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#1
第075回国会 決算委員会 第12号
昭和五十年六月四日(水曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月四日
    辞任         補欠選任
     矢原 秀男君     二宮 文造君
     加藤  進君     近藤 忠孝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         前川  旦君
    理 事
                今泉 正二君
                遠藤  要君
                園田 清充君
                小谷  守君
                峯山 昭範君
                橋本  敦君
    委員
                青井 政美君
                石本  茂君
                岩男 頴一君
                河本嘉久蔵君
                寺下 岩蔵君
                永野 嚴雄君
                温水 三郎君
                望月 邦夫君
                案納  勝君
                久保  亘君
                小山 一平君
                田代富士男君
                二宮 文造君
                近藤 忠孝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  田中 正巳君
       運 輸 大 臣  木村 睦男君
       労 働 大 臣  長谷川 峻君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  小沢 辰男君
   政府委員
       防衛施設庁労務
       部長       松崎鎮一郎君
       環境庁企画調整
       局長       城戸 謙次君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  橋本 道夫君
       環境庁大気保全
       局長       春日  斉君
       環境庁水質保全
       局長       大場 敏彦君
       沖繩開発政務次
       官        國場 幸昌君
       沖繩開発庁総務
       局長       山田  滋君
       国土庁土地局長  河野 正三君
       法務政務次官   松永  光君
       法務省刑事局長  安原 美穂君
       大蔵政務次官   梶木 又三君
       厚生省医務局長  滝沢  正君
       厚生省薬務局長  宮嶋  剛君
       厚生省児童家庭
       局長       上村  一君
       厚生省年金局長  曾根田郁夫君
       社会保険庁医療
       保険部長     山高 章夫君
       農林大臣官房審
       議官       中川 正義君
       食糧庁長官    三善 信二君
       通商産業大臣官
       房審議官     大薗 英夫君
       通商産業省基礎
       産業局長     矢野俊比古君
       運輸大臣官房観
       光部長      高野  晟君
       郵政省貯金局長  船津  茂君
       郵政省人事局長  神山 文男君
       労働省職業安定
       局長       遠藤 政夫君
       自治大臣官房審
       議官       遠藤 文夫君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   千葉 和郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       林野庁指導部長  藍原 義邦君
       会計検査院事務
       総局第一局長   高橋 保司君
       会計検査院事務
       総局第二局長   柴崎 敏郎君
       会計検査院事務
       総局第三局長   本村 善文君
       会計検査院事務
       総局第五局長   中村 祐三君
   参考人
       年金福祉事業団
       理事長      牛丸 義留君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十七年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十七
 年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣
 提出)
○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第七十二回国会内閣提出)
○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第七十二回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、矢原秀男君及び加藤進君が委員を辞任され、その補欠として二宮文造君及び近藤忠孝君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。
 本日は締めくくり総括質疑第一回を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○小山一平君 まず最初に、厚生省社会保険庁にお伺いいたしますが、国民健康保険から政管健保に変わった場合、あるいはやむを得ない事情あるいは間違ってすでに国保の資格を失っているのに、国保の保険証で医療を受けるという場合がございます。この場合当然国保はその給付額の返納を求めるわけでございますが、中にはたとえば健保の保険証がまだ本人の手元に渡っておらないというような期間においては、その給付額に見合う金額を社会保険事務所は支払っておりますが、支払いを受けることができないという件数がかなりに上っております。このことについて資料を求めましたところ、その件数も金額もわからないと、こういう回答でございましたが、そのとおりでございますか。
#5
○政府委員(山高章夫君) いまお話しのような資料でございますが、支払基金からの請求書が非常に多く、またそういったものについての特別の調査しておりませんので、直ちにはわかりかねる次第でございます。
#6
○小山一平君 それではわからないけれども、その国保の給付額に見合う金額の支払いを社会保険事務所から受けることのできないという問題が存在をすることは御承知ですか。
#7
○政府委員(山高章夫君) 承知いたしております。
#8
○小山一平君 そういう場合はどういう根拠に基づいてそういう扱いをしているか、その根拠についてお尋ねをしたいと思います。
#9
○政府委員(山高章夫君) 一般的には健康保険の給付は、被保険者証を提示して現物給付を受けるというのがたてまえになっておりまして、全くやむを得ない場合、そういったときに限って療養費の給付をするということになっております。このやむを得ない場合に該当しない場合には、給付を受けられないということになるわけでございます。
#10
○小山一平君 これが実は大変私は問題だと思いますことは、国保をやめて政管健保に移ってちゃんと保険料を支払っているにもかかわらず、しかも、国民皆保険と言われているにもかかわらず、間違って保険証を行使したために皆保険でなしに個人負担を余儀なくされるという、これは大変趣旨から言って問題があるように思いますが、そう思いませんか。
#11
○政府委員(山高章夫君) 間違って健保の被扶養者に認定を受けた後に引き続き過って国保の被保険者証を行使しているというのは、先生のおっしゃるように明らかに間違いでございまして、こういった事態が生じないように十分予防的に措置を講ずる必要があろうかと思っている次第でございます。
#12
○委員長(前川旦君) ここで皆さんに申し上げますが、だんだん暑くなってきておりますので、上着をどうぞ御自由にお取りになってください。結構でございます。
#13
○小山一平君 実は私が社会保険事務所二カ所を訪ねてその事情を調査をいたしましたところ、どの社会保険事務所も少なくとも一年に十五件ないし二十件は支払うことのできない件数があると、こういうことです。そういうことから推察をいたしますと、現在社会保険事務所で健保を扱っているのは全国で二百三十カ所ですね。そうすると、一事務所で一年に十五件ずつそういう問題があるといたしますと、全国では少なくとも三千四百五十件、二十件ずつあるとすると四千六百件もの多数に上る医療費の自己負担を余儀なくされているという事実がここに存在をするわけです。これは私が直接社会保険事務所へ行って所長あるいは担当課長から確かめた件数でございますから、私は大体全国的にこんなふうな状況ではないかと思いますが、その点はどのようにお考えですか。
#14
○政府委員(山高章夫君) 先ほど申し上げましたように、お話のような実態を十分つかんでおりませんので、総数についてはなんでございますけれども、先生のお話の点をもとにして推計いたしますと、そういうことになろうかと思いますが、こういったものについては故意、重大な過失がないような場合には十分検討の余地があるのではないかというぐあいに考えております。
#15
○小山一平君 実はどうして私がこういうことがわかったかと言いますと、どうして私のところへ訪ねて来たのか知りませんけれども、市内の八十になるおばあさんが私のところへ訪ねて来ました。このおばあさんは長男と人間関係がうまくいっておらないというので、娘さんのお嫁入り先あるいは次男等々のお家を回りながら世話になってきたおばあさんです。そして、このおばあさんが個人で国保に加入をしていたけれども、娘さんのお嫁に行っただんなさんが初めて工場に勤めることになった。そこで、その機会にこのおばあさんをずっと家に引き取ってめんどうを見よう、そしてこの国保もやめて息子さんの社会保険の中へ加えるという、こういうことになったおばあさんです。これが実は四十六年の六月すでに国保をやめていたにもかかわらず、十一月までおばあさんは前の国保の保険証で方々のお医者さんにかかっている。そして、その給付額が二十万円を超えることになりました。そこで、国保からこのおばあさんに二十万三千何がしの返還の要求が来ました。これは当然のことです。そこで、このおばあさんが私のところに来て、これは私の間違いだけれども、まさか娘のだんなさんに二十万を払ってくれということは私の立場でこれはとても言えないので、いま七千五百円ずついただいている老齢福祉年金で年賦で支払うように小山さんひとつ心配してもらいたいと、こういう私のところへ訴えがあったわけです。
 そこで、私考えたのですが、このおばあさんは悪意でなしに間違って国民健康保険を使ったわけだから、そのお医者さんにかかった給付額を国保に返納するのは当然だけれども、返納すれば当然社会保険事務所ではその給付額に見合う金額を支払ってくれるはずだから、おばあさん、心配要らないよ、こういうことで帰ってもらって、市役所の課長に、このおばあさんにそんな交渉やれと言ったってこれは無理だろうから、課長ひとつ悪いけれども、社会保険事務所に行って、この給付額を返納したらそれに見合う額はひとつ社会保険の方で支払ってもらえるような交渉をしてほしい、こういうことを依頼いたしました。早速課長が社会保険事務所へ出かけていって交渉したところが、その中の一部は認めることができるけれども、十万何がしは支払うわけにはまいらない、こういう回答を得て帰ってきました。
 そこで、今度は私が直接社会保険事務所に出かけていって、所長、担当課長と話し合いをいたしました。ところが、これはちゃんとこの法律にいま説明のあったような規定があるので、私たちは法律を厳正に守るという任務があるので、この法律がある限りはその支払いはできません。それはどうやったらできるか、こういう話をいたしますと、それはこの法律をまず変えてもらうということが第一、それからもう一つは、医療を受けた病院あるいは診療所、薬局等にお願いをして、そして病院から請求漏れということで、これと同じ、国保から支払った書類と同じものを出してもらえば払うことができる、この二つしかありませんと、こう言うんですよ。
 ところが、いまの病院へ行って、一たん国保で請求をしてその医療費を受け取った病院が、二重に社会保険に請求書を出して金を受け取って、金が来たら本人に渡してくれるなどという、そんなことのできるはずが実はないんです。そこで私はさっきも申し上げたように、このおばあさんのように、八十歳、すでに医療費無料政策が実現している今日、この給付額の差額三割は市で見てくれるけれども、七割はどうしても自己負担をせざるを得ない、これは大変不当なことではないか、厚生省はこういう事実に対してもう少し思いやりのある措置は一体とれないものか、なぜ今日までそういう措置がとられなかったか、このことについて私は何としても納得が実はできないんです。大−臣、いかがですか。
#16
○政府委員(山高章夫君) ただいまの先生のお話、身にしみて感じたわけでございます。社会保険事務所で先生にそのような御回答を申し上げたのは、これは一般的にはいろいろの意味でいろんな要素が入ってまいりますので、厳格に法律の施行をするように事務所にお願いしているわけでございますが、事務所でも申し上げましたように、また先生のお話にも一端触れておりますが、法律の規定は、適用について裁量の余地も若干ございます。「療養ノ給付ヲ為スコト困難ナリト認メタルトキ」とか、そういうことで裁量の余地を認めております。これはお話のようなきわめて善意で過ちをやったような場合に恐らく適用になる規定であると解しております。十分事情を調査した上で適切な措置をとるようにいたしたいと思います。
#17
○小山一平君 私は、いま申し上げた、八十のおばあさんのこれはただ一つの事例を申し上げているんであって、こういう事例は少なくとも年間三千件、四千件と実在をするという事実にかんがみまして、これはただこの問題を特別検討をして措置をするというんでなしに、こういう矛盾が発生することのないような全面的な改革というものをこの際図るべきだ、そういう立場からこの質問を申し上げているわけです。どうぞ。
#18
○国務大臣(田中正巳君) ただいま御質問の件については、国民皆保険下でございますので、それぞれの保険から何らかの形で給付が受けられるのが本則でございます。しかし、医療保険が分立をいたしておりますものですから御質問のようなケースが出ることがあると思いますが、結果論においてさようにむごい結果になることは私どもとしては好みません。したがいまして、善意であるものであるならばそういうことにならないようにいたさなければならないと思っておりまして、制度論的な検討についてはいろいろ――直ちにこれを実施するということについてはまだ検討が必要だと思いますが、善意のものについてさようなことのないように措置をいたす所存でいろいろと督励をいたしたいと、かように考えます。
#19
○小山一平君 私は非常にこういう地域の末端の取り組みが厚生省が非常に冷淡だと、こう思うんですよ。というのは、こういう問題が存在することをちゃんと知っているでしょう。知っていたら、一体これがどのくらい全国的に発生をして、そういう気の毒なことになっている人があるかというぐらいの調査は、これは事前にやるべきですよ。それを今日やっておらないでしょう。
 それからこういうことを知っていますか。国保の事務担当者の連絡会議というのが各地でよく行われております。その連絡会議では、聞いてみると、その会議のたびにこういう矛盾、こういう不行き届きはぜひ改革してほしい、間違って国保の保険証で医療を受けた、そして国保から返還を求められた、当然これは社会保険事務所でその給付額に見合う金額を支払うという道を開いてほしい、こういう要望意見というものが連絡会議のほとんどその都度提起されているそうです。そういうことを知っていますか。
#20
○政府委員(山高章夫君) 間接には聞いております。
#21
○小山一平君 ですからね、そういう事実があるということを知り、そして国保の末端の医療保険を扱う、大抵課長クラスの集まりですけれども、それが来る年も来る年もそういう要望を出しているということを知りながらこの改善の取り組みを今日までいささかもやってこなかったなんてことは、これは厚生省という役所にしてはちょっとまずいんじゃないですか。そう思いませんか。
#22
○政府委員(山高章夫君) この点につきましては十分検討しなければいけないと思っておりまして、こういう事態の発生しないような予防措置と、それから仮に不幸にして出た場合の救済措置については早速検討して実施に移すようにしたいと思っております。
#23
○小山一平君 これからのことは当然ですがね、何年もの間こういうことが放置されてきた、そういう事実があり、そういう不合理、矛盾が実在するということを承知をしていながら、また国保の実際の担当者からその改善を求めるという要望が繰り返されているにもかかわらず、実態調査さえしておらない。こんな姿勢は私は許されないと思いますよ。ですから、そのことに対するまず反省、責任を感じると、こういうやっぱり前提の上に立たないと、ただ、これから検討しますなんていうことでは、これは許される問題じゃないと思うんですよ。どうですか、いま私が申し上げたような経過を踏んまえて、いままでとってきたこの問題に対する態度というものは、これは大変まずかった、もっと積極的にこの問題の改善処理に当たるべきだったと、こういう反省はありませんか。
#24
○政府委員(山高章夫君) ただいまも御答弁申し上げましたように、前向きの姿勢で改善したいというぐあいに思っております。
#25
○小山一平君 どうしてね、――私は不思議でしょうがないんだ、どうしていままでの取り組みがまずかったという反省を、気持ちを披瀝することができないんですか。いままでのこと、それでよかったんですか。そんなにね、メンツだ何だなんてこだわるのかどうか知りませんけれども、もう少し謙虚に、まずかったことはまずかったという反省の上に立ってそしてこれからの積極的な取り組みを図ると、こういう姿勢こそが私は大切と思うんですよ。ところが、どうやったって、いままでのそういう不行き届き、そういうことに対する反省の発言は一つも出てこないじゃないですか。
#26
○政府委員(山高章夫君) 実は、この問題は一昨年健康保険の抜本改正がございまして、従前健康保険の被扶養者は五割給付でございまして国民健康保険は七割給付ということで、国民健康保険の被保険者に――これは一般論でございます、ただいまのケースではございませんが、国民健康保険の被保険者に行く者が非常に多く、それが、改正になりまして今度は健保の被扶養者の認定を受ける者が非常にふえてきております。その点を十分個々のケースについて調査しながら被扶養者の認定をしなければならないという要請がございまして、この取り扱いをここ数年慎重に扱ってきたわけでございます。しかしながら、お話のようないろいろ故意とか重大な過失がなくて起こったケースというのはかなりあると思いますので、そういう点については十分いままでの方針について再検討を加えて適切な改善をしたいというぐあいに考えておるわけでございます。
#27
○小山一平君 そんなこと聞いてやいないんだよ。いままでね、こういういろんな事実を承知をしていながらこういう問題を取り残して、一年に全国で三千人も四千人もの大ぜいの人々が、国民皆保険と言いながらも給付を受けることができずに自己負担を余儀なくされるというようなことを放置をしてきたということに対する、それに対して一体責任は感じないか、反省はないかと、このことを聞いているんですよ。これからはどうやるかなんていうことはこれからの話ですよ。
#28
○政府委員(山高章夫君) いままでのやり方についても十分反省して前向きでやってまいりたいと思います。
#29
○小山一平君 それでね、いろんなケースがそれはありますけれども、これね、故意に、こういう社会保険に入っているのにわざわざ国保でお医者さんにかかってそしてこんな問題が起こるなんということを知っていてやる者はないですよ。みんなこれ、気がつかなかったりあるいは無知であったり、不用意であったり、ほとんどこれは善意に基づくもんですよ。何か、だれかが不当な意図があってこういうことを行う場合があるかもしらぬなんという、そんな考えがもしあるとしたらこれは大間違いですよ。そんなことあろうはずがないじゃないですか。社会保険にちゃんと入って、社会保険の保険証を持っていけばちゃんと給付が受けられるのに、何でわざわざそれを使わないでそして国民保険証を持っていってお医者さんにかかるなんということがね、これ不用意や間違いやそういうことに基づく以外にあるわけないじゃないですか。――何かありますか。あったら事例を聞かしてくださいよ。
#30
○政府委員(山高章夫君) 個々の事例は持っておりませんが、全体としてそういう傾向が見られると、まあ数字の上だけでございます。
#31
○小山一平君 数字の上でそういうのがあるといいましても、だれか、それじゃね、国保から健保に移って健保の保険証で医療が受けられる条件が整っているのにわざわざ国保の保険証でお医者さんにかかるという、何か意図があったり、他意があったりしてそういうばかげたことをやったという事例が一つでもあったら示しなさいよ。
#32
○政府委員(山高章夫君) ちょっと私の申し上げたのは何でございますけれども、そういうケースがあるのでまあこういった療養費払いについて慎重に扱ったということでございまして、そういうケースをとめるとかそういうことじゃございませんので、御了解いただきたいと思います。
#33
○小山一平君 そういういま申し上げたような間違いというのは、これはみんな、そんな悪意や何か意図があってのものでないと。みんな間違いに基づくものだ、他意のないものだ、善意に基づくものだと。だから、お年寄りだとか子供だとか、そういう人たちがこういうことにひっかかる場合が一番多いんですよ。ですから、こういう間違いはみんな他意のない出来事であると、こういうやっぱり認識の上に立たないと、これからのこの問題の解決の道も、ああではなかろうかこうではなかろうかなんていうことになりまして私はいかぬのだと思うんですよ。そうでしょう。ちゃんと健保でお医者さんにかかって給付が受けられるのに、同じ条件の給付しか受けられないのにわざわざ国保を持っていってお医者さんにかかるばかありますか。それは気がつかなかったり間違ったりしたからこういう事故が起きるんですよ。だから、それは他意のない間違いだ、善意に基づくものだと、すべてがそういうものだという認識が前提でなければいけませんよ。
#34
○国務大臣(田中正巳君) 基本的には私はそうした認識のもとに血の通った行政をやるようにいたさなければいかぬと、かように思います。ただ、末端の社会保険事務所あたりでいろいろきついことを言ったのは、私はこのケースについては大臣になってからきょう初めて聞くわけですけれども、前に議員しておったときに聞いたことがございますが、健保家族と国保の被保険者との間には給付率の違いがあったわけでございまして、片や国保の被保険者でありますると七割給付を受けられまして、健保の家族ですと五割給付なものですから、二割その間に給付率の違いがあるものですから、逆選択をされるケースがあるということを法案審議でいろいろ議論したことがございまして、そういったような時期にはあるいはいま言ったようなケースがあったかもしれない。まあそういったようなことが過去にあったものですからまたそういったようなことについていろいろとやかましく言っておったんだろうと思いますが、いまはなべて七割給付になりましたから、いまの時点において先生の所説は正しい、かように思います。したがって、今日時点においては、もしそういうケースがあるとすれば、ほとんどが私は知らずに、間違いで、過誤でやっているものが非常に多いと思いますので、今日時点では私は血の通った行政をするようにしなけりゃいかぬし、またそうした逆選択みたいな事例は起こり得ないと思いますので、できるだけそのような方向で個々の国民が困ることのないように、いま先生がお挙げになった例などは聞くだに私も気の毒だ、かように思いますので、そういうケースのないように今後とも事務当局を督励をいたしたい、かように考えます。
#35
○小山一平君 まあ大臣がそういうお考えであるということは大変これ問題解決に非常に結構だ、こう思います。そこでね、私はいま私が申し上げた事例が、ここで私が申し上げたからこの問題が温かく処理されるということだけではこれはいかぬのであって、おしなべてこういう事故全体が厚生省の方針として措置されるという、こういう道がお約束いただけないと困るわけです。
 そこで、これ各保険事務所に対しまして何らかの形で早急にこういう問題に対する取り扱い等についての指導あるいは指示、こういうものをおやりになっていただけますか。
#36
○国務大臣(田中正巳君) いま先ごろ私の答弁いたしましたのは、御質問のケースについてだけ申し上げたわけではございません。一般例について、一般的な基本方針として申し上げたわけでございます。なお、そうしたことを踏まえまして、できるだけ早く末端に対し厚生省の方針を通知をいたしたい、かように思います。
#37
○小山一平君 はい、結構です。これで厚生省は結構です。
#38
○委員長(前川旦君) 田中厚生大臣、一時退席していただいて結構です。
#39
○小山一平君 次は、去る五月の二日――四十三年に行われた参議院選挙の選挙違反事件につきましてお尋ねをいたしたいと思いますが、私は何も個人の議員のことをどうこうと申し上げようと思うわけではありません。これは御承知のように、四十三年に当選をされた中山議員の実質出納責任者が選挙違反として最終的な裁判所の結論が下されて、これが連座制を適用されるという事件でございましたが、何と、余りにも長い裁判が続けられてきた結果、すでに連座制適用は時効になってしまった。そして当人は昨年の選挙ですでに議員に当選をされている。これは全く長期裁判というものの結果がいかに重大な結果を招くかということをありありと示していると思いますが、この事件の経緯等々は一体どういうことでこうなってきたかという点をまず最初にお尋ねいたしたいと思います。
#40
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) お尋ねの事件でございますが、ケースは四十三年の参議院議員選挙で当選されました議員の実質上の出納責任者――福島と申しますが、それが主として買収の事案につきまして大阪地裁に起訴されたと、こういう事件であります。
 その訴因、事件の数は二十三個ございまして、起訴に若干の時間がかかっておりますが、第一回公判が開始されましてから結審までに公判回数三十五回、取り調べ証人数四十八人、その他物証、書証等がございまして、判決が四十八年の三月一日に第一審が終わっております。それで続いて控訴申し立てがありまして、控訴審では九回の公判が行われまして、証人が数名調べられました。四十九年の十月十一日に判決になっておる。で、上告審は五十年の四月三十日に決定されておる次第でございまして、主として一審におきまして四年半ほど長期化したと、それが長くなった原因だと、こういうふうに思われます。
#41
○小山一平君 私は社会の不正や矛盾に対しましてまともな答えを出す責任のあるのは裁判所だと思います。その裁判の結果がせっかくの連座規定を全く空文化させまして、そして国民の期待を裏切る結果となった。これでどれほど法や厳正な裁判の権威に対する国民的な不満や不信を招いたかは、これはかり知ることができないと思います。こういうことに対して責任というものは一体どうなるんでしょうかね。構わないですか。
#42
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 御承知のように、訴訟手続はもちろん裁判所が主宰いたしますが、現在の訴訟手続は、御案内のように、当事者主義でございます。それで何よりもこの手続から申しますと、裁判所は、御承知のように起訴状一本主義と申しまして起訴状だけしか手に入らない。で、当事者が、検察官と弁護人がその起訴状を中心にして攻撃と防御活動をやる、こういう仕組みになっておりますので、当事者の方の準備あるいは訴訟活動ということも非常に重大な審理の進行については問題になる、こういうふうに思いますが、いずれにしましても裁判所が主宰するわけでございますから、当事者の責任ということももちろんあると思いますけれども、裁判所としても十分注意しなければいけない、非常に延びるということにつきましても裁判所としても深く反省しなければいけない、かように考えております。
#43
○小山一平君 公職選挙法第二百五十三条の二にはこう書いてありますね。「訴訟の判決は、事件を受理した日から百日以内にこれをするように努めなければならない。」、二項において、「前項の訴訟については、裁判所は、特別の事情がある場合の外は、他の訴訟の順序にかかわらず速かにその裁判をしなければならない。」、こういうふうに規定をいたしておりますが、全くこの規定なんていうものはこれあってなきがごときものでしょう。百日以内に処理するように努力をしなさいと法律がしっかり規定をしているにもかかわらず、何と六年十カ月というと約二千五百日、法がその目途を示している百日の二十五倍もの長い年月を要する。一体この公職選挙法第二百五十三条の二の規定というものはどういう意味があるんですか。ただ勝手に書いてあるだけで、これによって何らかの拘束なり責任なりというものは生じないんですか。
#44
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 公職選挙法に規定がございますとおり、裁判所としては当事者を含めましてその規定の趣旨に従って迅速な裁判をするように、また裁判所としましても各当事者としましても、それが可能なように各般の手配なり準備なりをして、そしてそれをその規定の趣旨に従うように進行していくと、そういうふうな意味では一種の非常に強い努力目標を掲げた規定だと思っております。
#45
○小山一平君 努力目標をただ掲げてあるだけで、実際にはあっても何の用もなしておらないということでは、これは法律の権威も何もあったものじゃないと思うんですよ。
 そこで、私は、こういうふうにとにかく裁判というものが長い年月を要する。一体これは裁判そのものにその原因があるのか、あるいは法律そのものにそうならざるを得ない要素があるのか、一体どこに原因があって、こんな百日を目途とするというような法律の規定があるにもかかわらず、百日が二千日、三千日もかかるという、こういう結果を招く、一体その原因というものはどこにあるのかということを究明しなきゃいかぬと思うんですが、一体どういう原因によるんでしょうかね。
#46
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 公職選挙法の規定はございますけれども、その基本になりますのは、やはり刑事訴訟法でございます。刑事訴訟法は先ほども申し上げましたように、非常に当事者主義の精神に徹底しておりますので、その原則にのっとって、しかも迅速にやらなければいけないと、かようなことになろうかと思います。現にこの百日裁判の事件は、公職選挙は当選されました方々に関する規定でございますから、国会議員だけとは限りませんで、最近数年間の状況を見ましても百日以内に終わっている、まさにその規定の趣旨に沿うように努力してやっている事件も非常にございますものですから、一般に訴訟手続が悪いというふうには言えないのではないか、やはり裁判所が中心になって各当事者にその精神にのっとって本気に、真剣に、迅速な処理ということについて総力を結集してもらうように持っていくという、その運用の面に問題があるんではないかと、かように思いまして、私ども昨年も、またことしも予定しておりますが、裁判所の方の関係では会同等を通じまして、さらに適切な運用のことについてきめ細かい議論をしようと、かように考えております。
#47
○小山一平君 私は非常に問題なのは、まあ単純な文書違反だとか、戸別訪問だとか、こういうような事案はこれはどしどし処理ができると思いますが、特に公職選挙法で注釈されているように、当選人の当選に影響を与えるような特定の刑事事件については速やかに処理すべきことを規定しているものであると、こういう注釈を下しております。ところが、当選人の当選に影響を与える可能性のある事件というものはそれと反対に長期を要して、今回のような結果を招く、こういうところに問題があるのでございまして、いろいろ法律の条文やその法律の意図するところなどを明確にしている資料を見ましても、全くそれとは相反する結果であると、こう思うんですよ。
 そこで、私は、一方では百日以内に処理しようと規定をしておきながら、六年も七年もかかって、判決が出たら時効になっていてこれは無意味なものであったなどということは、これほど国民を愚弄した法律というものは世の中にないと思うんですね、そう思いませんか。
#48
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 迅速な裁判ということにつきましては、ただいま御質問のありました以上に私どもも考えているわけでございまして、各担当の裁判官はそれぞれ非常に苦労しているようでございます。それで私ども行政担当の者としましては各庁でそういう事件が起こった場合にはそれに専念できるような体制をつくるようになっておりますし、また補助機構の関係でもそれを直ちに補充するように手配するように努力はいたしておりますが、何分こういう結果が起こりますことは大変遺憾なことだと私思っております。
#49
○小山一平君 そこでお尋ねをしたいのは、昨年参議院選挙が行われました。大変幾つかの違反事件が摘発されております。そしてまたうわさによれば、年内には衆議院の選挙もあるのではなかろうか、こう言われております。
 そこで、まず最初に総括的に昨年七月の参議院選挙における選挙違反の実態、そしてその裁判の状況、こういうものを個々のことでなくてけっこうですから、まず最初に総括的な状況をお聞かせ願いたいと思います。
#50
○政府委員(安原美穂君) お尋ねの全般的な数字につきましては、ただいま資料を持ってきておらないので、すぐ照会いたしましてお答えいたしますが、いま小山委員が御関心のいわゆる当選無効に連なるような選挙違反事件ということに相なりますと、糸山英太郎派の総括主宰者それから地域運動主宰者の二名につきまして買収事犯の起訴があった、その二件でございます。
#51
○小山一平君 そこで、私は別に特定の議員に何も遺恨も恨みもあるわけではありませんけれども、これは大変社会的な問題でもありますからお尋ねいたしたいと思いますが、去年七月の参議院選挙で、恐らく史上最高だと言われる金権選挙、十億とも言われるような買収選挙で当選された糸山議員、当時マスコミも大きくこれを取り上げましたし、あるいはまた世論も大変沸騰をいたした大事件でございました。ところが、私は中山議員の裁判の実態などを見ると、この大きな選挙違反事件もあるいは長年月を要して時効になるようなおそれはないのか、下手をすればそうなるのではなかろうかと、こういう心配があります。もしこれが再びそんな結果を招くとしたら私は国民の政治に対する信頼もあるいは裁判に対する信頼も、法律の権威に対する国民感情もこれは大いに傷つけられることは間違いないと思いますが、今日この糸山議員に関連をする違反事件の裁判の進行状況はいまどんなふうになっておりますか。
#52
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 御質問の二件の事件でございますが、一件は東京地裁に起訴されました林武英被告の事件でございます。これは総額四千五百三十五万円の買収を主とした事件でございまして、件数、訴因と申しますが、これは五つになっております。それから神戸地裁に起訴になりました近松誉了被告の事件は総額一千六百五十万円の、これもまた買収を主とした訴因が二十一個の事件でございます。
 で、東京地裁の関係は起訴されまして直ちに弁護人、検察官に集まってもらいまして協議をしました上で年内に十五回の期日を指定しまして、さらにその後十四回の期日を予定したわけでございますが、証人尋問に三人ほど済みましたところで林被告の方から肺腫瘍で左肺切除というような病気で入院することになりまして、二月の十六日から公判手続が停止になっております。で、林被告はそういう病名で現在癌研究会の附属病院に入院中でございますが、その後の診断によりますと、一時大分よくなったようでありますが、また経過が思わしくないというような状況で依然として公判手続が中止になっております。で、先ほどお話が出ましたように、百日裁判ということのためにはやはり期日を非常に詰めまして、これは検察官、弁護人も大変な努力が要るんでございますが、その協力を得てそのように三十回近い期日を短時間のうちに集中的に指定したわけで、しかも予定どおり証人尋問に入ったわけですが、そういう被告人の病気というようなことで停止になったままで非常にこれはやむを得ない事情で困ったことだというふうには思っております。
 それから神戸地裁の近松被告の関係も大体同じような準備の仕方をやりまして、現在までに十五回の公判をやっております。それで証人を大体十三名ほど調べて、なお八月までにさらに七回の期日指定が入っておりまして相当順調に進んでいる、かように思っております。
#53
○小山一平君 第一審がそんなありさまですから恐らく第一審が結着をいたしましても今度は控訴審が間違いなくあるでしょうね。また上告があるというようなことになりますと、どうですか、この大きな事件が中山議員の事例のようにならないという自信がありますか。
#54
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 私どもは実際に裁判をやっている、それについて自信があるかどうかという御質問をいただきますと大変困るわけでございますが、会同その他の機会を通じまして極力そういうことにならないように裁判所全体としてそういう方向に進む、そういうふうなやり方で弁護人にも検察官にも御協力をいただいて、そういうふうに思っております。
#55
○小山一平君 私はこの事件が再び、連座制規定の適用ができない、時効である、連座制規定は空文である、こういう結果を再び招くようなことがかりにあるとすれば、これは裁判所としても重大な責任である、こう言わざるを得ないわけですが、何としても再び時効にはしない、こういうはっきりした決意を持ってその処理に当たるべきだと思うんですよ。いかがですか。
#56
○最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 裁判につきましては私どもは何らの指示権も持っておりません。しかし先ほど申し上げましたように、裁判所全体の問題としては本当に小山委員のおっしゃるとおりでございます。十分その意を体して御連絡申し上げたい、かように思います。
#57
○小山一平君 いずれにしても、法の権威やあるいは裁判の権威やそういうものを喪失するような裁判結果をつくり出さない、それによってこそ政治に対しても、あるいは裁判に対しても、あるいは法に対しても国民の信頼が得られると思うんですよ。そういうことを肝に銘じて、私はどんなことがあっても再びその決着がおくれて事件が時効に落ちるようなことのないような取り組みをされることを強く要求をし、希望をいたしておきたいと思います。
#58
○委員長(前川旦君) 法務省関係、最高裁関係の方、退席していただいて結構です。
#59
○案納勝君 それじゃ、私は厚生大臣に最初に大腿四頭筋短縮症の問題についてお尋ねをいたします。
 一月に厚生省は全国に大腿四頭筋短縮症の健診の連絡をして、その結果を集約された報告を一応いただいております。しかし、これは一月末までの診断結果であって、最終的には厚生省の通達を見ましても三月末までの間に総括をする、取りまとめをする、こういうようになっているように承っております。この三月段階での取りまとめはいつごろになるものか、どういう状態に今日進行しているのか。一月末現在の数字の中にはまだ実施されていない都道府県があるんですが、これはどのくらいあるものか。そしてその都道府県の診察診療状況はどうなっているのか。この辺まずお尋ねをしたい。
#60
○政府委員(上村一君) 三月末現在の患者数のトータルは把握いたしておりますので御報告申し上げます。
 ことしの三月末現在の各都道府県――これは全都道府県でございます。全都道府県から報告を求めました結果は、まずランクをA、BそれからCに分けますと、Aの方は専門医療機関で受診が必要な者でございますが、千百八十五人。それからBでございますが、Bは定期的に専門医師の経過的な観察を必要とすると判定された者でございますが、千七百三十三人。A、B合わせますと二千九百十八人でございます。このほかにCとして、現在では大腿四頭筋拘縮症とは言えない者、これが八千六百三十一名、こういう数字になっておるわけでございます。
#61
○案納勝君 この都道府県を通じて行った健康診断というのは、すでに通学をしている学童、こういう者も対象にして入っていますか。
#62
○政府委員(上村一君) 学童――私どもがこの健診をやりましたのは、乳幼児の健診の場合とそれから三歳児健診の場合と、それから療育指導による健診の場合とに分けてやっているわけでございますが、学校において検診されました者で、さらに精密な検査を要すると考えられた者は私どもの方の精密検査を受けておるわけでございます。年齢構成を見ましても、六歳から十二歳未満の者、あるいは十二歳から十八歳未満の者、そういう数字が入っておりますから、学童も当然この中に入っておるものであるというふうに考えておる次第でございます。
#63
○案納勝君 ただ、厚生省の調査に伴う四十九年十月十七日の児童家庭局長の発出した「健康診査の実施について」は、三歳未満あるいは乳幼児、こういうところに主体が置かれているように私は理解しますが、違いますか。
#64
○政府委員(上村一君) 十月十七日の児童家庭局長名の通知では、一つは乳幼児健康診査、一つは三歳児の一般健康診査でございますが、そのほかに身体障害児の療育指導による診査、こういうものも行うことにしておるわけでございます。それから同時に、私ども集計いたしましたときには、こういった一般的な健康診査、あるいはその療育指導のほかに、自治体で特別の健康診査、それを実施したものを報告するように言っておるわけでございます。
#65
○案納勝君 それじゃ念のためにお尋ねしますが、私の手元に一月末で締め切った調査の報告書が厚生省から届いていますが、大阪はABCと分けてどういう数字が報告されていますか。
#66
○政府委員(上村一君) 大阪でございますか。――一月のときの大阪でございますが、実施は私どもの方でやりました乳幼児健診と三歳児健診と療育指導、この三つについて行われておりまして、ABCにつきましては、一月の調査では、その現在の時点では該当者がなく、二月に保健所の療育相談で実施をするというふうになっておるわけでございます。
#67
○案納勝君 それはあなたが先ほど言った三月末の報告の中に入ってないんですか。
#68
○政府委員(上村一君) 一月の時点の報告についていま申し上げたわけでございます。
#69
○案納勝君 いえ、三月時点で。
#70
○政府委員(上村一君) 三月には入っておると考えております。
#71
○案納勝君 入っておるというのは何名入っているんですか。
#72
○政府委員(上村一君) 三月末の数字では、私ども把握しておりますのは、Aと判断された者が一名、Bと判断された者が七名、合計八名でございまして、C、現在、大腿四頭筋拘縮症とは考えられない者というのが六十八名という数字になっております。
#73
○案納勝君 兵庫はどうなっていますか。
#74
○政府委員(上村一君) 兵庫でございますが、これは三月に報告があったものでございますが、Aと言われた者が十二名、それからBと判定された者が三十九名、合計いたしまして五十一名。それからCに判定された者が六十七名でございます。
#75
○案納勝君 せんだって三月の十一日、社労で各専門の医者を参考人に呼んで事情聴取をしたことがあります。その中で自主検診団の今日までの詳細に把握をした患者数は七千名から八千名と、こういうふうに報告をされております。ところが、いまあなたが報告された調査によると、全くこの開きが大き過ぎるわけです。その際に、大阪市立大学の宮田講師が自主検診において、大阪で調査をした学童の集団検診の結果が発表されております。それによりますと、大阪の生野、東成、平野、大東市、あるいは東住吉等、八つの学校あるいは幼稚園、保育所等で調査をしたやつで、総計してここだけの調査でも二百八十九名が患者として認定をされているんであります。たとえば生野区のA小学校は、九百四十六名の受診者のうちに百十一名が患者として認定をされる。その比率は一二・四%だというんです。年齢別のその集団検診の結果を見ても、特に三歳、四歳、五歳、六歳、七歳というところが集中的にこれらの患者が出ております。高い。こういう結果が生まれています。なかんずく、さらに兵庫県の場合においても、赤穂のA小学校ですが、これは学年一年生で、二百九十三名の受診者の中で患者は三十一名、パーセンテージ一〇・六%、要観察が二十七名、九・一%、これは一年生です。総計しますと、赤穂の場合、千五百六十九名の受診者のうちに患者は百五十九名、一〇・一%。もう一つの分は凡例ですが、明石の小学校で、同じく計は千七十四名、そして患者数が約四十名、患者の発生率は四・一%。明石の幼稚園では、百四十七名中、患者が三名、一・七%。こういう実際の自主検診グループの検診をやった数字と、いまあなたが報告をされたのとあまりにも違い過ぎるんですね。大阪の場合は一名重病、Aクラス、Bクラス七名、計八名だというんです。これはどういう違いがあるのか、あなたはどう考えておられるのか。
#76
○政府委員(上村一君) 私もいま御指摘になりましたように、自主検診班と、私どもがとりました報告との間に数字の違いがあるという事実は承知しておるわけでございます。私どもの健診と申しますのは、御案内のようにA、B、Cに分けまして、それでAなりBと診断されたものが三千人、それから運動機能には全く異常がないけれども大腿の引きつれなり瘢痕がある、それが約八千人、合わせまして約一万一千五百人というふうなことになるわけでございます。それでどこに違いがあるかというのはなかなか私どもわからないわけでございますけれども、私どもがやっておりますこの健診というのは三月末までで終わりにするというものではございませんで、保健所における乳幼児健診なりあるいは三歳児の健診、あるいは先ほど申し上げました療育相談事業というのは今後常時実施される体制にありますから、今後においても患者の発見というのは行われるものであると、こういうふうに考えておるわけであります。
#77
○案納勝君 あまりにもおざなりで検診が行われているんじゃないんですか。いままでの厚生省の取り組みにしてもしかりであります。たとえばこれは北日本新聞の七月二十三日付でこのように報道されているんです。たっぷり時間をかけて自主検診を行って患者の発見は九十六人、要観察三十六人、こういうふうに報道されている。他方で前々日の二十一日の記事では「県の検診」は「20秒の〃かけ足検診〃」、
   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
まさに、その検診の結果出てきた内容は、患者四十四名、要観察六十名、こういう結果が出て父母の不信感を買っているというんです。私たちは、患者が多いことを望んでいるんじゃないんです。しかし、いずれにしても今日社会的にも重大な問題となっているこの四頭筋短縮症について、この調査のやり方自体にしても、いまの厚生省の取り組みにしても大きな疑惑を持たざるを得ないんです。
 そこでお尋ねしますが、昨年来問題になってきて、調査団やあるいは医師会等の報告等に見られるようにそれぞれこの問題が取り上げられてきています。厚生省は何を今日までやってきたのかはっきりしてください。
#78
○政府委員(滝沢正君) 大腿四頭筋の問題につきましては、特に二十七年に学会にすでに一例報告がございますが、その後湯河原あるいは福井等におきまして集団の発生がございましたが、これが率直に申しまして、行政的あるいは社会問題的に取り上げられることなく、今回の山梨の集団発生をもってこの問題が社会問題的また医学の上でも、また医療関係者の間でも問題として取り上げられ、行政の上でもこれに対応するというような形になっておるわけでございます。厚生省といたしましては、これはいずれにいたしましても研究班の設置が必要であるということで昨年来研究班を設置いたしまして、まず、当面診断基準を設けるということで鋭意学会の研究者の御意見を徴しまして、一つの診断基準を定めまして、ただいま児童家庭局長から御説明がございましたように、各都道府県にこれをお示しし、それぞれ乳幼児の検診の機会にこれに対応していただくと、なお診断基準のほかに治療指針、あるいはさらに原因の究明等のことが必要でございますので、あわせましてこれらの研究班を設けたわけでございますが、特に治療の指針につきまして昨年来検討していただきまして、本年の四月上旬、京都の医学会総会のときに整形外科学会がございますので、そこで発表し検討した上で研究班として御答申いただくことになっておりましたけれども、学会等の空気の中に、特に整形外科学会としてもこれを取り上げる必要があるという意見が出てまいりまして、厚生省の研究班だけの見解というよりも学会として委員会をつくって検討したいという申し入れがございます。またその背景に、先生ただいま御指摘のように、自主検診団の医師団も治療の指針についてもいろいろ御見解がございます。したがって、厚生省研究班と自主検診団のそれぞれの見解をやはり取りまとめるには学会という場が最も適切であろうという御趣旨がその背景にあるように私は理解いたしているわけでございますので、われわれ四月上旬をもって一つの治療指針の標準的な御答申がいただけないかと期待しておりましたけれども、この問題が急ぐ問題ではございますが、学会のそのような御意見によりまして、ただいまその取りまとめをお待ちいたして、行政的に治療指針をお示しいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
 そのほか、五十年度の研究費等につきましても、すでに予算の配分を大体決定いたしまして、四十九年度は約三百万程度の研究費でございますが、五十年度は九百万程度の研究費に増額いたしまして、研究班の構成も、原因の究明、リハビリテーションという面まで拡大いたしましてお取り組みいただくように進めておる次等でございます。
#79
○案納勝君 いま大変ごりっぱな話がありましたけれども、今日までの厚生省は、いま言われているように、その実態ですら、まさに現在の父母を初めとする患者の数、そして調査をされたのがあまりにも開き過ぎるようなやり方というので、どうやって完全にそういった対策が立てられると思っているのですか。私はお尋ねをしますが、研究班が設置をされたのは昨年七月だったと思います。いままで、あなた先ほど言われましたが、何をどうやってきておられたか。たとえば日本医師会もこの問題を取り上げて九月の三日には医師会としての報告書が出されている。中身は別ですよ。しかもそれだって、三月十一日の東大の津山教授の話によっても、すでにこの問題が九九・九%は注射による患者であることは明らかになっている。そういう中で、あなたたち厚生省がやってるのは、研究費を九百万増額しました、それで患者はどのくらいの実数を把握をしたか、しかもその研究班で研究課題、学会で取りまとめてなどというやり方しか一歩も出ていないじゃないですか。
 私は厚生大臣にお尋ねしますが、少なくとも厚生省の調査が私は社会的に正確だとは思いません。一番大事なのは、いま今日においてもこういう患者が続いて出てきている。しかもいままでの患者は、さらに本人自身の意思じゃなくして、一生を不具で生活をしなくちゃならぬような状態に放置されてきておる。こういう中で、これらの問題について厚生大臣はどう取り扱おうとするのか、行政として。私は厚生省の行政責任が一番最大重いと思いますよ。その辺の見解をまず承りたい。
#80
○国務大臣(田中正巳君) 大腿四頭筋拘縮症、いろいろと世間で問題になっておりますし、国会でもいろいろ問題になっておるわけであります。第一の問題は、この患者の数の把握でございますが、いろいろ御議論がございましたとおり、厚生省の把握についていま少しく私はやはり正確を期するように努力をしなければならない。その把握が乳幼児健診、三歳児健診、療育相談事業等を通じましてやりましたが、一体母数がどの程度であるか、つまり把握がどの程度であるかということについても問題があるように考えますので、今後ひとつ事務当局を督励いたしまして、もっと正確な数字を把握するように努力をいたしたいというふうに思います。
 なお、いま医務局長が申しましたとおり、診断の基準、治療の指針、原因の究明等々については、専門の学者の間にいろいろと作業が進んでおるようでございますが、なお当事者の間に完全な一致を見ておらないようでございますが、これも事柄の性質上急がなければならないと思いますので、それぞれの方面に対してできるだけ早く問題を決着するようお願いをするようにいたしたいと、かように思います。
#81
○案納勝君 いま言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、あなたは関係の学者の方で意見が、それらの原因等について一致をしていないようだ、こう言われますが、お尋ねをしますが、この大腿四頭筋短縮症というのは、あなたは注射によって行われた病気だというふうに判断をしますか、他に要因があって出てきたと考えられますか、私は三月の十一日だったと思いますが、三月十一日の東京大学津山教授、北里大学の坂上教授、国立療養所西多賀病院長の保坂先生、川崎幸病院副院長の今井先生、大阪市大の宮田先生等社労における参考人の意見は議事録に明確ですよ、完全にその原因説は一致をしている。しかも治療のやり方についても問題意識も一致をいたしております。そういう中であなたの言われるような状態が現にあるとするのかどうか、早急にこれは厚生行政官庁として措置をしなければならない、結論待つというよりも速やかに措置をしなくてはならない課題だと思いますが、大臣はどうお考えになりますか。
 さらに把握の問題、これは把握の問題は正確に全体、全国的な情勢を把握することは当然でしょう。しかし、その問題よりも私は現在に苦しんでいる患者をどう救済をしていくのか、いまからのこの患者の発生をどうとめるのか、これが最大の急務だと思いますが、それについてあなたたちはどう具体的にいまからしようとしているのか、その点を明らかにしてください。
 さらに、このために自主検診グループや親の会等とひざ突き合わしてその対策について大臣が話し合いをする、そういう気持ちがあるかどうか。たとえば厚生省が今回調査をした健診をして報告を求めたこの全国の健診について、親の会は今日までの厚生省のやり方に不満を持っている、非協力だという態度をとっているじゃありませんか。こういう社会的な重大な問題について、これらの親の会の皆さんと田中さんが大変国民福祉の問題で御努力いただいていること私もよく知っている。もう一歩突っ込んでこれらの親の会の皆さんとひざ突き合わして対策について協議していく速やかな必要な措置をする意思がありますかどうか、あわせて御見解を承りたい。
#82
○国務大臣(田中正巳君) さっきの答弁の中に若干言葉が不正確で誤解を生じたようですが、関係のお医者さんの間にいろいろ議論があるというのは診断基準等の問題でございまして、私の言葉のカバレージがちょっと誤解されたようでございます。原因については私も素人でございますので、あれこれ申し上げる資格がないかと思いますが、注射に関係があるというのが大勢の御意見だということがありますが、一部にはまたそれに対する異説もあるというふうに承っておりますが、大勢論としてはいま先生のおっしゃったような傾向になっているというふうに承っております。
 なお、この大腿四頭筋拘縮症についてはいろいろな意見もあり、いろいろなまた調査も必要でございますが、速やかにこれについての具体的な対処をしなければならぬということは申すまでもございません。その意味で役所の各機構を督励いたしまして、そういう方向にひとつ前進をしなければならぬと考えております。
 親の会の方々にお目にかかることについては、私はいつでもお目にかかりたい、かように思っております。
#83
○案納勝君 それじゃ具体的にお尋ねしますが、いまこれらの患者については育成医療などの措置をとっていますね。しかし、育成医療というのは所得制限等があって完全に受けられない。いま言われるように、治療の方法や、あるいは診療指針等についてはそれぞれ若干の時間が必要かもしれません。しかし、現在でなすべき措置は、私は現在でもすぐとれると思います。しかし、私はこれらのこの患者については、育成医療というような措置でなくして、国の負担によってこの患者の救済に当たるべきだと、こういうふうに思います。それについての大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 あわせて、私は、これは今後の検討課題だとは思いますが、生活保障の確立、こういういたいけない人たちの、しかも注射によって起こった、本人の過失等でなくして日本の医療制度の中で起こったこれらの患者について生活保護の措置を考えるべきだと思います。これらについてはどうお考えになっておるか。
 さらには三点目は、現在これらの治療方法の追跡や、あるいは患者の実情というものを正確に把握するためにもカルテの保存というのが必要だと思う。ところが、現在五年間のカルテ保存という期間になっておりますが、現実に五年ぐらいでは、実際の症状が顕著にあらわれてくるのは、相当先に行ってカルテによる追跡調査をしなければなかなか判断できない場合もあります。しかも、まだこの問題が現実に社会的問題になったのはつい一、二年、それだけにこれらの問題についての追跡調査というようなことを行おうとするならカルテの保存というのがきわめて重要であります。これらについて厚生省としては、カルテを、これらの認定あるいは要注意、要観察者についてのカルテについては、厚生省の指導で五年という期間にかかわらず保管をして、それらの治療の完全な対策がとられるような措置をとる意思ありますか。
 これらについての御見解を承りたいと思います。
#84
○政府委員(上村一君) 第一点の、こういった大腿四頭筋拘縮症の子供たちの医療の問題でございますが、いまお話しになりましたように育成医療で措置をする。問題は、どういう治療がそれぞれの子供の態様に応じていいかという点についてはなかなかむずかしい問題があるというふうに承っておりますけれども、育成医療の対象になり、そしてその育成医療と申しますのは国が八割負担する公費負担の医療であるわけでございます。で、いま所得制限があるというふうな御指摘がございましたけれども、育成医療というのは繰り返しになりますが、原因のいかんを問わないでそういった障害がある子供たちに対する医療でございまして、費用負担能力のある方は負担をしていただくという仕組みをとっておりますが、現在医療保険が高額医療の制度も導入されたこともございまして、全額徴収されるという額も最高は三万円でございます。そして、その三万円を負担する階層と申しますのは相当高い所得の階層でございますので、育成医療という公費負担医療中心にこういった子供たちの医療に対応していってしかるべきじゃないかというふうに考える次第でございます。
#85
○案納勝君 あなたはそう言っているけれども、この調査によっても、育成医療の適用を受けているのはあなたの方の一月の調査で、A、Bの合計千七百五十六名中百二十九名しかないのです。たとえば、この患者というのはこういうのですね。この人たちは手術を何回かするか、あるいはそういった何らかの措置をしなくちゃならないのです。私の友人は二回にわたって手術を子供はしているのです。それらの手術の治療やその他が私はいまあなたの言われるようなきれいごとでは解決はしてないのです、治療費関係は。しかもこの大腿四頭筋短縮症というのは本人や家族の意思によって起こった病気じゃないんじゃないですか。それだけに今日社会的問題になっているのじゃないですか。だとすると、全額これについて、いまあなた方の調べについても要観察者を入れても約一万名ぐらいですか、あなたたちの報告によると。自主検診グループがいまはっきりさしているのは七千名程度、しかもこれが私は言葉が正しいかどうかは別にして、医原病的、医原病といわれる患者とするならば国の責任でこの措置をとるべきじゃないですか。これについて厚生大臣どうお考えになりますか。
#86
○政府委員(上村一君) まずいまお話しになりました中で要観察を含めて一万とおっしゃいましたが、私どもそのCという階層、つまり約八千六百人の者は現在では大腿四頭筋拘縮症とは言えない者、Bが定期的に専門医師による経過観察を必要とする者というふうに考えておるわけでございます。それから私どもの調査でもいま育成医療を受けている者が少ないということは承知しております。これはむしろその育成医療の給付を渋っておるのじゃございませんで、その子供にいかなる時点でいかなる医療を施すのが一番いいかというのが非常にむずかしい点でございます。何人かの子供さんのお話を聞きますと、こういった言い方は必ずしも妥当ではないかもわかりませんけれども、手術をたび重ねるようなことをしておったというふうなケースもあるようでございまして、私ども育成医療を一番いい時期に一番いい方法でやってもらいたいと思いますが、その判定がなかなかむずかしいということもあって数が少ないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから、私どものこの育成医療というのは、原因が何であれ給付をするという仕組みをとっておるわけでございますから、それがいま言われましたように、いわゆる医原病であるにしても育成医療という公費負担で対応するのが一番妥当じゃないかというふうに考えております。
#87
○国務大臣(田中正巳君) 今日までは育成医療でこれを処置しておったようでございますが、この問題の重要性にかんがみ医療を受けたいというお子さんに対しまして医療が円滑に行われるよう前向きで検討いたしたい、若干の時間をお貸し願いたいと思います。
#88
○案納勝君 カルテの保存はどうですか。
#89
○政府委員(滝沢正君) カルテの保存につきましては医療法で五年ということで定めてございます。この問題は国会等で先生初め関係の皆さまから保存の期間を延ばすべきだという御意見がございまして、いろいろ法制的にも検討いたしておるわけでございますが、先生の御質問の趣旨をそのまま受け取りますと、小児科のような小さな今後の成長する子供のカルテは何か延ばすというようなことができないかというような御趣旨にも受け取れますので、この全般、あらゆる医療カルテを規則上五年以上に延ばすというような一般論としていままで御質問がございましたが、先生の御質問は何か子供というものは成長していくのだからその問題だけでもカルテの保存の問題に対応できないかと、それからいま御質問の感触からいきますと、現在そのような問題になっておる子供のカルテの保存期限を延長できないかという趣旨にも受け取れるわけでございまして、このような問題になっているケースというものを選択してそういう延ばすということは非常に法制的にもむずかしいという、私はただいま御質問を受けまして、率直に申しますとそのような感じでございますが、全般論としてのカルテのある条件のものの保存期限の延長問題というものは、これはぜひ検討してみたいというふうに、先生の御質問の予告がなかった問題でございますので、私の行政の感触、感覚とその責任の度合いを勘案いたしましてただいまのようなお答えにとどめさしていただきたいというふうに思います。
#90
○案納勝君 そこで大臣にもう一回お尋ねしますが、日本医師会の関係ですが、日本医師会の四十九年十二月三日第二十七回常任理事会の議事録の中で武見会長は、この大腿四頭筋短縮症については救済は厚生省がやるということで話がついている、職務分担をきちんとやっているのだ――ということが明らかに議事録の中にされています。これらについて大臣はそういう約束をされているのか、明らかにしていただきたいと思います。それで、もしされていないなら、武見会長の、まさに何といいますか独断であり、武見会長がそういうこれらの取り扱いについてのやり方、態度というのはうそを言っているような印象を受けますが、大臣は日本医師会との関係をどのようにお考えになっているか、私はこれは四頭筋短縮症というのは党の違いやらあるいは医師会の責任だとか省の責任だとかと言っていまなすり合いをしているときじゃないと思うのです。全体がとにかく一致をしてこういった患者が今後出ないように、出てきた今日おる患者をどうやって救済するかを一致して私たちは探して早急な対策を立てるべきときだと思う。しかし、厚生省と日本医師会との関係等もこれはより医療行政の中で重要な関係があるだけに、私はこのことを質問をいたしますが、その辺の見解を明らかにしていただきたい。
 それからもう一点、時間がありませんので、患者というのは、大臣御存じのようにこういう状態になっているわけですね。(写真を示す)これは重症患者の人です。重症でなくても、学校で便所に行くにも容易ではない、あるいは跳び箱を跳ぶのもできない、きわめて多くの児童がいま苦しんでいるのです。そうしますと、これらについてたとえば山梨県のある町では相当の多くの患者が入学をする、そういう中で事実上学校の勉強自体についても大変苦痛を感じている、施設について。私は文部省とこの問題の、これらの患者のそれぞれ学校生活等について、それらの措置について厚生省は話し合いをしたことがあるのか、もしないとするならばもっとこれらについては厚生省側が積極的に文部省側に――きょうはお呼びしていませんから、働きかけて、これらの患者の一切の学校生活やその他の実生活についての措置を国として考えるべきではないか、こういうふうに思いますが、これらについて大臣の御見解を承りたいと思います。
#91
○国務大臣(田中正巳君) 日本医師会会長のそうしたコメントがあるということをいま聞きましたが、昨年十一月ということでございますので、私の就任以前のことでございますが、私も前任者等からこうしたことについての話を聞いておりませんし、事務方においてもそのような話をしたことがないだろうと思いますが、私の知る限りにおいては初耳でございます。あるいは事務当局で知っているかもしれませんから、その点については後ほど調査をいたしたいと思います。
 なお、こうしたお子さんが学校教育に事欠くというようなことであるということでございますので、これは文部省とよく相談をいたしまして、前進するような方向で話し合いをしてみたい、かように考えております。
#92
○案納勝君 それでは四頭筋のことは時間がありませんのでとりあえずこの程度にとどめておきますが、最後に厚生大臣にお尋ねしますが、大変御苦労いただいている水俣病の関係であります。水俣病の認定については、六月の三日にもその審査が行われておりますが、五年以上居住をし、申請した人で、審査未了の場合にも無料で治療を行うことが決められてますね。そういう中で六月三日の審査の中ではたとえば八十六名中二十五名が保留される、こういう状態です。私はいまこの措置をとっておられることは大変前向きで結構な措置だと思います。しかし問題は、そういう具体的な大変前向きの措置をとったにしても、たとえば水俣のような特殊な地域のために国保ではそれらのことがまかなえないという国保の財政上の問題が実はきわめて重大な問題なんです。これらについて厚生大臣として、これらの地域について財政上の措置、そういうものを私は当然考えてしかるべきだと思うんです。それについて大臣はどうお考えになっておるのか。
#93
○国務大臣(田中正巳君) 水俣病そのものは実は環境庁所管でございますが、これの措置によるところの影響が地域の国保に大きく影響しているということになると手前どもが考えにゃなるまい、かように思います。そこで、急な御質問でございますんで、水俣病に関連する国保の財政の影響等についてひとつ調べてみたいと思います。まあ一般的には調整交付金制度、特調等でもって処置をいたすのが普通だと思いますが、それで律し切れるかどうか、その辺のことについては後ほどひとつ調査をいたしてまた先生に御報告いたしたいと思います。
#94
○案納勝君 厚生省関係はこれで終わりますけれども、大臣には最後一言だけ実は退場される前にお聞きしたいことがあります。それはいまからお聞きする郵便貯金の福祉貯金の関係なんです。これは少しまた時間が十五、六分あるんですが、お忙しいと思いますので、事前にあなたの見解だけ、これは個人的見解でも結構であります。
 いま大蔵大臣の発議によって福祉貯金が実は発足をしようとしているやに聞いています。これは後ほどお聞きします。その福祉貯金の受給者、要するに対象者というのは老齢福祉年金や障害福祉年金、母子福祉年金、老齢特別給付金あるいは児童扶養手当受給者等、要するに所得制限のある年金受給者というのが対象になっている。しかし、私はいま今国会の中でさまざま論議をされましたように、国民年金、厚生年金の場合においても六十五歳なり六十歳の年齢制限、本来的にいう福祉貯金だとするならば私は厚生年金、国民年金の受給者についてもそのような措置を行うべきだというふうに考えますが、なかんずく国の厚生行政、福祉行政を担当しておる大臣はどのようにこれらの問題についてお考えになっておるのか承ります。
#95
○国務大臣(田中正巳君) 老人福祉貯金につきまして大蔵省でいろいろ策定していることを私も新聞で知っておるわけでございますが、いま伝えられる範囲というものは、先生がいまおっしゃった程度であるというふうに思っております。厚生省といたしましてはこうした制度の対象者がまあできるだけ多いことは望ましいとは思いますが、しかし、直ちに厚生年金、国民年金の被保険者全部を対象にしていいかどうか、御案内のとおり厚生年金の被保険者等には標準報酬の相当高い者も実はおるわけでございまして、この人たちがすべてこれが低所得階層というふうに把握することもいささか論理の短絡じゃなかろうか、こう思ったりするものですから、したがいましてもしやるとすれば所得調査等もしなきゃならぬということになるととっさに間に合うかなあと、こういうふうに思っているというのが私の心境でございます。
#96
○理事(小谷守君) 厚生大臣一時退席していただいて結構です。
#97
○案納勝君 郵政省、大蔵省おいで願っていますが、その前に労働省の労働大臣以下沖繩関係について、時間の関係がありますのでお伺いしたいと思います。大変お忙しいところをどうも御苦労さんでございます。時間の関係がありますから、要点だけひとつ御質問をしたいと思います。
 労働大臣御案内のとおり、あるいは沖繩開発庁の方も御案内のとおり、四十七年十二月に沖繩復帰して今日までまいりました。沖繩の開発計画が策定をされて今日きています。現地の場合は海洋博の問題もこれありますが、インフレ、物価高と失業、雇用不安というのが最大の問題になっています。そのことは、よく御存じだと思うんです。
 そこで、まず私は、労働大臣の時間の関係もありますからお尋ねをしますが、沖繩の失業の状態、雇用の状態を大臣としてどのようにひとつ御理解をされているのか、それは職業の紹介の状況、職安関係、あるいはマル駐――駐留軍労務者、それから沖繩特別――マル特関係の労働者の関係、こういったものについて逐一実は御質問するのが本当ですが、一応労働大臣の方でお調べになっていると思いますが、総括をして今日の雇用、失業問題について、そして一番心配をするのは海洋博後さらにこのことがより厳しくなると私は理解します。これらの措置について労働大臣としてどのようにお考えになっているのか。まずお伺いをしたいと思います。
#98
○国務大臣(長谷川峻君) 沖繩は、まあ佐藤さんが亡くなって改めて沖繩復帰の問題が言われるわけでありますけれども、私も実は沖繩は昭和三十七年に参りまして、それ以来復帰の問題に対しては多少一生懸命やった側ですが、
   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
復帰してからは一遍も行かなかったんです。向こうにも国会議員は七名もおりますから。しかし、労働省に入りまして従来ずっと見ておりましたから、あなたのおっしゃるように、国内でさえも二・二%の失業率のときに沖繩は五%、人口は九十五万、大変なことだと思いまして、先日国会の暇を見まして那覇に公共職業安定所を新設したのをきっかけにそれの落成式を兼ねて現地を踏んでまいりました。もちろん、ですから、海洋博等もありますが、相当金もかけております。復帰以来御案内のように植樹祭あるいはミニ国体、そしてこのたびの海洋博、これなども沖繩に何か力をつけようということで皆さんの御協賛を得てやったことでありますが、地域が地域なために今日五%の失業率、そして海洋博の後でもこういうことは考えられますので、まあできるだけのことはひとつ役所としてやろうということで、局長初め課長大勢連れまして現地も視察し、さらにはまた手当てしているものもございます。それらをここで局長から御説明させて皆さんの御理解を得たい、こう思っております。
#99
○政府委員(遠藤政夫君) ただいま大臣からお答えございましたように、沖繩の失業率は本土と比較いたしまして本土の二倍以上、五%、完全失業者は二万一千というような数字を示しております。特に四十七年に沖繩が本土復帰いたしまして以来、駐留軍関係の基地の縮小、基地関係従業員の解雇、こういった問題を中心にいたしまして失業者が急激にふえてまいっております。簡単に概略を申し上げますと、四十七年の復帰以後、四十七年、四十八年、四十九年、五十年、逐次駐留軍関係の離職者の発生が増大いたしてまいっておりまして、この四年間に累計で六千九百六十人、こういう数字が出ております。このほかにいわゆる基地関係の、駐留軍労務者以外の基地関係の離職者が、いわゆる沖繩特別措置法の対象になります失業者が出てまいりました。こういったことから四十七年に二・九%であった失業率が四十八年は三・五%、四十九年四%、ことしの三月で五・一%、こういう状況になってまいっております。こういった状況でございますにもかかわりませず、沖繩県内でいわゆる雇用の場を確保するということがきわめてむずかしい状況でございます。雇用量そのものが少ない、本土に比較いたしまして非常に少ない。
 と同時に、もう一つは、この基地関係の従業員の賃金が一般の沖繩県内におきます賃金より比較的高い。したがいまして、失業後のいわゆる失業保険、ことしの四月一日から雇用保険になりましたが、この雇用保険によりまして失業給付の額といわゆる一般的な賃金と比較いたしますと、基地関係の賃金が高いために保険給付の方が賃金より高い、こういう状況でございます。一例を申し上げますと、パインとかサトウキビの従業員が足りませんために、一時は台湾あるいは韓国、フィリピン等から五年間の猶予期間を置きまして外国人労働力が入れられることになっております。こういった外国から労働力を移入しなきゃならぬという事態が一方にあるにもかかわらず、県内で、沖繩本島の中で失業者が充満している、こういう状態でございます。
 私どもは沖繩の本土復帰以来こういった失業状態に対しまして、県内でこれを再雇用することがむずかしいということであれば、やはり広域職業紹介によりまして本土に就職させるという方策を進めてまいったわけでございますが、これは先生御承知のように、沖繩県のいわゆる何と申しますか、本土に対するいろいろな感情的な問題がございまして、いわゆる沖繩を過疎化するのか、沖繩九十五万の人間を減らしちゃいかぬと、こういう沖繩モンロー的な考え方が非常に強うございまして、二、三年かかりまして沖繩の失業者の本土就職という政策を進めてまいりましたにもかかわりませず、沖繩県当局あるいは労使関係者からも沖繩県の失業者を本土に再就職させる広域職業紹介対策、これに対してがんとしてこれを認めるわけにいかない、こういうことで再三再四沖繩の屋良知事初め関係者を説得いたしまして昨年の十月からようやく関係者の御理解をいただきまして本土への広域職業紹介体制というものが整えられることになったわけでございます。この点につきましていろいろな本土へ参ります際の旅費とかあるいは移転対策費だとか、あるいは本土で雇っていただく企業に対する奨励金だとか、こういう措置をとりまして、目下本格的にこういった人たちの再就職対策を進めてまいりたいと、かように措置いたしておる次第でございます。
#100
○案納勝君 大変時間があれば大臣に一つずつお聞きしたかったのですが、改めてこれはお聞きするとして、大臣ね、いま遠藤さんの言われましたように、御努力されているのはわかるのですが、確かに本土の広域職業紹介などの中で本土に就職してますが、毎年三千名ぐらいの人たちがUターンをしておるのですね。要約をしますと、先ほど大臣も言われました四十八年の失業率が三・五%、四十九年十月で五%に増加をしている。それで求人率が私の調べでは最近四二・四%に落ち込み、求職率は七・七%、近くは一〇%にはね上がっている。そういう中で、いま言うように、本土への就職という中でさらに三千名ぐらいがUターン現象が起こっている。これは本土の受け入れ状態の問題も私はあろうと思います。
 あわせて私はここでお聞きしたいのは駐留軍労務者の、要するにマル駐の手帳の人たち、それから特沖の手帳の所持者、この場合に、マル駐の場合は四十五歳以上が三五%、特沖の場合は四十一歳以上が五一%、マル駐の場合には五十年度に失効者が千四百名、五十一年千四百三十名、この手帳についての失効が行われる。特沖の場合は五十年度の失効者が八百五十名、五十一年度六百六十一名予定される。これらの人たちは世帯主が多くて、しかもまた主婦が多い、七〇%を占める、こういう人たちの雇用対策というのは私は緊急の課題だと思うんです。なかんずく私は後の問題についてお聞きをしたいんですが、時間がありませんから、とりあえずこれらの緊急な課題について労働省として最善の配慮を実はお願いをしなくちゃならぬと思うんです。いま遠藤さんから説明された問題とあわせて、これらの措置について、特別措置の増額の問題等も含めて具体的な措置をとにかく策定をしていただきたい、こう思いますし、その御見解も大臣からお聞きをしたい。
#101
○国務大臣(長谷川峻君) 足りないところは局長から答弁させますけれども、こういう時期でございますから、私は労働省の仕事は本当に困っている人に親切にすることが相手をして感激もさせ、一生の支えになる、そういう意味で安定所はわざわざこちらの方から増員をして、向こうの方に本土からわざわざ係官を増員しております。さらにはまたそういう手配などをするために、先ほども御説明しましたように、支度金を出すとか、就職転換金を出すとかいうふうな異例なことをやりつつも、何といたしましてもこれは海洋博の後はまさに大事なことでございますから、関係省庁が自分のペースだけにあらずして、全体的な問題として考えてやる必要があるんじゃないかという感じ方を持ちながらこの問題を注目しております。
#102
○政府委員(遠藤政夫君) 駐留軍離職者のいわゆる法律によります手帳の有効期間三年、御指摘のとおりでございまして、いま現在のままで、もし就職できないままで推移いたしますと、この三年の有効期間が切れるという見込みの者が御指摘のように五十年度で千三百八十四名、五十一年度にこのまま推移いたしますと千四百名強の者が手帳の失効という形になるわけでございます。その中で、これも先生いま御指摘になりましたように、いわゆる四十五歳以上の中高年齢者というのが比較的大きなウエートを占めております。こういう世帯持ちの人たちの就職問題が一番むずかしいわけでございます。
 私どもは、いま大臣からお話ございましたように、こういった人たちを対象にします沖繩総合相談所を開設いたしまして、特にこれに本土から強化し増員をするというようなことで、この人たちに対して集中的に職業指導、紹介あっせんを行う体制をとってまいっております。で、問題は、こういう人たちがじゃあ沖繩本島の中で就職できるかと申しますとほとんど不可能に近い状態でございます。したがいまして、私どもはこういう人たちが一人一人個別に単身で本土就職ということは、これはもう言ってもできない相談でございますので、こういった人たちが数人、数世帯まとまって本土に家族ぐるみ移転できるようにということで、本土各県にございます移転就職者用の住宅、これを沖繩向けに確保いたしまして、数名が一緒になってまとまって本土へ就職できる、こういう体制をとることに全力を挙げておるわけでございます。
 ただ問題は、そういたしましても沖繩県当局の指導体制といいますか、一応広域職業紹介体制に協力するという体制にはなっておりますけれども、何となくやはりそれに対して積極的になり切れないというような面がございます。先般大臣のお供をいたしまして屋良知事以下関係の部課長にもお会いいたしまして、県がやっぱり先頭に立ってこういう人たちの本土移住――戦前は沖繩県の人たちはブラジルとか、南米、中南米とか、そういったところに移住する人が相当たくさんいたわけです。それが戦後は相当とまってしまって、外に出る人がいない。出ることをとめようという空気が非常に強い。これでは解決になりませんので、やはり県が率先して本土移住、集団的に世帯がまとまって、そうすれば非常に何といいますか、孤独感に襲われるというようなことで就職をためらうという問題が解決するわけでございます。数世帯まとまって本土移住就職という体制をとるように県当局にお願いしてまいりましたし、私どもそういう方向で重点的に指導いたしまして、こういった手帳の期間切れ、こういった人たちを中心に再就職を強力に進めてまいりたいと、かように考えております。
#103
○案納勝君 本当に沖繩の問題は、きょう開発庁の方もお見えになっておりますが、最後に締めくくりとしてお尋ねをいたしますが、現在沖繩の振興開発計画というのが、その推進が実は停滞をしていると私は理解をします。主要経済指標を見ても、四十八年、あるいはこれらの計画が四十七年、四十八年にしても事実上計画どおりいってない、こういう状態だと思います。
 そこで、これらについて、なかんずく沖繩振興開発計画の推進とあわせて産業基盤の形成などを、総合的な見地から沖繩の開発というものを、私は今後、要するに海洋博以後の問題として、より力を入れていかなくちゃならぬ課題だと思います。
 そういう面で最後に時間がありませんのでお聞きしますが、開発庁、農林省にも来ていただいていますが、インフレ、物価対策というのが、私は緊急な課題だと思います。沖繩は八〇%以上の物資が本土から輸送されてきています。これらの本土に依存している沖繩の物資、これらの輸送の問題、私は物価騰貴が生じないように、これらについては国がある程度一定の責任を持って物価安定の措置をとるべきではないか。あるいは今日海洋博に伴う生鮮食料品の備蓄設備あるいは市場の確保、流通機構の確立など、速やかな措置がいま最も望まれているんではないだろうか。
 さらには、これらに伴って特に開発に必要な措置として、県民本位の開発、大企業、要するに企業誘致の場合、沖繩に立地を希望する企業については、現地の労働者を必ず採用するといったような条件というものを、国が中央段階で策定をして行うべきではないだろうか。こういうふうに私は問題点について考えるのであります。
 そしてさらに、県民生活に影響する特別措置法について、特に農林関係の政令五十九条、六十条等の期間満了後の延長問題等も、私はこの際、沖繩の本土との格差を生じさせないために、雇用問題とあわせて緊急の課題として取り組むべきだと思いますが、これらについて最後に御質問を申し上げまして、お答えをいただきたいと思います。
 なお、時間の関係がありますので……。
#104
○委員長(前川旦君) 案納君時間がきております。
#105
○案納勝君 あと大蔵省の方、貯金関係の問題がありますが、これは改めて私の方に質問の要旨について御答弁をいただきたいと思います。お呼びをいたしまして質問できない点はまずおわび申し上げますので、御了解をいただきたいと思います。
#106
○政府委員(國場幸昌君) お答え申し上げます。
 御承知のとおり、沖繩振興開発計画は、十カ年間における沖繩の振興開発の向こうべき方向を基本施策として明らかにしたのが、十カ年計画の振興開発計画でございます。この基本的方向に沿って、立ちおくれておるところの沖繩の社会経済基盤の整備、住民福祉の向上、各産業の均衡あるところの発展を促すための各般の施策が着々と進められておるということは、先生御案内のとおりでございます。最近において人口は百万人程度となり、一人当たりの県民所得も本土水準に近づきつつあるように見受けられるのが、今日の沖繩の状態でございます。
 経済の体質は自立性に乏しく、産業別所得においても、また産業別就業人口にしましても、第三次産業に著しく偏っておるというのは、先生御案内のとおりでございまして、このような経済体質を改善していくことに対しまして、沖繩経済の社会を健全な姿に発展させるためには、他産業との調和を保ちながら第二次産業の振興を図ることがきわめて重要であり、今日までの沖繩における第二次産業の振興の状況を見ますと、期待したように進んでいない面があることは、これは否めない事実でございます。
 この原因としまして、企業の必要とする産業関連施設の整備が十分でないこと、所要の用地及び労働力の確保が必ずしも容易でなくなったことは、わが国経済情勢の変化なども考えられるところであるが、第二次産業の振興については用地造成、企業の誘致など県及び地元の努力に待たざるを得ない面が多々あるわけでございます。
 開発庁といたしましては、財政金融面からも産業基盤の整備に努めるとともに伝統工芸、産業等地場産業の育成強化を図るなど、各産業がバランスのとれた形で発展するための各般の施策を引き続き講じていきたいと思うわけでございます。
 そこでおっしゃるように、海洋博後におけるところの振興開発計画に対してのことでございますが、沖繩振興開発計画は、長期的な視点に立った総合的なマスタープランとして、各種事業を包含しているものであり、海洋博の開催もこの計画の一環といたしまして、その意味を持ちつつあるのが海洋博を開催したゆえんでございます。海洋博後の振興開発に当たっては、海洋博を一つの契機といたしまして、振興開発計画の目標達成のため所要の施策をさらに積極的に進めていく所存でございます。具体的には沖繩の持つすぐれた自然環境と伝統ある文化が一体となった生活環境に、県民が生き生きとして充実した生活を送れるように、各般の施策を講じていくこととするが、特に県民が持ついろいろな面での不安の除去、すなわち医療の確保とか離島での生活の継続、産業の振興等、ことに雇用の拡大に対しましては力を入れていかにゃいかないことだと、こう考えておるわけでございます。伝統的な自然と文化、そのような環境保全をすると同時に、早急に対策を立て、引き続き力を注いでいく所存でございますので、よろしくお願いいたします。
#107
○案納勝君 まあ答弁になっていないけど、時間がないから。
#108
○委員長(前川旦君) それでは午後一時から再開することとし、暫時休憩します。
   午後零時八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#109
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 午前中に引き続き、昭和四十七年度決算ほか二件を議題とし、締めくくり総括質疑第一回を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#110
○二宮文造君 私は、年金福祉事業団の業務に関連する問題で若干お伺いいたしたいわけでありますが、問題の焦点は、大規模年金保養基地、この問題にしぼってお伺いをしたいと、このように思います。
 まず、厚生年金制度が創設されて満三十二年、いま民間企業で勤務する者なら、だれしも標準報酬月額の三・八%――女子の場合は二・九%のようですが――の保険料が天引きされております。したがって、年金支給分を差し引いた四十九年度末の積立金の累積見込み額、これをまずお伺いしたい。
 それにあわせて、国民年金とそれから船員保険の年金も、これも項目別に御報告いただきたい。
#111
○政府委員(曾根田郁夫君) 四十九年度末の累積見込み額でございますが、厚生年金保険につきましては九兆七千六百九十三億、国民年金につきましては一兆七千四十億、合計いたしますと十一兆四千七百三十三億でございます。そのほか船員保険における年金部門の積立金の累積額でございますが、二千二百三十六億でございます。
#112
○二宮文造君 それで、それらが元手になりましていわゆる還元融資資金というものが出てくるわけですが、それを対象にして年金福祉事業団が昭和四十八年度からいわゆる年金福祉事業団の目玉商品といいましょうか、大規模年金保養基地構想というものを持っていらっしゃるし、すでに一部は実施に移ろうとしておりますが、この大規模年金保養基地の基地の目的あるいは投下事業資金の総額、事業の規模、設置の目標、設置される施設の概要あるいは採算の見通し、それらを概括的にアウトラインを知るために御報告をいただきたい。
#113
○政府委員(曾根田郁夫君) この大規模年金保養基地の構想は四十八年度の財政投融資計画の改善の一環として打ち出されたものでございますが、おおむねの概要を申し上げますと、これは年金受給者、老人でございますが、そういう方々の生きがいのある老後生活を保障しようと、それからまた被保険者、すなわち現在の、現役の労働者でございますが、そういう方々の健全な余暇利用に資そうと、そういう二つの目的でこの構想が打ち出されたのでございますけれども、現在までに明らかにされております内容を申し上げますと、おおむね全国ブロック別に十カ所程度整備しようと。投下資金といたしましては一カ所おおむね二百億、土地取得五十億を含めましておおむね一カ所二百億で整備を行いたい。
 それからまた施設の概要でございますけれども、これは先ほど言いましたこの保養基地の趣旨等から見まして、まず教養文化施設と申しますか、研修関係の施設、そういうものが一つ。それから健康相談あるいは健康増進のための施設、それからまた健全なレクリエーションを図る意味でのレクリエーションあるいはスポーツ関係の施設、そういう三つの施設が大体各基地共通の施設として考えられております。当然こういった施設を成り立たせるための基盤的な施設といたしまして、宿泊生活施設、それからまた基地内外の足の便を図るための交通関係施設、それから当然のことでございますが、管理関係の施設、そういったものを一応考えております。しかしながら、具体的な施設の配置あるいは種類等につきましては、それぞれの基地の立地条件その他の問題がございますので、個々の地域の実情に見合って整備してまいろうという考えでございます。
 それから利用料等のお話がございましたけれども、これはもともと年金受給者あるいは被保険者、そういう方々の利用を考えておりますので、これらの方々の負担力、それと現にこの施設で受ける受益との均衡と申しますか、そういったことを考えて、といってこれは将来にわたって健全な、経営としてやはり原則としては黒字、まあ余り赤字を出さないような経営を考えなければいけませんので、独立採算を原則としつつも、料金等につきましてはできるだけ重点的なものは安く、負担能力のある方の利用の方にはやや高目にと、大体そういうことを考えておりますけれども、この料金の問題につきましては、いずれにしましても多分に試行錯誤的な問題が入ってまいりますので、経営の実態を見た上で逐次改定してまいりたいというふうに考えております。
#114
○二宮文造君 要するに厚生年金あるいは国民年金、そういう年金を原資としまして、年金受給者あるいはお年寄りの方々の保養基地をつくろう。そうして一カ所の土地は大体三百三十ヘクタール、百万坪以上、一カ所の投下資金が約二百億円。しかもそれが十カ所ないし十二カ所、このように言われておりますから、総額にしますと二千億から二千四百億。それはしかし、四十八年当時の構想ですから、実際に施設を設置しようとしますと、この資金総額はさらに上回ると思います。
 それだけの状況にあると思いますが、要するに原資が厚生年金であり、国民年金であるということ。それから二千数百億円に及ぶ事業内容であるということ。これは非常に私は重大な問題であるし、これを取り扱ってまいります厚生省ないしは年金福祉事業団というのは、原資がそういう性質である以上、よほど事を慎重に行っていただかなければならない。李下に冠を正さず以上の慎重な配慮をして、この実施に当たっていただかなければならぬと思いますが、大臣この点いかがでしょう。
#115
○国務大臣(田中正巳君) 大規模年金保養基地制度というのは、先生のおっしゃるように四十八年ごろからこれが構想が立てられ、そしてすでに一部着手をしているわけでありまして、予算執行等もいたしておるところもありますが、先生おっしゃるとおり、これについては、私も非常に慎重に対処しなければならない。たとえば、金銭の予算の使い方、あるいは今後の経営のあり方等々について、今後相当慎重にやっていかにゃなるまいというふうに思って、私もあれこれ頭を悩めておるところであります。
#116
○二宮文造君 この構想が発表になりましてから今日までの経過、これを概略、まあ具体的に候補地の問題、それらも含めて今日までの経過を御説明いただきたい。
#117
○政府委員(曾根田郁夫君) 時代を追って御説明申し上げますと、この構想につきましては、先生御案内のように、昭和四十七年の十月に、この保養基地の構想が当時の厚生大臣から発表されたわけでございまして、その際は、先ほど申し上げましたように主に全国で十カ所程度、一カ所投下資本二百億、一カ所の規模百万坪、まあ大体その程度の構想で、これについてはいろいろと今後さらに詰めて検討すべき問題があるので、基地懇談会、こういったものを設けて検討いたしたいという発表があったわけでございまして、それを受けまして、同年同月下旬でございますが、大規模年金保養基地設置懇談会というのが発足をいたしました。で、同懇談会はその後いろいろと検討を重ねまして、同年、すなわち四十七年の十二月でございますが、保養基地の設置に関する中間報告、こういうものを取りまとめて発表を行ったのでございます。
 その後四十八年度予算も成立いたしまして、いろいろと関係諸団体との折衝があったわけでございますが、四十八年九月になりまして、同じく当時の厚生大臣から保養基地についての選定基準の発表とあわせ、おおむね十二カ所程度の候補地を挙げまして、この中から十カ所を選んで、年次的に整備したいという発表がございました。その際、この十二カ所のうちで、土地取得の見込みの比較的ついておる四カ所を四十八年度指定いたしたいという発表がございました。それで、それに基づきまして、いろいろと協議を進めた結果、翌年の四十九年二月に、第一次分のうちの兵庫県三木地区、これが指定になり、翌月に入りまして岩手県田老地区、新潟県津南地区、北海道大沼地区、合わせまして四カ所の指定が完了いたしまして、同時に土地取得の手続も終わったわけでございます。
 その間、昭和四十八年の十二月でございますが、この基地の管理運営あるいは基本構想等を検討をしてもらうために、財団法人の年金保養協会が設立を認可をされまして、これは四十八年の十二月でございますけれども、四十九年の三月、つまり第一次の指定を終わった段階で年金福祉事業団からこの新設の保養協会に対しまして基地の基本計画等の策定についての委託が行われております。この委託に基づく作業は同年末に、年金保養協会から事業団の方に報告がなされておりまして、目下事業団ではそれに基づきまして具体的な地区計画の検討を行っておるところでございまして、そのうち三木地区につきましては近々厚生大臣の承認が行われる見込みでございます。
 なお前後いたしますが、この間、昭和四十九年九月でございますけれども、同じく厚生大臣発表という形で、これは四十九年度の二カ所指定の問題に関連をいたしまして、熊本県の久木野地区というものを、すでに十二カ所の候補の一つに挙げられております福岡の八女地区と一体として検討いたしたい、いわば候補地の追加でございますけれどもそういう発表が行われております。で、本年に入りましては三月でございますが、四十九年度分、つまり第二次分の一つといたしまして、和歌山県の那智勝浦地区でございますが、この保養基地の指定が行われて今日に至っておるところでございます。
#118
○二宮文造君 まだ候補地を伺っておりませんが、四十八年九月二十一日に候補地として発表されておりますが、指定になったものはわかりました。候補地として挙げられた地域名を報告願いたい。
#119
○政府委員(曾根田郁夫君) 四十八年の九月に発表されました十二カ所の候補地でございますが、岩手県の田老地区、新潟県津南地区、兵庫県三木地区、北海道大沼地区、和歌山県那智勝浦地区、以上五つがすでに指定になったわけでございますが、そのほか高知県須崎・土佐地区、福岡県黒木・八女地区、広島県安浦地区、鹿児島県指宿地区、岐阜県養老地区、福島県二本松地区ほか宮城県岩沼地区、これで十二カ所でございますが、その後岐阜県の養老地区につきましては、これは地元からでございますが、この養老地区を他地区、恵那市の地区でございますが、ここへ候補地の変更方の申し入れがございました。それからまた先ほど申し上げましたように四十九年、昨年の九月に厚生大臣の談話として福岡県の予定地に関しては熊本県の南阿蘇地区の候補地と一体として基地構想を検討をするという発表が行われております。
#120
○二宮文造君 説明を聞いていると何カ所になるのかわからなくなった。一体になってというような話もありますし、別々のような話もありますし、指定したのとそれから候補地と、合計何カ所をいま考えておるのですか。
#121
○政府委員(曾根田郁夫君) 地区として挙げましたのは高知県須崎地区以下熊本県の南阿蘇地区も含めますと八つでございますが、このうち福島県の二本松地区と宮城県の岩沼地区、これは二カ所ではなくて一体として行うという考えでございます。それからまた福岡県の八女地区と熊本県の南阿蘇地区、これも一体でございますので、基地の数といたしましては高知以下現在の候補地は六つとなっております。
#122
○二宮文造君 そうすると、すでに指定になったのが五つと、それからこれからなろうとするのが六つと、合計十一ということですね。ちょうどいまお話がありました四十七年十月といいますと、田中内閣が誕生しまして列島改造構想の華やかな時分でございました。よろしいですね。それからこれがいよいよ実施に入ろうとする四十八年は、今度は石油パニックが起こった。それからくる物価高騰、そして総需要の抑制というのがついこの間までの国の中心的な政策でした。その中で、あえて年金福祉事業団を中心にして二千数百億円に上るこういう大規模保養基地を推進しようとする。二千数百億円となりますと、まあ及びませんけれども、本土――四国連絡架橋のそれに匹敵するとは言いません、大分規模は小さくなりますが、しかし年金福祉事業団の仕事としてはこれは大変な仕事です。こういう構想をつくったときと現在の状況とが百八十度にも変わってきている今日、なおかつ十一カ所設置にこだわってこの話を進められるんでしょうか。この点はどうなんでしょう、大臣。
#123
○国務大臣(田中正巳君) 大規模年金保養基地についての問題点はまさしく先生そこにあるというふうに私は理解をいたしております。何分にも今日までレールがある程度敷かれておるわけでございまして、また実際問題として政治家の私どもから見ますると、これをめぐりましていろいろと地元における期待等もはなはだ大きいということを私どもも知っているだけに、これについての扱いを今後どのようにしていいかということについてあれやこれや実はいま模索をしているというのが私どもの心境でございます。したがいまして、すでにレールは敷かれておるものでございますが、このレールの上をどのようにして列車を走らしていくか、最初の構想どおりいっていいものか、あるいはこれを若干時勢の推移に対応していろいろと配慮を加えなければならないものか等々について、目下私どものところでもいろいろと折々協議中でございますが、率直に申しまして確たる結論はまだ出ておらないというのが実情でございます。
#124
○二宮文造君 大臣、そういうふうな国の方針をいま言われますと、すでに内定をし、それぞれの土地では用地の手当てまで進めているわけですよ。先ほども説明がありましたように、大臣の指定がありますと直ちに用地買収をしてしまう、もうわずかに一日か二日で。大臣の承認が出ますと一日か二日で用地買収まで終わってしまうような手回しのいい用地の買い方をしております、これはあとで申し上げますが。現地ではそれぞれ用地の選定に入り、すでに確保している部分もあるんじゃないかと思う。そういうさなかに、時勢がこのように変わったからその取り扱いに苦慮している。それをそのまま私聞きますと、残りの地区は実現するかしないかわからない、手をつけるかどうかわからない、こういうふうな大臣の御発言のようにもうかがえますが、私はこれは問題だと思う。もう一つ明確にお願いしたい。
#125
○国務大臣(田中正巳君) かねがね前の大臣の節にレールの敷かれたものでございますから、そしてまたいま先生のおっしゃるような状況にもありまするものですから、私はこのレールを取り外すというようなことはいまのところ考えておりません。ただ工事等について一体どういうテンポでやってよろしいか等々についてはやはり時勢の推移に応じて多少の考慮をしなければならないかなと思っておりますが、これについてもいまだ結論は得ておりません。若干の配慮が必要かというふうに私も思っている次第であります。
#126
○二宮文造君 そうすると、私が先ほど言った国内情勢、経済情勢の変化というのとは今度は逆の答弁になりますね。状況は変わったけれども、レールは引いてあると、これは私の質問も悪いわけです。どっちか、どっちにでもひっかけるような質問をしていますから、大臣も答弁に困るわけですが、それほどに私はこの問題は明確な姿勢をもって取っ組んでもらわなきゃならぬ、こういう気持ちがありますから両面から質問をしていくわけですが、そこでちょっと先ほどもお話がありましたが、モデルプランあるいは全体基本計画あるいはその地区別の基本計画、そういうものは一体どこで策定をしたのか。
#127
○政府委員(曾根田郁夫君) これは先ほどお話し申し上げました年金保養協会というのが四十八年末にできておりましたので、その協会に事業団から事業委託を行いまして、協会で検討させ、その結果が先ほど申し上げましたように、昨年暮れに事業団の方に納入されたということでございます。
#128
○二宮文造君 できておりましたのでというお話なんですが、そうではないんでしょう。まさにこのことのために財団法人年金保養協会を厚生大臣は認可したんでしょう、このことのために。もっと明確に言ってください。
#129
○政府委員(曾根田郁夫君) 言葉遣い、ちょっと足りませんで大変失礼いたしましたが、まさしくそういうことを中心にやってもらうために生まれた法人でございます。
#130
○二宮文造君 そこで、そのためにこの年金保養協会の寄付行為、この寄付行為に事業内容として第五番目に、「保養施設の経営の受託ならびに保養施設に関連する施設の設置および運営」、こういうものが年金保養協会の寄付行為の中に挙げられております。ということは、年金福祉事業団がこの施設を設置をしますと、そのできたものの管理運営の受託はこの保養協会を予定しているんですか。
#131
○政府委員(曾根田郁夫君) この経営をどうするかにつきましてはまだ最終的な結論は出ておりませんけれども、基本的な考えといたしまして、やはりこの種の施設というものは、これは計画どおりいきますと、将来大変膨大な施設でございますので、これを経営するということは、たとえば定員問題一つとりましても、
   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
政府関係機関ということで果たしてできるであろうかどうか、それからまた、どうしてもやはり民間中心の創意工夫をこらして経営に当たってもらわなければいかぬという点もございますので、基本的な方向としてはやはり法人に受託するということが考えられるのではないかと思っておりますが、しかしその場合でもどの部分を経営委託するか、全部なのか一部なのか、そういう問題も含めましてこれから検討していきたいと思いますが、年金福祉事業団に全部を経営委託するということは、たとえば先ほど言いましたように、定員一つとってみましても非常にむずかしいんではないかというのが現在の考え方でございます。
#132
○二宮文造君 この財団法人年金保養協会のパンフレットを私持っております。それによりますと、いろいろ年金保養協会の事業をずっと書いておりますが、「賛助会員になるには」という項目のところに、「年金保養協会の趣旨にご賛同していただける方は、賛助会員としてご協力くださるようお願いいたします。会費、年額、一口五万円二口以上 会員には、定期刊行物」云々と、会員に対するサービスの点も書いてありますが、この方向によりまして帝人と東洋紡績、クラレ以下、今日までに百六十五社、六億二千八百万円の、これは賛助会員でしょうか、基本財産の寄付者名簿ですね、要するに大企業がずらり百六十五社、六億二千八百万円の基本財産の拠出を行っております。
 ここで私は、大規模保養基地の原資は、勤労者である厚生年金、さらにまた国民年金、その掛金が還元融資される、原資はそういう勤労者の汗と油の結晶である、これが一点。そして、それをもとにして施設をつくって、運営する保養協会、これが大企業の拠出に基づく保養協会、こういう保養協会の実態が私はここで出て来たと思うんです。
 その次に、その保養協会にモデルプランをつくることを年金福祉事業団は委託をされた。この委託費は幾らでございますか。
#133
○参考人(牛丸義留君) これは、計画が各地区による計画と、それからそれの全体の計画、それに、まずその最初にこういう大規模保養基地というものはどういうふうな内容を持ったらいいかという、いわば一つのモデルプランというものを設置して、そのモデルプランに基づいていろんな討議をするという、そういういわば最初の四地区の地区のほかに、モデルプランの計画と、それからそれをたたき台とした全体に通ずる基本計画というふうなものになりますけれども、その内訳を金額でお示し申しますと、全体基本計画は、モデルプランも含めまして四千百九十七万円、それから地区別の基本構想とその基本計画は、一地区大体三千三百三十万円ということで、その合計は一億七千五百万円で委託したわけでございます。
#134
○二宮文造君 この年金保養協会の現在の職員数は何名でございますか。
#135
○政府委員(曾根田郁夫君) 常勤の職員は現在十六名です。
#136
○二宮文造君 そして、この一億七千五百万円の業務委託費をもらって、基本計画、地区別計画をつくりましたが、このつくり方はどういうふうにしましたか。
#137
○参考人(牛丸義留君) ただいまの局長の説明にありましたように、職員は十何名でございますが、これはすべて専門家を委員として参画していただきまして、そしてそこに各建設の専門家、あるいは土木、造園、そのほか各種の専門家が委員会として動員をしていただいておりまして、そうした方々の作業によってその計画が設定されるという、そういう仕かけになっているわけでございます。
#138
○二宮文造君 そうしますと、ここに組織図をいただいております。特に常勤の方は事務局の十六名、それから大規模年金保養基地総合委員会、委員数十九名、こうなっておりますが、この委員の名簿を地区ごとにひとつ御提出をいただきたいと思うんです。よろしいですか。委員の名簿並びにその現在の肩書といいますか、これをひとつ資料として御提出をいただきたい。
 それから、私疑問に思いますのは、年金福祉事業団と保養協会との間の委託契約書に基づきますと、下請をさしてはならぬと、下請ですね。保養協会がおやりなさいよと、もし下請をさせるのであれば前もって了解をとりなさいという意味の契約の内容になっております。これは下請をさせたのではありませんね。
#139
○理事(小谷守君) 先ほどの二宮君御要求の資料は御提出願えますね。
#140
○政府委員(曾根田郁夫君) 提出させていただきます。
#141
○参考人(牛丸義留君) これは先ほど申し上げました直接協会が委員会のそのスタッフによって作成するということでございますから、いわゆる下請ということは絶対ないと思います。
#142
○二宮文造君 そうすると、その作業の場所はどこなんですか。作業の場所は、専門委員の属する場所へ研究員を集めてやったのでしょうか、それとも一堂に会するのではなくて、委嘱をされた者が各自の持場で思索検討をしたのでしょうか、この作業のやり方はどうなさいましたか。
#143
○参考人(牛丸義留君) これは協会の人が直接お答えするのが一番正確かと思いますが、私が承っておりますのは、協会といっても大きな場所ではございませんが、これは最終的に成案を得たものの最後の討議の場としては利用できますけれども、そのほかいろいろな作業室、製図室、そういうようなものは、各委員の方々が持っておられるそういう場所を使用されたのではないかというように私は承知しております。
#144
○二宮文造君 そうしますと、結局その委員の中心になる方に、いわゆる概算で渡して、精算をしてもらうというやり方でしょう。いわば請負形式にほぼ似たようなやり方で、この作業は進められたのじゃないですか。
#145
○参考人(牛丸義留君) 仕事のやり方は、委員並びに委員のスタッフというものがやっておりますから、それをもし請負と言われるならば、それはまさに請負だと思いますが、いわゆる契約によって請負を、下請をするというそういう形式ではなくして、それはあくまで委員並びに委員が持っておられますスタッフを委員が使ってやった、そういう形でございますから、一人でやるか、その部下を使ってやるかという、そういう内容でございますから、これを先生が請負じゃないかと言われるならば、そういう意味の請負ではあるかもしれません。
#146
○二宮文造君 それでは、私の手元に年金保養協会の四十九年度の決算――これは案ですか確定したのですかわかりませんが、資料をきょうちょうだいしました。そのいわゆる委託契約に基づく部分のこの事業費というものは、一体どの部門に計上されておるのですか。恐らく私は、四十九年度一般会計収支計算書、この中の事業収入の一億六千五百二十八万円、これに該当するのでしょうか。
#147
○政府委員(曾根田郁夫君) 御指摘のとおりでございます。
#148
○二宮文造君 そうしますと、一応これは全体計画、地区別計画は四十九年の六月に提出になっておりますね。それを年金福祉事業団は検討なさっている。要するにこの業務委託契約というものはこれで完了したわけですね、これを確認しておきます。
#149
○参考人(牛丸義留君) 完了してその報告書を私の方の手元に領収しております。
#150
○二宮文造君 そうしますと、その一億六千五百二十八万円の事業収入に対する調査研究費というのは一億一百八十八万三千円と支出の部に計上されておりますが、これが要するに支払われた金額と、こう見てよろしゅうございますか。
#151
○政府委員(曾根田郁夫君) この協会の収支計算書の支出の部の内訳では、調査研究費という費目だけではなくて、人件費、あるいは管理事務費、それらの方にそれぞれ項目としては整理されているということのようでございます。
#152
○二宮文造君 ちょっと待ってくださいよ。専門の職員の人件費までが、十六名の人件費までがこの委託契約の中に含まれるのですか。
#153
○参考人(牛丸義留君) 決算書の内容は私は直接は存じ上げませんが、決算書の中のそういう内訳と、それから委託契約とは全くこれは違ったものでございますから、私どもは先ほど申し上げましたモデルプランを含めた全体基本計画の作成と、それから地区別の基本計画の作成に要する経費を積算しまして、そうしてそれを委託契約で払ったわけでございますが、その収入をどんなふうに決算されたかということとはこれは直接は関係ございません。
#154
○二宮文造君 それでは厚生大臣の認可の財団法人ですから、厚生省にいまの私は説明をお願いしたい。
#155
○政府委員(曾根田郁夫君) 先ほど申しましたように、保養協会の事務職員そのものは常勤職員が十六名でございまして、四十九年度事業について見ますと、ほかの収入が余りございませんで、四十九年度の保養協会の事業は、もっぱら主たるものは年金福祉事業団からの委託事業であったわけでございます。その委託事業は、当然に謝金等の形での人件費を伴うものでございまして、あるものは、研究班と申しますか、そういう方々への手当、謝金という形で支出されますが、ある部分は、現実にその十六人の事務職員も、委託作業という、これがまあ事業の主体であったわけでございますので、そういう委託作業に現実には従事したと、その部分の人件費を費目の上でこの保養協会の人件費として見て支出をしておるということでございます。
#156
○二宮文造君 そんな答弁じゃだめなんです。この業務委託契約のときには、代価表というのをちゃんと試算をされましてね、たとえば技師長の場合は一日の単価が一万九千二百円と、それが全体基本計画作成のためには四十人日必要である、こういうふうにずうっと試算をしまして、四千一百九十七万九千六百一円、こういう見積書を出してきているわけです。これらを中心にしてこの委託契約というのはできている。にもかかわらず、ただいまの説明によりますと、常勤の職員もそれに携わっているから、要するに年金保養協会、これはまる抱えでこれをやっているから、この協会の経費というものは委託契約費の中から出ていいんだというふうなずさんな御答弁ですが、私はそれは納得できない。
 と言いますのは、これには基本財産もありますし、その基本財産に基づく利息、金利もついているわけです。したがって、受け取り利息もある、あるいはまた会費収入もある、これは金額が非常に少ないですが。この年金保養協会のあり方が、まさに原資である厚生年金あるいは国民年金、それにたかっているアリのような私は感じがしてならない。こういうふうにワンクッション置いて、年金福祉事業団ではやれないから財団法人を設置したと言いますけれども、これが従来言われております、いわゆる国の補助金だとか交付金に食らいついていく、そういう非難を一部受けるような存在でもあるわけですね。
 だから、私は最初に、これの原資が国民年金であり厚生年金なんだから、金の使い方については留意をしていただきたいと、こう申し上げたのもこの点にあるわけです。これはきょうはこの問題だけ詰められませんので、年金保養協会のあり方については、私きょうは保留をさしていただく。そして本当にすっきりした形でやっていきませんと、これから施設ができます、恐らく受託団体に保養協会がなるでしょう。こうなると、ますますそういう疑いを濃くしていきますから、これは後でいつかこの問題についてもう一遍整理をさしていただきたい、これは保留しておきます。
 そこで、私はもう一点。仮にいま五カ所手がこれからつけられると思いますが、このできる施設というのは、用地買収にも協力をし、そしてその誘致にも懸命に努力をされた当該の道県ないしは市町村、そういうものも運営の主体に、対象に考えるべきではないか、入れ物ができた、その管理はその公共団体にお願いをする、こういうやり方が必要ではないかと思うのですが、このことは大臣、頭の中にありますか、受託団体として。
#157
○国務大臣(田中正巳君) 私最初に非常に注意してやらなければならぬということを申し上げたのには、この管理運営を一体どうするかということでございまして、平たく言えば、これだけの大きなまた新しい施設というものを、いわゆるお役人仕事でできるだろうかどうかということについて大変心配をしているわけでございまして、したがって運営管理の主体につきましては、今後だんだんとこの施設が具体化をするに対応いたしまして、新たに構想を立てた方がよろしいものというふうに思っておりまして、その節には、先生の御主張のようなことについても十分配慮する必要があろうかというふうに思っております。
#158
○二宮文造君 もう一点。その用地の取得の終わっております五地区、これの利用開始の時期はいつごろと考えておられますか。
#159
○政府委員(曾根田郁夫君) 既指定の五カ所のうちの初年度分が四カ所でございますが、できるだけ今後の作業を進めまして、でき得れば五十三年度中にも施設の一部のオープンにこぎつけたい、全体的な計画といたしましては、やはりいろいろな施設がございますし、採算その他の問題もございますので、全体計画としては工事を二期に分けまして、いずれにいたしましても土地取得時から十年以内にはオープンいたしたいと思っておりますけれども、とりあえずのところの初年度分の第一期工事は、五十三年度中にでき得ればオープンにこぎつけるようこれから努力したいと考えております。
   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
#160
○二宮文造君 それから年金保養協会について、もう一点。この財団法人年金保養協会の会長並びに理事長、この方はどういう方ですか。
#161
○政府委員(曾根田郁夫君) 会長は鈴木善幸氏がされておりますし、理事長は経団連事務総長の花村仁八郎氏でございます。就任のいきさつにつきましては、鈴木善幸氏は厚生大臣を二回もおやりになった方で、現職の代議士ではございますが、そういうことで、厚生行政ないし老人福祉、そういった問題に大変御造詣の深い方でございまして、そういう学識経験者という立場で会長御就任を願ったものと私ども承知いたしております。
#162
○二宮文造君 そんな説明私伺っているんじゃないのです。そういう方々がいらっしゃる、厚生大臣もやられた方であり、学識経験も豊かであり、厚生行政にも造詣が深い、そういう方で、だから会長に委嘱をした、結構です。しかし反面、この年金保養協会は、これから莫大な利権をつかもうとする団体の要素もきわめて強いわけです。この点もあわせお考えをいただいて、年金保養協会との関連、これをきちっとしていただかなければ、かえって学識経験者を疑惑の中に巻き込むようなことになっては、御当人にとってもきわめて私は残念なことだろうと思う。この点を私は逆の意味で申し上げておきたいと思うのです。
 さて、細かい問題になってまいりますが、用地の取得が終わっておりますその五地区、その中で特に私きょうは岩手県の田老地区とそれから北海道の大沼地区、この二つだけ、これを取り上げてお伺いをしたいと思うんですが、この用地買収の経緯というものを最初にお伺いをしておきたいと思うんです。
#163
○政府委員(曾根田郁夫君) 岩手県田老地区の用地買収の経緯でございますが、まず取得面積でございますが、これは三百六十七ヘクタール、約百十一万坪でございます。で、この地区につきましては四十八年の九月に一応候補地として内定をいたしまして、四十九年の三月厚生大臣の指定が行われ、四十九年の三月二十二日、県の土地開発公社社有地について年金福祉事業団が売買契約を締結し、用地取得を行ったところでございます。
#164
○二宮文造君 もう少しこう明快に言ってください。四十九年の三月の二十日にこの岩手県の田老地区、北海道の大沼地区、これが総合施設に指定をされた、三月の二十日、厚生大臣から指定をされた。同日売買契約を結んでいるわけですね。非常に手回しのいい。お役所の仕事とすれば、これは本当に不思議なぐらい大臣が指定されたその日に売買契約が締結、そして二十二日に岩手県土地開発公社と土地売買契約も締結しておりますね。このように非常に手回しがいい。それで私はですね、なぜこういうことになったんだろうか。本来ならば総合施設に指定をされて、それから用地の買収等に入るんじゃないだろうかと、こう思うんですが、指定と同時に売買契約を締結する、どうしてこういう手回しのいいことになったんでしょう。
#165
○政府委員(曾根田郁夫君) この保養基地の土地取得の問題につきましては、先ほど申し上げました四十八年の九月の選定基準あるいは十二カ所候補地の発表の際に選定基準の一つといたしまして、公有地であることを原則とすると選定条件の一つに入れたのでございますが、これは結局何分百万坪という非常に広大な土地でございますので、一カ所なかなかまとまって国有地あるいは公有地等を確保するということは非常にむずかしいんではないか。そうなりますと、たくさんの地権者から一々事業団が買収するということは、いろんな意味で問題がございますので、原則的にいわば指定の条件にそういう公有地あるいはその確実であるというようなことからただいまの手続が行われたわけでございます。
#166
○二宮文造君 要するに事前にそういうもう構想がずっと発表になってきたし、またその用地の指定も地区の指定ももう前にあったし、したがって、大臣のいわゆるそのお墨つきがあればすぐいつでもできるような体制にあったと、こういうことですね。いま答弁されるのを私聞いておりませんで、ほかの事を考えておりましたが、大体そういうことであろうと思うんです。
 そこで、この岩手県の田老地区、これは岩手三区、要するに先ほどの会長さんの鈴木善幸さんの選挙区ですね。岩手三区、私そう思います。この田老地区は昭和三十六年五月二十九日のフェーン台風、この火災のあったところでして、現地を歩きますと至るところにその残痕がまだ残っておりますが、そういうところでやられるわけですが、ここでの、田老地区での事業団の取得面積と、それからその取得経緯、これをちょっと説明いただきたい。
#167
○参考人(牛丸義留君) 年金福祉事業団が買収しました価格は、先ほど局長からお話がございましたように、面積が三百六十六・七ヘクタール、約百十一万坪でございまして、その金額は合計で三十二億三千五百二十一万円、これは平米当たり八百八十二円、坪当たり二千九百十一円でございます。
#168
○二宮文造君 それで結構です。
 それで、これは岩手県開発公社から購入されたわけですが、この岩手県開発公社はその前の所有者から購入しているわけですが、その中に法人企業が入っていると思うんですが、ラサ工業、ラサ工業から岩手県開発公社は何坪買っておりますか。何平米買っておりますか。整理していただいていますか。
#169
○参考人(牛丸義留君) これは直接私の方とは関係ございませんが、土地の登記謄本で承知をしているところでは、ラサ工業の株式会社が所有した土地は大体十三筆で三十四万六千六十七平米、約十万五千坪ぐらいでございます。
#170
○二宮文造君 そのとおりです。このラサ工業がいつこの用地を取得されたと御承知でしょうか。記録ありますか、そこに。なければ私の方から申し上げます。
#171
○参考人(牛丸義留君) これは数次にわたっておりまして、昭和四十七年の二月八日が最初でございますが、二月、三月、六月、九月、十月、四十八年一月というふうに数次にわたって売買をされているようでございます。
#172
○二宮文造君 要するに、この対象の三十四万平米何がし、この用地は四十七年二月八日から四十八年一月二十七日にかけて数次にわたって購入をしているわけです、ラサ工業は。しかも、このラサ工業は、この年金基地から約三キロ離れた田老鉱山、そこで昭和十二年ごろから銅とか硫化鉄鉱などを採掘しておりましたが、その公害処理に手をやきまして、そうして、あと十年ぐらいの採掘できる埋蔵量を残して四十六年十二月十日閉山をしております。よろしいですか。閉山をしてから翌年の二月の八日ごろから数次にわたってこの用地を買収をしたわけです。よろしいですね。それをそのまま――このラサ工業が閉山してから買い取った三十四万平米をそのまま岩手県開発公社が購入をし、そうして年金福祉事業団に売買をしたと、こういう経緯になるわけです。
 さて、問題はこの値段です。このラサ工業が買った土地、これを岩手県土地開発公社がラサ工業から買収した金額は、立木込みで単価が六百三十円、そうしてその総額が二億一千七百九十九万二千六百八十円、このように記録されているんですが、これ間違いありませんか。
#173
○参考人(牛丸義留君) これも私どもが直接調べたわけではございませんが、ただいまのお話のように、総額で二億一千七百九十九万円、平米当たりが単価六百三十円というふうに私ども聞いております。
#174
○二宮文造君 そこでこのラサ工業が幾らでこの用地を買ったかというのが問題なんです。要するに、四十七年の二月からですから、まず一年少々しか持ってないわけですね、その間に土地の登記もありましたでしょうが。ずうっと大分歩いてみました、数人かけて。そして現地の話によりますと、ラサ工業は一平米当たり立木込みで低いのは五十五円五十五銭、名前申し上げても結構です、売った人の。それから高いので三百三十五円四十四銭、平均して百二十四円五十銭、総額四千三百万円、これがラサ工業が買い受けた総額です。それが約五倍、二億一千八百万円に土地開発公社に売っているわけですね。これはどうでしょう、こういうことを年金福祉事業団は売買実例を見、また現地の人の話を聞き、そういうふうな一年、二年の過程というものをつぶさに検討をしながら、この用地を買収されたかどうか、この点理事長にお伺いしたい。
#175
○参考人(牛丸義留君) 売買につきましては、これは厚生省の御指導もありまして、私どもが直接売買の担当者にはならないというのが原則でございますので、あくまで公有地として、指定地が公有地とされたその公有地を私どもが購入するというのが原則でございます。したがいまして、私どもと直接関係がございますのは、県の開発公社の土地売買の問題でございますが、しかし、その土地を、それじゃただ県公社の売値で買うかということになりますと、これは土地鑑定が必要でございますので、私どもとしてはその土地の評価のために二者を選定をして土地の評価をしていただきまして、その評価額を勘案しながら最終的に公社との売買契約を締結したと、こういういきさつでございます。
#176
○二宮文造君 いつもやる手です。鑑定人を置いてあるから、その鑑定の評価に基づいて私どもは購入をいたしますと。この鑑定評価というのがはなはだ疑問なんです。これは後で触れます。
 ただ、いまその理事長のおっしゃった年金福祉事業団は売買の相手にはならない、こういうやり方だからと言う、だから岩手県土地開発公社が買っていただいた、それを鑑定をしただけですと、これが親方日の丸の土地の購入、お金の使い方の典型じゃないでしょうか。もし善良な管理というものをやるとするならば、私どもが一週間数人で歩いたぐらいでつかめるような実情が年金福祉事業団がこの土地は一体幾らのものなのか、鑑定人の評価にまかすだけじゃなく、土地開発公社の買収価格に頼るだけじゃなく、実際にこれは売買実例は幾らなんだというぐらいの注意を払って用地買収に当たってもよろしいんじゃないでしょうか。先ほどの理事長の答弁の中に、いかにもあなた任せのような年金福祉事業団の用地買収のあり方が歴然としてきまして、私はがっくりきました。もしそんなようなやり方で、これから用地の買収に当たったら大変なことになる。大臣、このいまの年金福祉事業団の理事長の答弁を、用地買収に当たっての答弁、その姿勢というものをどうお考えになりますか。
#177
○国務大臣(田中正巳君) 何分にも、先生冒頭申しましたとおり、厚生年金、国民年金の原資を使ってやることでございますから、できるだけ私はやはり公正妥当な価格で買収すべく最善の努力を払うべきものというふうに思っております。
#178
○二宮文造君 そのとおりです。現地の事情をつかんだ結果によりますと、わずか三十四万平米、一割です。わずか三十四万平米で、この土地をわずか一年かそこいらラサ工業は抱えただけで四千五百万円のものが二億一千万円、約一億七千五百万円の転売利益を得た。こういう計算になってくるわけです。これはひとつ頭にとめておいていただきたいと思う。
 それから、時間がありませんので、大臣の非常に詳しい大沼地区の方のお話をさしていただきたいと思います。これも大臣の選挙区のように伺っておりますが、この大沼地区におきまして事業団が取得した所有権移転の経緯、これはもう時間がありませんから結構です。取得面積をまずお伺いしたい。それと価格。
#179
○参考人(牛丸義留君) 総面積で四百三十七万三千百三十二平米でございます。農地がそのうち八十三万八千八百二十二平米、非農地が三百五十三万四千三百十平米でございまして、その売買の価格は、総額で三十五億五千九百三十九万九千六百二十一円でございます。
#180
○二宮文造君 ここも土地公社から、それぞれの町の土地公社からお買いになったと思うのですが、この土地公社、開発公社が購入した相手先はどこですか。
#181
○参考人(牛丸義留君) 三井観光開発株式会社でございます。
#182
○二宮文造君 いわゆる北海道炭礦汽船の関連会社の、そして萩原さんが社長をなすっている三井観光開発株式会社、そうでございますか。
#183
○参考人(牛丸義留君) そうでございます。
#184
○二宮文造君 この土地で、その三井観光開発株式会社は、事業団が取得をした用地の隣接ないし周辺で何か計画をしていたように聞いておりますが、どういう計画をしておりました。
#185
○政府委員(曾根田郁夫君) 大沼地区につきまして、大沼健康都市の構想があったというふうに聞いております。
#186
○二宮文造君 そうしますと、事業団が買った土地は三井観光開発株式会社が計画をしておった大沼健康都市の用地の一部を買い取ったと、こういうことになりますか。
#187
○政府委員(曾根田郁夫君) 私どもが保養基地の土地を取得する際に、それぞれの地域についてただいまのようなあるいは構想があるような地域も考えられるわけでございますけれども、私どもは、いずれにいたしましても土地取得時点において一定の要件に該当し、それが確実に取得されるということであれば、それがあくまで保養基地の候補として適当であると、そういう条件を備えておれば取得するわけでございますので、その構想の経緯がどのようなものであったか、それはあくまで取得時点における私どもの判断で態度を決めるということでございます。
#188
○二宮文造君 そういう捨てばちな答弁しないでくださいよ。ね、四十五年ごろから三井観光開発はプロジェクトチームをつくって大沼健康都市計画というものを、建設計画というものを進めてきたわけです、それらを含んで。そしてそれを進めている最中に、その建設予定地の一部を、これは条件にかなったんでしょう。条件にかなったんでしょうが、そういう開発計画が進んでいるということを承知の上で、条件にかなっているということでお買いになったんですかと、こう私は、知ってて買ったんですねと、こう念を押しているわけです。
#189
○政府委員(曾根田郁夫君) 構想そのものは確かに聞いておりましたけれども、取得時点においてその構想がまだ具体的になっていなくて、道あるいは地元の町村等から適地があるとして推薦があったものについて検討を行ったということでございます。
#190
○二宮文造君 あのね、ここに「新しい健康都市」という本があります。著者は武井一夫さん、この方は三井観光開発株式会社の取締役顧問、大沼健康都市開発室長――室長です。そういう肩書きの武井さんがお書きになっているわけですが、この中に、これは発行が四十九年五月――昨年の五月の発行ですね、よろしいですか。この百四十ページに、「一九七三年から向こう四カ年計画で国の大規模年金保養基地が設けられることになっている。」、そこにもう手回しよく持っていっていただいています。その前段をちょっと読みますと、「この広大な自然の起伏豊かな耕地、山林、原野は、三井観光開発の所有地で、同社がここに昭和四十五年以来「リタイアメント・タウン」建設のプロジェクト・チームを編成して、そこに健康都市という全く新しい都市の開発を進めている。さらに、この地域内の約百三十万坪に、一九七三年から向こう四カ年計画で国の大規模年金保養基地が設けられることになっている。」、プロジェクトチームを進めてきたその中心の方が、国と三井観光開発株式会社の合作の健康都市づくりであるということをここで明確に言っております。これは御存じなかったんですか。
#191
○政府委員(曾根田郁夫君) この本が出ましたのは、指定の後ではなかったかと思いますが、指定の前後にはいずれにしてもそういう構想があるということは聞いておりましたけれども、まだその時点では具体的な計画という形になっておりませんで、いずれにしましても、地元からこの近辺にこういう適地があると、その地域が保養基地としての条件に該当しておって、それを取得の対象にするかどうかの判断を下したのでございまして、この健康都市開発構想そのものがどうこうということは、これはまあその構想が具体化しておれば別でございますし、あるいはまた、そうであればそのような適地の推薦はなかったのかもしれませんけれども、そういう状況で判断を下したということでございます。
#192
○二宮文造君 まさにお役人らしい答弁だと思います。もうその一語に尽きます。賢明な当局の方がこういう事情を御存じないわけはない。しかも、御存じであるにもかかわらずいまのような答弁をなさるということは、ますます語るに落ちると、こういうことになることを御承知いただきたいと思うんです。これは、これからのこの大沼地区のいわゆる年金保養基地の大規模保養基地の建設というものは、きわめてマークしなきゃならぬ、われわれから見ますと。こういう性格のもんだと思います。しかも、いま聞きますと、四百三十七万平米、冒頭にお伺いしました大規模保養基地の大体のスケールは三百三十ヘクタール以上、要するに三百三十万平米のはずでありますのに、ここに限って百万平米もなぜ余分に買わなきゃならぬか。国費のむだじゃありませんか、どうでしょう。
#193
○政府委員(曾根田郁夫君) 確かに面積だけをとらえてみますと、既指定の他の地区と比べましてこの地区の面積は多くなっておりますけれども、私、実は昨年一度この地区を見に参ったことがございますけれども、この基地の範囲をどう画するかということは、地形上いろいろ問題がございますし、それからまた、管理面の考慮も要るわけでございますが、この地区は大体南北に二・五キロ、東西一・九キロと、それでこういうふうな波状な地形になっておりまして、南の方に川が流れておりまして、その川の南側が保安林になっております。それで、当初、事業団の方で、この土地について面積をどうするか、やはり他の地区より多少面積が上回るもんですから、いろいろ御検討になったようでございますけれども、この宿野辺川の景観、それからまた、この保安林がそのまま自然の観察といいますか、野鳥等の生息、それを散策を通じてそういったことが期待できるというようなこと、いずれにしても、この宿野辺川の南を一方的に切るということは、基地としてもどうも望ましくないんではないかと、それからまた、別の面で、たとえば北側の方の稜線を切るというような考え方もございますけれども、これはその稜線のところにどういう施設を設けるかによって多少のゆとりを、もう少しその先に沢がございますけれども、そういったその景観保持あるいは管理面のこの境界線の切り方の適切かどうかの問題、そういったことを総合的に判断いたしまして、多少他地区より面積は上回るけれども、全体としてはこちらの大体指示した金額の範囲内でございますし、基地全体を効果的にあれするためには、当初考えた保安林を切るということはむしろ問題ではないかと、そういうような事情がございまして、全体としては、御指摘のように他地区より三十万近く上回る結果になったということでございます。
#194
○二宮文造君 理由はどのようにでもつくもんだと私は伺いました。しかし、三百三十万平米、しかも、何度も言いますけれども、原資が厚生年金である国民年金、あなたのお金じゃありません。零細な勤労者の原資です。そういうものをですね。しかも三百三十万平米と、こう概略決めておきながら、そのような安易なやり方で百万平米――三割以上もよけいに購入をするという姿勢、これは私納得できません。国費のむだのように思えてなりませんし、さらにまた、大沼健康都市、三井観光開発株式会社との関連がそこに内在するような気がしてなりません。これもまた、いずれ明快にしたいと思います。きょうは時間がありませんから、次に進みます。
 そこで、今度はまた、問題になっておりますが、保安林です。いまお話がありました七飯町の保安林、百五十五万五千五百三十八平米、これは保安林だと思いますが、この保安林の解除、こういうものを対象に売買というものは、どういうもんでしょうか。ちょうど林野庁の方、見えているでしょう。
#195
○説明員(藍原義邦君) 保安林につきましては、一般的に、森林法の規制によりまして、公益上の理由あるいはその指定理由の消滅という形で解除をする場合が間々ございますけれども、この大沼地区につきましては、現在私どもの方には保安林の解除申請も参っておりませんし、それからわれわれの方が道に確認いたしました段階におきましては、これについては解除する、開発する予定はないというふうに聞いております。
#196
○二宮文造君 内々とはいいながら、いかにもずさんですね。保安林ですよ。保安林を買うのに、前もって林野庁に、その保安林を購入するのについてその意見を打診をするぐらいの作業はなすってもよろしいんじゃないか、こう思います。こういう疑問点が出てくる。
 それから次に、土地開発公社並びにその事業団の買収価格ですが、これを一平米当たり買収単価を計算してみますと、土地開発公社が買いました七飯地区の保安林の方は単価が平米当たり四百七十七円、それを年金福祉事業団が四百八十円で買った。それから森町の山林原野の方は、土地開発公社が九百七十八円、単価ですね、で買ったものを二円足して、年金福祉事業団が九百八十円で買った、こういうふうに資料の中から出てくるんですが、これはこのとおりでしょうか。
#197
○政府委員(曾根田郁夫君) 前段の保安林の件でございますが、これは先ほど申し上げましたように、主として野鳥の生育、そういったものの自然観察、そういったことで、施設をするにいたしましても、散策道、その程度のものというのが当初からの考えでございましたので、特に保安林の解除……
#198
○二宮文造君 いや、散策だって道路つくるんだって許可を受けなければできません。
#199
○政府委員(曾根田郁夫君) 地元の農林部等のお話によりますと、簡易な散策道程度のものは許されるということもございましたので、特段の解除の手続をとらぬで、むしろそのまま基地の一部の中に組み込むという考えであったのでございます。
#200
○二宮文造君 林野庁に聞きますが、そんな保安林解除の手続をとらないで散策道だとか何だとか、散策道と言ってもお年寄りの年金基地ですよ。お年寄りというのは足元が非常に弱いわけです。そういう方々が散策をする、そういう道路をつくるのに、保安林の解除の手続とかそういうものなしにできますか。
#201
○説明員(藍原義邦君) この基地でつくられます散策道路がどの程度のものか私ちょっと存じ上げておりませんけれども、一般的にたとえば保安林の中で森林関係の作業をする、あるいは公益上の理由で道路をつくるための作業道が要るという、一般的な人が歩く、作業員が歩くような細い道、こういうものにつきましてはそれぞれの所管の都道府県知事が作業許可という形で一応許可いたしまして、こういうものにつきましては原則的には復元するという形にはなっております。
#202
○二宮文造君 ですから、これは問題が残るわけです。あなたのおっしゃるとおりでもないわけです。
 次に、いまの単価の問題です。
#203
○参考人(牛丸義留君) 先生御指摘のとおりでございます。
#204
○二宮文造君 そこで、これも私どもが歩いてみまして、付近の売買実例を見ますと数件の売買実例が出てまいりました。最も高いもので四十七年二月現在で森町の山林が立木込みで一平米当たり三百六十三円三十七銭、いま森町の方は事業団がお買いになったのは一平米当たり九百八十円、それから昭和四十七年二月の分ですから、その後の地価公示価格、そういう北海道内における地価の推移というものを計算しても相当に高い、いわば立木込みでまず森町の方で七百四十円程度、上がったと見てですよ。それから今度は七飯町の方です。七飯町の方は四百八十円で買ったんですが、ここもうんと高く見ても三百六十円程度。こういうふうに平米当たりに相当に買収価格が高過ぎるんではないかという疑問が出てきます。先ほどの三井観光開発との関係、地形的な関係、それからまたこの価格の問題、どうしても疑問なしにはおれません。
 そこで先ほど鑑定価格というのが出てきましたが、鑑定人に鑑定をしてもらうんだからあいまいなところはないというお話でしたが、この大沼地区の鑑定人は一体だれですか、二社。――申し上げましょう。日本不動産研究所とそれからどこでしたか、安田信託でしたか、そうでしょう。ところが、この日本不動産研究所の役員の中には――これは財団法人です、日本不動産研究所は。この役員の中には三井観光開発と取引関係にある日本興業銀行頭取、あるいは審査部の参事役、日本不動産銀行の頭取、三井観光開発株式会社と同系の三井不動産の代表取締役、こういう者がこの財団法人不動産研究所の役員の中に名を連ねているわけです。非常に何といいますか縁続きの、三井観光開発と縁が非常に深いそういう人たちが役員に名前を連ねている不動産研究所、こういうところで鑑定をすると、これが必ずしもそうだとは言いませんが、私もいままでずいぶん国有財産の問題でも鑑定価格というのを取り上げてきました。大体実情は、これくらいの金額というものを前もって予算関係やなんかではじき出しておいて、それにさや寄せというのですか、それに寄せていくような理由をつけて鑑定評価というのは出てくるんです。これはもう一般の通例です。したがって、お役所関係では鑑定価格というものを金科玉条のように取り上げられますが、われわれその内枠の中から立ち入って見ますと、この鑑定価格というものほど隠れみの的なものはない、こう私は断言してもいいと思うんです。
 そこで、もうあと半までで五分しかありません。ですから、こういうふうなことになってまいりますと、まず大沼地区の場合は百万平米もよけいに買った。三井観光開発とのこれからの業務の錯綜というもの、これはお互いの関連においてやっていかれるのじゃないかという背景、さらにまた、価格がきわめて納得のできない高い金額になっているということ、こういうことを私はここで指摘をせざるを得ないと思うわけです。この点についてはきょうは時間がありませんから、もっと微細な点にわたっては、いずれまた機会をいただいて問題を掘り下げてまいりたいと思います。
 それから、会計検査院の方見えてますか。――会計検査院の方はこの年金福祉事業団が手がけているこの大規模保養基地についていままで検査対象にされたことありますか。
#205
○説明員(中村祐三君) ただいまお話の年金福祉事業団の大規模年金保養基地事業は、私どもかねてから事業団としては新しい大きな事業でございますし、それから大金を投下するということで、これはどうしても重点を志向して検査しなくちゃいけないのじゃないかというふうに思っておったところですが、過日国会でもこの問題が取り上げられましていろいろ御論議がございまして、その経過も私どもとしては大いに参考にさしていただいて、現在鋭意準備中でございます。
 具体的に申し上げますと、本日お話しになりました岩手県の田老地区は、これはたまたまでございますが、今週月曜日の二日から四日間の予定で現地に入っております。それから北海道の大沼地区も近く現地調査をする予定にしておりますので、本日またいろいろ新しいことを教えていただきましたので、これらを参考にして鋭意検査をしたいというふうに思っております。
#206
○二宮文造君 時間が来ました。私きょうは行政監察局は呼んでおりませんが、どなたか管理庁の方いらしてると思います。したがって、これはやはり行政監察の対象にもなるんではないかと、私こういう期待を持っておりますし、先ほどちょっと数字を申し上げませんでしたが、この大沼地区で高く買ったんじゃないかとか、百万平米もよけいに買ったということで、ちょっと概算をしますと十四億五千万円ぐらい国費のむだ遣いが出てくるように私どもは試算をしました。これは本当に大変な問題でございますので、厚生大臣も地元のことでごきげんも悪いかもわかりませんが、しかし、これは非常に重要な問題でございますので、年金福祉事業団の大規模保養基地のこれからの運営については、さらに監督をしっかりやっていただきたい、これを特にお願いをして、次回、いつかの機会を見てまた後日物語をさしていただきたいと、こう思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
#207
○国務大臣(田中正巳君) るるお話がございましたとおり、年金保養基地の取り扱いについては十分留意してやっていきたい、かように思っております。
 なお、大沼地区につきましては、先ほどお話がございましたとおり、私の選挙区の中にありますが、それだけに従来から私はこれに関係しないことにしておったわけでありまして、しかし、厚生大臣になりますると立場は二重でございますので、関係していいやら悪いやら、その辺のところはむずかしいところだと思っております。
#208
○委員長(前川旦君) 二宮君の質問が終わりましたので、田中厚生大臣及び関係の政府委員の方、退席なさって結構です。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#209
○委員長(前川旦君) 速記を起こして。
#210
○近藤忠孝君 私は、国の財政経済政策の結果が端的な形であらわれるのが公害問題であると考えます。そこで、昭和四十七年度決算締めくくりの総括質問に当たりまして、この昭和四十七年以降の時期の政府の公害対策がその後どのように国民生活に影響を及ぼしたか、また、今日の公害による国民の健康被害等にどのようにかかわっているか、この問題について以下の質問の中で問題にしていきたいと思うわけであります。
 まず、昭和四十七年公害の状況に関する年次報告、いわゆる公害白書でありますが、この昭和四十七年という年は御承知のとおり、前年のイタイイタイ病第一審、また新潟水俣病の判決に次いで四日市訴訟、またイタイイタイ病の控訴審判決がありました。大変大きな注目を浴びた、また公害行政の上でも一つの大きな転機になった年だと思います。この時期の環境白書に公害判決に対する一定の評価、記述がございますけれども、この公害判決を環境庁としてはどのように位置づけ、どのように理解されたか、まず、この点について御答弁を願いたいと思います。
#211
○国務大臣(小沢辰男君) おっしゃるように、四十七年にはいろいろな訴訟の判決がございました。公害裁判、また前年にイタイイタイ病の結論が出ました。それら一連の公害健康被害に関する司法当局の確定的な意見が出たものですから、これらを受けまして政府としてはいろいろな立法措置も講じましたし、またその後御承知のとおり、四十九年からは健康被害についての補償の法の画期的な制定を得たわけでございまして、そういう意味におきましては、一連の裁判の結果というものが公害のわれわれの防止計画並びにその結果起こりましたもろもろの被害に対する補償の進展の上で非常に大きな影響を持ちました意味におきまして、私どもは政府としてこれを評価をいたしているわけでございます。
#212
○近藤忠孝君 大きな影響があったということは、その後の時日の経過を見れば明らかであります。ただ私が問題にしたいのは、この四十七年の環境白書でも明らかにしておりますが、四大公害裁判の教訓となっています。私がお聞きしたいのは、この裁判からどういう教訓を受けられたのか――抽象的には書いてあります。この判決というものが「きびしく企業責任を追及している。また、これらの判決は、行政の姿勢に対しても強い反省を促す」ものだと。ですから、特に「行政の姿勢に対しても強い反省を促すものであった。」という理解があるわけでありますから、行政のどのような部分に対してどのような反省を促したのか、この点、私の聞きたい点であります。
#213
○国務大臣(小沢辰男君) 私ども、白書に書きましたように、この四大裁判の教訓を得まして、行政の姿勢を一層予防措置から救済に至るまでの一連の対策について、これを強化いたすような実際の行政措置をとってまいったわけでございますので、それは個々に申し上げると大分時間がかかりますけれども、先生御承知のとおりの規制をますます強化をいたしましたり、あるいはその結果の患者の救済についての法的な措置を講じましたり、そういうようなものが具体的に教訓として私どもは得たものを行政にあらわしたわけでございます。
#214
○近藤忠孝君 長官はその当時環境庁長官でなかったので、実感がないのでそういう御答弁になると思うのですけれども、ですから局長で結構であります。この公害白書を作成された立場から、私が指摘しましたように、「強い反省を促すものであった。」というんですから、反省ですね。反省と理解する以上、どこかまずい点があったと思うのです。要するに裁判所からしかられたのですから。しかられた場合に、ただしかられたというだけでは何にもならないので、どこの部分が悪いと思ってしかられたのか、そこのところを私はお聞きしているのですが、いかがですか。
#215
○政府委員(城戸謙次君) これ、いろいろ判決によって若干問題点が違っておりますので、たとえば四日市裁判におきます判決に関連して申し上げますと、この点は、判決が出ました四十七年七月時点におきます環境庁長官の談話及びその後、長官みずから四日市を訪れましたときの今後の考え方として発表されましたそこにあらわれているわけでございます。
 その一つとしましては、この裁判の上でも立地上の過失ということがございます。私どもとしましては、企業を立地するに当たりましては、何としても従来のような事後の措置をするのじゃなしに、事前に十分環境影響評価等を行いました上でやるということが一つございます。
 それからそういう評価をします場合でも、従来でも全くやってなかったわけではございませんが、たとえばその評価の場合の判断のよりどころになります環境基準が非常に部分的である、あるいは環境基準そのもののレベルが十分でないと、こういうことがあったわけでございますから、これをできるだけ強化拡充していくということが一つあるわけでございます。
 それからまたさらに、そういうことをいたしましても、それを担保することができない。そうすると、硫黄酸化物等現在すでに導入されました総量規制という考え方を入れませんと、どうしてもうまくいかない、こういうことも一つの反省として制度化され、あるいは今後強化されようと、こうしておるわけでございます。
 それから特に、被害者が現におるわけでございますから、これに対する補償問題を一々裁判でやっていくということは、これはいろんな意味におきまして、時間もかかりますし、経費もかかりますし、また場合によりましては、十分認められない場合もあるということでございますので、そういう民事責任を踏まえました損害の補償制度をつくると、こういうことがその後の一つの大きな懸案でございまして、四十九年の九月から実施に移ったわけでございます。
 こういう各般にわたりまして、当時の行政で不十分であったところを反省しながらやっておるわけでございます。ただ、その中でたとえばアセスメントについて申し上げますと、現在その制度化のために努力をしているところでございまして、現実には制度として法律上でき上がったところまでいっていない、今後の課題として、一番大きな課題として残されておる、こういう現状でございます。
#216
○近藤忠孝君 いまの四日市の関係で、たとえば立地の過失が出てまいりました。これはその前の段階から申しますと、まあ通産省の関係だと思いますので、これからお聞きしますが、その前にひとつお聞きしたいのは、第四番目に指摘されました被害者救済の問題で、一々裁判をしなくても済むようにと、こういった趣旨だと思うんです。ということは、これもいままでの状況を反省されまして、行政がもっと一生懸命やっておれば被害者が裁判という一番最終の、一番困難な方法をとらなくても済んだだろうと、だから、そういう面でも一生懸命やろうというようなことでの幾つかの施策をとったと思うわけでありますね。そう理解していいかどうか御答弁いただきたいと思います。
#217
○政府委員(城戸謙次君) いま先生おっしゃった趣旨でございますが、ただ私どもとしましては、この制度自身があくまでも公的な救済の制度でございますので、国民自身が裁判に訴えるという最後の手段はこれは当然のことでございますので、それを決してこれだけで全部カバーできると、こういうことは考えておりません。
#218
○近藤忠孝君 私が指摘したのは、その裁判の権利を否定するという意味じゃなくて、被害者が裁判を起こすまでにはずいぶんいろんな苦労をいたします。たとえば因果関係の立証につきましても、これは被害者の立場からやりますとなかなか大変なわけです。だから、そういうような面でも行政の立場から被害者の手にゆだねることなく、十分にタッチをしていこう。その他のですね、被害者がとにかく裁判をやらなくても済むような社会的条件、これをつくっていこうと、そういう趣旨と理解していいかどうかというのが私の質問の趣旨なんです。
#219
○政府委員(橋本道夫君) 公害健康被害補償法は、公害の被害を受けた人々に対して、裁判をいたしますと非常に時間や経費もかかりますので、公法上の措置として一定の定型化をされた救済措置をするということだけの問題でありまして、裁判をしなくて済むとか済まないとか一切そういうことには無関係でございます。
#220
○近藤忠孝君 そういたしますと、先ほど述べられた四番目の教訓として被害者の救済という観点で一々裁判をしなくても済むような条件をつくるかのごとき御答弁がありましたけれども、いまの橋本さんの話ですと、余りその点がそういう意図を持ったものとは思えないように理解されますけれども、そう理解してよろしいんでしょうか。
#221
○政府委員(橋本道夫君) いま私の申し上げたのはいささか言葉足らずでございましたが、裁判では慰謝料というような扱いがございますが、この公法上の制度として慰謝料というようなカテゴリーまで含めた形での定型化はきわめて困難であるということ、この四日市の裁判の被害者と同じくらいな苦しさを味わっている人がほかにたくさんありまして、やはりそういう人たちに対しては四日市の裁判でとられたこの因果関係につきましての疫学の扱いというようなものもこれは取り入れながら公法上の制度を設けるべきではないかという意味で私は申し上げたわけであります。
#222
○近藤忠孝君 まあ被害者の被害補償の問題はそれで結構ですが、もう一つ、住民の要求は、単に被害補償だけではなくて、発生源の防止という面ですね、この発生源をとめていくという、公害の発生源をなくしていくという面で、環境庁としてのこの公害裁判からの教訓としてどんな措置をおとりになったか御答弁いただきたいと思います。
#223
○政府委員(城戸謙次君) これは、先ほど申し上げましたのは、全部それに関連していると思います。すでにありますところにおきましてもその規制を順次強化して環境基準が満たせる範囲の排出にとどめていくと、あるいはその方法を単なる濃度規制あるいはK値規制でなしに、総量規制的なものに移行していく、あるいは新しく立地する場合にその環境容量にマッチしたようなことができますように、総量規制がとられない場合におきましても環境影響評価等を行いました上でやっていくと、すべてがそういうような汚染源がなくなるような方向で考えてきておるわけでございます。要するに環境基準が満たされないような形での汚染ということはないということでないと被害者が次々出るわけでございますから、そういう形に私どもはいくように努力をしているということでございます。
#224
○近藤忠孝君 じゃあ通産省にお伺いいたしますが、この判決の直後、当時の通産事務次官であった両角さんとおっしゃいますが、「両角通産事務次官に聞く」という記事がございます。その中で、いままでの通産行政を恐らく反省してだと思いますが、幾つかの点を指摘しております。そこで一つの問題を見てみますと、まずその「問い」が、「通産省が推進してきた経済性優先のコンビナート方式が批判されたわけだが、当面どうするのか。」、これに対する「答え」として、「中曽根通産相の指示で八月いっぱいに、既存および新設予定の産業コンビナートを総点検する。環境基準、公害防止施設のチェックはもちろんだが、住民環境の実態調査にも重点をおく。住民との利害関係の調整が円滑にいっているかどうかに通産省としても大きな関心をもっているからだ。
 その結果をみて、今後のコンビナートのあり方を再検討することになるが、新設予定のものに対しては、工場設置基準をより厳しくするつもりで、法的規制強化の資料をこの調査から得たい。既存のもののうち、明らかに悪い状態にあるものについては、燃料供給の改善を第一にし、重点的に低硫黄原油を配分する。設備の拡充、改善には行政勧告もするつもりだ。」、こういったことを答えられております。で、この観点からその後の通産行政をどう行ってこられたか御答弁いただきたいと思います。
#225
○政府委員(大薗英夫君) ただいま先生からお話がありましたように、四日市判決を受けましてコンビナートの総点検というのを八月にいたしたわけでございます。それで、その結果につきましては発表いたしておりますけれども、今後の対策の方向といたしましては、先ほど環境庁からも御説明のありましたような環境基準の見直しの問題でありますとか、それからクリーンエネルギーの供給の問題でございますとか、あるいは排煙脱硫の推進と、こういうふうなことをその対策として掲げているわけでございます。また技術開発の推進もございます。それで、ただいま御指摘のありましたいわゆるクリーンエネルギーの供給の問題につきましては、各工場に対しましてどのような排煙脱硫装置等を今後つける計画であるかというふうなチェックをいたしましてその推進を図らしてまいってきております。
#226
○近藤忠孝君 もう一点言っております点は、各「企業が排出基準を守ったからといって、それだけで免責にはならず、共同不法行為が成り立つわけだから、」「難しい面がある。」と、まあ言っておりますけれども、この立場認めております。で、そういう立場から対策をとっていきたいと、こういうことでありますけれども、これはその後の通産省の基本的な考えであるかどうか御答弁いただきたいと思います。
#227
○政府委員(大薗英夫君) ただいまの点につきましては、両角元次官の答えているとおりでございます。
#228
○近藤忠孝君 次に環境庁にお伺いいたしますけれども、先ほど四日市についての一定の評価がございました。じゃあイタイイタイ病の判決、そうしてその直後に行われました、三井本社との交渉における諸協定、誓約書等ですね、これらについてどういう評価をされておりますか、御答弁いただきたいと思います。
#229
○政府委員(橋本道夫君) 裁判のイタイイタイ病の問題に対する判決についての評価ということでございますが、私どもは行政の立場として、裁判とはまた独自の立場でございますので、評価という言葉は差し控えさしていただきたいと思いますが、公害行政の立場から因果関係につきまして疫学の部門あるいは実験の部門、臨床の部門、理論の部門から、政府といたしましても厚生省は、当時数年にわたって調査をした成績に基づいて出した見解というものがかなりこれは基礎になっておるのではなかろうかというような感触を持ったということのみしかこれは申し上げられないというように思います。
 それから三井との両方の協定の締結でございますが、これは鉱業法がバックにあるわけでございますし、当事者同士の合意のものでもありますから、それが完全に履行されることは望ましいと思っております。
#230
○近藤忠孝君 この判決の後の協定あるいは誓約書は、御承知だと思いますけれども、一つはイタイイタイ病全被害者、裁判を起こさない人も含めての補償のほかに、一つはカドミウムで汚染された土壌の復元を全部企業の負担において行う。それからもう一つは、発生源対策として被害者みずからが学者その他の専門家を連れて、その好むときに発生源の調査のために立ち入りが行えるという、こういった協定等であります。これについては先ほどの判決からの教訓という点でこういう協定が被害者の手みずからによって獲得されたということにつきまして、いままでの行政のあり方を反省すべきだという、そういった見方もずいぶんあったわけでありますけれども、環境庁としてはこれらの問題について特にお考えはないかどうかお伺いしたいと思います。
#231
○国務大臣(小沢辰男君) 私ども行政がやっぱり裁判等の結果から見ますと非常にやるべきことをやらなかったんじゃないかというようなお考えもあるかもしれませんけれども、やっぱり行政というのは当時の科学的な知見というものをもとにしてそしていろいろな制度のからみ合いなりあるいはまた何といいますか、予算その他のいろいろの問題もございまして、なかなか行政というものはそうてきぱきと進むものではないわけでございますものですから、大変そういう点であるいはいろいろな批判が出てくるんじゃないかと思いますが、幸いにしてああいう判決を得ましてから企業側も社会的な責任を考えられまして、患者との間に合意を見たということでございます。しかし、私どもは例の厚生省見解は何遍も当院の他の委員会でも申し上げましたように、当時与えられた知見をもとにいたしまして、さらにその上に患者救済という至上の人間の健康を守るという立場の行政判断というものが強く加わって、その結果厚生省見解を決定をいたしたわけでございますから、当時すでにあらゆる面から検討した、科学的に全くこれ以上、もうこれで究極の科学的な技術的な判断であるというところまでは至ってなかったわけでございますので、その後厚生省並びに厚生省から環境庁に引き継いだ毎年のいろいろな科学的な調査、医学的な調査をやっているわけでございます。
 そういう意味で、先生の御趣旨ちょっと正確にはつかめませんが、大体私は先生の御趣旨をそんたくしてお答えをすればそういう状況でございます。
#232
○近藤忠孝君 いま長官が行政はてきぱきと進むものではないと、そして、恐らくその部分に批判があったのじゃないかという趣旨から御答弁されたのですが、私が指摘したいのはもっと以前の問題なんです。というのは、行政がてきぱきと進むもの以前として、むしろ企業の側に立って住民の前に立ちはだかって、そしていわば盾の役割りを果たしておった、弾よけの役割りをしておったというようなことが現に指摘されたわけです。これは判決の翌々日ですが、三井も負けたが行政も負けたと、こういう大きな見出しで新聞記事が出たわけです。これは環境庁じゃなくて県の段階なんです。県知事が地元県――被害者の県知事でありながら、被害者の立場に立って本当に救済をしていくという立場よりはむしろその運動や裁判の進行等々、抑える立場に立っておったのではないか。さらに被害者がイタイイタイ病の裁判の救済だけではなくて、さらにカドミウム汚染田の復元を求めるという、こういう大きな運動の前にむしろ立ちはだかっておった。また、あるいは先ほど申し上げた企業への立入調査につきましては、これは住民が県と三井金属の間で協定した協定書の中で住民の立ち入りも認めてもらいたい、こういう要請をしたけれども県がけった。それが住民の直接交渉によって実際には協定書を締結した。そうなりますと、いままで住民の前に、むしろ間に入って立ちはだかっておったものが――住民が判決で勝ち、その後の翌日の交渉によっていわばみんな自分の力で実現したということは、これはむしろ行政、これは県知事でありますけれども、県知事が盾の役割りを果たしておったのがこのことによって負けたんだ、こういう指摘さえされているわけです。ですから私が申し上げたいのは、この段階で昭和四十七年の環境白書が出た段階では、単に行政がてきぱきとやっておったという後から後追い行政程度ではなくて、もっともっと住民にとってはまずい状況があったんじゃないか、こういった指摘がされておったということ、これを申し上げたいわけです。
 そこで、これはこれで結構ですが、さらに申し上げたいのは、いま申し上げたカドミウムの土壌復元問題、これは前にも質問したことがございますけれども、公害によって振りまかれた被害、これは企業の力によって完全にもとどおりにきれいなたんぼにしていく、公害のない状況をつくり上げていくことこそ本当に公害の根をなくしていくことになりますし、企業がそこまで責任を持つことによって企業としても今後公害を出さないという、こういった確固としたものをつくり出していく、そういう社会的状況をつくる上で必要であると考えるわけであります。そして現に同じ日のこの新聞の中でもこの問題に触れまして、被害者みずからが要求して実現した企業の負担によるカドミウム汚染田の全面的復元、その対策事業をどう行っていくかということが問題である。そしてこれに対して県はどうこたえていくかむずかしい問題であるが、住民サイドに立った積極さが望まれよう、ということが行政も負けたというこの記事の中に書いてあるわけです。
 ところが、それから間もなく三年になろうとしております。先日、長官のもとに現地被害住民の人が大勢参りまして、そして実際に県の段階でどうもこの復元事業は進まない、そこで何とか進めるようにしてもらいたいということで陳情に参りました。その場で長官からは幾つかのいい御答弁をいただいたのでありますけれども、この場でもう一度確認したいと思うわけであります。
 まず第一に、いまだに地元の県では、この地域も含めたその全体の地域の土地利用計画、それが優先するのであって、それが決まらなければこの復元事業には入れない、こういったことを申しまして、実際にこれを進めていくことの一つの大きなネックになっている、こういう指摘があったわけであります。これについて長官としてはどのようにお考えであるか、まず御答弁をいただきたいと思うのであります。
#233
○国務大臣(小沢辰男君) 私、あの際にも先生並びに地元の方々に申し上げましたように、やっぱり基本的には原則的に地域指定が行われ、その地域指定が行われた農地について復元の対策事業を実施するということが本筋のものでございますから、そういう意味で、私はあのときも申し上げましたように、できるだけそういう本筋の解決を急ぐように指示をしてまいりたいと、こう申し上げたわけでございます。ただ、おそらく後で局長からまた詳しい点は御説明申し上げますが、この農用地の土壌の汚染防止等に関する法律の中で、御承知のように、第五条汚染対策計画の項で第二項には、「次に掲げる事項を」「対策計画においては」「定める」というふうになっておりまして、その中に「汚染農用地の利用の合理化を図るための地目変換その他の事業」というのがございます。その前は「特定有害物資による汚染を除去するための客土その他の事業」とかいろいろございますが、そういうような「地目変換その他の事業」というようなものを、土地の利用の合理化を図るためにそういう点も考え合わせろということが法律の事項になっておるものでございますから、そういたしますと、土地利用計画全体を合理的に定めていくということをやはり念頭に置いて事業全体の実施のやり方を対策計画として決めていこうとすることに、ただ単にそれはいかぬぞと言うわけにも私どもとしてはなかなかまいらぬわけでございます。
 しかし、私は、農地が汚染をされ、しかも農地として復旧を希望するというのが本筋であるとすれば、できるだけ早くそういう面で、たとえば第二次汚染が起こり得ないのかどうか、起こり得るのかどうか、あるいは起こらないためにはどうしたらいいのかというような点も十分科学的に検討をしていただいて、本筋の事業にできるだけ早く計画を策定してかかってもらうようにいたしたいというのが、あれ以来一貫した私の考え方でございます。
 なお、詳しいことは局長から。
#234
○近藤忠孝君 いまの長官の言われました土地利用計画、これは前回も御説明いたしましたけれども、そういう土地利用計画であるならば農民もやってもらおうと申し出をしたわけであります。ところが県当局の方は、そんな土地利用計画ではなくて、もっとその周辺地域も含む広範な土地利用計画なんだと。要するに、もっと大きな土地利用計画が決まらなければ着手できないんだと。ここが争点であるということは申し上げたはずであります。ですから、いま長官が言われました土地利用計画といま私が説明した土地利用計画、県の言っている土地利用計画というのはこれは違うわけです。
 ですから、もう一度御答弁いただきたいんですけれども、県が言っておられるようなもっと広範囲な全体的な土地利用計画はこの事業計画とはいささかも関係ないと、こう理解してよろしいかどうか、いかがでしょう。
#235
○国務大臣(小沢辰男君) 私は連絡協の皆さんにもあの際に申し上げましたように、第二次汚染というもの、せっかくやりましてもどの程度やれば第二次汚染、またその汚染をするようなことが起こらないのか、そういう点は十分検討しないといかぬと思いますと言ったら、皆さんもその点はよく御理解を願ったわけでございます。
 それともう一つは、あの際にも私連絡協の皆さんに申し上げたように、私が直接県当局と話し合ったわけじゃないけれども、私の耳に入ってくることによりますと、何かほかの目的にしたいから買ってくれというような希望を申し出ている人も相当あるやに聞きますと。そういたしますと、やっぱり当面計画をする側の県としては、全体の土地利用計画というものをやっぱり頭に置いていかないと、ただ単に本来の、本筋の農地としての復旧をやればいいんだというわけにもいかないというようなあるいは観念が出てきているんじゃないかと思います。それと、膨大な土量をどこに処分をして、それでしかもその後の客土の土壌をどこから持ってくるかという問題もございますし、いろいろな観点でおくれているんじゃないかと思いますが、私もせっかくのお申し出でございますから、その辺のところを県が正確にどういうことを考え、またどういう観点からこれがおくれているのかという点をさらにひとつ早急に打ち合わせをしまして、よく調査をしてみたいと、かように考えます。
#236
○近藤忠孝君 時間がありませんので端的にお答えいただきたいんですけれども、いま長官が言ったような土地利用計画であれば住民の皆さん全部納得して、それでやってもらおうということになっておるんだけれども、実際いま障害になっておるのはもっと大きな利用計画だと。ですから長官、率直にお答えいただきたいんですよ。もっと大きな利用計画とはかかわりなく現在の事業を進めてもいいのかどうかと。前回長官にお伺いしたときには、それで進めるという趣旨のお話をいただいておるんですけれども、こういう正式の場になったらそれが素直に出てこないものですから、そのことを率直にお答えいただければそれで結構なんです。
#237
○国務大臣(小沢辰男君) この前のお話し合いの結果はすぐ県に連絡しておいたんでございます。いま先生のおっしゃる、何か広い土地利用計画ということについて私ども何にもまだ聞いておりませんので、それじゃもう一度至急連絡をとってみます。
#238
○近藤忠孝君 ですから、いま言われた、聞いてないような利用計画と事業を進めることとは関係ないと、だからそういうものに関係なく事業を進めてもいいんだと、このようにお伺いしていいと思うんですが、いかがですか。
#239
○国務大臣(小沢辰男君) いや私、何遍も申し上げますが、汚染地域の地域指定をやり、その地域のこの法律に基づく防止事業をやるというのは、やっぱり行政官というのは法律に基づいて仕事をやるものでございますから、法律の趣旨を十分尊重してできるだけこの法律の立法された趣旨に合うような事業を計画し実行してもらいたい。これはもうそれ以外には私ども、それを逸脱することも、またそれを何といいますか、さらに拡大することもできないわけでございますので、その点はそういうお答えしか私はできません。
#240
○近藤忠孝君 長官どうも素直でないですね。私が聞いているような、いま長官が言ったのをもっと超えるような事業計画と、実際にいま土壌復元事業を進めていく事業とは関係なしに事業計画を進めていいのかどうかというのが私の問いなんです。イエスかノーかじゃないでしょうか。
#241
○国務大臣(小沢辰男君) どうもあの、もっと広い広いと言葉だけでおっしゃいますけれども、具体的にどういう富山県が土地利用計画を、その法律の範囲を逸脱したような広い計画を考えているのかですね、その点何にも聞いてないもんですから、それを聞かないうちにどうもここでいいとか悪いとか、ただ言葉で広い広いと言ってもどういう、しかも地域指定が一千町歩にわたるもんでございますから、そういうもう膨大な土地でございますので、先生のおっしゃる点どうも私よく具体的につかんでみないとお答えがなかなかむずかしいわけです。
#242
○近藤忠孝君 じゃ、こうしましょう。土染法に規定されているような土地利用計画ですね、それとは並行的に進めていくと、こういう趣旨でやりますね。どうでしょうか。
#243
○国務大臣(小沢辰男君) おっしゃるように法律に基づいて私どもはやるものでございますから、その法律にあるいろいろな計画内容をちゃんと定めていただいて実施をしてもらいたいと、かように考えます。
#244
○近藤忠孝君 それから、これは水質保全局長にお伺いいたしますが、そのほか――いままで地域指定になったのはごく一部です。で、その後の調査等によってどんどん地域指定が可能な場所も出てくると思うんですが、これはどんどん相次いで地域指定してもらえるかどうかということが第一点と、それからもう一つは、ともかく一千ヘクタールに及ぶ大きな地域ですから、全部の事業計画ができなければ着手できないというもんでもないと思うので、一定の条件が整ったところから事業に着手していくべきであろうと、こう考えますが、その点いかがでしょうか。
#245
○政府委員(大場敏彦君) 御存じのとおり、神通川の左岸につきましては、昨年の八月に約六百五十ヘクタールというものを指定して、ただいま御議論がありましたように、それについての対策計画をいま県で練っていると、こういった段階であります。
 それから、右岸につきましては、その一歩手前の対策地域の指定という手続になるわけでありますが、これ、いま地元の県におきまして、たしか県の審議会で諮問中だということで、これもできるだけ早く指定するというふうに聞いております。
 それから、事業着手の仕方でございますが、これも大臣と先生との間でいろいろ御議論がありましたように、左岸右岸両方合わせますれば一千町歩ということになりますし、かなり膨大な事業でありますから、とっても一遍にはできるような事柄ではございません。やはり土地利用区分というものをよく見きわめて、そのところが永久に農地として、やはり農業生産の場として使う場であるということを確認した上でやはり現実的に対処できるような形で逐次やっぱりやっていく。ただその場合に、決してその仕事をおくらせるという意味で申し上げるんではないんですが、やはり客土の厚さを幾らにしたらいいかということ、これかなり費用にもかかわりますし、一千町歩ですからそれが十センチ違えば百万トンになるわけでございますね、土の量にいたしましても。その捨て場所をどうするか、あるいはその土をどこから持ってくるかということにもかかわってきますから、そういった設計の問題とかあるいは巨大な投資をした後で、また農業用水路あるいは川の底質等の巻き上がり等によって再び汚染が起きてしまって、またカドミ米が発生するということがあってはいけませんから、そういう失敗は許されないことでありますから、そういった点につきましては細心の注意が必要であろう、こういうふうに思っております。
#246
○近藤忠孝君 この問題だけで時間とってもいけませんので、次に進みますが、ともかく四十七年から三年たって、被害者みずからが三井金属に復元を約束させた問題でもこのとおりなかなかうまく進んでいない、これが実情でありますし、また行政がその中で、特にこれは県の段階を申し上げたんですけれども、一つのネックになっている例もあるということでありますので、この面は今後とも指導をいただきたいと思うわけであります。
 そこで、今度は昭和四十九年度の公害白書の問題であります。
 元来、白書というのはありのままの行政の実態を正確に反映する、そしてその中から教訓を示唆するという、こういったものであるべきだと考えます。ですから、こういう点から見ますと、たとえば四十九年度の公害白書で申しますと、五十一年排ガス規制問題ですね、この点があれほど大論議になった結果やはり後退になった、こういう指摘があるわけでありますが、ともかくあれだけ大問題になったことが、さらに審議内容やメーカーへの筒抜けの問題、さらにこれは私自身が指摘しましたけれども、日産自動車などは達成可能のデータを持ちながら隠しておったという、あらゆる大きな議論になったわけであります。ところが、白書を見てみますと、いとも簡単に書いてあるわけであります。また、赤潮被害の問題でもこれは大変重大な問題でありますし、水島の事故の問題も大変大きな問題でありますけれども、こんな点もきわめてあっさりとしか書いてない。この辺でこれらの問題を環境庁としてはどう理解しておるのか、この点についていささか疑問を持たざるを得ないんでありますけれども、いかがでしょうか。
#247
○国務大臣(小沢辰男君) 車の排出ガスにつきましてまあいろいろ国会でも御論議いただきましたが、審議会の経過なりあるいは環境庁のとってきたいろいろな施策につきましては記述をいたしてございます。ただ、先生おっしゃるように、いろいろ業界のデータが間違いがあったとか、あるいはその審議会の審議の内容が業界に一部覚書等から家本委員の関係で漏れたとか、そういうまあいわば事件的なものは、私ども行政面における四十九年度に行われた環境の現状の記述でございますので触れていないわけでございまして、これ何も意識的に実はいやなことだから触れなかったとか、そういうような考え方でやったわけでは毛頭ございません。
 それから水島の事故は御承知のように昭和四十九年十二月十八日でございますから、これらについて触れ方が少なかったという御批判は私はほかでも聞きましたんでございますが、一つ一つのそれぞれの場所におけるいろいろな問題を取り上げて環境白書をつくり上げるということがいままで余りやられてない、重大な裁判とかそれが転機になって一つの行政の方向を決めるとかいう場合にはもちろん記述をいたしてございますが、そういう意味でございまして、何も意識的にそれを回避したというようなものではないわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
#248
○近藤忠孝君 判決のときの反省が十分に生きておれば、私は四十九年度の五十一年規制問題や赤潮問題等ももうちょっと違った規定になっておったと思いますが、しかし、そんなような問題が端的な形であらわれてまいりましたのが先日提訴されました千葉の川崎製鉄の六号炉の差しとめを求める訴訟、損害賠償を求める訴訟、さらに環境基準を守ることを求める訴訟だと思うんです。これは先ほども被害者の本当に苦しい状況を行政がもっと正しく理解をしてずっと対処をしてきたならば、今回の被害者の方々が訴訟まで至らなくてもよかったのじゃないかと私そう思うのですけれども、今回こういうきわめて重大な訴訟、これは単に私が言うだけではなくて、いろいろな新聞や雑誌等でもこの訴訟が大変重大な訴訟である、国の行政のあり方にも迫る大変重大な訴訟であると報道されておりますけれども、この問題について環境庁としてはいかがお考えでしょうか。
#249
○政府委員(城戸謙次君) 川鉄の問題でございますが、この問題に関しましては私どもまだその訴訟の訴状なるものを拝見いたしておりません。したがって、どういうことを主張されているのかよく存じませんが、この問題は基本的に申し上げますと、すでに環境庁ができます前にこの川鉄問題に関しまして港湾審議会を通りあるいは埋め立ての免許をされていた、こういうことでございまして、私どもとしましては、去年の暮れに承認されました関連の公害防止計画をどういうぐあいに県の方で裏づけしていくかという問題としてこれまで必要に応じ県に助言をしてまいったわけでございますが、こういう計画を認めるかどうか自身はあくまで県知事あるいは市長の権限として公害防止協定に基づきます了承を与えるかどうかということでございますので、直接的にこちらが関与する立場にないわけでございます。
#250
○近藤忠孝君 直接に関与しなくても、先ほども四日市判決の教訓として直ちに、第一番目に事前の環境評価の問題が出ておるので、この面についての適確な指導が必要だったと思うのです。
 そこでお伺いしたいんですけれども、環境庁にはこの川鉄の「第六溶鉱炉計画に伴う環境影響評価」、五十年三月できましたですね、これは行っておりましょうか。
#251
○政府委員(城戸謙次君) 大分後の時期でございますが、いただいております。
#252
○近藤忠孝君 環境庁としてこれごらんになって問題がなかったかどうか、いかがですか。
#253
○政府委員(城戸謙次君) 私ども先ほど申し上げましたように、基本的にはそういうことを行います立場を、どういう立場でやるかということを県の方から求められました場合助言をしてまいっております。やり方につきましては、その千葉臨海の防止計画で決められました三つの大きな地域に分けました許容量、これは千葉、市原ということで一つ与えられておりますが、この範囲内でさらにその企業が立地します千葉市の地区についての平均的な削減目標をまず出してもらいたい。それに対しまして関連企業からの排出の地区の濃度に対します寄与度を出しますためのシミュレーション計算をやってもらいたい。その上でその平均削減目標を達成されるような個別の許容量を設定してもらいたいという一般的な指導をいたしておりまして、その資料そのものに基づきましてそういう担保できるかどうかの判断は県の方でやるというたてまえをとってきてまいっているわけでございます。
#254
○近藤忠孝君 仮に県の方でやるにしましても、その経過の中で間違いがないかどうか。たとえば環境基準との関係でも本当に環境庁の指示どおりに行われているかどうか、そういったことは端的に見ていく必要があると思うんです。
 そこで、これはもう端的にお伺いしますけれども、千葉市大気関係環境基準設定専門委員会というのがあります。先ほどの川鉄の環境影響評価は、いま申し上げたものに基づいて行われておるわけでありますけれども、そしてこれを基礎にしているわけです。ですから数字なんかもこれを基礎に行われているわけですが、千葉市の報告によりますと、百三ページですが、序論のところで「国の定めた二酸化いおう濃度の規制限界値」、これにつきまして「一日当りの平均濃度の九八%限界値」これは「〇・〇四PPm以下」「2一時間当りの濃度の九八%限界値」「〇・一〇PPm以下」ということが記載されておりまして、これを基礎にして環境影響評価が行われているわけです。となりますと、このことについていま私が読み上げた部分について間違いないかどうか、御答弁いただきたいと思うんです。
#255
○政府委員(春日斉君) 硫黄酸化物の二酸化硫黄の環境基準でございますが、恐らく先生の御質問は長期評価を行うときのやり方はどうかという御質問と見てよろしいのではないかと思います。それは三ページ、先生の御指摘になりました千葉市大気関係環境基準設定に関する報告書の三ページをごらんいただきますると、その下段にポツ印が書いてございまして、そこに示してあるのが国の長期評価の基準でございます。
#256
○近藤忠孝君 私が指摘したのは、「一日当りの平均濃度の九八%限界値」という、こういう指示の仕方ですね。これはやっぱり明らかに誤りでしょう、どうですか。
#257
○政府委員(春日斉君) ここと百三ページの序論に書いてございますのは、排出規制のためのシュミレーションを行う場合、環境基準をどういうふうにシュミレーションの中に当てはめていくかということでございますが、現在の拡散計算、拡散理論式を用いましてシュミレーションする場合にはやはり年平均値というようなことが問題になってまいります。この場合はここにございますように、一日当たりの平均濃度の九八%値を使うということが一つの通例になっておるわけでございます。したがいまして、ここに書いてある「1」のものは間違いではないと考えます。
#258
○近藤忠孝君 環境庁の通達によりましても、一日当たりの場合、要するに短期評価の場合は九八%値は使わないということははっきりしていると思うんですね。その環境庁の通達にこれは明らかに反しているんじゃないでしょうか。
#259
○政府委員(春日斉君) 先ほどから申しておりますように、一日平均値をたとえば三百六十五日、一年測定いたすといたしますと、そのうちの二%、すなわち高い方から並べまして七日分だけを除外したものについて平均するわけでございます。そういう意味からすれば、これは間違いではない、かように思います。
#260
○近藤忠孝君 私はなぜこの点を指摘するかと申しますと、先ほど示した川鉄の環境影響評価のところですね、これは明らかにいま私が申し上げた千葉市の青表紙の方を引用しまして、その百四十八ページですが、一時間値の九八%タイム値が〇・一PPm、一日平均値の九八%タイム値が〇・〇四PPmの点を通過する地域云々と書いてあって、将来の九八%タイム値が一日平均値で〇・〇四PPm以下となり、環境基準は達成されるものとみなされる、こういうことで、いわば大丈夫だという資料に使われているわけです。となりますと、一日当たりの、要するに短期の場合に使ってはならないものを使って、ここに持ってきていると、そういうことになるのではないか、このことが私の指摘したい点なんです。
#261
○政府委員(春日斉君) こういう席で反問をするというのは許されるかどうか知りませんが、短期評価に使ったというふうにおっしゃっているのはどういう意味か、私には解釈がつきかねるので教えていただきたいと思います。
#262
○近藤忠孝君 短期評価値のものをここで使っているわけですよ。一日当たりというのはどうしてもこれは短期のことでしょう、その場合に九九・九%値を使わなければいかぬです。それをなぜ九八%値が出ているのか、これが私の質問しているところです。
#263
○政府委員(春日斉君) ちょっと先生の御質問依然として釈然としないわけでございますが、わかりかねるわけですが、要するに先生の御質問はこういうことだろうと思うんですね。長期評価というもの、少なくともシュミレーションにぶち込むデータとして、ぶち込む年平均値というものを出すための値と申しますものは、国は一日平均値の九八%値をもって行うのが通例だと、こう申しておるわけでございます。それを恐らく先生は一時間値の九八%値を使っているのではないか、それは間違いではなかろうかと、こういう御趣旨ではないかと思うんです。そこで確かに私どもは一日平均値をもちまして長期評価をいたすわけでございますが、またそうして一時間値の九八%値に比べますると一日平均値の九八%値の方が厳しい値になるのが通例なんでございますが、私はこの青本を拝見いたしておりますと、意外にも一時間値の九八%値の方が厳しいものがかなりあるわけですね。そういう意味で厳しい値を使うということで一時間値の九八%値を使ったのではなかろうか、先生の御質問を聞いておりましてそういうふうに感じたわけでございます。したがいましてまあこれは必ずしも違反するとかしないとかということではございません。私は通例の場合は二十四時間値すなわち一日平均値の九八%を使うのが通例だけれども、ここにも書いてあるように、千葉におきます地理的ないろいろな条件等がむしろ一時間値の九八%値の方が厳しく出るということならばそれを使うということも一つの方法ではなかろうか、さような感じがするわけでございます。
#264
○近藤忠孝君 いまの御説明は納得できないんですが、ということは、やはり環境庁の指示どおりの評価法が行われていないと思うのです。この点は時間がまいりましたのでまだ今後問題にしなければいかぬ問題だと思います。
 そこで、この関係で最後にお聞きしたいのは、たとえば千葉の場合ですね、患者が約五百名もおるわけです。大変多いわけですが、実際もっとたくさんいるのじゃないか、こういう指摘がされています。たとえば具体的には桜木地区というのがあります。ここは患者の有症率などが、たとえば大阪などの公害地域とほとんど同じぐらいの大変高い有症地域でありますし、さらに窒素酸化物の汚染率も大変高い、この点がいま外されておりますけれども、こんな問題は今後地域指定されるべきではなかろうか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#265
○政府委員(橋本道夫君) いま先生の御指摘のございました地域につきましては有症率として四十七年度の調査でやったものでございますが、四十歳から五十歳までの人々の間で持続性のせきやたんを持っておる人々が五・七%ということですが、私どもはバックグラウンドとして大体三%弱というのが普通の見当でございますので、その二倍を若干下回るということでこの審議会から御答申をいただきました有症率の点からはこれはぎりぎりのちょっと下のところで引っかかってこないということでございます。
 それから硫黄酸化物の方につきましては、これは従来のデータいずれも低うございまして、これは一度ということでございますが、窒素酸化物の数字として四十八年度以降初めてここをはかった数字があるのですが、年平均〇・〇四九という数字でございます。確かにこの数字はこの環境基準に比べますと高いという数字でございますが、窒素酸化物と先ほどの有症率との関係というところにつきまして、私どもはまだ窒素酸化物のものを分離したデータというものを十分持ち合わせておりませんので、現在四十九年度から非常にこの点につきましての調査究明を進めておりますので、その結果によってまたどういうことになるかということでございますが、現在の段階では指定地域には至らない、こういうことでございます。
#266
○近藤忠孝君 これは窒素酸化物もその危険性は指摘されたわけでありますので、今後積極的にやっぱり認定していくような方向で御考慮いただきたいと思います。
 時間が参りましたので、最後に長官にお伺いしますけれども、この川鉄の訴訟はいままで市や県にずいぶん陳情してまいりました。しかしいずれもいま先ほど指摘したような環境庁の指示に基づかない事前評価なども行われて、その結果が全部認可になっているわけです。しかし、現状はこれは写真をお見せしますけれども、こんな真っ黒けな物がたくさん出ています。それから衆議院でもこの付近の屋根から出た鉄粉などをここに持ってきていますけれども、これは大変な物が付近に降っている、これは大変な物です。こういう状況のもとで現に認定されないまだたくさんの被害者もおる、にもかかわらず今回六号炉が設置されるということで、そのことでやむにやまれず出てきた訴訟であります。そういう意味ではひさびさに本格的な訴訟が出てまいったわけですが、まさにいままで行政の面で押さえ切れなかったところに被害者がみずから立ち上がったという、こういう事態を環境庁としてどう受けとめられ、今後こういった問題をどう解決されていくのか、最後に御答弁をいただきたいと思います。
#267
○国務大臣(小沢辰男君) 地域の公害防止計画というものは、私どもが望ましい環境基準と考えているものを即そのまま現実の具体的な環境基準と考えたより実はきびしい防止計画をつくっておるわけでございまして、その防止計画を企業と協議をいたしまして協定を結びますとその防止計画に基づく環境基準を達成するように企業が努力をしているということでございますから、恐らく私はその点について先ほど来大気局長と先生の御議論を聞いておりまして、まあ若干認識の違いもあるようでございますが、訴訟の内容等をまだ拝見いたしておりませんので、訴訟の内容等を十分拝見をいたしまして、なお千葉県からも状況を聞いてみまして検討はいたしてみますが、先ほど来局長からお答えをいたしておりますように、第一義的には県の側の責任ということになっておりますから、私がいまここでどうもあれは防止計画違反であるとか、あるいはしかも六号炉につきましては建設が何年先になって稼働が何年ごろになるのか、そのときの環境基準の達成が全体的に見てどういうようになるのかというような点も十分検討してまいらなければなりませんので、そうした技術的な点、あるいは現状等についてなお県側とよく調査をいたしましてお答えをさしていただきたいと思っておりまして、きょうここで私はそれがいいとか悪いとかというような所見をまだ発表するに足る材料を持ち合わせませんので、訴訟の内容等を十分検討しました上で必要があれば調査をいたしたい、かように考えます。
#268
○近藤忠孝君 いまの御答弁ありましたけれども、しかしこれは先ほど通産省の方からも四日市の評価をめぐって出てきた話の中で、国の基準を守っておったからそれでいいというものじゃない、被害者がふえた場合にはそれに対処しなければいかぬし責任を認めなければいかぬ、こういうのが私は国の基本的な態度だと思うんです。この面から十分な指導と対処されることを求めまして質問を終わりたいと思います。
#269
○委員長(前川旦君) 小沢環境庁長官、政府委員の方、退席していただいてよろしゅうございます。
#270
○野末陳平君 旅行代理店、旅行業者、旅行代理店が旅館に客を送り込んだ場合、旅館側からリベートがバックされるというわけで、業者の手数料収入、こういうもので旅行代理店は経営が成り立っているわけですけれども、この率ですが、旅館から受け取る手数料の率がいままでは一〇%が大体平均だったわけですね。それが去年からことしになりまして軒並みに上がったんですが、いまこの五月、旅行シーズンが一段落ついた時点で、このリベートの率は大体何%になって、それでどういう名目でそれが徴収されているか、大手の数社で結構ですけれども、その実態をまず説明してください。
#271
○政府委員(高野晟君) ただいま先生から御質問がございました旅行業者の手数料でございますが、これは私どもの方には、御承知と思いますが、最高限度額の届け出というのがございます。その最高限度の中におきまして、それぞれの業者がそれぞれの場合に応じて手数料を取っておるということでございます。いまお話がございましたように、従来一〇%程度というのが非常に一般的であったようでございますが、最近におきまして、ここしばらくの間でございますけれども、特に大手業者の場合にはたとえば旅館等と特に協定をいたしまして、その協定旅館全部ではございませんが、その中の比較的規模の大きい客室数の多いようなものにつきましては、最近御承知のようにコンピューター化というのが非常に進んでございまして、コンピューターを導入いたしましてあらかじめコンピューターの中に入れておくというような旅行業者の側におけるあっせん業務の合理化、情報化というようなものに伴いまして、最近大手六社程度を調べてみますと、おおむね一三%程度というぐあいになっておると思います。
#272
○野末陳平君 一〇%の手数料でもごく妥当な世間一般の率だと思うんですけれども、これが一三%になったと、コンピューターを入れれば大体事務が合理化して安くなるのに、その分を全部旅館側に負担を求めるというのもちょっと理屈に合わないと思うんですけれども、とりあえずこの一三%という数字ですがね、いままでは一〇%だった、これ一三をすんなりと認めたというのは、上限が一〇から一三%という届けが運輸省にあるからお認めになったわけですね、そういうことですね。だけどもどうなんでしょう、一〇%で商売やってきてたわけです、いままで。一三%に上げなければならないという、そういう必然性も運輸省ではお認めになった上のことですか、これは。
#273
○政府委員(高野晟君) いまお話がございましたように、いまの一三%程度というのは、私どもに届けてございます最高限度から見ますとかなり低くなっているところでございますが、従来一〇%というものが一般的であったということでございますが、先ほど申し上げましたように、特に大手におきましては、情報化時代に備えた各種のコンピューター化、あるいは協力、宣伝、こういったようなものを、特定の、いわゆる協定旅館と申しますか、そういうものの一部については行っておりまして、そのための経費その他というのは、ある程度かかるわけでございます。したがいまして、三%がいいかどうかということは、必ずしもわれわれ原価計算等を一々聞いたわけではございませんけれども、それほど高くない額であるならば、同時にまた、それによりまして旅館側におきましても送客の利便を得られることとか、あるいは旅行業者の宣伝の場において、協定された旅館のものがその宣伝パンフレットその他に載せられて宣伝の材料対象にしていただくというような意味での旅館側にとってのメリットというものもかなり考えられるというふうに思われるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、率そのものについてはともかくとしても、ある程度のそういったような旅館側の利便というものも考え、また旅行業者側のコストというものも考えまして、必ずしも適当でないというふうには判断してございませんです。
#274
○野末陳平君 だから、旅行業者とそれから旅館側のことばかりお考えになってのお答えですが、ぼくが言うのは、この率が、三がいいとか悪いとか言っているんじゃなくて、こういう手数料は宿泊料金に込みになっている部分ですからね。――そうですね。そこを問題にしているわけですよ。というのは、あなたがおっしゃったことは、旅館とそれから代理店の間の話で、これは契約料もありますね。年々契約料を取っているじゃないですか、宣伝費とかいろいろ名目つけて。それから看板料もありますね。旅館の前に出している協定旅館の看板。これだってちゃんと何万円じゃないですか。しかも契約年度ごとに変わっているじゃないですか。お金が取れるでしょう。そういうお金を取った上に、今度はいわゆる宿泊客、お客が負担しなければならないような宿泊料金の中に込みになっているこの手数料が、いままで一〇でやってきたんだと、これが一三に上がったのはどういうわけかと、それをお聞きしたわけですよ。お客のことが全然出てこないで、お互いに利便を図っていると。旅館側と代理店が利便を図り合いながら手数料を結局上げたって、それがいいとは言えないと思うんですね。だからその辺をお聞きしたわけなんですけれども。
 具体的にお聞きしていきますよ。まず、今度一三%に実質的に手数料が上がりました、旅館から業者が取る手数料ですね。ところが、これが業者によって違うんですね。税金とサービス料を込みにした全額に対して、ここからも手数料を取っている。つまり、税金をも手数料の対象に考えているという業者もある。これについてはそちらではどうお考えですか。
#275
○政府委員(高野晟君) 税金、もちろんこれは手数料の対象に考えられるべきものでないということで、私どもは、旅行業者に対しまして税金は除くべきであるという指導を前々からいたしておりますが、したがいまして、大手の企業等におきましては税金を別に計算をいたしまして、それ以外のものについて、たとえば一〇%なり一三%というものをやっているところもかなりあると聞いておりますし、また税金を入れたものについて、非常に時間的な問題、その他がございますので、計算上税金を入れていくというような場合が若干あると聞いておりますが、その場合には率を一〇%でなくて逆に九・三%であるとかというふうに下げておるというようなところがあるというふうにも聞いてございます。しかし、これは私どもといたしまして全部に絶対的に徹底をしておるということも実は残念ながら申し上げられませんので、われわれとしては、いま申し上げましたような点も今後とも指導を強力に強めていきたいというふうに考えております。
#276
○野末陳平君 税金込みの全額に対して手数料を十何%取るというのはおかしいと思うんですが、まあとにかくそれはそちらで指導なさっておるそうですから、やはりきちっとした方がいいと思うんですね、腑に落ちないですからね。ただし、部長のお答えというのはいつのデータですか、あなたのは。ぼくは五月の時点においてということを言ったんですが、そうしたら、税金込みの場合は九・七%ぐらいとか。それは二、三年前の率で、いまさら言われても困るんですがね。実際にそういうときもありましたがね。九・七%という数字自体古いですよ。一三%にとにかくいま上がっているんですからね。ちょっと新しいデータで話してもらわないと困るんですがね。具体的にこれからお聞きしますから。
 というのは、いままでは旅館が代理店に払う手数料が一〇%、これがいろんな名目で一三%になった。ただ旅館と代理店の関係を言っているんじゃないんですよ。結局、これを最終的に負担しているのは宿泊客、つまり修学旅行とか、一般の会社とか、個人の場合もあるでしょうけれども、お客であるということで、この手数料がどういう意味を持っているか、この辺をお聞きしているわけなんですよ。で、一番わかりやすい修学旅行を例にとりますが、修学旅行の場合は一番常識的に考えれば、こういう学生ですから、こういうところからは余り手数料たくさん取ってないじゃないかと、こういうふうに思うわけですね。しかし、業者から言わせれば、必ずこれは旅行してくれるし、団体まとまるから、収入としては非常にばかにならないという面もありましてね。この修学旅行というのは非常に代表的な、典型的な例だと思う。
 そこで、お聞きしますが、そちらからも資料をいただきましたし、私の方でも調べてありますが、一応中学生当たりを、東京の中学生を例にとって説明していただいた方がわかりがいいと思うんです。まず、中学生一人が修学旅行に行く場合に、旅行代理店にまず学生個人としては一人当たり幾らぐらいの手数料を払っていますか。これは低率ですけれども、ひとつ例でお願いします。
#277
○政府委員(高野晟君) まあ幾つかの例を私ども調べたわけでございますが、その一つの例、たとえば中学で東京から京都付近にというような場合を考えてみますと、たとえば修学旅行の費用一人当たりが約二万円近く、一万九千六百円ぐらいの場合におきまして、一応学生からの手数料というようなものを二百円程度ということでございます。しかし、これは一応計算的に、いろいろこういうことで一つの基準みたいなものでやっておるようでございますが、実際には学生から取るケースといいますか、学生から手数料を取るというケースは非常に少ないように私ども聞いてございます。
#278
○野末陳平君 まあぼくはそれが当然だと思うんですよね。ほかの施設とかそれから交通機関とか、そういうところからも手数料は入るんですからね。学生から、二百円というのがいま出ましたけれども、取らないのが当然あたりまえだと思いますが、さて今度は、いわゆる受け入れ施設の方ですね、交通機関それから宿泊その他ですけれども、そういう機関からは、大体いまのサンプルでいきますと、旅行代理店に一人当たり幾らぐらいの手数料が入っているか、これをまたお願いします。
#279
○政府委員(高野晟君) ただいまのケースの例を申し上げますと、これは約二百名程度をまとめてというケースだそうでございますが、まあ旅行経費が先ほど申し上げましたように、一万九千六百円余りというところに対しまして、手数料として関係の各機関、旅館、交通機関、その他からでございますが、約千七百円程度というふうに私ども聞いてございます。
#280
○野末陳平君 ちょっと合計じゃなくて、具体的に、交通費、宿泊費、ちょっと分けて……。
#281
○政府委員(高野晟君) 中身を一応積算したやつがございますので申し上げますけれども、交通費につきましては国鉄の場合ですと約二百六十円、それからバス等を利用するというケースがこれでございますが、その場合に一割に相当いたします七百四十円。それから宿泊を大体五千二百円程度と見ておるようでございますが、その場合の一割を見まして五百二十円。食事、休憩その他がございますが、これらを約千円と見まして百円。それから拝観料、入場料、その他というのがございます。これもケースによって違いますけれども、一応八百円程度と見ますと、その一割ということで八十円ということで、いま申し上げましたようなものを合計いたしますと千七百円と、かようになろうかと思います。
#282
○野末陳平君 そうしますと、千七百円が受け入れ機関から代理店にいく手数料と、そのほかに学生個人が二百円の手数料を旅行代理店に払っているから合計千九百円ですね。二万円近くの旅行経費に対して千九百円、約一割ぐらいが修学旅行の場合においても手数料として旅行代理店に入るわけですよ。この計算は一〇%のときですからね、宿泊施設が代理店に出す、バックするリベートの率が一〇%のときですから。そこで、これ一人当たり千九百円とすると、二百人の団体だから合計すればかなりになりますね、当然ね。千九百円として二百人にかければ三十八万円ですか、要するにたくさん扱うから一人当たりにするとそれほど感じないけれども、それから宿泊料金の中に含まれているから何か負担したようには思っていないけれども、現実にはこういう手数料が込みになった旅行経費が計上されている。しかも、旅行業者はこれで団体一つ二百人のものを扱った場合でもかなり入っている、三十八万円ですか。これで、ぼくは普通だと思うんですよ。普通だと言うのは、これを一三%にこの修学旅行の場合においても上げなければならないとは思えないんですな。
 一般の会社の場合はもっとほかの名目でとれますから。しかし会社は経費で落としたり、いろいろしますからね、これはちょっと話は別にしておきますが、どうでしょうか、部長ね、この修学旅行一つ扱った場合の代理店の収入というのはちょっと経営が苦しいぐらいの程度でしょうか。これを、一〇%を一三%にして宿泊費から取るリベートを三%上げなきゃならないような数字と思われますか。
#283
○政府委員(高野晟君) いまお話がございましたように、宿泊費につきましては一〇%ということを一応計算してございますが、お話ございましたように、これを一三%に上げなきゃならぬかどうかということは、非常にむずかしい問題でございますけれども、私どもとしましてはできるだけ、特に修学旅行のような場合には実質的なものといいますか、できるだけ低いような手数料でという考え方をもってある程度指導してございますし、それから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、学生からの手数料等は大方のケースの場合に取ってないというのが多いようでございます。したがいまして私どもも、これは全部じゃございません、幾つかの会社等に尋ねてみましたけれども、宿泊の面で特に修学旅行の場合には一三%まで上げているというふうにはちょっと聞いてもございません。ございませんけれども、まあ全然一三%でありませんということも申し上げかねますけれども、私ども見ましたところ、それほど特に修学旅行につきましては、これを上げていこう、あるいは上げなきゃやっていけないというふうなことは旅行業者の方から聞いてございませんので、また他の方面からにつきましても、手数料等の問題で特に修学旅行についてどうこうというような点も現在までのところそう私ども聞いておりませんので、かなり旅行業者といたしましても、修学旅行についてはいわば勉強をして差し上げているんではなかろうかというふうに考えておりますが、今後ともそういう面においては文部省その他の関係機関もございますけれども、指導をできるだけ強くしていきたいというふうには考えております。
#284
○野末陳平君 まあそれは物の言い方で、勉強しているというのじゃなくて、数が多いし、いいお客だからそのぐらいのサービスは、当然ほかの会社の団体旅行とは差をつけてサービスするのはあたりまえだと思うのですよ。
 そこで大臣、ちょっとここまでで一つお願いしておきたいのですが、要するに旅館から取る手数料が三%上がっただけのことなんですよ。それ自体を金額にすればわずか。しかし、修学旅行の場合は、まあどうですかね、これ、いままでの据え置きでやらしておくのがあたりまえじゃないかと思うのです。で、修学旅行の場合も一般旅行者の場合もみんな手数料上げているのですがね、現実に。しかし、上げてないところもあるようです。しかし、それは裏の事情があるからで、要するにほかのいわゆるおみやげ物屋の、つまり店の売り上げのリベートとかいろいろあるからね、だからなんですよ。
 で、ぼくは大臣にお願いしたいのは、修学旅行の場合はいままでどおり一〇%ぐらいの手数料を旅館から取るようにしておかないと、やはり旅館の方もサービスの低下を招くといいますか、おかずを一品落とすみたいな、そういうふうになりがちだと思うのです。ですから、修学旅行の場合はどうなんでしょうか、できるだけ一〇%のままで置いておけ、この手数料まで引き上げることはちょっと自粛してほしいというようなことを旅行代理店に言ってもぼくはおかしくないと思うのですが、大臣、いかがですか。
#285
○国務大臣(木村睦男君) 御承知のように、旅行業者は旅行業法によって一つの商売として認められておりまして、その事業の収入は旅行あっせん手数料、これは旅館からも取りますし、交通機関からも取りますし、また旅行者からも取るわけでございます。そこで、これが行き過ぎであってはいけないということで、この法律でもって最高限を届け出にいたしましてチェックをしておるという仕組みになっておるわけでございます。そこで各旅行業者は、その手数料の率につきましては、扱う数が多いとやっぱり薄利多売という原理から考えましても手数料を割り安にしておるというような、それぞれ態様によって違うわけでございます。
 その中で、いま野末委員の言われる修学旅行に対してしからばどういう方法をとっておるかということでございますが、これはやはり学生の旅行でもございますし、ちょうど鉄道が学生に割引を認めておりますように、一つの社会政策的な観点に立って旅行業者の負担において率を軽くするということは好ましいことではありますが、本来からいうとそういう割引手数料を安くするというその差額は、文部省なり何なりが持つのだというのが筋は筋でございます。しかし、やはり旅行業者といえどもそういった社会政策的な運営を多少やらせておるという意味において、また本人たちもそういう意識の上に立って、修学旅行者に対しては他の手数料よりも多少の差をつけて低く取っておるというのが実情であるわけでございます。
 さて、しからば仮に、現在一〇%取っておる、それを今回いろんな諸物価の値上がりあるいは人件費等で、会社の収支のバランスの上で手数料を上げなければいけない、登録の手数料の範囲内において上げるというときに、修学旅行等の場合に絶対上げちゃいかんのか、あるいはやむを得ない最小の幅は上げなければ事業運営上非常に困る、これはいろいろ旅行業者によって違うと思うわけでございます。で、われわれの立場として言えますことは、従来ともそういう修学旅行業者に対して他の旅行者とは多少の差をつけておりますので、この多少の差というものは、やはりつけてやってもらいたいという意向を持って指導はいたしております。
 で、具体的に現在の一〇%を一三%に三%上げることのよしあしはやはりこれは各事業者の台所の状況も見てやりませんと、一律に社会政策的の観点からのみいけないとかいいとかはちょっと言いにくい点があると思います。したがって、そういう点は十分われわれとしても指導上配慮しながら、なるべく修学旅行等についてはどうしても上げなければならない場合でも一〇上げるところを八にしろとか七にした方がよろしいぞとかいうふうな指導は今後ともいたしていきたいと、かように考えております。
#286
○野末陳平君 答えが長い割りに、結局ちょっとどうなっておるのかわかんなくなっちゃったんですがね。要するに、結論は他の会社や何かの団体と修学旅行には差をつけるように指導はするけれども、なかなかそうもいかぬということらしいのですがね。
 それならばお聞きしたいのですよ、要するに宿泊料金も上がっているんですよね。宿泊料金が上がっているからいままでの一〇%のままでも実収入は、手数料額はやっぱり上がっているのですね。それにまた三%という率まで上げて二重のアップには事実なっているわけですよ。だから業者の台所を見てやらなければならないという考え方も、大臣すんなりとそうですかというわけにもいかないのですよ。
 そこで、あえてこれからお聞きするのですがね。一三とか、一五とか、一〇%とかいう数字が適正かどうか、そんなこと言い出したらこれは切りがないと思います。しかし、少なくも一応旅行業法で届け出の義務を課しているわけですから、運輸省としてはどの程度が手数料収入としてはまあ適当であるか、適正であるか、妥当であるかという算出根拠とか、業者の台所とか、その辺のことは十分御存じの上でいままでお答えになっていたと思うんですね。私は修学旅行を例にとっても結構もうかっていると、強いて手数料率を上げる必要はないと、こういうふうに考えているからそちらのお答えをお聞きしたいのですが、どうなんですか。どういう根拠で上限何%までは旅行代理店というのは受け入れ機関から取っていいんだと、あるいはそれ以上のこのパーセントになったらこれは不当でこれは絶対にやらせないのだというような確固たる数字に対しての原則論みたいなものをお持ちの上で算出根拠がきっちりあっておやりになっているんでしょうね。それをお答えください。
#287
○国務大臣(木村睦男君) 旅行業というものは、これはいま野末委員がおっしゃるような観点から一つ一つの事業者を見るとなかなかむずかしい点があるわけでございます。交通運賃も同じことでございますけれども、それぞれの事業が一体どの程度の事業でやっておるか。つまり一つの企業でございますから、企業として健全な発展を図るということが一方において一つの基準になるわけでございます。そうすると、いまの旅行業者が一体どの程度の配当をし、どの程度の利益を上げておるかというふうなことを考えるわけですね。そうしますというと、交通事業のみならず一般に運輸事業は、大体利益を上げるにしても、その時代時代のあれによりますが、一割程度の利益が出る程度で諸料金というものをみてやることがそれぞれ事業の永続性が担保できる、健全な発展ができるというふうなことがおおむね一つの基準になっておるわけです。そういう物差しから事業をみまして、そうしてたとえばあっせん手数料の一五%というものを届け出をいたしております。で、現実にはそれが最高限ですから一〇%取っておる、そうすると、それを今回一三%なら一三%に上げましたということを届け出るわけでございますが、果たして一〇%を一三%に上げたその時点においてどの程度の利益が出ておるのか、また上げなければならない、つまり必要の経費がどのくらいふえておるからこれだけ上げなければいかぬのかというふうなことを見ながら、その一三%なら一三%にした率がまあまあおおむね妥当であろうという程度で見ておるわけでございますが、それがある旅行業者が二割も三割も今期は配当をした、にもかかわらず手数料もどんどん上げておるということになりますというとこれはけしからぬことでありまして、十分注意をするというふうな観点から見ながら、反面私はいまその事業者のことばかり言いましたけれども、やはりこれは旅行する、負担する側も適切な手数料を払いながら旅行をするということをやっぱり担保してやらなければいけない。両方を考えてみるわけではあるわけであります。
#288
○野末陳平君 一割程度とおっしゃったように、やはり一〇%ぐらいが普通だと思うのですがね。しかし大臣も意外と業者の肩をお持ちになったようで、どうもこれ以上言ってもだめだと思いますが、私が指摘したいのは、こういう率を上げるということのほかに、同時に旅行代理店はお客を送り込むのだという強い立場で旅館側から契約料も更新のときにアップさせているし、それから看板料と称する、表にこう張ってあるあの看板料の権利なんかもアップさせているし、いろいろな点で結構取っているわけですよ。で、そういう金額が一三%に上げたって全部ひっくるめて旅館側はやはりどこかで消化していくわけですから、ですから、その結果としてお客の方にしわ寄せがいく部分もあると、サービスの低下と言いますか、旅行者の不利益になると言いますか、いずれにしてもしわ寄せは結局は客にきているわけですから、そんなことで業者の余り肩を持つようなお答えはちょっとこう認められないということなんです。ですから、そちらでもどうも実態をよく御存じないらしかったので、私の方でいろいろお願いしてからお調べになったようなこともあります。それから直接運輸省がタッチできない契約料とか看板料とか、それからおみやげ物の売り上げの問題とか、そういうものを全部ひっくるめて非常に微妙なところもあるのですが、やはり旅行者の利益というか、便宜を図ることも重大な大事なことだと思います。ですから、手数料の問題を今後どうなるかしりませんけれども、やはりもう少し検討してほしいのですがね。そして下げられないでしょうけれども、これからは少なくも率を上げないということを徹底してほしいと思いますがね。それだけお願いしておきます、時間過ぎましたから。
#289
○委員長(前川旦君) 他に御発言がなければ本日の質疑は一応この程度にとどめます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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