに物価の安定という一つの大きな課題を克服するには、六%程度がいいという考え方が一つの考え方であることも、私たちは否定はいたしません。しかしさらに、その六%で労働力の需給のつじつまが一応合うといたしましても、これで問題はないわけではないと私は思います。たとえば労働省が雇用失業情勢を説明するときに、求人倍率という言葉をよく使われます。この求人倍率というのは、就職を希望している人一人に対して就職口が幾つあるかということをあらわすものだ、こう私は聞いております。
 そういたしますと、求人倍率が一倍ということは、言ってみれば労働力の需給が均衡している状態を示しておりますけれども、求職者の数と求人の数が一致しているということであって、求職者全員が自分の好むような、あるいはまた適正な職業がぴったりあるというわけにいかないと私は思うのです。それとともに年齢別に見ると、若年の労働者といわゆる中高年齢の労働者と比べてみますと、雇用の側は、やはり若い人たちの労働力を求める。中高年齢層の就職難というものは、六%といっても、まだ非常に深刻であり困難ではないか、こう思われます。
 また、特に不況になりますと、中高年齢者がしわ寄せを受けますし、その雇用問題が大きな社会問題になっておりますので、地域別に見ても、また雇用問題というのは非常に問題が出てくる。こういう観点から、成長率が六%と言いながら、それが低下をする場合もある。こういうことについて労働省として、中期的あるいは長期的に雇用問題がどのようになるか、あるいはどのように重要に考えておられるか、お伺いしたいと思います。
#115
○長谷川国務大臣 六%ということは、資源の問題とか公害の手当てとかいろんな問題があるわけで、それから海外の資源が高くなったこと、そういうもの全体総合して六%、そして組合の諸君も六%ならば自分たちもというように賛成されている数字でございます。
 そこで問題は、先ほど局長も申されたように、とにかく十数%ずつばんばん上がっている時代とわけが違って、六%の場合の日本の雇用状況は一体どうなるか。おっしゃるとおり、若年労働者は、いま就職は皆できております。現に大学卒業生、去年あれだけ心配しましたけれども、自分の希望するところかどうかは別として、とにかく自然におさまっている。そこで問題は、日本の人口構造が高年齢社会になってきている。今日求人倍率が〇・六八ということで、多少景気が上向いているところに私たちは喜びを感じ、また今度の予算が可決された後での経済政策が実施できるところに、さらにそれを期待できるのですが、そういう中にあって、やはり百二十四、五万の失業者がいる。
 その中を見ますと、おっしゃるとおり中高年齢者がいるということでございますから、経済計画が発表されましたが、私の方でも第三次雇用対策計画の中においては人間を中心にして、いまから先の問題を本当に真剣に考えていく。特にこういう中高年齢者の再訓練、職場の拡充、そして適職の発見、こういうところに日本の労働政策の重点が移らざるを得ない。
 そこで、先ほどから言われておりますように、いままでは雇用調整給付金などもやりましたけれども、不正受給も言われたようなかっこうもありますから、そういうところで、ただ休業させているのじゃだめで、その間にやはり訓練もしてもらうし、その訓練の金を出してもいいのじゃないか。ある場合には、社会施設の方には人間が足りないですから、そういうところに中高年齢者が働きに行った場合に、その金の補助を私の方でしてもいいのじゃないか。そうした産業構造の改善と相まって雇用関係の改善も、やはりやる必要があるのじゃないか。まさに人生最大の不幸は失業だと思いますから、私は能力があって意思のある者が自分でしっかり再訓練して、腕に覚えのある自立精神のある方々が失業しないように、大いにがんばっていきたい、こう思っております。
#116
○浅井委員 労働省においては、いま少し大臣も触れられましたけれども、雇用対策の基本的な方向を示すものとして雇用対策基本計画を作成中であると聞いております。総理府の審議会にも諮っておると聞いておりますけれども、その作成作業の状況と、いつごろそれができ上がるかという点についてお答え願いたいのです。
#117
○遠藤政府委員 雇用対策基本計画は、現在第二次の雇用対策基本計画が計画期間五十一年度までになっております。しかしながらこの第二次の計画は、御承知のように四十八年までの高度成長時代の経済を背景にしたものでございますので、これからの新しい経済体制に対応いたしますために、五十一年度を初年度とする第三次の雇用対策基本計画を策定すべく、いま御指摘のように雇用審議会で御検討をお願いしておる段階でございます。実は今週末最終的な審議会が開かれまして、今月末あたりに答申がいただけるかと期待をいたしております。
 したがいまして、それを受けまして来月の上旬、あるいは遅くとも中ごろまでに第三次雇用対策基本計画の閣議決定をいたしまして、五十一年度から実施に移してまいりたい、かように考えております。
#118
○浅井委員 雇用対策の基本計画は、いま御答弁になったように、まだ正式に閣議決定いたしておりませんので、その内容を明らかにすることについては非常に困難な面もあると思いますが、少なくとも閣議に提出するこの案というものは労働省がまとめられると思います。そこで労働大臣として、どのようなものにしたいとお考えになっているのか、少し具体的にお尋ねしますので、率直なところをお聞かせ願いたいと思います。
 第一は、今後経済成長率が低下するとした場合に生ずる全般的な労働力需給の緩和、すなわち働きたい人が多いということに対する対策であると思います。
 経済成長がこれまでよりも鈍くなれば、一般に生産の伸びも鈍り、いまでも企業は余剰人員を抱えておると言われております。企業は余り人を雇おうとしなくなりますし、また賃金などの労働条件の向上も非常にむずかしくなるのではないかと予測されます。他方収入が伸びないと、これまでどおりの生活を維持していこうという家庭では共働きというか、主婦などが家計の足しにするために働きに出たいという人がふえる可能性があります。労働力需給はさらに緩和して失業がふえ、しかも再就職がむずかしいという、どろ沼に入り込んでしまいますし、そうなってからでは、この問題については非常に手おくれであると私は思います。
 世間では、今回の不況が終わっても、労働力過剰時代がまだかなり続くのではないかと言われております。雇用行政を預かっておられる労働大臣として、今後の雇用対策のあり方、非常に深刻などろ沼のような不況の中で深刻さを加えるこの雇用問題について、どのような考え方を基本計画に盛っていかれようとしているのか、具体的にお示し願いたいと思います。
#119
○長谷川国務大臣 従来の産業構造で、人でありさえすれば何でもいい、地方に出向いている人を集めてくる、そういう時代はやはり過ぎた。そして一方には低成長ですから滞留もありますし、また需給関係も緩くなる、こういうことですから、やはり訓練すること、そしてまた、それぞれが資格を取ること、そういうことによっての雇用の需給の維持、拡大を図るということと、労働力の需給の年齢構成を改善しなければならないと私は思います。そして労働者が適職につけるような適応性を高める、こういう多角的な方策によって労働力需給の質、量にわたるところの円滑な調整を図る必要がある。
 私は、いろいろな団体、あるいはいろいろな会合でいま申し上げているのですが、雇用安定基金のような基金制度をつくって、ようやく不況を脱却しているこういうときに、経営者その他いろいろなものでそういう金を用意して、機動的な金の出し方ができるように、かつて雇用調整給付金が非常に歓迎され、働く諸君を助けたように、今度はそれを長期でやるような姿などもぜひ打ち出したい、こういうふうに思っているわけであります。
#120
○浅井委員 いま雇用基金というふうにおっしゃいましたけれども、その雇用基金という制度について、もう少し詳しく教えていただけますか。
#121
○遠藤政府委員 冒頭に御指摘になりました新しい雇用保険法によりまして、雇用調整給付金制度ができて、不況期の一時的な休業対策、そういう休業によって切り抜けて失業者を出さないようにという制度でございますが、これは御承知のように非常に歓迎されておりますし、大きな期待をかけられておりますが、労使各側の大きな期待にもかかわりませず、必ずしも十分でございませんで、さらにその制度の内容を拡充し、あるいは、単に不況期対策というだけでなくて、これからの産業構造の転換に伴う余剰労働力、過剰雇用に対する対策といったような観点から、もっと中長期にわたる制度としてもう一遍再検討してほしい、こういう声もございます。それから現在の雇用調整給付金制度だけでは、なかなか適用を受け得られないようなそういう面もございます。
 そういった点をもう少し拡充いたしまして、これからのいわゆる低成長下の不況期対策、不況期における雇用調整対策と並んで、産業構造転換に伴ういわゆる衰退産業における余剰労働力の転換対策、こういったような面に適応できるような制度を考究したいということで、いま御指摘になりました第三次雇用対策基本計画の中に、こういった施策を盛り込みたいと考えておるわけでございます。
 その中の具体的な施策といたしましては、現在あります雇用調整給付金制度による一時休業期間中の補助、そういった、むしろどちらかといえば消極的な施策だけでなくて、それに加えて、その間にたとえば新しい職業転換のための訓練をやる、企業内で訓練をやらせる、その間の賃金を補助するとか、あるいはその訓練の助成をするとか、あるいは一部でちょっと行われておりましたような余剰労働力を他の企業に出向させるといったような際の、出向に対する助成措置をとるとか、あるいは雇用の場を創出するための仕事としまして、これからの低成長下でも、なお労働力不足を訴える部門がかなり多くなってくるかと思われます。その一つの例は、社会福祉公共部門、公共サービスの部門等におきましては、この労働力の需給が緩和します中でも、なかなか必要な要員が確保できないといったような面もございますので、こういったこれからの社会的に必要とされる部門の労働力確保の観点からも、そういった考え方も加味しながら、こういった部門への補助、助成をすることによって余剰、過剰雇用をそういった方に振り向ける、具体的にいろいろございますが、そういった積極策を大いに盛り込んだ新しい雇用対策をつくり出していきたい、こういうことでいまいろいろ寄り寄り事務的に検討いたしておるわけでございます。
 雇用対策基本計画ができましたならば、こういった制度の具体化に早急に取り組んでいきたい、かように考えておる次第でございます。
#122
○浅井委員 それから、いわゆる産業構造の転換、こういうことが言われておりますけれども、このいわゆる産業構造の転換に伴う雇用問題、これからの産業構造の転換ということがどのような形で進むのか、私ども具体的に想像しがたい問題であります。しかしながら、いわゆるエネルギーの問題から省資源型の産業に転換しなければならないという、言葉だけでは出てきておりますけれども、これが転換のための期間的にも非常に長い問題が出てきますし、現実的にまた衰退産業等も出てまいります。それに対する中高年齢層の就職問題、これも非常に重要になってくると私は思います。
 それとともに、経済計画の中にもございますけれども、高学歴化が進展する中で、いわゆる若年労働市場における大学卒の人たちの需給不均衡が拡大するおそれがある、こういう点も指摘をされておりますけれども、この辺について、産業構造の転換に対応する問題とあわせてお答え願いたいと思います。
#123
○長谷川国務大臣 これは一般論のお答えになることはお許しいただきたいと思うのです。
 私は文部大臣とときどき懇談しておりますのは、まず一番先には、日本はだれでも大学に入れる国ですから、昭和六十年になりますと、高等学校の卒業生と大学の卒業生の数が同じになるのですから、いままでの、大学を卒業すればエリートコースだなんというイージーな考えは捨てなければならぬ。ですから、一方では各種訓練校に大学卒業生まで、自分の大学で出た学科のほかに、腕に覚えを持っている。そして同時に、やはり働く諸君が対応する姿勢と、一方、私が通産大臣等々にも話をしておりますことは、産業構造の改善が行われる、その場合にどういうふうな構造改善の姿に業種がいくものか、その場合にやはり人間をその企業がどう扱おうとするのか、構造改善をやる場合に労働省と相談をしてくれ、そこに基本計画の実施がある、そういうふうにやはり事前に訴えていく必要がある。
 同時に、付加価値の高い産業を興すことによって雇用の増大をもたらすということは、これは原則でございますから、そうした産業界の姿勢というものも必要だろう、こういうふうに私は考えまして、やはりおっしゃるように、最後には中高年齢者の問題になりますが、これはもう終戦以来この日本を、廃墟の中から産業を、わが家の家庭、わが家の大学生を卒業させて、なおかつファイトのある方々か社会参加として――早い話かせんだってフランスのポール・ボネでしたか、「ダイヤモンド」に書いた論文を読んでみても、一つの例でございますけれども、日本ではお手伝いさんがいない。ところが、職安かあるいは家政婦会から頼んだら一日が八千円、七千円。どうしてそういうふうに職業の転換というものが行われないのだろうか。
 あるいは社会施設がそうです。足りないでしょう。その場合に、中高年齢の仮に男が行くとするならば、その給料は私の方が若干補助をすることによって、そしてその社会施設に働くことが社会参加であるというふうな全体のムードを出していくところに、労働省が本当に広く各役所と人間の問題を中心にして、なわ張り争いじゃなく、雇用問題は日本の問題だということの姿で横断的に御連絡申し上げ、推進していくところに必要があるのじゃなかろうか、こう考えております。
#124
○浅井委員 この五カ年計画についていろいろと批判が出ております。しっかりやってもらいたいわけですけれども、いわゆる物価の問題と、それから雇用という問題、二つの問題、これを追求するに当たって、こういうふうに言われている論説がありますけれども、雇用面につきましては、前回は、週休二日制、定年制延長など雇用環境の改善が柱だった。今回は、完全雇用の確保が表に出て、完全失業率を一・九%から一・三%に下げるという目標を掲げた。これは石油ショック後の情勢に適応した当然の措置ではあるけれども、このいわゆる物価の問題との目標を両立させるには、幅の狭い成長経路なんだと。
 いま職業訓練だとかいろいろな基金だとか、いろいろな対策がありますけれども、非常にむずかしい。あるいはまた、景気の変動というものは、このいわゆる五%という成長を五カ年計画のもとに果たして本当にできるのか、こういう疑問があると私は思うのです。経済成長ですから、必ず波がある。その中に、もしいわゆる五%成長ができなかった場合の、それに即応できる雇用問題といいますか、これは非常に重要な課題ではなかろうかと私は思います。この辺もよく御検討だと思いますけれども、これはしっかり考えておいていただきたいと思います。
 そこで、いま国民が最も関心を持っておる問題は、今日統計の数字にあらわれております百万人失業者、それから、企業が約二百万人近い余剰労働力を抱え込んでいる、こういうふうに推定されております。これに関して、このいわゆる五年計画のビジョンも非常に重要でありますけれども、これからこの不況から抜け出る過程でインフレを伴わないで、いわゆる公共料金の値上げ等がこれからまたございますので、このインフレを伴わないで雇用の確保がどのようにしてできるのかということは、非常に私は当面の重要な問題として国民は関心を寄せておると思います。この際、この点についてお答えをいただきたいと思います。
#125
○長谷川国務大臣 国民、勤労者、一家の御主婦が願っていることは、やはりインフレーションがないことだと思います。そういう意味からしますと、とにかく一昨年暮れに消費者物価二七%、これじゃもう働く諸君が実質賃金は下がる、もらう奥さんは買い物に行っても相場の中に生活。これがやはり国民の良識ながら、消費者物価が一五%、九・九%というふうな姿の中に、実感としてどうこうという話はありますけれども、こういうところに落ちついたというところに、私はやはり物価問題をまず置きつつ、そして働いて返ってきた実質賃金が維持される。組合の諸君も、ことしは実質賃金の維持、向上ということがスローガンだと私は拝承しております。
 ですから、まずこの線をやっていくことが一番大事なことじゃないか。その中に、ただいま申し上げましたように雇用調整給付金あるいはいまから先、私たちが構想しております雇用安定基金、そして日本というのが、あすからでもみんな失業者が出てくる、不景気になって日本国はどうにもならぬじゃないかというふうな一部に声を出す方がありますけれども、私はさにあらず。なぜかなれば、今日世界の中で〇・六八という新規求人倍率は日本だけ。そして輸出がここまで伸びているという姿などは、絶対に意思のあるところには私は明るさが出てくる、またそれをやる可能性のある日本民族だ、こういうふうに感じまして、それこそ皆さん方のお知恵をかりながら、そういう明るい面に努力するところに出てくるというところで、ひとつ万全の行政の対策を講じてまいりたい、こう思っております。
#126
○浅井委員 いま日本のいわゆる情勢というものが、労働確保というものは非常にこれから明るい見通しで、決意で非常に結構なんですけれども、この中で具体的に一・九%、いわゆる失業率が高まったやつが五年後に一・三%になるというこの計画、これは先ほど具体的に説明をいただかなかったわけですけれども、いまの答えにも出てきませんでしたので、この際、あわせてお答えしていただきたいと思います。
#127
○遠藤政府委員 冒頭に申し上げましたように、一応六%程度の成長が維持されるならば、これからの労働力供給水準から見まして一・三%台、一・四%程度の失業率ということで一応完全雇用の確保が可能かと考えられておりますが、しかしその中で問題がないわけではございません。先ほどからるる御指摘ございますように、これから成長率がこういった六%台に低下するということになりますと、よほどこれからの経済運営に留意いたしませんと、いままで以上に深刻な失業問題、不況に見舞われるおそれがございます。
 そういった面から今回の第三次雇用対策基本計画の中でも、いわゆる雇用、失業の指標、いわゆる完全失業率とか有効求人倍率とかあるいは職安行政におきます業務統計とかいろいろな数字がございますけれども、たとえばフォード大統領が大統領に就任しました際に、アメリカの完全失業率が六%を超えたならば、なりふり構わず、とにかく失業対策に最重点を置いて経済運営をしていこう、こういう発言がごさいましたが、そういった意味でのこれからの低成長下の経済運営の指針となるような雇用、失業の指標というものが、まだ日本では完全に開発されておりません。こういった問題が今後の雇用対策を進めていく上での非常に重要な課題でございますので、この新しい総合的な雇用、失業の指標を開発いたしまして、これを指針にして、これからの経済運営に当たっていこうという考え方が、まず根底にあるわけでございます。
 それと同時に、一応六%程度で一・四%程度の完全雇用が達成できるといたしましても、その中で先ほど御指摘になりましたような中高年齢者の問題でございますとか、あるいはこれからの産業構造の転換に伴って大量の過剰雇用の問題を抱えてまいります。こういった問題をどうするか。地域別な労働力の需給のアンバランス問題に対してどう対処をするか、あるいは身体障害者の問題あるいは日本で従来から言われております日雇い、季節出かせぎといったような不安定雇用の問題をどう解決するか、こういった幾つかの大きな課題を抱えております。
 こういった総体としての完全雇用が確保できる体制の中で、こういった個々の重要な雇用政策上の課題をこれから五カ年計画の中で解決するのでなければ、御指摘のような十分な体制をとるわけにまいりませんので、そういった点をこれからのこの五カ年計画の中で、具体的な施策を盛り込みながら、これの実現に努力をしていきたい、かように考えているわけでございます。
#128
○浅井委員 最後に私、質問するのですけれども、日本の経済成長率六%という問題は、世界経済の中において、この世界経済の大きな変化、これに対しての対応の仕方、これが私は非常に大きな課題だと思います。この影響力が出てくるであろうし、これは理想どおりいかない。いままで政府が立てた五カ年計画というのは、常に計画倒れになって、二、三年でまた変えざるを得ない。こういう見通しの悪さ、こういうものが従来から常に指摘されてきております。そういう中において、世界経済の大きな変化に対しての対応のあり方を、いまから十二分に検討しておく必要があると私は思います。
 そういうことですので、この点についての、これからの新しい労働行政といいますか、雇用対策というか失業対策といいますか、これに対する役割りというのは非常に大きな問題であろうと思いますので、その辺で、労働大臣として、あるいは労働省として、先ほど御決意がございましたけれども、全力を挙げてこれに対する国民の期待にこたえてもらいたいと思います。
 どうかひとつ、深刻な雇用問題についての対応、これは機動性が非常に要求されると思います。深刻な雇用という問題について、国民は生活が不安になるということで、これがまた政治不信を呼び、あるいはまた社会不安を呼ぶ一つの大きな原因でありますので、この点について、私は時間も余りなかったので、いままで指摘をしたのは表面的な問題が多かったわけでありますけれども、この経済計画に伴うところの労働省のいわゆる労働政策というものを確固不抜たるものに確立していただきたいと思います。この点だけの答弁を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#129
○長谷川国務大臣 日本が自由経済機構を運営しながら雇用を拡大し、そしてまた、その中に私たちの生活向上がございます。従来の指標が間違ったということも、これはございます。なぜかなれば税外収入がどんどんふえたことなども間違ったゆえんです。しかしながらまた一方、オイルショック以来の海外の資源がみんな高くなった。これからくるところの指標の間違いなどが、このたびの国会で特例国債などもお願いしていることのゆえんでございますが、ですから今度の国会においても、かつてないことでございましょう、雇用の安定ということを中心にして与野党で御審議いただきますことは。私はそれだけに、日本の問題、人間の問題中心に戻ってきた、こういうことを感じますから、持っておったところの諸政策、それからまた、こういうところでお示しをいただきますところの御意見などを体しまして、機動的にやはり雇用関係の維持、それを労働省が、まさに内閣の中においても全体挙げて、これにぶつかるような姿勢をとるように推進していくことが役目ではなかろうか。御期待に沿うようにがんばるつもりであります。
#130
○浅井委員 終わります。
#131
○村山委員長 次回は、明二十日木曜日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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