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#1
第075回国会 決算委員会 第3号
昭和五十年一月二十三日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十二日
    辞任         補欠選任
     市川 房枝君     野末 陳平君
 一月二十三日
    辞任         補欠選任
     寺下 岩蔵君     上條 勝久君
     神谷信之助君     内藤  功君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         前川  旦君
    理 事
                今泉 正二君
                鈴木 省吾君
                園田 清充君
                小谷  守君
    委 員
                石本  茂君
                岩男 頴一君
                遠藤  要君
                上條 勝久君
                河本嘉久蔵君
                木内 四郎君
                小林 国司君
                望月 邦夫君
               茜ケ久保重光君
                案納  勝君
                久保  亘君
                小山 一平君
                二宮 文造君
                峯山 昭範君
                加藤  進君
                内藤  功君
                田渕 哲也君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
   政府委員
       大蔵政務次官   梶木 又三君
       国税庁次長    磯辺 律男君
       国税庁直税部長  横井 正美君
       国税庁調査査察
       部長       渡邊 喜一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第一局長   高橋 保司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十七年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十七
 年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣
 提出)
○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第七十二回国会内閣提出)
○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第七十二回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十二日、市川房枝君が委員を辞任され、その補欠として野末陳平君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、大蔵省関係の審査を行ないますが、本件につきましては昨年十月二十五日に第一回審査を行なって以来十一月十四日、十五日、二十六日及び二十七日と集中してこれを行なってまいりましたが、本日もこれらにあわせて審査を続行いたします。
 なお、本日の議事の進め方につきましては、前回までに各質疑者から出された田中前内閣総理大臣の資産問題及びそれらに関する企業についての資料の提出並びに委員会中委員から国税庁当局に対し再調査を要求した諸問題をあわせて取り扱うことといたしましたが、これらに対する国税庁当局の調査結了が三月一ぱいかかる見通しとなったため、理事会協議の結果、現時点における中間報告を聴取することで大平大蔵大臣及び磯辺国税庁次長からその説明を求めることとした次第であります。したがいまして、本日の質疑もその中間報告を基盤として各党質疑を行なうことで意見が一致いたしました。
 以上、簡単に御報告いたしましたが、委員各位の御協力をお願いいたし、これより直ちに大平大蔵大臣の説明及び磯辺国税庁次長の補足説明を聴取いたすことにいたします。それでは、大平大蔵大臣。
#4
○国務大臣(大平正芳君) 田中角榮氏並びにその親族など及びその関連企業として指摘されております法人に関する課税関係の見直しのための調査状況を御報告するに先立ちまして、委員各位に一言お断わりを申し上げたいと存じます。
 昨年十二月二十三日の参議院予算委員会におきまして内閣総理大臣から申し述べましたとおり、政府としては、国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう、政府の立場から許される最大限の協力をなすべきものと考えており、今回の報告もそのような考え方に基づくものであります。ただ、国の財政収入の大半を支え、かつ納税者の協力を前提とする税務行政の性格上、個々の納税者についての申告、調査の内容等、詳細にわたることは御報告をいたしかねる場合が多いことをあらかじめ御了承いただきたいと存じます。
 そこで、見直し調査の状況について申し上げますと、調査はなお現在続行中でありまして終了しておりませんが、東京国税局及び関東信越国税局を中心に多数の職員を動員し、田中氏本人の所得のほか、親族、秘書等の関係者数名の所得並びに室町産業等の関連企業といわれるものの所得につき、申告・課税の状況が適正かどうかを詳細に調査いたしております。
 現段階までに把握したところでは、全体として特に問題とすべき大きな誤りは発見されておりませんが、所得計算にあたっての誤り、あるいは先方の処理と税務当局の解釈との食い違い等が見受けられましたので、それらについては、なお念査いましておるところであります。
 国税当局といたしましては、さらに引き続き調査を続行し、三月中を目途に結論を出し、これに基づき適正な処理を行なうことといたしております。
 以上、見直し調査の概況を申し上げましたが、なお事務当局より補足説明をいたさせます。
#5
○委員長(前川旦君) 磯辺国税庁次長。
#6
○政府委員(磯辺律男君) 田中角榮氏並びにその親族及びいわゆる関連法人についての調査の概況につきまして、ただいま大蔵大臣のほうからその概要を御報告いたしましたが、命によりまして、その補足説明をさしていただきます。
 田中角榮氏並びにその親族及び関連企業として指摘されております法人に関する課税関係の見直しの調査につきましては、ただいま大蔵大臣から申し上げましたとおり、現在のところ調査はまだ続行中でございまして終了してはおりませんけれども、現在までの調査状況は以下申し上げるとおりでございます。
 まず第一に、調査の概況でありますが、調査を担当していますところは東京国税局、関東信越国税局の直税部及び調査部が中心となっております。もちろんこれは両局にまたがり、また国税局、税務署に関連することでございますし、また事案が当委員会はじめ、国会でもいろいろと論議され、また国民の方々の非常な関心を呼んでおる事項でございますので、国税庁が全体の調査についての指揮をとっております。したがいまして、これの担当の部局は国税庁も一枚というよりは総合調整並びに指導に当たっていると申してもいいかと思います。
 このような調査体制のもとに現在までのところこの調査に従事しております人員は、国税庁、東京国税局、関東信越国税局、その職員を合わせまして、一日に平均約二十人を動員しておるというのが、ただいままでの実績でございます。
 なお、調査に際しましては、これは一般の法人あるいは納税者の方に対する調査と同様に、関係者の出頭を求めまして事情を聴取する、あるいは関係帳簿書類を提出していただく、それからまた、各種の資料証拠、それを提出していただくというふうなかっこうで調査を進めておりますが、必要に応じ、またいろいろの現地に参りまして現場確認を行なう、そういった調査を続けております。
 調査の対象といたしましては、だいま大臣のほうから御報告いたしましたとおり、個人関係につきましては、田中角榮氏ほか、当委員会あるいは新聞、雑誌等で取り上げられました関係者数名についての所得税、贈与税についてであります。また法人関係といたしましては、当委員会で昨年、私のほうから御報告いたしましたとおり、新星企業、室町産業、パール産業、東京ニューハウス、浦浜開発等、いわゆる田中角榮氏との関連が濃いと思われる会社につきまして、これは直接に調査をいたしております。それからまた、この調査に関連いたしまして、取引先あるいは反面調査、それからまた資産の移動、売買、そういったことが行なわれておる会社十数社についても、その法人税につきまして見直しの調査を続行いたしております。
 調査の対象となります期間としましては、租税債権の遡求し得る五年以前にさかのぼって詳細に調査いたしておりますけれども、必要に応じまして、その以前の時期につきましても補完調査をいたしております。
 次に、調査の重点項目であります。これにつきましては、まず個人の所得税それから贈与税等につきましては、これは御承知のように個人の所得といいますのは、国会議員としての歳費収入、あるいは関係会社からの給料、あるいは顧問料、それからまた関係会社を退職したときに受領する退職金、そういったものからなっておるというのが、これは通例よく見られる例ではございますけれども、田中角榮氏の給料与所得についても同様なものからなっております。したがいまして、そういったいわゆる給与所得につきまして、その各種資料を総合する、あるいは支払った先の関係会社の帳簿を調べる、そういったことによりまして受領しております給与の申告漏れがないかどうか、それからまた、給与所得あるいは退職所得、そういったものの混淆がないかどうか、もちろん給与所得、退職所得の計算は税務上違いますので、その混淆があり、あるいはその区分が適正に行なわれていませんと所得並びに税額に影響がございます。そういった意味におきまして、給与所得の内容一つ一つを洗い、出されましたその資金の性格、それを検討し、その結果給与所得として、それを区分するものが正しいかどうか、そういったことについての検討をいたしております。
 それから、当委員会等でも問題として指摘されました競争馬にかかる収入がございます。これは御承知のとおりでございますが、この競争馬にかかる収支というものは、実は計算として非常に複雑でございます。これについて雑所得として計算するのが通例でございますけれども、そのほか馬の減価償却であるとかいうようなこと、それから馬を譲渡したとすれば、その譲渡所得がどうなっておるかというふうなこと、それから厩舎に委託しておりますから、そういった競争馬を管理、維持するための各種の経費それが適正に計算されているかどうかというふうなこと、そういったことにつきまして、これもまた詳細な調査を続行いたしております。もちろんその前提といたしましては、その競争馬にかかる賞金、あるいは副賞としての各種の品物でございますね、そういったものが適正に計上され、申告されておるかということを念査するというのは、これはもちろん大前提でございます。
 それから、また雑所得といたしまして、やはり、これは田中さんのみならず、一般の人、特に国会議員の先生方には多い事例でございますけれども、やはり原稿をお書きになる、それからテレビ、ラジオに御出演になる、そういった場合の原稿料、それから出演料、これはもちろん雑所得でございます。で、そういった雑所得の支払い、それの裏づけ調査をいたしまして、それが適正に全部申告され、計上されているかどうかということもこれまた私どもの調査の対象となっております。
 それからさらにまた、いろいろと問題になりました、たとえば目白の田中邸の中に東京ニューハウスの敷地がある、それを田中角榮氏が無償で使用しているんではないかと、つまり関連企業から利益を享受しておるではないか、こういったものに対する課税関係はどうかというふうな御指摘もございました。したがいまして、私たちは、この東京ニューハウス関係のみならず、いわゆる関連企業、それからまたその他の関係会社等から経済的な利益を享受しておるのではないか、あるとすればどのようにその経済的利益を算定すべきか、その結果、これをどういうふうに処理すべきかということもまた調査の重点項目の一つとなっております。
 それからさらに、これはまた政治資金の問題であります。私どもの政治資金納付にかかります課税というのは、御承知のようにこれは雑所得として計算いたすことになっております。政治資金として受け入れられました資金、それが政治活動として支出される、そういった場合にはそこの収支はゼロであります。したがいまして、政治資金の流入がいかに大きいからといって、それが直ちに課税の対象になるものではございませんで、これが政治活動等のための資金としてそれが外部に出る限りにおいてはそれは全部差っ引かれる。したがって、それは収支ゼロであるか、あるいは場合によってはそれが赤字になるというふうなこともあろうかと思います。したがいまして、政治資金の課税ということが雑所得として課税が行なわれますのは、その政治資金というものが私的財産の形成につながってきたといったような場合に課税の対象になるということはこれは御承知のとおりでありますけれども、そういった意味で政治資金というものが個人の資産形成につながっていないかどうか、それも詳細に調査いたしております。
 それからこれは全般的なものでございますけれども、所得計算いたしますときには収入から経費を引く、そしてその残りが所得として課税対象になるということでございますが、その経費の引くについての引き方が正当であるかどうか。また、逆な意味において引き足らないものもあるのではないか。たとえば原稿をお書きになる、本をお出しになる、そういった場合のいわゆる原稿料収入というものは直ちに収入金がそのまま課税対象になるのではございませんで、それに対する各種のいろいろな調査のための費用とかそういったものは当然差っ引かないかぬわけでございますけれども、そういったいわゆるマイナス要因、そういったものも適正に計算されているかどうかということも同時に、これは漏れだけではなくて、適正な経費が引かれているかどうかということもあわせて検討いたしております。
 それからまた、税額控除、つまり配当等ございました場合には、その源泉で引かれました税額というものは、当然総合申告でいたしますときには納付すべき税額からすでに源泉で徴収されました税額を引くというたてまえでございますけれども、そういった税額控除が適正に行なわれて、最終的な税額は正しく計算されているかどうか、それも調査の対象でございます。
 そのようなことを通じまして、当委員会等でもいろいろと御議論になっております問題について私どもは深く調査を続けておるということを申し上げたいと思うのであります。
 以上は個人の所得税それから贈与税の問題でございますが、法人関係について申し上げますと、いわゆる関連法人と申しますのは、不動産の取得とか、売却、保有、そういったのが中心でございますけれども、その法人につきまして土地建物の取得価格あるいは譲渡の価格というものが適正かどうかということ、これは当該法人の所得内容を調査する場合についてのまず第一の眼目であります。そこに低額譲渡というものがないか、あるいは高価買い入れというものがないかというふうなこと、これは私どもの調査の対象の大きな柱でございます。
 それから株主、当委員会でも非常に議論をされましたいわゆる株主の問題でありますけれども、その株主というものがすべて真正の株主であるかどうか、それは真正の株主のほかにいわゆる名義株というものがあるのではないか、それからまた、名義株があるとすれば真正の株主はどれどれであるか、どれどれの株主というものが一体どういうふうな資金繰りによってその増資払い込み資金に応ずることができたかといったような観点から株主の実態把握、それを私どもは続けております。
 それからこれは田中角榮氏の、会社から受けたと思われます経済的利益、それの問題のうらはらになるわけでありますけれども、会社側のほうから個人に対して経済的利益を与えたということになりますと、それが今度は法人税のほうにまたはね返ってまいります。それをどういうふうに見るか、経費として見るか、あるいは寄付として見るか、いろいろな見方があろうかと思います。たとえばある会社が一定の土地を持っていましてそれを個人に無償で貸したといったような場合、それは個人については当然経済的な利益を受けるわけでありますから、それは所得に加算して課税の対象となります。しからば無償で貸し与えた法人のほうの所得計算はどうなるかと申しますと、やはりこれは寄付行為と――寄付ということに見られるかと思います。したがって、そういった意味におきましては当該法人の寄付金として限度計算をし、その限度を越えたものであれば課税の対象になるというふうなことでございまして、これは法人、個人間のそういった経済的利益の供与についての課税関係を法人の面からも洗っておるわけであります。
 それからこれは全般的にいえることでありますけれども、収益及び費用の計上というものが正当であるかどうかということ、これは法人税の調査をするにあたって私どもが調査の対象にするということは当然でございます。そういったことを通じましてただいま法人の調査をいたしております。
 以上のようなその調査は、最初に申し上げましたとおり、原則として過去五年間にさかのぼっております。それからまた、必要に応じまして五年以前にもさかのぼって、当時の資料あるいは関係者の供述等についてできるだけの調査をいたしておるわけであります。このような調査をいたしておるわけでありますけれども、現在まだ引き続き調査を進めております。最終的なまだ結論は出ておりませんけれども、大臣の御発言のとおり、現在までのところ特に大きな非違が発見されたというふうなことは私どもは承知いたしておりません。ただ先ほどるる申し上げましたとおり、各種の計算誤謬であるとか、あるいはミスであるとか、あるいは税務当局との解釈の食い違い、そういったもの、具体的に申しましたならば、そういった関係会社から受けました利益の供与、そういった点につきましてはやはりこれは一つのミスとも言えましょう。それから同時に、これについての税務当局と当人との間の解釈の違いということも含まれるかと思います。そういったことを中心といたしまして、その申告所得につきましての若干――若干といいますか、それはいろいろな見方があろうかと思いますれども、ミスがあるということは事実でございます。したがいまして、私たちはそういった事実につきましてさらに念査をし、その解釈、取り扱い、処理、そういったものについての結論を急いでおる段階でございます。ただいまのところこの調査等は三月一ぱいをめどということにいたしておりますけれども、私ども国税当局の、事務当局といたしましては、漫然と日を延ばしておるという考えは全然ございません。特に第一線の諸君は、通常の事務処理のほかに、この新しく出ました田中角榮氏の課税関係、その問題についての、思いがけないといいますか、仕事がふえたわけでございます。そういった意味で、通常の事務処理のほかにさらにこの仕事に鋭意取り組んでおるわけでございまして、その意味におきましてもできるだけ早くこの問題を処理いたしまして、国税というものの仕事についての納税者各位の御信頼を得たいというふうに私たちは心から願っております。
 で、この席上におきまして具体的な数字にわたることの御回答ができないということは非常に残念でございますけれども、しかし、私ども第一線の職員がこの問題については真剣に取り組んでおるということを御了承をいただきまして、どうかよろしくお願いいたしたいと、かように考えております。
 以上をもちまして、簡単でございますけれども、中間報告の補足説明をさしていただきます。
#7
○委員長(前川旦君) 以上をもって説明聴取を終わります。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(前川旦君) 委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、寺下岩蔵君及び神谷信之助君が委員を辞任され、その補欠として上條勝久君及び内藤功君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(前川旦君) それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○久保亘君 私は最初に大蔵大臣に、守秘義務と国政調査権の関係について、先般参議院予算委員会において統一見解を示されておりますその内容について、本日の審議と関係がありますので、最初にお尋ねをいたします。
 統一見解の第二項で述べられております守秘義務と国政調査権の公益の比較考量について、今日問題となっておりますいわゆる田中金脈の疑惑については、これは一般論としてではなくて、具体的なケースに対して判断を求められている問題であると考えております。三木総理大臣はこの問題について、第一次的判断は大蔵大臣にゆだねてあると申されておりますので、大平大蔵大臣は、このすでにケースがきまっております田中金脈の問題についてこの統一見解をどのように判断をされておるのか、その点についてお尋ねいたします。
#11
○国務大臣(大平正芳君) 久保委員の御質疑の御真意がどこにあるのか、ちょっと私に十分くみ取れないところがあるかもしれませんけれども、私といたしましては、総理大臣が言われましたように、政府の立場で国会の国政の御調査に、許された最大限の協力をしなければならぬと心得ております。
 で、その場合、いま田中角榮氏の場合が具体的ケースとして出ておるじゃないかという御指摘でございます。これは仰せのとおりと心得ております。この場合、田中さんは一納税者という資格において本委員会でたとえば取り扱っていただけるか、それとも、総理大臣あるいは著名の政治家という立場において特に問題にすべき人なのか、そういう国会が取り上げられる場合の基準というふうなものがおありになるだろうと思うのであります。で、いままで私が伺っておるところにおきましては、申すまでもなく田中さんは内閣総理大臣であられた方でございますので、単なる一納税者というのでなくて、この方の財産問題はできるだけ詳細に解明すべきであるというお立場が国会においてとられておるお立場であろうと思うのであります。
 そこで、ところが私ども大蔵省あるいは国税庁当局といたしましては、田中さんもそういうお立場にある方ではございますけれども、税制の上から申しますと一納税者にすぎないわけでございまして、四十八年度申告納税人員は八百万おるわけでございますから、そのうちの一人にすぎない。で、それを取り扱うために申告所得税関係の定員は約一万名おるわけでございますから、私ども、この問題について誠心誠意見直しの調査をいたすわけでございますけれども、この問題にバランスを失したエネルギーを使うということもいかがかと思うのでございまして、具体的なケースの判断といたしまして、いま私と国税当局が補足説明いたしましたようなところで、精一ぱい見直し調査をやっておりますと、具体的ケースにつきまして。で、それは今日の置かれた状況のもとにおいてこの具体的ケースを処理いたすところといたしましてはたして妥当かどうかという御判断をいま私はこの委員会に求めておると思うのでありまして、こいねがわくは、私といたしましてはこの具体的ケースにつきまして、国税当局といたしましては精一ぱいやっておるつもりでございまするし、また、この問題について、これを粗漏にするというようなことをやったのではとても全国民の信頼を国税当局につなぎとめることはできないこと、先ほど磯辺君が申したとおりでございますので、国会におかれましても私どもの誠意のあるところを御了得いただいて、御理解を賜わりたいというのが私の心境でございます。
#12
○久保亘君 私が質問をしていることに的確にお答えいただきたいと思うんです。私は、国税庁がいま見直し調査をやっていることについて聞いているのではなくて、見直し調査をやっていること、あるいは過去に確定申告をされたものやその調査資料などについて、国会が委員会として調査をしたいので資料の提出を求めてるわけでしょう、そのことについて統一見解が示されたんです。だから、その統一見解において、国益の比較考量によって判断されるとなっておるんです。国益の比較考量によって判断されるという場合に、この田中金脈と総称されている田中角榮氏の財産形成やあるいは申告課税にまつわる疑惑については、国益、公益という立場に立ってどう判断をされるのですか、ということを聞いてるんです。国政調査権がどこまで認められるべきであるとお考えになっているかということを私はお聞きしているんです。どうもあなたの答弁は要領を得ませんので、次のことを聞きますが、その第三項に「政府の立場から許される最大限の協力を」したいということを申されております。で、きょうもまたあなたの最初の御説明の中でそのような立場からきょうはここに報告をするということを述べられておるんでありますが、一体「最大限の協力」というのはどこまでを「最大限の協力」とお考えになっておるんですか。具体的にはこの委員会が調査の必要上求めた資料が数多くありまして、その資料はいまだに未提出のままになっております。で、その資料がなければ委員会の審議に、国政調査に非常に支障があるとわれわれの側は主張しているわけであります。で、それらの点について、この具体的なケースについて具体的にお答えにならなければ、「最大限の協力」の立場に立って考えておるということは単なることばにすぎない。むしろ、守秘義務をたてにとって最大限の非協力を行なっている、こういうことになりはしないかと思うんであります。だから「最大限の協力」というのをどの範囲でお考えになっておるのか、具体的にお答えいただきたいと思うんです。そのお答えをいただくにあたって、先ほどあなたが田中角榮氏を一納税者として見るか、政治家として見るか、総理大臣として見るかということについてお話がありましたけれども、私は国税局が田中角榮氏の納税について事務的に処理していく場合には、きびしく一納税者としての立場で当たらなければならぬと思っております。しかし、その政治的責任というものが追及される場合にはおのずから問題は別であります。そこに国政調査の問題があるわけであります。で、三木総理大臣は口ぐせのように、「信なくして立たず」ということを言われる。また、副総理の福田さんも「保守革命に賭ける」という今度の総裁を目ざされた著作の巻頭に、「信なくして政立たず」と書かれておるんです。あなたからいただきました「新しい社会の創造」という冊子がありまして、去年私が国会へ参りましたときに一番最初にいただいたパンフレットでありますが、これを見ますと、この中にもあなたもやっぱり同じようなことを言われておるんであります。で、どういうことを言われているかといいますと、いま国民に対して課題の解決に対しての同意や協力を求めるならば、その前提となるべき政治家自身の姿勢がまず問われにゃならぬということをあなたは演説されたでしょう。そういうような立場に立って考えるならば、政治の信頼というものの基本となるべき政治家の姿勢というものについては、私はおのずから一納税者としての問題ではなくて、国家の大きな利益、国民の利益という立場に立って、問題はその真実が明らかにされなければならないと考えているわけです。で、田中さん自身も十一月十一日の記者会見で、私も専門のスタッフをそろえていま事実調査を逐条的にやっている、何にも違法なこともやっておらぬし、地位利用もやっておらぬ、必ずこの疑惑を国民の前に晴らしてみせると、こう言われておるんでしょう。それならば、あなたはもっとこの問題について国政調査に対して積極的に協力する、その具体的な中身を通して、「最大限の協力」というものを実証しなければいかぬと、こう思うのですが、その点について大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#13
○国務大臣(大平正芳君) 久保委員もいみじくも言われましたように、田中さんも納税者の一人でございまして、あなたと私との見解違いません。したがいまして、この問題、国税当局を御信頼いただきまして、田中さんの課税、財産形成という問題につきまして国税庁が見直しをいたしておるわけでございますので、それを全幅的に御信頼をいただきたいと私は思うのでありますが、守秘義務は国会に対して政府側が事実を隠蔽するたてに使うものではないわけでございまして、税法上税務官吏に守るべき義務として国会の立法を通じて課せられておる責任なんでございまして、田中さんの場合であろうとどなたであろうと明らかにできないことはできないという立場を貫いておりまするし、それなるがゆえに国税当局というのはそれだけの国民の信任を私は得ておると思うものであります。したがって、衆参両院におきましてこの問題につきましてはひとつ国税当局を信頼してやろうということもひとつの態度であろうと思うのでありますし、ぼくはそれをこいねがっておるわけでございます。
 で、ところが、いま久保さんも言われましたように、田中さんはしかし内閣総理大臣であられた方でございまするし、このケースは政治問題として非常に大きな問題となったわけでございますから、できるだけ国会かこの問題の実相を掌握されて解明し、政治の信頼というものを確立しなけりやならないということを思われることは私は当然の道行きであろうと思うのであります。したがいまして、一方において国税当局としては守秘義務を持っておると、しかし一方においてそういう国会の御要請を受けておるこういう田中角榮の財産問題という具体的ケースがここに出てきたわけでございまするので、これについて「最大限の協力」をするということでございます。それで、いま私どもがいたしておりまする御協力、そしてこれから御質疑を通じてこちらが解明を申し上げることを政府が最大限の御協力を申し上げておる具体的な実行であるというように御理解をいただきたいと思います。
#14
○久保亘君 そうすると、具体的にお聞きいたしますが、結局ですね、守秘義務があるからいま当委員会か求めている資料の提出には応じられないと、こういうことですか。
#15
○国務大臣(大平正芳君) 資料の御提出に応じられるものもございますれば、御質疑に対しまして答えられるものもありますし、答えられないものもあるわけでございます。で、ただわれわれは、いま精一ぱい、補足説明を通じて明らかにいたしましたように、この問題につきましては、前からもうしろからも、縦からも横からも、歴史的な経過からも、事案については非常に克明な調査をやっておるということでございまして、それの数字的な詳細な説明は守秘義務の関係上できないけれども、言わんとするところ、訴えんとするところは久保さんのお気持ちにも訴えるところがあったのではないかと私は思います。(笑声)
#16
○久保亘君 それでは、私はまだいまの問題についてもう少し大蔵大臣の所見を伺っておきたいと思うのですけれども、時間の関係もありますから、先ほど国税庁から見直し調査の中間報告がなされております問題について具体的に数点のお尋ねをいたしたいと思います。
 最初に、この調査を直接指揮しているのは、先ほど御説明がありましたけれども、責任者になっている者、この調査の全体的な取りまとめと指揮をやっている責任者はだれか、それをお知らせいただきたいと思います。
#17
○政府委員(磯辺律男君) 税務の執行に関することでございますので、国税庁長官であると申してもよいかと思います。ただ、具体的な調査にあたりましては、先ほど申し上げましたように、東京国税局では直税部長と、それから調査第三部長、それから関東信越国税局におきましては、直税部長と、それから関東信越国税局は調査部と査察部が一緒になっておりますから調査査察部長ということになっております。それから、国税庁でこの問題を担当しておりますのは国税庁の直税部長と調査査察部長でございまして、それを全部統括しておりますのが国税庁の次長の磯辺でございます。
#18
○久保亘君 次に、調査対象となっている――先ほど個人については田中角榮氏とその関係者数名、こういうふうに申されました。企業については、当面五社とそれに関係してくると思われる十三社、こういうふうに先ほど報告されておりますが、その五社については企業名をあげられております、それから、個人については田中角榮氏だけをあげられております。いま調査されております個人の名前と十三社の企業名をお知らせください。
#19
○政府委員(磯辺律男君) 先にお答えいたしますけれども、法人につきましては、十三社ではない、十数社と申し上げたのでございます。その点は、御訂正いただきます。
 個人につきましては、田中角榮氏、それからこれは私どもが調査をしておりますというのは、必ずしもその人個人の所得について疑念があるという意味ではございませんで、その中には田中角榮さんの所得の内容調査についてはいろいろと関連が出てくる、あるいは裏づけ調査をしなきゃいかぬというふうな意味におきまして調査をしておる方もおられるわけでございまして、ですから、そういった特定の人の名前を全部申し上げるというのはいかがかと思いますけれども、よく国会でも御指摘になられ、それからまた、いろいろと報道機関でも取り上げられておられる方々、つまり秘書の山田さんであるとか、それから入内島氏であるとか、それから佐藤昭氏であるとか、それからまた、越山会の関係の職員の方であるとか、そういった方々が中心になっております。それから、必要に応じまして、その先、その裏というふうなかっこうで調査をいたしております。
 それから、関係法人につきましても、これも個人についてと同じように必ずしも当該法人の所得に問題があるというわけではございませんが、そのほかここで、かつて当委員会で私のほうから御答弁申し上げましたが、田中土建、それから日本電建、それから国際興業、それから新潟交通、越後交通、国際不動産、そういったところがいま中心となっております。
#20
○久保亘君 先ほど調査にあたっては、直接関係者に出頭を求めて事情聴取を行なったり、あるいは資料の提出を求めたり、帳簿の査察をしたりということを申されておりますが、この個人や法人について直接出頭を求められた方の名前をお知らせください。
#21
○政府委員(磯辺律男君) 法人につきましては、主として山田氏でございます。
#22
○久保亘君 個人ですか。
#23
○政府委員(磯辺律男君) 法人の帳簿書類等について内容をお聞きする場合に、直接お聞きしているのは山田泰司さんでございます。この方が関連企業の会計責任者ということになっておりますので、主として山田泰司氏というのが法人関係については中心でございます。もちろんそのほかにも若干サブ的な補助的な方はおられますけれども、そういった方でございます。
 それから個人につきましてはただいま申し上げましたような方の出頭を求めて聞いております。
#24
○久保亘君 いま申されたような方ということになりますと田中角榮氏に対しても出頭を求められておりますか。
#25
○政府委員(磯辺律男君) ただいままでのところ田中角榮氏には出頭を求めておりません。しかしこれは必要と認めた場合、あるいは田中角榮氏に直接お聞きしなければわからないといったような問題がございましたらそのときには田中角榮氏に直接事情をお聞きするということになろうかと思います。
#26
○久保亘君 それはたいへんおかしいんじゃないですか。先ほど大蔵大臣は、田中角榮氏といえども一納税者として取り扱うのであって、何ら区別をして扱わない、こう言われておりました。一般にはこれらの問題で調査をされる、特き特別調査が見直しという形で行なわれるような場合にその申告者本人についてその出頭を求められないというのは非常におかしなやり方じゃありませんか。
#27
○政府委員(磯辺律男君) 通常私たちが社会的に非常に御多忙な人の個人の所得について調査いたしますときは、通常そういった方には秘書の方がおられます。したがってまず秘書の方にほとんど接触いたしましてずっと内容をお聞きするというのが通常でございまして、最終的にはその秘書でわからない、会計責任、会計の担当者でわからないといったような問題になって初めて本人にお会いするというのが、これは田中角榮氏だけではなくて、はなはだ恐縮でございますけれども、一般に国会議員の先生方等について調査いたしますときにはたいがいもう秘書の方で済ましているというのが実情でございます。
#28
○久保亘君 そういうことだとさっき大蔵大臣が言っておられる、国会議員といえども総理大臣といえども一納税者であることには何ら変わりはない、税務当局としてはそのような立場で厳正に当たっていると言われることが違ってくるじゃありませんか。国会議員は特別扱いにするということをあなた方きめているんですか。
#29
○政府委員(磯辺律男君) 国会議員の先生方を特別扱いしておるという意味じゃございませんで、社会的あるいはいろんな公職につかれたり社会的に御多忙であるとか、あるいは公職につかれてなかなかお時間をいただけないといったような場合には御本人そのものの時間のつくのをお待ちするよりはその事情をよく知っておる秘書の方であるとかあるいは会計の責任者であるといったような方にお会いしていってずっと調査を先に進めていくというのが一番能率的でございます。それで、最終的にもそれでわかればよろしいのですけれども、なおかつ御本人に聞かなければわからないような問題が出てきた場合には無理にその御本人のお時間をいただいてそこでお聞きするというふうなことをやっておりまして、それは何も田中角榮氏を特別扱いにするというわけではございませんで、私たちの調査というものを能率的に運ぶための方法でございます。これは一般にそういった方法をとっております。
#30
○久保亘君 あなたがいま言われたことは全国の税務署のいろいろな調査について、多忙な方については秘書や代理人をもっていろいろ調査をすると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#31
○政府委員(磯辺律男君) それは最終的な調査でございませんで、その秘書について事情をお聞きしたり、説明を求めたりするということでございます。したがいまして、正式に言いましたならば、当該御本人の税務につきまして国税局の調査に応じ、それからまたいろいろと説明を求めるというのは資格のある税理士であるとか、あるいは弁護士であるとか、そういった方でなければならないことでございますけれども、ただ、その前段階としていろいろな事情をお聞きしたり、あるいは数字の疑問点をお聞きしたりするような場合には、やはり御当人の内容を一番よく知っている方についてお聞きして固めていくというやり方をとっておるわけでございます。
#32
○久保亘君 この場合は普通の確定申告について調査をされるという場合とは違うんですよ。最初は、あなた方は十月の段階では確定申告の調査などは適正に処理されている、こういうふうに答えられているわけです。十一月になってから再調査を始めていると言われている。そして、見直し調査について中間報告をしなければならないような状態になってきている。そういうような問題について、申告者本人に一ぺんも会わないという調査がありますか。しかも、申告者のほうは記者会見を通じて天下に、おれは専門のスタッフを通じて逐条ごとに調査さしていると大みえを切っておられるんですよ。だから、そういう方に来てもらって、ちゃんと事情を聞かれたらいいじゃないですか。何かこわくてやれぬのですか。非常に多忙だと言っておられるけれども、私たちが新聞でお見受けするところでは、ちょいちょいゴルフにも行っていらっしゃるし、一日お休みになればいいじゃないですか。そういう時間がとれないということは、疑惑はおれが晴らすと言われたことと全く違ってくるんですよ。だから、田中角榮氏に出頭を求めて、そしていま国税当局が疑問に思っていることについて事情聴取を行なわれるべきだと思いますが、どうですか。
#33
○政府委員(磯辺律男君) そういった必要が生じた場合には、私どもは田中角榮氏直接御本人につきまして事情聴取する考えでございます。
#34
○久保亘君 ぜひいま言われたとおり、特に五年もさかのぼって見直し調査をやられる問題です。本人に出頭を求めて事情聴取を行なわれるように希望いたしておきます。
 それから、先ほど実地調査の中には現地調査を行なっているということを言われておりますが、現地に立ち入り調査を行なわれているとするならば、特にこの目白台の田中私邸については、その中に企業所有の土地なども含まれておりますので、当然これらの地域については現地立ち入り調査を行なわなければ事情を正確に把握することができないと思います。そのような立ち入り調査が行なわれたものだと思いますが、いかがですか。
#35
○政府委員(磯辺律男君) 目白邸にはまだ立ち入り調査いたしておりません。私どものいままでの調査では、目白台の家の地図といいますか、そういった書面上で全部それを調査いたしております。もし現地に行きまして、どうしても現地で見なければ微妙な点の解決並びにその結論が出にくいといったような場合には、当然目白邸にも参りまして、現場で見ていくつもりでございます。しかし、現在のところは地図あるいは図面、そういったところで調査ができておりますので、まだ目白邸に、現場には行っておりません。
#36
○久保亘君 先ほど法人と個人の貸借関係については、得べかりし経済的利益について、また経済的利益の享受について、課税対象として把握されることになると、こう言われている。それならば地図の上でどこからどこまでが東京ニューハウスの土地であるかなどというようなことを調べてみたってわからないでしょう。現実に田中邸の中における東京ニューハウスの所有する土地はどのように利用されているのか、境界はどうなっているのか、その中にいかなる構築物があるのか、そういうことについてあなた方が実際に確かめることなしには結論が出せないんじゃありませんか。だから本人も呼ばない、田中さんの私邸には立ち入ることもできない、そういうことであなた方が一納税者として厳正な見直し調査をやっているということは言えないんじゃありませんか。立ち入り調査やられますか。
#37
○政府委員(磯辺律男君) これはいずれそういった必要がありましたらその現場に行きまして邸宅の状況であるとか、あるいはお庭の状況であるとか、そういったことを現場で確認並びに、まあ何といいますか、図面だけでなくて五感をもって認識するということが必要な場合があるかもしれません。そのときにはもちろん私どもは現地に行くつもりであります。ただ、いままでのところは、たとえばその田中邸の中に東京ニューハウスの土地がずっと細長く入っておりまして、もと私道になっておったところですね。それがずっと入っております。それから同時に写真で見ますと池のあります庭の南側のほうの斜面になっておるところでございます。そこにも若干の囲いがございまして、そこにはまた芝生など植えまして、まあ斜面でございますけれども、ある程度の散歩道路ができるというふうなかっこうで利用されておるということはこれはもう私どもは承知しております。そういった場合にその経済的利益、その算定につきましてはそういった周囲の状況ということももちろん必要でございましょうけれども、そのところのいわゆる評価額、評価額というものはこれは税務署のほうで全部この周囲は把握しておりますから、その評価額に対しましての何%というのを普通賃貸借契約のときには毎年の賃借料として払うのが通例であるということが、これはいろんな各種の事例も集めておりますから、その平均の賃借料というものを基準にして面積にかけて、それだけの経済利益の額を算定するといったような方法がとれるわけで、現在そういった作業はいまやっております。
#38
○久保亘君 もしこれが田中さんでなかったならばあなた方は当然先ほど言われた現地調査の対象として取り扱われたんじゃありませんか。税務署というのは普通全国ではそのようにして納税の適正を期せられているはずです。今回の場合だけはこれだけ多くの疑惑が指摘されているにもかかわらず、なぜ遠慮しているのか知りませんが、田中さんの家だけは地図でいろいろわかりますからもう現地に行く必要はないと、そういうような言い方では、私は通らぬと思うんです。これは国税庁として必要な管轄の署とともに田中邸の立ち入り調査をやるかもしれないじゃなくて、やりますということをあなた言えませんか。
#39
○政府委員(磯辺律男君) おそらく最終的にはそういうことになろうかと思います。
#40
○久保亘君 それでは次に、現段階において大きな誤りは発見されていないが、計算のミスやいろいろこまかい誤りがありますと、こういうことを言われておりますが、現段階で不正計算や申告漏れがあって、税金の更正処分を行なわなければならないような事態がすでに発見されておりますか。
#41
○政府委員(磯辺律男君) 最終的な結論は出ておりませんけれども、私たちのいままでの調査では、更正処分といいますか、あるいは修正申告を求めるかといいますか、そのやり方はいろいろございますけれども、当初の申告納税額に変更を加えるという措置を講ずる必要のある問題というのは現段階において発見されております。
#42
○久保亘君 大体まあ推計されるところでその更正額はどれぐらいになるか、見当つきませんか。
#43
○政府委員(磯辺律男君) その数字について具体的にここで私のほうから御答弁いたしますことにつきましてはお許し願いたいと思います。またその数字につきましても現在検討の段階でございますので、はなはだ恐縮でございますけれども、ここでお答えするということは非常にむずかしいかと思います。
#44
○久保亘君 それでは、この調査が完了した段階で税金の追徴が行なわれるということだけは間違いありませんね。
#45
○政府委員(磯辺律男君) 現在におきましては、そのように私どもは考えております。おそらくそうなると思います。
#46
○久保亘君 五年前にさかのぼって調査を始められたのは、五年前までしか追徴の権限が及ばないからでしょう。それなら、もし三月までにその手続を完了しなければ四十四年度分は時効になるわけです。であるとするならば、今回これだけの問題になって、時別な見直し調査が行なわれているのですから、四十四年度分についても時効の発生を許さない必要な法的措置をおとりになりますか。
#47
○政府委員(磯辺律男君) ただいま久保先生御指摘のように、三月の十五日を過ぎますと五年前というものが一期時効で飛ぶわけでございます。ですから、君たち調査いたしますときには、調査にかかりまして、調査の途中において時初年分をつくるということに対してはきわめて神経質になっておりまして、そういった意味におきましては、そういったことのないようにいま鋭意努力しておるところでございます。
#48
○久保亘君 鋭意努力しているということは、三月十五日までにすべての処理を終わると、こういうことと、もし十五日までに終われなければ時効停止の法的措置をとると、そのどちらかでなければこの問題は解決しないわけです。だから、三月十五日までに終わるか、終わらなかった場合には時効停止の法的措置をとる、そういうことに理解してよろしゅうございますか。
#49
○政府委員(磯辺律男君) 法的措置といいますけれども、そのときには、一応五年過ぎましても国のほうからの一方的な租税債権というものはそこで消滅するわけでございますけれども、納税者のほうから自発的に納められることに対しては何らその問題ないわけでございまして、ですから、かりに修正申告をされるということになりますと、これは五年前についてかりに時効になっておっても申告されて決しておかしくないわけでございます。したがいまして、三月の十五日というものを基準といたしまして、更正を要するものであればその部分だけ先に更正を打ってしまうということも考えられます。それから、修正申告が出るということでありますと、それは十六日に出ても、十七日に出てもそれはいいわけでございまして、その点については、先ほど先生から御指摘ございますように、私たちは調査の途中において時効が一つ出てくるということについては、非常にある意味において私たちの仕事の恥と申しますか、そういうことになりますので、そういったことの御懸念の点がないようにこれは十分に気をつけてやるつもりでございます。
#50
○久保亘君 時間がありませんから、今度は一つだけ君のほうからいまの報告についての大きな疑問点についてお尋ねいたしますが、昭和四十六年から四十八年までに公示されました田中氏の個人所得は、その財産の取得に比べてたいへん少ないと言われております。そのような疑惑がいろいろな雑誌等にも掲載され、また、国会の審議の中でも明らかにされております。私があなたにお聞きしたいのは、これはもう非常に一般的な、概括的な数字でよろしゅうございますが、確定申告が個人の場合に八千万あった場合、いろいろな経費や税金を差し引いて、本人が所得として残し得るものは大体どれぐらいになりますか。これはいろいろ人によって違うと思いますが、おおよその見当、できれば田中氏自身のものについてやっていただけばなおいいんです。
#51
○政府委員(磯辺律男君) 八千万程度になりますと、国税の税率がかなり高い税率になります。それからそれに関します地方税等がございますので、大体その収入金額の八割ぐらいはそういった税金等でなくなってしまうといいますか、ですから残りが二割ぐらいということになるわけでございます。ただその場合に、一時、譲渡所得等がございましたら申告の段階ですでにもうその一時、譲渡所得の額の半分というものが税金のかからない所得として除かれておりますから、ちょっとそういった計算の入り操りはございます。
#52
○久保亘君 ということは、田中角榮氏が実際に自分の財産として保有することのできたものは、四十六年度は申告所得が七千万、四十七年が八千五百万、四十八年が七千七百万、そうすると、せいぜい二割といいますと多いときで一千五百万くらい、それ以下ということになってくるわけです。ところが、田中氏は四十七年度に七千五百万の株を取得し、一億八千万の別荘地を購入している、個人名儀でですね。四十八年には一億二千五百万の株を取得している。こういうことになってまいりますと、これは大きな誤りが発見されないことについて私たちは疑問が残るわけです。普通では考えられないことでしょう。その点をどう見ておられますか。
#53
○政府委員(磯辺律男君) ただいまの久保先生の御指摘の申告所得に対しての余剰金といいますか、その計算というのはただいま申しましたように大体二割ぐらいが手元に残る計算というので、先生の御指摘の数字というのはほぼ大体そんなものだと思います。それで、しからば四十六年、四十七年、四十八年分にかけて申告の所得が七千万とかあるいは八千万程度あるにもかかわらず、あのときにああいった不動産の所有がふえたというのはおかしいという問題がございますけれども、これは私どももそういった資産が増加している、そうした場合にはその資産を取得するための資金は一体どういうふうに調達したか、その金はどこからきたかということは、これは調査のまず基本的な問題でございます。したがって、資産の増加そういったことからまかなわれておるという事実は私どもは把握しております。したがいまして、その当該年度分の課税所得の計算上、それは特に新たに問題とする点は見当たらないということにいまわれわれは考えております。
#54
○久保亘君 いまあなたの説明だと君どもは理解をするためににやっぱり資料を提出してもらわないと、一般的にはそういうような数字を並べられては私どもわからないですね。これは何かがあるとしか思えないでしょう。だからそうなればやっぱりむしろ田中氏の疑惑を晴らすためにも、田中氏はいま疑われているのだから、この田中角榮氏の疑いを晴らすためにもあなた方はその資料をここへ提出して、国政調査に協力をすることが有効な道筋だと思うんです。
 時間がありませんからこれ以上申し上げられませんが、最後に一つちょっとお尋ねしておきたいのですがね。四十七年度の田中氏の個人所得の中には有名な日本列島改造論の原稿料があるんです。この四十七年度田中氏の所得の中に含まれる日本列島改造論の原稿料は幾らになっておりますか。
#55
○政府委員(磯辺律男君) 四十七年の田中さんの申告、この中の雑所得でございます。その中にかなりの額の印税が含まれております。それは私ども日刊工業新聞社等からの資料その他で全部突き合わしております。
#56
○久保亘君 発行部数は幾らですか。
#57
○政府委員(磯辺律男君) 発行部数はちょっといま手持ちを持っておりませんけれども、金額でずっと突き合わしておりますので、ちょっとその点の史料はいま手持ちございません。
#58
○久保亘君 私のほうに来ております資料では、日本列島改造論の日刊工業新聞社の発行部数は九十万部ということになっております。あなたのほうでその部数に基づいてやっておられないんなら、十分ひとつ御調査いただきたい。
 時間がなくなりましたので、大蔵大臣に最後に一言お尋ねいたしておきますが、今度の問題は、地位利用の疑いとかあるいは脱税の疑いとかいろいろあります。事が最高権力者の総理大臣にまつわることであるだけに、たいへん私どもとしては疑惑が大きいわけです。それで、このことは守秘義務によって守られるべきものではない、むしろこの問題はその守秘義務に属するような情報を公的な個人が同一人物である経済人としての私的な個人にその守秘義務を破って情報を渡したことによって利益が得られたのではないかという疑惑が起こっておるんです。だから、これこそ第三者−一般国民には知らされない守秘義務の盲点を利用して金もうけをやった行為ではないかと国民の中には疑いがあるわけです。だから、こういう問題については厳格なる措置をとることこそが私は疑惑を明らかにする道だと、それは田中さん自身も求められていることだと思うんです。
 最後にあなたにお聞きしたいのは、田中さんが自分の手で明らかにすると言われた、でも疑惑が晴れなければ責任をとると言われた、十一月の二十六日に責任をとられた、これは疑惑が晴れないという立場に立って責任をとられたんですか。その当時大蔵大臣として閣内にあられたあなたはおわかりじゃないですか。それと、その後七十日たってもいまなお田中さん自身は何の解明も行なわれておりません。このことについて、これは田中氏自身が明らかにすべきだと三木さんもそう言っておられます。そのことについて、あなたは最近田中さんと会って、この疑惑の解明について田中氏自身がどのような心境であるか、お聞きになったことはありませんか。お答えいただきたいと思います。
#59
○国務大臣(大平正芳君) 年末にお目にかかったことがございますけれども、この問題につきまして心境をただしたことはございません。ただ、田中角榮氏が公人として言明されたことでございますので、それについては田中氏御自身が一番深刻にお考えになっておられることと拝察します。
#60
○峯山昭範君 きょうは田中内閣の、田中さんの金脈の問題の中間報告がございました。先ほどから私もこの中間報告を聞いておりまして、全部で四点ぐらいにわたって質問をしたいと思っておりました。一つは、何といいましても、先ほど説明ございましたが、調査体制の問題ですね。それからもう一つは調査対象の問題、そして現在その調査の結果の問題あとの処置の問題大体こういう四点にわたって質問したいと考えておりました。ただいま同僚委員から、全般の問題については二、三追加してお尋ねしたいこともございますが、ほぼ明らかになってまいりました。そこで、私は、非常に短い時間の中でございますので、特に第三点の問題についてこれからちょっと特に大平大蔵大臣の所信をお伺いしておきたいと思います。
 と申しますのは、最近の大蔵省のいろんな考え方、いわゆる処理のしかた、それが非常に閉鎖的であります。そして非常にいままで提出されておった資料でもだんだん出さなくなってきた。これは大蔵省や国税庁だけではございませんでして、大蔵省からいろんな圧力が及んで、そして会計検査院とかあるいは自治省とか、そういうようなところの資料まで大蔵省からの圧力で資料は出なくなってきた、こういう現実が幾つかあります。したがいまして、私は、きょう大臣がただいまこの中間報告として御報告になりました第三番目に書いてございます、三月をめどとしてこの結論を出す、そしてその結論に基づいて適正な処理を行なう、こう大蔵大臣お述べでございますが、大臣のおっしゃる適正な処理というのは、これは一体どういうことでございますか。何を具体的にされるのか、これをちょっとお伺いしたい。
#61
○国務大臣(大平正芳君) 私ども多数の申告納税者を控えておるわけでございまして、その申告納税者の所得につきましては、御申告をちょうだいしまして、それに従いまして徴税をいたしておるわけでございます。ところが、その所得に変動をもたらすかもしれないという新たな材料が出てまいりました場合には、できるだけそれを追跡いたしまして、既往の調査決定いたしました税額を更正いたしまして、税金をあらためてちょうだいしなけりゃならぬというのは当然の私どもの任務なんでございまして、田中さんの場合もいま鋭意見直し調査をやっておるわけでございます。先ほど磯辺次長からも御報告いたしましたように、若干の更正が予想されるかもしれないということでございました。そういう事態が出てまいりましたならば、ちゃんと徴税上の処理をいたさなければならぬわけでございまして、適正な処理と申しますのは、そういう意味を込めたものと思っております。
#62
○峯山昭範君 大臣ですね、大臣がおっしゃっている適正な処理というのは、要するに申告漏れなり、そういうようなものを結局は最終的にいわゆる更正決定をして追徴を行なうと、
  〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
まあこれだけでございますね、いまおっしゃっておることを聞いておりますと。しかし私は、先ほど大臣がおっしゃいましたように、今回のこの問題に対してバランスを失したエネルギーを注ぎ込むということは、大臣はいかがかと思うと、国税庁次長は、しかし粗漏に失したのでは国民の信を失うと、こうおっしゃいました。それぞれこれ言うならば相反することばであります。そして先ほどの国税庁次長の説明をずうっと聞いておりまして、私たちは非常にたくさんの調査をはじめ、一応まあ国税庁としては本気で取り組んでいるなという感じはするわけです。しかし、こういうふうな取り組んでいるこのものが全部国民の前に明らかになって、そして国民が納得したときに初めてなるほどと、こう思うのでありまして、最終の結論で、これだけ更正決定いたしましてぽんというのじゃ、これはとてもじゃないけれどもわれわれとしても納得はできませんし、当委員会で資料を要求した意味もない。そういうふうな意味からは、大臣、これはやはりただ単に大臣がおっしゃった適正な処理というのは、最後のこれだけというのではわれわれは納得できない。やはりもう少し具体的な、要するに、経過なりそういうようなものをはっきりお示しいただきたいと思うし、また、それぞれの関連企業の税務資料というものも私は提出をしていただきたいと思うが、これはどうですか。
  〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
#63
○国務大臣(大平正芳君) あなたのおっしゃること、一応私も理解できないわけじゃないのです。けれども、税務の執行をやってまいる上におきまして、わが立法府は、税務官庁に対しまして、徴税上知り得た秘密を外に漏らしちゃならぬと、総理大臣の場合は別だとか、国会の場合は別だとか書いてないわけなんでございます。でございますから、私どもといたしましては、磯辺君以下五万二千人の国税庁の職員は、そういう立法のもとで仕事をさしていただいておるわけなんでございます。またそうすることが適正な税務の執行を保証する上で必要だという立法政策上の配慮が働いたからだと私は思うのでございます。ただ、あなたが言われたように、田中さんの問題は、単なる一納税者の問題がこんなに世上問題になるとか、あるいは国会で論議の種になるとかいうのは、これは珍しいことでございまして、確かにこの方が総理大臣であられたということは、これは隠れもない事実でございます。したがって、見直し調査につきましても、本来ならばルーチンといたしまして国税庁、国税局、税務署がやりまして、税務の更正決定をして税金を納めておけばそれで済むわけなんでございます。この場合もそういう処理をして間違いはないと私は思うわけでございますけれども、ただ、この問題につきまして国民は大いに関心を持っておるし、できるだけの解明をしたいというお気持ち、国会のほうの御要請もよく理解できるところでございますので、国会の御質疑を通じて私ども誠心誠意これに答えて、この論議を通じまして国民に御理解いただくということにつとめたいと、今後もつとめたいと存じております。
#64
○峯山昭範君 そうすると、大臣、今回のこういう一連のいろんな税務資料なり、それぞれの関連会社のいわゆる資料でございますね、これは一がいに全部出さないということじゃなくて、要するに出すこともあると、こういうふうにとってよろしいんですか、これ。
#65
○国務大臣(大平正芳君) これは、要するに人間がつくった制度でございまして、守秘義務と申しましても、これはこういう税の調査決定をする仕事を適正にやってまいり、国民からの信頼にこたえていくという上からこういう制度が設けられたわけでございまして、これはたびたびこの委員会におきましても論議いただきましたように、またお聞き取りいただきましたように、要するに、その人御本人はもとよりでございますけれども、それと関連した会社とかあるいは個人とかの秘密にかかわることもございまするし、また税務官庁の中の徴税上のいろんな秘密もあるわけでございまするし、したがって、そういうことで立法政策上守秘義務というようなものがつくられたと思うのでございますが、その趣旨をよくわれわれはわきまえまして、それに支障がない範囲におきましては最大限の御協力を申し上げるというのが総理大臣の言明でもございまするし、そういう趣旨に沿って努力をしてまいりたいと思います。
#66
○峯山昭範君 大臣の話を聞いておりますとだんだんわからなくなってくるんですよ。それで端的に、ぼくは大臣のおっしゃることが、何といいますか政府の守秘義務のいわゆる統一見解もこれは全部聞いているわけです。それで、大臣の説明もいままで何回かお伺いしているわけです。同じことを何回も説明しておるわけです。しかし、総理大臣がおっしゃった、先ほどもお話ございましたが、守秘義務によって守られるべき公益と、それから国政調査権の行使によって得られるべき公益と、個々の事案ごとに比較考量することによって決定される。これは要するに大臣がしょっちゅうおっしゃるケース・バイ・ケースというやつです。大臣、いまそのケース・バイ・ケースというのをおっしゃっているわけです、先ほどから。ところが、実際問題としてこういうふうなケース・バイ・ケースというのは、一つのケースは出すというケースでしょう、もう一つのケースは出さないというケースでしょう。私は絶対出さないというんじゃなくて、出すこともあるんでしょうと聞いているわけですから、大臣のもともとの考え方から言えば、ケース・バイ・ケースですから出すこともあり得るわけです。あり得ますというふうな答弁でないと、大臣がかねがねからおっしゃっているケース・バイ・ケースというのはこれはおかしいわけです。これは大臣どうですか。
#67
○国務大臣(大平正芳君) だから、ここでも御質疑に答えて、いまも調査中でございますから何にも申し上げられませんという答えじゃないじゃないですか。非常に苦労して御質疑に答えて、ある種の印象が皆様の脳裏に描かれるようには答えているわけでございますので、私どもの苦心のあるところも御理解いただきたいと思います。
#68
○峯山昭範君 いや、大臣。大臣の一生懸命おっしゃっているのはよくわかります。しかし、ある種のの印象というだけではこれはどうしようもないのです。実際われわれとしてはこれからこの委員会を進める上におきましても、それぞれの関連企業の問題を審議するにおきましても、これは要するに大臣の感触はこんな感触だったといって質問しても何にもならないわけです。やっぱり、具体的に税務資料に基づいて一つずつ詰める、それで一つずつ検討していかなければどうしようもないわけです。そういうような意味からは、私は何でこんなことを言うかといいますと、お隣にすわっていらっしゃる国税庁の次長さんが、先般のこの決算委員会におきましてこういうことをおっしゃっているわけです。いわゆる田中金脈の問題について、調査を完了しても守秘義務との関係で国会では公表できない、こう断言をされていますねと、こういうぐあいにここで確認をされている。実はその前の衆議院において、いわゆる国税庁で幾ら調査をいたしましても、守秘義務の関係で国会では公表できませんと、衆議院で国税庁次長さんおっしゃったわけです。それじゃ幾ら調査しても全然公表できないんではこれはどうしようもないじゃないか。これだけやっていましてなんぼいいかっこうしても、それではわれわれとしてはこれから国政調査を進めていく上において何にもならない。ですから、全然公表しないというんじゃなくて、やっぱりこういうふうなぱちっとしたものじゃなくて、やはり国政調査の上に必要な問題は、それは公開する場所とか、そういうふうなやり方はいろいろあるでしょう。けれども、そういうふうなことに基づいて、私はわれわれのもとに資料を見せていただくなり、あるいはそれらのいろいろな方法はありましょう。そういうような方法で何らかの公開のしかたがあるのか、要するに提出のしかたがあるのか、税務資料を出していただけるのか、いただけないかと、そう重ねてお伺いしているわけです。大臣、いかがですか。
#69
○国務大臣(大平正芳君) つまり、守秘義務というのがなければ事柄はきわめて簡単なんでございますけれども、あなた方がつくられた法律でちゃんとそういうワクを徴税当局に課しているわけなんでございまして、それをかってに踏み越えるなんということは、国税に携わる者にはできない相談でございます。しかしながら、峯山さんも御承知のとおり、私はそれからは自由な立場でございます。あの法律からいって、私は徴税上の守秘義務の対象にはなっていませんから、私がここでしゃべることはしゃべっても違法には私にはならぬと思うのです。ところが、私はこの安川君が率いる国税五万二千人の徴税上の、徴税が円滑にまいることについて安川君以上に重い責任を持っていると思うのです、私は。したがって、私がべらべらしゃべるというわけにはいかぬのでございます。そこで、御質疑を通じまして、精一ぱいのことはやっぱりお答えせにゃならぬと存じて、汗をかきながらこれやっておるわけでございまするし、今後もそうするつもりでございます。
 それからまた、この前に小谷委員からもいろいろサジェスチョンがございまして、どこまで一体、どういう場面、どういう形、どういう程度でございますならばこれ開示できるか、そういうような点検討してみないかというような御相談もございまして、実はそれもいろいろやってみたのです。ところが、これ一つ一つケースがそれぞれ別なんでございまして、具体的なケース・バイ・ケースでこれを考えざるを得ないのじゃないかという、一般的に基準があって、この基準によってこれは開示してよろしいと、これは秘密だとかというような手ぎわよい基準がなかなかできないのです、いろいろ苦労してみたのでございますけれども。なお私は断念せずにやってみようよと要請はいたしておりますけれども、またなかなかここまでのものはよろしゅうございますというところは、まだ出ていないわけでございます。国会ばかりでなく、これ国はいろいろな訴訟もやっておりまして、裁判所に資料を出すというようなケースもあるわけでございまして、いろいろな外へ出す場合に守秘義務というワクを国会からかけられておるけれども、その中でどういうことをいままでやっておるかというようなこともいろいろ検討いたしておるわけでございますが、結局これは具体的にケース・バイ・ケースで御相談しなければならぬのじゃないかというのがいまの立場でございまして、そのときにいまはまだあなたと私とのやりとりの話でございまして、国政調査権とか何とかいういかめしい相談ではないわけです。国会はどうしても承知せぬと、こうなった場合に国政調査権と行政権とがこう舷々相摩すことに相なるわけでございますけれども、そうなったらそれじゃあひとつこの前の統一見解にもありましたように、比較考量することによって決定されるべきものであるということで、国会と政府の間で最後の詰めをやらなければいかぬわけでございますけれども、いまは具体的ケース・バイ・ケースでやりとりを通じまして、また理事会のお話なんかもありまして、こういうような資料はどこまで出せるか、それはかんべんしてくださいと、ここまでだったら私どもも御相談に、ひとつ検討してみましょうとかいうようなことをいまやっておるというのが実情でございまして、決してこの問題について、甲らの中へ入ってしまって、こんりんざい顔を出さぬぞというような、そんなつもりは毛頭ないのでございます。このワク組みの中で私どもどうしたら一番いい行政ができるか、それから国会に対しての国政調査に御協力ができるかという点をやっぱり考えておるのだということで、ざっくばらんに御相談をいただくし、私どももざっくばらんに申し上げるということでございますので、そういうところは御理解を賜わりたいと、御指導をいただきたいと思います。
#70
○峯山昭範君 それじゃ国税庁次長にちょっと方向をかえて質問してみます。
 次長は、守秘義務というのがございますな、この守秘義務ですね、大蔵大臣からこの資料を出してよろしいと、こういう許可がありましたら、守秘義務というのはこれは解除されるわけでございますな、どうですか。
#71
○政府委員(磯辺律男君) 私たちは政府の役人でございますから、やはりその所管の長の大蔵大臣のほうからの御命令でありますと、私たちはその上司の命令には服従するということでございます。
#72
○峯山昭範君 大臣そういうことでございますから。そうしますとですね、大臣ですね、これはいままで大臣、具体的に申し上げますが、まあ国会に関係のある国会議員としましょう、国会議員以上の人たちで、税務資料を出したことはないのですか、国会に。
#73
○政府委員(磯辺律男君) 私たちのいま記憶しております範囲では、先例としては刑事事件に関連したような場合に、政府委員のほうから答弁をした例はございます。それから二十数年前になろうかと思いますけれども、ある刑事事件に関連いたしまして、税務関係の資料、申告書の写し、そういったものを提出した例はございます。一般的に純然たる行政上の問題だけで税務関係の資料を出した事跡というものはちょっといま思い当たりません。
#74
○峯山昭範君 大臣ね、次長は一つ知っているのですよ。それで非常に苦しい答弁をいましておるわけです。刑事事件に関係してなんておっしゃっていますけれども、これは有名なあの二重煙突事件というのがございまして、この二重煙突事件で、当時の、現在でいいますと法務大臣でございますね。大橋法務大臣だったと思いますが――の事件に関連をいたしまして、税務資料が相当出された。これはもう先例としてあるわけです。大臣、これは決していままで国会に、これはいま刑事事件に関連してと言いましたけれども、これは調査の段階で具体的にそういうふうになったのでありまして、これはやっぱり国会のいろいろな審議の途上で一ぱい出てきた。今回と同じであります。そうしてそういうふうな事件の中から、この税務資料を出すということになったわけです。これは私が、ちょっとこれはあまりここで言っていいのかどうかわかりませんが、この資料を出したかどうかということについては、国税庁もわざわざあるところへ調査にきた。そうして調査にきてその言ったことばというのは、私直接聞いたわけじゃない、テープコーダーとったわけじゃないが、えらいものを出しておると、これはもうねえというような感じですね。そういうふうな感じでその担当の人は帰っておる。そうじゃなくて、そういうようなことじゃなくて、こういうふうな国政調査権と、国会でこういうふうにたくさん問題になって、どうしても疑惑を解明しなくちゃならないときには、こういう資料を提出するというのが現在の姿勢でなければならないと私は思うのです。しかもこれは大臣はケース・バイ・ケースで守秘義務とかいろいろおっしゃっていますけれども、実際問題としては大臣、大臣の権限一つでいけるのですわ、これね。これはもういろいろ問題ありましょう。これは国税庁、安川さんが一番もう悩んでいらっしゃる、こう大臣おっしゃいましたけれども、安川長官を安心させるには大臣が出せと言ったらもうさっとこういけるわけですわ、これね。それも決して何でもかんでもというわけじゃないわけです。私たちも先般からこの決算委員会におきまして具体的に一つ一つ詰めてきております。そういうふうな意味でこれは資料はぜひとも出していただくべきであろうと思いますし、そういうふうなことも御検討の上で今後こういうふうな問題を処理していただきたいと思うのですが、大臣いかがですか。
#75
○国務大臣(大平正芳君) 三木総理も言われておりますように、行政府といたしましてなされた最大限の御協力は申し上げる心がまえで今後も努力してまいりたいと思います。
#76
○峯山昭範君 いま最大限の御協力ということがございましたから、最大限の御協力ということは、いまの質疑の中から、私はこういうふうな資料を出す――出すこともあり得る、出すというまてはちょっとあれでしょうからね、出すこともあり得ると、私はこういうぐあいにとりたいと思います。また大臣のほうは出さないこともあり得ると、こうおっしゃるかもしりませんが、どうしてもこれはぜひ出していただきたい問題であろうと思います。
 そこでもう一点、それじゃ大臣にお伺いしておきます。
 先ほど実はこれも当委員会で、これはちょっとやっぱり私は、竹下官房長官が当時この委員会にお見えになったときにいろいろ会議録を調べましたり、いろいろ処理を私たちがしておりましたら、やっぱりどうしてもここでもう一回これはこの見解については大臣の見解と同じかどうか、一ぺん確認をしてみたいと思うのです。実はこの守秘義務と国政調査権の問題について竹下官房長官こういうことをおっしゃっています。「秘密会であると公開たるとにかかわらず、公式の場で、秘密会等を――秘密会ならば」二回おっしゃっていますか、「秘密会ならば資料が出せるかと言われる御質問に対しては、これは税務の執行上、秘密会たると公開たるとを問わず提出するわけにはまいりませんというお答えにならざるを得ないわけであります。」と、こういうぐあいにおっしゃっておりまして、従来の見解とはもう全く違うわけです。あるいはこのケース・バイ・ケースという質問からも一歩下がった答弁であります。しかも、この秘密会という問題については、これはもう法規上もきちっと定められて秘密会というのはあり得るわけですね。ですから、竹下長官のこの答弁というのは秘密会たるとを問わずその秘密会の存在そのものすら否定するような答弁になっております。これがほんとうに政府の見解であるとすれば、私は非常に問題だと思いますので、この問題について大臣の見解を一ぺんお伺いしておきたいと思います。
#77
○国務大臣(大平正芳君) 竹下官房長官の御答弁、守秘義務に関しての御答弁としてはそれは仰せのとおりでございまして、秘密会であれば免責されるとか何とかいうことは全然税法に書いてないわけでございますので、そういうように解釈されるのが厳格な意味において正しいと思うのでございます。ただ、事柄といたしまして差しつかえないものと差しつかえあるものという判断の問題は、秘密会であろうとなかろうとやっぱりあると私は思いまするし、最大限の御協力という以上はできるだけそういうふうに開示する方向で努力すべきものと私は思います。
#78
○二宮文造君 国税庁次長、ちょっとお伺いしたいのですが、私どもが所得税法とかあるいは法人税法の罰則を読みますと、この事案についてはそれぞれの罰則の条項に触れるんじゃないか、こういう場合も間々あるわけです。そういう場合はおそらく罰金刑ないし懲役刑というあれがありますから、告発ということを伴ってその罰則が適用になると思うんですが、いままでの調査の内容でこの罰則に触れるような問題があったかどうか、またそういうことも頭に置きながら調査をなさっているかどうか、これをひとつ御答弁願いたい。
#79
○政府委員(磯辺律男君) 御指摘のように、所得税法、法人税法では偽りその他不正の行為によって納むべき所得税または法人税を免れた者については云々という罰則の規定がございます。ですから私どもは税務の調査をいたしますときには必ず最終的にはそういった罰則の適用を受けるような事実であるかどうかということも頭に入れながら調査するわけでございます。しかし、ただいままでのところ特に罰則に該当するといったような事実はわれわれとしては見当たっておりません。
#80
○二宮文造君 たとえば、いま偽りとか、不正とかいうことを例にあげられましたけれども、提出の期日までに提出しなければならないような資料、それを提出しなかったということでも罰則の適用を受けるようになっております。資料提出をしなかった。私はいままでの当決算委員会あるいは衆議院の決算委員会あるいは国会等々で審議された段階で、おそらくいま調査をされている該当者、個人、法人を問わず法律が、所得税法だとか、法人税法が求める資料の提出を満足に具備していなかったケースが非常に多いんじゃないか、こういう心証がきわめて強いわけです。したがって、偽り、不正というものを越えて、そういう法が要求する要件を伴っていない、それを税務署が故意だか、過失だかあるいはいろいろな作用か、それはわかりませんけれども、それがそのまま受理されてきた。ところが、見直しの段階でどうしてもそれがその要件を具備しなければならぬケースであった、こうなってきますと、あるいはもとへ戻って罰則云々という考え方にも入らなければならぬじゃないかと思うんですが、この点はどうでしょう。
#81
○政府委員(磯辺律男君) 私たちはいまそういった罰則を適用せなければならないということが事実というのはっかんでおりませんので、ちょっといまどういった事実かということはよくわかりません。
#82
○委員長(前川旦君) 二宮君、終わりましたね。次の質問者準備してください。
#83
○加藤進君 大臣の先ほどの発言と国税当局の中間報告を聞いておそらく国民のだれしもが失望を禁じ得なかったと私は思います。あれではあなた方は、一体田中金脈問題をうやむやにしてしまう気があるのではないか、こう疑わざるを得ないと思います。
 第一に、税務行政の性格上、個々の納税者の申告、調査の内容など詳細な報告はできない、こう言っておりますけれども、そもそも田中角榮氏の脱税の疑惑というのは、一般の納税者の単純な脱税の疑いとはわけが違うと思います。問題の性格が全く違うのです。政府・与党の要職にあります、総理大臣にまでなったという人が、憲法でも規定されている納税義務を誠実に履行したかどうか、つまり、田中氏が憲法や法律をまじめに遵守してきたのかどうか、こういう最も基本的な政治の姿勢にかかわる問題であります。また、ときの政府も真に公正な税務行政をしていたのかどうかという、これもまた最も基本的な政治のあり方を問われている問題だと思います。だから、国民は田中金脈問題に対して重大な関心を持って今日もその成り行きを注目しておるのは、これは当然だと思います。
 政府に田中金脈問題のほんとうの本質に関する正しい理解がないということは、まずその調査体制を見ればはっきりします。税務当局は、多数の職員を動員して調査していると、こう言われておりますけれども、脱税摘発を専門とする査察部を中心としたような特別の専任体制を引き続いてとっておられるのかどうか、この点からまずお伺いしたいと思います。
#84
○政府委員(磯辺律男君) 先ほど申しましたように、直税部と調査部が中心でございます。
#85
○加藤進君 それではだめだと言うんです。だから、もう先ほどの大臣の答弁の中にも、バランスを失した調査体制はいかがかと思いますなどというような歯どめがちゃんとかかっておる。このような調査体制で本式の内容の充実した調査ができるかどうか、これをわれわれは疑っておるわけであります。
 で、大臣の発言と国税当局の報告を聞いて第二に抱く疑惑は、政府は一体どのような観点に立って調査に臨んでいるかという、姿勢そのものに関する問題であります。政府のやっておることは、従来の調査のやり方を全部一応白紙に戻して、田中氏にまつわる疑惑を解明するために真相を明らかにするという基本的な立場をとっておらないと思います。で、国税当局は、これまで田中氏が提出してきた各年度分の確定申告を是認してきました。そうですね。それを今度の調査によっていま一度見直すというに過ぎないじゃありませんか。で、見直し調査というのは、申告是認の再点検をするということに過ぎません。こういうやり方だけで、国税当局の確定申告の是認が正しかったかどうか、いま一度みずから再点検するというにすぎないということです。これでは国民の抱く疑惑の解明のための真実を把握するという立場での、従来のいきがかりを捨てた徹底したやり方をとっておらないという点でありますけれども、この点についての税務当局及び大蔵省当局の反省はあるかどうか、この点をあらためてお聞きしたいと思います。
#86
○政府委員(磯辺律男君) 今度の見直し調査にあたりましては、従来、田中角榮氏及びその関連企業が提出いたしました申告書、それを是認する立場で調査をしておるわけでは決してございません。言うなれば、一応その資料というものは資料としておいて、私たちのまた基本的な見直しと、そういった突っ込んだ調査をやっておるということでございます。
#87
○加藤進君 だから、あいまいだと言うんです。だから、真相はこの状態ではつかみがたいであろうと国民が見ておるのは当然だと思います。
 それから先ほどの質問に対する答えで、修正申告または更正の予定があると、更正のことも考えておると、こう言われましたけれども、これは修正申告ではなしに、更正を行なうべきだと私は思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#88
○政府委員(磯辺律男君) 更正処分それから修正申告書を提出してもらうというのは、それは形式だけの問題でありまして、かりにそれが加算税を取るものであれば、その手続によって加算税の額が変わるというものではございません。御承知のように、個人についての当初申告の是正を求めます場合には、その大部分というものは修正申告を提出していただくということによって処理しておるのが実態でございます。したがいまして、最終的に、その税額についての是正を求める必要があるということになりましたときに、それを更正処分にするか、あるいは修正申告の提出を求めるかということは、やはり一般の納税者の例によって処理いたしたいと、かように考えております。
#89
○加藤進君 だから、あいまいで、しかも相手にとっては何らの心配も要らない、こういうことだと思いますよ。税務当局がみずから進んで、このような事態については更正を行なうべし、これくらいの覚悟を持ってかかっていただかなければ、この事態の真相も明らかにならないし、税務の公正も期しがたいと、私はこう思います。
 そこで三番目に、大臣の発言によりますと、現段階までに把握したところでは、全体として特に問題とすべき大きな誤りは発見されなかった、こういうようなきわめて安易な発言が出ておるわけであります。ところが、田中氏は、昭和四十六年には通産大臣、四十七年には総理大臣であります。この四十六年には、田中氏が目白台の私邸の土地と建物を買ったことは周知の事実であります。わが党は、この売り主の長谷川静子さんにお尋ねしたところによると、その土地代金は約四千五百万円であるといわれています。この四十六年の田中氏の申告所得はどうかといえば、すでに発表されたように、七千三十七万円であります。これに源泉所得税、申告所得税を合わせてみても、わが党の調査によれば四千万円前後と見られております。だとすると、可処分所得はたかだか大目に見ても三千万円に達するはずはないと考えられます。これで四千五百万円の資産が買えるなどというようなことは、これは常識として全く通用しないことであります。これは最も基本的で、しかもだれにでも黒白が明らかになる疑惑でありますから、この疑惑に対して政府は真正面に答えていただかなくてはならない責任があると思います。大蔵大臣、いかがでしょう。
#90
○政府委員(磯辺律男君) 先ほど御答弁いたしましたように、田中角榮氏の各年分の資産の増加というものは、わがほうでは、国税当局としては、全部それを把握しております。それからその資産の取得に要した資金の出所、そういったものも全部調査をいたしております。その結果、いまおっしゃったような各年分の土地、建物、そのようなものが増加していきましたことについて課税関係はどうなるかということの検討をしたわけでございますけれども、現在までのところ、その課税上、特にあらためて措置をしなければならないといったような問題は生じておりません。
#91
○加藤進君 そういう答弁をされるから、われわれは再三にわたって、それならそれで証拠書類を出していただきたい、明細を明らかにしていただきたい、こう言っておる。ところが、皆さん、出さないじゃないですか、出さなくて、私たちのほうは調査しております、こういう言い分は通りませんよ。
 そこで、政府は田中氏の配当所得を全体にわたって、しかも細部にわたって徹底的に調査しておるとは私たちはとうてい思われません。で、まず、はっきりさしていただきたいのは、田中氏の昭和四十四年以降の所得税確定申告の中での配当所得申告額は幾らであったか、この点をお聞きしたいと思います。答えてください。
#92
○政府委員(磯辺律男君) 具体的に配当所得が幾らということにつきましては、いままでと同じように、詳細な数字を申し上げるというのはお許し願いたいと思いますが、先ほど申しましたように、この点につきましてもわれわれとしてはかなり突っ込んだ調査をいたしております。したがいまして、かなりの配当所得があるということは事実でございます。
#93
○加藤進君 国会の舞台で、委員会でなぜ答えられないのか。こういう態度では田中氏に疑惑があるばかりじゃなしに、国税庁や大蔵省にもわれわれは疑惑を持たざるを得ぬ、これが結論です。私たちはこの点についても独自の調査をしております。昭和四十六年の田中氏のおもな配当所得を検討してみると、次のようなものです。理研ビニール工業の一月、七月の決算の配当は、配当率を一六%として合計千九百五十二万円。越後交通の配当は配当率で七%ですから三十九万六千円。新潟放送の配当が六月、十二月の決算で約三百万円、昭和高分子で百五万円、合わせて四百五万円になります。これだけで配当所得と見られるものは約二千四百万円にものぼります。そうですね。ところが、わが党が昭和四十七年に田中氏の所得申告額を調査したところによると、配当所得の申告額は千七百万円前後であるということが判明しております。だとすると、差し引き六百万円から七百万円に近い配当所得の申告が免れております、抜けています。税額にすれば二百万円から三百万円に近い脱税の疑いが生ずるのは、これは当然でしょう、どうですか。政府はこの点についてどのような御判断をしておられるのか、その点はっきりしてください。
#94
○政府委員(磯辺律男君) 私たちは配当所得につきましては、いままでの資料全部それを総合いたしまして調査しております。ただその調査の結果わかりましたことは、名義株等がございます。それからまた若干源泉分離の適用を受けた配当につきましてもまた総合課税の申告をしたといったような計算誤りもございます。したがいまして、名義株であった場合には実際の株主、そちらのほうにその配当がいっておるわけでございまして、私たちはその名義株と実質株というものを詳細に分けまして、申請の配当所得がそれぞれ真実の所有者に帰属しているかどうかということを確認いたしております。
#95
○加藤進君 その程度のことは私たちも知っております。しかし、その額たるや微々たるものにすぎません。そういう点では、私のほうの調査については、基本的にはこれは正しい、これが正しくないということなら、あらためて皆さんのほうから、政府のほうからその正しくないことを指摘していただきたい。さらに、田中氏が昭和四十七年度分の申告された所得税、これは公表されておるように八千五百七十九万円です。税額はわが党の調査によりますと四千五百万円前後と見られます。これは正しいと思います。だとすると、可処分所得というものはたかだか多目に見ても四千万円、こういうことでしょう。ところが、四十七年の四月、東京ニューハウスに七千五百万円の増資がされています。さらに七月には軽井沢の旧大川邸の別荘、また旧徳川邸もこれに加えて買われています。その総額合わせると相当大きな額になることは計算すれば明らかです。こういう一般市民、国民から見れば全く不可解きわまるような田中式商法が、それでもなお大蔵大臣のことばによると特に問題とすべき大きな誤りはない、一体どういう根拠でこういうことの結論が出るのか、その点は納得のいくように説明してください。
#96
○政府委員(磯辺律男君) 先ほどお答えいたしましたように、各年分の資産の増加というものはわれわれも把握しております。そして、その資産を取得するに要した資金というものも、これまた各年分にわたってその発生、そういったものに対しては調べております。その結果、課税上あらためて処理する問題はないというふうなのが、ただいまのわれわれの結論でございます。御承知のように田中角榮氏は過去からの資産の蓄積がございまして、その資産の運用であるとかいったことでいろいろと運用しておられますので、ですから必ずしも当年分の申告所得として申告されました所得だけが田中さんの資産増加に見合う資金源であるということは言い切れないわけでございます。そういった点で、先生御指摘の点は私たちも調査事項の最大の重点事項でございます。それについては詳しく調査をいたしました。
#97
○加藤進君 それなら、いま調査中の段階だからこの点については的確に十分に調査してこの委員会に報告していただける、こういうふうに理解していいですか。
#98
○政府委員(磯辺律男君) 私たちは十分に調査いたします。ただその調査の結果を当委員会で御報告するかどうかということの御質問に対しましては、私としてはそれはお許し願いたいということでございます。
#99
○加藤進君 私の言いたいのは、国民一般でさえこういう数字を出された以上は、一体どういうことかという深刻な疑惑を持っておるのはこれは当然です。その疑惑に対して、政府、税務当局が真に納得のいく答えを出していただかなくてはならない責任があります。この責任についてどう思っておられるのかという、こういうことを聞いておるわけでございますから、大蔵大臣いかがですか、その問題について。大蔵大臣の発言の内容にかかって質問をしておりますから、その点は大臣からもお答えいただきたいと思います。
#100
○国務大臣(大平正芳君) 国税当局に対してゆるぎない御信頼を国民からちょうだいいたしておるものと私は確信いたしておりまするし、今後もこの信任をそこなうというようなことのないように十分気をつけていかなければならぬと考えております。
#101
○加藤進君 私はもう一言申し上げますと、こうして出された具体的ないわば疑惑に対しては、具体的にお答えをしていただく必要があります。一般論じゃだめです。各論で明確にしていただきたい、このことを注文しておきます。
 これまでのきわめて若干の私の質問に対する政府の答弁を見ましても、真相というものは何一つ解明されておらないと言っていいと思う。問題は、従来のやり方ではだめだということです。従来の調査のやり方を踏襲しておるだけではだめだということです。私の指摘した点に限っても、昭和四十六年には目白台の私邸の購入費四千五百万円、配当所得六百万円から七百万円、四十七年には東京ニューハウスの増資の七千五百万円、旧大川邸の別荘購入費五千九百万円、これに旧徳川邸の一億三千万円、これを合わせますと、わずかに二年間で三億一千万以上の脱漏所得があると見なくてはならぬ、こういう重大な事実なんであります。だからこの種の事件では、帳簿その他の資料を改ざんする危険ということも当然予想されます。これはそう見るのが税務当局の通例の態度でしょう。私は、この点では政府、税務当局は、直ちに国税犯則取締法を発動すべきだと考えています。この第一条には嫌疑者に対して直接質問、検査あるいは領置ができると明記してあります。第二条には「臨検・捜索・差押」ができると明記してあります。こういう国税犯則取締法が現にあるのにこれをなぜ発動しないのか、またこれに対して査察部を動員して徹底した究明を行なうということが当然要求されるわけですけれども、この点について、大蔵大臣、もう少し厳正な態度をもって国民の前にその点を明らかにしていただく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
#102
○政府委員(磯辺律男君) 最初にちょっと訂正さしていただきますが、四十七年に田中さんが取得したといわれます、ただいま加藤先生御指摘の一億三千万円の旧徳川邸、これは田中さん個人でございませんで、東京ニューハウスの所有でございます。その点は訂正さしていただきます。
 それから次に、国犯法の規定によって強制捜査に移るべきだと、むしろそういった手法をとるべきだというふうな御質問でございますけれども、御承知のように国犯法の規定によりまして、第二条でいいますと、この「臨検・捜索・差押」のいわゆる強制手段を講ずるためには裁判官の許可状というものが要るわけでございます。裁判官の許可状を得るためには、そこに重大な犯則の事実の疑いというものの存在が必要であります。私どもではそういった国犯法の規定に乗っかって「臨検・捜索・差押」等の強制手段を講ずるような重大な犯則の事実というものはただいま見当たっておりませんので、現在のところ国犯法の規定によって強制捜査をするということは考えておりません。
#103
○加藤進君 先ほどの旧徳川邸の問題ですけれども、東京ニューハウス、これはもう別会社だと言えば別会社、しかし、筆頭株主は田中角榮、同族がほとんどの株を持っている。となれば、これは田中角榮個人のいわば出資と考えても、これは言い過ぎじゃない、こういう意味でこれを付け加えたのでございます。しかもこれを除いてみても事柄は重大だと、巨額の金が出されている、こういう事実はまぎれもない、その点は私からもあえて申し上げます。
 それから国犯法を適用するということについては、なお容疑があまり明確でないというお話でございます。税務当局が今日まで調査されたことについて、それはそれなりに私は尊重します。しかし、税務当局が今日までの調査によって国会において明らかにされた個々の事実というものはほとんどありません。私たちを信じてほしいということ以外にない。われわれはわれわれなりの独自の調査を行なわなくてはならぬ、こういう立場で私たちは独自の調査に踏み切っておるわけです。こんなことはやらなくてもいいんです、本来。それが税務当局そのもののやるべき仕事なんです。私としてはそういう立場に立ってなお重大な嫌疑、容疑がある、この点については従来のやり方や見直し調査程度のやり方では真相を解明することは不可能だと、こういう立場に立っていわば国税庁を督促しておるわけでございまして、私たちはその点についても国税犯則法の適用等々も考慮し、あるいはこの内容としても査察部を動員する、こういうくらいの特別なやっぱり調査体制というものをとるべきであるということを私たちは考えておりますけれども、その点について特別の厳重な調査体制、こういう体制をとるという点について私は最初に申しましたけれども、重ねてこの機会に国税当局の考え方をお聞きしたいと思います。
#104
○政府委員(磯辺律男君) ただいまの調査体制で決して不十分であるとかいうふうなことは私たち考えておりません。先ほどお答えいたしましたように、ただいままでのところ東京国税局、関東信越国税局、直税部、調査部、非常にその職員の、有能な職員を一日平均いままでの実績では二十人動員いたしましてやっておるわけであります。ですから、私たちは厳密な調査をするためには国犯法の規定によって強制捜査をしなければならないというふうな必要は感じておりませんし、また現在の調査というものがなまぬるい調査であるとかそういったものでは決してないということはここで断言できると思います。
#105
○委員長(前川旦君) 加藤君、時間です。
#106
○加藤進君 もう一つだけ。政府がそれほどやる気がないというなら、これはもうまたやむを得ないことでございまして、田中角榮その人にこの委員会に出ていただく以外には私は真相の解明の道はないと思います。私はこの委員会が田中角榮氏を証人喚問して真相を究明すべきである、こういう点で委員長に田中角榮氏の証人喚問をあらためて要求いたします。この点についてすみやかな手続をとられるようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
#107
○委員長(前川旦君) ただいまの加藤委員の要望につきましては、後ほど理事会で取り扱いを協議いたします。
 加藤君、終わりましたね。次の質問者、御準備願います。
#108
○田渕哲也君 私はこの中間報告を見まして失望を禁じ得ないわけです。もちろんこれは最終報告ではありませんから、これだけをもって決定的な評価をすることは誤りだと思いますけれども、この報告から類推をしますと、最終報告においても田中金脈問題をほんとうに解明できるだけのものからはほど遠いのではなかろうか、こういう気がするわけであります。
 そこで、まず第一にお伺いしたいのは、最終報告というものは一体どのようなものになるのか、内容でなくて形式とかあるいは概略ですね、そういう点についてお答えをいただきたいと思います。
#109
○政府委員(磯辺律男君) 最終報告がどういうようになるかは、実は私どもとしてはまだそこまで考えが至っておりません。現在その調査を一日も早く完了して国税当局としてのつとめを果たしたいということだけでいまやっておりまして、その後の取り扱いにつきましては何ともまだ申し上げられません。ただ、事務当局として希望を申し上げさせていただきますならば、やはりたびたび申し上げますように、国税当局というものを御信頼いただきまして、私どもの処理というものにおまかせ願えれば一番幸いであると考えております。
#110
○田渕哲也君 この決算委員会でいままで田中金脈問題について数々の問題が提起されておりますけれども、それらの問題はこの中間報告にありますように、単なる計算の誤りやあるいは税務当局の解釈の食い違い、こういう問題ではないわけです。極言するならば犯罪的行為であります。これはもちろん法律に違反しておる場合もあるでしょう。あるいは法律に違反しておるけれども、すでに時効になっておる問題もあるでしょう。あるいは法律には何とかひっかからないけれども、道義的な犯罪的な行為もあるでしょう。こういう問題が指摘されておるわけです。それに対して調査をされ、この委員会で解明されるからには、私はそういう疑惑を解いてもらうだけのものを出してもらわないと困ると思うのです。単なるこういう書類で、計算上の食い違いとか解釈の誤りがあった、そうして税金は更正、修正された、その額は言えません、こういうことでは何にもならないと思うのですね。
 そこで、私は、ちょっとお尋ねしますけれども、この計算の誤りとか解釈の食い違いによるこれから税金を追加徴収する額についてはお答えできないという答弁があったわけでありますけれども、この程度が一般の税務処理上生ずる程度のものなのか、田中さんだけではなくて一般の人たちの場合でも生ずる程度のものなのか、あるいはその金額においては、それと比べてかなり大きなものであるのか、その点はいかがですか。
#111
○政府委員(磯辺律男君) ただいまそういった数字をいま詰めておる段階でありまして、それが一般に比べて大きい金額か、あるいは小さい金額か、通常かということになりますと、ちょっと判定がむずかしいのでございますけれども、やはりもとが大きいだけに、ちょっとした計算の誤りというものはやっぱり大きく響いてくるということは言えるかと思います。
#112
○田渕哲也君 それでは、この最終報告において、少なくともこの委員会で各委員から提起された問題に対しては何らかの解明なり釈明がされると、そういうことはお約束できるわけですか。
#113
○政府委員(磯辺律男君) そのときになりまして――私まだそこまで先ほど申しましたように考え方がまとまっておりませんけれども、この委員会のみならず大蔵委員会あるいは法務委員会等で御指摘になりました事項というものはすべて私たちの調査の対象として取り上げております。したがいまして、それぞれ先生方から御指摘を受けました事項について、これは具体的にこういうふうに処理いたしました、こういうふうに結論をつけましたということを一つ一つお答えするというのは非常にむずかしいと私は考えますけれども、少なくとも御指摘を受けました事項については、必ずそれに関する具体的な処理というものはやる考えでおります。
#114
○田渕哲也君 私は、その内容についてやはり守秘義務の問題もあるでしょうけれども、それの許される範囲内においてここでそれを明らかにしてもらわなければ何にもならないと思うんです。私たちにまかしてほしいだけではいけないと思うんです。なぜかと言うと、田中さんは前の総理大臣です。それから総理大臣の前は各要職を歴任された方です。行政に対して非常に大きな影響力と権限を持った方なんです。だから、われわれの疑惑は田中個人にとどまらず、田中さんのもとにあった行政当局にも向けられておる、そのわれわれを信頼してくれと言うだけではそれは信頼できないと思うんですね。それから守秘義務の問題も、国税庁長官以下は守秘義務にしばられて何も言うことができない、その権限を持っておるのは大蔵大臣だということになるわけですけれども、大臣も、こう言えば失礼ですけれども、田中さんとは盟友であられた、また現在においても田中さんは自民党内の有力者です。これからの政治的な思惑とかそういうものは全然入らずに公正な判断ができるかどうか私は非常に疑問に思うわけですけれども、この点についての大臣の意見、決意というものをお聞きしたいと思います。
#115
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど久保委員、峯山委員等にお答え申し上げましたように、もう田渕さんも万々御承知のとおり、私ども自分でかってに守秘義務をつくったわけじゃないんでございまして、国会のほうでおつくりになった法律を忠実に守っておるにすぎないわけなんでございます。国税当局にそれを求められても、それを無視して数字を示す、数字を詳しく御報告申し上げるということができないことは御承知願いたいと思うのであります。
 私の立場でございますが、これも先ほど峯山委員にもお答え申し上げましたように、国税庁長官以下に税務の円滑な執行について重大な責任を持っておるわけでございまするので、税務の執行はどうでもいいというようなことで私が行動するわけにはいかぬと思うんです。したがって、精一ぱい国会の国政の御調査には御協力を申し上げますけれども、税務の円滑なる執行という行政権の一番大事な目的を見失ってはいけないし、その点については国会におかれましても十分の御理解をいただいておると思うのでございまして、したがって、可能な限り許された範囲内で最大限の協力をするようにという総理大臣のお気持ちでもございまするし、またそれがわれわれのとるべき当然の態度であろうと心得ておりますので、本件ばかりでなく、田中金脈問題ばかりでなく、この種の問題につきましては、こういう態度で一貫してお答えしていきたいと思います。
#116
○田渕哲也君 私がお聞きしたのはそういうことではなくて、大臣は現在でもその田中さんとは利害関係がある人である、その大臣の判断だけで守秘義務についてどうこうということについてわれわれに信頼せよと言っても、それは無理だ。だから、この程度のものは出すべきだ、出さないかというのは、やはり国会と協議をしてきめてもらうべきものではないか、そういう意味です。
#117
○国務大臣(大平正芳君) たいへん失礼な御質問だと思います。私は、私情で公務を汚す男である、そういう危険性があるというような御質問はあなたにお返しをいたしたいと思うんでございます。私はいやしくも大蔵省の仕事を担当いたしております以上、厳正に公務は執行しなければならぬと思いまするし、田中さんが総理大臣であられたときも、友情と仕事は別だということはかねがね申し上げたとおりでございます。
#118
○田渕哲也君 大臣のおことばを信頼いたします。ということは、この最終報告においてわれわれが納得できるものを出していただくということによってそれが判断できると思います。この点をお願いしたいと思います。
 それからこの具体的な問題についての調査の経過について若干お伺いしたいと思いますが、昨年の十一月の決算委員会で私はサンウエーブ問題を取り上げましたが、この事実関係についての調査がどの程度進展しておるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
#119
○政府委員(渡邊喜一君) 先生の御質問のサンウエーブの問題につきましては、十年以前の問題でございまして、私どももまあできるだけの関係方面からの聞き取りあるいは資料の収集というふうな調査を行なってはきたのでございますけれども、遺憾ながらまだ完全に解明できるという段階ではございません。それからまた税の立場から申し上げますと、すでに時効にかかっておる問題でございまして、かりに完全に解明できましても、あらためて税の面で何らかの措置を講ずるということができない問題でございます。また、厳密に法律的にもうしまして、われわれの課税権のないところにわれわれの調査権があるかという点もかなり問題でございますので、そういう意味で調査面においても相当の制約があるということを御了解いただきたいと思います。ただ、本件につきましては商法違反等で刑事手続等にもなっておりますので、そういうふうな記録等も参照いたしましてある程度の事実はつかんでおるつもりでございます。
#120
○田渕哲也君 確かにこれは十年以上前の問題でありますから、資料が残っておらないでしょうし、調査権の問題もあろうかと思います。しかしながら、前回の委員会で当時の柳田政務次官は、法的には時効であるけれども、国民の疑惑を晴らすという面から調査する必要がある、そういう面について検討したいという答弁をされております。そうして、この件に立ち会った田中角榮氏やその他の関係者の意見も聞いた上で処理したい、こういう答弁をいただいておるわけです。したがって、現在もこれは調査困難だからほうっておいてもいいんだということにはならない。そこで、大蔵当局においても調査されておると思いますけれども、どの程度事実が明らかになったのか、つかんでおられる範囲でお答えをいただきたいと思うんです。
#121
○政府委員(渡邊喜一君) 私どもが把握しております事実を簡単に申し上げますと、三十九年の十月ごろにサンウエーブの当時の柴崎社長と、それから新星企業との間にサンウエーブ工業の株式約三百五十万株の取引が行なわれた。それからそれに引き続きまして柴崎氏個人所有の土地、建物がやはり新星企業に買い取られておるというふうな事実を承知しております。それらの取引関係に応じて税務のほうの申告もそれぞれ行なわれておるということでございます。
#122
○田渕哲也君 この問題は昔の問題ではありますけれども、当時検察庁が一応調べた問題であります。だから、刑事訴訟記録の中にはこの経緯というものはかなり明らかになっておるわけです。子して当時検察庁は新星企業の山田泰司氏あるいは銀行等から調査資料を取っておるわけですね。こういうものに基づいて指摘しておることは、いわゆる領収書並びに小切手の裏書きを偽造しておる、これは明らかに脱税をはかったものだ、こういうことが類推されるわけです。したがって、こういう点について調査されたのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
#123
○政府委員(渡邊喜一君) 当初の株式の取引の代金及びその後に追加されました土地、建物の代金以外に、全般につきまして水増しの価格が支払われた形に契約全体が処理されておるという御指摘でございますが、私どもの調査した範囲内においてもそういう事実があったように感じられるわけでございます。で、その水増し部分が行なわれたという事実は、税務の面から考えてみますと、それは土地、建物等を譲渡した側につきましては、これはみなし譲渡課税を免れておる。たとえば、かりに五千万円で売ったものを契約上は一億円で売ったというふうな形にいたしたとしますと、差額の五千万円につきましてはみなし譲渡所得、本来みなし譲渡所得税がかかるべきところをそれを免れておるというふうなことになろうかと思います。それからまた、それを買った側の法人について申しますと、それは購入価格の水増しでございますから、したがってその点は不当な支出になるということになろうかと思います。
#124
○田渕哲也君 そういう問題の調査に当たって、検察側とも状況を連絡されておるわけですか。
#125
○政府委員(渡邊喜一君) 特に検察側と連絡をとってやったということではございませんで、税務当局は税務当局として独自に調査をして課税処理を行なっておるということでございます。
#126
○田渕哲也君 それでは現在その調査も一応進行しているんですね。
#127
○政府委員(渡邊喜一君) 一応最初に申し上げましたように、私どもの調査にはかなり限界がございまして、現在把握しておること以上にこれから把握できる自信があるかと言われますと、必ずしも明確に自信ありと答えるわけにはいかないのでございますが、いずれにいたしましても、なお公判記録等も詳細に調べまして、当時の事情を明確に究明したいと思っております。
#128
○田渕哲也君 終わります。
#129
○委員長(前川旦君) 田渕君終わりましたね。
 次の質問者、御準備願います。
#130
○野末陳平君 国税庁は、見直しの過程で各年分の資産の増加をつかんでいるということでしたけれども、この五年間で田中角榮氏個人が資産としてどんなものを、大体大きな買いものですね、どんなものがあったか、ちょっとそれを教えていただきたいと思います。
#131
○政府委員(磯辺律男君) 土地、建物が主でございます。
#132
○野末陳平君 いままでの各委員の質問の中でもう少し具体的に出ていると思うんですね、土地で言えば私邸の問題がありました。それから建物で言えば別荘を含んだ軽井沢の件がありました。それから増資の払い込みのようなものもありましたが、もう少し具体的に、どことどことか、そういうことはお聞きしませんけれども、しかし、大ざっぱに五年間にこれだけの土地、建物についてはこれとこれと、このぐらいがふえている、金額にしたらこんなようなものだと、もう少しはっきり答えていただかないと、全くいつもわれわれが資料を出すだけで、そちらのほうで何も教えていただけないので非常に困るんですが。
#133
○政府委員(横井正美君) 目白の私邸関係について申し上げますと、目白の私邸は、二十八年ごろから長期間にわたって逐次お買い求めになられたというものでございまして、土地につきましては、四十一年ごろまでにほとんどが田中角榮氏の所有になっております。その後におきまして購入されましたものは、先ほど御質問ございました長谷川静子さんからの関係の約九十四坪だけでございます。
 なお、目白の全体の面積は千六百二十坪でございまして、巷間伝えられますように、東京ニューハウス所有の一千坪までが田中角榮氏のものであるということは誤りでございます。
 それから軽井沢の関係でございますが、東映並びに大川氏から四十七年にお買い求めの別荘だけでございます。郷里の新潟県におきましても、四十一年当時までで財産の形成が終わっておりまして、その後には増加はございません。
#134
○野末陳平君 払い込み。
#135
○政府委員(横井正美君) 株式については一つ一つ申せませんが、全体といたしましては、先ほど国税庁次長から申しましたように、長い間にわたりまして蓄積されました有価証券等が変形をしておる、運用されておる、あるいは処分されて形が変わっておるというふうなことでございます。
#136
○野末陳平君 そうしますと、加藤委員の旧徳川邸の訂正は出ましたけれども、大体過去五年間、いわゆる総理大臣になられる前後から、おなりになっておやめになる間まで、やはり土地とそれから別荘と、それからいま株は過去の蓄積が変形したということになりましたが、いずれにしても、かなりな額はここで出ていると思うんですね。そうすると、公示所得とのアンバランスを私もずいぶん感じましたが、そちらの調べでは、公示所得外の所得でこれを手当てしたという解釈になるんですか。
#137
○政府委員(横井正美君) 株式につきまして、変形しておると、こう申し上げたのでございますが、率直に打ち割って申しますと、処分されたものがかなりあるというふうに御理解いただきたいと思います。そのほか各年の所得の中から税金等お支払いになり、生活用に使われた残額が資産の形成に加わっておる、こういうことでございます。
#138
○野末陳平君 そこで、株の点をもう少しお聞きしたいんですが、原則として非課税になっておるようですが、まあ二十回の五十万株でしたか、それになりますと課税される。そこで、田中角榮氏は各年度ごとに株の譲渡益というものは一切出ていないと、株の譲渡益に対する課税関係というのは一切発生していなかったんですか。
#139
○政府委員(横井正美君) 御質問の点につきましては、五十回、二十万株、あるいは事業譲渡類似というような場合においては課税関係が起こるわけでございますが、田中角榮氏につきましては、過去五年間におきまして、その面におきまする課税関係は起こっておりません。
#140
○野末陳平君 それが実はちょっと不審なんで、少なくもある年度は五十回、二十万株をこえる取引があるとぼくは調べているんですが、絶対にないですか。
#141
○政府委員(横井正美君) 御承知のように、五十回かつ二十万株ということでございますので、二十万株をはるかに上回るような株数でございましても、回数が少ない場合におきましては課税関係は起こらないというのが現行の税制でございます。
#142
○野末陳平君 そうしますと、この株の譲渡益に関する問題はもう今後の見直しの調査の中では出てこないということになりますね。
#143
○政府委員(横井正美君) 私どもの調査は全部完結したわけではございません。先ほど次長からも申し上げましたように、たとえば配当所得につきましても一応の調査が進んでおるわけでございますけれども、なお今後とも株式の保有状況等をにらみまして検討を続けたいと、かように考えておるわけでございまして、御指摘の点につきましても、これらとあわせて検討はいたすつもりでございます。
#144
○野末陳平君 そうしますと、まだ検討するという何か含みがあるようなんで、この問題をやりますと大蔵大臣に意見を聞くチャンスを失うかもしれませんので、ちょっとこれは保留して、時間のある限り大蔵大臣のほうに意見を聞きたいんですよ。何か税務上の処理の結果だけで、この田中金脈追及というのを終わらせるような印象が非常に強いんですよね。この問題は政治不信というものを非常に国民に残したわけで、田中さんがおやめになったからといって解決するものじゃない。この委員会としても、われわれ野党としても、ただ追及しただけでこれが終わってしまってはまずいんで、やはり相当政治的前進という点で何かなくちゃいけないと思っているわけなんです。そうすると、何となく田中さんの税務関係を国税庁が調べたと、大きな問題はなくて小さなミスで、それはそれなりに適正な処置をしたんだということで終わっちゃうと、非常にこれは個人的なことにすりかえられた感じがする。
 そこで、大蔵大臣にお伺いするんですが、いま行なわれておる国税庁の田中さんあるいはその他関連会社に対する課税関係の見直しというこれ以外に、田中金脈というものが国民の間に残した政治不信をいろんな点でもとに戻すような、あるいは少しでも信頼をつなぎとめるようなことをこれ以外に何をお考えになっておられますか。
#145
○国務大臣(大平正芳君) たとえば所得税というものは、所得のあるところ所得税を納める義務が一定の条件のもとで発生するわけでございまして、国税庁の仕事というのは、そういう所得の発生に伴いまして歳入を確保すること、そういう仕事でございます。本来、政治的な道義を解明する、政治不信を解消するとかいうことが国税庁の任務ではないわけなんでございまして、国税庁に与えられた仕事は国税庁としてしっかりやってもらわなきゃいかぬと私は考えておりますが、政治不信の解消というようなことを国税庁に全部責任を持たすわけには私はいかぬと思います。
 そこでいま、しかし、野末さんが言われたことは、それでは大蔵大臣という立場で、この問題を政治家の立場でどう考えておるかということでございますが、これは国税庁としては厳正にこの見直しの調査を私は進めさせたい、そしてちゃんとした適正な処理をしていただかなけりゃならぬと考えておりますが、一方、田中角榮氏御自身は、いずれみずからの、自分の財産は一体どうなっておるのか、異同はどうなっておるのかということを、御自身も明らかでないこともあると思いますので、お調べになった上で、どういう形かは存じませんけれども、疑惑を解明するためにある措置をとりたいとおっしゃっておるわけでございまして、それは私は、そういうことがなされることは、あなたが言われる国民の疑惑を除去していく上からいきましてたいへんいいことであろうと思っております。
 しかし、同時に、この田中金脈問題という問題は、田中さんという特定の政治家をめぐって出てきた問題でございますけれども、御指摘のように政治一般不信につながる一つのできごとであると受けとめなければならぬのじゃないか、そういう意味におきまして、ほかの方々はよく存じませんけれども、私のようなものも政治家といたしましてやはりよほど気をつけて、これ、政治家の財産問題というのは気をつけて処理していかなければならない問題が提起されておるというふうに私は思うわけでございます。しかし、これはそれぞれ政治家がそれぞれの個人の責任において、自覚においてやられることでございまして、人からしいるとかなんとかいう性質のものでは私はないと思っております。
#146
○野末陳平君 非常に興味のあるお答えだったと思うんですけれども、最初にお断わりしますが、国税庁は当然政治不信を、ここで国税庁に、全部おまえのところが政治不信を解決しろと言っているわけではないんです。国税庁の見直しの役割りは十分いいと思うんですが、それにしても最終的に、その途中のいろいろな、何ですか、見直しの過程におけるこまかい具体的な中身については言えないところがたぶん多いだろうと思う。そうなると、結果だけ発表して、国税当局を信頼してまかしてくれと言われても、やはり今度疑われたのは政治家の政治姿勢ですよね。政治そのものが国民からかなり疑惑を持たれたわけですから、ですから国税庁だけでこの田中金脈追及というしりぬぐいを終わりだというのはおかしいと思う。そこで、それ以外に何をお考えになっているかというふうに私はお聞きしたら、大蔵大臣は、財産問題は特に気をつけないと、いろいろ気を使って処理しなければというようなことをおっしゃいましたけれども、そうなると、何か気をつけなきゃならないほどみんな裏があるのじゃないかと、むしろですよ、いや大蔵大臣に言うのではなくて、むしろそういう印象すらある。ここで私は政治家全部が、田中さんが退陣したあとを受けて、やはり国民の政治不信を解くために姿勢を正すのがあたりまえだと。そこで大蔵大臣、個人の自覚とか良識とか、そういうもので財産処理に気を使っていかなければいかぬというようなことではなくて、ここらでもうちょっとわれわれが、これだけ姿勢を正すぞという自覚のあらわれを国民の前に示さなければいけないと、こう思うんですよ。そこで、たまたま三木さんはおやりになりましたけれども、財産を公開なさったけれども、あれがはたして国民の政治不信、あるいは田中金脈、疑惑でもって何か政治をもう黒い目で見ようとしている国民に対して、どれだけ三木さんの資産公開は役立ったか、ぼくは疑問だと思うんですよ。
 そこで、大蔵大臣に、これはいわゆる次に総理大臣になられるかもしれない非常に日本の大政治家の一人としてあえてお伺いするんですが、私はこの際、ほんとうは議員全部が望ましいとは思うんですけれども、とりあえず、大臣になるような方あるいは大臣になったら当然資産を公開すべきだと。本人、それから配偶者、それから子供まで含めて、土地とか建物のほかに株とか、それから利権がある人もあるかもしれませんね、そういうものを全部オープンにしてみずから姿勢を正すと。ただその場合に、紙っぺら一枚ではなくて、やはり公認会計士のようなしかるべき人の監査証明がついていると第三者的信憑があるという形で公開すべきである。それから過去五年間ぐらいの確定申告の中身は、うしろ暗いところがなかったら自分でばあっと出すのがこれはあたりまえだと思うんですね。そのぐらいのことをしなければ、この田中金脈で国民の間に残った疑惑とか不信の念なんて簡単に解消しないと思うんですよ。ですから、これも自分が出すといっても、国税庁が証明するような形をとってやらなければいけない。少なくともこの二点は、やっぱり大臣になったら数カ月の間にはぱっとやるというぐらい、これはよその国がどうあろうと、ほかの人がどう思おうと、やはりやるべきだ。これを個人の自覚ではなくて義務づけるのがいまわれわれが考えなければならない問題だと思っているんですよ。ですから、大蔵大臣、大蔵という立場でなくて、国務大臣あるいは次期総理大臣というような立場で、もう少しこの問題に対して具体的にお答えいただきたいんですよ。自覚とか良識にまかせるということで済むのか。それだったら、田中金脈でこれだけ世間を騒がした反省というものがぼくは不十分だと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#147
○国務大臣(大平正芳君) 財産を公表するということでございまするし、総理大臣もやられたようでございますが、ことさらそんなことをしなくても、所得税法の二百三十二条には、あれはたしか二千万円以上の所得を持つ者は財産と債務の明細を税務署のほうに確定申告のときにつけるようになっておりまして、私も毎年それをやっておるわけなんでございます。これは所轄の税務署へ参りましたならばわかるはずなんでございまして、私は、気をつけなければならぬと言うのは、これもおざなりに、一応うちはこれだけの土地、建物を持っておるとかいうことでなくて、まあそればかりでなくて、あなたが言うように、有価証券にしても、いろいろなお義理合いで若干持ったものを見落としたり何かすることのないように、できるだけ正確にそういうところに申告するだけの注意義務が私は要るんじゃないかということを、あなたの御質問を受けながら感じておったわけでございますが、公の税務署にはちゃんとそういうように――公表はされておりませんけれども、異同かちゃんとわかるように申告をいたしておるわけでございまして、それ以上やらにゃいかぬものかどうかというような点は、日本の民主主義というもののルールは、野末さんおっしゃるように、それぞれ政治家というのは、財産をこういう時期に、こういう方法で、こういう内容のものをと公表するのが一つのルールだということが定立してくれば、これはまあ一つの行き方かもしれませんけれども、そこまでいまいくべきかどうかというような点につきましては、私はよほどこれは検討せにゃいかぬ、日本のデモクラシーのあり方として検討せにゃいかぬと思うのでございます。
 それから財産問題というのは、なかなかこれお互いに、野末さんも私も一個の人間として考えた場合に、まあ女房がどれだけへそくりを持っておるか、(笑声)それから私が女房に預金帳の残高を一々知らせないほうがいいんじゃないかとか、(笑声)つまりその財産などというものは背中に張って歩くというようなものでなくて、ある程度の秘密というのがこれはあるんです。それまでみな奪うというようなことは、それは釐毫の間違いがあっちゃいかぬぞと、隠しものがあっちゃいかぬぞということまでやると、これ、人生生きる値打ちがなくなるんじゃないかと思うんです。(笑声)その点、私は、大筋で間違わないようにせにやならぬといいますか、釐毫ももう間違わないように、これでもかこれでもかとやられることが日本のデモクラシーのあり方としてはたして賢明なのかどうかという点は、与野党通じて私はやっぱり考えてみなきゃいかぬ問題じゃないかと思うんです。だから、財産問題というのはどういうように扱ったらいいかというのは、確かにわれわれにとって、政治にとって大事な課題だと思うんでございまして、単なる情緒的に、気分でこうせにゃならぬということも確かにそれはわかりますけれども、もっと冷静に、デモクラシーのあり方として、やっぱり情もあり血もあり愛情もあり理解もあるというような姿でこれは考えていくべき、お互いに検討すべき課題じゃないかというように私は思います。
#148
○野末陳平君 わかりました。しかし、非常に公人としての立場を忘れて、かなり甘ったれたような考え方だと思います。女房のへそくりとか、あるいは会社の社長の財産と公人としての立場は違うと思います。しかも公人が今度疑われた。地位の利用とか、あるいは利権でもうけたとか、あるいは政治資金を私物化したんじゃないかとか、脱税したんじゃないかとか、いろいろな点で疑われる。公人としての責任と自覚というものを考えた場合に、一般の人と同じようにデモクラシーだから財産はそう簡単にといういまの大蔵大臣の答えはぼくは非常に不満です。ちょっとこの田中金脈追及に関して最終的に大臣はまだ反省が足りないんじゃないかと、そういうふうにぼくは思います。
 きょうは終わります。
#149
○委員長(前川旦君) 他に御発言もないようでありますが、大蔵省関係の審査につきましては、本日は中間報告聴取のため、今後の取り扱いにつきましては理事会で協議の結果確定することとし、再び保留といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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