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1975/08/04 第77回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第077回国会 法務委員会 第16号
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1975/08/04 第77回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第077回国会 法務委員会 第16号

#1
第077回国会 法務委員会 第16号
昭和五十一年八月四日(水曜日)
    午前十時十五分開議
 出席委員
   委員長 大竹 太郎君
   理事 小島 徹三君 理事 小平 久雄君
   理事 田中  覚君 理事 稲葉 誠一君
   理事 吉田 法晴君 理事 諫山  博君
      小坂徳三郎君    濱野 清吾君
      早川  崇君    福永 健司君
      松浦周太郎君  早稻田柳右ェ門君
      日野 吉夫君    八百板 正君
      青柳 盛雄君    山田 太郎君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局参
        事官      三島  孟君
        警察庁警備局外
        事課長     大高 時男君
        法務政務次官  中山 利生君
        法務大臣官房長 藤島  昭君
        法務省民事局長 香川 保一君
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        法務省矯正局長 石原 一彦君
        外務政務次官  塩崎  潤君
        外務省アジア局
        次長      大森 誠一君
        外務省アジア局
        中国課長    藤田 公郎君
        国税庁調査査察
        部長      系  光家君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  勝見 嘉美君
        法務委員会調査
        室長      家弓 吉己君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 法務行政及び検察行政に関する件
 裁判所の司法行政に関する件
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○大竹委員長 これより会議を開きます。
 去る六月、本委員会は、司法及び法務行政等に関する実情調査のため北海道に委員を派遣いたしたのでありますが、この際、派遣委員から報告を求めます。稲葉誠一君。
#3
○稲葉(誠)委員 去る六月二十一日より行われました派遣委員による北海道管内の司法及び法務行政等に関する実情調査につきまして、私から簡単に御報告いたします。
 まず裁判所関係について申し上げますと、各管内とも一般通常事件は、かつては道内全域の開発に伴い事件数も逐年増加の一途を示していましたが、ここ数年間はほぼ横ばい傾向であります。しかし事件の内容は、近時の社会、経済情勢を反映した複雑多岐にわたるものが多く見られます。
 庁舎の整備状況につきましては、おおむね整備されてきておりますが、いまだ二、三の庁が未整備であり、特に札幌管内の夕張簡裁は老朽化が進んでおり、早急の改築が望まれます。
 次に、検察庁関係について申しますと、一般犯罪は減少傾向にありますが、道交法違反事件は横ばい状態であります。
 最近の犯罪傾向等を見ますると、諸情勢の変動を反映し、犯罪内容も複雑多様化、手口の悪質巧妙化の傾向がうかがわれ、罪種としては、覚せい剤事犯、暴力関係事犯、公害事犯、財政、経済事犯が増加しているほか、凶悪犯の多発が見られ、特に本年三月には一部過激分子による道庁爆破の殺傷事犯の発生を見ており、今後、この種事犯の発生には警戒を要するものがあります。
 庁舎関係については、まだ一部の支部及び区検庁舎が未整備であります。
 最後に、法務局関係について申しますと、管内の各行政事務のうち登記事件数は、近時の金融引き締め、総需要抑制策により四十九年以降減少ないし横ばいの傾向をたどっておりますが、その絶対量においては依然として高水準であります。
 そのほか訟務事務においても、他行政庁からの法律意見照会事件も多く、その内容も、現在の社会情勢を反映して複雑困難なものが目立ってきているのが実情であります。
 庁舎関係を見ますると、他の国家機関に比べ借り上げ庁舎の多いのが特徴であります。
 また各管内とも職員宿舎が不足しており、配置がえのときなどの障害ともなっており、十分考慮してもらいたい旨の要望がなされました。
 以上のとおりでありまして、その詳細について報告書を委員長に提出いたしましたので、会議録に掲載されるようお願いいたします。
 簡単でありますが、報告を終わります。
    ―――――――――――――
#4
○大竹委員長 この際、お諮りいたします。
 派遣委員から委員長の手元に提出されております調査報告書は、これを本日の会議録に参照のため掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
     ――――◇―――――
#6
○大竹委員長 法務行政及び検察行政に関する件並びに裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所勝見人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○大竹委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#8
○大竹委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
#9
○稲葉(誠)委員 きょうは法務大臣が来ないので刑事局長にお尋ねしますが、田中前総理の逮捕以来、六日が完了ですか、その捜査は順調に進んでいるというふうに承ってよろしいでしょうか。
#10
○安原説明員 何を目的にして順調と言うかどうか、なかなかむずかしい問題でございますが、検察庁としてはやれることをやることに何ら障害なくやっております。特に、当面は、田中前総理を外為法違反の容疑で逮捕勾留中でございますので、この辺を中心にあらゆる力を振りしぼって真相の究明に努めておるわけでございます。
#11
○稲葉(誠)委員 あした最高検、東京高検、東京地検と法務省関係者を加えた検察首脳会議があるというふうに伝えられておりますね。これはあって不思議がないわけですが、そこに法務省関係が加わるのはどういうわけなんですか。
#12
○安原説明員 このロッキード事件につきましては、しばしば検察の首脳が集合いたしまして会議をやっておりまするが、法務省が余り加わっていないのは不思議だという御質問、たしか稲葉委員からかってお受けしたことがございますが、特に最近五日にそういう会議が開かれるということは通知を受けておりまするが、その内容につきましては、これはいま申し上げるわけにはいきませんが、法務省が加わるという場合におきましては、やはり法律問題その他処分の仕方の問題というようなことが問題になるのではなかろうかと思っております。
#13
○稲葉(誠)委員 法務省が加わるということは、結局、総理大臣としての職務権限に関する法律的な問題の法務省としての見解を中心にそこで論議があるというふうに常識的に考えられるのですが、どうでしょうか。職務権限はどうか、それが一つ。いずれにしても法律的な問題を中心として、そこで法務省側の意見の聴取が考えられるということですか。
#14
○安原説明員 具体的にどういう問題ということは稲葉委員もお控えいただきましたので申し上げる必要はないと思いまするが、従来から、犯罪の検察の事件処理につきまして、法務本省が呼ばれて会に加わるという場合には、刑事局長とか次官とかは入りませんで、大体事務当局として、今回の場合なら刑事課長レベルが行くわけでございますので、あくまでも技術的、法律的な問題について意見を求められるものと思います。
#15
○稲葉(誠)委員 そうすると、田中前総理の一応の拘置満了を前にして、法律的な問題が一つの中心点になっているというふうに常識的に考えられるのですが、それはどういう点が中心になるわけでしょうか。ちょっと答えにくいと思うんだ、あなたの方でいま。答えにくいと思うけれども、ある程度答えてください。
#16
○安原説明員 別に田中前総理の処理だけであると申し上げたわけでもございませんし、法律的な問題について意見を聞かれると思いまするが、法律的な問題が捜査の何かになっているわけでもなくて、およそ今回の事件に関して当面問題になっているような法律問題について意見が求められるものと思います。
#17
○稲葉(誠)委員 だから、当面問題となっている法律問題というのは何なんだ。主なことは何ですか。
#18
○安原説明員 そのようなことは処分の前に申し上げるわけにはまいりません。
#19
○稲葉(誠)委員 大体わかりました。
 そこで、田中前総理の逮捕のときに、法務省から何か前の日に、二十六日ですか、三時ごろに法務大臣のところへ連絡をしたということですね。この間の経過をちょっとお話し願えませんか。
#20
○安原説明員 昨日も参議院の委員会で、一般的な問題として法務大臣と検察との関係を申し上げたわけでありまするが、今回の田中前総理の逮捕というような重要な問題につきましては、事前に法務大臣に十分の余裕を置いて報告を申し上げ、指揮を仰いでおるわけでございますが、いつどこでどういう方法でということは申し上げかねます。
#21
○稲葉(誠)委員 法務大臣の指揮を仰ぐというのはおかしくないかな。どうして田中前総理の逮捕について法務大臣の指揮を仰ぐの。法務大臣にそんな権限ある。ちょっとそこのところおかしくないかな。
#22
○安原説明員 検察庁法十四条で、具体的な事件の処分については法務大臣は検事総長を指揮する権限があるわけでございまするから、その運用といたしまして、検察からそういう報告があれば、それについて許可を与えるということは検察庁法の十四条の正しいあり方でございまして、指揮権発動というのは検察の意思に反してそういうことが行われるときに問題があるということにすぎないと思います。
#23
○稲葉(誠)委員 だけれども、具体的な、こういう人を逮捕するかしないかという問題なんでしょう。それに対して、法務大臣に報告するの。法務大臣の発言は、これは間違いかもわからぬけれども、その際許可を求めてきたように発言しているんですけれども、法務大臣に許可を求めたわけじゃないでしょう。単に報告しただけでしょう。そこのところどうなっているの。
#24
○安原説明員 報告規程とか処分請訓規程とかには、国会議員あるいは国務大臣の逮捕について法務大臣の指揮を仰ぐということにはなっておりませんけれども、事柄の重大性にかんがみまして、ケース・バイ・ケースでそういう場合に法務大臣の指揮を仰ぐということは検察庁法十四条で許されることでございますので、検察当局から、逮捕したい、逮捕状を請求したいということで法務大臣に指揮を仰いできたので指揮をしたということでございます。
#25
○稲葉(誠)委員 その結果はどうなったの。どういうふうなことをやって――指揮はちょっとぼくはおかしいと思うんですがね。まあ後でいろいろ議論があると思いますが、地検からどういうふうな話があなたの方の法務省にあって、法務省から大臣にどういう話をしたの。その結果はどうだったの。
#26
○安原説明員 内部のことでございますから余り詳しいことは申し上げかねますけれども、要するに、田中前総理について逮捕状を請求したいということで、検察庁は――地検からは来ません。地検から来るのはおかしいのでございまして、地検、高検、最高検を通じて検事総長から法務大臣に逮捕状を請求するがよろしいかということで連絡がありまして、それについて法務大臣からよろしいという指揮を検察庁法十四条に基づいてやったわけであります。
#27
○稲葉(誠)委員 あなた自身はこの点についてどう考えているのでしょうか。法務大臣が、あちこちと言うと語弊があるかもわからぬけれども、何か一週間か十日で捜査が山を越すようなことを言っていますね。あなた自身は一週間か十日で捜査の山を越すと思っているの。そこをどういうふうに理解しているんですか。
#28
○安原説明員 私自身はわかりません。
#29
○稲葉(誠)委員 それは、だけどある程度の報告は来ているわけでしょう。ある程度の報告は最高検を通じて来ているんでしょう。そうすると、わからないということは、一週間か十日で山を――まず山を越すという意味にもこれはよるわけだけれども、あなた自身は、まず一週間か十日は別として、山を越すというのは、これはどういうふうに理解しているの。
#30
○安原説明員 ロッキード社から総額にわたりまして二十数億の金が日本に流れ込んだということはある程度解明をしておるわけでありますが、それがどういう趣旨で流れ込み、かつ、その金がたとえば児玉からどういうふうに流れたとか、あるいはその他からどういうふうに流れていって、どういう趣旨で流れたかというようなことを解明しなければ、ロッキード事件の捜査が終わったということは言えないという意味におきまして、いまのところ私の感じでは山を越したとは思いません。
#31
○稲葉(誠)委員 いまのところ山を越したとは思わない。ぼくもそう思うんですよ。ただ逮捕したからといって、山を越したなんてそんなこと言えないんで、そうすると、これは大臣が言ったとすれば、ぼくもおかしいと思った。これを聞いたら現場の検事怒りますよ。だれだって怒るよね。そうすると、一週間や十日であなたとしてはとてもいまあなたの言ったようなことの解明はできるというふうには考えられないですか。
#32
○安原説明員 いま、先ほどいつかわからぬと申し上げたと同じ裏の言葉で、わかりません。
#33
○稲葉(誠)委員 きのうだか、閣議の前に鹽野次官とあなたと大臣と会っていろいろ話し合いましたよね。それで大臣が、何か検事総長を呼ぶのですか、検事総長から報告を受けるということをこれはチェックしたの。これは現場の検事としてはあたりまえだと思うんですよ。いまお話が出てきたように、検事総長からまだ報告を聞く段階じゃないですよ。なぜこんなに急いでいるのかよくわからぬけれども、そういう鹽野次官とあなたと法務大臣と会って、現場の当局の意向を代表したのかどうかわかりませんけれども、どんな話があったんですか。
#34
○安原説明員 私ども押しかけたのではなくて、大臣が来いと仰せられましたので参ってお話をしたのですが、要は、内輪のことでございますので、ひとつこの辺で御勘弁を願いたいと思います。
#35
○稲葉(誠)委員 この辺と言ったってまだ全然聞いていないからわからぬのだよ。ある程度しゃべってからこの辺だと言うならこの辺もわかるけれども、何にもしゃべらないでこの辺だと言ったってわからないよ。結局いまの段階は、検事総長から報告をまだ聞く段階じゃないというのがあなた方なり現場の意向でしょう。そうじゃないの。ぼくも大臣のあれを見て、これでは現場の検事は怒ると思ったよ。それはあなた、無理だということですか、これは。この辺でと言ったって、まだこの辺までいかないうちにこの辺だと言ったって無理だ。どうなの。
#36
○安原説明員 同じことで恐縮でございますが、別に検事総長を呼ぶということをやめたというような話は、大臣が自分で考え自分で御判断なさったことで、そういうことをやめてくれというようなことは申しておりません。
#37
○稲葉(誠)委員 じゃ、まあ同じ話を何回してもあれですから、しませんが、時効の問題がいろいろ問題になってきていますね。そうすると、たとえば外為法のとき最初に話があったんだから、そしてそれに応じて順次何回かあるんだから包括一罪なんだ、だから一番最後のときが時効なんだという説もありますね。この点についてはどういうふうに考えておられるわけですか。
#38
○安原説明員 御専門のお立場からの御質問で恐縮でございますが、数回に分かれた支払いを単独の数罪と見るか包括一罪と見るかということは、要するに、それを単一の意思に基づくものか、個別の意思に基づくものかというのが一般論としては言えるわけでございますが、今回の問題がどちらかということは、まさに捜査の中身に触れることでございますし、いずれは公判廷等で明らかにされていくことと思いますので、一般論を述べることで御猶予願いたいと思います。
#39
○稲葉(誠)委員 それから、たとえば片方が贈賄で起訴された場合には、必要的共犯なんだから収賄の方の時効も中断するんだという説がありますね。あるらしいんですよ。この点についてはどうなんですか。
#40
○安原説明員 いわゆる対向的な贈収賄のような必要的共犯については、一本通じて時効の中断があれば他方の時効も中断されるというのが通説のように私どもは承知しております。
#41
○稲葉(誠)委員 だから、いまの段階では、やはり八月九日、実際の授受は八月十日のようですね。檜山の起訴を見ると十日ですね。そうすると、八月九日いっぱいでか、あるいは十日いっぱいでか、どっちなのかな。ちょっとあれだけれども、時効の場合はいつから出発するの。起算点になるのがちょっとはっきりしませんが、それはどういうふうに理解しているんですか。やはりそこで単一のあれだというふうに理解して、そこが時効が切れるのだというふうに考えておった方が、後からの考え方から言って安全ですね。その点はそうでしょう。
#42
○安原説明員 一応八月十日にそういう授受がなされたということを前提といたしますならば、そのことだけならば八月九日いっぱいで時効は完成するわけでありますが、いまお説のように、包括一罪とするかどうかというようなことについての時効の問題も十分検察当局で考えておることと思いますので、最も適切なる方法をとるものと思います。
#43
○稲葉(誠)委員 そうすると、田中前総理の事件については、いずれにしても時効の問題はいろいろあるとしても、八月九日いっぱいに一つの処分が、どういう処分かわかりませんけれどもできるという、これは自信はあるわけですか。
#44
○安原説明員 まあ、勾留期限までには適切に処理する自信を持ってやっているものと思います。
#45
○稲葉(誠)委員 そうすると、あるいは捜査の内容になると思いますけれども、これは最初から非居住者からのあれだということの認識があってそれで受け取ったという逮捕ですね。その点についてはずっと認めておるわけですか。
#46
○安原説明員 逮捕状を請求する段階における容疑としての関係において、田中前総理は非居住者であるロッキード社からの支払いであるということを認識しておったという相当の疑いを持って逮捕状を請求して裁判所にそれを疎明したわけでございます。
#47
○稲葉(誠)委員 それはわかるのですけれども、御本人はどうだったのかと聞いているのですよ。
#48
○安原説明員 先刻御承知のお尋ねで、恐縮でございますが、申し上げるわけにはまいりません。
#49
○稲葉(誠)委員 そうすると、話は別になりますけれども、ユニットの件がありますね。あれは四十七年の十月三十日と十一月六日かね。これはもうあなたの方としては事件としては時効にかかっちゃったということであきらめちゃったのですか。
#50
○安原説明員 その関係の金の流れについても目下究明中でございます。
#51
○稲葉(誠)委員 目下究明中ということは、結局、単純収賄ならば時効にかかっているけれども、それが請託収賄であるということに向かって究明をしている、こういうふうに当然理解できるわけですが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
#52
○安原説明員 ユニットがどのような処理をされたかということの真相を究明するというのがまず第一でございますので、その真相の究明中でございます。
#53
○稲葉(誠)委員 だから、単純収賄ならばこれはもう時効にかかっているんでしょう。外為法も時効にかかっているわけでしょう。だから、請託収賄かどうかということについて捜査をしている、これはもうあたりまえの話だけれども、そういうふうに理解していいわけでしょう。そうでないと筋が通らないわけだから。
#54
○安原説明員 検察庁は捜査権のないことについては捜査をいたしません。
#55
○稲葉(誠)委員 そうすると、請託収賄だというと、具体的に、四十七年の十月三十日、十一月六日は一応おいでおいで、そのことについて聞くとまたあなたの方もちょっと答えにくいだろうから。具体的には、請託収賄となるとどういうふうなことになるのですか。一つの例を挙げるとどういうことになるわけですか。
#56
○安原説明員 六法全書の構成要件を読むようで恐縮でございますが、一定の職務に関する行為を請託して、それについて報酬をもらうことだと理解しております。
#57
○稲葉(誠)委員 そうすると、ユニットの場合に当てはめるというとどういうふうになるのだろうか。十月三十日トライスターが正式決定してますね。それから十月九日に白紙還元もあるというわけですね。それとの関連でいくとこれはどういうふうになるのでしょうか。
#58
○安原説明員 そのように具体的な事件に法律を当てはめて私が申し上げることは、かえって捜査に対する支障になりますので、申し上げるわけにはまいりません。
#59
○稲葉(誠)委員 それでは、大体話は、ユニットの点についても請託収賄に向かって捜査をしているというふうにこれはもう当然理解できるわけだ、捜査していると言うんだから。単純収賄なり外為なら時効にかかっているわけですから。
 それはそれとしてお聞きをしておいて、いろいろな問題の中で、たとえば水谷文一という人、これはどういう被疑事実で、具体的にはどういうふうになったのですか。
#60
○安原説明員 水谷文一の被疑事実は、これは要するに有価証券の売買による利益を秘匿して所得税を免れたという犯罪の容疑でございまして、それが昭和四十八年度については総額六千二百九十五万円余りを免れ、四十九年については総額一億三千二百六十五万円余りの所得税を免れたという疑いでございまして、それにつきまして六月二十九日逮捕し、勾留で取り調べの後、七月十九日に、公訴提起するには所得額についてなお調査を要するということで釈放して、ただいま処分保留の状態でございます。
#61
○稲葉(誠)委員 所得額について何か疑問があるという話、そこら辺のところよくわからないんですよ。これだけ逮捕し被疑事実がはっきりして数字まで出ているんでしょう、約二億でしょう。出ていて、そして勾留をされて、二十日間勾留が延長になったわけでしょう。そしてこれだけ数字は細かく出ているわけだ。出ていて、なおかつこの数字に何か疑問があるというか何というかよくわかりませんが、ということはどういうわけなんでしょう。ちょっと理解できないんですがね、これ。
#62
○安原説明員 この水谷という人が、被疑者として逮捕され、取り調べを受けるに至った経緯は、要するに、児玉譽士夫の所得を確定することで、いま国税当局を中心にして四十八年分の所得の確定を児玉の脱税について取り調べ中でございますが、その過程で浮かび上がった脱税の容疑でございまして、そういう意味において、本件がいわゆるロッキード事件の一環として検挙されたわけでありまするが、児玉と水谷との関係というものは相当そういう株の売買等において親しい間柄であるがゆえに、所得を確定するということが児玉の所得の確定と相関的な問題がありまして、そちらとの兼ね合いがございまして、児玉の糾明と並行して確定していく必要があるという意味において、処分が留保になっているということでございます。
#63
○稲葉(誠)委員 児玉の所得というのは、あなたもう二回にわたって所得税法違反で起訴されたわけでしょう。だから、この約二億の金が水谷という人に入ったいわゆる所得と見なされるかどうか、自分のところへ入ったというよりも、ただそいつを通過してそのうちの約一億かが――はっきりわかりませんよ、一億かが児玉譽士夫の手に行っているということを調べなければならぬということで、それで処分留保になっているんじゃないか、これ。そこら辺のところ、国税庁来ていれば国税庁から聞いてもいい、どっちでもいいですけれどもね、そうなんじゃないですか。
#64
○安原説明員 二度にわたってじゃなしに、児玉の所得税の関係は四十七年一回でございまして、本件は四十八年度、四十九年度の所得でございますからまだ糾明中でございます。なお、いま御指摘のようなそう詳しい内容につきまして申し上げるわけにまいりませんで、先ほど申し上げましたように、目下糾明中の児玉との関係において所得を確定するになお時日を要するという意味で、処分保留になっているんだということで御理解いただきたいと思います。
#65
○稲葉(誠)委員 国税庁、ちょっといまの点説明願いたいのですがね、告発はこれはどうなっているの。ちょっとぼくもあれで――告発はあったの、ないの。また告発は必要としないの、これは。国税庁先に答えてください。
#66
○系説明員 最初に告発のことを申し上げますけれども、まだこれは告発はいたしておりません。
 それから具体的なことを御質問なわけでございますけれども、刑事局長からお話がありましたように、私ども六月二十九日に児玉譽士夫の周辺の人物である、児玉譽士夫の所得を四十八年分、四十九年分について確定していくという過程におきまして、この周辺の人物である水谷文一につきましても、四十八年分、四十九年分につきまして主としてジライン株の売買等による所得を通脱しているのではないか、こういったような所得税法違反容疑で、東京地検と共同しまして強制調査をしたわけでございますが、目下その児玉譽士夫との関連といったような点も含めまして鋭意実態の解明を進めている段階でございまして、それがどのように入り組んでいるかといったようなこと、当初の容疑どおりであったかどうかとか、あるいは児玉の所得の解明についてどのような問題があって、どのような方向で究明していこうとしているかといったようなことにつきましては、まさに現在まだ告発にもさっき申しましたように至っていない解明中の事案でございますので、ひとつ具体的なことにつきましては御勘弁をいただきたいと思う次第でございます。
#67
○稲葉(誠)委員 そうすると、国税庁も、この約二億の金が児玉との所得において関連があるというのはどういう意味なんだろうか、このうちの金は現実に水谷の所得になったという意味なんですか、一たんなって児玉の方に行ったという意味なのか、あるいは法律的な所得と見られない段階で児玉の方に行ったと、こういうふうに見ているんですか。どっちなの、これは見方としては。
#68
○系説明員 いま二億という数字を御指摘だったわけですが、まだ二億といったようなことを別に私ども調査当局から申し上げたことはないと思うわけでございますが、当初の容疑事実につきましては、両年度を越えますと二億を超える所得ということでずっと参っておるわけでございまして、その所得がそのまま現在はどういう数字になっておるのかということは、これは調査中でございますので申し上げてないわけでございます。
 ただ、彼の所得税法違反の容疑につきましては、さっきちょっと触れましたように株の売買というようなことでありまして、株の売買による所得が当初計算どおり全部彼に帰属しておったのか、あるいはまたその他たとえば児玉等に帰属する分があったのかどうかといったような、そういう点につきまして検討を続けている、こういうことでございます。
#69
○稲葉(誠)委員 だから、この脱税額というか差額の一部は児玉に一応行ったというふうに言われておる。わかりませんよ、いまそれ調べ中だ。また、その差額はほかのところに行ったということも当然これは考えられてきて、そこに捜査がしほられてくるんではないんですか、これ。水谷の関係では、だれに行ったか知りませんけれども、水谷が得た金というのは全部がそっちに行ったんじゃなくて、一部分というものはほかのところに行ったんじゃないの、これ。そういう疑いがいまあるんじゃないですか。これはどうなの、国税庁は。
#70
○系説明員 水谷の所得と児玉の所得――児玉の所得を解明するためには、水谷自身の所得を解明する必要が出てきた。その間の相関関係があるということで調査を進めているわけでありまして、そのほかにどういう問題があるかとかいったようなことにつきましては、私ども十分には承知してない面もあるわけでございますが、全くまだ調査している過程でございますのでこれ以上申し上げるわけにいかないと思うわけでございます。
#71
○稲葉(誠)委員 いま調査中ですから、それ以上のことを聞くのもいまの段階ではちょっと私の方も無理だと思いますから、これ以上のことは聞きません。
 それから太刀川という人、これは強要罪ですね。それで起訴して、これが一体ロッキード事件とどういう関係があるんですか。太刀川がどういうふうになっているか、最初に聞きましょうか。
#72
○安原説明員 太刀川恒夫につきましては、強要罪で警視庁が逮捕いたしまして、七月の二日でございますが、その後検察庁に送致されまして、七月の二十二日に強要罪で公判請求をしておるわけでございまして、その公訴事実の要旨は――申し上げましょうか。(稲葉(誠)委員「はい」と呼ぶ)太刀川は児玉譽士夫の秘書であるが、殖産住宅相互株式会社の創立以来同社の取締役を歴任しておりました東郷民安をして、任期満了とともに退任させて同社から追放しようと企てて、昭和五十年の三月十九日、東京都内所在の児玉事務所において東郷に対し、今回は児玉の代理として話をする、君は殖産住宅の取締役をやめなさい、相談役には残してやると要求し、東郷がこれを断ると、それじゃおまえの身はどうなっても構わないのか、などと語気鋭く申し向けて脅迫し、よって、同月二十七日同じところで、任期満了とともに退任して再任を求めないという誓約をさせて、もって義務なきことを行わしめたという強要罪でございまして、これがロッキード事件といかなる関係があるかということでございますが、児玉の身辺、児玉の行動というものを捜査している過程で、その秘書である太刀川について警視庁がこのような犯罪のあることを認知して検挙したものでございます。
#73
○稲葉(誠)委員 当然この東郷民安という人も調べたわけですね。被害者だから調べているわけだね。
#74
○安原説明員 当然のこととして、調べたと聞いております。
#75
○稲葉(誠)委員 この東郷民安という人は別にも調べられたことがあるわけですね。これはどういう段階でか調べられたことがあるのですが、そのことについてはぼくもいろいろ聞きたいのですが、きょうはここで聞くのはやめにします。後で調べてからまたゆっくり聞きますが、いろいろ問題が出てきますね、この人について。いま係属中でしょう。その係属中の調書にいろいろなことが出てくるわけだ。ということは、いま話題になっているいろいろな人のことが出てくる。これは出てくることは間違いないでしょう。
#76
○安原説明員 聞くところによりますと、弁護側の冒頭陳述と公判で著名な国会議員の名前が出ておるようでございます。
#77
○稲葉(誠)委員 それはまた別の機会にしましょう、きょうの直接のあれではありませんから。
 それから、あちこちに行って恐縮ですけれども、児玉譽士夫の取り調べ、これは三十何回行われたというのですが、相当いろいろなことをしゃべっているという説があるのですがね。まあ、調書をあなたは見たわけではないだろうけれども、ぼくらも聞くのだけれども、相当しゃべっているんだという説がありますね。それで、これは将来どういうふうに進む予定――予定と言うと語弊があるが、捜査に予定などはないからおかしいけれども、どの程度、何をしゃべっているのか。何を聞いているのか。それで、具体的に今後どうするつもりなのか。
#78
○安原説明員 児玉譽主夫についてはすでに公判請求をいたしました所得税法違反あるいは外為法違反というものがあるわけでありまするから、当然そのような公判請求をした関係の事実について取り調べたと思いますが、それ以上何を聞いたかということは申し上げるわけにはまいりません。ただ、とにかく、この間衆議院のロッキード委員会の委員長がおいでになっての御感想にもございましたように、そう厳しい調べに応じ得るような健康状態ではないようでございます。
#79
○稲葉(誠)委員 だから、もう起訴した部分について調べているわけではないのでしょう、もうそれは何も捜査する必要はないのだから。それはあたりまえでしょう。だから、新しい何かについて調べているわけでしょう。
#80
○安原説明員 あえて申し上げますならば、ロッキード社から入った金の使用、処分の仕方というようなことについても調査をしているものと思います。
#81
○稲葉(誠)委員 いろいろ聞きたいこともありますけれども、きょうはロッキード関係はこの程度にしておきます。
 最高裁が来ておられるのでお聞きをするわけですが、この前七月十四日に当委員会で、司法研修所の司法修習生の問題でいろいろありましたね。そのときにてんまつ書というのが出ておる。てんまつ書というのは、これは川崎さんかな。あとは報告書が出ていますね。これはいまでも正しいというふうに考えておられるわけですか。
#82
○勝見最高裁判所長官代理者 その後の調査、まだ進んでおりませんけれども、現在の私どもといたしましては、各教官がみずからお書きになったものでございまして、現在のところ、本人たちが言っておられるところが正当なことであったんじゃないかというふうに考えております。
#83
○稲葉(誠)委員 そのA教官、B教官が書いたこと、それをこの前の委員会で人事局長が読まれましたよね。それを、あなたかわったばかりでちょっとあれだけれども、議事録なんか読まれたと思うのですが、それを読まれてどういうふうにあなたとしてはお考えになったわけですか。しごくもっともなことを報告している、こういうふうに考えたか、あるいはこの報告の中に問題点がある、こういうふうにお考えになっているわけですか。
#84
○勝見最高裁判所長官代理者 ここでつけ加えさせていただきますけれども、川崎事務局長の発言の場所におったと思われます別の教官からやはり事情を聞きましたところ、その教官、相当酔っておられたようで、川崎事務局長が司法修習生諸君に何を言っておられたか全然わからないというようなことでございまして、あれやこれやを総合いたしまして、現在の私が、それをどう評価するかとか、それをどういうふうに処置するかということにつきましては、先ほども申し上げましたように調査未了でございますので、私の意見は差し控えさせていただきたいと思います。
#85
○稲葉(誠)委員 いや、その調査未了ということを聞いているのじゃなくて、ここでたとえばA教官がこういうふうに言っているでしょう。議事録の六ページの下段のところにありますね。「しかしそれで立派な家庭を築き、優秀な児を世に送り出すとすれば、それは、ひいては世の中全体を良くする原動力となるため、いうならば、世直しをするための堆肥としての役割を選んだのであって、国家百年の計からみて大変価値のある活躍ぶりというべきであり、」これは修習を修了した後に家庭に入っていろいろしている人のことを言っているわけですね。この考え方というのは、女の人は家庭に入って男の人は社会で活躍をするのだという役割り分担の廃罷ということが男女平等の実現のために必要不可欠であるということ、このことの否定じゃないの。この考え方は、女は家庭、男は社会という考え方に貫かれているのじゃないですか。そういうふうに思いませんか、このA教官の考え方あるいはB教官の発言は。素質のある女性が主婦となり女となることは社会全体の利益であると信じておるというふうなこと、家庭に入ることを個人的に勧めたような意味のことを書いていますけれども、B教官のこの考え方はおかしいのじゃないですか。その点についてどういうふうに理解するの。
#86
○勝見最高裁判所長官代理者 A教官の発言に対しましては、前局長も申し上げたと思いますけれども、偏見に基づく女性差別の発言だというふうに私としても受け取れないと思います。
 それからB教官、山本教官の発言につきましては、確かにそういうようなことを誤解させるといいますか、そういうふうに思わせる面もないでもございませんけれども、もう少しB教官の発言につきましては調べさせていただきたいと思います。
#87
○稲葉(誠)委員 B教官のことについて調べると言ったって、何を調べるのですか。だって、この前、十四日のときからずいぶんだっていますよ。約三週間近くたっているのかな。何を調べるの。その後、A教官、B教官、いろいろ会って話を聞いたのですか。その他のことでいろいろな人から、会って話を聞いたのですか。
#88
○勝見最高裁判所長官代理者 問題の発言をいたしました教官に対しましては、機会をとらまえまして何回か事情を聴取しております。それから、相手が司法修習生でございますので、現在問題の発言をした相手になりました司法修習生は前期の修習を終えまして実務庁に戻っておりますので、まだ具体的に司法修習生に対する事情聴取は行っておりません。
#89
○稲葉(誠)委員 国際婦人年で、総理府で婦人問題企画推進本部というのですか、国内行動計画の成案づくりを進めていて、概案というのが四月の末にできていますね。その中にもあるのじゃないですか。たとえば「男女平等を基本とするあらゆる分野への婦人の参加の促進」というのがありますね。ところが、このA教官、B教官、その他の発言を見ると、そうじゃなくて、依然として婦人は家庭に帰れ、その方がいいんだというふうな前提で物を言っておるというふうにしか考えられないのじゃないですか。そういうふうにあなた方はとりませんか。この発言の底に流れているものはそういうふうにとれるのですよ、ぼくらは見て。その点はどういうふうに考えていますか。
#90
○勝見最高裁判所長官代理者 御承知のとおり、問題の発言をいたしました教官はいずれも裁判官でございます。結果的に、ごらんいただきますとおわかりいただけると思いますが、裁判所の場合に、女性裁判官の数、それから裁判所職員の女性の占める割合等を見ていただきますと、裁判所全体が男女差別観に基づいて女性を処遇しているということはないものと私どもは確信いたしております。
#91
○稲葉(誠)委員 私が聞いているのは、くどいのですけれども、A教官なりB教官の発言というものは、底に流れているのは、女の人は家庭に帰れ、男の人は社会でもやれ、こういう役割り分担というか、そういうことを前提として、そういう考え方があってこういうてんまつ書が出ているのじゃないか。何かの折にどこかで話をしたというならまた話は別ですけれども、てんまつ書というのは自分で書いて出したのだから、そのてんまつ書の中にそういうのが流れているのじゃないか。ぼくらは見てそう見えるのですが、あなたとしてはそういうふうに見ないのかと聞いているのだ。そう見ないの。
#92
○勝見最高裁判所長官代理者 これだけの表現でいま稲葉委員が御指摘のような考えが底流にあるかどうかということを尋ねられておるといたしますれば、それはあったかもしれない、しかし、そのてんまつ書に書いてあること自体をもっていま御指摘のようなことがあったというふうに私がここで申し上げることはできないと思います。
#93
○稲葉(誠)委員 それはどうしてできないの。これは読んでみれば出ているじゃないの。
#94
○勝見最高裁判所長官代理者 そのようにお考えになることももちろんできると思いますけれども、私どもといたしましては、そのような趣旨で発言したものでないというふうに考えております。
#95
○稲葉(誠)委員 だから、それはどうしてそういうふうに考えるの。本人からよく聞いたの。てんまつ書を出したでしょう。てんまつ書の中にそういう文章か何か出てきているわけだよね。だから、それについては本人から、これは具体的にどういうふうな考え方でどうなんだということをよく確かめたのですか。確かめないで、ただそういうことを言っているだけなの。そこはどうなんですか。
#96
○勝見最高裁判所長官代理者 私にかわりましてから、私が当該の教官にそういうことを確かめたことはございませんけれども、結局は、女性の司法修習生に対する発言でございます。後で恐らくお尋ねがあろうかと存じますけれども、結局女性司法修習生の判事補採用の問題との絡みになってこようかと思いますけれども、そのことにつきまして、先ほどから申し上げておりますように、最高裁判所といたしましては女性だからということで差別をしていないということをかねがね申し上げておりますので、問題の発言をされた教官が判事補採用のことを念頭に置いて言っておられたというふうには私どもは考えておらないわけでございます。
#97
○稲葉(誠)委員 それでは、これは調べてもらいたいのですが、あなたが言ったのじゃないのですけれども、四十五年の七月十日、当時の最高裁の人事局長が任官説明会でこういうふうなことを言っておるのですね。
  年長者、身体障害者、女性については歓迎しない。
 女性を歓迎しない理由は、
  (イ) 第一線の所長が歓迎しない。
  (ロ) 夫婦とも裁判官の場合、任地の調整が大変だ。
  (ハ) 一筋なわでいかぬ職員組合の猛者を押える必要や勾留理由開示をやらねばならぬから女性には気の毒。
  (ニ) 妻が夫の足をひっぱる結果となる。
ちょっとここのところ、よくわかりませんが、
  (ホ) 支部長として多数を統率していくのは女性裁判官ではむづかしい。
こういうことを当時の人事局長が任官説明会で説明をしておるというふうに、私どもの調査ではなっておるわけですね。
 まず、こういうふうな事実があったかなかったかということが一つと、いま私が読み上げたようなことは、最高裁としては常々考えておることですか。
#98
○勝見最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の任官説明会は、司法研修所の所長、それから任用課長、司法研修所の事務局長が同席いたしまして説明した際のことであろうと思います。その際のこちら、まあ当局側といいますか、司法研修所、最高裁判所側の説明がどうであったかということについては、私どもには公式の記録がないようでございますが、いま御指摘のような事実が現実にあって、採用ないし任地を決めるに際して逆に裁判所としてはいろいろ考慮しているということのあるいは裏返しの発言で、お聞きになっていた方々がそのような形でおとらえになったというふうにも考えられます。
 なお、その後、前人事局長時代に任官説明会をやはり持ちましたけれども、その際には十分誤解のないように解きほどいて説明を申し上げている次第であります。
#99
○稲葉(誠)委員 そうすると、いま私が読んだ四十五年七月十日のこの説明、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)、言いましたね。これは現在最高裁としても訂正するという考え方はないの。これを維持しているの。訂正するとすればどこを訂正したの。
#100
○勝見最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の説明会の資料は私どものところにございませんので、どういう形の資料であるか確認した上、お答え申し上げたいと思います。
#101
○稲葉(誠)委員 いや、後の人事局長が何か説明したと言いましたね。それはどういう説明をしたの。その資料あるの。あれば出してほしいのですが……。
#102
○勝見最高裁判所長官代理者 これは特に公的な資料として残っているわけではございませんけれども、前人事局長まだ最高裁におられますので、私、後任者としてその際の発言の内容ないしいきさつをお伺いいたしまして、そのようにお答えしたわけでございます。
#103
○稲葉(誠)委員 私の言うのは、いま私が四十五年七月十日のやつを読んだですね。これはあなたの方に資料がないというのですけれども、私が読んだこの(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)、女性を歓迎しない理由というのは、現在でも最高裁としては態度は変わっていないのですかと聞いているのですよ。あるいはどういう点が変わったのか。何か訂正したようなこともちょっと言われたものだから。
#104
○勝見最高裁判所長官代理者 女性を歓迎しない理由というふうにおっしゃられましたけれども、先ほど申し上げましたように、最高裁判所といたしましては女性を歓迎しないという基本的な姿勢を持っていないつもりでありますので、女性を歓迎しない理由として(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)でございますか、ということは私どもとしては考えられないということでございます。
#105
○稲葉(誠)委員 四十五年の三月二十日の衆議院の法務委員会において、やはり人事局長が、結局、第一線の所長さん方から喜ばれないということもある、こういうふうなことを言っていますね。言葉はちょっと全体の中の一こまですからあれですけれども、そういう第一線の所長が歓迎しないというあれがあるのですか。
#106
○勝見最高裁判所長官代理者 前々の人事局長の発言でございますけれども、当法務委員会でお述べになったことでありまして、あるいは前々人事局長が所長から具体的にそういう御意見を伺ったことがあるのではないかというふうに推察いたします。しかし、その際の法務委員会の前々人事局長の発言におきましても、最終的には男女差別はやっていないというふうにお答え申し上げているはずでございます。
#107
○稲葉(誠)委員 この七月十四日の法務委員会の議事録を見ると、てんまつ書というのを川崎事務局長が出していますね。その中に、最終的に何か「穏当でなかったと反省し、ここに遺憾の意を表する次第です。」こういうふうにありますね。これは川崎事務局長のてんまつ書。これについては遺憾の意を表しているのだけれども、それで最高裁としてはどうするのですか。
#108
○勝見最高裁判所長官代理者 先ほどから申し上げておりますように、最高裁判所といたしまして、どういう発言があったかということを、確定と言ったら言葉が変でございますけれども、その上でどういう措置をするか、あるいはしないで済むのか、するとすればどういうことにするかはまだ決めておりませんので、確かに川崎事務局長はいま御指摘のとおり遺憾の意を表しておりますけれども、ここの席上で川崎事務局長に対して最高裁としてはこういたすつもりでございますというような答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#109
○稲葉(誠)委員 具体的にどうするかということまで聞いているわけじゃない。それはあなたの内部の問題かもわからぬけれども、本人が遺憾の意を表しているのだから、それに対してそれ相応の処置をするということですか。どういうことなの。
#110
○勝見最高裁判所長官代理者 繰り返しになりますけれども、どういう措置をとるかということについてきょうの段階で私が申し上げることは適当でないと思いますので、その結論は差し控えさせていただきたいと思います。
#111
○稲葉(誠)委員 すると、それはだれが決めるの。
#112
○勝見最高裁判所長官代理者 司法研修所の教官は司法研修所所長の監督に属しております。なお、今度問題になっております司法研修所の教官は、いずれも東京地方裁判所判事の身分を有しておりますので、仮に懲戒というようなことになりますと、裁判官分限法という法律がありまして、これは東京高裁が裁判をもって決定することになりますので、だれがどうするかというようなことのお尋ねでありますれば、抽象的には監督権限のある司法研修所長、それから分限法の適用の問題になりますれば東京高等裁判所ということになろうかと思います。
 なお最高裁判所としましては、司法研修所は最高裁判所に置かれている機関でございますので、最高裁判所自体が監督権の発動ということは制度的にはあり得るというふうに考えております。
#113
○稲葉(誠)委員 ここにことしの七月号の司法研修所の「研修時報」というのがあるのです。これは五十五号。その「あとがき」に川崎さんが五十一年六月十四日に書いているのですね。「司法修習生心得」を作り、これを全員に配付しました。この心得については、一部に論議を呼んでいるようですが、三〇期生の諸君は、」いまの前期の人ですか、「意のあるところを十分理解してくれているようですし、現に、教官からも三〇期生は礼儀正しいと評価されています。」と言っています。意のあるところを十分理解してくれているようなことを「研修時報」で言っているのですね。これは質問通告をここまで細かくしなかったからあれですけれども、ところが、「クラス連絡委員会 アンケート結果報告 前期修習をふりかえって」、これは三〇期クラス連絡委員会が一九七六年七月十二日「「修習生心得」についての意見」というものをアンケートでまとめているわけです。無記名のアンケートだからすべてコレクトだということもちょっとあれかもわかりませんけれども、これを見ると、こういうように書いてある。「心得については、二四六人の修習生の意見がよせられ、その九〇%が批判的内容をもつものでした。」いろいろ書いてある内容があるのですけれども、これを見ると、川崎さんが考えているのと修習生が考えているのと全く違うのじゃないですか。これはどうなの。いかにも自分の心得がよかったように自賛しているのだけれども、修習生の方から言えば、九〇%はとても批判的だったと言っているのですがね。この点についてはどうしてそういう食い違いが起きるのだろう。また、食い違いに対して、どこにその原因があるのでしょうかね。
#114
○勝見最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり川崎事務局長はそのように書いているようでございます。これは大変恐縮でございますが、私、この局長を拝命する前、東京地裁におりまして、現場の裁判官にも、こういうものを修習生に配ったということで「心得」を見さしていただきました。その際、私の部に所属しております修習生なんかともいろいろ話したわけでございますけれども、確かにいまの若い司法修習生があの種の心得に対して、ある程度の反発心といいますか、そういうものを持つ気持ちも理解できないではありませんけれども、しかし一方、将来一人前の法曹として立つために、最小限度の心得であるということの観点から見ますと、いまさら社会人になったわれわれに何だ、こういうような御意見もあろうかと思いますけれども、やはり最小限度の心得として十分まさに文字どおり心得ておいてほしいということだろうと私自身もその際思いました。先ほどの御質問の、認識の食い違いの原因はどこにあるかというふうにおっしゃられますと、まあ端的に言えば、あるいは年齢の差といいますか、育ち方の差といいますか、そういうこともあろうかと思いますけれども、やはり法曹のあるべき姿として最小限度の心得であるということについては、私現在もそのように思っております。あるいは中には不適当な表現があるかもしれませんけれども、これは前局長が前委員会の席上で申し上げておりますとおり、いつも修習生が新しく入った機会に事務局長から最小限度の心得を口頭で述べているところを印刷に付したものであるということでございまして、何か文書になったのでなおさら反発を招いたという面もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、基本的な考え方として決しておかしいものではないというふうに思っております。
#115
○稲葉(誠)委員 いまの点については、最高裁の方で全体として調査がまだ不十分のようですから、調査が行った段階でもう一遍質問をするということを保留しておきます。
 それから、これは法務省サイドにまとめて最後に質問するわけですが、現在いろいろな法律の改正が進んでいるわけですね。たとえば民法で言えば、民法の身分法を中心に民法、商法、それから民訴の六部ですか、強制執行、それから刑法で言えば刑法、それから少年法、それから監獄法、そこら辺が主な法律だと思いますが、その法律の改正がどういうふうに進んでおるかということと、それからいつごろに提出できるめどなのかという点、どういう点がポイントなのかという点を含めて、まとめてというか、各局長ごとですが尋ねて、それで質問を終わります。
#116
○香川説明員 まず民法でございますが、民法のうちの財産法の関係は、現在民法部会財産法小委員会におきまして、いわゆる仮登記担保、債権担保の目的でされた代物弁済の予約による所有権移転請求権の仮登記、これについて最高裁の判例が出ておりまして、いろいろ実務的に問題も細部にわたってございますので、その立法の要否、必要とすればその内容について財産法小委員会で現在検討中でございます。これは恐らく、非常に精力的に審議を進めていただいておりますので、来年の春ごろまでにはおおよそ結論が出るのではないかという見通しでございます。
 それから民法の身分法の関係でございますが、これは先般公表しましたいわゆる中間報告の線に沿って、どの問題から先に取り上げるべきかということを御審議願いまして、国民のいろいろの方向はございますが、大筋として相続関係の改正が要望されておりますので、相続法の関係について先に取り上げて審議しようということで、この九月から日程を決めまして精力的にこれも審議していただく。この関係は、アンケートに対する国民各方面からの御意見にも、現在、そうたくさんはきておりませんけれども、いろいろの異なった方向の意見が出ておるような状況でございまして、中間報告にも明らかにしておりますように、法制審議会の内部でもいろいろの御意見がございまして、どのような方向をとるのが一番いいかということにつきまして、現在いろいろの面から議論を闘わしていただいておるわけでございますが、外国の法制の調査、それから何と言いましても、わが国の国民感情と申しますか、国民意識を土台にして考えなければなりませんので、そういったもの、それから家庭裁判所にあらわれたいろいろの実例、実態、そういうものも踏まえてこれも鋭意検討をしていただいておるわけでございます。この関係は、私の希望はできるだけ早く結論を出していただきたいということでございますけれども、相続法全般の改正はここ一年ぐらいではとても無理ではなかろうかというふうに考えております。
 それから商法でございますが、これは国会法務委員会の先般の附帯決議もございますので、そこに取り上げられました株式会社制度全般についての主要問題の検討を進めることにいたしまして、先般関係方面からの改正意見を集めましてこれを公表いたしておるわけでございますが、その中で、法制審議会の商法部会といたしましては、基本になる株式制度を先に取り上げようというふうなことで、現在株式制度について審議中でございます。従来商法は、この前御審議をお願いしました監査制度の改正というふうな、いわば細切れと申しますか、全面改正ではなしに、法制審議会の意見がまとまった部分ごとに細切れ的に改正法案を提出しておったのでございますが、国会審議の場においてやはり全面的に改正を検討すべきでないかというふうな御意見も強く出ておりましたので、最初取り上げましたのは株式制度でございますが、そのほかに株主総会それから取締役会、そういった問題が大きな柱でございます。それらを一まとめにして意見がまとまりますれば、その段階で法案を全面改正という形で出したい、かような考えでおるわけでございまして、したがいまして、ここ二、三年のうちにさような問題全部が答申にまで至るかどうか、ちょっと時間的に無理があるのではなかろうかと思うのでございます。ただ、この問題は経済界のいろいろの変動に即応するような改正も考えなければなりませんので、基本的には全面改正を目指しながら、やはり緊急に改正を要するようなものがあればその都度提案するというふうなことで現在は考えておるわけでございます。
 それから強制執行法でございますが、これば御承知のとおり昭和四十七年から強制執行法部会で鋭意検討していただいておるわけでありまして、幸い大綱が大体まとまってまいりまして、現在強制執行法の部会の中に小委員会を設けまして、その中で答申の細部についての詰めをやっておる段階でございます。これはことしいっぱいかかりまして、恐らく、強制執行法部会におきましても答申が決められておりますので、総会にかけましで答申を得次第、できればこの次の通常国会に提案したい、かように考えておるわけでございます。
#117
○安原説明員 刑法の全面改正作業につきましては、御案内のとおり、昭和四十九年の五月二十九日に法制審議会から、「刑法に全面的改正を加える必要がある。改正の要綱は当審議会の決定した改正刑法草案による。」という答申がございました。それで、その後政府案の作成をするという段階に立ち至ったわけでありまするが、御案内のとおり、刑法の全面改正ということは、一般の国民の日常生活に深いかかわり合いがあるところでもございますし、また、日本弁護士連合会を初め、各種の団体、学界等から批判的な意見も出されておるところでもありまするので、これらの意見を含めまして広く国民各層の御意見を十分考慮して、真に現代の社会の要請に適応した刑法典をつくるべきであるということで、その方針のもとに、自来二年間にわたりまして、法務省事務当局では、この刑法改正草案を基礎として、各界各層の意見を聞きながら検討を重ねてまいりまして、その結果一応の中間的な考え方がまとまりましたので、去る六月十一日にその検討の結果を発表した次第でございます。
 この内容は、御承知かと思いまするけれども、基本的には、法制審議会の改正刑法草案を基礎として刑法の全面改正を行う必要があるということが検討結果の骨子の第一であり、その次に、外国の元首及び使節に対する暴行、脅迫等の罪とかあるいは騒動予備など十項目にわたりまして、各界の意見を聴取した結果、及び法定刑につきまして代案を作製いたしまして、草案によるか代案によるかについてなお各界の意見を聞くこととしたいということにいたしました。
 そのほか、代案を作成した事項以外の事項についてはさしあたり改正刑法草案の規定に実質的な修正を加える必要がないというのが検討の結果の骨子でございますが、なおその他に、法人の犯罪能力の問題その他問題点もございまして、これらを含めまして、改めて各界各層の御意見を聞いて最終の政府案の作成に当たるというつもりでおるわけでございますが、何分にも、この刑法改正は、それだけで法律として動くわけでもございませんで、なおこれに関連いたしまして、たとえば保安処分の関連、あるいは没収等の関係で刑事訴訟法、監獄法等の関連法令の改正も必要でございますので、いつ国会に提出するかということに相なりますと、最終的な成案を得るにはなお相当の準備期間が必要であるというふうに考えておる次第でございます。
 続いて、少年法の改正につきましては、昭和四十五年の六月十八日に法制審議会にいわゆる少年法改正要綱について諮問いたしましたが、自来毎月一回の割合で会議を開いて審議をいたしてまいりましたが、基本的な問題につきまして賛否の意見が著しく対立いたしましたまま相当の年月を要しましたので、審議方針の再検討が行われました結果、昨年の二月の第五十回の部会におきまして、いわゆる大方の意見のまとまるところを中間報告の形で法制審議会の総会に報告するということを目標に当面の審議を行うとの方針が決められまして、いわゆる部会長試案、「中間報告に盛り込むべき事項(試案)」というものが部会長から提出され、それがただいま審議の対象になっておるわけでありまするが、その部会長から提出されました中間報告に関する試案というものは、要するに、少年の権利保障の強化と一定の限度内におきます検察官関与の両面から現行少年審判手続の改善を図る。しかしながら、法務省が当初出しました改正要綱とは異なりまして、現行少年審判手続の基本構造を維持しつつ、その範囲内においてある程度の手直しを加えるということでございます。
 続いてまた、いわゆる十八歳以上の年長少年につきましては、少年審判の手続上十八歳未満の中間・年少少年の事件とはある程度異なる特別の取り扱いとして、検察官関与あるいは抗告について特例を設けるというようなこと、あるいは一定の限度内で捜査機関による不送致を認めること、あるいは保護処分の多様化、弾力化を図るものとすることというような項目から成っておるわけであります。
 この点につきましてもただいま法制審議会で検討中でございますが、中間報告の内容が決定されましても、それを受けました後で総会においてこれを審議いたしまして、総会においてその報告を相当と認められました場合においては、法務省といたしましては、答申内容に即して法律案の作成作業を行うわけでありまするが、一応の成案を得た段階でもう一度少年法部会に報告して御意見を承るということになっておりますので、少年法部会に報告して御意見を承りました上、これを参酌して確定案を作成するということになる次第でございますが、その法案の提出までにはこれまたなお相当の期間を要するものと考えておる次第でございます。
#118
○石原説明員 最後に、監獄法の改正でございますが、監獄法の改正につきましては、去る三月二十七日法制審議会に諮問を行いまして、その後法制審議会監獄法改正部会というものができました。四月二十八日以来今日まで四回部会を開催いたしましたが、法務省で発表いたしました構想四十七項目のうち八項目まで済みましたので、おおむね順調に審議が行われているものと考えております。
 法制審議会の監獄法改正部会におきまして現在いたしておりますことは、この四十七項目の大まかな御意見を伺っているところでございますが、その後小委員会におろしまして十分検討をしていただき、おおむね二年程度で法制審議会の総会にかけたい、こういうふうに思っております。したがいまして、審議会の答申を得た後、所要の手続をいたして速やかに国会に提出いたすわけでございますが、少なくとも二年間はその間かかるものと思っております。
 それから主たる問題点でございますが、これは前回法務大臣から重点事項として当委員会において答弁されたところがそのまま問題点でございますが、たとえば一として、被収容者に対する給養、保健及び医療に関する規定の整備、二番目は、宗教に関する事項の明確化、三番目は、被収容者の不服救済制度の整備、四番目は、受刑者処遇の原則の明確化及び受刑者処遇の基本制度の確立、五番目は、外部通勤、外出及び外泊制度の採用、六番目は、被勾留者処遇の原則の明確化、七番目は、被勾留者の面会、信書等外部交通に関する事項の明確化、八番目が、代用監獄制度の改善等でございます。
#119
○大竹委員長 青柳盛雄君。
#120
○青柳委員 私は、最高裁判所にお尋ねをいたしたいと思います。
 前回の委員会でも、また先ほども問題になりましたが、昭和五十一年四月付で「司法修習生心得」という小冊子が発行されておりますが、このことについて、前回の法務委員会で矢口最高裁判所長官代理者は、「お手元のものは、あくまで五十一年に入所いたしました三十期の修習生に話をした、それをタイプにまとめたもの、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。」と説明されております。
    〔委員長退席、田中(覚)委員長代理着席〕
ところが、私どもの調査では、もう入所式のようなときに直ちに三十期の修習生に手渡されたということでありまして、事実に反するのではないか、つまりあらかじめこういう冊子をつくっておいて、その趣旨を入所した修習生に話をしたのではないかというふうに思いますが、その点はいかがでしょう。
#121
○勝見最高裁判所長官代理者 私ども報告を受けているところによりますと、前人事局長が申し上げましたように、述べた後冊子を渡しているというふうに存じております。
#122
○青柳委員 これは事実関係でございますから、なお一層お互いに調査をすればより明確になると思いますが、いままでにこのようなものがつくられ、配付されたという事実がないのに、今度改めてこういうものがつくられ、配付されたという、その原因といいますか目的といいますか、それは何ですか。
#123
○勝見最高裁判所長官代理者 申し上げるまでもなく、司法修習生は法曹三者いずれかの職をとるということになるわけでございますけれども、やはりいわば法を守る者として、国民から注目されている職種だろうと思います。したがいまして、当然のことでございますけれども、一人前の法曹として心得ておくべきこと、これは別に印刷するとしないとにかかわらず、以前からあったことだろうと私は考えます。先ほども稲葉委員の御質問にお答えいたしましたように、毎年事務局長から口頭で話していることをさらに徹底するために印刷に付したというふうに考えております。
#124
○青柳委員 いままでにしゃべったことを文章化して、なおかつ印刷にした、そうしなければならなかった何か特段の事情がありますか。
#125
○勝見最高裁判所長官代理者 私どもといたしましては、特にこういうことがあったのでこういうふうにしなければならないというふうな事情は聞いておりませんが、しかし、最近の若い者はなどとは言うまじきことではありますけれども、やはり目に余るというような表現を使いますと少しオーバーでございましょうけれども、やはり司法修習生一般に規律がもっとあってほしいというような考え方から印刷に付されたものだろうというふうに考えます。
    〔田中(覚)委員長代理退席、委員長着席〕
#126
○青柳委員 その小冊子の「はしがき」のところに「人は変っても、年々歳々同種の事故が発生し、九じんの功を一きに欠く人が後をたたない。あえてこの小冊子を編み、諸君の注意を喚起する次第である。」という文句がございます。恐らく口頭で訓示をしておいても記憶にとどめない人があって間違いを犯しやすいから、文章化して、これを手元に置いておけば何かの役に立つだろうという含みだろうと思いますが、修習生から見れば、その内容が余りにも細か過ぎるといいますか、厳しいということから、これは修習生の生活を極度に締めつける作用を持っておるから、それがねらいではないかというふうに見ているのでありますが、その点はいかがですか。
#127
○勝見最高裁判所長官代理者 具体的にどういうことがあったかというお尋ねでございますけれども、たとえば海外旅行の問題などはやはり修習生として当然心得てもらっておかなくちゃいけないことだろうと思います。現に海外旅行を無断でやりまして、結局、二カ月程度だと思いますけれども、おくれてしまったというような修習生もあります。
 それから大分古い話でございますけれども、兼業の問題などにつきましても十分心得ていただきたい。最近は国会議員に立候補する修習生はいらっしゃらないようですけれども、大分前の話ですけれども、そういうふうな問題もあったようでございます。
 それから余り細かいことまで書いてあるではないかという御批判でございますが、確かにその点の御批判はあろうかと存じますけれども、先ほど私からも申し上げましたように、もう一人前の社会人であるにかかわらず、何か子供に物を教えるような文脈でははなはだけしからぬというような御批判もあろうかと思いますけれども、そこはまあ、確かに中身を私どもも拝見いたしまして、大きいことから小さいことまでいわば羅列されているきらいがないでもないかと思いますけれども、将来改めるといいますか、表現を直した方がいいような点がありますれば、直すように司法研修所の方に申し上げることもできようかと思います。
#128
○青柳委員 この小冊子は、新たに入所をされた三十期の修習生にだけ渡したものではなくて、目下なお修習中である二十九期の修習生にも渡したという話でありますが、事実はどうですか。
#129
○勝見最高裁判所長官代理者 御指摘のとおりでございます。
#130
○青柳委員 先ほどの御説明で、細か過ぎる点とか余りなくてもいいと思われるような点を修正するという御意向もあるようでありますが、基本的にはこのような冊子を毎年入ってくる修習生に渡す方針でしょうか。
#131
○勝見最高裁判所長官代理者 司法研修所のいわば教育のことにつきましては、私ども事務総局は直接コントロールする権限はございませんけれども、司法研修所といたしましては、恐らく今後とも渡すつもりであろうかと思います。
#132
○青柳委員 修習生も含めて、法律家の仲間でございますから、この小冊子の持っている法律的な意味は何だろうかということを当然問題にします。たとえば、服装はどうのとかエチケットをどうであるとかいうような道義的な問題について、法的効力などということはほとんど問題になりませんけれども、前回も私、重要な問題と考えたのは、つまり欠席という問題でございます。この欠席という問題それから先ほどもお話しになりました旅行ということ、この二つは非常に重要な内容を持っております。私はそれで、これは大変だと思って前回質問をいたしました。そういたしますと、矢口最高裁判所長官代理者は、何か私が事新しく問題を認識したようなふうだけれども、「そういった規則は、最も新しいものでも昭和三十四年にできておる規則でございまして、何もきのうきょうにそういった規則をつくったものではないわけであります。二十三年、二十八年、三十四年といったような当時から存在する規則でございます。」だから、これは知らないのがよっぽど間抜けだというようなお話でございまして、確かにそう言われれば間抜けであったのかもしれませんが、実際にこんな規則が励行されておったのかどうかという点をお尋ねしたいのでありますが、この点はどうでしょうか。
#133
○勝見最高裁判所長官代理者 ます第一点でございますけれども、この「心得」の、何といいますか、法律的には何だ、こういうような御趣旨の御質問かと思いますが、この「心得」自体がいわば構成要件となって、それに違反したからどうのこうのということではないというふうに私どもは承知しております。
 それから、従来から修習生に関する規則、規程がありまして、これは「司法研修所便覧」という小冊子にいたしまして、司法修習生に配付しているはずでございますし、当然知っておいていただいているはずだというふうに思います。
 ただ、先ほどちょっと申し上げました海外旅行、極端な例になりますけれども、無断海外旅行いたしました場合に、仮に一月なら一月無断で欠席いたしますれば、結局二年間修習をしなかったということになりまして、みんなと一緒に卒業できないというような結果になるわけでございまして、その種の違反は、先ほど申し上げましたように、あったようでございます。
#134
○青柳委員 最も極端な事例としての海外旅行が取り上げられたわけでありまして、これは司法修習生という公的な地位を持つ者が、許可なしに長期にわたって海外に旅行するというようなことは、一定の法的効果を受けてもやむを得ないということでありますから、先ほどのお話のように、修習を二年間行った者に当たらないということで俗に言う落第をさせられるということ、あるいは極端な場合には罷免されるというようなこともあり得るのかもしれませんけれども、まあ内国旅行そしてそれの許可というような事例、これも恐らくその規則の中にあるのかもしれませんけれども、この「心得」で見る限りにおいては非常に厳しいものである。
 前回も指摘をいたしましたけれども、その中には「内国旅行の許可権者は、司法研修所における修習中は司法研修所長であり、実務修習中は裁判所、検察庁又は弁護士会の長である。ここにいう旅行とは、修習地を離れることをいい、旅行の目的が何であるかを問わない。したがって、帰省、行楽、研究会等への出席を目的とするものもすべてこれに当る。ただ、司法研修所における修習期間中の東京、横浜、浦和及び千葉の各裁判所の管轄区域内への泊を伴わない旅行については、許可を要しない扱いである。」こういうことになっておりまして、これは規則にそう書いてあるのかどうか、私、確認はしていないわけでありますが、これを実際に実行するということになりますと、修習生にとっては大変に厳しいものではないかと考えます。
 修習生がこの冊子をもらってから後は、たとえば弁護士会の長のところへ出かけていって旅行の許可を求める人が出てきた。いままではほとんどそういうことはなかったというような話を聞くわけです。で、なぜそんなことになったんだろう、そんなことに一々弁護士会長の許可が必要であるのかどうか、その常識を疑わざるを得ないというような、これも弁護士会がうかつだったということになるのかもしれませんけれども、いずれにしてもそういうことが最近この小冊子が出てから後に起こっているというのですね。そんなにまでいままでなかったことをやらせようという趣旨がこの「心得」発行の目的になっているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#135
○勝見最高裁判所長官代理者 旅行につきましては、昭和二十八年の司法研修所規程第一号というのがございまして、司法修習生の規律等に関する規程でございます。その第四条に「旅行に関する届出」とありまして、「司法修習生は、旅行しようとするときは、司法研修所長の許可を受けなければならない。但し、裁判所、検察庁又は弁護士会における実務修習中は、その長の許可を受ければ足りる。」こういうふうな規程になっております。
 いま御指摘のとおり、この「心得」が出てから、現実には弁護士会の長が、そういうものを持ってこられる、あるいはそういう事態になっておるかもしれませんけれども、研修所といたしましてはこの規程の遵守を求めたということに尽きると思います。現に私ども実務で修習生を扱っておりますと、最近の修習生、相当旅行はいたすようでございますし、相当遠出の旅行もいたすこともあるようでありますので、その際やはり口頭で、どこそこへ行きます。ああ、そうかと言って許可を与えるということもそれなりの手続かと思いますけれども、やはりけじめはけじめとしてつけてしかるべきことかと存じます。
#136
○青柳委員 そのいまお読みになった中には、「司法研修所における修習期間中の東京、横浜、浦和及び千葉の各裁判所の管轄区域内への泊を伴わない旅行については、許可を要しない」ということでありますから、東京高裁管内で水戸だとかあるいは前橋というようなところへ行くためには、日帰りであっても許可が要るんだということになりますが、そして、これは裁判官よりももっと厳格である。高裁管内では裁判官は一々届けなどはしないでもいいことになっているようであります。修習生だけこのような厳格な規程を設けているのか、それともこれは規程にはないんだけれどもこういう扱いになっているのか、その点いかがですか。
#137
○勝見最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘の点は、最近の交通事情ないし首都圏内のいわば生活環境といいますか、そのようなことから運用上そういうふうな取り扱いをしているものというふうに考えます。なお、法律的に物を言わしていただければ、あるいはその管内に関する限りは包括的な許可ということになろうかと思います。
 なお、裁判官のことについて言及されましたけれども、本来裁判官といえども、やはり在任地を離れるときには許可を要するものというふうに私は考えております。
#138
○青柳委員 許可を受けないで旅行をした、つまり無断旅行ですね、それはどういう法的な制裁を受けるのですか。
#139
○勝見最高裁判所長官代理者 無届け、無許可旅行をしたからといって、当然に罷免というようなことには恐らくならないだろうと思いますけれども、一応強いてどういうことになるのかということを申し上げますれば、司法修習生に関する規則の十八条の、まあ何号に当たるというふうに考えますか、一応「修習の態度が著しく不真面目なとき」というようなことに当たり得る場合も絶無ではないというふうに考えます。
#140
○青柳委員 それから休暇の問題に戻りますけれども、承認を得ない欠席というのは、そのこと自体規律違反であるが、さらに修習しなければならない期間にしなかったんだということで、つまり落第をするというのですか、そういうことになるような感じがいたしますが、そうでしょうか。
#141
○勝見最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたように、無断海外旅行について、現実に落第といいますか留年といいますか、留年でもございませんけれども、その期間だけ修習期間を延ばしたというのも、これも正当でないかもしれませんが、その種の措置をした案件があるわけでございます。なおそれに書いてございますように、そのこと自体が規律違反で、その当該修習生は罷免にならなかったわけでございますけれども、やはり規律違反としての制裁を絶対に受けないということでもなかろうかと思いますけれども、しかし実際の取り扱いとしてどうするかは、やはりそのケースケースでやるべきことだというふうに考えます。
#142
○青柳委員 この自由研究日と俗に言われる登庁を要しない修習日、この日でも、親戚、知人の市内案内とか、友人の結婚式、葬儀などへの参列も欠席の承認を得なければ、いま言われたことと全く同じ制裁の対象になるというか、自由研究日というのは一体何時から何時まで何時間その人が研修をしなければならないという規則になっているのか、その点をお尋ねしたいと思うのです。
#143
○勝見最高裁判所長官代理者 自由研究と申しますのはカリキュラムに組まれておりまして、一応三十期の前期修習のカリキュラムにつきましては十四単位ということになっております。一単位は二時間でございます。したがいまして、自由研究に充てられた日につきましては、その際に何時から何時までというはっきりした決め方はしておりませんけれども、そのようなカリキュラムの組み方から考えていただければよろしいかと存じます。
#144
○青柳委員 ちょっと複雑でわからないのですけれどもね。たとえば午後の二時から三時の間葬儀がある。その間、自由研究日でございますから、別に登庁を要しない修習日に一時間ないし二時間葬儀に参列する、これも承認を得なければ、要するに無断欠席といいますか、承認を受けない欠席ということになるのかどうか。
#145
○勝見最高裁判所長官代理者 実際のカリキュラムを見ますと、自宅で起案を書くという修習に充てるような日もあるようでございまして、あるいは土曜日の午前中をもって自由研究に充てるというような時間割りもあるようでございます。お尋ねの、たとえば自宅で起案するためのカリキュラムや、自宅で起案するための自由研究の日でありますれば、仮に一時から葬式がある、結婚式があるために出かけるということについて許可が要るかというふうにまともにお尋ねをいただくのでありますれば、やはり許可は要るということになろうかと存じます。
#146
○青柳委員 非常に窮屈な感じがするわけでありまして、従来は、こういうものを発行されない前は、この辺は非常に融通性があって、別に規律違反というようなことでなしに、伸び伸びと修習生は活動をしておったようであります。それで私はいいんじゃないかと思うのですね。いまのようながんじがらめにしてしまって、結婚式に参列するんでも、田舎から親が出てきたからちょっと見物に案内をするんでも、人の一生一回しかない葬式に参列するんでも、一々許可を得なければならない。登庁日でございますればそれは必要であろうと思います。しかし、自由研究日でもなおかつそういう許可を得なければならないということになりますと、これは全く大変なことでありまして、手続が煩瑣というのではなく、精神的な圧迫感から萎縮してしまうということにもなりかねない。また、いろいろと自由研究をするために、同僚や知人あるいは学者をやっている人、そういう人たちと討議をする会合に参加する、そういうようなことも一々許可を得なければならないというようなことになりまして、法律の問題の研究会に行くというのであれば、届け出ても別に修習生として不届きなことではないかもしれませんけれども、趣味や何かに関することで出かけるというような場合は、許可されない場合もあり得るかもしれないし、また、許可をされるにしても、一々届けなければならないほどのことではないことにまで気を配らなければならぬ。これは人間的には耐えられないことではないかと思うのですけれども、そういうことをも「修習生心得」はねらいとしているのでしょうか。
#147
○勝見最高裁判所長官代理者 結局は、司法研修所におけるカリキュラムの組み方の問題、具体的には自由研究の中身を研修所としてはどう考えているのかという問題になろうかと思います。先ほどから申し上げておりますとおりに、カリキュラムの一環として自由研究ということをセットしている以上は、やはりその時間内における完全に私用といいますかに使うことは、それでも構わないのだというようなことにはならないというふうに私は考える次第であります。もし自由研究がそんなふうにそれこそ全く文字どおり自由にしていいことでありますれば、研修所としてもカリキュラムの組み方を考えなくちゃいけないでしょうし、あるいは仮に起案をする際にも自宅で起案させないで登庁させて起案させるというようなことになってしまうので、むしろ修習生の自発的な責任ある時間の使い方に任しているというふうな現在のやり方自体の方がやはりベターではないかと私は考える次第であります。
#148
○青柳委員 現在がいいという御意見でありますが、それにしても、その間に欠席をしようと思えば一々届けて許可を得なければならぬということになれば、全く自由でも何でもないことになるわけでありますから、これは再検討を要するのではないか。それに私は、恐らく、司法研修所として一々修習生が何をやっているかを調査をする、極端に言えば全部スパイしているというようなことはないと思いますけれども、何らかの方法で、無断欠席といいますかあるいは無断旅行ですかというようなことがあったとするならば、これをとらえて罷免あるいは修習期間を終えないものというような扱いをする、こういうことになりかねないと思うのですね。いままで青法協などに対するいろいろの差別待遇があったことは周知の事実でありますけれども、そういうことになりますと、勢い司法修習生は特定の団体に所属して活動するというようなことすらがんじがらめの中で不可能になってくるという危険性すら感ぜられる。それが研修所の実態ということになりますと、研修所は監獄のようなものじゃないか、研修所には自由がないじゃないかというようなことにもなりかねないわけですね。私はその点を憂えるのです。この点は、この小冊子を発行した川崎事務局長ですかなどの言動を見ますと、少し修習生はこれでおびえ過ぎているのじゃないか、かたくなり過ぎているのじゃないか、薬が効き過ぎたというような感じ、だからもう少し気を楽にしたらどうだという全くおかしな話でありますけれども、それでお互いに胸を張って裸になってつき合おうなどということになって裸になってしまったというような例もあるのですけれども、いずれにしても、この「修習生心得」の事実上の影響力といいますか効力といいますか、それが極端なものになる可能性がある。だから、この「修習生心得」が悪いのか、それともそこに書かれているようなものであるところの規則が余りにもひどいものであるのか、この辺は再検討することを考えておりませんか。
#149
○勝見最高裁判所長官代理者 自由研究のことが具体的に問題になりまして、いろいろお尋ねがございましたけれども、私大変失礼な言い分でございますけれども、自由研究というのはまさに自由な研究をする日でありまして、いわば研究から解放されて、勉強から解放されて何をやってもいいという日でないということは申し上げるまでもないわけでございます。現に、司法修習生は国家公務員ではございませんけれども、われわれ国家公務員が欠席、旅行等につきましていろいろな規律があるということはすでに御承知のとおりであります。司法修習生は、一般公務員並みにと申しますか、国から手当を受けて勉強していただいているという身分でございますので、やはりこの程度の規律は私どもは必要であろうかというふうに現在は考えております。
 もう一点、御質問の中にありました、たとえば青法協の集会に出かけること自体が非常に不自由になって、あるいはそういうことに出かけることを制約し、かつ、結果的には青法協に所属して活動をしたというゆえんをもっていろいろな措置を受けるというふうなことになりはしないかというお尋ねもございましたけれども、しかし、研修所といたしましては、仮に要件に該当するとすれば、青法協の集会に出たからという理由ではなくて、あくまでも無届けで欠席あるいは旅行をしたということの面でとらえられることになろうかと思いますし、その点は先ほどから御指摘がありました葬式や結婚式とその面では同じというふうに考えるべきだろうというふうに考えますので、特にその種の活動に対して、あるいは意図的にそういうものを締めつけるために「心得」を文書にして出したということではないというふうに考えます。
#150
○青柳委員 前回もそしてきょうも問題になりました婦人の修習生に対する差別的な発言ということでございますが、裁判所当局といいますか、最高裁判所を先頭にして下級裁判所をも含めてでありますけれども、どうも婦人の裁判官を歓迎しないというそういう方針が確立しつつあるのではないか。してしまったと言ってもいいのかもしれません。やむを得ず数名の裁判官は採用するけれども、それは一人も採らないということになれば歓迎しないということをもう完全に暴露することになりますから、二、三名は採る。しかし、婦人の修習生は数十名でございますから、その一割にも満たない程度を採用するというのは一体なぜか。これは任官を申し出させない。あるいは申し出てもそれを取り消させる。したがって、数名しか任官申し入れがないからまあ大体一〇〇%採用するので拒否はしないのだという巧妙な作戦、これがとられているというふうに信ずる相当な理由があるのです。
 具体的な例は幾つも私ども聞いておりますけれども、いわゆる肩たたきというのですか、最初入所したときの希望は明白に裁判官あるいは検察官というふうに申し出るというか答えていた者が、いよいよ後期の修習を終えて卒業するといいますか、第二次試験をパスする段階で裁判官あるいは検察官に希望を出す人になると非常に減ってくる。それはなぜかといえば、この二年間の期間を通じて、婦人の人たちが法律家になるのは好ましくないのだということを教官が教え込む。指導する。したがって、申し入れをしても採用されないかもしれないというように考え、あるいはもう裁判官になることを断念して弁護士になるか家庭へ入って家庭婦人になるか、そういうように思い込ませるような形、それでもなおかつ申し入れをする者に対しては、あなたの成績では無理だとか、一年待てば今度は多分大丈夫だろうとかいうような指導をする。これが現実のようでありますけれども、こういう点について、何か私の言っていることが思い違いであるかどうか、答えていただきたい。
#151
○勝見最高裁判所長官代理者 前々人事局長以来、私ども判事補の採用につきまして男女の差別はしていないということは重ね重ね申してきたとおりでございます。将来ともそういう方針で行くつもりでございます。また、司法研修所におきましても、決してその線に――いわば男女の差別をするようなことをしているというふうに私どもは考えておりません。
 実は先日、この男女差別発言問題がございまして、その直後、先ほど申し上げましたように、三十期の修習生が前期の修習を終えた時期におきまして、司法研修所の所長があいさつを述べております。その中におきまして司法研修所の所長は、「司法研修所は、皆様が志望のいかん、或いは男女の別を問わず、それぞれの志に従って思い思いに成長し、法曹として大成されることを期待しております。」「過日、女性の皆様方に、この点について動揺を生ぜさせるような発言が一部にあったように伝えられておりますが、これは私の意外とするところであります。女性の皆様方に申し上げますが、現在の社会は、その当否は別として、実際問題としては、男に都合がよくできている社会であります。私共は、こういう社会の荒波を乗り越えて法曹たらんとする途をとられた皆様方の志を高く評価しております。私共は女性の皆様方を援助する気持こそあれ、何ら差別したり、疎外したりする気は毛頭ないことをここに明らかにしたいと思います。また、教官、事務局一同この点についていやしくも誤解を招くことのないようにしたいと思っております。」以上があいさつの一部でありますが、三十期の修習生を前にしましてこのようなあいさつを述べております。研修所の教官の方々も、所長のこのあいさつの中で述べておられる線に従って行動しておられると思いますが、所長も触れておりますように、いやしくも誤解を招くことのないようにしたいと思っておるというふうな点も強調しておるわけでございます。
#152
○青柳委員 これはたてまえと実際の違いというのを最も端的にあらわしているあいさつだと思うのです。腹にもないことを言っていると言って批評してもいいと思うのですね。というのは、いままで、公式にというのでしょうか、たとえば昭和四十五年三月二十日に衆議院の法務委員会に矢崎最高裁長官代理が出てきてどういうことを言っているかというと、「女性については、私どもの方で取り扱いを特に異にすることはございませんが、しかしながら、第一線の所長さん方からは喜ばれないということもあるものでございますから、そういうような一つの空気はあるが、しかし、女性であることのゆえをもって採用を拒むということは全然ございません。」
    〔委員長退席、田中(覚)委員長代理着席〕
これは、たてまえはそうなんだ。しかし、第一線の所長さん方から歓迎されない。これは現在でもそうだと言われているのであります。男性の裁判官、しかも管理職的な立場にある裁判官の共通した考え方、つまり極論すれば、最高裁の基本方針、女性裁判官をなるべく採るな、始末が悪いんだ、こういう考え方ですね。さっき稲葉委員もいろいろ指摘されましたが、任地の問題から、仕事の問題から、一番困るのは夫婦裁判官などの任地をどういうふうにするか。北海道と九州にばらばらに置くというのは人道的な立場からいってもおかしい、しかしながら、同じ地域に二人で勤めさせるというのもまたほかと比較して優遇し過ぎるというようなことにもなりはせぬか、いずれにしてもこれは採らないにこしたことはない、これが実際の方針だろうと思うのですね。これがいいか悪いかということになると、私は、それは改めなければいかぬと思うのです。男女同権である以上よけいな配慮も要らないわけだ。任地の関係で大変に苦労しなければならぬから採らない方が無難だなんという考え方は正しくないわけです。したがって、誤解を生まないような言動をとりなさいなどと言われたのでは、これから婦人の裁判官希望者あるいは検察官希望者がどんどん出てきて始末に負えない。成績が悪いというような理屈をつけて採用を拒否するということもできるでありましょうけれども、しかし、採用しない率が婦人ばかり高いということになるとこれはますますもって女性差別だということになりますから、何としてでも思いとどまらせるような工作をしなければならぬ。そのためには教官に旨を含めあるいは配属庁の所長などに旨を含めて、なるべく裁判官希望や検察官希望を出さないように指導してくれぬかというようなことにならざるを得ないと思うのです。だから、今度のこの酒の席であるいは旅行の途中でいろいろの言動をしたということが、この人たちの特別の軽率といいますかそういうことではなくて、折に触れてこれをしなければならないという義務感を教官たちは持っているのではないか。そうしなかったら、先ほど申しましたように盛んに希望してくる。まして激励などしようものなら大変なことになる。激励というのは、ぜひりっぱな裁判官になってくれ、弁護士になってくれというようなことを言ったのではだめで、何とかひとつ家庭に入って堆肥になってもらいたい。これはまことに変な言葉を使ったものだと思いますけれども、そういうような封建的な、だれが考えてもいまの時世に沿わないような言動が出てくる。私は、いま問題にされている数名の裁判官が特異な思想を持っておって、そしてはからずもそれが言動にあらわれたというようなものと見ていいのかどうか、非常に疑問に思うわけです。そういう点で、連帯責任といいますか、最高裁判所を先頭にすべて司法当局が猛反省を必要とする事態ではないかと思いますが、それはそれといたしまして、誤解を招くようなことをやったのだというきめつけ方をするのならば、少なくとも、そういう誤解を招くような言動をした裁判官に対しては見せしめのためにしかるべき措置をとるべきではないのか、そうしなかったらけじめがつかないのじゃないか。幾らたてまえはりっぱなことを言ったってだめなんです。
 それで、前回、私は裁判官分限法の適用を考えているかどうかということをお尋ねしましたが、矢口さんは、その分はお答えがなかった。時間もなかったものですから私はさらに追及することをやめたわけでありますけれども、この点はどう考えておられますか。
#153
○勝見最高裁判所長官代理者 大分お尋ねが多岐にわたりますので、落としましたらまたお尋ねいただきたいと思いますが、まず、先ほど稲葉委員の御指摘にもございました、昭和四十五年三月二十日の矢崎前々人事局長の答弁でございますが、この点につきまして、最後まで、先ほど青柳委員お読みいただきましたが、採用を女性なるがゆえに拒むということは全然ございませんというふうに述べておるわけでございます。
 なお、「第一線の所長さん方からはまああまり喜ばれないというようなこともあるものでございますから、」こういうふうに矢崎前々人事局長は言っておられますので、あるいは何らかの機会で、ある具体的な所長が当時の人事局長にその種のことを申し出たということがあったのかもしれませんが、現在私どもといたしまして、女性修習生を判事補として採用するについて差別するという考えは持っておりません。したがいまして、各所長、長官あるいは司法研修所の教官に対しまして、女性は採らないようにしろというようなことは言っておりません。
 それから、夫婦裁判官の問題が出ましたけれども、現在裁判官同士で夫婦の方が十九組おられます。この十九組の方は現実に同居可能なところに配置されております。このように女性裁判官の任地につきましては相当な配慮が必要であることは先ほど御指摘のとおりでありまして、人事異動の事務方の処理をしている私どもといたしまして、その夫婦裁判官の配置につきましては、いろいろ頭を悩ますと言っては失礼かもしれませんけれども、そういうことは普通の男性の裁判官の場合と違うことはもう御指摘のとおりでございますが、やはりその点に関して、私どもとしては十分配慮した上で処遇をさしていただいているというふうに考えているわけでございます。
 それから、今回の、問題の発言をした教官に対する具体的な措置の問題でございますけれども、先ほど稲葉委員にもお答え申し上げましたと「おり、きょう現在の時点におきまして、どういう措置をするのかしないのか、あるいはするとすれば先ほど青柳委員が御指摘のような分限法の適用までいくのかどうかというような問題がありますけれども、きょうのところは、まだ私どもといたしましても、十分事実を把握し切っておりませんので、どういう措置をするつもりであるとか、してもらうつもりであるとかというようなことについては、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
#154
○青柳委員 どうするかまだ考えていないなどというような姿勢では困るのです。これはどうしても決着をつけなければいけない問題だと思うのです。
 先ほども申しましたように、この数名の裁判官だけの問題ではなくて、これからもこういう言動をなす者があればぴしぴしやっていかなければいけないと思うのです。だから、まずこう具体的な事実ができた以上、しかるべき措置をとらなければ、結局は酒の上のことだからやむを得ないんじゃないか、人間だからといったようなこととか、それからこの大塚所長、七月二十日に質問書を出した女性の弁護士さんたち十名内外の方がお会いしたときに、川崎事務局長も同席したようでありますけれども、とにかく日本の古い発想なんだ、男の気概とかなんとかいうようなことで、反対に女性をべっ視するような言動をやってしまった。古い発想だという、それだけのことで、まあ余り感心はしないけれどもという程度のことで済ましていいのかどうか、思想は自由だから勝手な考え方を持っていていいのだ、それがまた言動にあらわれてきたって別にどうってことないじゃないかというふうな軽い気持ちで扱っていたのでは困ると思うのですよ。少なくとも教官というような地位を持った人の言動というものは気をつけなければならぬ。私は、教官として不適格な者であれば、教官の職を解くべきだと思いますし、また懲戒に値するものであるならば、懲戒処分にすべきものである。さらに言うならば、職務の内外を問わず、非行を行った裁判官ということで罷免をする必要も出てくるかもしれない。今度の場合、すべての裁判官がそうなるというふうに見通しを立てるわけではありませんけれども、少なくとも目に余ることがあればそういうことにもなるわけですね。したがって、考えておりませんというような話では、これは問題にならないわけで、前回からすでに半月以上たったわけでありますから、その間に取り調べが進み、そして結論が出るということは私ども期待されていたわけでありますから、少なくともこの次の法務委員会までには明確な答えが出るように私は求めたいと思いますが、いかがですか。
#155
○勝見最高裁判所長官代理者 誤解を招いたようなお答え方をして恐縮でございました。措置を考えていないという趣旨で申し上げたつもりではございませんでして、措置をするかしないか、するとすればどういうことをやるかということについて、現在の時点で私がここで、こういうふうにいたすつもりでございますというようなことは申し上げることを差し控えさせていただきたい、こういうふうに申し上げているつもりでございます。
 なお、次回の委員会までにというお尋ねでございますけれども、ぜひ次回の委員会までにお答えを差し上げますということも、いまのところ確答は差し控えさせていただきたいと思います。
#156
○青柳委員 終わります。
#157
○田中(覚)委員長代理 吉田法晴君。
#158
○吉田委員 きょうは法務大臣が御出席願えないし、外務省の塩崎政務次官に、急でしたけれども、かわりをお願いしました。
 事件は、この前から取り上げております横浜それから神戸における華僑弾圧事件でございます。事件の実際の経緯を御存じでしょうから繰り返しません。問題は、日中共同声明と今回起こりました問題との間には明らかに矛盾撞着がある。日中共同声明で日本の政府が中国政府に対して約束をされた、その約束の中に、台湾は中華人民共和国の領土の一部であるということを認め、そしてそのことについて中国側の主張に十分理解を示す、こう書いてある。その共同声明に基づいて日中平和友好条約が締結されなければならぬのですが、まだ実現するに至っておりません。そういう空気に日本側がないことは、これは私どもが指摘するまでもないことだと思いますが、この問題について、外務省としてはどう考えておられるのか、まずそれをお尋ねいたしたいと思います。
#159
○塩崎説明員 お答え申し上げます。
 日中共同声明の精神に基づきまして、日中間の諸問題について私どもはその精神を実現すべく努力中であることはもう御存じのとおりでございます。
 先般の登記問題につきましては、法務省からもお答えがあったと思いますが、私どもはこれは国内の刑事問題として考えているわけでございまして、刑事問題こそ優先的に解決さるべき問題であって、日中友好問題とは直接の関係はない、こんなふうに考えております。
#160
○吉田委員 問題が起こりまして、外務省にも私自身も参りました。それから政府の官房長官にも会いました。それから警察にも会ったりしてまいりました。いまのような答弁に終始しておられるわけでありますが、この前の法務委員会で、外務省からはアジア局長も来られないで、課長さんがそこに二人おられますが、来ておられました。二つの中国はないということは認められました。台湾は中国の領土であるということを日本としてもはっきり認めた。そこで、華僑とは何ぞや、華僑という言葉はどういうことにするのかと言ったら、法務大臣が、中華人民共和国の国籍を有する人であろう、ここまでは答弁されました。そのあと若干ございましたから、きょうお尋ねしたいと思ったのですが、法務大臣来られませんから、法務大臣にそのあとをお尋ねすることはしばらくおいて、外務政務次官にお尋ねをしてまいりたいと思います。
 それでは、日中関係の諸団体あるいは華僑、本当の中華人民共和国の国籍を有せられる華僑、それをみずから愛国華僑と言っておられますが、その愛国華僑からも抗議があったはずであります。それから中華人民共和国からも日本の駐日大使館から外務省に抗議があり、それから北京で中国の外交部から日本の大使館に抗議があったはずであります。これに対して外務省としてはどう考えておられますか。
#161
○塩崎説明員 自国の国民がいかなる理由であるにいたしましても逮捕されるような場合に、その国の代表あるいはその国自身は当然関心を示すと思うわけでございます。それがいかなる事件であってもそのような考え方をとるのは当然でございまして、私どもは、そのような希望、要請が日本政府に伝えられたことは当然あり得ることでありますし、そのようなことは外交上当然考えなければならぬと思うのでございます。ただ、刑事問題の処理は、これは別問題だ、こんなふうに考えております。
#162
○吉田委員 個々に詳しくその抗議の内容を引き合いに出しては申し上げませんが、華僑とは中華人民共和国の国籍を有する人だ、こういう説明をいたしますと、横浜における華僑の総会、それから神戸における華僑総会、それぞれ若干の違いはございますけれども、華僑が共同してつくりました会館、その管理の問題、その問題について意見があり、あるいは華僑の中でいろいろ論議があったとしても、これは日本政府の関与すべきものではないということはお考えになると思いますが、どうですか。
#163
○塩崎説明員 華僑の定義につきまして、私も速記録を読ませていただきましたが、明確な法律上の定義があるとも考えておりません。ないというような答弁もあったように聞いておるわけでございます。しかし、登記の問題として考えてみますと、やはり華僑とかあるいは居留民団とかいう問題ではなくして、日本の法制に従って登記されるべきである。それは恐らく、人格がなければ個人の名前で登記されるべき問題であって、そういった観点からだけ処理されて当然合法的であるし、日本の国内法に従っているものと考えております。
#164
○吉田委員 ちょっと別のことを答弁されまして残念ですが、登記の問題について言うと、登記の問題をいまのところ聞いたわけじゃないのですが、登記の問題についても、それはなるほど七人の個人の名義で登記が申請されております。しかしそれには確認書がついております。そして登記の抄本も持っておりますが、その登記の抄本の中には財団法人中華会館と書いてあったと思います。登記の抄本に書いてあるのですから、それは御否定なさるわけにはまいるまいと思う。単なる個人名義の登記ではございません。それは団体を確認する意味で中華会館と書いてあるのだと思いますが、その人たちの規約によりますと、前の中華会館という名前は使われておりますけれども、正式の名前は横浜華僑総会定款としてあります。そしてその第二条には、「「財団法人中華会館」並びに前「中華民国留日横浜華僑総会」の趣旨」云々と書いてございまして、制度上は中華会館というのはない。それは一九七一年に変わっておりますが、昔のこの中華会館という名前を使いながら、いわば華僑総会という名前を使うについては、その実体について争いがある。その争いがある留日横浜――ちょっと待ってください。その確認書の中には「中華民国留日横浜華僑総会」と書いてあります。それを代表して持ち分各七分の一会々。そういう中華民国というものは日本政府にとってあるのかどうか政務次官が自分で引き合いに出されましたから、まずお尋ねいたします。
#165
○塩崎説明員 事柄は、登記あるいはそれに登記されましたことに基づく所有権を持つ人の維持、管理の問題だと思いますが、これらの問題は法的な問題でございまして、法務省の所管であろうかと思いますので、法務省の方からお答えをしていただいたらいいと思いますが……。
#166
○吉田委員 法務省との間にはこの前やったことだからお尋ねをする必要はありません。外務省としてどう考えられるかということを聞いておるわけでありますが、それは知らなかった、あるいは末端の独任機関がやられたことで、それは登記の上にはあらわれておりませんというのがいままでの説明。ところが、外務省として中華民国というものが認められるのかどうか、この前もお尋ねすると、それは認められない、中国は一つだと答弁になった。そうするならば、要するに、日本の登記法上であろうと何であろうと、公式文書の中に中華民国という言葉は出てくるはずはないと思うのですが、どうですか。
#167
○塩崎説明員 公式の文書の中に中華民国という言葉が出ることは、確かに日中共同声明の趣旨から適当ではないことはもちろんでございます。私の聞いておりますところは、それは登記のための一つの添付参考資料と、こんなふうに聞いているわけでございます。
#168
○吉田委員 実はその辺があなたに尋ねる本旨ではないのですけれども、二つの中国はないということを認めながら、中国を代表するのは中華人民共和国政府一つだ、こう言っておられる外務省が、華僑の中における問題について、もし日本政府が、外務省じゃないですけれども、検察庁だとかあるいは警察とかいうものが手を入れる場合に、この二つの中国に関係するような理由によって、名前は留日横浜華僑総会という名前であろうと、あるいは横浜華僑何とかと言おうと、登記の上に、なくなった中華会館の名前が出ているんですから、恐らく横浜華僑総会の定款をごらんになったでしょうし、あるいはこの確認書も法務局としては見たはずだ、こういうわけです。それをいまあなたに聞いているんじゃなくて、華僑総会の中にもしいろいろ争いがあったとしても、その中に日本の政府機関、警察とか検察庁とかいうものが介入するとするならば、
    〔田中(覚)委員長代理退席、委員長着席〕
それはやはり日中共同声明の中において日本政府が認めた、中国は一つ、中華人民共和国政府一つ、華人と言えば中華人民共和国の国籍を有する人たちだけだ。そうすると、法務大臣にも聞いたことですけれども、その他の人たちは法的に言うと無国籍の人だねというお尋ねをしたんです。そこの答えが少しぼけておりましたから、法務大臣に聞きたいところですけれども、外務省としては、中華人民共和国一つを認めたとするならば、そのほかには国はないとするならば、中華民国云々というものは、もし外務省が、登記の場合であろうと、認めて登記をしたとするならば、それは間違いであったという答えが出てくるはずでございますが、どうですか、こう言っているのです。
#169
○塩崎説明員 吉田委員のおっしゃられましたようなことが仮にありとすれば、適当ではないと思うのでございます。しかし私は、二つの政府があるというような観点からの日本政府のこの問題に対する関与というふうに考えておりません。純粋なる刑事事件として関与したと聞いております。
#170
○吉田委員 私は、外務省の基本的な態度が、こういう事件に関連をしてもいまのような説明になったり、あるいは中華人民共和国から正式の抗議が向けられても、それは刑事事件で外交関係には関係ない、日中関係には関係ない、こう言われるんですが、この前引き合いにも出しましたけれども、モントリオールのオリンピックに参加をしたいわゆる中華民国代表の選手に対して、カナダとしては、中華民国なんて認められない、あるいは青天白日旗をその一つの国を代表する国旗としては認めないということで、カナダ政府も御承知のように認めませんでした。そしてまた、IOCに参加しておる国の中で友好的な国が多いから同様の決定をいたしました。台湾は今度のオリンピック大会に参加しませんでした。同じような態度が、もし日本で共同声明に忠実にされるならば、私はこの問題についてもとらるべきだと思うのです。それは純粋な刑事問題だからあるいは治安問題だから私の方は関係ないというのは、あなたの方のいまの態度。ところが、事件は中華人民共和国の国籍を有する人に関連する問題。それはいわゆる中華民国の国籍を有すると思っている人もあるでしょう。しかし日本の法のたてまえから言えば、共同声明の精神から言うならば、それは中華人民共和国の国籍を有する人を中心にして考えるべきじゃないか。どうですか、それは。
#171
○塩崎説明員 私は、この事件は、国籍いかんにかかわらず、建造物不法侵入とかいうような純粋な刑事事件として、刑事問題として問題を処理しようとしたことにあると考えておりまして、全く外交上の問題とは関係なし、こんなふうに考えております。
#172
○吉田委員 関係者の中からあるいはまた中華人民共和国政府から、今度の問題について、二つの中国をつくる陰謀と断定をし、日中共同声明と矛盾するという中国側の指摘については、これはやはりいまのように関係がない、こう考えられるのですか。
 それから、退席をしたいという時間が迫っておりますからもう一つお尋ねいたしますが、私は、いまの外務省あるいは外務大臣の態度には、米中国交正常化のタイムテーブルはないとフォード大統領から言われたことを根拠にして、日中共同声明に反するようなことが言われたり、あるいは今度の事件のようなことが行われると考えるのですが、しかし、きのうの新聞にも、フォードの個人的特使としてスコット上院議員が中国に行って、その帰国報告がなされている。私は昨年アメリカを訪問して民主党系のある学者にお会いをいたしましたが、フォード訪中の見通しについて、大統領候補の指名を受けるまでは訪中をしても米中国交正常化について著しい前進はないだろう、しかし、大統領の指名を受けたら――指名を受けるまではないだろうというのは、それはタカ派の支持を失うことを恐れて、前進はないだろう。大統領の指名を受けたら恐らく変化が出てくるだろう。そしてかつてのアイゼンハワー大統領でさえ、その選挙戦で二十万のアメリカの兵隊を引き揚げさせることを約束して大統領になりました。大統領勝利の大きな原因がそこにあったことは御承知のとおり。したがって、大統領選挙では、それはその人が言ったわけじゃない、私の解釈ですが、米中国交正常化という問題は必ず問題になるという意味で、タイムテーブルはないかもしれません。いつどうしてというタイムテーブルはないかもしれませんけれども、しかし、問題になっていることは事実、あるいは大統領選挙でも問題になることも事実、あるいは次の大統領が米中関係について上海コミュニケを実行するように前向きになることも客観的な事実じゃないでしょうか。少なくとも、日本の政府のように、日中共同声明を出しておいて、それから三年間が過ぎ四年目になっても、何とかかんとか言って積極的な姿勢が示されないのは、私は、カナダの姿勢、あるいは今後の動向も含めてアメリカに比べて、日本の政府が、あるいはその責任の衝にある外務省が、こういう問題が起こっても何にも閣議にも言わぬ、あるいは政務次官会議でも構いませんけれども、何にも発言をされないというのは、外務省自身の中の姿勢が変わっておるのではなかろうか。その原因を私は想像いたしますけれども、これは申し上げません。申し上げませんが、きょうは政府を代表した形で両大臣のかわりに来ていただきましたから、その決意だけはひとつ外務省にお聞きしたいと思います。
#173
○塩崎説明員 日中友好関係につきましては、共同声明の趣旨にのっとりまして、宮澤外務大臣も機会をとらえながら努力していることはもうたびたび申し上げておるところでございます。いま米中関係につきまして吉田委員からお話がございました。私は、吉田委員の言われますようなことが新聞紙上盛んに取り上げられていることも十分存じております。米中関係については、しかし、去る七月十三日に宮澤大臣はもちろんでございますが、二十八日には総理大臣まで御出席になりまして、この問題につきまして答弁されたとおりでございます。米中関係の問題は米中二国間で決定すべきであって、日本政府はこれについてとやかく言うべきではないということでございます。
#174
○吉田委員 質問をいたしました中に、外務省の方針とそれから今度の問題についての所見をお尋ねいたしましたが、それは変わりませんか。
#175
○塩崎説明員 ただいま私が答弁したとおりでございます。
#176
○吉田委員 外務政務次官に多少良心を期待いたしましたけれども、政府やそれから大臣の姿勢と矛盾する発言はできないと見えるから、これ以上外務政務次官に対する質問はやめます。
 残りました時間、法務大臣にお尋ねをいたしたいと思いましたが、おいででございませんから、出席の関係者にお尋ねをしてまいります。
 いま外務政務次官との質疑の中でちょっと申し上げましたが、法務省にお尋ねをいたします。
 確認書は所有権を確認する意味で出されたものであって、登記簿面とは直接関係はございませんというお話ですが、先ほど申し上げましたように、登記簿の上に財団法人中華会館と書いてあります。そうすると、定款やらあるいは確認書、それから関係者の意見等も聞かれたことだと思いますから、実態が大体わかったと思います。いままで言われましたことと、それから私が先ほど申し上げました登記簿の記載事項、それから確認書、あるいは横浜華橋総会と称する団体の定款等については確認をされておると思いますが、いかがでしょうか。
#177
○安原説明員 法務省をお名指しでございまして、政府委員としてお答えすべきことではあろうかと思いますが、事柄がどうも登記簿の問題のようでございまして、刑事局長でございます私の所管ではございませんので、できましたら民事局関係の方に、お呼び出しを願ってお聞きを願いたい、かように思う次第でございます。
#178
○吉田委員 民事局の担当ですが、民事局はきょうの主な質問のあれではないから、退席を了承しました。そこで、刑事局にお尋ねしてもしょうがありませんから他日に譲りましょう。
 他日に譲りますが、それでは刑事局長にお尋ねするしかありません。刑事局長と関係の外務省の課長さんですから、限定をされるわけですが。
 事の起こりは、七人の登記を許した、そしてその七人が代表する背後の団体を認めて、その所有だということを確認したときから登記になった。その代表するという団体に問題があるとすれば、これはこの前から争っているわけですけれども、関係者がいないで、その第一前提が定まらないで、後の仮定の問題の上では答えられぬという答弁になるかもしらぬと思いますけれども、その背後にあった団体が争われることは、これは刑事局長といえどもお認め願えるのではないかと思いますが、その辺はどうですか。
#179
○安原説明員 今回のいわゆる不祥事件の原因がどこにあるかということも、刑事事件を処理する上においては一つの犯罪の情状として考慮すべきことではあると思いますが、あくまでも刑事事件を処理する検察当局といたしましては、起こった事態を踏んまえて、それが刑法の構成要件に該当することでありますならば、それを厳正公平な立場から処理するというのが基本でございます。その間において、そのようなことが何ゆえに起こったかということも十分に考慮しながら適切な処理をすべきであるというのが一般的な考え方のように思います。
#180
○吉田委員 刑事局にこれ以上前提についてはっきりさせないでお尋ねしていくことも無理だと思いますから、また別の機会にします。
 中国課長と関係者が来ておられますから、次官はいま退席されましたけれども、お尋ねいたします。
 これは、中国関係あるいはアジア局関係の立場としては、中華人民共和国政府からの抗議というものは考慮されたと私は思いますよ。若干の再考慮はあったから、実は保釈についても意見を述べられた、私はそう想像するのです。
 それはとにかくとして、先ほど申し上げましたように、この前のときも中国課長さんは二つの中国はないとはっきり言われました。そうすると、その後の国籍問題について言っても、華僑というのは中華人民共和国の国籍を有する人であろう、こういう大臣の答弁、これは中国課長さんなり関係課長としても否定するわけにはいかぬと思います。そうすると、華僑の中で、その七人が団体を代表して登記をし得るかどうか。その団体の構成について争い、あるいは団体の代表権について問題があり、あるいはそこで話し合いが行われている。それに、その七人の登記者のうちから警察に連絡したからということで警察が出動した。そしてその争いの中に警察あるいは検察庁という国家権力が入った。それに対して外務省としては意見はなかったか、あるべきではなかったかというお尋ねをしたわけでありますが、――先般外務委員会でさっき外務政務次官に聞いた前段の点を聞こうと思ったが、委員会で時間がなくて聞けませんでしたから、外務省のアジア局長のところに行っていろいろ申し上げた。大変参考になりましたというお話でしたが、この問題については、正式な委員会でありませんから、そこでお尋ねはいたしませんでしたが、外務省としては、日中関係の現在とそれから将来に関連をして何らかの意見が政府筋に言わるべきであったと私は思うのですが、いま残っておられます二人の課長さんはそう思われませんか。
#181
○大森説明員 先ほど政務次官からお答えがありましたように、外務省といたしましては、この問題は日中共同声明の精神にかかわる、そういったような問題ではない、これはわが国の国内法に従って処理されるべき性質の事柄である、かように考えておる次第でございます。
#182
○吉田委員 いろいろな抗議が行われました。それから外交問題にもなりました。それについて外務省としては、あるいはアジア局次長来ておられますが、アジア局等においては論議をされたことがあるかないかだけお尋ねいたします。
#183
○大森説明員 中国側からの抗議がございましたその都度、外務省当局、東京においてあるいは北京において、先ほど申し述べましたようなわが方の立場というものを繰り返し詳細に中国側に対して説明いたしております。
#184
○吉田委員 中国側だけでなくて、日本の日中関係諸団体、なお、日中関係諸団体の間では、この問題についての共同組織をもって近く集会を開いて政府の間違った態度を直させるべく努力を続けます。八月五日には大手町の農協会館で二つの中国に反対する日中友好諸団体の主催で会合を持つわけでありますから、この問題はなお継続してまいります。
 きょうは、この前の続きをやろうと思ったのですが、大臣出てこられませんし、それから外務政務次官が時間を限って帰られましたし、関係者、局長あるいは次長、課長来ていただいておりますけれども、これ以上同じ質問を続けても意味がないと思いますから、他日を期して、これで本日は終わります。
#185
○大竹委員長 諫山君。
#186
○諫山委員 いま田中角榮の取り調べをめぐって、首相の職務権限がマスコミでも大きな問題になっております。この問題を判断する一つの根拠になるのが昭電事件の東京高裁の判決ではないかと思います。
 これを見ると、内閣の職権に二つの種類がある。一つは、内閣「自ら直接に具体的な行政事務を行う職権」、もう一つは、「行政事務を分掌する行政各部を統轄する職権」、この二つの職権があって、そのおのおのについて本件に当てはめるとすれば贈収賄問題が起こるというふうに解されるわけです。
 そこで、総理大臣が、「自ら直接に具体的な行政事務を行う職権」、これに関して金銭を受け取れば当然収賄罪ということになるわけでしょうが、「内閣の下において行政事務を分掌する行政各部を統轄する職権」、これは高裁判決の表現ですが、これをどう解釈するのかというのが非常に微妙な問題ではないかと思います。中には内閣法四条一項を引き合いに出して、閣議に関したものについてのみ収賄罪が成立するような議論もあるようですが、しかし、そうではなくて、内閣総理大臣というのは行政府の長です。ですから、その面では、直接具体的な行政事務を行う職権だけではなくて、各行政官庁の分掌する行政事務についても統括する職権というのを一般的に持っているはずだと解されるのですが、これは一般的な解釈問題として法務省はどう解しておられましょうか。
#187
○安原説明員 総理大臣の職務についてと申しますか、内閣の職権というものに関しまして、いま申されますように、直接みずから行う場合と、行政各部の大臣の指揮監督する職権というものと、大別して二つあることは御説明のとおりでございますが、さらに、その行政各部を監督する仕方の解釈の問題に関する総理大臣の職権について法務省はどう考えるかと申されましても、法務省はそのような内閣あるいは憲法の解釈につきましてこの場において申しあげる立場にはないように思います。
#188
○諫山委員 これはロッキード事件の捜査と直接関係するわけですが、いま言ったような一般論を幾らか本件に具体化しますと、たとえばトライスター導入、この問題について運輸省、通産省、大蔵省がそれぞれ一定の部分について権限を持っている、これは明らかなことです。大蔵省の関係している外貨割り当て、さらにこれに関連した輸銀法の改正、これについては内閣が法案を提出するということですから、内閣総理大臣の職務権限はきわめて明白。それから運輸省の事業計画の変更、通産省の輸入承認というような各省の権限に属することについても、総理大臣というのは当然行政各部を統括するという立場から言って、一般的な刑法上の職務権限があるというふうに解するほかはないと思うのですが、この点いかがでしょう。
#189
○安原説明員 いままさにトライスターの導入ということに関連しての内閣総理大臣の職務権限についてのお尋ねでございますので、諫山委員せっかくの御議論は貴重な御意見として拝聴いたしましたが、私の口からそうであるとかないとかということを申し上げるのは、具体的な事件の処理に直接影響するところでございますので、御遠慮さしていただきたいと思います。
#190
○諫山委員 P3Cの問題についても、これは国防会議の関係ですから、ずばりそのまま総理大臣の職務権限が及ぶ、この点は明白なわけですが、こういう点については捜査との微妙な関係上この席では説明ができないという意味でしょうか。
#191
○安原説明員 そういうことを含めて具体的な事件の処理に影響いたしますので、御意見は御意見としてありがたく拝聴いたしました。
#192
○諫山委員 マスコミでも昭和電工事件の判決をいろいろ引用しているわけですが、これは内閣の権限をどう解するかという一般論を傍論として展開しておるわけです。この中では、こういう問題について内閣の権限は及ばないのだという趣旨のことは全く書かれていない。つまり昭和電工事件の二審判決で職務権限が縛られるというふうに解する余地は全くないと思われるのですが、これは一般的な議論としてどうでしょうか。
#193
○安原説明員 すでに確定した判決の中身のことでございますので、あえて申し上げますならば、あの昭電事件の一、二審判決は、いわば国務大臣である芦田均氏のことに関連いたしましての職務権限の問題でありますとともに、内閣の職権についても触れておりまするけれども、その意味合いにつきましては、諫山委員のおっしゃったとおりに私も考えております。
#194
○諫山委員 つまり昭電事件の判決はいささかも内閣の権限を制約する判決ではなくして、あれが運用の上でどのように広げて適用されていくのかというのが本件と昭電事件判決のかかわり合いだろうと私は解しているのですが、その点も同様ですか。
#195
○安原説明員 昭電事件の判決そのものを独立して考えて私は申し上げておるのでありまして、そのことが今度の問題とどうかかわり合いがあるかは、同じような立場から申し上げるわけにはまいらないと思います。
 なお、昭電事件の判決で、内閣の職権のところで特に私どもが一、二審で違うとして注目したところは、いかなる事項が閣議にかけられるかということについて、一、二審では判決の内容が違うということには着目いたしましたが、重ねて申し上げますが、昭電事件の判決の内容が今度の事件とどういうかかわり合いがあるかということについては申し上げる立場にはないことを御理解いただきたいと思います。
#196
○諫山委員 警察庁来られましたか。――八月の二日に田中角榮の秘書が死亡しているのが発見されたということが、きのう一斉に報道されました。朝日新聞の報道によりますと、検察庁では、東京地検の指示で浦和地検から寺尾検事が現地に派遣された、そして検事としては笠原さんの死体を解剖するように主張した、しかし、結局解剖しないまま遺族に引き渡した、こう報道されているのですが、その経過は間違いありませんか。これは法務省の方に……。
#197
○安原説明員 笠原運転手の死亡という報告がありまして、現地を所轄する浦和地検からいま御指摘の寺尾検事が現場に行きましたことは事実でございますが、新聞紙上伝えられるように、警察と検察との間に意見の対立があったというようなことは事実ではございませんで、きのうも参議院の委員会で申し上げましたように、いろいろ事柄が事柄であり、時期が時期でもございますので、慎重に事を処理するという意味におきまして、いわゆる犯罪による死亡ではないかどうかを認定する必要があるということで、慎重な立場からそれを警察とも協議して認定をして、その結果一酸化炭素中毒であるということが血液等からわかりましたので、自殺であるという認定をしたことにつきましては、警察と検察との間に何ら意見の相違はなかったわけであります。ただ、その過程におきまして、念には念を入れるという立場から、もし遺族の御同意が得られるならば、いわゆる同意を得て解剖するということも考えてはどうかということで、御遺族にその意向を確かめたところ、同意を得られなかったという次第でございまして、要はいわゆる司法解剖、犯罪の疑いがあるということで鑑定許可状を得て解剖するというような判断には検察官としてもならず、その点については警察との間に何ら意見の相違はなかった次第でございます。
#198
○諫山委員 これも新聞報道ですが、検察庁としては、現在でも死因を究明するために努力する、あるいは努力しているという報道がされていますが、その点はどうですか。あれでおしまいにするのじゃなくて、今後とも真相を究明すると書いてある。
#199
○安原説明員 現地からの報告によりますると、自殺であるという認定はしたものの、そのことをさらにコンファームするために若干の捜査をするつもりでおるということでございます。
#200
○諫山委員 そうすると、どういうことを捜査しようとしているのでしょうか。つまり、自殺だと一応結論づけたけれども、果たしてそれで満足すべき結論かどうかということを諸般の状況から調べるという意味になりますか。
#201
○安原説明員 まあ捜査と申し上げるよりは調査と言うべきであろうと思いますが、いまおっしゃるように、諸般の状況から、事柄が事柄でありますし、時期が時期でありまして、取り調べ中の参考人が死亡したということは検察庁にとっても痛恨の至りでございますので、念には念を入れる意味において、諸般の状況から自殺であることを確認するための努力はいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#202
○諫山委員 自殺か自殺でないかということを確認するためには死体解剖が決定的な役割りを果たす、こう思われるわけですが、それをせずにどうして今後まだ調査を続けていこうというのでしょうか。
#203
○安原説明員 現場におきまして、血液の反応から、一酸化炭素中毒であるということは確認したようでありますし、その他のいわゆる検察官の心証といたしまして、犯罪による死であるということをその場において疑うに足る相当の理由がなかったわけでございますので、鑑定の許可状を得るということをするだけの資料がなかったということで、結局は、解剖する以上は遺族の同意を得なければならぬという事態でございましたが、御遺族の同意が得られなかったということでございます。
#204
○諫山委員 一切もう調査の必要も認めなかったというのなら理解できるわけですが、今後ともやはり調査を継続するという立場でありながら、一番肝心の死体解剖についてなぜ法的な手続をとらなかったのかということが疑惑として残ります。
 朝日新聞の報道によりますと、検察庁が疑いを持った理由として三点挙げられています。ビニールホースに指紋があるらしいけれども、笠原さんのものと特定できなかった、あるいはビニールホースの入手経路、本人の足取りが不明だった、それからドアのあき方について幾らか疑念が持たれた、こういう点で検察庁としては解剖を主張したけれども、結局、警察が反対したし家族の同意も得られなかったから、解剖をあきらめたとなっているんですが、いまなお調査を続けるということから見れば、どうもその記載が正しいように思われるのですが、違いますか。
#205
○安原説明員 念には念を入れるという意味において、そのような点を恐らくは検討して、そして結論としては自殺であるという判断に達することによって、警察と意見が一致をしたということでありまして、何らその点について疑惑を残しながらそのままに放置しておるわけでもございません。そういう意味において、なお司法解剖ということになりますならば、やはり何びとかの犯罪であるというような犯罪の疑いを認定しなければならないが、検察官としては犯罪の疑いは認定することができなかったということでありまするから、御同意が得られない以上、解剖もできないということにも相なるわけであります。何よりも疑惑を残しながら同意が得られないのにそういうことになったということではまさに疑惑が残るわけでありまするが、慎重な警察との協議の結果において、しかも、その後の血液の反応等によって自殺であるという判断に一応達したということは間違いがないわけでありますので、結局は自殺であるとしてもどういう事情であるのかということが調査の重点になるものと思います。
#206
○諫山委員 きのうの各新聞が一斉に報道しましたように、汚職事件では、中心的な人物はのほほんとしているのに、余り関係のない人たちがいろいろ犠牲になってきた。これはロッキード事件でもいろいろ言われていることなんです。それだけに、この問題に対していま広範な国民の疑いが残っているわけですね。私は、この疑いを解決するというのは当然のことだと思う。ただ一番肝心の死体解剖がついにされなかったようですから、決定的な解明ができるかどうか知りません。しかし検察庁としては、捜査ではないけれども調査は続けているということだから、残された資料ですべての国民が納得できるような調査を行っていただきたいということを要望したいのですが、いかがでしょうか。
#207
○安原説明員 諫山委員の御意見にお言葉を返すようでございますが、他殺であるのではないかという疑惑があるにかかわらず解剖しないで放置しているということでありますならば、これはまさに国民に疑惑を残すことでありまするが、神ならぬ身の、真実は神様が知っているということかもしれませんが、検察官の現在の心証におきましては自殺であるということは認定をしたわけであります。したがって、調査の対象は、犯罪の有無ではなくて、いかなる事情で自殺をしたかということを調べたいというのが重点でございます。
#208
○諫山委員 次の問題です。檜山広が逮捕され起訴されたわけですが、逮捕されたときの被疑事実はロッキード社の金を受け取ったということです。起訴された公訴事実は、金を受け取ったということが記載されずに、田中角榮に合計五億円の金を支払ったという記載です。逮捕状の被疑事実と起訴状の公訴事実は明らかに変わったわけです。この場合、ロッキード事件の金を受け取ったという逮捕事実が公訴事実の中に出てこなかったのはどういう立場からでしょうか。これは五億円を支払ったということの中に吸収されてしまうから公訴事実に載せなかったのか、それとも、金を受け取ったというのはトンネル的な役割りを果たしただけであって、本質的な意味はロッキード社から檜山を経てストレートに田中角榮に金が支払われたからだという認識なのか、どういうことで受け取ったというのが公訴事実から抜けたのか、この点はどうですか。
#209
○安原説明員 御指摘のとおり、逮捕状の被疑事実はロッキード社から支払いを受けたということであったのでございますが、その後捜査の結果、それは往々にしてあることでありまして、逮捕の被疑事実が捜査の結果さらに明確になることによって違う事実の認定に至るということは、捜査を動的に見る以上は当然、常にとは申しませんが、あり得ることでございまして、捜査の結果、檜山は大久保やクラッターやそれから伊藤宏と共謀の上でロッキード社のために田中角榮前総理にその五億円を支払ったという事実を認定したわけでございます。したがって、勾留中でございましたが、令状の切りかえをいたしまして、公訴提起と同時に裁判官にその公訴事実についての勾留状の発付を受けた次第でございます。
#210
○諫山委員 その場合に、檜山の役割りをどう認識したかということが問題になるわけです。受け取ったということを起訴状に書かなかったというのは、檜山はトンネル的な役割りを果たしたにすぎないのだ、そういう意味ですか。
#211
○安原説明員 公判廷において、いま公訴提起をしたのはロッキード社のために伊藤らと共謀の上田中前総理に支払ったということでございますので、その支払いがいかなる意味合いを持つのかということは公訴、公判の段階において検察官が立証していく事柄でもございますし、また現になお捜査中の田中前総理の受領の被疑事実の捜査にも影響いたしますので、いまの段階ではこれ以上申し上げることを差し控えさせていただいて、公訴事実は公訴事実のまま御理解をいただきたい、かように思います。
#212
○諫山委員 これはすでに起訴されている事実ですから、検察庁の結論は出ているわけです。この場合、檜山はロッキードの金を受け取りざらに田中に支払ったという起訴の仕方というのもあり得たのじゃなかろうかと思うのですが、これはあり得ないことなんですか。
#213
○安原説明員 外為法の解釈としては、諫山委員のおっしゃるような解釈も十分に成り立つわけで、現に大蔵省はそのような解釈をして、要するに、だれの所有に帰属したかではなくて、そういう支払い手段がだれからだれに事実上支払われ受領されそして支払われたという事実行為をとらえるのだ、だから段階的に違法行為は成立するんだという見解もあるわけでありますが、それはそれとして、検察当局としては、公訴提起に当たっては支払いの事実を公訴提起したわけでございます。
#214
○諫山委員 それは檜山はみずからその金を一たん取得して、つまり檜山の金になってそれが田中に渡されたという解釈ではなくて、ロッキード社から真っすぐ所有権は田中に移っていったという認識になるのですか。
#215
○安原説明員 私が大蔵省の為替法の解釈として申し上げたのは、支払い、受領というようなことが、所有権の帰属とは関係なしに違反が成立するという行政解釈をしているということを申し上げたわけでございまするが、それを具体的な事件に当てはめて、檜山に所有が帰属したかどうかということのお尋ねなら、それはいま捜査中の事柄とも関係いたしますし、いずれは公判廷において明らかにするところでございます。
#216
○諫山委員 私がなぜ起訴状の解釈について質問を求めたかというと、結局田中角榮はこれがロッキード社からどういう意味で渡される金かということは知っていたという解釈が当然檜山の起訴状から出てくるはずだ、そういう立場で聞いたわけですが、これはどうですか。
#217
○安原説明員 どういう趣旨の金であるかということについては、現に捜査、調査の対象としている事柄でございますから、いまそういうことを申し上げる段階にもございませんが、田中前総理の逮捕状、勾留状の被疑事実は、非居住者であるロッキード社からの支払いとして檜山から受領したということでございまするから、当然犯罪の構成要件の認識という意味におきまして、ロッキード社からの支払いであるということを認識しておったという疑いを捜査当局は持って、逮捕状を請求し、裁判所に疎明し、その旨の逮捕状が出た次第でございます。
#218
○諫山委員 国税庁に質問します。
 ロッキード社から金が檜山に渡った、この金が田中角榮に渡された、この経過は検察庁の逮捕事実あるいは公訴事実で検察庁としてはもう確定している事実なんですが、檜山がロッキード社から五億円の金を受け取ったというのは檜山の所得になったという理解に国税庁ではなっているのでしょうか。それとも、檜山というのは単なる中間のトンネル機関であって、所有はロッキード社から田中にストレートに移ったという認識をしているのですか。
#219
○系説明員 御質問の件につきましては、目下検察当局で調べが行われておりますので、国税当局としましては、その検察当局の捜査の経過を見守っている、こういう段階でございます。
#220
○諫山委員 檜山については当然偽証罪も成立するはずなんですが、これがまだ起訴されていないというのは、偽証罪は成立しないという立場ですか、それともまだ捜査未了ということですか。
#221
○安原説明員 まだ捜査中であるということでございます。
#222
○諫山委員 これに関連して時効の問題が出てくるわけですが、午前中の刑事局長の説明で、贈賄と収賄というのは必要的な共犯だから、贈賄が起訴されれば収賄についても時効は停止するという説明でした。外為法で金を渡したという方と金を受け取ったという方についても同様な関係が成立すると解していますか。
#223
○安原説明員 必要的共犯につきましては、判例、通説で、片方贈賄なら贈賄について時効の中断があれば、当然に収賄についても時効の中断があるということは確立した判例でございますが、これを贈収賄の関係をいわゆる対向犯、必要的共犯と言われていることは、諫山委員は御専門でございますから御承知と思いまするが、そういう意味で、今度の外国為替管理法違反の支払いと受領の関係がいわゆる刑法総則で言うところの必要的共犯に当たるかどうかということは一つ議論のあるところでございまして、積極的に解する者は必要的共犯だというふうに解釈する説もございますし、それから逆に、贈収賄の場合は、どちらも成立するかどちらも成立しないかだという関係にあるが、外国為替管理法の場合は、先ほどいみじくも諫山委員御指摘のとおり、ロッキード社からの支払いであるということを知っておったとかいうような意味において、非居住者からの支払いであることの認識を欠くならば犯罪は成立しないという関係になるが、支払う方では知っておったというような場合、受領者が知らなかった場合には犯罪が成立しないという場合もありまして、同時に犯罪が成立し、同時に犯罪が成立しない関係にはないというふうに厳密に考えていきますと、いわゆる必要的共犯ではないんだから、片一方の時効が中断したからといって片一方の時効までが中断するわけにはいかぬという、必要的共犯関係にはないという議論も成り立ち得るわけでございまして、これは全然判例のないところでございます。したがって、いま御指摘のようなことについては、十分検察当局でも考慮いたしまして適切なる判断をするものと私は考えております。
#224
○諫山委員 贈賄、収賄の関係のように、支払った、受け取ったというのが必要的な共犯だとすれば、檜山はすでに外為法で起訴されていますから、田中の外為法違反というのはこれで時効が停止しているということになるし、さらに、最高裁の判例で観念的な競合というような場合に、それについても時効が停止するんじゃないかというような議論があるわけですが、この問題は議論の分かれるところだから、検察庁としては、一番安全な道を選ぶということで、期限内に処理を終わるつもりだと言われたのですか。
#225
○安原説明員 適切な処理をするものと思うと、こう申しておるわけでございまして、いまここで、どういう方法をとるかは現実に聞いておりませんし、私がこの場で言うのは適当でないと思いますが、最も適切な方法をとるものと信じております。
#226
○諫山委員 ロッキード事件で逮捕された人はごく一部を除いていまなお勾留されているわけです。ところが田中角榮の勾留満期がもう近い。今月の六日ですか。そこで田中角榮だけは早く釈放されるんじゃないかという言い方がされているわけです。ロッキード事件については検察庁はまだ捜査が続行中というようなことで、勾留が満期すれば勾留を延長してずっと捜査を続けるということをやっているし、田中角榮についてはまだ捜査が恐らく山場に差しかかるというような状況ではないと思うのですが、当然捜査が終わってしまうまでほかの人と同じように勾留の更新請求をしてでも調査を続けるべきだと私は思うのですが、その点はどうですか。田中はどうせもう間もなく出てくるんじゃなかろうかというような言い方もされていますから、検察庁の見解を聞きたいと思います。
#227
○安原説明員 勾留を継続するかしないかということは、あくまでも捜査の必要性から判断することでありまして、その他の一切の要素は排除すべきものと思います。
#228
○諫山委員 さっきの檜山がロッキード社から金を受け取って田中に金を渡したという関係について、檜山の役割りをどう解釈するのかという点で見解を聞いたわけですが、所得税法との関係では検察庁はどう見ていますか。たとえば児玉については所得税法違反で起訴されている。しかし檜山についてはまだそういう処理はされてない。これは児玉の果たした役割りと檜山の果たした役割りというのは、同じ外為法違反であっても違うという見解なんでしょうか。つまり檜山というのはみずから所得を取得したのではない、児玉の場合はみずから所得を取得したという解釈をとっているんでしょうか。
#229
○安原説明員 檜山の関係については、先ほど申し上げましたように、檜山の支払い、受領の関係がどういう意味合いを持つかはいま申し上げる段階ではないと申し上げたことで御猶予願いたいと思いますが、児玉の四十七年分のロッキード社からのコンサルタント報酬あるいはコミッションというものについては、それは児玉の所得になった、所得に帰属しておるというふうに理解して、脱税犯として起訴をした次第でございます。
#230
○諫山委員 児玉の所得に帰属したという解釈で所得税法違反で起訴したのだと思いますが、たとえば、児玉がこれを大部分ロッキード社の賄賂としていわゆる政府高官に引き渡した、こういう事実が明らかになった場合でもその解釈は変わらないのでしょうか。
#231
○安原説明員 一たん自己に帰属したものを、仮定の問題でございますが、いわゆる賄賂として提供したというような場合は、恐らく、これは国税当局にお聞きを願いたいと思いますが、いわゆる必要経費ということではなくて、一種の利益処分ということで、所得を減殺する要素にはならないように私は考えております。
#232
○諫山委員 この事件では幾つかの告訴事件が関連して起こっております。この告訴事件の一つに、自民党の椎名副総裁が、評論家の青地農、山川暁夫氏を名誉棄損罪で告訴したという事件があります。ここで、名誉棄損罪が成立するかどうかというのは、問題になっている毎日新聞の青地論文、朝日ジャーナルの山川論文が真実に反することを書いたか書いてないかということに帰着すると思います。この両方の論文で共通しているのは、ロッキード事件で椎名副総裁がどういう役割りを果たしたのか、毎日新聞の場合には、金大中事件で田中角榮がどういう役割りを果たしたのかということになっているわけです。田中角榮氏について言えば、金大中事件の際三億円のもみ消し料が朴政権から田中首相に手交されたといううわさがあるという記載で、これについてはアメリカ国会のレイナード証言というのも引用されております。こういう事実があったのかなかったのかというのが名誉棄損罪の成否のかぎになるし、さらに、椎名副総裁が文世光事件の後韓国に行った、その帰途税関で調べられたときに、かばんの中に円札がいっぱい詰まっていた、こういう事実があったかなかったかということが、ロッキード事件そのものではありませんが、ロッキード事件に関連した事件として出てきているわけです。当然この点は一つの捜査の焦点になっているはずだと思うのですが、どうなっていますか。
#233
○安原説明員 いま諫山委員御指摘のように、青地農、山川暁夫両氏に対しまして椎名悦三郎氏から告訴が名誉棄損で出ていることは事実であり、その名誉棄損の成否は、まさに事実の真否にかかるわけでございますが、いまのところ、七月五日に受理はいたしておりますが、まだ捜査に着手するに至っていないわけでございまして、方向としてはできるだけ速やかに捜査を遂げるべきものと考えております。
#234
○諫山委員 この名誉棄損告訴事件というのは、青地氏、山川氏が名誉棄損罪になるかならないかという問題であると同時に、田中角榮あるいは椎名副総裁が収賄事件が成立するかどうかという問題でもあると思うのです。そして、それぞれ根拠があってここに書かれているわけですが、当然これは名誉棄損という観点からも収賄という観点からも捜査を続けなければならないというふうに思いますが、この点はどう考えていますか。
#235
○安原説明員 何と申しましても、告訴がありました以上、名誉の保護あるいはそれを主張した人の言論の自由ということもございますから、できるだけ速やかに捜査を遂げるべきものと思います。
#236
○諫山委員 まだ捜査が始まっていないようですが、これは軽視して捜査を始めてないというんじゃなくて、事件全体のスケールとか緩急というような点で調べてないというだけのことなんですか。
#237
○安原説明員 内輪の事情といたしまして、特捜部の所管の事項でございますが、いまのところ当面の問題の処理に忙殺されておりまして、またかつ御指摘の事柄がきわめてスケールの大きいような事柄でもございますので、いまのところ着手するの余裕を見出していないということと思います。
#238
○諫山委員 この事件で小佐野賢治氏が非常に大きな役割りを果たしていたことはコーチャン証言で明らかなんです。そして小佐野賢治氏の国会での証言が疑惑を持たれているということもしばしば議論されました。そしてこれが田中角榮との関係でも非常に大きな役割りを果たしているらしいということもさんざん言われてきたわけですが、最近、特に田中角榮が逮捕されて以来、急に小佐野の健康状態というのが新聞で書かれ始めました。きのうの読売新聞では「入院ほのめかす小佐野氏側」、そして家の人の話では、二日の夜から病状がひどくなったというような話が出ています。当然検察庁としてはこういう事情は知っているはずなんですが、児玉譽士夫の場合は、児玉が病気だということで捜査がうまくいっていないと言われています。そういうことが小佐野賢治で起こっては検察庁の責任だと思います。小佐野賢治に疑惑が投げかけられたのはもうずいぶん以前からです。ですから、この点は、たとえば小佐野が入院したためにもう十分な調べができなくなったというようなことがないだけの手はずをしているのかどうか、いかがですか。
#239
○安原説明員 どうもある人を病気にするかどうかは検察庁の責任ではないわけと思いまするけれども、具体的な人の名前をお名指しで捜査の計画をお尋ねでございますので、これはちょっと私の口からお答えするわけにはいかない、かように思います。
#240
○諫山委員 私は要望したいんです。もう前から嫌疑が投げかけられていて、そしてもうすでに半年たっているわけですね。ところが、入院をほのめかす小佐野氏というふうに新聞に出るくらいだから、そういうことのために捜査が支障に直面するというようなことがあってはいけないし、この点は検察庁としては十分検討していただきたい。そうでないと、児玉、小佐野ルートの捜査がおくれているということは一般に言われていることですから、ますますそういう非難が高くならざるを得ないのではないかと思うからです。どうでしょう。
#241
○安原説明員 そういう御要望でございますから、御要望として承らせていただきました。
 なお、一般論といたしまして、刑事訴訟法の規定にもございますように、真相の発見と迅速な処理ということは刑事訴訟の使命でございますので、そのために検察庁としては全力を尽くすべきものと思います。
#242
○諫山委員 政治資金規正法の一般的な考え方について少し聞きたいのですが、このロッキード事件でいわゆる政府高官が収賄事件という罪名で嫌疑を持たれるのは当然として、それだけではなくて、たとえば政治資金規正法違反とか所得税法違反とかいう問題も起こり得る。これはいままで法務省側の見解として示されたと思うのです。その場合に、たとえば政治献金として法律に基づいて届け出てるからこれは賄賂ではないのだというような議論は、法律的には成り立たないと思うのです。届け出るか届け出ないかということは、厳密な意味では賄賂の成否とは関係ないはずだと思うのですが、一般的な議論としてどうですか。
#243
○安原説明員 名前はどうでもいいわけでありまして、要はその金が職務に関する違法な報酬かどうかということで賄賂かどうかが分かれるものと思います。
#244
○諫山委員 その立場を貫きますと、賄賂であるかないかというのは本来客観的に決まるわけです。ですから、ある政治家が政治献金のつもりで受け取ったというような場合でも、それがその政治家の職務権限に関連して支払われていたということになれば賄賂罪の成立を妨げない。犯意があるかないかという問題は起こるにしても、賄賂罪の構成要件には当たるというふうに解されるはずなんですが、それはどうですか。
#245
○安原説明員 まあ刑法の学説にいろいろあるようでございますけれども、主観的な要件と客観的な要件と分けて言うならば、賄賂かどうかということは、職務に関する違法な報酬かどうかということでございまして、それは客観的な評価の問題でございましょう。ただ犯罪が成立するためには、そのことを認識していなければならないということでございます。
#246
○諫山委員 結局、これは一般的な議論ですが、客観的に職務に関する賄賂として支払われておれば、政治資金規正法で届け出られていても賄賂になり得るし、受け取る側が政治献金のつもりでもらったにしても賄賂になる得るということに解釈していますか。
#247
○安原説明員 ただ、私ども検察当局を預かるものといたしましては、犯罪の成否が問題でございまして、構成要件に該当するかどうかはその過程の一つのプロセスにすぎないわけでございますので、いままで諫山委員のおっしゃったことはあくまでも法学上の問題としてお答えをした次第でございまして、検察当局として認定するのは、あくまでも犯罪が成立するかどうかという意味において、賄賂罪の成立ということは、主観的、客観的な要件を充足していなければ、天下に向かって賄賂罪が成立したとは申し上げることはできないわけでございます。
#248
○諫山委員 全日空がロッキード社から受け取った金がどのように処理されたかというのは、ロッキード事件の一つの重要なかぎだと思うのです。きのう来の新聞の報道では、政治家に渡されたのが六千万円ぐらいで、残りは社内に留保されているようだということが言われているのですが、それは検察庁の認識ですか。
#249
○安原説明員 新聞がどういうところからそういうことをお書きになったか、それは全く自由でございますが、そのようなことはちょっと私の口から申し上げるわけにはまいりません。
 なお、すでに全日空の側に、すでに公にされておりますように一億二千万プラス六千万、約一億八千万円余りの金が外為法違反のプロセスを経て入っており、それが裏金であるということは事実でございまして、目下そのようなものがどういうように使用、処分されたかということが捜査の対象になっていることは事実でございます。(「金額が違うぞ」と呼ぶ者あり)一億一千万円プラス五千八百万円、だから約一億六千万円でございます。それはすでに公になっておることを申し上げておるわけでございまして、数字が違うことは別に、単なる計算の間違いでございますから、御了解願いたい。
#250
○諫山委員 これはどこかの新聞社がすっぱ抜いたというのじゃなくて、一斉に報道されたのですね。そして国税庁の見解として次のようなことが言われておる。これが全日空の法人としての内部留保であれば法人税法違反が成立するのじゃないか、役員個人のものとして留保されておるのだったら所得税法違反が成立するのじゃないか、そこまで書かれておるのです、しかもそれが各紙に。国税庁の方はどうですか。
#251
○系説明員 おっしゃったような数字につきましては、私どもも新聞で拝見しているだけでございまして、いま検察当局の捜査状況をよく見守っている、こういう段階でございます。
#252
○諫山委員 田中伊三次委員長が次のような意見を表明しております。ロッキード事件の特別委員会での調査が一段落つけば、灰色の政府高官の発表などとともに、こういう問題が再び起こらないような措置をとらなければならない。その一つの手段として、新しい立法措置も考えているし、政府としても新しい立法の検討に入ったと言われている。その内容の一つとして、たとえば外国に対する贈賄を取り締まるような法律をすでにつくる準備に入っているんだと報道されているのですが、刑事局長どうですか。
#253
○安原説明員 立法府でお考えかどうかは私は知りませんけれども、私どもとしてはまだそういうことは考えておりません。
#254
○諫山委員 私は、幾つかの問題で質問すると同時に、たとえば小佐野賢治の問題などで要望も述べたんですが、ぜひこれは中途半端な捜査にせずに、本当に国民が納得いくような捜査を速やかに進めていただきたいということを要望したいと思いますが、どうですか。
#255
○安原説明員 御要望として、しかと承りました。
#256
○諫山委員 終わります。
#257
○大竹委員長 山田君。
#258
○山田(太)委員 ロッキード疑獄事件に関連して、主として安原刑事局長にお伺いしたいと思っております。刑事局長が病院にお行きになるそうですから、時間の範囲内であってもできるだけ早く終わるつもりではございますが、数点お伺いしておきたいと思います。
 そこで、少々重複する点もあるやもしれません。しかし、それは党の立場といたしまして、また私といたしまして、再度確認するという意味も含めてでございますから、その点はひとつ了承しておいていただきたいと思います。
 そこで、田中前首相は七月二十七日外為法違反の疑いで逮捕されたわけでございますが、その外為法違反はあくまでも言うならば形式の立場であって、そのねらいは収賄罪にあると考えられます。捜査当局もこの認識の上に立って取り調べておられることと思いますが、この点についてまずお伺いしておきたいと思います。
#259
○安原説明員 外為法違反というのは三年以下の懲役という重い刑を定めておる犯罪でございますから、それを何かの手段とするために調べておるということじゃなくて、そのこと自体が重大な違反であるという認識のもとに逮捕状を請求し、勾留し、現に取り調べ中でございますが、なお、真相の究明という意味においては、そのような金の授受についてその他の犯罪が成立しないかどうかについても関心を持っておることは事実でございます。
#260
○山田(太)委員 当然収賄等の関係も重大な関心を持っていらっしゃるという意味のことだと思います。
 そこで、檜山広は外為法違反で二日でございましたか起訴されました。やはり檜山も贈賄の立証に焦点があるものと私どもは思っておりますし、国民もそう思っております。
 そこでお伺いいたしますが、田中前首相は外為法違反のみで起訴されるということもあり得るかどうか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
#261
○安原説明員 いま逮捕し、勾留状発付を得て調べておるのは、外為法違反の事実でございまして、その違反の事実のほかに何らかの犯罪、その金の性質が職務に関する違法な報酬であるというような場合におきましては賄賂罪の成立ということも考えられるわけでございますが、いまお尋ねの外為法違反のみで終わるかどうかということは、まさに真相が何であるかが決めることだというふうに御理解いただきたいと思います。
#262
○山田(太)委員 もう一度敷衍して申し上げますと、外為法違反のみで終わるということも考えられるわけですか。あるいは外為法違反にもならない、先ほどのお答えでございますと、外為法違反の、いわゆるその金銭を知らないで、そういうことを知らないで受け取ったという場合は外為法違反にも当たらない、こういうふうなお答えのようにも聞いたわけですが、この点についてあわせてお伺いしておきます。
#263
○安原説明員 田中前総理について公判請求がなされるかどうか、そしていかなる罪名によってなされるかということは、あくまでもこれからの捜査が、実態が何であるかについていかなる結論に到達するかに左右されるわけでございまして、逮捕状、勾留状も出ておる外為法違反の事実については検察当局としてはそれなりの自信を持って調べておるわけでございまするから、外為法について公判請求がないというようなことは可能性としてはないように思います。
 それから、なお、その他の犯罪の成否につきましては、目下捜査中でございまして、いまの段階でいかなる犯罪が成立するかをまだ申し上げる段階にはないわけでございまして、したがって、結論から申しまして、これからの捜査の過程においていかなる事実を検察庁として発見し、到達するかということが、これからの公訴提起を左右する結論を左右するものでございまして、それ以外に何らの要素もないわけでございます。
#264
○山田(太)委員 これからの公訴に関連いたしまして、収賄が成立するかどうかということは、先ほど御答弁にありましたように、職務権限にかかってくるかどうかということがやはり主体の問題ではないかということは常識でございます。
 そこで職務権限についてお聞きいたしますが、収賄罪について、総理大臣についての職務権限についてはいままででは判断されたことがなかったように私記憶しております。この前の昭電事件の場合は、やはり国務大臣、すなわち外務大臣当時のことであった。したがって、総理大臣についての職務権限は初めての判断になるというふうに思うわけでございますが、これは私の考えでございますが、憲法七十二条とかあるいは内閣法の五条あるいは六条などから考えてみましても、行政権を握る内閣の代表であり、一般国務、外交関係について国会に報告し、行政各部を指揮監督することを考えますと、行政全般について職務権限を持っていると考えていいと思いますが、その件についてはどうでございましょう。
#265
○安原説明員 総理大臣に関する職務に関する判例というものはございません。御指摘のとおりでございまして、先ほども申し上げましたように、昭電事件については国務大臣である芦田均氏についての判例でございまして、総理大臣についての判例ではございません。
 なお、総理大臣の職務が、憲法、内閣法によって、内閣を代表しそして行政各部を指揮監督するということが規定してあることは御指摘のとおりでございます。
#266
○山田(太)委員 再度お伺いしますが、過去の収賄罪についての判例については、この点についてはわりと幅広く解釈する立場が支持されてきております。
 そこで、「職務ニ関シ」というこの条文でございますが、職務と密接に関係する行為と解して収賄罪の立証はできるのだとお考えであるかどうか。これはやはり常識的に考えて、実態に即して総理の権限が及ぶわけでございますから、そういう場合、職務と密接に関係する行為と解して、収賄罪の立証ができるのではないか、こう思うわけですが、どうでしょうか。
#267
○安原説明員 刑法の解釈の職務に関するということにつきましては、いま山田委員御指摘のとおり、本来の職務に関するということに限定せずに、さらに職務に密接な関連を有する場合におきましても、いわゆる刑法の賄賂罪に言う職務に関することだと解釈するというのは確立した判例、通説でございますので、検察当局も今後の事件の処理につきましては、さような判例、通説の立場に立って適切に処理をすることは、いかなる事件についても同様でございます。
#268
○山田(太)委員 そこで、次にお伺いしますが、田中前首相は、国防会議の議長という立場で、実質的にPXLの国産化の白紙還元決定を指示したという立場にあると考えておりますが、この点については、具体的な問題ではございますが、できたらお答えをしていただきたいと思います。
#269
○安原説明員 田中前総理が国防会議の議長としておられたということは事実として否定すべくもないわけでありまするが、そのような事柄と今回の事件との関係について言及することは、いまの立場からはちょっと差し控えたいと思います。
#270
○山田(太)委員 では、その点は了といたしまして、次に、捜査当局といたしましては、トライスターの導入の決定がされる直前の田中・ニクソン会談、この田中・ニクソン会談についてやはり重大な関心を持っていらっしゃるのが当然だと思うわけですが、この点についてはどうでしょうか。
#271
○安原説明員 捜査当局は、一般的にはロッキード社のわが国内における同社製造機の売り込みに関する不正行為の存否ということを究明するのを当面の目標としておるわけでございまするから、同社の製造機であるトライスターの導入の経過というものにつきましては重大な関心を持っておりますし、その関連で、いわゆる田中・ニクソン会談というものに関連があることも事実でございます。
#272
○山田(太)委員 これはあえて申し上げるようでございますけれども、私どもといたしましては、田中前首相は、外為法違反のみならず、当然収賄罪による起訴がなされなければ、国民の立場といたしまして、現段階においても国民は納得しないと思うわけでございます。私も多くの国民の方々にお会いした上においてのこれは意見でございますが、これを法的云々の問題でどうのこうの言うわけでなしに、国民感情としては非常に期待をしているわけです。したがって、捜査当局のこの点についての決意のほどをこの際お伺いしておきたい、こう思うわけです。
#273
○安原説明員 およそ検察当局の事件の処理に当たりましては、事実と法律に忠実で何びとにも左右されないという考えでございます。
#274
○山田(太)委員 それは当然なことだと思います。
 そこで、次にお伺いしたいことは、先ほどもお話がございましたが、田中前首相の秘書さんであり運転手さんであった笠原政則さんですか、この自殺の問題についてお伺いしておきたいと思いますが、これまでの検察当局の捜査やあるいは取り調べについてどうのこうのという批判は毛頭申し述べるつもりはございません。ただ、一言言っておきたいのは、捜査や取り調べがあくまでも人道上の問題については最大の配慮が払われなければならない、これは当然なことだと思います。したがって、笠原さんの自殺について、いまは自殺とされておりますが、検察当局の取り調べに落ち度があったかどうかという点についてお伺いしておきたいと思います。
#275
○安原説明員 こういういわゆる事件につきまして、関係者から自殺者が出るということは、検察当局にとってもきわめてショッキングなことでございまして、当然のことながら、自殺ということになりましたときに、検察当局の側に自殺に追い込む原因がなかったかどうかということは直ちに調査をいたしましたが、主任検事の取り調べの状況等を報告によりますると、同運転手の取り調べはきわめていわゆる順調な雰囲気のもとにスムーズに移行したということでございまして、それがゆえになおさら、なぜ自殺されたかということについては、検察当局としてはわからない状況でございますので、先ほど諫山委員の申されましたように、どうして自殺したのかというようなことも含めて調査をしたいというふうに考えておる次第でございますが、検察当局としては、このことのみならず、被疑者の押送の途中における写真撮影等について、手錠をかけられた姿が写るなどということは無用なことでございますので、かようなことにつきましても万般の処置をとって、そういうことのないように万般の注意を払っている等、捜査の過程における人権の尊重ということには重々注意をしておるつもりでございますが、仰せのとおり、今後ともその点には十分に配慮するような連絡を申し上げたい、かように思います。
#276
○山田(太)委員 そこで、先ほどの同僚委員の質問にお答えになっておりましたが、この笠原さんは自殺だということで処理がされたようでございますが、一酸化炭素中毒ですか、血液反応等でそれが見受けられた。ところが、一般報道によりますと、あるいは国民感情といたしまして、これが当を得ている得てないは別といたしまして、やはりその間に犯罪が内在したのではなかろうかというふうな印象を全国民は受けております。したがって、それに対しての反証というふうなものは挙げ得るのかどうか。ただ血液反応によってこうこうと断定した、あるいはその他の状況によってそれを断定した、あるいは判断した、したがって、検察当局は警察当局と全く意見の相違はなかったのだ、片一方は死体解剖を望み、片一方はそれなしで処理したいというふうに意見が相違しておったような報道がありましたが、その点はさておきまして、国民の方々がそういう犯罪が内在しているおそれはないというふうなことを納得するに足るだけの反証というものば大体どういうふうなものでございましょうか。先ほどの血液反応とかあるいは状況判断という言い方しかないんでしょうか。
#277
○安原説明員 先ほども申し上げましたように、新聞報道で若干検・警の間の対立ということがあったやに言われておりますが、それは自殺という結論を得る過程におきまして、自殺という結論を得るについてやや検察庁の方が慎重に――慎重と言うと警察に悪いですが、結論を得るに時間がかかったというのが事実でございまして、かかったが結論的には一致した。ただ、念には念を入れるという意味において、できれば御遺族の同意を得て解剖ができればした方がより確実ではないかということを考えたことは事実でございますが、何と申しましても、司法解剖というやつは、犯罪の存在を疑うに足る一つの心証を検察官が得て、それを裁判官の鑑定許可状があって解剖するという過程が必要なわけですが、それまでの心証を検察官としては持たなかった、むしろ自殺であるという判断に達した以上は、司法解剖として鑑定許可状を得るということはできないので、ただ念には念を入れるということならば、御遺族の同意を得て解剖するという道だけが残っておるということで御同意を得ようとしたわけでありますが、御同意が得られなかったということで、法律的にはまことにやむを得ないことでございます。そういうことでございます。
 なお、自殺という判断に到達したことについては、現地からの報告によりますと、警察の判断よりも遅く到達するに至ったけれども、いろいろ血液反応それからその他の山田委員御指摘のいわゆる諸般の状況から見て、自殺と判断するのが正しいという結論に達したということで、その過程において警察と協議中であるという電報が参りまして、その後夕方になりまして、警察と意見が一致し、御遺族の同意も得られないので解剖はできないという判断の報告があった次第でございまして、なお、検察官がそういう自殺の心証を得るに到った経緯というのは、いま申し上げたように、血液反応と、その他その現場における状況から見て、検察官の判断として自殺と見ていいという判断に達したということでございます。
#278
○山田(太)委員 では、笠原さんが自殺なさったことによって今後の捜査に影響があるのかないのか、その点の判断は当然なされたことと思うのですが、どうでしょうか。
#279
○安原説明員 笠原さんにつきましては、七月三十一日の午後と、それから八月一日日曜日の午前から夕方まで取り調べをしたわけでございまして、同人から聞きたいことは聞いたというふうに報告を受けておりますが、それが捜査に影響があるかどうかということ及びその取り調べの内容等については、ちょっと申し上げることはできないので、御勘弁を願いたいと思います。
#280
○山田(太)委員 じゃ、影響がある、ないということもちょっと言いかねるということですか。――では、次は稻葉法務大臣の件についてお伺いしますが、たしか一日だったと思いますが、稻葉法務大臣は、今週早々にも大物民間人の逮捕に踏み切る、そういうことを示唆する発言をしております。私は、この大物民間人という人は小佐野賢治氏を指すものと思っておりますが、刑事局長はこのような稻葉発言をどのように思っていらっしゃるか。稻葉法務大臣の勝手な判断で、勝手な発言で、関係ないというふうなことでは済まぬと思うのです。やはり同じ法務省でございますから、この点についての見解をお伺いしておきたいと思います。言いにくいかもしれませんが、はっきり言ってください。
#281
○安原説明員 きのうも全く同じような質問を参議院で公明党の峯山委員から受けたと思いますが、法務大臣は常々、ロッキード事件については、検察を信頼するから、検察の良識に従い良心に従って、何物にも顧慮することなく捜査を遂げてもらいたいということを申しておられるわけでございまして、その意味においていわゆる指揮権などは発動しないということを常々私どもにも申しておられるわけでございますし、その御配慮は、検察の独立を尊重していただく大臣のお心持ちとしてまことにありがたいこととわれわれ喜んでおる次第でございますが、だといって、法務大臣は指揮監督権をお持ちであることは法律上明らかでございますので、大臣をつんぼさじきに置くべきではないということもわれわれとしては考えなければならないということで、先般の田中前総理の逮捕請求というようなこと等、重大なポイントポイントにおきましては、事前に大臣に御報告を申し上げて、その御了承を得ておるということは事実でございます。したがいまして、決してつんぼさじきに置いて何も知らせてないということではないわけでございますけれども、先ほど山田委員御指摘のような、大物民間人の取り調べでございますか、それから捜査が十日ぐらいで山を越すなどというようなことは、もう率直に申して、私は大臣にそのようなことは報告はしておらないわけでございますし、十日で山を越すなどというようなことは、先ほどたしか稲葉委員からお尋ねのときにもお答えしましたが、私自体わからないわけでございます。わからぬことを申し上げるわけにはいかないという意味においてきのう申し上げましたが、率直に申し上げますならば、さような御発言は、法務大臣個人の従来の御経験と学殖に基づく御推察というように私どもは理解しておる次第でございます。
#282
○山田(太)委員 法務大臣の学殖と御経験によってというふうなお話もありましたが、検察当局としてはそういうふうなことは、たとえば民間の大物とかいうことも含めて、刑事局長さんはもちろんいま言明していらっしゃるわけですが、検察当局としても、やはりどなたもそういう点は報告してない、あるいは知らせてないということも含めての御発言でしょうか。
#283
○安原説明員 何と申しますか、特定の人につきましての取り調べの経過とかあるいは計画というようなことにつきましては、知っているとか知らないとかを含めまして、ちょっと申し上げるわけにはいかないということをひとつ御理解いただきたいと思います。
#284
○山田(太)委員 ぼくのお伺いしたのは、法務大臣に刑事局長はもちろんおっしゃってない、そういうことを報告してない、ほかの検察当局の場合はどうですかということをお伺いしたわけですが、言うはずはないと思われますか。
#285
○安原説明員 生意気なようでございますが、検察当局と法務大臣とのパイプは私と次官でやっておりまして、ほかから大臣にそういうことを申し上げる人はないと確信しております。
#286
○山田(太)委員 では、しつこいようですが、次官もそういうことは言うてない、報告してないということですか。
#287
○安原説明員 次官に対するパイプは私でございまして、私は申しておりません。
#288
○山田(太)委員 それでは、全く勝手に過去の経験と学殖によってということに落ちつきそうでございますが、それじゃ、その点はそれで了といたしまして、コーチャン氏の証言は、これまでのところではほぼ裏づけられてきていると思います。刑事局長御存じのとおりです。
 そこで、コーチャン氏の証言と、それから小佐野氏の証言は、ことごとくと言っていいほど食い違いを見せております。捜査当局はこの食い違いに捜査の重点を置いているのかどうか、またこの食い違いをどのように判断しているのかどうかという点についてお伺いしておきます。
#289
○安原説明員 いわゆるコーチャン証言における小佐野氏のロッキード社との関係というものと、小佐野証言におけるロッキード社と小佐野氏との関係というものの証言の内容につきまして食い違いが客観的にあるということは、これはもう客観的な事実として否定すべくもないわけでございますが、そのようなことにつきまして今後どういう対処の仕方を検察当局がするかということはちょっと申し上げかねますけれども、いつも申し上げますように、コーチャン証言というものにつきましては、検察当局としては重大な関心を持っておるわけでございまするから、したがって、そういう意味において小佐野氏の証言にも関心を持っているわけだということは否定すべくもないわけでありますが、今後どう対処していくかということは、まさに捜査の秘密に属することとして御猶予願いたいと思います。
#290
○山田(太)委員 それでは、小佐野氏について、ロッキード事件とは関係なく何らかの事件でこれまで事情聴取を行ったことがあるかどうか、その点はどうですか。
#291
○安原説明員 何らかの事件というのは、ずっと過去にさかのぼりますならば、田中彰治の恐喝事件の被害者として取り調べをしたということはございます。
#292
○山田(太)委員 田中彰治事件の被害者としての事情聴取でございますね。そういたしますと、今度ロッキード事件の発覚後は、何らかの形で事情聴取したことがないんですか。
#293
○安原説明員 取り調べをしたという報告は受けておりません。
#294
○山田(太)委員 コーチャン証言でも名前を挙げられておりますし、また小佐野氏が航空業界において相当大きな力を持っているということは、これは当然御存じのことでございますが、これまでに事情聴取が行われなかったということがどうも納得しかねるわけです。国民感情としてもそうなはずでございます。なぜ行われなかったのか。あるいはその次のことは言えるか言えないかわかりませんが、やはり近々には行うということになるのかどうか、二つ。後の方はお答えにくいかもしれませんが、どうですか。
#295
○安原説明員 報告を受けていない以上は取り調べてないんだろうと思いますが、それはそれなりにその必要がなかったのが今日までの事情であろうと思いますが、今後のことは申し上げるわけにはまいりません。
#296
○山田(太)委員 これまで必要がなかったということ自体がどうも判断に苦しむわけですが、その点は事実が事情聴取を行っていないということですから、現段階においては、当然国民感情としては、この小佐野賢治氏の事情聴取並びにそれからどんどん先へ発展していく、そういう期待感を持っていることをまずここで申しておきます。
 そこで別の問題でございますが、児玉についての捜査では、水谷あるいは太刀川の逮捕に見られるように幅広く捜査がされていると思いますが、これはちょっと唐突に感じるかもしれませんが、福島県での知事を含んだ汚職事件については、今回のロッキード事件との関係であるいは関係も含めて捜査しているかどうか、あるいは全く別の事件と考えているかどうか、この点についてお伺いしておきます。
#297
○安原説明員 いままでの報告に徴しますと、無関係に捜査が進められているような印象を受けます。
#298
○山田(太)委員 申し上げたのは、やはり児玉と非常に深い関係のある会社というものもその関係会社の中にあるやに聞いておるわけですが、その点については全く報告はないのですか。
#299
○安原説明員 今度の福島県庁のいわゆる汚職容疑事件の関係者の中に、東亜相互企業株式会社の職員が贈賄をしているという疑いで逮捕されたりしておりまするが、この東亜相互企業株式会社というものが、かつて児玉譽士夫がその役員をしておったということを聞いております。
#300
○山田(太)委員 その点は、きょうの段階においてはこれだけにしておきます。
 そこで捜査の進展状況についてお伺いしておきますが、六月の二十二日に第一次逮捕が行われてからすでに四十日を経過しております。田中逮捕が行われてからも、先ほどもありましたように十日近くもたとうとしております。過日法務大臣は、捜査を急ぐように検察当局に要請するような発言がありました。これはその後取り消したやに報道されてはおりますが、捜査は順調に進んでいるのかどうか、あるいはそれとも何か障害があるのかどうか。国民の立場としますと、いらいらしているのが現状でございますが、何か障害があって急げない理由があるのかどうか、ことにこの点は聞いておきます。
#301
○安原説明員 捜査は日限を限っていつまでにということではない、時間の制約がそういう意味ではないものでございまするから、順調というのを、タイムリミットを決めて、そのときまでにはかどらなければ順調でないというようなことは言えない問題のように思います。したがって、先ほど稲葉委員の御質問ございましたように、何も検察当局の捜査を妨げる障害などというものはございません。問題はあくまでも事実が左右するわけでございまして、検察当局としては政治の動きというようなものに左右されることなく事実の究明に努めており、その間何ら障害はないということでございます。ただ、国民の期待のあることは存じておりまするけれども、あくまでも事実の究明が先決でございますので、期待にかまけて粗漏なことはできないというふうに考えております。
#302
○山田(太)委員 では、言い方が悪いかもしれませんが、成り行き次第でいつまでかかるかわからぬ、捜査のいわゆる終了目標などというものは考えちゃおれぬ、いつまでかかるかわからぬ、そういうことでございますか。
#303
○安原説明員 なかなか表現がむずかしくて、いつまでものんべんだらりとやってもいいんだということならばそれは絶対違うことでございまして、刑事訴訟法にもありますように、迅速に刑罰法令の実現をするのが捜査の目的でございますから、人力の尽くす限りにおいて努めておるわけであります。そういう意味においては、気持ちでは一日も早く真相の究明という気持ちでやっておるわけでございます。
#304
○山田(太)委員 じゃ、目標の設定なんということは全くない、こう決めていいわけですか。
#305
○安原説明員 ロッキード事件の目標の設定ということになれば、二十数億に余る金が日本国に流入したということは事実だと認められます以上、そのようなものがどのように流れて、その間にいかなる不正行為が存在するかということについてのおおよそのめどがつくことが目標でございます。
#306
○山田(太)委員 そのおおよその目標というのは全く考えてないわけですか。日時的のいつごろかということです。
#307
○安原説明員 そういういつまでというめどはつけておりません。ただ、捜査の目標としてのめどはいま申し上げたとおりでございます。ただ、いわゆる金の受け取り側と目される者についてのある程度の山は来ておるわけでありまするが、何と申しましても遺憾ながら、十七億という金が入ったとされる俗にいわゆる児玉ルートというものについては、同人の病気という重大な障害のために、着々と進んでおると言うわけにはいかないところに一つの難点があることも事実でございます。
#308
○山田(太)委員 では、次は若狭ですが、先ほども話がございましたが、この若狭は外為法で起訴されたわけですね。私どもは偽証罪でも当然起訴されるべきであると考えております。捜査当局は偽証罪による起訴も検討しているというような御答弁が、たしか私の予算委員会での質問の答弁にあったように記憶しておりますが、私は、外為法違反で起訴されたことがそのまま偽証罪を意味するものと考えていいのではないか、こう思うわけですね。さっきもありましたよ、質問に。あるいは別に予算委員会で告発しなければならないのかもしれませんが、その点について、これは東京地方検察庁からの予算委員会への通知書でございますが、前の方は省略いたします。五十一年「六月十八日衆議院予算委員長が最高検察庁に告発された被疑事実のほか、同年二月十六日衆議院予算委員会におけるロッキード・エアクラフト社から帳簿外の金銭を授受したことに関する偽証の事実が含まれております。」こう通知書にも記載されておるわけです。したがって、若狭の偽証罪による起訴、これはどうなっているのかという点に強く疑念を抱くわけですが、どうでしょうか。
#309
○安原説明員 現在の状況でございますが、要するに、偽証の疑いとしては、議院から告発を受けましたいわゆるオプションの関係の偽証のほかに、いま御指摘の、ロッキード社からの金の受け取りは表以外には何もございませんという趣旨の供述が偽証であるということも含めて逮捕し勾留をしたことでございますので、御通知を申し上げたわけであります。
 なお、外為法違反で公判請求をいたしましたが、オプションを含めまして、偽証全体につきましてまだ捜査が尽くせないという状況でございますので、まだ公訴提起に至らないというのが現状でございます。
#310
○山田(太)委員 そういたしますと、偽証罪での公訴の場合もあり得るということでございますね。そういう場合は、やはり予算委員会の告発によって、いままでのような手段によって行われますか。あわせて二つ……。
#311
○安原説明員 これは山田委員から前にもお尋ねを受けた法律問題といたしまして、告発は議院証言法違反の罪の訴訟条件でございまして、それは告発があったというだけでなくて、告発をされた何が偽証であるかという事実にとらわれて、拘束されて、その範囲で告発があったんであるというふうに解釈いたしますならば、その意味では、告発の事実の中にないいわゆる裏金の受領という点は告発がない事実に帰するということになると、その分を起訴するには訴訟条件が充足しておらぬ。したがって、国会から改めて告発を受ける必要があるという議論になるものと思いますが、私どもは、その点は、あの際も山田委員にお答えいたしましたように、告発の訴訟条件にならないという説もあろうけれども、やはり同一の機会における偽証について国会から告発があれば、その同一の機会における偽証の事実の数とか内容には必ずしも拘束されないんだというふうに解釈して、必ずしも告発は必要ではないというふうに考えておりますけれども、その点はまた国会のお立場で、そういうことも偽証だという御認定があって告発をしていただきますならば、そういう理論的な問題についてとやかく言わなくても済むというふうには思っておりまするけれども、現在のところは法律的にはさように考えております。
#312
○山田(太)委員 二つお伺いした一つがいまのお答えの中になかったわけですが、若狭のやはり偽証罪においての起訴ということもあり得るということですね。
#313
○安原説明員 十分にございます。
#314
○山田(太)委員 では、檜山の場合ですね。檜山は八月二日にやはり外為法違反で起訴されたわけです。ところが、先ほどの質問とこれは重複しますが、七月の十三日に逮捕されたときの容疑事実には、五億円については受領者側になって外為法違反、今度の起訴事実には田中前首相に五億円を贈ったという支払い側になっているわけですね。この根拠といいますかあるいはまた真意といいますか、どうしてこうなったのかということについてもう一遍明確にお伺いしておきたいと思います。
#315
○安原説明員 先ほどもお答えしましたように、逮捕の際における被疑事実としては、ロッキード社から支払いを受けたという容疑を持っておったわけでありまするが、その後の捜査の結果、支払いを受けたというよりは、そのロッキード社のために田中前総理に支払ったということの方がより明確になりましたので、その点を公判請求したわけでございまして、要するに捜査の過程では間々あることだというふうに御理解願いたいと思います。
#316
○山田(太)委員 そういう面からも、田中前首相の場合の外為法違反ということについては、もうすでに確定的であると言っても間違いないというニュアンスがくみ取れるわけです、さっきの御答弁が。
 この問題とも関連するわけですからその点についてはもう聞きませんが、檜山については予算委員会で偽証罪で告発しております。今回外為法だけで起訴したということの理由はさっきのお答えでわかりますが、やはり偽証罪で起訴することもできるというふうなことも当然ではないかと思います。これはまたさっきの問題と別個の問題としてお伺いしておきます。
#317
○安原説明員 偽証の認定は十分にできるつもりでおりまするが、やはり先ほどちょっと触れました国会の告発は、支払いを受けたにかかわらずとなって偽証だということになっているのを、今度は受領ということにいたします関係で、どこに偽証というものを認定するかという認定の問題がございまするけれども、十分に偽証罪として公訴を提起するということはあり得るわけでございます。
#318
○山田(太)委員 わかりました。
 そこで、最後に嘱託尋問についてお伺いしておきますが、コーチャン氏に対する嘱託尋問の供述書は一両日中にも日本側に到着するということが言われておりますが、この供述書が日本側に渡されたならば、今後の政府高官の逮捕が急ピッチに進められるであろうと考えておるわけですが、この点についてはどうでしょうか。
#319
○安原説明員 調書内容は御指摘のようにいずれ到着するわけでございますから、まだいま正確には存じませんけれども、仮にそういうことがわかりましたとしても、いま山田委員せっかくのお尋ねでございますが、調書の内容の評価を申し上げるということは、捜査の内容にもかかわりますので申し上げるわけにはその段階になってもいかないと思いまするが、いつも申し上げておりますように、やはり本件の性質上、最もと言ってもいいくらいに――最もというのは一人という意味じゃなくて、非常に重要な関係人であるコーチャンの証言というものを得るということが捜査のためにプラスになりこそすれマイナスにならないことは間違いないわけでありますし、ベストを尽くすという意味ではぜひ欲しかった調書でございますので、それなりに期待はいたしております。
#320
○山田(太)委員 じゃ、あわせて、クラッターあるいはエリオット、この両氏に対しての嘱託尋問が、米国法上の免責を要求しているということから九月八日まで延期されることもあり得るようなことが言われておりますが、この実情はどうなっておるのか、あるいは八月中に開始できるのか、今後の見通しについてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#321
○安原説明員 手続上の理由といままで申し上げておったのですが、もう大体半ば公然のこととして言われておりますのであえて申し上げますならば、クラッターそれからエリオットにつきまして、もう日本側からする何らの障害はなくなったわけでありまするが、米国における同人らが免責を主張して証言を拒否しておるというのが実際でございますので、手をこまねいているわけにはまいりませんので、米国司法省に対しまして、私どもの方から、一日も早く米国側のイミュニティーを与えていただくようお願いしておるわけでありまして、このお願いが功を奏しますならば、一応九月八日とされております予定日は、もっと早く尋問が開始される可能性もあるというふうに見込んでおります。
#322
○山田(太)委員 終わります。
#323
○大竹委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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