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#1
第075回国会 物価等対策特別委員会 第5号
昭和五十年六月十八日(水曜日)
   午後零時三十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡本  悟君
    理 事
                鳩山威一郎君
                森下 昭司君
                山田 徹一君
                中沢伊登子君
    委 員
                小笠 公韶君
                大鷹 淑子君
                神田  博君
                斎藤栄三郎君
                平井 卓志君
                藤川 一秋君
                増田  盛君
                粕谷 照美君
                対馬 孝且君
                山中 郁子君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       福田 赳夫君
   政府委員
       経済企画庁調整
       局長       青木 慎三君
       経済企画庁国民
       生活局長     岩田 幸基君
       経済企画庁物価
       局長       喜多村治雄君
       食糧庁次長    下浦 静平君
       資源エネルギー
       庁石油部長    左近友三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       文部省体育局学
       校給食課長    加戸 守行君
       厚生省環境衛生
       局食品化学課長  宮沢  香君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (学校給食費の値上げ抑制とL−リジンの添加
 問題に関する件)
 (不況対策に関する件)
 (生産者及び消費者米麦価問題に関する件)
 (石油価格問題に関する件)
 (物価抑制に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本悟君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案について大蔵委員会に対し、また郵便法の一部を改正する法律案について逓信委員会に対し、それぞれ連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(岡本悟君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○粕谷照美君 私は文部省及び厚生省に、学校給食に関する、特にリジンに関する問題について質問をしたいというふうに思うわけです。
 学校給食が、戦後、子供たちの体位の増強に対して非常に大きな成果を上げてきたということを認めつつも、いま文句を言うこともできないで、学校給食を与えられている、あるいは与えられているという言い方は悪いとすれば、食べなければならない子供たちの上にとって、非常に大きな、大変な問題が出てきているように思うわけです。それは食べる材料の中にすごい添加物が入っている、あるいは洗剤の問題が非常に大きくなっているにもかかわらず、これが明確な態度で父母にも知らされていないというふうなこともありますし、その中で、特に今度の物価の問題でやりたいというふうに思いますのは、四十九年度の給食費の値上げが、対前年度比で言いますと、中学校で三九%、小学校で四〇%というのが五月の統計だということが載っているわけですよね。それが載っているのは「文部時報」にあるわけですが、「文部時報」の三月にあります。ところが、その四十九年度の十月では、また学校給食費を上げないわけにはいかなくなって、上げたところが、小学校では四五%の値上げであり、中学校では四三%の値上げだということが書いてあるわけです。どんなに長官が物価は大して上がらないとか、何%に抑えますと、こういうふうなことをおっしゃったとしても、子供を持つ母親にしてみれば、三人の子供を持っている、一人当たり四五%の給食費の値上げというのは、大変な値上げだというふうにはだで感じないわけにはいかないというふうに思うわけですが、きのうもテレビを見ておりましたら、五十年度の賃金は、対前年度比一五%もう上がったと、長官は春闘はなだらかなんて言って、こうにこにこしていらしゃいますけれども、父親や母親にとっては、もう学校給食費だけでなだらかではないわけですね。今後、物価の問題、麦価の値上げの問題もあるかというふうに思いますし、牛乳も値上げになるのではないかという、こういう不安を父母は持っておりますけれども、十月過ぎに学校給食費がさらに値上げになるという見通しがあるのかないのか、私は文部省にお伺いをしたいというふうに思うわけです。
#7
○説明員(加戸守行君) お答え申し上げます。
 四十九年五月一日現在の調査の数字が対前年度と比較いたしまして約四〇%弱のアップであったことは事実でございます。で、この原因といたしましては、いわゆる石油ショック以来の物価のあおりを受けまして、そういうような値上げ状態になったわけでございますが、学校給食費の実態を申し上げますと、年度当初におきまして月額二千円とか千五百円、価格を設定いたしまして一年間の学校給食を実施いたします関係上、年度途中の、たとえばおかず等の値上がりその他の問題の対処の仕方が当初月額が定められておりますために、なかなか操作がきかないわけでございます。したがいまして、その年度途中は何とかやりくりをしながら、そのずうっと過去の積もり積もった値上げ分が年度当初に一気にそこで値上げになると、こういう形でございますので、四十九年五月一日現在のその調査の数字自体はかなり高うなったわけでございますけれども、その諸般の原因はいろいろございますが、やはりいままでのひずみの問題あるいは栄養内容の改善といった要素も含め、一部には将来の値上がり分を先取りした値上げもあったんではないかというような感じがいたすわけでございます。
 そこで、四十九年十月一日現在で先生四十数%とおっしゃいましたが、実はこれは五月一日現在の調査と比較しまして、年度途中の値上げがどの程度あったかを調べるために、緊急に特別例といたしまして、十月一日現在の調査を行ったわけでございますけれども、その場合には約三%程度の値上げでございまして、これは値上げをした市町村の数が約五分の一でございました関係上、いわゆる年度途中五分の四はがまんしていったと、五分の一の市町村が値上げをして、平均値上げ率は一五%程度であった。その主原因は、先生も御指摘ございましたような牛乳の値上がり、それから小麦粉の一部値上がり、そういったことが大きな要因であったわけでございます。
 特にちょっと強調しておきたいことは、学校給食の中で牛乳の占めるウエートが非常に高うございまして、これは毎食事ごと欠かせないものとしてつけております関係上、牛乳の値上がりがございますと、学校給食費の値上がりは一般の家庭におけるよりもはるかに高い比率でウエートが響いてまいるという現状でございまして、そういう意味で私ども、年度途中の値上げというような影響が学校給食費に影響しないようにいろんなあらゆる努力をいたしているような状況でございます。
#8
○粕谷照美君 私が質問したのは、そのこととあわせて、十月以降はもう上がらないか、牛乳の値上げの心配はないかというこの質問をしているわけです。
#9
○説明員(加戸守行君) まあ、牛乳の価格実態は新聞等でいろんな動きが報道されてございますけれども、まず生産者乳価といいますものが、生産者団体と牛乳メーカー側との間で価格が決められ、それが販売価格の値上げという形で影響してまいりますので、実際の問題といたしましては、各都道府県の段階におきまして牛乳の供給価格を改定するかしないかという問題でございます。しかしながら、その生産者価格に対する関与権というのを持っておりません関係上、現実に生産者価格が上げられてしまいますと、購入側でございます、消費者側でございます都道府県の段階におきましてその生産者価格の値上がり分を認めないというぐあいになかなかまいらないのが現状でございまして、従来学校給食におきます牛乳の値上げの問題につきましては、ずいぶんいろいろな折衝、トラブルがあったわけでございまして、少なくとも値上げの時期を何とか延ばすということが従来の最大の努力目標であったわけでございまして、今回ももし巷間伝えられておりますような牛乳の値上げが、一般市販価格について行われたといたしましても、学校給食の分野ではなるべく年度末まで持ち越すような努力を各都道府県段階でもしていただくというぐあいには理解いたしておりますけれども、その辺はこれから大きな値上げの、もし年度途中に牛乳の値上げがあるといたしますれば、学校給食費にはね返る影響度はきわめて高いというぐあいに考えております。
#10
○粕谷照美君 もう値上げを予測するようないま御答弁だったというふうに思いますけれども、そのことについて都道府県にだけ努力をされるんではなくて、国の段階としてもきちんと牛乳に対する補助金を引き上げるというふうなことを、文部省としてやっぱり一生懸命にやっていただきたい、こういうふうに思うわけですね。それは私どもいままでいろいろと要求もしてまいりましたし、きょうは質問の中心がそこでありませんから、要望だけをするにとどめまして、リジンの問題に入っていきたいというふうに思うわけです。
 最近リジン添加に対して反対の声があちらこちらに上がってまいっております。私自身もそのことの資料を集めてみたわけですけれども、四月二日に東京の栄養士の小崎光子さんという方が、毎日新聞に添加否定の問題を出されております。五月一日にはリジンの全国添加開始をするということを文部省の方から出されておりますので、学校給食を考える会や栄養問題研究会等から文部省に対して公開質問状が出ているというふうに思うわけです。これらに対して文部省の方では朝日新聞の五月三日号だったと思います、私が見てまいりましたところが、保健体育審議会学校給食分科審議会、リジン強化の見解をこう出しているわけですし、その他ずっとこう見ておりますと、非常に不安を消費者といいますか、父母及び学校給食関係者が持っているわけです。特に和光市で依頼をしたこの研究発表、これに対してはもういままで学校給食に対して不安を持っていた親たちに決定的なダメージを与えたというふうに思うわけです。
 その意味でひとつ質問をしたいというふうに思うんですが、リジンを〇・二%強化する旨の品質改正を四月十八日の時点で文部省は承認をし、五月から実施をするということを決定したというのが「政府の窓」にこう載っているわけですね。「時の動き−政府の窓−」六月一日号に載っています。その内容を見てみますと、「特別の事情がある一部地域を除き、」と、こういうふうにあるわけですが、一体その「特別の事情」というのはどういう地域のことを言うのでしょうか。
#11
○説明員(加戸守行君) 学校給食用リジンにつきましては、先生おっしゃいましたように、四月十八日付で規格改正を体育局長承認をいたしまして、全国実施を五月一日からという形にしたわけでございますが、この以前にすでに、文部省が国の規格として考えます以前に、つまり四十九年度現在で四十三道府県におきまして、各県段階で自主的に学校給食の小麦粉の中にリジンが強化される措置がとられていたわけでございまして、その全国的な趨勢のもとに立ちまして、国で源泉混入をするという方針を立てたわけでございます。その段階におきまして残りました東京、神奈川、大阪、兵庫という四都府県に対しまして、リジンを混入するかしないかということでの御意見を伺ったわけでございますが、東京都の場合につきましては若干国との考え方が違っておりまして、まあ国といたしましては現在の東京都の献立例を分析いたしましても、リジンがたん白質中の必須アミノ酸でございます八種類のアミノ酸のうちの一番欠けている要素であるという実態に基づきまして、こちら側でリジン混入をした方がよろしいのではないかという御意見を申し上げたわけでございますけれども、東京都の方におきましては、文部省側は一九七三年の新しいWHO、FAOのパターンに基づいた計算をしたわけでございますけれども、東京都側におきましては一九五七年の古いWHOパターンで計算をされまして、リジンは十分であるという形で見解が食い違ったわけでございます。その段階におきましていろいろ折衝過程がございましたが、最終的に一応国の考え方もわかるけれども、東京都としてはなおリジン強化の必要性があるかどうかは、検討委員会を開いて十分に検討したい、それまでの当分の間は特別規格としてほしいという申し入れがございました関係上、全国規格は定めましたものの、東京都だけにつきましては、いま申し上げた必要性の観点からなお検討の余地があるということで、一部除外いたしまして、東京だけを別規格として発足をしたというような事情でございます。
#12
○粕谷照美君 いまはもう東京だけでなくなっているということは、文部省も御存じだというふうに思いますけれども、このリジンをどうしても混入をしなければならないというその必要性をお伺いしたいわけです。何しろ昔からパンは欧米人にとっては常食であったわけですし、その常食をしておりました欧米においてリジンなしで、大体副食物でそのリジンの必要量を補ってきているというふうに思いますので、その観点からのお話しを伺いたいわけですが、一九六七年の一月に「学校給食用のパンのリジン強化に関する実験報告書」、必須アミノ酸研究委員会というものを出しておられますけれども、ここで出された資料、その資料の統計表の見方そのものが私は非常にあいまいでおかしいのじゃないかというふうに思うわけですが、文部省は一体この統計報告書のどこをどのようにとって、本当に添加をした方がいいんだというふうにお考えになったのですか。
#13
○説明員(加戸守行君) 学校給食用の小麦粉にリジンを強化いたしますゆえんは、いわゆる穀類中、特に小麦粉に含まれておりますたん白質の中にリジンが不足している。そのリジンの不足を強化することによりまして、バランスのとれたアミノ酸組成といたしまして、たん白質を有効に活用するという、そういう観点に立ったわけでございます。現在の学校給食の実態を見てみましても、一般の家庭の食事におきましては動物性たん白質は五〇%を下回っておりますけれども、学校給食の領域におきましては、動物性たん白質は約五五%程度、一般家庭より上回るような良好なたん白質摂取状態ではございます。しかしながら、そのような状態のもとにおきましても、やはりアミノ酸組成を分析いたしてみますと、リジンがある程度不足をしておる。そのリジンを不足したままにしておきますれば、他の必須アミノ酸がむだになって捨てられていく、そういうことではたん白質の有効な活用とは言えない。あるいは児童の体力増強あるいは健康増進という観点に基づきましてリジン強化をすることが適当であろうという判断に立ったわけでございまして、あくまでもねらいはバランスのとれたアミノ酸構成のもとでたん白質を摂取する、現実に摂取しているたん白質そのものを有効に体内で活用するということをねらいとしたわけでございます。
 ところで、先生御指摘ございました昭和三十九年から四十一年にかけまして二年間、全国の五ブロックにおきまして男女別に数項目にわたりますアミノ酸委員会におきます研究のデータが出てございます。実は巷間このデータの一部をとりまして握力低下であるとか、立ち幅跳びの能力の低下を来すというような意見が出ておるわけでございますけれども、約五十数項目にわたりますうちのデータとしては、リジン強化グループがリジンを混入しないグループに比べまして非常に体力増強あるいは体位増進にいいデータが出ているわけでございますけれども、そのうちの一つ、青森地区におきます立ち幅跳び能力につきまして、リジン群の方が若干伸びが下回っている。これは低下ということではなくて、伸び率が、リジンを与えないグループよりも伸び率が悪いという意味でございます。それから東京の女子のグループにおきましては、握力につきましていい結果が出ておりますけれども、男子グループにつきましては握力の伸び方が、リジンを与えないグループに対しまして伸び率がそれほどよくなかった。そういう二つのデータを取り上げられまして、五十数項目のうちの二つをもちまして、握力低下あるいは立ち幅跳びの能力低下というような反対理由に使われているわけでございますけれども、私どもはこういう観点に立ちまして申し上げたいのは、実は握力とか立ち幅跳びの能力と申しますのは、こういったリジン強化ということによって短絡的にすぐそういう結果が出るものとは考えておりません。児童生徒が二年間の食事でございますから、約二千二百食年間お食べになる。そのうちの学校給食で三百七十食でございますから、約六分の一の食事にリジンを強化した結果、すぐそれが効能たちまちあらわれるということを期待したわけでは必ずしもございません。一つの参考データとしてとったわけでございます。しかも握力、立ち幅跳びの問題にいたしますれば、栄養そのものよりもむしろ日ごろの鍛練その他のファクターが大きく影響するのではないかという意味におきまして、リジン強化が害があるというようなデータで使われることにつきましては、私どもはなはだ心外であると心得ておる次第でございます。
#14
○粕谷照美君 何か物すごくたくさんなことをおっしゃいましたけれどもね、私をやはり納得させる材料ではないというふうに思うわけですよ。私もその報告書を持っていますけれども、この報告書を見る限りにおいては、たとえば山間地域で、山梨では男子においてよかった、そのよかったというのは一体何かと言えば、身長と座高がちょっと伸びたと、こう書いてあるわけですね。ところが、山梨と同じという条件ではないと思いますけれども、やはり当時農村地域であった青森においては、男子にはその伸びが見られない。全く相反しているわけです。そして女子には有意、つまり意義が大きかった、身長や体重ともに伸びたということを書いております。また逆に言えば四国では、男女ともに効果が見られたというふうになっていますから、必ず与えたからこの三つのところが同じであったというふうにはなっていません。特に四国では一部の者に握力が増加をしたと、こう書いてありますけれども、東京では男子は握力が減ったというふうになっています。だからこのリジンの効果そのものが握力に出た、出ないということについてのあなたの御見解は私は非常に問題があるというふうに思いますが、しかし東京都の衛生研究所の道口先生にお伺いをすれば、やはり握力というのは一つの体力の指標だというふうに考えてよろしいのじゃないか。そういう意味ではこのリジンを与えたということが必ずしも即短絡的に影響するというふうには考えない方がいいのではないかというふうにおっしゃっていますから、このプラスになった部分、マイナスになった部分があるとするならば、リジンを与えたことによってその成果があったというふうに考えること自体が問題だというふうに思うわけです。
 それともう一つ、山梨地域においては子供たちのリジンの摂取量は一日約三グラムに及んでいるというふうになっておりますし、東京地域では男子では三・九グラムから六・九グラム、女子では三・五グラムから五・七グラムというふうにリジンの摂取量がやはり違っているわけです。大阪では四・〇から四・八グラムというふうになっていますが、一体リジンというものは一日のうちにどのくらいとればいいというふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
#15
○説明員(加戸守行君) 人間の体と申しますのは非常に微妙なものでございまして、人間の体をつくるたん白質を構成いたしますそのアミノ酸のバランスがどの程度のものであればよろしいかということは、個人個人によってすら違う状況でございます。したがいまして、大体リジンが一日に何グラムあればいいというようなことは、これはなかなか一律には申し上げられないような状況でございまして、いわゆる私ども問題といたしておりますのは、学校給食においてとります食事の中に含まれておりますたん白質を組成するアミノ酸がバランスがとれているようにしたいということで、その中できわめて不足をしているリジンを強化するという考え方に立ったわけでございまして、一日にリジンが何グラム必要だからということを申し上げているわけではございません。リジン自体は、それは独立して意味を持つものではございませんで、八種類の必須アミノ酸の中で、それぞれ他のアミノ酸とバランスをとった形で、人間の体に適合したたん白質をつくり上げていくわけでございますから、それはその日に摂取するたん白質の量にバランスがとれているように考えるということでございまして、一日に三グラムとればよろしい、五グラムとればよろしいというような数字は、私どもは示せないと思います。ただし、最低どれだけ必要であるかということであれば、それは人間が生存していくために当然活動を行います関係上、窒素を尿から排せつをし、あるいは皮膚から窒素を排せついたしております。その窒素を補うための資源といたしましては、たん白質、つまりアミノ酸でございますから、そのためには何グラム程度の最低のたん白質が必要であり、そのためにはたん白質を構成するアミノ酸のバランスとしては、リジンが最低幾らなければならないというような試算も一応できると思いますけれども、現実の問題といたしまして、私ども学校給食で摂取をいたしております平均二十五、六グラムのたん白質が、なおたん白質の量としてはある程度満足すべき段階であっても、質としてバランスがとれた形で吸収されるということを意図いたしまして、数値的に不足しているリジンを強化するという考え方をとったわけでございますので、いま先生の御質問のございました、一日にリジンが何グラム必要であるかという御質問の回答は、ちょっとできないと私どもは考えます。
#16
○粕谷照美君 私も家庭科の教師をちょっとやっておりましたので、栄養のことについて専門的ではありませんけれども、いままで毎食事ごとにアミノ酸をこのくらいとらなければならないのだなんということを教えてきた覚えがないわけですよね。習った覚えもまたないわけです。大体栄養というのは、一日を単位として計算をされるというふうに思うわけですけれども、この政府の窓の「時の動き」六月号によりますと、「これによって毎食事ごとの各アミノ酸組成のバランスを整えて」と、こう書いてありますけれども、いつから毎食事ごとにアミノ酸のバランスをとるというような、そういう科学的な論拠ができ上がったのですか。
#17
○説明員(加戸守行君) これは国立栄養研究所におきまして米に対するリジン、スレオニンの強化の時間的な影響というような実験を行われまして、まずシロネズミに対しまして、最初にリジンあるいはスレオニンといいます、必須アミノ酸のうち重要な要素でございますこの二つのアミノ酸が数値的には低いといわれております白米を投与いたしまして、それから三十分後にリジン、スレオニンを追加した、それから四時間後に追加した、あるいは十時間後に追加したというようなデータをとったわけでございます。その場合にはいわゆるリジン、スレオニンを当初から強化した白米を与えたネズミに対しまして三十分後に与えても若干の体重その他のずれが出てまいります。四時間後になりますと、ほとんど強化の意味というのが大幅に低下してくる。そういうようなデータが出ておりますので、少なくともアミノ酸のバランスといいますのは、摂取したたん白質が良好なバランスがとれておるというのは食事のつどごとであるのが理想であるという前提に立ちまして、昼足りないから夜の食事で補うということによってカバーできるのではないのではないかという、そういう考え方に立ちまして、いまの実験結果をもとに毎食事ごとのバランス構成ということを申し上げたわけでございます。これは人体内で分解されましたアミノ酸が人間の体に適合するようなたん白質として組成されるためには、それぞれのバランス構成が必要でございますから、ある一種類のアミノ酸が不足している状態であとから追っかけていくということが何時間後であればいいか、絶対的な数値は別といたしましても、少なくとも同時が最適であり、数時間を経た場合には効果は大幅に低下するということは実験結果として私ども一応出ていると考えているわけでございます。
#18
○粕谷照美君 文部省がそれをおとりになったということについては理解はいたしましたが、納得するものではありません。それで大体栄養学における研究というのは世界的にもなかなか進んでいないというふうに言っているわけですけれども、それでも一応の権威というものはどこに置くか、信頼性が最も持てるものはどこに置かれているかという考え方に立てば、FAOだとかあるいはWHOのこの出したものの信頼度が一番高いと、こういうふうに言われていますね。そういう考え方に立ちますと、またWHOが十歳から十二歳の男子の体重をとってみますと、平均して男子は三十六・九キログラム、女子が三十八キログラムと、こういうふうになって、平均的に三十九キログラムというふうに考えてみました。同じくWHOの数値では一体十歳から十二歳ぐらいの子供に対して一キログラム当たりどのくらいのリジンが必要かという計算は〇・〇六リジン、これだけ取っているわけですね。そうしますと、文部省は年度の違う数字をとっているというふうにおっしゃいますけれども、その計算でやってみましても、一日に二・二グラムあればよいというふうに言われているわけです。そういう考え方に立っていれば、もう山梨そのものでも三グラムが出ているわけですし、東京では三・九から六・九あるいは五・七というふうに一口のリジン量をオーバーしているわけです。だからこそ東京都では、うちではそういうものを添加する必要がないというふうにおっしゃっているんだというふうに思うわけですね。そのことを文部省としてはどういうふうに理解されますか。そして、これが検査が行われた時代に比べていまの食糧事情というものはどのような状況になっているか、この辺のところをちょっとお伺いしたいと思います。
#19
○説明員(加戸守行君) 先生ただいま御指摘ございました数字は、一九七三年にWHO、FAOの合同特別委員会で出ましたエネルギーたん白質の必要量という報告に基づいておっしゃったものだと思いますが、その中では一日のリジンの必要量が体重一キログラム当たり〇・〇六ということを述べているわけではございませんで、人間が生きていく上にたん白質の安全摂取レベルという言葉が出ていると思いますが、この人間が生存し、一応生きていくためにたん白質が最低どの程度あればいいのかという量を人間の体重一キログラム当たりに換算いたしまして〇・八グラムだったと記憶しておりますが、それを前提といたしまして分析実測値を行いましたところ、たん白質一グラム当たりにつきましてリジンの量は七十五ミリグラムが妥当な数値であるというような実測値が出たわけでございます。それに基づきまして、いまのたん白質、体重一キログラム当たり〇・八グラムをかけますと、〇・〇六グラム、すなわち六十ミリグラム、たん白質〇・八グラムについて〇・〇六グラムという数値がリジンとしては妥当な量であろうという数値が出たわけでございます。これが単純にそれを体重をかけまして、たとえば三十数キロをかけまして、だから一日に二グラムのリジンでいいあるいは三グラムのリジンでいいと言うような言い方が、たとえば東京都の衛研の道口先生あたりが朝日新聞にお書きになっておりますけれども、このまず前提に私ども非常に誤りがあると申しますのは、まずその実測をいたしましたのはアミノ酸で実測をしておるわけでございますから、まず前提として摂取するたん白質が、その当該摂取をする児童生徒にとって完璧な食品である、つまり一〇〇%吸収されてバランス構成が一〇〇%であるという前提に立った実測値でございます。だといたしますと、現在の食事自体のたん白質は、先生も栄養の方で御専攻だと思いますが、たん白質の胃腸の中におきます消化吸収率は約八九%と言われておりますから、そういった要素はまず食事からとる場合にはその分の一〇%程度の安全弁を考えなくちゃならぬという問題が一つございます。それから構成自体に、いまのアミノ酸構成の問題といたしましても完璧な食品というのはないわけでございますから、それはもちろん完璧な食品に近づけるべく努力が必要でございますけれども、それはともかくといたしましても、いまのリジンの摂取量というのは、人間が生きていくためのいわゆる最低必要量という形で数値が出ているわけでございますから、現実にたとえば厚生省が発表しておりますような国民所要栄養量、ごらんになるとわかりますけれども、子供の場合につきましても、一日たん白質の摂取量が七十グラムとか八十グラムというような基準が定められております。ところが道口先生の計算の結果でもしそれを前提といたしますと、人間は一日にたん白質は、たとえば児童生徒の場合であれば、たん白質二十八グラムあればよろしいという言い方になるわけでございまして、私ども子供たちが一日に二十八グラムで妥当だとは考えておりません。それはどういうことかと申しますと、学校給食におきます食品構成表の中ですらも、すでに小学校低学年につきましては二十三グラムのたん白質、高学年については三十グラムのたん白質という基準を決めまして、大体現在の摂取量が二十五、六グラムのたん白質の摂取量でございます。そういう意味で、人間が生きていく上の最低必要なたん白質の量という意味と、人間が生きていく上に適当な、このぐらいとれば妥当であるという適当量とはまず大きな違いがある。その意味においては私どもは三倍程度の安全弁を考えるべきではないかと思っておるような次第でございまして、いずれにいたしましても、その場合におけるリジンのアミノ酸中の構成バランスがとれていることが理想であるということを申し上げているわけでございまして、もしリジン不足のままの状態のアミノ酸摂取でございますれば、量的には食べているアミノ酸が実態的にはそのリジン不足に相当する他のアミノ酸部分がすでにむだに捨てられているという意味におきまして、現在のたん白資源を日本が一生懸命求めようとしている段階におきまして、学校給食の分野でもせめてたん白質のたん白化、栄養効果というのを高めたいというのが、私どもの考え方であったわけでございます。
#20
○粕谷照美君 それではそういう考え方そのものが違えば、文部省のおっしゃることはそのとおりだというふうに考えても結構だというふうに思いますけれども、しかし考えてみますと、リジンの量が足りないから、一つの薬品になりますね、薬ですね。こういうものを足して食事をとらせるという、この考え方そのものが間違いなんじゃないですか。リジンが足りなければ、そのリジンを補うようなもの、たとえば魚だとか、あるいは肉だとか、そういうものを入れていこうという、食事というものはそういうふうに考えていくものではないのでしょうか。そうでなければ人間は一日のうちにこれだけの栄養価があり、これだけのカロリーがあり、これだけの満腹感があればいいなんということで、丸薬飲めばそれでもう食事が終わるというような時代がくるのじゃないだろうかというふうなことを心配するわけです。その立場でこのリジンを添加してリジンを十分に摂取をさせるということと、この学校給食法のいわゆる目標がありますね。「日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。」あるいは「学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと。」「食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。」「食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと。」という、これに合致するという態度なんでしょうか、その辺お伺いしたいと思います。
#21
○説明員(加戸守行君) 先生の御質問で、薬品を添加するという考え方よりも魚、肉という自然食品で補うべきではないかという御意見でございまして、私どもはちょっと薬品という言葉にこだわるわけでございますが、通常いわゆる添加物と呼ばれておりますものは、化学合成によってこの世に通常存在しないものをつくり上げたものが通常の添加物という形で、殺菌料、保存料、あるいは着色料という形で使用されているわけでございます。で、リジンにつきましては、そもそも人間の体の中の重要な構成要素でございますたん白質を構成するアミノ酸の一種類でございますから、そもそもそういった化学合成というようなものとは基本的には違うという考え方をしておりますし、現実にリジンの製造方法にいたしましても、糖みつあるいはでん粉という植物性の自然の食品に微生物発酵方法によりまして、みそとしょうゆと同じような方法で発酵いたしましたものを取り出して強化しておるわけでございますから、そういう観点で一般にいわゆる化学合成による食品添加物とか、あるいは薬品というような認識では考えてはおりませんで、むしろ私どもは食品の一構成要素、あるいは食品に準ずるものというような観点で判断をしておるわけでございます。
 それから、もちろんいま申し上げたような形で強化するよりも魚とか肉とか、いわゆるリジンを豊富に含んでいる食品で補えばよろしいではないかという御意見は、まことにごもっとでございます。しかしながら、現実の学校給食の実態を見てみましたときに、先ほど申し上げましたように、家庭におきましてすら動物性たん白質の摂取量が五〇%に満たない状況の中で、学校給食では動物性たん白質を五五%のウエートを置いた形で摂取される実態にあるにもかかわらず、なおかつやはりリジンが不足をするという問題でございますから、そういう意味におきましては肉とか魚類、そういった動物性たん白質の比率を六割、七割という形で上げていくということは、理想の姿ではございますけれども、現実的な問題として考えましたときに、第一の問題としては、その分だけ多額の給食費の値上がりの問題にはね返るわけでございます。で、これは先生先ほども給食費が諸材料の値上がりで上がると、非常に上がり方がひどいということをおっしゃいましたけれども、それに拍車をかけるような要因になるというような問題が一つあるわけでございます。それから、第二番目といたしましては、日本人の食生活の形態として、西洋型を指向するのかどうかという問題がございまして、いわゆる畜産物を中心といたしまして、穀類を減らすというような、たとえばアメリカ型の食事というようなものを果たして学校給食の世界でだけ理想を描いて実現できるものであろうかどうか。それは日本の国内におきます食糧自給体制、あるいは世界の食糧事情等の総合勘案の上に立って、ある程度その辺を念頭に置いた形で、いわゆるその資源あるいはたん白資源の補給源をどこに求めるかということを考えないで、学校給食の分野だけで完璧なものを求めるということが果たして現実的に可能であるのかどうか。その辺の疑問もあるわけでございまして、当面現にこのような状況の中にありましては、リジン強化による措置が一番妥当な方法ではないかと私どもは考えておる次第でございます。
#22
○粕谷照美君 妥当な方法ではないかとお考えになる、そのこと自体は結構ですけれども、お金を払う方は文部省じゃないんですよ。母親が払うんだし、食べるのは子供たちなわけですよね。私が一緒にいますめいなんかも、幼稚園から一年生に入っていったら、月曜日になるともうお腹が痛いい、お腹が痛いと朝から言うわけです。三回ぐらいそれが続いて学校を休んだから、どうしたんだろうと思って聞いてみましたら、学校の給食のパンを残すことについて、先生が御指導くださるわけですよね。物はもったいないからちゃんとみんな残さないで食べるようにと。そのことが物すごく抵抗感があって、学校へ行きたがらない、学校ぎらいの子供ができているという、こういう実態をやっぱり文部省はきちんと考えていただきたいというふうに思うわけです。だから本当にお金がかかるのであれば、それはどのようにして克服していったらいいのかということをやっぱりみんなと相談をしながら、がんばっていただきたいというふうに思うんですが。いまアミノ酸の話がありましたけれども、東京都の食事そのものについて教育庁の栄養士が計算をしておりますね。皆さんの方でも資料があると思いますけれども。一食に当たってリジンが一・五グラムだというふうに計算をされておりますが、これですと、大体一日の必要量の六〇%以上をとっていると。そうすると、朝の御飯と夜の御飯を入れますと、一日の分は十分必要なんだというふうに判断をしているわけですが、このことについては文部省はじゃあ否定をなさっているわけですね。
#23
○説明員(加戸守行君) 東京都の方の調査によりますと、学校給食の領域では一・五グラム程度のリジンが摂取されているという数値でございますが、文部省の方におきましても東京都の献立例、これは同じものではございませんが、別の献立例をとりまして分析しました結果におきましても、同じようにほぼ一・五グラム程度のリジンが含まれているという数値は出ております。ただし、これは前提といたしまして、先ほど申し上げましたように、一〇〇%たん白質が吸収されることを前提としておりますから、先ほど申し上げた消化吸収率の八九%は数値としてはかけておりませんし、その他の安全弁、つまり食事というのは完全に摂取してしまうというわけじゃございませんから、そういった安全弁の要素も考慮していない数値でございます。いずれにいたしましても、数値としては一・五グラムは合っております。ただし、その一・五グラムが果たしてそれでは学校給食の中におきましてたん白質を有効に生かすほどの量であるかどうかと申し上げますと、私どもの分析結果によりますれば、一九七三年のWHO、FAOの十歳から十二歳までの学童パターンを用いて算定いたしますと、約七十数%のリジンの充足率でございまして、パーセンテージとして一番低い数字でございますので、これを強化する方法によりまして、むだに捨てらるべかりし他のアミノ酸も活用される結果、たん白質として有効に利用できる結果になるということを申し上げているわけでありまして、その辺に議論の違いがあるわけでございます。ただ先生先ほどおっしゃいましたように、一・五グラムのリジンをとっているから、一日二・二グラムの必要量の六〇%をとっているという、多分道口先生の御意見をもとにおっしゃられたと思いますけれども、私どもはそのように考えておりませんので、先ほど申し上げたように、学校給食の中のたん白質を十分に活用するという観点では、一・五グラムのリジンですら不足だということを申し上げているわけで、人間が生きていくために一日二・二グラムのリジンがあれば十分だということにはならないと考えております。
#24
○粕谷照美君 ちょっと答弁が長過ぎるんですよ、もっと短くしてください。私も時間がありますから。それではお伺いしますけれども、いままで要らなかった四県があるわけですけれども、特に東京にしぼって言えば、いままでリジンを添加していた地域とこの東京を比べて、身体検査の発表があるわけですけれども、その点で大変劣っているという結果が出ていますか、データ上。
#25
○説明員(加戸守行君) 私が先ほど申し上げましたように、リジンの強化のねらいといいますのは、バランスのとれたアミノ酸で、たん白質を吸収させるということを言っているわけでございますから、その結果体重が何キログラム、身長が何センチメートル伸びるということを具体的にねらいにしたものではございません。したがって、リジン強化の結果が数値として示せるものではないということは、たとえばかわりにリジンの強化をやめて、肉をたとえば二十グラム追加すれば、卵を三十グラム追加すれば、どんな身長、体重の伸びが出るのか、その数値を示せと同じ意味に私どもは理解いたしております。
#26
○粕谷照美君 いま最後におっしゃったことは大変問題だというふうに思うわけですよ。私も一体このリジンを添加して、何ミリ身長が伸びた、何グラム体重が大きくなったというようなことだけが重点であったならば、一体日本民族、大和民族の身長というのは一体どのくらいあればいいのか、体重はどのくらいになったらいいのかという、こういう問題があろうかというふうに思うわけですよ。みんながみんなトンガの王様みたいになればいいなんていう、そういう食べ物の考え方ではないというふうに思うわけですね。だから、私がお伺いしたがったことは、いま文部省の方でやはり考え方が違うという観点に立った答弁はわかりました。
 それで問題がありませんから、別の問題に入りますけれども、それじゃ各県において、じゃあうちの県はリジンが必要ないのだというような結論が出た場合に、文部省としてはそのことは認めるというふうに理解してよろしいわけですか。
#27
○説明員(加戸守行君) 先ほどお答え申し上げましたように、四十三道府県が実施するようになった前提を踏まえまして、国としてはかくかくの措置をとったわけでございまして、その大きな原因は、四十九年度までは、たとえばパン工場の段階で、あるいはいろいろな段階におきまして、でき上がった粉の中にリジンを混入する、混ぜるという、あるいはパンを焼く過程に入れるとかという、いろいろな措置がとられました関係上、実際に検査をしてみますと、あるパンにはリジンが強化されているが、あるパンにはリジンが出ていないという数値もございまして、ばらつきがあったわけでございます。そういう意味で製粉過程に源泉混入をすることによりまして、フィーダー装置によって吹き込みますので、まんべんなくどのパンにも〇・二%のリジンが強化される、そういう正確な度を期したいというのが一つの大きなねらいであったわけでございまして、東京都の場合につきましては、製粉工場が東京都向けのものをつくっているのは一つでございますから、技術的に可能でございましたけれども、ほかの県の場合には一つの製粉工場におきまして、六つの県、七つの県という形で出しておりますので、ある県では要る要らないという形になりますと、製造過程を変えなければなりません。それからそういう注文にもし応ずるといたしますと、現在小麦粉の中にはビタミンB1、B2、ビタミンAというものが微量でございますが、強化いたしております関係上、本県ではビタミンB1は要らないとか、本県ではビタミンAを抜いてくれという形になりますと、非常に製造原価として高くなってまいりますし、そういう形のものになりますれば、商品としての価格を相当上げた形で、多種多様なものをつくることになるのかどうか、そういう問題がございます。いずれにいたしましても、県が購入するわけでございますから、本県としてそれが要らないとおっしゃられれば押しつけるというわけにはまいらないのが実態でございます。
#28
○粕谷照美君 無理やり押しつけるということがないということがわかりました。ですから、それはそれで結構です。
 ところで、先日問題になってまいりました埼玉県の和光市で、いわゆる発がん性物質がこの中に混入されていたということで、非常に多くの県にショックを与えていますね。それでもう中には大変たくさんの県市で辞退運動が出ている。お母さんたちももう役所に、教育庁に押しかけていく、告訴問題にまでもう発展していると、こういう事態があるわけですけれども、文部省はそれに対して検査をするということをおっしゃっていますけれども、その検査自体一体どういうところで行われるのか。私自身はやっぱりそういう大ぜいの人たちの不安にこたえるには、やっぱり立ち会い検査を行うというふうなことが非常に必要になるんじゃないかというふうに思いますが、そのことについてはどうお考えですか。
#29
○説明員(加戸守行君) 先般六月九日に東大の高橋講師が発表されました数値につきましては、従来メーカー側で自主的に検査を実施しておりました数値をはるかに上回る数値でございましたために、私ども国としてもその検査の数値が正しいものであるかどうか再確認をしたいということで、現在検査を急がしているわけでございますが、先生の御質問の趣旨は、その検査を委託しておる機関名をここで明らかにしろという御趣旨でございますれば、私ども近日中にその結果が出て、その機関名と同時に数値を発表する予定でございますので、できれば現在検査を急いでいる段階の機関名は伏せさせていただきたいと考えております。
#30
○粕谷照美君 なぜ伏せなきゃならないんですか。伏せなければならないという理由をひとつお伺いしたいと思います。
#31
○説明員(加戸守行君) 現在この機関において検査をしているということでございますと、非常に厳密な検査でございまして、たとえばたばこの煙がちょっとでも響けばppbでなくてppmまで上がるような検査でございますし、まあ空気に触れること自体につきましても若干のppbのずれが出る。つまり十億分の一の検査をやっているわけでございますから、まあ雑音と申し上げては失礼でございますけれども、いまその検査をしている機関に立ち入りさせて一同見せてほしいとか、あるいは立ち合わせろというような要求がくるというようなことになりますと、検査の公正が期せられないのじゃないかと、そういう一種の懸念もあるわけでございまして、結果の発表いたしました時点では、いかなる機関がどういう方法によって検査をしたかということは明らかになるわけでございますので、それまで暫時お待ちをいただきたいということでございます。
#32
○粕谷照美君 別に名前を出したって、その検査をやっているところに入れなきゃいいわけですから、そういう秘密主義そのものがおかしいという考え方をみんな持っているわけでしょう。ですから、文部省が新聞紙上にこれは安全なんだ、安全なんだということを繰り返し繰り近し答弁をされているけれども、そういうことに対しての不安感があって、その不安感に対して正しくこたえていないというのがいまのこの機関名を伏せるという態度でも私はよくわかったように思うわけです。それで逆に言いますと、文部省はどうも企業の言いなりになっているんじゃないんだろうかという、こういう考え方を持つ人たちもたくさんおりますので、文部省自体がそういうテストをおやりになることは結構ですけれども、やはりもう少しいろいろな層からの、疑問を持っていらっしゃる層の人たちも含めまして、私はやっぱり検査をする必要があるんじゃないかという考え方を持ちますが、いかがですか、再度。
#33
○説明員(加戸守行君) 私ども三・四ベンツピレンの量の問題で世間を不安に陥れたということにつきましては、大変恐縮に存じている次第でございます。しかし自然環境の中でベンツピレンというのは大気中にも空気中にも土壌の中にも存在し、自然の食品の中にもある程度の微量は不可避のものと考えられている実態の中におきまして、もちろんなければないにこしたことはございませんし、ゼロであることを目標にしたいと思いますけれども、やはり検査限界を下げていけばいくほど、いずれかの形では検出されるという実態でございます。そういう意味では将来の問題といたしましても、このベンツピレンの含有量を極力ゼロと同様と考えられる数値に下げていきたいというのが現在の気持ちでございます。そういう方向でメーカー側にも指導いたしたいと思いますし、またこれからも特に念を入れてその都度のチェックを十分にしていきたいと考えるわけでございます。
#34
○粕谷照美君 それではこの結論の結果、やっぱり和光市と同じ――同じ数値とは言いませんけれども、そういうような実態が出たという場合にはリジンの添加を全国的にやめるということもあり得るわけですね。
#35
○説明員(加戸守行君) 私先ほど申し上げましたように、従来のメーカー側のデータよりもはるかに上回る数値でございましたけれども、高橋講師の発表された数値そのものが合っているといたしましても、そのことが直接リジンが他の食品に比べて危険度が高いというようなことにはならないと確信をいたしておりますけれども、事はやはり食物の問題でございますので、やはり国民的な世論等もございましょうし、もし高橋先生の発表された数値と同じような数値であったといたしました場合には、もちろん保健体育審議会の学校給食分科審議会でも御審議いただきまして、今後の方向を考えるというようなことになろうかと思います。
#36
○粕谷照美君 では最後に、リジンの問題もさることながら、先ほどから申し上げましたように、大変学校給食費が値上がりをし続けている。しかも、今度麦価の問題、牛乳の問題、いろいろと値上がりが連続してくるだろうという、そういうおそれを持っている国民に対して経企庁長官といたしましては、どのようにお考えになり、九%以下に抑えるなんて、こうおっしゃっていますけれども、その辺のところの御決意をお伺いしたいと思いまます。
#37
○国務大臣(福田赳夫君) リジンの問題というのは、私もきょう初めてリジンというのを承るようなわけで、したがって、私としては、いま文部省の方からお答えした以上のお答えを申し上げるわけにはいかないんです。ただ、学校給食全体につきましては、これはもう親たちの立場に立ってその気持ちもくみながら注意深くやっていかなけりゃならぬし、特にいまお話しのありましたように、価格が上がる、給食費が上がる、この点につきましては、これが上がらないようにしなければならぬ。それにはどうするかと、こういうことでありますが、物価全体が鎮静すると、こういうことであろうと思うんです。物価問題につきましては、学校給食のことばかりじゃございませんけれども、これは国民生活全体に大きな影響がある問題でありますので、これはもう全力を尽くしまして――いまとにかく旗を掲げておるわけです。五十年度中に消費者物価の上昇を一〇%以内にとどめる、これは大きな旗ですから、この旗を必ず実現をするというために最善の努力をしてみたいと、こういうふうに考えております。
#38
○粕谷照美君 終わります。
#39
○対馬孝且君 まず経済企画庁長官に、物価問題の基本的な姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
 六月四日の物特におきまして私申し上げましたが、まさしくことしの春闘は福田副総理のペースで春闘がなだらかに終わりまして、まさに組合幹部は首が飛ぶというようなことになっておるわけでありまして、まさしくひとつ物価問題では福田副総理はそういう意味で首をかけてもらいたいということを私申し上げました。鎮静をしてもらいたいということを申し上げました。
 そこで、実は第三次不況対策について基本的な姿勢をちょっとお伺いをいたしたいんでありますが、どうも私は、この間の不況対策を決定する閣議決定の段階で、かなり福田副総理は第三次不況対策と物価対策の兼ね合いということで、まずこれで不況は克服ができると、やや景気は浮場するだろうと、こういうことでかなり自信を持った発言をされているのでありますが、一方また労働大臣は閣僚会議で、もはや一けたの物価安定というのはもうこれは大変なことだと、六月の物価いかんによっては物価総見直しをしなければならぬと、こういう言い方を閣議で堂々と発言をされておるわけであります。またきのう商工委員会で私質問したのでありますが、これもまた「朝日」に出ておりますけれども、河本通産大臣の勇み足という見出しで、実はこの金利引き下げという問題は、いわば第三次公定歩合の引き下げを意味したものだと、こういう通産大臣の一つの所見が出されている。どうもここらあたりが対話と協調という三木内閣の体質の中で、物価の神様と言われる福田副総理にしては、どうもこれでは国民はどうも大臣がばらばらで一体一けたになるのかと、こういう心配をしますよ。現実には私もこの前申し上げましたが、四月、五月にすでに三・五%上がってしまっているわけですね。九・九%の三分の一いってしまっているわけです。残りの六%ちょっとが残っているだけであって、これで今度はたばこ、郵便料金、いまも出たが、これから後ほど質問しますけれども、生産者米価の問題、麦価の問題、一連の問題、牛乳問題ずっと出てきているわけですね。こういうふうになりますと、国民が一体一けた一けたと言うけれども、一体なるのかと。すでに三分の一も物価上がってしまってるじゃないかと、こういうことで、この自信のほどというよりも閣内不統一じゃないかということですよ、はっきり申し上げて。この点どうなんですか。第三次不況対策という中で聞きたいことは、第一点にしぼって聞きたいのは、一けたという問題には閣内が完全に統一されているのかどうか。どうもこれは労働大臣の発言にもあるように、きわめて六月以降のいかんによっては大変なことだと。ならないと、あえて言えばなっているんです。それから金利引き下げという問題は、河本通産大臣はきのう私に対しては必げ第三次公定歩合の引き下げについてはならざるを得ないということをはっきり私の質問に答えているんでありますが、きょうは長官というよりもひとつ総理大臣に次ぐ副総理として、ひとつ権威ある立場でお答えを願いたいと、こう思う。
#40
○国務大臣(福田赳夫君) まず物価政策につきましては、これは閣内に何ら違った意見はございません。つまりもう閣議で決定しております。万難を排して一けた台、消費者物価の目標の実現を期す、こういうことになっております。ただ、閣僚によりましてはその立場、立場でまあいろいろ過程、そういう結論に到達するまでの過程におきまして意見はあります。労働大臣はまあ労働問題、そういう担当という立場におきまして、物価問題がもし間違ってくるというようなことになったら大変だから、この物価問題間違いないようにやってもらいたい、こういうことを強調するのは当然だろうと思う。また通産大臣は通産大臣で、企業のことを所管しておりまするから、そういう立場で景気、景気と、こうおっしゃるのも私は当然だろうと思う。そういう活発な議論が閣内でなけりゃ本当の実のあるコンセンサスもできませんし、またコンセンサスができた場合のこれが実施の意欲、そういうものも沸いてこないと思う。しかし、結論におきまして閣内において不統一ということはありませんということははっきり申し上げます。万難を排して一けた台の実現を期す、こういうことであります。
#41
○対馬孝且君 そこで、それでは私具体的にお伺いしたいんですが、過程の議論はこれはあって結構ですけれども、結論が違っているという点は問題があるんじゃないですか。副総理、これは通産大臣はそれでは第三次公定歩合の引き下げはしますと、こう言っているんですよ、きのう。これはどうですか。副総理としていまの第三次不況対策だけでは不況対策にはならない。第四次という言葉を使わなかったけれども、結果的には第三次の公定歩合を引き下げせざるを得ない、私はこういう質問をしているんですよ。アメリカでは五回の公定歩合が引き下げをした。西ドイツでも公定歩合が五回下がっている。なおかつ今日の状態でようやく景気が浮揚し、あるいは物価とのバランスという問題ではなおかつ安定はしていない。しかし、日本の場合は二回の公定歩合の引き下げというだけで、一体景気が浮揚して物価の安定という関係では全く綱渡りではないか、こういう質問に対して答えているのは、やっぱりそのとおりでございますと、よって第三次公定歩合は引き下げをせざるを得ません。これはもちろん日本銀行の総裁がやることでありますけれども、私はそのように考えております、こういうお答えなんでありますが、この点についてひとつそういうことがはっきり景気浮揚策として、これで第三次で終わりだと、こういう副総理の確信ある答弁になるのかならないのか、この点をちょっと伺いたい。
#42
○国務大臣(福田赳夫君) いま景気は大体底にきたと、こういうふうに見ております。ただ、底にきた景気がこれが浮揚するかというと、その浮揚力が非常に力が弱い。そこで、この第三次不況対策、これを必要とすると、こういうことになったわけでありまして、まあただいま私この時点におきましては、第三次景気対策、これで景気は徐々に上向きに転ずるであろう、またそれによって物価の動向を損なうことはあるまいと、こういうふうに見ておるわけです。まあ金融政策につきましては、公定歩合政策につきましては、これは日本銀行がやっておるので、私がとやかく言うことは妥当ではありませんけれども、これは要するに、これからそういう見方に立って経済の動きを注目してまいりますが、まあ政策は硬直化しちゃいけないわけですから、その時点時点で適当な対策を機動的かつ弾力的に行っていく、こういう考えでございます。
#43
○対馬孝且君 そうしますと、機動的、弾力的政策と、こう言われますけれども、第三次の公定歩合の引き下げ、あるいは第四次の不況対策というものはあり得ると、こういう見解に立っているんですか。
#44
○国務大臣(福田赳夫君) 公定歩合のことは、これは私はお答えしにくいんです。しかし、経済政策のかじ取りにつきましては、これはもう経済は生き物でございまするから、これからその生き物がどういうふうに動いていくか、これが間違った方向に動く、そういうことでは因りますから、そういう際には機動的、弾力的な構えで対応する、こういう考えでございます。
#45
○対馬孝且君 そこで私は具体的な問題で、それではひとつ基本的な姿勢を大臣にお伺いしたいのでありますが、大体まあこの米価、麦価のシーズンに実はなってきているわけであります。そこで、二十五日ないし二十六日ころに米価審議会が開催をされて、この麦価の価格決定が答申がされるというやに伝えられているわけでありますが、まず一つお伺いしたいことは、ことしのこの生産者米価並びに麦価をきめる際に、消費者米価と同時に審議会で答申をすると、こういう基本的な姿勢に立っているやにきょうの本会議でちょっとお伺いしましたが、この点について、在来は米価審議会というのは生産者米価は生産者米価をやって、その後に消費者米価に対する価格決定をするというのが従来の方式なんでありますが、ことしは明らかに生産者米価と消費者米価を同時に審議会で答申をするというやり方をするということは、私はこれははっきり申し上げますけれども、政府はかなり歳入の欠陥を補うために、できるだけ生産者米価は低く一方で抑える、一方では消費者米価を上げていく、これをこう同時的にやって、つまり分断政策、一面では両方に犠牲を負わせるというこういうやり方、まことにこう巧みに戦略的に出てきているのでありますが、ここらあたり在来とこう違ったこの米価審議会のあり方をとるという考え方についてわれわれは納得できないのでありますが、なぜそういう措置をとるのか、大臣にひとつお伺いしたい。
#46
○国務大臣(福田赳夫君) 米麦の、生産者米価、売り渡し米価、また生産者麦価、消費者麦価、これを決める審議会の手続、段取りにつきましては、まだ決めておらないんです。まだ相談も関係各省の中でしない。ただ、一部の省の中でこの生産者価格と消費者価格同時決定論というようなことを非公式に打ち出しておるところもあるわけです。ありますが、まあこれからぼつぼつどういうふうにするかということを決めたいと、こういうふうに思いますが、これはまあ手続のことでありまするから、それが同じ審議会で生産者価格も消費者価格も一緒に決めるということになるのか、あるいは別の審議会というようなことになるのか、これはまだ私は相談をしてみないとわからぬ、こういうふうに思いますが、しかし生産者米価を決める場合に消費者米価、また生産者麦価を決める場合に消費者麦価、これを全然考えないで決めるという、その決め方は私はないと思うんです。やっぱり生産者価格を決める際には消費者価格をどうするかというようなことは頭に置いて決めなければならぬ問題である、こういうふうに思いますが、それを具体的にどういう手続でやるかということにつきましては、なおこれから協議をすると、こういうことでございます。
#47
○対馬孝且君 きょうの農業、林業、漁業白書のときに本会議で質問した、安倍農林大臣の答弁の中に、大臣、これは明らかにされているんですよ。ことしは生産者も消費者米価を同時にひとつ決定をしたいと、こういうことでのプロセスをとりたいという基本的な姿勢を明確に出されているわけですよ。これはやっぱり問題があるというふうに私は指摘しなきゃならないと思うんです。それは明らかに、一方では生産者米価を低く抑え、一方では消費者米価をやっぱり歳入補給のためにやっぱり補てんをするという、こういう点から来ているわけですよ、従来と一変しておるんですよ、やり方が。これは、だから経済企画庁としてよりも、私は副総理として、先ほど来一けたは断固として決意を持ってと、この前も訴えられておりますから、一けたにするというなら、やっぱりとりあえずこの麦価の問題については、やっぱり経済企画庁の担当大臣というよりも副総理として基本的な姿勢は一体どうなのか。それから生産者米価についてはどうなのか。それから消費者米価についてはどう考えるのか。なぜこれを聞くかということになりますと、私はすでに十六日の北海道新聞の中に、自民党農政の責任者である丹羽農政会長の方からはっきり言われて出されているんですよ。つまり、二〇%から一五%――春闘が攻防の山だろうと、こう言っているんですね、はっきり。これは大臣は、副総理がこれを知らぬわけはないでしょう。あなたそれは、担当の農政の責任者がそのぐらい発表しているくらいだから。一五%からその辺が攻防の山だろうと、こういうふうに出ている限り、やっぱり国民がまた米が上がる、あるいは麦がまた上がるのかと、――先ほども粕谷先生から出ましたけれども、麦が上がればうどんが上がる、パンが上がるということはもう常識ですから。こういう点でやっぱり一けたに抑えるというならば、この段階で少なくてもやっぱり副総理として麦なら麦については凍結をするとか、生産者米価についてはこの程度でひとつ抑えていきたいとか、凍結をするならするという、こういうような基本的な考え方をやっぱりきちっと出してもらわぬと、やっぱり先取りをしている福田副総理にしてはちょっとおかしいじゃないですかな。常に物価の神様として先取りするという定説があるにしては、ちょっと国民はやっぱり納得しませんよ、これ。もうちょっとこれ、現に農林大臣はそういう答弁をきょうしているんですから、もう一回それでお伺いしたいんです。
#48
○国務大臣(福田赳夫君) 農林大臣がどういう御答弁をしたか、私存じませんけれども、まだ政府部内では生産者米価、生産者麦価、消費者米価、消費者麦価をどういう形で諮問するかということについては相談をしておりません。まだ統一意見はございませんです。私の考えるところでは、まあそういう形式、手続のことは別といたしまして、ことしは米価、麦価の決定というのは重要な意味合いを持つ年であると、こういうふうに思います。まあ生産者米価、生産者麦価につきましては、これは計算方法が定着したものがありますから、そっちの方で出てくるでしょう。消費者米価、消費者麦価、これにつきましては、まあ物価政策もありますから、これはその立場も厳重にひとつ守っていかなきゃならぬ。まあしかし、財政の事情というものもあるんです。この話も十分聞いてみなけりゃならぬ、こういうふうに思いますが、とにかく物価につきまして心配がないと、こういうような前提において消費者米価、消費者麦価、これは決めなきゃならぬと、これはかたくそういうふうに考えております。
#49
○対馬孝且君 そこで、もう少し具体的にそれじゃ詰めたいんですが、昭和五十年度の生産者米価については、われわれはやっぱり生産費所得補償方式でやっぱり算定をすべきであると、こういう考え方に基本的に立っております。したがって、六十キロ農協では一万九千七百九十四円、全日農では六十キロ二万二千八百円、これは当然われわれは生産費所得補償方式としてこれは政府は当然考えるべきことだと、こういう点は、これはもう明らかに申し上げなきゃなりません。
 そこで、私はなぜこれを聞いてるかというのは、つまり消費者米価と麦のことを聞いてるわけですよ。生産者米価は当然これは現在の生産費所得補償方式を採用して、労働者の賃金が上がり、物価が上がってるわけですから、それに資材、機具が上がり、肥料が上がってるんですからね。これは全日農が出した六十キロ二万二千八百円というのは当然の要求だと言わなきゃなりません。しかし問題はやっぱり消費者米価なんですよ、これはやっぱりそのために食管制度があるわけですから。ところが、すでに新聞に大臣は、慎重に慎重に、物価にはね返らないと、こう言ってるけれども、マスコミの方が先にいって答えが出てるのは、麦価の消費者価格については凍結をしたいと、生産者米価についてはやっぱりある程度値上げをせざるを得ないのではないか、すでに二〇%前後というようなことが出てるわけですよ。ここらあたり大臣ひとつ、委員会ですからね、国民がやっぱり心配してこれを聞いてくれと、こういって、私はかわって聞いてるんですからね。そこらあたりはひとつ、新聞に堂々と出てることすら言えないというんじゃこれは問題があるんで、やっぱり一番心配してるのは、いまもはやその時期がもう七月十日前後に――七日には全農協大会が開催をされるという、目の前に迫っておりますからね。ぜひそういう意味で、ひとつ生産者米価に対する基本的な姿勢と消費者米価に対する基本的な姿勢、それから麦価に対する基本的な姿勢、もう一回ひとつ、大臣、やっぱり国民がいまそれを待ってるんですからね。大体この程度の考え方でひとつ検討していきたいならいきたいという、まあ新聞に出てるとおりなら出てるとおりで結構ですよ、いいとか悪いとかは別問題にしましてね。
#50
○国務大臣(福田赳夫君) これはまあ、まだそういうタイミングでないので、お答えすることがなかなか困難な時点でございますが、新聞にも私はこの生産者、消費者両面にわたりまして、まだ何の示唆を与えたこともございません。これはまあ政府で、率直に申し上げましてね、政府部内でまだ相談始めておらないんです、これは。まあ大蔵当局だ、あるいは農林当局だ、それぞれお考えはあると思う。私も持っております。持ってはおりますが、まだその突き合わせの段階まで来ておらぬと、そういう状態の今日でございますので、まあ今日そういう段階で私から具体的にどういうふうなことになるだろうという予測を申し上げることははなはだ困難な状態であるということも御理解願いたい。
#51
○対馬孝且君 まあ困難だということでこれは納得できないんですがね。ひとつ、一けた台にすると片方で言って、片方でまた消費者米価が上がるのかという不安があるわけですよ、大臣。そしたら、その点は慎重にできるだけ、まあ一けた台に抑えるための物価安定をしていきたいという基本はわかったにしてもね。個々の物価になると、どうもこれがあいまいになってくるという点では、大臣これは一けたにならないですよ、やっぱり労働大臣が言うとおり。
 それからもう一つは、これに関連してお伺いしたいことは、現実にこの間稲山新日鉄の会長が新聞談話してますけど、これも八月から鉄鋼値上げすると、こう言ってるわけですよ。牛乳は七月からメーカーが五十円値上げすると、こう言ってるわけですよ。これはまあ今回の第三次不況対策の中にできるだけ自粛をしてもらいたいと、こういうこと出てるんだけどね。単なる自粛と言ったって、法律で縛るわけでもないし、独占禁止法で縛ると言ったって現行法では限界があるしね。この点、どういうふうに――ただ自粛を呼びかけたって、片方では、後ほど申し上げますけれども、灯油の問題では結果的には指導価格を撤廃したら直ちに日石、出光は元売り指導価格を二千八百円から三千円に上げると、こう言ってるしね。この点は具体的にどういうふうにそれじゃ一体物価を、つまり歯どめをかうという具体策はどういうふうに長官としておやりになるのか。ただ経営者を集めて自粛をしてくれよと、こう言ったって、新日鉄の社長は上げる上げると、こう言ってるし、牛乳は北海道の雪印乳業社長以下、全部上げると、こう言ってるしね。こういう問題についてもっと突っ込んだ具体的な考え方を聞きたいんです。
#52
○国務大臣(福田赳夫君) まあそういう業界の動きがあることは事実なんです。事実でありますが、それが軒並み現実化するということになったら、これは物価対策も何もあったものじゃない。そこで、やっぱり私は基本的には総需要管理政策、これはもうどうしても堅持してまいらなきゃならない、こういうふうに思います。
 それから、物資所管官庁では設置法に基づきまして行政指導の権限があるわけでありますから、この物資ごとに重要なものにつきましては、需給が非常に大事です。そういうようなことで、需給についての監視また必要があれば指導、これを怠ってはならない。またその重要な物資につきましての価格、これについての監視、また必要があればこの指導、こういうことを怠ってはならない。そういうようなことと同時に、まあ企業側におきましても自粛をするということになりますれば、私はこの物価の安定の基調というものは、これはびくともしないと、こういうふうに考えておるんです。いままあ幾つかの商品を挙げてお話しがありますが、これは何万とある商品ですからね、それは上がるものもあるんです。しかし、下がるものもあるんです。事実、もう卸売物価は最近下がり続けておる。これはもう総平均して商品の価格が下がるものが多いと、こういうことなんですからね。まあ一つ一つの物資について一喜一憂はいたしませんけれども、大勢といたしまして物価安定の基調、これは崩さない。また、それは崩さないことが可能である、こういう見解であります。
#53
○対馬孝且君 まあいまの長官のあれだけではね、私は企業はやっぱりそういうひとつ自粛を願いたい、一つ一つの物価に歯どめをかけようと、こう言ったってね、これは結果的には、これは上げますよ。これはっきりもう明言しているんですからね。ただ、そこで総需要抑制管理と、こう言っていますが、先ほどの不況対策にも関連しますけれども、それは別にして現実にこの六月十四日の朝日新聞に大蔵、農林、経済企画庁と協議を開始ということで消費者麦価について二〇%アップ、これははっきり出ているんですよ、これ。これはどうなんですか。この点に対する長官の見解をちょっとはっきり聞きたいんです。
 それから、消費者米価の見解も同時に聞きたいんです。
#54
○国務大臣(福田赳夫君) 消費者米価並びに消費者麦価につきましては、私考えを持っております。持っておりますけれども、まだ関係各省との間で話もまだ始まっておらぬと、そういう段階で私がそれを申し上げるということは適当ではないと、こういうのでひとつ御了解を……。
#55
○対馬孝且君 いや、適当ではないんだけど、これに対してどう考えるのかというんですよ。農林省、大蔵省の、この朝日新聞で二〇%アップということについて方針を出しているわけですから、農林省と大蔵省では。これに対して長官として、仮にまあ適当であるなしにかかわらず、現実に数字が出ているんですよ、二〇%というのは。これが適当でないなら適当でないとか、いやもっと慎重を期すとかというんならわかるけれども、現実に数字が出てしまって、これ国民の前に出ているんだから。国民はいま二〇%なのか、一〇%なのかって心配しているわけですよ、やっぱり。
#56
○国務大臣(福田赳夫君) まあ農林省から一応農林省側の考え方というものを物価局長のところへ申し出があるそうでございます。まあ数字を挙げての話じゃないと、こういうふうに承っておりますが、とにかく私としてはこれは消費者麦価、消費者米価の決定、これは非常に重要でございまするから、慎重に対処するということをはっきり申し上げます。
#57
○対馬孝且君 いまの段階で数字まで発表できないということですから、慎重に対処するということの中にひとつ、この点ひとつ生産者米価を決める段階で、もちろん主管は農林省でありますけれどもね、副総理という立場からひとつ農民との間で十分な話し合いをしてもらいたい。それから消費者米価を決める場合は、もちろん審議会がございますけれども、本当のやっぱり主婦なり、まあ消費者側に立つ立場の意見というものを十分にひとつ率直に、ある場合によっては地域指定をしてだね、あるいは各界の意見も聞くという立場で、そういう広範な階層の意見を聞いてひとつ結論を出すと、こういうことについて慎重な配慮をしてもらうということについて、大臣取り計らってもらえるかどうか、この点ひとつ。
#58
○国務大臣(福田赳夫君) まあ米価審議会の中に生産者代表も入っておるし、消費者代表も入っております。ですから、そういう人の意見は、米・麦価の決定にこれは十分反映されると、こういうふうに思いますが、まあなお可能の限りですね、各界の意見も聞くようにいたすことにつきましては、農林当局に対しましてもお願いをいたしておきます。
#59
○対馬孝且君 まあ各界の意見を可能な限り聞くということですから、ひとつぜひ聞いていただいて、誤りのない、それこそ消費者米価が上がることのないように、麦価が上がることのないようにひとつ価格が決定されるように特に要望いたしておきます。
 それから先ほどリジンの問題で、ちょっと関連して質問申し上げますが、これは北海道が一番いま問題になっておるわけです。率直に申し上げて北海道では十市二十八カ町村が実はもはやもう中止を決定をいたしておるのですよ。これは大変な問題なんです。先ほど文部省が簡単なことを言っていますけれどもね。ただ科学的に問題ないとかあるとかというようなことを言っていますけれどもね。もはやこの段階ではね、私はやっぱり一番大事なことはね、どういう政治判断をするかという時期に来ておると思うのですよ。北海道ではすでにもう十市ですよ。これはもう釧路、江別、旭川、小樽、千歳、帯広、こういう十大都市を中心にして二十八カ町村、池田町を中心にして二十八町村がもうすでにこれは中止ですよ。
 そこで、私はここで問題にしたいのは、第一点お伺いしたいのは、食品衛生法の第四条にね、不衛生食品等の販売、製造、使用云々ということで、たとえば疑わしいものについては使用を中止すべきである、こういう食品衛生法第四条があるわけですよ。この点を一体基本的にこの今日の段階でどう考えるか。疑わしいということがあるとするならばね、疑わしきは使用せずという言葉ですよ。しかも子供のための、人命にまつわるという問題で、きょうは小樽の事務局長が北海道教育委員会の気境教育長を告発をいたしております。で、私も率直に陳情を受けたんでありますが、問題はもうすでにだね、北海道ではもう広範に広がっておるわけですよ。したがって、いまの段階で先ほどの粕谷先生にちょっと関連があるのでありますが、たとえば北海道なら北海道の道庁が決定をすれば、それで中止をするということでよろしいのかどうかということについては問題があると思うのです。少なくとも文部省は通達を出した限り、この段階でやっぱりそういう混乱が生じているとすれば、政治判断としてこの問題をどう受けとめるべきなのか。たとえば一時的にやっぱり中止をする、早く文部省の科学的な見解を出す、こういったやっぱり行政指導なり、ひとつ政治判断をしなければね、これはやっぱり大変な問題ですよ、いまこれ。この点についてひとつお伺いしたいのですよ。――長官にひとつお伺いしたい。
#60
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど粕谷さんと文部省当局との応答を聞いておりまして、私はまあいま対馬さんはリジン問題は疑わしい問題があると、こういうような御指摘でございますが、私が先ほどの問答を聞いたそれの判断といたしましては、どうも文部当局としては疑わしき点があるというふうな理解じゃないようなんです。でありまするから、まあいま法律に違反するじゃないかというようなお話でもございますけれども、どうも文部当局の見解は法律に違反するまでの段階、疑わしいという段階にはなっておらない、こういう結論のようでありますので、まあしかし非常に大事な問題でありまするから、なお文部省におきましては、いま直ちにリジンの使用をこれを取りやめるんだなどと言うと、これは大変な問題だろうと、こういうふうに思いますが、なお念には念を入れて御調査願うようにいたしたいと存じます。
#61
○対馬孝且君 これね、私はひとつ厚生省の、きょう来ていただいておりますから、ちょっとお伺いしたいのですがね。先ほど申し上げました食品衛生法第四条の観点からね、この問題をどうやっぱりとらえていくべきかという一つの問題があるということです。
 もう一つはね、この食品添加物公定書解説書というのが出ておるのでありますが、これはリジンを四%添加した飼料の鶏の反応が出ているのですね。これによるとやはりふるえがきたり、全身衰弱したり、脱毛が見られて奇形の現象があらわれているということが出ているわけであります。こういった問題が出ているということは、これは大臣、疑わしいというのはすでにこういう現象がやはりあるのですよ。ただ、先ほどの論議にもあったように、何%が妥当かという問題も一応基準があったにしても、一説にはこういう現象が出てきている。これは少なくとも私は先ほど言った食品衛生法第四条の観点から考えれば、きわめてやはり問題があるんではないかという感じがするわけですよ。ただ、その点で北海道がすでに自主的にそれぞれの市の教育委員会あるいは町村の教育委員会がもうこれ取りやめているわけですよ、中止をしているわけですよ。そればかりでなくて、畜産業者がびっくりしているのは、学校へ行ったらパンの残りとこのリジンの問題でこんなにびっくりしたことは――ダブルでびっくりしたと、こう言っているわけですよ。しかも子供がもう食べないという現象が出てきているのですよ、現実問題として、子供が反応しているわけだ。ここが私はやはり問題ではないかと、こう言うのですよ。この点を厚生省にお伺いしたいということが一点。
 文部省にお伺いしたいけれども、これは道の教育委員会と北教組との間に交渉が行われているのです。その交渉の内容をずっと私は記録してまいりましたが、文部省は先ほど粕谷議員の質問に答えて、もしその都道府県が中止をしたという場合については都道府県の決定でよろしいと、こうお答えになっているのですが、ところが気境教育長はこの話し合いの交渉の席上で言っていることは、これはやっぱり文部省の方針として出されたものであって、たとえば北海道なら北海道の一都道府県でこの問題をやめるわけにはまいりませんと、こういう見解を明らかにしているのですよ。言うならば強制的にあるいは指示的にやはり文部省の方針が都道府県に示達をされている。こういう点では先ほどの答弁と食い違いがあるし、そこまでいっているとするならば、私は文部省がやっぱり賢明に判断を願って、いま分析をしているとするならば、その分析の決定が出るまではとりあえず中止をする。その結果によって改めて統一示達をするならすると、こういうやっぱりこれは最後にひとつもう一回、長官というより副総理という立場でお伺いしたいのですがね。その点でやっぱり急がなければ、大臣言っているように何とか結論を見るまで慎重になんて、こう言っておりますけれども、下ではもうじゃんじゃん拒否反応が出てしまって自主的に決めちゃっているのです。これはどんなことを言ったって、もう。こういう混乱が起きているのですから、混乱が起きたときに初めてやはり政治判断をして、この混乱に対して――単なる混乱なら別ですよ。一般の労使の紛争や何かと違って、子供の人命にまつわるということは何よりも最優先でしょう、これは。人の命というのは地球や太陽より重いと、こう言われているのだから。人命上の問題にまつわるとすれば、仮にそういう子供の成長、子供の育成、こういう問題があるとすれば、これらの混乱が起きているとすれば、私はやはり一時どういうことがあっても政府は統一見解を早急に出していただいて、そしてこれに対してやはり都道府県の混乱のない状態を行政指導するのが政治的責任ではないか。これを称して私は対話と協調、こう言っているのですよ。これは常に福田副総理が私は、絶対に話せばわかるという精神はそこだと思うのだけれども、どうもそこにくると官僚ペースになっちゃって、文部省の見解が、文部省の見解がと、そういうことではなくして、やはりいま現実に起きている国民あるいは子供の立場に立ってどう考えるかと、この点を私は最後にひとつもう一回大臣にお伺いしたいのです。
#62
○国務大臣(福田赳夫君) リジンをめぐって問題があることは私も承知いたしました。承知いたしましたが、それに対して文部当局は絶対というくらいな自信も持っておるようです。でありますが、御指摘もありますので、早急にこの問題を改めて調査をいたしまして、調査に基づいてどういう対策をとればいいかということを判断いたします。
#63
○説明員(宮沢香君) お答え申し上げます。ただいま先生御指摘の食品衛生法第四条で有害な疑いのあるものはやめる、こういう御指摘でございますが、先ほど来文部省の方から申し上げておりますように、リジンというものは私ども体の中で構成できない、食品からとらないといけないものだということで以前からとっておる。しかも相当量とっておるわけでございまして、リジンそのものの安全性というものについては私どもは特に問題はなかろうかと思っております。ただ、先ほどの先生のおっしゃられましたベンツピレンが検出されているではないか、その問題でございます。これについて高橋晄正講師が発表した数字〇・六三ppmとか、あるいは〇・二四ppmでございますが、この分析方法について衛生試験場の専門家にいろいろ聞いてみましたわけですが、この検出限界というのは非常に大量のリジンを使って抽出して、そして後で計算をするというようなことで非常に困難な分析だそうでございますが、こういう微量のものを分析する場合ですね。そうやっても〇・〇五ppbぐらいが検出限界じゃなかろうかということを申しております。ただ、ベンツピレンが発がん物質だということで非常に国民に不安を与えておるようでございます。これは実は経験がございまして、化学物質で動物にがんをつくったという最初の化学物質がこのベンツピレンで、しかもこれは日本の有名ながん学者山極教授あるいは北大の教授をしておられます市川教授ですか、こういった先生方の長年の努力でウサギの耳に塗ってがんを出した。これが最初の化学物質ということで非常に有名な、日本では特に有名じゃなかろうかと思うわけですが、これにつきまして、実は塗布をした場合には相当少量でも皮膚にがんを出すというような幾つかのレポートがございます。しかし食べさせて果たしてがんが出るかどうか、この実験についてはWHOでもって各国の実験をまとめておりますが、非常に少ない。そして、しかも発がんする発がん力と申しましょうか、発がん性の強さというものはやはり塗った場合に比べると、食べた場合非常に低いというようなレポートもございます。それから私ども衛生試験場を通していろいろと食品中のベンツピレンの分布等も調査してみたわけでございます。たとえば、日常飲んでおりますお茶の中に一六ppmぐらい最高あるとか、あるいはホウレンソウの中に〇・二六から三・三ppbあるとかいうふうに、リジンに含有されるベンツピレンの量よりもかなりな量が入っておると、こういう実態をつかんでおりますので、したがいまして、先生が先ほど申し上げました疑いがあるのではないか、こういう問題に対しては厚生省としては現時点では特に問題はなかろうかと思っておりますが、なお広く調査をしてみたいということを考えております。
#64
○説明員(加戸守行君) お答え申し上げます前に、一つ御指摘ございました食品添加物公定書解説にございます鶏の肝臓障害の例でございますが、これは鶏の飼料に四%のリジンを加えて肝臓障害を起こさせたという実験例でございます。通常の鶏の摂取をするリジン量で言いますと、恐らくこれは何千倍、何万倍に相当する量でございまして、いわゆるアミノ酸のうちの一種類のものだけを大量にそういう形で、何万倍という形で投与いたしますれば、当然それは余分のアミノ酸でございますから、肝臓で排せつ処理する必要がございます。そのために肝臓障害を起こすというのは、通常のほかのアミノ酸でも同じようなアミノ酸のインバランスの例と考えられるわけでございまして、そういう大量摂取の場合でございませんで、いまの強化しております〇・二%の問題では全く参考にはならない。むしろアミノ酸がバランスがとれてなくてはいけないという例と私ども理解しておりまして、そういう意味での肝臓障害を起こすケースはあり得ないと考えております。
 ところで、文部省関係の御質問でございますが、現在、先ほど副総理がお答え申し上げましたように再調査を急いでおります。なるべく早く結論を、結果を出しまして国民の不安を静めたいと考えておりますが、当面現時点の問題といたしましても、私ども先ほど厚生省からお答えありましたような自然食品の中にも相当出ている。私ども学校給食で通常摂取する量の推定をいたしましても、その数千分の一程度の量であろうということで、もしこのリジンが発がん性物質を含有するということをもって即時中止すべきであるということであるならば、むしろそれよりも数百倍、数千倍を含有した食品を普通に摂取さしている現在の学校給食を中止しなければならないぐらいのことではなかろうか。そういう考え方で決してあっていいということを申し上げているわけではございませんが、いわゆるその強化リジンに含有されるベンツピレンの量を特に問題と現時点でするには足らないのではないかと、そういう意味でなおかつまだ不安も残りますので、調査の結果の上に基づきまして、がんの権威あるいは国際的ながんの実験データその他に基づきまして、不安はないということを明らかにしたいと考えておる状況でございます。
#65
○対馬孝且君 問題は、この複合汚染がどういう結果にあらわれるかということが問題なんですよ。これは、あなたはそんなことを言っていますけれどもね。この解説書の中に出ているあれによりますと、「ラットに妊娠後五日から十五日にわたり、リジンを一〇%および二五%含む飼料を与えたところ」が、これ死亡率が最高に上昇したと、こう書いていますね。こういう問題だってあるわけだ、これ。すると、これは複合する結果がどういう結果が招来するかと、これは道教委と北教組との話し合いのときにも、交渉の中でも出てきていますけれどもね。たとえばノリとかホウレンソとかというものにこれも入っている。さらにパンにプラスして複合した場合にどういう現象になってあらわれるかということについては、これは自信のほどは解明されておりませんと、こう答えているのですよ、現実の問題として。私は、いま調査をしている、厚生省もいま調査をやると、こういうことですから、ただその調査をやることは結構なんだが、一日も早く国民に安心をして、子供に有害を与えない確信を持ってもらうことが大事なんだから、そうだとすれば、ここは大臣おっしゃるとおり、早急に調査をしていただいて、できるだけ早い機会に判断をいたしますということでなくて、当面拒絶反応が出てきて中止をしてしまっているわけですよ。この状態は調査が出るまではひとつそう長い時間じゃないんだから、とりあえず中止をしなさいということで文部省の統一見解を出したらどうだということなんですよ。それが先ほど聞くと、だめ押ししますよ。北海道の気境教育長は文部省の方針としてこれをとめるわけにはいかないと、文部省が中止をすればこれを中止をいたしますと。先ほど粕谷議員の質問に対してそれぞれの都道府県が教育委員会が中止を決起したらそれはやむを得ませんと、こういうことですね。それならそういう措置をとって北海道としてこの措置を決めるという態度をとってよろしいのかどうか、その点はっきりしておきますよ。
#66
○説明員(加戸守行君) 現在学校給食用小麦粉のシステムと申しますのは、国の特殊法人でございます日本学校給食会が製粉会社から一括して規格を定めたものに基づきまして購入をし、これを全国都道府県の学校給食会に供給しておるわけでございます。したがいまして、その規格外のものを学校給食の分野で使うということは理論上あり得るわけでございますが、いわゆる国の規格のものといいますのは、一般の市販のものと違いまして漂白をしておりません、無漂白のものでございますし、たん白質の程度も高いし、それからビタミンからリジンの強化というようなことを行っておるわけでございます。しかも価格面でも市販されるものよりも大幅に安くなっております。そういう意味で物理的には使う、使わないということは可能なわけでございますから、現実問題としては日本学校給食会以外の粉でございますと、価格面で高くなる、そういう違いがあるというだけでございまして、決して強制をしているわけではございませんけれども、現実問題といたしましては市販の粉にかえるということになりますと、手続面あるいはその確保の面あるいは価格面、その他にいろいろ問題が出てまいりましょうということでございます。そういう意味で物理的には県が独自の措置をとることは可能でございましても、国がそのリジンを抜いた別の規格の粉を製造して供給をするという措置をとらない限りは、実質的にはなかなかむずかしい問題があるということでございます。
#67
○対馬孝且君 そこが問題なんだよ。だから文部省が企業と癒着をしているのではないかというのは、そこなんだよ。全国的に使っているリジンの総額は六億円だそうですね、試算によりますと。これが過ちなら別ですけれども、六億だそうですよ、これ。五億から六億とこう言われていますね。相当六億という、そこに企業との癒着でやめることができないのではないかと、いまこれの疑問が出ているのですよ、逆に言うと。だから市販している小麦粉に転化してこれを助成すればできるわけでしょう。安く栄養をとるようにというようなことを言っているけれども、結果的には六億というこのリジンを使うことによって、これは六億というものは給食費がそれだけかさまっているわけでしょう、答えを言うと。そこらあたりに文部省が癒着をして安全性がいや問題ではないとか、何とか言ってやっているのじゃないかという疑いまで出ているのですよ。だから私はもう一回、これはこの段階では事務ベースの段階じゃないですから、あなたがどう言おうと、これは副総理の段階ですから、これはこの段階でもう一回ぼくがお伺いしたいのは、早急に判断をすると、こういま大臣はおっしゃっていますけれども、それをとりあえず早急に、閣議まではいかなくたって、実力副総理ですから、総理大臣以上の力を持っているわけですから、したがって、賢明に御判断を願って、いま北海道ではとにかく大混乱をしているんですよ。だんだん燎原の火のごとく広まっているわけだ、これははっきり申し上げて。だから、これから何週間とか、そういう問題ではないんですよ。これは副総理はっきり判断願いたいことは。きょうあす何時間の問題になっていて、秒読みの段階になっているんですよ、これはそれぞれ。したがって、この判断をしていただければ、早急に調査を急がせるだけではなくて、政治的判断を何らかしてひとつ見解を出してもらいたいと、これをひとつお約束していただきたいということを最後に申し上げますが、この点どうですか。
#68
○国務大臣(福田赳夫君) 学校給食、いま順調に行われておると、その流れ作業に非常に障害があると、こういう結果を来すようになるんですね。リジンの一時使用停止と、これはなかなか私はむずかしい問題と思いますが、しかし御指摘の点はよくわかりますので、これは政府においては早急に検討いたしまして、これが対策を明らかにすると、かようにお答え申し上げます。
#69
○対馬孝且君 時間がちょっと過ぎておるようでありますから、いま大臣――大臣というよりも副総理という立場で私はお答えを願ったと、こういうふうに理解いたしますので、ひとつ近日中に結論を、明快な行政指導見解を出していただきたいと、これは少なくとも疑わしきものは使用せずという、この合い言葉は国民の願いであるということを、誤りのない賢明な判断を願うことを期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#70
○山田徹一君 いまリジンの問題が出て、私聞いておりまして非常に不愉快に感じたことは、私自身がんです。手術やってきました。そういうがんの傾向があるという、そういうおそれのあることがはっきりしていないにしてみても、そういう分析が学者の上から出てきたとしたときには、調査することは十分やってもらわなければいかぬけれども、一応ストップするというのが人間味のある政治のあり方じゃないかと私は思うわけです。自身ががんでもやってごらんなさい、どういう気持ちがするか。もう寿命は先に決まっておるんですよ。そういう立場に追い込まれる患者が続発していくということを考えたときには、もう一歩強い意思、あるいは強い決意で臨んでいただきたい、こう思うんですけれども、いかがでしょう。
#71
○国務大臣(福田赳夫君) この問題は文部当局はいろいろ勉強しておるようです。その勉強の結果、疑いを持たぬと、こう言うんです。でありますので、文部当局が疑いを持つならば、いまおっしゃるとおりの措置を講じなければいかぬですね。しかし、御指摘もありますので、早急に調査する、さらに。これは早急といっても、そうじんぜん何日も何日も待つというわけにはいかぬ問題である、こういうふうには思いますが、とかく早急に調査をいたしまして、もしいま疑いを持っておらぬが、疑いがあるというならば、それに対して適当な措置をとらなければならぬ、そういうふうに考えます。ひとつしばらくお待ち願いたい、かように思います。
#72
○山田徹一君 文部当局は疑いがないというわけでありますけれども、専門家の学者が、片一方では疑いが濃いという学者と、疑いのないという学者とあるような状況下にあるんだから、臨時的措置として一時使用を待って、早急に調査して、そして使えるべきものなら使うと、これが妥当な線じゃないか、正しい線じゃないかと、こう申し上げておるんであります。
 それでは福田副総理にお尋ねいたしますが、五十年度末には消費者物価を前年度比上昇率を九・九%に抑える、これは政府の重要な公約となっております。しかしながら、この国会の状況を見ても、三木総理の公約は次々に裏切られております。しかし、福田長官は三木内閣の福田総理というようなことを言った人もあるぐらい、長官は特に経済対策閣僚会議の総括責任者でもございます。したがって、この五十年度末の一けた台の公約は、むしろ副総理のただ一つの公約であると言っても過言ではないと私は思うわけであります。ぜひ私もこの一けた台を守ってもらいたい、こう思うわけでありますが、大臣は今日のこの企業のコスト値上げの問題と、こういう経済状況下の中にありまして、責任を持って年度末の一けた台に抑えていくということを強く約束できるかどうか、その点をお尋ねします。簡単で結構です。
#73
○国務大臣(福田赳夫君) まあ一昨年の下半期から昨年の春にかけてのあの大混乱は、これはもう並み大抵のものじゃなかったわけです。私はこれが完全に回復されるまでには三年はかかると、こういうふうに見ておるんですが、その第一年度、四十九年度におけるこの物価上昇率が一四・二%だった。また賃金が一三%絡みのところに落ちついたということ、これは大変なできごとだと、こういうふうに思うんです。もし賃金が去年のような、おととしのような調子で高目に決まったということになれば、私は本当に処置なしという状態になっただろうと思うんです。とにかく三年かかるその治療の出発の年の経過というものは非常によかった。それを踏まえて、まあ第二年度立ち向かわなきゃならぬ。それで賃金問題がああいう形になったということにつきましては、私は四十九年度の物価水準が一四・二%で落ちついたということが背景に大きくあると思うんです。岡崎に、政府がいま山田さんのおっしゃるように、一けた台に五十年度は持っていくんだと言ったこと、これに対する期待というものも大きく存在していると、こういうふうに思いますが、そう考えますと、第二年目の大きな問題は、やっぱり物価をまずとにかく政府が見通しているような、そういう筋で安定させることである、こういうふうに考え、この考え方はこれは万難を排して実現をいたしたい、そういうこれはかたい決意でございます。
#74
○山田徹一君 年度末一けたに抑えるかたい決意であると、こういう御答弁でありましたので、意を強くいたしますが、もしも一けた台に抑えるための総需要の抑制、こういうような問題から現に景気の不況は起っておりますが、それによる影響として中小企業の倒産あるいは失業者の増加あるいは国民所得の激減、こういうふうな問題が起こっております。このように国民生活を犠牲にしても今年度末の一けた台を守るということなのかどうか。もしそうだとしたならば、この国会での福田副総理の所信表明の中で、国民に対して物心両面において安らかで、ゆとりのある暮らしを保障すると、こういう演説に反することになります。この点いかがでしょうか。
#75
○国務大臣(福田赳夫君) 物価の安定が非常に大事だ。そのためには国民の生活を犠牲にしても構わぬ、こんな考え方は持っておりません。国民の生活を安らけく、豊かに安定させる、そのためにこそ物価の安定が必要だと、そういう考え方なんであります。物価の安定なくして、福祉福祉なんて言ったってこれは実現されるはずはないのです。最大の福祉政策はつまり物価の安定である、そういう考え方のもとに物価の安定、これに努力するわけでありますが、それから出る副作用に対しましては、それぞれ適当な対策をとりまして、物価安定のための犠牲、そういうものがなるべく少なくなるようにということにつきましては、最大の努力を傾けたい、かように考えます。
#76
○山田徹一君 いまおっしゃったように、国民生活の安定を守るために一けた台を守っていくということでありますので、十分理解はできるわけでありますが、そこで最近発表された東京地区の百貨店の売り上げ、五月には大きく低迷しております。前年度比一・九%の増ということで落ち込んでおります。また総理府の統計では五月の東京区部の消費者物価指数の上昇率が前年同月比で一四・四%増となっております。そうなると、百貨店の実質的な売り上げというものは、昨年同月に比べて一一%の減収というふうに大きく落ち込んだ記録を生じたわけです。また前年同月の売り上げ増加率を見ましても、過去十年間の最低だということを発表しておりました。強力な販売能力を持っておるデパートでさえ一一%の減である、実質的には。こういう売り上げの落ち込みがあるとしたならば、一般の小規模の商店はそれ以上の減収であることは間違いないと思うわけであります。この点は国民の家計収入がとみに苦しくなった、そういうあらわれかと思うのでありますが、その裏づけにも経企庁の六月の月例経済報告書によりますと、企業の平均稼動率が七六・三%に落ちております。小規模企業においてははなはだしいのは三〇%、四〇%というところもあるのです。中には倒産のために自殺まで起こってきております。こういう実態の中で個人の勤労所得というものは春闘によって給料アップがあったといっても、この春闘の政府のガイドよりも比較すると、相当低い線に抑えられてしまった。副総理の思ったとおりになったわけでありましょうが、一時帰休だとか、あるいは残業カットとかということで個人の勤労所得はずっと減っております。私が実地に当たったところでも二割あるいは三割もの家庭収入の減収、中には食費の節約に追い込まれておる、こういうふうな状態もあるのであります。また総理府の四十九年の家計調査を見ましても、国民の実収入は五分位の低い所得階層ほど収入の伸びが落ち込んでいる。四十八年度と四十九年度を比べてみると、その伸びはマイナスであります。所得層の高い方に比べると、四十八年度では第一分位が二一・七%、第五分位が二〇・二%、そのくらいの開きだったものが、これが四十九年度にはどうかというと、第一分位が一八・三、第五分位が二五・八と、このようになっております。極端な開きが生じてきておるわけであります。このまま推移するとするならば、五十年度にはさらに高所得者と低所得者との開きは大きく開くであろう、こういう結果が想像されるわけであります。それが消費にあらわれているのではないか、こういうふうにも考えられるわけであります。国民所得の減収が消費にあらわれてきていると、こう思われるのですけれども、大臣はこの点はどのようにお考えになられるでしょうか。
#77
○国務大臣(福田赳夫君) 昨年は、わが国の経済は、まだこれは暫定調査でございますが、実質マイナス〇・六と、こういう状態であります。ですから、経済活動全体とするといまだかつてない、こういうような状態でございますが、その中において個人は一体どうだと、こう言いますると、特に勤労者なんかについて見ますると、ことしになりましてからの数字をとりましても、前年の同期に比べましてずっと実質所得がふえ続けておる、こういう状態であり、賃金のことに触れられましたが、ことし十二カ月を展望すると、私どもは一けた台の消費者物価の上昇である。そういうのに対しまして、一三%がらみの賃金ということで、これまた実質的な所得が確保されると、こういう状態で、私は決して特に勤労者の状態というものは全体の経済の伸び悩みの中において、私は不当に抑圧されたというような考えは持っておりません。いま世界的に非常に混乱しておるわけでありまして、アメリカのごときはいま今日の瞬間風速といいますか、経済の成長、そういうのがマイナス一〇%になりそうだと、大変な事態です。まあドイツがまた非常に成績がいいというのが、また瞬間風速でいうとマイナス三%になりそうだなんというようなことも言われておる。そのさなかにおいてわが国はともかく四十九年度通じてマイナス〇・六%で済み得たと、しかもその間において物価が落ちつく方向を示し出しておる。その中で、勤労者の実質所得も確保されておると、私はそう悪い状態とは見ておらないのですがね。まあしかしこういうインフレ、デフレのそういう際には、そのしわ寄せというものが小さいもの、弱いもの、そういうものに偏りがちでございますので、そういう方面については格段の配慮をしなければならぬと、そういうふうに考えております。
#78
○山田徹一君 低所得者層と――低いと言ったってそこの底辺を言うわけじゃございませんが、高所得者層と低所得者層との開きというものがぐっと差がついてくることは、この月報でも明らかでありますし、現に副総理が実地に調査、御自身で訪ねて歩いてごらんなさい。収入がどれだけ減っているか、はっきりわかると思うのであります。一般の国民は、そこに欲しい物も買わないで、食べるものまでも節約しようという風潮になって不満が出ております。現にデパートあるいは商店で買うのは消費者、そういう消費者であります。売り上げがぐうんと昨年度よりも一割も二割も落ちているということは、もちろんその小規模の商店の方々自身も消費者の一人でありましょうけれども、いずれにしても購買力は非常に低下しておるわけであります。私の申し上げたいことは、一けた台に抑えていただきたい。抑えてみても収入が減っていけば、結局実質的には値上げされたも何らかわりのない境涯に置かれるわけであります。ここを何とか持ち上げていくことが国民の安定した経済に持っていく方法じゃないか。確かに上は抑えていただく、こういう意図から申し上げておるのであります。したがって、もし現在の状態のままで仮に推移していくとした場合、いまのままですよ、年度末には何%ぐらいの上昇率でおさまるでしょうか。いまのまま推移したとしたら、ほかに値上げがない、いまのまま推移したとしたら、何%ぐらいにおさまるとお考えなんでしょうか。お尋ねします。
#79
○国務大臣(福田赳夫君) いまのままで努力をすると、これは大体一けた台におさまるし、おさめたいと、こういうことでございます。
#80
○山田徹一君 一けた台には、〇・一から九・九まであります。その中のどの辺にいくと、お考えなのかと。
#81
○国務大臣(福田赳夫君) 最高とにかく九・九と、こういうことを考えておるわけであります。
#82
○山田徹一君 時間もないことですので、次に進めますけれども、国民生活の安定という上から、仮に一けた台に消費者物価を抑えたと仮定しても、先ほど申し上げましたように、家計費が二割、三割と収入が減ったということになると、物価がむしろ上がったと同じような実感がくるということは、物心両面に豊かな暮らしを図るといわれた副総理の理想は、これは何ら実現の傾向になっていないと、こういうことになるわけであります。したがって、どういう対策をやるのか、一次、二次の不況対策を打ち出し、第三次がおととい出ましたけれども、それでどのくらいの所得層の持ち上げが、浮上が出るのか、企業じゃないですよ、国民の所得の層が引き上げしてくるのか、そういう点をお尋ねしたいのです。
#83
○国務大臣(福田赳夫君) 消費者物価につきましては、まあ一けた台、九・九と、こういうことを申し上げておるわけでありますが、それに対しまして、本年度の春闘の結果、まだこれは最終の統計は出ておらぬようですが、一三%がらみである、こういうのです。でありますので、実質所得というものは、これはかなり上がってくる。またとにかく一三%ふえる。その購買力というものは働くわけでありますから、これも景気に対しましてはかなりの影響力を持っておる。そこへもっていって政府の方では第一次、第二次、第三次景気対策をとる、こういうようなことでありますので、物価の安定、これはもう大事でありまするが、同時に景気につきましてもなだらかな上昇は、これは確保できる、こういうふうに考えます。
#84
○山田徹一君 第三次対策を打たれたわけであります。副総理の予想どおりになってくれることを願っておりますけれども、今回のこの第三次不況対策で、政府は直接的な需要創出額は合計九千億円、これが間接的な誘発効果を含めていくと、最終的な需要創出額は、その二倍の一兆八千億円と、GNPの一%強になるという試算が出ております。この金額のうち実際に国民一人当たり、あるいは一世帯当たりに上半期に与える家庭の月額収入がそういうことによってどれほどふえるか、その点をお伺いしたいんですけれども、これは局長でも結構です。
#85
○国務大臣(福田赳夫君) これはまあ正確にお答えするのが、なかなかこれはむずかしいわけでございますが、大体GNPに対しまして一%の景気浮揚力を持つわけでありまするから、それだけ全体を平均しますと、国民にそれだけの所得増加の影響を持つと、そういうふうに考えております。
#86
○山田徹一君 影響を持つということはわかりますけれども、どの程度ふところが肥えるのかということをコンピューターでやはりある程度いくんじゃないですか。もしそれを無視して、そういうことも何とか潤うことは間違いないという程度でやるだけのことであるとしたならば、大企業優先の不況対策にしかすぎぬと私は言いたいわけなんです。そこで、これは単純な、お粗末なといいますか、単純計算で考えてみたときに、一兆八千億という、もちろんこれは回転率等も含めての二倍という政府の試算でありましょうから一兆八千億が。そうしてみるとGNPを先ほどお出しになりましたが、GNPに占める個人消費のこの割合というものが大体五四%か、五〇%程度と記録されております。そうしてみると、単純計算ですよ。もちろんいろんなことがあることは承知しております。いま不況対策として打ち出したことがすぐその場にあらわれるというものでもないでしょう。三月なり半年先ということを予想されます。しかしながら、単純な計算ですから、それをいますぐここにあらわれたと仮定したときに、この一兆八千億が上半期に出された対策でありますので、七、八、九の三カ月間でどのようにそれが影響するであろうかと、まあ私なりの素人の考え方でありますが、個人消費が五〇%程度となれば一兆八千億の五〇%、約九千億円が国民のふところにいくであろうと、三カ月間で。もちろんそれは先に一年にわたることでもございます。あるいは二年先にわたることでありますけれども、たちまちの問題として、そう考えたときには、一カ月が三千億円、一人当たりに計算しますと、一億の人口で一人三千円、家族三人とすれば九千円。九千円がふところに入っていく、使える、消費できる。そうしてみると、この今日の四十九年度の勤労者世帯の収入の可処分所得というものが税抜きがざっと十八万七千円であるとしますと、九千円といたしますと約二十分の一、五%ふえたというかっこうになる。ところがデパートでの消費は一一%実質減になっておる。こういうことを絡めてみますと、もちろん操業率などいろんな諸条件のあることはわかりますけれども、単純な計算というところで私試算したわけでありますけれども、もっともう少しやらないと、具体的な方策を講じないと、この程度では国民の生活不安の解消はないのじゃないか。いずれにしても、個人消費を不安を持たないようにさせていくのが、物心両面に対する大きな力の働きとなりますものですから。
 そこで、総理府の事業所の統計によりますと――時間がありませんので、次々言いますけれども、事業所数が非第一次産業の分野で九九・四%、従業員数では全体の七八・四%、これが中小零細企業である。してみると、このような日本の企業構造の中でありますので、国民主体の立場を考えるならば、公共事業についても、住宅とかあるいは学校、保育園あるいは上下水道というような国民生活に関連した事業に限定して、中小企業、零細企業に対してのこの第三次対策の問題が流れていくように、トップから流れていくのでなしに、中小企業、零細企業へ直にいって早く国民のふところに入っていくような、そういう考え方を持ってやっていただいたらどうか。この第三次の対策の中にも、八項目の中の六番目に、「市中金融機関による中小企業特別融資の促進、政府系中小企業金融機関による金融の円滑化と返済猶予の適切な実施、」それから第八項目に「官公需について、中小企業者の需注機会の増大に努める。」と、こういうふうになっております。中小企業あるいは小規模企業に対する心遣いと思いまするけれども、これには何ら具体的な問題ありません。一次、二次、三次とも通じて、これは会議の発表として打ち出されておりますけれども、具体的なことは出ておりません。そういう点を通してもっと具体的に充実を図るべきじゃないかと、こういうように考えるわけでありますが、大臣の御見解をお伺いします。
#87
○国務大臣(福田赳夫君) こういう経済変動のときには、どうしても社会的弱者といいますか、小さい者、弱い者、そういう人が犠牲をこうむる、そういう傾向がありますので、そういう点につきましては適宜配慮をいたしておるわけです。中小企業につきましては、金融ということは大変大きな問題ですが、これなんかかなり行き届いておると、こういうふうに見ておるのです。そう大きな苦情を最近は聞かないような状態まできておる。これは私は第一次対策、第二次対策の成果であると、こういうふうに評価しているのですが、さらに同じような弱い者の立場、そういうものをこういう際には擁護しなけりゃならない。いろんな施策をとるが、その際にはそういう人への配慮、これを重くしなけりゃならないということは、お説のとおりやっていきたい、こういうふうに考えております。ただ、先ほど来、デパートの売り上げが少なくなったなったと、こう言いますが、そうじゃないのです。これなんか一四、五%、ずっと昨年同期に比べましてもふえておる。こういう状態でありまして、国民の消費が特に活発化しておると、こういうふうには思いませんけれども、しかし、その程度の着実な動きはしておるということは、念のために申し添えておきます。
#88
○山田徹一君 デパートの問題は二八%、一四%ふえておるとおっしゃいますけれども、金額面ではそうかもしれませんが、四十九年度を百にしたときには五月の一・九の伸びというものはマイナス一一%の減になっておる、実質的には、去年に比較してですよ。貨幣価値の問題から申し上げているわけです。何ら金額はふえたって、売り上げの金額はふえたけれども、同じ前年度同月の売り上げから考えたときには、これを百にしたときには八九%の売り上げの伸びにしか貨幣価値の上から言えばなってないわけです。これは実感として国民に今度はね返る問題としてデパートですらそうですから、零細な商店になってみればもっと大きい落ち込みがあると、これには生活不安というものがつきものであるというところを申し上げたわけです。それはともかくとしまして、そういうこともお考えになってひとつ対策をもう少し考えなければいかぬのじゃないか、このように思うわけであります。
 そこで、第八項目の、これに関係した問題でお尋ねしたいんですけれども、官公需要について中小企業需注機会の増大を努めると、こうあるけれども、政府の閣僚会議で決めながら、全くこの項目に逆行している問題があるんです。きょうは郵政省あるいは電電公社から来てもらっていませんので、副総理は御承知ないことかとも思いますが、というのは電電公社が今回七千五百万円を出資してビル電話などの事業所向け端末機器の販売、保守を専門に実施する会社を設立し、公社直営業務の一部分をこれに委託する。こうして公社及び都市銀行あるいは機械業界などを主体とした会社をつくろう、こう言っております。その資料もございますが、ここにコピーとってありますが、しかもこの電電公社のある幹部がどう言ったか。この新会社を設立することによって全国の電話設備業界の分野を二年か三年で独占するということまで発言をしておる、そう聞いております。こういうことではまさに中小零細企業の電話設備業界の分野を全く侵食するものであるし、この業界の従業員が約十三万あるいは十二万と言われております。家族含めると五、六十万人になる。全くこういう従業員家庭の生活を脅かす結果になると思うのでありますが、この八番目の項目にそういうことが行われたのでは全く逆行するものだ、こう私は考えるんですが、いまの時点でとんでもないことだ。仕事がなくて困っている。そこへもってきて電電公社で会社を新しくつくって、そして小規模のそういう業者の仕事を取り上げてしまう、しかも二、三年たったら業界をつぶすことは簡単だ、独占でもできると、こういうことがあったんでは上の方での話は全然伝わっていない、こういう結果にもなると思いますが、これを善処して、私は直ちに副総理の方からこれを取りやめさせるべきである。このように考えますが、いかがでしょうか。
#89
○国務大臣(福田赳夫君) 第八項の適用につきましては、かなりこれは無理をいたしましても、この趣旨を実現することにしておるのです。道路でありますれば、これは相当の距離を一業者にやらせるということでいくと能率がいいのですけれども、それを幾つかに区切るとか、あるいは機械設備にいたしましても、それをあの部分はどこ、この部分はどこというふうに分けるとか、可能の限り中小のメーカー、中小の事業者に便宜を与えるという努力をいたしておるのですが、いま御引例の電電公社につきましては、私は事情を承知しておりません。事情を取り調べて不適当な点があれば是正するようにいたします。何せこれは私中身を知りませんから、責任を持って御答弁をすることはできません。
#90
○山田徹一君 それでは次の問題としまして、今度、先日の九日の衆議院予算委員会のわが党の議員の質問に対しましても、また最初副総理の発言にありましたように、いま一番大切なことはインフレをとめることだ。これが諸悪の根源である。このようにも明確に述べておられますが、さらに十日の衆議院の予算委員会で副総理は、鉄鋼、石油など重要物資の値上げには行政指導をすると、こう言明しておりますけれども、第三次不況対策の八項目を十六日に発表した翌日、十七日の新聞報道によると、八月出荷から鉄鋼材を値上げすると、その値上げ幅は一万円以下であるけれども、値上げを実施すると、新日鉄の会長が発表しております。こうなると行政指導の不手際と言わざるを得ないのではないか、こう思うわけです。さらに鉄鋼は産業の米だと、このようにも言われておる。この値上げの影響が他に及ぼすことを考えると、かなり大きいだろうと思います。石油が値上げするという報道があった当初、大臣はそれに対しての抑制する発言というのは一言もなさってなかった。今回このように慎重に慎重にと行政指導されてきた長官が、はっきりと八月から値上げするという方向で不況対策の発表を、第三次を十六日に出したその翌日にはもうどおんと新日鉄の会長が値上げを打ち上げた。今度は福田副総理はどうなさるのか。諸悪の根源がインフレだと言われているけれども、どうなさるのか。また値上げしたとしても一けた台の枠の中だからと、こうおっしゃるのか。副総理の真意のほどを明らかにしていただきたいと思うわけです。
#91
○国務大臣(福田赳夫君) 新聞に上がるものは報道されますが、下がるものにつきましてはそう報道されないです。これは卸売物価をごらんになれば非常にはっきりしておるのですが、最近微落の状況となっておるのです。三角がつく指数と、こういう状態。これは下がるものが多いということを示しているのです。その中で上がるものもあれば下がるものもある。その総平均が下がる方にということになっておるのが三角の卸売物価指数ということなんです。そういうことで、それは一体どういうことかというと、やはり総需要管理政策、これが効いている。ですから、いろいろな業界で値上げしたいというような動きがこう出てまいりましても、その動きがそのままになるというような状態ではないし、またそうしてはならない、こういうふうに考えておるわけです。いろいろな業界でいろいろ声を出しますが、さあ一体それじゃ市況はどうだと、こういうことになると、その声のようには動いていかない、こういうふうに見ておるわけであります。ただこの海外の要因、たとえば原材料が非常に高くなってきた、最近そういうようなことが起こってきた、あるいは海外の市況が非常に沈んでおる。それで海外への輸出価格がうんと減ってきたというような特殊な事情があって上げなきゃならぬというような動き、そういうものにつきまして、これは無理にこれを抑え込むというようなことになりますと、これはまたそれなりの悪い反応もあるんであります。しかし、一つ一つの商品が上がる動きになったという、その数、わずかな現象をごらんになって、これは物価対策は大変な、なんという受け取り方でなくて、この物資全体といたしまして、その価格がどうなるかということをよくごらん願っていただきたいと、こういうふうに思うんです。私は、多少価格調整を必要とするものもあると、これは思いますよ。同時に、しかし相当のものがまだ値下がりをするという情勢でございます。その総平均は決して物価の安定基調を乱すようなものじゃないと、こういうふうにかたく見通しております。
#92
○山田徹一君 この問題はまた後日いろいろと議論してみたいと思いますが、次に公共料金の値上げについてお伺いしたいと思います。大蔵省当局は税収不足が予想されるというところから、たとえて言えば、たとえて言えばですよ。その一つの麦価について先ほども話が出ておりましたけれども、この麦価について、消費者麦価の値上げをすると言っておりますし、副総理の関係する経企庁の方では消費者麦価は値上げしないと発言されております。それも報道されております。私は、この経済対策閣僚会議の総括責任者である副総理がどうかみずからの責任において麦価はもちろん、公共料金についての値上げについては絶対抑えてほしい、このように思うわけです。いかがでしょうか。
#93
○国務大臣(福田赳夫君) 公共料金政策につきましては、これは予算を編成する当時からずいぶんこれは慎重な議論を重ねたわけであります。そして基本方針としては、公共料金はこれを値上げ抑制方針をとる、こういうことにいたしたわけでございます。ただその企業、公共企業体の運営上あるいは財政上、特にこの際片づけておいた方がよかろうというわずかなものにつきましてその値上げを考え、いま酒につき、あるいはたばこにつき、郵便料金について国会でも御審議を願っておるという最中でありますが、米と麦につきましては、予算編成当時まだ結論を未決定にしておるんです。これも国民生活に与える影響は非常に大きなものである。しかし、これを値上げを凍結をするという措置をとった場合には、財政を一体どうするんだ、こういう問題も出てくるわけであります。さなきだにまあこの米麦に対する国家負担、これは非常に重いことになってきておるわけでありますので、そこへさらに生産者米価、生産者麦価が上がりましてということになり、その場合に消費者米価、消費者麦価を据え置くということであると、また負担が上積みをされると。その将来における措置が非常に困難になってくるという問題もありますので、その辺総合的にいろいろ考えなけりゃならぬだろうと、こういうふうに思いますが、しかし、物価政策の重要な段階でありますので、その辺は十分心得て慎重に対処したい、かように考えております。
#94
○山田徹一君 鉄鋼にしても他の企業の値上げということについては、すべてがこれコスト値上げを言っておるわけであります。そうしてみると、これ公共料金について先ほどのようなお考えを単純に考えますと、むしろ政府の方が公共料金はすべてがコスト値上げの問題であります。してみると、政府の方がまず先に手本を示して、そういう形になってくるんで、強く企業のコスト値上げを行政指導するということができないのじゃないか。このようにも疑いを持つわけであります。したがって、コストはこういうぐあいで大変だけれども、値上げしたいけれども、公共料金だけは強く抑制するという強い姿勢が副総理になくては、閣僚会議でも私は抑えることができないのじゃないか、このように思いますが、いかがですか。
#95
○国務大臣(福田赳夫君) 公共料金をこれを据え置く、そういうことになりましたその結果は、どうしても財政負担ということになってくるわけです。財政は非常に困難な状態であり、いわゆる硬直化とこういうふうに言われますが、その種の財政支出要因が硬直化と言われる中で、最も大きなものの一つになってくるわけであります。でありますが、物価政策も大事だと、こういうので、多くの公共料金がいままであの石油の輸入価格が五倍にもはね上がった、それに対して民間企業等におきましては、大方それに順応する価格体系、いわゆる新価格体系というものをつくり上げたわけです。ところが、公共料金は国が主導権を持つ料金でありますので、物価政策の大事な時期は、これはいかがであろうかと、こういうようなことで、昨年あたり米なんかにつきましては、これは引き上げをしましたけれども、多くの公共料金というのは据え置きになっておるんです。いずれ価格が石油の値上げの結果に基づいて体系的に変わってきたということに順応する措置を講じなきゃならぬ。しかし、それを一挙にやるというわけにもいかない。そこで一部のものにつきましてはことしはやるが、他の一部につきましては来年、再来年というような段階的な是正をしなきゃならぬだろうと、こういうふうに考えておるわけであります。これをもう永久にほっとくわけにはいかないんです。一部はどうしてもことししなければならぬ。こういうようなことで酒とたばこと郵便料金につきましては、これはぜひひとつ御協力をお願いしたい、こういうふうに考えておる。また米価あるいは麦価につきましては、これは慎重に物価対策とのにらみ合わせ等も考えて今後検討したいと、こういうふうに考えておるわけです。
#96
○山田徹一君 時間も迫りましたので、最後に石油の問題ですけれども、このOPEC会議で原油の取引についてはいままでのドル建てからSDR建てに移行するということが決定されました。こうなると、わが国にとりましても大変なことだと思いますけれども、石油の単価がSDR建てになった場合、現在、一バーレル当たりどの程度値上げされることになるのか、ひとつ石油部長。
#97
○政府委員(左近友三郎君) いまお話しがありましたように、先ほどガボンで開かれましたOPECの会議で、閣僚会議でございますが、そこで原油の価格をいままではドル建てでございましたが、それをSDR建てにしようというふうな話がまとまったようにわれわれも聞いております。ただ具体的にどういう形にするかということはまだ決まってないということでございます。と申しますのは、SDRの価格といいますか、ドルとの、SDRとの比率のいつの時点でのSDR建てをするかということによって変わってまいりまして、つまりSDRとドルとの比率というのは、為替相場の変動に従って変わってまいりますが、たとえばことしの一月の時点のドルとSDRの比率でもって現存の石油価格をSDR建てにするのか、あるいは昨年の九月あたりのものでするのかということによって変わってまいります。したがいまして、具体的にどの程度上がるかということは、SDR建てをいつの日のドルの比率をとるかということによって変わってまいりますので、まだこの九月になりますまで、それはどの程度上がるかということはわからないわけでございますが、少なくとも、いつの時点にとりましても、その九月の時点のSDR建てということにしない限り、たとえば一月にするということにすれば、やはりある程度の価格値上がりは避け得ないということでございますので、その点たとえばとり方によって一〇%ぐらいの値上がりになるし、場合によっては二〇%ぐらいの値上がりにもなるということがわれわれ恐れられておりますので、今後たとえば開催をするというようなことを伝えられております産油国消費国会議等々において、そういう点について急激な値上がりのないような話し合いを続けたいというふうに考えております。
#98
○山田徹一君 こういう問題が国際的な問題として出てきた以上は、当然私どもの心配することは、この輸入価格が上がることによって、鉄鉱は産業の米であるとするならば、石油はむしろ産業の血液じゃないか、このようにも考えられる物資であります。したがって、一昨年のようなあのオイルショックのような事態が引き起こるんじゃないかというのが国民の心配かと思うわけでありますが、大臣のそれに対するすでに準備といいますか、対処といいますか、そういうことはお考えになっていることと思うんですけれども、そういうふうな懸念は心配しなくてよろしいですか、どうか。
#99
○国務大臣(福田赳夫君) この石油、国際石油価格の値上げの問題がちらほらしておるんで、実はびくびくしておるんです。ただ、いま産油国の方ではどのくらいになるか、二割ぐらいか、二割方の減産をしておる。それにもかかわらず石油の需給状態というのがかなり緩んでおる、こういう状態でありますので、その値上げが一体実現するかどうかということにつきましては、私はそう簡単なものじゃあるまい。そう値上げが実現されないことをこいねがっておる、こういうわけでありますが、仮にこれが実現されるということになる、まあ一〇%という見方をする人が多うございますが、まあそういうことになったとすると、昨年の一月にはとにかく五〇〇%上がったんですからね。それに比べればかなり軽微な影響であり、まあそういうことがありましても、わが国にそう大きな混乱がある、こういうふうには思わないわけです。とにかく値上げはない方がいい、こういうふうに思いますので、いろいろこれから紆余曲折がありましょうが、とにかく値上げがないことを期待しつつやっていきたいと、かように考えております。
#100
○山田徹一君 それでは来年度の一けた台に必ず物価を抑え込む、こういうかたい決意のもとに立って、SDR建てになったからと言っても、それをオーバーさせるようなことはしない、また仮にSDR建てになったために一けた台は守れなかった、責任はむしろ外国にあるんだと、私じゃあないんだと、そういうふうなことはおっしゃらぬでしょうね。
#101
○国務大臣(福田赳夫君) まあ人の責任だ、自分の責任だ、そんな責任論なんか私考えておりませんよ。これはもうもし万一物価の基調見通しが実現できなかった、そんな及び腰で物価政策をやっているんじゃないんです。これは実現もする、実現もしなきゃならぬ、こういうことでやっているんで、その実現をしない場合なんというようなことは、私は考えたことはございません。
#102
○山田徹一君 では、副総理は、オイルがあがろうと、鉄鋼が仮に値上げになろうと、この一けた台に対する執着は絶対に捨てない、責任は転嫁しない、そう解釈して私の質問を終わります。よろしいですか。
#103
○国務大臣(福田赳夫君) まあ天変地異だとか、これはとにかく全国的に大飢饉が起こっちゃってね、もう野菜も果物も、あるいは水産物も全部不作でどうにもならぬなんというような、そういう際政府に責任を持てなんと言ったって、これはもう持てるものじゃございません。また国際的に大変動があったという際にその国際変動に対して責任を持てと、こう言ったって責任を持てるものじゃありませんよ。しかし事を大きく常識的に考えて、まあとにかくそう天変地異だとか、国際的大変動だとかない限りにおきまして、私どもはいまの一けた台の目標が達成されなかったらどうするんだというような事態は考えたことはございません。こういうことを申し上げておきます。
#104
○山中郁子君 政府は一昨日第三次不況対策を発表したわけですけれども、この問題については私も意見は持っておりますが、とりわけ物価問題との関連で考えていきますと、物価面に対する対策は非常に弱いと言わざるを得ないんで、最後のところに四、五行記載されています。それで主として「経済の現状にかんがみ、企業経営者に対して、関係各省において、価格引き上げを厳に自粛するよう要請する。」と、こういうことになっています。で、論議にいつでも出てくるのは、そして福田副総理も常に答えられるのは、九・九%以下に抑える、抑えられるのかと、こういう繰り返しになっております。これは理由のあることなんですね。つまり、そういうふうに言われているけれども、本年度四月、五月の推移を見ても、素人が判断してもとてもこの調子で九・九%以下に抑えられることなんかできないじゃないかと、ほとんどみんなそういうふうに思っているわけですよ。だからその点を繰り返し繰り返し議論になると、こういう経過だと思います。それでなおかつ福田副総理は天変地異でも起こらない限りは抑えられると、こういうふうに言われているわけですけれども、問題はそれじゃそういうふうに抑えるためにどういうことをするということをはっきり国民に約束をされていない。そこに問題があるというふうに私は考えます。
 それでまず初めに、この不況対策の中にも記載をされておりますように、そして副総理自身が繰り返し言われておりますように、企業に対して自粛を要請すると、こういうふうにおっしゃっている具体的な中身についてまずお聞かせいただきたいというふうに思います。
#105
○国務大臣(福田赳夫君) ことしの物価をめぐる背景は、私は悪くない、こういうふうに見ております。一番よかったのは、事は消費者物価ですがね、消費者物価に対して影響力の非常に強い賃金問題がとにかく一三%がらみというところへ決まった。去年は三三%上がったんです。それが一三%程度で落ち着きそうだ、これはもう非常にいい要素です。それから国際商品の値上がりの傾向が、まあ一応大観しますと、頭打ちという状態になってきておる。そういう状態。それからまあそういう状態でありますので、景気につきましても多少浮揚政策をとり得る状態になってきておる。そうしますと、操業率は上がってくるわけですが、現に二、三カ月前は七六%という操業率、これが最近は七九というところへ行っておる。そういうことになると、これもコスト軽減に役立つ。また金利は、昨年は上げ調子でずっと推移したわけですが、今度は金利コスト、これが下げ調子でずっと行き得るという環境になってきております。非常に物価をめぐる情勢、背景というものはいいんです。ただ、不況が長引いておりますので、企業の、一つ一つの企業の採算が、これが悪化しておる。そういうようなことで、これはどうしても自然に起こってくる企業側の気持ちというものは値上げをしたいということになる。そこで、その点だけが私は実は心配なんですよ。そういうことで一方においては、これは需要管理政策、これは厳守する。また個別商品についての需給価格、これは厳重に監視してまいる。こういう姿勢を取りながら、とにかく自由価格体制ですから、これは政府がそう強制する価格というわけにはまいりません。そこで自粛を要請する。こういうふうに思っております。まあかなり私は企業側、財界の御理解を得ておると、こういうふうに考えております。
#106
○山中郁子君 自粛を要請するということについて具体的な中身というふうに私はお尋ねしてお答えがいただいていないんですけれども、たとえば先ほどの議論にもありましたし、衆議院の物特でも鉄鋼問題を初めとする大企業製品の値上げの施行の問題について論議がされております。それで福田副総理自身五月二十九日の衆議院の物特で共産党の小林政子委員の質問に対して「企業当局とも十分に連絡をとっていただきまして、これは誤りなきを期していかなければならぬだろう」とか、あるいは「個別の重要物資につきましても、その需給と価格について、行政指導というか、そういう面を綿密にやっていく」というふうに発言をされております。具体的にどういうことをされるのか。私は自粛を要請しても、自粛を要請しているということは前から政府としてはそういう態度をとって、そしてそういうことを言ってこられました。しかし、それでもなおかつやはり上がっています、もうすでに。で、その間上がっているという事実を踏まえた上で、そしていまのこの時点で具体的にどういう自粛を要望するのか、どういう措置を行政指導をとられるのか、そのことをお伺いしているわけなんです。
#107
○国務大臣(福田赳夫君) よくごらんになっていただくとわかるんですが、たくさんの商品があります。ですから、その中には上がるものもあり、下がるものもあるのです。しかし、総平均は下がっているんですよ、卸売物価は。ずっと三角の数字が続いておる。これは明らかに下がるものが多いと、こういうことなんです。しかし、多くの製品の中でありますから、上がるものもそれはあるんです。上がるものにつきまして、これは企業に自粛を求めるというのは、上げないようにしてもらいたいということ、これは具体的なことです。それから上げるにいたしましても、よんどころなく上げなきゃならぬものもあるようです。上げるにいたしましても、その上げ幅を、これは行き過ぎないようにと、これが自粛要請の内容でございます。
#108
○山中郁子君 いまの御答弁でもあったんですけれども、下がってると、こういうふうに言われます。それで大企業製の製品についてみますと、たとえば五十年の一月から五月の中旬までの数字が日銀の指数で出ておりますけれども、二月が六・四%、三月が五・一%、四月が三・八%、五月上旬が三・五%、中旬が三・四%と前年対比でもってふえているんですね、結局。前年対比でふえているんですよ。それで中小企業製製品を見ますと、三月がマイナス五・六%、それから三月がマイナス五・二%、四月がマイナス三・九%、五月上旬がマイナス三・六%、五月中旬が同じくマイナス三・六%です。ですから、明らかに総需要管理政策あるいは総需要抑制と、そういう結果この不況のもとで中小企業が大きなあおりを食っていると、大企業製品は前年度に比べてふえているという事実は変わらないんです。上がっているという事実は変わらないんです。ですから、ここ数カ月を見てその上がり方が減っているということを盛んに言われているんだと思いますけれども、問題は昨年に比べて大企業製製品の卸売指数は上がっているということははっきりしておかなければいけないというふうに思います。そのことについての御見解を承りたいことが一つと、それからもう一つはたくさんの製品があると、だから上がるものもある下がるものもあると、こういうふうに言われますけれども、とりわけ大企業製品、基礎物資を一つの、二万あるなら二万分の一というふうに考えてはならぬということは当然だというふうに思います。
 それで具体的に鋼材の問題、鉄鋼の問題についてお伺いしたいのですけれども、先ほど私が引用いたしました福田副総理の御答弁を鉄鋼の問題に絡んでおります。それで八月からたとえば新日鉄が上げると、こういうふうに言っていることに対して、具体的にたくさんある商品のうちの一つだから、上がる場合もあるし、下がる場合もあるということでなくて、物価に大きな影響を持っているこの基礎物資、そして鉄鋼の問題で、少なくともそれではこれは上げさせないということをお約束していただけるのでしょうか。
#109
○国務大臣(福田赳夫君) 個別の商品につきましては上げさせないと、この約束を私はするというわけには、これはまいりません。これは率直に申し上げまして、いま自由価格体制で、私どもができることは、これはもう総需要抑制政策です。そしていま上げようとしてもなかなかそう簡単には上がりませんよという環境づくり、これが私どものできることです。企業に対しましては上げないでいただきたい、上げるにいたしましても、もう最小限度の上げ幅にとどめてもらいたいということであります。これは通産省当局はそういう方向で鉄鋼業界等には臨んでおる、こういうふうに承知しております。
#110
○山中郁子君 初めの方の見解をお伺いいたします。
#111
○国務大臣(福田赳夫君) 何でしょう。
#112
○山中郁子君 卸売物価指数、昨年に比べて上がっているという問題です。
#113
○国務大臣(福田赳夫君) 昨年に比べますと、上がっているんです。昨年の同期、つまり十二カ月間とってみますと、四十九年度中で言えば四・九%上がったんです。これは上がるもの下がるものとあって、全体として四・九%の上昇。しかし最近は非常な鎮静化の傾向が進みまして、一月には〇・四%の下落です。二月になりますと〇・五%の下落、三月になりますと〇・二%の下落、四月になると〇・二%の上昇というので、全体とすると大変な下落になってきておると思います。
#114
○山中郁子君 先ほど申し上げましたように、それを大企業製製品と中小企業製製品に分けますと、申し上げたとおりです。大企業製製品は上がっているんです。これはよく御認識いただきたいというふうに思います。それで昨日の衆議院の物特委員会で日銀総裁が発言された中身で、鉄鋼など主要商品の値上げの動きや公共料金引き上げを考えると、物価鎮静傾向は定着したとは言えないと、こういうふうに発言をされておりますけれども、この点についての福田長官の御意見をお伺いしたいと思います。
#115
○国務大臣(福田赳夫君) まあ定着とまではなかなか私は言い切れません。ということは、先ほども申し上げましたとおり、非常に環境はいいんですけれども、企業の採算割れ、それを何とか逃げ出したい、こういう気持ちから、企業の方で製品値上げの動き、期待、こういうものが非常に高いと、こういうことを考えますと、定着とまでは言えない。しかしその点の乗り切りができますれば、私はこの物価安定の基調というものが大きく前進をする、こういうふうに見ております。
#116
○山中郁子君 定着していないのに、そしてもうすでに、たとえば東京の場合で言えば四月二・五%、五月一%というふうにして、大幅な物価指数の値上がりということははっきりしているわけですね。それでもなおかつ今後の物価を抑えていくということならば、どうしたって具体的に個別の品物について一々値段を抑えるわけにはいかないと、こう言われるけれども、個別の値段について抑えていかなければ物価はあがっていくということは、これはもうだれが考えてもはっきりしていることです。それでしかも自粛を要請して、なるべく上げ幅を下げさせる、こういうふうに言われているけれども、現に八月から上げますよということを新日鉄が言っているわけですね、大幅に上げるということを。そしてそのほかさらに、一々申し上げませんけれども、まあ自動車だとか、それから石油問題、後で触れますけれども、電力とか、染料、電線、セメント、塗料、紙パルプ、そうしたものを次々と上げるという方向がもうすでにはっきりしています。公共料金も同じです。繰り返し申し上げませんけれども、引き続き大きな問題になっているということがあります。それで私はそういう状況にあるもとで政府が、通産省が六月一日から民生用灯油の元売指導価格の撤廃をしたわけです。私はこれは自粛をしてもらうことを要請すると、そうしてとにかく値段を上げないようにすると、こういうことがもう基本だと、それによって確実に物価を抑えるんだと、こう言われている。政府の見解とまるっきり逆行するものじゃないかというふうに考えますけれども、そしてこの指導価格の撤廃によってすでにもうメーカーから値上げをするということが発表されています。そして日石の場合ですと、昨日、十六日から上げると、こういうふうに言っておりましたけれども、この辺について通産省の方でどういうふうに現状を把握されているのかということをお伺いしたいと思います。
#117
○政府委員(左近友三郎君) 家庭用灯油の価格問題に関しましては、実は昨年以来のいろんな経緯がございますので、ちょっと申し上げさしていただきたいと思います。
 昨年この六月に、当時一かん三百八十円店頭売りという標準価格がございましたんですが、その標準価格を撤廃いたしまして、元売りの仕切り価格の行政指導にとどめたということになっております。その時期で大体キロリットル当たり二万五千三百円ということでございまして、この流通経費をそのまま据え置けば、大体一かん当たり六百円ぐらいになるであろうというふうな値段でございます。そういたしまして、この標準価格は撤廃はいたしたわけでございますが、昨年の冬は幸い需給が緩和をいたしまして、これは在庫が相当準備できたということもございますので、その結果、結局十月には六百円を超しておりました灯油の一かん当たりの店頭売りの価格が、一月、二月、三月には六百円を割るというふうな形で推移をしてまいりました。したがいまして、結果的には昨年の冬は、当初予定されておった六百円を余り上回らない形で推移をしたということでございます。
 それでいよいよ需要期を終わりまして、ことしの需要期であります九月以降を迎えるに当たりまして、この灯油の価格をどう持っていくかということをわれわれは検討したわけでございますが、昨年の例にかんがみまして、やはり灯油の価格が暴騰するということを抑えるためには、どうしても必要な在庫量を確保する必要があるということで、十分な供給量があれば、これは急激な価格上昇が食いとめられるんではないかということを考えたわけでございます。
 ところで、その在庫状況でございますが、昨年の三月末には約二百二十万キロリットルぐらいございましたが、ことしの三月末はそれよりもやや減りまして百九十六万キロリットルということで、二十万キロリットルぐらい少ないわけでございます。ただ、この九月末になりますれば、需要期を迎えますので、そのときにはやはり、昨年は五百九十万キロリットル九月末にございましたが、それを上回る在庫をわれわれは積みたいというふうに考えております。したがいまして、そのためにはやはりこの灯油の価格を自由にして、そうして生産者が在庫を十分にふやし得るようにしたいということを考えました。そういたしまして、先ほど申しましたような六月一日に灯油の元売りの指導価格を撤廃したわけでございます。
#118
○山中郁子君 どうも質問を先取りしていただいちゃったようなんですけれども、私がいまお伺いしたのは、元売りの指導価格を撤廃した段階、いまの段階で各メーカーがどういう対応をしておるのか、どのようにそれを把握しているのかということをお伺いしたわけです。
#119
○政府委員(左近友三郎君) どうも失礼いたしました。
 現在の時点では、先生御指摘のように、元売り各社は値上げを考えておるというのは事実でございます。ただ、現在の状況は北海道を除きましては、需要期が過ぎておりますし、北海道も需要量が減っております。したがいまして、そのような価格がすぐに末端価格として通るかどうかということについては、われわれは疑問を持っております。
#120
○山中郁子君 元売り価格が上がったんですよ、あげることを認めたわけですよ。そうしたら、それは当然上がります。このことははっきりしています。それで通産省自身も、この指導価格を撤廃したことによって元売り価格を各社が上げたと、ないしは上げるということも把握していると。そうしますと、問題はなぜ元売り価格を撤廃したのかというところにいくと思います。
 それで、初めに私はこの灯油問題について、これも繰り返しいままで論議されてきたところですけれども、やはりいまの物価の問題とあわせて、その中の主要な一つの大きな要素になるものだという観点から、これは確認をしておきたいのですけれども、実際問題として灯油が上がるということは、一般の家計に大きな影響を与えるということはもちろん否定はされないと思います。とりわけ東北、北海道あたりですと、多いところではドラムかんで月に二十本から使うという、そういう状況がありますけれども、そうしますと、これが家計に占める割合ということは非常に大きな問題があります。それで東北、北海道なんか寒いところで生活していらっしゃる方の日常感情としては、普通東京あたりでお客さまが見えたらすぐにお茶を出してもてなすというようなことと全く同じように、部屋を暖かくして、つまり暖房をしてもてなすということが生活の中の習慣になっているぐらいに必要なものです。それでまた、こうした灯油の値上がりが寒い地域とか、あるいは暖かい地域とかによってかなり大きな差も出てくる。これは三木内閣が言う不公正ということにもつながるのじゃないかというふうにも思いますけれども、いずれにしましても、生活する上での大変必要な重要な物資であるということがはっきりしてて、そういう意味から再三再四この灯油問題については大きな問題になっているということは、私は政府としても、頭だけでなくて、理屈だけでなくて、本当に国民の暮しを守るという立場に立ったような認識をしていただかなくちゃいけないというふうに思います。
 それで、先ほどのお話しによりますと、備蓄を確保するために指導価格を撤廃せざるを得ないのだ、するのが正しいのだと、こういうふうなお話しでしたけれども、普通どう考えても、私たちが常識的に考えて、値上げをする、それが備蓄を確保するための値上げだ。しかもその値上げによって暮らしに大きくはね返ると、こういうことはどうしても納得がいかないわけなんですけれども、なぜ、どうしてこの時期に、これから需要期に向かって指導価格を撤廃しなければならなかったのか、あるいはその撤廃することによって明らかに値上がりがされるということが十分承知されているにもかかわらず、なぜそうしなければならなかったのかということの根本的なところをちょっと端的にお答えいただきたいというふうに思うのですけれども。
#121
○政府委員(左近友三郎君) この備蓄を確保するためになぜ価格を自由にしたかということでございます。これは一つは石油という商品の特殊性にもよるものでございまして、これは御承知のことと思いますが、原油を蒸留いたしますと、いろいろな製品が一定の比率で出てまいります。若干それぞれの油種について二、三%の変更はききますが、大きな変動はできないということになっております。したがいまして、この値段というものを、極端に油の値段を抑えますと、ほかのものの値段にいろいろな影響が及ぶ。それから灯油で――現実的に申し上げますと、灯油で出てくるものに若干重油をまぜますと、軽油とかA重油というものができるというふうな相互の融通性もございます。したがいまして、この家庭用灯油というものの値段を昨年相当低く抑え込んだわけでございますが、ほかのものの油種が上がりますと、どうしてもその辺の価格のアンバランスが出てまいりますと、生産段階において、あるいは流通段階においてほかの油種に流れていくというふうな現象が、これは好ましくないことでございますけれども、起こってまいります。したがいまして、われわれは供給計画というものをつくりまして、この九月末に、先ほど申しました、正確に言いますと、五百九十一万キロリットル在庫をするようにという計画を提示しておるわけでございますが、その計画を実行させるに当たって、やはりそういう経済的な裏づけがないと、なかなか実行が不可能であるというふうな判断をいたしたわけでございます。したがいまして、そういう九月末の在庫を十分確保させるためには、どうしてもこの際自由にいたしまして、この他油種とのバランスもある程度回復せざるを得ないというのが現状でございます。
#122
○山中郁子君 初めに私はそれじゃ、それらの判断をされた根拠を伺いたいと思います。どういうデータに基づいて需要期を迎えて備蓄が不可能になるという判断をされたのですか。簡単で結構ですけれど……。
#123
○政府委員(左近友三郎君) 先ほど申しましたように、この需給の在庫の数字が昨年あるいはことしというものを比較いたしましたところ、先ほど申しましたように、昨年は二百二十万キロリットルであった、三月末でございます。ことしはいま申しましたように、三月末は百九十六万キロしかなかったということで、この二十万キロを埋めなければいけないという問題がございます。それから、やや話が複雑になってまいりますが、ことしの上期の石油の生産量というものは、昨年の上期の生産量に比しまして横ばいよりも若干減らざるを得ない。これは景気が後退しておりますので、そういうことになります。したがいまして、先ほど申しましたように、一定の比率で灯油が出てまいりますので、このままほうっておきますと、灯油の生産、この上期の生産も理屈上は減少さぜるを得ないということになります。しかし、先ほど申しましたように、灯油の在庫はふやさなければいけない。そこで、どういうことをいたしますかと申しますと、先ほど申しましたように、一定の量出てまいりますが、二、三%の余裕があるということを申しましたが、その余裕を使いまして、なるべくたくさん灯油をつくらせなければいけないという指導をするわけでございます。したがいまして、そういうふうな指導をやるからには、やはり従来のような灯油、家庭用灯油がほかの油種に比べて非常にアンバランスに安いという状態はどうしても是正せざるを得ない。これは、われわれとしては、なるべく家庭用灯油を低く、低水準に抑えるということは望ましいわけでございますが、やはり量的な確保ということが、ことに需要期における灯油の価格維持に最も必要でございますので、その比較考量の上でやはり在庫をふやすというところがより重要でないかと判断いたしたわけでございます。
#124
○山中郁子君 大変、私、いまの通産省の御見解の中で大きな問題があるというふうに思います。
 それで、長官にお伺いしたいのですけれども、灯油の備蓄が危ないという判断ができる、その判断の原因は、一つは在庫量というふうに言われていますけれども、これはまた後ほど質問いたしますが、生産量が減って、つまりこれは景気の関係で生産量が減ってきている。したがって、灯油の生産が少なくなってきている。そのために灯油を業者がつくらなくなる。結果的に灯油の生産量が減るであろう。だから、ある程度確保しなければならないから、確保するためには値段を上げざるを得ないんだ、こういうふうな筋道になるんですね。私はこれは、たとえば景気問題で言うならば、総需要抑制その他企業の経営の状態、そうしたものが石油産業の生産にはね返ってきている。そういうところから出てくる――仮に通産省の言われることが正しいとしてですよ、そうしたところから出てくるひずみが家庭用の灯油を引き上げるというところへ流れ流れて落ちついてくるというのは一体どういうことなんだろうか。つまり大企業関係のいろいろな問題を解決するために民生用の灯油、家庭用の灯油を引き上げざるを得ないのだ、これは国民の生活に、いまの経済状況のもとでの出てくる矛盾、結果、そうしたものを国民生活に転嫁をするということになるのではないかというように思いますが、この点について長官の御見解を伺いたいと思います。
#125
○国務大臣(福田赳夫君) 実情は全く逆のようです。つまり石油業界というものは、これは昨年一月の値上げの直撃的な影響を受けるわけでございます。あの影響は経済全般にわたりまして経済が沈滞する。そこで石油製品についての需要が減退する。つまり原料高、需要減、こういう企業として非常な事態です。したがって、私は正確には存じませんけれども、かなりたくさんな、いま赤字経営の状態になってきちゃっている、この石油業界を一体どうするか、こういうことも大問題になってきております。企業の利益のために灯油の値上げをいたしますという、そういう論理が成立するというような客観情勢じゃこれは全然ない。全くこれは企業自体が大変な損失をしながら、わりあいに安定した価格で製品を国民に提供しておる、こういう状態なんです。その間にありまして、灯油の価格、これは灯油は灯油だけで、原油からつくるわけじゃないので、一定の何というか取り分、出来分というものがあるわけでございますが、それとてもしかし決まったものじゃない。灯油の価格が均衡がとれない安さでありますれば、そういう一つの出来分といいますか、取り分といいますか、そういう一つの型はありまするけれども、型の中で灯油だけはわりあいにつくり方を少な目に抑えようというような動きも出てくるわけなんです。そういうようなことを考えますと、どうしても来年の冬ですね、これは備蓄の不足、そういうようなことが起こりそうだ。そういうことになると、需給が非常なアンバランスになるわけですから、価格は暴騰するということになりかねない。どうしてもここで元売りの方の価格を訂正して、そして備蓄ができるような状態にしておく必要がある、こういうのが通産省の基本的な考え方でありまして、企業のサイドの立場ということ、これももちろん考えなければならぬ事態になってきておるんですが、それよりも国民生活全体として大事な灯油につきまして需給に事欠くことがないようにしておきたい。こういう発想から先般の措置になった、こういうふうな理解をいたしております。
#126
○山中郁子君 そうしますと、ちょっとはっきりお伺いしたいんですけれども、赤字だから上げざるを得ないということですか。
#127
○政府委員(左近友三郎君) いま長官もおっしゃいましたように、石油企業が赤字であることは事実でございます。しかしながら、この灯油問題については、むしろ供給確保、そしてまた、その供給確保がこの冬の灯油の価格安定につながるという点を考えてやった措置でございまして、赤字対策、これはまた通産省としては何らか考えなければいけないわけでございますが、これはこれで別途検討中でございます。
#128
○山中郁子君 私は、だから問題だというふうに思うんです。赤字、石油企業の赤字という問題についてもこれは別に意見あります。内部留保その他の問題でたくさん問題があって、赤字だ赤字だと言っているけれども、そんなことではないというふうな見解を持っておりますけれども、この点については、いまは触れません。要するに通産省が言われるのは、赤字だから上げるのではなくて、赤字だと言うならば、それじゃ、なぜ灯油がどのように赤字になっているのかということを私の方でお伺いしなければいけないわけですけれども、赤字だから上げるのではなくて、備蓄対策で上げるのだ、こういうお話しですね。だから私たちはわからない、国民はわからないと言うのです。なぜならば、先ほど石油部長の方からお話しがありましたけれども、在庫が減っているということを言われました。しかし通産省の需給計画自身が減っているんじゃないですか。需給計画自身減っているんですよ。そして在庫が減っているということは、計画の段階でもうすでに減っているんです。そして実際に実績としても減っているんです。そういう事態は一つあります。だから減っているということは備蓄の不安をもたらす要因にはなり得ないと私は思っていますけれども、この点についてはどうでしょうか。
#129
○政府委員(左近友三郎君) 先ほど私が申し上げましたように、石油は連産品でございますので、経済全体の動きが低下いたしますれば、石油製品全体の生産を減らさざるを得ない。したがいまして、われわれの計画も減らしております。したがって、この五十年の三月末の灯油の備蓄量は減らざるを得ないわけでございます。しかしながら、その減らざるを得ない中から今後九月までの間に企業に努力をしてもらって、先ほど申しました二、三%の余裕のつく範囲で灯油の増産をしてもらおうということを考えておるわけでございます。これは、われわれの供給計画で全体としては石油製品の生産を減らしながら、その中で灯油の増産といいますか、在庫積み増しを図っていくということをどうやったらいいかということをわれわれは検討した結果でございます。
#130
○山中郁子君 そうでしょう。要するに行政指導でもって業者に灯油をちゃんと生産させると、そのために政府があるんです。そのために法律もあるし、政府の機能があるんですね。それを、そのことをするために価格を上げなければできないということだったら、何で通産省に、どういう行政指導があるのかというふうに言わざるを得ないわけですよね。国民に結局犠牲を転嫁しておいて、そして備蓄をふやすと、こういう考え方だと。
 もう一つお伺いいたしますけれども、盛んに、このままでいくといろいろ灯油の方の備蓄量が減ってくると、こういうふうに言われていますけれども、実際問題として、先ほど申し上げましたように、需給計画自身が二十万キロリットルという数字について言うならば減っているんです。ですから、これは在庫が減っているから備蓄が不安であるという理由にはならないということを一ついま申し上げました。それで、同時にそういう実態のもとで灯油を上げざるを得ないんだと、こういうふうに言われますけれども、現実にこの一年間の推移を見てみますと、この一年間のうちでいわゆる連産品、油種ですね、油だけをとってみましても、どのぐらい上がっているかというふうに言いますと、これは日銀の卸売価格の調査なんですけれども、それを等価配分で計算をしてみます。そうしますと、灯油一〇〇に対して、この一年間です、ガソリンは一一です。ナフサは七、軽油は三七、A重油三四、B重油五六、C重油三という数字が出るんです。この大体の見当は通産省の方でもおわかりだというふうに思いますけれども、つまり全部灯油より上がってないんです。灯油が最高に上がっているんです。そういう事態のもとにあって、なおかつここへ来て灯油を上げるということは、全くこういう連産品との関係でのバランスから言ってもおかしいというふうに言わざるを得ないと思いますけれども、この点についての見解をお伺いします。
#131
○政府委員(左近友三郎君) お尋ねの第一の点は、われわれとしては行政指導をいたしまして、この供給計画に九月末の備蓄量五百九十一万というものを掲げて、極力行政指導をいたすわけでございますが、経済のルールというものを無視した行政指導はなかなか成功しない。これはかつて戦中、戦後の経済統制で、いかに法律をもっていたしましてもやみが出た、経済原則を無視してはやれないという実態がございます。われわれの苦い経験がございます。したがいまして、われわれとしてもやはりある程度の経済原則というものを考えながら行政をせざるを得ないという立場でございます。
 それから第二の点は、いま御指摘のありましたのは、実はその値上がりになった基礎の価格が実は大変アンバランスな値段であったわけでございまして、一昨年の石油危機以後、いろんなこの石油製品は一斉に値上がりをしたわけでございますが、国民生活に直接影響のある灯油については現状凍結ということにいたしまして、ほかの品種に比べて非常に低い水準で抑え込みまして、そうして昨年の六月の標準価格撤廃まで低い水準、これは元売仕切り価格で一万二千九百円という数字でございますが、そういう数字で抑えたわけでございまして、その当時ほかの油種はすでに相当な値上がりをしておったわけでございます。したがいまして、そのベースで比べれば確かに灯油の値上がりが大きいわけでございますが、現在の標準的なこの価格の水準上昇を見ますと、むしろやはり灯油の価格の方が全体の比から見れば、やはり低位にある、低い水準にあるということが言えるかというふうに考えております。
#132
○山中郁子君 これはまた私は重大な問題だというふうに思うんですけれども、それでは昨年ですね、民生用灯油を抑えたということは、あの異常な物価高騰の時期にあって、国民の暮らしを守らなけりゃいかぬと、法律までつくって抑えたわけでしょう。そうしてその問題がまだすっかり片がついていないんです。私は、その時点での灯油の値段が不当に低いものであるかのように言われる通産省の見解に意見を持っています。ということは、じゃ原価はどうなのかということについてはっきりさせないでいるわけですから。しかし、それはいまおきます。
 いずれにしましても、もしそのことを論拠になさるんだったら、それでは昨年来のあの物価狂乱の事態がまだおさまっていないと、福田副総理だってそう言わざるを得ないわけですね、定着していないと。で、国民が大きな関心を持って、そして少なくとも常識的に言って、来年度末までに政府が言うような指数で抑えることができるかどうか、そこのところを見ない限りは、そこの点については何も言えないはずです。それにもかかわらず、この時点で昨年の標準価格の精神をあたかも全部すっかりもとへ戻すみたいな御発言なんですけれども、これは私は重大な問題だと思いますけれども、それでは政府は昨年のあの標準価格のときの国民の暮らしを守るという、そういう姿勢からつくり出されたさまざまな政治姿勢ですね、それはもう御破算にしてよろしいんだという、こういう考え方でいらっしゃるわけですか。これは石油部長からもお答えいただかなきゃいけないですけれども、ぜひとも福田副総理にお伺いしたいというふうに思います。
#133
○国務大臣(福田赳夫君) 去年の一月の事態は非常な事態ですね。そこで、あの際には政府が介入をいたしまして、価格にいたしましても、これをある程度政府介入の形で抑え込むというような形で切り抜けたわけです。そこで、その抑え込みから生ずるひずみ、これを是正しなきゃならぬ。それはもう公共料金にもあるし、一般の企業商品にもあるわけです。そこで公共料金につきましては、これを逐次手直しをしなきゃならぬ。企業につきましては、大方の手直しが昨年中進行したわけです。しかし、まだ残っているものもある。いま問題になっておる灯油のごときはその一つであろうかと、こういうふうに思います。灯油なんかは石油製品価格の指導によって、先ほど石油部長から申し上げたとおりで、国民生活という立場からかなり抑えぎみの指導をしてきたわけです。そういうものを逐次是正しないと、これは本当に円滑な自由経済には移らないわけでございます。そういうことで、民間企業の製品につきましてもそういうものがある。あるが、これを一斉に手直しをするということになったら、これは物価政策に非常な影響がある。そういうことについて、とにかく大方の商品につきましては、まあ事情がありましても値上げを自粛をしてもらいたい、もし万一値上げをしなきゃならぬというものがありましても、なかなかにしてもらいたい、こういうふうに企業にお願いをしておるわけであります。これが企業に対する自粛要請という内容であることは先ほども申し上げたわけであります。そういう考え方の中の一こま、これが灯油問題である、こういう御理解でよかろうかと思います。
#134
○山中郁子君 是正はしてきたんですよ。私は、是正という正という言葉は括弧つきで使っていますけれども、是正はしてきたんです。だから、三百八十円の標準価格がいま六百円になっているんですよね。不当に上がって――不当にというか、ほかのものと比べてはずっと高い値上がりをしてきたんです、この一年間とってみましても。私が先ほど申し上げましたように、ほかの油種と比べてですね。灯油を一〇〇とすれば、みんなもう半分以下だと、そういう上がり方しかしていないのに、灯油についてはそういうふうに上げてきたんですね。そういうふうな福田副総理の言われる是正はそういうふうにしてきているんですよ。で、またここへ来て、そういう緊急事態であるということの程度の差はあるとしても、物価問題、もうこれで決着ついたということでなくて、実際に鎮静化の方向が定着したとは言えないと、政府自身もそう言わざるを得ない状態があるにもかかわらず、またここへ来て、指導価格を撤廃して灯油を上げるという道を開くということは、政府の物価政策と大きな違いになりませんかと、こういうことを申し上げている。で、その原因が何かというふうに伺えば、それは景気が落ち込んで、そうして石油の需要が減ってきていると、したがって生産が減ってきていると、そういうことから家庭用の灯油のところへあれを持ってくるという、そういう結果になってきているではないか、こういうことを申し上げているわけです。ですから、私はどうしてもこの問題で、赤字であるから上げるんだということではないと。直接的には備蓄のために上げるんだということならば、もっと本当にいまのままでいけば備蓄がなくなると、そしてまた品簿になってパニックが起こると、こういうことがちゃんと責任持って言えるのかどうかということを伺っているんです。だけど、それについてはデータがないんですね。先ほど申し上げましたように、在庫量の問題についても、需要計画に照らせば別に在庫量が少ないから備蓄が不安になるという状況ではない、こういうこともはっきりしています。ですから、そのほかにどんな需要期に向けての備蓄がなくなるというデータを通産省は持っておられるのか、そのことをお伺いしたいというふうに考えます。
#135
○政府委員(左近友三郎君) 先ほど申しましたように、われわれの供給計画では、この九月に五百九十一万キロリットルの灯油の備蓄を持たせようという計画があるわけでございまして、これを実現させるためには、いまのように企業の値段を抑えたままにしておいたのではなかなか達成はむすかしい。ですから、この五百九十一万キロにするためには自由にいたしまして、そうして備蓄を促進させたいということを考えておるわけでございます。
 それから、そういうふうにじゃ自由にしたら、非常に元売仕切り価格が極端に上がるであろうかということになりますと、これについては先ほど申しましたように、需給さえ緩和しておれば、そう極端な値上がりはしない。それは類似油種とのバランスを回復するという程度には上がりますけれども、それ以上極端な値上がりはしないというのがわれわれの判断でございます。
#136
○山中郁子君 やはり備蓄が少なくなって、備蓄ができなくなるという根拠は何もないんじゃないですか、そうしたら。いま現在、たとえば灯油の生産量がどんどん減ってきているとか、それからよく転用されると言われていますけれども、消費量がどんどんふえているのか、そういうことについての何かデータがあるんですか。
#137
○政府委員(左近友三郎君) 先ほど申しましたように、生産量というものは、トータルの生産量が昨年よりも減らざるを得ないという形になっておりますので、灯油のいわゆる得率と申しますか、つまり原油を蒸留して灯油をとる率でございます。この得率をふやさない限り、先ほど申しました五百九十一万キロという数字が達成できない計画になっております。したがいまして、得率をふやすという指導をやらなければいけない。そのためにはいまのような施策が要るということを考えておるわけでございます。現状にほっておいて備蓄が達成されるというわけではなくて、より一層の努力をしてもらわなきゃいけないというところに、今年のわれわれの指導のむずかしいところがあるわけでございます。
#138
○山中郁子君 やっぱり副総理、これは話が反対だというふうに思いませんか。副総理は私の言うことと反対だと言われますけれども、企業に努力をしてもらうというふうに通産省は言うけれども、どういう努力をさせるのかということははっきりしないで、それでそのために、備蓄をふやすために、生産をさせるために値段を上げると、こういうことを言っているんですよ。これはまるっきり反対じゃないですか。企業に努力をさせると言うならば、企業に灯油の生産を確保しなさいと、得率も上げて、そしてこれだけは確保して生産をしなさいと、こういうことを、強い行政指導をするということでよろしいわけでしょう。だけど、そういうことができない、しないでおいて、企業に自発的に生産をさせるために値段を上げますと、値段を上げれば生産するだろうと、こういう簡単な単純な話なんですよ。これは全く逆さまじゃないかということを私は申し上げているんですけれども、いかがでしょうか。
#139
○国務大臣(福田赳夫君) 灯油というものは大事なもんでございますから、そこで昨年の価格設定、元売価格の設定の際に、これはかなり低目の抑え方を通産省はしておるわけです。しかしその状態でありますと、これは灯油の備蓄というものが進まない。そういう状態で来年の冬を迎えたら一体どうなるか、こういうことを心配しまして、今度多少元売価格の引き上げにつながる自由価格体制というものにしようと、こういうことを考えた通産省の考え方、私は理解できるのです。先ほど申し上げましたが、まあ去年は大変な大混乱があって、価格体制の中でも、政府が介入した品々の中には、その価格でいびつなものもあるわけです。これを逐次手直ししないといかぬわけですが、そういう中において、来年のこの需要期のことを考えますと、灯油は大変な事態に、いまの価格のままではなりやしないかと、そういう心配から通産省はいろいろな措置をとった、これはやむを得ない措置である、こういうふうに考えております。
#140
○山中郁子君 先ほどから福田副総理もそうですが、石油部長も言われることはそうなんですけれども、このままいくと備蓄ができなくなる可能性があると、そのようになりそうだと、なりそうだということを言われるのだけれども、そのようになりそうだという根拠が何にも示されてないというふうに私は申し上げているのです。つまり五百九十一万キロリットルを備蓄しなければならぬという需給計画だと、こう言われるわけね。これができない可能性があると、できない可能性があるからということを唯一の根拠におっしゃるけれども、なぜできないのかと、なぜできない可能性があると判断されたのかということについては何にもお答えがないのですけれども、ここが大事なところなんですが、その点はどうなんですか。
#141
○政府委員(左近友三郎君) 先ほど申しましたように、灯油というものが類似油種の価格と著しくアンバランスでございますと、生産の段階あるいは販売の段階で、ほかの油種に流れる可能性がございます。あるいは先ほどのような灯油を生産するときに得率を高めるということについて、なかなか意欲がわかないという面もございます。われわれとしては極力指導をいたしますけれども、やはりそこに経済面の裏打ちがなければ完全な達成ができない。われわれとしてはやはり九月以降の需給を非常に安定させると、備蓄を非常にふやしまして、この需要期に対して、ゆったりとした需給で迎えたいということがやはり灯油対策の一番基本だというふうに考えますので、その点についてはやはり若干経済的な要素を加味して、自由にして、そうしてそこに生産が向かうように、あるいは在庫がそこに向かうように措置をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#142
○山中郁子君 時間がまいりましたので、最後にひとつ福田副総理もお聞きになって私はわかっていただけたと思うのですけれども、備蓄がなくなるということについての根拠はないのですよ。それにもかかわらず、備蓄がなくなるから、なくなるおそれがあるから上げますと、こういうことを言っているのは、やはりいまのまま据え置けば、もう灯油はつくらぬと、こういう業者の圧迫に屈したものだとしか言わざるを得ない、極端に言えば。私はそういうように考えています。で、そのことについてのデータをいただけるのかと思ったけれども、やはりそのことについてはっきりした根拠が示されないということは、やはり私は大きな問題だというふうに思います。いずれにいたしましても、この点については、また重要な問題ですので、引き続き解明していきたいと思いますけれども、こういう形で元売指導価格を撤廃して、そうして通産省の思惑どおりに値段が上がらずに済むかどうか。私はそれはなかなかそう簡単に言えない問題だというふうに思いますので、もしこれが契機になって灯油がさらに暴騰していくというような事態に絶対にしないということについての政府のお約束をいただきたいというふうに思います。
#143
○政府委員(左近友三郎君) われわれのねらいが灯油の価格を暴騰させないというための施策でございますので、この六月一日に価格を撤廃したときにも、灯油の価格が暴騰した場合には再度行政指導を復活することがあるということを十分業界にも示しております。われわれとしてもこの措置によって妥当な価格水準、他の消極との妥当な価格水準が回復するというところまではやむを得ないにしても、それ以上の暴騰ということは絶対許すことはできないというようにわれわれも考えております。
#144
○委員長(岡本悟君) 本日の調査は、この程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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