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#1
第075回国会 逓信委員会 第5号
昭和五十年三月二十五日(火曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     片山 甚市君     竹田 四郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹田 現照君
    理 事
                長田 裕二君
                川野辺 静君
                西村 尚治君
               茜ケ久保重光君
    委 員
                亀井 久興君
                迫水 久常君
                新谷寅三郎君
                松岡 克由君
                案納  勝君
                竹田 四郎君
                森  勝治君
                藤原 房雄君
                山中 郁子君
                木島 則夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  村上  勇君
   政府委員
       文部省社会教育
       局長       安養寺重夫君
       厚生政務次官   山下 徳夫君
       郵政大臣官房長  高仲  優君
       郵政省電波監理
       局長       石川 晃夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
   参考人
       日本放送協会会
       長        小野 吉郎君
       日本放送協会副
       会長       藤根井和夫君
       日本放送協会専
       務理事      藤島 克己君
       日本放送協会専
       務理事      野村 忠夫君
       日本放送協会専
       務理事      坂本 朝一君
       日本放送協会理
       事        山本  博君
       日本放送協会理
       事        川原 正人君
       日本放送協会理
       事        中塚 昌胤君
       日本放送協会理
       事        橋本 忠正君
       日本放送協会経
       理局長      堀場 仁徳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹田現照君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十九日、片山甚市君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(竹田現照君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 まず政府側から趣旨説明を聴取いたします。村上郵政大臣。
#4
○国務大臣(村上勇君) ただいま議題となりました日本放送協会の昭和五十年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明申し上げます。
 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。
 まず、収支予算について概略を申し上げます。
 事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ三億八千万円増の一千三百十三億三千万円、事業支出は前年度に比べ二百十九億六千万円増の一千五百二十九億一千万円となっております。
 この結果、事業収支におきまして二百十五億八千万円の赤字となっております。
 この赤字は、資本収入と資本支出の差額二百十五億八千万円をもって補てんすることとしております。
 資本収支におきましては、中継局の建設、放送設備の整備等のための建設費として、百三十億円を計上しております。
 次に、事業計画につきましては、その主なものは、テレビジョン放送及びラジオ放送の全国普及を図るため、放送網の建設を行うこと、
 テレビジョン放送及びラジオ放送の番組内容の刷新を行うとともに、教育、教養番組の利用の促進を図ること、
 積極的な営業活動を行い、受信契約者の維持増加を図ること等となっております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。
 郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付することといたした次第であります。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
#5
○委員長(竹田現照君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。小野日本放送協会会長。
#6
○参考人(小野吉郎君) ただいま議題となっております日本放送協会の昭和五十年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。
 協会の昭和五十年度の事業運営は、前年度以来の社会、経済情勢の激しい変動と受信料収入の伸びの鈍化とにより、きわめて困難かつ重大な事態に際会しておりますが、四十三年度改定以来七ヵ年維持してまいりました現行受信料の月額を、諸般の事情を勘案して、なお五十年度も据え置くこととしました。したがって、事業運営においては新規計画、拡充計画はきびしくこれを抑制し、極力業務の合理化、効率化を推進しつつ、あわせて国民の要望にこたえるため、放送の全国普及に努めるとともに、すぐれた放送を実施して、公共放送としての使命を果たすよう努力する所存でございます。
 次に、その主な計画について御説明申し上げます。
 まず、建設計画につきましては、その規模を極力抑制することといたしますが、この中で、テレビジョン難視解消を最も重要な施策とし、百八十地区に中継放送局の建設を完成し、百二十地区の建設に着手するとともに、辺地において共同受信施設を八百施設設置することといたしております。なお、このほか、沖繩県宮古、八重山地区において、教育テレビジョン局五局の建設に着手することといたしております。
 ラジオにつきましては、超短波放送十局の建設を完成するとともに、十局の建設に着手することといたしております。
 次に、事業運営計画について申し上げます。
 まず、国内放送は、テレビジョン、ラジオ放送ともに、番組内容を刷新することとし、内外の重要な諸問題に関する番組の積極的編成、聴視者参加番組の刷新及び幼児、少年少女の健全な成長に役立つ番組の編成等を実施することとしております。また、カラー放送時間を、教育テレビジョンにおいて一日一時間増加して、中学校向け理科番組寺のカラー化を進めることといたしております。国際放送においては、ニュース・インフォメーション番組の刷新を図るとともに、各地域の特殊性に即した番組を編成し、放送を通じての国際間の理解と親善に寄与することといたしております。
 次に、営業関係につきましては、特に大都市を中心とした社会情勢の変化に即応した活動を積極則に推進することとし、聴視者の理解と協力を得るよう協会事業の周知に努めるとともに、電波障害対策等受信の改善を積極的に行うことといたしております。
 これらにより、極力、受信契約者の維持開発に努め、受信料の確実な収納を図ることといたしております。
 調査研究につきましては、番組面において、国民生活時間調査、番組聴視状況調査等、技術面において、放送技術新分野の開発研究、カラーテレビジョンの改善研究、放送衛星に関する開発研究寸を実施することといたしております。経営管理関係につきましては、厳しく経費の節減と業務の合理的運営に努めるとともに、企業能率の向上を図ることといたしております。
 以上のすべての業務を通じ、事業計画の削減、繰り延べを徹底して経費の節減、抑制に努めることにより、要員数は前年度どおりに据え置くことといたしております。
 また、職員に対する給与については、適正な水準を維持することといたしております。
 これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げますと、事業収支においては、収入総額一千三百十三億三千万円を予定いたしております。昭和五十年度における受信契約者の増減につきましては、カラー契約においては百八十万件の増加を見込み、普通契約においては、カラー契約への変更等により百十三万件の減少、契約総数において六十七万件の増加を図ることとし、受信料収入を一千二百七十九億七千四百万円と予定いたしております。
 また、国際放送関係等の交付金収入三億五千万円、預金利息等の雑収入二十五億一千百万円を計上するほか、特別収入には四億九千五百万円を予定いたしております。
 これに対する事業支出は、国内放送費を初めとする事業運営経費、固定資産の減価償却費、支払利息等の財務費、固定資産売却損等の特別支出及び予備費に総額一千五百二十九億九百万円を必要とするため、事業収支において二百十五億七千九百万円の支出超過を来すこととなりましたが、これについては、資本収支の差額をもって補てんすることといたしております。
 次に、資本収支は、支出において、建設費に百三十億円、放送債券の償還に十八億八千万円、放送債券償還積立資産の繰り入れに十二億九千八百万円、総額百六十一億七千八百万円を計上し、資本収入においては、これらに対する財源及び事業収支差金の補てんに要する資金をあわせ計上することとし、前年度からの債務返還繰越金八十七億円のほか、外部資金等をもって総額三百七十七億五千七百万円を計上いたしております。
 以上、昭和五十年度の日本放送協会の収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、国民生活の向上に放送の果たすべき使命がますます重要となっていることに思いをいたし、今後の協会事業の運営に当たっては、聴視者の一層の理解と協力のもとに、協会全体の力を結集して業務全般にわたる合理的運営と改善に不断の努力を傾注し、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞ速やかに御審議御承認を賜りますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。
#7
○委員長(竹田現照君) 以上で説明の聴取を終わります。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#8
○森勝治君 まず、小野会長にお伺いをしてみたいと思うのであります。
 NHKの第四次長期経営構想は、発足後、すでに一年にして事実上無意味になってきたような気がするのであります。ところが、昨今の激動する社会情勢の中で公共放送の果たすべき役割りまた使命というものは、ますます広範に、さらにまたその重きを加えてきたわけであります。しかも視聴者も当然これを期待しておるところであります。したがってNHKは長期的な経営計画、ビジョンというものを国民に示す必要があるんではないか、私はこう考えております。また事業計画などもこの関連におきまして策定をされてよいのではないか、こういうふうな見方からいたしまして、私はすでに昭和四十八年から形骸化しつつある、あるいはまた酷評する人は形骸化したと断定的に表明する人もあるでありましょうが、この第四次構想なるものの見直し、あるいはまた新たなる構想の策定というものを要望してきたところでありますが、残念ながら、ことしもまたこの点につきましては見送られてしまった感があるわけであります。
 これはこの前のときも御質問申し上げた件でありますが、以上、私が質問をいたすことについて、前段の会長のお答え、前段というのは前年度の予算編成のときのお答えを思い出していただきながら、ひとつお答えをいただければと考えます。
#9
○参考人(小野吉郎君) ただいま申されましたとおり、前年度予算の審議に当たりまして、五十年度予算の編成そのものを単年度的に考えるのでなくて、在来の長期計画を見直し、将来にわたる長期構想を策定した上で、その計画の中の一環として五十年度予算を編成すべきだと、こういう御趣旨に対しまして、私は全面的に賛同を表しました。
 そしてその審議の過程におきまして、五十年度予算編成時までには、五十年以降の三年になりますか五年になりますか、できるだけ可能な限りにおける長期の見通しを立てた上で五十年度予算を編成いたしますので、その編成時には将来の構想があらまし策定できるであろう、またそうするつもりだということを申し上げました。
 今回、そのような措置になっておりません。これはこの機会に心からおわびを申し上げます。
 と申しますのは、全然作業をしなかったわけではございませんけれども、私もいろいろ私の趣旨を申しまして、非常な合理化、節約は徹底的にやり、また事業の中で切り捨て得るものは切り捨て、縮小し得るものは縮小して、長期の計画を立てた上で五十年度予算を編成する、こういうことは強く申しておったのでございます。その線に沿って作業はいたしましたが、私の目で見ますとまだ満足なものではございません。まだごく中間的な、まあ報告という形で出ましたけれども、これは現下の非常に激動しつつある環境の中で、将来の動向を見定めることはいろんな諸要素からいってむずかしい点があることは事実でございますけれども、そういった点についてまだ私の考えるような厳粛な非常に切り詰めた、そういうものになっておらぬように思いましたので、これはやはり公表するには非常に支障があるということで、遺憾ながら五十年度は五十年度といたしまして、単年度ながら新規計画は認めない、また拡充計画は認めない、在来の路線を踏襲すると同時に、その中でも可能な限り節減、合理化に努めるという努力を最大限度にいたしまして編成を終わったようなわけでございます。
 この点につきましては、前回の審議で私がお約束申し上げたそのようになっておりませんことはまことに遺憾でございまして、これは謙虚に心からおわびを申し上げますと同時に、何とぞいろんなそういうむずかしい事情もございましたので、御理解を賜りたいと思います。
#10
○森勝治君 まあ会長がいま率直に苦衷のほどを披瀝されたわけですが、その心持ちは私もわからぬではありません。多少会長の立場を理解しておるつもりでおるわけですが、しかし、会長、四十八年すなわち二年前に会長がお示しになりました四十八年度から五十年度までにおける経営の基本構想、端的に言えば東京放送会館の売却益の活用によって五十年度までの収支の均衡を図る、しかもこれに伴って建設投資百二十億円余り抑制とするものでありますが、これは一応の目安でありましょう。しかし、それにしても支出の増高、これはまあやむを得ないことだと考えますが、景気の変動の少ないNHKの事業収入も四十九年度、五十年度、この両年度は従来より下回っているような気がしてならぬわけであります。また建設投資額等も七十億円、四十八年度からの三年間では当初計画よりも二百億円も削減されておるわけですね。
 こうなりますと、当然、NHKが盛んに主張し努力をしてまいりました難視聴解消なども、これは残念ながらスローダウンせざるを得ない、こういう結果になるのではないかと私は悲観的な見方をしているわけでありますが、ならば、まあいまも相済まぬという言葉で端的に――会長はもっともっと言葉を多くしてこの問題についてお答えをしたかったんでありましょうけれども、簡潔に再度にわたってそういう計画の立たぬことはということで遺憾の意を表されましたが、難視聴解消等のような当然これはかくあるべき姿というものがスローダウンをするようなことであると、これはやっぱり問題が広がり、また後にこの問題というのが大きくなって、いわゆる禍根を残すような気がしてならぬわけでありますが、この点については会長はどう考えておられますか。
#11
○参考人(小野吉郎君) 結果といたしましては、五十年度予算では金額的には四十九年度と同じ金額を計上しておりますけれども、諸物価高騰、工事費等の高騰の折から、同じ金額では同じ仕事が通常ではできないことは当然でございます。その意味におきましては、ある程度質的低下を来したと申されても、これはこれに対してお答えする言葉を持たないのでございますけれども、要は先ほども申し上げましたように、長期の構想のもとに五十年度の予算を作業をすべきものでありましょうけれども、余りに諸般の情勢の変化が見通しにくいような関係もございまして、勢い五十年度予算に取り組んで最善の努力をしなければならないような状況になりました。
 その意味から、新規計画は認めない、拡充の予算は計上しない。また建設投資につきましても、
 一時的にこれはできるだけ圧縮を図る。これはできるだけ五十年度につきましても値上げをいたさない限りにおきまして、もう赤字を出してもいいんだと、こういうような安易な取り組み方はいたしておりません。できるだけ形の上だけでも均衡のとれた予算にしたいというのが最大の念願でございました。
 そういうような面から八十七億円の田村町売却益金の残額のそれも、当初はこれを負債の返還に充てる予定にしておりまして、最初の計画のときには返還をしないでそのまま返還のそれを繰り越しました。そして第三年目を迎えたわけでございますが、これについては局内におきましても、当初返還に充てる計画を立ててあるので、これを変更して赤字の補てんに充てることはいかがであろうかと、こういう慎重論もありましたけれども、私は、その当時から、いろいろインフレ下における物価の上昇等に関係し、しかも受信料収入の頭打ちの現状にかんがみまして、とうてい赤字は避けられない、そうなればできるだけその赤字の解消にこれを充当するのがいいのではないかと、個人的にはそのような見解を持っておりました。
 たまたま前回の予算審議の際にも、森先生から、その面はそういうものがあれば返還するよりも赤字が目の前にあるのだから、まず赤字の補てんに充当するのが常道ではないかと、非常な御激励を賜り、私も非常に勇気づけられたわけでございます。そういう面もありまして、私がかねて持っておりました個人見解のそれを実現いたしまして八十七億円は返還をしないで、二百十六億弱の赤字と申しますけれども、それを多少でも減額できるように八十七億円は自己資金をもってこれに充当いたしております。
 後、百三十億の赤字がまだあるわけでございますけれども、通常ですとその百三十億は減価償却積立金で自己資金として持っております。これは百三十億の建設資金の充当に充てるのが在来の通例でございましょうけれども、形式上の予算均衡を保ちますために、この金を建設投資に使わないで、建設投資は新たな借り入れ財源に依存をして、その金を百三十億の赤字の補てんに回し得るような形に事業収支と資本収支の関係ではにらみ合いでなっておりまして、そういう面から見ますと、二百十六億の赤字とは言え、一応内容的に収支のバランスから申しますと均衡がとれたやの形になっております。この辺のところが非常に苦労したわけでございます。
 そういう結果、建設投資も圧縮せざるを得ませんでしたし、そのためにはNHKの在来、第一義の義務だとお約束を申し上げております、いまもってその気持ちには変わりございませんけれども、抜本的に財政基盤を安定化し得ないいまの現状におきましては、一年間ぐらいは、NHKの非常に大きな責務ではありますけれども、これはやはり多少前年度を下回る結果になってもいたし万ないのではないかと、しかし経営努力あるいは効率化を図りまして、できるだけいまの実績としては前年を下回らないような努力をすることを念願しつつ、百八十局の置局と百二十局の着工、また共聴の関係についても八百施設、これは昨年よりもそれぞれ約一割方減っておりますけれども、そういうことで、この程度は何とかやりたい。しかも将来、五十一年度以降、財政的な目安を十分つけました上で難視解消の点については、この五十年度のそれをベースとしていくんではなくして、もとに返して、できるだけ早期に解消するというような気持ちを実はひそめておるわけでございます。
#12
○森勝治君 郵政大臣、大臣にお伺いをしてみたいと思うのです。
 ことしのNHKの予算案につきまして、郵政省の見解を付されております。この見解の中で「事業計画及び資金計画は、おおむね適当である。」こうされておりますが、なお書きで「協会をとりまく経営環境が極めて厳しいことを認識し、将来における経営の健全化について今後更に検討を行うべきである。」こういうなお書きを付されておりますが、この後段につけられた見解をお伺いしてみたいのです。なぜこういうのをおつけになったかということです。
#13
○国務大臣(村上勇君) NHKの経営は、先生御承知のように、受信契約、特にカラー契約の伸び悩みによりまして受信料金が頭打ちとなっておるのに対しまして、支出の面におきましては、最近の物価上昇並びに人件費の増大等によりまして非常に支出が増加して、まことに厳しい情勢にありますが、NHKは受信料を唯一の収入源として放送を行う公共放送機関でありますので、経営基盤の確立を図ることはきわめて重要なことであります。
 したがいましてNHKがみずから経営のあり方について再検討し、国民の理解を得られる形で、その健全化を検討していくべきだと、かように考えておる次第であります。
#14
○森勝治君 大臣、さらにお伺いしたいのですが、この中に私がいま指摘いたしましたように、経営の健全化について検討せよ、こういうことは収支予算、事業計画が「おおむね適当である。」というこの見解と一見相矛盾したかのごとき感を呈するのですが、大臣はどうこれを受けとめておられますか。
#15
○国務大臣(村上勇君) これは今日の物価高と人件費の非常な増大というものをどこかで、インフレを抑える以外にその道は――ただ合理化だけではなかなか容易ならぬものがあろうと思いますが、しかし、なお一層NHKが世間の納得のいくような合理化を図って、そして何とか収支を償っていくということに重点を置いていってほしいと、こう思っております。
#16
○森勝治君 二百十五億五千七百万円の赤字予算を編成する協会に対して「おおむね適当である。」という郵政省の見解が那辺にあるか、私は理解に苦しむものであります。
 会長は先ほどいみじくも収支の均衡を保っておりますという表現を用いられましたが、郵政省のこの赤字予算について昨年と同じように「おおむね適当である。」というこの表現は私は若干奇異な感に打たれざるを得ないのであります。ですから、この点率直にお伺いをしたい。
#17
○国務大臣(村上勇君) NHKの昭和五十年度の収支予算、事業計画等によりますと、事業収支におきまして二百億円を超す赤字を生じておりますが、これは受信契約、特にカラー契約の伸び悩みにより受信料収入が頭打ちとなっているのに対しまして、先ほど申しましたように、支出面におきましては最近の物価上昇等の増大によって支出が増加しておるのでやむを得ないのでありますが、また事業の実施に当たりましては、苦しい経営状態の中で放送の難視聴解消というようなことを積極的にやっております。そういうようなその使命を果たそうとしていることで五十年度の収支予算は全体として私はおおむね妥当であると、この難視聴解消等に非常に努力しておるその現実を見て、まあこの予算はおおむね適当である、こういうふうに解釈いたしております。
#18
○森勝治君 大臣、私と小野会長とのやりとりの一部始終は大臣のお耳に入っているでしょう。小野さんは率直に言われているんですよ、このままでは難視聴解消というNHKの大きな使命の一つというものがスローダウンするではないかという指摘については、残念ながら私の指摘について認めざるを得ないというふうにおっしゃっておられるんですよ、私はそういうように理解するのですよ。ところが、大臣はいまそれを取り上げて難視聴解消にNHKが努力しているからと言う。昨年よりことしがスローダウンすることがどうして「おおむね適当」なのでしょう、赤字予算を編成することがどうして「おおむね適当」なのでしょうか。
 NHKの予算に対して、毎年のように「事業計画及び資金計画は、おおむね適当である。」という言葉がつけられておるのです。ことしあたりは、やはり後段のなお書きでNHKの周囲のきびしさ、環境のきびしさというのを指摘されるならば、この辺の表現もまたそれにふさわしい文字をもって表明されるのが私は至当ではないかと思うのですが、なぜ十年一日のごとく同じような言葉で片づけられようとされるのですか。私はここに郵政省の放送事業に対する熱意のほどというのがうかがい知れるような気がして、ちょっと悪い意味にとって私は非常に残念なんです。もう少し積極的にNHKのこういう問題についても取り組んでいただかなければならぬのではないかと思うのであります。あえて大臣の見解をお伺いします。
#19
○国務大臣(村上勇君) 先ほど小野会長が苦しい御答弁を申しておりましたが、私も全くそのとおりだと思います。しかし、ここにたとえそれが余剰金であるにしても何にしてもそれで何とか収支が償ってきている、しかも本年度難視聴の解消も十分やってきている。でありますから、一応そういう金があった、来年はどうなるかそれはわかりませんけれども、だから来年度としてはまずこれでやや適当であるというような、これは私としても苦しい判定でありますけれども、大体、気持ちは、いま御質問なさっておる森先生のお気持ちも、それからここに控えておられる小野会長の気持ちも私の気持ちもこれは同じことなんでございます。まあそういうような御解釈でひとつ進めていただきたいと思います。
#20
○森勝治君 大臣、私は一向に苦しくないのですよ、私は。あなたの腹も会長の腹も、森、おまえの腹も同じだとおっしゃるけれども、全然腹が違うのですよ、これは。郵政事業に対する見解が違うのです。これだけ指摘しておきます。
 しかし、大臣が苦しい苦しと言って腹を押さえられているのに、私がこれ以上細部にわたってこの点について申し上げるのもどうかと思いますから、時間の関係で次に移りますが、一つだけ大臣に申し上げておきたいんです。
 御承知のようにNHKは国民のNHKでございますから、郵政省はかりそめにもこのことを寸時たりとも忘れられては困ります、よろしいですね。この点、大臣に一本くぎだけ呈上しておきます。くぎは刺しませんが、くぎを呈上しておきます。
 そこで会長にお伺いしたいんでありますが、郵政省がなお書きで指摘をしております「将来における経営の健全化」これはいわゆるNHKの財政の立て直しの必要性、これを郵政省が指摘しておるものと私は理解するものです。前田前会長以来の公約とは言いながら、他の公共料金の軒並み値上げというこの中で、四十三年以来今日まで同額の受信料を維持してきてNHKを今日のNHKに仕上げたNHK関係の皆さんの御苦労というのは私は十分理解できます。しかもこの点については私は評価をしたいと思うんです、この点はね、努力された評価をしたいと思うのでありますが、しかし、いま大臣が言われたように、この財政の立て直しの方策というものがそうやさしい方法で行われてはならぬと思うのです。
 なぜか、先ほど私は大臣にくぎ一本呈上するということで申し上げましたが、NHKは何といっても国民のNHKであります。そうですね、ですからこの国民の理解、すなわち言葉を置きかえますと視聴者の理解がなければ、協力が得られなければなりませんし、国民の、視聴者の理解と協力が得られるような形ですべての事業というものが推進されなければならないと、私はこう考えているんです。したがいまして、この郵政省の意見書につきまして私も若干いま指摘をいたしましたそういう問題について、NHK側のひとつこれに対する見解をこの際聞かせておいてもらいたいのです。
#21
○参考人(小野吉郎君) やっぱり事業の安定なくしてはその使命を十分に達成することはできないと思います。その意味におきましてNHKが国民の機関として今日いろんなサービスをしなければなりません、放送を通じて高度なサービスをしなければなりません。そのサービスを完全にいたしますためには、経営の健全化なくしてはこれは思うに任せない結果になろうかと思います。
 そのことを大臣の意見書も申されておると思うのでありまして、将来にわたってのそういった経営の健全化の目安を立てて使命を十分に発揮しろということと私どもは読んでおるわけでございますけれども、と同時に、森先生の申されましたような国民の機関として国民の協力、支持なくしてはNHKの存在はあり得ません。そのような意味から、国民の御協力を得られるような、また支持が得られるような方策と度合いによって経営の健全化を図り、もってNHKが国民から負託された使命を十分に果たしていくべきものとかたく考えております。
#22
○森勝治君 それでは営業関係の問題について若干お伺いをしてみたいのです。
 まず、この受信契約の普及開拓でありますが、私の資料ですと四十七年度以降予算で見込んだ数字がいずれも下回っている、こう考えられるわけですが、いわゆる実績というものはどうなっておられるのか。私はいま四十七年度と申し上げましたから、四十七、四十八、それから四十九年度の見込みを含んでひとつお答えをいただきたい。
#23
○参考人(川原正人君) ただいまの御質問の契約の件数の進みぐあいでございますが、御指摘のとおり私どもが予算で予定しましたものに対しまして、四十七年度、八年度、目標どおりにいかなかったのは御指摘のとおりでございます。
 数字で申し上げますと、四十七年度当初契約の総数では八十六万件の増加を一応予定いたしたのでございますが、実績としては八十四万、九七・七%というところにとどまっております。さらに四十八年度が非常にこれは数字としてはぐあいが悪かったのでございます。契約総数としては六十三万件を考えたのでございますが、いろんな事情で四十二万件にとどまっております。
 ただし、その後、いろいろな反省もいたしましたし、それから対策も講じまして、四十九年度につきましては、当初予算で契約総数六十七万件の増加を予定しております。これはなおいま三月でまだしばらく時間を残しておりまして、いま鋭意最後の努力を続けておりますが、すでに二月の末でこの六十七万という数字は超えております。まあ年度末には若干いろんな事務の整理等もございますので、数字のことはいま確定的には申し上げられませんが、まず間違いなく契約総数は四十九年度につきましては達成できると、かように考えております。
#24
○森勝治君 それでは次にお伺いしたいのは、受信料の収納の四十八年度の実績と四十九年度の見通しがどうなるのか、この点をお伺いしたい。
#25
○参考人(川原正人君) 受信料の収納額につきましては、四十八年度は当初収入千百六十億円という予定を立てました。これは二年にわたって最終的には御承知のとおり収納いたすわけでございますが、初年度の分がいま出ておりまして、これは千百二十七億で九七・二%の初年度収納でございました。これは当初予算では九七・八ぐらいを目標として掲げたわけでございます。その点で申せば、先ほど四十八年度の契約総数が若干下回ったのと同様〇・六%ほど収納率が初年度において下がってきております。しかし、これは現在二年度に入りまして鋭意その回収にいま当たっているところでございます。
 それから四十九年度につきましては、現在、最後の契約の数も収納も進行中でございますので、これはちょっと何とも数字的に見通しがつきませんが、当初予算で予定いたしました千百二十九億、これに対しまして予算ではやはり四十八年度と同じように初年度九七・八%まで収納を持っていこうといま努力しているところでございます。まだ最終的に、いま年度末の最後の追い込みでございますので、ちょっと確定的な見込みは申し上げられないところです。
#26
○森勝治君 いまの御説明でも明らかになりましたように、契約の面それから収納の面、ともに下り坂になっているような成績だと、こう言わざるを得ないのでありますが、これは単に経営財源の確保という見地ばかりでなくして、いわゆる善良な視聴者に及ぼす影響がはかり知れないものがあるような気がしてならぬわけです。したがって、これについてどういう改善方策を用いられようとしているのか、またどう改善策を講じておられるのか、この点ちょっと御説明を願いたい。
#27
○参考人(川原正人君) 御指摘のとおり、数字的にはコンマ以下のパーセントでございますけれども、数年前に比べまして収納の率等が少し下がってきているのは御指摘のとおりでございます。もちろん、これも私どもたとえコンマ何%であってもそのようなことは決して見過ごしてはいけない。逆に申せば九八%ぐらいの方はきちんとお払いいただいているわけでございまして、そういう九八%のちゃんとお払いになっている方から見ましても、たとえ二%であれ一・数%であれ、収納が滞っていることがあることは確かにこれは問題でございますので、その点につきましてはできる、だけの努力を傾注したい。
 具体的に申せば、やはり協会全体としての業務が受信者に十分に理解され、支持されることが大前提でございます。その中でも私どもの担当しております営業の部面では、やはりお一人お一人の受信者に対しまして、営業がいま受け持っております、たとえば難視解消、受信改善あるいはいろいろな理解のためのお話し合いの機会あるいはパンフレットの配布等々、鋭意努力をいたしております。
 一番の問題は、やはり何と申しましても最近の受信者の方々の生活態様の変化ということが私どもの活動の面で一番難渋を来していることでございますので、たとえば昼間お伺いしてもなかなかお目にかかれないという、たとえば建物の構造等が一ころの独立家屋等から相当変わってきていること、あるいは家庭の御婦人の生活態様がまあ昼間いろいろ働きに出られる方その他でもって御不在の方が多いということのためにお目にかかれないので、その辺に私どもいま重点的に仕事の努力を注入しているところでございます。
 具体的に申せば、もし昼間お会いできなければ、夜間でも休日でもお邪魔せざるを得ないし、そこのところに努力を傾注する。それからもう一つは、私どもが一々お会いできなくても、できるだけ受信料をお納めいただけるような方法を講じたい。たとえば半年、一年一括してお払いいただく制度もございますし、銀行から自動振替の制度もございます。こういうもの等を御利用いただければ受信者の方も御都合よろしいと思いますし、私どもとしても非常に便利なわけでございます。これらの件数も毎年それぞれ六、七十万件ずつふやすように努力をいたしております。そして少しでも手が浮けば、その人間をもってもっと頻繁に各家庭をお訪ねしよう、かような努力を続けているわけでございます。
#28
○森勝治君 私は、いもお答えをいただいたこの答弁の中から推量いたしましても、いわゆる未契約あるいはまた不払い、こういう問題につきましては営業努力だけでは十分な効果を上げ得ない面があるのではないかと、まあ考えざるを得ないんであります。
 と申しますのは、空港の周辺あるいはまた高層建築等のビルなどによる受信障害、こんなものが大きく影響しているような気がしてなりません。たとえばジェット機の大型化による免除範囲の適否、ついせんだって先般大阪空港の周辺をめぐる問題もそうでありますように、いろいろそういう航空騒音の問題等あるいはまた新幹線の問題ですね、特に名古屋では千種地区の問題が騒音とともにNHKの受信料の問題にも波及してまいりましたね。さらに新幹線がいま東京−博多間今月十日開通したばかりでありますが、政府の基本構想から見ますと上越新幹線も東北新幹線もということになりますと、大きな新幹線の路線の延長ということまで計画されているわけです。さらにまた都市の高層化に伴う障害の増大がどんどんどんどん出てまいります。そうなりますと、それを今度は原状回復というのはなかなか容易ではなくなりますね。いまはまあ原因者負担方式というのを採用しておやりになっている模様でありますけれども、いわばこのことについてはNHKが仲介的な、ある面では指導的な役割りを果たして、いわゆる原因者とその原因によって起こってきた難視聴のいわば俗に言う被害者との間にいろいろ指導的役割りを果たされておりますけれども、こう次から次へ起こると、この問題にもなかなか手が回りかねてくるような気がしてまいります。
 ところが、片や大臣はNHKのこの難視聴の努力を高く評価されて、ことしも十分おやりになるんだと言っているが、私は先ほど指摘いたしましたように、これはもうスローダウンをせざるを得ないのではないか、件数もふえてまいりますから。ですから、一体、これからどうされようとしておられるのか。NHKが当面の衝に当たるわけですから、NHKのひとつ考え方をこの問題にしぼってひとつお答えいただきたい。
#29
○参考人(川原正人君) 都市におきますビルその他建造物の受信障害というのは、確かに私どもとして頭を悩ましている問題でございます。数字的に申し上げますと、毎年やはり大都市等においてはビルが二万前後建ってまいります。ことしあたりちょっと景気の動向で少し減っているようでございます。そしてその障害を受ける御家庭というのが毎年やはり十万世帯以上に上っているというのが私どもの推定でございます。
 これに対しまして、御指摘のとおり、私どもの基本的な考えとしましては、NHKとしては、もちろん地形等で見えないところに対しましては、これは放送法の精神に基づきまして完全に電波が届くようにしなければならない、これはもう当然の義務でございますので、そのための最大の努力はもちろん傾けているわけでございます。しかしながら人為的な建造物等のために電波が障害を受ける、邪魔をされるという場合におきましては、これはNHKの義務を越えたものであろう。その場合にはやはり人為的にその建造物をおつくりになった方が、原因をつくられた方がその責任と負担においてこの受信障害を取り除いていただきたい。そのことは現代の技術をもってして可能なわけでございます。その方法はあるわけでございますから、そういう意味で原因者の責任と負担によって受信障害を取り除いていただくということを大原則として、いろいろ受信者のために私どもは努力といいますか、受信者のために働いているわけでございます。
 ただ、現実には、原因者との間にはさまりますと、なかなか建造物をおつくりになった方もこれはお金の問題が絡んでまいりますから、なかなかそこまではできるできない、あるいは自分だけが原因ではなかろうというようなお話が出てまいりまして、いろいろ苦慮いたすことはありますけれども、私どもあくまでその大原則のもとに受信者のためにいい絵が出るよう、この建造物をおつくりになった方と折衝しているのが現実でございます。先ほど年間に十万世帯ないしそれ以上の受信障害を受ける方が都会で発生すると申し上げましたが、これに対してやはり私どもはそういう努力の結果、その大半、八〇%ぐらいまでは何とか原因者の責任において解決をしていただいているわけでございます。しかしいろんな数字的に見ますと、どうしてもやはり毎年二万ぐらい受信障害を受ける世帯がふえる傾向にあることは率直に言って事実でございます。
#30
○森勝治君 電波監理局長にお伺いしたいんです。
 四十八年の六月末に郵政省内にテレビ難視聴調査会というものが設けられたそうでありますが、しかもこれは抜本的な難視聴対策に取り組んでおるそうでありますが、このテレビ難視聴調査会の一応の結論というのはいつごろ出されるのか、また検討の概要、方向づけ等をひとつお聞かせを願いたい。
#31
○政府委員(石川晃夫君) お答えいたします。
 初めに御質問ございましたいつごろ結論が出るかという問題でございますが、実は、四十八年の六月にこれをつくりまして、大体、目標としまして、ことしの三月末、いわゆる四十九年度末ということを目標にして作業してきたわけでございます。これはただいま御指摘のように、最近におきまして都市における受信障害、それから辺地における難視聴、こういうような問題が非常にクローズアップしてまいりましたために、われわれといたしましても、テレビジョン放送のそのような問題につきまして抜本的な考え方を出さなければいけないだろうということでこの調査会を設けたわけでございます。
 この調査会におきまして取り上げましたのは、これは状況でございますが、まず都市における高層建築物等によりますテレビジョン放送の受信障害、この問題をまず取り上げたわけでございます。この解消方策につきましては、この二年間にわたって検討してまいりました。
 それから昨年の十月、四十九年の十月からは、この調査会の中に特に都市の受信障害対策のための小委員会をつくりまして専門家の方にお集まりいただいたわけでございます。そういたしまして、その席上では受信障害関係者の責務――受信障害関係者と申しますのは、まず建築物の建造主それから地方公共団体それから放送事業者それから受信者、大体この四者を私たちは受信障害関係者というふうに考えておりますが、これの責務はどうなるであろうか、それから受信障害解消のための費用の負担のあり方をどうしたらいいか、このようなことにつきまして、この小委員会において掘り下げて検討を進めてきたわけでございます。これと並行いたしまして、辺地におきますテレビ難視聴の解消の方策もあわせて検討を進めてきております。
 本年度末を目標にその検討をまとめるということで進めておりましたが、この作業を始めますと非常に問題が広範囲になりますし、また非常に複雑多岐にわたりますために、ややその結論が出るのが若干予定よりおくれるというようなことでございます。
#32
○森勝治君 畳みかけて恐縮でありますが、予定より若干おくれるというのはどういうことですか。私は若干という言葉は数カ月というふうに理解したいのですが、よろしいですか、それで。
#33
○政府委員(石川晃夫君) 私たちといたしましては、この問題が非常に緊急でございますので、できれば二、三カ月以内というふうに急いでおるわけでございます。
#34
○森勝治君 間違いありませんね、くどいようですが。
#35
○政府委員(石川晃夫君) これは実は調査会にお願いしておりますので、私たちの希望は伝えてございますが、それが厳守できるかどうかということは私も確約いたしかねますが、私たちの希望といたしましては、この問題が最近非常に各方面からの陳情もございますので、急いで御返事をいただきたいと、かように申しております。
#36
○森勝治君 あなたはきょうは郵政省電波監理局長としてこの席に大臣と一緒にお臨みですから、そういう逃げ口上は言わんでほしいのです。
 なぜか、これはあなた方が主体となって取り組んでおられるでしょう。調査会という、なるほど第三人称を用いておられるかもしれませんけれども、主体はあなた方なんですよ。あなた方の熱意いかんでこの問題の方向づけがなされるわけです。だから調査会というものを隠れみのにしてはなりません。いいですか、局長、重ねてあなたの所信を聞きたい。
#37
○政府委員(石川晃夫君) おっしゃいますとおり、私たちの方でこの事務局を務めておりますので、この作業は鋭意進めております。したがいまして私たちの希望といたしまして、若干おくれたことはまことに私たち事務局の作業といたしましても申しわけないと思っておりますが、その点、私たちも強く調査会に御希望申し上げたいというように考えております。
#38
○森勝治君 もちろん複雑多岐にわたってくるでしょう。そういう問題にも手を染めておられるというお話ですから具体的にお伺いしたいのですが、私が若干指摘いたしましたこの障害排除の一つの方法として、原因者負担という方法でいまNHKが指導されていますが、皆さんのこの調査会では、この問題はどう取り上げられましたか。
#39
○政府委員(石川晃夫君) この問題が起きましてから、私たちの方といたしましても、原因者がはっきりわかっているもの、いわゆるビルができたために、いわゆるビル陰障害と称しておりますが、そのような原因者がはっきりわかっているものについては原因者責任主義というのをとって従来から指導を行っております。
#40
○森勝治君 この原因者負担主義というのは今後も永続させるお考えですか、それとも新たなる目地に立っていわゆる角度を変えようとされるのですか、この点ひとつ明確に承っておきたい。
#41
○政府委員(石川晃夫君) 私たちの行政指導といたしまして、原因者責任主義ということで従来は指導してきておりました。そしてまた、われわれもその方針でいきたいと思っておりますが、調査会の方の答申を得ましてまた考えるわけでございますが、現在、この調査会におきましても大体そのような方向で進んできておりますので、私たちの考えと食い違うことはなかろうというふうに考えております。
#42
○森勝治君 重ねてお伺いいたします。
 各方面とさぞ御連絡をおとりの模様でありますから私はお伺いするわけでありますが、都会におけるこのビルの谷間の陰に泣く多くの市民がおられますね。卑近な例では、新宿でCAテレビの問題、あなたよく御存じのとおりでありますね。あれができても有線でなければ、いわゆる無線ではだめですから、有線でなければならぬという問題が起き、この問題が私どものかつての論議の中心であったこともあります。
 そこでお伺いしたいのでありますが、郵政省の中だけで何度ぐるぐる回りしても、やはり都会の難視聴の解消は一〇〇%解消というわけにはまいりません。そこで私が聞きたいのは、一体、建設省とこの問題はどうやりとりされておられるのか。建築基準法と相まって、これから新しい高層建築等を建てるときには、当然、こういうテレビの難視聴対策もそのビル建築の一環として盛り込ませなければなりません。このことについてどういうふうに建設省とお話し合いを進めてこられたのか。いつも私どもがこのことについて公式な場合、非公式な場合質問いたしますと、関係方面とよく相談をしてという優等生のお答えがあるわけですが、一向にらちが明きませんね。ですから、私はここで重ねてこの問題についてお伺いをしたい。
#43
○政府委員(石川晃夫君) 建築基準法が改正になりまして、私たちこの問題につきましても建設省と折衝していたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、二年前にこのテレビジョン放送難視聴対策調査会というものをつくりまして、その場に建設省の方も参加していただきまして、またその他利害関係者等も入っていただきましたし、また学識経験者の中立的な方も入っていただいて、各省の言い分を公正に判断しでいただいて、この問題を解決しようということで建設省もその調査会の中でいろいろ意見を述べていただいておるということでございます。また建設省におきましても、この調査会の答申を尊重して、今後の建設行政に反映していただけるということでございますので、われわれといたしましては、そのようなかっこうで建設省と接触しているわけでございます。
#44
○森勝治君 重ねてくどいようでありますが、これ非常に大都市の大きな問題でございますから、私はさらに質問をさせていただきますが、新しい建物を建てるときに近隣の住民の皆さんのテレビがそういう迷惑をこうむるということは建築主はほとんど考えておらぬ模様ですね、あなたがいかに力説されようとも具体的にそうです。最後に持ち込まれるのはNHKでありまして、NHKこそこの点は迷惑だろうと思うんであります。
 したがって、これから都会の高層建築等を施工するに当たりましては、やはり難視聴解消という一貫性を建設省に担わせるならば、一つの建築の条件としてビルの屋上にアンテナをつけさせるとか何とか、そういう方策をしなければNHKだってやり切れないんじゃないですか。したがってNHKが難視聴解消に当面の衝で当たっておりますね、NHKの予算を相当割愛してやっておる。これはNHKばかりではなくて、わが国の放送界全部このNHKの難視聴解消によって、恩恵という表現はどうかと思うんですが、民放の関係もこれで救われているわけでしょう、民放を受信する視聴者もこれで全部救われているわけです、実際は。そういう観点からいたしましても、もっと郵政省はデスクプランばかり考えておらないで、建設省に日参をして建築基準法の中にこれを盛り込ませるぐらいの熱意があってしかるべきだが、失敬でありますが、私の聞いた範囲では建設省が郵政省に来ることはあるが、郵政省がこの件に関して建設省に足を運んだ例は余りないというふうに言われているわけです。
 私はここにこの郵政省の本件に対する熱意のほどということを先ほど若干指摘いたしましたが、これNHKばかりに任しておくことはいけませんよ、私はそう思うのです。こういうものこそ国の施策としてやらなければいかぬので、聴視料を取っているから何んでもかんでもNHKにやれと言うでしょう。われわれが強ければNHKに任しておく。さらに一歩進めて、じゃ郵政省の考え那辺にありやと聞くとと、いま言ったように調査会を隠れみのにしてそこの結論が出るまでと言う。この調査会の中身は何かというと、郵政省が主管でぐるぐるぐるぐる、郵政省がいまおっしゃったように事務局ですから郵政省の考え方で動かしているんでしょう。ならばもう少し積極的におやりになったらどうですか。これは当然かくあるべき姿というものを郵政省が果たしておらぬのではないか。
 文句ばかりでつけてもなりませんけれども、こういうところにNHKが今日まで――どうですか、われわれに年じゅう、十年間も私はここで文句をつけましたよ、難視聴解消をやれやれって、その先頭に立たなければならぬ、山の頂上までアンテナを張りなさいと。全国主要な地はほとんど張った、大変なNHKの投資ですよね。そのとき郵政省は何をやったか、指導をしただけじゃないですか。やはりこういうのはNHK任せにしないで、国の施策の一環として都市対策を考えるべきだと思うのです。大臣、そう思いませんか。ですから、この点は大臣に基本的なものをお答えいただいて、具体的な建設省との詰め等は、失敬でありますが、私は余りおやりになってないと申し上げたんですから、積極的におやりならおやりになっておるという反論をくださってもよろしいし、これから一生懸命やりますというお約束でもいいですから、もう少し能動的にひとつこの問題を取り上げていただきたい。
#45
○国務大臣(村上勇君) 大変私どもとしても有益な御意見を拝聴いたしました。
 従来のようにビルがぽつんと一軒建ったりというような場合には非常にその原因者というものがはっきりいたしますが、今日のように方々へ高層なビルが乱立するようなことになりますとなかなかその原因者というものがつかみにくくなりまして、それぞれ責任の転嫁を図るような場合がありますので、非常に聴視者にとってはお困りになることが多いと思います。そういうようなことを解消するためにも、いま先生の御指摘のように、どこまでもこの難視聴調査会で積極的にその各関係者の責任において、国もあるいは入ると思いますが、そういう責任においてこの問題を解決してまいりませんと、NHKだけでただ解決するというような問題ではないような時期に来ていると思います。そういうことでいま調査会に対しましても積極的に働きかけまして、できる限りこれが解決を積極的に図っていきたいと、かように思います。
#46
○政府委員(石川晃夫君) ただいま先生から御指摘ございましたが、私たちといたしましても、この問題が非常に重要な問題であるということで、熱意を持ってこの調査会をつくりましてこの問題と取り組んだわけでございます。しかし、御指摘のようにまだまだ努力が足りないのではないかと言われますと、私たちも謙虚にここは反省しなければいけないと思います。
 私たちといたしましても建設省といろいろ折衝しているつもりでございますけれども、成果がまだはかばかしくない点もございますし、今後成果を上げるためにも一生懸命やっていきたいというふうに考えております。
#47
○森勝治君 郵政大臣、まことに失礼でありますが、郵政省の本件に対する対策というものは、論争が起きてしかる後に手を講ずるということ、いわゆる対策が後手後手に回っているきらいがあります、特にこの都市難視聴につきましては。
 したがって、この辺で想を新たにしてですね、やはり当然大都会では高層ビルというのが法のもとに林立をしてくるんですから、これからもそうでありましょう、ふえることはあっても減ることはないんですから、それはやっぱりNHK任せにしないで、こう都市の難視聴が次から次へとビルの林立によって引き起こされてまいりますと、幾ら世界に冠たるNHKの力をもってしてもはるかに及ばなくなってくるような気がするんです。それはNHKの役目だと、そのために聴視料を取っているんだと、こういう態度はこの際一てきしていただいて、郵政省がそういうものの当面の衝に当たるという、これはひとつぜひともお約束をしていただきたい。
 それからもう一つ、テレビの難視聴のしりは全部NHKに持ってこられるんです。ある面ではNHKはやむを得ませんと思いますけれども、ある面では迷惑の場合もあるはずです。したがって、当然、この難視聴についてはやっぱり郵政省がその前面に出て解決策の立て役者――立て役者と言って余りほめちゃなりませんが、やはり立て役者的な役割りを果たさなきゃならぬと私は思うのです。そうでなければ解決がしないのです。山間僻地における、いわゆる僻遠の地における難視聴は全部NHKの手でもって相当な全国の個所にアンテナを立ててまいりましたが、都市の難視聴だけは、これはもうこれ以上NHKの力ではいかんともしがたい模様であります、私の推察するところ。したがって、この問題は、少なくとも都市難視聴につきましては郵政省が全面的に解決の先頭に立つ、このことはここで約束していただけますね。
#48
○国務大臣(村上勇君) 御指摘のとおり、都市における高層建築物等によるテレビジョン放送の受信障害は、都市構造の高層化によりまして、これはもうますます増大の一途をたどっております。今後もその傾向はますます強くなるものと考えられますので、このような情勢にかんがみて、郵政省としましては、受信障害解消のため早急に効果的な措置を講ずる必要性を痛感いたしております。実は、昨日も省内でこの問題でいろいろと議論を闘わしたのでありますが、受信障害解消のために早急に効果的な措置を講ずる必要性を痛感いたしますので、テレビジョン放送難視聴対策調査会の検討の結果を待つということでありますけれども、少なくとも急いで可及的速やかにこれの結論を出してもらうようにいたしまして、有効適切な諸施策を講じてまいりたいと、かように思っております。
#49
○森勝治君 私は、この点に関しては、本来郵政省がとり行うべきものもNHKが肩がわりしてきた部面があるような気がしてなりません。局長、いいですか、そんな気がするんですよ。いまうなずいておられますが、うなずかれるならば、認められるならば、いま大臣も一生懸命やるとおっしゃておるんですから、所管の長としては、やはり何でもかんでも紛争をNHKの範囲で処理せいとおっつけるようなことのないようにひとつしていただきたい。
#50
○政府委員(石川晃夫君) 確かに従来はNHKにいろいろこの面について御助力もいただいておりましたし、この種類の問題について解決に協力していただいていたわけでございますが、何しろ高層建築物のいわゆる都市構造の変化というものが非常に早いものでございますから、NHKにしてもやはりそういう個々の手を打つということはできなくなっているというのは事実でございます。
 したがいまして、やはりこれはわれわれといたしまして、NHKの方にも従来どおり御協力はいただくとしましても、われわれが中心になって今後この仕事を進めていかなければいけない、かように存じております。
#51
○森勝治君 はい、その点はしかとお約束をいただきました。
 ここで会長にお伺いするわけですが、正方タワーにあたかも拮抗するごとく前田構想のNHKタワーの計画がありましたね。NHKとしてはああいう、あたかも世間を騒がせるという表現は適切でございませんが、何かこう正力さんと競合するように世間では当時思い込んだわけですが、そういうことについてはもう一切想を練ることはなく、もう仮に将来高層テレビ塔を建てることがあるにしても、あの前田構想というのは全然もうかなぐり捨てて、おやりになるときは別の角度でおやりになるということですか。それともNHKの中でまだあれ――五百五十メーターですか、五百メーターですか、五十メーター下げたか上げたかしましたね。私も当委員会で議論したことをかすかに覚えておりますが、あの構想というのは全然もうなくなったわけですか。そのことをひとつちょっとお伺いをしたい。
#52
○参考人(小野吉郎君) 一時そういう構想も確かにありましたけれども、今日のように非常に高いビルが林立いたしますような情勢では、五百五十メーターあるいは六百メーターのタワーを建てましても、これはそういった難視を完全に解消できるものではございません。非常な不経済施設にもなりますので、これはもう端的に申しますと、この構想は断念をいたしております。将来といえども、そのような構想を検討する余地はもう今日ではないのではないか、むしろやはりありとすれば、衛星利用の道しかないのではないか、かように考えております。
#53
○森勝治君 この前のようにNHKの独創的な問題は結構でありますが、それをNHKだけが独占するという考え方は今後ひとつおやめいただいて、民放もあることだから、NHKがそういう高層テレビ塔を建設するならば民放の皆さんにもそれが利用できるような、こういう御配意をしてしかるべきではないかと愚見を添えておきます。
 そこで次の問題に移りますが、先ほどのお答えにありましたように、視聴者に昼間集金に回っても不在であるというのがしばしばある。これは都市構造のなせるしわざでありましょうけれども、非常に集金の方はお困りの模様であります。そういうこともあろうかと存じまして、私は、昨年の当予算委員会におきまして、前納や口座振替を勧奨し、その余す力を営業活動の強化に当てたらどうかという主張をいたしました。また口座振り込み者に対する割引制度を考慮すべきではないかということも申し上げて、一部はそれはもう実行されておりますけれども、そのときに御検討を煩わすことにお答えがなっておったわけでありますから、したがってひとつ御検討の結果、もうすでに具体化されたものは具体化されたもの、検討中は検討中というふうにできれば分けてお答えをいただきたい。
#54
○参考人(川原正人君) 前回の委員会で、森委員から大変示唆に富んだ御指摘をいただきました。その後、私どもでいま部内的に検討を続けております。結論的に先に申し上げますと、まだどのような形で実施するとかしないとか、その結論まで至っておりません。
 現在、私どもが研究しておりますのは、たしかあの御指摘のときは口座振替を伸ばすために割引という考え方を取り入れたらどうかという御示唆だったと思いますけれども、まあ一つには、まだ日本の国民の方といいますか、特に受信者、聴視者の方は金銭の支払いにつきましていわゆる銀行口座を御利用になる、何といいますか、感覚の問題がまだ一息なかなかしみ込んでいないと申しますか、どうしても現金支払いというお考えが、現実に私ども受信者の御家庭を訪問しておりまして、まだ非常に強い、だからこそ割引という御指摘があったと思うのでございます。
 ただ、この点につきましては、銀行振替口座にするために割引制度を取り入れるということは、現在ほかの企業等において前例はほとんどないわけでございます。つまり一括払い等で金利等の関係から割引をするということはいろいろ先例もございます、私どもも実施しているわけでございますけれども、銀行の自動振替にしたということによって、その恩典といいますか、経済的な有利性を付与するということが果たしていまの経済制度、料金制度の中でなじみ得るものかどうか。それとあわせまして、いまの一般の方々のこの種の問題に対する感覚、もう少し慎重にいろんなデータなり何なりを研究さしていただきたい。その上でないと、ちょっとこれは簡単に結論は出せない。
 かたがた、実を言いますと、私ども現在口座でもって約三一%、収入にいたしますと四百億円ぐらいのものをこの口座振替においていただいておるわけでございますが、もしこれに割引制度を実施いたします場合には、すでにちょうだいしている分につきましても相当のいわば支出の増加といいますか、収入減もあわせて覚悟というか、検討しなければなりません。その辺ももう少し時間をかけて研究したいと思っているわけです。
#55
○森勝治君 こういう公式な場ではそういうお答えをするのです。それは会長いけませんね。この前の委員会で検討をすることになっているわけですから、検討をして否やというのは、当然、質問者である私にお答えがあってしかるべき。あるいはまた常任委員長にお答えあってしかるべきではないでしょうかな、会長、この点どう思いますか。
 この問題ばかりではございません。この場限りで、いつもそういう傾向がNHKにありますよ、失敬でありますが。検討します、お答えします、なるほど優等生の答えでしょう。それを黙って、こちらが再質問や催促をしない限りお答えにならない。親切な面もあるけれども、どうもその点はこの委員会さえ過ぎればという傾向があるような気がしてなりませんね。余りきめつけてもなりませんから、私は比較的やんわり申し上げたつもりですが、表現方法を知りませんから、役者と違いますから、談志さんのようなりっぱな方と違いますから、いかにもきめつけたかっこうになって恐縮でありますが、やわらかい表現で私はこの点をただしたつもりでありますから、ひとつお答えをいただきたい。
#56
○参考人(小野吉郎君) きわめて有力な御提案をいただいたわけでございますし、これに対して検討もお約束を申し上げたわけでございます。まあいろんな事情から、検討はいたしておりますけれども、なかなか今日の段階では踏み切れないということになっておりますけれども、せっかくそのような御示唆をいただきました関係から言えば、国会で質問がなければそのまま黙っておる、質問があればそれに対して経過を御報告するということでは足らないと思います。
 やはり御質問までもなく、そういった面については、前回の御質問の趣旨については検討しておるけれども、実はこれこれの事情によってまだそこまで踏み切れないということはこの委員会の前に御連絡を申し上げるのが、私は、非常にいろいろ御教示を賜っており、それを金科玉条として私ども経営の万全を期しておるわけでございますから、あり得べき正しい、好ましい方法ではないかと、かように私自身は考えております。
#57
○森勝治君 そこで、受信契約の普及についての具体的な方法はどうおやりでしょうか。
 たとえば、これは営業マンというのでしょうか、普及開発の先端職員が何人ぐらいおられるのか。専門です、いわゆる募集ですね、表現すれば募集とでも言いましょうか、開発の方々が専門に何人おられるのか。集金は別です。それだけおやりになっておられる方が何人おられるか、どういう方法でおやりになるか、それをひとつお聞かせを願いたい。
#58
○参考人(川原正人君) これは御説のとおり、私ども契約と集金を必ずしも第一線では分けてない面がございます。集金に当たる者も逐次回りながら、もし途中にまだ契約になっておらない御家庭、お住まいがあれば、そこでそのおうちを訪ねて契約しておられるかどうか、それを聞いて、もししておられなくて、かつテレビをお持ちであればぜひしていただきたいと、それはやらせるようにしております。
 したがいまして、これは全部その契約だけやっているわけではございませんが、いま現在集金を主としてやる者が四千人、委託契約で正確には三千九百何名持っております。それから山村等におきまして、郵政省にお願いいたしまして郵便局でやはりこれは集金が中心でございますが、契約の方も開発していただいております。このお願いしております郵便局は三千五百ございます。それからもう一つ、いま先生御指摘の、もっぱら契約のみをやる人間、これがNHKのサービスセンターというところで現在約二百八十名ほどおりまして、この人間は御指摘のとおり契約、つまり未契約の方をお探して契約する、これ専門でやっておる者が二百八十名でございます。
#59
○森勝治君 NHKの契約の問題ですが、従来は、あちらさんが来れば郵便局の窓口で受け付けた、こういう傾向がNHKの姿勢でしたね。進んで契約を求める、「こんにちは」と入って行く、こういうことは従来とりませんでしたね、私はそう思う。だから、その点は人呼んでNHKは尊大だというのがこういう普及開発の場面でもあらわれてきているような気がしてならぬのです。今日二百十五億五千七百万という赤字予算を計上する現段階では、まだまだ未契約の一だれが見たってわかる、あそこもそうだ、ここもそうだとよく言われがちなのですから、皆さんがもう少しこの点について想をこらしてくだされば、NHKの財政を潤す――潤すという表現もどうかと思うのですけれも、契約がもっともっと率が上がっていくような気がしてなりません。
 したがって、その契約向上の一つの方策として、普及週間とか、そういうひとつ一定期間の目標を決めて御努力をされたらいかがですか。どうもNHKは人任せ契約のような気がしてなりませんね。その点はひとつどうかもう少し契約を積極的におやりになったらどうでしょうか。
#60
○参考人(小野吉郎君) お説ごもっともでございまして、非常に有益な御意見を賜りました。
 現在、いわゆる集金業務に携わっております者は、NHKに直集があり、委託関係があり、郵政省へ委託したものがあり、また契約のみを専門にやっております者では、先ほど川原理事がお答え申し上げましたように、サービスセンターにその関係の係員がおりますけれども、これは同時に集金だけでなしに契約もやっておるわけでございます。しかし、集金業務もなかなか大変でございます。そういうような関係で集金と契約と両方を同時に万全を期することは、なかなかこれは口では言えても非常にむずかしい面ではないかと思います。
 契約の関係で、未契約が非常に膨大な数を言われますけれども、やはり一つの循環過程を経て契約が成立しておりますので、テレビ所有世帯、契約対象となり得る世帯、これをいろいろ身体障害あるいは福祉関係その他の関係で全然無料になるものを除きまして、有料として契約をしてもらわなければならない世帯の数が大体二千八百三十万ぐらいございます。現在の世帯契約は二千五百万世帯ぐらいでございますので、その差額を求めますとまだ三百三十万ばかり契約もされないでほったらかされておるのではないか、これはきわめて不公平だと見られがちでございますけれども、現に五十年度の予算におきましても、現実に二千五百万世帯が契約をしていただいております。その上に三百十五万世帯は契約を取るわけでございます。事実、過去の実績から申しましてもこれは取れております。
 ただ、その間にいろいろ転居の関係でございますとか、あるいは一時テレビの買いかえ等の関係で契約から脱落するものがございます。これはどうしても二百五十四万ぐらいは見込まざるを得ないような関係で、そういうサイクルで循環をしておりますが、まだわれわれの努力の足らないところで本当に契約をしてもらうべくしてそうなっておらないものも、これもあることを私は否定をいたしません。俗に世間で言われる三百何十万というような数では毛頭ございませんけれども、これはやはりいま森先生の御指摘になりましたような契約に専念する一つの期間を設けてやれば成績は優に上がり得る方途ではないかと思います。このようなことは即刻実施してまいりたいと思います。
#61
○森勝治君 年間のテレビ生産台数から輸出台数を引きますと、これが国内消費に回るはずです。それとNHKの新規契約とを案分してまいりますと、もちろんいま買いかえ等の問題もありますけれども、まだまだNHKの契約の数というのは相当向上されるものと私は単純計算でも推察することができるわけですから、まあ専門と申しましょうか、期間を設けて普及開発をされるということですから、ぜひひとつそれを試行というか、試しにおやりになってみてください。
 そこで次の問題に移りますが、私は昨年の当委員会におきましても、社会福祉、文教施設関係に対する受信料の減免措置は国の責任において行う
 べきであるという主張をし、その抜本的な再検討を郵政省にお願いをしてきたわけであります。したがいまして、もうこれも一年もたつことでございますから、さぞ高邁な理想案がおできになったものと理解を深めながら、私はいまお答えを求めるわけです。
#62
○政府委員(石川晃夫君) ただいまの件でございますが、私たちの方におきましては、この受信料の免除の問題につきまして検討を進めたわけでございますが、これは大正十五年に前の社団法人の日本放送協会が発足した当初から今日まで引き続き実施してきたという非常に歴史の長いものでございます。これは公共放送としましてのNHKが日本放送協会の仕事を引き継ぎまして、そうしてこの本来の使命として社会福祉的見地ないし教育的見地からこの免除という問題を実施してきたものでございます。
 したがいまして、先国会において指摘ございましたように、この受信料を国が負担するというようなことになった場合にはということで検討いたしましたが、やはりこの問題を考えてみますと、これはNHKの受信料の免除制度全体の改廃にかかわる問題でもございますし、特にそれがひいては受信料制度の根幹に触れるような問題にもなりかねないということでございましたので、実は、その結論を得るに至らなかったわけでございます。さらにこの件については検討を進めたいというふうに考えております。
#63
○森勝治君 私どもはかねてから放送法の見直しという主張をしてまいりましたね。いまいみじくもそういう関連したお答えをいただいたわけでありますが、その点はこれからどう対処されるのですか。
#64
○政府委員(石川晃夫君) 放送法改正の問題にも関連することでございますが、ことにこの放送法全般の問題としましては、これは言論にかかわる・問題でもございますし、非常に影響を及ぼす範囲が広うございます。さらに、これに関係される方のコンセンサスを得るということも非常にむずかしい状況にございますので、現在、放送法改正につきましては省内で検討を進めている段階でございます。
#65
○森勝治君 どうも郵政省は検討がお好きですね。検討ばかりおやりになるなら、今日ただいま限り、検討省という名前にお取りかえになった方がよろしかろうと思うのであります。
 まあざれごとはさておきまして、次に、いまの関連問題に移りますが、いまもまだ検討中でありますから、免除については考えさせてくれということであります。しかし、かつてのNHKのそれのごとく財政的に比較的ゆとりのあるときにはいざ知らず、さらにまた放送の普及度合というものが低かった時代ならともかく、NHKはかつてない財政のピンチとこう言われているときでありますから、そういう問題については郵政省が勇断をふるってくださらぬことについては、非常に私は残念だと表明をしておきます。
 当年度の社会福祉施設、生活困窮者などのいわゆる福祉部門、それから学校あるいはまた公民館などの文教施設、そうした関係の免除金額はNHKの負担はどのくらいになっているか、これをちょっとお聞かせいただきたい。
#66
○参考人(川原正人君) 五十年度のいま御審議いただきます予算の中の数字で申し上げます。
 社会福祉関係の免除では、一つは、児童福祉施設、生活保護施設等々、施設関係では免除額が一億四千万円、そのほかにいま御指摘の生活保護等の関係が十五億六千万円、合わせまして十七億三百万円というのがいわゆる社会福祉関係の受信料の免除額でございます。
 それから学校等、これは学校が中心でございますが、公民館、図書館等を入れまして、これの免除額が九億四千八百万円というのが免除額でございます。
#67
○森勝治君 山下さん、申しわけありません、お待たせして。
 これから厚生省と文部省にお伺いをしたいと思います。
 いまのお話にもありましたように、年間約二十七億、NHKは社会福祉施設とか生活困窮者あるいはまた学校、公民館などの受信料の免除措置等を講じておられますから、いまのお答えにあったように相当免除額というものが高額になっております。
 こうした減免措置は、私の主張をもって申しますならば、本来、国が福祉施策、文教施策の一環として行うべきものであると私は考えます。したがって免除による減収額は、以上の私の考え方が是とされるならば、当然、国が負担すべきものと私は考えるわけです。この点について厚生省と文部省両省の考え方をお聞かせ願いたい。
#68
○政府委員(山下徳夫君) 御承知のとおり、近年、社会福祉の充実、向上に対する国民の期待と念願というものが非常に高まっております。したがって総理もこの社会福祉の問題につきましては、ことのほか意を用いておられるわけでございますけれども、一口に社会福祉と申しましても非常に広範多岐にわたっております。したがってこの社会福祉問題に関しましては非常にきめ細かな施策が要求されるわけでございます。したがってこの社会福祉全般を厚生省だけでやるということはとても不可能でございますし、また政府全般でもできるものではございません。これはやはり地方自治体あるいは各種の公共機関あるいは公益団体さらには一般の各種民間団体等の非常に広い層の御協力をいただかなければならないわけでございまして、NHKのテレビの視聴料の減免につきましても、そういう趣旨から今日まで継続されておるものだと理解をいたしております。
 こういう観点から、今後におきましても、引き続きひとつ積極的に御協力を煩わしたい、かように考える次第でございます。
#69
○政府委員(安養寺重夫君) 小中学校はもちろんでございますが、現在、幼稚園、高等学校、あるいは特殊教育のいろいろな種類の学校、社会教育施設もそうでございますが、生涯教育というふうな観点からいろいろと新しい教育分野を導入するということでおかげさまでNHKの学校向け放送、社会教育番組等々、文部省としましては十分活用させていただいておるわけでございます。またNHKのおやりの視聴覚関係の放送局、それから現場の教職員、PTAその他の視聴者、それに社会教育、学校教育の行政担当者等が一堂に会する研究協議会が頻繁に行われておりまして、そういうことについても文部省もいろいろとそれなりに充実策を図っておるわけでございます。
 こういうような現状でございまして、現在、放送法にございます受信料の免除という制度があります限りは大変ありがたい制度でございますので、いろんな関係方面の御協力をいただいて教育を充実さしておりますその一環としてぜひ引き続いてお願いしたいと、こういうような希望を持っておるわけでございます。
#70
○森勝治君 まことに失敬でありますが、私の設問にお答えになっておられぬですね。私は具体的に申し上げたわけですから、国がやるべきではないかと申し上げているわけですから、ただ、いまのお話だと今後もNHKの善意に依存したいと、こうおっしゃっているだけにしか受けとめられないのです。
 そこで私はさらに両省にお伺いしたいんでありますが、御承知のようにNHKは国の機関ではありません、また国営によって運営されておるものでもないのです。財源は視聴者の受信料で賄っているわけですから、しかもその経営財源は二〇%に近い借入金で調達しているという財政ピンチです、いわば。厚生省は最近いわゆる弱者救済というようなことから、たとえば老人福祉電話の架設料まで補助の対象としておりますね。ことしは五千個でしたか、ちょっと数は忘れましたが。また文部省は大学から幼稚園に至るまで補助金を出している、そうですね。しかるに生活困窮者あるいはまた国立病院、学校は国立大学までこれらのものが設置しているテレビの受信料はNHKの公共性に依存ばかりしている。先ほど私はNHKの善意に期待をしているばかりじゃないかという指摘をいたしましたが、これではこれらの問題は他の視聴者が負担をしてくださいということです。したがって言葉を返しますならばNHKの善意に今後も依存をしたい、厚生省や文部省は金を出せない、こういう考え方にはどうしても私は納得ができないのであります。
 重ねて申し上げます。かつてのようにNHKの財政にゆとりがあった場合はいざしらず、いま私が数点にわたって御指摘申し上げたようなことを、NHKとのやりとりをお聞きいただいたと思うのですが、こういう予算編成上大変苦労しているときには、当然、これら両省がいまの問題についても再考があってしかるべきではないか、真剣に考えるべきではないか、私はこう愚考するわけでありますから、重ねて両省の見解をお伺いをしたい。
#71
○政府委員(山下徳夫君) 御指摘の老人福祉電話はそのとおりでございますが、いま森先生がおっしゃったように、これの設置につきましては国でもって負担いたしておりますけれども、その通話料等ふだんの維持費と申しますか、それは各個人の負担を原則として、たてまえはそういうふうになっております。
 それから、いまの福祉の本質の問題でございますけれども、先生の御趣旨よく私もわかりますけれども、たとえば国鉄の身体障害者に対する割引等にいたしましても、やっぱりこれは福祉というものは国民全体のお互いの深い理解の中で進めてまいるべきだという観点から、やはりたとえば汽車に乗るときに目の悪い方に手をかしてあげるということも必要でございましょうし、同じような気持ちから汽車を利用する者がお互いにこういう人にひとつ何とかしてやろうというあらわれが今日なお国鉄運賃の割引も国鉄自体でお願いしているような次第でございます。
 そういうわけでございますから、このテレビの視聴料につきましても、やはりこういう文明の利器を十分亨受するという立場からひとつみんなでそういう気の毒な人に保障でもしてやろうという、NHKというよりも、国民が利用される立場からそういう一つの福祉に対する御理解をお願いしたい、こういうことでございます。
#72
○政府委員(安養寺重夫君) 放送法の現行制度の趣旨にのっとりまして、せっかくこういうありがたい制度がございまして、多くの子供たち、大人が活用さしていただいているわけでございますから、私の立場から申しますと、これはぜひお続けをお願いしたい。
 しかし、先ほど来伺っておりますような全体の御検討もあるようでございますから、そういうことで何か再検討をせよというようなときにもなりますれば、またわれわれとして考えてみたいと思っております。ただいまはお願いをするということでございます。
#73
○森勝治君 厚生次官、山下さんを私よく存じておりますが、しかし、山下さん、いまのお言葉はいただけません。国鉄は政府関係機関でございます、NHKは自主独立でございますからね、経営の形態が違うのですよ。ですから国鉄の割引とこのNHKの減免措置というものを同列扱いだけはどうぞひとつおやめをいただきたい。いま文部省は若干考えるとおっしゃったのか、考えてみましょうとおっしゃったのか、お答えが比較的抽象的でありますから、漠然としておりますから、私もその真意を捕捉しがたいのであります。
 が、いずれといたしましても、こういう問題は国が真剣に取り上げてやる姿勢を示さない限り、いかに三木内閣が弱者救済、福祉なんて言ったって絵そらごとになるし、評論家内閣になってしまうわけですから、三木内閣でこそこういうものを看板どおりやっぱり実施していくのが私は一番よかろう。それでなければ三木さんだって言っていること、やっていること何だと言われがちになるだろうと思うのであります。
 話が別の角度になりましたから本筋に戻しますが、いま私は再度にわたって両省の反省を促したわけであります。したがって今後ともこのことについてはよくひとつ考えていただきたいのであります。
 そこで郵政大臣にお伺いするわけでありますが、いま両省の見解をお伺いしてもNHKの善意に期待する、こうおっしゃっておるわけです。そこでここでNHKに対するこういう問題については郵政省が毅然たる態度をとる責務が生まれてきているわけです。かつての大臣は、いわばあなたの前任者の大臣は、失敬でありますが、私のこの種の設問についてはうなずいておられたわけであります。ですから当然こういう問題については国の施策があってしかるべきというこの私の主張については、大筋では郵政省は御理解をされているものと私は考えています。したがって郵政省が老人福祉電話の扱いなどに示された熱意を本件にもまた示してくださるならば非常に前向きに問題が進展するだろうと私は理解を持っております。
 もうすでに五十年度の国の予算は終結の段階になってまいりましたから、この中で国の五十年度予算に国の福祉施策としてNHKのいま好意による減免措置の肩がわりを主張するのは、いま直ちに主張はいたしますけれども、五十年度の国の予算に盛ることは至難でありますから、これは私はがまんをいたしますが、来年度、すなわち五十一年度の予算編成までには、ひとつ福祉電話のそれのごとく郵政省で決着をつけてもらいたい。大臣お答えをいただきたい。
#74
○国務大臣(村上勇君) NHKの受信料制度の根幹に触れる問題でありますし、またNHKが長年にわたって自主的に実施してきたいきさつもありますし、文教政策、福祉政策、こういう全体としての関連もありますので、なお関係の向きとも十分相談しながら検討してまいりたいと思います。
#75
○森勝治君 以上、両省にも私は改善方を要望し、重ねて郵政大臣の適切な措置を促しましたのも、NHKの財政事情が御承知のとおり深刻な状況にありますので、財源確保のためにも一層の経営努力、工夫をお願いしたいという、こういう心のほとばしりが以上の私の設問になったわけであります。これはNHKさんもこの点は十分御理解を示してくださるものと思うわけであります。
 NHKの業務は、御承知のとおり、国民の日常生活に大きな役割りを果たしておりまして、しかもこのNHKの仕事というものは一日もなおざりにすることができないわけです。赤字財政が視聴者やまたNHKを支える職員の士気に影響する、生産の第一線に立つことにややもすればちゅうちょがあるような現象を招来するとするならば由々しき大事でありますから、私はこういうことについても会長が十分御配意を願いたいと思うのであります。
 さらに、会長は、先ほど事業運営に当たっては新規拡充施策を抑制し、さらに計画を削減をしたり、また繰り延べなども実施して経費の節減に努め、財政の危機を乗り越えたい、こういうお話があったわけでありますが、基本的な使命であります難視聴の解消や良質な番組編成は大丈夫なのか。特に難視聴解消もNHKの重要な柱の一つでありますが、これはもうスローダウンせざるを得ないんではないかという私の設問につきましては、遺憾ながらということで御意見をいただきましたけれども、この点について重ねてひとつ番組編成の面と難視聴解消の面についての見解を承りたい。
#76
○参考人(小野吉郎君) NHKといたしまして、難視聴の解消あるいは番組の質の向上につきましては、これは決しておろそかにしてはならない問題であろうと思います。
 五十年度予算におきましては、難視聴解消の関係につきましては、五十年度限りと私は考えておりますけれども、いままでのテンポを少し下げざるを得ないと、これは建設投資を圧縮する大方針のもとにそのような結果になったわけでございますけれども、五十一年度以降までそのスローダウンした状況を持続すべきものではないと考えております。これは、早晩、財政の抜本的検討の上に立った基本的な路線の確立とともに、名実ともにNHKの第一義的義務としてふさわしい拡充を図ってまいらなければならないものと考えております。
 番組の質の問題につきましても同様でございまして、これこそNHKが国民に奉仕しなければならない問題でございますので、五十年度予算におきましても、苦しい財源の中から番組編成の関係につきましては、四十九年度あるいは四十八年度あたりのそれよりは多少の配意を加えたつもりでございます。
 この二つの問題は、まさにNHKとして決してこれをスローダウンしていい問題ではございませんので、赤字財政の名のもとにこれをスローダウンすべきではないと思います。とはいえ、五十年度では難視聴解消ではやむを得ずそのようなことになっておりますけれども、いずれ財政の安定化を図りまして、その上でスローダウンしないように、できるだけ早く難視聴の解消ができますように、むしろ拡充の線で考えていかなきゃならないものと、かように考えております。
#77
○森勝治君 難視聴対策の具体的な計画についての質問は時間の関係で割愛をいたしますが、私が最初に指摘したように、ただいまも会長の所見をただしましたように、財政事情から建設計画を抑制しておるわけですから、難視聴対策については一層効率的に推進して、国民の要望にこたえるようにしていただきたいんです。この点については、ひとつ大臣と会長からもう一度見解のほどを示していただきたい。
#78
○国務大臣(村上勇君) 御指摘の点につきましては、十分、難視聴の解消ができるように積極的に努力いたしたいと思います。
#79
○参考人(小野吉郎君) 五十一年度以降におきましては、できるだけ短期間に大幅な解消ができるよえな措置を講じてまいりたいと思います。五十年度予算につきましても、置局の数、共聴の数は減っておりますけれども、しかも片やいろいろ物価の上昇、工事費の上昇等によってむつかしい面はございますけれども、大臣の意見書にもありますように、これをきわめて効率的、能率的に運用することによって、できるだけ最大の効果をおさめるような努力をいたしてまいりたいと思います。
#80
○森勝治君 次に、私は番組編成の内容の問題について一、二質問をしてみたいのです。
 御承知のように、最近、また「総理と語る」という番組編成で公開をされましたが、御承知のように、これは田中内閣のときに、総理はしゃべるとか「総理は語る」ということで国民のひんしゅくを買ったことは御承知のとおりであります。私も当委員会でその点についての不当性をつぶさに指摘し、NHKの反省を求めたところでありますから、まだきのうのごとく私は当時の模様を記憶いたしております。
 昨年の七月の参議院選挙後、この問題は世間の評判が悪いというので、実質的にお取りやめになったというふうに聞いているわけですが、何かまた三木内閣の誕生によってこれがまた忽然とよみがえった。しかも先般「総理と語る」というので、またこれをおやりになった模様ですが、あれほど評判の悪い「総理と語る」というのをなぜまた再開をしたのか、この点のいきさつをお聞かせ願いたい。
#81
○参考人(坂本朝一君) 「総理と語る」の番組につきましては、いま森先生の御指摘のような経過でいっとき中断しておりましたけれども、やはり基本的にNHKといたしましては、行政の最高責任者である総理大臣に出演していただいてその所信を伺うということは、聴視者への責任からいってもやるべきではないかという考え方でございまして、三木内閣になりましても、そういう点で関係方面と折衝しておったわけでございます。
 結論的に申しますと、民放とNHKと交互に出演するということで関係方面の合意が成り立ちましたので、そして実施いたします順序といたしま.しては、田中内閣の経過等からいきまして一月が民放の順番ということで、一月は民放に御出演になりまして、二月はNHKということで二月に三木総理に御出演いただいた、そういう経緯でございます。
#82
○森勝治君 坂本さん、そんなきれいごとを並べておられますが、田中総理と語るのときに、このことを私が批判して、この席上で質問したのを覚えておられるでしょう。
 たとえば国会の審議にゆだねられている法案等につきましても、あの席上で野党を非難したんですよ、当時の田中総理は。具体的に私が指摘したでしょう。国会で決定された事項について国民の理解と協力を求むというならばいざ知らず、これこれの法案をおれのところで通そうと思うけど、野党のやつら反対していかぬと――やつらとは言いませんが、あの人は上品な方ですから。とにかくそういう意味で野党を非難されたじゃないですか。これは総理としての発言でなくして、一党の総裁としての発言じゃなかったでしょうか。私は何も総理がNHKのブラウン管に登場することを反対だと言っちゃいないんですよ。いいですか、そういう本来公共性、中立性をもってNHK草創の目玉とされたNHKが国家権力にくみするような放映をなぜ続けるのかというのが私がこの前批判した重点でしたよ。あなた方はそれを、坂本さん、反省されないんですか。そういうことのないようにと言ったでしょう。あのときに言ったでしょう、公共性を堅持しながら中立性を侵されることなくって。ところが現実に総理は総裁の発言をされていたじゃないですか、何回もそうでしょう。
 そこで皆さんは、いまあなたがいみじくもおっしゃったように、森先生のお話しのような経過をたどって中断をいたしましたとお答えになったんでしょう。それならば、そういう問題はこれからどう対処されるんですか、放映中ぷつっと切りますか、一国の総理に対してそんな失敬なことはできないでしょう。なぜ前轍を踏むようなことをされるんですか、NHKともあろうものが。どういうことです、あの反省がありませんか。反省という洗礼の上に新しい「総理と語る」という構想を生み出したというならいざ知らず、さっきもいみじくも私が指摘いたしましたように、この委員会さえ終わってしまえばいいんだという、そういう考え方がまだ皆さんの胸の奥底にうずいているんじゃないですか、坂本さん。反省されましたか、当時。国民は手をたたいてあなた方の措置を――措置というのは「総理と語る」の番組を歓迎したでしょうか、そうじゃなかったですね。そのときにあなたは私の質問にどう答えられたか、議事録ここに持ってきておりますから、もう一度読み返してください。前轍を踏むなかれと古人はわれわれに教えてくれました。天下の人材を集められたNHKがなぜ先哲の教えに逆らおうとされるのですか、あなたのひとつお考えを聞かしていただきたい。
#83
○参考人(坂本朝一君) ただいまお答え申し上げましたように、一国の行政の最高責任者である総理大臣に御出演いただいて、その所見を聞くということは公共放送としての責務であろうという認識で実施いたしておりますので、そういう趣旨で三木総理にもお願いして御出演いただいている次第でございます。したがいまして、今後も、そういう趣旨での番組として取り扱いたいというふうに考えております。
#84
○森勝治君 それならば、坂本さん、この前の田中総理の放映をめぐる私の主張をあなたはうなずいておられた点がありますから、そうおっしゃるならば私はまた別の質問を用意してまいりましたから申し上げましょう。
 今日、御承知のように参議院は保革接近であります。五分と五分だと言われている。そういう重大なときに、仮に総理であっても国会の審議にゆだねられるべき重要法案について野党をやゆするがごときそういう言動をもって「総理を語る」の編成がなされるとするならば、NHKの中立性は全く侵されたものと私は指摘せざるを得ません。この表現を用いることは私は非常に残念だ。しかし、あなた方は反省してくださらない。
 そこで、私は別の角度から申し上げる。そのときに私は申し上げたはずです。ならば、今日のように保革接近をしているとき、総理の一方的な発言のみを国民に放送するのじゃなくして、反対党の野党の代表の発言も当然これは対照的に放映すべきだという主張をいたしました。あなた方は当時、そのときにお説ごもっともでございますので検討いたしますとお答えくださったはずにもかかわらず、そういうことはたなに上げておいて、一国の総理の発言ですから国民に知らせるのだと。なぜそういう白々しいことを言うのです。
 今日、NHKに対して国民の批判がどう集まっているか御承知でしょう。権力におもねるNHKなどと極論する人もいます。私はそう思っていません。しかし最近のNHKの動向について、特にNHKの首脳部の動向については、たとえばある権力の者がこうやるとなよなよとする、あわてて飛んでいって釈明し陳弁し、御無理ごもっともという説を唱えてくる。具体的な事例は場所柄を私は多少わきまえているつもりですから、この席上ではその点については申し上げません。幹部の皆さん、おのおのの胸に手を当ててくださればおわかりになるはずです。NHKの放送権、編集権というものは、皆さんがおつくりになったものは第三者がこれを侵すことはできないでしょう。できないけれど、皆さんはどうです、ときには放映の途中でやめたこともあったんではないでしょうか、放送しようというのをやみに流したこともあったんじゃないでしょうか。私はいま場所柄でございますから、疑問点を付して申し上げているんです、断定はいたしません。しかし、世間ではそういうふうにNHKに対する批判が非常に強いのです。田村町会館の売却のことだってごうごうたる批判がNHKに浴びせられたことは背さんはいまでも記憶新たなものでしょう。
 私は今日までNHKが果たした役割りを高く評価したい、胸を張って評価したい。しかしながら、その運営についてはややもすれば、私たちの眼から見れば、それはあなた方から見れば偏見だとおっしゃるかもしらぬ、しかし私どもから見ますると、やや中立性が侵されるやのごとき印象を国民に、視聴者に与えかねまじき数々の行状を指摘せざるを得ないような現状であるということを私はここで発言することを非常に残念に思うのです。
 したがって、あのときも、それならば野党の党首をもって、総理の向こうを張るわけではないが、党首の起用を考えるという私の提案について検討するとお答えになったのですから、当然、今度のあんな評判の悪いものをするならば、対照的に各野党の党首を起用すべきではないでしょうか。これを怠って総理だけ出すなんていうことになったら、これは承知しませんよ。国民は聴視料を払わなくなりますぞ。厳正に私はこの点指摘をいたしますよ。坂本さん、もっていかんとなしますか。
#85
○参考人(坂本朝一君) 私がただいま申し上げましたように、総理の場合は、行政の最高責任者として御出演いただくというたてまえでございますので、それと対応した形での野党党首の方の御出演ということは考えておりませんけれども、しかし野党党首に御出演いただいてないということではございませんで、新年であるとか、あるいは党大会の折であるとか、あるいは昨年の参議院選の直前におきましては連夜にわたって党首に御出泣いただいて、その御所見を伺っておりますし、今後といえども、そういう意味合いでの野党党首の御出演はぜひお願いしたいというふうに考えております。
#86
○森勝治君 会長、このことは会長からお答えあってしかるべきではないかと思います。前の委員会で総理の放映について私は厳しく批判をし、皆さん方の反省を強く促したことを私はいま覚えています。重ねてこの問題について発言することを私は非常に残念に思うのです。しかし現実だからやむを得ません。
 どうかひとつNHKの信頼回復のためにも、まだ私は失われたという失敬なことは申し上げませんが、このままでは失われてまいりますよと、こう指摘せざるを得ません。このことはNHKが公共性、中立性というものを今後とも末長く堅持できるかできないかという重要な要素を持つものでないかとこう私は考えつつ、みずからに問い、みずからの胸で答えつつ、私は重大ですから、この質問を始めておるわけですから、どうぞひとつ会長からもう一度、この前もお答えいただきましたけれども、今度の問題についてもお答えいただきたい。
#87
○参考人(小野吉郎君) NHKの中立性、番組の編成の自由、これはどこまでも堅持し守り抜くべきものと考えております。そのためにはやはり番組自体について万全を期して、どこからどう言われようと、あるいはけしからんと言われようとも、これによって引っ込むべきではないと思います。そのような態度で臨みたいと思います。
 ただいまの「総理と語る」の面につきましては、坂本専務からもお答え申し上げましたとおり、一国の行政の府の長として国民生活とのかかわり合いにおいて取り上げたものでございますので、将来といえどもこれは続けてまいりたいと思いますし、また野党の党首の方々あるいは総理でなく自民党総裁としての立場でのそれは、あるいはいろんな問題によりまして大いに御出演を願うような企画もすべきではないかと、かように考えております。
#88
○森勝治君 私がこの点について執拗に重ねて発言をすることは、ややもすれば「総理と語る」というものが総裁と語るというふうに置きかえられがちであるし、事実そういう言動をしばしばかつての総理はおやりになりましたから、私どもは強くNHKの反省を求めておるところですよ。この点は坂本さんも他の皆さんも御承知でしょうね。
 総理と語ると言いながら、野党の政策を批判したり、特に最も見逃すことのできないのは、国会に法案をゆだねておりながら、その正否の問題について是非論して野党攻撃を加える、総理が国民と語るならば、国会で可決されたもの、よしんばそれが野党の反対の法案であっても、可決されたものについて国民の理解と協力を求めるというそういう設定ならば、私のこのような厳しい発言は出てくるはずはないのです。ここを、NHKさんん、聞違えちゃ困りますよ、総理の話は何でもいいということでは困るんですよ。
 もう一つ、私は本件について指摘したいのは、評判が悪いといってNHKみずからが取りやめたこの「総理と語る」というものをなぜまた取り上げたかという背景についてであります。
 私は先ほど抽象的に二つ三つ指摘をいたしました。時間が長くなりますからこの点についてはこれ以上具体的に私は指摘いたしません。皆さんはよくおわかりのはずでありますから、私は思わせぶりで申し上げているのではないのです。御希望なら具体的な事例幾つも出しますよ。私はここでこういう厳しい表現をするんですから、絵そらごとで申し上げているわけじゃないんですから、どうぞひとつNHKさん、今後とも十分放送の中立性、公共性ということをゆめ忘れることなく事業に携わっていただきたい。
 そこで、私はもうちょっとこの点について申し上げてみたいのですが、放送法四十四条の三項、いわゆる放送番組の編集に当たって「政治的に公平であること。」「意見が対立している問題についは、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」、こう規定をされておることを皆さんはお忘れでないでしょう。坂本さん、担当局長としてお忘れではないですね、担当理事さんとして、そうですね。にもかかわらず、いま私が一、二指摘したような問題がすでにあるわけですから、私どもはこういうところをNHKに強く反省を求めているんですよ、おわかりになりますか、四十四条の三項ですよ。公平に扱えと書いてある、論点を明らかにと書いてあるのにそれをやってくれないじゃないですか。だから総理にああいうことをしゃべらせるならならば野党の党首を立てなさい、かわりにやりなさい、公平に扱いなさいという主張が出てくる論拠もまたここにあるんですよ。いいですね、会長、よく考えてください。したがって従来「総理と語る」というこの番組は、総理の一方的な宣伝の場になってきましたことはもう世間周知のとおりでありますから、こういうことについては直してくださいと私はNHKに御注意申し上げているんです。
 そこで、村上大臣、私はいまそういうふうに申し上げたのです。この点は非常に過去は遺憾でした。したがって、これはぜひ郵政大臣の立場でもそういうことのないように、放送法の四十四条の三項をぜひとも守らせるようにしなければならぬし、またそうでなければならぬわけですから、所管の長としての大臣の見解をこの点でひとつお聞かせいただきたい。
#89
○国務大臣(村上勇君) 放送法四十四条の三項は先生御指摘のとおりでありまして、協会はあくまでも政治的には中立であり、公平でなくてはならない、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにするということはただいま御指摘のとおりでありますが、そこでNHKがこの規定を守って番組編集に当たらなければならないことは申すまでもないところであります。
 しかしながら、具体的な番組編集に当たり、意見が対立している問題についてどのような角度から、またどのような方法でこれを取り上げるかは、番組編集自由の原則に基づきまして、NHKがみずからの責任と良識によって行うべきであると考えております。ここで私が意見を申し述べることは放送法の関係から差し控えたいと思っております。
#90
○森勝治君 せっかく大臣からそういうお答えをいただいたんでありますが、それでは全く不満足でございます。したがって、この点についてもう少し詰めさしていただきたいと考えておるのですが、時間がございません。したがって私はこの点については同僚に後日改めて詰めてもらうことにいたして、次の問題に移ります。
 先ほど小野会長は、その補足説明に当たりまして、職員の給与について適正な水準を維持することといたしておりますと、こう述べておりますが、そこで職員の給与水準は類似の産業と比べてどのように隔たりがあるか、また同じなのか、この点をお聞かせ願いたい。
#91
○参考人(中塚昌胤君) 給与水準の比較につきましては、学歴の構成の違いであるとか、あるいは年齢構成の違いであるとか、あるいは給与体系の違いもございますので、端的にどちらが高いとか低いとかいう比較は非常に困難でございますけれども、率直に申し上げまして、ここ両三年の大手の新聞あるいは民間放送、そういうところの賃上げの状況から見まして、現在の昭和四十九年度でございますが、現在の給与の水準はNHKに比べまして大手の民放あるいは新聞等が一万円ないし二万円高いというのが実情でございます。
#92
○森勝治君 それでは、今回、予算総則の変更がありまして、給与総額については、第四条二項ですか、あったと思いましたが、弾力条項を設けておりますが、この運用方法はどうされるおつもりか、これをお伺いしたい。
#93
○参考人(山本博君) この問題につきましては、前年度までの予算総則におきましては、給与につきましては彼此流用を禁止されておりましたが、明年度のいろいろな社会的諸情勢、こういうものが従来のNHKが給与を決めておりましたルールでは十分対応ができないという判断に基づきまして、新たに従来禁止されておりました彼此流用を給与についても広げたいということでございますので、その改定をいたしました趣旨、そういうものを十分生かしまして、本来的に国会の御審議の対象であったいわば彼此流用の禁止をNHK側にゆだねていただいたわけでございます。
 そういう点と、それから給与のこれからの社会的実情、こういうものに十分対応できるように運用していくのが当然でございます。しかし今後の交渉、再交渉の結果によりましては、この運用だけでいかない場合、これは補正予算でいくという二段構えで技術的な運営ということが図られるということになると思います。
#94
○森勝治君 弾力条項を設けました勇気を評価することはやぶさかでありませんが、この種のようなものはとっくに措置あってしかるべきだったと私は思います。当然もっと数年前にやるべきなんです。
 そこで、私どもはこの当委員会でいつもNHKの予算審議に当たりまして論議をするときに、当委員会の総意として職員の待遇の是正の問題に必ず言及をし、附帯条件を付しております。今日的段階におけるNHKの職員のこの給与等については、かつては恵まれたNHKと言われた皆さんの職場でありますが、今日では恵まれたとは恐らくほど遠い給与の職場ではなかろうかと私は思うのであります。これでは職員が世界に冠たるNHKを運営し、りっぱな放送をし、その目的を完遂するには若干職員に対する配慮が経済的な面でも少し不足をしているような気がしてなりません。もちろん赤字を出しておる今日でありますから、職員の皆さんに十分とまではいかぬにしても、この点はかねてからNHKの首脳部が当委員会の公式の場でしばしば言明をし、私どもにお約束をしてくださっておるわけですから、どうぞひとつそういう点についても今後ともできるだけ配慮をしていただいて、職員の諸君が先ほども指摘いたしましたように勇躍生産の第一線に立つことができるように御配慮をお願いしたい。
 そこで、最後の問題に移りますが、これは非常に簡単な問題で、ありふれた問題でありますが、一つ会長に申し上げたいのは、NHK職員の時間外における他局出演であります。他局とはすなわち民放出演であります、あるいは人によっては作品の提供と申しましょうか。
 なかなかNHKはこの問題については、NHKの名門のゆえをもって誇りとしているから、従来は、なかなか他局出演等は原則として許さない模様でありましたが、今日的な社会情勢の中では、そう余り四角四面にものを考えてはならぬような時代が来たような気がします。したがって、そういう職員がもしあったとしたならば、NHKの職員として勤務が怠惰に流れることは許すことはできませんが、職員として差し支えない、仕事を遂行しつつあるならば、時間外にそういうことをおやりになることは余り厳しくこだわらぬ方がよろしかろう、これがやっぱり時代に適応する、変化性に富むNHKの今後のあり方ではないかと思いますので、この点について会長の所見をお伺いしたい。
#95
○参考人(小野吉郎君) NHKに勤めます限りはNHKに最大の誇りを持ってやはり働いてもらわなければならないと思います。そういう意味から申しますれば、あるいは私どもがどうこう統制をとるわけではございませんけれども、いまのNHKの業務を完全に果たした上で、NHKの勤務時間に支障のない限度において他に出演されることは、これは私はとやくは申しません、本人の自由でございましょう。
 ただ、職員のあり方としては、やはり同業のそれにやはりそういう暇があるからというので出るのも、これはあるいは職場における考え方もいろいろあろうかと思いますけれども、そういった点については、やはり職員に対してはNHKに勤める誇り、あるいはその矜持を持っていただきたい、かようには考えます。決してそれは先生の申されましたようなNHKの業務を完遂した上で、それに支障のない限りにおいて他局に出ることを私が悪いとかどうとかいうことを申しておるわけではございません。
#96
○委員長(竹田現照君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十二分開会
#97
○委員長(竹田現照君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#98
○新谷寅三郎君 NHKの予算や事業計画につきましては毎年質疑が行われておりまして、大体、要点が明らかにされておるわけでありますから繰り返すことはいたしませんが、今度のNHKの予算を通読いたしますと、NHKの収支状況が非常に悪くなってきておるようであります。こういうときにこそ思い切って改善すべきものは改善するという態度で考え直さなければならぬ問題が相当あるだろうと思うのであります。そういう点から言いまして二、三の点について、ごく短時間ですが、時間をいただいて質問をしたいと思います。
 一番初めにお尋ねしたいことは、これはNHK、郵政省両方に対してでありますが、先ほど森委員からも質疑がありました受信の障害対策についてであります。
 NHKが特に都市のビル陰問題とか基地、民間の空港、新幹線等々について技術指導をしたり若干の助成を行ったりして難視聴の解決に努力していただいていることは、これは非常に結構なことであります。また郵政省の方でも先年CATVに関する法制を整備されまして、都市の難視問題の解決に考慮を払っておられることは、この努力は私も認めるにやぶさかでないのでありますけれども、結果的に言いますと、どれもその対象ごとにいわばばらばらの措置でありまして、一貫した方針が見受けられないことはまことに残念に思う次第であります。
 郵政省はいま調査会に諮問をして、その答申待ちという態度であるようでありますが、ラジオ、テレビが、申すまでもありませんが、今日国民生活の中でもう欠くことのできないような重要な役割りを果たしておる現状から言いますと、これはもう一日も早くきょうのような混乱の状態を改善しなければならないことは申すまでもありません。NHKの当面しておる受信料の不払い問題も、こういうところにも相当原因があると考えざるを得ないのであります。
 これに対して政府はどんな方針で臨むのか。これは他の公害関係では大気とか水とか騒音等につきまして公害対策基本法が制定せられ、これに各種の公害防除の法制が今日実施せられております。紛争の処理とか被害の救済については公害紛争処理法とか、費用の負担、国の助成についてはそれぞれの特別立法がありまして、また一面、公害防止事業団法というようなものが出ておりまして、国の全額出資によってこの団体ができてその事業を行っておるという状況は御存じのとおりであります。でありますから、この電波の公害というようなものに対しましても、政府としては、この公害対策基本法のような基本方針で対処せられるのが当然であろうと思います。この点については、政府の基本方針としてやはり原因者負担というような原則、それからある程度の国の助成というようなものをあわせて考えていく必要があると思いますが、これについては政府はどういうふうに考えておられるか、その御見解を伺っておきた
 いと思います。
 また、これに関連して、どうも私はこれは腑に落ちないことなんですが、最近、郵政省あるいはNHKの一部かもしれませんが、放送法の第七条と三十二条とに関連する部分について、いかにもNHKがある程度の電界強度を持っておる電波さえ出しておればそれで義務を果たしているのだ、音や絵が聴視者に届かなくってもそれでもいいんだというような安易な解釈をする向きがあるように聞いておるのでありまして、もしそうだとすれば、これは大変なことだと思うのです。私は昭和二十五年にこの現行法の放送法の立案に参画したわけですが、その当時から今日に至るまでそういうような解釈が公にせられたことは一遍もありません。むしろ逆に、政府当局もそれからNHKの経営委員長その他関係者は、いずれも電波は必ずこれは聴視者に届けるんだ、で今日のように障害が起こってくると、その間障害になる原因をつくっているものがあるわけですから、それはNHKあるいは政府が協力をしてその障害を防除していくという立場をとらなければならないというような意味に解釈できる答弁を再三しておられるのであります。この点御承知のとおりであります。
 そんなことはめったにあり得ないと思いますけれども、私は、やはりこの際、NHKの義務が、高層ビルができたから放送法七条の規定の精神が変わってきたんだというような安易な解釈をされることは、これは立法精神から見てとんでもないことだという感じがしますので、これもつけ加えてお尋ねをする次第であります。
 以上の二点について政府及びNHKからお考えを伺っておきたいと思います。
#99
○国務大臣(村上勇君) お答えいたします。
 都市における高層建築物等によるテレビジョン放送の受信障害の解消につきましては、原因者責一任のたてまえで措置されるべきものと考え、従来から建築主等に対しまして指導してまいりましたが、最近では高層建築物の増加に伴いまして受信障害の様態も複雑になってまいりました。原因となっている建築物を特定することが非常に困難な受信障害が増大するとともに、その被害も広範囲に及ぶようになってまいりました。このような複雑多様な受信障害の解消に要する経費の負担につきましていろいろ問題が生じておりますことは御指摘のとおりであります。
 郵政省といたしましては、このような情勢に対応して、四十八年六月設置のテレビジョン放送難視聴対策調査会におきまして、受信障害解消のために必要な立法措置につきましても検討を行うとともに、大気汚染、水質汚濁等の公害による被害防除のための各種立法、すなわち公害対策基本法、公害防止事業費事業者負担法等における措置を参考にしながら受信障害関係者の費用負担のあり方、解消方策について結論を得るよう努力しているところであります。調査会の検討結果等に基づきまして、必要な立法上、行政上の措置を講じてまいりたいと思っております。
#100
○参考人(小野吉郎君) 放送法第七条には「あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」とございます。当然のことでございまして、今日の放送の発展段階から言えばおおよそこれは一〇〇%満たされておると思います。
 ただ立法当時には予想できなかったような、またしなかったような現象が起きつつあります。その端的な例は都市における高層ビルによる難視の状況でございます。しかし、それは七条の関係で一〇〇%放送の面では完備しておるということをもってこれはNHKの責任ではないと、こういうようには言い切れないと思います、言うべきではないと思います。もちろん法律が制定せられました後、社会事象は日進月歩非常に変化を来しますので、法律の文言にないことはいたし方ございませんけれども、どこかにやはり解釈によって補うべき道があれば、それを解釈によって補っていくのがやっぱり妥当ではないかと思います。
 そうなってみますと第九条の第四項に、協会は全国においてあまねく受信できるように措置をしなければならない、こう規定されております。この関係で私はそういった面についての、法律上の解釈の面でいろいろな論議がこの委員会でもございましたけれども、NHKにも法律上の責任があるんだと、このようにお答え申し上げましたのは、まさにこの九条第四項を解釈しての問題でございまして、「受信できるように措置をしなければならない。」これは何を意味するかと申しますと、法律上においてはNHKは全然無責任だと、こうは言い切れない、責任はある、このようにお答えを申したわけでございますけれども、ただ、その法律上の義務の内容が、辺地等におきます置局あるいは共聴等もやっておりますけれども、この辺の義務の内容と都市におけるそれは異なっておると思います。
 その辺の答弁が従来では十分でなかったと思うのでございますけれども、この「措置をしなければならない。」このNHKの法律第九条第四項による責任によりまして、原因者がどこかにあるわけでございますので、原因者を探して、そこの原因者に適当な措置をしてもらうような最大の努力を払わなければならない、こういう法律上の責任があろうかと思います。
 その意味における責任でございまして、NHKが都市における難視を、NHKが自分の経費を出してこれを完全に見えるようにするまでの措置をしなければならないという義務だとしますと、これは大変なことでございます。そのようなことは九条四項は予想しておらないと思いますし、また事実そのようなことを要請されてもNHKの財政の力ではいかんともしがたいような現象にまでなりつつありますので、この関係はいわば今日の事象から見れば現行法は十分でないと、こういうことも考えられますので、立法上新たな配意を下していただかなければならないと思いますけれども、少なくとも現行法で解釈いたします限りにおきましては、都市の難視の問題につきましても、七条の放送を完全に出しておるのだから責任がないとは言い切れないと思いますので、九条四項の関係で最大の努力を払って原因者を見つけて、その原因者に適当な措置をしてもらって、全国あまねく放送が受信できるような具体的措置をとらなければならない。これはNHKがまる抱えで経費を出すということではございませんけれども、そういう努力を最大限にいたさなければならない、こういう責務があろうかと思います。
#101
○新谷寅三郎君 大体、基本精神については、郵政大臣も小野会長も私の言ったことが理解されて、そのとおりの解釈をしておるということだと思います。
 それから、小野君の言われたのは、これは立法当時にはもちろんこういう都市の高層ビルなんというのは予想しなかったですから、それについては解釈は、つまりNHKの義務としては、あるいは責任としてはあまねく全国の聴視者が受信できるように措置をすることはNHKの義務である。しかし、その間、あなたは言われなかったけれども、同じ電波障害でありましても、何のための電波障害か、大部市になってくると必ずしもそれが具体的な問題として明らかでない。また電波の反射というようなこともありまして、非常にこれは技術的にも困難な問題が出てきておるということのために、原因者に負担させようと思ってもなかなか実際上そういかぬ場合がある。
 したがって、そういう問題については、他の水質の汚濁とか大気の汚染とかという問題にもあるように、原因者がやはり原則として負担をするのが当然であるけれども、そういう不明な問題についてだれかに押しつけるということもできないだろうから、そういう場合は国または地方公共団体が公費を支出して、とにかくそういう公害を防除しようという制度をとっておりますね。それと同じように、この問題についても、できるだけNHKが原因を調べると同時に、どうしてもNHKの手に負えない部分は国または公共団体がそれにかわってと言いますか、ある程度の助成をする、あるいは補助をするという形で、やはり国民から言いますと、見えなくなるのはこれは自分のせいじゃないんですね、どこかに原因があるんでしょうが、それを防除する第一義的な責任を負っているのはNHKである。これはもう七条と三十二条を見れば、受信機を持っておれば契約をしなければならぬことになっているわけです。それの裏表です、これはね。その点はもう法律の解釈としてはきわめて明瞭なんです。
 その点を忘れないように、NHKが最大限の努力をされ、これでは足りない、解釈上も解釈はできない、小野君の言われるように解釈を曲げようたってそれはできませんよ。だから、それにかわるべき具体的な電波公害を防止するための特別立法が必要であるというので郵政省を努力をしているのですから、早く特別立法を出して、そうしてそういう電波の公害を早く防いでいくという措置をおやりなさい、こういうことを言いたいのでお尋ねしたわけです。あと結構です。
 それからもう一つの問題は、NHKの財政状況、これは人件費とか物件費が高くなって、これはNHKも当然影響を受けていると思うんですね。それで今日非常に財政的には困難な局面にあるということもよく理解ができる。場合によりましては近い将来に、これはいやな話ですけれども受信料の値上げというようなことも考えなければならぬかというような状態に至っておるんじゃないかと思いますけれども、しかしこれはそう安易な問題じゃない。やはりその前提としてNHKが最大限努力をされて収入の増加を図ると同時に、支出の節約を図るあらゆる手段を講じてもらわなきゃならぬことは言うまでもない。これには言いだすと限りなくいろいろ問題がありまして、NHKも御研究になっておるし、郵政省もそういう指導をしておられると思いますから申しませんが、
 一、二具体的な例を挙げますと、たとえば収入方面で、これは郵政大臣に関係するんですが、国際放送です。
 放送法の規定を見ますと、これは郵政大臣の命令によって国際放送をやるわけです。それに見合う費用というものは交付金として出す義務があるわけです。それがいつの間にかだんだんだんだん、命令は非常に幅広くお出しになるけれども、交付金の方はそれに伴わない。NHKの財源というのは受信料以外にないんですから、一般のテレビの受信料を払っている聴視者が国際放送、つまり国の命令によってやっている国際放送の一部分を負担をしなきゃならぬというようなこういう結果になっているわけですね。これは法律の精神から言うと非常に私はこれは考えなきゃならぬ問題だと思うんです。
 だから、予算で出せる範囲の命令をお出しになっていればいいんですよ、そうじゃないんです。これは大蔵省が出さぬと言っても、当然、国が命令を出す以上は、それに見合う交付金を出してやるのが至当である、当然のことであると私は思います。このごろ福祉予算なり超過負担と言っていますが、これは超過負担の著しいものです。
 それから、こういうことはお考えにならないでしょうか。かつて数年前にある大臣がNHKと相談されて、カラーテレビなんかの受信料を上げます、そのかわりにラジオの受信料は無料にしますという決定をされた。委員会でも、NHKもそういうので同意しているのだからというので、比較的審議が十分でなく、その案に賛成をしたことがあるんですが、今日、こういうようになって非常にNHKの財源が窮迫してまいりますと、ラジオの受信料も――これは受信料というのはおそらく原価主義だと思いますね、やはり原価があるからそういう手数料を払うのでしょう。ラジオはいまやっぱりどんなに安く見積もっても数億の経費を使っておられる、あるいは十数億使っておるわけです。それを全部テレビの聴視料にみんなかけているわけです。テレビの聴視者がラジオの受信料まで払っているわけですよ。このごろは両方ともとっているという例が多いですけれども、しかしまだラジオはラジオだけで、テレビは見ないんだという人も相当あるわけです。
 そういう点から見ると、これは経営的に見ても非常に権道であるし、理論からいっても実におかしな理論で、やっぱり原価があるんですから、安い原価でもいいからこれは取るのが当然であろうと思います。だから今度の受信料を見直される場合には、そういうことも思い切っておやりにならないと、これは受信料政策というのは混乱するだろうと私は思います。この点はぜひ考えられる必要がある。
 それから、これはついでですから、もう少し並べてお尋ねしてみましょう。この支出方面をごらんになりましても、今日までNHKのテレビの普及が非常に急速に高まったものですから、NHKが予算以上の収入と得ていわば安易な考え方で経営しておられたのじゃないかと思いますが、そのあらわれでNHKの本来の放送という仕事、国内の受信者になるべくいい番組の放送を提供しよう、それが第一義的なものですね。さっき言った七条の全国に普及する、これも第一義です。そういった第一義的な目的から少し外れまして、二義的な仕事にどうも力が入り過ぎている傾向がある。
 いやな話ですが、たとえて申しましょう。私がいつも指摘しているような学園の問題、これは普通の高等学校でしょう、ただ放送という手段を使っているだけ。普通の高等学校をNHKが経営しなきゃならぬという理由は私は発見できない。今日でもそうです。こういったことを平気でやっていらっしゃる。
 それから、これも何かの考えがあったのでしょうか、世界じゅうの放送機関を集めまして、日本が相当の経費を出して「日本賞」とかいうようなものを出して、それはいい番組に対して推奨せられるのは結構ですよ。しかし日本の聴視者の負担において、国内放送がどうかという際に、そこまでおやりになるのは私はこれは考えものだと思う。
 と言って、私は建設的に言いますと、国際的な文化交流というのは必要でしょう、いい番組はお互いに交換しようとか、これは放送機関相互間でお話し合いになればできること。また私はもっと進みまして、将来に対しては、やっぱりラジオでもテレビでもよほどいい番組というものは後々まで伝えたい。そういう意味では、国際機関を何かおこさえになって、番組のライブラリーでも設けて、そこに永久に、これは民族の文化的な歴史を保存する意味でもそういったことをお考えになる、その一株をお持ちになるということは非常に結構だと思うんですけれども、日本がいかにも世界の放送機関のリーダーだというようなかっこうで、世界の放送機関を集めてNHKの経費で奨励をしたり賞金を出したりというようなかっこうのことは、これは第二義的にお考えになった方がいいだろう、こういうふうに私は考えているんです。
 それからもう一つ、これは郵政省にも関係がある例ですけれども、UHFの放送をいままで普及されておる。だんだんこれも大きな電力で広域放送にしようという努力をしておられることは結構だと思いますけれども、その反面、これは選挙なんかの関係があるということが一つの理由になっているようですけれども、UHFで県域放送をやっておられますね、NHKが。実際にそれを見てみますと、並べて見てみると、広域放送の局の番組と県域放送の番組と比べてみますと、県域放送でやるローカル番組というのは毎日何時間あるかと聞いてみますと、二時間ぐらいですね、せいぜい。あとは親局といいますか、中央になっている局の番組をそのまま受け入れまして再放送している例が多いのです。ラジオもそうです。
 このために、私は局をやめてしまうとスタジオがなくなったり、いまの何といいますか、公共的に必要な選挙放送がおろそかになるという点もありましょうから、全部これを廃止しろとは言いませんけれども、各県別に相当の人件費を使い物件費を使い施設を維持し電力を使って同じ放送を繰り返している、二重に放送しているというような姿は感心できない、これは改める必要があるんじゃないかと思うんです。これはもう何遍も私は言ったけれども、NHKはどうしても承知しない。ですから受信料の問題でも考えようというときになりますと、私から言うと、こういう二義的な仕事、あるいはいままで豊かなときにはまあまあで済んでおったような仕事でも最大限これを切り詰める手段をお講じにならないと、国民は納得しないだろうと私は思うんです。この問題についてごく簡単で結構です、時間がないですから簡単で結構ですが、郵政省とNHKからそれぞれ御担当の部分についてお答えをいただきたい。
#102
○国務大臣(村上勇君) 非常に結構な御質問でかえって喜んでおりますが、非常に質問が多岐にわたっておりますので、私よりもむしろ専門家の事務当局の方からお答えいたします。
#103
○政府委員(石川晃夫君) 郵政省の関係の分についてお答え申し上げたいと思います。
 まず国際放送関係でございますが、これにつきましては、先ほど先生御指摘のように、非常に最近のわが国の立場からいたしましてもこの国際放送が重要だということは重々承知しているわけでございます。で私たちも国際放送に必要な交付金につきましては大蔵省といろいろ折衝しておりますが、やはり諸般の財政事情等によりましてなかなか十分な経費がつくということはむずかしいわけでございます。しかし昭和五十年度におきましては、四十九年度の二億四千五百万円から三億四千二百万円という額にふえまして、額にいたしまして九千七百万ほどふえたわけでございますが、このようにしてわれわれも今後とも十分努力をしてますます国際放送を充実させる方向へ進めていきたいというふうに考えております。
 それから次に付帯業務の問題でございます。NHKの本来業務は九条にございますが、それに付帯業務として力を入れ過ぎているのではないかというような御質問でございましたが、われわれといたしましては、NHKはもともとりっぱな放送をするというたてまえでございますので、そのりっぱな放送をするための付帯的な業務というふうにわれわれ考えておりますので、それが付帯的な方に力が入り過ぎるということはやはり好ましいことではございませんので、その点NHKの方でも番組編成のときに十分御考慮いただけたら結構だというふうに考えております。
 それから広域圏と県域放送の問題でございますが、これにつきましては従来から郵政省といたしましては広域圏内におきましても県域放送を行うということで周波数の割り当てを行っているわけでございます。確かに先生御指摘のような非常にローカル番組が少なくて、あるいは親局からの放送が多いという点もあるかとも存じますが、やはり国民の非常に重大な問題でございます選挙放送などを実施するに当たりましては、やはりこのような県域放送というものも必要であるという判断でわれわれもそのように進めておりますが、これができておりますのが現在近畿圏とそれから中京圏、関東の県域がやや立ちおくれているという状況でございます。しかし、これもやはりそのような趣旨におきまして計画を立てておりますので、ただいま御指摘の点については十分検討を進めていきたいというふうに考えております。
#104
○参考人(小野吉郎君) いろいろ関係の部面につきまして郵政省御当局からも御答弁がありましたが、国際放送の関係につきましては、できるだけ命令を全部カバーできるような経費をいただくことが私どもの念願でございます。
 また料金関係の問題でラジオ料金の問題も出ましたですけれども、これは本質的に言えばラジオ放送をやっております限りラジオの経費はラジオ受信者に持っていただく、テレビの経費はテレビの受信者に持っていただく、これがありのままの筋だと思います。
 前回昭和四十三年度にカラー料金を設定いたしましたときに、ラジオだけの単設の料金はこれを撤廃いたしました。その当時のラジオ受信者の数は、自動車、移動体は別にいたしまして、世帯の関係で申しますと、おおよそ三百万を切れるぐらいのところになっておりました。筋は本質的にはそうでございますけれども、今日の状況ではもうすでに二千五百二十二万の世帯が契約をいたしておりますので、このほかにラジオだけをというのは自動車関係を除きましては余りないと思います。
 そうなりますと、ラジオの料金、テレビの料金を分けまして徴収いたしますことは、昭和三十七年度に、この料金を一本化いたします前に、非常な苦い経験を得ておりまして、これが二本立てになっておりますために内部事務的には非常に事務処理が複雑になっておりますし、お支払いをいただきます側から申しますと、ラジオ料金を取り別にテレビ料金を取る、一本でいいじゃないかということでテレビ料金三百円を払うからラジオ料金の八十五円を払わぬでもいいだろう、こういうことでこの支払いが円滑にいきませんで、非常にやはり困難を感じたような状況もございます。
 そういった面を勘案いたしますと、将来いろいろ検討いたしますけれども、まあ料金は一本化した方が受信者側にも受け入れやすいし、内部処理も非常に複雑な、そのための人手、経費を要せずにいいんじゃないか、かように考えております。
 また付帯事業関係につきましては、いろいろな見方があろうかと考えますけれども、学園が一番に取り上げられる問題でございます。この学園も過去かなりの成果を上げてまいりまして、もう今日では恐らく一万名を超える卒業生を出しておりまして、これがすべてやはり正規の高等学校へ行けない方方が労働のかたわら放送を利用して高等学校卒業の免状をりっぱに持たれたような状況でございます。しかし、その後、高等学校への進学率は非常にふえております。今日では九五%ぐらいはもう進学されるというようなことになってまいりますと、いずれはやはりああいった学園を設けましても新規入学者自体が十分に募集人員に満たない、こういうようになる趨勢も見えておりますので、これは、将来、一たん開設いたしましたものをここでぱっと打ち切るわけにはまいりませんけれども、そういったような状況で検討いたしてまいる一つの課題であろうと思います。
 県域放送等の関係につきましては、現在、関東圏がまだ残っておりますけれども、これは各県ごとに置くつもりはございません。また、いろいろ既存のそれの関係にいたしましても、恐らくローカル番組を出しておる時間はそう多くはございません。そのために人その他をむだに使わないようにこれを十分に活用してまいることによりまして、十分にむだなく全中もローカルも受信者の方々には満足していただけるような道もあろうかと思いますので、むしろそういう面に重点を置いて検討を加えてまいりたいと思います。
 また「日本賞」等の関係も出ましたですけれども、この関係は経費といたしましては約三千万円かけておりますけれども、これでいろいろ教育番組等における非常な世界的レベルの向上に役立つ面もございますし、NHKが必ずしも胸を張って指導的な立場をとるような意図は毛頭ございませんので、こういった関係につきましても御了承を得たいと思いますし、かたがたいまの財政窮迫化の関係において私どもがまず考えなければなりませんことは、何よりも契約、収納の成績を維持向上さして、これによって少しでも収入の増を図ると同時に、経費の中にむだ等があればこれを排除し、作業方式等の関係において改編の余地があれば改善をしていく、こういうような面に心がけてまいりたいと思います。
#105
○新谷寅三郎君 いまおっしゃったことは、そのまま伺っておきます。いずれも私からはいろいろ申し上げましたが、そういった非常に強いNHKの収支問題についての意見が国民の間にあるということだけ、これは銘記していただきたい。
 それでもう最後に、時間がもうなくなってしまって――これは小野さんの答弁が長過ぎるんだな。少し時間をいただきましたから、もう一つだけ簡単に申し上げますから簡単にお答えください。
 これは郵政大臣の方でしょうね。いま政府で考えておられる、またNHKもこの宇宙開発に関してはいままで研究も進められておられたんですが、放送衛星と通信衛星の問題ですね。これはいろいろ問題がありますけれども、いまの宇宙開発事業団では衛星の管理運営が十分でない。そういうことができない。五十二年に宇宙衛星を打ち上げようとすると、ことしの暮れの国会には衛星の管理運用についての何か立法措置を講じないと、だれが責任を持っているのか、関係者の間の権利義務の関係というのが全然わからない。これじゃ非常に混乱すると思うんです。だから何かこれは考えなきゃならぬということを思っておりますのと、もう一つは、一体、実験衛星が予定どおりに五十二年に打ち上がった場合に、通信は大体わかる気がするんですが、放送衛星につきましては、何を実験するんだと、どんなことを実験するんだということについて、だれも今日までそういう見解を述べておられない。非常に不安ですから、もしお答えができれば、この二つの問題について、もう本当に結論だけで結構ですからお答えください。
#106
○政府委員(石川晃夫君) 御指摘の人工衛星の管理でございますが、これにつきましては、宇宙開発事業団法の二十二条によりますと、打ち上げまでは宇宙開発事業団がこれを行うということになっておるわけでございます。しかしながら宇宙開発事業団が宇宙開発事業団法上、利用に関する権限は必ずしも明確になっていないというのが実態でございますので、打ち上げ後の運用管理につきましては、衛星のいわゆるユーザーがこれを行うことになるのではないかというふうに考えております。
 五十二年度に打ち上げ予定の実験用の通信衛星それから放送衛星について具体的に申し上げますと、打ち上げた後、衛星が静止するまでの間の管理は宇宙開発事業団が行いまして、静止後における衛星の運用管理は郵政省が行うことになるものというふうに考えております。このように、郵政省といたしましては、ただいまのところは実験用の衛星でございますが、この実験用の衛星につきましては、現行法において必要な責任体制がとれるものというふうに考えておりますが、衛星の管理運用につきましては、ほかの通信衛星、放送衛星以外の衛星との関係もございますので、この点は関係の機関が十分検討してまいりたいというふうに考えております。
 なお、実用の段階になりますと、実用の通信衛星あるいは放送衛星につきましては、衛星通信あるいは衛星放送というシステムのあり方いかんにつきましては、諸外国の例なども参考にしながら今後十分に検討してまいりたい、かように考えております。
 それから五十二年度に打ち上げます実験用の放送衛星、通信衛星についてどのような実験をするのかということでございますが、ただいま御指摘のは放送衛星についてどのような実験項目かわからないということでございましたが、この二つの衛星は、将来の大型衛星の開発それから衛星の実用計画の策定、技術基準の設定、そういうようなことに必要なデータをこの実験によって取得したいということを目的としているわけでございます。で主なるものとしましては、両方の衛星に共通する問題でございますが、衛星の位置とか、あるいは姿勢の検出の実験それから制御、そういうようないわゆる衛星の管理技術を確立したいということでこの、実験を行うわけでございます。
 具体的に申しますと、放送衛星に関しましては、どの程度小さなアンテナで直接受信が可能であるかというような見通しを得たいというふうにも考えております、まあそのような実験も行いたい。それから小型の可搬型の地球局からテレビジョン信号を衛星に送りまして、送信いたしまして、そして衛星を介してこれを地上に伝送するための実験、これも行いたいというふうに考えております。
 なお通信衛星につきましては、一つの衛星を用いまして多数の地球局との間の相互通信、いわゆる多元接続の通信ということでございますが、このような通信実験、それから放送衛星と同じように小型の可搬型の地球局を使いましていろんな各種の臨時回線を設定する技術を実験する、こういうようなことを私たちのねらいといたしております。
 以上でございます。
#107
○亀井久興君 私は、NHKの予算に関連しまして、他の委員の質問と若干重複をするかもしれませんけれども、郵政当局並びにNHKに対しまして質問をいたします。
 御承知のように、ことしは放送開始五十周年、NHKが国民の放送局として新しく開局いたしましてから二十五年目ということで、まことに意義深い年になっておるわけです。先日、記念式典も行われたようでございますけれども、放送界の今日の隆盛をもたらされたNHK当局の長年の御努力に対しまして改めて敬意を表したいと思います。
 しかし、今度のこの予算案などを見てみますると、約二百十六億円の赤字予算ということで、しかも収入財源の中心になっておりますカラー契約がこれ以上伸びるということはなかなかむずかしいということ、そういう状況で、まさに経営の曲がり角に来ているということだと思います。
 小野会長は先ほどの補足説明の中で、かつてないこうした財政難に当面しているけれども、受信料は当年度も据え置くことにした。そして事業経営に当たって極力業務の合理化、効率化を推進し、しかも難視の解消、番組内容の刷新に努めて公共放送機関としての責務を果たしてまいりたいと、こういうふうに述べられておられるわけですが、こういう厳しい経営環境のもとで公共放送としての使命を達成するということは、口で言うのは簡単なんですけれども、まことに容易ならぬことではないかと思います。まず、この点につきまして、会長の経営に対する基本姿勢と申しますか、そういうことでひとつその具体的な御説明をいただきたいと思います。
#108
○参考人(小野吉郎君) 今日、大きな曲がり角に参っておりますことはお説のとおりでございます。それゆえに私どもといたしましては非常に考えなければならぬことが多々あろうかと思います。
 今後の経営に当たります基本的な考え方といたしましては、まず放送の今日持ちます意義、こういったものを十分に考えなければならないと思いますので、これは財政事情のいかんにかかわらず、放送として果たすべき役割りをおろそかにするわけにはまいりません。報道につきましては、本当に真実を曲げない、厳正、公正な事実を客観的にお伝えをする。芸能関係につきましては、むだのない、しかも豊かで明るい、心の潤いになるようないい番組をふやしてまいりたい。教育番組につきましては、今日生涯教育が非常に叫ばれております現状にかんがみまして、本当に役に立ち、あるいは学校で最高の教養、教育を得られた方にも、日進月歩の今日、古い知識はそれぞれ技術革新の関係でだんだん役に立たなくなるのでございますから、そういう面について十分お役に立つような番組をつくらなきゃならない。これは財政事情のいかんにかかわらず、本質的にNHKが今後経営の根幹として考えなければならない問題ではないかと思います。
 事、経営の問題につきましては、コンパクトな、むだのない、先ほどいろいろ二義的業務についても切り捨てるべきではないかという御意見もございましたけれども、基本的には私もそのように考えます。そういうような状況でやらずもがなのそれはあるとすれば、これを切り捨てなきゃなりませんし、またやらなきやならぬそれもいろんな方式の変更その他によってより合理的に、より経済的に運用し得る問題についてはここで抜本的な検討をいたしまして、本当にむだのない、効率の高い能率的な経営を目指してまいらなければならないのではないのかと思います。
 具体的にという御質問の御趣旨でございますけれども、これは今後いろいろ検討をいたしまして、いずれ後日そういった面につきましては、次の予算の編成と同時に明らかにしてまいりたいと思います。
#109
○亀井久興君 いまの御答弁なかなかむずかしいことだと思いますけれども、四十三年以来受信料額をずっと据え置いているということで、しかもこうした中で御努力続けられるということ、私は私なりに率直に評価したいと思いますけれども、それにもかかわらずNHKの経営姿勢についてのさまざまな批判が現在あるわけです。
 実は、ここに最近のNHKの予算に関連した新聞や週刊誌等の記事の写しを持ってきておりますけれども、こうしたものを読んでみましてもNHKの今日の財政危機というのが過去における巨大な放送センターとか、あるいは地方の放送会館の建設、それからコンピューターの導入とか、こういう膨張政策と申しますか、過大な投資の圧迫によってこういう事態になっているんだという、そういう意見が多いわけでございます。私必ずしもこれがこのとおりだとは思いませんけれども、NHKの基本姿勢にあわせまして、こうしてこれまでのNHKの、いわゆるほかから言えば膨張政策と言われているような政策の功罪と申しますか、その点について伺いたいと思います。
#110
○参考人(小野吉郎君) いろいろ世間には見方もあろうかと思います。なるほど中央を初め地方各局におきましても整備をいたしてまいりました。これは放送の発展なり、いわゆる放送手段のいろんな革新の関係に随伴して行ったものでございます。
 たとえば地方の会館等もほとんど在来の古いものはございません、新しくなっております。これがむだだったと、そういうようなことが非常に赤字の原因になっておるんではないかと、こう申されますけれども、確かに経費膨大の原因にはなっておると思います。在来のそれは大正十四年以後各局に配置いたしましたラジオ局の施設でございます。ラジオ局のそれをもって今日のテレビ時代のこれに対応し得るものではございません。それにたえるような整備をいたさなきゃならぬことは当然だと思います。あるいはカラー化の問題にいたしましても、カラー化についてずいぶんいろんな経費も食うわけでございますけれども、世界各国では、イタリアではまだカラー放送をやっておりません、オーストラリアもほんのことしの最近カラーを始めたばかりであります。NHKはすでに全カラー時代へ入りまして、中央、地方を初めすべてカラー放送が完全にできるようになっております。これが早過ぎたんでないかと言われれば何をか言わんやでございます。果たしてそのようなことが必要であるとすれば地方の会館、中央の会館の整備がこれにたえ得るようにいたさなきゃならぬことは当然でございまして、それが必要以上にぜいたくをしておればこれは指弾さるべきものであろうと思いますけれども、そのような状況には私はないと考えております。
 また、よく東京の放送会館が、非常にああいう膨大なものをつくったと、経費総額で三百十七億を要しております。これがなければ今日の赤字もなくて済んだのではないか、こうよく取り上げられるのでございますけれども、それではあれがなかったら一体どうなるかと申しますと、田村町の会館でございます。この会館はやはりラジオ時代にできたものでございまして、その後テレビ時代にたえ得るように増築をいたしました。土地には限りがありますので増築には限界がございます。したがって七カ所ばかり他のスタジオを、よそのそれを借用いたしておりました。この借用も当時五億円ばかりの金をかけておりました。今日のいろんな試算によりますと物価上昇等によりまして三倍ぐらいの借料を出さないとあの七カ所だけでも借りられないだろうと言われております。そうすると毎年十五億ぐらいの借料を払わなきゃなりません。しかも作業場の分散によって金銭に見積もり得ない不経済はどれだけかわかりません、非常に非能率な運営になろうかと思います。人手もやはりそれだけに妙な人を抱えなきゃならぬことになろうかと思います。
 しかも、その七カ所にとどまりませんで、全カラーを迎えました今日の段階でいけば、いまの渋谷のセンターがなければ七カ所の借り上げはもっとふやさなければならないような実情でございます。センターを三百十七億かけてつくりましたそれが、いろんな指弾は受けましたけれども、田村町の土地は三百五十四億で売れております。優にこの範囲内であのセンターはできておるのでございます。しかもその残余をもって、このインフレの激化の中に、今日やっと値上げ時期を延ばしてその不足分を補てんするだけのことができたわけでございますし、いわんや借用いたしておりました他のスタジオは全部返還することができました。そういうような関係で見ますと、非常にこれは受信者のためにむしろなっておるのではないかと、私はそのように考えておるのでございます。
 ただ、あの規模がもう少し安く、もう少しじみにできなかったかということでございますけれども、世界各国、ソビエトでもそうでございますし、イギリスでもフランスでも、あるいはその他の共産圏の国も私回ってみましたけれども、決してそれと比べて、スペースの大小は別といたしまして、中の素材等の関係で非常に格段にあれがぜいたくに過ぎるというような現状には私は見ておりません。むしろそういった面は、いわゆる赤字の根源になるどころか、むしろもっと早く値上げをしなきゃならぬそれを今日までたえてこれたという非常な役立った面があるのではないか、このように考えます。
 あるいはコンピュータの導入がむだだったのではないかというようなこともよくあげつらわれるのでございますけれども、これはやはりそうではないのでございまして、間で方式のいろんな変更はいたしました。新しいものを導入すれば、これは未知の世界のものでございますので、その後現状に合わない面はこれを補完していくことはものの必然であろうと思います。その補完をしなきゃならぬ羽目に陥ったからあれは失敗だったと、こう見るのは、これは非常に納得しかねることではないかと思うのでございます。
 人員と業務量の関係を申しますと、昭和三十六年度末一万五千人おりました。現在が一万六千五百人でございますから、その間一〇%、千五百人ふえております。三十六年度末に一〇〇だったそれが現在では人員の増は一一〇でございます。業務量はどうかと申しますと、三十六年度末当時には総合テレビは十八時間放送をいたしておりましたが、教育テレビ――東京の3の波では、東京、大阪初めまだ区々たるものでございまして、放送時間も非常にわずかでございました。今日はそれが全時間放送になり全国をカバーするところまでなっておりますし、いわんやカラー放送はその後に始まったわけでございまして、全時間カラー化をいたしております。音声関係では中波の第一、第二の放送はいたしておりましたが、FM放送局なるものはまだ一局もなかったわけでございます。これが全国ネットを張り得るまでになっておるわけでございまして、それを考えますと業務量はおおよそ指数にして二〇〇に近いものでございます。人員増は一一〇であって、業務量の増は二〇〇に近い。これはやはりこのコンピューターが非常な物を言っておるということはそれだけでも御理解いただけるのではないかと思うのでございます。
 そういうような関係から申しますと、まあ世上では私どもの説明が十分でない、至らない点もあったかもわかりませんけれども、世上伝えられるそれは、そういったようなセンターの建設、地方会館の建設あるいはコンピューターの導入が今日の危局を招いたと、しかしそのようには毛頭考えておりません。
#111
○亀井久興君 ただいまの詳細な御説明で大体理解できたわけですけれども、確かにそういう御説明をお聞きすれば国民の皆さんもある程度は理解をしていただけると思うのですけれども、何か国民のNHKと言われておりながら、どこかに隔たりといいますか、距離があるように感ずるわけでございまして、当然、聴視者の意見をもっともっと反映されていかなくてはならないということはもちろんでございますが、それとともに、いまのように現状を正しく国民に理解をしていただくという、そういう努力が少し不足をしておるのではないかというように感じますので、この点、特にはっきりと要望しておきたいと思います。
#112
○参考人(小野吉郎君) いま御指摘を受けましたように、私ども一生懸命に努めておるつもりでございます。国民の放送機関にふさわしいように謙虚に国民の御理解と御支援を得るように運営をしておるつもりでございますけれども、とかくあるいは官僚的であるとか、あるいは秘密主義であるとか、一方的、弾圧的だとか、いろんな批評を受けております。これは火のないところに煙も出ないと思いますし、そういう点は大いに自粛自戒しなければならないと思うのでございまして、私としては、そういうことのないように、いわゆる集金に回る営業の末端の人にまで、これは随時受信者の方々と接するのでございますから、非常にいい感じを持たれるようにということを口を酸くして申しておるような次第でございます。まだ十分至らぬ点もあろうかと思いますが、この点につきましては一層やはりそういった国民の機関たるにふさわしい謙虚な気持ちを持って最大の努力を尽くしてまいりたいと思います。
#113
○亀井久興君 次に、難視対策について少し伺いたいと思います。先ほど都市難視について若干御質問がございましたので、私は辺地難視に重点を置いて伺いたいと思います。
 当年度のNHKの建設計画を見ますと、投資総額が対前年度で十億円減っている。その中の難視対策費がほぼ前年と同額の五十億円ということになっております。この予算によります難視関係の施設数は前年度に比べてこれまた一〇%減る、また救済世帯数でも十四万世帯から十万世帯に減るということでございます。これは物価事情とか対象の地域がますます僻地になっていくというようなことからコストが上がってくる、このことから当然推察できることですけれども、こういうようなベースでこのまま進むということは、やはり辺地の住民の期待を大きく裏切ることになると思います。
 先ほど森委員の御質問に対して、会長は、こうした難視対策については当面五十年度は抑えるけれども、今度は財政的な改善策を抜本的にやって、それで将来はどんどん拡充していくんだということをはっきりお答えになったわけですが、かなりそういう点での自信のある先ほどのお答えだったように私聞いておりましたので、長期的な計画とその見通しについて伺いたいと思います。
#114
○参考人(小野吉郎君) まだ財政基盤の安定化を図っておりませんので、具体的に何件ということは申し得ませんけれども、五十年度がこのような姿になりましたことは私まことに遺憾に思っております。
 値上げはできない、何とか赤字は小さくしなければならぬ、できる赤字も表面づらは均衡がとれたやにつくろわなきゃならない、こういうやっぱり苦衷が重なりまして建設関係については圧縮をせざるを得ない立場になりまして、それが難視聴の関係につきましても御指摘のような前年を下回るようなことになったわけでございまして、その面ではスローダウンでございます。
 しかし、このスローダウンの状況を将来に持ち越そうとは思わないのでございまして、五十一年度では、件数ははっきりは申し得ませんけれども、財政安定化を策しますと同時に、私としては最小限度二百局を超える置局、あるいは共聴の関係につきましても、五十年度は八百施設を考えておりますけれども、やはり千施設を下回らないような、そのような強化策をとってまいらなければならないのではないか、かように考えております。
#115
○亀井久興君 コストがどんどん上がってくるということ、財政事情による制約、この点は一応理解できるんですけれども、私自身典型的な過疎県の島根県の出身でございますので、辺地の住民の非常に強い要望についてよく心得ておるつもりでございますが、非常に切実な問題になっておるわけでございまして、たとえばそれに加えまして共聴アンテナを立てるというようなときに、その幹線についてはNHKの方で施設をされるわけですけれども、それから自分の個々の家庭に引き込むというその負担は各家庭の負担になっているというようなこと、特別配慮をしなくてはならないそういう地域に限ってそれだけの負担がかかってしまう。しかも、また、こうしたことから受信料がすべて公平に負担されてないではないかという、そういう不公平感を強く持つのは私は当然のことではないかというように思うわけです。
 それからさらに、NHKに対していろいろ申し上げてもそれで一向に進まないということになれば、どうしても身近な市町村、そういうところに頼らざるを得ないということになれば、やはりその市町村の方も苦しい財源の中で無理をして多少負担をしなくてはならないということになってまいります。これは別に放送法の上でも何らそういう義務を負わされていない地方自治体がそれだけの負担をしなくてはならないというようなことでございますから、この難視問題は何をおいても、放送法との関連もございますけれども、どうしても私は解決をしなければならない問題だと思う。
 抜本的な解決策として、何ですか、放送衛星によってこれを解消するんだというようなことも聞いておりますけれども、放送衛星の打ち上げは五十二年度でございますし、これはあくまでも実験ということですから、もしこういったことが技術的に可能になってそれで実用化されたといたしましても、恐らく相当先のことではないだろうかということになりますれば、やはり当面の解消策をどうしていくのかということになるわけです。
 その意味から、先ほど電波監理局長から若干の御答弁ございましたけれども、テレビ難視調査会、これがどのように推移しておるかということには非常に強い関心を持っておるわけでございまして、先ほど森委員の御質問に、郵政省が難視解消についてはもう前面に立って責任を持ってその解消をするんだというような御答弁があったわけでございますが、現在、この難視調査会の検討の具体的な内容でございますね、これは差し支えない範囲でぜひお聞かせいただきたいと思います。
#116
○政府委員(石川晃夫君) テレビジョン放送難視聴対策調査会でございますが、この中では、大体、辺地におきます難視聴とそれから都市における受信障害、こういうのが二つの大きな筋になるわけでございます。この二つの問題につきまして、四十八年の六月からこの調査会においてこの問題に取り組んできたわけでございます。
 具体的内容といたしましては、昨年の十月に、この調査会の中に特に都市の電波障害の問題を取り上げました小委員会をつくりまして、これに専門の先生にお願いをいたしましていろいろ御検討願っております。その内容といたしましては、たとえば受信障害関係者の責務はどのようになるか。この受信障害関係者と申しますのは、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、やはり建築主と放送事業者それから国、地方公共団体それから受信者、このような方を受信障害関係者というふうに考えておりまして、その方々の責務はどういうふうに分担すればいいか。あるいはその受信障害解消のために費用分担をどのようにしたらいいのか、こういう問題についていろいろ御検討いただいているわけでございます。
 いずれにいたしましても非常にむずかしい問題でございまして、その検討に手間取っておりまして、少し全体のまとめがおくれているようなかっこうになっておりますが、これと並行いたしまして辺地の難視聴の問題にも取り組んでおります。これは従来からわりあい順調に調査も進んできてまいっておりますが、先ほど申しました都市の問題が非常に難渋しておりますので、この点あわせまして、やはり若干予定よりも答申がおくれるのではなかろうかというふうに考えております。以上でございます。
#117
○亀井久興君 いま都市難視の問題でのお答えがあったわけですが、辺地難視についてそういう具体的なことはないんでしょうか。
#118
○政府委員(石川晃夫君) 辺地難視の解消につきましては、これは相当以前から逐次NHKの方が主体になって進めておられまして、この点につきましては特に技術的問題とか法制的問題はございませんが、ただ、だんだんやはり辺地に入っていきますので、しかも入れば入るほど住宅というもの、世帯が広がってきておりますので、その辺を
 つかまえるというところにむつかしさがあるわけでございます。
#119
○亀井久興君 NHKにすべてお任せするといってもおのずから限界があるということです。それからまた憲法から言いましても、また放送法の目的からいたしましても、当然、これは国が考えていかなくてはならないということでありますが、今度は一方、国が余りこうしたことに力を入れてまいりますと、国家権力が介入するではないかということで、放送の自主独立というものが侵されてきはせぬかという、こういう懸念が出てくるかと思います。
 そこで難視調査会の中で出ておるかどうかは私正確に知りませんけれども、従来から放送施設に関してだけNHKから切り離して、そういう特別な事業団なり公社なり、たとえば日本放送施設協会といったような、こういうものをつくって、そちらで施設については全部やっていくというような、それであくまでも実際の経営、放送についてはNHKが自主独立のやり方で進んでいくというような、こういう二本立てで進んだらどうかというような意見も私一部から聞いておりますのですが、この点についてNHKの会長並びに郵政当局のお考えを承りたいと思います。
#120
○参考人(小野吉郎君) いろいろそのような構想もちらっと聞いておりますけれども、これがやはり施設を全部NHKから外してしまって、NHKは国の施設なり、あるいはそういう団体の所有する施設を利用するだけということはなかなかむつかしいと思います。
 ただ、これを整備いたしますためには経費を要するわけでございます。その経費の負担がいま非常にむつかしいわけでございますので、これを調達するのにいろいろな関係の方面が金を出し合って一つの基金的な動きをされる、そしてその実施は放送事業者がやるというような構想であれば、私は番組制作の自主性を侵すものとも思えませんし、適切な措置ではないかと、かように考えております。
#121
○政府委員(石川晃夫君) 先ほどの調査会におきましても、先生御指摘のような点についても検討がなされておるわけでございます。
 融資をして、そうしてそういうような問題を解決する方法がいいのか、あるいは国から、国庫から助成してやったらいいか、あるいは第三者機関をつくってそういうものを解消していったらいいのか、こういう点についてこの調査会内部におきましても検討されておりますが、それぞれ利害得失がございまして、まだ成案を得るまでには至っていないわけでございます。
#122
○亀井久興君 伺いたいことがたくさんありますが、時間もありませんので、最後に、NHKの経営の将来の展望について若干お伺いしたいと思います。
 財政事情が悪くなって、四十七年度から収支バランスが崩れてきて、赤字がだんだんかさんでくる。事業支出の約一五%に相当する二百十六億という赤、字予算に今度はなる、こういう状況のもとで、先ほどから申し上げておりますように、良質なサービスの提供あるいは難視の解消、こういうことはまことにむずかしいだろうと思います。そこでNHKばかりではなく、このNHKの財政基盤をいかに確立するかということは、これはもう国民挙げて考えていかなくてはならない、そういう問題ではないかと思うわけです。
 支出を抑えると申しましても、おのずから経費の節減、合理化にも限度があるということですし、一方、増収対策としてのカラー契約の伸びも余り期待できないということになれば、どうしても勢い受信料の値上げというものに依存せざるを得なくなるわけで、前田前会長の公約が五十年度までということでございますから、五十一年度はどうなるのか、受信料値上げをするのかという、まあ一部にそういう会長の御発言があったというような記事も載っておりますけれども、その点についてのお考えをお聞きしたいということと、それからもう一つは、新聞のいろいろの批判にも出ておるわけでございますし、国民も非常にそういう点を、経営状態が悪くなったからといって受信料値上げをすればいいではないかということで、最後にそのツケを国民に回してくるというやり方は、これはおかしいではないか、こういう批判があるのはあたりまえのことでございますから、何らかの形で、受信料の収入以外に、受信者の負担というものを軽減していくような措置が考えられないか。
 先日、実は、やはり新聞紙上にそうしたことをNHKの方で検討されているというようなことが出ておったわけでございまして、現行法では禁止されておるわけでございますけれども、何らかの条件のもとでこういった収益事業というものもやっていくというような、そういうお考えが果たしてあるのかないのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#123
○国務大臣(村上勇君) NHKは、現在のところ、放送法の規定第九条第三項によりまして、その「業務を行うに当たっては、営利を目的としてはならない。」とされておりますので、営利事業を行うためには、当然、放送法の規定を改正する必要が生じてくるわけであります。NHKが民放と違って法律に基づいて受信者が支払う受信料に基礎を置き、公共奉仕を直接の目的とす事業体として設立されているものであることからいたしまして、NHKに営利事業を認めることはNHKの経営の基本にかかわる重要な問題でありますので、なお慎重な検討を要するものと思います。
#124
○参考人(小野吉郎君) 前段の方の問題といたしましては、値上げを考えます前に、やはり収入をふやす方法、これは現在の契約、収納の関係の成績をより一層向上させ得れば、こういうことによって増収につながるわけでございますので、その欠点につきましてはいろいろ努力をしなければならない点があろうかと思います。すでに非常に高い普及率を呈しておりますし、しかも商い普及の中からとやかく申されますけれども、非常にほかの事業等と比較して遜色のない収納率も上げております。その辺非常にむつかしいんですけれども、けさほど森先生から、契約を専念して取るような、総がかりで取るような週間でも設けたらと、こういうような御提案もございました。まことにいい提案であろうと思います。私どもそういうことも検討いたさなければなりません。次には、やはり経費の中にむだがあってはなりませんので、これをできるだけ排除し、あるいはむだとは申せなくても、合理化すればより安い経費でいけるというものがあれば、そういう面も大いに取り上げなければならぬと思います。
 いろいろそういう努力をいたしますけれども、五十一年度の状態を見通してみますと、どう判断をいたしましても、やはり必要最小限度の値上げということは必要ではないかと思うのでございまして、これにはやはりできるだけ受信者の御負担を小さくするような努力はもちろんしなければなりませんけれども、そのような見通しを現在は持っております。
 後段の営利事業の関係につきましては、とかくいろいろ一部で言われておりますけれども、そのような検討は現在いたしておりません。ただいま大臣からも申されましたように、現行法は営利を全然禁じております。
 ただ将来の問題といたしまして、受信者負担を軽くして、しかも十分な使命を果たしていくために、他に財源の調達はないかどうか、これが営利となりますかどうかは別としまして、そういう点になれば、放送屋でございますから放送を離れてそういう事業に手を染めることはできません。放送の効果を十分上げながら収入を上げる道があれば、これはやはり検討してしかるべきではないかと思うのでございます。
 その点で考えられますのは、ごく限られた問題で、使った放送の後のいろんな資料でございます。こういう面については教育関係の問題につきましても報道関係の問題につきましても、非常に貴重なものがあろうかと思います。こういうものをあるいはカセット時代にカセットという方向になるんでしょうかどうでしょうか、そういうようなもので非常な需要があり非常に歓迎されれば、そういうものの頒布によって番組の二次利用の効果を高めつつ、収入を上げる方法があれば、これは検討に値するんではないかと、かように考えておる程度でございます。
#125
○藤原房雄君 一時間で五十年度の日本放送協会の収支予算や事業計画のことについてお尋ねし審議するわけでありますので、十分に私どもの意を尽くせないところもあるわけでございます。どちらかというと、大きな項目的な概括的なことになろうかと思いますが、若干の質問をいたしたいと思います。
 最初に、放送開始満五十年を迎えたということで、関係者の方々の努力に対して心から敬意を表するとともに、ただ五十年の経過をたどってきたということではございませんで、今日非常に大きな社会的な激動の中でこの五十年を迎えたということであり、また国民の皆さんの多様化の中で、いかに放送事業というものが時代にマッチした方向に進んでいくかという、こういうことも問われる。そういうことで満五十年というのは単なる歴史的な五十年だけではなくて、大きな転機を迎えておるということも言えると思うんであります。
 午前中もいろんなお話がございましたが、最初にお尋ね申し上げたいのは、非常に重大な転機を迎えておる、そういうことでいままでのあり方では即応し得ない面がたくさん出てきておる、こういうことで根本的に検討しなければならない諸問題があるのではないか。先ほどもお話がございましたように、受信料の収入の頭打ちとか、また人件費や制作費等の非常な増額というようなこと、これはいままでの高度成長に乗りましてカラーテレビがどんどん普及した時代とは異なってきたわけでありますし、またオイルショック以来非常に物価高騰――やや鎮静化したとは言いながら、これはいままでのような高度成長の時代のような考え方では即応し得ないでしょう。一万では、法律によって難視聴の解消ということや、また国際放送等いろいろな事業をすることになっております。
 こういうことからいたしまして、今後の財政の立て直しの施策、経営、こういうことにつきまして、いままでのやり方を踏襲するのではなくて、やはり根本的な検討を加えなければならない、こういう時期を迎えた、こう思うのであります。
 それはどうするかということにつきましては、いろいろな立場立場での考えもあろうと思いますし、それは集約して新しい方向性というものを模索しなければならぬと思うのでありますが、本年の一月ですか、フランスにおきます国有放送も、大きな時代の転機とともにいままでのやり方を根本的に改めて、これは是非はいろいろな問題があろうかと思いますけれども、それぞれ七つの部門を設けて、そこで競争の原理を導入しようという、これから経過を見なければならぬと思うのでありますが、非常に思い切ったことであり、それには日本の国とフランスの国情との違いもありますから、それはイコールでは結ばれないことは当然でありますけれども、世界的には公共事業のあり方、そしてまた料金制度、こういうことについてのいろいろな模索がなされ検討がなされておるという現状の中で、郵政大臣またNHKの会長といたしましては、これは法律もございますし、かくかくしかじか考えておりますと、言えること言えないこといろいろあろうかと思いますけれども、この席上を通じまして、もしそういうことについてのお考えがございましたらお述べいただきたい、こう思うのですが、大臣どうでしょうか。
#126
○国務大臣(村上勇君) 大体、御質問を要約いたしますと、日本の放送の体系についてどうかということのように伺いましたが、私はいまのままでいいのじゃないかと、別にこの体系を変えていく必要はないと、かように思っております。
#127
○参考人(小野吉郎君) ちょうど五十周年の記念の年を迎え、祝意をいただきましてありがとうございます。
 五十年の貴重な集積の年を迎えたわけでございますけれども、これは空手で喜べないのでございます。たまたま日本自体も非常に大きな曲がり角に来ております。世界もそうでございます。NHKの経営もさようでございます。そういうような環境の中で、在来歩んできたそのとおりの気持ちと歩み方だけでは、この五十年の成果を踏まえまして次の五十年にいいものを残していく道には通じないと思います。大きな一つの転機に際会しまして、そういう転機に合ったような心構えと運営をもって五十年の成果を受け継ぎ、これを生々発展させて次の五十年に渡さなければならない責務があろうかと思います。
 そういうような意味合いから公共放送の面もいろいろ考えてみたいと思うのでございますけれども、現在の放送法に規定してあります公共放送のそれは、私は世界に冠たるものだと、かように考えております。
 ただいまフランスの例も例に引かれましたけれども、これが何の意図でやられたのか私にもよくわかりません。いろいろ情報も集めておりますけれども、あるいはフランス放送が非常な赤字を出して、赤字解消のためにというようなことも言われておりますけれども、赤字解消には一つの集約した形こそそういうようなことに役立つわけでありますけれども、一本のそれを七本に分けて、人だけでもふえるのじゃないかと、フランス放送局当局もそのように言っておるようでございます。あの改革をした後、仕事はまだ手についておらないようでございます。かえっていろいろ経費その他の関係でも非常に在来よりも苦慮しなきゃならぬ、こういう現状のようでございます。
 たまたま五十周年の記念に際しまして、世界の放送局の首脳がずいぶん東京に集まっております。いろいろそういうフランス放送ともかかわり合いを持ちますそういう会長なり副会長なりそういう人から聞いてみましても、フランスを相手にするのに全く当惑をする、一カ所では話がつかないので、これは七つといっても施設を受け持つところもありますからおおよそ三つぐらいでございましょう、三つとそれぞれ同じ話をしないと話がつかない、経費も非常によけいかかるけれども、経費の問題よりも一つ事をまとめるのに三つにそれぞれ同じことを話して、合一した点がなかなか得られない。したがって国際交流の関係から言ってもロスが多い。おそらくあれが板につくのは相当先のことであろう。現在ではフランス放送局を相手にする放送機関も血迷っておるようでございますし、フランス放送機関自体も非常にまだ去就に迷うような状態ではないかと思います。この大事なときに、しかも世界の大きな転機に立った放送事業の使命に照らしまして、そんな混迷を日本に持ち来すべきではない、私はそのように確信をいたしております。
#128
○藤原房雄君 少ない情報の中でずいぶんたくさん御批判を並べられましたけれども、私はフランスの姿をまねしろとは決して申し上げておるわけじゃございませんが、少ない情報ですから、もう少したくさん情報を入れていただいて客観的にひとつ見ていただきたいと思うんです。
 いずれにしましても最初に会長さんおっしゃいましたように、非常に激動の時代を迎えておるということであり、世界的にもこの現況をどうかしなきゃならぬという動きのあることは先ほどおっしゃったとおりであります。巨大化した姿をこのような競争の原理を用いるような形で何とかしよう、そのほか政治的な配慮、いろんなものがあったろうと思いますし、端的にこれを云々するわけにはいかないだろうと思います。
 私のここで申し上げたいのは、時代の流れというもの、そしてまた五十年の歴史を歩んできたとは言いながら、いまだかつてない一つの大きな転機を迎えておるというその間の認識というものをしっかり持っていただきたいということでありまして、どうかこれからもひとつ幅広い、そしてまた何もいまの法律が悪くて変えなきゃならぬということを私は申し上げておるわけじゃありませんが、どんどんその新しい時代に応じて、変化しつつある多様の今日でありますから、その点をひとつ十分に認識なさった上で対処すべきであるという、こういうことを申し上げておるわけです。
 先ほどの会長さんの五十年度の収支予算、事業計画やまた資金計画、この中でも経済情勢の激しい変動とか受信料金の伸びの鈍化とか、非常に困難な時代を迎えておるということは先ほどのお話しの中にもございました。この中で「四十三年度改定以来七カ年維持してまいりました現行受信料の月額を、諸般の事情を勘案して、なお五十年度も据え置くこととしました。」とありますが、「諸般の事情を勘案して、」というのは、いろんなことがあることはわれわれも承知しておるわけでありますけれども、ここをお述べになるに当たりまして、会長としてこういうことがあったんだとお考えがあって御発言があったと思うんですけれども、その間のことについてちょっと御説明いただきたいと思います。
#129
○参考人(小野吉郎君) これはほかでもございません、NHKの財政事情のみから申しますと、前田前会長の三年間は値上げをしない、この公約いかんにかかわらず、実際の起きた現象というものは非常に財政的には大きな負担になっておりますので、本来でありますならば、やはり受信料関係についての改定の検討を加えるのが通常でございましょう。
 ただ私はそういう公約もさることながら、公約とは別に、いまNHKの使命としましては、この激動の中において国民それぞれ非常に物価高あるいはインフレのあらしにおびえ切っておりますときに、いかに安定してもらうか、安定してもらう資料を提供できるかということがNHKの本来の使命であろうと思います。そういう面から申しますと、いかに財政的に値上げの必要がありましても、そういう中にNHKみずからが値上げを提案する、こういうことは慎むべきだということを強く私は考えまして、そういうような事情も勘案いたしまして五十年度は値上げをしない、こういうようなことにいたしたわけでございます。
 「諸般の事情」とありましても、もろもろのそんな大きな事情があるわけではございません。要は、やはり現在の受信者、国民の置かれた立場、これに対してNHKがいろんなデータで、非常にそわそわした気持ちを持ちがちないま、安定してもらわなければならない、資料を提供して世の中を明るくしなければならない、そういうさなかにNHKみずからが値上げを提案すべきでないと、こういうような事情が大きく左右をしておるわけでございます。
#130
○藤原房雄君 このたび値上げをしなかったのは、前田前会長が三年間値上げをしないという公約をしたその公約を果たすためではなくて、まあそれももちろんあるけれども、この諸物価高騰の中で最大の努力をしたい、努力をしたんだという、そのようにいま御発言があったようでございますが、私どもは公約したんだからということじゃなくて、そこにNHKの最大の努力がにじみ出ておる、こういうことであれば結構だと思うのでありますが、しかし、公共料金の軒並み値上げの中で努力するということは当然のことであり、そしてまた今度のこの予算というものはなかなか大変な御努力をなさったと私ども考えるわけであります。
 そこで、こういう大変な苦心をなさいますときに、やはり合理化とか効率化ということが出てくるわけでありますが、その次に「極力業務の合理化、効率化を推進しつつ、」ともございます。これは当然この努力がなければこの諸物価高騰の中で料金値上げを据え置くことはできなかったろうと思います。
 およそこの予算書を見ますと、お話の中でよく十六億ぐらいの合理化ですか、このぐらいになるというふうに聞いておりますけれども、この合理化とか効率化、この十六億というのは大体どのようなものが主な項目になって、この合理化、効率化をなさるのか、その間ちょっと御説明いただきたいと思います。
#131
○参考人(山本博君) 五十年度の予算におきます経費の効率的使用ないし節減、こういうものの項目でございますが、一番大きな額といたしましては事業運営上もろもろの会議その他電話、あるいは業務運営上のもろもろの経費を、これは予算編成の過程におきまして相当節減を強化してもらうような予算を編成いたしました、これが六億六千万ほど。それから放送設備の維持補修、資材機材購入の削減、これは現在使っております機材、こういうものの相当な経年を得たものでもこの際新しいものに取りかえないで現状のまま活用していこうということで、こういうもので約五億七千万でございます。
 そのほかUHFテレビジョンの試験放送を取りやめ中止をいたしております、これが九千万。それから放送番組センターへの協力金を約五千万削減をいたしております。また先ほどお話が出ました日本賞コンクール、これも五十年度は開催をいたさないことにしております、これが約三千万。それからフィルム現像費の節減あるいは番組制作関連機器の効率的運用、これが約九千万。それから人事上の問題でございますが、転勤を従来相当数やっておりました。今年度の財政状況にかんがみまして、転勤の数を少し五十年度は減らして実施をしよう、そういうようなものも含めまして約十六億ということでございます。
#132
○藤原房雄君 業務運営費とか、また放送施設とか、そのほか番組センター、こういうものの大変な節減を図るということ。何せ十六億ということですから、これは大変な金額だと思うのであります。
 ここで私ども心配するといいますか、中身がよくわからないから御説明いただきたいのでありますが、人事の転勤等の削減をするということ、これは何せNHKは多くの陣容を抱えているわけでありますから、人的交流という、これがまた機能を発揮する上において非常に大事なことであろうと思うのであります。そこにまた人間関係の非常に微妙な問題もあろうかと思いますし、人事というのはいかなる企業でもこれは非常に重要なことであります。これが経費節減ということで大幅かどのくらいになるか、数はいまお話しございませんでしたけれども、これは今後の運営上差し支えのないものとしてお考えだろうと思うのでありますが、その間のことについては御検討なさったと思うのですけれども、どうでしょうか、御説明いただきたいと思うのですが。
#133
○参考人(中塚昌胤君) お答えいたします。
 来年度の人事異動の計画につきましては、ただいま検討いたしておりますが、先ほど山本理事からお答えいたしましたように、規模においては削減をいたしますが、そのために人心の弛緩、人事の停滞のための士気の低下というふうなことも来さないように十分実行上配慮してやりたい、このように考えております。
#134
○藤原房雄君 先ほどの話に戻るのですが、これは新しい時代に対応した施策、現在の経済情勢が非常に変動しておりますので、なかなか長期のプランを立てるということはむずかしいことだろうと思います。しかし最近は予算編成に当たりましても政府の経済見通しとか、長期にわたってはなかなか大変だと思いますが、政府も今日までいろいろ策定いたしました計画を見直すとか、検討するとか企画庁あたりでも相当いろいろな角度からなされているわけでありますが、第四次の長期経営構想、これも午前中いろいろお話があったのでございますが、確かに変えなければならないといいますか、現在の時点ではそぐわなくなった面もあろうと思います。また、それはどうしても実行すべきだという、また実行可能であるというものもあるわけでございます。
 まずこの第四次長期経営構想というものについて、大きく分けて大体七つですか項目があるわけでありますが、この項目について、七項目全部変えなければならぬということじゃないだろうと思います。主要目標というものを掲げて今日までやってきたわけで、四十七年から発足してきたわけでありますが、今日までの実施状況、今後に対する見通し、五十一年までですから来年まであるわけでありますが、そうしてここはどうしても変えなければならないのだという、こういうようなことについて、第四次長期経営構想について御説明いただきたいと思うのです。
#135
○参考人(山本博君) ただいまお尋ねがございました長期構想は国会に提出をいたしましたのが四十八年の三月でございます。四十八年三月から今日まで、御承知のように四十八年の秋にはいわゆる石油の大変動の事件がございまして、この長期構想というのは事実上非常に前提が変わってまいりまして、けさ方会長からもお話がありましたように、将来、新しい長期構想というものを考えていかなければならないという意味で、御提出をいたしました長期構想は根本的に変えていかなければならないというものでございます。
 ただ、ただいま御指摘がありました項目について、実際上どういう形で実施をなされてきたかということの御説明をいたしますと、いずれにいたしましても、この当時見通しをいたしました数字はほとんど実質的には変わってまいりました。たとえば事業収入にいたしましても事業支出にいたしましても、あるいは建設費にいたしましても、条件が全部変わってまいりましたので、数字が相当変更になっております。事業収入は、これは受信料収入が基本でございますが、受信料収入そのものも伸びが鈍化をいたしておりますので、当時の見通しに比べまして金額がやはり減ってまいっております。それから事業支出は逆に物価の高騰その他金利の増、そういうものも合わせますとこれはプラスになる。
 それで四十八年度はほぼ何とか収支大きな変動なしに決算ができましたけれども、四十九年度は現在執行中でございますけれども、これは予算編成当時、すでに四十九年それから五十年、この二ヵ年にわたって内幸町の土地・建物を売却した資金の一部を充当する計画にしておりました。これは四十九年度に全額ここへ充当をいたしましたので、この見通しも違ってまいりました。で、したがいまして五十年度の事業収入並びに事業支出は、御審議をいただいておりますように、二百十六億の赤字ということでございます。したがいまして事業収入並びに事業支出いずれにおきましても数字の点では変動が生じております。
 なお、建設費につきましては、百七十億を三カ年間維持してまいる予定にいたしておりましたけれども、四十八年度から四十九年度におきまして約三十億減りました。これは渋谷のNHKホールの建設に要する費用が要らなくなったために減ってきた部分でございます。したがいまして、この百四十億、それから五十年度の百三十億、これはその当時から自己資金、いわば減価償却費の範囲内で建設費を賄っていくという基本原則を立てましたので、この線に沿って数字を減少さしてまいったわけであります。したがいまして建設費におきましても約七十四億の減という数字になっております。
 で、それではさらにただいまの七項目とおっしゃいましたが、たぶん私がいまから御説明する建設関係の中身だと思いますので、それで御説明をいたしますと、建設費の規模はいま申し上げました減額を見ておりますが、難視聴の解消につきましては、金額にいたしましてその当時約百五十三億円使うつもりでおりました。で五十年度の予算額までで約百五十億円使っております。三億円の差でございますが、これも会長からの説明がありましたように、物価の高騰、資材、人件費、そういうものの高騰で工事関係の費用が非常に上がっておりますので、ほぼ同額でございますけれども、事業規模にいたしましては約一割ほど減少いたしております。
 それから中波放送網の整備でございますけれども、とれも大体この当時の計画といたしましてこれは繰り延べということで計画をいたしておりまして、今日でもなおその状況でございます。五十年度では札幌という計画にしておりましたが、これは一応ゼロという変更にいたしました。
 それからFM放送局の建設につきましては、これは全く予定どおり実施をいたしております。
 それから大電力周辺県域UHFテレビ局の建設は、これは当初の計画では関東二局というつもりで策定をいたしておりました。今日においてはこれは調査という段階にとどまっております。この計画とだいぶ違ってきております。それから放送施設の整備でございますが、これは先ほども節減のところで申し上げましだけれども、いろいろ繰り延べをいたしたり使用を継続をいたしたり、いろいろな方法を講じまして約一割ちょっとの金額の減少ということになっております。
 最後に、テレビジョン番組のカラー化でございますが、これは計画としましては四十九年度それから五十年度それぞれ二時間半のカラー化をもくろんでおりましたけれども、四十九年度が一時間間、五十年度が一時間それぞれ計画としては半分以下にダウンしておる、こういう状況でございます。
#136
○藤原房雄君 いまの御説明ありましたように、第四次長期経営構想というのは大幅、大幅というかどうか知りませんが、実現し得ない状況になっておる。こういうことで、やはり何事においても長期のビジョンを持ってその目標に前進するということは、これは当然必要なことであります。午前中の質疑でも現在そのようになったということについてはいろんな数字を挙げて御説明がございました。
 これらのものから考えましても、金額で一割以上、物価高から言いますと現実的にはもっとダウンになるわけでありますから、早急にこれは計画を策定し直さなければならないだろう。そういうことについてはいろいろ御検討なさっていらっしゃると思うのですけれども、その間についてはどうでしょう。
#137
○参考人(小野吉郎君) 第四次の長期構想は一応立てましたけれども、その後、予想もできない大きな激変に際会をいたしております。そういうことで計画どおりには実行できておりませんし、また計画自体が将来の基盤にするのには非常にもう役に立たないものになっております。したがって五十年度を起点とする長期の展望をここで改めて作業をしなければならないと思います。
 その作業は、この予算の御承認をいただきました後、いろんな推定指標等につきましても、現実とあまり遠くないような見定めをいたしました上で、五十一年度予算編成時までに合理化措置その他の関係ともあわせて検討をいたしてまいりたいと思います。
#138
○藤原房雄君 日本放送協会の五十年度収支予算、事業計画及び資金計画に付する意見として、大臣は「おおむね適当である。」という御付言をなさいました。これにつきましては午前中もいろいろ質疑があったのでございますが、これは実は苦しい意見であったということでいろいろ御説明がございました。
 いまもまた将来のこの計画につきましては五十一年度の予算までには検討するという会長のお話もあったわけでありますが、この意見書の中で「昭和五十年度収支予算は、事業収支において二百十五億七千九百万円の支出超過を生じているが、」云々と、こうあるわけでありますが、これは「この支出超過額を極力減少させるよう努力すべきである。」ということと、二番目には難視聴解消に特段の努力を払いという二項目ございますが、「事業の運営に当たっては、受信料収入の確保と経費の効率的使用に努め、」云々とあるわけですけれども、これは予算が提出される、それに対して大臣の意見が出される。出された段階では一応五十年度の収支予算は決めて大臣に出されるわけでありますから、それに対する意見ということで、それはすぐ五十年度の事業には反映し得ない面もあろうかと思うんですけれども、ここに記されている問題については最大の努力を払うのは当然だろうと思うんですけれども、まして内容的にはいますぐその気持ちで努力できないことではない、実現不可能じゃないと二項目ともそのように見えるわけであります。
 しかし、難視聴解消についてはお金のかかることでありますから、言われたからすぐふやしますというわけにはいかないと思います。こういうことで大臣の意見に対しまして、NHKとしては、それをどう受けとめて、これから実施段階にこれを反映させていくお考えなのか、そこら辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#139
○参考人(小野吉郎君) 郵政大臣の意見書は非常に現下の情勢にかんがみまして私どもがまさに努めなければならない面を指摘されておるものと考えます。
 一応、二百十六億近い赤字は出ておりますけれども、いろんな経営努力によりまして非常にむつかしいことでございますけれども、この収支差額をできるだけ二百十六億弱よりも少なくする、こういう努力をしなければならないことは当然であろうと思います。
 また、難視聴解消の関係につきましても、いまさら金額をどうこうはできません、件数をどうこうはできませんけれども、できるだけ効率運用によりまして難視聴解消の目的に沿い得るような配意を下さなければならないと思います。
 また、前段の将来の経営の健全化の問題につきましても、これこそNHKとして積極的に取り組んで、できるだけ受信者に御迷惑のかからないような、また御迷惑が最小限度にとどまりますような配意をしなければならないものと考えますので、この大臣意見書は私どもは非常に重要な経営の指針として読んでおるような次第でございます。
#140
○藤原房雄君 難視聴の解消問題につきましては、これは各委員からお話があったようでございますが、一点だけお伺いしたいのであります。
 今度、テレビ難視聴対策調査会というものを設けていろいろ御検討いただいているということですけれども、新幹線の公害等におきましては、大阪までできたものに対していろいろな問題が起きました。また、これが岡山まで延び、博多まで延び、そこでまたいろいろな問題が起きておるわけであります。東北、北海道につきましては、いま計画だけではなくて盛岡までは一部工事が始まっておる。こういう新幹線が町の中を通れば必ずまた公害問題が起きるということはこれはいままで実証済みであるわけです。
 しかし、同じような問題がいつもぶり返し、そして経費の問題等につきましてもいろんなトラブルが起きておるわけでありますが、こういうこともテレビ難視聴対策調査会でどうするかということについての御検討をなされると思うんですけれども、いままで起きたことと同じことを何度も繰り返すなんというのは愚の骨頂でございまして、やはり一つのルールといいますか、既設のものと新設のものにつきましては、当然、新設のものについてのあり方というものについても明確なルールが確立されにゃならぬ、こう思うんですけれども、この調査会等でそういう点もあわせて御検討なさるんですか、その点どうでしょう。
#141
○政府委員(石川晃夫君) ただいま御質問の点でございますが、その調査会におきましては、ただいま御指摘のような点も全部含めて、いわゆるそういうようなものに対しての抜本的な対策ということで考えておると思います。したがいまして新幹線等につきましても、従来は、国鉄と住民の間、あるいはそれに放送事業者なども協力いたしまして解決しておりましたが、この調査会におきましては、従来の問題も含めて全部検討を進めている次第でございます。
#142
○藤原房雄君 もう時間も余りありませんので、ずっと関連したお話をいろいろ深く聞きたいんですけれども、ちょっと断片的になるかもしれませんが、会長のお話の中にもございましたように、業務の合理化とか効率化、こういうことの一環として、これは問題になっておりますから、十分に御検討なさっていらっしゃることだろうと思うんでありますけれども、口座振替制度、これがほかの公共料金等に比べますと非常にパーセンテージが低い。これはもう法律の上からも同じように振替ができるようになっておるわけでありますけれども、これが進んでいない理由というのは一体どこにあるのか。
 これは現在いろんな形で集金なさっているわけでありますけれども、郵政省が委託でやっている分というのは二カ月分九百三十円集金するのに八十二円四十銭ですか、これだけの経費がかかる。およそ郵政省関係の委託費を合計しますと十八億からのお金になるわけでありますけれども、私ども実際見ましても、こういう口座振替制度というものについてのPRが非常に弱いというふうにも感じますし、これはもういままで当然もっと進んでいなければならないものであるにもかかわらず、水道料金やガス料金や電気料金等から比べますと、NHKのこの受信料の振替制度というのは非常におくれておる。これは何かひとつ大きな隘路があるのかどうか、今後またこれを進めるに当たってどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
 それとあわせまして前納制度というものについても、そういう制度があるわけですけれども、実際、それがほかのものから比べますと余り進んでいない。ここにもPRの足りなさというものを私いま感ずるわけですけれども、そのほかに大きな問題になる点があるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
#143
○参考人(川原正人君) お話しのとおり、口座による受信料の振替制度というのは非常に効率が高いものでございますので、私どもも極力これはふやしいまりたいというふうに考えているわけでございます。
 それで塩路と申しますか、全国的ないま口座の利用数をパーセンテージでとりますと、四十九年度末で大体利用率が三一%強になろうかと思っております。
  〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
 ただ、これは隘路と申しますか、実際問題としまして、私どもが全部の受信者のほぼ一三%に相当する部分を郵便局の方に委託して集金をお願いしているわけでございます。いまのところ、郵便貯金の中でこの自動振替ができないという事情がございます。そういうことのために、仮に郵便局にお願いしている部分を除きまして、口座の利用率を計算いたしますと三六%ぐらいにはなるんであります。かつまた、電力、ガス等、大都市において口座を利用しておられる企業、東京電力等は大体四四%からあるいは六〇%、確かにいっております。それに比べまして低いのは事実でございますが、たとえば私ども大都市、東京都内だけをとりますと、実は、この口座振替は四七%ぐらいまで現在は到達しております。もちろん私どもこの四七%ということで満足はしておりません。もっともっとこの利用率は高めたいと思っております。
 それには御指摘のとおり、確かにPR等ももっともっと私ども工夫をこらし、その面の御利用をいただかなきゃならぬと思っておりますが、実際上は、この四七%から上げていくのはかなり努力が必要かと思っております。それでも年々、先ほども申し上げましたけれども、口座の利用絶対数としましては、ここ数年、七十万――四十七、八年のときには八十万から九十万ぐらいふやしたんでございます。多少頭打ちの傾向が出てきて、四十九、五十年では七十万ずつそれでもふやしていきたいと、いま考えている次第でございます。
#144
○藤原房雄君 当然、その努力がなされなきゃならないと思いますし、新規契約とか、また苦情処理、こういうところに割かれた人員が振り向けられて、より把握率といいますか、こういうものが高まらなきゃならぬと思います。
 で、都道府県別の放送受信契約数、これを見ますと、この普及率というのは各県によって非常に大きな段差があるという面が目につくわけでありますが、一つは東京都、これはカラーが五七%であり、普通、カラーと合計いたしまして七六・八%。これと高知がカラーが五八・三%、普通、カラー合計して七六・七%という、こういう数字が出ておるわけですけれども、東京は非常に大きいということで、この把握がなかなかむずかしいという面もあるのかもしれませんが、そのほかに何か理由があるのか。また高知の場合はどういう条件があるのか、こういうデータをごらんになりましてNHKとしましてどのようにこれをごらんになっていらっしゃるのか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
#145
○参考人(川原正人君) 確かに御指摘のとおり、全国的なテレビジョンの普及率を見ました場合に、東京都あるいは大阪もやや似たような傾向があるわけでございます、普及率が必ずしも高くない。それからそれ以外の地方では、御指摘のとおり、高知県というのが多少その普及率がほかの県に比べまして低いのは事実でございます。
 いろいろ事情が――余り私ども言いわけばかりしていちゃいけないんで、努力を当然しなきゃならぬことでございますけれども、内容を分折いたしますと、若干特殊な事情がございまして、東京都につきましては、この普及率というのは、全部の世帯数、テレビをお持ちであってもなくても、これはもう政府の方の国勢調査で出てまいります全部の世帯数に対しましてNHKが契約をいただいている受信世帯の数、この比率を出しているわけです。
 したがいまして東京都の場合には全部の世帯の中に実は単身世帯の方が非常に割合が高いのでございます。これは全国平均しますと単身世帯という方は国勢調査の一四%ぐらいなんでございますが、東京都の場合はこれが二五%という数字になって出てまいります。これは多分に東京に単身で働きに出て来ておられる方、それから最近特に目立ちますのは大学生、これもやはり単身で生活しておられる限り単身世帯に計算されるわけでございます。これらの単身世帯の方の実はテレビをお持ちになっている率が一般の世帯に比べますとかなり低いというデータがございます。そういうことが主な原因になりまして、一つはどうしてもこの普及率が低くなってくるという事情がございます。
 そのほかに午前中申し上げましたけれども、大都会独特の現象といたしまして、いわゆる生活の環境といいますか、独立家屋等よりもマンションあるいはアパート式の建物が非常に多く、かつ単身あるいは二人ぐらいの核家族と申しますか、共働きの方等も相対的に多いものですから、なかなか私どもの契約の方の努力もそこがちょっと手に及ばないところが出がちでございます。そういう点も一緒になりまして普及率が低く出てきているというふうに分折しております。しかし、これは私どもさらに努力を重ねまして、もう少しその点は改善を図らなければいけない点だろうと思っております。
 高知県につきましては、なかなかむずかしいのでございますが、一つは、テレビジョンの普及の度合いが他府県に比べますと多少おくれていた、あるいは同じことが鹿児島県等についても言えるわけでございます、多少おくれていたということ。それから、やはりこれも普及率というのが全部の世帯に対する私どもの契約世帯ということで出るものですから、特に高知県はやはり山間部がかなり多くて、相対的になかなか難視聴解消が従来はちょっとテンポがおそかったということも一つの事情にあろうかと思っております。この点はもちろんわれわれが努力してその難視を解消していかなければいけない、そして契約もさらに普及さしていかなければいけないという土地でございます。
#146
○藤原房雄君 いまお話しありましたように、高知県へ私ども一月に視察に行ってまいりまして、地理的に大変なところでございますし、現地といたしましても難視聴解消のことが必ず出てまいりました。いまお話しのあったことも一つの大きな原因だろうと思います。これらのいまお話しありましたように、ひとつ積極的にこういうところには取り組んでいただきたいと思います。
 時間もありませんので次に進みますが、ラジオの放送番組のことですけれども、新事業計画の中で地域社会にもっと密着したローカル番組を充実しようということがうたわれているわけですけれども、四十五、六年ごろからずっと見ますと、ラジオ番組のローカル放送が非常に放送時間が短縮されているというふうに私どもデータを見て感ずるのですが、四十六年には三時間十分ありましたものが四十七年には二時間三十分、四十九年には二時間、こういうふうにいただいたデータの中で調べまして、このように承知しておるんですけれども、これは何か私どもの間違いなのか。また事実とすれば、どういうことでローカル放送の充実ということがうたわれながらこういう結果になったのか、これらのことについて御説明いただきたいと思います。
#147
○参考人(坂本朝一君) ラジオのローカル放送を充実するという考え方は一向変わっておらないのでございますけれども、聴視者のラジオに対する対応の仕方がかなり変わってきているということで、できるだけ情報量を細かに伝達するという方がまとまった形での、番組というような形での伝達よりかも有効であるということで、かなりいわゆるディスクジョッキー形式による、その間々を各地方局が抜けて短い細かい情報を流していくというような、放送形式が多少変わってきたということが一因と、それから第二放送の大電力化ということで、第二放送に若干のローカル時間を編成しておりましたのが第二放送のローカル時間を廃止いたしました。その二つの要因から時間量といたしましてはいっときから見ますと減っておりますけれども、情報の伝え方、中身等につきましては、むしろ聴視者の要望に沿う方法をとっているというふうに考えておる次第でございます。
  〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
#148
○藤原房雄君 これはいろいろなデータ、資料をもとにしてそういう聴視者の動向というものを捕捉なさったことだと思うのですけれども、しかし一、二年の間に三時間十分あったものが二時間ということで一時間以上これが減ったということは、これは相当な大英断であったろうと思いますし、聴視者の要望もさることながら、やはりローカル放送を充実しようということは、これは単に時間だけで決まるわけじゃございませんで中身の問題もあろうかと思いますけれども、やはり時間も大事な要素であることはこれは間違いありません。
 そういう点から十分な御検討をなさって決められたことだと思うのですけれども、もっとこの内容等につきましてローカル放送の充実という面に力を注いで、一、二年の間に一時間十分からローカル放送が切られるという、これはちょっと行き過ぎといいますか、余りにも性急過ぎるんじゃないかというこんな感じがしてならないわけです。時間だけで云々するわけじゃありませんが、よりひとつNHKのラジオが持っている特性ということもあると思います。これらのものを勘案いたしまして、とかくにすべてのものが中央に集約されるというそういう形がとられつつある中で、やはりラジオの持つローカル放送を充実するということも非常に大きな意味があろうと思います。この点ひとつ十分に御検討いただきたいものだと思います。
 時間もありませんので最後になりますが、テレビに限りませんで、これは週刊誌でも何でもそうですが、とかくに新聞等でも暗いニュースがすぐ放送される。自動車事故やいろんな事故を初めといたしまして、それは確かにどこにどういう不幸があった、どういう原因のために、またその家族の方や知り合いの方、そういう事故を報道する意義というものも私どもはわからないわけじゃございませんが、とかくにそういう暗いニュースが真っ先に飛んでくる。その反面、明るいと言いますか、隠れた善意といいますか、そういうことというのは余りニュースといいますか放送の対象にならぬというような気がしてならぬわけです。世の中は何も暗いニュースだけに覆われているわけじゃ決してありませんで、そういう面をどう取り扱うかということも非常に大事なことだろうと思うんですけれども、決して放送や新聞、週刊誌、こういうところで報じられるような暗いニュースだけではなくて、心温まる明るいニュース等、こういうものも積極的にどう取り上げるかということは、これはひとついろいろ御検討をいただきたいと思いますけれども、こういう点はよくひとつ勘案していただきたいと思うのですが、この間についてはどうお考えですか。
#149
○参考人(小野吉郎君) ただいまのお話しの点はきわめて大事な点でございまして、私は一〇〇%同感できます。
 とかくにユースの本質といたしまして犬が人に食いついてもニュースにならないけれども、人が犬に食いつくとニュースになるというようなことが言われます。これも一つのニュースでありましょうけれども、そういう見方で編成の基本方針を置いてはならないと思います。そういう社会現象としては奇異な面に焦点を当ててニュースを考えるということは、これは邪道であろうと思います。
 要は、やはりマスコミ界におきましても、明るい明朗な健全な社会を理想といたします限りにおきましては、御説のとおり明るい面をニュースとして出す必要は大いにあろうかと思います。特に民心がいろんな関係で暗い気持ちになりがちなようなときには、これもやはり事実を曲げるわけじゃありません、現実にある社会現象の中で明るい心の支えになるような、あすの豊かな明るい社会の建設に役立つような明るい面は大いに出してしかるべきだと思います。現在のところは、そういう面に欠陥のありますことは私も率直に認めます。将来できるだけそのような努力をいたしてまいりたいと思います。
#150
○藤原房雄君 これはさっき会長のお話にもちょっとあったんですが、経営上のことで、これは法律に照らして考えなければならぬことかもしれませんが、付帯事業として行っております放送学園、これはこれで実に大きな、学校へ通えない方々に対しての使命があったろうと思います。またNHKの交響楽団、NHKの厚生文化事業団、そのほかに対して助成をなさっているわけでありますが、特にサービスセンターや出版協会、こういうところで出版業務等をなさっていますが、これはまあNHKとは別組織になっておるんでありましょうが、私どももしばしば思うんですけれども、時事問題とかいろんな解説等について、またいろんなデータ等、最近の新しい取材をいたしまして、その新しいデータのもとにいろいろこう解説しているものをテレビでしばしば見受けるわけです。それを知りたいと思いましてもテレビはあっという間に消えてしまうわけで、それが本になるとか、またはVTRですか、そういうものに生かされるとか、こういうことも非常に大事なことだということを痛感するわけです。
 これは法律から言えば、NHKそのものはこういう事業にタッチしてはならないのかもわかりませんけれども、こういう出版協会とかサービスセンターとか、こういう出版事業やVTRのようなものをより生かすということ、そしてそこで得た利益等、こういうものが交響楽団や学園等に使われるということで、使われるといいますか、NHKそのものが助成するというのではなくて、こういうところが助成するような形はとれないものかどうか。いまの法律体系の中からいってそれが可能か不可能か私にはわからないわけなんですけれども、こういう出版協会、いわゆる出版事業、それから放送されたものをカセットテープ等にやはりその趣向によって生かす、こういうことで、一部事業の収入の増ということについてはいろいろ考えているという会長のお話がありました。これはこれで必要なことだと思いますし、現在限られた範囲内のことしかしてないわけですけれども、もっと拡張して――拡張といいますか、積極的に進めていいんじゃないかとこう思うんですけれども、一方、そこで得られた収入というものの中こら実は付帯事業でなさっているこういうところに寄付というのですか、助成ですか、こういう形にすることはできないのかどうか。
 まあNHKが財政的に非常に赤字予算を出さなきゃならないというのは、こういう経済変動の中にあってこういう状態になったということも一つ言えるかもしれませんけれども、体質的に営利を目的にしないということからいたしまして、広範なこういう助成ができることがいつも続くとは限りませんし、体質の中からいっても別なこういう形が望ましいような気もするわけですけれども、その間についてどういうことなのか、ちょっと御説明いただきたいと思うんですが。
#151
○参考人(小野吉郎君) カセットの利用等の関係につきましては、これはいろいろ必要は感じるのでありますけれども、限界もあろうかと思います。また、その際にどのような状況で運営した方がいいのかといった点にも多分に問題があろうかと思います。
 問題は、やはりカセットとして安ければ非常に需要の多いものはいわゆる芸能番組であろうと思います。ところが、これには著作権というものがついておりまして非常に高いものにつきますので、大衆向きにはなかなかなり得ない。してみると、あるいは教育番組でありますとか報道番組でありますとか、あるいは教養番組、そういうものでありましょうけれども、そういったものにつきましては、今日、個人でテレビの画面から簡単に画像と音声が収録できるようなセットもかなり行き渡っております。NHKでそういうようなことを一括してやりましてどのくらいの需要があるものか、この辺も測定しかねております。
 そういう面をもあわせ考えて、こういった面についての番組の利用を、一遍きりで消えてしまうのでなくて、それが活用されるわけでありますから、大いに考えるべき範囲の問題ではないかと思います。それが可能であるとすれば、NHKが直接やるのがいいのか、あるいは外郭団体にやらせるのがいいのか、この辺のところもいろいろありますけれども、外郭団体にやらせましても、その収益はすべて外郭団体へ入る、こういうようなことにしなくてもいい方法もありますので、その辺のところは今後の問題として検討してまいりたいと思います。
#152
○山中郁子君 NHKの予算の審議に当たりまして、私は、初めにまずNHKの会長にただし、明らかにしていただきたいごとがございます。
 最近、聞くところによりますと、NHKの会長が自民党のかなり多数の議員の方々とお話を持って、NHK学園、国際放送、放送法改正などの問題について話し合われた、こういうふうに承っておりますけれども、どういう経過で、そうしてどういう内容でお持ちになったのか、これはNHKからお申し出になったのか、あるいは自民党さんの方からお申し出になったのか、それらのことについてお伺いしたいと思います。
#153
○参考人(小野吉郎君) その具体例は私もつまびらかにしないのでございますけれども、あるいはいろんな予算の関係を通じまして、予算の内容あるいは学園の問題とかいう広範な問題が出ますけれども、そういう面でいろいろ自民党の諸先生方とお会いしたのは、この予算を国会へ提出いたします前には、自民党通信部会、政調の審議会、総務会、これを経過しなければ出せないことになっております。第一点としてはそういうことが考えられようと思います。
 その他の面では、いわゆる自民党で放送懇談会というものを設けておりまして、これは何もわれわれが制約を受けるものではありませんけれども、いろんな関係について懇談をする、こういうそれは年に三回ぐらいもありましょうか、そういうような程度のものはありますけれども、これは何もNHKに対して干渉をするとか、あるいは要望するとかいったような筋合いのものではございません。
#154
○山中郁子君 それでは二月十二日に持たれた会合は、いまおっしゃられたどちらの会合だったんですか。
#155
○参考人(小野吉郎君) 二月十二日のそれは自民党通信部会であったと思います。
#156
○山中郁子君 その中で伝えられております内容として、それらに関して自民党の通信部会と予算の問題についてNHKの方たちがお話をなさるということは、けさほどから論議になっております、そしてまたいままでも必ず逓信委員会で繰り返されたでありましょう不偏不党の原則という観点から大変疑義があるし、重要な問題だというふうに私は考えます。
 そしてしかもその中で、五十一年度に値上げをすれば不払いがふえていくから、だから放送法の改正が必要になってくる、つまり受信料の義務化の問題です。こういうふうな自民党側の意見に対し、会長が、放送法を改正して支払い義務制、罰則規定、届け出義務制を取り入れるべきだとの意見がある、私としても、個人的見解としては、料金を値上げする以上理解と協力を得る必要上これらの法改正は必要と思う、という趣旨のことを述べておられます。
 しかし、いままでの会長のお話によれば、そしてまた郵政大臣のお考えによっても、受信料義務化という法改正は考えていない、表向きそういうお話は伺っておりますけれども、個人的見解ないしは裏でそうしたことが交わされている。こういう事実についてはどのようにお考えになっていらっしゃるわけですか。
#157
○参考人(小野吉郎君) これはひとり自民党だけでなしに、予算を提案をいたします事前に、各党の政審には私どもが出向きまして、各党の議員さんといろいろこの予算について御説明をするようなことが慣例になっております。これは共産党につきましても、先日、国会提案前に私どもの方の役員が参りまして御説明を申し上げております。この同様な一連のそういう慣例に従って自民党のそれがありました。
 ただいま御指摘の問題につきましては、私はしかく明確に五十一年度には法改正をお願いをして義務制云々をぜひ実現しなきゃならぬようには申しておりません。日本のいまの受信料条項は非常にりっぱな法律だと思います。受信者の御理解と御支援、御協力のもとに運営できることがNHKの理想でありますので、そういうようなことが継続いたします限りにおいては、ことさらにそんな改正をする必要もないのではないかと、かように考えております。
 現在の状況を申しますと、届け出義務もない、支払い義務もないし罰則もない、そういう状況でありながら、九八%の人は円満に喜んで受信料をお払いいただいておる。これは日本の税金の収納あるいはその他のかなり強い罰則なり強制力を持った料金制度をとっておる事業と比べても、この業績は、とかく受信料収納が正直者がばかを見る、不公平になっておるのではないかという危倶なりいろんな指摘はありますけれども、現実の立証できる実績としてそのような高い収納成績をおさめております。そういった支払い義務もなく、届け出義務もない、罰則もない状況であってなおかつそのような成績をおさめておりますことは、これは誇るべき状態であろうと思うのでありまして、そういう限りにおいては何もそういった必要はないと思います。
 現在の支払い義務制にいたしましても、明確に表現としてはそのような表現をとっておりませんけれども、契約をしなければならない、よれによって決まった料金はみだりに減額してはならない、いろんな条項を勘合いたしますと明確に支払い義務があるわけであります。ただ契約をして支払い義務がないようなナンセンスなことではないと思います。ただ、世上、評論家と称する一部の人が、NHKのそれは契約の義務はあるけれども支払い義務はないのだ、罰則はないのだ、払わぬでも何も要しないのだと、こういうような論を堂々と公言しておられる向きがあります。しかし、それがあってもなおかつ世論を惑わすような状況には今日なっておりません。仮にそれがそういうような状況になれば別問題でございます、ならない限り、現在の状況は私は世界に冠たる放送法ではないか、このように申したわけでございます。
#158
○山中郁子君 私は、単なる予算説明という域を越えてそうしたことが自民党さんとの間で話し合われている、このことを問題にしているんです。
 具体的に申し上げますと、いま私が申し上げました支払義務制、罰則規定、届け出義務制などのそうした法改正を私も個人見解としては持っていると、こういうふうに会長が述べられている。そして、いろいろありますけれども、その一つ一つについてここで申し上げるという時間もありませんし、趣旨は、不偏不党という立場を本当に真実のものとしてNHKが貫いていってもらわなければ困ると、こういうことで申し上げているわけですけれども、要するに自民党の議員さんの方が法改正を行うこととしてこうした赤字予算を了承するとか、そうした全く私たち国民から見たら考えられないような話し合いが行われているという、そういうことが伝えられております。
 で、もう一度確認したいんですけれども、会長は、そうしたら二月十二日に行われました自民党の皆さんとの話し合いの中で、先ほど私が例として申し上げましたことも含めて、単なる予算説明であって、それ以上のものは絶対にない、そういうことを言った覚えはないと、こういうことをおっしゃるのかどうかということが一つです。
 それからもう一つお尋ねしたいのは、こうした各党との予算説明の話し合い、そうした内容をNHKでは職員に何らかの形で周知をしておられるのかどうか、すべての党との話し合いをですね、このことについてお尋ねしたいと思います。
#159
○参考人(小野吉郎君) 予算の説明の中にはいろんな意見も出ます、当然であろうと思います。ただ、私が五十一年の予算の編成時に法律改正をあわせて――いま申されたような内容のものを盛り込んだ法律改正を要望しておる、こういうことは申しておりません。
 先ほど申し上げましたような、いわゆる徴収の成績がどうなっておるのか、世間ではいろいろ言われますけれども不公平に流れておるのではないかどうか、いろいろ質疑がありました。これに対しては、そういった支払い義務もなく届け出義務もなく罰則もないのにこれだけの成績をおさめております、その限りにおいては何ら法律的に手を入れる必要はないんだと。ただいろいろ世間を扇動する評論家のそれに惑わされるような結果になれば別でございますけれども、そうでない限り、そのような必要は感じておらないということは申したように思います。
 その他の関係につきましては、これは各党の委員会でいろいろな意見が出ます。別段にこれはわれわれが好んで懇談のためにやっておるわけではありませんし、予算を国会へ提出するまでの事前の手続として必要な手段を踏んでおるわけでございます。しかも、そういった機会に出ました内容のものを部内に周知するようなことはいたしておりません。
#160
○山中郁子君 重ねて申し上げますけれども、少なくともそのような不偏不党という放送法の精神、並びに放送法に規定されているからというだけでなくて、憲法に基づく、そして会長自身も世界に冠たるものだとこういうふうに自信を持っておっしゃっておられる日本の放送法の精神に基づいて、少しでもそれにもとるようなことがNHKの内部において、国民に知らされない状態の中で行われているということについては厳に戒めていただきたい、これが私の強い意見です。
 そしてこの点について、絶対にそういうことがないと、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、私はきょうは時間の関係で突き詰めていきませんけれども、引き続き明らかにしていっていただきたいことがありますので、これは引き続いて明らかにしていきたいというふうに思っております。
 なぜこのようなことを申し上げるかと言いますと、会長も御存じだと思いますけれども、前の前田会長がいま国民協会の会長になっておられます。私は会長をやめられて、そしてすぐに国民協会の会長になる。これは実際上自民党の政治献金のための組織であるということは明らかなわけです。そして昨年のあの田中内閣の金権問題であれだけ大騒ぎをして大問題になった。その協会の会長になられるということ自体不見識であるし、常識を欠いているというふうに思わざるを得ません。
 しかし、それだけでなくて、前田さんは現在NHKの顧問をしておられるわけです。これはどう見ても、私は国民の目から見ても、本当に中立公正な国民のための皆さんのNHKと、こういう立場からいきまして妥当でない状態だというふうに考えざるを得ませんけれども、この点について会長はどのように考えていらっしゃいますか。
#161
○参考人(小野吉郎君) 前田さんが自民党のいわゆる国民政治協会の会長を引き受けられたことは事実でございます。現在、前田さんはNHKをやめておられます。顧問ではございますけれども、顧問は何ら実行権限を持っておりません。そのような意味合いから、私は憲法で保障された個人の自由の範囲に属するものと考えております。
 いろいろただいま山中先生の申されたようなフィーリングを持つ方もあろうかと思います。NHKの中でもそういうような意見から、引き受けてもらわぬ方がいいのではないかということを私に進言した向きがありますけれども、私はそれよりもむしろ憲法の大義に基づきまして、個人の自由をかつてNHK会長であったからということで制約すべきでない、これこそ重要な問題であろうと思います。したがって私は前田さんもそのような相談をされましたけれども、あなたの自由判断でいいじゃないですか、このように進言をいたしております。
#162
○山中郁子君 フィーリングだとかいろいろおっしゃいましたけれども、会長自身は個人的な見解としてどういうフィーリングをお持ちなのですか。
#163
○参考人(小野吉郎君) 私は、個人的なそれといたしましては、人それぞれその能をその場によって発揮することがこれは憲法で保障された人間の自由であり、最大限に保障されるべき自由であろうと思います。
 NHKのいま執行の関係に何がしかの力を持つ立場でそういうことになりますことは、不偏不党を標榜いたし、これを真実裏表なしに実行しなければならないNHKとしては悪いことでございましょう。顧問ではありますけれども、NHKの前会長であるというだけにとどまるのでありまして、今日は自由の身であります。NHKの執行に対して何ら容喙のできる立場ではございませんし、その言動がNHKの運営を左右する何らのおそれもないわけでございますので、これはやはり人間の自由として本人の御判断のとおり、なりたければなられるし、なりたくなければなられぬでいい、このように私個人としては判断をいたしております。
#164
○山中郁子君 これに時間をとるつもりはありませんけれども、それではもう一つだけお尋ねいたします。
 NHKにおいて、顧問というのはどういう存在なんですか、有名無実ですか。
#165
○参考人(小野吉郎君) 先ほど自民党の国民政治協会と申しましたが、自民党の字はございません。いわゆる国民政治協会でございます。前田さんとしては、これはいろいろ新聞紙上でも伝えられておりますように、自民党の機関そのものにはなりたくないと、こういうことも言っておられます。私が先ほど自民党の頭を冠しましたのは、これは事実と違っておるようでございますから、この点は訂正をさしていただきたいと思います。
 顧問というのは、いろいろ実権があるわけではありません。NHKの執行に対して何ら影響力を持たない形でありますけれども、会社あたりでもやっておりますように、あるポストを去られますと相談役とか、あるいは顧問とか、これはそういった名称にすぎぬわけでありまして、前田さんが今日顧問でありましても、何らNHKの執行に対して影響力もあるわけではありませんし、また影響力をあらしめてはならないと私は考えております。
#166
○山中郁子君 会長自身が思わずもそういうふうに申されましたように、国民政治協会というふうに名前を改めても、これは自民党の政治献金機関なんですよ。それはもういま会長が言い間違いとおっしゃったその事実一つとってみたって明らかなんです。これは新聞論評なんか見たってみんな同じですよ。
 そのことを私は繰り返し申し上げませんけれども、片やそういうことで自民党の政治献金の組織であるというその国民政治協会、片や幾ら顧問ということで実行権限がないとおっしゃっるけれども、これはNHKの顧問なんですね。NHKの顧問である前田さんが、その直前までは会長をしておられた方が、国民協会の会長をされると、こういうことがすんなりと通っているというこういう事態のもとに、私はNHKが権力と結びついて、初めに指摘しましたような、そういう癒着ということを国民に疑惑を抱かせる、そうしてその危険を持っている、このことを強く指摘したいわけでございます。
 それで先ほどの自民党の通信部会とのお話し合いということでございましたけれども、その中で受信料問題で、私が聞かないうちに、また会長がいろいろと懇切丁寧にお話をなさいましたけれども、その受信料の問題につきまして再度確認をしておきたいのですけれども、私はこういう経過があるから、幾ら会長がどう否定されようと、実際あるのです。このことは今後明らかにしますけれども、そういう経過があるからこそ再度確認をしたいと思うのですけれども、受信料についての現行を変えていくという考え方は個人的にも当然のことながら持っていないということであるならば、その点明確にしていただきたいし、郵政大臣の見解もあわせて伺いたいと思います。
#167
○国務大臣(村上勇君) 受信料の問題あるいはその他の問題でも法律改正をするつもりはございません。
#168
○参考人(小野吉郎君) 先ほど先走り過ぎていろいろ結論を申し上げたようでございますけれども、私もいまの契約収納状況、この高い成績が持続いたします限り、そんな必要はないと思います。
#169
○山中郁子君 それで、そうしますと、郵政大臣のこの予算に対する指摘の中の一つの大きな柱である「受信料収入の確保と経費の効率的使用に努め、」ということで、この受信料の確保ということが一つの大きな課題になっている。会長自身もこのことは適切な指摘であるし、NHKとしても努力をすると、こういうことを繰り返し述べておられますけれども、こうした現在の受信料の確保状況というのはどの程度のものであるか、そんな物すごく細かい数字は結構でございますけれども、大体の実際の受信者数と、それから契約数ですね、その開き、それについてちょっと聞かせていただきたい。
#170
○参考人(川原正人君) 受信者数という御質問の意味は、それはテレビを持っていて……
#171
○山中郁子君 はい、推定になりましょうね。
#172
○参考人(川原正人君) これはもうおっしゃるとおり推定数字でございまして、私ども自身では、その数字は正直持っていないのでございますが、いろいろな政府統計等からの推定数字で申しますと、午前中会長も申しましたが、二千八百万近い数字が現時点では推定されております。
 それに対しまして、こちらの方は私ども正確に把握しております私どもの契約、有料契約者で申し上げれば、二千五百万いまちょっと超えております。一番新しいところで二千五百二十万ぐらいになっていると思います。その開きが約三百万ぐらいに特定の時点で切りますとなっているわけでございます。ただ、これはこれをしも未契約者と言い切っていいのかどうかは私ども非常に疑問を持っておりますのは、先ほど会長も申しましたように、これに対しましても、私どもまたすぐ次の一年間で三百万ぐらいの契約をちょうだいするわけです。しかしその過程でまたお引っ越し、移動その他で二百数十万の方が契約から離れる、離れてはまた私どもの契約に入っていただくというその繰り返しの過程の中での一種の時間差と申しますか、ある特定の時点で切りますと、そういう一つの推定数字と、私どもの確実に掌握している契約者との間に開きが出るわけでございます。そこはぐるぐる回っている数字でございます。
#173
○山中郁子君 大体、平均して三百万ぐらいの差でもってぐるぐる回っているというふうに判断していいとすれば、いま言われましたそのうちの未契約者というふうに全部を理解できないと、未契約者として把握する。パーセンテージというのは大体どのくらいに考えていらっしゃいましょうか。
#174
○参考人(川原正人君) その点、先ほども申し上げましたように、なかなかむずかしくて、私どもも実は契約者の方についてはこれは確実に責任を持って申し上げられるものがあるわけでございますが、契約に入らない方のところは、いまの私どもの力ではなかなか掌握しにくい。
 実際に第一線で活動しております者から少なくとも私どもこれは報告を取っております、少なくともお伺いしまして、特定の意図的なお考えから契約を拒否される、これは私ども全部報告を挙げさしております。その数が現時点で四万二千という報告を取っております。
#175
○山中郁子君 私がここでちょっと提起をしたいし、またどういう観点からNHKの方で財政の基盤の確立ということで力を注ぐかということも含めてお伺いしておきたいというふうに思うのですけれども、この中でやはり未契約者の契約を進めるということが一つの主要な努力目標であるということははっきりしているというふうに思います。
 ただ、問題は、その受信料のいまの放送法に決められているあり方からしても、単にテレビを持っていて聞いているはずだから金を出さなければいけないという、そういう官僚的なものではなくて、本当に国民が喜んで見て積極的にお金も払う、こういうふうな形で契約を開拓していく。これは衆議院の論議も、それからけさほど来の論議も言われておりますので、改めて私は伺いませんけれども、そういうことだと思います。そうしますと、そういう上に立って本当に国民の声を聞いて番組に反映して、そしてそのことを一番最も基本的な柱として契約も進めていくし、財政の基盤も確立していく、こういうことが基礎になるはずだというふうに考えておりますけれども、そのことが間違いがないかどうかということと、それから、そうであるならば国民の声を聞くという上でどのような方策を講じていらっしゃるか。これも細かくたくさん聞かなくてもいいですけれども、どういうところから国民の声を聞くという方策を講じていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#176
○参考人(小野吉郎君) 国民の声を十分にお伺いをして、それに沿い得るような運営をし、これに対して十分な理解と御協力を得ながら契約の締結を進めてまいらなければならないのではないかと、これはそのとおりに考えております。
 そのような考えでいっておるわけでございまして、そのためには一体どうして意向を吸収するのかということにつきましては、NHKには放送文化研究所並びに放送世論研究所を持っております。ここでいろいろ国民の聴視の実態の調査もいたしますほか、国民の御意向がどこにあるか、これも大数観察でございますけれども、いろいろ毎年時々調査をいたしております。その他本部並びに地方の局の窓口にはいわゆる相談所なる窓口を設けておりまして、これは主としてBBCにありますような苦情は何でも申し込んでくださいと、こういう窓口でございます。そこでいろいろ要望をお伺いいたしまして、沿い得るものは即刻そのようにいたしますし、そうでないものはいろいろ検討する、こういうような状況になっております。
 その他、電話で自発的にいろいろ苦情なり要望なりこれを申し出られる方もありますし、投書もずいぶんございます。また私どものそれとしては全国に受信者と生で私どもが出向きまして懇談会を設ける機会を年に七百から八百回ぐらい行っております。所在の放送局で行っておりまして、直接面と面と会っていろいろ御要望をお伺いするというような努力をいたしておるような次第でございます。
#177
○山中郁子君 そういうことはそれとして結構なことなんですけれども、私がいま先ほどから申し上げていますように、契約をふやしていく、そしてそういうところを基本に置いて経営の基盤を安定させていく、そのことは国民が本当にいい放送を見られるということと紙の表裏の関係だと、ここのところをやっぱり何としてもはっきりさせておいていただかないと、それはやっぱり口先だけのことになっちゃうんですね。
 具体的な一つの例ですけれども、たとえば、これはNHKの資料で放送番組編成の仕組みというものがあるんです。そしてこの中に編成の仕組みで聴視者からの世論をどうやって吸い上げるか、いま会長さん言われたことがあるんですけれども、その中には世論調査とか、いまおっしゃったようなことが書かれているんですけれども、私はやはり集金人の人たち、現場でまず本当にそういうことで接点になっている、そこでいろいろ意見も挙がるはずですよ。NHKの番組つまんないし、自民党のことばかり言っているから私はお金払わないとかなんて仮にそういうことが出てきますわね。いろんな意見が出てきますでしょう。そうすると、そういうところが一つのやっぱり世論を吸い上げる大きな土台ですね、接点になっているわけですね。だけど、こういうふうにNHKが書かれている聴視者から世論を吸い上げるのは何かというと、それは入っていないんですね、余り位置づけされていないんですよ、要するに入っていないということだと思うんです、頭にないということだと思うんですね。
 これはまた集金人の方たちの労働条件の問題とか、待遇の問題とか、そういうことはまたいろいろあります。しかし問題と基本的な中身として、国民が要求する、国民が喜ぶ国民のための放送を行うために、そのことと本当に密接不可分に結びついて受信料の契約の拡大なり徴収があるということをやはりもっとしっかりとした形で位置づけておいていただかなければいけないのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょう。
#178
○参考人(小野吉郎君) お説のとおりでございます。最も大事な点を抜かしておったようでございます。
 私はかつてこの関係を主管をした専務理事もやったことがございますけれども、その当時の最重点に考えましたそれは、いろんな広報なりあるいは意向の吸収の仕組みはあるでございましょうけれども、われわれには数千人の受信者と生で毎日対応する先兵があるんだ、この人たちがNHKの理解をしていただくような説明もいたし、また先方の御意向も十分に拝受できる、このような方向でこれを活用しなければならないのだということは非常に言っておったわけでございます。それが身についておるもんですから、大事なことでありながら先ほどちょっと漏らしたようなことでまことに恐縮でございますが、決してこれをおろそかにしておるようなことではございません。
#179
○山中郁子君 たまたまここに書かなかったということみたいにおっしゃいますけれども、やっぱり実態はそうじゃないんですよね。一々細かくは申し上げませんけれども、必ずしも実態はそういうことで一貫してやってきましたなんていうことじゃないからこそ、私は揚げ足取りみたいにたまたまここに書いてないからと言っているんじゃないんです。もうそのことは繰り返しませんけれども、ここにたまたま抜けたけれども一生懸命やっていますよという、そういうことではなくて、本当の実態に照らして努力をしていただくということをお約束願わなければならないというふうに思います。
 それから郵政大臣指摘の中のいわゆる難視聴解消の問題、これはたくさんの委員の方たちがおっしゃいました。私は一つだけにしぼってちょっと再度確認をしておきたいというふうに思います。
 それは衆議院における逓信委員会の審議におきましてもたしか土橋委員だと思いますが、NHKの方で出された文書で、先ほど来から郵政省からも御説明がある「郵政省「テレビジョン放送難視聴対策調査会」の今後の対応について」ということで、いわゆる原因者負担の原則というところから郵政省の考え方も何か後退をしているみたいな表現があるし、そうしてまた、それに対応してNHKの方でもそういうふうに追い込まれざるを得ないような対応の仕方がある、こういうことを土橋委員は指摘をいたしました。この点について発言があった、結論的にはいわゆる原因者負担という原則は変えない、そういうことは堅持しているんだ、こういうお話だったんですけれども、それと絡んで原因者がわからない場合とか、さまざまなことをおっしゃってくるんですけれども、そこでもう一つその辺に関して私ははっきりさせたいと思うんですけれども、まず原因者負担の原則というものは例外なしに断言しているという姿勢は変わっていないのかどうか、これを郵政省からお伺いをしたい。
#180
○国務大臣(村上勇君) 原因者負担ははっきりしているものについてはこれはちょっとも変わってはおりません。
 ただ、東京から五十キロも離れているところにやはり難視聴区域ができて、それがどこだろうか、ここだろうかというような非常にあいまいなものがあるということをこのごろ聞いておりますが、まだそういう点についてはいま難視聴を解決する委員会で非常に慎重に審議しておりますから、いま私らがこれをどうこうという結論は出せませんけれども、そういうような意味のことが、原因者負担が非常に弱体化されたんじゃないかというように誤解されているんじゃないかとも思います。
#181
○山中郁子君 都市の難視聴の問題というのは、まあ全般として高層ビルですよね、主として。で高層ビルによって電波障害、受信障害が起っているということは明らかだと思うんです。そういうケース以外に、五十キロも離れたところで電波障害が起こって、それが原因がわからないということはあり得ませんでしょう。原因がわからないというのは、私のビルではないですよ、あなたのビルじゃないですかと、こういうことがいろいろあるけれども、だけど実際問題として、その高層ビルが建ったことによって電波障害が起こってくる、受信障害が起っているということはこれは明らかなんじゃないですか。そのこと以外に、全くもって原因がわからない受信障害というのがあるんですか。
#182
○政府委員(石川晃夫君) ただいま御指摘の点でございますが、確かに、最近、都市において起こっております受信障害は高層建築物によって起こっておるということでございます。ただ、それがどの高層建築物によって起こっておるかと、この点につきましては、やはりいろいろな場合がございまして、必ずしも明確ではございません。
#183
○山中郁子君 どの高層建築によって起こっているか明確でないというのは、やはり反射とか、そういう問題がいろいろ複合しているということも含まれているというふうに思いますけれども、いずれにしても高層ビルによって電波障害が起こっているということが明らかであるならば、先ほどおっしゃってた、またここにも書いてあります「国、放送事業者その他の関係者がそれぞれの責任に応じて費用を分担する。」というふうな考え方というのは出てくるはずないんですよね。少なくとも受信者がこれについて何らかの責任を分担するなんということは絶対にあり得ないというふうに考えますけれども、その点いかがですか。
#184
○政府委員(石川晃夫君) 受信障害の関係者といたしましては、建築主とそれから放送事業者それから国あるいは地方の公共団体それから受信者、こういうものが関係者として考えられると思います。
 ただいま御指摘の受信者はどういうようなかっこうになるのかということでございますが、現在、調査会などで検討されております内容につきましては、受信者の費用負担について、受信者も放送の受信に通常必要とされているような経費、その程度の経費は負担するということが公平の観点から見ても妥当ではないかという意見が出ております。これはもし高層建築物がなければ、自分の家の屋根にアンテナを立てて、そして自分で受けるわけでございます。通常テレビを受けるために必要な経費、この程度のものはやはり受信者としても負担すべきではないか、このような考え方で現在調査会の中では検討されているわけでございます。
#185
○山中郁子君 現在では、住民運動の中で結局ビルの持ち主ですね、建築主とそれから住民との間で、そうした経費も含めて原因者負担ということが実際に成果が上がっているというケースも出てきています。
 私は、これは公害の問題にちょっと比べて考えてみたいとも思うんですけれども、四日市のぜんそくの公害の訴訟で判決が出て、これが、たくさんのそこのコンビナートの企業の共同責任ということで判決が出ました。そして逆に、自分の会社は四日市ぜんそくの原因になってないんだというならば、それを立証しなさいと、立証責任制ですよね。こういうことがたとえば公害の分野とか、あるいは職業病の分野とか、そうしたさまざまな分野で具体的な課題になっているわけですね。ですから、私は、郵政省がたくさんのビルがあってどのビルが原因者であるかわからないというふうな後退的な消極的な、もっとちょっと言ってしまえば企業寄りな、そういう姿勢をとるのではなくて、原因者が自分のところが原因でないんだというならば、それを立証しなさいと、そのビルが建ったことによって電波障害が起こったことは事実なんだから、それで自分のところはそうじゃないというなら、それを立証しなさいと、そのぐらいな姿勢で、そして原因者の負担ということの鉄則を貫くという、こういう貫徹を行政指導の面でもしていく必要があるというふうに考えますけれども、その姿勢をもう一度大臣からお伺いしたい。
#186
○国務大臣(村上勇君) それはもうそのとおりです。はっきりしているのにそこを助けてやろうというような考え方というのは、これは持っちゃいけません。ただ、このごろのように、もう乱立してどのビルが原因はあるかということが全然わからない場合がある。そういう場合はどういうふうにするかということは専門家が研究しているところですから、私どものような素人がどうだこうだということはちょっと言えないと思います。
#187
○山中郁子君 高層ビルは乱立しているといったって、そんなにたくさんないですよ、いま。たとえば東京の場合、新宿副都心考えてみたって十なら十でしょう。だったらそれの複合責任ですよ、共同責任ですよ。そういうことをちゃんと貫くということが本当に原因者負担という立場に立つと、こういうことだというふうに私は申し上げているんです。五十も六十も百も一ヵ所にあんな高層ビルがあって、そして電波障害が何がどうなっているのかわからないと、こういう状況ではないですよ、いま日本の東京の場合からいっても。その点でどうなんですか。
#188
○政府委員(石川晃夫君) 高層建築物によります複合反射の問題は非常にむずかしい問題でございまして、そのビルが新しく建ったからといって、それがどの地区にどういう影響を与えるかということは、必ずしもそれのみで判断するわけにはまいらないわけでございます。複合的にそれが建ったために、逆にいままでほとんど影響を与えなかったものがまた影響を与えてくる、こういうような現象も起きますし、また電波の伝搬状況から見まして、その点が非常に判断がむずかしいということでございます。一般に言われております公害などにつきましては、わりあい原因というものが究明しやすいわけでございますが、電波の場合はそういう非常に特殊性がございますので、従来ともこの解決に非常に苦労していたわけでございます。その点につきまして、現在、調査会で鋭意学識経験の方に集まっていただいて、どのようにこの問題を解決したらいいかということで検討していただいておるわけでございます。
#189
○山中郁子君 考え方として、私はやはりはっきりさせたいと思うのですけれども、公害の場合は簡単だというふうに、わかりやすいというふうにおっしゃいましたけれども、あの公害だって何年ああいう犠牲者が出て、そして闘いが進められて、そしてここに到達したか、何も最初から簡単なことじゃなかったんです。それは端的に言えば四日市なら十社あると、コンビナートに。これがもし一社だけだったら四日市ぜんそくというのは出なかったかもしれないと、それが数がふえてきたから出てきた。同じなんですよ、それは。一つのビルだからストレートにこれははっきりすると、ふえてきたからわからなくなると、それは同じことなんです。
 だから確実に複合反射の場合でも、複合汚染の場合と同じように、原因者負担ということは住民の立場に立って、そうして視聴者の立場に立って国がやはりその姿勢を貫く、そうしなければならないんだと、こういうことを私は強調しているわけです。そのことについては異議があるんですか。
#190
○政府委員(石川晃夫君) ただいま御指摘のように、われわれといたしましても、原因者というものがはっきりいたしましたら、その原因者が責任を持つということは当然のことだと考えております。
#191
○山中郁子君 原因者がはっきりするということは、一つのビルがはっきりすると、こういうことじゃないでしょう、私は繰り返しいま言っています。三つなり四つなりビルがあってどれが原因だか、私のところじゃない、私のところじゃないとみんなが言っていると、そして原因者がわからないと、こういうことであっても、高層ビルが原因者であることははっきりしているんですから、そこのところの共同責任という姿勢を郵政省が貫かなくちゃいけないと、こういうことをいま言っているんですよ。すりかえないではっきり返事してください。
#192
○政府委員(石川晃夫君) その点につきましては、考え方は同じでございまして、ただ、その判断を中立的な公正な機関で行うというようなことをこの調査会でも考えているわけでございます。したがいまして第三者の機関によりましてその原因者というものをはっきりさせるということも、われわれの調査会の結論を待っておるわけでございます。
#193
○山中郁子君 もう一つ歯切れが悪いんですけれども、いずれにしても考え方が同じだと言われましたので、それはやはり原因者ということが幾つかのビルでどれが主要な原因であるかわからなくても、そのビルが原因者であるということについてははっきりしていると、こういう見解に郵政省が立たれているものというふうに判断いたします。間違いありませんね。
#194
○政府委員(石川晃夫君) 間違いありません。
#195
○山中郁子君 そういうことですけれども、実際問題として、いま監理局長も言われましたように、それからまた大臣も言われましたように、ビルがこれからどんどん建ちますよね、いまでもそれでわからないと、こういう状態になっていますけれども、これをビルができてしまってから、そしてやれ電波障害が起こったと、さあどこが原因だと、こう調べている現状ではなくて、たとえば日照権の問題を考えてみますと、日照権ということから結局建築基準法の改正ということで日照権を確保する、こういうもともと建てるときにそうした建築上の制限を加える、こういうふうな根本的な解決ですね。そういうふうな問題についての郵政省の問題解決の姿勢というのがおありになるのかどうか。
#196
○政府委員(石川晃夫君) この問題につきましては、電波の場合につきましてはやや日照権と趣を異にするのではなかろうかというふうに考えております。
 日照権の場合にいたしますと、建物あるいは日射の状況、こういうものが固定されておりまして被害を受けるところがはっきりしてくるわけでございますが、ただいまのように直接ビル陰になるような障害ははっきりいたしますが、複合反射のようなものになりますと、どうしてもその点ははっきり規制ができないということでございます。したがいまして、われわれは日照権とはやや趣を異にするとは思いますが、先ほどから御指摘ございましたように、そういうような問題については何らかの形でそういう障害が起きないように努力していきたいというふうに考えております。
#197
○山中郁子君 具体的に日照権でビルの建て方を防止すると、そういうような具体的なことを私は言っているんじゃないです。それは電波なら電波に応じた対策の仕方がありますでしょう。
 要は、できてから障害が起こって、それじゃこの障害の原因者はだれだとか、わかるとかわからないとか、やれあそこへ負担をさせるとか、そういっている事態から一歩進めて、実際問題として建築基準法上の観点からこの問題に取り組む考えがあるのかどうかということをお尋ねしているわけです。
#198
○政府委員(石川晃夫君) それは非常に電波の問題については困難な問題でございますが、やはり高層建築物というものが現在の受信障害というものに非常に影響がございますので、その点建設省と十分打ち合わせしたいというふうに考えておりますし、また現にこの調査会の中にも建設省関係の方に入っていただいて、その点はいろいろと御相談申し上げているわけでございます。
#199
○山中郁子君 これは午前中にも森委員から御指摘なさったことですけれども、まあ調査会に建設省が入っていますというふうなことじゃやっぱり郵政省の姿勢は疑われるわけなんですよね。やはり本当に積極的に根本的に、これからはもっと大きな問題になりますよ、これは。やはりそのことについての責任のある努力と実際の指導をしていっていただきたい、こうすべきだということをこれは強く指摘をしておきたいと思います。
 次に、放送衛星の問題についてちょっと若干お伺いをしたいんですけれども、まず郵政省に伺う前段として、放送衛星の打ち上げが五十二年度に延期になったということですけれども、簡単でいいんですけれども、理由を聞かせていただきたいと思います。
#200
○政府委員(石川晃夫君) わが国の宇宙開発計画におきましては、昭和五十一年度に気象衛星それから実験用の通信衛星、実験用の放送衛星、この三つを上げる予定になっております。
 いま御指摘の放送衛星でございますが、これも五十一年度に打ち上げるということで宇宙開発計画に挙がっていたわけでございますが、たまたまこの契約につきまして、宇宙開発事業団とそれからアメリカの航空宇宙局、NASAと称しておりますが、NASAとの間で契約の取り決めを行う際に、契約上どうしても調整がつかないという点が出てまいりまして、したがいまして宇宙開発委員会といたしましても、この打ち上げを一年おくらせまして、そうして五十二年に打ち上げるということに決定したわけでございます。
#201
○山中郁子君 その契約上の問題だけだということなんですけれども、そうしますと、それがなければ五十一年度に打ち上げる、こういう予定で進んだということになると思うんですけれども、それでそういうことだとしますと、放送衛星を打ち上げて実際にどういう形で放送を行うのか、これは国内法、つまり具体的には放送法ですね、放送法との関係ではいままでも専門家の人たちから提起もされ、危惧もされてきた問題があるわけですけれども、この辺のことについてはどのように考えられていて、どのように作業をされているのかということをお伺いしたい。
#202
○政府委員(石川晃夫君) 五十二年度に打ち上げます実験用の於送衛星は、本当に放送衛星の実験用の小型のものでございまして、それでいろいろの将来の衛星放送を行うための実験を行うというのがこの衛星のねらいでございます。
 この衛星放送につきましては、形式として二つあるわけでございまして、共同受信方式というものと、それから個別受信方式というこの二つの方式がございます。で共同受信方式というものは、これは共同アンテナで受けまして、その絵をそれぞれのところに配る、それぞれの家庭に配るという方法でございます。また個別受信方式と言いますのは、それぞれの個々の世帯、家で受信ができる、こういう方式でございます。
 この方式のいずれをとるかということでございますが、そのようなとり方によりまして将来のこの放送衛星のあり方というものを検討していかないといけないのじゃないかと思いますが、この五十二年度に打ち上げます衛星においと、それに必要な基本的な実験データ、こういうものを取りたいということでございますので、放送法との関連は相当今後の問題として残されることになると思います。
#203
○山中郁子君 そうしますと、実験放送の段階では放送法は関係ないという御見解なわけですかということが一つと、それからそれでは実験放送というのはどういう放送をするのですか、実際問題としての放送の中身です。
#204
○政府委員(石川晃夫君) 今度五十二年度に行います中型の放送衛星でございますが、これの実験につきましては放送法に触れるものはございません。現在の電波法、放送法で実施できるわけでございます。
 それから、その中身でございますが、これは実験でございますので相当細かい専門的なことでございますので、あるいは……
#205
○山中郁子君 つまりパターン放送、そういうようなことなのかということ。
#206
○政府委員(石川晃夫君) これは送りますのはパターンのようなものを送ることによって実験を行うことになると思いますが、どのようなものを送ってどういうふうに受けるか、細かい点までは現在まだ決定しておりませんで、担当者において現在検討中でございます。
#207
○山中郁子君 ちょっと関連して明らかにしたいのですけれども、先ほどどなたかの質疑の中でお答えになったのですが、これは打ち上げて静止した段階からは郵政省の所管になるだろうと、管理ですね、それまでは宇宙開発事業団ですね、というお話がありましたけれども、そうしますと実験放送が行われる段階では、それは郵政省の管理ということになるのですか、国が放送を行うということになるわけですか。
#208
○政府委員(石川晃夫君) その形態につきましてはまだ詳細に詰めておりませんが、この衛星の無線局は多分郵政省の実験でございますので郵政省の無線局になるということでございます。
#209
○山中郁子君 そうしますと、これは国が放送を行うということは十分考えられるわけですね、いまのお話しによりますと。実験放送の中身もまだこれから検討するんだということですから。そのことに関してはやはり放送法に抵触するというふうに考えざるを得ないと思うのですけれども、その辺の御見解はどうなんでしょう。
#210
○政府委員(石川晃夫君) この実験につきましては国で実験を行うわけでございますが、これは放送を行うわけではございません。これはもう実験局でございますので、放送に必要な技術の実験でございます。したがいまして、これは郵政省で行いましても通常の技術実験でございますので、放送法に触れるわけではございません。
#211
○山中郁子君 そうすると放送の中身は、さっき私はパターン放送みたいなものかと伺ったのですけれども、実際にいま放映されているああしたものを実験放送の中身として考えるということは全くないわけですか。
#212
○政府委員(石川晃夫君) この五十二年に打ち上げます中型の放送衛星については、そのようなことは行わないわけでございます。
 ただ、その技術的な成果を見まして、今後、どのようなシステムを組んでわが国の衛星放送を行うかということによりまして、今後のわが国の放送衛星というものの体系ができ上がってくるというふうに考えるわけでございます。その時点におきまして、従来から言われておりますように、NHKが放送を行うとか、あるいは別の放送事業体が放送を行うとか、そういうような問題が出てくるのではなかろうかというふうに考えております。
#213
○山中郁子君 そうしますと、私が危惧しますのは、いままでも多くの方たちから提起されていたんですけれども、放送衛星が実験放送だということでですね、実際問題、国内法、放送法との関連なしに既成事実として積み上げられて、そして、まさに国も、それからNHKの会長も強調しておられる世界に冠たる日本の放送法の不偏不党の中立を守るという、そういうふうな報道、言論機関の根幹にかかわる問題と触れてくる、そういう点の検討が置かれたまま、技術的な面だけが進められて、たまたまそれがアメリカのNASAの都合で、そうした契約上の都合で一年延期したかしれませんけど、していなければもうすぐですよね、実際問題として衛星が打ち上がるのは。そういう技術的な面だけが先行して、そして言論、報道機関の根幹にかかわる放送法上の問題、その他の放送の中身の問題、いま伺えばみんな何かこれから専門家の皆さんの御意見を伺って検討するものですと、こういうお答えだったんですけれども、この点については、私は、やはり郵政省のもっと全面的な放送衛星という新しい分野を切り開く、そうした作業に関しての責任あるやはり取り組みを進めるべきではないかというふうに考えておりますけれども、郵政大臣の所見を伺いたいと思います。
#214
○国務大臣(村上勇君) 直接放送衛星につきましては、御承知のように共同受信方式によるものと個別受信方式によるものがございますが、世界的に見ましても、共同受信方式によるものについて昨年の五月アメリカがATS−6を打ち上げ、実験を開始したばかりであり、また個別受信方式によるものにつきましては、世界のいずれの国におきましても実験に着手するに至っていない段階でありますので、その実用化につきましては技術面等においてなお検討されるべき多くの問題が残されております。
 わが国といたしましては、昭和五十二年度に打ち上げられる実験用中型放送衛星の実験結果等を慎重に検討の上、実用化の方針を固めたいと考えております。
#215
○山中郁子君 私は、まさにいま大臣が読み上げられましたその技術的な先行について申し上げているんですけれども、じゃ一応郵政省としては実験放送はどのくらいの段階で、そしてその衛星放送を本格化するのはどのぐらいの見通しで考えておられるんですか。
#216
○政府委員(石川晃夫君) 今回行います実験用の中型放送衛星でございますが、これは大体三年間の寿命がございまして、五十二年から三年の間その技術的な実験を行いまして、そうしてその技術的な資料を固めたいということでございます。これにおきましては、カラーテレビのチャンネルといたしまして大体二チャンネル程度の能力を持った衛星でございます。したがいましてそれをもちまして実験を行いますが、ただやはり衛星も小さく、また出力も小さいので、それがそのまま実用になるとは思われません。その三年間の実験の結果を見まして、さらにその後に実用あるいは実用の直前の段階の衛星をつくるわけでございますが、多分五十年代の後半以降になるのではなかろうかと、かように考えております。
#217
○山中郁子君 私は、この放送衛星の問題、通信衛星もそうですけれども、三年ほど前ですか、郵政省が相当強硬にごり押しをしたというふうに一般的に言われて、アメリカからの導入という形でここまできているという事態がありますけれども、そういう経過に照らし見ても、やはりもっと明確な、単に技術的に打ち上げさえすればいいんだと、そして実験してみるんだというだけではない、全般的な行政上の問題としての取り組み、準備、把握ですね、こうしたものを進めていかなければならないのではないかということを重ねて指摘をしておきたいと思います。
 最後に、一つはNHKの今回の赤字予算ということで、まあ先ほどからのお話で、なかなか会長もはっきりはおっしゃらないけれども、当然、受信料の値上げをしなければならない状態なんだけれども、一生懸命がんばって値上げをしないで、こういう赤字予算ではあるけれども踏みこたえているんだというふうなことを強調されておりますけれども、私は、やはりそれではこうした赤字というところに追い込まれた真の原因はどこにあるのかということは、郵便料の問題でも電話料の問題でも大臣にもかつてただしましたけれども、これはやはりインフレ、物価高、つまりその大きな原因をつくり出した自民党政府の政治にあるということは私たちは重ねて繰り返しいつも言ってきているんです。そしてこういうふうなインフレ、物価高に対して、その根源をやっぱり解決していく姿勢というものをNHKにもっと強く求めたいと、こう思っているんです。
 というのは、どういう意味かといいますと、単にNHKが一事業所として物価高をなくすためにどういう努力をしろということではありません。やはり言論、報道機関として強力なキャンペーンを張れる、そういうものを持っていて、そして石油パニックのあのころはかなり物価問題、インフレ問題についてのやっぱり意識的なキャンペーンを張られたと思います。だけど、最近は、政府の物価が鎮静したという宣伝にどのように影響されているのかどうかわかりませんけれども、そうした点での努力ないし成果というものがやはり非常に衰退しているんじゃないか、こういうふうに一視聴者としても考えざるを得ないんです。
 で、私は非常に痛感したことは、昨年の暮れですね、ちょうど逓信委員会で電話料金の問題について論議をしているころでした。NHKが電電公社の総務理事の遠藤さんという方を呼んで、そして学者を呼んで、電電公社がいかに電話料金を上げなければだめなのかということを懇切丁寧に報道した番組があったんです。学者の方もまるっきりもう電電公社の言うとおりだということで、一方的に電電公社がいかに赤字で電話料金を上げなきゃならないかという、そういう宣伝番組の観があるかのような放送をされました。で私は公正なNHKだから、それじゃ時を経ずして電電公社、電話料はこういう問題点があるんだという放送をなさるのかと思ったら、それはなさらなかったのですけれどもやはりそういう点で、本当に経営が困難だということが言われておりますけれども、その困難な原因をつくり出しているインフレ、物価高にやはり対応していく、NHKとしての武器を持って対応していくキャンペーンなどもやはり強化をして国民の期待にこたえてもらいたいということが一つです。
 それからもう一つ最後に申し上げたいのは、やはり何といっても放送法の第三条にもありますけれども、民主的な放送ということで強調されているとおり、経営の民主化ということが非常に重要だと思います。たくさんの問題がありますけれども、私は一つだけ経営委員会の構成について意見を申し上げたいと思うんです。
 これは細かく中身の問題としてはたしか逓信委員会で平田議員が指摘をしたと思います。私は自分が婦人であるからという立場だけではありませんけれども、経営委員の中に婦人が一人も入っていないというのは、これは大問題ではないかというふうに思いますけれども、入っていないでしょう。(「一人入っています」と呼ぶ者あり)ああそうですか、失礼いたしました(笑声)。一人しか入っていないと、つまり婦人は半数以上ですよね。そうしてまあNHKのテレビをよく見るのは婦人の方が圧倒的に高いわけです。それから、ことしは藤原先生もおっしゃるとおり国際婦人年でもありますし、やはり何といっても視聴者の、真の視聴者の代表、いろんな肩書きはつけるけれども財界人だけの代表というふうなことでなくて、本当にそうした視聴者の真の層を、声を代表する人によって経営委員会を構成する、そして民主化を図るべきだというふうに考えておりますけれども、この二つの点についてNHKの会長さんの決意のほどを伺いたいと思います。
#218
○参考人(小野吉郎君) 前段の問題につきましては、いまのインフレ収束はひとり内閣だけでなしに、収束は全国民の念願でございます。そういうような見地から申しまして、インフレの原因、インフレの収束に対する世界各国の努力、あるいは国内でいろいろ努力しておられる向きの実例、あるいはどういうようにすればいいか、こういうような問題については、いままでもできるだけ番組では取り上げておるつもりでございます。将来といえども、そのような面につきましては大いに取り上げていくつもりでございます。
 NHK自体の問題について申しますと、これは余談かもわかりませんけれども、いわゆる契約の頭打ちと申しますか、そういったような面が現在の赤字の根本原因でございまして、たとえば昭和四十六年の一〇・六%の収入の伸びをピークといたしまして、その次の年には一〇%、その次には六・八%、たまたまそのころに物価高、インフレの波が高かったんですけれども、そのころにかえって上がるどころか五・六%、五十年度は四・一%しか見込めません。こういつたような面から赤字にならざるを得ないわけでございまして、いろいろ世上では、あるいはセンターの建設とかコンピューターの導入とか、地方の会館の建設がどうこう言われますけれども、これは必要にしてやるべきことをやってきたわけでございまして、根本の原因というものはそういうことにはないのでございます。むしろ、いまの契約の普及の限界に近づくことによる収入の伸びの鈍化、これがやはり原因になっておるということにすぎないわけでございます。
 インフレ収束の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、今後もこれに役立つ世界の例、日本国内の例、そういうようなものをいろいろデータをそろえまして、真剣にこれは番組として取り上げてまいりたいと思います。
 第二段の経営委員の問題につきましては、これは政府任命でございますので、NHKは任命されれば、経営委員会はNHKの最高機関でございますから、決定された意思に基づいて、私ども執行部は忠実に業務を執行するという関係にあるわけでございます。
#219
○委員長(竹田現照君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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