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1949/01/24 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 電気通信委員会 第1号
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1949/01/24 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 電気通信委員会 第1号

#1
第007回国会 電気通信委員会 第1号
昭和二十五年一月二十四日(火曜日)
    午前十一時十一分開議
 出席委員
   委員長 辻  寛一君
   理事 高塩 三郎君 理事 中村 純一君
  理事 橋本登美三郎君 理事 松本 善壽君
   理事 受田 新吉君 理事 江崎 一治君
      淺香 忠雄君    井上信貴男君
      庄司 一郎君    降旗 徳弥君
      今井  耕君
 出席国務大臣
        電気通信大臣  小澤佐重喜君
 出席政府委員
        電気通信政務次
        官      尾形六郎兵衞君
        (人事部長)
        電気通信事務官 楠瀬 熊彦君
        (業務局長)
        電気通信事務官 靱   勉君
        電波監理長官  網島  毅君
        (電波庁法規経
        済部長)
        電気通信事務官 野村 義男君
 委員外の出席者
        專  門  員 吉田 弘苗君
昭和二十四年十二月十三日
 委員田島ひで君辞任につき、その補欠として聽
 濤克巳君が議長の指名で委員に選任された。
同月十六日
 委員聽濤克巳君辞任につき、その補欠として志
 賀義雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
昭和二十四年十二月二十二日
 電波法案(内閣提出第五号)
 放送法案(内閣提出第六号)
同月二十三日
 電波監理委員会設置法案(内閣提出第七号)
昭和二十五年一月十八日
 東北地方の無線通信施設拡充整備の請願(苫米
 地義三君外一名紹介)(第一六二号)
の審査を本委員会に付託された。
昭和二十四年十二月二十四日
 湯原局、二井宿局間に單独電話架設の陳情書(
 宮城県刈田郡七ヶ宿村長高橋大吉外一名)(第
 六一号)
 東北地方の無線通信機関拡充の陳情書(仙台市
 宮城県議会議長椛沢敬之助)(第一三七号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 公聽会開会承認要求に関する件
 電波法案(内閣提出第五号)
 放送法案(内閣提出第六号)
 電波監理委員会設置法案(内閣提出第七号)
    ―――――――――――――
#2
○辻委員長 これより会議を開きます。
 昨年十二月二十二日、本委員会に付託になりました電波法案、放送法案同じく二十三日付託になりました電波監理委員会設置法は、ともに関連を持つておりますので、これより三法案一括議題として審査を進めます。まず以上三法案の趣旨について説明を求めます。小澤国務大臣。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#3
○小澤国務大臣 ただいま議題と相なりました電波法案、放送法案及び電波監理委員会設置法案の提案理由を、ごく簡單に御説明申し上げます。
 放送を含む電波行政の現在の基本法である無線電信法は、大正四年に施行せられたものでありますので、放送を初め、科学技術の進歩に伴い、電波を利用する分野が拡大した今日におきましては、十分に規律の目的を達しているとは申せないような次第であります。特に放送に関しましては、この不備を補うとともに、国民全体のための放送とするために、現在の日本放送協会を改組すると同時に、その事業の独占を排除することが、社会の要望するところとなつて参りました。次に、日本国憲法の施行によりまして、国民主権に基く法律による行政を確立いたしますためには、無線電信法は行政官庁に対する授権の範囲が広きに過ぎ、国民の権利及び自由を十分に保障しているものと申すことができません。また、電波が国境を越えた文化的手段でありますことから、その利用には高度の国際協力を必要といたしますが、このための国際電気通信條約にわが国も昨年加入いたしました結果、この條約の要求を満たすように国内法制を整備する必要がございます。さらに無線電信法の性格そのものにつきましても、現在電気通信省で行つております公衆通信事業の事業経営の準則と見られる規定が、監督行政の規定とともに包含せられておりますので、行政を事業から分離し、別個の法体系とすることが合理的であると申すことができるのであります。同時に主管の行政官庁も、事業官庁である電気通信省から分離するとともに、その組織を民主化することが、行政の公正を期する上に必要となつて参つております。
 以上要しまするに、電波の公平かつ能率的な利用を確保し、公共の福祉を増進するため、及び放送が公共の福祉に適合して行われ、かつその健全な発達をはかるために、電波法案及び放送法案並びに電波監理委員会設置法案を、ここに提出いたした次第であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御決定あらんことをお願いする次第であります。
#4
○辻委員長 なお電波監理長官から補足説明をいたしたいという申出があります。これを許します。網島政府委員。
#5
○網島政府委員 電波関係三法案に関しましては、ただいま電気通信大臣から提案理由の御説明がございましたが、私からさらに三法案の大要について御説明申し上げたいと存じます。
 まずこの三つの法案の関係を御説明申し上げたいと存じます。これら三つの法案は相互に密接に関連しておりまして、一体として電波及び放送の行政の基本法となるのでございますが、そのうち電波監理委員会設置法を独立の法案といたしましたのは、行政作用の法律と区別して、行政組織の法とするためでございます。電波法案及び放送法案は、ともに行政作用の法でございまして、設置法では、この電波及び放送の行政をつかさどる共通の国家行政組織であるところの電波監理委員会の組織、権限及び所掌を定めてあるのでございます。
 電波法と放送法とにつきましては、放送が電気通信の中におきましても、最も社会的あるいはまた文化的に特質がある事実にかんがみまして、特に放送法といたしまして、放送事業のあり方、すなわち日本放送協会及び一般放送局のあり方、及び放送の番組内容のあり方につきまして、その大綱を規定いたしました。これに対しまして電波法は、放送を含む電波一般の有効かつ能率的な利用を確保するという面を、直接の規律の対象といたしまして、無線局はもちろん、個々の放送局も無線局の一つとして免許、設備の條件、運用の監督等につきまして、すべて電波法の適用を受けるということにいたした次第でございます。
 次に各法案の概要を御説明申し上げたいと存じます。
 まず電波法案でございますが、この電波法案は、ただいま大臣から提出理由の説明にございましたように、最近における電波利用の急速かつ広範囲の進展と、これと軌を同じくいたしてできました新たな国際電気通信條約の成立とに即応いたしまして、古い無線電信法にかえまして、無線電信、無線電話――これにはもちろんラジオ放送も含んでおりまするが、そのほかテレビジヨン、フアクシミリ、ラジオゾンデ、その他最近のいろいろなこの電波を応用する一切の施設、及びこれに妨害を與える施設に対する免許、監督等の国家の規律を定めておるのでございます。
 この法案を現在の無線電信法に比べまして、そのおもな特色を以下二、三申し上げたいと存じます。第一は現在の無線電信法は、無線局の開設につきましては、政府が電波についてすべてを管掌するという観念のもとに、政府の專有を原則といたしておりまして、その制限列挙した例外の場合に限り、私設を許可しているのでございますが、今度の電波法案等におきましては電波の利用範囲の拡大に伴いまして、旧無線電信法の建前を捨てまして、万人の電波利用の自由を認めておるのでございます。ただ電波はこの数に非常に限度がありますために、これを有効適切に使うための統制を加えるということにいたしております。
 第二は、旧無線電信法におきましては、国営無線通信事業の経営に関する規定と、無線通信の監督に関する規定とをともに含んでおりましたが、電波法案におきましてはこの部分を分離いたしまして、もつぱら電波行政の基本法律となつております。従いまして電気通信省の事業経営に関する無線電信法の規定は、新しい事業法ができるまでその効力を存続するということにいたしまして、将来はこれを除去したいと考えておるのでございます。
 第三は行政の対象が新事態に即しまして、前に述べましたように格段に拡張されております。すなわち従来電波の利用範囲がごく限定されておつたのでありますが、波長の技術的な拡大に伴いまして、その応用範囲を広くしております。
 第四は現在の無線電信法では、国民の権利義務に関する重要な事項が、きわめて大巾に政府の行政命令に委任せられておるのでございますが、電波法案におきましてはこれらを法律中に定めてございます。
 第五といたしまして、それでもなお細部におきまして、法律の委任によりまして、または法律の執行のために命令を必要とする場合が多々ございますが、これらの命令を制定改廃いたしますためには、利害関係者の参加する聽聞を経なければならないことにしておるのでございます。
 第六といたしまして、免許その他の処分を行う点につきましては、極力そのような場合を限定いたしますとともに、処分を行う際はあらかじめ電波監理委員会規則で定められているところの準則に基かなければならないことになつております。そしてその決定にあたりましては、電波監理委員会において十分合議いたしまして、行政処分を行うことになつておるのであります。
 このような民主的な過程による行政処分に対しましても、さらに自由に異議の申立てができるようにしてございまして、その申立てがございますれば、愼重な聽聞を経なければならないことになつております。その聽聞を経た決定に対しましては、さらに不服がある場合に、裁判所に出訴する道が開かれておるのでございます。
 以上は電波法の概略でございますが、各章にわたりまして、おもな点を若干敷衍いたしたいと思います。
 第一章は総則でございますが、この章におきましては法の目的を定め、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによりまして、公共の福祉を増進することにあることを定めてございます。また電波に関する條約の規定は、この法律に優先するものといたしまして、電波の利用について国際協力をする日本の立場を明らかにしてございます。またこの法案の解釈に疑義の生ずることを避けるために、法案に用いておりますところの用語に対しまして、若干の定義を定めておるのでございます。
 次に第二章は無線局の免許でございますが、無線局を開設しようとする際は、国の機関であろうと個人であろうと、すべて電波監理委員会の免許を受けなければならないことになつております。放送局も無線局の一種でございますからして、もちろんこの監理委員会の免許を必要とするのであります。現在電気通信省の営んでおりますところの公衆通信業務のための無線局は、今後も電気通信省で取扱うということをはつきりいたしております。また免許を與えない人格上の事由といたしまして、外国人及び外国法人等並びに期間を定めまして、電波の利用に関する一定の罪を犯した者、及び免許の取消しを受けた者に、それぞれ免許を與えないということにしておるのでございます。
 それから免許には放送局は三年以内、一般の無線局におきましては五年以内の有効期間を定めることといたしておりますが、ただ法律あるいは政令によりまして、無線局の設置を強制されておりますところの船舶に対しましては、期限を設けないことになつております。さらに免許の有効期間をつけました関係上、再免許の場合には簡單な手続で足りるように定めておるのでございます。
 次に第三章の無線設備でございまするが、無線設備の技術的條件に関しましても、現在の無線電信法のような簡單な委任の根拠によつて定める方法を改めまして、電波法案は、ここで国民の権利及び自由に影響する主要なものにつきましては、すべて法律事項といたしまして、命令に委任する場合にも、その範囲を明らかにして限定しておるのでございます。
 次に第四章の無線従事者でございまするが、無線従事者と申しまするのは、無線局を構成する無線設備の操作、これは通信をやる場合と、技術的に設備を動かすという二つにわけておるのでございまするが、この無線設備の操作を行う者であつて、電波監理委員会の免許を受けている者を指すことになつております。従いましてすべての無線設備では、この監理委員会の免許を受けた従事者でなければ、その操作を行い得ないことになつておるのでありまして、混信の防止と通信の円満な疎通を確保するために、この従事者に対しましては、国家試験を経たところの一定の資格を要求いたしております。しかもこの資格に対しましては、免許に対しましては五年の有効期間を設けまして、この資格に応ずるところの能力を保持させることにいたしております。同時に免許の無試験更新等の制度も確立しておるのでございます。
 次に新しい資格制度の設定に伴いまして、従来の法令の規定に基きまして、現在資格を有しておる無線従事者は、電波法案の定めるそれぞれの資格に相当する資格を、そのまま保有することといたしております。たとえば現在無線通信士といたしまして、第一級、第二級、第三級、電話級及び聽守員級という区別がございまするが、これに対しましては、今後もこの電波法案に規定されておりまするところのそれぞれの資格等級を、そのまま取得し得ることになつておるのであります。
 次に第五章は、無線局の運用でございまするが、無線局がその業務を遂行するに際しまして、従わなければならない規律を定めてございます。この規律は必要の最小限度にとどめてあるのでありまして、海岸局及び船舶局につきましては、海上の安全の見地より必要とされておる若干の原則を、特にこれに付加してございます。
 次に第六章は監督でございまするが、ここで定めてございまするところの行政庁の監督命令の権限は、現在の無線電信法の規定を大巾に縮小いたしまして、法律による行政、一般に知らしめるところの行政というものを確立しておるのでございます。
 そのうち主なものを二、三御説明申し上げたいと存ずるのでありますが、まず電波法案は、無線局の免許の取消し、運用の停止、制限の命令、これらは免許人が法令あるいは処分に違反いたしました、いわば過失責任の場合に限ることを原則といたしまして、しかもこの場合、取消しは原則として運用の停止、制限の処分をまず行つてからということにしております。また運用の停止は三箇月を越ゆることができないようになつておりまするし、運用の制限も運用許容時間、周波数及び空中線電力に限り、かつ期間を定めて行わなければならないことになつております。例外といたしましてわずかに電波法案は、過失のない場合、すなわち混信の防止その他公益上の必要があつた場合には、周波数または空中線電力の指定を変更することができるようになつておりますが、それは無線局の目的の遂行に支障を及ぼさず、かつその無線設備の変更を要しないか、あるいはごく軽微な変更にとどまる場合に限つております。ただしかし通信の使命にかんがみまして、今回の場合には特別な通信を取扱い得ることをさせることができるようになつておりますが、この場合には実費を弁償することにしておるのでございます。
 次に第七章の聽聞及び訴訟について申し上げたいと思います。電波行政の公正を確保する最も特色のある制度といたしまして、ここに聽聞の制度を新たに導入してございます。これは米国におきましては行政手続法という一般法によつて、行政の一般的な制度として確立せられているところのものでございまして、わが国におきましては、この法案が電波行政の分野におきまして最初に確立するものであると申すことができます。單なる公聽会ではございません。ここに定めています聽聞制度の特徴は、第一に、聽聞を主宰する独自の職能を有しまする審理官によつて聽聞が行われることになつており、第二に、放送局の免許を含む一切の行政処分について異議の申立てがありました場合だけでなく、広義の立法である点にかんがみまして、委員会規則の制定、改廃をする際にも、聽聞を行わなければならないものとしたのであります。第三に、聽聞の手続につきましては、聽聞の開始に際しましてその旨を公告し、広く利害関係者の参加を求めますほか、代理人の制度、当事者及び参考人の審問、主張と立証及び反対訊問、並びに調書及び意見書の作成等、第一審の裁判手続に準ずる手続を定めますとともに、この審理官の作成した調書及び意見書の内容に基いてのみ、委員会は決定権を行使しなければならないものとなつているのであります。従いまして第四に、訴訟におきましても、訴えの提起は第二審裁判所に対して行うものといたし、特に十分な証拠に基いて委員会が認定した事実は、裁判所を拘束するものとなつておるのでございます。
 第八章は雑則でございまして、ここで規定していますおもな事柄は、無線設備以外の設備でありまして、しかも無線通信に妨害を及ぼすというようなものに対する規律と、それから検査その他の行政手続に対する手数料の徴收をきめております。
 第九章は罰則でございますが、ここでは、刑法が規律していないか、または十分には規律していない反社会的な行為につきまして、電波を利用する部面に固有なものを抽出いたし規定しているのでございます。罰則を命令に委任してはございません。この罰則につきましても、旧法のように無制限となるような規定の方法を避けまして、罪となる場合を極力少くするとともに、その行為を明らかにいたしまして、個人の自由を尊重するように規定してございます。
 なお附則におきましては、できるだけ早く施行されることを祈念いたしまして、この法律の施行期日を四月二日以降であつてはならないということにしているのでございます。
 以上が大体電波法の概要でございます。
 次に放送法案の概要について申し上げます。
 放送法案は、第一條に示してございます三大原則に従いまして、放送を公共の福祉に適合するように規律いたしまして、その健全な発達をはかることを目的として立案されたものでございます。
 この法案も、放送の経営及び規律に関する各国の例を研究調査いたしまして、その長所をとり、かつわが国の国情も十分考慮して立法したものでありまして、放送立法について世界に一つの新例を開くものでございます。
 放送法案の特色といたしますところは、第一には、わが国の放送事業の事業形態を、全国津々浦々に至るまであまねく放送を聽取できるように放送設備を施設しまして、全国民の要望を満たすような放送番組を放送する任務を持ちます国民的な公共的な放送企業体と、個人の創意とくふうとにより自由闊達に放送文化を建設高揚する自由な事業としての文化放送企業体、いわゆる一般放送局または民間放送局というものでありますが、それとの二本建としまして、おのおのその長所を発揮するとともに、互いに他を啓蒙し、おのおのその欠点を補い、放送により国民が十分福祉を享受できるようにはかつているのでございます。
 次に公共的な放送企業体としましては、現在わが国の放送を独占的に実施しております日本放送協会が、約六千人の社員によつて構成される社団法人であるにかんがみまして、新たに全国民に基盤を持つ公共的な特殊法人である日本放送協会を設けることといたしまして、現在の社団法人日本放送協会の設備、人員、権利義務の一切を、新しい日本放送協会に移しまして、現在の社団法人日本放送協会は解散するものといたしたのでございます。従いまして新しい日本放送協会につきましては、全国民が国会を通じてその人事、業務の運営、財務等について必要な監督を行うのでございます。
 以上は放送法案の大要でございますが、さらにこれを敷衍いたしまして御説明申し上げます。
 放送番組につきましては、第一條に、放送による表現の自由を根本原則として掲げまして、政府は放送番組に対する検閲、監督等は一切行わないのでございます。放送番組の編集は、放送事業者の自律にまかされてはありますが、全然放任しているのではございません。この法律のうちで放送の準則ともいうべきものが規律されておりまして、この法律で番組を編成することになつております。
 それから日本放送協会の性格でありますが、新しい日本放送協会は、この法律により目的が與えられ、設立される法人でありまして、民法に基いて設立される公益社国法人でもなければ、商法に基いて設立される会社でもございません。従いまして民法または商法の規定は、当然には適用されないのでございます。この法律によりまして社団法人日本放送協会から承継した財産を運用し、経営委員会という議決機関と、会長その他の執行機関を持つところの特殊法人であります。
 この法案の第九條に、その目的を達成するに必要な業務を掲げております。そして他に別段の規定がない限りは、その限定された業務の範囲内だけでなければ、行為能力がないわけでございます。その業務につきましては、特に嚴重な制限を設けまして、放送事業に関係ある事業に協会が大きな支配力を持ち、その事業の死命を制することのないように、受信機器等を認定し、無線用機器の運用業者、販売業者及び修理業者の行う業務を、規律または干渉するような行為を禁止しておりますし、また放送用受信機器の修理場所も、電波監理委員会が特に指定する場所に限つてこれを行い得るということになつております。
 協会の業務の経営を民主的に行うために、協会には先ほど申し上げた経営委員会を置きますが、経営委員会は協会の経営方針を決定し、かつその業務の運営及びこれを指導統制するのでございまして、協会がその事業を運用いたしまするには、この経営委員会の決定によらなければならないのでございます。経営委員会は、委員八人と会長で組織されますが、委員は両議院の同意を得て、内閣總理大臣が任命することにいたしたのでございます。両議院の同意を得ることにいたしましたのは、内閣總理大臣が独自の判断で一方的に任命することのないように、また国民の代表である国会の同意によつて、国民の意思が反映されるようにはからつたのでございます。また委員を選任する場合には、放送が全国のあらゆる分野に関連する文化事業であり、公共事業でありますから、文化、科学、産業その他の分野が、公平に代表されるように考慮いたしますとともに、全国を八地区にわけまして、その各地区から一人ずつ任命されるように定めてございます。
 次に会長につきましては、会長は協会の業務を執行する最高の責任者であり、対外的には協会を代表し、対内的には協会の業務を総理する地位にありますが、その権限を行使するには、経営委員会の議決に従わなければならないのでございます。議決機関でありまするところの経営委員会と執行機関であるところのこの会長との一体性を保ちつつ、協会の業務の能率的な、円滑な運営をはかりますために、経営委員会が会長を任命することにいたしまして、会長を経営委員会の構成員にしているのでございます。また会長は経営委員会の同意を得て、副会長及び理事を任命いたしますが、会長、副会長及び理事によつて理事会を構成しまして、理事会は協会の重要業務を審議するのでございます。
 次に民間放送につきましては、先ほど申し上げましたように、できる限り自由にこれをまかせる方針にいたしておるのでございまして、第三章に最小限度必要な規定を單に二箇條だけ設けておるのでございます。これはこの民間放送が将来いかように発達するか、まだ見通しをつけることが非常に困難であるということと同時に、この民間放送にある特別な特権を與えますると、これに伴いまして、政府の監督その他の行為が必ず伴う。それによつて民間放送の自由な発達を妨げるためでございまして、将来民間放送が発達いたしましたならば、場合によりまして、法案を改正して必要な規定を挿入することになるかとも存じておるのでございます。ただ民間の放送の事業の発達をはかる一つの方法といたしまして、広告放送につきましては、この法律の附則によつて地方税法を改正して、新聞、雑誌、書籍等の広告と同じように免税することにいたしてございます。
 次に協会の設立につきましては、内閣総理大臣は、協会の設立前に第十六條の例によりまして、協会の経営委員会の委員となるべき者を指名し、その指名された委員となるべき者は、協会の設立前に、協会の会長となるべき者を指名いたしまするが、これらはこの法律が施行されたときに、スムースにこの新しい日本放送協会の設立ができるように考えた結果でございます。
 最後に、この放送用受信設備でございますが、現在は放送用受信設備につきましては、全部政府の許可を必要とすることになつておりまするが、先ほども申し上げましたように、この新しい電波法におきましては、放送用受信設備の施設につきましては、許可を必要としないことになつております。しかもこの放送の普及をはかるという見地からいたしまして、現行の地方税法を改正いたしまして、いわゆるラジオ税という、すなわち放送を聞くということによつて税金を課せられないということにしておるのでございます。
 なおこの法律に規定していないことで、御参考までに申し上げたいことは、現在日本放送協会から特許料というものを政府が徴收しております。これはごく少額でございますが、今後この法律ではそういう性質のものは徴收いたさないことにいたしておるのでございます。またこの法律は、電波を利用する放送事業だけを対象にしておりますので、電波を使わない有線放送につきましては、規律してございません。
 以上簡單でございますが、放送法案の概要の説明を終ります。
 次に電波監理委員会設置法の概要を申し上げたいと存ずるのであります。
 電波監理委員会設置法案は、電波の管理及び放送の規律に関する行政の重要性にかんがみまして、その担当行政機関といたしまして、アメリカ合衆国の独立行政委員会の制度にならいましたところの、電波監理委員会を総理府の外局として設けようといたしますものでございまして、この委員会の設立とともに、現在右の行政の担当機関でありますところの電気通信省の外局たる電波庁は、これをこの委員会の事務局でありますところの電波監理総局に、移行させようというものでございます。
 この法案の趣旨を簡單に御説明申し上げますと、現在、電波管理及び放送の規律に関する行政は、電気通信省の所管とせられておりますが、御承知のごとく電気通信省は管理行政のために、みずから多数の無線施設を建設し、維持し、運用しているものでございます。この二つの機能は、完全に相違したものでございまして、両者を同一の機関で行いますことは、電波管理行政の真に公平な実施を確保いたします意味におきまして、妥当を欠くうらみがあるのでございます。従つて電気通信省の外に、電気通信省、国家公安委員会、海上保安庁、気象台その他の国家機関、都道府県等の自治体、並びに船舶無線施設者、漁業無線施設者、日本放送協会、日本国有鉄道等、すべての個人または団体の無線施設についての行政を行う機関を設けることといたしまして、それを各省に対して最も公平な行政を確保する必要も考慮いたしまして、総理府の外局として設けることにしたのでございます。
 この行政機関をいかなる形で構成するかという点につきましては、第一に、電波管理及び放送の規律がきわめて公平に行われなければならないこと。第二に、そのためには一党一派、その他一部の勢力からの支配から分離したものでなければならないこと。第三に、その機関の政策には相当長期にわたつて、政変等によつて容易に変動しない恒久性を持たせるとともに、時代の変遷に伴つて漸進的に改まつて行く改変性をも與え得るようにいたしましてこの両者の調和を確保し得るようにしなければならないこと。第四に、その機関の機能といたしましては、前に電波法案の項で申し上げましたように、單に行政の執行ばかりではなく、半立法的あるいは半司法的なものをも果さなければならないことというようなことを考慮いたしました結果、委員会制をとることといたしまして、その委員長及び委員の任命、任命要件、欠格事項、任期、罷免、会議手続等につきまして、詳細な規定を設けた次第でございます。
 この法案の第一條は、他の各省の設置法案にあるごとく、法律の目的、第二條に電波監理委員会を設けること、及びこれを設けるのは総理府の外局として設けることを明らかにいたしております。
 第三條は委員会の所掌事務、第四條は一般の設置法の例に従い、委員会の権限を定めております。
 第五條以下、第六條、第七條その他は、委員会の組織及び委員長及び委員の任命、及びその任期、退職等のことであります。
 第十八條は、委員会の議決事項を総理大臣に常に報告することによつて、内閣との関係を持たせているのでございます。
 第十九條は、電波法によります聽聞を行うための審理官を置くこと、並びにその任命及び罷免に関する規定でございまして、アメリカのいわゆるエグザミナーの制度をわが国において採用しようとする最初の試みでございます。
 第二十條は、委員会の事務局として電波管理総局を置くとの定めでございまして、その内部組織その他につきましては、第二十一條以下第二十五條までに定めております。
 第二十七條は、この委員会の付属機関でございまして、電波技術審議会、電波観測所、職員訓練所というような機関を設けることにいたしてございます。
 その他定員の問題につきましては、別の法律を定めるというような條項もつけ加えてございます。
 次にこの電波管理委員会の委員につきましては、毎年一人ずつ交代するという建前をとりまして、委員の任期は六年でございますが、最初に委員の任命にあたつて、一人ずつ交代して行くことを考えまして、一人は一年、次は二年というふうに規定しております。しかもその委員の任命にあたつては、内閣総理大臣が両院の承認を得て行うということにいたしているのでございます。
 附則の第四項は、委員会の設置に伴う電気通信省設置法中一部改正の規定でございますが、電波庁が現在電気通信省にある関係上、その設置法を改正しなければならないので、別に電気通信省設置法中一部改正法律案が提出されます予定でありますから、その際にはこの項を修正いたしたいと存じております。
 その他、この電波庁の職員が電波管理委員会に移るための規定その他が、附則に追加されてございます。
 以上をもちまして、簡單ではございますが、三法案の概要の御説明を終りたいと存じます。
    ―――――――――――――
#6
○辻委員長 この際、公聽会開会承認要求の件についてお諮りいたします。ただいまも大臣の御説明にもありましたように、三法案はともに重要なる電波関係法でありまして、放送法案は過去三年にわたり、立法の過程におきましても種々問題のありましたところでありますが、放送事業の民主化のために、従来のそれに画期的な変更を加うるものとして、放送事業関係者はもちろんのこと、しばしば新聞論調にも活発に取上げられたように、一般的関心及び目的を有する重要法案であろうと思います。また委員各位におかれましても、本法案の審査のために公聽会を開くことを希望しておられるのでありますが、公聽会開会には、衆議院規則第七十七條により、あらかじめ議長の承認を要することになつておりますから、本委員会といたしましては議長あてに、放送法案について公聽会開会承認の要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○辻委員長 御異議なしと認めまして、その要求をいたすことに決定いたします。なおその要求書の内容につきましては、
 一、公聽会を開こうとする議案
  放送法案
 一、意見を聞こうとする問題
  放送法案について
といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○辻委員長 御異議なしと認めます。ではさようとりはからいます。
 また電波法案及び電波監理委員会設置法案につきましても、これまた一般的関心及び目的を有する重要法案であろうと思います。従いましてこの二法案につきましても、公聽会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○辻委員長 御異議なしと認めまして、さよう決します。なおその要求書の内容につきましては、
 一、公聽会を開こうとする議案
  電波法案及び電波監理委員会設置法案
 一、意見を聞こうとする問題
  電波法案及び電波監理委員会設置法案について
といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○辻委員長 御異議なければさようとりはからいます。
 本日はこの程度にてとどめ、次会は明日午後一時より開会いたします。
 これをもつて散会いたします。
    午後十一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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