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1975/04/22 第77回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第077回国会 本会議 第13号
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1975/04/22 第77回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第077回国会 本会議 第13号

#1
第077回国会 本会議 第13号
昭和五十一年四月二十二日(木曜日)
    ―――――――――――――
  昭和五十一年四月二十二日
    午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 福田自治大臣の昭和五十一年度地方財政計画に
  ついての発言及び地方交付税法等の一部を改
  正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後二時五分開議
#2
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(前尾繁三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 千葉三郎君から、海外旅行のため、四月三十日から五月十二日まで十三日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十一年度地方財政計画について)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#5
○議長(前尾繁三郎君) この際、昭和五十一年度地方財政計画についての自治大臣の発言を許し、あわせて、内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣福田一君
    〔国務大臣福田一君登壇〕
#6
○国務大臣(福田一君) 昭和五十一年度の地方財政計画の概要及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和五十一年度の地方財政につきましては、最近における経済情勢の推移と地方財政の現況にかんがみ、国と同一の基調により、地域住民の生活安定と福祉充実を図るとともに、景気の回復に資するため、地方財源の確保に特段の配慮を加えつつ、財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、財政の改善合理化を図る必要があります。
 昭和五十一年度の地方財政計画はこのような考え方を基本とし、次の方針に基づいて策定することといたしました。
 第一は、地方財政の状況を踏まえ、住民税均等割り及び自動車関係諸税の税率の引き上げ、事業所税の課税団体の範囲の拡大、地方税の非課税措置の整理縮小等により、地方税負担の適正化と地方税源の充実強化を図る一方、個人住民税、個人事業税、ガス税等について住民負担の軽減合理化を行ったことであります。また、地方道路目的財源の拡充に伴い、地方道路譲与税の一部を市町村に譲与することとしております。
 第二は、所要の地方財源を確保するため、臨時地方特例交付金を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるとともに、同特別会計において資金運用部資金から借り入れを行うことによって地方交付税の増額を図り、あわせて財源不足に対処するための地方債を発行する等の措置を講じたことであります。
 第三は、地方債の増加に対処し、公営企業金融公庫資金を大幅に増額するとともに、地方債計画総額の六〇%に相当する額については、政府資金引き受けまたは政府資金並みの金利負担となるよう措置したことであります。
 第四は、地方交付税、地方債、国庫補助負担金等の効率的な配分を図ることにより、地域住民の福祉充実のための施策を重点的に推進しつつ、あわせて景気の着実な回復に資するとともに、生活関連社会資本の充実の要請にこたえるための諸施策を実施することとしたことであります。
 このため、公共事業及び地方単独事業を増額するとともに、社会福祉施策、教育振興対策等の一層の充実を図ることとし、また、人口急増地域及び過疎地域に対する財政措置の拡充を図ることとしております。
 第五は、地方公営企業の経営の健全化を図るため、引き続き交通事業及び病院事業の再建を推進するとともに、公営企業債の増額を図ったことであります。
 第六は、引き続き超過負担の解消のための措置を講ずること等により、地方財政の健全化及び合理化並びに財政秩序の確立を図るとともに、地方財政計画と実態との乖離の適正な是正を図るため、その算定内容について所要の是正措置を講じたことであります。
 以上の方針のもとに昭和五十一年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は二十五兆二千五百九十五億円となり、前年度に対し、三兆七千七億円、一七・二%の増加となっております。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和五十一年度分の地方交付税の総額は、さきに昭和五十一年度の地方財政計画の概要で御説明申し上げましたとおり、現行の法定額に、一般会計から交付税及び譲与税特別会計に繰り入れられる六百三十六億円及び同特別会計において借り入れられる一兆三千百四十一億円を合算する特例規定を設けることといたしました結果、総額五兆一千八百七十四億円となり、前年度当初に比し、七千五百七十八億円、一七・一%の増加となっております。
 また、昭和五十一年度の普通交付税の算定に当たっては、地方財政計画の策定方針に即応して、社会福祉施策の充実、教育水準の向上、住民生活に直結する公共施設の計画的な整備の推進に要する経費の財源を措置するとともに、過疎過密対策、交通安全対策、消防防災対策等に要する経費を充実し、あわせて、投資的経費については、地方債振りかえ後の所要経費を措置することとしております。さらに、昭和五十年度において法人関係税の減収補てんのため特別に発行を許可された地方債に係る元利償還金を基準財政需要額に算入するため、地方税減収補てん債償還費を設けるとともに、特別交付税について、その算定及び交付を毎年度十二月中及び三月中の二回に分けて行うこととしております。
 なお、昭和五十一年度においては、地方財源の不足に対処するための地方債を発行することといたしておりますが、この場合において、地方団体は、地方財政法第五条の規定により起こす地方債のほか、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるための地方債を起こすことができる旨の特例を設けることとし、また、公営競技を行う地方団体の公営企業金融公庫に対する納付金の納付期間を延長する等の措置を講ずることといたしております。さらに、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律並びに首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律に基づく関係地方公共団体に対する国の財政上の特別措置を引き続き講ずるため、その適用期間を五年間延長することといたしております。
 以上が昭和五十一年度の地方財政計画の概要及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十一年度地方財政計画について)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#7
○議長(前尾繁三郎君) ただいまの地方財政計画についての発言及び趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。渡辺紘三君。
    〔渡辺紘三君登壇〕
#8
○渡辺紘三君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたすものであります。
 わが国の経済は、昭和四十八年秋の石油ショック以来、長期にわたって停滞を続けており、最近に至ってようやく回復への兆しが見え始めたとはいうものの、いまだ手放しで楽観できる情勢には至っていないと思うものであります。
 このような経済情勢のもとで、地方税収入は前年度の当初見込みより下回るものと見込まれているように、地方財政をめぐる環境はきわめて厳しいものがあります。
 一方、社会経済情勢の変化に伴い、住民の地方行政に対する要求は、ますます増大をし多様化しつつある今日であります。これまでは、経済が順調に拡大をし、税の自然増収が多額に上るような時期においては、地方財政も比較的順調な歩みを続けることができたのであります。しかしながら、今日、昭和五十一年度の地方財政は、財源がきわめて窮屈な中にあっても、住民の要求にこたえるための行政をより一層充実をさせなければならないと同時に、公共投資の増額など、景気回復のための配慮もしていかなければならないという、まことにむずかしい局面を迎えているのであります。すでに各地方団体では新年度の予算も成立をし、その施策の実施に着手しつつあります。この難局を乗り切り、地域住民の福祉充実を推しはかっていくためには、地方団体自身の努力はもとよりでございますが、特に国においても適切なる措置を講ずることが必要であると考えるのであります。
 そこで、この際、重点をしぼって政府の基本的見解をただしたいと存じます。
 まず第一に、地方財政危機の実態とその原因についてお尋ねをいたします。
 地方団体は、住民福祉のため、きわめて重要なる役割りを果たしております。しかしながら、今日の地方財政を思うとき、このままでは住民サービスに大きな支障を来すのではないかと感じざるを得ないのであります。ちなみに、昭和五十一年度当初予算の編成状況を見ますと、住民生活向上のバロメーターともいうべき普通建設事業費の額は、前年度の十二月現計額に比べ約七%減となっております。特に、地方公共団体が独自の立場で実施する地方単独事業は、二三%減となっているのであります。一方、人件費、公債費、扶助費等の義務的経費は、前年度に比べて大幅に上回っており、地方財政の硬直化は歴然たるものがあります。
 このような地方財政の硬直化の原因について、一部の人たちは、地方税財源の絶対的不足、国庫補助負担金制度の不合理等、もっぱら政府の責任に転嫁しようといたしております。
 しかしながら、多くの地方公共団体は、経費の節減合理化や歳入の徴収の確保に懸命なる努力を傾注し、財政の健全性の確保に努力をしております。しかしながら、一部の地方公共団体においては、安易に職員を増員し、あるいはその給与水準を国家公務員や地域の民間労働者の賃金水準より引き上げ、さらには、長期的な財源見通しも立たないままに、いかにも場当たり的ないわゆるばらまき行政を行い、このような団体に限って、財政運営は破局状態に陥っているのであります。(拍手)
 高度成長から安定成長時代へと、時の流れが大きく変わりつつある今日、私は、地方公共団体の財政運営のあり方そのものにも、洗い直しをしなければならない時期を迎えていると思うものであります。政府は、この地方財政危機をどのように把握をし、また、その原因をどう見ておられるのか、自治大臣のお考えを承りたいと存じます。
 次に、先ごろ自治省では地方財政の中期展望を発表されましたが、これによりますと、昭和五十二年度においては一兆九千二百億円の歳入不足を生じ、昭和五十三年度においても一兆四百億円の不足を生ずると見込まれております。昭和五十年度においては、年度の途中で国、地方を通じ大幅な税収入の減少に見舞われ、昭和五十一年度においても巨額の財源不足が見込まれたのであります。
 これに対し一応の応急的な措置は講ぜられましたが、このような事態に引き続き、昭和五十二年度あるいは五十三年度においてもなお歳入の不足が見込まれるということになりますと、もはや地方財政制度をこのまま放置することはできず、地方行財政制度の抜本的改革に取り組まなければならない時期に差しかかっているのではないかと思うものであります。
 私は、国と地方の行政責任の分担そのものに問題があると思いますが、政府としてはこれにどう対処されようとするのか、総理並びに自治大臣の御所見を承りたいと存じます。
 第三に、昭和五十一年度の地方財政対策についてお伺いをいたします。
 政府においては、地方財源の確保のため、臨時地方特例交付金の繰り入れ、交付税の借り入れ、地方債の増発等の措置をとっておりますが、これらは主として借金によって当面の財源不足をしのごうとするものであります。たとえば、交付税は前年度に対して一七%増の五兆一千八百七十四億円を予定いたしておりますが、そのうち一兆三千百四十一億円は交付税会計の借り入れとなっており、昭和五十年度の借り入れと合わせますと、借り入れ額は二兆四千億余りにもなります。このような巨額の借入金の償還は、将来の地方財政を大きく圧迫することになると考えられますが、政府として、その負担軽減についてどのようなお考えを持っておられるか、お伺いをいたします。
 また、財源不足のため一兆二千五百億円の地方債を特別に発行することとしておりますが、交付税の借り入れとあわせてこのように多額の地方情を発行して、果たして将来償還について心配がないものかどうか、この点についてもお伺いをいかします。
 さらに、多額の地方債を発行することとしながら、この資金を見ますると、前年度当初において一兆七千百億円確保されていた政府資金は、一兆四千二百億円と逆に少なくなっております。したがって、五十一年度の地方財政対策の成否は、民間縁故資金の消化が円滑に行われるかどうかにかかっていると言っても過言でないと思うものであります。私は、民間縁故資金による地方債の消化を促進するためには、市場公募地方債以外の地方債についても、これに日銀担保適格を付与するとともに、買いオペレーションの対象とすることが必要であると考えるのであります。さらに、今後増大する地方債の消化を確保するためには、信用力の乏しい地方公共団体が発行する地方債を一括引き受ける金融機関として、地方団体金融公庫のようなものを創設する必要があると考えるのであります。この点につきまして、政府はどのようにして縁故資金の消化を確保しようとされるのか、お伺いをいたします。
 最後に、昭和五十一会計年度に入ってすでに三週間を経過いたしております。この間、地方公共団体は、期待をしていた地方交付税の四月概算交付額が三千二百億円余りも削除されたのであります。したがって、全国の地方公共団体は年度初めの財政運営に大変に難渋をいたしております。したがって、本法案の成立を一日千秋の思いで待ち望んでいるのであります。住民福祉向上のために寝食を忘れて御尽力をしておられる地方公共団体関係者の御労苦を思うとき、私は、本法案を一日も早く成立をさせ、その期待にこたえてあげることを心から希求をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(三木武夫君) 渡辺君の御質問にお答えをいたします。
 渡辺君の御指摘のように、地方財政のあり方に抜本的に改革を加えて、長期的な見通しを持たなければならぬことは御承知のとおりでございます。政府も、今年の二月に、五カ年の見通しの試算と申しますか、それを発表いたしましたが、こういう変動期に、はっきりしたことはなかなか見通しを立てることは困難でございますので、地方財政制度のあり方等にも改革を加えて、長期的な見通しをできるだけ速やかに立てたい所存でございます。
 お答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣福田一君登壇〕
#10
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 ただいま総理からも、地方行財政の見通しについて、今後十分に考慮する、対応策を考えるという御答弁がありました。渡辺さんが、いまの地方財政の困難な状況を十分に認識し、さらにまた、地方自治体が非常に要望しておる点をわきまえて種々の御質問があったわけでありまして、私どもも同じように、実は地方行財政については、自治体の苦労を苦労として考えておるわけでございますが、まず第一に、御指摘がありましたところの五十年度どの程度赤字団体が出てくるかというようなことについては、まだ明らかではありませんけれども、しかし、非常にいまこれがふえつつあるということだけは、十分われわれも認識をいたしておるのでありまして、したがって、これらの点を踏まえて、今後行財政の整理ということに取り組んでいかなければならないかと考えておるのであります。
 また、そのために、五十年度におきましても、五十一年度の予算におきましても、相当程度交付税特別会計が国から借り入れをいたしておるのでありまして、その借入金を返済するという段階になって、いかように取り計らうべきかということについては、大蔵省とも十分お話し合いをいたしまして、もし非常に負担がかかるというような場合には、これはまた、適当に地方財政に影響がないような措置をとろうということで両大臣の話が進んでおり、その取り決めも大体できておるわけでございますが、この点は、御心配はごもっともでございますけれども、われわれの努力にひとつまっていただきたいと思うのであります。
 なお、そういうような地方財政の状況でありますから、五十年度も五十一年度も、相当程度地方自治体が借金をしなければならない、地方債を発行しなければならない。その地方債が円満に消化できるかどうかによっては、地方団体の行財政の運営が非常に困難になるわけでございます。
 そこで、この点には十分配慮をいたしたつもりでございまして、それが償還についても、将来余り地方行財政に負担がないような措置をとりますと同時に、いま縁故債等も非常にふえておる段階において、果たして地方の借金を引き受けてくれるかどうかということが非常に心配でございますので、この点についても、実は大蔵省との間に取り決めをいたしておるのでございますが、しかし、何といっても地方債を発行するのに一番困っておるのは、いわゆる力の弱い町村でございますから、町村等については極力政府資金を割り当てるということで、それが負担にならないように努力をいたす考えでございます。
 以上、われわれといたしましては、御指摘の点を踏まえながら、地方自治体がその行財政の運営に困らないようにさしあたり努力すると同時に、今後の施策といたしましては、先ほど総理からもお話がありましたが、一つの試算ができておりますけれども、その試算をどう見ていくかということは、これからの景気の動向等を踏まえながら、この秋までには見通しをつけまして、将来の対策を十分にとり、交付税率の問題等も含めて努力をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(前尾繁三郎君) 岩垂寿喜男君。
    〔岩垂寿喜男君登壇〕
#12
○岩垂寿喜男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案並びに昭和五十一年度地方財政計画につき、現在、地方財政危機のもとで苦しめられている地方自治体と住民福祉の状況を具体的に指摘しつつ、三木総理と関係閣僚に対してその基本的姿勢を質問いたします。
 すでに地方税財政制度の根本的改革を要求する声は、保守、革新のかきを越えて国民的な世論となっていることは御承知のとおりであります。政府は、この現実を踏まえて、この機会に国民の納得のできるような率直な御答弁をくださるよう、最初にお願いをしておきたいと思います。
 不況下のインフレを契機とする地方財政危機は、五十年度における約二兆円もの税収及び地方交付税の落ち込みとなって、地方自治体とりわけ都道府県の財政を直撃し、住民福祉に重大な影響を及ぼしています。そればかりか、二兆六千二百億円に及ぶ財源不足の大半を借金によって措置した政府の地方財政対策によって、地方自治体の予算は、いわゆるシビルミニマムの達成を目指す福祉行政は影をひそめ、高校授業料を初めとする各種使用料、手数料の引き上げなど、低福祉高負担のみが目立つ異常な予算となっております。
 すなわち、都道府県及び政令指定都市の五十一年度予算の実質伸び率は一一・六九%と、地方財政計画の一七・二%を大幅に下回り、近来にない超緊縮型予算になっているのであります。そのため、住民福祉に直接影響する単独事業は、大半の団体においてダウンし、二一%の伸びを見込んでいる地方財政計画との乖離が顕著になっています。
 さらに、国に先駆けて実施してきた福祉先取り行政はことごとく抑制され、これまでの水準維持に四苦八苦している自治体の実情を如実に示しているのであります。
 また、地方財政計画にある人件費五%アップさえ計上していない団体が数多くあるなど、自治体職員の人件費が財政危機を口実として一段と抑圧されています。
 こうした福祉、人件費抑制の反面、政府の大型プロジェクトを中心とする大企業優先の不況対策を反映し、国庫補助事業は地方財政計画の伸び率一九・三%を大幅に上回り、高度成長下の大企業擁護の政策が依然としてまかり通っているのであります。公共事業に対する自治体の裏負担の起債充当率を一気に九五%にまで引き上げ、起債の許可制度を盾にして、自治体を大企業優先の不況対策に誘導している政府の政策によって、地方財政はまさに第三の国家予算に変質させられていると言っても過言ではないと思います。
 このような五十一年度予算案と地方財政をめぐる実態を直視するとき、遺憾ながら私は、三木内閣の福祉政策はもはや政治スローガンにとどまってしまったと言わざるを得ないのであります。
 三木総理は、さきに、学者グループが提言した生涯設計計画、いわゆるライフサイクル論に共鳴され、それをみずからの政策基調に生かすような御努力を公約されてこられました。率直に申し上げて、この提言は、政策理論の根底に生活から見た福祉を置き、福祉問題の核として教育、住宅、社会保障、高齢者対策の四つの柱を軸に構成されたことは画期的なことだと思います。
 そこで、三木総理にお伺いしますが、総理は、この計画が指摘している「いま日本の勤労者が求めているのは衣食のようなフローそのものよりも、自家取得や住居の改善、子女のための教育投資、将来の備えとしての貯蓄などストックの充実ないしはストックの充実のためのフローの増加である」という認識をどのようにお考えでしょうか。
 私どもは、今日の生活問題の多くが、高成長過程で生じた社会的ストックの貧困から来たものであり、それらはもはや個人的ストック論で解消し得る性格のものではないと考えています。その意味から、生活環境、生活基盤の拡充強化が急がれなくてはならないと主張してきたわけであります。
 生涯設計計画も、その解説の中でこう述べています。「不況対策としての財政支出の拡大をためらってはならない。しかし、不況対策としての財政支出の内容は何でもよいというわけではない。赤字国債の発行などで調達した貴重な財政資金は、将来の福祉社会建設のため、いずれは必ず必要になる緊急度の高いプロジェクトから順次繰り上げ実施するというのが最も効率的かつ公正な財政運営である」と指摘し、さらに言葉を加えて、「むしろ本四架橋、新幹線などの公共投資型の不況対策は、その効果が局地的であり、特定産業に偏しているおそれがある。それに対して、長期的な計画性をもって年金支出や住宅投資促進が実行されれば、地域や産業についての偏りの少ない需要が生み出され、より円滑な不況脱出が期待できるだろう」と述べているのであります。
 これらの指摘は、福祉を経済成長の余禄と考えてきた伝統的な福祉国家論とは全く異質な発想に立つものであって、むしろ、成長率を福祉政策の結果に求め、不況期だからこそ福祉型財政を充実させよと主張しているのであります。しかしながら、現実の五十一年度予算は、この提言、そして三木内閣の公約とは全くうらはらなものになってしまったわけでありますが、この点について、総理はどのような反省のお気持ちをお持ちか、この際伺っておきたいと存じます。
 また、三木総理は、さきの所信表明に対する質問に答えて、長期的見通しに立つ福祉行政の必要を特に強調されておられました。この福祉行政の方向は、ただいま私が指摘した福祉型メカニズムと言えるものと共通のものかどうか、そしてその長期的方針をいつごろ、どんな形でお示しになるのか、またこれに関連してナショナルミニマムを社会保障制度の中に設定する用意があるかどうかという点について、御答弁を煩わしたいと思います。
 申すまでもないことですが、福祉の現場は地方自治体であります。すでに強調しましたように、その地方自治体において、住民福祉が切り捨てられ、高負担が押しつけられている現実を見過ごすことはできません。この立場に立って、わが党はもちろんのこと、地方六団体、さらには地方制度調査会においても、地方財政改革のための積極的な提案がなされていることは御承知のとおりであります。三木内閣は、この提案を受け入れ、国民の福祉向上に果たす地方財政の役割りをはっきりさせ、さらにその改革のプログラムを速やかに示すべきだと思いますが、御所見を承りたい。
 次に、地方交付税制度の改革についてお尋ねいたします。
 昭和四十年不況を契機とする政府の公債発行政策のもとで、地方の財政需要の増大と地方交付税総額の乖離は年ごとに拡大し、五十一年度においては、昨年に引き続き一兆三千億円以上もの借金を余儀なくされているのであります。
 交付税総額の不足を地方債によって補てんする措置はもはや許されないのであり、借金や起債振りかえの措置こそ、今日の地方交付税制度が破綻してしまったことの紛れもないあかしにほかなりません。
 その上、政府の地方財政収支試算によっても、五十二、五十三両年度において、一兆円をはるかに超える財源不足となることが明らかになっています。さらに、地方債の増大傾向とその償還財源の保障のために、地方交付税率の引き上げ問題は、交付税法の規定に照らしても、どの程度引き上げるか、いわば上げ幅の問題になっているのであります。
 予算委員会において、自治大臣が五十二年度以降の税率引き上げを検討せざるを得ないと述べたのに対し、大蔵大臣は否定的な見解を示され、政府部内における意見の相違が目立ちましたけれども、この際、大蔵、自治両大臣の方針を承っておきたいと思います。関連して大蔵大臣にお尋ねしますが、大蔵省は税制調査会に審議を求める五十二年度税制改革に対する基本方針を固められたように仄聞いたしますが、この際その方針を明らかにしていただきたいと思います。
 その中で、特に、五十一年度税制改正では、十六年ぶりにその実施を見送った所得減税について、大臣の決意をお示しいただきたい。
 御承知のとおりに、ことしの春闘は、資本のガイドゾーンのもとで大変厳しい状況にあり、実質賃金の低下が避けられない結果が出ています。私どもは、労働者の生活実態を配慮し、さらに、個人消費支出の拡大による不況対策を積極的に推し進めるために、年度内減税を断行すべきだと確信しますが、年度内減税についての可能性と五十二年度所得減税について、どうぞ積極的な方針をお示し願いたいと存じます。
 次に、文部大臣に質問をいたします。
 ここ数年来高校の入試地獄は深刻でありますが、特にことしは、受験生の自殺や親子心中など、人々の胸につかえる悲しいニュースが目立ちました。今春の高校進学希望者は百四十四万人に上り、今後二十年間にわたって高校生が増加し続けることが確実になっているのに、肝心の公立高校の絶対数が極度に不足し、特に人口急増都府県において一段と深刻な事態が進行しています。この春開校した公立高校はわずか六十六校にとどまり、最低百校の増設という日教組の要請は言うまでもなく、七十二校という全国知事会の要求とも大きくかけ離れていることは御承知のとおりであります。今後三年間で四百校の新設をという国民的な要求に対し、今年度ようやく国庫補助制度が発足したわけですけれども、四十二億円ではどうにもならないことは、文部大臣が一番御理解のとおりであります。
 そこでお伺いしますが、進学率が九二%近くなっている高校教育は、義務教育と言える状況が定着したと私は考えますけれども、この点をどう認識されておられるか。
 また、公私立高等学校新増設建物整備補助について、文部省の概算要求が大幅に削られたばかりでなく、文部省に報告された全都道府県の公立宮校の新設計画、五十一年度以降五カ年間で四百五十二校に対し、どのような財政補助を考えておられるか、明らかにしてください。百歩譲って、今年度の補助予算額の四十二億を基礎にしても、来年は最低でも百億円以上、再来年は百五十億円以上にならなくてはつじつまが合わなくなると思いますけれども、そのとおりに理解してよろしいか、お教えをいただきたいと思います。
 また、五カ年の時限的緊急対策はさらに延長せざるを得ないものと考えますが、今後をどう見通されておられるか、人口急増都府県についての高校の用地費に対する補助についてはどうお考えか、つけ加えて承っておきたいと思います。
 最後に、自治大臣に超過負担の解消についてお聞きいたします。
 今日の地方財政危機の原因の一つに、膨大な超過負担があることはすでに明白であります。今後の地方自治の確立のためには、国、地方自治体間の負担区分を明確にし、超過負担を生じさせないことが急務であります。
 六千三百億円、用地費を含めれば一兆一千億円にも及ぶ超過負担の実態を明らかにした地方六団体の調査が発表されておりますが、これに対し、五十一年度予算での解消措置はわずか六百四十二億円にすぎず、まさに焼け石に水のたとえのとおりであります。地方六団体は、この措置額も、五十年度分の措置額、物価騰貴分並びにベースアップ分を含めたものであり、これらを差し引くと実質的な解消額は、国費ベースでわずか六十四億円にすぎないと指摘していることは御承知のとおりであります。
 従来から政府は、超過負担について単価差だけを認め、対象差、数量差については超過負担の存在を極力否定するなど、その解消に不熱心であったわけですが、それにしても、現実の行政に携わっている地方六団体の調査額と政府の対応金額との間には、余りにも極端な開きがあると言わざるを得ません。この原因は、結局、政府の超過負担に対する基本的認識が欠落していることから生じたものであり、地方財政軽視の典型とも言うべきであります。
 これらの点を踏まえて、地方六団体が提出した意見書に対し、政府はどのような回答を示すおつもりか、明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、一昨年、自治省と革新市長会の覚書で約束したように、地方団体と政府代表が共同して超過負担調査のための委員会のようなものを設け、共通の方法による超過負担調査を行うべきだと考えますが、その点について自治大臣の所見を伺いつつ、政府の誠意ある答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣三木武夫君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(三木武夫君) 岩垂君の御質問にお答えをいたしますが、第一番は、地方財政の危機の状態をどのように認識するかということでございます。
 高度経済成長からこのような安定成長への大きな転換期にありまして、その転換期というものはいろいろな変化をもたらすものでございまして、国の財政も地方の財政も、かつてない困難に直面しております。
 五十一年度の地方財政の二兆六千億円にも上る巨額の財政不足については、地方財政の運営に支障を来さないような手当てをいたしましたが、しかし、何としても地方財政が地域住民の福祉や教育、国民の生活に身近な行政に携わるわけでありますから、この健全な運営というものは、われわれが常に図っていかなければならぬ点だと考えております。
 いま岩垂君の御指摘のような、恒久的な地方行財政の制度改正をいますぐ行うということは、この変動期でなかなかむずかしいのでございますが、この問題は、当然に改革を行わなければならぬわけでございますから、地方制度調査会とか税制調査会なども、この問題に検討を加えておるわけでございまして、そういう意見も参考にしながら、政府も鋭意検討を進めてまいりたいと思っております。
 第二には、生涯の福祉設計計画について、いろいろ御質問がございました。
 生涯の福祉設計計画は、国民の一人一人の立場から、福祉政策をばらばらでなくして総合的に見直そうとするものであります。
 その基本的な考え方は、一つには福祉は、老後というようなある一定の時期を対象とするものではなくして、全生涯を、しかも教育も就職も住宅も、すべて総合的に考えてみようとするものであります。しかも、それを外国を模倣するのではなくして、日本の国情や風土に合ったものにしたいという点でございます。また、最低限の保障はするにしても、やはり個人の意思と努力次第では、いろいろと生活の向上を図られるという独立自助の精神を柱にしなければならないと考えておるものでございます。こういうことを基礎にして、いま政府の中に生涯設計計画検討連絡会議というものを設けて、これを具体化すべく問題点に検討を加えておる次第でございます。
 また、岩垂君の御指摘のような、今日求めておるものはフローそのものではなくして、ストックの充実を求めている、これは私もさように考えるわけでございますから、この生涯設計計画具体化の中に、この点も頭に置きながら検討を進めたいと考えております。
 また、今日のわが国の福祉レベルの低さというものに、社会的資本のストックの貧困というものを御指摘になりましたが、私どもも、高度経済成長の中で社会的資本の充実ということが立ちおくれてきたということに対しては、岩垂君と同意見でございます。
 これを取り返さなければならぬと考えて、今年度の公共事業費の中においても、全体の伸びは一九・七%でありましたにかかわらず、住宅は二三・三%、生活環境施設は三一・二%と、一般の公共事業よりも差をつけて、いま言った社会資本の充実に努めてまいっておる次第でございます。今後、こういう社会資本の立ちおくれあるいはまた、国民生活の安定の基礎になる最も基礎的な施設である国土の保全計画であるとか、農業の基盤整備であるとか、あるいは沿岸漁業の整備等、こういうものに対しても十分な配慮を加えていかなければならぬと考えて、予算もそういう配慮を加えた次第でございます。
 また、大型プロジェクト中心という御批判でございますが、われわれは、今後、大型プロジェクトを公共事業の中の中心に置いては考えていかない考えでございます。しかしながら、新規の高速道路であるとか本四架橋であるとか新幹線など、いわゆる大型プロジェクトについても、これらのプロジェクトの持っておる経済的な、社会的な効果を勘案して、適度の規模の拡大を図っていこうという点から、こういうものも取り入れましたが、公共事業の中心に置く考えは持っておりません。
 それから、次はナショナルミニマムのお話でございましたが、われわれも、ナショナルミニマムというものを持つことは当然でございますが、しかし、それには社会的諸条件の変化にも配慮を加えながら、社会保障施設が真にこれらを必要とする人に的確に行われるとともに、個人の自助的な精神とも調和を持った合理的な、効果的なものにしていきたいと考えておる次第でございます。
 また、福祉型の成長メカニズムを考えるべきだということでございますが、今後わが国の経済は、いままでのような高度経済成長一本やりのものから、均衡のとれた安定成長路線に移行させなければならぬ。その安定成長路線の中心に置かるべきものは、社会保障とか居住環境の整備などを中心とした、そういう生きがいのある経済社会の建設でありますから、岩垂君の御指摘のように、成長中心から生活中心の経済への転換をさしていく必要があると考えております。
 また、長期的な福祉政策に対する長期的方針を立てろということは、全くそのとおりだと思いますが、いま、昭和五十年代の前期経済計画の概案において、計画期間中の早期に社会保障の長期計画を策定する旨を明らかにしておりまして、社会経済情勢の推移を見きわめつつ、その策定についていま検討を続けておる最中でございます。長期的な福祉政策は出したいと考えておる次第でございます。
 他の御質問は各省大臣からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣大平正芳君登壇〕
#14
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する第一の御質問は、交付税率の見直しについてでございます。
 仰せのように、地方公共団体の財政状況、大変な赤字でございまして、この状況は、これまた仰せのように、五十二年、五十三年も続きそうでございまするので、そういう観点から申しますと、交付税率の見直しという必要は当然あるものと考えております。
 しかしながら今日、中央、地方を通じまして、わが国の財政きわめて不正常な状態にございますので、当面の財政運営の基本は、この財政をいち早く正常な状態に持ってまいることが急務であるわけでございまして、そこに力点を置かなければならぬと考えておるわけでございます。したがって、こういう段階におきまして、交付税率の本格的な見直しということに対しましては、必ずしも時期が適当であるとは私は考えておりません。
 それから第二の、五十二年度の税制改正方針についてのお尋ねでございます。
 五十二年度の税制改正についての政府の方針を国会を通じて申し上げるまで、固まった構想を持っておるわけではございません。これから政府部内で、どういう方針で税調の御審議をいただくか、検討を進めたいと考えておる段階でございます。しかし、いまも申し上げておりますとおり、中央、地方を通じまして巨額の赤字財政でございますので、いち早くこういう状態から脱却をしなければならないのが財政運営の至上命令であると思うのでございます。したがって、五十二年度におきましても、少なくとも、一般的な所得税の減税を考えることができるという年であるようには考えられないということだけを申し上げておきたいと思います。
 第三の御質問は、年度内の減税を考えるべきであると思うがどうかということでございます。
 まだ本年度の予算が成立いたしておりませんし、関連法案も、まだ国会に御審議をいただいておる段階でございますので、私といたしましては、われわれの予算並びに関連いたしました施策は、予定どおり施行できるような状態をまず招来することが当面の急務であると考えておりまして、年度内の減税というような新たな政策のことにまで、思いをいたす余裕を持っておりません。
 また、景気政策の観点から申しますならば、幸いにいたしまして、あらゆる経済指標は明るい展望を着実に示しかけておりますので、景気政策の観点からどうしても年度内の減税を必要とするというような状態でないということも、あわせて御報告をいたしておきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣福田一君登壇〕
#15
○国務大臣(福田一君) 岩垂さんにお答えをいたします。
 質問の内容は、福祉予算についてどう考えるかということ、それから地方税制の問題と交付税率の問題をどう考えるか、それから超過負担の問題をどう考えるか、こういう三点だと思いますので、以下、順にお答えをいたしたいと思います。
 福祉予算の問題は、われわれは決して軽視いたしておるのではないのでございまして、やはりこれからも、十分にこの問題には注意をしていかなければならない。その場合に考えなければいけないことは、地方自治体の歳入歳出の見直しということも考えていかなければなりません。
 歳入の面においては、税収を図る、増税を図るということもあるであろうし、いま仰せになったような交付税率の問題も考えるということもあるでございましょう。また、歳出の面におきましては、これは長いこと言われておることでありますけれども、やはり依然として、人件費その他の問題を合理的に使っていく、世間並みにやっていくということが必要であるということも、これは忘れることができないと思うのであります。
 私は、これは岩垂さんにも申し上げたいのでありますけれども、福祉関係ということを見直していくというか、国の予算や地方の予算というものを考えるときに一番大事なことは、何といっても、自分の、日本の国の国力というものを考え、国が置かれた環境というものを考えなければいけない。
 最近の一番大きな問題は、第三世界というものが出てまいりまして、そうしてその発言力が非常に強まりつつある。そのために、やはり相当、高度成長を遂げたような国は、当然こういうような第三世界に対しても応援をしなければならないじゃないかという世論が、だんだん高まってきておるというような問題も考えていかなければなりません。われわれだけが、自分がいいからそれでいいというようなことでは、これは日本の国として、果たして世界の国々に対してりっぱな口がきけるかどうかということも考えていかなければならないと思うのでありまして、私は、福祉ということは十分考えなければいかぬと思うけれども、この点をわきまえながら問題の処理をしていくべきではないか、こういう考えを持っておることをひとつ御理解を願いたいと思うのであります。
 次に、地方の税制の問題でございますが、大企業優先のやり方になっているから、そういうものを改めろというお話があります。
 私もこれには賛成で、確かにいままでは、輸出を振興しようという意味合いにおいて税制が立てられた面がございます。これは高度成長のときにはそうでございましたけれども、今日になってみますと、こういう面では考え直してみなければならないものがありますから、やはり地方税制の立場から見ましても、これは大いに考えてみる必要がある。いわゆる世間から、この言葉が適当かどうかはわかりませんけれども、大企業優先だなどと言われないように工夫をしていかなければならない、私はかように考えておるものでございます。
 それから、もう一つ交付税の問題でありますが、いまのように、来年度も再来年度も赤字ということになれば、これは当然考え直さなければいけません。この点は大蔵大臣も必ずしも反対をしておいでにならないようでありますが、その場合にどの程度やるかということが問題になるわけであります。一部には八%一挙にふやせなどというような御意見もあるようでございますけれども、果たしてやる場合でも、税率をどの程度にするかということは、今後の経済の見通しその他をいろいろ勘案しながら考えなければいけないので、ここでやはり経済の大きな運営のあり方というものをひとつ考えてみなければいけないのじゃないかというふうに私は考えておるわけであります。
 次に、超過負担の問題でありますが、これは、私はもう口を酸っぱくして実は各省に要望をいたしておるのでございまして、まあこの数量の問題にしても、対象の差にしても、だんだんよくしてきておるわけでございまして、この単価の問題だけで問題が解決するというわけではございません。やはり今後、私は大きく力をその面に注いでいきたいと考えておるわけであります。
 その場合に、地方の六団体と十分話をして六団体の意見を入れるように、あるいはまた、六団体に何かそういう式のものをつくらしてはどうかというお話でありますが、ただいま六団体の中にはこの超過負担解消の委員会がございまして、そこへは自治省から常に係官が出向いていろいろ話を聞いて、それを聞きながらまた各省にいろいろと折衝をしておるということでございます。私は、このやり方でなお今後も御指摘の超過負担の解消には全力を挙げてまいりたい、かように考えておる次第であります。(拍手)
    〔国務大臣永井道雄君登壇〕
#16
○国務大臣(永井道雄君) 岩垂議員の私に対する御質問は四点にわたっていると思いますので、順次お答え申し上げる次第でございます。
 まず第一は、高校教育を義務化してはどうかということでございます。
 これは、昭和五十年度の高校進学者の率を見ますと九一・八%でございますから、相当な数であって、それに基づく御質問と考えますが、しかし、高校を義務化する場合には二つの条件が必要であると思います。
 一つは財政上の条件でございますが、高校生の三割が現状においては私学であるというようなことを勘案いたしますと、この時点において直ちに高校を義務化するということがなかなかむずかしい。
 もう一つは教育上の観点であると思いますけれども、これは現状におきましても、高校に進学しない方向でもってむしろ勉強していく、あるいは就職をしていくという人々もおります。
 こういう事情を考えますというと、必ずしも、十二カ年の教育というものをわが国において現段階において義務教育にすべきであるという結論に、私どもは到達いたしていない次第でございます。しかしながら、入学を希望する人たちに対しては、でき得る限りこれを受け入れるように高等学校の拡充を図っていく、かような考えで臨んでいる次第でございます。
 第二点は、本年度から高校新増設のために国庫補助をいたしましたが、この国庫補助の四十二億円というのは大変少ないのではないか、また、明年度あるいは明後年度におきまして、これを二倍ないし三倍にする考えはないかという問題でございますが、本年度の四十二億円というのは、高校生が急増いたしております緊急事態というものを認識いたしました上で初めて発足いたしたものでございまして、今後五年間は少なくもそうした緊急事態であると考えて、私たちはこれに対処しているわけでございます。
 ただ、その場合にも、従来のように起債ないしは地方交付税を原則としていくということは変わりないわけであることを、ここで申し上げておく必要があるかと思います。
 今後五カ年間を緊急事態と考えておりますが、しかしながら、特に五カ年計画を立てて、そうして明年度、明後年度について、いまからどれほどの額であるかということを考えているのではなく、これは、進学率が毎年どのように変わっていくか、あるいは人口動態の推移等きわめて流動的な側面がありますので、毎年度予算額を計上するという考え方で五年間の緊急事態に対処しようというわけでございます。
 第三点といたしましては、この五カ年が終わった後も、さらに長く考えることをいまから予定しておいてはどうかというお言葉でございますが、これにつきましては、やはり五カ年というものを一応緊急事態と考えて私どもは現在の政策を立てているのでございますから、五カ年たちましたその時点において、その以後をどうするかということを考えていくのが至当であろうかと考えます。
 最後に、高校につきましては、建物の新増設だけではなく、用地費についてもこれは国庫補助をすべきではないかというお言葉でございますが、これについては、やはり起債という方法でこれまで対処してまいりましたその原則に基づいて、今後も対処していくべきであると考えております。しかし、高校が拡充される状況にございますから、そうした地方財政措置の拡充というものが起債という形で進んで、拡充が強められるということがきわめて重要である、そういう方法によって、学校の土地確保ということを私たちは万全を期すべく努力しなければならないと、かように考えている次第でございます。
 以上をもちまして、私のお答えといたします。(拍手)
#17
○議長(前尾繁三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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#18
○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十三分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  三木 武夫君
        大 蔵 大 臣 大平 正芳君
        文 部 大 臣 永井 道雄君
        自 治 大 臣 福田  一君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      茂串  俊君
ソース: 国立国会図書館
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