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1975/04/08 第77回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第077回国会 予算委員会 第27号
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1975/04/08 第77回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第077回国会 予算委員会 第27号

#1
第077回国会 予算委員会 第27号
昭和五十一年四月八日(木曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 荒舩清十郎君
   理事 井原 岸高君 理事 塩谷 一夫君
   理事 正示啓次郎君 理事 山村新治郎君
      伊東 正義君    上村千一郎君
      植木庚子郎君    江崎 真澄君
      小澤 太郎君    大野 市郎君
      奥野 誠亮君    片岡 清一君
      瓦   力君    北澤 直吉君
      倉成  正君    黒金 泰美君
      櫻内 義雄君    笹山茂太郎君
      瀬戸山三男君    田中 龍夫君
      谷垣 專一君    西村 直己君
      根本龍太郎君    野田 卯一君
      藤井 勝志君    保利  茂君
      細田 吉藏君    前田 正男君
      松永  光君    三塚  博君
      森山 欽司君    河村  勝君
      小平  忠君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      福田 赳夫君
        法 務 大 臣 稻葉  修君
        外 務 大 臣 宮澤 喜一君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 永井 道雄君
        厚 生 大 臣 田中 正巳君
        農 林 大 臣 安倍晋太郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 木村 睦男君
        郵 政 大 臣 村上  勇君
        労 働 大 臣 長谷川 峻君
        建 設 大 臣 竹下  登君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長
        北海道開発庁長
        官       福田  一君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      井出一太郎君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)      植木 光教君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      松澤 雄藏君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 坂田 道太君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      佐々木義武君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 小沢 辰男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 金丸  信君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        内閣法制局第一
        部長      角田礼次郎君
        防衛庁長官官房
        長       玉木 清司君
        防衛庁防衛局長 丸山  昂君
        防衛庁装備局長 江口 裕通君
        経済企画庁調整
        局長      青木 慎三君
        経済企画庁物価
        局長      喜多村治雄君
        経済企画庁総合
        計画局長    宮崎  勇君
        経済企画庁調査
        局長      岩田 幸基君
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アメリカ
        局長      山崎 敏夫君
        外務省欧亜局長 橘  正忠君
        外務省条約局長 中島敏次郎君
        大蔵省主計局長 吉瀬 維哉君
        大蔵省主税局長 大倉 眞隆君
        大蔵省理財局長 松川 道哉君
        農林大臣官房長 森  整治君
        農林省農蚕園芸
        局長      澤邊  守君
        農林省畜産局長 大場 敏彦君
        運輸省鉄道監督
        局国有鉄道部長 杉浦 喬也君
        労働大臣官房審
        議官      吉本  実君
        労働省労政局長 青木勇之助君
        労働省職業安定
        局長      遠藤 政夫君
        自治大臣官房審
        議官      福島  深君
        自治省財政局長 首藤  堯君
 委員外の出席者
        日本国有鉄道総
        裁       高木 文雄君
        予算委員会調査
        室長      三樹 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月八日
 辞任         補欠選任
  植木庚子郎君     根本龍太郎君
  小澤 太郎君     松永  光君
  黒金 泰美君     瓦   力君
  瀬戸山三男君     江崎 真澄君
  山口 敏夫君     森山 欽司君
  山崎平八郎君     保利  茂君
  渡部 恒三君     細田 吉藏君
同日
 辞任         補欠選任
  片岡 清一君     瀬戸山三男君
  瓦   力君     黒金 泰美君
  松永  光君     小澤 太郎君
  三塚  博君     植木庚子郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十一年度一般会計予算
 昭和五十一年度特別会計予算
 昭和五十一年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
#2
○荒舩委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十一年度一般会計予算、昭和五十一年度特別会計予算及び昭和五十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたし、これより締めくくり総括質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小平忠君。
#3
○小平(忠)委員 私は、民社党を代表いたしまして、昭和五十一年度の予算審議の最終段階に当たりまして、締めくくりの総括質問という意味で、三木総理大臣以下関係閣僚に若干の質問をいたしたいと思うのであります。
 まず第一は、三木内閣の政治姿勢についてであります。
 昭和五十一年度予算審議が御承知のように大幅におくれまして、四十日に及ぶ暫定予算を組んで対処せねばならぬということは、現下、不況克服、雇用安定を強く叫ばれる全国民の願望にこたえなければならないというときだけに、まことにゆゆしい事態であると思うのであります。三木総理は、今次ロッキード問題によりまして一ヵ月を上回る国会の空転によって政治の空白を招来した異常事態に対して、その政治責任をどのように考えておられるか、まず総理の所信を承りたいのであります。
#4
○三木内閣総理大臣 いま国民が求めておるものは、ロッキード問題をうやむやに終わらすことなく真相を究明してもらいたい、もう一つは、景気の回復を図って、そして雇用の安定を図るように早く持っていってもらいたい、これが二つの、当面の国民の政治に求めておる点でございます。
 その点につきましては、御承知のように私としてもその国民の求めを真正面から受けとめて、ロッキードの真相究明に対しては全力を傾けておる次第であります。また、景気の回復、雇用の安定の問題については、本予算がいまだ国会で議決を得ておりませんから、その間暫定予算ということで、できるだけ暫定予算の中においても景気の回復、雇用の安定というものを許される範囲内においてこれを計上して、こういうなかなかむずかしい条件の中で国民が求めておるロッキード問題の究明、景気の回復というものに最善の努力をいたしてきておるわけでございます。
 この国会の空白というものに対して、私も責任を感じておりますが、国会については、国会は与党だけでは成り立たないわけでございますから、どうか議会制民主主義を維持発展させていくためには野党の方々も共同責任を持っておるのだということで国会を運営しないと、なかなか円滑な国会の運営はできない。そういう点で民社の方々が国会の審議をいつまでもおろそかにすることはできないということで審議に御参加願っておることに対しては敬意を表するわけでございますが、そういうことで責任を感じ、国民の願っておる問題の解明に全力を傾けたい、議会制民主主義の維持発展については与野党間でできる限り話し合いを続けていかなければならぬと考えております。
#5
○小平(忠)委員 ただいまの総理の答弁で、果たして国民はあなたが政治責任を痛感しておられると受けとめられるでしょうか。この重大なときに国会が一カ月も空転する、空白、まさに私は異常な事態であると思うのであります。昨日、わが党の同僚委員佐々木良作君がこのことをただしたのに対して、あなたは何も政治責任を痛感しているということに私は受けとめられなかったから、あえて同じことを再びお伺いしたのであります。
 そこで、私は、きわめて貴重な時間でもございますが、これからもきわめて重大な局面を迎えるのでなかろうか、このように思うのであります。したがって、私は具体的な事例を挙げて総理の猛省を促したい、このように思うのであります。
 一昨年の暮れにあなたが国政、政権担当、三木内閣が誕生いたしましたときの国民の支持率は五〇%を超えていたのであります。しかるにその後、一年数カ月を経た今日では、いかがでしょうか。その支持率は半分以下の二三%程度に急落しております。私はその原因は次の諸点でないかと思うのです。
 第一は、言うことはきれいだけれども、実行が伴わない、いわゆる有言不実行であるということであります。たとえば党の近代化、独禁法の改正、ロッキードをめぐる公約等々で明らかなように、意思はあっても能力がないという点であります。すなわち、総理のロッキード事件解明の姿勢は、徹底究明に積極的に取り組むと言いながら、行動が伴っておりません。さらに真相究明を要求する満場一致の国会決議を総理が履行できなかった政治責任はきわめて重大であると思うのであります。
 第二は、そのような実行力の欠如は党内におけるリーダーシップの欠如を意味し、そのことは国会運営、解散問題についても同様であります。したがって国民は、まさにこの点に強い失望を抱いていると言わなければなりません。このことは、つまり一国の首相としてそのリーダーシップが問われていることでございます。
 第三は、総理は清潔な内閣というイメージにとらわれ過ぎて、あえて火中のクリを拾おうとする勇気に欠けていることであります。現にロッキード事件という、いわゆるこの歴史的な大問題が発生しているにかかわらず、現状を見る限り全く成り行き任せのありさまであります。このことは、総理、あなたには問題を一身に担って処理するという英知とバイタリティーがないと私は断ぜざるを得ないのです。この大問題に関して、高官の氏名などについて公開の方針を国民並びに国会に対して約束しておりながら、秘密扱いを要求してきたフォード返書をいとも簡単に受け入れるなど、その無責任な政治姿勢はまさしく三木内閣の力の限界を示すものであると私は断言していいと思うのです。
 第四は、不況打開に対する三木内閣の無能ぶりが暴露された点であります。事実、アメリカは昨年も第三・四半期から景気回復に入ったにもかかわらず、日本はいまだ不況から脱出できない。この三木内閣の景気浮揚策が後手後手に回り、さらにその対策が内容的に適切を欠いたために全く無為無策に終始したということであります。しかも今回の予算編成におきましても、不況のしりぬぐいを国民にしわ寄せいたしまして、減税の見送りを初め、各種公共料金や社会保険料の引き上げ、さらに自動車諸税の引き上げなどを行って、国民に一方的な負担と犠牲を強いる結果を招いている責任は断じて許すわけにいかないのであります。
 このように申し上げましても、三木総理、なお責任を痛感されておりませんか。
#6
○三木内閣総理大臣 小平君の御批判は御批判として承っておきますが、たとえば二つの当面の緊急課題であるロッキード問題にしても、何もやってないと言えるでしょうか。国税、警察、検察全力を挙げて法律上の面から追及をしておることは、客観的に見てもこれはやはりだれの目にも映るのじゃないでしょうか。非常な熱意を持ってこの真相解明に当たろうとしているし、これは私は大いに督励する立場にある。
 また、アメリカの資料も、これをそのまま公表することを期待した人々には失望を与えたかもしれませんが、しかし、昨日も申しましたように、アメリカとしては、アメリカのひとつの法制、慣行の上から最大限度の考慮を払われた結果だと思うのです。それがもう近く手に入るのですから、それは日本の捜査活動に対して非常に役立つことには間違いがないと私は思います。そういうことで、公表はできなかったという御不満はありましょうけれども、しかし、とにかく真相解明ということがねらいであるならば、これはその真相解明に役立つことは間違いないんですから、そういうことで、その新たなる資料をもとにして今後捜査活動というものが一段と活発になってくるわけです。
 この問題は突如として起こった問題でありますから、したがって捜査当局としてもいままでこれを調べておったのでないんですね。短期間の努力としては私は精いっぱいやっておると思うのです。また、今後そういうアメリカの資料も加えて徹底的に追及するんだ。とにかく国会にしても内閣としても、やはり捜査当局が捜査権というものを持っている以上は、そういう人たちを督励してこれに取り組ませるよりほかにない。私は、このロッキード問題の解明に対する政府の努力が足りないとは思わないのですよ。短期間に相当できるだけのことはやっておると思っております。この点、小平君にはそのように映らないことは残念でございますが、私は精いっぱいやっているという評価でございます。
 また、景気の回復の問題についても、小平君御承知のように、今年に入りましてすべての経済指標というものは上向いてきておるわけです。だから景気がいよいよ回復の兆しといいますか、長い、深い不況のトンネルからようやく明かりが見え始めたという段階に来ておることは、もうすべての経済指標の中にあらわれておるわけです。まだ個々の企業についてはばらつきがあって問題はありますが、全体としての景気の回復というものの兆しは見えておることは明らかでございまして、これは日本という、諸外国に比べて、いろいろ原料、燃料を日本自身がそんな豊富なものを持っていない、こういう非常に厳しい日本の経済条件の中で精いっぱいのことをやっている。しかもそれはインフレを抑制しながらやらなければならぬわけですから、そういうことで、物価も公約したごとく三月末に一けた台にし、物価を鎮静しながら景気が回復の兆しを見せつつあるということは、この点も御批判されればいろいろありましょうけれども、政府としては経済政策の上においてはやはり大きな過ちを犯してはいないというふうに考えますから、この点はやはり正当な評価を願たいと思うわけでございます。
#7
○小平(忠)委員 私は決して何もやってないということを申しておりません。三木総理は、政治家としてもまた議会人としても私の大先輩です。あなたが政権を担当されてから誠実に国政の処理の責任者としてやっておられることは認めるのです。しかし、このような事態はべらべらきれい事だけしゃべってそれでいいものではないのです。実行が伴わなければだめなんです。ロッキード問題にいたしましても、決して何もやっていないと私は申し上げたのではないのです。現に国会が一カ月も空転しているじゃありませんか。ようやく昨日から野党のわれわれが参加することによって変則な国会審議、予算審議が始まったのです。現に野党の第一党である社会党も、共産党も公明党も出席してない。変則なんです。ですから、私はこのことに関して総理が本当に謙虚に政治責任を痛感して、この事態を乗り切るために、さらに総理、総裁としてのリーダーシップを発揮することが必要でないでしょうか。私はそれをあなたに求めているのです。
#8
○三木内閣総理大臣 民主主義のもとにおけるリーダーシップは大事でございます。私も独裁者ではないわけです。だから、やはりいろいろと皆と相談をしながらやっていかなければならぬ面もございますが、リーダーシップを発揮すべきであるという点は全くそのとおりに考えております。今後自分の置かれておる重要な責任のある地位にかんがみて、私自身も一層とそういうリーダーシップを発揮して、この難局を乗り切らなければならぬと絶えず反省を加えながらこの責任の地位についておるわけでございます。
#9
○小平(忠)委員 重ねて申し上げますが、これからますます重大な局面を迎えるのではないかと思います。私は、謙虚に真に現下の事態に対して総理として重大な責任、政治責任を痛感されて善処、対処されることを特に望む次第です。
 次は、ロッキード問題についてさらにお伺いいたしたいと思いますが、ロッキードの真相究明は、さきの本委員会における証人喚問に見られましたように、証拠や資料を持たない尋問では究明できないのであります。材料を集め、相当の時間をかけてじっくり行う必要があるのであります。したがって、国会での真相究明は予算委員会や関係委員会でばらばらに行うのではなくて、専門的なスタッフによって集中的に行う必要があると思うのであります。その意味でわが党は、そのため調査特別委員会を設置して徹底的に真相究明に当たることを一貫して強調してまいったのであります。
 ロッキード事件の中でどの部分が犯罪を構成するかについては、これは検察並びに国税当局の活動にまつべきだと思います。しかし、犯罪を構成しなくとも政治道義、政治責任に触れる問題があった場合は、国会の役割りは、この点に集中されなければならないと思うのでありますが、総理の所見はいかがでございましょうか。
#10
○三木内閣総理大臣 私は、やはりこのロッキード問題というものは法律的な側面と政治的な側面がある。その法律的な側面は、これは捜査当局がやらなければならぬ。政治的な側面は、小平君の御指摘のような、国会に特別調査委員会を設けられて、そうしてロッキード問題はあくまでそういう側面から追及をされていくことが私一番いいと思う。ロッキード問題というものは少し腰を据えてかからなければならない問題ですし、国会の予算のような審議は日にちが限られておるわけですから、これを両方一緒にして、そしてロッキード問題も予算もということになれば、予算の成立というものはこれはなかなか見当がつかないわけでありますから、その考え方には全く私も賛成です。そしてまた、国会はいろいろな、国会という立場からの政治的な側面あるいは立法的な側面もありますね。だから、捜査当局の使命と国会の使命とは違ったものがございますから、アメリカから資料が来なければ国会活動ができないというものでは私はないと思うのですね。それは捜査当局がやはり徹底的にその資料によって刑法上の問題などにも追及していくでしょうから、国会がもう少し――政治的な側面というものはまた捜査当局と違った立場で、国会の追及というものはたくさん問題がある。それはアメリカの国会でも一生懸命にいろいろな、上院の外交委員会に設けてある多国籍企業小委員会などにおいても、相当やはり政治的側面から実績を上げておるわけであります。そしてまた、多国籍企業に対する行動綱領のようなものが要るというような問題もここで取り上げられてきておるわけです。だから、おのずから国会には国会としての役割りがあるわけでございますから、一日も早くそういう特別調査委員会でこの政治的側面からの真相究明に当たってもらいたい。小平君のその考え方には私も賛成でございます。
#11
○小平(忠)委員 そのとおりだと思うのでありますが、しかし、いまわが国が独自の捜査権を発動して捜査いたしていることは事実であるけれども、問題の発端はアメリカのロッキード社が種をまいた。したがって、やはり問題の核心には、すでにアメリカの上院多国籍企業小委員会で公にされているようなそういった資料のいわゆる実体を把握しない限り、真相究明は困難である、このように言われているのであります。その意味で、そのアメリカから提供される資料につきましては、やはりわれわれは公開の原則を貫徹して、特に疑惑に包まれておりまする高官の氏名などについては、刑事訴訟法第四十七条ただし書きの規定を活用して、あとう限り日本側の自主的判断で公表すべきである。その結果、一部の方々に迷惑がかかる場合があるかもしれない。それは、民間の証人などがみずから陳弁したように、やはりその方々がみずからの責任においてその潔白を証明すべきであると私は思うのです。
 したがって、だんだんと事態は進んでまいりますが、過日、そのアメリカの資料を受け取るために日本政府から係官が派遣されたと報道されておりますが、アメリカから提供される資料は、総理大臣、いつごろ日本に到着する予定でございますか。
#12
○三木内閣総理大臣 これは、アメリカから資料引き渡しを受けられるアメリカ側の条件は整っておりますから、これは近い機会に日本に提供されることになると思いますが、いまいつというふうには私は承知しておりません。ごく近い機会に資料は日本の手に入ると思います。
#13
○小平(忠)委員 近い機会と言いましても、すでに新聞などには今週中に届くというような報道がされておりますが、いかがなんですか。
#14
○安原政府委員 いつ入手できるかというようなことを含めまして、こういう事柄につきまして公表すること自体が、今回の取り決めの、資料交換に関する情報の公開は禁止するという約束になっておりますので、申し上げるわけにはまいりませんが、いま総理の申されましたように、遠からず入手できる見込みでございます。
#15
○小平(忠)委員 何かさっぱりはっきりしませんが、総理、やはり近日中に書類が到着することは間違いないのですね。
#16
○三木内閣総理大臣 ごく近いうちに資料が日本に入手されるというふうに考えております。
#17
○小平(忠)委員 そこで、総理は、いま国民がこのロッキード問題について重大なる関心と疑惑を持っている、したがって政府としては一日も早くこの疑惑を解明し、明らかにすべきだと、常にそうおっしゃっているし、先ほども、まずロッキード問題に決着をつける、そのように言われているのでありますが、総理の見通しといたしまして、この検察、国税当局の捜査が一段落するのは大体いつごろと目途いたしておりますか。
#18
○三木内閣総理大臣 ロッキード問題は、これは迅速に結末をつけなければならぬことは事実でございますが、まだこれから、いままでの日本自身の捜査に加えてアメリカの新しい資料が来て、そしてまた捜査が一段と活発になるわけでございますから、いまいつまでにロッキード問題の結末がつくかということを予測して私が申し上げることは適当でないと考えます。
#19
○小平(忠)委員 現在の政局、政治の面で何といってもやはり重要な課題は、現下のこの不況の克服、雇用の安定、これが経済危機にこたえる道でもあるし、同時に予算審議の渦中に舞い込んだロッキード事件というものは、まさに歴史的な国際的な大問題であるという観点から、これはただいま総理も答弁されましたように、速やかに本件の結末を得たい、真相を明らかにしたい、私はそのとおりだと思うのであります。
 そこで、全国民の願望である現下の不況の克服、雇用の安定、生活防衛、そのためには昭和五十一年度予算というものは第五次不況対策というような意味からも速やかに審議を終えて、われわれとしては政府案の足らざるを補って一日も早くこれを成立させたい、そういうことから、今日、考え方によりましてはこの国民の輿望にこたえて、緊急やむにやまれざる党の方針といたしまして、この審議に変則ではあるけれどもわれわれが参加して、その審議を促進せしめるということで昨日から審議に参加いたしたわけでありますが、総理、だからといってわれわれは、おたくの方の自由民主党と合意した条項のように、予算の審議を始めたからといってロッキード問題をあいまいにするとか、毫もそういうものではないことは重ねて私からここで強調いたしたいのであります。予算と並行してこの審議を進める。したがって、ロッキード問題の調査特別委員会を設置する。このことも、本当に政権、政治のリーダーシップ、主導権を握っておられる自由民主党、そしてまた自由民主党の総理、総裁であるあなたがその決意のもとに進まなければ、特別委員会を設置しても何にもなりません。そういう意味で速やかに真剣に取り組んで、一日も早く本問題が解決するために、総理は最善の努力をしてもらいたい、このことを重ねて私は申し上げたいのでありますが、総理の所見を承ります。
#20
○三木内閣総理大臣 今回、民社党が審議に参加していただいておることは、これは自民党のためとかなんとかいうことではございません。民社党が国民の立場に立って決断をされたものである、かように考えておるわけでございます。また、予算の審議に入ったからロッキード問題をうやむやにする、そういうことはできるわけがありません。これだけ国民の関心を集めて、しかも疑惑に包まれておる事件、だれがこれをやみからやみに葬ることができるのでしょうか。国民は承知しない。そういうことですから、この真相の解明ということは、やはり調査特別委員会のごときものをつくって、予算の審議と並行してこれは進められなければならぬわけでございますから、予算の審議に入ったからといってそれでもうロッキード問題をうやむやにするのだ、そういう懸念を持つ野党があるとするならば、それはロッキード問題に取り組もうとしておる私の決意に対して理解のなさ過ぎるものである、かように考えておる次第でございます。小平君の言われるように、今後ともロッキード問題の真相を究明するために全力を尽くす覚悟でございます。
#21
○小平(忠)委員 次は、リンチ共産党事件に関しまして党の立場を率直に申し上げ、明らかにしたいと思うのであります。
 実は、本委員会開会劈頭に党の塚本書記長からも、本会議の春日委員長の質問を踏まえてその真相についてただしたのでありますが、わが党だけでなく、他の党の方々からも本件に対しましては政府の考え方をただしたのであります。すなわち、この事件は、リンチがあったのかなかったのか、殺人があったのかなかったのか、宮本顕治氏は網走刑務所からどういう内容で釈放されたのか、さらにはどういういきさつで復権がなされたのか。主管大臣である法務大臣の答弁などを伺ってみましても、特に復権問題については、現下の状態ではそのいきさつがなかなか複雑で奇妙きてれつというような言葉を使いまして、やはり疑惑が残ったまま、その後ロッキード問題等の事件が表に出まして今日に及んでおるのでありますが、私は、いよいよ本予算委員会が本日をもって終結されるような段階で、この締めくくり総括質問で党の立場も率直に申し上げ、同時に、同じ野党の立場でありまする共産党を初め各党の意見も聞いて、そしてこのことは、すでにマスコミが大きく取り上げておりまするように、決していにしえの話ではなくて、今日的な問題となっておりますだけに、これを明らかにし、疑惑を解明することが国家、国民のために、わが国の民主政治のためにプラスだと考えておったのでありますが、遺憾ながら、御承知のように、野党第一党の社会党さんを初め、共産党さんも公明党さんも出席されてないというこの変則の予算審議のさなかで、党といたしましても、私といたしましても、本件について、欠席のところで質疑いたしてこれを明らかにしていくということは、やはり公党として差し控えようということから、実は本件に対しまする質疑を通じて明らかにするという問題は他の委員会に、他の方法に移したいと考えておる次第であります。
 そこで、本予算委員会といたしまして政府にこれら疑惑を解明するに必要な諸資料の要求をいたしておりますが、その資料は今日どうなっておるのでしょうか。国会にまだ提出されていないと聞くのでありますが、いかがでしょうか。
#22
○安原政府委員 先般御要求のございました資料で、その際に提出ができるということを申し上げました資料につきましては、いつでも提出する準備ができております。
#23
○小平(忠)委員 それでは速やかに提出を願いたいと思います。
 そこで、ただいまその資料がこの委員会にも提出されておりませんし、予定としては、本日この委員会は質疑を終了して討論ということになっておるのでございます。したがいまして、本件の自後の取り扱いは、法務委員会などにおきまして引き続き審議を進め、真相を究明し、疑惑を解明すべきであると私は思うのでありますが、政府の責任者法務大臣の見解、並びにそれでよろしいとなれば、その資料はその関係委員会に提出してもらいたい、このように思うのでありますがいかがでしょうか。
#24
○稻葉国務大臣 この前も申し上げましたとおり、正式な資料の要求が委員会からございますれば、いつでも提出できるだけの資料を整えておりますから、もし法務委員会等へ提出せよと言うならそういたしますし、予算委員会へ提出せいと言えばそういたします。
#25
○小平(忠)委員 もう一点、法務大臣みずからも、ただいまの次元ではなかなか実態が把握できない、きわめて奇妙きてれつだとおっしゃいました宮本顕治氏の復権問題については、去る三月二十六日のサンケイ新聞に、大々的に次のような報道がされておるのであります。すなわち、宮本顕治氏、袴田氏、この両氏の復権につきましては、当時のGHQの指令によるものであるというような報道が大々的にされておるのでございますが、本当に当時のいわゆるGHQの指令によって両氏の復権がされたということは事実なんでありますか、お伺いいたします。
#26
○安原政府委員 われわれの調査したところによりますると、宮本氏、袴田氏の両氏につきましての資格回復について、当時の連合国軍最高司令部から特別の指示があったことは事実と認められます。
#27
○小平(忠)委員 私はただいまの責任ある答弁で、確かにこれはGHQの指令によったものである、同時に、サンケイ新聞は大々的に報じて、なかなかその内容も複雑多岐にわたっておるのでありますが、しかし私は、この一新聞の調査報道だけでそれが裏づけられる、そして、もしそうだとするならば、いろいろな問題が派生してくると思うのであります。しかし、われわれはやはりこの際、この真相を解明して国民の疑惑を晴らすという意味から、この真相につきましては、特に復権の問題等についても、現にサンケイ新聞が報じられたようなことが事実とするならば、政府といたしましてもアメリカに特使を派遣するなどの方法によって、当時の関係者から直接事情を聴取して、また当時の関係書類を入手すべきであると思うのでありますが、法務大臣いかがでしょうか。
#28
○安原政府委員 この問題が提起されました以後、私ども法務省当局といたしましては、関係資料あるいは当時の関係者等からの事情聴取などによりまして一応の調査は終了しておりまするが、さらに調査の正確を期するという点から、小平委員からの御指摘もございましたようなアメリカにある資料、情報等の入手につきましても、そういうことをする必要があるかどうかを含めて検討いたしたいと思います。
#29
○小平(忠)委員 これは当然今日的大きな課題、問題となっておるからには、やはり政府の責任において、単なる情報とか新聞の報道とかということでなく、政府みずからの手によって、当時の関係責任者に会って詳しいその間の事情を聴取する、また資料も入手するという方法によってその実態を解明していただきたい、私はこのように思うのであります。特に本件は、私は決してその内容についてきょうは申し上げようと考えておりません。これは法務委員会等、担当の委員会にゆだねたい、こう思いますので、もう一曹法務大臣の責任ある答弁を願って、私は本問題を打ち切りたいと思います。
#30
○稻葉国務大臣 最後の方のアメリカの資料も入手して真相を究明せよという小平さんの御意見に私も賛成いたしまして、さように努力したいと思います。
#31
○小平(忠)委員 次は、予算の根本的な編成、そして予算の審議ということについて、私は総理並びに大蔵大臣に若干伺いたいと思うのであります。
 実は昨年の一月三十一日の本委員会におきまする私の代表質問に、当時三木総理も大平大蔵大臣も明確に答弁された二、三点がございます。その一つは、予算編成方針の扱い方、それから財政法第二十七条による国会提出の時期、さらに大蔵原案内示時における、いわゆる予算政府案をつくるまでの間における公開財源、こういうことについて私は伺って、総理並びに大蔵大臣が明確に答弁されているのであります。
 その第一の予算編成方針でありますが、従来年末ぎりぎりの段階に予算編成方針を出してきて、その翌日か翌々日に大蔵原案が内示されるというこの無定見ぶりを私は指摘したのであります。もっと早く――それは経済情勢がきわめて流動的であるとか見通しが立たないとか、いろいろその説明をされて、やむを得なかったことを説明されましたが、しかし、今後は努めてこれを早く出すようにしよう、このことを言明されておりますが、昨年の暮れにおきましても同じことを繰り返されております。これは一体どういう事情なんですか。
#32
○大平国務大臣 御案内のように、予算を編成いたす場合に、その前提といたしましてわが国の経済状況、五十一年度でございますならば、五十一年度の経済見通しにつきまして政府はできるだけ的確な判断を持たなければならぬことは申すまでもないことでございます。それを政府全体として掌握いたします時期が、たまたまいま御案内のように年末の段階になってまいっておるわけでございますので、それと符牒を合わせまして予算の編成を考えるという手順をとっておりまする以上、やむを得ない仕儀であろうかと存じます。しかし、できるだけ早くしろというお考え、よく理解できるところでございます。当該年度の経済の見通しにつきまして的確な掌握ができるだけ早くできるということが保証される限りにおきましては、私どももそういう方向で努力をいたすことにやぶさかではございません。
#33
○小平(忠)委員 同時に、その予算編成方針を閣議決定する前に、やはり国会の運営は、それは与党に最大の責任はあるけれども、野党にも共同の責任がある。国会が真に圏のいい予算をつくるためにも野党も真剣に取り組んで審議する、論議する。そういう意味からも予算編成方針が閣議決定前に、野党にも事前に相談しようということだとそうおっしゃいましたが、何らそれらのその後の実行がされておりませんが、いかがなんですか。
#34
○大平国務大臣 国会の、本委員会はもとよりでございますけれども、各委員会におかれまして野党を通じて展開されておりまする経済並びに財政その他国政全域にわたる御論議は、政府は直接耳にいたしておるわけでございます。したがいまして、毎年度の予算の編成に当たりまして、国会の論議がどういう姿で展開されておるか、どの点に批判が厳しく集中いたしておるかということにつきましては、政府は政府なりによく承知いたしておるわけでございまして、したがって、八月末に各省庁から提出されまする概算要求には、すでにそういう点は十分考えた上で私どもの方に要求されておるわけでございまするし、また予算当局におきましても国会における御論議というものを十分念頭に置いて査定にかかっておるつもりでございまするので、その点におきまして形式的に各野党との間に克明な事前のお話し合いがないじゃないかということに対しましては、実質的には相当政府が予算案を編成するに当たりまして配慮いたしておるのであるということを御理解賜りたいと思います。
 しかし、それでもなお予算の編成前に各野党の政調、政策審議会方面等から御意見をまとめて承ることは極力努めておるわけでございまして、十分とは言えませんけれども、極力努力いたしておりますことは小平さんも御承知のことと思います。
#35
○小平(忠)委員 現在の予算編成の過程は、ただいま大蔵大臣も指摘されましたように、八月末までに各省庁が概算要求を大蔵省に提出をする、九月からその概算要求に基づいて大蔵省が結局査定に入っていくというような仕組み、これは私は当然のことであるし、またそのような方法がとられないとやはり的確な予算編成というものができない、これはよろしいんですが、しかし、それが年末ぎりぎりに政府原案が決まる直前に予算編成方針なるものがあらわれてくる、こういうことは昨年三木総理、あなたこういう答弁されているんですよ。ちょっと簡単ですから読みますから。この予算編成方針について、「いまのような時期というのは、少しやっぱり遅い感じがいたします。内閣の予算編成方針はもう少し早める必要があるということは、小平さんと同感でございます。」このように明確に総理、答弁されております。
 さらに、野党に事前に相談をしてはどうかということに関しましても、三木総理は、「いつの時期に聞くかということは別として、今後野党の意見はできるだけお聞きして、とれるものがあったならば、」それを予算に反映していい予算をつくるということに努力いたします、このように総理、明確に答弁されておるが、その実効は上がってないと思う。まことに遺憾であります。ただいま大蔵大臣は、その間で野党の政審会長などとも意見を聞いておると、それは私も知っておりますが、しかし、われわれが昨年予算の理事会でもこのことを取り上げて、本当にもう少し事前に話し合おうじゃないか、そうしよう、そういうことは与党の諸君も同感である。しかし、それが実行されてないということはまことに遺憾でありまして、ぜひこのことは前進、善処願いたいと思います。総理、いかがでしょうか。
#36
○三木内閣総理大臣 従来からも野党の政審会長などとの接触をやっておるわけですが、これはそう形式的なものだと思いませんが、そういう意見も聞くようないままでのやり方に対しては、いろいろと考えてみることにいたします。
#37
○小平(忠)委員 もう一つは、財政法第二十七条によりますと、国の予算は、いわゆる十二月中に国会に出すことを常例とすると規定されております。しかるに、十二月に国会に提出されたことは、近年まさに絶無であります。このことは国会法にもそれから財政法にも明確に規定されておって、十二月に提出できないようなものならば、改正してはどうですか。このことは、やはり法律に従って国みずからこれを実行するということでなければならないと考えるのでありますが、総理、いかがでしょうか。
#38
○吉瀬政府委員 確かに財政法の規定にかかわらず、予算提出が常にややおくれているということは事実でございます。しかし、小平委員御承知のとおり、全般的に経済見通しの作成時期、それから具体的な編成時期等でこういうことになっておりまして、これは野党各党の御意見なども入れまして、私どもといたしましてはできるだけ早めるように努力はいたしますが、それと同時に、ことし特にやりました事柄といたしまして、予算の説明の非常に簡略なものをつくりまして、できるだけ早くそれをお配りするということで一部おこたえいたしたわけでございますが、なお、そういうような御意見のあることを勘案いたしまして、今後も努力していきたいと思っております。
#39
○小平(忠)委員 大蔵大臣、いかがでしょうかね。実際に近年において年末、そして正月、経済的にもごたごたごたごたしているときにこの大事な国家予算の編成をやって、何か最後は、もう結末の時期を決めておいてわたわたと結局決めてしまう。そのようなことから考えて、ただいま主計局長が、国の経済の見通しや税の徴収等のそういった期限等もいろいろ勘案してこれが従来延びておるのだ。それならば問題は、いわゆる会計年度の問題、予算編成の時期等についても、私はこの辺で根本的に再検討する必要があるのじゃなかろうか。現に、アメリカなどにおけるいわゆる国家予算の編成期また年度、御承知のような次第でございますが、本件について私は最後に総理大臣、大蔵大臣の所見を承って、次に進みたいと思います。
#40
○大平国務大臣 もともとわが国の会計年度が四月−三月の今日のような状態でいいか悪いかの課題は、古くして新しい課題でございまして、わが国の気候、風土、慣行から申しまして適当であるかどうかという問題は、昔からあったわけでございます。しかし、これを前提といたしましていまの財政法、国会法の枠組みができておるわけでございますが、この枠組みが今日のままで参ります以上、しかも提出の時期が常に十二月とうたわれながら実行されていないということに対する御批判がいま提出されたわけでございます。かたがた、そう考えてみますと、全体として財政法、国会法を通じまして一遍考え直してみるべき問題ではないかという問題提起でございまして、その限りにおいて私もよくその問題提起には理解できるものを感じるのでございます。だが、これをいついつまでにどのように検討いたしまして政府としての見解をお示しいたしますと申し上げられるほどの用意はまだございませんけれども、きょうあなたから問題提起がございましたということにつきましては、政府としても十分検討いたしまして、問題のありかはよく究明して、どのように対処するかについては政府としてさらに検討させていただきたいと思います。
#41
○小平(忠)委員 どうぞひとつ真剣に私は検討願いたい。というのは、予算編成方針なるものを閣議決定する、その閣議決定いたしましてから二、三日後にもうすでに大蔵原案が出てしまう。そんな、結局形式にとらわれるようなことがなされているということは、現実にこれは予算編成の過程におけるあるいは査定における幾つかの問題がここにあるからだと思うのでありまして、私は、真剣に検討してもらいたい。
 ところで、昨年の本委員会で私が質疑を通じて政府に善処を促して、その公約を果たしてくれた一つの問題があります。それはいわゆる公開財源です。従来は、大蔵原案内示の際に、一般会計の予算規模の一%に満たない程度の公開財源を各省庁が、そしてまた政治的にも分捕り合い合戦が始まって、大騒ぎをしている。何のことはない、ふたをあけてみたら、それは結局いわゆる各派閥なりあるいは地方のそういった要求にこたえる一つのゼスチュア、そうでしょう。全体の規模の一%に満たない、昨年はたしかあれは五百億と思いましたけれども、それではいけないから、もっと公開財源を、一般会計の規模の二%がいいのか五%がいいのかわからぬけれども、結局三倍ないし五倍ぐらいふやして、そこで思う存分論議をして、そして足らざるを補ってはどうか。この質問に対しまして、大蔵大臣もきわめて傾聴する発言であるし、それはそのように善処したいという答弁でありましたが、五十一年度の予算の大蔵原案内示の際は、この公開財源は一挙に三倍にこれを増額して出されました。したがって、この公開財源をめぐる最後の調整というものは、若干は問題ありましたけれども、均衡あるいは足らざるを補うという意味において非常に私は意義があったと思う。ですから、そのように従来の例に余りこだわらないで、どうか大蔵大臣、ひとつこの予算編成については前向きの姿勢で取り組んでもらいたい。このことを申し上げ、あなたの意見を伺って、次に進みたいと思います。
#42
○大平国務大臣 評価をいただきましたことを感謝いたします。今後も改善すべき点は勇敢に改善していかなければならぬと考えております。
#43
○小平(忠)委員 次は外交問題について着手お伺いいたします。
 まず三木総理大臣、あなたは去る二月二日の当予算委員会におきまして、領海十二海里問題について、海洋法会議の結論の有無にかかわらず今年中には処理することを表明されておりますが、間違いございませんか。
#44
○三木内閣総理大臣 小平君も御承知のように、いま海洋法会議が開かれておるわけで、こういう問題も含めて一括で領海問題も解決されることが望ましいという立場に立っておるわけでございます。しかし、それがどうもなかなか海洋法会議で合意に達しないという場合には、そういうことを政府としては考えなければならぬという考え方はいまも変わりはございません。
#45
○小平(忠)委員 総理、ちょっと後退しましたね。
 さらに伺います。総理は、非核三原則についてもあらゆる場合にこれを堅持するのだときわめて前向きの答弁をされておりますが、間違いございませんか。
#46
○三木内閣総理大臣 日本の権限の及ぶ限り、非核三原則は堅持いたします。
#47
○小平(忠)委員 それでは宮澤外務大臣に伺いますが、あなたは先般、国際海峡の自由通航と非核三原則の問題につきまして、このように答弁されているのです。海洋法会議で自由通航を認める通念が生まれれば、それに従って国内法を定めると答弁しているのです。この見解に変わりありませんか。
#48
○宮澤国務大臣 海洋法会議におきまして新しい海洋についての国際法典が生まれ、その中でいわゆる国際海峡というものについての定義づけが行われますならば、わが国は、この国際法を受諾することによってそれに拘束をされることになる、すなわちわが国がその条約に加盟をいたしますならば、その条約の規定というものがわが国が守らなければならない法典になる、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございます。
#49
○小平(忠)委員 といいますと、領海十二海里に伴いまして、領海となる津軽海峡などに自由通航帯を設けることになるのでありますが、このように理解してよろしいですか。またそれは、海洋法会議の草案の中の「妨げられない通過通航権」と同じものであるか。非常にこれは重要な点でありますが、いかがですか。
#50
○宮澤国務大臣 まさにそれらの点がただいま海洋法会議で議論をされております。まさにそのような議論をされておるところでございます。わが国としては、領海十二海里の問題あるいはいわゆる新しい国際海峡の問題あるいは経済水域二百海里の問題等々と一括をして新しい海洋法典が生まれるということであれば、わが国の国益あるいは世界全体の海洋秩序ということから、いわゆるパッケージでこれを受講しようというふうに考えておるわけでございますが、まさしくいま小平委員が言われましたように、その場合いわゆる国際海峡というものがどのような内容を備えたものであるかにつきましてはただいま議論の真っただ中でありまして、どのようなものが生まれるかがはっきり帰趨が見定められないところでございます。しかしながら、一般論といたしまして、いわゆる領海におけるよりはより自由な航行というようなものが考えられなければ、国際海峡といったようなものの意味はないわけでございますので、領海よりは自由な航行を認めることになろうとは考えられますけれども、その自由というものをどの程度に定義をするのかということは、まさしくただいま議論をしております内容そのものになるわけでございます。
#51
○小平(忠)委員 その点、総理、いかがですか。
#52
○三木内閣総理大臣 外務大臣の言うように、同じように考えております。海洋法会議で、全部のこうした世界の海洋における秩序が確立されることになることが好ましい、したがって会議を成功に導くように日本も極力協力をしていきたいということでおるわけでございます。
#53
○小平(忠)委員 若干問題がございますね。そうしますと、総理はただいま、あらゆる場合に非核三原則というものは堅持する、こうおっしゃいましたね。そうすると、いま外務大臣も答弁されました、結局海洋法会議でいわゆる新しい通念が生まれればこの限りでないということですね。そうでしょう。結局それに従うのですか。そうすると、それはちょっと食い違ってきませんか。
#54
○宮澤国務大臣 一方において領海の幅を広げるといういわゆる領海十二海里というものが新しい通念になってまいりますと、従来公海であった部分に領海部分が広がっていくわけでございますが、その部分が狭い場合には、従来公海であった部分が、ほかの規定がなければいわゆる自由航行というものができなくなる。それでは不都合ではないかということから、その間に一定の場合に国際海峡というものを設定することが海洋自由に沿うのではないかというのがずっと今日までの議論の経緯でございます。したがってわが国としては、一括解決を前提にしてそのような新しい、仮に国際海峡と呼ばしていただきますが、そのようなレジームを一括解決の原則に入れられるならば、わが国としては積極的に認めたいと考えておるわけでございますけれども、それがどのような制度を備えたものであるかということは、現在国際海峡というものは御承知のように存在しないわけでございますから、公海と領海との間にあるような、そのようなものをこれからどのように定義するかということは今後の問題でございます。しかし、いずれの場合にも、わが国は領海三海里をとってまいりましたから、わが国が現在実施しておりますより、ただいまの非核三原則との関連でわが国に不利になると申しますか、後退をするというような結果にならないことは明らかであろうと思います。
#55
○小平(忠)委員 現在行われている海洋法会議の見通し等、これはなかなかデリケートであることは私もわかりますが、これによってただいまの外務大臣の答弁や、あるいは総理の答弁では非常に重要な問題がここに発生してくるのです。ですから私はその内容をさらに承る前に、外務大臣といたしまして海洋法会議の今後の見通しをどのようにお考えですか。
#56
○宮澤国務大臣 ただいまニューヨークで会議をいたしておるわけでございまして、できるならば、このニューヨーク会議でほぼあらかた最終決着がつく、もし多少の点が残りましても、それは今年秋前にもう一度補助セッションと申しますかエキストラセッションをやることによって諸原則が、諸要因が全部最終的に定まる、遅くともそういう運びにいたしたいと考えてわが国の代表部が努力いたしておりますし、また一般にそういう努力をしようという気配と申しますか雰囲気が強うございます。
#57
○小平(忠)委員 一番問題になっておりまする領海十二海里ということがわが国にとってはあらゆる面に影響するところが非常に大きいし、たとえばこの領海十二海里ということにわが国が踏み切った場合、わが国の巡視船の守備範囲というものは一挙に四倍になる。そうすると、大型巡視船や哨戒飛行機の増強などがやはり大きな問題になってくるのですが、そのようなことは政府はどのように考えておるのですか。
#58
○宮澤国務大臣 これにつきましては、以前から閣内でいろいろ論議をいたしておるところでございますが、ただいま政府といたしましては、基本的にはわが国も、この海洋法会議の一括解決という原則のもとにでありますが、領海を十二海里とすることが適当であろうという結論になっております。しかし、その際に法律が必要なのではないかというふうなこともほぼ肯定的に考えられておりますのは、ただいま仰せられますように、まさにこれによりまして、俗な言葉で言えば、わが国の法律の適用範囲、領土と申しますかが自然に広がるわけでございますので、それから権利義務万般の問題が生じてまいろうと思います。すなわち、現行のわが国の法令というものが適用される範囲そのものが自然に広がるわけでございますから、万般の問題が生じますし、また行政的にも海上保安であるとかあるいは汚染防止であるとかいうようなものの権限範囲も広がってまいらなければなりませんから、非常に大きな問題を含んでおりまして、その辺は内閣におきまして各省をまとめて検討を続けておるところでございます。
#59
○小平(忠)委員 総理に伺いますが、そうしますと、この領海十二海里というものの立法化でありますが、結論を申し上げます。
 この立法化は、国際海峡についての海洋法会議の結論が出なくても、領海と国際海峡とを切り離して決めるのか。それとも一括して決めるのか。総理、この方針はいかがなんですか。
#60
○三木内閣総理大臣 これは海洋の世界的な秩序というものは、やはり一括して決めた方がいいということで、この会議が実を結ぶように日本の代表もこれから極力協力していくわけですが、海洋法会議でこの問題の結末がどうしてもつかないということの見通しが明らかになれば、政府はこの問題を決断しなければならぬことになると思いますが、いま会議が行われておる最中でございますから、その会議で一括して決めるように努力をしておる最中でございます。
#61
○小平(忠)委員 確かにニューヨークの会期は八週間ですから、まだ続けられているのですが、外務大臣も御指摘のように、現在結論は出ていない。これは、さらにこれから経済水域二百海里というような問題の絡みで、この領海問題が単独ではなかなか結論が出せないというような事情もあるようです。したがって、最終的に結論が出ない場合にわが国としてどうするのか。さらに、今年じゅうに改めていわゆる会議など持たれるそういう見通しがあるのか。これらの点について外務大臣の所見を承りたいと思います。
    〔委員長退席、正示委員長代理着席〕
#62
○宮澤国務大臣 なるべく、何としてもまとめなければならないという気持ちでおりますので、そのことも考えつつお答え申し上げなければなりませんが、もしこのたびのニューヨークの会議で全く収拾の見通しがないという状態で会期が来てしまいました場合には、その後に何がしかのいわゆるエキストラのセッションをいたしましても、これだけかかってできないものがあと数週間でできるというふうには考えられないというような事態というものがあり得るわけでございます。しかし、私どもが願っておりますのは、できればニューヨークの会議で全部をしまってしまいたいと思いますし、まあ八分通りはできた、もうちょっと時間があったらというような形でならば、ぜひもう一度エキストラのセッションをやってまとめてしまおうではないか、こういうふうに、最悪の場合でもそういうふうにいたしたいと考えておるわけでございます。
 と申しますのは、もし今年これだけやりまして海洋法について結局まとまらなかったということになりますと、すでにかなりの国が来年のある時点からは二百海里の経済水域をやるというようなことを決めておったりもいたしますので、いわゆる海洋についてはもう無秩序と申しますか、最終的に海洋法典をつくるという試みは失敗に終わったというようなことになりかねないのでありまして、そういう危険をはらんでおりますから、何としても今回のニューヨークの会議、あるいは要すればそれを補う意味での秋前のエキストラのセッションで最終的にまとめたい。そうでありませんと、恐らくこれだけやりましてできないということになれば、結局無秩序にならざるを得ないということを心配をいたすものでございます。
#63
○小平(忠)委員 海洋日本にとりましては、この領海問題は非常に重要な問題であります。大陸だなの問題あるいは非核三原則等々、非常に重要な内容を含んでおりますので、外務大臣といたしましても、また三木総理、三木内閣といたしましても十分に事前の根回し工作等完璧な体制で、いささかも日本の国益にダウン、マイナス点が生じないように善処してもらいたいと思います。
 次は北方領土問題についてお伺いをいたしますが、去る二月二十四日の第二十五回ソ連共産党大会で、ブレジネフ書記長は日ソ問題について次のように演説をされております。すなわち、「日本には平和調整問題に絡ませて外部からの直接の教唆のもとに時折根拠のない不法な要求をソ連に突きつけようとしている者がいます。」とこのように、わが国といたしましてはきわめて不穏当な発言をされておると思うのでありますが、この点に関して政府はこれを承知されているのか。またこれをどのように受けとめられているのか、あるいは何らかの抗議でもされたのか、お伺いいたしたいと思います。
#64
○宮澤国務大臣 ソ連の今年の共産党大会において、ブレジネフ書記長の発言の中に、小平委員の御指摘のごとく、いかにも誤解を招きやすい発言がございました。したがいまして、わが国としては直ちに在京のソ連大使館を通じましてソ連側の注意を喚起いたしますとともに、この問題について重ねてわが国の立場を表明をいたしました。なお、その後ソ連大使が東京に戻ってまいりましたので、私のところにソ連大使が参りました節に、私からも同様のことを申しておいた次第でございます。
#65
○小平(忠)委員 このブレジネフ書記長の発言は――一九七三年の北方領土問題についての日ソ共同声明でこのような表現を使っておるのです。すなわち、「第二次大戦の時からの未解決の諸問題」とうたっておるのです。このようないわゆる大原則に私は明らかに違反する、こう思うのですね。ただいまの外務大臣の答弁では、直ちにソ連に対して善処を促しているということは理解できるのですが、北方領土問題の解決は日ソの真の平和条約、日ソの真の友好親善に役立つばかりか、われわれは北方領土問題の解決なくして戦後はないんだ、このようにも考えておるだけに、この発言はわれわれ国民にとりましてもきわめてショッキングな内容のものであります。総理はこれをどのように受けとめておられますか、お伺いいたします。
#66
○三木内閣総理大臣 昨日も、トロヤノフスキーソ連駐日大使が離任をしますので、その離任に際して、北方領土の一括返還はもう変わらない日本の国民の願望である、したがって、この問題を一日も速やかに解決することが日ソ友好関係の基礎を確立するために必要である、したがって、長い期間日本に滞在した経験も通じて首脳部に伝えてもらいたいということを私も申したわけでございまして、今後ともわれわれは北方領土の一括返還のために最善の努力をいたすつもりでございます。
#67
○小平(忠)委員 外務大臣に伺いますが、一九七三年の日ソ共同声明で約束いたしましたソ連の三首脳部の来日問題は、その後どうなっておるでしょうか。
#68
○宮澤国務大臣 三首脳に対する七三年の田中首相の訪日招請はそのまま有効であるということは、その後の日ソ外相会談におきましてその都度私から申し述べておりますが、とりわけ今年一月のグロムイコ外相来日の際、総理大臣からブレジネフ書記長に特に訪日を要請をしたい、御招待をしますということを言われたわけでございます。それに対しましてグロムイコ外務大臣から、やがて共産党大会を控えておることであるので、それが済みましてでありませんとお返事が申し上げられないという趣旨のことを申しました。そこで、共産党大会が終わりまして駐日ソ連大使が東京に戻ってまいりまして、先ほど申し上げますように私のところに参りました際、グロムイコ外務大臣がブレジネフ訪日について一月にあのようなことを言われておるが、共産党大会も終わったことであるので、その後新しい進展がありますかと申しました節、ソ連大使からは、別にそれについてただいま申し上げることはございませんということを申しておりました。それは、ついせんだってのことでございます。
#69
○小平(忠)委員 外務大臣にさらにお伺いいたしますが、その外交折衝の間に、二月二十四日のブレジネフ書記長の演説の中で、私が先ほど申し上げたような発言を本当になさったんですか。これに対してそれを認め、結局いわゆる遺憾の意というか善処というのか、そのようなことはなされておるのですか。それはどうなんですか。
#70
○宮澤国務大臣 これは少し詳しく申し上げる必要があろうかと思いますが、私からソ連大使に対しまして、共産党大会においてブレジネフ書記長からかくかくの発言があった、われわれにとってはきわめて紛らわしい、あたかも日本を誹謗するがごとき発言と思われるがと言って、私はその発言の内容そのものを申しまして、これは一体何を意味しておるのであろうかということを申しました。それに対しまして駐日ソ連大使は、実は自分はそれにつけ加えるものがございませんということを申しました。そこで、私から、それならばそれでよろしいが、わが国では、これをわが国の領土問題についての立場についてのブレジネフ氏の発言であると受け取る向きもあるので、念のため申しておくが、われわれの領土問題についての、北方領土についての立場はかくかくのとおりである、このことは一月の私とグロムイコ外務大臣との会談でも私が申し述べ、大使もそこにおられて御存じのとおりのことである、そのときに、確かにグロムイコ氏は、北方領土についてのソ連の立場は日本の立場とは違うということは言われた、しかし、日本の立場が不法であるとか第三国の教唆云々ということは、あなたの方の外務大臣は言っておられないことは大使も御承知のはずであると申しましたら、それは自分も承知をいたしておりますと、こういうことでございました。
#71
○小平(忠)委員 ただいまの外務大臣の答弁の限りでは、やはりブレジネフ書記長の演説の内容は、われわれの手元に報道されておるとおりであります。そうすると、やはりかつての日ソ共同声明で約束されました北方領土のいわゆる未解決問題を扱う交渉の内容、さらにはソ連三首脳部が来日するというようなことが、何かことごとく踏みにじられたような感じがするのであります。いま全国民が願うものは、重ねて申し上げますが、やはり一日も早い北方領土問題の解決、北方領土の全領土の返還、これを軸にしたいわゆる日ソの完全な平和条約の締結でありますが、ただいまの外務大臣の話からいいますと、何か一つみぞが水増しされたような感じがするのであります。最近の中ソ間のデリケートな情勢からして、いろいろ国際問題というものはきわめて微妙でありますから、なかなか慎重に扱わなければなりませんけれども、しかし、われわれの受けとめる日ソの関係というものは、最近とみに経済交流も頻繁でありますし、貿易も拡大しつつありますし、さらに、国会といたしましても、一昨年は超党派の日ソ議員連盟の代表が招かれて出かける、またソ連からもいわゆる代表が来日する、私もその日ソ議連の一員として訪ソいたしました一人でありますが、最近のソ連側の日本に対する好意的な親善友好の実というものがきわめて上がりつつあるというそのときに、私はどうもこのようなことが理解できないのであります。どうかひとつ、日ソ間の外交ルートを通じて、やはり全国民の願望する領土問題の解決、平和条約の締結ということに一段の配慮を私は願いたいと思うのでありますが、総理大臣、いかがでしょうか。
#72
○三木内閣総理大臣 小平君の御指摘のように考えております。この問題の解決には、今後とも一段と積極的に取り組まなければならぬと考えております。
#73
○小平(忠)委員 次は、雇用問題について若干お伺いいたしたいと思うのであります。
 まず最初に、いわゆる過剰雇用労働力についてでございますが、先般の日経連の調査によりますといわゆる過剰雇用労働力が二百万人、労働省の調査によりますとこれが五、六十万人だ、こういうようなものでありますが、同じ内容でこのような大差はどういうところから出てくるのですか。労働大臣、いかがでしょう。
#74
○遠藤政府委員 いま御質問のありましたいわゆる過剰労働力、過剰雇用の問題でございますが、日経連では昨年の秋に百三十万という数字が発表されております。いまお話にございました二百万というのは、関西経協で発表した数字かと思いますが、こういったいろいろなことが各団体で取りざたされておりますので、私どもの方では昨年の秋以来、一体過剰雇用、いわゆる各企業、各産業界の稼働率が低下した、それに伴ってどれくらいの労働力が過剰として企業内に抱え込まれておるかということを、各業種別に私どもは労働時間の要素も含めまして調査いたしました。その結果、ことしの一月現在で、二次産業を中心にいたしまして調査しました結果が約四十万弱という数字が出ております。私どもが各業種別にその過剰雇用率をはじきました結果がそういう数字でございまして、百三十万とか二百万とかいわれる数字は、その根拠がきわめてあいまいでございまして、実質的に企業内で稼働率の低下による過剰雇用は大体一月現在でその程度だ、かように考えております。その後二月、三月、生産がかなり上向いてきております。雇用指数も好転をしてまいっておりますので、最近の現在で調査いたしますならば、さらにその過剰率は低下しておるものだと、かように考えております。
#75
○小平(忠)委員 日経連の数字は、私もどう見てもこれは過大だと、こう思うのですが、それにいたしましても、やはり現在の雇用不安、こういう現状からいたしまして、労働省は的確に実態を把握して善処を願いたいと思います。
 そこで、さらにお伺いいたしますが、企業に対する解雇規制を厳しくするために、労基法に基づく解雇の予告期間一カ月前を、少なくとも三カ月前くらいにするというような措置をぜひとることが必要ではないか、このように考えるのですが、労働大臣、いかがですか。
#76
○遠藤政府委員 現在、労働基準法では解雇予告一カ月という規定がございまして、これによりまして、事前にそういった事態に備えることができるようになっておりますが、この予告期間の三十日を二カ月あるいは九十日、そういったことで延ばした方がより効果的ではないかという各界の御意見もございますが、この問題につきましては、労働基準法全体の問題を含めまして、労働基準法研究会で各側の代表された方々のいろいろな検討に現在ゆだねられておる状況でございます。
#77
○小平(忠)委員 労働大臣、あなたは知らないのですか、これは。ぼくはいま労働大臣に聞いたら、いまいきなり局長が出てきたのだけれども、そんな検討などという段階でなくて、きわめて真剣に考えないと――これからいまたくさんお伺いしたいのですが、あなたの考えはどうなんですか、大臣として。
#78
○長谷川国務大臣 いまは雇用安定と景気浮揚ということでやっております。一方、失業の問題は非常に大事なことでございますから、一つ一つの問題について、まず失業者が出ないように懸命にやっているわけであります。さらにまた、先生がおっしゃったそういう問題などにつきましても役所の中で研究もし、あるいは労働四団体からこういう雇用の大事なときの要求、要請などもありますから、具体的に審議会等にかけたりして研究しているわけであります。
#79
○小平(忠)委員 ちょっとデリケートな問題点だから法制局長官にこれは伺いますが、御承知のように、現在の雇用不安のしわ寄せが中高年齢者に集中しているのでございます。ひどいところでは退職の条件として四十五歳以上の者と具体的に列記している企業があるのです。このように特定の者を解雇の対象にするようなことは憲法の勤労の権利を侵害する、このようにも思うのですが、法制局長官、いかがですか。
#80
○吉國政府委員 ただいまお挙げになりました事例のように、四十五歳以上の者については原則として解雇の対象にするというようなことになりますと、これは民法の公序良俗の原則にも触れるような問題もあるかと思いますが、ただ具体的な問題でございますので、実態をよく労働省の方で調査をしてもらいまして、その上で法律上の判断をしなければならないと思います。解雇の条件あるいはもっとさかのぼって雇用の条件一般につきましても、もとより労働基準法に抵触してはならないばかりでなく、憲法の精神にのっとってすべてが律せられなければならないことは当然でございますので、その線において検討さるべきものと思います。
#81
○小平(忠)委員 労働大臣、ただいまのような法制局長官のわかったようなわからぬような答弁でありますが、労働大臣はどのようにお考えですか。
#82
○長谷川国務大臣 小平さん御理解のように、日本ではめちゃくちゃに人の首は切れないことになっております。おっしゃるように一カ月前の予告期間あるいは労使の話し合いということでございまして、そこで先ほど出たような雇用、過剰労働の問題が出るわけであります。私たちの方としますと、現行法規によって、こうしたときに街頭に失業者が出ないように、経営者の方々にいろいろな法律の縛りあるいは話し合い、こういうことで理解を求めて外に失業者が出ないようにし、一方においてはまず失業者を出さないために雇用調整給付金などを設けまして、これは昨年以来ずっとやっていて非常に効果が上がっているといって歓迎されて、いまなお労使においてこの再延長とか再々延長等々の話が出ておりますので、審議会等にかけてその結論を待ってそうした要望に応じたい、こう思っておるやさきであります。
#83
○小平(忠)委員 この点、最後に総理にお伺いしますが、いわゆる現在の中高年齢者というものは戦後の荒廃から日本を立ち直らした、言葉をかえれば祖国再建、復興の貢献者であると私は思うのです。また、こういった方々の家族の生計を支える、ちょうど四十五、六歳なんていえば大黒柱です。そういう方々の再就職のチャンスというものは若年者に比較して非常にむずかしい。そういう現状を政府当局は十分に考慮に入れて、できるならば解雇の対象にしないようないわゆる行政指導を行うとか、またそのような行き詰まった企業に対しては転換の方策を講ずるとか、こういった行政指導の完璧を期するべきであると思うのでありますが、総理、いかがでしょうか。
#84
○三木内閣総理大臣 小平君御指摘のように、中高年齢層の雇用条件というものは非常に厳しいわけでありますから、できるだけ解雇の対象にしないような行政指導、従来もやっておりますが、今後ともそれはやってまいらなければなりませんが、またそういう人たちの再就職の機会もできるだけつくれるような、そういうふうな指導というものも行わなければならぬわけであります。
 いずれにしても、中高年齢者の職場というものの確保については、従来より一層今後積極的に取り組まなければならぬ問題だと考えております。
#85
○小平(忠)委員 持ち時間の関係もありますので次に進みたいと思いますが、どうぞひとつ今日雇用問題が重要な段階に来ておりますので、私は一つの例を申し上げたにすぎません、真剣に取り組んでいただきたいと思うのであります。
 次は、現在春闘の真っただ中であります。その中で、さらにこの春闘が第二波、第三波といろいろ予定されております。その中でも国鉄経営の現状は、私からあえて申し上げるまでもなく、昭和五十年度末現在で三兆一千億という膨大な赤字を抱え、さらには同年度末で長期の債務残高が実に六兆八千二百四十億という膨大な債務を抱えているのが国鉄の今日の現状であります。このような膨大な赤字、負債を抱えた国鉄の現状として、この国鉄の再建はわが国政治の中でもきわめて重要な問題であるばかりか、そういうさなかにおいて国労、動労のような労働組合が依然として違法ストを繰り返しておる。このことは全国民が痛々しく、一方においては昨年料金改定したばかり、さらにまた五十一年度において五〇%のいわゆる運賃改定を予定しているのでありますが、果たしてこのような悪循環、このような考え方で真に国鉄の再建ができるかどうか。本日、国鉄の新総裁になられた高木さんもお見えでありますが、まず新総裁の抱負、所見を先に承りたいと思います。
#86
○高木説明員 ただいま御指摘をいただきましたように、非常に困難な状態になっております。これを立て直します基本は、やはり何と申しましても職員が一体となって、したがって労使が一緒になって、真に国民のものである国鉄になるようにもう一遍まず精神的な面から立ち直っていかなければならないというふうに思っております。同時に、現在今国会にお願いをいたしておりますような財政的な方法等を通じて、経理的、経営的な面の立て直しをお願いしなければならないと思いますが、単に経理的、経営的な面の立て直しだけでは将来に向かって安定した経営を推持することも非常に困難でございまして、何はおきましても、ただいま申しましたような気持ちを引き締めて事に臨むことが必要であろうと思います。
 その点におきまして、先般来、十七日なり三十日なりにああいう状態が起こっておりますし、それからまた最近にもそういう計画が、言ってみればスケジュールのようにして立てられておることは本当に申しわけない次第でございます。私どもといたしましても、これを何とかして回避したいという気持ちを持ってはおりますけれども、何分長年のいろいろなこじれが重なっております関係がございまして、またいろいろの経緯もあるわけでございますので、誠心誠意職員諸君と話し合いをいたしまして秩序の回復に努めたいとは思いますが、しばらく時間をかしていただきたい。私が参りましたからと申しまして、きょう直ちに、あしたからというわけになかなかまいらない情勢になっていることだけはお許しをいただきたいと思います。今後、時間をかけてとっくりと進めてまいりたいと思います。
#87
○小平(忠)委員 あなたは大蔵省の生え抜きというか、特に税制畑やあるいは主税畑を歩かれて、最後は大蔵事務次官という最高の大蔵官僚の地位にあって、今回、三木総理の嘱望によって国鉄新総裁になられた。私は、現下の国鉄の現状から、これを受諾されたあなたも大変だと思う。その決断、勇気に私も非常に敬意を表します。しかし、その総裁のいすを引き受けた限りにおいては、物事はある時期が来れば英断をもって処理しなければならぬと私は思うのです。単にああ考える、こう考える、考えるだけではどうにもならないのでありまして、そういう情勢の中にあって、さらにまた御承知のようなスケジュール闘争による違法ストを繰り返す。このようなことで果たして国民の支持のもとに愛される国鉄になりましょうか。同時に、国鉄内部における管理体制はめちゃくちゃです。思い切って対処してもらわなければならぬと思うのでありますが、最後に、いわゆるスト権ストあるいはスト問題、当面の春闘、これに対するあなたの考え方を承りたいと思います。
#88
○高木説明員 申すまでもなく、まず法律を守る、ルールを守るという精神を徹底しなければいけないわけでございまして、御存じのようにルールを守るということを前提に労使の話し合いを進め、経営について、また労働問題についていろいろ取り組もうという組合と、ある種の政治的なと申しますか、労政問題として衝突が起こりました問題につきましてこれと異なる考え方を持つ組合とがあるわけでございまして、せっかく片っ方において、そういうルールを守ってということをあくまで前提として物を進めております組合もかなりの数の職員諸君がそこに属しておるわけでございます。こうした状態をどうしたらいいか。一つの職場にたくさんの組合があるということもまたある意味では困っておることの一つでございます。それらを直していかなければなりませんが、これは私どもが身をもって職員諸君に呼びかけていく以外にないというふうに考えております。
 この春闘でまたもやいろいろと御迷惑をかけるということは、実に私どもとして身を切られる思いでございますけれども、さりとて、現在の私の力だけでこれをぴたっとやめさすということは残念ながらできない現状でございますので、早くやれとおっしゃるお気持ちはわかりますし、私もそのつもりでおりますが、しばらく時間をかしていただきたいと申し上げざるを得ない現状でございます。
#89
○小平(忠)委員 いま総裁みずからも言われたように、そういう厳しい情勢の中で、そしてまたあえて違法ストを繰り返す中で、一部にはやはり法律を守って、苦しいけれどもがんばっておる組合もある。それは鉄労でございます。だから、そういう面において信賞必罰、いまこそ綱紀の粛正を図って、厳然たる態度こそ厳しい今日の国鉄の現状を打開する道だと私は思うのです。新総裁、がんばってください。
 時間の関係もありますから、次に、食糧問題について一点だけ総理並びに農林大臣に伺います。
 最近の国際的な穀物の異変によりまして、わが国も食糧について、昔からわが国は瑞穂の国だ、心配ないんだと言っておりながら、だんだんと食糧全体の自給率は低下する一方である。いたずらに外国に依存した依存政策が今日のような状態になっておるのであります。その中にあって、自給率が低下すると言いながら、また一方においては依然として食糧の輸入政策に根本的なメスも入れることができない。食糧が足らぬ足らぬと言っておりながら、輸入するんだと言っておりながら、逆においては依然として米の生産調整を続けなければならぬ。それは理屈ではいろいろああだこうだ述べられるし、それはわかります。しかし、戦後四半世紀を上回る三十年にわたって、日本の戦後の復興、食糧問題の解決に取り組んできた日本の多くの農業従事者あるいは畜産振興、果樹、蔬菜等に携わっておる食糧の生産者、そしてまた厳しい条件の中で水産業に、海洋資源に努力しておるこういった漁民の現状を考えるときに、私はいまこそ思い切って食糧基本法というようなものを制定して、ここに確固たる日本の食糧の自給体制を確立することが絶対に必要であると思うが、農林大臣並びに総理大臣の所見を承りたいと思います。
    〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
#90
○安倍国務大臣 食糧問題につきましては、いまお話がございましたように、国際的にも今後とも逼迫基調が続いていくというふうな状況の中で、一億一千万の食糧を確保するというこれからの食糧政策はきわめて重大であると思うわけでございます。そういう中にあって、われわれとしては農業基本法といういわば農業の憲法というものを持っておるわけでございまして、この農業基本法は国民食糧の確保ということをその大きな課題にいたしておるわけでございますし、成立をいたしましてから時間はたっておりますが、今日といえども適合性を持っておる。ただ、その後の情勢がいろいろと変化しておるわけでございますし、国際的にも環境が変わっておるわけでございますから、そうした基本的な考え方のもとにその環境に応じた政策を打ち出していくということが必要でございますので、昨年、一年間かかりまして国民食糧会議等の御意見も聞き、さらにその他各方面の御意見もお聞きいたしまして、「総合食糧政策の展開」と称する昭和六十年を目標とする長期政策を打ち出したわけでございます。この「総合食糧政策の展開」を着実に実施することによってわが国の自給体制をさらに推進をし、確立をしていくことができる、こういうふうに私は考えておりまして、自給率につきましては、現在七一、二%であるわけでございますが、昭和六十年にはこれを七五%まではぜひとも持っていきたいというのがわれわれの基本的な考え方でございます。
#91
○三木内閣総理大臣 農業基本法を改正したらどうかという御意見ございましたが、いま、これを改正するという意図は持っておりませんが、農林大臣も申しました食糧の確保に対する長期計画、これを着実に実行することによって、日本の食糧政策という上における食糧確保の実を上げたいと考えておる次第でございます。
#92
○小平(忠)委員 総理、いま、農業基本法を改正したらどうかなんて私一言もしゃべっていないのです。私がいま真剣に取り組んで、余り長々質問しないで要点だけぴしゃり伺っているのに、それは総理、まことに遺憾です。そうじゃないのです。農業基本法なんというものは、いまはもう形骸化されてまことにいかがわしい状態ですよ。われわれは農業基本法は基本法として、これはいいところは大いに活用しなければならぬが、さらに現在もっと具体的な問題として食糧問題、これのやはり基本法をつくって、そして――全くここ数年、ここ十年ぐらいは場当たり農政なんですよ。その日暮らし農政なんです。これを改める意味からも食糧基本法を制定してはどうか。これをずばり申し上げたんですが、これは、この瞬間の話じゃいけないので、どうぞひとつ総理大臣、農林大臣とも十分に相談されて、これは真剣に取り組んでもらいたい。
 最後に、時間になりましたので、私は政局の今後の動向について一点総理にお伺いいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
 私は、現在の政局はまさに異常な事態であるし、ここ数年来、まあ極端なことを申し上げれば、終戦直後に次ぐ重大な局面を迎えておるような感じがいたします。したがって、衆議院議員の任期はことし十二月任期が切れるんでありますから、年内に衆議院の総選挙をやらなければならぬことはもう既定の事実、避けて通れない年でございます。そこで、われわれは現下の諸情勢を考えるのに、やはりここで全国民が願望する第五次浮揚対策というような意味を持つ昭和五十一年度予算は、これは速やかに成立して、さらにこの予算に関連する、生活に関連をする重要な法律案を通して、そうして私は人心一新、衆議院を解放すべきであると考えるのであります。もしこのことが三木総理、あなたの手によってなし得ないのならば、いまやあなたは内閣の総理大臣としてこの国政を担当し、今日この混乱せる経済や混迷する政局に対処する能力なしと私たちは言わなければならぬ。どうぞそういう意味で英断をふるってこの事態を解決するために人心一新、国民に信を問うときではありませんか。もしそれができないならば、潔く退陣なすってはどうですか。われらはそのような考え方でこの最終的な予算審議にも臨んでおるのでありますが、最後に、総理の今後の政局に対する所信を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#93
○三木内閣総理大臣 小平君の言われますように、いま手塩やそれに関連する法案が通れば解散をすべきで、解散ができなければ政局担当の能力を欠くというお話でございますが、そういうふうには私は考えていない。解散は適当な時期にやらなければならぬが、いまこういうロッキード問題の究明あるいは景気回復というこういう時期に、いま解散ということは私の頭にはない。しかし、いつか解散はやらなければ、これは任期が今年の十二月九日ですか、終わるのでありますから、したがってやらなければなりませんが、いますぐに解散ということは、具体的に私の頭の中には考えていないわけでございます。
#94
○荒舩委員長 これにて小平君の質疑は終了いたしました。
 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三分開議
#95
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。正示啓次郎君。
#96
○正示委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和五十一年度予算三案に関連をいたしまして、最後の総括締めくくり質疑を行います。
 顧みますと、一月二十八日に提案理由の説明をこの議場で聞きまして以来、実に七十日の長い道中でございました。私は井出先生のように歌をよくいたしませんが、俳句のまねごとで言いますと「雪吹雪桜吹雪し長丁場」、この窓から見ておりましたら雪が降っていました。きょうは、まだ北海道には雪吹雪が伝えられました。桜の吹雪、まさに長い長いその過程において、予算委員会としては初めての証人喚問が行われ、そして前例のないような長い空白の後に、きょうここで民社党の御同調を得てこの予算委員会の質疑を終了し、討論、採決に進もうとしておりますことは、まことに感慨無量でございます。社会、共産、公明の同志がここにおいでにならぬということも、わが国議会制民主主義のために私は心から遺憾に思う次第であります。
 さて、しかしながら、これはわが国における一種の相克矛盾のあらわれであろうと思いますが、お隣の、一番大事な隣国である中国には、けさ敵対矛盾、同じ矛盾でも相克矛盾と敵対矛盾、そういうものが報道せられておるのであります。私はまず、いま国民の皆様に、隣の中国で何が起こっておるのであろうか、各新聞大々的に報道しておりますが、これに関する外務大臣の、日本の政府としての観測、また情報、そういうものを御発表いただき、そしてそれが日中関係あるいは中ソ関係、中米関係等への、これは将来の問題でございますからなかなかむずかしいと思いますが、専門家の知識を総結集した外務大臣のそれについての見通しをこの際明らかにしていただきたいと思います。
#97
○宮澤国務大臣 中国における政変に関しましては、昨晩の北京放送で発表をせられまして、それが今日も各報道機関に報道されております。私ども大使館から受けました報告もそれと同様のことでございまして、すなわち、中国共産党中央委員会において、華国鋒氏を党第一副主席及び国務院総理に任命したこと及びケ小平氏が党内外の一切の職務から解任された、ただし党籍は保留をするということでございます。
 これをどう考えるかということでございますが、ただいままでの経緯から判断をいたしますと、やはりいわゆる文革派と実務派との間の路線に関する論争、争いであったというふうに考えられます。より具体的には、いわゆる毛主席の教えであるところの三項目、すなわち毛主席は、基本になるものは革命闘争の精神である、それさえ確立しておれば団結安定あるいは生産増強というものはおのずから成るのであって、この三つは並列に置かれるべきものでなく、いわば綱と目、元綱と網の目というような関係に立つべきものであると毛主席が教えているにもかかわらず、ケ小平前副首相はその三つをあたかも並列に考えたということを中心にして、事の起こりは、実は昨年以来の中国の大学における教育論争でございましたけれども、そのような結果に発展をいたしました。言葉は不適当であるかもしれませんが、いわば近代化路線とでも申すべきものと、革命の精神とでも申すべきものとの、重点の置き方についての論争であったのではないかと思われます。
 このたびの政変を通じまして、事情のはっきりしませんいまの段階で一つ申し上げられると思いますのは、これはそのような路線間の争いではありましたけれども、かつての文化大革命に比べますと、争いのあり方が無秩序であり、またコントロールされていないと申しますか、全面的であると申しますよりは、かなり早い段階から目標がしぼられておったのではないかというふうに考えられる点でございます。ケ小平氏の名前は徐々に壁新聞等では出てまいりましたけれども、最後の段階まで、それとわかるような表現はありながら、人民日報等においては名指しを避けた、最終の段階まで避けてきておりましたが、しかし、その目標とするところはかなりしぼられて明らかになるという形で進んでまいりました。
    〔委員長退席、井原委員長代理着席〕
また、ケ小平氏に近いと思われる人々の中で、たとえば李先念というような人につきましては、私ども消息が長いことわからない、どうなっておられるのかということを考えておりましたが、昨日でございますか、一昨日でございますか、公の席に姿をあらわしたというようなこともございまして、かなり目標はしぼられた争いであったのではないかというふうに思われます。別の観点から申しますと、周恩来首相が亡くなりまして比較的近い時期に華国鋒氏が総理代理に任命された。昨日は総理及び第一副主席ということに任命されたと発表されております。ここから見ますと、華国鋒氏は、いわゆる文革派のそうそうたる一人というふうには従来考えられておりませんので、したがいまして、周総理が亡くなられました後、総理代理に任命されたその時点から、ある意味で文革派でもない、しかし実務派でもないと申しますか、一種の、その間に中間的な立場を維持することのできた華国鋒氏がいち早く総理代理にされ、さらに第一副主席になり総理になったということも、ただいま申し上げたようなことを物語っておるのではないかと思います。天安門における、いわゆる大字報、小字報等々にも華国鋒氏に対する批判というものは見当たらなかったようでございますので、そのようなことが総合して申し上げられるのではないかと考えております。
 したがいまして、そのような見方が正しいとしますと、今後の帰趨をそこから占うことがまずまずできるのではなかろうかと思っておるわけでございます。もとより、しかし少し長い目で見ますならば、毛主席も引当の高齢であられるわけでございますから、今後とも事態の推移というものは注意をして見る必要があろうと考えておりますけれども、闘争の焦点がかなりしぼられて、しかも、ある意味で無秩序、無制限でない姿で進行したということは一つの特色ではなかったかと思います。
 で、これがわが国との関係に与える影響について第二段のお尋ねでございましたが、ただいま中国との間に平和友好条約の交渉をいたしておりまして、昨年の十一月の下旬ごろから中国側がかなりこの問題について真剣に検討をしておったと考える理由が実はございますけれども、その後、周首相の逝去等々、今日の事態に発展いたしまして、いわゆる内政がきわめて多忙な、多端な状態になりましたので、勢い外交の問題については従来のように集中して中国の首脳が検討ができなくなったということはやむを得ないことであったと思いますけれども、事実であったように思われます。したがいまして、今回このような政変がございまして、今後も恐らくはしばらくの間は、十分にこのような外交の問題に首脳部が精力を結集するということは、ある時間はやはりむずかしいのではないだろうか、このように考えておかなければならないのではないかと存じております。もとより、今日までのところ、喬冠華外務大臣はその地位におりますので、そういう点での変化があるとは考えておりません。けれども、その背景になるものはやはり何がしか変わってくると、あるいは考えるべきかと存じます。
 他方で、わが国との経済関係でございますが、昨年の秋にございましたいわゆるわが国に対する鉄鋼の大量の発注と、それとの関連で中国の石油の輸出という中国から出た話でございましたが、その帰趨が最近になりまして必ずしも明らかでございませんで、たまたまそこへ中国の一報道機関から、外国からの技術導入あるいはプラント等の輸入、それにかえるに中国の資源の輸出をもってするというような物の考え方は、これは一種の近代化路線につながるものであって、本来の革命の路線ではないというような、紅旗などにそのような論文が載っております。ただ、また他方で、きわめて最近中国を訪問いたしました関西の経済使節団は、谷牧副面相と経済の話をしておりますが、その際に谷牧副首相は、石油の輸出が思うようにならないのは、農業の需要が非常に多い、農業における動力あるいは燃料の需要が多いためであって、イデオロギー上の路線に基づくものではない。その点についての従来からの中国の方針は変わっていないということを、先週でございますか、先々週、きわめて最近でございますが、述べておられる。そういたしますと、これは紅旗の述べるところとは必ずしも一緒でございません。といったようなことがございまして、その間十分に判断をする材料がございませんけれども、しかし、周首相のもとに推し進められてまいりましたいわゆるモデレートな路線というものが、このたびの政変によっていろいろな意味で少しずつ変化を受けるという可能性は否定ができないのではないかというふうに考えております。
#98
○正示委員 大変詳しく、おわかりのところを述べていただいて、ここで総理に一つお願いしておきます。
 総理は日中関係を打開する上に大変な功績を尽くされた方でいらっしゃいますことはもとよりでありますが、ただいま外務大臣からお述べのような、非常に中国としては大事な局面におられるわけであります。また日本も、私はある意味で非常にむずかしい局面におると思います。総理の双肩というのは、両方の肩がすっかり重くなってこられたと思うのでありますが、しかし、これは最後までひとつ勇気をふるって、日本の国内の問題はもとより、日中を初め、日米その他の外交問題に私は全力をふるって取り組んでいただきたい。
 後で申し上げますが、ロッキード問題というものも、結局私は、何をおいても日米関係というものを大切にするという基本を忘れちゃいかぬと思うのです。これが一番大事なところだと思うのです。その意味から――中国に大きな異変が起こりました。日本もまた大きないま試練を受けつつあります。その日本における最高責任者として総理が内政、外交、どういうふうに取り組んでいかれるかの決意を、いま外務大臣のお述べになったような中国情勢を背景にして、ここで国民にはっきりとお示しをいただきたいと思います。
#99
○三木内閣総理大臣 いま正示君が御指摘のように、これは日本ばかりでもない、世界各国とも大きな試練の前に立たされておるわけでございます。そういう意味において、戦後最大の一つの大きな試練だと私は受けとめておる。内政上においては、当面の課題というものはやはりロッキード問題というものを、これだけ国民の疑惑が巻き起こっておるわけですから、この点について真相を明らかにして、こういうことであったという、国民の納得を得られることが政治に対する信頼を回復する一つの大きな前提だと思っております。
 もう一つは、政治の中においては、政治の信頼を回復する、このことが大事であるし、経済は、高度経済成長から安定した適正成長の時代に移り変わるのでありますから、また昔のような高度経済成長の時代は再び帰ってこない、その条件は失われたわけでありますから、やはり安定した適正成長の路線に日本の経済が適応していかなければならぬ。
 これは政府も国民もなかなか大きな試練でありますが、政治、経済両面にわたるこの試練を乗り切っていけば、日本はやはり世界の中においてもモデルになるようなりっぱな国になり得る。これだけ国民が勤勉で、しかも教育が普及して、また良識を持った国民を抱えて、そしてしかも活力のある国民ですから、こういう苦難を乗り越えていけることは間違いがない。
 また、外交面においては、戦争を前提として日本の経済は成り立たないわけですから、どうしてもやはり世界が平和であるという中に日本の経済的発展はあるわけですから、したがって、日本の平和外交といいますか、どの国に対しても敵意を持たない、そして友好関係を築き上げていく。その中においても、正示君が御指摘のように、日米関係というものが日本の国際関係の中においては一つの重要な柱でありますから、ロッキード問題という不幸な事件は起こりましたけれども、これはやはり切り抜けていかなければならぬし、また、そのことが日米関係にいささかも悪い影響を与えてはいけない。問題は問題として解決する。フォード大統領も、この問題は徹底的に解明されることが日米両国のためによい、そういうことをわざわざ――向こうの捜査当局が集めた資料も全部渡そう、またこれから向こうが得た資料もお渡ししましょうと、日本がこの真相を解明したいという政府や国民の熱意にこたえてくれようとしておるのですから、われわれとしては、この日米の友好関係にこの事件が悪い影響を与えることのないように、今後も絶えずアメリカとの間の連絡、理解、これは緊密にいたしまして、これに対しての日米外交に対する悪い影響を起こさないように努力していくことがやはり日本外交の大きな当然の責務だと考えておりますから、今後そういう面についても最善の努力を払っていく所存でございます。
#100
○正示委員 私、先ほど下手な文句で長丁場ということを申し上げたのですが、こういうことも異例である。また、ロッキード事件というものによって、日米両国ともに被害者である。こういうことが起こったということも異例である。そこで予算委員会も異例のブランクをずっと続けたわけでありますし、証人喚問という異例のこともやったわけでありますが、同時に、わが日本の国会は両院で決議をいたし、そしてまた、三木総理の親書がそれに添えられた。これまた異例のことであります。まさに異例ずくめ。そして、この問題の発端から考えますると、私が先ほど申し上げましたように、一方ではこの事件の真相を解明するという要請、一方では、焦眉の急務である物価の鎮静の上に景気の回復を図るというために、予算の早期成立を図らなければならぬ、これまた一種の相克矛盾した要請にわれわれは直面しておった、こういう異例の事態であったと思います。
 そこで、昨日来この席で民社党を代表して佐々木良作委員、また本日は小平忠委員がいろいろお述べになったのでありますが、私はできるだけ重複を避けたいと思いまするけれども、その方々がいろいろ三木総理に御質疑になった。私は与党の立場でこれを申し上げると、率直に申し上げて、そういう異例ずくめのときでありますから、三木総理、あなたも、熱意の余りに国民に過大な期待を抱かしたということもあったと思います。私もはっきり覚えておりますが、三木総理は本当に誠心誠意、アメリカから資料が来たら公開するのだ、外務大臣が捜査の都合でそういうことができない場合もあるかもしれませんよというふうなこともあったようですが、私は三木総理が純情に燃えてあれは言われたのだと思うのです。そしてその後いろいろと国会の場において、先ほど私、資料をちょうだいいたしましたけれども、注意深くその線について若干の保留を加えられましたが、私はこれは異例の条件のもとにおいてはやむを得なかったと思うのです。ちょうど、私、ゴルフはへぼでございますけれども、いまだかつて経験しないような環境のもとに置かれて振ったスイングというものは、これはエラーを出しますよ。だからといって、それが大局に影響するものじゃないので、私は、エラーはエラーとしてそのときにこれを大目に見過ごすのがスポーツマンシップであり、ステーツマンシップだと思うのです。にもかかわらず、いまここに展開されておるところの異常な国会の情勢というものは、私は、三木総理のその善意に対して余りにも過酷なる野党のとがめ方ではないか。もう少し日本人はお互いに、政局を論じ合い、政治、国民のためにいろいろと論じ合うときは胸襟を開いて対話をするという、そういうことが必要であり、それによって、自分がこう考えたのはこういうわけなんだ、決して悪く考えたことではないのだというふうなところも話せばわかる、これがすなわち政治の極意だと思うのであります。さっき申し上げたような相克矛盾を克服するのも、高度の政治、これが解決していくのだと思います。後で申し上げますが、三木内閣が成立しましてから、物価を安定させ景気を回復するという相克矛盾、これ、みごとに解決しつつあるじゃないですか。それをやりつつあるのは政治なんです。私は、そうした相克矛盾を、より高い高度のレベルにおいて解決することこそ、政治であると思うのであります。
 私はあえて、本日ここにおいでにならない野党の方々に、まあ民社党を除きまして、本当に日本にはステーツマンが少ないな、ポリティシャンばかりだなという感慨を深くして、きょうの各紙を私はずっと見ました。どの新聞一つをとっても、野党よ審議に参加した方がいいじゃないか、もちろん与党も反省すべきところは反省せよ、しかし野党も審議に加われ、私はこれが今日の内外の世論であると思うのであります。にもかかわらず、在来の行きがかりにこだわって出てこられないようなそういう方々は、これはステーツマンとしての度量に欠ける。
 私はかつて本会議において質問したとき、勝海舟を引用して総理にお尋ねしたことがありますが、勝海舟と西郷南洲のあの無血江戸城明け渡し、ああいうことを日本人はやっておるのですから、われわれはその後輩なんですから、どうか野党の諸君もこういう大事なときにはステーツマンとして行動せられることを、異例ずくめのこの国会を乗り切り、この政情を乗り切り、相克矛盾の問題を解決していくという政治家の崇高なる使命をぜひお互いに分け合っていきたいということを申し上げて、もうロッキード問題は――三木先生、私どもは初め証人喚問をしたときからもう少し頭を整理しておくべきだったのです。それはすなわちいまになってはっきり出てきております。法律的なサイド、そして道義的なサイド、これをはっきり区別して――私はあの問題が起こったときに福田副総理に電話しました。あなたは閣内においていち早く検察、警察、国税の捜査体制を確立するように努力してください、予算は通らなくなりますよということを私は電話でお願いしたことを覚えておりますが、いまやそれがだんだん整理されつつあります。そしてちょうど、経済の問題を解決するにはまず物価を優先させて静かに物価の鎮静を図っていまやようやく景気の回復段階に来つつあるように、私はこのロッキード問題も静かに、静かなること林のごとく、深く沈潜することまさに何キロの海であろうともこれは深く沈潜して、そして法律的な面を解明するのが検察当局の最高の使命です。これは検察、警察、国税、力を合わせてその解明に当たるべきである。そして国会は速やかに調査特別委員会を設けて、政治家の道義の面について国民の納得のいくような処理をすべきであるということを、いまになってわれわれははっきりとそういうふうに分けて申し述べることができるのでありますが、あの証人喚問のときには、一体国会議員は検事さんなんですか、裁判官なんですかというふうなこともありましたが、よく整理し切れずに前例のない証人喚問をやったこの予算委員会、それも思い出の中にいま過ぎ去ろうとしておるわけであります。
 そこで、どうかひとつ三木総理、いまお述べになりましたが、そういうふうに整理をして申し上げたことについて、最後に一言、国民に向かって、こういうふうにするんだということをもう一度ここでお述べおきいただいて、私は次の経済問題に移らせていただきます。
#101
○三木内閣総理大臣 前段に述べた、国会は審議を放棄してはいけないということ、それは全く私もそのとおりに考えます。国会は討議の場ですから、私に対していろいろな御批判があれば、実際この国会で討議を通じて承りたいのです。その討議というものがないと、この議会政治の場というものは一体何の場であるかということになってくる。そうすると存在の理由がなくなるわけですから、いろいろ気に入らぬことがあれば、国会を通じて大いに詰問するもよろしいし批判するのもいいだろうし、とにかくやはり国会は健全な姿で開かれておるということが、これは民主主義の基礎になるものですから、いまからでも遅くないわけでありますから、野党の諸君も――松本君もそこにおいでになるようですが、審議は放棄しないと共産党は言われておったのですから、共産党に限らず、各、社会党も公明党もどうか審議に参加されるように、ひとつそういうふうに持っていってもらいたいと切に願うわけであります。国民から見れば非常にわかりにくい国会の姿だと思いますから、その点は議会制民主主義の擁護と発展のために特に私はお願いをしておくわけでございます。
 また、ロッキード問題、これはもう迅速に冷静に処置せなければならぬわけで、ロッキードがすべてではないわけですから、この問題は、やはり一つは、いわゆる捜査当局といいますか、国税、警察、検察、こういう一つの捜査上の権限を持っておる人が、アメリカからもやがて、これは相当捜査に有力な手がかりになると私は思いますが、資料も来るわけですから、これで活発な捜査活動を展開して、ロッキード問題というものの真相を解明するように当たってもらいたいと私も激励しておるわけです。これはやはり法律上の追及というものは捜査当局に任すことが適当である。また、これは突然に起こった事件でありますから、いままで捜査上の蓄積がないんですね、急に捜査を始めたわけですから。そういう条件の中で私は捜査当局はよくやっておると思うのです。手ぬるいとかいろいろありますが、何もないところから捜査を始めるわけですから、やはり全力を傾けて真相の解明に当たっておると思うわけでございますから、今後とも一層激励をして真相の解明に当たってもらいたい。
 ところが、これは法律上の側面ばかりでなしに、政治道義上の側面もある。この問題はいわゆる捜査当局で追及すべき問題ではないわけですから、国会の場において、これはもうわれわれも調査特別委員会を設置することに前から賛成しておるのですから、ここでやはり徹底的な追及を重ねて、法律の側面ばかりでなしに、政治道義的な側面、これの検討に当たると同時に、また現行法に対して何らか新しい立法というようなものが必要であれば、国会の場においていろいろそういう検討をされる必要も私は起こり得ると思いますから、そういう点で、一日も早く、ロッキード問題はロッキード問題、その他国会の審議は審議として、並行して、二つを分けて――これは予算とロッキード問題が絡んできて、ロッキード問題に対してアメリカからくれる資料を公表しなければ審議に応じないといっても、これはやはりアメリカとしては非常な配慮の上にあの資料は手渡されるわけですから、大統領としては精いっぱいの捜査協力をしてくれるということだと思いますから、そういうことをいたしますとともにまた政党自身についても、今度の事件を教訓として、政党の体質に対して改革を加えるというような反省は当然に伴ってくるわけでございます。
 だから、そういうふうにもう法律の面、政治道義の面、これを分けて、そうしてこれは冷静に、しかもやはり徹底した、こういう事件が再び起こらないような処置をとることが必要である。私どもも、そうするためには政府としてもできるだけの努力は払いたいと考えておる次第でございます。
#102
○正示委員 最後に、もう一言。
 先ほど触れましたけれども、日米関係、これを揺るぎなき基礎にいままでずっと歴代自由民主党政府がやってきた。これにこういういわば思わざるアクシデントといいますか、降ってわいたような不幸な事件でかげりが差さぬように、これから野党の方々といろいろ折衝する場合も、いまの法律的な側面の捜査資料の受け渡しというようなことに関する技術的な取り決め、これを改めろとかなんとかと言うのは、これはとてもとても論外です。そういうことではなくて、日米の揺るぎなき外交関係を樹立するために、両国がその政治の安定をさらに進めていくためにどういうことをやればいいかというこの面を大きくこれから取り上げていこう。これをひとつ総理が率先して各党に呼びかけていただく。こういう点だけはこれから十分御配慮いただいて、そして努力されることを、これは要望いたしますが、もし御見解を伺えれば伺います。
#103
○三木内閣総理大臣 正示君の言われるとおり、このことが日米関係に悪い影響をもたらさないように、そういうふうな影響を最小限度に食いとめる努力をやることが当面の外交当局としての責務だと考えております。
 ロッキード問題の処理についても、これから話し合わなければならぬこと、私はいっぱい起こると思います。また、交渉せんならぬ場合も起こると思いますよ。いま資料を、あれだけの取り決めを決めて資料が手に入るときに、その取り決めを根本から変えてくれと言うことが、これはできることではないわけですから、それはそれとして、将来ロッキード問題の進展に応じてアメリカと話さんならぬことはいっぱい起こりますから、そういうことならば、野党との間にも私は十分話し合える余地はある。いますぐあれを変えろと言われるから、まあどう考えてみてもそれは適当ではないから無理だ、こう言っておるのでして、正示君の言われるとおり、今後の進展によっては、アメリカとは緊密な連絡をとっていかなければならぬと考えております。
#104
○正示委員 次に、時間が足りませんが、経済関係に移らしていただきます。
 副総理、三月末の全国の物価指数はまだ出ないのですが、しかし東京都のあれが、非常にむずかしかったのが一けたは達成された。大変安心しておるわけですが、さて当面、また春闘と非常にこれはつながりが深いわけです。もちろん、春闘という言葉は非常に困るので、闘争などと言わずに、これもやはりベースアップの交渉ということにしたい。ただ、先ほど午前中に高木新総裁が来ておりまして、小平さんから御質問があって、高木君非常に決意を披瀝しておりましたが、国鉄その他に違法ストをやるなと言っておきながら、国会がストをやってはいかぬですね。これは本当に困るのですね。非常に困るのです。国会は審議をするべきです。反対は反対、非難すべきは非難すべし。いま総理のおっしゃったとおり。それをやらずにストは困ると幾ら言っても、これは――きょうはお釈迦さんが生まれた日ですが、釈迦に説法ということがありますけれども、お釈迦さんならお聞きにならぬでもわかるけれども、最高の国会が自分でストをやっておきながら、国民に迷惑をかける違法ストはやめなさいと言うのでは、これは説得力がないと遺憾にたえませんが、その点はさておいて、いわゆる春闘、これのベースアップに非常に影響がある。
 これは、介入せずということは当然でございますけれども、きょうはある新聞に景気回復宣言だというふうに報道せられておるわけです。しかし、なかなかこれは――一方では、私あれを読んでみますと、後で申し上げますように、五十一年度予算案が特定の補正を要せざる期限に成立するということがやはり前提になっているようですからあれでございますが、なかなかわれわれとしては責任が重いわけですから、また前尾議長初め与野党の本会議の舞台回しをやられる方々に切にひとつお願いをしたいのであります。しかし、まあその努力を前提にいたしまして、また実りあるものになることを前提にいたしまして、副総理、いま日本の経済は、本当に回復宣言とマスコミが報道しておりますような段階に来ておりますか。また物価は、先行きいかがでございますか。そこでひとつ総括的な御見解を伺って進みたいと思います。
#105
○福田(赳)国務大臣 経済面から見ますと、何としても一方において物価の安定基調を固めながら景気の回復を図る、これが中心になるわけでございますが、両者ともいま順調に動いておる、こういうふうに考えております。
 景気の側面におきましては、昨年の秋つまり第三・四半期、十月−十二月の停滞期を脱しまして、いま上昇過程に乗ってきた、こういうふうに考えています。昨年の十二月から輸出が伸び続けております。それから設備投資も微弱ながら上昇傾向に転じておる。個人の消費も活発に動いておる。そういう需要方面の要素を受けまして、生産がかなり上がってきておるのです。十二月〇・八%前月比で上がりましたが、一月には二%上がっておる。二月が二%上がっておる。三月は、通産省の見通しで言うと、また二%上がる。四月はもっと上回りそうだ。二%上がるというと、年率にすると二八%ですから、大変の上昇になってきておるわけであります。
 そういう経済活動の活発化の動きを受けまして、景気上昇期に最後にあらわれてくる現象は雇用の改善ですが、この最後の雇用の改善の傾向も出てきておる。そういうことを考えますと、景気はもう着実に上昇過程に乗ってきておる。
 そこで、常に申し上げておるわけでありますが、昭和五十一年度予算は、これはもう第五次景気対策という性格を持つ。この予算が成立して執行されるということによって初めてこの上昇過程に乗った安定基調というものが定着する、そういうふうに見ておるわけでありますが、残念ながらこれが暫定予算だ。暫定予算に対しましては、その与えるところの悪影響を防ぎとめるための努力をずいぶんしておるのですが、かなりその対策の効き目はあると思いますが、しかし、それでもこの暫定予算四十日間という、この与える影響、これを全部ぬぐい去るわけにいかぬ。まして、これがさらに長期化するというようなことになりますると、せっかく上昇過程に乗りました景気にも多大の影響があるだろう。一刻も早く昭和五十一年度予算の成立をお願いいたします。
 それから物価の側面につきましては、今月末に全国の三月末の年間上昇率が公表されるわけでありますが、大体これが九%前後のものと私は見ておるのであります。これは私は一けた、九・九と言っておったのが九%前後におさまる。大変よかったと思うのですが、よかったその原因は、何といっても昨年の春闘です。これが一昨年は三三%、それが昨年は一三%で済むということになった。これが物価情勢を非常にやわらげる要素になった。こういうふうに見ておりますが、これから先を展望しますと、ことしの春の賃金交渉、これがどうなるかという問題が一つあります。それから世界経済環境、これが世界の資源価格がどういうふうに動くかという問題がある。それから公共料金、これが問題として内在しておるわけでありますが、それらをくるめましても大体八%程度で年間上昇率がいくんじゃあるまいかと思いまするし、ぜひそういうふうにいたしたい。そして五十一年度というこの年をインフレもまた不況もおしまいの年だ、こういうふうにぜひいたしたい。せっかく努力をいたしたいと存じます。
#106
○正示委員 いま景気、経済の見通し、物価の見通しについて大変明るいお話がありました。しかし、それにはどうしても予算を早く成立させるということ、また後で申し上げますように法律の成立ということも必要であります。
    〔井原委員長代理退席、委員長着席〕
 いまの副総理のお話に関連しまして労働大臣に一つお伺いしておきますが、いまもお話しのように、一昨年のいわゆる春闘、去年の春闘、ことしの春闘、三つ比べてみまして、名目的な上がり方というものはみんな人口に膾炙しております。しかし実際は、実質的な賃上げはどうであったかということなんですね。これをほとんど問題にしないで、いまでもゼロから一けたというのはあれはみんな名目上昇率を言っておるのですね。これはやはり少し労働省も、そういうことを言わずに、実質的な賃上げということをもっと重視すべきではないかというPRが私は必要だと思うのです。この機会に労働大臣に、一昨年のいわゆる春闘の場合の実質的な賃上げはどのくらいであったか、また昨年はどうであったか、ことし仮に一けたというのをどの辺に置きますか、ある仮定をつくって、いま副総理が言われたような物価の鎮静ということを前提にして、実質的な賃上げというものはこうなるんであるということをこの機会に国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
#107
○長谷川国務大臣 お答えいたします。
 ことしの春の賃金改定期では、組合の中でも賃金か雇用かという声があり、一方にはまた実質賃金重視だ、こういう声があるわけでありまして、その点からいたしますと、正示委員の御質問非常に心強く思います。私たち労働省は、働く諸君のやはり実質賃金というものを見ていくことが大事なのではなかろうか、それがすぐ家庭生活に響くわけですから。
 そこで、四十八年ぐらいまでは毎年、春闘方式というて倍々ゲームでベースアップが行われもしたし、またとられた。ところが、おっしゃるように四十九年狂乱物価、石油ショックのときには三二・九%、それだけ上げましたけれども、何と実質賃金ではわずかに一・八%しか上がっていない。ところが昨年は一三・一%でございましたけれども、五十年平均二・五%の実質賃金のアップになっておるのです。たとえば、もう一つ申し上げますと、この一月が何と現金給与総額で一三・一%アップになっています。そして実質賃金では三・一%のアップ。その背景には、ただいま副総理のおっしゃったように消費者物価が九%、二月も同じような傾向でして、消費者物価が九・四%、その背景に実質賃金が四・二%アップしている。
 こういうことで、労働者諸君の実質賃金が政府・自由民主党、国会、皆さんの御協力によって確保されつつある。これがこのたびの賃金等改定期に円満にひとつ動くことを何より期待しているものであります。
#108
○正示委員 どうも時間が大変どんどんたってしまいまして、それでは、もう十分しかないそうでございますのでここでかためて伺いますので、各大臣からひとつ大変恐縮ですが……。
 まず、労働大臣にもう一つ続いて伺いたいのは、雇用問題は大変よくなりつつあるということでございますけれども、しかし、やはり雇用調整給付金は延ばしてくれというふうなのが相当ございますね。これはやはり私は、この予算を一日も早く成立させなければならぬということの非常に大きな原因になっておると思いますから、その点についてまず労働大臣に、いまのお答えの続きとしてお答えをいただきたい。
 それから次に大蔵大臣にひとつ。大変足がお痛みのようで恐縮ですが、財特法をこの予算と同時に上げないと非常に困る。これは私は、現実に相当巨額の国債を完全に消化していく、インフレを起こさずに消化していくというためには、非常に綿密な発行計画というものをつくって、金融情勢とにらみ合わせてやるということは現実に必要ですね。きのう建設大臣には分科会で伺ったのですが、建設公債と相並んでいわゆる特例公債の消化、地方債の消化、こういうことをやっていくためには、財特法を上げておいて、それによって計画を立てていく、これは当然非常に必要なことであると同時に、私はやはり心理的な面が非常に大きいと思うのです。そういう意味から、この際、財特法は予算と同じように大事な法律であるということを特にここでひとつ大蔵大臣から明らかにしていただきたい。
 と同時に、暫定の補正なんかにもしなったら大変なんだ、どういう点が困るのか、この二点を大蔵大臣から伺いたい。
 それから自治大臣にひとつお願いします。
 今日雇用問題、景気問題とともに地方財政の問題が非常に大きな重要問題でございますが、特にこの間暫定予算で、四月分の地方交付税は非常な御努力でまあまあある程度例年の計算方法よりは多くなったのでございますけれども、それでもたしか三千億余りへこんでおるわけです。予算が成立し、地方交付税法の改正が行われた場合はそれだけよけいにいっておったわけです。今日この地方財政の窮乏の折からに、カットさせた国会の責任は実に重大である。これはもう何のかんばせあって選挙区に相まみえんやというふうにわれわれは思う。
 それから、それに関連して自治大臣から明らかにしておいていただきたいのは、ことしは減税がない減税がないと野党の方はときどき言われるのですが、民社さんも減税を大いにやれと言われる方ですが、ただ私は残念なことは、住民税は例の均等割は確かに上げたんですよ、しかし所得割では相当二兆円減税の結果がことしに出て、減税になっておるのです。これはすなわち副総理がよく国民消費がある程度伸びておるということにもやはりあずかって力があると思う。そこで、地方税が、ことしは住民税は所得割の面でこうなって安くなっておるんだということを明らかにしていただいて、地方交付税法改正案の早期成立とともに、これをひとつ国民に呼びかけていただきたい。
 時間がありませんので、以上、非常にまとめて失礼でございますが、三大臣からお答えをいただきます。
#109
○長谷川国務大臣 御質問の雇用調整給付金はきのう雇用審議会にかけて、万全を期したい。
 さらにもう一つ心配しておりますのは、失業対策としての雇用保険の失業給付及びその職業転換給付金が計上されておりますけれども、これが仮に一日でも暫定予算の空白期間が生じますと大変なことになりますので、非常に私たちは気をもんでいる次第であります。
#110
○大平国務大臣 いわゆる特例公債法でございますが、五十一年度予算は三兆七千五百億円発行を予定いたしております。これは歳入全体の約二割に近くございます。したがいまして、これが成立しないと財政の運営が不可能になることは火を見るより明らかでございます。しかも、これは公債の発行によって賄わなければならないわけでございまして、公債の発行は一時にまとめて一兆億、二兆億発行ができるという筋合いのものではございませんで、ならして市場の消化能力の範囲内において消化を願わなければならぬわけでございまするので、会計年度の前半期におきまして前広に国会の御承認を得て、その上でシンジケート団と十分な話し合いを遂げておかなければならぬ性質のものでございますので、いつ成立するかわからないというような状態では全く困るわけでございますので、予算と一体のものでございますならば、本予算と一緒に衆参両院におきまして成立させていただきたいことを強く念願をいたしておるところでございます。
 それから第二の暫定予算の補正の問題でございますが、御案内のように暫定予算自体がその性質上必要不可欠の支出だけに限定いたしてございます。またしたがって、新規の政策経費を盛り込むというようなことは原則として許されない性質のものでございます。また、最近この暫定予算案の総則におきまして、残余の、財源が余った場合に空白期間は使ってよろしいなどという規定はもう置かないことにいたして、背水の陣をしいておるわけでございまするので、せんだって御承認をいただきました暫定予算をもちましてこれこそおしまいにしていただきたいということを強く希望いたしております。
#111
○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。
 ただいま正示さんがお話しになったとおり、実は交付税法の改正案が通りませんというと、その中に含まれている部分一兆三千八百億円というのは交付できないことになるのでありまして、本予算が通っても地方財政は運営ができなくなる、こういう結果が起きるわけであります。こういう点を非常に心配されまして、本日午前、知事会を初めといたしまして地方六団体の方が集まられて、そうして速やかにこの予算案を通過させてもらいたい、また交付税法案を通過させてもらいたいという決議をなさいまして、自由民主党を初めとして社会、共産、公明、民社の五党に対しても要請をされ、また午前中の予算委員会の済んだ直後におきまして、この席において、総理以下、総理大臣にも大蔵大臣にも私にも、実は何としてもこれはやってもらいたいのだという強い御要請があったわけでございます。そういうことでございまして、われわれとしては何としても地方交付税法の改正案はぜひとも速やかに通すようにしていただきたいと思っております。
 また一部には、来年度、五十一年度の予算案において、いかにも減税がなくて増税ばかりやっているような説があるのでございますけれども、実を言いますと、住民税におきましては約三百億円ほどの一つの引き上げがあったわけでありますけれども、しかし、この給与所得の控除額の引き上げを行いましたことによりまして、地方におきましては年間二千億円くらいの減税が行われておるのでありまして、その他を含めまして二千四百億円の減税をやっております。こういたしますと、一部に増税がございましたけれども、差し引きしてみて二百二十億円減税をしておるわけでございまして、増税などというようなことは一切いたしておらないということをこの機会に明らかにさせていただきたいと思う次第であります。
#112
○正示委員 以上で終わります。(拍手)
#113
○荒舩委員長 これにて正示君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、締めくくり総括質疑は終了し、昭和五十一年度総予算に対する質疑は全部終了いたしました。
    ―――――――――――――
#114
○荒舩委員長 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。河村勝君。
#115
○河村委員 私は、民社党を代表して、昭和五十一年度一般会計予算案、同特別会計予算案並びに政府関係機関予算案三案に対し、反対の討論をいたします。
 本年のわが国財政の直面する課題は、私から申すまでもなく、第一に不況から脱出して安定成長の軌道に乗せることであります。しかし、同時にそれ以上に大切なことは、累積する膨大な国債を抱えてこの不況を脱却したとしても、かつての高度成長期はすでに終わって、見通し得る将来にわたって減速経済の時代に入る、そういう時期に対応する財政計画の基礎をつくらなければならない年だと、そう考えております。
 一体、そういうむずかしい時代に対応するだけの厳しい姿勢がこの予算案にあるであろうか。
 これからの財政に必要なことは、歳出の面では行財政の思い切った合理化であり、歳入の面ではいずれは増税を必至とする情勢を考えれば、それに備えてまず税負担の公平化を図らなければなりません。
 多くの地方自治体では、過去の放漫財政の破綻からいやおうなしに人員削減その他のかなり思い切った合理化が実行に移されつつあります。国の財政はそれなら現状でよいのか。パーキンソンの法則に言うごとく、すでに使命を果たし終わった政府のいろんな部門の整理というものは容易に行われない。そうして新たに必要なところだけは拡大するという傾向が現にあって、そのためにことしの場合でも予算定員は結局昨年度に比べて横ばい状態にすぎない。また、たとえば効率の悪い補助金などがどれだけ整理されたのか。かねてから懸案である公団、事業団などの整理については実績ゼロ、逆に認可法人というような隠れみののもとに、幾つかが逆につくられているという状態ではありませんか。
 歳入の面で言えば、税負担の公平化がどれだけ行われたか。増税を今後期待するならば、その前に各種の優遇措置によってアンバランスを生じている税体系を全面的に改めなければならない。そうでなければ、国民は決して増税を納得いたしません。ことしの租税特別措置の整理合理化はある程度の前進を見ていることを認めます。しかし、それでもその結果の増収分というのは平年度で千百五十億円、来年度だけで言えばわずかに百五十億にすぎない。それにもかかわらず、一方で不況下でありながら高収益を保証されている都市銀行などの支払うべき会社臨時利得税、多分千億ぐらいの増収が、存続すればあるはず。そういうものが、単に創設期の目的が終わったというだけの理由でもって廃止されようとしている。はなはだしい矛盾と言わざるを得ない。
 もちろん、財政体質の改革というものは並み大抵の仕事ではありません。しかしながら、これからいよいよ新しい時代に入ろうとしている来年度予算案に、少なくとも将来に向かってレールを敷くという意欲があらわれるだけの努力がなければならないはずであります。この点がわれわれの最も不満とするところであります。
 不況対策のための公共事業の規模は、本四架橋を三つもつくるというような、内容においては問題はあるけれども、諸般の事情から考えれば、その規模はまあまあというところだと思います。しかしながら、民間産業、なかんずく中小企業の収支は依然として深刻であって、先ほど福田さんは大変楽観的な見通しを述べられたが、現実には雇用不安というものは依然として続いております。実体経済は、政府の見通しあるいは統計数字、それに比べてはるかに悪い。ただ、政府の施策によってではなくて、幸運にもアメリカ経済の立ち直りが確実になって、そのおかげで日本の対米輸出の回復がてこになって、ようやく回復の兆しが出てきた段階だと思います。われわれはかねてから一兆円減税を実行して消費支出の増大をすべきことを主張してきましたが、残念ながら政府当局の入れるところとならずに、この予算案は原案のまま通過をしようとしております。
 私はこの際、政府に提案をしたい。
 現在のように流動的な時期には、必要なものは財政金融の機動的な運用であります。もし春の賃金ベースアップが低率に終わることがあれば、政府の予想する民間消費支出、対前年一三・七%増とははるかに遠いものになるでありましょう。おくれている第四次不況対策の効果が輸出の増加にプラスをするとしても、そういう結果になれば景気回復の見通しは必ずしも定かではないと思います。政府は年度の途中においても、情勢のいかんによっては減税を断行して、年度内に支払った税金を払い戻す、それによって消費支出の増加を図る、そのくらいの機動性を用意すべきではないのか。特に私は、この際要請をしておきます。
 最後に一言申し上げます。
 今回の予算審議に当たって最も遺憾であったことは、ロッキード事件を契機とする国会の空白によって、この不況下に四十日という長期の暫定予算を組まざるを得なかったことであります。
 その主たる原因が、政府・自民党の本事件に取り組む姿勢、特に動揺を続け、だんだん先細りになる三木総理、あなたの発言によるものだということはすでに繰り返して述べましたから、それ以上詳しくは申し上げません。
 今回、わが民社党は、予算審議再開に当たって、自民党との間に五項目の合意をいたしました。それはロッキード事件の真相究明をあいまいに終わらせないために、必要なぎりぎりの保証を求めたものであります。ところが、この合意が成立するや否や、すぐさま政府・自民党の中から、あたかもこの合意の実効性を疑わせるような発言が相次いでいます。特に捜査終結の段階で政治的、道義的責任の有無を明らかにするための国会の調査に対して、事実究明に必要な政府の協力を約束したこの第四項、これについて政府は関知しないとか、政党間の合意は政府を拘束しないというようなたぐいの発言がなされております。
 三木さん、あなた自身もきのうの予算委員会において、その時期になってから検討するという趣旨のあいまいな答弁をされております。きわめて遺憾であります。遺憾であるという以上に不愉快であります。しかしながら、われわれはこれらの発言が形式的なロジックとして、何らかの内部事情によって行わざるを得なかったものと解して、あえてこれ以上の追及を控えております。しかし、そう遠からぬ時期にこの合意事項の実効性が問われる時期が参ります。もしもそのときに、公党間の約束がほごにされて、いわゆる灰色の部分の事実解明が不可能になるような事態を招くようなことがあれば、そのときはわれわれ民社党は重大な決意をもって臨まざるを得ません。その結果はすべて政府・自民党にあるということを最後に警告をして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#116
○荒舩委員長 次に井原岸高君。
#117
○井原委員 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となりました昭和五十一年度一般会計予算外二案の政府原案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 申すまでもなく、五十一年度予算に期待するものは、景気の着実な回復と雇用の安定を実現することであり、これは最大の国民的課題であると考えます。
 しかるに、本予算審議の途中において、米議会に端を発した、いわゆるロッキード問題は、わが国を含む多くの国々に波紋を投じたのであります。
 これがため当委員会は数日にわたり本問題に関する証人尋問などを含む審議を行い、真相究明に努力したのでありますが、三月八日以降分科会による審査に入ることなく、予算審議が空転したことはまことに残念であります。そこで三月二十九日、本予算の年度内成立が困難となったので、国民生活に必要な最小限度の経費を計上した四十日間の暫定予算の措置をとったことはやむを得ないものであったと考えます。
 自来、四月六日まで予算審議の空白状態が続き、昨日ようやく予算審議再開の運びとなったことはまことに御同慶と存じます。
 以下、五十一年度予算に対し簡単に私見を述べることといたします。
 第一点は、予算の規模とその性格についてであります。
 五十一年度一般会計予算の規模は二十四兆二千九百六十億円で、前年度当初予算に比べ一四・一%の伸びとなっておりますが、歳入にあっては、経済活動の停滞により税収不足が生じたので既定経費の見直しを行うとともに、国債をもって財源の確保を図り、歳出にあっては、公共事業関係費等の拡充により景気回復の促進に努めた予算となっておりますることは、現下の経済情勢に最も適合し、かつ緊急な課題に対処したものとして賛意を表するものであります。
 また、財政投融資計画につきましても、前年度当初計画額に対し一四・一%増とし、その資金配分は国民生活に最も関係の深い住宅、生活環境整備、厚生福祉、文教、中小企業対策等に重点を置いたことは妥当な措置であります。さらに、同計画が日本輸出入銀行の輸出金融について対前年比八〇・九%の増額を行ったことは、今後のプラント輸出等に対する資金需要にこたえるとともに景気浮揚に対し一層の役割りを果たすものと期待をいたしております。
 第二点は、国債の発行についてであります。
 国債の発行が、五十年度においても財政法第四条の建設公債三兆五千二百億円のほか、三兆七千五百億円の特例公債を発行せざるを得なかったことは、当面の経済情勢から判断して、景気回復に対する財政の役割りを考慮すれば、真にこれはやむを得なかったものと考えるのでございます。
 特別公債の償還に当たっては、期限までに全額償還をなし、借りかえは行わず、発行は五十二年の出納整理期間までとし、税収の動向により、できるだけ発行の限度を少なくする余地を考慮した法案を提出していることは、政府の財政に対する節度を示すものであります。また、国債依存率二九・九%という多額の国債発行に対し、その依存率減少のための方途を政府が中期財政見通しとして予算審議の参考に提出したことは、財政運営に対する今後の指針としてまことに意義深いものがあります。
 国債発行は、インフレとの関係において市中消化の原則を守ることはもちろんでありますが、一方、金融面におけるマネーサプライの量的規制に配意しつつ、国債管理政策の面においても公社債等の流通市場における魅力ある国債の位置づけについて、額面、金利、償還期限等を含め、一層の検討を願うものであります。
 第三点は、不況対策についてであります。
 政府は、今回の不況に対し、財政主導による資源配分を重点的に公共事業と輸出に置くとともに、一方、雇用の安定確保を図っていることはまことに当を得たものであります。すなわち、公共事業関係費は前年度当初予算に対し二一・二%増、住宅は二三・三%、生活環境施設整備三一・二%と大幅な伸びを示しております。
 また、五十一年度を初年度とする住宅、下水道、公園、港湾等八事業の五カ年計画を長期的視野に立って策定したことは適切なことであります。
 なお、今回の予算において従来の一般的予備費と区分して、公共事業等予備費千五百億円を計上したことについて、憲法、財政法の立場から種々論議がありましたけれども、予備費に対し、政府みずからその使途について制限を設け、国会の議決により、予見しがたい予算の不足に充てることとしたことは、予算が経済の動向に即応し、機動的に活用される点からもまことに当然の措置であり、時宜を得たものとして高く評価するものであります。
 公共事業費は、景気の回復に対し最も需要創出効果の大きいものでありますが、その実施が早期に、しかも着実に執行されなければ効果を発揮することができません。そのためには、本予算の早期成立が望まれるものであります。
 一方、雇用の安定についてでありますが、わが国の雇用制度は諸外国の諸制度に比し、終身雇用の面が強く、これが企業の過剰人員の抱え込みとなり、経営悪化の一因ともなっております。
 政府においては、昨年来、雇用調整給付金制度を設け、一時帰休等に対し資金的措置を講じ、対象業種の指定、受給人員等の拡大適用について配慮しているが、今回、高年齢者雇用率制度の創設を含む中高年齢層への対策を図ることとしております。
 また、新たに、企業倒産による賃金不払いの被害労働者に対し国が事業主にかわって立てかえることとする救済制度を設け、労働者の生活保護を行うこととしたことは、最も適切な措置として賛意を表します。
 第四点は、社会保障の充実についてであります。
 社会保障関係費は前年度当初予算に対し二二・四%の伸びでありますが、今日の厳しい財政事情にあっては、真にやむを得ない福祉施策を重点にその充実を図っております。
 たとえば、社会的、経済的に弱い立場にある人人の生活安定に資するため、生活扶助基準を一二・五%引き上げたほか、新たに、在宅重度心身障害者緊急保護事業に対する補助、厚生年金、国民年金及び福祉年金の年金額を引き上げる等、諸施策についてきめ細かな配慮を行っております。
 今日の厳しい財政制約の中にあっては、社会保障についても優先度を考慮することは当然であり、社会的公正確保の見地から、医療及び年金制度間の格差是正並びに効率的運用等について、整合性ある見通しに一層の努力が望まれております。
 第五は、地方財政についてであります。
 地方財政も国と同様、法人税を含む国税三税の落ち込みにより、多額の財源不足を生じております。これに対して政府は、地方交付税の総額を五十年度当初予算に対し、国家予算の伸び一四・一%を上回る一七・一%増の額を確保するとともに、地方債の大幅な発行を特別に認めることにより地方財政の運営に支障のないよう措置をいたしております。
 しかしながら、今後の地方財政は、五十年度を初年度とし五十五年度に至る中期財政展望にも見られるごとく、社会保障など住民福祉の向上に意を用いる一方、公債の依存度を低減させるためには、税負担への考え方をさらに検討する必要があることを示しております。今日の最大課題である不況を乗り越えるためには、地方自治体においても国と同一基調に立って、一般行政費の抑制と財源の効率的配分により節度ある運営を望むものであります。
 以上をもって、政府原案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
#118
○荒舩委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#119
○荒舩委員長 これより採決に入ります。
 昭和五十一年度一般会計予算、昭和五十一年度特別会計予算及び昭和五十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#120
○荒舩委員長 起立多数。よって、昭和五十一年度予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#122
○荒舩委員長 これにて昭和五十一年度総予算に対する議事は全部終了いたしました。
     ――――◇―――――
#123
○荒舩委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 去る一月二十八日より昭和五十一年度総予算の審査を開始いたしまして以来、不況対策、雇用問題など重要施策について真剣な論議を重ねたのであります。また、審議の途中において発生いたしましたロッキード問題につきましては、予算委員会といたしましては、前例のない証人の喚問を二回にわたり行う等、問題の解明に努力をいたしてまいりました。
 なおまた、総予算成立のおくれによる財政等に及ぼす影響を最小限度にとどめるために、やむなく四十日間の暫定予算を成立せしめましたのであります。
 しかしながら、本日総予算の議了に至るまでの間に長期にわたり委員会の審議が中断し、昨日の分科会の審査、また本日の締めくくりの段階において、一部政党の諸君の御出席を得られなかったことは、委員長といたしましてまことに残念に存ずる次第でございます。
 本日ここに、二カ月余りにわたる総予算の審査を終了するに至りましたことは、委員全員の御理解と御協力によるものでありまして、審議に精励された委員各位の御労苦に対し、深い敬意と感謝の意を表する次第でございます。長期間にわたりましてまことに御苦労さまでございました。
 これにて散会いたします。
    午後二時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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