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#1
第075回国会 物価等対策特別委員会 第3号
昭和五十年三月十四日(金曜日)
   午後一時三十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡本  悟君
    理 事
                鳩山威一郎君
                安田 隆明君
                森下 昭司君
                山田 徹一君
                中沢伊登子君
    委 員
                小笠 公韶君
                大鷹 淑子君
                神田  博君
                平井 卓志君
                増田  盛君
                粕谷 照美君
                対馬 孝且君
                村田 秀三君
                山中 郁子君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       福田 赳夫君
   政府委員
       総理府総務副長
       官        松本 十郎君
       公正取引委員会
       委員長      高橋 俊英君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  野上 正人君
       経済企画庁長官
       官房参事官    有松  晃君
       経済企画庁調整
       局長       青木 慎三君
       経済企画庁国民
       生活局長     岩田 幸基君
       経済企画庁物価
       局長       喜多村治雄君
       経済企画庁調査
       局長       宮崎  勇君
       農林省食品流通
       局長       森  整治君
       資源エネルギー
       庁石油部長    左近友三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊池  拓君
   説明員
       大蔵省銀行局総
       務課長      清水  汪君
       通商産業省生活
       産業局繊維製品
       課長       福川 伸次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (物価対策の基本方針に関する件)
 (公正取引委員会の物価対策関係業務に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本悟君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 まず理事の辞任の件についてお諮りいたします。
 村田秀三君から文書をもって都合により理事を辞任をしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(岡本悟君) この際理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(岡本悟君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に森下昭司君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(岡本悟君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。
 前回の委員会において聴取いたしました物価対策の基本方針及び公正取引委員会の物価対策関係業務等について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○対馬孝且君 前回の物価特別委員会におきまして福田副総理の基本的な物価対策に関しての所信表明がございました。この件につきまして二、三基本的な姿勢をお伺いをしたいということと、これに関連をいたしまして北海道価格解消の問題に関しましてお尋ねをいたしたいと、こう思います。
 まず、副総理の所信表明についてお伺いをいたしますが、率直に物価安定対策というのは国民のいま最大の願いであるということは、総理が訴えられたとおりであります。問題は、この三月一五%を目標に下げたい、これも強調されました。すでに一三・七%というようなことを東京都では言っているやに聞いておりますが、しかし問題は一体物価鎮静になるのかということが国民のやっぱり疑問の一つであります、率直に申し上げまして。それは率直に言って新聞論調でも物価が下がったような印象を受けているのでありますが、つまり私はずばり申し上げまして、どうも大臣のこの物価対策の一五%ということが非常に無理をして数字を合わしているのではないか、こういう印象がぬぐい去らないわけであります。それというのは、率直に申し上げますが、三月十二日の日経等にも出ておりますけれども、どうも物価指数のとり方に基本的な問題があるのではないか。つまり官製バーゲンを行って、フードウイークを十大都市で行って、たとえば学用品を一〇%から三〇%下げる。生鮮食料品をホウレンソウ、野菜などを含めて、これまた一〇%から三〇%下げるといったような、こういう安売りデーの一定期間、十日間なら十日間設定をして、これを十大都市をして――東京都は拒否をいたしましたが、いずれにしましてもこういったやり方に対して、どうもやっぱり私なりに考えますと、個別対策並びにどうも春闘対策をねらいとして行われているんじゃないか、こういう感をいたしますので、まず基本的に、総理が言っている一五%物価対策というのは本当に国民大衆の信頼に足りる、本当の経済企画庁として物価指数というものは長期的に安定し得るものなのかどうか。この点を含めてひとつ、まず基本的な考え方を第一点お伺いしたい、こう思います。
#8
○国務大臣(福田赳夫君) わが国の物価指数は国際社会の基準に従ってやっております。これはもう公に認められておる基準に従ってやっておるのでありまして、国際社会でも大変信用を得ておる数字でございます。
 いま年度末一五%目標に向かって何か作為をしておるというような疑いのあるお話でございますが、それはもうそういうことは全然ありません。
 フードウイークを例にとられましたが、ああいうバーゲン的なことは政府でもやりますし、あるいは民間でもありますが、そういうものは指数に取り入れない、そういう仕組みになっておりますので、バーゲンセールがフードウイークという形で行われたと、政府によって行われたと、これは意図的に行われたんだと、そういうことはこれはもう全然ありませんから、指数は指数として御信頼いただきたい、かように考えておるわけです。
#9
○対馬孝且君 いま指数は指数として官製のバーゲン、そういった問題については指数の中に入っていないというお答えですが、実際に家計簿を中心にして全国何百世帯と、下から積み上げて調査をされているようですが、しかし国民生活白書の中にも出ていますが、第一分類から第五分類までの階級階層別のあれがこう出ておりますね。しかし、かなり調べてみますと、やっぱりいろいろ物価対策の、長官のもとにある課長段階でもずっと検討して、また北海道の場合は道行政なんかも私調べてまいりましたが、ところが、実際にこれ、アルバイトでもって家計簿を集約をして、一番低い段階と高いのと、こうやって上と下を切って中間を採用しているんだと、こういうやり方を道政側でもやっていますがね。しかし、やっぱりかなり先ほど言ったフードウイークの影響というのが他に大なり小なり、これに負けてはならないということで、一般商店もやっぱり下落の傾向をしてくると、こういう意味では全然官製のバーゲンが入ってないんだと、いま大臣のお答えでありますけれども、北海道なんかの消費者物価協会なんかのあれを聞きますと、かなりこういう面は大なり小なりどの程度影響しているかしらぬけれども、指数の中に取り上げられていると、こういう実態が表明されているわけです。私はこの点がやっぱり事実であれば事実であるということを素直に再度お答えを願いたいし、それからあわせて四十八年三月、それから昨年の三月という段階は、これは物価は下がったと言ったって異常な段階ですね。四十八年を対比をしますと四一・四%ですよ、四十八年三月を対象にして考えますと。仮にいま一五%下がったとしたって四十八年のあの異常な物価の状態の中で一五%、前年度四十八年度に対比して一五でありますけれども、私は必ずしも、この物価が一応鎮静の一つの道しるべとしたという点で国民の不安感が除去をされるのではないか、こういうふうなとり方をしておりますけれどもね。
 しかしそこで、大臣、もう少し今度お伺いしたいのは、この間は商工委員会で私もこれに関連いたしまして質問いたしております。ところが、通産大臣等はやっぱり不況対策の方にどうしてもやっぱりウエートをかけざるを得ないという印象を私とったわけであります。そういたしますと、不況対策ということになれば、総需要抑制を緩和する。この間も新聞に出ましたが、公定歩合を〇・五%引き下げる、まあ鉄鋼の回答を見て結果的にはやらざるを得ないという日銀の動きがある。こうなってくると、結果的には、副総理はかなり胸を張ってひとつ何とかしようと意気込んでいますけれども、政府全体の閣僚の姿勢というのは、これは必ずしもやっぱり物価を安定しようという姿勢になっていないじゃないかと。相変わらずまた総需要抑制を緩和して、金融引き締め緩和というようなことは、これはどういう形でやられるかは別にしても、物価値下げに対する意欲といいますか、構え方というのは、私はやっぱり閣僚として大臣は閣僚内にあっても必ずしも統一をされていないんじゃないかと。三木さんはきょう本会議で、かなりインフレに力を入れていますとは言っていますけれども、どうも答えはそうなってこないという感じがするんですが、この点について経済対策閣僚会議で、次にどのような対策が出されようとしているのか。これは不況対策との兼ね合いでどういう対策が出されようとしているのか、これをお聞きしたいと思います。
#10
○国務大臣(福田赳夫君) まずフードウイークが回り回ってまた物価指数に影響してくるんじゃないかと、そういうようなまあ御指摘ですね。つまり、間接的にこの指数を下げる影響があるんじゃないかというようなお話ですが、もしそういうことがあれば、私はもう大変結構だと思うんです。これは私ども物価指数を考えておる場合に、別に三月だけのことを考えておるわけじゃない、当面ですね。四月のことも、五月のことも、六月のことも、ずっと先々を考えているんです。もし人為的な手法をこらして三月を下げましたと、そしたら一体四月はどうなるんだと。四月は今度は反騰するわけであります。そういうことになってくる。そんなことになったら、これはもう物価政策として全く信頼を失うと、こういうことになるんで、これはもう小細工はきかないんです。フードウイークを設けるゆえんのものは、これはそういうことを通じて消費者の方々に安く買いましょうと、こういう意欲を――またこのフードウイークに関連しない業者の人々に対しましても、安く売りましょうという気分を醸成する、そういう効果をねらっておるので、これは指数の見てくれを一時よくしようというような、そういうさもしい考え方は全然持っておらぬし、もしそういうことを考えるとしても、すぐ翌月は化けの皮があらわれると、こういうことになりますので、さようなことにつきましてはひとつ御信頼をいただきたいと、こういうふうに思います。
 それから、不況対策との関係を一体どういうふうにとらえているのかと、この問題は非常に基本的な問題だと思うんです。私どもは不況とインフレの谷間に入っておるんですが、一番大事なことはやっぱりインフレの克服だと思うんです。これはどうしても最も優先する施策です。しかし、インフレ対策をとりますれば、どうしたってそれによる摩擦現象というものがこれは起きてきます。現に起きておるんです。その現に起きてきておる摩擦現象に対しましてこの手当をする、こういうことは必要であり、そういうことをまたしてきておるわけでございますが、基本は何といってもインフレです。インフレを抑制する、この基本を譲るわけにはいかない、こういうふうに考えておるわけであります。
 二十日過ぎに景気対策を議論するために経済対策閣僚会議を開くんですが、その時点で景気情勢がどんなふうな動きをしておるか、これをよく見定めたいと思うんです。その景気情勢をどういうふうに見るかによりまして、第二次の景気対策が必要であるかどうか、これを判断してみたいと、こういうふうに考えておりますが、まだ具体的にどういう対策をとるかというまで煮詰めておらぬというのが現状でございます。
#11
○対馬孝且君 二十日ころ経済閣僚会議を開いて次の経済見通しを見定めて対策をしたいという大臣のお答えでありますが、私は、それでは遅過ぎるのではないかということを率直に申し上げたいんです。
 それはどういう意味で申し上げるかと申しますと、いままさしく大臣の言うとおりだと、かりに物価見通しが三月だけではなくて、長期的に一応鎮静化の方向をたどることができるのだと、仮に見通しにお立ちになるとすれば、私は、すでにこれはかなり春闘向けに政府はPRをしておりますけれども、それは別にいたしまして、二月の二十四日、経済企画庁、まあ大臣のもとで大企業いわゆる千五百五十四社に対しまして、つまり価格動向に対するアンケートなどをとっております、これは確認されると思います。これを見ますと、この一年間の主力生産価格の見通しが大体千五百五十四社の大手で、七〇・五%の企業が上昇するというアンケートで答えているんです。価格を上げざるを得ないと。こうまさしく鉄鋼並びに石油、石炭、紙、パルプ関係を含めて出ているわけですが、私はこれとの兼ね合いでどうもやっぱり政府は二十日ころいま大臣は見通しをつけてからと、こう言うんですが、現実にきょうの本会議でやりましたけれども、酒、たばこが上がる。結果的には間接税であっても値上がりをする。たばこは四八%です、大臣御案内のとおり。酒が上がる。郵便料金はもうすでに法案の議題になっている。そこへ持ってきて、大企業がいま一斉に各企業とも値上げを待ち構えている。こういう動きになってくると、結果的には三月だけが一時的に下がって、五月以降また物価上昇をたどっていくと、こういうことは明らかでないですか。しかも、それは結果的に私はどういう言い方をするかどうか知らぬけれども、おそらく政府はまた物価が上がってきたら、これは春闘の結果によって物価が上がったのであるというようなことを言って、国民にやっぱり責任を転嫁するというふうなことでは、これは国民はやっぱり信頼をしないと思うんですよ、私は。ただ大事なことは、私は本当に不況との兼ね合いが基本的な問題なんですけれども、この前大臣の所信表明の中でちょと私は大事な言葉を聞いておりますので、この点をあわせて質問したいと思うのでありますが、「労使の円滑な話し合いが促進されるよう、必要な環境づくりを進めて」いきたい、全く同感であります。この環境づくりとは一体大臣具体的にどういうことをつくっていくのか。これは一面では労使の賃金というものは労使の自主交渉で解決さるべきものだと、こうおっしゃっているわけでありますが、しかし結果的には、これは経済企画庁が再三再四にわたって、二月二十日の朝日新聞などにも出ておりますけれども、経済企画庁で試算した「春闘へ影響は必至」ということで、物価上昇が二けたになれば、二〇%の場合については一三・三%はね返るだろうと、あるいは一五%の場合は一〇・九はね返るんだ、一〇%の場合は八・五%はね返るんだ、こういうようなことを出しているということは、もうすでにこれは労使に自主的に解決ではなくて、政府自体が労使に介入をしたことは明らかでないか、こういうことを言えるわけでありまして、こういった問題について私は一つは二十日段階での見通しの対策というのは遅過ぎるのではないか。具体的にどういう対策を、もっと突っ込んでいくと、大臣にお答え願いたいのでありますが、どういう対策をとろうとしているのかということと、結果的に、労使に自主交渉とは言っているが、経済企画庁、政府はガイドポスト、賃金誘導指標を出して、やっぱり誘導しようという姿勢になっているではないか、介入しているではないか。これは非常に労働者は反発をいたしております。私はむしろそういうことについて先ほど申し上げました所信表明の中にある環境づくりをいたしたいという意欲的な大臣の姿勢があるとすれば、その環境づくり、労使間の環境づくりとは一体何を指すのか、どういうことで環境づくりをして労使の円満な解決を望んでいこうとするのか、この点をひとつお伺いをしたいと思います。
#12
○国務大臣(福田赳夫君) まず二十日過ぎに第二次対策をとるんじゃ遅過ぎるじゃないかというお話ですが、いま経済が非常に流動しているわけです。その経済の状態を的確に把握する必要がある、その作業がどうしても二十日過ぎまでかかるわけなんです。その把握ができませんと、どういう処方をするかという処方せんが書けないわけなんです。そこでどうしても対策はまあ二十日過ぎになる、とるにしてもですよ、二十日過ぎになる、そういうふうに考えておるわけなんです。そこでどういうそれじゃ処方が、かりにとるとすれば考えられるかというと、結局、財政か金融かです。そういうことになると思うのです。それをどういう形で、どういうふうにやっていくかということじゃないかと、こういうふうに思います。その辺は状況をずっと見詰めまして、どういう対策がいいかということをきめたいと思っております。
 それから環境づくりについて最善を尽くすということを申し上げたわけですが、その第一は、やっぱり労使双方において低成長下の賃金問題は、これは高成長下の賃金関係とこれはまあ根本的に変わってきちゃった、高成長下におきましては、賃金が上がりましても企業の規模は拡大する、そういうことで賃金の上昇を吸収する、つまり生産性が上がるわけです。ところが低成長体制になりますと、この企業規模はそう拡大しない、したがって生産性の向上に期待をすることができない、多くを期待することはできない。そこでそういう体制の中で賃上げが従来のような形で行われるということになると、この賃金の物価へのはね返り、これは高成長下と全く違った様相になってくるということについて理解を願いたい。これは労使双方にそのことを理解してもらう努力にこれはまあとにかく私どもは一生懸命やるつもりでやってきたし、また今後もやるつもりでございます。これは労使双方ばかりでない、一般国民にもよくわかってもらいたい、こういうふうに考えております。
 それからもう一つの大事な問題は、そういう認識に立って合理的な賃金交渉の結論が出てくるというためには、やっぱり物価が安定しなきゃならぬ。この物価安定の問題というのは、これは政府の影響力の非常に大きな問題でございますので、これはもうどうしても物価安定という第二の問題、これもやってのける、その他いろいろありますが、まあ賃金問題ばかりじゃない、賃金について合理的な妥結を求めるならば、配当だとか利潤だとか、そういうものにつきましても、あるいはさらに企業の経営のむだを排除する、そうしてむだあるがゆえに価格の上昇につながっていくという状態を排除する、そういうことにつきましても、これは経営者側に特に協力を求めるとか、いろいろな環境づくりという努力をしていくのですが、その上に立ってひとつ労使双方においては新しい事態を踏まえての新しい解決方法に踏み出してもらいたい、こういう期待をいたしておるわけですが、現実のこの賃金が幾らぐらいが妥当であるかというようなことにつきましては介入する、そういう意図はございません。
#13
○対馬孝且君 いま大臣から環境づくりという問題、お聞きしましたが、結論的にしぼって私なりに判断をいまいたしますと、やはりこの労働者の賃上げというものを何とかできるだけ低くひとつ抑えたい、もちろん経営者にはものを言うと、こういっておりますがね、私はやっぱり大事なことは、これはいずれ予算委員会の分科会ででも、時間がありませんから改まって大臣のまた問題をお聞きしたいと考えておりますが、きょうは北海道価格の問題がございますので、いずれ基本的な問題について申し上げますが、やっぱりいまの大臣が言われた環境づくりでは、私は本当の意味で労使が客観的に春闘というものを解決をするだけでなくて、国民の消費をどうして伸ばしていくのか、同時に不況対策との兼ね合いでどういうふうに物価安定をしていくのかということについては、まだ遺憾ながらやっぱり労働者の犠牲ということだけが、政府はやっぱりウエートを置かれているという印象を持ち、もっと言うならば、私は大企業に対してあるいは経営者側に対してむしろ今日の、きょうも本会議で議論になりましたが、たとえば交際費の問題一つとらえましても、一兆六千億円というこういう莫大なむだ遣いですよ、はっきり申し上げますならば。あるいは広告の問題、こういったロスの問題、あるいはそれから率直に申し上げますけれども、株でも買って、われわれ勤労者がまじめに働いても年収で百八十三万円までは税金は無税だというけれども、株の場合は売買しても四百万円までは税金かからぬわけです、大臣御承知のとおり。こういうのは結果的には、いまなお弱者と言われる、低所得者と言われる階級には結果的にはまだ物価安定、不況対策を含める生活が本当に安定した、こういう感じにはなかなかならないんでありまして、こういう点はいま二十日の日に再びかかる、経済閣僚会議がなされるというわけでありますから、この段階でもっときめ細かい具体的な、国民にやっぱり信頼を得られる内容をひとつ提示をしてもらいたい、こう思っておりますので、その点ひとつお伺いします。
#14
○国務大臣(福田赳夫君) 二十日じゃないんで、二十日過ぎと申し上げたんですが、大体二十四日を考えております。いま問題は、インフレをどういうふうにしてやめるのか、こういうことが最大の国の課題です。いろいろ御議論はあることは聞いております。税制につきましても、また会社の交際費が膨大であるというような、そういう社会現象に対しましての御指摘、そういうものいろいろ聞いておりますが、それらをいま一挙にここで解決しちゃうというわけにはいかないんです。政府はいま税制につきましては、配当所得につきましても、利子所得につきましても、これまでの課税水準をさらに引き上げるという具体案を御審議願っておるという段階でございますが、さて、いまこの段階でそれじゃ株式の総合所得制をとったら一体どうなるのか、これは一時証券市場というものは非常に大混乱をします。そういう状態で国の経済が一体運営できるのかというようなことを考えますと、そう簡単にここで全面的に踏ん切りをつけるというわけにはいかないわけなんで、漸進的というか、現実的に事を処理していくというふうに考えているんです。そういう問題はいろいろあるんです。私も精力的に労働組合の方々とも会っておりますが、あるいは最低賃金制の問題をどうするんだとか、あるいは公労協のスト権をどうするとか、いろいろ問題ありますが、一挙にそれらの問題を解決するわけにはいかぬ。いかぬが、しかし当面できることは全部ひとつ解決していく、その最大の問題はやっぱり私は物価、これをとにかく下がったなあ、またこの先も安定していくなあという実感を労使双方に持っていただくこと、この一点にある、こういうふうに思うんです。先ほどはいろいろ労使の賃金問題に対する認識の問題と申し上げましたけれども、政府のとにかく実効的にできる施策は何だと言えば、私は物価の問題だろう、こういうふうに思いまして、物価だけは何とか御安心できるような状態にひとつしていく、これを推し進める、こういうことが非常に大事なことである、こういうふうなとらえ方をしております。
#15
○対馬孝且君 それではいま大臣から二十四日の結論を十分に見守ってひとつまいりたい、こう考えておりますので、ひとつ本当に国民が自信の持てる、安心できる物価対策等についてより積極的に取り組んでもらいたい、こう考えます。
 そこで大臣の物価安定が何よりインフレを解消、すべてを最優先してやるんだという意気込みについては私も賛同するんですが、それに対しまして北海道においては逆に物価が高くなっているという問題ですよ、本州よりも。大臣、ここがやっぱり私はきょうの北海道価格解消の問題についてまず副総理の基本的な姿勢をお伺いしたいんです。これはあっていいことじゃないと思うんですよ。北海道の場合は御案内のように半年間雪に埋もれて食べる物から、着る物から出費がかさんでおるということは、常識的にもおわかりだと思うんです。大臣も何回も北海道に来られておるわけですから、何メーターの雪の中に埋もれて、われわれ着ている物から一枚多く着らなきゃいかぬ、食べる物からこれはカロリーをとらなけりゃならぬ、そういう中にあって現実に北海道では、これは北海道価格というのはプロパンガスがあります、灯油があります、率直に申し上げて、それからセメント、自動車、これを称して北海道庁も北海道価格と、こう言っておるわけです。昨年私は九月の物価特別委員会で当時の中曽根通産大臣にも、内田経済企画庁長官にも申し上げました。ところが、現実にいまなおプロパンガスが、御案内のとおり、百円の差があるんです。本州は千五百円です、北海道は千六百円、まあ平均いたしまして千六百一円。相変わらず百円の差がある。それからマツダの自動車の例をちょっと、これは道庁の資料ですから、私の資料じゃありませんから、ルーチェの一八〇〇デラックスでいきますと、マツダの場合でいくと、これは十万円の差ですね。十万円の北海道価格差です。これは東京都が四十九年、これでいきますと七十三万、札幌が八十四万という大体あれが出ているのです、こういう問題。それからセメントはトン当たり最低四百五十円から六百円ともかく高いわけです。これも北海道価格であります。こういうことが、いま大臣が言われるとおり、本当に物価が安定するというのであれば、私は北国の北海道にまずこういう北海道価格があっていいのかということがまず大臣に基本的な姿勢としてお伺いしたいのです。最近率直に申し上げますけれども、私が調べた限りではもう来月新学期ですね。ところが、中学生の、これは総理府のデータですよ、これは間違いなければ、おとつい総理府が持ってきたんですがね、総理府のデータによると、中学生の学生用の詰めえりの上下、これは同じものであります。同じ製品で同じ規格のものが東京都ではことしの十二月で一万五千七百円、北海道は一万九千七百円、二五・五%の学生服のもうすでに北海道価格ができ上がっておるのです。これは一月からずっと申し上げても結構です。そのほかにちり紙とか食用油、練炭等入れまして三十八品目に上っているのです。私はせめて学校に上がる――来月もう学校に新学期に入学するわけです。ここに二五%もの高いものを学生服を買わなきゃならぬというようなことは、これは経済企画庁の、副総理として許されていいのかと、私はまずここから直してもらわぬと、何ぼ言葉で物価安定が最優先だと、三木内閣は物価で安定して体張っていますと、いや御心配なくと、大臣が言われたってね、北海道にこれだけのあんた不安定な価格がいまなおあるということについて問題じゃないですか、これやっぱり。このまず根本的な姿勢をひとつお伺いしたい。北海道価格というのは昨年の内田経済企画庁長官は必ず解消するようにいたしますと、段階的に解消するように行政指導いたしてまいりたい、これが当時の経済企画庁長官の私に対する答弁でございます。したがって、まず基本的にこのことをむしろ長官というよりも副総理という立場でひとつお答えを願いたいと、こう思います。
#16
○国務大臣(福田赳夫君) 北道海価格につきましては、私どもじきじき現地で生の声を聞いております。これは内田長官が段階的に解消したいと、こういうことを申し上げておりますが、そのとおりに運んでいるのです。たとえばLPGにつきましては二百円の格差があった。今日は百円の格差ということになってきておる。灯油はこれは大体格差がないと、こういうところまでなってきておりまするし、それから北海道はそういう高いものばかりじゃないのです、これは安いものもあるのですよ。たとえば乳製品だとか、あるいはジャガイモでありますとか、魚類でありますとか、そういう安い物もあるのです。全部総合しますと、本州と比べてそう高いということにはならないようでございまするが、しかし、工業品ですね、これは工業基地、この問題だろうと思うのです。つまり、工業製品につきましては消費者と製造工場、そういうものが非常に遠いところに置かれておるという関係で、ただいま御指摘のような諸問題が起こってくる、こういうのですが、これも内田企画庁官が申し上げたとおり、着々と格差解消の方向を進めておられまするし、また今後流通の合理化、改善というようなことを進めまして、その格差が解消の方向へ進むように努力してみたい、かように考えております。
#17
○対馬孝且君 いま大臣から段階的に解消するということ、北海道にも安い物があるじゃないか、こう言うのですが、私は言葉を返すようですけれども、それでは九州価格があるのかと言いたいのですよ。たとえばプロパンにしても九州価格ございますか、大臣、率直に申し上げますけれども。四国価格もありませんよ、九州価格もございません。これはいつも私質問するのですが、この前質問したときは、距離が遠くて運賃がかさむと、こう言うのです。それだから北海道価格というものがあるのだと、こう言うのです。それならばなぜ九州価格がないのですか。大臣、まだ実態わかっていませんよ。私は去年の十二月に――北海道でとれるサケが上野の広小路で買った方が安いのですよ。北海道の札幌のど真ん中で買う、釧路で買うサケキロ当たりよりも――切り身一切れが当時でもって二百五十円ですよ。北海道でサケを買うよりも上野のアメヤ横丁で買った方が安いのだ、こういう矛値した今日の流通機構なんですよ。これは大臣、答え簡単なんだ。私はそれは理屈にならぬと思う。それはバレイショは安いじゃないかと言うけれども、何も安くありませんよ。現実に北海道の現地でも同じですよ、率直に申し上げますが。私はこういう北海道に関する価格がなぜあるのだというこの根本的なことにメスを入れなければだめだというのですよ。私はプロパンの例を一つ挙げますが、これは通産省の石油部長が来ているから、この前も申し上げたのですけれども、これは業界に通産省から問い合わせをして、大体北海道のプロパンは十キロボンベで何ぼになったら決められるのだと言ったら、大体千五百円でよかろうといってプロパン協会の水嶋という会長が去年の値段を決めるのですよ、千五百円ということで。簡単なことは何かというと、流通機構の欠陥なんですよ、大臣。これは間違っていたら御指摘してください。これは資料ございますから申し上げますよ。LPガスの場合は石油ガス元売り会社から出ているわけですよ、価格が。本州と北海道の違いはどこかといったら、第二卸業者が一つ北海道に多いということですよ。これがつまり八十円なり九十円というものを中間搾取しているのです。答え簡単なんですよ。これをなくせばプロパンガスは一発で解消するのですよ。答えは流通機構にメスを入れればいいのです。これは通産省の資料ですよ。これが間違いであったら間違った資料を通産省がお出しになっているのですから、この点についてはっきりなぜ解消できないかということを基本的にひとつお伺いします。
#18
○政府委員(左近友三郎君) プロパンガスの北海道価格についてのお尋ねでございますが、いま先生御指摘のとおり北海道の現在のプロパンガスの値段は標準価格が十キログラム千五百円に対しまして千六百円ということになっております。それで、これは実は先ほども大臣がおっしゃられたわけですが、昨年の一月に標準価格を設定いたしたときは二百円の格差があったわけでございますが、これを北海道庁とも協力をいたしまして努力をさせて百円まで収縮させたわけでございます。その過程におきまして、いま御指摘もありましたように、元売り業者の価格というものは大体本土並みになったわけでございます。したがいまして、あとは御指摘のように卸売業者以下の問題でございます。この問題はまさに流通問題でございますので、この点をやっぱり解消しなければいけないということでございますが、これは北海道内における従来の流通体制をどう合理化していくかということでございまして、われわれもいろいろ、たとえば配送センターをつくるとか、あるいは配送の合理化、流通機構の整備を進めるとかいうことで進めてまいりたいということで、北海道庁、通産局とも相談しながらやっておるわけでございますが、こういう流通問題の解決というものは、やはり多少時間がかかりますので、われわれ今後もせっかく努力いたしたいというふうに考えておりますが、いますぐというわけにはいかないということで苦慮いたしておりますが、極力こういう対策を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#19
○対馬孝且君 それで大臣にお伺いをいたします。いまお聞きのとおりで、これは流通機構の欠陥なんですよ。これは私はずいぶん調べていますから。この問題については専門にかかっていますから。大臣、いま言ったように、去年は大臣がおっしゃるとおり百五十円なんです、率直に言って。二百円じゃないのです。百五十円で五十円を圧縮したわけです。内田経済企画庁長官の段階で五十円圧縮したのです。ところが、ことしは福田総理大臣ですからね、あなたは全く(笑声)副総理なんてものではない、総理大臣なんだ、実力者なんだから。ことしはひとつ一発でプロパンガスを、五十年度ですからね、五十年度を区切りにしてプロパンガスの格差を解消するという、大臣ひとつこういう前向きの答弁をしてください。これはいま北海道で待ち望んでいるのですよ、幾らかと言って。これをやらないのは一体政府が悪いのか、北海道道政が悪いのか、これを聞きたいのです。一体政府が悪いのか、北海道の道政がやらないのか、これもはっきりしてもらいたいのだ、私は。私はこれは無理だとは思っていないのですよ。だから私はほんとうにうがった話をいつもするのですが、ぼくは時間もありませんから、きょうは持ち時間は六十分ですから、あとは時間が少のうございますから、せめて学生服については、大臣、ひとつ特別に行政指導をしてくださいよ、もう来月ですから、学校は。しかも二五%も高く買わなきゃならぬということは、これは大変な負担です。これはひとつ特別指導を、北海道の通産局なり道庁に指導して、業界を呼んで直ちに本州並みの学生服価格にしなさいと、これをひとつまずやっていただきたいということが一点。
 それから先ほど言ったように、まさに総理以上の実力者なんですから、せめて――あれもこれもとは言いません。自動車もやれとか、セメントもやれとは言いませんが、一番いま北海道の道民が待ち望んでいることは、何といってもプロパンガスです。これはひとつ五十年度に、今年度じゅうに何とか本州価格並みにだけは努力したい、こういう福田総理大臣の、副総理の答弁をひとつ求めたいのです。
 それと私がもう一つ、ここで言いたいのは、石油が下がった、灯油が下がったことは一時期下がりました。私は九月から商工委員会で四回質問していますから。下がったのは何も業界が下げたのでも何でもない、消費者運動が高まって共同購入やったんですよ、生活協同組合等が。共同購入運動がどんどん広まっていって初めて値段が下がったわけですよ。そして、ざぶざぶだぶついたということもありますけれども、率直に申し上げて。当時の中曽根通産大臣が私に答えたのは、もうちょっと待ってくれ、標準価格は出せないけれでも、何とか北海道に特別行政指導をするからということで、なるほど下がりました。ところが、これは通産省にお聞きをしたいのですけれども、これは三月六日に、北海道新聞で、全国灯油価格という数字を出しました。これを見ると、十八リットル配達価格が何ぼかといいますと六百十八円です。全国的に北海道はまたこれは上位に上がってきました。ところが通産省の言い分は、これはたしか大雪で、寒波で、交通網で影響があったんだろうなんて、こう言っていますけどね。そうなると、こう適当な理屈をつけるんだけどね。そうではないんですよ、これは。現実にやっぱり上がってきているんです。そういう意味では、もう一回、これは灯油対策として、これは業界を呼んで、出先の通産局が特別やっぱり行政指導をするという対策とってもらわなければ、これ上がっていますよ。これ下がりましたなんて言っていますけどね、これは三月六日ですから、はっきり申し上げて。北海道消費者協会のこれ発表です。モニターの、北海道道庁がアドバイスをしておる協会です。時間がありませんから、全国的な県名は申し上げませんけども。これに対して特別指導するかしないか、この点もあわせてひとつお伺いしたいと思います。
#20
○国務大臣(福田赳夫君) まず政府委員のほうから御説明申し上げまして、あとで私の見解を申し上げます。
#21
○政府委員(左近友三郎君) まず灯油の件でございますが、通産省の調べもございますが、二月の状態は、確かに一月に比べまして、先ほどの持ち届け価格が一月は六百十円でございましたのが六百十四円ということで、四円アップいたしております。また、そのときの全国平均は六百十八円ということでございますので、全国平均よりはやや安いんでございますが、確かに前月よりもアップいたしております。で、これは昨年の秋以来逐次われわれも努力をし、また先生がおっしゃるように、共同購入が進行いたしましたので、値が下がってきたわけでございますが、一月がまあ最低ということになりましたんですが、それからまた若干上がったということでございます。で、このことはもうそろそろこの北海道以外では需要期が過ぎ去ろうとしておりますし、全国的な需給はゆるむ時期でございますので、北海道がまだ需要の時期は若干ございますが、ここだけ上がるということは適当じゃないというふうにわれわれも考えますので、われわれも十分指導をいたしたいというふうに考えております。
 それから、プロパンガスの問題でございますが、先生御指摘のとおり、流通機構に問題がございまして、これも先生十分御承知だと思うんでございますが、その流通機構というのは、実は燃料の流通機構、つまり石炭時代の流通機構からのやはり引き継ぎということがございまして、そういう問題が残っておるわけでございますので、これについてはわれわれも十分努力をいたしますが、ただ、こういういわば体制の整備ということが伴うものでございますので、この二カ月とか三カ月というふうな短時間ではなかなか解決がつかない。しかも、これについてはやはり道庁における中小企業行政というものと相まってやっていかなきゃいけないというような点がございますので、いますぐというのははなはだむずかしいと思いますが、しかし、こういうものをなくするという形でわれわれも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#22
○説明員(福川伸次君) 御指摘の学生服の件でございますが、私どもは一月十四日に学生服を含みます学用品二十二品目につきまして、今度新年度を迎えますに当たりまして、価格の抑制について関係業界に指導をいたすべく協力を求めております。同時に地方通産局、それから県庁の協力を得まして、パトロールを派遣いたしまして、その価格の監視に当たっておるわけでございます。で、学生服に関しましては、その品種にかなりいろいろな種類がございます。それからまた、同じ品種につきましても、店舗によりまして売られます値段にかなり差がございます。総理府の方の統計の場合でも、店舗格差が大きい問題、品目で、というふうに取り扱われておるわけでございます。で、私どものパトロールの結果で見ましても、北海道に関します学生服では一万四千円ぐらいから一万九千円、一万九千六百円、二万円ぐらいまでいろいろ差がございます。で、そういういま申し上げましたように非常に店舗によって差がございますので、なかなか傾向をたどるというのはむつかしいわけではございますけれども、私どもの方も北海道庁と協力いたしまして、通産局を動員いたしまして、どういうような問題があるか至急調査をいたしまして、問題がございますれば、従来の行政指導の方針に基づきまして、引き続き指導を行ってまいりたいと思っております。
#23
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま政府委員からお答えしたような状況でございますが、北海道価格の解消、これにつきましては、段階的になりますが、今後とも極力工夫をこらしてみたいと、かように考えます。
#24
○対馬孝且君 まあ段階的に北海道価格を解消するという大臣の答弁ですから、あれですけれども、もう一歩ですね、段階的にやるにしても、やっぱりいま申し上げたように、プロパンならプロパンを一つ解決をすると、次にやっぱりセメントに手をつけるといったような政府側の決意といいますかね、そういうものが私はどうしてもやっぱりあってほしいと思うんですよ。ただ私は無理なことを言っておるんじゃなくて、やればできることなんです、先ほども流通機構の欠陥だって認めてるわけですから。だから、大臣、そういう意味でひとつことしまあプロパンならプロパンを、五十年度を目標に置いて最善の努力をするならするということで、ひとつ決意がおありかどうか、これをひとつお伺いします。
#25
○国務大臣(福田赳夫君) 御所見よくわかりましたので、御所見も踏まえまして、極力努力してみます。
#26
○対馬孝且君 そういうことで、大臣が極力努力をするという、まあプロパンに今年度はひとつ全力を挙げていただいて、本州格差を解消してもらいたいと、こう思います。
 そこで、最後に一つだけ、これも石油部長にお伺いをいたしますが、私は昨年の九月四日の物価特別委員会で質問いたしておりますが、いわゆるプロパンのガスメーター設置及び施設に関する件でございます。いわゆる液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の取り扱いについて、言うまでもなく、北海道の場合は、まあ十キロボンベをですね、施行令どおりいきますと外に置けと、こうなるわけです。外に置いた場合に、二メーターも雪が降っておるのに、屋根から雪が落ちてきて、人災を受けますよ、爆発しますよ、あんた。それは大臣も何回も来られてわかっておるように、凍りついちゃって、屋根から氷でも落としたら、外に置けという施行令ですからね。これは外に置いた場合に、これはもう保安上の問題として、ぼくは人災の問題として、これは許されないと思うんです。こういう意に沿わないような施行令を四月一日からやりますと、こういったって問題があるんじゃないかということを去年私は指摘をいたしました。その結果、通産省側の方で学識経験者による委員会設置をいたしまして、委員会で鋭意検討願うということになりまして、まあ通産省では前向きにこれは取り組んでいただきました・その後、学識経験者の委員会構成もなされ、その後、公聴会も開かれたと聞いておりますので、これに対するひとつ、北海道の問題としてやっぱり切実な課題でありますので、この施行令の取り扱いに関する政府側の態度というものを最後にひとつお聞かせを願いたいと思います。
#27
○政府委員(左近友三郎君) いま御指摘のあった問題につきましては、われわれもいまお話しのとおり、学識経験者も集めまして、無理なメーター制をこの三月三十一日までに強行するということはいかがであろうかということで、よりより検討いたしまして、結局このガスメーターの設置の強制の内容につきまして、一つは、もうすぐにたとえば都市ガスが来る地域とか、あるいは都市計画で立ち退きをしなきゃいけない地域というようなところについては、これは通産省が指定をするわけですが、指定した上で除外例を設けるということ。それからもう一つは、少量消費で、たとえば十キロボンベで、しかも少量消費の場合については、しばらく猶予期間を設けて、ガスメーター設置についての猶予期間を設けるというふうなことで立案をいたしまして、公聴会も終わりまして、いろんな方の意見も総合した上で、恐らく来週には、これは省令でございますが、省令の改正を公布することになっております。したがいまして、北海道につきましても、いますぐ、この三月三十一日までにメーターを設置しなきゃいけないということにはならなくなるということになっております。今後もこの問題については十分検討を進めてまいりたいと思いますが、とりあえずそういうふうに措置をいたすことに決めております。
#28
○対馬孝且君 まあ北海道に関してメーター制のあれについては延期をするというお答えですから、結構です。その後の取り扱いの問題については、やはり私、十分やっぱり北海道の現地を調査をしていただいて、北海道の実情に即しているのかどうかというようなことで省令を出していただかないと、ただ機械的にこの法律を運用していましても、北海道のああいう積雪の寒冷地の場所では、実態にやっぱり即してないわけですから、私は当面法律を延期するということは聞いてわかりました。しかし、将来の問題について抜本的にやっぱりいずれにしても早急に延期をした後に解決策を一つ現地調査の上解決をしてもらいたい、このことを一つ申し上げたいと思いますが、その点いかがですか。
#29
○政府委員(左近友三郎君) 御指摘のとおり、今後十分検討さしていただきたいと思います。
#30
○対馬孝且君 終わります。
#31
○森下昭司君 最初に先ほどちょっと関連質問いたしたかったのでありますが、フードウイークの問題について大臣からお答えがあったわけでありますが、特に予算委員会で私どもの方の田中委員からいろいろ御質問がありまして、大臣からもお答えがあったわけです。最初にまず物価局長にお伺いいたしますが、この総理府統計局がおやりになっておりまする消費者物価指数の調査の仕方というものはどう行われているか、その点についてどういう御確認をされているかお伺いします。
#32
○政府委員(喜多村治雄君) 消費者物価指数がどのようにつくられておるかということでございますが、まず、家計調査というのが行われまして、これは国の重要な統計調査として法律によって指定された調査でございますが、農林漁家世帯や単身世帯を除きました一般消費者世帯の家計におきますところの家計を明らかにするものでございます。これは御承知のように、市町村の中から百七十六市町村を選びまして、その中からまた調査地区を選びます。そして調査世帯選びまして、これはくじ引きみたいなもので選ぶわけでございますが、大体調査世帯は全国で約八千世帯ございますが、その世帯におきますところの消費支出を調べまして、これをウエートとするわけでございます。さて、そういうウエートが決まりましたら、小売物価統計調査というのを行うわけでございますが、これを全国市町村の中から選び出しました申し上げましたような家計調査に盛られております品目、これは大体約四百二十八品目でございますが、これにつきまして小売物価統計調査を行いまして、その価格の上下によってラスパイレス方式で出しておると、こういうものでございます。
#33
○森下昭司君 いまの小売物価の統計調査ですね。統計調査を毎月何回どんなふうに行われているのか、お尋ねいたします。
#34
○政府委員(喜多村治雄君) 価格の調査は毎月その月の十二日を含みます週の水曜日、木曜日、金曜日のどれか一日に行われるわけでございますが、日ごとに値段の変化が激しい季節商品のうち、三十九品目につきましては、この中旬のほかに、上旬、下旬、上旬におきましては、五日を含む水、木、金のどれか一日、それから下旬は二十二日を含みます週の水、木、金のどれか一日を調査いたしております。
#35
○森下昭司君 まあ最初に四百二十八品目というお話がありましたが、私の調査によりますと、統計局の方は六百二十二銘柄という言葉を実は使っているわけでありまして、銘柄と品目の単位の差があるかもしれませんが、相当広範囲に行われているわけであります。この点について、もし後ほど銘柄と品目の違いで数字の違いが明らかにあるならば、改めてまた御答弁をいただきたい、かように思いますが、私の調査では六百二十二銘柄になっております。それからいわゆる先ほど大臣が強調されましたように、けちな考え方はないということでありますが、実際のこの調査のやり方を見てみますると、いま物価局長がお答えになりましたように、鮮魚介類でありますとか、野菜でありますとか、果物など三十数品目だったですか、これはいわゆる中旬のほかに下旬、上旬の調査が加わるわけであります。統計局のいわゆる小売の値段の調査はいわゆる小売物価統計規則というものがございまして、その規則に基づいて行われているわけでありますが、同一品目については一週間以上同じ価格であったものをこれは安売り、たとえば普通のバーゲンは別でありますよ。同一品目で同じ価格が一週間続けば、これは指数の調査対象になるというふうに実は規則になっているわけなんです。その点について今度のこのフードウイークはいわば二週間なんですね。でありまするから、相当長期間にわたって行われておるわけでありまして、この点で私はやはり田中委員が予算委員会で、あるいは先ほど私の方の対馬委員が御指摘になりましたように、実際の調査の段階ではこのフードウイークの安売りと品物自体が物価の統計調査の中に入ってきておるということは紛れもない事実だと私は思うのであります。その点について私の質問が間違っておれば間違っておる、入ってないなら入ってない、もう一度確認をいたしたいと思います。
#36
○政府委員(喜多村治雄君) 先ほど申し上げましたように、大臣からもお答えございましたように、この物価指数は国際的な基準によってつくられております信頼し得るものだと思います。この場合に、この消費者物価指数の作成を行います調査では一つは短期間、これは一週間以内の大安売りをいたします場合でありますとか、あるいはたなざらえをやります場合、あるいは投げ売り等がございますようなことで、割引価格が非常にあるとか、あるいは開店記念など、サービス料金が含まれているというようなことで調査それ自体に何といいますか、混乱を起こすような要素がないとも限りませんので、こういうものは消費者物価指数の統計の正確度が失われるということから除外することになっております。いま先生御指摘のように、フードウイークは二週間にわたってやっておるから、その部分が一つ入るのではないかということでございました。確かにCPIの調査では一週間以内ということになっておりますから、入り得るものがあるのかもしれませんけれども、実は農林省とよく打ち合わせをしました上でのお答えでございますが、フードウイークは二週間にわたって実施されておりますが、この事業に参加する各店舗の販売の実態でございますが、これは大体三、四日という短い期間にある品物を出す、それが転がっていくという方式をとらざるを得ない。と申しますのは、安売りというのを二週間続けていくというのはなかなか困難な品物も多いようでございます。したがって三、四日という短い期間に細分して安売りをするというのが実態なのでございまして、農林省の指導方針ではそういうものは恐らく入ってこないだろうというようなことで、私たちもそういう理解をいたしておりますし、それから統計局の方にお伺いいたしましたところでは、そういったものはできるだけ排除するような方式は原則的にとっているんだと、こういうことでございました。
#37
○森下昭司君 私、統計局も、それから私の県も市も、それから東京都も全部調べてきましたが、いま物価局長がお示しになりました農林省と打ち合わせたという、特別指示は出ておりません。現実に現場の人は、実際調査に当たる人はどなただということは御存じですか。
#38
○政府委員(喜多村治雄君) これを打ち合わせしております森局長のところでございます、農林省は。
#39
○森下昭司君 実際のいわゆる物価の値段の調査に当たっておる人はどういう人が当たっておるのか御存じですか。
#40
○政府委員(喜多村治雄君) それは直接統計局の主管の方もおられますけれども、調査員というものを特別にお願いをしてやっておるというものも相当あると承っております。
#41
○森下昭司君 いや、実際そういう認識では困るですね。統計局は一切実際の調査にはタッチしてないんですよ。統計局は各都道府県及び指定都市にこの調査を委託しているんです。その委託を受けた各都道府県、指定市が主婦です、奥さん方をパートタイマー的に若干の安い日当で調査に当たらしているんです。ですから、私が指摘いたしましたように、特別な指示もこういう奥さん方には伝わっておりません。そして当たりまする奥さん方も一人で多い方は四十軒、平均二十軒を受け持っておいでになりまするので、物価局長や統計局が説明なすっているように、一日で全部を終わらない場合があるんです。全部自分の仕事がありますし、家のこともしなくてはなりません。二日、三日にわたる場合もあるんです。ここに私が言う、大臣が大みえを切られたように正確だと言われますけれども、不正確な面も調査の方法であるんです。そしていま言われたように、総理府統計局の小売物価統計規則によれば、一週間以内のものについては先ほど御説明があったとおりです。二週間以上のものについてはちゃんと調査の対象になっているんです。全部奥さん方調べているんです。ですから、予算委員会で田中委員が御質問になり、対馬委員が本委員会で御指摘になったように、一五%という目標を達成するために、大臣が幾らそんなけちな考え方はないなんてその成果を強調されておりますが、結果においてはそういうようなことになるという見解も成り立つということを私は指摘いたしておるんであります。
 そこで、大臣にお伺いいたします。統計調査の実態については御認識になったはずでありますが、そのことはともかくといたしまして、先ほど対馬委員のお答えに間接的に物価は安くなる、つまり家計が非常に暮らしよくなったということならいいことじゃないか、こういうお話があったわけであります。現に私も名古屋でいろいろ奥さん方に聞いてみますと、五%程度の値引じゃ余り大したことはないという意見もありますが、こういったことは安ければいいのであるから、もっと、年二回じゃなくて、たくさんやってもらいたいという声もあるんです。したがって、逆手にとるわけじゃありませんが、対馬委員にお答えになった点を前提といたしますと、五十年度はどのような規模で、つまり七都市、二回目は十都市でありますが、私は全国的に中都市まで含めればいいと思うんでありますが、五十年度はもっと地域を拡大するお考え方があるのかどうか、そしてまた回数をおふやしになる考え方があるのかどうか、その構想をひとつお伺いいたしたいと思います。
#42
○政府委員(森整治君) 去年の秋やってことしの春やる。私どもの希望といたしましては、ことしの秋も引き続きやってみたい。もちろん規模につきましては十大都市がいいかどうか。これも全国的に全部やるということになりますと、相当手間と時間もかかります。相当前から準備をしませんと全部のメーカー、全部の卸、全部の小売に協力を要請するということに相なるわけでございます。そこの限界がございます。そういうものを考えて、今回のいろいろいま十大都市に広げてやったわけですが、その成果を見まして、私どもまた改めて政府部内で御相談を、私どもとしては、農林省としましては希望をしておるわけでございます。
#43
○森下昭司君 私は大臣にお答えを願いたいのは、対馬委員のお答えに対しまして、間接的に家計にいい影響を与えればそれはいいじゃないかというお話があったから、いいことだったら大いにやってもらいたいということなんです。だから、経済企画庁としては、それはフードウイークも経済企画庁参加をしておいでになりますが、実際は私はいま局長がお答えになったように農林省だと思いますけれども、いま私は福田経済企画庁長官の答弁を前提とするならば、副総理としてあなたは五十年度どういうような構想をお持ちになるのか。それをお尋ねいたしたいと思います。
#44
○国務大臣(福田赳夫君) まだ具体的な構想というような考えは持っておりませんが、今度のフードウイークの結果等を見まして、これは大変効果が上がったと、こういうようなことであれば、これはまた何も春秋二回ということに限定する必要はなかろうと思いますので、考えてみたいと、こういうふうに存じます。
 それから、どうも根強い不信感があるようですがね。三月の一五%と、これのために大変無理をしているというようなお話ですが、実はこういう事情もあるんです。三月がどういう指数が出てくるか。いまんところ〇・七%以内であれば、これは一四%以内になるんです。これが余り低い数字になりますと、いまこの瞬間は私どもは喜ばしいんですがね。さて皆さんに五十年度は九・九%、一けた台にすると、こういうことを言ってるんです。その一けた台がこの瞬間がよくなればなるほどまたむずかしくなると、こういう事情がありまして、必ずしも私どもは三月をなるべく低くするということばかりにとらわれておられない事情もあるわけなんで、そういうことをお考えくださいますと、あんまり私どもが何か細工をしておるという御疑念を払っていただく一助にもなろうかと思って念のため申し上げたわけであります。
#45
○森下昭司君 予算委員会の記録を読んでみますると、副総理は盛んに仮に五十年三月末一五%以下に低くなると、五十年、五十一年の将来に向かって大変なことにもなるんだと、だから決してそんな作為はないんだということを非常に御強調なさっているのですけれども、私は先ほど消費者物価指数の実態調査の上に立ちますると、やはり若干疑問を持たざるを得ないということを指摘しただけでございます。
 そこで時間がありませんので、私ちょっと最近全国の各地方公共団体が中心になりまして、盛んに消費者保護条例というものが制定されつつあります。これは消費者保護基本法第三条に県の責務と、あるいはその一方に市町村の責務ということが書いてございますので、一応基本法を忠実に実施をしておるんだというふうな理解の上に立って、こういうような条例が拡大されつつあるというふうに考えておるわけであります。昨年の五月の議会で、神戸市議会で議決をされ、七月に施行されました神戸の市民の暮らしを守る条例というのが一つの引き金になったというふうにも理解しているわけでありますが、この神戸の市民条例ができますときに、若干家庭用品品質表示法との関連におきまして問題ができたというふうなことも実は仄聞をいたしておるわけでありまするけれども、最近できておりまする各地方公共団体の条例もこの神戸の市民条例を一つの模範といいますが、指標といたしましてつくられつつあるわけでありまして、こういう各地方公共団体の消費者保護の条例について企画庁としてはどういうふうにお考えになっているのか、好ましいとお考えになっているのか、いや、もう少し消費者保護基本法というものを拡大して法の中で制定していくのが正しいと考えているのか、そういった点について大臣の見解をお伺いいたします。
#46
○国務大臣(福田赳夫君) 幾つかの地方団体で消費者保護条例をつくるということになりましたことは、消費者保護ということに地方公共団体も熱意を示し出したという一つのあらわれといたしまして、大変私どもはこれは好ましい傾向である、こういうふうにとらえておるわけであります。国におきましても商品の規格だとか、いろいろの問題がありましょう。そういう問題の調整というようなことも国との間に起こってくる。いろいろの接触が出てくるわけですが、できる限り御協力申し上げていきたいと、かように考えております。
#47
○森下昭司君 そこで条例の特徴といたしまして、民事不介入の原則があるにもかかわらず、消費者が自分の権利を守るために訴訟をいたしました場合では、訴訟援助基金制度と申しますか、補助制度と申しますか、そういったものがまず盛り込まれておるのが一つの特徴点になっておるのでありますが、これは消費者保護基本法にも、その他わが国の法律の中には見当たらない新しい構想だと思うのでありますが、法律以前にこうしたいわゆる地方公共団体がいわば国の政策を先取りするという形において実施をすることについて、このいわゆる訴訟補助制度あるいは訴訟援助制度という問題について企画庁のお考え方をお尋ねいたします。
#48
○政府委員(岩田幸基君) 御指摘のように、最近の保護条例の中には消費者訴訟の援助措置というものがかなり入っております。ただ、これは消費者が普通の民事につきまして訴訟をいたしましたときのいわば何と申しますか、補助的な措置でございまして、消費者被害は概して金額が非常に少ない商品、そういうものについての訴訟でございますので、普通の弁護士さんをお願いをいたしまして訴訟いたしますと、その金額がかなり膨大なものになるというようなこともあって、実際に訴訟をやろうとしてもなかなかできないというのが現状でございます。そこで最近の都道府県あるいは政令市の条例の中では訴訟の費用の援助をしようということをやっているわけでございます。私どもといたしましても消費者の被害を訴訟で解決するというのが一番いいのか、あるいはもっと被害を救済する措置として国全体としてもう少し大きく考える必要があるのではないかということで、これは国民生活審議会その他で現在御検討いただいているわけでございますが、現在の民事訴訟について、費用についての援助をするということ自体は大変結構なことでございますので、この点について特に私どもの方としてチェックをしようとかというような考えは全く持っていないわけでございます。
#49
○森下昭司君 なお、もう一つの特徴は、非常に公表制度というのを取り入れているわけですね。非常に、何と言いますか、不良品を売った会社名を明らかにする。日本人というのは非常に恥を知る国民だと言われておりますから、そのことのためにかえって罰則を、ちゃちな罰則よりも効果があるというふうに言われておるわけであります。私が申し上げました訴訟援助制度にいたしましても、また公表制度にいたしましても現在の消費者保護基本法のたてまえからいきますと、消費者保護の施策等の中には実は入っていないわけなんですね。これはいま言われましたように、法律よりも地方公共団体の方が政策を先取りしておるんじゃないかというふうに思うわけなんです。ただ、御指摘になりました国民生活審議会等におきまして消費者被害の救済という問題については御検討中であるということは聞いておりまするし、後ほど中間覚書をもとにいたしまして若干の質問をいたしたい、かように考えておるわけでありますが、こうしたいわゆる、何と申しますか、私自身はその国民生活審議会で答申があるまで待つのか、それとも当面やはり法改正をするまで手をつけられないというならば、地方公共団体に向かって消費者保護条例を推進をさしていく、当然私は第三条の県の責務でありますとか、市町村のその他の責務において地方公共団体が行うべき性格のものだというふうに理解をしているわけでありますが、政府側のお答えを聞いておりますと、好ましいことであるとか、結構であるとかというようなお考え方が出ておるわけでありますが、積極的にそれでは経済企画庁としていわゆる各地方公共団体に向かって通達なり指示を出して、積極的に法改正以前の間を埋めていく、少しでも消費者被害を救済していくという私は積極的な姿勢が欲しいと思うのでありますが、そういう点についてはどういう御見解をお持ちになっておりますか。
#50
○政府委員(岩田幸基君) 私どもの考え方は、国に消費者保護基本法があるわけでございますから、そうした意味で、都道府県あるいは市町村の段階でも消費者保護のための都道府県なり市町村の姿勢をはっきりさせる、そういう意味での保護条例をつくる、このことについてはブロック会議その他でもできるだけつくってほしいという思量をいたしております。ただ、内容につきましては、やはりその地方その地方の事情もございますし、特に被害者の救済の問題につきましては、実は私ども自体の今後の考え方と申しますか、全体の仕組みをどうしていくかということが、先ほどお話ししましたように、まだはっきり固まっていない段階でございますので、特に訴訟の基金をつくるというようなことであるとか、その他のやり方について積極的に進めるというような考えは正直申して現在の段階では持っておりません。ただ、その地方地方の実情に応じてやはり一番いい方法で考えてほしいというような指導をしております。
#51
○森下昭司君 そういたしますと、率直に言えば、国民生活審議会から最終答申が出なければ、消費者救済についてはいまのところ現行体制あるいは現行の法律改正等は考えていないということですか。
#52
○政府委員(岩田幸基君) 国民生活審議会の答申が出まして、それが法律になるのかどうか、これはまあ出てみなければわからないわけでございますが、私の申し上げますのは、消費者被害の救済と申しますのは、やはり国あるいは地方公共団体あるいは裁判制度というようなものを通じた一つのシステムがつくられなければいけないと思うのです。その場合に、日本に最も適したシステムというものはどういう考え方でつくるべきかという基本的な考え方が現在のところは率直に言ってまだ決まっていない。で、この考え方は来月くらいに私どもの特別研究委員会の一応報告書が出るわけでございますので、そういう考え方を受けまして、方向が固まってくれば、それに応じて法律を仮に制定する必要があるといたしまして、法律を制定する以前であっても、そういう方向で都道府県を指導していくというように考えております。
#53
○森下昭司君 この国民生活審議会は、消費者保護基本法の第二十条に規定してありまして、ここで消費者保護の基本的な企画だとか立案政策をつくれ、一口に言えばそういうような私かっこうになっていると思います。相当前から、四十八年六月から首相から諮問をされてこの活動を開始しておるわけなんで、いまお聞きをいたしておりますと、まだなかなか最終答申に至るまでは縁遠いような話なんですが、いわゆる消費者救済について、いま研究委員会というお話がございましたけれども、それではその研究委員会のいわゆる最終的な答申といいますか、それが即――多少の字句の修正とかいろいろあると思うのですが、それが一応おおよそ大筋において国民生活審議会の最終答申になるというふうな理解の上に立ったときに、国民生活審議会の最終答申というものはいつごろ出るわけですか。
#54
○政府委員(岩田幸基君) これはまだ、現在特別研究会の結論が先ほど申し上げましたようにまあ来月ころ予定いたしております。で、この報告書がどういう内容になりますか、まだ最終的な詰めが終わっておりませんけれども、この報告書の――いままでこの研究委員会で議論していただいております感じから申しますと、たとえて申しますと、裁判制度なら裁判制度を具体的にどう変えたらいいとか、あるいは都道府県の苦情処理のシステムというものを変えていく物の考え方は出るわけでございますけれども、たとえば苦情処理といいましても、あるいは被害者の救済といいましても、それを現在あります消費生活センターの機能を拡大してやっていくというような方法もありましょうし、あるいは公害でとられておりますような中立的な第三者機関と申しますか、そういうものをつくるという考え方もありましょうし、そういういわば行政の具体的なシステムをどうするかというところまでは議論が行っていないわけでございます。したがいまして、この研究委員会の報告書が出ました後、法務省その他各関係方面ともいろいろ議論をいたしまして、そして具体的にどういうような形でやればいいかということを国民生活審議会の方で御議論いただくということでございますから、できるだけ早くその結論は出していただくつもりでおりますが、いまの段階でいつごろということははっきりしたことはちょっと申し上げられません。
#55
○森下昭司君 これは大臣、大変私は申しわけないけどね、いつごろ国民生活審議会の最終答申が出るかわからないなんて、そんな縁遠い話では困るんですよ。たとえば物価の抑制は非常に政府の至上命令であると言われておりますが、同時に生活の安定ということは物価だけじゃないと思うのです。で、あらゆる企業の横暴さあるいはまた不良製品によってたくさんの人が泣かされているわけです。現に訴訟も幾つか起きています。そういう中において消費者を保護しなくちゃならぬという基本的立場に立つ者が、国民生活審議会の答申ができなければ法律等を直す考え方はないし、また地方公共団体の消費者保護条例を推進するような積極的な考え方もない。そしてじゃあその答申はいつだと言ったら、それはいつになるかわからない。これじゃいわゆる政府は本当に消費者保護行政に熱を入れ、また熱心にやっておるかどうかということは疑わしいと私は言わざるを得ないんです。ですから、私は先ほど質問で、そういう最終答申が出るまで長い間とするならば、その間の間をつなぐためにも各地方公共団体に積極的に神戸の市民の暮らしを守る条例を一つの指標としたあらゆる訴訟援助制度でありまするとか、あるいは苦情処理機関の設置、これは苦情処理機関でも法律的には何だかんだ書いてありませんから、地方公共団体が条例で制定するところと制定しないところとあります。現に泣き寝入りが多いという状況の中におきましては、私は苦情処理機関をもっと強化拡大をしていかなければならぬという意見を持っておりますが、とにかくそういう訴訟にしろ、公表にしろ、苦情処理機関の体制にしろ、消費者保護を強化していくという方向で私は政策というものが行われていかなければならぬと思うんですよ。しかし、いま国民生活局長のお話を聞いておると、一口に言えば、まあ国民生活審議会の答申待ちですなということになるんですね、俗な言葉で言えば。これは全く私納得できないんです。大臣にひとつ最終的な御見解をお伺いいたします。
#56
○国務大臣(福田赳夫君) まあいま国民生活審議会にお願いしておりますのは広範な問題でありまして、特にその中に消費者保護という問題もあるわけでございますが、その消費者保護の中で厄介な問題は、消費者を法的にどういうふうに保護していくか、こういう問題があるわけです。損害を受けた消費者のその損害をどうするか、こういう問題がありまして、なかなかこれは審議会というような広い場で結論を出すということはむずかしい。そこで、東大の加藤一郎先生にお願いしまして、それで専門的にその問題を詰めてもらっておる、こういうことであります。これは法律問題になりますと、なかなかこれは厄介なんです。まあその問題、私は時間は確かにかかると思うんです。その専門委員会でできた案がまたすらすらと審議会の総会で総会の決議と、こういうことになるのかどうかというようなことを考えましても、なかなかこれは時間はかかりそうですが、しかしそういうむずかしい問題でなくて、これはまあ取り上げておく方がよかろうという問題につきましては、これはもう随時取り上げていくつもりでございます。たとえば今度独占禁止法の改正がある。そういう際に、独占禁止法のいままでの法律では消費者が独占禁止法の違反の事実を指摘することができる、それをいままでは公取の方は聞きっ放しと、こういうようなことでありましたが、それに対しまして公取がとった措置をその指摘者に通知しなければならないというふうにいたしますとか、まあとにかく非常にむずかしい法的な問題は別といたしまして、この程度のことは進めたらいいじゃないかというような問題は随時その時点で取り上げてまいるという心構えでやっております。
#57
○森下昭司君 まあ余り積極的な答弁でないので、非常に残念であります。私は、やはりこういうことは政府が行えないとするならば、地方公共団体が地域の実情に応じた政策を先行せざるを得ないという考え方に立たざるを得ないわけでありまして、非常に消費者保護行政に対し積極性を欠くというのは残念であります。
 いま大臣からちょうど独禁法の改正が、消費者保護の問題について非常に今度は改正が強調されたようでありますが、私は大臣がいま言われましたように、あの消費者保護に関係する独禁法の改正で、いま私が問題を提起した消費者保護が本当に行われるのか、被害者救済というものが果たして妥当な措置として行われるか、非常に私は疑念を持つものであります。
 公正取引委員長もお見えになっておりますので、まず私お尋ねをいたしますが、最近は奪われたものを取り返す消費者の会などが結成をされまして各地で訴訟ざたが起こっております。一番いま問題になっておりまするのは石油元売り六社、公正取引委員会のやみカルテル破棄勧告に服しました六社に対しまして、灯油価格に関しての損害賠償が独禁法の二十五条、二十六条に基づいて行われております。しかし一面、同じような内容を持つ損害賠償が山形県の鶴岡生協におきましては、独禁法違反でこれを公訴いたしますと東京高裁の審理になるということで、民法の七百九条をもとにいたしまして山形地方裁判所において損害賠償が行われておる。この一つをながめてみましても、私はやはり消費者が被害を受けた場合の救済ですら、民法の七百九条によるか独禁法の二十五条によるかによって現実に大きな取り扱いの差が出ているわけであります。
 これに対しまして、私は、先ほどからいろいろ出ておりまする「消費者被害の現状と対策」、国民生活審議会の消費者保護部会消費者救済特別研究委員会の昨年七月のこの覚書を読んでみますると、その中でこういうようなことが書いてあるわけであります。「消費者保護制度の中で、被害者救済制度として注目されるのは、独占禁止法第二十五条に基づく無過失損害賠償制度である。カルテル、不当表示などにより、被害を受けた消費者は、違反行為を行った事業者に対して損害賠償の請求をすることが認められているが、これは、公取委による審決の確定を前提としており、実損てん補であるなどのため、従来ほとんど利用されていない。これが有効に活用されないのは、制度自体に問題がある」、こういうように実は中間覚書は記してあるのであります。そして「被害を受けた消費者の権利を回復するためには、現在の経済社会に即した新しい制度が必要となるのである。」ということをひとつの結語にいたしてあるわけでありまして、まさしく独禁法二十五条による救済は今日行われておるけれども、事実上消費者の被害の救済には当たっていないということを覚書は指摘をいたしております。そのことはともかくといたしまして、いま消費者団体の中におきましては、審決確定前でも訴えを起こすようにしたらどうだ、そういう独禁法の改正をしてみたらどうだというお声がありますが、今回の改正案の中に盛られておりません。残念だと思うのでありますが、この点について公正取引委員会委員長の御見解をお伺いいたしたいと思います。
#58
○政府委員(高橋俊英君) 現行の独禁法もそうですが、改正案におきましても、審決確定前でもこれを援用して無過失損害賠償請求権ができるということは考えられておりません。これは、事実上、この御趣旨を御説明しなければなりませんが、大体、無過失損害賠償ということは、言ってみれば、損害がある。それは相手方に故意過失があったというようなことは立証する必要がないという特例なんです。なぜそういう特例を設けたかというのは、本来の性質から申しますと、実は意外と思われるかしれませんが、独禁法の固有の目的ではない。損害賠償を担保することは独禁法自体の目的ではなくて、どちらかというと、この規定は、損害賠償をするに当たって確定審決を援用すれば裁判上のあり方が非常に容易になるという制度をもって独禁法違反事件に対する歯どめの一役を買ってもらう、こういう趣旨なんであります。趣旨がそういう趣旨でありまして、独禁法自体がその損害賠償を容易ならしめるというふうになっていない。そこで、同じ無過失損害賠償責任を、今度は普通の不法行為の場合に、先ほどおっしゃった七百九条の不法行為による無過失損害賠償確定前の損害賠償制度の場合にもそれを使えるんだ、こうするということは、これはむしろ私の方というよりは、法制担当の方の法律体系の問題になる。ですから、非常な特例を民法上の訴訟制度に持ち込むことになる。だから、これは容易なことではないということであります。
 で、そのために、この確定審決がなくても民法で訴えているという事例はございますが、確かに、その点は立証等の問題について大変不便であろうと思います。それは私認めますが、ただ、確定前か後かによってどれだけ違いが起こるかという実態を申し上げますと、昭和四十七年度の場合に勧告件数が三十件あって、そのうちでたった二件は、これは勧告に応じませんで、審判開始をしておりますが、残りの二十八件は直ちに勧告に応諾をして全部審決が確定しております。それから、四十八年度の場合は六十六件中たった一件が応諾しない、残り六十五件は応諾している。四十九年度の場合もこれは十二月までをとったわけでありますけれども、四十七件中四件を除いて、四件といいましても、このうちの三件は皆同種類の事件でございます。全部粉ミルクの問題なんでございますが、実質的には二件と申し上げてもよろしいでしょう。それを除きまして、残りは全部勧告で片づいております。勧告、審決、確定しておりますから、いま法律上非常なたてまえ論を覆してやらなくても、こういう実態を考えますると、確定前であるかないかということはそれほど大きな影響はないのではないか、こう思います。
#59
○森下昭司君 まあ、事実上は大きな差はないというお話でありますが、先ほど申し上げたように、同じ内容のものを、被害者救済の損害賠償請求は民法上の七百九条で山形地裁で、一つは独占禁止法の二十五条に基づきまして東京高裁で、ということの現実がある以上は、私はやはりこの独禁法の二十五条の趣旨がそうであったにしろ、現実の姿からまいりますると、十分納得することができないと思いますし、中間覚書も制度自体に問題があるというふうに指摘しているわけでありますから、私自身は、この中間覚書が最終答申でどういう形になってくるかは別にいたしまして、やはり独禁法の二十五条問題についての今後の改正問題については十分な留意を払っていただきたい。時間がありませんので、ちょっと論争ができませんので、残念でありますが、そういう希望を申し上げておきたいと思うのであります。
 それから、最近消費者団体のほうから盛んに言われております中の、大臣がいまお述べになりましたが、調査結果の報告、これは私ちょっとよそで聞いた話でありますが、現行法でも運用の取り扱いによって一応四十五条に基づいて調査請求があったと、公取は調査をしたと、そのことについて申し立て人に対しまして一応報告はしておったんだから、形式的な改正であって、実質上の改正ではないというお話をちょっと聞いたのでありますが、現状の取り扱いはそうなっておりますか。
#60
○政府委員(高橋俊英君) 現状では実情、つまりカルテルなどの疑いありとして報告を承った方々に対して、特にお尋ねがあれば簡略ながら電話等でお返事をしている、こういうことでございます。それを今度制度の上で、そのかわり報告をくださる方も文書でしっかり書いて、匿名でなしにやっていただくということが条件になっておりますから、そうすれば、こちらもどういう措置をとったか、とらなかったか、なぜとらなかったというような簡単な理由を添えてお返事申し上げることになりますから、実情として変わらないんではなくて、相当変わるものと私は思います。
#61
○森下昭司君 それは、見解の相違は若干あると思うのでありますが、お尋ねがあれば電話等でお答えをしておったということでありまして、それが正式な報告という形になるかならないかという違いではないだろうかというような感じがいたします。
 それから、後公正取引委員会のとった処置ですね、四十五条で調査をして、職権で必要な措置をすることができるというようなことが書いてあるわけでありますが、当該関係人から公正取引委員会のとった処置に不服だという点について、不服申し立て権というものを認めたらどうだという意見がありますが、これは今回の改正に盛られておりませんけれども、この点についてはどうお考えですか。
#62
○政府委員(高橋俊英君) そういう、公取委員会が、たとえばとるべき措置をとらなかったということについて訴えを起こした事例もあります、実際。最高裁まで争った事件もございますが、それは原告の方の敗訴ということになっております。でありまして、実は、これは行政事件でありますから、この行政処分について不服の訴えを起こし得るものは、原則としては、いわゆる被審人と申しますが、つまり当事者ですが、当事者が一定の期間内に裁判所に公訴を提起することができると、こう書いてあるだけでございまして、そうでない場合に、たとえば、まだ最終決着はついておりませんが、いわゆる果汁裁判というのがありまして、これは公取が認めた公正競争規約が不満であると、こういうことで主婦連が訴えを起こした事件であります。東京高裁ではこれは当方といいますか、主婦連側の敗訴となっておりますが、さらに最高裁で争うと。これはいわゆる行政事件に対する訴訟法の原告適格の問題でございます。原告というのは、直接の利害関係――実際の損害を受けたということが明らかでないものは、そういう処分取り消しの訴え、あるいは変更の訴えを起こすことができない、これが訴訟法の定めでございまして、独禁法上だけの問題ではございません。訴訟法自体の問題でございますので、私の方としては、その点についてはやっぱりあの制度を私の方からいじくるというわけにはいきませんし、これはやむを得ないのじゃないかと思います。他にも幾らもそういう紛らわしい事件がございます。私ども調べたところでも、これでやはり原告適格がないのかなあと思うような事件もありますが、かなりその原告適格は厳重に解釈されておるというふうに思います。
#63
○森下昭司君 独禁法問題は予算委員会で私どものほうの小柳さんがおやりになりますので、消費者関係について一応お尋ねしたわけであります。ありがとうございました。
 それでは、農林省の森局長にお尋ねいたしますが、砂糖の問題について、四月一日から砂糖が値上げになるということが実は言われておるわけでありまして、現に、農林省に五社から申請が出されておるようでありますが、その五社の名前と砂糖の値上げ幅は幾らにしたいという申請が出ているのか、明らかにしておいていただきたい。
#64
○政府委員(森整治君) その後一社出てまいりまして、現在のところ申請は六社でございます。六社の名前というお話でございますけれども、ただいま全体で三十三社ございます。で、六社の名前を挙げるということは、ちょっと、いまの段階で、私ども現在検討を進めておる段階でございまして、別に隠すつもりはございませんが、個別企業のいろいろ経営の事情もございましょうし、また後から追随してそれに見習って出されても私ども迷惑をいたすものでございますから……。その内容につきましては、簡単に申しますと、昨年の秋以降の高騰時の価格、そこで値決めをしたものが大体数カ月おくれて入ってくる。それがちょうどいま三月、四月、五月、六月、六月が大体その高値のピークになるのでないかというふうに私ども推定をしておりますけれども、そういう事情から、なるたけ早く申請を、要するに値上げを認めてほしいというメーカーからの希望が出ておると、申請が出ておるということでございます。
#65
○森下昭司君 社名の問題について、全体は三十三社ぐらいあるが、六社だけしか出てないということで、発表できないというのは理解できないんですが、これはおかしいと思うんですが、どうして発表できないんですか。
#66
○政府委員(森整治君) これは苦しいところから出てくるというのが普通の形だと思います。全体苦しい中でも、非常に相場がひどいですから、その値幅につきましては、原料原糖の価格の値決めのポジションというのは相当違っておるとわれわれは見ておるわけです。そういうものをいまの段階でお話しをするということはちょっといかがかという判断でございます。もちろん、その全体の状況が、全貌がはっきりして、われわれとしてもこれはどうすべきだという判断を固める時期は近いと思いますけれども、まだその時期にといいますか、まだ検討を、これからしておる、これからというより現在しておる最中でございますので、その点、ひとつ事情をおくみ取りいただきたいというふうに思うんでございます。
#67
○森下昭司君 これは委員長、私要求しますが、六社の名前明らかにしていただきいのです。いま苦しい会社と言われたでしょう。どこの会社が苦しいのか。私の知り得た中によれば台糖、明治製糖も出されているんですよ。台糖は、失礼でありまするが、四十九年三月期決算では、実に利益が五億八千九百万円お上げになっている。経常利益で十二億五千九百万円。どこが苦しいですか、この会社は。それから明治製糖ですね、明治製糖は昨年九月期におきましては何と利益十六億一千万円をお上げになっている。どこが苦しいですか。これ局長の答弁と違っているじゃないですか。苦しいところから出ているわけじゃないでしょう。
 もう一つ聞きますが、台糖と明治製糖は出ていませんか。
#68
○政府委員(森整治君) もちろん秋、十月の末に値上げをいたしました。そのときのおそらく先生のおっしゃったのは九月決算だと思います。
#69
○森下昭司君 これは九月決算と言っていますよ。
#70
○政府委員(森整治君) ですから、その時期までに利益を上げているということは事実だと思います。それをこういう時期に全部吐き出しをして、そこでなお苦しいという、赤字になるという状況がいつ来るかという時期の判断もございましょう。いずれにせよ、これから高いものが入ってまいりまして、その採算が苦しくなってくる。で、その利益を全部吐き出して、なおかつペイしないから何とか値上げをしてくれと、こういう内容のものでございます。その点ひとつ御了解いただきたいと思ます。
#71
○森下昭司君 これは資料請求でありますが、こういうような重要な、国民生活に関係する砂糖値上げの問題について上げ幅も、それから社名も言えないということでは審議できないじゃないですか。これは委員長ひとつ、資料要求いたしますが、農林省から出さしてください。
#72
○委員長(岡本悟君) ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕
#73
○委員長(岡本悟君) じゃあ速記つけて。
#74
○対馬孝且君 ちょっと関連。いま農林省、六社の値上げ申請の資料が出せないということは、こういう体質があるから独禁法も骨抜きになるんだよ。ぼくはね、農林省おかしいと思うんですよ。たとえば通産省にこの間ガス料金の値上げ申請がありました。事前に値上げ申請の会社名と会社の資本金、持ち株、これを全部資料公開しているんですよ。なぜそういうことを言うかといったら、値上げをしてしまってからこうなりましてはだめなんですよ。値上げを申請されておる時点で、どういうコンセンサスとどういう問題があるか、そういうものをほんとうに国民の立場で明らかにして初めて値上げを必要とするのかしないのかということを明らかにするのが物価政策じゃないですか。農林省は結果的にはそれはもう申請が来たものを農林省の官僚ペースでもって検討して、それを最後になってこういうふうに相なりましたと、こういうやり方自体が物価値上がりの今日の原因をつくっているんだと思う。農林省だけがどうしてもできないということ納得できない。通産省と農林省どう違うのか。各省出しているじゃないか。
#75
○委員長(岡本悟君) 皆さんに申し上げますが、本件の取扱いは後刻理事会で協議いたします。
#76
○森下昭司君 まあ私が追加する必要ありませんが、高橋委員長がお見えになりますから、そんな三十三社集めて、それからやろうなんてことは不公正な競争ですよ。ただたまたま指導価格なり標準価格がありますのは、国民生活安定緊急措置法の第三条以下の規定を使って一応値上げもいまのような二百八十七円ときめているんですからね。その前提になるものを全然出さないで、そういう密室で審議するやり方は私ども決して納得できない。
#77
○政府委員(森整治君) それ……。
#78
○森下昭司君 いま答弁せぬでもいい。後で理事会で諮るんだから。
 そこで、いまのあなたの答弁を前提にして、時間がないからどんどんやらざるを得ない。そこで三十三社が出そろわなければ値上げをしないという考え方なのかどうか、まず聞きます。
#79
○政府委員(森整治君) 私ども値上げを前提にものを考えているわけではございません。むしろいまの六社が申請が出ておることは事実でございます。いまの国際相場の成り行き、それから国内の需給事情、その上にやはり原糖コストが高いということ、それからもう一つ一番重要なことはやっぱりこの制度が、制度といいますか、物価安定ということを考えてやらにゃいかぬ、これを最大に考えなければいけない、こういう事情を十分検討した上で適切な処置をとりたいということでございます。
 それから先ほどの二百八十七円というのは単なる行政指導で、私どもが農林省の責任においてやっておる措置でございます。これだけでございます、政府全体の中で。そういうことも……。
#80
○森下昭司君 質問に答えなさい、質問に。三十三社出なければ討議しないのか。
#81
○政府委員(森整治君) したがいまして、三十三社全部出そろわなければという、大半のポジションを見まして、どうしてもということならということもございますけれども、いまの事前了承制度の存続を含めて私ども検討いたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#82
○森下昭司君 あなたは先ほど答弁で六月に高値のピークがくると言っているんですよ。六月に高値のピークが来る。ですからいまから三十三社出して、大半でもいいですよ、討議をするということは、幾らうまい答弁をしたって値上げを前提ですよ。六月にピークがくると……、速記録見なさいよ、あなた答えているんだから、そんなこと。
 そこで、あなたの答弁をまともに聞いてやるというならば、ロンドン市場の相場がいわゆる先日で大体これは二百六十ポンド程度だったですか、先日ロンドン相場が二百六十何ポンドだったと私記憶をいたしておりますが、下がっております。一番最高は昨年の十一月の中旬の六百五十ポンドですね。それから最近オーストラリアで二百二十二・八ポンド。タイでおやりになったのが、今度はロンドン市場の現物の取引の状況において船積み何日何日ということでこう値段をきめることになっておりますが、原糖の世界的需給の中でロンドン市場の見通しですね、オーストラリアの砂糖契約もできた、タイとの契約もできた、こういう中においてロンドン市場の砂糖の先行き見通しはどうなるのか、それをお尋ねします。
#83
○政府委員(森整治君) ごく最近、きのうは二百八十ポンドに反騰をいたしております。したがいまして全体の見通しから言いますと、ともかく相当下がってきている。その下がってきている、相当まああるいい水準に戻ってきておるのではないか、この前後を動くのではなかろうかというのが私どもの一応のただいまの見通しでございます。相場のことでございますから、私ども見通しというのは非常にむずかしいわけでございます。一応その程度――あるいは若干反騰しておりますけれども――で推移をするのではなかろうかというふうにただいまのところ見ておるわけでございます。
#84
○森下昭司君 まあいろいろ需給の見通しについては相当意見のあるところであります。ただ私はここに持ってまいりましたのは、最近発行されました「ダイヤモンド」の経済情報、これに各会社の春闘ショック度というのが出ているんですよ。労働者一人当たりの生産性の付加価値でありますとか、会社の経常利益がどうだとか、株に対してどうだと出ているんです。その中で上位にランキングされているのはみんな製糖会社なんですよ。ことしの春闘ですよ、いまから行われます春闘。皮肉じゃありませんが、福田大臣に言わせれば節度ある賃上げをと言ってお見えになりますが、とにかくどの程度のパーセンテージになった場合にどの会社が一番経営難に陥るかという、ここに全国の八百四社の東証一部上場株式の表が載っているんです。その中で一番悪いといわれております日本甜菜製糖でさえも百九十七番目にランクされているんですよ。一番いいのは、参考のために申し上げておきますが、このいわゆる八百四社の中で二十五番目に大日本製糖があります。その間に全部、明治製糖も台糖も東洋製糖もみんな入っているんです。この状況からながむれば、東証一部上場会社の八百四社の中で製糖会社は全部上位ランクですよ。つまり春闘で節度ある賃上げが行なわれようが行なわれまいが、とにかく会社の経営は非常にいいということが書いてあります。そういう状況下において、私が先ほど申し上げたように、各会社から一斉に値上げが出される。そしてあなたは六月がピークだと言われる。そういたしますと、先ほどから言われますように、値上げをするという前提ではない、前提ではないと言ってお見えになりますけれども、実際問題としては、いま申し上げたように砂糖の需給の見通しもいまの状態を大体横ばいするであろうと言われている。いまの二百八十七円が大体私はいまあなたが指摘された二百六、七十ポンド程度の原糖を輸入した程度の値段になっておるのではないだろうかという推察をいたしておるわけなんです。そこで、この問題については後ほど理事会へ資料が出ましたときに、十九日に参議院の予算委員会で質問いたしますから、それまで質問は留保いたします、時間がありませんから。
 最後に一つ福田副総理にお尋ねいたしますが、政府が本当に物価対策に熱意を持って取り組むならば、砂糖消費税、一キロ当たり十六円でありますが、これが年間、四十九年度予算で五百十億、四十八年度予算でも五百十億でありますが、いわゆる本当に物価対策をおやりになるならば、砂糖関税を廃止したようにやはり消費税を廃止すべきではないかという強い声があります。言葉をかえて言えば、政府は砂糖をいわゆる消費する人に対して補助金を出したというような形にもなります。したがって、消費税の廃止問題について、これは経済企画庁長官というよりも副総理という立場からお答えをひとつ最後にいただきたいと思います。
#85
○国務大臣(福田赳夫君) 物価の観点から言いますと、砂糖ばかりじゃありません。間接税を廃止するということになれば、それだけコストが下がるわけでございまするから、これはもう大変物価対策上はいいんですが、また一方、財政運営という立場から見ますと、そう簡単にもこれを扱いかねると、こういうことなんです。砂糖につきましてまさにそういうことで、砂糖消費税の税額は大したことありませんけれども、さて、これが大きいという場合に置きかえてみると、それを廃止して今度はじゃいかなるかわり財源だと、こういうようなことにもなるわけで、これはちょっと砂糖だけとってみますと、消費税をやめたらそれは消費者にいいに違いませんけれども、一概にそう論断できない、こういう性格のものでありまして、十分総合的に検討しなきゃならぬと思っております。
#86
○森下昭司君 私は実はこういうことを申し上げて非常に恐縮ですけれども、四十八年の十二月の参議院の予算委員会で、どなたかちょっと記憶は忘れましたが、議事録読んだんですが、その方が当時の福田大蔵大臣に対しまして砂糖の値上がりを阻止するために関税を撤廃したらどうだと、砂糖に対する関税を撤廃したらどうだと、四十八円か何がし安くなるはずだという質問を実はなさった記録がございました。私読んでおりましたら、福田大蔵大臣は、関税というものはそれを設けたいわく因縁があるんだ、砂糖にも幾ら幾らかけたということも、これも昔からのいろんな経過があるんだ。ですからそういったものをただ単にものを引き下げるために下げろ、こういわれてもいまお話のあったように、制度上の問題、次は財源上の問題等からなかなかむずかしい問題だということが、実は議事録で私読みました。ところがですね、大臣、昭和四十九年、翌年の二カ月余りたちました二月何日に関税が廃止になりましたですね、砂糖の関税が。ですから私は先ほど申し上げたように、物価対策、政府が物価に熱意を持っておるというなら、私の数字が間違いない限り四十八年度の決算では五百十億円なんです。消費税というのはもともとぜいたく品にかけるという趣旨のものが主だったと思うのでありますが、今日砂糖は生活必需品なんですから、やはり私は関税を下げられたと同様に、たとえ十六円、いまの二百八十七円の中で五・六%という比率は少ないにしても、物価対策に対する熱意というものを政府が示すためには私は勇断をもって行うべきものではないだろうか。同時に政府が提唱されておる、たとえば砂糖の節約運動、これも実際の効果よりも国民の気持ちを転化させるというところに私はねらいがあったのではないかと思うのであります。十六円という金額は非常に少ないけれども、そのことによって政府は物価対策に熱意を持っておるんだということが国民から理解をされるならば、また官製の節約運動という批判もあったにしろ、ある意味においては節約運動が定着していくのではないだろうかというような感じなきにしもあらずであります。その点について十分ひとつ今後御検討を希望して、時間がございませんので、これで質問を終わります。
#87
○政府委員(喜多村治雄君) 先ほどのお答え漏れになっておりますのを申し上げます。ただいま総理府統計局で調べましたところが、消費者物価指数の採用品目は四百二十八品目でございまして、小売物価統計調査対象品目は仰せのとおり約四百二十品目の六百二十銘柄だそうでございます。
#88
○山中郁子君 私は三木内閣が成立して以来、経企庁長官を初め各閣僚の方々が繰り返し三木内閣の最も重点的な課題として物価問題に当たると、一大物価作戦を展開するということを述べられてきたことについて、とりわけその中で主要な一つの課題として独禁法の問題を強調されていることをめぐって質問をしたいというふうに思います。
 初めに、まず経企庁長官から、現在論議をされている、そして政府の素案が出されている独禁法の改正について、国民の期待にこたえて本当に国会での審議を尊重して取り組み、前進させる決意があるのかどうかということをまずお伺いしたいと思います。
#89
○国務大臣(福田赳夫君) 独占禁止法はこれだけ世論の盛り上がりの中に、それを背景として検討している問題でありますので、この国会に速やかに政府案を提案して、成立までこぎつけたい、これはかたくそういうふうに考えております。
#90
○山中郁子君 私がなぜこのようなあたりまえなことを初めに申し上げたかということですけれども、大臣にも思い出していただきたいし、委員の皆さんにも思い出していただきたいのですけれども、実は七十二国会、十二月二十一日に参議院の物価特別委員会で附帯決議をしております。その中でこういう項目があるんです。「政府は現在の物価高騰に対処し、独占禁止法の厳正な運用に一層努めるとともに、公正取引委員会に寡占企業に対する分割命令及び価格カルテル排除にあたっての価格引下げ命令等の権限をもたせ得るような方向で独占禁止法の改正問題に早急に着手すること。」こうした附帯決議がされております。で、ちなみに申し上げますと、これは自民党、社会党、公明党、民社党の四党の共同提案に基づくものです。私どももこれに賛成をして決議がされたということになっております。そこで、この問題をめぐってですね、実は「エコノミスト」の四十九年三月十一日号ですけれども、独占禁止法についての座談会がありました。その中で当時の、この座談会の当時は自民党独禁法問題懇談会座長ということでございましたけれども、実は前企画庁長官です、倉成正さんがインタビューに答えてこういうことを述べられています。つまり記者の質問は、「昨年の石油危機のとき、企業分割、価格引下げ命令を検討しようという参議院の付帯決議が出ています。公取委の案は、そういう線に沿って改正案を出してきたと思いますが……。」こういう質問に対して倉成さんが、「参議院の付帯決議は参議院独自でおやりになったのですから、これはこれとして意義があると思いますが、率直にいってそれほど深い検討と準備されたものではないと思う。」こういう発言をされております。そうして企業分割その他について否定的な考え方を述べておられます。私はこれは大変重要な問題だというふうに思います。単に、この倉成さんがここでたまたまこういう発言をしたということでなくて、まさにただいま問題にもなりました政府が一体どっちを向いて政治をしようとしているのか、まず経企庁長官に、私はこの前企画庁長官である倉成さんのこうした発言、参議院の物価特別委員会の審議を愚弄する、しかも自民党自身が提案者になっている課題についてこのような発言をしていることについて、現経企庁長官として、また自民党の大幹部として、ぜひとも反省の言葉を伺いたいし、そして見解を伺いたいというふうに思います。
#91
○国務大臣(福田赳夫君) いま伺いますと、それは昨年の三月の「エコノミスト」ですね。
#92
○山中郁子君 そうです。そうです。
#93
○国務大臣(福田赳夫君) その当時といまはもう政府与党のこの独占禁止法に取り組む姿勢というのはまるっきり変わってきているんです。その後、昨年の十二月には田中内閣が退陣して三木内閣が成立すると、こういう大きな変化があったわけでありまして、三木内閣といたしましては、三木総理から、初閣議におきまして独占禁止法、これはひとつ手がけてまいるという姿勢を示しておるわけです。それまでの政府自民党の独占禁止法に対する取り組み方、これとは姿勢が全く変わってきているんだ、こういうふうに御理解を願いたいと思います。
#94
○山中郁子君 問題は、自民党がそうした共同提案の提案者になって、そして参議院の特別委員会で決議をしているんです。そのことに対して倉成さんがこのような発言をされているということは、どういうことを意味するのか、私はそれについての反省も求めたいし、意見も伺いたい、こういうことを申し上げたわけです。
#95
○国務大臣(福田赳夫君) 倉成さんのお話を私批判するとか、その感想を申し上げていいかどうか、これは非常にデリケートなことであることは御理解願えると、こういうふうに思いますが、倉成さんは、その当時の自民党政府がどういう考え方を持っているかということなんかも背景にあったんではないでしょうか。また、倉成さんは独占禁止法に相当熱意を持って研究に取り組んだ、その結果を率直に申し上げたと、こういういうことじゃないかと思うんです。
#96
○山中郁子君 私、さっきちょっと日付を間違えましたけれども。長官、これは七四年十一月十九日号なんです。十一月なんです。ですから、その後の変化なんというのは、またそれは言い逃れのうちの一つであるということが明らかなんですけれども。それにまた……。七四年の十一月です。ですから、私はちょっと先ほど間違えて三月と申し上げまして、その後変わったというふうに長官はおっしゃいましたけれども……。
#97
○国務大臣(福田赳夫君) その後というのは去年の十二月のことです。十二月十一日に三木内閣が……。
#98
○山中郁子君 十一月のことですので、政府の姿勢がその後大きく変わったということはあり得ません。もうとっくの昔に独禁法に対しては、ちゃんとやると、こういうことは明らかにされていたわけですから、そういうことを背景にして、個人的に倉成さんがどう考えているかということについて私は批判しがたいと、こうおっしゃいますけれども、明らかにこれは自民党の幹部として、そしてまた政府の立場として、この倉成発言にあらわされている政府の態度ということは、全く参議院の物価特別委員会の審議を愚弄するものであるということは、私は厳しく指摘をしておきたいというふうに思います。
 それで、続きましてこの独禁法がいまいろいろな形で論議になってきております。政府部内におきましても、素案という形で出してきた、そしてまた公取もそれに先立って試案を出している。それに先立つものとして、石油パニックを初めとするさまざまな問題による国民の大きな声というものが沸き起こってきたと、こういう背景によってもたらされたものだということはどなたも否定されないと思いますけれども、私はここで改めて公取委員長並びに経企庁長官に、なぜ独禁法を改正するという、こういう論議が持ち上がって、こうした事態に進んできた、その背景はどのように認識されておるか、これを、お伺いしたいというふうに思います。
#99
○国務大臣(福田赳夫君) いま自由主義経済ですから、これはほうっておきますれば、力の強い人だとか、知恵のある人とか、そういう人がずっと前へ出ちゃうわけです。それから力の弱い人あるいは知恵の足りない人という人は遅れちゃう、そういうことがあってはならぬということで、政治が自由社会に介入いたしまして、そして行き過ぎの人は抑える、また遅れる人をお助けするということをやるわけですね。そこで、社会的公正というか、そういう太い線が通される。そういう機能をしているのが、私はその一つが独占禁止法である。一つです、これは。独占禁止法だと。ところが、独占禁止法問題が非常に近ごろクローズアップされておりますが、これはやはりいわゆる高度成長、こういう経済の実態を背景としまして、世の中の風潮というものが、これがとにかく金をもうければ、あるいは自分さえよければというようなエゴの風潮になってきておる。そういう風潮の中で、ただいま申し上げましたような強い力のある、あるいは知恵のある人、それがどんどん先へ行っちゃうというような現象が目立つということを背景としておると思うのです。そういうエゴの行き過ぎというものがあの石油ショック、ああいう事態の中で非常に鮮やかに批判されるというような形で出てくるというようなことになる。そこでまた一段とこの独占禁止法という問題がクローズアップされる、こういうことだろうと思うのです。私はもう本当に世の中が、非常に公正な世の中というか、社会風潮であって、そして自由競争というものは、自分は権利を主張をする権利はあるけれども、また自分は同時に他人のためにも責任を持つ立場にあるというような思想が定着しておれば、こういう問題は私は起こり得ないと思うのです。そういうことは、理想的な社会というものはなかなかむずかしいものですから、そこで、そういう社会風潮という基本問題もあるけれども、同時に法的な処置もひとつ講じておこう、こういうことがこの問題がクローズアップされたその背景になっておると、こういうふうに思います。
#100
○政府委員(高橋俊英君) 私どもが独禁法を取り扱っておりまして、過去のいろいろな実績等も調べましたところ、本来独禁法は御承知のとおり、公正な自由競争を維持する、それに反するものを排除していく、また、そういうものを不公正な競争あるいは自由競争を阻害するいろいろな環境づくりを、それを抑止していくと、こういうことに使命があるんです。それがきわめて薄弱な面がある、現行独禁法ではなかなか、たとえばわかりやすい例としてカルテルが非常に多いんですが、おそらく価格カルテルはその面だけとらえたら世界一多いんじゃないかと思います。そのくらいカルテルづいちゃっている日本の産業界というものに対して、やはりもう一回この独禁法の目的に沿った私どもの手段方法を、これを規制する手段方法を強化しなければだめである。その強化するということは、結局はカルテル等その他の独禁法の趣旨に反するものを少なくして、そのことが結局は消費者の利益にもつながり、国民経済の民主的な発達を促すことになる。ですから、いま副総理のおっしゃったように、独占禁止法だけが決して唯一の手段ではありません。しかし、その独占禁止法にはそれなりのいわば守備範囲というのがありまして、これは非常に特異なものであります。もちろんこれは発祥したのはアメリカの独占状態、アメリカの発展史上におけるいろいろな独占の弊害というものが指摘されて、何とかしなければいかぬというところから一八九〇年に法律がつくられ、それがだんだんに発達してきたと、そういうところにいわれがあるのでありまして、実際の弊害があって、これを何とかしなきゃいかぬ、そういう点においては日本では独占そのものについては、まだ問題が未熟な点はありますけれども、それらの不当な取引制限というものについては、やはりそういう当時の必要性と非常に相似たものがあるんじゃないかというふうに感ずるのでありまして、そういうことから、決してただ石油ショックによるいろいろな物価狂乱によって思い立ったものではございません。それ以前から、私どもは
 この改正問題にひそかに取り組んできた――ひそかにではありません、公然と取り組んできたものでありまして、思いつきでやったものではございませんから、この辺は十分御了解を願いたいと思います。
#101
○山中郁子君 長官は大変抽象的な、小学生への訓示のようなことをおっしゃっていますけれども、具体的にこの石油パニックを前後として目に余る大企業の横暴、独占企業集団の横暴が起こってきて、そして便乗値上げ、やみカルテル、先取り値上げ、そうしたことが大きな社会問題になってきた、これが独禁法改正論議を一層促進させてきたということは、これは明らかだと思いますけれども、その点について御異議はないものと思いますが、いかがですか。
#102
○国務大臣(福田赳夫君) その点は異議はありませんね。ただ、さっきお聞き願ったのは、こういう問題が論議されるようになったその背景はどうかと言うから、その背景はこうだと申し上げたまででございます。
#103
○山中郁子君 公取委員長が述べられた思いつきでないというふうなことについて、私は思いつきだなどとは思っておりません。しかし、明らかにしておきたいのは、これは公正取引委員会の四十八年度の年次報告ですけれども、ここの中にも、このようにはっきり書いてあるんです。「四十八年度の日本経済は、激しい物価高騰に直面した。」
 「ことに年度後半に発生したいわゆる石油危機は、経済全般にわたってコスト、需給両面に深刻な影響を与え、」そして「カルテル多発化の傾向及び最近の寡占化、企業集団形成の進展にかんがみ、」「現行独占禁止法について、改正すべき点がないかどうか検討を」始めた。こういうことが明らかに公正取引委員会の年次報告の中に入っております。ですから、どういうふうに言おうともこの独禁法の改正論議というのが、公取の認識としても、それから国民の大きな声運動の高まり、批判の高まり、そしてそれを受けとめざるを得なかった政府の独禁法の改正への問題意識、これは何といってもこうした大企業、大資本の石油危機を初めとする寡占化、そして企業集団の形成、横暴な反社会的な行為、こうしたものに対して歯どめをすると、こういうふうなことが背景にもなるし、目的にもなっているということは明らかだというふうに思います。
 そこで、私はお伺いしたいのですけれども、まずそういう背景に照らして公取という立場から試案を出されたわけですけれども、新たにこの独禁法を改正するということの中で、どういうことをしなければならない、どういうことが最低必要だというふうに認識されているかということをお尋ねしたいと思います。
#104
○政府委員(高橋俊英君) いま、一つにはいままでの法規の中で不十分であった、あるいはなかったと申し上げていい、独占的状態が生じたときに対処する手段がないということに対して何らかの規定を設ける必要があるんじゃないか。それから寡占と申しましても、日本は通俗的に言う寡占だと、非常に寡占の業態が多いのです。しかし、まあその寡占の中でも一番厄介なのは高度の寡占に属するもの、それもまあ独占にはならないけれども、その手前にあるというふうな問題、いわば何らカルテル的証拠を残すことなく同じ効果を上げるような仕組みになっているところ、こういうふうなものに対する対策がないのじゃないかというふうな独占、寡占対策、もう一つがカルテル対策でありまして、まあ価格カルテルが非常に多いのでありますが、価格カルテルのみならず、すべてのカルテルに対して、いままではどちらかというとやり得的な面が多かった。やり得で終わってしまっている。価格についても実は少しも動いていない。排除命令を出したとしても変化しないというのは、すこぶる私どもにとっては合点のいかない点である。これはいろいろ物価問題は必ずしもわれわれの方で言う原価とかなんとかというものできまるものではないんで、その時の勢い、いろいろな政策の反映で物価がきまるんで、価格も物価の中の一つとしてそれぞれがそういう傾向を持つのはわかるのですけれども、平静な時代にあっても意識的に引き上げた価格が下がらないということに非常に私どもは奇異な感じを受けたということ、それから、まあそれが十分でないとしても、たとえば何か課徴金のような制度を設けて、こらしめとするというのは変ですけれども、やり得のあれにはならぬというふうにしなきゃいかぬということ、これはまあカルテル対策でございます。このほかにいろいろ大きな問題としては、総合商社等について、私ども買い占め問題について実は調査をするように要請されましてやったことがございます。買い占めといいますか、これは私の方の所管でありませんけれども、結局別の法律でできましたが、その後、今度は総合商社一般について第一回の調査を行いました。そういうものを通じて、いわば一つの企業集団と言われるようなものの存在というものがあって、要するに経済力が余りに一部の分野に、一部の派閥と言っちゃなんですが、それに偏り過ぎるということが、この目的にある経済支配力の過度集中ということを予防するという目的に沿わないんじゃないか、それに対する何らかの対策がないかということで、株式の総額の保有制限ということを思いついたりしたのでありますが、そのほかにいろいろ罰則の強化というふうなこともありますけれども、大体主なる柱としましては、そのようなことがいまの独禁法に欠けているのではないかというので、これを埋め合わせしようと、そういうことで改善を図りたいと、こういうことであります。
#105
○山中郁子君 いまの公取委員長の答弁の中にも含まれておりますけれども、そして先ほど長官も御確認なすったわけですけれども、独禁法改正論議の背景となったもの、つまりそういうもとで改正されるとすればどういうことが満たされなければならないのかということについては、たとえば原価の公開の問題、つまり便乗値上げや先取り値上げその他不当な価格で苦しめられている国民の声というのは、そこに大きなものがあります。それから一たん上ったものがやり得で、そしてそのまま固定されてしまうというこの不合理が何とかならないものか、つまり原状回復の問題、引き下げの問題です。それからやみカルテルの問題、状況証拠によるやみカルテルの摘発、認定、こうしたものも含まれます。それから何よりも、やはり大企業、巨大企業または独占企業集団、そしていま新たな問題として、多国籍企業というふうな問題の大きな反社会的行為が明らかになっておりますけれども、こうした企業集団等の反社会的経済撹乱行為を防止する、そしてこれを罰すると、こうした幾つかのことが独禁法の改正の中で満たされなければ、この改正論議が起こってきた背景、国民の声にこたえるものにならないというふうに考えますけれども、その点について長官いかがお考えになりますか。
#106
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、企業がこれはもう規模が大きいから、それで悪だというふうには考えないんです。大きかろうが小さかろうが、そのお行儀の悪い人、これは悪い企業である、こういうふうに思うんです。先ほど私が申し上げましたが、どうもエゴですね、これに徹した行き方でやるということになればこれは悪い。その考え方を是正する、これは私は非常に緊要な問題じゃないか。それを是正する方法はいろいろあるけれども、独占禁止法、これも一つの持ち場を持っておる、こういうふうに思うんです。私は、ここに公取委員長がおりますが、公取委員長がいろいろ研究して、いろいろ提案しておりますが、あの中で一番何に重点を置くかと言うと、カルテルのやり得、つまりそういう状態であってはいかぬ。あの罰則の強化というのは、私はこれはもう非常に高く評価しておるんです。いやしくもお行儀の悪い行為をやった企業はみずからその責任をとらなきゃならぬということ、これはもう本当に徹した考え方をとるべきだと、こういうふうに思っております。また、いろいろ高橋委員長の御提案がありますが、それらはただいま公取委員長からお話がありましたように、独占禁止法としていままで不備であった諸点をこの際埋めとくということで、政府素案がそういう線に沿ってつくられておりますが、まああの辺が妥当なところではあるまいかと、そういうふうに考えております。
#107
○山中郁子君 長官の御答弁から、私は二つの点をさらに突っ込んでお伺いしたいというふうに思います。
 一つは、大きくても小さくても行儀の悪いやつはいけないんであって、大きくても行儀のいいのはいいんだと、こうおっしゃいますけれども、これほど国民をばかにした御答弁はないんであって、仮に幾らお行儀を悪くしてじたばたしてみたところで、中小零細企業が日本の経済全体を撹乱することができますか、できるとお考えになっていらっしゃるんですか、お伺いいたします。
#108
○国務大臣(福田赳夫君) そこで独占禁止法があるんですよ。つまり大きなものはお行儀が悪い場合に害毒を非常に及ぼす、こういうことで、その行動については他のものと違った処遇を受けなきゃならぬと、こういうのが私は独占禁止法の精神に流れておると、こういうふうに思うんです。
#109
○山中郁子君 つまり大企業、巨大企業、独占企業集団、多国籍企業などのこの大きな企業が悪いことをするんだということは明らかだというふうに思います。それは、いま私が短い時間の中で繰り返し申し上げたくはないんですけれども、石油パニックのときのあのゼネラル石油の、たとえばこれを千載一遇のチャンスとしてもうけろという社内通達を出したという問題が国会で明らかになりまして大きな問題になりました。それからまた、石油資本が先取り値上げで一日十億円もうけたと。あの石油危機の四十八年末のたった二カ月間で六百億円の不当利得を上げたということは、これは政府自身も国会で認めたところです。さらに、伊藤忠がもう売った商品にまで、自分のものは本来ないはずです。だけどその系列会社へ売っているから、つまり独占企業集団としてのそうした力でレッテルを張りかえさせると。そういうさまざまな大企業の悪徳行為というものが明らかにもうすでにされているんです。ですから、長官の言われるような一般論、お行儀が悪いとか悪くないとか、小さくても大きくてもとか、そういうことでなくて、現実の問題としてこうした独占大企業集団が国民の暮らしを苦しめる経済撹乱行為を行っていると。これをとめなければ、この独禁法の改正論議に期待している国民の声にこたえられないんだということが最もかなめの問題だというふうに私は考えますけれども、繰り返しその点について簡単で結構ですから、御所見を伺いたいと思ます。
#110
○国務大臣(福田赳夫君) 大きなものがお行儀が悪い、それはどうしても抑えなければならぬ、こういうふうに思います。これは私は大きいがゆえに企業が悪だと、こういうふうな考え方はとらない。大きいがゆえに非常にメリットのある、社会に対しまして大いにメリットを及ぼすと、こういう面もあるんですから、その点は評価しなければならぬ。ただ大きいものであるだけに行儀が悪い場合には及ぼす影響も甚大でありまするから、その辺は規制しなければならぬ、こういうふうに考えます。
#111
○山中郁子君 言いようはいろいろあると存じますけれども、要するに大企業、独占企業集団、多国籍企業などの悪徳商法、反社会的行為が国民の生活を苦しめて異常な事態をつくり出して、そしてそれが独禁法改正論議として高まってきていまに至っているということはもう明らかだというふうに思います。
 それで、もう一つお伺いしたいのですけれども、長官は先ほどの御答弁の中で、そういうわけで政府としてもやり得ということをとにかく一つの重点としてやめさせたいと、このように考えておる。それならば公取試案の中で出てきている原状回復命令、このことについて政府素案がなぜこのような取り扱いをなさったのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。
#112
○国務大臣(福田赳夫君) あれは、原状回復というのは、これは理論的には考えられますが、これは事実上非常にむずかしいじゃないでしょうか。その違反問題が現実に批判をされると、非難をされると、こういう時期は、その行為が行なわれた時期と大変時間的な距離があるわけですね。その間にいろんなまた問題が起こってきておる。問題というか、経済要素の変動があるわけですよ。そこで違反があった場合にこれを原状に回復するということが、なかなかこれはまたむずかしい問題になるんじゃないでしょうか。また仮に原状に回復するという命令を出しても、またその時点から経済情勢の変化に応じた訂正というものがすぐここで行われると、こういうことにもなりますので、これは言うことは非常に簡単でありまするけれども、これを事実上行うということになると、なかなかこれはむずかしい問題である、こういうふうなとらえ方を素案をまとめた当局はしておるんじゃないか、私はそう思います。
#113
○山中郁子君 それではやはりやり得だということになると、私は思いますけれども、むずかしいという論拠が、何にも納得できる論拠はいま長官のお話の中にございませんでしたけれども、公取委員長の御見解と、それから総理府副長官お見えになっていただいていると思いますので、御見解を承りたいと思います。
#114
○政府委員(高橋俊英君) 政府素案がすでに出されてしまっております。私は結局、気持ちの上ではいろいろ複雑なものがございましても、いまの情勢下で、たとえば総務長官がみずから司会者となって、いろいろな方々、消費者代表、労働界代表も含めてやられました懇談会においても、その懇談会の空気を多分に取り入れて、それから各方面の専門家の意見も聞かれた上で、また自民党の意見を恐らく多少聞かれたんでしょう。そして素案をお示しになったということは、そのときのいろいろな各方面の方々の中で非常に多数の方が公正取引委員会自体が価格に直接介入するということは好ましくないと、この原則論、これがあったわけです。これは私どもが試案の骨子を出す前から実はそういう主張もありましたということがありますので、これは主としてアメリカの長い伝統が価格介入を余りしていない、全然してないかというと、そうでもないですが、これは抽象的ではありましても、価格について、この価格ではだめであるというふうな判例がございます。別な価格を決めて持って来なさいというふうな判例がございますが、こういう点まではまあいいだろうと、だけれども公取が幾らにせいとかなんとかいうことを言うのは、どうも日本のいままでの実態から見て、また公取の性格から見て好ましくないと、こういう御意見が非常に多数であったということのようでありまして、私どもやはり民主主義でございまして、私ども全然実は決定権がないんです。公取はそういういろんな問題提起はしましたけれども、どうも最終決定権は、これは本当の意味では政府自体におありになると、こう思いまして、まあそういうところ勘案しまして、私どもも皆さま非常に苦しい立場でおやりになったんでやむを得ないというふうに了承しました以上、いまここで反対論をぶつわけにはまいりません。
#115
○山中郁子君 どうぞおやりになってください。
#116
○政府委員(松本十郎君) 原状回復命令につきましての御答弁の前に、簡単に素案作成に至る経過を説明申し上げまして……。
#117
○山中郁子君 余り時間とらないでください。
#118
○政府委員(松本十郎君) 簡単にいたします。
 三木内閣が成立しまして、独占禁止法の改正問題に真剣に取り組もうと、こういうことで総理府が独改懇、独占禁止法改正問題懇談会をつくりまして、各般各層の方々に委員になっていただきまして、その委員の先生方のいろんな意見を拝聴しながら素案をつくってまいったということでございまして、事原状回復命令につきましては、まあ表決とったわけではございませんが、過半の方々の委員が実際問題としてむずかしいと、こういうふうな言い方をされまして、素案のような形に換骨奪胎と申しますか、内容を変えたわけでございます。
 なぜむずかしいかというのをずばり申してみますと、こういう比喩が一番適切ではないかと思うんでありますが、まあカルテルの違反があったと、その際に、ラクビーとかバスケットボールのようなスポーツでは、レフェリーが笛を吹けば五人とか七人とか十人の選手はもとの位置に戻りますと、しかしながら経済というものは生産から流通、消費に至るまで多数の人々がそれに参画しておりまして、国民経済一つとりましても、ある時間の間にはどんどんと動いてまいります。さらにまた、国際的にいろんな要素がかみ合ってまいりまして、これをもとに戻すということは、観念的には可能のように思いますが、現実にはとてもできるもんじゃないと、恐らく公正取引委員会におかれましても、そういうふうな情勢を認識された上で、裁決する場合に事情によってはしんしゃくしてというふうな言葉が入ったと思うんでありまして、なかなかそれは言うべくしてむずかしい。価格介入を公正取引委員会がやることに問題があるということ以上に、やはりカルテル破棄後の価格には需給関係、コスト関係等の変化が織り込まれているので、事実が経過した以前に単純に戻せるもんではないと。また据え置き期間中の弊害を、ずばり申しまして、恐らく価格を一定のところに据え置けば、生産者その他は売り惜しみをするでありましょうし、消費者は据え置き期間が過ぎれば高くなるかもしれないということで、どんどんと買いだめに走るであろうと、こういう弊害がむしろ大きく出てくるんではないか。さらにまた、生産者に価格の原状回復命令を出しましても、流通段階にはまた別にその効果が及びませんので、結局どうしてもそれを何とかしようとすれば、流通段階、後々と追っかけていって介入をせざるを得ない。もとの公正取引委員会が価格介入することは問題であるというふうな点に返ってくるわけでございまして、やはり大部分の委員のそういうふうな、観念的には考えられるが、とても無理だという考え方を踏まえまして、今度の素案ではあのような形に直したということでございます。
#119
○山中郁子君 いま副長官が言われましたのは、独占禁止法改正問題懇談会の委員の方々のことですね。で、大部分の人たちが、原状回復命令はやはり無理だからできないと、こういうふうに言われたんですか、本当に。
#120
○政府委員(松本十郎君) 委員の中で、二、三の方は当然もとに戻すべきだということを主張されましたが、それ以外の、とても無理だと言われる方が相当ありましたし、全体として過半数、まあ大部分に近い方々が経済の実態から見てそれはむずかしいなと言われたわけでございます。
#121
○山中郁子君 私どもが委員の皆さんにお尋ねしたところによりますと、そういうこととは大分違います。そして意見は聞きっ放し、そうして政府としてこういう素案をつくったといって送りつけてきたと、これが、実態だということです。しかし、時間がありませんので、私はこの問題のいま、さらに突っ込むことができませんけれども、要するに原状回復をしないということは、むずかしいとかいろいろな論議があるけれども、それは本当に国民の立場に立って要求を実現していく上で、政治を行っていく上でむずかしいことはたくさんありましょう。だけど、問題は第一に何を目的にして、何を目指してやるのかということが国民の暮らしを守るということで、どんなむずかしい問題であってもですね、これをやっていかなければいけないということが政治の基本であるというふうに考えます。そして、当然のことながら、専門のところである公取がですよ、そんなむずかしい、頭からできもしないようなことを試案に出すはずがないのですね。ですから、それは荒唐無稽なことではなくて、具体的に可能なことである。しかし、なおかつそうした原状回復を、政府としてやり得をさせないということを重点だと言われながら、この一番かなめの原状回復を外したということは、どう考えても国民の暮らしを守るというよりは企業の圧力に屈したと、こういう以外に考えようがないというふうに思いますけど、長官、その点はどうお考えですか。
#122
○国務大臣(福田赳夫君) いや、そうは考えませんね。いま副長官からも話がありましたが、実際問題としてこれはもう非常にむずかしいのです、これは。まあ百円の価格のものをカルテルで二百円にしたと、こういう。そこでとがめられて、そして原状回復命令で百円で売ると、こういうことになったらですね。これはもうすぐ何でしょう、まあ引き上げる動きが始まるでしょう。今度は引き上げる動きというものをこう抑えるということを仮にしてみる、そういうことになればですよ、これはまたあそこの商品は安いんだからというので買い手が殺到する、こういうようなことになって経済は非常に紊乱しますね。ですから、これはまあ理論的には考えられます。しかし、実際これを適用するということは、これはもう非常にむずかしい。むずかしいというか、不可能じゃないでしょうか。そういうようなことをとらえまして政府素案はできておると、こういうふうな理解でございます。
#123
○山中郁子君 公取委員会が全く不可能なものを出したということもまた私には大変不可解としか思えませんけれども、いずれにいたしましても、たとえばこの独禁法の問題について三木総理大臣はこのように参議院の本会議、昨年の臨時国会ですけれども、答弁をされております。述べられております。で、やはり独禁法の中で守らなければならない非常に弱いといいますか、そういう人たちの立場というものは、消費者あるいは中小企業、下請、こういう人々が自由経済の中で社会的に不利なことにならないように、押しつぶされないように、あるいはまた押し倒されることのないように、そういうルールが要ると私は思っていると、独禁法をそのように位置づけて首相は述べておられるわけですから、まさにこのやり得がですよ、原状回復できないというふうなことでまかり通るならば、本当に先ほどから申し上げておりますし、長官自身もそれはお認めになっている大企業、独占企業の横暴な、お行儀の悪い、そういうふうな反社会的行為のやり得をそのままやらせてしまう、こういう事態になるというふうに思います。
 それで、先ほど価格介入というふうなことを言われましたけれども、この問題は考えてみればカルテルで引き上げられたものは、これは人為的に引き上げられたものであって、独占価格ですよね。つまり、自然な競争の原理でもって生み出された価格じゃないのです。ですから、これをもとに下げるというのは、公取が品物についてああいう価格にしろ、こういう価格にしろなんて言うことと全く次元の違う、種類の違う問題です。引き下げ命令を出すということは価格の介入という問題よりもそうしたやり得をやめさせる、ここに問題がある。これは決して自然に、そして自由な競争によってつくられたものでないということが明らかだと思います。ですから、私は価格介入であるとかあるいは公取が価格を支持するみたいな、そういうことができないという論は全く次元の違った話であって、いかに原状回復をやらないで済ますかという、こういう詭弁にすぎないというふうに言わざるを得ないというふうに思います。
 で、もう一つ重要な問題として国民の皆さんが提起をしていることの中にやみカルテルの問題があるわけで、いま当面ビールの問題が課題になってきておりますけれども、これについて過去のビールの値上げですね、これが不思議なことにみんな結局同じ値段になっているわけですよね。このことについて公取委員長、どのように把握、していらっしゃるか、公取の態度というものをお聞かせ願いたいと思います。
#124
○政府委員(高橋俊英君) いまのビールの問題を過去の、少なくとも過去の実態から価格の問題を見ますと、いわゆるこれが典型的な管理価格――管理価格ということはちょっとなじめないようですが、同調的引き上げ――同調的引き上げの、しかも引き上げ幅が同じであるばかりでなく、引き上げた後の価格が全く末端においても同一価格であるということでありまして、これに対してはどうも価格面での競争は全くないのではないか、こういう疑いの目を持っている人が多いわけです。しかし、これは要するに非常に複雑な問題でございましてね、非常によく売れているものほど実はコストが安いんです。シェアがどんどんどんどん下がっていく会社は、少なくともそのビールの面でのシェアがダウンする一方の、ばかりのところはどんどんコストが上がる。そうすると、これを救済するために、そう言ってはなんですけれども、価格が上がらざるを得ないという、つまり極端に寡占でございますから、ビール会社が四社しかないというのは恐らく日本だけでしょう。ヨーロッパに行くと一国で数百社あるいは千何百社ということになるそうですから。これはもう非常な寡占でございますが、税金問題などもからんで、ビールは余り安くないんですね。そういうこともあるんで、経営者の方も苦しいということはわかりますが、問題はやっぱりそこに普通の人から見ると、あれはカルテルじゃないのかというふうなことがあるんです。それが私どもの高度寡占の中のいわゆる同調的価格の引き上げという問題の対象となるものだろうと思います。
#125
○山中郁子君 前々回百十五円、それから百六十円、それから今回百八十円と、こういうことになりまして、いま公取委員長が言われましたように、たとえばシェア六三%を持っている麒麟も、やっぱり百八十円に今度するだろう、伺カ月か置いてというふうなことが新聞でも言われていますけれども、過去の問題としてもそういうふうに行われてきたわけです。そうすると、これは明かに自由な競争による価格ではないと、これはもうはっきりしているというふうに思いますけれども、この点については公取委員長はそういう疑いがあるというふうに言われましたけれども、疑いのもとにどういうことをされるか。それから、経企庁長官としてこういう事態についてどういうふうに独禁法との関係でお考えになるか、お伺いしたいと思います。
#126
○政府委員(高橋俊英君) どうもビールというふうに具体的に御指摘になったので、それに沿ってお答えせざるを得ないんですが、結局今度の政府素案におきましては、いわゆる原価公表という問題にかわって、値上げの理由をその都度報告を求めて、それを国会に報告する、年次報告で、こうなっておりますから、そこで値上げの理由というものを各社別にとるわけですから、その理由というのは抽象論じゃないんですね。ある程度他人がうなずけるような計算もちゃんと入らなきゃいけませんし、そうでないと、ただ原料価格が上がりました、これだけでこうでございますというだけで終わってしまったのでは、ちょっと合点がいかない。どの程度までとるかという問題はありますが、なお最初に私どもが申しました原価の公表という問題ですね。これはどうも厳しい厳しいという御批判がございまして、だから、原価というのは非常な企業の秘密だという説をなされるものが多数なんです。少数の異議があります。異議があることはわかっているけれども、しかしどうもそうなっちゃっておりますから、これどうも受け入れられなかった。私どもも、ですから、初めから値上げの理由を公開させるということの方がよかったんじゃないかと、値上げの理由というものをどの程度につまり出させるかということであって、一本当たりのビールの単価を出させるかどうか、そういう点、問題でございます。だから、今回はそうなっておりませんで、原価の方は原価そのままという形では出さないんだということになっていますから、どういうふうにするか、これからの問題でございますが、いずれにしても理由だけは今回公開してもらわなければならぬ、その公開にかわって私の方が国会に報告するというふうな、年次報告するということ、こういうことが一種の抑止力になって働くかもしれません。ほしいままに値上げするということにはならない、なるべくそうなることを私どもは願っているわけです。
#127
○国務大臣(福田赳夫君) このビールの場合ですね。これはいままでの動きは生産性の弱い企業の方から値上げの動きが起こってきて、それに対して生産性の強い企業が追随すると、こういうかっこうになっております。仮に追随が行われないということになりますと、安いビールと高いビールがこれは並行して販売されると、こういうことになりますね。そうしますと、今度はその安いビールをみんな買いますから、生産性の強い企業のビールというものがどんどんどんどんとシェアを伸ばしていくと、こういうことになる。私はそういうことを見ておりますと、いま公取委員長が報告ということを申し上げましたが、これも一つの行き方だろうと、こういうふうに思いますが、同時に感ぜられることは、企業はその規模が大きいというだけで、これで果たして国民経済としてデメリットばかりかというその議論に対しまして疑問を抱くんですよ。つまり、シェアが大きいし、規模が大きい、そういうところは生産性が上がるものだから、そこで安いビールを国民に提供し得ると、こういうことになるんです。そういう形がまた同時にはね返ってシェアの拡大を誘致すると、こういうようなことになるんです。ですから、一概に規模が大きいというだけの立案でこの問題を論ずるという行き方ですね、これに私は非常に疑問を持つんですが、とにかくいま御指摘のビールの問題、後の生産性の低いところが値上げを提起したと、その後追随が行われるか行なわれないかという点は、非常にこれは複雑な問題で、ひとつ公取委員長にも大いに知恵をしぼってもらわなきゃならない、こういうふうに思います。
#128
○山中郁子君 それほど複雑じゃないです。いまビールの問題でも明らかになりましたように、要するに自由公正な、自由な競争によるということで、独禁法でもってそうした矛盾点を解決しようということができないというのはこの問題一つとってみても明らかなんです。これはむしろ小さな問題でありまして、一番最初に申し上げましたように、石連の公取も告発いたしましたあの大企業、企業集団の悪徳商法、そうしたものが、長官は大きいことが必ずしも悪ではないと、こう言われますけれども、実態から言いまして、現実の問題として、そういう支配力を持って、そして海外にまでそうした支配力を伸ばして、そして悪徳の限りを尽くすという、そういう方向が高度成長の中で日本の企業の大きな特徴とされて、大きくそういう悪徳商法が行われてきているという現状は否定できないというふうに思います。
 そこで、私は、一昨日の決算委員会で共産党の近藤議員の質問に対して公取委員長が答弁なさいました二つほどの点についてもう一度確認をすると同時に、その点の前進をぜひとも図っていただきたいと、こういうふうに思う点がございます。
 それは、いま議論になっております原価公開の問題です。で、公取委員長は近藤議員の質問に対しまして、原価の秘密というふうなことは、ディスクロージャーの問題はもはや時間の問題であると、つまり、原価の秘密ということが聖域であるというふうな、そういう時代は過ぎ去りつつあるという趣旨の発言をなさいました。私どもは一貫してこうした事態のもとで大企業に原価を公開させるということがどうしても必要だし、独禁法の改正の中にはその点を明らかにさせなければいけないということで、私ども共産党の改正案もそのことを明確にさせるべきだという趣旨で提示をしてございますけれども、その点についての公取委員長の判断の背景と、そして今後それをさらに前進をさせていくという、そういう決意のほどを伺いたいと思います。
#129
○政府委員(高橋俊英君) 私は、先ほどの高度寡占の問題について原価の公表を求めるという案を提示したわけですから、そういう点で責任があると思いまして、発言に責任を持たにゃなりませんから、原価の問題というのは本当に秘密かと、こうなりますと、その点はこれは私自身の考えというのじゃなくて、相当会計学についての権威のある方に私は何回かお伺いしたのです。それによりますと、――いまこれは私の方の問題と違うのですよ、独禁法として必要であるというのじゃなくて、いわゆる経理の公開制度というものは、特にこれはヨーロッパというよりはやっぱりアメリカで非常に発達しまして、それが世界じゅうに及んでおる。日本でも資産、負債の状況と、それから損益計算、ことに損益計算の面なんかでは大変発達してきましたというのですね。徐々に徐々に、いままではディスクローズの必要がなかった項目が加えられてきた、こういう過程を通って、かなり変化しておるわけです。残されたのは恐らく非常に細かいものではございませんが、部門別というふうに申し上げたほうがいいでしょうか、その程度の原価の公表もいずれは爼上に上がってきなければならない問題であろうと、こういう御意見を私伺っておったのです。そこで、全面的にそういうことをやるということは、とても私どもの仕事ではありませんから、それは一般のディスクロージャーの問題として、将来の問題として御研究願いたいと、ただ私どもが無責任に原価というものを秘密であると、こう決めておって、しかもそれを公表しろと、こう言ったのはむちゃではないかということに対して、私弁明したかったんです。そうではないと、それは原価の秘密というのは、いずれはディスクロージャーの対象になり得るものであって、それが競争を阻害し云々というのは、実はいろいろな問題に藉口したものでありまして、必ずしもそのとおりのものじゃないと、しかし、この問題は独禁法の問題として全体のディスクロージャーを求めるのはとうてい不可能でございますから、その点は誤解のないようにということでございまして、私どもはちょっとよその領域に踏み込んで申しましたので、そういうものだということを御理解の上でお扱い願いたい。
#130
○山中郁子君 独禁法の問題とも大いに関連のする問題だというふうに思います。
 もう一点についてお伺いしたいものは、やはり私ども共産党の質問の中で、私も先ほどから繰り返し申し上げておりますように、単に特定の取引分野、事業分野での公正な、自由な競争による価格の保証ということだけで、いま国民の生活を安定させる、国民経済の民主化を図るという、この独禁法の目的にかなう事態ではなくなってきていると、したがって、巨大企業あるいは独占企業集団、多国籍企業、こういうふうな現実の状態の中での大企業集団に対するメスを入れる、そうした反社会的行為を禁止する、こうした項目を独禁法の目的の中にきちんと位置づけるべきだと、こういうふうに私どもも提起をしているわけですけれども、その問題に関して高橋委員長も、それも、その問題は確かにそうだと、そして今後そうした形で公取としても努力をしていきたいと、そういう問題についてメスを入れるということについての努力をしていきたいと、このようにお答えになられましたけれども、私どもはぜひともやはりそこにメスを入れて、そして本当に抜本的に、現在国民が遭遇している生活困難、そしてその原因になっている大企業集団の横暴な経済撹乱行為、こういうものの根元を断ち切ると、こういう観点で独禁法の改正に取り組んでいっていただかなければならないと考えますので、ただいまの点についての公取委員長の御見解と、それから最後に経企庁長官にいまの原価公開の問題並びに大企業、独占企業に対する考え方についてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
#131
○政府委員(高橋俊英君) 時間がないので、簡単にお答えいたしますが、ただいまの御質問のうちで企業集団のようなもの――多国籍事業については、これは日本ではまだそれほど大きな被害を受けておりませんから、将来の問題でしょう。しかし、OECDで検討中であります。これは国際間の協調がなければ多国籍企業の横暴を抑えることはできません。国際協力がほとんど協定に等しい段階にならなければこれはできないと思います。ですから、それはさておきまして、いずれにしてもこれは検討されておりますから、いいんですが、問題は、この目的を改正しなくても、私は目的の中にあると思うんですが、企業集団というふうなものは、言ってみれば、昔の財閥とは違うけれども、そのような類似的なものだと、こう考えられて、その結束が余りにも強くなると、まるで昔の財閥みたいになっちまう、そういうおそれがありますから、そういうことについてはこれからも十分検討を進めていかなければならない。しかし、ただいまの状態ではまだ企業集団というのは何であるかということを定義づけることすらもなかなか困難であるということをこの間申しました。しかし、そういうことを決して見逃しておるわけじゃない。商社問題、つまり今度の株式保有制限に取り組んだのも、これはその中の一つのかなめである商社にまず規制をかけようと、こういう意図からでございまして、常に関心は十分持っておると、将来の問題としてますますこれは研究に値する問題であるし、しなければならない問題であると、かように考えます。
#132
○国務大臣(福田赳夫君) どうも山中さんのお話を聞いておりますと、でかいものは悪いんだと、こういう前提に立っておられるようですが、そうは私は理解しないんです。先ほどビールのお話をお話しになった。あれ、生産性の高い一社をまた企業分割をすると、こういうようなことにしてどういうメリットが国民経済の上にあるかと、メリットでなくてデメリットがあると思うんです、高いビールを国民は飲まなければならぬと、こういう意味でね。問題は、巨大企業であれ、企業の規模がどうであれ、これはとにかく社会の一単位としてその責任を果たすという倫理といいますか、そういう上に立って行動するということが私は求められておるんだろうと、こういうふうに思うんです。いまそれをきれいな、そういう世の中にすると言ったってなかなか無理だから、そこでやはり企業の行動、これは企業が大きくなればその行動のいかんによって影響力が多い。いま公取委員長も、注意深く大きな企業はそういう行動というか、そういう影響を及ぼすおそれがあると、こういうふうに言いましたが、まさにそのおそれに対しまして、この企業の規模という問題、これは響きがある問題である、こういうふうに考えておるわけであります。とにかくわが日本はこんな小さな経済力の国で世界じゅうでこれだけの地歩を占めたというゆえんのものも、これはやはり企業集団のこの力というものに非常に負うわけでありまして、もし日本の国の経済全体がそんなに発展しないということになれば、われわれの生活だって今日のような生活にはなり得なかった。その辺も私は、この問題を考える場合においてとくと頭に置かなければならぬ、腹に置かなければならぬ問題だ、そういうふうに考えます。
#133
○山中郁子君 原価公開は……。
#134
○国務大臣(福田赳夫君) 原価公開は、私は、これは事実上非常に困難な問題であると、こういうふうに思います。どうも公取委員長ほど楽な気持ちでこの問題を見ておりません。
#135
○中沢伊登子君 最近、公定歩合の引き下げの問題が大変大きな話題になっておりますが、アメリカなど先進国の公定歩合の引き下げとは逆に、わが国は九%の高い公定歩合を維持しているわけですが、こうなりますと、高い金利を求めて外国資本が流入してきて、またも先ごろのような過剰流動性の轍を踏まないものでもない、このように思うわけでございますが、そこで引き下げざるを得ない情勢にいま現在あると思います。ここで、いろいろな御意見があるわけでございますけれども、私の思いますところでは、政府はいまのところ春闘の賃上げ自粛要請と絡めて、引き下げのタイミングを模索しているように思うわけでございます。こういう中で、金融緩和との関係で預貯金の金利の目減りを食いとめる方法があるのかどうか、お伺いしたい。
#136
○国務大臣(福田赳夫君) 公定歩合問題は、これは日本銀行が考える問題でありますので、私は、多言を用いませんが、まあ、いま外国の公定歩合が下がってきたと、確かに西ドイツ、アメリカ、これはかなりわが国よりは低位にあるわけです。しかし、フランスだとか、イギリスだとか、こういう国になりますと、わが国よりもずっと高い水準になっておるという状態です。
 そこで、そういう状態の中でわが国の公定歩合が据え置きになっておることが、これ何か支障があるかと、こう言いますと、これは外資の流出入ですね、これが問題になるわけですが、いまこの公定歩合のそういう状態において、わが国に外貨が入ってきて、いわゆる過剰流動性という問題が起きるという状態じゃございません。ただ一つ、いま現象としてありますのは、外国の金がわが国の株式を買う傾向が出ておるんです。まあ一月には一億ドル近く、二月には二億ドルを超えると、こういう額が買われておりますが、これは株という、株式というものは、これは利回り、金利、そういう角度から買われておるんじゃないという見方ですよ。そういうことは軽微な影響は多少ありましょうが、しかしそうじゃなくて、日本経済がだんだんよくなりつつある。ここで日本企業はその中においてまた息を吹き返すと、いまのうちに日本企業の株を買っておけと、こういう動きがそういう現象となってあらわれてきておると、こういうふうに見ておりますので、外資の流出入の点から見ますと、公定歩合をいま下げなきゃならぬとか、そういう理由はないようです。日本銀行もそういう認識ですが。ただ、国内の要素から見ますと、いま需給インフレ、これはもうありません、これは。卸売物価はここ下がり続けに下がっておるというような状態ですがね。したがって、これからの物価情勢は、コストが非常に大事な要因になっている、需給じゃなくてコストだ。コストの問題とすると、まず何と言っても人件費ですね。この問題がある。それから原材料という問題がある。それから第三に金利負担と、こういう問題があるわけです。そういう金利負担の面から、企業の金利負担の面から見ますと、公定歩合を下げて、そして一般金利水準を下げると、こういうことは私は好ましいのでございますが、しかし、同時にこれはいま企業は、企業の価格を上げたいと。先ほどどなたかのお話がありましたが、もう圧倒的に多数の企業が製品価格の値上げをしたいというような希望を持っておるんです。
 それからまあ夢よ再びと言いますか、まあ一昨年のような状態を思い浮かべて、そして経済界が活況を呈することを期待しております。そういうことで、これからの物価情勢はなかなかむずかしいんでありますが、そういう際において、公定歩合の引き下げを行うということになりますと、これまたかなり心理的にもいろんな波及があるんじゃないか。まあ外資の流出入から見て、そう差し迫った必要もない、そういう時期においてこの問題をどういうふうに取り扱うかという問題は、きわめて慎重を要すると、こういうふうに私は考えておるんですがね。まあいずれにしてもこれは日本銀行がいろいろ検討しまして、慎重な態度で決める、そういう問題だろうと思います。そういう間におきまして、いわゆる目減り問題をどうするか。目減り問題につきましては、私はかねがね申し上げているんですが、これは非常に広範な問題でありまして、ひとり預金ばかりじゃない、金銭債務、金銭債権、この問題全体を通じてある問題でありまして、それを総合的に処理するということは、とうていこれは不可能な問題。それに対処するためにはインフレをとめるほかはないんだ、これが最善の、最上の決め手であると、こういうお答えをしているんですが、インフレの方はもう非常に情勢がいいんです。まあ卸売物価は下向の傾向である、消費者物価も暮れに〇・五%上昇、正月が〇・五%上昇、二月が〇・四%、もっとも二月は東京区部の話です。そういう鎮静の方向をたどっておるわけでございます。まあ目減り問題は、これからだんだんだんだんとそう国民に心配をかけないような状態になっていくと、こういうふうには思いますが、しかし、先ほど申し上げましたように、物価のこれからを見ても、なかなかそう容易じゃないんです。そこで政府としては九・九%、五十年度消費者物価の上昇ということを見ておるわけです。そういうことはまだ好ましくない状態です。五十一年度でやっと預金金利の水準以下まで持っていきたい、こういう目標でやっておりますが、当面を考えてみますと、とにかくまだ消費者物価がなだらかながら上がっていくという状態のもとにおいて、目減り問題を考える必要がないというふうには考えない。そこで、いま大蔵省で具体的な詰めをしておる段階でございますが、いずれにしても、そう遠くない時期に大蔵省に結論を出していただきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#137
○中沢伊登子君 ここ二年ぐらいの間にずいぶん上がり下がりがひどかったですね、上げてみたり下げてみたり。そういう中で、実はこれは私の一つの経験なんですけれども、わずかながらの貯金を、二年定期で二年ほど前にしておったわけです。その当時の貯金の金制というのは、二年定期でも五分五厘ぐらいでしたね。それが満期になって昨年それを見たときに、そのころに貯金をすれば七・二五%ぐらいの貯金の金利だったわけです。そうすると、二年前に、二年定期が一番いいからということで、二年定期やってみたら五・五%の金利、それで今度調べてみたらもっと高い金利になっている。そうすると二年も定期に続けてやっておくのはむしろ損だ、その間にどんどん物価が上がって五・五%、貯金の金利というのはうんと下がってしまっているわけですね。こういうような経験を私自身やりまして、それでそれからだったら、もういつも上がり下がりするのだから、定期というものは半年ぐらいでやめておこうか、こんなような感じも、経験をこの間持っていたわけですね。そこで公定歩合の引き下げが何%ぐらいまでならば預貯金の金利が据え置かれるのかどうか。これは銀行局、大蔵省の方来ておりますね。
#138
○説明員(清水汪君) ただいま企画庁長官からお話のございましたとおりでございまして、現段階におきまして公定歩合がどうなるかということにつきましては、まずこれは日本銀行の決定事項でもございますし、日本銀行が現在どういうふうに決定しておるというようなことは、一切私どもは聞いておりません。したがいまして、公定歩合がどれぐらい下がった場合に、預金金利についてどうかという御質問でございますが、現段階におきまして具体的にお答え申し上げることは、非常に困難かと思います。いずれにいたしましても、金利の問題でございますので、そのときの情勢において総合的な判断のもとに問題を決定していくというような筋合いのものであろう、かように思います。ただ、なお一言補足させていただきますと、ただいまの預金金利が上がってくる場合に現在の定期預金の性格といたしましては、新しく、預入したものから、そのときに決められておる定期預金の金利が適用になって受け入れが行われるということでございます。
 仮に、逆に預金金利が下がる場合のケースで申し上げれば、いまの定期預金の性格上、それまでに預け入れられていた定期預金の金利は、引き続きその契約期間、一年定期であれば一年の満了日まで、二年定期であれば二年の満了日までは当初の約定の金利がつけられる、こういう性格のものになっているわけでございます。
#139
○中沢伊登子君 さっき私が自分の経験をちょっと申しましたが、その貯金が満期になったときはまだ五分五厘ですね。そういうときに今度ちょっと家を直そうかと思ってお金借りようと思ったら、公定歩合上がっているものですから、ずいぶん高い金利のお金を借りなければならない。こういうことで、ずいぶんこの二年間ほどの間の変動が激し過ぎたので、ずいぶん損をしたような感じが実はしているわけです。自分のお金を持っていながら、自分のお金は金利が安くって、そして目減りがしてきて、今度ちょっと家直そうと思ってお金借りようと思ったら相当高い金利のお金を借りなくちゃいけない、こういうような大変矛盾があったものですから、その辺をひとつぜひともと思ってお伺いしておきましたので、ひとつその辺もわずかの貯金で損をしないように何とか考えておいていただきたい、このように思うわけでございます。
 それから、預貯金の実情は高所得層が大変高いわけですね。それから低所得層へいくにつれて低い金利の貯金、貯蓄しか行っていないと思います。つまり高額の所得者は株式を買ったり、あるいは社債を買ったりということで相当金利の高いものが買えるわけですね。低所得層というのはまたそのわずかな所得で、わずかな貯金、それも低い金利のところにしか貯金ができない。こういうときに目減り補償の対象は老人などに限定されているのかどう、その辺についてお答えいただきたいと思います。
#140
○説明員(清水汪君) いわゆる目減り対策の問題でございますが、基本的には物価の安定を図るということに徹したいと思っておるわけでございますが、なお先ほど長官からお話ありましたとおり、私どもといたしましてもいろいろの角度からいろいろの提案がございますので、現在さらにそれにつきして検討をいたしておる、こういう段階でございます。
#141
○中沢伊登子君 そこで、私は一定のシビルミニマム、こういうものを設けて、全国民的な預貯金の金利の目減り対策を考えるべきだと思いますが、その点はどうですか。
#142
○説明員(清水汪君) いろいろ検討はしておるわけでございますが、したがいまして、まだここで断定的な結論を申し上げるべき立場にはございませんことをお断りいたしますが、それにいたしましても、なかなかこれは技術的な問題のみならず、当該金融機関の支払い能力の限界、そういった問題いろいろございますので、何とかその辺から一つの結論が得られるものかどうか、さらに検討をしたいと、こういう段階でございます。
#143
○中沢伊登子君 それでは、この間の長官の所信表明に対して二、三尋ねをしたいと思います。
 三木内閣になってから社会的の不公正、こういう言葉を政府は頻繁に使っておられるわけですけれども、具体的にはどういうことなのか。さらに五十年度の経済見通しは、社会的不公正是正を織り込んだ経済運営を考慮したものと理解してよろしいかどうですか、長官からお答え願います。
#144
○国務大臣(福田赳夫君) 社会的公正と言っておりますのは、いま自由社会でありますから、どうしてもほうっておきますと、力の強い人がまた強くなる、また同時に、力の弱い人がおくれがちになる、そういう状態に対しまして政治が力を持ってならすというか、まあ言葉は熟しておりませんが、弱きを助け強きを抑えるというような役割りをする。こういう政治に取り組む基本的な考え方、これを申し上げておるわけです。いま現実に問題になっておりますのは二つあります。一つは、インフレが醸し出したでこぼこ、これをどういうふうに是正するか、こういう問題。それから、これから先々の世の中、余りでこぼこが起こらないようにする、こういう問題と、こう二つあると思うんです。
 そこで、五十年度の予算につきましては、これは先々のことまではなかなか手が届かない。まあ幾らかそういうことにも手がけてはおりまするけれども、主としてインフレによって非常に苦しい立場に立った小さい、弱い立場の方々への配慮ということに重点が置かれておるわけなんですが、そういう意味において、五十年度の予算は社会的公正という点に配意した予算である、こういうふにははっきり言えると、こういうふうに思います。
#145
○中沢伊登子君 そこで所信表明によりますと、社会的不公正是正に配慮するが、消費者においても合理的な消費を目指す生活パターンへの転換に努力されるよう要望すると、こういうふうに言っておられるわけですね。そこで家計調査報告で五分位階級別の消費支出、これはこの間参議院の予算委員会で資料要求をされたものでございますが、これによって調べますと、所得の高い第五分位は別としても、第四分位以下の階級はすべて消費が落ち込んでおって、個人消費支出の長期的な停滞を裏づけております。国民大衆の多くは、狂乱物価以後の物価高と総需要抑制による不況の併存する中で、もうすでに自他ともに消費者を抑えざるを得ない実情になっているわけでして、長官がわざわざ要望されるまでもなく、すでに強制的に生活パターンの転換を余儀なくされていると思います。そういう状態がもうすでにきていると思います。
 そこで、時間がありませんから、続けて質問を申し上げておきますけれども、家計調査報告は、最も所得の高い第五分位が四十八年度以上の生活水準を維持しているほかは、低所得層に行くにつれて選択的消費項目の支出を削って本当に生活必需品のみの確保に追われている実情を明確にこれは示しているわけでございます。まさに社会的不公正そのものと言えるわけですが、現在の国民の消費動向はこのようなゆとりのないものになってしまっております。ところが五十年度における経済見通しでは、経済成長率を実質四・三%とし、個人消費支出の伸びを一八・四%と高く見ておられます。このことは、個人消費支出に対して景気回復の原動力として従来の大量使い捨てに近い消費拡大を期待しているような感じがいたしますが、これはずいぶん矛盾があると思います。その点をお答えいただきたい。
#146
○国務大臣(福田赳夫君) 今日の国民の生活状態を見ておりますと、消費が総体として非常に落ちついた状況になってきておるわけです。これはなぜかと、こういうことをいろいろせんさくしてみるんですが、非常に大きなウエートを占める要因は、これは高値安定といいますか、それに対する拒否反応、これが端的に出ているんじゃないかと、こういうふうに思います。さあ買ってみたいという商品、値段を当たってみると途方もなく高い。確かに物価の情勢鈍化しておるわけでございますが、しかし、鈍化しておるものの現実に高値になっている。こんな高いものは買えないと、こういうような心理というものが、今日の消費水準が落ちついてきておる非常に大きな理由であると思うんです。なお、しかし、もうそればかりじゃない。一部にはさあ世の中が変わってきた、これからは節約というか、いままでの生活様式少し考えてみようという考え方、こういう要素も、これは否定はできないわけですが、一番大きなのはやっぱり高値に対する拒絶反応、こういうことかと思います。
 私が経済演説におきまして、国民に理解を求めるという呼びかけをしておりますのは、ただいま申し上げました、世の中が変わってきたんだと、われわれの生活態度というものにつきましても、これは考え直さなければいかぬ、こういう認識を持ってもらいたいということですね、これが前面に出てくるという、高値に対する拒絶反応ということでなくて、われわれはこれから生活がいままでと変わらなければならぬし、変わってこざるを得ないんだという認識、その認識というものがずうっと前面に出るような状態を期待をいたしておるわけなんです。まあ使い捨てといいますか、そういうようなものから抜け出て、物を大事にする、省資源、省エネルギーというような考え方に徹した生活態度というものを、これをぜひひとつ持ってもらいたい。そういう考え方が主軸になって物価が落ちついてきたということになれば、消費が落ちついてきたということになれば、これは私は本物だろうと。これは日本の経済は非常に堅実な基礎を築き上げるということになるんだろうと思うが、その点も国民に訴えた、そういうつもりでございます。
 それから国民の消費がこの際大いに節約されるということを一方において期待しながら、一八・四%という消費の増加、これを経済見通しにおいて見ておるのは矛盾じゃないか、こういうお話でございますが、これは一八・四%というふうに踏みましたが、これは消費全体としての話なんです。これは人口一人当たりに直しますと、幾らになりますかね、これは一七・ちょっとというところのことじゃないかと、こういうふうに思います。数字いま後でその点は申し上げますが、私どもはこういう見方をしておるわけでございます。つまり、いま消費が減っておると、それは先ほど申し上げましたように、高値に対する拒絶反応、しかし、いずれ高値に対する拒絶反応というものは、時間がたつにつれまして、これは薄れていく、そしてまた、まあなれっこというか、その高値になれて、そしてまた消費が再開されるということになっていくだろうと、こういうふうに見るわけです。
 一方、春闘のことを私大変心配しているんですが、もし春闘で思いも及ばざる結果になったというようなことになると、かなり経済政策として、また厳粛な態度をとらなければならぬ。しかし、これがなだらかに解決されたというようなことになりますと、経済政策のかじの取り方、これは非常に楽になる、そういうような関係になるわけでありますが、春闘というもの本当になだらかな解決になってもらいたい。そうなりますと、それを踏まえての経済の対策、これが機動的な体制ができるわけですから、経済はこれは夏ごろから上向きに転じていくであろうと、こういうふうに見るわけでございます。その経済の上昇、これはそうむやみに上昇することは好ましくないので、やっぱり総需要抑制というので、その上昇の天井というものは厳重にこれを管理する必要がありますが、それと並行いたしまして国民の所得の方もまたふえていくだろう。また同時に、先ほど申し上げましたように、高値に対するアレルギー、拒絶反応というものもだんだんと整理されていくであろう、そういうことを総合的に判断いたしまして、そして総体として一八・四%、一人当たりといたしますと一七・二%というようなことになるだろう。これは一七・二というのは、物価の上昇を織り込んでの一七・二でありまして、実質ということじゃございません。
#147
○中沢伊登子君 いまその高値拒否反応とか、時間がたつとまたそれを忘れてしまって、そういう高値になれてしまうとかいうお話がいろいろございましたね。私も確かにそういうことはあると思うんですね。ところが日本の消費者というのはなかなか従順でございまして、政府が使い捨てをしなさいと、こう言われると何かみんなそれにつられたようにずいぶん大量の使い捨てをいままでしてまいりました。今度は資源がもう有限だから、省資源の国だから少し物を大事にしなさいと言えば、このごろずいぶん大事にされたようでしてね。そしてごみの捨て場に行っても、もうこのごろテレビだの、冷蔵庫だの、そういう大型の物があんまり捨てられなくなったと、まことに御しやすい国民じゃないかと、こう思うわけですが、私が指摘したいことは、そういったような国民感情がございますね。そういう国民の個人消費支出に対してあるときは物価上昇のころ元凶だときめつけられたり、あるときは今度個人消費の拡大に期待をかけるという、常に政府の経済運営に動かされる弱い立場にあるのが、いまの日本の消費者だと思うんです。今度の五十年度の経済見通しに見られるように、個人消費支出は民間経済研究機関の伸び、これは日本経済の研究センターが出しておるものによるわけですけれども、民間経済研究機関の伸び以上に高く見込んだわけですね。これは日本経済研究センターは一六・四%と見ているわけですが、政府の方はいま申されたように一八・四%ですね。こういうふうに高く見込まれたのは、言葉の上では所得階級間の格差拡大による実生活の深刻化を無視して、生活のパターンの転換のみを押しつける矛盾は、政府の考え方が従来の高度成長下の企業優先の考え方から完全な転換ができていないことを示しているとしか私どもには理解できないわけですね。国民すべてが質的に生活の充実を図るためには、今後個人消費の持つ意味を十分認識する必要があると思いますが、その辺いかがですか。
#148
○国務大臣(福田赳夫君) まあ中沢さん、その一六・何%というあれは……
#149
○中沢伊登子君 一六・四%。
#150
○国務大臣(福田赳夫君) その場合には物価を幾らに見ているんですか。消費者物価を幾らに見ているんですか、それでは。
#151
○中沢伊登子君 これ消費者物価の問題はここにはちょっといま出ていませんが、個人消費支出だけ書いてあります。
#152
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げましたように、一八・四また一七・二というのは、これは九・九%消費者物価が上昇いたしますということを含んでの一八・四であり、一七・二であるわけなんで、まあその日経センターの計算が、もし物価の上昇をそれより低く見ておるんだということになれば、またあなた方のお話、ちょっと様相が違ってくるんですがね。それはそれといたしまして、結局経済が本当に上昇し、かつ物価が安定するという際に、初めてこれは実質所得の源泉というものが出てくるわけなんであります。私どもはそういう四・三%成長ということを期待しておりますのは、何とかしてその中から実質所得の向上というものをひとつ導き出したい、こういう考え方なんです。成長制限に連なるところの生産性を超えて賃金が上がってくるということになりますれば、結局また物価を押し上げる。そうして賃金は手取りはあったけれども、しかしながら物価によってそれを消されてしまうというような結果になっちゃうんです。そういうことのないように、何とかしてこの実質賃金、実質収入、そういうものを確保したい、そういう努力をいま続けておる最中でございますがね。まあ何としても夏ごろから先は経済が徐々に上向きに転じ、それによって国民の収入もふえ、しかも物価が安定して、そこで結果としては実質所得が向上したという結果を導き出したい、こういうふうに考えております。
#153
○中沢伊登子君 もう時間が過ぎておるんですけれども、最後に一つだけお伺いしておきたいのは、来年の三月末で九・九%の一けたに物価上昇を抑えると、これが見込まれておりますけれども、この中で、それならば公共料金また上がっていきますね、秋には郵便料金なんかが上がるわけですけれども、その公共料金は何%を見込んでおられるのか。そしてその品目は何々でしょうか。
#154
○政府委員(喜多村治雄君) お尋ねでございますけれども、公共料金を独立して計算はしていないんでございます。で、先ほど大臣からお答えございましたように、一%以下のCPIの増加というのは、この四カ月足らずのことでございまして、この四カ月足らずの間のCPIの動きが来年度もそれ相当に定着していくことを見込みまして、そうしてトレンド的にずっと延ばしてあるというのが基本でございますが、私どもの方に小さなモデルを持っておりまして、これはそのほかの経済見通しの変数と整合性を保つように出しておるわけでございますけれども、この中で公共料金をどれだけかというようなことは出しておらないわけでございます。したがって一一・八あるいは九・九という中で公共料金がどれだけかということを摘出することはできないわけでございます。で、今度お願いいたしておりますたばこにつきましては、まあ大体〇・六%ぐらいCPIを押し上げるだろう、あるいは郵便につきましては、十月からでございますから、〇・二ぐらい押し上げていくだろうというような、個々のものの上がりましたものについての押し上げ分は計算はいたしておりますけれども、それらが全体の中でどれぐらいを占めるかというような計算はいたしておらないんでございます。
#155
○中沢伊登子君 公共料金の品目は何ですか。後これから上がっていく公共料金の品目。
#156
○政府委員(喜多村治雄君) いえ、たばこと郵便料金と、これは公共料金じゃありませんけれども、酒を計算しておる以外は、いまの段階で上げる――どの程度幅を上げるというようなことを考えておるわけではございません。
#157
○中沢伊登子君 まだまだいろいろ質問したかったんですけれども、もう時間が過ぎてしまいましたから、またこの次に譲らしていただきます。
#158
○委員長(岡本悟君) 本日の調査は、この程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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