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#1
第075回国会 農林水産委員会 第2号
昭和五十年一月二十三日(木曜日)
   午後二時五分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 十二月二十八日
    辞任         補欠選任
     吉田忠三郎君     竹田 現照君
 一月二十一日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     近藤 忠孝君
 一月二十三日
    辞任         補欠選任
     竹田 現照君     竹田 四郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤  隆君
    理 事
                小林 国司君
                高橋雄之助君
                工藤 良平君
                原田  立君
    委 員
                大島 友治君
                梶木 又三君
                鈴木 省吾君
                園田 清充君
                温水 三郎君
                初村滝一郎君
                平泉  渉君
                山内 一郎君
                栗原 俊夫君
                志苫  裕君
                相沢 武彦君
                近藤 忠孝君
                塚田 大願君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農 林 大 臣  安倍晋太郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  小沢 辰男君
   政府委員
       水産庁長官    内村 良英君
       消防庁次長    森岡  敞君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       資源エネルギー
       庁石油部精製流
       通課長      松村 克之君
       海上保安庁警備
       救難部長     山本 了三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○農林水産政策に関する調査
 (水島重油流出事故に伴う漁業被害に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 吉田忠三郎君が委員を辞任され、その補欠として竹田現照君が選任されました。
 本日、竹田現照君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。
 また、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。
#3
○委員長(佐藤隆君) 理事の補欠選任についておはかりいたします。
 委員の異動によりまして、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認めます。
 それでは理事に神沢浄君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(佐藤隆君) 次に、農林水産政策に関する調査のうち、水島重油流出事故に伴う漁業被害に関する件を議題といたします。
 まず、政府側から説明を聴取いたします。内村水産庁長官。
#6
○政府委員(内村良英君) 水島の重油流出事故は、昨年の十二月十八日の夜に起こったわけでございますが、その後、被害が拡大いたしまして、一月二十日現在の被害はお配りしてある紙のように、総額百五十九億七千五百七十二万円になっております。これは県の報告に基づくものでございます。
 そこで、岡山県三十七億四千八百万円となっておりますが、この岡山県の被害報告の中には漁船漁業の休業による被害、その他施設被害等が入っておりません。
 香川県、徳島県につきましては、ノリ養殖、ワカメ養殖、ハマチ養殖、漁船漁業の休業、その他――これは施設でございますが、そういうものが入っております。
 兵庫県は被害額が十五億八千五百万円でございますが、この中には施設被害がまだ報告が入っておりません。ということで、これが最新の県からの報告による被害状況でございます。
 そこで、この事故が起こりましてから、水産庁といたしましてどのような対策をとってきたかということにつきまして若干の御説明を申し上げます。
 十二月十八日の夜に油の流出が起こったわけでございますが、水産庁は報告を受けまして直ちに、水産庁の出先機関でございます瀬戸内海漁業調整事務局に連絡本部を設けまして、現地に係官を派遣すると同時に、油の流出拡散状況の把握、漁業被害の調査、防止対策の指導等の措置をとったわけでございます。
 なお、被害が非常に広がってまいりましたので、十二月二十八日には、水産庁の中に、水島重油流出事故漁業被害対策本部というものを設けまして、本部長に松下次長を充てまして、この対策室によって漁業被害状況の把握、被害防止対策の指導、被害漁業者対策の推進、汚染漁場の復旧対策、油濁の水産資源に対する影響の調査等を進めているわけでございます。
 それからなお、その前の十二月の二十七日に水産庁は、神戸市におきまして、本庁、瀬戸内海漁業調整事務局関係の水産研究所、関係県、関係県の水産試験所等の人々からなる検討会を開催いたしまして、今後の調査の方法等について打ち合わせを行なったわけでございます。
 なお、十二月三十日には農林大臣に現地に行っていただきまして、香川、岡山の両県を訪問すると同時に、現地で関係四県の人々からいろいろ話を聞き、さらにヘリコプターから被害の状況を御視察願いまして、さらに現場で漁業者との懇談会等も持ったわけでございます。
 一月七日に至りまして水産庁は、三菱石油の常務の人を水産庁へ呼びまして、被害補償についてとった措置を聴取するとともに、誠意を持って補償に当たるように申し入れを行ないました。
 さらに、一月十三日に、国の現地対策本部が設けられましたので、水産庁からは、次長ほか数名が本部員として現地の対策本部に参加し、水産庁次長が副本部長として漁業被害の補償問題を担当することになったわけでございます。
 その結果、一月十三日以降のいろいろな措置は現地の対策本部を中心にとられておるわけでございますが、とった措置について申しますと、一月十三日、水産庁、関係県、関係県漁連、全漁連からなる漁業補償等についての会議を開催いたしました。一月十六日、十七日は広島市におきまして、水産庁、関係水産研究所、関係県、関係県の水産試験所、学識経験者からなる流出油の漁業影響調査についての会議を開催したわけでございます。一月十八日に環境調査会議――水産関係といたしましては、生物環境調査及び魚介類の着臭調査でございますが、の打ち合わせを行ない、さらに十九日には魚介類の着臭調査及びこれに関連する試験操業関係の打ち合わせ会議を行なうとともに、被害漁業者にかかわる借入金の特別対策会議を開催いたしました。これらの会議の結論等により、一月二十日試験操業等に関する補償問題、補償内金の早期支払い等について三菱石油に対策本部から申し入れを行なったわけでございます。
 なお、昨日、関係の四県漁連の会議が持たれまして、二十三、二十四日で被害の計算を事務的に行ない、その後四県の漁連会長会議を開いて三菱側に補償を要求するというような運びになっております。
 以上が被害額及び本件に関しまして今日まで水産庁がとった措置の概要でございます。
#7
○委員長(佐藤隆君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○工藤良平君 十二月の中旬に発生をいたしましたこの水島のC重油の流出事故による問題について、私、これから質問をしてまいりたいと思いますが、長官には、衆議院の時間の関係で、無理にこちらにお願いいたしましたので、ごく要約してまず二、三点だけ長官にお聞きをいたしておきたいと思います。
 その前に、いま水産庁長官のほうからお話がありましたけれども、この被害状況の中で、これは直接的な当面の被害であろうと思いますが、長期的に、たとえば中和剤とかあるいは海岸部に付着をしたり、あるいは海底に沈下をいたしました、そういうものの長期にわたる被害というものは今後どういう形になるか、これは予測はできないと思いますが、そういう予測に関する問題については除外をして、直接的な被害として理解をしていいのか。その点をまずお聞きをしておきたいと思います。
#9
○政府委員(内村良英君) 御指摘のとおり、直接的な被害の報告でございます。
#10
○工藤良平君 そこで私、環境庁長官にお伺いいたしますが、これはすでに一昨年、PCBをはじめといたしました汚染の問題がたいへん大きな問題になりまして、そのときに私も、参議院の本会議で、海の汚染魚に対する対策を長期的に構ずる必要があるのではないかと質問したところ、これに対して、農林省並びに環境庁を中心にいたしまして長期的な研究、対策を講ずるということを、当時の三木長官が約束をいたしたわけでありますけれども、この点について、この事件を契機として、その後に一体どのような対策が長期的に打たれてきているのか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。
#11
○国務大臣(小沢辰男君) 私のほうで、今年度四十九年度内に大蔵省と協議をいたしまして、その了解のもとに調査費を支出をいたすことにいたしておりまして、来年度を待たず早急にこの後遺症、当然考えられる後遺症あるいは瀬戸内海の水質あるいは底質の調査、魚介類だけでなくてその他の生物についてのいろいろな総合的な調査をやることにいたしまして、現地でも打ち合わせ会を開き、中央においても各省庁との打ち合わせ会を開きまして、主として農林大臣の御協力を得、現地の水産試験場等もございますので、徹底的に今後の問題を契機にして瀬戸内海の総合的な調査を進めておるわけでございます。そのつど関係各省と協議をしまして、全部の調査が終わるまでと言わないで、そのつど必要な対策等がございましょうから、調査の結果は関係各府県あるいは省庁と相談の上にそれぞれ必要な発表を行ないまして、それに基づくその対策を実行していってもらうようにしたいと、こう思っていま進めているわけでございます。
#12
○工藤良平君 そうしますと、一昨年からの問題になっておりましたこの汚染魚に対する長期的な問題――今回のこの水島の油の問題は油の問題として、これはやっぱり全体的な広域的な問題として、当時それらの問題が提起をされてお約束もしてきたわけでありますから、当然私はそれは準備が進められていたと、このように判断をしておったわけですけれども。長官の発言なり新聞等によりましても、この油の問題をめぐりまして、やろうというような、やっと腰を上げたというような印象しか与えられていないのでありますけれども、その間、行政的にこの環境庁が中心になって、当然この全体的な問題については進められなければならないと思うのですが、その行政的な各省庁間の連絡なりそういうものについては、緊密に行なわれていたかどうか、この点についてもう一ぺんお伺いしたい。
#13
○国務大臣(小沢辰男君) 御承知のとおり、国会で、各党が瀬戸内海環境保全の臨時措置法をおつくりになりましたちょうど一年目でございます。その法律に基づきまして、それぞれ瀬戸内海に排出をされますいろいろな排出、特に工場並びに生活排水につきましての調査は、当然関係各省連絡の上で進めてまいりまして、必要な指導監督をやって、相当逐次効果をあげつつあったわけでございます。総合的な根本的な調査、大がかりな調査は確かにいたしてないわけでございますので、その点からいえば、御指摘のような若干今回の事故を契機にしてという点につきまして、私ども最初からなぜそれをやらぬのだと言われれば、一つのおしかりは当然だと思いますけれども、当然個々のいろいろな問題について、瀬戸内海を浄化するための必要な措置の一環としての調査や研究は、それぞれやっぱり各省でやっていただいておったわけでございます。で、しかし、大がかりな根本的な総合的な調査は今度やることになりましたのが、若干おそまきでございましたが、この水島の事故を契機にして踏み出したと、こういうことでございます。
#14
○工藤良平君 いままで取り組んできた政府の姿勢というものは、何か起これば、そのときには非常に積極的に動くのでありますけれども、その時期が過ぎますと、いつの間にか消えてしまう、これはすべての面についてそういうことが言えるわけですけれども。私は、日本は、非常に狭い国土の中で、しかも海にかなりの部分食料の供給をたよっていかなければならぬという、非常に緊迫した状態にある。それがゆえに私どもは、やっぱり今日まで瀬戸内海の浄化をはじめとして、各地で事故が起った場合の対策というものを常々主張してまいったわけでありまして、また、そういう点から、現在のこの公害行政の一元化ということが、公害基本法の論議の際からもう再三にわたって言われてきております。一元化された、そのために、環境庁長官という大臣までわざわざつくって行政官庁を置いたわけなんでありますから、この点についてはぜひ積極的に進めていただかないと。今度の問題だって、十二月の十八日に問題が起って、私ども、直ちに現地に大臣を長とした対策本部を設けなさいということを申し出たのが二十五日であります。しかし、それができたのはおそらく一月の十日前後だったと私は記憶しているんですけれども、そういうことからいたしまして、非常にこういう問題に取り組む行政的な措置というものが、どうもやはり各省間の問題からうまくいっていないんじゃないかという気がいたしますので、その点を強く私は長官に要請をしておきたいと思います。
 それからもう一つは、長官も現地に参りまして、被害漁民の皆さんから被害の補償に対する行政的な指導について非常に強い要望かなされたと思います。それについて長官からたいへん前向きの議論をいただいたわけでありますけれども、いま、私、水産庁からもお話を聞きましたけれども、直接的な被害だけでも百五十九億、約百六十億という被害の報告がなされておるわけでありますけれども、さっきもお話しのように、これが二次公害なり、さらに沈下をいたしましたC重油がどういう形で今後に影響を及ぼすのかという問題を考えてみますと、やはり問題は一時的な問題だけではなくて、かなり長期的にこの問題を扱わなければならない事態が起こるだろうと想定をされるわけです。で、こういう補償の問題に対して、会社側に対して一体どういう態度で臨むのか、その点を長官としてひとつはっきりしていただきたいと思います。
#15
○国務大臣(小沢辰男君) これはもうはっきり原因者が判明をいたしております事件でございますので、原因者負担の原則はあくまでも政府としては貫いていくべき問題だと考えております。
 後遺症の問題が調査の結果明らかになりまして、それがどの程度、どういう期間にわたって財産被害を漁業者等に与えるかという点が明確になりませんと、また、実は私が非常に心配をいたしまして調査をさせてみましたら、これはまあ現地のいろいろな関係者からとったわけでありますが、昭和四十八年度で十キロ以上油が流出した、瀬戸内海に大小のタンカーその他から事故によって流出をいたしました件数だけで三十件もございますので、はたしてその後遺症全部がどの程度の、どの範囲で今回の三菱石油のものに関連するのかどうかという点も非常にめんどうな点でございます。
 しかも、私、先ほど申し上げました三十件というのは昭和四十八年だけでございますので、いろいろな点を総合して考えまして、後遺症の問題につきましては、調査の結果でないと、どの程度、どういうような期間にわたって財産被害を漁業者等に与えるかということは判明しませんけれども、また、判明した場合でも、それが全部今回の事故に直接かかわるのかどうかという点も、非常な判定のめんどうな点でないかと思います。したがって、間接被害につきましていまここで軽々に申し上げるわけにいかないと思いますけれども、一応、水島の今回の事故につきましては、これはもうPPPの原則に従って三菱石油で全責任を持っていただかなければならないと、かように考えておるわけでございます。
#16
○工藤良平君 いま長官お話しのように、結論のところは別ですけれども、後段のところですね、結局、いままで三十件という油の流出があった。これは陸上からでなくて、船が圧倒的に多いわけですね。陸上から漏れたというのは今度が初めてで、これについては、実はその原因の究明というものは、いま対策委員会を持ってなされておりますけれども、一体その行政的な責任の分野はどこにあるか。この点については、今回のこの油の流出事故につきましては、法的にきめ手がないという話を私聞いているんです、私も二回現地に入りましたけれども。非常に重要な問題であります。そういう意味から、現在設けられております公害の関係諸法律に基づいて取り締まりができないとするならば、一体どこでやったらいいのか。その点については今後、各地に石油基地があるわけでありますから、どのような取り扱いをなさるおつもりなのか。非常に重要な問題でありますから、もうすでに検討はなされておると思いますけれども、御見解を聞きたいと思います。
#17
○国務大臣(小沢辰男君) おっしゃるように、実は海上の汚染関係は海洋汚染防止法で運輸省の所管ですが、私ども、瀬戸内海環境保全臨時措置法で考えております点、また、水質汚濁防止法の点は、排水の排出口における状況をつかまえまして、これがこの基準に合っているかどうかで監督し指導しているわけであります。それから、港湾区域は港湾の責任者がやる。消防庁はこの保安上の取り扱いについての取り締まりの任に当たる。ところが、海上を汚染をした原因者が陸上であった場合にはたして、今度の水島事故は一応構内の排出口から油が出ておるわけなんでありますが、これがはたして水質汚濁防止法にいう、いわゆる排水に当たるのかどうかという点については法律上相当疑問がございます。それから海上保安庁は、海上における油の回収のいま作業を鋭意努力してやっておられますけれども、この法律のたてまえを見てみますと、重大な故意または過失がないとどうもその責任まで追及できるのかどうかという点について法律上、相当疑問があるようにも感ぜられるわけでございます。
 おっしゃるように、陸上施設からの問題については、どうもあまり明確な法律上の、したがって今回の問題が、はたして直罰規定をどこの法律の直罰規定が当たるのかという点についても相当法律上まだ明確でない点がございます。先生のおっしゃる点が、いま一番これからのことを考えましても、非常に明確にしていかなければならない問題点の御指摘でございます。で、私どももこの点は今度の事故、経験をもとにしまして、いま対策本部で鋭意いろいろな現実の処理の問題、補償の問題と同時に、将来のいろいろな点につきまして検討を進めておりますので、その結果を待ちまして、立法措置がはたして必要なのか、既存の法律の改正によってこの点を明確にしていくべきなのか、早急に検討をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
#18
○工藤良平君 約束の時間がありますから、私この程度で終わりますけれども、長官にもう一つその点を明確にしていただきたいと思いますね。といいますのは、今度のこの事故が、原油でなくてC重油という――もちろんガソリンとかそういうものであれば、たいへんな火災になっただろうと思いますけれども、C重油でございます。これは海水には比較的溶けにくい。固まるか、あるいは沈下をして海底に沈むという状態が起こっているわけですね。そういたしますと、これが長期間の間にどういう化学的な変化を起こして、あるいは海水に溶解をしていくのか、非常にまだ私どももわからないわけでありますけれども、それがやはり深海魚に及ぼす影響というのは今後出てくるだろうと思います。それで、現在直接的な被害と同時に、そういう長期的な問題については、確かにおっしゃるように、他の複合的な問題もありましょうけれども、やはりこれはどこかの段階で漁民に対する補償というものを考えていかなきゃならぬ事態がくるだろうと思いますし、したがって、現在の海水汚濁法に基づいた、いわゆる船とか、そういうところから出てくるものだけではなくて、陸上からのこういった油の流入等につきましても早急に、これはできれば私、今度の国会に間に合わせるように、別の法律かあるいは現在既存の法律の中に組み入れるという措置を講ずることが緊急の課題ではないか。後ほど他の行政機関にもいろいろとその危険性について私は質問をしてまいりますけれども、ぜひこの点については本国会中に何らかのめどをつけて、法律的な対策を講じていただきたいということを私は申し上げ、その点の明確な回答を求めて長官については約束もありますから、衆議院のほうにお帰りいただきたいと思います。
#19
○国務大臣(小沢辰男君) 中和剤の後遺症の問題については当然、今度の総合調査の中に入れまして徹底的に調査をし、研究をしていきたいと思っております。
 それから、ただいま前段の御質問と同じようなことになるわけでございますが、先生おっしゃるような線で私ども検討していかなきゃいかぬなと考えております。ただ、どういう形がいいか、これはいろいろ、それぞれの主官庁において海洋の汚染を防止する法律等がございます。それぞれのまた権限と責任がございますので、いまここに明確に申し上げられませんけれども、少なくともいろんな事故の態様を考えまして、それが十分明確に責任の所在が明らかになるような法的な措置なり行政的な措置を考えていかなきゃいかぬということは明らかであると思いますので、御趣旨のとおりになるかどうかわかりませんが、抽象的でたいへん恐縮なんですけれども、そういう意味においては、工藤先生のおっしゃる方向で私は進めていく決意であることだけ申し上げておきたいと思うわけでございます。
#20
○工藤良平君 それじゃ衆議院に帰されないですよ。長官ね、それだから私はさっきから言っているでしょう、行政が幾つもあるからわざわざ環境庁つくっているわけですよ、基本法つくったときに。そのための責任者として、あなたがすわっているわけですから、これは、からだを張ってでも現在の政府の中で――隣に農林大臣もおりますけれども、おそらく協力するでしょう。ですから、そういうことであなたはやっぱり責任を持って、この法律改正をするならする、つくるならつくるということを明確に熱意を示さなきゃ、何かちょっとあいまいなかっこうじゃ帰されませんよ。もう少し明確にお答えをしていただいて、できる、できないは二の次として、あなたのそれだけの決意というものを私は示すべきだと思いますから、もう一ぺんひとつお願いします。
#21
○国務大臣(小沢辰男君) たいへん恐縮でございますが、私は、瀬戸内海とほかの海洋汚染、外海に面したときの海洋汚染とは少し、こういう問題に取り組む私どもの姿勢というものも別であっていいんじゃないかと思う点があるわけです。なぜかといいますと、瀬戸内海は五十年ないし六十年にようやく一回全体の水がかわるというような状況でございます。外洋の場合と瀬戸内海のような場合とはどうも私少し、根本的には同じでございますけれども、立法でいろいろ考えていきます場合には、少し別の面を頭に置かなければいかぬのじゃないかという感じがするわけで、今度のいろいろ事故の起こりましてから私どもが研究してみまして。そこで、いまのところは、やっぱり瀬戸内海の環境汚染臨時措置法をいかに活用していくか、ということが当面一番考えられる点ではないかというふうには思いますが、しかし、基本的にはやはり海洋の汚染防止であり、あるいは水質汚濁防止という日本全体の問題でございますので、これらをどの法律でどういう形でやるかということについては、いまここで私が、そのそれぞれ所管の大臣がおありになるのに、私がここでいま先生にお答えして、総理大臣でもないのに、これをこうしますと言うわけにはなかなかいかぬもんですから、慎重な答弁をしているわけでございますので、何らかのそういう行政上の措置でいけるのか、あるいはそうじゃなくて立法まで必要とするのか、その点は今度の対策本部でいろいろ当面の問題と将来に及ぶ、いろいろ検討をいたしておりますから、その結論を待ってからどちらかにきめたいと。しかし、両方あわせて、行政上の措置あるいは立法措置というものをあわせましても、先生のおっしゃるような方向でひとつまとまって、責任が明らかになり対策がとれるような形のものをつくり上げていかなきゃいかぬだろうと、こう申し上げているわけでございますので、これでひとつ本日のところはお許しをいただきたいと思うわけでございます。
#22
○工藤良平君 きわめて不満であります。私はきわめて不満であります。もう少しひとつ積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げて衆議院のほうにお帰しをいたします。また次にこれはやりますので、いつか、必ず機会を得まして。
 そこで、農林大臣にお伺いいたしますが、非常に被害を受けました漁民の方々の立場に立ってぜひこの対策を進めていただきたいと思います。が、直接的な被害については申し上げるまでもないと思いますが、それと同時に、あと引き続いて漁業がどういう形で営まれていくか、それに対する対策が直ちに私は立てられていかなければならないと思います。現状は、被害を受けておりますからいいとして、やはり将来の生活の問題等を考えてみますと、次に、直ちにやはり漁業ができるという体制をつくってやらなきゃならぬ。現在はそういう状況ではないと思います、私も現場を見ましてそう思うのですが。これについて一体農林省としてはどのような対策を講じようとしているのか、現在のところは模索の状態ではないかと思いますけれども、もしその対策がおありなればお示しをいただきたい。
#23
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農林省としては、補償のほうは、これはもう三菱石油にやっていただくことになるわけでありますが、今後、やはり瀬戸内海が何といっても沿岸漁業では四分の一の漁獲高を持っておりますし、これは漁場の宝庫でございますから、何としても漁業が再開をできるように全力をあげなきゃならぬわけで、漁民の皆さま方も一日も早く漁業操業を開始したいという熱意に燃えておられるわけでございます。ただ問題は、その被害の状況がどこまで及んでおるのか、海洋の上のほうだけか、それとも油臭魚が発生しているのか、あるいは底魚まで油のにおいがついておるのか、この辺のところについては、これは漁協等もたいへん心配をしておりまして、県、水産庁協力をして、そして一日も早く試験操業をいたして、そしてその試験操業の結果油臭魚が発生してない、あるいは底魚はだいじょうぶであるということならば、これは早急に漁業の再開をいたしたいと、こういうふうに思うわけであります。
#24
○工藤良平君 ぜひその点については万全を期していただきたいと思います。
 そこで問題は、なぜこういう事態が起こったのかということについてこれからお聞きをしてまいりたいと思います。これはどこの所管になりますか。さっきからお話しのようになかなか所管がむずかしいようでありますけれども、まず私も現地に二日入りました。二十六日にこちらの参議院の院のほうから参りまして、一日おきまして、党のほうから私は参ったんですけれども、現地に参りまして私感じますことは、近ごろになってだんだん原因の問題について新聞等も報道するようになっておりましたが、当初はこのタンクそのものの事故についてあまり多く触れられていなかったような気がいたします。それで、一体これは消防庁のほうになりますか、通産省のほうになりますか、なぜタンクの底が抜けたのか。底が抜けているわけですね。私はもう報道を聞いたときに、横の側壁が破裂をしたのかと思いましたら、全く違って、行って見ましたらタンクの底が抜けたということですが、私どもの俗にいうことばで言いますと、どうしてこんなことが起こったのだろうかという疑問を持ちました。
 そこで、すでに現地でいろいろと調査がなされておると思いますので、いろいろ複雑な要素はあろうと思いますけれども、端的に言って、一体このタンクの事故というものは一般的なものなのか、それとも水島の三菱石油の二七〇号というあのタンクそのものの問題なのか、この点に限定してひとつお聞きをいたしたいと思います。これはどこに聞いたらよろしゅうございますか。
#25
○政府委員(森岡敞君) 御指摘のように、今回のタンクの事故は、側板と底板の溶接部分の付近のところに亀裂を生じまして、そこから油が漏れて、それがさらに急激に漏洩いたしまして、垂直ばしごの基礎が上がって、垂直ばしごが倒れ、防油堤をこわした、それによって海上に流出をいたした、こういう経緯をたどったわけでございます。このタンクに亀裂を生じた事故が那辺にあるかということでございますが、この点につきまして、いろんな私は見方があると思います。地盤の問題あるいは便っております材質の問題あるいは溶接の問題、あるいはそれらを含めました検査の問題。それらにつきましては、これはやはり深い学識を有する学者の最終的な検討、意見に待ちたいということで、御案内のように、現在事故原因調査委員会を設置いたしまして、十五人の学識者に依嘱をいたしまして、早急に結論を得るようにお願いいたしておるわけでございます。で、検討いたしていただいております事項は、まあいまきわめて大まかに申し上げましたが、それらにつきまして非常に広範囲に検討、検査をいたしたい。学識経験者の調査でございますので、いろんなデータも明確に収集をし、試験も行ないまして、それで結論を得たいと、こういう段取りで進んでいるわけでございます。しかしながら、反面また、結果の確知を早くする必要があると思いますので、たいへん御無理をお願いいたしまして、三月末にはぜひ結論を出していただきたいというふうなことでいま鋭意検討をしていただいておるわけでございます。
#26
○工藤良平君 そうしますと、重ねてお伺いいたしますが、もちろんこの事故の原因というものは、消防庁が中心になってその原因を究明をなさっているわけでありますが、それに通産省はこの石油精製工場の許可をなさっていると思いますけれども、そういう点から、このタンクの事故というものを一体どう御理解なさっていらっしゃるのか、その点通産省のほうからもちょっとお聞きしたい。
#27
○説明員(松村克之君) タンクの保安面につきましては、いま消防庁のほうからお話がございましたように、消防法の規定によって管理をしておられるわけでございますので、原因調査については消防庁のほうにお願いしているわけでございます。通産省としてはこれには直接参加はしていないということでございます。
#28
○工藤良平君 それでは消防庁に伺いますが、この石油精製工場の防災対策について、いろいろな検査は消防庁でなさっていらっしゃるということなんですけれども、それでは、その検査の際に、消防庁といたしましては、この石油精製工場、あるいは化学コンビナート等について、それに非常にたんのうな専門家の方がいらっしゃって、そういうところで検討がなされているかどうか、どういう角度から消防庁としては検査をなさっていらっしゃるのか、この点をお聞きをいたします。
#29
○政府委員(森岡敞君) 消防庁といたしましては、危険物の保安規則に関する法律規制、これは消防法でいたしております。それに基づきます危険物の規制の政令及び省令を定めまして、保安の基準について定めておるわけであります。で、消防庁の内部では、技術担当課長がそれらの基準の立案、企画に当たっておるわけでございます。で、現実の各タンクの設置認可に当たりましての検査、これは各消防本部、各市町村の消防本部において行なっておるわけであります。消防本部がないところにつきましては、都道府県の消防防災課で行なっておるというのが実態であります。で、それぞれの消防本部なり、都道府県の消防防災担当課におきましては、必要な技術者を確保するように従来から指導もし、また努力しておるわけでございます。が、必ずしも全般的に一〇〇%十分確保されておるかどうかということになりますと、なお今後努力しなくちゃならぬ面があろうかと、かように考えます。
#30
○工藤良平君 それでは、この水島の三菱石油の二七〇号タンクの検査においてですね――これは私はもちろん専門家じゃありません、しろうとでありますけれども、現場に二日入りまして私は一番先に感じたのは、あのはしごがありましたね、はしごの台がかなり大きなコンクリートであります。これが十二メートルも、いわゆるタンクから十二メートル離れたあの防油堤をこわして外に出ているわけですね。おそらくあれは、何トンございますか、かなり大きなトン数でありましょう。私どもも台風の経験もありますけれども、かなり大きな台風の洪水でなければあのような大きなコンクリを動かすことはきわめて困難だと判断されます。したがって、あのタンクの油が内部の圧力で外に出た、かなり瞬間的に偉大な力をあのコンクリに与えなければ、十二メートルも動かして防油堤をこわすということはきわめて不可能だと思いますね。そうすると、私はやはり破裂以前の問題かなりその兆候があっただろうと思うし、破裂と同時におそらく瞬間的にあのタンクの油が外に出ただろう。これは計算をしてみれば、一体どれぐらいの油が出ればあのコンクリを動かすかということは、これは力学的には出ると思います。しかし、そういう計算はいま時間がありませんから、私はいたしませんけれども、そうすると、最も大きな原因は、確かに鋼板の質の問題もあるかもわかりませんけれども、私は主としてこのタンクの設置されているところは埋め立て地である。その地盤の調査というものは、埋め立ての段階から――埋め立て、いわゆる公有水面の埋め立ての段階から、綿密な調査がなされ、そして埋め立て完了して、工事着工以前に通産省がこの許認可をやる、建設の許認可をやる段階でさらに緻密な調査がなされ、その上に基づいて設計、その設計に基づいた正しい適確な建設が行なわれてきたかどうかという点について、大きな疑問を持つわけであります。タンクの下が七、八メートルも奥まで全部くれてしまって、深さ三メートルにも大きな穴があいてしまっている。これは私は基礎的に非常に大きな欠陥があったように思います。
 そこで私、会社側からこのタンクの設計図をいただきまして、いろいろ見していただきました。で、この設計図によりますと、このタンクの建設の工法につきましては、近ごろ新しい工法を使っているということを私は聞いたわけでありますけども、この点について、この新しい工法というものが一〇〇%安全であるのかどうか、いわゆる地質とタンクとの関係においてですね。そういう点についてどのような検査段階での実態なりあるいは御見解を持っていらっしゃるのか、その点お伺いいたしたい。
#31
○政府委員(森岡敞君) まずタンクの側面にありました垂直ばしごの問題でございますが、約二十トンの重量があったというふうに承知しております。で、亀裂を生じました部分から油がだんだんに漏れてまいりまして、それによって基礎があらわれて、それが一定の時点に相当な衝撃音が出まして、その時点において急激に油が噴出をしたと。で、すでにあらわれておった基礎部分がそれで横倒しになったと、こういうふうに経緯を承知しておるわけでございます。なお、もちろんこの点につきましても先ほど申しました調査委員会におきまして、さらに綿密な時間的経過を追った調査を進めていただく予定でございます。
 地盤等の問題でございますが、確かにこういう埋め立て地の場合には地盤が悪いというのが一般的に言えるかと思います。そんなふうなことから、いま特別新しい工法というお話がございましたが、おそらくサンドパイルを打ち込みまして、それで地盤を固めてタンクを建設していく、その工法ではなかろうかと思いますが、そういう形で地盤を固めながらタンクの安全性を確保しつつ建造を進めていくという工法がいまかなり広くとられておるというふうに承知をしております。問題は、その工法がもう一般的に全部危険なのかどうなのかということになりますと、率直に申しまして私どもは、それは全部危険だということではないんだろうと思うのであります。要するに、その地盤との関連、それから上の構造物の構造なり強度の問題学者のお話では、その辺の相関関係を考えていかなきゃならないというふうな説もかなり強くあるわけでございます。そういうふうなことから私どもといたしましては、今回の事故につきましては、そういう科学的な綿密な調査をぜひしていただいて、このような事故が二度と起こらないような対策を早急に立てる、これが必要ではないかと思っておるわけでございます。
#32
○工藤良平君 そうしますと、いままでの検査の段階では、そういう工法なりそういうものを一つの前提に置いた検査というものはなさっていらっしゃらないわけですか。
#33
○政府委員(森岡敞君) 消防当局の検査といたしましては、いわゆる水張り検査というのをいたしております。これは一定期間水をだんだん張ってまいりまして、満水の状態において水漏れがあるかどうか、それから変形がないかどうかというふうな点につきまして検査を行なう、こういう検査を実施いたしておるわけでございます。
#34
○工藤良平君 それは確かに記録として、会社の報告にもあるいは消防庁の報告にも出ておりますね、水張り検査というのは。水張り検査で最もタンクの事故として心配をしなければならないのは不等沈下ですね、不等沈下が水張り検査でわかりますか、どうですか。
#35
○政府委員(森岡敞君) 先ほど申しましたように、だんだんと水を入れてまいりまして、このタンクの場合には、三ヵ月ぐらいの期間をかけて水をだんだん入れて満タンにしておるわけでございます。その間に不等沈下の状況を見ながら地盤を修正して固定化していくという作業を続けるわけでございます。その結果、満タンの状態のもとで地盤が安定しているかどうかということを検査をする、こういう経過をたどるわけでございます。
#36
○工藤良平君 具体的にそれじゃ私お伺いいたしますけれども、従来のやり方というのはどういう形でやっておりましたのですか。新しい、いまお話しのようにこの二七〇タンクというのは、私の調べたところによりますと、いまおっしゃるようにパックドレーンという方式によって――いわゆる非常に粘土質で水分が多い、そういうところではパックドレーン方式ということで、きのうも新聞に出ておりましたように穴をあけてそれに砂を詰める。そうすると、全体的な重量でその砂の部分に水分が集まって上に吸い上げられてだんだんと固まっていくという方法をとるというように私聞いているのですけれども。それじゃいまお話のようにタンクを底板を張り、側板を張って、それに水をためていく、徐々にためていって不等沈下ができた、まあ端的に考えて言いますけれども、こういうように全部底板を張り、側板を張ってタンクをつくり上げてそれに水を充満さしていく。そして、だんだん重量をかけていって不等沈下が起こったときに、どこでどういう見方をするか私は存じませんけれども、レベルで見るのだろうと思いますけれども、そうすると、もしもこの中の部分にそれではそういう状態が起こったということになりますと、一ぺん水を出して、そこを不等沈下の部分を修正をしてはまた溶接をし直して水をためていく。こういうようなかっこうに、私はしろうとなりに考えてみてもそうなると思うんです。従来は私の聞いておるところではまず底板を張って、その上に土盛りをして重量をかけて、そして何カ月かしてその不等沈下というものが出たものを修正をしてタンクの側板を張っていくというように私は聞いておったのですけれども、これが新しい方法としていまお話しのようにパックドレーン方式を使うようになったと。確かに均一した水の重量がかかりますから理想的であるかもわかりませんけれども、不等沈下の部分をどこでどう確認をして、どういう、じゃ修正の方法をとっていくのか、タンクを全部水を抜いてつくり直してまたいくのかということになると、私は、案外ここら辺にタンクというものは比較的安全であって、油というものでタンクが破裂をすることはあり得ないという、一〇〇%だいじょうぶだという観念の上にこういうものがつくられていったのではないか、検査もそういうことが行なわれていったのではないかという気がするわけでありますけれども、そういう点について検査の部分で、これは消防庁でそういうところまでやるのですか。通産省はおりますか。――通産省はこういうことは全然やらないのですか。工法その他の問題について検討はしないのですか。消防庁にまかせっきりですか。
#37
○説明員(松村克之君) 御指摘の点につきましては、これは消防法で所管しておられますので、消防法のほうでやっていただいているわけでございます。
#38
○工藤良平君 それでは通産省が石油精製等の許可をする場合には、一体どういうような基準なり、そういうものを置いて許可をなさるわけですか。
#39
○説明員(松村克之君) 石油精製工場の許可につきましては、これは需給関係等をもとにいたしまして判断するわけでございますが、その際、保安面あるいは環境面につきましては当然のことでございますが、それぞれの省庁、それぞれの法律を適法に順守するということがその条件になることは当然でございます。
#40
○工藤良平君 話は横道にそれますけれども、それじゃもう少し具体的に通産省に聞きましょう。石油精製工場の場合には、機械の償却は一体何年と見ておるわけですか。
#41
○説明員(松村克之君) 私も固定資産の償却については、いろんな種類の償却があろうかと思います。それぞれの施設によってそれぞれあろうかと思うわけでございますが、詳細はいま承知いたしておりません。
#42
○工藤良平君 通産省というのはそういうところですか。許可だけはするけれども、じゃ、この償却の期限が過ぎてもおそらく機械は使っているでしょう。私の調べておる範囲では、おそらくみんなそうやっているのですね。したがって、部分的にいうとどの部分については償却何年、どの部分については何年ということはありましょう。それじゃ、それの点検はもう会社まかせで、どこもやらない。いま至るところに爆発事故が起こってますね、石油精製工場の。こういう点については、消防防災だけの行政的な指導で、許認可をした通産省としては、その工法の問題なりあるいはそういった事故発生の場合の指導、その他については一切やっていないわけですか。そういうやる権限もなければ行政指導の責任もないと、このようにおっしゃるわけですか。
#43
○説明員(松村克之君) たとえば水島地区のような例をとって考えますと、埋め立ての場合には、それぞれこれは埋め立てを所管しておられる官庁がございまして、そこで海岸の埋め立ての工法については監督をしておられるというふうに承知をいたしておるわけでございます。それから、そこに工場を建てます場合には、いま申し上げました消防法、あるいは工場の上屋等については建築基準法、あるいは高圧ガスについては高圧ガス取締法あるいは労働基準法といったそれぞれの保安法規がございまして、それぞれの官庁でこれを所管しておるということでございます。
#44
○工藤良平君 通産省はどうしているかと、私、聞いているんです、通産省は。
#45
○説明員(松村克之君) したがいまして通産省といたしましては、これは石油業を産業として、業として所管いたしているわけでございますので、直接そういった消防法等で所管しておられますことについての二重行政ということは避けているわけでございますけれども、全体として、たとえば石油精製業が現在、そういう三菱水島のような事故を今後起こすことのないようにということで、一般的と申しますか、今後、保安面に十分注意をするようにということを、エネルギー庁長官名で各精製会社に対して通達をいたしまして、その後、石油連盟各社とわれわれの間に流出油対策委員会というものを設置いたしまして、今後、原因の究明等の結果を待ちましてそれらの対策を――これはもちろん消防庁のほうで御指導があるわけでございますが、それを十分迅速にこれらの指導を受け入れることができるようにという観点及び一般的な情報の管理体制といいますか、情報の流通システムといったようなものを強化するために、それらの委員会をつくりまして、現在、指導をいたしているということでございます。
#46
○工藤良平君 それじゃ、もう少し私聞きますが、通産省には、この具体的なタンクの問題にしぼってお聞きしましょう。ここに公有水面の埋め立てが終わりまして、そこにたとえば十七万バーレルなら十七万バーレルの精製工場をつくりますということで許可申請が出てきた。これは、おそらく通産省で詳細な検討が、なされるというように私はいままで理解しておったんです。それは、そういう場合、たとえば新しいタンクの工法ができたと、そういうものは別にチェックするわけでもなし、安全性を確認するわけでもなし、それは会社の申請が出てくればそのまま通すということになっているわけですか。それから先はすべて消防庁の防災関係からの検討だけでよろしい、こういうようになるのか。そういう工法そのものについて、通産省としては検討なさっているのかどうか、そういう機関があるのかないのか、その点から、じゃ、お聞きします。
#47
○説明員(松村克之君) そういった機関はないわけでございます。
#48
○工藤良平君 そうすると、これは、業界のほうで一方的にやられても、これが安全であるというようなことであれば、何も行政的なチェックをするところはないと、このように理解してよろしゅうございますね。
#49
○説明員(松村克之君) 申し上げておりますように、通産省では、そういったことについて直接の法的な監督はいたしていないということを申し上げたわけでございまして、消防法その他それぞれの法規によって監督されておるということでございます。
#50
○工藤良平君 それじゃ消防庁としては、いま私が言ったようなことを、工法まで全部詳細に検討いたしまして――しかし、おりたあとの問題になりますから、許可の段階で、それじゃ消防庁としては、この施設については工法が問題があるから許可をしてはいけません、ということを通産省に言うわけですか。事前の協議というものがあるわけですか。
#51
○政府委員(森岡敞君) 消防当局といたしましては、タンクの検査については、先ほど申しましたような水張り検査という形で、中間も水を入れて、それで不等沈下なり漏れなりを確認いたしまして、それてさらに――もちろんそのほかに、各種の検査も実施をした上で完成認可を与えていくというのがいままでの行き方でございます。
 そこで、いまお話の、新たな工法が出てきた場合に、その工法についての安全性の確認について検討しておるかということでございますが、技術的な面でのいろんな検討はいままで行なってきたつもりでございます。ただしかし、そこに、今度のような事故が起きたわけでございますので、私どもといたしましては、その点については、率直に申しまして、これは反省すべき点があるのではないかと。でございますので、ただいま、先ほど来申しておりますような原因調査を徹底的に行ないまして、必要な工法の改善などにつきましても、思い切った規制強化の措置をとりたい、かように考えておるわけでございます。
#52
○工藤良平君 検査の段階で非常に大きな欠陥があったということをお認めになりますね、いまおっしゃったように。私も現場を見てそのことを直観をしたわけです、専門家じゃありませんけれども。あすこの現場の中に、タンクの下にもぐって見てみたときに、これはもう完全に不等沈下が原因だということはだれが見ても明らかなんです。もちろんそれにはいろいろな要素がありましょう。あれだけの大きな池になっているのですよ、三メートルもふくれてですね。これこそまさに不等沈下が原因でおそらくこういうことになったということは、地質が悪かったということははっきりいたします。おそらく石油精製工場としては、タンクに対するいわゆる経済性からいって大量の金を入れるということは考えられない。ビルをつくるような基礎を打つというようなことは考えられない。私もそう思います。ですから、そういうところに手抜かりがあった。しかもタンクが破裂をするということは、ある程度は危険性は考えられていたかもわからないけれども、さほど重要な部分としては考えられていなかった。その証拠には、石油精製工場に対する防災対策というのは、主として火災を中心にしてなされているだろうと私は思う、火災を中心にして。
 もう少しそれじゃ踏み込んで聞きましょう。防油堤がつくられております。一つの、あるいは幾つかのタンクを基準にいたしまして、防油堤がつくられております。この二七〇タンクの際の防油堤の力は、もしも漏れた場合の最悪の状態の場合に、一体幾らの力を持っているのか、その防油堤が。それと同時にまた、私は現場に入って見ますと、たとえば波返し護岸がありますね、周辺に。ここに参りますと、火災消火のために海水を引き入れるように護岸に穴があいている。これは、もしも防油堤が破れて全体的に、その三菱石油なら三菱石油そのものの全体的な油に対する流出の考え方があったならば、そういうものはないはずなんですけれども、わざわざ海から消防、消火をするために、海水を引き入れるために、その部分だけを低くして穴をあけて、水が吸い上げやすいような措置までも、これは消防庁の指導かどうか知りませんけれども、そういうものまであるとするならば、これ一〇〇%タンクの事故はないというような想定の上に立って、いわゆる火災のための防災だけを中心に考えられていたのではないかということまでも私たちは考える。
 これは万が一の対策というものが必要なんでありますが、私はそういう意味からやはり今日までの、特にこのタンクの事故が起こってみれば、そういう点の検査なりあるいは防災対策というものが完全ではなかった、こういうような気がいたしますが、その点についてもう一度お伺いをいたしたいと思います。
#53
○政府委員(森岡敞君) 今回のタンクの亀裂を生じました原因が、不等沈下に大部分の原因があるのか、あるいは構造なり溶接を含めた複合的な要因が重なっているのか、その辺につきましては、最初に申し上げましたように、学識経験者の綿密な調査結果を私どもは得たいと思っております。
 防油堤の問題でございますが、防油堤につきましては、御案内のように、現在タンクが一基の場合にはその五〇%以上の容量を収容できるだけの防油堤をつくりなさい、複数の場合には最大タンクの容量の五〇%以上と他のタンクの容量の一〇%の総和の容量を収容できる防油堤をつくれと、こういう規制をしておるわけでございます。で、今回の事故について言いますと、容量だけで申しますと、この二七〇号タンクの容量とほぼ一致をしておるということでございますが、しかしかりに二基の油漏れがあった場合に、一体どうなんだということになりますと、これは率直に申しまして、防油堤を越えるということになる可能性はもちろんあったわけでございます。同時に、先ほど来お話のございます防油堤の構造なり規制というものが、どちらかというと、火災というものに重点を置いておったという御指摘でございますが、これは私はそうだと思います。できるだけ小範囲でコンパクトに油が漏れて、それに引火いたしまして火災が起こりました場合、周辺の民家との関連もございますので、小範囲でとどめてしまう。そういう意味合いで防油堤の距離もごらんいただきますと、タンクの場所から非常に近い状況になっております。で、問題はこのような火災を中心に考えておりました防災対策だけではなくて、たとえばCTSあるいはコンビナートの全域につきまして、油が漏れた場合に、その構内にとめてしまう、構外に出さないという措置がこれは私は必要だと思っております。その点についての配慮が十分でなかったという点はまことに私ども反省をしなきゃならぬと思います。いま応急にそのための周辺の土盛りでありますとか、いろんな対策を検討いたしまして、適切な行政指導を早くやりたい。事故原因調査委員会の結果が出ますれば、それに基づきまして必要な防油堤の構造あるいは第二次防油堤というふうなものについても規制を行なうように考えてまいりたいとかように思っております。
#54
○工藤良平君 時間がもっとあると、こまめにいろいろお伺いしたいんですけども、これ時間が少なくてどうも徹底を欠くわけですけれども、いまお話しの二七〇号タンクの場合に、私ども現地に入りまして調査をした結果、御承知のような、はしごがそのまま流されて、防油堤をこわしたということから、防油堤のこわれた時点での容量というのは一万三千キロリッターぐらいしかない、というように現地でたしか報告を聞いたんですけれども、この点についてはどの程度――いま二七〇号タンクそのものの容量と大体同じぐらいだということのお話だったんですが、これは防油堤がこわれなくて、そのまま完全に作用した場合のことだろうと思うんですけれども、あれがかなりの部分こわれた。それが流出をしたということになっているわけで、その点についてはどの程度と判断していらっしゃるわけですか。
#55
○政府委員(森岡敞君) 防油堤の構造から見ました容量は先ほど申し上げたようなことでございます。で、現実に防油堤がこわれたことによってどの程度外に流出したかということでありますが、海上流出につきましては、いろんな角度から計算をいたしておりますけれども、一月二十日に現地の政府の事故対策本部で、倉敷市の消防本部の算定と、それから海上保安庁が海上から回収いたしました油から推計いたしました算定と両方を彼此勘案いたしまして、七千五百キロリッターから九千五百キロリッターが海上に流出したものと、こういうふうな公式の発表をいたしております。
#56
○工藤良平君 いや、私が聞いているのは、二七〇号タンクの防油堤が一体どういう程度の作用をしたのかということですね。私が現地で聞いたのには、一万三千キロリッター程度のいわゆるこの防油堤の容量しかなかったとこう聞いているんですけどね。
#57
○政府委員(森岡敞君) 防油堤自身の容量は、先ほど申しましたような計算でつくられておりますので、大体四万八千キロリッターの容量があったわけであります。しかしそれがこわれたために構外に流出をしたということでございます。構外へ流出した部分と、それからさらに構外へ流出してそこで土にしみたり余った部分と、それから海上に流出した部分の区分についての資料は実はいまちょっと持ち合わせないのでございますが、タンクヘ回収した量が、倉敷市の消防本部の計算では二万六千四百キロリッターから二万七千四百キロリッター。それからドラムかんへ回収した量が二百キロリッター。これはまあわずかでございます。それから構内の滞油量が三千二百五十キロリッターから三千九百五十キロリッター。それから土砂への浸透したのが四千八十二キロリッター。これを合わせますと大体三万四千キロリッターから三万五千キロリッターというふうな算定になる。そのほかに、したがいまして残の七千五百から九千五百が海上に流出したと、こういう発表になっておるわけでございます。
#58
○工藤良平君 これはぜひ気をつけてもらいたいと思いますのは、私は現場も何回も見ました。それで、まあ報告にありますように、防油堤は一メートル五十の高さですね。そのうち九十センチ上が削られて結局残り六十センチということになるわけですけども、いまお話しのように、たとえば二七〇号タンクの防油堤の容量が四万八千キロリッターあったとするならば、実際一メートル五十の高さのうち九十センチ削られているわけだから六十センチしか残っていない。そうすると残りの部分というのはかなり少なくなると思うのですけども、報告によりますと、その防油堤の中で二万八千キロリッターの油を回収したなんという報告が出ているんです。全くおかしな話なんです。いいですか。逆算してみてもそんなことにならないのです。一メートル五十が九十センチ削られたら六十センチしか残らない。これは計算をしたらすぐ出てくるわけですけどね。おたくがおっしゃったように四万八千キロリッターの収容力があるのが上九十センチ取れたら六十センチしか残らないわけですから、半分に見ても幾らですか。実際は二万八千キロリッターの収容をやったと、こう言うのですけれどもね。しかし、それは途中でやれるなんといったってできないですよ、九十度の温度なんですから。途中では全然できないわけですね。ですから、もうあっという間に流出してしまって、あとで結局油がかなり冷却をした段階でやったわけでしょうから、実際私はそんなことにならなかったと。それは数字の非常に大きな問題があるわけですから、そういうごまかしじゃなくて、本来やはり大きなタンクについてはいまおっしゃるように一つの基準があるわけです。これは全部破裂をした場合に一体それを収容できるような態勢があるのかどうか。さらにそれが大きな全工場内でさらに収容できるという態勢をいまおっしゃるようにつくる必要があったと。その点については反省もしているということですから……。
 私はこの際、きのうかの新聞にもありますように、私はこの不等沈下が原因だと、こういうように断定してもいいぐらいに思っているのですけれども、東大の木原名誉教授ですか、言っておりますように、名古屋のあの地域でも、すでに三十六センチとかですね、最高。そういう不等沈下が起こっているということで、これがさらに全体が、タンク全体が沈下ならいいんですけれども、極端な不等沈下が起これば、これは大事故につながることは必然だということをあの木原教授が指摘をしているわけで、私もそのとおりだと思います。現地に行ってみればわかるんです。ですからこの点についてはぜひこの石油基地の総点検をやっていただく。機械と同時にタンクの総点検もやって、地質その他が、おそらく埋め立ての段階からボーリング等で地質の記録があると思いますから、それを徹底的に洗っていただいて、ここまでやっても私はやり過ぎではない。おそくでもいいからそれを一応やって、安全性なら安全性ということをやはり公にするということが非常に必要ではないかと、こういうように考えますから、この点についてはぜひ消防庁のこれからの御努力を私は期待をいたしたい。その点についての御見解を伺っておきたいと思います。
#59
○政府委員(森岡敞君) 昨年の十二月二十八日に消防庁から通達を出しました。とにかくこの一月中に応急点検をやるということを各市町村に指示をいたしました。御指摘の不等沈下あるいは油漏れ、防油堤の状況、そういうものを中心に、これは主として外回りの検査でございます。それを徹底的にやる。先ほどお話しの名古屋の不等沈下の状況もこの点検の結果出てきたものでございます。で、この点検によって出てきました名古屋の不等沈下のようにはなはだしきものにつきましては、直ちに油抜きをやりまして徹底的な検査をするように指示いたしました。
 それから、まあこれだけの検査で私ども不十分だと思いますので、この今月末にその府県なり市町村の担当者を集めまして、徹底的な検査の進め方につきまして打ち合わせをやりたいと思っております。それに基づいて復元調査が出るまでの間に、いま一度思い切った総点検をやりまして、必要な保安規制の強化をやっていきたいと、かように思います。
#60
○工藤良平君 これはしろうとなりの考え方ですけれども、たとえば油を運ぶ油送船ですね、これあたりは各部屋ごとに分かれておりまして、この前のような座礁事故が起こりましても、全体が流出をするということを免れたということですが、タンクの場合でも、非常に大きな原油タンクなどは、少なくともそういうようなことの研究というものもやられていいんじゃないかという気がするんですけれども、その点はどうなんですか。現在あるもので、いまあるタンクの中でも、そういうふうに部屋を幾つかに分けてやるとか、そういうことは可能なんですか、不可能なんですか。
#61
○政府委員(森岡敞君) 現在あるタンクにおきましても、いまお話のありましたような一種の間仕切りと申しますか、そういうふうなことによりまして、まあ、そういう構造をとっておるタンクもあるようでございます。
#62
○工藤良平君 私はぜひ、一定規模以上のものについてはやはり安全性ということを、もしも最悪の事態が起こった場合は最小限に食いとめるという意味から、ぜひ検討を要することではないかと思いますから、この点については、今後前向きに御検討いただきたいと思います。
 それから、もう時間があとわずかしかありませんから、最後の問題に移りたいと思いますが、これは五十年度予算の中でも出てきておりますけれども、石油の九十日の備蓄という問題があります。
 もちろん現在の日本の文明社会の中で石油というものが、いかに私どもの生活の中に、すべての分野にわたって支配してきているかということもわかりますし、しかも、その石油が日本にはほとんど一〇〇%に近いほどないということなんですから、かなりの備蓄を必要とするということは、私どもももちろんそれを否定するものではありません。現在――一昨年のあの石油パニックの起こりましたときが六十八日とかというような備蓄のようであったわけですが、これを九十日ということになりますと、今後さらにこの石油基地というものが増加されるということになるわけであります。で、私は、できることならば、この安全性なり、こういう汚濁の問題からいたしまして、これはほんとうはつくってもらいたくないという気持ちはあるんですけれども、しかし、現在のこの日本の状態から考えてみると、必ずしもそうばかりも言っておれない。それは現実ばなれのしたことでありますから、私は現実を踏まえて考えてみるならば、むしろ最も安全な方法、しかも一〇〇%だいじょうぶだという対策をむしろ講ずることによって、その備蓄というものも可能になってくるのではないか。
 一昨日ですか、の決算委員会で、瀬戸内海には全くもう今後一切タンクはつくらせないということであります。私も瀬戸内海に面している一人ですから、そのことは非常に喜ばしいことで、今後私ども、石油基地設置反対なんということをやらなくてもいいというように実はうれしく思ったんですが、しかし、現実の問題として、それが可能であるかどうかということを考えてみますと、私は現に五十年度予算で通産省、大蔵省が九十日の備蓄を考えようということでありますから、これはそういうことを言ってみても、非常に現実離れしたことになってくるんだと。私はむしろ徹底的にこの水島問題を教訓にして、一滴の油も外に漏らさないという万全の対策をまず講ずるということのほうが先決ではないかと思うんですが、この点についてエネルギー庁からの見解を私はもう少し明確に伺っておきたいと思います。
#63
○説明員(松村克之君) 一昨日の参議院の決算委員会におきまして、石油部長から瀬戸内海立地の問題について御説明したわけで、御答弁いたしたわけでございますけれども、答弁いたしました趣旨は、今後、石油備蓄が先生いまお話にございましたように、一つの国民的なといいますか、国家的な要請であるわけでございますので、今後九十日備蓄ということを一つの目標といたしまして、通産省としてはこれを推進していきたいと。しかしながら、三菱水島の事故等もございまして、やはり瀬戸内海というものは、水の外洋との置換が非常に悪いといったようなこともございますので、今後、大規模の石油備蓄基地をつくる場合には、できるだけこれを瀬戸内海以外のところにつくりたいということを御説明したわけでございます。
 しかし一方ひるがえって考えますと、瀬戸内海には現在産業用の需要のみならず、民生用の需要といたしましても相当な量の需要があるわけでございまして、ここに何らかの形で石油を搬入するということは、これは供給するためには必要なわけでございます。そういうことで考えますと、やはり先生いまお話がございましたように、いかなることがあっても、絶対に今度のような事故を起こさない、そういう対策を、これいま消防庁のほうからもお話がございました防油堤の構造にいたしましても、あるいは二重、三重の考え方もございますでしょう。幾つもの対策を用意いたしまして、一つの対策が失敗いたしましても第二の対策といったような、非常に安全性を何重にも担保するような方法ということを開発いたしまして、これを実施するということが、特に今度のように九十日備蓄ということが国の一つの政策として行なわれる場合に、万が一にも国の政策によって行なわれた備蓄基地が事故を起こすというようなことがあってはならないわけでございますので、今後関係の省庁とも十分御相談をいたしまして、できる限りの努力を尽くしていきたいと、こういうふうに考えております。
#64
○工藤良平君 あと二、三分しかありませんけれども、その点ですね。たとえば瀬戸内海にはつくりません、それじゃ、外はいいのかということになる、外海に面しているところならいいのかということになる。事故を起こせば同じことなんです、油が潮流に乗って海岸に打ち寄せてくるわけですから。新潟の例だってそうなんですね。ですから、私そういう考え方というのは安易な言いのがれにすぎないと思うんですね。九十日間備蓄をしなきゃならぬとするならば、それに対して徹底的にやはり私たちがそれが可能であるような対策をまず考え、対策をしなきゃならぬということが前提でなきゃならぬと私は思うんですね。瀬戸内海はいかぬけれども、こっちはいいですよ、というような安易な考え方ではいけない。日本に必要であるとするならば、それだけの対策を万全にやるということが、私はむしろ大事ではないかという気がするわけでありまして、そういう点については、もっと機会があれば私は具体的に議論をしてみたいと思いますが、きょうは時間が参りましたからこの程度で終わりたいと思いますけれども、ぜひひとつそういう前向きの議論というものを今後やっていただきたい。特にこの水島問題の事故に対する通産のこと考え方というのはどうも私は合点がいきません。これはもう全く合点いきませんよ、消防庁にまかせ切りで。こんなばからしい話ありませんよ、あなたのところが許可しているわけですからね。その責任を徹底的にこの際追及していくということが私は、これからの行政として必要だと、このように思いますから。それじゃ、もう最初から石油の精製工場をつくるのももう消防庁に渡してしまえばいいんですよ。通産省そんなもの握っていなくてもいいんですよ、それは、正直に言いますけれども。許可する以上は、最後までやっぱりその問題は責任を持たなきゃおかしい。故障が起こったときには、はい消防庁やってくださいと、こんなことじゃ通産省、私は無責任だと思いますよ。その点についてはまあ一課長ですから、これは大臣がおるときにもう一ぺん予算委員会か何かで徹底的にやりたいと思いますけれども、きょうはそういうことでありますから、この程度にとどめまして、時間が参りましたから公明党の原田さんにバトンタッチをいたしたいと思います。
#65
○原田立君 四十九年十二月の十八日に、事故発生後直ちにわが党の塩出参議院議員が現地に参りました。私も、第五次調査団として今回の岡山県水島の三菱石油株式会社水島製油所における重油流出事故の現場を見てきました。非常に惨たんたるものであり、たいへんなものだなということを痛感してきたものであります。
 そこで、大臣、早くから瀬戸内海の浄化が叫ばれてきておりながら、何も言ってきてないわけじゃない。それを言ってきておりながら、政府は臨海工業地帯をつくり、あるいは石油コンビナートをつくり、あるいは重油の貯蔵庫をつくる等して、いわゆる死せる瀬戸内海にしてきたのは、あげて政府の責任であると、こう私指摘したい。まあ、農林省はその被害を受けた漁業者の味方のほうの立場だから、大臣もその立場に立ってお考えではあろうと思うけれども、死せる瀬戸内海にした責任はあげて政府の責任であると、こう私は断定したいと思うんです。どうか国民の声を率直に取り上げていってもらいたいと思うんであります。
 私は、去る一月二十日、水島製油所の破壊された場所、それから玉野市の胸上漁協の幹部との懇談、あるいは船で渡り、対岸の石島の現地視察等もし、岡山で国及び県の対策本部に寄って現況も聞いて参りました。
 また、翌日の二十一日には香川県の坂出市王越海岸の王越養殖有限会社を訪問、ハマチあるいはタイ類の死体がまだまだ残っている、あるいは油のかたまりが残っている、そういう現場を見てまいりました。上のほうからこのぐらいの大きな石を投げても油の上にぽこっと乗っかって、下にもぐらない。惨たんたるものだなと思いました。これじゃ魚などは生きる道理がないと思いましたよ。ま、大臣も現地に年末行って来たから、そこら辺のところは十分御承知だろうと思うんでありますが、このひどさはもう話になりません。
 次いで、途中の某所における岩、岩壁への油の稀釈現場を見てまいりました。また、ノリ網を沖からずっと船で引っぱってきて、ちょうどクレーンで引き上げて、ダンプカーへ乗せて運ぶ、その現場も見てまいりました。どろどろのまっ黒な網を、ひげだらけの顔をした漁民の人たちが揚げている。さぞや、ほんとうにつらい思いをしながら揚げているだろうなと、こう思い、激励をしてまいった次第でありました。
 次いで、坂出市の埋め立て場所に廃油のドラムカンあるいは吸着剤を入れたビニル袋の集積されている現場にも行って見てまいりました。
 最後に香川県の井上対策本部長とも懇談してまいりましたが、これだけの多くの人々にあれだけの被害を、岡山、兵庫、香川、徳島各県の多くの漁民に被害を与え、苦しみに満ち満ちた生活をさした、もう三菱石油はほんとうににくらしい、こういう気持ちを持って、実感として帰ってまいった次第であります。多くの人たちが言っておりました。海はほんとうに、もとのようにきれいに返るんでしょうか、また、ぜひきれいに返してもらいたいと。こういう切なる要望をどこでも聞いてまいりました。あの海の宝庫瀬戸内海をきれいにつくりかえるための農林大臣の固い決意、所信の表明をお伺いしたいと思うんであります。
#66
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も十二月の三十日に現地を訪問して、空からはヘリコプターで見ましたし、それから、いま原田さんのおっしゃいました坂出市ですか、の養殖場にも出かけてまいりましたし、漁業者の話も聞いたわけです。で、空から見ましても、瀬戸内海一帯が油膜でおおわれている。それで鳴門地帯からいまの香川県等の海岸はまっかになって油膜におおわれている。現地に行ってみますと、いまおっしゃるように、厚い層でおおわれておりまして、漁民の皆さんがひしゃくですくったり、あるいは自衛隊が出動してぞうきんで岩をこすっておるというふうなことで、これはもうこのままの状態ならいつになったらこの瀬戸内海の油が回収できるだろうかと。ま、百年河清を待つということがありますが、まさにそんな感じを持ちまして暗たんといたしたわけでございますし、同時に、やはりこの原因者がはっきりしておりますから、この原因者がすみやかに補償をしなきゃならぬというのは当然であるという感じを強く持ったわけでございました。
 その後、遅々として油の回収もそういう状態でございますから、ばかどらないわけでございますが、しかし、最近の話を聞いてみますと、だいぶ漁業者の皆さん、あるいは県当局の非常な熱意等で、徐々にではありますが、相当海面の油のほうは除去が進んでおる。しかし、海中にどれだけ沈んだのか、これが海底魚にどれだけ影響を与えているかということは現在はっきりもちろんつかんでいないわけでございまして、瀬戸内海の水も先ほど小沢長官が言っておりましたように、六十年に一回かわるというふうなことでございますから、これを完全にきれいにするというふうなことについては、それはもう私がここで責任持ってお答えするということも申し上げかねるわけでございますが、しかし、いままで瀬戸内海というのが日本の沿岸漁業の四分の一の沿岸漁業漁獲高を占めておるわけでありますし、特に栽培漁業も相当盛んになっておるし、あるいはノリ等も非常に盛んになっておるわけでございますし、そういうことで水産庁としても栽培漁業あるいは構造改善事業等も積極的に進めてきたわけでございます。しかし、この際こういうふうな事件が起こったわけでございますが、まあ私たちとしては調査を徹底的に進めて、そして、底魚等にどれだけ影響があるか等も一日も早く結論を出していただいて、漁業者は何としても早く漁業をしたいということのようでございますから、漁業が再開できれば再開もしていただきたいと思うわけでございますし、また、漁業のこれからの回復、漁場の回復等の対策等については積極的にひとつ取り組んでいかなきゃならぬし、ノリ等もノリ網の回収等しておりますが、来年、ことしはもちろんだめでございましょうが、来年は完全にノリ漁業も再開できるというふうなところへ水産庁としても全面的にひとつ漁民の要請にこたえて施策を進めていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
#67
○原田立君 大臣、たいへん失礼な言い分、言い方をして申しわけないんだけれども、漁民の側の代表になってしっかり瀬戸内海をきれいにしてもらおうという立場の農林大臣なんですけれども、そんなへっぴり腰でものを言ってもらったんじゃ困るんですよ。きれいに、もうどんなことがあったって、きれいにしますと、はっきり決心のほどを、自信のほどを表明してもらいたい。それは小沢さんは小沢さんの立場でものを言ってるんでしょうからね。私はそこまで批判はしません。だけれども、農林大臣は漁民の味方なんですから、その立場のあなたが瀬戸内海をきれいにすることができるかどうかわかりませんだなんて、何を言ってんですか、あなたと、ぼくは言いたいんです。感じるんです。ちょっとことばを強く言いましたけれども、へっぴり腰じゃなくて、もっとはっきりとした所信表明をしてもらいたい。
#68
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私としては、何としても瀬戸内海はきれいにしていただきたいと思うわけです。まあ農林省としての立場から申しましても漁業者のあの惨たんたる状況等を見まして、また、世界のいまの漁業の資源状況等見ましても、何としても瀬戸内海はもう日本の宝庫ですから、やはり政府全体として――ただ、農林省だけできれいにしろと言われても、きれいにする農林省手段、対策等につきましては持ち合わせてないわけですから、私は国務大臣という立場では大いに主張もいたしますけれども、まあ、この農林省としての立場から見ましてもこれは何としてもきれいにしていただかなきゃならぬ、そういう決意は変わってないわけでございます。ただ、私が行きました状態から見て、それから水が六十年も変わらぬというふうなことから見て、これはもうきれいにする、環境保全法等もできておりますが、きれいにするということはやってもらいたいんですが、容易ならざる仕事であるというふうな感じは持っておるわけですから、そのほうのことを先に言ったものですから、何か非常に弱気のような発言したように思われますかもしれませんが、もちろんわれわれとしては、何としてもきれいにしていただきたいという強い気持ちには変わりないわけです。
#69
○原田立君 不満足ですけれども、大体これは良としておきましょう。
 大臣、実際瀬戸内海の水が六十年に一ぺんしか変わらない、それはそのとおり言われているんですよ。だけども、今度の被害によって詫間半島と福山、あの線が大体中心になってて、東と西とこうなっている。実際の今度の流出事故によっての被害は、西のほうはほとんどないんですね。詫間――福山の線を通じて東のほうが全部やられている。しかも、それがもうほんの短時間のうちに油が流れ着いて、対岸の香川県あるいは徳島県のほうに漂着している。これはもうとろとろ、とろとろこう動いているのじゃなくて、ものすごい速さで動いているとぼくは思うんですよ。だから、六十年に一度しか水が変わらないなんて、そんなところに考え方を置かないで、今度のあの油の各県に漂着した速さですね、そこら辺考えてもらいたいと思うんですよ。六十年の説ばっかり固執されていたんじゃ困るんです。
 それから、水産庁にお伺いしたいのでありますけれども、被害の実態は先ほど表でいただきました。これ、実は一月十四日現在の金額なんですよ。これは、きょうは一月二十日現在というふうにして出てきているわけなんですけれども、その後新しいものは出てきておりませんか。
#70
○政府委員(内村良英君) こういった事故が起こりました場合の現地からの報告は、最初速報、それからだんだん精査されて報告が出てくるわけでございますけれども、一月十四日現在で同じような数字があるとすれば、私どもが県から、これが県としての責任ある数字です、ということでもらったのが、二十日現在までの数字でございますので、現在はこの数字が最新の数字でございます。
#71
○原田立君 これらについての補償でありますけれども、当然、原因者の三菱石油が払うのが当然のことであろうと思うのでありますけれども、補償の、あるいは稼働費の実際の支払い状況はどんなふうになっているか、掌握されているか、お答え願いたい。
#72
○政府委員(内村良英君) 御案内のように、暮れに越年資金が支払われたわけでございます。その後十日ごとに作業に出た経費を要求するということになっておりまして、清掃事業に従事した経費につきましては、香川県と岡山県については、十日ごとに払われております。徳島と兵庫についても十日ごとに払うということで、その点につきましては三菱石油と完全に話がついておりますので、逐次要求をしていくことになるわけでございます。
 それから、被害の補償につきましては、先ほども申しましたけれども、二十三日、二十四日、きょうとあした、関係の漁連の事務当局が集まりまして、統一的な方針に基づいて計算する。それに基づいて四連の会長会議を開いて、今月中に三菱石油にとりあえずの被害についての補償を要求する、こういう段階になっております。
#73
○原田立君 そうすると、全体の額はきまらなくても、その内払いで払わせるような方向で指導し、努力している、こういうことですね。
#74
○政府委員(内村良英君) そのような方向で努力しているわけでございます。
#75
○原田立君 どうぞそういうふうにしてもらいたいと思うのです。その全体のワクはワク、きまらないうちにほかは手が出せないというような形でおりますと――実際問題言っておりました、まだことしになって一銭ももらっておりませんと。いまのところ、まあいままでの貯金がたまっているのがあるからそれで何とかやっておるけれども、これが来月、再来月になったら、ほんとうに生活は困りますと、こういうことを切実に訴えておりました。内払いでもぜひしてやるようにしてやってもらいたいと思う。
 最近の新聞を見ますと、三菱グループ全体がやはりそういう資金的な援助もやろうというような姿勢になっているということなので、早く補償の支払いもできるだろうと思うんですけれども、かりにおくれた場合――おくれてそういうような処置が手おくれになって、内払い額がずっとおくれてしまうような場合は、これは仮定の話でありますけれども、そんなときにもっと国のほうであるいは県のほうで貸し付けとか融資とか何か積極的にやる考えはないのかどうか、その点はどうですか。
#76
○政府委員(内村良英君) 越年資金の場合には、徳島と兵庫につきましては、三菱石油の支払いが間に合わなかったものでございますから、漁連の系統金融で立てかえてこれを払ったということがざいます。で、今後私どもといたしましては、やはりPPPの原則に基づいてあくまで三菱石油を追及していくべきだと思いますが、非常に、何らかのことで、被害を受けた漁業者に対する支払いがおくれるというようなことがあれば、何らかの金融措置は政府としても考えなければならないのじゃないかと思っておりますが、ただいまのところは三菱石油からどんどん出してもらう線で指導をしておるところでございます。
#77
○原田立君 大臣いまのとおりなんですけれども、三菱石油から出ればそれでいいのですけれども、おくれた場合の話を、いま一度目の質問をしているわけなんです。まあ何とかやるようにしたいというようなことを水産庁長官は言っているのですけれども、その点はだいじょうぶでしょうね。
#78
○国務大臣(安倍晋太郎君) それはもう漁業者に迷惑のかからないように何らかの金融措置をとるということについては明快にお答えができるわけであります。
 それから六十年説というのは私が固執しているわけじゃなくて、現地に行きましたときに聞きまして、これはたいへんだという話を聞いたわけでありまして、人海戦術で非常に熱心にやっておられて相当回収は進んでおるということも聞いておるわけで、私が固執しておるわけじゃありません。
#79
○原田立君 岡山県玉野市胸上漁協の鳥越事務長と会ってきて、そのときも陳情を受けた。この漁協が玉野市にあり、全部で百二十五戸あり、専業が百五戸、このうちノリ専業者が六十七戸でこれらの人はノリで生活を支えている人であります。ことしは四億円の収穫を予想していたが、これが全然だめになりましたと。これ以外の三十戸の人が漁業専業の人でありますが、これが全部だめでこれも操業ができない。全くめどは立っていない。また事故発見後、監視船を出して油の回収もしたと。油でノリがきたなくなるのはわかり切ったことでありますから、必死になって早くやったと。十二月の二十二、二十三、二十四のあの寒いときにも弁当持ちで油取りをやった。もう十分間でドラムかん一ぱい油が汲めたそうです。十分間でドラムかん一本というのはたいした量だと思いますね。量があまりにも多過ぎて、とうとう全部油被害を受けてだめにしてしまった。一月十五日には全部網を揚げてしまったが、底引網を一月六日の日にやったときには、オイルマットがどっさりとれて仕事にならない。一月九日再度やったが、同じことである、こういう実態の陳情があり、そうして状況説明がありました。
 胸上漁協の鳥越事務長から陳情を受けたのを概略を申し上げますと、冒頭に申し上げた海をもとのように復元してきれいな海にして返してくださいと、これが第一のことばでありました。実際は見通しがきかないので不安で不安でたまりませんと、こういうことも言っておりました。やっぱり早くこの不安解消のためにきれいにしてあげるような努力を国も県も三菱もやらなきゃいけないと思うのですね。
 それから二番目に、補償費を必ずくれるようにしてくれと。うやむやのうちで終わらせるようなことがあってはならない。そういうことがあっては困るので、うやむやにしないでくれ。これが二番目の要求でした。
 三番目が、油防除のための出動費は当然支払ってほしい。
 四番目が、油流出防止対策の抜本的対策をやってもらいたいと。いまの三菱も、県も、国も法規上のことしかやっていないので、今回のような場合にはまるっきり役に立たない、甘い。こういう批判をしていました。これは先ほど通産省と工藤委員とお話ししているのを、あるいは消防庁との話を聞いていても、ほんとうにそうだなという実感を持ちますよ。
 これは要望というよりか意見でありまして、第一、第二のオイルフェンスが必要である。このオイルフェンスも巨大船が航行すれば、波によって上下する油は、上を越したり、もぐってくぐり抜けたりして役に立たない。このようなときは、船舶の航行を禁止するとかの処置を講じて、被害を少なくさせるべきであるけれども、どうかと。これは海上保安庁のほうで答えてもらいたい。
 それから、再びこのような事故を起こさないためには、起こさないような抜本的処置が必要だ、ぜひ漁民の側に立って、瀬戸内海をきれいにするための意見を聞いてもらいたいと。
 こういうような要望を、六項目にわたって言われたわけであります。全部まとめて言ったわけなんですけれども、大臣と水産庁と海上保安庁からどうぞ。エネルギー庁のほうはまたあとで聞きますから。
#80
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま御指摘がありましたそれぞれの項目は、総括的にごもっともな点が私はあると思うわけでありまして、やはり防災対策といいますか、予防措置といいますか、そういう面については、先ほども消防庁も答弁しておりましたが、これは全体的に、やっぱり総合的な防災対策という見地で、これからの行政といったものを見直して、二度と再びこういう事故が起こらないようにしていかなければならぬ。こういうふうに感ずるわけでございます。また、被害の補償については、これはもうもちろん三菱石油が全責任を持ってこの補償については迅速に行なうべきである、それに対しては、国としても強力な指導をしていかなければならぬと、こういうふうに考えております。
#81
○政府委員(内村良英君) 水産関係の大きな主要点については、ただいま大臣から御答弁があったわけでございますが、その中にございましたオイルマットの問題でございます。これにつきましては、オイルマットをだいぶ海にまきまして吸収させたわけでございますが、それが海に沈んでいるものがだいぶあるわけでございます。現在、対策本部のほうでそれをどうやって除くかということで、いろいろ研究しております。底をこするような漁法があるわけでございますけれども、そういうものを使ってオイルマットを早く取るとか、いろいろいま対策本部で検討中でございます。
#82
○説明員(山本了三君) 水島の事故におきまして、オイルフェンスを張って油の拡散を防止すると、そういう作業を行ないました。この場合に、航行を規制しなかったために、その上とか下から油が漏れた、こういうことについてどう思うかという御質問でございますが、オイルフェンスの性能につきまして申し上げますと、現在わが国で使われておりますオイルフェンスの性能と申しますのは、流れが大体〇・七ノット以上ぐらいの流れがありますと、オイルフェンスの下をもぐって油をせきとめる効果がなくなる、そういう性能でございます。こういった流れがありますときに使えるようなオイルフェンスの開発ということにつきましては、日本はもちろん、世界各国でも一生懸命研究いたしておるのでございますけれども、現段階では残念ながら、そういう性能のオイルフェンスというのは開発されておりません。
 今回、先生も御承知のように、油が流れまして直後から水島の保安部は流出油の対策――災害対策協議会という官民合同の組織を動員いたしまして、川鐵の切り込み港湾ですかの閉鎖とか、それに続く各所へのオイルフェンスの展張を行ないました。しかし、残念ながらあの当時の状況からいたしまして、張りましたオイルフェンスの性能等が十分ではなくて、十分に油をせきとめるという効果がなかったというのが現実でございます。もちろん航行規制につきましては、川鐵の切り込み港湾はもちろんオイルフェンスを閉鎖いたしておりますので、ここの航行規制はやりました。そのほかの水島の港内につきましては油が当時西と東に分かれております。まん中のほうはほとんど油膜がないという状況でございましたので、ここの航行の管制はいたしておりません。しかし、一般船舶が航行したために油がオイルフェンスの上を越したというよりも、オイルフェンスの性能が現段階では十分でなくて、当時の状況下では十分なせきとめ効果を発揮できなかったというのが実情でございます。
#83
○原田立君 海上保安庁のほうはまた別の機会で、またあとでやりますけれども、中和剤の問題のほうはどちらですか。
#84
○政府委員(内村良英君) 中和剤の使用規制等は運輸省で、水産庁は研究は多少やっておりますけれども。
#85
○原田立君 じゃあ、水産庁に聞きましょう。
 中和剤の使用についてでありますけれども、今回の場合には漁民の要望を入れて制限を設けたようだが、これは第二次公害、後遺症をおそれての漁民の要望を入れたことでよかったと思うのであります。ところが、今回はそれでも相当の量をまいているやに聞いておるのですが、一体どのぐらいのものをまいたのか、後遺症は心配ないのか、その点はいかがですか。
#86
○政府委員(内村良英君) まいたほうは海上保安庁でございますから……。
#87
○説明員(山本了三君) 今回使用いたしました油処理剤は、総計しますと約千キロリットルでございます。
#88
○原田立君 だから、その千キロリットルまいて、漁民のほうからやめてくれと、後遺症をおそれるあまりやめてくれという要望があったんでしょう。千キロまいて心配ありませんか、あとの後遺症は。そっちのほうを聞きたい。
#89
○説明員(山本了三君) まきました油処理剤は港内に約八百キロリットル、港外坂出の沖の海域で約二百キロリットル、こういうことになっております。この油処理剤を使用いたします使用基準というのが、関係各省の審議のもとに運輸省の官房から通達として流しております。これは概略申し上げますと、油処理剤を使用するという場合は、火災のおそれがある場合、それからもう一つは、油処理剤を使用いたしましても海洋環境に悪影響が少ないと思われる場合、こういった場合に使用するということになっております。今回まきました油処理剤の使用にあたりましては、関係の漁業者と合意を得まして、その合意のもとにまずまいております。
 それから、その後遺症はどうかということでございますけれども、これは今後その処理いたしました油処理剤の影響につきまして十分調査をいたす、そういうことに。関係各省庁で合同して調査をする、そういうことになっております。
#90
○原田立君 しっかりそれを調査してやってくださいよ、ほったらかしにならないように。
 それで、水産庁のほうにお伺いしますけれども、油汚染調査をやるにあたっては、四十九年度の予算措置をやって、この調査あるいは研究、これをやるべきだと思うんです。それは四十九年度で一体どんなふうな予算措置をやったのか。あるいはまた環境庁で出すのか、文部省で出すのか、農林省で出すのか。そこいら辺どうなっているのか。それから五十年度には予算措置を講ずるのかどうか、そこいら辺をあわせて。
#91
○政府委員(内村良英君) 二次公害等の問題につきまして、今度の油事故が生物環境にどういう影響を与えるかということは、今後の瀬戸内海漁場を復旧していく場合非常に重要な問題でございます。そこで、それらの問題を調査するために環境庁と共同でやるわけでございますが、年度内約七千五百万円の経費をそれに使いたい。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
それからその調査に水産庁の水産研究所、私ども直属の付属機関でございますが、それが参加するわけでございます。その経費につきましては、いろいろな経費から流用等もいたしまして、約五百万円使って四十九年度は調査をやりたい。なお、五十年度につきましても、当然予算措置をとるように環境庁その他と十分相談してやりたい、こう思っております。
#92
○原田立君 これはまあ、笑い話にならないようにぜひしてもらいたいと思うんでありますが、どうも環境庁からも金が出ないらしい、文部省からは全く出そうもない。へたすると、三菱から金が出るんじゃないかななんてなこと、香川大学の教授陣が抱き込まれるのじゃないかななんてというような話が、うわさがあった。まさかそんなことはなかろうと思いますけれども。いま、予算措置はこうしてあるということを聞きましたので、まずは一安心ということでありますが、長期にわたってやらなければいけない問題ですから、五十年度のこういう油汚染調査対策費、これはひとつ水産庁も農林省の一環なんですから、農林大臣、責任持って増額するなり手当てするなりしてもらいたいと思います。
 それから、この重油流出事故に伴う長期休業補償ということが問題になるわけですが、海洋汚染による海底汚物回収作業の実施についてどのように考えているのか――これは水産庁でいいですね。それで、これは実は一月十九日の新聞の報道によりますと、香川大学の井上裕雄助教授は、汚染された海底のどろを回収しない限り、十年、二十年たっても油臭魚は続くだろうと、こういうふうな指摘を学者はしているわけです。こんな心配があったんじゃ、たまったもんじゃないんでありますけれども、海底汚物回収作業の実施についてどのように考えているのか、この点をお伺いしたい。
#93
○政府委員(内村良英君) 現在のところ、調査が始まっているわけでございますけれども、本、油の事故による海底の汚染状況につきましては、現在のところまだわかっておりません。したがいまして、この実態を把握して、いかにして除去するかということを考えなきゃならぬわけでございます。
 それから、油臭魚の点でございますが、これも本格的な試験操業をやってみなければ、これはごく近く開始することになると思いますけれども、はっきりしたことはわかりません。現在まで県が若干の試験操業をやっておりますけれども、油臭魚はほとんど出ていないという報告を受けております。対策本部のほうでもそのような認識を持っているようでございますが、そこで海底の状況がどうなっているかということを試験操業等を通じまして至急把握いたしまして、さらに非常に汚染度がひどいというような場合にはどうやってそれを除去するかということを考えなきゃならぬというところで現在鋭意調査中でございます。したがいまして、この段階でまことに申しわけないわけでございますけれども、はっきりしたことを申し上げることができるだけの資料を持っておりません。
#94
○原田立君 大体めどは、どんなふうなつけ方をお考えになっているわけですか。
#95
○政府委員(内村良英君) これもC重油というものの性質がどうも、私どももちろん専門家でございませんし、よくわからないわけでございますが、C重油というのは非常に沈むんだという話もございますし、沈んでボールになるかどうかとか、いろんな化学的なまだわからない問題がございまして、それを至急解明するために準備が始まっている段階でございます。
#96
○原田立君 私、二つ質問したわけなんです。一つは油臭魚の問題、それからもう一つは海底汚物回収作業の実施、これはどうかと、この点はどうですか。
#97
○政府委員(内村良英君) その点も、海底の状況がどういうふうに汚染しているかということによって清掃のしかたも違ってくるわけでございます。そこで、汚染状況をすみやかに把握しなければならないということで、ただいまいろいろ準備しておりまして、そういった調査を至急やる。それによってどういう形で除去したらいいかということを考えなければならぬという問題でございます。
#98
○原田立君 調査しておられるのはたいへんありがたいんですよ、また調査してもらわなければいけないんだけれども、調査するとか、至急にとか言うだけで、こういうふうにして大体何月ごろとかという、めどの話は、大体皆さん方お言いになりませんね。それで、ちょっと非常に不安に思うんですよ。大体のめどはどんなふうに立てておられるか。
#99
○政府委員(内村良英君) まず試験操業をやってみますと、ある程度状況がわかると思います。あらゆるタイプの漁業につきまして、瀬戸内海で行なわれている漁業について試験操業をやってみまして、魚をとってみますれば、ある程度の見当がそれでつくんじゃないか。それからこまかい汚染の状況につきましては、やはりそれなりの調査をしてみないとわからないわけでございます。したがいまして、これはもう現地のほうでも早く漁業をやりたいと、これはもう漁業者としては当然の気持ちでございます。そういう要望が非常に強く出ておりますので、今週中には試験操業の方法をきめて至急取りかかるということに対策本部のほうでもなっておりますので、それをやってみますと、ある程度見当がついてくんじゃないかと思っております。
#100
○原田立君 香川県に行きましたときに報告を聞いたわけでありますが、
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
香川県に抗議あるいは陳情等の要望書が提出されているのが五十二通、十二業種の関連被害企業から出されておると聞いております。で、この関連中小零細商工業の人たちを守ってやらなければ、これはかわいそうだと思うんですよね。最近の新聞を見てみると、被害補償やりますよと、こういうふうに新聞には出ておるんですけれども、水産庁あるいは農林省としては油症関係企業ですか、それらに対しての補償については一体どういう指導をしているか、これが一つ。で、実は私、高松へ行きましたら、香川県釣具商組合連合会の理事長代理の桑島さん等幹部の人たちから、釣具商の窮状、えさ業界の困惑をお聞きしたわけなんです、陳情を受けたわけなんです。まさか、言われてみればそれはそうだなと思ったわけですけれども、釣具屋さんあるいはえさ業者のところまでもたいへん困っている、苦しんでいる。その被害総額は、釣具業者が百三軒、えむし業者が百十二軒、計二百十五人で被害総額が五千三百三十万ということだそうであります。三菱にこの件で申し入れしたが全然無回答であった、非常に心配しているけれどもどうかという相談を受けたわけでありますが、冒頭に先ほど申し上げたように、このような関連企業についてこれは当然の補償をしてやるべきだと思うのでありますけれども、農林省は、水産庁としてはどんなふうな指導をしているか。
#101
○政府委員(内村良英君) ただいま先生の御指摘のとおり、今般の重油流出事故によりまして漁業者が直接的な被害を受けているわけでございますが、間接的な被害を受けている方々もたくさんあるわけでございます。そこで、対策本部に現在要望が出ているのは大体十九業種ございまして、漁業の資材、それから鮮魚の仲買い人、買参人、鮮魚の小売り人、それから釣の道具の商人の人たち、釣のえさの販売業者、製塩、塩小売り、観光釣り船、観光旅館、民宿、それから料理屋、それからすし屋でございます。石油販売、運送――陸上運送、海上運送、旅客運送、材木商、水産物加工、造船、船舶修理、釣り用のエンジンの販売業者、マリーナというのも入っておりますが、その他あわせまして約十九業種、百四十二件の諸要求が出ているようでございます。
 そこで、この問題につきまして、確かに社会的にも大きな問題でございますので、現地の対策本部のほうで一月の二十二日に被害四県の商工関係担当者を招集しまして打ち合わせを行なったわけでございます。ただいま申し上げましたように業種が非常にたくさんございまして、被害の形態もさまざまでございますので、どういう対策をとったらいいか、県の担当官等の意見も今後聞いて対策本部としては対策をとるということを考えているわけでございます。
#102
○原田立君 おしまいのほう、ちょっともう一ぺん。ちょっとほかのことを考えていたので……。
#103
○政府委員(内村良英君) この問題の重要性にかんがみまして、一月二十二日に四県の県の商工関係担当者を招集したわけでございます。そこで、いまお話ししたような業種からこういう要求が出ているという話が出たわけでございますが、いずれにいたしましても、業種が多様でございまして、被害の形態も多様でございますから、今後それらの業種についてどういった対策を講じたらいいか。あるものに対しては補償をしなければならないし、あるものに対してはとりあえず金融をやると。いろんな対策があるわけでございますけれども、そういった対策について十分相談をして三菱石油のほうに相談する、要求する、こういうことになると思います。
#104
○原田立君 要求するというのと相談するというのはだいぶ意味が違いますからね。要求してくださいよ、それは。断然支払えって、その点確認したいんですけれども、どうですか。
#105
○政府委員(内村良英君) 要求する、要求いたすわけでございます。
#106
○原田立君 実は、香川県で一番ひどい油の汚染地だという坂出市の王越という海岸に行ってきたんですけれども、この王越漁協の組合長、三木高敏さんと会って話し合ってきたんですが、酸欠かあるいは中和剤のためか、魚がたいへん死亡したと。えさをやれないので、魚がやせこけてしまい、もう何十%も減であると。養殖物もまるっきりやられてしまったと。五十年度は当局のほうと打ち合わせをして休業ときまったが、五十一年も怪しいものだと。五十一年も開業できないんじゃないかということであります。で、養殖物――ノリ、真珠、母貝、ホタテ、ワカメ等で年間ことしは七億ぐらいの水揚げを考えていたが、全部だめになった。いま被害総額を計算中ということであったわけでありますが、ここもさきに申し上げたとおり、まだノリ網の除去に手がかかり、岸壁、岸辺にある油のほうの除去に手が回っていない。あと三、四日あとになるであろうということでありました。いやしくも人間の口に入る、そういう食料の魚を育てているああいうところで、あんなに油でよごされてはたまったものではないとつくづくいやな思いをしてきたわけであります。こういう、漁業者が要するに食える漁業、それから清らかな瀬戸内海にしてくれと、こう非常に何度もどこへ行っても熱望しているわけであります。補償は当然のことながら、きれいな海にするための根本的な対策というものを当然政府として立てなければならぬと思うのであります。先ほど農林大臣はしっかりやるというような決意を表明していただいたわけでありますけれども、これはがっちりやってもらいたい。これは強く要請したい。
 なお、時間の都合で先へ進めますが、この点もひとつ答えてくださいよ。つなぎ資金を四県で政府に陳情していると聞いたが、この点はどうなっているか、これが一つと、それから漁業の補償がおくれても内渡し分がもらえないようなことがあるとたいへんなので融通してくれという、こういう訴えがありました。これは先ほどもちょっとお伺いしたわけでありますが、元金が不足なので確保してくれと香川県――県が言っておりました。それはどういうふうな処置がもうすでに講じられているか。それから補償の内容、融資のやり方等で、圧力団体の強いほうが手厚く、他は、弱いほうは薄くなるだなんという、こういうことがあってはたいへんなわけでありますが、強弱のアンバランスがありはしないかと、これは香川県当局も、ここの組合長さんも心配して言っておりました。そんなことはないと、アンバランスがあるようなことはないようにしていくと、こう答えてもらえばけっこうなんだけれども、その点はいかがですか。
#107
○政府委員(内村良英君) 最初のつなぎ資金の点でございますが、これから漁業が再開された場合に、たとえばノリの養殖についてすでに網を揚げてしまった。その網は油だらけになってもう使えない。新しい網を買わなければならぬといったようなことも起こってくるわけでございます。そこで、そういった場合の再生産資金がどれくらい要るかということについて、県から資金ワクを出してほしいということは言ってございますが、まだいまのところ、補償あるいは漁場清掃の仕事に忙しいために、これだけの今後の着業資金が必要であるという報告は入っておりません。そこで、そういった資金ワクがきまりましたら、系統等ともよく相談いたしまして、原資の手当てに遺憾のないようにしたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
 それから補償のバランスの問題につきましては、補償はあくまで公平でなければならないと私どもも思っているわけでございます。そこで、この事故が起こりまして、水産庁といたしましては全漁連等とも相談いたしまして、関係の四漁連に、第三者の調停機関を使いなさいということで、日本海事検定協会というところに損害の評価をやってもらう。これは漁業者のサイドからそういう第三者調停機関を頼んだわけでございます。そういった調停機関の検定その他で、極力補償額は公平でなければならぬというふうにいたしたいと思っておりますし、四県も、岡山県の児島漁連を除きまして、大体統一的な方向で損害評価をやろうということで実は昨日意見が一致したところでございます。
#108
○原田立君 ノリ器具代の支払いが目前に迫っていて、漁協もあるいは漁業者もたいへん悩んでいる。水産庁は、償還の延期をするやに聞いておりますけれども、そういうような指導をなさっておられるのかどうか。また、もしそうでなければ、ぜひそういうふうに償還の延期等を考えてあげてほしいと思うんですが、いかがですか。
#109
○政府委員(内村良英君) 償還の延期の問題につきましては、一月四日にすでにそのような措置をとってほしいということを関係の金融機関に要望しております。
#110
○原田立君 要するに、返済を少し延ばしてもらうようにしてやってくれという、強い要請はしてあるわけですね。
#111
○政府委員(内村良英君) そのとおりでございます。
#112
○原田立君 現実にそのように進んでいると、こういうことでいいんですか。
#113
○政府委員(内村良英君) 私どもといたしましては、そのように関係の金融機関に指導してございますから、逐次そのようになっていくというふうに思っております。
 なお、いずれにいたしましても、補償を早くとれば、その点の金融的な面はかなり緩和されるわけでございますから、補償を早く払ってもらうということに一そうの指導をしたいというふうに考えております。
#114
○原田立君 この三菱石油、水島製油所は三十六年五月開所で、大小の石油タンクがあるんでありますが、実は私も行って、これがその会社のパンフレットですが、これは全体の写真で、まだこれは二百七十号、二百七十一号ができていないときの写真です。これを見ながら思ってきたことでありますが、この二百七十号油槽は、この四十八年十一月に完成している。おととしですね。そうして、脱硫重油の導入開始が去年の五月十四日なんですね。今度、年末の十二月の十八日に事故が起きたんですから、五、六、七、八、九、十、十一、十二と七カ月後の事故なんですね。これはあまりひどいじゃないか。これは消防庁ですか、検査は。それとも――ほんとうならぼくは、エネルギー庁だと思うんだけどね。さっき工藤委員から指摘したけれども、私のところじゃないと言ってとうとう逃げちゃったけれども、ほんとうはエネルギー庁だとぼくは思うんですよ。だけどまあ消防庁だというから、消防庁でいいでしょう。脱硫重油導入開始から七カ月後ですよ、たったの。このような新しい工事のタンクがこんな事故を起こすのはどうにも合点がいかないです。十年も十五年も使って、それでだんだん不等沈下して、名古屋のところで調べて不等沈下を発見した、これでやっちゃったと、それでさっそく手を打つというならわかるけれども、できてから、油を入れてから七カ月後にこういう大事故を起こしている。不等地盤沈下によって一カ所への油圧の重圧がかかり、十三メーターにわたって亀裂を生じたとしか思えない。だから、なぜ地盤沈下したのかということが、もう非常に疑問なんです、正直に言いまして。それで、あそこは、ここんところは大体埋め立て地でずいぶんぐずぐずしたところだそうですね。ですから、それなりの地盤工事をやったんだけれども、地盤工事にミスがあったんじゃないのかと。まあ、ちょっと口の悪い言い方をすれば、地盤工事に、基礎工事に手抜き工事があったんじゃないかと、ここまで疑いたくなる気持ちがするんですけれども、その点いかがですか。これは消防庁ですか。
#115
○政府委員(森岡敞君) 御指摘のように、四十八年の十二月に完成検査をいたしました。重油が入ったのが四十九年の五月でございますから、七カ月間使ったところで亀裂を生じたということでございます。そういう意味合いでは、新しいものにこういう事故が生じたと、その点、私どもも、たいへん問題だと思うんでございます。が、いま名古屋の、かなり大きな不等沈下の出ているタンクについての規格のお話がございましたが、名古屋のほうは通常の鋼材を使っております。この水島のタンクの場合には、いわゆる高張力鋼と申しまして、張力の、非常に引っ張りの力の強い鋼材を使っておる。そういう違いがある。あるいはまた垂直ばしごというふうなものが、名古屋のタンクにはついておりませんが、この水島にはついておる。そういうふうな違いもございます。それからさらに、お話のような基礎工事なり、あるいはタンクの構造につきまして欠陥があったのか、なかったのか、その辺のところをやはりこれは根本的に解明しなきゃ私どもはならないと思いますので、そういう意味合いで繰り返して申し上げておりますように、徹底的な学識者による事故原因調査をして早急に結論を得たいと、そういうことでいま縣命の努力をしているわけでございます。
#116
○原田立君 消防庁、この二百七十番タンクと同じ時期に二百七十一番タンクもできているのですね。二百七十一番タンクもあぶないのじゃないですか。ですから、これ、しかるべき対策が、方向がはっきりするまで、油の抜き取りをして操業を停止させたらどうですか。
#117
○政府委員(森岡敞君) 現在この水島製油所につきましては操業停止をやらせております。御指摘のように、二百七十一号タンクと同型のタンクでございますので、これ、油の基地全体をクリーニングいたしまして、徹底的にこれの調査をしたい。その安全性を各号検討すると同時に、二百七十号タンクの事故原因を精査する資料に完全になると思いますので、そういう措置をとりたいと思っております。
#118
○原田立君 これまたしろうとみたいな質問になるのでありますけれども、このいわゆる貯蔵の、このところの貯蔵所と海のこの間――貯蔵所と海の間には、これといったあれはないのですね、岸壁、防護壁か。タンクの回りに防護壁、防油堤ですか、これはつくってあるけれども、貯蔵所全体についての防油堤というのはないのですか。これはやっぱり油を海に流さないためにも、全体に防油堤を設けるように、そういう法改正をすべきではないかというふうにぼくは思うのですけれども、その点はどうですか。
#119
○政府委員(森岡敞君) 現在の防油堤は、先ほども申し上げましたように、火災の問題等も考慮いたしまして、かなりコンパクトにタンクの周辺でとめる、こういう形になっておるわけであります。自然、いま御指摘のように、防油堤に事故が起こりまして外に流れ出ました場合、それを構内でとめるというふうな仕組みが実は欠けているという反省があるわけでございます。したがいまして、地形なりあるいは構造によりまして若干の相違があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、今後CTSなりあるいはコンビナート地域につきましては、工場なり貯蔵施設の構内でかりに油が漏洩いたしました場合には必ず食いとめるというふうな、二重の防油堤と申しますか、あるいは障壁と申しますか、そういうものを必ずつくるというような方向で保安基準を改正したい、かように考えております。
#120
○原田立君 海上保安庁、お聞きしますけど、もう時間がないのでまとめて言いますけれども、この二百七十号が油が漏れた。そうすると、そのわきのところの出口のところに、オイルフェンスを二重、三重に巻いて、そして、もしかりにこの湾の奥のほうですね、そこに油が出たとしても、抜き取り作業をするのにここで食いとめておけばできたのじゃなかろうか、こんなに被害が大きくならなかったのじゃないだろうか。ところが、何か話によると、海上保安庁の指示によると、何かこの中に船が何そうか、何ばいか入っておった。それの通路のために、オイルフェンスを十メーターか二十メーターか、何か中をあけておいて、そうして船の航路にさせたという、そういう話をぼくは聞いている。そんなことじゃオイルフェンスを何本巻いたってもう何の効果もありませんよ。ほんとうにその火災の発生するおそれがあったのかなかったのか、どうなのか。それから、オイルフェンスの敷き方にほんとうに責任を持って、こういう、きちっとシャットアウトがほんとうにできなかったのかどうなのか。これをお伺いして、時間ですから、私は質問を終わります。
#121
○説明員(山本了三君) 先生御指摘のように、油が流出しました海岸、岸壁のところを二重、三重に、あるいは四重にオイルフェンスを巻けばそこで油がとまったのではないかと、こういう考え方は一応できるわけでございますけれども、当時私どもが連絡を三隻から受けまして、それでオイルフェンスを張り出したのが二十二時、夜の十時でございます。それで、これに張ります時間が大体二時間半ぐらいかかっております。で、私どもの巡視船はまず現場に飛んでまいりまして、そして流出油の状況を確認し、その付近に停泊いたしておりました小型の船舶、これが八隻ほどおりました。これをまず港外に避難させました。で、その間もオイルフェンスの展張作業は継続をいたしておりました。そういったことでまず避難完了したのが現場へ着きまして四十五分と申しております。したがいまして、展張が終わりましたのが零時二十分ごろだったと思いますけれども、もうずっと前に避難さすべきものは避難させております。そういったことから、オイルフェンスを一部あけて船舶の通路にしたということはございません。
 それから、その次の問題としまして、近くに何重にでも張ったらいいんじゃないかという御意見もありますけれども、さっき私がちょっと御答弁申し上げたように、現在のオイルフェンスというのはそれほど完ぺきな機能を持っておりません。したがいまして、今回は川崎製鐵の切り込み港湾の入り口に、約九百メートルございますけれども、ここにまず第一次に張っております。それで、その張ったあとで、これが油の流圧とかあるいは潮流、風圧等によりまして切れております。これを数回補修しておりますけれども、そのほかにその外側に二重にオイルフェンスを張っております。全部の九百メーターではないんですが、南のほうの七百メーターほど三重になっております。これでもまだ油が底をもぐって流れております。で、その後だんだん油が川崎製鐵の東岸といいますか、港の西岸でございますが、それを伝わってだんだん南へおりていくということで、その先端先端へと次々にオイルフェンスを展張いたしております。しかし、それがことごとくそれを越えられていくというか、下をもぐられてといいますか、せきとめ効果がないということで、前後九カ所に張っておりますけれども、西岸だけで七カ所張っておりますけれども、まあそういった関係からオイルフェンスではとても今回の流出油をあの現場の状態ではせきとめられないと、そういうふうに考えまして、あとは港内は処理剤を使う。それから物理的な回収方法を採用すると、そういったことに途中で方針を切りかえざるを得なかったと、そういうのが実情でございます。
#122
○近藤忠孝君 最初に重油被害の補償の問題についてお聞きしますが、先ほどの答弁でも補償要求について第三者の調停のほうに回すと、こういった話がございました。一方、三菱石油のほうも公正な第三者の調査機関に被害算定を依頼し、そのあと交渉にあたりたいと、こういった面もあるわけであります。一面では、公正な金額また被害の範囲を算定すると、そういう意味ではけっこうなことなんですけれども、いままでの各地で起きている公害企業の交渉の状況を見てみますと、第三者に頼んだことによって、そしてすっかり気を楽にして、むしろそのあとに引いてしまって、むしろ交渉を逃げ、解決をむしろおくらせるという、こういった事態が間々あったわけであります。今回そういったことがあってはならないわけでありますけれども、その点について農林省としてどのようにお考えか、まずお聞きしたいと思います。
#123
○国務大臣(安倍晋太郎君) いまの補償の問題ですが、四漁協が海事検定協会ですか、頼んで鑑定をしておると、三菱のほうも三菱で第三者の鑑定を求めておるということでございまして、その結果に基づいて両者が交渉を始めるわけでございますが、その間にあって政府としては、現地の本部もありますし、強力に行政指導をして、早急に補償が、交渉が成立をするように、政府としては強力な指導をしていかなければならぬ、いくということでございます。
#124
○近藤忠孝君 要するに、第三者にまかせたからそのことを理由に逃げさせはしないと、こういった決意と承ってよろしゅうございますね。
#125
○国務大臣(安倍晋太郎君) はい。
#126
○近藤忠孝君 そこで、もう一つの問題は、先ほどの大臣の答弁でも、原因者がはっきりしているんだから補償するのはあたりまえだと、こういった答弁でありますし、また、三菱石油の社長に対しても、この立場から補償をしろと、そして約束させたという、こういったことであります。まあたいへんけっこうなことなんですが、問題は、その損害を補償させるという根拠として法的な責任ありと、こういった立場でそのような約束させたものかどうか、この点についてお伺いしたいと思うわけであります。
#127
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはもうPPPの大原則がございますから、原因者が補償するのは当然であると、その点は三菱石油のほうも十分承知しておりまして、誠意をもって補償いたしますと、こういうことでございます。私といたしましても、三菱石油の社長に来ていただきまして、あくまでも補償を迅速に行なうように、ひとつぜひやってもらいたいということを強く要請いたしまして、三菱石油も誠意をもってやるということでございました。
#128
○近藤忠孝君 因果関係がきわめて明白でありますから、原因者であることは間違いないわけであります。ただ問題は、過失責任があるかどうかという、この点がたいへん問題でありますし、その点で過失まであるとなりますと、これは法的責任がある。たとえ交渉決裂した場合でも、強制力をもってでも補償させられるということになるわけです。ところが、過失責任でなくて単なる道義的責任、要するに事故は不可抗力だと、こういった考えに会社が立っておりますと、原因者であるけれども法的責任はないと、補償するのは単なる道義的責任である、こう言って逃げてしまう可能性があるわけであります。大臣が補償を約束させたのはたいへんけっこうな話なんですが、それが道義的責任なのか、いま私が述べた過失があるという判断の上に立っての法的な責任なのか、この点について大臣はどう理解されておるか、それをお伺いしたいわけであります。
#129
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは民法に基づいてもそうでございますし、公害諸法律に基づいても法的責任があると私たちは思っております。
#130
○近藤忠孝君 そうなりますと、過失があったということを農林大臣としてはお考えになってああいう約束をさせたというぐあいに理解するわけでありますけれども、今後の問題として、今後どんどん被害の額が多くなって、また範囲も多くなって、膨大な額になった場合に、企業のほうとしてはとっても払い切れない。だから、あくまでも自分のほうは過失があるんじゃなくて、過失についてはわからないのだけれども、とにかくもう道義的に社会的責任があるから払わしてもらうんだと、こういったことで、被害の範囲とか額がきわめて制限されてくる可能性がある。こんなことを私は指摘したいわけであります。これは、どうしてそういうことを申すかと申しますと、この間、私もこの委員会の調査で参りました。その場合に、会社の側は、たとえば流出量についてはほんとうに不明確にしておりますし、また、いろんなこまかなことについてどうしても口をつぐむわけです。ほんとうに自分のほうに過失があったという、そういう態度がなかなか見られなかったわけであります。また、その後の社長の答弁を見ましても、あくまでも社会的責任だという発言ですね。そしていままでの経過では、法的責任があるという、そういう発言がまだ明らかに企業側から出ていないという、この事実であります。しかし、大臣は、いま民法の原則、すなわち民法七百九条の過失責任だという、こういったはっきりした判断があったわけでありますので、将来もしも企業の側が開き直って、いや過失はないんだと、不可抗力だと、こういった抗弁をさせないと、そのようにいまここでお約束できるかどうか伺いたいと思います。
#131
○国務大臣(安倍晋太郎君) 三菱石油の当局者も国会ではっきり答弁しているわけですし、私たちも、これは逃げられる問題でもないし、逃げるべき筋合いのものじゃないと。あくまでも責任を持って、法的な責任のもとに補償すべきであると、こういうふうな立場に立っておるわけであります。
#132
○近藤忠孝君 たいへんしつこいようですが、この間の参議院の決算委員会における前川委員長からの質問など聞いていますと、社会的責任はどうかということに対しての答弁であったように思うわけです。法的な責任という、いま私が質問したような観点からの質問に対する答弁であったかどうかさだかでないわけでありますけれども……。
 なぜ、そんなことを聞くかと申しますと、私自身いままでイタイイタイ病その他公害裁判でずいぶんやってきたのですけれども、まさに企業はそこのところで争うわけですね。最初は、前の段階では、けっこう払いますとか、あるいは原因がきまれば払いますと言っておきながら、いざその段階になりますと、いや過失責任はない、道義的責任だと。だから、われわれのほうで額もきめるし、こちらの企業の気持ちで払うんだと。こういったことで、ほんとうに微々たる補償しかされない。こういったことがいままでの加害企業の一つの大きな流れだったわけであります。いま大臣言われたとおり、今回の場合は、とてもいまの段階では、こういう社会的な批判の中で、過失責任ないとはなかなか断言できないと思うんです。しかし、これがずっとたってまいりますと、やはりそういったことを言う可能性があるんです。そこで、私は大臣にお願いしたいのは、いま言ったような判断であれば、ひとつもう一度社長にお会いになって、将来とも過失責任については、これは争わない、要するに、無過失の抗弁はしないと。このことを約束させる御意思があるかどうか、きわめて大事なことでありますので、お伺いしたいわけであります。
#133
○国務大臣(安倍晋太郎君) そういう必要があれば、私ももちろん会ってはっきりさせなきゃならぬと思いますが、現在のところは、三菱石油としても誠意をもって補償するということで、もう年末年始の越冬資金等につきましても、あるいはその後につきましても一部を支払っておるということですから――現在のところは、また第三者を通じて鑑定もしておるようでありますし、誠意をもって交渉すると、そして誠意をもってできるだけの補償はいたしますということを明言しているわけですから、これは私は会社側の態度を信頼してもいいんじゃないかと思うわけであります。この前の委員会の答弁は私いま詳細は知りませんで、いまそのお話聞いたのですが、直接補償だけじゃなくて、間接補償についても誠意をもってやりますというふうな答弁をしたということも聞きまして、いまのところは補償については会社側としては積極的にやるというふうに私は了解しておるもんですから。しかし、そういう事態になればこれはほっておくわけにいかない問題でございますから、また、これからそういう事態が起こりそうだというふうなことになれば、これは私としてももちろん会社側に話をしなきゃならぬ問題だと、こういうふうに思います。
#134
○近藤忠孝君 誠意をもってお払いいたしますというのが、いままでもすべての公害発生企業が言ってきたことなんです。そのことばをそのまま受けとっていいかどうかということを私は言っておるのでありますが、いま大臣の答弁ではそういう事態になった場合、あるいはそういうおそれが起こりそうになった場合ということでありますけれども、そのときでは実はおそいわけなんですね。もう会社のほうはとてもこれは払い切れない、あるいはとてもそんなことを払う気がなくなったと、開き直ってしまおうという気を起こし始めたときに、いかに大臣が行かれましても、もうそのときはおそいわけなんです。いままさに社会的にもまた企業自身もそういう気持ちになっているこの時期に、そのことを確認をしておくべきだと思うんです。もしそうでなくて、この機会を失して将来無過失の抗弁をするようなことになった場合、これは安倍大臣に責任を負ってもらわなければいかぬことにもなりかねない。そういう重大な問題でありますので、ひとつ決断をお願いしたいと思うわけであります。
 それから次に消防庁にお伺いいたしますが、今回の事故原因について先ほど質問がありました。その一つとして不等沈下が原因と考える可能性があると、こういった指摘もあったようであります。実際不等沈下になりますとかしぎますから、そうしますと一方のほうに油の圧力が特に多くなって不均衡になる、そしてたまたま別の原因が加われば、そこからその圧力のために油が出てくるということは十分考えられるわけでありますが、そういう可能性がたいへん強いというぐあいにお考えになっておられるかどうか、いかがでしょうか。
#135
○政府委員(森岡敞君) 不等沈下がありました場合の問題ですが、かりに何センチかの不等沈下があったといたします。それは、たとえばタンクの直径とか、大きさとか、容量とか、入れたものの重量、そういうものによりましてもかなり差があるようでございます。全く何センチかの不等沈下があれば同じような状態になるとは必ずしも言えない。
 それからここのところがまた議論があるようでございますが、一方にかしいだ場合と波を打った場合と、これはまたかなり差があるというふうな学者の意見もあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、不等沈下をいたしますれば、それに基づいて一定の圧力が特定部分にかかって亀裂の生ずる原因にはなり得る、これは常識的に当然そういうことであろうと思います。ただ繰り返して申しますが、この件が不等沈下だけであったのかどうなのか、この辺のところは根本的な解明を待ちたいと考えております。
#136
○近藤忠孝君 私、不等沈下だけだったとは聞いていないのであります。不等沈下も一つの原因となって起きたんだろうということであれば、その点間違いないということにいまの答弁ではなるかと思うわけであります。
 そこで、この不等沈下の問題にいたしますと、すでに最近大問題になっております名古屋港の九号地の、ここは日本でも最大石油タンクが密集しているところといわれておるわけでありますけれども、ここの点検の結果が先日発表になったわけであります。私のところに名古屋市消防局からの結果表がありますけれども、これは消防庁のほうにも行っておると思いますが、この調査は、先ほどの答弁では、今回県警が指示をした結果であるということでありますけれども、以前にもこういう点検の指示をしたことがあるのかないのか、今回が初めてなのか、この点について伺いたいと思うわけであります。
#137
○政府委員(森岡敞君) 危険物施設の保安点検につきましては、まあ常に一定の点検を実施するように市町村を指導しておりますが、今回は水島事故に関連いたしまして、特に一斉点検をぜひやる必要があるということで、先年末の十二月二十八日応急点検の指示をしたわけでございます。そういう意味合いでは、いままでは随時点検が行なわれておったというふうに私どもは理解しておりますが、しかし一律に一定期間を限ってやったという例はないというふうに考えております。
#138
○近藤忠孝君 いままではあまりなされていなかったんじゃなかろうかということが全国的な状況のようでありますが、逆に申しまして予算面でもあるいは人員の面でも、これは自治体にまかされている委任事務ですね。その自治体がはたしてそれを実施できるだけの態勢にあったかどうか、
 この点についてはいかがでしょうか。
#139
○政府委員(森岡敞君) 不等沈下の状況等を見ます場合には、水準儀と申しますか、特別の器械なども使いまして見るというふうなこともございますので、全くの技術的な知識のない者だけではこれは当然できません。それだけでなくて、全般的に危険物施設の保安点検につきましては、やはり一定の技術を持った職員が必要でございますし、またそれに伴う予算も必要であります。そういう意味合いで、私どもとしましては政府におきましては消防大学校、各政府県におきましては消防学校におきまして、そういう技術的な知識なり資格の付与につきまして教育を進めておるわけでございます。何にいたしましても、最近常備化が急速に進んでおりますのでなかなか、教育が十分行き届いていないという面がございます。そういう意味合いでは、私は率直に申しまして完全に一〇〇%人員なり予算がそろっておるというふうに申し上げることはできないと思います。今後その点につきまして最大の努力を払いたいと思っております。
#140
○近藤忠孝君 いまも最後に申されたとおり態勢としては不十分だったと。ですから、たとえばこの名古屋港の検査に当たっても、地元の中日新聞ですが、たとえば「お粗末な検査員」とか「大半が水準儀を使用初めて」とか、こんなような指摘も具体的にはされているわけですね。これは自治体の責任というよりも、むしろ国の体制として全国にこういうものがありながら、それに対する十分な体制をとっていなかったところに大きな原因があろうかと思いますし、いまの発言もあったわけでありますので、この体制を十分にとってまいるように、これは要請したいと思います。
 ところで、先ほどの不等沈下の問題でありますけれども、この名古屋港のこの調査ではっきりしたのですが、どこまで沈下したらば、不等沈下したらば危険であるかというその基準が必ずしもはっきりしてないので、今回これだけのたくさんの問題点が発見されても、これをストップをかける、こういったことがなかなかできない、法的にですね。そういう問題があるように聞いておるのですが、その点いかがでしょうか。
#141
○政府委員(森岡敞君) 現在危険物施設につきまして、たとえばタンクから油漏れがありましたような場合には操業停止あるいは使用停止の命令を出します。その上で徹底的に調査をするということは法律上認められております。しかし、不等沈下をしておるというだけで法律上そういう規定があるかと申しますと、これはございません。しかし、私どもは、この名古屋市の調査の中で非常に沈下の激しいものがお手元の資料でもごらんいただきますとございます。これにつきましては、本日、名古屋市とも十分打ち合わせをいたしまして、油抜きをして徹底的に調査をするべきであるという通達を出しました。名古屋市でもそれに基づいて実施をしていく段取りになっています。名古屋市のみならず、他の市町村でも今月中に応急点検を全部終了いたしますので、それに基づいて必要な油を抜き取った上での検査というものを徹底してやってまいりたい、かように思います。
#142
○近藤忠孝君 その結果、一定の危険があるという事態になった場合、これは消防庁法十二条また十三条二によって、実際それに対する適切な処置をとれるようになっておるわけでありますけれども、問題は、いままでの状況では、どこまでいったら危険なのかという、このことがわかってないというところに、せっかくこういう条文がありながら、この命令を出し得ないというところに、いまの最も大きな問題があるように思うのですが、その点いかがなものでしょうか。
#143
○政府委員(森岡敞君) 私どもは、先ほど来申し上げております事故原因調査委員会に、溶接あるいは地盤、基礎それから非破壊検査などの大家の諸先生をお願いしておりますので、その諸先生にも私ども相談したいと思っております。ただ、率直に申しまして、十センチであればだいじょうぶであって、十五センチであれば危険だ、という絶対の基準が出るかどうか、この辺は先ほども申しましたように、タンクの大きさとか、重量とかいうものと非常に関連してまいりますので、問題があると思うのです。しかし、いずれにいたしましても、かなり安全度を見込んで徹底的な油の抜き取りの調査をいたしますように各消防局と綿密な打ち合わせをやって進めてまいりたい、かように思っております。
#144
○近藤忠孝君 そうしますと、その判断か出るのにかなり日時がかかる、このように理解しなきゃならないのですが、問題は今回の水島の例にもあるとおり、きわめて緊急を要する事態であろうと思うわけですね。そして特にこの名古屋港の九号地などを見てみますと、これは先ほど言われたように、大きさだけじゃなくて地盤の関係もたいへん大きな問題だと思うのですが、この地図にあるとおり、この九号地というのは、これは沖積層がありまして、やはり地盤沈下がきわめて激しいところである。そうしますと、こういった場合によけいその面の点を考慮しなきゃいかぬし、むしろ早急にその点の危険だという基準を、たとえば、この場合に当てはめてでもきめないと、いついかなる事態が起きないとも限らない。実はこの伊勢湾がこの瀬戸内海と同じようにならないとも限らないし、それがあしたならないとも限らない。こういう事態でありますけれども、すみやかにそういう基準を設けかつ対策を立てる、こういう条件があるかどうか、この点を伺いたいと思います。
#145
○政府委員(森岡敞君) 一月中に行ないます応急点検の結果は、二月十五日までに徹底的な報告を求めて私どもでその内容を確認したいと思っております、それから今月末に担当者を全部集めまして、点検の状況も聞いて打ち合わせをしたいと思います。それに基づきまして、かりに一律の、一つの基準というものができませんでも、個別の地域に応じた不等沈下のはなはだしいタンクについての調査、あるいは地盤修正というものを個々具体の実情に応じて私どもも中に入って、また、技術的な学者の援助も得て早急に進めたいというふうに考えているわけでございます。一律の基準が出ないから、それまで待っている、こういう気持は毛頭ございません。
#146
○近藤忠孝君 それから次の問題ですが、今回のこの名古屋の件ではっきりしたのですが、日本石油の名古屋油槽の所長は、昭和四十年に就任したときに、この最も不等沈下のはなはだしい三十六センチも、二百十三番のタンクが傾いているという事実を引き継いでおったわけですね。傾いている事実を知りながら十年間もずっときたという、これは今回の新聞記事にも出ておりますけれども。となりますと、このタンクのこういう状況について報告義務がなかったか。このことが問題じゃなかろうかと思うわけでありますが、こういう点のささいな問題についても――これは決してささいじゃありませんけれども、あらゆる問題点についての報告義務を課す、こういったことが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょう。
#147
○政府委員(森岡敞君) 現在の消防法令のたてまえでは、油が漏れたとか、そういう具体の事故が発生いたしました場合の報告義務がございますけれども、いまの御指摘のような、いろいろな構造物の状態についての報告義務というのは実はないわけでございます。確かにこれは問題でございます。そういう意味合いで、そういう点も含めまして、当面は点検に基づきまして実質的な報告を求めていくということで処理してまいりたいと思います。今後とも法令の整備も含めて検討してまいりたいと思います。
#148
○近藤忠孝君 最後に大臣にお伺いいたしますが、いまの質問をお聞きになってもおわかりのとおり、決して水島だけではない。名古屋港、そして四日市、また全国津々浦々こういう問題があることが、いまもうほんとうにはっきりしたわけです。となりますと、いついかなる事態に、この水島の今回と同じような事故が発生しないとも限らないわけですね。だから、伊勢湾が同じように油浸しになる可能性もあしたあるかもしれないという、こういう事態であります。そうなりますとまた、農林大臣としてこの漁業被害の補償問題その他でたいへんな目に合うわけでありますけれども、そういう立場からこれをどう処置していくおつもりか。そしてまた、これをこのまま放置しておいて、もしも損害が発生した場合には、これは国の不法行為責任さえ出てくる可能性があるのじゃなかろうか。こういう事態でありますけれども、この問題についてもどうお考えか聞きたいと思います。
#149
○国務大臣(安倍晋太郎君) 最近の漁業の資源状態から見ましても、やっぱりわが国の沿岸漁業を守っていくといいますか、振興していかなきゃならぬわけで、そのためにはやはり海をきれいにしていくことに万全を期さなきゃならぬと思うわけでございますが、そういう見地から見まして、やはり現在の防災体制といいますか、予防体制といいますか、そういう点についてああいうふうな、水島湾のああした大事故が起こったという現実問題から見ても、また、それのいろいろの反省から見ましても、いろいろと問題がある、これは全体的に、政府全体として予防対策、防災対策をひとつ見直して、これに対する総合的な抜本的な対策を立てるように、これはもう早急に努力すべき問題である。そうならなければ、二度と再びこういうことがあれば、これはもうたいへんな事態になってしまうということを非常に憂えているわけであります。
#150
○委員長(佐藤隆君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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