くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第075回国会 決算委員会 第13号
昭和五十年六月六日(金曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     田代富士男君     矢原 秀男君
     近藤 忠孝君     加藤  進君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     木内 四郎君     井上 吉夫君
     寺下 岩蔵君     最上  進君
     石本  茂君     高橋 邦雄君
     松岡 克由君     中村 太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         前川  旦君
    理 事
                今泉 正二君
                遠藤  要君
                園田 清充君
                小谷  守君
                峯山 昭範君
                橋本  敦君
    委 員
                青井 政美君
                井上 吉夫君
                岩男 頴一君
                河本嘉久蔵君
                木内 四郎君
                鈴木 省吾君
                世耕 政隆君
                高橋 邦雄君
                中村 太郎君
                永野 嚴雄君
                温水 三郎君
                最上  進君
                望月 邦夫君
                案納  勝君
                久保  亘君
                小山 一平君
                佐々木静子君
                瀬谷 英行君
                矢田部 理君
                二宮 文造君
                矢原 秀男君
                加藤  進君
                田渕 哲也君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   三木 武夫君
       大 蔵 大 臣  大平 正芳君
       文 部 大 臣  永井 道雄君
       農 林 大 臣  安倍晋太郎君
       通商産業大臣   河本 敏夫君
       郵 政 大 臣  村上  勇君
       労 働 大 臣  長谷川 峻君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 井出一太郎君
   政府委員
       人事院事務総局
       管理局長     長橋  進君
       内閣総理大臣官
       房会計課長兼内
       閣参事官     升本 達夫君
       警察庁長官官房
       会計課長     金沢 昭雄君
       皇室経済主管   石川 一郎君
       行政管理庁長官
       官房会計課長   關  言行君
       行政管理庁行政
       管理局長     小田村四郎君
       行政管理庁行政
       監察局長     大田 宗利君
       北海道開発庁予
       算課長      高瀬 昌明君
       防衛庁経理局長  亘理  彰君
       経済企画庁長官
       官房会計課長   白井 和徳君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   石田  徳君
       沖繩開発庁総務
       局長       山田  滋君
       法務大臣官房会
       計課長      近松 昌三君
       外務大臣官房会
       計課長      梁井 新一君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    中村 輝彦君
       外務省経済局長  宮崎 弘道君
       大蔵大臣官房会
       計課長      野崎 元治君
       大蔵省主計局次
       長        田中  敬君
       大蔵省理財局長  吉瀬 維哉君
       大蔵省理財局次
       長        金光 邦夫君
       国税庁次長    磯辺 律男君
       国税庁直税部長  横井 正美君
       国税庁調査査察
       部長       渡邊 喜一君
       文部大臣官房会
       計課長      宮地 貫一君
       厚生大臣官房会
       計課長      松田  正君
       農林政務次官   江藤 隆美君
       農林大臣官房経
       理課長      降旗 正安君
       通商産業政務次
       官        嶋崎  均君
       通商産業大臣官
       房会計課長    川原 能雄君
       通商産業省通商
       政策局長     橋本 利一君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        井上  力君
       運輸大臣官房会
       計課長      松井 和治君
       郵政省経理局長  廣瀬  弘君
       労働大臣官房会
       計課長      橋爪  達君
       建設大臣官房会
       計課長      丸山 良仁君
       建設省計画局長  大塩洋一郎君
       建設省河川局長  増岡 康治君
        ―――――
       会計検査院長   白石 正雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤 忠雄君
   説明員
       外務省国際連合
       局外務参事官   大塚博比古君
       会計検査院事務
       総局次長     鎌田 英夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和四
 十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十七年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十七
 年度政府関係機関決算書(第七十二回国会内閣
 提出)
○昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第七十二回国会内閣提出)
○昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第七十二回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(前川旦君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨五日、田代富士男君及び近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として矢原秀男君及び加藤進君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(前川旦君) 次に、田中角榮氏の資産問題等につきましては、理事会で協議の結果、保留となりましたことを御報告いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(前川旦君) 次に、昭和四十七年度決算外二件を議題といたします。
 本日は締めくくり総括質疑を行います。
 まず、内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 総理に対する質疑時間等につきましては、昨日の理事会におきまして協議し、各質疑者に御通知申し上げたとおりであります。大変窮屈な時間でございますが、質疑をされる方並びに答弁をされる総理の御協力をお願いいたします。
 それでは、これより質疑に入ります。小谷君。
#5
○小谷守君 昭和四十七年度の決算を審査した一応の締めくくりとして、三木総理に若干の御質問を申し上げたいと思います。
 その第一は、いわゆる田中金脈問題についてであります。この問題につきましては、本委員会におきましても、昨年の十月以来真正面からこれに取り組み、国民の疑惑の焦点となった本問題の解明のために、委員長以下三十名の委員が全力を挙げてまいりました。そして本委員会の集中審議のさなかに、突如として田中総理は退陣を表明されたのであります。そして三木総理、あなたが登場されることに相なったのでありますが、田中金脈問題がクローズアップされるや、当時閣外におられましたあなたは、あたかもわれわれを鼓舞激励するかのごとく連日のように本問題の国会における徹底的究明を提唱されました。
 私はここに当時の新聞の切り抜きを持ってきておりますが、いわゆる当時の三木語録とも称すべきものであります。ですから、あなたが総理に御就任になったことによりまして、この国民の疑惑を解消するために、障害となっている幾つかのネックは必ずや打開できるのではなかろうか、多くの国民はそのような期待を抱いたと思います。ところが、総理御就任後のあなたの御様子はだんだんと後退し、果ては国税庁の官僚の守秘義務のからに閉じ込もることを許し、何ら積極的な御努力はなかったのであります。あなたのお好きなお言葉であります「信なくんば立たず」、この先人の教えは私どもも大好きでありますが、一体どこに信がありましょうか。まさに君子豹変と申し上げるほかはございません。この点について、まず、総理の御心境のほどを伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(三木武夫君) 小谷さんから私の発言、小谷さんを鼓舞激励をしたようなことはないわけでございますが、また豹変もいたしておるわけではないわけです。私は正直に言って、田中総理がああいう形で辞任されるとは思いませんでした。当然に国会に臨まれるものだと考えておったわけでございます。そうなってくると、総理大臣がいろんな疑問を国民から持たれておることに対して、当然に国会ではいろいろなこれに対して疑惑の解明に、国政の審議に当たる国会としては当然になされるであろうし、これに対して田中総理からいろいろと釈明もあるものだと私は考えておったわけでございます。あのような形で辞任されるとは思いませんでした。したがって、当然に一国の総理大臣がいろいろ国民から疑惑を受けられたことは、国会もこれは十分な徹底的な審議をするだろうし、本人も解明されなければならぬ、こういう立場で私はそういうことを申したのでございます。鼓舞激励でもなければ、またその後その考え方が豹変したわけでもないということでございます。
#7
○小谷守君 田中さんが総理を辞職されたので考えが変わったと、こういうお答えのようでございますが、確かに首相の冠を脱がれたことは、いわば大きな自己制裁でありますから、状況の変化があったことは私どももわかります。しかし、それによってこの重大な国民の疑惑を軽減することにはなりません。そう思いますが、いかがですか。
#8
○国務大臣(三木武夫君) 私はそれによって豹変したわけではないわけですが、したがって、そういう後においては、国会は国会としていろいろ御審議をなさることは当然でございます。しかし、政府としては関係法規のもっておる権限に従って、この問題に対して、たとえば、国税庁も見直しをしてそうしてこの問題を調査を行ったわけでございまして、そういう場合に私に与えられておる権限は、やはり関係法規に照らして、これに対して調査を行うということでございます。
 また、田中さん自身も自分の疑惑は、国民の理解を求めるためにこの問題について自分の所信を明らかにしたいということを、そういう意味のことを発言されておりますから、そういう場面もあるものだと考えておるわけでございます。
#9
○小谷守君 田中金脈問題は、四十七年度決算の中で残念ながら決着をみることができませんでした。
 その理由の第一は、政府特に税務当局の守秘義務、第二は、田中氏自身がみずから解明すると国民に約束しながらそれが実行されないこと、また参考人の出席についても、合意がありながらこれが阻まれておること、第三には、本委員会で指摘した資産形成にまつわる問題の調査が政府の怠慢によって徹底しないこと、以上が原因であると思います。
 われわれは引き続き、四十八年度決算審査の中で究明を続けたいと存じますが、まず国政調査権と守秘義務との関係につきましては再三にわたり大蔵大臣に対し、あるいはまた予算委員会等におきましては三木総理に対し問題を投げかけ、昨年末の予算委員会では政府の統一見解をいただいたのでありますから、私はその法律論をいまここで再び繰り返そうとは思いません。その統一見解には実にりっぱなことが書いてあります。すなわちその第三項には、行政府は国会の国政調査権を尊重し、可能な最大限の協力をすべきものとうたわれておるのであります。今回の金脈問題について政府は一体どれだけの協力をされたのでありましょうか。いまにして思えば、最大限の協力とは一時をしのぐまやかしのお言葉であったと申し上げても言い過ぎではないと思うのでありますが、総理の御所見を伺いたいと思います。
#10
○国務大臣(三木武夫君) 私は一時のまやかしにこういうことを言ったわけではないんです。関係の各省庁に向かって私の、私自身も答弁をいたしましたし、政府も統一見解を出したわけですから、最大限度に国政の国会における御審議に対しては協力するということを申し伝えてあるわけでございまして、この調査に対して最大限の協力をしたものだと私は信じております。
#11
○小谷守君 まず第一に、昨年十二月二十一日の予算委員会で、総理は、この問題は田中さん御自身の問題である、田中さん御自身にかかわる問題であるから田中さん自身がこれを釈明する、解明すると言われておるのであるからそれを待ってほしい、こういうふうに言われました。念のためにそのときの総理の御発言を速記録の中から拾いますというと、「本人はいま、非常に長年月にわたっておるから、それを詳細に調査をして、国民の疑惑にこたえて、国民の理解を求めたいということで、いま非常に調査を進められているようで、どういう形で発表されますか、それは当然に公表されることになると考えております。」、このようにお答えになっております。総理がお答えになっておるんです。にもかかわらず、もう半年余の時間がたちましたけれども、一向に田中さんはそのような姿勢は見えません。私は、いやしくも国会で総理としてこの御発言をなさいました以上、その後何回か田中さんにもお会いになっておることと思いますが、総理自身がこのことを田中さんに対して慫慂し、このことがぜひ必要であるということで要請をされた事実がございましょうか。その御努力を総理みずからされたことがございましょうか。
#12
○国務大臣(三木武夫君) 田中さん自身と私は会ったという場合は、まあ佐藤さんの何か死去された場に一回お目にかかったと、こうすれ違ったばかりでございますが、しかし、いやしくも政治家が国民の前にそういうことを約束されたものですから、田中さん自身はこれを自分の立場を国民の理解を求めるために約束されたことは実行されるものだということを私は信じております。しかし、いろんな長い間の期間でございましょうから、いろいろとこう調査などに時間がかかっておるんだと思いますけれども、これは実行されなければならぬし、されるものだと私は信じております。政府としては、政治家の場合はそういう、みずからがそういう立場を国民の理解を求めるためのそういうような御自身の口で語られることが一番大事な面があると、政府としては関係法規に照らして、田中さんといえどもこれは何も関係法律の上で特権を持っておるわけではないんでありますから、そういうものに対しては法規に照らしてこの調査をいままでやってきたということでございます。そういうことで、私は特に前総理であったからというて法律の前に特別な扱いはいたしておらぬつもりでございます。
#13
○小谷守君 田中さんはやがて解明をされるであろうというお答えでありますが、半年前にもあなたはそういう御答弁をされた。国会で御答弁を、あなた総理として御答弁をされた以上、田中さんにじきじきそれをお勧めになる、要請される私は政治的な責任が総理にあると、このように思うんです。総理とか国会議員とかいう立場を超えても、あなたは友人として、あるいはあなたの率いられる自民党の党員であります田中さんに対して、こうすべきであるということを要請し、慫慂される私は政治的道義的責任が総理にあると、このように思うのでありますが、それを今日までお果たしになっていない。私はこれは国民は納得しないと思いますよ。いかがでございますか。
#14
○国務大臣(三木武夫君) これは関係の法規に照らして調査するものはするわけでして、いまの点は田中さん自身が国民に約束をされたものですから、本人自身としても早く実行したいと思っておるに違いないと思いますが、これ私の立場でどうするこうするということをここでは申し上げられませんが、私も、できるだけ早くそういう約束が果たされて、そうして国民の理解というものが深まることを期待をいたすつもりでございますから、そういう趣旨に沿うて私どもも対処してまいりたいと考えております。私がこれからどうするということを申し上げることは申し上げませんけれども、そういう考えで対処してまいりたいと思います。
#15
○小谷守君 これは法規がどうとかいうそういうお役所的なことを伺っておるのではありません。田中さんが、御自身がその意向を昨年秋表明され、それをあなたが国会で裏打ちをしておられるわけであります。でありますから、当然これは田中さんに対してそういうお勧めがあり、要請があってしかるべきものだ。それをあなたがされてもなお田中さんがやられないということであれば、これはもうあなたの責任ではありません。しかし一度もそういう手だてを尽くしていらっしゃらぬというところに私ども不満を感じます。もう一度、お言葉を濁されずに明快にひとつお答えを願いたいと思うんです。
#16
○国務大臣(三木武夫君) 私自身が考えてみましても、国民の前でそういうことを言ったわけですから、早くやりたいに違いないと思うんです。私が勧めるようなことをしなくても早く、そういう約束をしたわけで、国民は忘れているわけではないわけですから、したがって……(「半年もそのままになっているじゃないか。」と呼ぶ者あり。)しかし、やはりいろいろと長い期間にわたってのことでありますから、これは法律というよりも、やはり、法律ばかりでもないでしょうから、いろいろな国民の理解を深めるためには、もっと国税庁の調査とかそういうもではなしに、政治家としての信用の問題にも関係するわけですから、いろいろと長い期間調べをするについて時間がかかっておると思います。これは一遍やっぱり前総理というような立場の人が国民の前に言ったことが、これがうやむやになることは私はないと、本人自身としてもこれは早く解明をして国民の理解を求めたいと思っておるに違いないと思いますから、私がここで早くやりなさいとか何とか言う必要もないぐらいだと思いますよ。だれでもそうじゃありませんか、政治家として。国民の前に言っておいてそれを実行しないと、国民は忘れはしないですからね、だから本人としても早く解明したいと思っておるに違いないと、他人から強要するようなことも私は必要はないと、本人が、一番やっぱり早く解明したいと思っておるのは田中さん自身だろうと私は信じております。やっぱり政治家はそれだけの責任を持たなければ、自分が言ったんですから、ならぬと私は信じております。
#17
○小谷守君 これはぜひひとつ、総理に対してどうしなさいなんという失礼な指図がましいことを申し上げる所存はございません。総理が田中前総理の表明を重ねてここで裏打ちをされたわけでありますから、あなたの御発言のとおりこの問題は急いでいただきたいと思います。
 次に、総理御存じのように、国税庁はおくればせながら、田中氏の過去の税金問題について、国税庁の言葉をかりますというと見直しの追徴をやったようであります。その結果は抽象的にこのように表明をしております。所得申告に際しての非違は認められず単なる計算ミスや税法上の解釈の相違による単純ミスだけが見直し調査によって発見された。結局において関係者、関係企業も含めて修正申告された、というのであります。われわれとしては、私どものこの決算委員会での審査の過程からしても、脱税の容疑は濃いのであります。少なくとも、所得税でありますならば所得税法二百三十八条の事案として罰則の適用があってしかるべきものであると考えておりますのに、善意の納税者並みの扱いになったことはどうしても納得がいかない。また修正申告の金額も、税の追徴額すら国会に答えないのであります。守秘義務と称してかたくなに答えないのであります。この姿に対して総理はどうお考えでありますか。
#18
○国務大臣(三木武夫君) 国税庁は、自分の職務の執行については、特にだれだからという区別をするようなことなくして厳正に行っておるものと私は信じております。その内容については国税庁からお答えをいたします。
#19
○政府委員(磯辺律男君) 御承知のように、国税庁といたしましては、東京国税局並びに関東信越国税局の有能な職員を多数動員いたしまして綿密な調査をしたつもりであります。ただいま先生の御指摘の所得税法第二百三十八条によって罰則を適用しない、単にこれを更正もしくは修正申告で済ませたということは不都合ではないかという御指摘でございますけれども、私たちの調査といたしましては、この所得税法第二百三十八条を適用いたしますには、構成要件といたしまして、偽りその他不正な行為によって所得税を免れた、ということになっておるわけであります。しかしながら、同時に、その罰条を適用いたします場合には、これを検察庁に告発いたしまして、それによって刑事訴追を求めるという手続になるわけでありますけれども、ただ、それに際しましては、国税庁の方の調査によりまして、当該本人の犯意の立証あるいはこれを証明するための物証、そういったものが必要であります。私どもといたしましては、今回の調査に際しましてあらゆる角度からそういった点につきましても調査をいたしたわけでありますけれども、ただ、そこには、所得税法二百三十八条を適用する事案には該当しないという結論に達しましたので、これはこの条文を適用せず、したがいまして、修正申告の慫慂もしくは更正の処分ということでこの課税問題を処理したわけでございます。
    ―――――――――――――
#20
○委員長(前川旦君) 委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、木内四郎君、石本茂君及び寺下岩蔵君が委員を辞任され、その補欠として井上吉夫君、高橋邦雄君及び最上進君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#21
○小谷守君 国税庁の御答弁は何回もここでいただいておりますから、もう次長、あなたの御答弁はよろしいですよ。総理にお伺いをしたいんです。
 まず、総理はかつてこういうことを言われました。徴税職員には守秘義務がある、これを持たせぬというといろいろな秘密が漏洩するというと、そのために納税者が大変な迷惑を受ける、国政調査権と守秘義務とは公益権衡の上で決めるんだと、こういうお言葉でございましたが、今日、田中さんのいわゆる見直し課税というもの、その姿をごらんになって、公益権衡という総理のお立場から、その権衡はどうであったというふうに御解釈になっておりましょうか。すなわち、前総理田中さんの税金問題については、守秘義務ということで守られて、そうしてどれだけ追徴金を取られたのか、その税額も国民の前に示されない。全くやみからやみであります。そういうことを全国八百万の納税者はどう見るであろうか。その公益との比較権衡をどのように総理は今日御判断になりましょうか。総理も新聞で御承知になったと思いますが、大阪のある歯医者さんは、税務署から脱税の容疑を新聞に発表されたのを見て、これを苦にして自殺をしたと。前総理であれば守秘義務という手厚い過保護をこうむって一切国民には知らせない、これで突っぱねる、こういうことで果たして八百万の納税者は納得いたしますでしょうか。総理の御見解を、あなたがかつて述べられた公益権衡論という立場からはっきりとお示しを願いたいと思うのであります。
#22
○国務大臣(三木武夫君) 大蔵大臣もここに答弁をした要旨を私は見ておりますが、また国税庁に対しての見直しの調査の結果の御報告の点もここに概略を承知しておりますが、私は国税庁が特に前総理であるからといって人間によって区別しないで厳正に職務を執行してきている。また、そういうことにいたしますならば、これはもう全国の納税者に対して非常な悪い影響を与える。前総理といえども、だれであるからといって、それに対して手心を加えるようなことがあってはいけない、そういうことは考えないで厳正な処理をしたものであるということで、大蔵大臣の発言、国税庁の処置というものを私は信じておるものでございます。
#23
○小谷守君 私は公益権衡という立場からお尋ねをしておるのであります。あなたの公益権衡論という物差しでどう御判断になるかということをお伺いしておるのであります。あなたの御答弁は税務署職員を信頼しておる、間違いがない、こういう一点張りでありますけれども、これは三木総理、大衆政治家として長いキャリアをお持ちになるあなたが官僚の答弁みたいなことをおっしゃっては困ると思うのです。もっと国民のうなずく答弁をしてくださいよ。
#24
○国務大臣(三木武夫君) 税務関係というものは、国税庁というものがいま申したような厳正な態度でやっておることに対していささかの疑いも私は持っておりません。
 さらに、三木内閣の閣僚である大蔵大臣などもこれを十分に監督をしておるわけでございますから、その大蔵大臣の発言、報告等も照らし合わせてこの処置が特に田中前総理という特定の人間に対して税法上の解釈を曲げたとは私は信じていないわけでございます。したがって、公益との比較考量という点についても十分な厳正な判断が下されたものと信じております。
#25
○小谷守君 総理どうです、これあなたがそういうふうに固いお気持ちであるならば、総理府がいろんなアンケートを集めていますが、この問題で国民はどう思うか、権衡を失してないという答えが出るかどうか、あなたが一人考えで、まるでもう信じておるから間違いないと同じことを繰り返されても、国民がどう考えておるかということを率直にひとつ御反省を願わなければならないと思うのであります。これはしかし、押し問答をしておりましてもすれ違いのようでありますから、なお引き続いてこの問題は私どもは究明を続けますよ。
 次に資産形成問題でありますが、これはたくさんの問題をここで繰り返してあげつらおうとは思いません。一番悪質な信濃川の河川敷、長岡市の信濃川の河川敷。三木総理、これはあなたともくしき因縁があります。たまたま私ども野党の調査団が、吹雪の中を、昨年十二月三日だと思うんです、この現地を調査にいっておる日はあなたが自民党の総裁として自民党の両院議員総会で選ばれた日と同じ時間なんです、これは。われわれ決算委員会とあなたの登場とは大変な因縁があると思う。多少は感識してもらってもいいと思っているんですよ。
 そこで、この信濃川の河川敷でありますが、これはもう膨大なものです。総面積七十三ヘクタール、広大な河川敷地、民有地、国有地、これをどんどん手先の幽霊会社に買い占めをさして、そこに片一方ではどんどん公共投資をして道路をつくり、橋をつくり、最後には川の真ん中にありましたかすみ堤を本堤に直して、そうしてこれを廃川敷にして、坪三百円や五百円で買った土地がいまの時価では二十万円になろうとしておるんです。ただ、これは犯罪に例えますならば、もう一歩で既遂というところ、まだ未遂の段階です。この廃川処分をしたときから思惑どおりのことになるわけであります。その一歩前であります。このことはかつて予算委員会でも総理に申し上げた点であります。そのとき総理はこのように御答弁になっておる。私は事情がよくわからない、事情をよく調査して、これは国民の疑惑の集まっておる重大な問題であるから慎重に対処したい、このようにお答えになっております。
 そこで伺いたいのは、あれから半年の月日がたちました。総理は御調査になって、今日これをどうしようとされるのでありますか、それをお伺いしたいと思うんであります。
#26
○国務大臣(三木武夫君) 堤防が完成をしまして、河川区域として存置する必要のない土地は廃川の処分を行うというのは河川法上の当然のこととされておりますが、現在この信濃川の問題は、これだけいろいろ問題になっておりますので、この廃川処分については慎重にいたさなければならぬということを建設省に指示しておるわけでございますから、この問題の処置というものに対しては、普通のいま申したような原則ばかりでなしに、こういう国民のいろんな疑問を持たれておる地域でありますから、これは慎重に対処いたしていく所存でございます。
#27
○小谷守君 半年前と同じことじゃないですか。慎重に御調査になりました結論をもう半年たちましたからお伺いしたいと、こういうふうに申し上げておるんです。
#28
○国務大臣(三木武夫君) 私もこの問題については関心を持っておるわけでございますが、調査の過程については建設省からお答えする方が適当と思いますので、建設省からお答えをいたします。
#29
○政府委員(増岡康治君) ただいま総理がおっしゃいましたとおりでございまして、ただいま建設省におきましてはこの廃川処分ということの調査は進めております。これはやはり当然の河川法上の手続でございまして、旧地主へお返しする。これは御承知のように堤防ができましてもう数年に近くなってきておりますので、堤防も安全でございますので、もとの所有者に返すというための調査を現在進めて、まだ終わっておりません。七月の半ばぐらいまでこの調査はかかります。そういう段階でございます。
 以上でございます。
#30
○小谷守君 総理は、昨年十二月二十一日の予算委員会で御答弁になりましてからもう半年たっておるんです。慎重に調査をして、そしてこれは国民の疑惑を受けぬように、慎重に措置をすると、こういう御懇篤な御答弁でありました。総理は御多忙でありましょうけれども、こういう問題については、総理の責任において決断をされなきゃならぬ重大なことだと思うんです。
 そこで、この問題は非常に重要でありますが、まあ不幸中の幸いと申しましようか、まだ廃川処分をしておらぬと、今後の行政措置に間違いのないように、総理の的確な御判断を求めたいと思うんです。
 それは国有地として利用するか、土地の住民に――農民をだまして買い上げた土地ですから、これは返させる、あるいは公用、公共用地として活用するか、いずれにせよ、一個人、一企業の不当利得に終わるようなことがないように措置をしてもらわなくてはならぬと思います。これができないようでは、クリーン三木内閣の名はすたりますよ、いかがでございますか。
#31
○国務大臣(三木武夫君) これだけ国会でもしばしば問題になった問題でございますから、この処置は私も建設省から十分な調査を聞きまして、国民の納得のいくような、慎重な処置をいたします。
#32
○小谷守君 また、この問題につきましては、行政管理庁が調査をするということであります。その調査の次第も十分参酌をされて、これに対する判断を誤らぬように、総理に強く要望しておきたいと思います。
 金脈につきましてはまだまだ解明をされない点が多いわけでありますけれども、次の問題に進みたいと思います。
 それは海外経済協力についてであります。四十七年度の決算を審査しまして、たくさんのむだ遣いが目につくわけでありますけれども、およそむだ遣いの最たるものは、この最近の海外経済協力にあるのではなかろうかと思われますので、特にこの点をお伺いをいたします。
 わが国の海外経済協力は、四十六年前半から急激にたまり始めた外貨準備、黒字定着国となってから、その事実を背景として、いわばだぶついたドル、余裕外貨の利用ということで事を処理しようとする動きが大きくなってきました。一種の成り金外交です。札束外交であります。これについては、特に東南アジア諸国からいろいろとひんしゅくを買っておることは御承知のとおりであります。
 そこで、時間がありませんから、単刀直入に伺うのでありますが、インドシナ半島あるいは朝鮮半島に見られる、いわゆる分裂国家と言われる国々に対して、政府はその南側に対してだけ手厚い協力を行ってまいりました。御承知のように最近のカンボジア、ベトナム、この相次ぐ政変、これによってこの経済協力は大変なことになっておるのではありませんか。経済協力の名のもとに、政府援助、直接借款、直接投資など、いままで南側に対して行われた経済協力について、この対外債権というものはどう処理されるのであろうか。すべてこれはどぶに捨てたようなことになったのではありませんか。国民の税金ですよ、また財投資金です、大変なむだ遣いであります。これをどのように反省していらっしゃるのか。さらに、将来どのように転換をされるお考えでありますか、お伺いをしたいと思います。
#33
○国務大臣(三木武夫君) 第二次世界大戦後、分裂国家という、いままでに見られなかった、ある意味において複雑な国際関係が生まれてきたわけですが、分裂国家であるがゆえに経済協力をしないということは、そういう考え方にはわれわれは立たないわけでございます。しかし、外交関係があるなしということは、非常に、協力の場合に、経済協力、技術協力をする場合に、どうしてもその差がつくことはやむを得ないと、ただ、しかし、人道的な面においては、カンボジアあるいは南ベトナムのその地域に対しても、臨時革命政府、あるいはまたカンボジアにおける民族の連合王国政府、こういうものが生まれる前から人道的な体質での援助は国際赤十字を通じて行ったわけでありますが、しかし、経済協力とか技術協力というものは、承認国と未承認国との間には差がつくことはやむを得ない面があります。ただ、たとえば北ベトナムなどに対しては外交関係が開かれておりますから、いま無償の経済協力について、それを実施の段階に入っておるわけで、具体的な、どういう形でこれを実施するかという話し合いが始まっておるわけでございます。
 そういう点で、今後の経済協力というものは、小谷さんも御指摘になったように、一つの問題は、われわれ国民の税金を無償供与の場合などは使うわけでありますから、できるだけ国民に喜ばれるような形の援助であるべきである、そういう意味において、今後日本の海外経済協力というものは、やはり一遍こういう機会にいろいろ検討し直してみる必要があると私は思っておるわけであります。だからこれからの援助というものは、真に国民に喜ばれるようなことでその国の経済的な自立を助けていくと、そして国民全体に喜ばれると。まあ援助を日本がした国から、国民の間から反発を受けるというようなことは、これはやはりわれわれとしても非常に不幸なことであるわけでございますから、こういう点でいままでのやり方に対して反省を加えて、その対象国の国民から喜ばれるような形の援助にもっていかなければならぬとは考えております。そういう点は確かに問題が私はあると思っておるわけです。
 この問題については私自身も関係の海外経済協力、技術協力の関係各省庁との間にもいままでも話し合いを何回かいたしましたわけでございますが、こういう点の反省の上に立って将来のくふうはいたすつもりでおりますが、やはり日本はいろいろ国内に問題を持っておるといっても、大きな世界の中の日本として生きておるわけですから、国内がいまこういう状態にあるからといって、ことに東南アジアのような地域的に非常に関係の深い国々にもう何ら援助はできぬというような立場は私はとれないと。ある程度国内のいろいろなものはあっても、まあ一方においてその一部を割いてでも近隣諸国の経済社会開発のために協力するという態度は、これはやっぱり捨てるべきではない。そのやり方については確かにくふうの余地があると私も思っておるわけでございます。こういう点は十分に検討をいたします。
#34
○小谷守君 アメリカのアジア戦略、こういうものに一辺倒で、そうして分裂国家の南側にだけ援助を集中したと、それは危険ですよと、向こうの政治情勢を見ておって大変危険ですよと、大変なむだになりますよということを何回も国会では繰り返し警告があったはずであります。それを無視してこういうことをやられた結果こういう状態です。大変な税金のむだ使いになっておる。さらに殷鑑遠からずです。韓国はどうですか。今日約五千億といわれておる。韓国の政治情勢、申し上げるまでもありません。朴政権に対するてこ入れ、これ以上お続けになるのかどうか。また同じ轍を踏みますよ。
 そこで時間がありませんから単刀直入に最後に一つだけ伺います。外務省筋の話では、七月には日韓経済閣僚の協力会議を再開するというふうなことが報ぜられておりますが、そのようなことをなさるのかどうか。これはやがてベトナムの轍を踏むことになる、やがてカンボジアの轍を踏むことになると思いますが、これはぜひ思いとどまるべきではないかと思いますが、御所見はいかがですか。
#35
○国務大臣(三木武夫君) 韓国は最も日本と近い国でありますし、韓国が健全なやはり発展をして安定した状態にもっていってもらうことを日本は願っておるわけでございます。できるだけの協力をすべきだとは思っておりますが、韓国の場合においても政府間との関係というものは連絡がいいんですけれども、どうも、どうしても民間といいますか、そういう政府間でなくして民間同士の、何というのですか、相互理解というものは政府間のものに比べて非常にやはり不十分であると思います。そういう点でもう少し日韓関係というものはきわめて重要な関係であるわけでありますから、日韓両国の環境といいますか、これをもう少し整える必要がある。そういう点でいまのところ七月に日韓の閣僚会議を開く考えは政府は持っておりません。
#36
○委員長(前川旦君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#37
○委員長(前川旦君) 速記を起こしてください。
#38
○峯山昭範君 まあ決算委員会のきょうは最後の、四十七年度決算の最後の委員会でございます。しかもその割り当てられた時間が非常に短い時間でございますので、きょうは端的にお伺いをいたします。
 先ほどから田中金脈の問題について議論がございました。私たちはこの半年余りの間、この田中金脈と言われる内容につきまして相当議論をしてまいりました。しかしながら、先ほどから議論もございましたように、税務当局の守秘義務の問題やあるいは田中総理自身のいわゆる自分自身が釈明をする、こういう問題にしましても、明らかにすることはできませんでした。さらには、先般から参考人の問題につきましてもずいぶん折衝を重ねてまいりましたが、この問題も明らかにすることはできませんでした。こういうふうないろんな観点から考えてみまして、どうも今回の田中金脈については明らかになったことは非常に少ない。したがって私たちはこの問題については今後引き続き追究を続けていく、こういう決意でおります。
 先ほど総理は、国民の納得のいくような処置をすると、こうおっしゃいましたが、私はこのような答弁は、総理の答弁至るところで聞いておるわけです。実際に具体的にどういうぐあいに措置をするのかということを国民は見ているわけです。したがって、今後この問題については、総理がどのように措置をされていくのかということについても私たちは今後見守ってまいりたい、こういうぐあいに考えております。したがって、この問題については次回に私は譲ることといたしまして、きょうは新たな問題をやりたいと思います。
 去る五月の十一日の日に国連のナミビア理事会の一行が参りました。総理はこの一行に会われたはずでございます。私はわが国のその資源の確保と、それから外交の姿勢、特にこのナミビアの問題が国連におきましてもう長期間にわたって問題になっておりますので、きょうはこの点について質問をしたいと思います。
 特にこのミッションが東京に参りまして、特に同理事会は東京でいろいろな発言をいたしておりますが、その中で同理事会から、無許可で資源を持ち出すのは盗品とみなすというふうな意味の発言をいたしております。この発言の基礎となりますのは、これはナミビアの天然資源に関する布告というのがございますが、この布告がこの発言の基礎になっているであろうと私は思います。そこでわが国はこの国連中心主義の外交を現在も続けておりますし、総理はかねがねからこのことは言っておることでございます。まずいま申しましたこの布告に対して、国連におきましてわが国はどういうふうな態度をとったのか、この点についてお伺いしたい。
#39
○国務大臣(三木武夫君) ナミビアに対するわが国の基本的立場は、一つは、南アがナミビアを統治することは違法であると。一つの原則。
 もう一つは、ナミビア独立までは国連が重要な責任と役割りを果たすべきであると。
 もう一つの原則は、ナミビア問題の解決は、平和裏にかつ実行可能で有効な手段でなければならぬと。――これがナミビアに対するわが国の基本的な考え方でございます。
 したがって、ナミビア理事会の布告、いま御指摘になりました布告なども、これはまあ直接に加盟国を拘束するいわゆる国際法上の拘束力は持たないわけでございますが、その政治的意義というものは、これはやっぱり重要な意義を持っておるので尊重をしなければならぬと、わが国もこの布告の存在及び趣旨を民間企業にできるだけ周知徹底するような処置をとっておる次第でございます。
#40
○峯山昭範君 総理のいまおっしゃった趣旨は、これは一九七一年の国際司法裁判所における見解と全く同じ。私が質問したのは、この資源布告に対して日本はどういう態度をとったんだと、こう聞いているわけです。
#41
○説明員(大塚博比古君) いま御指摘のありました布告は、一九六七年の総会決議二千二百四十八号、これに準拠しているわけでございますが、それによりまして設立されたナミビア理事会が布告したものでありまして、ただこういう種類の布告は類似の先例がございません。で、国連加盟国の中でもいろいろな受け取り方がございますし、各国のこれの布告の実施状況も今後注意していくべきものだと思いますが、さしあたり政府としては、この布告は、安保理決議や総会決議と異なって、直接に国家を拘束したりあるいは一定の行動を勧告するというような性質のものではないと。いま総理がおっしゃいましたように、布告自体の国際法上の拘束力の問題は起きていないと考えております。ただし、ただいま総理がおっしゃいましたように、との布告が国連のナミビア理事会により布告されたというその政治的な意味を十分考慮いたしまして、布告の存在及びその内容を国内に周知するよう十分の措置をとって、今後の事態の推移を見守りたいと思っております。
#42
○峯山昭範君 私の質問に一つも答えてないですね。この布告に対して日本はどういう態度をとったかと端的に聞いているわけです。あなたの言うように、いろいろ講釈を聞いておりますと、きょうは非常に時間がない――日本はこの布告に対して留保して意思表示をしなかったわけであります。そうですね。――そうしますと非常にきょうはあれなもんですから、留保はしたが、総理――総理ですね、この布告に対しましては、日本は留保をしたが、しかしこの精神については、これは当然守っていくということは当然のことであろうと思うんですが、どうですか。
#43
○国務大臣(三木武夫君) 当然のことだと思います。
#44
○峯山昭範君 この布告はそういうわけで日本は保留をいたしましたが、この布告は国連の意思に裏打ちされているわけですね。そして同理事会が日本に参りまして、この東京発言、先ほど少し申しましたが、ああいう資源の問題に対する発言になっている、こういうわけです。
 その内容を端的にまとめてみますと、一つは、個人、団体を問わずナミビア領域のすべての資源は、ナミビア理事会の同意なくしては採掘、販売、輸出など一切できない。
 それから二番目に、いままでに南ア共和国にかかる一切の契約、許可、採掘権及びライセンスなどはすべて無効である。
 三番目に、ナミビア理事会の許可、搬出された一切の資源は、同理事会の利益となるように没収される。
 それから四番目に、違反した場合はナミビア政府独立後の際に、その事件に対する損害賠償をしなければならないというのが、大体この布告の主な内容であろうと私は思います。
 そうしますと、総理ですね、総理はこのミッションとも会われて、また今回いろんな話があったと思うんですが、現在の国連の状況あるいはアフリカ外交のあり方または資源外交のあり方を踏まえて、この布告を総理自身がどういうふうに評価され、そしてわが国の方向づけをしようと考えていらっしゃるのか、これはその点どうです。
#45
○国務大臣(三木武夫君) 布告については、これはいま言ったような拘束力は持たないけれども、政治的な意義というものはこれはもう十分意義は認めざるを得ないわけでございますから、だからいろんな問題が具体的に起こってきたときには、そういう布告の精神などにも徴して、これは慎重な取り扱いをいたしたいと考えておる次第でございます。いまウラン鉱の問題が問題になっておるわけですが、いま輸入したという具体的な事例はないわけでございます。これは将来こういう布告の政治的意義というものは尊重しなければなりませんので、そういう具体的な問題が起こったならば、そういうことも踏まえて慎重な措置をいたしたいと考えておる次第でございます。
#46
○峯山昭範君 総理ですね、まあこの布告は拘束力は持たないとはいいながらも、日本が国連中心主義をとっている以上は、やはりこの布告の内容、中身については十分配慮する必要はあると思うんですが、どうです。
#47
○国務大臣(三木武夫君) 十分その布告の意義というものはやっぱり尊重すべきだと私は思います。
#48
○峯山昭範君 総理のお考え大体わかりました。
 そこで、通産大臣にお伺いしますが、昭和四十五年の十一月に関西電力が南ア共和国の許可のもとに現地法人と契約をいたしまして、八千二百トンのウラン鉱の――いま総理がウラン鉱という話ちょっとおっしゃっておりましたから、まあすでにもう御存じだろうと思うのですが、ウラン鉱の輸入計画をしております。その鉱石は、このナミビアから産出するものである、私もこういうぐあいに聞いております。これがこういうふうな事実があるかどうか。そしてまだ現実に輸入をされてないと総理は先ほど言いました。確かにそのとおりであります。輸入の開始は大体昭和五十二年からというふうに聞いておりますが、そのことも含めまして御報告を願いたい。
#49
○国務大臣(河本敏夫君) そういう事実があるということは私も承知しております。まだ現に入っておるわけじゃございませんで、入る時期も二、三年先であると、こういうふうに理解をいたしておりますが、通産省といたしましてはそれに対してどういう態度をとるか、いまのところはまだ最終的に態度は決定をいたしておりません。
#50
○峯山昭範君 こういうふうな事実はあるんでございますね。
#51
○委員長(前川旦君) 政府委員に申し上げますが、答弁を簡潔に、結論だけおっしゃっていただきたいと存じます。
#52
○政府委員(橋本利一君) 御指摘のとおり、関西電力が七七年以降十年間にわたりまして、八千二百トンの買い付けを予定しておると聞いております。
#53
○峯山昭範君 そうしますと、これは先ほど総理から話がございましたように、少なくとも私たち日本が国連の決議というものを尊重する、これはやっぱり国連中心主義をとっております三木さんの外交の骨格であると思います。そういうような意味で、この関西電力が南ア共和国とナミビア、先ほど総理が一番初めに言いました答弁と考えてみますと、非常にこれは矛盾するわけであります。南ア共和国の政権下での契約であります。したがいまして、この契約は継続させていいのかどうか、ここら辺のところを承りたい。
#54
○国務大臣(河本敏夫君) このナミビア問題は刻刻に流動をしておりますし、先ほども申し上げましたように、まだ入ってくるのが大分先のことでございますから、こういう流動する事態等を見きわめながら善処をしたい、こういうことでまだ結論は出しておりません。
#55
○峯山昭範君 結論は出してないということですけれども、これは要するに契約したのが昭和四十五年でございますね。どうですか、四十五年の十一月と私は聞いておりますが、そうでございますか。
#56
○政府委員(橋本利一君) 御指摘のとおりでございます。
#57
○峯山昭範君 そうしますと、私は、当時は非常にこれは重要な問題として日本がナミビアの独立という問題についても、非常に国連でも賛成をし、あるいは国連でいろんな問題をやっている当時であります。そういうときに現実にこういう問題が起きておるわけです。これは通産大臣は、いまナミビアは流動的である、したがって、実際に現実に資源が入ってくるのは二年先になる、したがって、この問題については見きわめたいということでございますけれども、先日三木さんのところへナミビア理事会の皆さんがお見えになったわけですね。そのときには総理、どういう話があったんですか、具体的にこういう問題については話はなかったですか、あるいは資源問題については話はなかったのか、そして総理はどういう話をされたのか、どうです。
#58
○国務大臣(三木武夫君) 具体的な問題についての話よりかは、やはり一番問題の解決は、ナミビアが早く独立を平和的話し合いによってすることがこういう問題もすべて解決するわけですから、そういう点でできるだけこの問題を平和的に解決を促進してもらいたいということで、先方のいろんな事情も聞いたわけでございまして、日本とすれば、峯山さん御承知のように、ウラン鉱というものは世界に偏在しておるわけですね。だから、将来こうナミビアあるいは南アという南部アフリカのウラン鉱というものには、日本もやっぱり輸入したい希望を持っているわけですね。しかし、このナミビアの問題はいまのようないきさつもありますから、これがどういうふうにナミビアというものの独立問題が片づいていくか、この推移も見なければなりませんが、そういう資源は日本として輸入したい気持ちはあるわけですけれども、いま言ったようなこれはいろいろ問題のある地域でございますから、いよいよこれが具体的にこう輸入という段階になれば、これはやはり政府としてもわが国のナミビアに対する基本的な立場もあり、ナミビア理事会の布告などもこれは政治的な意義を十分に持っておるわけですから、そういうものともにらみ合わして、いよいよその問題が輸入などという具体的な問題になってきたときにはきわめて慎重なやっぱり態度を政府はとりたい、慎重な検討。しかしそういうウランの資源は日本としても将来のことを考えれば、何とかして確保したいという気持ちはあるわけです。しかし一方においてはナミビア理事会の布告などもあって、これは尊重をしたいと思っておるわけですから、そういう点で通産大臣もこういうナミビアの将来というものに対する推移をひとつ見守ってみたいと。しかし、具体的に輸入ということになれば、これはもうわれわれとしてはこの問題は慎重に検討しなければならぬ課題であると、こういうふうに考えておるわけでございます。
#59
○峯山昭範君 これは総理、確かに総理がおっしゃるように資源外交、資源というものは非常に重大であります。特にウランの資源につきましては、日本にとりましては非常に重大な問題であります。しかしながら、現在世界じゅうで相当問題になっておりますこういうふうなナミビアというようなところ、現在こういうふうに問題になっているところの資源をわざわざ私たち日本の業者が、民間レベルですけれども業者が出向いて行って、そして契約を進めるなんということは、これはやっぱり資源アニマルとか何やかや言われる根源になるんじゃないか。そういうふうな意味からも、これは非常に私はこのナミビアの布告に対して、先ほど国内に周知徹底をしているとは言いましたが、現実の問題としてこのわが国の民間企業に対して、この布告の精神について周知徹底を図ったのかどうか、あるいは政府として指導徹底をする必要があると思うんですがね、この点についてはどうです。
#60
○国務大臣(河本敏夫君) 確かに御指摘のように、この布告につきましては指導徹底する必要がございますので、先般私もナミビア理事会の代表に会いましたが、五月三十一日に通産省の公報でナミビアのこの布告についての全文を載せまして注意を喚起したところでございます。
#61
○峯山昭範君 私は、通産大臣、非常にこの反応が遅いんじゃないでしょうか。五月三十一日というとほんのこの間です。関西電力が契約したのは四十五年であります。しかも、この布告が出たのはまだその前です。そういうようになってまいりますと、これは非常にいろんな問題が出てまいります。特にこの布告は先ほど読み上げましたように、この理事会の許可なく搬出した資源に対しては損害賠償をさせるということになっているわけです。これは、拘束力は持たないとはいいながらも、これは後で紛争の種になる可能性がありますね。そういうふうな意味からも、実際問題としてそういうふうな賠償という問題が出てきたら一体どう対処するのか。したがって先ほど総理が言いましたように、現実に輸入するというときになれば慎重に総理は対処すると先ほど言いました。これはやっぱりもう少し具体的に現実に、私はいまここで議論いたしておりますが、これはイギリスの議会におきましてもこの問題は現実に議論をされています。それで、政府当局が明確に答弁をしている事実があります。
 そういうようないろいろな観点から考えてみましても、この関西電力のウラン鉱購入につきましては、その見通しあるいは今後の指導の仕方、これは非常に重大な問題になってくると思いますが、いかがでしょう。
#62
○国務大臣(河本敏夫君) ナミビア問題につきましては、国連の決議とそれからナミビア理事会の布告と二つあるわけでございますが、私どももこの点につきましては十分留意をいたしまして、たとえば民間の設備投資であるとかあるいは政府の経済援助であるとか、つまりナミビアの現状を認めるような事態は、これはあくまで避けなければいかぬと、こういうことで十分注意をしてきております。
 御指摘のウラン鉱の取引につきましては、先ほど総理もお話がございましたように、わが国といたしましては、ウラン鉱を世界各地からいま手配するようにいろいろやっておるわけでございますが、なかなか手に入りにくい。でありますから、実際は、わが国としては円満に入手できるものならば入手をしたいと、こういう気持ちがあるわけでございます。幸いこの輸入が開始されますのには若干の時間がございますから、その間にナミビア問題が円満に解決できるような方向に進むことを私どもは期待をしておるわけでございます。そういう事態を見守りながらこの商談が成立するということであれば大変結構だ、こういうことでナミビア問題の事態を見守りながら、もう少しその結論を出すのを待っている、これがまあ現状でございますが、いずれにいたしましても、法的な拘束力はないとは言いながら、理事会の布告というものはやはり道義的あるいはまた政治的には当然考慮しなければならぬ幾多の問題がございますので、十分慎重に事態の推移を見守りながら善処したい、こういうことでいま静観をしているというのが実情でございます。
#63
○峯山昭範君 通産大臣にもう一点お伺いをしておきたいのですが、これはナミビア問題を見守るとは言いながら、関西電力が現在契約をしている先というのは南アですね。南アの現地法人と契約をしているということです。そうしますと、ナミビアが独立した場合、非常にこれはやはりどう考えても問題が起きる。ここら辺の問題は国連の方針どおり、たとえばナミビアが独立したということになってくると、これは事実上この契約は破棄しなければならないし、また現実に淡い期待ですね、これもだめになってしまう。これはどこから考えてみても非常に問題が私は多いと思います。通産省としては関西電力に対して、実際問題具体的にどう指導されていらっしゃるのか、この点をお伺いしておきたい。
#64
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、まだ若干時間がございますので、その間に事態の好転することを私どもも期待をしておるわけでございまして、もう少し様子を見守ってから結論を出したい、こう思っております。
#65
○峯山昭範君 この具体的な問題はこれ以上進みそうにございませんので、総理に最後に、これは総理、先ほどからこの資源の問題は、私は非常に重要な問題であると思っております。特に資源外交、これから非常に日本の姿勢というのは、これは問題になってくると私は思います。今回のこのような、たとえば現在の国連で非常に問題になっているこういう国との契約なんというものは、非常にこれからの日本の資源に対する姿勢、どんなに紛争が起き、どんなに国連が問題にしておっても、日本はどんどん契約をしていくということになってくると、その姿勢そのものが問われる、こういうようなことになりはしないか、非常に心配されるところであります。
 そこで、最後に総理に、こういうふうなアフリカに対する資源等の契約、非常に苦労が私は多いと思います。したがって、この世界の長期的な展望に立ったいわゆる資源外交というものが今後展開されなければならないと私は思うのです。その点について総理のこれからのこの資源外交、特にアフリカの外交の長期展望というものをこの際明らかにしていただきたい。
#66
○国務大臣(三木武夫君) やはり外交を私はこういうふうに考えるのです。資源外交と、こう言いますけれども、資源の要るときだけその国と、というのじゃなしに、日本は各国との間に常にやはり友好関係を維持しておくということでないと、資源に必要があったときに資源外交だ、外交だと言って、特にその国との間に資源を確保するための交渉では私は弱いと思うのですね。したがって、アフリカはアフリカ、あるいは中東は中東、その地域全体のことについて日本がやはり関心を持って、アフリカならアフリカ全体が日本に対して非常な友好的な雰囲気というものがないと、なかなか資源だけを取り出してと言って、私は余りそのことが長い目で見れば賢明なことではない。アフリカというものを考えてみますと、皆やっぱり新興独立国でありますし、ことに日本の場合はアフリカに対して特別、植民地というような不幸な歴史もありませんし、全体としてアフリカ諸国というものは、日本に対してそんな過去のなにがありませんからね、不幸なことが。非常にやはり皆が関心を持っておると思います。
 私も余りたくさんは回らないのですけれども、三、四カ国、前にアフリカに行って。日本に対して非常な関心、期持、こういうものを持っておるわけでございますから、ああいうどの国もやはり新しい国づくりの意気に燃えているわけで、リーダーは。そういう点でできる限り大きな経済協力というようなことが、すぐにどの国ともやれるだけの能力は持っておりませんけれども、そういう新しい国づくりのリーダーが意気に燃えているそういうときに、よき日本がいろんな意味において、金ばかりでもないと思いますね。そういう、たとえば技術協力の面もあろうし、日本の経験などを通じていろいろと提言をすることもあろうし、そういう親身になってアフリカがこれから――経験も余りないわけですから、独立国としての。そういうことでアフリカ全体というものを、やはり大きく日本はアフリカの将来を考えて、そしてその一環として資源外交というものがあってもいいのですが、資源のある国とだけ日本はちやほやするという外交では私はだめだと思う。アフリカ全体というものはどの国も国づくりということで悩んでいるわけですから、こういうことによきやはり日本は助言者であり、協力者であるという立場をとって、アフリカ全体が日本という国に対して、まあ親身にいろいろ考えてくれる国であるという、そういう信頼感をやはりアフリカに打ち立てることが一番大事である。日は浅いですからね、日本とアフリカとの関係は。そういう点で、木村前外務大臣などはアフリカをずっと回ったということは非常に大きな意義のあることだと私は思っております。できるだけ欧米中心でなくして、ああいういわゆる世界の第三勢力と言われている国国に、もっと日本は関心を持った外交が望まれる。その意味においてアフリカは重視すべきだと思っております。
#67
○峯山昭範君 あともう少しありますので、この問題はこのくらいにしまして、先ほどの田中金脈の中で、最後に総理に一言だけ聞いておきたい。
 これは先ほどから問題になりました田中金脈、ずいぶん追及してまいりまして、先ほどもちょっと話がございましたように、信濃川の河川敷の廃川処分の問題です。これは大臣の自由裁量でできる、こういうようになっているわけです。実際問題、室町産業は政治的な地位を利用して、そして買い占めたこの河川敷です。この河川敷に関する限り、私はこの問題が明らかにならない限り、これは廃川処分にすべきじゃない、こう思うのです。まあいろんな問題がありましょうけれどもそうだと私は思うのです。
 そこで、具体的に私たちは調査をいたしました室町産業が、農民をだまして、そして当時五千五百四十四万円を投じてこの土地を買ったわけですね。ところが現在ではその百五十六倍、八十六億円というような大変なものになっているわけです。これはだれが考えてもやはり不当であると思うのです。本当にこの問題を処理する場合、これは非常に私は重大だと思いますので、この廃川処分にするという問題については、普通なら建設大臣の専決処分でいけるでしょう。しかしながらこの問題については総理も少なくとも協議をしていただきたい、こう思うのですが、どうでしょう。
#68
○国務大臣(三木武夫君) 私もこれだけ国会の問題になりまして、国民も非常にやはり疑問に思っている点ですから、これは建設大臣限りでなしに、私との協議を建設大臣にも指示する考えでございます。
#69
○加藤進君 田中前総理の金脈問題にからまる疑惑は、その規模の大きさから言っても、その醜悪さ、不法な手口から言っても、これは日本の政治史上空前なものであると考えます。そのために、当委員会におきましても長時間にわたるこの問題の審議を行いました。十数件に及ぶ重大な疑惑が追及されたわけであります。
 また、わが党もこの問題を重視いたしまして、昨年の十一月二十五日田中前総理へ公開質問状を提起いたしました。百項目に上る疑惑がここに提起されております。田中総理よ答えて欲しいと要求したわけであります。ところが、それからすでに半年以上を経過した今日、田中総理自身がこの疑惑を解明する何らの行動もとっておられません。それのみか、三木内閣と自民党もまたこの疑惑解明のために積極的に協力しないのみか、逆にこれを妨げておるという事態はきわめて私は重大だと思います。これでは国民の金権腐敗政治をなくして欲しいという切なる期待にこたえるものではなく、まさに裏切るものと言わなくてはなりません。
 そこで、三木総理にお尋ねいたします。あなたは再三にわたってこのような重大な疑惑については徹底的に解明するとおっしゃってまいりました。そうですね。さらに三木総理はことしの二月六日、衆議院予算委員会のわが党の増本議員の質問に答えてこう答弁しておられます。この問題は「政治不信にもつながる問題でありますから、一日も早くこういうことが解明をされることを強く望んでおる次第ででございます。」と。これに対して増本議員は、「日限を切って早く発表させるという手だて」をとるべきであると追及いたしました。これに対して三木総理は、「われわれとしても、できるだけ早くそういうことが出されるようお伝えをいたしたいと考えております。」、こう答えておられますね。「お伝えをいたしたいと考えております。」と答弁しておられるわけであります。
 そこで三木さん、このような国会答弁のとおり田中総理自身にこのような疑惑の解明をお伝えになったかどうか。伝えられたとすれば、田中総理はどのようなこれに対するお答えをされたかどうか、この点をはっきり国会において明確にしていただきたいと思います。
#70
○国務大臣(三木武夫君) 私はこういうふうに思っているんですよ。一番早くこの問題を解明したいと考えておるのは田中さん自身だと思います。国民の前にテレビで、私もその場面を見ておったわけですけれども、ああいうふうに言われたわけですから、早くやっぱりこの真相を明らかにして国民の理解を求めたいと一番望んでいられる人は田中さん自身だと思いますから、いろいろとこう長い期間にわたっての調査をされておることだと思います。政治家というものは、やっぱり国民の理解、信用というもの、これが生命ですからね。そういう点で、私はいろいろ調査を進められておるものであるということを信じて疑いません。私はいままで、私自身としても、まあ期間は切っては言われませんでしたけれども、できるだけ早くというような表現で言われたので、まあそういうふうに少し時間は延びたような感じですけれども、そういう機会があるものと信じております。また私自身がこれどういうことをしたか、ああいうことをしたかということは申し上げませんけれども、これはいま申したように田中さん自身が一番一日も早くやられたいと望んでおるに違いない。なぜならば、政治家は信用というものが一番大事だからであると、こういうことに信じておりますので、恐らくそういう日があるものであるということを期待をいたしておる次第でございます。
#71
○加藤進君 私は、国会で三木総理自身が、このような解明をされるようにお伝えしたい、こういうことを約束しておられをわけですから、どのようにお伝えになったかを確かめたわけでございますけれども、ただいまの答弁によりますと、そのようなことは明確になっておりませんね。おりますか。
#72
○国務大臣(三木武夫君) 私がどうした、こうしたというようなことは申し上げませんが、われわれとしても前総理、総裁の名誉に関することでございますから、私自身も早くそういう機会があって欲しいと望んでおることは、これは当然でございますので、これは私もそれを望んでいる。それをどういうふうにした、こうしたということは一一申し上げません。
#73
○加藤進君 私は三木総理自身の期待あるいは希望を聞いておるわけじゃないですよ。お伝えしたいというのは、これは行動ですよ。そのような行動を事実とられたかどうか、このことを聞いておるのです。その点については全くとられたとも、とられないとも、答弁の中では明確になっていない。これでは私は国会の答弁に対して十分誠意をもってこたえておるとは言えないと思います。
 さらにお尋ねしますけれども、衆議院の予算委員会において、国会の機能においてその真相を究明されるということであれば、政府としてもできる限り協力するとはっきり言明されております。これはまた当然の内閣の責務だと思いますが、ところが、当の政府はどうかと言えば、すでに他の委員が触れられましたとおり、守秘義務を盾にして国会審議は妨げられております。参考人の招致も自民党によって拒否されて今日まで実行されておりません。田中氏自身もまた一言の釈明もなくして今日に至っておるわけであります。これでは総理として、また自民党の総裁として事実上国会審議に協力してはいないということをはっきり証明しておるわけじゃないでしょうか。もし三木総理が言葉どおりに国会の審議に協力されるというなら、いまからでもやっていただきたいことがあります。
 その第一は、参考人招致について、自民党総裁としての権威によって積極的に協力されるつもりがあるかどうか、この点をまず第一にお尋ねします。
 第二には、田中氏がわが党の公開質問状に対して誠意をもって回答されるように、三木総理は進んで田中氏に要請される決意があるかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。百項目にわたる疑惑は決して架空のものではございません。十分な事実に基づいてこの疑惑を提起しておるわけでございまして、国会の場において国民を前にして答弁して欲しいと要求しておる内容でございますから、この点につきましても、もし国会の審議に協力するということなら、この点についても明確な三木総理自身の決意をお願いしたいと思います。
#74
○国務大臣(三木武夫君) 参考人の問題に対しては、皆いろいろ国会においてきめられることでございますので、国会でいろいろな角度から検討をされて国会の決定にゆだねるよりほかには私はない。私は国会の決定をとやかく言う立場ではない。
 第二の、共産党が田中氏に対して質問状を出されたようでありますが、これはやはり共産党として質問を出されて、この問題の回答を促進されるのは、どうかやっぱり共産党自身の手によってその処置をされんことを希望するわけでございます。
#75
○加藤進君 私の聞いておるのは、国会の審議に協力するといわれておるんですから、そのような協力を実行してほしいということでございまして、参考人の問題はどこに障害があるかといえば、御承知のとおり自民党がこれを拒否しておるという事態に原因があるわけでございますから、私は自民党総裁としても内閣総理大臣としても、国会審議に協力しますというならば、そのような協力を事実において示していただきたい、当然であります。同時にわが党の提案もこれは公党として堂々と国会においてもこの問題について回答を要求しておるわけでございますから、三木自民党総裁としても、当然のことながら私は田中前総理に対してこのような要請をなされてもしかるべきものであるし、これこそ国会に協力するということを言葉だけでなしに、事実においてあらわしていただくただ一つの道ではないか。この点について一言だけ簡単にお答え願いたい。
#76
○国務大臣(三木武夫君) 私は国会の御審議に対して田中氏であるからといって特別な区別をしないと、国会のいろんな一つの法規に照らして最大限度の協力をするようにということを申しておるわけで、いままでの御審議に対しても法の許す範囲内で協力をしてきたもんだと考えておるわけでございます。
 それからまた、共産党の質問に対して私が中へ入って、答えるように田中氏に何か要請するようにということでございましたが、この点はやはり共産党という公党が田中氏に質問をされたわけでございますから、どうかその処置は共産党においてみな処置をしていただかないと、各政党がいろんな要請をして、みな私が田中氏に答えることを私自身が中に立ってやるということもこれはまたいかがなものかと思いますので、各党ともそういう御質問をお持ちになっておる政党もあるでしょうが、どうかやっぱりその政党と政治家との関係として処理をしていただきたいと。国会の御審議に対しては政府は法の許す範囲内で最大限度の御協力をすることは当然の責任であることは申すまでもございません。
#77
○加藤進君 国会に協力しますと言われながら、事実においては効果ある協力は今日までやられておらないというのが現実でございまして、私はこの点につきましても三木総理の言明と実行とが全く違う、三木内閣はまさに言行不一致内閣であるというそしりを私は免れないと考えています。
 そこで、具体的に信濃川河川敷の買い占め問題についてお尋ねしますけれども、この問題は三木総理も当時御承知だと思いますけれども、昭和四十一年に私が初めてこの問題を国会において重大疑惑として提起した問題であります。それ以来すでに十年の歳月が経過しましたけれども、この疑惑はますます深まるばかりだというのが現在の状況でございます。
 そこで総理にお尋ねしたいのは、去る五月二十三日の当委員会においてわが党の橋本議員の質問に当たって松澤行政管理庁長官は、疑惑があるので行政監察を行いますと答弁されました。五月二十七日の閣議のあとの記者会見では、行政監察を指示いたしましたと、記者に語っておられます。この松澤長官の答弁といい、行政監察を指示したと言われたその行動といい、当然これは松澤長官個人の見解ではなく、三木内閣の方針であると私は理解しておりますけれども、そのような理解で間違いないでしょうか。
#78
○国務大臣(三木武夫君) 松澤行政管理庁の長官が答弁をしてこういう指示を行う方針であるという報告は受けました。疑惑のある問題は当然に解明を政府の機関としてすることは当然でございますので、私も了承をいたしたわけでございます。
#79
○加藤進君 じゃもう一つ聞きますけれども、この行政監察というのは、建設省の当時とった処置に疑惑があるために行われるものである、こういう点も確認してよろしゅうございましょうか。
#80
○国務大臣(三木武夫君) まあ疑惑ということで行政監察ということではないと思いますが、やはりいろいろ問題が起こっておるので行政管理庁としても行政管理庁の立場で、これは事実を真相を明らかにしておく必要があるという点から行政監察の対象にしようということになったというふうに私は承知しております。
#81
○加藤進君 いや、その点は行政管理庁長官自身が疑惑がありますのでと言っておるのですから、その点だけ、それならそれでよろしいとお答え願えれば結構でございます。
#82
○国務大臣(三木武夫君) どういう言葉を使ったか知りませんけれども、これだけやっぱり世の中から問題にされておる問題でございますので、それは疑惑という言葉を行政管理庁長官は使ったのだと思いますが、そういういろいろな国会の、しばしば繰り返し繰り返し質問を受けるような問題ですから、行政管理庁としては、これは行政監察の対象にしようという考えを持つことは当然のことだと思います。
    ―――――――――――――
#83
○委員長(前川旦君) 委員の異動について御報告いたします。
 ただいま松岡克由君が委員を辞任され、その補欠として中村太郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#84
○加藤進君 そこで総理は、このような行政管理庁長官の方針を支持されて、行政監察に内閣としても積極的に協力されるのは当然であろうと思いますが、そのように理解してよろしゅうございましょうか。
#85
○国務大臣(三木武夫君) 行政管理庁がそういうことをやるわけでございますから、必要な協力を行うことは当然でございます。
#86
○加藤進君 この河川敷の買い占問題は、当時大蔵大臣であった田中氏がその地位を利用してかすみ堤がやがて本堤になることを熟知していながら農民をだまして土地をみずからつくった幽霊企業、室町産業に買い占めさせたという問題であります。現にそのために百数十名の被害者が出ておるという点におきましても、田中金脈事件の中で最も悪質なものであると言っても私は言い過ぎではないと思います。このために松澤行政管理庁長官も率直にこう言っております。行政監察的な面でこの問題を取り上げて進めてまいりたい、また上田議員の質問に対して亀岡前建設相も、私どもの責任の存するところでもあるわけでございますので十分調査させていただきますと、答弁しています。また安原法務省刑事局長も、一般論としてはこの問題は詐欺罪の成立の可能性もあるやと考えますと、答弁しておられます。
 わが党のその後の調査におきましても、室町産業が農民から土地を買い占めた昭和三十九年の九月から四十年の三月の期間は、河川法の改正、現行河川法が改正されるということが決定された直後であります。現行河川法がつくられるということが決定された直後であります。この河川法の改正に当たっては、一級河川管理費などの問題におきまして、建設省はたびたび大蔵省とも折衝しております。当時の大蔵大臣は田中角榮その人であります。したがって、田中角榮大蔵大臣と河野建設大臣との間には会談も持たれておったわけであります。当時大蔵大臣の地位にある田中角榮氏が、一級河川であるこの信濃川の河川敷の管理、廃川敷処分が今度の新法によって建設大臣の裁量にまかされるというような点についても当然これは知らないというのは不思議でございまして、知り得ていることは言うまでもないと思うわけであります。その点からも地位利用による詐欺行為であるという容疑はますます深くなってくるわけでありまして、私たちはこの問題については今後相当資料を整えて追及をしてまいりたいと考えております。
 そこで総理にお尋ねいたします。総理はこの疑惑の問題について、建設省の報告を受けて慎重に対処したいと先ほど答弁されました。ところが、この問題においてまさに疑惑がかけられているのは建設省自体でありまして、その建設省から報告を受けて慎重に対処したいというような態度では、この問題の真に解決を迫るためにとるべき態度ではないと私は考えるのでございまして、まず第一に、この疑惑が完全に解消されて、国民あるいは地域住民が納得し得るような時期まで少なくとも廃川敷処分はやらせない、こういう点について建設省は言うまでもありませんけれども、建設省を監督すべき内閣総理大臣としてもこの点についての明確な決意を下していただかなくてはならぬと考えますけれども、その点はいかがでしょうか。
#87
○国務大臣(三木武夫君) 本件に関しては行政管理庁も行政監察の対象にすると言うし、建設省からも調査の報告がございましょうし、そういう諸般の調査、検討を踏まえてこれは内閣総理大臣として責任を持たなければならぬことは当然でございますから、十分な、慎重な結論を下す場合においては慎重に対処いたします。
#88
○加藤進君 したがって、建設省自体につきましても、建設省のやることはすべて大丈夫だなどというような予測ではなしに、行政管理庁が行政監察を行わざるを得ないという事態にある建設省である、こういう点も踏まえて誤りない行政をぜひ行っていただきたい。その点につきましてこの河川敷、廃川敷処分の問題については十分慎重に検討し、国民のこの点についての疑惑にこたえる、こういう態度をもって臨むと、この点を重ねて一言お聞きしたいと思います。
#89
○国務大臣(三木武夫君) そういう考えでございます。
#90
○加藤進君 いま現実には建設省はくい打ちを始めています。くい打ちは終わろうとしています。この河川敷、廃川敷の中で、どんどん進行しているんです。測量がやられているんです。農民は一体どうなるのかと心配しています。しかも農民は、この廃川敷については本来私たちの土地だから返してほしい、室町産業にごまかされた、したがって本来私たちの土地なんだから土地を返してほしいと希望しています。同時に、いますぐにでも耕作さしてほしいという強い要求を持っておりますけれども、希望ある農民に対しては耕作はやってよろしい、こういうふうに御指示をいただく必要があると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#91
○政府委員(増岡康治君) ただいまの加藤先生の御質問でございますけれども、この五十年の四月に新しく占用手続がなされる時期がまいったわけでございまして、私は国会の席上で、現在あくまで国有地でございます、したがって、旧地主の方方がいらっしゃる中で耕作を続けたいということがありますれば、新たなる占用願をお出しになっても結構でございますということを申し上げたはずでございます。
#92
○加藤進君 それでは占用願を出された農民に対しては耕作を認める、こういうことですね。
#93
○政府委員(増岡康治君) ただいままだ廃川処分も何もなされておりません。あくまで国有地でございます。当然でございます。
#94
○加藤進君 最後に、この昭和四十七年度決算の審議は残念ながら田中金脈問題についての十分な疑惑解明なしに終わろうとしています。しかし、この問題は昭和四十八年度決算の審議においては引き続き追及して、その徹底的な解明を行わなければならぬ重要問題だと私たちは考えています。とりわけ昭和四十八年度予算といえば田中前総理が編成された最初の予算であります。この予算執行によって田中氏の日本列島改造計画が強行され、土地の買い占め、土地転がしなど目に余るような疑惑事件が新たに発生しておるわけであります。三木総理はこの昭和四十八年度決算の審議に当たって田中金脈問題についての疑惑解明を今日までの状況でとどまらせないで……
#95
○委員長(前川旦君) 加藤君、時間が超えております。
#96
○加藤進君 積極的にその審議に協力するという点をお約束いただけるかどうか、その点だけお尋ねして質疑を終わります。
#97
○国務大臣(三木武夫君) 国会で御審議をされるということならば、常に政府は国会の御審議に協力することは当然のことだと考えるわけでございます。
#98
○田渕哲也君 私はこの田中金脈問題に対する三木総理の態度、どうも納得しかねるわけであります。といいますのは、三木内閣がなぜ生まれたか、これは言うまでもなく田中前総理が金脈問題で国民の不信を受けて、そしてその座を去られたわけです。したがって、私は三木内閣の使命の一つに、やはり田中金脈問題の解明、さらには金権政治に対する国民の不信の除去、こういうものが挙げられると思います。また三木総理もそういうことを言われたわけです。ところが、どうも先ほどからの答弁を聞いておりましても、それから前の予算委員会の答弁を聞いておりましても、人ごとのような言い方をされております。田中さんがいずれ解明されるでしょうとか、そうされると信じておりますとか、そういうことを期待しますとか、私はこういう姿勢は納得できないと思います。やはりこれが三木内閣の使命の一つであるならば、もっと積極的にその解明に努力されるべきだ、もしそうでないとするならば、三木内閣の使命というのは田中金脈問題のほとぼりがさめるまで臭い物にふたをする時間をかせぐための内閣だ、こう言われても仕方がないと思いますけれども、もっと積極的にこの問題について行動される意思があるのかないのか、お伺いをしたいと思います。
#99
○国務大臣(三木武夫君) 臭い物にふたをしようという考えはないのです。やはり私自身も諸法規の中において御協力を申し上げるということでございます。私自身がそういういろんな法規の範囲を越えてどうこうということはできません。また田中氏自身が国民の理解を求めるということは、政治家の責任というものは単に法律ばかりでなしに、いろんな道義的な責任もありますから、御自身がこういう問題に対して解明をされることが一番国民の理解を求める上においては適当だと私は信じておるわけです。そういう点で、一番そういう面については、法律に関係する事項はこれはもう法規に照らして国会で解明をされるし、いま加藤さんの御指摘になったような詐欺というようなことがあれば、それは捜査当局がやっぱりその用件に従って捜査をするでしょうし、それはやはりどうしても法規に照らしてやるよりほかにない、いろいろ一般的な道義的なものについては自身の立場からいろいろ解明されることが適当であろうということを申しておるので、何にも私はこうふたをしようという考え方は全然ないわけでございます。
#100
○田渕哲也君 私は総理大臣の権限としてなし得る範囲があると思うんです。たとえば田中さんの疑惑の中で地位利用の問題がある、あるいは脱法行為がある、脱税問題がある。脱税問題については大蔵省が調査されて国会で一応の報告はありました。しかし、守秘義務ということでその内容は全然明らかにされておりません。どれだけの追徴金が取られたかという金額すら明らかにされていない。私はこの問題が国会で提起されておる以上は国会で解明されなければならないと思うんです。内閣がこれに対して適当な措置をとりましたと、だからこれで終わりだというわけにはいかない。したがって、守秘義務の問題にしましても私は総理の権限、大臣の権限でされるべき範囲が非常にあると思うんです。そういう面で努力が全くされていない。私はこういう面でもう少し前向きの姿勢をとっていただきたいと思いますけれども、総理の御答弁をお願いしたいと思います。
#101
○国務大臣(三木武夫君) 私は常に言っておるんですよ。国会の審議、これは国権の最高機関であるし、この調査権というものは尊重されなきゃならぬ、守秘義務というものはあるにしても最大限度協力をすべきであるということを、それはただ表向きの言葉でなしにそうすべきだと思うんですね。国民の、主権者の代表である国会でやっぱりできるだけのことをすべきであるということで私の意を体して国税庁としてもできるだけのことをいたしておると私は信じておるわけでございます。一々末端のことを私自身が指図するというわけにはいきませんが、この私の方針に従って行政官庁はやはりこの方針に従って対処しておるものと、こう考えておるわけでございます。
#102
○田渕哲也君 この金脈の問題はいずれ引き続いてこの決算委員会で審査されることになると思いますけれども、利は引き続きまして公共企業体労働者のスト権の問題、処分の問題についてお伺いをしたいと思います。
 六月三日の衆議院の社労委員会で長谷川労働大臣は、公共企業体労働者のスト権について前向きの答弁をされ、そして公労協は予定した長期ストを回避することを決定したわけであります。私は、政府はこの公共企業体労働者のスト権について前向きの姿勢で臨む、このように解釈していいと思いますが、いかがですか。
#103
○国務大臣(三木武夫君) 田渕さんも、公共企業体等関係閣僚協議会専門委員会というのでこれはいま検討を進めておることは御承知のとおりですね。秋には結論を出すということになっておりますので、その結果を私どもは尊重していきたいという考えでございます。尊重して、これはもう延ばすことはしないと。処分をやったらまた抗議スト、また処分、こんなことを毎年繰り返しておるような労使関係というものは断ち切らなければならぬ。したがって、こういう一つの専門委員会等の検討の結果が出ますれば、その意見を尊重してこの秋には結論を出したいという考えでございます。
 いま田渕さん、前向きか後ろ向きかということでございましたが、後ろ向きというようなことは大体物事にあるのか、そんな後ろ向いて歩くことはなかなか困難でございます。しかし、それを前とか後ろとかいうようなことを私が結論が出ない前に言うことは適当でない、この問題を真剣に取り組みます、これが政府の態度でございます。
#104
○田渕哲也君 私は、総理も労働大臣も、あるいは国鉄総裁にしてもストと処分の悪循環を断ち切らなければならない、こういう発言をされておるわけでありますけれども、ストと処分の悪循環を断ち切るためには違法のストライキをやめるか、あるいはストライキそのものが違法でなくて処分をしなくてもいいようにするか、この二つに一つしかないと思うわけです。ところが、いまのところスト権を認めない限りはこの違法のストライキがやむという見通しはありません。したがって、私は政府がスト権を認めて、そして処分をしなくてもいいようにする、でなければこの悪循環は断ち切れないと思いますが、この点についての総理の判断はどうですか。
#105
○国務大臣(三木武夫君) 相当時間をかけて専門委員会が検討しておるわけですから、いま田渕さんのお考え方は田渕さんのお考え方として承りますけれども、しかし専門委員会から何も結論がいま出ていないわけですから、私がその結論に対して何か方向づけるようなことを申し上げることは適当でないと、現在の労使関係というものを踏まえて長い将来の日本のあるべき健全な労使関係はいかがあるべきかという高い立場に立って専門委員会がやはり良識のある結論を出してもらうことを期待をしておる、それを私どもは尊重していきたいと、そうしてこの労使関係に新しいやはりスタートをしたいという念願でございます。いま方向を示唆する発言を私としてはできません。しかしこの問題と真剣に取り組もうとしておることは間違いのないことでございます。
#106
○田渕哲也君 私はこのスト権の問題と処分の問題、それからこの一連の違法ストの問題というのは、わが国の議会制民主政治にとってきわめて好ましくない方向に来つつあると思うのです。違法ストがどんどん強行される、そういう中で処分というものがなし崩しに緩和されてきておる。四十七年度の処分を見てみますと、スト参加者の中で戒告以上の処分が実に九五%ある。四十八年度はこれはわずか九%である。今回の処分はさらにこれが減っておる。つまり違法ストがどんどん行われて、それを処分することでおさまりがつかなくなってきた。だから、そのスト権というものを認めざるを得ないように追い込まれてきておる。
 私は本来この公労協のスト、公共企業体労働者のスト権というものは前々から問題が提起されておった問題であります。したがって、敏速にこの問題に対処し得なかった政府、ここに非常に大きな責任があると思うのです。世論とかあるいは労働組合側の意見とか、そういうものに敏感に対応し得なかった、そうして違法ストの強行によってスト権を認めざるを得ない方向に来る、これは私は政府の公共企業体労働者のスト権に対する取り組みが怠慢であった責任である、このように考えますけれども、総理はどう考えられますか。
#107
○国務大臣(三木武夫君) 私は、追い込まれてそういうことになるのではないかといういろいろ田渕さん自身の推測を交えてのことでございますが、私は必要なことは、これからの長いあるべき日本の労使関係ということを頭に入れて、そうしてそのことが追い込まれたから政府は不本意なことをするということでは、政府は国民に対する責任を果たすわけにはいかないわけです。そういうふうなことではなくして、やはり長い将来を展望した労使関係のあり方という角度からこの問題に対する結論を出してもらいたいと願っておるわけでございます。もう追い込まれたからどうするのだと、そういう考え方は一切ないと、頭にあるものは長い日本の労使関係を健全なものにするのには一体どうするかという角度からこの問題に対処していきたいと考えておる次第でございます。
#108
○田渕哲也君 私はこの公労法の問題と、それから関連して電気事業並びに石炭鉱業のスト規制法の問題があると思うのです。現在御承知のように、このスト規制法ではストライキが禁止されておる。そうして電気事業法というものがありますから、電気事業法では違法のストライキによって電気の供給をとめた場合には刑法で罰せられるわけです、刑罰が加えられるわけです。これとの関連というものがやはり出てくると思うのですね。片方の労働者はストライキは禁止されて、ストライキをやれば刑法で刑罰が与えられる。私はこの公共企業体労働者のスト権の問題がこの秋に結論が出されるならば、これと同時にこのスト規制法の問題についても改善がされなければならない、この点について総理のお考えを聞きたいと思います。
#109
○国務大臣(三木武夫君) いま御指摘の電気とかあるいはまた石炭の労働者のストの問題については、おのおの成立の背景の違いもございますから、同一に取り扱うことは無理だと思います。まあしかし、労働基本法の制限している点では共通でございますから、そういう均衡がとれているかどうかということに留意する必要はあると思いますが、いずれもやっぱり成立した背景も違うから、これはやっぱり必ずしも同一に取り扱わながればならぬとは考えていないわけでございます。この問題については、先ほど申したように、十分政府の方としても、こういう点も含めて検討を専門委員会でいたしておる次第でございます。
#110
○田渕哲也君 終わります。
#111
○野末陳平君 昭和四十七年度の決算もきょうが終わりで、私の質問で最後になるのですけれども、最大の政治問題であり、またこの決算委員会のテーマでもありましたのが田中金脈の問題です。私の感じでは、非常にうやむやで、しり切れとんぼで、みっともない結末になっていると、そういうふうに考えています。総理自身のお考えはどうなんでしょうか。この田中問題は決着がついたと、そういうふうにお考えでしょうか。
#112
○国務大臣(三木武夫君) 国税庁関係は、やはりこの問題は決着がついたと考えておる、そういう報告を受けて、そういうふうに考えますが、いま言ったような政治家というものに対しての、単に国税関係ばかりでもありませんから、そういう点については、田中氏自身が国民の理解を深めるために、かねて言われておるようなああいう国民に対してこの問題の全貌を解明される日のくることによって、この問題は一応国民の理解を得られることになると、こう考えておるわけでございます。
#113
○野末陳平君 いまの総理のお答え、要約しますとこれまでの決着は国税庁関係だけですから、これだけでは国民は納得できないだろうと、全面的には。最終的には田中さん自身の解明を待って初めて本当の決着がつくと、こういうことですね、総理ね。
#114
○国務大臣(三木武夫君) これは、われわれ法律の範囲内でわれわれは措置せなきゃならぬわけです。そういう点で、そういう範囲内においては、これは決着はついたと思うと、しかし、その他、これでもなおかついろんな点で疑問があるという問題は、やがて公表されるであろう田中氏自身のそういう解明を通じて明らかになるものであろうということを期待をするということです。
#115
○野末陳平君 田中さん自身の解明がなければ、まだ完全には疑問は解決しないということですね。
#116
○国務大臣(三木武夫君) 私の主観でないですから。
#117
○野末陳平君 主観で結構ですよ。
#118
○国務大臣(三木武夫君) 私の主観を言っておるのでなしに、これでもいまいろいろまだこれが解明されぬと言われますから、こういう問題はそれを通じて解明されることになるだろうということを言っておるので、私に与えられた権限は、法律の範囲内でこれはやっぱり解明をするという責任を負っているわけです。それに関する限りにおいては、いろんな疑問の点は解明をいたしましたと、これ以上なおかつまた疑問が解けぬという問題については、田中氏自身が全貌を公表されることを通じて理解を得られるに違いないと、こう期待をしておると、私自身に関する限りは、解明できるものは全部解明は完了したという考えでございます。
#119
○野末陳平君 そうしますと、私自身の範囲は、つまり関係法規に照らした部分ですね。そうすると、さっきからの問題はまだ全然結論出ていないのいっぱいあるでしょう。建設省の宅建業法の違反のことから、信濃川のことから、結論出ていないこといっぱいありますね、そうでしょう。警察庁が調べてることもあるでしょう、まだ。
#120
○国務大臣(三木武夫君) 主たる問題は税金問題が一番中心だったから、この問題は解明をされておるわけでありますが、他の問題でまだ調査中のところがございますならば、それは、その問題は残るわけでございましょうが、私も詳細は知りません。建設省からお答えをいたします。
#121
○政府委員(大塩洋一郎君) 宅地建物取引業法違反の件に関しては、御承知のとおり建設省としましては、新星企業につきまして違反の疑いありとして、警察庁にこれを通知し、現在警察庁では建設省と同様の結論を得て、警察庁から検察庁へ送検している、こういう段階でございます。
#122
○国務大臣(三木武夫君) したがって、最後の答弁は、そういう問題があれば、これからの問題でございますが、国税庁関係に関して申したわけでございます。
#123
○野末陳平君 大分むだなところで時間を食っちゃって困るのですがね。要するに国税庁だけは終わったということでしょう。まだほかにたくさんあるわけですよ。だから決着がついていないんですよ。関係法規に照らした部分でも。ところがそちらでは、自民党の考えでは、この問題は決着がついたから参考人を呼ぶ必要はないと、こういうふうに答えてきているわけですよ。そうすると、自民党はそういうふうに正式に決着ついたというが、総理はまだ決着ついていない部分が関係法規に照らしてもあると、道義的な問題はまだほかにもあると、こういうことでしょう。そうすると、参考人に反対する根拠はなくなってくると思うのですがね、どうなんですか。
#124
○国務大臣(三木武夫君) それは国会においてその問題は処理されぬことを希望するわけでございます。
#125
○野末陳平君 じゃあ、それなら国税庁だけでもいいですわ、国税庁関係で、結果的に総理何が明らかになったのでしょうか。私たちはいろいろの疑惑も出した、問題点も出しました。で、国税庁がさっき発表しましたが、総理、何が一体明らかになったと思いますか。
#126
○国務大臣(三木武夫君) いまここでしばしば国税庁からも説明があって、問題になる納税義務の問題などに対して、いろいろ疑問の出たようなところは解明をして、その点は明らかになったと私も信じております。
#127
○野末陳平君 つまり明らかになった点は、さっきも答弁がありましたけれども、計算上のミスとか、解釈上の、とにかく単純なもので、小さいことで大したことではなかったということは明らかになったんですよ。ところが、じゃあ、これは大したことのないような、その程度の問題だったのですか。田中さんはこれによってやめたわけですよ。疑惑の幾つかある一番大きな柱の一つが国税関係だと、これは大したことはない――じゃあやめる必要はなかったと思うんですな。田中さんがやめなくてもいいような大したことのない問題でこれは済ませていいのでしょうか。現実に田中さんはおやめになった、それほど重大な問題だったのですがね、結果的に大したことはないと、国税関係は。これで済みますか、国民もこれで納得すると総理思いますか。
#128
○国務大臣(三木武夫君) 私は田中さんがどういう心境であってやめられたかは詳細に聞いておりませんけれども、こういう問題でいろいろと世間を騒がしたということは、総理大臣としてやっぱり責任を感ずるということで、いろいろ問題が具体的にあったからというよりかは、こういう問題でいろいろ世間を騒がして、そのことが政局の安定にも響くことは、総理大臣として職にとどまることは適当でないという判断だと思います。したがって、いろいろ具体的に問題があったからというよりかは、全体として総理大臣として政局の現状に照らし、責任を感じて進退を決められたものだと私は判断します。
#129
○野末陳平君 その程度のことだというのだったら、三木総理も総理になっていないと思いますからね。大分その辺は、総理になる以前のあなたの政治姿勢と、いまは田中問題に関しても解釈がどうも違うと思いますよ。いずれにしても、これからもいろんな疑惑がまだ解明されるだろうと思いますから、その点を期待しますが……。
 そこで、最初の話ですが、道義的な問題も含めてまだ疑問があれば、いずれは田中さん個人の釈明によって解決されなきゃならない部分もあると、これは三木総理もはっきりお認めになっているわけですよ。そうして田中さんがいつの日か近い将来そういうことをされるであろうということも予想されているし、期待もしているわけですね。そこで、これは私の考えでは、田中さんの釈明がなければ、田中さん個人の解明がなければ、国民を納得させるような決着は絶対にないんだ、この田中さんの解明によって初めてこの問題は決着がつく、そういうふうに思います。もちろん途中では各建設省、警察庁いろいろあります。その結論も出なければいけませんが、そういうふうに考えるのですよ。総理もそういうことなんでしょう、さっきからの、田中さんが一番苦しいんじゃねえかと。田中さんが必ずやるであろうということを期待されているその真意というのは、そういうことだと解釈していいですか。(「そうではありません」と呼ぶ者あり)
#130
○国務大臣(三木武夫君) 私は、まだ、この国会の御質疑などを承っておりますと、いろいろな疑問があると言われるわけですから、こういう問題について国税庁は解決をしたけれどもいままだ問題の調査中のものもありますからそれはやっぱり追って解明されるであろうし、やはり一番この問題を――それだから法規に照らしての問題は、これは調査が解決をするものはし、また後へ残っておるものは調査をこれからされて近く結論が出るでしょうが、政治家の信用というものについては、田中さん自身が政治家としていろんなこれに対して言いたいことがたくさんあるだろうと私は思うんですよ。それを積極的にそういう問題を、自分の立場を解明されるような日を一番早く持ちたいと望んでおるのは当人である田中さん自身であるに違いない。それはなぜかと言ったら、命ぐらい大事ですよ、政治家の信用というものは。そういう意味で近くそういう機会があるであろうということを期待をしておるということで、私自身がいろいろな疑惑を持っておってという意味ではない。問題としては、いま一体――私は、法律の範囲内において解明するものは田中さん自身だからといって特別な扱いはできません。これはやはり解明するものは解明しなきゃならぬ、これは私の責任でありますが、政治家の田中さん自身からすればいろいろ言いたいこともあるだろうが、そういう問題はやがて解明されることによって一層国民の理解を深められることになるであろうということを申しておるわけでございます、客観的にものを言っておると。
#131
○野末陳平君 そこで、三木総理はちょっと違うと思うのですな。法規に照らしてこの部分の解明の責任はある、それだけだということですが、そうじゃないんですよ。前の田中さんの内閣から三木さんにおかわりになった、これは政治家の信用が失われた、道義的な問題がやっぱりあったわけですね。この問題も三木内閣は引き継いでいるわけですよ。この問題の解明もしなければいけない、そういう責任も三木総理にはあるわけですよ。ですから、先ほどからのお答えで、田中さんに相当同情して、田中さんの苦衷も察しておられる。それならやっぱり、最初小谷委員からも発言ありましたけれども、三木総理、もっと積極的に田中さんに対して解明のチャンスを早くつくるようにあなたも協力してあげなくちゃ――人ごとみたいに、田中さんやるでしょう、苦しいのは田中さんでしょうと言って、私がそれをやらす責任はないと言うのは、政治家が信用を疑われたこのことに対して、道義が問題と言いながらそれを全然無視しているわけですよ。その点がぼくは物足りないわけですよ。
 だから、もう時間ありませんから、最後に三木総理、法規に関して関係官庁が結論を出す、それはそれでいいから、それとは別に、あなたは、政治家の道義とか疑われた信用の問題、政治不信、そういうものをくるめて、やはり田中さんに解明のチャンスを早く――別に田中さん早くしなさいと言うんじゃなくて、解明のチャンスを早くつくって国民が納得できるようにこの問題決着つけてくださいよ。われわれも困るんですよ、これで終わりだと思ったら、また引き続いてやらざるを得ないんですから。参考人も出てこなければ田中さんも何も言ってくれない、守秘義務で言ってくれない、いろんなこと言ってくれないで本当に困っちまうんです、しり切れトンボで。こんなばかなことをしていたら政治不信がいつになったって、これはきれいになりませんよ。その意味で三木総理に、道義的な責任をもここでこの内閣は引き継いで持っているんだ、田中さんに解明をするチャンスをつくる、それに協力する義務があなたにある、責任がある、そういうふうに私は考える。いかがですか、最後ですから。
#132
○国務大臣(三木武夫君) 私、実際問題として田中さん自身も早くそういう機会を持ちたいと思っておると思いますよ。しかし、この問題については、自民党の前総裁でもありますし、こういう問題が一日も早く解明されることを私も希望をするし、また、この問題がやはり単に田中さん個人の問題というものばかりでなくして、政党政治全体の問題としてもいろいろと反省しなければならぬ点もありますので、御承知のようにいろんな改革案の法案も提出をいたしますし、自民党自身の総裁としてもいろいろ今後党の体質等にも考えてまいりたいと、こういうふうなことを考えておるわけでございます。これで何もかも、もう全部私の責任が終わったとは思ってないんですよ。これはやっぱり責任の始まりである、そういう考えでございます。
#133
○委員長(前川旦君) 三木内閣総理大臣、退席していただいて結構でございます。
 他に御発言がなければ、昭和四十七年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#134
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#135
○委員長(前川旦君) それでは昭和四十七年度決算外二件につきましてはこれを一時中断し、次に、本委員会は昨年、昭和四十六年度決算につきまして内閣に対し警告の議決を行いましたが、その警告に対し内閣のとった措置などにつきまして説明を聴取いたします。大平大蔵大臣。
#136
○国務大臣(大平正芳君) 昭和四十六年度決算に関する参議院の審議議決について講じました措置の概要を申し上げます。
 政府は、従来から決算に関する国会の審議議決、会計検査院の指摘等にかんがみ、国費の効率的使用、事務事業の運営の適正化、不当経理の発生の防止等について特に留意してまいりましたところでありますが、昭和四十六年度決算に関する参議院の審議議決について、各省各庁において講じておりまする措置を取りまとめてその概要を御説明申し上げます。
 一、綱紀の厳正な保持につきましては、従来から責任体制の整備、服務規律の確保、部内監察の強化等を通じて、その実効性の確保に努めてきたところでありますが、特に管理、監督の地位にある者が、まず率先してみずからの姿勢を正し、服務規律を一層厳正にするとともに、常時職場の実態を把握し、職務権限の配分の是正、適正な人事配置等、実効ある措置を講ずることなどにより、さらに、一段と綱紀の厳正な保持を図るべく努力しておるところであります。
 二、補助金等の予算の執行につきましては、従来からその適正化に努めてきたところでありますが、今後ともその適正化に一層努力する所存であります。
 今回、御指摘のありました事項のうち、まず防衛施設周辺整備事業により建設した施設の一部目的外使用につきましては、補助事業者に対し適正な運営を行うよう指導し、現在、改善されております。
 次に、農業構造改善事業における補助金の補助対象外使用につきましては、都道府県等に対し、補助事業の採択等に際しての厳正な審査の実施、事業主体の責任体制の確立等を図るよう指導に努め、事業の適正な実施を期しているところであります。
 次に、文化財保護事業に係る予算配賦のおくれにつきましては、今後とも予算配賦の促進に努力してまいる所存であります。
 また、財団法人日本分析化学研究所に委託した化学分析検査につきましては、直ちに同研究所との委託契約を解除し、新たな分析機関への委託に切りかえますとともに、分析業務の適正を確保するための体制の整備を図ったところであります。
 三、発展途上国に対する経済、技術協力につきましては、従来から相手国の経済社会の開発と国民福祉の向上のための自助努力を支援するとの立場から実施してきており、相手国の政府のみならず国民からも高い評価を受けているものと考えております。
 政府としては、関係各省庁の緊密な連携のもとに限られた資金を効果的に活用しつつ、わが国の経済、技術協力が真に相手国の経済社会基盤の強化に役立つよう、今後とも一層きめの細かい施策を講じてまいる所存であります。
 また、海外直接投資につきましては、基本的には民間企業の自主的な判断と責任に基づいて行われるべきものであり、政府としては、今後とも受入国との友好的な経済関係を維持しつつ、海外事業活動の円滑な展開が図られるよう民間企業に対する指導と啓蒙に努めるとともに、相手国との緊密な連絡協議に努めてまいる所存であります。
 四、精神障害等のため不起訴となり措置入院となった者に対する立法資料の収集につきましては、従来から関係者の基本的人権を十分尊重するよう配意してきているところでありますが、先般、退院後は、その帰住先等についてまで調査を行うことのないよう指示したところであり、今後とも十分配慮してまいる所存であります。
 五、租税の賦課、徴収につきましては、税法の適正な執行により負担の公平を図るよう常に努力を重ねているところでありますが、会計検査院から御指摘を受けたことにかんがみ、納税者に対しては、納税相談等の広範な実施と、各種の広報媒体の活用により税法の周知徹底を図るとともに、職員に対しては、研修等により、より一層の調査技術の開発とその向上を図ることに努めているところであります。
 なお、実地調査による追徴事例がまだかなり多い現状にかんがみ、調査事務をさらに充実し、特に大口悪質な納税者に対しては深度ある調査を実施することにより、適正かつ公平な税務行政の実現を期してまいる所存であります。
 六、学校給食の運営につきましては、最近の物価情勢のもとでその円滑な実施を確保するため、昭和五十年度予算において、前年度に引き続き、準要保護児童生徒に対する援助費補助金等の補助単価を実情に即して大幅に引き上げますとともに、新たに学校給食用物資の安定供給対策特別事業に対し、補助を行い、低廉良質な学校給食用物資の安定的供給を図るなど、給食費負担の増加を極力抑制することといたしております。
 七、日本航空株式会社と旧日本国内航空株式会社との間に生じた賃借料等の精算処理につきましては、先般運輸大臣から文書をもって日本航空株式会社及び旧日本国内航空株式会社から本問題を引き継いだ東亜国内航空株式会社に対して、問題の早期解決に一段の努力をするよう指示したところであり、現在、これを受けて両社間ではさらに協議を重ね、鋭意解決に努めているところであります。
 八、雇用促進事業団が行っている全国勤労青少年会館の運営につきましては、従来からその適正を期するよう指導、監督に努めているところでありますが、勤労青少年の利用が一段と促進されるよう改善工夫を行い、会館設立の趣旨に沿って、さらにその適正を期するよう同事業団を指導、監督しているところであります。
 なお、今回御指摘のあった大ホールの利用については、同事業団において勤労青少年団体の優先使用を図るため、毎月一定日数を勤労青少年団体のため留保するなどの措置を講じたところであります。
 九、都市河川区域内における河川敷につきましては、従来から、一般公衆への開放に努めているところであり、多摩川、江戸川及び荒川については、昭和四十九年五月に河川敷地開放計画を樹立し、ゴルフ場の開放、未利用地の整備等を鋭意推進しており、開放した敷地は、一般公衆のための公園緑地等に供することとしております。
 なお、河川敷地の管理を適正、かつ、円滑に行うため、昭和五十年度に、新たに河川緑地センターを設立することといたしております。
 十、財政投融資の運用につきましては、財政投融資の原資が主として庶民の零細な資金であることにかんがみ、昭和四十八年度から、その運用実績報告書を資金運用部特別会計及び簡易生命保険及郵便年金特別会計の歳入歳出決算に添付し、国会に提出するとともに、これらの決算に添付されている運用資産明細表または積立金明細表の様式等について改善を図り、運用実績報告の充実を図っているところであります。また、毎年度の予算成立後に官報に掲載される「国民への財政報告」につきましても、財政投融資に関する説明の充実を図っているところでありますが、これらの措置を通じ財政投融資の運用について、国民の一層の理解を図ってまいりたいと考えております。
#137
○委員長(前川旦君) 以上で説明聴取を終わります。
    ―――――――――――――
#138
○委員長(前川旦君) 先ほど一時中断いたしました昭和四十七年度決算外二件を再び議題といたします。
 これらの質疑は先刻終局いたしておりますので、これより直ちに討論に入ります。
 各党討論に入るに先立ち、理事会におきまして協議いたしました内閣に対する警告につきまして、お手元に配付いたしましたような案文とすることに意見が一致いたしました。
 それでは、警告の案文を朗読いたします。
  内閣に対し、次のとおり警告する。
(1) 田中角栄氏および同氏のいわゆる関連企業等の資産問題に関しては、政府の守秘議務もあって、必ずしも、その全ぼうは明らかにされていないが、税務当局等の見直し調査により、その関係者の当初申告において、所得計算に当っての誤りや、税務当局の解釈との食い違い等が見受けられ、その結果、国税当局は、所要の是正措置をとったとの報告が行われた。しかし、いわゆる関連企業といわれている新星企業株式会社は、宅地建物取引業法違反の容疑で、捜索をうけており、税務上の取扱いおよび資産形成の経緯について、完全に疑惑が、払しょくされたとは見受け難い。
  政府は、今後とも、一層、国政調査権を尊重し、議院の必要に応じ、問題解明に協力するとともに、一般納税者の納税意欲を阻害しないよう、徴税の公平確保に厳正を期し、さらに、資産形成の過程において、信濃川河川敷等をめぐつて、疑いをもたれているような行為については、各行政機関において、十分調査を行うとともに、行政管理庁の行う行政監察の結果等をもふまえ、その事後処理に、遺漏のないよう、妥当な行政措置を講ずべきである。
(2) 通商産業省所管輸出保険特別会計の昭和四十七年度決算参照書のうち、損益計算書および、貸借対照表を、一部推計の計数をもって作成し、これが昭和四十八年度まで及んでいたことは、国の決算の本来のあり方にかんがみ、遺憾である。
  政府は、今後、本例にみられるような財務処理の根絶を図るため、事務担当者の研修等を行い、経理体制の整備、監督関係の明確化等にっいて、万全の措置を講ずべきである。
(3) 三菱石油株式会社の重油流出事故発生に際し、防災に対する国の関係機関、地方公共団体、加害企業それぞれの責任分担が、必ずしも、明確でないためもあって、初動体制の出遅れと混乱が目立ち、被害を拡大させたことは遺憾である。
  政府は、官民一体となって、被害者救済に手厚い措置を講ずることは勿論、同種事故多発の危険性にかんがみ、加害企業の刑事責任について検討するとともに、防災体制整備のために、関係法令を充実強化し、加えて、事後処置に当っては、機動的に対処できるよう努めるべきである。
  なお、政府は、今後、瀬戸内海沿岸には、現在以上の大規模な石油基地の設置を極力行わないよう、慎重に配意するとともに、汚染原因の排除に一層努力し、積極的に、環境保全のための対策を講ずべきである。
(4) 最近、急増している自動販売機については、構造上の欠陥から生ずる事故、食品販売にみられる不衛生、酒類・たばこ販売に起因する飲酒運転、未成年者の飲酒・喫煙のほか、いわゆるあきかん公害など、種々の弊害が見受けられる。
  政府は、関係各省庁との連絡を密にし、地方公共団体の協力を得て、自動販売機の製造およびそれによる物品販売の実態を調査し、国民生活に悪影響を与えている面については、時宜に適した規制措置を講ずるよう努めるべきである。
(5) 国立長崎大学医学部の入学試験問題が、過去四年間にわたって、特定者に漏洩されていた事件は、最も公正に実施されるべき入学試験に対する国民の信頼を裏切ったものとして、極めて遺憾である。
  政府は、同大学に対し、このような事例の再発を防止するため、厳正な管理を自主的に行うよう、強く要請するとともに、入学試験の公正確保に、格段の努力を傾注すべきである。
(6) 近年、わが国水産業における、増養殖漁業の占める地位は、高まりつつあるが、増養殖魚類に、原因不明の魚病が発生し、まんえんしつつある。
  政府は、増養殖魚類に対する魚病研究に必要な対策を、すみやかに拡充強化するとともに、輸入魚・魚卵の検疫等について、所要の措置を講じ、魚病の絶滅を期すべきである。
(7) 郵政省は、郵便物を、安全正確かつ遅滞なく、送達すべき責務を課せられているにもかかわらず、近年、必ずしも、業務が正常に運行されていない点が見受けられる。
  政府は、適切な諸施策を講じ、業務の円滑な運行を図るべきである。
(8) 近時、工場等において、発生する有毒物や有害物は、多種多様化しているにもかかわらず、都道府県労働基準局等では、これに対応すべき、作業環境の測定等のための機器類の整備が、必ずしも、十分でない事例がある。
  政府は、事業所内における、安全衛生の確認のため、作業環境の変化に即応して、有効かつ適切に測定できるよう、機器類の充足および配置の適正化を図るべきである。
 以上です。
 それでは、討論をされる方は、賛否を明らかにして御意見をお述べ願います。小山一平君。
#139
○小山一平君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十七年度決算外二件に対し、是認することができないことを表明し、内閣に対する警告案に対しては、賛成するものであります。
 その理由につきまして若干申し述べます。
 第一は、前内閣総理大臣田中角榮君をめぐるいわゆる金脈問題についてであります。
 前内閣総理大臣田中角榮君の所得申告額についての不当性及び資産形成について、いわゆる田中ファミリーと言われる複雑、巧妙な関連企業を通じて行われた信濃川河川敷、光明ケ池、鳥屋野潟に見られる土地買収、土地転がし、並びに地位利用が行われたのではないかという疑惑は、今日なお依然として残されております。
 これらいわゆる田中金脈問題は、ニクソン前アメリカ大統領のウォーターゲート事件にも匹敵する悪評高き事件であって、日本の政治史に大きな汚点を残すものであります。
 当決算委員会において、われわれは、これら疑惑の解明に努力してまいりました。
 しかし、国税庁当局は、国会に与えられた国政調査権に対し、税法上の守秘義務が優先するかのように主張し、田中金脈解明に対し、頑強に抵抗して歯どめをかけたことは、断じて許すことができません。
 これら税務当局の態度は、徴税業務について、田中前総理という権力者を特別扱いにしたような疑惑を抱かせ、善良な市民の税務行政に対する不信と不満を助長し、納税意欲を低下させるとともに、政治不信をも深める結果を招いたことはまことに遺憾でございます。大蔵大臣も、この点については、ときには前進、ときには後退、言をあいまいにして、みずから国税庁当局の守秘義務に追従したことは遺憾でございます。
 毎年のように指摘される会計検査院の不法不当事項は、このような行政首脳の姿勢のもとでは改善することは困難でございます。行政は常にいかなる権力や金力にも屈することなく、公正、厳正、正義の立場を堅持することが必要でございます。あえて行政当局の猛省を促す次第でございます。われわれは、行政の姿勢を正すためにも、真実を追求して、国民の期待にこたえるためにも、この解明について今後なお追及することをここに宣言いたしておきます。
 第二は、現職の法務大臣の憲法についての言動問題でございます。
 これについては、三木総理の弁明と法務大臣の陳謝によって一応の結着を見たのでございますが、本委員会において法務大臣は、その行動について何ら反省するどころか、まぎれもない改憲論者であると公言し、現行憲法を欠陥憲法ときめつけるなど、公的、私的の立場をわきまえず、法の番人としての法務大臣、さらには憲法第九十九条により、憲法擁護の義務を負っている国務大臣として全く失格と言わざるを得ません。
 現法務大臣は、昭和四十七年当時、自由民主党の憲法調査会長であり、四十七年七月に成立した田中第一次内閣においては文部大臣の職にありました。
 現行憲法を諸悪の根源だときめつける改憲集会への出席や、国会で欠陥憲法と発言するごとき人物が、将来の日本を背負う子弟の教育を初め、学問、芸術、文化等の振興を担う文教行政の最高責任者であったことを考えますと、まさにそら恐ろしい思いさえいたします。
 主権在民、平和主義、基本的人権の尊重を基本理念とする現行憲法は、過去の忌まわしい体験や、国民の大きな犠牲に対する反省に基づく成果であり、崇高な理想の実現を目指すものであります。この憲法を遵守することを公約している三木内閣にこのような法務大臣がいることは、今後の三木内閣の憲法尊重の政治姿勢に対し危惧の念を禁ずることができませんので、今後厳重に監視していくつもりでございます。
 第三は、昭和四十七年度の財政及び経済運営についてであります。
 昭和四十七年度の経済は、田中内閣の出現によって、列島改造論の登場、財政の大盤振る舞い等によって、物価の騰勢はピッチを上げ、土地の買いあさりを促し、また国際収支の黒字の定着から、過剰流動性が生じていた経済環境是正に対処すべき重要な時期に打たれた手が調整インフレ政策であったために、インフレがますます促進されたのであります。
 さらに、四十八年度後半から石油ショックが発生するや、悪徳商法の横行を許し、世に言われる狂乱物価時代を現出して、国民生活を混乱と困窮に陥れました。
 この事態に対し、政府は、いわゆる総需要抑制政策をとり、今度は不況と物価高の事態を引き起こし、さらに国民を苦しめています。
 この不況の中においても、政府はなお、大企業本位の政策をとっております。中小企業倒産の続出、地方財政の危機、労働者の賃上げ抑制等に見られるように、経済政策失敗のつけを国民大衆に回していると言えましょう。
 政府の経済高度成長政策は、公害、自然破壊を深刻にし、人の命や健康をじゅうりんし、人心の荒廃をもたらし、生活環境を憂慮すべき事態に陥れ、完全に行き詰まり破綻をいたしまして、わが国の今日と未来に対し暗いものをつくり出しました。国民はさらに多大な迷惑をこうむっているのであります。これも四十七年度財政経済運営の失敗が大きな一因をなしているのであります。
 以上二、三の問題点を指摘いたしましたが、本件決算については、納得のいかない点が数多くあり、反対せざるを得ないのであります。
 政府は、よくこの点を反省するとともに、警告を尊重して、その趣旨の実現に対し、万全を期することを要望いたしまして、討論を終わります。
    ―――――――――――――
#140
○委員長(前川旦君) 安倍農林大臣から、イシコフ漁業相と外交要務のため退席したい旨の申し出があり、これを許します。退席していただいて結構です。
    ―――――――――――――
#141
○委員長(前川旦君) 今泉正二君。
#142
○今泉正二君 私は、自由民主党を代表して、昭和四十七年度決算外二件に対しまして、これを是認するとともに、委員長提案の警告決議案に対し、賛成の意思を表明するものであります。
 昭和四十七年度におけるわが国の経済は、前年の四十六年に起きましたいわゆるドルショックにより、冷え込んだ景気を政府の懸命な財政上のてこ入れにより、四十六年度後半には大きく回復させ、以後四十七年度に入ってからは順調に推移し、財政運営もよろしきを得て、経済の基盤は確保され、生活環境の整備拡充、福祉行政の推進等、充実した年度であったといえるのであります。これに加えて、沖繩返還、日中国交回復という、画期的な外交案件も解決されたのであります。しかし、財政執行等、各省庁別に事細かくこれを見ると、一部の省庁において、不効率な予算執行等、会計検査院から指摘された事項または本委員会の審査の過程において留意、反省すべき点があったこともまた事実であります。
 政府は、この際、国民の信頼にこたえるため、一層の努力を払い、今後なお、警告の意を体するとともに、姿勢を正し、財政運営の効率化と行政の適正化に心がけるよう要望して、賛成の討論を終わります。
#143
○委員長(前川旦君) 峯山昭範君。
#144
○峯山昭範君 私は、公明党を代表して、昭和四十七年度決算外二件を是認しないことを表明し、警告案に対しては、賛成の意を表明いたします。
 四十七年度決算を是認しない理由について、以下具体的に述べます。
 第一は、四十七年度予算編成の基本方針として掲げられた内外経済の調和のもとでの国民福祉の向上は、予算執行の結果実現されなかったのであります。たとえば、寝たきり老人等の施設は、昭和四十六年度を初年度とする社会福祉五カ年計画の最初の三カ年の建設が三一・九%しか進んでおらず、事業の達成はおよそ不可能と見られております。
 身体障害者の雇用も所期の目標が達せられていません。国は、身体障害者が働きがいを感じる職場とはどのようなものかをまだ十分に把握していないし、また職場を探してあげるような雇用についての行政努力が足りない。四十七年度は、求職の申し込みをした三万九百三十四人の身体障害者のうち、就職した者は六〇・二%、一万八千六百十二人にすぎず、四十八年度もほぼ同様である。身体障害者の雇用の促進については、国の機関がその先頭に立たなければならない法のたてまえにもかかわらず、必ずしもそうなっていない。こういう状況であります。
 その反面、田中前内閣のもとで行われた日本列島改造論に基づく地域開発が企業の土地投機をあおり、やがて年度後半の急速なインフレ現象と相まって、企業が巨額の利益をおさめるに至ったのであります。こういうゆがんだ経済環境の中で、マルチ商法というおかしな商法が横行し、被害者が多く出たことは見逃せません。
 まさに、田中前内閣の政治の第一歩は、国民福祉の軽視、企業利益の重視にほかならなかったのであります。
 第二に、田中前総理に対するいわゆる田中金脈について疑惑が深まったのであります。
 わが党は、田中金脈問題については、その多くの問題について、つとに究明を行い、全貌の解明を進めてまいりました。本来、現行憲法下においては、国政調査権に基づく国会の調査の前に行政府の守秘義務の問題は起こり得ないのでありますが、田中前総理に対する昭和四十六年から四十八年までの課税についての国税庁の見直し調査では、大きな誤りはなかった旨の抽象的な報告がなされたのみで、具体的な数字については、守秘義務を盾に一切公表されませんでした。しかし、仄聞するところによると、そこで発見された田中前総理の申告漏れは約六千万円にすぎないと言われ、追徴税額は約三千四百万円にとどまったようであります。しかも、追徴に当たっては、重加算税を課すべきであるのに、善意の納税ミスに適用される低率の過少申告加算税で済ませているのであります。
 田中前総理の金脈問題は、昭和四十七年、防衛庁の航空機調達の際に、調達先の三菱重工が巨額の政治献金を慣例上総理が実権を握るとされている国民協会に対して行った問題のほか、大手町公園の問題、虎の門公園の問題など、疑惑の解明を要する諸問題が山積しております。
 このように政治家として信頼しがたい総理のもとで集計された四十七年度決算は、これらの疑惑の解明なしに認めることはできません。さらに、三木内閣が、守秘義務を盾に税の問題を国民の前に具体的に明らかにせず、田中前内閣の傷口を覆う姿勢をとっている状況では、なおさらこれを認められないのであります。
 第三に、四十七年度決算の議決を前に、三木内閣の法務大臣が改憲集会に出席し、その上、当委員会で、現行憲法を欠陥の多い憲法などと発言し、これらの不穏当発言は取り消しましたが、依然として、改憲推進団体への法相の加盟は取りやめないことを三木内閣は表明したのでありまして、納得できないのであります。
 第四に、政府が決算を提出するに当たり、国会を軽視する姿勢をとった問題があります。すなわち、政府は、昭和四十七年度と四十八年度の二カ年度にわたって、輸出保険特別会計決算に添付した損益計算書及び貸借対照表の本来確定値であるべき保険料の数値を推計によって計上し、所管大臣である通産大臣は、これらの書類を大蔵大臣に送付するに当たり、自発的説明をしなかったことが、わが党の追及で明らかになりました。四十八年度には会計検査院が発見し、保険料推計額は十六億五千二百万円に上ると指摘するところとなり、これについて政府はコンピューター入れかえ時の操作上のミスなどと弁明しましたが、政府の決算提出姿勢は、要するに、四十七年度決算添付書類の推計額をほおかむりして国会に提出し、問題が起らなかったので、四十八年度も同様に処理しようとしたものと判断せざるを得ないのでありまして、まさに政府は、決算の提出に当たり、国会軽視の姿勢をとったと言えるのであります。後に、この推計額は確定額に訂正されましたが、これは単に計数の訂正の問題ではありません。
 また、田中前内閣は、四十七年度決算を推計額を含む書類を添付して国会に提出し、さらに、この推計額の書類を四十九年度予算に添付して提出するという国会軽視の予算、決算の提出を行いました。この田中前内閣の手法をクリーン三木をもって自任する現内閣がまねて、問題の四十八年度推計書類を五十年度予算に添付して国会に提出するという悪例を残しました。
 これらの問題は、すでに決着を見たのでありますが、顧みますと、政府は単に謝って訂正するなどの措置をしたのにとどまり、問題の処理について真に責任ある態度をとったとは言えないのであります。このようにして提出された四十七年度決算を認めることはできないのであります。
 第五に、四十七年度は、会計検査院の指摘事項が、百七十六件、十四億四千五百七十万円に上り、その範囲はほとんどの省庁にわたっており、依然として不当経理がその後を絶たないのであります。会計検査院の検査は、悉皆検査ではなく、主要検査個所を中心とした部分検査でありますから、不当経理の指摘は、九牛の一毛といわれるゆえんであり、未発見のものを含めて、不当経理を認めることはできないのであります。
 以上で討論を終わります。
#145
○委員長(前川旦君) 橋本敦君。
#146
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十七年度の決算に対し、これを是認することができない旨の反対の討論を行います。
 この決算に反対する第一の理由は、すでに昭和四十七年度予算編成の当時に明確に指摘しておきましたように、この予算が実は大企業本位の国民収奪の予算であり、防衛費の増額に見られるように、軍国主義の復活、国民生活破壊への道を一層進めるものであるということであります。そしてこの予算の執行の経過は、わが党の右の指摘が正しかったことを明白に証明しています。
 政府は、日米安保条約に基づき、経済協力という美名のもとで、アメリカのアジア侵略政策に全面的に従属的に協力をしてまいりました。この経済援助は、インドシナ半島の反共かいらい政権のてこ入れに集中的に向けられ、アメリカのアジア侵略に直接協力するものであり、日本とアジアの平和を守る立場からは絶対容認できない性質のものであります。ことし四月三十日、サイゴンが陥落をし、ベトナム人民の世界史的な勝利と、アメリカ帝国主義の見るも無残な敗北を全世界が目撃した現時点では、こうした政府の経済援助の不当性がますます明々白々となったものであります。
 反対の第二の理由は、この四十七年度予算の執行が大企業中心の高度成長を進めた反面、国民生活を一層苦しい状況に導いた問題であります。
 政府は、四十七年度予算の執行に当たり、公共料金を極力抑制すると約束していたにもかかわらず、その裏で国鉄料金の二三・八%を筆頭に、国立大学、公立高校の授業料、健保料、郵便料金、医療費等を軒並み値上げさせ、さらに巨額の赤字公債発行など、これと相まって、物価高、土地価格の騰貴、インフレを大きく促進させる結果となりました。
 しかるに、他方では福祉予算という呼び声とはうらはらに、生活保護費は東京標準で四人世帯わずか月額四万四千円という低水準にとどめおかれたのであります。
 この予算の執行の結果が何をもたらしたかは、やがてその後四十八年度に引き続く例の物価狂乱、国民生活が受けた深刻な打撃、大企業の法外な利潤を見ればいまやきわめて明白であります。
 予算の執行結果を全体的に見ましても、住宅建設費や福祉施設、文教施設整備費などの執行率などがきわめて低率にとどまっている反面、大企業本位の列島改造を推進する道路事業費等の執行率は非常に高くなっているなど、予算の国民犠性、大企業優先の性格は、この予算の執行過程で一層強化されたと言わねばなりません。
 反対の第三の理由は、予算の執行が財政民主主義に反している点であります。たとえばその資金が五兆六千億円を超える財政投融資計画が十分国会の審議にもかけられないまま実施され、その資金運用が企業機密を理由にして詳細に明らかにされていない問題であります。
 なお、国有財産無償貸付計算書については、わが党はこれの積極的な活用に賛成するものでありますが、その実施における不明瞭な点がありますので、これについては棄権の態度を表明いたします。
 さらに、公然とファッショ的な改憲運動に参加をした稻葉法務大臣の問題について、明確な責任を明らかにしない三木内閣の言行不一致の責任もきわめて重大であります。
 さらに、田中金脈問題について言うならば、当委員会での集中審議にもかかわらず、まだまだ疑惑の解明がなされておりません。四十七年度は田中氏が総理に就任をし、予算執行にみずから当たったものでありますが、新全総に明らかなように、列島改造計画の基盤づくりを進めつつ、これに乗じて田中氏は、みずからの田中ファミリー、田中金脈資産形成を大きく進めた年であったのであります。
 この意味で、四十七年度予算の執行は、田中金脈の重大な疑惑を生む背景と深くかかわりのあったものと言わねばなりません。その点でも、私は四十七年度決算に反対するとともに、当決算委員会が四十八年度も引き続き金脈集中審議を行い、この疑惑を解明すべきことを強く主張するものであります。
 なお、内閣に対する警告決議案に対しては、これに賛成するとともに、政府がこれを尊重し、誠実に実行するよう強く要求するものであります。
 以上をもって、日本共産党の態度表明を終わります。
#147
○委員長(前川旦君) 田渕哲也君。
#148
○田渕哲也君 私は、民社党を代表して、昭和四十七年度決算外二件について是認することに反対し、内閣に対する警告決議案は賛成の態度を表明いたします。
 以下、数点にわたって決算外二件に反対する理由を申し述べたいと思います。
 私どもは、決算審査に当たりまして、予算及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたかどうか、さらに政策執行の実績批判を行うという観点で、昨年八月以降鋭意努力を続けてまいりました。その中におきまして、田中前総理と関係企業に関するいわゆる金脈問題が提起されたのであります。
 わが党は、これらの問題の追及ないし解明の一翼を担ってまいりましたが、この際次の点を指摘しておきたいと思います。
 まず、金脈問題の本委員会での審査の過程における政府の姿勢であります。
 政府は、われわれ野党委員の要求する税務関係資料の提出について、守秘義務を盾に提出を拒み、しかも、課税状況についてようやく見直し調査に踏み切ったものの、調査に関する報告は、計算間違いとか解釈の食い違いがあったので、過去三年間について修正申告が行われたというにとどまり、何ら具体的な金額の報告は行わず、田中金脈問題の解明にはほど遠いものであったのであります。これでは誠意ある報告とは認めがたく、とうてい納得することはできません。
 政府が、総理といえども一納税者であることに変わりなく、調査には厳正な立場で当たっていると何遍繰り返しても、これでは一般納税者の行政当局に対する不信感はぬぐうことはできないのであります。
 また、私の指摘した新星企業がサンウェーブ工業から不動産を取得したことに対する地位利用や脱税、そして恐喝の疑いについては、何ら解明がされておりません。一体本気になって調査したのかどうか、時効ということで手をつけないのなら、国会の調査権を否定したものと言わざるを得ず、はなはだ遺憾なことであります。
 次に、四十七年度予算の目玉の一つとして喧伝された国民福祉の向上について指摘したいと思います。
 四十七年度は、これまでの高度成長の過程で生じた環境破壊や汚染などさまざまなひずみがより深刻な問題となった年であります。蓄積公害、公共建築物による日照権の問題、また空きかん公害等、国民生活に多大の悪影響を及ぼしており、また、自動販売機の急増に伴ういろいろなトラブルなど、これまでにない新しい形の問題が生じておりますが、これに対し十分な対策が講じられているとは言えません。私がこうした点を質疑の過程で取り上げましたのも、当時の佐藤内閣、引き続いて田中内閣は、国民福祉の向上を口では言いながらも、依然として産業優先の政策をとり、国民の生活環境を守るということに熱意が見られなかったからであります。社会・経済環境の変化が早ければ早いほど政府の施策とのずれが大きくなり、国民の福祉は後退することになるのであります。
 最後に、政府は、警告事項についてはすみやかに対策を講ずるとともに、決算審査の結果を将来の財政運営や予算編成上に十分反映させるべく努力することを強く要望いたしまして反対討論を終わります。
#149
○委員長(前川旦君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#150
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより順次採決に入ります。
 まず、昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算、昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十七年度政府関係機関決算書を問題に供します。
 第一に、本件決算は、これを是認すると議決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#151
○委員長(前川旦君) 多数と認めます。
 第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#152
○委員長(前川旦君) 全会一致と認めます。よって、昭和四十七年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決されました。
 次に、昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算書を問題に供します。
 本件につきましては、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#153
○委員長(前川旦君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決されました。
 次に、昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書を問題に供します。
 本件につきまして、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#154
○委員長(前川旦君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決されました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべきこれら案件の報告書につきましては、ただいまの本委員会の議決内容によりこれを作成することといたしまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#155
○委員長(前川旦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、関係大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。井出内閣官房長官。
#156
○国務大臣(井出一太郎君) ただいま御決議のありました田中角榮氏及びいわゆる同氏関連企業等の資産問題等の処理につきましては、十分その御趣旨を尊重し、今後とも努力してまいる所存でございます。
 また、三菱石油株式会社の重油流出事故につきましては、内閣におきましても、昨年末に石油流出事故対策連絡会議を設置いたしまして、各般の面から検討を加えているとともに、原状回復、環境影響調査、防災体制の整備等を積極的に推進しているところでございます。しかしながら、御指摘のあった諸点につきましては、改めて関係各省庁と緊密な連絡を図りまして、遺憾なきを期してまいりたいと存じます。
#157
○委員長(前川旦君) 河本通商産業大臣。
#158
○国務大臣(河本敏夫君) ただいま御決議のございました輸出保険特別会計の経理処理につきましては、今回このような事態を招き、御指摘を受けましたことを、深く反省いたしておるところでございます。今後御決議の御趣旨に沿って努力いたし、再びかかる事態の起こらないよう、十分留意してまいる所存でございます。
 また、御指摘のございました自動販売機に関する種々の問題につきましても、関係各省庁におきまして十分検討の上、御趣旨に沿うよう措置してまいる所存でございます。
#159
○委員長(前川旦君) 永井文部大臣。
#160
○国務大臣(永井道雄君) ただいま御決議がありました長崎大学医学部の入学試験問題漏洩に関する件につきましては、大学において必要の措置を講じつつあるところでありますが、御決議の趣旨に沿って同大学についてはもちろん、広く入学試験の公正の確保に努力してまいりたいと存じます。
#161
○委員長(前川旦君) 江藤農林政務次官。
#162
○政府委員(江藤隆美君) ただいま御決議のありました増養殖魚類に関する漁業対策につきましては、御趣旨に沿うよう、今後より一層所要の対策を強化充実してまいる所存でございます。
#163
○委員長(前川旦君) 村上郵政大臣。
#164
○国務大臣(村上勇君) ただいま御決議のありました郵便業務の正常運行につきましては、御指摘の御趣旨に沿うよう、遺憾なきを期してまいりたいと存じます。
#165
○委員長(前川旦君) 長谷川労働大臣。
#166
○国務大臣(長谷川峻君) 勤労者の生命と健康を守ることはきわめて重要なことでありますので、私は従来よりこれを労働行政の最重点課題の一つとして必要な対策の推進に努めております。このような観点から、特に最近では事業者等の行う作業環境測定の適正化を図る作業環境測定法案を国会に提出し、去る四月御審議の結果御承認を得たところでもあります。しかし、ただいま御決議のありました作業環境の測定等のための機器類の整備につきましては、従来からこの整備について努力してきたところでありますが、今後とも引き続き、その整備に努めてまいりたいと存じます。
#167
○委員長(前川旦君) 以上で関係大臣の発言は終わりました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト