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#1
第075回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第5号
昭和五十年三月七日(金曜日)
   午前十時二十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     久保  亘君     神沢  浄君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     浜本 万三君     久保  亘君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴園 哲夫君
    理 事
                森下  泰君
                山内 一郎君
                栗原 俊夫君
                内田 善利君
    委 員
                青木 一男君
                井上 吉夫君
                金井 元彦君
                菅野 儀作君
                原 文兵衛君
                宮田  輝君
                神沢  浄君
                久保  亘君
                矢田部 理君
                小平 芳平君
                沓脱タケ子君
                近藤 忠孝君
                三治 重信君
       発  議  者  小平 芳平君
   政府委員
       環境政務次官   橋本 繁蔵君
       環境庁水質保全
       局長       大場 敏彦君
       海上保安庁次長  隅  健三君
       消防庁次長    森岡  敞君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       防衛庁装備局武
       器需品課長    田中 守男君
       運輸省港湾局技
       術参事官     鮫島 泰佑君
   参考人
       横浜国立大学教
       授        井上 威恭君
       技術評論家    近藤 完一君
       石油連盟会長   中島順之助君
       川崎市消防局警
       防部長      小林 光久君
       東京都公害局規
       制部長      田尻 宗昭君
       四日市市消防本
       部消防長     倉谷 徳助君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (石油コンビナートの環境保全に関する件)
○環境に対する影響の事前評価による開発事業等
 の規制に関する法律案(小平芳平君外一名発
 議)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鶴園哲夫君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 浜本万三君が委員を辞任され、その補欠として久保亘君が選任されました。
#3
○委員長(鶴園哲夫君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。
 石油コンビナートの環境保全に関する件について調査を行います。
 参考人の方々には、お忙しい中を本委員会の調査のため御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本日は石油コンビナートの環境保全につきまして、それぞれの立場から御意見をお述べいただきたいと存じます。
 本日の議事の進め方でありますが、まず参考人の方々に各十五分程度御意見を述べていただいて、続いて委員の質問にお答えいただきたいと存じます。
 なお、近藤参考人は都合によりまして午後出席していただくことになっておりますので御了承願います。
 それでは、まず井上参考人からお願いいたします。
#4
○参考人(井上威恭君) 横浜国立大学の井上でございます。私は安全工学から見たコンビナートの安全及び環境保全について申し上げたいと思います。
 安全工学とは過去の災害事故の原因を分析いたしまして、二度と同じような災害を起こさないようにするための対策を研究しておる学問でございます。したがいまして、最近に起きましたコンビナートの災害事故から反省してみたいと思うわけでございます。
 昭和四十八年に発生いたしました石油化学コンビナートの災害事故におきましては、もう新聞で御承知のとおり、初歩的操作ミスが多かったと言われております。調査の中の事故原因を分析してみますと、大体四五%が初歩的操作ミスであったと思われます。それは教育訓練がおろそかであったとか、マニュアルの整備がなかったためであるとか、あるいは現場が軽視されて技術開発とか拡張工事を重視したためであるとか、あるいは保安管理組織が悪かったとか、そういう点が指摘されました。そしてそのほかに、さらに、たとえ初歩的操作ミスから起きても大事故にならないようにすべき対策が研究されまして、誤操作防止、いわゆる英語で言えばフールプルーフということを、それから事故が起きてもこれを拡大しないようにフェールセーフというものの研究が行われたわけであります。さて昭和四十九年になりますと、比較的化学工場の災害事故は少なくなってまいりました。しかしながら、昭和四十九年に発生いたしました原因を調べてみますと、今度は操作ミスというのが非常に少なくなりまして、設備の保全不良というものに基づく事故が五八%に達しております。すなわち原因は移っていくわけであります。注意をすれば原因というものはそれはなくなり、次のほうへと移っていくという傾向が見られます。さらに昭和四十八年におきましては石油化学に事故が非常に多かったわけでございますが、昭和四十九年は石油精製に多くなってきたわけでございます。このように注意を的をしぼっていったところには比較的事故が少なくなるということが問題でございます。
 さて昭和四十九年の十二月十八日三菱石油水島工場と、二月十六日の大協石油四日市工場の事故は、従来の災害事故と性質が変わってきたものとわれわれは見ております。それは技術の本質にかかわるものであったからでございます。水島事故の場合、事故が発生いたしましてから各方面で文献情報をいろいろ集めて研究を始めたわけでございます。この原因につきましては事故調査委員会が目下調査中でございますので、またそこから技術的なアドバイスが出るだろうと思われますので、ここに大きな点から私が観察したところを申し上げたいと思います。で、こういうふうな技術情報を事故が起きてから集めたと、そうしてそれから勉強しようということでございます。前もつてこういう技術情報を収集し活用するような専門情報システムができておれば、非常にこういう事故は防げたんではなかろうかと思うわけでございます。次に、こういう事故を反省いたしますと、設計並びに施工を審査する制度がないことでございます。アメリカで起きますと、ああいう大きなプロジェクトをやる場合には設計仕様書の段階において経験ある専門技術者に見てもらいなさいということが言われております。専門技術者に見てもらった技術料に比較しますと、事故が起きてからの損害は微々たるものであると言われるので、そういうふうないわゆる設計の技術を審査するコントラクターの、こういう制度が定着しております。さらにもう一つ、アメリカ及びヨーロッパにはインスペクターという制度がございます。これはメーカー以外の第三者、インスペクターに工事を検査してもらいなさいということでございます。それに基づきましてアメリカのいろいろな圧力容器の規格ができ、また国際規格もできておりますが、日本にはそういうインスペクターの制度がございません。いわゆる公認検査士の制度がないわけでございます。そうして、すべてメーカー任せである。したがって、往々にして検査に落ち度がある。工事の過程において、そういう点に間違いを起こすおそれがあるということでございます。そういう二点において大きな問題があろうかと思います。
 大協石油四日市工場の事故を視察いたしましたところ、あれは公設消防隊とコンビナートの自衛消防隊の働きによりまして他のタンクへの延焼を食いとめ、第三者に対する損害を与えなかったのでございます。これは非常に幸いなことでございます。しかしながら、早期に異状を発見し工場自体で防消火できなかったことに反省をする必要があろうかと思います。事故を起こしたタンクは、原油から蒸留装置によってガソリン、軽油、灯油、重油というふうに仕分けて、その灯油を一時ためるためのタンクであります。そうして、そこからためた灯油をさらに脱硫装置に送って精製しさうというところの中間タンクでございます。灯油は御承知のとおり、そのときの引火点は四十六度であります。ところが作業温度は二十五度前後でありまして、きわめて安全なものでございます。しかしながら、爆発をしたという、爆発してから火災を起こしたことは事実でございます。爆発したという事実は、爆発性物質があったことであり、着火源があったことでございます。その原因につきましては、事故は専門家によって調査されております。しかしながら、工場側で予想外であると言うような事故が起きることは問題があるかと思います。すなわちプロセスの計測管理に問題があったのではなかろうかと見られるわけでございます。また、こういうことに関し、同業者の方にも申し上げたいことでございますが、人間というものは案外に気がつかないことがある。事故が起きるたびに賢くなっておるわけでございます。もう少し技術に対して謙虚な反省をしてほしいと思うわけでございます。
 最後に、地震が発生した場合のコンビナートの安全性について申し上げたいと思います。河角先生の六十九年周期説が唱えられましてから、コンビナートのウイークポイントはどこにあるだろうかとか、施設が破壊すればどうなる、どんな災害が発生するだろうか、また第三者に被害を与えないためにはどのような耐震設計を行うべきかの研究はかなり進んでおります。しかしながら、河角先生の言われる危険期、ちょうど一九七九年を目標にして、われわれはそういう心構えで研究したわけでございます。ところが川崎地区の直下地震が今年内にあるかもしれないという警報が発表されておる以上、至急対策を講ずる必要があろうかと思います。そのためには災害想定を行った上で、重要度に応じて実行可能な対策を考えてあげる必要があろうかと思います。もちろん所管各省庁でその対策をとっておられると思いますけれども、案外にそれぞれのところに盲点があり、考え及ばなかったところがあろうかと思います。したがいまして、大量可燃物を取り扱っている消防庁を主体として、高圧ガスを取り扱っている通産省、毒物、劇物を取り扱っている厚生省、防潮堤、道路、橋を持っている建設省の合体した合同防災診断を行いまして、具体的に実行可能な方法を指示してやるべきだと思います。十分な地震対策が行ってあるならば、水島事故も四日市事故も起きなかったのではなかろうかと存ずる次第でございます。
 以上、私の陳述を終わります。
#5
○委員長(鶴園哲夫君) ありがとうございました。
 次に、中島参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(中島順之助君) 石油連盟の中島でございます。
 最近、三菱石油の水島製油所の流出油事故、これに続きまして大協石油の四日市製油所のタンク火災事故、業界におきまして石油事故が相次ぎまして、地元の住民の皆様を初め一般社会にも多大の御心配と御迷惑をおかけいたしましたことにつきまして、連盟といたしましても、また業界の一員といたしましても、はなはだ申しわけないことと思っております。最近のたび重なる石油事故にかんがみまして、石油連盟会長といたしまして、早速メンバー会社の社長方に保安、防災問題について注意を喚起いたしまして、あわせて保安管理並びに防災体制の整備に万全を期すようにお願いをいたした次第でございます。水島並びに四日市の両事故につきましては、それぞれ専門の先生方あるいは役所関係の方々によってその原因を調査中でございますが、その結果が明瞭になりましたならば、業界におきましても各社それぞれその対策を至急に講じたいと、かように考えておる次第でございます。
 本日の陳述に当たりまして、まず石油産業の防災安全対策の現状について申し上げたいと存じます。エネルギー供給のための石油を多量に取り扱っております私ども石油業界といたしましては、従来から精製、流通及び販売の各段階におきまして、安全第一主義の立場から何よりもまず事故を起こさないために、細心かつ厳重な注意を払い、特にコンビナートの地域におきましては、万が一災害が発生いたしました場合には、その被害と影響が非常に大きくなるということのおそれがありますので、それぞれの工場におきましては、防災体制を整備するとともに、その地域全体として自主的な共同防災組織を結成し、保安、防災に万全の措置を講じているのでございます。また石油業界におきましては、ターカーや陸上施設におきまして災害が発生し、あるいはまた海洋に油が流出するというような事態が発生した場合には、被害を最小限に抑えるために、当該企業が防除活動に努力するのは言うまでもないことでございますが、業界全体としましても、持てる力を結集して迅速に援助活動が行えるような相互援助体制が従来からできております。
 陸上におきましては災害相互援助の制度がございまして、この制度は昭和四十年から実施されまして、石油連盟に対策本部を置きまして、全国を十九の地区に分けまして、災害発生時には各社が化学消防車、防災資材及び人員を動員しまして、相互に適切な援助をして被害を最小限にとどめることを目的といたしております。今回の大協石油の火災事故につきましても、愛知、和歌山及び大阪の各地区の工場から消火資材等を動員すべく手配をいたしました。
 次に、海上におきましては海水油濁処理協力機構というのがございます。この制度は昭和四十八年以降設置されまして、同じく石油連盟に対策本部を置きまして、全国を四十七の地区に分けまして、海上保安庁または事故発生会社からの要請に基づきまして、各社が油回収船、資機材及び人員等を動員いたしまして油濁処理作業に協力しまして、その被害を最小限にとどめるということを目的といたしております。昨年の暮れの水島の流出油事故に当たりましては、この機構を挙げまして全面的に協力しまして、油回収船、吸着材及びオイルフェンス等の資機材を動員いたしまして流出油防除作業に当たったのでございます。このほか、いままでに船からの油濁事故に対しまして援助活動を行ったこともございます。
 先般の水島におきます流出油事故は、私どもの常識ではこれまで想像もできなかった事故でございますので、全く新たな問題が提起されたと存じております。したがいまして、各企業におきましては精製装置やタンクの総点検に全力を尽くす一方、何よりも今後事故を起こさないことに一段と力を入れる覚悟でございます。水島事故発生後、早速新たに官民合同の流出油防止対策特別委員会というものをつくりまして、流出油発生の場合にいかにしてこの製油所構外に油が流出しないようにするかという、この対策につきまして検討を始めております。さらに連盟では従来の保安委員会というのを拡充強化いたしまして製油所、油槽所等の保安全般に関する問題の検討も進めております。
 次に、最近問題になっておりますタンクの不等沈下につきましては、連盟といたしましては保安委員会の中に特に不等沈下小委員会というものを設けまして、国内及び海外の資料の調査を行うようなことをいたしまして安全性の強化というものをただいま検討中でございます。したがいまして、今後関係御当局で沈下の基準等を御設定になる場合には、石油業界の意見もひとつ聴取していただきたいということをお願いする次第でございます。
 四十八年の秋の石油危機を契機といたしまして石油備蓄の重要性ということが内外において一段と認識されておりますが、今後のわが国における石油エネルギーを安定供給するためには、備蓄の用地の確保を初めといたしまして石油関係施設の立地について円滑な推進が何より必要だと存ずるのでございます。しかしながら、今日の相次ぐ事故がこういう立地の円滑な推進を損なうことがあってはならないと存じまして、私ども業界といたしましては今後さらに一段と覚悟を新たにいたしまして、特に地元の皆様方に対して累を及ぼすことのないようにということを基本の姿勢といたしましてその安全対策にさらに積極的に取り組む所存でございますので、関係方面の方々におかれましてはそれぞれのお立場から御指導、御支援をお願い申し上げる次第でございます。
 これをもちまして私の陳述を終わります。
#7
○委員長(鶴園哲夫君) ありがとうございました。
 次に、小林参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(小林光久君) 川崎市消防局の小林でございます。まず冒頭、大変この委員会に交通混雑のためおくれましたことを深くおわび申し上げます。
 私どものコンビナートに対する防災対策、これを御説明する前に簡単にコンビナートの概要について御説明申し上げたいと思います。
 お手元に資料をお配りしてございますけれども、大変雑なもので見にくい点があろうかと思いますが、御了承賜りましてこれをちょっと参考にいたしまして御説明いたします。資料の一に「石油コンビナート対策資料」というものを配ってございます。これの一ページをちょっとお開き願いたいと思います。川崎市のコンビナートは、ただいまお手元に配付してございますのに書いてございますように多摩川の河口から海に面しまして五つの島から成っております。これに連帯します内陸部の一部を加えまして総称的に川崎市のコンビナート地帯と、こう申しております。この地域はいずれも四十ないし六十メートルの沖積層の上に造成されたものでございまして、図面の左のほうから白石・大川地区でございますが、これは大正九年から昭和三年にかけて埋め立てたものでございます。次の扇島地区は昭和十二年から昭和十六年、次の水江地区は昭和十五年から昭和三十年、千鳥地区におきましては昭和二十六年から三十一年、最後の一番右になります浮島地区におきましては昭和三十三年から三十七年の間に埋め立てたものでございます。この埋め立ての完成と並行いたしまして、各地区にはそれぞれ企業が建物を建築して現在に至っているわけでございます。ただ、この五つの中で、特にコンビナートと申しますのは、浮島地区、つまりこの地図でいきまして、一番右の浮島地区が東燃石油化学をセンターといたしましてのコンビナート形式、その次の千鳥地区におきましては、日本石油化学を中心といたしました石油コンビナートでございます。厳密に申し上げるならば、このコンビナートの中で、二カ所が一番大きな問題だと、かように考えております。それからこの五つのブロックにつきましては、いずれも橋一本で内陸部と連続されておるということが、私ども防災上にとりましての一つの問題点であろうかとも考えております。さらにコンビナートから七百メートルの京浜運河を隔てまして、現在石油基地の一部になっております扇島地区につきましては、従来の一平方キロメートルの土地に加えまして、昭和四十六年から日本鋼管株式会社が四百二十九万四千平米の埋め立て工事を行いまして、すでにこれは完了し、現在工場の建設が進められておる状況でございます。また、その東側でございますが、地図で申しますというと一番左端のほうになります、ここには川崎市が新たに港湾予定地といたしまして四百三十三万七千平方メートルの埋め立て工事を現在実施しておりまして、四十七年からでございますが、完了は五十三年の予定とされております。
 次に、コンビナートの地盤の問題でございますけれども、この地盤につきましては、私専門的な知識もございませんし、四日の委員会でも若干の御審議がされたように記憶しておりますので、どうかこの点につきましては、専門家にお聞きくださるようにお願いを申し上げたいと存じます。
 次に、石油コンビナートの予防対策でございますけれども、これにつきましては、いまお手元に配付してございます二番目の資料でございます。表題は「石油コンビナート防災対策概要」というふうになっております。これは一枚めくっていただきますというと、目次に非常に多く書いてございますが、これは私ども従来コンビナートというものに対しまして、こういうような予防対策、あるいは特別な部隊編成、あるいは消防機資材の整備強化というものをずっとやってきております。ここに一々これを御説明いたしますことにつきましては、時間の関係がございますので、大変恐縮でございますけれども、どうか後でもって御参考までに見ていただければ幸いだと存じます。
 次に、地震対策についてでございますけれども、コンビナートの各企業の施設につきましては、建築基準法あるいは消防法の中でもって地震の強度が規定されております。すなわち建築基準法につきましては施設について〇・二という数字、消防法につきましては、屋外タンク等は〇・三という水平震度でございます。しかし各企業の施設につきましては〇・三ないしはこれ以上の強度、つまり〇・二と申しますのは、聞くところによりますというと関東大震災級の地震を想定した水平震度、こういうふうに承っておりますけれども、その建築基準法でもって規定されておりますところの〇・二の五〇%あるいは一〇〇%増した強度をもって施設を構築しておる、このように聞いております。したがいまして企業におきましては、現在の状態であっても関東大震災級の地震には耐え得るという言葉を聞いておりますけれども、先ほどちょっとお話がございましたように、各地におきましてはいろんな事故も出ております。それから昨年の十二月の二十七日に地震予知連絡会から川崎地域の直下型地震の問題が公表されております。大きな地震はないけれども、五ないし六の地震は近い将来あるのではないかというような発言をされております。私どもも早速この点を踏まえましてコンビナート対策をいかにすべきかということでもって部内的にもいろいろと検討をいたしまして、とりあえずできるものからという観点に立ちまして、急遽一月の三十一日におきましては国から講師をお願いいたし、また関係企業百三社の監督あるいは管理者を全部集めまして、そうしてこの地震予知連絡会から発表されました内容の説明と、それからコンビナート施設をいかに今後すべきかという問題、このような問題を説明いたしました。それから特に消防局長名をもちまして関係百三企業に対しましては、前に起きました水島の流出事故あるいは地震というものを加えましていろいろと要請をいたしました。この項目につきましては約三十項目に上がっておりますけれども、特に地震に対しましては各施設等につきまして〇・三の水平震度でもってもう一回全施設を見直しを行う、そうしてその結果、もしそれに耐えないようなものがあるならば即刻改修すべきであるというようなことをお願いしているわけでございます。
 それから流出油問題につきましては、まず第一には施設から表へ出さないということが一番の問題でございますけれども、それをまず第一に考えていただく。二番目には、もし万が一出たならばそれをどのような措置でもって処置するか。三番目といたしましては、なおかつそれが不可能な場合には、各企業の敷地の境界線に土のうあるいは堰堤を築く、あるいは道路のかさ上げをする、そういうような方法を講じていく、最終的にはいかなる状態が起きても企業から海面あるいは水面あるいは隣接の企業の方へ入らないようなひとつ対策を講じてくれ、このように要請をしてございます。この計画につきましては二月いっぱいに局の方に提出をしてもらいたいということをお願いいたしました。その結果といたしましては、すでに各企業から逐次計画も上がっております。一部の企業におきましてはすでに一部の工事に着工しておる、こういう状況もございます。
 いま、いろいろと申し上げましたが、このように私どもといたしましてはそれなりに対策を講じてきたわけでございますけれども、水島の事故あるいは最近におけるいろいろな事故を踏まえますというと、まだまだという感もないではないわけでございます。そこで川崎市の消防といたしましては、この地震という問題を踏まえあるいはいろんな面から、危険物の問題についても二月の四日に川崎市という立場でもって国の方にもいろんな問題をお願いしてございます。したがいまして、その問題をちょっと簡単に申し上げたいと思います。
 この緊急要望した中には、地震というものを踏まえまして、消防もさることながら、いろんな面を含んでおりますけれども、本日はここでもって、私ども主管といたしますところの危険物施設等に関する法改正の問題について幾つかお願いしてございますので、この点を申し上げたいと存じます。
 まず一点といたしましては、防油堀の容量の拡大措置でございますけれども、これはすでに先生方御承知のように、従来の法規制の中では、単体にあっては防油堀、つまりタンク容量の五〇%、複数にあってはこれに一〇%を加えた量ということが規定されております。しかし、先般の水島事故等を考えますと、これではなかなか防げないというような面から、これを一〇〇%収容できるようなものにしてもらいたい、これが一点でございます。
 次には、タンクの容量と高さの制限でございます。これも現在ございません。当市にございます一番いま大きなものは八万四千七百キロでございますけれども、これは非常に大きなものでございます。したがいまして、すでに他市においては十万トンあるいはそれ以上のものが建設されておるように聞いておりますけれども、私どもは、少なくともこの容量については十万トン、高さについては二十メートルをもってひとつ制限をしてもらいたい、こういうような要望をしているわけでございます。これが二点目でございます。
 三点目といたしましては、保安距離、保有空地の強化でございますけれども、保有空地につきましては、現行の法の中でもって三メートルあるいは五メートルというような数字になっております。保安距離につきましても、それぞれ最高が五十メートルというふうなものになっておりますけれども、こういうものをもっと大きくとってもらう。特に私どもでは防災遮断帯のものを踏まえまして、場合によっては五百メートルというようなものもどうかということでもってお願いしているわけでございます。
 次の問題といたしましては、タンクの構造の設計基準の設定でございますけれども、現行法の中ではこれについては何も触れられておりません。ただ、タンクの鉄の厚さについては三・二ミリメートル以上のもの、あるいはつくる場所は堅固な基礎の上につくれと、こういうような抽象的な問題でございますので、この点の基準をひとつお願いしたい。
 それから次に、タンク及び製造所等を設置する場合の地盤及び基礎並びに沈下に対する規制、こういうものも前に触れましたような問題で何もございませんので、これともあわせてお願いしたい。
 それから次でございますが、大規模貯蔵所に対する自衛消防組織の義務化でございまして、現在は、製造所、取扱所等につきましては、一定の危険物を持ちますというと法の上でもって義務づけられておりますけれども、貯蔵所につきましてはこういう義務づけがございませんので、危険物を持っておることについては変わりはない、私ども、一たん災害が起きますというと、貯蔵所であるから、製造所であるからということは申し上げられないわけでございまして、この点もひとつぜひ義務化をしてもらいたい。
 次には、流出油防止堤の設置でございますけれども、これは先ほどもちょっと触れましたように、二次的な問題をひとつぜひとらえてもらうような法規制をお願いしたい、こういうことでございます。
 次に、劇毒物の漏洩防止対策でございますけれども、劇毒物等の取り扱いまたは貯蔵設備等につきましては全部屋内に設置をさしていただく、そうして一〇〇%収容可能な防液堤あるいは除外設備、遠隔操作方式等の保安設備を設置するようにお願いしたい。
 以上、簡単でございましたけれども、このようなことを私どもは国に対してお願いをしてございます。よろしくどうぞひとつお願いしたいと思います。
 はなはだ簡単でございましたけれども、私の御説明はこれでもって終わらしていただきます。
#9
○委員長(鶴園哲夫君) ありがとうございました。
 次に、田尻参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(田尻宗昭君) 三菱石油の重油流出事件は、五十万坪に及ぶ大石油精製所の夜間の陸上防災体制がわずか五人の保安要員で行われていた、それも二時間に一回の自転車のパトロール、しかも油量計には自動警報装置がなかったというような非常に貧困な陸上防災の欠陥とともに、よりさらに大きな問題といたしまして、実は、従来見落とされていた港湾防災の根本的な欠陥を浮き彫りにしたと思います。
 まず、水島港は重大な欠陥港である。全国の石油港湾は多かれ少なかれ欠陥港であります。小さな港に二十万トンというマンモスタンカーを、コストダウンのために大型化に突っ走ったマンモスタンカーを無理やりに入れているからであります。もしこの欠陥港でマンモスタンカーの事故が起こりますと、一時間に三万トンの油が流出します。その油が原油であって火災になりますと、プラントはもちろん、住民災害まで及ぶことは、一九六五年のテキサスシティーにおきまして、船舶火災から三千メーター以内の二千五百戸の家が延焼しているという事実で明らかであります。二十万トンの油が東京湾で流れますと、七メーターの風にあおられて十五時間後に東京湾を覆い尽くし、それが火災になると、銀座まで延焼範囲に入るという研究もございます。
 まず具体的に申し上げます。水島港の欠陥性でございます。
 第一に、この港は、航路面積以外に、船舶が、しけたり荷役待ちのときに、いかりをおろす停泊場所も全くございません。つまり駐車場のない道路と同じでございます。
 二番目に水深が十六メーターでございますが、マンモスタンカー二十万トンの喫水は二十メーターでございます。四メーター足りない。したがって川崎で一部油を揚げて喫水を調整するという苦肉の策で佐港している。現在十四メータ八十で入港が許されている。しかしながら航路の真ん中に一四・七メーターという部分があるんであります。座礁寸前であります。港の入口で島と浅瀬を縫ってマラッカ海峡の半分である四百メーターという航路がマンモスタンカーの旋回能力を超える三十度という大屈曲をしております。しかも横から二ノットの潮が流れておる。昭和四十六年から昭和四十八年の二年間に四隻のマンモスタンカーが座礁しているという事実がございます。また三菱六号桟橋の前面は四百メーターの幅でございますけれども長さ三百五十メーターの二十万トンタンカーが旋回をする。つまり五十メーターしか余裕がない。ちなみに申し上げますが、二十万トンタンカーは長さ三百五十メーター、デッキの広さが後楽園球場の三倍、東京駅が三つも入る大きさであります。高さは十八階建てのビルと一緒、そうなりますと操船者から前後の水面は見えない、向こうの山が見えるだけであります。こういう神風操船が行われている。また三菱六号桟橋は三万トンの時代につくられたもので、一部手直しをされているとはいえ、二十万トンに対応するものではございません。現に岡山県が発行したパンフレットでも十万トンの港だと書いてある。こういうような港がどうしてできたかということについて、ちょっと岡山県が発行いたしました「水島のあゆみ」の部分を簡単に読んでみたいと思います。四十六年に発行されたものであります。この港は当初水深三メーターの一千トンクラスの港である。しかしながら「県の港湾計画が、会社の要望をいれて次々に大型化されていった」。昭和三十二年十月ごろアメリカの「タイドウォーターの副社長が一五万トンタンカーを入れたいが、その吃水は一五メートル半もあるので、と言ったのに対して、知事がそれでは一六メートルに堀りましょうと答えた」。しかし、この知事の回答について「当時はまだ一三メートルに掘る浚渫船しかなく、技術者の目には極めて無謀なものに映ったらしく、」県の港湾課では大きな反対が巻き起こった。「会社側は、かりに水島港が整備されたとしても、瀬戸内海航路は、こうした大型船舶の航行には適しないということで、その難点をついてきた。」。これに対して県の課長が運輸省に港湾局長を訪ねて「種々陳情し、瀬戸内海の航路整備は考慮しているということをその名刺に書いてもらい、そのお墨付きをもって三菱石油にその旨を伝えたわけである。
 これは昭和三二年一二月二八日のことであり、会社側としては即日、立地決定の意思を表明したのであった。」、こういうぐあいに書かれております。当時三菱石油の企業誘致のために、この小さな港に二十万トンタンカーを入れるのにどんなに行政が狂奔をしたかがはっきりわかるのであります。昭和四十八年の十月十六日運輸省の港湾審議会計画部会におきまして十二万トン以下の船を入れないという取り決めがなされた。しかしながら、これは現在ほごであります。
 こういうような水島の欠陥性というのは、もう一つの例を挙げますと鹿島でございます。あの世界有数の人工港である鹿島において全く同じように停泊水面がないんであります。企業の用地面積を最大にとって岸壁の法線を最大にとった結果、このような駐車場のない港ができ上がった。一たんしけると船は太平洋を走り回ってそうして風をしのがなければならないというようなそういう港ができ上がった。しかも太平洋の荒波に突き出た公共防波堤に実は二十万トンのタンカーの着棧棧橋一公共防波堤に一企業の鹿島石油のマンモスタンカーの桟橋を造成をしている。荒波の中で二十万トンタンカーが着桟をするというような非常に無理が行われている。当初この港は五万トンに計画をされた港であったけれども、港湾審議会において海上保安庁の反対もあったのに急遽二十万トンに変更されたということが、この欠陥性を生んだ根本的な原因であります。全国的にながめましても、昭和四十七年に全日本海員組合が港の総点検を行いました。その中で、九十一の港の中で不相応な大型船を入れている浅い港が三六%、防波堤がない港が四四%、風や波に庶蔽されていない港が六六%もあるのであります。そういう港に昼も夜も巨大タンカーが入港しているという事実は、深刻な実態であるということを強調いたしたいと思います。
 次に、では港湾防災はどうか。二十万トンのタンカーが毎秒十センチというスロースピードで桟橋に着けましても、三百七十五トンという単位面積当たりの力が加わります。もし風や潮にあおられてその着桟でミスがあったならば大変な力が加わります。そうして外板部に亀裂を生じて油が流れれば、それが原油であれば原油ガスの着火点が三百度、金属の摩擦熱は千度、容易に着火いたします。そうして火災になれば、東大の元良教授の研究によりますと、油の火災外延から千メーター以内は延焼する、こういう結果が明らかにされております。ところが、現在全国のコンビナートの桟橋とタンクの距離は何メーターであるか。千メーターは危険範囲であるのに、延焼範囲であるのに、わずか百メーターから二百メーターであります。私は千メーターも離れているコンビナートを見たことがありません。鹿島石油に至ってはわずか六十メーターであります。これは、テキサス州法が桟橋とタンクの距離を三千メーターと定めたのに比べまして、余りにも大きな欠陥であると私は思います。昭和四十八年のタンカー事故百六十隻の中で、港の中で起こった事故が六十六隻ございます。また、十五の石油港湾の中で、昭和四十八年の一月から八月までの間に、油流出が九十一件起こっております。
 このような港湾の危険性に対します港湾防災の問題はどうか。根本的に法体制に欠陥があるのであります。まず第一に、消防法が海岸線から全く海に及びません。したがって、企業には消防船の義務づけもない。あるいは、海上消防隊の義務づけもない。海面防災に企業の法的な責任が義務づけられていないのであります。ところが、石油港湾におきましては、桟橋をくしの歯のように突き出して荷役待ちのタンカーを停泊させて、そうして企業がまさに表玄関のように独占利用している。この石油港湾で、一たん船舶や油で火がついて港湾火災になった場合に、その消火義務がない。消火装置の義務づけがない。具体的に申し上げますと、海岸線から突き出した桟橋や、ましてシーバースにも消火装置一つ備えつける義務がないのであります。海上保安庁でさえ法的な消防機関ではないのであります。海難救助という名目で消火活動を苦肉の策としてやっている。したがいまして、企業に対して一たん港湾火災になった場合に出動を命令する権限もなければ、資材を調達する権限もない。したがいまして、苦肉の策として、全国の重要港湾で企業と官庁による港湾災害対策協議会というものを設け、企業の応援出動を依頼、協議するという、非常に苦肉の策が行われているのであります。また一つの問題点は、協力した従業員、作業員が死んだりけがをした場合に、労災補償がなかなか受けられない。海上保安官に協力した者に対する補償では、最高三百万円で抑えられている。消防法であればそれが一千万円、休業補償まで支給されるというようなアンバランスがあるのであります。やはり私は早急に石油港湾防災規制法をつくるべきだ。そうして港湾構造の規制から始めるべきであります。その港湾構造に見合うタンカーの入港トン数を具体的に制限すべきであります。桟橋の設置規制をすべきであります。現在の港則法では機橋そのものの設置規制もございません。保安距離も法的根拠はございません。行政指導であります。そうして、これは対症療法ではあるけれども、現在のような桟橋に消火器が二、三本転がっているというような状態ではなくて、最も危険な、動くタンクであるタンカーが着桟をする桟橋に自動浮沈式オイルフェンスを設置させるべきであります。赤外線油排出夜間監視装置をつけるべきであります。監視用テレビを義務づけるべきであります。自動消火放水銃を備えつけさせるべきであります。
 次に、タンカーの安全性であります。まさにマンモスタンカーは現在の怪物であります。五万トンと言われた時代から、あっという間に二十万トン、現在は五十万トンというタンカーができております。しかしながら、この大型化の悲劇は、外板の厚さが五万トンと変わらないわずか二十二ミリの外板であります。そうして積んでいる航海計器は一万トンクラスと全く変わりません。タンクの底は二重底になっていない。一重底であります。こういうようなタンカーが何の規制も受けずに、ただ外側だけやたらに大きくしていって、コストダウンだけを考える。安全性というものが全く無視のままふくれ上がっていったということに私は大変な危険性を感じます。マンモスタンカーの性能でありますが、エンジンをストップしてブレーキかけても四千メーターとまりません。このようなタンカーが、たとえば伊勢湾に入ってまいります。わずか一千メーター幅であります。浦賀水道は片幅七百メーター、備讃瀬戸も七百メーターであります。こういう大型タンカーが他船を避けるために旋回をいたしますと、旋回圏は優に千メーターが必要なんであります。すれすれであります。そうして内湾に入ってきて、銀座の明かりのように漁船が操業しております。公害で追い出された漁船が内湾の外へ外へ出てくる。その漁船団の真ん中へ突っ込んでいくタンカーは、もう小回りがきかないんであります。操船者から六百メーター前はもう死角になって見えない。もう目をつぶって突っ走っている。逆にかじがきかないからスピードアップしている。もしも衝突をいたしましても何のショックもない。漁船から見ると小型船と同じ航海灯しかつけてないんで、何かホタルの光が遠くからやってきているような感じしかない。そうして背を向けて魚を釣っている、ふっと気がついたときは山のような船体が迫っている、こういうような危険が操り返されている。私の同級生もマンモスタンカーの船長をやっております。そうして次の日の朝の新聞を大あわてにあわてて読んで、海難事故がなかったら、ようやく自分の船が無事であったことを知るそうであります。
 こういう内湾を通航する実は大型タンカーを、水先案内をする水先案内人というのがおりますが、この水先案内人に大きな問題があるんであります。まず第一に、この水先案内人が港内でしか仕事をしない。重要なことは定年制が全くないんであります。平均年齢六十五歳、五十歳以下が七・五%、そうして八十歳に及ぶパイロットが仕事をしている。この二十万トンという大変なしろものを動かしているのであります。これは実話でありますけれども、階段をもう、よう上がらないぐらい老衰をしている、船員が後から押している、こういうようなパイロットが実は定年制もなくて、こんな大型船を動かしているということは、私は重大な矛盾であると思います。しかもそのパイロットを義務づけた港が全国で五つしかない。その五つの港を決めたのが占領軍であります。以来、改正されていないのであります。こういうような安全無視という実態があるんであります。
 また次に、タンカーの乗組員に危険物取り扱いの資格がない。危険物取り扱いの責任者の免状が要らない。したがって悲惨なのは小型タンカーであります。きのうまで漁船に働いていたのが、人手不足でほいっとタンカーの船長になれる。私は四日市で東幸丸という小型船の爆発事故を調べたことがございます。タンク掃除で中に入って、ガス検知もガスマスクもなくて、裸でホースで水洗いをしている。中に原油のガスが充満をしている。つり下げたランプがスパークをしました。大爆発とともにタンクが吹っ飛んだ。デッキの上にこぶし大の肉片が七十個散乱しておりました。それを集めて遺族は三等分して持って帰りました。その事件を調べているうちに――タンカーの乗組員が免状を全然持っていない。石油、ガスのことを知らない。船長が漁船上がりである。九人の乗組員のうち四人が未成年者である。わずか一人だけいた三年以上の経験者は十八歳である。そうして作業の安全基準一つない。現在の石油企業を支える、現在の石油企業の繁栄を支える近代化の底辺に、このような安全無法地帯があるということです。この実態を見たときに、私はこの事故の元凶は、まさに法律と行政であるということをはっきりと感じたのであります。タンカー安全法を早急につくるべきであります。作業安全基準をつくるべきであります。乗組員の免状を制定すべきであります。そうして水先法を改正すべきであります。小型タンカーに自動洗浄装置や自動ガス検知器をはっきりと義務づけるべきであります。
 こういう港の危険性にもかかわらず、さらに大きな危険は内湾であります。東京湾、伊勢湾、大阪湾。東京湾の面積は瀬戸内海の十七分の一しかありませんが、タンクは瀬戸内海の二割も多い二千四百五十万キロリットルのタンクがもう設置をされております。浦賀水道を通る船は一日に一千隻、タンカーの海難の八九%が三大内湾に集中をしております。月平均、内湾の水道を通る船が二千八百隻であります。ところが、いずれも浦賀水道い伊良湖水道、備讃瀬戸は大型船の通航にはもう適さないのであります。東京湾の入り口で一たん二十万トンタンカーが事故を起こしましたら、東京湾は麻痺であります。内湾防災法を制定すべきであります。一番重要なことは、港の中でしかパイロットは働かないという制度の欠陥であります。全国の港湾に入ってくる七割は外国船であります。ところが東京湾に入ってくる二百隻の外国船のうち百六十隻はパイロットを採っていない。独自で入ってきた船であり、ある外国船の海図を見たら、千葉県が安房の国と書いてあったそうであります。そんな古いチャートで運航している。私も四日市で、セントパトリックというパナマの船が、いかりがさびついて落ちない、コンパスが十度も狂っているという事実を見たことがございます。港の中に働くパイロットを沿岸パイロットに拡大をすべきであります。そういう制度をつくるべきであります。内湾防災法をつくるべきであります。そうして十万トン以上の船の内湾の通航を禁止すべきであります。もし巨大船が内湾を通るならば、タダボートの航行を義務づけるべきであります。タダボートを四杯も五杯も六杯もつけて、そうして航行をさせるべきであります。音波、電波、光波等の航路標識を内湾防災法の制定によって内湾の入り口にはっきりと強化、整備すべきであります。巨大船の安全設備を飛躍的に強化すべきであります。そうして厳重な航行管制を実施すべきであります。
 最後に刑事責任の問題であります。私は足尾銅山以来百年の歴史の中で、責任抜きの対策論が余りにも多かったと思います。手前勝手でありますが、四日市で恥ずかしながら私は漁民から訴えを受けて、工場排水が犯罪であることを知りました。水産資源保護法の第三十五条に基づく水産動植物に有害なものを水面に捨ててはならないという条項を見て、この法律が明治二十五年の漁業法以来一貫して設けられていたのに、ただの一件も工場排水が捕らえられていない矛盾を現場で知りました。驚きました。そうして石原産業を摘発いたしました。現在大企業に対する刑事裁判、これ一つであります。しかしながら、漁民が捕らえられるのに、工場排水で何百万匹という魚を奪った工場排水が、この水産資源保護法に捕らえられなかったという法の運用の逆立ちというものをはっきりと私は知りました。全国で何百杯という船がドラムかん一本の油を流しても、直ちに航空写真一枚で摘発をされております。しかしながら、三菱石油の一万トンに及ぶこの油がもし犯罪でないとするならば、刑事責任を受けないとするならば、余りにも法の不公平であります。一PPmの油でも、工場排水でも規制をされている今日、生の油が、一万トンの油が瀬戸内海を破壊したのに、これが刑事責任の追及を受けないとするならば、余りにも法の不公平はきわまれりという感じがいたします。私は長い公害の歴史の中で公害が犯罪であるということの倫理の確立が公害防止の原点であることを信じます。水産資源保護法、水質汚濁防止法、業務上過失往来危険罪、あるいは公害罪、いろいろ問題は承知しております。しかしながら、法律は運用する姿勢にかかっております。やはり何としてもこの刑事責任の追及ということを忘れてはならないと思います。これがまさに公害の哲学であろうと思います。四大公害裁判でいろいろな多くの犠牲者を出したのに、金だけで片がついたということに私は不満であります。
 最後に、重ねて申しますが、石油港湾防災法の規制法の制定、海上消防法、タンカー安全法、内湾防災法の制定が緊急に必要であります。水先法の改正が必要であります。そして災害対策基本法の強化が必要であります。しかし、何よりも申し上げたいのは、今回のような、一たん大量の油が流れれば、オイルフェンスも油処理剤も油吸着材も、いかなる技術対策も及ばないことをはっきりと直視することであります。そうして、その認識の上に立って、ひたすらコストダウンのために突っ走った巨大タンカーの大型化を取りやめるべきであります。内湾の通航を禁止すべきであります。全国の石油港湾を総点検すべきであります。欠陥港へのタンカーの入港トン数を制限すべきであります。そうして桟橋とタンクの距離がこんな危険な実態にある限り、コンビナートの大改造が必要であります。そうして内湾に海上の安全を無視して無反省に立地された企業の立地そのものを再点検をすべきであります。公害と安全は一体であります。PPmという技術論議で矮小化されつつある公害問題も、この三菱石油事件で大きな転機を迎えました。安全問題は企業やわが国の近代化を根底から問い直す問題ではないでしょうか。
#11
○委員長(鶴園哲夫君) ありがとうございました。
 次に、倉谷参考人にお願いいたします。
#12
○参考人(倉谷徳助君) 私、四日市消防長の倉谷でございます。
 本日の出席は急な出席でございますので、十分な資料も整えておりません点をまずお許しいただくようお願い申し上げます。お手元に簡単な資料を提出さしていただいておりますので、この資料などによりまして概要の御説明をさしていただきます。
 まず四日市市の概要でございますが、ここに書いてあるとおりでございまして、特にこの石油化学工業の発展経緯でございますが、昭和二十七年に四日市港が特定重要港湾として指定され、その地理的好条件を基盤といたしまして石油化学工業が台頭するに至ったものでございまして、終戦前に四日市市南部臨海地の塩浜地区にあった第二海軍燃料廠跡地が払い下げられることになりまして、ここを中心として昭和四日市石油、三菱油化などが建設されまして、これら企業を中核といたしまして、私どもの方では通称第一石油コンビナートと申しておりますが、これが形成されたのであり、次に、市中央臨海部には午起地区に、終戦前から繰業を続けている大協石油を中核といたしまして第二石油コンビナートが、さらに、市北部の出島方式による霞埋立地には新大協和石油化学などを中核といたしまして第三石油コンビナートが、それぞれ形成されまして、今日に至っている状況でございます。次に、石油化学コンビナートの状況でございますが、この次に位置図がつけてございますのでごらんいただきたいと思いますが、この地図も急いでつくってまいりまして、一部、コンビナート以外の企業もかいてございますので、お許しいただきたいと思います。一番下の方が第一コンビナートでございます。で、中央が第二コンビナート、上部が第三コンビナート、このような状況でございます。なお、第一の方で鐘紡であるとか東亜紡であるとかいうようなのがございますけれども、それらは石油コンビナートと違う点をお許しいただきたい。また、第二コンビナートに日本板ガラスとございますが、これに東海糖業などはコンビナートと違いますが、板ガラスの下に抜けてございます第一工業製薬というのがコンビナートになっております。第三の方はこのとおりでございますが、富士電機は石油コンビナートとまた別のものでございます。
 次に関係企業でございますが、第一石油コンビナートは、この図面にも載っておりますように、昭和四日市石油ほか十七社でございまして、第四類危険物の貯蔵総数量は屋外タンク七百五十四基で二百四十七万四千十四キロリットルでございます。第二コンビナートは大協石油ほか三社で、同じく危険物の総貯蔵数量は二百十三万四千六百五十六キロリットルで、タンク数は二百三十九基でございます。第三石油コンビナートは新大協和石油化学ほか九社でございまして、これ同じく危険物の総数量は十三万九千二百三十四キロリットルで、タンク数は百十四の状況でございます。次に、高圧ガスは通産行政でございますけれども、消防防災上の観点から把握している概数は、第一石油コンビナートが五万一千五百七十トン、第二石油コンビナートが一万九千五十五トン、第三石油コンビナートが二万四千二百六十五トンの状況でございます。
 次に消防力等でございますが、図面の次に別表がございますのでごらんいただきたいと思います。別表の一番目は、四日市市と関係機関の消防力の状況でございます。この四日市市消防本部のところで、薬剤あるいはオイルフェンスで「県」としてございますのは、県有のものを四日市市消防本部が委託を受けて保管しているものでございます。それから、薬剤――泡原液の下に「防災協」とございますが、これは、四日市市石油コンビナート防災協議会で共同備蓄をしたものでございます。次は、別表2は、これは関係企業の消防力でございます。で、第三コンビナートは「共同方式」としてございますが、これは各社が相互応援協定を結びまして共同して自衛消防隊を設置しているものでございます。
 以上が現状でございます。
 次に、お手元に資料は出してございませんけれども、平素の防災対策あるいは災害発生時の体制について概要を申し上げたいと思います。
 防災対策でございますが、これまたどこでもやってみえられますが、関係法規を遵守させるための施設の機器等の点検、それから災害対策基本法に基づく地域防災計画の充実、それから各関係機関及び企業などによる防災関係協議会の積極的な運営でございますが、特に消防関係におきましては、消防本部と関係企業三十二社とで四日市コンビナート防災協議会を設置いたしまして、各種災害防止対策の推進、災害時の相互応援、防災計一画同訓練、消防資器材の共同備蓄、防災技術の研究開発をこの防災協議会の中で推進しているのでございます。
 次に、危険物製造所等の消防用設備に関する指導基準でございますが、消防法規などに上乗せいたしまして、消防用設備に関する指導基準を作成いたしまして消火設備及び災害を最小限度に阻止するための冷却散水設備の強化を図っております。これは昭和五十年一月一日からの施行で一年以内に設置計画を策定いたして報告させ、そして五年以内に設置完了することになっておりますが、特に危険度の高いものから実施するようにいたしております。
 次は、工場周辺住民の安全を確保するために既設の工場に対しまして民家との境界に防災堤あるいは倉庫あるいは事務所等の非生産的施設の建設並びに防災を目的とした緑化を推進いたしております。
 次は、保安教育訓練でございますが、各企業から教育訓練計画を提出させまして、確実な実施を指導するほか、消防訓練を実施いたしております。
 次は、災害発生時の体制でございますが、地域防災計画により防災対策本部の設置でございます。特に私たち消防は現場活動隊といたしまして、事案により現地対策本部を設置いたしまして、現場で活動を実施しております。
 それから関係各機関及び各企業との応援協定でございます。事案に応じ、関係各機関並びに各企業は応援協定に基づき出動いたしまして活動しますが、特に工場関係災害につきましては、各企業の自衛消防隊は消防庁の要請によりまして直ちに現場出動いたしまして、公設消防隊の指揮下に入って活動いたしております。
 次は、巨大タンクの流出油並びに火災事故防止対策でございますが、まず流出油対策でございます。先ほど来から話の出ております水島製油所の流出事故を教訓といたしまして、直ちに関係工場に対し緊急措置として工場敷地から外部へ油類の流出しないよう、土のうあるいは盛り土を準備させまして応急処置をさせております。
 次は、自治省、消防庁からの御指示によりまして、一万キロリットル以上のタンク五社で百七基ございますが、これに対して消防職員によりまして点検、地盤沈下測定をいたしまして、これで三基一社でございますけれども、消防庁が示す基準以上の沈下がございましたので抜き取り指示をいたしまして、今月中に検査実施する予定でございます。
 次は、他のタンクについても、沈下状況に応じまして三カ月ごとに一回、六カ月ごとに一回、年一回の測定を実施いたしまして結果報告させることにしておるのでございます。
 次は、さらに一万キロリットル以上のこの五社に対しまして防油堀の改善、港内外への流出拡散防止措置を早期に実施できるよう検討を指示して各社で検討しておる段階でございます。
 次は、火災事故防止対策でございますが、先ほどからお話出ておる二月十六日の大協石油の二万二千キロリットルタンク火災を教訓といたしまして、まだ十分な検討はしておりませんけれども、とりあえず考えられる点として申し上げますと、井上先生からもお話ございましたように、巨大化と消防力との関係を見直し、これに見合うものでなければならないと思うのです。
 次は、先般の火災の状況から見まして、防油堀上で活動できるようにすべきであると思います。
 次は初期消火で万全を期すべきでございますけれども、初期消火で鎮圧できない場合の対策は必要であると思います。これには大量の薬剤、水、装備、人員を検討しなければならないと思うのでございます。
 次は、消火能力が現在の基準ではタンク単体としてとらえられておりますけれども、単体とさらにタンク群としてとらえまして、延焼防止をあわせて考えなければならないと思うのでございます。
 次は、風位、風速等の条件を考慮に入れました立体的消火活動対策が必要と思うのでございます。たとえば先般のタンク火災は道路が風上でございまして、しかも風速五メートルということで私どもにとっては非常に条件がよかったのでございますが、これが反対の場合は、たとえばスクアート車等をそろえましても、これは使用できないと思うのでございますので、こういうような点を考慮した対策は考えておかなければならないのではなかろうかと思います。
 簡単でございますが、以上申し上げまして、終わりといたします。
#13
○委員長(鶴園哲夫君) ありがとうございました。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○井上吉夫君 まず、石連の会長にお尋ねいたしますが、先ほどの田尻参考人の御意見などを聞きまして、瀬戸内海の場合でも、あるいは東京湾、既設の石油コンビナートないしは備蓄基地等含めて考えてみますというと、一体現在あるこういう.施設の場所にさらに備蓄量なりをふやすことが可能かどうかということを考えてみますと、きわめて無理だという印象を受けました。港湾の設備であれ、いろんなことから考えてみて大変無理があるという印象を受けたわけですけれども、一方から見ますと、日本のエネルギー資源として、もともと資源のない国ですから、どうしても備蓄量を九十日分をめどとしてふやしていくという、そういう考え方が一つあるわけでございますが、こういうことを考えた場合に、きわめて大ざっぱな答えでけっこうですけれども、一体これから先どの程度現在の場所にふやすという形で考えるか、新しい場所にどの程度の割合を求めるということにならざるを得ないか。先ほど会長、新しい場所等含めて九十日備蓄に対応するいろいろなことやっていかなきゃならぬということを言われた、そのことについての大まかな石連としての考え方をお伺いいたします。
#15
○参考人(中島順之助君) お答えいたします。
 いま先生の御質問のこの備蓄の問題でございますが、いまのところまだ将来の需要の見通しというものがはっきり立っておりません。需給の計画がまだあれしておりませんで、九十日備蓄ということになると、数量がどのくらいになるかということがちょっと想定がむずかしいのでございまして、昨年のあの通産省で出ました石油備蓄増強対策要綱というのがございますが、これで大体五十四年度までに備蓄タンクをふやさなければならないというものが大体四千四百七十万キロになりますわけですが、現在在庫が非常にふえておりますから、大体四千万キロ程度のものをふやすことになるんじゃないかと、かように考えております。したがいまして、これは五十四年まででございますから五年間、いわゆる一年間平均八百万キロ程度タンクの能力をふやしていくということになるわけでございます。大体一基が十万キロのタンクといたしますと八十基ふやさなきゃならぬ。八十基のタンクの敷地といたしますと大体百万坪、あるいは百四、五万坪のものが必要になってくるかと思います。それで、こういうタンクはとても現在の持っておりますあれではできませんから、どうしても新しいところへ進出していかなければならないと思います。これに対しまして、やはり先ほどからいろいろ御指摘がありましたように、保安という問題については特に注意しなければならないと思いますので、油の流出あるいは火災というようなものについては、また港湾の問題等も考えまして、この災害の防止に対しては十分検討をして、そうして十分な施設をして安全公害対策というものについて全力を尽くしたいと、かように考えておるわけでございます。備蓄の関係はいま申し上げましたように大体四千万キロ、あるいはまた需要の見方によってはもう少しよけいになるかもしれませんが、大体そんな見通しになっております。
#16
○井上吉夫君 需要の伸びがどの程度かということで多少の変化はあっても、おおむね九十日備蓄ということになるといまから四千万キロリッター程度の備蓄量が必要だ、そして諸般の情勢から見てこの大部分は新しい場所に求めざるを得ないというぐあいに理解してよろしいかと思いますが、そのとおりであれば簡単にお答えいただくと同時に、この機会に、もちろん会長が言われましたように、このことを成立させるためには、従来不備であると言われるもろもろの点が十分に整備をされて、事故がもう全くないというそこまでの信頼が持てるような、あるいは万々一発生した場合も被害はきわめて最小限に食いとめるという、そういう体制が備わらない限り新しい立地というのが非常に無理なことは理の当然でございます。
 そこで、先ほど会長から、四十年以降十九地区に分けての相互援助体制だとか、あるいは海上油濁に対しては四十七地区に分けて相互のいろんな資材の提供なり人員等の提供の方式をやっておるというぐあいに言われておりますが、これはやっぱり若干の、それぞれに一つの地域にもかなりの距離があると思うわけですけれども、たとえば、細かいこととしてはお尋ねいたしませんが、相互援助体制の十九地区の場合、一番遠い距離の場合時間帯としてどのくらいの時間を要する、出動したり資材を供給したりするに要する時間をどのくらいの場所までを一つ区域としているのか、大ざっぱで結構です。
 さらに、今回の水島なり四日市の事故を一つの反省の材料として、まず油が港外に流出しないようにということについても検討を進めているというぐあいに言われました。そのことの具体的内容は、たとえばタンクの防護壁について二重にするとか、あるいは三重にするとか、そういうようなふうの具体的な検討の中身がどういうぐあいになっているか、わかっておればお伺いをしたい。
 それから保安委員会をつくって、その中に不等沈下小委員会というものもつくられたということでございますが、大体それはどの程度の陣容で、そして不等沈下に対する大まかな大体どういうような調査の仕方をやっているか、あるいはどういう基準という決め方はこれは将来に待つとして、現在の検討の段階である程度の内容が固まっておればお伺いをしたい。
#17
○参考人(中島順之助君) お答えいたします。
 最初の相互援助の場合のあれですが、大体最短距離で一、二時間でそこへ到着できる範囲くらいのものをワングループというような形態にいたしております。
 それから一番最後の不等沈下についてちょっと申し上げます。不等沈下の方につきましては、最近非常にこれが問題になってまいりましたので、先ほども申しましたように専門の委員会をつくりましてやっております。外国の資料としては、エッソがやっております不等沈下の研究、あるいはまた各社がいろいろやっております不等沈下に対する――いままで不等沈下として特に取り上げて各社ともやっておらなかったものですから、その点非常に不行き届きで申しわけないと思いますが、いままでそんなに不等沈下というものをこんなにまで厳しく考えておりませんもんで、大体各社いろいろと基準を持っておりますが、それもどれがいいのかというような検討もやっております。
 大体不等沈下の問題はそんなでございまして、さっき第二番目にお話のありました、タンクからの流出があった場合どうやって防備するかということにつきましては、大体防油堀がいま一つになっておりますから、それを二重にするとか、いわゆる海岸寄りのところにはもう一つ防油堀をつくって、そうして二段の防油堀でこれを防いでいく。あるいはまた、一つのブロックの中に四基あるいは二基入っている場合には、中間の、中仕切りになっておるところの防油堀の中間を、何といいますか、削りまして、そこで両方のものが共有できるような体制をとるというようなことも考えております。そのほか、排水口からの流出を防ぐためにゲートをつくりまして、あるところも、現在やっておるところもありますけれども、そういうもののないところは、排水口から海へ流出するその口をふさぐというようなことを検討して逐次それに入っております。そのほか、油の回収船、そういうものの整備というものも検討をいたしております。
 以上でございます。
#18
○井上吉夫君 第一番目の質問の際の、九十日備蓄に対応する四千万キロリッターの備蓄は、どうしてもやっぱりその大部分は新しい場所に求めざるを得ないということはそのとおりですか。
#19
○参考人(中島順之助君) 御承知のように水島事故等がありましたために、やはり新しいところを求めるということがなかなか地元の御了解を得るということがむずかしいものですから、できる限り現在使っているところでやるとしましてもなかなか四千万キロはとてもできるものでございませんので、どうしても新しい地区に探していかなきゃならぬ、かように考えております。
#20
○井上吉夫君 大ざっぱに言って、現在あるところにさらにふやし得る限界というものを大体どの程度の数量とお考えですか。
#21
○参考人(中島順之助君) いまちょっと即刻にお答えはできませんで申しわけないんでございますけれども、現在土地を持っております者も需要の伸びに従いまして精製設備をも拡張していかなければなりませんので、いま持っている土地即これを備蓄の用地に使うということはできないと思いますので、その辺の絡み合いがどうなるかということを考えますと、いま即刻にちょっと――それじゃ四千万キロのうち何%ぐらいが現在の所有地ででき、それからあとは新地、新しいところを求めなきゃならぬかということがちょっといまここではお答えできないものでございますから、あしからず。
#22
○井上吉夫君 安全工学の関係で井上参考人にお尋ねしたいわけですが、この前の水島事故の機会を契機として、不等沈下ということが非常にやかましく言われるというか、話題になっておるわけでございますけれども、この不等沈下がどの程度までは安全性の面から許容されるかということについて、なかなかこうしつかりしためどが立ってないという感じを受けるわけです。
 そこで、大体安全工学の面から見てどの程度までならばまずまず大丈夫であるというめどが数値として出し得るものかどうか。そのことが一点と、それからその不等沈下の測定でございますけれども、これはどういうぐあいにして――むずかしいその技術的なことは結構でございますけれども、かなり簡単にその数値測定はできるものか。もし素人でもわかるような形で測定のやり方というのか、その態様が御説明いただければさらに幸いかと思うんでございます。
 それからもう一つ、その不等沈下に関連をいたしまして、これも大変素人っぽい疑問かとも思いますけれども、同じ不等沈下といいましても、タンク全体が一番レベルとして高いところと一番低いところとの数値の差、それだけで危険度がはかれるかどうか、安全性というのが言えるのかどうか。むしろその全体のタンクの底辺を例にとりますと、その中でたとえば一番南と北の関係で百八十度の一番端っこが、両端が一番差があるとして、途中において同じ平均的な角度での沈下ではなくて、いわばねじれというような形の現象が出た場合には、最高最低という開き以上に、むしろそのねじれ現象というのが底板とそれから側壁との接点等においての接着部分といいますか、そういうものに大きな問題を起こして、そこでその破壊現象が発生するというような懸念はないのか。そういうことであると、必ずしもこの最高最低の差だけで問題が議論できないのではないかという気がしたりするわけでございますけれども、そういう点を含めて不等沈下の問題について御教示いただきたいと思います。
#23
○参考人(井上威恭君) 御回答申し上げます。
 ただいま御質問になった四点はすべて相関的に関係がありますので、順番に御報告するよりも、ごく簡単に全体をまとめて御報告したいと思います。
 まず、不等沈下といっても いわゆる東と西が平等になるというようなのは性質のいい方なのでありまして、中に非常に悪質な不等沈下というものがございます。で、悪質か、これがそう機能に影響ないかというのは、その沈下の量により、沈下の形によります。ところで、その測定とこれを規制する場合に非常に問題がございます。実を言うと、実は等高線と称しまして、この中にある、たとえば五十メーターの直径の中で、どこに山ができて、どのように等高線になっているかということが測定できれば一番いいんでございますが、中に物が入っている限りそれができない。そうしますと、その周囲を測定してやるしかない。ところが周囲を測定するのにトランジットをいま消防庁の方お使いですけれども、あれにはかなり技量が要る。しかしながら、そういうのをお役人に一々やっておったんじゃ、会社はやらなくなるだろう。そこでまあビニールのパイプぐらいをやって、後見えるガラスをつっつっと置いとけば、水面というものは円周皆置けますから、それでどういうふうに沈下がその周囲に行っているかということは素人でもできるわけでございます。この沈下を正確に三百六十度とっておいてもらう。その沈下の形が毎月毎月どう変化していくかということが非常な重要な問題であります。これがある時間かければサーキュレートしても変化がないというならばそう大した悪質ではない。そこで限界が出るという。それからその波がそういうサインカーブでこういくのか、急に下がっていくのか、それが非常な問題でございます。
 で、実を言いますと、なぜ、じゃ、この不等沈下が底板とか側壁に影響するかといいますと、先ほどのねじれという問題もございますが、一番大切なのは底板に対する砂のバックアップでございます。砂がバックアップしてくれるからもっているわけでございますけれども、そのバックは不等沈下でバックアップしてくれないと、そこで角変形が起きるわけで、したがって、そういうものがあるかどうかということを定めるのが非常な重要なキーポイントだと思います。
 ところで余りむずかしいことをやっていくと、現地のいわゆる監督者は一体、それをやる基準が、それでやれるかどうかということが問題でございます。で、知っている者がこう一々ついて行って、これでこの程度危険だと判断するなら、これは可能かもしれないんですが、ある程度の、まあ簡単な方で現場の人が検査する技術基準はどうあるべきかというのは、実はこういうものの技術基準を
 つくろうではないかというようなことを学者グループでいまやりつつ、これからそういう準備会を始めようという段取りにおりまして、大体どの程度でいかぬかというのはもう少し検討したいと思っております。で、こういうふうな不等沈下があればどういうふうに影響するかということはもう理論的にかなり研究されてやれるわけでありますから、そういう点で将来の技術基準というものをつくっていきたいというふうに考えております。
 全般をひっくるめて、総合して御報告申し上げた次第でございます。
#24
○井上吉夫君 重ねて不等沈下に関連してもう一点お伺いいいたしますが、いまもかなり研究が進んでおるというぐあいに言われましたけれども、その研究が一つのはっきりした成案としてまとまって、それが法律上の規制としてきちんと整備をされて、それに基づいてのチェックをするということを適当な間隔を置きながら義務づけるということになるまでには、なおやっぱりかなりな時間がかかりそうです。となりますと、しかし、それまでの間に絶対事故が起こらないとは言えないし、ましてお伺いいたしますと、単なる不等沈下がこの差だけではなくて、ねじれもそうだが、一番大きな問題は底板にかかる砂のバックアップといいますか、そういうことになりますと、かなりやっぱり専門的になる。そしていまのお話の中にあったような気がするんですけれども、この場合は圧力を測定するという方法は油を抜き取らなきゃできないわけですか。そういうことになりますと、これはその方法等も含めてずいぶんとやっぱり対応する、ぴしっと法律的に規制をする前提となる技術的な、あるいはそれを運用できるためのそういう学問的な裏づけというのがどの時期にでき上がり、そして具体的にそれを運用するにはどの程度の専門知識を持つ人間がいなきゃならぬかというようなことがまとまらないと、なかなか容易ではないという気がするわけでございますが、それらに対応する考え方はどうまとめていったらいいか、お聞かせをいただきたい。
#25
○参考人(井上威恭君) 御回答申し上げます。
 実は学者というものは非常にのんびりしておるもので、この研究をやって、二年間かかったら大体案ができるだろうといま考えているわけでございます。で、これをわれわれの学者グループだけの案では、そういう研究の技術基準ができ上がるのには大体二年ぐらいかかるんじゃないかと、それじゃ待てぬと言われたらどうするかという問題でございます。それから、そういうふうな悪質なものを、この周囲だけでなくて実測にバックアップしているかどうか判定する方法にはいろいろな方法をいま暗中模索中で、いろんな案が出ているわけでございます。たとえば砂の動きをよく測面から測定するとか、中に何か入れておけばわかるとか、そういうものもありますので、あるいは途中でそういう実験をかなり積み重ねていかなきゃいかぬのではないかとい、うふうにも考えております。で、いま申し上げられることは、目下いろいろな世界じゅうにおける文献を全部集めまして、それを読んで消化してまず勉強会をやろう、それに始まって、いまのような対策を立てていこうというふうに考えておる次第でございます。何か非常にこれで期間がいかぬ、とても待てぬとなると、またわれわれ何か研究をやらなきゃいかぬかと思います。
 以上。
#26
○井上吉夫君 いまのお話になりますと、大変学問的にその数値としてあるいは問題点を全部整理をするということについて若干の期間を要するということになりますと、実際問題としては恐らくはこのあたりでよろしかろうと思う線よりも、さらにきわめて厳しい安全度というものを考えながら対応すると、そういうものが数値的に、学問的に押さえられる点は、それよりもさらに厳しい対応をするという以外になさそうな気がします。だから、消防なりあるいは企業なり、そういうもので常時点検をしていくための体制というのは、それらのものが学問的に立証される点はさらに厳しいものが求められなきゃならぬ、そういう印象を持たざるを得ないわけでございますけれども、不等沈下の問題はこの程度でおきまして、さらにもう一つ、四十八年の事故は大部分が初歩的な操作ミスであったけれども、四十九年になったらどうも設備なり保安の不良という問題による事故が五十数%というぐあいだったと言われました。で、不等沈下に対応するタンクの強度の問題等も含めまして、この設備の問題あるいは保安なり、保安の点検なり、そういう問題等がきわめてやっぱり大きな問題だと思うわけでございますが、この場合にたとえば一、二の例で結構でございますが、現在のタンクの構造上の厚みなりあるいは強度、もろもろの問題点について、どういう点に問題点がありそうかお伺いをいたしたいと思います。
 なお、きょうの毎日新聞によりますと、水島製油所の重油流出事故に関連をいたしまして、日弁連の方で緊急現地調査に参加した大阪の弁護士会の公害対策委員会の報告があったというぐあいに載っております。その中で、二百七十号タンクの基礎部分について完成した後に階段の台座をつくったというあたりに一つの構造上問題があったのではないかというぐあいに書いてありますが、このことについて先生はどういうぐあいに判断をしておられますか。それからなお、同じ記事の中で、これはしばしばこの委員会の中でも表現こそ違えいろんな形で出たわけでございますけれども、このような危険物を貯蔵するものであるにかかわらず、完成後一定期間ごとに検査をするというようなことがほとんどなされていないということがしばしば議論をされておる、こういうことをどうしても一定期間ごとに義務づける必要がある、厳しい検査を義務づける必要があるというぐあいに書かれてあるわけでございますが、構造基準のことと関連をいたしまして、いかに構造上若干の基準を定めても、なおかつ、予測できないもろもろの現象というものを考えます場合、不等沈下の問題も含めまして、どうしてもやっぱり適当な期間ごとに検査を義務づけるということが必要だという感じがするわけですが、このことについての御見解をお伺いをいたしたいと思うわけであります。
#27
○参考人(井上威恭君) この昭和四十九年に起きましたいろいろのメンテナンスの不備その他の事故はどういうものがあるかと申しますと、いろいろあるわけでございまして、たとえばある石油製油所の浮き屋根がドレン弁が故障しておって緊急排水の水シールが不完全なために、雨水が降ったときにそれが沈下してしまったというようなものは、明らかに水シールの不足があったというようなこともございます。そういうふうに例を挙げるとたくさんあるんですが、やはりこういうメンテナンスの不備あるいはパイプが腐触しておったためにそこから漏洩したというような事故もございます。そういうふうなことでいろいろメンテナンスその他を検視しなければいけないというふうに思っておるわけでございます。しかし先ほど一貫しまして厳しい検査ということが出ておりましたけれども、私らはこういうことで事故を起こせば企業が損するんだ、損するんだからやるといって自動的になっていくのが本当の自然な姿ではないかと思っておるわけでございます。そうして、こういう事故を予測する手法がまだ日本の企業の方々には定着していない。アメリカならばシステム・セーフティー・プログラムというものがあって、こういうことをやればどのくらいの確率で事故が起きるだろうということを予測して、その予測した事故によってどのくらい損害するのかということを計算して、それじゃいかぬと、じゃもっと、安全にしようというふうになっていくのが本当の理想的な姿だと考えておるわけでございます。ところで、そういうことをやっておりますと、自然、とかく事故を起こしがちなものですから、ある程度法規制が必要であると。で、余り厳しい法規制ではなくて、自主的にやらしていくと。しかしながら、それを抑えていくような法規制が手ごろに行政的にとっていかれるのが日本の現状に合うのではなかろうかと、いわゆる自主と規制を車の両輪のように使い分けていく必要性があるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから先ほどの台座が問題になっているかどうかという問題につきましては、私は事故調査委員会の委員ではございませんので詳細は存じませんけれども、水張り中に台座をやるというのは余り好ましくない。したがって、そういうことにもしも第三者、メーカー以外のインスペクター、いわゆる公認検査士という制度があって、そういうものがあればそこでとまったんであろう。こういう公認された人が見ておって、これは危険だと思えばとまるわけでございます。で、こういうふうにどうしてもメーカーに任したメーカーだけの検査でやると、往々にして人間の弱点から失敗をする。そこを規制するのかいわゆる第三者――インスベクターで、これはアメリカもヨーロッパもすべて採用しておる。ところが、こういう制度がないので、そういうことをやっていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。
 それからもう一つ、いろいろなタンクでどういうふうに技術基準をつくるべきか、そうしてタンクにはどういう弱点があるかという点は、もう調べてかなりあるわけでございます。で、そういう点をじゃあ規制に全部盛り込めるかというと、これは盛り込めないんであります。こういうことに対してアメリカでも、国際規格でも、規制というものはすべて文章にあらわすことはできないんだと、それを運用する人なんだと、わからない点は先ほどのインスペクターとか何かに聞きなさいという条項が皆人っているわけでございます。ある程度の技術基準はできますが、そこは良識ある運用でもっていくしかないんじゃないかというのが、われわれ安全工学をやっている者の考え方でございます。
 以上でございます。
#28
○井上吉夫君 ただいま井上参考人から、安全工学の面から見た、そして従来企業が災害予測等に対しての対応が十分でなかったのではないかというふうな意味の御陳述がございました。なお、別な面からの田尻参考人のいろんな意見もあったわけですが、こういうことを踏まえまして、ともすればいまの企業が、できるだけ安い価格で生産をしようと、別な言い方で言いますならば、企業の利益を求めて、安全ということについて、せいぜい法定されたものを守ればいいという形で進んできたのではないかという印象がぬぐえない。しょせん災害が起こった場合の最大の被害者は企業であります。そうしてまた、企業こそがその責任を持たなければならぬということになるならば、むしろ災害後の処理よりも、予防体制あるいは予測等を含めて、そのことに相当な金をかけても、一つの災害を発生させてそのことの始末をとるよりも、はるかに安く対応ができるのではないかということが言われておるわけでございますが、先ほど来企業間における相互の連絡なり、援助体制なり、あるいは従来の経験を生かしてさらにいろんな整備を進めていきたいというぐあいに言われたわけですけれども、先ほど申し上げましたように、法律に定めてある範囲のものをやればよろしいとかいうことでなしに、きわめて積極的に災害を発生させない、予測の体制を含めて積極的にこういう姿勢で対応するということ、これこそが私は連合体としての石連の各企業に対する指導原理でなければならぬと思うんですが、このことについての中島参考人の御見解をお伺いしたい。
#29
○参考人(中島順之助君) お答えいたします。
 ただいま先生のおっしゃったとおりでございまして、事故が起きますと地元その他、非常に御迷惑をかけることになりますし、また企業といたしましても大きな損失になるわけでございまして、先ほども井上参考人からお話のありましたように謙虚に反省して、いままでやってきたものをもう一度反省し、そして再度事故を起こさないように努力すべきであると、かように考えております。先生のおっしゃるとおりでございます。
#30
○井上吉夫君 ここで小林参考人並びに倉谷参考人にお伺いをいたしたいわけですが、これは細かくはお聞きをいたしません。ただ、従来消防の持つ機能なり役目というのは消火活動というのが中心になっておりますので、どうもこういうぐあいに石油コンビナートみたいなずいぶんと科学消防力を具備しなければならぬ万一の発生に対応する人的、あるいは機材の面、装備の面、そして技術能力の面を含めまして、決して十分ではないという気がするわけであります。もちろん、企業自体で若干の装備を備えておりますけれども、これを合わせてもなおかつやっぱり数多くの問題があるのではないかという気がするわけでございますが、そして、いまいただきました資料を見ましても、どうも量においても人員においても、四日市の場合でも消防署で持ちます能力よりも企業で持つ量のほうがかなり多いわけですね。こういうものあたりを全部ひっくるめまして、ましてやチェック――点検ということなどを考えてみますと、一体それだけの技術能力を持っている職員を抱えているのかどうか、そして自治体としてどの程度までは抱え得るのか、そういう幾つかの問題があると思いますが、ここでは率直な感想として、どういう点がわが町におきます消防体制として足りないかと、どの程度足りないかと、これはまあ数字で一つ一つおっしゃっていただくのもかなり無理かと思いますので、全体的な印象としてで結構ですから、果たして石油コンビナート等に対応する消防体制として十分であるかどうか、どのくらい不十分であるかという印象をこの際お答えをいただきたいと思います。
#31
○参考人(小林光久君) お答えいたします。
 私ども先ほどお話を申し上げるときに、一応私どもの対策としての概要の資料を提出してございます。実はこの資料に基づきまして細かく御説明を申し上げればよかったわけですけれども、そうもできませんでしたが、ただいま先生の方からお話のございましたまず第一点の出さないための問題、これにつきましてはこの概要の中にも載っけてございますけれども、私どももそれなりにいろいろと工夫もし、やってあるわけでございます。特に昨年は、これはまだ日本で初めてだと思いますけれども、プロジェクトをつくりまして、このプロジェクトには機動性と、それからそれに対応する機械、器具のあれも含めなければならぬじゃないかということでもって約千七百万円を投じまして特別査察車というのをつくってございます。これに載っけてある機械等につきましては、お手元に差し上げました資料の中に細かく書いてございますので、ひとつ参考に見ていただきたいと思います。
 これを使用する人間の問題でございますけれども、現在の化学工業と申しますか、もう言うなれば技術というのは日進月歩でございます。言うなれば、私どもはその技術を後から追っかけるというのが否めない事実でございます。しかし、幾ら追っかけてもなかなか素人の域ではこれに対応することかできません。したがいまして、私どもといたしましては、大学の理工系の職員、そういう専門的な職員を現在までに、ここに書いてございますようにすでに五十一名採ってございます。これはそれぞれの専門によるところの仕事をさせるとともに、いろんな技術的な問題につきましては、いろんな講座あるいは学校、講習会、そういうものにも年間相当の費用を費やしまして派遣をして技術の習得をさせる。したがいまして、まあ現在ではだんだん育ってまいりましたので、この者を主体としたコンビナートの査察を実施しておる、こういうことでございます。
 それから機械につきましては、私どもは一応国で示しております――たとえばまあタンクを一つとった場合に、このタンクを消すのにはどのくらいの機械力が要るのか、あるいはそれに使用する薬液はどのくらい要るのかというような一つの線も出ておりますけれども、なかなかこれに対応するような点まではまいりませんけれども、現在川崎市におきましては、消防の中でもって最も強力だと言われるところの三〇〇〇型の泡射砲、つまりこれは消防艇も含めまして現在九門ございます。特に、これまた資料の中に書いてございますけれども、日本に三台しかないという装甲化学車も現在二台すでに持っております。これをもってすべてコンビナートに対応できるかという問題でございますけれども、たとえば五万トンクラスのタンクに対する対応策として、一つの目安でもってそういう機械あるいは資材を整備してございますので、これのような状態のものには対応することができ得ると私は考えております。ただ、先ほど御説明申し上げました中でもって、現在の土地の高度利用あるいは通産の方の石油の九十日の備蓄というような問題を含めますというと、いろんな問題はあると思いますけれども、現在の状態では私どもが十万で制限をしていただきたいというお願いをしてございますが、これ以上の大きくなったものに対しては現在の状態では対応できないということを私ははっきり申し上げるわけでございます。したがって、そういう地区の総量規制ももちろんのことでございますけれども、タンク個々に取り上げましても、一定の規模でもって抑えていただきたいというのが実際のなにでございます。したがいまして、今後もし万が一事故が起きたときにそれに対応するというような大きな機械が開発されて、それが十二分に使用し得る状態ならば別ですけれども、現在の状態では私どもはそれ以上の大きなものには対応できないというふうな考えから、そういうお願いをしているわけでございます。
 以上でございます。
#32
○井上吉夫君 海上保安庁見えていますか。それでは海上保安庁に関連をいたしまして、水島の事故の場合でも、あるいは過般私の鹿児島県の喜入のスラッジの運搬船の転覆事故の場合でも、いずれも言われておりますことは、どうも初動態勢が十分でなかったということがかなり巌しく議論をされてまいりました。喜入の場合でも鹿児島県がスラッジ流出の報によって直ちに水産試験船を現地に急行させて、同時に沿岸漁協に対して出動の待機をさせた、その時刻からその後海上保安部の要請によって漁船を出動させて回収に当たるという実際の作業までの間にかなりの時間を要したというぐあいに言われております。この時間のとり方等については調査をしておられましょうから、これはどのくらいの間かかったということなどについては改めて質問をいたしません。しかし問題は、先ほど来の参考人の陳述にもありましたし、また、いままでのこの委員会でもしばしば議論をされたように、陸上に事故原因があってそれから流れて、そして海に流れる。そして消防の受け持つ範囲というのは陸上で、海に入ったら海上だけども、海上保安庁は海難に対する海難救助、人命救助等が主たる任務というぐあいに、従来の性格がそういうぐあいになっているために、油に対する事故処理の体制、そういうものについて決して十分ではなかったということは、率直に私は認めなければならぬことではないかと思う。こういうことを踏まえて今後どういうぐあいに対処をしていこうと考えておられるのか。一つは、海上保安庁自体としてそれに対応する装備、人員、そういうものが必要になってくると思います。同時に、運用の点から見ましても、そういう事故が出た場合に、関係漁協等と連絡をとって、そして速やかに回収の作業にかかるということでかなり事故の範囲、量というものを防止あるいは縮小できるのではないかということが過去の事例から反省されることだと思う。そういう連絡の体制等を含めて、どういうぐあいに対応しようと考えておられるかをお伺いしたい。
 この機会にちなみに申し上げますと、喜入のスラッジ運搬船の転覆によるビニール詰めのスラッジは四千六百七十袋と言われておるわけですけれども、現在三千袋余り回収された中で、保安部自体で回収しておられるのは二十五袋、私が現在求めている資料では。その数字の若干の違いは私はこの際申し上げませんけれども、少なくとも、大部分というのが関係漁民、漁協、そういうような手によって回収されておるわけであります。現実の問題としてこのことの可否を議論しようとは思いません。で、先ほど申し上げましたように対応する装備なり人員なり、いろんな点の従来の不足というのは、これは率直に認めなければならぬことでありますだけに、そして現実に大部分がそういう関係漁民等によって実際の回収作業が行われるということであればあるだけ、できるだけ早くそれらの作業にかかるという、そういう運用上の体制が必要であるとい、裏づけとして申し上げたわけであります。こういうことについてどういうぐあいにお考えか、お伺いしたい。
#33
○政府委員(隅健三君) 水島の事故と、喜入のスラッジ運搬船の転覆事故の初期態勢あるいは今後の海上保安庁の油防除に対する体制についてのお尋ねでございます。水島事故につきましては、事故発生が二十時四十分でございました。私のほうの記録によりますと、二十一時三十八分に水島製油所から水島の保安部に、五万キロの重油タンクに亀裂ができて九号桟橋から重油が海上へ流出しているという連絡をいただきました。われわれといたしましては、二十一時四十分、二分後に全職員に非常呼集をかけまして、消防艇の「ぬのびき」、巡視艇の「きよなみ」に緊急出動を指令いたしました。「ぬのびき」は二十一時五十七分に出動いたしております。これは非常呼集をかけましてから十七分後でございます。そのほか、二十二時には作業船、これは鶴見輸送の三隻、水島ポートサービスの作業船三隻が行動を開始しておりますし、オイルフェンスその他の展張作業を開始しております。こういう意味で水島の保安部に属しております船は消防艇と巡視艇二隻でございまして、それほど多い船力ではございません。第一線の保安部といたしましては、直ちに出動をいたしたことは事実でございます。
 なお、喜入のスラッジ運搬船の転覆事故でございますが、この点は普通の海難――救難と申しますか、海難の通報がどのような態勢で行われるか、VHFのチャンネルを持っておる船舶と、あるいは何も持っていない船舶によっていろいろの相違があると思いますけれども、やはりわれわれといたしましては、それぞれのSOS発信機であるとか、あるいは事故を通報する器材の整備ということを指導いたしております。いやしくも事故の発生の通知をいただいてからも、態勢というのは第一線の保安部では常に二十四時間の出動態勢をとっております。
 それから油につきましての防除体制でございますが、これはトリー・キャニョン号あるいは新潟のジュリアナ号以来、われわれといたしましてはやはり海上に流出いたしました油は海上保安庁が初期の排除と申しますか、防除活動をするということで、一つには大型消防船を建造する、あるいはオイルフェンスあるいは処理剤を各保安部に備蓄するということで、四十七年度で東京湾、伊勢湾、瀬戸内海に重点的に整備いたしました。また四十八年、四十九年におきましては比較的タンカーの入出港の多い港を重点に配備を進めております。なお、人員あるいは油回収船につきましても毎年整備をいたしておりまして、四十九年度では油回収船がやや遅きに失したうらみはございますけれども、今月中にアメリカから二隻到着いたしまして、水島と東京湾に配置する計画でございます。
 なお、中島参考人からのお話もございましたように、海上保安庁が中心となりまして、海上流出油事故対策協議会というものを各地区に設けまして、それぞれの連絡体制の整備あるいは訓練というものを繰り返しまして、今後の油防除についての体制の整備に努めているというところでございます。
#34
○井上吉夫君 海上保安庁がのんびりして出動がずいぶんとおくれたと、勤務態勢そのほかが悪いというぐあいに私は言っているわけじゃないんです。少なくとも、いろいろ御説明いただきましたけれども、だれが見ても現在の装備態勢、いろいろな面から見て海に流れた油に対しての処理の態勢が十分でないということはもう衆目の一致する見解だと私は思うのです。それだけに、従来の機能とあわせて海上保安庁の方に期待をする面が多いだけに、必要な装備、人員、技術、能力、そういうものを含めてさらに十分の努力を要請いたしたいと思う。あわせて、通報のあったあとの動き方ということではなしに、従来、油の流出なり、スラッジ船の転覆等を含めて、海のことについては海上保安庁に言わなければどうも手をつけられないというような一つの慣例もあったのではないかと思うのです。こういうようなことから考えますというと、実際の処理というのは現実の問題として必ずしも海上保安庁だけですべてを担うのではないわけでありますから、時を失せず実際の作業にかかれるような運用体制――いろいろ連絡協調のための協議機関等も設けられたということでありますけれども、問題はそういう機関を設けたということで足るのではなくて、実際上にそのことが本当に機敏に作動するということがねらいでありますから、そういうことについてさらに格段の御努力をいただきたいと思います。
 時間が長くなりましたので消防庁には質問の形でなくて、この機会に要望をいたしておきたいと思います。
 この石油コンビナート等に関して私どもの委員会でもしばしば議論をされてまいりましたように、これらの対策については、あるいは通産、あるいは運輸、あるいは環境庁、もちろん消防庁としてはその中心にならなければならぬわけでありますけれども、ずいぶんと各省にまたがっている、そのために、あるいはセクト主義に陥ったりあるいは責任を回避したりするということがともすればありがちだ、求めているのはこれらの災害についてできるだけ災害が起こらないようにすると同時に、万一発生した場合にはだれが考えても本当に機能的に動いているという、そういう動きを国民は求めているわけでありますから、それに対応するような一元的な行政の体制というのがいま一番求められているということだと思います。参考人の陳述の中にもろもろのことが、港湾なりあるいはタンカーの規模の制限なりということも含めてたくさんありました。そういうものを全部ひっくるめて、いま検討中であると言われますコンビナート防災対策法案なるものをできるだけ早く、しかも、いままで起こりましたもろもろの事例をそれこそ反省材料として、そして将来にも対応できるりっぱな法案として早急に作成をして、そして一元的なこれらに対応する体制が一日も早くでき上がるように各省庁の努力を期待をいたしまして、私の質問を終わります。
#35
○委員長(鶴園哲夫君) 午前中の調査はこの程度にいたします。
 午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時三十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十四分開会
#36
○委員長(鶴園哲夫君) 委員会を再開いたします。
 環境に対する影響の事前評価による開発事業等の規制に関する法律案を議題といたします。
 まず、発議者から趣旨説明を聴取いたします。小平芳平君。
#37
○小平芳平君 ただいま議題となりました環境影響事前評価による開発事業等の規制に関する法律案につきまして提案の趣旨を御説明申し上げます。
 われわれ人間も生物の一種であって、自然の生態系の循環の一部に組み込まれ、自然と一体となってその微妙なバランスの中で生存しているのであります。
 しかるに、近代における産業の発展と科学技術の進歩の過程において、人間はこの厳粛な法則を無視し、環境受容能力の限界を超えた自然の侵奪を行い、人類みずからを含むすべての生物の生存をすら、脅かすまでに至っております。
 特に、わが国においては、諸国に比べて相対的に稀少な大気、水、国土といった環境上の制約の中で、しかもパルプ、化学、鉄鋼といった汚染因子を発生しやすい産業が高い比率の経済構造下で無秩序に高度経済成長政策の遂行を急いだため、環境に対する汚染、破壊は他国に類を見ないほど深刻であって、世界各国をして「日本は公害の実験国」であるとまで言わせております。
 しかも、環境に対する汚染、破壊は、不可視的であり、長い年月にわたって隠微な中に進行し、その累積が一挙に深刻な結果を生ずるものであります。また、環境の汚染、破壊は不可逆的であって、一たび汚染、破壊が生じた場合、現在の知識や技術では復旧不可能な場合が多く、復旧し得るにしても長い年月と膨大な費用を費やさなければなりません。
 このことは開発事業の実施に当たっての事前の公害防止投資に比べれば復旧に要する社会公共的費用の支出はけた外れに膨大なものであり、国家経済的にも大きな損失であると言わねばなりません。したがって、今日における環境保全の問題は、環境の汚染、破壊の影響の深刻さ、不可視性、不可逆性を考えるならば将来起こり得るであろう汚染、破壊をいかにして未然に防止するかということに尽きるのであります。
 以上の観点から、環境の汚染、破壊を未然に防止するため、開発事業等の実施に当たっては、その計画の段階で、あらかじめ、もっぱら良好な環境を確保する見地から、特定の利益志向的な政治的圧力から遮断され、客観的、科学的データに基づき、かつ住民の意思をも直接に反映するような形で、環境影響事前評価を行うことが不可欠であり、そうした制度の確立をはかるための本法案を提案いたした次第であります。
 以下この法案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、この法案において「開発事業等」とは、いわゆる工業団地造成事業、都市計画事業、公有水面の埋め立てその他政令で定める事業に係る工事、飛行場、鉄道、軌道、索道、道路、自動車道、林道、廃棄物処理施設、下水道、電気工作物、ガス工作物、核原料物質、核燃料物質の製錬、加工または再処理の施設、原子炉施設、金属製錬施設、石油精製施設、石油パイプラインその他政令で定める施設の新設等に係る工事、及び河川工事、港湾工事、並びに鉱物の試掘または採掘をいうものとしております。
 第二に、環境影響事前評価とは、開発事業等について、その実施前に、関係地域の自然的社会的諸条件を調査し、その調査の結果及び開発事業等の事業計画に基づき、開発事業等の実施または開発事業等の完成後の施設等の使用により開発事業等の実施の過程または将来において生ずる環境に対する影響を予測し、あわせて事業計画に含まれる環境に対する悪影響の防止策及び事業計画の代替案を比較検討して、多角的に評価することと定義しております。
 第三に、この法律案に基づく事務を推進する機構として、別に法律で定めるところにより、内閣総理大臣の所轄のもとに、両議院の同意を得て任命される委員七人をもって組織する開発事業等規制委員会を設置し、環境影響事前評価の結果に基づいて、総合的に検討し、開発事業等を適正に規制することといたしております。
 さらに、委員会にその機関として、学識経験者より成る環境影響事前評価審査会を置き、環境影響事前評価を行わせることといたしておりますが、その審査員についても、委員会の委員と同様に両議院の同意を得て任命されることとしております。
 第四に、開発事業等を実施しようとする者は、その事業計画について、委員会の認可を受けなければならないこととしております。この場合において委員会は、審査会が行う環境影響事前評価の結果に基づき、当該事業計画による開発事業等の実施または開発事業等の完成後の施設の使用によって、わが党がかねてより、提案しております環境保全基本法案に規定する良好な環境の確保に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、その認可をしてはならないこととしております。
 この事業計画には、その代替案、悪影響の防止策等を記載することができることとしております。
 第五に、審査会の行う環境影響事前評価の手続においては、認可申請書等の必要な事項は、住民に周知させるために公告し、縦覧に供する等の措置を講ずることとしております。
 第六に、認可申請人、関係地域の住民及び環境保全団体は、いつでも環境影響事前評価の手続に参与人として参与することができることとし、参与人は、審査において、意見を陳述し、書類その他の物件を提出することができ、また、参与人相互の陳述と参考人の陳述を求めることなどができることとしております。
 第七に、審査会は環境影響事前評価に関して必要な調査事項及びその調査方法を定め、これに従って調査することとなっております。また、参与人は調査事項またはその調査方法の決定または変更について、審査会に対し異議を申し立てることができることとしております。
 第八に、審査は、審査長の指揮のもとに、公開して行われることとしております。
 第九に、事案が環境影響事前評価をするに熟したと認めるときは、審査会は文書をもって環境影響事前評価を行い、これを公表することとしております。
 第十に、審査会は、認可を受けた開発事業等についても事後的にその環境に対する影響を調査することができることとし、その結果に基づき、委員会は良好な環境の確保に支障を生じていると認めるときまたは生ずるおそれがあると認めるときは、当該事業者に対し、当該開発事業等の実施の停止や当該事業計画の変更を命じ、認可を取り消し、または原状回復その他の必要な措置を講ずべき旨を命ずることができることとしております。
 第十一に、環境影響事前評価に不服がある場合は、参与人その他の関係者は、訴えを提起することができることとしております。
 第十二に、この法律に定めるもののほか、開発事業等の規制、審査過程における事業計画の変更を含む環境影響事前評価の手続、その他この法律の施行に関し必要な事項は委員会規則で定めることとしております。
 第十三に、その他この法律の施行の際に、すでに実施されている開発事業等についても環境影響事前評価を行うこととし、その結果に基づき必要な規制をすることができることとしております。
 以上が本法律案の提案の理由及びその概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#38
○委員長(鶴園哲夫君) 以上で趣旨説明の聴取を終わりました。
 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#39
○委員長(鶴園哲夫君) それでは、午前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を行います。
 まず、近藤参考人から意見を聴取いたします。
#40
○参考人(近藤完一君) 今度の一連のコンビナートの事故、石油ないしは石油関連のコンビナートの事故を見て、業界なり監督関係者は何でこんな事故が起こったかわかんないと言うんですね。だけどぼくは、おそらく一番驚いてないのは、業界並びにその監督関係者だと思う。たとえば不等沈下といってかなり大きな問題になっている。そうすると普通の人は何でこんなに不等沈下が起きていてね、これじゃおちおち生活もできないじゃないかという感じなんだけれども、ぼくらはちっとも驚かない、むしろ不等沈下が起きていなければ驚きますね。なぜならば、起こり得べきことが起こるんだから。ああいう軟弱地盤にあれだけの短い工期で――短い工期でということは資本の発生率を高めるということですね。そうしてね、あれだけの巨大設備をつくればね、不等沈下するのはあたりまえですよね。だからね、こんなことは言われるまでもなくて、ぼくは十分わかっていたと思うんです。わかってたけどどうってことないじゃないかと、こういうことでしょう。恐らく。ぼくは日本の恐ろしさというのは、すべて何というか、起ってくる被害なり、災害なりというやつがすべて合法的だということです。合法的なやっぱり被害の恐ろしさというのをぼくはほんとうに身にしみて感じる。たとえばコンビナートの事故が、事故というか、おととしなんかでも爆発ありましたね。今度だってその類似の結局ケースがあるんです。かなりある。ところが、結局これのね、合法的でないような災害を起こしようがないということですね。それはなぜって言えばね、たとえば高圧ガス取締法でそういうコンビナートならコンビナートが取り締まられてんだけれども、高圧ガス取締法の保安距離がね、一般の結局建築物に対しては二十メートルでね、何で違反のしょうがありますか。きょうぼくは参考のために、皆さんに、こんなのはね、細かいことを言う前にというか、写真見てもらったほうがいいと思うんでね、あれなんだけどね、これはぼくが去年の秋ヨーロッパのコンビナート、西ドイツ、オランダ、それからイギリスのコンビナートを見てきて写真を撮ったんです。これをだから見ていただきたいんです。それからぼくはなかなかうまいところ撮れないからあれなんですけれども、これは世界の最大のコンビナートで、理論的に言えば一番過密だというふうに言われている、ユーロポートというコンビナートに関係する写真なんですね、これ二つともかく見ていただきたい。
 たとえば今度の水島の事故でも、一般の人は防油堤が決壊したから事故が起こったというふうに思っているのですね。ぼくは防油堀が決壊しないで事故がどうだったかというふうに考えるのです。防油堀が決壊しなくても恐らく類似の事故は起きたでしょう。なぜならば、現在の結局消防法、これも合法的なわけだけれども、消防法によって現在のタンク、ああいう巨大なばかタンクがそのまま決壊したときに――業界ではばかタンクと言っているのです。決壊したときに、それをカバーできるような法律にはなっていないのですね。防油堤内の結局そういう容量というのは、最大タンクの結局二分の一ですね。それからタンクが群としてあった場合は、それに、それ以外のタンクの十分の一の容量を足していくのです。だからたとえばかりに十万キロリッターのタンク一つと、それから五万キロリッターのタンクが十あった場合、その結局防油堀内のというかエリアのタンク容量は、六十万キロリッターになりますね。ところが現在の結局消防法で計算をすると、まず基礎数は十万キロリッターの半分の五万キロリッターでしょう、最大タンクで。それから後の結局五万キロリッターのタンクの十分の一の容量ということで、これは十万キロリッターの容量きりない、だから決壊しなくてもというかね、ああいう事故は十分起こる可能性がある。とするならば、ぼくはこういうこと、そしてそれじゃ防油堀の容量なんというのはどういう理論的な根拠があるか、みんな大体現在の結局巨大な技術というのはかなり理論的なというか複雑な問題があるというふうに考えているのですね。ところが意外にそうではない。かなり常識で考えられるようなことが守られていなければ本当に危険なんです。恐らく不等沈下といった場合に、何を基準に不等と言うか、現在の結局そういうタンクの沈下基準、これなんかを基準にして不等沈下というふうに言っているのでしょうけれども、恐らく基準を立てた人は直径が何%とか言ったってこんなのは、そんな理論的根拠はありませんよと言うに違いない。それから防油堀の内容の容量にしたってそうだ、これは言ってみればというか、日本の資本とそれから国家権力が結託してそれでつくり上げた数字なんです。どういうふうに彼らはそういうことをつくり上げているか。たとえばぼくはまず第一番に、日本の場合の恐ろしさというのは、外国でも、外国の技術雑誌なんか見ていたり、それから情報を取れば、ときどき爆発なんか起こるのです。しかし近所の人がというか住民がふとんかぶって逃げたという話は聞いたことがない。これはそういうトラブルが起きても、そこの写真を見られればわかりますけれども、一般の民家とは明らかに災害をというか、防止するような、そういうような緩衝地帯が十分とられているんです。だから工場内で爆発があって、そして工場内がパニックになるということは恐らく現在の巨大技術体系の中では、まあ日本はその中でも結局特に巨大化率が大きいから、世界で一番というような数字だから、だから一番ひどいんだけど、外国でもあり得る。しかし、それが近隣のパニックにすぐつながるというところに日本の恐ろしさがある。そうすると、これは結局細かい技術的な問題というより、そういうことを少なくとも近隣には及ぼさないという遮断帯をとる以外に手はないんですね。つくっちゃいけないところに設備をつくっちゃいけないんですよ。言ってみれば日本の企業なんていうのは片っ端から不法建築だ。それで恐ろしいのは結局不法建築の施工者と不法建築の監督者がぐるになっているというところに恐ろしさがある。なぜならば、まあ日本のコンビナートのというか、重役の名簿を見ればわかりますね。具体的に名前を挙げたってぞろぞろ挙がってくるけどね。ともかく通産省の、それの直接の監督機関にあったりなんかというそういうやつがみんな天下りしているじゃないか。数年たって天下りするやつを、それを結局おなわをはめるなんていうやつはいないんだな。
 たとえば、ここにまあ一つの事実があるんですね。これは十年ぐらい前の新聞の切り抜きです。コンビナートの災害が起こったとき、三井ポリケミカル大竹工場、これはかなり皆さんでも印象に残っておると思うんだな。まあ千葉でもやったけど、ともかく消防車が来ても中に入れなかったというような、そういうようなケースですね。そのときの関連記事でこういうのがあるんですね。この一年前に、さすがの通産省も後でやっぱり責任問題になるから、それで結局多少法律を直そうとしたことがあるんですね。それで結局そういう高圧ガス取締法をこの一年ぐらい前に改正しようとして民家への距離を六十メートルにする案を出したところ、こうした適地は少ないということで業界に寄り切られた。このときだってめちゃくちゃに結局大きかったわけでしょう。だけどね、結局日本のコンビナートというのをごらんになればわかりますけどね、その十年ぐらい前から現在はどのくらいになっているかと言ったら、これがまた十倍、数十倍の規模になっているわけです。こういうことが結局行われていて、ぼくはもう何をか言わんやという感じなんですね。だからまあぼくに言わせれば、最大の安全技術は現在の技術体系のもとでは保安距離をとる以外にはない、これが一つ。それからさらに重要なことは、役人の天下りというか、企業への天下りを禁ずることです。それから結局コンビナートの拡大なりなんなりについての監督なり認可の権限を大幅にそのコンビナートの拡大なりなんなりによって被害を受けるであろう何というか人間のことがかなりわかるような行政主体に移すこと、これはまあ言ってみればなんだからね、中央の官庁から大幅に地方自治体に権限を移譲しろということです。
 そしてこのことは別にまあぼくが言わなくたってというか、これは建設省の京浜防災地帯に対する調査報告ですね、数年前に出ています。ここにどういうことが書いてあるか。まあだれだってあたりまえのことをというか、あたりまえの頭で考えりゃこういうふうに考えるより仕方ないですよね。外国なんかでそういうかなりコンビナートに対する結局政策が守られるその特徴は、地方行政機関に属する工場監督官には大きな権限が付与されており、その監督官に優秀な資質、知識、人格を持たせるために周到な配慮が行われている。工場監督官の権威は大きく、事故を起こした場合に法律違反が原因であるときはもちろん、監督官の指導監督または勧告に反して起こした場合はこれを処罰することができる、こういう体制で欧州各国はそうなっているというふうに書いてありますね。ぼくは今度行ったイギリスなり、それから西ドイツなりオランダで若干の討論をしてもそういうふうになっているわけです。なってないのは日本ぐらいなもんです。それだからこそ、この報告書では同じようなことをこういうふうに言っているんですね。公害なんかの環境問題は別ですよ。これはヨーロッパでも日本のようにひどくはないけれども、それでもかなりやっぱり公害現象はある。しかし、ともかく工場が爆発災害なりなんなりのそういうパニック現象を起こしたときに、近隣に影響を与えるというふうなことはほとんどない。そうして、それについてこの報告書ではこういうふうに書いてある。結局それぞれのコンビナートを形成する工場が「広大な敷地を有する結合化学工場である場合が多く、日本のような密接な連携形態をなしているものは少ない。」ということ、結局これは日本のようにあんなにごちゃごちゃあるんじゃなくてと言うんですね。そうして「コンビナート保安はある意味では日本独自の問題である」というふうに書いてありますね、この報告書では。そのほかのところでも「戦後建設された化学工業地帯は敷地も広く、民家との距離も問題にならないほどに計画されている」。
 ぼくがいまお見せしたやつは、それは最初のやつがユーロポート。それからその次の結局牧場のはるかかなたの森のかなたにコンビナートが写っているというやつがイギリスのフォーレイというコンビナートですね。それから最後のれんが建ての建物みたいに見えるのは、これはライン川周辺の西ドイツ最大と言われる石油化学企業であるBASFのあるルードウィヒスハーフェン。そうすると、このルードウィヒスハーフェンの工場なんかは百数年前に工場立地をして年代がたっているんですね。ぼくはだからかなりポリティカルな状態になっているというふうに思っていたけれども、行ってみて、彼らがやっぱりやることはやっているということで改めて感心した。これはユーロポートの地図です。大体結局そこで見ていただいてわかると思いますね。緑がどういうふうにあるか。それからこれがユーロポートですね。ユーローポートの周りはこういうふうになっているでしょう。ユーロポートが六〇年代の初めにつくられて、そうして鹿島の掘り込み港湾のモデルはユーロポートです。世界最大の港湾荷役扱い量がある。世界最大の石油の扱い量がある。ところが工場をつくるときのというか、最初の基準は最も近い民家から五キロ離すということだったのです。ぼくは、向こうだって結局資本主義国だから話半分ということがあると思っていた。行ってみて、巻尺持って行ってはかったわけじゃないけれども、そういうふうになっているということで驚いたのです。だから、後のぼくの写真は彼らに言わせれば一番運の悪いところで撮っているわけですね。工場のすぐそばの道路で撮っている。しかし工場のすぐそばの道路もぼくがカメラを向けてない反対側にこれだけのあれがとってある。そうすると、ぼくがうまく撮れなかった写真はロッテルダム市の出した観光案内で申しわけないけれども、結局ヨットハーバーなんかあるでしょう。何でヨットハーバーの写真か写っているというふうに考えるでしょう。そのヨットハーバーの写真はどこで撮ったかということなんですよ。ここで撮っているんですよ。ぼくの、言ってみれば少し後ろのところから撮っているわけです。またヨットハーバーのある、その写真が写っているはるか後ろに数キロの緩衝地帯がとってある。まあさすがの通産省もというか、業界も去年の秋コンビナートの保安基準についてというか、若干の距離をとることにした。五十メートルから三百メートルまで段階的に五段階に分けてとると言っている。まあしっかりやってもらいたいという感じはするけれども、何を言うかというのがぼくなんかの感じです。
 ところが、そういうことをやっている通産省か――ちょっとあれなんですが、あと一分くらいで終わりますから。これは一月の十六日の石油化学新聞という業界紙です。いま環境アセスメントというか、そういうあれについて、ちょっと最初に港湾の説明みたいなこと、日本なんか環境アセスメントなんという高級な話じゃないんだなあ。まず保安が守られてないでしょう。それでいて結局環境アセスメントについて、これは通産省はこの文章を読むと、「工場立地法にもとづく一部省令の改正を行い、既存立地における単独のプラント建設についても法定調査による環境アセスメントを義務づけることとし、その具体案について検討をはじめた。」と書いてあるんです。通産省もたまにはいいことするなと、こういう感じですね。ところが、これを結局環境アセスメントをして既存立地の何とかというのは、この文章を読むと、「この狙いは最近、既存立地における工場設備の新増設が地方自治体の独自の環境基準によってその実現が左右されているため、これに国の法定調査団を加えることによって単独の建設設備、たとえばエチレン三十万トン装置などの増設について公正な環境評価を行い、」そして結局そういうプラントの増設を許そうということなんです。いまの結局日本の委員会でというか、特に環境アセスメントなんかに出てくるようなやつで、公正な基準なんというのはやりっこないじゃないか。言ってみれば地方自治体、言ってみればそれによって被害を受ける住民とかなり共有するような行政主体がそういうことについて結局介入するとやりにくいから、そういうものから結局アンタッチャブルにしようということで、こういう工場立地法の何とかという改正をやろうと言っている。これは一月十六日ですよ。この一月十六日という前後の新聞の切り抜きだけ見たって、いかに日本のコンビナートなりなんなりについて深刻な反省をしなければならないか、最大の反省をしなければならない通産省が、この段階においてそういうことなんです。だから、ぼくは少なくともその写真ほどではないけれども、ともかく業界の人と、それから関係者が一番よく知っているんだから、外国並みでも問題なんだけれども、最低結局外国の半分ぐらいには何とかしてもらいたいということです。
#41
○委員長(鶴園哲夫君) ありがとうございました。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#42
○矢田部理君 午前中から田尻参考人とそれからいまの近藤参考人のお話を伺って、いまの日本のコンビナート防災が根本的にやり直されなければならないということを強く感じ、その実態や内容を事実に即してお伺いをいたしまして愕然としたわけでありますけれども、私も地元が鹿島地区でありますので、再三にわたって鹿島のコンビナート地区を視察いたしましたが、いまおっしゃられているような問題点が実はほとんど出ていない。企業や関係官庁に行きますと、こういう手だてが講じてあるし、こういう防災体制があるから安全なんだということを異口同音に繰り返し説明をするというのが状況であります。そういう安全なんだということを前提にして果たして防災対策が根本的に立て直すことができるんだろうかという点を、いま午前中からのお話を伺って私なりに感じておるわけでありますが、やはりこのコンビナート防災を考えていく場合には、化学工場は安全だということからは防災対策が出てこない、むしろ危険なんだということが原点なんじゃなかろうかという感じを強くしておるわけであります。
 そういう立場で、午前中お話がありました港の問題について田尻参考人にお話をいただきたいというふうに考えておるわけでありますが、先ほど水島港とあわせて一番新しい港と思われる鹿島の人工港について幾つかの問題点の指摘がございました。世界最大の人工港であるあの一帯のコンビナートは、最も最新の技術を集めた防災の点でも完璧に近いコンビナートであるという説明を私どもは地元でよく聞くわけでありますけれども、港一つとっても非常に危険が内在をしている、あるいは潜在をしている。田尻さんのこれは「地域開発と環境問題に関する学際的研究」というところに書かれた、鹿島の港に関する幾つかの問題を指摘している。これを読んでみますと、私どもが従来おぼろげながら感じていた問題点がきわめて明快に整理をされ、指摘をされているわけです。この全体についてお話を伺う余裕はないかと思いますけれども、幾つかの特徴的な鹿島の港についての問題点を御指摘をいただければありがたいと思います。
#43
○参考人(田尻宗昭君) 鹿島港は、わが国で人工港としまして造成された港、本来ならば最も理想的な形でつくられなければならない港であったはずでございます。しかしながら、その港が私たちの専門的な立場から申し上げますと最も欠陥港である。その具体的な例を申し上げますと、やはりこの動機となったのは企業立地に際して港や船の安全性ということが全く念頭になかったとしか思いようがありません。そうして太平洋の荒波の面する鹿島にまず立地をするということが決められたらもうあとは一瀉千里で港湾づくり、港湾政策、そういうものが安全を犠牲にした形でつくられた。
 まず簡単に申し上げます。
 この港は、企業の面積を最大にとって、そうして岸壁の法線も最大にとろうという要請の結果、水路だけ――船が本来いかりを打って避難をしたり荷役を待ったりする駐車場に等しい停泊水面を全くつくらなかった。このことは、千トン以上の船が太平洋の荒波が入ってくる港に、岸壁に横づけしていると、しけになると打ちつけられますから岸壁から離していかりを打たなければいかぬ。いかりを打つ場所がないから、千トン以上の船は太平洋に出て荒波の中を走っておらなければいかぬ。海員組合が、この問題について非常に反対をしております。
 二番目に、不思議なことにこの港の一番風の吹いてくる方向が北北東でございます。ところが、その北北東の方に港があいているわけでございます。これでは港の風や波が、太平洋から押し寄せてくる風や波がもろに入ってくる。しかも、ふん詰まりで、全然この波の逃げ道がございませんので、打ち返し波と入ってくる波が収斂をしまして非常に大きな波になる。
 三番目に、二十万トンタンカーを入れる計画は当初ございませんでした。五万トンタンカーの入港を最大限としていたのが、昭和四十三年十一月の港湾審議会で、海上保安庁の反対がありながら急遽二十万トンクラスに変更になった。その結果、もう港の水路の中に入れませんので、苦心の策として、港の外側を守る太平洋に突き出た公共防波堤に鹿島石油の二十万トン桟橋を設けるという非常に無謀なことが行われました。私は四日市で、昭和石油が公共防波堤に桟橋をつくりたいと言ったのを、最も港湾の重要な、家で言えばへいに等しい公共防波堤に、しかも港の入り口に、危険物船舶の企業の桟橋をつくることはまかりならぬ、運輸省の港湾局ともいろいろ話しまして結局はつくらせなかった。ところが不思議なことに鹿島では堂々とそれが行われている。もしも二十万トンタンカーがここの桟橋で事故を起こして、そうして岸壁に激突をして公共防波堤が破壊されたならば――十分考えられますけれども――もう港の守りはなくなるわけであります。太平洋の荒波を防ぐことはできないわけであります。これは私は港湾法上いささか疑義があるんじゃないかと思います。それからこの港は、入ってきた船が桟橋につける場合に操船をする水面がないんですね。
 ちょっと申し忘れましたが、もう一つ。二十万トンタンカーが港の入り口のちょうど玄関先を、全部その水面を独占しなければならない。これが旋回する間はもうほかの船が通れない。ちょうど高速道路で大型バスが横倒しになったと一緒であります。そうして二十万トンタンカーが入り口で事故を起こして油を流したならば、もうこの港は油だらけ、北東の風にあおられて港の中はもう油のガスがいっぱい漂うのであります。こういうような、マンモスタンカーが港の重要な入り口をふさぐ、そういう港湾の機能を閉鎖するようなそういう桟橋をここへつくったことは、私たちの立場から何としても理解できません。
 それからこの港には、日本海難防止協会が策定をした安全基準というのがあります。たとえば〇・五メーター以上の波のときには船をつけちゃいけない、マンモスタンカーをつけちゃいけない、そういうふうな基準をつくりましたが、年間を通じて〇・五メーター以上の波はもう七〇%近くに及んでおります。安全基準が守られていない。あるいは余裕水深が不足している。また、鹿島石油のタンクと桟橋の間が六十メーターしかない。ここで一たん油が流れますと、タンクは直ちに延焼の危険がある。非常に危険であります。
 それから非常に変わった形としまして、この高速道路である水路に工場排水が出されておる。そのために船舶がこの峡い水路を進みますときに、横から工場排水がどんどん出てきますから、圧流されて流されてしまう、非常に操船がやりにくい。水路と工場排水のたれ流しと一緒に使っているというところにこの港の欠陥があるわけであります。長くなりますので、大体このぐらいでその他の問題は省略をしますが、鹿島港ではいろいろな事故が起こっております。たとえば二十万トンの桟橋にわずか五メーターしかない公共防波堤を乗り越えて太平洋の荒波が浸入して、「川崎コロイド」とか「ジャパンアイリス」というようなマンモスタンカーのロープが二十三本も切れたというような事故も発生しております。こういうような人工港が実は最大の欠陥港であるところに、私は企業立地に際する港湾の安全ということがいかに抜きになっているかということを痛感してなりません。恐らく水島の次に鹿島で事故が起こったなら大惨事になるであろうことははっきりと予測することができるんであります。
 それから、御質問からちょっとはずれるかもしれませんが、午前中に言い忘れましたことで、一つだけつけ加えておきますと、水島港の今日の港湾規制というもののやりにくさをつくった一つの理由に、これは非常に不思議なことでございますが、去年の四月まで港則法という港内の荷役、船舶の交通を取り締まる法律の中に特定港という条項がございます。この特定港に指定されなければその港は漁港並みの規制でほとんど規制がかからないんであります。とことろが、全国の石油港湾の第五位に位する年間七万隻の船舶が出入港する水島港で、実は去年の四月までこの特定港の指定がなされていなかった。県の同意がなかったそうであります。県の同意が得られなければ特定港にならない。このことが実は今日の水島港のあらゆる港内の規制の立ちおくれというものの大きな原因になっておるんであります。やはり行政側におきまして県の同意がなされなかった。たとえば例として申し上げますが、私が和歌山県の田辺におりました。田辺は一日に機帆船が三隻しか入港しない港である。あるいは四隻、せいぜいそのくらいであります。それがもう十五年も前から特定港に指定されている。それなのにこのような状態に放置されたということは、私は大きな問題ではなかろうかと思います。また、この港に水先人の乗船が義務づけられていない、問題でございます。このことをつけ加えておきます。なお、さらにつけ加えますが、鹿島港でも水先人の乗船は義務づけられておりません。
 以上でございます。
#44
○矢田部理君 そこで運輸省に質問したいと思うのでありますが、運輸省が鹿島の港をつくられるときに、昭和四十二年六月でありますが、日本海難防止協会に答申を求めました。その海難防止協会の鹿島港における安全基準というのが出されたわけでありますけれども、その内容を見てみますと、風速は七メートル以下でなきゃならぬ。さらには、波の高さは、いまお話がありましたように〇・五メートル以下でなきゃならぬというような基準が出されてきておるわけでありますが、その後の鹿島港の実態を見てみますと、五メートル以上の風が五割近くふえている、五割を超えるわけですね。基準の七メートル以上の風がずっとふえておる。さらには、波の高さにしましても〇・五メートルを超えるのが実に六三%という状況であります。そういう答申と実態との食い違い、この点をどういうふうにお考えになるのか、運輸省から答弁を求めます。
#45
○説明員(鮫島泰佑君) ただいまお話のございました海難防止協会の答申がございますことは、先生おっしゃったとおりの答申があるようでございます。ちょっと細かいいきさつを私手元に持っておりませんけれども、現在のシーバースを使いますに当たりましては、関係者が相談いたしました一つの基準をもちまして、それに従っての着桟をしておるところでございます。その基準と、ただいま御指摘のありました日本海難防止協会の答申とは数字が当然違っておりますが、その間のことにつきましては、ちょっと本日手持ちをしてまいっておりません。
#46
○矢田部理君 非常に鹿島港の安全性にとって重要な問題についてわざわざ海難防止協会に答申まで出さしておきながら、それでは企業が受け入れられないということから、もっと緩い基準を企業別でつくって、それで安全だ安全だと説明をしているのが鹿島港の実態じゃありませんか。
 同じようなことは水深についても言えるわけであります。鹿島は世界最大の人工港だと言われるほかに、二十万トンクラスのタンカーが出入りできる港だということでこれまた宣伝をされております。これまた海難防止協会の答申でありますが、二十万トンクラスのタンカーが入るためには余裕水深が五メートル以上なきゃならぬという指摘がございます。御承知のように、喫水が、二十万トンクラスのタンカーになりますと十九メートル前後になりますので、どうしても二十四メートル以上の水深がなければならない。ところが、この鹿島港の二十万トンクラスの船着き場、船が着く桟橋付近の水深は一体どうなっているんでしょうか。ここで鹿島港の水深の状況を指摘をいたしますと、先ほどお話がありました鹿島石油の南防波堤に突き出たところに新たに設置をされたバースでは、その水深はわずかに二十一メートルです。その外側、外洋に面した方が二十三メートルの部分がございますけれども、どうしてこれで二十万トンクラスのタンカーが入れる港だと説明できるんでしょうか。もともと五万トンクラスあるいは十万トンクラスの港として発足した鹿島、それが巨大タンカーを無理やり入れるために途中から計画の変更をやった。ところが、水深はもともとの予定以上にそれほど掘り下げていない。そこへ無理無理二十万トンタンカーを横づけしているのが実態じゃありませんか。先般、小平委員から指摘がありましたように、バースの位置なども非常に問題であります。同時にこの水深の問題、一体どう考えているのか。一部はいま沖繩あたりで油をおろして入港させているような状況もあるようでありますが、この問題を一体運輸省としてどう考えておるのか。
#47
○説明員(鮫島泰佑君) ただいま水深のお話でございますけれども、実は途中で港湾計画を改定いたしまして、航路の水深をその後の状況に合わせまして深めているということがございます。ただいま先生のおっしゃいました五メーターという数字がございますけれども、先生のおっしゃいました五メーターがどの時点でのどういう数字であるかちょっとわかりませんけれども、私どもが航路の計画改定をいたします場合に、外洋に近い方につきましてはうねり効果の余裕を入れまして、それがちょうど五メーターという数字に合致しております。そういうもので航路の水深を決めております。ただ、桟橋のところにおきましては、そういう海象の条件が違いますから、私どもはここでは三メーターの余裕というふうに考えての計画をしております。
#48
○矢田部理君 私が申し上げているのは、桟橋のところだけが二十一メートルではなくて、その一帯がずっと二十一メートルである。その先ですらも、外洋に面した方ですらも二十三メートルであるという点を申し上げている。これでは五メートルという海難防止協会の必要最低限の基準すらも満たしていないじゃありませんか。
 もう一つ伺います。この間小平委員の質問に答えて、南防波堤を利用した鹿島石油のバース、それ以上船をここに入れたのではますます、水深が浅いために入り口でバースをつくって二十万トンクラスのタンカーが入れるんだという宣伝をするために、あるいは企業のためにつくったものと思われるわけでありますけれども、この鹿島石油のバースがある南防波堤、この耐震性について検討されたことが運輸省としてあるでしょうか。
#49
○説明員(鮫島泰佑君) 大変恐縮ですが、ちょっと聞き取りにくい点がございましたけれども、耐震性とおっしゃいましたか。
#50
○矢田部理君 地震の関係を……。
#51
○説明員(鮫島泰佑君) これは当然工作物の設置の許可を見ます場合にその地域に合わせました耐震性というものはチェックをして許可がされるはずでございます。そのとおりにしているかと思います。
#52
○矢田部理君 どうも答えをさっきからいろいろと聞いておってもまともな答えになっていないと思うのですけれども、つい最近茨城県の防災会議災害対策部会というのが都立大学の先生などに委嘱をして地震対策の調査をいたしました。これはなかなか県も見せてくれなかったわけでありますが、私の手元につい最近入手をいたしました。この解説書によりますと、いま私が問題にしておりますところの南防波堤、これはブロック傾斜式コンクリートケーソンでできており、必ずしも耐震構造でない。地震に対する心配を大きく指摘しておる、こういう点を御存じでしょうか。
#53
○説明員(鮫島泰佑君) ただいまの報告書につきましては私承知しておりませんのでございますけれども、防波堤の設計につきまして私の常識で申しわけありません、鹿島の実際の設計につきまして承知しておりませんけれども、防波堤の設計につきまして地震の計算というものが波等の計算に対しまして大きな断面を要求するということはまずないかと考えられますので、その報告書の内容を拝見しませんとわかりませんけれども、常識的にはちょっと私は考えられないことではないかと思います。
#54
○矢田部理君 どうも具体的な事実や指摘に基づいての答弁ではないので大変納得しかねるわけでありますけれども、そういう耐震性が弱い、そこへ鹿島の石油のバースをくっつけた。しかも外浪がその防波堤からはどんどん入ってきて、さっき田尻先生から指摘があったように、船をつなぐロープが次々に切れていくような事故も何回か起こっているわけです。欠陥港であるという指摘は改めて私から繰り返し申し上げるまでもないと思うのでありますが、そういう点を十分に考慮をして少なくとも建設省は港をつくっていない。のみならず、幾つかの港周辺の事故例について私はこれからお尋ねをしたいと思うのであります。
 昭和四十六年から最近まで鹿島の港内における海難事故、表にあらわれた海難事故が十三件ございます。この海難事故の事故の原因から港についての問題点を分析したり検討したりしたことがあるでしょうか。海上保安庁にまずお尋ねします。
#55
○政府委員(隅健三君) 鹿島港におきます昭和四十六年から現在までに海難事故の起きましたのは、先生の御指摘のとおり十三件に及んでおります。それで、この一つ一つの内容は海上保安庁鹿島海上保安署では全部把握をいたしております。あるいは見張りの不十分あるいは荒天による波浪につき、入るときに操船を誤った、そういうような点で、この原因につきましても承知いたしておりますのぐ海難防止協会等を通じましてこういう点の鹿島港における海難事故につきまして、この関係の鹿島につきましては指導をいたしておると思いますけれども、全国的に鹿島港における海難事故の分析を発表したということは私承知いたしておりません。
#56
○矢田部理君 海上保安庁もまだつかんでおらないようです。私もデータを見て幾つかの特徴点を分析をしてみました。この十三件の海難事故のうち、実は五件が――鹿島の港の北側に北防波堤というのがありますが、この北防波堤の付近で座礁をする、乗り上げてしまう。しかもその角度も非常に五件とも近似しておる。ここからどういう問題点が出てくるか。ただ個別的に、それは浸水であるとか乗り上げであるとかということだけでは説明し切れない特徴点が私はあるように思うんですが、その点海上保安庁として問題点なり特徴点を解析をしたことがあるでしょうか。
#57
○政府委員(隅健三君) 先ほどお答え申しましたとおり、この事件につきましては地元の鹿島海上保安署がこの点の原因を十分把握いたしております。入港船舶についてはその都度注意をいたしておると思います。
 なお、この点につきましては鹿島ばかりではなく、銚子であるとか、それぞれの難所とわれわれが申しておりますところにつきましては、そういう注意の喚起を海難防止協会等を通じまして船舶に対して周知徹底を図っております。
#58
○矢田部理君 どうも内容を御存じないまま無理無理答弁されているように思われるわけでありますけれども、先ほど田尻参考人から指摘がありましたように、外洋に向かって南防波堤が三千五百メートルぐらい突き出ております。北側に、いまのしばしば海難事故を起こすところの北防波堤があります。その間に、御承知のように航路があるわけですね。この航路が実は一番風の多い北北東に向いているということに一つ大きな問題があるわけです。したがって、この航路に入ってきますと複雑な波の動きがある、とても危なくて操縦がむずかしいという指摘が海員組合などからも実はなされているわけですね。とりわけ最近では、この北側の防波堤に隣接をして海岸の埋め立てが行われてきております。もともと鹿島のコンビナートをつくる際には予定になかった部分の埋め立てが行われたがゆえに、あるいは行われつつあるがゆえに、ますます波の動きが複雑になってしまった。その結果、左側には鹿島石油のバースがある。右側には水深のきわめて浅い、これは十メートルから十四、五メートルという水深ですね。そういう間を、狭いところを通って無理無理外洋から港の中に入っていかなければならぬ。そこに大きな問題があるんじゃありませんか。だから、たとえば南から来た船は南防波堤の突端を左側に回って港に入るわけでありますけれども、その回る角度は四十二度ぐらいの角度で回らなければ回り切れないといいます。しかも航路内に入ってきますと速度を落としますから、風や波の受ける影響が多い。そのために、いま私が申し上げたような事故が同じような場所で座礁だとか乗り上げが頻発しているのが鹿島港の現状じゃありませんか。私はこの事故の特徴点を解明することによってもっともっと大きな鹿島港の弱点と問題点が出てくるんじゃないかと感じるわけでありますけれども、海上保安庁としてもう一回答弁を、願いたい。
#59
○政府委員(隅健三君) ただいま先生のおっしゃいましたとおり、この五件の事故は北防波堤二百十六度、同じく二百十九度、三百十五度、三百二十五度、三百三十度というところで海難を起こしております。これは風向きで、北北東に面しておるということは先生の御指摘のとおりでございます。こういう点につきまして、われわれといたしましても、この事故の分析をさらに続けまして、ことに鹿島に入港いたします小型鋼船等につきましては非常にいろいろの操船上の問題もございますので、それぞれの関係を通じまして操船にさらに慎重注意をするように伝えたいというふうに考えております。
#60
○矢田部理君 これは操船ミスとか運転がうまくなかったからだということで説明するのは私は間違いだと思うのです。同じような形態の、同じような特徴を持った事故が頻発をしていることから何を海上保安庁は学ぶのか、運輸省は港湾計画を立てるに当たってこの構造をどう考えるのか、このことを深刻に反省をしてもらわなければ先ほどから指摘のあるような事故がまたまた繰り返される危険性を持っている。とりわけ、二十万トンクラスのタンカーが続々入ってくるような状況があるし、鹿島のコンビナートの拡大がいま図られようとしている状況のもとでは、とてもいまのままでは済まされないということをひとつ十分に気をつけてほしい、再検討し直してほしいということを強く要請したいと思うわけであります。
 それから、もう二、三点お伺いをしたいと思うんでありますが、この港が先ほど言われましたように、道路があって駐車場がない。停泊場所も何にもない。こういうところで、たとえば入り口に二十万トンタンカーのバースがある。これが爆発をしたり、事故が起こった場合に、この港は一体どうなってしまうんだろうということについて田尻参考人から想定される状況をひとつお話しいただきたいと思います。
#61
○参考人(田尻宗昭君) これは私がいま申し上げておりますのは、私の意見のみならず、日本海難防止協会がつくりました参考のパンフレットあるいは合同調査報告書というようなものをもとにお話をしているわけでございますが、まず、こういう港で、入り口で二十万トンタンカーが操船をしますのに、実は当初港湾計画が五万トンクラスであったために、急遽二十万トンに変更されたために北防波堤を九十メーター切断するということが行われております、一たんつくった防波堤を。そうして広げた。しかしながらぎりぎりである。いわゆる九百メーター平方という二十万トンタンカーに必要な操船水面がぎりぎりである。そうしますと、この港では北北東のうねりを後ろから受けて船が入ってきます。船というものはおしりから風や波を受けたときには非常にかじききが悪いわけであります。つまり、先ほど先生が御指摘になった海難事故も一つはそれが原因していると思いますが、この二十万トンタンカーが実は港の入り口でこの水.面をほとんど独占をして、占領をして旋回し、操船をする。こういう状況の中でもしも桟橋に激突し、あるいは岸壁に激突をしますと、ここから油流出が起こります。この流出した油は、年間最多風向が北北東でございますから、容易にこの港の中に進入をしてまいります。進入をしてきた原油というものはもう逃れようがありません。そしてこの港の水路、つまりいわば道路の上に滞留をいたします。そしてその原油ガスが着火をしますと、爆発、火災が起こるわけであります。こういうときに致命的なことは、この港はふん詰まりだということであります。つまり逃げられないのであります。いわゆるこの水路の中に停泊をしている船舶というものは、岸壁に着けておる船舶、あるいはいかりを打っている船舶というものはもう逃げられない。次々に延焼をしていくという悲惨な事故が起こる可能性は十分ございます。
 また、この港の欠陥でちょっとつけ加えておきますと、水路がY字型になっていまして、ちょうど三差路になっている。だからこの三差路の真ん中にいろいろな船が集まってくる。航行管制というのは非常にやりにくいわけであります。その航行管制のやりにくさの中で衝突事故が起こるおそれもあるということであります。そうして船舶が桟橋や岸壁に着けておりますけれども、荷役待ちの船は水路の真ん中にいかりを打って待っている。ところが荷役待ちの船あるいは避難をした小型船、それがいかりを打っているその真ん中を入港してくる船が通ってくる。つまりいろいろな船がごっちゃまぜにその水路の中でいろんな行動をしている。こういうところで大きな危険性があると思う。先生のお尋ねの、二十万トンタンカーあるいは港の入り口で油流出事故があったらどうかということにつきましては、私が下津で実は油流出事故を三日間徹夜をいたしまして経験をしました。そのときに一番心配をしたのがまさにこの点でございます。つまり油がどんどん潮に乗って港の中に入ってくる。中にいかりを打っているタンカーが逃げられないということでたいへんな心配をいたしました。ところが普通の港ではまだ入り口がかなりあいております。しかしながら、鹿島港ではまさに道路の面積しかないために、もう入ってくる油を避けて、そうして逃げて出ていく余分な水路がもうないんであります。余裕のない道路だけの水面であるために船舶は逃げ場を失う。そうしてすぐ近接したところに鹿島石油のタンクがある。私はこういう点で鹿島港の欠陥港としての大きな欠点は必ずや災害に結びつく、いまにしてほんとうに根本的な対策を考えなければ、鹿島港における災害、惨事というものは目を覆うものがあるだろうということを深刻な思いで心配をせざるを得ません。
#62
○矢田部理君 非常に深刻な御指摘があったわけでありますが、この動くタンクと言われるタンカーが続々と鹿島港に入ってくる。そのきわめて隣接した場所に鹿島石油その他の石油タンクが林立をしている。さらには高圧ガスのタンクも数多く実は並んでいるわけであります。先ほど近藤先生から御指摘がありましたけれども、保安距離といいますか、緩衝地帯といいますか、そういうものがほとんどとられていないのがコンビナートの実は実態なんですね。消防庁は最近中心になってコンビナート防災法をつくるということでありますけれども、一つは民家との保安距離や緩衝地帯を一体どうするのかという問題もあるでしょう。あるいは企業間の防災体制をどうしていくのかという問題もあるかもしれない。しかし鹿島の問題に即して言うならば、とりわけ臨海工業地帯では、そのタンカーと陸地にある各タンクとの保安距離、緩衝地帯などについて現状がどうなっているか、これからどうなさろうとしているか、その点消防庁にちょっと話をしてもらいたい。
#63
○政府委員(森岡敞君) 現在保安距離をそれぞれ定めておりますが、これは陸地におきます一般住居地域との距離、あるいはタンク相互間の企業内の距離でございます。御指摘の港湾のいろんな施設との間の保安空間と申しますか、そういうことについての定めは現在ございません。それをどういうふうに考えていくかということについては、これは個々の港湾によってかなり差もあるのではないか、実態におきましてですね、という気もいたします。いずれにいたしましても、運輸省なり海上保安庁と、その辺のところにつきまして十分意見交換をしてまいりたいと、かように考えております。
#64
○矢田部理君 現状は一切そういうものに対する規制がないと言う。したがって、どうなに近接をしてタンカーとタンクがあってもかまわないという関係になっている。そこに大きな危険がひそんでいるじゃありませんか。陸上の爆発が海上のタンカーに誘発をする、誘爆をする、あるいはタンカーの事故が陸地に及ぶという二重の危険がここではひそんでいるというか、いつ顕在化するかわからないような状況になっている。この点も、たとえば防災基本法などを考えるに当たって、どうも消防庁が中心になっているので、陸上の問題だけを中心に扱おうとしている傾向がある。この海陸の接点、海との関係を一体どうしていくのかということについて基本的な方向づけすらなされていないんじゃないでしょうか。
 そろそろ質問の時間が終わりそうなので、予定した質問ができなくて残念なんでありますけれども、最後に田尻参考人に、災害を防ごうということでいろんな経過や状況があったわけでありますが、災害対策基本法というものがございます。これが有効に機能しているんだろうか、ここに問題がないんだろうか。基本法でありながらさっぱりその基本法をつくってから以降も事故が減ったという話を聞かないし、ますます事故は大型化し危険度を加えている状況を目の当たりに見て、この災害対策基本法について、田尻参考人としてお考えになっていることがあればお話をいただいて、終わりにしたいと思います。
#65
○参考人(田尻宗昭君) ただいま御指摘の災害対策基本法というのは、やっぱりこれは盲点だと思います。といいますのは、水島でも海岸に打ち上げた油被害除去というのに災害対策基本法がやっぱりストレートに適用されていない。災害対策基本法は海上部分についてやはり全国的にほとんど死文化している。災害対策基本法には地域防災計画というのを定めまして、地方自治体がこれの長になりまして、そうしてその中に海上応急対策計画というのが各自治体で設けられています。しかしながら、その海上応急対策計画がありながら、実はほとんどこれが活用されていない。今回の水島でもそうでございましたが、やはりこれは全国的に弱点を持っておると思います。それはいろいろ原因があることは私も承知しております。たとえば自治体の行政管轄が海上のどの程度及ぶか、あるいは勢力を実際にあまり自治体が持たないというようなこともございましょうけども、しかしながら、最も住民に近い地方自治体がせっかくある災害対策基本法を発動して、そうしてこの海上の油が住民に及んだときに、企業の責任を柱として、企業の従業員に動員命令をかけて、資材を調達して、災害対策基本法の発動をして、そうして住民の健康や生命を守るという立場からこれをしっかりと活用することが一番大事なことだと思いますが、そのためには、いま中途半端になっているこの海上の応急対策計画というのを全国的に解釈を確立し、体制を整えるべきだと思います。これは災害と事故というような関係で論議もあるようでございますが、私はそれは問題はないのじゃないか。大規模な衝突や火災ということが災害対策基本法に書かれております。たとえば東京都におきまして海上応急対策計画というのがありまして、その中に河川や海上における船舶の衝突、火災による油流出あるいは爆発等がはっきりと書かれております。そういうものに対してこれを発動するんだということが書かれております。しかも港湾管理者は地方自治体の長でありまして、海洋汚染防止法には公共岸壁における油流出等の第一次的な責任者に義務づけられている。しかもそういうような勢力を、船舶や舟艇を持っている。であれば、全国的にやはりこの災害対策基本法、見落とされている海上部分を強化して、やはり自治体としてこれに対応できるように生きた法律にすべきであります。特にこの全国的にばらばらなのはやはり指揮系統が確立していないということもあるようでございます。こういうような不備な点を早急にやっぱり是正するように、是正しなければ本当に住民の生命や健康は守れない。今度水島におきましても、この災害対策基本法の解釈がいろいろとあいまいで、そのために自衛隊の要請も半月もおくれたというような実態もあるようでございますので、これは早急な問題点だと思います。
#66
○久保亘君 最初に石連の中島参考人にお尋ねいたしますが、あなたのほうでは衆議院の予算委員会で、鹿児島の日石喜入原油基地については、防油堤その他の設備が十分であるから、海上に油が流出することは絶対にないというお答えをなさっているようでありますが、私がいま申し上げましたことは間違いありませんか。
#67
○参考人(中島順之助君) この喜入基地は、実は石油連盟のメンバーの中に入っておりませんで、親会社がメンバーの中に入っておりますので、私の知っている範囲であの際お答えしたわけでございまして、絶対という言葉は使っておりませんと記憶いたします。
#68
○久保亘君 消防庁の次長がお見えになっておりますが、長官は喜入の日石原油基地におけるタンクの不等沈下はきわめて小さく、何ら問題はないと、衆議院の予算委員会で答えられたと新聞に報道されておりますが、間違いありませんか。
#69
○政府委員(森岡敞君) 消防庁長官の発言でございますので、一言一句私が確認をいたすことはいかがかと思いますが、県から報告を受けております不等沈下の点検状況を見ますると、まあ私どもが一応の目安として考えております直径に対する沈下量の割合、これはかなり低うございます。そういう意味合いで著しい沈下割合のあるものに比べれば不等沈下に伴うタンクの破損、損傷の危険性は少ない、こういう意味のお答えをしたものだと私は考えます。
#70
○久保亘君 中島参考人は絶対にとは言っていないということでありますから、これは報道の誤りでありましょう。それはそのとおりにお聞きいたしますが、あなたはこの日石喜入原油基地が操業を開始した日に、海上にかなり多量の原油流出事故を起こしたことを御存じですか。
#71
○参考人(中島順之助君) 知っております。
#72
○久保亘君 その後、鹿児島海上保安部に報告をされただけで流出事故が六回あります。そのことも御存じですか。
#73
○参考人(中島順之助君) 存じてはおりません。
#74
○久保亘君 そのような事実に基づいて石油連盟としては現状を正しくとらえていただかないと、防油堀を二重にやっておりますから海上に出ることは絶対にありませんというようなことを軽々しく言ってもらっては困るんであります。特に海上に出ないと言われても――その前にお聞きしますが、日石の原油基地を詳細にごらんになったことございますか。
#75
○参考人(中島順之助君) 詳細というほどでもないんですが、見たことはございます。
#76
○久保亘君 この原油基地の防油堀というのは、あなたが先ほどもちょっとお話しになっておりましたけれども、ここにその図面がございますが、十万キロのタンクのほうは二基ずつ防油堀で囲んでおります。で、十五万キロのほうは四基ずつ囲んでおります。そして確かにその四基を囲んだ中の壁を一基ずつ仕切りました壁を低くして、確かにあなたが言われるように、これは相互に融通がきくようにしてはございます。しかし、それではこの四基を囲んだ全体の防油堀の収容量は幾らかということになりますと、この全体の収容量は消防法のぎりぎりの制限をとりまして、その一基の二分の一、五〇%と、二基目からは一基分の一〇%ずつのものを加算しただけの収容量しか持っていないんであります。しかも消防法の規則に定める三十センチから百五十センチまでの防油堀の高さという決まりの最上限の高さの百五十センチの防油堤をつくりまして、できるだけこの土地を高度に、生産性の立場から高度に利用しようとしております。私がここの所長に聞きまして、もし消防法の改正を行って、防油堀のスペースをもっと広げるということになったら可能か、こう聞きましたら、絶対にできませんと言うのです。だから、これは確かに一基が破損をいたしました場合には八〇%を収容いたします。もし二基やりました場合には全体の四〇%しか収容できないんであります、出た分。どうしてそれで海上に出る危険性はないという判断がつきますでしょうか。しかも、この基地全体の二重目の壁は、確かに南方と、それから桟橋寄りのほうにはございます。しかし、こちらのこの内港の側にはございません。それなら、海に出ないという保証は私はないと思うんです。こういう点についてはあなたが衆議院でおっしゃいました海上流出のおそれはないという判断がつくんでしょうか。
#77
○参考人(中島順之助君) いま御指摘のように、海面の桟橋のほうその他についてはございますが、陸上の面、それからこっちの船だまりのほうの面については、今度は土のうを積むということにしているようでございます。
#78
○久保亘君 したがって、私は、この喜入基地の現状においても、水島におけるような流出事故について完璧に対応し得る状態はないと思うんです。そういう判断に立たなければここの防災対策はでき上がってこないと私は思います。あなた方のように、ここはもう排水溝についてもふさいであるから大丈夫なんですという判断に立って、ここの防災対策は生まれるはずはない、こういうふうにいま私は考えております。
 それから、消防庁のほうは、不等沈下は大したことはないというような判断を持っておられるようですが、この不等沈下の私どもが調査をいたしました状況によれば、三十番タンクは、会社側がタンクをつくりました業者に測定をさせたときでさえも、八十三ミリの沈下があります。で、その後県が再調査を行いましたところでは、八十八ミリの沈下があります。まだ未使用中のもので、会社側の調査と県の調査がぴったり一致して、六十九ミリの不等沈下があるものもあります。で、そういうもとが直径の〇・五%以内だから大丈夫だという判断に立つなら――喜入のタンクは小さいので八十二メートルあるんですよ、直径が。大きいのは百メートル以上あるんです。そんなら、五十センチも不等沈下を起こさぬ以上は、あんた方の考えだと、大丈夫ですという判断になる。十万キロのほうは四十センチ以上不等沈下が起こってこないと大丈夫ですという判断になる。そんなものでいいんだろうか。
 それから私どもがこの日石の所長に対して、この指摘されております三十番タンクについて中を見たのかと聞きましたら、中を見ると大変だと言うんです。一基油を抜いて内部の検査をすれば五千万から七千万かかりますので、とてもじゃないがそんなことはできませんと言うのです。じゃあ中はどうなっているんだ、わかりませんと言う。これで、その直径の〇・五%以下であるから大丈夫という判断を消防庁はつけられて、あなたは保証できるんですか。
#79
○政府委員(森岡敞君) きわめて多数のタンクにつきまして、かつ市町村の消防機関においてそれぞれ緊急点検を実施したわけであります。緊急点検を実施した結果、どのような措置をとるかということについて種々検討をいたしましたが、やはり一定の目安がありませんとなかなか具体的な措置にとりかかることが困難であるというふうなことから、いろんな説が、不等沈下とタンクの損傷危険につきましては、先ほど参考人の御意見にもございましたように、いろいろございます。ございますが、行政をしかも早急に執行いたしますためには、やはり一応の目安を市町村に渡さなければ、これは手がつかないということでございます。で、ある意味におきましては、〇・五%というのはかなりシビアに過ぎるという意見もございました。しかし、それについて、一応それを超えるものについてやはり危険度が、可能性が強いということで開放検査をするように市町村当局に連絡しておるわけでございます。ただ、それでは二百分の一を下回っておれば絶対安全かと、こういうお話でございますが、不等沈下の状況、これも参考人の御意見にございますように、全体として傾いているのもありますれば、あるいは円周に沿って波打ちが出ているのもあります。そういう場合には、特に円周に沿って波打ちが出ている場合には危険度が高いのだということを市町村当局にも十分連絡をしております。そういう意味合いで、鹿児島の喜入基地の御指摘のありましたタンクにつきましては、県当局もいろいろ検討いたしました結果、私ども承知いたしております範囲では、一応現段階では油の貯蔵量の油面を下げるという措置によりまして当面の対策を講じておる、こういうふうに承知しておるわけでございます。
#80
○久保亘君 消防庁に、検査、検査と言われるから、私はそれじゃ水島の二百七十号タンクについてお尋ねしますが、最近事故原因調査委員会の指摘事項として、委員長の談話を付して新聞に報道されたことがございます。それによりますと、この二百七十号タンクは、四十八年の八月に完成をして、四十八年八月十日から水張り検査のための水を入れ始めて、満水となった後、四日目にはこの水を抜き始めて、そして九日目にはタンクを空にしたて、こういう工事過程の問題点が指摘されておりますが、この指摘事項は間違いありませんか。
#81
○政府委員(森岡敞君) 私どもの承知いたしております範囲では、水を張り始めましてから、たとえば十メーター、十五メーターというふうにだんだん張ってまいりまして、その過程はあの新聞で出ておりました経過と相違ないというふうに承知いたしております。
#82
○久保亘君 中島参考人にお尋ねいたしますが、タンクの工事というのは、設置許可がおりてから始まるのですか、それとも工事は始めておいてどっか途中で設置許可を受けられるのでしょうか。
#83
○参考人(中島順之助君) ちょっと私、その技術のことわからないもんですから、すぐに回答できないのでございますけれども……。
#84
○久保亘君 一般的にどうです。
#85
○参考人(中島順之助君) 着手許可申請をしたあと着工いたします。
#86
○久保亘君 そうすると、大変不思議なことに、この事故のあと、昨年の暮れ開かれましたこの委員会で消防庁が報告されました書類によれば、二百七十号タンクは昭和四十八年九月六日に許可番号六〇三六号で設置許可になっております。それから工事に入ったものだと私どもは理解しておるのです。ところが、この事故原因調査委員会によれば、八月には完成して、八月十日には水張りを始めたとなっております。そうすると、消防庁の設置許可とか検査とかいうのは、書類上でたらめにやられているのじゃないか。この設置許可がおりたときにはすでにこのタンクに水を張り始めているのですよ。そんなばかなことがありますでしょうか。
#87
○参考人(中島順之助君) 先ほども申しましたように、私これについては余り知らないのでございます。したがいまして、この程度しかお答えできませんが……。
#88
○政府委員(森岡敞君) いま御指摘の件につきましては、先般同様の御指摘がございまして、私、この間の事実経過を明確にしてお答えしたいと、こう申し上げたのでございます。
 着手申請は四十八年の初めに出ております。問題は、書類の不備その他がございまして、それに対しまして書類を返戻して不備なところを直させるとか、そういうふうな事実経過がございます。その結果、正式の設置認可が九月に入ったと、こういうことでございます。その間、倉敷の消防本部におきましては、タンクの建設の経過に応じて、たとえば非破壊検査にそれぞれ立ち会うというふうな実質上の検査と申しますか、監督は続けてまいったわけでございます。しかし、論理的に申しますと、私は設置認可があって初めて建設に着手すべきものであり、こういうふうな措置がとられたということは、やはり手続としては不十分である、今後こういうことのないように、きちんと設置認可をした上で建設を進める、そうでなきゃいけないと思います。
#89
○久保亘君 手続の問題とかそういうことじゃないんじゃないでしょうか。設置許可がないうちにでき上がっておるんです。そんなばかな話はないと思いますよ。消防庁は企業からなめられているんじゃないですか。どうせつくるんだから書類のほうはあとで適当にやっておいてくれいと、こういうことでやられて、すでに水張りを始めてから一カ月ぐらいたってようやく設置許可が企業に与えられているんです。そんな状態でつくられているだけに二百七十号タンクというのは非常に不健全なつくり方をされていると私は思う。しかもこの時期は石油危機という――石油連盟の会長が先ほどこの石油危機をとらえて九十日備蓄の問題を論ぜられたのでありますが、私はここに資源エネルギー庁が提出した資料を持っておりますが、四十八年秋の原油の輸入量を見ますと、原油の輸入量というのは一年間通じていささかも変化はありません。わずかな数字の上下はありますが、八月、九月のころ値上がりを見込んで、多少先買いをされたと思われる輸入量の増加がわずかあります。十月も十一月もかなり年度を通して見るならば上位の輸入量ぺースでずっと輸入されております。だから、この期間においてなぜタンクが満杯になったかというのは、これはかって指摘をされましたように、石油業界が製品の出荷調整をやって金もうけを策したからタンクがどこも詰まって、困ったんであって、この当時、タンカーで運んでまいりました船長と私は直接会って話をしました。このタンカーの責任者であった人が言うのには、この石油危機が言われた時期に、どういうわけかわれわれが積んできたタンカーは港外に一週間も待たされることが多かったと言うんであります。あいているタンクがないから入れられない。しかも普通はタンクの安全ラインというのがありまして、そこから上は、たとえ五万キロのタンクであっても四万数千キロのところに安全ラインがあってその上には入れないんだそうです。ところがこの時期だけは、とにかく上までがちゃっといくまで入れいということで、それで安全ラインを超えるとタンカーの積荷をおろすスピードをきわめてスローにしまして、普通の三割ぐらいのスピードで安全を確かめながらゆっくりゆっくりタンクのふたが上に上がるまで入れたと、これは現実にそのことをやった人たちが言っているんです。そういうような時期につくられたタンク、そういうようなときに必要とされたタンクというのが駆け込みで、大急ぎで、設置許可も待たずにむちゃくちゃにつくられて供用開始されれば、事故が起こるのは当然とお考えになりませんか。
#90
○参考人(中島順之助君) いま水島のタンクの件でございますが、あの事故があったタンクが四十八年の八月、そのときにそういう状況下でつくられたかどうかということは私はっきりいまここでお答えすること、できないんでございますけれども。
#91
○久保亘君 明らかにこれは私は何も私の主観で申し上げているのじゃなくて、石油危機で原油の輸入がむずかしくなったと国民には教えられてきた。しかし、資源エネルギー庁が出した資料を見ると、ちゃんと毎月きちんと輸入されている。ところが、なぜタンクが詰まって困ったか。それは出荷調整が行われたから詰まっただけの話なんです。これは数字の上で明瞭に出てきている。四十九年の秋の輸入量よりも四十八年の秋の輸入量のほうが毎月確実に多いんですよ。そのことを見ても、私はあのときに業界がおやりになったことは問題だと思っている。そういう時期になぜタンクが必要になったか。自分たちのやった出荷調整の始末をつけるために、とにかくタンクが急いでできなけりゃどうにもならないという状態の中でこの二百七十号タンクは生まれたと私は思っておるんです。しかも、この倉敷消防本部の方がおいでいただくとなおはっきりするんでありますが、設置許可が後から手続的にとられるということでもって、設置許可が出る一カ月も前にタンクは完成しておる、こんなふざけたやり方でやられたんじゃ私どものほうはたまらぬと思うのです。だから私は石油連盟がいま不等沈下や相次ぐ事故に対してその対策を検討しようということでいろいろおやりになっているということはわかるんですが、そんな悠長な問題じゃないんじゃないか。石油連盟として一体この問題にどういうふうに対応するのか、具体的な方針をあなた方はつくらなければならない。行政の側もそれをつくらにゃいかぬ。しかし、企業の側もこの相次ぐ事故の中でタンクの安全性確保のために、ある意味では企業の採算性をかなり無視してでもまず安全を守る、環境を守るためのあなた方の自主的な安全対策なり基準なりというものをきめて出す義務が私は石油業界にはおありになると考えるんです。どうも困ったことになった、何か考えにやなるまいということで、悠長に原因やいろんなことを調べておりますというようなことで済むような時期ではないと私は思うのですが、その点について石油連盟は、技術の問題や安全性の問題などについて必要な人員、必要な資金を投じて思い切った対策をいまおとりになっておりますでしょうか。
#92
○参考人(中島順之助君) お答えいたします。
 いま御指摘の件については先ほども申し上げましたとおり、悠長だとおっしゃられればそれまでですけれども、われわれのほうの技術委員会あるいは保安委員会等、担当しております委員会が安全性というものについてさらにいま研究検討をいたしておるわけでございまして、一方また先ほども陳述のときにも申し上げましたとおり、原因の探求という、水島の事故の原因か明瞭になりますれば、またこれに対する対処の方法も考察したいと、考えたいと、かように考えて努力いたしておるわけでございます。
#93
○久保亘君 私は企業の社会的責任という立場で、これを指導される立場にあられる石油連盟は、この際、行政の対応策を待たずに、企業自体でも積極的な対策を立てて国民に示す義務があると考えております。
 時間が余りありませんので、私はもう一つ具体的なことをお尋ねいたしますが、最近の相次ぐ炎上事故や流出事故あるいはタンカーの事故、特に鹿児島県の喜入の場合には先ほどから参考人のお話は二十万トンタンカーで論ぜられておりますが、現在鹿児島に来ておりますのは四十七万トンタンカーでありまして、これは話のけたが違うんであります。で、四十七万トンのタンカーが持ってまいります油は十万キロタンク五本半、一遍で運んでくるんであります。このタンカーが天賦の港として鹿児島湾全体を自分の港に利用するような形で桟橋がつくられておるんであります。ここにさらに日本石油は第三期工事と称して現在あります十万キロタンク三十基、十五万キロタンク二十四基に加えて、それよりもはるかに大きな基地を南側にさらに継ぎ足そうと計画をしております。で、この計画に対しては地元にも非常にいろいろの意見がありました。最近になりましてこの相次ぐ事故の中で、地元の町長が私どもの党に対しまして正式の見解を持ってまいりました。この重大な事故の相い次ぐ状況の中で、第三期の拡張工事、日石喜入基地のこれ以上の拡張工事はやるべきでないと考えます、こういう態度を私どもに文書で明らかにいたしております。そうなってまいりますと、もはやそのような地元の意思もある、地元の責任者の意思もある。いままで積極的に日石の基地拡張の旗振りをしていた町長であります。しかも桜島は年間百数十回の爆発をやっておりまして、最近では火山学者の方から大爆発の可能性があるという推論が立てられるような状況にもあります。この桜島と日石喜入基地は、わずかな距離を隔てて鹿児島湾の向こう側とこちら側で対面をいたしております。地震のおそれ、火山爆発のおそれ、しかもこの湾内において事故が起こったならば、瀬戸内海の比ではなくて、もはやどこにも出ていかないのであります。鹿児島湾を完全に、永久に殺すことになるだろう。そのような状況を考えるならば、私は、石連としては今日までの安全対策の重要な反省の上に立って、地元のそのような意向も踏まえて、日石喜入基地の拡張は現状をもって凍結し、今後はやらないという方針をお持ちになるのは当然ではなかろうかと思うのでありますが、この点について中島参考人の率直な御意見をお聞きしたいと思います。
#94
○参考人(中島順之助君) いま御指摘のありました第三期工事というのは、先ほども申しましたように、石油基地というのは連盟のメンバーになっておりませんので、実は私の方からどうのこうのということは申しかねるわけでございます。ただ備蓄をこれから増強していかなきゃならぬというようなこともございますものですから、この点はどうかと私は思いますが、いまの御趣旨の点は日本石油を通じまして基地の方へお話をしたいと思いますか。
#95
○久保亘君 連盟の加盟団体になっていなければ、東洋一の石油基地が石油連盟とは全く無関係に動くということじゃ、私どもは大変困るんです。私たちはそういうふうには聞かされておらぬのですよ。石油企業は全体としてきちんとしながら、企業が何でも責任を持つと、こういうことでいままで行政からも企業からも教えられてきた。ところが今日になって、いま鹿児島県民が非常に不審に思っておりますのは、最近鹿児島湾の入り口で起こりました第五輝丸の沈没事故ですね。このことを調べてまいりましたら、まことに驚くべきことを私どもは聞くわけであります。石油企業というのは、石油基地に関して起こってくるいろいろなものについては責任を負ってくれるものだとばかりみんな考えていた。ところが、ここへ入ってまいります四十七万トンタンカーを初めとして、東京タンカーに所属をいたしますタンカーの内部の掃除は、新日東工業というタンククリーンと運搬を引き受ける会社が下請けをしているんです。日石は、このタンカーから出されるスラッジはどこまで責任を持つのかと聞きましたら、このタンククリーンと運搬を受け持つ新日東工業が積んで桟橋を離れるまでの間スラッジを領かるが、桟橋を汚さぬように監督するのがわれわれの務めである。そうして、この桟橋を運搬船が、新日東工業の運搬船が離れると同時に、企業は責任ございません。だから沈んだ第五輝丸のスラッジは、いまだに鹿児島県の離島を含めて多くの被害を漁民に及ぼしながら、企業側は積極的にこの問題に対して責任をとろうとしていない。よく調べてみると、この新日東工業は運搬船を日本集油船舶株式会社というところから――船を一隻も持たない、たた机であっちこっち船を動かして金もうけをしていると思われる日本集油船舶株式会社から借りておる。日本集油船舶はどこからその船を持ってきたんだと聞くと、新居浜海運株式会社の所属である第五輝丸を集油船舶に貸して、集油船舶が新日東工業にさらに又貸しをして、その船が運んだ。しかもその船は新居浜海運株式会社とは直接関係がない仕掛けになっている。この第五輝丸の船主は一そうだけ船を持っている村上陸男という船主が船長で、二人船員を使っている船なんですよ。だからこの海難事故のスラッジ船沈没事故の最終責任はだれかというと、船主である村上陸男である、こういうことですよ。そういうふうに法律でなっているんだ、だからおれも責任ない、おれも責任ないで、ただもうけるだけもうけさしてもらいました。特に最後にこのスラッジを処理する日本マリンオイル株式会社などというのは、自分のところに運んできてもらって処理せにゃならぬ費用を全部海の中に捨ててもらって省略してもらったんだから、大もうけしたわけです。
 こんなばかなことがやられておって、そうして企業は、あらゆるこの企業に関係をする公害や事故については全部責任を持つし、安全性については全部保証されているから大丈夫でございますといって県民を納得させて、あの湾内に東洋一の巨大な原油基地をつくったのです。私は、企業がそこまでくると、かなり糾弾をされてもしようがないじゃないかという気がするんですが、石油連盟の会長である中島さんに私はお聞きしたいのは、タンカーの吐き出すスラッジまで石油企業が最終的な責任を持ってもらわないと、そこに基地がなければなかった事故のために、いま莫大な損害を受けて、瀬戸内海の流出事故があったから余り世間にも知られず、鹿児島の漁民たちは悩んでいるわけです。もしあの水島の基地がなかったら、この第五輝丸の事故は大変な問題としてもっと大きく取り上げられたと思うのです。いまでも百二十メートルの海底に何千袋というスラッジが沈んでいるのです。だから、こういう問題について石油企業が責任を持つ体制というものをお考えになる必要はないでしょうか。
#96
○参考人(中島順之助君) いまスラッジの問題の、あそこで沈みました船の問題についてのお話がございましたが、その事実は私知っておりますけれども、いまいろいろ責任の所在その他につきましては、ちょっと連盟としてはそこまではわかっておりませんので、御返事のしようもないわけでございますが、いま先生のおっしゃる点もよくわかりますものでございますから、そういう点について、また今度はタンカー会社にと申しますか、あるいは船の方の関係の者にも話をしたいと、かように思っております。
#97
○久保亘君 私の時間が参りましたので、もう少しいろいろ御意見をお聞きしたいと思ったのですが、最後に一つだけ。連盟の会長という立場がよいのか、あるいはきょう石油企業に関係する中島さん個人という立場でもけっこうですが、確かに五十万トンタンカーがするする入ってきて出ていくために石油企業にとってはあんなに便利な場所がなかったから、あそこを選ばれたと思うのです。ところが、その沿岸に住む住民にとってみれば、いまこのスラッジの事故や、あるいは火山の問題や、地震の問題や、あるいは現に起こっている、ここに巨大な埋め立てをやりましたために、観光資源についても影響が出ております。こういうようなものを考えると、あの湾内にこれ以上広げてもらっちゃ困るというのがほとんどの人たちの希望なんです。その上にいま石川島播磨重工業が五十万トン級の修理ドックを今度はさらに湾奥に鹿児島市につくろうとしておる。そうすれば、あそこに五十万トン級の船がどんどん行き来されたんでは――先ほど田尻参考人のお話にもありましたように、あの湾内には小さなフェリーやあるいは漁船や多くの船が行き来をしておりますが、実際のところ、もうこの湾をこれ以上巨大な船舶でもって埋めていくということは不可能なんじゃないか。また、石油基地そのものも非常な危険性をはらんでおります。不等沈下についても消防庁は、大変大きいから小々沈んだって安心だというような考えのようでありますけれども、私どもはそうは思っておらぬのであります。だから、中島さんの個人的な見解としては、もうやっぱりああいう小さな湾内に、企業にとって便利だから、生産性が高いから、しゅんせつしなくても港が使えるからというような、そういう利便さだけではなくて、石油企業の持っている社会的な今日問われている責任を考えるならば、やっぱりもうあんなところにはつくるべきじゃない、こういうふうにはお考えになりませんでしょうか。
#98
○参考人(中島順之助君) いま先生のおっしゃること十分わかります。石油は今後も、先ほども問題になりました備蓄という点も考えなければ、われわれとしてはならないわけでございます。今後あそこに、私の方がこんなことを申し上げるのはおかしいんですけれども、やはり地元の方々の十分な御了解が得られるならばやりたいと、こういうふうに考えております。
#99
○久保亘君 ということは、直接この埋め立てについて同意を与える権限を持っている地元の町やあるいは県が同意をしなければ、もうそこから反対の意思があれば、積極的にこちらからあそこにやらしてくれという意思を持つものではないと、こういう意味ですか。
#100
○参考人(中島順之助君) 先ほどから申し上げているように、ちょっと私がどうということは申し上げられない立場にいまあるわけです。ということは、連盟との関連がないものでございますから、どうのこうのという、いま基地についての、いまの先生の御質問に正確なお答えをすることができない立場にあるものでございますから、私、今度は石油人の一人としてお答えするならば、地元の方々の御了解が得られるならば、これは個人としていわゆる石油人としてのお答えですけれども、できれば、やりたいという意思はあります。しかしながら、地元の住民の皆さんの御了解が得られないならば、これは考え直さなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思います。これは私、石油人の一人としてです。ですから、基地の意思ではないかもしれません。どうであるか、その点は、先ほどから申し上げておるとおり、ちょっとお答えできないことでございます。
#101
○内田善利君 引き続き御質問いたしますが、中島参考人にお聞きしたいと思いますけれども、先ほどの委員会でも三菱石油の代表者の方が、いまだ原因は言えませんと、こういう答弁なんですが、私は事故を起こした当事者がその原因を待っていると、第三者事故調査委員会に待っていると、こういう姿勢が私は現在の企業の姿勢の最も悪い点だと、こう思うのです。自分の企業からそういった漏出事故を起こしたわけですから、ここが間違っていたというものをきちっと言えるのが企業の立場じゃないか、また技術者の立場じゃないか。そういった点から見ますと、企業の経営能力という面から見て、そういう企業は技術能力も乏しいんじゃないかと、疑わしいと、私はそう言いたいんです。また、いま久保委員の質問に対して中島参考人は、現在事故調査委員会に任していると、また保安小委員会あるいは技術委員会に任せていて対策を講じてないということですけれども、私はこのような事故はいつ起こるかわからない状態にあると思います、それはいまから質問してまいりますけれども。そういった状態で、応急処置はできないわけはないと思うのです。私もあちこちの石油基地に参りましたが、大体あの防油堀は非常に脆弱です。ですから、あの防油堀の周辺に土のうを積むとか、いまできる応急態勢をやれないことはないと思うのです。そういうことをやらないで、小委員会の結論が出るまで、技術委員会が結論を出すまでと、こういう姿勢は、やはり私は企業経営者として、またこういう事故を起こした立場の責任者として、こういう姿勢ではいけないと思うのですが、いかがでしょうか。
#102
○参考人(中島順之助君) いま先生から御指摘のありました、何にもしていないんじゃないかというように私受け取ったんでございますが、いろいろあの事故以後、たとえば一部防油堀の増強をやるとか、油回収船を注文を出すとか、気のついた不備の点はやっておるわけでございます。ただ今度の水島の事故の原因が判明したら、どういう原因でああいう事故になったかということが判明すれば、またそれに対する対策を考える、対策を講じるというふうにしたいと。全然やってないわけではないのでございます。
#103
○内田善利君 具体的にどういう応急対策を講じられたのか、詳細にお願いしたいと思います。
#104
○参考人(中島順之助君) いまちょっと申し上げましたが、具体的にこれというふうには申し上げられませんけれども、たとえばとりあえず、何といいますか、とりあえずの土のうをつくって、そして油の流出を、もし何かあったときには外へ出ないようにするとかいうようなこと、あるいはいま申しましたように、油の回収船を注文してやるとかいうようなことはやっております。
#105
○内田善利君 それは三菱石油だけでしょう。ほかの石油基地に対して……
#106
○参考人(中島順之助君) いや各社やっております。新しい油回収船を注文出しているところもあります、あれはすぐにできませんものですから。積極的にはそういう面もやっております。
#107
○内田善利君 先ほどの陳述の中に、七十日から九十日備蓄基地を計画されておるわけですけれども、これで計算いたしますと、十万キロリッターのタンクが八十基必要になるということですが、結局五ヵ年では四百基ということになりますね、五年で四百基。四百基のプランございますか。
#108
○参考人(中島順之助君) まだそこまでは考えておりません。まず先ほども御回答したのですけれども、大体百四万坪ぐらい敷地が要るものですから、これが年平均ですから、五百万坪以上のものが必要になるわけですから、まだそこまで具体的に、じゃどこかということになりますと、具体的にはお答えできないというのが現状でございます。
#109
○内田善利君 私はこれ以上必要ないと思いますけれども、どうしてもこれを実施される場合に、瀬戸内海にはもうこれ以上は備蓄基地はつくるべきでないと思いますが、この点はどのようにお考えになりますか。
#110
○参考人(中島順之助君) 瀬戸内法等ありまして、なかなかむずかしいんじゃないかと、かように考えております。瀬戸内はむずかしいんじゃないかと思っております。
#111
○内田善利君 つくる意思はあるわけですね。
#112
○参考人(中島順之助君) これは連盟としてでなく各社がそれぞれの意思でやりますものですから何とも申し上げられませんけれども、何せこういうあれですから、瀬戸内にはむずかしいと思っております。
#113
○内田善利君 一国民としてどのようにお考えですか、瀬戸内につくるということ。
#114
○参考人(中島順之助君) 瀬戸内にはつくらないほうがいいんじゃないかと思いますけれども、なかなかそうかといって特定な場所がないものですから、この点、備蓄としてあそこにつくるということになると、やっぱり相当先ほどから申し上げましたとおりいろいろなあれがありますから、規定がございますから、これに合うところというとなかなかむずかしくなると思います。そうかといって、なかなかほかに求めることもむずかしい状態だと思います。
#115
○内田善利君 次に、小林参考人にちょっとお聞きしますけれども、先ほどのこのパンフレットを見せていただいたのですが、この中に、主な有毒ガス貯蔵量として、シアン化水素が合計四百八十二立米貯蔵されておるわけですね。それから、同じく有毒物質としてシアン化ナトリウムが合計二百ミトン、シアン化合物、これも同じだと思いますが八百五十二キログラム、シアン化ナトリウムとシアン化合物に分けてございますが、こうなっているわけですね。それから弗化水素酸が二百七十四キロリッター、これに対する予防方法はどのようにお考えですか。
#116
○参考人(小林光久君) この問題につきましては、冒頭にちょっとお願いをいたしましたけれども、有毒ガス、有毒物質等の対策といたしましては、現在いろいろと事故が起きているのを見ますというと、後々いろんな問題が残る。したがって、漏れたときに十分な処理ができるように、つまり除外装置とかなんかを十二分にやる、あるいは除外装置を通して別の処理でもって一般の周囲には迷惑がかからないというような絶対的なひとつ対策をとってもらいたい。私どもは、消防という立場では、これは私どもの所管ではございませんけれども、実際に何か事故が起きますというと、まず一番先に行かなければなりません。したがって、そういうときに、それではこういうものに対してどういう手を打つかということでございますけれども、有毒物質あるいはガス等については、実際のところもう手の打ちようがない。たとえば塩素等につきましては除害剤があるとか、こういうものを使えば中和できるとかと言いますけれども、さてそういう事態のときにそういうものを速やかに手に入れることも非常に無理です。会社では一部備えているようですけれども、なかなかそういう有毒のガスが流れておるという中でもって隊員を使うということは非常に困難だ。したがいまして、隊員もさることながら、一般の市民の方々をいかに早くその範囲から避難させるかということがまず重大な問題になってくる、この点に消防としては重点を置かざるを得ないというのが実情でございます。
#117
○内田善利君 これ、一方はガスなんですよね。ガスが漏れた場合大変だと思うんです。私は、こういうシアン化水素がこういう基地内に貯蔵されておったと、いま見てびっくりしたわけですが、これ少しでも漏れたら、ガスですから、みんなどんどんどんどんその場で死んでいきますね。消防隊の方々も、おそらく防毒マスクをつけていってもこれは大変だろうと思います。あと、こちらのページの方は液体ですから、これは流れていきますから、これは何とか防げるかもしれません。だけれども、ガスの場合は、これは大変だろうと思うんですが、これに対する手の打ちようがないということ、これは消防庁の方はどうされますか。
#118
○政府委員(森岡敞君) いま参考人の御意見にもございましたように、直接の所管は厚生省でございますけれども、私どもといたしましては、一たん事故があれば市町村消防機関が駆けつけるわけでございますので、有毒ガスあるいは有毒物質についての対応策、なかなか決め手につきましてむずかしい面があるようでございますけれども、しかし、やはり根本的な安全策を講じてもらいたいということで、先ほど来お話の出ておりますコンビナート立法の中でその辺のところもあわせて適切な措置を講ずることを考えてもらいたいと思っております。対策といたしましては、やはり漏れない容器、容器を絶対漏れないようにきわめて堅固なものにするということ、これがやはりどうしても基本的に必要だと思います。一たん漏れますと、先ほどのお話のように、除害剤などでできると申しましても、なかなかそう早急に対応することは困難な面もございます。絶対に漏らさないような施設、設備というものを根本的に考える、そこが基本ではなかろうかと、かように思っております。
#119
○内田善利君 対地震の問題もありますし、この点は十分防災計画を立てなければいけないと思います。また、私がいま挙げたのは猛毒物質だけですが、そのほかアンモニアガスにしても、これはもう危険ですから、これは吸ったらやっぱり亡くなっていくと思います。塩化水素だってそうだし、塩素だってそうだし、酸化エチレンだってそうだし、全部もう大変なものが貯蔵されているわけですから、これに対する対策も今回の水島事故とあわせて十分講じていかなければならない、このように思います。
 そこでタンクの件ですが、タンクをつくる場合に、日本はほとんどその石油タンクの九〇%以上がAPI、米国の石油協会の規格基準に従ってでき上がっている。ところが、このAPIの規格は、土壌ですね、タンクの下の方の地盤の問題、そういった点には全然触れてないわけですね。こういったAPIのようなものを基準にしてつくっていること自体が問題じゃないか。今後の十年後、二十年後、三十年後、石油タンクがどうなるかということを考えますと、よっぽどしっかりした地盤のもとでつくらない限り、埋め立てをやった、その上に石油コンビナートということになりますと、いまから大変な問題を含んでいるんじゃないかと、こう思うわけです。私が聞きましたところでは、底板までは測定ができるけれども、その底板の下の地盤については測定の方法がないと聞いておりますが、この点はどうなんでしょう、消防庁。
#120
○政府委員(森岡敞君) タンクの基礎工法につきましては、API基準にはないわけでございますが、先般工業技術院の方からお話がございまして、APIのレコンメデーションというのか出ております。それに準拠していろんな工法が進められてきておるというふうに私どもは承知いたしております。検査を種々いたします場合に、底板などにつきましては、いわゆる非破壊検査というふうな形で科学技術的なる検査をいたしますが、地盤につきまして、どのような検査を施行し、また安全性を確認するかということにつきましては、いままで具体的な基準を私ども十分示していなかったということでございます。この点まことに私どもとしては問題があったと、大いに反省をしておるわけでございます。早急に技術的な検討を、必要な知識を有せられます学識者にお願いいたしまして、また、政府部内では、建設省その他関係省庁とも協議をいたしまして、適当な技術基準というものを早く決めたいと、かように考えております。
#121
○内田善利君 井上参考人、どうでしょうか。
#122
○参考人(井上威恭君) それでは、ただいまのことにお答えいたします。
 実は、事故後初めて私が勉強しました状況で、あらゆる文献を集めておるところでございます。ところで先ほど、底板から下はどういうふうになっているかと――まあ地盤沈下に二種類ありまして、本当の地盤と、その上に砂をもった、いわゆる座布団のようなクッションを一つ置いております。あれの流動というのが非常な重大な問題になります。あれと下の地盤との組み合わせというところが問題点になります。それをどちらが沈下していくかということの測定はまだ考えておりませんけれども、砂の流動を見つける方法はあるんじゃないかと――これはまた研究会が始まったわけではございません。どこの官庁にも支配されないように、われわれ学者グループだけで、いわゆる金属部分の部会と、土木部分の部会と、安全の部分の部会だけで、ひとつ納得のいくような技術基準をつくっていこうと、これはAPIにも負けないようなものをつくろうかと、いま考えておるわけでございます。で、これを早急にと言われるとなかなかむずかしい問題がたくさんあると思います。以上のようなところで、こういうタンクというものの研究に真剣にわれわれは取り組んでいこうという準備をいましている最中でございます。
 以上でございます。
#123
○内田善利君 それから、きょうは地下タンクの話が全然なかったわけですが、地下タンクについては総点検をやられたのかどうか、消防庁に。
#124
○政府委員(森岡敞君) 当面緊急点検でございますので、やりましたのは一万キロリッター以上及び高張力鋼を使用いたしましたタンクを中心に行いましたが、その他のタンクにつきましても、引き続いて点検を行うように指示いたしております。市町村の消防機関の進み方は若干格差はございますけれども、地下タンクを含めまして保安点検を進めるような段取りにいたしておるわけでございます。
#125
○内田善利君 防衛庁関係の地下タンクの総点検はされておりますか。
#126
○説明員(田中守男君) 先般消防庁がなさいましたタンクの総点検は大規模タンクということでなさったわけでございますが、防衛庁におきます大規模タンクは、呉の吉浦地区にあります五千キロリットル、三万キロリットル及び五万キロリットルのタンク八基がございます。その他大湊に一万トンタンクがございますが、覆土式地上式タンクということでございまして、地下タンクということにはなっておりません。ただし消防庁の方の点検は受けております。
#127
○内田善利君 消防庁の点検を受けられておるわけですね。
#128
○説明員(田中守男君) はい。
#129
○内田善利君 このいま言われました呉の補給所の貯油所にある地下タンクから重油が漏出していることが党の県本部が調査に参りまして、A重油が漏出しているということを調査しておりますが、この点はどうなっておりますか。
#130
○説明員(田中守男君) 現在貯油所の構内にタンクから油漏れがあるかないかを調査するため、及び米軍が管理時代に使用しておりました油で過去に若干油漏れの事故があると聞いておりましたので、施設の構内でボーリングをしてタンクから漏れたり、または旧軍の油漏れがあるかないか調査しておるわけでございますが、現在のところ調査中でございまして、ボーリングをやった結果、一カ所から油が出るわけでございますが、これが御指摘のA重油ということかもしれませんが、現在吉浦地区にはA重油は保管しておりません。自衛隊が使用しました三十三年以後使用しておりませんので、まあ油漏れではないと思いますが、県の工業試験場に依頼をいたしまして、果たして油漏れ、タンクから漏れた油であるか、まあ旧軍、米軍時代のものであるか、現在調査中でございまして、結果が判明するのは若干時間がかかろうかと思います。
#131
○内田善利君 この地下タンクは昭和八年にできたものだと聞いておりますが、そうですか。
#132
○説明員(田中守男君) 工事に着手いたしましたのが八年でございまして、昭和十五年に完成をしたと聞いております。
#133
○内田善利君 基地構内で試掘した井戸から重油がわき出してきたというふうに聞いておりますが、その重油を自衛隊で分析されたところがA重油だったと、このように聞いております。
#134
○説明員(田中守男君) 貯油所で調べましたところでは、A重油というふうな認定はまだ下してはおりません。それに近いものであろうということでございます。
#135
○内田善利君 それに近いもの――結局にじみ出てくるわけですから、それに近いものだと思いますけれども、A重油の場合は引火点が六十度C以上ですから、JISで言いますと。非常に危険なものがわいておるということになるわけですが、自衛隊で使ったのでなければ、それ以前のものかどうか、その原因あたりはまだ判明しないわけですか。
#136
○説明員(田中守男君) 現在呉市の消防局のほうで県の工業試験場に依頼をしておる段階でございますので、判明するまで若干時間かかろうかと思います。
#137
○内田善利君 それと、瀬戸内海に流出しているということなんですが、その、まあ証拠といいますとおかしいですが、排水口のところにオイルフェンスを張ってある。だから油が瀬戸内海にも流出しているおそれがあると、こういうことですが、この点はどうですか。
#138
○説明員(田中守男君) この点につきましては、海面への浸出油分の防除対策について、いま御指摘のありましたオイルフェンス等を用いまして回収に努めておりますが、浸出防止対策の一環として、現在岸から海の方へ浸出する油の調査工事を実施しておりますので、なお若干根本的な対策については時間をいただきたいと思います。
#139
○内田善利君 それからこの地下式タンクのことですけれども、直径が六十五メーター、深さが十メーター、そして一番大きいのは三万キロリッターのキャパシティーがあるということですが、このタンクができた当時ですね、昭和三十七年にこの七十七号タンクを点検した方の話によりますと、タンクの側面に無数の亀裂があったと、乳白色の液体がにじみ出ていた、そういうことなんですが、これにタール状の樹脂を詰める作業をした、防ぐためにタール状の樹脂を詰める作業をやったが、その後また乳白色の液体がこのタール状の樹脂を溶かしてにじみ出てきたと、こういうふうに言っておられるわけですが、この地下タンクは非常に古いし、こういうものがにじみ出ていって、そしていま試掘中の井戸から重油が出てきているんじゃないかと、このように判断しているわけですが、この点はいかがでしょう。
#140
○説明員(田中守男君) いま御指摘の件でございますが、三十七年度の改修工事におきまして、七十七号タンク、これは三万キロリットルの覆土式のタンクでございますが、の使用開始に先立ちまして所要の改修を行いました。そのとき底板のネジの補修、それから側壁の補修をいたしまして、混和材、モルタル等で被覆をいたしました。その他亀裂部の補修をいたしました。その結果消防機関の完成検査に合格をいたしまして使用をいたしております。七十七号タンクが不完全であったということは考えられないわけでございます。
 なお、塗装工の証言などにつきましては、その事実は私どもつかんでおりません。
#141
○内田善利君 この地下タンクについて、参考人の方々からどなたも御発言なかったわけですが、地下タンクの安全性についてはどのようにお考えなのか、井上参考人にお聞きしたいと思います。
#142
○参考人(井上威恭君) 地下タンクにもいろいろございまして、実はわれわれのグループの中で、地下タンクは安全か安全でないかということを議論しております。しかしながら、概して事故が起きた場合に地下タンクは被害が少ないというので、私は賛成の方なんです。ところが、地下タンクは危険だというのは、その地盤が悪いと、があると砂が流動化していくとその地下タンクは浮き上がってくるとか、それから誤操作によって漏らすとそこにたまってしまうとか、それから亀裂が入ったらわからないというような欠点もございます。しかし、非常な長所もあって、そこでまあ事故を起こしても外よりも非常に被害が少ないと、そういう点もございます。したがって、これが安全か安全でないかは、どのタンクで、どういうふうな構造になっているか図面を見せてもらわないとちょっとわからない状況でございます。以上。
#143
○内田善利君 こういう水島事故を契機として、こういった地下タンク、それから石油パイプライン、あるいはその他のパイプライン等をやはり総点検して事故の防止に当たっていくべきであると、このように思うんですが、消防庁いかがでしょう。
#144
○政府委員(森岡敞君) 御指摘のとおりだと思います。そういう意味合いで、先ほど申し上げておりましたように、当面は大規模タンクを一月に緊急点検いたしましたが、その他の危険物施設全般を通じまして、徹底した保安点検を続けてまいりたいと、かように考えます。
#145
○内田善利君 タンクの完成時のテスト、この間もお聞きしたわけですが、水島の場合は七十号タンクですか、の一部補修後合格という点について、その個所はまだわかりませんか。
#146
○政府委員(森岡敞君) この前お答えしたところからまだ進んでおりません。
#147
○内田善利君 まあなかなか進まないようですが、昭和四十三年七月八日、千葉の極東石油で、これは日本揮発油が施工したんですが、六万トンタンク、この水張りテストを海水でやられましたね。そのときに、十日後に海水が流出しております。それから、昭和四十五年四月八日、これは西部石油で、山口製油所ですが、これは千代田化工が施工者で八万トンタンク、これも工業用水を入れて水張り試験をやったわけですが、流出しているわけです。こういう事故があった。こういうことはきわめて私は技術屋にとっては参考になることじゃないかと思うんですが、こういうことを参考にして、きちっと体制を整えれば、私は今回の事故は防げたんじゃないかと、こう思います。
 もう一つは、昭和四十七年ですが、五月の十三日、APIの第三十六回ミッドイヤー会議で、エッソの技術研究所が情報を提供しております。それは、三回事故が起こったが、その三回とも底板の破壊の類似性を発見した、不等沈下を認めたわけですね。こういう報告があっている。こういう報告があっているから、やはり石油業界はこういつた点に重点を置いて積極的に防災体制を講ずれば今度のような事故はなかったと、このように思うんですが、この点いかがお考えでしょうか、中島参考人。
#148
○参考人(中島順之助君) 十分注意してやっていけばああいう大きな事故にはならなかったと思うんですが、非常にあの水島の事故は、いろんな原因がふくそうしているんじゃないかと、かように思っています。したがって原因かはっきりいたしませんと、どうということは言えないんじゃないかと思っておりますが。そういう御質問……。
#149
○内田善利君 とにかくあのような事故は、いまのままでいったら私はまた起こると思うんです。一国民として心配です。水島のような事故は、いままでいろいろ論議されてきた不等沈下、あるいは底板の問題、あるいは防油提の問題、はしごの問題、いろいろ考えますと原因が人災であると、こう思います。ですから、いまのままでいったらまた第二、第三の水晶事故が起こると、こう考えます。というのは、いままでの企業のあり方、姿勢が、こういった事故に対して積極的に取り組んでいくつていう姿勢がない。このようにいま三つの例を申し七げたわけですか、一つ、二つ日本の例、それからアメリカでの情報提供の話、こういう実例から見ましても、もっと日本の企業は積極的に防災体制に取り組んでいくべきだった。さあ外国から石油戦略によって、消防体制もできない間に、防災体制もできない間に、どんどん、どんどんこの峡い日本に入り込んできた、タンクはどんどん、どんどんできていった、こういうことで人災的に私はこの事故は起こったと、こう考えます。ですから、このような先例があるわけですから、そういう先例を参考にして、石油業界はもちろんのこと、日本の技術陣がやればできないことは私はないと、このように思います。やらない、そこに私は問題がある、こう思うんですが、この点いかがでしょう。
#150
○参考人(中島順之助君) 先生の御指摘のとおり、ああいう事故がありまして、われわれとしてもすべての安全対策について一段と注意して、先ほども申し上げましたように、事故がありますと企業としましても大きな損失になるわけでございますから、十分注意してやっていきたいと思います。
 それから、はなはだ勝手なことを申し上げて申しわけないんですが、先ほど個人の意見として、この瀬戸内に備蓄基地をつくることについての先生の御質問に対しまして、軽率にもまあつくらぬ方かいいんじゃないかということを申し上げましたけれども、あれはやはり他のわれわれのメンバー会社あるいはまた石油会社、ほかの石油会社に対しても影響が非常に大きいもんでございますから、その点取り消さしていただきたいと思いますが、御了承願いたいと思います。
#151
○内田善利君 個人として発言なさったわけだから、私はいいと思います。
 最後に、もう一言お尋ねしますか、いま事故調査委員会で検討があっていますけれども、その内容が判明いたしましたならば、国民の前に公表し、発表し、そして今後の対策をきちっと示していただきたいと、このように思いますが、その点いかがでしょう。
#152
○参考人(中島順之助君) いま御調査になっている専門の先生方の方で御発表になるんじゃないかと思いますが、その点、われわれの方でいま調査はいたしておりません。と申しまするのは、先生方の御調査なすっているわけですから、その先生方の御調査に任せるというつもりでおりますので、こちらでやっておりません。したがいまして、その公表その他は、国としてなさるか、あるいは先生方として何か別な方法で発表されるか、その方にお任せしたいと、かように考えております。
#153
○内田善利君 私は、これだけの事故を起こしたんですから、明らかにその原因を発表し、国民か納得するように発表していただいて、そして今後の対策も発表していただきたい、このように思うんですが。そうでなければ国民は納得しないんじゃないかと、こう思います。
#154
○参考人(中島順之助君) 原因につきましては、先ほど申しましたように、先生方の御調査によるわけでございますから、それによって、対策については、それぞれの会社の、またいろいろ地域的な事情もありましてやり方が違うと思います。また工場の構造その他も違いますから、それぞれ違うと思いますが、こう国民全般に――もちろんその対策は講じます。これは全体としても講じますが、各工場それぞれの立地条件あるいはまた装置その他の条件が違いますんで、方法も違ってくると思いますんで、こういう方法をとるということは言えないと思いますが、やることは事実やります。そういうふうにまたメンバー会社の方にも連絡するつもりでおります。
#155
○内田善利君 最後に、もう一押しお聞きしますが、石連会長としてはとうすべきてあると――私は公表すべきであると、国民が納得いくようにオープンにして、そして今後の問題を国民と一緒に考えていくべきであると、こう思いますが、石連会長としてそうすべきであると思われるかどうか。
#156
○参考人(中島順之助君) 公表すべきときはいたしてもよろしいと思います。しかしながら、先ほどから申し上げているように個々の状況が違いますもんですから、ちょっとそこの点がむずかしいんじゃないかと思います。
 原因がどういう原因であるかということになるわけですが、たとえばあそこの水島港の構造その他からとほかの場合とはちょっと様子が違うと思うんでございます。
#157
○内田善利君 水島港のあのタンクの漏出事故はこういうことが原因だったということをやはり公表して、そして今後の対策を講ずるべきであると、このように石連会長であるならば、当然考えられるべきだと思うんですが、いま事故調査委員会で検討されておるわけです。そして、その結果が判明いたしましたならば、国民の前にそれは当然公表されるべきであると、こういう考え方ですけれども。
#158
○参考人(中島順之助君) それは調査された先生方が公表されされることはもうお願いいたしたいくらいでございます。
 それから、さっきのあれ、ひとつ取り消しをお願いいたしたいと思いますが。
#159
○小平芳平君 いまのようなことは石連会長の決めることじゃないでしょう、政府の事故調査委員会が事故調査をやっているんですから。それは別にしまして、私がお尋ねしたいと思いますのは、午前中小林参考人から、川崎のコンビナートの場合、関東大震災クラスの大地震があった場合どうというような御意見がございましたですが、この辺もうちょっと詳しくおっしゃっていただけませんか。
#160
○参考人(小林光久君) 私、朝のときに申し上げましたのは、コンビナート地域の施設につきましては、屋外タンクにつきましては消防法でもって〇・三以上の水平震度の、積載荷重と固定荷重の和に水平震度の〇・三を掛けたその強度を持たせるようにしなさいと。それから施設につきましては、これは建築基準法の中に〇・二という数字がございます。したがいまして、そういう数字が法規制であるけれども、コンビナート地域の施設についてはそれに五〇%ないし一〇〇%増し、すなわち〇・三ないし〇・四というような強度を持たせてつくってあると、したがって、企業の中では関東大震災級のものに対しても耐えられるというようなことを申しておると、こういうふうに私は申し上げたつもりです。しかし、これはそういうことでありまして、私どもはそれで十二分だとは思っておりませんけれども、したがいまして、当面それではどのくらいにするかという問題が出てまいりますけれども、この点につきましては私ども素人でございます。したがいまして、従来から行われておりますその〇・三というものは、つくったときにはそういう強度だと思いますけれども、いろいろと施設が永年経過をするといろんな問題出てこようと思います。したがいまして、この時点でもってその強度があるかどうかもう一回ひとつ企業でそれぞれ再チェックをしてもらって、そしてその結果はひとつ報告をしていただきたい。もしそのときに〇・三あるいはそのときの掛けました強度以下に落ちておるならば、それはひとつ十二分に耐えるような補修をしていただきたい、こういう要請をしているわけでございまして、けさの状態はそのようにお答え申しております。
#161
○小平芳平君 近藤参考人にお尋ねいたしますが、私も三菱の水島の事故現場へあの直後に参りまして、それで、あそこは油が噴き出したとはいいながら、あれだけの大きな穴があき、あるいははしごが逆に倒れというふうな惨たんたる状態で、まあこんなところに本当によくこの大きなタンクが設置されていたもんだと改めてびっくりしたような次第でございます。
 それで、先ほども冒頭のお話の中で不等沈下するなんていうことはあたりまえだと、しない方がおかしいくらいのというふうな御発言があったように伺いましたが、その辺についてちょっともう一つお話しいただきたいと思います。
#162
○参考人(近藤完一君) これは業界の人が一番よく御存じだと思うんですね。それで、たとえば喜入なんというのはこんな大きい備蓄基地ないんだな。それでこれも沈下してないと言うけれども、不等沈下と言ったって、たとえば消防庁も言ったけれども、理論的な根拠なんてないわけでしょう。さっき、ともかくAPIの基準があったけれども、APIの基準というのは結局アメリカの基準で、これはいいよね。それで外国のやつをやっていて、それでトラブル起こったんだったら大体日本人は責任負わないという仕掛けで、言ってみれば企業の経営者なんというのは出世していくわけ、技術屋も。そして官庁もそれで結局助かるわけ。そうしたら、ぼくは問題なのは、それじゃAPIの基準にするのだったら、それも地盤なんかにはその基準なんかないわけだからね。たとえば上のばかタンクにしたって、基準にするんだったらアメリカより大きいのをつくんなきゃいいじゃないか。そうでしょう。ところが、たとえばここに、これは石油学会誌ですよ。これは六八年の石油学会誌ですけれども、これに大型タンクの設計というのがあるんですね。そしてここに写真が出ている。丸ビルより横幅大きい。それで高さもかなりいいところだというか、丸ビルと結局重ねてある。そうするとこれは世界最大のタンクですよ。こういうことを結局日本の企業というものは全部やるわけね。それからたとえばそれじゃ自分の都合のいいのは全部結局採用するわね。これはアメリカの業界誌というか、かっこよく言えば結局技術雑誌だけれども、オイル・アンド・ガス・ジャーナルですね。それからぼくかいろんなチェックをしたわけ、バーレル当たりの結局そういう外国の製油所と日本のバーレル当たりというか精製能力当たりのスペースというものを計算すれば、これもうけたが違うわけですよ。言ってみればもう十倍とか百倍とかいう、二けた三けた違うわけだ。それで結局あんな大きいのつくっているわけでしょう。だからぼくはさっき言ったように、日本の恐しさというのは合法的な災害ばかりだという恐しさですよ。そうでしょう。ぼくはこれが本当に恐しいと思うのだな。それから、ああいう事故なんかだって、ぼくは結局日本の事故調査報告というのは漫画だと思うんです。漫画の例を一言う。ここに出光石油化学徳山工場の事故調査報告がある。これ見れば、化学方程式も入っていれば、ぼくは結局イラストだと言うのだけれども、そういうプロセスのあり方、装置の解析とかある。これは二重三重の結局コンピューターコントロールなり、バックアップしてあるから大丈夫だと書いてあったわけでしょう。ここへ結局これだけのイラストが入っていて、それじゃその事故調査報告の結論は何かと覆うのですね。そうすると、それをちょっと読めば、あのときに結局バルブの切り違いで失敗したわけでしょう。計器用の配管とそれからデコーキング用のエアーのバルブと切り違えたという。そうすると、ともかく事故報告の最初は、冒頭はと言うか、「計装用空気配管の色わけとバルブ設置場所の分離 計装用空気配管は色わけを行なうことなどにより明確にし、かつ当該配管に設けるバルブは他の配管に設けられたバルブの位置から離す必要がある。」幼稚園じゃないか。ヤバイやつは赤、そうでもないやつは青、そのくらいのペンキは塗っておけと、こういうことでしょう。それから、それじゃもうちょっと高級のやつで、コンピューター云々というやつですね。石油精製の工場なんというのは石油化学よりははるかにいいというか、クリチカルじゃないと思っているからもっとレベルの低いこときりしていない。そうすると、たとえばそれについては、これは順番に読んでいるようなものですけれども、「緊急停止警報装置の設置 暴走など危険度の高い装置には、注意警報、停止警報の二段に分けて警報装置を設ける必要がある。とくに、アセチレン水添塔内に設けられる温度計のすべてについてこの装置を設け、異常反応の未然防止に対処する必要がある。」そうすると、事故が起こって、事故調査報告なんというのは、これはまだまれに出たケースなんですよ、ある程度は。読まれないからというか、面目が保たれているんですよ。こんなのは見てごらんなさいよ。漢字入りで書いてあるから何とかさまになっているけど、こんなのは言ってみればというか、警戒警報と空襲警報と分けろって書いてあるわけでしょう。こんなくらいなものだ。もっとまあ漫画、今度だって大体そのぐらいのものだ。去年、おととし、あれだけ結局石油化学工場が爆発したね。今度、そのときに点検してないところがまた問題だって、こういうふうにぬかしているわけだ、通産省なり何なりは。ところが、それじゃそのときに通産省がエチレンの総点検というやつで書いてある文句――抱腹絶倒だよ。井上ひさしの漫画よりおもしろいわ。そのバルブをいじれば工場が吹っ飛ぶかもしれないんですよ。それについて「バルブ類の誤操作防止については各事業所とも番号および名称記入、色分けなどを行なうとともに、通常開閉しないバルブ類については針がねによるロック等を行なっていた。」。ぼくはうちを出てくるときだってというか、ぼくのうちぐらいのというか、団地のアパートだってロックというのはこういうんだな。針金でロックしてある。漫画じゃないか。こういう実態ですよ。だからぼくは、ともかく安全装置をやりますとか、ないしはやっていますとかって言うけど、まあ参考人同士で聞くわけにもいかないけど、石油会社なり何なりは本当にそう思っているのかということですよね。自分の結局巨大設備の方はというか、世界で最大のメリットを上げ、最もコンパクトな敷地に最も巨大な設備をつくるということは、最も効率があるわけでしょう。巨大な三十万バーレルぐらいのというから、東京湾の真っただ中にある、そこへ二十五万トンぐらいのタンカーがぱあっと入ってきて横づけすれば、これは世界で一番輸送コストが安い石油を使っているということじゃないか。そうでしょう。そういうのを全部やっておいて、基準はアメリカ、ヨーロッパ、何でも結構。ところが、やっていることと、自分の都合のいいことは全部結局いただきだけど、たとえばヨーロッパなりアメリカで――はかたってわかるわけでしょう、こんなのは、これ見りゃ。ぼくはそれだからよく言うのは、コンビナートにというか、日本ではそういう何と言うかな、防除ラインというか、そういう遮断ラインというのは見たことあるけど、木が一本ぐらい植わっている。そういう防除のそういうエリアのベルト地帯とか、まさにエリアなんというやつは全く考えられないわけですよ。そうすると、都合のいいやつは全部結局資本は自分のものにしていながら、都合の悪いのはというか、全部ネグレクトする。これで事故が起こらなかったらというか、これはもう漫画ですよ。
#163
○小平芳平君 よくわかりました。
 それで、井上先生にいま私が直接お尋ねしたい趣旨は、確かにそういう根本的な欠陥あるいは日本特有の欠陥というものが十分指摘されております。さしあたりきょうは、川崎と四日市の方がおいでいただいているわけですけれども、特に地震があったような場合、予期しないそうした災害が突発的に起きたような場合、さしあたり、こうした川崎にしても四日市にしても、最小限これだけはやるべきだと、あるいはこういうおそれがあるからこういうことを考えなくちゃいけないということがございましたらお聞かせいただきたい。
#164
○参考人(井上威恭君) 実は、さっき出光の方から話が出ましたが、あれは私が参加して書いたので、大分誤解を招いたような読み方で、実際はもっと読んでくださると真意がつかめると思います。
 それからもう一つ、いまの何をすべきかということを申し上げます。で、われわれは地震が起きたらどうなるか。もう河角先生の周期説に従ってある対策ができまして、防災指針というものができてるわけです。しかし、これはなかなか根本からやらなければむずかしいと。ところで、いま直下地震が来たらさしあたり何をするか。さしあたり是が非でもすぐやってもらいたいのは、たとえば工場地域から油が出ないように、たとえば第二防油堀はぜひ早くつくっていただきたいということ。そして毒物劇物というもののタンクというものを総点検して、元弁までは絶対壊れない、地震があってひっくり返っても壊れないと。そうすれば、あとは大量な漏出はないんだと。したがって、そういう毒物劇物は元弁までは絶対の保証をもう一回点検してやっていただくと。それから、各工場に申し上げたいのは、緊急停止ということを十分に気をつけて、緊急停止はどうしたらすぐとまるか、地震が来ましたら、すぐ緊急停止に入る、そのものをどういうふうにしたらできるかということを研究されておくことが必要だと思います。
 さらにもう一つは、最後に、みんなが防災訓練をやって、そうしてやるということであります。
 で、先ほどいろんなことが出ましたが、たとえば毒物劇物は実は厚生省でございます。で、消防庁の方がやってもなかなか目が届かないと。そこで、いわゆる消防庁、厚生省、通産省というようなものの合同で防災診断してみたら、非常にその盲点が出てくる。先ほどタンカーとタンクの間の水際が抜けている。それもそのとおりでございまして、そういうものが合同で防災診断したらたちどころにわかるわけでございますから、そういうところからひとつ徹底的に具体的に直していけば、まあことしじゅうには間に合うのじゃないかと思っております。以上。
#165
○小平芳平君 それから、中島参考人に次に伺いたいことは、先ほど来、瀬戸内海にはこれ以上の石油基地は無理かどうかというようなことに対しまして、反射的に、環境保全法もできたことだから無理だろうというふうにおっしゃるその考え方は、あるいは、コンビナート立法ができたらやりにくくなるだろうという、要するにそこから考え方が出発するということは、これは石連会長としましても、一国民としましても、法律で縛られたらしょうがないと、しかし法律で縛られない限りもうかることだったら何でもやろうというような、ともすれば私は先ほど来印象を受けたんですが、そんなことないでしょうね。いかがですか。
#166
○参考人(中島順之助君) そういう意思はございません。先ほども申しましたように、備蓄基地ということになりますと、相当やはり大きな船も入るし、また大きな船でないとなかなかかためて持ってこられませんし、ただ、そういうことを考えますと、瀬戸内ではというふうな感じをしたわけです。備蓄基地という考えでお答えしたわけでございます。反射的にぱっと答えたというわけじゃないんでございますけれども。
#167
○小平芳平君 いや、そういうことですけれども、法律で縛られればやむを得ずそれはできないが、法律で縛られない限り、もうかることならやろうというふうに受け取れるんですよね。要するに、瀬戸内海は環境保全法ができたからこれ以上備蓄基地をふやすのは無理だろうと思うというふうにおっしゃることは、法律で縛られるからやむを得ないだろうというふうに響くわけですが、私は、そうではなくて、企業としても、あれだけの三菱石油が大被害を発生させたということは大きなマイナスでしょう。決して三菱石油にとってプラスになんかなってないと思うのですよ、ああした大災害で。しかも、これからどれだけ被害が続くかわからないわけですから、漁業被害など。そういう点、国民生活を守る、生命と健康を守る、環境を守っていくという基本が大事だと。そういう基本が大事なのであって、環境保全法で縛られるとか、コンビナート立法で縛られるとか、その縛られ方が大事じゃないのだということを申し上げたいんですが、いかがですか。
#168
○参考人(中島順之助君) いま先生の御指摘のとおりです。おっしゃるとおり私も考えております。
#169
○小平芳平君 そうすれば、先ほど、一国民として瀬戸内海はもう無理だと思うというのは、まさしくそのとおりじゃないですか。
#170
○参考人(中島順之助君) さっきも申し上げましたとおり、法律があるからどうのということでなしに、やはり企業としては安全というものをまず第一に考えていかなきゃいかぬと思っております。したがって、法律のどうのってことではないわけでございます。
 それから、ちょっとつけ加えさしていただきますれば、先ほど申しましたように、やっぱり、もし何かありますれば、企業としても大きな損失が出るわけでございますから、安全というものをやはり第一に置いて考えております。
#171
○小平芳平君 けさほど来指摘されました鹿島とか水島の港は大変欠陥がありましたが、やはり大変そういう欠陥があると思われますか。
#172
○参考人(中島順之助君) 技術的なことは私ちょっとわからないものでございますから、どういう点が――まあいろいろ御指摘がございました。田尻参考人からいろいろ御指摘がありましたけれども、私技術的なことちょっとわからないんで、確たる御返事はできないんでございます。
#173
○小平芳平君 いや、私も技術的なことはわかりませんが、田尻参考人のお話ですね、あるいは近藤参考人のお話をお聞きしていますと、大変危険があるんだなと、そういう欠陥もあるんだなということを素人は――私の場合てすね、素人は素人なりに感じますが、そういう点は感じられませんか。
#174
○参考人(中島順之助君) いま田尻参考人あるいは近藤参考人からいろいろお話があって、私もそういう点があるんだなということを実は感じました。
#175
○小平芳平君 気をつけてまいりましょう。
 それで、ここで最後に川崎の場合ですね、川崎の場合、四日市の場合もそうですが、吸着剤というものは持っていないというふうになっておりますですね。これは特に川崎の場合は干し草が大変効果があるようだということを述べておられますが、簡単で結構ですから、吸着剤を保管してない理由と、それから干し草が効用がありそうだということはここに書いてありますが、そういうことでよろしゅうございますか。
#176
○参考人(小林光久君) 実は、この流出油対策につきましては、消防の責任というものがどの範囲まで及ぶのかということはまだ余りはっきりされておりません。ただ、私どもは陸の活動部隊でありますので、海の遠くまで流れたものに対してはなかなか、これはおかへ上がったかっぱと同じように反対の立場でもってなかなか思うような活動もできない。しかし、流出があったときにそれが即危険、あるいは火がつくというような状態の場合、あるいはそういう状態になって陸の施設に影響があるというような場合には、これはもう市民の財産生命を守るという立場から言いましても傍観することはできません。したがいまして、責任があるなしということは別にいたしまして、そういう面からこういう対策も一応考えておかなきゃならないんじゃないかということでもって、お配りしてございます中に資料として書いてもございますけれども、まず第一点としてはオイルフェンスでございます。これはちょっと考えが甘いかとも存じますけれども、京浜運河入り口が一番広いところで七百メートル、それからもう一方の川崎港の入り口がこれまた大体七百メートルくらいであろうと。したがって、もし内湾でもって起きたときには、表になるだけ出ないような方法を講じたい。防波堤の外で起きたときには、できるならば内部へ入ってこないようにしたいと、まあこういうことから、とりあえず七百メートルのものに対するオイルフェンスにどのくらい必要かということでもって現在二千百メートルをそろえています。これまあ直線にしますと三重ということになりますけれども、なかなか気候、波、その他の関係でもって三重もできない。少なくとも二重ぐらいにはできるだろうというようなことでもって、もしそれでも間に合わないときには企業で持っておりますところの一万一千何がしのものも一応供出してもらって体制を整えよう。これまあ防ぐ場合のことです。
 それから、その流れたものをどういうふうに処理するかという問題。まあこれにはいろいろございますけれども、なかなか効率的なものもございません。しかし、効率的なものはないといって手をまたこれこまねくわけにもまいりませんので、とりあえず現在こういうものがいいということでもってガマゾールという中和剤でございますけれども、これは現在本年度一万リットルを入れまして、合計でもって二十トンばかり持つようになります。それから、これとてもまあある先生に聞きますというと、最も効率よく使うためには一対一であるというようなこと、たとえば油一リッターにこの中和剤一リッターを使うことが最も効率がいいんだということ。しかしながら、これは非常に高いものでございまして、今年入れましたものが一リッター三百四十円。したがいまして、なかなかこれも大量に備蓄するということは財政的にも困難である。それからもう一つは、先般の流出油事故に関連いたしまして、保安庁の方からこういう流出油処理剤を使うときには二次的な公害というものも考えられるので、できるならばひとつ使う前に私の方へ御相談願いたいということを言われておりますので、当然これは、それを使うことによって二次的の公害が起きるということは芳しいことではございませんので、私どもは使用するときには海を所管しておるところの保安庁さんに御意見を伺って使うということを考えております。
 そのほかに従来からわらだとかあるいはむしろだとかというものをいろいろ考えて対策をとっておりましたが、御承知のように川崎はすでに北部の方には農家がございますけれども、現在わらというものがなかなか手に入りません。農家でも必要なわらは遠方から購入するというようなことでございます。またむしろ等も梱包材としては若干業者が備蓄したものも確認してございますけれども、これとても量は大量でございません。たまたまそういうやさきに私どもは立ち入り検査の中でもって――四十二年ごろでございますけれども――特殊可燃物という、これを取り締まりをいたしました。こういう調査をやっている中で、小向の厩舎にそういうわらに似たようなものがあるということを聞きまして、まずわらも手に入らない、むしろも手に入らないというならば、まあとりあえずこれが即手に入るという状態なんで、これとても有事に際しては十二分に利用できるのではないかということでもって、小向の厩舎の中にありますところの馬事の食糧会社でございますけれども、ここへ私行きましていろいろと事情を聞きながら、こういうものがこちらにあるというけれども、私どもはこう考えているので、いざというときにはひとつ、範囲でもって供出をしていただけるかどうか、こういうお願いいたしました。たまたまその小向厩舎には当時約一カ月分の馬糧が蓄えてある。高い馬であるから、全部供出することはできないけれども、十日分ぐらい残すならば緊急時にはお役立てができましょうと、こういう御返事をいただきました。したがいまして、私どもはそれ以後そういうものを一応いざという場合には考えてまいる。たまたま今回水島の流出油事故が起きましたので、これに関連いたしまして、また再度行きまして確認をいたしました。これがいざというときには、果たして効果が十二分にあるかどうかというのは抜きにしまして、傍観はできませんので、打つだけの手は打つという考えでおります。これは、大体私ども前のときに一応私一貫目持ってまいりまして、そうしてどのくらいの量に広げられるか、どのくらいの吸着力があるかということも、小さいものですけれども、一応実験はしてみましたが、軽質油につきましては非常につきにくいという面がございますが、重質油については非常に付着力がよかったという面も確認してございます。言うなれば馬糧一キロに対して大体一平米くらいが一番いいんではないか、こんなふうに考えております。現在、それを私どもがお願いしたときには一キロ約七十円ということでもって了承しております。くどいようでございますけれども、いざというときにはこういうものも使用したいという考えでもって流出油対策の一環として考えておるわけでございます。
 以上でございます。
#177
○沓脱タケ子君 それでは井上参考人にお伺いを申し上げたいと思いますが、これは各委員からもすでにいろいろと伺っておられるようなんでございますけれども、特に最初にお聞きをしたいなと思いましたのは、午前中の御意見の中で、このタンクをつくっていくのに日本では設計施工の審査制度がないと、これはまあ大変な問題だということでの御指摘があったわけですが、日本でその大型タンクの設計基準がないということ、特に高張力鋼の設計基準というのばなしにつくられているという問題でございますね。先ほども御指摘がありましたように、従来はアメリカのAPIのいわゆる設計基準に準拠してやってきた、しかし、高張力鋼を使ったやり方というのは日本が先鞭をつけてやってきておるというふうな問題、こういう点で大変重大な問題だと思うわけでございます。そこで、いままで国会で、衆参両院でいろんな角度で審議をされてきた中で現在のタンクの構造自身にも問題がある、あるいは地盤の問題があり、あるいは風圧の問題もある、あるいは繰り返し応力の問題がある。いろいろ、特に六十日備蓄というふうな問題もあって、タンクの使用の状況が変わってきた、そういった点も含めまして、これ、そういう重大な要素がいろいろ加わっておるというのが審議の過程で明らかにされてまいっておりますけれども、そういう中で、これは何としても大型タンクの設計基準というのは明確にしなければ危なくてならないんじゃないかという点がタンクの問題については一番私ども頭へくる問題なんだと思うんですけれども、最小限安全確保をしていくために、いわゆる設計、施工の審査制度も含めまして、どの程度の設計基準というのが必要なのか。これは純学問的な立場でも、どういった点は少なくともチェックしなければならないかといった点を最初に教えていただきたいというふうに思うわけでございます。
#178
○参考人(井上威恭君) ああいう石油タンクの技術基準というのは確かにJIS規格にございます。しかし、JIS規格というものは高張力鋼のできる前のもので、しかもそれもAPIから招いてきたもので、大体長い歴史と経験によってまああのぐらいの寸法でああなればアメリカでは大丈夫であった。それが日本で決めるときには日本のJIS規格というのは比較的安全を考えずに外形、寸法をそろえる、標準化すると、標準化からスタートした技術基準が多いものですから、それにのっとってJIS規格ができたんであろうと、私は考えております。JIS規格ができまして、次にだんだん大型化になる、大型化になりますと、板を厚くしないといけない、板を厚くすると非常にまたむずかしい溶接の問題が出てくる、そこで、高張力鋼が使われてきた。高張力鋼は日本が先か、アメリカが先か、よく存じません。これは最近いろいろあって、どっちが先なんだというわけで、私は余り知識ないんですけれども、とにかく日本は高張力鋼をかなり使い出してきたことは事実でございます。その場合に、技術基準はどうあるべきかというところでもう一回検討すればよかったんではないかというふうにわれわれは考えている次第でございます。高張力鋼というものは引っ張る強さが強い、しかしながら弾性係数というのは普通鋼と同じでございます。したがって、この側壁の強さを言われるときには薄くできる、薄くできるけれども、変形は軟鋼、普通鋼並みに変形していく、その変形が底板に響いてきて底板を打ち上げてぱたぱたやるような状況が起きるというような問題点がございます。そういうものを踏まえて技術基準をつくらなきゃいけないんじゃないのかというわけでございます。ところで、こういう技術基準というもののあり方でございますけれども、非常に細かく法規で縛る技術基準と、最後のところだけやってあとは会社の責任でおやりなさい、そのかわり損を出したら会社は責任を負いなさいというふうなやり方があろうかと思います。この大型タンクは私は後者の分であって、かなり自主基準にまかせた、そうして、そのかわり、会社の責任において自分で十分責任を負いなさいという程度で、あんまり押えなかったものであろうと思う。ところが、それで成功すれば非常にいいんですけれども、午前中も申し上げましたように、そうしますと自然また多少のリスクを冒して、危険性を帯びる、そこで、ある技術基準が必要じゃないかというふうに考えているんです。で、われわれはそういうことに関しましてひとつりっぱな技術基準をつくりたい、で、とかくこういう技術基準というものは鋼板なら鋼板の部分、上の部分だけをとるわけでございますけれども、ああいうふうに砂とか地盤との関係がありますから全部を含めた技術基準というものをつくっていきたいというふうに考えております。そうしてさらに、もう一つ日本の地盤に合った技術基準をつくっていくということであります。それからさらに、大きさがどうなるかと言いますと、結局大きくなると非常に危険も大きくなりますし、設計もむずかしいです。したがって安全率をうんとつける、そうすると大きなものをつくるとこれは損だということはおのずから企業から出てくると思います。何も大きさを制限しなくても、おのずからそういう安全なものをつくるのに大きなものは非常に損だというような技術基準へと持っていけば非常にいいんじゃないか、いまそういう構想でこれからやったらどうかと考えている次第で、まだその研究会が始まったわけじゃなくて、いま勉強最中でございます。
 以上です。
#179
○沓脱タケ子君 それで消防庁にちょっとお聞きしたいんですがね。井上参考人は専門家の立場での御見解だと思うんですけれどもね。いま研究が始まった、始まっておるというよりも勉強会が始まったばかりだというふうに先ほどからもおっしゃっておられましたし、いまもそうおっしゃっておられるんですがね。消防庁としてはこの点についてはどうするんですか。私はなぜそのことをお聞きするかと言いますと、井上参考人が科学的に見て、そうしてどうしても技術基準をつくらなきゃならないと、これを十分詰めて考えて一定の基準をつくるためには、午前中のお話では二年くらいかかるというふうなお話であったわけですね。ところがいまタンクの構造が問題だとかいろいろ、先ほど申し上げたように、いろいろな諸要素が指摘されてきておる中では、参考人が研究家あるいは専門家としておっしゃっておられる時点まで消防庁としてはお待ちになってそうして基準を決めていくということになるのか、消防庁としては独自にお考えになるのか。これはもう大変たびの裏から足をかくような思いがするので、その点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#180
○政府委員(森岡敞君) 私どもも、大変一面において精緻な技術基準に基づく保安基準であることが望ましいという気持ちは一面ございます。しかしさりとて、私は諸先生のいろんな研究にかなりな時間を要するとなりますとそれが出ました上でということにはまいらない、したがいまして、いま事故原因調査委員会でいろいろ調査をいただいております。その調査結果というものは、いま参考人からお話が出ましたような、将来にわたる精緻な技術基準にまでは至らないと思います。しかし、現在のタンクの構造なり地盤につきまして、やはり危険性あるいは損傷の可能性というものについてかなり具体的な御指摘はいただけると思っておりますから、その調査結果を踏まえまして、私どもなりに、一定の学識者の御意見も伺いながら、精緻ではなくとも、早急に構造なり地盤なりにつきましてのルールといいますか、指導基準といいますか、そういうものをできるだけ取り込んでいきたい。それからいま一つ、防油堀でありますとか、流出油防止堤でありますとか、そういう一旦事故が生じました場合に絶対に流出油を外に出さない、こういう保安体制につきましては、これはもう思い切ってやれますので、早急に実施したい、かように考えております。
#181
○沓脱タケ子君 応急対策も含まれていると思いますので、特にそのことをお聞きしたわけです。そうすると消防庁は、これは先ほど参考人は余り企業を規制するということではなくて、企業の独自なお考えで取り組んできたのが現状だろうというふうにおっしゃっておられるんですけれども、小さなタンクでJIS規格があるけれども、高張力鋼になってからは規格がないと、それを使用する段階になってもう一遍検討してつくればよかったんだという御意見もあるんですが、これはそのままできたというのは何か論拠はありますか。
#182
○政府委員(森岡敞君) タンクの構造が大型化、大規模化してき、それに伴う危険性といいますか、損傷の可能性というものが当然出てくるということについてはいろいろ認識はあったと思いますけれども、先ほど来参考人の方からもお話がございますように、技術的な面から見まして、タンクの安全確保のための構造のあり方でありますとか、あるいは地盤との関連でありますとか、その辺につきましての検討が必ずしも十分に進んでいない。そういうふうな状況がいまのような事態になっておると、かように私としては考えております。
#183
○沓脱タケ子君 そこで、引き続き井上参考人にお伺いをしたいと思うんですが、いまお話を伺いましたように、安全基準といいますか、技術基準を決めるということについても一定の時間がかかりそうだというふうに思うわけですけれども、そういう中で、これは先ほどもちょっとどなたかお触れになりましたけれども、タンクの耐震性ですね、特にいま一番問題になっておりますのは、先ほどからお話が出ておりますように、川崎の直下型地震の予報というふうなものが出てきて、大変住民としては頭が痛いわけですけれども、この点で、午前中からお伺いをしておりまして、どうなのかなあというふうに思いますのは、四日市の倉谷参考人が、いわゆるタンクの耐震性、耐震設計というのは〇・三ガル――水平震度ですね、水平方向で〇・三ガルというのが消防法で決まっておると。それを五〇%ないし一〇〇%上回る段階まで施設は強度を確保しておるから関東大震災のころのようなのが来ても大丈夫だと言われていると。――まあこれは、大丈夫だと断定じゃないんですね。言われている、こういうふうにおっしゃっているんですが、私は井上参考人に、これもひとつお伺いをいたしたいと思いますのは、たとえばいま関東大一震災クラスの地震が起こった場合に川崎の例をとりますと、川崎のコンビナートのタンクはどうなるんだろうか。
 それからあわせて、先ほどからも出ておりますような、劇毒物のガスですね、あの球型のタンク、これは一体どうなるだろうか、これをひとつ最初にお伺いしたいと思います。
#184
○参考人(井上威恭君) 耐震性につきましては、別の委員会でいまそういうものの耐震設計のあり方というものをつくりつつございます。で、大きく申しまして、先ほど〇・三gとか〇・二gこれは地域別によりまして規制がございます。しかしながらそれを水平だけで掛けると危険だということをわれわれは指摘しております。
 ということは、それの固有周期が地盤の周期と合うと一番共鳴をいたします。地盤の周期は大体〇・四秒ぐらいのところが最高になるんですが、そういう固有周期を持ったものは、〇・三gですと、応答倍率と称しまして、それに二、三倍掛けて設計しなさいということをいま指摘して、でそういうものを、〇・二g、〇・三gというやり方を地震の方では静的震度法と言います。いまの固有周期を合わしてやるのを修正震度法と言って、それを倍に、倍というか応答倍率を掛けて、地震の周期と合うような、共鳴するようなものは、そういうもので応答倍率を掛けて設計しなさい。さらにもっとシビアにいくならば、動的設計法と称しまして、地震の波を入れて設計をして強度を確かめなさいということを言っております。それで不安全なものは指摘しなさいということで、現に高圧ガス関係なんかは指摘していま神奈川県はやりつつある最中で、どこまで進行したか存じませんが、神奈川県の行政指導ではそうなっております。
 ただ、問題は、いまのような大型タンクはどうなるか。大型タンクは直径によって固有周期が違うわけです。そうすると、今度来る地震の固有周期はどんなもんだろうか――。ところが川崎にはいろいろな大きさのタンクがある。そうすると、確率としてはその中の一つや二つは共鳴するだろうと。共鳴すればスロッシングと言って波が起きる、波が起これば新潟地震のようになるだろう、したがってそういうこともあり得ると。だから第二防油堀をつくって防げというふうなやり方でいけばいいんじゃないかと思っております。
 さらに、毒物劇物というもので、まあ高圧のものは比較的に丈夫にできております。高圧というものは丈夫にできているから、地震があって多少落ちても大丈夫で、あとはバルブまで防げばよろしい。ところが、本当に器だけのものは案外弱くできておって、そこに人間の盲点があるわけで、そういう盲点をつついて全部対策する必要があると。したがってそういう診断が必要だということがわれわれの念願でございます。
 以上。
#185
○沓脱タケ子君 そうしますと、あれですか、関東大震災クラスの地震が来た場合に、たとえば川崎ですね、川崎のタンクというのは大体何とかもちそうなのか、つぶれそうなのか、その辺が一番国民の知りたいところです。その辺はどうなんでしょうか。
#186
○参考人(井上威恭君) そういうのは、個々に当たらぬとちょっとぐあいが悪いんで、これはもつかもたぬかというと、結局全部を見せてもらわないとぐあいが悪い。先ほどのような盲点がたくさんあるだろうと思いますので、盲点は必ずあると。確率でわれわれは最後は処置しなければいかぬのじゃないかと。先ほど申し上げましたような大きなタンクがあります、そうしますと、これは地震の波によっていわゆる共鳴するものも必ずあるだろう。だから壊れるやつもあるだろう。それは全部は壊れずに、一個や二個は壊れるだろうと思うのが当然だと思います。じゃ球型タンクはどうなるか。そうすると、いま球型タンクは大至急そういうふうな修正震度法でもつかどうかということを検討しておって、その結果がどうなっているか私存じません。それがいっておるならまあ大丈夫であろう。しかしながら、バルブあたりは壊れるかもしれぬ、配管その他にはそういう壊れる可能性があるだろうというので、そういう対策をずいぶん防災活動で補っていかなければいかぬだろう。さらにもっとウイークポイントというのはずいぶん方々にあるもんですから、そういうものに対しては、まずシャットダウンなんかして防災活動を大いにやらなければいけないというふうに考えておる次第でございます。したがって、これで大丈夫だとは言いませんし、これで大破壊が起きるとも思っておりません。そこで、川崎で皆知りたいところは、これからいかに機敏な動作でもって対処していくかという姿勢が最も大切だろうと思っています。
#187
○沓脱タケ子君 そうしますと、いまの耐震性、消防法に定められている耐震設計、水平震度ですね、水平震度の、これは〇・三gが適切かどうかという問題もあると同時に、水平震度だけが基準でいいんだろうか、その点はどうでしょう。
#188
○参考人(井上威恭君) これは、建築基準法は水平震度だけ決めているんですが、不完全だと思っています。したがっていま垂直震度をその二分の一をとってやれということにわれわれはやって、かなりの会社はそれでやっているはずだと私は思っております。それが水平は〇・三、垂直はその二分の一ぐらい。ところが直下地震はどうなるか。直下地震は案外垂直震度が多いんじゃないか、常識的に見れば多いんじゃないかと考えられますので、そういう点もあわせて考える必要があるというふうに思っております。
#189
○沓脱タケ子君 そうしますと、四日市の倉谷参考人さんにお伺いをしたいんですが、四日市のこの前の大協石油の火災のときに、これはけさからの陳述の中でもお話がありましたように、企業と消防署が大変協力をして延焼を食いとめたというふうな評価も出ておるわけですけれども、ああいう火災が起こってもいまの水準で四日市消防署では火災に対応できるかどうかですね。あの程度のものだったら、この間はうまくいった。でまあ大体その水準ならいける水準になっておるのかどうか。これは人員、器材等を含めていかがでしょうか。
#190
○参考人(倉谷徳助君) 先般の火災で消しましたので、あの程度のものなら何とか消せるという自信、みんな――私ども消防隊員ももちろん、企業の者も持ったと思います。
#191
○沓脱タケ子君 そうしますと、大体あの程度ならいけるということになりますと、対応のための器材、人員あるいは技術陣営等を含めてこれ以上増強するというふうなお考えはあるんですか、ないんですか。
#192
○参考人(倉谷徳助君) これまた増強の問題でございますけれども、あのタンクの場合、半固定主義と申しまして、タンク自体についておる消火設備が消防ポンプ自動車で送らなければならない装置でございます。そういうことで、初期消火に十分なあわが出なかったのではなかろうかと思われるので、今後はあれを全部、全固定と申しまして、もう消防ポンプじゃなくして、他のポンプであわを打ち込んでいく、そして、朝からも申し上げましたように、そのタンク一つだけの単体としてとらえるのでなくして、タンク群としてとらえて、そして延焼防止を図らなければならないであろう。そのためには、午前中にも申し上げましたが、消防用設備基準の強化を打ち出しておりまして、これはまあちょっと長いじゃないかとおっしゃられるかもわかりませんけれども、これを早急に実施させて、そして冷却、散水、あの場合でも、散水設備があれば、大部分の消防自動車が他のタンクヘの延焼に力を注いだのはもう必要なくなる。要するにこの散水で、しかも、さらに火炎が強くて放水だけではいけないという事態があれば、これは消防ポンプ自動車で補うということになり、いろんな面で非常に役立つのではないかという自信を深めましたので、あの設備強化基準を一日も早く企業の方に推し進めるようにいたしたい、このように思います。
#193
○沓脱タケ子君 なぜそのことをちょっとお聞きしたかと言いますと、タンクの検査というのをおやりになっておるわけですね。午前中の陳述では報告を求めるというふうにおっしゃっておられたから、現地での御調査を署員が直接おやりになっておる頻度というのはどの程度なのかよくわからないですけれども、タンクの検査というのはどういう検査をやっておるのかちょっと聞きたいんです。何か器械を持って行っているのか、人間が行って目で見ているのか、どうなさっているのか、ひとつお伺いをしたいんです。
#194
○参考人(倉谷徳助君) これは、タンクの場合要するに外観検査でございまして、消防職員が行って実際に目で見して、ただ消防庁から指示がございました不等沈下につきましては、レベルによって、水平器によりまして検査いたしましたが、平素の場合は消防職員が行って自分の目でいわゆる確かめていく、こういうことでございます。
#195
○沓脱タケ子君 そうしますと、ちょっと、私全くその部分では素人でわからぬですけれども、目で見て、底板の変化あるいは側板の亀裂等そういうものはわかるんでしょうか。その辺はどうでしょうか。
#196
○参考人(倉谷徳助君) そこらの問題になると、ただ単に目で見ただけではそうはっきりわからないだろうと思います。ただ、ある日突然に、まあ先般の火災もそういうふうに起こったわけでございますけれども、発災する場合以外の場合であれば何らかの徴候があるのではなかろうか、まあそういうふうな問題を十分目で見てやっておる実情でございます。
#197
○沓脱タケ子君 ちょっとわかりにくいのね。目で見るという範囲というのはどういうことを検査をするかという問題ですよ。それから目で見るという範囲で、チェック項目があって目で見るということであれば、何らかの頼りがあるんじゃないかというふうなことですけれどね。これは会社から聞くということで見に行くということになるんですか。その辺のところを、非常に不安だと思うので、大事な点なんで、ちょっとお聞きをしたいと思うのです。そういう目で見るという範囲で大丈夫なんかどうか。
 これは倉谷参考人にそのことをお伺いするのは無理だと思うのですけれども、そこで井上参考人ですね、そういうタンクの検査というのに消防署の担当者が参りまして目で見るという範囲で目的を達せられるのかどうか、その点はどうでしょう。私は少なくとも側壁の亀裂だとか、あるいはそういった小さい油漏れ、あるいは底板の変化というのは外から見ただけではわからないんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういった点も含めましてお伺いをしたいと思います。
#198
○参考人(井上威恭君) 私は余り法律のこと知らないんですけれども、漏れ承ると、消防庁で実際立ち会い検査をしておるのは、水張り検査と、それからその前に行われる漏洩テストだと思います。そしてまた消防庁がもらっているのに、水張り試験後に磁粉探傷を報告してもらって、磁粉探傷異常なしというのは会社でおそらくやるんだろうと思いますけれども、水張りしてその底板との間に亀裂があるかどうか目で見えませんから、磁粉探傷で検査するわけなんであります。ところで、そこをわれわれは非常に問題にしているわけでございまして、これは技術でしょうがないのですが、五十メーターと言えば大体野球場ぐらいの広さである。その隅から大体髪の毛一本、長さが数ミリの髪の毛が落ちているかどうか全部探せと言ってもこれは人間わざではできないわけです。しかし、検査をやるぞということで溶接工はずいぶん違うわけです。で、磁粉探傷をやるぞということによって、見つかったら大変だというので丁寧にやるであろう。したがって、全部がそういう髪の毛が一本も落ちていないとはわれわれは絶対に申し上げられないのであって、そういう信頼性のある溶接をやるような溶接施工法を審査する必要がある。それはとてもお役所の人にはできない。したがって、われわれが言うような第三者のインスペクターにお願いしてやらす方がいいのじゃないのかと。だんだんそういうふうに技術というものが高度になってくると、とても一般にこうやりなさいと、磁粉探傷やれ、はいできました、報告異常なしというのが、大体皆そうなんですが、それではいまのところいかぬので、やはりそういうところの現場に行ってよく見てください、そしてそれにメーカーに所属しないで公平にやってくださることが必要であるとわれわれは考えているわけです。
#199
○沓脱タケ子君 それで最後に田尻参考人にお伺いしたいんですがね。実は前回の本委員会で、私、停泊中のタンカーの火災と陸地の火災との相互関係の問題で、いまの法律の関係では、これは参考人もおっしゃったように、消防署は海のところには手が出せないというふうな関係になって大変な問題じゃないかということでちょっと御質疑を申し上げたら、海上保安庁と消防署というのは非常によく提携をして対策の万全を期しますと、こういうお話ではあったんですが、実際上そういう場合にそういったことができるのかどうか、そういった点での御見解、特に港湾法等の御見解なども拝聴いたしましたので、そういった関係も含めましてそのあたりの御意見を伺いたいと思います。
#200
○参考人(田尻宗昭君) これはまあ運用上、実務的には海上保安庁と消防庁の協定がありまして、現地においてはできるだけ協力するようにいろいろな連絡は図っていることは事実でございます。しかしながら、私が申し上げますことは、やはり最も基本的なところで、この法的な欠陥が余りにも大き過ぎるので、そういうような協定とか運用ではどうにもならない限界がはっきりとある。たとえば具体的に申し上げますと、消防法では防火対象物に「ふ頭に繋留された船舶」ということになっておりまして、ここまでが消防の管轄でございます。しかも、さっき申し上げましたが、海上に突き出た桟橋、特に問題なのは沖合いに設けられた海上桟橋とも言うべきシーバース、これは大型タンカーが接岸をいたしまして、そこからパイプが海底を通って企業に送っているわけでございますが、こういうような桟橋とかシーバースに消防法が適用がならないので、やはり防火管理者あるいは陸上の消防法でいわれる決められた防火管理者であるとか消防施設であるとか、あるいはもろもろのそういうような規制がかかりません。したがいまして、やはり海上において、ちょうど陸上の企業の消防車あるいは消防隊のような、これに匹敵する消防船や海上消防隊というものが企業にはございません。したがいまして、この消防法上の活動というものが、陸上の消防法では、はっきりとそういうような火災が発生した場合は、消火の義務に、企業が自分の構内においては、まず初動の消火に当たることも義務づけられておりますし、また付近の人たちの協力の義務も規定してございます。しかしながら、そういうような消防法が海上に及ばない、港の中に、水面に及ばない以上、やはりこういうような基本的に企業の防災責任というのは義務づけられていないので、苦肉の策として、さっき申し上げましたような対策協議会というような話し合いでこれをやらざるを得ない。したがいまして、海上保安庁としましても、これを企業に協力を要請する場合にどうしても及び腰になるんですね。作業員が死んだり、けがをした場合に、十分の労災補償がストレートに受けられないという限界があります。私も四日市で港湾災害対策協議会をつくりましたときに、非常にこの点で苦労いたしました。
 それから、やはり消防法上の根拠がないということが、事実上は消防におきましても、消防艇や消防船を持っておりますけれども、しかしながら、大きなそういう基本的な法的な限界がございますので、海上保安庁がみずから公設消防機関でもない、しかも、巡視船に乗っておる海上保安官の諸君も消防法上の根拠で消火活動をやるのではなくて、海難救助という名目で仕事をしている。こういうような基本的な欠陥が端々に矛盾となってあらわれまして、具体的に非常にやりにくいという面がございます。したがいまして、たとえばシーバースなんかに私たちは当然消防施設をつけるべきだ、あるいは桟橋にも消火銃をつけるべきだといいますけれども、実際に先生方ごらんになればわかりますが、企業の桟橋で消火器の二、三本しかころがっていないところがあるかと思えば、今度は自動放水銃というような大砲みたいなボタンで押せば自動的に水が出るような施設を設けておるところもある。それから防火管理者に至っては、ろくろくシーバースなんかについては規制がございませんので設けられていない。したがって、防火体制もない。特に夜間についてはりょうりょうたるものでございます。私たちは桟橋の防火警戒体制というものを非常に重視しますけれども、実は桟橋のそういうような監督体制、警戒体制というものが港則法という法律の危険物荷役における行政指導としてしか行えない。海上保安庁に港長業務実施要領という指導文書がございます。その中に桟橋の保安距離は三十メーターとするように極力指導しなさい、あるいは桟橋の防火警戒体制あるいはその消火管理体制というようなものについては極力行政指導でやれ、桟橋の設置そのものについても法的な規制根拠はないわけでございます。そういう立場で、やはりこういうような欠陥が現実の実務においては非常な災いとなって企業の間に非常に貧困な体制といいますか、アンバランスを生み出している。特に夜間、今度の三菱石油でも二、ミトンのチャッカー船が二、三杯あった程度ですね。夜間無人に近いのです。実際は船長が一時間も離れたところに住んでいた。企業の実態はほとんどこういう実態なんです。そういうところで桟橋にタンカーが着棧し、荷役を行っている、ろくろく警戒員も置いていないというような実態がざらであります。そういう点から根本的な法の欠陥を改めて、きちっと海上消防法というものを制定しなければ、単なる話し合い、連絡、調整というようなことではとてもしのげないという感じがいたします。
#201
○三治重信君 どうも大変時間が過ぎましたんですが、もうしばらくごしんぼうをお願いしたいと思います。
 朝来、皆さん方の非常な御熱心な御意見を拝聴しまして非常に参考になっておりますが、それの総仕上げという意味も含めまして、なるべく重複を避けて御質問をしたいと思いますが、事故がありますと、新しい法律をつくれ、基準をつくれという意見が非常に多くあるのですが、またしばらくたつと忘れられちゃう。しかし、これは各部面にわたってそういうことがなかなか役所としても追いつきがたいと思うのですが、そういう意味において、きょう朝来のいろいろの御意見の中で、私は一番最初のいわゆるタンクの設計基準なんかは役所がつくる前に石油連盟なり、業界としていろいろの最低の基準なり、またその設計者や、またその工事施工者といろいろの連絡、調整があってしかるべきものではないかと思うのですが、そういう部面については石油連盟さんのほうは新しいタンクをつくる、そういうときに各社とも技術研究をし合って、これぐらいの基準で設計なり、こういうものは最小限度発注しなくちゃいかぬとか、そういうようなものの一定の申し合わせとか、基準とかいうものはなくて、各社勝手にそういう石油施設の工事のいわゆる千代田化工とか、その他各会社に個別に自由勝手に発注するといいますか、そういうことについて石油連盟とか、そういう団体というものは全然いままでタッチはしていなかったものなんですか。
#202
○参考人(中島順之助君) いままで先生の御指摘のような、いわゆる各社が同じ技術的な問題について打ち合わせするということは余りやっておりませんでしたけれども、石油学会と技術委員会というようなもので連絡をとって、そうして各社の技術の連絡をとるということはやっておりました。しかしながら、今度の事故がありまして、それ以後私の方の保安委員会というので各社が集まりまして、いまそういう面についての検討をやっておりますから、だんだんその傾向に入っていくと、こういうふうに思っております。
#203
○三治重信君 そうしますと、一番先にきょう井上参考人が申されたいわゆる設計基準の、専門設計者の技術審査の自主的な制度とか、それからインスペクターを使っての第三者の検定制度というものは役所が決めなくても、石油連盟でやる気になれば私はできるのじゃないかと思うのですが、御意見はいかがでございますか。
#204
○参考人(中島順之助君) 井上参考人からインスペクターのお話が先ほども出ておったわけでございますが、一応これは各社それぞれ違うと思いますが、社内的にはインスペクター的なことはやっております。しかしながら、それが自社内ですから、そこは三者の立場から見るインスペクトとは違うと思います。いま先生の御指摘のようなインスペクターを採用するかどうかということも、この技術委員会なり、あるいは保安委員会というものにおいて取り上げてみたいと、かように考えております。
#205
○三治重信君 先ほど井上参考人がおっしゃいました外国ではというのは、アメリカとか先進国のヨーロッパの一部だろうと思うんですが、そういうところで何と申しますか、いわゆる公認検査制度とか専門技術者、専門技術設計者の審査基準というものでやっているという御説明だったんですが、日本ではそういう問題についてやるとなると、やはりどこが一番この指導権と申しますか、音頭をとってやっていくべきところのものと考えられますか、学界がいいのか役所がいいのか、こういう業界の石油連盟とかいうようなところからやっていくのがより効果的だとお考えになるのか。また、後からのずっと審査で、日本の超大型タンクについては世界で例がないからそういう基準がないとかいうようなことの議論になったと思うんですけれども、やはりその第三者のそういう検査制度とかいうものが必要ということになりますと、その前にいわゆる設計基準とか、そういうものが取り上げられていかなければ、そういう第三者の検査制度というものは意味をなさぬじゃないかと思うんですが、そういうことについて一、二外国でそれがうまくいった実例をごく簡単に言っていただきまして、日本でぜひこういう部面から採用していったらどうかという御意見があれがお伺いしたいと思います。
#206
○参考人(井上威恭君) ごく簡単に申しますと、アメリカとドイツなんかとは全然行き方が違っております。ドイツはTUVと称して、こういう検査をやる特殊法人会社ができまして、そこに検査員を皆まる抱えで検査機械も皆据えつけてそこで検査をする、そうしてそこでオーソライズされるという行き方でございます。アメリカの方はそうではなくて、大体に、こういう資格のあるインスペクターという認定をしまして、そういうもののナショナルボードをつくってそこの協会所属というインスペクターが検査をする、そうしてナショナルボードで認定をいたしたものがいろいろの相談に応じてやっていく。そういたしますと、たとえば保険の料率も変わってまいりますし、それからアメリカではそういう特殊な圧力容器なんかをつくる場合には、こういうインスペクターで検査してもらいなさいという項目が皆入ってきております。で、そういう圧力容器なんかで、また国際規格で、ISOTC11なんかにもやはりこの第三者インスペクターというのが入っております。それを日本で規格に直そうと思うと、はて何にもないのでいま困っておるわけです。じゃこの圧力容器をどこに持っていくかというと、労働省、通産省、消防庁、いろいろあるわけです。ところが技術を総合するのは科学技術庁ということ、そうすると科学技術庁のまたそういうところでこういう認可を得た財団あたり、あるいは協会みたいなものをつくってやったらどうかと思うんですが、そうしてうまく日本に定着するかどうか。まずお役所の抵抗が相当あるんじゃないかと思っておるんですが、これはわれわれは、いまそういう公認検査士が必要だということを訴え続けて、ひとつ皆さまの先生方の御協力を得たいと思っておる次第でございます。
#207
○三治重信君 消防庁にそういう点についてお伺いしますが、私、日本も各方面に新しい技術や産業が発展してきますと、法律やそういうものをつくるまでどうしてもおくれると思うんです。そういうものの技術程度を確保していくためには、いま井上参考人がおっしゃったように、民間のまずそういう検定会社なり自主的な協会なりというものを指導して――指導というか援助をしてつくらしていって、それに政府がいわゆる半公的な資格を付与していく、できるだけそういうものを半公的に育てていくといいと思うんですが、消防庁の方はこういう問題についてどうお考えになっておりますか、そういう方向でやることを検討したことがあるかどうか。
#208
○政府委員(森岡敞君) 私どもが現在タンクの事故原因調査委員会をやっていただいておりますが、その御論議の中でも、いま御指摘のような第三者によるチェック制度といいますか、インスペクター制度をぜひ確立すべきじゃないかということをるる御議論をしていただいております。現在ございますのは、たしか運輸省の船舶関係につきましてそういうチェック制度が、海事検定協会でございますか、ございます。それから消防用設備につきましては、スプリンクラーとか、そういうものにつきまして私どもの方で消防検定協会がございますが、陸上の構造物全般につきましてそういうふうなチェックシステム――まあ建築物は別にいたしまして――か整っていないという御議論が非常に強いわけでございます。私どもは今回のタンク事故にかんがみまして、危険物施設については、ぜひそういう専門の技術者によるチェック制度を早急につくる必要がある。消防機関によります保安点検ももちろん強化しなければなりませんが、やはりこれ限度がございますので、そういうふうな方向でぜひ検討いたしたい、かようなつもりでおります。
#209
○三治重信君 じゃ、この消防の関係をちょっとお聞きいたしますが、川崎の小林参考人並びに四日市の倉谷参考人に御意見をお伺いしたいと思いますが、単に石油コンビナートばかりでなくて、いわゆるこういうコンビナートの中において、石油ばかりでなくて非常な危険物、それから有毒物等、こういうものがどんどんふえていく中で非常な御努力をされておるわけですが、こういうものを本当に大事故があった場合に処理するのに、一川崎市、四日市市で民間の工場等の協力だけでそういう大事故や何かに対処していく処置ができると思われますか、あるいはそのほかに、とてもそういう一市や県だけでそういうものに対応できない、そういうことであるならば、消防庁なり海上保安庁なりが全国に一カ所なり数カ所そういうものについての超大型の消防設備を必要と考えておられるのか、その点ひとつ、いまのところでやはり現地でまずやっていかなければどうしようもないと考えておられるのか、現地でとてもじゃないができないと考えておられるのか、その点ひとつ伺いたい。
#210
○参考人(小林光久君) ただいま先生のお話でございますけれども、私どもは現在の立場では、これは組織法の上に消防専任というものが明確にされております。これは当然その立場に立って対応できるだけの備えもしなければならぬ、そういう考えでおります。ただ、いま持てる力におきましても、これは国の基準から申しますというとまだまだ少ないものでございます。将来、私どもといたしましても、現在のものに事甘んじるのではなくて、機材、人間等についてももっと増強していかなければならぬと考えてもおります。さらに、災害というものは、これは予測できないものでございまして、平常起きる単発災害にいたしましても、場合によっては大きな問題につながるというふうに考えております。したがって、私どものたとえば地域でもって災害が起きたという仮定のもとで私どもが対処する、その時点でどうしても川崎の消防力では足りないこともあり得るだろうという前提は考えております。したがいまして、横浜、これは神奈川県の全市との協定を結んでございますけれども、それからもう一面では東京消防庁とも協定を結んでございます。この両市に対しては、危険物災害が起きたとき、あるいは市街地の一般木造の密集地で火災が起きたとき、あるいは港湾施設でもって災害が起きたとき、こういう幾つかの決めをいたしまして、そういう災害の想定に基づいて適応する消火器材を応援にやろうと、あるいは私どもも場合によっては要請があれば行くと、こういうこともやってございます。
 それから、さらに港湾等の関連もございますが、特に私どもは港湾の沿岸施設ということに重点を置いていますけれども、川崎市、横浜市、それから千葉市、市原市、東京都と五都市の東京湾相互応援協定を結んでおりまして、場合によってはこの五都市から機械あるいは消防艇の供出を願う。いまの段階では、私どもがまず第一に責任としての立場でもって最善の努力を尽くす。最善の努力は尽すけれども、これにたえられないときにはそういう面での他都市の応援をお願いする。したがって、こういう時点では私どものコンビナートの災害に対しては一応対応できるのではないかという考えを持っております。以上でございます。
#211
○参考人(倉谷徳助君) 川崎あるいは横浜等は大規模消防陣営が整っておりますが、私どもの方は中小都市でございまして、現状では満足するものではございませんけれども、やはりわれわれはわれわれの力で対処していかなければならない。まあそのためには、県の方が各消防本部へ通知いたしまして、状況に応じては応援をもらう。先般の大協の火災の場合も、県の方は、その周辺消防本部あるいは消防団に対しまして待機命令を出していただいて、もし足らなければ、あるいはあれが朝までかかる場合には、われわれの方では交代要員も要るということになるので、出してもらえるような体制にしてございました。
#212
○三治重信君 まあ自分たちのところでできないところは協定を結んでいるから大体どうにかやっていけるだろうと、こういうような非常に力強い御発言で結構だと思いますが、ひとつ、そういうコンビナートの今後の危険に対して、単に石油ばかりでなくして、朝来からお聞しておりますと、有毒または非常な劇薬、こういうものにまでまた対処する対策をぜひひとつ考えていただくとともに、コンビナートの何と申しますか相互の援助関係といいますか、そういうものが、はたしてその各コンビナート同士の協定だけでうまくいくものか。国との関係、また国の施策というものもひとつ十分研究して対処していただきたいと思います。
 ところで、もう一点ちょっとそこでお聞きしたいのですが、先ほど来田尻参考人の御意見だと、海と陸と非常に分かれているみたいな印象を強く受けたのですが、川崎、四日市だと非常に消防署が海の、何というのですか消火艇やいろいろ、海の上もずいぶん消火できるような体制で防災対策を考えておられるようですし、こういう防災なんかを見ても港全体を考えておられるような感じがするのですが、そういうのではやはりまずいのですか。それとも海上保安庁なり、何なりがもっと消防関係もやれるようにした方がいいものか、その点について。と申しますのは、これ見ていると消防署の方がコンビナート対策として、単に消火ばかりでなくて、海の部面まで、または全部、陸・海合わした体制にどうも進んでおられるんじゃないかと思うんですね、コンビナートの火災対策として。それが法の不備として、非常に朝来田尻参考人が指摘されたのはそのとおりだと思うんですけれども、しかし、現実にそういうようにしてきた場合に、やはり保安庁の方が出ていくのがいいのか、消防署の方が海に出ていった方が現実の処理としていいのか。その点についての御意見を。
#213
○参考人(田尻宗昭君) 現実には、消防庁の方も非常に積極的に消防船等を持っておられる港も多うございます。しかしながら、現在私どもが考えておりますのは、やはり巨大タンカー時代を迎えまして非常にスケールの大きい海上消防体制というものが求められているわけです。そういう場合に、やはりどうしても法的な根拠というものが重要な意味を持ってくるわけでございまして、たとえば、これを単に海上消防法をつくって海上保安庁が海上の消防体制を確立すればいいというようなことではなくて、企業の海上の消防体制を整える。まさに、この点で海上消防法というのは大きい意味を持つと思います。やはり臨海企業というものは、コンビナートというものがまず自分たちが使用している内湾や桟橋や、あるいは自分の受け入れているタンカーが停泊している水面の消火責任、防災責任というものをはっきり企業に義務づけまして、そういう義務づけのもとに企業の側に陸上と同じようなやはりみずからの海上消防体制を整えさせるということでなければ、今日の巨大化していくタンカーにはとても消防庁や海上保安庁だけで、国の力だけでこれを防除することはできない。特に消火資材等につきましては、受け入れタンカーのトン数に見合う消火資材等をちゃんと企業が備えつけて、そしてそういう体制を整えなければ、自分の企業の防衛さえできないわけです、直ちにプラントに廷焼してくるわけでございますから。それは海岸線においても、企業が自分の消火体制を海陸一体となったものを整えるような、つまり海上消防法の中で官民の総合体制を強化しなければならないということでございます。
 それからまた、さっき申しましたけれども、特に消防法というのは防火という面でいろいろな規制をいたしております。したがいまして、その桟橋やシーバースにその適用が行われることによって桟橋の保安距離もまた法的根拠ができるのでございましょう。また桟橋の防火管理体制というものも、これはちゃんとした義務づけが行われるでありましょう。特に桟橋で起こった火災でこれから大変な問題になりますのは、船舶の原油タンカーの炎あたりが、まず火災になりますと五百メーターから千五百メーターぐらいの炎が上がるというぐあいに言われております。そうしますと、そういうような炎で一千メーター以内の危険範囲がある。人はやけどするというような状態において、もう桟橋には近寄れないわけですね。そういうときに、現在のようないわゆる桟橋やシーバースに消防法が及ばないというような状態では、消火栓や消火ホースが引いてあるだけだということで、人間は近寄れないわけです。そういう点でやはり、企業にそういう抜本的な防火体制を整えさせるためにも、一番重要な桟橋、あるいはシーバースにはっきりと消防法が及んでその義務づけを行うということが必要であります。
 それから先ほど午前中に申し上げました、乗組員に危険物取扱い責任者の免状が要らない、これははっきり消防法に書いてあるわけでございますね。その消防法が海上に及びませんので、船舶では危険物取扱い免状というものが義務づけられていない。ここにもやはり消防法が海上に及ばない欠陥が出ておるわけでございます。したがいまして、先生お尋ねのように、消防船を消防庁が一部持っているではないか。確かに持っておりますけれども、そういうようなことではもうとてもしのげない。企業側の体制、企業側の施設、あるいは施設の基準、あるいは企業側の人員が海面消火に法の保護を受けながら堂々と出てこれる。また海上における企業の消火活動につきまして命令権がございません。出動しなさいという命令権がないですね。資材をはっきり持っておきなさいという調達権もない。そういうことでは実際に海上における消火活動というものは非常に緩やかな企業の自主的な協力というようなことになりますので、この点もやはり消防法が海に及ばない大きな欠陥であると、こういうぐあいに思います。
#214
○委員長(鶴園哲夫君) 委員長からちょっとばかりお尋ねをしたいんですけれども、先ほど小林参考人がタンクは十万トンで抑えてもらいたいというようなお説を述べられたわけですが、それは消防の関係からとても十万トン以上のタンクは困るというお考えですか。
#215
○参考人(小林光久君) 先ほど私ども十万トンの容量制限をぜひしていただきたいと申しました。そのときにちょっと申しましたけれども、いま日本の国内で非常に土地の高度利用というような問題も考えられており、また通産の九十日備蓄というような問題もございますので、私どもこういう問題をからめますというと、きわめて狭い面でそういうふうに申し上げたわけです。ただ十万トンにぜひしていただきたいという理由といたしましては、私警防部長といたしまして災害が起きたときには即第一線に行くわけでございます。まず、そういう災害が起きたときにどうするかという問題に立つならば、私はぜひそうしていただきたい。いま私どもで持っている最大の機械というのは、これは毎分あわが三千リッター出る機械でございますけれども、これの射高が二十五メートル、距離にいたしましては六十メートルといいますけれども、射高は二十五メートルから二十三メートルぐらいなものでございます。現在私どもにあるタンクの高さが二十二メートル、高いものは二十四メートルございます。そうしますというとこの一番射高と申しますのは出た液の最高の頂上を申しているわけでございます。私どもが言うところの有効注水というのは、言うなれば出たものの七〇%が入るあるいは有効に働くということを言うわけでございます。こんな面から考えますというと、これ以上のものができた場合には、まあタンクにはおのおの法に定められた消火設備というのがついてございますけれども、これでもって申すならば十二分に消せるというような計算になっておりますけれども、しかし、私どもが二面そういうものを抜きにして警防上の立場から考えますというと、これには現在の機械器具では太刀打ちができない。言うなれば、いつもあとからできたものに対して警防対策が追っかけていくというような状態になります。したがって、私どもはこれ以上のものに対応できるような警防機材あるいはそういうものができた暁には、その範囲内までのものならば私はいいけれども、先へ行ってしまって常にそれに追いつくというような問題では、これは非常に現地の第一線で筒先をとる者としては非常に困る。そういう面から、私はできるならば現在の状態で抑えていただきたい、こういうことでもってお願いしたわけでございます。
#216
○委員長(鶴園哲夫君) それで、森岡次長に伺いたいのですけれども、先ほども久保委員から出ましたですが、喜入でいいますと十万トンのタンクが三十基できて、いま十五万トンのタンクが二十四基ですかできたわけですね。鹿児島の消防署というのは、川崎が持っておる機械ぐらいのものは持っているんですか。持っていないんじゃないですか。
#217
○政府委員(森岡敞君) 鹿児島の喜入基地につきましては、市町村、地元、地方当局に常備消防がございませんので、県におきまして認可なり検査なりの危険物事務を所管いたしておるわけでございます。で、そういうふうなこともございまして、確かに喜入基地の消防力は私は川崎市などに比較いたしますと大変不十分でございます。そういう意味合いで今後の法令改正も含めまして、大規模なタンクにつきましては思い切った企業の消火あるいは防災設備を拡充いたしたい、かように考えます。
#218
○委員長(鶴園哲夫君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。
 参考人の方々には、長時間にわたりまして御出席をいただき、まことにありがとうございました。感謝したします。
#219
○委員長(鶴園哲夫君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公害及び環境保全対策樹立に関する調査のため、三月十二日、参考人の出席を求め、合成洗剤と環境問題に関する件について、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#220
○委員長(鶴園哲夫君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#221
○委員長(鶴園哲夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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