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#1
第075回国会 議院運営委員会 第12号
昭和五十年五月二十二日(木曜日)
   午後五時四十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     佐藤 信二君     青井 政美君
     寺下 岩蔵君     林  ゆう君
     中西 一郎君     岩男 頴一君
     坂野 重信君     上田  稔君
     上林繁次郎君     桑名 義治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鍋島 直紹君
    理 事
                土屋 義彦君
                細川 護熙君
                宮崎 正雄君
                森  勝治君
                安永 英雄君
                黒柳  明君
                塚田 大願君
                中村 利次君
    委 員
                青井 政美君
                岩男 頴一君
                上田  稔君
                上條 勝久君
                高橋雄之助君
                戸塚 進也君
                林  ゆう君
                福岡日出麿君
                山崎 竜男君
                大塚  喬君
                片岡 勝治君
                沢田 政治君
                竹田 四郎君
                内田 善利君
                桑名 義治君
                内藤  功君
        ―――――
       議     長  河野 謙三君
       副  議  長  前田佳都男君
        ―――――
   事務局側
       事 務 総 長  岸田  實君
       事 務 次 長  植木 正張君
       議 事 部 長  鈴木 源三君
       委 員 部 長  川上 路夫君
       記 録 部 長  江上七夫介君
       警 務 部 長  指宿 清秀君
       庶 務 部 長  前川  清君
       管 理 部 長  佐橋 宣雄君
   法制局側
       法 制 局 長  杉山恵一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○決議案の委員会審査省略要求の取り扱いに関す
 る件
○本会議における議案の趣旨説明聴取及び質疑に
 関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鍋島直紹君) 議院運営委員会を開会いたします。
 決議案の委員会審査省略要求の取り扱いに関する件を議題といたします。事務総長の報告を求めます。
#3
○事務総長(岸田實君) 一昨二十日、岩間正男君外三名から、法務大臣稻葉修君問責決議案が、また向井長年君から、法務大臣稻葉修君問責決議案がそれぞれ提出されました。これらの決議案には、いずれも発議者から、委員会の審査を省略されたい旨の要求書が付されております。
 これらの要求につきまして御審議をお願いいたします。
#4
○委員長(鍋島直紹君) 本件につき御意見のある方は御発言を願います。
#5
○塚田大願君 ただいま提案されました法務大臣稻葉修君問責決議案の趣旨につきましては、その基本的な見解につきましてはこの理由の中に書かれてございますが、若干私はその補足的な意見を述べさせていただきたいと思うのです。
 まず第一に、稻葉法務大臣が五月三日の自主憲法制定国民会議の集会に出席されたということが事の発端でございました。問題はこの集会が、すでに委員会などで論議されておりますように、非常に重大な集会であった。つまり、現憲法は諸悪の根源であるという、そういう精神に貫かれた集会である。しかも同時に、非常治安立法を制定しようという運動をやっておるための集会である。こういう意味で重大なこういう反動的な改憲集会に稻葉法務大臣は出席をしている。しかも、法務大臣という名前で紹介をされ、その集会を鼓舞激励をしたというこの問題は、きわめて重大な問題だということで、国会におきましても五月七日、本院の決算委員会で野党側から追及を受けたわけであります。その際にも稻葉法務大臣は、現憲法には欠陥が多いなどという発言までやった。全くこれは、その集会に出たこと自体に対する反省がないばかりでない、重大な居直り発言だと見られるわけでございます。こういうことをやって、さらにその後、この発言が不穏当であったから取り消しますということをおっしゃっておられるのだけれども、なおかつ、現憲法は理論的に検討すべき点があるなどということをその後もおっしゃっておる。こうして一回ならず二回、三回と、いわば現憲法に対する攻撃の態度を続けられてきたということは、閣僚としての重大な責任問題だということで、国会でもこうして二週間にわたって空転をするというふうな事態になった。そういう点から言いますと、閣僚が、現憲法を尊重する義務を持っている閣僚が憲法の義務に著しく違反をしたということは、やはりこれは簡単に済ませることではない。法務大臣として、法の番人である法務大臣としてまことに不適格であるという立場からこの問責決議案を出したわけでございまして、そういう立場から、あくまでもこの法務大臣の無責任な態度、無反省な態度をまず私どもは問題にしたわけでございます。
 それから第二には、それだけでなくて、衆参の法務委員会におきましての審議の中で、先ほど言いました、憲法には理論的に検討すべき点があると言われた点について質問を受けた際に、稻葉法務大臣はその質問に対する答弁拒否をされておる。この問題も私は非常に重大な問題だと思うわけであります。憲法六十三条は閣僚の答弁義務を規定しております。つまり、閣僚の国会出席と答弁の義務の規定でございます。その義務に違反をしておるということも、これまた新しい重大な問題だと思うわけである。御承知のように、憲法は、国会を国権の最高の機関として規定しております。これは、議会制民主主義のいわば原則としているわけでございまして、この立場から憲法六十三条というのは規定されておるわけでございますから、この国会の審議の中で閣僚が答弁を拒否をするということは、これも重大な憲法違反だと私どもは考えます。
 こういう点でいろいろ国会でも論議されましたが、結論的には、稻葉さんは、これ以上答弁をすれば三木内閣の憲法を改正しないという方針に誤解を招くことになるから答弁はできないと、こうおっしゃるのですけれども、しかし、そんな理由は私は成り立たない。むしろこういう態度は、現在の憲法を嘲笑する態度ではないかと私どもは考えているわけであります。
 そういう以上の諸点から、三木内閣の法務大臣稻葉修君は国務大臣として不適格であるという立場からこの問責決議案を提出した次第でございます。これが申し上げたい第一点でございます。
 第二番目に申し上げたいのは、三木内閣の責任の問題であります。
 こうしていま申しましたように、憲法に違反する閣僚がおって、この閣僚に対して三木内閣は終始一貫これを弁護し、容認をする態度をとっておられる。そういう意味から言いますと、三木総理並びに三木内閣の責任もまた非常に重大だと思いますし、三木さんがしばしば、三木内閣は憲法を改正しないとおっしゃるけれども、こういう言明はこれらの事実によって偽りであるというふうに私どもは考えるわけであります。したがって、三木内閣が昨日の衆議院の本会議であの回答文を読み上げられましたが、こういう三木内閣の回答文を本会議で読み上げて事態を収拾するというふうな方式、やり方、これは私どもは絶対に認めることはできないのでありまして、三木内閣のこういうやり方は、いわば何といいますか、三木内閣と稻葉法務大臣の責任を免責してやるということにしかならないのでありまして、決してその責任を追及するということにはならない。したがって、私どもはこういう方式には反対であるということは申し上げてあるわけでございます。
 申し上げたいのは以上のとおりでありますが、最後に申し上げたいのは、今度のこの問題で野党がとにかく罷免、辞任ということを一貫して要求してまいりましたが、政府はそれに応じられなかった。しかし、この段階に来れば、そういう立場から言っても当然稻葉法務大臣の問責決議をやはり本会議で提出をして、そこではっきりとした決着をつけるということが議会運営のルールだと私どもは考えているわけであります。幸いに、私どもはもちろん民社党も同様な趣旨の決議案を御提出になりました。二院クラブの皆さんも賛成であるという立場と聞いておりますので、願わくば、この参議院のやはり良識を発揮する意味におきまして、この決議案に全委員の皆さんが御賛成くださることをお願いしたいと思うわけであります。
 以上であります。
#6
○中村利次君 稻葉法務大臣の五月三日、同五日の言動が国会で問題となり、両院の与野党が一致してすべてに優先する重大な政治課題という認識に立ち、国会の審議のすべてを停止してこの問題の集中審議を行ったことによって、十四日間正常な国会運営が行われなかったことを考えますときに、その因をつくった法務大臣の責任はまことに重大であると考えます。
 元来、憲法九十九条によって国務大臣、国会議員等は憲法の尊重擁護の義務を負う者でございますが、同時に、第十九条、第二十一条の思想、良心の自由と言論、表現の自由は不可侵のものであり、保障されているのでありますから、何人といえどもその意思、表現の自由が侵されるものでないことはいまさら論ずるまでもありません。そこでわれわれは、本問題の焦点を正しくとらえなければならないと存じますが、本問題は護憲か改憲かの議論でもなければ、憲法に対する三木内閣の姿勢を問うているものでもなくて、改憲を行わない方針を持つ三木内閣の法務大臣として、激しい改憲集会に出席をし、本院の委員会で現憲法を欠陥憲法ときめつけた法務大臣の言動が三木内閣の閣僚としてその責任を問われているのであります。したがって、三木内閣が改憲の意思のないことをいろいろの表現技術を用いて表現したといたしましても、それは明らかに問題のすりかえにすぎず、法務大臣の責任問題の決着には何ら関係がないわけであります。その立場に立って、両院の集中審議を中心として問題の経過を見ますと、一つ、法務大臣の言動が慎重を欠き不適切なものであり、はなはだ遺憾であるということは総理法務大臣もこれを認めているということである。
 二つ目に、本院の決算委員会での法務大臣の発言はこれを取り消す。
 三つ目に、今後三木内閣の閣僚は改憲集会に出席させない。
 四つ目に、憲法記念日にその趣旨に沿って内閣の責任で記念行事を行う等が明らかにされたわけであります。
 記念行事については、新たな前進としてわが党もこれを歓迎するものでありますけれども、これらのことは法務大臣の重大な責任を解明することには全く無縁なことでありまして、改憲の党是を持つ自民党政権としての三木内閣が改憲をしないという方針を持つことは、皮肉にも法務大臣の重大な責任問題を惹起することにはなりましたけれども、われわれは、その方針をあらためて明確にしたということが法務大臣の責任問題を解決するものと評価することはできません。私たちは、三木内閣の方針にかかわりなく、政府・自民党は改憲発議の三分の二以上の国会議席を持たない。その意味では、改憲をしないのではなく、改憲ができないのだという認識に立っています。
 法務大臣による決算委員会の発言取り消しも国会対策上の単なる手法にすぎず、閣僚を今後改憲集会に出席させないというに至っては、まさに問題錯誤のきわみと言うべきでありまして、今後出席してはいけない集会にすでに出席をした者の責任をどうするのか。反省するから許してくれいでは全く筋の通らないことである。審議の経過と結果を通じ、改憲をしないという三木内閣の閣僚としての法務大臣の責任という冷厳な事実を、三木内閣特有の心情的国会対策にすりかえて、本質に無縁の答弁、見解書等の繰り返しに終始したことは、きわめて遺憾と言うべきであります。われわれは稻葉修君個人の信念や言論を問題にするのではありません。三木内閣の閣僚としての稻葉法務大臣の責任を問題にしているのであります。そして、その責任は、審議を通じてますます重く、そして大きいことが明らかになった以上、法務大臣の問責以外にこの問題の決着はないものと確信をいたします。
 どうか本委員会におきまして、この問責決議案を本会議に上程をして、堂々と理非曲直を問う機会を与えられますことをお願いをいたしまして私の意見を終わります。
#7
○委員長(鍋島直紹君) 他に御発言もなければ、本件につき採決を行います。
 両決議案の委員会審査を省略することに賛成の諸君の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#8
○委員長(鍋島直紹君) 少数と認めます。よって、委員会審査省略要求の件は否決されました。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(鍋島直紹君) 次に、本会議における議案の趣旨説明聴取及び質疑に関する件を議題といたします。
 去る四月二十四日に衆議院から送付されました国民年金法等の一部を改正する法律案並びに去る五月六日衆議院から送付されました酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につき、次回の本会議においてその趣旨説明を聴取する件についてお諮りをいたします。
 本件に賛成の諸君の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#10
○委員長(鍋島直紹君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本件の可否を決します。
 委員長は、国民年金法等の一部を改正する法律案外二件について次回の本会議においてその趣旨説明を聴取すべきものと決定いたします。
 なお、三法案の趣旨説明に対する質疑の時間等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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