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1975/05/20 第77回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第077回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号
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1975/05/20 第77回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第077回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号

#1
第077回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和五十一年四月二十七日(火曜
日)委員会において、設置することに決した。
四月二十七日
 本小委員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      宇野 宗佑君    大石 千八君
      瓦   力君    齋藤 邦吉君
      野田  毅君    坊  秀男君
      森  美秀君    保岡 興治君
      武藤 山治君    山中 吾郎君
      横路 孝弘君    増本 一彦君
      広沢 直樹君    竹本 孫一君
四月二十七日
 森美秀君が委員長の指名で、小委員長に選任さ
 れた。
―――――――――――――――――――――
昭和五十一年五月二十日(木曜日)
    午後二時三十五分開議
 出席小委員
   小委員長 森  美秀君
      瓦   力君    保岡 興治君
      佐藤 観樹君    横山 利秋君
      増本 一彦君    坂口  力君
      広沢 直樹君    竹本 孫一君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  唐沢俊二郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      山内  宏君
        国税庁長官   中橋敬次郎君
        国税庁次長   横井 正美君
        国税庁直税部長 熊谷 文雄君
        国税庁調査査察
        部長      系  光家君
 小委員外の出席者
        大 蔵 委 員 塩川正十郎君
        大 蔵 委 員 山本 幸雄君
        大 蔵 委 員 荒木  宏君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   大竹 宏繁君
        大蔵省主税局税
        制第二課長   島崎 晴夫君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
五月二十日
 小委員宇野宗佑君及び野田毅君四月二十八日委
 員辞任につき、その補欠として宇野宗佑君及び
 野田毅君が委員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員横路孝弘君同月十日委員辞任につき、そ
 の補欠として佐藤観樹君が委員長の指名で小委
 員に選任された。
同日
 小委員保岡興治君同月十二日委員辞任につき、
 その補欠として保岡興治君が委員長の指名で小
 委員に選任された。
同日
 小委員瓦力君同月十四日委員辞任につき、その
 補欠として瓦力君が委員長の指名で小委員に選
 任された。
同日
 小委員山中吾郎君及び広沢直樹君同日小委員辞
 任につき、その補欠として横山利秋君及び坂口
 力君が委員長の指名で小委員に選任された。
同日
 小委員佐藤観樹君、横山利秋君及び坂口力君同
 日小委員辞任につき、その補欠として横路孝弘
 君、山中吾郎君及び広沢直樹君が委員長の指名
 で小委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 税制及び税の執行に関する件
     ――――◇―――――
#2
○森小委員長 これより税制及び税の執行に関する小委員会を開会いたします。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 先般、各位の御推挙により、私が当税制及び税の執行に関する小委員会の小委員長に就任いたしました。各位の御協力を得て、その職責を全うする所存であります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 税制及び税の執行に関する件について調査を進めます。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
#3
○横山小委員 この小委員会が先年発足いたしました際の経緯を私は承知をいたしておりますし、また、以来この小委員会が数々のいろいろな問題を取り上げたことを記憶いたしております。ここに、会期末ではございますけれども、小委員会の発足を心から歓迎をいたし、委員長以下同僚諸君とともに、ぜひともこの小委員会の十分な実績を上げたいと考えています。
 その理由といいますのは、ほかの問題と違いまして、税の問題については納税者の心理は、法律はどうであろうと税務署のさじかげんということが、どうしてもついて離れないからであります。法律は知らないけれども、税務署のさじかげんでずいぶん変わるという感じを持っておるのであります。しかも、窓口におります税務職員は、法律では仕事をしないで通達で仕事をしておるのであります。これは必ずしも違法と言っているわけではありません。しかし時として、法律を見ないで通達だけで仕事をしておりますために、弊害が生まれることもまた私どもはしばしば指摘をしてきたところであります。したがって私ども大蔵委員として、いわゆる税法、法律上の税をどういうふうに取るかということ以外に、看過することのできない問題として、税の執行面における諸問題について常に関心を置かなければならぬと思います。
 その意味で、私はその面が三つばかりあるのではないかと思います。
 一つは窓口行政であります。窓口行政の中で私どもがしばしば指摘してまいりましたことは、親切な窓口であるかどうかということであります。悪気で言うのではございませんが、税務職員のうち納税者と余り癒着するとろくなことはないと上から言われるので、申告されたものをチェックする、間違ったところは正すということだけに終わって、ここはこうした方がいいのですよという、税法の節税になるべき点を親切に積極的に教えないというきらいがあると思うのであります。最近この点につきましてはかなりの改善の跡があるとは思うのでありますが、窓口がきれいであって親切であって、納税者が税務署へやってきて心をほぐして相談ができる、そういう条件下に税務署はあるか、税務職員はあるか。国家としては大切な納税者ですから、時にはお茶を飲んでください、ここにかけておってくださいという腰かけがあるか、湯飲み所があるか、そういう雰囲気が常に醸成されているかという点についてはまだしもという感じがいたします。
 第二番目の問題は、納税者は自分がわからないから、自分が信頼できる人に相談をするという意味において税理士制度があるわけでございます。税理士制度について私どもがかねてから言っておりますことは、税理士法によって、中正なる――きわめて奇々怪々の言葉が税理士法の根幹になっておるわけでありますが、素朴に今日の税理士が行っておりますこと、つまり納税者の依頼にこたえて報酬をもらって納税者のために代理行為をする、この立場を率直に、税理士法を改正し、そこに税理士の任務をうたう。もちろんそれは弁護士法と同じように法律の枠内においてというあれがつくでありましょうけれども、税理士法の改正によって、この際税務行政の民主化を図ることが第二番目であります。
 第三番目が、私がきょう対象に取り上げますが、異議申し立ての制度であります。この異議申し立ての制度はいろいろありますが、究極的には不服審判制度、こういうものに帰一するかと思うのであります。実は、御存じかもしれませんが、私は数年前にいわゆる国税審判法案を国会に提出して、協議団廃止の導火線となった一人であります。自来数年間たったわけでありますが、あの当時の、協議団を廃止してこの種の不服審判制度をつくるというその気持ちが十分な効果をいま上げていないと考えざるを得ません。私が指摘をいたしたい点が幾つかあるのですが、現在の不服審判所は次の欠点を持っています。一つは、審査が平均八カ月かかるということであります。二つ目は、当初の人事の清新さを失い、腰かけという考え方が次第に定着し始めたことであります。第三番目は、税務知識は十分おありになるけれども、審判は一つは争訟手続でありますから、法律的なそういう争訟手続の知識、経験に担当者が欠けておる。第四番目は、創設当初と比較して国税局の比重が次第に人事面からも大きくなり始めたことであります。これは、人事を国税局が握っておれば当然のことと言わなければなりません。第五番目は、合議の結果が最終的な結果にはならないという実態なのであります。つまり、審判所長がいなければ合議が結果にならないという点であります。したがって、合議の価値が改めて問われ始めたということであります。それから第六番目に、争点主義運営をということがこの通則法の一部改正法案を提出したときにコンセンサスがあった点でございました。確かに争点主義運営とはいえ、税務知識の乏しい納税者のために有利に検討してやる後見人的運営が必要であるといまの段階で私どもは痛感をするのであります。第七番目に、結果論ではありますが、長官通達と異なる裁決が五年間に一つもなかったということであります。法律を制定いたしますときに、通達と法律との違いを先ほど申しましたように指摘をしたわけでありますが、当然のことながら私どもは長官通達と異なる裁決、つまり通達に違法性があるという問題が必ず一つや二つは出てくるものだと思っておるわけでありますが、これが五年間に一つもございませんでした。
 これらの私が指摘いたしました七項目にわたる問題点を一言で言えば、私どもは当初、協議団のいい面と裁判所のいい面とを足して二で割る審判所をつくりたいと思ったのでありますが、今日の状態は、これは酷評かもしれませんが、協議団の悪いところと裁判所の悪いところを足して二で割っているというような、そういう状態が見られ始めたのではないかと思うのであります。
 そこで、五年間たったのでありますから、改めて見直したらどうかということで次の提案をいたしたいと思います。
 一つは、私どもが当初指摘をいたし、また私どもの基本的な理念となっておりました、大蔵省から完全に独立をした公正取引委員会のごとき総理府の所管とすることによって同じ穴のムジナ論から完全に脱却するという考え方であります。
 第二番目は、地方税にこの種の不服審査機関がないというのはおかしい。こういう意味におきまして地方税も所管をする。
 第三番目は、細かいことでありますが、法九十四条「答弁書が提出されたときは」という言葉を「審査請求書を受理したときは」とする。この意味は、恐れながらと不服審判所へ持ってきたときには、まず税務署へ答弁書の提出を求め、答弁書が来てから担当者を決める、こういう法律形態になっています。私どもが何でそんなばかげたことを国会審議のときに決めたのか、いまでもおかしいと思うのでありますが、直ちに担当者を決めて、そして迅速に処理をする方が妥当だと思う。
 第四番目は、法百十五条は、三カ月を経過したら裁判に移行してもよいとされておるのでありますから、審判は三カ月以内に行わしめる。現状は平均八カ月であります。
 第五番目は、訴訟前置主義をやめて選択制度にする。前置主義は税務行政を怠慢にするばかりであります。本来、訴訟について国民の権利は自由であるべきであります。
 第六番目に、審判官については俸給を一号俸上位に置く。これはきわめて具体的な提案でありますけれども、つまりいつまでも腰かけに考えて、とにかくもうこのごろは、審判所へ行けというんなら行きましょう、そこで一定期間勉強したら早く転勤させてくださいという考えのないように、審判官については一号俸上位に置く。
 第七番目に、口頭審理を行うようにする。審判官に、あなたはどういうふうに仕事をしているのかと言いましたら、納税者に来てもらう。税務署は、と言ったら、税務署へは行っています。納税者は呼びつける、税務署へは自分が行って調べるとはどういうことですかと言ったわけでありますけれども、そこにも問題があるようであります。審判所へ両方呼んで口頭審理をしてもいいのではないか。
 第八番目に、合議裁決から一週間以内に処理を行う。現在、裁決から事務処理までに一カ月を要しています。
 第九番目に、課税についての不服事案のほかに税務行政についての不服、苦情をも所管事項とさせる。これはちょっと問題の提案かもしれませんが、税務署へ行くと、税金はまあ納得するけれどもこのやり方はひどい、この扱いはひどいという苦情が案外多いのであります。
 第十番目に、税務行政上納税者に与えた損害について補償する制度を設ける。これも、率直に言えば実は問題の多い点であります。
 私は数々の体験をしておるわけでありますが、つまりモデル調査で一つの中小企業なり納税者を徹底的に調べる。それが結局脱税の問題は一つもなかった。数人で一週間徹底的に調べて、はい、さようなら。一体納税者はそれで受忍義務があるんだろうか。本当はおまえのところが脱税しておると思ってやったわけじゃないよ、業種の一つのモデルとして実は調査したんだよ。そういうことに国民として納税者は受忍義務はないはずだ。裁判で無罪になった場合に、拘禁されておる期間また弁護士費用は国が補償するという刑事訴訟法の一部改正法律案が、この国会を通過していま参議院へ行っています。罪人と疑いをかけられたけれども、おまえは無罪であった、迷惑をかけたと言って国が補償するわけであります。納税者の場合にはどの程度受忍義務があるだろうかという点を、私は一つ問題を提起して、税務行政上、納税者に与えた損害については補償する制度を設けるという、革命的な提案とお考えになるかもしれませんが、それが必要な理由、行為、そういうものがあるのであります。
 以上、きょうはかなりの問題がございますので、質疑応答を本当は長らくしたいのでありますけれども、まあ速記録にも一遍きちっと載せてもらいたいし、あなたの方の御意見もきちんと一通りまずいただきたいと思いましたので時間をかけましたけれども、審判制度の改善について、私の意見を含めて、政府側の答弁を求めます。
#4
○山内政府委員 多方面にわたって御質問がございましたので、その中で、まず制度に関連をいたします部分について申し上げます。
 まず最初の点の、審判所の制度を基本的に改めて、たとえば公取委のような第三者的機能を持たせることについてどうかという点でございますが、この点については、すでに制度創設の当初におきまして、かなり再三にわたりまして御論議をいただいた点でございます。御承知のとおり、わが国におきましては納税者の権利の救済というものは、最終的には三審級から成りますところの司法裁判所で行われるという形で保障されておりまして、それに先立ちまして、行政段階において納税者の不服の審査を、いわば前段階的に行う、そういうふうにやりますことによりまして、迅速かつ公正に納税者の権利の救済を図る、同時に行政の適正化を維持するというふうなことをねらっておるわけでございます。こういうふうに、不服審査手続が行政の段階におきます救済手続であります以上、それを行います者は、行政の統一性という観点から、税務行政について最終的に責任を持ちますところの国税庁に置くのが適当であろうというのが現在の制度の趣旨でございます。
 もし仮に、たとえば公取委のように、行政機関から独立をしました第三者機能でもって御指摘のような形の不服審査をやらせるということに相なりますと、その場合には、現行の三審級から成りますところの司法裁判所のほかに、もう一つの準司法的機関を設けるということになりますが、そのことによりますところの制度の重複ということも考えられます。
    〔小委員長退席、佐藤(観)小委員長代理着席〕
そういった制度の重複を避けるためには、司法段階の一審を省略するということにもなりかねないわけでございますが、こういったことは、本来的に税金の問題として起こります大量、反復的な処理量の膨大さということ、それからわが国の行政、司法、両機関の運営の現状というふうな点から見て適当ではないであろうということでございます。
 以上のような点は、すでに第六十一国会及び第六十三国会におきまして御審議をいただいた結果、御意見としては非常に強くございましたけれども、公取委のような形の第三者機関を設けるのは適当ではないということで、現在のような形になっておる次第でございます。
 なお、そういうふうな形をとりまして国税不服審判所という制度で発足をいたしたわけでございますが、これを国税庁に置くという形で発足いたしたわけでございますけれども、たとえば課税部門から切り離して、不服申し立てについて専門的にやる別途の機構ということにしておりますこととか、あるいは国税庁長官の通達と異なった形での裁決をすることが認められたというふうな点で、実質的に御指摘のような形の第三者機能を営めるような運営を図っておるというふうに考えておりますし、こういうふうな点で、現在のところ私どもとしては、現在の制度のままで引き続きやっていくのが最も適当ではなかろうかというふうに考える次第でございます。
 それから第二番目の地方税もあわせて扱ったらどうかという御指摘でございますが、この点につきましても、これは前回この制度を創設いたしました際、その基礎となりました税制調査会においても御議論をいただきまして、現在の段階では地方税について同様の機構を設ける必要はないという結論もいただいておりますし、もし仮にそういうことが必要であるといたしましても、先ほど申しましたような行政機関の統一性の観点から申しまして、国税と地方税と別の行政組織に属します事柄をあわせて一つの機関で行うということは適当ではなかろうと考える次第でございます。
 それから第三番目の担当者を定める時期の点でございますが、この点につきまして御指摘は、現在法定されております指定の時期よりも早く、答弁書が提出されるときというのが現在でございますが、それより前の審査請求書を受理したときに担当者を指定をしたらどうかという御指摘でございますが、まず審査請求書を受理しました後、直ちに実質審議に入るわけではございませんで、まずとりあえず形式的な審査を行うことに相なりますが、こういった形式的な審査についてまで資格を持っておりますところの審判官の手を煩わすのではなくて、与えられた定数の中で簡易かつ迅速に手続を進めますためには、一般の担当職員が処理をするということで全体としての能率を上げるという趣旨からでございます。と同時に、実質的な事柄の勉強ということになりますと、やはり納税者の方から請求書の出てきただけでなくて、行政官庁の方から答弁書が提出をされて事柄の中身が、問題の所在が十分に掌握をされる段階になったときがそういう時期でございますので、そういう意味からいたしましても、熟練をした担当者はそういうふうな重要な時期においてその仕事を始めさせるというのが適当であろうかと考える次第でございます。
 第五番目の訴願前置をやめて、納税者の選択によって直接訴訟に持ち込む方法も認めたらどうかという御指摘でございます。税務に関する不服の中身は、これは量的に申しまして事実認定にかかわるものが非常に多いということは御承知のとおりでございます。そういう意味からまいりまして、訴訟前置主義といいますのは、行政府の持っておりますところの知識、経験と、それから事実関係の事前の明確化ということに非常に効果があるという意味でございます。
    〔佐藤(観)小委員長代理退席、小委員長着席〕
そういう意味で、国税の反復多量に出てまいります事案を処理するにつきましては、やはりまず訴訟前置主義によりまして、先ほど申しましたような処理を了してから、なおそれで不十分のものについて改めて裁判所に救済を求めるというのが制度として適当かと考える次第でございます。
 それから第九番目に御指摘に相なりました課税不服事案以外の事案についても審判所の所掌事務にしたらどうかという御指摘でございますが、こういった事柄につきましては、いわゆる事柄の中身にもよりますけれども、いわゆる行政不服事件として解決をするのが適当なものであるのか、あるいはむしろそうでなしに、事実上のいわば職員の教育とか訓練とか、そういったものにかかわる問題であるのか、両様あろうかと思いますけれども、主として後者の問題にかかわることではなかろうかと思います。そういう意味で、いずれにしても不服事件として法律的に取り上げるのが果たして適当かどうかという点について、改めてもう少し具体的な事案についてお示しをいただければ、またそれに基づいて勉強いたしたいと思う次第でございます。
 それから最後に、第十番目に御指摘になりました補償制度の問題でございますが、これは御承知のとおり、公務員がその職務を行うに当たりまして、故意または過失によって他人に損害を加えた場合には国家賠償法ということに相なっております。そういう意味で、すでに制度としてはその趣旨からはあるわけでございますが、それ以外の場合に、つまり故意または過失で迷惑を与えている場合以外の場合についてまで何らかの形で補償ということに相なりますと、これは適正、公平な課税を実現をするということとの兼ね合いで非常にむずかしい問題ではなかろうかと考えますので、私どもとしては消極的に考えざるを得ないというふうに考えております。
#5
○中橋政府委員 ただいま主税局の方から制度としていろいろお答えがございましたので、私から特につけ加えるべきことはないと思いますけれども、私どもも争訟問題を取り扱っております側から申しまして、やはり税務に関します行政について、おっしゃいますように、異議の申し立てと申しますか不服審査と申しますか、そういった争訟手続が確立をして、それを納税者が十分活用し得るという体制があることは望ましいことだと思っております。
 ただ、その場合に、基本的に相当多量の案件がこの税務行政にはつきまとうわけでございますし、それに伴いまして異議の申し立て、不服審査というのも相当の数が生起するということをまず基本的に予定をしなければならないと思っております。
 その場合に考えますことは、やはり一つは能率のいい処理ということでございます。それにつきましても、いろいろ御指摘がございました。私どもとしても反省をしなければならない点もございますけれども、納税者がそういう不服申し立てをしますについて、できるだけ簡便に能率よく処理をし得るという体制をつくることによりまして、納税者にも負担をかけない、また国の制度としても、なるべくはそのために余分の出費を要しないものを求めなければならないと思っております。
 そういう観点で、実はこの国税不服審判所制度を設けますときに、いろいろこの点について、先ほど来横山委員が御指摘になったことについて御議論があったこともよく承知をいたしておりますけれども、やはりどういうように能率性、簡便性を確保しなければならないのかということだと思います。そのために、御指摘の点でまだまだ私どもの至らない点もございますけれども、制度としますれば、そういったことを確保することによってこそ国税争訟の処理というものもまた適正に行い得るわけでございますし、それがひいては納税者の権利擁護に連なることだと思っております。
 それから、いろいろ冒頭から御指摘がございまして、特に人事面についてお話がございました。この点については、あの当時から、国税不服審判所制度を設けましたことによって、私どもは一貫しまして相当有能なる人たちを国税不服審判所関係に配置をいたしております。それは先ほど申しましたように、私は、基本的にはこういう不服処理の簡便性、能率性ということは納税者にとっても非常に便宜であるということから申せば、国税の行政にタッチをしておる練達の士がまたそういう面に参加することも意義なしとしないと思っておるわけでございます。そういう者の中でも特に優秀な者を派遣すれば、能率性という観点からも簡便性という観点からも、決して納税者にはそんなにデメリットを与えるものではないと私は思っております。むしろいい人を送ることによってこの本来の目的をより強く達成をいたしたいという気持ちが強いわけでございます。いい人を送ってくるということは、実はこの制度創設以来私どもが一貫してとっておるわけでございまするが、いい人を送り込むためには、国税不服審判所におきましてそういう活動を適正に行ったという評価をまた与えてやらなければなりません。そういうことによって、また国税の行政事務の方に帰ってまいりましたときにもやはり相当の処遇をしてやるということが、次の段階におきましてよりいい人を国税不服審判所に確保するという道だと思っております。
 したがって、ごらんになりまして、何か腰かけ的だなという御批判はあることは十分よく承知をいたしておりますけれども、不服審判所にあります期間というものも、私どもは、なるべくはそんなに短くないような期間を原則にいたしております。ただ、行って帰るということをこの際断ち切るのがよろしいのかどうかという点につきましては、私はあの制度の御論議の当時から思っておりますのですが、それが果たしていいのかどうか、それ独特の人を養成をし、確保するということが、私は、冒頭申し上げましたような能率性、簡便性ということから、一体どういうふうにそれが実現せられるのであろうかという点についてもいろいろと思い悩んでおるわけでございます。
 それから、処理の迅速性ということについても御指摘がございました。最近確かに、おっしゃいますように、処理が長期間を要しておるようでございまするが、一つには、だんだんむずかしい、対処しにくいような案件が出てきておるということの結果であろうと思っておりますし、処理は、一方的に不服審判所側が急いでみても、これまたしようがありません。申し立て人の方でも十分の証拠を提出し立証していかなければなりませんから、その方の迅速さも要されるわけでございます。そういう両々相まっての結果でございまするから、不服審判所側が故意にこれを遷延しておるということがあってはなりませんから、その点は十分注意はいたしますけれども、内容的にもそういった事案、あるいはむしろ申し立て人の方におけるなかなかそれに適応しがたい事情というものも考えなければならないのではないかというふうに思っております。
#6
○横山小委員 私がこの審判所の批判をし、かつ建設的な提案を十項目にわたっていたしておるに比べては、主税局の御答弁は全く木で鼻をくくったような不親切きわまる答弁であり、国税庁長官の方は、内容は別としても、かなり親切な答弁でございました。
 少なくとも、私はこの審判所の問題については外国へも行きまして、一人でイギリスに二十日間も立てこもって、そして調べた結果帰ってまいりまして国税審判法案を提案した経緯があるだけに、それは自分のことばかりではありませんけれども、この制度の十分な効果というものを衷心願っておるわけでございます。ほかっておけば、この制度は奥の院で鎮座ましまして、人目に余りつかない、そしてだれも知らないままに終わってしまうという傾向がありかねないと思います。ですから、きょうは時間がございませんから、もう私の大蔵委員である限り、国会議員である限り、この問題については常に執拗にその十全な効果を、十全なその制度の発展を直視、要求するであろうということを宣言をして、ひとつ一層の御検討を願っておきたいと思います。
 今度は、ちょっと打って変わりまして、ここにこういう切符がございます。これはコーヒー券でございます。こういう続いているものと、金額を書いて一枚ずつちぎってやるものと、それから一枚ずつばらばらになっておりますものと、いろいろあるわけで、これはビール券でございます。ここにも、紙袋へ入れて出すことになっております。いまコーヒー券は百五十円から百八十円でございましょうか。これはばらばらにしてこういうふうに入れていけば印紙税がかかりません。ところが、こちらの方で、一枚ずつちぎってコーヒー屋に置く、これは金額が書いてないので印紙税が必要でございます。こちらの方に、やはり十円だとか百円だとかいうふうに書いてありますが、これは、要するに非課税物件としては、券面金額の記載のある物品切手のうち、当該券面金額が六百円未満のものは非課税ということになっておるわけでございます。これは券面金額の記載がないからということに相なりましょう。こちらの方は記載がないけれどもばらばらだから、これは印紙税が賦課されない。コーヒー券もいろいろあるんでございますけれども、まず第一に、こういうふうな、私がいま言ったような制度である、この解釈も私の言ったような解釈で間違いがない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#7
○山内政府委員 御指摘のとおり、つづり合わせましたコーヒー券につきましては、その額面金額を合計いたしまして免税点未満であるかどうかを判定をいたします。御指摘のとおりでございます。
#8
○横山小委員 私の承知する限りはそうなっておるんだけれども、コーヒー券で印紙税を一文も取っていないのが税務行政の現実であるということも御存じでございましょうね。
#9
○横井政府委員 最近横山先生の方から御指摘ございまして、現場の国税局、税務署段階におきまして解釈の疑義が生じておると、そういう問題を通じまして現地の国税局、税務署が業界を指導いたしておるということは存じておりますが、印紙税法の規定の運用に当たりまして、明らかに課税物品切手に該当するというようなものについては課税をいたしておるのではないかというふうに存じております。
#10
○横山小委員 おるのではないかと思いますと言わざるを得ないと思うのであります。考えてもわかりますように、ここに、券面に金額が記載されていないから税金を取る、券面に金額が記載されているから税金を取る、ばらばらならいいけれども続いたならばいかぬという通牒、私も拝見をいたしまして、全くつまらぬことではありますけれども、さて、これはどうだった、あれはどうだったというふうに、大変解釈に苦しみました。で、私が到達いたしました気持ちはつまらぬことだということだったのです。実際問題としてコーヒー券で、コーヒー屋へ行って、おまえさんのところのコーヒー券見せろ、そしてこれは金額書いてないから印紙税納めろと、こんなことは実際問題として実効もない、また課税対象としても適当でない、またそれによって全国のコーヒー屋を騒がす価値はない。だから、これは第一に、六百円ですね、券面金額の記載ある物品切手のうち、当該券面金額の六百円未満のもの、これはいま百五十円から百八十円、まあ高いところですと三百円ぐらいのものはあるでしょう。あるでしょうが、コーヒーに印紙税が要るということ自身、六百円がいつ決まったかわかりませんけれども、これを是正をして、このようなことで、このつくり方、やり方で、コーヒー屋に税務署が行ってすたこらすたこら問題をやるようなばかなことは、これはやめた方がいい。したがって少なくとも六百円が問題がない程度に、まあ二千五百円くらいでしょうか、その程度にこれを改善して、かかる問題が末端税務署とコーヒー屋のつまらぬ紛争のもとにならないようにするのが現実的な処理だと思いますが、いかがですか。
#11
○島崎説明員 ただいまの六百円という金額は昭和四十二年に決まったものでございます。これを上げるかどうかということの御質問でございますけれども、将来印紙税法の改正の場合に検討さしていただく一つの項目ではあると思いますが、ただいまのところ私どもこれを変えるというような考え方はまだとっておりません。
#12
○山内政府委員 これは二つ問題があるようでございますが、一つはつづり合わせ物品切手の場合に額面を合計をするという点と、それからもう一つはいまの免税点の金額の問題と二つあるように思います。
 まずつづり合わせ物品切手の規定と申しますのは、これは四十二年の改正のときに議論いただいたわけでございます。その前は、それが切り離されるようになっておりました場合にはその一枚ごとの金額で判定をいたしておったわけでございますが、それによりますと、つづり合わせることによりまして、つづり合わせた中身を細かくいたしますことによって結局税金の逋脱ができるというようなことがございまして、その辺のことを御勘考いただいた上で現行のような形の制度に改めていただいたわけでございます。そういう意味で現在のつづり合わせ物品切手の制度は、やはりそういう趣旨の、何と申しますか、通脱防止という意味で効果があろうかと考えるわけでございます。
 なお、その効果がある点は認めるにしても六百円はどうだというお話でございますけれども、これはいずれにしましても定額の金額でございますが、時代の移り変わりに従って定額をだんだん上げていくという考え方は基本的にはございません。そういう意味で今後の検討課題ではございますけれども、インデクセーションという点から申しましても、だんだん切り上げていくということは大変むずかしいことかと――どうも誠意のないお答えとまたおしかりを受けそうに思いますけれども、そういうふうに考える次第でございます。
#13
○横山小委員 これは私がちょっと気がついただけでもこれだけのコーヒー券があるのですからね。そのコーヒー券をいまの通達なり法解釈で徹底的にやるというのは大変な納税コストが要り、大変な陣容が要り、そしてこれによって受ける税収というのは全く微々たるものだ、こういうことになるのはおわかりだと思うのであります。この非課税物件の金額表示は法律規定ですか、政令ですか。
#14
○島崎説明員 印紙税法の別表第一というのがございます。そこに記載してございます。
#15
○横山小委員 この印紙税法の改正というのはそうめったにあるものではありません。しかしながら印紙税法が改正される機会には、必ずこの水準のこの程度のものに税金をかけててんやわんやの騒ぎをするような愚を来すことのないようにしてもらいたいのであります。かねてからこの印紙税法のあり方については、他の税法と違いまして、その徴収の実際の期日、実際の結果というものについてかなり問題がある税法でございますので、特にそう指摘をしておかなければなりません。
 それから念のために申し上げますが、私がこの問題を取り上げまして御検討を願いますゆえんのものは、重箱のすみっこをつつくような税務行政はやめなさい、こういう意味で申し上げておるのでありますから、印紙税法の改正の際に至るまでの過程としても十分注意をしていただきたいと思います。
 それから第三番目は、商業帳簿についての質問であります。
 先年、おととしでございましたか、法務省が法務委員会の附帯決議を踏まえて民事局長の見解というものを出しました。その民事局長の見解というものは、衆議院法務委員会の、商業帳簿等としてマイクロフィルムを一定の条件のもとに認めることの附帯決議を踏まえて、四十八年、その年の十一月十八日、マイクロ写真による保存を適法として商法三十六条に反しない旨の回答を民事局長がしたわけであります。しかしながら、法務省がその趣旨を了といたしながらも、国税庁はマイクロフィルムを商業帳簿、税法による帳簿としていまなお逡巡をいたしておるところであります。
 ここに、アメリカの内国歳入庁手続七五−三三というものが手元にあるわけでありますが、この「目的」は、「この内国才入庁手続の目的は、現金出納帳、日計表、領収証控、元帳および取引明細を示す補助記録等のマイクロフィルムによる複製が、一九五四年の内国才入法第六千一条で定義されている帳簿および記録として認められるための条件を明らかにすることにある。」と第一条に規定し、以下たくさんの条文をもちまして、マイクロフィルムが税法帳簿あるいは商業帳簿として法律をもって認めることにいたしています。
 つい先日、四月三十日、最高裁判所第二小法廷は、「業務上横領、詐欺、有印公文書偽造、同行使被告事件について、」「札幌高等裁判所が言い渡した判決に対し、検察官から上告の申立があったので、」次のように判決をいたしました。その判決というものは、要するにコピーをしたもの、コピーをすることについては公文書偽造として判断をした、こういうことなのであります。そのものずばりではございませんけれども、最高裁もまた、コピーをしたものが原本と同じ社会的、公共的な性格をもつ、したがってそれは公文書である、こういうように判断をしたのであります。この最高裁の判決はまた、今日マイクロフィルムやコンピューターの非常な発展の中で、これを企業が採用しておるという客観的条件を認めた、法的に認めたということができましょう。
 ここに各省庁におけるマイクロフィルム利用の実態というものがあります。総理府から、防衛庁、法務省、大蔵省から、通産省、運輸省に至りますまで、すべてマイクロ機器導入及びその選定理由が書いてあります。各地方自治体におけるもまた同様であります。各企業におきましても、近代的な作業の発展過程からいきましてマイクロフィルムやコンピューターを採用する企業が最近非常にふえておるわけであります。
 私が長々と申しましたのは、それにもかかわらず、この時世の非常な発展にもかかわらず、国税庁がこのマイクロフィルムやコンピューターの採用について、それを採用したからといって原本書類を破棄することを認めない、こういう古い感覚におることについて私は指摘をしたいと思うのであります。
 法務省が認め、最高裁が判決を下し、外国においてももうすでにその方向にあるのにかかわらず、ひとり国税庁が自分の部下の教育がまだできないから、この大きな時世の発展の中でコンピューターやマイクロフィルムによって商業帳簿をつくり、それによって近代化を図っておる者に対して税務書類を認めないということは、これは大変勝手過ぎる。その勝手過ぎる国税庁をもってすらマイクロフィルムを自分のところもすでに利用をしておるのでありますから、まことにあきれたことと言わなければなりません。もちろんそうは言いましても、マイクロフィルムやコンピューターの利用というのは一年一年大きな変化、飛躍があるのでありますから、必ずしも私は今日の時点において判断しろと言っているわけではありません。非常に流動化しておる状況、非常に動いておる、発展をしておる過程でありますから、今日時点ですべてを決めよと言っているわけではありません。しかもこれによって起こり得べき弊害、これによってあり得べき問題については解決の方途がそれぞれ指摘をされておるわけであります。
 すでに日本租税研究協会が国税庁に提出した「商業帳簿その他営業上の重要書類のマイクロ写真による保存の件」として出しておりますものの中にも、「文書規定等により、帳簿書類など諸記録の整備・保管が、整然かつ明瞭に、行なわれていること。」「通常の業務過程においてマイクロ写真化された帳簿書類が、直ちに鮮明な映像に再現され、かつすみやかに検索を行うことができること。」「調査上必要な場合、マイクロ写真にかえて、紙コピーを提示しうること。」等の条件を付与して、これで原本を破棄してもいいのではないか、こういうふうに具体的な条件を付与して提起をしておるのでありますから、国税庁もこの辺で、流動的ではあるけれども、将来の展望を明らかにする責任があるのではないか。今日はこう、将来はこう、少なくともこの近代化する社会、企業の帳簿書類の保存のあり方等が非常に発展する過程における税務書類のあるべき姿にひとり自分の古い、しかも非科学的な進歩のない税務書類の考え方を墨守しておるのは、いささか不当ではないか、こう思うのでありますが、お答えを願いたいと思います。
#16
○熊谷(文)政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘のございました帳簿のマイクロ写真化の問題でございますが、法務省におきまして商法上の取り扱いについての考え方は承知いたしております。それから諸外国の例等も四、五カ国私ども調査をいたしておりまして、それぞれの国の事情によりまして必ずしも統一した取り扱いではございませんが、そういったことも私どもとしては研究をしておるわけでございます。
 税務の立場から申し上げますと、これはすでに先生御存じでございますけれども、法人税法におきましては青色申告法人の要件といたしまして帳簿書類を備えつけまして取引を記録いたしまして、その帳簿書類を保存することを義務づけておるわけでございますが、これは青色申告法人に各種の特典を与えるという半面、そして適正な課税を担保するという趣旨に出ているのではないかというふうに思っております。
 したがいまして、帳簿書類をマイクロ写真によって保存するということにつきましては、私どもやはり税務の調査に及ぼす影響等を考慮しながら検討をしてまいる必要があるというふうに思っております。
 それをさらに砕いて申し上げますと、御指摘のように確かに内部の事情も相当ございます。たとえば調査官の疲労が非常に厳しく、特に目が疲れるとか、あるいは調査の場合に見読機械の使用が会社側と競合するとか、各所において帳簿が備えられております場合にはそれぞれにそういう機械がなければならないとか、あるいは改ざんされた場合に解明が非常にむずかしい、こういった各種の事情があることは事実でございます。しかしながら、一方におきまして機械が日々進歩いたします。かつまたマイクロ写真による帳簿書類の保存というものが法人の事務の合理化につながるということも重々私どもとしては認識をして、この問題について考えていく必要があるというふうに思っておりまして、そういう合理化の進む道を税務の立場のみの要請から阻害するということは好ましくないことはもちろんのことでございまして、国税庁としましても何らかの方法でその具体的な方策を段階的に見出していきたいというふうに考えているわけでございます。
 それではさらに、先生から御指摘のございました、今後の見通しをある程度はっきりした上で考えるべきではないかという御趣旨であったかと思いますが、あるいは先走ったお答えになるかもわかりませんけれども、ただいま私どもが専門家等の意見あるいは諸外国の事例、それから私どもの内部におきます受け入れ体制の問題、あるいは企業側における機械の水準、またその手当ての仕方、応対の仕方、そういった問題につきましていろいろと考えてみますと、たとえばいまから申し上げますような一つの案も私どもとしては一応事務的には考えておるわけでございます。
 ちょっとお時間をいただきまして御披露さしていただきますと、たとえば法人税法施行規則の五十九条一項一号、二号、これは仕訳帳でございますとか総勘定元帳あるいはたな卸し表、貸借対照表、損益計算書、資産表、こういったものでございますが、これらにつきましてはある年限を限りまして、それ以降につきましては保存することを認めてはどうか。たとえば第一段階として三年というふうなことを限って考えることはどうだろうかというふうなことも考えております。その場合にも、先ほどから申し上げておりますような機械の即時見読性とか解読力でございますとかそういったものの確保が当然要件となるわけでございます。また、同じく同項三号のいわゆる証憑書類、注文書、契約書、領収書、請求書その他原始資料でございますが、これらにつきましては私ども現在の段階で考えておりますのは、これはやはり取引の相手方から発行されました領収書などでございますので、疑うわけではございませんけれども、どうも納税者が手を加えて改ざんしたような場合に、現在の技術面では解明が非常にむずかしいという面もあるやに聞いております。たとえばマイクロ写真を、その原本でございます領収書等を加筆した場合とかあるいは合成してつくった場合とか、意図的に複製をした場合というものを見きわめるということにつきまして、きわめて困難な技術上の問題がございまして、現在私どもとしましては、先ほど申しました決算書等の帳簿自身はたとえば三年過ぎますと原本を保存しなくてもいい、ただし証憑書類等につきましては現状でお願いをしたいというふうに考えておるわけでございますが、これとてももちろん私どもとしましては現在の第一段階での措置というふうに考えておりまして、先ほどるる申し上げました各種の事情が解決することによりまして、さらに前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
#17
○横山小委員 気持ちはわかるということなんですけれども、たとえばいまの話の一号、二号を第一段階として三年にするというならわからぬではないですね。しかしそれが、第一段階という前提を抜きにいたしますと、法律で五年と決まっておるものを、四年目からはマイクロがあるなら原本を破ってもいいという理屈はどこに生まれるかというと、それはないのであります。そういうことが許されるなら、二年であろうと一年であろうと同じことだという理論になるわけであります。しかしあなたがおっしゃるように、この問題を漸進的に考える、流動的に考える、社会並びに税務署の中でなじむように考えるという意味において漸進的にまず三年、それから二年、一年、ゼロにするという考え方が前提にあるならば、またそれも一つの方法と思うにやぶさかではありません。
 いずれにしても、私はあえて言うのでありますけれども、いまマイクロ化しておる会社が原本を破棄した場合、自分のところはこのマイクロについて手続その他、私が先ほど指摘したようなやり方、方法、客観的に公正なやり方でつくったのであるから、もう破棄してしまった。あしたから破棄してしまうという場合に、それは税法の違反になるのかどうか、こういうことなんであります。私は少し問題を隔てて考えるわけでありますが、最高裁の判決はその点について有利な手がかりを納税者に与えたと思います。この答えは、あえて私は聞こうとは思いません。そういう判決がもう出ましたよと、あなたが三年と言っているけれども、あしたからマイクロ化して原本を破ってしまったというところが出たらどうしますかという問題提起だけをしておきたいと思います。そこで、国税庁としては一層ピッチを速めてこの問題に取り組まれるよう特に要請をしておきます。
 最後でございますけれども、いまここに源泉徴収に関しまして違憲訴訟をしております書類がございます。源泉徴収、つまり勤労者が自分の給料から直接引かれるのは憲法違反だという根拠というものは、いまの納税制度が申告を基本にしておる、おれに黙って給料から引くというのはけしからぬということにあると思うのであります。しかし、納税者がそういうことを言うのはどういう理由か。おれに黙って引きやがったけれども、このやり方なら税金は安いから、まあまあだと言って文句は言わないでありましょう。問題は、勤労者の税金が高いからおれに黙って引きやがってけしからぬというところにまで発展をすると思います。勤労者につきましては御存じのように――御存じのようにと言ってはあなた方専門家に失礼でありますが、勤労所得控除という特別な計らいがしてあります。それが、勤労者一般でなくて、いまたとえば生命保険外務員は、報酬の経費率が四四%になっています。それから電建だとか殖産住宅の営業部員の業績給は経費率が四〇%になっています。それから保険会社、簡易保険や郵便貯金等の勧誘員等の報償金は、事業所得で経費率が四〇%になっています。ガス、水道等の集金人、これの経費率が四〇%になっています。私が指摘をしたいのは、その四〇%になっておる数字の差はさりながら、なぜそういう経費率を採用しておるかといいますと、要するにその分は、請負給的なものは事業所得であるという判断に国税庁は立っておられるようであります。しかし、その事業所得を受ける勤労者は正規に生命保険会社の労働者であり雇用関係がある。ガス会社のあるいはNHKのあるいは日本電建の正規の雇用されておる労働者がその歩合給なり業績給なり請負給の一部、その部分はこれは事業所得だ、こういう判断に立っているから四〇%なり四四%というそういう制度が認められるのだ、こういう理論のようであります。
 そこで、この間一歩突っ込んで、そういう人たちが退職金をもらったときはこれは事業所得か、それとも勤労所得として退職金課税の税金が適用されるのかというところへ参りましたら、何かあなた方の御答弁も八幡のやぶ知らずに入ったようで混迷しておると思われるのであります。
 私が言いたいのは、時間の関係上結論を申し上げますが、こういう普通の労働者の給料の一部を事業所得として見ることに理論上間違いがあるのではないか。その間違いを犯すから、だんだんそれならば、それならばというふうになっていくと、何だか理屈が怪しくなっていくのであるから、この際、一般の労働者の中にも、普通の雇用関係の中にある労働者の中にも特別に経費の要る労働者がおるのだ。朝九時に行って五時に帰ってくる労働者の中にも、自分の金を使ってお菓子を持っていかなければならぬ、そして歩合給でもらった金の中から何かバックペイをしてやらなければならぬ、あるいは特別に自分が車を持たなければならぬ、何をしなければならぬという、特別に経費の必要な労働者がおるのだ。その労働者の経費は所得税の中で見てやるべきだ、こういうふうに発想を正規の路線に変えたらどうか、これが私の第四番目の意見なんであります。
 この意見についてはずいぶんあなた方も採用するにちゅうちょなさると思うのであります。ちゅうちょなさるかもしれぬけれども、年々歳々この違憲訴訟の基本にあります物の考え方を少し素直にながめてみる必要がある。こういう正規の労働者の給与の一部を事業所得だという発想に立てば、それじゃ退職金はどっちだというふうになって、ややこしくなるということになると思いますから、この際、これらの問題について一遍再検討をなさる必要がないかと思いますが、いかがですか。
#18
○山内政府委員 給与か事業かという御質問でございますが、自己の計算において役務の提供をいたしましてその報酬を受けるというケースの場合には、給与所得でなしに事業所得ということに取り扱っておりますので、したがいまして、その場合には事業に要する、所得を得るために要する必要経費はいずれも控除いたすということに相なります。
#19
○横山小委員 どうもあなたは木で鼻をくくる人だと見えるね。自信がないとそういう答弁になるのですよ、正直に私は遠慮なく言うと。自信がないと木で鼻をくくることになる。自信があるとゆっくりしゃべるのです。自己の計算において役務を提供しておるものはこれは事業所得、そういう答弁でしたね。私の言っているのは、正規の雇用関係である。そして百万なら百万の所得をもらう。その二十万が固定給で八十万が歩合給だ、こういう場合を想定しましょう。逆でもよろしい。その雇用関係は正規の雇用関係である。そういう人が八十万だけは事業所得で二十万だけは勤労所得だという――同じ人間ですよ。それをどういうふうにあなたの理論で理屈づけますか。よくわかりました、ひとつこの際十分検討させていただきますと言った方が私は時間の節約にもなると思いますが、どうですか。
#20
○熊谷(文)政府委員 ただいま先生が御指摘のございました外交員あるいは集金人等の報酬に関する課税の現在の私どもの実態でございますが、ちょっと補足して御説明申し上げますと、通常形式的な形としましては、雇用契約に基づいてしている場合には給与であり、請負の場合には事業所得というふうな考え方になるわけでございますけれども、具体的な問題としましては、一般的には、取り扱いとしましては請負が多うございまして、御指摘のように事業所得として取り扱っているのが実態でございます。
 その場合に、非常に細かくなりますが、その報酬が旅費とその他の部分とに明確に区分がされているというふうな場合には、私どもの取り扱いといたしまして、旅費の部分は非課税、その他の部分は給与所得、それから固定給とその他の部分に分けて支給されているというふうな場合には、固定給の部分は給与所得、その他の部分は事業所得、こういうふうな区分けで実施をしておるわけでございます。保険会社の外交員等の場合に、また雇用契約を締結している場合でも事業所得として扱っている場合があるわけでございますが、それはやはりその実態面で見ますと、ある程度独立的な立場で役務の提供を行っておられるとか、あるいはそのために必要な費用をみずから負担しているという実態、そういった実態に着目しまして、私どもとしては事業所得として扱っているわけでございます。
 ただ、最近私ども聞いておりますところでは、企業内における厚生施設の利用等の状況もかなり一般の雇用者並みに近づいてきているというふうな事実とか、休業中の補償の充実策などがあるというふうなことも承っております。
 税務の執行の面におきまして、その取り扱いについてもちろん今後もこういう形、いままで申し上げましたような形が最も現在の実態に合っているかどうかということについては常々検討もしておりますし、今後もそういう点につきましては十分究明いたしまして対処をしてまいりたいというふうに思っております。
#21
○横山小委員 本当にあなたもおわかりと思うのですけれども、雇用形態が違う。その次に賃金形態が違う。そういうものを、あの場合には事業所得とみなす、この場合には事業所得とみなさない、私が調べてみたらまことに千差万別ですね。あなたの方のやり方にどこに理屈が通るのかと言ってずっと追い込んでいって、最後に、それじゃその事業所得として課税されている人がやめたときに、それは退職金課税が適用されるのか、いや、それはちょっと理屈がおかしいというふうになって、どうにも理屈がつかなくなってしまう。だから、私はもう一遍原点に返って、いまあなたがいろいろあるから検討したいとおっしゃるその検討の大黒柱として、一遍、勤労所得の中で経費率の高いものは勤労所得控除の別枠の経費として見る制度を勤労所得の中でつくることが一番筋の通ったあり方だ、こう言っているわけですよ。そう言っているんですから、それもあなたの検討の中に入れてくださいよ。
#22
○山内政府委員 その点になりますと、今度は制度の方の問題に相なりますので、お答えをさしていただきますが、いま横山委員の御指摘の点は、実に古くして新しい問題でございまして、常に問題になる事柄でございます。私どもといたしましては、給与所得控除という形で概算的に控除をするという形が、現在のわが国の雇用者の実情から見まして最も適当しておるであろうというふうに考えまして、従来ずっとその形をとり続けてまいっておるわけでございます。御指摘のように、国によりましては実額控除の選択を認めているところもございますが、それをいたしますためには、いま御指摘の大島訴訟の判決の中にもございますように、いろいろな意味で問題が多い。たとえば、給与を得るための経費と家事関連費との関連が、区別が非常に複雑困難であるといったような問題もございますし、その結果、挙証のうまいか下手かによって税負担がいろいろ異なってくるという問題もございますので、基本的には、私どもといたしましては、やはり従来の概算控除式の給与所得控除制度が実態に合っておるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
 なお、非常に特殊なケースの場合で、給与を得るための経費が多いものについてどうするかというお尋ねでございますが、現在程度に給与所得控除の金額が高くなってまいりますと、そういった方面からも、いま御指摘のような問題点が自然に解決してまいっておるのではあるまいかというふうに考えておる次第であります。
#23
○横山小委員 あなたのやり方では解決しません。ある意味では不公平になります。あなたは、これは古くして新しい問題だと言いますけれども、いま国税庁の、あなたの言う理論でやっている現場で理屈が立たなくなってきたという問題なんですよ。なぜ立たないかについては時間の関係で省略しますが、いまの勤労者でありながら事業所得をその給与の一部で適用されている人間が、あの場合この場合となっていくと理屈が立たなくなっているというのが私の指摘でして、大体勤労者が事業所得というのはおかしいじゃないか、正規の雇用関係がある人間じゃないかという問題ですから、原点に返って勤労者の中の経費率の問題、こう考えるのが一番筋が通る、こう思います。また木で鼻をくくられてはかないませんから、機会をまた別にいたしまして、終わります。
#24
○森小委員長 佐藤観樹君。
#25
○佐藤(観)小委員 時間がありませんので、数点にわたってお伺いをしていきたいと思います。
 まず最初に、私、先日公職選挙法の特別委員会で政治家の所得、その課税の問題についてお伺いをしたのでありますが、熊谷直税部長だったものですから、ちょっとどうしても疑問が残ったわけです。というのは、これは本当かうそかわかりませんけれども、きのうの日刊ゲンダイにも、田中内閣時代はかなり個人的に資金が出ていたということが報道されていたわけであります。個人的に政治家が政治献金を受ける、いわゆる政治資金団体ではなくて個人的に政治献金というものをもらった場合の税法上の問題です。これは、参議院でも雑所得として挙げるべきではないかというのが問題になりました。しかし、現行法で調べてみますと、この件については最終的に残った場合には雑所得として上げればいいという制度にいまなっておりますから、必要経費を引いて残りだけを雑所得に上げるということになっているわけですね。だから現行法の確定申告の用紙では、政治献金でもらった収入及びその必要経費そして残りの雑所得、これだけを改めて書くというのは、法律でも変えないとちょっと無理じゃないかと思うのです。
 これはこれで一つの制度としておいておきまして、もう一つは、所得税法九条で、選挙運動期間中にもらった選挙資金で、余ったものについては選挙管理委員会に届け出をして、この分については非課税というふうになっているわけですね。問題は、ここがちょっとわからないのですけれども、選挙期間中にもらって選挙に使わずに余った額というのはどうして非課税なんだろうか。これは、やはり政治家という、国民の前で姿勢を正して行わなきゃならぬ立場にある人間として、選挙期間中にもらったものが非課税である、個人の所得に帰属するけれどもこれは課税の対象にならぬというのは、これだけ政治献金の問題が大きくなっているときには、私は問題じゃないかと思うのです。どういう考え方で選挙中に使わずに残った選挙資金というのは非課税なんですか。
#26
○山内政府委員 所得税法の九条一項二十二号でいま御指摘のような規定がございますが、その規定の中身を読んでみますと、「公職選挙法の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し」取得した金品というものにつきまして非課税ということにしてございます。選挙運動に関し受けたものでございますので、この規定の前提といたしましては、当然その選挙運動のために使う、そういう必要なお金あるいは物として公職選挙の候補者が受け入れておるということを制度の前提と考えておると私どもは考える次第でございます。そういう意味で、選挙運動に関し受け取りながら、それを選挙運動に使わないでどうしたのかという御指摘はあろうかと思いますが、そもそも規定の前提といたしましては、そういうことは余り予想していないと考えるわけでございます。
#27
○佐藤(観)小委員 しかし、それはおかしいですね。つまり、非課税の課目の中に入れてあるということは、課税される場合が起こり得るから非課税ということにしておるのであって、したがって例を挙げれば、五百万選挙資金が集まった、五百万円もらった、ところが選挙には四百五十万しかかからなかったという場合に一この収支は選挙管理委員会に一カ月以内に届け出るわけですね、そしてその余った五十万というのは確かに収支報告書に出てくる。その五十万というのは恐らく個人の選挙関係の届け出ですから、個人に最終的に帰属する。ところが、いまの所得税法九条ではこれが非課税になっている。これはどういう理屈だか私はよくわからないのです。いまの御答弁ですと、そういう場合が起こり得ないから非課税なんでしょうということですが、それでは答弁にならぬのであって、起こり得るから非課税という課目に入っているわけでしょう。もう一度御答弁をお願いします。
#28
○山内政府委員 この規定をつくりました趣旨は、選挙運動に関して受け入れたものを残すであろうということをそもそも考えていないのだろうと思うのでございます。本来でありますならば、選挙に関してであろうが関してでなかろうが、受け入れたものはすべて所得ということに相なるわけでございますが、その中で選挙運動に関したものについてだけは、これは残して後でプライベートな金として保存をするということがそもそも考えられない性格のものでございますので、そういう意味合いで後に残ったもの云々という規定を置いてないというふうに考えておる次第でございます。
#29
○佐藤(観)小委員 あなたはいま残さないという前提だと言われるけれども、非課税という課目の中に入っているのは、起こり得るから所得税法の第九条の非課税の課目に入っているのでしょう。それじゃ答弁にならぬのだよ。
#30
○山内政府委員 選挙運動に関して受けた金が残るであろうから、そり分を非課税と書いているのではございませんで、そもそも選挙運動に要するということでそれに関連した金として、他から受け入れたものについては大体選挙資金のために使い尽くすであろうという前提で書いておるわけでございます。この規定がございませんならば、選挙運動に使おうが使うまいが、とにかく受け入れた金額はまず収入金額ということで課税対象になるわけでございますけれども、これを書くことによりましてそういったものを課税対象から外すという趣旨でございます。
#31
○佐藤(観)小委員 どうもよくわからぬな。おかしいんだよ。収入金額を確かに報告書に書きますわね。それから使った経費も、ポスター代が幾ら何が幾らと全部書くわけでしょう。私は収入金額を言っているのじゃなくて、選挙に関して受けた収入、そこからかかった費用を除く、そして残りが出た場合には、最終的には個人に帰属をして、現行法第九条で非課税の課目の中に入っていると……。
#32
○山内政府委員 この書き方は、受け入れたものが残るか残らないかはおよそ規定の趣旨には書いてないわけでございます。規定の趣旨に書いてございますのは、要するに受け入れたときに、受け入れたお金の趣旨が選挙運動に関しておるものかどうかでもって判断をするわけでございまして、政治家の方であっても選挙運動に関連をしないで受け入れたものはもともと収入金額でございます。しかしながら、選挙運動に関連をして受け入れたものについては、収入の段階で課税の対象からはずすという意味の非課税規定でございます。
#33
○佐藤(観)小委員 これは、選挙に関して受け取ったものについては選挙管理委員会に後で最終的に届け出るわけですから、その意味では収入が幾らあったか、選挙に関して幾ら使ったか、経費は届け出ることになっているわけですよ。そうして実際の場合に、一銭一厘たりとも同じ額で終わるということはあり得ないわけで、当然収入金額の方が経費よりも多いという場合が起こり得るわけですね。その場合に、いまのお答えですと、残ったものについては税法上どういう取り扱いをするのですか。
#34
○山内政府委員 選挙運動に関連をして受け入れた分につきましては、万一残りましても、これは非課税ということになります。
#35
○佐藤(観)小委員 やっとそこまで来たわけです。それではなぜ非課税なんですか。
#36
○山内政府委員 その点について先ほどから申し上げておるわけでございますが、ここに非課税規定を設けました際の前提といたしましては、選挙運動に関して受け入れたような金は、ほとんどの場合におきましてこれは選挙運動に現実に支出されるであろうという前提を頭に置いて考えているからでございます。そういう場合に、選挙運動に関連をして受け入れながら巨額の金を残して、その分をポケットに入れてしまうということは通常あり得ないだろうという前提のもとに書かれた規定でございます。
#37
○佐藤(観)小委員 おかしいですね。国税庁の中橋さん、あなたも主税局長をやっていらしたからあれなんですが、やはり非課税に入れるということは、課税される可能性があるから非課税項目の中に入れるということだと私は思うのです。ですから、この立法の趣旨からいって、本来こういうふうに選挙に関して残ったお金というのは、個人のものに帰属する場合には雑所得なり何なりというのが正しい税法のあり方じゃないのですか。どうしてこれを非課税の項目に入れるかというのが私にはわからない。特に政治家の場合には、そういった面については非常に姿勢を正していかなければいかぬことだと思うのです。ですから、これはいまの税法では確かにそうなっている、そういうことなら山内さんの御答弁でいいと思うけれども、その立法の趣旨は一体何だったのだろうか。これだけ政治資金というものが大きく問題になったとき、実際の場合には選挙でもうけるという人もいるわけですよ。われわれには考えられないけれども、われわれの耳に入っている中で選挙のたびにだんだん大きくなっていく人もいるわけです。そうなった場合、そういった所得が非課税だというのは納得できない。しかもいまの税法上そうなっているというのは、一体どういう立法の精神でこうなっているのかと聞きたいのだけれども、どうもそういう場合は起こり得ないから非課税になっているというのは理屈に合わないのです。非課税になっているというのは、課税される場合があるから非課税になっているわけで、そういうことはあり得ないだろうという架空のケースでは答えにならないですよ。
#38
○山内政府委員 御指摘はよくわかります。確かにぎりぎり詰めてまいりますと、公職選挙に立ちながら、かつ選挙運動に関するものと称しながら集めた金を巨額に残して、それに税金がかからないというケースも裏から言えば起こり得るわけでございますが、そういった場合に対する手当てが不十分ではないかという御指摘として私どもは御趣旨がよくわかる感じがいたします。ただ、この制度をつくりました際には、あくまでも公職の選挙にお立ちになる方でありますし、そういう方々の良識に信頼をいたしまして、そういう方々である以上、選挙運動に関してお集めになった金は、その選挙に全額きちっと使い尽くすかどうかは別として、何回かの選挙運動のうちにお使いになる、したがってプライベートな金に流用されることは万々あるまいという信頼の上でこういう規定が置かれておるものだと考えております。したがいまして、そういうところを悪用いたしまして、選挙にお立ちになるというりっぱな方でありながら、選挙運動に関して集めて、それをプライベートな資産づくりに悪用するということが非常に目立つような状態になってまいりますならば、いま御指摘のような点で再検討いたさなければならぬ場合もあろうかと考える次第でございます。
#39
○佐藤(観)小委員 いまの答弁の中で何回かの選挙のうちに使うというのも、これまた実態に合わないんだな。たとえばわれわれの衆議院選挙でいえば、三年に一遍か四年に一遍あって、そのときに余ったお金というのは、さっきから言っているように、五十万なら五十万余りましたと言って選挙管理委員会に届け出る。そうすると、これは本来、単年度の個人の所得に帰属するのですから、ことしならことしの私の確定申告の中に上がってこなければいかぬはずですね。こればかりやっているわけにいかぬものですから、これは一度、どういう立法の精神で非課税の項目の中に入っているのか、大蔵省の中で少し検討してもらって、ひとつ統一見解を出してみてください。
#40
○山内政府委員 先ほどから申し上げておるようなことかと思いますけれども、改めてもう一度念を押させていただきたいと思います。
#41
○佐藤(観)小委員 では、次の問題に移ります。
 次は住宅取得控除に関してですけれども、時間がありませんから端的にお伺いしておきます。
 いまの住宅取得控除の制度ができたのは、住宅事情が非常にむずかしい、したがって家をつくる人に対して税の面において幾らかでも援助をしよう、こういう精神だと私は思うわけです。いま五十坪までですか、家が五十坪以下のものについては住宅取得控除が働きますけれども、最初の家だから小さな家しかできなかった。ところが、もう五坪建て増しをした。しかしその全体の大きさは五十坪以下だ。しかも最初の家は住宅取得控除の制度ができる前で、一度もその適用になっていない。五坪建て増しをしたけれども、それを合計してみても五十坪以下だという場合に、現在の制度では住宅取得控除が働かない。これは幾らかでも援助をしようという立法の趣旨からいって合わないのではないかと私は思うのでありますけれども、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
#42
○大竹説明員 この制度は、個人が新築の住宅を取得したときに適用になるということはそのとおりでございます。これは、国の住宅政策といたしましては新たな住宅の供給の促進ということが主要な柱になっておるところに税制も着目いたしまして設けられた制度というふうに理解をしておるわけでございます。増築の場合におきましては、そういう観点からいたしますと直ちに新たな住宅の供給ではないということから、現在のところでは新築の住宅に適用を限っておるわけでございます。
#43
○佐藤(観)小委員 確かにいまの立法上の書き方というのはそういうことになっているわけですけれども、前のときには住宅取得控除を受けてない、しかし増築をして、その面積が五十坪以下といういまの規定に当てはまるもの、これはつまり、住宅の供給の促進ということは、幾らかでも国民に快適な住宅事情で暮らしてもらいたいという趣旨になるわけですから、ただ家をつくればいいというものではなくて、自分用の家以外は適用になってないわけですから、それはそれでいいわけです。その面では、五十坪以上になって、五つ子でもできたら話は別ですけれども、いまの日本人のアベレージの住宅事情を大きく上回ってさらに快適なということは国民的なコンセンサスからいって無理かと思いますけれども、いまここで決められている範囲の中のものならば、これはやはり、それにもお金がかかっているわけですから、いま子供がだんだん大きくなってきて勉強部屋を別にしなければいかぬというようなときに、さらに増築したものについてもこれは住宅取得控除というのを働かしていく、これは立法の趣旨の延長から言って当然なことじゃないか。いま確かに新築ということになっているので、それじゃあ税法を直さなければいかぬというならば、その方向でもう一回考え直すべきじゃないかと思うのですが、これはいまの税法は、確かにそういうことでありますけれども、税法の趣旨というのは、延長から言ってみても、私はこれは百坪まで認めろとか二百坪まで認めろということを言っているわけじゃなくて、現行の税制の五十坪の中で、合計が増築をしてもそのぐらいならばこれは運用の中で、立法の趣旨から言って私は認めるべきじゃないか。どうしても税法の改正が必要だと言うんだったら、これはまた改めてそういう方向で考え直していただきたい、こう思うのですが、いかがでござますか。
#44
○山内政府委員 御指摘のように、確かに新築だけでなしに増築の場合についても認めろという御意見はごもっともだと思います。ただ私どもといたしましては、やはり限られた財源の中で最も効率的に政策を実施していくためにどういうふうなことを重点的にやってまいるかという選択の順序かというふうに心得ます。そういう意味からいたしますと、個別の事情の場合にそれは新築をする人よりも増築の人の方が気の毒だとか、その方が必要だとかというものもあるとは思いますけれども、全般的に見まして、やはり狭いながらもわが家のある人よりも、で、それを増築しようという人よりも、やはり全然家がなくて今後新たに家を建てようという人の方を優先をした方がいいんではないかという程度の話でございます。絶対に新築がよくて、絶対に増築がだめということは私どもは言えないと思う次第でございます。
 ただついでながら申し上げておきますと、建設省の住宅政策の点におきましても、いま佐藤委員の御指摘のように良質の家屋を今後はふやしていきたいということでございますし、その良質の家屋をふやしていくという観点からいたしますと、増築よりも新築のものについて重点を置いていきたいというふうな感じをいま持っておるようでございますので、そういう住宅建築の政策の上からも現在の制度は比較的乗っかっておるかとも思いますが、御指摘のような点もございますし、今後の住宅政策とも絡めましてさらに研究を進めてまいりたいと思います。
#45
○佐藤(観)小委員 かなりこれは政治的な問題もありますので、政務次官には後でまとめてこの問題についてお伺いしたいと思いますけれども、もう一つの場合は、せっかくためて家をつくった。ところが一年くらい住んだけれども、会社の都合で転勤になってしまった。そうすると、いまの制度では住んでいた一年間だけは住宅取得控除は効くけれども、転勤になって家族もろとも地方へ行かなければいかぬという場合には、住宅取得控除が効かない。家族を残して単身赴任の場合には効くというようなことになっているわけですね。いろいろ私のところにもデータが入ってきているんですけれども、はっきりと会社が証明を出して、これは会社の仕事上の都合で転勤です。そして単身赴任をしているんですという証明があれば住宅取得控除を認めてくれるというのが、われわれに入っている報告では郡山の税務署ではそういうふうにはっきり会社が認めた者については住宅取得控除は適用できる、しかし名古屋の局ではそういった者でもだめだという報告が入っているわけですね。これについても、確かにサラリーマンの場合には転勤というのは宿命みたいなものですから、皆さん方にもあるわけで、その場合にたとえば単身赴任じゃなくても――これは所有権が移転をしたら確かにむずかしいと思います。しかし、家族もろとも三年ぐらいの転勤をしなければいかぬというふうに会社の事情でなった場合に、親戚の人に貸して行くとか、あるいは知り合いに貸して行くという例は幾らでもあるわけですね。こういった者の場合でも、会社の事情ということがはっきり証明できるようなものについては、つまり商売用につくったけれども貸しているというんじゃなくて、こういう会社の事情で転勤をしなければいかぬという場合には、これは本来自分の家であるわけですから、この場合も皆さん方の運用でできるならば、私はこれも立法の趣旨から言ってやるべきじゃないか。もしこれができないというのだったら、やはり次回に、来年度の税制改正の中でも、いま申しましたような会社の事情で転勤するような場合でも、これは住宅取得控除が効くように考えるべきじゃないか、これはやはり立法の趣旨じゃないか、私はこう思うのですけれども、いかがでございますか。
#46
○熊谷(文)政府委員 先生ただいまの御指摘の住宅取得控除の適用の関係でございますが、御案内のとおり、現在は居住を条件としておりますので、取得者が、御本人が転勤をいたしまして居住いたさなくなりますと、その日の属する年分以後につきましては控除の対象にならないということになるわけでございます。ただ、これを余り厳格に適用いたします場合におきましては種々問題がございますということを前提といたしまして、私どもすでに通達によりまして、住宅の取得者が転勤とかあるいは転地療養とかその他やむを得ない事情があった場合に、さらに条件がございまして、配偶者あるいは扶養親族その他その者と生計を一にする親族を残して行かれるというふうな場合には、引き続き控除の適用を認めるという取り扱いを現在はしておるわけでございます。ただ、いま御指摘のございました、たとえば空き家としておく場合でございますとか、それから転勤のために従来同居していなかったような親族の方が留守番として仮に入居しておられる場合とか、あるいは全く他人ではあるけれども無料あるいはきわめて低廉な家賃といいますか料金で住んでもらっているというふうな場合にまでこれを排除するかどうかということにつきましては、非常に切実な問題であることはよく理解しております。そういうことで、特に先ほど御指摘のあったように、ある署においては認め、ある署においては認めないというふうなことにつきましては大変問題でもございますし、私どもといたしましては、そういった非常に切実な問題であるということの認識のもとで、ただいまのようなことも含めまして検討をしまして、統一した指導をしてまいりたいというふうに思います。
#47
○佐藤(観)小委員 その場合、居住の用に供するという意味は、私は法律用語の解釈ではなくて、たとえばアパート業をやるとかこういったものまでいまお話があったように限られた財源の中で住宅取得控除をやるべきかどうかというのは、私はまた別な次元だと思うのです。ここで住宅取得控除というのはあくまで取得控除ですから、取得したことによって、長いことためてやっととにかく家ができた。御苦労さんと言うと変な言い方ですけれども、なるべく持ち家政策を進めるという趣旨だと思うのです。ですから居住の用という言葉がいま熊谷直税部長が言われたように、ぎりぎり紙一重までは広げてもらったけれども、それじゃ本当に家族全部がどうしても行かなければいかぬ、しかし三年くらい後には帰ってくる、あくまでその家は自分の物だというときまでこれはだれか、いま例に挙げられたような血のつながりなり何らかのつながりがある者がだれか一人でもいなければだめなのかどうか、これはあくまで取得控除で持ったことに対する税法上の優遇措置だと私は思うのですね。ですから、居住の用という言葉がそういうふうに法律用語としてどうしてもだめなんだと言うならば、これも税法改正という方向に考えていくのがやはり住宅取得控除という制度をつくった法の趣旨ではないか、私はこう思うわけです。
 現状についてはわかりましたので、もう一点だけこのことについてお伺いしておきますと、住宅貯蓄控除の場合なんですね。この場合、簡単に言いますと、これも新築の家でないとだめだ、きかないと言うのですね。しかし、これも運用の仕方によっては中古の家でも、とにかく値段の問題やらいろいろな問題があるわけですから、これも中古の家を取得をした場合でも、住宅貯蓄控除というのは、これは実際に住んで――確かにいま法律上は新築ということになっておりますけれども、実際に住んで、とにかくやっと手が届いて中古の家でも買えたということですから、これも法の趣旨から言ったら、現在の法律の文言ではむずかしいと言うならば、法律を変えて、住宅貯蓄控除も中古の家でも適用されるように改むべきだと私は思うのでありますけれども、この点についてはいかがでございますか。
#48
○大竹説明員 住宅取得控除は新築住宅が対象になっておるわけでございます。そのとおりでございます。住宅貯蓄控除につきましては、新築でなくて、たとえば既存の住宅を購入するという場合も対象にしておるわけでございます。なぜ住宅取得控除が新築住宅だけかということにつきましては、先ほど御答弁申し上げたところでございますが、それではなぜ住宅貯蓄控除の場合には中古住宅というのもいいのかという、なぜ違いがあるかという点があるいは御質問かと思いますが、その点につきましては、やはりこれは長期の貯蓄でございまして、最低でも三年以上積み立てをしなければいけないことになっております。したがいまして、貯蓄をし始めたとき、あるいはそれをしておる最中に新築の住宅を建てられるか、あるいは中古住宅を購入されるかということについては決定をしていないという場合も多々あろうかと思います。しかしながら、やはりその期間において、年々の住宅貯蓄控除というものを働かせるということが制度になっておるわけでございますので、そこを新築住宅だけに限るということは制度的になかなかうまくなじまないという点があるので、中古住宅、既存住宅にまで対象を広げておるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
#49
○佐藤(観)小委員 私、ちょっと勘違いいたしまして、住宅貯蓄控除は中古の場合でも、いま御説明あったように途中からきくものですから、これは確かに適用になっているのですが、では取得控除の方はどうして中古の家ではいけないのですか。
#50
○大竹説明員 これも先ほどのお答えと重複するかとは思いますけれども、やはり住宅の供給がふえるというところに国の住宅政策の重点があるというところで、税制でもその政策に即応いたしまして優遇措置を講じておるということじゃないかと思います。先ほど審議官から申し上げましたように、やはり特別措置でございます。で、政策の優先順位、重点というものを念頭に置きまして、税制でもそれに応じた措置を講ずるということを優先で考えざるを得ないということで、現在新築住宅のみを対象としておるということでございます。
#51
○佐藤(観)小委員 その場合に、住宅がふえるというのは、何も新しい家がどんどん建っていく、そういう即物的な、自然的なものじゃなくて、要するに住宅がふえるということは、いままでアパートなんかに、小さなところに住んでいた、それが貯蓄をしてやっと家を持てるようになった、それは貯蓄の面でもある程度優遇しましょう、それから、御苦労さんでしたという言い方がいいかどうかわかりませんけれども、なかなか持ちにくいのに苦労なさったから、持ったことに対して税法上でも優遇をいたしましょうということだと思うのですね。ですから、中古の家を持たれた方でも、これはそこによって初めて家を持たれたわけで、結果は、いままでアパートの小さなところに住んでいたよりも、中古でもやっと手に入って、取得をしたことに変わりないわけですから、その面では、空から見てみて家がふえていくということに対するそういう考え方じゃなくて、そこに住んでいる納税者というか、消費者というか、国民がやっと家を持つようになった、そのための優遇税制なのですから、その面では新しい家が建っていくという、何と言うんですかね、自然的なものじゃなくて、あくまでそこの納税者が新しい家を持ったということに対する優遇措置だと思うのです。ですから、これもやはり取得控除も中古の家でもやっとそれは持てたことに対する、取得したことに対する優遇措置として私は考えていくべきだと思うのです。
 時間が余りありませんので、いま私は三点にわたって、まず増築の場合も認めろ、それから中古の家を取得した場合にも認めなさい、それから転勤になった場合も認めなさいということを提案したわけでありますが、これは法改正も必要な部分がありますので、政務次官に、いまの実情に合わしてこういう方向でもう一度、どうせ来年しか事実上審議はないと思いますから、税法改正も含めて前向きに検討してもらう、こういうことをひとつぜひ提言をしたいと思うのですが、いかがですか。
#52
○唐沢政府委員 ただいま佐藤先生から住宅に絡む税制のお話を伺ったわけでございますが、先生百も御指摘のとおり、ことしのような財政状態で租税特別措置百九十六のうち十一を廃止する、五十八を縮減するという全面的な見直しをしたわけでございますが、その中で住宅取得控除、住宅貯蓄控除初め住宅関係の特別措置はすべてそのまま継続したわけでございまして、財政当局の住宅に対する考え方というものは、その点十分おわかりいただけると思うわけでございます。
 さらに、ただいま御指摘の点につきましては、転勤の場合でございますか、これは、ただいま事務当局から御説明いたしましたように、取り扱いの問題でもあるということで、その点でさらに検討をいたしたいと思っております。
 さらに先生御承知のように、特別措置は個々の政策目的と税の原則との調和の上に立って、社会、経済情勢の変化に応じて決めていくものでございまして、この住宅貯蓄制度は住宅取得に必要な頭金の計画的な貯蓄を助長するということをねらいとしておりますし、住宅取得控除制度というのは、何と申しましても、いま大竹課長が申しましたように、新規の住宅の供給促進というところにあったわけでございます。過日、私決算委員会でも中古の住宅等についてそのような要望を受けたわけでございます。最終的には財政状態とかあるいは住宅政策との関連において考えていかなければならないと思うわけでございますが、特に税制に詳しい先生から強い御要望があったということを念頭に置きまして、将来の検討課題として勉強してまいりたい、かように考えております。
#53
○佐藤(観)小委員 山内さん、それじゃ、住宅取得控除あるいは住宅貯蓄控除、これによる減免額はことしは全部で、ざっと幾らですか。
#54
○山内政府委員 住宅取得控除の方で約百億でございます。それから貯蓄控除の方で約七十億でございます。
#55
○佐藤(観)小委員 いまお聞きのように、政務次官、かなり財政のことを言われるが、それはいまお聞きのように、合計しても百七十億ぐらいですね。こういうふうに、国民的に非常に還元できるものはもっと進めるべきであるし、いま私が指摘をしたように、数々の矛盾が出てくるわけですね。実際に、せっかく家をつくったけれども転勤によって、会社の都合によって不幸にして明け渡して行かなければいかぬ、しかも所有権は変わっていない、こういうものについてはやはり適用すべきだし、営々として貯蓄して、しかしますます物価が高くなったから中古の家しか買えなかったという人に住宅取得控除はききませんというのは、これは立法の趣旨から言っておかしい。そういったことで、額もそんなに多くないわけですし、しかもこれは一生に一回しかないのが私は通例だと思うのです。ですから、もっと前向きに考えてもらいたい。
 それと、もう一つ、これに関連をして、住宅貯蓄控除の場合に、たとえば財形の中でも、住宅購入に充てるんだという契約がない場合の財形では、これはきかぬわけですね。しかし、そのことがわからずに住宅貯蓄控除の申請を出した、ところがこれはききませんといって税務署から戻されてきて、その際に、これはこうこうこうなっているからききませんということで戻されるだけならいいけれども、過少申告加算税をかけて戻してきたという税務署があるわけですね。これはもう明らかに私は税の執行上行き過ぎだと思うのです。
 国税庁の場合には、税金を取ることは熱心だけれども、返すことはどうもきわめて冷淡だ。私たちが一生懸命こういう制度がありますと言って、組合の方々が運動して初めて、いま住宅取得控除も貯蓄控除も医療費控除もだんだん幾らか浸透してきたわけですよ。医療費控除についても、領収書がなかったということで更正決定してきて、それにも過少申告加算税を課してきたという例が松戸の税務署の例としてわれわれのところに上がってきているわけです。これは明らかに本人が税について余りよく知らない、それで中途半端な聞き方でこういうやり方をしたことによって、税務署に出したけれども戻された例だと思うのですが、戻されるだけならいいけれども、過少申告加算税をこういったものに課すというのは、これは私は明らかに税の執行上大きな行き過ぎではないか。こういう例が私のところに具体的に二件上がってきているわけでありますけれども、この件についての御見解を承りたいと思います。
#56
○熊谷(文)政府委員 ただいま御指摘ございました二つの件でございますが、一般的に申しまして、私どもは、通則法の六十五条第一項によりまして追徴税額の基礎となりました事実の中に正当な理由があることが認められました場合には、それに対応する部分の税額に対しましては過少申告加算税を課さないということで取り扱っておるわけでございます。
 ただいまのような具体的な例につきましては、まさに個別の実情に即して判断をすることになるわけでございますが、たとえば納税者の方が領収書を添付しなければならないということを知らなかったことなどにつきまして、無理のない判断を税務署の段階でできるというふうに持っていきたいというふうな気持ちでおります。
#57
○山内政府委員 先ほどの数字をちょっと訂正させていただきます。
 住宅取得控除を約百億と申しましたが、約二百八十億でございます。失礼いたしました。
#58
○佐藤(観)小委員 それにしても、そう大幅に違うほど大それた数字じゃないわけで……。その点はわかりました。
 いま熊谷直税部長のお話しのように、領収書の件はそれですけれども、一点だけ確認をしておきたいことは、そういったようなことで、よく納税者の方がなまはんかというか中途半端な聞き方で、申告が要件を満たさなかったという場合があり得るわけですね。その場合に、過少申告加算税ということをつけて返すというのは、これはやはり執行上問題だ。しかも私に上がってきた医療費控除の問題は――国から還付されてきた、それが還付自体が間違っていました、調べてみたら要件が足りませんでしたといって、金がもう行ったというならまだわからぬわけじゃないけれども、今度の例は、まだ還付金は行っているわけじゃないわけですね。したがって税務署の窓口で、これはこうこうこうなっていますからだめですということを説明することで執行上足りるんじゃないか。また、そういう指導をする必要が税務署としてあるんじゃないか。過少申告加算税を課するのは、私はこれは明らかに行き過ぎだ、こういうことに思うので、その御見解をお伺いをして、そしてそれをやはり全国の税務署に徹底するようにしてもらいたい。
 私、さっきから言っているように、こういった税の取り戻しの問題については、どうも皆さん方は大々的にアピールしているかというと、正直に言って余りしていないのですよね。われわれの方がポスターつくったりして、感謝状をもらわなければいかぬくらい、こちらの方がやっているわけですから、どうかひとつそういった面で、幾らか税の知識がいま広がりつつあるわけですから、それに水をかけるようなことはぜひやめてもらいたい、こういうふうに思うわけです。
#59
○熊谷(文)政府委員 ただいま先生の御指摘のございましたような趣旨は十分私どももわかるわけでございまして、税務署の窓口におきまして無理のない判断ができるようなこと、もちろんすべては個別の実情に即した判断でございますけれども、どういうふうな基準で考えられなければならないかということの指導は十分さしていただきたいと思います。
 それから、PRの面につきましては、先般来先生からたびたび御指摘もございまして、私どもとしましては、微力ながらかなり充実してまいっておりまして、それだけをちょっとつけ加えさしていただきたいと思います。
#60
○佐藤(観)小委員 まだまだ実は、医療費控除の問題、寄付金控除の問題、それから内職収入の問題、それから特にいま失業されている方が多いので、そういった中途の退職者の課税の問題、それから雑損控除の問題等々いろいろあるのですが、時間がなくなりましたので、また後日改めて質問さしていただくことにいたしまして、私の質問を終わります。
#61
○森小委員長 増本一彦君。
#62
○増本小委員 先に税制の問題からお伺いをしたいと思います。
 いま戦後三十年たちまして、やはり国と地方自治体に対する税源の配分を検討しなくてはならない時期に来ているんではないか。このことはかなり前から地方自治体サイドでもいろいろ発言がありましたし、要望も国に対して出されていると思います。特に中期経済計画等も具体的に出されてきて、そしてこれからの経済についてもあるいは財政運営についても、政府の考えを再検討しなければならない時期に来ていると思うのです。
 いまの税制は、言うまでもなくシャウプ税制によって積み重ねられてきているわけですが、最近の週刊エコノミストを見ますと、税の配分が今日のような状態になっているのはシャウプ税制が都市中心の自主的な財源を考慮に入れていない、都市問題が欠落しているからだというような指摘もあります。これは一つの重要な問題の指摘だと思いますし、それとあわせて、特にこれまでの高度成長時代のいわば中央突破主義といいますか、できるだけ国の方で財源を押さえてそれを交付税や譲与税などで地方自治体の方に還流さしていく、その中で国の公共事業投資や何かを、国の中心の政策に地方自治体の財政も含めて動員をしていくというようなやり方がいままでとられてきた、こういう側面もあると思います。
 いまや政府自身も中期経済計画などで成長中心から生活中心にということで、生活関連社会資本投資を充実させていかなくちゃならぬという方向が打ち出されているわけですね。そうなりますと、言うまでもなく、地方自治体が担わなければならない問題が非常に多いわけです。下水の整備、学校の建設、病院にしてもそうですし、そうなると地方自治体の自主的な財源をやはり充実させていくという点で、もう一度国と地方自治体のこれからの経済あるいは財政運営を見通して再検討しなければならぬ、そういういま大事な時期に来ているんではないか、こういうように思います。その点で、中期経済計画が出され、あるいは中期の財政運営の展望も、非常にあいまいなもので、主として赤字国債をいかに克服するかというようなところからの問題発想としてではあるけれども大蔵省として一応出されている、こういう状況のもとで、いままず第一に事務当局ないし政府として税の配分についてどういうように検討をなすっておられるのか、あるいは今後どういう方向で検討をされようとしておられるか、これは税調などにも当然答申を求める一つの重要なテーマであると思いますが、その点はどうなっているのか、この辺をひとつお伺いをしておきたいと思います。
#63
○山内政府委員 御指摘の国と地方の財源配分の問題につきましては、税金の問題だけでなくて、たとえば国庫支出金でありますとか財源調整制度の全般の問題でありますとか、あるいは歳入面だけでなくて、国と地方の行政事務の配分の問題でありますとか、関連するところが非常に多うございますので、基本的にはやはりそういった問題を総合的に勘案をした上で考えなければなるまいというふうに考えております。ただ、昭和三十年以来の国と地方との、たとえば税収の配分の仕方を見てみますと、これは実績におきまして、いわば着実に国の方のウエートが減ってまいりまして地方のウエートの方がふえてまいっております。それを、たとえば交付税でありますとか国庫支出金なんかを調整をいたしました後の国及び地方のそれぞれ自前で使える金の比較をやってみましても、やはり同様に国の自前の部分が地方の自前の部分に比べますとウエートとしてはどんどん減ってまいっているという現状でございます。そういう現状でございますので、かつまたいま御指摘のように、今後の財政状況を考えますと、地方ももちろんかなり大変だとは思いますが、同様に国においてもなかなかきついという情勢でございますので、国の方がとにかく大度量を発揮して地方にいま直ちに何とかいたしましょうという感じにはどうも事務的にはとてもまいってこない状態でございます。
 ただしかしながら、御指摘のように、いずれにいたしましても国も地方も総合いたしまして財政全体の問題として円滑なその運用を期していかなければなりませんので、今後におきます大きな問題といたしまして、税制調査会においても一つの重要課題というふうになろうかと考えます。
#64
○増本小委員 これから開かれる五十一年度の税制調査会ではこれはテーマになるのですか。
#65
○山内政府委員 まだ具体的に本年度の税制調査会の運営のテーマをどういうふうにしぼっていくかということは決めておりません。ただ、大ざっぱに考えますと、やはり地方財政としてはその辺のところが事柄を考えていきます基本のところになると思いますので、どうしても避けて通れない問題であろうかと思います。ただここで申し添えさせていただきますと、税源だけを動かすということに相なりますと、地方団体の中にも、国の税源を動かすことによっていろいろ違った影響が出てまいりますので、地方が全般的に窮屈だから全般的に国から地方へ税源を移譲するだけでは簡単には済まないと思いますので、その辺のところ、かなりきめ細かい検討もあわせて必要かというふうに考えております。
#66
○増本小委員 特にこの点では全国的に地方自治体の財政が非常に危機的な状態にあるということとあわせて中でも今日的な一つの特徴は、いわゆる大都市やそれから工業地帯を抱えているようなところで特別に厳しい状態があるわけですね。これは不況を深刻に反映しているため法人関係税の税収が上がらないというような事態からも生まれているし、むしろそういう都市ほど社会資本の充実が、都市問題の解決という非常に深刻なテーマを抱えているだけに大きな問題になって迫っているわけですね。そうすると、一つはそういう面での、大きな都市とかあるいは太平洋岸ベルト地帯を中心にした工業地帯を抱えた自治体の財源を、そういう意味で都市問題解決あるいは生活関連社会資本の充実というような特別に抱えているそういう問題を積極的に解決していく上で、それをつくり出してきた大資本あるいは大法人とかあるいは土地の値上がりに伴って利得を得てきた人たちに対する税負担を相応に求めていくというような形のものが、地方自治体の中でも、税目として自主的な財源を確保するという立場からむしろ積極的に検討されていい問題ではないか、それはほかの税制全体との絡みももちろんありますけれども、そういう趣旨を含めてぜひ今年度の税制調査会の中でひとつ十分な議論を始めるスタートははっきり切っていただきたいというように考えますけれども、その点はいかがでしょうか。
#67
○山内政府委員 御指摘の点につきましては、事業所税を創設いたしましたのもその流れに沿うものかと思いますし、法人住民税につきましても四十九年度においてその引き上げを行っておるというふうな各種の施策は講じてきております。なお本日増本委員から非常に強い御要望もございますし、そういった点は今後の税制調査会の審議に十分反映をさせてまいりたいというふうに考えます。
#68
○増本小委員 それでは次の問題に移ります。
 三月三日の本委員会の質疑の中でも、あるいは四月二十三日の本委員会の質疑でも、ロッキード事件に関する税務調査の実態がどうなっているかという点について質疑が交わされて、その時点での御報告は概括的なものはいただいているわけですが、それ以降今日どういう問題を取り上げてどのようにこの調査が進んでおるのか、その点についてまず御報告を国税当局からいただきたいと思います。
#69
○系政府委員 告発に至るまでのことはこの間申し上げましたということでその後ということでございますけれども、告発しましてから、その後、私どもとしましては、児玉の四十八年分、四十九年分の所得税につきまして、脱税事件としての調査を引き続き行っておるということでございます。またその際にその周辺の人物あるいは関連する会社等につきまして、また児玉自身につきましても、ロッキード以外の所得に脱漏がなかったかどうか、そういう点をも含めて調査をしてまいっておる、こういうことでございます。
#70
○増本小委員 そうすると、児玉とそのファミリーだけですか、いま調査をされているのは。それ以外にはないのでしょうか。たとえば六億二千万円の金の流れとの関係で丸紅が一つの問題になっていますし、あるいはそのほかにも捜査機関との合同捜査などもおやりになっているわけですから、私たちよりも、より広いこの事件についての中身を御存じだと思いますから、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
#71
○系政府委員 丸紅につきましては、本年一月十九日から、たまたま、大法人でありまして定例の法人税調査を行っておりました。二月の初めに現在問題になっている情報資料が入ってまいりましたので、その後今日に至るまでそういうことも念頭に置いて調査をしておるということでございます。
 また、ただいま丸紅との関連で六億というようなお話があったわけでございますが、恐らく暗号領収証のお話かと思いますが、この点につきましてはそれがどういう意味を持っているのかといったようなことにつきましていろいろな分析、検討を引き続き行っておるということでございます。その他、たとえば全日空などにつきましても、通常の税務調査を行いながら関連のことがあるかどうかを一つのポイントとして調査を進めてまいっておる、こういうことでございます。
#72
○増本小委員 二月の二十四日でしたか、三者合同捜査というのがありましたね。それ以降、そういう検察当局ないし警視庁などの捜査機関との資料や情報交換、あるいは連係プレーによる査察とか調査とか、そういうものはおやりになっていらっしゃるのですか。
#73
○系政府委員 二月二十四日から三月十三日に至ります間は、地方検察庁との共同調査ということでまいったわけでありますが、その後におきましても、四十八年分、四十九年分の脱税調査、国税犯則取締法に基づく調査につきましては、地検とのきわめて密接な連絡協調のもとに行っているということでありますし、また警視庁は、これは脱税事件ではなくて外為法違反の問題を取り扱っているわけでありますが、その間に先方で収集した資料等につきまして便宜提供を受けることもあるという形で引き続き行っておるわけでございます。
#74
○増本小委員 そこで、日米司法取り決めが締結をされて、そしてその資料も日本に来ている。この資料を国税当局としては利用されるおつもりがあるのか、どういうぐあいにそこから出てくる――これから政府高官等々の問題にまで発展していくと思うわけですけれども、またそうしなければならぬと思いますが、その辺のところはどういうようにお考えなんですか。
#75
○系政府委員 日米司法取り決めにつきましては、あの条項をお読みいただきますといろいろ書いてございますが、あれは犯罪捜査のための資料を予定いたしているわけでございまして、したがいまして、私ども国税当局におきましては、これは脱税事件、犯則調査に用いる資料だ、こういうふうに理解をしているわけであります。そういう意味であの資料の中に脱税調査、犯則調査の端緒になるようなものがあればぜひこちらへ開示をしていただきたいということをきわめて早い時期に検察当局に申し入れをしてありまして、先方もそれを了承しているわけであります。したがいまして、そういう資料がありますれば、またそういう時期になりますれば先方から提示があろうかと思っているわけでありまして、そういうことになりますれば脱税事件として調査をしてまいる、こういうふうに考えております。
#76
○増本小委員 脱税事件ということになりますと、今度は皆さんの方からの告発ということが一つの訴訟条件になりますね。そういう点でいくと、検察側の方の捜査はそのまま進んでいる、いま開示を要求しているというだけだ、まだ見ていない。そのいわゆる逋脱その他の脱税事犯の調査との関連でアメリカからの資料が重要な意味を持つということになると、しかも告発が訴訟条件ということであれば、早い機会にその側面からの捜査ないし調査、査察を進められていかなければならないというように思うのですけれども、そういう意味で、できるだけ早い機会にこの開示を国税当局は独自の立場でそれを実現するということをなさる必要があるのではないかというように思いますが、その点はいかがですか。
#77
○系政府委員 ただいま告発が訴訟条件じゃないかというようなお話がありましたけれども、脱税事件につきましても別に訴訟条件にはなっていないわけでありまして、通常告発をしてから向こうが捜査の上起訴してもらうということになっているわけであります。
 本件につきまして現在世間でもよく言われていることかと思いますが、もともと贈収賄事件としての資料が主体であろうというふうに言われているわけでありますけれども、恐らく検察、警察もそういう角度で捜査をされていくのだろうと思いますが、検察当局は脱税事件につきましては、やはりこれは専門家でございまして、そちらの方で十分判断もできますし、いま先方が捜査をしている過程におきまして、脱税があるかないかを国税局が目を通したいからひとつ全部開示をしていただきたいといったようなことは申し入れる必要がないのじゃないか、こういうふうに考えております。
#78
○増本小委員 そうしますと、一応皆さんのお考えでは検察当局で捜査が終了した段階で開示をしてもらう、こういうスケジュールでお考えになっていらっしゃるのですか。
#79
○系政府委員 捜査が終了した段階といったようなことで限定しておるわけではなくて、これは全体の捜査につきましては検察当局が一番よく全貌をつかんでいるかと思いますので、それぞれ国税局で調査をした方がいいといったような時期になりますれば、おのずから開示ないし連絡があるのじゃないか、こういうふうに思っております。
#80
○増本小委員 いままでいろいろ査察ないし調査をされてこられて、それでそのサイドから国税当局自身は一定の蓄積をいまでもお持ちですね。だから、いまアメリカから来た資料も必要なものは見たい、見ればさらにこの調査ももっと進度を加えて進められるというような状況であると思うのですけれども、いまの御答弁を聞いていると、検察当局が開示してもよいという、そういう判断をしたときに見せてもらうというような印象を受けるのですけれども、そうじゃなくて、皆さん方の調査によって蓄積をされてきている点があるわけだから、それをさらに進めていく上でも必要なものは適宜開示を求めて、開示を実現するというようなことでもっと密接な関係というものがとれないのですか。
#81
○系政府委員 ただいままで私どもの方の調査によりまして蓄積されている本件につきましての情報資料というものは全部東京地検の方へ連絡してまいっておりまして、先方はその全貌をよく承知しているわけであります。そういう点から、特に地検とは別に当方でこの調査の過程におきましてこういう資料が必要であろうとかいったような判断を地検と別にしなくちゃならぬということではないのじゃないか、先方で十分判断ができるのじゃないか、こういうふうに思っているわけであります。別に消極的であるというふうに私ども考えていないのでありまして、最も効率的にやっていく見地からもそのようなやり方で対処できるのじゃないか、こういうふうに考えております。
#82
○増本小委員 そうしますと、脱税という、何といいますか、犯罪捜査、ここの面に限って、この点についてしか資料が使えないのだ。この点は日米両国の当事者間の合意の中身がどうかという問題が一つあると思いますけれども、あそこの日米資料提供の取り決めでは、法を執行する機関で、しかも行政的な手続についても、それからシビルロー、私法的なレベルでも、それから刑事も、全部の手続について法を執行する機関がそれをやるのだったらよいというのが趣旨に書いてあって、だから私自身は国税当局も課税という行政的な手続の面ではその資料は十分に使えるのではないかというように解釈ができるのではないかと思っていたのですけれども、法務省の見解だと、どうも犯罪捜査だけに限局しているようですね。その点はどうなんですか。
#83
○系政府委員 この「法執行の責任を有する機関」という表現は、犯罪捜査につきましての責任を持っている機関というふうに解すると、法務省ともそのように理解しているわけでありまして、国税当局にこれを当てはめてみました場合には、先ほども申しましたように、通常の課税事案ではなくて犯則調査の手続を言うのだというふうに理解をしているわけでございます。
#84
○増本小委員 そうしますと、この犯則調査でロッキード事件では国税当局はどういうお仕事を担われておやりになっていらっしゃるのですか。いままでのお話ですと、主として検察当局が税法の脱税犯についても専門的であるから、ここが中心になってやって、そして皆さん方がおやりになる面というのは非常に限られている、あるいはほとんどないというような印象を受けますけれども、その点はどうなんです。
#85
○系政府委員 ロッキードの問題に関連しましては、私ども国税庁は児玉譽士夫を犯則事件として立件をしておりまして、そっちの方の真相といいますか、これを徹底的に調査をしてまいる、こういうことで今日まで至っているわけでありまして、贈収賄等を含めたいわゆるロッキード事件の全貌を解明するということにはなっていないわけであります。そういう意味で、現在のところ児玉事案の資金の受け入れ、それの支出、そっちの方を含めましてこの点につきましては脱税事件としてすでに立件もしてありますし、調査を進めていくということでありまして、そのこと並びに現在法務省、検察庁の方にあります資料の中に、その他の脱税事件の調査の端緒になるような資料がありますれば、これはこちらの方に開示をいただいて、別途の脱税事件ということもあり得る、こういうふうに考えております。
#86
○増本小委員 長官、そこのところの任務分担みたいなものは、どこのレベルで、どういうふうに、いつごろ決まったのですか。
#87
○中橋政府委員 事務分担ということではありませんで、いま査察部長が申しましたことも、実はこうなんです。
 司法当局として日本の法務当局が受けてきた資料は、先ほど申しましたように、法執行機関としての刑事捜査手続上、それ相当の機関の捜査、調査のために開示することができるということになっておるわけです。その判断は、いわば法務当局といいますか、この場合であれば地方検察庁にあると思います。私どもの方は、そういう場合に恐らく第一義的には、いま地検なり警視庁なりは次の問題としての刑法に関する罪についての捜査を非常におやりになっておると思っております。われわれはそれについては別に開示を求めることもないですし、また権限の分野も持っていないわけですが、そういうことにも関連し、あるいは関連しなくても、脱税事犯としていわば準刑事捜査手続としての国犯法発動を要する問題については開示が行われると思っております。その判断は、私どもが全部あの資料を拝見してそういうものを選ぶよりも、むしろ脱税事件についてもかねてこの問題に限らず一緒にやってきました地検としましては、十分その判断は可能であると私は思っております。またそういうふうな地検としましても刑法の罪をいろいろ捜査をなさっておるときに、これは法執行機関としての国税当局で脱税事件として調査すべき問題であるということがあったときには、第四項でございましたか、そういう条件に従って開示をするというふうになっておりますから、そこの判断は、私どもが全部あえて見まして、ほかの私どもに関係のない資料まで見て、そこでもってわれわれが判断をするよりも、全般的に見た地方検察庁の開示を待つということでございます。決して分けておるというわけではございませんで、その点は同じフィールドを重複的に持っておる地検と警視庁の間ということではございませんで、私どもの方はより狭い脱税ということに関連してでございますから、地方検察庁から国税当局への開示を待つ、こういうことになっておるわけであります。
#88
○増本小委員 そうしますと、地検の方で刑法関係の捜査を進めていく過程で、いわばその中で脱税事犯も明らかになった、そういうものについては国税庁に連絡があり、開示もされるだろう、これはわかります。しかし一方で、これまでいろいろ調査を進めてこられ、これからも調査は進めていかれるだろうと思うわけですが、そういう中で必要な資料を提供を受けるということによって、より国税庁サイドで独自に進めてきたものが進展を見るというようなことも論理的にはあり得るんだろうと思うのですが、そういう場合には積極的におやりになるということなんでしょうか。
#89
○中橋政府委員 いま国税庁とおっしゃいましたけれども、実は私どもは仮に開示が行われるとしますれば、地検と警視庁というように、地検とたとえば国税局という関係だと思います。
 いま御質問の点は、私どもがいままで立件をしましたりあるいはそれに関連していろいろ調査しましたことは、先ほど調査査察部長からお答えいたしましたように、これは非常に密接なる連携のもとに地検との間にいろいろお話がございます。そういうものを土台にしまして地検は脱税事件というものを御判断になって開示が行われると思いますから、私どもの方であえて、先ほど申しましたように、全部の資料の開示を求めてその中でセレクトするよりも、一元的に地検でもって御調査の上で国税当局に開示をしていただいた方が、むしろ能率的ではないかというように判断をいたしております。
#90
○増本小委員 全部地検が中心になって一本化されていって、これでどうなんですかね。もっと総合的なそれぞれのお立場からの調査というものが進められた方が真相の究明にはいいんじゃないか。ですから、ちょっとそこの点は、むしろ法務省との間でやりとりした方がいいかもしれませんね、皆さんのいままでの御答弁でいくと。ですから、それはその辺にして留保します。
 そこで、いままでに、直接の納税義務がある者あるいは納税義務があると認められる者というような、そういう納税者に対する調査と、それから、関連して反面調査と言われるそういう人たちもいるでしょうし、そういう人たちまで含めて実際に調査をされた、調査を受けた人、皆さんが調査をした人たちはどのくらいの数になるのですか。
#91
○系政府委員 二月の二十四日から五月十九日までの累計でまいりますと、事情聴取をした個人というのは百九十五人程度でございます。
#92
○増本小委員 法人はどのぐらいですか、法人関係の調査は。
#93
○系政府委員 特に法人、個人というふうに分けてないのでございますが、金融機関とか証券会社が六十五行、百七十七店舗、反面調査をしました、大体これは事業所というふうにおとりいただいて結構だと思いますが、三百四十三カ所。そのほかに、さっき申しました事情聴取をした関係者が百九十五人ということになっております。
#94
○増本小委員 これはひとつ手をゆるめずに真相の徹底的な究明のためにもやっていただきたいと思います。
 最後になりますが、自民党の中曽根幹事長の中曽根派の政治資金の虚偽報告が問題になって、各派閥の国会議員に六億三千四百十万円ですか、いった、こういうことで再度の訂正した届け出が自治省に出されているわけですね。新聞の報道などで見てみますと、昭和四十七年の下期から五十年上期までに、現職の国会議員で中曽根さんの一億二千五百二十万円を先頭にして四十人、元国会議員が四名というようなぐあいになっていて、どうも中曽根派の記者会見での釈明によるとこれはつじつまが合っている、つまり政治活動費に使っていたものだから雑所得としての申告の必要はない、個人の申告の、修正申告でしょうけれども、というようなものは必要がないというような趣旨のことが新聞でも報道されているわけですが、しかしこれは当事者の言い分であって、いま警視庁が政治資金規正法違反あるいは私文書偽造等で捜査に入った、任意捜査を始めたというような報道もされている時期でもあるわけで、この点についてはそれぞれ渡されたお金の処分を含めて、一度国税庁としても調査をされてしかるべきだというように思いますけれども、いかがでしょうか。
#95
○横井政府委員 この点につきましては、御承知のような政治家の政治資金に対する課税の方式という問題がございます。受け取られた政治家として、雑所得の収入とそれを雑所得の支出と比べまして、残りがなければ申告の必要はない、また課税も起こらない、こういうことになるわけでございますが、自治省の方へ出されました訂正の資料が閲覧できる状況になりました場合、私どもといたしましてはその閲覧をいたしまして、必要があれば調査をし、課税することもあるということにいたさなければいかぬというふうに存じておるわけでございまして、これについてはそのような方向で担当の東京国税局等に指示をいたしてあるということでございます。そろそろ閲覧ができる状態になっておると聞いておりますので、そういう方向でとりあえず資料を収集するということをいたしておると思います。
#96
○増本小委員 わかりました。
 じゃ、ちょうど時間ですので、これで終わります。
#97
○森小委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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