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#1
第075回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第7号
昭和五十年六月二十五日(水曜日)
   午後一時三十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中西 一郎君
    理 事
                剱木 亨弘君
                小林 国司君
                片山 甚市君
                峯山 昭範君
                内藤  功君
    委 員
                有田 一寿君
                斎藤 十朗君
                高橋 邦雄君
                橘  直治君
                戸塚 進也君
                秦野  章君
                宮崎 正雄君
                秋山 長造君
                戸田 菊雄君
                中村 波男君
                秦   豊君
                多田 省吾君
                橋本  敦君
                和田 春生君
   委員以外の議員
       議     員  市川 房枝君
   衆議院議員
       修正案提出者   山田 芳治君
       修正案提出者   小沢 貞孝君
   国務大臣
       自 治 大 臣  福田  一君
   政府委員
       警察庁刑事局長  田村 宣明君
       自治省行政局選
       挙部長      土屋 佳照君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
      法務省刑事局刑
      事課長       吉田 淳一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(秦豊
 君外二名発議)
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(峯山
 昭範君外一名発議)
○公職選挙法の一部を改正する法律案(第七十四
 回国会内藤功君外一名発議)
○政治資金規正法の一部を改正する法律案(岩間
 正男君外一名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中西一郎君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第六〇号)、政治資金規正法の一部を改正する法律案(閣法第六一号)、同じく(参第一八号)、同じく(参第二八号)、公職選挙法の一部を改正する法律案(第七十四回国会参第五号)及び政治資金規正法の一部を改正する法律案(参第二七号)、以上六法案を一括して議題といたします。
 前回に引き続いて質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○中村波男君 政治資金規正法が問題になりかけましてから長い年月がたっているのであります。四十二年、佐藤内閣が設置いたしました第五次選挙制度審議会は、個人献金と党費にしぼるよう答申がなされました。しかし、その案は当時の政府・自民党の手で骨抜きにされまして、昭和四十二年、三年、四年と連続、すなわち三回提案をされたのでありますが、自民党の強い反対によって廃案になったという、こういう経過、いきさつがあるわけであります。こういう経過の中から、今回政府が政治資金規正法並びに公職選挙法の改正案を提案になりましたいわば動機といいますか、きっかけといいますか、その裏には政治的な背景があったと思うのでありますが、これらについて、福田自治大臣に改めてお聞きをして、その上でひとつ具体的な内容に入ってお尋ねをいたしたい、かように考えておる次第であります。
#4
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 御指摘のとおり、数回にわたって政治資金規正法は国会に提案されたわけでありますが、そのときどきの提案が否決されるというか審議未了に終わった経緯をここで詳しく申し上げるのもいかがかと思いますが、これはおわかりのことと思うのでありますが、今回の政治資金規正法を提案するに至りました動機は、やはり昨年の参議院の選挙に当たりまして、非常に金がかかるあるいは金権政治であるというような国民的な批判が巻き起こりまして、そこでこれは何としてもこの問題の解決にわれわれは強く前進をする必要があると考えまして、その意味合いで案をつくることになったわけでございますが、特に昨年の暮れには衆議院におきましても、この政治資金の規制について金権政治を何とか処理をしなけりゃならないという野党も与党も含めた全会一致の案が出されたわけでございます。これを受けて、これはもう何としてもこれを実現しよう、こういう意味で、一般の世論とそしてまた国会における与野党の要請に基づいて今回の法案を出したというのがわれわれの考えでございます。
#5
○中村波男君 いまさら私が指摘を申し上げますまでもなく、わが国が科学技術も先進国の水準を大きく抜くような経済大国に発展をいたしまして、このことは自他ともに認めなければならぬことだと思うわけでありますが、しかし、ひとり政治だけは政党の非近代化的な状態から依然として抜け切っていない、後進性を保っておる、こういう反省の上に立って今回の政治資金規正法なり公職選挙法の改正を何としてもいわゆる通さなければならぬという、そういう熱意で自治大臣を初め政府当局が今日まで対処してこられたかどうか、そこまで深く立ち入っていままでの動きを見ておりますと、そういう政治的な信念といいますか、政治を近代化しなければならぬという挙党的な体制というものがあったと必ずしも言えない面があるんじゃないか、そういうことを今日までの今国会における審議の経過の中で感じておりますのは私一人ではないというふうにも思うわけであります。
 そこで、政治資金は個人献金に限れ、企業からの献金は禁止すべしとするのが私たち社会党の政治資金規正法に対する基本的な姿勢であるわけであります。このことは社会党のみならず、三木総理におかれましても強い決意でこの問題にいわゆる取り組んでこられた。三木試案によりますならば、個人寄付は一万円、会社などの団体寄付は十万円以上を公開するという案が最初出ておったわけでありますが、しかし国会に出してこられました政治資金規正法の内容というのは、大きく後退をいたしておることは、これはだれしも否定できない内容であろうというふうに思うわけであります。そこで大臣、この政治資金規正法をおつくりになるに当たりまして、いわゆる第五次選挙制度審議会の政治資金規正法に対する答申ですね、これを土台にしてその上に積み上げられて成案されたのかどうか、このことをまず伺っておきませんと次の質問に移れないと思うわけでありますが、いかがですか。
#6
○国務大臣(福田一君) 第五次選挙制度審議会の案を土台にしたかどうかということでございますならば、参考にはいたしましたけれども、それを土台にするという考え方で臨んだわけではございません。いままでもいろいろの答申が出ております。そして総理のお考えも一応ございます。しかし、われわれといたしましては、実際の政治の実態というものを踏まえ、日本の政治の置かれておる姿あるいは政治資金等についての姿等を十分認識をした上で、とにかくこれを前進させるのだというたてまえでいまのままでおいてはいけない、これを何としても改正するといいますか、改革するといいますか、一歩でも二歩でも前へより正しい目的のために前進をさせるのだ、こういう見地から案の起草といいますか起案に当たったというのが事実でございます。
#7
○中村波男君 一歩でも二歩でも前進させるのだというお考えでありますが、しかし昨年の参議院選挙の金権選挙によって国民の政治不信というのは私はその極に達したと思うわけであります。したがいまして、そういういわばのんびりした姿勢で国民の期待にこたえるような――政治資金規制というものが国民にこたえることができるのかどうか、そういう内容であるのかどうかということに対しましては、私たち大変な不満を持つものでありますし、そこで、もう一歩立ち入ってお尋ねをいたしますが、三木構想、三木試案、これはいわば三木さんの総理になられた第一の国民への公約であったと思うわけであります。国民は公約として受けとめておると思うのであります。なぜ三木試案がこれほど大きく――少し後退したという程度ならば私はきょうここでそう大きな声をして責め立てようとはいたしませんけれども、大変な後退をいたした内容である。昭和四十二年に、いわゆる提案をされた政治資金規正法、これを便宜的に第一次案というふうに申し上げますが、これと比べましても大変内容がいわゆる悪くなっている。そういうものでなければ出せなかった。このことは、一歩でも二歩でも前進させるんだとおっしゃいまするけれども、それは言いわけであって、まとまらなかったというところに根本的に問題がひそんでおるのではないかと思うのでありますが、なぜ三木構想、三木試案がこれほど大きく後退したか、その点について大臣のひとつ率直な経過として御報告を承りたいと思うわけであります。
#8
○国務大臣(福田一君) 政治資金規正法に対するわれわれの態度がなまぬるい、また総理の言っておるところと非常に相違が出てきた、こういう御指摘であると思うのでございますが、総理は最初三年後には個人献金にと言われたのでありますが、五年後、政治の実態を見ると五年後でもやむを得ないというようなことになり、そしてまた法人の寄付というものは悪ではないんだということを言っておられるわけでございます。私は政治というものは実態と離れたことをやろうとしてもできないものだと思います。なぜいままでに数回にわたって政治資金規正法が出たのにそれが実現できなかったかということになりますというと、それはやはり議員の認識がそこまではっきりいかなかったということであります。もしそういうような認識がいかなかったことであれば、私は、国民の側から批判すれば次の総選挙等々では当然自民党は少数に陥るべきはずであると思うのであります、国民の批判ということから言えば。ところが必ずしもそういう姿にならなかったということは、国民は批判はされますけれども、どういう内容までは――是正はしなければならないと思っておっても、どういう内容までやるかということについての私はなかなか一致した意見というものはまだ出てきておらないと思うんです。政治資金問題を取り上げなきゃいかぬということではこれはもうほとんど全国民の希望であるけれども、どういう内容にするかということについてはまたいろいろの御批判、差があるだろうと思っております。その差がございますのを、その差を完全に埋めてしまおうということはわれわれとしてはなかなか把握に困難を感ずるわけでございまして、やはりどうしてもこういうものは二歩でも三歩でも――私はさっき一歩でも二歩でもという言葉を言った、それが不適当であれば二歩でも三歩でもとか、三歩でも四歩でもと、こう言いたいところなんでありますが、しかし、とにかくスタートをしなければこれは問題にならない。もう十年来そういう話をしておって、しかも一つも法律がそういう意味で改正されないというのではいかぬから、やはりどうしても二歩でも三歩でもとにかくここで踏み出さなければいかぬ、こういう気持ちでわれわれがこの法案を出しておるということをひとつ御認識を賜りたいのでございます。それは非常に不満であるということでございますれば、これは御批判として承るということでございまして、われわれとしては、これはこの程度で一応ひとつ御賛成をいただきたいという意味でここに提案をいたしておるのでございますので、その点をひとつ了としていただきたいと考えるのであります。
#9
○中村波男君 いま大臣の御答弁の中に、国民は政治資金規制問題について批判はしておるけれど、具体的にあらわれてきていない――そのことは、恐らく私は、選挙の結果衆議院においては自民党が圧倒多数、圧倒とは言わないかもわかりませんが絶対過半数を占めておる、参議院においても過半数を占めておる、このことに国民の世論、政治資金規制に対する国民の考え方というのが表現されているんだというふうにおとりになっておる、そういう御答弁だというふうに受け取るわけでありますが、余りにもこれはおごれる姿勢であり、福田自治大臣のお説には承服するわけにはまいりません。昨年の参議院の選挙の結果というのは、謙虚に私は受けとめていらっしゃるかと思っておったんでありますが、そういう反省というのは全然ないと受け取ってよろしいのでしょうか。
#10
○国務大臣(福田一君) 私は決して選挙の結果を謙虚に受けとめないわけではございません。いままでよりは自民党の数は減ったわけであります。また、投票総数においても差がついたわけでございます。しかし、この前も申し上げたんですが、もし野党の皆さんが同じような政策を持っておいでになって、自民党がこれだけの票しか取らなかったということでございますならば、これはわれわれとしてはいさぎよく桂冠をすべきときであったと思うのであります。比較多数ということでやはり政権を担当することでありますし、しかも絶対数においてもまだやはり参議院においてもわれわれの方が絶対多数でございます。衆議院においても同じく絶対多数でございまして、その意味でわれわれは何も反省しないとかなんとかいう意味ではございません、反省はいたしております。こういうことならば、将来はどうなるかということも考えておりますし、また、もっと国民の意向をくんでいかなければならないと思っておりますけれども、それと政治資金に対する姿勢をすぐに結びつけて、それだけでこの問題が、こういうような参議院の結果あるいは衆議院の結果が出たというふうに結びつけていくのにはいささか無理があるんではないだろうかという意味のことを申し上げたつもりでございます。
#11
○中村波男君 見解の相違ということでいつまで議論をいたしましても平行線をたどると思うのでありますが、一言あえて申し上げますならば、福田大臣としてはもう少し政治資金規正法を、自治大臣として自治省が政府として提案をするについては、少なくとも第五次審議会の答申程度のものが出したかったけれども、しかし党内の事情はなかなかそれを出す条件がなかったんだ、だからほうっておくわけにいかぬから二歩でも三歩でも前進させるためにこの案を出したんだと、これは口に出しては大臣として責任上言えないかもわかりませんけれども、そういうお気持ちがあるとするならば、これは私は理解できると思うんですね。しかし、おっしゃることが全く腹の底から福田さんの政治的な感覚であり姿勢であるということについては、これは私は納得はできないわけでありますが、しかし、この問題でいつまでも同じことを繰り返しておるわけにもまいりませんので、続いて質問に入りたいと思うわけでありますが、先刻も大臣みずからおっしゃったんですが、この案を出すに当たりまして、自民党としては五年後の見直し規定を条文の中にお入れになっておるわけでありますが、この見直し規定と申しまするか、この規定は、これは労災法とか宅地並み課税のごとき拘束力は私は全くないと思うんですね。したがって、こういう規定をお入れになったからといって、果たして五年後にこの政治資金規正法を見直して改正案をお出しになるかどうかということについて私たちは信用を正直に言いましていたしかねておるわけであります。したがって、本当にそういうお気持ちがあるならば、それが党内としてまとまった御意見でありますならば、仮に参議院で議員間でよく話し合いまして、そして附帯決議としてこれを出した場合に、大臣として自民党をまとめてこの規定を参議院の決議としてきちっと整理するということについて御努力をされるお考えがあるかどうか、それだけ責任を持つお考えがあるかどうか、このことを加えてお尋ねをいたしておきます。
#12
○国務大臣(福田一君) 中村さんも御案内のように、附帯決議というのは、いわゆる決議、衆参両院の本会議における決議の一つの形ではございますけれども、それによって方向が確定するというのではないので、意思がそういうふうにあらわれるということだと思うのであります。それは政府に直接の、もうそのままにするという、そのまま実行するという政治責任を負うべきかどうかということについては議論が分かれるところだろうと思います。いろいろ御意見があると思いますが、皆さんの間でそういうような附帯決議が一致して決まったということでございますれば、われわれとしても十分尊重をいたさなければならないと思っております。
#13
○中村波男君 いや先般から大臣の御答弁を聞いておりますと、いわゆる与野党で話がまとまれば定数是正にも応じてよろしい、こういうことを繰り返しおっしゃるわけです。いまの問題でも、いまの自民党の党内事情を、失礼でありますが、私たち外から見ておりますと、こういう決議が参議院でまとまりそうにないと私見ておるわけであります。まとまれば幸いであります。したがって、本当に政府が責任を持ってこれにこたえるというこの内容について、こういう五年後の見直し規定というのを法文の中にお載せになったわけですから、この責任というのは重大だと思うのです。だとするならば、そう君たちが疑うなら、やはり院としての決議というのをしておけば、もうひとつ私たちから言うと拘束力というのは強いと思うのです。そういう意味で大臣として、自民党のいわゆる首脳の一人として、そういうことに対してやはり自民党をまとめて、野党がもしそういう要求をするのであるならばこたえる用意があるという、そういう御答弁が出ないものであろうか、こういうことでお尋ねをしたわけであります。
#14
○国務大臣(福田一君) 法案の中に御案内のように、検討を加える、五年後には検討を加えると書いてあることは御承知のとおりでございます。われわれが検討を加えると書いた以上はこの検討をしないわけにはいかないのでありまして、法案でそうあるのでは。しかし、そのときにどう決めるかということについては、そのときの事情がやはりあるだろうと思うので、五年後のことを私がいまここで必ずこういたしますというお約束はできないと思います。しかし、検討を加えるのですから、そのときにはまじめに――この問題はやはり個人献金にできないかというつもりで党員が皆でひとつ研究をしよう、こういう意思に基づいてこの法案を出しておるのでございまして、その場合に、私に何か政治的に党内を取りまとめるような努力をこの際してはどうかというお話でありますが、まあ私はとてもそんな力はございませんので、皆さんにひとつどうだろうか、こういう御意見もあるがひとつということまでは言えますが、何も言わないと申し上げるのではありませんけれども、党内を取りまとめるなどというような力は、私には力はございません。しかし意思はございます。こういうような御意見があったので、なるべくそういうふうな方向に持っていったらいいじゃないかという意思は持っておるつもりでございます。
#15
○中村波男君 いまおっしゃったように、これは検討するということでありますからね。必ず五年後には見直しをして修正するんだと、こういうことにはなっておりませんから、これは全く、規定として条文には書かれておりまするけれども、これは体裁をつくろうのみの条文ではないかという私たち疑いを持たざるを得ないわけであります。したがって、そういう意味で本当にこれに責任を持つ、本当に党議として検討をする――検討ということは、いいか悪いか検討してこのままでよろしいという結論を出す検討ではなくて、これはやはり国民の世論にこたえるためにも、五年間は猶予を求めたけれども、五年後には必ず三木構想に近いような方向で検討し直すということが大臣として合意をされた内容であるということであるならば、これ以上質問を申し上げることはないと思うのでありますが、この内容についてはどうでございましょうか。
#16
○国務大臣(福田一君) 私は五年後には前向きで検討をすると、言うなれば、そちらの方向へ持っていくような努力をする意味において検討を加えたい、こういう意味でございます。
#17
○秋山長造君 ちょっと関連して。
 いまの附則八条の、五年後に検討するということですが、これは、この法律の施行日が五十一年一月一日と、こうなっていますからね、それからまる五年たった五十六年の一月一日でちょうどまる五年になるわけですが、この五十六年一月一日が来た時点で検討を始めるという意味ですか。それとも五十一年の一月一日、まる五年たつまでにこの施行状況と照らし合わせながら並行して検討を進めて、そしてちょうど五年たった時点でその結論を出すという意味ですか。どっちですか。
#18
○国務大臣(福田一君) 実はこの法律をつくるときに、すでに個人献金だけにできないだろうかという検討をいたしたわけでございまして、しかし、先ほど中村さんがお話しになりましたように、党内全体のあれとして、また政府としても、この程度、この際はこの程度しか合意が得られないというところでこの案を出したわけでありますから、これからもずっとそういう方向に持っていけないかどうかということは私は検討を加えていくことに相なろうかと存じております。そして合意が得られれば、ここに五年と書いてあったからといったって三年目にやったから悪いということは一つもないと考えておるわけであります。
#19
○秋山長造君 おっしゃるような意味の検討ならば、遅くともまる五年たつ時点までにはこの法律の再改正について何らかの結論を得る、得たい、こういう意味だと受け取っていいんですか。そうしなければ、いま中村君が繰り返し念押しをしておられますがね、五年たった時点で改めて検討を始めるというのでは、これは一体検討の結果がいつまとまるのやらどうやらわからぬ、それからさらに何年先になるやらわからぬというようなことになれば、わざわざこの附則に「施行後五年」というように具体的な期限を限った意味がほとんど失われると思うんです。ただ大ざっぱなことを気休めに書いてみただけ、世間に対する気休めに書いてみただけということで終わってしまうので、そこらをやっぱりいまこれを審議しておる時点で――何事も初めが大切ですからね。だから、ぴしっと遅くともこの施行後五年たつまでには検討の結果による新しい結論を出すんだということをはっきり約束願いたいと思うんですけれども、いかがですか。
#20
○国務大臣(福田一君) 御質問の御趣旨はわかりますが、われわれといたしましてはこの法文のとおりでございまして、この法文の解釈をあなたのおっしゃるようにしますというと、法文を改めねばいけません、実際の話が。しかし、それだからといって、あなたがおっしゃっている気持ちをわからないでこういう答弁をいたしておるつもりはございません。われわれとしては前向きで検討をいたしてまいりますと、そのときには少なくともあなたのおっしゃったように何らかの結論をそこで出さねばいけない。その結論は、じゃ個人献金になるのかということになると、そのときでありますから、この法文に文章に書いてあるとおりでございますが、しかし、そういう理想というものをそこに置いて考えていかなければならないと考えておるわけでありますということを御答弁をさしていただきたいと思うんであります。
#21
○秋山長造君 もうこれでやめますが、やっぱりこれだけ世論がやかましい情勢の中で行われる審議でもありますし、また、それにかんがみてわざわざ施行後五年という具体的な期限を切られたわけですからね、だから少なくとも、遅くとも五年後にはという意味の五年と、それから早くとも五年後という意味の五年とは大分違いますからね、これは意味が。私はやはりいま大臣のおっしゃる意味も、遅くとも五年後までには何らかの具体的な新しい結論を得たいという心構えでいくというぐらいなことはお約束できるんじゃないでしょうか。
#22
○国務大臣(福田一君) 御趣旨に従って努力をいたしたいと存じます。
#23
○中村波男君 次は、先般来参議院におきまして野党の各委員の皆さんから、参議院地方区の定数是正の問題について強く実現方の要求があり、なぜ今回見送ったかということについて繰り返し繰り返し見解をただされたわけであります。かなり突っ込んだ議論も行われておりますが、しかし自治大臣の御答弁は、とにかく与野党一致の意見がなければどうにもならないんだということで、逃げの一手で答弁をされております。
 私はここでお聞きしたいのは、今後あらゆるということは言いたいんでありますが、言いませんけれども、少なくとも選挙制度の改正について与野党一致しない限りは今後の改正等々については絶対やらない、具体的に言いますならば、小選挙区制が理想的だというようなことも先般御発言がありましたが、小選挙区制などを仮に提案をされるような場合、与野党の意見が一致しない場合はやりませんと、こういう態度である、こういう政治姿勢である、このように理解してよろしいものでしょうかどうかお尋ねいたします。
#24
○国務大臣(福田一君) まず前提といいますか申し上げたいと思いますことは、衆議院と参議院の制度は御案内のように違っております。衆議院は解散によりまして、あるいは定時刻が来れば全国一律に行われるわけでございます。参議院の場合は、地方区というものと全国区というものがございまして、その地方区も全国区も三年ごとに選挙が行われるということでありまして、衆議院とはその意味では非常に制度として違っておるということはもう御案内のとおりでございます。で、こういう問題を踏まえながら参議院の問題については考えていかなければならない面があるかと思うんでありますが、全会一致でなければ、全党一致でなければ提案ができないかと、こういう御質問でございますが、私は、全党一致ということが絶対要件だとは考えておりません。しかし、いやしくも全党が一致ということであれば、これは私は当然やるべきことになる、当然行わなければならない。しかし今度は多数の党が一致する場合にはどうであるかという場合は、これも提案をしてお諮りをする場合があると思います。
 それから小選挙区制のことを、これは衆議院のことで御質問があったんでございますが、衆議院などは、小選挙区制をやるというような場合には、少なくともこれを一つのテーマとして選挙をやって、そうしてその上で国民の意思がわかったような場合に小選挙区制の提案をするということが望ましいのではないかと考えておりますが、政府が小選挙区制をどういう場合でも絶対出してはいけないんだという、そういう制約は、私は政府には提案権というものがあるのでありますから、ここでお約束をするわけにはいきません。少なくとも私が申し上げておる意味は、提案権というものはありますよと。ありますけれども常識的に見れば、それほど野党と与党とで小選挙区制などというのは意見が相違しておりますから、そういうものを急遽一挙に出すというようなやり方がいいかどうか。もし出すとすれば審議会でもつくって、そういうものでぜひ――審議会がやれというような意見があるのか、あるいは世論を聞いてみたらやっぱりその方がいいというようなことが出るのか、とにかくそういうようなことがなければ、私は、一挙に小選挙区制を提案するということは政治的にはなかなかむずかしいと思います。むずかしいと思うけれども、それだから出しちゃいけないかと言われれば、出せないとは言えない、こう考えておるわけであります。
#25
○中村波男君 さすがに老練な福田大臣でありますから、いろいろ理屈をつけて御答弁をされますが、先般野党の皆さんの質問を聞いておりまして、とにかく衆議院でも与野党が一致したから二十名の定数是正を提案したんだ、参議院でも与野党の一致を見れば提案をするけれども、与野党の一致を見ないから提案できないのだと、こういうふうで、こういう言い方で逃げの一手といいますか答弁を繰り返していらっしゃいましたので、私は、いわゆる議院内閣制を持ち出すまでもなく政府は提案権があるわけでありますから、それからいわゆる行政府として国民の世論にこたえるという重大な責任があるわけでありますから、それは与野党の意見が一致しなければ出さぬというような態度というのはおかしいと。したがって、おかしいけれども、選挙制度というのは、私がいまさら繰り返して申し上げますまでもなく、各政党の消長につながるものであります以上、各党がそれぞれの組織や活動などお家の事情に照らして最適なものを主張する。したがって、賛成する、反対するという党利党略が働くことは避けられぬと思うんですね。これは私は率直に認め合わなければならぬと思うのですよ。しかし、それも程度問題だと思うんですね。いま参議院の定数是正を与党が頑強にはねのけておりますのは――定数是正という問題について後からまた私たちの考えを申し上げますが、これは何といいましても与野党議席差九名というのが背景にあると思うんですね。だから、党利党略で、どんなに野党が攻め立てましても、これを何としても避けて通らなければならぬという、こういう党利党略があるのではないかと思うわけです。これも、私が自民党の立場になればわからない理屈ではありません、わからない立場ではありません。しかし、それは許されないと思うんですね。それは許されない。したがって、政府として今国会に公職選挙法をお出しになる過程において、やはり定数をある程度ふやさなければならぬという方向で検討が進んできたということは、新聞その他の報道によってわれわれも承知をしておる。直接幹部の方から聞いた向きもある。それが今日になりますと、そういうのは引っ込めてしまって、そうしてただ与野党の合意にゆだねておられる福田自治大臣の答弁には納得がいかない、そういう意味でお尋ねをしておるのでありますが、その点いかがですか。
#26
○国務大臣(福田一君) 御質問のとおり、この法案を出しますに当たっては参議院のいわゆる全国区の問題、また衆議院において定数を是正するという場合には、参議院においてもこれを考えてみる必要があるかどうかというような点は検討いたしたことは事実でございます。しかし、われわれは、この地方区の場合におきましても参議院のいわゆる三年ごとの選挙が行われるというような事情や、また地域を代表するという意味のこの参議院、この制度をつくりましたときの問答、あるいはそういうようなものを見てみまして、いまここでわれわれだけで決めるわけにはいかない。もちろんこれは自民党の意見も徴したことは事実でございますが、これは同意は得られませんでした。また全国区の問題につきましても、実は比例代表制をぜひやりたいという強い決意を持っておったのでございますけれども、これがまたやり方といいますか、拘束式というか非拘束式というか、どの案をとるか、あるいは折衷案をとるかということについても意見が一致いたしませんでしたので、そこで、かといって衆議院の定数是正の問題はもう五党一致で決まったわけでございますから、これはもうやらないわけにいかないというのでその案を入れ、また、その他の改正案も入れてここに提案をいたしておるということでございまして、そういう経緯から見て、われわれも考えたという経緯から見て、皆さん方の間で五党一致の案ができるならば、衆議院において五党一致のものを入れている以上は、これはもう参議院でも五党一致のものができるならば、これは入れるのは当然でございます。きょうお話がまとまっても、それはわれわれとしては入れることにやぶさかではございません。しかし、衆議院の場合においては全党一致でございましたが、参議院においてはそうでないのにこれをやるということは、今度の法案を出しました経緯に顧みまして、これはわれわれとしては提案をいたす考えはございませんということをしばしば申し上げておるわけでございます。
#27
○中村波男君 自治大臣、衆議院はなるほどいまおっしゃいますように与野党一致して二十名案ができたわけでありますが、この二十名案というのは、御承知のように増員案ですわね。したがって、私はまとまったと思うんですよ。いま参議院の小委員会等で検討をいたしております内容は、野党は二十六名案、増員案ですね、これを要求しておりますし、自民党としては増員案には賛成はできない、定数の枠の中である程度の逆転現象等となるものについて是正する、ここに全く妥協できない対立がありましてまとまらぬわけですね。したがって、これはなかなか私は今後話し合いをいたしましてもまとまらないのではないかと、まとまらなければやらない、やらなければ現状である、逆転をそういう意味からも防ぐことができる、ここに私は党利党略の大きなものがひそんでいるのではないかというふうに思うわけであります。したがって、これは今後の参議院選挙制度の基本にかかわる問題であります。それからただ衆議院と全くかかわり合いがないという問題ではないと思います。いわゆるどういう内容の定数是正をするかということについては、衆参両院にまたがる根本的な選挙制度の問題として、やはり私は衆議院は今後五年ごとの国勢調査の人口によって、附則によってふやしていく、是正をしていく、そのことは結局ふやすことになるんだと、参議院はふやさないんだという、そういうちぐはぐな制度のあり方というのはないんじゃないか、そういうふうに考えて今後も忍耐強く話し合いをしなければなりませんけれども、やはり政府として、行政府として提案をされた責任においても十分ひとつ大臣としてもお考えをいただきまして、やはり野党の要求しておる増員というものについて何らかのひとつ配慮をされるお考えがないだろうかと重ねてお尋ねをいたします。
#28
○国務大臣(福田一君) 中村さんの申されるお気持ちは私はよくわかっておるつもりでございます。その意味で、何か自民党が党利党略だけでこういうことを言っているのだということでございますが、これは党利党略というのは当然なんですね、私から言わせれば。これはやはり社会党にも党利党略があり、共産党さんにもおありだろうと思うのです。それがないようなことでは政策がみんな一致してしまうことになりますから――まあ政策は違ったといたしましても、そこは自分らに得であるか損であるかという問題はどうしたって一つ出てくるわけだと思います。しかし私がこういうことを申上げたからといって、皆さんが話し合いをされることについて、たとえどんなに話し合いがついても、私はそういうことは政府としてはやりませんよなんて言っているわけじゃないのですよ、よくひとつやはりお話をしていただきたいと。
 衆議院の場合もずいぶん長い間、私も実はその委員の一人として参加したこともあるんですよ。長い間やりました、実際言うと、なかなかできなかったんです。だけど、とうとう十九人案がいいとか、十六人でいいとか、三十人がいいとか、いろいろやったんですが、結果においてまとまったんですね。そういう経緯は私は参議院よりは衆議院の方が――そんなこと言うと皆さんにおしかり受けるかしらぬけれども、大分前から非常に熱心にやったと思っていますよ、その意味では。小委員会ができたのはずいぶん前ですからね、実際の話。こういう点もお考えあわせを願いたい。そうして皆さんがやはり一生懸命よく胸襟を開いてお話しになることが望ましいと私は思っておるのであります。しかも、いま法案がもう衆議院段階を通って参議院に来ているこの段階でありますからして、これは五党一致というようなことになれば当然やらなければいけませんけれども、いまここで私がこういう案がよかろうと言って出すようなことは、これはとうていできるものではないことは、あなたもよくおわかりを願っておることだと思います。将来にわたってどうするのだと、君は増ということは絶対いけないと考えているかとかなんとかというようなお話をされると、なかなかこれ微妙なことでしてね、私がうっかり言ったら、今度えらいおしかりを受ける場合もあり得ると思うのです。だから、そこらは政治というものはやはり腹と腹ということがあるんですよ。もっと率直にもっとよく話し合いをするということが私は大事じゃないかと思っておるのでありまして、そうすれば、良識があるんですから、おのずから開けてくるのではないかと思っておるわけです。でありますからして、そこらをこれ以上私に何としても増員には反対なんだと言わせようとか、増員はやむを得ないと言わせようとかとおっしゃっても、これはちょっと私のいまの立場で言える言葉ではないと思うのです。あなたはやはり政治家であられるし、私よりはもう非常に有能な政治家なんですから、そこらはひとつ御判断のほどを願いたいと思います。
#29
○中村波男君 大臣の答弁は老練に尽きると思うのでありますが、しかし実際問題として、いま大臣からかくかくかくあるべしという答弁を引き出そうとは思っておりませんけれども、しかし何といっても当面の責任者でありますから、したがって野党の要求というものもある程度理解願わなければならぬ、社会党の立場も大臣に私から明らかにしておきたい、こう思いまして申し上げたわけであります。もちろん、いま御指摘のように、自民党の小委員の皆さんともこれからできるだけ話し合いを詰めて結論を得るようにいたしますが、ただ私がここできょう持ち出しましたのは、この間の答弁は終始、話し合いがつけば提案をするのだ、今国会でも解決できるのだという、何もかも与野党の話し合いにすべてを任せるような御発言がありましたから、議院内閣制の本質から言いましても、そのことは少し私としても納得いかなかった、その御答弁はいただけなかったという意味もありまして御質問を申し上げたわけであります。
 続きまして、寄付制限に関する問題でありますが、いわゆる第一次政府案、昭和四十二年に提案をいたしました案と比べましても格段の後退をいたしておると思うのであります。あのときの案は、たしかおおむね個人のする寄付というのは一千万円でありましたが、今回は二千万円。会社その他団体のする寄付は最高を二千万円に第一次案というのは押さえておりましたが、今回は三千万円。それからもう一つは、なるほどこれが政府の宣伝したいところであるわけでありますが、最高を一億円で押さえた、こういうことが言われております。そこで具体的に聞きますが、一億円で押さえになって、従来の経験にかんがみ、今後の見通しとして、一億円以上の献金を自民党なりあるいは自民党の政治団体に献金をしてくれると見込まれる企業というのはどれくらいあるのか、幾つぐらいあるというふうに見ていらっしゃるのか。そういうものがなければ一億で限定する必要はないわけでありますが、あるという見通しがあり予想が立ちますから一億で限定したのだ、だからこれは大きな前進なんだ、内容的によくなったのだという御説明があるのでありますが、今後どれくらいそういうのがあると見てこういう最高枠をお決めになったか、お聞きいたします。
#30
○政府委員(土屋佳照君) 実際に企業等がどの程度やるかということは、これは想像ができないわけでございますが、今回のこの制限額で、たとえば会社で申し上げますと、資本金一千五十億円を超えますと一億にひっかかってくるということでございまして、それは企業で申しますと六社ぐらいあったというふうに考えます。ただ、それがそのとおりやるのかやらぬのかということになりますと、それはわからないわけでございまして、制限にかかるというところはそういう会社がございます。なお実績については、企業では私余り記憶がございませんが、それ以外の、一般の労働組合とかあるいは企業以外の団体で会社の連合体みたいなものが一億よりも超えて出しておった実例はいろいろとあったように記憶をいたしております。そういうものは現実には今回の規制によって出せなくなるということが言えるかと存じます。
#31
○中村波男君 いま選挙部長のお話によりますと、資本金から押さえれば六社ぐらいあった。電気事業連合会とかなんとかいう、そういう大企業の連合体が一億以上献金した例はある。四億以上献金した企業もありましたし、そういう実態から言えば一億で押さえたということはほとんど痛くもかゆくもない、そんなにたくさんあるわけではないわけでありますから、いままでの実績もないし、今後もおそらくあるという見通しには立っていらっしゃらないのではないか。そういうことになれば、この段階制をお設けになっても、これは自民党にとっては従来の献金とほとんど実質的には変わらない、痛くもかゆくもない、こういうことが実態的には言えるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
#32
○国務大臣(福田一君) いま事務の方から申し上げたとおり、一億円以上ができるのは六社ぐらいであったということでありますが、実際には法律がなければ、これは二億出しても三億出しても違法ということには相ならないと思うわけであります。ところが今度この法律ができますと、一億円以上出したら違法ということになって罰則が適用されるということになるのでありますから、そこは非常に性格的な差異がここに出てくると思うのであります。われわれから言えば、あなた方がおっしゃったように、個人献金ということにしていけということであれば、これは考え方によっては将来また減らしていくというのも一つの考え方になるかと思うのでありまして、私が二歩でも三歩でもと言うことは、これを一応基礎に置いて、そしてだんだん前進をさしたいという意図を持っておるということを御理解をしていただきたいと思うのであります。同時にまた、これだけのことをきめたからといって、その会社はこれを出さなければならないわけではございません。それは自由意思でございまして、たとえば一億円を出せる会社が百万円しか出さないからといって、われわれは訴えるわけにはいきません。そんな権限は一つもございません。そういう意味から言えば、一つの制限を設けるという意味は前に向かって前進をするという意味で大きな効果があるのだ、こういうふうにわれわれは理解をいたしておるわけでございます。
#33
○中村波男君 法文上から言えば、一応の枠をきめ、限度額を設けたということは前進であると言えるかもしれませんが、実際献金を受ける立場に立って考えますと、そんなに痛くもかゆくもないじゃないか、こういうことを私は考えておるわけであります。
 続きまして、内容的に条文について二、三お尋ねをいたしてみたいと思うわけでありますが、公選法の百九十九条の第一項でありますが、これは申し上げますまでもなく、衆参両院議員の選挙に関しては、国または公共企業体と、「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。」こういう条文があります。これは公選法に残しまして、二番目の、「前年」の「直近の事業年度において国又は公共企業体」「と請負契約の当事者であった者で、」その「事業年度において成立した当該請負契約に係る契約金額の合計額が当該事業年度」の「売上高の総額の十分の一をこえているものは、その年中においては、」前条一項、二項の「額の二分の一に相当する額をこえて政治活動に関する寄附をしてはならない。」ものとするというのが第一次案にはあったわけでありますが、今回はこの二分の一というのを取りまして、選挙時に寄付してはならぬというふうに変えておると思うのであります。政治資金規正法の方にこの項目を移しておると思うのであります。二つ目は、「国又は公共企業体と」「特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該契約の期間(当該契約の期間が一年に満たないとき又は当該期間がないときは、当該契約の成立した日から一年を経過する日までの期間)内において」いわゆる「二分の一に相当する額をこえて政治活動に関する寄附をしてはならない。」ものとする、こういうようにあったのでありますが、これも今回、選挙時に寄付してはならぬ、いわゆる常時規制をいたしておりましたのを、選挙時といいますのは申し上げますまでもなく衆議院、参議院の任期満了前の三カ月ということでありますから、九十日以内はやってはならぬということでありますが、実際問題衆議院の場合は、大臣私が申し上げますまでもなく任期一ぱいということはいままで例がないんじゃないかと思うのであります。解散がありますね。そうしますと解散をした日からということになりまして、ほとんど三カ月などという規定というのは生きた規定にはなってこない。こういうことをあわせ考えますと、これはやはり第一次案にありましたように、二分の一ということについて問題はあると思いまするけれども、やはり常時規制する、国と特に関係のある企業体等についての規制でありますから、常時規制をするというふうにしておくべきであったと思うんでありますが、これを選挙時に変えました理由、その考え方のもとになっておるのは何であるかということを明らかにしていただきたい、こう思います。
#34
○政府委員(土屋佳照君) いまお話がございましたように、たしか五十八、六十一国会におきましては、この国等と請負契約関係にある場合に、その契約にかかる売り上げ高の合計額が全体の売り上げ高等の総額の二分の一を超えておるものについては、政治資金上の規制をするということにした案もあったわけでございます。ただ、これは今回は従来と同じように、選挙に関して寄付をしてはならないというふうに据え置いているわけでございます。今回の改正におきましては、御承知のように、その寄付の質的な制限について、補助金等を受けておるあるいは出資を受けておる会社等についての寄付は、いろいろとまあ選挙に関すると否とを問わず規制をするということにいたしたわけでございますが、こういう会社の請負関係に残しましたのは、会社といえども規模に応じたいわゆる分相応の寄付をするということは一応認めるという前提に立っておるわけでございますけれども、それを越えてさらに質的な制限をするということにつきましては、やはりそれに相応する合理的な根拠というものがなければならないということであろうと思うのでございます。そこで国または地方公共団体と請負その他の契約関係にある会社等につきましては、いわばこれは私法上の契約関係にあるわけでございまして、いわば立場としては私法上の関係にすぎないということもございます。また地方団体等との関係では、一体その二分の一の額が適当であるかどうかということについてもいろいろ問題があるわけでございます。基本的には、いま申しました私法上の契約関係ということでございますから、やはり選挙に関する寄付だけを制限すれば十分ではないかと、補助金等を受けておる会社のように直接的明白な特別の利益を受けておるというものとはちょっと違うのではないかということで、今回の改正においては、特にこの点については扱いを変えなかったという次第でございます。
#35
○中村波男君 変えた字句について御説明はありましたけれどもへ変えた根本的な理由と変えたことによるいわゆる献金の多寡といいますか、多くできるか少なくできるか制約が強いのか軽いのか、こういう点についての説明がありませんけれども、こういう改正をした意図は、いわゆる寄付の質的制限を緩めたと、このように私は判断をいたすのであります。
 もう一つついでに聞いておきますが、第二十二条の四、今回の改正案では「三事業年度以上にわたり継続して政令で定める欠損を生じている会社は、当該欠損がうめられるまでの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。」こういうふうになっておりますが、第一次案では、欠損を生じた会社は当該欠損が埋められるまで三年連続で赤字を出した会社は献金をしてはならぬというふうに、今回改正をいたしましたけれども、これも質的に大きく緩めたと見るべきではないかと思いますが、この点はいかがですか。
#36
○政府委員(土屋佳照君) 最初に政府が提案いたしましたいわゆる五十一国会のときは、御承知のように、欠損を生じた会社は当該欠損が埋められるまでの間寄付をしてはならないということにいたしておるわけでございます。しかし、まあ今回は若干その表現を変えておるわけでございますけれども、これはまあ赤字会社というのは――その次にですね、五十八、六十一国会に出した案は、今回の案と同じ案になっておるはずでございますが、おっしゃいますように、最初に出した案とは変わっておるわけでございます。その考え方は、前の国会のときと同じでございますけれども、赤字会社というのはいわゆる特定会社とは異なりますから、まあ国と特別な関係もあるわけではない、したがって、会社自体の問題としてこれは欠損を生じておるんだと、こういうことが一応は言えるかと思うのでございます。したがって、その寄付を禁止するのはどうかという疑問も一方では起こるような気がいたします。しかし、まあ会社そのものはそもそも営利を目的としておるわけでございますから、欠損を生じて利益配当もできないといったようなものまでが政治献金をするということは、これは望ましいことではないということで、一応はやっぱり赤字会社としても制限をすべきであると、まあそういった声もございますのでそういうことにいたしたわけでございます。しかしながら、まあ単年度ということでとらえてみますと、景気変動なりいろいろな事情も出てまいりましょう。そういったことから、一事業年度について赤字を生じたような会社についてまで全く異なる扱いをするということは必ずしも合理的ではないのではないかと、やはりある程度継続をして欠損を生じておるという会社について禁止をするというのが合理的な考え方ではないかということで、五十八国会以降は三事業年度にわたって赤字を出しておるものというふうにいたした次第でございます。
#37
○中村波男君 まあ時間も制約がありますから、深く内容について議論をしませんけれども、選挙部長、五十五国会に出した案が五十六、五十八国会にだんだんと内容的に後退したことは御存じでしょう。というのは、自民党が反対をいたしまして通りませんからだんだん緩めていったと、内容的に。しかし、結局は最後まで通らなかった。こういうことから言いましても、赤字のある会社、三年赤字のある会社は禁止をするけれどもということではなくて、赤字があるような会社から献金をさせるというような道は、やはり赤字という実態から言いましても私は禁止した方がいいんだという考えの上に立って質問をいたしたわけであります。
 もう一つは第一次案、いわゆる五十五国会提案の政治資金規正法には、日本輸出入銀行、日本開発銀行、農林漁業金融公庫または北海道東北開発公庫から長期資金の貸し付けを受けている会社で、その前年の直近の事業年度における当該貸し付けを受けている額の合計額が当該事業年度末の長期借入金の総額の十分の一を超えているものは、その年中においていわゆる二分の一に相当する額を超えて政治活動に関する寄付をしてはならないというのがありましたですね。これもいわゆる二分の一規制で常時献金をしてはならぬという恒常的な規制が制度として出ておったわけでありますが、今回はこれを削ってしまっておるように見受けるのでありますが、いかがですか。
#38
○政府委員(土屋佳照君) これもまあ形の上では先ほど申し上げましたようなその請負関係にあるようなものと同じように、利子補給づきの融資を受けておるという場合でも、これもやはり形としては一応私法上の契約関係にあるんじゃないかといった意味では、面接会社等が出資とか補助金を受けておるというものとは違うのではないかというようなことから、しかもまた、この利子補給づきの場合、非常に長年月にわたってそういった返済とかどうとかいうことで時間がかかる、長期にわたってそういう関係にあるというようなこと等も考えまして、まあ基本的には先ほど申しました私法上の契約関係であるというようなこともございまして、今回は先ほど申したような場合と同じように、規制をするということはどうであろうかということで削除をしておるわけでございます。
#39
○中村波男君 これは、少なくとも公的性格の強い銀行であり、公庫であるわけでありますから、こういうのから金を借りておる会社から献金を受けるというようなことは、これは私は絶対にやめるべきだと。したがって、第一次案に入っておりました条項でありますが、当然今回もこの条項というものは入れておくべきであった、こういうふうに私は考えて質問を申し上げたわけでありますが、部長の答弁では、なぜこれを取り除いたかということは全く事務的な答弁でありまして、納得するわけにまいりません。
 そこでもう一つは、いま申し上げましたように、いわゆる常時規制をしておった事項が選挙時だけの規制に変えられたということも、これは大きな質的な変化だというふうに私は見るわけであります。で、これらを取り上げてみましても、今度の政治資金規正法というのは明らかに第一次案、五十五国会の提案された内容からは大きく大きく後退をいたしたものであるというふうに言わなければならぬと思うわけでありますが、――大臣いらっしゃいませんが……
#40
○委員長(中西一郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#41
○委員長(中西一郎君) じゃ、速記を起こしてください。
#42
○中村波男君 そこで条文解釈で、まず選挙部長にお尋ねいたしますが、百九十九条の二を例にとって尋ねてみたいと思うわけでありますが、中段に「ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は親族に対してする場合」、いわゆる候補者等の寄付禁止の条項ですね、ここでいう「政党その他の政治団体」というのは、たとえて申し上げますと、中村波男後援会も「その他の政治団体」に入るのではないかと思いますが、いかがですか。
#43
○政府委員(土屋佳照君) 仰せのとおり、入るということになると存じます。
#44
○中村波男君 そうしますと、後援会というものの性格、目的というのは法文にもありますが、念のために、いかなる目的、趣旨のものであるか、明らかにしていただきたいと思います。
#45
○政府委員(土屋佳照君) いまのいわゆる後援団体に対する定義というのは百九十九条の五にあるわけでございまして、「政党その他の政治団体又はその支部で、特定の公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の政治上の主義若しくは施策を支持し、又は特定の公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者を推薦し、若しくは支持することがその政治活動のうち主たるものであるもの」というものが後援団体になっておるわけでございます。率直に申し上げまして、特定の公職の候補者等を推薦、支持するというようなことが主たる活動になっておる、そういった団体でございます。
#46
○中村波男君 そこで、候補者と一言で申し上げますが、候補者あるいは候補者たらんとする者、あるいは現職のわれわれ衆参議院議員、これを総称して候補者ということで質問してまいりますが、候補者は自分の後援団体に寄付をしてはならぬという禁止規定がありますか。
#47
○政府委員(土屋佳照君) これは現在の百九十九条の五の第三項にあるわけでございますけれども、候補者等がその後援団体に対して寄付をしてならないというのは一定の期間を限っておるわけでございまして、常時禁止をしておるわけではございません。
#48
○中村波男君 大臣、申しわけありません、ちょっとお待ちしておったんですが。
 これはひとつ大臣からお答えをいただきたいと思うんでありますが、大臣もおそらく後援会をお持ちだと思いますが、私は後援会がないわけでありまするけれども、かい性がありませんのでようつくっておりませんが、そこでいま選挙部長からも後援団体の性格、目的等について御説明を聞いたわけでありますが、これは申し上げますまでもなく、政党、政治団体またはその支部で、公職の候補者もしくは候補者たらんとする者の政治上の主義もしくは施策を支持し、候補者として推薦もしくは支持することが政治活動のうちの主なるものであるということだと思うんですね。そこで、後援会というのは本来福田先生の政治家としての主義主張、人格にいわゆる信頼をし、尊敬をし、さらに政治活動を旺盛にお続けいただきたいという意味で後援会ができ、後援活動が続けられておると思うわけであります。その後援会にいわゆる後援を受けておる私が幾ら金を出してもよろしいという、こういう道が開かれておるわけでありますが、これは私は主客転倒といいますか、本末転倒のきらいがあると思うんですね。なぜこういうことを言うかといいますと、後援会の総会等に実に記念品等のりっぱなものをお配りになって、全部とは言いませんよ、そうしてお酒も出る、ごちそうも出る、それらの金はやはり後援会がそれぞれから集めて経費を賄われる例もないとは言いませんけれども、私の見聞するところでは、ほとんどが後援を受けているいわゆる候補者たらんとする人、候補者、議員等が御負担になっておる例がほとんどではないかと、こう思うわけであります。したがって、やはり議員という立場から言いましても、後援会に金を出すことの道を封ずることは、私は皆さん反対されぬのではないかというふうに思うわけであります。しかし、百九十九の五の三項で、選挙の一定の期間は寄付してはならぬけれども、後は寄付しても別に規制にひっかかることにはなっていないと、ここに大きな矛盾があるように思いまして質問をいたしておるのでありますが、どうでしょうか、この点は。
#49
○国務大臣(福田一君) 中村先生のおっしゃる意味が私、全然わからぬわけではございません。言うなれば、そういうようなこともないとは私言えないと思います。私の自分のことを言っちゃおかしいけれども、私はそういうことは余りしませんから、後援会はありますけれども、余りしてませんからあれなんですけれども、それは必ずしもそれが後援会のあり方だとは思ってはおりません。また、全然やっておらないかと言われると、全然やっておらぬとも申し上げませんが、それほど私弊害があるようなことはしてないつもりでありますけれども、問題は、御案内のように、後援会というものと候補者というものは、いま御指摘があったように別個の資格のものでございまして、その後援会の活動について、ある一定の期間を除いては寄付をすることを全然禁止をすることがいいのかどうかという問題になると思うのでありますが、私は選挙に関する目的を持ってそういうことをすればでありますが、そうでないと解釈できるようなことであれば、まあまあ認めてもいいのではないかと、こういうふうに考えております。
#50
○中村波男君 まず、実態としてはこれにメスをお入れになるということは、これは大変な勇断の要ることだと私は思うわけであります。しかし、後援会が集めてごちそうをしても、これは買収供応にはならない、後援会の事業でありますから。これが隠れみのになって、いわゆる選挙を腐敗に導いておるという、実態は、これは国会議員といえども……県会議員、地方議員の方にむしろ弊害が多く私は出ておると思うんであります。だから、県会議員の選挙に何千万使ったというようなことが公然とささやかれるのも、そういうところにあると思うんですね。したがって、これは一挙に整理はできないにいたしましても、やはり後援会の本来の性格、目的から言いまして、候補者がたくさんな金を出して後援会を培養し、それを選挙母体にして選挙をするというようなことからメスを入れないと、きれいな正しい選挙運動というのは行われにくいんじゃないか、こういうことで私は取り上げて御意見をお聞きするわけであります。ひとつ善処していただくために検討をするというお考えがあるかどうか、この問題について。今国会で修正ということにはならぬと思いますが、今後の問題として検討に私は値するのかどうか、大臣の御所見を伺っておきたいと思うわけであります。
#51
○政府委員(土屋佳照君) 大臣からいまのお答えいたすと思いますが、その前に一言だけ、これがこういう規定になっておるという理由と申しますか、ことを申し上げたいと思うのでございます。確かに、いまおっしゃいましたように、かねがねの活動ということがいわば地盤培養と申しますか、そういうことでいろいろ問題があるのではないかという御指摘で、それをおっしゃったことはよくわかったわけでございますが、ただ一応後援団体それ自体は候補者とは別な団体でございますし、それが団体自体としてのいろいろと社会活動の分野もあるんだろうと思うんでございます。したがいまして、後援団体に関するすべての寄付が、時期のいかんを問わずすべて選挙に悪く影響しておるんだと言い切れるかどうか、そこらのところが非常にいろいろ問題がある。そういう面も御指摘のようにあるかもしれません。しかし、そういうこともございますので、いまの現状は一定期間ということにしておるわけでございます。なお、その点について今後どうするかという問題については、大臣から答弁を申し上げます。
 なお、つけ加えて申し上げますが、それ以前に、たとえば団体がだれだれ後援団体ということで候補者の氏名等が書いてあるようなものは、行う寄付につきましては、現在百九十九条の四の規制というものがあるわけでございます。そういう団体がいろいろやる行為が事前運動的なものであれば、それはまた別な法規で縛られるということも、これも事実でございます。
#52
○国務大臣(福田一君) 中村さんの御指摘になったような弊害もあるかもしれません、事実――しかし、いまこれを一挙にどうこうするというところまで法案をつくっておらないという意味で、御指摘があったかと思うんでありますが、私はやはり今後検討をすべき一課題であると考えております。
#53
○中村波男君 次に私は、今回のこの改正案を読んでみまして、何と言いますか、候補者、いわゆる個人を今回の法文の中に二、三カ所取り入れておりますね。いままではこういう条文はなかったんではないかと思うわけであります。具体的に言いますと、現行法では「政党、協会その他の団体」という、こういう言い方で規制があったんでありますが、今回の改正案では政党、政治資金団体その他政治団体のほか公職の候補者についても一部適用があるものとされておると私は思うわけであります。この点どうですか、新しい規定ではないですか。
#54
○政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、この政治資金規正法についての規制は、主として政党その他政治団体ということになっておりますが、ただ政治資金を出します場合のこの枠と申しますか、その場合は御承知のようにその政党、政治資金団体のほかに個人に対してやる枠というものも含めて限度を設けておるというふうになっておりますので、そういった点は含まれておるわけでございます。
#55
○中村波男君 それで、個人の候補者が金をもらってもよろしいと、金を上げてもよろしいと、こういう、読みかえると規定がなっておりますが、そこで私は問題にいたしたいのは、個人のいわゆる候補者、公職の候補者、すなわち個人でありますが、については選挙に関する収支報告以外その政治活動の収支などについて報告書の義務はないわけですね。選挙のときの収支報告書は出さなければならぬということになっておりますが、日常の議員、候補者の政治活動、幾ら金をもらいましても収支報告書を出すという規定はございません。この規定を外したのは意識的なのかどうか知りませんけれども、これは私は問題だと思うんですね。金は幾らもらってもよろしい、何に使ってもよろしいということでは片手落ちになるんじゃないか。したがって、政治資金規正法の中で金を、献金を個人が受けてもよろしいという規定を設けるならば、それを認知するならば、当然の反対給付としてそれを届け出る、ガラス張りにする、公開させるという、そういう条文を設けるべきではなかったか、この点いかがですか。
#56
○政府委員(土屋佳照君) 基本的にこの政治資金規正法というのは、政党その他の政治団体による政治活動の公明、公正というものを確保いたしますために、政党その他の政治団体の政治資金の収支の公開等、あるいは授受の規制等の措置を講じておるわけでございまして、そういった意味で従来からいわば団体規制法的な性格のものでございます。したがいまして、個人については、いまお話がございましたように、公職の候補者に対するものについては、選挙の公正を確保するという意味から、別途公職選挙法の規定によりまして、選挙運動に関する収支の報告をさせることにいたしておりますが、この政治資金規制法という立場からは団体規制法的な立場でございますので、会計帳簿を備えるべきであるという義務の規定はないわけでございまして、そういったものに入った所得というものは、それは別途個人の所得についての所得税法その他いろいろな面から把握されていくということに相なろうかと存じます。
#57
○中村波男君 それだとするならば、政治資金規正法は団体を中心に考えるんだと言うなら、何も今回の改正の中に個人を取り入れることは必要がなかったんじゃないか、こう思うわけでありますね。個人を取り入れた以上は、個人のやはり政治資金についても公開の原則というものの中で、やはり規定を設けるべきではなかった、このように思うのですがいかがですか。
#58
○政府委員(土屋佳照君) いまのお話のように、どっちも一方の方で規制を加えるならちゃんとこちらの方でも考慮すべきじゃないかというお話でございますが、個人について政治資金を拠出する方の側から規制をいたしましたのは、いずれにしてもこれは政治資金として使われるわけでございますから、一人当たり百五十万という限度で出して、それはその出す方からきちんと規制がされておるわけでございます。そういった意味で、そちらの方を政治資金規正法の対象にしないということになりますと、政治資金が個人には幾らでもいけるんだということになってしまいますので、そこからやっぱり制限せざるを得ないだろうということで、それは出す方からはっきり縛られるということでございまして、個人についてまでここでまた公開まで全部ということになりますと、やっぱりこの法の性格からどうであろうかというふうに考えるわけでございます。
#59
○中村波男君 いまおっしゃった百五十万という制限は一人から、私があなたに百五十万円以上渡してはならぬということでしょう。私が八人、十人、二十人からもらってはならぬという規定はないでしょう。そこが問題だと思うんですね。これは名前を後援団体という政治団体をつくるかつくらないかの違いはあっても、莫大な金を集め得る人があるとするならば、それはいわゆる政治資金として不明朗な選挙運動が行われるであろうし、事前運動が常時行れておるということにつながるわけでありますから、したがって、政治資金であることには個人であろうと団体であろうと私は同じ性格のものだと思うんであります。だとするならば、やはりそれは規制をしておくべきではなかったかと、こう思うわけでありますが、大臣いかがですか。
#60
○政府委員(土屋佳照君) 御意見でございますが、それは御意見として確かに承ったわけでございますけれども、これは政治資金の公明を図るということで、寄付を出す方からの総量規制をやったわけでございまして、そこで、個人までその公開の中に入れるべきかどうかということは、これは議論としてあるだろうと思いますけれども、政治資金規正法というのは従来からそういう政党その他の政治団体の収支というものを公開をするといったような団体規制法的な性格でございますので、ただ直ちにこれに入れるということはなじまないというような私どもは考え方を持って、これには入れていないわけでございます。別な面からの把握というのはあり得るだろうというふうに考えておるものでございます。
#61
○中村波男君 出す側からは規制するけれども、取る側の規制はできないということでありますが、取る者があるから出すわけですね、そうでしょう。全く自発的に献金が行れておるという実態は、私は平均的に言うならばほど遠いものではないかと思うわけですね。そういうことから言っても、これはただ単にあなたと私とここでやりとりして済まされる問題ではないと思うわけですね。したがいまして、これは大臣よくひとつ検討していただきまして、次の委員会にひとつ政府としての見解を出していただけないでしょうか。いまの選挙部長の答弁で私は引き下がるわけにはまいりません。
#62
○国務大臣(福田一君) 御案内のように、いま部長からも言いましたが、従来から団体に対する分を取り締まっておるのでありまして、その他の分については、これは税法上の問題とか、あるいはその他の規制は行われると思いますけれども、これは取り締まっておらないわけでございますので、われわれとしてはこの法律の中に入れなかったというのが政府としての考え方でございます。
#63
○中村波男君 大臣も選挙部長も規制が行われるとおっしゃいますが、具体的に規制を行う道ありますか、方法ありますか。私が何人かからお金をもらって、それを政治活動に使う場合に、それは所得税法によって申告せなけりゃならぬという、そういうあれはあるかもわかりませんけどね、政治資金としてのいわゆる制約、チェックするという方法はないと思うんでありますが、いかがですか。
#64
○政府委員(土屋佳照君) これは従来からの取り扱いでございますが、一応今回の趣旨も同じように、政治資金というものを出す方との関係で余り密着があっちゃいけないということで総量の規制をするということでございます。そういった面からの規制というものは当然個人にも及ぶべきだと。そこで、それは全体を何人から集めたのを幾らまでという、受け取る方の制限はないわけでございますが、ただ公開の原則という点で政党政治団体には公開をしておるわけでございまして、個人についてまで公開を求めてないというスタイルは、今回も踏襲をしておるわけでございます。それじゃ、本人はもらった資金がどうなるかということになりますと、やはり本人の所得ということになるわけでございまして、いわゆる雑所得ということになろうかと思うわけでございまして、そういうものは課税上の対象になるわけでございます。そういった面でチェックはされるというふうに考えておるわけでございます。
#65
○中村波男君 政治資金の性格から問題にしなければならぬことでありまして、いわゆる慈善事業でお金をいただくとか何かということとは性格が違うわけですからね。出す人は政治献金として個人に出しているわけでありますから、それを全然規制をしなくて、そうして後援会や政党だけを規制をしても、それが大きなしり抜けとなって、やはり私は選挙の公正という面から見ても問題がある、こういうふうに思うのでありますが、大臣、首を横に振っておられますから御否定になると思いますけれども、そうすれば何も今度の政治資金規正法の改正の中で個人を挿入する必要はないんじゃないかと思うんですね。どうでしょう。
#66
○政府委員(土屋佳照君) 率直に申し上げまして、個人に出すというような場合は、これはまさに選挙のときに出されておる例がほとんどだと思うのでございます。で、選挙の際にいろいろかかるということで、その場合は総量の枠も政党等と同じような枠に入れておるわけで、それは選挙というものが個人にとっても非常に大事なことであるということから、枠としても政党政治資金団体の枠に入れてやっておるわけでございまして、そういう場合は申し上げるまでもなく、選挙の公正を確保するために公職選挙法の規定によって選挙運動に関する収支というものを報告しておるわけでございますから、そういった面ではかなりなものがそこへ出てきておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#67
○中村波男君 それは自治省の机の上でお考えになるような実態ではないんですよ。そういうことならこんなに問題になりませんよ。だから、答弁のための答弁を聞いておりましても時間ばかりかかりますから、これは十分ひとつ実態というのを把握した上で検討し直す価値があるように思うんですよ、私は。全然いまのところ耳を傾けるという姿勢が自治省にはない、はなはだ残念に思いますが、私ももっとこの問題について勉強いたしますが、次の問題に移らざるを得ません。
 もう一つは、関連した事項でありますから、この機会にお尋ねしておきますが、いままでもそうであったと思いますが、たとえばいわゆる派閥といわれるような議員集団の場合、政治資金が法人、会社の政治献金であれ個人献金であれ、それが個人から個人へと授受される関係においては一切規制の対象になることなしに処理されるのではないかと思うわけでありますが、この点におけるいわゆる寄付の量的制限といっても、結局この点ではしり抜けになってしまうと私は思うのでありますが、いかがでしょうか。
#68
○政府委員(土屋佳照君) いまおっしゃいました意味は、ある政治団体、たとえば派閥が支出する場合に、ある何と申しますか、政治家個人にいくとか、あるいは他の政治団体にいくとかと、その感があるんじゃないかということでございましょうが、それは実際上そういう例はあろうかと思います。それは収支を公開することによって、その点は明らかになるだろうと思いますが、領収書その他全部取って整理をして入れることになるわけでございます。実態としてはそういうこともあろうかと思います。
#69
○中村波男君 しり抜けになるということを認めざるを得ませんでしょう。
#70
○政府委員(土屋佳照君) まあある政治団体が寄付を受けると、そういうことで政治資金としてその団体が持っておるわけでございますね。それを使うということでございますから、あるいは使われた金が動くということにはなるかもしれませんが、少なくとも入ったもとにおいて制限された形で入ってきたものが使われるということになるわけでございまして、そこの使途についてまでここで立ち入ってやっておるということはないわけでございます。それぞれ出したものはそれぞれの項目ごとに収支の報告をしていただいて届けていただきまして、それを公開をしておるということでございますから、それは使い方にお任せをするということにならざるを得ないと思うのでございます。
#71
○中村波男君 時間も大体押し迫ってまいりましたから次の質問に移りますが、補助金の交付団体の取り扱いについて続いて質問をいたしたいと思うわけであります。
 政治資金規正法二十二条の三の一項で、「国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金」等の交付を受けた会社、法人は政治活動に関する寄付を禁止しております。ここで言う「国から補助金、負担金、利子補給金」を交付を受ける会社、法人というのはどれくらい一年間にあるか、その数を明らかにしていただきたいと思います。
#72
○政府委員(土屋佳照君) せっかくのお尋ねでございますが、御承知のように、国から補助を受けているというものは、関係各省庁膨大なものに上るわけでございますし、常にその年によって変わったりすることもございますので、私どもとしてはすべての行政全体の分野にわたってどこどこがもらっておるというのは、必要があるときはその後資料で調べることはございますけれども、全体を把握するということは残念ながら事務的にもちょっとできないわけでございます。
#73
○中村波男君 そういう実態といいますか、全然実態を把握しなくて、こういう法律をつくること自体、ぼくは問題だと思うのですよ。やはり、補助金等を受けておるのはどれくらいあるんだ。この団体がどういうふうに補助金を受けてどういうことに流れておるんだ。だからこれを規制しなければかくかくこのような弊害があるんだという、そういう私は実態の上にこういう条文というのは設けられたのではないかと考えておったわけでありますが、どれぐらいあるかわからない、必要なときだけ調べるんだという、そういう怠慢な横着な姿勢で法律をおつくりいただくということについては、私は心外であります。大臣いかがですか。
#74
○国務大臣(福田一君) 法律のつくり方の問題ではございますけれども、出した人は、もしそれを自分が補助金を受けておるのに出したということになれば、それは処罰を受けることになるわけでございます。でありますから、もらった方も知っておれば問題でありますが、出した方がもう処罰を受けるんですから、これは法理論みたいな、法律論みたいになりますけれども、法を知らないからといって法律を免れることはできません。したがって、これは私は、こういう法律ができたときには、ある程度大いに新聞その他によって実態をみんなに知らせて、たとえばそういうような補助金などをもらった人が、あるいはまた赤字会社が、そういうものを出すということは処罰を受けますよというようなPRも大いにせにゃいかぬじゃないかと考えておるわけでございます。
#75
○中村波男君 大臣の御答弁は実に大ざっぱな意見といいますか、大胆な見解ですね。
 警察庁おいでいただいておりますね。
 そこで、私もかなり莫大な数に上るとは思うのです。しかし、補助金といいましても、地方公共団体に交付されるのは問題はないわけでありますから、法人会社――個人も余り多くは国の場合はないと思いますが、調べられないような膨大な量ではないように思うわけです、調べる気になれば。そこで、大臣は違反を犯せば処罰されるとおっしゃいますが、処罰はだれがやりますか。警察庁はこの法律を受けて、この違反があったかないかということを確められる方法というのはありますか、お尋ねいたします。
#76
○政府委員(田村宣明君) いまの寄付の質的な制限という題目で、二十二条の三が規定をされておりますけれども、これについて違反の疑いがあった場合にどうかということでございますけれども、御承知のように、警察はこの会社、法人等の実態や寄付の状況を把握し得るような行政権限というものはないわけでございます。したがいまして、その他のそれでは警察の何といいますか、機構と申しますか、仕掛けと申しますか、そういうようなことで、そういうようなことがくまなくわかるかと申しますと、なかなかそういうような違反の事実、違反の疑いがあるというようなことの有無をつかまえるということはなかなか困難でございます。したがいまして、所管の行政官庁等が実態は一番よくおわかりのことでありますので、そういう方面などからの告発等がございました場合には、適切な捜査をやっていくと、こういうことであろうかと考えます。
#77
○中村波男君 大臣、いま刑事局長が御答弁になりましたように、警察でも実態をつかむなどということはできっこないと思うのですね。したがって、いま大臣がPRするとおっしゃいましたけれども、私も犯罪をつくることが目的であってはなりませんし、防犯といいますか、予防警察という言葉もありますが、そういう意味からいって、こういう条文が今国会に仮に成立して日の目を見た場合には、内閣として補助金を交付するときに、やはり補助金交付規定の中にきちっと、あなたに補助金を出しますが、これを政治献金をすれば違反になりますよと、したがってそういう違反を犯せば今後補助金は出しませんよというくらいの、そういう措置というのをとらないと、これはつくったけれどもしり抜けの条文になる。野党から追及されるからこれを載せておかないといけないという、そういうつくるための、条文を起こすための条文に終わってしまうきらいがあるのじゃないか。そういう観点からこの問題を取り上げてお聞きをしたわけであります。その点についていかがですか。
#78
○国務大臣(福田一君) 私はそういう意味で、法律は知らないからと言って処罰を免がれることもできませんし、いまあなたの適当な御指摘もございましたが、たとえば補助金を出すような場合には、あなたの会社は献金などをしてはいけませんよ、政治資金を出してはいけませんよというような意味のことを、やはり政治をつかさどっておるといいますか、補助金を出す行政官庁が十分に注意をするようにさせたいと思います。
#79
○秦豊君 社会党の持ち時間がまだ十分ありますので、大変もったいないですから。しかし、それにしても十分しかないから、一問ほど関連をしたいと思うのですが、いまの中村議員が質問をいたしました政治資金規正法のいわゆるいかにずさんであり、しり抜けであるかと。政府側は一応公開の原則を前進的に打ち出したんだから、一歩の前進はおろか二歩の前進だという自己評価をなすっているようだが、特定のポイントにしぼってみましても、それがいかにいわゆる自画自賛にすぎないかという一、二のポイントについて、私の意見も申し上げて大臣の答弁をもらっておきたいと、こう思うのです。
 たとえば、資本金百億円以上の大法人の場合、これは言うまでもなく政党と派閥に対する献金の年間限度額は一億五千万円ですね。しかし、現実に大法人のありようを調べてみた場合に、きょうは十分ばかりじゃ幾らも言えませんけれども、たとえば住友化学、宇部興産、私鉄関係で言えば東急であるとかあるいは近鉄などの大法人の、たとえば四十九年上期の献金額を調べてみる、最終集、計がない部分は推計をしてみると、何と政府原案の上限額の二分の一にしかならない。はなはだしい企業は三分の一以下であるということが実態なんですよね。こういう実態がある上に、年間の寄付、献金限度額一億五千万なんという網をかぶしましても、それはもう大穴だらけだという言い方はこれは許されると思います。むしろ、そう言わない方がおかしいと思います。したがって、われわれの、たとえば有権者の皆さんが今度の政治資金規正法をながめる眼の中に、やはりこれは法外だ、非現実的だ、やる気があるのかないのかと言えばないんだというふうな評価をされても、これはもうあたりまえでしょう。大臣はこの点について、たとえばわれわれ社会党の場合も、この条項に関する限り今回の政府原案というのは献金奨励法案だというキャッチフレーズをあなた方にお与えしても妥当すると、こう思っているんですよ。したがって、これはぜひともこの年間限度額を引き下げるというのが今日的な選択ではないかと思うのですけども、自治大臣はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#80
○国務大臣(福田一君) ある意味で御指摘はごもっともな点があると思いますが、表面に出ております献金額と、会費というような名前で出ておる献金額というものがございます。これらを合わせてみた場合に、会社にもよりますが、とうてい、こうこう寄付を、結局は寄付ですからね、会費であろうと何であろうと、たまらないというような意味のことを言うところもありますね、ところによっては。そういうことも言う人もあり得るわけで、われわれの考えておりますのは、表面に出た寄付という以外に、今度は会費という名目で出たものも全部ここで今度はもう全部寄付だと、どうしても出さなければならないということにするんですから、受ける側というか、われわれから言うと非常にきつくなる。それから出す方も今度はもう皆さらけ出すわけですから、もう限度いっぱいですよという非常に言いやすくなってくるという意味で効果があろうと考えて、法案を、こういう条文を出しておるわけであります。
  〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
すなわち、会費というものがいままで隠れみのになっている、その会費もみんな出しておるんだと。その点をひとつわれわれとしては重視をして今度の法案を出しておりますと、こういうことを申し上げたいと思うのであります。
#81
○秦豊君 それじゃ、もういままでに比べれば格段の前進であるし、実効性を発揮し得ると大臣はお考えのようだし、なおさらそういう論理であれば、年間限度額は引き下げないという態度と理解していいんですか。
#82
○国務大臣(福田一君) 私が申し上げますのは、そういうようなことで表に出ない分も相当あったということを踏まえまして、表へ出た分だけでも、たとえば一億以上出しておるような会社が六つも……出せる会社が六つ以上もあったという。しかし、その会社が一億の金出しただけで会費出してなかったのだということもございますね。そういうことを踏まえまして、今度これをやるということについては、実は余り私自身は相当なよけいなことをするじゃないかというような意味のことを言われておるということも、御理解を賜りたいと思うんです。私から言えば、これは当然なことだとは思っております。そんなよけいなことをしないでもいいんじゃないか、こう言われておるのに、あえて踏み切って出しておるところにそういう実態があるということも御理解を願いたい、こう思うのであります。
#83
○秦豊君 いまの質問のアングルに関連するのですけれども、たとえば一番ティピカルに新日鉄というのをあえて悪玉にしたいと思うのだけれども、この新日鉄という大法人が直接におたくの自民党とか、それから国民協会というところに拠金をするんではなくて、新日鉄などが中心でつくっている鉄鋼連盟なんという、いわばこれは任意団体と言っていいですね、この任意団体に拠金をする。任意団体を経由して献金をするという場合が多分に考えられますね。それはあなた方はどういう条項のどういう規定によってこれを規制するんですか、また可能ですか。
#84
○国務大臣(福田一君) その条項の問題は、事務から申し述べさせますが、実際そういう任意団体をつくりまして、新日鉄じゃなくて、そういう任意団体から相当な金額がやはり献金をされておるという事実もございます。しかし、今度はその任意団体もちゃんと限度がありまして、一億以上はできない。たとえ、任意団体であれば三億でも四億でもできたものが、今度は一億しかできないということ、そこが一番痛い――痛いというと語弊があるかしれませんが、実はつらい面があるわけなんで、あなた方お考えになるよりは、これはなかなかわれわれにとっちゃ苦しいことなんだと。われわれというとおかしい。私は自治大臣だから、われわれじゃない、自民党にとっちゃある意味で苦しいところであるということは御理解をしていただけると思うんです。
 この条文の方はちょっと事務から申させます。
#85
○政府委員(土屋佳照君) もう御承知だと存じますが、二十二条の一号が個人で、二号が会社で、三号が労働組合等でございまして、それ以外の団体のする寄付ということでございまして、前年における年間の経費の額の区分に応じて制限がございます。これもいま申し上げましたように、一億の限度があるわけでございまして、いまのような例でございますとそれは大きく線を引かれるということになるわけでございます。
#86
○秦豊君 まだ一分半あるでしょう、持ち時間が。
 最後に、派閥に対する献金ですね、これは年間百五十万である。これはもうすでに公知されている。ところが、百万円以下については公開の義務はありませんね、そうでしょう。そうすると一口当たりの金額を小口に分割をすれば、つまり、裏口は無限である、こういう理屈になるでしょう。これについてはどうお答えになりますか。
#87
○国務大臣(福田一君) 幾ら小口に分割しても、総額においては限度がございますね、今度のあれによって。
 それから、なぜそういうことを、百万円以下の場合は出さぬでもいいというようなことにしたのは、やはりあの人に出して、この人に出さないというようなことになるとぐあいが悪い。実際言うと、もう個人献金に限るということになれば、こういう問題はすべて解消するわけです。しかし、実態はいまでもやはりとにかく自民党の代議士だれそれは、何としても自分は応援したいのだ、こういう意見を持っている人は相当あるわけなんですよ、これは事実。私などもそういう人がございますがね。そういう人が出した場合に、福田に出して、そうしてたとえばだが、中村さんに出さなかったらどういうことになるのだというようなことになると、非常にぐあい悪いから、そこのところはひとつ今後だんだん直すというところで、さしあたりはそういうことにしておいてもらいたい。私どもいわゆる実態と合わないものになっても困るんじゃないかというような配慮をして、そういうような今度のような法案をつくっております。だから、皆さんから言われれば、それはいろいろ非難されればいろいろあります。だけども、そういうことになればまとまらないということになって、私は法案自体は前進しないことになる。またもとの十年前に戻る。私は今度これである程度皆さんから言えば、非常に御不満があっても、ある意味では非常にまた厳しい面もあるから、ここでひとつ前へ一歩、二歩なり前進をさしてもらう。その後これをまた直していくと。だから、私はいつも言っておるのですが、今度法案を直したからって来年直しちゃいかぬとは言っておりませんよ。これは順次政治というものは漸進的に改革をしておるということの方が、最初からスタートしないよりはいいじゃないかということを言っておるということも、決してこれはいい言葉でないかもしれませんが、御理解をしていただきたい、こういうわけであります。
#88
○秦豊君 理解などはとうていできませんが、時間が超えておりますので、二十七日の本委員会に譲ります。
 終わります。
#89
○多田省吾君 私は、前回に引き続きまして公選法改正法案を主体にいたしまして質問をしたいと思います。
 前回お聞きしながら、選挙部長からわからないということで御答弁がなかったわけでございますが、個人ビラに関するいわゆる罰則につきまして、法務省に一点お伺いしたいと思います。今度衆議院修正によりまして、新しく個人ビラというものがこの法案によってできるわけでございますが、私たちとしましては、政治信条が異なるかもしれない新聞販売店の方々に、この個人ビラをお願いしました場合、善意の御理解で快く引き受けてくださった場合でも、いわゆる選挙の自由妨害ということで、文書図画の毀棄というようなことで四年以下の懲役とか禁錮とか、こういった罰則がございますと、これはお願いする立場としても非常に申しわけないことでございます。いわゆるいままでの自由妨害、文書図画の毀棄といいますと、よく言われるのはポスターを張った場合、酔っぱらい等がそれを破るなんてことがありまして、現行犯で逮捕されたというような事件がかなり起こっております。あるいは選挙はがきの問題とかあるいは投票の入場券であるとか、こういったものも文書図画になると思いますが、いままでの文書図画の毀棄といいますのは、ポスターにしましても、その候補の運動員の方々がやはり主に貼付する。あるいは選挙はがきにしましても投票入場券にしましても、公的機関の方々がやっておられるわけでございますから、いままではこういった問題はなかったと思いますけれども、個人ビラを新聞販売店の方々に新聞折り込みとしてお願いする場合は、いわゆる私人間のお願い関係、契約関係というような姿になろうかと思います。ですから、お互いに善意でやっているはずなのに、そこにもし問題が起こるとするならば、非常にこれはお互いにとってまずいことであろうと思います。しかも、ポスターとか選挙はがきと同じように、この個人ビラも選挙関係の文書図画に当然当たるでしょうし、選挙法の二百二十五条によりまして、「選挙に関し、左の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮」、今度は「三十万円以下の罰金」、いままで「七万五千円」だったのが「三十万円以下の罰金」と罰金も四倍になっております。
 このように、選挙の自由妨害罪というのは厳しくなっているわけです。しかも懲役、禁錮なんというものが四年も入っております。こういった関係で、私はこの前、選挙部長はお答えにならなかったわけでございますので、法務省に一体この個人ビラに関しまして、あらゆる想定した場合を含めて、どのような罰則になるのか。あるいは選挙の自由妨害罪なんかも適用される場合があり得るのか。こういったことをお伺いしたいわけでございます。私はどんな答弁が出ましても、非常にどちらにしても私は問題が残るんじゃないか、このように考えられてなりません。御答弁をお願いしたいと思います。
#90
○説明員(吉田淳一君) 御指摘の点は、公選法百四十二条に関しまして、御修正のあったビラの件についてのことだと思います。そこで、まず公選法上、そのビラにつきまして、新聞折り込み等の過程で、これを破棄したり破いたり、あるいは過って落としたりした場合等々、いろいろな形態が考えられるわけでございますが、それについて公選法上の罰則の適用上どういうことになるかということを申し上げたいと思います。
 公選法二百二十五条二号の御指摘の条文は、選挙に関して「文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき」に、御指摘のような刑罰がかかるという条文になっております。
 そこで、まずいろいろな諸形態が考えられますので、そういうものを網羅的に申し上げるのはちょっと不可能なんでございますけれども、典型的な事例といたしまして、故意に新聞折り込みの過程で、販売業者あるいはもしくはそれの業務に従事する方々が、これを故意に破ったということになりますと、この御指摘のビラはまさしく今度百四十二条で通常はがき以外に、法定のものとして認められた文書でございますので、これにつきましては公選法二百二十五条二号の文書図画の毀棄に当たると言わざるを得ないと思います。それから、それでは一番軽い形態と申しますか、故意じゃなくて、途中で何かの拍子に過って落として気がつかなかった、こういうような形態が考えられるわけでございますが、これにつきましては、現在公選法の自由妨害罪について、過失犯を処罰する旨の規定はございません。過失犯を処罰するときは、私がくどくど申し上げるまでもなく、刑法の総則規定によりまして、過失犯処罰の明文の規定を要するというのが大原則でございますので、そのような過失によって頒布ができなかったという、結果としてはそうなったという場合は、公選法の自由妨害罪は成立しないと言わざるを得ません。で、問題はその間の中間的な形態で、いろいろな場合が考えられますが、一、二の点だけ想定してお答えいたしますと、たとえば最初から新聞折り込みを依頼されたときに、何かの理由でもう新聞折り込みなどはしないというようなつもりでいるのにかかわらず、頒布するということを信じて、それを信じている人からそのビラをもらいまして、それで最初から意図的に配らなかった。仮にそういう形態になりますと、文書図画を毀棄そのものばしておりませんけれども、公選法二百二十五条二号にいうところの「偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害した」ということに、選挙に関してならざるを得ないと思うわけでございます。
 それから、あるいはさらに御指摘のように、最初は善意で本当に引き受けるつもりで引き受けた、こういうことでございますけれども、途中で何らかの理由によって意図的にこれを新聞折り込みをしないで結局頒布できなかった、こういうような場合は一体どうなるのか。この点は若干事実関係でいろいろな形態が考えられると思いますので、一律に申し上げるのはかえって無責任になりますので申し上げかねるわけでありますけれども、おおむねやはりその時点で、そういう意図的な場合には、「偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害した」ということに当たるのではないかと思われます。
 以上は全くの法律論でございまして、このようなビラについて新聞折り込みのことが、その他政令で定める方法ということが法定されるわけでございますから、当然自治省におかれましてもその事柄の重大性について周知徹底を図られると信じておりますし、またこれを取り締まる警察なり検察庁といたしましても、事柄の、事案の軽重等を十分に見て、過酷にわたらないよう、かつ本当に悪質なものは処罰するという基本的な姿勢で臨むべき事柄だと思います。そういうことで、運用としましては十分事柄の軽重を考えて適切に処理をするということになると思います。法律論としては、先ほど申し上げたとおりでございます。
#91
○多田省吾君 このように個人ビラにしましても、お互いに善悪でしかも信頼関係に立ってお願いしたはずの個人ビラでも、このように場合によっては選挙の自由妨害罪ということで「四年以下の懲役若しくは禁錮」というような重刑も加えられる場合もあるというようなことで、これは非常に重大な問題だろうと思います。こういった問題に関しまして、もっと突っ込んでお聞きしたいのでございますけれども、新しく今度出てきた法案の中には、機関紙の号外における選挙に関する報道評論は、じゃあどの程度までは許されるかということも、衆議院でもこの本委員会でもずいぶん論議が交わされたにもかかわらず、まだはっきりしたものが私は示されていないのじゃないかと、このように思いますし、それに対する最終的にその選挙に関する報道評論になるのかどうかという判断は、選挙部長のお答えによってもこれは司法当局が最終的に判断されるものだということになりますと、司法当局にもこれはよっぽど突っ込んでお聞きしないとこれは大変な問題になります。そのほか、新たに選挙以外の政治活動の際にも、今度は個人の匿名献金をやりますと、やった者ももらった者も禁錮三年以下のあるいは二十万円以下の罰金に処せられるというような問題も新たに出てまいりました。このように司法関係の問題も時間をかけて私は突っ込まないと、この新しい法案に対する論議にはならない。また重大な問題を含んでいる、このように思います。しかし、私はそのほかにもまだまだたくさんの重大な問題がございますので、残念ながらこの場でこういった問題をくるめて質問する時間の余裕がございません。ですから、私はこれはまた別の機会に譲りたいと思います。じゃあ刑事課長さんありがとうございました。
 次に、私は前回触れましたが、ちょうど自治大臣が退席されておりましたので、大臣からお答えを開くことができなかったのですけれども、供託金の増額の問題をお聞きしたいと思います。これは選挙部長の御答弁がございました。これはもう一回繰り返して大臣にお尋ねしますけれども、御存じのように今度の公職選挙法改正案には、供託金が三倍から三・三倍増額されております。衆議院においては三十万円から百万に、参議院全国区は六十万から二百万、参議院地方区は三十万から百万、都道府県会議員は六万から二十万、都道府県の知事は三十万から百万、全部三・三倍です。それから、地方議会における指定都市の議員は五万から十五万、指定市の市長は二十万から六十万、おのおの三倍。市会議員が三万から十万円で三・三倍。市長は八万から二十五万で三・一倍。町村長は四万から十二万の三倍と、このように地方議会を含めて三倍から三・三倍増額になっているわけです。で、昭和四十四年の六十一国会では、初め政府案は国会議員の場合は供託金を三倍に引き上げる、地方議会の場合は二倍に引き上げるとして提出されたものでございましたけれども、これは余り国会の場合三倍というのは多過ぎるということで、一律に二倍に修正した経緯もあるわけです。で、今度の引き上げは、はっきり申しまして国民の被選挙権というものに対する重大な妨害であり、経済力の弱い成年者は立候補できないという、こういう制度になってしまっているわけです。これは議会制民主主義の上に重大な問題ですから、私どもは三月末の党首会談でも、わが党の委員長が三木総理に対しまして、こういった供託金の増額は大き過ぎる、せめてやるにしても二倍以下に抑えなさいと、このように進言しましたけれども、取り入れるところとはなりませんでした。
 で、実は六月三日の朝日新聞にも、名古屋大学の田口富久治教授からこの問題で「論壇」に投稿が載っております。これは憲法十五条三項の成年者による普通選挙の保障に対する重大な侵害であり、憲法四十四条の選挙権、被選挙権が収入なんかの差別によって差別されないという、こういう規定から逸脱していると、こういう主張でございます。また、同じく朝日新聞の六月六日にも、一橋大学の憲法学の杉原泰雄教授からも、同趣旨の主張の論文が載っております。特に、こういった問題は外国では全然例をみないほど高額であると。ですから、これはこの供託金の大幅増額というものは、ちょうどこれは杉原教授の論文の中にありますけれども、次のように言っております。「機関紙誌の規制問題を国民主権、議会制民主主義、表現の自由(知る権利)という原理との関係において論じないのは誤りである。同様に、供託金問題を国民主権、議会制民主主義、普通選挙制度という原理との関係において論じかつ評価しないことも誤りというべきであろう。」という評価をしているわけです。ちなみに、外国の例を私たち調べてみますと、イギリスの下院では百五十ポンド、約十万五千円ですか。ですから、衆議院の百万と比べるとイギリスは十分の一ですね。それからフランスは千フラン、約六万円。ですから、約十七分の一という状況です。で、杉原教授の論文を見てみましても、外国では、先進諸国では供託金制度を設けていないのが普通だというんです。例外的に供託金制度を設けている国でも、いま申し上げましたように、ほとんど十万円を超えていない。また供託金返還の条件も日本ほど厳しくはない。日本は、衆議院の場合は総得票を定員で割って、その五分の一以下であると供託金没収、法定得票数以下であると供託金没収ということになるわけです。ですから、こういう供託金を三・三倍も一律に大幅増額する。しかも、参議院全国区なんかは二百万円ということです。ということになりますと、選挙部長はいろいろその理由を申されましたけれども、私は、言葉は悪いのですが、いわゆる巷間言われる泡沫候補と言われるような、あまり得票を取らない方々もおられますけれども、じゃ、そういった方々の対策になるかと申しますと、私は決してならないと思うんです。そういった方々はやはり国会議員の選挙等においてあるいは知事選挙等において、テレビに出られるということで、このぐらいの金はよろしいんだということで出る人も多いわけです。ですから、こんなものを、供託金を増額したって、そのような対策には私はならないし、またやるべきでもないと思うんです。また、そのほか、選挙部長は、公営のお金がかかるようになったから上げたんだという理由もおっしゃいました。私は、後でも御質問しますけれども、幾ら金のかからない選挙と言っても、こんなに国民の税金を多額に使う金のかかる公営選挙は例がないと思う。しかも、それを理由に、国民の経済力の弱い方でも成人はどなたでも立候補できるようにすべきであるのに、それを大幅に制限しているということは、私は議会制民主主義のやはり後退である、このように思わざるを得ません。こういったことを考えて、私は――こういった論文を発表した教授の方々は、現行でも高過ぎるとおっしゃっておられるわけでございますけれども、私たちは、上げるにしましてもせめて二倍程度に抑えるべきじゃないかと、このように思うわけでございますが、ひとつ自治大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
#92
○国務大臣(福田一君) 多田さんにお答えを申し上げますが、まずあなたのおっしゃったのは、いろいろ学校の先生その他のお話でございましたけれども、私は、いまの日本の政治のうちで、これはおしかりを受けるかもしれませんが、もう少し政治家は自信を持たなければならないと思っております。学校の先生が偉いと言うのならば、学校の先生に政治を任した方がいいということになるわけなんです。私は、そういうことではなくて、政治というものは理論もございますけれども、理論とは別に、政治にはやはり実態というか、学問のようにすべてを割り切った形で政治がなかなか行われておらないわけであります。ところが、何か学校の先生が言うと、すべてがそれが非常にいい言葉のようにとられることは私は非常に残念で、私は中村先生のおっしゃることの方が、まことに政治家としての見識が出、そういうことによって初めて政治が行われていくべきである。ここにたくさんの先生方おいでになりますが、その方たちがどうして学校の先生以下であるか。だから、そういう意味で、学校の先生がどう言ったとかこう言ったとかということで、政治を余り論ずることは、私自身は余り好みません。しかし、学校の先生が言ったことだから全然意味がないのかと、こういうことになりますというと、これはまた大いに、そういうことを無視していいなんと私は言っておるわけではございません。先生のおっしゃることも一つの意見だと思います。いまあなたがおっしゃいました供託金の問題にいたしましても、これはいろいろ利害があり、いろんな批判があるわけです。あなたがおっしゃいましたけれども、テレビに出れるからというので、幾ら金を引き上げてもおれは一遍テレビへ出たいんだからと言えば、そういう人があったとしたら、供託金を百万円を二百万円にしようが三百万円にしようがペイするでしょう。しかし、いま、関東あたりで、テレビを何とかもう少し、まじめに政治をやろうとしておる人たち、いわゆる泡沫候補と言われる人が……いい悪いという問題じゃなくて、やはり相当数を取れるような人のテレビをできるだけ時間を延ばしたり回数をふやしたりしようとするのさえ、いまできないような事態になっておるんでありまして、こういう事態から考えてみますというと、ある程度泡沫候補というような者が出ないようにすることも、一つの物の考え方として受けとめていただきたいかと思うのであります。これは議論の分かれるところで、意見の分かれるところですから、あなたのおっしゃることが全然間違っておるという意味ではありませんが、残念ながら御意見に従いかねますという意味で申し上げておるということを御理解をしていただきたいんでありますけれども、そういう意味でございますが、いずれにいたしましても、この金は、供託いたしましても、一定数をお取りになるような泡沫候補でなければ、それはお返しをするわけでございまして、それを没収するというわけではございません。こういうことでございまして、われわれは、考え方から言えば……(「質問の趣旨を聞いてない。何だ」と呼ぶ者あり)先ほど先生の名前を間違えまして、多田先生と申し上げるところを間違えたことはおわびを申し上げます。まことに申しわけございませんでした。そういうことでございまして、これはどちらがいいか悪いかということは、これはみんなでよく法案の内容なり何なりを審議を十分にして、そしてどちらがいいかということで決めていただくよりほかないと思うんでありますが、われわれとしては、いろいろ選挙部長も申したかと思いますが、これは、大体、この程度に今回はしたらいいじゃないか。いろいろのことを考慮いたしまして、この程度にいたしたいと、こういう意味で提案をさしていただいておるということを御理解をしていただきたいと思うのであります。
#93
○多田省吾君 私は、きょうの質問時間はわずか一時間でございます。この前の残した質問、大臣がちょっと中座されましたからお答えいただけなかったその問題、それから、選挙部長が罰則の点についてお答えなされなかったから、その問題。この前の残りの二問をしただけでもう三十分を過ぎております。貴重な時間ですから、私は大事なところだけを問題にして質問しているつもりでございます。ひとつ、大臣にも要点をつかんでお答え願いたいと思うんです。
 いまのお答えを聞いていますと、肝心なお答えが全然ないじゃありませんか。私はきちっと憲法を引いて理由を申し上げているわけです。それを、学者の意見よりも政治家の意見の方が実地に即していい場合もあるとか、そんなのは答弁になりませんよ。前回も私はちょっとがまんしましたけれども、選挙制度審議会の答申というものは参考にするだけで、本当は国会で決めるんだ、こういうことを平気でおっしゃっている。じゃ、選挙制度審議会は総理大臣が委員を任命するわけです。昭和四十五年においては、任期一年を、大事だというので二年にしたじゃありませんか。代々の総理が選挙制度審議会に出てどういうあいさつをされるかというんです。審議会の答申は極力尊重します。また国会で決めた審議会法だって、はっきり尊重の義務をうたっていますよ。その精神をないがしろにして、ただ参考にすればいいんだ、答申を参考にすればいいんだと。私は、いままでの審議会の委員の方々に対しましても、そういう御答弁は無礼だと思いますよ。今回もそうじゃありませんか。私は、何も学者の御意見を金科玉条として質問しているわけではありません。ですから、私は、最初に、わが党の委員長は三月の末の党首会談ではっきりと三木総理に進言したと申し上げたじゃありませんか。政府案の、あるいは自民党案の大綱とか要綱が、こういった問題が出たときに、すぐ私たちは調査しまして、そして、委員長が代表して三木総理にこういうことじゃいけませんよということをはっきり進言したわけです。いまお読みしたのは、全国に六百万、七百万と出ている一流新聞の投稿や論文にも、このように二人の教授の論文が出ているということを例として引用しただけです。決して、金科玉条にしているわけじゃありません。それに反対の教授だってそれはいらっしゃるでしょう。だから、今度二十八日の公聴会だって、各党が推薦している方々は全部学者じゃありませんか。教授、助教授です。われわれは国民の方々のやはり御意見は本当に素直に聞くべきですよ、それが反対の御意見であっても。そういった観点から、私はいまの大臣の御答弁は非常に憤慨にたえないんです。そして、肝心のどういう理由で供託金を増額したというはっきりした理由が何一つ示されないじゃありませんか。こんな供託金が高いのは日本だけですよ。外国はみんな、議会制民主主義を守る先進諸国はみんな十万円以下じゃありませんか。二百万、百万なんていうのは日本だけですよ。ですから、経済的に弱い成人の方々の立候補がこれによって制限されるんです。もう少し供託金が低ければ、立候補して、そしてりっぱな議員や県知事、市長になられるような方々だって、二の足を踏むおそれが多分にあるんですよ。そういう意味で、やはり憲法に保障された議員というものは収入なんかによって差別されてはならないと。しかし、経済力、収入によって、こんなに供託金が高ければやはり議員になれないんですから、差別されてしまうじゃありませんか。被選挙権に対するこれは重大な妨害になるじゃありませんか。ですから、選挙部長がこの前御答弁したような理由は、私は非常に薄弱過ぎると思う。ひとつ、もう一回どういうわけでこういう供託金増額を三・三倍も図ったのかですね、昭和四十四年だって二倍以下にしたじゃありませんか。今回は三・三倍、一律に三倍から三・三倍です。二百万円、百万円なんという供託金は例がありません。私は少なくとも二倍以下に抑える。できれば与野党諸君の了解を得てこれは修正すべきだと、このように思いますが、まあその前にひとつ大臣のお考えを、ひとつ確たる理由をお聞きしたいと思うんです。
#94
○国務大臣(福田一君) 私はまず公明党の委員長さんから、三木総理にそういうような御提案があったということも承っております。しかし、各党それぞれの御意見があるわけでございまして、全部一致しておるわけでもございません。で、なぜ供託金を引き上げたかと言えば、この前事務から申し上げておると思いますが、供託金制度というものは従前からずっとございまして、貨幣価値等の点から見て、昔と比べてみれば大体百万円にしてもおかしくないじゃないかというような考え方も一方においてございます。それから、また余りに供託金が少ないということであれば、先ほども申し上げたように、テレビ放送などをいたしますときにも、そういうような本当に政治にまじめに関与したいとお考えになる方が出られることは好ましいことなんでありますけれども、一方においてはテレビに一遍出たいというようなのが出てきても困ると、そういうこと等もございまして、これはやっぱりある程度の制限を加えることはやむを得ないと、こういう意味で今回は提案をいたしておるのでございます。しかし、いまあなたがおっしゃいましたように、これは少し高過ぎると、この点はひとつ十分みんなで考えて相談をして直したらいいじゃないかということであれば、私は皆様方の御意見に反対するという気持ちは毛頭ございません。私はこの法案提案したときから、この選挙法というようなものは、できるだけ多数の議員の皆様の同意を得てやるのが望ましい姿である、こう考えておるのでございまして、われわれが提案したのが、これが金科玉条である、絶対に直しませんなどということは申したつもりはないのでありますから、御理解をしていただきたいと思います。
#95
○多田省吾君 まあ、せっかくの大臣の御答弁ですが、私は理由は非常に薄弱であり、全然納得できないと思います。
 時間もありませんので、公営の問題で若干お尋ねしますけれども、昭和四十七年十二月の総選挙におけるいわゆる国費は幾らかかって、そしてそのうち公営部分、公営費は幾らなのか。それから、昨年の昭和四十九年の七月における参議院選挙の全費用と、その中の公営費ですね、おわかりでしたらお答え願いたいと思います。
#96
○政府委員(土屋佳照君) 選挙公営費につきましては、四十七年の衆議院の総選挙のときが二十四億九千七百万かかっております。それから、四十九年の参議院選挙のときが、全国区が九億六千二百万、地方区が二十三億一千五百万、合わせて三十二億七千七百万という数字になっております。
#97
○多田省吾君 全費用はどうですか。
#98
○政府委員(土屋佳照君) 四十七年の総選挙のときが執行経費として約八十九億。それから昨年の参議院の通常選挙が約百二十一億でございます。
#99
○多田省吾君 いま八十九億、百二十一億とおっしゃったのは、これは公営費を含めてですか。
#100
○政府委員(土屋佳照君) そのとおりでございます。
#101
○多田省吾君 今度は予定される次の総選挙あるいは次の参議院選挙において、公営費の部分だけで結構ですから、この法案が通ればどの程度増額されますか。
#102
○政府委員(土屋佳照君) たとえば四十九年の参議院選で申し上げますと、公営費用が三十二億ということになっておりますが、これが当時の費用でございますから、まあ三年後どの程度の物価指数になるか、何割か上がるのではなかろうかと思っております。それに加えて、参議院につきましては今回の修正で約十二億ぐらいふえてくる見込みでございます。したがいまして、まあその比較的何割か上がってくるものに、現在で見た十二億というものが、これがまた何割か上がってくるだろうというふうに考えるわけでございますが、まあ四十五億ぐらいのものが三割上がるといたしましても五十数億になってくるんじゃなかろうかというふうに考えております。
#103
○多田省吾君 次の参議院選で、この法案によって考えられる増額が約十二億とおっしゃいましたが、これは個人ビラを含んでおりますか。
#104
○政府委員(土屋佳照君) 含んでおります。
#105
○多田省吾君 それでは衆議院選がもしことし、来年あるとすれば、この法案によって新しく加わるところの公営費は約何億ふえますか。
#106
○政府委員(土屋佳照君) 約十九億でございます。
#107
○多田省吾君 この前、選挙部長は、法定選挙費用もこれは政令で上げることができると思いますが、上げたいという御意向のようでございますが、昨年の九月号の「中央公論」を見ますと、三木総理は政治家として最も一番早く、また最もやりたいのは法定選挙費用の増額であみと、このようにおっしゃっておりますけれども、自治省としてはことしじゅうに大体どの程度の増額を予定しておられますか。衆議院、参議院ともにおっしゃってください。
#108
○政府委員(土屋佳照君) 今回改正法案を出しておりますが、この法定費用の算定の基礎になります選挙運動員あるいは労務者等に支給することができます費用弁償、あるいは報酬の額の基準額というもの、これを政令で書くということになりますので、そういうことになりますと私ども実態を洗いまして増額をしたいと思っておるわけでございますが、大体それが三ないし四割の引き上げということで考えておるわけでございまして、それにさらに今回の修正で、いわば個人ビラの作成、配布といったようなもの等が加わってまいりますので、そういうものまだ正確に計算をいたしておりませんけれども、衆議院議員で四割ぐらいになるんじゃないかと、それから参議院の場合でも、全国区については四十数%になるんじゃないかと、それから地方区については大体衆議院に似たようなところになるんじゃないかといったような程度の考え方でございます。これは昨年改正した点に比べてということでございます。
#109
○多田省吾君 そうしますと、参議院全国区とそれから参議院東京地方区では、現在は幾らで、四十何%上がれば幾らだと、その額をおおよそ示してください。
#110
○政府委員(土屋佳照君) 数字でございますのでちょっと……すぐわかります。
 東京都の地方区で申し上げますと、この前が千五百万の限度になっております。これが大体二千百万かあるいはその前後だろうというふうに考えるわけでございます。それから、全国区については、この前引き上げまして約千八百万になっておりますが、これが二千七百万近い額になるのではなかろうかというふうに考えております。
#111
○多田省吾君 そうしますと、この法定選挙費の中に報告すべき事項の中に、今度のいわゆる新しく加わった公営費、無料になる自動車の費用とかポスターの費用とか個人ビラの紙代とか、こういったものは全部無料ですから、法定選挙費用の中に加えなくてもいいわけですね。
#112
○政府委員(土屋佳照君) そこの考え方は両方あろうと思いますけれども、御承知のように供託金没収者にはやらないということになりますので、一応全体に入れておいて、後でその業者に払って、結果的にはその分、政令で定める額まで無料になるのだという結果になるというふうに私どもは考えております。
#113
○多田省吾君 ですから、供託金没収される人は加わる、没収されない人は無料になって加える必要はないということですね。
#114
○政府委員(土屋佳照君) 一応その車代とかなんとかを加えたもので使うというかっこうで法定費用の中でやってもらって、そしてその分が後で業者等に払われますから無料になるということで、実質持つのは少なくなると、こういうことになるわけでございます。
#115
○多田省吾君 ですから、法定選挙費用の中に含めて自治省に報告するんですか。それとも差っ引いて報告するんですか。
#116
○政府委員(土屋佳照君) 含めて報告をしていただくという考えでございます。
#117
○多田省吾君 そうしますと、従来どおりということですね。その費用の中に含まれるわけですから。
#118
○政府委員(土屋佳照君) そうでございます。
#119
○多田省吾君 そのほかに、この前申し上げましたように個人ビラに関しては、もし新聞販売店に折り込みをお願いするような場合は、全国区の場合は七十七万円程度ですか、一部二円二十銭として三十五万部をお願いすると七十七万ふえると、こういうことになるんでしょうけれども、私は三木総理がおっしゃるように、こんないま法定選挙費用というものが無意味になっているという意味で、実質的に合わせるために引き上げようというお考えと思われますけれども、それならば私は企業献金を禁止したり、それからもう少し罰則を強化して、そういう変な偽りの報告をできないようにしたりして、実質的にするんならするでやるべきであって、こんな法定選挙費用だけをぐんぐんこういう上げることは、これは非常に私は何といいますか、選挙に金のかかる公営費の拡充ということと相まって、これは国民感情からすれば逆行だと思うのです、私は。法定選挙費用だってこんなに上げる必要はないんです。
 それはそれとしまして、最後に私はいま一番大きな問題にもなっておりますところの、政規法附則十条の問題でお尋ねしたいと思います。いわゆる政治資金規正法の三条三号が加わったことによって、政規法附則十条が加えられまして、そのためにいわゆる「政治活動を行う団体」というように、いままでの「政治団体」が変えられまして、民主団体とかあるいは消費者団体とか労働組合とか、そういった団体が不当に政治活動を圧迫されるおそれがあるということで、民主団体等の反対等が非常に強いわけでございます。で、まず御質問したいことは、政規法の三条三号を直された際、なぜ「目的とする」というのを削られたのか。いままでは三条二項に、「この法律において協会その他の団体とは、政党以外の団体で政治上の主義若しくは施策を支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対する目的を有するものをいう。」と、こうなっていたわけです。それが前の政治資金規正法における三条二項ですね。今度はこれを三条三号として改めて「前二号に掲げるもののほか、次に掲げる活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体」、そして「イ」「ロ」として分けているわけでございますが、肝心のいままで「目的を有する」と、こうなっていたのを、今度は削ったわけですよ。これは私は重大な問題だと思うのです。やっぱり政治活動という場合は、目的と行動が伴わなければ本当の政治活動は私はあり得ないと思うのです。ですから、時間もありませんので私の主張を申し上げますけれども、人事院規則だって「政治的行為」として「政治的目的の定義」と「政治的行為の定義」と二つきちっと合わして出しているじゃありませんか。また国家公務員法だって「政治的行為の制限」というところで、「政党又は政治的目的のために」と目的をきちっと示して、しかも「政治的行為をしてはならない。」と。目的と行為というのはいままでの法律案等においては全部一緒にあったものです。だから、いままでの政治資金規正法も目的と行為というものを三条二項においてうたってあったわけです。主たる目的でなくても、目的というものはうたってあった。なぜ今度だけその「目的」というものを削ってしまって、単なる行為のみをもって政治活動と断定するのか、これは非常におかしいと思うのです。どうして「目的」を削ったんですか。
#120
○政府委員(土屋佳照君) この法案を考えます場合は、第五次のときの考え方等を基礎にしておるわけでございますが、その際に私ども立案の際にいろいろ考えましたのは、そこの第三条の一項一号、二号、三号と分けてあるわけでございますけれども、ある程度、今回の政治団体というものは、何と申しますか活動自体としてしっかりしたものとしてとらえようという考え方もございました。そこで、第三号には従来の三条二項のような「目的」ということは特別に書いてないわけでございますけれども、「主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体」として、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。」こういった活動をやるということは、率直に申し上げて、それを目的としてと書く書き方もあったのかもしれませんが、一応そういう活動する場合は、いわば目的性というものは当然先行するわけでございますし、こういうことを決めて、そしてこういう活動をやるということになるわけでございますから、そういった意味で特に意識的というわけでもございませんでしたが、これではっきりするということで、特別、目的という言葉は入れなかったわけでございます。
#121
○多田省吾君 私はそれは重大なミスだと思うんですよ。政治団体を目的を書かないで行動だけで考えるということは、これはもう幾ら「継続的」とか「主たる活動」とか「組織的」なんて言ったって、目的が取り去られていて、ある場合、継続的に政治活動をやる場合だってありますよ。それ全部ひっくくられてしまいますよ。目的を取った理由は、それは目的を入れて考えるんだと、それはおかしいですよ。日米安保条約だって、憲法九条の解釈だって、政府の解釈はこの二十数年しょっちゅう変わっているじゃありませんか。それは明文化されていても変わるんですよ、解釈は。しかも、目的というものを取ってしまって、そして目的を入れて考えるんだなんて、そんなでたらめな法案はありませんよ。これは当然入れるべきですよ。人事院規則だって、政治的行為という場合は、目的と行為と、全部入っているじゃありませんか。国家公務員法だって「政治的目的の定義」と「政治的行為の定義」と、はっきり、人事院規則及び国家公務員法、政治活動を論ずる場合は入れているじゃありませんか。いままでの政規法にだってきちっと「目的を有するもの」と、このようになっていたじゃありませんか。今回だけなぜ目的を取ったんですか。それが一点。
 それからもう一点は、この附則十条のいわゆる公選法を改正するというところに、いわゆる二百一条の五ですね、いままでの「政治団体」というのを消しちゃって「政治活動を行う団体」、それも衆議院の論議においては選挙部長はあくまでもこれは目的を入れて考えるんだと、こう終始答弁しておりました。目的を入れて考えるんだったら、政治活動を行う目的を持った団体とか、はっきり明文化すべきじゃありませんか。そしてその目的が入ってないのを、前の取り去った分の古い方の政規法の三条二項に入っていたんだ、入っていたんだと、それで考えるんだと。だってそれはもう今度のこの政規法が、新しい方が通過すれば、古い方はなくなってしまうんですよ。全部目的というのは入ってないんですよ。そうすると、政治活動の目的を持っていない市民団体も消費者団体も労働団体も全部政治活動を規制されてしまうんですよ。おかしいですよ、これは。そして政治目的を持ったと同じように考えてほしい。考えられませんよ、法案がそうなっているんですから。文字が入っていたって解釈がしょっちゅう変わるんじゃありませんか。しかも文字の入ってないものがどうしてそのまま何年間も同じ解釈でいけると思いますか。これははっきりもう民主団体やあるいは労働団体、消費者団体、こういった団体に対する政治活動の抑圧ですよ、これは。入れて考えるのだと選挙部長おっしゃるならなぜ入れないんですか。
  〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
#122
○政府委員(土屋佳照君) 第一の点でございますが、今回の考え方は、従来がその現行法では「協会その他の団体」ということになっておりまして、政治活動を行う目的を有するものはおよそ全部含んでおったということで、非常に広いということが言えると思うのでございます。そこで今回は、政治団体に対する寄付はすべて「政治活動に関する寄附」として、寄付の制限とかあるいは禁止の規定を受けるということになりますので、政治団体の範囲を明確にするということが必要だと、そういうことで第三条に規定を置いたわけでございまして、まず一つは、そこにございますように、政治活動を行うことを「本来の目的とする団体」と、これが一般的な意味で政治団体と、こう言えるかと思うのでございます。しかし、「本来の目的」ということだけでは若干意味が狭い。「本来の目的」としていなくても、いわゆる従たる目的かもしれませんが、現実に政治活動を「主たる活動」として――まあ主たるということでございますが、「主たる活動として組織的かつ継続的に行う」という団体は、やはり「本来の目的」でなくても政治団体にやはり含めて考える必要があるという趣旨からここに入れたわけでございまして、そういった活動をする場合は、一般的にはある程度それは目的というのは先行するだろうとは思いますが、こういう分け方をしたのは、いま言ったような考え方でやったわけでございます。
 それから二百一条の五に関連してのことでございますが、「政治活動を行う団体」というのは、ただいま申し上げましたように、従来のこの「協会その他の団体」というものに大体準拠して解釈をしておったということを説明を申し上げたわけでございますが、そういたしますと、いまのような形で政治団体の定義というものを決めてしまいますと、率直に申し上げまして政治活動を行うことを本来の目的としないで、いわばその政治活動がその団体の活動として従たる活動であったり、非組織的な一時的な団体でございますと、それは入らないということになってくる。それは従来の考え方からすれば「政治団体」という場合は意味が広かったので、その部分が抜けてくるということになるわけでございます。それがなぜ抜けていけないかということになりますと、二百一条の五の趣旨は、もう私が申し上げるまでもなく先生よく御承知でございますが、選挙運動期間中に選挙活動に非常に紛らわしいものが――特定のもの、そのビラの頒布とか、スピーカーつきの自動車とかあるいは立て札、看板の類、そういったものが紛らわしくなるということをおそれて、政党、政治団体等を……
#123
○多田省吾君 要点だけ……。
#124
○政府委員(土屋佳照君) 活動を制限しておったわけでございますから、そういった趣旨でやはり範囲が狭くなるというのは、従来から考えておかしいということで、いままでと同じように合わせたいということでございまして、まあ申し上げますならば、たとえば消費者団体、これ、例で申し上げると何でございますが、たとえば全国消費者連合会といったようなものも、これは従来は現在政治団体として届けられているわけでございます。そういうものが今度の定義によると一体入るのかとなりますと、入ってこないというようなことになりますし、そういった差異が出てくるのはどうであろうかということで、やはりいままでと同じようなことにいたしたいということで「政治活動を行う団体」ということで、それは先ほど申し上げましたような、本来の目的じゃないが、従たる活動であって、やはりそういう政治目的を持って行う団体だというふうに解釈をしておるわけでございます。
#125
○多田省吾君 そんな答弁じゃ絶対納得できない。やっぱり政治活動という場合は、目的と行為と両方からとらえていかなければ本当の法案になりませんよ。人事院規則だって国家公務員法だって、全部そうなっているじゃありませんか。前の政治資金規正法の三条二項だって目的が入っていたじゃありませんか。今度は三条一項の三号イ、ロ、この中に目的は消えちゃっている。また幾ら目的を入れて考えるんだと言っても、事実上あれじゃありませんか、附則十条の方は「政治活動を行う団体」となって、目的はどこにも入ってないじゃありませんか。だから選挙部長が、前の三条二項ですか、今回の三条一項三号ですか、これと比べた場合に、範囲が狭くなっているんだなんて言っても、目的を取ったためにまた広がる面もあるんですよ。目的が削られているじゃありませんか。政治行為を見る場合に、目的と行為というのがあるのに、行為だけを見ようとしているじゃありませんか。目的のない行為だけを見た場合に、この政規法の中に入ってくるものもあるわけですよ。それからもう一つは、附則十条のこの前の衆議院の答弁でも、古い政規法の方の三条二項の目的を入れて考えるんだ、入れて考えるんだと答えていますけれども、それはもう廃案になって――廃案になってと言っても、新しい政規法が通ることによってなくなっているじゃありませんか。入れて考えるわけにいきませんよ。それは選挙部長のただ単なるこの場だけの答弁にすぎないんですよ。私が申し上げているように、明文があったって勝手な解釈をしてきた政府ですよ。明文がないのにどうしていつまでもそんなことを言えるんですか。じゃ、十年たったら十年前の政規法を見てください、その中に目的が入っていますから、そんなばかなことを言うんですか。おかしいですよ。絶対納得できません。ですから衆議院でも質問者は最後まで納得しないで終わっているじゃありませんか。参議院のこの審議だって絶対そんなことじゃ納得できませんよ。「政治活動を行う団体」とはっきりもう附則十条で変えられているんですから。私はそんな答弁じゃ全然納得できませんから。まだ時間ありますけれども、この問題は留保します。そんな答弁じゃ困りますよ。みんないま民主団体、労働団体、大変だというので、本当にもう危険に感じているじゃありませんか。それに対する答弁が全然出ていませんよ。明文化しなければおかしいです。いやもう結構です、留保します。もう衆議院でも同じなんですから。同じ答弁を何十回もやっているじゃありませんか。目的と行為といってこっちが質問しているのに行為だけとらえて、目的の方は全然もういいかげんな答弁です。
#126
○委員長(中西一郎君) 委員長から申し上げます。
 ただいまの答弁は、次回の委員会までに十分検討していただきまして、その節御答弁をいただきたいと思います。
#127
○内藤功君 最初に資料要求の問題について発言したいと思うんです。それは六月の二十日の本委員会において選挙に関する報道評論というのはいかなる範囲かと、その認定権を持っているのはだれかという点に関して、政府側はこの認定は司法当局、一次的には警察当局にあるという答えです。それでは警察の中で第一線警察官の職権の行使の基準を書いてある文書があるはずだ、つまり選挙関係質疑回答集というものが、これがあるはずだと、これをこの委員会に出すようにということを要求をして、その後の理事会で委員長がこの問題を警察庁当局に要求することになった。委員長の手元に警察庁からA4判だそうですが、この選挙関係質疑回答集というものが出されて、委員長もそれを見て、警察庁に対して出すようにしばしば要求してきたと聞いております。しかるに今日現在、これが出されておらない。国権の最高機関である国会の委員長から要求をされて出しておらない。これは一体どういう理由に基づくか、警察庁にその間の事情を説明願いたい。
#128
○委員長(中西一郎君) 委員長から発言いたします。
 ただいまの内藤委員の御発言の中で委員長から要求したというお話がございましたが、委員長としては正式に要求することはいたしておりません。要求できるかどうかについての話し合いを進めてきたのが事実でございます。
 一言申し上げました。
#129
○政府委員(田村宣明君) ただいまの御質問でございますが、報道評論の範囲につきまして、第一次的に認定するのは警察だというような御趣旨の御質問がございましたが、この点につきましては、まあどういう意味か、私が理解が正確でないかもしれませんけれども、まあ私どもは犯罪があると思量するときには捜査をするということでございまして、公職選挙法の報道評論の関係の罰則に触れる行為があるという疑いがある場合に捜査をするということでございます。まあそれを認定と言われれば認定かもしれませんが、私どもは疑いがある場合に、疑いがあるというふうに考えた場合に捜査をするということでございます。
 それから、この職務活動の基準というふうに言われましたが、まあ職務活動の基準というものがどういう意味かということもいろいろございましょうけれども、別に私ども、刑法を初め罰則のついた罰条は数多くございます。しかし、そういうものにつきまして、いずれもそういうふうな職務活動と言われましたか、そういうふうな基準というようなものを別にそれぞれの罰条について決めておるというようなこともございません。報道評論の問題につきましてもこの職務活動の基準というようなものではなくて、先般の資料の問題につきましては、この前の委員会で御説明をいたしましたとおり、同じことでございますが、その内容には捜査取り締まり上の方針や、要領、措置等を含んでおりますし、また個人や団体の名誉などに関係するものも入っておりますので、そういうふうな点から、この資料は外部に公表すべき性質のものではないということでお答えをいたしておるのでございまして、ただいまの御質問につきましても同様に考える次第でございます。
#130
○内藤功君 まず、いろいろと一般論で逃げてますが、私の要求しているのは、この昭和四十七年、八年、九年度の質疑回答集、これを出すのか出さぬのか、国会法の百四条に基づいて立法審査のために必要だと、委員がそのようなものが必要だ、理事がそのようなものが必要だということを言って、委員長から要求ではないにしても出さないかという申し入れがあったのに対してこれを出さない、理由は何にもないんです。秘密かというと秘密じゃない、内部資料であります。内部資料だって秘密じゃないんですね。自治省には渡しておるのです。自治省にはちゃんと行ってる。それから委員長のところにもちゃんと物を出してきている。少しも秘密ではない。ただ中に個人の問題があるとか名誉があるとか言います。しかし、そんなこと言うなら裁判所の判例集なんてのはどうです。全部個人の名前が書いてありますよ。しかし、これは判例の研究、学問のため、またいろんな法律実務のためにこれは実名を書いておるのです。私はこういう国会の調査権能を無視したやり方というのは、これは前代未聞だと思うのです。私は委員長に対しても、交渉ということじゃなくて、強く要求されることを要求するが、さらに警察庁に対してこのような国会の審議権を無視したやり方というものに対して、私は非常な憤りを覚えるのです。どうかこの国会の名において委員長は厳然たる要求をしてもらいたいということをこの場をかりて要求するし、それから警察庁においてはそれじゃどの部分が、どういう部分がその秘密に当たるのか、この論証はできないはずなんですね、できないはず。立法の審査のために必要だと国会が言っているのにあなた方が出さない。非常にけしからぬことだと、私は再度このことをあなた方に強く要求したいと思う。ただ私はこの問題を今後とも理事会、委員会のあらゆる機会に追及します。しかしこの問題だけ深入りをしていると、一番大事なこの二つの法案、悪法の実態を明らかにするという議員の職責が時間の関係で果たせないので、残念ながらこの問題はさらに理事会、委員会で追及することを一言申し上げておいて、そうして質問に入らしてもらおうと思う。
 委員長、お願いしたいが、いまの問題は質問じゃありませんからね、これは委員会の措置の問題だから、これは時間の配慮の上において考えていただくことを要求します。
#131
○委員長(中西一郎君) おおむね一時間ということで議事を運営することに取り決めておりますので、その御配慮で続けていただきたいと思います。
#132
○内藤功君 それじゃいまから一時間ということですね。
#133
○委員長(中西一郎君) 正確にとは申しませんが、おおむね一時間。
#134
○内藤功君 私がきょう聞きたいのは労働組合の機関紙の問題です。公職選挙法の百四十八条二項、三項で、新聞紙、雑誌というものの報道評論の自由、さらには通常の頒布の問題というのが規定されておるが、まず議論の前提として伺いたいことは、この百四十八条にいう新聞紙、雑誌の中には労働組合の機関紙それから婦人団体の機関紙、業者団体の機関紙、国際平和友好団体の機関紙あるいは青年団体の機関紙のようなものは入るかどうか。
#135
○政府委員(土屋佳照君) いわゆる新聞という形態で出されておるものでございますと、機関紙はこれに入って、この百四十八条の適用があるものと考えます。
#136
○内藤功君 そうすると、今度の百四十八条二項の改正によって、「通常の方法」という中に、選挙期間中は有償というふうになった。そうすると労働組合が選挙期間中に、たとえば、今度の選挙はこういう大事な選挙である、労働者の生活を守るためには選挙においてはこういうふうに革新政党の方に支持をしていかなくちゃいけない、そうして、選挙でもっていまの政治を変えていかなくちゃいけないというようなことを書いた――そればっかりじゃないですよ、そういう記事も載せた機関紙を、三種郵便の認可のある機関紙を、これを期間中に無償で、よその組合の組合員に配布するっていうことは、これは禁止されますか、どうですか。
#137
○政府委員(土屋佳照君) 今回の改正によりますと、選挙期間中そういった――ただいまのお話でございますと選挙に関する報道評論を記載したものと考えられます。そういったものは有償ということで頒布をするということにされるわけでございます。そこで有償制ということの範囲の問題と絡むと思いますが、実態上どのようなやり方に従来からなっておったのか、そこが私どももそれぞれの組合の実態によって違うと思うのでございますけれども、全然無関係なところでやられる場合には一応そういうものは有償でなければならないというのが理屈上のたてまえであろうというふうに考えます。
#138
○内藤功君 そうすると、「全然無関係なところ」というのはどういうことですか。
#139
○政府委員(土屋佳照君) まあ率直に申し上げて、ある会社の組合が、つくっておられたというようなところが、全然違う会社の組合のところに買ってくれと言われる場合は、それは有償で買ってもらうということになると存じます。
#140
○内藤功君 そうすると、逆に、無関係でないところ、つまりいままでの方法でやってもいいところ、これはどういうところですか。
#141
○政府委員(土屋佳照君) 従来からまあそういった有償頒布の範囲内であろうというようなことでございまして、これは例として適切かどうかわかりませんが、たとえば同じ会社内で組合に入っておる方、入っていない方、いろいろあるかもしれませんが、そういった同じ職場の場合に配っておられたというような場合があろうかと思いますが、そういったものについてもいままで通常の頒布の範囲内ということで同じ職場の人に配っておるというような場合は、あるいはその有償制の範囲内に入るということもあり得るだろうというふうに考えるわけでございます。
#142
○内藤功君 ずばりと聞いてみたいと思うんですがね、ある一つの工場がある。同じ工場である。自動車の工場でもあるいは金属の工場でもいい。その工場の中に労働組合が二つある、第一組合と第二組合が。それから労働組合どこにも入っていない労働者もいる、という場合に、門は一つですね、一緒に労働者が入ってくる。門の前で第一組合の組合員が選挙中に機関紙を無料でまく、その機関紙には選挙のことが書いてある、そういう場合ですね。いままではみんな無料でまいていた。選挙の前まで無料でまいていた。選挙のときになると今度は、同じ職場の中の人でも代金を取らなくちゃいけなくなるんですか。
#143
○政府委員(土屋佳照君) いまの例で申しますと、同じ職場にございましても全然組合費なり何なりの関係がないというようなことでございます。そういった方にやるというのは、通常の場合はあるいは同じ職場内でございますからPRとかどうとかいうようなことも含めてやっておるにいたしましても、選挙期間中になれば理論的にはそれば買ってもらうということでなければいけないというふうになるだろうと思います。
#144
○内藤功君 そうすると、同じ職場の労働者だと、隣で働いていると、同じ機械をいじっている労働者だと。しかし選挙の期間になると――まず自分の組合の組合員はどうなんです、これはいいんですね。第一組合の組合員が自分の組合員にまくのも有料ですか。
#145
○政府委員(土屋佳照君) それは会費等をもとにして配っておるわけでございますから、それは有償制の範囲内でございますので、それは差し支えないということに考えます。
#146
○内藤功君 差し支えないという答弁じゃ法律的に不正確だ。有償である、こうはっきり言えますか。
#147
○政府委員(土屋佳照君) 有償であると解釈いたしております。
#148
○内藤功君 そうすると、今度は第一組合でない第二組合、やっぱり同じ労働者です、ただ、組合として別の組合にいるだけ。いままで無料で配ってたんだよ、選挙前は。選挙になると、しかも選挙の関連する記事があると、もうその人には無料で配れなくなる、代金取らなきゃいけなくなる。もし有料で配らないで無料で配ればどうなるんです、第二組合に対して。
#149
○政府委員(土屋佳照君) まあ組合費とかどうとかいうものを取ってない、したがって別な組合であるという場合は、理論的にはこれは有償でなければならないということに解釈をせざるを得ないと思います。
#150
○内藤功君 「理論的には」ということは、理論的にはお金を取らなくちゃいけないけれども、実務的には――警察もいるけれども、警察は、警察の取り扱いとしては、取らないと、理論的には、とあんたおっしゃるから、理論的にはというのはどういうことなんです。理屈の上では金を取るんだけれども、実際は取らなくても警察は手を下さないと、こういうんですか、どうなんです。それは罪になるかならぬかの問題だからね、私はいいかげんな答弁は許しませんよ。
#151
○政府委員(土屋佳照君) 法律の解釈として有償でなければならないということで申し上げたわけでございます。
#152
○内藤功君 そうすると、警察によって検挙されることもある、罪になることもあると、こういうことですね。
#153
○政府委員(土屋佳照君) まあ実態においてはそういうことはあり得ると思います。
#154
○内藤功君 第二組合の組合員だけじゃなくて、第一組合にも第二組合にも入ってない未組織労働者がおります。社外工、あるいは臨時工なんてのは普通、組合に入れてもらえないのが多いですね。それから係長になって組合にはいれない人もいる、いわゆる職制、こういった人にもビラをまいている。同じ労働者だからね、ビラをまいている。そうすると、こういう人に対しても、いままでは無料でまいておっても、選挙の期間になるとそのビラはまけない、こういうことになりますね。
#155
○政府委員(土屋佳照君) そのとおり解釈されると思います。
#156
○内藤功君 たとえば、いま造船関係の職場を見ると、第一組合、全造船系が約百人、第二組合、これはまあ同盟系、一千人なんていうところがあるんですね。そうするとね、そうなると、この全造船系の組合の人は、百人、ずうっと門を入ってくる人をよく見て、ああこれはうちの組合員だと、はい、まくと、これはよその人だからまけねえと、はい五円下さい、十円下さい、ということになる。もし間違えたらそこで検挙される、検挙される危険が出てくる。――理論的にはそうですな、あんたの言葉をかりて言うと、理論的には、そうなるんですね。
#157
○政府委員(土屋佳照君) 解釈としてはそのとおりになろう――なるわけでございます。
#158
○内藤功君 大変なこれは労働組合弾圧法規じゃないですか。いままで既得権としてやってたんだ。いままで既得権としてやっていたものができなくなる、大変な問題だ。
 この問題はまた後でどうせ御返事があるだろうから論じたいと思うが、もう一つ例を聞いておく。国鉄労働組合と全日通労働組合、これは非常に仲のいい組合です。それから仕事も似ている。汐留なんてところへ行くと、国鉄の職場の諸君と日通の諸君は同じところで働いてるんですよね。お互いに機関紙をやり取りしてるんですよ。これは本部同士で機関紙を何万部ずつやり取りする場合と、それから国鉄の職場の労働者が日通へ行ってビラまきをする、日通の労働者が今度は国鉄の職場へ行ってビラまきをする、貨物の職場へ行ってまくと、こういう場合があるんですね。こういう場合どうです、いままでは無償でまいていた。選挙になったらどうなんです。
#159
○政府委員(土屋佳照君) やはり有償でなければならないというふうに考えます。
#160
○内藤功君 そうすると、国鉄の労働者がいままでは日通の職場へ行って、日通の人の月給は余り高くないと、あんたらの方もしっかりがんばりなさいと、お互いがんばろうじゃないかとビラをまいていた、いままでただでまいていた、今度はもうただでまけない、こういうのが今度の選挙法改正案の解釈なんですね。
#161
○政府委員(土屋佳照君) いまの生活向上といったようなことで中身になりますと、これはまあ選挙に関する報道評論であるかどうか、これはまた別でございますが、選挙に関する報道評論でございますと、それは有償でなければいけないということになるわけでございます。
#162
○内藤功君 そうすると、選挙に関する報道評論というのはこの間から議論されていたが、たとえばこういうのはどうです。国鉄労働組合の新橋支部では、今度の選挙でこの人とこの人を支持するということを決定しましたと、執行委員会で決定したということを、組合の執行委員会の決定を機関紙に書いてまくと、これはどうなんです。
#163
○政府委員(土屋佳照君) 今度の選挙にということで選挙に関連して書いておられるものは、それは選挙に関する報道評論だということに解釈します。
#164
○内藤功君 そうすると、労働組合の決定もそれを組合機関紙に書けない、書いたってそれは配れないと、配ればつかまってしまうと、こういうことになるんですね。
#165
○政府委員(土屋佳照君) ただいま言われましたようなそういう決定したということを当該組合の組合員にお配りになるということでございますと、それは有償制の範囲内で処理されるというふうになるわけだろうと思います。
#166
○内藤功君 そうすると、まくときに組合員か組合員でないかを、広い職場ですから何千人何万人いるようなところではよく見きわめて一々確認して、組合員でない人からお金を取って、あるいは組合員の人にはただでやるということを労働者に要求する法律ですね、これは。
#167
○政府委員(土屋佳照君) 選挙期間中は厳密に言えばもうそのとおりでございます。
#168
○内藤功君 だんだんとこの法律の恐しいことがはっきりしてきました。
 次に聞きたいのは、労働組合の機関紙を、同じような三種の認可のあるやつを今度は家族の人、組合員の家族あるいは知り合いですね、組合員の知り合い、友人という人たちにまくという活動、これはいまでもやられてますよ、選挙外でも。こういうことを選挙中にやることはどうなんです。
#169
○政府委員(土屋佳照君) 従来のやり方がどうであるかわかりませんが、今度の、たとえば選挙期間中になりまして選挙に関する報道評論を記載したものを配ります場合に、従来の通常の方法という場合に、そういった組合費全体が組合の家族をも対象としてそういうところも配るというような前提で組合費等も取ってやっておられると、そういうことになれば広い意味での有償頒布になるだろうと思いますし、通常の頒布になろうかと思いますが、いままでやってなくて選挙のときにそういった知人なり友人なりというところへ出すということになりますと、それは有償でなければ頒布できないということになるわけでございます。
#170
○内藤功君 組合費の中で家族に配ることを予定している、これは組合費の中で機関紙を家族に配ることを予定しているかどうかは何で判断するんです。
#171
○政府委員(土屋佳照君) それは当該組合の機関紙等を出される場合に組合費等をもとにしてやられるわけですから、その場合に明確にされておればそれははっきりすると思うんです。そうでない場合は、通常の場合は組合員に渡すというのが通常の方法であろうと思います。それが選挙のときにいままでやっていないことで、そういうかっこうでまかれるということになりますと、これはやはり有償でなければならぬということにならざるを得ないと思います。
#172
○内藤功君 大体そうなると、組合費の領収書に家族用の機関紙代金も含みますとか書いてある、あるいは組合規約や組合の財政規則に、組合費の中には家族への機関紙代金も入っていますということが明記されていない限りはこれはだめだと、こういうことですか。そんなことをやっている組合は余りないですよね。
#173
○政府委員(土屋佳照君) 通常はそういうことは少ないと思いますが、機関紙発行の方法の中に明瞭に書いてある場合もあるかもしれないということで、一応そういう場合もあろうという例で申し上げたので、通常の場合は余りそういう例はないんじゃなかろうかと私は考えております。
#174
○内藤功君 通常の場合あるかないかはちょっと私は後であなたに反撃をしたいんですが、これはさておいて次の質問は、労働組合がある。たとえば東京の板橋には日本製紙という組合があったですよ。住友銀行の企業支配に対して闘って、それで一定の成果を得た争議をやりました。大争議をやったですね。知っているでしょう。こういう日本製紙なんかの組合は、機関紙を自分の組合員に配るだけじゃないんです。近所の人たちにも配って、労働組合はこういう要求をしています、労働組合はその職場の中でやるだけじゃない、国民の皆さんのいろんな苦しみ、悲しみも一緒にやりますというビラまきをやっているんです。こういうビラまきをしょっちゅうやっている。そういう組合が選挙のときに御近所の皆さんに同じようにビラを無償で配った、これはどうです。
#175
○政府委員(土屋佳照君) 労働争議等でどういうあれでございましょうか、中身は生活向上ということで賃上げ等について書いておられるということであれば、これは選挙に関する報道評論ではないと思うのでございます。ここで問題になっておりますのは、選挙に関する報道評論ということでやれるということについての規制を加えたということでございます。
#176
○内藤功君 当然、選挙期間中は、今度の選挙は非常に大事な選挙だ、労働者の大事な一票というのは物価を値上げしているような政党には入れないでくださいという中身が入っている。こういうビラを労働組合がつくって組合の中にもまくし、いつものように近所の魚屋さん、床屋さん、クリーニング屋さんにもまくという場合はどうなんです。
#177
○政府委員(土屋佳照君) 政治活動の自由化ということと選挙の公正ということが常に問題になるわけでございますけれども、いまのような形でどんどんやるということになりますと、選挙運動において一応かぶせられた規制というものが全然おかしくなるわけでございます。したがいまして、そういった選挙に関して呼びかけをするといったようなものは今回の規制に当然かかるということでございます。
#178
○内藤功君 非常に今度の法律の問題点がはっきりしてきたと思うんで、私はもう一つ聞いておきたい。
 それは、さっき土屋部長は、家族に組合の機関紙を配るなんということはこれは余りない、通常ないことであろうと言われた。しかし、労働組合の団結権というのはどういうものか、あんたわかっているか。労働者の団結権、労働組合の団結権というのは、単に組合員の中で団結を固めるだけじゃない。労働組合がいまやっておること、要求しておること、たとえばストライキもやるかもしれぬ、そういう目的、要求というものをよく市民の皆さんにわからせるようにPRしていく。最近は国民春闘ということも言われているじゃありませんか。そういう国民の皆さんの持っている諸要求にマッチするような宣伝をする、共通点を広げていくということもこれは団結権の一つなんです。ですから、やられてないどころか、いまはだんだんと開けた組合ではこういうことをやっておるんですよ。家族版を発行しているところもあるんですね。それから近所の方に配っているところもあるんです。こういうのが団結権の姿なんです。これは認めますね。
#179
○政府委員(土屋佳照君) それは労働者の地位向上といったことで経済的な賃上げなりいろいろやられることがあると思います。そういった点で団結して出されるということはあり得るだろうと思うのでございます。ここで問題になっておるのは、選挙の際に選挙の呼びかけをやったり、そういった選挙関係に関連する文書ということになりますとそれは問題があるので、選挙期間中は有償でなければいけないということにしておるわけでございます。
#180
○内藤功君 この点で、最高裁判所の四十三年十二月四日の三井美唄事件の判例というのは土屋部長知っているでしょうね。
#181
○政府委員(土屋佳照君) いまにわかのお尋ねでございますので、にわかには私思い出しません。
#182
○内藤功君 急の質問で悪かったかもしれないが、この判例は、現実の政治、経済、社会機構のもとにおいては、労働者が経済的地位の向上を図るに当たっては、単に対使用者との交渉においてのみこれを求めても十分に目的を達することができず、労働者がその目的をより十分に達するための手段として、その目的達成に必要な政治活動や社会活動を行うことを妨げられるものではない、労働組合の団結というのは、経済的地位の向上に必要な範囲で政治活動、社会活動をやれるというのが最高裁判所の四十三年の判決なんですよね。ですから、これ、あんたは経済的地位の向上だけが労働組合の活動の目的のように思っているけれども、本来そこまでできる。そこまでできるのを選挙中だけ制限をする。私はこれはどう見ても権利侵害、団結権の侵害だと思うんです。
 いや、福田大臣、あんた首振ってるけどね、反論できますか。大臣に答えてもらいましょう。どうして団結権侵害じゃないか。
#183
○国務大臣(福田一君) 私はこの際共産党にお願いをいたしておきたいと思うんですが、実はこういう国会の答弁等々は、政府の方はあらかじめ皆さんのところへ、ひとつどういう御質問があるかということを承って、そしてそういうようないまの判例とか何とかいうようなことになりますというと、これはなかなか資料を全部覚えておるわけでありません。だから、それを知らしていただいて、それに対する質問の要旨というものを承って、そうしてそれに対して国会で答弁するというのが、これが例でございます。私は必ずそうであるべきだとは言いません。しかし、そういうことについてきょうも実はお願いに行っておると思うんでありますが、(「来てないよ」と呼ぶ者あり)実は承ることができませんでした。そういうことで、急に問題を提起されてもなかなか答弁がしにくいことがあると思いますので、今後質問をなさいます場合には、これはお願いでありますけれども、慣例であるからお願いをしておる。そういうときにはひとつやはりそういう、こういうことがある、こういう質問をするつもりだというくらいは教えていただきたいと思います。委員長におかれても、その点はひとつ十分に各党にもお伝えを願えれば幸いであると思うんであります。
 そこで、いまのお話でございますが、私たちが選挙期間中にある種の制限をするということは、それはもちろん一つの制限でありまして、たとえそれが労働権に関係あることであろうとも、どういう権限に関することであろうとも、これは特別法でございます。すなわち選挙期間中という特別の期間においては、こういう制限をいたしますというのがこの法律の内容でございますからして、そういうような権限を持っておるからそういう権限に抵触することはけしからぬと、こういう御意見と承りますならば、これはこの法案に反対であるという御意見としては承りますけれども、それだからこの法案を出したことはけしからぬという理屈には、私は相ならぬのではないかと思います。
#184
○内藤功君 いまのは全く答弁になっていない。労働組合の団結権というものの中にこういう政治活動をする権利があるということは、最高裁の判例で言っている。いまの福田大臣の答弁はこれを何も否定できていない。否定できてないだけじゃない。そういう権利は選挙中は制限されてもしようがないと。選挙中は制限されてもしようがない。どうして労働組合の権利が選挙中は制限されてしようがないのか。それはこの文書の中で非常にいわゆる選挙運動のための文書ということがはっきりしているものと、そうじゃなくて選挙についての労働者の利害の問題、選挙について労働者はこういう関係でいかなくちゃいけないというものもあると思うんですね。そういういろんな程度の差のある文書があると思う。そういうものを一緒くたに、これは全部選挙期間中は制限される、制限されてもやむを得ない、ここまでの乱暴な論理は私は成り立たぬと思うんですね。私は、なおこれで論戦をしたいけれども、これでやってもしようがない。
 なお、さっき大臣は非常にありがたくも御忠告をのたまわったわけでございます。しかし、そんなことは私は大臣に言われなくても百も承知しております。まだ新人議員ですが、失礼ながら内藤功はそのくらい知っております。しかし、きょう自治省は何も私のところに聞きに来ません。どういう質問をするのか聞きに来ない。来きに来ればちゃんと教えてあげます。これだけ申し上げておく。
 そこで次の質問、福田自治大臣にお伺いしたい。大事な問題だ。福田自治大臣はこの労働組合の機関紙の問題について総評の幹部と最近お会いになったことがありますか。
#185
○国務大臣(福田一君) 総評の幹部かどうかは別でありますが、何かおいでになったように覚えております。
#186
○内藤功君 総評というのは全国四百万の労働者の代表です。いいですか。これは憲法で決めた労働組合、その代表者は全国労働組合から選ばれて、総評大会で選ばれるんですよ。いいですか。そこの幹部があなたのところに会いに行った。総評の幹部かどうかわからないが会いに来た、これはずいぶん失礼な話かとぼけた話のどっちかだと思う。会ったことがあるかないか、その点だけまずはっきりしてください。
#187
○国務大臣(福田一君) 私はお会いをしていると思いますが、それは非公式なことでございましたので、ただいまのようなお答えをした。
#188
○内藤功君 具体的に組合の機関紙の問題、組合の機関紙をどこまで認めるか、どこまで認めないかという点について総評の幹部の人とお話し合いになったことがありますか。
#189
○国務大臣(福田一君) そういうことについては私はここで非公式にお会いしたわけでございまして、そのときには私が発表していいとか、そういう内容を申し上げていいというようなことについては許しも得てないし、そういうつもりでお会いしたわけではございませんから、ここでは発言を差し控えさせていただきます。
#190
○内藤功君 総評の労働組合の代表がこの改正案、非常に問題があるというんで、労働者の意思を代表して非常に真剣な要求を持ってあなたにお会いしたはずなんです。
 そうするとあれですか、これは非公式なものというのはこれは表に出さないという、そういう約束だからいまは言えないと、こういうことですか。
#191
○国務大臣(福田一君) 私はお互いに個人的なつき合いあるいは公のつき合いにおいても言っていいことと悪いこととあります。またこういう席で言うべきことと言ってはいけないこととがあると思っております。したがいまして、私はいまの判断においてそういうことは申し上げる意思がないということをお伝えしておきます。
#192
○内藤功君 労働組合の機関紙がさっきぼくが聞いたようにただでまけるか、あるいは代金を取ってまけるか、職場でまけるか、外でまけるか、権利の問題ですね。言論の自由の問題だし団結権の問題。そこがどこまでできるかということを総評の幹部が確かめに行くのはぼくは当然だと思うんです、これは。その話が表に出していい話かどうか、これはもう当然表に出し明らかにし国会にも出すべき問題だと思う。しかしその話の中身をあなたは非公式だからここで言いたくないと、こうおっしゃるんですか。もう一遍確めておく。
#193
○国務大臣(福田一君) 私からは申し上げる意思はございません。しかしいま先ほどからうちの事務がこの問題についての見解を皆明らかにいたしております。私はそのお会いした内容についてここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと申したわけでございまして、内容についてはここに十分もう事務からあなたに了解がいくように申し上げておると思います。
#194
○内藤功君 そうしますと、いまのお話ですと先ほど土屋自治省選挙部長などがここで言われた見解と福田自治相が総評幹部と会って述べた見解は全く同じですか。
#195
○国務大臣(福田一君) 私が話の内容を言えないというのに、同じですかどうですかと言ってもお答えができるはずはないじゃありませんか。
#196
○内藤功君 これは非常におかしな話なんで、国会に対してさっきは警察が文書を出さないことが問題になったが、今度は大臣が大事な権利の問題で労働組合の幹部と会って話をした、その内容が大臣の口から言えない。言えないというんなら私はこちらから言うしかありません、言えないなら、あんたが。あなたが言えないんなら、ぼくは言いたくないんです。あなたの口から聞きたいんだけれども、言うしかないです。どうなんです。
#197
○国務大臣(福田一君) 何度お答えしても、私は、私の答弁は変わりません。
#198
○内藤功君 六月の上旬に総評から各単産、各地評などに出された文書があるんです。総評の公式文書です。秘密でも何でもないです、これは、横書きで書いた。もう各単産にはみんな行っているんです、国鉄にも日通にも。もういまこれは労働組合の中で知らない人がないぐらいの大問題なんです。これは大問題なんです。公然たる問題になっています。福田自治大臣が総評の幹部と会って、そうして労働組合の機関紙の問題、これについて一定の言明をしたということが明らかになっています。私は余りこういう組合の文書は――私も長年総評に関係しましたから、こういうものは出したくないんです。出したくない。しかし、あなたが言わぬとなれば、はっきりしなきゃならぬ。六月の上旬に総評の安恒さん、安恒良一君、企画局担当幹事、この人とあなたがお会いになって、労働組合の機関紙、これはここまでまける、ここから先はいけないというような話をしたことがあるんでしょう。その内容はこの法案の審議にまさに関係する問題なんです。それだけ言って、あなたは言わないですか。
#199
○国務大臣(福田一君) あなたが御存じであれば、私が言わぬでもよろしいんじゃないですか。
#200
○内藤功君 私はたまたまその文書を目にする機会があったから知っています。しかし、私は知っているけれども、ここにおられる委員長以下知らないですよ。国会議員知らないですよ。あんたが知ってりゃいいって、何たる言い分ですか。国会は私だけが、たった一人です。私はたった一人の新人議員にすぎませんよ。私が知ってるかどうかじゃない。この法案に賛成であろうと反対であろうと、すべての国会議員にこの法律をつくる上の資料を明らかにして、そうして賛成反対を討論するのが議会じゃありませんか。おまえが知ってるからいいじゃないか――何事ですか、それは。
#201
○国務大臣(福田一君) 私は、あなたが御存じで、この法案の審議に必要であるとお思いになれば、あなたがここで公開されればそれでいいんじゃないかと申し上げておるんです。私は一応そういうふうにしてお会いを、非公式にお会いをしておりますが、私の口からそれは申し上げない方がいいと思うからお答えしないだけで、あなたがそれは法案審議のために必要だと思われるなら、そんなに何も口をとがらして怒られなくてもいいじゃないですか。ここでみんな説明されたらいいじゃないですか。どうしていけないのですか。
#202
○内藤功君 あくまで御自分からおっしゃりたくないということであれば、私の方からちょっと聞きたいと思うんですね。
 まず私はその前に、非常にあなたの態度は遺憾だと思うのは、国会議員の一人が知ってる、あんたが知ってる、おれが知ってる、そんならいいじゃないか。それは個人的な、プライベートな問題じゃないんですよ。法案の解釈、法案の限界に関する問題。ですから私は申し上げる。多少言葉がきつかったかもしれないが、申し上げる。
 そこで伺いたい。まず、「労働組合の機関紙は街頭で不特定多数の者に配布しないかぎり現行どうりとし、有償配布違反として、取締り対象としない」。こういうことをあなたは総評の安恒さんに約束なさったことは間違いないかどうか、まずこれを確かめておきたい。国会の場ではっきりさしてください。
#203
○国務大臣(福田一君) 私はそのようなことを言った覚えはございません。
#204
○内藤功君 もう一遍確かめておきます。「労働組合の機関紙は街頭で不特定多数の者に配布しないかぎり現行どうりとし、有償配布違反として、取締り対象としない。」、私はこれは処罰の範囲を狭めたもので、労働組合としては当然これは言ったであろうと思うのです。安恒君は必ずこれを言ったであろう。言ったことはぼくは正しいと思うんですね。またこれをあなたがそういうことをよしと、そうしようと言ったというんなら、それもまた一つの見識だと思うんです。ただ言ったか言わないかの問題をその点だけもう一遍確かめておきたい。本当にこういうことを言った覚えはないんですか。
#205
○国務大臣(福田一君) 私はね、政治をやる上でいろんな人におつき合いもします。外人ともお話をすることがあります。あるいはあなた方の仲間ともお話をすることがあります。あるいは労働者ともお話をすることもあります。その場合においても、やはりお互いにこのことについては私はまあ言わないというような暗黙の了解があって会っている場合には、言わないのが政治家だと思っているのです。どんなに自分の立場が苦しくても言わないのが政治家だと思っておるんです。だから私の口からは申し上げない。私はそういう政治家でありたいと思っている。それがもし御不満であれば、いかようでもあなたの方で私に対する措置をおとりになったらよろしいでしょう。
#206
○内藤功君 そうするとさきの答弁ではそういう内容を言った覚えはない、こうおっしゃったが、今度は、そういうことは言わない、言わないのが政治家の道だ。政治家の道はいろいろありますから、私はそれを非難しようとは思わない。しかしここは国会ですからね。国会の委員会ですから、一体その言った覚えがないというのが本当なんですか、それともこれは言えないというのが本当なんですか、どっちなんです。
#207
○国務大臣(福田一君) 私はその内容については申し上げることはできませんと言っておるわけです。ただしですよ、いまここの部長が言っておりますように、選挙に関する報道評論が載っておらないものについては、それはもう当然頒布することができるだろうと、もしお会いしたときにでもそういうことは言っておると思います。
#208
○内藤功君 「労働組合の機関紙は街頭で不特定多数の者に配布しないかぎり現行どうりとし、有償配布違反として、取締り対象としない。」、これは総評安恒幹事とそれから福田自治大臣兼国家公安委員長との間に合意確認されたと、こういう事実はどうです。それが合意確認されたということについてはどうです、お認めになりますか。――合意確認されたと、これが。どうです、その事実。
#209
○国務大臣(福田一君) じゃもう一遍ちょっと言ってください。そういうことを余り――だからそういう質問があるなら質問早く前から言っておいてもらえばこちらでわかる。(発言する者あり)
#210
○内藤功君 じゃあもう一遍言いますよ。もう一遍言います。よく聞いていてください。
#211
○委員長(中西一郎君) 委員長から申し上げます。委員長から申し上げます。非常に微妙な質疑応答が行われておりますので、委員外の方の御発言はやめていただきたいと思います。
#212
○内藤功君 それじゃ私がもう一回聞きますから、よく落ちついて聞いてください。
#213
○国務大臣(福田一君) ありがとうございます。
#214
○内藤功君 「労働組合の機関紙は街頭で不特定多数の者に配布しないかぎり現行どうりとし、有償配布違反として、取締り対象としない。以上の点については総評安恒幹事、」、以下ちょっと略します、「福田一自治大臣兼国家公安委員長の間に合意確認するとともに、自治省が施行通達中に明記することにした。」、こういう事実があるかどうか。こういう事実があるかどうか。(発言する者あり)
#215
○国務大臣(福田一君) 余りこう――委員長、ちょっと注意してくださいよ。私が黙っているのにむやみにおしかりを受けちゃ困っちゃう。
#216
○委員長(中西一郎君) 委員外発言は慎んでください。
#217
○国務大臣(福田一君) 私は従来の――その会談の内容についてここでお答えすることはできないということはいまここで確認しておきます。しかし先ほど来言っておるように、選挙部長が言っておるように、組合の機関紙というものを組合の中で配っていけないという理由はないわけでしょう、これは。そうですね。だからそういうことについてはいままでどおりおやりになることについて差し支えないというようなことを言ったとあなたは言われるけれども、私は言ったということはここで言いません。言いませんけれども、そういうことはあり得ると御想像されても仕方ないと思っております。
#218
○内藤功君 非常に重大な内容なんですね。つまり合意確認したと、それだけじゃなくて、「自治省が施行通達中に明記することにした。」、いま言ったようなことですね。街頭で不特定多数に無差別に配布する以外は現行どおりだと、いいんだということを施行通達でやると、どうです、これは。(「重大な問題ですよ、これは。委員長はっきりしてもらいたいですよ。こんな密約があるんじゃ困る」「国会軽視だ」「選挙部長しっかりしろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#219
○委員長(中西一郎君) 委員外発言は慎んでください。(「大臣もしっかりしろ、浪花節で答弁しなくて事実を言え、事実をちゃんと。大臣の答弁はさっきから聞いていると浪花節だぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#220
○国務大臣(福田一君) 私はそういうことについて赤旗など……。社会新報……(「赤旗には関係ないじゃないか」と呼ぶ者あり)赤旗にも出ている……。いろいろ出ておりますが、内容が違っておりますね、内容が。
#221
○内藤功君 私の見ているのは赤旗じゃないよ。
#222
○国務大臣(福田一君) いやいや、二つの新聞があって、その新聞の内容が違っておると申し上げておるわけであります。これはどちらがどうなのかわかりませんが……
#223
○内藤功君 どちらがどうなのかわからないのはそっちだ。
#224
○委員長(中西一郎君) 質問者、いま答弁中でございます。(「大臣、新聞は関係なしに、事実を言ってくださいよ」と呼ぶ者あり)
#225
○国務大臣(福田一君) 事実はいま申し上げたように、お会いしたかどうかということでありますが、非公式に、そういうことでありましたから、そういう場合にはこういうところでは私からは言わないがいいと思いますと、こう言っておるんです。私は、それは私の政治的な判断であり、私の態度であるということを申し上げておる。私はそういうことについては時と場合によっては言わないことも必要である、言うことも必要である。それが政治家というものである。政治家というものは何でもべらべらしゃべるべきものだとは私は思っていない。だからそういうことを申し上げたわけであります。でありますから、内容についてあれがあるならば、一遍あなたの方でお確かめになって、そしておやりになったらいかがですか。
#226
○内藤功君 委員長、いまの答弁、答弁になっていますか、聞いていらして。答弁を促してください、これは。答弁拒否じゃないですか、これは。(「やっぱりこれは委員長、重大な問題ですから内容をはっきりしてくださいよ」と呼ぶ者あり)委員長、ひとつ公平に裁いてください。これは答えになっていないですよ。余りばかにするなよ、聞いていれば。何が政治家の道ですか、政治家の道はここへ報告するのが政治家の道じゃないか。(「こんなばかな答弁あるか」と呼ぶ者あり)
#227
○委員長(中西一郎君) 委員長から発言いたします。
 委員外発言、また委員長の許可を得ない発言が大変多いようでございますが、慎んでいただきたいと思います。
#228
○峯山昭範君 関連。
 この問題は委員長、私はいま聞いておりまして非常に重要な内容を含んでおります。したがいまして、ただ大臣が政治的信念で言わないというだけではなくて、要するに、現在私たちが審議を続けております重要なポイントにかかっておる。この問題は先ほど選挙部長が答弁した答弁の内容とも矛盾いたしております。したがって、事務当局の答弁と、もし大臣がそういう約束をされていらっしゃるならば、大臣の約束されたこととは内容が矛盾いたします。したがいまして、総評の方からは正式の文書が出ているわけです。その内容と大臣の約束されたこと、大臣がどうしても言えないというのであるならば、総評の出した文書が違っているかどうかということを確認する必要がある。そういうような意味でこの問題については特に委員長からこれは重要な問題として取り上げていただきたい。
#229
○委員長(中西一郎君) 委員長から申し上げます。
 先刻来の質疑に関連いたしまして、質問の趣旨をもし十分自治省の方で御了解ならば、総評の文書というのがあわせてまた事実の点で明快のものであるならば、総評の文書をもとにした答弁をしていただければいいのじゃないかと思います。いますぐできなければ、できるだけ早い機会に総評の文書をもとにした答弁を用意していただきたいと思います。
#230
○峯山昭範君 これはいま委員長から話がございましたけれども、総評の書いている記事が正しいのか正しくないのかということははっきりさせていただきたいと思います。
#231
○国務大臣(福田一君) 問題はその総評の機関紙という……(「機関紙じゃないよ」と呼ぶ者あり)私にはまだ総評のあれを持っていないのです。持っていないのだから、それが自治省の事務当局が言っていることと合っているとか合っていないとかということをお答えすることができないわけですね。だから、それを見てからでないと――したがって、委員長の御趣旨に従ってあれをしたいと思います。
#232
○委員長(中西一郎君) 委員長としてはそれでけっこうでございます。
#233
○内藤功君 そこまで言われるのでしたら、私はここに持っていますから、総評の通達を。ここで一番問題なのは「自治省が施行通達中に明記することにした。」、何たることだ。国権の最高機関を、立法機関をさておいて一大臣が総評の幹部と会って――総評の幹部とお会いになることはいいですよ。ちっとも非難していない。総評の幹部と会うことはいい。また中身がいい悪いというのじゃない。国会の審議権を無視して、一つの団体と法律の解釈を打ち合わせをして通達を出すということになったら国会政治はどうなります。これは大臣はよくわかるはず。施行通達を出すと、これは自治省の答弁を求めたい。――委員長、ちょっと休憩してください、時間がもったいない。
#234
○委員長(中西一郎君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#235
○委員長(中西一郎君) 速記を起こしてください。
#236
○国務大臣(福田一君) いまここで拝見をいたしたわけでありますが、向こうの方からそういうふうに出されたということであれば、言ったかどうかということについてお答えをする義務があると思いますが、こういう「施行通達中に明記することにした。」というようなことは申し上げておりません。そういう趣旨がわかるような方法も考えることにいたしましょう、どうしてもそういう必要があるなら、なるほどそういうことも考える必要があるなら考慮いたしましょうと言いましたけれども、明記する、そういうことを施行規則でもってはっきり自治省が書いて通達をするというようなことは私はお約束いたしておりません。そういうことについて疑義があって困るじゃないかということであれば、その点を明らかにするような方法について、ひとつ事務に一応研究をさせてみましょう、こういう意味のお答えをいたしたことは事実でございます。
#237
○内藤功君 これも重大な問題です。そうすると、ここに書いてある「自治省が施行通達中に明記することにした。」。この施行通達中に明記しますとは言わないけれども、明記することも考慮しましょう、こうおっしゃったというのは本当なんですね。
#238
○国務大臣(福田一君) 私は、その考慮しましょうと言ったことは事実であります。考慮することは一つも差し支えございません。それは約束ではありません。正しいか、間違っておるかということを判断して、そして処置をするというのが考慮するという意味でありまして、そのとおりいたしますという意味ではございません。したがって、決して間違いじゃないと思います。
#239
○内藤功君 そうすると、このいまあなたがごらんになった文書は、その点を除いては全部総評の文書のとおりと、こう承っていいですね。
#240
○国務大臣(福田一君) これで総評のお書きになっておるのは「機関紙誌について」と、こうですね。そして「選挙に関する報道評論を記載した、一般紙誌は選挙期間中は有償配布とする。」それから労働組合の機関紙については、労働組合の機関紙は街頭で不特定多数の者に配布しない限り、いままでに組合の中でやっておられることについては私は有償配布違反として取り締まらない、すなわち、それは結構でありますと、こういう意味のことを言っておるわけでございます。(発言する者多し)
 それは、これを、かかったにいたしましても、これは組合員のことですからね、これは当然いいんじゃないですか、組合員ならば。それは組合の決議でもってだれそれを推薦するということまで書けるんですから、私は少しも差し支えないと思います。
#241
○内藤功君 非常にこれで重大なことがわかった。それは自治省が、いままさに国会にかかって、六月といえば参議院にかかって、この特別委員会にこれからかかろうとする段階に、要もあろうに自治大臣がこの機関紙配布の範囲について、施行通達を出すことも含めてこの解釈を一方的に決めていく、国会に諮ろうとしない。国会に諮らないで、自治省の施行通達に明記することも約束をした、こういうことが問題なんですね。
 自治省の選挙部長に伺いたい。選挙部長はこの事実を知っているかどうか。
#242
○政府委員(土屋佳照君) この事実は私は序じません。ただ、いまここで見ただけでございますが、先ほど大臣から読まれましたように、「機関紙は街頭で不特定多数の者に配布しないかぎり現行どうりとし、有償配布違反として、取締り対象としない。」やはりこれはそれだけ書いてございますから、よく中身はわかりませんけれども、現行どおり有償配布として組合等に、組合員に配られることはこれは別に対象とならないということであれば、これは別に問題ないと思っております。
 それから通達のことも私存じませんが、これは当然法律ができますと、成立いたしますれば、その法律について私ども選管その他に、こういうことであるという通達は必らず出すことになっております。だから、全体的な法の解釈というものは、そこでいろいろ審議された過程その他も踏まえて、私どもとしてははっきりした通達は出すということでございます。これに関しては私は存じません。
#243
○内藤功君 いま自治省の選挙部長が言った「労働組合の機関紙は街頭で不特定多数の者に配布しないかぎり現行どおりとし、有償配布違反として、取締り対象としない。」、まずこの解釈ですね。こういう解釈は、さっきから自治省の選挙部長が答えておった解釈と同じですか。
#244
○政府委員(土屋佳照君) まあ、この文章自体がはっきりとしていない面がございますから、いろいろ推測するわけでございますが、少なくともここで表示されておる点で読んでおる限りは、不特定多数にやるということは、これはまさに部外の人に有償でないかっこうで頒布するわけでございますから、これはいけないと、それはそのとおりなんだと。それで、有償頒布違反として取り締まりの対象としないというのは、労働組合の機関紙は有償配布違反として取り締まり対象としないということでございますから、組合員等に配られるというのは、そこらのところで不特定多数に配るものでなければ取り締まり対象としないということですから、そういう読み方になるとすればこれは別に問題ないと、こういうことで私は申し上げたわけでございます、全体として字句が不明でございますが。
#245
○内藤功君 選挙部長に伺いますが、そうすると、さっきあなたに聞いていた、第一組合員が第二組合の人や、それから未組織の労働者にビラまきやりますね。ビラまきやると、それはやっぱり選挙期間中は有償でなくちゃいけないということを言ったわけですね。そうすると、これとの見解どうです、この見解との違いは。ここに書いてあるのは「街頭で不特定多数の者に配布しないかぎり現行どおり」と、違反にならないというんですね。つまり、あなたの見解と違うことを福田自治大臣は総評の幹部と約束なさっているということじゃありませんか。どうなんです。
#246
○政府委員(土屋佳照君) どうもこの文面からその点がはっきりいたしませんので、私どもの解釈からすれば、この有償頒布違反として取り締まらないということは、やはり不特定多数じゃなくて、有償配布ということは、これは組合員等に配るということになりますと、同じ組合員であればそれは配ったって差しつかえないという意味にとれば、これは別に問題ないということで申し上げておるわけでございまして、先ほどから申し上げた点については、私は先ほどと同じような考えを持っております。
#247
○内藤功君 あなたの考えは大体質問でわかったのです。それが不当かどうかは別としてわかった。しかし、あなたの見解と――ここに総評が稲田自治大臣との合意の内容として各単産政治部長、委員長あてに出しているこの総評として責任のある文書ですよ、これは。この文書に書いてある福田自治大臣と総評との間の約束は明らかに違うのですよ、これは。たとえば、門の前で第一組合員が第二組合の人にまくビラは無償でいいのか有償なのか。あなたの見解では、有償でなくちゃいけない。これによれば、街頭で不特定多数の者にまく場合だけがこれが取り締まられる。明らかに違うじゃありませんか、この一点をとれば。それでもなおかつこれは同じだと言うのですか。違うでしょう、この見解は。違うことは認めなさいよ。
#248
○政府委員(土屋佳照君) どうもその点が、「有償配布違反として、」とあるだけで、どういう場合にどう配るのだということが、これ前提が書いてないわけです。だから私ははっきりしない。もちろん、街頭で不特定多数の者に配布すればいけないと書いてあることは、これは先ほどから申し上げたとおりでございまして疑問を持ちません。ただ、有償頒布違反として取り締まり対象としないという場合に、「労働組合の機関紙は」とこうなってるものですから、どのような形態であるかということが、これ前提としてはっきりしておりませんので、組合員等に配られる場合はそれはそれでいいんだろうというふうに私は考えるわけでございます。
#249
○内藤功君 もうこれは、あなたとこれ以上議論しなくてもはっきりしていると思うのですね。いいですか、この文書でどういう形態が例外かははっきりしているのです。労働組合の機関紙を街頭で、職場じゃないですよ、街頭で不特定多数の者に配るというのははっきりしているのです。それ以外は全部これはいいと、こういうことを福田自治大臣は――これは権利を拡大する方向だから、ぼくはこれが悪いと言うのじゃないですよ。これを総評の幹部と約束をしたのです。つまり、大臣の見解と自治省の事務当局の見解は明白に違うのです。しかも、その会談にはあなた立ち会ってないから、立ち会ってない。しかも、こういうふうな食い違いが出てきている。こういう問題ですよ。
 そこで私は、これをこれ以上選挙部長にここで追い打ちかけようと思わない。よく考えてもらいたい、あなたの立場はどうなるかもよく考えてもらいたい。これは大臣に聞きたいですね。大臣ね、あなたはかりそめにもこの国会で公選法、政治資金規正法、この二つの法案が審議をされているこういう最中に、この総評の幹部と会って、かりそめにも自治省が施行通達中に、どこまで組合の機関紙は合法的に配れるかというようなことを約束した、約束したことは事実だ。こういうことが、議会を尊重する政治家の道としてこれは許されると思いますか。
#250
○国務大臣(福田一君) 私は、この中で「合意確認するとともに、」という間に――「合意確認するとともに、」と、こう書いてありますと、これは約束ということになりますね。
#251
○内藤功君 そうですね。
#252
○国務大臣(福田一君) しかし、よく陳情というものはたくさんありますね。政治家はしょっちゅう陳情に会いますよ。考えましょうとか、その問題は今後はひとつ考えてみましょうとか、あなたのおっしゃることもなるほどごもっとものような面もあるから考えましょうと――こういうことを言うといけないということになると、われわれ、陳情団には一切会えないということになる。そんなことはないでしょう。だれとお会いしてもいいでしょう。また、共産党の皆さんからお話があれば、それはお会いすることもちっとも差し支えないと思っております。(発言する者多し)あんまりあなたね、外から言われると私は気が小さいからね。(笑声)
#253
○委員長(中西一郎君) 委員外発言を慎んでください。
#254
○国務大臣(福田一君) だから、そういう意味で、お会いしたことがいかぬとおっしゃっても私には納得がいきません。納得がいきません。また私が、法案を作成している間にこういうことを合意するとか、そのことだけは必ずどうしますと、こういうようなことまでは言えない。それは相手がこうこう、こうこうじゃありませんかと、こう言いますと、よく新聞にわれわれの談が出るときがあるんですが、新聞社の人がこうこう、こうこうじゃありませんかと言う、ううんと、ううんと言っていると、そう言ったということに書かれる場合もある。私はその例も知っておりますがね、私も新聞記者をしておったから。それと同じようなもので、実際言うと、お会いしたときに、まあこういうことは何かひとつ考えてもらえぬかと言われれば、それもそうですなと、まあひとつ考慮いたしましょうというようなことを言うことは、私はいいと思うのですよ。それから、まあ考慮する、なるほどあなたのおっしゃることもごもっともな面がありますなと言えば、取り方によっては約束したんだとお取りになるかもしれません。私はそういうことを言われると、もうほかのお方にお会いできなくなってしまうと思うので、そういうことで余りそうそう政治家の行動を拘束されることはいかがかと思うのです。私は、あなたがそういうことを、通達を約束しているじゃないかと、明記することにしたと、こう言われるけれども、それは私はそういうことではないが、決まれば、いま事務が言っているように、それは知らせるのは当然なんですよ。質問があれば、そういうことを知らせることは当然なんで、また総評のお方が今度おいでになれば、こういうことでございますと、こういうことを言うことも当然なんです。私はそういう意味で、あなたにおしかりを受けることはないと思っておるわけです。そういう意味合いにおいて、私が言うておることをこれテープレコーダーでもとっておかぬというと、これからもう言ったか言わぬかという問題も起きるかもしれませんがね。それはやっぱり政治家同士が会ったときには、これはいろいろのやっぱり話があったりしますけれども、そういうかりそめにも法案ができない前に法案に制約を加えるというようなことは、私は案外これで憶病ですから、そういうことはいたしておりません。
#255
○委員長(中西一郎君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#256
○委員長(中西一郎君) 速記を起こしてください。
#257
○内藤功君 いまいろいろと言われましたけれども、ここに書いてある見解というものは、これは総評の機関がその責任において各単産政治部長に下したものなんです。落書きじゃないのです。非常に権威のある文書ですね。これは総評の機関が責任を持っている。ですから、この文書の中に書いてあることがうそだというなら話は別です。しかし、この文書の中に、とにかく、ああそうですか、ううんでもいいですよ、ごもっともというのでもいいですよ。しかし、相手は、大臣に会ってううんと言えば、さらにごもっとも考えましょうと言えば、これは合意確認、こういうふうにとるだけのやっぱり事情があるのですね。そしてこれを出してきた。そして、ここに書いてある見解と選挙部長の見解は違うのですよ、明らかに。私がさきに聞いたのはそうなんだ。第一組合の組合員が第二組合に対して配った場合はどうか、無償で配れるかどうか。これは自治省は配れませんと言う、無償では配れません。総評は福田自治大臣と会って、それは現行どおりやれるという見解を流している。この矛盾をはっきりさせなくちゃいけない。こういう矛盾が出てきたもとはと言えば、これは大臣が、法案が参議院にかかっている段階において、そうしてこういう一種の約束をされている。約束をすることは悪いと言うのじゃない。その約束は重要な法案の内容、いわゆる権利の範囲、機関紙配布の権利の範囲にかかる問題です。これで、国会を無視してそうして特定の団体と話をしている。しかも、通達を出すことまで約束した、これは許せない。大臣、さっきからあなたは政治家としての道を言われるけれども、それにもとるじゃありませんか。こういう私は、政治責任をどうとられるのか、どう考えるかということを最後にお伺いをしておきたいと思うのです。どうですか。
#258
○国務大臣(福田一君) 私は、この内容をそのまま肯定しておるわけではございません。
 それから、私がいままで言ったことについて政治責任をどうとられるか――私は皆様の御批判を仰ぐというだけでございまして、私はこのことについて政治責任をとる意思はございません。
#259
○内藤功君 いままでいろんな問題がありました。特に私は、このいわゆる総評の通達に関連をして大臣が御答弁なさった政治的責任のお感じ方の問題、さらに、福田自治相と総評間の話し合いで合意されたというこの見解との矛盾の問題、納得できません。さらに私は、この点についての追及を次の本委員会のときに行いたい。
 お約束の時間が多少超過をいたしましたから、ルールを守りまして、私は残念ながら本日ここでの質問はこれで打ち切り、この点についての質問を留保して終わりたいと思います。
#260
○委員長(中西一郎君) この際、お諮りいたします。
 市川房枝君から、委員以外の議員として発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(中西一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは市川君の発言を許します。
 速記とめてください。
  〔速記中止〕
#262
○委員長(中西一郎君) 速記起こしてください。
#263
○委員以外の議員(市川房枝君) 委員外発言をお許しいただいてありがとうございました。
 最初に自治大臣に伺いたいんですが、いま内藤さんと自治大臣の間でいろいろなお話がありましたが、私はそれを聞いていて、最初に、労働組合だけ何か特別な扱いをしておいでになるんじゃないんですか。政治活動を行う団体と、つまりそういったものでもない、政治団体でもない、政治活動を行う団体として選挙中に政治活動をすれば罰せられるという規定が今度新しく入っているわけですけれども、労働組合も、それから婦人団体あるいは消費者団体、そういうのはみんな同じじゃないですか。同じことで、みんなそういう団体が今度のこの改正を心配をしてこの間からいろいろ運動しているわけなんですが、いまのお話を聞いていると、何だか労働組合だけ特別扱いでという印象を受けるんですけれどもね。労働組合といいますか、総評は社会党の支持団体でおいでになるし、やっぱり今度の法律には社会党は協力しておいでになるし、そういうことで特別扱いをなすっているのかどうかと思うんですけれども、いかがですか。それを伺いたい。
#264
○国務大臣(福田一君) 市川さんにお答えいたしますけれども、私は何も、内藤さんとのお話を聞いておられてどういうふうにおとりになったか存じませんが、それはいろんな、たとえば市川さんが会ってくれとおっしゃればお会いすることもあるし、まあ内藤さんが今度言ってこられればお会いすることもあるでしょう。そういうことは私は当然だという意味で申し上げておったんで、その話の内容について一々私がこういうところで言うことになりますと、それはぐあいが悪いから申し上げないということを言っておったわけです。いま市川さんのおっしゃった意味は、私はこういう意味と解する。従来でも実際は――部長からも説明させますけれども、従来でも選挙期間中はある種の制限があるわけなんでございます。いろんな政治団体に対しても、そうでない団体に対してもある。まあそれがどういうふうに行われておったかということは別といたしまして、今度はそういうことははっきりしていこう、はっきりしませんとあのビラ公害みたいなものが出てめちゃくちゃにはんらんするというようなことが起きますので、これを一応制限したい、こういう気持ちで取り扱っておることは事実でございますけれども、私は何も労働団体だけが日本の国民じゃなくて、農民もあれば消費者活動をなさる方もあれば、皆さんをわれわれは対象として考えなければならないんだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
#265
○委員以外の議員(市川房枝君) いまの大臣のお答え、それはそうですわね。ただしかし、何をお話になったのかそれはよくわからないのですけれども、さっきの総評の文書を伺っておって、そしてそれらしきことはあったということだけは、伺っていてそういう印象を持つのですが、それで、いま、いままでも選挙中にはそういう制限らしきことをやってきたとおっしゃったんですが、そうじゃありませんよ。つまり、政治団体に対しては選挙中運動をしてはならぬ、政治運動をしてならぬという規定はあり、それはみんな守ってきているのですが、今度のはそうじゃない。政治団体はもちろんできない。確認団体だけはいいんですけれども、いわゆるそうでない政党なり政治団体はもちろんできないけれども、そうではない、政治団体ではない一般の団体、その中にはいろんな団体がありますが、そういう団体がたとえばビラならビラをまこうとするときに、そのビラの中にたとえば物価値下げ、あるいはインフレーション反対というような、これは明らかに政治問題ですけれども、そういうビラをまいていたら、これはやっぱり警察からあれじゃありませんか。だから、それをみんな心配している。いわゆるそういう政治活動といいますか、一体政治活動とはどういうのを言うのか、その定義は今度の法律の中にはないみたいですけれども、私は有権者、主権者である有権者としては、選挙中だって当然政治活動をしてもいいんだ。選挙活動には制限があると思いますよ。だから、その程度は――それを制限するということは、私はやっぱり言論の圧迫になるんだと、おおよそ議会制民主主義には反する方向を向いておいでになるのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#266
○政府委員(土屋佳照君) 私からで恐縮でございますが、従来もそういうことはあったんだということについてもう少し詳しく申し上げますと、御承知のように、政治活動は自由であるということは、一つの考え方として当然あり得ることだと思うのでございます。しかし、その政治活動であっても、選挙期間中になると、いろいろと選挙活動とまぎらわしいことが出てくるので、現在の二百一条の五以下のところは、政治活動についての禁止規定が現在あるわけでございます。その政治活動について、選挙運動期間中は政談演説会とか、あるいは街頭演説会の開催とか、ポスターの掲示とか、あるいは立て札、看板の掲示、ビラの頒布、こういったことは、政党その他の政治団体であっても一応は禁止をされる。そして確認団体だけがある一定の範囲での行動を許すというようなこと、それがいいかどうかの立法上の問題は別としまして、現在そういう立法がなされておるわけでございます。そういった意味では、政治活動についての規制というのもある。
 そこで、現在の政党その他の政治団体という場合どういうものがあったかと申しますと、その例で申し上げた方がわかりやすいと思うのでございますが、たとえば消費者関係の者が物価について意見を述べたと申しましても、たとえば全国消費者連合会というのは政治団体としてちゃんと現実に届け出があるわけであります。もちろん主婦連合会、婦人と生活の会とか、そういったところも、それから日本保育推進連盟というのも、みんな政治団体として届け出が現にあるわけです。したがいまして、現在でもこういうところはみんな二百一条の五の規制がかかっておるわけなんです。そういうところが政治活動としてビラの配布とかどうとかと行われれば、現在でもそれは禁止をされておるということには変わりがないわけなんでございます。そこで今度政治団体というものの定義を変えて、それが非常に狭くなってしまったので、他意はあるわけでない、従来と同じ範囲、すなわち、いまのようなところは今後は政治団体から落ちることになります。そうしますと、やはり政治活動を行うことを本来の目的としないけれども、本来の目的じゃないが、政治活動がその団体の活動として従たる活動であったりしましても、それはそういう活動をいろいろやられると、選挙に関連してビラがまかれ演説会が持たれとなると、やはりいまの二百一条の五の禁止の精神に反するということで、やはり従来と同じような幅にしようということでやっておるわけでございまして、たとえば、この前ある主婦団体がサッカリン使用の禁止を要求したようなビラをまいたらどうか、そういった政治に関係のないものは直接問題がないと思うのでございますけれども、そういうことで私どもとしては、今度の政治資金規正法によって定義を変えたために、従来と同じ取り扱いをしようということでやったわけでございます。従来全部野放しだったというわけではないわけでございます。といって、新しく従来よりも幅を広げて全部制限してしまおうというような、そういう意図も持ってないつもりでございます。
#267
○委員長(中西一郎君) ちょっと委員長から申し上げます。
 答弁なさる方も質問なさる方も、距離が近いものですから、お互い小さな声でもお話が通ずるかもしれませんが、遠い方も聞いておられますので、もう少し発言を明確にしていただきたいと思います。
#268
○委員以外の議員(市川房枝君) いまの選挙部長の、いろいろな消費者団体、そういうものも政治団体の届け出をしていると、そうおっしゃっておるんですけれども、届け出しているものもありますけれども、全部がそうじゃありませんよ。そしてまた、政治団体、政治を目的として、あるいは行動を主たるあれとしていないんであって、政治団体の枠の中には入らない。だから、もしそういうものが入っていれば、それは政治団体を抜ければむしろいいんだけれども、それにしたって今度の法律の解釈では、政治団体でなくたってやっぱり政治活動を行うと――その認定は、いまおっしゃったんですけれども、サッカリンはそうじゃないとか、やれインフレーションはどうだとか、そういう判断はどこがするかと言えば、警察なんでしょう。だから、一般には非常に心配をしているわけなんですよ。だから、労働組合のさっきの解釈、これはどういうふうな将来お扱いになるかもしれないけれども、それは当然平等に扱っていただくとか――いや、こういう規定は逆行するものであって、取っていただきたい、削除してほしいということを私は希望しておるんですが、これはさっきのお話からこの問題を先へ申し上げたんですが、自治大臣にお伺いしたいこと、最初に一般的な問題として伺いたいことが三つありますから、それをまず申し上げます。
 今度のこの二法案は、なかなかむずかしいといいますか、いろいろ皆さんの問答を伺っていて、あるいは私が法案を見てみても、なかなかよくわからないんです。一般の国民の人たちは、主権者であるのに、憲法に次ぐ私は最も重要なる法律だと思うのですが、よくわかっていないんですよ。だんだん少しずつわかりかけて騒いでいるわけなんですが、選挙法がそういうふうに、今度ばかりじゃない、前から実はわかりにくい法律だということになってはいますけれども、これ、大臣、どういうふうにお感じになっておりますか。
#269
○国務大臣(福田一君) お説のとおり、なかなかこれはわかりにくい面があると存じます。
#270
○委員以外の議員(市川房枝君) わかりにくいって、それだけじゃ……。何とかわからせるようにといいますか、これは文章の問題も入りますけれども、これはこの法律だけじゃない、一般に法律は国民から言いますとわかりにくいと言えるんですけれども、これはわかりにくいでしょうなんて言ってそのままじゃ困るのであって、これはひとつ考えていただきたいと思うんですが、この法律は自治省としてはいつごろから立案をお始めになって、いつごろ成案を得られたのか、あるいはどなたがこれを立案されたのかということを伺いたいんですが。
#271
○政府委員(土屋佳照君) 関連づけて申しますと、昨年の選挙が済んだ後からいろいろと話題が出てまいりまして、大変世間的に選挙としては批判が多かった選挙でございましたのでいろいろ議論がございました。それについていろいろ議論をしてきておったことは事実でございますし、特に衆議院においては、あれは実質審議に入られたのが九月ごろからだったかと存じますが、小委員会等を設けられてやられ、参議院でも小委員会を設けてやろうという機運もございましたし、そういうことを通じて、ずっと昨年来検討は続けられてきておったわけでございます。そのうちに、ことしになりましてからでございますか、たとえばそれぞれの党も、自民党もその他の党もいろいろ検討され、自民党でもいろいろ議論がされ、検討がされてまいりました。そういうところの作業とあわせて、私どもも意見を聞きながら準備を進めてきたわけでございまして、そして御承知のように、政府提案として出します場合は、一応与党の政審、総務会と、そういったところを通じて出てきておるわけでございますから、全然どこかと隔離してこうつくったとかというわけではございませんで、総合的な形でつくられてきたということが言えるかと存じます。
#272
○委員以外の議員(市川房枝君) 自治省の皆様方がその起案をなすったんだろうと思うんですけれども、皆さん方は、しょっちゅうかわっておいでになって、自治省で本当に重要なむずかしいといいましょうか、法律を専門にちゃんと研究しておいでになって、責任を持って立案なさると、もちろん自民党の選挙制度調査会だの、あるいは野党の方の御意見もお聞きにはなっているんでしょうけれども、そういう点ですね、私はやっぱり自治省の中というより、あるいは自治省の外郭団体でもいいけれども、本当は選挙法あるいは政治資金規正法等関連の法律に対しての調査といいますか、研究といいますか、そういう機関が必要ではないのか。そうして立案されたらそれを国民に発表すると。いや、一般に政党だの候補者の方はもちろんですけれども、国民の間でも検討すると、そのために私は、やっぱり少なくとも一年ぐらい前、半年前といいますか、いいけれども、成案をやっぱり発表して、そしてそれに対していろいろな意見を出させると、批判させると、そういう私は筋道をとるべきじゃないのかしら。どうも今度の案は、非常に、去年の選挙の後といいますけれども、実際に立案なさったのはことしになってからみたいにいま伺ったんですが、先ほどからもいろいろな御疑問が皆さんから出ておりますけれども、こういう状態でこれが成立してしまうということであれば、私は国民は非常に不満で、いやそれが政治不信になおつながるんではないのかということをむしろ心配するんですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。
#273
○国務大臣(福田一君) まあ選挙法などは非常に重要な法案であります。ほかの法案もそうでありますが、やはり国民の意思を十分に聞く必要がある。先生がおっしゃったような趣旨のものがあることも必要であると思います。選挙制度審議会というのがいままでありましたときは、そこでいろんなこういうことをということが出ておったんでありますが、いまは実はそれがございませんので、唐突のようにお考えになるかもしれませんが、しかし、自治省には相当やっぱりベテランがおりまして、ずうっと継続して選挙法のことは勉強をいたしておりますので、唐突に出したものでないことだけはひとつ御理解をしていただきたいと存ずるのであります。
#274
○委員以外の議員(市川房枝君) まあこの選挙なんかのルールというものは、私は、やっぱり選挙に参加する政党あるいは候補者それから国民の有権者というものの合意が必要だと思うんですけれどもね。みんなが納得できるというか賛成するというか、そういうことでなければおもしろくないんじゃないか。いままでは大体そうでしたね。わりあいに各党で相談をなすって、そうして一致したことが国会に提出されて成立してきたという経過だったと思うんですけれども、今度この法律は、衆議院では、公職選挙法の方は自民、社会、民社の賛成で、共産党、公明党の反対、政治資金規正法は自民党だけの賛成で通過しましたね。これは、国民にはどうしてこんなふうに対立しあれするのかは、国民から見ると、やっぱり各政党がそれこそ党利党略といいますか、あるいは権力の争奪につながるということからだと映っているんですけれどもね。それは間違っていますか。
#275
○国務大臣(福田一君) 私はこれが、市川さんのおっしゃるように国民に映っているかどうかということについてお答えする知識がございませんけれども、まあ法律というものはできるだけ国民にわかってもらって、そして成立さすようにすべきものだと思っておりますが、昨年来御案内のように、田中内閣時代から政治資金の問題が特に取り上げられ、それからまた人口問題について憲法違反であるというような意見まで出まして、人口を無視しておるというような、そこでこれはどうしても改正をしなければならないというので出してきておるわけでございまして、その意味では選挙、一般の国民の皆様も何でこういうものが出てきたかということはおわかり願っていると思うんでありますが、その内容については、なかなかこれは、いまあなたがおっしゃったように、むずかしい、わかりにくいということについてはわれわれもさようかと存ずるのでありますが、かといって、これをつくらないでいいかということになると、いつまでたってもつくれません。
 それから国民の合意を得なければいけないとおっしゃる、ごもっともでございます。しかし、国民の合意を得る方法ということになりますと、解散でもして意見聞いてみるということにでも相なりましょうか、なかなか方法がむずかしゅうございます。できるだけ聞けとおっしゃることならばそれは意味がわかるわけでありまして、そういう意味では、どなたでも私のところへ陳情においでになればお会いします。私のところの幹部も、みんなそういたしておるだろうと思うわけでございます。
#276
○委員以外の議員(市川房枝君) あと少しこの問題、別に少し伺いたいと思っております。
 公職選挙法の中で、衆議院の議員定数が二十名増加いたしました。増加だけで減さなかったということ、つまりいまの枠内で増減をしてほしい、アンバランスを是正してほしいということが国民の強い要求だったと思いますけれども、まあその減すことが政治問題としてむずかしいということも承知はしておりますけれども、国民の、ふやさないで、定数内でという希望は、やっぱり議員が一人ふえれば一年に一人二千万円ぐらい要るんでしょう。そういうことだとか、あるいは議員の数がふえて、それじゃ国民が、政治がよくなるかどうかという保証もないということが私は国民の反対の理由だと思うんですが、一応まあそれにしても、幾らか衆議院のアンバランスがそれによって是正されたということは、私は評価はこの点はしているわけですけれども、ただ、これで大臣、だんだんまたふやしておいでになりますか。将来はどうなんですか。
#277
○国務大臣(福田一君) 私は、あなたが御指摘になりましたように、これからだんだんふやすということはむずかしかろうと思います。実はまああんまりふやしますと、もう衆議院のあの議席が入らなくなる、あの議場の中へ入らない。今後やるということになると、どうしてもアンバランスの是正ということでないと困難である、そういう物理的な面におきましても非常に困難であろうかと存じておるわけでございます。
#278
○委員以外の議員(市川房枝君) 定数の是正は、衆議院の方は別表のおしまいについてますわね。「本表は、この法律施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」と、更正しろとは書いてないことが、いままでこれが守られなかったんですけれども、これはどうなんですか、今度の改正あたりで「更正するのを例とする。」と言わないで、更正するものとすとか、あるいはもうちょっと強い言葉でこれを訂正しておおきになると、この次から私は是正の場合に楽だ、いや皆さん方の方がむしろ楽をなさるので、いろいろ議論が出てこなくて、と思いますけれども、どうなんですか。
#279
○国務大臣(福田一君) 衆議院議員の場合におきましても、やっぱりまあ何といいますか、地区代表的な意見もございまして、なかなかそう簡単に、この数を減らすというような場合問題むずかしゅうございます。それを解決していくのが政治ではないかとおっしゃればごもっともなんですが、われわれとしては、今後はそういう意味で努力をいたす必要がある。しかし、そういう場合にも、理想論から言えば、政党が選挙をやって、個人が余り金を使うということのないようなやり方もいいんではないかということになると、小選挙区制という問題もまた出てくるわけです。しかし、私は、ここで小選挙区制をやるとは言うてはおりませんけれども、とにかくいろいろな問題を考えて、今後大いにひとつ研究をいたしていかねばならないと考えておるわけでございます。
#280
○委員以外の議員(市川房枝君) いまのお話ですと、今後もうすぐ国勢調査がことしあるんですが、だんだんアンバランスがまたひどくなっていくと思うんですけど、そういうのをやっぱりもうほっておくといいますか、ということになるんでしょうか。あるいはそれを取り上げて解決をするようになるか、これは国民としては一番重大なんですよね。議員の方は余りこれは直接関係ないかもしれませんけど、国民は、自分たちの一票の重さの問題になってきますから、非常に真剣だと思います。それで、そういうアンバランスの是正だとか、あるいは衆議院の場合は、まあこれは小選挙区のいまお話がありましたけれども、その区割りですね、今度も少しあったんですけど、その区割りがなかなか問題なんで、今度も少しあったようですね。あったようなんだが、そういうのを第三者機関といいましょうか、これはイギリスでやっておりますね。上院と下院の議長と、それから統計局長というような人で区画委員会というのをつくって、そしてそこでの決定を議会が承認するというような形で、こういう問題に対してのトラブルはイギリスではないんですけれども、そういう機関をつくって考えるというようなお気持ちはございませんか。
#281
○国務大臣(福田一君) 一つの有力なお考えだと思います。ということは、それぞれの議員がそれぞれのやはり利害関係、地区に対する利害関係等もございまして、あるいはまた政党間の利害関係もございますし、なかなかむずかしいということになれば、何かそういうような機関でもって問題を処理するということでないと、今後非常にむずかしかろうかと思っております。
#282
○委員以外の議員(市川房枝君) 定数の是正、まあ衆議院は一応ああいう形で原案に入ったんですが、参議院の地方区の問題が原案に入っていないと、それでアンバランスは衆議院よりも参議院の方がひどいといいましょうか、まあ衆議院は今度二・八の倍率になったんだけれども、参議院の方は五・〇八の倍率なわけで、だから、これに対する有権者の非常な不満が強いわけでして、まあいま参議院の方でいろいろ皆さん各党派で御心配になっておりますけれども、果たして入るかどうかというのは今後の問題になりますけれども、これは自治省としてはどういうふうにお考えになっているのか。今度入れなかったということは、私は、これはやっぱり自治省が責任をある程度感じてくださっていいのではないかというふうに思うんですけれども、どうでございますか。
#283
○国務大臣(福田一君) これはしばしばお答えをいたしておるところでございますが、衆議院と参議院とでは構成のやり方が違います、御案内のように。衆議院の場合は総選挙は一回でございます。一遍に全部かわる。ところが、参議院の場合は二分の一ずつかわる。しかも、地方区というのはある一定の地区での選挙、全国区は全国でもって投票を集めて当落が決まるというふうな制度の違いがございます。それから参議院におきましては、これは地方区ができました段階において、成立の当時の文書等をいろいろ見ますと、やはり地方区というのには地域代表という意味がはっきり出ております。それを尊重したという、それだけによったという意味ではもちろんございませんが、加味するということが入っております。こういうようなこともございまして、この地方区の問題をどう考えていくべきかということについては、皆さん方もいろいろ御審議を願っておる。そこで皆さん方の御意見が一致すれば、これはもう当然やらにゃならぬと思っておりますけれども、衆議院の場合は各党が一致したんですから、これはもうみんなが一致したということですから当然やらなければいけないが、まだ参議院ではそこへ到達したと承っておりません。そこで入れなかったわけです。
 それからもう一つは、やはりそういうことならば、地方区と全国区を設けたならば、地方区の問題を考えるならばですよ、アンバランスの是正ということを考えるなら、それじゃこの全国区の問題もここでひとつ考えてみるべきではないかということでいろいろ研究したんでありますけれども、これもなかなか意見が合いません。政府部内においても、というか、自民党との間においても意見が一致しなかったということがございまして、ついにこれがこの法案の中へ入れることが、提案することができなかったというのが実相でございます。
#284
○委員以外の議員(市川房枝君) 参議院の地方区の問題は、いま大臣もおっしゃいましたけれども、やっぱりこれは人口比例だけではなくて地域性を考えるべきだと、だから二名を最低にして、そしてあと余分なものは人口で配分をしてもいいと、まあこういうふうに考えて、定数はふやさないという一応案をつくってこの小委員会の方へお出しをしたわけですけれども、だから、そういういま全国区との話がありましたけれども、これは全国区、地方区は参議院の選挙制度の問題になるんで、アンバランスの問題というか、有権者の側からの一票の重さから言えば、全国区の方は問題ではなくて、やっぱり地方区が問題なんであって、そういう意味で、分けて私は当然考えていただいていいはずだと思い、自民党は、剱木さんおいでになりますけれども、剱木さんの試案として地方区のアンバランスの是正、現在の枠内でということでこの間案をお示しいただいて、それを拝見したわけなんですが、はっきりと全国区と地方区とを分けてそういう案をお出しいただいたことは、私は評価をしているわけなんですが、これを三木総理は、今度は三木総理も大臣のおっしゃったと同じように、参議院がまとまらないんだと、だから出せなかったんだ、しかしこの次の参議院の選挙までにはぜひアンバランスを是正するというか、地方区の定員の問題を成立させると、こういうことをおっしゃっているんですけれども、自治大臣はどうですか、その点。
#285
○国務大臣(福田一君) 私も、次の選挙までにはこの是正を行いたいものだと考えております。
#286
○委員以外の議員(市川房枝君) ただ、そのお約束が、やっぱり実行されるという保証はないのであって、だからこの機会を外したら、ちょっと参議院のまた地方区はそのままほっておかれるのじゃないか、という実は心配を持っておることだけを申し上げておきます。
 次に、供託金の問題、これはさっき公明党の多田さんからいろいろお話がありましたけど、供託金を三倍以上に値上げをされたことですね。これの説明もありましたが、それと没収の限度も高くされましたね。あるいはビラ等は実費を後で徴収するというようなお話もさっきありましたが、やはりこういうふうに高くなり、そういうことになると、一般の有権者の中でいわゆる成人は被選挙権もあるわけなんでして、その被選挙権を一般の国民は行使できない、やっぱり金がなくちゃだめなんだと、これも先ほどからお話が出ていましたけれども、いわゆる憲法の四十四条で、両院議員の資格はという中に、おしまいに持って行って、財産、収入によって差別してはならないとあるので、これは憲法の問題にも関するのだという議論さえ出ているのですけれども、この問題は、私は泡沫候補が出ないようにする一つの方策としてとられているのじゃないかと思うのですけれども、しかし一番大事なことは、泡沫候補を当選させるかどうかということは有権者が判別するわけであって、むしろそういう理由でもって一般の有権者の被選挙権の行使に枠をはめるというか、ということになってくるので、これは重大な問題なんだというふうに私は考えているのですが、大臣はその点はどういうふうにお考えになりますか。
#287
○国務大臣(福田一君) 市川さんのおっしゃる意味もよく理解できるところでございます。ただ、そういうことにいたしますと、多数の立候補者が出まして、そして何といいますか、ただ自分がテレビに一遍出たいんだと、そのためにはといって千票か二千票しか取らないような人がぞろぞろと出てくることは、果たして本当に政治を目的にしているのかどうかと思わざるを得ませんね。そういう泡沫候補と言うと間違っておるかもしれぬ――自分の被選挙権はあるんですからそれは当然ですけれども、しかし、そういう人がむやみに出るということはどうであろうか。また、そういう方がたくさん出られますと、テレビ放送なんかだんだんできなくなってしまうのですね。いまでさえ十分にできないわけです。これもうだんだんふえますと、とてもそういうようなことについて――一番テレビがいま影響力があるんですね、御案内のように。三〇%と言われております、調べてみると。その三〇%で、あとは新聞とか、あるいは選挙公報とかなんとかあって、あとはビラということで、まあわりあいにビラなどは下の方へいってますがね、これは数字ですから申し上げるのですけれども。しかし、やっぱり何といっても、茶の間で聞いてその人を知るということが一番いいと思います。それにはあんまりたくさん出られますと、平等にこれを放送いたしますと時間がいかにも短縮されてしまうということもございまして、それらの問題も考え合わせて一応われわれは今度はこの程度に引き上げるべきであると。確かに国民の権利を侵害するというか、抑えることはいいことではないが、そういう弊害もあるので、乱用する者もあるので、乱用を防ぐ意味でこういうように一応したということでございます。この点は、あなたのおっしゃる気持ちはよくわかっておるつもりでございます。
#288
○委員以外の議員(市川房枝君) テレビに出たいというんだったら、それはもっと高くなったって出てくるでしょう。だから私は、候補者のそういう人というか、本当にまじめに出てくる人たちの、出てくるようなふうなことは、別な方法でもう少しお考えをいただいたらいいんじゃないか。だから、その立候補について、今度の改正案には何にも触れていないわけですけれども、私ども大分前から立候補についていろんな意見を持って申し上げてきておるのですけれども、一つは公職選挙法の八十六条の第二項といいますか、日本では立候補の届け出は二色ありますわね。候補者個人が届け出るのと、それから推薦者が届け出るのと、推薦候補、この二色あるんですが、御承知のとおりイギリスは個人で届け出はできない、やっぱり推薦候補だけですね。だから、日本は幸いにしてといいますか、選挙法の中にその制度は入っているんだけれども、一体、それ、どのくらい利用者があるのか、そういう調査をなすったことありますか。
#289
○政府委員(土屋佳照君) 推薦届け出について、確たる資料はちょっと手元に持っておりません。いままでそういう正確なあるいは調査をしていないかもしれませんが、一度私ども調べてみたいと存じます。
#290
○委員以外の議員(市川房枝君) 自治省としては、余りそっちの方を奨励しようという気持ちもお持ちになっていないから、数字も調べてないといいますか、ということじゃないかと思うのですが、私は、いまのような立候補制度でなくて、それこそイギリスのように推薦者を、何人かの推薦者を、それで立候補届け出をするということになれば、個人でなくて、そうすると、選挙というものに対する一般の国民と候補者との関係が、私はいまのようなのと違うと思うのです。いまは、やっぱり候補者の方が有権者に頭を下げて、投票してくれと頼まなければならない。そうでない、推薦者がいてそうして立候補なされば、今度はそういう関係でなくて、推薦者が私は主になってというか、一生懸命やるのであって、だから選挙というものを有権者のものにする。いまはどっちかと言うと、有権者は選挙ではむしろ第三者みたいな立場で見ているというか、それは応援する人も少しはあるけれども、どっちかと言えばそれが私は日本の選挙を腐敗させる、金が余計要るようにするという一つの大きな問題ではないのかと思うのですけれどもね。だから、私の言うようにすぐそれだけにするということはたとえば困難としても、自治省が本当に選挙というものをいまのままじゃ困るとお考えになるんだったら、そういう制度があるのでそれを進めるというようなことを掲げてやっていただけたらいいと思うのですけれどもね。
 それから立候補の問題でもう一つ、これはもう十年もっと前ですか、この参議院で緑風会という団体がおありになりまして、これは無所属中立の団体でいらしたのですが、その緑風会の方々と、私はそのころから無所属だったのですが、立候補のある程度の制限といいましょうか、つまり参議院で申しますならば、公の地位を利用して事前運動といいますか、あるいは公の金で事前運動を行うというような弊害を除くために、たとえば高級官僚の方々はおやめになってから二年ぐらいは立候補を遠慮していただくというようなことにしたらどうか、あるいは知事あるいは市町村長は余り何回も立候補しない、せいぜい三期ぐらいで、一遍休んでそれでまた出てきて結構なんだけれども、そういう制度にしてはどうか、これはアメリカなんかにもそういう制度があるんですけれども、そういうことを話し合って、たしか一遍法律案を出したことがあったんじゃないかと思いますけれども、それについて自治大臣はどうお考えになりますか。
#291
○政府委員(土屋佳照君) 基本的な点は大臣からお答えいただくと存じますが、最初のいわゆる立候補届け出制度について、推薦届け出制ということにしたらどうかというような御意見があったわけでございます。
 その前に、ちょっと手元に資料がなかったわけでございますが、先ほどの数をちょっと申し上げておきますと、四十七年の暮れの総選挙のときは、八百九十六人の候補者のうちで四十人が推薦届け出になっております。それから先般、昨年の参議院の選挙のときは、全国区、地方区合わせまして三百四十九人の立候補者のうちで十七人が推薦届け出ということになっております。
 そこでこの問題でございますが、この点については先生御指摘のとおり、いろいろ過去にもやっぱり議論がございまして、第五次の選挙制度審議会のときには第二委員長の報告にもいろいろ出ておるわけでございまして、これは政党本位の選挙ということを進める場合におきまして、本人の立候補を禁止をして、立候補の届け出は政党または一定数の推薦人の署名による推薦届け出に限るべきであるという提案があったという事実も述べておるわけでございます。ただ、まあ現実問題として推薦を進めるということになりますと、推薦者がいまのように少数であれば、これはもう余り個人が出るのと変わらない、ある程度多数の人の信任を得ている人が選ばれてくる、こういうかっこうになってまいりますと、今度は立候補の自由との関係もございます上に、推薦人を得るということに名をかりて選挙運動が、事前運動が行われるといったようなこと等も当時記録として審議会の論議の中に残っておるわけでございます。そういったこと等がございますので、一挙にそこまで踏み切るということはなかなかできなかったわけでございますけれども、まあまあ今後の全般的な制度改革の過程においてどうするかということは、一つのやっぱり話題ではあるだろうと思っております。
 それから高級公務員の立候補制限については、第一次選挙制度審議会でも御承知のように答申があったわけでございますが、高級公務員に限って立候補そのものを制限するということは、やはり憲法上あるいは立法技術的にもいろいろ問題がございますので、御承知のように三十七年の公選法の改正の際に、公務員のいわゆる地位利用禁止、地盤培養行為の禁止、連座制の強化といった形で答申が行われてそれがなったということがございまして、なお今後の問題については、あるいは大臣からまたお話があろうかと存じます。
 それから、多選禁止につきましては、これはやはり多選に伴っていろいろ弊害があるということは言われておりますし、事実そういう問題があるだろうと思うのでございます。しからば直ちに禁止するのがいいかどうか、場合によっては住民なり国民がいいと、いまの場合は住民でございますが、いいと言う方はいいではないかという議論も一方にはございますし、立候補の自由との関連もございますし、いろいろ問題はあると確かに思うのでございますが、そういうことがあって現在までその点についての改革といったようなものは行われていないのだというふうに考えておるわけでございます。
#292
○委員以外の議員(市川房枝君) 次は、選挙費用のことをちょっと伺いたいと思うのですが、法定選挙費用、今度三割ないし四割引き上げをなさることを先ほどから御答弁ありましたですね。法定選挙費用の計算の仕方は一体どういうことになっているのか。昔はある程度はっきりありましたけれども、ここのところ、最近はいいかげんにやはり値上げをするということみたいなふうな印象を受けておりますけれども、ちゃんとその基準がありましたら、それをおっしゃっていただきたい。
#293
○政府委員(土屋佳照君) 選挙費用に関連いたしまして、それぞれの地区でその法定費用が幾らになるということは、これはまあ政令ではっきり決まっておるわけでございますが、先生のおっしゃいますのは、どんな形でその基準になる額を決めるかと、こういうことだろうかと存じます。私ども、従来からいろいろとやり方はあるわけでございますけれども、これは申し上げるまでもなく、選挙となれば選挙事務所が必要になってまいりますし、その借り上げ料もございますれば、そこで働く事務員の報酬とか、あるいは弁当代、通信費その他いろいろあるわけでございます。また、演説会、街頭演説をやりましても、会場借り上げとか、いろいろございます。それから、文書図画についでも、ポスターの印刷費なり、ポスターの掲示の費用、あるいははがきについても、それを場合によっては人を雇って響くというようなこともございまして、人によっていろいろ態様は異なっておると思うのでございますが、そういうことに関連しましてどうしても出てきますのは、そういった物的施設の借り上げとか、あるいはそこで働く、これがまあ大きいと思いますが、人的な人件費でございますね、そういったこと等がございます。私どもそれをいろいろと具体的に、実際に選挙の済んだ後、何万円までで借りたのはどれくらいかというような実態も調べたりしまして、そういうものを基礎に置きながら、そうしてまた基礎になります人的な人件費といったようなものは今回政令に落とすことにはいたしておりますけれども、例の公選法で費用弁償の額とか、あるいは宿泊費あるいは食費といったようなもの全部決めておるわけでございます。そういったものを積み上げまして、かなり細かい複雑な計算をいたしておりますが、そういうことをもとにし、まあ物価の動向その他も勘案しながら決めておるわけでございまして、そういうことで、昨年二倍ぐらいに引き上げ、そうしてまた今回四割以上に多分今度の修正等を含めますとなると思いますけれども、規定をしたいと。ただ、まあそれが現実に実態に合うかどうかとなりますと、いろいろと個人の選挙の仕方によりまして、非常にぜいたくなところを借りられる場合とか、いろいろあろうかと思いますが、私どもとしては、まあ通常これぐらいならという質素なところを考えてやっておるわけでございまして、ただまあ、そういうものが実態に合うか合わぬかということは、今後適時判断をしながら、一々法律改正ということじゃなくて、皆さんよくこの政令の規定は御存じなわけでございますから、御注意があればそういった実態を見ながら改定をしていこうというふうに考えておるわけでございます。
#294
○委員以外の議員(市川房枝君) 決まった法定選挙費用と、それから実際にどのぐらい金が要ったかということもちょっとわからないのですけれども、しかし法定選挙費用というものが、選挙費用の中でどのくらいの割合というか、ウエートというかということはお調べになっておりますか。
#295
○政府委員(土屋佳照君) 私ども、個々の方々がどういう運動をされるかということについて、われわれでわかるわけではございませんので、まあ一応法定費用の範囲内で届け出をしていただいておるわけでございます。それ以外に実態がどうかと言われましても、ちょっと私どもとしてはそれはわかりかねるわけでございます。
#296
○委員以外の議員(市川房枝君) 法定選挙費用の問題を話し合うときに、法定選挙費用は何ぼに決めたってそんなもんだめなんだと、実際は行われていやしないんだから。つまり、これを励行させるということですね。それが問題なんだと。実は、十年ぐらい前になりますか、選挙制度審議会で、選挙をきれいにするにはどうしたらいいかということで、前の衆議院の議長をしておられました清瀬一郎さんとそれから片山哲さんと私と三人呼ばれて、それぞれいろいろ話をしたんですけれども、そのとき清瀬さんのおっしゃるのには、法定選挙費用を守らせればそれで選挙はきれいになるんだと、こういうふうにおっしゃいましたけどね、それが守られるというか、行えるというには、どうしたら守られるのかというところが問題でしょうね。けれども、それは私は、やっぱりただ法定選挙費用なんて決めておいたって、ちっともそれは、もう届けるのは法定選挙費用より少なくみんな届けていらっしゃるのだけれども、みんなあれは一つの物笑いといいますか、の種になっていますね。だから、それじゃやっぱり私は法を守るという点からも困るし、いっそ守られないような法定選挙費用ならやめたらいいでしょう、出さなければいいとも言い得るでしょうけれども、だからそれは自治省として、ひとつ今度改定をなさるならば、それの実効のこともあわせて考えていただきたいと思うんです。
 それからもう一つ、選挙費用に関連して、選挙費用の届け出た費用は、全国区は官報ですね、あるいは衆議院の場合は各地方の府県の公報に大体の要目をお出しになるんですけれども、国民は官報を見たり、あるいは県の公報なんというものを見るというか、そんなのそこらにないですから、見てもよくわからぬのだけれども、あれは形式としてそう決まっているからお出しになるんでしょうけれども、私はもう、一遍届け出た法定選挙費用、それがうそかもしれぬけれども、うそはうそでもちゃんとやっぱりそれを認めて、そしてもっと国民に知らせるという方法をやっていただけないのかどうか。イギリスでは、選挙費用を国会がちゃんと出版しているんですよ。その選挙済んだ後、選挙費用もいろいろ含めてしている。そしてそれをちゃんと売っているんですよ。ただじゃないんです。だから私は、まあ国会の方がどういうことになるかわかりませんけれども、自治省がそういうものをお出しになって、そしてお売りになったらいいじゃないですか。そういうことをしないから、やっぱり金の問題をみんなが余り問題にしなくなってしまうということで、ひとつそれお考えいただきたいと思うんですが、いかがですか。
#297
○政府委員(土屋佳照君) いまお話のことは、確かにそういった考えは私どもも理解できるわけでございます。何せ、候補者も非常に数が多いものですから、一応官報というかっこうで御必要な方はそれをごらんいただくと。それに、私どものところには基本的なものがございますので、これは閲覧もできないことはないわけでございますけれども、もっとたくさんの人にそれを見せる方法はないかと。まあつくって売っておるという例までお話いただいたわけでございますが、そういったことをもう少しわからす方法ということは、私どもも検討をいたします。
#298
○委員以外の議員(市川房枝君) だんだん時間が少なくなりました。衆議院の修正案の方の御説明をちょっと伺うためにおいでいただいてどうもありがとうございました、お待たせいたして済みませんが。
 後、本当は私は、公営の拡大について私は賛成をしていない。国民の税金をどんどん勝手にふやされて、本当は国民はみんなそういう気持ちを持っているんですが。それから政党の機関紙の問題、これも私は、何も法律でこれを制限する必要はない。これは国民の方が判断をすると。むしろ言論の圧迫、そういうことにつながるような規制はやっぱりしていただきたくない。まあそれを申し上げようと思いましてね。それから政治資金規正法の改正ではいろいろ申し上げることがあり、附則十条はちょっとさっき申し上げたんですけれども、少し申し上げたいのは、あるいは企業ぐるみ選挙、あるいは選挙管理の機構の問題なんかありますが、衆議院からおいでいただきましたその政党の機関紙の問題、これを少しちょっと伺いたいと思いますが、衆議院で政党の機関紙並びに号外に対しての規制を今度は改正案でされたんですけれども、これに対してそれこそ自民党、社会党、民社党は御賛成になっているといいますか、共産党並びに公明党が反対をしておいでになりますけれども、これに対しての、この問題に対しての社会党及び民社の方においでいただいたんですが、党としてのお考えを、いままでにいろいろ御発表になっていると思いますけれども、私、ちょっと伺わせていただきたいと思います。
#299
○衆議院議員(山田芳治君) 御案内のように、いわゆる確認団体の届け出機関紙誌の問題につきまして、政府は一定の制限を加えるという法律案を提案をされたわけであります。そしてその方法は、政府原案では、機関紙の本紙につきましてはこれを定期購読者以外の者に対して頒布する場合は、政談演説会の会場内で行うときを除き有償頒布に限るという提案があったわけであります。私たちはこの問題を考えるときには、選挙運動と政治活動というものを区分をして考えて、政治活動というものはできるだけ憲法の理念に基づいて自由にすべきである。しかし、選挙運動は、従来から文書図画の配布というものについて一定の制限を加えているという法体系になっております。はがきの枚数を制限しポスターの枚数を制限する、あるいはテレビの政見放送等も公営において一定の回数であるというように、選挙運動については日本の国の選挙法の法体系というものは、ある程度制限的なものになっているということは事実であります。したがいまして、この政治活動についてはできるだけ自由を確保するけれども、選挙運動についてはいまの法体系を全般的に洗い直すならいざ知らず、現行法体系のもとにおいては、その手段というものを金のかからない限りにおいてはできるだけ多くその手段を発揮できるようにすべきであるというふうに考えているわけでありますが、そういう意味においては、公営というものを拡大すべきであるというふうにも考えているのが私どもの党でありますが、この政党機関紙の問題について言うならば、少なくても本紙についてはわれわれとしてはあくまでも通常の政治活動についての最も大切な武器であるというふうに考えておりましたので、この規制につきましては政治活動の自由への制限でありますから、これは何としてもこの規制については修正をいたしたいということで原案を修正をして、通常の方法で頒布するというもとの原案に返すべきであるということを強く主張したわけであります。
 なお、申しおくれましたけれども、この修正案は社会党と民社党の共同提案でございますから、民社党と私どもの党の意見の合致に基づいて提案をして自民党の賛成を得た、こういう経緯でありますから、民社党の党の考え方も私どもの党の考え方も同一であるということを申し添えておきますけれども、いわゆる政治活動の最大の武器である政党機関紙の本紙というものについてはこれはもとへ戻すべきであるということで、修正案を提案をいたしました。ただ、通常の方法という概念が、判例の中におきましても、何遍も出されているように非常にあいまいでありますから、その定義を「前六月間において平常行われていた方法をいい、その間に行われた臨時又は特別の方法を含まない。」一遍にぱっとまいたからこれは通常の方法だというわけにはいかないよ、六カ月間の運動の実績の中において認められているものを通常の頒布方法であるというふうに定義づけようではないか、こういうことにいたして「通常の方法」に戻した、こういうことであります。しかし、その本紙の号外については、これはこの委員会においても、あるいは衆議院の委員会においてもしばしば話がございますように、政策の問題、政治活動の問題においては号外を出すことは無制限、自由である。しかし、いままでの号外が、ともするといわゆる選挙の報道評論に関するものとして、特定候補者の名前を出したり、大きな写真を出して特定の候補者の選挙を有利にするというふうに類推されるようなものが間々あった。そういうものについては、やはり、選挙の公正という立場から、候補者間平等という立場から、これは一定の制限を加えるべきであるということで、選挙に関する報道評論を掲載した号外については、これは政府案にありますが、それを明確にさしていく、その内容を明確にさしていくということにおいてこれを認めていこうと、こういうことにいたしたわけでありますが、その明確にするということは、先ほどからも話がございますように、いわゆる純粋政策、あるいは本当の政治活動そのものというものについてはこれは自由でありますから、選挙というものがはっきりあらわれていない限りにおいては自由だということは、衆議院の委員会においても私自身も質問をして、ここにおられる自治大臣からも答弁をいただいておる、こういうわけでありますから、政治活動はできるだけ自由にする。しかし、選挙運動にわたる部分については、候補者間平等、選挙の公正という立場において、これを一定の範囲において制限をしていくということは、現行日本における選挙法体系の中からやむを得ないものと認めて修正案を提案をいたした、こういう次第でございます。
#300
○委員以外の議員(市川房枝君) ありがとうございました。
 民社の方おいでいただいたので、時間よろしゅうございますか、ちょっと。私は終わりますけど、ちょっと伺わせていただきたいと思います。
#301
○衆議院議員(小沢貞孝君) 選挙の報道評論を掲載した政党機関紙の本紙、確認団体の機関紙の本紙及び一般紙については、政府原案は選挙期間中及び投票日においてはこれは有償のものに限ると、こういう政府原案が出たわけです。ただ、政党の機関紙の本紙については、いま社会党の山田先生の言われたように、これはやっぱりもとに戻すべきだと、こういうぐあいで、いまと全く同じ意見であります。
 それから、確認団体の機関紙の号外については、政府原案は選挙の報道評論に関するものだけが規制されておるわけです。いま山田先生のちょっと言葉が足りなかった点があるいはあったかもしれませんが、それだけでは実は選挙の公正が期せられないという面が出てくるのではなかろうか。たとえば政党活動あるいは政策活動、こういう名前で何々地区委員会の委員長、その委員長が当該選挙区から出ておる場合には、そういう号外をたくさん配ることによっていわゆる選挙の公正が期せられない、こういう面が出てまいりますので、号外について、選挙の報道評論以外においても、当該選挙区に配るものについては、候補者の名前またはその名前が類推されるような号外については修正をしていこうと、こういうことで修正いたしたわけであります。どうかひとつ御了解をいただきたいと思います。
#302
○委員以外の議員(市川房枝君) ありがとうございました。
 では、委員長、ちょっと時間超過いたしましたが、ありがとうございました。何か別な機会でまた委員会発言をお許し得ましたら、あと残ってる問題を伺いたいと思います。どうもありがとうございました。
#303
○委員長(中西一郎君) 他に御発言がなければ、本日はこの程度にとどめます。
 次回の本委員会は六月二十九日金曜日、時間は追ってお知らせいたします。
 これにて散会いたします。
   午後六時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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