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1975/05/07 第77回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第077回国会 外務委員会 第6号
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1975/05/07 第77回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第077回国会 外務委員会 第6号

#1
第077回国会 外務委員会 第6号
昭和五十一年五月七日(金曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 鯨岡 兵輔君
   理事 坂本三十次君 理事 中山 正暉君
   理事 羽田野忠文君 理事 水野  清君
   理事 毛利 松平君 理事 河上 民雄君
   理事 堂森 芳夫君 理事 正森 成二君
      粕谷  茂君    小坂善太郎君
      正示啓次郎君    竹内 黎一君
      土井たか子君    渡部 一郎君
      永末 英一君
 出席政府委員
        外務政務次官  塩崎  潤君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アジア局
        次長      大森 誠一君
        外務省経済局長 本野 盛幸君
        外務省条約局外
        務参事官    伊達 宗起君
        大蔵省国際金融
        局長      藤岡眞佐夫君
        資源エネルギー
        庁石油部長   左近友三郎君
 委員外の出席者
        防衛庁防衛局調
        査第二課長   冨田  修君
        水産庁海洋漁業
        部沖合漁業課長 大鶴 典生君
        資源エネルギー
        庁石油部開発課
        長       志賀  学君
        外務委員会調査
        室長      中川  進君
    ―――――――――――――
四月二十七日
 ILO条約第百十一号、第百三号及び第八十九
 号の批准等に関する請願(大出俊君紹介)(第
 三七九五号)
 同(金瀬俊雄君紹介)(第三七九六号)
 同(木原実君紹介)(第三七九七号)
 同(島本虎三君紹介)(第三七九八号)
 同(伏木和雄君紹介)(第三七九九号)
 同(村山喜一君紹介)(第三八〇〇号)
 同(湯山勇君紹介)(第三八〇一号)
 同(横路孝弘君紹介)(第三八〇二号)
 同(横山利秋君紹介)(第三八〇三号)
 同(北側義一君紹介)(第三八八二号)
 同(伏木和雄君紹介)(第三八八三号)
同月三十日
 ILO条約第百十一号、第百三号及び第八十九
 号の批准等に関する請願(河上民雄君紹介)(
 第三九七三号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第三九七四号)
 同(坂口力君紹介)(第四一一三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航
 海条約の締結について承認を求めるの件(条約
 第一号)
 経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定
 の締結について承認を求めるの件(条約第二
 号)
 米州開発銀行を設立する協定の締結について承
 認を求めるの件(条約第四号)
 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸
 棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び
 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸
 棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締
 結について承認を求めるの件(第七十五回国会
 条約第六号)
     ――――◇―――――
#2
○鯨岡委員長 これより会議を開きます。
 日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件、経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件及び米州開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 まず、政府より、それぞれ提案理由の説明を聴取いたします。塩崎外務政務次官。
    ―――――――――――――
 日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件
 経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件
 米州開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件
    〔本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○塩崎政府委員 ただいま議題となりました日本国とハンガリー人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 昭和四十一年二月、ハンガリー側より、わが国との間に通商航海条約の締結を希望する旨の提案が行われ、政府は、昭和四十四年十一月に東京において、交渉を行いましたが、当時ハンガリーはガットの加盟国でなかったため、条約案文中のガット、国際通貨基金との関係に関する規定の取り扱い等をめぐり合意に達することができませんでした。しかるに昭和四十八年九月にハンガリーのガット加盟が実現いたしましたので、その後ハンガリー側より交渉を再開したい旨申し入れがあり、政府は、昭和四十九年十二月に東京において再度交渉を行いました結果、条約案文につき最終的合意を見るに至り、昭和五十年十月二十日に東京において、わが方宮澤外務大臣と先方ビーロー外国貿易大臣との間で、本件条約の署名調印が行われた次第であります。
 この条約は、本文十二カ条及び議定書から成っております。この条約は、出入国、旅行居住、滞在、租税、事業活動、関税、輸出入制限等に関する事項についての最恵国待遇、身体・財産の保護、出訴権、商船の出入港、積取権に関する最恵国待遇及び内国民待遇、海難救助に関する内国民待遇を相互に保障しているほか、拘禁の場合の領事官への通報及び領事官との面会・通信、仲裁判断の執行、科学・技術に関する知識の交換等について定めております。この条約の締結によりわが国とハンガリーとの間の通商及び海運関係は、一層安定した基礎の上に促進されるものと期待されます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、経済協力開発機構金融支援基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 昨年一月にワシントンで開催されました十カ国蔵相会議は、世界経済に重要な比重を占める先進諸国が国際収支上の重大な困難に直面し、輸入制限その他の一方的措置等をとるようになれば、ひいては、開発途上諸国の経済を含む世界経済全体を危殆に陥れるおそれがあるとの認識に基づきまして、このような事態が生ずることを回避するための各種構想について討議を行いましたが、この結果、OECD加盟国の間に相互扶助的な金融支援制度を一定期間設立することを合意いたしました。この協定は、この十カ国蔵相会議の合意に基づき、OECDの特別作業部会で具体的な内容について検討を行った結果案文が確定し、昨年四月に署名されたものでありまして、世界経済に不測の事態が起こることを回避し、また、その順調な回復及び安定的発展のためのOECD加盟国間の協力関係を促進するものとしてきわめて重要な意義を有するものと考えられます。
 わが国といたしましても、以上の趣旨に照らし、このような先進諸国の相互扶助的な制度に参加することは国際協力の観点からも望ましいのみならず、世界経済の動向に大きく依存するわが国経済の安定及び発展を確保する見地からも有意義であると考えられます。
 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、米州開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 米州開発銀行は、中南米地域の経済開発の促進を目的として一九五九年に設立されました。以後、同銀行は、地域的協力機関としての実績を着実に重ねてきましたところ、中南米諸国の同銀行に対する資金需要の増大に伴い、同銀行の資金調達能力の拡大が強く要請されるところとなりました。このため、同銀行は、一九七二年三月に協定を改正し、当初米州機構の構成国のみに限定していた加盟資格をカナダ並びに国際通貨基金の加盟国である域外国及びスイスに開放し、域外国と加盟交渉を行ってきました。一九七五年二月に域外加盟予定国十二カ国の政府と銀行事務局との間に域外国加盟に係るすべての問題につき合意を見るに至りまして、この合意に基づき、協定改正案及び域外国の銀行への加盟を規律する一般規則案が作成されました。
 同銀行は、中南米地域の開発途上にある加盟国の経済的及び社会的開発のために融資活動を行っており、地域開発金融機関としては、最大の資金規模及び豊富な実績を有しております。同銀行を設立する協定は、銀行の設立、その目的、財源、業務、組織及び運営、特権及び免除等について規定しております。また域外国の銀行への加盟を規律する一般規則は、域外国の加盟手続、域外国の当初の出資額及び拠出額並びにこれらの払い込みの方法等を規定しております。
 わが国は、開発途上国に対する経済協力の重要性にかんがみ、従来より、二国間の経済協力を通じて、また、国際復興開発銀行等の世銀グループ、アジア開発銀行及びアフリカ開発基金等の国際機関を通じて開発途上国の経済的及び社会的開発に貢献するよう努力してまいっております。わが国がこの協定を締結し、中南米地域の開発に重要な役割りを果たしている米州開発銀行に加盟することは、同地域に対する多数国間援助を推進するとの見地から意義があり、また、わが国と中南米諸国との友好関係の促進にも資するものと考えられます。なお、米州開発銀行に対するわが国の当初の出資額及び拠出額は、合計一億三千七百四十五万七百五十合衆国ドルを予定しております。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上、三件につき、何とぞ御審議の上速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#4
○鯨岡委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 各件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
#5
○鯨岡委員長 次に、第七十五回国会から継続になっております日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 お諮りいたします。
 本件の提案理由説明につきましては、すでに第七十五回国会において聴取いたしておりますので、これを省略することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○鯨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定及び日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の締結について承認を求めるの件
    〔本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#7
○鯨岡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山正暉君。
#8
○中山(正)委員 ただいま委員長から前国会からの継続案件として御提案のありましたいわゆる日韓大陸棚協定について自由民主党委員として御質問を申し上げたい、かように考えるわけでございますが、懸案の問題でございまして、特に昭和四十九年の一月三十日、本協定が署名をされておりますが、二年余りの歳月がたち、韓国側はすでに一昨年の十二月に国会の承認を得ております。わが日本の国会はロッキード問題その他で大変空白が続き、残念なことでありますが、あと余すところ会期がわずか五月二十四日までという状態になりました中でこの問題が審議をされることは、エネルギ問題、資源問題というものが日本の経済を左右する大変大きな問題になっておりながら今日になったということはまことに残念でございます。
 まず、私、前国会は外務委員会の委員ではございませんので、前提としてお伺いを申し上げたいことは、日本近海の石油資源が現実的に日韓両国で話題になりましたその経過と申しますか、一説によりますと、アメリカが沖繩近辺に海底ミサイル基地をつくるときにいろいろ掘削をしていた、そのときに有力な鉱脈があるということが発見されたという話もあったり、それからまともに出ております話としてはエカフェ、国連アジア極東経済委員会が台湾と日本の間の海域の調査をしているときにこれが発見をされたというような話を聞いております。有力な、あるいは世界最大の規模ではないかと言われる海底石油資源が、今日この条約案件となって国会に提出をされましたそのいきさつをひとつ政務次官からお伺いをしたいと思います。
#9
○塩崎政府委員 ただいま中山委員がすでに触れられました経過をたどってまいりましたのがこの日韓大陸棚協定でございます。一九六八年に実施されましたエカフェの調査で、石油の賦存が世界的にも有望だとされたのがこの東シナ海の大陸だなの北部でございます。そこで、昭和四十五年に韓国政府が外国企業に対しまして大陸だなの石油の開発権を与えたのでございます。ところが、この韓国側鉱区は日本側の鉱区出願区域と南部におきまして、南部と申しますが九州の西方でございますが、重複する部分が多かったわけでございます。そこで、日本政府といたしましては直ちに韓国政府に話し合いを申し入れましたが、日本側の主張、つまり大陸だなに関しますところのいわゆる等距離中間線論でございますが、その法的主張と韓国側の主張、つまりいわゆる自然延長論に基づくものでございますが、これが平行線をたどってきたわけでございます。そこで、このような経過を経ながら、昭和四十七年に韓国側から重複している部分についてはひとつ共同開発をやろうではないかという構想が提案されましたので、日本政府がこれに応じまして、現実的な解決として選択いたしましたのがこの大陸棚協定として実を結んだものでございます。
#10
○中山(正)委員 日本は九九・七%に上る石油を海外から輸入をしているわけでございます。前国会ではむしろ核防条約が審議をされて、日韓大陸棚協定はわずかの時間、自民党の一議員が質問をしたのみにとどまっておるわけでございますが、核防条約についてはずいぶん外務省熱心におやりになったわけでございますが、一衣帯水、真に隣接をしております国家でございます。特に最近は耶馬台国はどこから来たかとかいろいろな話題になっておりますいわゆる兄弟国としての韓半島とわれわれの関係で、私は近隣諸国を大切に外交的にするというお立場に立っておられる外務省としては、もっとこの問題に熱心にお取り組みをあそばしておって当然ではないかと思うのでございますが、核防条約についてはパンフレットその他いろいろなPRがなされておりましたが、この日韓大陸棚協定に関する問題はむしろなおざりにされておったような懸念があります。その点外務省は、この条約の批准に対していかなる御熱意、御熱情を持って今日まで当たってこられたか、その点もお伺いをしたいと思います。
#11
○塩崎政府委員 核防条約に熱心であったが大陸棚協定についてはなおざりにされたのではないかという御質問でございますが、外務省といたしましてはそのような考えは全くございません。核防条約についても、日韓大陸棚協定についても同じような熱意を持って国会にお願いしてまいったわけでございます。しかし、国会の審議の順序が核防条約に続きましたために、そのような印象を与えたことは大変遺憾に思うところでございます。日韓大陸棚協定は二国間条約でございますので、外務省としては何としても熱意を込めて今国会で成立をお願いしたいと思うところでございます。
#12
○中山(正)委員 最近新聞で拝見するところによりますと、わが国の西山韓国大使が韓国政府側に呼ばれてこの協定に対する催促をされたという話でございますが、そういうことがございましたでしょうか。その内容についてお伺いをいたしたいと思います。
#13
○塩崎政府委員 ただいま御指摘のように、韓国は四十九年の十二月にすでに批准を完了いたしておりまして、日本側にも早く批准をしてくれという要請がたびたびございます。西山大使もたびたびそのような角度で接触を求められておるようでございますが、具体的には四月二十六日に朴外務長官から、韓国内部にはいろいろと意見があって、今会期中に批准をしてもらわなければ韓国側が一方的に、つまり単独開発に着手しろという意見があるけれども、しかし日韓関係から見てこのような事態は好ましくないという話があったことは事実でございます。そこで、西山韓国大使に対しまして、私どもは今国会内にぜひとも批准が実現するように努力するから、単独開発等の一方的行為に出ないように希望は表明さすように申し上げているところでございます。
#14
○中山(正)委員 この大陸だなは、いまも政務次官のお話にありましたように、海洋法会議の進行とともに、いろいろな関連近隣諸国の問題がございます。海洋法会議は三月十四日からニューヨークで開かれておりますが、この問題と関連をして、いま韓国が独自で開発をするというお話をむしろ日本政府は自重をしていただくような申し入れが朴外務部長でございますか、西山大使との話し合いの中にあったと言いますが、海洋法会議の進展によりますと、大陸だなの自然延長線論の方が優位を占めてくるという話をしております。その単独開発の問題と関連をして、海洋法会議とこれとの関連性についてお伺いをしたいと思います。
#15
○塩崎政府委員 先般来海洋法会議がニューヨークで開かれたわけでございますが、確かに自然延長論の方が優位であるというような印象を受けたのでございます。しかしなおまだ結末を見ておりません。したがって、単独開発論に法的な根拠があるとは思いませんが、これらの経過につきまして政府委員から御説明させていただきたいと思います。
#16
○伊達政府委員 ただいま政務次官からお話がございましたように、海洋法会議でこの大陸だなの問題は、ほかの主要問題とともに一つのメインな問題として論議されているわけでございます。現在、先生もおっしゃいましたように、大きな大陸だなを持つ国、これがかなりの有力国でございまして、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア等を含めました有力な国々が自然延長論というものを強硬に主張しておりまして、それらの国の声が大きく、かなりの優位を占めてきつつあるという状況にございます。もちろん結論がまだ出たわけではございませんが、しかし大勢といたしまして、そのようなことになってしまうのではないかということが危惧されるわけでございます。
 この条約との関係におきましては、今度の海洋法会議による海洋法条約というものができまして、大陸だなにつきまして自然の延長説というものが相当大幅に取り入れられたものができるといたしましても、日韓間に横たわる問題につきましては、一般的に当てはまるような細かい原則というものが出てくることはない、このように私どもは考えているわけでございます。と申しますのは、世界の地形、また地質というものは千差万別でございまして、一つの大陸だなないしはいろんな海溝等を含む地形におきます大陸だなの隣接する国、ないしは相対する国における分割の原則というものはきわめて抽象的なものにならざるを得ない。したがって、そこで直ちに日韓間に当てはめて適用される原則というものはできてこないということは、私はある程度の確信を持って申し上げることができると思うのでございます。したがいまして、どんな境界画定の原則ができるといたしましても、日韓間ではやはり両国間の合意によって定めるということが基本的な原則、やはり二国間で話し合わなければならない問題であるということになると思うのでございます。
#17
○中山(正)委員 先ほど外務省としては、この大陸棚協定の批准に非常に熱意を持ち、情熱を持って今日までやってきたという話がありまして、私もそのとおりだと政府側の意欲というものを評価いたしますが、むしろ、政府与党の方にいろいろな議論があったと思います。国際慣習にどうも反しているのじゃないか、いまの話の逆でございますが、伊達さんと逆のことを考えている自民党の中に、大陸だなの決め方は将来に禍根を残すだろう、それから商工委員会にかかっております特別措置法がまたこれ予測がつかずに、本条約の足の引っ張りになるのではないかという心配、それからまた、韓国の石油に対する意欲というものは大変並み並みならぬものがある、むしろ日本の石油問題なんかと比べものにならないような深刻さがある。それから、それらの意見を背景にいたしまして、いま一番、お隣の国ということで話題をまいております中華人民共和国との話し合いの問題でございます。中華人民共和国も自然延長論をとっていますが、一体中国との話し合いというのは、表裏別にいたしまして、国交が正常化されているわけでございますから、この問題に関して話し合いが持たれているのかどうか、参考に教えていただきたいと思います。
#18
○大森政府委員 この協定の対象地域となっておりますいわゆる東シナ海の大陸だなにつきましては、日本、中国、韓国などによって囲まれておりまして、この大陸だなの境界の問題は、正当な発言権を持つ関係者相互の間で何らかの形で合意によって処理されることが必要であることは、言うまでもないところでございます。このためには、全関係者が一堂に会して全体にわたる一括合意を遂げることが最も望ましいところではございますが、現在全関係者の間に国交が存在しているわけではなく、近い将来にこのような話し合いが実現する見通しがないということ、また石油資源開発はわが国にとって急務であるということにもかんがみまして、次善の策といたしまして、まず本件大陸だなのうち、日韓にまたがる部分に限りまして日韓間で話し合いを行ったのがこの協定でございます。
 このように本件協定は、法律的に見て、中国との関係で中国の権利を侵さないように慎重に配慮してつくってあるものでございますが、日中友好の基本精神が損なわれないようにとの観点から、協定署名の前後を通じまして、わが方といたしましては中国側に対し、誠意を持ってわが国の立場について説明を行ってまいりました。また日中間の大陸だな境界問題については、中国側が希望するのであるならいつでもわが方としては話し合いに応ずる用意があるということも再三にわたり伝えてあるところでございます。
 わが国としましては、中国が一九七四年二月四日の外交部スポークスマン声明に示されておりますように、自然延長論を主張しておりますこと、及び東シナ海の大陸だなは、中国と関係国が話し合いによっていかに区分するかを決めるべきであるとする立場をとっておることは十分念頭に置きまして、今後ともこの協定についてのわが方の考え方を誠意を持って中国側に説明し、理解を求める考えてございます。
#19
○中山(正)委員 同じような問題が北朝鮮との間にもあると思います。北朝鮮はカラカスの海洋法会議での一般演説の中で、朝鮮はいま二つに分かれている、南半分は米帝国主義に支配され、日本帝国主義勢力に侵食されている、海洋の独占をねらう日本帝国主義が南半分との間で結んだ漁業協定や大陸棚協定をわれわれ政府はとうてい許すことができないし、無効である、こういうふうに演説がなされておりますが、今度はUNCTADのいま行われておりますナイロビでの会合で、わが代表であります木村議員がパーティーに北朝鮮を招待するというようなことが行われておるわけでございますが、こういう態度の北朝鮮と、そしてUNCTADで木村議員が北朝鮮を招待される。表でやっていることと裏でやっていることとが全く違う。特に政府与党、自由民主党という党が、この協定を最初は核防条約との抱き合わせ論があったのにこれが切り離されて――むしろ私なんかはこうして質問していながら、この条約を絶望的な思いでいま質問をやっているわけでございますが、一体こういう外務省の態度というのはこれでいいのでしょうか。
#20
○塩崎政府委員 北朝鮮との間に国交がないわけでございますので、北朝鮮がこれに対しましていろいろの意見があったことはどのように考えていいか、なかなかむずかしい問題でございまするけれども、やはり国交の関係のある日韓の大陸棚協定を私どもは正しいものと考えてまいりたいと思います。
 それからUNCTADの件につきましては、これはもう木村代表がお考えでやっておられることでございますし、そういったことが適当であるかどうかいろいろ問題もございましょうが、パーティーに招待するというようなことはひとつ許されることではなかろうか、こんなふうに私ども考えております。
#21
○中山(正)委員 日本の国内の動きには大変不思議なものがいろいろとあるわけでございます。たとえば先般も自民党の北朝鮮訪問団、田村元議員を団長とする訪問団が参りました。それ以外にも韓国内での反政府活動、金大中事件というのが起こっております。私は以前に内閣委員会のときでありましたが、外務大臣に御質問を申し上げたことがありますが、金大中事件も大変不思議な事件でございます。金大中氏が日本にいなくなったときは、金大中氏は韓国政府のパスポートを持っておりませんでした。伺ってみますと、あの年、七三年でございましたが、一月五日に日本に入ってこられて、二月二十七日にパスポートが切れております。切れておるやつを、それをアメリカのライシャワー大使と日本の宇都宮徳馬議員がいろいろと折衝をした結果、渡航文書をとられて、そしてその後にアメリカへ出られて、再び日本に帰ってこられて、おられなくなった。私がもし外務大臣でございましたら、仮にも韓国の大統領候補ともあるべき人が韓国政府のパスポートを持ってこないならば、水際でお断りするのが当然だということをあの当時大平大蔵大臣に申し上げたことがございます。それを日本に入れておいて、特に自民党議員の紹介によって金大中氏が日本国内に入られた。アメリカの日本の大使をしておられたような要人と、自民党の内閣総理大臣の非常に親しい立場にある議員さんとの紹介で、韓国の反政府活動をしておられると思われる金大中氏が日本に入ってこられて行方不明になった、こういう態度と日本政府の現実にやっておるやり口、そして韓国との友好を説きながら、隣接国家との関係の善処を説きながら――外務省が熱意を持っておろうとおるまいと、自民党の国会対策の中で日韓大陸棚協定の批准をある意味では意識的におくらせているような感覚が見えるところが私は大変――いま友好ということを外交の基本にして日本は核防条約の批准をして、もう戦わないということを、核では日本の防衛はしないということを宣言したわけでございますが、そういう中に大変大きな矛盾を含んでいるんじゃないだろうかという感覚で、一政治家として、若輩政治家としてではございますが、将来どうあろうとも、いま日本のとるべき態度として非常に正しくない態度ではないだろうかという心配を私はいたしております。韓国側が西山大使を呼ばれてそういう日本の良識派に期待をするような話をおくればせながら、遠慮がちながらやっておられることに対して、これは本当は大臣にお伺いをしたいわけでございますが、政務次官でいらっしゃるけれども、大物政務次官でございますので、ひとつ大物政務次官の政治家としての御感覚を私はお伺いをしておきたいと思います。
#22
○塩崎政府委員 金大中事件につきましてはいろいろのいきさつがあったことはもう御指摘のとおりでございます。しかし、これに対する政府の態度も明確であることも御承知のとおりでございます。私は、この日韓大陸棚協定は金大中事件と全く関係のない、本当に緊迫する資源問題の大きな解決策の一つとして、ぜひとも今国会で成立さしていただきますことを心からお願いしたいのでございます。
#23
○中山(正)委員 政務次官の御熱意のほどをここで私も大変大きく期待を申し上げるわけでございますが、私は歴史的に見て――歴史は鏡だと言われております。昔から正式の日本の歴史上の政府が増鏡、吾妻鏡という鏡ということばをつけているのは、ときどき出して映してみろということだそうでございますが、この百年、アジアの歴史を見ておりますと――歴史話で恐縮でございますが、これもときどき出して映してみるつもりで申し上げるわけでございます。
 一八二〇年ごろだったと思いますが、英国が中国へ入り――中国というのは中華、おれは真ん中の華だ、北の方にいるのは北狄という野蛮人で、西の方にいるのは西戎という野蛮人、東の方には東夷という日本などの野蛮人がいる、南の方には南蛮という野蛮人がいて、周り全部野蛮人に取り囲まれて、自分のところは真ん中の華だ、中華と申しております。いまでも中華人民共和国、真ん中の華だという。世界はおれしかないのだという態度で一八〇〇年代を乗り切ってきたわけでございます。そこで一八四〇年アヘン戦争が起こりました。その当時は御承知の銀本位制、テール制度でございましたから、中国から絹が出ていく、茶が出ていく。いまリプトンティーなどという中国のお茶が英国から世界じゅうに流れているのを見ましても、いかにそのときに英国の財政支出がそのために大きくなったか。今度はインドを植民地にした英国が、インドで中国人の好きなアヘンの栽培をして、そしてそれを中国に売り込んだことが御承知のアヘン戦争でございます。日本はそのアヘン戦争を見ておって、中国のようにはなりたくない。一八五三年、ペルリが「サスクエハンナ」とか「ペンシルバニア」とかいう四隻の軍艦を率いて浦賀に入ってまいりまして、日本が開国をしたことはもう言うまでもないことでございますが、その当時の日本の政治家と中国の政治家との力量の差が百年の後の歴史に出ていると私は思うのです。日本は維新の政治家たちが大変に努力をしたために、アメリカは日本という小さな、アメリカの二十六分の一しかない国でございましたが、大砲を撃たずに、不平等条約ではありましたが、アメリカとの関係が今日できてきました。当時の逸話の中に、アメリカという国をどんな名前で呼ぶか、いま不平等条約を結んでいるがいずれはアメリカを食うような国になろう、それでは日本人は米を食うから米国というのはどうだというような話まで出たという話です。中国と韓国と日本とは同じ漢字を書く国だから同じだとよく言いますが、中国や韓国はアメリカのことを美しい国、美国と言っております。日本は米国と言っております。全く違うわけであります。その中でなぜ中国がアメリカのことを美国と言うか、これは南から入った英国が揚子江を、北からロシアが侵略をしてきて満州に入り、揚子江で中国を分断をする政策を英国とロシアでとったときにアメリカがその仲介の労をとった。先進国であるのに何と美しい国であろうかというので美国となったなんという逸話が残っていると言われるほどのことでございますが、そのときチベットが中国から離れ、ベトナムがいまと全く――歴史は繰り返しております。かつてベトナムは離れたのですが、いままた中国に隣接をして、ベトナムが、インドシナ半島が完全に共産側になりました。歴史は繰り返すと言いますが、確かに繰り返しております。かつて七百年間、仏領インドシナと言われるまでは中国の領土でありましたが、清朝政府が力が落ちてきたときにインドシナ半島が離れていき、そして蒙古が離れ、チベットが離れ、ただ一つくっついておったのが韓国でございます。その弱った清朝政府の圧力が韓国へ伸びた。それに力のついたロシアが上に乗ってきたのが例の明治維新当時の日本の周辺の事情、釈迦に説法みたいな形になって大変恐縮でございますが、その中でロシアはその弱り切った清朝政府を利用して朝鮮半島に極東木材会社、鴨緑江木材会社という架空の木材会社をつくって、そこに軍服を脱いだ軍人を送り込んできたことが、明治維新の元勲西郷隆盛あたりが征韓論を唱えた理由であったと思います。そこで、清朝は弱った中で韓国にかいらい政権の閔一派を立てて、御承知のように事大党という党をつくりましたが、日本側についたのが独立党でございます。金玉均とか朴泳孝というような勇士が出てまいりまして日本側につき、北側、帝国主義ロシアとそれから清朝政府の側についたのが閔一派で、ちょうど百年前も、いまソビエトと中華人民共和国を背景にして北朝鮮がいて、日本側に友好的な朴政権がある状態は、まことに不思議なことに歴史がそのまま繰り返しているという実感を私は持っております。この中で、いま残念なことには日本に西郷隆盛がおりません。いま朝鮮半島の怪しげな中に、かつて閔一派と組む人間は日本にはいませんでした。清朝政府と組む人間はいませんでしたが、御承知のように、外務省の大先輩であります竹添公使が明治十七年ごろにおられて、その竹添公使がおられたときに、事大党の圧力に圧迫をされた独立党の朴泳孝、金玉均が御承知のクーデターを起こした。むしろ韓国で清朝政府が日本の居留民を大虐殺をした事件が過去百年のうちで中華人民共和国、中国と日本との関係だと私は思います。まだできて二十六、七年しかなっていない国に、何で百年分も御迷惑をおかけしましたと言って謝ったのだろうかと思って、かつて日中国交回復のときに不思議でならなかったことの歴史的背景が、実は私が根底に持っておりますのがそれなんです。一九四九年にできた中華人民共和国でございますから。
 その中で、歴史話を長々といたしましたが、いま日本の安全ということを考えるならば、韓半島、朝鮮半島というものがなおざりにできないということはもう言をまちません。ところが一九四九年に中華人民共和国が独立をしたその五カ月後に、ソビエトと中ソ軍事同盟条約を結んでおります。私は中国とソ連とは仲が悪いとは思っておりません。なぜかと言えば、中ソ軍事同盟条約は一九八〇年までありまして、自動延長は五年ごとということになっております。そんな軍事同盟を結んでいながら、中ソが国境で紛争を起こしているということはどうも私は信じがたいような気がするわけでございます。
 その中で、いま朝鮮半島、韓半島でわれわれがやっていることと言えば、日本の古くなったマグロ漁船を韓国にどんどん売りつけて、それでマグロをとってきたら持ってくるなと言う、それから今度は日本で繊維パニックで古くなった織機をどんどん韓国へ出して、韓国で生糸をつくってきたらそれは買えないと言う。ところが日本の十分の一の国民総生産しか持っていない韓国に対して、二十四億ドルの外貨の赤字がありますが、そのうちの十二億ドルは日本分だと言われております。半分が日本向けの赤字だと言われておりますが、韓国は六十万の軍隊で北朝鮮との国境を十八個師団で守っておりますが、その国に対する経済援助の問題、さあどこに汚職があるのだ何だかんだという話で、韓国との友好関係にひびが入るような懸念がいろいろと考えられるわけでございます。アメリカのパレットという国会議員が三、四日前に、韓国の防衛は日本に任せるべきだと言っておりますが、アメリカが押しつけた憲法で日本は海外派兵をできないことになっておりますが、かつて軍事的な争いで問題の解決をした日本が、百年後の日本の安全を期すため、もうとにかく心だけをもって韓国にいろいろな政治的な配慮で日本の安定を期すためには、野党の皆さんも軍事で戦わないのだとおっしゃるのならば、本当に日本がこのアジアで安定をするためには、ある意味での大きな心による韓国への経済援助というものをいかにすることが必要であるかということを考えるわけでございます。
 特にソウルに行ったときに私は言われました。韓国の方から日本を見たら北海道、本州、四国、九州、日本は心という字を書いていますよ、大陸の方から見たら日本は心と読めます。こういう話を私は聞いて実に打たれたわけでございますが、現代の西郷隆盛として塩崎潤先生は経済問題特にお得意でございますが、どんなふうに韓国との経済問題を考えていらっしゃるでしょうか。前段が大変長かったものですから質問の部分が短いので大変恐縮でございますが、政治家として、特にかつて大蔵省の指導者として、いろいろと韓国問題はそのいいおつむの中にあることだと思いますので、ひとつ参考までに聞かしていただけたらまことに幸いだと思います。
#24
○塩崎政府委員 いま日韓あるいは日中間の歴史について大変詳しい御教示がございましたので私もいろいろ勉強させていただきました。私も税法よりももう少し歴史を勉強した方がよかったと思ったのでございますが、いまからでは遅いようでございます。しかし、いまおっしゃったような歴史は十分私どもの心の中に刻み込みまして、さらにまた十分国民の民意を反映するような態度でひとつ日本の韓国に対しますこの経済援助を十分にし、また慎重に行いたい、こんなふうに考えていきたいと思います。
#25
○中山(正)委員 どうぞひとつ政府部内におかれて大いに御努力を願い、できますなればその間に解散という問題があるかもしれませんが、私はこれはひとつ引き続き早期にこの条約が批准できるような御配慮を政府の皆さん方にお願いをする次第でございます。
 それから先ほど北朝鮮の問題も言いましたが、いまUNCTADに行っていらっしゃる木村大臣のときに朝鮮半島、韓半島には二つの政府があるとおっしゃったわけでございます。おかしなことに中国に二つの政府があるとわれわれが言ったときは、全然、いや中国は一つだと言いながら、韓半島には二つの政府があると言い切った方がいまUNCTADに行っていらっしゃるわけでございまして、不思議な話だとは思うのでございますが、中国に完全にあります二つの政府のうちの中華民国、これもやはり東シナ海、台湾周辺でチャイニーズ石油と米国企業六社が鉱区権を設置しまして、いまいろいろとこの開発の努力を進めているということでございますが、中華民国と亜東協会を通じて何か話をしていらっしゃいますでしょうか。
#26
○中江政府委員 東シナ海の南の部分につきましては、日本政府といたしましても、どういうふうにこの地域の大陸だなを開発するかということについての基本的な方針をまだ立てておりませんので、したがいまして、中国との間にもあるいは台湾の当局との間にも本件については話し合いはしておりません。
#27
○中山(正)委員 できるわけないと思います。正常な関係がいま断絶をしておるわけでありますからこれはできないことだと思いますが、事実上の関係はいろいろと配慮するということでございますから、将来ひとつこの問題も御留意を願っておきたいと思います。
 そこで、いまの日本の石油事情、通産省来ておられたら一体どんなことになっておるか御説明をいただきたいと思います。
#28
○左近政府委員 現在の日本の石油事情を簡単に御説明を申し上げたいと思います。
 現在日本の消費いたします総エネルギーのうちの大体七六、七%を石油に依存しております。したがいまして、日本ではエネルギーの中心をなすものが石油であると言えると思います。しかも、そのうちのまた九九%以上を輸入に依存をしておるということでございますので、結局日本はこの輸入石油に大きく依存しているという形になっております。
 将来の姿といたしましては、石油危機以来世界各国、ことに石油消費国といたしましては、石油の依存度を極力減らすようにいろいろ検討をしておりまして、御承知のとおり、アメリカなどもプロジェクトインデペンデンスということで輸入石油を減少することにいろいろ計画を進めておるわけでございますが、日本におきましても、昨年総合エネルギー調査会で石油の依存度を極力減らすべくいろいろ検討を続けたわけでございますが、しかしながら日本においてエネルギーの需要は今後も増大いたします。したがいますと、石油の依存度というものは大体今後十年間に七六、七%から六十数%までは減少できるという計算ができましたけれども、そのためには原子力とかLNGとかそういうものの輸入なり建設を極力図らなければいけない、なかなかむずかしいというふうな結論が出ております。したがいまして、石油の依存度は減少しつつも、今後も相当大きな役割りを占めるというふうに考えております。
 そういうことでございますので、今後日本のエネルギー源といたしましては、石油はここ数十年間はやはり大きなウエートを占めると思いますし、しかもその相当部分を輸入に仰がざるを得ないという現状になっておるということでございます。
#29
○中山(正)委員 それじゃこの日韓大陸棚協定の結果これがもし開発されたといたしましたら、いつごろ日本にエネルギーを供給することになって、そして大体一バレルどのくらいになるのですか。北海油田なんぞを見ましても、これは有力な油田があるということでございますが、採算が合わないという話があります。ですから、これは見通しとして何年ごろにどのくらいの値段で日本経済に貢献をするかという予測がない限り、これは大変妙な話になると私は思いますので、その予測をどんなふうに政府で立てていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#30
○左近政府委員 現在協定にございます共同開発区域については探査、試掘をやる期間が大体八年ということになっております。したがいまして、この協定が成立し、それからそれに付随いたします国内法令ができまして作業にかかりましても、やはり数年間は試掘に時期を要すると思いますので、現実に開発段階に入るのはやはりこの試掘期間の後半以降になるというふうに考えざるを得ないと思います。
 それからこのコストでございますが、コストにつきましては、試掘をいたしまして、その後相当な量が確認されますと開発段階に移行するわけでございますが、出てくる油の量、それから掘ります井戸の深さ等々によりまして大分異同が生ずるというふうに考えられます。北海油田につきまして現在どのくらいのコストで掘られておるかということをわれわれの方もいろいろ聞いておるわけでございますが、これも地域によって大分違うわけでございます。たとえばノルウェーの海域では、大体開発もわりあい早く進みましたので、一ドルないし二ドルだと言われておりますし、イギリスの海域ではやはり三ドルから五ドルぐらいのコストがかかっておるというふうに言われております。したがいまして、将来これから掘りますならば、やはりその後のいろんな物価問題等を勘案いたしますと、もう少しコストは上がるというふうに感じられますが、御承知のとおり、現在日本に入ってきております原油のCIFの価格というのは大体十二ドル強でございます。したがいまして、十二ドル強までのコストであるならば国内で十分使い得るということに相なるというふうに考えております。
#31
○中山(正)委員 この石油資本の問題というのは大変いろいろな問題があるわけでございます。私は、四度にわたる中東戦争、その最後の部分なんというのは実に不思議なことが起こったと思うのです。アメリカで七三年の十一月二十八日に、アメリカのロッキー山脈、ユタ、ミネソタ、ワイオミング三州にわたって二兆バレルのオイルシェールがあるということで民間六社に競売をいたしておりますことを御存じでございましょうか。
#32
○左近政府委員 御指摘のオイルシェールが賦存しておるということは承知いたしておりますが、それがそういう形に民間に競売がされたかどうかということにつきましては、私残念ながらいま存じておりません。
#33
○中山(正)委員 私、実はその当時、ちょうどアメリカのスポーケンで万国博覧会がありましたものですから、大阪で万国博にアメリカ人にたくさん来てもらいましたので、お礼の意味も兼ねてアメリカのスポーケンにも行かなければいけないと思って行って知ったことは、三ドルなら開発ができないが五ドルならば開発ができる、中東紛争のおかげで石油の開発が可能になった、OPECの石油が十一ドル六十五セントになったということで民間六社に競売をしている姿を見て、ははあ、これは何か中東紛争との間には仕掛けがあるなと私は実は思ったのです。それ以来、実は去年私、ちょうど労働政務次官をしておりましたときに、ILOの総会に出た帰りにイスラエルに行きまして、毎回言うことでございますが、イスラエルとヨルダンの国境のヨルダン川にかかっているアレンビーブリッジというところへ行ってみたのですが、ここはオープンブリッジということになっておりますが、見てみて、イスラエルの野菜や果物を載せた自動車がどんどんアラブへ出ていく、アラブの方からは機械や人を載せた車が入ってくる、川の手前でナンバープレートをつけかえて入ってくる姿を見て、これは不思議な姿だなと実は思ったわけでございます。日本でテレビやマスコミを見ておりますと、必ずアラブとイスラエルの激しい戦いの話しか出てきておりません。ところが、どうもあの現場へ行って見ております限りでは、イスラエル側の将校がヨルダン側の将校に、あの軍服を脱いでこっち側へ来たらジェルサレムの町でコーヒーが飲めるのだ、こう言う。それを見ておりますと、キッシンジャーが中東紛争が経過した段階ですっと出ていって、OPECの石油が十一ドル六十五セントに上がるとぴたっと戦争をとめて、そしてアメリカの山の中の石油が開発をされる、その採掘権が競売をされる。五年すると、七三年でございますから七七年ごろになると、そのオイルシェールが世界じゅうに出回る。OPECの石油がやたらに値段を上げられなくなってきたわけであります。その段階が来るとアラムコみたいな会社が、実はこれは背景はユダヤ資本でございますが、国有化されてもこれは採掘権を持っている、特許権を持っている連中は皆ユダヤ人でございます。確かにサウジアラビアの下には百五十億バレル、といいましてもアメリカの山の中で開発の競売がなされましたところにはサウジアラビアの百五十億バレルの百七十倍、二兆バレルという石油があるというのですから、これはアメリカ石油資本が去っていったらOPECの国はどうにもならなくなりますし、逆にアラブダラー、オイルダラーというものは全部ニューヨークの金融機関でちゃんと操作をしているといいますから、私はその状態を見ておって、これは石油には大変大きな仕掛けがあるなと思った。
 実はここに私は「セブン・シスターズ」という本を持っておりますが、これにいわゆるユダヤ・セブン・シスターズ、日本の新聞には七人きょうだいは泣いているなんという見出しは出ませんが、アメリカの新聞には大見出しで「七人姉妹は泣いている」、これはエッソとモービルとシェルとテキサコとそれからソーカルと、ガルフとブリティッシュ・ペドロリアム――BP、この七つの姉妹でございます。この七つの石油資本の中で、この本の中に書いてありますことでは中東の国の一国の財政すらも立てかえているところがある。大変石油資本を背景にした裏側にはいろいろな問題があると思うのでございますが、その裏側で最近アラブ寄りに日本の外交姿勢が大変急激に石油問題以来変わっている、こういうことが一体配慮されているんであろうか。イスラエルというものを背景にしたいわゆるユダヤ資本に対抗をして単純にアラブ側に寝返っていくことが、実はあのイスラエルが大変いじめられておったときですら、アメリカの百人の上院議員の中の七十六人がイスラエル支持のサインをしております。
 特に、今度ロッキード事件でもおもしろいのは、チャーチという委員長、これはもちろんユダヤ人でございますが、彼が二月十九日にソビエトユダヤ人大会にアメリカ人代表で自家用飛行機に乗って飛んでいっております。ベトナムに対する軍事援助を打ち切れという動議を上院で出した男がチャーチでございますが、そのいわゆるデタント派、ソ連派の協調の一番激しいチャーチ議員が、そのソビエトユダヤ人大会での演説は、ソビエトとの強硬な対決論をぶっております。それに対しまして、その直後に出たゴルダ・メイア、イスラエルの前の女の総理大臣が、逆にソビエトとの対決論をぶたなければならない立場であるのにもかかわらず、チャーチ議員は若くて――若くてといったって五十一でございますが、若くてこの男はどうにもならない、ソビエトと対決をしようというような時代ではない、ソビエトとの協調が大切であるというような話を実はしておるわけでございます。
 私、実はアラブの石油以来ユダヤ問題というのがどうも日本で余りにもわからなさ過ぎるのではないかと思いましたので、実はユダヤ問題、一生懸命に勉強を始めたわけでございますが、特にもう速記録にも載せていただくために一応読んでみます。
  ユダヤ国際資本の一例−国際石油メジャー八社の資本構成
  国際資本主義におけるユダヤ人の活動状況の一例として、最近注目されている国際石油資本(メジャー)についてみよう。
  ふつう世界の石油市場でメジャーと呼ばれているのは次の八社である。エクソン、モービル・オイル、テキサコ、ガルフ・オイル、スクンダード・オイル・オブ・カリフォルニア(以上五社は米国籍)、ロイヤル・ダッチ・シェル(英蘭合弁)、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP・英国籍)、以上の七社がいわゆる「セブン・シスターズ」といわれ、これらよりはるかに規模の小さいフランス石油(CFP・仏国籍)がある。
  これら八社が取扱っている石油の量は、一九五七年で原油生産ではアメリカを除く自由世界の九一%、中東地域では九五%に達した。その後、各国の独立系石油会社(いわゆるインデペンデント)が進出してきたので、世界の石油市場における占有率は次第に低下した。それでも一九七〇年で、世界の原油生産の五六・五%、石油精製の四七・七%、石油製品の六〇・二%を支配している。「そのため、いずれも巨大多国籍企業として発展し、ちょっとした中小国よりは、はるかに大きな経済力を持っている」といわれている。
これは週刊文春とかそういうものに載っているものを注に書いてございますが、それは省きまして、
  これらのメジャー八社のうち、ユダヤ人問題との関連の深い「セブン・シスターズ」について、その石油問題についてでなくユダヤ関係を主に検討しょう。
  エクソン=資産総額二一五億五、八〇〇万ドル(世界第一位)。
まずこれを読んでいると時間がかかりますので、その次に、
  モービル・オイル=七二年の総売上げ額九一億六、六〇〇万ドル。
  スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア(ソーカル)=七二年の総売上げ額五八億二、九〇〇万ドル。
  テキサコ=資産総額一二〇億三、二〇〇万ドル(世界第三位)。
  ガルフ・オイル=七二年の総売上げ額六二億四、三〇〇万ドル。
  ロイヤル・ダッチ・シェル=七二年の総売上げ額一四〇億六、〇〇〇万ドル(世界第四位)。
  ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)=七二年の総売上げ額五七億一、一〇〇万ドル(米国企業を除いて世界第四位)。
と書いてございますが、
  このようにメジャー八社の資本は国際的にもしごく入り組んでいて、どの会社がユダヤ系で、どれが非ユダヤ系だなどと単純に割り切ることなどとうてい不可能な状態である。少なくともユダヤ国際資本を基礎としているのがはっきりしている「エクソン」「ロイヤル・ダッチ・シェル」「ガルフ・オイル」「スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア」は当然であるが、その他の「モービル・オイル」「テキサコ」「ブリティッシュ・ペトロリアム」「フランス石油(CFP)」にも、ユダヤ系国際資本が重要な比重をもって参加していることは否定できないのである。
  とくに国際金融問題に重要な撹乱的作用をもたらそうとしているのは、“オイル・マネー”とか“シェイク・ダラー”などと呼ばれている中東産油国の膨大な外貨である。これらの外貨はふつう余剰ドルとなってヨーロッパの金融市場に流出することが多く、またすでにアメリカのユダヤ金融資本の総元締めともいうべきモルガン系の銀行やその他のユダヤ系銀行には数十億ドルのオイル・ダラーが積まれているといわれている。
  石油公示価格の値上げによってアラブ産油国が受け取る石油収入はどんどんふえている。たとえば、世界最大の石油王国サウジアラビアでは、七三年の石油収入約四七億ドル、同年末の金外貨準備約五〇億ドルと推定されている。もし今後、石油の公示価格が七一年のテヘラン協定の水準まで上り、原油生産量が「七〇年代末までに日産二、〇〇〇万バーレル(現在八〇〇万バーレル)まで引き上げる」とするならば、同国の金外貨は八〇年代の初めにはゆうに五〇〇億ドルを超えるだろう。「アラブ産油国が八五年までに受け取る石油収入は、しめて二、四〇〇億ドル。このうち半分を使ったとしても、なお一、二〇〇億ドル残り、全世界の石油会社の株式全部を買収できる額で……現在の全世界の金外貨準備を合わせた額と同じである」といわれている。
  これらのオイル・マネーが取扱われるのは、主として英国の国際金融センターであるロンドンのシチー、チューリヒやジュネーブなどのスイスの銀行街および米国のウォール街を中心とするニューヨークの金融センターである。これらの機関のいずれにおいても実権を握っているのはユダヤ人である。中東でアラブとイスラエルがどんなに戦争をくりかえしていようが、ユダヤ金融機関を通さなければならない。そのため「世界の三大金融センターをユダヤ系資本が握り、そこにアラブ・ダラーが結び付いている以上、アラブ・ダラーがそれほど無軌道な動きをすることはあるまい」といわれている。
  実際にアブダビ政府、クウェート政府、サウジアラビア政府などアラブ諸国政府の資金を運用したり、その債券投資のアドバイザーになっているのは、ロスチャイルド、S・Gウォーバーグ、ヒルサミュエルなどのユダヤ系の英国の大手マーチャントバンクやスイスユニオン銀行などである。英国の「多くのマーチャントバンクがアラブ産油国に財務顧問を送り込んだり、産油国政府の資金を預って運用していることは公然の秘密」で、また「チューリヒのスイス・ユニオン銀行はアブダビ政府のアドバイザーになっていると言われている」し、米国最大の投資銀行モルガンスタンレー、モルガン・ギャランティ・トラストなどの「ニューヨークの大銀行もアラブ産油国の“金融指南役”」になっているのである。
  だから「ユダヤ資本がなければシチーは骨抜きになるとも言われ、ウォール街やチューリヒもその点では変わりはない」のだから、アラブとイスラエルが戦っているからといって「ユダヤ資本の強力な存在を忘れてアラブ政策を打ち出すと、とんでもない落し穴にはまる恐れがある」といわれている。
  これらの膨大なオイル・マネーが世界の金融市場に流れ込んだ場合どうなるか。すでに先年のヨーロッパ金融市場の混乱のときも「産油国の余剰ドルが為替市場でのドル危機や自由金市場でのゴールドラッシュに大きな役割を果たしている」から、これらの膨大なオイル・マネーをいかに吸収していくかということに今後の国際金融の大きな課題があることになろう。そして、ユダヤ国際金融資本の問題としてみるならば、これらのオイル・マネーの吸収とその利用をめぐって、アメリカ系のユダヤ資本とヨーロッパ系のユダヤ資本との激しい競争が展開されるものと予想するむきもある。
こう書いてある。
 私が外務省当局にお伺いをしたいのは、一体こういう背景を配慮に入れて中東政策を考えておられるのかどうか。
 PLOの招待を社会党議員と争って自民党がPLOを自民党本部に呼んだ。これなどは、そういうことの問題を大変よくわかっている外国には大きな悪影響を及ぼしているのではないか。中東政策に対してこの配慮をどんなふうに考えていらっしゃるか、ひとつここでお伺いしてみたいと思う。
#34
○塩崎政府委員 ただいま中山委員からアラブ問題、さらにまたユダヤ問題について深い造詣のお示しがあったわけでございます。石油の安定的確保も大事でございますが、おっしゃるように外交というものはあらゆる複雑な要素を当然考慮して考えるべきだと思いますし、同時にまた国際的な公正な正義をバックに行うべきだと思うわけでございまして、アラブ寄り一辺倒というような外交の批判を受けては、これはもちろん本当に私どもは考えなければならぬと思いますが、いまのユダヤ人の金融面におけるところの大きな支配力、このような経済面における力も十分考えて私どもの外交を展開し、そして日本の国益を守る必要があろうか、このように考えます。
#35
○中山(正)委員 いわゆるシオニズム、シオニストの本拠と言われているのがイスラエル、それから南ア連邦、オーストラリア。オーストラリアに向かってはインドシナ半島の戦争という形でマレー半島を通ってオーストラリアに行こうという勢力もありますし、ポルトガルのクーデターというのは、南ア連邦に対して北ベトナムをつくるためのアンゴラ、モザンビーク問題。むしろロッキード事件なんというのは、世界の新聞からアンゴラ問題を払拭するための一つの策動であったという。日本では宮本顕治問題が払拭されたと言われています。これはもうほんのはすっぱのことでございまして、――――なんというのは余り気にもしていないだろうと思いますが、世界の中ではアンゴラ問題というのは払拭されたと言われています。そのイスラエルにはアラブをかからせる。ところが複雑なのは世界を放浪しているユダヤ人、たとえばアメリカのキッシンジャーとかロックフェラー、それからソ連にいるユダヤ人三百万人、アメリカに六百万人と言われております。その放浪しているユダヤ人といわゆるシオニストとして、南ア連邦、オーストラリア、それからイスラエルに定着しているユダヤ人の間で争いがある。定着しているユダヤ人を無視はできないが、逆にこれにソビエトあたりと結んで圧力をかけていこうという勢力の二つがあることを実は理解をしておかなければいけないのですが、それがさっき言いましたチャーチ委員長の発言とゴルダ・メイアの発言で、この両方の勢力がパレスチナの国をガザ地区なんかにつくろう、西地区につくろうという動きの中に協調が出てきているだけに、私は外務省に、よほどこの問題は注意をしながら、アラブの石油だといって急に乗りかえるようなことをしたら、世界の二つの思想の中でデタントで話し合っていこうという段取りを狂わす役割りを私は日本がしてほしくないということを、わかりにくい話でございますが、申し上げておるわけでございます。
 今度は防衛庁に伺いたいのですが、それがヨーロッパとアジアの中での米ソの取引になっている。なぜかというと、五年前からスエズ運河に沈められていた百七十隻の船をアメリカとソ連が主力になって引き揚げて、それが終わるとベトナムが共産側に渡された。そして大洋州の元の南洋諸島がアメリカの五十四番目の州になろうという協定にサインがされております。ということは、私はアメリカのアジア離れがぼつぼつ見えてきたと思う。
 そこで韓国でございますが、どうもアメリカが韓国を捨てようとしているのではないか。特に金大中はアメリカのCIAだと言われている。私がある種の人から聞いた話では、あの当時日本にいた公使連中、金大中事件に関連した人たちが、不思議なことに皆ロサンゼルスに亡命しております。たとえば金在権がそうでございます。金在権氏はアメリカに亡命しました。金大中を助けようという勢力と、あれを殺せという勢力が私は日本の近海できっと戦ったのだろうと思う。また不思議なことには、北朝鮮帰還船の万景峰号という船が、金大中が連れ出される晩に大阪湾におりました。これはまた不思議な事件でございます。事実は小説より奇なりと言いますからあれでございますが……。
 おかしなことに、韓国はキリスト教を非常に弾圧していると言いますが、私の調べました範囲では、一九五四年には教会は約四千しかありませんでしたが、七五年には二万三千にふえております。それから信者は百万人であったのが、いま四百万人にふえております。ロサンゼルスには百七の韓国系の教会がございます。牧師二百名もおります。それなのにどういうわけか、朴さんが宗教を弾圧するといって黒い十字架をつけたりしております。世界のキリスト教の動きというのもまことに不思議な動きをしておりますけれども、そんな話をしておりますと長くなりますから、それはいたしませんが、もし、たち悪く考えるならば、アメリカがアジアで一番成功した事件は李承晩を追放することだったなんて、CIAの人が堂々と言っている。ゴ・ジン・ジェムを消したのはCIAだと言っていますよ。ルムンバを消したのはCIAだと言っていますから、この順番でいくと、私はアジアでいま一番しっかりしているのはショウケイコクと朴正煕だと思っています。韓国大統領と台湾のショウケイコクが私は政治的に一番しっかりした指導性を持っているのじゃないかと思いますが、その朴が邪魔になってきた。アジアから鉄砲を撃たずに去る方法としては、文世光事件でああいう委員長の机のような角の丸いところに弾が当たって、それがはねて奥さんの方が亡くなってしまいましたが、あれで朴さんがもし消されていたら、金大中が出てきて金日成と南北統一の話をして、アメリカは鉄砲を使わずに去っていくという方法が、アジアを去るには一番都合のいい去り方。
 一月に私はアメリカへ行きましたが、ペンタゴンでウィリアム・T・クローという海軍少将に会って、あなた方はシュレジンジャーさんが言ったように韓国を守ろうと言っているけれども、おかしいのは、佐世保の基地の撤去である。佐世保の基地をなぜ撤去したか。韓国を守ろうという人が佐世保から去っていく、日本で一番韓国に近い基地を放棄したということは、あなた方は韓国での紛争から何とか逃げたいと思っている証拠だと思う。ラロックさんは、日本に来たアメリカの軍艦に核が載っていると言ったことの後に、アメリカが朴政権を捨てたときに朴大統領が千百発とか言われる米軍の核を抑えたら一体どうするのだというのが、議会の議論になっていた。また金化、鉄原、平康というあの第二トンネルが発見された。私も自民党の議員五、六名と一緒にあの第二トンネルに入ってまいりましたが、韓国状況を軍事的にどう評価されておるか、防衛庁に伺いたい。
#36
○冨田説明員 朝鮮半島におきます情勢に関しまして軍事的な観点から私どもの見方を申し上げますと、御承知のように朝鮮半島におきましては、韓国と北朝鮮が百万以上に達します強力な軍隊を対峙させておりまして、そのほかに、いま御指摘のありました非武装地帯におきますトンネルの発見でありますとかそれから越境事件でありますとか、あるいは海上におきます両者の紛争など、これが依然としてしばしば起こっておるような状態だと考えております。
 しかしながら、現在の朝鮮半島におきます軍事力の均衡という面で言いますと、在韓米軍が四万二千おりまして、また米国は再三にわたりまして韓国防衛の意思を公式には明確に示しておると思っておりますし、また軍事的な均衡も在韓米軍の存在によって図られている。
 また一方では、北朝鮮が友好協力相互援助条約を結んでおります中国及びソ連との関係でございますが、中国とソ連はこの地域での現状変更というものについては余り急激な変更がないということを望んでおると考えておりますので、韓国及び北朝鮮との間の先ほど申し上げましたようないろいろな紛争はございますし、今後もそれが発生する可能性があることについては否定はできませんけれども、これが大規模な武力紛争の事態に発展するということは強く抑制されておるんではなかろうか、このように考えております。
#37
○中山(正)委員 私が韓国で聞いた話ですが、地下五十三メートルのところ、二メートル四方のトンネルを一時間に二個師団、三万人が完全軍装で早足で通り抜けられる。それはどんなかっこうでやるかというと、韓国軍の服装をして、韓国軍の裏側へ出て、いざというときには韓国軍が分断をしたと見せるための地下トンネルであった。それは、北朝鮮側の柳大潤という大尉が韓国側に寝返ってしゃべったことがこの地下トンネルの発見につながったと言われておりますが、その後ベトナムが落ちましたので、私も、いまのお話のように韓半島では動乱という形で起こらない――私は、かつてはアメリカの大統領選挙、十一月時分が大変危ない時期ではないかと実は思っておりました。米軍が動けないようにするためにはアメリカの大統領選挙のときを利用するというのが、もし私ならばそのころが一番いいのではないかと思ったので、どうもそのころが危ないのではないか。
 特にここにもこんなことが書いてあります。「“軽いテッポウを作ってあげる”」これは北朝鮮の金日成さんが小学生に言っていることでございます。
  北朝鮮は国民皆兵の国である。一昨年、金日成主席は四大軍事路線の完成を指示した中で「全人民の武装化」「全国土の要塞化」を急げと国民に命令しているが、これに関する戦意昂揚テレビ映画がこのほど北朝鮮で放映された。このテレビは韓国の一部でもキャッチされたが、これを見た韓国民は、その異常な光景に驚きの目を見張ったという。
  記者も韓国訪問中にたまたまそのテレビを見たが、その内容は、男女中学生が校庭で、あるいは野営のキャンプ生活で軍事訓練に励んでいるところから始まり、そして射撃練習から突撃訓練、果ては白兵戦までやるところは、本職の正規軍なみ。
  大写しになった少年少女の表情はどれもこれも真剣そのもので、なかには実戦さながらの訓練に昂奮して、いたいけない顔を引きつらせている者もいる。ある少女のツルベ射ちした自動小銃のタマが全弾命中という説明つきで、マトが大写しに写し出されたのには、もう愛敬も通り越したという感じだ。
  訓練が終わったあと、金日成主席が少年、少女(青年近衛隊と呼ばれる。一八歳未満で編成、隊員七〇万人)を閲兵する場面が出てくる。つかつかと少年の前に近寄った主席は、彼にやさしくこういった。「きみはほかの者よりも小さいが、銃は重くないか。その腕では扱いにくいであろう。もう少し待ってほしい。きみたちのために必ずもっと軽い扱いやすい銃を作ってあげよう。」
  このあとナレーター曰く。「われわれの敬愛してやまない首領さま(金主席)の人民を思う心は海よりも深く山よりも高いことを示された。青年近衛隊の愛国少年たちは、彼らをやさしくいたわる首領さまの恩情にうたれて感激し、いっそう首領さまの敬愛の念を深めるとともに祖国のために訓練を励むことを誓い合ったのである」と。
こう書いてあります。大変北朝鮮の激しさ。
 「KGBのメキシコ乗っ取り作戦」というリーダーズダイジェストに載っていましたのを見ましても、メキシコのオリンピックのときに大暴動を起こした連中は、みんな東ドイツを通じて北朝鮮へ入れられて軍事訓練を受けております。現に「よど号」を乗っ取っていった連中、これもちゃんと軍事訓練を受けながら北朝鮮で仕込まれていて、やがて日本の共産党がつぶされるために多分帰ってくるんだろうと思います。私は宮本、不破ラインで日本の共産党は終わらないと見ておる男でございますから、そのときのために準備されている連中だと思いますが、その連中がいま仕込まれている現実を、われわれも「よど号」のことをすぐ忘れるわけでございます。
 こんなことを思いながら、おかしいのは、金日成が、ベトナムの陥落した後、毛沢東のところへ行きました。毛沢東のところへ行った後、ルーマニアのチャウシェスクのところに行きました。これは東欧諸国の中で――これもユダヤ問題に関係するわけでございますが、ルーマニアのチャウシェスクはユダヤ人でございます。不思議なことに、金日成が行きます数日前に、フォードとキッシンジャーが三十五カ国ヨーロッパ安保会議に出た後、ルーマニアに入っています。私は、これは予測でございますが、かつてポーランドのワルシャワで喬冠華といういまの中国の外務大臣とアメリカの大使が米中接近をやった。いま北朝鮮とアメリカはルーマニアのチャウシェスクのもとで接近をしていると私は見ております。それは、恐らくアジアから離れていくための話し合い。特に十年前のアメリカの防衛体制が二カ二分の一方式、大きな戦争を二つと小さな戦争一つをやると言いましたが、シュレジンジャー以来、一つの大きな戦争、アジアかヨーロッパか、それから小さな戦争一つという方式に変わったことは、アメリカはアジアとヨーロッパを同時に守れないということです。じゃどっちを守るか。もちろん親戚の多いヨーロッパに決まっています。アジアを捨てておいた方がアメリカは都合がよくなってきた。そのためにロッキード事件というのは、日本の自民党の高官氏名をいつまでも発表せずに――私は発表すべきだと思っております。発表しないと、全部がぬれぎぬをかぶって、十一月という限度で選挙をすれば、これは日本が落ち込んでいくわけでございますから、自衛隊をなくそう、安保をやめようという人たちが政権をとれば、守らなくてもいい日本ができるという大変うまい設定の中に、アメリカがアジア離れをしようという大きな芝居を打っていると私は見ておりますから、ひとつ自由民主党、政府、いままでのようにアメリカの言うことは何でも信じようということではなしに、アメリカとは協調はするけれども、この石油戦略の中、しかし大きな目で見れば何とか世界を一つにしようとする大きな中で、一体自民党が自主性をどこまで確立して、一番近い韓国、それから自由主義政治として残っておる――私は、キッシンジャーがキューバに行きかけておりますが、アメリカのそばにあるキューバとアメリカが和解をするときには、アメリカが台湾を捨てるときだろうと思っております。そのために、大洋州とのアメリカの五十四番目にするための協定を結んで、グァムに防衛線を引く。それは台湾、韓国、日本というものを、特にアメリカは最後の取引の材料として私は日本を考えていると思いますから、そんな手に乗らないように、特に韓国もいま孤独を感じつつあるでしょう。パレット発言、それからアメリカの中での韓国いじめ、日本での韓国いじめ、われわれ自由主義者というのは気がいいですから、すぐに韓国いじめをする人たちと一緒になってマスコミにうまく書いてもらおうと思って迎合をする人たちがいますが、私はそういう傾向とは全く心を一つにしておりません。
 きょうもNHK問題が囲みの中に出ておりましたが、おかしなことに、北朝鮮でNHKが取材拒否をされたか何かの話がこのカレントの五月号に出ております。これが何にも問題にならない。特に安東から北朝鮮に入ろうと思ったら、全部カメラに封印をされた。ところが日本の記者の人たちは皆なれていますから、みんなテープを取って、写しておったら、それが安東に着いたときに大変問題になったのを山口淑子さんの流暢な中国語で助けてもらったという話を聞いております。そういう国との接触をして、あの貧乏な――貧乏なと言えば失礼ですが、日本よりも大変貧乏な韓国が六十万の軍隊で、わずか四千メートルでわれわれと全く相入れない思想との対決をしている。これに留意をしなければ、われわれの将来はないということでございます。
 あそこに勲章をつけてりっぱな絵にかいてもらっている佐藤さん、三原則をおっしゃって亡くなってしまわれましたが、亡くなってしまった方は結構でございますが、われわれは生きておりますので、生きておる者の責任というものをひとつ果たしたい。
 ちょうど十二時でございます。勝手なことを申しましたが、ひとつ政務次官に大いにハッスルをしていただきたい、かようにお願いをして、まだ言いたいことはいっぱいあるのでございますが、またの機会に譲らせていただいて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#38
○鯨岡委員長 ただいまの中山君の発言中不穏当な個所がありましたならば、後刻速記録をよく取り調べの上措置いたします。
 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。
    午前十一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十八分開議
#39
○鯨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。河上民雄君。
#40
○河上委員 いわゆる日韓大陸棚協定につきまして審議を行うわけでございますが、御承知のとおり、この協定は技術的にも非常に多くの問題をはらんでおりますけれども、しかしある意味においてはそれ以上に重要な点は、日韓あるいは米日韓という非常に問題の多い国際的な政治情勢の中で出されてきた協定である。そういう意味において私どもはこの協定に対しまして強い批判を持っておるわけでありますけれども、賛否はともかくとして、きわめて慎重に取り組まなければならない、こういうことを私は冒頭申し上げたいと思うのであります。
 ことに最近の金大中事件、民主救国宣言に絡みまして、数年来の日韓関係に一応の政治的な決着をつけたと日本の外務当局は言いながらも、それが決して解決でないということを、最近、また新たな事態の発展が示していると思うのでありますが、そういう金大中事件というようなものを背景とし、また、在日韓国人の人権、生命の安全という点から見ましてきわめて重大な在日韓国人の韓国における逮捕、裁判、死刑宣言というような問題が次々起こっておるのであります。私どもは、こういうような中で一体日本の外務省はどのような態度、どのような考え方を持っておるのかということについて非常に疑いなきを得ないのでありますが、いずれにせよ、日韓両国の基本的な信頼関係というものが全く失われておる、少なくとも回復していないときに、日韓間の関係を五十年にわたって拘束するこの大陸棚条約というものを強行するということは、私はきわめて後世に重大な問題を、今日の日韓関係をさらにどす黒くしていくというだけではなくて、将来にわたって非常に重要な黒い影を投げるということをまず最初に指摘しておきたいと思うのであります。
 したがって、この条約の性質上、きわめて政治的な性格を持っております条約、協定でございますので、他のいわゆる技術的な国際関係を規定する協定の審議とは当然違ってしかるべきではないか。そのように考えますときに、きょう外務大臣が参議院との関係においておられませんので、基本的な、私あるいはわが党の態度というものに基づきながら御質問したいことがたくさんあるのでありますけれども、きょうはそういうような事情でございますので、技術的な点を二、三御質問して、私の本当に聞きたいことはまた後日に譲りたい、こう思っておるのであります。
 私は、この協定審議に入りますに当たって、非常に時期が悪いということを指摘せざるを得ないのでありますが、すでに金大中事件といいますか、今日の金大中氏を中心とする韓国における民主的な勢力と、そしてまた朴政権との一つの衝突というふうに考えてよい、朴政権による民主的な勢力の弾圧でありますけれども、それにつきましては、キッシンジャー国務長官ですら不快の念を表明しておるわけです。そういう際に、日本の外務省がどのようなコメントをしたのか、私はいままで寡聞にして聞いておらないのであります。これは本来外務大臣が御出席のところで聞くべきことでありますけれども、外務省当局はいまこの問題についてどのように考えておるか。もういわゆる政治的決着をつけたので、後は全く知らぬというふうに考えておられるのか、それともやはり憂慮を禁じ得ないというふうに感じておられるのか、その点をまず最初に一つだけ承りたい。
#41
○塩崎政府委員 確かにキッシンジャーが、最近の韓国における事件についてキッシンジャー長官としての意見を表明したことも私どもは十分存じております。さらにまた、金大中事件あるいは在日韓国人の人権あるいは生命の問題等、日韓と申しますか、いろいろ韓国に問題がありますときに、五十年間も継続する条約をつくることはどうかという御指摘のように思うわけでございますが、確かに複雑なこれらの問題は、私ども外交路線を進めるに当たって十分考慮すべき大きな問題だと思うのでございます。
 しかし、一国にはまた一国の行き方があるということも事実でございます。そしてまた、おのおのみずから選んだ道を他の国が批判することは避けるべきであろうということ、これも一つの大きな外交政策として考えるべきだと思うわけでございます。法律あるいはいろいろの裁判制度、これらの問題は各国独自の状態がありますので、これらの問題は問題として、私どもは評価は避けていきたいと思うのでございます。
 したがって、この日韓大陸棚協定は、これらの問題とは別の、いま大変緊迫化しております資源問題の一つとして、何としても国会で批准をいただいて、石油あるいは鉱物資源の問題の解決に当たるべきである、こんなふうに考えているところでございます。
#42
○河上委員 きょうは外務大臣おられませんので、また外務大臣のおいでのときに私はそういう点をさらに伺いたいと思います。
 アジア局長は、前からこういう問題についてずっとかかってこられておると思うのでありますが、特に、在日韓国人がいま逮捕せられ、あるいは裁判を受け、さらには死刑の宣告を受けておる、こういう事態につきまして、いま、外国には外国の一つの道があるというふうな御意見でありましたけれども、少なくともその方々は日本に市民として生活することを許されておった人であります。その御家族もまた、現在も同様でございます。そういうような方々に対しまして日本政府としては保護する当然の義務があると思うのでありますが、この事態に対して、外務省として関心を持っているのか持っていないのか、そのことをこの機会に伺っておきたいと思います。
#43
○中江政府委員 まず、御質問の結論のところを先に申し上げますと、外務省事務当局といたしましては重大な関心を持っております。その重大な関心に基づいてどういう措置がとれるか、あるいはまたとったかという点につきましては、先ほど政務次官もおっしゃいましたように、日韓基本関係条約にもうたわれておりますように、お互いに主権を尊重した上で直接の隣国として友好関係が損なわれないように対処したい、こういう観点から、場合により弁護人の選任とか面会のあっせんとかあるいは留守家族からのいろいろの御要望に応じて、韓国においてできる限りの便宜供与だとか、そういうことはしておりますが、そういう韓国政府との接触の場合にも、越えてはならない一線については、これはやはり越えてはならぬということを一方で考慮しながら、いま河上委員がおっしゃいましたように、日本に定住して日本の社会と密接な関係を持っておる韓国人につきましては、そうでない韓国人との間には日本政府の立場からしては違いがあるわけでございますので、そこのところは関心を持って見守り、かつ、ただいま申し上げましたような制約のもとで、できる限りのことはしてまいっておりますし、これからもしていきたい、こういうのが私どもの基本的な考え方でございます。
#44
○河上委員 いまアジア局長からお話がありましたが、この問題は非常に重大でございますので、また別な機会にさらに突っ込んで、具体的な御報告をいただきながら政府の態度をただしたいと私は考えております。
 金大中事件につきましても、単に外国の政治家のことは外国の政府に任せるということではなくて、従来の経緯から見て金大中氏の原状復帰を日本政府は要求し、それに対して韓国政府は金大中氏の出入国の自由というものを約束していたはずでございますし、そういう点から見ましても最近の新しい発展というのはきわめて遺憾なことでございます。この問題につきましては、きょうは大臣もおられませんので私はこれ以上申しませんけれども、日韓大陸棚協定というものがまたそうしたものを引き起こしていく危険のないように、特にこれが五十年という拘束期間を持っているだけに、私どもは慎重に考えなければならないと思うのです。少なくともいまここにいる人の中には五十年先まで生きている人はほとんどないと思いますし、ましてや国会議員である人はまず絶無であろうと思うのです。そういうときまで拘束するものであるということを考えますときに、軽々にこの審議に入るとかあるいは早くやればいいというような問題ではない、このように私は思います。
 そういうような意味から、私は昨日も外務省に資料の要求をいたしました。残念ながらまだ全部いただいておりません。たとえば韓国国会の中における日韓大陸棚協定の審議の議事録などというのも、当然われわれとして参考にすべきであろうと思うのですけれども、いまのところまだいただいておりません。韓国が自然延長論を唱えておりますその論拠になる資料とか、あるいは韓国側の鉱区図、それから台湾側の鉱区も絡んでおりますので台湾側の鉱区図とか、各鉱区のメジャーの分布図、あるいは各メジャーの社歴と資産状況。それからいろいろマスコミでも伝えられておりますように、アメリカ人ブローカー、フィリップスという人が大きく介在しているようでありますけれども、韓国側の鉱区がアメリカのメジャーの手に渡るまでにいろいろ介在している人物の経歴、あるいはわが国の鉱区がすでにあるわけでありますが、各鉱区の鉱区権者の社歴及び資産状況、それから共同開発区域の面積及びそれぞれの小さな区域の面積。現在まで各国が行っている大陸だなの開発状況、特に北海油田の開発状況の詳しい資料、あるいは東シナ海の気象、海象の統計資料など、さらに東シナ海の水産を対象とした水理構造と魚類の産卵状況、漁獲高、東シナ海の海底の深浅図と構造図、国連資料によります東シナ海の海底石油を対象とした地質構造図。あるいはいま行われておりますニューヨークにおける海洋法会議の第二委員会のテキスト、さらには、昨年五月十六日にアメリカの上院外交委員会でガルフ社が韓国における活動に関連して行いました証言の議事録とか、そのほか最近アメリカで話題になりましたサンタバーバラの事故状況の詳細。そのようなものの資料を私は外務省に要求をいたしまして、これに基づいて審議をさせていただきたい、こんなふうに思っておったわけでございます。急なこととはいえ、いまのところ、幾つかの資料はいただきましたけれども、他の多くはまだ手に入っておりません。私は、この問題がはらんでおりますいろいろの複雑な要因、非常に懸念すべき要素というものを考えますときに、資料を十分整えた上で議論をすべきではないかと思うのでございます。
 そういう意味で、近い将来手に入るように、私はこれらの資料を外務省に要求したいと思いますが、委員長、ひとつよろしくお願いいたします。
#45
○鯨岡委員長 ただいまの河上君の資料要求については、後刻理事会で協議をいたしたいと思います。
#46
○塩崎政府委員 ただいま御要求の資料につきましては、可及的に努力させていただきまして、できる限り早くお手元にお届けしたいと思います。
#47
○河上委員 それで、いろいろ調べますといろいろな問題がたくさんございます。非常に簡単なことでありますけれども、共同開発区域が日本の九州の海のすぐ鼻先まで及んでおるとか、あるいは日本の漁業の宝庫とも言うべきところが海洋汚染の危険にさらされるとか、あるいはガルフ社の幹部が証言しているように、今回の日韓大陸棚協定の実際の内容になります韓国の鉱区の売買につきまして、ロッキード事件と全く同じ性質の問題が現に起こっておるとか、非常に多くの問題があるわけでございます。それを一つ一つやってまいりますと非常に時間を要するわけでありますが、いま申しましたように、私どもまだ十分な資料を手にいたしておりません。たとえば韓国側はどういう審議をしたのかとか、どういう考え方であるのかということも、私どもにはまだ十分に伝えられていないわけでございます。そこできょうは非常に技術的なことを一つ、二つ質問して、私は後日さらに、それらの資料を手に入れました後でまた質問をさせていただきたいと思うのであります。
 まず第一に、これは外務省の条約局の方で結構でございますけれども、この協定は、北部の区域に関するものと共同開発区域に関するものと、異なった地域というか、またしさいに見ますと異なった性質の協定を一本にまとめて批准を求めております。これは両方とも反対、両方とも賛成ならば結構でございますけれども、片一方はいいが、片一方は困るという場合、こういう審議については、条約局としては一体どういうふうに考えられるのでございますか。
#48
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 確かに、一口に日韓大陸棚協定と言いならされてきておるわけでございますが、これは北部の境界画定の協定と南部の共同開発の協定を一つにしまして、それの御審議をお願いしているというものでございます。ただいま御質問のありましたのは、なぜこの二つのものを一つにしたのかということでございますが、交渉の経緯、また両国が交渉の対象としてきた考え方といたしまして、日韓間に横たわる大陸だなを処理するという観点から処理をいたした交渉の結果としてでき上がってきたものでございまして、これを技術的に一つの協定としてもよろしかったものでございますが、若干処理の方法が境界画定と共同開発ということで分かれたものですから、技術的にただ二つの協定に分けたというだけのものでございまして、交渉当事者あるいは両政府の考えといたしましては、これが一つの交渉の結果として一括のまとまったものと観念されているわけでございまして、その意味におきまして、私どもが一緒に国会の御審議をお願いするということは、別に特に前例にもとるとかいうことではないと私どもは考えているわけでございます。
 また、最後の御質問の第二番目にございます片方を承認賛成で片方反対であるというような場合にはどうするかということでございますが、これは純粋に法理論的に申しますと、そのような場合も十分あり得るのではないかというふうに考えますが、私ども政府といたしましては、これを先ほど申しましたような一つの交渉から生まれた一つの結果と観念いたしておりますので、両方一緒に御承認いただきたい、このように考えているわけでございます。
#49
○河上委員 いまの御解釈で果たして審議を通じて委員各位の了解を得られるかどうか、今後問題を残すと私思うのでありますが、いまはそれ以上触れません。
 今度の条約で非常に大きな問題は、先ほど申しましたように、政治的な背景であろうと思いますけれども、しかし、技術的に見ましても非常に多くの問題があると私は思うのです。きょうは大臣がおられませんので、逆に技術的なことを一つだけちょっと伺いたいと思うのであります。
 「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の北部の境界画定に関する協定」こちらの方の第一条に、座標一から座標三十五までずっと並んでおります。これは全部一々ここで指摘するほど私は専門的な知識をいま持ち合わせておらないのでありますけれども、ただ、この座標三十五というのが地図で見ますると北の方の境界線の西の突端に当たっておる。これはどのような理由で座標三十五というのを選ばれたのか承りたい。
#50
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 日本海の地質的ないしは地形的構造から申しましてここではこれが一つの大陸だなと観念されるものでございまして、単に日韓間で決め得るものだけではなく、御承知のように日本海を取り巻く国はほかにもあるわけでございまして、余りに日韓間におきましてこの線を延ばしていくといたしますると、技術的には他の国の発言権のあるような線にまで延びていくことも考えられるわけでございまして、やはり日韓間で相談いたします限り、日韓間で相談できる範囲にとどめておくのが最も穏当な措置ぶりでございますのでそのようにしたことが一つと、もう一つは、実際上、この三十五の地点に至りますれば、かなり日本海の東北――この座標の東北に延びているこの線でございますが、この線が地形的に申しましてだんだんだんだん深いところになっております。そういたしますと、現実的な必要性からしてこの辺まで定めておけば当面実際的な要求は満たし得るのではないかということからこの三十五というところでとまった、そのように御了解いただきたいと思うわけでございます。
#51
○河上委員 そこで線が切れているのですけれども、じゃどうしてそこで切れるようにしたのか。
#52
○伊達政府委員 ただいま申し上げましたように、実際的な見地からこれ以上延ばすことも余り必要がないということと、それからこれ以上さらにどの辺まで延ばすかということになりますと他の関係国との関連も生じてくるであろう、したがって、日韓間で話し合う実際的なメリットと申しますか、メリットのある決め方というのはこの辺までであろうということでこの三十五でとめたということでございます。
#53
○河上委員 結局われわれにはようわからぬのですね。ただ、はっきりしていることは、韓国側が決めた鉱区略図というのを、私が先ほど要求させていただいた資料の中の一つでありますが、いまいただきました。それのさらに詳しいのもここにいただいておりますけれども、それで見ますると、結局韓国側の鉱区の第六鉱区、シェルの区域の突端とぴったり一致するわけです。だから、結局韓国側の第六鉱区というものが先にできて、それに合わせてこうやっているのじゃないかという気がいたすのであります。それ以外に科学的な根拠があるのかどうか。私はいわゆる専門的な方に聞きましたところ、ちょっと北東の方へ行きますと竹島があるわけですね。竹島と韓国と日本の山陰地方との三者をとりまして一つの中心点を選ぶとしますと、座標三十五ではなくてもう少し西南の方に中心点があって、そこを選ぶことの方が専門的には一番妥当なんではないか。三十五というのは、ただ韓国が座標三十五を選んでおるのでそれに合わせただけではないかという疑念が出てくるのでありますけれども、本当に科学的にどういう説明ができるのか。私は、これはほんの一つでございますけれども、実はもう韓国側がメジャーと話をつけてどんどんやってしまった後、それに合わしてこういう協定ができているのではないかという疑念さえ持たざるを得ないのですけれども、この三十五というのが一番最後の点になっているわけですけれども、その根拠というのは一体何なのか。
#54
○伊達政府委員 ただいま御説明申し上げたことが理由でございますが、当然のことながら、実際的見地からどこまで線を引き、どこでとめるかということにつきましては、先生も御指摘のように、韓国側の第六鉱区というものがあるということを認識した上でこの線を三十五の地点まで延ばしたわけでございます。と申しますのは、実は韓国側のこの第六鉱区の最初の韓国国内法によります設定が、日本側の考えます。したがいまして、この交渉の結果でき上がりましたこの等距離中間線というものよりも日本側にはみ出しておったという事実がございまして、それを修正して引っ込ませる、第六鉱区の日本側の中間線より日本側に食い込んでいた部分を引っ込ませるという意味におきましても、実際的な必要から三十五というところまでは一応決めておこうということになったわけでございます。
#55
○河上委員 伊達さんはこういう海洋学の権威者のようですけれども、私ども聞いた範囲ではどうも科学的に余り納得できるような説明になってないようなので、いまそういうように言われましたけれども、はっきり言えば、韓国がそう設定しているからそれに合わしたということだろうと思うのです。一体そういう場合に、いわゆる中間線理論をとると、北の方の境界線の設定については中間線理論をとった。南の方は非常に問題があるわけでして、これはまた今後いろいろあると思うのですけれども、北の方は一応中間線理論をとったということでありますが、そうなりますと、一体竹島というものはどういうふうに考えておったのか。竹島というものをいわば触れたくないからという意識がその座標三十五の設定の中にあるのではないか。竹島が日本領であるのか韓国領であるのかということは年来の懸案事項でありますけれども、その辺のいかんによりましては、中間線理論というものによって境界線をどこへ設けるかということはずっと変わってくるわけですね。そういう点について、この座標三十五というのは、専門家に言わせますと、もう少し西南、東南ではなくて西南の方に行くのが、韓国と日本の山陰地方とそれから竹島と三つの点を見据えて中間的な点を選ぶとしますと座標三十五よりもう少し西南になる、こういうふうに専門家は指摘いたしております。科学的な根拠ということは、どうも私どもよくわからぬ。その場合に、この竹島というものの存在を一体どういうふうに認識してこの座標三十五というものを選んでおるのか、その座標三十五というものは、全く竹島というものを無視して、そこで一応ピリオドを打ったのか、その辺のことを伺いたい。
#56
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 竹島と申しますのは深海海底から突出してきました岩礁でございまして、それ自体大陸だなというものを持たないし、それからまた大陸だなの距離測定の基準とはならない島であるというふうにみなされるわけでございます。したがいまして、御質問に対するお答えといたしましては、先生の後段の部分、すなわちこの三十五までの線は竹島を無視して引いたものであるということでございます。これは、竹島の帰属に関しまして日韓間に問題があることは事実でございますが、それを故意に避けるということから発したものではございませんで、先ほども申し上げましたように、学理的なものといたしまして、竹島は大陸だなの分割の際の基準とはならないという立場から、それを無視して線を引いたということでございます。
#57
○河上委員 それじゃ、座標三十五から発して日韓両国の領土の中間線を通るとしたらどっち側を通るのですか。つまり、竹島の東側を通るのか西側を通るのか。
#58
○伊達政府委員 ちょっと御質問がわからなかったのでもう一度お願いしたいと思うのですが……。
#59
○河上委員 確かに大陸だなはそこで切れているということであるといたしましても、両国間の中間線を仮にとるとしたら、竹島の東側の方を中間線は通るのか西側の方を通るのか、外務省としてはどういうふうにお考えですか。
#60
○伊達政府委員 竹島の領有権の問題がございますので、その問題の究極的な解決はともかくといたしまして、仮に竹島が日本領であって、それが大陸だな分割の際の基準になるという仮定のもとでございますれば、これは線というものは竹島の西側を通るでございましようし、逆の場合でございますれば、竹島の東側を通るということになると思いますが、しかし、先ほども申し上げましたように、竹島は大陸だな分割の際の基点にはならないような、無視すべき、また無視し得る島であるというふうに考えて三十五までの線を引いたわけでございます。
#61
○河上委員 せっかく政務次官おられるのですけれども、竹島は日本の領土というようにお考えですか。
#62
○塩崎政府委員 この点につきましてはもう政府が明らかにしている点でございまして、私どもは、竹島は日本固有の領土と考えております。
#63
○河上委員 もう一度伺いますけれども、この座標三十五というものの設定の科学的な基準を、ちょっと伊達さんの御説明だけではどうも私いまだにようわからぬのです。これはひとつ正確に私どもに説明できるようにしていただきたいと思うのです。というのは、先ほど来申し上げているように、専門家の意見によれば、座標三十五のとり方というのは必ずしも科学的ではなくて、もう少し西南にずれるのが科学的ではないか。ただ、韓国側の第六鉱区の突端が座標三十五のところに来ておるという政治的な事情によって座標三十五は選ばれたのではないか、こういう批判も出ているのであります。したがって、私どもこの問題を論議するためにもう少し詳しいというか、素人にも納得のいくような説明をしていただきたい。私はそのことを特に強くお願いをしたいのであります。
#64
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 韓国の第六鉱区の北端と一致しているということではないかと先生がおっしゃるわけでございますが、まことにそのとおりでございまして、韓国の第六鉱区の北端が一致しているのは、まさに三十五を引いて、日本側に出っ張っていたところを、この中間線の分割線を引くことによって引っ込ませたために、韓国の第六鉱区の北端がそこへ引っ込んだということになるわけでございまして、交渉の経緯から申しまして、また線を引く経緯からいたしまして、そういうことで引いたものでございます。
 科学的な根拠と申しましても、どこまでその厳密な、精密な、科学的な根拠があるかというお答えになりますると、別にあるわけではございませんで、先ほども私が申し上げておりますように、実際的な必要性と、それからほかの日本海沿岸の他の国もしくは関係者というものに影響を及ぼさない限度において、実際的な必要性を満たす限度において引いたということでございます。
 なお申しおくれましたけれども、三十五の点はかなり深く、まあ深いと申しましても現在探査が可能になりつつあるやの深さでございますけれども、しかし千五百五十メートルという深さでございまして、さらにそれより延びますればもっと深くなっていくというところでございます。
#65
○河上委員 この協定は、私どもなかなか技術的なことはよくわからないのですけれども、専門家の意見をいろいろ聞いてみますると、非常に一点一点大変問題の多いものでありまして、私どももわからないなりにこれ一つ一つ明快にしていただきたい。ちょっと伊達さんのいまの御説明で、要するにある一定の深さの境目が座標三十五であるというような単純な説明でいいならそれでいいですけれども、何かもっといわくありげな御説明もありますし、こういう協定、境界線をつくる根拠みたいなものをもう少しわれわれにわかるように説明していただかないと、どうも経緯から見て、韓国側がかってにどんどん線を引いたやつを何かつじつまを合わせるために、こういろいろ線をこちらが合わしているようなことになったのでは、これは大変困ると思いますし、その辺ひとつぜひこの次までにわれわれにわかるように教えていただきたいと思うのです。
 非常に技術的なことがたくさんこの中には出てまいりまして、その一つ一つをこれから伺っていきたいと思いますが、座標三十五というこの地点、その一つをとりましてもいろいろ問題点があるように私は思いますし、ちょっといまの伊達さんの御説明だけではどうも私どもよくまだ納得できませんので、だれが聞いてもわかるようなはっきりとした境界線を引く根拠を、この次の機会までにもう少し御説明いただきたいと思います。
 きょうは大臣もおられませんので、冒頭申しましたように、本来、政治的な背景からいろいろ御質問しないといけませんので、この次に質問を留保さしていただきまして、きょうはこれで終わりにいたしたいと思います。
#66
○鯨岡委員長 河上民雄君の質疑は終わりました。
 正森成二君。
#67
○正森委員 私は、昨年の四月十六日に当外務委員会で次のような質問をいたしました。私が入手いたしました情報によりますと、昭和四十九年の九月二十二日から二十五日にかけて、西九州沖合いの日韓共同開発区域内の第五小区域の南部において、韓国側がひそかに百五十一マイル、約二百四十キロメートルにわたる探査を実施しておる。その実施をしました船はドイツ国籍でありまして、その船の属しておる運航社というのはドイツのプラカラ・セイアモスーハノーバー、探査船はMVエキスプローラーであります。この船が昭和四十九年九月十七日の十二時三十分に鹿児島に入港いたしまして、同九月十九日午前六時に出港したということがわかっております。エージェントは日通の鹿児島支店であります。
 私がこういうことを質問し、探査船MVエキスプローラーが海底地質調査船であり、ということまで申し上げましたところ、当時の海上保安庁の山本救難部長であったと思いますが、その外形的事実はお認めになりました。しかし外務省側は、このエキスプローラーという船が出かけていって何かやっておったということは認めておりますが、それが果たしてこの日韓共同開発区域予定地域の第五小区域内の南部で探査を行ったかどうかという点についてだけは、これはまだ調べておりませんという返事でありました。そして、それについて当時の速記録を調べてみますと、速やかに調査の上、回答することになっております。私は、いつごろ回答があるだろうかと思って、わりと気が長いものですから待っておりましたが、一年有一カ月にわたるまで何ら回答がない。そこで、やむなく今回質問したわけでありますが、外務省がなぜいままで回答しなかったのかという点も含めて、その内容を明確に答えていただきたい。
#68
○大森政府委員 昨年、先生から御指摘のことがございまして、この件につきまして、昨年の四月二十六日に韓国政府の方に注意を喚起かたがた事実の照会を行いました。先方よりは、韓国の第五鉱区の租鉱権者でありますテキサコ社について事情調査を行いましたところ、このテキサコ社が一九七四年九月二十二日から九月二十七日まで、同鉱区内の中間線の韓国側部分について音波探査を行った際、技術的な理由で、たまたま中間線を越えて共同開発区域となるべき地域の一部に対しても音波探査を行ったということが判明したという趣旨の回答がございました。韓国側は、技術的な理由で、たまたま共同開発区域となるべきところに入ってしまったという趣旨の説明でございまして、その後は自粛して、このようなことを起こしてないというふうにわれわれは承知いたしているわけでございます。
 なお、本日まで本件についての報告がおくれました点は、たまたまお答えする機会がなかったことにもよりますけれども、非常におくれましたことは遺憾に存じております。
#69
○正森委員 私は言葉じりをとらえようとは思いませんが、私は、よその委員会からここへ出張して聞いているのではなしに、昨年四月十六日以来一貫して外務委員会の委員であり、かつ日本共産党・革新共同を代表する理事であります。ですから、たまたまお伝えする機会がなかったが、きょう機会があるのでお伝えするというような横着な答弁はすべきではない。お伝えしようと思いましたが、つい多忙にまぎれて失礼をいたしておりました申しわけないというように男らしく言うなら言うべきであって、お伝えする機会がなかったけれども、おまえの方で聞いたからきょうは答える機会があったんだというような、そういう答弁というのは、これは礼儀を重んずる外務省の事務当局が答えるべき答弁ではないというように思いますが、いかがですか。
#70
○塩崎政府委員 ただいまの御答弁は少し不穏当な感じもいたしますので、また改めましておわびを申し上げたいと思います。
#71
○正森委員 しかも私がこういうように言いますのは、当時の速記録を見ますと、宮澤外務大臣は、架空の事実だから、調べないとわからない、こう言っているのですね。調べてみないと事実かどうかわからないから調べてみますと言うならまだわかるけれども、架空のことだと言えば、頭から架空だということを言うておるわけになるんですね。私は確実な情報に基づいて調べておったから、ずいぶん失礼なことを言うと思っておったけれども、調べると言うからそのうち返事があるだろう、こう思って待っておったのです。いまの答弁を聞くと、架空じゃないじゃないですか。現実にやっているじゃないですか。しかもこれは技術的な理由でたまたま日本側へ入っておった、あるいは共同開発区域に入っておったということだけれども、たまたま技術的な理由かどうかというのは非常に疑いがある。
 あなた方に伺うが、今度の南部の開発についての協定の第十条によれば、この協定に基づく開発権者の権利というのは何と何になっておりますか。
#72
○伊達政府委員 探査権と採掘権になっております。
#73
○正森委員 それであるならば、MVエキスプローラーが行った探査権の行使というのは、本来この条約が批准され、発効しなければ行ってならないものであり、日本の外務省と韓国外務当局では相互に自粛するという約束があったはずではありませんか。
#74
○大森政府委員 日韓双方がその法的立場をたな上げとして、現実的解決を図るためにこの共同開発協定というものを結んだ協定の趣旨から申しまして、協定発効前に協定に基づく探査行動と見られるような行動は互いに自粛するというのが協定の趣旨であると考えております。
#75
○正森委員 非常にえんきょくな言い方だけれども、韓国側の措置は遺憾であるということを外務省らしく、礼儀正しくいまの答弁というのは言っていることだと思うのですね。
 そこで私は伺いたいと思うのですが、本当に技術的に誤って探査を行ったのか、そうではなしに、意識的に行ったのかどうか、それ以後も連続して探査を行っているという事実はないのかどうか、そういう情報は持っておらないのかどうか、それについて伺いたい。
#76
○大森政府委員 私どもは韓国政府の調査の結果どおり、これはたまたま技術的な理由で入ったものと考えております。
 なお、その後同様の事例は起きていないと私どもは承知いたしております。
#77
○正森委員 この日韓共同開発区域というのは、韓国側が第一から第七まで韓国の国内法に基づいて七つの鉱区を決めていると思いますが、この日韓共同開発区域は韓国側の規定の仕方によるとどういう開発区域に入りますか。
#78
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 韓国側の第四鉱区のほんの一部と第五鉱区の一部、第七鉱区のほとんど全部、それから第六鉱区の一部というところがこの共同開発区域に含まれております。
#79
○正森委員 韓国側の第七鉱区について租鉱権者になっておるのはいかなる会社ですか。
#80
○大森政府委員 コリアン・アメリカン・オイル・カンパニーという会社でございます。
#81
○正森委員 略称コアム……。
#82
○大森政府委員 そのとおりでございます。
#83
○正森委員 ここに私は四月二十日付の統一日報を持っております。それによりますと、韓国政府は十六日に、青瓦台で開かれた国際会議で、張礼準商工部長官から、「(第七鉱区大陸だな開発問題について)日本側が米国のコアム社に対し韓国政府がコアム側に通告した韓国政府の単独開発方針をさぐろうとした」との報告を受け、韓国側はすでに開発準備を終え、単独開発する用意をもっていることを「日本政府にはっきりと知らせる」」、こういうことを言い、それに関連して「このような基本的立場にもとづき、韓国側租鉱権者であるコアムは、すでに第七鉱区に対する総合的な物理探査作業を完了し」云々と書いてあります。また「十五日の維政会政策会議に参席した沈宜換商工部次官は、「試錐決定が下されれば、いつでも即刻着手できるいっさいの実務的準備を完了しておる」、こう言ったと明言されております。
 そうすると、探査というのは、決して技術的に地理を間違ってひょろひょろ入ったということではなしに、今度の日韓共同開発区域の非常に広大な、八割近くを占める第七鉱区についても完全に物理的探査を終わった、いつでも試錐できるのだ、こういうように韓国側が言っていることになるではありませんか。そういうことをあなた方は知らないのか。外務省として、たとえ新聞の情報であっても、こういうことをちゃんと目をつけて、そうして韓国側に照会したのかどうか、その点を伺いたい。
#84
○大森政府委員 この点について特に韓国側に照会したということはございませんが、本件協定が署名される以前において、この海域についての概要の探査、概査といいますか、そういったことが行われたということは十分あり得ることと考えております。
#85
○正森委員 いまの発言によると、本協定ができる以前にやっておったのだろうと、こういう言い方ですね。
 じゃ、あなた方に聞きますけれども、韓国側がいろいろやるについても根拠法規がなきゃならない。韓国側の根拠法規は何ですか。
#86
○大森政府委員 韓国が一九七〇年に制定いたしました海底鉱物資源開発法でございます。
#87
○正森委員 法律第二千百八十四号ですね。
 そうしますと、この南部の共同開発について両国間でいろいろ行われたわけですが、その署名される以前にすべて探査が行われておったのだと、こう言いたいのですか。そうしてエキスプローラー号の場合もたまたま技術的に迷い込んだだけである、こういうことですか。
#88
○大森政府委員 一九七〇年の韓国国内法に基づきまして、この七つの鉱区に開発権者というものが認められまして、これらの開発権者が探査活動を含めての開発活動というものを一方的に行うという動きとなりましたので、日本側は韓国側に申し入れを行って、それを認めるわけにはいかないという中間線論に基づいての申し入れを行い、その結果、双方の立場は対立したわけですけれども、法的立場をたな上げしての実際的解決ということでこの協定が七四年に調印されるに至ったわけでございます。
 通常、私の理解しているところでは、そのような鉱区に出願をするような場合、あらかじめある程度の調査を行って有望と見られるということに基づいて、出願を行い、認可を受ける、こういうことであると理解いたしておりますので、全部とは申し上げかねますけれども、かなりの調査というものは協定が締結される以前において行われたということは十分あり得ることと考える次第でございます。
#89
○正森委員 いまいろいろ御答弁がありましたが、三月二十二日に韓国国会の商工委員会で日韓大陸だな問題が取り上げられました。その商工委員会の質疑に立った新民党の厳永達議員は、政府は、日本政府が同水域に対する共同開発の用意を放棄したものとみなして共同開発協定を破棄し、単独開発に踏み切る用意はないか。つまり、いまだに批准されていないということを根拠にして、こういうように迫った。これに対して答弁に立った沈宜渙商工部次官は、日本側の大陸棚協定批准がおくれているが、日本側から今度の会期中に必ず批准するとの言質を得ており、日本国会の会期を延長しても批准問題を解決すると聞いている、こういうぐあいに答弁した、こういうことが報道されております。もし、こういうことが事実であるとするならば、行政府が、国会が行うべき大陸棚協定を必ず批准するとか、まして延長してでもやるとか、そういうことを言っておったということになります。私どもは、そういうことは絶対にないと思うけれども、こういう点についてどう思うか。もし、そうでないと言うならば、この韓国の国会における速記録を直ちに取り寄せて、そういうことはなかったということを外務省から申し入れをするべきではないかというように思いますが、いかがです。
#90
○塩崎政府委員 韓国の国会におきましても、日本の批准がおくれたことにつきまして、いろいろ論議があったことも事実でございます。しかし、日本政府が会期を延長してでも批准をするんだというようなことは言ったということもありませんし、また韓国でも議論されたというふうには考えておりません。私どもは、何といたしましても提案いたしました以上、今国会で会期内に批准をお願いしたいと思って努力しているところでございまして、なお、御審議を慎重にお願いしたいと思います。
#91
○正森委員 私が、あえて申しますのは、この報道によると、日本国会の会期を延長しても批准問題を解決すると聞いているというのは「聞いている」ですから、まだわれわれとして見逃す余地があるけれども、その前段は、「日本側から今度の会期中に必ず批准するとの言質を得ており」と、議員が質問の中で言ったんじゃなしに、商工部次官という責任ある人が「言質を得ており」なんということを国会の席で言ったとすればはなはだ穏やかでない。韓国国会が議員との間でいろいろやりとりをされるのは韓国の主権の範囲内に属すことである。しかし、わが国が国会で批准するかどうかというようなことを、まだきょう審議が事実上始まったばかりなのに、大丈夫だと言って言質を与えておるというようなことになれば、日本国会というものは、一体、あんたは韓国の何なのさということにならざるを得ない。本来、これは外務大臣に聞くべきことです。しかし、きょうは残念ながらおられないから、外務省当局の答弁を伺いたい。これは、にやにや笑って済む問題じゃないですよ。速記録を直ちに取り寄せ日本語に翻訳して提出されたい。
#92
○塩崎政府委員 私どもの調査した範囲内では、そのような言質を与えたことは全くありません。なお、速記録を取り寄せまして、翻訳をいたしまして差し上げることにいたすことは間違いございませんので、そういうふうに努力します。
#93
○正森委員 いま私が申し上げましたが、その後四月の二十六日に朴東鎮外務部長官は、西山駐韓日本大使を外務部に招いて、「今回の会期内に日本国会で大陸棚協定の批准案が通過されない場合、大陸だなを単独でも開発せざるを得ないという韓国政府の立場を伝えた」、こう報道されております。西山日本大使が、単独開発は韓国が大陸棚協定を破棄するのかと尋ねたのに対して、朴長官は、「破棄ではなく、日本が批准すれば事情はもとに戻ると答えた」と報道されております。
 そこで私は次官でもよろしいし、条約局の条約の専門家でもよろしいが、二国間の条約というのは署名されただけでも発効しない、批准を経なければ発効しないのはこれは常識ですけれども、一定期間内に批准をしなければおれは勝手にやるんだ。しかし向こうは、批准すればもとへ戻るのだ、こういう一方的な行為を国際上とってもいいのか、外務省はどういうぐあいに考えておられるか伺いたい。
#94
○塩崎政府委員 四月二十六日の朴外務部長官の西山駐韓大使に対しましての言明でございますが、この点は午前中も申し上げたとおりでございます。しかしいまの正森委員の御表現と若干違うように思いますので、これもまたいずれ私どもから正確に出してもいいのですが、これは速記録はございませんので、西山駐韓大使からの報告を信じていただきたいと思います。朴外務部長官が言いましたのは、「韓国内部にも、今会期中に通過しなければ一方的な行動に着手すべきであるとの意見も強いが、日韓善隣関係にかんがみ、このような事態は好まぬと述べた」ということの報告があったのでございますから、そのようにおとりになっていただきたいと思うのでございます。
 さらにまた、いま二国間条約の性格につきまして、もちろん私どもは批准しなければ効力発生しないことも存じております。しかし、これはお互いに法律的な立場の違った観点からの開発の主張でございますから、私の乏しき条約の知識では、恐らく一つの法律的な根拠に基づいて、たとえば何と申しますか、自然延長論に基づいての開発をするということは、一つの法律的な根拠として成り立つと思いますので、単独開発論が出るのも根拠がないとは私は言えないと思うのでございます。しかし私どもはここまで共同開発をやっていこうではないかというふうに合意に達しまして、そして一つの新しい共同開発の法律的な関係をつくり上げようとしておりますから、その条約が十分に論議されない前に、あるいはまた私どもの国会で十分な時間がなくて論議が進まない前に、単独開発されることは好ましくないということは当然でございますし、私どももたびたびそのような考え方を言ってきた経緯がございます。
 なお、批准した後にもとに戻るというような点は私はよくわかりませんが、ちょっと論理的にもむずかしいように思いますが、これはひとつ条約局の参事官から答弁さしていただきたいと思います。
#95
○伊達政府委員 どうも外務部長官のおっしゃったことが実はよくわからないものですから、何と解釈していいかちょっとわからない次第でございます。
#96
○正森委員 私がいま言いましたのは、そういう発言の中に、普通の外交関係としてはそれこそ通常でないそういうやりとりだと思うのですね。いま政務次官が西山駐韓大使から報告を受けているのは、新聞で報道されているのと少し違うという意味のことをおっしゃいましたが、私つらつら思うのに、私ごとき野人がそういうことを言ったのならこれはどうということはないでしょうけれども、外務部長官といいますとこれは外務大臣でしょう。外務大臣が発言しないならともかく、わざわざ相手国大使を招致して、韓国にはこういう見解があるということをわざわざ言って、しかしそれは好ましくないということを言うのは、一定の明白な意図を持ってそういうことを言うんじゃありませんか。そういうことは好ましくない、させないと言うんなら、何も相手国大使にそんなことは言う必要はない。またそういう意見はあるけれども、日本政府が批准されることを信じて、断じてそういうことはさせないと言うんなら、これもまたまだ話はわかる。しかしそういう意見があるということを言うて、しかしそれは好ましくないとは考えておる、こう言っても、やらないとは言うてない。明白な韓国側のそれこそ意思表示じゃありませんか。国会で批准をしなければ、必ずやるとは言うてないけれども、しかしそういう方向で政治的に動いているんだという明白な通告をそういう表現でしているんではありませんか。
#97
○塩崎政府委員 聖書にありますように、言葉というのは大変むずかしい、神様みたいなもので、いろいろの表現があり得ますし、いろいろな解釈もできると思います。ことに日本語はむずかしいものでございますからいろいろの誤解を生む場合も多分にあると思うのですけれども、私は、朴外務部長官の西山駐韓大使に対するところの言明は、本当に善意で、一刻も早く批准を希望する、こういうふうに解釈すべきものと心得ております。
#98
○正森委員 日本語は非常にむずかしいと言われましたけれども、恐らく私、朴外務部長官は韓国語でおっしゃったと思うのですね。それをたまたま西山さんが日本語に訳されたかもしらぬけれども、もともとの言葉は韓国語だったと思うのですね。だから、それで解釈が非常にむずかしいということは、私はちと解せない。
 それからもう一つ申し上げたいのですが、いま政務次官だから聞き逃してもいいとは思いますが、やはり政務次官といえども政府高官でありますから伺っておきたいと思うのですが、何か政務次官は、韓国側が単独開発をするというそういう権利もあるという意味のことをおっしゃったのですね。韓国側が大陸だなの自然延長説をとって、いや、おれのところはここまでだと言うておられたことは事実ですね。しかし日本側は中間線理論ともいいますし、等距離原則ともいいますし、そういう立場を厳然ととっておる。この条約の中でさえ双方のその立場を結局なしにしてしまうものではない。その立場は依然として維持されておるんだ、こう言っておるんでしょう。そうしたら、発効しない間は五分と五分じゃないですか、理屈とすれば。それは向こう側は権利があるというのだとすれば、これはわが方が考えておる大陸だなの見解を実力で破ってくるということになります。もしそれをしも相手側の主権的行為だというのであれば、わが方はそれに対して対抗的に主権的措置をとることができるはずなんです。私は何も経済問題で武力を発動せよというようなそんな物騒なことを言うているんじゃない。しかし、少なくともそういう国に対しては一定の経済援助をわが国の主権的な権利に基づいて行わないというようなことを初めとして、平和的にとり得る措置は幾らでもあるでしょう。そういうのを全部たな上げにして、向こうがどんどんと開発するのは向こうの権利であるというようなことのみを外務次官がおっしゃるというのは、これは必ずしも妥当な見解ではないというように思いますが、いかがですか。それこそ日本語はむずかしいから、もう少し慎重に発言されたらいかがです。
#99
○塩崎政府委員 私も片手落ちの答弁だったと思います。韓国が自然延長論に基づく開発の権利を主張ができると同時に、その反面、私どもも中間線論で単独開発ができるという主張は、当然一つの法的根拠を持つものだと考えます。したがいまして、御指摘のように韓国が単独開発をするならば、またこちらが主権の行使をして実力で排除することもできますし、こちらが中間線論で単独開発すれば、向こうがまた実力でもって排除することもあり得ると思うわけでございまして、そこがひとつ現実的な紛争解決の手段としての共同開発の協定でございますので、ここまできた以上はそのようなことは好ましくない。したがって、一刻も早く批准をいただいて、お互いにひとつ仲よく共同開発をさせていただきたいと思います。
#100
○正森委員 そこで、私は伺いたいと思うのですが、大陸だなというのは国際法の比較的新しい分野だと思うのです。私の承知しておりますのでは、一九五八年に大陸棚条約ができたように思うんですね。その大陸棚条約というのは、現在何カ国が批准しており、批准はしないけれども署名した国は何カ国ありますか。
#101
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 現在大陸棚条約の当事国、したがいまして、実際にこの条約に加盟いたしましてそれに拘束されるという国は、アメリカ、イギリス、フランス、ソビエト連邦、イスラエル、マルタ、タイ、マレーシア等五十一カ国でございます。
 ただ、署名をしたけれども批准をしていない国といいますのは、ちょっと私いま手元に資料がございませんので割愛させていただきます。
#102
○正森委員 私の調査では、批准または加入して当事国になった国家が五十三カ国、それから署名のみで批准をしていない国が二十二カ国というように承知しておりますが、しかし、専門の外務省ですから外務省の調べの方があるいは正しいかもしれません。
 そこで、伺いたいのですが、同じような海に関する条約である公海条約の当事国は何カ国で、領海条約の当事国は何カ国ですか。――おわかりにならないといけませんので私の方で申し上げますと、私の調べでは、公海条約の当事国は五十四カ国、領海条約の当事国は四十三カ国であります。したがって、大陸棚条約というのは、できたのは非常に新しいんですけれども、古くからある、われわれが当然の前提と考えておるような公海あるいは領海の条約よりも多数国の批准を得ており、その当事国となっておるということであります。
 そこで、その大陸棚条約の第六条では境界画定についての一定の原則が記入されておると思います。もちろんわが国は大陸棚条約の当事国ではなく、韓国側が当事国でないということは承知しておりますが、しかし第六条ではどういうように定められているか承りたい。
#103
○伊達政府委員 第六条では三項ございまして、一項では向かい合っている海岸を有する二以上の国の領域、すなわち相対峙している国の領域に同一の大陸だなが隣接している場合には、その境界は、まず第一にそれらの国の関係国間の合意によって決定する、合意がないときには、特別の事情により他の境界線が正当と認められない限り、等距離中間線で決めようということが書いてございます。
 第二番目は、隣接国、相隣り合っている国でございますが、(正森委員「それは結構です。」と呼ぶ)これは省略させていただきます。
#104
○正森委員 私は、以後この第六条の原則を申しますときに等距離原則というように呼びたいと思います。まず合意があれば合意、合意がないときには特別の事情を考慮して中間線もしくは等距離線によって定めるという、合意、特別事情、等距離という原則が、大陸棚条約の第六条で言われているところの境界画定の法理であるというように思うのです。
 そこで伺いたいと思うのですが、わが国は原則としてこの大陸棚条約六条の立場をおとりになっておるというように理解したいと思いますが、そう解してよろしいか。
#105
○伊達政府委員 わが国は大陸棚条約には加盟しておらないことは先ほど先生御指摘のとおりでございますが、境界画定に関しましては、第六条の原則に従っているというふうに言えると思います。
#106
○正森委員 たしか私が理解しておるところでは、一九七四年の八月十六日に日本が大陸だなについての一定の提案をしておりますが、その中ではいま伊達参事官が言われたような立場が鮮明にされているのではありませんか。――外務省からいただいた「第三次海洋法会議」に載っております。
#107
○伊達政府委員 海洋法会議におきまして日本側もこの点につきましては一案提出いたしておりまして、先生が申されたように、この第六条的な立場に立ちまして大陸だなに関する一つの提案をいたしているわけでございます。
#108
○正森委員 そこで、この大陸棚条約が一九五八年にできましてから現在までに、二国間で大陸だなの境界について成立した条約は幾つあるか、お答えを願いたいと思います。
#109
○伊達政府委員 現在私どもが承知しておりますところでは、北海、バルテック海、アドリア海、ペルシャ湾、インド洋、東シナ海、アラフラ海、大西洋等の大陸だな区域におきまして約二十四の大陸棚分割協定が結ばれております。
#110
○正森委員 そこで、私は順次聞いていきたいと思います。
 まず第一に、ペルシャ湾で一九五八年の二月二十二日、大陸棚条約ができます直前かと思いますが、バーレーンとサウジアラビアとの間で条約が結ばれておりますが、その第一条では両国の海底区域の間の境界線をどのように定めておりますか。
#111
○伊達政府委員 条約そのもののテキストをただいま持ち合わせておりませんので、先生の御質問に直ちにお答えすることができないわけでございますけれども、ただいま手元にあります資料でございますと、中間線というよりもむしろ中間線のある種のバリエーションによりまして中間点というものをとっているというふうに承知いたしております。
#112
○正森委員 したがって、大陸棚条約の第六条というのは、厳密に中間でなくても、それが折れ曲がっている場合にはバリエーションを設けて簡略化するとか、あるいは島があるとか、あらかじめ双方の国が探査しておる油田があるとかいう場合には、一定の特別事情による変更も許されるわけですから、このバーレーン・サウジアラビア間の一九五八年の条約は、大陸棚条約の第六条を基本的に実行しておるというように考えてよろしいか。
#113
○伊達政府委員 大変申しわけないのですが、バーレーンとサウジアラビアの協定のテキストを厳密に検討したわけではございませんので、私の乏しい知識からは、果たしてそれが六条に完全に合致したものであるかどうかわからないわけでございますけれども、ただいま私が申し上げました、承知している限りにおきまして若干のバリエーションを求めつつも、中間的なラインで解決しているという点でございますれば、まあ第六条と軌を一にしているということが言えると思います。
#114
○正森委員 以下私は順次聞いていきますので、完全というような言葉はお使いにならないようにしていただきたいと思います。なぜなら、大陸棚条約第六条が完全な中間線とか完全な等距離線とかいうようなものを原則にしていないのですね。原則として合意、特別事情を考慮した中間線、あるいは等距離線ということであって、あなたの表現によれば、一定のバリエーションを認めるということでありますから、しかし中間線や等距離線を全く考慮しないというのであれば大陸棚条約の第六条に準拠したものではない、こういう意味ですから、もし私の言うている意味を、物理的に本当に真ん中で全部貫いておるかどうかという意味で完全かどうかわからないというような答弁をされているのだったら、以後二十幾つ全部聞いていきますから、一々そういう完全という言葉はおつけにならないようにしていただきたいと思います。
 次に、一九六八年の十月二十四日にできましたイラン・サウジアラビア間の境界画定はどうですか。
#115
○伊達政府委員 これも原則として中間線をとっているというふうに承知いたしております。
#116
○正森委員 私がいま申し上げました二つの条約については、両当事国いずれも大陸棚条約の当事国ではございませんね。
#117
○伊達政府委員 大陸棚条約の当事国表がただいま手元にございませんので、はっきりしたことは申し上げられません。
#118
○正森委員 私からお答えいたしますが、私が調査した範囲内では、大陸棚条約の当事国にこの時点でなっておりません。
 次に、イラン・カタール間の一九六九年九月二十日の条約の境界についてのあり方はどういうものですか。
#119
○伊達政府委員 イラン・カタール間の一九六九年の条約も中間線をもとにしているものでございます。
#120
○正森委員 両国は大陸棚条約に加盟しておりますか。
#121
○伊達政府委員 入っておりません。
#122
○正森委員 一九七一年六月十七日結ばれたバーレーン・イラン間の条約での境界画定のあり方はいかがですか。
#123
○伊達政府委員 ただいまの手元の資料にはバーレーン・イラン間の条約についてございませんので、聞いてみましたところ調査中であるということでございます。
#124
○正森委員 私の方からお答えいたしますと、この両国はその条約前文で、同一の文言で「国際法に従って主権的権利を有する両国の大陸棚区域の間の境界線を、公正、衡平かつ正確に引くことを希望して」というように記載しておりまして、各点を地図に記入してみると、ほぼ両国の海岸からの中間線に相当することが判明しております。そうではありませんか。
#125
○伊達政府委員 ただいまその条約については承知いたしておりませんので、肯定も否定もできないわけでございます。
#126
○正森委員 私の調査ではそうなっており、かつバーレーン、イランともに大陸棚条約の当事国ではありません。
 そこで、次に伺いますが、一九六五年三月十日に結ばれた北海のイギリス・ノルウェー間の境界画定についてのあり方はいかがですか。
#127
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 境界線を定める原則は、中間線になっております。
#128
○正森委員 一九六八年七月二十四日のノルウェー・スウェーデン間の条約の境界のあり方はいかがですか。
#129
○伊達政府委員 同じく中間線によって境界を画定いたしております。
#130
○正森委員 一九六五年十二月八日のノルウェー・デンマーク間の境界条約はいかがですか。
#131
○伊達政府委員 同じく、中間線によって境界を画定いたしております。
#132
○正森委員 一九六五年十月六日のイギリス・オランダ間の境界についての定めは、どういう立場に立っておりますか。
#133
○伊達政府委員 中間線でございます。
#134
○正森委員 時間の点で、同じようなことになりますけれども、一括して伺いたいと思いますが、そのほかに、たとえばパルテック海では、西ドイツ・デンマーク間の一九六五年六月九日、ソ連・フィンランド間の一九六七年五月五日、ソ連・ボーランド間の一九六九年八月二十九日。フィンランド湾では、ソ連・フィンランド間の一九六五年五月二十日。アドリア海では、イタリア・ユーゴスラビア間の一九六八年一月八日。アラフラ海東部、ニューギニア島南岸・北岸では、オーストラリア・インドネシア間の一九七一年五月十八日。アラフラ海西部、チモール島南岸では、オーストラリア・インドネシア間の一九七二年十月九日。マラッカ海峡、南シナ海の東部と西部についてはインドネシア・マレーシア間の一九六九年十月二十七日というようにございますし、また非常に最近では、一九七三年十二月十七日署名、一九七四年三月十三日に発効した、デンマーク領であるグリーンランドと北極圏のカナダ領諸島との間の境界画定に関する条約、デンマークカナダ間ですが、これらはすべて大陸棚条約第六条の前提に従ったものであるというように、私どもは調査の結果承知しておりますが、いかがですか。
#135
○伊達政府委員 ただいまお挙げになりました諸条約のうちで、一九七四年の条約に関しましては、私手元に資料がございませんが、その他のものにつきましては境界を画定いたしております。その原則は、同じ中間線と申しましても若干バリエーションがあると思いますが、等距離線ないしは中間線を原則として決められたものでございます。
#136
○正森委員 そのほかに、御承知のように、西ドイツとデンマーク、オランダ間で国際司法裁判所に提訴をされて判決があったことは御承知のとおりであります。その判決は下されましたけれども、結局は、その判決によらずに三国間でそれぞれ和解といいますか協定ができたということは御承知でしょうか。それは判決の示した境界どおりに決まったでしょうか。
#137
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 北海の大陸だなに関しましてオランダとデンマークとドイツとの間に争いが生じまして、これが国際司法裁に持ち込まれまして、司法裁の判決が下りまして、それに基づいた三国間の取り決めが行われたというように承知いたしております。
#138
○正森委員 時間の関係で非常に簡略にいたしましたが、私がいま二十前後の大陸だなの境界画定の条約を挙げて、その境界画定について大陸棚条約の第六条の等距離原則というものが基本的に生かされておる、小さなバリエーションはありましても、ということを申し述べましたのは、これは大陸棚条約第六条のその境界画定の法理というものが、単にその法創造的な効力を持っているだけでなしに、国際法の慣習法としての確信を国際社会において得つつあるものである。もちろん条約の当事国である、外務省の言うところによれば五十一カ国、私の調査では五十三カ国が、その条約の当事国としてこの第六条の原則について法的確信を持っておるのはもちろんですけれども、私が挙げました二十前後の条約の中には、大陸棚条約にいまだ加盟していない国が多数含まれておる。その一部は伊達参事官も認めました。ということは、大陸棚条約に参加しておらない国がこの大陸棚条約第六条の境界画定についての考え方というものを、私の表現によれば等距離原則というものを原則として認めているということは、これが大陸棚条約の加盟国だけでなしに、広く国際法的に法的確信になりつつあり、国際法の慣習法的なものに転化しつつあり、あるいはむしろ転化していると言ってもいいのではないかということが言いたかったから、私はいままでの議論をしてきたわけであります。
 もし私のこういう考え方というものに一定の根拠があるとするならば、わが国が海洋法会議で提起した日本側の提案、それは基本的に大陸棚条約の第六条に合致しておるものでありますが、それは国際法的な慣習法としての法的確信を得つつあるものとして、われわれは他国との間で大陸棚の境界を画定する場合に、国益の上からいって容易なことでは譲ってはならない原則であり、それは何もわが国の国益だけを重んずるところのエゴイズムではなしに、国際法的に慣習法としての法的確信をいまや得つつあるものである。少なくとも伊達参事官が答弁した範囲内では、多くの二国間の境界画定の法理というものは、この原則に基づいておると大約言うことができるということが、私の質問の中でほぼ明らかになったと思うのですね。
 ところが、本件、日韓大陸棚条約は一体どのような内容を持っておるかということを私は問わないわけにはいかない。それは政党政派を超えて日本の国益を守るために、日本国民の一員としてその点を問わないわけにはいかない。
 この南部の境界画定についての地図がありますが、外務省に伺いたいと思います。この地図を見ますと、条約には緯度、経度が書いてあるわけですが、この1、2、3、4、5、6を結ぶ線というのはこれは一体いかなる線であるか、御説明を願いたい。
#139
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 御質問の1から6に至る線と申しますのは、日韓間におきましてすべての島を考慮に入れまして、それぞれ双方からそれを基点といたしましてはかりました中間線、等距離中間線でございます。
#140
○正森委員 6、7、8はどのようにして定められた線ですか。
#141
○伊達政府委員 6、7、8は、すべての島を考慮に入れて測定いたしました日本と中国との間の中間線でございます。
#142
○正森委員 この問題について中国とは一切交渉しておらないようですから、6、7、8の点についてはしばらく考慮の外におきます。しかし、いま説明がありましたことでも明らかなように、1、2、3、4、5、6を結ぶ線というのは、日本と韓国との間のすべての事情を、すべての島嶼を考慮した中間線であります。したがって、一九五八年の大陸棚条約第六条によれば、この中間線から向こうは韓国側、こちら側は日本側ということになっておるわけです。今度の日韓大陸棚条約の南部の共同開発区域というのはすべてこの中間線からわが方の中に入っておる。先方の方にも入っておって、先方の方に四分、わが方に六分というのじゃないのです。全部わが方に入っておる。本来、大陸棚条約の第六条によれば、わが国が主権的権利を行使する区域内であります。その区域内について、日韓両国が共同開発をして、費用も半分持てば、油が出てくればそれも半分半分だ、それを五十年間続けるというのがこの条約なんです。
 私がいままで述べ来ったことから明らかなように、大陸棚条約ができましてからいままでのわずか二十年足らずの間ですが、その間に大陸棚条約の当事国は言わずもがな、当事国でない国の間でも、大陸棚条約第六条に定める境界画定の法理というのは国際法として慣習法的な法的確信を得てきている。それだのになぜわが国はこのような考え方、つまり大陸棚条約の第六条の境界画定の考え方に反するような条約をあえて結んだのか、それを伺いたい。
#143
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 第六条から先生いろいろと御論証になったわけでございますが、第六条は「同一の大陸棚(だな)が隣接している」というところをお読みくださいますと私の申し上げることがおわかりいただけるのではないかと思うわけでございます。大きく言えば、確かにどちらかと言えば、日本国そのものがアジア大陸から張り出しております大陸だなの上にのっている一つの島であるということが言えると思います。したがいまして、その意味におきましては、日韓間に横たわる大陸だなというのは同一の大陸だなではないかということが言えるわけでございまして、まさにわが国はそういう立場をとっているわけでございます。
 ところが、一つの考え方ではございますが、この日韓に横たわる大陸だなのうち北部の方は確かに地形的に申して同一の大陸だなとみなされますので、その限りにおいては等距離中間線で解決ができるであろう。しかしながら、南部におきましては沖繩海溝というものがあって、日本はその海溝を越えては東シナ海の大陸だなの方に大陸だなの主権的権利を主張し得ないものであるという考え方がございます。韓国はその考え方をとっているわけで、これが自然の延長という立場になるわけでございます。したがいまして、双方の言い分がそこで食い違っているわけでございまして、この南部の地域におきましては、単に中間線ということだけでは論じ得ないものがある。まあ、わが国といたしましては先ほど申した立場を主張し、韓国といたしましてはその自然の延長というところで議論が行われたわけでございまして、この議論の果てしなく続く状況を見まして、日韓間にこのような紛争が存在することは好ましくない、したがって、その法理論的立場というものは留保しつつも実際的解決を図ろうということで、双方の主張がダブっているところを共同開発区域ということにいたしたわけでございます。
#144
○正森委員 いまそういう説明を伺いましたが、それじゃ伺います。北海では、イギリスやヨーロッパ諸国との間で大陸だなの境界画定の一応の線が引かれておりますが、北海の場合に海溝はないのですか。
#145
○伊達政府委員 ノルウェー海溝という海溝がございます。
#146
○正森委員 そうすると、大陸だなはそこで切れておるからその海溝までということになったのですか、それとも等距離原則というのが働いて境界画定が行われたのですか。
#147
○伊達政府委員 北海におきますたとえばイギリス・ノルウェーの一九六五年の条約でございますが、これは、ノルウェー海溝というものの存在にもかかわらず中間線で定めているわけでございます。
#148
○正森委員 そうだとすると、海溝があるといいましても、それは等距離原則を排除する決定的な理由にならないじゃないですか。それからまた日本海側について言いますと、朝鮮民主主義人民共和国の領域の方から元山を経て南部に至るまでの東海岸側には、韓国の領海からきわめて近いところに非常に深い海溝があるんじゃないですか。それだのにその場合はなぜその海溝を越えて中間線の立場に立って境界を結ぶのですか。
#149
○伊達政府委員 前段の、海溝があるからといってその中間線によって境界を画定することを排除することにはならないではないかということでございますが、その点は私どももまことにそのように考えているわけでございまして、まさにこの日韓間の大陸だなに関しましては、日本側は韓国に向けてそのような立場をとって主張してきたわけでございます。
 それから日本海の面におきましては、私ちょっと地図を詳しく知りませんので、お答えはまた別の機会にさせていただきたいと思うわけでございます。
#150
○正森委員 私が調べたところによりますと、日本海側では韓国の東海岸の領海を隔たること遠くないところに非常に深い海溝があるわけです。ですからその理屈を推し進めていけば、韓国側の大陸だなというのはその辺でちょん切れておることになるという議論もできないわけではない。そうすると、自国に不利な場合には中間線を主張して、自国に有利だと思われる場合は中間線を越えてわが方へ入ってくる。まあ言えば、自国に有利なことのみを主張するという立場ではないかというように言って言えないことはないと思うのですね。
 そこで、いま伊達参事官が、古きをたずぬれば大陸だなといっても日本自身が大陸だなである、こうとれるような微妙な発言をされましたが、地球は一体何年ぐらい前にできたのでしょうね。
#151
○志賀説明員 お答え申し上げます。
 地球がいつごろできたかという点についてはまだ確定した議論はないようでございますけれども、一応四十五億年ぐらい前にできたであろうということが一般的に言われておるようでございます。
#152
○正森委員 日本列島はいつごろ確定的に大陸から海洋によって隔てられるようになったんでしょう。言いかえれば、いつごろまでつながっていたんでしょう。
#153
○志賀説明員 いつごろまで大陸とつながっていたかどうかという点、私ちょっと存じませんけれども、日本列島が現在のようなかっこうになりましたのが、大体二千五、六百万年前というふうに聞いております。
#154
○正森委員 それはうそであります。私はここに「日本海の謎」という相当な学者の書いた本を持っておりますけれども、それを見ますと、四千万年ぐらい前から非常に変動しているんですね。そして、地球上ではいまから一万年前から二万年前にかけて海抜が百メートルぐらい上下したんですね。氷河期の後期か何かです。したがって、日本列島が最終的に大陸から切り離されたのは僅々一万年ぐらい前なんですね。地球の四十五億年の歴史から見れば、一万年というのはほんの一瞬だ。人類があらわれたのは二百万年前であります。だから、一万年前までひっついておったということになれば、そういうことを地質学的に考えれば――私は、これは非常にまじめに議論しているんじゃありませんよ。軽い息抜きと思って聞いていただいたらいいと思うのですけれども、そういう点から言えば、大陸だなというのは自然延長だということだけに固執しようと思えば、自然延長だと言えば、一万年前まで日本列島も大陸とひっついていたじゃないかということになってくるのです。ヨーロッパでも、海溝がありましても、大陸だなの自然延長というような議論だけでなしに、自然延長と言えばどこまでが自然でどこで性格が変わっておるかというようなことが海底地質学的になかなかわからないから、比較的判断がしやすい等距離原則を基本にして――等距離原則というのは中間線もしくは等距離線で、それにいろいろの島があるとか、海岸線が出張っているとか出張っていないとか、あるいは先に油田を見つけたとか見つけないとか、そういう特別事情を考慮してバリュエーションを行い、そして両国が合意するのが望ましい、合意ができない場合には、特別事情を考慮した中間線もしくは等距離線でいこう、大体こういうことになっておるんですね。
 今度の海洋法会議で大陸だなの境界についての議論がされたと思いますけれども、単一草案がございますね。単一草案は大陸棚条約の第六条とは若干違っておりますけれども、その考え方は大陸棚条約の第六条をほぼ踏襲しておるというように見てもいいと思いますが、いかがですか。
#155
○伊達政府委員 お答え申し上げます。
 大陸棚の前会期末に議長から提出されました単一草案の六十一条が境界画定に関する“規定でございます。それによりますと「適当な場合には中間線または等距離線を使用し、また、すべての関連ある状況を考慮に入れて、衡平の原則に従い、合意により行なわれる。」ということが主眼になっているわけでございまして、その意味におきましては、五八年の大陸棚条約と大体軌を一にしているものであるということが言えると思います。
#156
○正森委員 きょうは私は、外務大臣がおられませんので、大陸棚条約をめぐる種々の政治的な情勢等については質問を行いませんでした。また、非常に関係の深い漁業問題について、あるいは条約の個々の条文については一切触れませんでした。境界問題にしぼって質問をしたわけであります。また機会を改めて残りの問題については詳細に伺いたいと思いますけれども、私がいま申し上げました範囲内でも、この条約が、大陸棚条約ができましてから十七、八年の間に成立した条約の中では非常に異色のものである。いい方に異色か悪い方に異色か、それは各党で立場が違いますけれども、そういうように言わなければならないのじゃないか。したがって、この問題は、五十年間子孫を拘束するわけですから、国会においても非常に慎重に、そしてあらゆる角度から審議をしなければならないのじゃないかというように考えております。
 そこで最後に、河上議員が要求をされました資料については私も賛成でございます。それで多少重複するかもしれませんが、これから読み上げますので、その資料について、外務省がもし可能ならば私どもの方に提出をしていただき、次に審議することがありましたら参考にさせていただきたい、こう思います。
 韓国側の鉱区の略図、台湾側の鉱区の略図、各鉱区のメジャーの分布図、韓国側開発権者の社歴と資産内容、各鉱区の日本側開発権者の分布図、日本側開発権者の社歴と資産内容、共同開発区域の面積及び小区域の面積、その略図、日本が行っている大陸棚の開発状況、各国が行っている大陸棚の開発状況、特に北海油田開発、東シナ海における漁獲高及び魚種別状況、韓国国会における本協定審議議事録、これは日本語訳で、先ほど私が質問しました中に出てくるやりとりを含む。アメリカの各種委員会におけるメジャー証言の議事録、これはガルフその他であります。経済水域二百海里となった場合、共同開発区域における日本、韓国、中国のそれぞれ二百海里線の略図、以上をもし可能ならば提出していただきたいと思います。
 以上で、今回については質問を終わります。
#157
○塩崎政府委員 できる限り努力して提出いたしたいと思います。
#158
○伊達政府委員 先ほど最後の正森先生の御質問で、単一草案の六十一条と申し上げましたが、大陸棚の境界画定に関しましては、単一草案の七十条でございます。しかし、内容は同じものでございます。訂正させていただきます。
#159
○鯨岡委員長 ただいまの正森君の資料要求については、政務次官からお答えもありましたが、後刻理事会で協議もいたします。
 正森君の質疑は終わりました。
 次は、永末英一君。
#160
○永末委員 イギリスの周辺、北海油田の開発につきまして、イギリスとヨーロッパ諸国とがその開発区域についての協定を結んでおりますが、これらの境界線は、先ほどから問答がございましたが、それぞれの中間線をとるという原則で貫かれておると承知してよろしいか。
    〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕
#161
○伊達政府委員 北海につきまして、イギリス・ノルウェー、イギリス・デンマーク、イギリス・オランダという条約がございますが、いずれも中間線を境界画定の基準といたしております。
#162
○永末委員 ここには共同開発は一つもありませんね。
#163
○伊達政府委員 ございません。
#164
○永末委員 今回の条約で、いわゆる南部共同開発地域について共同開発を認めている前提には、わが国の政府は他国の大陸だなに対する自然延長説を承認をした、このように見てよろしいか。
#165
○伊達政府委員 承認をいたしておりませんからこそ、このような双方の法的な立場というものを留保しつつも、実際的な解決として共同開発ということを考えたわけでございます。したがって承認はいたしておりません。
#166
○永末委員 承認をしていなければ、わが国の近所まで韓国の開発をやることが当然の条約上の事項としてこないわけでしょう。柔道でわざありで合わせて一本ということがあるが、半分ぐらい認めているのですか。
#167
○伊達政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、法的な立場といたしましては、韓国側の立場を全然認めているものではございません。また韓国側も日本側の立場を認めるに至らないわけでございまして、その実際的な解決として共同開発ということになったわけでございます。
#168
○永末委員 あなたの言葉のとおり韓国の主張を全然認めていなければ、共同開発は起こらない。半分認めたから共同開発が起こった、そう見るのはあたりまえではありませんか。
#169
○伊達政府委員 日韓間にこのようなことで紛争が起こるのは好ましくない、したがって何か友好的に、法理論は法理論といたしまして、実際的な解決を図ろうということで共同開発ということに合意した結果この協定ができたわけでございまして、したがって法理論の立場をお互いに認め合うとかあるいは認め合わないとかいうことは考慮のらち外に置いたものでございます。
#170
○永末委員 今回のこの条約が、いままでは法理論的にもわが国の周辺国の大陸だなに関する権利の主張に対して、一切自然延長論のごときものは認めてこなかったが、この条約によって日本政府は初めて半分認めた、こういうぐあいに見られた場合、あなたはどう反論するのですか。
#171
○伊達政府委員 これは、わが国としてこの日韓間に横たわる大陸だなにつきまして韓国側の自然延長論を認めたものではないんだということでございます。これは法的立場を離れまして共同に開発することを決めたということでございます。
#172
○永末委員 この区域に韓国の会社が試掘なりまたは採掘をやるという権利はこの条約で認めているわけでしょう。そうではありませんか。
#173
○伊達政府委員 この条約が効力を生じますれば、共同開発という制度のもとに、それぞれの国によって認められました開発権者が坑道試掘及び採掘をすることができる権利をこの協定に基づいて得るわけでございまして、その意味におきましては、韓国政府の承認、認可を得た開発権者というものが出てきてこの地域の自己の割り当てられた区域を探査、開発するということができるわけでございます。
#174
○永末委員 もしわが国が主張しているように中間線で、大陸だなの分け取りという言葉を申したらいいか悪いかわかりませんが、その境界線をつくるということが貫かれておるのなら、わが方の一方的な管轄を主張し得る地域に他国の会社が権利としてそういうことをやっていくことは認める必要のないことである。にもかかわらず、この条約でもってこの権利を認めたということは、相手方が当然おれもそこで試掘、採掘をやれるんだという主張をしてきた経緯からかんがみて、やはりわざありぐらいとられたと見るのがあたりまえではありませんか。どうですか。
#175
○伊達政府委員 法律の議論の問題といたしまして、自然延長論を認めたとか認めないとかいう問題にはならないわけでございまして、共同開発区域を双方の合意によって設けた、その結果相手側の、すなわち韓国の開発権者も日本の開発権者とともに開発、試掘に参加できるということになるわけでございます。
#176
○永末委員 中国との間には、これらの件について全く交渉がなかったんですね。
#177
○大森政府委員 中国との間におきましては、中国側が自然延長論の立場に立っての一つの主張を行っているという点にかんがみまして、また日中友好関係にかんがみまして、本件協定が署名されるに先立ちまして、先方に概要を通報いたしますとともに、署名直後またその後も何度か繰り返しまして、この協定は中国の権利を害するものでない旨を十分誠意をもって説明いたすとともに、もし中国側が希望するのであれば、日中間の大陸だなにかかわる部分については、その境界画定について話し合う用意がある旨を、再三にわたり表明してまいっております。
#178
○永末委員 いまのお話を伺いましても、事前と事後に通告をいたしたという話でございますが、交渉はいたさなかったというぐあいに承ってよろしいですね。
#179
○大森政府委員 交渉というものはまだ行われてないわけでございます。
#180
○永末委員 この南部共同開発地域の6、7、8の諸点、これを結ぶ線は中国とわが国との中間境界線である、こういう御説明でございますが、もし中国が、韓国とわが国との間で共同開発区域について、このような条約をいま政府は調印をして批准を求めているわけでございますけれども、この線からわが方へ向けて共同開発などの申し入れがあったらどうするのですか。
#181
○中江政府委員 ただいま大森次長が御説明しましたように、日本側としては、今回の協定は韓国との間に締結いたしましたが、中国との間にも東シナ海の大陸だなの境界の画定については話し合わなければならないということは認識しておりますので、中国側に対して、日中間の境界画定の話し合いをするのであれば日本はあすからでも交渉に応ずる用意があるということは再三申しておりますが、中国側からは、それでは話し合いをしようという話がないわけでございますので、残念ながらまだ話し合いができない。いま先生御指摘のように、中国側がこの地域について自国の大陸だなの境界画定を具体的に提案してまいる、そういう事態になりましたら、当然のことですが、日中間で話し合いが始まる、こういうふうに認識しております。
#182
○永末委員 話し合いに応ずる姿勢を持しているけれども、実際の話し合いの要望が中国側からない、こういうことでございますが、海の上に勝手に筋を引いて、中間線ならここだ、だからこっち側の内側は、おまえのところは自然延長説をとっているようだけれども、ともかく韓国との間で共同開発の区域を設定する、こういうことをやっているわけでしょう。そのことについて中国側が快い感じをもってこの条約を見ていないことは御承知だと思いますが、いまのように、その姿勢があるのだということだけを言っている程度で、日本の外交としてはいいと思いますか。
#183
○中江政府委員 日本の外交として一番望ましい姿は、この東シナ海の大陸だなに関係のあるすべての国の間で円満に境界画定の話し合いがまとまるということが理想であることは申すまでもないことですが、先ほども説明しましたように、中国側としては、この大陸だなの境界画定については、関係ある国のすべての間で合意をして境界を画定すべきであるというのが中国の立場である、こういうことを言っておるわけでございますが、にもかかわらず関係ある国の中では、お互いに外交関係がないあるいは承認関係にないために話し合いができないのが現実でございまして、そういう現実を踏まえて、とりあえずこの地域にある石油資源を有効利用するという目的に資するために、中国の権利を害さないように慎重、細心の注意を払った上で日韓間でのみ合意のできる部分について合意した。その部分を画定するに当たりまして、南のすみのところで一部分日中間の中間線に当たる部分が入ってまいりますので、その部分についてはいつでも中国との間で話し合いをする用意があるわけでございますし、そういう話し合いをするときに日本の法的な立場はどうかという点については、先ほど条約局の伊達参事官から説明がありましたように、この共同開発協定の締結というものは、日本にとっても韓国にとってもお互いに国際法上の権利を何ら決めるものではない。そういう主張は、日本の中間線理論あるいは韓国の自然延長論、そういう国際法上の権利は留保したままで、実際的な解決として結んであるわけでございますので、将来話をするときには日本としては日本の立場に立って話をする、こういうことになろうかと思います。
#184
○永末委員 この東シナ海のいわゆる油を含んだ大陸だなの問題はこの地域だけの問題ではないわけでございますから、将来中国との間にこれ以南、まあ台湾の問題も複雑な問題でございますけれども、開発の話が始まった場合に、日本側としては似たような態度で臨むということをこの条約ではっきりさしておるわけですか、共同開発というようなことを考えていくんだと。沖繩の北方にも似たような問題がございますね、起こり得るはずである。自然延長を中国が主張し、わが方が中間線なんというようなことを言えば、沖繩の北方には海溝がございますけれども、海溝を無視して中間線ということであれば、その中間線以南の土地、中国との間にも共同開発をやる姿勢を持っているということをこの条約を締結した以上は言っておる、こう見られても仕方がないと思いますが、いかがですか。
#185
○中江政府委員 この南部の共同開発に関する協定は、再三申し上げておりますように日韓間で話し合いをできる部分に限って法的立場を留保した上で実際的解決を図った、それを第三国がどういうふうに見ますかは、これは第三国の自由でございますが、日本といたしましては、法的立場はあくまでも堅持しておりますので、これから第三国といかなる部分の大陸だなについて話し合いを始める場合でも日本の基本的立場から出発する、その結果どういうふうに落ちつくかは交渉次第、こういうことでございます。
#186
○永末委員 ただいまのお話で、この区域は日韓間で自由に話し合いができるとおっしゃいましたが、中国側はこの区域についても自分らの法的主張の立論の根拠から言えば主張し得る地域なんだということを言っているはずでしょう。そうすると、それを知りながら日韓間でこれを決めてしまうということが、中国の従来の主張からいたしますと、やはり割り切れない何物かを残したまま決めてしまうということに結果的になりますね。そういう措置がいいのかどうか。自信ありますか。
#187
○中江政府委員 その点は、先ほども申し上げましたように、最も望ましい姿はすべての関係国で話し合いができた方がよかった、また、したがったのが私どもの希望であったわけですが、現実の国際関係がそれを許さない状況下で、他方、この地域の石油資源に対する関心が国益の問題として高まっておる現状にかんがみまして、次善の策として、日中間の話は別として、日韓間で話し合える部分に限定して話をした、それを中国側がこの大陸だなについてはすべての関係国の間で話し合うべきだという主張をしているからといって、その関係国の間で話し合いができない現実が改善されるのであれば結構でございますけれども、近い将来その関係国全部の間で話し合いができるような国家関係にない、この現実のもとで選びました中では最善の方法だと確信しておるわけでございます。
#188
○永末委員 将来どういうぐあいにこの朝鮮半島の地図が変わるかわかりませんけれども、この条約は五十年間、現在存在する日本韓国両国の間の義務づけをやろうとしておるのでございますけれども、中国がこれらの地域について周辺諸国とともに協議をし得るような段階になれば、当然この条約は変わるわけですね。
#189
○中江政府委員 そういう事態になりましたならば、そのときの話し合いの結果いかんだと思います。
#190
○永末委員 いま中国と韓国との間には外交関係、国交はございませんから、むずかしい問題が存在することは私ども承知をいたしております。それだけに、わが国のこの種の問題に対する処置の仕方としては慎重を期し、国交を持っている中国との間における友好関係を阻害しないような万全の措置をとることは必要である。このことは私ども民社党としましては一番多くの力点を置いて、この問題の成り行きを注視をいたしておる点であるということを申し上げておきます。それは、いま政府のやっておられることは万全だと思わぬからでありますから、念のために……。
 さて、海洋法会議におきまして、いわゆる資源水域あるいはまた経済水域というものがまとまってきた場合には、わが国の主張点としましては、大陸だなと資源水域との関係について隣接国との間にはどういう主張をしていきますか。
#191
○伊達政府委員 経済水域と大陸だなとの関係でございますが、わが国の最も望んでおります解決の形といたしましては、当初二百海里をもちまして、上部水域も下部の海底も二百海里によって区切られるということを望んでいたわけでございますけれども、海洋法会議の第二委員会では、上部水域に関します経済水域の検討と、もう一つ大陸だなというものが別の項目として論ぜられているわけでございまして、御承知のように大陸だなの検討に当たりましては、一九五八年からの大陸だなというものの国際的な、何といいますか慣行、慣習、一般国際法化したものということから、すでに既得権として広い大陸だなを持っている国は、すべて二百海里に限らず、自分たちのものであるという自然の延長論が強く主張されているわけでございまして、上部の経済水域というものと下部の大陸だなというものが必ずしも全く同じレジームに服するものかどうか、その点はまだ帰趨を見なければわからないという状況でございます。
#192
○永末委員 推移を見なければわからないというのが会議の成り行きでありますが、わが国の政府はどういう方針で臨んでおるのですか。いまお話を伺いますと、それぞれの国が大陸だなの主張をやっておる事実はございますね。この前の海洋法会議から強く色合いが出てまいりましたいわゆる経済水域設定の問題は新しい問題ではございますけれども、わが国としてはどっちに重点を置いて世界の海洋の色分けをやっていくのかという方針は、やはり明確に聞いておきたいと思います。
#193
○伊達政府委員 先ほども申しましたとおり、わが国の立場は上部水域、経済水域も大陸だなも二百海里という距離基準によって区切られるべきであるという立場でございます。
#194
○永末委員 隣接国の間に競合する場合には中間線でいくと、こういうことですね。
#195
○伊達政府委員 中間線を原則とするということでございます。
#196
○永末委員 技術的なことを伺いますが、この共同開発地域に、この条約が批准をされまして成立いたしまして法律ができ上がるということになりまして、試掘、採掘が行われますと、十年ほど後には何本ぐらいステーションができるのですか。
#197
○志賀説明員 お答え申し上げます。
 共同開発区域に石油の埋蔵がどのくらいあるかということにつきましては、これは可能性としては非常に高いわけでございますけれども、具体的な量的な判断というものは現在まだできない状況でございます。その問題ともう一つは、石油の埋蔵が商業生産に移行するだけあったということが判明した段階で開発に移行するわけでございますけれども、その場合にどういう形で開発するのが一番経済的にいいのかという問題も絡んでくる問題でございまして、そういう意味で、幾つぐらいステーションができるかということは現段階ではちょっと申し上げられない状況でございます。
#198
○永末委員 ステーションの数がわからなければ航行の自由、航行の安全性に関して、あるいはまた海洋汚染ないしはまた魚族を保護する問題等も的確にはいまからはわからぬ、こういう話ですか。
#199
○志賀説明員 お答え申し上げます。
 ただいま申し上げましたように、具体的にどういう形で仮に開発をする場合に進めたらいいのかというのは今後の問題でございますけれども、ただ実際にそういう段階になりましたときに、先生おっしゃいましたように、航行の自由であるとかあるいは漁業との関係であるとか、そういうものは十分考慮した形で開発を進めていく必要がありますし、私どもといたしましては、そういった点に十分配慮を払って開発を進めさせていきたいというふうに存じております。
#200
○永末委員 幾らステーションができるかわからぬということになりますと、わからぬものを相手に判定することは非常にむずかしくなりますが、水産庁の方、来ておられますか。
    〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕
あなたの方は、共同開発が進んだ場合にどういうぐあいになるとお考えですか、魚族、漁場という問題に重点を置いた場合。
#201
○大鶴説明員 お答えいたしますが、現在共同開発区域になっておりますところは、わが国の中でも数少ない漁場の一つでございます。したがって、そこで具体的にどういう形の開発が進められるかということが明らかになりませんと、ただいまの御議論のように、私どももそれを具体的に想定することはできないわけでございます。ただ開発が進められる段階におきまして、これは協定の中でも漁業の活動に不当な影響を与えないという配慮もしておりますし、国内の措置といたしましても、関係各省とその点は十分話を進めておるところでございまして、漁業に対する影響が出ないようにということ、それからいわゆる事故の防止その他につきましても十分な事前の検討をして、それで支障がないようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#202
○永末委員 現在の状態と、いよいよこれは試掘が始まれば海底に穴があけられるわけでございますけれども、そうしますと、海底の状況が変わる。魚の生息に対する環境は大いに変わってくる。いわんやもし油が出たとしましても、一体その油が周辺環境に全く無関係にするすると採取されるのかどうかわかりませんが、いろいろなことを考えておるというのですけれども、環境は変わりますね。変わった場合に、周辺における一番いい漁獲場だと考えられているこの地域で漁獲はできない、こういうことになりますと、この辺の漁民は大変な問題になると思うのですね。この辺はどの程度考えておるのですか。それは金で補償しようというのですか。あくまでも魚をとって暮らしていくことを守っていこう、こういうことで考えておるのですか。
#203
○志賀説明員 お答えいたします。
 資源エネルギー庁といたしまして大陸だな周辺海域を開発いたします場合に、漁業との調整というのが非常に重要な問題というふうに考えておりまして、従来からきわめて慎重に運用をしてまいっております。
 共同開発区域の場合について申し上げますと、漁業との調整につきまして、一つはこの協定に基づきまして開発が進められてまいります場合に、共同事業契約というものを開発権者相互間で結びまして、それに基づいて開発を進めていくということになっておりますが、その共同事業契約の中で漁業との調整をどうやっていくのかという点について具体的に記載させて、それを両国政府で承認をして、それに従って開発を進めさせていくという方針をとっております。たとえば試掘をするあるいは物理探査をするという場合に漁業の最盛期を避けるとか、それから試掘する場合には必ず漁業関係者から事前の同意を得るとか、そういった方法で開発を進めさせていくということを、この共同事業契約を通じまして実施をさせていきたいというふうに思っております。
 それからさらに申し上げますと、あの海域には確かにきわめて有望な魚礁というものが存在しております。そういった有望な魚礁の上では試掘をさせないというような運用をやる方針でございまして、これは商工委員会の方でこれから御審議をいただくことになっております。この協定の実施法でございます国内法におきまして、そのような規制措置が講じられるように条文の中に織り込まれているわけでございます。
#204
○永末委員 魚族保護の問題はまた伺うとしまして、大体この地域で試掘をやりますと、コストはどのくらいかかるとお考えですか。
#205
○志賀説明員 コストの点につきましては、これは探鉱開発にどのくらいかかるかという点と、それから実際に埋蔵量がどのくらいあるかという点にかかってくる問題でございます。したがいまして、この海域で出てまいります油のコスト、これを現在正確にかなりの精度をもちまして予測することは困難な状況でございますけれども、たとえば北海の開発コストというものは、イギリス側の海域でございますと大体三ドルないし五ドルぐらいというふうに言われております。恐らくあの共同開発区域の開発コストというものは、これは埋蔵量にもよるわけでございますけれども、北海の開発コストよりも高くなる可能性というものはかなりあろうかと存じております。
#206
○永末委員 韓国側が開発権を与えました合弁会社等の資本力、資本はどのぐらいで合弁会社をつくっておるのか。コリアン・アメリカン・オイル・カンパニー、コリアン・シェル・オイル・カンパニー、テキサコ・コリアン・コーポレーション、ガルフ・オイル・オブ・コリア等について、ひとつ資本力をお示しを願いたい。
#207
○大森政府委員 韓国側で現在開発権を認めている企業は、アメリカ系三社それからオランダ系一社という内訳でございますが、これらはいずれもアメリカないしオランダ系企業の子会社として認可されている、こういう状況でございます。この子会社につきまして、企業別に資本金というものを申し上げますと、コリアン・アメリカン・オイル社が一万ドル、コリアン・シェル・オイル社が十万ギルダー、テキサコ・コリアン社が千ドル、コリア・ガルフ・オイル社が千ドル、こういうふうになっております。
#208
○永末委員 いま資本力を聞きますと、相当な借り入れをしないと試掘から採掘に至ることはなかなかむずかしいと思います。ここの共同開発が認められて、わが国の企業もこれに参加をしていくわけですが、わが国の政府は韓国側にも金を貸す姿勢を持っていますね。
#209
○大森政府委員 大変恐縮でございますが、もう一度御質問お聞きできますでしょうか。
#210
○永末委員 韓国側の会社の資本金をいま伺ったのでございますが、きわめて少額であって、その資本だけでは試掘、採掘とうていでき得ない程度の資本しか持っていない。わが国の企業もこの地域における開発に参加をしていきますが、この韓国でつくられている会社に対してわが国の方の政府資金が流される姿勢をわが国の政府は持っておりますねと伺ったわけです。
#211
○志賀説明員 わが国の石油の探鉱資金の供給は、政府資金といたしましては石油開発公団を通じて流すということになっておりますけれども、それは石油開発公団の助成対象として、共同開発区域の韓国側の外国企業に対して流すことは石油開発公団の業務として成り得ないということになっております。
#212
○永末委員 先年、石油開発公団法が改正になりまして、外国機関並びに外国の法人にも資金貸し付けがあるんだという改正がありましたが、このことを予定してではございませんか。
#213
○志賀説明員 ただいま先生お尋ねの前回の石油開発公団法の改正の際の規定でございますけれども、あの規定は、外国政府あるいはそれに準ずるような政府関係機関でございますね。具体的に申しますと、産油国でいろいろ国営の石油会社をつくっておりますけれども、そういうものを想定してやっておりまして、プライベートの会社を想定して改正を行ったわけではございません。なお、その改正の趣旨は、産油国側が有望な鉱区をナショナルリザーブとしてとりまして、それをみずから開発したいという動きが最近非常に顕著でございます。それに対して石油開発公団を通じまして資金を供給し、それで出てきた油の一部を日本に持ち込んでくる、こういう趣旨の改正でございます。
#214
○永末委員 そうしますと、この石油開発公団の資金でもって韓国政府がここの共同開発に関して資金を求めたり、ないしはまたこれらの日本における石油開発公団みたいなものを韓国がつくって、これの開発に対する資金手当てをするために、その資金源をわが国の石油開発公団に求めてくるという場合には、やるのですか、やらぬのですか。
#215
○志賀説明員 お答えいたします。
 石油開発公団が助成をいたしますのは、あくまで出てきた油を日本に持ち込んでくるというところに目的がございます。韓国の場合に、韓国といたしましては、出てきた油は自国に持ち込むということを当然予定して開発を進めると存じますので、したがいまして、そういう意味で韓国が仮にそういうような資金の要求、要請というものを開発公団に期待いたしましても、石油開発公団といたしましてはそれはできないということでございます。
#216
○永末委員 いかなる意味でも石油開発公団の資金はこの共同開発における韓国側には流れない、こう理解しておってよろしいか。
#217
○志賀説明員 私どもといたしましてはそういうことは考えておりません。
#218
○永末委員 共同開発のあり方もいろいろ条約等には規定してございますが、わが国の会社に金が流されて、それが同じ鉱区の韓国側に流れるということはあり得ますね。
#219
○志賀説明員 お答え申し上げます。
 探鉱開発に要します資金は、五〇、五〇で日本側と韓国側の開発権者がそれぞれ負担をするということになっております。仮に日本側が日本側の企業に対しまして助成をする場合も、それは日本側の負担すべき金額を対象にして助成をするわけでございます。
#220
○永末委員 その資金はあらかじめ積んでということでございませんから、五〇、五〇の約束で発足をいたす。そうすると実質的には韓国側の資金手当てができなくてもプロジェクトとしては進行するわけでございますから、実質的にわが国の金が使われるという場合もあり得ると見てよろしいか。
#221
○志賀説明員 お答え申し上げます。
 開発権者を定めます際には、当然その開発権者が資金的あるいは技術的に十分な力があるかどうかというものを十分審査の上決まるわけでございます。したがいまして、韓国側の開発権者が資金がなくて開発ができないというようなことは想定されないわけでございます。
#222
○永末委員 すでにそれぞれのこの共同開発区域は鉱区が分割されて、それぞれの鉱区に対して開発権者、鉱業権者がおるわけでございます。ところが先ほど伺いましたように、いかにも韓国側の鉱業権所有者は貧弱な資金力である。どこかからか大きな金を借りてこぬことには、資金導入をいたしませんとこれは成り立たぬような気がします。大体この地域でやった場合、一本の試掘が完成するまでにどのくらい金がかかると見積もっておられますか。
#223
○志賀説明員 なかなか正確に申し上げられませんけれども、水深二百メートルの場合で現在試掘いたしますと、深度にもよりますけれども、大体十億ないし十五億ぐらいの金がかかるのではないかと思っております。
 なお、先ほど外務省の方から資本金の御説明がございましたけれども、恐らく開発が進む段階では、韓国側の開発権者の資金というものは強化されるであろうというふうに存じております。
#224
○大森政府委員 私の方から補足して申し上げます。
 韓国側企業の資力について一見非常に少額なわけでございますが、これら関係企業と韓国政府との間にはすでに契約がなされておりまして、この契約を行う際に、韓国政府は会社の内容を十分調べているというふうに承知いたしております。四社のうち三社はいわゆるメジャーの一〇〇%子会社でありまして、これらの親会社のメジャーについて資力の点は問題なかろうと思いますし、また残りのコアム社につきましても、これはメジャーではございませんが、出資社についてはたとえばハミルトンブラザーズという会社がありますように信頼に足る会社でありまして、その点についても問題はない旨韓国政府当局者は考えていると私どもは承知いたしております。
#225
○永末委員 日本の鉱業権出願各社は、水深二百メートルやそれ以上のところで試掘、採掘をやる技術的な力を十分持っておりますか。
#226
○志賀説明員 お答え申し上げます。
 現在までのところ、日本の周辺海域でわが国企業が一番深いところを掘削しましたときの水深が二百十メートルぐらいでございます。現在までの実情としてはそういうことでございますけれども、私どもの判断といたしましては、水深五百メートルぐらいまでは現状で十分掘削ができるというふうに存じております。
#227
○永末委員 アメリカのメジャーが全世界でやっておるのはどれぐらいの例がございますか。
#228
○志賀説明員 ただいまちょっと手元に資料がございませんのであるいは間違っているかもしれませんが、大体六百メートルぐらいではないかということでございます。
#229
○永末委員 共同開発のあり方は、わが国はわが国の技術でやり、韓国側はこのそれぞれのメジャーの子会社の技術でやる、こういうことですか、合わせて一本でやっていくのですか。
#230
○志賀説明員 実際に探鉱開発をやります場合に、操業管理者というものを決めまして、その操業管理者が技術的な問題を含めまして計画を立てて、プロジェクトを中心になって進めていくという形になるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても石油の探鉱開発をする場合に、たとえば試掘をする、あるいは物理探査をするという場合に、それぞれの専門企業がまたいろいろございます。これは世界的にもそうでございますし日本の場合もそうでございますけれども、たとえば日本が海外で探鉱開発をする場合もそうでございますが、多くの場合はそういったたとえば試掘の専門会社に頼みまして請負をさせまして、それで試掘をする。ただ問題は、その出てきた試掘の結果を技術的にどう判断するか、そこのところは、操業管理者なりまさに探鉱開発をやっているその企業の技術者が判断をしてプロジェクトを進めていく、こういうのが実態でございます。
#231
○永末委員 要するに、頭は二つあるけれども胴体は一つであってやる、こういうことですね。
#232
○志賀説明員 お答え申し上げます。
 どちらかと申しますと、胴体は二つだけれども頭は一つ、操業管理者というものを決めまして、それが頭になっていたします。そういうことではないかと思います。
#233
○永末委員 仕事の形からすれば、一つことを二つでやっている、こういう意味で頭は二つ、上を見れば分かれているけれども、掘っておるのは一つだ、こういうことですね。
#234
○志賀説明員 おっしゃるとおりでございます。
#235
○永末委員 埋蔵量がわからなければ全体もわからぬかもしれませんが、大体ここ十年ぐらいでどれぐらいの資金が、順調にいったとすればこの地域に必要だとお考えですか。
#236
○志賀説明員 お答え申し上げます。
 十年ぐらいということで御質問でございますけれども、長期にわたりますとかなり推計は困難でございます。私ども三年程度を一応めどにいたしまして推計をやってみたわけでございますけれども、その推計では、大体三年間の探鉱費といたしまして五十億ぐらいの資金が必要ではないか。ただそれを韓国側と日本側が折半をするという形になるわけでございますけれども、大体五十億ぐらいの資金ではないかという推計を一応やっております。
#237
○永末委員 探鉱費と言われましたが、もし当たれば違いますね。採掘しなければならぬ、こういうことになれば、そういう計算はしておられませんか。
#238
○志賀説明員 お答え申し上げます。
 御指摘がございましたように、探鉱で成功いたしますと、次に開発段階に入るわけでございますが、ただ開発段階の資金量となりますと、これはその規模にかかわってくる問題でございまして、現在までのところ私どもそこまでまだ推計をいたしておりません。
#239
○永末委員 探鉱の計算では何ぼぐらいステーションをつくることになっていますか。
#240
○志賀説明員 お答え申し上げます。
 探鉱の段階ではステーションというものは建設をいたしませんで、掘削船、普通リグと言われておりますけれども、そのリグによりまして掘削をするわけであります。
#241
○永末委員 その場所は何カ所ぐらいと計算して五十億というそろばんをはじいているのですか。
#242
○志賀説明員 一応協定に関連いたします交換公文で、最初の三年間に義務井三本、少なくとも三本の試掘をするということになっております。で、一応三本という前提で計算をいたしております。
#243
○永末委員 きょうのところはこの程度にします。
#244
○鯨岡委員長 永末君の質疑は終わりました。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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