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#1
第075回国会 逓信委員会 第6号
昭和五十年三月二十七日(木曜日)
   午前十時二十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     宮田  輝君     上條 勝久君
     山田 徹一君     柏原 ヤス君
     山中 郁子君     安武 洋子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹田 現照君
    理 事
                長田 裕二君
                川野辺 静君
                西村 尚治君
               茜ケ久保重光君
    委 員
                上條 勝久君
                亀井 久興君
                新谷寅三郎君
                棚辺 四郎君
                松岡 克由君
                案納  勝君
                竹田 四郎君
                森  勝治君
                柏原 ヤス君
                藤原 房雄君
                安武 洋子君
                木島 則夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  村上  勇君
   政府委員
       郵政政務次官   稲村 利幸君
       郵政省電波監理
       局長       石川 晃夫君
       労働省職業訓練
       局長       藤繩 正勝君
       建設省住宅局長  山岡 一男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹森 秋夫君
   説明員
       文部省大学局企
       画官       勝谷 祐一君
       文部省社会教育
       局審議官     望月哲太郎君
       厚生大臣官房審
       議官       須田 秀雄君
   参考人
       日本放送協会会
       長        小野 吉郎君
       日本放送協会副
       会長       藤根井和夫君
       日本放送協会専
       務理事      藤島 克己君
       日本放送協会専
       務理事      野村 忠夫君
       日本放送協会専
       務理事      坂本 朝一君
       日本放送協会理
       事        山本  博君
       日本放送協会理
       事        川原 正人君
       日本放送協会理
       事        中塚 昌胤君
       日本放送協会理
       事        橋本 忠正君
       日本放送協会経
       理局長      堀場 仁徳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(竹田現照君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○案納勝君 私は、去る二十五日に、同僚議員から何点かの質問がなされていますが、まだ明確でない点がありますから、中には重複する点があろうかと思いますが、基本問題、さらに財政基盤の問題その他について質問をいたしたいと思います。
 まず、二十五日に、小野会長から昭和五十年度の収支予算、事業計画及び資金計画の説明を受けました。しかし、その説明の中で大変奇異に感ずるのですが、今日、NHKが置かれている状態というのはきわめて多様多種にわたって複雑な問題を抱えている。これは単に五十年度単年度の問題じゃない。そういう中で、この説明の中では受信料の伸びの鈍化に伴う収支の悪化ということだけでどこに問題があるのか、その基本的な運営機構、機能、そして経営基盤のどこに問題意識を小野会長は持って対処しようとされているのか、ここらあたりが実は判然としない。そして国民の声や批判がきわめてNHKに高まっている。これらが多種多様な実は困難な問題を内包している一つの要因でもある。これらについてどのように国民の声や批判を受け取って対処しようとするのか、その決意について簡潔にひとつお答えいただきたい。
#4
○参考人(小野吉郎君) 先般の予算に対する御説明の中では、予算という技術的な一つの問題点についての御説明にとどまっておりました。今日のNHKが当面をいたしております現状に照らして、NHKとしての問題点というものはこの間の説明に尽きるものではございません。これはよく私も承知をいたしております。
 いまや世界は大きな曲がり角に立っております。日本もさようであります。いままで高度成長、高度成長で非常な成長を享受してまいったわけでありますけれども、世界情勢はそういうような歩調を許さないような情勢になっております。きわめて厳しい状況にあろうと思います。
 片や放送の果たします社会的使命というものはますます重大化しつつある現状ではないかと思います。それだけにNHKに対しましてもいろんな批判が強まってまいっております。このことはまさに放送の使命の非常に重大化しつつあることを物語っておると思うのであります。
 NHKといたしましては、このような情勢にかんがみ、このようないろんなNHKに対する批判にかんがみまして、真にNHKが国民の機関としての存在にふさわしいような経営をいたさなければなりません。これは財政的な、いわゆる経営基盤についてもそうでございましょう。また国民に接する根本姿勢の面でもさようでございましょう。また国民に提供しなければならない番組内容についてもさような面があろうかと思います。これら多様な面に対しまして、NHKに要望せられておりますそれらの必要に十分こたえ得るような体質と運営と機能の発揮でなければならないと私は厳粛に受けとめております。
 そういうような面から、経営の面につきましては、むだのない決して指弾されるようなことのない正しいあり方、また集金等の関係の職員に至るまで国民に接する態度といたしましては、本当に指弾を受けないような謙虚なしかも十分信念を内に持ったそれと時代認識を誤らない、そういった面についての態度を持たなきゃなりませんし、放送番組につきましては、現時、こういった曲がり角におきまして最も国民が要望せられる最も必要な情報の提供、娯楽の提供、教育番組の提供に徹してまいらなければならないと、かように考えておる次第でございます。
 非常に簡単でございますが、以上基本的な私の考え方をお答え申し上げます。
#5
○案納勝君 後ほどそれらの御意見については再度御意見を求めることがあろうと思います。
 二点目は、放送法の中にもNHKの使命、あり方が明らかですが、小野会長はNHKの会長として民主主義というのは、どういうふうに――これは予算委員会で同僚議員からきわめて高い民主主義論争があり、私はそれを求めようというんじゃないんです。私は、NHKの置かれている今日の使命やその機能、この辺から見て、民主主義というものを小野会長はどのように理解をして、民主主義の発展に資するという意味でのNKHの今日の課題について詰めようとされるのか。
#6
○参考人(小野吉郎君) いろいろ民主主義については言われておりますけれども、私の理解いたします限りにおきましては、いわゆる人間尊重の基本の点に立脚をいたしまして、しかも人間の最大限の自由の享受、こういった点を発展さしていくことが民主主義の基本であろうと思います。
 NHKといたしましても、そういったような面から人間尊重、あるいは少数な意見でありましてもこれを軽視しない、こういったような態度が必要ではないかと考えるのでありまして、そういった面から、事あれかしの報道の姿勢とか、あるいは非常に奇矯な社会の一面をいかにも全面の問題であるやの取り上げ方、こういったものは厳に慎むべきものと考えております。どこまでも人間の自由を尊重し、人間の人格を尊重し、その上の総和の上に豊かな明るい社会を建設することが民主主義の原理であろうと思うのでありまして、人間が有史以来いろんな制度を経験した上で到達した最高の英知の結集ではないかと考えておるわけでございます。
#7
○案納勝君 ここで私が申し上げたいのは、民主主義というのは、市民あるいは農民の皆さん、漁民の皆さん、これら一般の国民の庶民といいますか、を大事にする政治が民主主義である。公的権力やあるいは一握りのきわめて力のある層、そういうものを中心にするんでなくして、国民の本当に額に汗を流して働く各層を土台にした政治が民主主義の政治だと思います。こういう政治を発展させる点にどう寄与するかが実は今日NHKが置かれている一つの私の重要な柱だと思うんです。
 しかも、日本放送協会というのは、理念的には国民の機関である。日本国有鉄道や電電公社などという公社、公団と違って、協会自身は受信者、国民が構成員となって、そしてその上でNHKが運営をされる、公的権力からの排除、不偏不党という原則を貫いていく、そういう性格と機能を持ったものだ。その裏づけに受信料制度というのが言論、報道の自由、いま言う民主主義の発展に資する意味での裏づけの対象として制度として成り立っていると思うんですね。私はこのことを実ははっきりしておきたいんです。そこでそういう面に立っているがゆえに、国会や内閣、会計検査院あるいは党は一定の法律の中における関与しかできない。こういう面を明らかにした上で、以下少しく具体的な問題についてお尋ねをしたいと思います。
 そういう機能と使命を持っているNHKというのは、私は、放送番組編集の自由という原則は何にもかえられない原則であり、何人も侵すことのできない原則だと思います。これについて会長そして郵政大臣の御見解を承ります。
#8
○参考人(小野吉郎君) ただいま申されました基本理念、私も同感でございます。
 NHKは毛頭権力団体ではございません。民主主義社会といえどもいわゆる高い指導性とまた価値判断の基準について確固たるものを持たなきゃならぬことはこれは論を待ちません。そうでなければ民主主義も恐らく非常な意見が分かれるわけでございますので収拾するところを知らない結果になるのではないかと思います。ただ、その指導理念なりあるいは価値判断の基準なりを民主的方法において実現することが民主社会において望ましいことではないかと思います。
 よくNHKは国民の意向を聞かない、NHKは番組を与えるんだというような態度ではないかということも言われておりますが、まことに残念でございます。そういう態度であってはならないと思います。また受信料制度の関係につきましても、とにかく取り立てればいいんだ、こういうような非難も受けておりますが、そういう態度であってはいけないのでありまして、NHKのサービスいたします番組あるいは経営姿勢に十分な御理解をいただいた上で喜んで支払っていただく、こういう態度でなければならないと思います。
 そこで民主主義の基本原理に最も沿う番組編集のあり方は、これは放送事業者の編集の自由であろうと思います。どこからも干渉されない編集の自由であろうと思います。私はこれは放送事業としてNHKの基本的な、最も大事な死守しなければならないものではないかと思います。このことが民主主義の発展に役立つからこそ法律もそのような大きな保障を与えております。この保障はどこまでも守り続けなきゃなりませんし、それだけに、与えられた保障が大きいので、その自由を振りかざすということは私はいけないと思いますが、大きな責務を同時に与えられたものと考えるのでありまして、その責務を十分に痛感し、これを実行しながら放送編集の自由はどこまでも守り続けなければならない基本原理だと、かように考えております。
#9
○国務大臣(村上勇君) 民主主義につきましてはいろいろな観点からいろいろの考え方もありましょうが、私は民主主義はやはり最大多数の最大幸福ということを基本理念に持っております。そういう観点から、ただいま案納先生の御意見のとおり、特に公共放送というか、公共放送ばかりでなくて、こういう放送関係につきましての番組編成につきましては、何ものにも左右されない自由な立場で進んでいくということが最も大事だと、かように考えております。
#10
○案納勝君 それでは二十五日に森同僚議員が質問をいたしまして、特に「総理と語る」この問題についてまだ十分な解明をされておりませんが、いままで質疑をやった前提に立ちながら、この「総理と語る」という番組はNHKの自主的な編成の原則に立って行われてきたのか、あるいは政府の要望によって番組が編成されてきたのか、その辺を明らかにしていただきたい。
#11
○参考人(坂本朝一君) 「総理と語る」という番組の経緯について簡単に御説明申し上げますと、御承知のように六〇年安保のときに非常に国論が二分されたわけでございますが、この当時、池田内閣が発足いたしました当時、NHKといたしましては国の政治を預かる行政の最高責任者の総理大臣がテレビ、ラジオを通じて広く国民との対話を進め、国民生活に密接につながる諸問題について総理自身の考えを明らかにしてもらうことは、公共放送として当然のことではないかということで、対談形式による総理出演番組の企画を立てまして、昭和三十六年の十一月NHKの単独企画として第一回の放送を実施したわけでございます。
 この番組は、国会中継あるいは記者会見中継とは別に、総理に直接話を聞くという政治番組としての企画の斬新さが非常に各方面で好評を呼びまして、NHKといたしましても、基本的には月一回ぐらいこの種の番組を放送したいというふうに考えておったわけでございますけれども、いろいろの経緯がございまして民放と隔月に放送するというようなことになり、さらに最近に至って非常に国情その他の問題で月一回というような経緯をたどったわけでございますが、御承知のように昨年七月の参議院選以後中断いたしておりましたのを、ことしの一月から再び「三木総理に聞く」という形で民放が一月、NHKが二月というふうに再開したわけでございます。
#12
○案納勝君 私が聞いているのは、自主編成の原則に――自主番組ということでやったのか、政府から要望があったのかと聞いているんですよ。
#13
○参考人(小野吉郎君) これは当初開始をいたしました当時、政府からの要望で始めたものではございません。NHKが自主的に行政と政治とのかかわり合いの関係について、これが非常に国民生活に益するというようなことから、行政府の最高責任者であります総理にいろんな意見を聞きただしまして、これを国民に知っていただくことが非常にためになるのではないかと、このような面から自主的に判断をして開始をしたものでございます。
#14
○案納勝君 会長、あなたはそう言われるが、衆議院の逓信委員会では、政府からの要望もあってこの番組を開催した。要するにNHKも考えてはいた、しかし政府から要望もあり、これが一致をして実施をしましたと御答弁しております。間違いないでしょう。
#15
○参考人(小野吉郎君) これは中間におきまして、あるいは田中内閣時代に回数がふえたときにそのようなことはありましたけれども、池田内閣当時、当初開始をいたしましたときには政府の要望によったものではございません。
#16
○案納勝君 それでは「総理と語る」という番組の自主編成そのこと自体、政治の中における不偏不党というもの、中立性というものは曲げられている結果になっているんじゃないですか、その辺についてはどうお考えですか。
#17
○参考人(小野吉郎君) 運用上はいろいろ考えなければならない点もあろうかと思います。基本的に申しまして、私は、NHKが不偏不党、厳正、公正、中立、この関係を害しておるとは毛頭考えておりません。
#18
○案納勝君 それじゃもう一回お尋ねしますが、総理というのは行政の長であります。そこで行政の長の意見を聞く、そういう意味でこの番組を編成されたといういまの御意見ですが、ただ総理というのは今日の政党政治の中では与党の総裁です。内閣はその与党の政策に従って政治を行う、それだけに野党との意見の対立もあり、あるいは政策上の違いもある。そういう中で今日内閣が構成をされ総理が存在をしておる。
 そうすると、総理が仮に行政の長という立場で発言をしても、じゃ一党の総裁という立場のけじめはどこでつけるのですか。その辺はどういうふうにお考えになっているのですか。
#19
○参考人(小野吉郎君) 現下の政党政治の仕組みの中におきましては、総理大臣は一党の総裁でございます。一人で党の総裁の立場と一国の総理大臣の立場を持っております。その関係で非常に微妙な点はございましょうけれども、やはり一人でそのような立場を兼ねておりましても、党の総裁としての立場と総理大臣としての立場は厳然と区別さるべきものと思います。
 したがって具体的にはいろいろそういう面が運用上多少疑義を生ずるようなことがあるかもわかりませんが、それはやはり運用上のそれで正さなければならないと思いますけれども、要は、やはりそのような面で区別し得る問題でございますので、総理としての立場に徹してこの番組を続けていくということが非常に意義があるのではないかと、かように考えます。
#20
○案納勝君 あなたね、総理の立場と総裁の立場を区別ができる、そう言われますけれども、それは言葉の上だけじゃないですか。三木総理が政治資金規制の問題で総理という立場で今日まで幾つかの約束をされ、国民にも明らかにされた。しかし、それが現実的に与党内の動き等でその実現がなかなかむずかしいという情勢は御案内のとおり。これに対して、総理は、総理といえども党総裁、与党の決定には従わざるを得ないということを国会の中で明らかにしております。
 政党政治の中では、その政党の政策が内閣によって反映をされていくというのが政党政治のあり方でしょう、どこにけじめをつけるんですか、もう一回。
#21
○参考人(小野吉郎君) これは一党の総裁としてのそれと一国の行政府の最高責任者のそれとは、厳に区別できると私は考えております。
 しかも法案との関係につきましては、政府に提案権がございますので、そのような面についてはいろいろあるいは疑義を生ずる面もあるかもわかりませんけれども、これはやはり政府の最高責任者としての総理大臣の立場という問題もあるわけでございまして、これからどういう立法をしたい、こういうような政府の考えというものは、これは一党の総裁としての考えではなく、政府の最高責任者としての考えと、こういう面は十分あり得るわけでございます。総理はそのように考えましても、自民党の中ではそれがそのようなぐあいにまいらない場合もあるわけでございまして、この点はやはり一党の総裁であり同時に総理であっても、そこに総理の立場と党の総裁としての立場、これは現実にもやはりそのような区別はわれわれの目に映るわけでございまして、私はこれは区分の不可能なものとは考えておりません。
#22
○案納勝君 NHKが大事なことは、あなたがあり得ると理解することじゃない、国民があり得るという理解をするのかしないのかということなんです。会長は国民の負託を受けているわけです。そこにNHKとしての使命や性格がある。一党の総裁あるいは内閣が政策をアピールするのは、今日のわが国の場合は、マスコミや報道機関を通じてさまざまな形で十分な保障がされているんです。その活用を行うべきであって、国民がみずからの金を出してる、そして国民の機関として運営しているNHKが、その精神から、使命から言って、私はきわめて重大問題だと思うんですよ。
 特にお尋ねしたいのは、それじゃ七月参議院選挙から二月までやめた原因はどこにありますか、その点を。
#23
○参考人(坂本朝一君) その経過を御説明いたしますと、七月は参議院の選挙でございますので、「総理と語る」はやらないということを初めから決めておりました。それから八月は恒例夏休みで、毎年その種の番組編成をいたしておりませんので、九月から再開する予定でございましたが、九月、十月、十一月と総理側の外遊のスケジュールがびっしり詰まっておりまして、私どもの方のアプローチに対して総理側から出演の応諾が得られませんでしたので、やむなくやめたといういきさつでございます。
#24
○森勝治君 関連で質問をしたいのです。
 失敬でありますが、私をもって言わしめるならば、この「総理と語る」というのは何かおもねるがごとき気配があると視聴者は残念ながら考えております。私も視聴者の一人であります。この問題につきましては、すでに先般つぶさに私は指摘をいたしました。二十五日でありません。前の委員会で田中総理の出演問題についてつぶさに指摘をいたしましたから、ここで繰り返そうとはいたしませんが、いま質疑応答の中で繰り返されている問題でどうしても見過ごすことができませんから、私は関連質問に立ったのであります。
 公共性、中立性、不偏不党、これはNHK草創の歴史の中で明らかに示されておるわけでありますから、これは皆さんよもやお忘れになっているはずはないと思うのです。しかし、私は先般の委員会でも指摘をいたしましたが、前々回ですかな、指摘をいたしましたが、一例で申し上げますと、御承知のように議会制度の中では与党があり野党があります。それぞれの党には歴史と伝統があります。平和の問題につきましても外交の問題につきましても社会政策の問題につきましても、あるものは共通点があり、あるものは絶対相入れざる思想の隔たりがあります。
 そこで問題が出てくるのは、一国の総理として国民に総理の立場で伝えるときには、少なくとも国の施策として、さらにかいつまんで申し上げますならば、国会で決定をされたものについて国民の理解と協力を求めることであるだろうと思うのであります。ところが、問題は、国会で与野党が激しく政策論議を闘わしている問題について、野党の連中はけしからぬと総理がやゆすることであります。けしからぬのかよいのか、最終的には国会の論議の終結を待ってその法案の是非が決められるわけであります。かりそめにも政府が法案を議会に提出し、その帰趨を求める場合には、時の総理大臣としては、国会の決着を静かに待つのが私は一国の総理のあり方だと思うのでありますが、田中総理のときにはどうだったですか。野党を盛んにけなしたではないですか。法案を国会にゆだねておきながら、国会で論議の真っ最中に野党をけなす、これが一国の総理のあり方でしょうか。これは総理という仮面をかなぐり捨てた一党の総裁としての発言以外の何ものでもありません。だから私どもは「総理と語る」という問題について疑問を持つのです。
 会長、これはこの前もあなたと論争いたしましたから御記憶新たでありましょう。したがって長らく――三十七年ごろから始まったですかね、多分そうでしたね。その後放映を続けて、評判がよろしくないといってやめて、数年間そのままになっておったのを田中内閣のときに掘り起こしておやりになった。そしてまた、いま何か総理の出演が得られなかったということでありますが、これはそうじゃないでしょう。参議院選挙で自民党がふるわなかったから出演がいやになったんでしょう。だからなおさら問題なのですよ、だから。党利党略で最大限にこの「総理と語る」を電波に乗せたというところが問題なんですよ。
 だから私はあのとき申し上、げた。総理大臣を何も電波に乗せるななどとやぼなことは言わぬ。おやりになるのは結構でしょう。しかしやっぱりおのずから限度というもの、中立性というものを侵すようなことがあってはならぬ。そのことが一つ。
 それからもう一つは、何と言っても野党をけなしたりそういうことをすることはいけないことはあたりまえでありますが、あなたいまいみじくも総理と総裁のけじめがつかないことはないようなことを言われた。しかし、これは放映するときに当然政府と取りつけるべきですよ。ここに中立性を誇るNHKの使命があるんじゃないですか。そういう条件が満たされなければ一国の総理といえども出演を拒否すべきじゃないですか。
 それからもう一点、私は申し上げた。国会で論争点のようなものをそういうようにぺらぺらぺらぺら総理にしゃべらせるならば、反対の立場にある野党の代表も党首も同様な扱いで討論に参加さすべきだ。自民党の総裁と野党の何々党とやらせてもいいでしょう。こういうことをやらせなければ片手落ちだし、中立性を希求されるNHKとしては国民から指弾を受けざるを得ないのじゃないか、私はこう前々から申し上げている。
 この点についてはあなたの方では検討をするというお約束のはずだったんでありますが、反省もせずに再開をされたわけであります。したがって先般の私の質問になったわけでありますが、私はいま基本的な問題二点について要約して質問したわけでありますから、この点について明確なるお答えをいただきたい。
#25
○参考人(小野吉郎君) 「総理と語る」の番組につきましては、これは私は非常にいろんな意見もございますが、ただいま御指摘のような政府におもねるんではないか、あるいは権力におもねるんではないか、こういうような投書もございます。しかし大多数は非常にいい番組なんだということで非常な支持を受けておるのが実情でございます。
 ただ運用上は非常に考えなきゃならない面もございまして、総理が同時に総裁を兼ねておりますから、そういうような立場でその辺の混同が起きて党利党略に走ることは毛頭許されないことだと思います。どこまでも一国の行政府の最高責任者としての総理大臣として国民に自分の所信を表明される、こういう限界にとどまることがいいと考えるわけでございまして、そういう面から申しますと、ただいまいろいろ政治上問題になっておる点につきましても、それに触れてはいけないということは私は言えないと思います。これは政治上やはり政党間においてあるいは国会において非常な論議になっておるような問題こそ国民は非常な重大関心を持っておると思うのでありまして、それに対する自民党総裁としての考えでなく、法律の提案権を持っております総理大臣として、一体、どういう内容の提案をしようとしておるのか、そういう点を話されることは私は党利党略に走るものとは判断をいたさないわけでございます。
 そういうことでございますので、今後、過去の例にかんがみまして運用上気をつけなければならない点は認めますけれども、この番組について、これがNHKの中立性、不偏不党性を害するものとは毛頭考えておらないわけでございます。
#26
○案納勝君 いまあなたが論議をされておる問題の考え方を明らかにすることが大事だと、こういうふうに思います。
 国民の多くからいい番組だという評判。まず私がお尋ねしたいのは、あなたの言う国民、いい番組だと受けられる評判が何層で、どういう形でその意見が集約をされておるのか、その点について判断の基準になったことを示してもらいたい。
 もう一つは、あなたも御存じだと思いますが、国営放送と言われる性格を持っておるBBCの中で閣僚放送というのがあります。しかもBBCは日本放送協会と違う性格で国営です。この中でこの種の問題についてどういう取り扱いをされておるかあなた御存じですか。BBCでは、いま言うところの政党政治の中で総理、閣僚が出席をして物を言うことは不偏不党の原則に反する、この立場をとって、まず閣僚放送については三大政党との間にBBCが覚書を交換して、事実の発表、新法律の解説に限られた放送を行う、しかし公平の立場を守って野党に反論のための機会を与えるということが明らかなんですよ。
 あなたの理解というのは、政府が提案した法案を――政府の提案は与党の提案ですよ、政党政治ならば。反対の意見がある、これが今日の議会民主主義の守られている根幹なんです。その争いをやっている片っ方がどうだという内容を説明することは不偏不党の立場じゃないじゃないですか。BBCですらそのことを危惧する、考えるがゆえにこれだけの制約をつけているのです。またBBCには政党政治の放送があります、選挙用じゃなくて。この政党政治の放送については、BBCが各党との間で協議をして、党間で協議がまとまらぬときは放送をしないんです。これが不偏不党、中立の配慮をしたやり方じゃないですか。この点について会長はどういうふうに考えられるのか明らかにしてもらいたい。
 また、先ほど参考人の答弁がありました、首相のスケジュールがつかないから取りやめましたと。この種の番組で、しかも定時化された番組で、スケジュールが確約をとれないままに企画をされることが編集上あり得るかどうか。NHKが受け皿を持ってうろうろしてだ、やってきたのが田中総理の「総理と語る」じゃないですか。参議院の選挙の洗礼を受けてこの国会ですら所信表明しなかった田中さんが、あの金権問題で追及される過程でNHKの「総理と語る」に出たら、話したらどうなるですか。そういう判断も何もできないで、受け皿持ってうろうろするのが番組の自主編成権というものを守っていくという立場ですか。いま一番国民の中でNHKの問題が危惧されるのはそこにあるのですよ。
 ここに、あなた方の職場で働いている、本当に一緒になってNHKを守り合っている職員の人たち、日放労が十万人に当たってアンケートをとった。この中で半分ぐらいは、NHKは政府の立場に立ってまさに国営放送ではないのか、NHKは必要はない、公正中立を表看板にして実は政府の隠れみのの役割りを果たしているのではないか、あるいは不払いのチャンスがあったら同調したい、NHKはスポンサーの政府から料金を取るべきだといった意見や、北海道から沖繩に至るまで、それらの不信感が満ちているんですよ。
 このことで私は小野さんの見解をお聞きしたいと同時に、自主編成権があると言うならば、この「総理と語る」問題について、取りやめるあるいは再検討するという決意があるかどうか明らかにしてもらいたい。
#27
○参考人(小野吉郎君) どういうような方法によってそういった調査をしておるかと、こういう御質問でございますけれども、私どもは無作為の方法による調査をいたしております。これは各種の番組につきまして、本当に国民の意向を十分に吸収し、それに適合するような番組にするために毎月調査をいたしておるわけでございますけれども、これはやはりそういった意見の持ち主がどういう思想、どういう信条の持ち主、どういう方面に所属するかは追及いたしておりません。ただ無作為にそのようないろんな調査をいたしました結果が、この番組につきましては非常にためになるいい番組だというそれが大勢を占めている、こういうことを申したわけでございます。
 で将来の問題といたしまして、端的にこの番組を再検討するかどうか、あるいはやめるかどうかという問題につきましては、私どもやめる意思は持っておりません。検討は、運用上については、大いにNHKの不偏不党の立場の問題として深刻に考えなければならない問題はあろうかと思います。どこまでも一国の行政府の最高の責任者である総理大臣としての立場に限定すべきでありまして、自民党総裁の立場としてこれを運用されることはこれは許されないことであると思います。
 と同時に、いろいろなその問題の渦中に非常な熱い議論が行われておる問題につきましては、私どもはかつては、もういままでもそういった立場から民主主義の原則に従いまして少数の意見もこれは大いに尊重しなけりゃならぬことを先ほども申しました。そういう意味合いから、この問題はやはり国会で論議されて、そうしていろんな民主主義の原則に従って成案を得るわけでございますので、そういった面からいわゆる野党の党首の方々にもそういう問題については十分に発言をしていただく、これを紹介する義務があろうかと思います。現在までもそういう面に配意をいたしておるわけでございますけれども、将来この面についても積極的な検討をいたしまして、NHKの中立的な、不偏不党の存在を疑われないような措置をとらなきゃならない、こういう必要があるようには考えます。
#28
○案納勝君 それじゃもう一回お尋ねしますが、あなたはやめないと言った、しかし再検討はする。私はもう一回申し上げておくんですが、いまのやっているやり方というのは、あなたは先ほどから私とのやりとりの中で検討しなくちゃならない余地があるということを認められた。
 そこで、たとえばBBCあたりがこれだけの配慮をしていることを十分受けて、不偏不党の立場を逸脱するような場合については、途中でその放送を中断するような、中止をするようなことができますか、私はなかなかこれはできないと思う。だからもっと具体的に言うならば、その内容についても十分な協議によって国民の前に明らかにされ、野党側の反論も十分に保障される、こういう立場をしっかり踏まえて再検討してもらいたい。
 なお、私は先ほどの言葉じりをとらえるのじゃないのですが、多数、少数の問題です。あなたがそういうふうに少数の意見も踏まえながら多数の意見を中心に、行政府の責任者で「総理と語る」というこの番組は変える意思はないという話がありましたが、私はここだけ念のために申し上げます。今日の日本の政治の中で、毎日新聞等でも三月二十三日の世論調査、昨年田中内閣以来の世論調査でも内閣の支持率というのは三九%、田中内閣よりもっと下がる。与党の自民党の支持率も四〇%を切っている。そういう政治の状態というもの、国民の意識というものを踏まえなければ、不偏不党という国民の機関としてのNHKの使命というものは私はきわめて大変なものになると思う。その辺についての御見解を後ほどお伺いすると同時に、もう一点、私は引き続いてこれらに関係する問題としてお尋ねします。
 NHK懇話会というのはどういう内容になっていますか。その運営とその中にある政党色はどうなっておりますか、明らかにしてもらいたいと思います。
#29
○参考人(小野吉郎君) その前に、先ほどBBCの例を持ち出されましたけれども、BBCにおきましては国会中継なるものは全然行っておりません。NHKは、国会の中継は、本会議の主要な議題ももちろんのこと、予算委員会における総括質問すべてこれを公開をし中継をいたしております。ここであらゆる政府等の意見もまたそれに対する野党の意見も十分に国民に反映されております。BBCと比べますと、この点から言えば不偏不党を標榜するNHKの立場は歴然たるものがあると考えるのであります。「総理と語る」の番組よりも……
#30
○案納勝君 それはごまかしだよ。
#31
○参考人(小野吉郎君) これはBBCはそのような措置も必要でございましょう。これはそのような国会中継等もいたしておりませんし、野党の声というものを国民は知ろうにも知るチャンスがないわけでございます。NHKは広範に番組全体を御判断をいただければBBCよりもはるかにそういったあらゆる意見が国民に反映できるような努力をいたしておるわけでございます。
 現在の懇話会の問題につきましては、これはNHKのあらゆる問題につきまして、まあ番組の関係につきましては法律上の制度といたしまして番組審議会という制度を義務づけられておりますので行っておりますけれども、あるいは経営の問題、番組の問題につきましても広範にやはりいろいろな御意見を伺うために、これは学識経験者を主といたしまして委員を委嘱して月一回いろいろ御意見を承っておるわけでございますけれども、これはあるいはいろいろな分野の関係については固定的に何分野からどうというような判断は実は持っておりません。人選等で必要でございましたら後刻担当の理事の方からお答え申し上げますけれども、基本的にはそういうような意味合いから広くNHKの経営のあり方あるいは現状に対する批判、将来に対してこうしたらいいのではないか、こういう有益な助言を得るために、実は本部にもそうでございますし、各地方本部の地区にも懇話会なるものを設けておるような次第でございます。
#32
○案納勝君 まず前段の問題です。ごまかしちゃだめだよ。それはね、それはNHKは国会の中継をやっています、BBCはありません。BBCの場合、確かに国会の中継はないかもしれぬ、しかし現実に時間を設定してやっている事実はあるんですよ。おまけにBBCの場合には政党政治放送があるんですよ、政党放送が、政党政治について。そのほかに閣僚放送があるんですよ。閣僚放送というのは「総理と語る」と同じような同質の内容なんですよ。あなたの言うBBCが国民に向けてそういう政治の実態をなかなか知らしてないと言うなら、そのことを補足をして政党政治放送というのをやっているのです。各議席差によって時間数を決めて、最も公平にそれぞれの主張が取り入れられるようにやられている。わが国はないじゃないですか、NHKの中には。
 こちらの方のいいことだけ言って、こういう問題についての見識のなさということを言ったら失礼に当たりますが、もっと政府におもねるんじゃなくて、毅然たる態度をいまこそNHKがとらなければ、今日のNHKの問題は料金を値上げすればいいという問題ではないだけに私は指摘をするのです。それだけにBBCは閣僚放送には細心の注意を払って国営放送でありながら不偏不党の立場を守ろうとしている努力を――私はNHKはもっとその前にいってしかるべきだと思う。私はその点についての小野さんのもう一歩踏み出した決意というものを明らかにしてもらいたいと思う。
#33
○参考人(小野吉郎君) これはいろいろお言葉を返すわけではございません、NHKは努力をいたしておりますという御理解を賜るために申し上げるわけでございますけれども。
 毎日曜日、政治討論会を放送いたしております。この中にはあるいは社公民共四対一で、自民党一人しか出さぬのはけしからん、こういう批判をずいぶん聞くわけでございますけれども、これは厳として私どもは聞いておりません。自民党も代表一人として、しょっちゅうそういった国民の関心の強い問題につきましては随時放送いたしております。国会中継ばかりではございません。
 これはBBCとはたてまえが違いますので、あるいは政党間におけるそういう番組のほかに閣僚の出る番組、そういったものはNHKはつくりませんけれども、政治思想涵養のそれに役立つためには、日常の番組の中に数多くの政治番組を組んでおるようなわけでございまして、そういう中で与党と同時に野党の立場も十分に国民に知らせるための配意は下しており、いろいろ努力をいたしておりますことは御理解を賜りたいと思います。
#34
○案納勝君 検討するということですから、そのことを記録にとどめておきます。十分に公正な、しかもNHKの使命に合うそういう意味での検討を要望します。
 そこで、この懇話会ですが、まず第一にこの懇話会の性格ですが、先ほど会長が言われました懇話会というのは経営一般あるいは財政上の問題あるいは番組等の問題で意見を聞く。しかし、これについては現実に法律で定められている経営委員会あるいは番組審議会あるいはNHKが聴視者向けの意向吸収のためにさまざまやっている施策、足らない足りるはまた別にしましても、そういう中で一定のこなせる問題だ。それを新たにここで四十二年からですか、懇話会が会長の任命によって行われる。このメンバーですが、このメンバーに同僚議員であります自民党の藤井丙午さんが入っているのはどういう理由ですか。
#35
○参考人(野村忠夫君) お答えいたします。
 メンバーの選考につきましては、先ほど会長からお話がございましたように、学識経験者、各地のオピニオンリーダーの方にお集まり願っておりまして、そういった意味合いではあらゆる階層、あらゆる職種、あらゆる地域の方々の意見をできるだけ多彩に吸収したいというつもりで委嘱いたしました。
 たまたま藤井先生は委嘱当時はいわゆる会社の経営者という立場で委嘱いたしまして現在に至っておりますものでございます。
#36
○案納勝君 あなたね、七二年の年鑑には藤井さん入っていますね、確かに新日鉄の役員として。ところが七四年、そして今日なお、しかも自民党参議院議員の現職で、他に役職を持っていてそれに專念をされているんです。
 しかも、その経過を私が調べますと、もう一人高橋幸嗣さん、この二人ともこの会に出席をされて委員となって、参議院選挙期間中はきわめてぐあいが悪いのでその名簿から外して、参議院選挙が終わったら復活をさして今日懇話会の委員として出席をしているというのが現状じゃないですか。七二年から実際委員をやっていて、選挙に出ることは明らかだ、自民党のしかも公認候補として。そう言いながらそのまま表向きは大変ぐあいが悪いから、表向きの名前だけ消して、実際はそのまま同じように引き続いて委員として今日あるというのは、政党から不偏不党で、一般の有識者から事業運営について意見を聞くという立場。今日、先ほど私が申し上げた「総理と語る」という問題とあわせて、大体どっち向いて走っているんだと、NHKは、こういう疑いを持たれたって私は否定することができないんじゃないですか。しかも、これほど窮迫をしている財政の中で、経営委員会に屋上屋を重ねるようなこの種のもの。あわせてもう一回この辺についてもどのように考えておられるかお答えいただきたい。
 あわせて各界のリーダー、事業運営について意見を反映する――日本の人口の中に三千二百万の経営者でない働いている労働者がいます。そのような人々がこの懇話会の中に入っているというのは形ばかり、北海道の片平さんだけ。全くこの運営自体が、あなたたちの言われるところの、冒頭小野会長が言われた高邁な今日の問題意識とかけ離れた実際の運営になっているのじゃないですか。この辺について会長の御見解を聞きたい、どうするのか。
#37
○参考人(野村忠夫君) お答えいたします。
 先生のおっしゃる趣旨は、実際、私どもの協会運営の立場に立つものと全く同じ方向だと、私は感銘深く聞いております。
#38
○案納勝君 感銘じゃないよ、中身はどうするんだというんだよ。
#39
○参考人(野村忠夫君) 実際の動きの中で、そのような方向が疑念を持たれておるという点はまことに残念でございますが、先ほど来申し上げましたように、懇話会のメンバーは各界、各層あらゆる立場の方を委嘱申し上げるという立場で、実は、先生はただいま政党の問題を取り上げられましたが、政党についても特別排除しているわけではございません。現に藤井丙午さんはその後自民党に入られましたから自民党員でございますけれども、他の懇話会では社会党員の方が二人入っております。
 それから懇話会のことだけを申し上げましたけれども、先生おっしゃるように日本の国民の三分の一は労働者でございます。また日本の国民の半数は主婦とかいわゆる一般の市民でございます。私どもが懇話会以外にそういう方々とじかに会長以下の役職員が接触して御意見を伺うという立場で、消費者団体の代表の方々とこれまた月一回あるいは二カ月に一回直接役員と懇談会を特別に設けております。また私ども単に懇談会だけではございませんで、職場に出向きます、青年団の会合に出向きます、団地の主婦の集まりにも出向いております。そういうもろもろの活動全般を通じてひとつ御理解いただいて、先生のおっしゃるような方向で協会としては疑念のない形で運営していきたいと思います。
#40
○案納勝君 あんまり言いわけするとだんだんおかしくなる、余り言いわけしない方がいい。
 各界と月に一回ずつやっていますと、十二回やって、そして役員が出て懇談した人は百十七人じゃないですか、全部で。また実際にあなたたちが視聴者に対するそれぞれの対策をやっていると言って、四十八年度に八百二十二回視聴者懇談会やったと、大体一カ所二十人ぐらいしか集まれぬじゃないですか。そうしてその人たちもつばつけといて、日ごろから私は行きたいと言ったって出席できないんじゃないですか。八百二十二回、一万六千人ぐらいですよ。私はそういうことで、もっとこれを拡大をしていく、もっと広い層に手を入れていく、あるいはその意見を吸い上げるという方法は、こういうことじゃなくして、いままでやってきたものがあると思うんです。いま出せって言うなら、私は幾らでも出せる。
 そういうごまかしを言うんじゃなくて、この懇話会自体でも――私たち国会議員というのはNHKの収支や事業報告はNHKの性格から国会においてこういう審議をすることになっているわけです。郵政大臣は意見書を付すだけになっておる。もし政党や議員にその意見を聞きたければ、二十五日、小野さんじゃないが、各党の通信部会がある、各党の関係の意見を聞くことはそれで十分やれるんじゃないですか。こういう中に現職を選任している、同僚議員ですから言いたくないんです、懇話会の委員として、その経過だって私はいろいろ弁解をされても中身はわかっています。そういう場合については、議員に当選をしたら、やっぱり新たな人を任命をしてやっていくというような配慮というのがあってしかるべきじゃないですか。いまでも毎月一回ぐらいNHKに出入りされているようです。私はこれについては善処方を会長に要請します。
#41
○参考人(小野吉郎君) まことに傾聴に値する御意見を賜りました。実際はそういった面について厳正な態度を示さなければならないと思います。
 NHK部内におきましては、御当選になった当時に御辞退を願わなけりゃならないのではないかという話もありました。いずれはそういうような必要もあろうかと思いますけれども、しばらくはということでこれをそのままにしましたのが私自身でございます。この点は非常に反省もいたしておりますし、いろいろ今後の扱いとして善処をしてまいりたいと思います。
#42
○案納勝君 基本問題というのについては、いままでの論議の中で私の申し上げている真意はおわかりいただけると思います。いまNHKが本当に大事なところにきているだけに、これは申し上げたところであります。最初、会長からその所信と、民主主義とは何かという意味でのお答えをいただきました。その原則に沿って国民の負託を受けるNHKの運営というものが――私は会長だけじゃなくて、NHKの職員を含めて全体がもう一回引き直して国民に語りかける、こういうことが必要だと思います。その点だけ強く要望して次に入ります。
 郵政省にお尋ねをします。財政上の問題、財政基盤の問題でお尋ねしますが、郵政大臣は、同僚議員からの質問もありましたが、今回の五十年度の予算を提案するに当たって、その意見書として「おおむね適当」というふうに一その見解を特段にいますぐ求めるという気はありませんが、私は二百十六億の赤字を抱えて二十五日の質疑の中でも釈然としないんですが、「おおむね適当」という言葉が全く理解に苦しむわけです。で二十五日の大臣の答弁は、小野会長の答弁に引き続いて、二百十六億というのは資本収入等によって一応収支合わした、こういうことだから「おおむね適当」だと私は思うという答弁が大臣からなされた。私は全く、大臣、郵政省は何考えているのかと、そういう疑問にとらわれざるを得ないんです。
 NHKの使命とする任務や機能というものを守り、その裏づけであり、その柱である受信料制度というものを守っていくことは郵政省としても重大な責任がある。今日の赤字、これだけの赤字を出すという、このことの想定は、もう二、三年前から私はNHKのこの予算を見、いままでの収支決算を見たら出てきているんです。そういう中に立って、郵政省は今日まで受信料制度による財政基盤の確立、こういう面について具体的に何をやってきたのか。積極的な施策あるいは積極的な提言というのが、郵政省が法律で示されているNHKに対する関与をする分野の中で私はできる範囲があったと思うんです。それらについて何をいままで具体的にやってきたのか、郵政大臣の意見書とあわせて、郵政省側からの見解をお聞きしたいと思います。
#43
○政府委員(石川晃夫君) 初めに御質問のございました意見書の「おおむね適当」という表現でございますが、これにつきましては大臣からも御答弁申し上げましたが、それを補足さしていただきます。
 私たちがこのNHKからの事業計画書等を見せていただきましたときに、この内容について、やはり御指摘のように、非常な赤字、二百十六億の赤字というものが出ているわけでございます。しかしながら、この赤字の原因を検討いたしますと、当時のいわゆる狂乱物価によりまして、わずかの間に非常に物価が上がった、人件費が上がったということでございまして、この赤字が出てくるのはそのような結果として出てきたということがわかったわけでございますが、ただ、事業計画の内容を見ますと、やはりNHKが今後公共的放送機関としてやらなければならないというような事業計画をその中に持っているわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、NHKのその性格というものから判断いたしまして、それと同時に、ただいま申しました経済的な問題と両方を検討いたしまして、NHKとしてはその使命から見て、このような事業計画を組むということは「おおむね適当」であるというふうに判断したわけでございます。
 それから次に、このような赤字の問題については数年前からわかっていたではないか、それを郵政省としてはどのように具体的にその指導なり措置なりを行ってきたのかというような御質問でございますが、これにつきましては、実は、私たちの考えといたしましても、NHKは受信料を唯一の収入源として放送を行っているわけでございます。しかも、それは自主的な公共放送機関というたてまえをとっております。したがいましてこの経済基盤というものを確立するということは非常に重要なことではございますが、ただ、NHKの自主性の問題ということから考えますと、われわれの方といたしましても、この経営内容にタッチするということは非常に問題でございますので、その点につきましてはNHKの自主的判断にまつという方向でわれわれは従来指導を行ってきたわけでございます。
#44
○案納勝君 NHKの自主的判断はそれは確かにそうなんです。NHKは先ほど繰り返すように受信料制度によって国の公的権力から独立をしているわけです。
 ところが、私が言うのは、すでに三年、四年前からその収支を見ると、カラーテレビについては頭打ちの状態、受信料については実績はだんだん低下をするばかり、そして事業収支の赤字は拡大をする傾向にあったことは事実でしょう。その事実を確かに編集権や自主的なNHKの立場だからといって私は関心を持たないというのは郵政省の怠慢だと思う。
 その上に、郵政省には国際放送を命ずることができる、あるいは研究を命ずることができると、こうなっておる。この経費については負担を国で行うと、こうなっておるのです。
 ところが現実に郵政省は、ここに四十九年度の命令書があるけれども、この命令書を見ても官僚の作文ではりっぱなものですが、今日の国際放送の経費負担の問題を、二十五日、新谷先生から御指摘がありましたが、もっと改善をして国際放送の今日における役割りというものについて、なかんずく昭和三十九年九月八日に郵政省が開いた臨時放送関係法制調査会というのがある。それに何と書いてありますか。
 国際放送というのは外国との親善の増進や平和的な経済交流のために、あるいはわが国の文化、産業その他を世界各国に伝えて正しい認識を培い、その上で国際親善を本当にわが国というものを認識してもらって拡充強化を図っていかなくちゃならぬ、そのために最大限その機能を発揮しなさい。今日の受信料制度からいうと、その性格づけからNHKの業務の範囲の定め方と関係において若干の疑問がある、これは当然のことです、あるが、一応、法律的にはNHKの必須業務の一つになっている。しかし、なっているとしても、国を代表して国際理解を深め、国際親善に役立たせようとするなら、諸外国のこのような関係から見て国費の負担によってその格段の機能の強化をしなさい、こう言って三十九年から指摘をされてきているんです。あなたたち郵政省が開いた調査会の答申であります。
 現実にNHKの予算ではことしの国際放送は二十億かかる。ところが政府の交付金は三億四千二百三十四万円何がし、まさに国際放送を命令することができる、ここに命令書がありますが、本当に郵政省として今日の公共的なこの放送を守って、その果たさなくちゃならない分野を果たしながら積極的にその具体策に取り組んでいくという姿勢は私はどこにも今日の中に出てこない、この辺についてもっと大胆に私は郵政省としてこの国際放送の問題についての経費負担については法律の趣旨からいっても、この答申の内容からいっても行うべきだと思う。郵政省の見解をお聞きしたいと思う。
#45
○政府委員(石川晃夫君) 初めに御指摘ございました収支の問題でございますが、これについて郵政省は怠慢ではないかというおしかりでございますが、確かに先年米NHKの収入というものはカラーの伸び悩みとそれから未収の問題などございまして、いろいろ赤字がふえてきたというのは実態でございます。それにつきましてNHKの側におきましては、私が先ほど申しましたように、経営の改善について十分努力をされてきたわけでございます。私たちといたしましても、そのNHKの経営努力というものについて大いに期待をしていたわけでございますが、今回の五十年度の予算におきましては相当多額の赤字が出てまいってきております。したがいまして、この意見にございますように、この際経営の健全化というものについて十分心をいたして今後の経営を行っていただきたいということを特にこの意見書において要望しているわけでございます。
  〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕しかしながら、このようなことでございますので、今後ともNHKと十分連絡をとりまして、その赤字の解消に向かってひとつ十分努力していただくよう相談したいというふうに考えております。
 それから次に国際放送関係でございます。先生御指摘のように三十九年の臨放調におきましてこの国際放送について政府は十分力を入れるべきであるというような答申が出ているわけでございます。私どもといたしましても、この点につきましてはこの答申を受けまして十分努力してはまいりましたが、実質におきましてはこの予算というものの伸びがほとんどなかったわけでございます。ようやく四十八年度から大蔵省の方でもこの国際放送の重要性というものを認めていただきまして、昨年、それから五十年度の予算案におきましても従来に比べましてはやや増加した額が計上されているわけでございます。
 国際放送自体につきましては、五十年度NHKの方といたしましても約二十億程度の予算を考えているわけでございますが、政府の命令分といたしましては、その中に三億四千二百万という命令分を組み込んで国際放送をやっていただきたい、このように考えております。
  〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
#46
○案納勝君 二十億の中の三億四千二百万、そのうち放送費は一億六千六百万ですね、給与が一億七千五百万です、管理費が三十五万二千ですか、今日の国際放送を行うに当たってこれだけの経費――国が命令をします国際放送は確かにNHKの必須の事業であることも間違いない。しかし、努力をいたしまして三億四千二百万でございます、まさにそんなこと言えるかね、これ、金額的に。四十六年、四十七年まではほとんど一億四千万ぐらいの経費負担ですね。四十八年度から五千万ないし四千万ふえて、ことし九千万ふえている、前年に比して。私はいまあなたが言われた経営基盤の確立にNHKと相談をしていきます、私はよけいな相談する必要はないと思う。
 それよりあなたのやることは分担をして、しかも命令をしてやらせる分野についてどれだけ郵政省が、三十九年以来何もやってこなかったわけだから、今日の曲がり角にあるNHKの運営その他を考えると、しかも国際放送という重要な国の施策として考えるときに、私はこれを増額をしていくという二十五日の新谷先生の御質問にあったようなことは、与野党を問わず、当然のことじゃないかと思う。私はその点について、郵政大臣おいでになりませんが、次官がおいでになっているから、明年度にかけての実質的なこれらについての改善策を郵政省がとっていくということについて明らかにしてもらいたいと思う。
#47
○政府委員(稲村利幸君) 案納先生の御意見、大変私も拝聴しておりまして、ごもっともでございますし、その御意見に沿って真剣に努力してまいりたいと思います。
#48
○案納勝君 次いで郵政省に。
 いま国際放送の聴取状況というのが諸外国の国際放送と比べてわが国の場合は立ちおくれがある、戦後。おまけに、きわめてヨーロッパなどは聞こえないという、全く聴取することが不可能だという状態が多い。ヨーロッパだけじゃない、欧米においても同じですね。私はしばしば国際交流で回って、どこへ行っても実はなかなか聞きとれないという経験を持っておる。そういう面から多くのわが国に対する無理解というのがまだ国際的に残っています。
 郵政省がいまNHKの国際放送についての命令に伴う経費負担とあわせて手をつけなきゃならないのは、この国際放送における聴取状況、この改善がいま最大の急務です。パワーのアップあるいは周波数の問題もありましょう。これらについて郵政省としてはどういうふうに進める考えなのか、またその点についてどう考えているのか、簡潔に答弁をしてもらいたい。時間がないから、簡潔に。
#49
○政府委員(石川晃夫君) 国際放送につきましては、御案内のように短波の周波数を使って実施しているわけでございますが、この短波の周波数の性質上、受信する時間とか季節あるいは地域または周波数、こういうものによってそれぞれ受信状況が異なってくるわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のございましたようにヨーロッパの一部とかあるいは北米の東部などの地域におきましては、日本から遠く離れているために電波が非常に弱くなりまして、そうして受信しにくいという状態になっているわけでございます。さらにその上、各国のやはり同じような種類の国際放送による混信がございます。そのためにも必ずしも受信状況は良好ではないわけでございます。
 その現状を申し上げますと、現在、国際電気通信連合に登録されております国際放送としては、三千三十四あるわけでございます。ところが、これに必要な使っております電波の周波数は四百六十二ということでございますので、一つの放送について大体六・五局ぐらいが同じような周波数を使っているという状況でございますので、非常に込んでいるわけでございます。このような状態を改善するために、現在、各地域におきましていろいろ受信状況の調査を行っております。
 郵政省といたしましても、四十八年度、四十九年度で南米方向あるいは欧州方向、こういうところでいろいろ受信状況の調査を行っておりますし、また外務省でも現地におきましていろいろ調査を行っております。その結果をわれわれ受けまして、この改善方法というものを検討しないといけないわけでございますが、先ほど申しましたように周波数が非常に世界的にも不足しておりますので、なかなかこの解決というものは楽ではないというふうに考えております。したがいまして、この問題につきましては関係方面、特にNHKと十分相談いたしまして、いかにして改善するかということを今後も検討を続けていきたい、かように考えております。
#50
○案納勝君 特に国際放送の拡充強化については、特段のひとつ配慮を要請をいたしておきます。
 次いで、各省お見えになってますか。厚生省、労働省。それでは各省及び郵政省の方にお尋ねしますが、いま三木内閣は、弱者といいますか、弱者という言葉は使いませんが、社会的公正を確保する、きわめて弱い層、社会的にきわめて手を差し伸べなくてはならない層に対する福祉政策というものを政策の旗じるしにしている。
 本来、この福祉政策というのは国が行うものなのか、国民が行うものなのか、いずれなのか、ひとつ郵政大臣、労働省、厚生省の皆さんにお聞きをしたい。
#51
○委員長(竹田現照君) どなたから答弁ありますか。
#52
○国務大臣(村上勇君) 福祉政策は、これはもう国で行うということでございます。
#53
○説明員(須田秀雄君) 先生御案内のとおり社会的公正というものは国民の期待に沿いまして年々充実発展してきております。非常に国民各層のニーズが多様化してまいりました今日におきまして、当然、厚生省を中心といたしますいわば社会福祉関係の行政機関の責任というものは、これは重大化していることは御指摘のとおりでございますけれども、ひとり厚生省の責任と申しますか、厚生省の行政分野だけでなく、関係行政機関あるいは民間団体、国民各層の幅広い御支援と御協力がなければ、国民の期待にこたえられない段階に社会的要請が発展してきておると考えます。
#54
○政府委員(藤繩正勝君) ただいま厚生省からお答えがございましたように、一般的に労働省も労働福祉という面で福祉政策の一環を担っておりますが、一般的に申しまして、政策でございますから国の責任においてなすべきことはこれは言うまでもございませんが、やはり特に福祉政策の面におきましては国民各般の御協力、御支援というものが欠くべからざる前提要件ではなかろうかというふうに思います。
#55
○案納勝君 いま御答弁いただきましたように、福祉政策は国が中心になって行うべきだと、このことはもう原則だと思いますが、さまざまな協力というのは国民がお互いに手を差し伸べるということ、これは否定しているものじゃない。そのことも当然ですね。
 そこで私はお尋ねしますが、ここでもう一回郵政大臣にお尋ねしたいのは、NHKの受信料制度というのは今日のそのあり方からして、国の出資でなくして受信料一本でその経営、運営を行っているということは、国民が支払うこの受信料というのは放送の対価でなくして、見せてもらうから金を払うんじゃなくして、放送のために、税金でもなく、NHKの業務を行わさせる分担金として払っているというのがその性格だと思う。この受信料の特殊性格、そしてそれに基づいたNHKのあるべき姿というのはけさ来から論議をしている。それだからこそ政府の公的権力は介入をしないという原則が成り立っている。国会における審議は、国民の代表として国会議員が国会において審議をしている、こういう立場にある。ここに私はその性格があると思うのですが、そうするとNHKというものは国民の事業である、国民が受信料を出してその事業を運営をしている、こういう立場にある。このことについて認識がお互いに誤りないのかどうか、郵政大臣にお聞きをしたいと思います。
#56
○国務大臣(村上勇君) 社会福祉事業施設、文教施設等に対する受信料の免除は、大正十五年にNHKの前身である社団法人日本放送協会が発足した当初から今日まで引き続き実施してまいったものであります。で、これは公共放送としてのNHKがその本来の使命として社会福祉的見地ないしは教育的見地等から実施してきたものでありますが、これらの受信料を国が負担することにつきましては、受信料制度の根幹に触れる問題でもありますし、またNHKが長年にわたり自主的に免除してきた経緯もありますので、なお関係の向きと相談しながら慎重に検討してまいりたいと思っております。
#57
○案納勝君 ちょっと大臣の答弁は早過ぎたんです、その答弁は。
 私が聞いたのは、先ほど私が言ったことについて誤りがないのかとこう聞いた。NHKの受信料という性格、要するに公的権力を排してNHKが存在をしている認識について聞いたんです。
 そこで私はNHKにお聞きしますが、いま免除をしている具体的な中身ですね。全額免除、半額免除の施設、あるいはこれらについての金額、こういった点について明らかにしてください。
#58
○参考人(川原正人君) 現在、NHKでは社会福祉関係、教育関係あるいは基地等の問題につきましてそれぞれ免除の基準を設けて、全額あるいは半額の免除をいたしております。大変多項目にわたりまして、五十年度の予算で総体的に申し上げれば全部で免除の金額は三十三億円になります。ただし、このうち一部基地等の免除につきましては政府関係より後ほど補てんもございますので、正味NHKが免除という形で負担をしております金額は二十六億五千万ほどになります。
 さらに若干内訳的に申し上げれば、このうち社会福祉関係、これはいろいろ社会福祉関係の施設でお持ちの受信機に対する受信料、それと生活保護関係の世帯、これに対する免除額、これを合わせまして全部で十七億円になります。それから学校教育関係の、これは主にほとんど施設でございますが、この受信料の免除額が約九億五千万円。そのほか法務省、労働省関係の施設等の免除もございますが、これは数百万円でございます。
#59
○案納勝君 そこで私は各関係の省にお尋ねをしますが――その前に、大臣ね、私が先ほどあなたの見解ちょっと早過ぎるとこう言ったのは、NHKというのは、受信料というのは税金でもなく聴視料でもない、見ているからというその対価でもない。それはNHKの事業を運営する負担金なんだ、国民は。これが要するに受信料の性格なんだと、ここに公的権力の排除が生まれ、中立性が生まれるんだ、こう言ってその性格に間違いないと思うのです、認識に。
 そこで、あなたの答弁の中に、確かに従来大正時代から長期にわたってこれが行われてきた、私はそのとおりだと思いますね。しかし、よく考えていただきたいのです。NHKは、大正段階では、大正四年六月の無線電信法によってNHK日本放送協会が生まれてきているんです。そのときは「政府之ヲ管掌ス」となっているんです。人事の面から財政の面から、いまと比較にならぬほど政府の管掌下にあったわけです。国の機関であったわけです、ある意味では。だから国の機関が社会福祉施設について、それらについて施策をしていくというのは私はいままでもきわめて重大な政策の一つだと思う。ところが今日の段階、今日の放送法、放送民主化の中で一貫をしているのは、国の公的権力はありませんよと、国民がそれぞれ負担しているんですよと、こういう性格にいま明らかになっているんです。だからその違いというのは私ははっきりさせなくちゃいけない。
 たとえばいま報告をされましたこのNHKの受信料について、国民の負担によってNHKの事業が回っている、国民が事実上そう回している。政府から金がほとんどないわけです、負担しているのは国際放送くらいのものなんです。そういう中で二十何億も当然国がやらなくちゃならない施設の福祉関係のやつを国民が分担をしているというのは、歴史的にそうだからといって、変革をされている今日のNHKの本来のあり方からいっておかしいのじゃないですか。なかんずく児童福祉施設、生活保護施設、身体障害者更生援護施設、社会福祉事業施設、刑務所、職業訓練所、青少年矯正教育施設、こういったものは国の補助によって、国の運営によって行われているんじゃないですか。テレビの受信料は四百何ぼですね、一台。当然、その行っている責任行政官庁がその経費については一国民と同じ立場で受信料をやはり払って負担をし合っていくという状態はあるべきじゃないでしょうか。
 学校の場合も、学校教育の場として大変貴重な教材を提供していると思う。しかし文部省の学校教育、教育方針、教育課程、文部行政から見ても、文部省が学校の受信機についての受信料は支払いをする。要するにそういう立場こそ国民のNHKに対して国がとる当然の施策じゃないか。
 二十何億も、きわめて厳しい経営基盤の中で、私は、野放しにこういうことについて政府がああNHKがやってくれるんだからもの頼むわといった調子のやり方だけでは済まない今日ではないかと思いますので、各省の関係者の皆さんの御意見を承りたい。特に大臣にお願いしたいのは、今日もう予算があれしていますが、可能な限り今年度中でも、あるいはむずかしければ明年度の予算編成の段階には、政府の方針として、私ははっきり所管の大臣としてその措置についての方針というものを出していただきたい、この点についてひとつ答えていただきたい。
#60
○国務大臣(村上勇君) NHKが自主的に永年にわたって負担してきておるものであります。まあ歴史とか伝統というものをわれわれはやはり重んじていかなけりゃなりませんので、急に大正以来継続しておるものを、御意見はよくわかりますけれども、すぐどうしますということはちょっと私確答はできませんが、しかし関係方面と十分相談して、ただいま御指摘の点を頭に入れながら、前向きで検討してみたいと思います。
#61
○案納勝君 文部省。
#62
○説明員(望月哲太郎君) お答えいたします。
 この問題につきましては、私どもといたしましては、従来NHKの方で公共的性格にかんがみまして長年の間免除という制度をとっていただいておりますので、私どもといたしましては、できれば今後とも深い御理解と御協力のもとにこの制度が継続されることを希望いたしておる次第でございますけれども、ただいま郵政大臣の方からもお話しございましたように、今後、十分検討さしていただきたいと思います。
#63
○案納勝君 労働省と厚生省。
#64
○政府委員(藤繩正勝君) 先ほどNHKの方から申されましたように、労働省関係は職業訓練関係、金額としてはごくわずかでございますが、学校に準じまして取り扱いを受けております。
 先生御提案になりました問題につきましては、私どももその立論を別に否定はいたしませんが、実は、私どもの関係でも国鉄の運賃割引というような問題がございまして勤労青少年につきましてお願いに上がったことがございますが、やはりこれは既存の体系が学校などでは確立されて、しかし新たに入る場合には、いま先生がおっしゃいましたような議論でずいぶん難航いたしましたが、まあ当分の間ということで認めていただいたような経験もございます。先ほど郵政大臣も申されましたように、いろいろ長い間の沿革があっての今日の制度でございますので、御議論よくわかりますけれども、いろいろ関係方面ともよく連絡をいたしまして検討させていただきたいというふうに思います。
#65
○説明員(須田秀雄君) お答え申し上げます。
 ただいま労働省の方からも御答弁がございましたように、私どもといたしまして、この放送受信料の実質上の免除というものが福祉の向上に非常に役立っているという意味で、いろいろなNHKの御配慮に厚く感謝しているところでございます。郵政省御当局の御方針が出ますれば、ひとつ十分私どもとしても御相談してまいりたいと存じますが、ただ技術的にもなかなかむずかしい問題もございまして、福祉の後退になりませんようにという方向でいろいろ御相談してまいりたいと思います。基本的には、事情が許す限り、いままでの方法でお続けいただければありがたいということを重ねてお願い申し上げて、今後、御相談に応じさせていただきたいと思います。
#66
○案納勝君 大臣の答弁もあり、各省の答弁もありましたが、私は先ほどから言うんですが、たとえば国鉄の免除の問題とか電電公社とかあるんですが、これはNHKは国鉄や電電と違う性格なんです。歴史的な沿革というのはある、あるけれども、先ほど言ったように歴史的には戦前までは国の管掌事業だったわけで国がやることは当然のことです。いまはそうでないというところに問題があり、しかも財政の危機があるという、これは国民全体にとって単に受信料を上げればいいということでないだけにそれを申し上げているわけです。
 だから、この認可については、法によれば大臣の認可がなければ認めることができないわけですから、その点は大臣の方で日本放送協会というもののあり方、任務、使命、そういうものを十分ひとつお考えいただいて、国がやる分担、そして国民が分担をしていく分野、これはよく御理解をされていると思いますが、ひとついまの状態というのを、単に先ほど冒頭申し上げましたように単年度の問題じゃない、NHKの。そのことを十分にひとつお考えいただいて、少なくとも明年度の予算編成までにはこの辺についての大臣の賢明な措置がとられますよう特段に要請をしておきたいと思います。
 そこで、私は、もう時間が余りありませんが、二、三点具体的な面について心配の点がありますので、NHKにお聞きをしたいと思います。
 経常事業収支の赤字が二百十七億、これは特別収支を合わせれば二百十六億になるんですね。これは長期負債の返済の繰り延べの八十七億円の充当、残金は借入金によってひとつ補てんをしていく、収支を合わせるというのが二十五日に答弁ありましたね。
 ところが、このつじつまは合うんですが、借入金などについては百二十八億八千万に上るだろう。銀行借り入れの限度額というのがありますね。この限度から見て調達できないんじゃないか。この辺についてどういう資金をこれに充当していくつもりなのか簡潔に答弁をいただきたい。
#67
○参考人(山本博君) NHKの長期資金の調達につきましては放送債と長期借入金両方あります。ただいま御指摘がありました長期借入金、金融機関からの借り入れにつきましては限度額というのはございません。放送資金の方につきましては放送法によって限度額がついてございます。長期借入金の方については、そのときの金融情勢によりまして自由にあんばいできるという状態になっております。
#68
○案納勝君 それでは五十年度はわかりましたが、四十九年度の収支の見込みはどうなっていますか。それでその対策はどういうふうに考えていますか。
#69
○参考人(山本博君) 御承知のように、四十九年度の予算はまだ最終決定まで多少の日にちがございます。それから決算まではまたこれも五月でございますので、最終の数字までは確定はいたしておりません。しかし、この一年間非常に苦しい予算執行の状況がございまして、支出の上にも当然物価の上昇によりまして相当切り詰めなければなりません。収入の方もいろいろなむずかしい条件がございまして、初期に考えましたほど完全に収納ができるか、この点につきましても相当な苦心をいたしました。現在、ただいまの状況におきましては、収入の方におきましてはやや当初の見込みに欠けるところが出てくるかもしれません。しかし、これはごくわずかでございます。それから支出の方は、これは年度の中途ぐらいから今日の状況も見通しまして相当節減に努力をいたしまして、大体、予算で決められた枠の中でおさめることができるというふうな見通しを持っております。
#70
○案納勝君 それじゃ補正予算などということは考えなくてもいいわけですか。
#71
○参考人(山本博君) 全く考えておりません。
#72
○案納勝君 それじゃわかりました。
 内容的にもう一点だけお尋ねしますが、経常事業収支の場合、昨年比でことしの場合は一六・八%伸び、そういう状態にあって受信料の伸び率というのは四・一%という微増ですね。これは政府の五十年度経済見通し、消費者物価の上昇を一一・八%、年度中の上昇九・九%などというのを基礎にして立てられたと思う。しかしながら、この経常事業収支の増加率というのは、その中で特に国内放送費などの増加率というのは過去四年間の最高になっているわけです。
 私はここで心配をしているのは、今日の収支の段階で、事業収入が四十六年から見ても毎年のように事業収入が減ってきていますね。ところが支出の方は実はふえてきている。しかも欠損の状況、未収受信料の欠損を見ても、四十三年から五十年を見ますと、この欠損はますます受信料に対する割合は拡大をしてきている。たとえば四十三年は欠損の見込みは四億六千四百万ですか、これが受信料に対する割合は〇・六。ところが五十年度では十六億六千四百万円、割合は一・三。このように未収受信料の欠損状況というのは年々増加をする、こういうところに私は危機を言うのです。こういう中でこの経常費の支出は経済見通しより盛んに上回った十六・八%、収入の伸び率は微増、欠損については年々拡大をしているという中で、この収支、NHKの財政というのは私は大変実は心配をせざるを得ない。
 そこで聞きたいのは、放漫な経営に陥っているわけではないと思います、しかし、この考えの中には、料金を値上げさえすればいい、来年度は受信料を値上げすればいいのだ、こんな考えがあるのじゃないか、こう疑うのです。その路線の上でことしの五十年度予算をともかく国会で認めてもらう、こんな姿勢じゃないか、こう思うのですが、会長のひとつ見解を聞きたいと思います。
#73
○参考人(小野吉郎君) 端的に申しまして、ただいま申されましたような、まさにNHKの経営の現状というものはいろいろな点に非常な重要な問題を抱えております。その切り抜け策に安易に値上げさえすればいいのだといったような考えは毛頭持っておりません。これは過去のNHKの歩みから申しましても御理解を賜り得ると思うのでございます。
 NHKが、これはテレビの普及の度合いが非常に恵まれたといったような面にも支えられた面もございまして、これが必ずしも私どもの経営努力とは申しません、そういう口幅ったいことは申しませんけれども、値上げとして取り上げましたのは、三十四年と申しますともう十六年前でございます。ラジオ料金を六十七円から八十五円に上げましたのが初めて値上げと言えば値上げでございます。その後三年たちました三十七年にはこの八十五円の料金は五十円に下げました。テレビはその当時三百円でありまして、テレビとラジオを大方両方持っておられますので、ラジオ料金は八十五円、これは両方を払ってもらうたてまえになっておりましたが、一世帯についてラジオ料金をいただき、さらにテレビ料金をいただく、これは支払われる側からいたしましても非常に不可解なことだったと思います。そこでこれを一本化いたしまして三百八十五円を三百三十円に一五%値下げをしたそれで実はテレビ、ラジオ合体の料金にいたしたわけでございます。体制からいえば料金調整でございますが、実質はいずれも値下げといったような形で処理をいたしております。それがずっと四十三年まで続きまして、四十三年にはカラー料金を設定いたしましたが、世間ではあるいはこれは白黒の料金に百五十円を加えましたので値上げと理解される向きもあるでしょうけれども、これは新しいカラーサービスに対する一つの料金設定でございまして、料金の値下げとか値上げとかいう問題では私はないと思います。
 それはとにかくといたしまして、四十三年以来、高度成長からいろいろな過程を経ましてその間に新聞料金ももちろんでございます、その他の公共料金もそうでございます、一般の物価についてはもちろんでございますが、数度にわたり、あるいははなはだしいのは一年間に二度もやっぱり値上げを来しておるというそれが、四十三年度以来全然手をつけてはおりません。で先ほど御指摘のような四十六年度の収入の伸びの一〇・六%を最高にいたしまして、四十七年度以降は漸次収入の伸びが下がるような状況になります。物価は逆に上昇の傾向をたどっておりまして、そういう中で沖繩返還があり八億二千万の赤字を実は計上したわけでございますけれども、まあ安易に考えれば、実はそのときに安定した料金体制をとるべきだったでございましょう。極力NHKとしては値上げの関係については慎重を期しておりますので、これは耐えてまいりました。たまたま田村町の土地がああいった値段で売れましたので、その後収入はさらに鈍化し物価は上昇し、通常ですと経常収支には赤字が出るのでございますけれども、この売却益金をもってつないでまいったのが今日の状況でございます。そういうような状況で五十年度におきましても実質二百十六億の赤字を抱えましても値上げは慎んでおります。
 五十一年におきましても、これは真っ先にまず値上げをすれば問題が解決するんだと、こういう安易な気持ちでは毛頭考えておりません。まず私どもが冗費を節約し、切り詰めて、合理化し得るものは合理化する、これを先決に考えておりまして、あるいはこれでどうしても間に合わない場合には必要最小限度の経費負担増をお願いしなければならないのではないか。これは第二段、第三段に考えておるわけでございまして、安易に値上げをすれば問題が解決する、こういう態度は実はとっておらないわけであります。
#74
○案納勝君 それでは文部省の方にお尋ねします。
 放送大学は、一応、NHKで実験をしてまいりましたね。現在は終わっていますが、今後、どのように進めようとされているのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
#75
○説明員(勝谷祐一君) 放送大学につきましては、かねて文部省に放送大学設置に関する調査研究会議というものを設けまして、ここで検討をいたしてまいったわけでございますが、実は、昨年三月に放送大学の基本構想というものをお取りまとめいただきまして、その中で幾つかの要点が挙げられておるわけでございますけれども、その一つといたしまして放送大学の設置を主たる事業といたしまする特殊法人をこしらえまして、それが同時に放送局の免許を受けてみずから放送番組を制作する、そういう構想になっております。現在、この構想を受けまして、先ほども申し上げました調査研究会議の方針といたしまして放送大学創設準備調査会というものを組織いたしまして、そこで具体的に検討を続けておるという状況でございます。
#76
○案納勝君 会長にお尋ねします。
 放送大学にNHKは関与をしませんね、する考えはないですね。
#77
○参考人(小野吉郎君) 放送大学自体をNHKが実施しようという考えは毛頭ございません。あるいはいろんな国の方で計画せられました放送大学構想ができて、その関係に関連をいたしまして何かやはり技術的の問題でございますとか、あるいは番組編成上の知恵をかせといわれるような、そういう関連ができれば、その限度の御協力はあるかもわかりませんけれども、私どもとして放送大学に意欲は持っておりません。
#78
○案納勝君 文部省にお尋ねしますが、いまの構想でいきますと、これは別個の事業団ですか――ということになりますと、NHKと関係ありませんね。
#79
○説明員(勝谷祐一君) 機関といたしましては全然関係がございません。ただ、先ほど会長もおっしゃいましたように、つくります過程におきまして、いろんな調査会議への御参画などをお願いいたしまして、手続的な協力などを得ていくということでございます。
#80
○案納勝君 それじゃ時間も来ましたから、総括的に会長に御見解承りたいのですが、一昨日、同僚議員であります藤原先生からの質問で、第四次長期経営構想というのは御破算になった、事実上、見直されて。新しい五十一年度からの構想というのは練り直さなくちゃならない、こういう見解を述べられましたね。
 私は、けさ来、会長あるいは大臣等とのやりとりの中で、NHKの公正、中立であるべきあり方の問題、世界に類を見ない今日の受信料制度による国民の機関としてのNHK、その財政基盤の確立の問題、あるいはその基盤確立に伴って普及率が低下をする、頭打ちになる、爆発的にテレビが出てきたときのような状態というのはもう考えられない、この限界ということをわれわれは考えざるを得ない。さらには、きょうは触れませんでしたが、激増してくる都市難視聴問題の処理、さらには国際放送、宇宙放送衛星、こういった問題、これらについて多くの多種多様な問題を抱えているわけですね。
 そこで、私は、いまNHKが一番大事なのは、これらの問題についてのNHKの基本的な姿勢と方向というのを国民に明らかにして、その合意と理解の上でNHKが運営をされていく、その役割りを果たしていくというのが一番大事だと思う。そのためには、私はもう時間がありませんから申し上げませんが、いままでみたいな、ここに年鑑にあるような実はやり方では私は十分な国民の合意や理解は得られないと思うんです。もっと発想を変えて私は取り組んでもらいたいし、このやり方について速やかに具体的な事業構想というものを、計画というものを明らかにしていかなくちゃならぬと思うんです。その決意あるいはその具体的なプロセスをお持ちなのか。またそれはあくまでその計画やその他の主体はNHKにある。郵政省その他の関与する官庁があるといいながらも、自主性は厳然として守らなければならないものである。そういう点について、あくまでNHKの守るべき原則を守ってやるという決意を明らかにしてもらいたいと思うんです。
 郵政大臣には、できるだけその原則を生かして、NHKの将来の展望というものが国民の理解と共感によって、合意によって立てられることが一日も早くできるように御協力をいただきたいと思いますが、これらについての御見解を承りたいと思います。
#81
○国務大臣(村上勇君) お答えいたします。
 NHKは、公共の福祉のためにあまねく全国において受信できるように放送を行うことを目的として、放送法によりまして設立された特殊法人であります。したがいまして放送が最大限に国民に普及されますよう努めることがNHKに課せられた最大の使命であると考えております。
 また、NHKは、その言論、報道機関としての性格に基づきまして、業務の運営が自主的に行われるよう保障されているところでありまして、NHKは放送の不偏不党を堅持するよう不断の努力を傾けるべきであると考えます。
 さらに、NHKは、もっぱら全国の受信者からひとしく徴収される受信料を財源としておりますので、いわば全国民的な基盤に立ってその維持、運営が行われているものというべきであります。したがいましてNHKはその放送を通じて国民の文化水準の向上を図るなど、公共の福祉の増進に寄与すべきものと考えます。
#82
○参考人(小野吉郎君) まことに有益な適切な御提案をいただきました。私どももそのような方向において作業をいたすかたい決意を持っております。まさにいま非常に大事な時期でございまして、将来に向かってNHKが、ますますNHKに期待せられるところの多いいろいろな要望に対しまして、いかに能率的にまた効率的にこたえ得るか、こういった面につきましては、財政問題あるいは事業計画の問題あるいはその他の関係を一切含めまして、抜本的にこれに対するビジョンなり計画なりを持ちたいと思います。
 その過程におきましては、NHKが独善的に内部でそういう作業をするといったようなことでなく、国民との共感においてこれを進めなければなりませんので、それかといって国民の共感を得る方法も具体的にはなかなかむずかしいと思いますが、あるいはアンケートを徴するとか、あるいはいろいろな面におきましてそういった面についての御意見も十分に聞き得るような組織が仮にできれば、そういった面も考えて将来の放送の基盤をつくってまいりたいと思います。
#83
○案納勝君 じゃ最後に、今回の提案の中に予算総則の改正があるわけです。私は時間もありませんからあれですが、こういう重大な国民の事業をしょっていくには、本当に労使といいますか、全体が一体になって国民の負託にこたえるという信頼関係を打ち立てながらいくことが大事だと思います。
 その意味では、私はときどき郵政大臣に苦言を言うのですが、信頼のない砂漠のような状態では国民の負託にこたえられない。そういう面で多くの例を今日までも申し上げてきています。これはNHKはそういう状態にはありません。私は最もNHKの労使の関係はその意味では協力をし合い、信頼関係を維持してきていると思います。また、そのことは今後とも発展をさせてもらいたい。
 ただ、他の放送産業に働いている人たちとの賃金比較においてNHKの場合はそれだけ多くの実はアンバラをつくっていることを私も知っているんです。きょうの会長の各種の御答弁の中にありますように、NHKの置かれている事情というものをより国民の合意の上で発展をさせていく、先行き将来展望を明確につくり上げていくという意味では、本当にお互いにしっかり結びついた労使の信頼関係の上に立っていくというためには、その辺の私は配慮というのが十分になされなくちゃならぬと思います。
 もう一つは、予算全体の運営の中で今回の予算総則というのがつくられたと思います。私はこれは単に今年度だけとか何とかという問題じゃないと思うのです。私は御案内のとおり、村上郵政大臣がおられますが、郵政の職員の出身であります。今日までこの予算総則問題については予算上、資金上大変実はみずからも苦労してきたことを知っているのです。この予算総則でこういうように改正をされたことはきわめて変化の多い今日の経済社会の情勢に即応できる余地を私はつくったと思うのです。したがって、これは今後も引き続いてそういうNHKの持つ独自の企業体として、これらについてはやはり確立をしながら将来にわたっても私は進めるべきだと思いますが、この辺の要望を踏まえて、最後に小野会長からこれらについての御意見を承りたいと思います。
#84
○参考人(小野吉郎君) 今回、予算総則で新しい一項を設けまして御承認をお願いをいたしておるわけでございますけれども、これも先生の御指摘のとおり、NHKが本当に国民の要望に完全に沿い得るためには全職員が同し心になって総力を挙げてまいらなければならないと思います。そのためには、今日、私どもと労働組合というものがございますけれども、これはやはり基本的には相互に尊重し、相互に協調をとってまいっていかなければならないと思います。そのためには処遇関係等につきましても心配のないような措置をとらなきゃならない。そういう点から、こういった総則も実はお願いをしておるようなわけでございまして、私はこの措置は非常に実は心ひそかに自慢をしておるようなわけでございます。こういった制度の将来の活用にまちまして、国民の要望に沿っていく基盤づくり、これを十分にやってまいりたいと思います。
#85
○案納勝君 わかりました。
#86
○委員長(竹田現照君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時四十五分まで休憩いたします。
   午後零時四十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十分開会
#87
○委員長(竹田現照君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#88
○木島則夫君 まず小野会長に伺いたい。
 公共性という立場に立つNHKといたしましては、午前中の他の委員の御質問からも大体うかがえたんでありますけれど、その中立、不偏不党というものをもう一度確認したいんでございますけれど、これ簡潔で結構でございます、おっしゃってください。
#89
○参考人(小野吉郎君) いわゆる不偏不党は読んで字のごとく、どの立場にも偏らない公正な立場において真相を国民にお伝え申し上げるという立場であろうかと思います。
#90
○木島則夫君 そのとおりでございますけれど、そのことを意識して萎縮する余り、NHKの番組はおもしろくないとか、生気がないとか、若さがないとか言われている。そういう悪いマイナス面にもつながっていることを御自身はどういうふうにお考えでございますか。NHK御自身としてどんなふうにおとりでございますか。
#91
○参考人(小野吉郎君) この辺は非常に悩みのあるところでございまして、いまお説のとおりの批判も承っております。もっと勇気を出してNHKとしてこうあるべきだと、やっぱりこういう方向を示すべきではないかと、こういう意見もございます。しかし、放送の持ちます、いわゆる全国民に伝わるそういった機能から申しますと、国民に最高の資料を提供して国民に御判断をいただく、こういう立場ではないかと思うわけでございますけれども、それかといってNHKが放送をいたします場合に、やはり不偏不党、公正は厳然と守らなければなりませんけれども、そこにいろんな番組の、ニュース等の関係についても取捨選択の場がやはりあるでございましょう、社会事象を全部漏れなく伝えるわけにはまいりません。その基準をどうするかという点にかかわってNHKとしての一つのあり方というものが問題だろうと思います。
 これはやはりNHKが当面の事象に幻惑されることなく、客観的に物の真相を伝えなければなりませんけれども、要は、高い理想と申しますか、明るい明朗な健全な麗しい社会、これに対する意欲を持つか持たないかによってずいぶん違いが出るのではないかと考えます。
#92
○木島則夫君 勇気を持って事に処す、勇気を持たなければいけないと。しかし勇気を出したいんだけれど、いまNHKを取り囲む客観的な情勢、経済情勢、社会情勢、そのほかもろもろのことを考えると、いま勇気が出しにくいというのが率直な私の感じなんです。それがNHKの番組というのは年とって若さがなかったり、相変わらずであったりという批判につながってくると思う。
 私は番組のこういう個々の細かい問題について議論をするきょう時間がございませんので、先ほどもほかの委員から出た「総理と語る」、これについて私の私見を交えて申し上げたいんであります。
 私は、不偏不党ということは、現在の多様化した価値観というものをできるだけ放送が吸収をする、ただ家庭の中に放送されるという枠をきちっと踏まえることが必要です、その中でできるだけ多くの価値というものを放送が吸収をしながら、それを放送番組全体の中で散りばめてバランスをとっていくというのが私の不偏不党の考え方です。
 そうだとするならば、私は「総理と語る」というあの番組はマイナスの面とプラスの面があろうかと思います。でマイナスの面を先ほど強調されておりましたけれど、私はもう一方の面も実はある。つまり物にはプラスの面とマイナスの面がございます。田中総理がそこにお出になることで政府にとってプラスになる面もあると同時に、そこへお出になれば白日のもとにさらされて悪い面も私は十分に国民の皆さんの目にさらされると思う。これがテレビの持つ私はすばらしい機能であると同時に、作用だと思う。したがって私は個々の番組を云々するよりも、全体、NHKの編成番組のその中においていかにそのバランスがとれているかということの方にむしろ重点を置いていただきたい。これは私の私見です。これは結構でございます。
 次に、NHKが公共放送として運営をされていくためには、現在、聴視料制度というものがございます。考え得るこれが最良のものであるのか、これはこれから先もずっと不変のものであるのか、これは会長と郵政大臣、お二方から伺います。
#93
○参考人(小野吉郎君) 現在の受信料制度は私は非常によくできた制度だと思います。いろいろな方法がございましょうけれども、受信料の制度の性格を臨時放送関係法制調査会の結論から見ましても、NHKの必要な業務に要する経費を支えるための国民の特別の負担金だといわれるそれは、国民を離れてNHKはありませんし、NHKとしては常に国民と共存しなければならないと思います。そういうたてまえをとります限りにおきましては、一番直接的に端的にそういった状態を具現できる方法ではないかと思いますので、私はこの制度は永続さすべきものと考えております。
#94
○国務大臣(村上勇君) 私も、現在の受信料制度というものはきわめて妥当なものだと、かように思っております。
#95
○木島則夫君 ことしは放送五十年という非常に歴史の上でも意義のある年でございます。NHKにとっては言ってみれば一つの大きな転換期に当たっているということが言えると思うんですね。
 こういった事情はヨーロッパの公共放送でも同様でございます。NHKとヨーロッパの公共放送とを同一の次元で考えることは私もちょっと無暴かと思いますけれど、たとえばフランスでは単一組織でありましたフランス放送協会を七分割して、企業競争の原理を導入して経営効果を高めることとしているとか、イタリアでもイタリア放送協会の報道部門を、ラジオは二つですか、それからテレビを六つに分割をさせるべく国会で審議中であるということも私聞いているんであります。さらにNHKが長年お手本にしてまいりましたイギリスのBBC放送、ここでもマンモス化による経営効率の低下、財政難で屋台骨が崩折れようとしている。放映時間の短縮であるとか、受信料の値上げなどについて経営危機の克服に努めているんでありますけれど、国民の批判も強く、イギリス政府はBBCの分割案の検討に乗り出しているというようなことも私は聞いているわけでございます。
 さっき言ったように、NHKとヨーロッパの公共放送を同じ土俵の上で考えることは多少極端かもしれませんけれど、いわゆる日本においてもヨーロッパにおいても公共放送はいま大きな壁に突き当たっているという、この現実は日本でもヨーロッパでも同じであろうと思うわけでございます。言ってみれば組織の巨大化、財政経理の安易放漫、特権的位置にあぐらをかいたと言ってはなんですけれど、安住した官僚化などが私はそうした原因をつくってきていると思うんであります。NHKもカラーテレビの急増とか経済成長の拡大とか、そういった時期にはそれでよかったかもしれないけれど、いまや経済も社会も大きく転換をしている。そういう中でNHKが公共放送であればあるほど私はさま変わりの世の中にぴたっと対応すべきだと思う。
 ところが、今度のこの五十年度の新しい計画、事業、予算などを拝見すると、さま変わりの世の中に必ずしも私はぴたっと対応した変化というものを表面立って見受けられない、つまり受け取れないんであります。新規の事業を抑えるとか、極力これを抑制するとか、大変消極的な形でしか取り組んでいないように思うんでありますけれど、この社会、経済、政治、もろもろの状況が変わっているさま変わりの中で、公共放送であるからこそ率先して時代の先取りを私はすべきだろうと思う。それが今度のこの新しい予算、事業計画の中にくみ取れないというのは私は不満なんです。この辺、いかがですか。
#96
○参考人(小野吉郎君) 公共放送としての資格をヨーロッパの公共放送のそれと平面的に比較することは非常にこれは当を得ておらないと思いますが、フランスも御承知のとおりのような改革をいたしました。その改革の意図するところはよく私は承知をいたしておりません。あるいは世上には競争原理の取り入れとか、あるいは非常な財政的な窮地に立って財政的な窮地打開のためにとられた措置だというようにも聞いております。しかし財政的な窮地をあの分割によって果たして打開できるのかどうか、むしろ財政負担がふえるのではないかと思います。フランス当局自身も、放送当局自身も、そのように言っております。ヨーロッパのフランス放送協会とかかわりを持つ向きもそのように言っております。かえって経費がよけい要る。しかも、いままで一カ所と話をすれば済んだものが三つも四つもと同じ話をしなけりゃならぬ、しかもその結論がなかなか得にくい。
 フランス放送協会自体はどうしておるかと言うと、あのりっぱな馬蹄形のラジオセンターなんというものはいま使っておらないそうでございます、よそへ貸し物に出ておるそうでございます。そうしてほかに事務所を持ってやっておるようでございます。その辺のところから見ると、この辺のメリットがはっきりわかりません。あるいは私が想像する限りにおきましては、番組に対する一つの政府の、国営でございますから、統制の意欲から出たものなのか、あるいは頻繁に起きる労働争議、これを打開するための一時の一つの改革であったのか、その辺のところはよくわかりませんけれども、日本がもってこれに範をとるべきものでないと思います。
 日本のやはり公共放送のあり方としては、この予算にいろんなことがありますけれども、これは予算に関係しての極限した表現でございますので、この中に公共放送らしい、これは堅持しなければならないという意欲と基本的な意図がくみ取れないと、こう申せられると、まことに私も残念に思います。が、そうではないのでございまして、これはやはり番組の所要の経費そのものは変わりませんけれども、その内容の関係につきまして、やはり公共放送でなければできないんだと、こういうものを堅持しなければなりませんし、現在までもそういったつもりで運営しておるつもりでございますけれども、いまや社会情勢の変革のこの曲がり角の状況に照らしまして、新しい時代に即応する番組態様でなければならないと思います。
 そういった面から、やはり国民との結びつきを強くする意味合いからいってそういう面も大いに取り上げる。具体的に申しますと、聴視者参加番組をどう企画し、どうやったらいいのか、あるいはNHKが取り組みます番組内容について、もう民放があればNHKは要らないんじゃないかというようなことが言われないような、民放さんでは手の及ばないような、やはりNHKがなきゃならないんだと、こういう方向に番組内容を打開してまいらなければならないのじゃないか、これを強く意欲としては持っております。
#97
○木島則夫君 五十年度の事業計画では、新規の事業、また拡大施策は行わない、極力抑制をすると言われているわけでございますけれど、私は物価が上がれば放送諸経費もまた上がってまいりますし、人件費も上がらざるを得ないということになりますと、極力抑制をしたとしても、現在の受信料、聴視料の枠の中で賄うことはむずかしい。ということは、放送の質も落とさず、量も落とさず、しかもいいものを、刷新した番組をということになれば、どこかにしわが寄ってくるはずですね。そのしわをどういうところで吸収をしていくのか、あるいはそのしわはしわとして、それを受信料の改定というところに結びつけるのか。
 私も少しは放送の内部のことを知っているつもりです。NHKの皆さんもずいぶん切り詰めに切り詰めたやはり内部節約、合理化をやっていらっしゃいますよ、これも私認めます。しかし、もはやそういうことだけでは、現在の聴視料というものをこのまま据え置いた中では赤字が出ることははっきりしていますね、今年度よりもまた来年度、再来年度とこの赤字はかさむばっかりだと思う。そうすると公共放送だからという抑制の中で、番組の質も落とさず、量も落とさず、あまねく全国の皆さんに難視聴を解消しということになると、そのしわはどういうところで吸収をしているんですか、いま。
#98
○参考人(小野吉郎君) 物理的に申しますと、同し金額で、しかも客観情勢は制作費その他物件費、人件費が上がっていく、そうなってくれば質的の低下につながると言わざるを得ません。これは機械的に申せばそうでございますけれども、そこにやはり人間の英知を働かせる余地があるのではないかと思います。しかし、これにも限界がございます。
 ただ、ことしの予算は、金額で御比較をいただきましても四十九年度あるいは四十八年度等から見ますと、番組費の対前年度の増加の比率はかなり高く見ております。そういった面から申しますと、そういった環境の中におきましても、いまのような数字を離れての創意工夫と同時に、数字上にも多少の配意をいたしておりますので、番組の低下を来さず、しかも新しい時代にふさわしいようないい番組内容を制作し得ることは、これは不可能ではないと、かように考えております。
#99
○木島則夫君 表面的にはそのとおりなんです。しかし、いま会長は英知を働かせることでそこは切り抜けることができるという意味のことをおっしゃった。英知だけではだめですね。いまNHKの中間管理職に寄っているしわというのは大変なもんです。労務条件、労働条件というものを西欧並みに上げなきゃならない――これはやっぱりやらなきゃならないでしょうね、民間会社のように生産をダウンする、調整をする、そんなことはNHKでできっこない。それをやるとするならば、NHKは番組全体の枠を縮小するか、時間短縮をするというような操作をしなきゃならない――これも後で伺います。
 英知だけじゃだめなんです。下からは突き上げられるわ、上からはNHKは公共放送で質も内容も落としてはなりませんぞ、というと、どういうところにそのしわがいくんですか。ちょうど私と同年輩の人がいまNHKの中堅の管理職としてたくさん働いている、そういう人たちの意見を聞くと、たまったもんじゃないと、死んじゃうよという意見が多いんです、はっきり言って。私は放送の中のことをよく知っているから、きれいごとなんか言ったって通用しない。
 そういうことで、表は公共放送というたてまえを通しながら、労働条件もきちっとする、番組の低下は来さないということになったら、借金するか、いま言った中間管理職あたりにしわが寄るか、私もよくわかりません、その辺に落ちつくはずではありませんか。
#100
○参考人(小野吉郎君) こういった非常の事態に対しましては、通常の観念ではなかなか切り抜け得ないと思います。ただ通常観念から申しましても、ことしの番組費の増加比率はかなり高くなっております。一六%ぐらい上がっております。四十九年度が五・何%であったと思います。その前はもっと低かったように思いますけれども、そういうような物理的にも是認できるような配意も、この窮迫な財政事情の中でも配意をいたし、あわせて番組のいろんな種別、配列等の関係につきましても、いろんな工夫をしなければならないと思います。かえってそのしわ寄せを番組の放送時間の短縮とかいったようなことで考えるつもりはございません。こういった考えは毛頭持っておりません。
 ただ、早朝の放送を出しますために、これも番組種別によってでございましょうが、人手を朝早くからかけなきゃならないような種類の番組を早朝に持っていくことによって、あるいは泊まりの要員とか、そういったいろんな労務関係についても非常に過重なそれを強いなけりゃならないし、また人手も非常に食わなきゃならぬと、こういうようなものもございましょう。これは今後の財政再建の関係のそれで検討の対象になろうかと思いますけれども、そういった面もあわせ検討をしつつ、質を落とさないで良質な番組を出していくというような努力を続けてまいらなければならないのではないかと、かように考えます。
#101
○木島則夫君 いま大変大事なことをおっしゃった。私も放送、少なくともマスコミにいた人間として、そういう言い方をされるということは一つ具体的にぴんとくるものがある。
 それは何かって言いますと、朝の六時のニュースなんです、そうでしょう、朝の六時のニュースというのはえらい人手がかかるんです、これ。そうしてそのために放送記者もアナウンサーも技術の方も泊まり込まなければならない。ことに地方局においては、事件らしいものがないときでも常時その体制をとっているわけですね。そうするとやっぱり相当大きなこれに要する経費というものもかかる。
 したがって、私は、もうこの際、いまはしなくも会長がおっしゃったように、質的な内容を来すんでなく、むしろ七時のニュースならニュースに重点的に内容を充実するという意味で、六時のニュースをおやめになったらどうですか。そしていつでも指令があれば、電話があれば放送局に駆けつけるというようなそういう体制をおとりになった方がいいです。第一、泊まり、明け、その次は休み、隔週ですか、いま毎週ですか知りませんけれど、一週間に実際働くのは何日ですか、そういう状況の中でこの非常に差し迫ったNHKの財政に対応するということは私はさま変わりの世の中への臨機の体制ではないと思います。そしていまニュースとは具体的におっしゃらなかったけれど、早朝の人手のかかる番組をある意味で検討するということはその一端だろうと思う。番組編成の全体というものを私はここでやっぱり見直すべき時期に来ていると思いますよ。
 そうでなければ、片方ではNHKは公共放送だといって責められ、質も、いいですか、内容も落としませんぞといえば、どっかにしわがくることはわかっているんです、それは。そうさせないためにも、いわゆる類似の番組とか、もうこの際民放と必要以上に競争するような番組というものは勇断を持って私はおやめになった方がいいと思う。まずその六時のニュースについて具体的に聞きます。
#102
○参考人(小野吉郎君) 私は個人としては、いまのような考えをひそめておりまして、さすが放送に長年豊富な経験を持っていらっしゃる木島先生はぴんとこられたと思います。私もそのようなそれをひそめております。ただ局内の重役諸公、それのコンセンサスを完全に得ているわけではございません、これには抵抗もございましょう。
 あるいは受信者の方々の中にも早朝のニュースにまだ非常な生きがいを感じておられる方も、今日やはり非常に朝寝坊の宵っ張りになったとはいっても、まだまだあろうかと思います。しかし、この財政の難局を切り抜けますためには受信者の方々にも、サービス低下という形で私は取り上げたくないのでありますけれども、御協力をいただかなきゃなりません。その協力の上に、できるだけ負担の軽い受信料を気持ちよく納めてもらわなきゃならぬ、こういうことをいたしますためには、受信料額だけを操作したんではどうにもならないんでございまして、いまのような措置もこれは大いに検討していかなきゃならないのではないか、かように考えております。
#103
○木島則夫君 たまたま早朝の人手のかかる、経費のかかる番組を検討をするというお話に始まりましたけれど、五十年度の事業計画とNHKが策定されております長期の計画ですね、先ほどもちょっとお話がございましたけれど、大幅に後退をしているという話があった。ですからこういうさま変わりの世の中には、その世の中に対応するだけの私は番組編成態度というか体制というものを早急に御検討になる時期ではないかと思うし、私はもうなっていると思うんですよ。なっていると思う、もうはっきり言って。
 それがどういう輪郭のものであるか、お差し支えない範囲で――きょうは私忙しくて質問通告出せなかったので、わりあいこうやって自由なことをまた聞けるという利点もあるわけでございまして、ですから、そういうさま変わりの世の中に対応するためには、NHKの番組編成体制というものがどうあらなければならないかという、内部の声も交えてちょっとお聞かせくださいますか、差し支えない範囲で。
#104
○参考人(小野吉郎君) 具体的にはこの予算の御承認をいただきました後、財政問題だけでなしに、いわゆる事業計画、番組のあり方等の関係についても抜本的な検討をいたすつもりでございますけれども、私個人といたしましては、その一端はそういった早朝に非常に人手がかかり困難な寝泊まりもしなきゃならぬ、こういう体制は解消するような方向で検討をいたしましても、受信者の方々に御理解が得られるのではないか、そういう上で必要最小限の負担増をお願いするということが公共放送としては望ましいのではないか、こう考えておるわけでございまして、一時、私も副会長時代にはラジオの五時の開始は六時に繰り下げたらどうか、こういうことも申しました、これはなかなかそうもまいりかねております。
 まいりかねておりますけれども、テレビの関係につきましても、少なくともそういった家庭生活にも非常な無理を強いるような泊まり体制というようなものはこれはできるだけなくし、しかもそのかわり、その穴埋めとしては受信者の方々にサービスの低下にならない、むしろ充実になるような努力をいたす、こういうことによってこの難局切り抜けの一つの打開策の一端にするというようなことが必要ではないかと考えるのでありまして、まだ具体的にこれもある、あれもあると、こういうことをこの席でお答えを申し上げるつもりではございません。ただ最初に申されましたように、質問を事前通告しなかったからと言われますが、これがかえってありがたいのでございます。
#105
○木島則夫君 そうでございますか。
#106
○参考人(小野吉郎君) 私は非常に感謝を申し上げたいと思います。
#107
○木島則夫君 事前に質問通告をしなかったということは、かえって公共放送としてのびのびとしたおおらかなお気持ちでお答えをいただくという、結果的には、私大変きょうはプラスの面が多かったと思うのであります。
 いま会長がお話しになったこと、大変重要でございます。要するに抜本的な番組編成体制をお考えになることでこの危機を打開する一端にしたいとおっしゃった、そうですね。こういうことをすることだけでは聴視料の値上げをしないで済むということではないのだというふうにとってよろしいですか。
#108
○参考人(小野吉郎君) 何しろ五十年度、ただいま御審議をいただいております予算の関係で実質二百十六億の赤字が出ております。仮に一〇%来年度は伸びるといたしますと三百七十億ぐらいの赤字になりましょう。NHKも決してむだをしておるわけではございません。合理化には毎年努めておりますので、合理化措置あるいは事業の運用の変更等の関係でこれを全部カバーすることははっきり申しまして不可能でございます。やはり何がしかの負担増をお願いしなければならない結果になることは自明でございます。
 ただ、その幅をできるだけ小さくするような努力をするのが公共放送としての立場ではないかと思うのでございまして、その一端として先ほど申し上げましたようなことをあわせ考えてまいりたいということでございます。
#109
○木島則夫君 余りその何というか、具体的にお伺いをしてもお答えになりにくいと思いますので、その辺、その問題はそれといたしまして、私は日本の文化全体を考えます場合に、朝の六時から夜の十二時までテレビが鳴りっ放し、つけっ放し、こういう国は文化低開発国というか後進国というふうに一つは言われるゆえんなんですね。
 ですから、私は公共放送だから番組の枠を縮めていけないとか、時間短縮をしてはいけないのだなどとお考えにならないで、私はもっとその辺は伸縮自在にフレキシブルというか、もう少し幅をお持ちになったらいいと思うのですね。そしてたとえば六時から始まるテレビを七時に繰り下げられる、そのかわり七時のニュースなり七時の番組には繰り下げただけのエネルギーなり、そこで経費というものを投入して番組の内容を充実をされるという、つまり横に広がるテレビ文化よりも、さらに深く入っていくというか、そういうやはりテレビ文化のあり方もこの際指向していただいていいんじゃないだろうか。私はテレビがやっぱり量から質へ、その質も、ちょうど放送五十年のこの歴史の中で、一つ問われている問題だと思うのですね、テレビ文化そのものが。そういう意味でも非常に私はいい転換の時期だと思う、これは。
 だから、そういうことを含めて番組全体なりNHKの体質なりというものをさま変わりのこの世の中にむしろ私は合わせいいと思うのですよ、違いますか、絶好のチャンスだと思う。そしていわゆるたとえば政府の経済政策というものがあの石油ショックをチャンスにして、もっと上手にさま変わりをすることに逆にてことして使えばもっとよかったと同じ意味で、この五十年というこの時点をNHKは私は適切にお使いになっていただきたい、こういう意見を持っているんですよ。NHKだからいままでやった事業は縮小しちゃいけない、時間の枠もこれは縮小しちゃいけないなんて、こんな私はごりごりの方はNHKにはいらっしゃらないと思う。皆さん非常に柔軟で英知あふれる方ばかりだと思っていますよ、私は。そういう意味では小野会長を筆頭としてもう少し柔軟に。
 また悪いんですね、周りが。公共放送だ公共放送だといって揚げ足取りばっかりする。過去にあったことをおもしろおかしく週刊誌が取り上げる。NHKのつまらない部分というか、実際にはないような部分も大きく拡大をされたりしてNHKの公共放送というものを曇らしてきたことも事実ですね、私は非常にまずいと思う。だから、この際、公共放送としてのNHKが思うさま自在に活動できるような場をむしろ聴視者、国民の側からもつくって上げなきゃいけないと思うんですね。その中でこそ本当のNHKのあり方というものを私はNHK自身が模索をされ探求をされ、そしてそこでもって編み出されると思うんですけれど、こちら側にも私はやっぱり一半の責任があると思う。NHKは公共放送だ公共放送だと言う、それがNHKを萎縮させたり、変な意味でがんじがらめの十字架を負わせることになると、私はNHKの自主性とか柔軟性とか個性というものがなくなるように思うんです。その辺も十分に配慮をしての発言でございます。いかがですか。
#110
○参考人(小野吉郎君) いろいろ御激励も賜ったり、いろいろ貴重な御意見をいただきましたけれども、BBCにいたしましても、おおよそこのまま推移いたしますと五十年度には日本円にいたしまして約百四十億円の赤字になるようでございます。その値上げ案を実現するためには――それがなければ、あるいは放送時間を三分の一切らなきゃならぬとか、ある系統についてはどうとか、いろんなあれがあります。私どもにはおどしのようにも聞こえるのでございますけれども、そういうことをすべきではないと思います。仮に最大限にBBCがそういうような放送時間の削減をいたしましても百四十億円の赤字に対してわずか七億円しか浮いてこないんであります。
 ですから、これは金額的にそういうことを見るよりも、やっぱりサービスというものは、いま放送が国民に需要せられる度合いというものはますますふえる分でも減ることはないと思います。そういうような面から、先ほど申し上げました一端も放送時間を六時から七時に切り下げるという意味ではございません。六時台でも、いわゆる先ほどからも福祉の問題も出ておりました、老人の方方で朝早く、寝ようにも目が覚めて、ほかに何の楽しみもない、テレビが唯一の楽しみだという方もありましょう、これらの人々からそういうものを奪うということは非常に問題だと思います。
 ただ、番組の内容によって、その時間帯にやれば非常にやっぱり多くの人を宿泊させなきゃならない、多くのやはり経費も労力もかけなきゃならない、こういうものをそうでないようなものに変えるというようなことをやれば、これはやはり合理化のそれにつながろうと思います。そしてそのかわりに、それは他の時間において十分なサービスの充実によって埋め合わせるというようなことがあれば、公共放送としての正しいやり方ではないだろうかと、かように考えるんでありまして、誤解を避けますために、六時の放送開始時間を七時に繰り下げようと、こういうことを申しているわけでは毛頭ございません。
#111
○木島則夫君 これは失礼いたしました。私の意見としては、もう七時ぐらいでいいだろうと言っているわけです。公共放送というものはそんな朝六時から夜中の十二時までべたべたべたべたやらなくったって私はいいと思う。そういう時期に差しかかっているわけですよ、本当に。これは私の非常に私見を交えてのことですから、お許しをいただきたい。
 なるべく、ほかの委員と重複を避ける意味で、難視聴の解消であるとか、あるいはいわゆる聴視料の不払いに対する徹底的な徴収であるとか、滞納に対するこれも徹底的な収納であるとか、そういう御努力はこれはもう当然でございます。それから外郭団体への助成金とか、そういうものもこの際できるだけ切り詰めていただきたい、こういうことはもうほかの委員の方々からおっしゃっております。したがって、いままで出ない問題にできるだけ私はいましぼっているつもりでございます。
 今度「あなたのスタジオ」というのですか、BBCの番組を参考にされたかされないか、こういった新しい番組が出てくる。で今度の五十年度の番組編成方針の中でもお述べになっているように、これは新しい番組刷新の一つとして登場をしてくるんですか。視聴者の意向というものを十分にくみ取ろうという、こういう意向を反映させたものなんですか、それともうんと経費を下げるためにプロを呼んでこないで素人にプロデュースをさせる、こういうような経費削減のためのねらいなんですか、この辺聞かしていただきたい。
#112
○参考人(小野吉郎君) これは公共放送としてのあり方といたしまして、いわゆる国民の要望に沿い、国民の意向に沿った放送にしなければなりません。在来のそれはとかく、私どもはそうは思わないのでありますけれども、NHKは高踏的に与える番組だと、こういうような見方もあり批判も受けております。そういった面は非常に私どもの本意とするところでございませんので、できるだけ聴視者の方々のNHKとしての存在を具体的に具象化しますために、いわゆる聴視者参加番組というものを私が会長就任以来は強く言っております。その一つの一端として、いろいろ聴視者参加番組だと言われた幾つかの番組が出ておりますけれども、なおこれはいろいろ工夫をこらさなければならない問題だと思います。その一連の関係の充実策として出たものでございまして、経費を減らすためとかいったような小次元のものではございません。
#113
○木島則夫君 聴視者の意向を大いに反映をして、聴視者にも参加をしていただこうということは、いわゆる開かれたNHKということになるんだろうと思いますね、これは私大賛成です。大いに勇気を持ってやっていただきたい。
 そこで、むしろこれは個々の番組になりますから御専門の方に伺いたいのでありますけれど、開かれた番組といっても、そこにはおのずと公共放送のやはりけじめというか枠がある、そうですね。その枠の幅が、私に言わせると、大きく広がらないで、むしろこういう広場をつくっていいんだろうか、大丈夫なんだろうか、特定の思想を持った人たちが出てこやしないだろうかなどという心配にとってかわりますと、せっかく開放した広場というものが何か私は狭められて、かえって作為的な聴視者参加番組になる危険性もなきにしもあらずということも承知をしておるわけでございます。その辺の危惧は当たりませんでしょうか。
#114
○参考人(坂本朝一君) 基本的には、聴視者参加番組の中で番組づくりに聴視者に参加してもらうというところが今度の「あなたのスタジオ」の大きなねらいで、NHKが取材しNHKがつくるという形だけでなしに、そのつくる中に聴視者のグループに参加してもらうというのがねらいの一つでございますけれども、いま木島先生が御指摘になりましたように、それが全くNHKの編集権を離れ、NHKの責任を離れ、一方的な意見なり論理なりを展開させるというようなことではございませんで、そこのところは最終的にはNHKの編集責任のもとに行われる。
 これはその制作に参加するグループの方々にあらかじめ放送法の四十四条であるとか国内番組基準であるとかいうものは十分御説明申し上げて、そしてその部分、四十五分なら四十五分の番組のおおむね三十分程度をその聴視者、参加するグループが制作いたしまして、その制作したものについて、別にNHKが選定いたしました一般の別のオーディエンスをスタジオに入れまして、そしてその番組を制作したグループとの間でディスカスをするということで、それを一まとめにした最終責任、編集責任はNHKが負うという形でございますので、ただ一方的に意見を開陳してもらうというような趣旨のものではございません。
#115
○木島則夫君 まあ私も番組づくりにも携わったことがございますから、いま坂本さんおっしゃったことも大変よくわかるわけでございます。
 ただ、それがNHKが公共放送であるからということで事前にある特定の人たちを選定をしたり、特定の人たちはいけないと言ったりという、そこでフィルターにかける度合いが強過ぎたりしますと、結局、聴視者参加番組といっても世の中の価値を荒々しく生々しくテレビの持つ特性を生かして表現できないことになる、それは私はかえって聴視者参加ということに名前をかりたNHKの意思を後ろで出す作為的な番組に終わりかねない。そのことをまあ危惧であるかもしれませんけれども、いま申し上げたわけでございます。
 これが一つの新しい前進だとするならば、つまり素人の聴視者に番組参加、いわゆる番組をつくるプロデュースと言うんですかね、そういう演出の面に参加をしてもらうということは、それをもう少し拡大をして、NHKの経営とかNHKのあり方の中にそういうものを広げていく、それが具体的に何であるかは私いま思い当たりませんけれど、そういう糸口ととってよろしいんでしょうか。それはあくまで番組の中だけでそういうふうなことをおやりになるのかどうか。私は欲が深いものですから、NHKをよくするためには、もっといろいろな意味でNHKが広場化してほしいというふうに思っているものですからね、こういうことを申し上げるわけであります。
#116
○参考人(小野吉郎君) いろいろ坂本専務からもお答えを申し上げましたけれども、いわゆる聴視者参加番組、これが羊頭を掲げて狗肉を売るような結果になってはならないと思います。せっかくそういう窓は開いても後はみな内部的にNHKが操作してNHKの意図どおりに動くということでは困ると思います。かと言って、木島先生の申されますように、そういうように窓口を広げることによって一部の勢力、一部のそれに壟断されるようなことがあっては公共放送として困ると思うんです。この二つの議論の中で非常な迷いを感じますけれども、やはりそういったそれはかなり試行錯誤を繰り返して正しいいい道へ行くというある程度の勇気を持って臨まなければならないのではないかと思いますので、初めからもう全然後で糸をNHKが操って操り人形のように聴視者を扱う、こういう不遜な気持ちは毛頭持っておりませんし、それかと言って一部の思想、一部の勢力に壟断させるようなそういう気持ちもございません。
 ただ、これが番組だけでなしに、経営全般についてそのような国民参加の意図があるかどうか、こういうことですけれども、観念的には大いに私はそうしたいと思う。具体的方法になってきますとなかなかこれむずかしゅうございます。そういうような関係で非常に悩みを感じるわけでございますけれども、いい方法が見つかれば、そういった面にも新生面を開いていくべきではないか、かように考えております。
#117
○木島則夫君 私、大変きょうは前向きな建設的な御意見が伺えてうれしいんですよ。いまそれがどういうふうなという具体性はないにしましても、一つの番組を足がかりにして、将来、開かれた、本当の意味での開かれたNHKというものにいくんだと、基本的には、観念的にはそういうお考えを持っているということは、これは大変結構だと思いますね。これは抽象的な観念に私終らせないように具体化していっていただきたいということをお願いを申し上げたいのであります。
 まあ持ち時間がとにかく少ないので、あれやこれや言いたいことたくさんあるんです。きょうはカメラが三台入ってますね。素人の方が見ると、何だやたらに大げさなずいぶんカメラを持ち込んでライトもつけてとお思いになるでしょうけれど、私などが考えるとやはり三台カメラがないと番組として視聴に耐えるものができないという意味では、恐らくこの辺が最低だろうと思いますね、確かにそうだろうと思う。
 そういうことを考えますと、口では経費節減とか合理化とか言っても、それはなかなか思うようにいかないですよ、かかるものは金かかるんです、はっきり言って。また金をかけなきゃいい番組はできない。その辺は会長としても遠慮なくおっしゃっていただきたい。私やっぱり開かれたNHKならばあんまり中で遠慮し過ぎて、靴の上から何とかをかくというような感じではなくて、これこれこれこれこういうふうな経費がかかります、しかし反面これこれこういう節約もいたしております、したがって聴視料を――まあ野党の私が上げてくださいなんて言うと大変誤解を受けるんですけれど、そのくらい率直にお言いになることですね。そしてその議論をNHKの番組の中でおやりになってもいいと思いますよ。
 今度の新しい、坂本さんがいま御提示になった「あなたのスタジオ」ですか、こういう番組は、いま会長がおっしゃったように試行錯誤を続けながら番組の本質を求めていくんだって言われましたね。その試行錯誤のプロセスをNHKはもっと出すべきです、本当に。でき上がってでき上がってパーフェクトになってそこに出すから、作品としてのNHKの番組の価値しかない。やっぱり試行錯誤を繰り返しながら、ああでもないこうでもないというその揺れをもっと私はテレビの中に出していってもらいたい。それが生きたNHKですよ。実は、そういうものが余りにもなさ過ぎたんで私はNHKをやめさしていただいたんだけれど――これはもう本当に個人的なことです。だから、もっともっとそういうものをどんどん私は番組の中に入れていっていただきたいということをお願いします。
 それから、やはり内部の合理化、効率化っていうためには、私は技術革新を徹底的に行ってもらいたいと思います。この間フォードさんがいらしたときに、NHKのあのカメラの迫力はすばらしかったですね。きっと新しい兵器をお使いになったと思う。ハンディ何とかっていうのもおありでしょう、いろいろ。テレビっていうのは機動力、同時性、そういうものを生かしていかなければいけませんね。これはあたりまえの話。ところが技術革新がどんどんどんどん進んだ場合に、中の労務体制がこれについていけないです、はっきり申し上げて。新しい機械ができたときに、これはスタジオの技術者がそれを担いでいった方がいいのか、ニュースカメラマンがこれを担当していいのかというような労務の問題がこれにかかわってくると、技術革新がどんなにできてもそれにくっついていけないというような労務との関係があると思うんですよ。私の想像ですよ、これは。そういう点はどうやって解決してますか。
#118
○参考人(小野吉郎君) 技術革新の成果を大いに取り入れなければならぬことは当然でございます。その過程におきましては、あるいは進んだ技術の運用と保守的な人間との間にギャップが出ることも、これまたいたし方ないことだと思います。コンピューターの導入しかりでございます。それがその過程において、とかくあれは失敗だったんじゃないかというような声も出がちでございますけれども、これはそうではないのでございまして、結局は、そういう技術革新の成果なりあるいは機械化なりが人間にとってかわれるものじゃございません。英知を持った人間はやはりどこまでも機械や技術革新の成果を駆使しなければならないと思います。一時的にはそのような現象がありましても、いずれはそれを克服して将来には非常にいい結実を見ると思います。
 そういったような関係で、この関係につきましては、とかくそういった合理化とか技術革新の成果を取り入れるということになりますと、労使関係の大きな問題になります。なりますけれども、幸いにNHKの労使関係は非常に私は誇りに思っております。非常に麗しい労使関係だと思います。決してそれをなれ合いとは申しませんけれども、非常に理解に富んだ組合でもございますので、いろんな問題をつくべきところは徹底的にやっぱり知能人としてつくでありましょうけれども、終局的には落ちつくところに落ちついております。これはコンピューターの導入についてもしかりでございますし、その他いろんな技術革新でいろんな成果を生んでまいりました。フォード来日のときのいろんなカメラワーク等の関係もございましたけれども、そういった面についてもこれは円満にそういうような話がついて、十分その成果を生かしながら大きな業績を上げてまいっておると私は考えております。
 そういった面から、技術革新の取り入れの関係について、労務関係等に問題があると、この懸念は私も持ちます。先生も御指摘になりましたけれども、これは克服してまいらなければならないものと、かように考えております。
#119
○木島則夫君 今度の番組編成の中で、これ坂本さんにお伺いしたいんでございますけれど、どういうところに一番大きなポイントを置いているのか、四月からの改正でございますね。そしてどういうことを聴視者の皆さんにわかっていただきたいのか。これ私もその内容と方向を知る意味でちょっとお教えいただきたいんでございます。
#120
○参考人(坂本朝一君) 五十年度のNHKの番組の基本的な姿勢は、聴視者との結びつきを強めるということをまず第一に考えたい。そしてそれらの精神によって具体的な番組編成を行っていきたいと、こういうことでございます。
 大きな柱といたしましましては、環境問題であるとか物価問題であるとか近年の非常に大きな世界的な情報、そういうものをやはりいち早く伝え、そしてなおかつ掘り下げて伝えるという報道番組の充実ということは当然でございます。それから教育、教養あるいは青少年、そういう方向の番組の充実もあわせて考えたい、こういうことでございます。
 その他、娯楽番組につきましては、従来の娯楽番組の中で新しい娯楽番組の誕生を図りたい、こう考えまして、二、三例を申し上げますれば、ただいまの「あなたのスタジオ」というのもそういう意味合いの大きな目玉の一つでございます。それから青少年向け等の番組の中では、おかげさまで現在人気を得ております「新・八犬伝」を終わりまして、新しく人形劇としての「真田十雄士」を誕生させるとか、あるいはゴールデンアワーにおける芸能娯楽番組の中でも大阪初の「続・けったいな人びと」の誕生であるとか、新しいクイズ番組「ホントにホント?」の誕生であるとか、そういうことを考えております。
 それから朝のテレビ小説につきましては、一年というのはいささか長いんではないかというような御批判もかねてから伺っておりますので、来年度は半年ということにして、「水色の時」という新しいテレビ小説を四月から誕生させたい。
 それからラジオにつきましては、「新聞をよんで」という番組、これが従来の時間帯ではやや遅く聴衆に不便であるというお声もございますので、土曜日のゴールデンアワーに編成するとか、それから放送センターの観覧者の通路に仮のスタジオ、仮と申しますか、小さなスタジオを仮設いたしまして、そこで放送センターに見学にいらっしゃる方に気楽に入っていただいて音楽番組のリクエストなどをしていただくというような、ラジオ番組での充実というようなことも考えておるわけでございます。
#121
○木島則夫君 最後に、私は要望も兼ねてNHKの御意見を承りたいんでございます。
 先ほどから申し上げておりますとおり、NHKを取り囲む内外の状況は大変厳しゅうございます。カラーテレビの頭打ち・鈍化、それから聴視料の滞納・不払い、NHKの番組に対するより積極的な批判、参加、そういうことも行われている中でございます。とかく私は考えがちなことは、たとえば聴視料を払っていただくために迎合をしてしまったり、ある種の人たちに妥協をしてしまったりということがもし番組の中で行われたとしたならば、これこそ私は大変な問題だと思う。だから、こんなことはあり得ないだろうと思います、得ないと思いますけれど、そういうことは毅然たる態度で臨んでいただきたいということですね。
 それと同時に、NHKを取り囲む客観情勢の厳しさというものを本当に御認識いただきたいんでございます。それには謙虚に耳を傾けていただきながら、しかし番組編成という面ではいま言った迎合したり、ただただ甘いムードの番組をやたらに流したり、ある一部の人たちから好かれようとする余り、その意図を持った放送内容を放送するということのないようにお願いを申し上げたいわけでございます。
 そして、私は、NHKをもっと開かれた場にしたいんですよ。
 きょう、私もずいぶん言いたいことを言ったし、苦言も申し上げた、あるいは的外れなことを申し上げたかもしれないけれど、私は、公共放送としてのNHKの存在というものはこれは世界一りっぱだと思う。そういう意味で、より以上にNHKをりっぱにするために申し上げた苦言でございます、あえてお聞き取りいただければ幸いでございます。
 そういう意味を込めて、五十年度はもう一応こういう予算の内容が出ておりますけれど、私は速やかにこの世のさま変わりに対応できるNHKの体質改善と方向を打ち出していただきたい、このことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
#122
○参考人(小野吉郎君) まことに高次元の御意見を承りまして、私も心から敬意を表し、同感でございます。
 NHKは、NHKのために存在するのではございません、国民のために存在するのでございますから、国民の声には謙虚にこれに耳を傾けなければならないと思います。とは申せ、NHKとしては決して公共放送なるがゆえにあれをやってはどうだろうか、これをやってはどうだろうか、こういったような逡巡遅疑によって使命を完遂できないようなことになっては、これはNHKは要らないことになります。
 私は、就任早々、失敗は恐れるな、成果を楽しめ、そのかわり高い理想を持って事に当たれ、現実に振り回されてはいけない、こういうことを申しております。そういうことでただいま御示教のそういった面にはおこたえできようかと思いますし、私はこういう気持ちを末端まで浸透させまして、本当にNHKが閉鎖社会でなく開かれた社会であるような状態を理想として考えております。
#123
○木島則夫君 以上で終わります。
#124
○長田裕二君 ここに提出されました昭和五十年度のNHK予算につきましては、先ほどからもお話が出ておりますように、ここ数年間の収入増加傾向の頭打ちと、年々のいろいろな面における単価の増加とが相まちまして、事業収支において年度間二百十五億の逆ざやを生じておりますし、また、そういう状況を背景として、支出の各項目におきましておのれを律する態度の厳しさというものが相当広くにじみ出ていると思います。それにつきましての御苦心のほどはお察しいたすわけでございます。
 そういうようなただいまの状況からして、今年度と来年度あたりは、NHKの運営全般につきまして、相当広い角度とかなり深い突っ込みと両々相まちまして、この財政的な困難の打開と新しい展開を求めていく大事な時期だと思います。いままでの各委員の御質問もそういう点にいろいろと触れておられるわけですが、私は、予算執行上の一つの問題点として、弾力条項につきまして少し御再考を願いたいと思う点がありますので、これにつきまして御質問いたします。
 予算総則第七条が弾力条項、予定以上の収入があった場合の処理で、また第八条は、それに関連して前期繰越金が予算で予定した金額に比べて増減したときの規定であります。
 大体、弾力条項は、方々の公共企業体とか、このごろは国の予算あるいは企業体予算、各方面にあらわれるところで当然のことだと思っているわけですが、予算に比べて収入が増加した場合の使い方は、一般には、その事業のため直接必要とする経費、たとえばNHKの場合におきましては、集金に大いに努力をした、収入も予定より増加した、ただし経費はかかったとかいうようなことは一番具体的な一つの例だと思いますし、あるいはまた借入金の返還などに充てるということもこれも妥当な措置だと思います。あるいはまた七条の二項にありますように、職員の能率向上による企業経営の改善によって収入が予算額に比べて増加したりしたときは「経営委員会の議決を経て、その一部を職員に対する特別の給与の支給に充てることができる。」これも妥当なところだと思うわけですが、従来NHKの予算総則にあらわれた、私はほかの例を余り知りませんが、一つの特色は「設備の新設、改善に充てることができる。」と、そういう部分であります。
 この面は、八条の方の前期繰越金の増加の場合にも同じような規定が書かれているわけですが、そこまでやることが、普通、予算執行上妥当かどうかということに私はかねて疑問を持っておりまして、数年前、決算のときにも御質問もし、要望もした記憶がありますけれども、たとえばここで設備の購入をいたしますと、減価償却を必要とする資産を買ったりした場合には、たちまちすぐその次の年の――四十九年度のこれは一月から三月ごろまでに予定以上の収入があったと――十二月ごろまでの収入の増加は恐らく見込んで五十年度の予算に出ると思いますけれども、五十年一月から三月ごろまでの増収というものは余り見込まずに予算が組まれている。そこで出た増収というもので償却を必要とする資産を買った場合には、たちまちにして昭和五十年度収支予算書、ここに出ております減価償却費百二十九億九千万円、これに変動が出てくるというようなことになるわけで、予算の体裁としては余り妥当ではないという感じがいたすわけです。
 ただし、事業は生きものでもありますし、また国民からNHKに期待している面もいろいろあるわけです。難視聴地域の解消だとか、そういうような事柄は一刻も早くという念願を広く国民は持っているわけですから、そういうことも考えますと、予算の形式としてはやめた方がいいような気がしますが、あるいはそういうふうに目的を限って長い長期計画をお持ちになっているわけですが、何年度はここをやり、その次の年度はここをやりということでしょうから、そういうものを繰り上げておやりになるというような面はあるいは妥当な範囲に入るかもしれないという感じがいたすわけですが、これらにつきまして、協会並びに郵政省側の御見解を伺いたいと思います。
#125
○参考人(小野吉郎君) 予算総則第七条等により、増収の関係あるいは前年度からの繰越金の関係、これの使途について、あるいはそれを借入金の返還にするとか、あるいはその増収を生むに至った事業に必要な経費とする、当然のことでございます。またその一部を経営委員会の同意を得て職員の給与の一部に充てる、これも他でもやっておることで当然でございます。
 ただ「設備の新設、改善」これはNHKに特有なそれで、この見方はいろいろあるでございましょう。事業を発展的に考えるか制約的に考えるかの分かれ道だと思います。
 過去の例で申しますと、このために当初計画をいたしましたよりもテレビなりラジオのいわゆるカバレージが非常に急速に予算で予定した事業計画以上に進展をいたしたことは記憶に新たでございます。一番大きなパーセンテージで申しますと、前年のそれを置局数その他の関係から見ても二〇%ぐらい上回ります。その限度において要望の強い、また附帯決議等でもすでに難視解消に努めろと、こう言われる決議の趣旨にも沿い得たような私は功績の面もあると思います。いろいろこれは見方の問題でございましょう。
 ただ、現在は、御承知のとおり、財政状態がこういうことになっておりますので、現状も、恐らくこれから先も、そういうようなことは恐らく予算事情が許さないのではないか、このように考えます。その意味から言えば、この総則の規定は実際はあっても活用の場がないというのがもう過去数年前から継続しております。
 過去の功罪を申し上げますと、そういった面で附帯決議の御趣旨にも、大臣の意見書の趣旨にも沿い得、また受信者の方々にも事業計画以上に非常な拡充を図って、難視聴の解消がテンポ早く進んだと、こういう功績はあろうかと考えるのでありまして、これがむだな、不要な設備の新設なり改善に使われるということになれば、これはゆゆしい問題であろうと思いますけれども、幸いに過去の例から見れば、そのような事例はないわけでございまして、私はこの総則の活用によってむしろ国民の御要望には沿い得たのではないかと、かように考えております。
#126
○政府委員(石川晃夫君) ただいまNHKの会長の方から予算総則につきましての考え方につきまして御説明あったわけでございますが、私たちもそのとおりだというふうに考えているわけでございます。
 このことはNHKが事業を企業的、自主的に運営する上で必要な措置であろうというふうにわれわれも考えております。したがいまして同条を適用することによりまして、設備の新設等を行う場合につきましても、このような趣旨に沿って適切に運用されるべきであろうというふうに考えております。
#127
○長田裕二君 確かに小野会長のただいまのお答えのように、数年前、非常に増収の幅が大きかったときにこそこの規定についての制約なり何なりも必要で、増収の幅が余り見込めないような時期にこういうことを持ち出していくということは余り実益もないとも考えられますが、私は非常に増収の幅の大きかったころに要望を申し上げておったわけですけれども、また、そのときの増収のほとんど全額が難視聴の解消ということに向けられたかどうかということについては、私もよくつまびらかにいたしません。
 大部分はそう使われたと思いますが、しかし、やはりそういう趣旨ならそういう趣旨を一番国民的な要望の強い、あるいは委員会の附帯決議等で要望されているような面に使うということをやっぱり明記するなり、その趣旨を何らかの形で明らかにする方が、この予算の形といたしましても妥当ではなかったかという感じがいたします。
 ただいまは確かに実益が少ない。これからの展開によっては、また状況のいかんによっては、将来、増収の幅がかなり多くなるということもあり得るわけですので、私は、その面につきまして、今後、広く全般に検討をされます場合に、郵政省ともども、この問題については相当しっかりした御検討をお願いしたい、要望しておきます。
#128
○青島幸男君 まず、UHFの試験放送の点からお伺いいたしますけれども、この予算書を読みますと、東京、大阪でいままで行われておりましたU実験放送局がこの実験を中止するというようなふうに見受けられますけれども、その事実はどうなっておりますか、その点からお尋ねいたします。
#129
○参考人(藤島克己君) お答えいたします。
 御承知のとおりに、このUHFの現在行っております試験局は、ちょうど昭和四十五年に実験局という形で発足いたしまして、四十七年から放送試験局という形に変わって現在に至っております。
 当初のことを簡単にかいつまんで申し上げますと、四十五年に実験局を開設いたしました目的は、さらにさかのぼりました四十二年の十月、日本の郵政省のチャネルプランが新しくVU混在という線で決定されまして、続いてNHK、民放の大電力と申しますか、十キロワット以上の、いままでになかったような電力の大きなUHFの局が続々と免許になったわけです。それが続いて建設、普及という段階に入ってきたわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、このUHFというものは、これがいままで非常に微小なサテライトの局がございましたけれども、基幹局として混在になったのは初めての経験でございますので、送信する側にも受信する側にも大変技術的に問題がまだ残っている、そういうものを解決をしたいというために、いろいろ技術上のデータを取りたいということが一つございまして、そのためにこの実験局を開設したということ。
 それからもう一つは、受信者の立場に立ちますと、いままでのVと違いまして、いろいろ受信に関した障害が起きてまいっておるわけですから、それを克服するためにはどういう方法を使えばよろしいかということもございました。
 それで実験をやってきたわけでございますけれども、御案内のとおりに、四十六年度のおしまい、四十七年の二月でございますけれども、新たに文部省から放送法の九条二項の条項に関連いたしまして、放送大学の番組の制作並びにそれの普及等につきまして委嘱を受けましたので、それの関連もあわせてやるために実験局を試験局という形に変更をいたしまして今日に至ったわけでございますが、いずれの目的からいたしましてもほぼ実験の目的は完了いたしました。と同時に、もう一つ文部省からも、昨年の五月、この放送大学の実験は四十九年度をもって打ち切りますという通告も受けておりますので、両々あわせまして、この財政事情の窮迫を救助する足しにはならぬかもしれませんけれども、若干の一助にもなりますので、この際、思い切って休止するということにいたしたわけでございます。
#130
○青島幸男君 お説のとおりでして、ただ、ちょっと私の考え方あるいは記憶と違うのは、四十二年に将来はVをやめにして全面的にUに移行しようじゃないかという意図を郵政省はお持ちになって始めたように私は記憶しております。
 で、そのためには実験局としてさまざまな障害を克服して、それに至ることで御努力なさったのだろうと思いますけれども、何さまこのUというのは足は短いし、経費ばかりかかってカバレージを維持する上にも大変な問題が残る。四十二年に十年後を目途としてというお話で進められてきたはずですけれども、何ら実行の予定も立たないまま今日まで至っておるわけです。
 それで郵政省にお伺いしますけれども、UHFに全面移行するという四十二年のころの考え方はもういまや通らないのではなかろうかという気が事実するのですけれども、事実と申しますのは、あたりの状況から見まして、膨大な赤字予算を組まなければならないNHKにとってもなおさらのことでございますし、一部しか移行できない状況だったらこれは意味がないわけですね、あけたVの利用価値を高めようという趣旨でもともとお考えになられたわけですから。しかし、こういう状況の中からはあと二、三年しかないという時間的な余裕の中で全面的にUに移行するという看板はもうこれは名をなさないものと考えてしかるべきではないかと私常識的に考えますけれども、その点に関して郵政省のお考えを伺いたいと思います。
#131
○政府委員(石川晃夫君) ただいま御指摘がございましたVU移行の問題でございますが、御承知のようにVU移行につきましては、当時、昭和四十三年でございますが、非常に重要無線通信の周波数帯の需要というものの要求というものが急激にふえてくるであろうというようなことを予想いたしまして、そのためにもVHF帯のテレビジョン放送用の周波数をUHF帯に移行したいということを決定したわけでございます。
 この重要無線通信に必要な周波数の需要でございますが、その当時の逼迫していた事情がその後変わっているというわけではございませんで、ますますその点は逼迫しているという事情は続いているわけでございまして、現在でもこのVHF帯におきまして一般無線局は約十万局を超える数がございます。今後もこのようなものはふえていくということが考えられるわけでございます。したがいまして、その四十三年当時と現在も変わってはおりませんので、テレビジョン放送用の周波数帯をUHF帯に移行する、この基本方針は現在も変えておりません。
 しかし、このVU移行の円滑な実施を図るためには、先ほど御指摘がございましたように、具体的な移行計画あるいは経費の問題あるいは受信対策の問題、こういう点についてなお十分に検討しなければならない点もあるかと考えられます。したがいまして、今後、さらに検討を進めていきたい、かように考えます。
#132
○青島幸男君 毎回、私、大臣がかわられるたびにこの質問を申し上げるんですけれども、毎回いつも同じなんですよ。しかし、できもしない話なんですね、これは。確かにVに対する要望というのは非常に大きいことは事実です。しかし、いまNHKにUに移行してやってみろといっても、これは財政的にも技術的にもできるわけないでしょう。
 NHKにお伺いしますけれども、もし郵政省がそういう強い希望を出したら、全面的にUに移行するためにはどのくらいのお金がかかり、あるいは何年ぐらいの年月でこれを果たし得るというふうにお考えになりますか、その点をお聞かせいただきたい。
#133
○参考人(藤島克己君) 多少話がこんがらかっているかと思いますけれども、私どもが先ほど申し上げましたUの実験局をやりましたのは、VU移行というものが決まる前の、VU混在に対処をいたしまして、全国的にUHFの局ができます、現在すでに全国の四分の三ぐらいはUHFの局になっておりますけれども、そういう大電力ができてくるのに対処して実験放送をしていたということでございまして、その後で四十三年のたしか九月だと思いますけれども、御指摘のVU移行という問題が出てまいりました。
 当時、私どもが申し上げておりましたこれに対するNHKの考え方は、これは大変なお金のかかることでありますので、これがどうしても国策的に必要であるということが諸般の検討を経て最終的に確定をされ、しかも財政的にこれを円滑に実施する具体的な方法が社会的な妥当性を持って見つけられるならば、私どもは協力するにやぶさかではございません、ただ、いままだその段階までは来ていないではないかというような考え方を当時から持っておるわけでございまして、現在もその考え方は変わっておりません。
#134
○青島幸男君 ですから、これは本当に郵政省がそういう強い希望を持ってNHKに臨んだ場合には、何年後ぐらいだったらできるだろう、幾らぐらいかかるだろうという予測は、実際、NHKでもお立ちにならないんじゃないかというふうに判断してよろしゅうございますか。会長どうでしょう。
#135
○参考人(藤島克己君) これはその実行方法にもよりますけれども、全国的にやるといたしますと、おそらく十年以上の経過が必要じゃないかと私は思います。
#136
○青島幸男君 だから、大臣、この辺をお聞きいただきたいんですけれども、土台無理な話なんですよ、この全面移行というのは。
 どなたがおかわりになっても、政府の当初の趣旨は閣議了承も得ておる話だし、政府の方針としてこれを持ち続けているんだから私の代になったからといってこれをやめましょうと言うわけにはまいりませんと、歴代大臣皆さんそうおっしゃっていたんですけれどもね、どうでしょう。
#137
○国務大臣(村上勇君) なかなかめんどうな問題でありますけれども、基本的には、いまの基本方針を変えるということは考えておりません。
#138
○青島幸男君 この話はもうよしましょう(笑声)。私も毎回同じ話をして同じ御返事をいただいているんでね、これは子供でもわかる話だと思うんですけれどもね。できないことなんですよ、事実。大臣のお立場もおありでしょうから、これ以上私も深く追ったり追及したりしませんけれどもね。
 それでは、この話を離れまして次に移りますけれども、都市難視聴の訴えを持っている世帯数あるいは受信者が三十万ぐらい、予算書ですか、にありますけれども、これからますますひどくなると私は思います。
 それで建物が建つと申しましても、最近の建物の大きさを考えますとほぼ地殻変動に等しいですね、二百メーター、三百メーターなどというようなビルが建ちましてね、これは当然電波の障害を何らかの形で発生することはもう目に見えているわけです。ですから、あらかじめそういうビルを建てる方は、将来起こり得るであろう電波障害について何らかの配慮がなされなければならないことはもう当然のことでございます。ですから、そういう意味合いで、建築基準法とまではいかなくても、電波障害を来すであろうために何らかの形で補償を払わなければならない、そういうものを積み立てておいて、そのお金を難視聴に充てたらどうだろうかというお話が再三この委員会で出ました。で、そのことは確かにここまで財政が窮迫してまいりますし、ビルはどんどん建つ、どんどん難視聴地域はふえる一方だし、建てる方は一銭も払わずにばかばかしい大きなものをどんどん建てる、そのために難視聴はどんどんふえる。しかし、そのしりぬぐいは全部NHKがやらなければならない。このことを繰り返していますと、ますますこれは赤字がかさむばかりで、NHKは私は大変気の毒だと思うのですよ。
 で、このことを御検討いただいたらどうでしょうということが委員会で話題になりまして、その後、その件に関してはどういうふうに煮詰められましたか、その辺をお伺いしたいと思います。
#139
○政府委員(石川晃夫君) 都市におきます受信障害でございますが、これはいま御指摘のように、毎年といいますか、毎月新しいビルが建っていくというような状況でございます。そのようなビルによります受信障害というものも逐次ふえてきておりまして、本年度末でございますので今月の三十一日でございますが、そのころまでの推定といたしましては全国で約四十四万世帯ぐらい出てくるのじゃなかろうかというふうに考えております。
 従来から、私たちの行政指導の方針といたしまして、原因のはっきりわかるもの、いわゆるビル陰障害のようなものにつきましてはもうはっきり原因者責任というたてまえで、その建築主等がそれに対する受信障害の排除を行なうというかっこうで進めてきているわけでございます。しかしながら最近は非常に複合的な受信障害というのがふえてきておりまして、この点につきましては非常に解明が困難でございますので、実は四十八年の六月に都市におきます受信障害を含みましてテレビジョン放送難視聴対策調査会というものをつくって、ここで検討していただいているわけでございます。その調査会の中におきましても、やはりビル陰障害のような原因者のはっきりわかったものについてはある程度結論を得ているわけでございますが、複合反射のようなものにつきましてはなかなかその体系をつくるということがむずかしいわけでございます。
 したがいまして、その調査会の中におきましても、ただいま御指摘がございましたように、建築主に対して賦課金と申しますか、そういうものを課することによりまして都市地区の受信障害解消の財源を確保するという考え方はいかがなものかというようなことも実は検討されているわけでございます。検討はされておりますが、現在の検討段階におきましては、こういうものを含めまして、東京だけではなく大阪あるいは名古屋、こういうような大都市などにも普遍的に解決方法として提示できるような抜本的な方策を立てたいということでさらに調査検討を進めております。
 この調査会の中には建設省関係の職員も参加していただいております。それから郵政省としましても、今後、この問題につきまして直接建設省あるいはその他関係機関と密接な連絡をとりまして遺憾のないようにしたいと思っております。調査会の報告も近々出していただけるということでございますので、その報告が出ましたら、そういうものを全部総合いたしましてわれわれとしても対策を立てていきたい、かように考えております。
#140
○青島幸男君 そうでしょうね、郵政省だけの問題でこれは片がつかないと思いますね。建設省等とも綿密な連絡をとっていただいて何らかの方法を講じていかなきゃならない。
 原因者負担、それは当然のことです。原因がはっきりしているものはそれでいいんですけれども、私申しますのは、最初に一本建ったときは大した障害ないかもしれないですよね、ビルは。でもこれが複雑に錯綜してまいりまして、後で考えると一番最初に建てたのが悪いのか後で建てたビルが悪いのか、それが相乗効果を及ぼして悪くなる一方であるということは事実なんですけれども、後で考えたんではもうこれ遅いわけですよね、ビルが建ってしまってから。当然、将来そういう障害のもとになり得るであろうということは予測されるわけだから、そのことをあらかじめプールしておいて、その金を難視聴対策につぎ込んだらどうだろうということで、調査会でもその辺のことは検討いただいているそうですから、私もその辺を進めていただきたいと思うんです。
 NHKの方では、調査会あるいは郵政省にお任せっ切りで何らその点については進めていらっしゃらないわけですか、その点をお伺いしたい。
#141
○参考人(藤島克己君) 決してそういうわけじゃございませんので、ただいま郵政省の調査会の方にも私どもから委員を一人出しております。専門委員も二人出しております。で私どもの持っている知識、技能というものをこの委員会の施策に反映させていただければと思って努力はいたしております。
 それと別に、私ども自分の中の技術研究設備なり現場の受信相談なりを動員いたしまして、少しでも早くできるものから片づけていきたいという努力は毎日続けておるということも御了解願いたいと思います。
#142
○青島幸男君 これはますます複雑なビルが建ってまいりまして都市の様相も変わってまいりますし、これは人為的な問題ですから、突然山ができたわけではないわけですから、当然将来障害のもとになるであろうと予測されるものからあらかじめ徴収をして、それを財源に充てるというふうに考えていくというのが当然のあり方だと思います。そういうことも御配慮の上で、ぜひともそういう規則がどういうかっこうでできるか私もよくわかりませんけれども、できていくように御努力をしていっていただきたい、こう思います。
 それから、NHKの外部協力者に対する問題を何回か私ここで取り上ずましたけれども、附帯決議までつきまして、それから最低保障がかなり改善されました。そのことは感謝いたしますけれども、今度の予算の中でその占める地位がどの程度になっておりますか、それを御説明ください。
#143
○参考人(坂本朝一君) 外部出演協力者の皆様方に対する処遇の問題につきましては、現在、それぞれの団体と交渉を持っておりますので、いまその詳細についてまだ御報告できるような具体化された段階でございませんけれども、いま青島先生が御指摘の四十八年度の附帯決議、その附帯決議によりまして私どもは最低のテレビ・ラジオの出演料の値上げ等をいたしたわけでございますが、四十九年度も引き続き最低の出演料の値上げを中心に改定をいたしましたが、いまここで五十年度について申し上げられますことは、やはりラジオ・テレビの最低の出演料ないしは執筆料、そういうものの改善を中心に考えておる次第でございます。
#144
○青島幸男君 私も大変むずかしい問題だと思うのですけれどもね、NHK劇団だとか楽団だとか、これが実際のNHKの職員の待遇にはなっていない。しかしやっている方は職員のつもりで二十年も勤続してきている方もおいでになる。平均年齢四十九歳、勤続二十年というようなかっこうで月額十万ぐらいしか保障がないという方々も大ぜいおいでになるわけですね。
 この問題が特に地方に多いわけですね。仕事の回数も少ないし、よって保障も少ない。ということは地方で制作する番組がうんと少なくなっているという事実もありますね。地方文化育成のためにはNHKが中央でつくったものを地方に流すだけで事足れりと思っていると私思いませんけれどもね。しかし状況からしますと、中央でつくったものを外へ流す割合が多くなった。地方の自主制作番組が少なくなったことは事実ですね。それがそういう地方の出演者たちの生活を圧迫しているということもまた事実なわけです。これどういうかっこうで改善していったら一番円満にいくんだろうというふうにお考えになっていますか。
#145
○参考人(坂本朝一君) その点がわれわれ最も苦慮するあるいは苦心をしておるところでございますけれども、やはりラジオ・テレビのあり方、それから日本の全体の文化の交流というのが年々大都市中心主義になるというような傾向もございます。それからまた東京のタレントが地方に比較的簡単に交流されるというようなことで、地方制作の問題は確かにそういう点は問題がございますが、やはりこれは放送と聴視者とのかかわりの実態の中でそういう傾向があるわけでございますので、私どもといたしましてはやはり単価の問題でできるだけそういう点を解決していきたいというふうに考えておりますが、しかし抜本的には、この制度そのものについての検討ということも並行して考えなきゃならない問題ではないかというふうにも考えておる次第でございます。
#146
○青島幸男君 さまざまな経緯がありまして大変むずかしい問題であることは事実だろうと思いますけれども、少なくとも現にこういうふうになってきちゃっているわけですね。実際に協力いただいて番組は進行しているわけですから、実際にその保障によって生活をされている方々は大ぜいいるわけだし、そのことを抜本的という考え方はどういう考え方かよくわかりませんけれども、その方々のNHKに対する協力の意欲をそがない、あるいは芸術的な意欲をそがないように、しかも保障が充実するようにするためには、地方制作の番組をやっぱりふやしていく以外に手はないんじゃないですかね。
 地方でつくるとやっぱり地方でつくった分だけ予算がふくらむというようなことも考えられませんしね。何より恐ろしいことは、文化も中央集権化するということですね。北海道も九州も全くそれらしい風土の伝統も何もない、そうすると生活がだんだん無味乾燥になっていってしまうではないか。ですから地方の特色を豊かに、その土地に定着して誇りを持って暮らせるような人たちの地方文化を育成していかなければならないという面では、地方が独自のかっこうで放送を主体的につくっていくというような場を積極的につくっていかなければいけないんだということを前々回か前田前会長も言われていたわけですよ。そのことから考えますと、やっぱり地方の制作番組をふやしていく傾向をつくっていかなければ、その意味からも外部出演者の保障ということを越えても必要なんではないかという気がしますけれども、どういう傾向をたどりつつありますか、いま。
#147
○参考人(坂本朝一君) 先生御指摘の出演者の方方の場合は、まあ歴史的な展開の中でラジオの出演者という形で誕生しておるものですから、ラジオ番組のローカル番組が、一昨日のほかの先生方の御指摘にもございましたように、かなり態様が変わってまいりましたので、そういう意味での出演の場というのがかなり制約されているということは事実かと思います。
 しかし、いま御指摘のように地方文化という面からいきまして、そういう点をただ傍観するということでなしに、考えなきゃならない点は考えなきゃならないと思いますけれども、しかし基本的にはやはり制度とのかかわりの中に多少検討する点も出てくるんではないだろうかというふうに思って申し上げた次第でございます。
#148
○青島幸男君 事実、ここまで来た経緯を考えると大変むずかしいことです。しかし、こういう外部の協力者の協力を得てこそNHKは放送もできるわけですから、その辺のところを踏まえまして附帯決議の件もありますしね、なお一層の御努力を私は要望いたしますけれども、あえて申し上げたいのは、その所属する団体とか組合とかなどによって差別をつけるというようなことがもしおありになるとすれば、それはやっぱり大きく間違った道に進んでしまうんではなかろうか、また外部協力者たちをなお意固地にさせてしまうというようなことですね。
 そうすると労使の関係じゃありませんけれども、非常に円満を欠いたことになれば、制作意欲も減衰するし、運営もうまくいかないということになりますから、その辺の配慮を、人と人の問題ですから、しかも片方は弱い立場にあるというひがみ根性も私はあると思います、NHKの巨大な組織から比べれば。ですから、そういう点も十分に御配慮になって、すべての労務関係について言えることかもしれませんけれども、特に正式な職員でないという人たちにとっては非常に微妙な立場なわけですから、一つ一つの発言が微妙に響くわけです。その辺のところも十分御配慮ありまして、所属する団体、組合によって差別をするとか、あるいは年齢によってあるいは技術――技術はこれは仕方ありませんけれども、そういうことも十分に配慮して御検討いただきたいということを重ねて要望しておきます。
 それから、先ほどの話と木島先生の御質問の話と多少私食い違ってしまうんですけれども、技術革新に頼って経費を削減していく、能率を上げていくということ大変結構だと思うんですけれども、そればっかりに頼ってまいりますと、確かに先ほど会長も言われたように人間が機械を使っていくわけですけれども、新しいものが導入されたりすると、そこにそごを生ずるのは当然ですし、それはかえって非能率な結果を招くことさえあるわけですね。ですから試行錯誤を続けていかれるのは結構なんですけれども、それがえてして機械に使われるかっこうになってしまいがちだというところに十分の配慮をいただきたいと思いますけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
#149
○参考人(小野吉郎君) お説のような結果になっては、これは非常に困ると思います。そのようにならないように十分な配意を下してまいらなければならないと思います。その点は、十分に気をつけてまいりたいと思います。
#150
○青島幸男君 最近、どうも作家とNHKのトラブルが多いようでございますけれども、これもよく伺ってみますと、作家が台本を納入する期日が大変、何といいますかね、早く納めなければならない。その原因が何なんだろうということをいろいろ話し合ってみますとね、どうもスタジオの使用とかあるいは機械の操作の点でコンピューターの働きにまつ部分が多いと、コンピューター化したためにスタジオの運営上台本の入手が非常に早く、期日早く入ることを望まれるんだというふうに伺ってますけどね。
 一〇〇%人がつくるわけですね、台本というのは。そうしますとね、その作家の創作意欲というものができ上がった作品に大きな影響を与えることは、これは全く事実なんですけれども、しかしそのコンピューターシステムによってその作家の意欲が減衰されたり、あるいは十分に推敲を重ねた上ででき上がったものが出せないというようなことになりますと、やっぱりコンピューターが人間の創作に優先してしまうのではないだろうか、ひいては番組の程度も下げてしまうのではなかろうかというようなことも間々言われているんですけれども、私の申し上げたことが間違いかどうか、それもお伺いしたいんですけれども、もしそうであれば、その点どういうふうにお考えになるかをお聞かせいただきたい。
#151
○参考人(坂本朝一君) その点につきましては、要するにNHKのコンピューターというものを作家の先生方に対する御理解を得るのが不十分で、コンピューターは物を言いませんので、コンピューターが物を言えば、とんでもないと、むしろわれわれがコンピューターから文句を言われるのではないかと思うような次第でございまして、作家の先生方に台本を早く入れていただきたいということは、コンピューターとは全く関係ございませんで、まあ一日でも早く台本がいただければ、それに要するいろいろなそれから後の作業に携わります美術あるいは俳優の方、もろもろの職種の方がやはりその作家のお書きになったものの芸術を充実するためにそれだけ余裕をもって当たれるので、言ってみればやはり作家の先生方にもプラスになるのではないかということで、できるだけ早く台本をいただきたいという趣旨にほかなりません。
 ただ、その催促の仕方とかあるいはその先生への御説明の仕方等に不十分な点があって、それがコンピューターとのかかわりであるかのように先生方に御理解いただいたとすれば、それは全く私どもの不注意と申しますか、説明不足でございますので、そういうことのないように今後は努力したいというふうに思っている次第でございます。
#152
○青島幸男君 私の間違いであれば結構なことなんです。しかし、著しく早くから提出を求められるようになりましたね、それはどういうことなんですか。
 もっと前は、せっぱ詰まって台本が入っても何とかかっこうついていったんですけどね、このごろは三十日、六十日というような長期に前もって入れなければならないというふうになりつつあるという傾向はどういうところから生まれたんでしょうか。
#153
○参考人(坂本朝一君) それは、いま申し上げましたように、まあできるだけいいものにしたいということの一つのリミットが録画日の三十日ないしは六十日ということで、大体、シリーズものでもって二カ月ぐらいのカンプロの番組をストックして番組のスタートに当たりたい、そういうことによって番組の内容を高めたいということにほかなりませんので、極端なことを言えばいま先生のおっしゃった従来の形でやってやれないことはないんですけれども、それではやはり本当の意味での番組の充実になりませんので、まあ作家の先生に御協力願いたい、そういう趣旨でございます。
#154
○青島幸男君 それは台本を早く入れて十分な演出効果を上げたいということはよくわかります。しかし、最近のように作家との間のトラブルが多いということは、NHKが、現場の人は決してそうでないと思うんですけどね、余り配慮し過ぎるのではないかという気もするんですけれどもね。
 たとえば放送内容がある団体を刺激しやしないかとか、ある政党を刺激しやしないかとか、そういうことに対する配慮が余りに厳しい、あるいはかたくなであるために作家との見解が対立するというようなことがもしあれば、これは公共放送のたてまえから言えば偏った考え方だけが述べられるということはまさに間違いですけれども、しかしそういうものの中から試行錯誤して人間の文化というものは高められていくわけですしね、そういう何のトラブルもないものが流れていさえすればそれは楽でいいかもしれませんけれども、それは何ら文化に貢献するわけでも何でもない。ただ無味乾燥なものだけが流れてくるというようなことではやっぱりNHKの使命を大きく損なうことになるわけですしね、その辺のところを十分配慮いただきたいと思いますけれども、会長どうですか、私の申し上げていることが誤りならいいんですけれども、その辺をお答えいただきたいと思います。
#155
○参考人(小野吉郎君) それは非常に正鵠をついた御発言だと思います。私ども非常に苦慮するところでございますけれども、いろんな気がねとかどうとかというようなことでいまのようなトラブルが出るとすれば、これはゆゆしい問題でございまして、先ほどから申しますように、その点については勇気を持って事に当たるべきだと、しかも高い理想を持って信念を持ってやれば失敗を恐れる必要はない、むしろその成果を喜ぶべきだというように考えておりますので、遅疑逡巡する結果、いろんな関係で手違いを来し、あるいは制作の期間が非常に短縮されて相手方に御迷惑をかけるというようなことになってはこれはゆゆしい問題だろうと思います。そういうことのないように極力努めてまいりたいと思います。
#156
○青島幸男君 場所柄もありますから私はその一一について申し上げませんが、かつてそういう事実がありました。そのことを踏まえて要望するんですけれども、今後とも、いま会長がおっしゃられましたような御趣旨で胸を張って理想のとおりにお歩みいただくことを心から要望いたします。
 ありがとうございました。終わります。
    ―――――――――――――
#157
○委員長(竹田現照君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山田徹一君が委員を辞任され、その補欠として柏原ヤス君が選任されました。
    ―――――――――――――
#158
○松岡克由君 大分、要望やら論議も出尽くしていると言ってもいいくらいに出ています。ダブることを避けながら質問いたします。
 この予算ですが、私、この予算を見て率直に言うと、来るべきものが来たのではないかという感じがするんですね。経常事業収支において二百十七億、事業収支で二百十五億八千万円の赤字、その赤字を埋めるべく昨年のように土地がない、直線的に発想すればもはや値上げ以外しかないんじゃないかと、こういうことになるんですが、もう少し水平的に物を考えてみたいと思うんです。
 三年前、放送会館の跡地の売却のときに、聴視者への利益還元のために三年間値上げはしないと前田前会長が公約しましたですが、私はこういう考え方というのは甘いんではないかと昨年この委員会で質問をしたときに、小野会長は、決して間違ってはいなかったんだけれども、経済変動がいろいろあって予想できなかったことが出てきたんだと、非常に残念だと、赤字になったこと、こう答えておりました。だけど、経済変動ということに対して予想はできなかったにしても、私はテレビの伸び率ということでは当然予想できたし、またしなければおかしいことであって、本年度百八十万件のカラー契約、これが見込まれていますが、これは白黒からカラーへの移行ということですからね。そしてそのカラー契約も大体八五%いっておりますですが、もう増加しない。私は、もうこれは頭打ちは予想できていたわけなんでございますから、何かこれは値上げをするよりしようがないし、値上げを待っていると言っては変ですが、新聞よりはずっと安いし、七十五円ばかり上げれば全部赤字が解消してしまうと、そういう単純な発想にいっているんではないかという気がちょっぴりするんですが、その辺からちょっと伺いましょうか。
#159
○参考人(小野吉郎君) 今日の事態が突如として降ってわいてきたわけではございません。前々から受信料の増加の伸びの鈍化する傾向はもう事前から察知できておりました。
 昭和四十三年にカラー契約を設定いたしまして以来、四十六年度まではどうやらいけたんでございますけれども、四十六年度をピークにいたしまして逐年伸びが鈍化しております。この趨勢がさらに上昇カーブに行くはずはございません。したがって早晩こういうような状況になることは当時から予想はいたしておりました。ただ、そこに、臨時のものではございますけれども、田村町の売却の金がかなり高く入りましたので、これでそういった面を糊塗することができて今日に至ったわけでございます。昭和四十七年の沖繩返還の年にはすでに赤字だったわけでございます。しかも収入の伸びは漸次低下するということになれば当然予想できたことでございますけれども、これは公共機関としてやっぱり料金値上げの問題はそう簡単に考えるべきではございませんし、そういうような面から三年間は値上げをいたしませんと公約をしましたけれども、その値上げをしない結果は一体どうなるか、収支償っていけるのか、そんな見通しは持っておりませんでした。そこへ一つわれわれのだれしも予想もできないような非常な高物価の時期がございましたので、一層それに拍車がかかったというような結果でございまして、早晩は、やはり料金調整をとらなければやっていけないということは自明の理でございます。
#160
○松岡克由君 大変素直に回答を得たわけですけれども、俗に言う、赤字になるのを値上げで常に埋めていくということがこれから予想されてしまうわけですからね、これはやっぱりなろうことならほかの方法を――穴があいたと、こっちから持ってきてそれで埋めた、そこへまた穴があいたと、だんだん穴が大きくなるっていうようなもんで、これじゃ経営者なんというのはだれでもできるんじゃないかという悪口になってしまうんですがね。これがほかの企業ですといろいろと、たとえば民放だとコマーシャルという、考えようによっちゃ無限の収入源というものがあるわけでございますが、NHKはそういかぬと。
 これも新聞なんですけれども、営利事業への進出を検討していると。聞いたのは、これはやらないんだという話を聞いたんですが、やらざるを得なくなってくるのではないか。そのために法改正が必要ならどんどん法改正を――この場で結構ですから、どういう考えを持っているのか、営業の方の方。会長ばかり答えてないで結構でございますから、どうぞひとつ返事を。
#161
○参考人(小野吉郎君) いろいろ営利事業を考えておるんではないかという取り上げもございました。現在、そういうことは具体的にはございません。しかし、早晩やはり受信料の面ばかりに頼っておって、ほかに何かそれを補てんする道があるにもかかわらずその方へ目を向けないというようなことがあっては、これは非常に困るんであります。
 ただ、放送事業でございますから、放送に関連のない問題へ手を触れるわけにまいりません。それには、せっかくやはりかなり貴重な資料を放送の資料としても持っておるわけでございますし、放送が持っておる欠陥の一つとしては、瞬間的に消えてしまって、非常にそのものがいいものであってももう二度と利用できないというような状況が非常な弱点であろうと思います。その面を補う意味の二次、三次利用、こういった面の方向で活路を見出し得れば、仮にそれが営利の対象になり得ればそういうものは取り上げてしかるべきだと。恐らくその場合には、営利を禁じられております協会としては法律改正を要する問題でしょうけれども、そういう面もやはり受信料のほかにあわせて考えていく必要はあるように考えます。
#162
○松岡克由君 そうだと思います。それによって障害をこうむるところがあるわけですね、弱小企業などはそれによってダメージを食らう、その辺の配慮さえできれば、そういった方に伸びていかざるを得ないんではないかという、それに対する会長の意見そのとおりだと私は思っております。
 それから、赤字補てんの問題なんですけど、これ郵政大臣、提案説明では「この赤字は、資本収入と資本支出の差額二百十五億八千万円をもって補てんすること」にしますと、簡単にこう言っているんですがね。これちょっと私は資本収入の中には放送債券の六十億が入っているんですね。この放送債券というやつは、これは放送法第四十二条によって放送設備の建設、改修のために発行されるものであると、ですからちょっとこれはおかしいのではないかと。また、その一方、本年度の事業支出の増加分のうち、給与それから国内放送費合わせて百四十七億円、この数字が出ておりますがね、これが支出負担のウエートを占めているわけなんですが、そうするとこれ漠然と差額を埋めるとしてあるんですが、支出のどのものに何を埋めるのかと。はっきり言うと放送債券分が給与に回っても外部にわからない仕組みになっているんじゃないですか、この辺どうなんですか。
#163
○政府委員(石川晃夫君) ただいまお尋ねの件でございますが、詳細はNHKから御説明いただいた方がいいかと思いますが、この資本収支における収入と支出との大要を個別に申し上げるということは適当ではないというふうに考えられるわけでございます。
 しかし、仮にこれを色づけしますと、減価償却引当金が約百三十億でございます。これと前期の繰越金の受け入れの八十七億円、これで事業収支の差額を補てんいたしまして、そして建設費は放送債券の六十億円と長期借入金によるということになるのではなかろうかと思いますが、詳細についてはNHKから説明した方が適切かと思います。
#164
○参考人(山本博君) いま郵政省からお答えしたとおりでございます。
#165
○松岡克由君 とおりはいいんですが、やっぱり誤解を招きますからね。こういう大ざっぱな、要するに来年は値上げをするから、それまでこれでもって埋め合わせちまえと、これで済んじまうと、こういうことをしているとやっぱり粉飾決算になりかねないんでね、私は厳しくやっぱり数字のもとにおいて出していかないと、当然これ疑問を持ちます、だれが見ても。尋ねられればそういうふうに答えるかもしれませんけれども、何だかわけがわかんないでしょう。こういう大ざっぱなものというのは私はよくない、やっぱり厳しくちゃんとした数字を出してしかるべしだと。私はこういうものを堂々と出す神経を大変疑るんでございますが。
 まあいろいろと意見を聞いておりましたが、都市難視の問題、それはもうNHKだけでは片がつかない、どんどん本当に郵政省から他省に語りかけて、そして協力を得なければもう解決できない。日照権というのがあると同じように、何といいますか、電波権みたいなものが私はやがて出てくるんじゃないかと。これはもう当然考えられることであるので、その辺もひとつ重ねて、青島さんも言っておりましたし、一昨日の森委員も言っておりましたけれども、強く私は要望しておきます。
 それから電波問題がちょっといま出ましたんですけどね、コマーシャルなんでございますが、ついでに伺いますが、電波監理局長、大変に多いと、昨年民放の、苦情が出まして、一八%に規制したということをいま実行しているということなんですけどね、これ郵政当局としては、こういう場合何の見解も出せないもんなんですか。
#166
○政府委員(石川晃夫君) コマーシャルでございますが、これはいわゆる広告放送でございます。この広告放送につきましても、放送法の上から見ますと、これは放送番組の一部であるというふうに解釈されております。したがいまして、そういたしますと放送法の三条によりまして、編集とか放送については放送事業者がみずからの責任において行うということになりますので、われわれといたしましては、この件については立ち入りできないと、こういうことになっております。
#167
○松岡克由君 そうすると、極端な言い方は、ほとんどコマーシャルになっても文句は言えないということですね。
#168
○政府委員(石川晃夫君) ただいまの御質問は非常に極端な場合でございますが、その点につきましては、やはり本当に極端でございまして、従来からそのような点につきましては放送事業者が自主的に規制しているわけでございます。ですが、ただ、いま御指摘のような、そういうふうに大半を占めるというようなことになりますと、これはもう当然対象であります視聴者の方々からそれについてのいろいろな批判が生ずるということになります。したがいまして、その批判が生じた場合には、民間放送事業のあり方についての根本的な問題ということになって、検討が必要になってくるかというふうに考えております。
#169
○松岡克由君 それからね、電波監理局長は気がついているかどうか、コマーシャルになると急に音が大きくなりますわね、これは事実なんです。これは寝ていて大変に困る。ということは、病人にとって大変困ることなんですね。ぽんと大きくなるんですよ、そのために起きていって、つまり音量の調整をしなければならぬという、こういうことも言えませんですか。
#170
○政府委員(石川晃夫君) ただいま御指摘の問題でございますが、コマーシャルの音量については、現在は特段の基準など設けるというようなことはしていないわけでございます。
 しかし放送番組といいますのは、コマーシャルも入って全般的に均一化されて調和のとれたものであるべきだというふうに考えるわけでございます。コマーシャルといたしましては、自分のコマーシャルを聞かせたいということであるいは音を大きくするのかもわかりませんし、あるいは場合によりましては静かなドラマの中に急にコマーシャルのような異種のものが入ってまいりますと、音が大きく聞こえるという場合もあるいはあるかとも思いますが、いずれにいたしましても、そういうような現象は好ましい現象ではございませんので、業界団体等を通じて、そういうようなことがあればそれを抑えるように、ひとつ要望したいというふうに考えます。
#171
○松岡克由君 あるんです、実際大きいんですよ。あれはもう感じなかったらおかしいんで、これはもう大きいの。それはひとつわれわれも事あるごとに追及しますが、病人にとって大変なことなんです。あなたは患ってないからわからないと思うんですがね。それはいろいろなやり方を心得ていらっしゃると思うんです、専門的に。こちらはアイデアだけの提供でもって申しわけないですがね、後の事後処理をひとついろいろな方法でやってほしいと、こう思っております。
 じゃ今度は、NHKの番組の内容についてちょっと質問をしたいんですけどね、大変結構な番組、感激し、または感動するような番組があります。坂本さんと話したんですが、ダビンチでしたか、あれの生涯をやった、イタリアでしたっけね、持ってきたテレビなどは大変によかったと思うんです。そのほか私ねいろいろこれについて見ていると「海外特派員報告」とか、または「女性手帳」あれなどは私大変にすばらしいと思って評価をしているんですね。
 しかし、よく見ていると、どうも納得いかぬというのがあるんです、これは部分的なものかもしれません。こんなことがあるんです、立春の日にニュースで、日本は寒波に見舞われ各地で雪が降ったと、そのニュースが出ているわけですね。立春にもかかわらず寒いというようなことを言っているんです。ずいぶんばかげたことを言うもんでね、これは一番寒いのが立春前後で、暑いのがつまり立秋前後で、その寒さの極限に春を感じ、暑さの極限につまり涼を感じるというのが日本の暦の発想なんですね。こういうのを平気で言っているところを見ると、ちょっと何かおかしいんではないかと。だんだんだんだんそういったものがわからなくなってくる現在、私はNHKがしっかりそういったいろんなものの見方というものを、つまり伝統を現代に伝えてほしいと、これを申し上げておきますがね。
 それから、昨年の「勝海舟」の、あれちょっといろいろ週刊誌で見たらトラブルがありましたんですね、あの途中で主役が交代したと。ああいうことがあってはいかぬから、やはり健康管理というのをちゃんとしなきゃいかぬというようなことを私質問しましたが、その後、どうなっていますか。
#172
○参考人(坂本朝一君) たしか前回のこの委員会で松岡先生から同様の御指摘をいただいて、健康診断をさせたらどうかという御示唆があったわけでございますが、職員を採用するようなわけにもいきませんので、NHKが健康診断をするというのはなかなかむずかしいというふうに御答弁申し上げたと思うんですけれども、ただ、そういう御示唆もございますので、その後は、長期にわたる出演者の方々御当人並びに所属するプロダクションには、ぜひかかりつけの医者なりあるいは適当な病院なりで健康診断をしてください、その健康診断の結果をお知らせください、それによってお願いすることはお願いすると、そういうふうに慣行をつくりまして、ただ健康診断をした結果の診断書まで提出してほしいとは現在まだ至っておりませんけれども、そういうことで藤田美保子氏であるとか、今度出てまいりまする大竹しのぶ君であるとか、そういう方々はすべてそういう方法でお話し合いを進めております。
#173
○松岡克由君 取り入れてくれている部分がNHKというのは大変多いんで、今回も前に私は予算を決めるんだから、NHKの予算を承認するところを報道せよと、流せと言ったら意見も入れてくれて、こうやって状態を知らせてくれるというのは大変ありがたく思っております。
 「勝海舟」のときに、松方弘樹という俳優が出てまいりましたですね、これはしようがないリリーフで出てきた。私はね、これちょっと困ったというか見過ごしにできないのは、番組が終わったときに急に批判し始めて、私は勝海舟という人物はきらいだと言い始めているんですね。これはもう失礼千万もいいとこで、通行人じゃないんで、通行人がいやだと言っているんじゃない、主役ですよね。役者というのは自分の思想、考え方、生き方をその役に託して出すわけですから、一年間にわたって見ている人間は何を見せられてきたんだと、つまり、からを見せられてきたことになる。私はいやなら最初から引き受けなきゃいいんです、こんなもの。かわり手は幾らもいるんですから、私がやったってよかったんだから(笑声)、視聴率が上がらなくなるかな。私はこういうことがあってはならぬと思うんです。反論があったら、坂本さん、どうぞ。
#174
○参考人(坂本朝一君) 松方発言につきましては、私も実はびっくりしたわけでございますけれども、少なくとも視聴者に責任を持って御出演になっているタレントの御発言としては納得しかねると思いまして、御当人並びにその所属する撮影所にも厳重警告をいたしました。それに対して先方から意の尽くせないところがあったということで、遺憾の意の表明が現在来ておる次第でございますけれども、ただ、その後、松方氏自身もかなりこの発言の報道については、いささか反省し、まあ言い方は適当でないかもしれませんけれども、よろめいてきているようでございまして、前言をかなり訂正するようなインタビューに応じておるような現状のようでございます。
#175
○松岡克由君 そうしなきゃしようがないし、それしか解決の方法はないんですけれども、こういうばかげたものを見せられている視聴者というのはいい面の皮ですわね、俗なことばで言うと。こんなばかげたことがあってはならぬのです。
 それから、これ私ごとで大変恐縮なんですが、ぜひ聞いてほしいと私の師匠小さんから頼まれましたものなんですが、演芸番組の言葉の問題なんです。これは大変な問題になっているんですね。何といいますか、社会常識に反する言葉を、それが度が過ぎるとカットすると。
 一例を挙げると、こういうことを言ったんですね、「宗旨にはいろんな宗旨がございまして、陽気なのもあれば陰気な宗旨がありまして」と、これカットになっちゃったんですよ、宗教問題に立ち入るというんですね、この程度のもので。坂本さん御存じと思いますが、もうこういう大衆演芸、特に落語というのは、人間というのは論理的に生きたいと思っている、その論理的に生きなきゃならぬけれども生きられないという、この現実にぶつかったときの弱さを、落語の八つあん、熊さんは非常に非論理に生きていると、そこで娯楽を求めてくるという、人生のやっぱり人間の業に触れた芸なんです。これを一片の言葉だけでやるなら、守っているんでも何でもない、かえってさわってくれない方がいい、放送に出してくれない方がいいです。このために非常に――ですから非論理なものなんですよ、落語家にやっぱり宣教師みたいなことを希望したってしょせん無理なんですから、非論理なところで始まるこのすばらしい娯楽を切られてしまうんじゃないかという気がするんですが、この辺どうなんですか。
#176
○参考人(坂本朝一君) 確かに御指摘のように、最近のいろいろな世間の常識の中では、必ずしも落語の高座で許される表現も放送という場になりますとぐあいの悪いという例も多々あろうかと思います。そういう点については、出演者の方とお話し合いをして訂正していただくなり何なりをしておりますけれども、そのことのためにその方の芸が十分発揮されない、また落語そのものの真価が世に問えないというんであれば、いま松岡先生がおっしゃいましたように、それは放送すべきじゃないと、こういうふうに私も考える次第でございます。
#177
○松岡克由君 といって、全くなくなっちゃうと私ども困りますんでね(笑声)、それをひとつ――私は何を頼みたいかというと、落語というのはこういう業を持った芸なんであるというのを私は宣伝してほしい。これは落語ばかりでない、いろんなところにそういった問題が出てくると思います。さっき青島さんも言っていましたですけれども、そういうものにぶつかっていって、これをいろんな意味から突っつき合うところに文化の向上があるわけですから、それを私はやっていただかないと大変に困るんで、ひとつ場合によっては英断を持って、これはいいのだと、これは落語国のものなんだという、ひとつの逃げかもしれませんが、私は本当は逃げないで、堂々と業を売り物にしている芸なんだということを、この際、ひとつしっかりと――御承知ですからね、逃げないで進めていただきたいと思うんです。
 それからプロボクシングだとかプロレスというのは中継しないんですか、NHKというのは。変な質問ですが、ちょっと答えてくれませんか。
#178
○参考人(坂本朝一君) プロレスの場合は、私どもは一応スポーツと言うよりかショーというような観点で従来中継する機会を持ちませんでしたけれども、プロボクシングについては、かつてしばしばラジオの時代も、テレビになりましても放送しておったんですけれども、いろんな民放さんとのかかわり等で、私どもの方が中継するというような機会に恵まれないというのが、正直のところ、現状でございます。
#179
○松岡克由君 恵まれればするんですな。
#180
○参考人(坂本朝一君) プロボクシングにつきましては、少なくともビッグイベントということであれば、やはり一般大衆の御要望に沿うという意味で取り上げてしかるべき種目であろうかと思いますけれども、残念ながら、現状ではなかなかそこまでの処置がとれないというのが現状でございます。
#181
○松岡克由君 別にNHKが中継しなくても、いろいろと金銭的なことでプロダクションがどうのこうのでもってプロの興行ですから、ほかの局を通じて見せてもらってるんです。別に私はプロレスファンでもないんです。
 実は、いまショーだからと、ショーと受け取っていると言うんですがね、私はNHKが中継している大相撲、あれは完全にもう後半になるとショーになっていますよ。それでこの間見ていたんですよ、私はたまたま東京を離れたところで、ダイジェストですけど。見ていて、そばに田舎の人ですから純心なのがいたわけだね、ぼくが全くわからない勝負を全部当てちゃうんだ、これはこっちが勝ち、こっちが勝ちと。これはまあ録画ですけど。わかってるんですかってったら、わかってやしないけど、わからあな、そんなものってなもんだ。七勝七敗は全部当てちゃうんだね。それで最後の貴ノ花との一戦ね、全く力が入っていない。私にはどう見ても八百長としかとれないんだが、あれもまあやってるのは相撲協会ですからNHKには関係ないけれども、やっぱりそれを一言もNHKの解説――相撲解説というのがいますわな、言わぬのだね、世話になったところだ、言いにくいのかもしれませんが、私はあのちょうちん持っているっていうのは、どうも見るやつが見りゃすぐわからあね、こんにちは相撲というのはね。
 NHKの方から少し厳しくやるという手はないんですか(笑声)。だって金払って解説なんかは雇って――雇ってるってことない、出てもらっているわけでしょう。
#182
○参考人(坂本朝一君) それは松岡先生のお言葉ではございますけれども、私どもは、あの大相撲に八百長……
#183
○松岡克由君 八百長でなくてもいいわな、言葉をかえてもいいですよ。
#184
○参考人(坂本朝一君) 何と申しますか、真剣味がないというふうには理解しておりませんで、私も楽しんでおる一人でございますけれども、非常に一生懸命やって真剣勝負だというふうに了解しておる次第でございます。
#185
○松岡克由君 へへえそう、坂本さんらしくないな、酒が入りゃ本音吐くと思うけれども、いましらふだから(笑声)言いにくいだろうけれど、あれを見てやっぱり真剣勝負だと言ってほしくないな、最終日の相撲見ても。ほかの人が言うんならいいですよ、坂本さんに言ってほしくない、あなた知ってるはずだ。
 真剣勝負でもいいですよ、真剣勝負にしても、ちょっと私はね――だれでもわからあな、私は相撲がきらいじゃないしね、疑問はずいぶん持ってるんですけれども、それだけにNHKがもう少し解説者に厳しく注文をすれば私は防止できるんじゃないかと思うんです。だれが見ても筋肉に力が入ってないんだから、裸踊り見ているわけでも何でもないんですから、やっぱりあれは、そういうことを――早い話かNHKが中継やめてごらんなさい、ぱたんと人気が落ちちゃうから。そのぐらいNHKの中継に、何ですか、あそこは財団法人の相撲協会ですか、あれはしょってるわけですからね、その部分を。
 本当は、あれは国技と言っているけれども、大変疑問で、国技というのはそのゲームといいますかその競技において日本国じゅうの、日本の人たちの体力向上を図るというのが目的なんで、そのために相撲法人といって税金なんか安くしてもらっているけれども、しかし昔だったら学校に土俵なんかがあって、おれは双葉山だ、神風だ、玉錦だと言ってやってましたけれども、いまはないし、また相撲たちが教えに行ったとか、または指導に行ったという話も聞かぬ。だから、ただデモンストレーションのためにあそこでとっているはずなのが、それが全く営利目的になってしまった今日、それを正すのが、私は、NHKという実力を持った、電波を持っているものしかないんではないかと思う。
 やっぱり人間ですからいろいろあります、ありますが、余りにも見るにたえないような状態がありますので、その辺をひとつ解説者に――私はなかなか言いにくいこともある、裏もありゃ表もある、しかし、あれで繁盛してればいいんだという問題ではない。だとしたらプロレスもやらなきゃいけないんじゃないかという意見になってきますのでね。余りプロレスをショー、ショーというんなら、おれが相撲界の内幕をぶちまけてやろうかと死んだ力道山がどなったことがありましたけれども、ひとつ厳しくやるということをここでおっしゃってくれませんか。
#186
○参考人(坂本朝一君) 解説の先生方も別に甘やかして解説しているとは私は思いませんけれども、ただ国会の場で松岡先生の御発言でもございますので、そういう点はやはり伝えまして、少なくとも談合試合みたいなものが見受けられるというようなことであれば、それはやはり解説の中で厳しく指摘するという御見識は持っていただくように、NHKとしても注文したいというふうに思います。
#187
○松岡克由君 そういった部分が、こういう小さなことといいますかね、こういうところに不審を抱いたりする、そうすると見ないということになりまして――いま私の言ったことはこれは別に偏見でも何でもない、素直なものの見方なんです。そしてNHKしかできない部分というものを抱えています現在、NHKによって人生の栄光を得、NHKによってその栄光が全く逆に悲惨な状態になっていく、それは個々の生き方があるかもしれませんですが、そういうものも含めて私はいろんな管理をしてほしいと、こう思っております。
 いずれにしても曲がり角に来ておりまして、私はそんじょそこらの会社の立て直しというわけにはいきませんし、値上げだけに頼っているというわけにもまいらぬし、来年は恐らく値上げで赤字を埋めるんだろうと思うんでございますけれども、どうぞひとつ値上げをしなければならない場合は値上げをしなければならぬのだということを堂々と私は言ってほしい。
 ところが、過日、私は、衆議院の逓信委員会で予算が承認されました、そのテレビを見てたんですけれども、要するに総額の予算概念を言っているだけで、ニュース報道について二百十七億の赤字だなんということは一言も知らせてないんですね。やはりこういうことは知らせるべきところは私は堂々と知らせて、知らせて怒りはしませんよ、こうこうこういうわけなんだからと。状態がわかりゃ別にNHKをぶっつぶせというようなものでデモをかけられはしませんしね。私は知らせるべきところは知らせなきゃならないという、その姿勢というものは小野会長にたくさんある、すごくあるんです。それだけにひとつ知らせなきゃならないところ、全部ばらせということじゃないですけれども、このぐらいのことはやっぱり出しておかなきゃいかぬと思いますが、どうでしょう。
#188
○参考人(小野吉郎君) 正を踏んでおれば何もものを隠す必要はないと思います。NHKは正を踏むべきだと思います。その上で、そのようなことをことさらに伏せる必要はないと思いますので、正々堂々と公表もし、NHKがよろめいたのではこれは困ると思いますので、そういうよろめかないNHKにするために最善の努力を尽くしてまいりたいと思います。
#189
○松岡克由君 VからUへの移行の問題、それから都市難視、そして番組の内容に対するNHKの正しい見方というのをひとつそう長期でなく――青島さん、さじ投げたと言っていましたけれども、私はまだ言ったことに対して、郵政大臣も含めて、責任を持たなければならぬと思いますので、それを懇願して質問を終わります。
#190
○茜ケ久保重光君 大分大ぜいの議員が質問なさいましたから大体出たとは思うのでありますが、私は二、三点についてお伺いをしてみたいと思います。
 最初に、建設省の住宅局長、難視聴問題がずいぶんこの委員会では問題になりました。また、恐らく難視聴地域にいらっしゃる多くの視聴者もこういった国会の質疑の状態を聞いて大変な関心があろうと思います。しかし、残念ながら、たくさんの議員の皆さんから難視聴に対する質問なり意見が出ましたが、少なくとも二十五日、きょうの質疑の過程を通じて全然進展がないんですね。調査会ができて調査している、あるいは原因者負担と、全然解決へのスタートがないんですよ。
 ところが、私はきょう建設省の住宅局長を呼んだのでありますが、調査会が調査をしてあと少なくとも結論を出すというのでありますが、どんな結論が出るのか、結論が出たら法制化して単独法でもつくって、いわゆる高層建築あるいは高速道路、新幹線といったようないわゆる人為的な障害に対する根本的な態度をお決めになるかどうか、この点、ひとつ郵政大臣に聞きたいんだが、電波監理局長でもいいから、調査会の結論が出たらどういう方向にいこうとするのか、その点はっきりしてもらいたい。
#191
○政府委員(石川晃夫君) 現在、先生からお話しのように、テレビジョン放送の難視聴対策調査会というところにおきまして、都市における受信障害の問題について検討を進めているわけでございますが、これには建築主を初めといたしまして国それから地方公共団体、放送事業者、こういう受信障害の関係者につきましてそれぞれその責務に応じていかようにしてこの受信障害を解消するかというようなこと、それからそれの必要な費用の負担方法、あるいは受信障害の解消に非常に効果的な施策というものについてこの調査会で検討を行っております。
 検討結果が予定より少しおくれておりますが、近々出ると思いますが、これが出ました曉には、われわれといたしましても、速やかに法制上、行政上に必要な措置を講じたい、かように考えております。
#192
○茜ケ久保重光君 どうもやはりあなたの答弁は決まったような答弁ですがね、それじゃ前進の姿がないんですよね、あなたの答弁ではね。
 私の意見としては、これはやはりかなり強い法的な根拠を持たしてやらぬと、これは結論を出してみても結果は知れているんですよ。そういう諸君は皆逃げて自分の責任を回避する、ちょうど公害と同じですわね。いわゆる複合汚染その他についていろいろ問題がある。これらの諸君もだれが見てもはっきりしたものについてはいやいやながらやっているけれども、そうでないものはいろいろな理由をつけて逃げ回っているのですね。公害というのは世間が見てもはっきりする、電波障害ははっきりしないのですね。特に第三者が見ると全然感じない。となると、なおさらそういう逃げるあれがふえると思う。
 したがって、それを防ぐためにはかなり強い法的規制をする必要があると思う。単独法なりそれぞれの法律によって強い態度で臨む決意が政府にあるのか、どういう法律かは別として、そこまでやるだけの決意があるかどうかということを伺いたい。
#193
○政府委員(石川晃夫君) 先ほど申し上げましたように、ただいま調査会でいろいろ検討を進めておりますが、その中で特に非常に作業に困難を来しておりますのはこの法制化の問題でございます。この点が非常にむずかしいわけでございますので、いずれ近いうちにそれをまとめまして調査会の答申が出てくると思います。この出てきた結果によりまして、われわれとしては、どの法律をどういじったらいいか、あるいは単独立法がいいのか、そういうような点について検討していきたい、かように考えておる次第でございます。
#194
○茜ケ久保重光君 調査会も二年やっておるのですね、二年もかかって結論出ないというのは無責任だと思うんだな。恐らくいろいろな関係者が集まっておるからそれぞれ利害関係があるから、お互いのいわゆる利害関係に拘泥して進展しないと思うんですよ。それで迷惑するのは視聴者なんです。つくってから二年間たっているのですね。
 そこで住宅局長をお呼びしたのは、いま言ったように一番大きいのは高層建築とそれから高速道路、新幹線、その中でも高層建築が一番大きいですわね。これはますますふえていく。そうなると、私はいわゆる日照権の問題が非常にやかましくなって、これは一応ある程度の法的な規制をしました。日照権の場合は、その高層建築をつくる以前に設計ができたときに大体わかりますわな、日照権を侵害する場所なりその環境なり。ところが電波障害の場合はわからないわけですよ、でき上がるまでは。でき上がって初めてわかる。日照権の場合は、できる前にその反対なりやるからこれはかなり効果があるわけだ。ところが、いま言った電波の方はでき上がらぬとわからないから、でき上がった後はつくった方は涼しい顔をしている、これはいけないと思う。
 そこで、私は、専門家なら当然できるんですから、建築基準法に――いま電波局長は調査会の結果でと言っているけれども、私はこれから起こり得る一番大きな原因、それは高層建築となれば、やはり建築基準法の中にこれ一項を入れて、いわゆる何メーター以上とかあるいは何階以上とか、電波障害を起こすだろうと思われる高層建築に対しては、その建築ができたことによって受ける電波障害に対しては、その原因者である建築主がこれは全額負担してその電波障害を排除する、こういう私は条項を入れるべきだと思う。できなきゃ幾ら言っても解消しない。
 まあ聞いてみると、付近じゃなくて最近は五キロも十キロも遠方まで何か反射していくそうですよ。これをどこでどう抑え、どこまで責任を負うか、これはまたそれぞれの専門の点だと思うんですが、少なくともいままでも起こったし、今後も起こるだろう高層建築による電波障害に対して、その建築主が責任を持ってやるというような建築基準法の改正を私はすべきだと思うが、ひとつ局長どう思う。
#195
○政府委員(山岡一男君) 先生もおっしゃいましたように、都市環境の整備とあわせまして、適当なる用地を確保するという意味で、建築物を大都市につくります場合には、どうしても土地の高度利用を図るということは今後の方向であろうかと思います。そういう場合に、最近も、中高層建築物が非常に激増いたしまして、おっしゃいますとおり電波障害の問題が非常な問題になっています。ただ、その場合にも、直接的な電波障害のほかに、いま先生のお話の中にもございましたけれども、間接的なものあるいは複合的なもの等が生じております。このような事態に対処しまして、先ほど電波監理局長がおっしゃいました調査会があるわけでございますが、建設省もその中に参加をいたしまして、現在、議論さしていただいております。
 ただ、建設省といたしましては、都市内建築物の高層化に伴います電波障害問題につきましては、電波行政だとか都市行政等を含めた広い観点からでないと本当の解決はできないのじゃないかという意見を申し上げております。現在は、特に難視聴解消策としまして公団、公社、公営住宅等直接の公共団体等が行うもの、それから一部の民間のものも当然でございますけれども、直接の電波障害に対しましては、建築主の負担で現在ケーブルで何とかやっているというのが実情でございます。現に、あそこの新宿副都心等のところでは非常に高いものを建てましたので、地主さんが共同いたしまして中野の付近まで何か補償をしたと聞いております。
 ただ、今後のことを考えますと、いま先生もおっしゃいましたように、間接的なものあるいは複数の建築物による複合の障害等がございまして、そういう場合に原因者の追求が非常に困難で、事実上できないのではないかと思っております。特に技術的にも費用負担の問題でもいろいろな問題があると思いますので、このような解決方法といいますか、現在の直接の被害に対しての原因者がまるまる負担をするという方式だけで済むのかどうかという点については大変むつかしいんじゃないかと実は考えておる次第でございます。したがいまして大変むつかしい問題でございますけれども、現在、その費用の負担のあり方等につきましても調査会の中でいろんな案を出されて検討中でございます。私は、恐らくそう遠くない機会に調査会の結論が出ると思っておりますので、そういう結果を踏まえまして建築行政の立場でもそれに対応してまいりたいと考えております。
 その場合に、建築基準法が適当かどうかという先生の御指示でございますけれども、建築基準法は、現在、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を決めるという趣旨で、技術的な法規でございます。したがいまして、たとえば建物の所有権だとか費用の負担の方法だとかいうものは一切現在入っていないのが実情でございます。で、いろんな規定の中身も防火上、衛生上、安全上の最低基準というのを決めているような技術法規でございますので、その中に入れることが適当かどうか、もし立法を要するという場合でも基準法ではいかがかなと思っているのが私の現在の考えでございます。
#196
○茜ケ久保重光君 大臣ね、まあ前から、ずっとお聞きのとおりなんですね。結局、みんながそう心配をし、またいろんなことを考えているけれども、なかなか解決の方途は出ていないんですね。しかし、ふえる一方なんですよ。
 やっぱり私はいま言ったように、どういう結果が調査会から出るかわかりませんが、かなり強い姿勢と法的な裏づけをしなければならぬと思うんですよ。したがって、その調査会の結論が出た場合にまたこちらで問題にしますが、ぜひひとつ大臣としてこの難視聴解消に対しては思い切った処置をしてもらいたいと思いますので、その決意のほどをひとつ一言。
#197
○国務大臣(村上勇君) 先生御指摘のとおり、非常に大事なことであります。したがいまして、この難視聴対策調査会におきまして必ず近く結論が出るものと思います。大体、当初の予定がこの年度末ということでありましたので、おくれてもまあ一、二カ月ぐらいのおくれで結論が出ようと思います。それが出ましたら、その際に、やはりいま建設省の住宅局長の御発言の中にもありましたように、これによって法による一つの規制をする場合もありましょうし、いろいろな段階を検討いたしまして、そうして最終目的が達成できるように努力いたしますので、御了承願いたいと思います。
#198
○茜ケ久保重光君 住宅局長ね、まあひとつこれはあなた方はやっぱり行政面で今後一番大きな問題になると思うんですよ。これは建設省ですわね、高速道路もそうですし。ですから、本当は大臣に少し決意を聞きたかったんですが、それはそれとして、省内でも話し合いながら、ひとつ早急に解決するような方策を考えてもらいたい、これは要望しておきます。
 NHKに、私は、小野会長ね、昨晩、こういう電報をいただきました、沖繩から。「待望のテレビジョン放送が三月三十一日よりNHKによって開始されます。これまでの御高配に感謝申し上げます」これは南大東島の村長さんからです。恐らくNHKにもいっているかと思うんですが、これはまことに非常にいいことでありまして、何遍か指摘しているように、沖繩の孤島に約三千人の人が住んでいる。何らの娯楽もなければ何もない、非常に取り残された面でありましたが、沖繩調査の結果を報告し要望した点ですね、さっそくこれは御了承いただいて、大変技術的にも困難な面はあったようでありますが、こういうふうなことで非常に向こうは喜んだそうです。これは最近にないNHKの一つの美談と言っちゃ変ですが、ほほえましいことだと思います。これは私も関係した者として感謝申し上げます。
 技師長ね、これに付随して、大東島のこの放送の実態と、それから宮古、八重山のいわゆるいままでVTR流しておったのと幾らかこれ進展したんでしょう、その現在における先島の実態とそれからこの大東島の実態をちょっと簡単に御説明願いたい。
#199
○参考人(藤島克己君) 先に大東島の方を申し上げますと、いまお話しいただきましたように、二、三日前から、これは試験局という名前でございまして、大東島の位置は御存じと思いますけれども、沖繩の本島の東側約三百キロの洋上にある孤島でありまして、仰せのとおり四千ないし五千人の人口が住んでおるわけでございますけれども、番組を伝送する手段がいまのところございませんので、沖繩でVTRに撮りましたものを飛行機で現場へ輸送いたしまして、現場で委託した方からそれをディスプレイをしてもらうというような形になっておりますので、十分御満足のいくものではございませんけれども、いまわれわれが技術的に考えられる最上の手段を一応尽くしたつもりでございます。将来、伝送する方法がもしマイクロウェーブ回線なりあるいは放送衛星なりというものが利用できるようになれば、普通の番組が送れると思いますが、それまでは現在の方法しかできないと思います。
 それから、後のもう一点のこの先島、石垣、八重山群島の方でございますが、これはことしの夏電電公社でいろいろ実験をいたしておられますいわゆる見通し外伝搬という伝送方法が一応この夏から秋にかけて何とか使えるだろうというわけでございますので、もちろんこれはカラーではございませんが、ただいま先島も大東島と同じようにVTRを持っていっているものが、それができますと、少なくともニュースに関しましては即刻中継ができる形に相なろうかと思います。その後は五十一年度の夏に正規の電電公社の中継回線が実現する運びになっておりますので、それができますと全く本島あるいは内地と同様の時間と番組が放送できるように相なろうかと思います。それに備えまして、私どもといたしますと五十年度から五十一年度の継続といたしまして、現在総合の放送局だけしかございませんものを教育テレビも出せるような設備を二年継続で実施いたして、電電公社の回線が実現するのとちょうど時期を合わせまして、正規な放送番組を送れるような形にいたしたいと、かように考えています。
    ―――――――――――――
#200
○委員長(竹田現照君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#201
○茜ケ久保重光君 大東島の放映時間はどのくらい。そしていまの時点でどのくらい受像機を向こうの人が用意しているのか、この点わかっていませんか。
#202
○参考人(藤島克己君) 受像機の数はちょっと私いまつまびらかにいたしませんが、放映の時間は二時間ないし二時間半ぐらいです。
#203
○茜ケ久保重光君 それでは、後でどのくらい受像機を用意したか、ひとつ調査しておいてください。
#204
○参考人(藤島克己君) 後刻調べまして御報告します。
#205
○茜ケ久保重光君 会長、まあいろいろいままで質問があり、ほとんど会長が一人で引き受けて答弁をされたわけでございますが、私はNHKという組織は、先ほど機械の問題もありましたが、これは要するに人だと思うのですね、人。人によって運営される。他の産業にはそういうふうに機械化され、あるいはコンピューターが入ってですね、いろいろな人がいましても、その人は機械のただ単なる一部的な存在ですが、NHKというところは私は人が中心だと思うのです。そういう意味においてはやはり人を大事にしてもらわぬとこれはいい仕事はできないと思います。
 いまここにある資料を見ましたら、一万六千人の職員の中で大学卒業が五一%、高校卒が四九%、この人員組織で目に見えない高度な学識と経験を持った人たちだと思う。さらに毎年の大卒の就職希望を見ますと、商社、銀行その他もありますが、NHKも大卒の就職の希望の多いところになっております。どこに魅力があってそうなのかわかりませんが、とにかく大卒の諸君がNHKに殺到する。ことしは採用になっていないようですが、毎年優秀な諸君が入っておると思う。したがってNHKのスタッフというものは私は一般のあらゆる産業組織の中において最もすぐれた人材が集まっているところだと言っても過言じゃないと思う。
 その優秀な人材も、いわゆる組織の運営がうまくいきませんとこれはやはり堕してしまう。優秀な人材を集めてその人材がいつの間にかこう堕してしまってですね、そういうあれがあります。そういう意味において、まあ先ほどちょっと御質問に対して会長もおっしゃっていましたが、人を非常に大事にしていると、まあ労使関係はすばらしいとおっしゃっています。私はそれに決してけちをつけようとは思いません。しかし、私の見るところでは、会長ないし専務理事ないしは理事の皆さん方と、いわゆる日放労の労働組合の代表者との対等な関係における話し合いなりあるいは接触、そういったものに私は欠けておるのじゃないかと思うのですが、どうも皆さん方の頭の中には、私は、日放労の委員長、副委員長、書記長、こういった人は、いわゆる職員であるけれども日放労の役員とした場合には会長、専務理事と対等の立場でいわゆるあるべきなんだと、それが会長のさきのお言葉であるけれども、何かこう会長や役員の皆さん方には、そういった諸君はやはりいつも自分たちのずっと下にいる部下といったような感覚があるのではなかろうかという節が見える。そうなりますと、やはり先ほどあなたそういう人的な関係を非常に自慢されたけれども、いわゆる表面には出ないけれども内にくすぶっていく面が出てくるのではないか、こう思うわけなんです。
 こういう点は、ひとつ会長はそういうことは絶対ないと断言ができて、やはりいま私が申したように、少なくとも組合とNHKという場合には、対等の立場で、対等の観念でひとつ今後もやっていけるという方針があるかどうか。第一点は決して分け隔てをして単なる部下の一部としての感じでなくて、対等の立場でやってきているし今後もやるという確信かどうか、この点をひとつ聞いておきたい。
#206
○参考人(小野吉郎君) お説のとおり、NHKには日放労という強い組織があります。これは労働者のいわゆる利益擁護、こういった見地からあるわけでございまして、その限りにおきましては私は最大限の尊敬と協調を第一義として考えております。
 ただし、NHKの使命として考えますと、これは人類の思想、信条、価値、こういうものに関係を持った非常に高度な高い事業であろうと思います。まあいまどこまでも運営についても対等と申されましたが、双頭のワシであっては私はNHKの使命は貫けないと思います。会長は全責任を持っておるものでございまして、その限りにおきましては私は遠慮なく指揮、命令をいたします。ただ尊敬をし、これを尊重いたしますことについては先生のただいまの御意見と変わりはございません。どこまでも私の部下だからというので見下げたような気持ちは毛頭持っておらないことをここで明言をいたしておきます。
#207
○茜ケ久保重光君 私、そうあってもらいたいと思う。やはりね、会長ね、そうはおっしゃっても一万六千人の世帯であるし、いろいろな人がおります。これは会長の先ほどの気持ちがいわゆる末端の管理者諸君にまで果たして徹底しているかというと、なかなかそうでない面があるのです。まあここに郵政大臣いらっしゃるが、郵政大臣は一番労使関係を大事にとおっしゃる。ところが郵政職員の中にはいまだにマル生といったようなまことに忌まわしいことが存在している、この間も実は私の群馬県でもあって、それで行きましたが、大臣はそう思っても、なかなかそうはいかぬ面が多いんですね。
 と同じように、会長はそうおっしゃっても、やはり組織の中にはいろんな状態がある。これはひとつぜひ、会長、常時組合の幹部諸君と接触をされて、そういうことのないようにお願いしたいと思うんです。私もあったらすぐ指摘する。これはひとつ特にお願いする。さっき言ったように、人を大事にしなければNHKの仕事は成り立たぬと思うんですよ。まあ大事にされてると思うんだが、まだその点はあると思う。給与の面ももちろんあります。この点も今度は予算総則も変えたんですから、変えたものをひとつ大いに活用して、遠慮しないで会長の責任でやってもらいたいと思います。いかがですか、やりますか。
#208
○参考人(小野吉郎君) お説もっともでございます。NHKが人を大事にしなければならないことは当然でございまして、先ほども申し上げましたような、ある設備をつくってその設備を国民の利用に提供するといったような仕事ではなく、国民の思想、信条、理念あるいは価値、こういったものに関係を持った知識産業でございます。非常に高度な責務があると思います。このためにはNHKの職員すべてがやはりそのような任にたえ得るような不断の努力と勉強をしなけりゃならぬことはもちろんでございますし、その意味から言えば、NHKは人をもって立っておるわけでございますから、人をおろそかにしてはいけないと思います。これを非常に尊重し、大事にし、皆相ともに戒め合ってそのような使命を担当できるような状況でなければならないと思いますので、今回、お認めをいただけますならば、そういった予算総則等の関係も十分に考え、また処遇の面についても、やはりそのような高度な使命を託します限りにおきましては処遇の関係についても十分な配意がなければならないと思いますので、お説のような気持ちを体して運営に当たってまいりたいと思います。
#209
○茜ケ久保重光君 私は、二十五日の山中委員の質問で、前田前会長の件で少し会長は四角張った答弁があったような気がするんです。私もあれ実は問題にしてるんです。
 もう時間がありませんから余り詳しく言いませんが、あなたは、いまは執行部でもないとおっしゃっているし、個人の自由とおっしゃっている。これは当然です。しかし個人の自由であり、執行部はあなたいらっしゃるけれども、前田義徳と言えばいまだに、失礼ですが、NHKの会長は前田だと思っている人が多いんだな。前田天皇と言われたほどの人だ、NHKで。功罪相半ばしたと思う、まあある意味で結構です。しかし、少なくとも公共放送であるNHKの前会長が、やめた途端に自民党の、特に金権問題がああいう騒ぎした時代に、資金源を担当する国民協会の会長になることは、自由ではあるが、これは私は問題だと思うんです、やっぱり。少なくともNHKに対する国民のイメージダウンは非常に大きいと思うんです。やっぱしNHKは自民党や政府の息がかかって、そっち向いているんだという感じを持った。これは何とおっしゃっても事実なんです。
 したがって、やめなさいとは言いませんよ、なっちゃいかぬとも言いません。しかし少なくとも前田義徳という日本で代表的な人物がやった行為としては私は非常に軽率であり、国民に対して大きな疑惑を与えた点はこれは否定できぬと思う。で前田さんがなるときには改称して、献金もらうが、自民党にもほかの野党にもということだった、それはわかる。しかし、名前は国民政治協会と変えているけれども、実態は自民党から言われて全く内容は同じだ。まあ当時はある政党にもという話があったけれども、それもだめだ。完全に自民党のこれは資金募集機関ですね、これは間違いない。そこの会長になるということは、これはもう本当に何といっても遺憾千万である。まあ会長は、前会長であるからこれは大分弁解されたけれども、弁解は弁解でいいですよ。
 しかし、あなた、私が職員名簿を見たらちゃんと名誉顧問なんだ。それは給料も出てないでしょう、執行部ではないけれども、名誉顧問というのはNHKの最高のやっぱし象徴機関ですよ。もし前田さんがどうしても国民政治協会の会長をやりたいなら、当然にみずからこの名誉顧問を辞退して、NHKとはあらゆる点で関係ないという具体的なものを示さなければいかぬと思う。と同時に、NHKも、私は、この際、この名誉顧問をもし前田さんがみずから辞退しないならば、NHKが経営委員会に諮ってこれは当然やめてもらわなくちゃならない。それくらいにしなければならない。でないと一昨日の小野会長のあの答弁はいろんなことを言っているけれども、中立を標榜し、不偏不党と言っているけれども、やはり体質の中に、少なくとも幹部諸君の体質の中に自民党寄りと言われてもやむを得ぬものがあるのじゃないか、政府寄りと言われても弁解できぬものがあるのじゃないかという勘ぐりは私だけじゃないと思う。余りにも会長は躍起になって弁解し過ぎたと思う。まあ私もこれ以上申し上げませんが、私は遺憾の意を表したいと思う。これは何といっても残念だと思う。
 したがって、それは大臣でもいいや、前田さんに、こういう疑惑を持たれておるから、あなたが国民政治協会の会長をずっとなさるのなら、ひとつこの辺で協会の名誉顧問をおやめになったらいかがかというそのあれをしてもらうか、あるいはこのことがもうわかったら賢明な前田前会長はそういう処置をとられるか、とられなければ、ある時期を見てひとつ協会は断固名誉顧問をやめてもらうだけの措置をしなきゃいかぬと思うのですよ。
 そうでないと、視聴者からあなた方は聴視料を取っていらっしゃるのだ、国民はそれを取られているんですよ。聴視料は公共料金とは違うのです、公共料金とは。国鉄運賃や郵便料金がもし上がったとしても、汽車に乗らなければ払わぬでもいい、手紙を出さなければ払わぬでもいいのだ。ところが、この聴視料は税金と同じですよ、罰則なんかないけれども、これは税金と同じだ。見る気がなくてもテレビがあればこれは払わなくちゃならない、そういうもので成り立っている協会だ。その協会の前会長が、しかも名誉顧問が自民党の資金集めの会長とは全くけしからぬと思う。私は絶対許せないと思うんだ、本当に。これは私からやめなさいと言うことはできぬけれども、名誉顧問という最高のいわゆる栄誉ある地位は一日も早くやめるべきだ、やめさせるべきだ。これに対して大臣と会長のひとつはっきりした意思表示をお願いしたいと思う。
#210
○国務大臣(村上勇君) 大変先生の激しい御意を拝聴しましたが、私の個人的な意見申し上げることは控えますが、国民協会の会長になったということが果たしでそのある政党にプラスになるのかどうかということに私は疑問を持っております。これはそれから先を申し上げるとかえっていろいろ憶測されますので私は控えますが、とにかく私の考えでは、非常にそれはりっぱなものでありましょうけれども、私の乏しい政治経験から判断すれば、ああいう立場になって、果たしてその政党がプラスになるかどうかということに私は疑問を持っております。それ以上のことは申し上げません。
#211
○参考人(小野吉郎君) 私は何も気張って物を言っておるわけではございません。憲法の保障する個人の自由、これを非常にやはり重視するからでございまして、憲法に保障された個人の自由は最大限に享受すべきものと信念をいたしております。前会長という立場ではこれは問題ございません。一度ある職場におれば、その期間の生活を終身十字架のように背負わなければならぬ、これは悲劇でございます。
 問題は、ひっかかるのは、現在、名誉顧問という肩書きを持っておるというところでございましょう。しかし、これはNHKの中立、公正、不偏不党に何ら影響を持ち来す制度ではございません。仮にやはりNHKのそういった基本的理念に影響を持つんだとすれば、これは即刻措置しなければなりませんけれども、別段にNHKの中立、公正、不偏不党に対して、決してそのような影響力のあるものでもございませんし、あらしめてはなりません。そういう関係で私は物を考えておりますので、実は、一昨日も、山中先生にそのような所信を御答弁申し上げたというようなことでございます。
#212
○茜ケ久保重光君 憲法の個人的な自由の保障、そんなこと聞かぬでもわかっているんだ。
 問題は、余りにも影響が大きいんですよ。ただ単に一理事とか局長とかいうんならまた別なんだ。あなたも御承知のように、NHKはしばらくの間前田会長という表看板があったんですよ、国民もそう思っている、視聴者も。その人がなったことに問題がある。個人的自由をあれするものではない、そんなもし何にも関係ないんなら、関係ない名前なんかどうでもいいじゃないですか。自民党の政治資金のあなた集め屋の会長になるような人物なら、何もあなた名誉顧問にする必要ありませんよ、そんなこと。あなたはいいよ、何千万という視聴者がいる。視聴者がしかも視聴料を納めている、この人たちをどうするんだ、この人たちを。あなたは不偏不党とおっしゃるが、このことをどう考えるか。前会長が自民党の資金集めの会長、しかも名誉顧問、これで視聴者が納得しますか。聴視料の未払いがふえても、これは文句言えませんよ。そういう動きがある、すでに末端では。それができぬNHKなら予算なんか通しませんよ、そうでしょう。二千何百万の視聴者はまじめに見ている、聴視料を納めている、聴視料を。それで成り立っている協会が、たとえ経営権に発言力があろうとなかろうと、自民党のあなた政治資金を集める会長を名誉顧問とは何ですか、そのことは。
 それは小野会長が副会長として長い間仕えた前会長、NHKに対して功罪半ばするけれども、ある程度功績のあった前会長、その人に対するあなた個人の私は礼なり、感情はわかる。それはそれとして、あなた会長でなくて、三千万近い聴視者の心情等、これを考えなければいかぬと思うんですよ。
 もう一遍重ねて言うが、なおかつ前田前会長の名誉顧問をそのまま残すとおっしゃるなら、まあきょうの予算は一応それは通しましょう。しかし、今後、NHKに対するわれわれの態度なり考え方、これは根本的に変えなくちゃならぬとこう思う。それはあなたもひとつ承知してやってもらいたいと思う。先ほどの総理のあれもあるけれども、申しません。再度、このことであなたの処置を聞いて、私の質問を終わります。
#213
○参考人(小野吉郎君) 私は、個人的な前田さんとのいろんな恩愛の問題について申しておるのではございません。
 ここではっきり明言をいたしておきますけれども、厳正、中立、公正、不偏不党のNHKのそれにいささかでも影響があるようなことになれば、これはそのおそれがあれば即刻措置をとります。それは断言をいたしておきます。そのようなことはございませんので、これは本人が判断すべ問題であろう、かように考えております。
    ―――――――――――――
#214
○委員長(竹田現照君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、宮田輝君が委員を辞任され、その補欠として上條勝久君が選任されました。
    ―――――――――――――
#215
○委員長(竹田現照君) 先ほどの松岡君の発言において、その真意が十分に表現されていない点もあったかもわかりませんので、後日、速記録を確かめた上で、しかるべき措置をとりたいと思います。
 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#216
○委員長(竹田現照君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#217
○委員長(竹田現照君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を問題に供します。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#218
○委員長(竹田現照君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 茜ケ久保君から発言を求められておりますので、これを許します。茜ケ久保君。
#219
○茜ケ久保重光君 私は、この際、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブの共同提案にかかる次の附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
   放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府ならびに日本放送協会は、次の各項の実施につとめるべきである。
 一、放送に上る表現の自由を確保し、放送の不偏不党を堅持すること。
 一、難視聴解消について抜本的対策をすみやかに確立すること。
 一、国際放送について、国庫交付金の大幅増額をはかるとともに、受信状態の改善につとめること。
 一、生活困窮者、学校等に対する受信料の免除について、国庫による補てん措置等を含め抜本的な検討を行うこと。
 一、協会は、経営の現状にかんがみ、いつそう経営効率の向上につとめ、さらに今後における財政基盤確立のための方策を多角的に検討すること。
 一、協会は、営業活動の積極化などに格段の努力を払い、職員等の待遇改善についても配意すること。
  右決議する。
 以上でありますが、この決議案は、先日来の委員会における審議の経過を踏まえて作成したものであります。したがいまして、その趣旨につきましては改めて御説明するまでもないと存じますが、ただ、一点だけ申し上げておきます。
 それは最後の項の待遇改善についてであります。ここで「職員等」といたしましたのは、出演者、放送作家、音楽関係者などの外部協力者を含めての意味であります。
 何とぞ御賛同くださいますようお願いいたします。
#220
○委員長(竹田現照君) ただいま茜ケ久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#221
○委員長(竹田現照君) 全会一致と認めます。よって、茜ケ久保君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、村上郵政大臣並びに小野日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。村上郵政大臣。
#222
○国務大臣(村上勇君) 本件に関しましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認いただきましたことを厚くお礼申し上げます。
 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、今後の放送行政に当たりまして、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
#223
○委員長(竹田現照君) 小野日本放送協会会長。
#224
○参考人(小野吉郎君) NHKの昭和五十年度の収支予算、事業計画、資金計画につきましては、きわめて御熱心な御審議をいただき、ただいま全会一致をもって御承認をいただきました。ここに厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 なお、この予算の執行に当たりましては、郵政大臣の意見書の趣旨を十分に体することはもちろんのこと、この審議過程におきまして、私どもに幾多貴重な御意見を賜りました。これはわれわれが今後の経営の根幹に据えて考えなければならない問題でございますし、その御趣旨に十分沿うと同時に、ただいま付せられました附帯決議条項、これもきわめてNHKの公共放送としての経営の上にとってきわめて重大な問題であり、これを最大限に尊重しなければならない事項ばかりでございます。私どもは、そういった附帯決議の御趣旨を十分に体しまして、今後、経営の万全を期してまいりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#225
○委員長(竹田現照君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#226
○委員長(竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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