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1975/06/25 第77回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第077回国会 予算委員会 第29号
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1975/06/25 第77回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第077回国会 予算委員会 第29号

#1
第077回国会 予算委員会 第29号
昭和五十一年六月二十五日(金曜日)
    午後一時五分開議
 出席委員
   委員長 荒舩清十郎君
   理事 井原 岸高君 理事 小山 長規君
   理事 塩谷 一夫君 理事 正示啓次郎君
   理事 山村新治郎君 理事 小林  進君
   理事 楢崎弥之助君 理事 松本 善明君
   理事 山田 太郎君
      上村千一郎君    大野 市郎君
      奥野 誠亮君    片岡 清一君
      瓦   力君    北澤 直吉君
      黒金 泰美君    志賀  節君
      瀬戸山三男君    田中 龍夫君
      西村 直己君    根本龍太郎君
      森山 欽司君    安宅 常彦君
      阿部 助哉君    石野 久男君
      堀  昌雄君    津金 佑近君
      中島 武敏君    米原  昶君
      坂井 弘一君    林  孝矩君
      池田 禎治君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 稻葉  修君
 委員外の出席者
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        法務省刑事局刑
        事課長     吉田 淳一君
        予算委員会調査
        室長      三樹 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月三日
 辞任         補欠選任
  江崎 真澄君     山下 元利君
  正森 成二君     増本 一彦君
  正木 良明君     沖本 泰幸君
  小平  忠君     小沢 貞孝君
同日
 辞任         補欠選任
  山下 元利君     江崎 真澄君
  増本 一彦君     正森 成二君
  沖本 泰幸君     正木 良明君
  小沢 貞孝君     小平  忠君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  河村  勝君     池田 禎治君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  伊東 正義君     瓦   力君
  倉成  正君     片岡 清一君
  藤井 勝志君     志賀  節君
  不破 哲三君     米原  昶君
  正森 成二君     津金 佑近君
  正木 良明君     林  孝矩君
  矢野 絢也君     坂井 弘一君
同日
 辞任         補欠選任
  片岡 清一君     倉成  正君
  瓦   力君     伊東 正義君
  志賀  節君     藤井 勝志君
  中村 寅太君     田川 誠一君
  津金 佑近君     正森 成二君
  米原  昶君     不破 哲三君
  坂井 弘一君     矢野 絢也君
  林  孝矩君     正木 良明君
    ―――――――――――――
五月二十四日
 一、予算の実施状況に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 証人告発の件
     ――――◇―――――
#2
○荒舩委員長 これより会議を開きます。
 この際、御報告いたします。
 去る五月二十四日、全日空社長若狭得治君の証言につきまして、偽証の疑い濃厚なものと認め、告発の議決を行い、告発状の作成その他告発の手続は委員長に一任されておりましたが、先般、六月十八日、告発いたしましたので、御報告申し上げます。
 なお、告発状は本日の会議録に掲載いたします。
#3
○荒舩委員長 次に、六月二十二日、東京地方検察庁検事正高瀬禮二君から、予算委員長あてに、大久保利春が二月十七日及び三月一日、本委員会において行った証言について、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第六条に該当すると認められるので、右の者を同法違反により六月二十二日逮捕した旨の通知書が参りました。
 以上御報告いたします。
 なお、本通知書を本日の会議録に掲載いたします。
#4
○荒舩委員長 ただいまの通知書に関し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。稻葉法務大臣。
#5
○稻葉国務大臣 検察当局は、これまでの捜査の結果、丸紅株式会社参与大久保利春が、本年二月十七日及び三月一日、衆議院予算委員会において証人として宣誓の上行った証言について、議院証言法第六条所定の偽証の罪に該当する疑いが濃厚となり、かつ同人について逃亡及び罪証隠滅のおそれがあると思量されたため、その身柄を拘束して取り調べる必要があるとの判断に達し、去る六月二十一日、東京地方裁判所裁判官に対し、逮捕状の請求を行いました。
 同裁判官は、逮捕の理由及び必要性を疎明するために検察側が提出した種々の資料を十分精査し、その結果、大久保について前記偽証の罪を犯したことを疑うに足る相当な理由があり、かつ逮捕の必要があると判断し、同日逮捕状の発付を行いました。
 なお、逮捕状記載の被疑事実の要旨は次のとおりであります。
 被疑者は、丸紅株式会社の取締役兼機械第一本部長であるが、ジョン・ウィリアム・クラッターから、昭和四十七年十月三十日ころ三千万円、同年十一月六日ころ九千万円をそれぞれ東京都内で受領し、その際、右金員を受領したことを証明するため、三十ユニットをクラッターから受領した旨、及び九十ユニットを同人から受領した旨の領収証各一通に署名したのにかかわらず、
 一、昭和五十一年二月十七日、衆議院予算委員会において宣誓の上証言するに際し、ユニットの領収証について金品の授受は一切ない等虚偽の陳述をし、
 二、同年三月一日、同委員会において、宣誓の上証言するに際し、ユニットの領収証に関連して一切何も受け取っていない等虚偽の陳述をし、もって偽証したものである。
 第二に、六月二十二日午後一時三十五分、検察当局は、大久保を東京地方検察庁において逮捕し、直ちにその身柄を東京拘置所に留置し、また同月二十四日、東京地方裁判所裁判官から勾留状の発付を得て、現在大久保を同拘置所に勾留の上、取り調べを続行中であります。
 第三に、検察当局としては、本委員会の告発が起訴条件と解されている趣旨にかんがみ、事前に本委員会に大久保を逮捕する旨の御通知を申し上げることも検討いたしましたが、大久保について逃亡並びに罪証を隠滅するおそれがあったことは前述のとおりであり、万が一にも同人逮捕の方針が本人らの知るところとなれば、同人の逃亡あるいは証拠隠滅を招来する等、今後の捜査に重大な支障が生ずるおそれがあったため、同人を逮捕後、速やかにその旨を東京地方検察庁検事正から本委員長に対し、文書によりその旨を御通知申し上げることとしたものであり、大久保の身柄を確保し、本件の真相を究明するためにやむを得ない処置であったことについて、本委員会の十分な御理解を賜りたいと存じます。
    ―――――――――――――
#6
○荒舩委員長 ただいまの説明に関し、質疑の申し出がありますので、これを許します。小山長規君。
#7
○小山(長)委員 まず最初に法務大臣にお尋ねいたしますが、このいまわれわれが受け取りましたのは逮捕通知書であります。これは逮捕した旨をただ通知するだけであって、国会に対し、告発をお願いするという趣旨ではないのですね。
#8
○稻葉国務大臣 事実の御通知だけでございまして、おっしゃるとおりでございます。
#9
○小山(長)委員 今度の問題はいままで恐らく前例がなかったのではないかと思うのであります。つまり国会の告発なしに偽証罪で逮捕し、起訴まで考える。そして逮捕はしてみたものの、国会の告発がなければ起訴ができない、こういう関係はいままで恐らく事例がなかったのではないかと思います。今後の国会と司法当局との間のいろいろな先例にもなりますので、少し入念に質問を申し上げてみたいと思うのであります。
 まず第一に、国会における証言が偽証であるかどうかということは、これは国会が判断すべきことであります。それはいま法務大臣も認められたとおりであります。ところが、検察当局が国会の告発を待たずに大久保利春を偽証の疑いで逮捕した理由は何であるか。
 引き続いて申し上げますと、国会の告発がなくとも偽証罪で逮捕はできるのかどうか、これが一つ。
 それからもう一つは、これは別の観点でありますが、たとえば外為法違反などで逮捕することは考えなかったのか。まずこの二点であります。
#10
○稻葉国務大臣 まず第一の御質問でございますが、告発をするかどうかは国会の御判断、捜査をしてその結果偽証に当たるかどうか、これの判断は検察もあると思っております。十分なる偽証の疑いありと判断をして、捜査の一方法として強制捜査、逮捕ということをいたしたわけであります。国会の告発は起訴の条件でありますけれども、捜査の条件とはなっていないというのが、学説上多少の異論はありますけれども、判例と心得ております。
 なお第二の御質問で、告発がないのに逮捕するよりは、外為法等によって逮捕するのが至当じゃないかという御趣旨の御質問にお答えいたしますと、外為法違反の疑いは十分なんです。ですけれども、外為法違反の罪の時効は御承知のように三年でございまして、先ほど申し上げましたように昭和四十七年の十月、十一月でございますから、すでに昨年時効になっておりますので、この罪名をもって逮捕状を請求するわけにはまいりません。もし時効にかかっていなかったならば、偽証もそれから外為法違反もあわせて逮捕状を要求して逮捕すべきであったというふうに思っております。
#11
○小山(長)委員 そういたしますと、外為法の容疑は時効になっておるので、そこで偽証罪で逮捕した、こういうことですが、これは今後の先例にもなることでありますから、外為法違反が時効になっていなかった、こういう場合には、あえて国会の告発を待たずに逮捕するというようなことは、今後はなさらないおつもりですかどうですか。
#12
○安原説明員 逮捕の必要性の判断は具体的な事件の判断でございますので、今後一切ないかということは、必ずしも明言はいたしかねると思いますが、いずれにいたしましても、告発が訴訟条件である犯罪につきましては、でき得れば告発を待って捜査をするというのが原則でありましょう。ただし、それは先ほど申し上げましたように捜査の要件ではないわけでありますので、告発がなくとも捜査をすることは適法ではございますが、やり方といたしまして最も望ましいのは、やはり告発があって捜査を開始する方が望ましいとは思いますけれども、それも具体的の状況によりますので、絶対あってはならないこととも思いません。
#13
○小山(長)委員 それは伺っておきます。
 それから、次は、逮捕した以上はこれは起訴まで持っていくという覚悟で当たらなければならぬはずであります。ところが、逮捕は告発がなくともできるといういまの御説明ですが、起訴するためには国会の告発が必要なんでしょう。それが一つ。
 それからもう一つは、私考えられるのは、検事は公益を代表する職務権限を持っているわけですから、国会の議事録を調べて、そしてあなた方が捜査された事実と違う場合には、公益の代表者として検事は偽証でもって告発できないのですか、これが一つ。
 それからもう一つは、第三者が告発することによって捜査を進め、起訴するということは、これは法律上は不可能なんですか、その点をひとつ伺っておきたい。
#14
○稻葉国務大臣 一番最後の方から結論だけを申し上げますと、できないのでございます。第一、国会の委員会等の正規な告発がなければ起訴はできませんし、それから第三者の告発では起訴もできないわけですね。法律はそういうふうになっております。結論だけを申し上げます。(小山(長)委員「いや、検事ができない……」と呼ぶ)はい、検事もできません。
#15
○小山(長)委員 それは法律のどこから出てくるわけですか。つまり、検察官というものは公益の代表者でしょう。その人たちが、自分たちの捜査したことと、それから国会における証言とが食い違うという場合には、ちょっとした常識でおれば起訴できそうな気がするのですが、その点はどこか禁止規定がありますか。
#16
○安原説明員 先ほど来、国会、議院、委員会の告発が基礎条件であるというのは、議院、国会の告発がなければ、検事がいかに犯罪がありと思量しても起訴ができないということを起訴条件というふうに言っておるわけでございますので、したがって、検事としては起訴ができないわけでございます。
#17
○小山(長)委員 それでわかりましたが、国会の告発がなければ起訴はできない。そうしますと、今回のこの通知書は、逮捕しました、したがって国会がひとつ告発してください、こういう要請のようにわれわれとしては聞こえるわけなんです。このような、逮捕しておいて起訴要件である国会の告発を待つというようなことは、どうも国会議員としての感情から言うと、国会の権限に対する干渉じゃないかというふうに考えられる面がある。これは将来悪例となるおそれなしとしないわけであります。この点については、先ほど外為法違反がある場合には外為でやったらどうだと私が申し上げたように、このような国会に干渉がましいことをしないということで、ほかの罪名があるなら、ほかの罪名でやるのが至当ではないか、こういうことを申し上げておきたいわけであります。いかがですか。
#18
○稻葉国務大臣 小山さんのおっしゃるとおりだと思います。ほかの罪名があれば、その罪名でやるのが至当だと思います。告発のないのに逮捕に踏み切るということは、法律上はとにかくとして、国会との関係において、やはり三権分立の点は明確を期さなければなりませんから、先生のおっしゃるとおりです。
#19
○小山(長)委員 わかりました。
 それから、先ほど法務大臣からの説明で大体わかったわけでありますけれども、国会側の感情としては、このような逮捕をする場合には、国会における偽証なんですから、逮捕する前に何らか事前の連絡はあってしかるべきではないかという感情がありますことは、法務力臣も国会議員ですからおわかりだと思いますが、それについてもう一遍その釈明をお願いしたい。
#20
○稻葉国務大臣 この点につきましては、先ほど申し上げましたように、事態が非常に差し迫っておりまして、逃亡、証拠隠滅等のおそれなしとしないという事情がございましたことを御了承を願いたい、御理解を願いたいと思うのです。私どもああいう通知を出しましたのは、決して干渉がましいことをしようなどという心底でやっているわけではありません。問題は予算委員会で行った証言が、その後、捜査当局の調べた事実と違ってうそを言っている。これは偽証である。偽証の罪は、御承知のように国会の尊厳のためにも三ヵ月以上十年以下、外為法の三年以下の懲役などよりはるかに重い罪であります。そういう罪が規定してあって、国会を非常に法律は重視しておる。その重視されておる国会をばかにしている犯罪ですから、放置するわけにいかぬということで逮捕に踏み切りましたわけであって、そういう国会から出た材料で逮捕に踏み切ったわけですから、国会の当委員会に捜査本部長、検事正が御通知を申し上げるというのは礼儀じゃないか、こう考えて御通知を申し上げる、こういう処置をとりました。決して告発されたいとか、そういう干渉がましい心持ちでやっているわけではありませんことを先生どうか御了承願いたいと切にお願いする次第であります。
#21
○小山(長)委員 以上で法律論、一般論を終わりまして、次は事実問題に移ります。
 大久保利春が、去る二月十七日及び三月一日、本予算委員会で行いました証言は、要約いたしますと、いわゆるユニット領収証二通にサインをした、しかしユニットの意味については全然知らない、この領収証に関連して何も受け取っていない、金品の授受は一切しておらないし、金の流れについても一切知らない、こういう証言であったわけであります。私どももこの証言を聞いて、ユニット領収証というおかしな領収証を出しながら、何ら金銭の授受がなかったという点には多大の疑惑を感じておったわけであります。しかしながら、国会は強制捜査権を持っておりませんので、これ以上の事実の追及ができなかったということだけは私どもも非常に残念だと思っておるわけです。ところが捜査当局はこの証言を偽りであると断定されて、その論拠について先ほど若干の説明があったわけでありますが、さらにその詳細を聞きませんと私どもが告発できるかどうか判断ができませんので、さらにこの点を詳細に聞いていきたいわけであります。
 まず通知書に記載されておる犯罪事実によれば、大久保がクラッターから三千万円及び九千万円を受領した、こうなっておる。そこでこれをもう少し詳細に聞きたいのでありますが、この授受はどこで行われたのか、米国で行われたのか、日本で行われたのか。そしてそれは現金であったのか小切手であったのか、あるいは円であったのか米ドルであったのか、これが第二。
 受け取ったのは大久保利春個人で受け取ったのか丸紅の役員としての大久保が受け取ったのか、まずこれを聞いておきたいわけであります。
#22
○稻葉国務大臣 事実関係の非常に詳細な御質問でございますので刑事局長に答弁させますが、お許し願いたいと思います。
#23
○安原説明員 この被疑事実の金銭の授受はどこで行われたかということでございますが、東京都内で行われたということでございます。
 それからドルであったか円であったかということでございますが、その点は円であったということでございます。それ以上にそれがチェックであったかキャッシュであったかということは、現在捜査の途中でございますので、答えることができません。
 それから、大久保自身が受け取ったのかということにつきましては、クラッター氏から大久保自身が受け取ったものであるという疑いでございます。ただし、それが丸紅の役員としてであるかどうかということは、現在まだ捜査中でお答えすることができません。
 以上でございます。
#24
○小山(長)委員 また、この通知書に言う犯罪事実によれば、大久保が金を受領した際、このことを証明するため三十ユニット、九十ユニットをクラッター氏から受領した旨の領収証にサインをした、こうなっておりますね。ところが、これらの領収証、ユニット領収証が、三十ユニットは三千万円を意味し、九十ユニットは九千万円を意味する、この判断はどこから来たわけですか。
 なおつけ加えて、そのユニット領収証のほかに、別に三千万円、九千万円という領収証があるのかどうか、これをお伺いします。
#25
○安原説明員 現在までに判明しておりますところでは、領収証としてはこのユニット領収証以外には存在しないように聞いております。
 なお、そのユニットが単位百万円であるということ、したがって三十ユニットは三千万円であること等は、すでに入手した資料によって判断できることでございます。
#26
○小山(長)委員 もう一度確かめますが、そうすると、三千万円、九千万円を受け取ったという領収証はないけれども、諸般の資料からその三十ユニットは三千万円であり、九十ユニットは九千万円であるという判断をした、こういうことですね。
#27
○安原説明員 御指摘のとおりでございます。
#28
○小山(長)委員 この検察当局の判断の基礎になったものは、考えられるのは、米国側から提供された資料、もう一つは丸紅から押収した資料、あるいは関係者から事情聴取をしたその聴取内容、いろいろあると思うのでありますが、逮捕までに踏み切った決定的な証拠資料は一体何だったのです。
#29
○安原説明員 被疑事実を認めるに当たりましての証拠関係は、本来申し上げるのを差し控えるべきところでございますが、今回は、国会におかれまして告発するかどうかということを御判断なさるための御質問でございますので、これにつきましては、捜査当局として極力御協力申し上げるべき立場にあるという観点からあえて申し上げますと、そのような判断の資料といたしましては、いま御指摘のアメリカから入手した資料、それから国内の関係の資料、及びすでに公にされておりますユニット領収証そのものというものから総合して判断したわけでございますが、そのうち最も有力な資料は、アメリカから入手した資料でございます。
#30
○小山(長)委員 アメリカからの資料が主たる判断の材料になった、こういうことでありますが、本委員会としては、その資料を見せてもらった方が告発に踏み切るかどうか判断を下しやすいのでありますが、せめて本件に関する部分だけでも委員会にこれを提出し、あるいは説明することができませんか。
#31
○安原説明員 その点は遺憾ながら、結論から申し上げると、お見せするわけにはいかないということになるわけでございまして、その理由は、先般のいわゆる捜査共助に関します実務取り決めの第三項、第四項によりまして、これらの資料は捜査、裁判手続のためにのみ使用することができる、それ以外の目的に使用してはならないという約束がございますので、この約束を破ることは今後の捜査共助に重大な支障を来す約束違反になりますので、私の口からそういう資料によって認定したということで御理解をいただきたいと、切にお願いを申し上げる次第でございます。
#32
○小山(長)委員 それでは、せめて、アメリカの資料はSECの資料によるのか、チャーチ小委員会の資料によるかぐらいのことは言えませんか。
#33
○安原説明員 アメリカから入手した資料は、多国籍企業小委員会あるいはSECからの資料でございますが、遺憾ながら、協定の中で、証拠の標目についても明らかにしてはならないという趣旨から考えますと、どこから入手したのかということも申し上げるわけにはいかないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、協定上、捜査手続において、法律手続において使用することは認められております関係上、本件逮捕状を請求いたします場合に、裁判官に対しましてはその資料を提供して、点検をしてもらったことは事実でございます。
#34
○小山(長)委員 一昨二十三日のロッキード問題特別委員会において刑事局長は、予算委員会が偽証の告発をするに当たって必要な資料は、最小限の資料を出すつもりだ、こうおっしゃったのですが、じゃ何をお出しになるわけですか。
#35
○安原説明員 現段階におきまして提供し得ます資料といたしましては、ただいま私の申し述べました逮捕状の写し、勾留状の写しをお見せすることはできると思いますし、すでに御案内と思いまするが、ユニット領収証の写しもお見せすることができると思いますが、現段階においてはその二つが資料そのものとしてはお見せし得る最大限度でございます。
#36
○小山(長)委員 資料そのものを提出できないということであれば、少なくとも偽証罪として疑うに足るその相当な理由があったということをもう少し具体的にわれわれ委員会に示してもらわないと、われわれとして告発できるかどうか判断に苦しむわけであります。
 先ほど裁判所に提出されたとおっしゃいましたが、それはどういうものをどういうふうに裁判官に示し、そしてその結果どういうふうに裁判官が判断をしたのか、その点をもう少し明確にお願いいたします。
#37
○安原説明員 訴訟法によりまして、あるいは訴訟規則によりまして、逮捕状を請求いたします場合には、被疑事実を特定いたしますとともに、その疑いのある事実を、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があるということを裁判官に御判断いただくために、いろいろといわゆる疎明資料を提供する一わけでございます。その疎明資料として、先ほども申し上げましたように、アメリカから入手した資料その他の資料をユニット領収証を含めて提供して裁判官の御判断を仰いだ次第でございます。
#38
○小山(長)委員 要するに、裁判所にはアメリカの資料を提供いたしました、お見せいたしました、そのアメリカの資料を裁判官が見て、これは偽証に相当する、そして逮捕できる理由があると、裁判官がそう判断した、こういうことなんですね。
#39
○安原説明員 まさに御指摘のとおりでございます。
#40
○小山(長)委員 以上で終わります。
#41
○荒舩委員長 次に、小林進君。
#42
○小林(進)委員 私は、捜査当局が大久保を逮捕されたことに対して賛意こそ表すれ、決して異議を申し上げるものではありません。非常に結構だと思っております。思っておりますが、この国会で証人に出られた方々はまだ大久保に準じて相当偽証の疑いが多いのでありますから、まあわれわれの側からすれば、全部逮捕していただいてもいいというくらいにも考えておるのでありますが、それはそれといたしまして、やはり手続がひとつ問題ではないかと思うのでございまして、私ども国会の中でも、いまを去る二月十七日、三月一日と二回ここへお呼びをして、これはもう明らかに偽証をおやりになっているという状況判断はできたのでありまするけれども、証拠がない、証拠がないのでありまするから、今日なお、われわれは決断が出ないでいたわけでございます。そこで検察当局が、その国会の証言を一つ盾にして逮捕をしたわけであります。
    〔委員長退席、正示委員長代理着席〕
そこで私どもは、結構だと思いながらも、その偽証を裏づけるいわゆる証拠たるべきもの、その点をいま少し明確にしておきたいと思うのであります。
 先ほど小山質問にも出てまいりましたが、ユニット三十がいわゆる三千万円、ユニットの一個が百万円だという、こういう具体的な裏づけが一体どこから出たのか。まあアメリカの資料が主たるものだというお話がありましたけれども、そのユニット一個と百万円のつながりですね、これをひとつ、いま少し具体的に承っておきたいと思うのでございます。
#43
○安原説明員 アメリカ側から入手した資料は、領収証のような訴訟あるいは法律手続外ですでにある客観的な資料のほかに、そのことについて、今回の問題について関係者が供述した資料もあるわけでございますので、そういう関係でアメリカから入手した供述資料によりまして、ユニットというものが百万円であることが判明しておるということでございます。
#44
○小林(進)委員 通知書によりますと、四十七年十月三十日ころ三千万円、それから十一月六日ころ九千万円をクラッターから大久保が受領した、こういうふうになっておりますが、それに対して大久保は、ユニット三十、ユニット九十にいわゆる受取印を押した、その押した人ですね、そのもらった――これは二枚のユニットに判こを押してあるわけでありますから、やはりそれに見合うように十月三十日と十一月六日というころに、日にちを変えてそれぞれ受取を出しているのかどうか、そういう見合いがどうなっているのか、この点も承っておきたいと思うのであります。
#45
○安原説明員 その受取の日時は、ユニット領収証に記載の日時と見合っておるわけでございます。
#46
○小林(進)委員 そこまで捜査当局が自信を持っておやりになったのでありますから、私どもは専門家でもありませんのでそれ以上御質問申し上げることは遠慮さしていただきますが、やや確証をお持ちになっているなという自信のほどを知ることができましたから結構だと思います。
 次に、ただ私どもがお伺いいたしたいのは、この国会で私どもは証言台に立っていただいて、そして証人喚問をいたしました。いたしまして、でき得べくんばこの国会側で、やはり国民の負託を受けた国会側の立場、あるいは調査権を持つ国会側の立場で、願わくばわれわれは国民の了承する形でこれを処置したい、すなわち、偽証の疑い濃厚ならばわれわれ自身の手でひとつ告発をいたしたい、こういうことで非常に意欲を燃やしていたわけであります。その端的な証拠が例の、前にやりました全日空の若狭社長を、私どもは偽証罪、偽証の疑い濃厚として告発をいたしたわけであります。これは単に若狭一人で打ち切ったわけではないのでありまして、続いてこの大久保何がしもわれわれは実にこれを告発する意欲に燃えていたわけであります。私は検察当局、捜査当局も国会側の意思、予算委員会の意思は十分お知りになっていたと思うのであります。なっていたら、われわれのこの意欲に協力をする、立法府のこの調査権に協力をするという立場で、そういうわれわれが偽証罪で告発し得るような資料をむしろわれわれの手に――それはもちろん外部に漏れるということは大変なことでございますから漏らしてはいけませんけれども、極秘の中でわれわれに協力するというような、そういう態度をおとりになる意欲が捜査当局になかったかどうか。この点は立法府としてはいささか遺憾に思っているのであります。なぜわれわれに協力できぬのか、この点いかがでございますか。
#47
○稻葉国務大臣 まことにごもっともな御指摘でございますが、捜査当局ではこの大久保の身辺をあれしていますと、行動が非常に忙しくて、いまにも逃げそうな要素もありますものですから、非常に緊急やむを得ないということが一つございました。
 それから国会の国政調査権に対する御協力はこれからの問題で、先ほど小山さんからも御指摘になったように、実務取り決め等によって制約される部分は除いたできるだけの資料を提供して御協力を申し上げたい、その国会の意欲に御協力申し上げたい、こう考えているわけであります。
#48
○小林(進)委員 だんだん話しているうちに法務大臣のお気持ちもわからないわけではございませんけれども、先ほどからの質問の中にも、事前に逮捕をする、それは権限はある。あるが、平常な状態ではやはり告発を待って逮捕に踏み切るのが順序としては姿がいいのではないかという御答弁もあったようでございます。それほどのお気持ちがあるならば、やはり逮捕に先立ってわれわれ国会側の告発を先行せしめる、それが形の上でもいいのではないか、また国会の立場も尊重された姿勢ではないか、私はこういうふうに考えるわけでありますが、なかなかいま緊急性もあってそこまで云々というお話がありましたので、それは了承するといたしまして、これは将来やはり捜査当局と国会との常に競合する問題だと思いますので、ここら辺はやはり将来に向かってきちっと整理をしておく必要があると思いますので、この点、再び私はお伺いをいたしますが、そういう緊急性がない場合は努めて捜査当局も国会の意思、立場等を尊重をされて、願わくば告発をもって逮捕に踏み切るという手段をおとりになる意思があるかどうか、これを承っておきたいのであります。
    〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
#49
○稻葉国務大臣 通常の場合、すなわち逃亡や証拠隠滅のおそれがないというような場合は当然に小林委員の御指摘のとおりの順序を踏むべきものだと心得ております。
#50
○小林(進)委員 ここで一つレールが敷かれましたが、いま一つ将来の問題として、やはり判例に基づいて、捜査は告発を待たずして事前にできるが、起訴の場合はやはり告発を待たなければ起訴ができない、これが判例であるということをおっしゃいましたが、その判例は一体いつごろのどういう判例なのか、具体的にひとつお示しをいただきたいと思うのであります。
#51
○安原説明員 昭和二十四年六月一日、最高裁判所大法廷の判決で、議院の証言法の被告事件の判決でございますが、これによりますと、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律に規定する偽証罪については、議院もしくは委員会または両議院の合同審査会の告発を起訴条件とするという判例がございます。それでございます。
#52
○小林(進)委員 それはたしか西尾末廣氏の問題のときではなかったかというふうにも思うのであります。何しろ昭和二十四年というと非常に古いのであります。もはや二十七、八年前の話でございます。その判例が今日まで、それを正しく将来に向かって持っていくことがいいか。私は、むしろ国会の証言等を――国会の証言も、このたびはテレビ、ラジオがありますから、ずっと国民の末端まで流れているわけです。大久保の問題で言えば、あれは大久保が偽証しておるくらいのことは、第六感で国民はみんな知っているわけであります。そこへ、捜査当局が偽証であるという証拠をお持ちになった。その場合には、逮捕されると同時に、国会側の告発を待たずして直ちに、犯罪事実濃厚と確認されたとき、国会の手続――手続と言ってはあれでありまするけれども、国会独自で告発するしないは決めますけれども、告発を待たないで、そのままこれを起訴する、そういう一つの新方向、新判例を打ち出される考えはないかどうか、この点をひとつ聞いておきましょう。
#53
○安原説明員 先ほどの最高裁の判例は、その後も数次にわたって、議院の告発が起訴条件であるということになっておるわけでありまして、いま小林委員の御指摘のようなことを検察がやることは、むしろかえって国会を尊重しないことになると思いますので、私どもとしては、そういうお考えにはいささか賛成をいたしかねる次第でございます。
#54
○小林(進)委員 思わざるところで国会を尊重などしてくださる。実にこれはとんでもない尊重みたいなものでございまして、それならもっと早く尊重してもらえばよかったのでありまするが、それはそれとして、やはり学者の中でも、少数意見かどうか知りませんけれども、国会の告発を待たずして、確信があったら起訴してもいいじゃないかという意見があることは、もう御承知のとおりであります。
 私がなぜ具体的にこれをお聞きするかというのは、この偽証の問題は大久保だけに限った問題ではないと私は判断しております。まだ国会には十数人の証人を呼びました。まあこれは私の主観でありまするけれども、あるいは全日空の渡辺副社長のごとき、あるいは小佐野賢治さんのごとき、そう言っては、名前を挙げてはなはだ失礼でありまするけれども、次から次へと、やはりここで偽証罪の成立するものと思われる濃厚な人物がいるのであります。皆さん方が逮捕された、そのためには、国会の告発を待たなければ起訴できないというと、われわれの方も大変忙しくなります。それはまあ、あなた方とわれわれとは関係はない、同じく独自とはいいながら、やはりわれわれは捜査当局に、ある程度は行政府にも協力するという意味で、そのために独自の告発問題を審議するためには委員会を開かなければならぬ。忙しくなります。できれば、ぱっぱぱっぱと怪しい者は全部起訴をする、私は、検察陣の事件促進の意味からいっても、告発を待たずして、濃厚なる者はばしばし起訴するという新しい方向の方が、新しい判例を開く意味においてもいいのではないかと思う。この点をいま一度、少数学者の意見も含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#55
○安原説明員 いま小林委員御指摘のとおり、起訴条件ではないという少数意見のあることは最高裁判所にもあったわけでございまして、意見としてはあるわけでございますが、私どもとしては判例として確立しておるものを尊重するのが最も至当な道だと考えますし、そうなりますと、やはり議院証言法を改正していただかなければ、とても私どもとしてはできないということになると思います。
#56
○小林(進)委員 これで私の質問は終わりますが、ただ先ほどもおっしゃったように、どうも国会側が偽証罪で告発をしょうかどうかという苦悶をしておるときに、皆さん方はそのわれわれが告発するに足るというような証拠をお持ちになっておりながら、国会の委員長なりあるいは少数の理事なりにそれを漏らせば、漏らすというか協力をすれば、それが事前に漏れて大変に捜査上影響する、悪影響を及ぼすというような御答弁は御答弁として、これは何か国会側に対する不信の意思、信頼に足り得ないというような気持ちにもとれるのでございまして、この点は私どもは若干遺憾にたえません。ひとつ将来はそういうことのないように、あくまでも国会側と検察庁、捜査当局と呼吸を合わせて問題解明のために共同歩調がとれるように、われわれの告発権、調査権にも十分御協力を賜るような姿勢をお持ちくださることを再度重ねて要望をいたしまして、このたびの問題に対しては賛意を表しますので、まだまだどんどんやって、真相を究明してくださることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#57
○荒舩委員長 次に、楢崎弥之助君。
#58
○楢崎委員 いまの一番最後の小林委員の御意見ですけれども、これは党の意見ではございませんので、それをはっきりしておきたいと思います。
 特別委員会でもわが党委員から出しておる意見でございますが、当委員会が大久保を告発するについては、そのための材料というのは、独自で判断する材料が必要であります。これは小山委員の意見と同意見です。そこで、いままでの質疑を聞いておりますと、簡単に言えば、日米捜査取り決めもこれあり、捜査中でもある、それで、告発の材料としては、司法当局がこれは偽証であると断定し、裁判所も疎明資料に基づいて逮捕は妥当なり、そして逮捕の許可をした、その事実だけでまあ判断してくれ、結論はそういうことになると思うのですね。しかし、その点はいろいろな材料を出すのがむずかしい点があることはわかっておりますけれども、それだけで判断せよと言われることは、司法と立法の関係から私どもとしても非常に考えさせられるところであります。それで、もう一度可能な限り私どもの判断材料を提供する意味でお答えをいただきたいわけです。
 それで、まず判断の材料としてアメリカ側の提出資料がその証拠の主たるものである、それに国内捜査資料あるいはユニット領収証。そうすると、アメリカ側の捜査資料は日米の取り決めによって出せない。国内捜査によって得た資料は出せるのじゃないですか。どうですか。
#59
○安原説明員 国内捜査の資料そのものだけで御判断をいただく資料としては適切ではないわけでございまして、アメリカから得た資料が基本になっておるわけでございますので、やはり具体的な資料ということになればアメリカ側の資料にまたざるを得ないというのが、現段階におきます資料の状況でございます。
#60
○楢崎委員 裁判所に提出された疎明資料、これは具体的にどういう資料でございますか。
#61
○安原説明員 標目といたしましては、アメリカ側から入手した資料、それから国内における捜査関係の資料、それから具体的にはクラッター氏の出入国関係の資料、それからユニット領収証というものでございます。
#62
○楢崎委員 その疎明資料のうち国内捜査資料もあるということですが、たとえばその中には事情聴取をされただれかの供述書などが含まれておりますか。
#63
○安原説明員 その資料は捜査報告書のようなものでございまして、供述調書は入っていないというふうに聞いております。
#64
○楢崎委員 今度ちょっとわれわれとしては、偽証による逮捕という異例の措置でございますが、この事件の特殊性から考え、時効等の問題もこれあり、今後やはりこういう偽証によってまず逮捕するというようなケースが考えられますか。
#65
○安原説明員 捜査の今後のことについては、私としては何とも判断はいたしかねます。
#66
○楢崎委員 この東京地方検察庁からの荒舩委員長に対する通知書ですが、この理由の中に「ユニットについて金の流れは一切知らない、ユニットの領収証に関連して一切何も受け取っていない旨、虚偽の陳述をしもって、偽証したものである。」と断定をされております。この辺の言葉を考えますと、ちょうど私の質問に一致するところがあるのです。それで、この金の流れというのもそのまま私の質問の中に入っているのですが、もう一度この点確認しておきたいと思いますけれども、これは本年二月十七日の当委員会における証人喚問、大久保証人に対して、私はこういう質問をしておるのですね。「二百万ドル、六億という金を丸紅の役員を通じて政府高官に渡したというこのコーチャン副会長の証言の丸紅の役員とは、一体だれか。」大久保証人に対して、「これは私はあなたであるとは断定しません。あなたであるとは断定しないが、公聴会における証言を見てみましても、ホートンさんは、檜山会長とあなたから金を使わぬとだめだぞ、日本の商売の場合は、と言われているわけでしょう。そういう一連の流れからすると、この金を政府高官に渡したのはあなただとは断定をしませんけれども、少なくともあなたはその金がどこに流れたか知っているはずです。あなたはその中心人物です。この流れを知っておる中心人物です。どうですか。」こう私は質問しました。これに対して大久保証人は、「金品の授受は一切いたしておりません。」とこうなっている。この点が偽証だと、この通知書では断定しているわけですね。
 そうしますと、私がいまのような質問をした場合に、大久保証人は完全に否定したけれども、じゃ司法当局としては、こういう質問が行われたらそのとおりですということになるわけですね、もし答弁なさるのでしたら。
#67
○稻葉国務大臣 ちょっと刑事局長が聞いてなかったそうですから、私は聞いておりましたから。
 本当は専門的なことですから刑事局長が答弁するのでしょうけれども、その二月十七日の楢崎さんの御質問に対しては、金を政府筋へ渡した疑いがあるがおまえは知らぬのか、それは知りません、こう大久保は答えていますな。そういう点の偽証では今回の場合はないんですね。クラッターとの金銭の授受についてうそをついているからそれで逮捕したので、その先どこへ流したかについてうそをついているという意味での偽証だということで逮捕したのではないようでございますな。
#68
○楢崎委員 実は、まさにその点を次に聞こうと思っておったところです。
 それで、この通知書による「ユニットについて金の流れは一切知らない」というこの点の「金の流れ」とは、つまりクラッター氏から大久保に対する金の流れ、すなわちアメリカ側から大久保までの金の流れだけを意味しておって、今度は大久保から先どこに流れたかという点は含まれていないのですか、この「金の流れ」の中には。
#69
○稻葉国務大臣 それは入っております。その先の金の流れというのは、クラッターから大久保に来て、大久保からどこかへ行ったかどうか、そういうことも「金の流れ」の中に入ります。だから、その証言はクラッターから流れたことはないと言った点が偽証になっているので、いまのところ、その先の流れも知らないと言うた点が偽証になるかどうかは、今後捜査の結果にまたなければまだわからぬという段階でございますね。
#70
○楢崎委員 そうすると、大久保までの金の流れはもう証拠がぴしっとしている。いまの大臣の御答弁だと、捜査当局としてはそれから先もわかっておるのだ、そういう意味ですか。いや、最初そう聞こえましたよ。大久保から先の金の流れはこの中には含まれていない、大久保の偽証の場合は、それはわかりました。司法当局としては、じゃ大久保から先の金の流れについてはどこまで解明されているのです。
#71
○安原説明員 冒頭にも申し上げましたように、アメリカから入手した資料等によりまして、金の流れについても知っておるのではないかという疑いは持っておるわけでございますが、この偽証の被疑事実の中にも金の入りと流れの中に、現在の捜査状況でいわゆる心証としての濃淡がございますわけでございますので、細かいことは私はまだ聞いておりませんけれども、少なくともあの通知書に書いてありますように、金の流れは知らないということがうそだという疑いを捜査当局が持っているということは明白でございますので、あの記載から見ましても、金の流れについてもある程度大久保は知っておるというのにかかわらず、知らないと言ったという疑いを持っておるということは事実でございますし、なお、そのことにつきまして金の流れを知っておるのではないかということを疑わせる資料としては、アメリカから入手した諸資料が有力な証拠であるということを申し上げたいと思います。
#72
○楢崎委員 くどいようですけれども、なかなか答弁がきちっとわかりかねるところがあるのです。ということは、一応アメリカ側から大久保まで、それは完全に立証の証拠を持っておられるから偽証だと断定された。それから、大久保から先の金の流れについては大久保は知っているはずだ、しかしそこまでも偽証の中には含まれていない、そういうことですね。
#73
○稻葉国務大臣 簡単に言えばそういうことでございますが、つまり、これから入りの方は逮捕をするだけの証拠はそろっている。出の方、その先の方は疑わしいけれども、そっちの方が偽証になるかどうか、それからそのほかの罪名になるかどうかはこれからの捜査になる、こういうことでございます。
#74
○楢崎委員 それでは、大久保から出ていった分については、どの程度解明できておるのでしょうか。
#75
○安原説明員 アメリカからの資料によりまして、金の行方について相当知っておるのではないかという疑いは持っておりますけれども、たびたび申し上げますようにまだ捜査の途中でございますので、どの程度ということについては私自身存じませんので、申し上げかねます。
#76
○楢崎委員 そうすると、先ほどの小山委員の質問にありました点をちょっと確認しておきますが、クラッター氏から大久保に対して金の授受があった。その授受の場所は東京だ。具体的に東京のどこということは把握されておるのですか。
#77
○安原説明員 このこともいま捜査中の段階でございますので、東京のどこかということは、これからの解明にまっているものと思います。
#78
○楢崎委員 これでやめます。
#79
○荒舩委員長 松本善明君。
#80
○松本(善)委員 第一に、この国会での証人が偽証をするということは、これは国権の最高機関での証言の権威を傷つけるし、国会の権威を傷つけるものであります。これについては、やはり国会へ出てきては絶対にうそを言うことはできないというふうにすることが必要であるというふうに私たちは考えるわけであります。この国会での偽証についての捜査当局、法務省、検察当局の考え方、根本的な考え方についてまず伺いたいと思います。
#81
○稻葉国務大臣 国会での偽証は、国会に対する侮辱でありますから、重大な犯罪と考え、厳重にこれを処断しなければならぬというのが基本的な姿勢でございます。
#82
○松本(善)委員 そうすると、この国会での偽証につきましては、国会で証言がされた場合にそれが偽証の疑いがあるかどうかということについては、告発の有無にかかわらずやはり厳重にこの問題については見ていく、こういう態度であるということでありますか。
#83
○稻葉国務大臣 まさにそのとおりであります。
#84
○松本(善)委員 国会がこの偽証問題について告発するかどうかは、もちろん捜査当局がどういうふうに考えているかどうかにかかわりなく国会として判断をしなければならない性質のものであるというふうに私どもは考えているわけであります。
 国会へ通知をしたということは、先ほど来の審議の中で出ておりますが、この告発の行方について、これは国会に捜査当局が干渉することはもちろんできません。どうなってもいいというわけでもないでありましょうし、この国会での告発の経緯につきまして、全体として三権分立の精神から見てどのように考えているのか、通知をしたことについての考え方、この点を御説明をいただきたいと思います。
#85
○安原説明員 御指摘の通知は、先ほど来御論議いただきましたように、事柄は国会の中で起こった偽証という犯罪行為でありますので、その犯罪行為につきまして強制捜査権を発動したということでございますので、国会の中で起こった事柄について強制捜査権を発動したということにつきまして、国会の権威を考えまして御通知を申し上げたということでございます。
#86
○松本(善)委員 事前に国会に連絡をすべきかどうかということについての御論議がありましたけれども、これは法律要件となっておるのかどうか。そしてこの問題を判断をするについての――先ほど来逃亡のおそれとか証拠隠滅とかいうことが言われましたけれども、この問題を判断をするについての捜査当局の考え方ですね、その全体を御説明いただきたい。
#87
○安原説明員 この点については、先ほど来大臣も申されておりますように、現実の問題といたしまして捜査当局といたしましては、事前に通知するかどうかということについてまさに苦慮をいたしたのでございます。と申しますのは、やはり松本委員御指摘のように、捜査をすることについて告発は条件ではございませんので適法に捜査が行えるわけでございますが、告発が起訴条件であるということは、国会の御意思を尊重するというたてまえでございます以上は、やはり訴訟条件も全部そろった上で捜査権を発動するのが最も望ましいことではないかという観点から、事前に御通知申し上げることを考えたわけでありまするが、しかし大きな目的は、やはり偽証罪という重大な犯罪の処罰の適正な実現を図るということにあるといたしますれば、その真相の究明のために支障のあることであれば、やはり訴訟条件であるということにもかんがみまして、後ほどに御通知を申し上げることで逃亡と証拠隠滅ということを防ぐのがよりベターであるという判断のもとに、あえて御通知を申し上げることなく訴訟法に基づいて逮捕したというのが、今回のケースの検察当局の判断でございます。
#88
○松本(善)委員 われわれが告発をするかどうかについて検討するにはできるだけ多くの資料が必要だというふうに思うわけです。可能な限りこの委員会でも御答弁をいただきたいと思うわけであります。
 先ほど来の審議の中で、東京都内で金銭の授受が行われたこと、それからそれが円であるということ、それから大久保がクラッターから受け取ったということまではわかりました。この通知書によりますと、ユニットの内容がわからないので何度もロッキード側に尋ねたけれども、教えてくれなかった、ユニットが金を意味していることは知らなかったんだ、こういう証言をしたことが虚偽の陳述ということになっておりますが、このユニットの内容については何を意味するかということについては、大久保利春は十分に知っていたという証拠があるのでございますか。
#89
○安原説明員 ございます。
#90
○松本(善)委員 これはアメリカからの資料によるものでありますか。
#91
○安原説明員 御推察のとおりでございます。
#92
○松本(善)委員 そういたしますと、この金を授受するときのクラッター氏と大久保利春との金の趣旨その他についての供述があるというふうに考えてよろしいでしょうか。
#93
○安原説明員 アメリカ側からの資料の中身をお尋ねによりましてるる申し上げていることが、いささかアメリカとの取り決めの関係で心配になってきたのは事実でございますが、いかなる証拠かという標目を申し上げない限り差し支えないものと判断して申し上げますならば、いまのような関係のアメリカ側の供述証拠が入っているということは事実でございます。
#94
○松本(善)委員 勾留の手続がなされたわけで、その中では裁判官の質問もあったでありましょうし、そういう中で、新たなこの逮捕、勾留の正当性を証明するといいますか、そういうような証拠が出てきたかどうか、新たな資料が出てきたかどうか、あれば御説明をいただきたいと思います。
#95
○安原説明員 先ほど小山委員の御質問に答えましたように、逮捕に当たりましては疎明資料としてアメリカから入手した資料その他を提供して、裁判官に、罪を犯したと疑うに足りる相当の理由、つまり嫌疑があるということと、それから逃亡、証拠隠滅という逮捕の必要性の判断をしていただいたわけでございますが、いま御指摘の、勾留のときに特に新たなものが出たかということにつきましては、出たという報告は聞いておりません。
#96
○松本(善)委員 終わります。
#97
○荒舩委員長 次に山田太郎君。
#98
○山田(太)委員 これまで同僚委員から逐次御質問があったわけでございますが、私は私なりの立場から、多少は重複する点もあるかもしれませんが、数点の質問をさせてもらいたいと思っております。
    〔委員長退席、正示委員長代理着席〕
 そこで、まず冒頭に申し上げておきますが、今回検察当局が大久保丸紅元専務を偽証の疑いで逮捕に踏み切ったことは、高く評価している一員でございます。
 そこで、去るロッキード問題特別委員会において、本予算委員会が偽証の告発をするに足る必要最小限の資料を出す旨の答弁がありました。なお、ただいま、一つには勾留状の写し、二つにはユニット領収証の写し等資料を提出すると言われましたが、この資料だけで国会が告発をする判断として十分であると認識されておるのかどうか、その点について明らかな答弁をお願いしておきたいと思います。
#99
○安原説明員 十分であるかどうかはあくまでも国会で御判断をいただくことでございまして、私どもとしては、現在の段階で提供し得る資料としては、先ほどの山田委員御指摘のような資料しかないわけでございまして、あとは、御質問に対して大臣と私がお答え申し上げたこと、それから証言そのもの等を総合して御判断をいただくことではないかと思いますが、十分であるかどうかは私どもから申し上げることではないように思っております。
#100
○山田(太)委員 そこで、では、もうあと提出できる資料はないということでございますか。
#101
○安原説明員 現段階においては、そのとおりでございます。
#102
○山田(太)委員 そうであれば、これまでるる御説明があったわけですが、もう一度ポイントを尋ねておきたいと思います。
 そこで、これ以上の資料を国会に現段階では出せるとは毛頭思わないという答弁でございますから、そこで国会が告発できる判断のよすがといいますか、その点をもう一度ポイントを分けて、これまで言われたことと重複しても結構、あるいは新たなものが出ても結構ですが、その具体的なポイント、ポイントを説明しておいていただきたいと思います。
#103
○安原説明員 先ほども少し触れましたように、金銭の授受につきまして大久保証言が事実と反するということの証拠といたしまして現在申し上げられることは、アメリカから得た資料、国内において得た資料等から、資料というものが直接には判断の材料になるわけでありますが、その主たるアメリカ側の資料については取り決め上出せませんので、取り決めに違反しない限度においてその内容を申し上げたわけでございますが、具体的な資料といたしましては、大臣、私のお答え申し上げたことのほかは、裁判官によって発付されました逮捕状、勾留状というものは間接ながら、私どもが出しました疎明資料に基づきまして裁判官が犯罪を疑うに足る相当の理由があるということを御判断いただいたわけでございますので、間接的ではございますが、われわれの判断が客観的にギャランティーされたということになるのではないかと私どもは考えておること、そのことも一つの御判断の材料としていただきたいこと、それからユニット領収証そのものの存在ということは、まさに金の受け取りを推定する有力な資料にほかならないということ、そのこと等総合いたしまして、証言と対比なされまして御判断をいただきたいというのが、私どもの考えでございます。
#104
○山田(太)委員 これから申し上げることは答弁の範囲内を逸脱するかもしれませんが、そこで大臣から答弁いただきたいのでございますが、今国会での証人喚問あるいはロッキード問題特別委員会等、これはただひとえに、中心としあるいは全国民の注目を集めているところは、やはり贈収賄罪の関係であろうかと思います。したがって、この大久保元専務の三十ユニットあるいは九十ユニット、この問題等がやはり贈収賄罪を形成する一つのステップになるであろうというふうな考えは明確にお持ちであるかどうか、その点を法務大臣から答えてもらいたいと思います。
#105
○稻葉国務大臣 入ったことは大体証拠がある。そこで偽証罪との関係で逮捕に踏み切った。今度は、大久保から出た方は、もしそれが権限あるいわゆる政府高官等に渡っておるということになれば、それはこれからの捜査でございます。捜査の結果でございます。捜査の過程においてそういうことが出てきますれば贈収賄罪の成立になる、こう思います。
#106
○山田(太)委員 私がお伺いしたのは、その論法でなしに、やはり贈収賄罪に発展するであろうというそういう判断はお持ちであるかどうかという点を聞いたわけでありますが。
#107
○稻葉国務大臣 私の立場からは、もっぱらこれは今後の捜査にまつべきものであって、予断を持ってここでお答えするわけにはまいりませんですな。
#108
○山田(太)委員 では、内容に立ち入って少々お伺いいたしますが、クラッター氏から大久保に渡った三千万円とそれから九千万円は、もう質問があったかもしれませんが、この点についてはいつ渡されたか。
    〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
#109
○安原説明員 先般の御通知申し上げた中に書いてございますように、三千万円は四十七年十月の三十日ごろ、九千万円は同年十一月六日ごろ、東京都内で授受があったということでございます。
#110
○山田(太)委員 そこで、先ほどの質問では東京都のどこかということは答弁できないと言われましたが、ただ、それはホテルであるかあるいは丸紅の本社であるか、そういう点についてお答え願いたいと思うのです。
#111
○安原説明員 逮捕状の被疑事実としてはどこで受け取ったかという程度で足りるわけでございますが、実際問題としてまだ捜査の段階でございますので、お答えすることが事実上できないわけでございます。
#112
○山田(太)委員 わかってはおるわけですか。
#113
○安原説明員 捜査中でございまして、私の耳にはまだ入っておりません。
#114
○山田(太)委員 では、受け取ったのは大久保自身であると答えられました。
 そこで、それは大久保個人ではなくて、丸紅役員としての大久保と判断されますが、その点についてはどうですか。
#115
○安原説明員 大久保氏が丸紅の役員であったわけでございますが、その役員としてであるか個人としてであるかということも目下捜査の対象として究明中の問題でございまして、いまの段階でお答えすることができないのでございます。
#116
○山田(太)委員 ではこれもお答えできませんとおっしゃるかもしれませんが、この大久保から他の人に渡されたかどうか、それぐらいは答弁できますか。
#117
○安原説明員 先ほど楢崎委員のお尋ねのように、何らかその金が処分されて、その処分について大久保が知っておるのではないかと疑っておるという段階でございます。
#118
○山田(太)委員 あくまでも疑っている段階だと言い張ってこられたわけでございますが、その点は刑事局長は事実知らないのかもしれません。
 そこでちょっと論点を変えまして、これは全日空など航空会社の、エアラインに関係するものかどうかという点も全くわかってないのですか。
#119
○安原説明員 被疑事実に関する限りにおいて聞いておるわけでありますが、その金が全日空に関するものであるかどうか、そのことがまさに金の処分の問題として目下調査の対象になっておるということ以外は存じません。
#120
○山田(太)委員 調査の対象になっているということは事実ですね。――それはまあ当然でしょう。
 そこで、特にお伺いしたいのは、現在ロッキード特別委員会で関係証人を呼んで、事件の真相解明と政治的、道義的責任の所在を国民の前に明らかにするため鋭意取り組んでいる真っ最中でございます。捜査当局も鋭意捜査に着手した段階であります。したがって、国会における証人喚問が捜査、立件の妨害になり得ると判断されておるかどうか、法務大臣として、この点についてはどういうお考えであるか。
 同時に、私たちは、捜査当局の活動とわれわれの国会における真相究明は、もともと目的においても異なっておりますし、この両者はむしろ車の両輪であって、相協力する関係にあると私は判断しておりますが、法務大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
#121
○稻葉国務大臣 ロッキード事件の黒白の解明は、単に刑事責任の関係を解明すれば足りるとは世論もされておらないようでございますね。総理大臣もたびたび刑事責任の面と政治的、道義的責任の面と両々ある。そしてわが国の国法上、刑事責任追及の権限は法務省、検察、それから政治的、道義的責任の追及は国会の調査権と、こういうことになっておりまして、この全貌を解明するというためには、国会の調査権と検察当局の刑事責任捜査権と車の両輪のごとく、両々相まって初めて全貌の解明ができるというふうに思っております。
#122
○山田(太)委員 したがって、特別委員会等の審議あるいは調査あるいは尋問、これは捜査、立件の妨害にはならない、こう判断されていると聞きましたが、法務大臣はそういう御見解ですか。
#123
○稻葉国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
#124
○山田(太)委員 もう少々時間がありますから、この問題とちょっと別件にわたりますが、若狭証人を当委員会において告発していることは御承知のとおりでございます。そこで、この点についての捜査といいますか、これはどのような段階になっておるか。逮捕の事態にまで至るのが当然ではないか、われわれはこう思っておりますが、その点についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#125
○安原説明員 若狭氏については、先般告発を当委員会から受けましたので、検察庁では捜査中でございますが、当然逮捕に至るかどうかということは、ケース・バイ・ケースでございまして、私からこの段階で申し上げる限りではございません。
#126
○山田(太)委員 質問を終わります。
#127
○荒舩委員長 これにて質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後二時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十八分開議
#128
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、証人告発の件についてお諮りいたします。
 去る二月十七日及び三月一日、本委員会に出頭し、宣誓の上、証言を行った大久保利春証人の証言につきまして、偽証の疑いがあるものと認め、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第八条の規定により告発いたしたいと存じます。
 告発状案を予算委員会調査室長をして朗読いたさせます。三樹室長。
    〔専門員朗読〕
     告 発 状(案)
        神奈川県逗子市逗子六丁目
        三番二十三号
          被告発人 大久保利春
 右の者が昭和五十一年二月十七日及び三月一日、本委員会において、証人として宣誓の上行つた別紙被疑事実に示す証言は、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第六条に該当するものと認め、同法第八条により本委員会の決議に基づき告発する。
 (関係会議録別添)
   昭和五十一年六月二十五日
      衆議院予算委員長 荒舩清十郎
  最高検察庁
   検事総長 布施  健殿
     被 疑 事 実
 被告発人は、丸紅株式会社の取締役兼機械第一本部長として、ロッキードL一〇一一を全日本空輸株式会社に販売する業務に従事していた。
 本委員会は、ロッキード問題の真相究明のため、被告発人を含む関係者多数より証言を求めたのであるが、被告発人は、ロッキード社のクラッターの依頼により、ユニットで表示した領収証二通にサインしたがユニットの内容は知らない旨、その内容についてクラッターに尋ねたが教えてもらえなかった旨、本領収証に関連して何も受取っていない旨及び金品の授受は一切しておらず、金の流れについては一切知らない旨証言した。
 然るに、六月二十五日、本委員会において政府当局から説明を聴取したところ、被告発人がクラッターから三千万円及び九千万円を受領し、かつ、その際右金員を受領したことを証明するため、三十ユニット及び九十ユニットの領収証各一通にサインしたことを捜査当局が証拠資料に基づき確認し、裁判所も当該資料を審査した結果逮捕状を発行し、勾留を認めたことが明らかになった。
 更に、本委員会における答弁及び提出資料をもとに判断するとき、被告発人の前記の証言は偽証の疑いが極めて濃厚であると認められる。
#129
○荒舩委員長 本告発状に基づきまして大久保利春君を告発することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 委員長において直ちに告発の手続を進めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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