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#1
第075回国会 建設委員会 第15号
昭和五十年六月二十六日(木曜日)
   午前十時二十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 波男君
    理 事
                上田  稔君
                大森 久司君
                増田  盛君
                沢田 政治君
    委 員
                遠藤  要君
                上條 勝久君
                古賀雷四郎君
                坂野 重信君
                寺下 岩蔵君
                中村 禎二君
                望月 邦夫君
                小野  明君
                小谷  守君
                松本 英一君
                田代富士男君
                二宮 文造君
                上田耕一郎君
                春日 正一君
   国務大臣
       建 設 大 臣  仮谷 忠男君
   政府委員
       国土庁土地局長  河野 正三君
       国土庁大都市圏
       整備局長     小幡 琢也君
       建設政務次官   中村 弘海君
       建設大臣官房長  高橋 弘篤君
       建設省計画局長  大塩洋一郎君
       建設省都市局長  吉田 泰夫君
       建設省河川局長  増岡 康治君
       建設省住宅局長  山岡 一男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村田 育二君
   説明員
       農林省構造改善
       局農政部長    犬伏 孝治君
   参考人
       住宅金融公庫理
       事        沖  達男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○都市再開発法の一部を改正する法律案(第七十
 二回国会内閣提出、第七十五回国会衆議院送
 付)
○大都市地域における住宅地等の供給の促進に関
 する特別措置法案(第七十二回国会内閣提出、
 第七十五回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村波男君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 都市再開発法の一部を改正する法律案及び大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法案の審査のため、本日、住宅金融公庫の役職員を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中村波男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(中村波男君) 次に、都市再開発法の一部を改正する法律案及び大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法案を一括議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○松本英一君 昭和四十四年に都市再開発法が制定をされた際に、特に国会の要望に基づき、第五条の「住宅建設の目標の設定義務」の規定が加えられました。住宅不足の著しい地域における市街地再開発事業に関する都市計画においては、住宅不足の解消に寄与するよう、市街地再開発事業により確保さるべき住宅の戸数、その他住宅建設の目標を定めなければならない旨規定をされましたが、今日まで住宅不足の著しい地域での市街地再開発事業はどのくらい実施をされ、また、それによりどれほどの住宅が建設をされ、また、建設が予定をされておるのか、三点につき具体的に御説明を願いたいと思います。
#6
○政府委員(吉田泰夫君) 現在、市街地再開発事業は、主として大都市地域と、地方都市でも地方の中心的な都市において施行されているものですから、そういう意味では、地域としては市街地再開発事業は大体において住宅不足の著しい地域で行われているということになります。ただ、その地域のうちで、実際に事業の施行され、また予定されている地区は、大部分がそれぞれの都市の中の駅前地区とか、あるいは商業の中心地区でございますために用途構成上住宅区分は多くないのが実情でございます。現在までの市街地再開発事業による住宅建設の戸数及び計画が決まりましたものの予定戸数を申し上げますと、まず地方公共団体施行では都市計画決定済みの地区が三十三地区ございますが、そのうち十九地区につきまして合計三千八百三十戸でございます。次に組合施行の都市計画決定済み個所は二十二地区でございますが、そのうち四地区につきまして四百九戸となっております。さらに日本住宅公団施行の再開発事業は、五十年度に都市計画決定を予定されております三地区におきまして五百五十戸の計画になっておりまして、合計全国で二十六地区で四千七百九十戸程度が開発事業により住宅が建設され、あるいはその計画がなされている状況でございます。
#7
○松本英一君 いまのお話によりますれば、戸数、そして実施、これは住宅不足の著しい地域における市街地再開発事業は余り芳しくないという御答弁であります。その理由は何でありましょうか。また、住宅不足の解消に寄与するための市街地再開発事業が余り実施をされていないという理由について御説明を願いたいと思います。
#8
○政府委員(吉田泰夫君) 従来行われてきましたものは、街路、駅前広場等の公共施設を整備して交通上の支障を解決することとあわせまして、商業業務機能の再編成を行うというような目的で、駅前の周辺地区とか中心の商業地区での再開発が多く実施されてきたわけでございます。その都市全体としては住宅不足の著しい場所でありましても、そういった地区の性格から、土地を高度利用し、かつ土地利用を純化するということになってまいりますと、権利者で地区内残留を希望する場合などを除きまして、新しく保留床等として住宅を供給するということが事実上なかなか困難であったということでございます。要するに地区の選定、実施状況がこういった商業地区に偏っておったという点が最も問題であります。今後はこの再開発法改正案を機会に各種の助成措置も強化いたすことにしておりますから、いままで事業がなかなか困難と思われていた住居地域等においても漸次可能となってまいると思いますので、今後はそちらの方に大きなウエートをかけたいと思いますが、従来の実績並びにその実情はそういう状況であったわけでございます。
#9
○松本英一君 商業地域に偏っておったという御答弁であります。現在のように市街地再開発事業の事業費を増加する床の売却によって賄うという方式をとっておる限りは、増加する床を住宅用にすることはきわめて困難であると考えます。なぜならば、毎年高くなっていく事業費を増加床の売却で捻出しようとすれば、住宅としてはきわめて高額なものとなり、賃貸住宅としても高家賃となるからであります。したがって、市街地再開発事業による住宅建設を促進しようとすれば再開発住宅に対する大幅な助成措置が必要となると考えますが、再開発住宅にどのような助成の措置をとってこられたか。また、今後どのような助成の措置を講ずる用意があるのか、明らかに御答弁を願いたいと思います。
#10
○政府委員(吉田泰夫君) まず、再開発事業による建築費が非常にかかりまして、それが割り当てるものですから保留床の単価も高くなるということになっております。まあこの場合に、かかる建築費そのものを動かすわけにいきませんけれども、その中で、再開発事業の原価計算としては、控除できる費目をふやせばふやすほど権利床はもとより保留床についても格安に提供できるということになります。そのために、まず昭和四十九年度の予算から保留床の延べ床面積の三分の一以上が公的住宅である施行地区につきましては、この場合公的住宅というのは公庫融資住宅も含んだ広い意味でございます。そういう場所につきましては、関連する通常生ずる損失の補償、つまり既存の建物を取り壊したり、それの買収費相当額を払ったり、あるいは移転補償費を払ったり、仮住居費や仮店舗費を出すといった、いわば価値の増加につながらないそういった費目、しかも必要な経費、こういったものを新たに補助対象に加えることにいたしました。これによりかなり住宅の原価を引き下げることができるはずでございます。
 さらに、同じく四十九年度予算から再開発住宅に対する国庫補助制度を新設いたしました。これは地方公共団体が国庫補助を受けて建設し、または購入する再開発住宅というものにつきまして、収入制限なしに借家人等の関係権利者の希望に基づいて優先的に特定入居させるものでございます。また、五十年度予算からは新たに日本住宅公団施行の再開発事業につきましても、組合施行の場合と同様な国庫補助を行うことにいたしました。
 次に、住宅金融公庫融資につきましては、従来住宅金融公庫からは相当な住宅部分、四分の一以上の住宅部分を持つ場合に、その建築費につきまして市街地再開発組合及びその参加組合員に対して融資することになっておりますが、さらにこの融資を受けて建設されました再開発ビルを購入するものに対しましても融資しております。ただ、従来は建設費を公庫から融資を受けた場合に限り購入についても融資が受けられるということで、建設について融資を受けない地方公共団体施行の場合には、その保留床の購入者にも公庫融資はいかないことになっておりましたが、本法の改正によりまして、そういった公共団体施行で建設費融資を伴なわないものも購入費だけの融資が開かれたのでございます。
 それから関係権利者によります保留床の取得を容易にするために、同じくこの法律案の中で、関係権利者の居住または業務の用に供するため必要な保留床につきましては、公募によらないで特定分譲を行うことができることといたしました。と同時に、四十九年度予算からこの保留床を購入する関係権利者に対します公庫融資の限度額を一般の場合よりも高めまして、九〇%にしたものでございます。
 さらに、五十年度予算で相当の住宅部分を有する再開発ビルを建設する個人施行者にも融資する道を開きました。こういったことのほか、全般的に再開発事業に対する各種国庫補助を拡充しておりますので、そういったものが相寄りまして施設建築物の原価の引き下げにつながっておりまして、そういったものがひいては家賃の軽減につながるという次第でございます。
#11
○松本英一君 市街地再開発事業に対する住宅金融公庫の融資制度の概要と、これまでの実績について、住宅部門と非住宅部門とに区別をして住宅金融公庫の方から御答弁を願いたい。
#12
○参考人(沖達男君) 住宅金融公庫の理事で貸し付けを担当しております沖でございます。
 お答え申し上げます。
 公庫におきましては、住宅金融公庫法の十七条の業務の規定に従いまして貸し付けの業務を行っておりますが、その業務の一つといたしまして、この再開発事業に対する融資というものがあるわけでございます。再開発事業に対する融資としましては、ただいま都市局長からも御説明が若干ございましたように、建設資金を融資いたしますとともに、建設された建築物内の住宅または非住宅部分を購入する方々に購入資金を融資しております。
 まず、建設資金でございますが、建設資金の対象となる建築物は、都市再開発法に基づく施設建築物及び防災建築物、それから都市計画法に基づく特定街区内建築物、高度利用地区内建築物及び建築基準法に基づく総合設計建築物でございまして、いずれも相当の住宅部分を有する建築物ということに限られております。これらいま申しました特定街区内建築物等に対する融資は、有効な公開空地を十分確保するということなどによりまして市街地環境整備上優れた計画を有するもので、市街地再開発事業に準ずるものを対象としております。
 そこで、建設資金の貸付条件でございますが、まず、貸し付けの金利は、住宅部分年八・二%、非住宅部分年九%。償還期間は、住宅部分二十年以内、非住宅部分は二十年以内で、その中に三年以内の据え置きを含むことができるというふうにしております。それから貸付金額は公庫が定める基準建設費の七五%以内ということにいたしております。
 それから購入する方々に対する購入資金の貸し付けでございますが、この条件を申し上げます。住宅部分につきましては、住宅をみずから居住するために購入する方々に対しては、年利率五・五%、償還期間三十五年以内、貸付金額は最高六百五十万円まで融資しております。また、従業員用社宅や貸し家業を営む等の場合にありましては、年利率八・二%、償還期間二十年以内で、貸付金額は基準建設費の七五%を融資しております。次に、非住宅部分につきましては、年利率九%、償還期間二十年以内。その中に三年以内の据え置き期間を含むことができます。それから貸付金額は基準建設費の七五%を融資しております。市街地再開発事業が行われております地区の関係権利者で、建物の所有者または借家権者が、公庫の貸し付けを受けて建設された施設建築物等を購入する場合には、通常の融資率、すなわち七五%よりも引き上げまして、九〇%の融資を行っております。
 最後に、融資の実績でございますが、都市再開発事業資金融資を始めたのが昭和四十六年度からでございまして、その四十六年度から四十九年度までで六十九件。住宅部分は八千七百五十戸、二百三十五億余、非住宅部分は十六万一千五百八十平米、九十四億余、合計三百三十億余となっております。
#13
○松本英一君 衆議院の建設委員会の附帯決議の中で「保留床を公的住宅等の公共的施設に優先的に活用するよう十分配慮する」とありますが、保留床を公的住宅に活用するためには、従来の公団住宅と公営住宅との中間に位置すると考えられるような第三の住宅として新しく再開発住宅の制度を法制化し、必要な補助制度を確立し、その住宅対策上の位置づけを明確にすべきではないかと考えますが、これに関する本省の御説明を願いたいと思います。
#14
○政府委員(山岡一男君) 広い意味の再開発住宅といたしましては、先ほど都市局長から述べられましたように、公団住宅、公営住宅、公社住宅等々がございます。その中の一つといたしまして、予算補助によります再開発住宅制度というのを発足させておりますが、これは借家人、零細権利者等の方々で、公的賃貸住宅への入居を希望される者に対しまして、収入制限のない特定入居のできる公的賃貸住宅を供給するという目的で始めたものでございます。したがいまして、公営住宅等のように一般的な住宅困窮者等を対象としたものとは若干異なる目的を持っております。したがいまして、先生御提案のように、そういうものの住宅対策上の位置づけというものは今後検討をしなければならぬと思っておりますが、現在のところ、本制度は発足後まだ日が浅いというようなこともございます。傾斜家賃の定め方等につきましても、地区ごとに実情を十分勘案しながら、相談をしながら進めておるというのが実情でございます。内容につきましても今後さらに充実したいと考えております。当分の間、法制化するということの前に、予算補助によります弾力的な活用を図りまして、制度の成熟を図りたいと考えております。なお、そういうものが成熟いたします際には、先生おっしゃいますような法制化の方向についても十分検討したいと考えておる次第でございます。
#15
○松本英一君 都市再開発は都市の機能改善と環境の整備を行うための事業でなくてはなりません。そのためには市街地再開発事業の計画の策定に当たって、当該地区の生活環境の改善が何よりも優先されなければなりません。単に当該地区の土地の高度利用をのみ図るだけのものであってはならないと考えておりますが、大臣の御所見を伺いたいと存じます。また、事業計画の認可に当たっては、この点十分留意されていると思いますが、具体的な取り扱いについて御答弁を願いたいと思います。
#16
○国務大臣(仮谷忠男君) 具体的な問題は局長から御答弁を申し上げますが、再開発法の趣旨はおっしゃるとおりでありまして、都市の環境の悪化、防災の必要性、それからあわせて住宅の不足に対する対処、そういった問題を取り上げておりますが、やっぱり大都市は非常に環境が悪化しておりまして、一朝事あるときには大変な災害を受けるし、人命財産に重大な影響を及ぼしますから、そういう意味で環境を十分に整備して、そうして防災体制を完全なものにすると、こういうことが基本でなければならない。そういうような観点で従来も再開発を進めてまいったわけでありますが、さりかといって、大都市の中心地域には特に住宅困窮の者が非常にあって、住宅対策を含めて考えるということになりますと、今後はそういった面にやはり重点的な再開発の焦点が置かれていかなければならぬということも当然でありますが、ただ、土地の高度利用という問題だけでなしに、おっしゃるとおり環境の改良と防災対策の強化ということがやはり重点に置かれて当然考えていかなきゃならぬ、これは法の精神だと思っておるわけであります。
#17
○政府委員(吉田泰夫君) ただいま申し上げましたような趣旨に即し、生活環境の改善が図られますように、事業計画の認可に当たりましても具体的に協議を重ね、指導もしながら認可しているという状況でございます。事業計画の認可には、その基準として、市街地再開発事業に関する都市計画に適合することが必要でありまして、その市街地再開発事業に関する都市計画につきましては、公共施設の配置及び規模、施設建築物及び施設建築物敷地の整備に関する計画を定めることとなっており、その中で道路、公園等の公共施設、オープンスペースの配置とか、建築物相互間の開放性の確保、利用者の利便、地区にふさわしい容積、高さ、配列、用途構成、こういったものが定めなければならないことになっておりまして、こういった具体的基準に即し、個々の地区について十分審査の上認可している実情でございます。
#18
○松本英一君 少なくとも一生活環境の改善に資するための市街地再開発事業というのであれば、施行地区内に十分な公共施設用地やオープンスペースが確保されなければなりません。言うまでもなく、少なくとも施行地区内の人口密度の増加を来さないようにすべきだと考えますが、本省はどのようにお考えでございましょうか、御答弁を求めます。
#19
○政府委員(吉田泰夫君) いろいろな場所によりまして、計画前と後の人口、特に夜間人口の変化があり得べきものと思います。つまり、職住近接、夜間人口がなくて昼間人口ばかりであるというような、夜間に関する限りドーナツ化現象というようなこともありますから、こういった場合には極力、上に保留床等新規に供給するものを住宅として供給するということになれば夜間人口はむしろふえると思いますが、これはそういうことがむしろ必要だという地区で行われるわけでございます。昼間人口については、どうしてもかなりオープンスペースはとりますものの、高度利用を図るわけですから、床面積は相当大幅にふえるわけでございまして、床面積に比例するわけではありませんが、それに近い程度の人口は昼間としてはふえると思います。こういった昼間、夜間の人口の増減に対応いたしまして、その地区及びその周辺における各種公共施設の取り合わせというものが非常に重要となってまいりますので、そういった総合的な計画のもとに、再開発事業によって高度利用されましてもマイナス面が出ないよう、いい結果だけが生まれるよう配慮しなければならないと戒めておる次第でございます。
#20
○松本英一君 昼間人口、夜間人口の点につきまして、これまで実施をされました、また現に実施中の市街地再開発事業について、施行前後の施行区域の人口密度の変化を調査をされたことがありますか。昼間働く人々を含めて人口密度の変化を調査する必要があるのではないかと考えますが、御答弁を願います。
#21
○政府委員(吉田泰夫君) もちろん個々の地区については、現在人口を把握し、新しい再開発計画による想定された昼間、夜間の人口も計画のうちに組み入れて設計しているわけでございますが、全体として調査を実施したことはいまだございません。まあ先ほど申しましたように、大方の傾向としては、現在行われている場所は商業業務地区が大部分でありますために、再開発後は夜間人口はむしろ減少しているものと思われ、逆に昼間人口は床面積の拡大に伴って、これは大体四、五倍程度にはなると思いますから、これに近い昼間人口の増加の結果を来していると推定いたしております。まあ現在のところ、まだ再開発事業の施行地区もはなはだ少なく、かつ小規模でありますために、都市全体の、あるいはそのあたり一帯広くとらえた地区の人口密度に影響を及ぼす程度には至っておりませんが、今後私どもの念願いたしますように本格的に大規模に再開発をやっていこうということになりますと、当然御指摘のような人口密度の変化というものにも十分留意しなければなりませんので、このための調査も必要になってくると思います。十分心にとめて今後の計画を進めていきたいと思います。
#22
○松本英一君 いままでは調査をされていないという御答弁でありますが、もう一度念を押します。調査をされる必要があるとの御答弁でありますが、そのように理解してよろしいですか。
#23
○政府委員(吉田泰夫君) 全体としての調査はぜひしたいと思います。今後はその必要性もますます高まると考えております。
#24
○松本英一君 施行地区の土地の利用の高度化を図って、建築物の高層化によって市街地の再開発を行い、増加した床を保留床として、その処分で事業資金を捻出するという現在の再開発事業の仕組みでは、どうしても事業資金確保のために建築物の密度の増加が必要であります。その結果は、施行地域の人口密度の増加となり、都市の再開発は都市の過密化に拍車をかけるものと考えられますが、このような批判を甘受しなければならないことになる点について本省の御所見を伺いたい。さらには都市の過密化につながらない再開発を行うためには、オープンスペース等の増加分に対し国が補助を行う等の措置を講じなければならないと考えますが、具体的な方策を検討されておるかどうか御説明を願いたいと思います。
#25
○政府委員(吉田泰夫君) 生活環境の改善のために、おっしゃるとおり地区内に十分な公共施設、なかんずくオープンスペースを確保しなければならないと考えております。そういったことによって建築面積自体は大幅に縮小するはずでございますが、何分にも相当高度利用を図りますから床面積としてはふえる。このふえました床面積も、できるだけ従来狭小過密に悩んでいた地区内権利者等の増し床などに活用することによって、床面積のふえたわりには人口がふえないというようなことも十分配慮しなければならないと考えます。保留床の処分金で事業資金に充てるという仕組みは、これは再開発事業によって建築物を新しく生み出すわけですからやむを得ない仕組みだと考えますが、しかし、そのために無理にやたらに高密度化して床をふやし採算を有利にしようという動機が働くことが考えられますので、そういったことによって不必要な混乱を招くことのないよう、先ほど申し上げました再開発事業の都市計画決定におきましても、全体の容積率あるいは建物の配置、高さ等、最低限度のものは規制いたしますとともに、具体的な事業の進め方につきましても、そのような無理な保留床をふやすという計画でなくて事業が進められるよう、これには結局国庫補助等の優遇措置を拡大し、公共団体の費用負担と合わせて、事業資金の収支計算からそういったものを除いていける仕組みをつくることが先決であります。そういったことも従来もやってまいりましたし、今後もさらに一層努力して、必要な個所には必要な国庫補助金が配分できますよう最大限の努力を払いたいと存じます。
#26
○松本英一君 英国では、わが国とは逆に、都市の再開発によって施行地区内の人口密度を減少させ、減少させられた人口を郊外で新しく開発したニュータウンに収容する方式をとっていると住宅関係の本に書かれておりまするが、わが国でも市街地再開発事業によって地区から出る人々に対し、郊外の公団住宅等を優先的に割り当てる等の措置を講じなければならないと考えておりますが、市街地再開発事業と他の住宅政策が別々に行われている現状を改めて、両者の間に関連性を持たせるような施策を講じることが市街地再開発事業の促進にもつながると考えますが、本省の御所見を伺いたいと思います。
#27
○政府委員(吉田泰夫君) わが国の場合は、必ずしも再開発事業によって住民――夜間人口というものを外に出すという必然性は少ないのではないか、そういう場所は余りないんではないかと思いますが、いずれにいたしましても再開発事業によっていろんな事情から地区外に転出を希望される方、転出を余儀なくされる方もございます。こういった方々のためには公営住宅法に基づいて公募なしに公営住宅に入居できる制度、あるいは同じく公募なしに住宅公団の賃貸住宅に入居できる制度がすでに開かれておりまして、その場合、郊外の住宅を希望される方には郊外のそういった住宅に優先的に入居させるよう措置しているところでございます。本省における所管は局が分かれたりしておりますが、各都市における事業の実態につきましては、御指摘のような住宅政策と再開発政策をあわせまして、両々相まって円満な事業の施行を図られるよう極力努めているところでありまして、そうは言ってもなかなか不十分な点もございますから、御指摘を機会に今後一層そういった一体化の方向で体制を整えたいと存じます。
#28
○松本英一君 環境優先の問題につきましては建設大臣から御答弁をいただきました。再開発事業は人間を法律で縛ることに始まるわけであります。人間関係が一番大切なこの事業を、法律はこう書いてあるからということで人間や権利を動かすことになるわけであります。これは基本的に誤りであります。事業の施行に当たっては人と人との信頼関係が一番大切なことであり、これまた大事にされなければなりません。したがって、法の運用も人間関係を重視して弾力的に運用すべきだと考えておりますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#29
○国務大臣(仮谷忠男君) 全くそのとおりであります。ただ、この再開発法は、法律で強制的に全部というよりも、むしろ関係権利者によって自発的に再開発を進めていくと、それに対して国の方は積極的な力を添えていこうと、こういうわけでありますから、最初から地域住民の意思を無視して法律で全部縛ってしまうということではございません。そういう意味において、関係権利者の意見を十分に尊重しながら一体になってやらなければこの事業というものは円滑に遂行できないと思います。お説はごもっともでありまして、そういう方針で今後は進めてまいります。
#30
○松本英一君 主要建設資材等の高騰、労賃の値上がり等の社会経済情勢は激しい変動を来しております。ところが、再開発はまず当初に固定してしまうもの、また固定しなければならないものがあり過ぎます。事業見込み額、権利床価格、建築原価、保留床価格、起債見込み額等がございますが、これが今日再開発事業を困難にしている原因であると考えます。急激なこれら主要建設資材の値上がり等に対してどのような対応策をお考えでありますか、御答弁を求めます。
#31
○政府委員(吉田泰夫君) 地価が比較的鎮静したにもかかわらず、建築費が著しく増高いたしまして、その結果、現に施行中の再開発事業につきましては、すでに地区内権利者に約束した権利床価格を引き上げるわけにもいかず、まあそういったものを保留床に割り掛けて十分処分できれば何とかしのげるんですけれども、それも思うに任せないというようなことで大変難渋した個所が幾つもございます。今後におきましては、再び経済が安定に向かいつつありますから、この新しい事態に即して計画が練られる限り、そう無理なくやれると思いますけれども、この物価狂乱以前に計画され、この狂乱の波をまともにかぶった事業について御指摘のような事情がございまして、これにつきましては私どももなかなか十分なこともいたせませんでしたが、若干の国庫補助金をそういったきわどい時期に遭遇いたしました個所に優先的にかなり思い切って投入するなどいたしまして、それによって何とかしのいでいっていただいたものでございます。まあ今後このような経済の激変というものはないことを願うものでありますが、いろいろな事態に対処できるよう私どもかねてから検討しておかなければならないと考えております。
#32
○松本英一君 再開発事業は単にその施行区域だけのものではありません。広域的な生活圏とまではいかなくとも、少なくともその県、市、地域全体にとってどうした役割りを持つかということが重要なことと考えておりますが、全県的あるいは全市的見地に立つ再開発計画として、街路、広場、公園、住宅対策、商店街対策が盛り込まれ、その中で市街地再開発事業が実施に移されるべきだと考えますが、この点についてどのような配慮がなされておるのか御説明を願いたいと思います。
#33
○政府委員(吉田泰夫君) 御指摘のように、都市全体の再開発計画のあり方、いろいろこの法律に言う市街地再開発事業のみならず、各種の他の根拠に基づく広義の再開発を含めまして、こういったものを配慮するとともに、その基盤となる街路、公園、交通施設、こういった計画が基礎になって、整々たる計画のもとに再開発を実施するということが最も重要であります。私どもそういうふうに心がけ、各公共団体にも通達により指導してきたところでございますけれども、一面やはり再開発事業というのは、現に多数の人が住み、営業しておられる場所でありまして、そういった方々の大方の御意向というものが再開発の機運に向きませんと、これを一方的にどうしても再開発するのだと言っても実際上もできませんし、またそこまでしてやるべきかという問題がございます。その辺を考えますと、計画的に整然とと申しましてもなかなか限界がございまして思うようにはいきませんが、まあしかし、何のめどもなく行き当たりばったりに一カ所一カ所拾っていくということではもちろんいけないわけでありまして、せめてそういったいきなり再開発事業をするというのではないけれども一、本来再開発が必要な場所ですよとか、こういった手法で再開発をやればやれそうな場所ではないでしょうかといった選定基準あるいは大きな意味の地区選定の方針のようなものを定めまして、それによって地区内の権利者にも徐々にそういった機運が浸透していくということを期待し、また公共団体側としてもそういったものを後に持って地区住民と折衝に当たるというような体制が当面必要ではないか、こう考えておる次第でございます。
#34
○松本英一君 今日、都市の防災機能強化あるいは生活環境改善の見地から都市の再開発の必要性が強く主張されているにかかわらず、容易に市街地再開発事業が進展しない理由に、事業の実施に当たる地方公共団体に専門の職員の人々がいないことが挙げられております。都市再開発事業が遅々として進まない一つの理由として、普通の人間の限界を超えた仕事をさせようとしているからではないだろうかという疑問が、それら担当者の中から出されております。どちらを向いてもただ非難をされ、説得に回り、妥協せざるを得ない星のめぐり合わせは、担当者にときにひどい絶望感を感じさせております。したがって、再開発の事業は都市計画や建築のほかに私法関係の法律にも通じている専門職の職員を必要とされるものと考えます。再開発事業を担当する専門の職員の養成についてどのような対策を実施し、また今後どのような方策を講じられようとされるのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#35
○政府委員(吉田泰夫君) ちょっと私からお答えさせていただきます。
 これからの都市再開発を強力に推進していくためには、まずできるだけ権利者等民間による再開発を誘導することが必要でありますし、また公共団体がみずから施行しなければならない場所もありますから、そういった場所では直接施行する体制というものが必要になります。その体制としては組織の面もさることながら肝心の、有能で手なれた、知識も持った専門職員というものがなくてはどうにもなりません。御指摘のように、再開発事業は広い意味の再開発も含めればある程度の歴史はありますけれども、一カ所について相当の人数が常時張りつくというようなことまでいたしませんと、十分機運を醸成して指導していくということもできませんので、そういう意味では思いのほかに人手がかかるものでございます。できるだけ民間にやっていただければ指導助言等で済みますから、みずからやる場合よりは相当手が省けると思いますけれども、それにしても相当きめ細かな指導助言が必要だということになります。現在の養成状況としては、いわゆる講義あるいは研修のような形で組織立って行われておりますものは、たとえば建設省の付属機関の建設大学校で地方公共団体の職員を集めまして毎年一回研修課程を行っております程度のものでありまして、その他二、三日程度の講習会は都市計画協会等でも行っておりますほか、地方公共団体相互間でも会合を持ちまして、それぞれの体験、知識を交換し合うというようなこと、あるいはセミナー等を行っているわけでございます。御指摘のような組織立ったもの、かつ大量に行っている体制は現在のところございません。なかなか机上の知識だけでは役立たない面も多く、何としてもやはり実地に経験を積んでいくということが大事ではないかと考えております。
#36
○松本英一君 今回の改正で個人施行の事業が認められることになりましたが、個人施行や組合施行の場合、計画から事業の実施、さらに完成後の生産段階まで一貫して指導、相談等に当たる民間コンサルタントが必要不可欠であることは言うまでもありません。このような再開発事業ぐらい関係する法令の多いものはないと思います。法律に疲れ果ててしまい、同時にそれは関係官庁とのつき合いがそれだけ範囲が多くなるということにつながるわけであります。地元権利者、いわゆる地権者、関係商店街、金融機関、コンサルタント、建設業界、報道関係者、テナント等々のほかに関係官庁等、再開発事業を行うことは、こうした多くの窓口の中に担当者もろとも埋没してしまうものでありますが、再開発事業の促進を図るためには官庁の窓口の一本化、諸手続の簡素化が必要であると考えますし、また再開発を担当する専門の民間コンサルタントの養成についてどのような方策を講じられる用意があるかどうか御説明を願いたいと思います。
#37
○政府委員(大塩洋一郎君) 民間コンサルタントについて御説明いたします。
 再開発部門のコンサルタント業務につきましては、大臣告示によりましてコンサルタント登録規程というものが実施されておりまして、その中に都市計画及び地方計画部門というところで再開発のそういう業務も含めてその登録を行っております。それに登録されました業者につきましては、受注機会の確保を図るとか、あるいは金融の前払い保証等による円滑化を講じることによりまして助成をして、その養成に努めているという状態でございます。今後ともこういった再開発部門のコンサルタント業の振興を図りたいということで、これはほかにも区画整理部門のコンサルタント等についての要望もございます。そこで、そういう実態をよく調査いたしまして、制度上の問題につきまして関係省庁含めて検討してまいりたいと思っておりますが、このコンサルタント登録規程における登録部門につきましては、技術水準の向上ということが、維持ということが必要でございますので、技術士法という法律が科学技術庁の所管でございます。その本試験の中の選択科目というものの中に、現在のところではいま申しました都市計画及び地方計画の部門という部門しかございません。この再開発部門を独立してつくるということにつきましては、そちらの方のもとの方を直していく、これとリンクさせるということが必要だと考えておりまして、そちらの方の追加につきましては、技術士法を所管しております科学技術庁の方とも今後よく連絡をとって検討してまいる所存でございます。
#38
○松本英一君 大臣も御承知のように、最近の主要建設資材の高騰、いまは横ばいという言葉が表現をされておりますけれども、これはあくまでも高値における横ばいであることを前提としてお考えを願いたいと思います。これに伴い事業費の大幅な増加を招き、等価交換を原則とする現行の都市再開発方式では、施行後与えられる床面積が施行前の面積の三割にも満たないという事態を発生し、等床交換を求める権利者の要求とぶつかり、再開発事業の実施をきわめて困難なものにしているのが現状であります。このような事態に対し、建設省はどのような対策を講じようとされるのか御説明を願いたいと思います。
 同時に、これが解決のためには、再開発事業の公共的な面に対する国の補助を大幅に増加させる必要があると思います。四十八年の都市計画中央審議会の答申の中でも、クリアランス等、価値の増加をもたらさない費用に対する補助、施設建築物の共同部分に対する補助、防災機能強化に対する補助、再開発住宅に対する補助等を掲げ、国の補助の強化を求めておられます。これら再開発事業の公共部門に対する国の補助の強化に対する建設大臣の御方針を伺いたいと思います。
#39
○政府委員(中村弘海君) 先生の御質問の後段になります、再開発事業に対する国の補助を大幅に増加させる必要があるのではないかという御質問でございますが、今後の市街地再開発事業の大幅な推進が図られるよう所要事業費の確保を図る所存でございますけれども、なお将来につきましては、今後の実施上の経験を通じまして必要な融資その他の助成措置の拡充を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
#40
○政府委員(吉田泰夫君) 等価交換の原則と申しますのは、必ずしも再開発法に限ったものではなく、より普遍的に一般の公共事業の場合の金銭補償にかえまして等価値の新しい権利を与えよう、現物で補償しようというそういう仕組みの制度でございます。そういったことですから、再開発事業の場合だけこの等価交換の原則を振りかえるというわけにはまいらないわけでありますが、しかし、実際には現に居住し営業しておられる方の生活再建が図られなくては権利の保護にも欠けるし、また実際にも事業ができないことになります。そういうことで、各公共団体等実施主体におきましても、何とかせめて標準的な権利者についてぐらいは結果的には等床交換ができるように配慮してきているところでございます。これがすべて公共団体の持ち出しによって行われるということでは国としても責任を持った態度とは申せませんので、ようやく近年漸次一般会計等の国庫補助を拡充してまいりました。現在の国庫補助の仕組みは、補助対象範囲において相当広がっておりますから、これが金額的に満配されるようになってまいりますれば相当原価の引き下げに役立つものと思います。つまり、等床交換に結果的には近づけるということになります。まだ制度の方が先行いたしまして、肝心の予算額の伸びが不十分であります。伸び率としては相当高いんですけれども、絶対額としてはなはだ不足しておりますので、今後ともこのせっかく認められた補助対象が広く、文字どおり補助されるように、そのための補助金額の確保というものに最大の力点を置いて実施したいと考えております。
#41
○松本英一君 持ち時間でありますので、その制約を守ります。
 最後に、今回の改正で用地買収方式による第二種市街地再開発事業が新設をされることになりました。この事業の実施に当たっては、従来の権利交換方式による再開発事業に比べ、はるかに巨額の事業資金が必要になることは当然であります。事業を実施する地方公共団体が、この巨額の資金を調達することができるかどうかが最大の焦点とも言えるわけであります。この点について建設省はどのような方策を用意をしてあるのか。今後とも好転が望めない地方財政の現状では資金調達は容易ではございません。
 そこで、一つの提案をいたしますが、本年から実施されることになった事業所税をこの再開発事業の財源とするよう、建設省として、自治省、関係地方公共団体と積極的に話し合いを進めるべきではないかという提案を申し上げて、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#42
○政府委員(吉田泰夫君) 第一種再開発事業に比べれば、第二種再開発事業は勢い規模が大きくなりますから全体事業費もかさむということは御指摘のとおりであります。ただ、手法の違いのために、たとえば第一種であれば地区外移転の補償費が余りかからないが、第二種はかかるだろうというようなことはありませんで、第二種は制度上の原則を買収としておりますが、希望者は必ず地区内残留を保証しておりますから、第一種といわばうらはらになっているわけでありまして、結果的にはその点は変わらぬと思います。総額がふえるために国の助成も強化しなければならないという御指摘でございます。しかし、第二種と第一種で助成のあり方が変わるというのも、それでは第一種の方の立場から見れば不満足だということにもなりますから、やはり両者並行しまして補助の強化ということを図っていきたい。もっとも防災拠点のような特別の事業はまた別でありまして、そのために防災性の強化費等の特別の助成措置を防災拠点に限っては認めているというような差を設けております。
 御提案の事業所税を再開発事業の財源とすることにつきましては、地方税法の提案以前から自治省と話を詰めておりまして、まずその法律上の使途は、都市環境の整備及び改善に関する事業ということになっておりますから、再開発事業は当然入り得るはずであります。具体的には政令でそれを確定することになりますが、これにつきましても、再開発事業が非常に重要な事業でありますので、当然本税による収入が充てられることを自治省との間で了解を取りつけている次第でございます。ただ、事業所の新規立地と、その営業活動によって都市対策上必要となるものは、市街地再開発事業も大きな要素ではありますが、そればかりではなくて、広く広範な財政需要に応じることになりますので、しかし、再開発事業にのみウエートを置いてこの事業所税の収入を充てるというわけにもいかないのではないかと考えておる次第でございます。
#43
○田代富士男君 都市開発の問題はいろいろな問題点があります。そういう問題点をどのようにして解決していくかということが大きなポイントではないかと思います。地区ぐるみで市街地を改造いたしまして、それによりまして住民生活を向上させ、高福祉社会にふさわしい市街地環境をつくり出していかねばならない。また、人口と産業が集中した過密都市でいかにして都市空間をつくり出していくのか。これがいま都市問題の大きなテーマではないかと思います。建設省を初め国土庁においていまいろいろな施策を講じていらっしゃいます。悪化する一方の都市機能を更新したり都市環境を改善するために、街路あるいは公園、下水道、まあ数多くの公共事業等がなされておりますけれども、これは端的に表現するならば外科的な手法の都市改造ではないかと私は思うのです。本当の都市再開発という事業はこのようなものではない。点や線でなくして、さらに範囲を広げて面的な整備をする、そして都市の体貿を改造して健康を取り戻していくというこの手法が都市再開発の根本ではないかと思うわけなんです。
 そういう意味から、いろいろ施策を講じられておりますが、大阪市で現在採用されております転がし方式なるものがあります。これはもうすでに御承知のとおりだと思いますが、これは都市空間をつくり出すと同時に、密集の低層住宅を高層化することによりまして戸数をふやし、住宅問題を解決していくための非常な特徴があります。この点についてはいま注目されているところでありますが、この都市改造の転がし方式をひとつ本格的にやってみようというそういう意思をくんでか、建設省では去る五月二十日に、東京、大阪の十二地区を事業推進区に決定をされております。先日は当建設委員会が都市再開発の現場を東京の白鬚地区、江戸川橋地区を視察いたしましたが、この十二地区の中で、特に大阪関係の地区はどういうところが指定されてあるのか。そしてどのような計画においてなされようとしているのか。まず、特に大阪地区関係の概要を御説明を願いたいと思います。
#44
○政府委員(山岡一男君) 転がし事業につきましては、現在のところ東京、大阪市、大阪府等につきまして、東京で四カ所、大阪市で五カ所、大阪府で三カ所――具体的な個所を実はここに手持ちしておりませんので後でお届けしたいと思いますが、につきまして計画作成費の補助について話し合いを始めたところでございます。昨年までには門真市の方で二カ所補助金をつけておりますけれども、本年度はそういう十二カ所について候補地を選びまして、現在地方公共団体と打ち合わせ中というのが実情でございます。個所につきましては、ちょっと手持ちしておりませんので、すぐお届けするようにいたします。
#45
○田代富士男君 その他の個所は、進んでいるか、全然進んでいないのか、概略で結構です。
#46
○政府委員(山岡一男君) 現在までに本当にまあ事業の立ち上がりといいますか、事業として計画がまとまり進んでおるというものはまだございません。おおむね緒につきかけているものが大阪の方に一件ございます。それ以外につきましては全体の計画作成というのが現在の段階でございますが、今後いろんな施策の中の中心として大都市における住宅の転がし対策につきましては促進してまいりたいと強い決意を持っている次第でございます。
#47
○田代富士男君 場所がわかれば簡単にお尋ねしたいと思いましたが、場所がわかりませんから、これは次回に回したいと思います。
 いま都市再開発法の一部を改正する法律案が審議されておりますが、この目的は、都市における環境の悪化、災害の危険の増大、住宅の不足等の事態に対処しまして、市街地の再開発の一層の推進を図ることを目的とされているわけなんです。内容を見てみますと、従来の権利・変換手続による第一種市街地再開発事業のほか、用地買収方式による第二種市街地再開発事業の制度を新設されております。これは三ヘクタール以上で公益性が非常に高い、また現行の権利変換手続では事業の実施が非常に長期化するような大規模な市街地再開発事業を早急に実施することを目的といたしまして、地方公共団体または日本住宅公団等に限ってこれを施行させるという、こういうような内容になっておりますが、私はこの内容を見たときに、こういうような問題点が考えられます。
 というのは、土地所有者に対し買い取り請求権が与えられておりますけれども、地方公共団体がそれに応ずるための財源対策というのは、どうなっているか、この点に対してまずお答えを願いたいと思います。
#48
○政府委員(吉田泰夫君) 再開発を行おうとする場所でございますから、いろいろな意味で非常に重要な場所ですし、公共団体ができれば各種資金を投入しまして、それででき上がりました保留床を購入して、公的住宅に充てたり、いろいろなコミュニティー施設に充てたりしたいというような場所であると思います。したがいまして、買い取り請求があれば、そういった保留床取得ということでなくて、いわば権利者になりまして、権利者として権利床を受けられることになりますから、むしろ公共団体としては買い取り請求を歓迎するんではないかと私どもは考えております。
 ただ、そういう買い取りました公共団体として、その地区についてはどうも特別の計画がないという場合もないわけではありませんから、本法案におきましては、買い取りました土地は別に再開発の意欲を持ち計画的な再開発に協力しようというような意向を持ちました第三者に譲渡する道を開いております。したがいまして、その場合には短期的にはつなぎ資金が必要でございますが、すぐ第三者に譲渡すれば足りますので長期的な資金手当ては要らない。しかし、あくまでも公的機関が買い取る以上は、そういう枢要な場所はたるべく公的機関自身が取得した上で保有もし、権利床として必要な公的住宅その他に充てるということが本来の筋だと考えます。そういった資金を当然用意し、場合によっては他の個所の部分を一時それに振り向けてでもこの買い取り請求に応ずるということを私どもは考えておるところでございます。
#49
○田代富士男君 次の問題は、民間の旺盛な建築活動を計画的な再開発に融通するための措置として、市街地再開発促進区域及び個人施行者の制度の新設、高度利用地区の制度の改正がこの中で行われております。まあこれに対して、市街地再開発促進区域に指定されますと、関係権利者は五年以内に再開発を義務づけられる、このような措置及び助成措置により再開発が円満に実施し得られるかどうかということが疑わしいんではないかと、このように思うわけなんですが、この点に対してはいかがでございましょうか。
#50
○政府委員(吉田泰夫君) 促進区域は、なるほど御指摘のように、将来の再開発の支障になるような建築行為等を厳重に規制することになりますから、そういう意味ではきらわれる制度になりがちでありますが、しかし、もともと促進区域を指定する際に、単に法律に定める要件に合致するだけでなくて、ほかならぬ地区の権利者が主体となって再開発をしていただこうということですから、まあ少なくともそういった機運が盛り上がったその実態を把握いたしまして、むしろ権利者の意向に即して促進区域を指定するということでなければならないと考えております。そういうことですから、促進区域が指定されたことによって権利が規制されるということは、とりもなおさず将来の再開発の支障を抑えようということであります。地区内権利者の大方の御意向にむしろ沿うものと考えます。
 促進区域を指定しますと、まあ法律上はそういった規制のほかに買い取りの申し出――再開発にはちょっと協力しがたいといいますか、再開発されるならば地区内に残るよりも外に出たいというような方も出てまいりますから、そういった方には買い取り申し出の制度を開いたりしておりますが、実際の効果はそういった法定の効果以上に、促進区域を都市化決定いたしました以上、公共団体も全力を挙げてそこに担当者を張りつけ、常時きめ細かい指導助言をしていく、相談に応ずるといった体制がとれるのではないか。促進区域を指定しませんと、漠然とした広範な地域についてどれもこれも小まめに対応していくということが事実上困難でありますから、そういう意味で、公共団体が一定の体制、人員を最重点的に振り向けるということが促進区域指定の大きな効果ではないか。また、地区内権利者としても、自分らでやれというからにはマスタープランのたたき台ぐらいはつくれというような要請も出てくるかもしれません。そういったことにも応ぜられますし、いろいろ基本的な公的機関でなければやれないような調査ものは、これも公共団体が引き受けてやってやるといったようなことも可能になってくると思います。そういった制度上及び運用上の促進効果というものがやはり促進区域を指定することによって出てまいると思いますから、事業になった場合の市街地再開発事業についての助成措置の強化と相まちまして、相当の効果を今後は持ち得るものと考えておる次第でございます。
#51
○田代富士男君 いま局長がちょっと話されていたことも含まれるかと思いますが、次の問題点は、市街地再開発促進区域制度は、関係権利者による計画的な再開発の実施を図ることが適切と認められている市街地について、都市計画に市街地再開発促進区域を定めまして関係権利者による再開発の実施を期待されるわけなんですが、その後五年を経過しても再開発が実施されないときには市町村等がみずから市街地再開発事業を施行すると、このようになっております。これについて私はこういう問題点が含まれているのじゃないかと思うのです。それは地区以外に転出する者に対する損失の補償措置、いま局長が申されました、これどうするか。
 たとえば、先日建設委員会が視察に参りました白鬚地区のあの打合会の会場でも陳情されました、向島運送の社長であったかと思いますが、こういう地域外に転出したいけれども出ていく場所がない、この陳情等がありました。そうした場合の代替地のあっせん、公営住宅への特別入居のあっせん等、地区外転出に対する生活再建措置が円滑に行われるかどうかということが非常に疑わしい。特に私は先日の現地視察の折にこの問題点を強く感じた次第でありますけれども、先日の現地視察のことも踏まえて、この問題点をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お願いいたします。
#52
○政府委員(吉田泰夫君) 再開発事業は、第一種、第二種を問わず、地区内にできるだけの方は残留していただいて、再開発ビルに入居していただくということが本筋であります。まあそういうことで地区外に転出ということは例外になりますが、例外とはいっても各種の御事情、営業の内容等によりまして、あるいは将来設計等から見て、どうせ移り住むならば地区外に出て、地区内では果たせなかった新しい経営なども考えたいということもございますので、まあそういう場合の対策が非常に重要となってまいります。過日の現地視察におきましても、白鬚東地区について地区外に出たいという方からの強い希望が出されていたのも、そのあたりの事情によるものと思います。
 まず、公営住宅等への入居は、これは制度上も、また実際の運用上も優先入居、特定入居させる道が開かれております。必ずそういった対応しておると思いますが、なかなか代替地のあっせんとなりますと、その転出希望者の希望される条件と十分合致して、しかも折り合う価格というものが非常に困難だということから、たとえば東京都でも非常に努力し代替地用の場所も確保したりしておられますが、いかんせん、場所的に、立地的に折り合わないというような点がどうしても残るようでございます。またあの節、陳情の方から申された一つに、まあせめて代替地――出ていく自分には収用並みの減税、譲渡取得税の減税措置が適用になるけれども、代替地を買う場合の、その代替地を売ってくれる人、その譲渡取得税には何らの特典がない。せめてその税法上の措置ぐらいはできないかというお話もありました。まあこの点については私どもも今後そういった税制改正を要望してまいりたいと思いますが、まああれはたとえば第二種事業で――現行法にないから仕方ないのですけれども、この法律が成立し、第二種事業でやりますれば、これは形式上収用事業でありますために、収用事業に伴う代替地を公的機関がかわりに買いまして、それを代替地希望者に再譲渡するという方法をとれば譲渡取得税の控除対象になるものでございます。まあ第一種につきましても実態は変わらないから、そういう収用事業と同様の代替地の譲渡取得税の軽減措置について今後要望してまいりたいと思います。なお、地区外に転出される方には、たとえば店舗を経営する中小企業者等であれば中小企業金融公庫とか国民金融公庫等から設備資金や長期運転資金の融資とか、あるいは住宅であれば住宅金融公庫からの特別貸付等の道が開かれているところでございます。
#53
○田代富士男君 次に、再開発建築物のうち、関係権利者に対しまして与えられている部分以外の部分、いわゆる保留床を関係権利者に優先的に賃貸し、または譲渡する道を開くとともに、住宅金融公庫融資を行ったり固定資産税の軽減措置を図ると、こういう内容になっておりますが、この点に対して私はこういうように思います。それは、再開発事業は従前の資産と与えられる資産とが価格において等価となるように等価交換の原則によって行われているわけなんです。これは午前中にもいろいろ質疑がされておりましたけれども、しかし、本事業では、中高層建築物を建築いたしまして土地利用を半永久的に固定化するという重大な私権制限を伴います関係上、住民とのコンセンサスを得るには、政策的配慮をしてできる限り等価交換の原則を踏まえた上に等床交換に近づける必要があるのではないかと、このように思いますけれども、いかがでございますか。
#54
○政府委員(吉田泰夫君) 御指摘のとおりでございまして、従来の再開発事業の最大の問題点は、この等床交換をしてもらえるかという点にかかってきたといっても過言ではないと思います。したがいまして、私ども努力いたしまして国庫補助、従来道路整備特別会計からの管理者負担金としての補助しか道が開かれていなかったものを、道路幅員要件等大幅に緩和をするとともに、新たに一般会計からも補助をし、そういった経費が実際にはかかるわけですけれども、そういう公費が投入されることによって事業収支の計算上は除外できる、それだけ計算上は割り安に提供できる。その割り安なもので原価計算して等価でいくならば、標準的な権利者につきましては等床あるいは相当等床に近づける、こういうもくろみで実施してきたところでございます。まあ最近建築費がまた上がりましたので、なかなか追いつきにくい事情もありますが、これが本問題、本事業の成否を決する事項でありますから、最大限の努力を払って御指摘のような方向に持っていきたい。もちろん従前の権利者の権利の持ち方にも非常に差違がありますから、どんな零細な方でも、たとえば裏地の借地権しか持っていないとか、非常に老朽している建物しか持っておられないというような方等と、表地の土地所有者と、かなり新しく建てた建物を持っておられる方、まあそれは非常に差があることはやむを得ませんが、少なくとも標準的な権利を持っておられる方が等床、結果的に等床になるということがぜひとも必要だと考えておる次第でございます。
#55
○田代富士男君 いまさっき申し上げました十二地区のあれはわかりますでしょうか。大体わかりますか。わかるならばお願いしたいと思います。
#56
○政府委員(山岡一男君) 先ほど申し上げました四十九年度分につきましては、豊中市庄内北地区、門真市北部地区ということで、これについてははっきりいたしておりますが、五十年度分につきましては、現在担当課で地先を見ましてヒヤリング中ということでございまして、個所についてはまだはっきり申し上げる段階にないということでございます。
#57
○田代富士男君 個数がわかっていて、場所がわからないのですか。
#58
○政府委員(山岡一男君) おおむねこの程度という話は私も聞いておりまして、個所数だけは挙げてみたわけでございますけれども、具体の持って見ている場所につきましてはいろいろ聞いておるのと違うようでございます。現在詳しくヒヤリング中ということでございます。
#59
○田代富士男君 新聞等で報道されている場所と現実には違うということなんですか。もし個所を何カ所か挙げるならば、根拠のない場合には、東京が四カ所で、大阪が八カ所という、そういう不明瞭な、大体このくらいだというあれでおやりになるのか、大体どの辺で考えていらっしゃったのか、それもわからないのですか。
#60
○政府委員(山岡一男君) 五十年度予算では、実は計画作成補助金としましては二十地区を予定しておるわけでございます。そのうちで出てきそうなところはどこかというところで聞きますと、当面出てくるのは十二、三カ所あるらしいと、しかもそのうちで先ほど申し上げたようなところについては、個所は大体この辺だということはわかっておるというのが実情だそうでございます。私まだ細目を聞いておりませんので、まことに申しわけありません。
#61
○田代富士男君 じゃ、これはまた次のときにしたいと思います。これ以上ちょっと無理かと思います。
 そこで、都市再開発事業を推進するに当たりまして、経済的諸条件の問題についてお尋ねをしたいと思います。再開発事業によりまして建設されます建築物の、いまも申し上げましたけれども、保留床を売り、その処分金を事業費の一部に充てることによりまして事業採算を図らなければならない。これは江戸川橋地区市街地再開発事務所においてもこういう説明を聞きました。言うなれば、独立採算主義をとっているために再開発事業そのものの計画内容というものがどうしても保留床に関する計画に引きずられていくような、そういう事業計画を立てざるを得ないじゃないかということになります。そういうことから考えていきますと、再開発事業の当初の計画、本来の計画から大幅に歪曲されることがあるんじゃなかろうかと、このようなことを考えるわけなんです。特に江戸川橋地区の市街地再開発事業をやっている組合の事務所で聞いたときには、すべての諸条件というものが整っていたからあれができ上がったという率直な感じを受けました。しかし、事業区域が広くなった場合、区域内での計画内容についての競合が激化し事業化が困難じゃないかと、こういう点を心配いたしますけれども、この二点についてあわせてお答え願います。
#62
○政府委員(吉田泰夫君) 市街地再開発事業の保留床は、それぞれの地区に合った用途に大体供されることになるわけでございますが、従来主として行われてきました都市の中心的商業業務地区などであれば、いろいろな各種用途に供される余裕があると思いますけれども、その他の地区や地方の中小都市などでは、その地区あるいは都市全体としての購買力等の点もありまして、大型商業施設に保留床を譲渡するというふうなことは必ずしも適当でないというような場合も多いと思います。こういった場合に地元の店舗等を主として中小小売店舗を選定するというようなこととか、あるいは住宅需要が高い地区では、それこそできるだけ保留床を住宅として供給するというようなことが必要でありますが、重ねて再開発地区を核としてコミュニティーを形成したいというような場合には、そういった必要な公益的施設にも利用できるような配慮が今後は必要になってくる、現に一部実施しているところでございます。
 従来は再開発事業全体に対する助成も非常に手薄かったし、また保留床取得についてのいろんな援助措置も手薄かったものですから、保留床を処分して事業費に充てるという場合の処分先が資金力のある相手方に偏りがちであるという弊害もありまして、まあそういったものを入れても差し支えないような場所ならいいんですけれども、そういう場所ばかりでもありませんから、そういった処分先をまず決めるという、そのためにはその地区にふさわしいかどうかまで吟味している余裕はないというようなことになって、保留床に関する計画が再開発計画を支配するということになってはまことに本末転倒もはなはだしいわけであります。これをなくするというためには、やはりどうしても国庫補助とか融資、それから減税、この三本柱の助成措置を格段に強化していくということが基本的な課題と考えております。市街地再開発事業に要する費用のほとんど大部分はこの建築費であります。都市整備費は全体のウエートから見ればわずかなものでありますので、この建築によって相当新しく供給される床があるわけでありますから、こういった価値の増加分に対しては当然建築主が自己負担するということだろうと思います。
 その自己負担にかえて、金銭で負担するかわりに保留床処分金を充てるという仕組み自体は、そういう意味では基本的にはやむを得ない制度であろうと思いますが、問題は再開発事業の場合に、更地に任意にビル建築をする場合に比べますと、既存の建物価格を保証し、せっかくある建物を取り壊し、あるいは一部仮入居、仮店舗等まで必要になるというそういった価値増を伴わない費用がばかにならないことになります。こういったものが建築費原価に何もかもかぶさってくるようでは保留床はますます高くならざるを得ないわけでありまして、こういったことはおおむね助成措置の強化によって対応できる体制になりました。遺憾ながらまだ予算額そのものが少ないものですから補助金そのものが完全に行き渡っておりませんが、これを増額努力することによりまして、補助対象範囲であれば補助金が現実にも交付できるということになれば相当大幅に、権利床もそうですけれども、保留床の処分価格も無理のない価格となり、したがって、立地上最もふさわしい相手方を選んで譲渡することができることになると考えます。
#63
○田代富士男君 これはこの前江戸川橋地区の現地を視察したときに、私はあの建物を見ながら考えましたが、あの場所は、さっき申し上げましたとおりに、すべての条件が整ってでき上がったと思うわけなんです。しかし、あのようなことばかりは運ばないと思うのです。だから、組合施行の場合、事業施行者に対しまして保留床の高度処分による事業採算の安定化を要求するために、いまも局長がお話しになっていらっしゃいましたが、保留床のプライベート化が深化され、そのために公共あるいは共同施設も深化されて、私的空間に従属されるようになるんではないかと。そういたしますと、都市再開発事業としてやった目的というものが、再び公共あるいは共同施設の確保のために再々開発を行わなければならないという、こういう事態が考えられるんじゃないかと思うのです。だから私は、いま局長のお答えを聞きながら思いましたけれども、まだまだ計画内容というものがいろいろ制約されている、こういう制約されている以上、立地し得る地域が限られるのは当然であります。そういうことから考えますと、具体的に再開発事業を促進するということは、これは非常にまだまだ困難じゃないかと思うわけなんです。この点について大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるんですか、建設大臣にお尋ねします。
#64
○国務大臣(仮谷忠男君) 現在の再開発そのものが非常な障害があって思うように進んでいかない。その一つの原因が、単なる権利交換だけでは非常に手間がかかるし、特定の者の反対に遭うと結局それが停滞をしてしまうという事態がありますので、そういう意味から用地買収方式による第二種市街地再開発事業というものも新しい手法として考えよう、さらに促進区域も設けようといったような改正を今度は試みておるわけでありますが、現在の自分の住まいをしておる環境を一遍に変えて、そこに権利が喪失するし、あるいは変更していくわけでありますから、これは容易なことではないです。進めていくために、先に申し上げましたように等価交換にされて、現実的には現在の自分の住まいやら仕事が将来どうなるかということを心配すると、これは等床交換に近づけることも努力しなければならぬし、たまたまその地域から外へ出る場合に、その外へ出る人に対するいろんな施策に対してある程度の補償を考えてやらなければ先の自分たちの生活が不安定だということもありますし、そういうもろもろの問題があることは弔う私どもも十分承知いたしております。
 ただ、ここでひとつぜひ御理解を願いたいのは、何のためにその再開発をやるかという問題、これは自分たちの住まいをしている地域が非常に環境が悪いから、何とかしてその環境を改善しようという問題、一朝事あるときには、午前中もお話に挙げましたように、自分たちの生命財産があるいは心配されるというそういうことを考えると、将来自分たちも安心して住まえる地域を自分たちも一緒になってつくろうではないか、そういうことから出発しなければ、そういう意味で特に関係権利者の自発的な考え方によって出発をしてもらおう。国は最高限度のこれに対して援助をしていくという形で本当は進めていきたいと思っておるわけでありまして、基本的には、このままでいったら自分たちの現在の住まいは安心して住まいをすることができないから、ひとつ将来いつまでもまくらを高くして眠れるような環境をつくっていこうという、そういう基本的な問題から出発してこの問題を考えていくということになりますと、若干の無理があっても、関係者の方々も御理解を願い、協力もいただくし、われわれも精いっぱいの努力をして、お互いに両々力を合わせて問題の解決に当たっていくと、こういう形で進めたいと思っております。しかし、それを進めていくためには大変困難な問題があることはお説のとおりでありまして、そういう問題をできるだけ解消していくことが私どもの政治の課題であると、かように存じて努力しなければならぬと思っております。
#65
○田代富士男君 困難な問題がつきまとっていると、これは私もそのように思います。しかし、やらなくてはならない、しかし困難な仕事であると、いろんな問題点が多いことも事実じゃないかと思います。
 そこで、再開発事業による家賃というものは事業後高騰するのが通例になっておりますが、いままでにおやりになりましたそういう実例がありましたならば教えていただきたいし、また当然そこに入る権利のありました借家人の人で、そこから転出した数というものがわかったならば教えていただきたいと思うんです。
 そこで、これは借家人にも権利を与えられております。再開発ビルヘの入居が保証されておりますが、家賃が高くなるために、借家人の多くは再開発されなかったならばそこに住むことができたけれども、再開発をされたためにおることができない、転出をせざるを得ない。このようになりましたならば、都市再開発というこの目的といいますか、総論的には恐らくすべての人も理解できるかわかりませんけれども、そういう借家人にとりましては事実上の追い出し事業になるのじゃないかと受け取られる節もあるわけなんです。こういうことを納得させなければ、いま困難であると言われました地域住民とのコンセンサスの問題、こういう点についてどのようにお考えであるか、お願いいたします。
#66
○政府委員(吉田泰夫君) 再開発事業によって新しく耐火建築の工事でもって再開発ビルが建設され、そこに入居することになりますので、家賃等もそれに応じて高くなるというのが実情でございます。まあ先ほどの御質問にありましたように、実質上、等床交換というものが実現いたしますと、これは家屋所有者にとりまして持ち出しなしに新しいビルの床が等面積与えられることになりますから、必ずしも家賃を上げる必然性はなくなるわけでございますが、しかし、実際の入居条件は借家人にとってもよくなるわけでありますので、家賃が上がるということ自体あながち不当とは申せないと思います。
 問題は、その上がり方でありまして、従来の負担の実態が余りにも低い、昔の額でセットされてその後大した値上がりもされてないというところでは、倍率としては非常に高い倍率になるかもしれませんが、ふえる絶対額においてさほどでないということもあります。逆に上がる率がそう大きくなくても、絶対額として非常にふえて、もともと負担の限界であったものが、それを超えるということになれば非常に問題だということもあります。法律上は家主と借家人で借家条件をいろいろ協議することにいたし、協議が調わないときは施行者が学識経験者である審査委員の評価を得まして裁定することになっておりますから、そう不当なことにはならない制度になっております。また、施行者が持つ床に借家する場合には、施行者としてはあらかじめ標準家賃の額を示しておりますから、それと大差ない額で最終的にも決まるであろう、こう思います。いずれにしても、これは基本的には先ほど申されました実質的な等床交換というものが実現されるような国庫補助の強化ということが基本になりまして、まず新築の床そのものの価格が評価上著しく上がらないという二とから出発しなければならないと思います。
 組合施行の場合には、組合設立後転出した方は非常に少ないのでございますが、これは組合設立以前に先の見越しをしまして、地区内に残る希望者に譲渡する等によってあらかじめ立ち退かれるという方もありますから、一概に転出率をはじきかねるわけでありますが、事業にかかってからの転出者は思いのほかに少ない実情であります。どのような権利者にとっても再開発事業は大変でございますが、特に借家人とか零細権利者にとりましてはその影響の度合いも深刻でございまして、そういうことが追い出し事業につながるのではないかというようなことがありますから、私どもも今後全体をにらみながら、そのような非難、法律の趣旨はまさに地区内に残ること、それが本来的な使命である事業でございますから、結果的に収用事業と変わらぬというようなことになっては大変でございますので、このためにはそういった家賃等の条件のほか、入居しやすいようなビルの設計から始めなきゃならぬと思いますが、そういったことも全体をとらえまして十分指導したいと思います。
#67
○田代富士男君 いままでいろいろ聞いてまいりましたけれども、このことを総括をいたしますと、再開発事業の可能性というものは、ひとえに保留床の高度処分の可能性にかかっているんじゃないかと、このように思います、一言で申し上げるならば。
 そこで、その保留床買い受け側の立場、これによってこれが可能か不可能かということが非常に大きくなってくる。そうした場合に、社会的、経済的基盤の変化によりまして、この再開発事業の可能性というものは現時点におきましてはきわめて低くなってくるんじゃないかと、このように考えられますけれども、大臣いかがでございましょうか。いまいろいろ税制上の助成措置を講ずるというようなお話も聞きました。特にこの事業をやるには国庫補助、それから融資、減税の三本立てでやっていかなくちゃならないということもいま聞きましたけれども、社会的、経済的基盤の変化というもの、現時点を考えたならばちょっと私はきわめて低くなってくるんじゃないかと思うのですが、その点どうでございましょうか。
#68
○政府委員(吉田泰夫君) 社会的、経済的基盤の変化と申されましたのは、あるいは従来のような高度成長、それに伴う事務所、店舗等の創設傾向というようなものが著しく鈍化するというような、言うならば低成長時代というような意味ではないかと存じ上げまして御答弁申し上げますが、確かに再開発事業というものは建築工事費が大部分であり、これは先ほど申しましたような理由で主として保留床処分金で賄う。施行者としては保留床処分金が高いことを望むものではないわけですけれども、実際にはまず地区内の権利者の権利保護のために権利床というものは何としてもそう高くできない、勢い保留床はそれに比べればある程度割り高なものと計画せざるを得ない。もともとそういうところへもってきて建築費がかさむ、それほど高い原価になった保留床というものがそう思うような買い手がつくものだろうかということになります。その御懸念はごもっともでありまして、事実この物価狂乱のときにはその苦しみをなめてきた地区が多かったわけでございます。
 今後は、低成長とはいえ、一応新しい経済基盤で落ちつきまして将来を見通せることになってまいりましたから、再びあのような不測の事態はまあないものと思いますし、そういうことであればそれはそれなりに、絶対額としてはすでにもう高くなってしまってはおりますけれども、その保留床の需要者は見つからないというわけではないと思います。まあ保留床の建築費というものを低めるために、これは権利床ももちろんですけれども、先ほど来申し上げました国庫補助等の公的費用を投入するということが基礎でありまして、こういうことによって少なくとも一般のビル建設事業に対するハンディとなっている既存の建物の価値補償とかクリアランス費用、仮住居費等が計算外になれば、他の一般のビル建築事業と少なくとも同等の収支計算は立てるわけでありますから、そのようなものが売れるということであれば、再開発ビルはそのほかにいろいろ開銀、金融公庫、中小企業金融公庫、中小企業振興事業団、いろんなところからの融資の道も開かれておりますし、また各種の減税措置もとられております。今回のこの法案の改正によって固定資産税も相当店舗部分も含めて減税されることになりますので、収支計算が一般と同等であれば、その有利になった分だけは、少なくとも保留床の方が買いやすいということにもなるんではないか。油断はできませんけれども、今後とも事態の推移を見守りつつ、再開発事業が保留床の処分のところで壁にぶち当たるということのないように努力したいと考えております。
#69
○田代富士男君 そこで、大臣も困難なことが多いとおっしゃるとおり、これも困難な問題の一つじゃないかと思うのです。いかに手ごろに一般庶民の方々にも提供できる、それでやるかという大きな問題点じゃないかと思います。
 そこで、市街地再開発事業の一般会計の助成措置のうち、土地整備費にかかる建物補償費につきましては、再開発事業を更地において行う、このようにされておりますけれども、それと同様にするために、これをすべての事業に適用するとともに、たとえば共同施設でありますエレベーター、あるいは江戸川橋地区のあの建物も見ましたけれども、建物内の廊下についてもこれは立体化するがゆえに支出増になるものでありますから、少なくともこういう単価を安く上げるためにも、せめて権利床部分にかかるものには補助をすべきではないか。そして庶民に提供できるそういうようなものをつくり上げるべきではないかと思うのですが、この点、大臣いかがでございますか。
#70
○政府委員(吉田泰夫君) ちょっと事務的な面がありますので、私からお答えさしていただきます。
 まず、クリアランス費をすべての事業に及ぼすべきではないかという御主張でございます。確かにそうすればすべての再開発事業の採算計算を楽にすることは間違いございませんが、私どもはこの要件として、クリアランス費をすべて国庫補助対象にするための要件としては、保留床の三分の一以上が公的住宅である再開発事業に限る。この場合、公的住宅というのは何も公営住宅や公団住宅ばかりではございませんで、住宅金融公庫の融資を受ける事業であれば、すべて広く公的住宅と読むということにいたしております。このような差がない方が公的住宅を三分の一も持たない再開発計画の個所については有利になりますけれども、逆に言えば、公的住宅に保留床を三分の一以上供給するということは、公的住宅としてもそう気前よく高い値段で買うわけでもありませんから、かつ最終需要者の勤労者のことを考えればそれは当然でありますから、そういった協力もしょうという意味合いのものでありますが、公庫融資の対象になるということは、これによって余りぜいたくなものを封じようというような意味も含め、かつ良好な融資対象となる設計基準に合わしているという意味を含めているわけでありまして、こういった広い意味の公的住宅が、それも全部と言わない、三分の一でもあればということでございますから、これは何とかそういった公的住宅の供給をふやしたいという念願のあらわれとお感じとりいただきまして、なお当面はこの体制でいきたいものと考えております。
 次に、エレベーター等について、せめて権利床相当部分に割り掛かる部分ぐらいは補助対象にすべきだという点も、確かに御指摘のとおり、そうすればそれだけ建築費が安くなりまして、権利床、保留床ともに有利になるわけでございます。エレベーターの費用というものが相当多額に上りますこと等もありまして現在の補助制度はそこまではいっていませんが、しかし、現在の補助制度でも建物周辺のちょっとした広場とか、プレーロットとか、通路とか、この通路というのは私道でも一向構わぬわけでございます。あるいは電気、ガス、水道といった供給施設の本管、こういったものまで補助対象にしておりますので、エレベーターまではちょっといまのところ考えにくいと思います。
#71
○国務大臣(仮谷忠男君) 先ほどから保留床、それから権利床の問題がいろいろ議論されておりますが、これも再開発事業のやはり一つの大きな課題でありまして、やっぱり保留床の処分益というものが再開発の一つの大きな寄与に.なっておることは、これは御指摘のとおりであります。だから、そんな独立採算制というようなものをやめてはどうか、もう少し国が積極的にやればどうかという意見さえあるくらいでありまして、しかし、やはり関係権利者に基づいての協力を得てこれをやらなければいかぬ問題でありますから、そういう意味において保留床もできるだけとらなければならぬし、とれた保留床も少なくとも採算のとれるものを考えなければならぬことは、これはもう施行していくためには当然のことでありますけれども、それかといって、その価格が一般の需要とかけ離れることになれば、これはつくったままでそのまま開発事業そのものが大きな支障を来すわけでありますから、そういった面が単なる民間と比較して安くつくのだという、そういう私どもは安易な考え方は持っておりません。できる限りひとつ保留床についてもこれは入居ができやすいようにすることは、そのための高率補助を適用しなければならぬということは、これはもう一致した意見であります。ただ、やはりいまの場合そこに限界がありますから、将来もそういった問題にもさらに留意していかなければならぬという問題があります。
 それから権利床だけでも特にそうすべきではないかという御意見もこれもごもっともであります。今度の再開発法の改正の要点に第二種地域を設けたというのも、これはやはりいままでのやり方ではどうも進まないからいわゆる用地買収方式でやろうということを考えておるわけです。そういうことになりますと、その間の権利者というものが仮に入居を希望するなれば優先的に保証しなければならぬということは当然のことであります。これもだから権利床の問題も確保し、この問題に対しても、これはより以上に優遇しなければならぬということは、これもまた再開発事業を推進していくための関係権利者の協力を得る一つの要件であります。だから、そういう面においては私どもも誠意を持って努力しなければならぬ、これは大きな課題だと思っております。
#72
○田代富士男君 次に、またこれは減税の問題でございますけれども、三本のうちの一本ですけれども、特に保留床の減税につきましては、御承知のとおりに所得税、法人税の割り増し償却制度がありますけれども、この制度は今後どのように扱われるのか、恐らく拡充していく以外にないと思いますけれども、これに対する考え方、それと同時に、現在高度利用地区の市街地再開発事業以外の都市計画適合建築物について認められております特定事業用資産の買いかえの特例と同様に、市街地再開発事業についてもこれを適用すべきではないかと思いますが、この二つの点についてお答えを願います。
#73
○政府委員(吉田泰夫君) 市街地再開発事業の施設建築物を取得いたしまして事業の用に供した場合におきましては、現在の税法でその所得税または法人税について五年間に限り十割増し以内の特別償却を認めているところでございます。この優遇措置はいまのところ五十一年三月末に適用期限が来るということになっておりまして、その期限が来ましたときにどのようにこれを新たな観点から主張していくかということにつきましては、私どもも検討しなければならないと考えているところでございます。
 第二番目の、高度利用地区内の都市計画適合建築物について現に認められております事業用資産の買いかえ特例、これを市街地再開発事業の施設建築物についてもあわせ適用することにつきましては、いま申したような五年、十割増し以内の特別償却の制度と比べまして、やはり一般的にはこの特別償却の方が有利でありますので、再開発事業はこの特別償却の方でいく、その適用を受けられないその他の高度利用地区内の都市計画適合建築物、これを買いかえ特例で優遇していこう、こういう仕組みでありまして、両者を兼ねるということは重複しますからなかなか税法上考えにくいようであります。いずれにしましても、特別償却制度自体の一応の適用期限がまいりますから、その際両者絡めまして今後の減税措置のあり方を建設省としても十分検討し、必要なものを税務当局に強く要求したいと思います。
#74
○田代富士男君 次に、民間資本の導入についてちょっとお尋ねをしたいと思います。再開発法は組合施行の場合、土地所有者、借地権者以外にも民間資本が参加組合員として事業に参加する道が開かれております。江戸川橋の場合もそういうあれをちょっとお聞きいたしましたけれども、問題は何かと言えば、不動産賃貸業者、あるいは市街地再開発に参加するのに必要な資力及び信用を有する、まあ具体的に言うならば大企業といいますか、これについて罰則権を行使されてないという点であります。確かに民間資本の導入を拒否いたしましてはこの再開発事業の推進というものは事実上は困難であるんじゃないかと思いますが、いまのままの状態でいくならば民間デベロッパーの思うままになりまして、一般の組合員には不利益をもたらすことになるわけなんです。こういう意味から、民間デベロッパーに対する規則、監督、罰則を強化する必要があるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでございましょう。
#75
○政府委員(吉田泰夫君) 参加組合員を加えまして組合を設立することができるわけでございますが、この場合には、その定款で参加組合員に関する事項といたしまして、その参加組合員の氏名または名称、それから参加組合員の負担すべき負担金に関する事項等が定められることになっております。したがいまして、不動産業者等の参加組合員がその後組合から脱退しようと思いましても、この定款の変更が必要となりまして、定款の変更は組合の総会によりまして三分の二以上の特別議決、あわせて知事の認可ということが必要でありますから、まあ脱退が自由というわけにはまいらないわけでございます。また、一たん参加した参加組合員が脱退した例もございません。問題は、組合が結成されてからは間違いなくそういうことなんですけれども、それ以前に組合設立までの準備段階でいろいろ候補者を選んで折衝し、せっかく話し合いがついていよいよ組合結成にかかろうというようなときに、建築費が上がったとか、デベロッパーの方の経営状況が悪化したとか、いろいろな理由から急に抜け出されるというようなことが間々あると聞いております。こういった場合は、組合設立以前の段階ですから法律には規定できないわけでございまして、実際にそういうことになれば御破算になって大変なことになります。
 この場合にも、実際には組合の設立発起人あるいは準備組合というようなものが、参加組合員となるべき者との間で覚書などを結びまして、その中で覚書事項に違反した場合の損害賠償の規定などをしている例もございます。こういったものを今後一般化するよう指導いたしまして、設立以前における事実上の話し合いをひっくり返すというようなことがないようにさせたいと存じます。参加組合員は原則として一般の組合員と同様、いかに多額の資金を出そうと土一票の議決権を与えられるわけでございまして、組合の運営はその議決によって行使されていくわけであります。重要なことは特別議決、一般のことでも過半数議決が要るわけでありますから、少なくとも議決権に関する限り、いかに大手のデベロッパーといえども組合を牛耳ることはできないはずであります。
 実際上はそういう法律上の形式的なことばかりでなくて、いろいろな言うに言われぬ力関係があるかもしれませんから従来からも特に注意してきておりますが、組合員の利益に反して参加組合員の意のままに事業が進められるというようなことが決して起こらないよう十分監督を強化させたいと思います。一応法律上は必要な規制、監督等の規定もありますし、特に一番重要な権利変換計画については、同じく組合の総会の議決、審査委員の公平な同意及び知事の認可を必要としているというようなことでありますから、実行上おかしな場合には抑える方法は整っていると思われます。要はそういう運用の実態に目を光らせまして、表向きと実際とどのように離れているか、その実情を誤らず見定めるということではないかと思います。
#76
○田代富士男君 もう一本法案がありますから、最後の質問にしたいと思いますが、本改正案のもととなりました都市計画審議会の答申の中に、都市の再開発の推進を図るため新しい制度はいかにあるべきかということがありますが、このように場当たり的な現在の再開発事業を改めまして、都市の計画的な再開発と、民間によります自発的な再開発の道を図るためには、各都市ごとに事業目標あるいは指定基準等を定める都市再開発の基本計画を定めるように法制化する必要があるのではないかと、このように考えられますけれども、今回の改正案でその部分が抜けている理由はなぜなのか、この点をまず第一にお尋ねしたいと思います。
 それから、これは改正案に織り込まれないにしましても、実行可能なことでありますから、各都市を指導するとともに、基本計画作成に必要な助成措置を速やかに講ずべきではないかと思いますが、建設大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#77
○政府委員(吉田泰夫君) 御指摘のように、都市全体の再開発の基本計画を定めまして、計画的に緊急な場所から逐次再開発を実行に移していくということが理想であります。私どもも本法案の立案に当たり、この点に深く留意いたしまして、できれば法制化したいということで内部的に種々議論を重ねまして、まあしかしながら、法律に書く限りは何らかの拘束力を持たせ、再開発基本計画がなければそもそもその都市では再開発事業はできない、一つでも再開発事業をやるためには基本計画をまずつくれというようなことになりかねないと考えたのでございます。そういうことになりますと、再開発事業は、反面では地区内居住者の意向というものを無視しては実際進められませんし、そういう拘束力を持たせたような法的効果のある規定としては、その辺を考えますと、むしろその弊害も出てくるのではないか。各公共団体においてもそこまでのものでは困るという御意向も強うございましたし、私ども考えましても、まあちょっと理想と現実は現段階ではまだ離れていると考えまして、しかしながら、それではいままでのように、ただ受け身で権利者の発意を待つのかということとなりますと、それではいけないと思います。そんなことでは再開発は進みませんから、これはあくまで権利者の意向というものに即しなければならないわけですけれども、それを単に待っているというだけではなくて、やはりある程度の再開発を必要とすると思われる地区、あるいは地区の選定基準なり指針といったものぐらいは定めまして、これは法定するとまた拘束力が出ますから、別途の事実上の都市の基本方針としてつくり、それを市民にも周知徹底させ、担当職員も挙げてそういった選定基準に合うような場所を説明して回る、その中で極力そういう機運が盛り上がることを期待し、盛り上がったところで再開発事業に持っていく、こういうことぐらいはしたい、しなければならないだろうと思っております。まあ法制化は種々の理由でできませんでしたが、実行上そういった意味の計画とまではいかないと思いますが、再開発の指針とか選定基準といったものは、今後はある程度の都市ではやってもらいたいということを強く指導したいと考えておる次第でございます。
#78
○国務大臣(仮谷忠男君) いまの御意見は、実はこの法案を審議する過程でいろいろ議論の出たところであります。確かに現在、全国どこを見ましても都市を中心にして環境が非常に悪化しておるし、あるいはもう悪化ばっかりのところもあるし、あるいは災害の危険がますます増大してほっておけないところもある。そういうようなことを考えてみますと、これからそういうところはますます増加してくるはずであります。そうすれば、国で再開発基本計画というものを立てて、そして一定の基準を設けて実施していくという、これは当然のことだと思うんです。ただ、率直に申し上げまして、そういう当然のことが、いろいろなこの問題に限らず、開発計画で進められながらなかなか停滞して思うようにいかないところに住民意識とのギャップがあるわけでありまして、そういう意味から、特にこういうふうな国民、住民の権利に直接関係した問題については、でき得ることなれば、これは少しずるい考え方ではありますけれども、関係権利者のひとつ自発的な発意に基づいてやるということを基本にして、国がそれにひとつ積極的に手を加えていこう、こういう形の法律になった。私はこの法律の制定の経緯は実はつまびらかではございません。ございませんけれども、とにかく関係権利者が進んでやろうというところに対して国が大いに協力して、まずそういうところから出発しようということから始まっておるのじゃないかと思うのでありまして、そういうことで進めていくのは当然でありますけれども、やはり基本的には、おっしゃるとおりに再開発に対する基本的な国の態度というものを明確にして、できれば法制化して進めていくことが、これが当然大きな政治の課題である、そういうふうに思っております。
#79
○田代富士男君 じゃあ次の法案に移ります。
 大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法案でありますが、この法律の目的というものは、私が言うまでもありませんが、大都市地域における住宅市街地の開発において、大量の住宅地の供給と良好な住宅街区の整備を図り、もって大都市地域の秩序ある発展に寄与することが目的とされてありますが、その内容に入りますと、国及び関係地方公共団体は、大都市地域において新たに必要となる住宅地の供給を確保するため、相当規模の住宅市街地を開発する事業の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなくちゃならない、まあこのようになっております。そこで、私はこれで心配なことがあるんです。というのは、超過密で悩む都市地域において、さらに産業、人口の過密、集中に拍車をかけるおそれはないか。少なくとも大都市地域への産業、人口の流入抑制策を並行して行う必要があるんではないかと思うんです。これは建設省も国土庁も一番取り組んでいらっしゃる問題ですけれども、これは矛盾点があると思う。いまも話しましたとおりに、大都市地域における人口、産業を地方へ分散させるという考え方が一方にあるわけなんです。政府はこれについてどのように考え、どのようにやっていらっしゃるのか。また、いま話しましたとおりに、今度は人口、産業の地方分散政策と、大都市地域における住宅地の供給の確保と、これだけを見るならば政策的に矛盾が映るわけなんです。この点どのようにお考えになるのか、まあ将来図というものを教えていただきたい。矛盾点がある。建設省、国土庁見えていらっしゃいますから、両方からこれはお答え願いたいと思うんです。
#80
○政府委員(大塩洋一郎君) 大都市の現在の人口の集中に対処いたしまして、それに対して現実の大都市の拡大を秩序あるものとして形成していかなければならないという課題と、それから全国土的視野に立って均衡ある発展を果たしますために分散計画を進めていかなければならないという課題は、同時並行的に行われなければならない現在の課題であります。確かにその対策の内容、性格が違います。一方におきましては、相当長期を要し、かつ同時的にやらなければならないと言いましても、その方策につきましては必ずしも一省の同一の性格のものではございません。一方はそういう国土の基本的な姿勢であり、それは緊急にやらなければならない問題であると同時に、全国土的な視野において総合的な対策を必要とするものである。一方におきまして、この住宅に対応して住宅難、交通難を緩和するために大都市の一つの秩序ある形成を図っていくという問題と私は同時的に成立し得る問題であるというふうに考えておりまして、これが大都市へ人口をますます過密、集中することを助成するというのではなくて、現実にあるそういう趨勢をとらえまして、これをむしろ秩序づけていくという対策でございますから、これにはおのずからその内容的に違いがあるというふうに考えております。
#81
○政府委員(小幡琢也君) ただいま建設省の計画局長からお答えしたことと大体同じでございますが、国土庁といたしましては、新しい国土政策を推進するという観点から現在いろいろと計画なり諸施策の見直しをやっているわけでございます。その中で、特に大都市、それから周辺地域の過密問題の解決というのは、非常に国土政策から見ましても重要な課題であるということで鋭意研究会を設けたりしまして検討しているところでございます。ただ、過密対策と言いますのは、基本的にはこういった人口、産業の集中抑制並びに諸機能を適正に配置しまして、また地方へこういった人口、産業を分散するということが必要でございますが、ただ、後がどうでもいいということじゃございませんので、やはり過密対策という総合的な対策の中には、そういった規制、分散と並行いたしまして、大都市地域そのものの生活環境あるいは都市環境の整備改善を図るということが同時に必要であると考えております。特に現在大都市地域におきまする状況を申しますと、人口の自然増が非常にウエートを占めてまいっておりまして、この自然増、それからそれに伴いまして世帯がだんだん分化してまいりますし、また居住条件の向上という問題もございまして、やはりこの住宅宅地難は非常に大きな問題でございます。こういった現実の問題に対処するということも現下の過密対策として必要であると考えております。ただ、それが過密の助長になるということは、これはあくまでも防がなければいかぬということで、国土庁といたしましては、これからそういった住宅地の供給、そういうものが計画的に行われるよう十分所管の建設省等々と連携をとりまして調整をしてまいりたい。そういうことによってこの両者が決して矛盾することのないように両々相まってこの施策の推進に当たる、こういうことになればいいんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
#82
○田代富士男君 時間があと十分少々でございますので、まとめて質問をしていきたいと思いますから、よろしくお願いをいたします。
 次に、国の関係行政機関、関係都道府県及び関係推定都市により組織する宅地開発協議会を設けて、そして住宅市街地を計画的に開発する事業の促進に関し必要な協議を行うと、こういう内容になっております。この点につきまして私はいまさきからも質問をしておりますけれども、こういう趣旨はよかろうと思いますけれども、住宅街の整備事業というものは、相当地価の高い高度利用地区等の要件に該当するところじゃないかと思うのです。その促進区域において施行されますから、住宅困窮者に対しまして適正な家賃で住宅を供給することが可能であるかどうか、この点が心配です。これはいまさきの法案でも質問をしたと同じ心配がありますけれども、この点はどうでございましょうか。
#83
○政府委員(大塩洋一郎君) この協議会におきまして協議いたします事項は、その宅地の供給に関する円滑な施行を期するための諸般の事項が盛られます。その中にも、もちろんそういった共通の問題の中に家賃の問題あるいは宅地の低廉化を図るためのいろんな助成の問題等々が入っていくと思います。この協議会を設けただけで直ちにその問題が解決できるとは思いません。それにつきましては、諸般の補助率の問題その他につきまして、この協議会を通じて合意を得ました事項につきまして国及び地方公共団体がそれに向かって努力をすると、こういうことが書かれておるわけでありまして、その具体的な積み上げは、それぞれ住宅対策におきまして、あるいは宅地対策におきまして具体の問題として積み上げなければならないと思っております。
#84
○政府委員(吉田泰夫君) 住宅街区整備事業によりまして建設された住宅の家賃は、土地所有者が取得しまして供給する住宅については、その取得の際極力住宅金融公庫による低利融資を行うということにいたしまして、その公庫法の定めるところによる制限家賃の範囲内で義務づけられるということになります。これは建設費とかの元利償還分とか修繕費、公租公課、地代相当額等による限度額が定められるわけでございます。
 また、この事業によって供給される住宅は公的機関が参加組合員になる道も開いておりますし、また参加組合員にならなくても公的機関による先買い権の規定もありますし、先買い権を発動するまでもなく、あらかじめ話し合って一部公的住宅に確保するというような事前の協定を結ぶことも可能であります。そういったことで、できるだけ多くのものを公営住宅とか公社住宅とか公団住宅に充てるようにしたいと考えておりまして、こういった場合の家賃はそれぞれの法律の定めるところにより定まることになります。特に権利床などはこれを取得するために特別の出費はないわけでありますから、家賃計算上の利息相当額というものも不要でありますし、従来の農業収益を下回らない範囲で地代相当額なども相当割り安に算定しても可能なものでございますから、勤労者の需要には十分こたえられるものと思います。そうならないようでは大変でございますから、今後の実施状況を見まして、この家賃が高くならないようなあらゆる措置を講じてまいりたいと思います。
#85
○田代富士男君 じゃ、時間だということでございますから、まとめて質問をいたしますから、よろしくお願いします。
 一つは、土地区画整理促進区域制度の新設のことでございますが、これは内容を見ますと、大都市地域の市街化区域のうち一定の要件に該当する五ヘクタール以上の農地等の土地について、都市計画に土地区画整理促進区域を定めて、その区域内の土地所有者等による土地区画整理事業等の実施を図り、区域指定後二年を経過してもその事業が実施されないときには市町村がかわって施行する。このようになっておりますが、これに対して私は心配な点は、促進区域に指定されると、権利者は二年以内に事業に着手する努力義務が明示されておりますけれども、この期間に宅地の権利者が施行者となるための調査、設計、事業の施行方法の検討、関係権利者に対する周知等の準備が十分に行われるかどうかという点が疑問であります。
 それと、農林省にお尋ねしたいのですが、現在大都市地域内における農地の面積を圏域ごとに伺いたい。また、この事業制度によってそれらの土地のどの程度のものが宅地化される見込みであるのか伺いたいと思います。また、農業政策上農地の宅地化について異論がないというわけではないと思いますけれども、農林省、建設省ではいかなる協議がされたのか、この点をお尋ねしたい。
 次に、住宅街区整備促進区域制度の新設がされておりますが、大都市地域の市街化区域のうち、一定の要件に該当する一ヘクタール以上の農地等の土地について都市計画に住宅街区整備促進区域を定めて、その区域内の土地所有者等による住宅地の整備と共同住宅の建設等を行う住宅街区整備事業等の実施を図り、区域指定後二年を経過してもその事業が実施されないときには市町村等が住宅街区整備事業をかわって行う、施行する、こうなっております。これに対する私はこういう疑問点を持ちます。それは、都府県知事は土地区画整理促進区域内の土地の所有者から土地の買い取り請求があった場合には、特別の事情がない限り時価で買い取らなければならないことになっておりますが、買い取り価格は国土利用計画法の場合と同様にすべきではないか、このように思います。
 次の問題は、住宅街区整備事業の施行者は、個人施行者、住宅街区整備組合、市町村、都府県、地方住宅供給公社及び日本住宅公団と、このようにされております。これに対する問題点は、本法案に関連する地方公共団体の負担が増大いたしまして、地方公共団体を財政的に不当に圧迫することになるんではないか、このように私は心配いたしますが、重ねて三つの質問をしておりますけれども、よろしくお願いをいたします。
 以上で私の質問は終わります。
#86
○政府委員(吉田泰夫君) 最初に、土地区画整理促進区域の努力義務二年間でいろいろめんどうな準備ができるかという点であります。もともとこの促進区域を指定するに当たりましては、そういった積極的な開発行為を努力義務とはいえ課するとともに、二年たてば公共団体が乗り出してでも仕上げるというわけですから、肝心の地区内の権利者の方が反対ということでは促進区域をかけても実効が上がりません。そういう意味もありまして、必ず事前に十分説明もし、意向も聞き、その上で大方の意向に即して指定しよう、こういうつもりでありますから、その段階で、やるとすればどんなことになるのかといった骨格的な計画だとか将来像というものは公共団体の試案としても示され、あるいは相談に乗るという機会が十分あるわけでございます。それでよかろうというような機運が出て促進区域を指定いたしますから、それから見れば、二年もあればこれは組合設立に至る準備期間としては短いということはないと思います。もちろんその間従来以上に促進区域指定後は公共団体が懇切丁寧な配意をいたしまして種々の相談に乗り、その要請に応じてはさらに詳細な計画等も一案としてお示しするというようなサービスは必要だと思います。
 次に、買い取り請求があった場合の時価で買い取るという規定は、都市計画法その他、既存の各種類似の法律にありますそのままの条文でありまして、その対象地域は、いろいろ区画規制のかかっている土地であるかないか、いろんな場合があり得ますから、一般的な当然のことという意味で時価と――時価よりも高くもないし安くもないという意味で時価と申し上げたわけでございます。
 なお、公共団体等事業施行者の費用負担は、多数の個所を一斉にやることになれば相当かさむと思いますが、従来でもこの地域では相当事業を行っておりましたし、なかんずく本法によってできるだけ民間権利者によってやっていただこう。その場合でも相談に応じたり指導したりする手間等の若干の経費はかかりますけれども、あるいは組合に対する助成等の裏負担の経費はかかりますけれども、みずからやることなく、権利者によってまずやってもらおう。その分だけ公共団体は余力が出まして、既成市街地とかその周辺部、家のまばらに建ち込んでいるような最も困難な場所に主力を注ぐことができるという関係にもなりますので、まあ一つには公共団体の使命、これを裏づける各種助成措置の強化、それと、できるだけ権利者によってやってもらうということによる手間、労力の省略というようなものをあわせ考えてこの法案を実施してまいりたいと思います。
#87
○説明員(犬伏孝治君) ただいま御質問の農地に関する御質問、三点についてお答え申し上げます。
 まず、第一点の大都市地域内にあります農地の面積でございますが、この法案におきます土地区画整理促進地域及び住宅街区整備促進地域は、いずれも市街化区域において行われるということで、市街化区域内の面積、農地面積についてお答え申し上げますが、その中心をなしますのは、いわゆる首都圏におきます五十キロ圏、近畿圏におきます四十キロ圏、中部圏におきます三十キロ圏の、いわゆる東京圏、大阪圏、名古屋圏、こういう三圏域の市街化区域内の農地面積でございますが、合計が十一万ヘクタール。そのうち、東京圏は六万二千ヘクタール、大阪圏は二万六千ヘクタール、名古屋圏は二万二千ヘクタール、これは四十九年一月一日現在で調査したものでございます。
 それから御質問の第二点の、この法案に規定されております特定土地区画整理事業、それから住宅街区整備事業によりまして農地がどの程度宅地化されるかという点でございますが、これらの事業によってどの程度農地が宅地化されるかという点につきましては、この法案に基づいて採択される事業量がどうなるかということとかかわり合いがあるわけでございまして、農林省といたしましては、その見込み数量については把握はいたしておりません。
 それから第三番目の、農地の宅地化について農業政策上どう考えるかという御質問でございますが、御承知のように都市計画法におきましては、市街化区域はおおむね十年以内に優先的にかつ計画的に市街化を図るべき地域として設定されておるわけでありまして、この区域区分に当たりましては、都市計画法二十三条第一項に基づきまして、「建設大臣又は都道府県知事は、あらかじめ、農林大臣に協議」することとなっております。この協議を通じまして、農林省といたしましては、集団的優良農地や土地基盤整備事業の対象の農地等につきましては市街化区域に含めないよう調整を図っておるところでございます。市街化区域の中に農地につきましては、そのような調整を経た上で定められた地域内の農地でありますから、いわゆる全体的な土地利用計画の上での位置づけといたしましては、基本的には市街化区域内の市街化促進という意味での性格を持っておる、やはり市街化区域内の市街化の進展に応じて計画的に都市的利用が図られるという性格を基本的には持っておるというふうに考えております。ただ、市街化区域内の農地といえども現に農業が行われておるという問題がございます。そういう現実に行われておるという限りにおきましては、営農上の指導、経営、あるいは技術指導、病害虫の防除等、農業経営が継続し得るような施策についてはこれを講じていくことといたしております。
 それから、市街化区域内の農地で良好な生活環境の確保に相当な効用があるというようなことで一定の要件に該当するものにつきましては生産緑地制度がございます。その生産緑地地区につきましては必要な融資も行うということを行っておるわけでございます。
 以上のようなことで、現に農業が続けられる限りにおいては必要な措置は講じていく。ただ、長期的な農業上の効果を及ぼすような土地改良事業等については、先ほどの市街化区域内の土地の性格ということでこれは差し控えるということにいたしておるわけでございます。
#88
○委員長(中村波男君) 両案に対する午前中の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。
   午後一時八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時八分開会
#89
○委員長(中村波男君) これより委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、両案の質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#90
○上田耕一郎君 大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法案と都市再開発法の一部を改正する法律案の二つについて質問したいと思います。
 前回この委員会を通過した宅開公団法案とともに、この二つの法律は三大都市圏の住、宅宅地政策、都市政策の根幹にかかわる重要法案だと思います。
 この大都市法の方のスタートを切ったのは四十八年一月の地価対策閣僚協議会で決めた問題、それからその年の七月の都計審の答申、こういうものですけれども、そういうものを受けて四十八年の十一月一日に行政監理委員会の例の答申がありました。この答申には三つの法律案の骨格が述べられていると思います。その骨格を述べた三つの法案ですが、これ運用を誤ると、逆にたとえば三大都市圏の農地がつぶされて都心から勤労者は追い出されることになる。都市の無秩序な巨大化が広がって、都市化がますます激化するおそれがないとは言えないのではないか、そういう危惧を抱くわけです。
 それで、大臣にまずお伺いしたいのは、あることをやる場合、その前提はこうだと、その前提ということの意味についてまずお伺いしたいと思います。
#91
○国務大臣(仮谷忠男君) さきに御審議をいただいた宅開公団法にしましても、今回の大都市地域における特例法にしましても、これはやはりいま緊急の課題になっておる住宅供給、そのために必要な宅地供給ということが一つの基本的な流れであるということを申し上げていいと思います。ただ、都市再開発法は、これはそもそも環境の整備と災害防止も加わっておりますけれども、これもひいては今回の改正点のねらいがやはり住宅の建設促進というものも考えておることは当然でありまして、大体基本的にはそういう考え方で進めております。
#92
○上田耕一郎君 いや、まあそれはそうなんでしょうが、あることをやる場合、その問題の前提はこうだと、前提というのは、それをやらないと進まないものなのかどうなのか、その前提ということについて、大臣どうお考えになっているかをお聞きしたい。
#93
○国務大臣(仮谷忠男君) たとえば、この法律をじゃ制定をし、あるいは改正をしなければどうなるかという問題、逆に考えてみる必要がありますが、宅開公団のときにもいろいろ議論がありまして御意見は十分拝聴いたしたわけでありますが、しからば、それをやらずに、その法案をそのままにしておいて、現在のままで宅地の大量供給が果たして可能かどうかという問題考えると、非常に厳しい条件の中であるし、むずかしい問題ではあるけれども、やはりいまの場合、これをひとつ積極的に進めていくことが政治の課題ではないかと、こういう考え方で私どもは進めておるわけであります。
#94
○上田耕一郎君 私が前提にこだわるのは、行監委員会の答申の最初に、まず「前提」というのがあるんですね、それでこだわるわけです。つまり、三大都市圏の宅地、住宅問題の解決策を講ずる必要があるんだが、「そのための施策が実効をあげるためには、その前提として次の二つの措置が講ぜられる必要がある。」と言って二つ挙げているわけです。一つは、人口のすべてをこの圏内に収容できないので、「工場・大学の分散、事務所規制、地方都市の建設整備、中枢管理機能の分散等人口分散政策を強力に推進すること。」が一つの前提で、二番目は、この「圏域内の人口配分計画を含む土地利用基本計画を確立すること。」と、この二つが前提になって、この前提がないと実効が上げられないということになっているわけで、じゃ、この前提については、この二つの前提ですね、建設省としては、どういう立法措置を考え、どういう計画を立て、何をやるつもりなのかということをお伺いしたいと思います。
#95
○政府委員(大塩洋一郎君) 行監の答申にありますように、三大都市圏を中心とする宅地問題の深刻化に対処するためには、前提として、まず第一には地方分散を図らなければならない。工場、大学その他例示がございますが、これにつきましては、従来から地方分散を図りつつ国土の均衡ある発展を確保するということは、これは地価閣僚協議会におきましても、この宅地開発の推進の前提として基本的姿勢として考えてきたところでありまして、その対策の具体例は、たとえば首都圏、近畿圏等における工場等の規制であるとか、あるいはその展開させる場所における優遇措置を伴った工場の移転促進であるというような問題、あるいは事務所規制とか、あるいは地方都市の整備発展を図りますための地域振興整備公団等による地方の助成、あるいはそれに対する振興策というようなことを従来から図ってきたところでございます。
 それからまた第二の、この土地利用の確立を図って国と地方公共団体が協力体制を整えてやらなければいけない、こういう土地利用の基本計画につきましては、先般成立いたしました国土利用計画法を初めとする、それを頂点とし、さらに国土総合開発法等に基づきまして、それによって都市計画の再編成を行っていく。こういう安定した、あるいは長期の見通しに基づいた大都市の再編成というようなものが土地利用計画の中で裏づけられなければならないし、またそういう方向で現在も作業中であります。
#96
○上田耕一郎君 いまのお答えはやっぱり抽象的な言葉であって、こういう「人口分散政策を強力に推進すること。」と書かれているような前提が、いま実際に行われているとは、われわれ見ることもできないし、事実もそうでない。たとえばこの東京をとってみても、どれだけ大きなビルが建ち進んでいるか、毎年ふえている。特に中心は産業、人口の集中ですよね。大資本の三大都市圏への集中、特に首都への集中です。こういう中枢管理機能の分散というようなことについて強力な施策が行われているとはとうてい考えられない。そのための立法措置も、今度事務所規制が若干行われましたけれども、今度の予算で。これもきわめて不十分なものでしかないわけです。そういう点で、こういうものについては抽象的なお答えしか出てこないし、実際に進んでいない。ところが、そういう前提はその程度にしておいて、その前提の上でやらなきゃならぬと。もちろん前提が全部できてからという段階論じゃありませんけれども、前提と結合して答申の中に触れられている方は、今度の宅開公団法にしてもこの二つの法案にしても、次々と着実に手が打たれてくるというところに非常な問題があるのだと思うのですね。そういうことになると、実はこの実効ある措置が望められるどころか、生まれてくるのは非常に大きな矛盾と混乱だと、そう私は思うわけです。そのことを以下少し具体的に質問していきたいと思います。
 一つお伺いしたいのは、衆議院での質疑でもいろいろお答えがあったようですけれども、この三大都市地域での昭和六十年までの住宅宅地の需給の具体的な見通し、それとその中の、たとえば公的、民間、区画整理などの分担割合、これについてお伺いします。
#97
○政府委員(大塩洋一郎君) 現在建設省が策定いたしております新国土長期構想という構想がございますが、それによって試算をいたしますと、三大都市圏におきましては、昭和四十九年から六十年までという十二年間の単位でございますが、その十二年間に必要とされる住宅建設戸数は千二百万戸と推定いたしております。もっと数字はございますけれども。この千二百万戸のうちで建てかえ、再開発等によって主として既成市街地等を利用しまして立地するものを除きますと、新たに宅地を必要とする戸数は四百四十万戸分というふうに見込んでおりまして、このための必要な宅地面積というのは七万六千ヘクタール、これを新規開発を必要とするというふうに推定いたしておるのであります。
 それをどのように公共開発あるいは民間開発あるいは区画整理といった分担内容で遂行していくかということの中身の問題になりますと、これは第一次住宅五カ年計画あるいは第二次五カ年計画等におきましてもその実績がございますが、おおむね民間開発が五〇%、公共開発が三〇%、区画整理によって二〇%というような比率で推移しておりますが、大体第二期に入りますとおおむねそういう傾向をたどっております。これは全国の平均でございまして、三大都市圏についてだけ見ますと、民間の割合が約六割で公共開発の方がダウンしておるわけでございます。したがいまして、これからのことを考えてみますと、やはり拒否反応といった、大都市圏域における計画的な開発というものがますます困難になることが予想されますときでございますから、第三次の住宅建設五カ年計画、あるいはいま現在検討いたしております長期構想の練り直し、見直し等におきましても、この中身につきましては、三大都市圏において五、三、二というようなそういう水準まで高めるべきではないか、あるいはもっとそれ以上に公共の方への負荷を高めざるを得ないのではないかというようなことで、そういう見通しのもとに立って、公共開発の負担の方を重く見まして、またそうしなければこれから先その円滑な推進を図れないというので、宅地開発公団法を初め本法等の手当てをお願いをしておるような次第でございます。
#98
○上田耕一郎君 この特定区画整理事業ですね。これに基づいて、大体着手七万ヘクタール、完成するのが四万ヘクタールだという答弁が衆議院であったわけですけれども、この特定区画整理事業というのは、市町村でやる、公的な方向でやるものはそのうち何割ぐらいに考えているわけですか、予想は。
#99
○政府委員(吉田泰夫君) 特定土地区画整理事業は促進区域の中で行われる事業というわけでございますが、促進区域でありますから、まあ主として民間権利者による施行を期待するということでございまして、したがって、相当部分は民間に施行していただきたい。つまり、組合等の施行を期待するわけでございます。しかし、二年経過後の公的機関乗り出しの規定もありますし、それ以前にもむしろ権利者側から市町村にやってもらいたいという要請の制度もありますし、また特別の事情に基づきまして、最初から広大な面積を対象にした公的機関が特定土地区画整理事業……
#100
○上田耕一郎君 大体の予想ですよ、二年たってやらなければならない……。
#101
○政府委員(吉田泰夫君) ちょっとその数字はまだ――全体の七万ヘクタールというのも、われわれかなり希望的な観測も含めて努力目標として申し上げた数字でございますから、これ自体はっきりしませんが、まあ中のウエートで言えば、当然権利者によるものがずっと多いと思います。
#102
○上田耕一郎君 まあ、やってみなければわからぬというお話ですけれども、大体宅地化されるのが特定区画整理事業で二万ヘクタールということですね。そのうち民間でやるのが多いだろうということですけれども、しかし、たった二年ですから、ある程度やっぱり公的――市町村で、ある程度よりも、二年でやらない場合には市町村でやるぞというふうに義務化しているわけですから、かなりの部分があるということになると思うのですね。そうすると、先ほどの大塩局長のお話ですと、七万六千ヘクタールのうち三大都市圏では大体三割のめどをつけたいと、公的機関で。これを掛けますと二万二千八百ヘクタール。ところが、宅開公団でもうすでに明らかにされたところによると、三大都市圏で三万ヘクタール、七十万戸を目標だということになっていますね。そうすると、特定区画整理事業のうち、二万ヘクタールの宅地のうち、まあどのくらいになるかわかりませんけれども、五千ヘクタールになるか一万ヘクタールになるかわかりませんけれども、これを加えると、とにかく四万ヘクタール前後の公的開発をやるという計画が法案としてわれわれの前には出された。ところが、局長の答弁ですと、三割まで目標にしたいと、そうすると私はここに一万ヘクタールぐらい矛盾が出てきているというか、公的開発のスピードアップを考えているという点が出ているように思うのです。スピードアップするのはなかなかいいようだということではなくて、私もう一つ問題にしたいのは、三大都市圏の場合には六割がまあ民間だと言われた。そうすると、七万六千ヘクタールの六割ですと約四万五千ヘクタールぐらいになりますね。これを民間でやる計画のようにとられますが、六月一.一十日の新聞での報道を見ますと、この不動産協会が国に近く要望書を出そうとしている。この不動産協会の要望書は、新聞報道によると、昭和六十年には三大都市圏で新規宅地が二十一万三千ヘクタール必要だ。これは局長の七万六千ヘクタールと比べますと三倍近い数字を不動産協会としては考えている。このうち六割を民間でやりたいのだと、その六割の半分は大規模の民間デベロッパーでやりたいということでこういう要望書を出すということですね。
 それで、私は、ここにどうも建設省の考えているプランと実際の数字とに非常に大きな――実際の数字というか、デベロッパー側が、不動産協会側が考えている数字との間に大きな開きがある。それはさっき言った前提の問題に私はかかわるのだと思うのですね。局長の七万六千ヘクタールというのは、大体三大都市圏の社会増はもうとまる、自然増だけだというのでこういう数字が出てきたはずですよ。ところが、こういう人口分散政策その他がうまくいったという前提の上での話であって、ところが、前提はろくなことやっていないわけですから、前提は一切崩れているのです。そうすると、不動産協会やデベロッパーの方は前提が崩れたということもよく知っていますから、実は三大都市圏では建設省の考えておる三倍近い新規宅地が要るのだと、そのうちの六割、また半分は大型デベロッパーでやりたいのだという要望書を出そうとしているのですね。それで私は、ここでこういう点でいろいろ抽象的な数字としてはわれわれに答弁が来ますけれども、実際には前提が存在しないのだから、実は無秩序な都市の拡大、そういうことが行われ、そのためにこういう公的住宅の宅地についても、答弁にも矛盾があり、この長期計画で言う計画よりも実際にはスピードアップしたプランが出されているのではないかと、そう思うのですけれども、そこら辺の関係と実態についてお考えをお伺いしたいと思います。
#103
○政府委員(大塩洋一郎君) 諸般の社会情勢あるいは経済情勢の変化が最近大きくわれわれの前に立ちはだかりまして、これからいろんなそういった環境の変化に伴って長期の見通しというものを練り直す段階にございます。しかし、いま私が申し上げましたのは、昭和四十七年の十二月において試算したものによって計算すればということで申し上げた次第でございまして、これから諸種の全総計画を初め、それらとあわせたそういう見通しをつくらなければならないことは言うまでもございません。いま申し上げられますことは、いま不動産協会の推定の二十一万ヘクタールですか、ということでございますが、これは私はどうも根拠としては、あるいは憶測かもしれませんが、二千四百四十万戸というわれわれの持っておりました全国の必要な戸数、そのうち千五百四十万戸が建てかえ分で、それから九百万戸分が新規の戸数であると、新規宅地を必要とする戸数である。それを三大都市圏に直しますと、七百六十万戸分が建てかえのものであって、四百四十万戸分が新規に宅地を必要とするものである。その四百四十万戸分をわれわれは七万六千ヘクタールと言ったわけでございますが、そうしますと、七万六千ヘクタールの、建てかえ分の方のもとの――全国でおっしゃっておられますから、恐らく千五百四十万戸の建てかえ分の方を言われれば確かに二十一万ヘクタールぐらい必要なことになります。これは建てかえ分の方をおっしゃっている数字ではないかというふうに思うわけでございますけれども、われわれはそれを十六万ヘクタールというふうに踏んでおります。ですから、私どもの七万六千ヘクタールというのは、三大都市圏について新たに宅地を必要とするものについては七万六千ヘクタールであるということには、ほぼ従来の実績からいたしましてもトータルとして間違いはない数字ではないか、これに近い数字ではないかと、いままでどおりの伸びでいくならばということで申し上げたいと思うのでございます。
#104
○上田耕一郎君 私も新聞報道だけですから、要望書全文見ていないからわかりませんけれども、これには明らかに新聞報道では「三大都市圏で」と書かれている。
 もう一つ注意したいのは、ここに近く建設省、大蔵省に要望を出すというのですが、その中にこういうのがあるのですね。「宅地開発については市街化区域、市街化調整区域の再検討を行い、市街化調整区域内の優良プロジェクトについては開発許可を与える」と、こういうことを必要な措置として建設省や大蔵省に要望するというのです。これは宅開公団法のときにここでもかなり問題になった問題で、やはり明らかに不動産協会は調整区域内の優良プロジェクト開発許可を求めると、こういうのを出そうというわけですね。この点については、大臣もここで、そういういいかげんなことをしないということを何度もお答えになりましたが、そういう要望書が出たとき、ここでお答えになったような回答を厳しくしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#105
○政府委員(大塩洋一郎君) 私から先に問題を知っておりますので申し上げますと、調整区域の中において行われるものはわれわれは優良宅造とは考えておりません。市街化区域の中にある、持っております宅地についてその水準を高め、優良な宅造としてわれわれはそれを大いに助成する用意はございます。
#106
○上田耕一郎君 その点、デベロッパーがねらっている調整区域内の買い占めということですね、これを何とか開発しようという、しかも公的資金まで、公的な手も借りようというやり方に対して厳しい措置を要望したいと思います。
 それで、こういう問題とも関連するのですけれども、この大都市法案についての衆議院の附帯決議で、三大都市圏だけでなくて、この法律を中核都市まで広げたいという附帯決議のそういう動きがあったわけですけれども、建設省としてはこの法律を全国的に適用するつもりかどうか、それをお伺いしたいと思います。
#107
○政府委員(吉田泰夫君) この法案は、特に際立って住宅宅地難の激しい三大都市圏を限りまして、そこにおける直接的には住宅宅地の良好な市街地としての供給促進策、その中身には学校用地の取得難とか、農家の意向等に徴して農地の全部を宅地化してもらいたいということだけでは宅地開発そのものが進みにくいのではないか、こういった事情を反映させるような制度を考えたものでございます。したがいまして、義務教育施設用地をとるというような特例あるいは集合農地区がとれるというような特例、それに加えまして国庫補助を手厚く行うことにより、土地所有者にも区画整理のメリットが相当大きく反映されるような予算上の措置というものを加味しました。それらのもとになるものが促進区域である制度でございます。こういった促進義務と、これに対応して短期間に宅地化するということに見合う優遇措置、特別措置、あるいは学校用地の取得難に対する特別措置、こういったものを設けておりますから、当面のところは、やはり特にそこまでしてやらなきゃならない三大都市圏に限るというつもりであります。もっとも今後の情勢の推移によりましては、他の地域におきましても三大都市圏に準ずる地域、あるいはさらにそれに準ずる地域と、漸次住宅宅地不足、それに対するこのような特例というものが法律上も許されるというようなところが出てくることが考えられますが、それはその時点で再び考えることにいたしまして、当面はこの三大都市圏に限って施行したいと思っておる次第でございます。
#108
○上田耕一郎君 当面は三大都市圏に限るけれども、それに準ずる地域というのがおいおい出るかもしれないという答弁、全国で市街化区域にある農地というのは二十八万ヘクタールですね。これをおいおい準ずる準ずるということで広げていきますと、この法案の中身は市街化区域の農地を事実上つぶして宅地化すると、それを強権的に進めたいというのがこの法案の本質だと私思いますけれども、これ全国的に広げていくと、結局市街化区域内農地二十八万ヘクタールは大体宅地になってしまうという方向に進まざるを得ないと思うんですね。これは有名な構想として、元首相の田中さんが四十八年の十一月に、当時の農林大臣に三十万ヘクタールの農地を一年間で宅地にしろということを言って大問題になったことがありますけれども、高度成長が低成長になった時代なので一年間じゃないにしても、どうも田中構想を数年に延ばしておやりになろうとしているのではないかと、そういう問題点が私は浮かび上がってくると思う。
 田中さんが幹事長時代におつくりになった自民党の都市政策大綱、これは中間報告というので田中さん非常に御自慢のものですけれども、この中身にもうすでにこの三つの法案に関係するような考え方がどんどん出ているわけですよ。たとえば都市の再開発法に関して言えば、公共施設の整備のための土地を取得する場合、新土地収用法などの現行制度でかなりの効果を上げ得るはずだというのは、土地収用法でやるということがこの田中さんの政策にははっきり述べられている。それから民間デベロッパーの活用については、これは余りにも有名だから触れませんけれども、宅開公団法の問題でも、ニューシティーの建設というのでやっぱり住宅都市を大都市の近郊につくって、これを高速鉄道で結ぶと――高速鉄道までいかないで今度はちょっと幹線につなぐという程度になりましたけれどもね。どうもこういう考え方でとにかく農地をつぶしていく、日本列島改造論でやっていく、それを猛烈なスピードで田中さんはおやりになろうとしてそれが大失敗をした。しかし、その大失敗を正しく反省せずに少しスピードを落として進めていこうと。これが私は行監の答申にもそのまま出ているし、それを具体化した三つの法案としても出ている。それだけに非常にわれわれ簡単に見過ごすことのできない日本の国土政策、都市政策、住宅政策として重要な問題点があると思うのです。
 国土庁にお伺いしたいのですけれども、いままで幾つかの数字が出ました。いま国土庁は三全総を策定中だというのですが、住宅や宅地のいままで出た数字との関係で、三全総ではどういう関連で計画を策定中なのか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
#109
○政府委員(小幡琢也君) 国土庁におきまして、現在三全総計画の策定作業をやっております。また、その下にあります中位計画といたしまして、首都圏基本計画あるいは近畿圏基本整備計画、また中部圏基本開発整備計画、こういった計画を現在見直し、できれば本年度中に改定いたしまして、五十一年度から六十年目標の十カ年計画にしたい、こういうことでやっているわけでございます。その中におきまして、こういった住宅宅地をどのように織り込むかという問題でございます。
 私の所掌しております三大都市圏――首都圏、近畿圏、中部圏について申し上げますと、それぞれ現在圏域内の住宅宅地のその期間の試算と申しますか、見込みにつきましていろいろ作業をやっているわけでございます。したがいまして、必ずしも先ほどから建設省の方で申されている前の四十七年ぐらいの数字とはあるいは異なるかもしれませんけれども、全く新しい情勢を踏まえまして積み上げ作業というのをやっておりまして、まだ作業中でございますので、現段階においてはまだ幾らということは申し上げられませんけれども、そういうふうに新しい見地に立ってこういうものを見直しをしていると、そういうような段階でございます。
#110
○上田耕一郎君 前提も先ほど申しましたようにちゃんと進んでいないにもかかわらず実行すると。それから国土庁の三全総の作業は、いまいろんな数字を経済情勢のいろんな変化に応じて見直し中だと。ところが、建設省の方はもう余り見直してない古い数字でやっぱりやろうとする。古い数字に、しかも先ほど私が立証したように実はスピードアップまで加わっている危険さえあるわけですね。そういう点で、私は今度の法案というのは非常にどろなわ式で、前提もはっきりしない、全国的な計画数字についても科学的な見直しも行われていないというところで、ただ農地だけつぶそうということで進んでいるという危険を強く感じるわけです。
 次に、具体的に大都市法案について質問したいと思います。
 この法案非常に問題を含んでいると思いますが、何よりも第一は、市街化区域の農地、これを大体つぶしていこうということなので、それが最大の問題だ。農林省にお伺いしたいのですが、市街化区域にある農地ですね、これを農業政策上どう考え、どのようにしようという政策なのか、その点をお伺いします。
#111
○説明員(犬伏孝治君) 御承知のように、都市計画法では市街化区域、おおむね十年以内に優先的にかつ計画的に市街化を図るべき地域として性格づけがされているわけでございます。この区域区分に当たりましては、建設大臣または都道府県知事は農林大臣と協議をすることになっております。この協議におきましては、集団優良農地あるいは土地基盤、農業生産基盤整備事業の対象農地等につきましては市街化区域に含めないという方針で調整をしておるわけでございます。そういう調整によりまして、市街化区域の中に入りました農地につきましては、これはやはり市街化区域というものの性格上、先ほど申し上げました、優先的にかつ計画的に市街化を図るという性格づけがされておるということからいたしまして、農業政策上の扱いといたしましては、長期的な効果を伴うような土地基盤整備事業、これは行わない。ただ、現実に農業がそこで行われておるということでございますので、その農業経営に支障のないように、経営が可能であるような施策は講じていく。たとえば災害に対する施策、防災に対する施策あるいは病害虫防除、家畜衛生あるいは技術指導というようなものについては、これは行うということで対処しておる次第でございます。
#112
○上田耕一郎君 この市街化区域の農地は野菜の供給地として見直されておりますし、重要な役割りを果たしておるし、また都市緑地としての機能も非常に持っている。建設省はどうもこの農地をすべて十年間に都市化するという考えで見ているようですけれども、たとえば新全総でも昭和六十年目標として都市公園の一人当たりの面積九平方メートルというのを出している。ところが、実績は全国平均はわずかその三分の一の三平方メートル、東京などの場合は二十三区内はわずか一人当たり一・四平方メートルしかないですね。そうしますと、緑地保全地区や生産緑地を含めて広義の緑地として都市政策上確保しなければならない面積、こういうものは大体建設省は長期計画としてどのくらいを目標にしてやろうとしているんですか。
#113
○政府委員(吉田泰夫君) 従来は一人当たり九平米、ちょうど欧米各都市の半分程度のものでございますが、せめてこの程度のものは確保したいということでやってきました。先生言われるように、生産緑地地区とか、あるいは緑地保全地区とか、こういった民有のままで緑地として保全する地区、さらに広く言えば風致地区とか、規制は弱いけれども、若干の効果のあるようなものも広く含めまして、全体としてそういう公的な公園としての整備されるもの、民有緑地、こういったものを複合してどの程度必要かということにつきましては、現在いろいろ検討委員会を設けて検討中でございます。まあ多ければ多いにこしたことはないとは申せ、やはり都市の地域でございますからおのずから限界もありまして、そういった緑の確保と住宅宅地の供給という二つながらの目的の調整点をどの辺に見出すか、こういう観点でございます。当然、公的なちゃんとした公園、九平米というのに比べれば、そのほかに民有緑地を大幅に加えることになりますから相当大きなものになるとは思いますが、まだその数字を固めるに至っておりません。
#114
○上田耕一郎君 どうもそういう数字がまだはっきりしていない。いつか三全総が問題になったときに、新聞では一人当たり二十平方メートル考えていると報道されましたけれども、そういう数字さえいまだに都市局長がちゃんと持っていないというのは、これはやはり国の都市計画がいかにいいかげんかということを示しているんですね。都市にとって緑がどれだけ大変かというのはこれだけ論議されている。ところが、三大都市圏について目標値として一人頭大体どのぐらいとろうかという数字さえいまだにない。それで今度農地はどんどんつぶしていこうというのでしょう、私は無責任きわまると思う。たとえば、しかし九平方メートル大幅に上回るだろう、一時報道された二十平方メートル考えてみますと、三大都市圏、約三千万人いますから、これだけで六万ヘクタールの緑地が要るのです。そうすると、それだけのものをやらなければいかぬのに、農地はどんどん大体十年以内に市街化区域につぶしちゃうというのですから、これは全く無責任きわまるし、合理的な都市計画あるいは住民のために本当に生活環境のいいそういう都市をつくろうという気持ちがあるのかどうかということを私は疑わざるを得ないと思うのですがね。
 それで、もう一つお伺いします。全国の市街化区域内の農地、先ほど言いましたように二十八万ヘクタールあるのだけれども、その何十%ぐらいが生産緑地として都市計画決定されるという見通しを持っておりますか。
#115
○政府委員(吉田泰夫君) これは生産緑地法案の審議の際にもいろいろ御質問がございましたが、実際にやってみないとなかなかわかりにくい。と申しますのは、土地所有者の同意の要る非常に特異な都市計画でありますから、そう申し上げたものでございます。さしあたり土地所有者が同意する最も強い動機としては、宅地並み課税の適用を排除できるということですから、この意味で言えば、宅地並み課税の適用対象は三大都市圏の市の区域のAB農地に限られているわけでありまして、一万六千八百ヘクタールしかないわけであります。そのまた全部が生産緑地に指定される、同意されるとも限りませんから、そのうちのある程度の部分及び宅地並み課税に関係のないC農地、あるいは三大都市圏外のABC農地においても多少はそういう税法上の動機はなくても、生産緑地地区に指定することにより将来の営農の継続の確保を図ろうというような純粋な動機のものもないわけでもなかろう、こういったことでいろいろに推定した数字を申し上げたことはございます。まだ施行後日も浅いことと、宅地並み課税そのものも段階的に引き上げることになっていますから、まだその中間段階であること、並びに生産緑地法施行以前から実施されておりました市町村は条例あるいは要綱によって独自に農業保全策をとられております。こういったものも経過期間が必要でありまして、生産緑地法ができたから直ちにそれに一元化というわけにもいかないという、若干の経過期間中でもございますから、そういう意味で、現在すでに指定されたというものはわずかに一市にすぎない状況であります。
#116
○上田耕一郎君 どうも広義の緑地をどのぐらいにするかという目標もはっきりしていないし、生産緑地法に基づく生産緑地地区は三大都市圏でどのぐらいになるだろうかということについてもどうもわからないということなんですね。そういうことに余り関心がないということの表白だと思いますが、ひとつ都市局長にお伺いしますが、この二つの事業――特定土地区画整理事業と住宅街区の整備事業で、昭和六十年までに三大都市圏でどの程度の農地を宅地化していく計画なんですか。
#117
○政府委員(吉田泰夫君) 私ども宅地供給を促進するために本制度を主として用いまして、極力努力し、国による助成等も大幅に拡充することを前提に、かつこの制度の趣旨が十分に徹底されることを考えまして、できれば六十年までに着手ベースで約七万ヘクタールぐらいのものを手がけたい。もちろん着手してすぐでき上がるものでもありませんし、中には集合農地区も相当とれることになっておりますし、そういったことをいろいろ計算いたしますと、三大都市圏の農地、山林等合わして約十五、六万ヘクタールと推定されるもののうち、結局農地面積を五万ヘクタールぐらい施行することになり、その二割程度が集合農地区として平均的に残るとすれば、それを引きました三万九千ヘクタールぐらいが宅地化する、こういう考えでございます。
#118
○上田耕一郎君 つまり、緑地として残す方はよくわからぬけれども、つぶす方だけの計画は立っている。大体十年間に三万九千ヘクタール、約四万ヘクタールの農地はつぶすという計画であることだけは明白になったと思います。以上が第一の問題。
 二番目の問題は、こういうかなり大規模な農地つぶしが、農民の要求も無視している、農民の要求を生かして何とか緑地を残して美しい都市をつくろうと努力している自治体の政策並びに努力をも無視して強行されようとしていることだと思います。宅地並み課税のお話も先ほどありましたけれども、あの宅地並み課税、これは農地の宅地化をねらうものであることは言うまでもありませんけれども、あれに対して農地を守ろうというので、いろんな自治体が農業緑地制度なるものをつくっていろいろ農業奨励金だとか返還金の制度をうんとつくりましたが、こういう自治体は、大体大都市圏、あるいは首都圏でもいいですけれども、一体どのくらいに達しておりますか。
#119
○政府委員(吉田泰夫君) 特別区を全体で一つの市と勘定いたしますと、百八十二市のうち何らかのそういった施策を講じているところは百十五市でございます。
#120
○上田耕一郎君 この百五市は必ずしもいわゆる革新自治体でもないのですね。これは自民党を支持している市長さんのいらっしゃるところでも、本当に農業を保護したい、緑地が、緑のある町の環境を保全したいというのでこの財政危機の中でやっている。いろいろありますけれども、大体多いのは千平方メートル以上、期間は五年で、大体五〇%以上還元しようというところがかなりあるわけです。それで、一方じゃそういうのがある。他方、この生産緑地指定の方は先ほどわずか一市やっているだけと言われましたが、これは松戸市で七・七ヘクタール生産緑地指定がいままで行われただけで非常におくれているわけですね。そうすると、あとの農民というのは結局重い宅地並み課税をかぶって、わずかに自治体の努力で救われているということになっているわけです。つまり、本当に政府のそういう非常に強引な農地宅地化政策に対して、農民も自治体も非常に苦しみながらこの近郊農業を守っている、緑を守っているということだと思うのですが、最近国土庁はこの近郊農家の調査をして、農民が宅地化を希望しているかどうかということについて調査されたようですが、その結果をお伺いしたいと思います。
#121
○政府委員(河野正三君) お尋ねの東京圏近郊農家の土地所有等に関する意識調査というのを本年の一月に国土庁で実施いたしまして、事項がいろいろございますが、その中でお尋ねの御趣旨に特に合っていると思われる項目につきまして簡単な御報告を申し上げたいと思います。
 今後十年間の生活設計をどうするかという項目でございます。現在の場所で農業を中心としてやっていきたいという答えをいたしました方々のウエートが三二・三四%、代替地で農業をやりたいという方のウエートが一・七%、生活は主として兼業収入に頼るが農業も続けたいという答えをされた方々が五四・二四%、農業はできるだけやめて会社に勤めるなり貸し家経営等をやるなりしたいと積極的に答えられた方が一一・七一%というような形でございます。
#122
○上田耕一郎君 つまり農民は、農業を続けたいとか兼業でやりたいというのを合わせますと、八八%が農業をやりたいというわけです。会社に勤めたりアパートの大家さんになりたいというのはわずか一割しかいないというのが国土庁のこの調査の結果であります。これは東京などでもやっぱりそうで、東京都の調査によりましても、東京でも練馬、世田谷などかなり農地があるわけです、二十三区内にも。そこで一ヘクタール以上の農地を持っている方がかなりあるわけですけれども、ほとんどやっぱり調査によると農業を続けたいという希望を持っている人が多いわけです。こういうときに、今度の法案というのはどういうことを意味するかというと、農業を続けたいと思っておるのにこういう宅地並み課税が重くなるわけですね。特に五十一年度から評価が見直しになりまして物すごく高くなる。たとえばこれは大阪の例ですが、A農地、四十八年度、十アールで固定資産税が四万三千二百十八円だったのが、来年度は三十二万円超すというんですね。そういう宅地並み課税がかぶってくるわけです。ところが、生産緑地になっているのは松戸市だけだというわけでしょう。
 そうすると、どうするかというと、農民は結局いつ生産緑地指定になるかわからないけれども、こういう重くなる宅地並み課税をかぶってそのまま農業をやっていくか、それとも今度の法案でひとつこの促進区域に指定する、ひとつやってみないか、組合つくってというので、これはかなりあめは確かにありますよ。そうやる場合にいろんな確かに助成措置がついているし、そういうので、じゃ農業をやりたいがこの大都市法で宅地化へいくかというところで悩まざるを得ないわけですね。そういう非常に冷酷な二者択一を迫ろうとしているのが今度の私は大都市法案だと思うんですね。いろいろやってみたけれども結局だめだと、自治体がやっているのもこれも封じ込めようというので生産緑地を考える、これもなかなか進まない、じゃひとつこの大都市法で残っている農地を宅地化をさせようと、一方あめでつりながら、実はあめでつると見せかけながら、むちでしりを追い立てているという法案だというように思うんです。こういう法案が出てくると、それはやっぱり農民は考えますよ、自分の希望を裏切ってやっぱりやらざるを得ない。しかし、あなた方の説明は、やりたい方は集合農地を三割まで残すから、やりたい方はやれるのだと、大家さんになりたい人はちゃんとやれるようになっているのだと、しかし、大家さんになりたい人は一割しかいないんですよ。ところが、ほとんどの農家にそれを押しつけようというわけです。しかも三割ぐらいは農地が残るかのようにおっしゃいますけれども、ここも一つ私は大きなごまかしがあると思う。この一ヘクタール以上の場合、住宅街区やると三〇%以内の集合農地残せるというんですけれども、全然残さなくてもいいんでしょう、この点どうですか。
#123
○政府委員(吉田泰夫君) 希望がなければ残さなくてもいいわけです。
#124
○上田耕一郎君 都市局長は先ほど全体の数字の中で、五万ヘクタールのうち大体二割程度残るだろうというので、一万ヘクタール農地が残ると言われました。しかし、残らなくてもいいわけで、大体三〇%以内という上限を抑えて二割残る、平均二割だというお考えだろうと思う。一ヘクタールのうち二割だと〇・二ヘクタールですよ。わずか二反歩で、ネコの額みたいな小さな農地ですね。しかもそこに共同住宅やなんか建ってくるわけでしょう。そうすると、団地のところで、上からのぞかれて、狭い二反歩ぐらいの農地をさあやろうかというようなことで、これそのまま残るわけがないと思う。しかも生産緑地法を見ますと、第二種生産緑地の場合、都市計画は十年で失効なんですね。だから、十年たつと都市計画が失効するから、もうこれは宅地にしようが何にしようが構わないわけです。しかも十年じゃなくて五年たてば、これは買い取りを自治体に要望できる。自治体がいろんな理由で買い取れない場合、今度はいわゆる制限行為はやらなくていいというんです。そうすると、宅地化したって構わないわけです。家も建ててもいい。そうすると、私はこれをやって、住宅街区やると、大体二割の集合農地が残ると、大体五年たつとこれはもうなくなっちゃうだろう。宅地化されるだろうと思うんですね。最大限十年でもう第二種生産緑地の指定というのは都市計画失効するんですから、十年でやっぱりなくなっちゃう。そうすると、何かやっぱり農民のために、農業をやりたい人のために幾らか集合農地を残す。いろいろうまいことを考えていらっしゃるようだけれども、実は先ほど一万ヘクタール農地が残ると言われたけれども、五年か十年でその一万ヘクタールも全部宅地化される、これは私はもう明白だと思う。しかもそれをこういう法律で、強権で押しつけていこうということだろうと思うんですけれども、その辺の見通し、実際にどういう点をお考えになっているのかお伺いします。
#125
○政府委員(吉田泰夫君) なるほど第二種生産緑地地区は原則として有効期間十年ということでございます。もちろんもう一回限りさらに十年延長することはできます。まあこういった期限を切る制度を設けましたのは、一つには区画整理等を行ったところで第二種生産緑地地区は指定されるわけでございますから、そういった市街地開発のための整備を行い、公共投資も行った貴重な場所、またすぐにでも家が建ちやすいような状況になっているところを永続的に第一種生産緑地地区のような形で残せといっても無理だし、まあそれでは農民の意向にもむしろ即しないだろう。やはりそんなに長い将来は見通せないわけでございますし、自分の一代限りは農業をやるが、息子の代になれば必ずしもわからないといった方も多いわけですから、そういった余り長期の将来を見渡さなくても、およそ十年程度は少なくも農業をするというのであれば、安心してこの指定に同意できるという立場から期限を切ったものでございます。それで、もともとこの生産緑地地区は土地所有者の同意が要る制度でございますから、十年もたたずにどうなるかわからぬ、いい買い手があれば売ってしまうとか、宅地化したいという希望になるかもしれぬという方は恐らく同意されないはずでありまして、と申しますのは、五年たてば買い取り請求はできますけれども、これは公的機関に時価で買い取られるというものでありますから、民間同士の売買のようにうまくいくかどうかもわかりませんので、そういう意味では一応十年ぐらいは存続されるという方が同意される。それが生産緑地地区になるというわけですから、五年といった短い期間であらかたなくなってしまうということはあり得ない。まあ少なくも十年は持つ、さらに延長する制度もある、こういうことでございます。
#126
○上田耕一郎君 さらに延長する場合というのは、周りに住宅が余り建たなかった場合にということなんで、実際にはいまの答弁でも明らかなように、大体五年から十年で集合農地区もなくなるということが明らかになったと思います。それを結局強権で押しつける。その強権がやっぱり第三に非常に大きな私は問題になると思うんです。
 今度の二つの法案の非常に新しい手法というのは促進区域、これを設けたことで、これは先ほど申しましたように自民党の都市政策大綱などにもその考え方がもう出ておりますし、それから行管への答申で非常に明確に出てきたわけです。しかもこの促進区域に指定されると、たった二年でやらなきゃならぬ。やれないと、わずか二年で市町村がやらなきゃならぬという、やっぱり非常に特殊ながんじがらめの強制力を発揮するようなやり方になっている。この点、強制的でなくて、本当に農民の自主的な意思を非常によく反映させられる制度になっているのかどうか、そういう制度的な保障があるのかどうか都市局長にお伺いします。
#127
○政府委員(吉田泰夫君) まず、促進区域の指定は最も身近な市町村が指定することにいたしております。また、これはすべての都市計画に共通でありますが、あらかじめ案を縦覧し、意見書を提出させ、その意見書を審理して都市計画決定をするという手続がございます。こういった法律上の制度のほかに、特にこの促進区域というのは、いままでに見られない開発または整備といういわば積極的な行為を権利者に期待しようという制度でありますから、その期待にふさわしいような場所でなければならないということになりますと、まあ地理的その他の客観的な条件が備わっているのみならず、権利者の大方の方々が積極的に特定土地区画整理事業などをやろうというような機運が盛り上がっているということが必要だと思います。そういう意味で、事前に十分こういった制度の趣旨は説明して回らなければなりませんが、そういった説明を入れられた上で判断され、非常に小さな地区でも指定できるようになっておりますから、ある程度の地区内の方が寄り集って、よかろうじゃないかという機運が盛り上がったところ、こういったところを私どもは実際には指定することといたしております。その段階で十分意見の交換、将来設計というものもなされるわけでありますから、そのうちにおいて指定されれば、これは二年程度あれば十分準備は整うであろう、こういうことでございます。まあいよいよ事業を行う場合におきましても、土地区画整理事業というのは一般の買収方式の事業と違いまして、土地を取り上げるというものではありません。まあ若干減歩は受けますけれども、それも非常に優遇しようというものでありまして、農民等の土地所有者が自分の土地をそのまま持ちつつ、公共施設が整備され、良好な市街地として造成された宅地に換地されるというものでありますから、またその各事業の段階では、それぞれ慎重な案の縦覧、意見書の提出等の手続が、事業計画の段階、換地計画の段階でそれぞれありまして、まさに住民参加といいますか、住民そのものによって行われる事業でもありますから、決して強権的なものとは私どもは考えない次第でございます。
#128
○上田耕一郎君 これも私は非常に言葉だけのお話だと思うんです。機運が盛り上がっていると言うけれども、先ほど国土庁の調査によっても一割なんですよ、そういう機運があるのは、農家に。一割にしかすぎない。それから説明会だとか、それから縦覧、それから意見書も出せると言うけれども、わずか二週間でしょう、あれは。だから、二週間で縦覧をして、その間に意見書を出せと言っても、本当に農民の意見を反映させることができるかどうか。これは全く実情を知らぬやり方です。農民に、非常にあの忙しい仕事の中で意見書をどうやって書きますか、二週間の間に、その計画を見て。それからいろいろ農民のところには話もする、身近な市町村がする。しかし、市町村がそういうことを一体やれますか。こういう法案が出たと、あめもむちも両方入っている。ひとつ家を建てて、こういうふうに集合農地をつくって、こういうふうに住宅街区でひとつやったらどうだと、まあ不動産会社のセールスマンみたいなことを市町村が農家の間を回ってやっぱりやれと言っても、これも私は非常に無理な話だと思うんですね。最後に決して強権的なものでないとおっしゃいましたけれども、ちゃんと証拠があります。
 この行監委員会の答申には五ページにこう書いてある。「市街化区域内農地等の所有者に対して」「地域を指定し期間を短縮した義務づけを行なうこととする。これが行なわれない場合には、公的事業主体に収用、代執行等の権限を与えて事業を実施させ、計画的土地利用を強制的に実現するものとする」と、大体こういう答申を受けてつくられた法案ですよ。これは法案には強制なんて言葉書いてないけれども、行監委の答申はきわめて正直です、強制的にやるんだ、実現すると。代執行でとか収用――収用なんというのはなくなりましたけれどもね、強制的にやるんだと。これはあめをぶら下げながら、一割しか希望のない農民にですね、それから自治体だって何も一生懸命やろうとしないです。自治体百九十幾つのうち百五も何とか農地を残そうとして努力をして緑地をつくっているということで、先ほどあなた自身が答弁されたでしょう。農家も気が進んでいない、自治体も何とか残したい。それをやるのは結局強権しかないというので、行監委員会の答申には「強制的に実現するものとする」ということが書かれているんだと思うんですね。こういうあめをぶら下げて実際には強権でやるという考え方は私は成功しないと思う。実態に合わない、自治体の実態にも合わない。自治体の事業量も膨大なものになりますし、財政上の実態にも合わない、農民の意向にも合わない。そうなると、あなた方の机上プランにしか私はすぎなくなるだろうと思うんですね。一方では強権発動を言葉はきれいだけれども考える。しかし、実際にはぼくは机上プランだと思うんです、これは。こういう非常に私は矛盾した強権と、それから机上プランとの複合体みたいな法案であろうというように思います。
 最後に、この法案について私は第四に、先ほど不動産協会のあれを出しましたが、やはり住宅資本や不動産資本などの民間デベロッパーにこれは大きな利益をもたらす結果にならざるを得ないだろうと、そう思います。去年の五月に経団連も、緊急宅地開発計画案というのを設けて指定地域内の土地保有者に所有地の住宅化を義務づけてくれと、ここに十年間にわたって五兆八千億円の投資を行って百七十万戸分の新規宅地を確保すると、こういうようなことを骨子とした計画案を経団連もまとめている。それから不動産協会も先ほどのような要望書をまとめたと言いますけれども、やっぱり大資本はまさに農地の宅地化を権力で進めてほしい、それから調整区域も外してほしいというのをねらっているんです。
 それで、農地の宅地化の問題について言うと、今度のやり方で大きな問題は、結局この住宅街区で農民が自分でやるということになると、農民が設計から施行まで自分でやれるはずがない。どうしても、組合をつくっても、あるいは個人の施行の場合にも、やっぱり企業にゆだねるということになると思うんですね。これは実際、たとえば町田市の例を見ますと、町田の南農協というのが宅地造成に手をつけた。最初京浜土地会社というのにやらせてみた。そしたら土地の五〇%をその会社が買って、それから宅地造成費として二五%を渡したので、農民は二五%しか残らなかったというのが最初の経験だそうです。そのひどい経験から学んで、次には東急に頼んだ。東急の場合にはもっと大規模で、しかし、その場合でもやっと半分しか手に残らなかったということが、町田の農協の農住都市ということでやってみた実例なんですね。こういう点からいっても、結局農民が住宅街区でやろうとするとデベロッパーに任せざるを得ない、会社に。そうすると、今度農民のためにというのでいろいろ税制その他優遇措置だとか助成措置つけておりますけれども、その助成措置、優遇措置というのは、金融措置も含めて、農民に任されたこういうデベロッパーに、その手に落ちるということになるのではないか。ひとつこれは大臣にお伺いしたいんですけれども、そういうデベロッパーにこの仕事を通じて不当利益がいったり、非常ないろんな横行をやったりということの生まれるおそれをどうやって防止するおつもりなのか、その点について最後にお伺いしたいと思います。
#129
○政府委員(吉田泰夫君) 仕組みは複雑そうに見えますけれども、これは法律のつくり方として、ありとあらゆる場合を用意しておかなければならないからでありまして、実際には一人当たりの面積も既成市街地などとは格段に広いわけですし、複雑な担保権や借家権等もない、いわば更地で所有者だけが権利者であるというようなところが主であります。家もほとんど建っていないところですから、そういうところではこの膨大な条文のうちで不必要な条文が非常に多いわけです。つまり、置いたほどには実態はさほど複雑ではない。
 それから、こういった事業の指導は当然市町村等が懇切に行うことになります。指導を誤って二年とかすれば今度は自分でやらなくちゃならなくなりますから、全部をその市町村が引き受けるということもできませんし、本来の趣旨でもありませんから、それは促進区域を指定した以上、所期の目標どおり権利者によってやってもらう。そのためにいろんな援助、技術的援助も含め行うということでございます。
 デベロッパーが乗り出してほとんど開発利益を吸い上げるのではないかという御懸念でありますが、まあこの事業は非常に農民にとって一般の区画整理事業で行うよりもはるかに有利な制度になっております。そのように自分でやれば有利なものをデベロッパーに一部土地を売ったりして、わざわざその利益を会社にゆだねるということはないのじゃないか。従来のような一般の区画整理事業ですと、相当の保留地を出して事業費に充てなければなりませんから、そういった保留地をデベロッパーに譲渡しましょうというような話から話が始まるのかもしれませんが、この場合は国庫補助も手厚いものですから、保留地もわずかとればいいことになります。デベロッパーが出てくる仕組みというものはまず考えにくいと、こう思います。
#130
○上田耕一郎君 いや、まず考えられにくいじゃなくて、やっぱりほとんど参加組合員に入れるわけですね、それは入れませんか、参加組合員にはなれませんか。
#131
○政府委員(吉田泰夫君) まず、特定土地区画整理事業は参加組合員なんていう制度はありませんから、みずからが土地所有者にならない限りデベロッパーが参加することはできません。
 それから次に、住宅街区整備事業につきましては参加組合員の制度を置いておりますが、これは法律及び政令によってこの対象範囲を公的なものに主として限ることにいたしておりまして、デベロッパーを参加組合員になり得るものに法令上規定するつもりはありません。
#132
○国務大臣(仮谷忠男君) いろいろ上田委員さんの御意見を先ほどから承っておったのですが、これだけは御理解いただきたいと思いますのは、法律で強制的に農民いじめだという私どもは考え方では全くございませんから、これはぜひひとつ御理解をいただきたいと思うのでありますが、宅開公団法の問題から関連をして、特に農振地域とかあるいは調整区域等について宅地開発がどんどん行われるのじゃないかという意見等もありましたけれども、最大、最小限度そういうものは食いとめていきたいと思っておりますし、基本的には農振地域とかあるいは農用地とか、そういったものをわれわれは外すということを実は原則にいたしておるわけであります。どうしてもやむを得ない場合においては農民のよく理解を得て、そして正規の手続に基づいて農林省とも相談の上で決定をしようと、こういうことをしばしばお答えを申し上げてまいったとおりであります。
 この大都市に関する特別措置法にいたしましても、これは御理解いただけるように、大都市地域の特に市街化区域内の土地の所有者が自発的に土地区画整理事業をやろうということについて、やる場合においてはわれわれもできるだけのことをいたしましょうと、こういう意味の法律であることは御理解がいただけると思うのでありまして、しかもあの大都市区域内の俗に言うA農地というのは、もう率直に申し上げまして、むしろ農地というよりも宅地待ちの土地であることには間違いないと私どもは実は思っておるわけでありまして、むしろそういう農地がそのままで放任されておること自体がいろいろ無計画に乱開発をされるおそれがあるということであれば、なおさら私どもは積極的に指導をして、そして秩序ある開発を図って、そして農民にもプラスになるようにするということが適切ではないか。こういう考え方を持っておりまして、あくまでも農地保護ということを前提にしながら、現状に合わせて今日の宅地開発をどういう形でやるかという意味であの法案を提出いたしておるわけでありますから、決して基本的に強権を発動して農地をつぶしてしまうのだと、農民にもやるのだという、そういう考え方で出発したものでは毛頭ありませんから、これはひとつ御理解をいただきたいと思います。
#133
○上田耕一郎君 まあ大臣は、農民の意向に反して強権的に押しつけるものではないということを言われた点を確認しておきます。
 次に、都市再開発法の一部改正、これについてお伺いしたいと思います。
 まず最初に、この目的を見ても、防災のための再開発というのが一つに入っておりますし、それの主な対象に、一つになると思います。東京の場合を考えますと、この一部改正の対象としてまず挙がるのはやっぱり江東の防災拠点。この間、建設委員会でも視察に行ってまいりましたけれども、これが対象に考えられているのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
#134
○政府委員(吉田泰夫君) 私ども第二種市街地再開発事業は、たてまえこそ買収ないし収用方式をとっておりますけれども、希望者はすべて地区内に入れるということでございまして、ちょうど第一種が原則は権利変換だけれども、希望者は地区外に転出を認めるというのとうらはらになっておりまして、結果的には変わらないと、まあそういう権利保護の点で変わらない仕組みを持ちつつ、大規模急施を要する事業に非常に適していると、こう考えまして御提案申し上げた次第であります。したがいまして、事業を施行できる法定要件も限られておりますし、かつ公的機関に限られますが、まあその最も代表的なふさわしい事業と言えば、何といっても防災拠点の事業などがその第一候補になると私どもは考えております。
#135
○上田耕一郎君 私はいまのお答えの第二種の再開発事業、これにしぼってお伺いしたいのですけれども、そうすると東京の場合、江東が問題になるのだと思うのですが、いまのお話のうらはらだと言われましたね、権利変換とそれから全面買収。なぜ昭和四十四年に一応廃止されたあの全面買収方式を今度復活させたのか、その理由についてお伺いします。
#136
○政府委員(吉田泰夫君) 四十四年に廃止されました旧市街地改造法と申しますものは、まあ用地買収方式という点では今回の第二種と同様なんですけれども、非常に性格的には違っていたわけです。つまり、広幅員の道路とか大きな駅前広場、こういった公共施設の整備に関連して、そういった用地を生み出すのに普通の用地買収方式だけではとうてい協力が得られない。したがって、直接の公共施設の土地に隣接する一定の地域を最小限度収用対象に取り込みまして、まあこういういわば超過収用をやろう。ですから、その公益性の根源は、その公共施設の公共性に由来し、それの実現のために最小限度超過収用ができると、こういう仕組みの制度でございまして、事業主体もそういった公共施設管理者、たとえば道路事業であれば道路管理者に限られていたわけです。これに対しまして第二種再開発事業は、手法こそ同様でありますが、目的がもう再開発そのものであります。都市の再開発に収用権を与えたというものであります。したがいまして、事業主体も道路管理者等ではございませんで、地方公共団体とか日本住宅公団、こういった公的機関ではありますが、再開発なり住宅再開発なりを行うその主体が登場してまいります。また、施行する対象地域もはるかに広がりまして、まあそういう重要な根幹公共施設を伴うとか、防災拠点を伴うとか、あるいはそういうものを伴わない場合には、不良住宅が密集して非常に危険だとか、そういった厳重な要件はありますが、そういう要件に適合する限り、相当広範囲に一体的に再開発する必要があると認められる土地の区域を対象とすることができるようになっております。
 前回の改正では、市街地改造事業というものは新しい権利変換の再開発事業で十分吸収できると考えて、かつ観点も都市再開発ということで角度を変えたものですからこれを廃止しましたが、その後の実際を見、特にあの防災拠点のような数十ないし百数十ヘクタールにも及ぶような大規模な再開発が必要となってきた今日、やはりどうしても全地区を一体として、地区外転出者も同時にすべての従前の権利評価を行い、与えちれる権利評価も行い、そういったものを一斉にまとめた権利変換計画をやってからでなければ着工すらできないという現行制度は適応しにくいという実情が出てまいりました。もちろん小規模で関係権利者が比較的少ないとか、ある程度の大規模でも関係権利者間の話がスムーズに進むような場合に、あえて第二種の手法をとらないでいいように第一種の制度も残しておりますけれども、恐らくそういった場合、第一種では今後は施行困難であろう、そういうことを考えまして第二種制度を起こしたものでありまして、単なる旧法の復活というわけでもないわけでございます。
#137
○上田耕一郎君 先日白鬚東へみんなで行ったときに、都側に質問したところが、都側は、防災六拠点のうちいま白鬚東が一部着工と、あと西と、亀戸・大島・小松川地区、それから木場地区、この四カ所については住民との約束もあるので第一種でやると、
  〔委員長退席、理事沢田政治君着席〕
あとははっきり言いませんでしたが、少なくともこの四カ所は住民との約束があると、そういう意向の表明がありました。この場合、どうなりますか、第一種、第二種の送択ですね。都側はそういうふうに言っているのですが、最後には建設大臣が認可するのですけれども、大臣、東京都がこの江東防災拠点、第一種でやろうという際、その東京都側の自主的な意思を尊重して認可されますか。
#138
○政府委員(吉田泰夫君) 結論としては、認可権があるとはいえ、都が第一種を望めばそれはいかぬということにもならないと思います。ただ、都の担当の方も言われましたのは、何しろまだ、この再開発法去年から提出しておりますが、遺憾ながら通っていないわけでございまして、通っても施行までに半年ぐらいの政令その他の準備、周知期間が要りますから、そういうものを待っておれないということでどんどん話は進められております。われわれ新法が、改正法ができるまで待てと言う筋合いでもありませんので、とすれば現行法で地元民に説明するしかない。そういったことから現在説明が進んでいる各拠点とも現在までの段階で第二種を前提とした話があるはずはないのでございます。しかし、この法律が通れば、これは施行までに時間がかかるとはいえ、もう必ず施行されることになりますから、東京都においてもこの新しい制度をどう使えるかということを広く考えられると思います。白鬚東地区などはすでにもう数年前から話し合いが進み、いま幸いにして地元対策協議会とも非常に密接な話が進み、それこそもう少しのところまでいっているわけですから、これをいまさら第二種に切りかえる必要も毛頭ないと思いますが、白鬚東以外の地区につきましては、話し合いを進めているとは言ったってまだ都市計画もしていないわけですし、第一、地区住民にも第二種なるものがどういったメリット、デメリットがあるかということもこれは全然知らされていないはずでございますから、これを十分説明していけば、それは第二種でもいいんじゃないかと、むしろ第二種が望ましいという声が出てくると私どもは考えます。
 そうなれば、東京都でも何もいままで第一種で話を進めたから第二種に切りかえにくいということだけじゃなくて、大いばりで第二種に切りかえるということにもなるでしょうし、何しろ遺憾ながら通っていない段階でございますから、改正法前提の話が一切できないというだけのことではないかと思います。あの白鬚東があれだけ三分の二程度も先行買収して空き地でありながら、ようやくやや変則的な運用をしてごく小規模な第一工区なるものをつくって、地区内転がし用の――転がし用といいますか、仮住居用の一棟をようやく建て出したわけですが、あれだって制度的に言えば、工区が分かれれば一たん地区外転出して入るということになるわけで、権利変換ではなくなってしまうわけです。ああいった無理なことをしなくても第二種でやればできるわけですし、一方では防災拠点が非常に急がれるにもかかわらず、幾つでも建てられる場所がたくさんあるのに放置しておかなきゃならない。商売はさびれるし、町は治安上問題だというようなああいう状況を考えれば、第二種ができれば第二種の方がいいと私どもは確信しておりますが、決して押しつけるつもりで言っているわけではございません。
#139
○上田耕一郎君 ちょっと質問にお答えにならないのだけれども、都側では一種と二種を研究して、四地区については一種でやりたいということを言っているんです。そういうふうにもし二種が通って成立して、それ比較検討して一種なり二種なりどちらか東京都が決めた場合、建設大臣としてはそれを尊重して認可するかということを質問している。大臣ひとつお答え願います。
#140
○国務大臣(仮谷忠男君) 都か一体新しい法案をどこまで検討しているかという問題ですよ。ざっくばらんに言いますと、私も現地見て来ましたが、たくさんの工場用地跡地を買いまして、それを遊ばしている、何年も遊ばしているんですよ。それは全部の権利変換が完全にでき上がらないと手をつけるわけにはいかないでしょう。しかもあの防災拠点というものは急いでいるでしょう。ほっておけないでしょう。災害があったらいつどうなるかわからぬと、一日も早く処置をせなければいかぬのに、たくさんの用地を買収してそのまま何年もこれを遊ばしておくということは私は実際問題としていかがかと思うんですよ。そうすると、それを一日も早く拠点ができるように開発をこの第二種でやれるということに仮になれば、いい方を選べばいいじゃないかというふうに私どもそういう考え方を持っております。強制はしません。これは十分検討してもらって、都の人たちの方がそれでいいと、それでやるんだというのなら、それをだめですということを言うはずはありませんし、あくまでも都の意思を尊重するつもりでありますけれども、現実にもう少し都の方もこの問題を研究してもらいたいと、そう思っているんです。防災拠点を早くつくって、一日も早く環境をよくし、災害をなくしようという考え方は一致しておるはずですから、その点についてこれは権利とかあるいはなわ張りとかという問題じゃなしに、お互いに真剣に都民のために検討すべきじゃないかと、かように思っております。
#141
○上田耕一郎君 都側の意思を尊重するという答弁があったと思います。ただ、大臣と局長の答弁を聞いて私思うのは、やはりあそこの白鬚東の実態について、ごらんになったとおっしゃるけれども、やっぱり非常に一方的な考えをお持ちのように思うんですね。確かに七年や八年かかっている、しかし、あれ最初の事業なんですね。江東六拠点の最初の事業で、それこそ大問題になったわけですね。大問題になって協議会ができて、地元の協議会ができたのが四十八年、それからぼくも協議会の人たちとたびたび話しましたが、何百回となくやったというのですね。それで大体いまは住民の八割がもう本当にこれはいいというところまで詰まったというのです。だから、いまは早くやってくれと、早く計画を進めてほしいという気持ちになっている。あれが七年もかかったから、これからあとまだ五つ残っている。全部七年かかったら大変なことになると皆さんおっしゃるけれども、最初なんですから、最初のモデルを都側もまた国もあるいは住民側もどういうふうにやっていくかと。住民参加のやり方についても、あるいは権利変換の内容についても、お互いにもう詰めに詰めて一つのモデルができ上がった。だから、いま白鬚西の人に聞きますと、やっぱり白鬚東であそこまでいきましたので私たちは安心していると言うのです。だから、あそこで本当にもうタイプができ上がったら、あとは大体もう第一種でやればこういうふうになるというのでずっと進むわけですよ。そういう点で七年かかった内容が、東京だけじゃなくて全国に対して持っている意義というものをもっと私は見てほしい。私はあそこはやっぱり住民がああいうことで、しかも第一種なんで非常におくれたと。これを進めるためには、第二種でやる方がおくれを取り戻すのだという考えは私は非常に一方的なんじゃないかと思うのですね。
 時間もありませんので少し急ぎますが、白鬚東の例を見ましても、大事なのはやっぱり住民参加という問題とそれから権利変換ですね。第二種になっても本当に住民の権利がどういうふうに納得いって守られるかという問題。それから三つ目はやはり財政問題ですね。この三つが都市再開発にとって一番大事な問題だと思うのです。先ほど都市局長がいみじくも言われました、いままでの第一種と第二種とはうらはらの関係だと つまり、原則と例外が逆だというわけでしょう第一種の方は残るのが原則で出る人が例外だと。第二種の方は出るのが原則で残るのが例外だと そういう答弁を衆議院でなさっておられますが やっぱりそういうものですか、うらはらの関係というのは。
#142
○政府委員(吉田泰夫君) 制度の立て方が形式的にそうなっているということで、実態は同じことです。つまり、出たいという希望の方は出られるし、残りたいという希望の方は残られる、同じだと申し上げているわけでございます。
#143
○上田耕一郎君 その点、じゃあしばらくおきまして、やっぱり住民参加の場合、第一種の場合には、つまり権利変換計画が作成されなければ、権利変換期日が決まって一挙に移るわけだから着工できないと、先ほど言われましたね。しかし、それだけに住民全体がその計画全体を頭に置いて本当にやって詰めれるわけです。あの場合には地元協議会というのができて、ちゃんと規約までできて、幾つもの部会ができましてね、本当に住民が仕事をほうって自分たちの生活権のために一生懸命討議してやってきたわけですね。そういう住民参加の制度化は今度の第二種の場合どういう形になりますか。
#144
○政府委員(吉田泰夫君) 権利変換計画に対応するものは管理処分計画ということになります。制度的には権利変換方式と管理処分計画による買収方式と違いはないわけでありまして、住民の意思を反映させる手続についても変わるところはございません。管理処分計画は、たとえば極端に言えば一むねごとぐらいにでも立てることができる。そこに工区として分けるわけではありませんから、地区内の広く希望者を募って入居することもできるというような利点がありますが、それにしても基本的な事項は全体計画としてお示しもし、相当に煮詰めなければならぬ点は同じことだと思います。しかし、大きな構想、全体計画というものの意見の合致というものは、これは当事者の努力にもよりますけれども、わりあいその気になれば話がつくことが早いと思われます。権利変換計画となりますと、これは地区外転出者も地区内に残る人も全部その対象になり、かつ従前の権利の評価、それから与えられることとなる床の場所の特定並びにその評価、複雑に入り込んでいる土地所有権以外の関係権利の処置、全部まとめて細大漏らさず決めなければならないわけです。これには大方の話は結構だとなっても、非常に詰めにくい問題があります。数が少なければまだしも、非常に多数の方が隣近所の人との公平感とか、できればこうしてほしいとか、非常に特定された個別的な細かい数字を挙げての話になりますから、これに非常に時間がかかるんじゃないか。
 その点は、管理処分計画も相当精細ではありますが、地区外転出者にはまず関係ない仕組みである。それから管理処分計画自体が全地区を一遍に決めなくてもいいという点に大きなメリットがある。特に江東地区にふさわしいと申し上げましたのは、半分以上もの大きな土地を先行買収して、いわば都有地で持っておるわけでございますから、ここについてはいつ何どきでも建てられるわけでありまして、そういうものをむしろまず建てて、そして希望者を入れる、あるいは仮住まいとして入れさせる、あるいは永久住まいとして入れさせる、いろいろな方法があると思います。まあ再開発の区域内における一種の転がし事業というようなやり方も可能なわけでありまして、そういう非常にメリットがあります。八割の方が賛成されたが二割の方がまだ煮詰め切っていないというときの、その八割の方はもう早く新しい生活に切りかえたいということであるでしょうから、第二種であればそれはもう即座にかなえられるわけですし、といって二割の人の利益が侵害されるわけでもないし、まあ第二種はああいうところには非常にふさわしいと私どもは思っております。重ねて申しますが、決して強制することはいたしません。
#145
○上田耕一郎君 都市局長は、一種と二種と大体権利を守ったんじゃ変わりがないと、二種の方がスピーディーだというメリットだけをおっしゃいますけれども、非常に本質的に大きな違いがある。一つは、先ほどの原則、例外ですけれども、第一種の方は残るのが原則で、出る人が事業計画公示後三十日以内に申し出なきゃならない、出る人が。申し出なければ全部残るんです。ところが、第二種の方は事業計画公示後三十日以内に残る人が申し出る、大体追い出される、黙っていれば。大体そういうふうに片方は追い出しの手法であって、片方は居残りの手法です。そういう点でうらはらとおっしゃったけれども、やり方そのものが本質的に違うんです。
 それから二番目に、やっぱり権利変換の問題で非常に大きな違いがある。いままでの第一種によりますと、権利変換計画作成で従前の権利の個別的処理というのは認められていないんですよ、権利変換方式というのは。そうでしょう。ところが、今度の場合には、先ほど局長おっしゃった、一むねでもまとまればそれでやれるんですよ。つまり、権利の個別的処理が認められている。だから、広大な地域の一部の人たちと個別的に話し合って、一むねまとまれば、そこからどんどん着工できる。ですから、施行者側の論理で言えば、一種より二種の方がはるかにやりやすいでしょう、施行者の側から言えば。しかし、この都市再開発の計画をかぶせられていると、それまでの生活から、職業から一切変わる人たちにとっては、本当に自分たちの生活権がどう守られるかというのはもう死ぬ思いの最大の問題なんです。そういう点で言うと、この第一種の方がほとんど全体の権利変換計画ができなきゃできないんだから、その権利変換計画を一人一人みんなが納得のいくまで、こういう協議会というのは三つの協議会を集めて、東京都と区が入って、それでも何百回とやって詰めに詰めて、大体みんな納得いくと、早くやってくれというところまで来たわけですよ。私は何度も言いますけれども、最終のあれだからそれだけみんなもんだんです。しかし、今後はそれで一つパターンができれば、それでずっとスムーズに進むものだ。
 そういう点で言いますと、住民参加という方式が局長おっしゃったように実際保障しないで済むようなやり方になっている、個別的に分断的にできる。広い地区の一工区、一むお話がつけばやれるというわけでしょう。しかし、私は住民参加というのは非常に大事で、個々の権利だけじゃなくて、白鬚東の場合にも住民が協議会で練って、マスタープランそのものも三回変わっている。最初は住民無視だから、堤防の方にもビルが建つ、こちら側にもビルが建つ、ビルの谷間に広場ができるというやり方だったんですね。これはまずいという住民の意見で直された。そういうふうに幾つもマスタープランそのものが住民参加で練り上げることによっていまのような最終プランにまで煮詰まっていったわけですね。それから権利変換の問題でもそうですけれども、そういう点で一種と二種の違いというのが非常に大きくて、施行者側の論理だと、そういう点で住民分断、住民の権利を守る住民参加保障できない、保障しないで済むシステムになっているように私は思いますが。
#146
○政府委員(吉田泰夫君) 制度の仕組みが原則、例外になっていることは確かですから、第二種の場合には残りたい人が申し出なければなりません。これはしかし実際の運用上はっきり出ると決心のついた人以外は全部とりあえず残るという希望を出せばいいわけでして、後ではっきりしたときにそれを撤回すればいいようになっておりますから、別にそのために短期間に決断しなければならぬと、そのとき申し出損ねたらどうにもならぬというような不都合なことにはなりません。また、従前の権利の個別処理は方式が買収方式ですから可能になりますが、それにしても管理処分計画を決めてからでなければできないわけですし、その管理処分計画は極端に言えば一むね単位にもやれると申しましたが、相当広大な空き地もありますから、そういったところからまず手がけることが考えられるわけであります。その場合も基本的な全体の計画というものについては、これは幾らこちらが個別に話をしようとしても、全体がわからないでは自分が全体の中で不公平な目に遭うかもしれぬという危惧もありますから、これはやはり全体の話というものは第一種と同様にやらなければならないはずのものでございます。
 それから現地で一部の方から要望がありました、地区外に転出したいけれども、代替地については収用並みとまでいかぬにしても、それに準ずるぐらいの減税措置があれば、いいところが買いやすいのだがというようなあれもありましたが、これは第一種が地区内に残れるというたてまえをとっておるがために、残れるのに出る人は収用の対象にはならぬといって大分厳しかったものが、ようやく近年になって収用並みの減税を受けられるということになりましたが、その先の代替地の場合などはなかなかそこまではいきません。しかし、これをもし第二種事業であれば形が収用方式であるわけですから、直ちに代替地についての千五百万円の控除が働くわけでありまして、ですから、いろいろな立場の人によって多少の効果の差はあるでしょう、おおむね似たようなことだということであります。
 地区内の多数の方が、不安で将来設計も立てられない危険な状態を、新しい再開発ビルに移ることによって一刻も早く安心したいというときに、権利変換計画で細大漏らさぬところまで煮詰め切って、それからでなければ事業にかかれないというのも、やはり何としてもこれは施行者の立場というようなことを離れまして、ある地区の防災拠点としての緊急性並びに地区内の大方の方が一刻も早く移り住みたいと言っているその要望にもこたえられないということですから、やはりそういう要望の強い個所についてはそれに応ぜられるだけの制度というものは用意しておくべきではなかろうか。もちろん用意しましても第二種はいやだ、第一種で成功したんだからその方が安心だという方が大方であれば、都もまさか第二種を押しつけるわけにいきませんし、私どもも都に対して押しつけるわけにいかないのはもとよりであります。まあ新制度ができましたら十分吟味していただいて、本当に洗いざらい利点、不利な点、洗っていただきまして、全く白紙で臨んでいただければ、おのずから地区地区によって希望される方式が決まると思います。
#147
○上田耕一郎君 もう一点、個別的処理の問題で土地収用法を使えるのでしょう、個別処理うまくいかなかった場合に。これも大きな違いですね。
#148
○政府委員(吉田泰夫君) それは権利変換方式でも全員同意でなければ権利変換ができないわけではない、多数決で決められるようになっているのと同様に、買収方式の場合も話し合いがつかなければ価格について収用委員会まで持ち上げる、こういうことになり、それが収用方式というものでございます。
#149
○上田耕一郎君 やはり施行者の立場だと思うのですね。協議会の方々と話していたら、彼らこう言ってたなあ、詰めてから物事を決める、本当にわれわれ生活権を守るという立場ではそうしてほしいというのですね。あなたの立場はそうじやなくて、決めてから詰めればいい、全部権利変換計画が精細なものができなければ着工できないというのでは困るから、大体のもので、それでよければ一むね分からでもやっぱりやっていきたい、これはやっぱり本当に権利を守るという点で立場の違いが非常にはっきりしていると思うのです。
 その次に、権利変換の具体的な問題について移りたいと思うのですが、この間地元の人々から委員会あてに要請書が出ましたが、その中に等床交換をやってほしいという問題が述べられているわけです。六月四日、衆議院の委員会で仮谷建設大臣は、この問題について、なるべくそれは等床交換の方に近づけるように努力していきたい、十分取り組むということを答弁されておりますけれども、たてまえとしては等価交換になっているのですね。ところが、たてまえとしては等価交換だけれども、いまの建築コストの値上がりで等床交換からどんどんどんどん離れていくわけです。白髪東の場合にも、最初の出した計画では等価交換だけれども、かなり等床交換に近くなり、それが石油危機以来の物すごい建築コストのアップで非常に離れていってしまった、それをどうして等床交換に近づけるかというので、これがこの権利変換計画の地元の協議会で一番問題になっているわけです。大臣に、十分取り組みたいと言われた点について、じゃ具体的にどういう方向を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
#150
○政府委員(吉田泰夫君) 先般来お答えしているところでありますが、四十八年以後急速に国庫補助制度を強化いたしまして、この国庫補助金と、補助裏である地方公共団体の公費をつぎ込んでこれを事業費に投入すればその分は償還不要な金額であります。つまり、実際にはかかるお金でありますけれども、権利変換計画策定上新しいビルのコストから落とせることになります。そういたしますと、その分だけ割り安になって、それだけ等床交換に近づく、実際にかかる建築費に比べて割り安で評価できるということでございます。現在この国庫補助制度は相当補助対象範囲としては広がりました。私ども通常考え得る相当の範囲のものまで入っていると思います。ただ、遺憾ながらまだ実施例も少ないせいもありますが、金額的にはまだまだ不十分であります。逐年倍率としては相当伸ばしてきましたが、まだまだ絶対額として不足でありまして、補助対象になっていながら実際にはその一部しか補助できないという枠の悩みがあります。まずこの枠の悩みを取り払う、つまり毎年度の事業施行に合わせて必要な国の予算額を確保するということが、このできるだけ等床交換に近づけるという最大の問題だと思います。
#151
○上田耕一郎君 白鬚東の場合、通りに面した表地の借地、裏地の所有地、ここら辺で五〇%ぐらいだったのを、これをなるべく等床交換で半分なんですね、とにかく半分になっちゃう、裏地の借地なんかになると三分の一ぐらいですね。等床交換に近づける近づけると言っても、案は最初そんなものだった、コストがアップして。それをずっといま詰めて、表地の借地、裏地の所有地、これをなるべく等床交換に近づけたいというので話が進んで解決に近づいているということであります。いまお話しのように、たてまえは等価交換なんだけれども、実際には等床交換のようにしようというためには、その建物のコストについてどれだけいろいろ助成措置をとるかということになるわけです。もし本当にこれ先ほど言った等床交換の方にやりますと、再開発ビルの場合、実際に事業費が平米当たり二十三万円なのを半分ぐらいにならないと等床交換にならぬという問題があって、これを全部都が負担すると再開発ビル分だけで四十億円の負担になる。その住民のぎりぎりの要求との間でそういう財政問題が最後にやっぱり問題になってくるわけであります。この白髪東の場合、全事業費千三百億だというんですけれども、これに対する国庫補助額はどのぐらいになっているんでしょうか。
#152
○政府委員(吉田泰夫君) 私どもまだ現時点での煮詰めつつある計画の積算を聞いておりませんが、まあ江東防災拠点については一般の再開発事業に比較して特に建物も堅固にしなければならない、基礎工事も余分にかかる、あるいは防災上のドレンチャー設備なども必要だということで、これにつきましては江東防災拠点に限り特別の防災性の強化費というものを補助することにいたしております。これはいろんな積算の仕方がありますから確定的には申し上げられませんが、ざっと概算いたしますと、この特別の補助対象額だけで建築費全体の二割程度にはなろうという額でございます。そういったものが補助対象になって原価から控除して算定できるということになっております。そのほかのクリアランス費とか各種の共同施設整備費とか調査費等、これは他の事業と同様当然補助対象にしていくつもりでございますから、そういったものをかみ合わせれば防災拠点なるがゆえのハンディキャップは解消されて、そういう意味で等床交換に近づくであろう。まあ等床交換というのはなかなかもとの権利のあり方にもよります。表地、裏地、土地所有者、借地権者という大きな分け方だけでも一概に言えませんし、従来の家の老朽の度合い、この辺もいろいろありますからなかなか一概には言えないわけでありますが、気持ちとしては私どもはそういうことをやっていきたい、こういうつもりでございます。
#153
○上田耕一郎君 総事業費千数百億の中でやっぱり国庫補助が大体二割になっちゃう、たてまえは三分の一ということになっているんですけれども、実際にはそのぐらいになるわけですね。とにかく江東地区というのは防災のために非常に緊急に必要で、万一地震が起きると二人に一人はあそこでは死ぬだろうと言われているほどなんで、この防災拠点の事業は非常に急がれている。住民もそれを望んでいるんだと思うんですね。そのおくれは、住民が非常に自分たちの要求の住民エゴのためにこれだけおくらしているというのじゃなくて、問題はやっぱり私は財政問題だと思うんですね。そういう非常に国家的にも大事な事業であり、国民の命を守るために大事なこの防災拠点、そういうところの再開発のために法律上は三分の一しかつかない、実際には二割――二割にも足らないというようなところにおくれがあるわけなんで、私はきょうはもう時間がありませんので詳しく述べられませんけれども、やっぱり都市の防災対策の特別措置法、こういうものをつくって、本当に国の補助額を抜本的にふやしていく。それからいまの建築基準法で危険地区域の指定というのはほとんど水害関係だけにしかなっておりませんけれども、地震その他の問題でも危険区域を指定してやっぱりやっていきたい。その地区の住民に対する生活援助、生活再建の援助のためにも特別の措置がとれるようなそういう法律の必要を強く要望をしたいと思います。
 最後に、いまの問題とも関連するんですが、防災拠点の場合にはとにかく三分の一という法律で決まった国庫補助が出ているというのはいいんですけれども、同じ江東地区のやっぱり防災事業の内部河川の事業の場合ですね、一級河川。これは都が管理しているわけですが、それに対して本当は三分の二国庫負担ということが出るはずなのに、実際にはそうじゃなくて、予算補助という名目でわずか十分の三しか出ていないという大問題があるわけなんです。この江東地区の内部河川の防災事業というのも、それこそ防災のための護岸工事で非常に緊急に急がれている。全体で五百五十億円金がかかるというわけですね。十年計画なんですが、やはりそういう財政問題で、五年経過しておりますけれども、まだ五分の一の進行率しかない。ポンプ場、その他幾つかできましたけれども、防災護岸工事というのはまだ未着手という状態であります。これも問題はやっぱり金の問題になって、財政問題が問題になっております。
 内容は二つありまして、一つは国の補助対象の事業費の問題、もう一つは補助率の問題であります。国の補助対象事業費の問題で言いますと、昭和四十九年度、五十年度で東京都は三十億円補助対象として要求したんですが、認められたのは約五〇%、十六億三千万円分しか出なかった。補助対象にそれ以上、十三億七千万円に上る分は入らないということになっているんですが、こういう点、補助対象を引き上げるということをひとつやらないと、この江東地区の内部河川の防災事業は進まない。これが一つ問題があります。それからもう一つは補助率の問題であります。ここは一級河川なんですが、現行の補助率は地方財政法十六条で十分の三の予算補助がついているだけだ。なぜこういうことになっているのですか。一級河川なのに三分の二の国庫負担が出ないで十分の三の補助率、こういうことになっている理由をお伺いしたいと思います。
#154
○政府委員(増岡康治君) 河川法の第六十条の第二項には、先生のおっしゃった条項が確かに決めてございます。しかしながら、この実際の改良工事を行います場合は、国の予算というものの制約がまず第一にあるわけでございます。したがって、予算に制約がある以上、その項を適用する対象というものがおのずから限定されてくる、これは非常にやむを得ないものだと思います。したがいまして、いま全国の各都道府県におかれましても、その対象以外でも河川事業をやらざるを得ない個所があるわけです。それで、都道府県の負担においてそれをやらざるを得ない場合が現実にあるわけでございますけれども、この場合におきまして、国はできるだけこういうものに財政補助を行って事業の促進を図らなければいけないという立場に立って、河川事業の中にはいろいろと実は財政補助の制度を持っておるわけでございます。そういうような考えのもとに、今回の江東地区につきましては、御承知の昭和四十六年度に建設大臣に対する答申がございまして、いわゆる東京江東地区の防災事業に関する基本方針、こういうのが一つのきっかけになりまして大きな議論を生んだ上、実はこの三割でございますけれども、国がみずからこれをやろうということで、事業の促進ということを中心にして実は考えたわけでございまして、全国的に見て、治水事業の一つの決められた一定の枠から考えた場合にはまことにやむを得ないものであろうと考えておるわけでございます。
#155
○上田耕一郎君 どうもわからないんですね。いま触れた東京江東地区の防災事業に関する基本方針についてですね。これは建設省も参加して大体つくったものですね。また、いまわれわれが審議しているこの再開発法の一部改正、これも特に防災問題が非常に緊急かつ重要だというので、新しい手法も入れていま審議しているわけですね。そういう点で、やっぱり江東地区の防災問題というのは全東京にもかかわるし、こういう防災事業というのは全国的にも意義があるわけで、そういう重要な場所の防災のための護岸工事、これが一級河川にもかかわらず何でこの三分の二の国庫負担のつく改良工事にならないのか。十分の三と三分の二というと、半分ですね、三分の二は十分の六なわけだから。しかも実際にそれが十年計画なのにいまだに財政問題で進まない。地方財政はいまの状況で御存じのとおり大変な問題になっているわけですね。そういうときに、私はあくまで当然この事業の緊急性からいって、河川法第六十条第二項、これに基づく三分の二国庫負担、これをやる改良工事として認めてしかるべきだと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
#156
○政府委員(増岡康治君) 先生のおっしゃるお話もわかるのでございますけれども、全国にはいろんな立場の治水事業が待っておるわけの中に、こういうものを促進しようとする一つのことから考えますと、
  〔理事沢田政治君退席、委員長着席〕
やはりこういう――それで、まだまだほかにもたくさんあるのです、こういう問題が。その中に国が財政補助を行いまして、クローズアップして、みんな地方公共団体といろいろ協議の上実はこういう制度をつくったわけでございます。そのおかげで、実はいま先生おっしゃいましたように、もう本年度も一つのポンプが完成しますし、まあ五十二年には第一の暫定計画が実は済むという目標がひとつ達成されるということでございまして、こういうような補助率が上がるということは非常に望ましいわけでございますけれども、財政当局との問題もいろいろございます。われわれ一存ではできませんけれども、御趣旨はわかりますけれども、私どもはやはりこういう手法で今日まで一生懸命促進してきたということだけしか申し上げられないと。
#157
○上田耕一郎君 ちょっと大臣、これはどうもおかしいと思うんですね。たとえば道路の場合にはこういう予算補助なんてないでしょう。やっぱり道路法、それから道路法施行令に基づいて、どういう場合に三分の二、三分の一とか、二分の一とか決まってやっているわけですね。なぜ、道路の場合にはこういう予算補助というようなことでなくて、みんな道路法に基づき、あるいは道路法施行令で国庫補助率が決まってやっているのに、この河川の場合に何でこういうのがやっぱり残っているのかと、非常におかしいと思うんですよ。特にこのような場合は、防災の場合は非常に大事な命を守るための護岸工事なんですから、一級河川の改良工事で。それをこういう国庫補助率三分の二の、わずか半分という予算補助率で、これもいろいろ大事だからやっとつけたというようなことは非常におかしいと思うんですね。こういう大事な河川の場合には当然やっぱり道路事業並みにすべきだと思うんですけれども、その点私は非常に問題があると思うんですね。ひとつ根本的に検討していただきたいと思うんです。
#158
○国務大臣(仮谷忠男君) 一級河川だけを挙げましても、全国的にその中で防災上、治水上ほうっておけないものがたくさんあるわけでありまして、必ずしも東京だけを差別しておるわけじゃございません。全国一律に大きな問題が山積いたしておりますが、その中で重点的に取り上げてとりあえず施行していくためには、限られた予算の範囲内で処置をするよりいたし方がない。これは苦肉の策であります。しかし、基本的にはそれらの定められた補助率を適用して、思い切って執行していくことは当然のことでありまして、私どもは将来もちろんそういうことに対して努力をいたしていくことは、これは当事者として当然のことであります。
#159
○上田耕一郎君 以上でもう時間も参りましたので質問終わりますが、最初に申し上げましたように、やっぱりこの二つの法律ですね、先ほどの宅開公団法と結びついて非常に私は重要な内容を含んでいると思いますので、もう内容、繰り返しませんけれども、都市政策上、それから住宅、土地政策上非常に大きな問題を含んでいる。国民の生活権あらゆる問題に非常に関係深い問題だと思います。この点われわれこの法律に非常に重大な問題を含んでいるということを指摘しまして、時間が参りましたので私の質問を終わりたいと思います。
#160
○委員長(中村波男君) 両案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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