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#1
第075回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号
昭和五十年六月二十日(金曜日)
   午後二時三十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十九日
    辞任         補欠選任
     最上  進君     斎藤 十朗君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中西 一郎君
    理 事
                剱木 亨弘君
                小林 国司君
                片山 甚市君
                峯山 昭範君
                内藤  功君
    委 員
                有田 一寿君
                斎藤 十朗君
                高橋 邦雄君
                橘  直治君
                戸塚 進也君
                秦野  章君
                宮崎 正雄君
                秋山 長造君
                戸田 菊雄君
                中村 波男君
                秦   豊君
                多田 省吾君
                橋本  敦君
                和田 春生君
       発  議  者  秦   豊君
   衆議院議員
       修正案提出者   小泉純一郎君
       修正案提出者   山田 芳治君
       修正案提出者   小沢 貞孝君
   国務大臣
       自 治 大 臣  福田  一君
   政府委員
       警察庁刑事局長  田村 宣明君
       運輸省船員局長  山上 孝史君
       自治省行政局選
       挙部長      土屋 佳照君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      吉田 淳一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公聴会開会承認要求に関する件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(秦豊
 君外二名発議)
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(峯山
 昭範君外一名発議)
○公職選挙法の一部を改正する法律案(第七十四
 回国会内藤功君外一名発議)
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(岩間
 正男君外一名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中西一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十九日、最上進君が委員を辞任され、その補欠として斎藤十朗君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中西一郎君) 次に、公聴会の開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第六〇号)及び政治資金規正法の一部を改正する法律案(閣法第六一号)の審査のため、来る六月二十八日、土曜日、午前十時に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中西一郎君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、公聴会の問題並びに公述人の数及び選定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(中西一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後二時三十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時二十八分開会
#6
○委員長(中西一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を再開いたします。
 公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第六〇号)、政治資金規正法の一部を改正する法律案(閣法第六一号)、同じく(参第一八号)、同じく(参第二八号)、公職選挙法の一部を改正する法律案(第七十四回国会参第五号)及び政治資金規正法の一部を改正する法律案(参第二七号)、以上六法案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次発言願います。
#7
○片山甚市君 私は、日本社会党秦議員外二名の提案に係る政治資金規正法の一部を改正する法律案に関して簡単に三点について秦議員に質問をいたします。
 一つは、自民党結党以来の政治資金は幾らぐらいになるのか。二つ目は、政府は政治資金規正法の改正にこれまでどのように取り組み、どのように具体的にサボってきたのか。三つ目に、三木総理は政治資金規正法をどのような態度をもって取り扱ってきたのか。提案をされておる立場から、簡明に、簡単にお聞きをしたい。先日も本会議で御質問申し上げたら、あなたは私の質問に答えなかったので、ちゃんと答えてほしい。
 以上です。
#8
○秦豊君 片山議員にお答えをしたいと思うんですが、なるべくほどのよい長さでお答えをしたいと思います。
 自民党結党以来の政治献金というお尋ねが第一項にあったわけですが、御存じのように、自由民主党の結党は昭和三十年の十一月十五日となっております。その三十年の十一月から四十九年の上半期までに自治省の収支報告によりますと――言うまでもなくこの自治省の収支報告は、言いかえればそれ自体が都合よく粉飾をされたデータであることは言うまでもありません。そのデータによりましても、実に一千三十億円にも達しております。それから四十四年以降四十九年上半期までのいわゆる五大派閥と言われている自民党内の派閥、福田、田中、大平、中曽根、三木、以上五大派閥への献金は二百十三億円となっておりまして、いずれも巨額に達しており、しかもこれらがいずれも氷山の一角であることもすでに国民常識ではないかと思います。
 それから第二問にございました、政治資金規正法がいかに無視されてきたか、これはどうかというお尋ねでありますけれども、確かにあなたのおっしゃるように音で言えばネグられっぱなしの歴史である、無視され続けた歴史であるということが言えます。実質的に法改正の後を振り返ってみると、昭和二十七年には年三回の収支報告というものを二回に削減しておりまして、これは言うまでもなく改悪であります。それから二度目の改正は、いわゆる与党の言葉で言って改正は三十七年に行われておりますが、これは初めて領収書を添付することを義務づけたという義務化した点でありまして、これはもう事務的には余りにも当然かと思います。本質的な改正ではありません。昭和二十九年のあの造船疑獄事件を契機にいたしまして、政治の刷新浄化、あるいは改正を目指してなるほど多少の動きは散見されました。しかし、そのような動きが実際的に具体的な形をとりましたのは実に七年も後の話でありまして、七年後、池田政権下の昭和三十六年十二月十六日、いわゆる第一次選挙制度審議会の答申となって形式的には実を結んでおります。その後の経過をたどって見ますと、三十八年十月のこれは第二次の答申でありますが、その際には政治資金は個人に限るという点を初めて打ち出しております。さらに三十八年の十月十七日には、ほかならぬ現総理である三木武夫氏が自民党のこれは組織調査会長として答申を出したんですが、それは政治資金を党に一本化するということが基軸になっていまして、当時としては確かに野心的な改革案を提示しております。しかし、これもフェードアウトいたしております。その後、四十一年夏の黒い霧事件の後ようやく四十二年の四月七日になりまして、第五次選挙制度審議会、これが緊急答申というものを出しております。言うまでもなく、一般的なタイトルをつけた答申では、いまの政界の浄化には役に立たない、なかなか緊迫感を持っては受け取ってもらえない、こういうふうな意図を持ちました各委員が、緊急答申というアクセントをつけまして、政党近代化のためには、五年を目途にして個人献金と党費による運営ということを緊急答申、勧告をいたしたわけですが、それをもとにしたはずの政府案は実に三度国会に提案されまして、三たび廃案になっております。
 以上、怠慢と無視、あるいはサボタージュの歴史であることは、こうした歴史経過に照らしても私は明らかではないかと思います。
 最後に、三木総理がいかにこの政治資金規制問題に取り組んできたのかというお尋ねでありますが、総理は就任前の四十九年の七月二十七日、この会合は三木派の総会であったわけですが、ここでは堂々たることを言っておられます。つまり政治資金は限度を設けた無税の個人献金中心に改めるべきである、このようなりっぱなことを発言されております。このような趣旨を踏まえて、四十九年秋には、ある総合雑誌の誌面に寄稿されまして「保守政治改革の原点」という一文を草しておられますが、ここではより明らかに三木さんのいわゆる理念が打ち出されております。つまり企業は政治献金を行わず、政治家は企業献金から独立して、政治家として自由な立場を確保すべきであるという堂々たる所信を述べておられます。本来三木さんにとって最もふさわしいはずの理念と格調というもの、このようなものは総裁就任直後急速に衰えております。現に四十九年の十二月四日には初の記者会見が行われたわけですが、記者団の質問に答えまして、将来は個人献金一本にするのが理想であるけれども、これには過渡的な期間が必要である、したがって、それまでは一定の限度を設けるべきだというふうな答弁を行いまして、早くも微妙な後退というか、あるいはかげりを見せております。その後十二月二十七日の自民党改革をめぐるいわゆる三木試案では、三年後には個人献金中心に切りかえる、このようによろめき、また、去る五月三十日、衆議院の公職選挙法特別委員会における答弁では、日本の社会的慣習として個人献金にはなれていないので、すぐに切りかえることはむしろ現実を無視している、三年後の移行は早過ぎるので五年後を目指したいと、あっさりと後退をしています。したがって、片山議員に対するお答えの締めくくりとして、また大観をして言えますことは、政府・与党が政治の浄化、金のかからない政治に対しましてはほとんど一片の誠意をも示さなかったということが断言できるわけであり、今回のこの政府案全体を通読してみ
 ましても、やはりはなはだ不十分ではないかと思うわけであります。また、このあたりのとらえ方と大きな不満が、わが党提案の大きな背景になっているんだということを申し上げまして、答弁にいたしたいと思います。
 以上です。
#9
○片山甚市君 どうもありがとうございました。
 それでは政府に、せんだっての質疑に続きまして、できるだけ時間を大切にしながら質問をしたいと思います。
 第一は、政治活動を行う団体について御質問をします。政治資金規正法改正案附則第十条において従前の「政治団体」を「政治活動を行う団体」と改める理由はどこにありますか、お答えを願います。
#10
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 選挙期間中における政治活動につきましては現行の公職選挙法のとおりでありまして、今回の改正案によってその取り扱いを異にするものではありません。このため、政治資金規正法の改正に伴いまして当然に必要な条文の整理をしたものでございます。すなわち、現行の公選法二百一条の五以下に言う「政治団体」とは解釈上政治資金規正法に言う政治目的を有するものと広く解されていたので、今回の政治資金規正法の改正案によりまして、政治団体とは政治活動を行うことを本来の目的とするもの、または政治活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行うものと定義されましたことに伴いまして、公選法の当該規定をそのまま放置しておきますというと、政治活動を当該団体の従たる活動として行う団体や政治活動を一時的に行う団体が自動的に規制の対象になるということになりますので、従来の取り扱いを変更しないためには「政治団体」という用語を「政治活動を行う団体」に改める必要が生じまして、今回の政治資金規正法の改正案の附則で公選法を改正したわけでございます。
#11
○片山甚市君 ただいまの答弁で、「政治活動を行う団体」というものが従来のいわゆる公選法で対象になっても何ら変わりがない、こういうように理解をしてよろしゅうございますか。
#12
○国務大臣(福田一君) 御質問の趣旨のとおりでございます。
#13
○片山甚市君 それでは、本会議で私が三木総理に「選挙期間中に労働組合、婦人団体、消費者団体から文化サークルなど、あらゆる団体に対し、そうした団体が物価や公共料金値上げ反対とか公害反対などの要求を掲げれば、すべて」それは「政治活動を行う団体」とみなされ、「警察によって一方的に認定され、一般的なビラまきもできなくなると主張しているものがありますが、そうなるのかならないのか、明白にしてもらいたい」と言いましたところ、総理は、「御懸念の、「政治活動を行う団体」がいろんな政治活動をすることに対して本法は制限をしたり、言論の自由を侵すようなことを目的とする法案でございませんから、そういう御心配は御無用でございます。」と答えられましたが、それでよろしゅうございますか。
#14
○政府委員(土屋佳照君) 二百一条の五の規定は、御承知のように、選挙期間中における政治活動というものが選挙運動と紛らわしい、そういったことから、選挙の公正を確保する意味で、特定のポスターの掲示とかあるいはビラの頒布とかいうものが禁止されておるわけでございますが、そういった趣旨で、そういった活動が余り行われないようにということで政党その他の政治団体というものが規制を受けておったわけでございます。そして、その考え方は、ただいま大臣から申し上げましたとおり、従来から政治目的を持って活動するものはそれに入るということになっておったわけでございまして、従来の解釈といたしましても、ただいまお示しのございました労組あるいは婦人団体、消費者団体、文化団体等でも一つの政治目的を持って活動する場合は適用があるというふうに解されておったわけでございます。現に、労働組合でございましても、現行法で政治団体として届けてあるものもございますし、婦人団体でも主婦連のように届け出てあるものもあるわけでございまして、そういった政治団体として当然に届けられたものもあるわけでございます。したがいまして、そういった団体等がやるもの、あるいはそれと同じように、届け出がなくても政治目的を持って活動しておる団体というものは対象になるというふうに解されておったわけでございまして、そういった意味では、今後の改正においても、ただいま大臣が申し上げました趣旨によって変わってないというふうに私どもは考えておるわけでございますけれども、従たる活動であっても、そういった政治的目的を持った政治活動をすれば現行法と同じようにやはり規制があるというふうに考えざるを得ないわけでございます。
#15
○片山甚市君 私が質問をいたしましたことについては、それでは一方的に警察が認定することがある、こういうようにお聞きしたんですが、そうですね。
#16
○政府委員(土屋佳照君) 警察が一方的にということでございますが、従来でもそれほど私問題が多く起こったとは聞いておりません。仮に問題が起こったときにはいろいろと私どもも相談を受けることになろうかと思いますけれども、それがこの法の規定に照らしてどうかとなると、最終的には司法当局に行くということにはなると思うんですが、そこらの、何かあればすぐ見て回ってどうだこうだというような、そういう問題は、いままででも起こっておりませんし、今後もそういった趣旨は変わってないわけでございますから、それほど大きな問題はないんじゃなかろうかというふうに考えております。
#17
○片山甚市君 従来と変わりがないと言いながら、今度は変わりがあるようなお話でありますから、念のために具体的にお聞きをいたします。
 選挙運動としてでなく、あるいはそれに紛らわしいものとしてではないという前提で――わかりますか、そこで選挙期間中に、一つ、消費者団体がサッカリンの使用解除をやめさせようというビラをまいたならば、これは対象になりますか。
#18
○政府委員(土屋佳照君) 消費者巨体でもいろいろと政治団体的なものもあるわけでございますけれども、一般的に申し上げまして、いま言われた前提で考えますと、サッカリンの使用禁止といったようなことで活動をされても、直ちにそれが「政治活動を行う団体」ということにはならないのではなかろうかというふうに考えます。
#19
○片山甚市君 それでは、総評や各労働組合が、首切り反対、工場閉鎖反対、ストライキ権を抑圧するななどということで、街頭でビラをまき宣伝をすることになりましたら、だめでありますか。――前提がありますよ。
#20
○政府委員(土屋佳照君) ただいま仰せのような、賃上げ闘争あるいは工場閉鎖反対といったような事柄でございますと、別に「政治活動を行う団体」ということにはならないというふうに考えます。
#21
○片山甚市君 次に、公害反対団体が公害対策を要求する呼びかけを宣伝車やビラで行う行為をいたしましたとき、いかがでしょう。
#22
○政府委員(土屋佳照君) 公害反対団体といってもまあいろいろあるわけでございまして、現在でも、すべての公害から人類及び自然を守る会といったようなものは届け出団体になっておるわけでございます。そういった政治団体ということになりますとこれは入るわけで、具体的な公害対策を要求するようなビラの頒布をするといったようなことがありますと、やはりこの規定の適用があろうかと思います。
#23
○片山甚市君 そうすると、この「政治活動を行う団体」に関する問題は、さらに詳しく審議をいたしまして内示をしないと一般の団体を取り締まる――私は前提をつけましたね。選挙運動としてではなく、あるいはそれに紛らわしいものでないと言っておっても、なおかつそういうようにおっしゃるんてすから。――私は前提があるんですよ。あなたは、前提があってもそうだとこうおっしゃるんだから、大変でございますね。そういうことで、これは選挙運動でない、あるいはそれに紛らわしいものでないと前提をつけても、なおかつ、そのときには考えると、こういうことでございますね。
#24
○政府委員(土屋佳照君) 前提を置かれましたので、まあ実際上そういうことが前提であれば、事実上何も関係がない、紛らわしくないというような場合は、事態によって、いろいろケースによって違うかと思いますけれども、直ちに「政治活動を行う団体」とは言えない場合もあろうかと思いますが、ケースによって私いろいろ違う場面があるだろうと。たとえば、ある団体が候補者を推薦しておるといったような団体であるというようなことになりますと、一つの対策が政治的な目的を持って政治活動をするんだということに結びつく場合もあり得るだろうと思いまして、先ほどのようなお答えをいたしたわけでございます。
#25
○片山甚市君 どちらにしても、このことは、まださらに詳しく御意思を聞かなければ納得できません。そういうことを私は考えるということです。
 で、これを行うときには、施行通達は、警察庁より各都道府県、県の警察本部にこういうような指導をされるんでありますか。いかがですか、このことについては。
#26
○政府委員(土屋佳照君) この法律の施行通達につきましては、自治省でつくりまして、各選管等を通じて全国の市町村の選管までいくようにということで準備をしたいと思っておるわけでございます。もちろん、いろいろな問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、従来と特に扱いを変えるということは考えておりませんので、警察との関連においては、いままでと同じような考え方でお話を進めるということになろうかと思います。
#27
○片山甚市君 警察の関係は従来どおりということでありますから、このことについてはお聞きをして、次に進みます。
 で、政党等の機関紙についてですが、昭和四十六年三月十七日付自治選第二〇号の各都道府県選管あての自治省選挙課長通知のうち、確認団体のいわゆる機関紙を次の方法により頒布することができるかということで、一、二、三、四とございます。無差別に新聞折り込み方法で頒布すること、郵送により頒布すること、各戸別に頒布すること、街頭で通行人に頒布すること、これについての御回答がございますが、これは今日的に変更はございませんか。
#28
○政府委員(土屋佳照君) 今回の法改正あるいは修正をされましたところは別といたしまして、基本的な考え方としては変わりはございません。
#29
○片山甚市君 わかりました。選挙に関する報道評論を掲載しない号外について、同通知によりますと、「選挙に関する報道、評論を記載しない政党機関紙の頒布は自由か。」ということについて、「選挙に関する報道評論が全く記載されていない政党機関紙については、法二〇一条の一四の規制の対象外であり、その頒布は自由であって「通常の方法」の規制もない。」以下、略しますが、そう言っておることについては、これも変更はございませんか。
#30
○政府委員(土屋佳照君) ここで示されております回答は、通知はその後も変更いたしておりません。なお、この際でも特に、この頒布の態様によって法百四十六条に違反になる場合もある、ということが最後に書いてございますが、おっしゃるように、この考え方は変わっておりません。
#31
○片山甚市君 そういたしますと、選挙に関する報道評論の定義について昭和三十五年七月十四日の東京高裁判決がございますが、これは「「報道」、「評論」の意義」として、「公選法第一四八条に規定する「報道」とは、選挙に関する客観的事実の報告であり、「評論」とは政党その他の団体、候補者その他のものの、政策、意見、主張、選挙運動その他選挙に関する言動を対象として論議、批判することを指すものと解する。」以下、ありますけれども、そのことについて、政府の、本院の予算委員会で発言した統一見解は、このものずばりと解釈してよろしゅうございますか。この高裁の判決そのものずばりと解してよろしゅうございますが。
#32
○政府委員(土屋佳照君) この判決のとおりでございます。
#33
○片山甚市君 選挙に関するものと、そうでないものとの区別を明白にする方法として、特に選挙といった文字が出ない形で判断される継続的な政策の報道や評論は、そうでないものと解釈することでよろしゅうございますか。
#34
○政府委員(土屋佳照君) 先般も大臣からお答えを申し上げましたように、選挙に関する報道評論とは、その記事の内容、形式上、今回の選挙においてといったような形で絡めて関連づけて書いてあるといったような形の場合は、これは選挙に関する報道評論である。また、その文意から明らかにこの選挙で選ぶということがわかると、どの政党を選ぶかと、政策を見きわめる三つのポイントという例を申し上げましたが、そういう選挙でどうして選ぶというような直接的に文意から選挙に関連しておると、そういったことが入るということでございまして、単なる従来からの政策等を書くというものは選挙に関する報道評論には入らないと、こういう考え方でございます。
#35
○片山甚市君 先ほどお聞きしたのは、特に選挙といった文字が出ない形で判断される継続的な政策の報道や評論はそうでないと、選挙に関するものでないと解することができるかという質問に対しては端的にいかがでしょう。
#36
○政府委員(土屋佳照君) いまおっしゃいましたような純粋なものは関係がないと考えてよろしいと思いますが。
#37
○片山甚市君 そうしますと、何々党の政策は次のとおりというのならいいけれども、今次総選挙に当たってわが党は、何々党はというのはいけないというように言われたと思いますが、それでよろしゅうございますか。
#38
○政府委員(土屋佳照君) この号外のかっこうでもこれは報道評論でございますから、報道評論というかっこうでいまおっしゃいましたように、今度の選挙でと書かなければ、従来からの政策が出るという場合は、それは差し支えないというふうに考えます。
#39
○片山甚市君 そこで頒布の方法でございますが、通常の方法で頒布するの定義でございますが、前六カ月間において通常行われていた方法をいい、その間に行われた臨時または特別の方法を含まないと明確にしたと思いますが、選挙目当てに口実にできるような減ページ配布あるいは選挙期間中だけの地域版は認められないというように言われておるように思いますが、そのような解釈でいいのでしょうか。――わからぬですか。
#40
○政府委員(土屋佳照君) 今回の修正で六カ月間通常のかっこうで配布をするというもので臨時的なもの、形でやるというようなことは入らないということでございますから、おおむねおっしゃったとおりでございますが、ただ減ページという場合は、いままで十ページだったのが八ページになったら絶対いかぬとか、そこまでは言えないだろうというふうに考えます。
#41
○片山甚市君 若干進歩的な御答弁が非常に明確に、一ページたりとも抜けておったらだめだと言いそうなところが、少し緩やかなお言葉でございました。ありがとうございました。
 次に、一般紙誌についてでございますが、公選法第百四十八条が憲法に反するとの説を立てる人もいますが、すでに数多い合憲判決が出ていると理解するが、それはいかがでしょうか。
#42
○政府委員(土屋佳照君) 合憲だということに考えております。
#43
○片山甚市君 従来において、選挙の報道評論を掲載したものについては通常の方法とあるので、選挙に関しないものは通常の方法の規制もないと先ほどの御答弁で考えますが、いかがでしょうか。
#44
○政府委員(土屋佳照君) 規制はございません。
#45
○片山甚市君 従来においても通常の方法とは昭和三十年最高裁判決で、いわゆるこれは昭和三十年二月の十六日でございますが、「「新聞紙を通常の方法で頒布する」の形態」として「新聞の発行、販売者が、選挙に際し、従来に行っていた郵送の方法によらないで、特定の候補者の当選に有利な事項を掲載してその発行にかかる新聞紙数百部を氏名不詳者数名に交付し、町内に頒布させた行為は、公選法一四八条二項にいう新聞紙を通常の方法で頒布したことにあたらない。」とされていますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
#46
○政府委員(土屋佳照君) この判例はそのとおり生きておると私どもは考えております。
#47
○片山甚市君 つまりそれは、報道評論を掲載したものについて、定期購読者以外に対して行うときは有償に限られるものと解釈する、このようにおっしゃったということでございましょうか。
#48
○政府委員(土屋佳照君) 定期購読者以外の者については、一般の新聞紙も有償に限るとされておるわけでございますが、それは本来新聞というものの性格から出てくるものだと考えております。
#49
○片山甚市君 なぜ、そうしなければならないのか、その理由を述べてください、有償でなきゃならぬという。
#50
○政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、最近の選挙の実情をいろいろ見てまいりますと、場合によっていろいろ異なることがあるわけでございますが、また程度の差もあるわけでございますけれども、政党機関紙だけでなくて、一般新聞紙とかあるいは諸団体の機関紙の中にも、選挙期間中に特定の候補者の写真とか氏名等を大きく掲載をする、いわば選挙運動文書と余り変わらないと受け取られるようなものが大量に発行されて、これが各戸投け込みとかあるいは街頭頒布等によって、無差別に無償で頒布されておるといったような例もあるわけでございまして、一般選挙人から見てどうも公正ではないじゃないかと言われておるような状況もございます。したがいまして、選挙の公正を確保する意味で、そういった選挙期間中に、選挙に関する報道評論を掲載した一般新聞紙の頒布についても有償に限るということにいたしまして、必要最小限の規制を加えるということにしたわけでございます。一般の全国紙等については、特にそういう影響があるとは思いません。いろいろ新聞の形態によって違うと思いますけれども、ただいま申し上げたような趣旨で有償に限る。先ほども申し上げましたように、本来新聞というのは有償制が損なわれるほど無差別に無償で出すというような性格のものではないということは判例でも明らかでございます。そういったことを踏まえて、こういった有償ということにいたしたわけでございます。
#51
○片山甚市君 このことは大変な議論のあるところでありますから、そういうような説明はお聞きを本日いたしておきます。
 次に、適格紙に属する労働組合の新聞の頒布についてですが、通常交換されている友誼組合などへの頒布は当然のことと考えられますが、――もう一遍言いますよ、通常交換されている友誼組合などへの配布については当然と考えておりますが、いかがでしょう。
#52
○政府委員(土屋佳照君) 通常の頒布という場合は、先ほど申し上げましたような有償制ということが限定となっておりますので、大体組合費を納めておる人にその機関紙がいくといったようなことが通例だろうと思いますけれども、時たまPR等の意味を持って関連のところへ出しておるということがございますれば、その程度は問題は余りないのじゃなかろうかというふうに考えます。
#53
○片山甚市君 昭和二十六年六月十九日のいわゆる「「新聞」の範囲」という福岡高裁の判決、あるいは昭和二十六年三月三十日の「「新聞」の範囲」という労働組合の機関紙等についての判決については、自治省はそのようにお考えでしょうか。
#54
○政府委員(土屋佳照君) この判決のとおりの考え方をとっております。
#55
○片山甚市君 そうすると、昭和二十八年三月国警質疑集というので国家警察ですか、これは公選法第百四十八条第三項第一号イの項における有償頒布するものの意義についてというのは今日でもこのようにお考えですか。
#56
○政府委員(土屋佳照君) そのように考えております。
#57
○片山甚市君 昭和二十六年八月十日、京都地裁で組合等が発行する機関紙についての判決を下しておりますが、このようなことについては今日も変わりはございませんか。――むずかしいですか、読みましょうか。
#58
○政府委員(土屋佳照君) 恐縮でございますが、いつの判決ですか。
#59
○片山甚市君 昭和二十六年八月十日、読みますと、「組合書記局管理の下に書記長を発行責任者として、組合の活動状況、委員会決議その他臨時ニュースのある毎にこれを収録印刷し、組合員に周知させることを目的とする同組合の機関紙に代る号外的性格を持つ刊行紙が、選挙に関する事項を掲載しても、それがそのまま事実の報道としての使命をもつにすぎないものである限り、選挙運動のために使用する文書にあたらない。」、こういうように書いてありますが、これは自治省はどういうようにとらえていますか。
#60
○政府委員(土屋佳照君) ちょっと手元に資料が見つからなかったわけでございますが、いまお聞きしたところでは大体そういうことではなかろうかと考えております。
#61
○片山甚市君 特に民主団体あるいは労働組合に対する今度の言論抑圧のための公選法と言われる非難もたくさんあることについては、進んで政府当局はそのようになるのかならないのかを明らかにする義務があると思います。ただ、いたずらにいわゆる公正の名において、いままでのことを考えてもらってもわかりますが、選挙に出せる文書図画というのははがきだけなんです、本当は。政党の機関紙は別です。それに対して先ほどお聞きしたら、百四十八条は憲法違反であるのか合憲なのかというと合憲だということになっておる。その中での措置を十分に考えてもらいたい。
 次に、法務省あるいは自治大臣にお伺いいたします。
 一つは連座制の問題であります。道義的責任を当選人、公党が負うことがまず政治不信を除く上で前提だと思う。これは本会議で私が糸山さんを失礼でございますが、名指しの形で現実あるのでありますから申しました。これらは公党としては何といっても道義的に姿勢が正せるような政治家でなきゃならぬ。公党がそういう汚いものを掃除するというのは、本人ができなくても当然やるべきでないか、こういうように申し上げましたが、自治大臣、御心境はいかがでございましょうか、複雑でございましょうか。
#62
○国務大臣(福田一君) これはなかなかむずかしいといいますか、答えにくい問題でございますが、私は道義的な問題と法律的な問題とがあると思うんです。道義的に考えてみると、どうも何かわれわれとして納得いかぬものがありますが、しかし何といってもやはり法律違反でない限りにおいては、法律というものがある限りは、その法律でもって保護されておるというか、その法律どおりに従っておるということであれば、これを当選無効にさせるというようなことは私は非常に権利を侵害する行為になる可能性がある、こう考えますので、先ほどのように道義的の考え方と法律適用の問題と二通りあるように思う、こうお答えしたわけであります。
#63
○片山甚市君 まあ自民党ならそう答えなければ大変なことになりましょう、相当の人が傷が出るでしょうから当然でしょうが、私が質問を申し上げたいのは何かといいますと、公選法においていわゆる憲法で言う二十一条を制限できることになっておりますね。憲法で言う二十一条によるところの、いわゆる選挙期間中といえども、に限られるといっても、出版やあるいはそれらの問題について制限を加えていますね、出版あるいは言論。公選法ではそういうことができておって、片一方はそれによって生じた権利も若干制限されてもいいのじゃないかと、こう思います。思います、あなたは賛成しないんだから。いわゆる国民が選挙運動することだけは手を縛れるけれども、通ったものはどうしてもいいというような考えにとれる。いや権利は行使できる。権利でも若干は制限されるだろうけれども、できるだけ野放しにする、こういうことについては賛成できませんから意見を述べます。答弁はしたらまた損します、私の質問の時間が、あなたどうせ余りまともな返事せぬのに。後のことにしますから、私の同僚がまたやるでしょうから。
 これはまず道義的にそういうようなことになれば、司直の手にかかるとかいろいろなことになれば、みずからその姿勢を正すというようなことが最も国民の信頼を得ると思う。それに対しては、権利があるんだから権利で守ってやりたい、守られるんだからと、こう言う。しかし、選挙運動したら戸別訪問であろうと何であろうとすぐにつかまるようになっている。つかまった者については情状酌量は全くないと言ってもいい、いわゆるそれぞれの法に服さなければいかぬ、こういうことになっておりますから、意見を述べます。それは、それだって申し出たら裁判ずっとできるじゃないかということですが、しかし、当選した者は議員としての待遇を受けることができるんです、選挙違反をした者はそれを受けませんからね、だからそういうことを申し上げておきます。賛成をしてもらおうと思いませんから、これは私の意見です。
 次に法務省ですが、総括主宰者などとして一定の刑が確定した以上、当選人からそうでないと訴訟を起こせる道があるのはおかしい。それならば上告しているはずだと思います。ですから、私は法務省に聞きたいのですが、総括主宰者が一定の刑が確定すれば自動的に当選を無効にするということがなぜできないのか質問をいたします。
#64
○説明員(吉田淳一君) 本日本委員会に刑事課長である私が御説明に来たというゆえんのものは、検察官が法益の代表者として現在の当選無効訴訟の提起の原告になっておるということ等の検察庁に関する所管事項をつかさどっておる刑事局の刑事課長として、この点についての意見はどうかということかと思います。ただいまの御指摘の点について、私刑事課長としてその点について御説明することがふさわしい立場にいるかどうかは若干疑問があるのでございますが、あえてその点について若干の御意見を申し上げるならば、総括主宰者と申しますのは当該候補者に関する選挙運動の総括をした者でございますけれども、やはり候補者とは別の人でございます。そしてその総括主宰者が違反を犯したという場合におきまして、当該当選人である候補者がその違反のことについて何ら関知してなかったというようなこともケースとしては十分考えられるわけでございます。いずれにいたしましても、その当選人本人の犯罪によらずして総括主宰者自身の犯罪だけを原因、それだけで当選人の当選の地位という重要な地位を失わせることにつきましてはいろいろ問題があるのではないか、やはり本人に弁明の機会を与える等の措置を講ずることが法的には一番正しいのではないか、そういうふうに考えます。
#65
○片山甚市君 どうせあなたたちが答えるんだからそのぐらいしか答えないだろうとこちらも思っておりますが、納得できません。大体私は選挙やった男ですが、自分の総括責任者が、いわゆる相棒である候補者と意も通じない、勝手にやれる、いや勝手にやるということはありません、任すんですから、裁量行為なんですよ、一体なんですよ、本当は。そういって逃れるようにしてあるんだ、法律は。それは強い者が勝つようになっているんです。ですから、私は総括責任者ぐらいが一号、二号すべて同じに責任とらなければならぬと思います。などですよ、総括主宰者など。こう思いますが、あなたの方が別人であるからそうしたいというのはわかりました。納得はしませんが、それ以上言うと、また四の五のといろいろと御説明は、専門家でございますからおっしゃって時間が足りなくなるので、きょうはまだ時間が、これからゆるゆるありますから、別のときに聞きます。
 次、今回の改正に言う、当選人からの訴訟方式の切りかえから、同居の親族の場合、公務員の選挙犯罪の場合の二つは連座規定がありながら従来どおり、従前どおりに残されている意味は何ですか。総括主宰者についてはですね、いわゆる検事が告発できるというか告訴できるというか、できる形になっておりますが、これはなぜそうしているのですか。区別についてお知らせを願いたい。
#66
○説明員(吉田淳一君) この点につきましても私からお答えするのが適当かどうかよくわかりませんけれども、私が考えますのには、そのような場合にはいまだ刑事裁判において認定されない事実が残っておるわけでございます。たとえば、同居であったのかどうか、意思を通じたのかどうか、あるいは公務員等の地位利用のことにつきましては、その公務員にそういう違反をすることを要請した等の事実があるのかどうか、そういうことが当選無効の原因であることになるわけでございますが、その点については刑事裁判で何ら認定の対象になっていないわけでございます。したがいまして、そういう場合にはやはり現在のような法制をとって検察官から改めて当選無効訴訟を提起することによってその点についての司法上の認定を得てその上で当選の効力を決する、こういう制度にするのが妥当ではないか、こういうことで立案されているものと考えます。
#67
○片山甚市君 御説明は承っておきます。この連座制についてはしり抜け、実際は有効性を伴わないと考えるから質問しました。
 そこで、二百五十三条の二で、当選の無効に関するようなもの、その他一定の罪についての刑事事件処理は百日以内で終わるように努めなさいという規定がありますが、なぜこれが実行できないのか、これについて聞きたいのです。先ほども申しましたように、公職選挙法では選挙活動については憲法で言う二十一条の一部を制限しても合憲であるという、当選した人でもこういうようなことで制限を受けて選挙したのですから、当然裁判は百日なり、百日で悪ければ百五十日以内に、いわゆる任期の中で審決が下るようにならなければいかぬ。せんだっても中山太郎さんの例にように、もう前の選挙の判決で連座制が適用されたところで本人はすいすい涼しい顔をして秋の空のトンボのように飛んでおる。何のやましいこともなく飛んで、そして政務次官だなんだといってがんばれるというのは、私のような人間にはわかりません。あなたは、もし公職選挙法の適用で選挙運動した者については手錠をかけられるけれども、そしてそれについては比較的簡単にやれるのだけれども、当選したらそうなるのでしょうか。いわゆるそういうことで百日裁判がなぜできないのかについて、裁判所が人が足らないというならそれはもう少し変えたらいいです。本当になんでしょうか、お答えだけ。先ほどから、私は適当でないという人が来ておるので、非常に失礼だと思うのです。私が答えるのは適当でないと思いますけれども、と答えました。これは残念でありますが、ひとつ明確に答えていただくか、さもなくば回答を留保していただき、別の日に、いわゆる法務大臣でもどなたでもよろしいからきばっとお答えを願うように、私から要求します。
#68
○説明員(吉田淳一君) 御指摘の点については裁判の問題でありまするが、私どもの所管しております検察庁の検察官がその刑事事件に関与して、公益の代表者としてさらに公訴の維持に努めているわけでございます。そういう意味におきまして、御指摘のような状態になっていることについてはまことに私は遺憾だと思うのでございますけれども、これは、この点については裁判の運営という司法権を独立して担う裁判所が訴訟の主宰をして訴訟を担当しておられるのでございます。それについていろいろな理由があると思います。その理由についていろいろ詳しく述べれば私幾らでもこれから幾つかの点を説明できるのでございますけれども、しかし非常に長くなりますが、たとえば事件が複雑で関係人が多数、多いと、どうしてもその点については裁判所としては裁判上真相を明らかにして事実を誤りなく認定するという必要があるわけでございます。そのためには証人尋問をし、期日を何回か重ねるということがどうしても必要になるわけでございます。それは刑事訴訟法の持っている法律の目的に照らしてやむを得ないことでございます。しかし、それにいたしましても何とか――もちろん裁判所御当局において御努力されておることと思いますが、それと検察官それから弁護士会、三者がこの点についてさらにいろいろ努力する必要があるというふうに考えます。以上のことだけを私からお答え申しておきたいと思います。
#69
○片山甚市君 事実を述べられたということではそのとおりでしょう。百日以内で終わるようにできないんなら書かないようにしたらどうですか。努力をするだけのことじゃなくて、こういうものはわれわれのやっぱり清潔さ、院内におけるそれぞれの仲間をいわゆる尊敬し合う立場からもやはりやりたいというのは、議員の一員であります。言い過ぎた点についてはおわびをしなければなりませんけれども、とにかく国会議員というのは胸を張って、どこからも指をさされぬようにしてお互いががんばらなければ、何かくさいぞと言われるような立場の中で、おれは関係ないということは言えないのであります。どうしても皆一色に見られる。こういうことでは――そうでないと言ったらそうなりますから、その意見を述べます。これも大臣に答弁を求めたいと思ったが、同じようなことを答弁しておったから、もうやめておきます。
 次に、解散告知電報について聞きます。これが禁止されることは非常によろしいが、郵便または電報により選挙人にあいさつをしてはならぬとありますが、郵便には親書も含まれているのかどうか。簡単でございますが、お聞きをいたします。
#70
○政府委員(土屋佳照君) 郵便という場合は親書も含まれております。
#71
○片山甚市君 そうすると親書はどういうように点検をしてこれをながめますか。この親書をどのようにながめますか。ながめるというのは、親書を開封する方法は、あなたの方はどういうふうにされますか、お聞きをいたしたい。
#72
○政府委員(土屋佳照君) 解散に関連して親書を出すということも禁じられておるわけでございますが、それを一体どうして把握するのかという御趣旨でございます。これは各人がそれぞれ出すわけでございますから、管理機関なりあるいは捜査当局がそれを一々見るというわけにはこれはいかぬわけでございまして、法の規定に従ってそれは守っていただくということでございますが、違反があった場合に、無差別にたとえば出したというようなときには、やはり一般の人がこれは違反ではないかということで問題を提起するということは、これはあり得ると思います。そういう面から国民の目によって判断をされるということになろうかと存じます。
#73
○片山甚市君 よくわかりました。禁止されることはよろしいと申し上げながら聞くのは、書いてあることについて、すなおに、しかも厳格に実施をするとしたらどのようなことになるかを確かめたかったからであります。実はいろいろ書いてあるけれども、それはいろいろくぐり抜ける方法があるんだという選挙とらの巻などというのが必要でないように、この公選法の審議なら審議でやらなければならぬ――いや、そんな首をかしげているけれども、実際たくさん違法文書が出て、腹腹時計じゃないけれども、出ておるんでしょう、私が見るところ、いろいろとやり方が。ですから、ちょっとお聞きをしました。もうこのくらいにしないと、おまえは何をしているんだと、こう聞きたいでしょうから、これは今度禁止になりますからね、お聞きをしました。
 次、選挙権のことについて自治大臣にお伺いします。
 憲法第十五条で「公務員の選挙については、成年者による普通選挙」とございますが、これをもって二十歳以上の制約をしておりますけれども、やめる意思がないか。いわゆる成年の差というものを満十八歳ということで考えてはならないかどうか。いわゆるそういうお考えがあるかどうか、そういう討議をされておるかどうか、自治大臣にお聞きをしたいのです。
#74
○国務大臣(福田一君) わが国の選挙権年齢は諸外国と比較して必ずしも高過ぎるとは思っていませんけれども、最近イギリスやアメリカや西ドイツ、フランス等に見られるように、選挙権の年齢を引き下げた例もございます。それでありますからして、われわれとしても大きな関心を持っているわけでありますが、選挙権年齢の問題は、以上述べたようなそれぞれの国の民法上の成人年齢、兵役義務年齢などと関係の深い問題として処理されておりまして、わが国の民法その他の法体系全般との関連も十分考慮しなければならないと考えております。
 なお、わが国では、最近の世論調査の結果では、世論の動向は必ずしも選挙権年齢の引き下げを積極的に肯定しているとは見られないので、この点もやはり配慮する必要があるかと考えておるわけでございます。
#75
○片山甚市君 そうすると、憲法第十五条で言う「公務員の選挙については、成年者による普通選挙」というのは、年齢的には十八歳にしても憲法に違反はしないけれども、諸制度から、現状からいま変える意思はないというか、変える計画は持っておらない、憲法上十八歳にしてはならぬなどということから始まった論議ではないと、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#76
○国務大臣(福田一君) 私は憲法でそれを禁止しておるとは思っておりません。
#77
○片山甚市君 やはり労働基準法、いろんなものから考えてみても、今日的に言いますと、高校卒などを考えると、実際上十八歳ぐらいですべての社会的な役割りを果たし始めておる。責任を持つということは大変でございます。この普通選挙権を持つときでも、一般国民はこういうものを持っても判断ができないと言われました。婦人が参政権を得るときでも、婦人が参政権を得ればだめになるなどと言いました。年齢を下げるとそれはどうかと、こうおっしゃっておるようでありますが、これはそれぞれの見方がございましょうが、いまお聞きするのは、やはり大勢として十八歳で選挙権を与える、こういうような使えるような状態に持っていくように、私は意思を持っていますからお聞きをしました。さらに答弁を求めません。
 あなたが大きらいなことについて質問します。戸別訪問です。衆議院では自民党の小泉議員から戸別訪問を解禁せよという御発言をいただきました。同感の至りだと思いました。自民党の皆さんからそういうことになりましたので、何か改正されるかと喜んでおりましたが、何らとびらが開かれず今日に来ましたけれども、ひとつ戸別訪問について将来自由化をするために門戸を開いて、議院でさらに懇談を持つとか広げていくような努力をする意思はないかどうか。いわゆる国会の中でも戸別訪問のあり方をもっと考えて、国民と接触する場所にいろいろと制限がございましょう、戸別訪問で人権の問題がありますけれども、ただ街頭でマイクでどなり散らしておるということも芸のないことだし、集会に集めるということも芸のないことだし、やはり親しく話をするようなことをしながら、一人一人のプライバシーあるいは私権利を守りながらやるようなことについて、自治大臣は一層の検討をしてみる意思はございませんか、お伺いします。
#78
○国務大臣(福田一君) その問題は、実は私も、党の選挙制度審議会委員の一人であったときに、戸別訪問是なりや否なりやという問題でいろいろ検討をいたしたことがございます。結果においてはこれを認めることにはなっておりませんが、私は検討すべき一つの課題であるというふうに考えております。
#79
○片山甚市君 検討したい課題というだけでなくて、やはり戸別訪問という場合は幾つかの制約条項があるという前提の中でも、人と人との触れ合いというようなものが、よりぎすぎすした世の中でなくて、親しみと、そういうものを持つものと思いますから、私は強く一歩進めてもらいたいということを申し上げます。一歩進めてもらいたい。あなたは検討するとしか言わぬ。もう一遍聞いても、いやそういう御意見を承りますとまた返すことでしょうからもうお答え要りませんが、とにかく私の一人合点にしておきますが、今後の検討課題だと言われることをわかるんじゃなくて、これは進めてもらうことによって幾つかの問題がクローズアップする、このように思いますから、意見を述べておきます。
 次に、在宅投票制度についてです。昨年の公職選挙法改正に伴い郵便による不在者投票制度が設けられ、全国的には去る統一自治体選挙で実施されたことになりますが、対象者となる身体に重度の障害がある者の概数は幾らでございましたか、まずお答えを願います。
#80
○政府委員(土屋佳照君) 対象となる身体障害者が約九万八千人でございまして、そのほかに戦傷病者で手帳をもらっておられる方がおられます。これが約二千八百人でございますので、十万を若干超した数だというふうに聞いております。
#81
○片山甚市君 そこで、その人たちから申請があり、郵便投票証明書を交付した数は幾らになりましょうか、御統計がすでにでき上がりましたか。
#82
○政府委員(土屋佳照君) 先般の統一地方選挙の結果で最近まとめましたところでは、二万四千三百八十二件でございます。
#83
○片山甚市君 不在者投票が行われたものの総数は、そのうち幾らでしょうか。――そのうち、不在者投票の行われたものの数は幾らでしょうか。それと別でしょう。
#84
○政府委員(土屋佳照君) 選挙によって違いますので、分けて申し上げます。
 市町村長選挙で六千三百十四人、それから市町村議会議員で一万五千八百六十九人、知事の選挙で七千二百九十八人、都道府県会議員の選挙で一万三千四百二十九人でございます。御承知のように、この統一選挙は全体ではございませんが、おおむね申し上げたような数字でございます。
#85
○片山甚市君 これを実施するに当たっての問題点として自治省はどのようなことをお考えでございましょうか。問題点として、この不在者投票あるいは先ほど言いましたところの郵便の投票等について、新しくつくったについてどんなことが問題点だとお考えになりますか。
#86
○政府委員(土屋佳照君) 私どもがこの法律に従って――私どもと申しますか選挙管理委員会か管理執行する上におきましては特別に問題はなかったというふうに聞いております。ただ、いろいろと新聞等では手続等について、あるいは非常にめんどうであったのではなかろうかとかいったようなこと等も出ておりましたけれども、まだ私どもそこまで分析した調査ができておりませんので、よく今回の実情等を聞きまして、こういった制度がうまく運営できるように今後とも努力をいたしたいというふうに考えております。
#87
○片山甚市君 先ほどのお話のように、いわゆる身体障害者については十万ほどの人が対象になり、投票した人は先ほどのような形で少のうございます、ですね。で、私は、問題がない、いまのところありませんということについては、あなたがそうおっしゃるのだから、これから問題を見つけまして、あったかなかったかについては、あったらひとつきゅうきゅうととっちめる。これは公職選挙法改正特別委員会がなくなれば別ですが、またなくなってもあなた方自治省がありますから、それをひとつ、そういうことについてはお聞きすることにします。私は、なぜかというと、こういう人たちに対して光を当てようじゃないか、何としても権利を行使させようじゃないかということになりました。そこで二つ目に、病院、老人ホーム、更生施設などにおける投票について、いわゆる五十名以上についての基準を持っておりますが、今回の結果から言いましても、管理能力を高める措置を自治省がしっかりとって、病院長、あるいはそれぞれの担当の管理課の人たちをして拡大をしていくという努力はいたしませんか。そんなつもりはない――ありますか。
#88
○政府委員(土屋佳照君) その前に一言、先ほどのことでちょっと誤解がないようにお願いいたしたいと思うのでございますが、私が申し上げたのは、管理、執行という面から見て、不正投票があったとかどうとかといった、そういった面から焦点を当てて、最初に申し上げ、後はまた別な意味で申し上げたわけでございます。
 ただいまの、不在者投票をすることができる指定病院の基準でございますが、これは御承知のように、くだくだ申し上げませんけれども、やはり投票管理者として不在者投票について十分な管理能力を持って選挙の公正の確保について問題がないようにしなければならぬ、そういったことがございますので、御承知のようにおおむね五十ベッド以上、五十人以上の人員を収容することができる規模を持っておるところということを基準といたしております。しかし、最近のいろいろな病院の実情等を聞いてみますと、若干情勢の変化もあるようでございますので、そういった点については五十ベッド以下のものについてもあるいは指定できるような基準の改定ということについて私どもとしても前向きに取り組んでみたいというふうに考えております。
#89
○片山甚市君 一挙にできませんが、私の方の手元の資料から見ると、とりあえず三十名程度ぐらいから――いま五十名ですか、三十名程度くらい以上のところを対象にできるように努力をしてみるおつもりはございませんか、施設の数の関係がありますから。
#90
○政府委員(土屋佳照君) ただいま申し上げましたのは、そういった意味で基準を下げるといった方向で検討してみたいというふうに考えております。
#91
○片山甚市君 先ほどは不正とかそういうことはなかったということでお答えがございましたんですが、私は在宅投票制度をつくりましても、これを有効にするためには社会的にいろんな協力がなければできないと考えます。そういう点で、対象となる身体の重度の障害者に対する幾つかの措置を講じなきゃならぬだろう、日常的にですね。厚生省の日常の援護、いわゆる養護施設あるいは福祉施設、いろんなものについて家庭に対するサービスがなければ投票などに行けないと思いますから、これは自治省だけでできることじゃなくてですね。私の方でこれは特にそういうことを申し上げておきます。このことはもう一度私の方から時間があるときに質問をしたいと思うのです。
 次にお伺いします。昭和四十九年十二月に都道府県選挙管理委員会連合会から要望書が来ておりますが、本件について政府原案をまとめられたときに、どのようにこれらの問題をいわゆる考慮されたのか、考慮されたかどうかということをまずマクロ的にお聞きをしたいのです。
#92
○政府委員(土屋佳照君) 連合会は私どもと非常に密接な関係がございますので、いろいろと議論をやったり要望等もあるわけでございまして、できるものはその中からやりたいということでやっておるわけでございますけれども、非常にたくさんな要望等がございます。直ちに取り上げるのは現状からどうかというようなこともございまして、よく連絡をとりながら話し合いを進め、チャンスがあれば直そうというようなことをしておるわけでございます。
#93
○片山甚市君 それでは時間がございませんから数点にわたってお聞きをしたいと思います。
 一つは、「選挙人名簿に関すること」ですが、国会議員の選挙の場合、住所を移転したために選挙権を行使できないというのは不合理だという意味で、法第二十一条に関連します住所を移転した者で旧住所地で抹消されている者が選挙人名簿の基準日において三カ月の住所要件を満たしていないために名簿に登録されず、このため国会議員の選挙において投票できない者が多いが、これらの者の投票の行使を確保するために制度を変えていただきたい、改めてもらいたいという要望書が出ておりますが、このことについてどのように御検討願い、これからどのようにされるかお伺いしたいのであります。
#94
○政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、転出をいたしますと、もとの市町村の名簿に四カ月残るということでございまして、そして新しく転入したところで届け出てから三カ月たって登録をされる。そこで、その間に一カ月ぐらいは国の選挙についても余裕を見ておるつもりでございますが、選挙の日の取り方いかんによって若干何日か、法定の二週間以内に届け出なかった場合に少し問題があるということは、私どももいろいろ議論をして承知をしておるわけでございます。転入してすぐ届け出れば別に問題ないと思うのでございますが、いま御指摘のようなこともあり、選管の方からも要望がございますので、私どももその点については検討をして、この条文等について直せるような機会があれば、その際十分ひとつ検討してみたいというふうに考えております。
#95
○片山甚市君 ただいま選挙部長の方からお答えをいただきましたことに関連するんですが、選挙人名簿登録資格の改善について、いまちょっと同じようにお答えがありましたが、「選挙人名簿に登録されている者が他市町村へ住所を移転し、住民基本台帳法第二十二条に規定された期間内に転入手続をした場合には、投票日いずれかの市町村の選挙人名簿に登録されているように改正されたい。」これは先ほどお答えのあることになるんですけれども、参議院選挙などの場合にそれがちょうど時間的に間へ入ります、一カ月の間に二十五日間選挙がありますから、ですね。そういうことをお知りでしょうから、私から詳しく言って時間をとらなくてもいいでしょうが、これはどうでしょう、改善をされるようなおつもりはございましょうか。
#96
○政府委員(土屋佳照君) ただいまお示しのようなことがございますので、もとの市町村に四カ月の間置いておるわけでございますけれども、若干選挙の日取りによって問題を生ずる場合もございます。ただいまの点も含めて、十分検討いたしたいと思っております。
#97
○片山甚市君 これは四十八年の五月から要望してきたので、早く改正してほしいという特別のタイトルがついておることですが、「立候補に関すること」で、各種選挙事務合理化の見地から、立候補届け出期間と選挙運動期間を切り離す等、事前に立候補者を把握できる立候補予備登録的な制度を設けるようにしてもらいたい、法第八十六条に関連をして。理由としては、立候補者数を事前に把握できることにより選挙公営全般、特にポスター掲示場の区画面数、テレビ政見放送の枠どり及び各種選挙運動用資材の調製等の合理化に資するとともに、むだの少ない選挙執行を可能にしたいと思います。特に選挙事務をやる場合に、そのような新しい提案がございますが、これは検討の余地がございましたでしょうか。検討されておりましょうか。
#98
○政府委員(土屋佳照君) 管理執行の上から確かにこれは一理のある申し入れでございまして、私どももこれがかなり前からいろいろ議論はしているところでございます。選挙運動期間の開始前に立候補届け出期間を設ければ事前に候補者を把握できますので、公営の選挙運動事務等の準備を行えるということになりますので、選挙管理委員会にとっては非常に便利であります。私どももそれができれば非常に望ましいというふうに考えております。ただ、その反面、たとえばいまのような予備登録といったものをいたします場合に、その登録はどういう性格なのか、後でまた本登録ということになるのかどうか、どういった関係でとらえるのか、そしてまた予備登録の申請をした後で、現実に立候補してくれればいいんですが、立候補しなかった場合に、たとえば今度みたいに証紙なんかが多くなってまいりますと、一体どうするんだというようなことが出てまいります。なかなか解決しなければならないものも多いわけでございますし、そのほか小さいことを言えば、予備登録制度をとることによって事前運動を誘発するとか、どうとかいう意見も言う人がございます。そういったことがございますので、すらっと改正に踏み切るというわけにはまいらなかったわけでございます。しかしながら、だんだんこの公営も拡充されるということになりますと、まさにこの管理上の問題がございます。一体何人が立候補されるかということによってポスター掲示場の枠を幾らとるか、あるいはまた証紙等も一人について何十万ということになりますと非常に問題があるわけでございますので、私どもとしては予備登録ということでなくって、もっと何かうまい方法がないだろうかということで、内心そう思っておるわけでございます。ただ、いろいろ問題がございますので、そういった希望を持ちながら、なお検討を続けてみたいと思っておるわけでございます。
#99
○片山甚市君 各市町村あるいは都道府県の選挙管理委員会が実務をやり超過負担の問題が議題になるように、大変職員の関係もございますし、これは可能な限り合理的にいわゆるやれるように、検討だけでなくて、やはりそれが実現するようにすることは関係の職員のいわゆる労働条件といいますか、合理的な、的確なことをするためにも大切なことと思いますから、いまのようなことを一歩進めてやってもらいたい。検討しておる最中ではなくて、もう少し次の選挙にはできるような提言をいただきたいと思います。それがやはり選挙事務を自治省が各市町村あるいは都道府県に委任をし、大変御協力を願っておる立場からいって当然のことではないか、こういうようなことについては真剣に取り組んでもらいたいと思う。
 次の問題ですが、私がこのことについて必ずしも賛成という意味ではありませんが、立会演説会に関することです。「立会演説会の開催回数を大幅に減らし、多数収容できる公会堂等で重点的に行い、テレビ中継録画放送により周知できるようにすること。」これはなぜかというと、最近における立会演説会の傍聴人数の減少、それが減少の比率、社会生活の実態等からして、テレビ放送を利用した効率のよい立会演説会に切りかえるべきだと選管の方では考える。こういうことで、ここで減少しておるという、率が下がっておるということでございますけれども、このようなことについて、いわゆる自治省の方では検討されましたか。その辺についてはどういうことでございましょうか。
#100
○政府委員(土屋佳照君) 立会演説会につきましては、いろいろと運用の実態というのは皆様方の方がよく御承知かと思うわけでございますが、昭和四十四年の改正の際にテレビによるこの政見放送を実施いたしたわけでございますが、その際に、その回数を約三分の一程度に減らす、ただし地域の実情に応じて運用するということで国会の決議もあったわけでございます。そういうことで三分の一程度に大体縮めたわけでございますが、最近の実態からすれば、公営制度の拡充とあわせまして、御指摘のような回数を減少し、あるいは廃止をしてはどうかというような、直接先生の御意見でないかもしれませんが、そういう意見もあるわけでございますが、地域によって実情も異なりますので、従来の経緯とか、今後の実態の推移等を勘案をしてみたい。とにかく非常に苦労するわりには参集率が非常に少ないというような実態があるわけでございますが、さればといって、地域によって事情も違うので、その点はなお検討をいたしたい。ただ、立会演説会のテレビ――大きいところに人をたくさん集めて、それで中継録画をすることはどうかということでございますが、それがうまくいけば、これは一つの考え方であろうとも言えましょうが、その性質から見て、いわゆる個々人の政見放送とは異なりまして、候補者の演説時間が大体一人二十分ぐらいはあろうかと思いますが、かなり長いということと、会場における秩序保持――非常に問題が起こったときに途中で中断した場合は、これが公営ということになりますと、一体その選挙の効力というものはどうなるかと、いろいろ問題を生ずることもあるわけでございますので、なお、これはやっぱり慎重に検討せざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
#101
○片山甚市君 私自身、立会演説会の回数を減らしたいという意味でなくて、個個の都道府県から出ておりますから、そういうようなことについてあなたたちがどのように考えを持ち、どのようにしておるかということを確かめました。希望的なことを申し上げるのでなくて、テレビの問題については、先日の当委員会で私が述べたように、茶の間に今日はと言って呼びかけられるのは、テレビというものは今日的であります。この拡大を図っていく。特に質問を先日いたしませんでしたけれども、政党の代表などが親しく呼びかけて、そしてその党のイメージというか、考え方というものを明らかにするような政党代表のテレビ放送、こういうものを大切にする。そこから受ける人間的な近しさ、そしてまた、そこから受ける、いわゆる何といいますか、はだで感ずる親しみというようなものを求めようとされるのかどうか。これについては比較的に冷淡であります。後で同僚の秦議員の方から詳しいことをまた質問をさしてもらう機会があろうかと思いますが、テレビについても民間――民間ですか、民間は、あれはコマーシャルでやっておるから、余り安いのでは、にこにこと何ぼ自治省が、お役所が言っても従いませんから、お金を出さずにと言ったら失礼でありますが、公共放送なんだからおまえのところはただでやれと言わぬばかりに言わないで、しかるべく、今日の世の中ですから、つり合いのとれるようなことで考える、案をいまから考えてもらいたい。うちの方の秦議員が質問したときには検討いたしますなどと言わぬと、予告をいたしますから、これはわが、いわゆるニュースキャスターとしての有名な過去の経歴を持ちまして現実にもがんばっている秦君がやりますから、そのときには、いまの集めてやる立会演説会のようなものをやめてやれというような意見を具体的に生かしていく。労力だけ多いけれども、信者だけが来て手たたいて、自分の終わったらさあっと帰って、もう本当にむなしい、むなしい立会演説会をされた者は、ああ、これでいいのかと思う。ならば、もっと、もっとお金も物も大事に使いながら人のものも考えてもらいたいというのが、実は質問をした――都道府県選挙管理委員会連合会じゃなくて片山甚市――片甚が皆さんにちょっと聞いているわけですな、これは。本当のことを言いますと。
 それで、次のことです。「争訟に関すること」ですが、「違憲訴訟等選挙の規定自体の不法違法を請求の原因とする争訟は、選挙の効力に関する争訟の対象外とするか、または被告を自治大臣とすること。」にしてもらいたい。といいますのは、制度論を争う争訟に選挙管理委員会が当事者になるなどというのは妥当でないし、委任事務をやっておって、そういうことかなわぬというわけです。ですから、この点について、いわゆる選挙管理委員会に対してどのような御答弁をされておるのか、それで、こういうようなものについて制度的に検討されておるのか、お聞きをいたします。
#102
○政府委員(土屋佳照君) 選挙の効力に関する訴訟は、公職選挙法上は選挙の規定違反があることを理由として選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるかどうかということについて争う訴訟でございます。そういった意味で、その選挙の管理に当たる選挙管理委員会――全国区の場はこれは中央選管でございますが、訴訟当事者となるということにされておるわけでございます。違憲訴訟についていろいろとそういった要望があるわけでございますが、選挙に関して違憲問題等について争う等奪うということはなかなか適当ではないというふうに思うのでございます。これはやるとなりますと訴訟制度の基本的な問題でございます。いま、その直接違憲――憲法違反であるということを直接裁判で争うということはむずかしい。そこで、選挙の効力に関してこういった方途がとられておるわけでございますから、直ちにこれをとるということは選管がいろいろ言われてもむずかしいことじゃないか。それじゃ、また自治大臣を訴訟当事者とするということにしてはどうかということでございますが、これについては、自治大臣は選挙を直接管理、執行する立場にはないわけでございますから、訴訟の性格上当事者となるということは、これは適当でないということになろうかと思います。したがいまして、訴訟の内容が違憲問題に及ぶことになりましても、具体的に特定の選挙の効力が争いの対象となっておりますときは、その選挙の管理、執行の衝に当たっておる者が当事者となるということが適当であるというふうに考えるわけでございまして、いろいろ、この選管としては憲法問題に及ぶといったような問題を自分たちかやるのはどうかという意見でございますし、言っておる気持ちはわかるのでございますけれども、いまのこの訴訟制度全体から見て、これは、この制度はそう簡単には変えられぬだろうというふうに考えております。
#103
○片山甚市君 このことについては、にわかにいまの御答弁で納得できませんで、考えさしていただきます。といいますのは、やはり選挙そのものは自治省の管轄下の問題でありますから、やはり具体的なことについては選挙管理委員会かわからぬけれども、裁判事象になりますと、それはやはり当該の選挙管理委員会が大変だと言っているので、これをどのようにするのかという具体的な手助けというか、そういうものを具体的にやっておれば――名前は選挙管理委員会でいいんですよ。実態は自治省がやっておったらいいんですよ。おわかりですか、実態は、その手助けを。ところが、その選挙管理委員会が全部矢面に立ったのではこれはかなわぬでしょう。私は意見を述べるので、あなたはそれはだめだと言うておるのだから、それは意見の対立ですから、もう少し私も、そのどちらにつくかじゃなくて検討さしていただきます。
 あと二つだけ質問いたしますから、もう終わりますから、ひとつ御勘弁願いたい。これは昭和五十年一月二十一日付で私あてに社団法人日本新聞協会広告委員会委員長岡本敏雄さんから、実は公職選挙における新聞の候補者広告の寸法を現行の二倍に拡大し選挙民に候補者の政治信条など詳細な情報を伝えるとともに、金のかからぬ選挙実現への一助とする件につき御協力を願いたいと言うてきました。これはもう自治省の方へ出しておりますので、こういうことでありますから、もう先刻御承知と思います。現在の寸法は昭和二十九年十二月八日につくられ、そしていわゆる横五センチ、縦二段組みということをさらに改めたもので今日に至っておることは御承知のとおりです。ところが、そのときに書いてあるように、一日のページ数が全部で、中央紙あるいはブロック紙で朝刊と夕刊を合わせて十二ページ、そうして地方紙では八ページぐらいだと。いまこのときに、昭和五十年の一月の現在では、中央紙は御承知のように二十四ページから三十六ページ、地方紙では朝刊、夕刊合わせて二十ページから二十四ページというようなことで、三倍ほどにふえておるわけです。現在は新聞の大きさが昭和二十九年に比べると三倍ほどの大きさになっている。八面とか四面とかの新聞であれだけの大きさをとれば大変目立ったんでありますが、今日では広告の中でありますから、あんな小さいものではやはり困るという――いや目立たないという――それは必ず言いましょう、自治省は。大蔵大臣の方がお金を出すならおれはいいけれども、なかなかお金が出ないと言われるけれども、金のかからぬ選挙をしようとすれば、やはり家庭に入る新聞、家庭に届く電波などというもの、なるべくいまの資材いわゆる紙あるいは電気などを使う。新しく使うんじゃないんですから、これについて新聞経営上成り立たないんじゃないでしょうか。やってあげましょう。テレビなら電波数ございません、時間ございませんとお断わりばかりされておるけれども、今度の方はこれは商売でございますから、各新聞社が。そうすると、共同謀議してやってくれるんですか、これは。そうですな。社団法人日本新聞協会広告委員会というのをつくって、各社がうん言うておるんですから。これはどこも拒否をしていないんです。せんだって政党政策についての広告がありますからあれだけでいいじゃないかとおっしゃるけれども、それは今度違うんです。にこっとした顔を入れた個人の候補者の公報ですね、これ。わかりますか。それがまたいいんですね、これは。大変みんなに受けるんですから。そのときに書いた文章によってこの人の考え方、人格、これがにじみ出るんでありますから、このことについて、この際十分に検討する。そのかわり道端にどんどんどんどんといやなほどビラをまくことがない。そしてみんなによくわかる。知らす権利もない、知らされもせぬという選挙をしておるということのないためにも格段の御努力を願えないだろうか。いや、あなたの方に質問通告してないから、おれは考えていないと、こうおっしゃるかもわからぬけれども、考えていないようなことを聞くのも私の仕事でございまして、一つぐらいは。何も初めからしまいまであなたにお聞きすることは大変だから、これは自治大臣、このようなことについてどういうように前向きにとらえるか。これはずっと前からあなたの方に申し入れておるんだが、うんもすんも言うてこないので、私の方にきたというか、皆さんにきた。こういうように書いて、昭和四十八年六月十九日付文書で自治大臣あてに申し上げて、ただいま衆議院で公職選挙法改正に関する特別委員会で審議しておるので十分に反映してもらいたいと書いてあるんだが、いわゆるそういうことで金のかからぬ選挙でビラがどうだのこうだの言ってむずかしい話ばかりしておるんですが、そんなことをせぬでもできるようなものについていかがなものでありましょうか、御質問を申し上げます。
#104
○国務大臣(福田一君) そういう書類はわれわれも実は受け取っておるわけでございます。それについては、御案内のように、今度は個人のビラもできることでもあるし、選挙については新聞に党の政策も述べることができるということで、どっちの方をとるのがいいのかというようなことでもいろいろ考えたんですが、やはりどうしてもその個人ビラの方へということになったもんですから、そちらの方へ若干重点が移っておるというのが現在のところでございます。
#105
○片山甚市君 結論わかりました。しかし、個人ビラも先日の戸塚さんの話によれば、新聞折り込みをするというわけです。新聞社に新聞の皆さんに迷惑をかけることはこれは同じですね。これは折り込みせぬでもいい。だから大変でございましょうから、私はこのビラを反対しておるんではないですよ。やはりこれは十分に検討された上でありましょうが、この委員会で取り上げてすぐに実施せよと言っても始まりませんから言いませんけれども、これは一考に値する。これはある資源を有効に使い、しかも国民には広く伝わる機会があるこういうふうに申し上げておきますから……。
 最後に、選挙の管理体制の強化ですが、公選法等の解釈は事案ごとに司法当局が判断する前に、選挙管理委員会が判断をはっきりできるように指導すべきでありましょう。それに呼応できるためには、体制を強めてもらいたいと思うんです。実は、自治省の今日の選挙部でありますが、初めの第六次審議会の答申では、選挙庁をつくれなどということで、わりに選挙というものを重視しようとしたけれども、役人を減らせという要求が強いために、一番先に、選挙はできるだけでたらめとは言わぬが、抜かりのあるようにせいというばかりに部にしてしまっておるんですが、このような数では、こういうような人数では、都道府県の選挙管理委員会も大変忙しい。超過負担にもなる。こういうことを考えると、絶対これは、大蔵省が何と言おうと、選挙をきれいにしようというなら、失礼でございますが、自治大臣、これはサービスとともに周知をし、公報をし、先ほども申しましたように、寄付を禁止するならば、先日も言いましたように、なぜ禁止するのかということについて良風であるいわゆる喜怒哀楽、人が死んだときに花輪も出さない、香典も出さないというようなことは、本当はしたくてもできない。しないことはなぜなんだということをきちんとせなければ、法律では禁止しても、事実上はもっと野放しにやるということになると、ここで立法をしておる立場がなくなると思いますから、ひとつこの選挙管理体制というか、選挙をよりスムーズに、そしていまのように、いわゆる選挙立会人が十一時間、十二時間もおるので、できたら二交代にしてくれなどという――ここにありますか、もう演説が長いからやめますけれども、そんなことを含めて、下の都道府県関係の市町村の選挙管理委員会のメンバーは大変な苦労をしてやるんでありますから、そういうことを踏まえて、それは選挙部の諸君もそうでありましょう、自治省全体も協力するんでありましょうが、一年に一遍もない、三年に一遍、二年に一遍ずつでしょうから、だけれども選挙はぐるぐる回るから、大体、大変各市町村では忙しい、こういうように考えます。そこで最後に、いま言いましたように、これからの選挙管理体制について、選挙管理委員会の体制について充実をするように努力をされるかどうか、大臣として。大蔵大臣がだめだと言ったなどと言ってはだめですよ、初めから言うんだから、あそこは。何でも断るんだから。それだから、このお願いをしたい。それで終わります。
#106
○国務大臣(福田一君) ごもっともなお話でございまして、幾ら法律をつくっても、それが円滑に行われるような人員を確保しておらなければこれはできないということは、御趣旨のとおりだと思います。そういう意味で、今後私としては、選挙部などというのは、局――まあ前に戻して、それから人をふやすというふうに努力をいたしたいと思いますが、それについてはやはり皆さんの御協力を得ないというと、なかなかこれは実現をいたしません。また、選挙管理委員会の内容についても、これを運営していく上ではやはり充実していかなければならないと思います。そこいらは自治省としては地方の公共体にいろいろと指示をし、また相談もした上で、今後も御趣旨に沿って努力をいたしたいと考えております。
#107
○片山甚市君 私は二、三の点について残した形でありますが、社会党がいただける時間の中でもう一度勉強して質問をする機会を得たいと思いますから、本日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
#108
○多田省吾君 公選法、政治資金規正法に対する私どもの基本的な考えは、まず第一に、衆議院と参議院地方区の定数是正を必ず行うことでございます。
 またさらに、衆議院の選挙制度を小選挙区制にすることは、議会制民主主義を破壊し、また参議院全国区に比例代表制をしくことも、これは参議院を破壊することにつながりますので、二つとも絶対に反対でございます。
 さらに、選挙運動は、戸別訪問等を自由化し、さらに自由化すべきものと考えます。また、政治活動ももっと、もっと自由化していくべきであります。しかしながら、選挙において買収等の悪質な実質犯に対しては厳しく罰則を強化して、それをさらに禁止する方向にすべきであると思います。また、政治資金に関しましては、企業と政党の癒着を防ぐために、また政界を浄化するために、どうしてもこれは企業献金を全面的に禁止し、団体献金等も禁止いたしまして、政治献金は限度額を設けて個人に限るべきものとする、こういった考えで私たちは選挙、政治の浄化を図っていきたいと、このように考えております。しかるに、今度出された公職選挙法、また政治資金規正法の政府の改正案を見ますと、国民の期待に反して非常によくない。特に、公職選挙法等においては、機関紙誌を規制する等、言論、表現の自由を圧殺し、憲法の精神をじゅうりんするような内容を含んでおります。またさらに、このたびの公職選挙法には、衆議院の定数是正は入っておりますが、参議院地方区の定数是正は含んでおりません。また、政治資金規正法におきましても、企業献金は五年後に見直すことにいたしまして相変わらず禁止してない、その他数々の問題がございます。で、私は、本日は時間も余りございませんので、公職選挙法の一部にしぼって質問したいと思います。
 まず第一に、公職選挙法にどうして参議院地方区の定数是正を入れなかったのか、こういう問題でございます。衆議院の方は、大阪三区と兵庫五区の定数のアンバランスが一対四・八三七という姿になっておりますが、今回二十人増を行うことによりまして大体一対二・八までアンバランスが是正されるという姿になっております。しかるに、参議院地方区は、東京、鳥取間が現在五・〇一四倍でございます。これは昭和四十五年の国調の結果でございますから、まあ昨年の自治省でお調べになった推計人口なんかを見ますと、もうもっともっと、神奈川と鳥取間ではもう五・五倍近くなっている。ことしの国調の結果なんかを見ますと、私は、おそらく一対六近くになろうかとも思います。こういうアンバランス問題を抱えながら、なお是正しようとしない、これは非常に私はけしからぬことだと思います。今回、参議院の野党四党並びに二院クラブも賛同いたしまして、衆議院に匹敵する約――アンバランスの是正を現在の一対五・〇一四倍から一対二・八程度に是正する二十六人増案という、こういうものが野党一致して、参議院全国区の選挙制度の改正とは切り離して、定数問題は定数問題としてこれは実現すべきであるということを主張しておりますが、いま小委員会において自民党が非常に難色を示して、なかなかうまくいっておらない。まあきょうも、それから二十三日も、中間報告が、あるいは正式の回答があるそうでございますが、私は非常にそれを注目しております。まあ小委員会をやっているからといって私は政府がのほほんとしていていいと、そういうことには私は絶対ならないと思う。で、第六次選挙制度審議会、第七次選挙制度審議会においても、参議院の地方区の定数是正問題がかなり真剣に論ぜられました。私も終始出ておりました。中にはアメリカの上院の姿と対比して地方区の定数是正は必要ないんじゃないかなんて、そういうことを言う人もおりますけれども、アメリカの上院は確かに各州二名の定員となっております。しかしあれは、アメリカの上院というのは、州憲法において定められた州から出たものでございますから、日本には各県に憲法なんていうのはありません。そういうことで、やはり国民一人一人の法のもとの平等という意味から、これは当然定数アンバランスは是正すべきであります。昭和二十一年十二月の参議院議員選挙法改正委員会の中で、大村清一内務大臣は、人口に比例して割り振った、このように地方区の定数問題ではっきり趣旨説明をしておりますし、大臣も御存じのように、七つの案があったわけでございますけれども、その中で、はっきり人口比例のいわゆる案を取り上げて、そしてそれによって決めたのが現在の定数でございますそれは人口比例の配当基数によって配分したということは、もう昭和二十二年の参議院議員選挙法制定当時の地方区選出議員の定数配分法というところでこれははっきりしているんです。もう定数問題といいますと、アンバランスが一対五に広がれば、これはある選挙区の有権者が一人で五票を行使すると同じ意味なんですよ、大臣。これは、法のもとに平等と規定した憲法十四条違反でございます。そして、その選挙の結果によって構成される議会の構成が、国民の意思、民意とは逆にねじ曲げられてしまうということになるわけです。ですから、政府や自民党がおっしゃるような、この全国区選挙制度と参議院地方区の定数是正を一緒にしてやるんだと、こういう考え方は私は絶対誤りだと思う。定数問題は定数問題として切り離して処理するのが当然であり、これは憲法問題です。そうでなかったら、これは党利党略です。まあそういうことで、ひとつ大臣、本当に定数問題、参議院地方区の衆議院よりもひどくなっている定数のアンバランス是正をこの機会にやるお考えがないかどうか、そして当然参議院全国区の制度問題とは切り離してやるべきだと思いますが、いかがですか。
#109
○国務大臣(福田一君) この議会の制度問題に関係し、そしてまたいろいろと非常に多岐にわたって御質問があったわけでありますが、主として衆参両院の議員の定数を人口比によって考えるべきであるという御意見であったかと思うのでありまして、それについてお答えをさしていただきますが、私は、衆議院と参議院の二院制度をつくったという意味がどういうことかということも考えてみなければならないかと思いますが、衆議院というものがあり、しかして参議院がありますが、この参議院というのは、何と言っも衆議院の行き過ぎを是正するというような意味において、まあ職能代表であるとか、地域代表であるとかという意味を加味して参議院の制度というものがあったと思うのでございます。当初は緑風会というようなものがございまして、職能代表という意味のものが大変加味されておったんですが、今日は全部両方とも政党に所属するというような形になりまして、ここいらにも一つの問題点があると思うのでございますが、いずれにいたしましても、衆議院において私たちが今度の法案に盛りましたのは、これは衆議院の各党の間でまあ委員会をおつくりになりまして、実は私が国対委員長をいたしておりました去年のことでございますが、これをつくりまして、そして御研究を願いましたところが、五党が全会一致でもって二十人ふやそうということが決まったわけでございます。そのことは御承知だと思うのでございますが、そのことを受けまして、これはまあ五党の方が皆さんが賛成ということであれば、これは実現をいたさなければならないという意味において今回の公選法を出しておるこれ一つの大きな理由になっておるわけであります。で、いまあなたのおっしゃるのは、そういうものが出ている以上は、これは参議院においても当然出すべきではないかというお話だと思うんですが、この前の片山さんその他のお方からの御質問にもお答えいたしておりますけれども、私たちとしては、五党の間で意見が完全に一致したということであれば、これはもうその御意見に従う意思を持っておりますが、いまのところそういうようなものはまだまとまっておるようには聞いておりません。で、そうでありますならば、これはやはり十分皆さんの間で御審議を願うということにお願いをいたしたいと思うんです。政府は、そういう場合には怠慢だから政府案を出せと、こういうような御趣旨もあったように承るのでございますが、私は、この種のものは、やはり政府が出したのがいいか悪いか、またそれをどうこうというようなことよりは、やはり皆さんでよく御審議を願ったその結果に基づいて是正すべきものは是正していくということが民主主義の原則にかなうものであると思うのでございます。私は、衆議院の場合においては、御案内のように、この選挙法の附則におきまして五年ごとには人口の問題を考えろということがちゃんと明記してございますが、参議院の場合にはないわけであります。何もそれがないからこの人口の問題を無視していいというわけではありませんが、その間にやはり当然参議院と衆議院とにおいては制度において事情が違う。第一、当初設けられたのはやはり二百五十人という定数で、いまは二百五十二名かと思いますが、そういうふうに、まあ衆議院の場合とはまた違った形でスタートをしておるということもお考え合わせを願いまして、そうしてひとつ皆さんの間で十分に御審議を願い、そして御意見が一致いたしますならば、われわれとしてはこれは今回の法案だからといってやらないというわけではございません。しかし問題は、御意見の一致があるかどうかということにかかってくると思うのであります。
#110
○多田省吾君 この参議院地方区の定数是正は、第六次選挙制度審議会の昭和四十五年五月十九日の答申にもはっきりあったわけです。私たちは不満足ではありましたけれども、答申も出ているんですよ。その後政府・自民党はサボタージュしてやらなかったんです。また、参議院は二百五十二名でございます。――衆議院だって最初は四百六十七名であったじゃありませんか。昭和三十九年に十九名ふやした。今回も二十名増加させることによって、五百十一名になろうとしている。で、野党四党が一致して要求するものを自民党が理由もなくして拒否する態度は私たちは非常に解せない。最高裁の過去の二回の判決、三十九年二月と四十九年四月の判決があったわけでございますが、まあ立法政策の問題としてありますけれども、もう一対五、一対六というアンバランスになりますと、これはもう絶対放置しておけない問題です。そういった点から自治大臣に御質問しますけれども、一つは、この参議院地方区の定数是正に関しまして自民党あるいは政府はどこまでも総定数内の増減を固執するのか、あるいは増員是正も考えているのか。それから第二点は、衆議院並びに参議院地方区の定数に関しまして、アメリカやイギリスのように定数委員会というような確固たるものをつくって、そして憲法の精神のもとに、法のもとの平等というものをこれからはっきりさせていくお考えはないかどうか、この二点をお尋ねしたい。
#111
○国務大臣(福田一君) まずこの地方区の問題について、数をふやすか、あるいは数をふやさないでこれを是正するのかと、どちらの考えをとるのかというお話でございますが、私はこのところでそういう政府の意見を申し上げることは、従来われわれが主張してきました、政党の皆さんでひとつ御相談を願いたいという趣旨と相反すると思いますから、ここでお答えすることは困難かと存じます。まあ伝え聞きますところによると、自民党の方は、定数はふやさないで是正するのならば、というような意見もあるように承っておりますが、これもはっきりした御意見であるかどうか、まだ私、参議院の正規の自民党の機関から承っておるわけではございません。そういうことでございまして、また第二点の、そういうような一つの委員会をつくって、そしてこれを常に是正するような工夫を考えてはどうかと、こういう問題もあわせて皆さんの間でひとつ御審議を願いたい。そして、御相談を願って、そういうものをつくった方がいいということであれば、われわれは決してそれにやぶさかに反対するというようなものではございません、御趣旨に従いたいと思っておりますが、いまこの席上においてそういうことについて私が意見を述べることはひとつ差し控えさしていただきたいと思うんであります。あなたがいままでいわゆる選挙制度審議会に常に出ておいでになっていろいろ御勉強をいただいておることについては、われわれとしても感謝を申し上げておるところでございますけれども、御案内のように私は審議会というものを絶対だとは考えておりません。審議会の意見よりは、むしろやはり議会における皆様方の御意見をおつくりになるときに審議会の意見を参考になさるという意味で審議会というものはあるのではないか、また、政府が案を出すときに参考にするという意味でございまして、審議会絶対とは考えません。したがって、審議会にどういう御意見があったからといって、こうしなければならないということに帰結を持っていくというか、結論を出してしまわれてもわれわれとしてはこれを納得するというわけにはいかないかと存ずるのでございます。
#112
○多田省吾君 まあその審議会の問題も政府の隠れみののようなかっこうで、政府に都合のいい答申が出たときにはすぐ採用する、都合が悪いときはどんな正当な答申でもそれは黙殺する、大変私はいままでそういう苦汁をなめてきました。それから、自民党の諸君は総定数内増減というようなことを小委員会でまあ一回、二回とおっしゃったそうでございますが、私の試算によりますと、本当に昭和二十二年のときに行われた人口比例の配当基数による配分をいまの人口比例でやりますとどうなるか、二十名増、二十名減になります。東京は八名増、大阪は四名増、愛知は二名増、神奈川四名増、埼玉二名増、合計二十名増。減になるところは、福島二名減、茨城二名減、栃木二名減、群馬二名減、新潟二名減、長野二名減、京都二名減、岡山二名減、熊本二名減、鹿児島二名減、計二十名減、こうなるんですよ。どうも自民党の方たちはこの減になるのを決して実現しようとしないんですね。昭和三十九年の衆議院のときもそうじゃないですか。第三次選挙制度審議会の答申は十九名増、一名減だったじゃありませんか。それを自民党が中心になって修正したじゃありませんか。そして通過したのは十九名増。ですから、どうも減の伴うものはもうこれは通過しないんだってなことで、もう自民党の諸君がそういう増減のある案を持ち出すという根本の意味は、絶対これは定数是正やらないぞっていう意思表明と同じなんです。この前の第六次の選挙制度審議会のときにも自民党のある衆議院議員の方は、増減なしの採決のときに、増減ありの方が通ればこれは絶対不可能だなと、そう漏らしておりました。そういう考えで、定数是正をやりたくない意志でこの総定数内の増減是正と、こういうことを考えておられるんだったら、これはもう大変な悪質な陰謀だと思うんですよ。そういう点で、私たちは実現可能案の二十六名増案という、各党にもいろいろ意見はありますけれども、野党四党が一致して実現可能の案を出したわけじゃありませんか。それからもう一つは、参議院全国区の比例代表制と組み合わせてやるんだと。いろいろ大臣も、今度の参議院選から実現するんだ――総理もそう本会議で答弁しておられましたね。そそうしますと、もうあと半年しかない、もう来年の通常国会にそれを出そうというんですか。参議院全国区のそんな比例代表制なんてものをそんな簡単にまとめようというお考えがあるんですか。とんでもないことですよ。私は衆議院の選挙制度にしろ、参議院の選挙制度にしろ、やはり各党が一致しなければ、こういう土俵づくりはやってはならないと思うんです、当然。憲法と同じ大変なこれは問題ですよ、選挙制度の是正というのは。議会制民主主義の土俵づくりじゃありませんか。昭和四十七年の十月ごろ田中前総理は選挙制度審議会の強いお願いにもかかわらず、ついに総会を開きませんでした。懇談会にしてくれ。私はその席上質問しました。野党の強い反対があっても小選挙区制をやるおつもりですかと。田中総理ははっきりと野党各党の一致を見なければ小選挙区制は絶対にやりませんと答弁したんです、そのときは。二階堂前官房長官もそこにいました。選挙部長だって知っておられるんだ。その後、昭和四十七年十二月の総選挙が終わるやいなやじゃありませんか、小選挙制を持ち出したのは。おかしいですよ。今度の参議院全国区の問題でも、全国区比例代表制、非拘束制の方は野党が一致して反対していますよ。で、拘束制の方も大部分の野党、それから自民党内でも過半数の反対があるじゃありませんか。そういったものをなぜ通そうとするんですか。私たちはことしの三月二十二日にこの参議院全国区比例代表制なんてものがどんなに悪いものか論文発表しました。時間もありませんから簡単に申しますと、私は参議院の特質から見て、参議院の政党化を助長してはならないと思います。そして、全国区に比例代表制をつくることは参議院の政党化をますます助長する結果になります。本会議で民社党の和田委員が、政党本位の選挙は衆議院でやるべきだ、参議院ではやるべきじゃない、このように質問いたしましたけれども、私も同感です。参議院全国区の非拘束比例代表制というものはいまよりも競争は少しも減りませんし、また各党内の競争はますます激烈になります。決してそういうものはよくなりません。金はもっとかかりますよ。その上にいわゆるドント方式という計算方法はこれは第一党が極端に有利な方法なんです。党利党略だと思います。それから非拘束制ということ、政党ごとにいわゆる番号をつける、そして政党に投票する。いま全世界で拘束式の比例代表制をとっている国は一つもありませんよ。私はそういうものを通そうとするのは非常におかしいと思うのです。非拘束制よりももっと、もっとこれは政党本位になります。ワイマール体制下のドイツで昔やったことがあるそうです。拘束名簿式比例代表制ですね。これはもう政党で番号つけるのですから、選挙人の意思を顧慮しないでつくるんですから、これは非常に評判が悪くってすぐやめました。そういうものを三木総理はやろうとしたんですよ。おかしいんだ。ですから、われわれはこの変型拘束式を含めて、そういう参議院全国区の比例代表制には、あらゆる点から考えて合理性もないし、絶対反対します。本当に全国区の選挙方法を改善するんなら、いまの選挙制度をそのままにして、たとえば前々回まで大変問題になった高級公務員の立候補制限とか、それから政治資金規正法を改正して企業献金を禁止するとかして金のかからない選挙にする。全国区制に金がかかる。――自民党たけにかかるんじゃありませんか。私はそういうものには強く反対します。
 それからもう一つは、一昨日戸塚委員の質問に答えられて、衆議院の選挙制度について自治大臣は小選挙区制が最も理想的な望ましいものであるというような答弁をなさったそうでございますが、私はこれも非常にとんでもないことだと思うのです。朝日新聞やあるいは共産党さん、わが党あるいは白鳥助教授等の試算によっても、いまの現状で昭和四十七年十二月の衆議院選挙の実態から考えまして計算しますとどうなりますか。四割台の得票率で八割の議席率を得るのが自民党じゃありませんか。社会的不公正の最たるものです。選挙制度というものは民意を正確に反映させるものでなければなりません。得票率と議席率が一致するのが最も望ましいのです。大体世界じゅう全部そうなっていますよ。だけども日本だけがそうじゃない。現状でもそうです。それをさらにまた助長させようとしているのです。第一党の自民党さんは、衆議院でも、参議院でも四割台の得票率で六割前後の議席を得ているじゃありませんか、現在の中選挙区制で。それをさらに広げようというのです。とんでもないことです。どこに根拠があるのですか。小選挙区制、まあ確かにアメリカやイギリスでやっています。あれはアングロサクソン民族の特性として大選挙区制をやってもあれは二大政党になるのです。イギリスがそうじゃありませんか。大選挙区制時代に二大政党になったんですよ。それを二大政党にするために小選挙区制にする、これはもう反対の考え方です。錯乱した考え方です。ですから、いまヨーロッパの議会制民主主義をとっている国々は、ほとんどやはり政党本位の選挙といえば比例代表制です。ですから私は衆議院こそ政党本位の選挙であるべきでございますから野党の各党が大部分主張している都道府県単位の比例代表制、こういったものを考えるべきなんです。それを五党がいまきちっと日本の現状に、国民の要望に従ってあるのに、小選挙区制で一人しか当選させない、こんな愚かな小選挙区制を理想的だとか、望ましいなんておかしいですよ、これは。これはもっとそういう点をよくお考え願いたい。(「見解の相違だ」と呼ぶ者あり)これは決して見解の相違じゃないです。はっきりしたデータに基づいて科学的に私たちは調査をした結果です。反論があるなら言いなさい。幾らでも応じますよ。――まあせっかく質問したのですから大臣、この衆議院の小選挙区制、それから参議院の全国区比例代表制について大臣の所感をお述べ願います。
#113
○国務大臣(福田一君) いまいろいろお話があったんです。私は一つだけちょっと考えさせられますことは、野党は四党おいでになりますが政見がみんな一致しておるとは私は考えておりません。与党は四割でありますかもしれませんが、これは自由主義を守るという意味では完全に政党として一致しております。そうしてみるとですね、そういう政見の違った党がみんな集まって多数であるから、だから自民党は非常に横暴であるとかなんとかいうようなお話を承ってもですね、またそういう意味で、そういう形になっているので、選挙をやりますというと、自民党は四割二分とか、四割二、三分取っておるわけでありますが、しかし、非常に数が多くなっているというわけでございまして、野党の皆さんがみんな御一緒だったら、われわれの方は少数党に転落しておることだけは、これは間違いございません。しかし、これは意見が違っておるんだと思うんで、そこいらが問題点の一つではないかと思うんであります。
 そこで、もう一つ私が申し上げておりますことは、実はやはりわれわれ選挙をやってみますと、同じ選挙区におきまして同じ党の者が自民党や社会党の場合には二人も、三人も出ておって相争いまして、それがまた一つの大きな弊害をなしておることも事実でございます。そこで、そういう意味合いにおいて、われわれとしては、もう政党の政党による政治ということを、選挙ということを中心にして考えるというと、同じ選挙区から三人も立てるということはおかしいんで、やはり一つの選挙区から各政党が一人ずつ出してどちらがいいかということをやるのも、これは私は一つの考え方であり、また党が選挙をやるということをたてまえにいたしますというと、これが一番いい方法じゃないかという意味で、金がかかるということ、いろいろございます。いろんな弊害もありますので、そこでまあ理想はどうかと言われたから、私は、小選挙区制がよかろうかと、こういうことを申し上げたわけでございまして、いま私は小選挙区制をここでやろうなんということを言った覚えは一つもございません。
 それから比例代表について、非拘束か、あるいは拘束かということでございますが、これはもう皆さんの間で――まあ自民党の間にもいろいろ意見がございます。党内にも意見がある。また、これは名前をもう申し上げても、少しもあれはないと思いますが、社会党のお方などにどちらかと言えば拘束でやった方がいいんじゃないかという御意見を持っておられるやに承っております。まあいろいろあるわけですね、そのどちらがいいかということ。そういうことは皆さんでやっぱりひとつ御相談願い、御協議を願って、政府に対して言われる前に党の間でひとつもう少しお話しをして詰めていただくようにお願いをいたしたい。私は詰まれば、それはもう衆議院の定数是正が決まったときのように必ずやりますから。ここで私がどっちがいいんだとかということを言うことは、皆さんが御相談をされるのに、むしろ害があっても益がないように思いますので、差し控えさして
 いただきたいと思います。
#114
○多田省吾君 委員長は、参議院地方区の定数是正に野党四党と自民党と、各党が一致したら行いましょうと、また一致していただきたいと、こうおっしゃいましたよ。当然選挙制度といえばやはり憲法に次ぐ大事な議会制民主主義の土俵づくりでございますから、私は、衆議院の選挙制度であれ、参議院全国区の選挙制度であれ、自民党と野党四党、全党一致したものでなければ私は行うべきではないと、このように思いますが、自治大臣はどう考えます。
#115
○国務大臣(福田一君) 私が申し上げたのは、そういう比例代表をとるかとらないか、あるいは定数是正をどういうふうにするかというような問題については、これはもう一番大きなテーマでございますからして、ひとつ皆さんで御相談を願いたいということでありますから、この選挙法を改正するということについて、もう全部が一致しなければだめだと言うんなら、もうこれは絶対できません、皆さん御意見が違うんでありますから。やはり多数決という原則もその場合には考えていただかないと困ると思う。しかし、私は数をふやすというようなこととか、制度の根本にかかわるような問題についてはこれはひとつ各党でおまとめを願いたいということでありまして、法をどういうふうに適用するとか、あるいはまあ選挙の期間をどうするとか、そういうような選挙のその種の問題は必ずしも全部が一致しないでもわれわれとしてお出しいたします。そして皆さんに御相談をしていただくというのも一つの考え方であると思っておるわけでありますから、その点はひとつ私の答えば一致しなければだめだということになれば、大体この法案を出したこともいけないんじゃないかということにもなりますから、そういうことでは私は政治はできないと思います。議会政治というものはできないと思う。議会政治というのは、多数決ということが議会政治の原則であります。多数決でないというならもうこれは独裁政治ということになるよりほかにないと思います。
#116
○多田省吾君 私は選挙制度の改正問題で多数決なんという考え方は非常に危険だと思います。田中前総理だって、選挙制度審議会の懇談会では多数決をやりませんと、野党各党が一致しなければ絶対やりませんと、そう答えたほどですよ。おかしいんだ。ファッショ的な考えだと思います、私は。本当にこういう考え方は。ですから、田中前総理に劣らず、三木内閣も、また選挙制度担当の福田自治大臣も、非常に選挙制度に関しても危険であるし、本当にまた今回の公選法改正案に対してもそういうお考えでやっているのかと思うと、私は非常にぞっとしますよ。まあ先ほどの自治大臣の小選挙区制に対する考え方にも大変な異議がありますよ。ヨーロッパの各政党をごらんなさいよ。イタリーでも、フランスでも、ベルギーでも、オランダでも、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドあるいはデンマーク、スイス、ルクセンブルク、全部小選挙区制をやっていませんよ。非拘束式の比例代表制だ。各党から二名、三名と同じ地区に出ていますよ。その地域の範囲内の定数は大体四名ないし十五名、これが一番多いんですよ。各党から全部三人、四人と出て争っているのです。そして自治大臣は、先ほど自民党与党は一党であるから四割台でも政権を、自由社会を守るために担当すべきであるとか、野党はばらばらにやっているから議席率が少ないのは当然じゃないかというお考えを述べましたけれども、それは私は非常に危険な考え方だと思います。得票率と議席率が一致するのが本当の民意を反映させる選挙制度じゃありませんか。じゃ国民の意思がどうしても第一党に四割しか集まらなくて、また議席率も四割というならやむを得ないじゃありませんか、それは。それを人為的に選挙制度を変えて六割も七割にもしようというところにファッショ的体質があるのです。国民の意思を本当に、求めない傲慢さが私はあると思うのです。そういうお考えを改ためていただかないと私はこの公選法の審議に当たっても非常に危険を感ずるわけです。ですから、もし四割の得票率で四割の議席しか取れなければ連立政権という方法、これはヨーロッパで全部やっているじゃありませんか。私は必然的な問題ですからそう言いますけれども、それは当然です。それをやはり五党がいま国民の意思によってつくり出されているときに、小選挙区制をはっとやって、五党の中で一人しか当選しないようなそういう制度をもって二大政党をつくるというようなお考えは私は反対じゃないかと思います。
 法案審議がおくれますので、次に機関紙等の規制について質問いたします。私は現行の公選法はいろいろ選挙の自由化あるいは政治活動の自由化を束縛しておりますけれども、いろいろな調和をとっているいままでの公職選挙法だと思います。決して私はこれをいいと思ってませんよ。ですから、現行公選法によりますと、第十三章では選挙運動の公正確保のための規制を行っております。それから二百一条の十三及び十三章では、選挙運動にわたる政治活動は選挙運動として禁止と、こういうところも確かにございます。それから三番目には、選挙運動にわたらない政治活動は、選挙期間中について選挙運動と紛らわしい面を明示かつ列挙して一般的にはこれを禁止し、確認団体にはこれを認めて政治活動の自由と選挙運動の公正確保との調和をとっている、こういう三つの成り立ちだと思います。特に、選挙運動というものは、政治活動、大きな選挙活動に含まれるものだと思います。ですから、選挙運動の公正確保のために無条件に政治活動全部を規制するということは大きな間違いだと思います。ですから、大臣もよく御存じのように、第五次選挙制度審議会の答申には、これは昭和四十二年の十一月二日でございますが、「文書図画の頒布は、必要な合理的制限を除き、自由化するものとすること。」あるいは「選挙期間中の政党その他の政治団体の政治活動および選挙運動に関する事項」として、「確認団体については、文書図画の頒布は、原則として自由化するものとすること。」こういう答申をしております。
 また、いろいろビラ公害というような問題もありますけれども、昭和四十五年の暮れに当委員会で、京都府知事選挙が終わった直後、当委員会で視察したわけです。各党から全部出ました。そのときの報告が当委員会になされたわけでございますが、ビラはたくさん配布されたけれども、いままでのような買収供応がはびこったときよりもずっといろいろ参考にもなったし、よかったと、こういう感想を述べた人が非常に多かった。こういう報告もなされているわけでございます。特に、いままでの公選法では、御存じのように百四十八条には新聞紙や機関紙等の報道評論の自由をきちっとうたってあります。また、第十四章の三、二百一条の五には、政党その他の政治団体の選挙における政治活動――確認団体はこれたけてきるんですよと、確認団体の政治活動というものをきちっと擁護しておりますよ。今回の機関紙規制は政党活動、政治活動によって、最も大事な政党機関紙を、それと同等の資格を持つ号外をばっさりと、選挙に関する報道等をしてはいけないという名自で、政治活動そのものも規制しているではありませんか。政党の機関紙というものは実態がどのようであれ、それは政党の政治活動の最も主要なものであり、言論表現の媒体そのものでございます。ですから、私はこういった政党の機関紙そのものを規制する、これは非常に大変な暴挙であると思うのです。ですから、今回の改正案は、衆議院修正をたとえ含めても、言論表現の圧殺そのものだと言わざるを得ません。書けるものが配れなかったり、配れるものが書けなかったり、もう表現の自由の前提の一歩ずつを抹殺しているような姿じゃありませんか。ですから、私どもは政党機関紙号外を論ずるならば、たとえば二百一条の五において論ずるとか、そういうことじゃなくて、もうほかの条項でばっさりと政党機関紙の活動そのものを禁止しているじゃありませんか。これは自治大臣はどう考えますか、こういう暴挙を。
#117
○国務大臣(福田一君) 現行の法律の第百四十八条の第二項、それから第二百一条の十四というのをごらんいただければ、これは選挙に関する報道評論を掲載した新聞紙または確認団体の機関紙は、通常の方法で頒布しなければならないということになっておるわけでございます。これはもう御承知のとおりであります。ところが、最近見ますというと、選挙に当たって特定候補者の写真を大きく入れましたり、それから氏名を掲載したり、そういうような新聞紙や政党の機関紙が特に号外という形でもってたくさん頒布されておる。そして、各家々へ投げ込むというようなことが行われたり、あるいは街頭、駅前広場で配布される。そうして、しかも大量に無償でかつ無差別に頒布されている。これがいわゆるビラ公害というわけでありまして、選挙の公正を害しているとわれわれは理解をいたしておるのでございます。で、選挙で何でも自由にしろということでございますれば、個別訪問もやったらいいだろうし、道路を歩くのは当然なんですから、個別訪問が何が悪いかというのと同じ理屈も成り立つわけですが、何でも自由にするというのなら法律は必要ございません。法律というものは、ある一つの目的を達成するために、やはり多数の人が一応守らなければ、秩序を害し公正を害するというようなことがあれば、これはやはり規制をするということは、いわゆる社会の公序良俗といいますか、憲法のたてまえでも認めておるのでございまして、何でもやっていいということではないと思うのです。そこで、私たちは選挙の公正を確保するためには、政党の機関紙の号外は随時発行される性格上、以上のさっき申し上げたような弊害が出てくるおそれが多いので、また一般紙と異なる性格を持っておりますから、選挙期間中はいわゆる選挙に関する報道を載せたものはひとつやめてもらいたい、こういうことを申し上げておるわけでございまして、ある一定の期間だけそれを認めないということでございます。で、一般的に憲法で保障されている言論とか出版、結社、表現の自由は先ほども申し上げましたが、決して無制限でというわけではございません。公共の福祉という観点から制約を受けるべきものであるということはこれはもう当然なことでございまして、今回の措置は選挙の公正を確保するという見地から、必要最小限の合理的な規制を設けたものと御理解を願いたいのであります。私たちはこういうわけでございますから、憲法で保障された表現の自由を理屈なしに侵害しているのだというふうには考えておらないわけでございます。
#118
○多田省吾君 これは大変おかしな理屈ですよ。選挙の公正というような名目で……私は選挙の期間こそ政党機関紙の活用すべき分野があるんですよ。そういうときに、機関紙と同じ性格を持つ号外を一方的に規制するということは、これは言論、表現の圧殺じゃありませんか。先ほども申しましたように、いろいろビラ公害なんておっしゃる向きは、やっぱりそういうひどいなと思われるような政党にはだれも投票しないんですから、国民が判断すべき問題ですよ。一体、議会制民主主義の海外の国々で、こういう機関紙規制なんてやっている国はありますか、一体。個別訪問すら日本だけ規制しているんじゃありませんか。それにさらに追い打ちをかけているのです。この前の都知事選のときだって、確認団体以外は選挙法でできないという。政党でありながら、その候補を推薦しながら選挙報道は一切できなかった。まして今度はあれじゃありませんか、その政党の公認候補者の問題じゃありませんか。しかも、その政党が主体的に行う選挙じゃありませんか。それが機関紙規制される。号外だって決して無差別じゃありません、通常配布という原則にのっとってやっておるわけです、各党とも。自民党だってやってきたじゃありませんか。それを大上段から一切このように圧殺するというやり方は、これは明らかに言論封殺ですよ。どう見たって、公選法の調和から見たって調和とれませんよ、そういう。説明になっておりませんよ。私は強くこの機関紙規制の条項の削除を求めるものです。まだ遅くありませんよ。どうですか。
#119
○国務大臣(福田一君) 御意見ではございますが、われわれとしては削除する意思はございません。
#120
○多田省吾君 この前、参議院の予算委員会で政府の統一見解というものも出ました。もう明らかにいままでのとおりとは言いながら、大変なしろものですよ。そのことでちょっと質問いたしますけれども、選挙に関する報道評論の統一見解、六月十二日提示の中で、最も問題となる選挙に関するこの意味を示してありません。この「選挙に関する」ということは、どういうことを意味しているのですか、具体的に。
#121
○政府委員(土屋佳照君) 先ほどもお示しがございましたように、選挙に関する報道評論ということにつきましては、従来から公職選挙法に規定をされておる用語でございまして、それは判例等でも明らかにされておるわけですが、要するに選挙に関する報道評論というのは、その記事の内容、先ほども申し上げましたが、実際上のその記事の形式、それから書かれた記事の文意自体から客観的に判断をして、選挙に関連をしておるというふうに認められる報道評論を言うということでございまして、たとえば何々選挙において何々党はこういった政策を掲げて闘っておるといったようなことになりますと、これはどうしても形式的に見て、選挙に関連して書いておるというふうにならざるを得ないし、従来かちそういった考え方をとっておるわけでございますし、それにまた中身から見ても選挙に関連して選択をするということに関連する、いまの何々選挙においてはとは書いてないにしましても、どういったところを選ぶべきかといったようなことで、こういう点こそ注目すべきなんだというような、いろいろ記事を書きますと、それはやっぱり選挙について判断を誘導するといったようなことにもなるわけでございます。そういった記事の内容自体から、特定の選挙に関するものであるということが明らかである場合、そういったものが選挙に関する報道評論であろうというふうに考えるわけでございます。
#122
○多田省吾君 もう少し学問的におっしゃっていただきたいのですよ、これは法律案なんですから。きょうもなかなかこの委員会が開かれないもので、私も十時から待っていたわけです。それでたまたまきょうの一時四十五分からNHKの第一放送テレビを見ておりましたら、吉武解説委員が、この問題でどうもよくわからない、特に「選挙に関する」というのはどういう意味なんだろうと。選挙に際し、選挙向けにということでも解説すればいいのかなと、こういうようにみんな国民は、困っているのです。こういう大事な統一見解の中に「選挙に関する」と、どういう意味なのか、ひとつ学問的に答えてください。
#123
○政府委員(土屋佳照君) 従来から言われておりますことは、選挙に関しというのは、これはまさに選挙に関連するわけですから言葉どおりだと思うのでございますが、選挙に際して、その選挙に関する事項を動機としてといったようなことが言われておりますし、いまの条文のほかに、選挙に関しということはかなりな条文にわたって書いてあるわけでございまして、解釈としては大体いまのように、選挙に際し、その選挙に関する事項を動機としてといったようなふうに通常解釈されておると承知しております。
#124
○多田省吾君 どうもよくわからないですね。じゃあ、もう選挙に関したことは一切、全部含めてだめだと、こういうことですか。
#125
○政府委員(土屋佳照君) 先ほども申し上げましたが、やはり直接的に関連した記事になっておる。したがって、形式的に今回の何々の選挙においてはとか、どうとかということになりますと、その選挙に関する報道、事実の報道だとか、あるいはその上に関連する評論であるというふうに、これは客観的に見られると思うのでございます。だから、何々市長選において、今回の選挙において、といったような書き出しでいろいろ書けば、これはやっぱり選挙に関してと言わざるを得ないんじゃなかろうか。それは形式的に判断がひとつできるということだろうと思います。ただ、たとえば、それに関連しないといいますか、広い意味で言えば、それじゃ関連しないとも言えないかもしれませんが、たとえばある党の政策が出るというような場合、これはかねがねからのある党の政策であるということでございますね。それは選挙期間であろうが、選挙以前でも、またその後も、いろいろまあ自分の党の政策として言われるわけでありますから、そういったものが、今度の選挙ではわが党はこういう政策で闘うんだと、こう言えば、これは文字どおり選挙に関連した書き方でしょうけれども、自分の党はこういった考え方を持っておるということもできましょうし、たとえば、ある事項についてこういった意見があるけれども、わが党はこういうことについてはこう考えるんだという主張をされるというようなこと等があれば、そういったものは、その選挙に関して云々というような記事がない場合は、それは選挙に関してとは言えないだろうというふうに感ずるわけでございます。
#126
○多田省吾君 ですから、NHKの吉武先生だって、もう選挙に関するということを意味がわからないから、選挙に際し選挙向けにとでも言えばいいのかと、こう迷っていらっしゃるわけです。それで報道評論とか、いろいろおっしゃっておりますけども、肝心の選挙に関するという意味をこの統一見解では全然示してないんですよ、どういう意味なのか。私はこれは示していただく必要があると思いますね。
#127
○国務大臣(福田一君) それは事例を差し上げてございます。
#128
○多田省吾君 事例じゃありませんよ。言葉の定義ですよ。
#129
○政府委員(土屋佳照君) まあその点はあるいは言葉が足りないのか、私どもの解釈としては、従来から、選挙に際して選挙に関する事項を動機としてといったような表現で各条文にあるものを大体統一的に解釈しておるわけでございます。
#130
○多田省吾君 私は、ここで選挙に関するという意味をおっしゃらないから質問をやめるというようなことは言いませんけれども、少なくとも次の機会までにひとつ、要望ですが、選挙に関するという意味に対してひとつ解説をお願いします。どうですか。
#131
○政府委員(土屋佳照君) まあ通常私どもが解釈しておることを申し上げたわけでございますけれども、あるいは言葉が足りないか、まあもっとどういう言い方が、説明ができるか、私ども検討いたします。
#132
○多田省吾君 次に、解説はどうなるんですか。事実がある、それから言動、いろいろ選挙に際して言動がある。演説もそうでしょう。この事実と言動がありますね。その解説をするわけです。これはもう実態上最も重要であり、主要な部分だと思います。この事実と言動の解説は報道評論の中に入るんですか。
#133
○政府委員(土屋佳照君) 報道というのは、まさにその事実の報道であろうかと思いますし、評論というのは、その選挙で行われているいろいろなことについて論評を加えるということで統一見解でお示しをしてあるところでございます。
#134
○多田省吾君 ですから、事実と言動の解説というもの、解説。新聞だって解説と、こう横に書いていろいろ解説してあるじゃないですか。その解説というのは一体報道評論になるのかならないのか、ひとつはっきりおっしゃっていただきたい。
#135
○政府委員(土屋佳照君) 選挙に関して、その選挙の事実等についていろいろコメントをされるということになりますと、これはまさに評論の部類に入るということでございます。
#136
○多田省吾君 じゃあ、肝心な一番大事な解説さえも評論の中に入れて書けないようにしたということですね。だから判定は、具体的事例に照らして客観的に判断すると最後にございますね、統一見解の。これは私は非常に重要な言葉だと思います。予算委員会でもそのような質疑がございましたけれども、結局これが一番上位の概念になるんじゃないんですか、どうですか。
#137
○政府委員(土屋佳照君) 先ほどから文意なりあるいは形式ということも申し上げましたが、やはり今回の選挙においてといったような、そういう選挙に結びつけた字句というのは、物がございますれば、それは選挙に関したものだと言わざるを得ないわけでございますから、そういった客観的にあらわされた表現の仕方等から見て判断をするということでございます。何でも恣意にやるという意味ではないということでございます。
#138
○多田省吾君 結局、最後の判断はここにくるわけですから、いろいろ論断がありましてもね。
 後で、これはまた質問しますけれども、たとえば報道評論の中で、結果において報道評論になるものもあります。状況において報道評論になるものもあります。その過程において報道評論になるものもあります。この選挙に関する報道評論というものが、その結果においてそうなるとか、状況においてそうなるとか、過程においてそうなると、こういったことは何もこれ統一見解の中に触れていないわけですね。こういう場合はどうなるんですか。やっぱりこの三つの場合、もう一回申しますが、結果において、それから状況において、それから過程において選挙に関する報道評論になったという場合は、これは全部該当するわけですか。
#139
○政府委員(土屋佳照君) 結果においてというのは、ちょっと私も理解がよくできないわけでございますが、要するにその記事として客観的に出されたもので、形式とそれから具体的に選挙に関連しておる評論といったような文章、それで判断をするということだと思います。
#140
○多田省吾君 いままでの解説を聞いていますと、結局何も書けないというのと同じだと思うのですね。たとえば今度の都知事選でね……
#141
○国務大臣(福田一君) 本紙なら何でも書けますよ。
#142
○多田省吾君 号外のこと聞いているんです。号外だって本紙と同一資格です。その号外において、本紙でもそうだったですよ、都知事選なんかはね。やはり選挙に関する報道評論は、確認団体以外は政党機関紙といえども推薦していても書けないんですよ。ですから、警視庁から警告も出たわけです、各党全部。そのときに、一党の委員長が応援演説に行ってしゃべったことすらだめだと言われたんです。じゃ今度はその号外に、その選挙において一党の委員長がしゃべった内容、これもいままでと同じ解釈だとすれば書けないわけですか。
#143
○政府委員(土屋佳照君) 当該選挙においていろいろ訴えられておるという記事であれば、それは号外では書けないということでございます。
#144
○多田省吾君 こういう大事なものも書けないわけですよね。
 それから、おとといの質問と重複するかもしれませんけれども、選挙政策とほとんど同じの、たとえば党大会の第十何回党大会政策というものがあるわけですね。ほとんど一致していた場合はどうなんですか。それ全部選挙ということの文字を入れなければ、これがわが党の政策だと言えば、ほとんど同じでもこれはかまわないわけですか。
#145
○政府委員(土屋佳照君) 従来からそういった党の政策があって、そしてそれをある選挙の際にそれと同じ内容をいろいろ掲げてやっておられるというような場合には、何々党の政策はこういうことでずっと推進して来ておると言われる限りは、それは一つの純粋な政策ではあるまいかというふうに考えます。
#146
○多田省吾君 それは最終的には一体どなたが判断するんですか。
#147
○政府委員(土屋佳照君) それはそういった形の上で選挙に関連するような表現等がなければ、これは問題がなければ、それはもうそのままいくわけでございます。特別問題があるということになればですが、ひっかかりがあるようなものが出てくれば、あるいはそれを何か言う人が出てくるかもしれませんけれども、通常の場合はそういうことは客観的に見てそう文句が出ないんじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#148
○多田省吾君 ですから、最終的にはそれはどなたが判断するんですか。
#149
○政府委員(土屋佳照君) 問題がなければそのままいくでございましょうし、特にその点を問題にされる方があれば、こういったものはどうであろうかと、私どものところへ事前に相談される場合もございますし、いろいろそういう点で各方面私どもは相談を受けてやっておるわけでございますが、それが具体的にたとえば罰則とかどうとかといったような、そっちの方になってきますと、ちょっと私どもの手を離れざるを得ない。ですから、私どもはできるだけ選管と相談をしてもらい、またそういった相談をこちらも受けて、問題の起こらないようにしたいというふうに管理執行する立場から考えておるところでございます。
#150
○多田省吾君 ですから、最終的にそういう場合罰則も含めてどなたが判断するかって質問しているんですよ。
#151
○政府委員(土屋佳照君) われわれ選管の立場で申し上げますと、これは選挙を管理執行しているわけでございますから、いろいろそれに関連した問題が出れば、選管がいろいろ相談を受けるという立場にならざるを得ないわけですけれども、最終的にこれがどうであるかということになると、罰則等の問題が出てまいりますと、これは司法当局にいかざるを得ないということでございます。
#152
○多田省吾君 ですから、この統一見解の最後の、判定は、具体的事例に照らして客観的に判断する、こういうことばは最終的には司法当局になるんですから、私たちは非常にそれは危険だと思うんです。いままで質疑の過程においてもはっきりしたものがないんですから。また予算委員会の質疑でも、総理大臣や自治大臣なんかのいろいろな答弁が食い違ったから統一見解を出せということになったんじゃないですか。また、一昨日の答弁だって今回の答弁だって、私はよくまた調べてみますけども、次の機会までに、私は相当これは食い違っていると思いますよ。
 そう言って、最後にはもう結局司法当局の手にゆだねるということになる。大臣は先ほどから盛んに号外だ号外だと軽べつしたような不規則発言をしておられますけれども、私は機関紙も機関紙号外も同一資格だと思うのです。単なる号外というそういうべっ視は私は大きな間違いだと思います。いやしくも一党の政党の機関紙です。その辺に私は非常に甘い判断があると思います。
 で、時間がなくなりますので、聞きたいこともまだたくさんありますのでお聞きしますけれども、今度の個人ビラですね。まあ一つは新聞販売店から配る、一つは政令ということになっておりますけれども、いまどうですか、二、三年前、本委員会で、一般の方法は大都会において新聞販売店の折り込みにお願いすることができるという法律が通過したわけです。それによっていまやっていると思いますが、あの場合、大体どのぐらいの部数が出て、大都会であればどのぐらいを販売店にゆだねた場合も網羅するのか、その辺、簡単でいいですからひとつお答えをいただきたい。
#153
○政府委員(土屋佳照君) お尋ねの意味は、先般選挙公報について新聞折り込みの法ができるということで改正があったわけでございまして、それに従って数市町村のところがやったことがございますが、それがただいま、どこの販売店で何部といったような、個別にどうなっているということは、ちょっと手元に資料がございませんので、いずれかの機会にひとつお伝えいたしたいと思いますが。
#154
○多田省吾君 今度、全国区は三十五万枚になるわけです。ずいぶん新聞販売店にお願いしますと金がかかりますね。折り込み代は、大体あのくらいの、私はB5判だと思うのです、三十センチ、二十センチぐらいですけれども、大体、一部どのぐらいするんですか、折り込み料ですね。
#155
○政府委員(土屋佳照君) 大体、私どもが主なところで調べたところでは、二円五十銭から三円ぐらいというふうに聞いております。
#156
○多田省吾君 それはどこでお調べになったんですか。私たちの調査と全然食い違っているんですが。
#157
○政府委員(土屋佳照君) 個々の販売店の名前はちょっと調べてないわけでございますが、都内で4判で見た場合に、一円八十銭と、千葉で二円二十銭と、神奈川では平均二円二十銭と、埼玉では一円九十銭といったような数を調べております。
#158
○多田省吾君 これはB5判、いまの個人ビラの大きさでございますね。
#159
○政府委員(土屋佳照君) そのとおりでございます。
#160
○多田省吾君 じゃ、最高は約二円五十銭ぐらいですか。
#161
○政府委員(土屋佳照君) ちょっと、先ほど失礼いたしましたが、B3判のところで、三円というのがあったものですから、私、それをちょっと言い間違いました。調べたここらでは二円二十銭ぐらいというのが一番高くなっております。
#162
○多田省吾君 そうすると、三十五万枚で、全部販売店にお願いしますと七十七万円、二回で百五十四万円かかりますね。その費用がかかった場合、参議院全国区の場合、その法定選挙費用の中にこれは入れるわけですか。
#163
○政府委員(土屋佳照君) 今回、費用弁償等の額を引き上げる際に、法定費用もまた変えたいと思っておるわけでございますが、その際に、修正は最近なったものでございますから、まだ詰めてはおりませんが、そういったものは費用の中である程度考えざるを得ないだろうというふうに考えております。
 なお、いまお話がございました三十五万という場合は、三十五万だけということで計算すべきではなかろうかと思っておりますが、二種類ということで言われたわけでございましょうけれども、三十五万の範囲で二種類ということでございます。
#164
○多田省吾君 結局、七十七万ということですね。そうすると、一種類十五万枚出せば、二種類目は二十万枚と、こうなるわけですね。合わせて三十五万枚ですか。
#165
○政府委員(土屋佳照君) 今回の修正を受けた分はそうなっておると拝見しております。
#166
○多田省吾君 その七十七万円を販売店に払った場合は、それは法定費用の中に報告で含めるわけですね。
#167
○政府委員(土屋佳照君) 選挙に要する費用ということで含めるということになろうと思います。
#168
○多田省吾君 いまきまっているのは、販売店にお願いするということで、衆議院でも、どの新聞でもいいと山田委員はおっしゃったそうでございますが、それから一昨日の戸塚委員の質問にも、販売店は断わってもいいし、罪にもならないというお話もあったそうですが、その場合、もし販売店から全部断わられた場合、今度は法令による手段しかないわけですけれども、一体、たとえば政党の人が行ったり、あるいは支持者が行ってお願いするような場合は、戸別訪問と非常に紛らわしくなると思うんですけれども、何かいい方法あるんですか。
#169
○政府委員(土屋佳照君) 確かに、この配布の方法につきましては、いろいろ検討しなきゃならぬと思っておるわけでございますが、全国区の場合で、もう一番これが数が多いわけでございますけれども、御承知のように、かなり重点的な県へ分散されるということが多いだろうと思いますので、一県ごとには少なくなるだろうと思います。ただ、じゃあ販売店というものは絶対に法律上義務づけてあるかというと、そういうわけではございませんで、やはりこれは契約ということにならざるを得ない。いまの新聞広告が新聞社との契約であるがごとく、やっぱりそう考えざるを得ないわけでございます。そこで、そういった心配があるがどうだというようなことで、その他政令でどんな方法を考えるんだという御質問でございますが、私どももいろいろ考えてはおるわけでございますけれども、まあ最近の修正でございまして、しかもかつこれは非常に重要な問題でございますので、いますぐ私どもがこうこうということで簡単に政令の内容をきめるわけにもいかない。よく、修正されたところはもとより、いろいろなところの御意見を聞いて、どういう形にしたがいいかということを検討したいと思っております。
#170
○多田省吾君 ですから、その政令の内容がわかりませんとね、私たちもなかなかこれ審議が進まない、非常に心配なんですよ。ですから、まあきょうじゅうにとは申しません。ですから、次の委員会審議の際に、すべてとは申しません、大体このようなことを考えている、大綱でも、一つでも結構ですよ。そのぐらい出せないはずはないと思うのです。それでなければ審議なんか進みませんよ。次の委員会の際にお示し願えますか。
#171
○政府委員(土屋佳照君) まあきわめてこれは重要な意味を含んでおりますので、私どももこれは慎重に各方面の意向を聞かなければならないということでございますので、次の機会にすぐ御返答できあえるということは、直ちには私からは返答いたしにくいわけでございます。
#172
○多田省吾君 じゃ、大臣にお尋ねいたしますけれども、この審議が終わるまでお示し願えるのですか、願えないのですか。
#173
○国務大臣(福田一君) これはまあ御案内のように修正でございまして、提案者の御意見等もありますから、その趣旨を聞いて、その上でお答えをいたさなければなりませんから、いまここでわれわれだけではお答えいたしかねます。しかし、この法案が上がる段階までには、それはどうしたって、上がるか上がらぬかわかりませんが、とにかく法案を上げる段階までにはこれは当然……(「衆議院、わからないまま通してきたじゃないか」「大体いつごろまで出せるか明らかにしたらいいじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#174
○多田省吾君 この問題は非常に大事な問題なんですよね。個人のビラでございますし、全国区三十五万、東京地方区三十万、大阪地方区は二十八万ですか、あるいは衆議院選挙においては六万、八万、十万というふうに、非常に多いようでまた少ないような大変な問題を含んだ数だと思うのです。やっぱり、東京なんかは三百五十万世帯ぐらいあると思うのです。それに地方区で三十万枚をまくとなると、十二世帯に一軒ぐらいまかれるでしょうね。それをいまの段階では販売店しかまけないでしょう。政令の部分はまだ示されていない。常識で考えても政党員あるいは支持者が簡単にまけるようなものではないと思うのです。戸別訪問との関連もあります。法定ビラともまた違います。しかも、販売店の方々にお願いするんでも、これは各自自由ですからね、おたくの党のはまけませんなんと言われればそれっきりですわ。そうして、せっかく証紙を一枚一枚張りつけて印刷してお願いしても、手紙や郵便と違って、後は野となれ山となれですから、まあそんなことを言うと販売店の方々に失礼でございますけれども、やはり最近お勤めになった方だっていると思うのです。どうもこの党は気に食わぬと、こういう方がその折り込みを配ろうとすると、一緒にたとえば捨えちゃったなんという人もいると思うのですよ。そういう場合は渡らないじゃありませんか。一般公報とかそれから郵便とかはがきとか、これはもうりっぱなものですよ。そうだと確信しておりますよ。今度は個人ビラですから、非常に私は心配です。そうして、その行方を見定める方法もないし、そうなった場合、それじゃ販売店やあるいは配達員の方が罪になるかどうか。詐欺罪か何か、こういうものが構成されるのかどうかですね、それはどうなんですか、一体。捨てられたような場合、配らなかった場合。
#175
○政府委員(土屋佳照君) まあいろいろな形態があろうかと思いますが、まあ捨てた場合でもいろんな本人の意思なり何なりいろいろあろうかと思いますので、私からちょっとそういった罰則等について答えるのはむつかしいわけでございますけれども、少なくともその新聞業者、配達業者との間においては、契約上当然それを届けるということで、その契約に従って人を使用してやっておるわけでございますから、これは契約違反ということはまず私、法的に明らかであると思うのでございます。あと、それが犯罪上どうなるかというようなことについてはちょっと私からは申し上げかねるわけでございます。
#176
○多田省吾君 いま刑事課長いらっしゃいませんか。
#177
○国務大臣(福田一君) ただいま私が申し上げたのは、そういう点を十分に詰めた上でお答えをすることにいたしたいと、こういうことを申し上げたわけでございます。いまお答えはいたしかねるということでございます。どういう形式、その他は別です。
#178
○多田省吾君 ですから、こういういろいろな重大な問題を含んでおりますから、私はなるべく早くその販売店の問題も含めて、その政令なるもののアウトラインだけでも、一つだけでもお出し願いたいというんです。それを通るか通らないかわからないけれども、審議が終わるころ出せるでしょうなんていうことじゃ、私たちはこの審議は続けられませんよ、これじゃ。今月中とかひとつ大体、七月四日じゃどうしようもないですよ、これは。今月いっぱいとか、次々の機会とかひとつ大体、そんな七月四日まで何日あると思うんですか、(「政府が受け入れたということは、ちゃんと用意があるはずでしょう。」と呼ぶ者あり)ひとついつごろお示し願えるかおっしゃってください。
#179
○国務大臣(福田一君) まあ提案されたお方となるべく速やかに御相談をさしていただきます。
#180
○委員長(中西一郎君) 委員長から申し上げます。
 ただいまの御答弁、誠意をもって実行していただきたいのでございますが、来週中にはという程度で御努力をいただきたいと思います。
#181
○多田省吾君 よろしいですか。
#182
○国務大臣(福田一君) 承知いたしました。
#183
○多田省吾君 それからもう一つ、もうたくさん聞きたいんですけども、時間がなくて残念ですが、ゲリマンダーについてひとつお尋ねしたいと思います。(笑声)
 衆議院ではほとんど審議なしに送られてきたわけでございますが、どうも埼玉一区だけはよくわからない。(「衆議院で審議しないからいかぬ」「だれだってわかりゃしないよ、あんなものは。おれはあそこに住んでいるけれどもわからぬ」と呼ぶ者あり)私は埼玉はずいぶん毎日のように歩いたんですけれども、また電車にも乗りましたけれども、(「一度ヘリコプターで見に行ったらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)これは私は三木マンダーだと思いますけれども、(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)これは将来に大きな禍根を残す問題だと思います。ですから、私はあの分区のときから、一体埼玉一区はどのような分区をなされるんだろうと、本当に自治省当局あるいは小委員会の方々が厳正中立であるならば、当然浦和は大宮と含めてゲリマンダーはつくらないんじゃないかな。しかし、巷間伝え聞くところによりますると、大宮市には自民党の大物の代議士がいらっしゃる、浦和にも相当大物の代議士がいらっしゃる。ですから、ここはどうも一緒にならないらしいなんといううわさが流れてまいりまして、しかしこれを分離したらこれはまさしくゲリマンダー、飛び地ができる。交通の状況やあらゆる点から考えて、こんなおかしな分区は私はいやしくも衆議院がやるはずはないと、このように思っておりました。出てきたのを見たら、ゲリマンダーあるいは飛び地ができていたので全くびっくりしました。六月十日の読売新聞には早速投稿が載っております。ごらんになったと思いますけれども、「議員エゴ丸出しの「飛び地」 埼玉一区で選挙民はおこってる」 公務員・横田洋さん、四十一歳、「私の住む北本市は高崎線で浦和につながっており、以前は高崎線の止まらなかった浦和駅にも電車が止まるようになって以来、浦和というと隣町にも似た親しみを感じるが、朝霞や和光というと、どの辺にあるのか、方位さえも見当がつかない人がいるほどである。
 今度の公選法改正で埼玉一区は分区されることになったが、浦和は南に入り、朝霞など四市が北に入ることになりそうだ。自治省は色々と理由を説明しているが、それは後からとってつけた説明にすぎないと思う。本当の理由は、公選法改正に反対の署名運動を起こして問題になった浦和在住のM議員と、同じ党に属する大宮在住のF議員とが、浦和を北に入れることによって地盤が重なり合うのを避けることにあるのは見えすいている。これほどあからさまに議員のエゴを見せつけられては、選挙民たるわれわれの政治に寄せるいちるの夢さえ消えうせてしまう。
 すでに衆院を通り参院に回ってしまったいま、その逆転の可能性は皆無に近いことを承知の上で、再考することを選良諸氏、政府当局に強く希望したい。」と、こういう投書も載っております。私は自治省の解説も全部見ました。いまさら御答弁をいただいても納得できないわけです。どうも議員中心の考えのように思われてならないわけです。そして、吹上町一番西と、それから新座左手は四十キロもあるんですね。浦和ならもう二十キロ程度で済むのに、どうしてこういう飛び地をつくったのか、どう考えてもわかりません。私は、先ほどヘリコプターというお話がありましたが、非常に私はよい御意見だと思うんです。昭和三十九年の衆議院の分区のときもヘリコプターで調査なさったのでしょう、どうですか。
#184
○政府委員(土屋佳照君) 私が記録で見るところでは、小委員会において現地を幾つか見ておられるということを聞いております。手段はおっしゃるような方法でございます。
#185
○多田省吾君 ヘリコプターですか。
#186
○政府委員(土屋佳照君) ヘリコプターでごらんになったということでございます。
#187
○多田省吾君 ですから、私は時間もございませんので、委員長にお願いしたいのですが、やはり昭和三十九年以上の改正です。昭和三十九年は十九名増です。今回は二十名増です。しかも、こういう飛び地ができた例は過去にはありませんでした。そして、投書まできております。大変疑惑に満ちた分区でございますので、衆議院ではなさらなくても参議院においては厳正、公正の立場からヘリコプターを含めて現地視察を一日お願いしたいと思いますが、理事会で御検討をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
#188
○委員長(中西一郎君) 理事会でお諮りいたします。
#189
○多田省吾君 それから、たとえば供託金の問題にしましても、もう全部三倍から三・三倍になっております。昭和四十四年のときは、国会関係は三倍、地方議会は二倍で出てきて、そして国会において全部二倍に修正されたわけですよ。私は、いまさら泡沫候補の締め出しだなんて言う理屈は通らないと思うのです。国会においては、テレビに出るんだったら少しぐらい金を積んでもということで、どんどん幾ら高くしても出ると思うのです。
 それから、地方議会において、どうして弊害もないのに三倍にする必要があるんですか。私は細かいことはいろいろ資料を持っていますけれども、ヨーロッパ等においてはせいぜい十万円ですよ。こっちは百万円じゃありませんか。二百万円じゃありませんか。ちょっと離れ過ぎます。これじゃ国民がだれでも平等に立候補できるという国民の権利を無視するものです。私は幾ら上げても、せいぜい二倍程度にすべきだと思うのです。三・三倍も三倍もする理由はどこにあるのですか、一体。この公選法そのものが国民の立場から見たものではないんです。全部これはあれじゃありませんか。上の方から議員が勝手に考えて、国民の意思を本当にくんでない公選法改正案ですよ。それが供託金にもあらわれているんです。なぜ三・三倍も供託金を引き上げる必要があるんですか。なぜ国民の権利をこんなに束縛するんですか。なぜ地方議員まで三倍も上げなくちゃいかぬのですか。そして法定得票数に達しないと、全部没収されるわけです。
 いまのを最後の質問といたしまして、またこの次の機会に質問さしていただきます。
#190
○政府委員(土屋佳照君) 供託金につきましては、お示しのように四十四年に改正をいたしましたが、あのとき国会修正があったということも承知をいたしておるわけでございます。ただまあ外国の例等もお話でございましたが、日本の場合は公営その他においても外国とかなり違っておるという点も一つはあろうかと思いますけれども、まあ私どもいろいろと検討いたします際には、戦前の衆議院選挙の供託金が幾らであったかとか、その後の貨幣価値の変動といったようなこと等を調べまして、そういった従来からやっておる方式に加えまして、最近の選挙公営に充てられた経費の実態といったようなものを見てまいりますと、たとえば衆議院の場合では一人当たりもう百万円以上、公営と言いましても個人的な、候補者一人当たりのきわめて個人的と申しますか。テレビの政見放送とかいったようなたぐいのものでございますが、そういうものを見ても、一人百万円になっておるというようなことでございます。四十四年からかなり物価上昇も激しいし、時間もたっておるわけでございます。一方、また参議院につきましても、いまのような見当でまいりますと、非常に高くなっておる。候補者一人当たり公営費が五百万円となっておるというようなこともございます。ただ、まあおっしゃいましたように、供託金というものを出さなければ立候補ができたいというわけでございますから、一挙にこの何倍も引き上げるということについては、いろいろと御意見があろうかと思います。私どももその点はいろいろと勘案をしたわけでございますけれども、まあ今回もさらに公営を拡充するといったようなこともございますし、この程度の引き上げは実際に沿うものだと思いますしまた、これは先ほどそれだけではおかしいと言われましたが、真に当選を争う意思のない候補者の乱立を防止するという供託金制度の趣旨ということから見ても、これはこの程度の引き上げはやむを得ないというふうに考えたわけでございます。
#191
○多田省吾君 納得できませんね、それじゃ。
#192
○内藤功君 私はまず機関紙号外の問題について御質問したい。
 機関紙号外のうち選挙に関する報道評論を掲載したものとしからざるものを分けて、前者を禁止し、掲載行為などを処罰をする、こういう改正案であります。
 そこで、選挙に関する報道評論でないものは何かという問題。六月の十八日福田自治大臣はこの選挙に関する報道評論でないものを二つ挙げた。一つは地方の選挙でもって防衛外交など、国政レベルの問題を〇〇党の政策として掲載しておる場合、もう一つは、自由主義、民主主義という思想上の論争や経済、福祉などについての従来からの政策を掲載している場合が挙げられると、こういう答弁であります。
 そこで、まず伺いたいのはこの二つに限るのか、二つは例示なのか、この点。
#193
○政府委員(土屋佳照君) 大臣が申し上げましたのは例示でございます。
#194
○内藤功君 これは福田自治大臣が自分で考えたのか、土屋部長が考えたのか、どっちか。
#195
○国務大臣(福田一君) 自治省として考えました。
#196
○内藤功君 この一番目の地方の選挙において防衛、外交等国政レベルの問題をも〇〇党の政策として掲載している場合と、こうあるけれども、たとえばこれに限られるのか。あるいはいま地方交付税の交付金をこういうふうに値上げをしたい、引き上げたい、交付率を。あるいは地方公共団体の持っておる超過負担、これをこういうふうに解消したい。これは国政レベルの問題。こういう問題はこの地方選挙で掲載することは、国政レベルの問題を掲載する。したがって、選挙に関する報道評論になるのか、ならないのか。
#197
○国務大臣(福田一君) これはなかなかそこか――たとえば超過負担といまあなたはおっしゃったけれども、たとえば当該市町村でもって学校を建てるときに、建てておる、建てようとしておる、そのときに選挙が行われているというような場合に、学校の超過負担はこうすべきであるということになりますと、これは地方の選挙においてもやはり何か利益誘導になる可能性が多分にあると思いますから、そういうことでなくて、一般論として、わが党は、たとえば共産党は超過負担の問題を解消するよう努力する、努力しておるというだけのことならば、私は少しも差し支えないと思います。
#198
○内藤功君 地方公共団体の中で、今日超過負担の問題で悩んでいないところ、地方交付税の交付率の引き上げの問題で要求出してないところがありますか。
#199
○国務大臣(福田一君) 私は、その場合にでも、その当該地区においてその問題が議題になって、それをめぐって選挙が行われるような場合があり得ると思うんです。たとえば学校の方に金を使うがいいか、これは例でありますが、保育所の方に金を使うがいいかというようなことがテーマになって、そこで、議論を展開されているようなときになりますというと疑義が出ると思うのです。われわれは学校の方をやるのだということになると、そこで一つの問題点が起きると思います。しかし、共産党としては超過負担の問題解決に今後も大いに努力する、こういうことであれば何ら疑義はありません。
#200
○内藤功君 そうすると、保育所なり学校の増設なりという問題は、どこの市町村でも、都道府県でも問題のないところはない。そういうところで交付税の政策はどの程度まで、超過負担の政策はどの程度まで具体的に示すことができるのですか。
#201
○国務大臣(福田一君) いま申し上げましたけれども、政策として超過負担というものは解消するに努力するのだ、こういうことを共産党が言っておいでになるんなら、少しも差し支えないと思います。
#202
○内藤功君 いま大臣のお答えは、裁判所なり警察を拘束する性質のものですか。
#203
○国務大臣(福田一君) 法律をつくりますときには、その間における質問応答というものがある程度法適用の場合には当然参考にされるものであると思っております。
#204
○内藤功君 次に、自由主義、民主主義という思想上の論争の問題です。たとえば、自由を破壊するのは〇〇党である、こういうものはこの思想上の論争に当たりますか。
#205
○国務大臣(福田一君) その言葉だけでは私は違法性を持つとは思いません。
#206
○内藤功君 公職選挙法の改正を行って言論、表現の自由を破壊しようとしている〇〇党、これはどうです。「笑声)
#207
○政府委員(土屋佳照君) まあ、いろいろ言葉でおっしゃいますと、いろんなあれがあるわけでございますが、まあいろいろ書かれる場合は、全体として政策なり考え方というものを出されるということになりますと、その全体を見て判断しなければなりませんし、いまその一部だけこうだと、こう言われまして、私どももとっさに、何でございますか、それを確定的にここで申し上げるというのはなかなかいたしかねるわけでございます。
#208
○内藤功君 〇〇党、〇〇党がこういう内容の公職選挙法の改正を行った。これは憲法の表現、言論の自由に反している。こういうふうな〇〇党に対する批判はいかがですか。
#209
○政府委員(土屋佳照君) いまおっしゃいました文章からすれば、これは直ちに選挙に関しておるものとは考えられません。
#210
○内藤功君 逆に、公職選挙法の改正に反対して、言論、表現の自由を守っているのが〇〇党である。こういうふうに守っております。これはいかがですか。
#211
○政府委員(土屋佳照君) 一般的な政策としてお書きになることは、それは特にその選挙に関連しておるとは考えられません。
#212
○内藤功君 政策が小選挙区制を出そうとしてきている。〇〇党はこうこうこういう理由でこれに反対しております。こういう内容はどうです。
#213
○政府委員(土屋佳照君) そのような政策については、特に選挙に関しておるものとは考えられないと存じます。
#214
○内藤功君 次に経済、福祉などの問題です。電力料金の値上げを抑える緊急政策、これはどうです。
#215
○政府委員(土屋佳照君) いまのお言葉だけからは、特に選挙に関連しておるとは考えません。
#216
○内藤功君 東京電力を初めとする電力会社は燃料費などを水増ししておる。膨大なところの退職金積立金、諸種の準備金を計上して内部留保をしている。こういうものを減らせば大衆の小口の家庭電気料金を上げなくて済む。共産党はこういうふうに主張します。こういう政策はどうです。
#217
○政府委員(土屋佳照君) いまのような電力料金についての見解というものを述べられるのは、最後のところがちょっと私、はっきりしなかったのですが、そういうことを主張しながら選挙しておるのだというような言い方でないと、党の考え方はこうであるということであるならば、直接選挙に関連しておるとは考えられません。
#218
○内藤功君 どういう点がはっきりしないです。
#219
○政府委員(土屋佳照君) いえ、わが党は主張しておると言われましたが……。
#220
○内藤功君 はっきりしなければ、幾らでも説明してやる、どういう点がはっきりしない。
#221
○政府委員(土屋佳照君) わが党が主張しているというのが、その選挙に関連してということなのかどうか、そこがわからなかったものですからお聞きしたわけでございます。
#222
○内藤功君 わかりましたか。
#223
○委員長(中西一郎君) わかりましたか、選挙部長、先ほどの内藤委員の御質問の中の語尾の方がはっきりしなかったとおっしゃったんですね。できればその最後のところを少し、もう一度繰り返していただければはっきりするのじゃないかと思います。
#224
○内藤功君 これ速記をとめて、もう一回言いましょうか。
#225
○委員長(中西一郎君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#226
○委員長(中西一郎君) 速記を起こしてください。
#227
○政府委員(土屋佳照君) どうもおくれまして恐縮でございます。いろいろなあれがあろうかと思いますが、いまこの電力料金ということで経済問題について内部留保等を考えていけば安くなるといったような一つのお考えをお示しになることは、その限りにおいては選挙に関する報道評論とは言えないのではないかというふうに考えます。
  〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
#228
○内藤功君 いまのお答えだけで大体六分ぐらいかかっておるんです。つまり、こういう簡単な質問設例についても、法律に詳しい土屋さんが大臣と合わせて六分も打ち合わせなければならぬ。一般大衆から見れば六分どころか六日も考えなければわかりやしない。そういう法律をつくっていいかという問題ですよ。
 そこで次に、今度は中小企業、中小企業の危機を打開する緊急政策、たとえば国、公社などの官公需をいま二七%であるが、これを五〇%まで引き上げたい。大島つむぎなどの韓国などからの類似品の輸入を規制をしたい。さらには国民金融公庫、中小企業金融公庫などの資本金をふやして、中小企業に対する融資というものの原資をふやしたい。さらに百貨店や大スーパーの進出を抑えるために届出制から許可制に直したい。あるいはクリーニング屋、豆腐屋さん、印刷屋さんなどの分野に大企業が出てきて、ヤクルトが豆腐をつくるなんということがないようにしたいと、たとえばこういう政策を書いて、これは共産党はこういうふうに主張をいたします、主張いたします。これは選挙に関する報道評論であり、違法ですか。
#229
○国務大臣(福田一君) 余り長いことあれすると、タイムウオッチ持っておいでになるようですからお答えをいたします。
 私はそういうふうにして、そういう問題をいろいろいま御提示になりましたが、これは共産党が選挙に臨まれる場合には、そういう政策を、いまおっしゃったようなことは大体掲げられるのじゃないですか、そういう政策は。私はそういう政策をお決めになる、そうして政策が決まっておれば、その政策の内容であるとして発表されれば何も意味はない。そこは私は余り法律を何かいかにも反対するためのあれじゃなくて、こういうふうに決めて、政策はいいと決まってるんですから、あなたの方で政策をお決めになって、これは政策であるから出したと言われれば、これは何も問題はない。選挙に入る前なら、あなたの方ではずいぶんいま言ったような大島つむぎの問題だろうが、中小企業の金融の問題だろうが、いろいろのことについて、もし、私がそういうことを言うのはおかしいけれども、そういうことをひとつ宣伝をしたいと思ったら、そういう政策をお決めになればいいじゃないですか。政策のことは出していいと、こう言っているんだから、何もそうここで口角あわを飛ばして議論をすべき筋合いは私はないと思います。
#230
○内藤功君 そうすると、いまの私が例示した中小企業緊急政策は、純然たる政策であって、選挙に関する報道評論に当たらないと、こういうことでよろしいですね。
#231
○国務大臣(福田一君) 選挙に入る前にそういう政策をお決めになって、そうしてそれを号外でお出しになったらどうですかとこう言う。選挙中ではそれは選挙に関することになる可能性があるから無理だと。
#232
○内藤功君 この点、土屋選挙部長の答弁を求めたいと思うのです。ちょっとあなたのいままでの答弁と大臣のお答えと違うと思うのです。
#233
○政府委員(土屋佳照君) いま申されました例としての共産党の政策として、これが決まっておって、それが出されるということであれば特に選挙に関する報道評論とは申せませんが、選挙の際に主張されるということのために、候補者がそれを言って回られる、そういう形でつくられたということになりますと、それが明らかであれば、選挙に関するという場合はあり得るということを大臣はいま言われたわけでございます。
#234
○内藤功君 そうしますと、さっき多田さんが聞いたように、同じ中小企業に関する政策でも、それから電力料金に関する政策でも、そこには選挙のせの字もなくても、あるときには選挙に関する報道評論になったり、あるときにはならなかったり、その基準は何ですか。
#235
○国務大臣(福田一君) 私は、われわれが言うておるのは、選挙の前にそういう政策をお決めになっておれば、それは共産党なりあるいは公明党の政策でございますから、それを号外でお出しになってもそれは違法と考えるわけにはいかないと思いますと、こういうことを申し上げておる。ところが選挙に入ってしまってから急にある候補者がこういうことを政策を言い、あるいは共産党にしてもその新しい政策を発表されるということになると、それは選挙に関してこういうものを考えたのであるから、選挙に関するということになるだろう、こういうことを申し上げたのです。われわれは何もあなた方の発表や何かを余り窮屈に考えよう考えようと思っているのじゃないんです。できるだけやっぱり選挙に対してやろうと思うなら、それくらいのことはちゃんと考えておかれて、それで政策をうんとたくさんつくっておかれるんですよ。そうすれば出せるじゃないですか、それでいいじゃないですか。選挙中はだめです。選挙中はその選挙に関してつくったということになるからだめです。そういう解釈です、われわれは。だからそれに反対か賛成かは別問題で、こういうことを幾ら議論しておったってだめなんですよ。そこで決するか決しないかという問題なんです。解釈を私はこういうふうに言うてますからね、その解釈でやってもらうよりしようがない。それが法律をつくる、立法をやる過程におけるこういう話合いというものは非常に大事だということを私は申し上げておるのです。
#236
○内藤功君 大臣に申し上げますが、私の方を向いて答えていただきたい、傍聴の方でありますから。
#237
○国務大臣(福田一君) いやいや、非常に仲がいいものだから。
#238
○内藤功君 仲がよくても私もお見忘れなく私の方に答えていただきたい。
 それから、やはり何と言ってもここで私の述べた解釈でいくのだとおっしゃったが、福田自治大臣尊敬しておりますけれども、あなたが法ではない、法王ではないんですよね。ちょっとお待ち下さい、質問中です。
 次の質問は、そうしますと……
#239
○国務大臣(福田一君) 切り捨てごめんは困る。
#240
○内藤功君 じゃあお答えなさい、どうぞ。
#241
○国務大臣(福田一君) 私はもちろん法ではございませんよ。私がここの委員会において質問応答をした内容は、法律が成立した場合においては解釈上の、解釈を――法律というものはそういうものなんです。この法案の審議の過程におけるところの問答というものは、法解釈の重要な資料になるわけです。だからもし私の言っていることが間違っているとお思いになれば、この法案をつぶされればいいわけですね。法案に反対されればいいわけです。それだけの話です。私が言うておるのは、この法案をつくった場合における解釈としては、やはり私がいま申し上げたことは重要な資料になり、そうして判断の参考になるというので、私は何も法ではございませんから、法をおつくりになるのは皆さんですから、しっかりやってください。
#242
○内藤功君 そうしますと、これはいかがでしょうか、選挙の前に政策を決めた、選挙の前に政策が決めてある、そして選挙に入ってから、選挙前に決めた政策だが選挙に入ってから発表した、まあ一番わかりやすく言えば、告示の前の日に決めた、そして選挙に入ってから翌日これを号外でまいた、これはどうなります。
#243
○国務大臣(福田一君) これは非常に疑義が出ますが、私はそれもやむを得ないと思いますね。ただし発表はされなければいけませんよ。政策として発表しないでおいて、あっためておいて途中になってからこれはあのとき決めたのだと言って出すのはだめですね。やっぱりちゃんと公表をされなければいけません。
#244
○内藤功君 選挙は参議院、衆議院、地方選挙それぞれ期間が長短ございますが、あるいは二十五日といい、あるいは十数日というこの期間の間に、たとえば石油コンビナートで事故が発生をした、あるいはまた赤潮が発生をしたというような突発的な事故の場合に、そうすると党としての政策を出したい、赤潮対策あるいはコンビナート対策というものを出す、これはいかがでございますか。
#245
○国務大臣(福田一君) それは、私は本紙でお出しになれば十分できることだと思っております。(「号外の話、号外で出せますか、答弁になってないですよ」と呼ぶ者あり)
#246
○内藤功君 非常に緊急な問題であり、これを一つの号外の形式で出すということはいかがでございますか。
#247
○国務大臣(福田一君) それはそういうような特殊な事情の場合は、私は余り問題にしないでもいいんじゃないかと思います。急に地震が起きた、地震対策はどうするか。これは当然やっぱり政党としては、これは何も共産党だけが出されるんじゃなくて、うちらも出さにゃいけませんから同じことなんです。だから、それはいいですよ、そういうのは。そういう特殊の事情を挙げておっしゃらぬでもいいです。要するに、やはり法律というものは常識でやるんですよ、すべて。
#248
○内藤功君 いま大臣の言われた特殊の場合はよい、これは、私はいま瞬時に考えまして、大変含蓄のある御答弁と拝聴いたしました。
 お伺いいたしますが、特殊の事情とは地震のほかにどのようなものをお考えですか。
#249
○国務大臣(福田一君) それは常識ということです。天変地異と考えていいでしょう。
#250
○内藤功君 大変むずかしいお言葉ですから、天変地異という内容を御説明願いたい。
#251
○国務大臣(福田一君) それは内藤さんね、そういうところまで、そういうことをここで詰めていくということは、それは、私はもう議論の範囲を出、議論の問題じゃなくなると思う。あなたがこの問題についてもう反対だからという意思を、明らかにこの法律をいかにもこうあれしていこうというようなお考えに立っているように承ります。天変地異というお言葉がおわかりにならないと言うけれども、それは地震でも火事でもいろんなことありますよ。だけど、それがおわかりにならないような方が私、参議院議員になっておられるとは思わない。
#252
○内藤功君 石油コンビナートの事故が起きた、これはどうです。
#253
○国務大臣(福田一君) 石油コンビナートの事故が起きたという場合にも、その事故という意味が、たとえば何か一人がけがをしたというようなものをとらえるべきか、あるいは爆発が起きたというようなことをとらえるべきかということは常識の問題でしょう。天変地異というのはよくよく大きいことという意味を含んでおるんですよ。
#254
○内藤功君 先刻、三菱の水島の事故がありましたね。瀬戸内海が御案内のように大変汚染をした。ああいうのはこれに入りますか。
#255
○国務大臣(福田一君) 私は入ると解釈すべきだと思います。
#256
○内藤功君 いろいろ時間をかけてお伺いいたしました。言葉の上の失礼の段はお許し願いたいと思います。
#257
○国務大臣(福田一君) こちらも同じです。
#258
○内藤功君 そうすると、いま言われたような具体的な、天変地異も含めましてですね、具体的な何が選挙に関する報道評論に当たるのか当たらないのかというもっと細かい具体的基準、これをやっていけば二十何時間かけても尽きないと思うんですが、この具体的基準はだれが決めるんですか。
#259
○国務大臣(福田一君) 選挙に関するということで、いま具体的な例を私らの方は提示をいたしました。それに対してあなたがいろいろまた細かい御主張、内容をお聞きになったわけなんですね、いままで。だからそれは私が申し上げておることは、要するに政策、本来の政策というものを選挙の前におつくりになって、そうしてそれをお出しになることは自由ではありませんかと、それからまた天変地異のような問題が起きた場合は、たとえそれが選挙に関係があるとしても政策をお出しになることはこれは当然であると、こういうことを申し上げておるわけです。
#260
○内藤功君 次の質問に入る前に、この選挙に関する報道評論を号外に掲載した行為、それからその号外を頒布した行為に対する罰則、刑の上限でよろしゅうございますが、これは自治省の部長の方からお願いしたい、一応確認しておきたい。
#261
○政府委員(土屋佳照君) 掲載罪につきましては、二百三十五条の二で、第二号に違反いたしました場合は「二年以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。」ということになっております。
 それから頒布罪につきましては、二百四十三条で「二年以下の禁錮又は二十万以下の罰金に処する。」ということになっております。
#262
○内藤功君 いまのような禁錮刑もついた罰則であります。しからば、この罰則を適用する場合には、国民の自由を守る見地から、構成要件はできるだけ法律で具体的明確にきめておかなくちゃなりません。大臣にお伺いしますが、こういう選挙に関する報道評論というものの中身を何がしかの法形式の形をもって、法形式の形態をもって客観的基準として定立をしておくお考えはあるかどうか。
#263
○国務大臣(福田一君) ただいま皆さんから御質問がありましたが、一応われわれはこういう統一見解を出しておるわけであります。で、その統一見解について、あなたはよくわからないがこういうことはどうかこうかと言って御質問がございまして、私がお答えをいたしたわけであります。まだほかにもございますればお答えをいたさなければなりませんが、それが一つの、もし犯罪が成立するとすれば、一つの大きな要素になると私は考えております。しかし二年以下の禁錮とか二十万円以下の罰金といっても、三千円も罰金ですし一千円も罰金なんで、何でもみんな重くするという意味ではないのですよ。それはそのときそのときの事情で犯意が――選挙になってから無理をして政策をつくって出して、しかも頒布の方法は駅頭でどんどん配っちゃったなんというようなことになれば、これは大いに犯意があると解釈されるでしょう。だから、その事案を一々ここで申し上げるということはこれは無理です。法律というものはそういうものなんです。法律で一々のことを全部書くわけにはいきません。たとえばどろぼうをした場合でもアパートへ入ったときはどうなるのだとか、あるいは役所へ入ったときはどうなるのだとか、そういうことじゃないのです。そのときそのときの事情によってこれは司法当局が判断をする、こういうことになると私は考えております。
#264
○内藤功君 そうしますと、それは法律をつくるという側からすれば、法律を提案する側からすればすべてを網羅的に言えないということなんでしょうけれども、この法律を受ける側、つまりこれから機関紙の号外をつくろうと思うけれども、これが報道評論かどうかということで疑いを持った者は、福田さんあんたのところに聞きに行けばいいのですか、どういうことになるのですか。
#265
○国務大臣(福田一君) 私はそういう場合にはもちろん当該選挙管理委員会のところへ行かれたらいいと思います。それも聞かないで出せばかなり犯意があると、もし間違っておれば犯意があると言わなければなりません。選挙管理委員会に行って聞いたけれどもわからなかったというので出してしまったというのならある程度また軽くなるでしょう。一々そんなことをあなたここで言うということは、そういうことはいかぬ、そういうことはだめなんだというあれからお考えになっては、非常にこれは、法律というものはそんなものじゃありませんよ。じゃほかの法律を引っ張り出してきて、刑法の内容をちょっと一遍ごらんになったらいかがですか。ずいぶんこれはある意味では漠然たる表現をしております。しかし、法務当局なりあるいは警察はこれをちゃんと批判してやっておって、それがもし間違っておれば一審、二審、三審の裁判制度というものがちゃんとあって、みんなの利益を守っておるわけですから、私は、それを一々例示をしなければ法律ができないというのであれば法律はつくることが困難だと思います。
#266
○内藤功君 選挙管理委員会はそういう国民が一々尋ねてきたときに、あまねくすべての人に公平に示せる基準を持っておりますか。
#267
○政府委員(土屋佳照君) 従来からたびたび申し上げておりますように、選挙に関する報道評論というのは、これはほかの、前から条文がずっとあるわけでございまして、それに応じていままでも判断をしておるわけでございまして、そう大きな問題を起こしておる例は聞いておりません。まあそういった意味で、今後ともこの点については十分選管としては耐えていけるというふうに考えております。
#268
○内藤功君 たとえばあなた方が判例として引用される昭和三十五年七月十四日の東京高裁の判決、これはそう問題が起きたことはないと言うけれども、大変な問題じゃないですか。国鉄労働組合の静岡地方本部、この被告人の一人は、失礼ですが、いま参議院議員に当選なさった社会党の方ですよね。私もよく知っている方です。こういうりっぱな組合活動の役員の人が、たまたま候補者の名前を書いたビラをまいた、号外をまいたということで検挙された。無罪にはなりましたよ。しかし無罪になっても、無罪になるまでに二年か三年かかっているわけですよね。その前に警察ざたになって、近所の人からよく思われない、子供さんにもいろんな迷惑をかけるだろう、無罪か有罪か争うのに弁護士を頼んで二年も二つの裁判所で経費をかけてやらなければならない、こういうことが起きないために、報道評論とはこういうものだと細かく規定をして、犯罪が起きない方がいいのですから、そういうものを定立していくこういうのが当然だと思うのだが、それは一々その都度選挙管理委員会に聞いてくれ、選挙管理委員会にそういう基準があるか――ない。これじゃ国民は一体何を基準に選挙の報道評論か否かを判断したらいいんですか。
#269
○国務大臣(福田一君) 国民がとおっしゃいますけれども、それは選挙をやる人あるいは政党人の問題になるわけであります。いやしくも政党人として選挙運動をやろうとするときは、選挙法の何であるか、どういうことであるかというくらいはもちろん御勉強になってやっておいでになる。また、地方において選挙管理委員会等においてもやっぱり自分の仕事ですから、それは相当勉強は一応しておると考えなければなりません。そういう場合でも、いまあなたのおっしゃったように、何か疑義があって行ったけれどもよくはっきりしなかった。そこでまあ出してしまったというようなことになれば、そういう量刑の問題等においては非常に軽くなるだろうということを私は申し上げておる。それは犯意がないんですから、ちゃんとその疑問を聞きに行っでいるというだけでもそれは非常に犯意がないと見なければなりません。要するに刑になるかどうかという問題は、やはりその具体的な事例で判断しませんと、いま言ったように、これは窃盗をした者は十年以下の懲役に処すと書いてある。そうすると、窃盗した者というのはどういうもんだ、一々全部例を挙げておけと、こう言われても、そういう法律はつくれませんよ。
#270
○内藤功君 こう言われてもと、そんなことは聞いていませんよ。
#271
○国務大臣(福田一君) いやいや、そういうふうにちゃんと法律はできていますよ。じゃあ刑法持ってきて見てごらんなさい。
#272
○内藤功君 刑法のことは聞いてませんよ。あなたに聞く必要はないよ。
#273
○国務大臣(福田一君) それはちゃんと法律がありますよ、そういうように。
#274
○内藤功君 何か非常な思い違いをしておられるように思うんですね。というのは、そうすると福田自治大臣のお話だと、みんなとにかく国民は選挙法は知っているはずだと、選挙法の勉強をするべきはずだと、しないやつはこれはしようがないんだということになりかねないんじゃないですか。
  〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
これは政党の場合は、確かに研究している選挙の専門家がいるかもしれないが、あとで問題になる一般紙の場合、労働組合の機関紙だとか婦人団体の機関紙だとか業者団体の機関紙だとか、こういう場合には、こういう人たちに選挙法を勉強をしておるはずだからということを期待することはどだい無理なんだ。国民をそういう高い法律水準のものとして見ないでもわかるようにつくるのが法律をつくる者の役目だと思うんでございます。
 そこで、私は次に伺いたい。これを私が聞くのは、福田自治大臣御自身が、六月四日の衆議院の公選法委員会で、山田芳治議員の御質問に対しましてこう答えているのですね。質問はですな、「号外というものは、選挙に関する報道、評論でないとするならば、これはたくさん出てくるおそれがあると思うのですが、大臣、どうお考えになりますか。」。福田国務大臣のお答えは、「ごもっともな御質問でございまして、選挙に関するという意味の内容でございますからして、非常に幅広く理解すればまた狭くなるし、ある程度幅を広くする場合もないとは言えません。」、こう答えておられる。大臣、あなたは、私が九日の本会議でこういう答弁をなさったと、これはどういうことかと聞いたのに対して、そういう答弁は私は衆議院でしておりませんと、本会議で私にお答えになりました。これは間違いがあるかもしれない、何か行き違いがあるのかもしれない。私は耳を疑った。あの場で御質問すべきところですけれども機会を得ませんでしたので、きょう改めてお伺いをしたい。
#275
○国務大臣(福田一君) 私があのお答えをいたしましたのは、選挙に関するという意味の内容でございますからして、非常に幅広く理解すればすることもできるし、また狭くもなり得る、ある程度幅を広くする場合もないとは言えませんと、こういう意味のことを言ったわけであります。しかし、私が言う意味は、「個々の問題でとわれわれは言っておるわけでありますから。私は、そういうことになればやはり一般の選挙民がどう理解されるかということで考えていただく以外にないのではないか。ビラ公害というようなことも言っておるのだが、できるだけそういうもののないようにという精神で」申しておりました。「ないようにという精神で」いっておるのでありますと、こういうことを言っておるのです。それで、私が山田委員に申し上げたのは、選挙に関するという意味は、人によりそれぞれ理解の仕方も異なると思うので、広義に解釈されることもあろうという言い方をしたが、要は、個々具体的なケースについて客観的に表現された内容に応じ、社会通念に従って判断すべきものと考える、こういう趣旨で私は申し上げたんです。で、まあこういうあなたからそれは非常に御疑問が出たということについては、私のこれは不徳のいたすところであります。そこで、この間、予算委員会におきまして、それではよくわからぬじゃないかということでございますから、そこでまあ総理並びに私、あるいはこの選挙部長等々とよく打ち合わせをいたしまして統一見解を出したわけでございますので、この統一見解をもとにして、そうして論評を加えていただきたい、かように思います。
#276
○内藤功君 いまの御答弁の一番最初に読まれたような、選挙に関するという意味の内容でございますから、非常に幅広く理解すればまた狭くなるし、ある程度幅を広くする場合もないとは言えない、これはまあ大臣御自身が、選挙に関する報道評論というものの範囲は、大臣のお言葉をかりて言えば人により広く解釈もできるし狭くも解釈できるということをお認めになっていると、こう思うんですが、いかがです。
#277
○国務大臣(福田一君) そういうことがあってはいけないから、そこで良識の範囲でこれは判断するということは統一見解が、これが良識の範囲だという意味でございます。
#278
○内藤功君 その良識を法形式の形であまねく国民にわかるようにお示しになるお考え、御用意はありませんか。
#279
○国務大臣(福田一君) 私は先ほどから申し上げておるんでありますが、法をつくる場合に、そういうものを一々、先ほどちゃんと例示を申し上げておるんであります。こういうものはいいとか悪いとか、そういうまた判例もございますし、そういうものがありますから、だからこれをひとつ解釈の基本にしていただきたい。
 で、先ほどあなたは、国民に知らせる、全部知らせるようにということをおっしゃるけれども、いまわれわれが論点としておるのは機関紙号外の問題ですね。あなたはもう機関紙の号外ということになれば、共産党なら、あるいは公明党でも自民党でも同じでございますけれども、自分の党の機関紙の問題について、どういうことをすれば違法になるかならないかくらいのことは一応御勉強をしていただけるものと私は解釈をしております。でありますからして、そういうことについては、そこで内容の問題になってきますけれども、内容は、これは法律をつくる場合には、そんなものを例示完全にできませんよ、どんな法律でも。罰則のついた法律を一遍何でもいいからごらんになってください。私もずいぶん法律も少しはやったつもりなんです。それはそんな窃盗をしたらどうとか、あるいは詐欺をやったらどうとか、こういうことはありますけれども、どういう、たとえばこの収入印紙をごまかした場合はどうであるとか、いや何とかといっても、そのまた収入印紙も一千円の場合はどうだとか、何万円の場合はどうだとか、そういうことは書いてありません。それは法務省なら法務省、裁判所がちゃんと量刑を、善意であるか悪意であるか、犯意があるかないかというようなことを考えてやるわけです。だからこの機関紙の問題については、いまわれわれが統一見解を出しましたのを御参考にしておやりになれば、それは決して皆さんに御迷惑がかかることはないと思っております。
#280
○内藤功君 そうすると、その良識によってやるんだと、その良識は、さっきは選挙管理委員会に聞けとおっしゃった。選挙管理委員会に聞くのはいいですけれども、実際に罰則を適用するかしないか、これを解釈し、決めるのはだれなんです。
#281
○国務大臣(福田一君) それは最終的にはやはり司法機関でございます。
#282
○内藤功君 司法機関というのは、これは裁判所だけをいうんですか。あるいは警察、検察庁を含むんですか。
#283
○国務大臣(福田一君) 私が申し上げるのは最終のことでございまして、場合によっては、たとえば警察に、こういうものを出しておるのはこれは選挙違反だと思うから取り調べてくれと、こういうことを言えば警察は取り調べることもあるでしょう。しかし、取り調べたからこれが必ず有罪になるものではございません。そういうことはもうよくおわかりだと思う。警察が何でもかんでも取り調べたらみんな罪にしておるわけではございません。それから警察が取り調べて有罪だと思っても、これがすべて罪になるわけではございません。ちゃんとそれには証拠というものがなければいけないし、また弁明の機会も与えられるし、裁判官もあるわけです。でありますからして、いまあなたのおっしゃる意味は、われわれがいまここで議論しているのは号外の問題ですからね、号外の。しかも号外というのは機関紙の号外です。機関紙の号外ということであれば、政党の人たちが機関紙の号外でどういうものを出したらいいかということは、いまわれわれが申し上げたことで大体わかっていただけると思う。あなた方は、もし自由にできるだけしたいと思うなら、やっぱり政策をあらかじめお決めになっておられればいいじゃないですかというところまで私は申し上げておる。私は、そういう意味では決して言論の自由を束縛しようなどとは考えておりません。しかし、あなたは突発事故が起こったらどうかと言うから、そういう大きなことがあれば、それはもうそのことについて政策を述べられてそれが悪いなどと、そういうことにはなるはずがございません。私はそういうことはないと思っております。私がこういうことを言っていることは、法適用の場合には、ちゃんと弁護士から言えば、あの法律をつくるときに自治大臣はこう言っておるじゃないか、なぜそういう処罰をするかと言って弁護できるようになっておるんです。これがすなわち法治国の姿でございます。
#284
○内藤功君 ある機関紙号外がこれが報道評論に関する機関紙号外であるかしからざる号外であるかということは、刑事問題になった場合まず警察がこれを認定するわけですね、現場の警察官ですね、現場の警察官。その現場の警察官が判断する基準は何ですか。
#285
○国務大臣(福田一君) それはもうその形式と内容でしょう。いま先ほどから申し上げておるように、形式と内容です。たとえば頒布の仕方とか、あるいは書いてある記事とかというものが、選挙に関するかどうかということできまるわけです。これはもういやしくもこういう法律を、実はこの法律をつくるときには、それは法務省とも連絡をしましたし、警察庁とも連絡をして一応やっておるわけですから、それはもうちゃんと警察としてはそれだけの勉強をしておかなければなりません。だから、私はそういう意味において、弾圧をするとか、あなた方のやることをむやみに抑えるとか、そういうようなことはないと考えております。
#286
○内藤功君 現実にはですね、警察官が形式と内容、文意でもって判断をするといっても、この警察官の物の考え方、それからその受けた法律教育の素養いかん、こういったものでずいぶん違いが出てくる。そこで、警察官のこの解釈を統一するために警察ではどういう基準を持っているか。関係者がおられたら答弁してもらいたい。
#287
○政府委員(田村宣明君) ある号外が選挙に関する報道評論に当たるかどうかという問題でございますが、これはまあその内容なり形式によりまして非常にまあ一見して明らかなもの、あるいは一見して該当しないというようなものもこれはあり得ると思うんです。それから、まあにわかに判断しがたいというようなものもあろうかと思います。これは先ほどからいろいろ御議論がありますように、千変万化の具体的な事柄につきまして基準というものはこれは決めることは不可能に近いことでございますので、そういう一見して明白なものにつきましてはそれぞれに見合った処理というものをとり得るわけでございますが、果たしてこれが該当するかどうかというものにつきましては、現場の警察官の判断では処理ができないということになるわけでございまして、その場合にはさらに上部に上げまして慎重に検討をいたし、その結果結論を出すと、こういうことになると思います。
#288
○内藤功君 上部というのは、大体警察でいえば警備課長だとか、それからさらに上部でいえば県警の警備課長とかいうところになるだろうと思うんですね。そうして、私はいまあなたに聞きたいんですが、警察の中で選挙関係のこういう疑義について警察官の解釈を統一するために、この選挙関係の質疑回答集というものをつくっておりますか。
#289
○政府委員(田村宣明君) 職務を行うに必要ないろいろな資料というようなものは、その都度必要に応じてつくっております。
#290
○内藤功君 その質疑集の中には、当然号外でいま問題になっておる選挙に関する報道評論、この問題についての質疑回答も載っておりますね。
#291
○政府委員(田村宣明君) 選挙に関する報道評論についての資料というものもございますけれども、その中で私どもが一番何といいますか、手がかりといたしておりますものは、先ほど来出ております三十五年七月十四日の東京高裁の判決その他の判決でございます。
#292
○内藤功君 判決だけではなくて、こういうような場合は選挙に関する報道評論になるのかどうかという点についての事例を挙げた質疑回答も載っておりますね。
#293
○政府委員(田村宣明君) それはその都度そういうふうな質疑があれば検討して回答を出すということはやっております。
#294
○内藤功君 昭和四十七年度、八年度、九年度の選挙関係の質疑回答集を警察庁でお持ちでしたら、私どもの方にちょっと見せていただきたいんです。
#295
○政府委員(田村宣明君) 選挙法令の解釈運用は、申すまでもないところでございますが、統一を図って迅速に行う必要があると、そのために内部資料としてつくっております。しかし、これはあくまでも部内の資料でございますので、外部に出す性質のものではございません。
#296
○内藤功君 これは後で正式に委員長にお諮りし、理事会にもお諮りしたいと思いますが、お伺いしたいのは、これをなぜ内部資料として外部に出そうとしないのか、その理由を伺いたい。秘密なんですか。
#297
○政府委員(田村宣明君) これは内部の資料というのは、あくまでも内部で仕事をするという際の参考にするものでございまして、そういうものが非常に決定的なものであるとか、そういうふうなことではなくて、執務の資料としてつくっておるものでございまして、その内容は選挙の取り締まりに係る事例も含んでおりますし、また関係者の名誉に関するものもございますので、そういうものはやはり外部に出すべき性質のものじゃないと、このように考えております。
#298
○内藤功君 さっきからあなたも聞いているように、福田自治大臣の答弁、それから土屋選挙部長の答弁、さらにはきょうおられないが総理の御答弁、こういったものが食い違うことしばしば。食い違うから統一見解が出る。食い違わなければ統一見解は要らない。そうしてまた統一見解の後にそれを敷衍する大臣の御答弁も出る、こういう始末であります。判例だって必ずしも同じようになっているわけじゃない。
 そこで内部資料というけれども、国民は一体報道評論についてどういう場合にお巡りさんに警告され問題にされるのかということは、警察の方は知らせたらいいじゃありませんか。国民はそれを知る権利があるじゃありませんか。私はそういう意味で、これは警察が中にしまっておくということは長い間の因襲かもしれないけれども、これはいけない。これははっきり国民の前にこの選挙に関する犯罪がどういうものになるのかという点は、警察の中で、ああこれは犯罪になる、これは犯罪になるということをこそこそやっているんじゃない。国民の前にはっきりさせる必要がある。なぜこれをはっきりさせないのか。さらに私は――なぜはっきりさせないのか、もう一遍伺いたい。
#299
○政府委員(田村宣明君) これは内部の資料でございまして、具体的な事例にぶつかった場合に、それを判断する資料として内々につくって、まあ考え方の手がかりということにしておるものでございまして、内容は先ほども申し上げましたような性質のものもございますので、私どもとしてはこれを外部に出すべき性質のものではない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#300
○内藤功君 これは私は重要な問題だと思うんです。これがはっきりしなければ、さっきみたいな天変地異のときはとうたとか――私も実際こんな質問したくないですよ。したくないけど、私は国民の代表として国民の皆さんにどういう場合がこの法律が通ったら罪になるのかならないのか、私も弁護士の出身ですからこういう人の自由というものはもう大事なものだと思うんですよ。どういうのが罪になるかならないのかを知らないために罪に泣いた人がいっぱいいるわけなんですね。そうでしょう。そうするとこの国会でこれをはっきり明らかにしておかなければ、これは賛成できませんよ。はっきりしないものをどうして議員が賛成できますか。その議員に資料を提供するのが役所じゃありませんか。この委員会から正式に要求したい。この国会に、警察の内部資料と称しているけれども、実際は人をつかまえる基準なんだから、これは。それをはっきり出すように私は委員長に要求したい。これを当委員会の権限において、報道評論の範囲を書いたそういう質疑回答集というもの、昭和四十九年度の質疑回答集、それから四十七年、八年、この回答集を提出するように要求したい。私はほかの手段で手に入れることなく正々党々とここで出してもらいたい、こういうことを要求する。
#301
○委員長(中西一郎君) 委員長から申し上げます。
 ただいまの御要求の件につきましては、理事会においてお諮りした上、また別途御連絡することにいたします。
#302
○内藤功君 警察庁、伺いますが、その資料は、その質疑回答集は国会には出さないでおいてほかの省庁に渡していることはないか、重大問題だ、どうです。
#303
○政府委員(田村宣明君) 先ほども申し上げましたように、選挙法令の解釈、運用につきましては申すまでもないところでございますけれども、関係省庁間の統一を図って迅速に行う必要があるわけでございます。そのため関係行政官庁間における協議、連絡の必要な限度におきまして、関係者を限定して、部内に準じた扱いとして出しておるものはございます。
#304
○内藤功君 この警察庁が一番選挙問題で関係のある役所をずっと洗っていけばいいですよ。一番関係のある役所は自治省だ。自治省に渡しているでしょう、どうです。
#305
○政府委員(田村宣明君) ただいま申し上げましたように、関係行政官庁に部内に準じて協議連絡の必要な限度においてお渡しをしております。自治省にもお渡しをしております。
#306
○内藤功君 関係省庁に渡して当委員会に渡せない理屈はありませんね。関係省庁に渡している。私は自治省でちゃんと見てきたんだ、これは。関係省庁に渡している。そういうものを国会に出せない、どういうわけです、これは。理由があったら言ってもらいたい。答えいかんでは重大問題。
#307
○政府委員(田村宣明君) 先ほど来申し上げておりますが、たとえば公職選挙法は、主管官庁は自治省でございます。それで私ども選挙法令の解釈、運用をするに当たりましては、やはり自治省その他関係の省庁と密接な連絡、協議を必要とするわけでございます。その場合にその連絡、協議の必要な限度において関係者にこれを渡しておる、私どもとしてはこれはいわば部内に準じた扱いということで、そういう意味で厳正に取り扱いをしていただくようにお話をしてお渡しをしておる、こういうものでございます。
#308
○内藤功君 これはもう問題にならぬと思うのですね、そういう抗弁は。国権の最高機関である。唯一の立法機関である。そして報道評論とは何かを論議しておる。これがわからないで賛成反対は決められませんよ。その重要な要件は、大臣がどう言おうとじゃなくて、現場の警察官が報道評論というものをどう解釈するかということをきわめずしてこの法案の審議を尽くすことはできない。そういう立場から私はこれをやっぱり明らかにして――私がほかから手に入れるわけにいかないのですから。これをあなたが正規のルートでここへ出してもらい、そして私もこれをもとに質問をし、ほかの委員各位もこれをもとに質問をしていただくというのが当然だと思うのです。私はこの資料の要求を強くいま委員長に要求した。この資料の提出があるまではこれは質問はできない。質問することを留保する。どうするんです。
#309
○政府委員(田村宣明君) まあ警察でこれが報道評論という……
#310
○内藤功君 質問してませんから、もういいです。警察庁の答弁はもう聞きましたから、結構です。質問はあなたにしてません。
#311
○国務大臣(福田一君) いま警察庁との間でいろいろありますが、私は、この法律をつくるという場合におけるその一つの完全なそれがなければこの法案の審議ができないというような筋合いのものだとは私は考えておりません。それは見解の相違です。だからそういうことは見解の相違であって、それが出せなければ反対だというならば反対されたらいいんです。何も賛成してくれとは言はない。それはいたし方がない。ちゃんとこれだけの問答をして、そしておわかり願えないというのであれば、これは法案自体に反対ということだと私は思っております。だから、私はそういう意味で、これは皆さん、法案の審議というものはそういうものですよ。法案の審議というものは私はそういうものであると解釈しておる。しかし、いま委員長が、とにかく理事間で相談するのだと、後刻相談するということでありますから、私はそれについて何も申し上げませんが、それはこれだけいままで報道評論という意味は、もう十何年、二十年近く同じ言葉が使われてきておるわけです。何もこれでありますから、報道評論というものについて私はそれほど疑義があるとは思いません。しかし、先ほども申し上げましたように、委員長において、委員長の発議がございますから、私は委員長の発議で処理をされればいいと思いますけれども、この問題が出なければ審議ができないというような姿は、私はできるだけ避けていただきたいと希望いたします。
#312
○委員長(中西一郎君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#313
○委員長(中西一郎君) 速記を起こしてください。
 委員長から申し上げます。
 先ほど来、内藤功委員の要求に対して、資料の提出ができるかどうかの応答が続きました。私は別途の機会に理事会を開いて、そのときに結論を出した上、連絡するというお話を申し上げました。そのほかに刑事局長の方で、いまここで御答弁できることがありましたら答弁していただきたい。刑事局長。
#314
○政府委員(田村宣明君) 先ほどからお答えをしておりますことをまとめて申し上げるようなことになりますけれども、この資料はもともと外に出すということを予定をしないで、内輪で質問の資料にするということでつくっておるものでございます。それで、内容も先ほど警察が罪になるかならないかを決めておるということでございますが、それは具体的な事件にぶつかった場合にそれを考えるために内輪で外に出さないことを前提にしてつくっておるもので、これが罪になるかならないかは当然裁判によって決定されるわけでございまして、そういう意味において私どもは判決、判例というものを重視しておるわけでございますが、それはそれといたしまして、元来外に出さない内輪だけのものであるということで作成をいたしております。したがいまして、内容も何といいますか、未定稿といいますか、確定しないものも相当ございますし、それから取り締まりに直接関係のあるような事例もございます。関係者の名誉に関するようなものもございますので、そういうようなことで外部に出す性質のものではない、このように私どもは考えておる次第でございます。
#315
○委員長(中西一郎君) ただいまの答弁にございましたが、関係者の名誉に関するようなもの等は、やはり役所の側でこれは外へ出したくないということも当然であろうかと思います。そういった意味で、それらを除いて選挙有権者の大勢の方々に参考になるというようなものを別途摘記していただいてそれを提出していただくことはできませんでしょうか。
#316
○内藤功君 委員長、委員長、ちょっと発言。
#317
○委員長(中西一郎君) 発言を求めておりますから、ちょっと待ってください。
#318
○内藤功君 自治省に行っているのですから、自治省に。しかもそういう名誉云々を別として全部行っているのだから、それをひとつ考えてくださいよ。国会に出せない理屈はない。
#319
○政府委員(田村宣明君) 先ほど来申し上げておりますように、もともとこの資料は外に出すということは予想をしておりませんし、内々内輪で使うということでつくった資料でございますので、これを出すということはこの性質上できない。それでいま委員長が言われましたように、外部に出せるものがあるかということになりますと、これは全然私どもとしては新たにそういうものを考えるということで作業をしなければならないということになるわけでございまして、このことに関するもので、外部に出して差し支えのないような資料を私どもがつくるということは、委員会としてやれと言えば私どももそれはやるべきものと思いますけれども、まあ自治省等で外部に出しております質疑集というようなものの域を出るようなものはつくれないのではないかというふうに考えております。
#320
○内藤功君 これは委員長の私は決断を求めたいと思うのですけれども、やはり表に出せるものをまた新たにつくるというんじゃ、これはそのものじゃないんですよね。この質疑回答集を出せと言っているんです。たとえば、名誉に関するところがあればそこを何か押さえるとか、何か張るとか、あるいは抹消するとかいう方法だってあるはずなんです。別のものをつくるというなら、これは要求しません、そんなものは。国会をばかにするにもほどがあります、これは。
#321
○委員長(中西一郎君) 自治省に申し上げます。
 いまの書類が役所の中で自治省に渡っておるというお話でございますが、もしそうであるならば、自治省においてそれをもとにして、外部に出せない分を除いた分をつくる。そのことが有権者のためにもなる、選挙運動をやる人のためにもなるというふうにも考えられます。いま私が申し上げたようなことについて御意見を伺いたい。
#322
○政府委員(土屋佳照君) 選挙に関する報道評論の問題とか、そういったものは、百四十八条その他の規定でございますが、私どもの方では実例判例集というものを一般につくっておるわけでございます、まあ慣習というかっこうで。こういうもので関係のあるようなものはみんなかなり収録されておると思うのでございます。ただ、私もちょっといまの警察内部でつくられたもの、その内部資料ということで私どもの方がたまたま内部に準じてやられたものを、それを私どもの方で出すということはこれはちょっとはばかられますので、その点ちょっと、われわれの方の意見として出すものはそれは自治省としての立場で出すべきものだと思っております。
#323
○内藤功君 やはりこれは委員長、早くこの問題は、先にいろいろ時間延びますから、委員長からその質疑回答集そのものを国会に出すと、当委員会に出すということをきっちりと指示されることを要望します。とにかくほかの役所に行っておって、国会に出さぬ。しかもこのいまかかっている案件に関する解釈の一つの重要な参考ですから、これを強く要求します。
#324
○委員長(中西一郎君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#325
○委員長(中西一郎君) 速記を起こしてください。
#326
○和田春生君 大分個々の細かい問題でやりとりが行われておるわけでありますが、私は、委員会の質問が一巡方式になっておりますので、そういう選挙運動のやり方その他の個別の問題については次回に御質問をしたいと思います。今回は基本的な問題について政府の所見をただしたいと思うのです。
 実は本会議で民社党を代表して公選法並びに政治資金規正法に対する質問に立ちました。私はもちろん私の主観ですが、党派にとらわれず大所高所に立って幾つかの重要な基本的問題についてただしたつもりでありました。しかし、率直に言って、三木内閣総理大臣の答弁は木で鼻をくくったようなまことに不親切きわまる答弁であった。これは議事録を調べてみてもわかると思うんです。重要な法案について政府を代表する内閣総理大臣がそういう態度をとるようでは、この法案自体になかなか賛成するわけにはいかぬ。私はそういう気持ちをあの本会議のやりとりを通じて持ちました。
 なお、この委員会でも追って総理にも出席を願って一問一答の形でただしたいと思うんですけれども、この質問に関する自治大臣初め政府側の答弁いかんが、本法案に反対をするか、あるいは他の野党とも相談をして修正をするか、あるいは賛成をするかの重大な一つの決め手になりますので、ひとつ的確にお答えを願いたいと思うわけです。
 第一番目に、参議院の地方区の問題であります。公選法が制定されて以来、参議院の全国区制と地方区制については沖繩の日本復帰に伴う増員以外には全然触れられていませんから、現在の全国区も地方区も制定当時のそのままの形になっているわけです。ところで制定当時参議院の地方区というものはどういう趣旨で設けられた、こういうふうに政府としてはお考えになっておるか。当時のやりとり等の記録もあるわけでございますが、現時点においていわゆる政府として地方区は制定当時どういう趣旨でこれが設けられたというふうにお考えになっておるか、その点をお尋ねしたいと思うんです。
#327
○国務大臣(福田一君) お答えを申し上げます。
 私は地方区の場合は地域代表的な意味を含めて、そうして制定をされたものである、かように理解をいたしております。
#328
○和田春生君 地域代表的なものとして定められたというふうにおっしゃいましたが、そうすると地域代表の数とか、その議員定数の割り当てとか、それは何に基づいて決められたわけでしょうか。
#329
○政府委員(土屋佳照君) 当時の総定数の決め方というのは、三百人案から二百五十になったときの経緯というものは若干資料があるわけでございますけれども、それ以外につきましては明確な資料というものが当時残っておりませんで、御承知のように、衆議院議員に比し相当減少することが適当であると考えるけれども、他面、議案審査その他、議院の活動に支障なからしめることが必要であるから、これらの事情をしんしゃくいたしまして、総定数は二百五十人としたのであります。「其の中百五十人を地方選出議員とし、各選挙区に於て選挙すべき議員の数は、最近の人口調査の結果に基きまして、各都道府県の人口に比例して、最低二人、最高八人の間に於て、半数交代を可能ならしめる」ためそれぞれ偶数となるよう定めることとし、云々という当時の国務大臣の記録が残っておるわけでございまして、それが一つの考えのよりどころだろうというふうに考えております。
#330
○和田春生君 当初三百人案というものがあったんですが、二百五十人案というふうに五十人しぼられた主たる理由は何であったでしょう。
#331
○政府委員(土屋佳照君) これも当時の記録でございますが、大村国務大臣が当時答えておられるわけでございますけれども、まあ三百人ということから全国議員、地方議員に二分をいたしまして、百五十名ずつということを一応考えたのであるけれども、そういうように割り振ってみますと、全国議員につきましては百五十名、地方議員につきましては百五十名ということにしますと、全国議員につきましては選挙の実際におきまして投票が一部に集中するというようなことがございまして、全国議員の選出議員で少数の方の投票で当選した場合におきましては、地方議員の投票数よりも著しく票数が少なくなるということも予想されまして、その点いかがかというような点もございますと、まちそういったこと等から全国議員は五十名を減じまして百名とする、そうして地方議員を百五十名としますと選挙の実際における得票関係も相当に調整されるであろうと、まあこういった趣旨が述べられておるので、そこらが主な理由であったように感じます。
#332
○和田春生君 そうしますと、それは確固とした理論というものはなかったにしても、一つの感じとして、地方区は地方代表として各都道府県の人口比率というものをもとにして決める、全国区はその地方区に対して数が少ない方がいい、まあ何となくそういう感じで大まかに百名と百五十名というものが決められたと思うんですが、さて、それでは百五十名の地方区の定数を都道府県別に割り当てたときに、各都道府県の人口以外に何か特別の要素というものは勘案されたでしょうか。
#333
○政府委員(土屋佳照君) まあ人口というものは一つの基礎になっておるわけでございますけれども、この際の基礎としては、都道府県の区域という一つの地域というものが基礎になっておると、そういった形で、後は甲案、乙案いろいろ御承知のようにございましたけれども、ぴったりとした配当基数でない案、人口段階ごとに割り振った案とかいろいろございました。しかし、ほとんど基礎的にはそういった人口というものはあるというふうに考えておるわけでございます。
#334
○和田春生君 基礎的に人口というものがあるというのではなくて、各都道府県別の人口以外の要素が考えられたでしょうか、現在の二、四、六、八という定数を決める場合に。人口以外のものを何か使ってその割り振りを決めただろうかと、そのことを聞いているわけです。
#335
○政府委員(土屋佳照君) いまお尋ねの意味では人口と地域だと思いますが、それ以外にこの場合、先ほども申し上げましたように、交代という制度がございますから、最低二人だという考え方もあったと思います。
#336
○和田春生君 これは憲法上の規定から参議院議員については、六年の任期で半数ずつを三年ごとに改選するというふうに決まっているわけですから、当然最小数は二であるし、また地方区のように地域に限っていく場合には偶数でないとなかなかうまくいかないわけです。そこで二、四、六、八と、こういうふうな数字が出てきたということは、その関連によって当然考えられることですが、その数を割り当てるのは、いまのやりとりでも選挙部長自体がおっしゃっているように、私の調べた限りにおいては人口の比率以外の要素は何も使われておりません。甲案と乙案とあったわけですが、甲案というのは参議院の地方区の定数百五十、これで昭和二十一年四月二十六日の臨時国勢調査の人口を割った、そして、その百五十分の人口というものを基礎にして、各都道府県別の人口を割りまして配当基数というものを出しました。これが甲案の基礎になっておったと思うのです。その配当基数というものをどういうふうに使うかという形でいろいろ議論がありまして、甲案でも一案、二案、三案、四案、そしてそれに乙案というものが出てきて、結果的に配当基数によるところの甲案の一案と乙案の第一案というものが一致して決められた、私の調べた限りにおいてはそういうふうに理解をしているわけです。その人口による割り振り以外の要素が入ったということはどこを調べてもないわけですが、そういう私の理解でよろしゅうございますか。
#337
○政府委員(土屋佳照君) 基本的にはそういうことだろうと思います。若干、北海道の場合は八という基数まで達しなかったけれども、八は配当したというようなことは、あるいはその当時の地域ということも頭にあったのかもしれないと、これははっきりしたもので見ておるわけではございませんが、そういう感じもするわけでございます。ただ、そのときでも、一応甲案がとられたわけでございますが、二案とか、四案とか、乙案の二案というものは、これは御承知のように、一応、限度を決めるといったような発想もあったようでございます。六人という上限を決めるという発想があったようでございます。
#338
○和田春生君 しかし、甲案の基礎になった配当基数、これの、じゃ最高の数字は幾つであったと見ておられますか。
#339
○政府委員(土屋佳照君) 東京が八・五八ということになっております。
#340
○和田春生君 北海道は。
#341
○政府委員(土屋佳照君) 北海道は七・一六でございます。
#342
○和田春生君 そういたしますと、乙案で限度を設けるという考えもあったと言いますが、最終的に決まったのは二、四、六、八という偶数でいくと、当時の東京の人口約四百十八万三千人、そこで配当基数八・五八というのが最高だったわけですか。その八で決まっている。北海道の場合にはいまおっしゃったように七・一六ですね。で、地域も広いので、これはむしろ減らすのではなくて、八に引き上げたと、こういう結果になっていると思えますね。そういたしますと、配当基数に完全に比例したわけではないが、その配慮というのは、やっぱし地域というものを基礎におきながら人口比例で決められたと、私はそれが地方区の性格であると思うんです、現在の地方区の。地域代表であるが、その地域代表の数の割り振りは半数ごとを三年ごとに改選するという、偶数というものを基礎に置いて地域配分をした、こういう形になっていると思うんですね。しかし、この制定をされて以来、もうすでに長年月がたって、その間に、わが国の人口動態というものは著しく変化をしてまいりました。御承知のように、終戦直後には疎開というような形をとりまして、都市部から地方に相当大ぜいの人々が移っておった。その人たちが戻ってきたという面もありますし、その後の産業状況の地域分布の変化その他によりまして、大都市にも人口が集中してきた。大変違ってきていると思う。
 そこでお伺いしたいのは、参議院の地方区を制定したときと同じ考え方に立って、現在の百五十二と、この地方区の定数で、最近の調査では昭和四十五年しかございませんが、昭和四十五年の国勢調査の人口を割って、それを基礎にして、各都道府県の配当基数を制定したときと同じ考え方で計算をしたという場合に、一番最高になるところはどこでしょう。第一位、第二位、第三位、第四位、第五位と、余りたくさん言っても時間の関係ありますから、五番目ぐらいまで、その配当基数をお知らせ願いたいと思います。
#343
○政府委員(土屋佳照君) 上から順番に申し上げますと、東京が一六・五でございます。それから大阪が一一・〇六、それから神奈川が七・九四、それから愛知が七・八二、それから北海道が七・五二と、五位まで申し上げますとそういうことになるわけでございます。
#344
○和田春生君 そうしますと、もし仮に、現在の人口と同じ状況が、この公選法の参議院の地方区を制定した当時に、こういう人口配分にあったとするならば、当時の甲案の第一案における定数というものは、偶数でいくと東京は一六、神奈川は八、愛知も八、大阪については一〇か一二、一一・〇六ですから一二でしょうか、その辺の加減は相当数のところであるわけですけれども、少なくともそういう数字が出ておったということはお認めになるでしょうね。これは選挙部長むずかしければ自治大臣の方で政治的な判断ですからお伺いしてもいいと思うのです。
#345
○政府委員(土屋佳照君) これはやはりまあ当時の甲案第一案というものがそうであったから必ずしもそうなったかどうか、これはわからないわけでございまして、そのときにつくるとした場合に、その状況で総定数が幾らであるかというその総定数との関連で多分考えられたのじゃあるまいかと。その際に上限をどうするかとか、あるいはまたブロック別にまとめるのか、まあいろいろ総定数との関連でいろんな考えがあったのだろうと思いますので、まあおっしゃったような方式はとっておりますから、それをとればという前提になるのかならぬのかはちょっと私も申し上げかねるわけでございます。
#346
○和田春生君 私がいまお伺いしたのは、地方区の定数がいま私が言ったとおりの数になったと思うかと聞いたのじゃないのです。地方区の定数を、決める一番基礎になった配当基数と、その配当基数をすぐ持ってきて、それに直接リンクして決めた甲案の第一案というものは、もし現在の人口と同じ状況で仮に地方区の定数が百五十二であったら、当時は七千万ですから、いまはもう一億を超えているわけですから、あるいは地方区が二百人というようなことになったかもわからないけれども、そこは抜きにして、仮定の議論ですから、仮に現在の状況であったとすれば、この配当基数とそれに基づく第一案というのは、東京の場合には一六となっておったはずである、一六が大き過ぎるから一四にしようとか、あるいは一二にしようとかいう議論は起きたかもわからぬけれども、少なくとも地方区を決める基礎になったものについてはそうなったであろう、そう私は考えるのだがどうかと念を押しているわけです。
#347
○政府委員(土屋佳照君) まあその当時に返してみましてその第一案がいいのだという前提に立たれたとすれば……
#348
○和田春生君 いや、いい悪いとかいう価値判断は言っていない。
#349
○政府委員(土屋佳照君) はい。第一案の考え方でいこうとされたとすればそうなるということだろうと思います。
#350
○和田春生君 そこで、これからはやはり価値判断その他の問題に入ってくるわけですが、これは自治大臣にお伺いしたいと思うのです。
 地方区の定数是正について、人口比のアンバランスが非常にふえてきたので定数を是正しなくてはならぬ、このことは非常に長いこと議論をされてまいりました。ところが、最近の一部のマスコミの論調等を見ておりますと、これは多分政府や与党からでないとそういう意見は出ないと思うのですが、と言いますのは、野党四党が一致をいたしておりまして定数是正案というものをつくっているわけですが、何か野党が衆議院の定数がふえたことに便乗して増員を要求するのはけしからぬではないかというような議論が一部行われている。私どもはまことに不愉快に思っているわけです。増員を要求したんじゃない。定数の是正の方法として、制定当時から今日までの人口動態の変化その他を勘案しながらわれわれは考えたわけであります。野党四党の一致した二十六名案というのが正しいか正しくないか、それをとるかとらないかということについてはいろいろな議論がありましょう。議論がありましょうが、少なくとも一選挙区二名、こういうものを最低の基礎に置いて今日の人口の動態に応じて、人口の地域配分の状態に応じて定数というものを考えればあの一つの案が出てきた。それをわれわれの一つの提案として検討のたたき台に出したわけであります。これは公選法の小委員会で与野党が相談をしているわけでございます。現在は政府・与党、これ自民党でありますし、自民党内閣であります。このことについて自治大臣として、政府の当事者の責任者としてどういうふうにお考えでございましょう。
#351
○国務大臣(福田一君) 私はいまの現在の制度をつくったときのものの考え方がそうであったという、いまうちの方からも御説明をし、あなたもまたそういう御理解をして御質問があると思うのでありますが、すべてそういう問題も含めまして、そういう理論的な問題、理論とすればこうなるじゃないかという問題も含めまして、まあこの問題は第一に政府といたしましては、自民党内閣でございますから自民党の参議院の意向を十分に参酌いたしたいと、こういう考え方を持っておるわけでございまして、過去の問題についてはいま問答があったとおりで、あなたのおっしゃったとおりだと思いますが、いま現在どうするかということについては自民党のひとつ考えをまず十分にただし、そうしてまたそれが各党一致した案になるという形が実現すれば、これはわれわれとしてもこの法案にでも入れたらいいじゃないかと私は思っているんですよ、それはできれば。だけれども、それがもし一致しないということでございますれば、どういう方法でやるかとか、どういう内容がいいとかいうことをここであなたにお答えすることは、いささか私としてはちゅうちょさしていただきたいと思います。
#352
○和田春生君 それは確かに一つのお考え方だと思うんです。しかし自治大臣よく御承知のように、この参議院の公選法特別委員会では昨年の十二月に小委員会が設けられました。その小委員会の第一議題として、地方区の定数是正ということが掲げられたわけであります。それ以来ずうっと今日まで長い間審議を続けてまいりました。約半年たっているわけです。ところが、まだ肝心の政府・与党である自民党からは、地方区の定数是正に対する具体的な提案ないしは考え方というものは提示されておりません。いまこの公選法特別委員会と並行して小委員会でそれをやる。この本日の委員会の後にも小委員会を開いて自民党の考え方の中間報告をお聞きすることになっておるわけでございますが、自民党の考え方がはっきりしないから自民党内閣としては困るという形になると、このまま自民党が考えを示さずにいけば、この国会の中では何も結論が出ないまま通り過ぎてしまう。次の通常国会でも自民党の考えが決まらぬという形になれば、政府としては何にもしないと、こういう状態が続いていくと、これらのことの繰り返しになると思うのですが、やはりいろいろな問題点を考えて、政府としてはそういう問題について、積極的な定数是正という問題について取り組みをする必要があると私は考えるのですが、そういうお考えはございませんか。
#353
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 まず第一に、衆議院の増加の問題でございますが、実は参議院のことはよくまだ理解をいたしておりませんが、たしか四十三、四年ごろから実は衆議院におきましては定数是正の問題がしばしば出まして、一応あれは何年だったかな、三十九年ふやした後ですぐにまた出てまいりまして、しばしばそういう問題について審議が行われておったわけでございますが、なかなかこれがまとまらなかった。で、私が昨年国対委員長をいたしておりましたときに、各党の国対委員長からその提案がございましたので、それはひとつもうかれこれ十年もたっておるのだからこれは私はしなければならない。特に衆議院におきましては五年目ごとに人口を調査せよというようなこともございますし、これはせにゃいかぬじゃないかと思って、ひとつ勉強してもらいたい、勉強しようじゃないかということで、実は小委員会ができて、そうしてずっと審議をしていただきました。その結果、あれはもう決まったのは大体十月か十一月になる前にたしか決まったと思います。二十名増員ということでは大体決まったわけでございます。各党一致で決まりました。そこでわれわれとして、この選挙法を出すという場合には、公選法の場合には、これはもう当然入れなければならない。ほかにもいろいろございますが、これは一つの各党一致の議題であるから入れようということで入れたわけでございます。
 そこで今度は参議院の場合に、私にどうしろ、意見を言えと、こうおっしゃいますが、この問題はやはり、あなたは政党政治という立場を御理解をしていただけると思うんでございますけれども、政党内閣でございまして、また私は自治大臣でありますが、総理もこれについては意見を出されております。一つの意見を衆議院でも出されておるわけでございます。どういうふうにしようかというこれらの問題については意見を出されておりますから、だからやっぱり一応御相談をして、そして党の方とも相談をしてから統一的な見解を申し上げることの方が私はいいんじゃないかと、私の意見をここで申し上げるというのは、いささか出過ぎているような感じがいたすわけでございます。まあ、委員会がきょうだけで終わるということでございますればこれは大変ですけれども、まだ委員会のチャンスもあると思いますし、総理にももちろん出ていただかなければならない。そのときに、統一的な意見を述べていただくようにさしていただきたいというのが私の希望でございます。
#354
○和田春生君 また、質問の機会はきょう限りではないわけでありますし、総理も出てこられるという場合に確かめたいと思うんですが、なぜ私がそういうことをお伺いしているかというと、定数問題が各国会における各党派の協議の上にのみ問題を処理されてくるという形であったとするなら、いま自治大臣の御答弁の趣旨もそれなりに首肯される面があると思うんです。しかし、この定数アンバランスの問題は、かなり前から議論になり始めてまいりましたけれども、私の記憶によれば、大きくこれが世論に取り上げられて、こういう形ではアンバランスがひどいではないかということが具体的に議論になり出したのは、四十三年の参議院選挙がそもそものきっかけであったと思うのです。その次には四十四年十二月施行の衆議院の総選挙というもので、余りにもアンバランスがひどいではないか。そして、四十六年の参議院選挙のときにそれが決定的になった、訴訟ざたにまでなったことは御存じのとおりであります。そして四十七年十二月の衆議院選挙におきまして、これは非常に大きな問題になりました。実を言うと、かく言う私もその被害者でございまして、十三万五千票取って落選をしたわけです、衆議院で。一方で、やはり四、五万で御当選になっていらっしゃる方もいるわけです。
 そういう事実の経過というものを踏んまえて、選挙制度審議会というのが、これは国会の諮問機関としてつくられたんではなくて、政府がおつくりになっている。私がいま申し上げたような経過を踏んまえて、第六次選挙制度審議会の答申、これは昭和四十五年の五月十九日に出されております。そこで参議院の地方区の定数と、こういうものが取り上げられておりまして、この中においては決定的な答えは出ておりませんが、三案、これはいずれも調整を必要とするという形に立って三つの案が出されておる。本委員会はこれを一つにしぼるということをまあいまのところではしないと、これらの意見をあえて一本にまとめることなく、これに関する審議経過を総会に報告することが適当であるという結論に達したと、こういう形でそれが政府に答申されている。これはもう選挙部長よく御存じだろうと思いますが、これは六次選挙制度審議会答申、四十五年五月十九日ですね。そして、さらに先ほど言ったような経過を踏んまえて、昭和四十七年十二月の二十日、第七次選挙制度審議会が、選挙制度に関する内閣総理大臣あての報告書というものを出しているわけであります。その報告書の中で――一々自治省にお尋ねしていると時間がかかります、私、資料を持っていますから申し上げますが、
 「参議院議員の選挙制度について」
 「参議院議員の総定数は二六二人とし、うち一〇〇人を全国区、一六二人を地方区で選挙する。
 地方選出議員の選挙区別定数は、東京都選挙区を一〇人、大阪府選挙区を八人、神奈川県選挙区を六人、宮城県選挙区および岐阜県選挙区を四人とするほか、現在のとおりとする。」
 こういうものが出ているわけでございます。これは別紙の三ですね。これは、国会で各党の一致した意見じゃない。政府がおつくりになった選挙制度審議会の、内閣総理大臣あての答申が出ているわけです。この答申について、国会における答弁でいつ言ったということは、私はもうめんどうくさいから時間の関係で申し上げませんが、当時の内閣総理大臣、自治大臣等は、次の通常選挙に間に合うように定数是正を提案をしますということをお約束になっている。そして今日に至っているという経緯があるわけです。そこで私は、国会における各党間の協議は協議として、政府の責任者として、自治大臣、こういう経過も踏まえながら、この公選法改正の大詰めに来てどうお考えになるか。政府として積極的に取り組む御意思ありや否やということを、重ねてお伺いをするわけです。選挙制度審議会はこれは政府の諮問機関、内閣総理大臣あての答申が出ている。そのことを前提に置きながら重ねてお伺いをしたい。総理にはまた後でお伺いいたします。
#355
○国務大臣(福田一君) そういう答申が出ておることも、薄々と言っては恐縮ですけれども、私も知っております。でありますが、政治をやります上では、答申があれば必ず審議会というものの意見は全部入れなければならないというわけでもない。もっともあなたのおっしゃったように、大臣が答申をしているということでありますれば、ずっと自民党内閣であるから責任があるじゃないかということもありますが、やはり歳月というものは一つの変化を含むことも場合によっては起こり得ると思うのです。二、三年前にはよくてもいまはまあちょっとぐあいが悪いとか、あのときはああいう考えであったがいまはこうであるとかということもあり得ると私は思うのであります。そういうふうに、(「大臣の答弁はそんなにぐるぐる変わるもんじゃない」と呼ぶ者あり)いやいや、ちょっとお待ちください。余りひやかさないでください。
 私の言うのはそういうことで、いまここであなたは理詰めで、こういうものがあってこうなっているのだからこうしろと、こうおっしゃっても、私としてはここで責任のあるお答えはできません。それは、いまの自民党内の参議院の状況並びにわが三木内閣の姿勢としてどう処置していくかということは、十分協議をした上でここで申し述べさしていただきたい。いやしくも、一遍言った以上は私はそのとおりやらなければならないと思っております。私はまあ大体そういう考え方でいままでずっと来ております。(「いままでやらなかったじゃないか」と呼ぶ者あり)いままでそういうお約束をしたことは、私はございません。まあ、とにかくそういうことで、私に聞かれるのだから、そこで余り質問されると、こっちでいまやっておるのだから、和田さんといま話をしておるのですから。そういう意味で、いまここでお答えをせよとおっしゃっても、和田さんのせっかくの御質問ですけれども、いま私としてはお答えすることは困難でございますということを申し上げます。
#356
○和田春生君 私は、もうかねてから福田自治大臣は大変尊敬をいたしておったのですが、典型的な大臣答弁をここで伺おうとはつゆ思わなかったわけであります。しかし、きょう限りの質問時間でしたら夜中になってもとことん詰めるつもりですが、いまこの場では答えにくいとおっしゃるわけであります。しかと総理にもこのやりとりをひとつ伝えていただいて、この国会中の次の私の質問のときには、具体的なひとつ御答弁がいただけるように御用意を願いたいというふうに思うわけであります。これはやはり参議院の地方区の定数是正というのは、参議院における公選法の審議の中では一番重要な課題の一つでありますから、これはあやふやに過ごすわけにはいかないというふうに私は考えているわけであります。したがって、これに対する最終答弁は次の機会までにひとつお願いをするという形にして、先に進めたいと思うのです。
 ところで、この国会の参議院予算委員会の総括質問のときに、私も党を代表して質問をいたしました。その際、三木総理ともやりとりをしたんですが、政府・与党の中に、とりわけ三木総理のお考えの中には、参議院の地方区と全国区の改革というものはワンパッケージとしてやりたいというお考えがかなり強いようである。与党側からも、この公選法特別委員会の審議の中で、与党側委員の方からもしばしばそういう発言ないしは御意見を聞いているわけです。そうすると、参議院の地方区の問題はいまお伺いしましたが、ワンパッケージにやりたいというからには、全国区制度をどうするかという問題が片方の一つの問題点としてあるわけですね。その全国区制度をそれでは変えるということについて、決定的な案をいまこの場でお伺いをしようとは思いませんが、一体どれぐらいの案とどういうものをお考えになっているのか、その主なものをお聞かせ願いたいと思うんです。
#357
○国務大臣(福田一君) 総理が、いまおっしゃったような答弁をされたことは事実でございます。また、総理の頭の中にはそういうことがあるだろうと思うんですが、それでは全国区の場合はどういう案を総理が考えておられるか。これはあなたも御案内のとおり、実は自民党の議員のお方にいろいろ御意見を聞いたことがございます、政府として。ところが、決定的な意見がまとまりませんでした。それはどういうことであるかと言えば、比例代表をぜひやれと、しかし比例代表のうちでも拘束式か、非拘束式か、あるいはその中間案みたいなものがございますので、そういうものであるかということについて、意見がまとまらなかったわけであります。したがって、これを中へ入れることはできなかったわけで、一時は、全国区の場合については金が余りにかかるという意味で、その案としても直したいという強い意思を三木さんも持っておいでになったわけであります。しかし、そういうことで党内の意見が十分にまとまらなかったということを踏まえられまして、やっぱり自民党内閣であれば、やっぱり党の意見を十分聞いた上でなければこれは出せない。まとまらないのに出すというのは、これはまあある意味で非民主的である、党運営の形において非民主的である、われわれはやはり同じく議員の一人でございますから、で、ついにこれが出せなかったということでありまして、どういうことであるかということなれば、そういう話があったということはいまここで御説明できますが、それじゃどうするのだという具体的な内容を言えとおっしゃると、これまた私ここでお答えすることは、私自身のいまの頭の中にはっきりしたものを持っておりません。実際それはだらしがないじゃないかと言われれば、ごもっともでありますけれども、何ともいまここではお答えいたしかねるというのが実相でございます。
#358
○和田春生君 決定的な案が政府としても、与党としてもまとまっていないわけですから、決定的な案を、あるいは法案を国会に提出する予定であったものを聞かしてくれと言っているわけではないのです。ともかく総理もそういうことをおっしゃってきたし、しかも自民党内閣で、与党側の公選法の委員の方も、衆参両院を通じて、全国区と地方区というものはワンパッケージでなくちゃならぬと、こういうことを繰り返し繰り返し言われてきていることを私は耳にしているわけです。そうすると、全国区に対する改革の案がないのにワンパッケージということは、全国区のことはいつまででも引きずっておけば、地方区のもう一方の定数是正というものはそれに引きずられて一緒に心中だ、片方では、地方区の定数是正について案がまとまらぬから、各党で意見が一致されたら考えましょう。片方では、全国区とワンパッケージだと言っておって、全国区については決まったものがございませんと言えば、これは完全な問題を処理しないという引き延ばしだと、そう言われてもいたし方がないのじゃないでしょうか。全国区についてはこういうものとこういうものとあるんだが、これは党内においては意見がまとまらなかったというようなぐらいのお話は、そこらぐらいまで煮詰まっておってこそワンパッケージということは言えますけれども、具体案がないのにワンパッケージというのは、一体何とパッケージするんでしょうか。幽霊と一くくりにするなんという、そんなことはできっこないわけですから、何かあるはずですよ。その何かというのは何でしょうかと。決定的なもんではなくても、全国区はこうしたいと。いま比例代表制ということをおっしゃいましたね。そうすると、比例代表制にする場合に、拘束名簿式、非拘束名簿式、あるいは中間案、そういうようなことがそのパッケージにしようとする場合の一つの、決定的なものではないけれども、実態なんだと。ワンパッケージということは、そういうものを頭の方に置きながらおっしゃっているというふうに理解していいわけですか。
#359
○国務大臣(福田一君) いま全国区と地方区をワンパッケージにするという意味で、全国区の方は全然案なしに地方区の問題だけで言っていると、こういう意味ではございません。いまあなたがおっしゃったように、比例代表制をとるべきであるということでは、実は大体われわれも考えておるわけですが、その比例代表制の内容についてまだ意見が一致してないというのが実相だと思います。それから参議院の制度というものを考えてみたときに、この際ひとつ参議院の制度を十分ここいらで考えてみようではないかというのが党内に、党内といいますか、特に参議院においてもあるわけでございます。そういう御意見、またわれわれの方もいろいろそういうものを参考にして考えなければなりませんが、そういうことをあわせて考えて問題の解決をしようというので、引き延ばしのためのワンパッケージということでは絶対ございません。それは、そういう気持ちはございません。
#360
○和田春生君 それでは、引き延ばしのテクニックではないということを、私の方でこの場においては大臣の答弁を信用することにいたしまして、この比例代表制ということはおおむね考えている、その中身についてはいろいろ案があるというふうにおっしゃったわけですが、これは大臣にお伺いしたいのですけれども、私どもの理解によれば、比例代表制というのは政党本位の選挙である。つまり、それぞれの党派の得票数を基礎にして議員を配分する、方法はいろいろありますけれども、何といいますか、比例代表制という制度の趣旨はそういうものであるというふうに理解しているのですが、それは共通の御理解に立っていらっしゃるのでしょうか。
#361
○国務大臣(福田一君) お説のとおりだと思います。
#362
○和田春生君 そうしますと、わが国では二院制度をとっているわけですが、自治大臣御承知のように、内閣の組織については衆議院が第一院であり、衆参両院の首班指名の結果が違えば衆議院の決定をもって決めることになっている。内閣不信任も衆議院がこれは決める、参議院には総理個人を問責するということはありましても、内閣不信任案は提出できないわけであります。法案審議については同様に行われておりますが、そういう意味で、議院内閣制というシステムをとっている日本の憲法のもとにおける議会制民主主義において、衆議院が第一院と呼ばれるゆえんであると思います。その衆議院の選挙制度は、御承知のとおり中選挙区制、三人から五人までです。党派も争いますけれども、きわめて個人的色彩の強い選挙であります。この個人的色彩の強い選挙だということは、この選挙の運動のやり方、これからの後の質問に関係のあることですが、それはここでおいておきます。衆議院の選挙制度は個人選挙の色彩の強い中選挙区制ということにしておいて、参議院の制度の中の、しかも一番特殊な、参議院らしい特色のある全国区の制度をまずもって比例代表制、政党本位の選挙に切りかえるという理論的根拠並びにものの考え方はどういうところにあるのでしょうか、それをお伺いしたいと思うのです。
#363
○国務大臣(福田一君) まあ、私の頭の中にある政党本位の選挙ということになりますと、本当は衆議院は小選挙区という形が一番筋の通った、政党の選挙ということになればそれが一番筋が通っていると、そういう意味では、参議院の方から比例代表制ができて政党選挙の形がとられれば順次解決できる。一挙にできるかできないかは別問題にして、そういうことも考え得ると。しかし、一方においては、参議院はそういう形ができても、衆議院はいまのような形でやる方がまあいいじゃないかという考え方もあるわけなんですよ、理論の問題もさることながら。だから、いまあなたのおっしゃるように、理屈で詰めてすべてが片づくというよりは、従来のいろんな経緯がございますから、その経緯もある程度考えて、順次改革をしていこうという考え方がわれわれのいまのとっておる態度だとお考え願いたいと思います。
#364
○和田春生君 選挙制度というようなものは一挙に改革はなかなかやりにくいものだ、これは理屈だけではなしにいろんな現実問題がからんでまいりますし、党利党略を抜きにしろといっても、実際的にはやっぱり党利党略という要素を完全に払拭するということはできないでしょう。やはり各党派の命運がかかっているわけですね。それを否定しているわけじゃないんです。しかし、順次改革していくにおいても、衆議院が第一院である。そして、そこを主たる基盤として議院内閣制が成立している。そういうわが国の議会制民主主義のもとにおいて、まず衆議院の選挙を政党本位の選挙に変える。それは比例代表制をとるか、小選挙区をとるか、小選挙区比例代表制をとるか、いろいろな方法があります。そういうことを議題とする、そういうものでひとつ野党が考えようじゃないかと、やはり近代的な政党本位の選挙にしていこうじゃないかという提案ならば、提案に対する賛否というものは別にして、十分私は議論をすべき要素があると思います。ところが、両院制のもとにおける参議院の最も参議院らしい特徴というのは、全国区にいま残っていると思うんです。そうですね。それで地方区はだんだん政党化していっているわけ。世論の中にも参議院の政党化ということを、これはぐあいが悪いではないか、参議院の特色というものが失われて、衆議院と全く同じものを二つつくるということはおかしいじゃないかという議論もあるわけですね。そういう議論のいい悪いというのは別として、参議院の中の一番特色のある全国区という制度を比例代表制にするということは、完全に政党本位の選挙にしてしまうということです。まずそこから順次改革にしても手をつけなくちゃいけないということは、私は理屈じゃなくて、日本の議会政治というもののたてまえからいっておかしいんじゃないかと思うのですよ。私は、比例代表制という考え方を否定しているんじゃない。個人の純粋の理論からいけば、比例代表制というのは望ましい一つの選挙方法だと考えているんですよ。しかし、それをなぜまず参議院の全国区からやろうとされるのか、私はその理屈が理解できない。もしやろうとするんなら、なぜ衆議院から手をつけようとされないのか。そこに、大変便宜主義的に参議院全国区の比例代表制という問題が、突如何か別の理由で持ち出されてきたんではないかという感じがしてならない。これは論理からいけば、私は日本の憲法のもとにおける議会制民主主義であれば、そうだと思うのですよ。政党政治を土台にしている、首班指名は衆議院が決定権を持っている、内閣を不信任するのも衆議院である、内閣が衆議院の解散をする、各党が政策を中心にして争う。選挙の主舞台は解散、総選挙にある。その衆議院の選挙制度というものは中選挙区制のままで、まず参議院の全国区から比例代表制にしよう。私は、多分に便宜主義的だ、そういう感じがしてならない。だから、順次改革をされるという考え方を否定するんじゃなくて、まず参議院の全国区から政党本位の選挙にしようと、その真意はどこにあるか、その理由はどこにあるかということをお伺いしているわけなんです。
#365
○国務大臣(福田一君) 私は、三木さんがいま言った全国区の問題と地方区をからみ合わせて一遍考えてみたいということは、それはいろいろの解決の方法があると思いますよ。全国区はこのままにしておいて地方区だけ考える場合もあるし、地方区だけはこのままにしておいて全国区を考える場合もあるでしょう。その選択はいろいろあるが、いまここで参議院の問題を考えるときには、衆議院は中選挙区というあれでもって全部きまっておりまして、そこで選挙をしておりますね。参議院の場合には、全国区と地方区がありますから、どっちを考える場合でもあわせて一応検討してみたい、こういうことは私は余り矛盾じゃないんじゃないか。それだから、全国区の問題が決まらない限りは地方区の問題は絶対考えない、こうは言っていられないと思うんですよ。相関していま考えてみたいと、これは私、当然の意見だと思うんです。衆議院の場合は、御案内のように決まっておりますから、選挙の仕方が違うんじゃない、一緒にやりますから、全国的に一遍に、一時に。ところが参議院の場合は、地方区についても全国区についても半数改選ということであり、しかも全国区と地方区というものがあるということであれば、いずれにしても、そういうものに手をつける場合は両方考えてみる必要があるんじゃないかと、こういう三木総理の考え方は、それなりに素直に理解していただいていいんじゃないかと思います。
#366
○和田春生君 これは三木総理に重ねてお伺いをしなくちゃいけないわけです。どうも自治大臣、肝心のところへくると、総理大臣の方にげたを預けて答弁を回避されているように思うわけですが、私が言っておるのは、比例代表制ということを一切考えてはいけないという意味で言っているんではなくて、日本のいまの政治の組み立て、そういうものから考えて、参議院としての特色のある選挙制度というのは全国区制度ではないでしょうかと。しかも、この全国区は半数改選というけれども、全国民が一票を持って投票するわけなんですね。くどいようですし、時間の関係もありますから重ねては申し上げませんが、その全国区にまず比例代表制という発想が出てきたというのは一体何なんだろうか。比例代表制というのは政党本位の選挙ということなんだ、政党本位の選挙にしたいというなら、まず衆議院からその発想が出てくるというのが当然の話じゃないか、それが衆議院を飛び越えて参議院の、しかも全国区から出てきたということは腑に落ちないということを言っているわけですから、いまの大臣の御答弁では、私の質問に対する的確なお答えにはなってないわけであります。
#367
○国務大臣(福田一君) そういう意味で御質問があれば、なぜ出てきたかということであれば、全国区のあれを実際にわれわれ自分の地元であれしてみましても、七十人も八十人も百人近い人の名前が出ますけれども、ほとんど有権者は知らないのですね、実際言うと。それで要するに、一つの組織の職能代表的な意味でほとんど選挙がされておるのが実相で、選挙民が投票するときに、われわれ自民党の側などから言いますと、一体だれを入れたらいいんですかというような、こういうことをよく言うわけですね。そこに、それならば自民党なら自民党で入れて、そうして何か順序を決めておくとか、順序を決めないでも、とにかく数でもってやったらいいじゃないかというような発想が一つあるのです。それからもう一つは、全国区はやっぱり相当金がかかるじゃないか、大変な金がかかるし、ビラ一つ張るんでも大変じゃないか、こういうことから言えば、何か党の選挙みたいな形にしたらいいんじゃないかと、こういう一つの意見もありますね。
 そういう二つの問題をあわせて考えて、そういうものがあって、その上で何とかこの全国区という制度だけは改めた方が本当の民意を反映するのじゃないか。だれそれに、福田に言われたからおれはこの人を書くというようなんじゃなくて、自分で判断してそうして書くということは、全国区の場合ほとんどできない。私の見る限りではまあ六、七〇%の人が、もっと多いかもしれませんけれども、一体、先生、だれを書いたらいいんですかという質問をよくされるんですね。これはもっと制度を改めて、何か早くもっと立候補の一年前から立候補さして、こういう人はこういうんだとPRでもするとか、いろいろな工夫、いまのままでいけば、そういうことも一つの考え方になると思いますけれども、そういうまた一つの面もあるのですね。それが、全国区の問題についても一遍考えてみにゃいかぬと、こういう発想が出てきた理由だと思うのです。だから、その理論的な、いまあなたの言われたような衆参両院の理論的な立場から出たと言うより、かなりそういう意味では便宜的な面があると思われます。
#368
○和田春生君 大体私の質問していることについて、御答弁がいいか悪いかは別ですが、近づいてきたと思うんですが、この点についても三木総理の真意もただしてみたいと思うんですが、ただ私が申し上げたいのは、全国区制度の改革という問題については、非常に関連した問題がたくさんあると思うんです。確かに、金のかからない選挙にしようということについて私も同感です。私自身も全国区の選挙を去年やって、えらい苦労してきた一人ですから、この選挙制度というものがどんなものかということは、みずからの経験を通じてよく知っているわけですね。何とかしなくちゃいかぬ、何とかしなくちゃいけないが、そこに比例代表制というものがぱっと出てきたものですから、どうも腑に落ちない、多分に便宜主義的じゃないか、こういうふうに申し上げているわけです。そこで、この問題については、短兵急に、現実に定数のアンバランス、人口比との非常にアンバランスが出ている地域代表の参議院の地方区の定数是正という問題とワンパッケージというふうに考えるのならば、それはもっと発想というものを十分、それが正しいのか正しくないのか、現実に適するかどうか、突き詰めて検討しなくちゃならない問題ですね。ですから、切り離して、これはこれとして私は時間をかけて検討すべき問題ではないか。現実に出ている、選挙制度審議会の答申も出ている地方区の定数のアンバランス是正という問題と一緒に縛りつけて、ワンパッケージ、ワンパッケージと言うところに非常に大きな問題があるんではないか。そういう意味で、ひとつ政府の方においても十分検討していただきたいと思いますし、次の質問の機会に三木総理からもさらにしかといろいろお考えをお聞きしたいと思いますので、これまた福田自治大臣からお伝えを願っておきたいと思います。
 それでは、きょうは、いま御質問申し上げたことと趣旨が変わりますけれども、残された時間でひとつ国民の選挙権に決定的に重要な影響のある問題、それは船舶乗組員の投票に関する問題です。このことについてお伺いいたしたい。それは、今度の公選法の改正試案の修正案にも入っておりません。しかし、これは非常に長い間大きな問題になってきている。船舶乗組員といえどもりっぱな日本国民であります。憲法によって権利が保障されているわけです。しかし、その投票の機会というものは非常に大きくいま奪われているわけです。
 そこで、この問題についてまず最初にお伺いしたいのですが、これは自治省でもあるいは船員局でもよろしいのですけれども、昨年施行されました参議院選挙におきまして、全国区、地方区、船員の指定船舶の乗組員で手続をとった不在者投票は何人おるか、ちょっとお伺いしたいと思うんです。
#369
○政府委員(土屋佳照君) 細かい内訳はわかってないわけでございますが、昨年の通常選挙におきまして、船長に対して請求をしてやった不在者投票の状況は、全国区で九千七百六十七、地方区で九千七百三十四という数字が出ておりまして、それ以外の指定港とかどうとかいったような形でのものが、内訳は……失礼いたしました。いまのが船長に対してなしたものでございまして、それから指定船舶における不在者投票が……失礼いたしました。私どもの方で自治省として調べたものはいまの船長に対したものだけでございます、正確なものは。
#370
○和田春生君 ちょっと私どもの方の数字と違っているわけですが、二千人ほど食い違いがあるようですが、いずれにしても一万人に満ちません。これ、ひとつ、きちんとしたものを調べていただきたいと思うんです。そういうようなことでは困りますから、国民の権利に関することでございますから。しかし、いずれにしても一万人いないんです。
 そこで、それでは、この不在者投票の対象になる指定船舶の船員ですね、総数何人おるでしょうか。これは船員局長にお答え願ってもいいと思うんです。
#371
○政府委員(山上孝史君) 指定船舶の乗組員といたしましては、約二万人と考えております。
#372
○和田春生君 結局、二万人も、大臣、おる中で、私どもの方の調べたところによりますと、投票用紙を交付した件数、請求したのではなくて、交付した件数というのは七千一百九十四ということですね。約三分の一しか交付をされておりません。あとの三分の二は選挙やりたくてもやれない。そうなんですね、事実上。これは指定船舶だけなんです。それ以外にも、選挙の機会にたまたまうまく出っくわさないと全然投票ができない。商船学校の私のクラスメートで船長までやって最近定年になったという男、三十年以上船乗りしておって一度も選挙の機会に会ったことがないというのがおるわけです。それ、意識的に投票しなかったわけじゃありませんね。やろうと思ってもできなかった。こういう者もおるような実態です。これは非常にゆゆしき問題ではないかと思います。もちろん一〇〇%投票するようにということは、船舶乗組員の実態からいって非常にむずかしかろうとは思うんですけれども、これを何とかしなくちゃいけないんじゃないか、こう考えているわけです。そこで、今国会にすぐ間に合うというのはむずかしかろうと思います、時間も限られておりますから。しかし、少なくともこの問題については、国会においても突っ込んだ議論をすると同時に、政府としても現在の船員の不在者投票制度について抜本的に考える、こういう形で取り組んでいただきたいと思う。いいですか。
 具体的な問題はこれから引き続いて事務当局に幾つかお尋ねしたいと思うんですが、まず最初に、大臣、こういう問題ほっといちゃいけないと思うんですが、それをひとつこの機会に取り上げる、こういうことについて大臣の所信を伺っておきたいと思うんです。大臣がやる気がないというのに、幾らここで時間を費やしてもしようがないわけですからね。
#373
○国務大臣(福田一君) お話を聞いておって、それは気の毒なことだなあという感じを私は持っております。具体的にやるその方法があるかどうかという問題はこれは別でございますが、それは、ひとつよくお話をしていただきたい。
#374
○和田春生君 気の毒な問題じゃないんです。いま私が言っているのは、これは国会議員の選挙なんです。地方議会の県会議員とか市町村会議員あるいは県知事、市町村長の選挙、これについては完全に締め出されているんです、この制度からは。たまたま船をおりて自分の居住している地域におって、そのときに選挙が行われれば投票に行けますよ。しかし、この選挙制度では参議院並びに衆議院の選挙についてはやれるんですが、いわゆる首長選挙並びに地方議会の議員の選挙については、やろうと思ってもこの制度を利用してすら選挙ができない。完全にシャットアウトされている。これは気の毒なんというような問題じゃなくて、憲法によって保障された国民の基本的な権利というものに対して重大な制約を受けているわけです。一方において体のいろいろと不自由な方、身体障害者の方々であるとか、あるいは文盲の方ですね、大変少ないにしても、字の書けない方というような方たちについては代理投票、それも投票所における代理投票だけではなくて、在宅の代理投票、こういうようなものについてもある程度の制度が開かれているわけですね。これは、この前の国会で問題になって改正されました。ところが、元気に働いて外貨を獲得している、税金もちゃんと市町村税も取られているんですよ。国税だけではありません、船員は、市町村税も取られているんです。これはもう自治大臣の所管ですけれどもね。税金を取られる方の義務だけはばっちりやられて、投票の方はしたいと思っても、おまえこれできないよなんというので気の毒なんという感覚では、怒りますよ、ぼくは。それはやっぱりぼくは国家の責任だと思いますよ。もう一度ひとつ答弁してください。
#375
○国務大臣(福田一君) 私の表現が悪くて、おしかりを受けてまことに申しわけございません。それは当然投票ができる方法があれば、投票をしてもらうようにするがよいと思います。いままでそれができなかった――この問題はいままでもちょっと聞いたことがございましてね、なぜいままでこういうふうにそのままにしておかれたかということには、それなりの理由があるんじゃないかと私も考えておるわけなんで、これは事務とひとつよく話をしていただきたいと思います。
#376
○和田春生君 実は、現在の船員の不在者投票制度ができるときには、私はそれをつくらせる方の、運動する側におったわけです。そのいきさつというものはある程度心得ているわけであります。しかし、いろいろやってみたけれども、幾つかの壁がありました。そして現在程度に落ちついています。現在の制度というのは、制度として見る限り、法律条文の上では、このままではこれ以上、正直なことを言って、この制度のこの考え方のままでは壁は私は破れないんではないかという気がします。というのは、あくまで本人が投票するということが原則である。しかも、選挙期間中に投票用紙を請求して、投票用紙に書き込んで、そして選挙を開票するところに送るということが大前提になっているわけです。そうすると、どんなにりっぱな制度をつくっても、その投票用紙を請求して書き込んで送るのが間に合うという間にですよ、その選挙管理委員会、市町村の指定をされた役所とコンタクト、連絡がとれるという範囲におる者だけしかできないわけです。精いっぱいやったとしても、船団で操業している北洋のサケ・マスとかいうようなときに、中積み船と言いますけれども、とった魚を途中で運びに行く船がありますね。そういう船が、そういうものを選挙に間に合うように持って来たときだけはできる。しかし、もう知事選挙とか県議会議員の選挙とか市町村長の選挙になれば、自分が住んでおって現実に地方税を納めているところも、選挙なんか全然できないわけです、税金だけ取られていますけれども。そこで、いま本人が直接投票するということ、それからそれが投票用紙を請求して手に入れて書いて送るということ、この三つを前提としている限り、船員は憲法上における国民の権利というものは空文にすぎないことになる。これをどれか突破せにゃいかぬわけ。
 そこで、これは選挙部長にお伺いしたいんですが、いろいろやはりお調べになっていらっしゃると思う。諸外国の制度でそれを突破するためにどういうようなことが現実に考えられて行われているか、幾つかの例をお伺いしたいと思います。
#377
○政府委員(土屋佳照君) 外国にもいろいろ例があるわけでございますが、いまおっしゃいましたような壁を破る意味で一番進んでおると申しますか、その例を申し上げますと、委任投票という制度が一つあるわけでございます。それから郵便投票という制度があるわけでございますし、それから施設等における特別投票といったようなことがございますが、委任投票まで、いわゆる代理投票というところまで踏み切るということになれば、これは一つの大きな進歩でございましょうけれども、これについても私どもいろいろ議論もしたわけでございますが、本人の意思をどう確認するか、言った場合に、頼む場合に、相手が知らなければならない、そうなると、投票の秘密をどうするかといったような問題等もございます。しかし、現にいま外国の制度としてはそういうところも、とっておるところもあるわけでございますから、そこらをどう踏み込んで考えるかという問題があろうかと思います。
#378
○和田春生君 確かにいまの壁を突破しようとしますと、おっしゃるように、代理人に投票させる代理投票、それから投票権を委任する委任投票、それから郵便でどこからでもいいから送りつければそれが有効だという方法、あるいはそれらの併用ですね、一つだけではなくて併用という方法があると思う。現に日本において代理投票という制度があるのです、御承知のように。それは、身体の障害者と文盲の方、字の書けない方には代理投票というのを認めています。船員の立場とこれらの人とは一緒に論ずるわけにはいかないと思うのですけれども、どうして船員には代理投票は認めてはいけないのだろうか。船員の場合にも代理投票という道を開ければ、この壁が突破できるという一つの手段になるのではないでしょうか。だから、身体障害者と文盲者に限って代理投票を認めるが、船員というような常時居住地を離れておって実際に投票できない者に代理投票を認めることを拒否している一番大きな理由は何でしょうか。
#379
○政府委員(土屋佳照君) 確かに選挙法上は代理投票という制度がございますし、そういった言葉を使っておるわけでございますけれども、若干、遠いところにおられて当該選挙区におられる方が代理をするという投票とは違いまして、言うならば代筆投票みたいなやり方でございます。身体の故障あるいは文盲によって氏名をみずから記載ができないという方は、投票所に行かれまして、そして立会人の意見を聞いて、当該選挙人の投票を補助すべき者二人を承詔を得て定めて、一人が記載し、一人がそれを見ておるという形で立ち会って投票所で投票する、そういうシステムをとっておるわけでございまして、いまおっしゃいましたような意味での、基本的に沿革のあるような大きな代理投票というところまでは実は踏み込んでないわけでございます。ただ、そうかと申しまして、先ほどもお話がございましたが、居住地でやれる、あるいは船舶指定港でやれるというようなことがございましても、非常に長期間外へ出ておられるという方については、いまのような代理投票ということも考えられますが、あるいはまた、何と申しますか、電信で何か知らせる方法はないだろうかというようなことについても議論をしたわけでございます。ただ、そういった場合に、公正の確保とかいろいろな面でどういった方法があるのかというようなことで、私どももそれなりに議論をしておるわけでございますけれども、投票の秘密あるいはどうしてそれが公正に行われるかという担保ができるかといったようなこと等から悩みがあるわけでございますが、先ほどからおっしゃいましたとおり、どっかでこれはひとつ、一つのティピカルなものを乗り越えなければなかなかいきにくいという感じは持っておるわけでございまして、なお検討しなければいかぬという気持ちを持っております。
#380
○和田春生君 確かに外国でとられている代理人――プロクシーという制度などとはちょっと違っていると思う。しかしその代理投票も、単に投票当日投票所における代理投票、つまり純然たる代筆だけじゃありませんね、現在。選挙人の属する市町村の選挙管理委員長に対してなした不在者投票の代理投票という制度も利用されている。で、私ども資料によりますと、約一万七百人の人がそれをやっておりますね。身体の故障の方が五千五百十人ですが、盲目の方が五千百八十六人、一万七百六十六人というものが市町村の選管委員長に対してなした不在者投票の代理投票。それをもう一歩突っ込んでいけば、船員の代理投票を認めていけないということにはならないと思うのですね。不可能なことではなくて、やる気になればやれるという形になるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
#381
○政府委員(土屋佳照君) いま取り上げております制度は、どうしてもやはり本人が出かけていってそこで立会人のもとで代理投票、書いてもらう、そういう形でございますね。だから、全然本人がいない場合に、離れたところで代理をしてもらうというような制度は、まだそこまで踏み切っていないと言えると思うのでございます。
#382
○和田春生君 ですから、それをもう一歩踏み込んで、あらかじめ代理人を指定しておけば、代理投票ということを考えれば、あらかじめこの者に立会人を決めておいて、私のいないときに、私が投票できないときにはこれに代理投票させますよという形でやるところまでいけば、それは投票所で直接代理で代筆して投票するというのもある、不在者投票という形で選管委員長のところに行って代理で書いてもらうということもあるが、もう一ついけば、あらかじめ指定しておくということは考えられてもおかしくないのではないか。事は選挙権のことなんですから、そこまで踏み込んで検討すると、そういう用意はあるかないかということもお伺いしたいですね。
#383
○政府委員(土屋佳照君) まあ問題は、長期にわたって、たとえば南氷洋なりそこらへ行かれるというような例を考えますと、結局その間に解散があって総選挙となります場合に、一体、委任をする委任投票の場合でございますと、本人の意思をどう伝えるかということが非常にむずかしい。候補者がだれかもまだわからないというようなこともございますし、あるいは電信で何かニュース等でわかるかもしれませんが、それをどうして伝えるのか。それからまた、代理投票ということになると全権委任ということになるわけですか、その場合は本人の意思というものを本当に白紙委任とするという形になるわけでございますね。そういった意味で、まあまあ私どもがいままで従来の考え方に立っておるからあるいはいい返事ができないのかもしれませんけれども、何かそこのところが解決できればという感じがするんですが、いまではどうもその点にひっかかっておるということなんでございます。
#384
○和田春生君 この点については、いますぐここで選挙部長といえどもこうしますという的確なお答えはできないと思うんですが、これは本当にやっぱしやる気になって取り組んでいただきたい問題の一つだと思います。
 で、同時に、いまいみじくも選挙部長おっしゃいましたが、その一体、候補者がだれかということがよくわからない。ところが、現在船舶に対しては選挙公報は配られておりませんね、部分的に。これはおかしなことだと思う。ぜひ選挙公報は配ってもらいたいという意向が非常に強いわけです。選挙公報も配らずにおいて選挙をやれ――しかしこれは、外国まで郵送しろというのは無理でしょうが、少なくともその選挙公報が出たときに、全国の市町村の選挙公報を全部配れなんという、そんな無理なことを言う気はありませんが、国会議員の選挙であるとか、大きな選挙については、船舶にも配ってもいい。それには管海官庁というものがあるわけです。ですから、選挙公報は少なくとも船舶に対しても一定部数を管海官庁を通してその期間に入ってくる船には配るという形になれば、選挙に対する関心を駆り立てられるということもあると思うんですね。
 これは私は船員局長にもお伺いしたい。そういうような形になれば、当然私はやってもらっていいことだし、できると思うんですが、いかがですか。
#385
○政府委員(山上孝史君) そういうことになれば、管海官庁としてもできるだけの御協力は申し上げたいと思います。
#386
○和田春生君 自治省、どうですか。
#387
○政府委員(土屋佳照君) たとえば、これは技術的なことで恐縮でございますが、全国区の場合は一枚で大体送ればわかる。あとは、乗っておる方がどこの選挙区におられるかというようなこと等にもかかりますので、公報というものは非常にたくさんになるわけでございますが、そういうものが技術的にできるのかできないのかは別といたしまして、できるところから何かそういう方法を考えていけという御趣旨については、私どもも十分検討いたしたいと存じます。
#388
○和田春生君 もちろん、百を超す全国の衆議院の選挙区の公報を全部一冊にして届けろといったって、これはもらった方だってなかなか迷惑でしょうが、御承知のように、選挙のときになると新聞にはずうっと出るわけですね。全国区のあれだけの候補者が出ても出るわけですね。そういうものはやはり船員にも選挙権を使わせるのだという形で、熱意があれば、選挙公報も一般家庭向けの選挙区ごとに限定して配る選挙公報、そういうような場合に、その配る選挙公報、これは船員だけではないと思うんです。役所その他、商社等においても海外におる人の場合もあるわけですから、ぜひそういう問題も検討していただきたいと思うのですが、これは技術的な問題。
 今度はまた本筋に戻りまして、いろんな制度を抜本的に変えるという場合に、代理投票、委任投票というものがある。そのほかに、電報で投票するという問題があるわけです。ところが、電報で投票をすると、少なくとも無線通信の場合には発信者と受信者はその電報の内容にタッチしますね、発信者と受信者は。これは憲法における秘密投票というものに抵触するとお考えですか、それは法律の規定のしようによってはある程度認めていいとお考えになりましょうか。電報です。――じゃ、自治大臣、お願いします。
#389
○国務大臣(福田一君) いまのお話承っておって、何かこう工夫をして差し上げるべきじゃないかと私は思いますが、この場でこれ細かく詰めていくことはかなりむずかしいので、よく事務で一遍勉強させて、そしてまた御相談をした方がいいんじゃないか、こういうふうに思います。
 まあ、できるだけ、何か工夫がないかと私も考えてみますので、それは確かに選挙権持ってて、しかも船で働いているというのは、海外に出て一生懸命日本のために働いてくれているんですから、その人に選挙権がないというのは、まことにそれはある意味では申しわけないことなんだから、何か工夫がないかということなんであって、しかし、そういう電報でやるのがいいのか、まあ電報、そういうのを受け付けるのをたとえば船舶のどこか、郵政省のどこか一カ所で受け付けられるか何か知らぬが、そういう工夫を考えるとか、秘密保持にも何か工夫があるかもしれませんね。そこがまた、分けるという工夫もないわけじゃないと思うんです。だからそれはもう少し詰めないと、ここでいまお話をしておっても、私、事務の方じゃなかなか気持ちがあっても詰め切れないと思いますから、もう少し勉強さしていただいたらどうでしょうか。
#390
○政府委員(土屋佳照君) 先ほどお話がございました、わが国でのこの現在やっております代理投票の場合は、名前を言えばその人がかわりに書くわけでございますから、その限りにおいては耳に入ると。じゃ秘密保持になるのかということになると、これはならないと思うんです。しかし、それはあくまでもその投票管理者のもとにおる者が投票管理する立場の者で、その場でやるということでございますから、これは許されると思うんです。いまの場合は、それじゃ電報発信者あるいは受信者というものが一般の場合にはやっぱり秘密保持という点では若干問題があるように思うんです。しからば、何かそういうところの人を、管理ができる者という資格づけをするとか何とかということになればどうだとなれば、何か一つの考え方というのも出てくるかもしれません。まだちょっと詰めた考えございませんが、そういう感じがいたします。
#391
○和田春生君 これは問題提起としておきたいと思います。
 もう一つ、これに関連して、もう大分残り時間も少なくなりました。これは船員局長と自治省にお伺いしたいんですが、いまの制度でも本当に船舶乗組員に投票をしやすい環境をつくってやろうという形になりますと、まだ工夫の余地があると思います。それはいまは船員は、指定船舶の乗組員は、船員の有権者証明をもらってこにゃいかぬ。その証明でもって今度は投票用紙を請求することになるわけですね。それを一歩進めて、船員手帳というオーソライズされた制度があるわけです。しかもこの船員手帳というのは、船舶に乗り組んだときには雇い入れの公認、下船したときには雇いどめの公認があるわけですね。それが船員の履歴の算定から何から、全部法的に認められているわけです。そうであるならば、この船員手帳というものを有権者証明のかわりにして、その中にもう選挙投票欄か何かを組み込んでおいて、全国のいわゆる管海官庁ですね、指定の取扱所におきまして、船員手帳を持って行きさえすれば、いま現在乗船中であるという雇い入れ公認があるということが認められれば投票用紙がそこで受け取れる。そして投票用紙を渡した者の船員手帳に対しては、どういう選挙について投票用紙を交付した旨をスタンプを押してやるという形にすれば、ダブル投票の弊害も防げるわけですね、これは。しかも、下船中の者についてはそれは使えない。それは自分で投票すればいいわけですから、不在者投票だろうと何だろうといいわけ、乗り組んでいるということは船員手帳によって証明されるわけ。そうすると、指定船舶とか何とかいうややこしいこと言わなくても――船員手帳を所有している者無制限にというわけにいかないと思います、それは。国内の本当に短い各港間だけをやっておって自分の家から通ってるという船員もおるわけですから、そこには一定の限界を置かなくちゃいけないと思いますが、少なくとも何日間から離れておって選挙の際に不在であるということがある者については船員手帳をもって投票をさせると。また、その船員手帳を投票に使ってるという制度をとっている国も、私ども調べた例においては外国にあります。そこまで一歩進めて、ともかく電報投票とか代理投票とか委任投票というような制度の根幹に触れるようなところまでいかなくても、とりあえずまあことしの暮れか来年早々には解散、総選挙があるかないかしりませんけれども、言われている。少なくともそれに間に合うように、そういう船員の有権者を証明するのを、特別の証明書によらずして船員手帳でやっていく、こういう方法を突っ込んで考える。これは、法律の改正にまでいかなくても、私は規則の改正で行えるのではないか。この国会で公選法自体を改正しなくても、規則の改正で行えるものだと思う。それをひとつ取り上げて、この際実施に移すべく検討するというお考えはないでしょうか。これはやはり船員を所管している船員局として、選挙制度に関することだと逃げているわけにいきませんね、これ。それで船員局長に来てもらったんですから、ひとつまず船員局長のお考えを聞きたい。いいことか悪いことか、ぜひやってやりたいかどうかぐらいのところをひとつ聞きたいと思う。いい船員局長かどうかということは、これ評価されますよ。
#392
○政府委員(山上孝史君) 先生御指摘のように、船員手帳というものは船員法の規定に基づきまして船員が必ず持っていなければならないものでございます。この船員手帳によりまして船員の身分を証明するほかに、雇い入れ契約についての公認を受けたこと、それから健康検査に合格したこと等をあわせて証明するものでございます。また、船員手帳は、海運局やいわゆる管海官庁それから指定市町村の事務所に、船主との雇用証明書あるいは戸籍の謄本または住民票の写し等を添えて船員が申請いたしまして交付されるものでございます。このような船員手帳の機能を踏まえた上、船員にかかわる不在者投票制度の運用に当たって、もしも自治省におかれまして船員手帳を活用する方途が考えられるといたしますれば、運輸省といたしましては必要なできるだけの協力をいたしたい、かように存じております。
#393
○和田春生君 自治省。
#394
○政府委員(土屋佳照君) まあ御承知のように、いまこの船員の選挙に関しましては、選挙人名簿登録証明書を添えて請求をするということで、これはすべて政令事項になっておるわけでございます。したがって、まあこれを形式的には変えるということになるわけでございますが、いま現在でも、いつでもこのそういった三年間有効の選挙人名簿登録証明書というものはもらえるわけでございます。そこで、その物といまの船員手帳とどうドッキングができるのかと、そういうことじゃなかろうか。まあ船員手帳と申しますと直接選管とは違う方が発行されておるわけですから、こちらとすぐ結びつけるかどうかということになりますと、それ一本ではというのは無理があるのかもしれないという気がするんですが、こちらの方とうまくドッキングをさせて、一緒にこう持てるようなかっこうになるということになるといいのかなとも思ったりするんですが、もう少し技術的にそこらは検討いたしてみたいと思います。
#395
○和田春生君 この問題については、政令並びに施行規則ですか、に関連することで、法の改正には直接触れなくてもやろうと思えば方法が見つかればできると思う。いまここで直ちに的確な具体的なお答えを私も期待しているわけではありません。ただ、この種の問題が、いままで余りにも具体的に国会で問題にされない。そしてやっぱし何万人という、何万人ではないと思うんです。実態調べれば十数万になると思うんですが、この船舶乗組員という者が事実上選挙から締め出されている。しかも、税金はきちんと納めているわけです。船に乗って航海手当がついて収入がふえたら、田舎の村なんかに行くと村で一番よけい税金を納めているのは船員さんだというところもある。ところが、そこの市長さんの選挙もできなければ、市会議員の選挙もできない。村長さんの選挙もできない。衆議院も参議院も一度も選挙をしたことがない。これはやはり重大な問題ですから、ぜひ、私もこれは相談に乗りますので、ひとつ自治大臣、責任大臣として事務当局を督励して、前向きでできるだけ早くこの選挙権の行使の範囲が広がれるように御努力をお願いしたい。これについては、自治省と運輸省も協力をしていただきたい。この点、ひとつまとめて自治大臣にお答え願いたいと思います。
#396
○国務大臣(福田一君) まあ、私承っておって、ごもっともな御意見だと思います。問題は、やり方の問題というか、方法論の問題だと思います。これが法に触れないようにしてできるということであれば、私は実現する方が正しいと思っておりますから、十分研究さしてみたいと思います。
#397
○和田春生君 じゃ、質問終わります。
#398
○峯山昭範君 先ほどから大臣の答弁を聞いておりまして、実は一つだけ資料をいただきたいと思いまして……。
 地方区の定数是正の問題につきまして、実はきょうもこの後小委員会がございます。それから二十三日にも小委員会を開くことに決めております。そこで、大臣から、先ほどからたびたび答弁の中に参議院発足当時の話が出てまいります。大臣は、参議院は職能代表としてのいわゆる全国区、それから地域代表的なものとしてのいわゆる地方区、この二つの点の発言がいま和田さんの質問の中にも出てまいりました。そこで私は、この点非常に重要な問題でございますので、参議院発足当時、衆議院または当時の貴族院でこの問題について相当議論になっていると私は思います。そこで、その当時の参議院地方区が地域代表であるという具体的な議論も行われているであろうと思います。また記録もあるであろうと思います。したがいまして、その記録をもとにしてやっぱり大臣はそういうような発言をしかとしていらっしゃるんであろうと思いますので、そういうふうな関係の資料を、われわれ小委員会として定数問題の審議をいたしますので、できるだけそれに間に合うように、そういうふうな資料を提出いただければ幸いだと思います。委員長、ぜひお取り計らいのほどをお願いします。
#399
○政府委員(土屋佳照君) 当時の参議院議員の選挙制度要綱とか、そういった若干のものに、地域代表制とするとかどうとかといったようなことも述べられております……
#400
○峯山昭範君 ですから、質問じゃないんですからね、出せるか出せないかいうことだけで結構です。
#401
○政府委員(土屋佳照君) できるだけのものを整理をいたしまして提出いたします。
#402
○委員長(中西一郎君) 早くお願いいたします。
 他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめます。
 次回の本委員会は六月二十五日水曜日、午前十時に開会いたします。
 これにて散会いたします。
   午後九時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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