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#1
第075回国会 農林水産委員会 第4号
昭和五十年二月十四日(金曜日)
   午前十一時三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり
    委員長         佐藤  隆君
    理 事
                小林 国司君
                高橋雄之助君
                川村 清一君
                神沢  浄君
                原田  立君
    委 員
                青井 政美君
                大島 友治君
                梶木 又三君
                鈴木 省吾君
                温水 三郎君
                初村滝一郎君
                平泉  渉君
                内山 一郎君
                栗原 俊夫君
                相沢 武彦君
                小笠原貞子君
                塚田 大願君
                向井 長年君
   国務大臣
       農 林 大 臣  安倍晋太郎君
   政府委員
       農林大臣官房長 大河原太一郎君
       農林大臣官房審
       議官       今村 宣夫君
       農林省構造改善
       局長       大山 一生君
       農林省構造改善
       局次長      杉田 栄司君
       農林省農蚕園芸
       局長       松元 威雄君
       農林省畜産局長  澤邊  守君
       水産庁長官    内村 良英君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       外務省欧亜局外
       務参事官     木内 昭胤君
       農林大臣官房審
       議官       二瓶  博君
       海上保安庁警備
       救難部警備第二
       課長       田中 睦穂君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○農林水産政策に関する調査(昭和五十年度農林
 省関係の施策及び予算に関する件)
○家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 工藤良平君から文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に川村清一君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(佐藤隆君) 昭和五十年度農林省関係の施策及び予算に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、前回すでに説明を聴取いたしておりますので、これらの質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○青井政美君 ただいまから五十年度の予算に関します問題と、農林行政全般の問題でお尋ねをいたしたいと思うのでございます。
 先ほど委員長からお話がございましたように、農林大臣は衆議院の予算委員会に御出席でございますので、直接お聞きいたしたい問題は後でまた御連絡いただき、御回答をいただくように御配慮をいただけると大変幸せだと思うのでございます。
 私のお尋ねいたしたい問題の中で、特に通産省の関係で有鉛ガソリンの問題についての関連がございますので、あらかじめお願いができますならば御出席方の御配慮をいただきたいと思うのでございます。
 御承知のように、農林大臣は、新しい五十年度の予算の中では、今後守る農政から攻める農政にするという御発言をせられておるのでございまして、この真意と五十年度予算との関連においてどのようなものがあるかという問題もお尋ねをいたしたいと思っておるのでございます。
 私は初めてでございまして、五十年度の予算、四十九年度の実態というものを拝見をいたしてみますと、攻める農政というものは、少なくとも五十一年度からだというふうに考えざるを得ないのじゃないか。総需要抑制の中での予算編成の御苦労につきましては、それぞれの各部局の関係の方々の御労苦については――与党の委員という立場もございますが、何かと御苦労に対しましては敬意を表するものでございます。ただ、攻める農政という状況なり、いままでの日本の農業の方向の中では、より積極的に考えなければならない問題がたくさんあると思うのでございます。私は一つの提言をして、そうして、それぞれの関連の関係の局長さん方からお答えをいただきたいと思うのでございます。
 いま、何と申しましても、やはり日本の経済がより安定成長に進んでまいるという姿の中で一番考えなければならない問題は、やはり国民の安定的な食糧確保の問題だと思うのでございます。このことは日本だけの問題ではございませず、世界的な食糧政策の問題が非常に大きく転換されようという状況の中で、現在までの日本の農業がこのままの姿でよいのかどうかということでございまして、私は、特に国民一億一千万を食糧不安から守るためには米の問題、魚の問題、畜産の問題、いわゆるすべての総合食糧というものが国民経済の上からも非常に大きな役割りを果たすものでございますし、また日本の発展のために一番先考えなければならない問題じゃないかと思うのでございます。現状の食糧管理制度もそれぞれの機能を果たしてまいっておるわけでございますが、私は、世界の諸情勢というものを勘案をいたしまして考えてみましたときに、やはり長期的な展望に立つ食糧政策の確保こそまず農政の第一義的な問題じゃないかと思うのでございまして、特に私は食糧基本法というふうな姿の中で、ただいま申し上げましたように、穀類から水産、畜産すべてのものが再生産の見合う客観的な諸情勢を確立する意味において私は考えていけばよいのじゃないか、またそのようなことをやる御意思があるかないかという問題についてもお尋ねをいたしたいと思うのでございます。
 御承知のように、今後の人口のふえる問題なり、今後の所得のふえるに従いまして生活水準が上がるという姿の中で、特に農業と工業との所得のバランスというものが狂わないという状況の中でのやはり備蓄を含めた生産者と消費者の納得のいく食糧基本法というものを考えてみたいと思うのでございます。
 いままで、ややもすると、生産者と消費者との中では、時と場合によりますとやはり双方が議論をするという姿の中で、行政がすり抜けてまいるという問題がなかったとは言いがたいと思うのでございます。私も長い間、農業協同組合に関係をいたしてまいりました。側面的には地方行政なり、またわれわれ農業を取り巻くもろもろの問題点につきましては十分体験を積んで出てまいったのでございますが、何と申しましても、やはりこの食糧政策というものの基本的な方向が、新しい世界の課題の中での日本版というものは、やはり生産者も、そうして消費者も納得のいくようにするためには、現在の法律を根本的に改革するという方向で指導をしなければ、農業というものの関係者というものが、スムーズについてまいるかどうかということで、問題が非常に大きいと思うのでございます。
 御承知のように、世界的な動きの内容の中では、仮に海洋法の問題にいたしましても、あるいは畜産におきまするえさの問題にいたしましても、非常に大きな問題がたくさん私は残されておると思うのでございます。
 最近の農業を中心として考えてみました場合にも、私は、非常に大きな問題が農政の課題の中ではあると思うのでございます。いわゆる土地ショックの問題、あるいは石油ショックの問題、あるいは飼料ショックの問題というふうに、この三つの問題は、日本の農政上をも、農民の生活の上からも非常に大きい問題でございます。それぞれのお立場で今年度の予算編成の中ではそれぞれ御配慮をいただいておるようでございます。その意味においては深く敬意を表するものでございますが、現状の施策の内容の中では、はたしてそういうものが充足し得るような諸条件が整うておるかどうかということを考えてみますと、やはり大きな問題があろうかというふうに思うのでございます。
 御承知のように、いまお米が少し余っておるという環境の中で、このままでよいのじゃないかという、ものの考え方の中で、現在の農業の実態を考えてみますときに、現在、母ちゃん農業と老齢化された人口によって、辛うじていまの生産が維持され、若干ずつふえておるという諸条件というもの、これが、五年、十年という歳月の間にそういう老齢化人口がこの世にいなくなれば、はたして日本の農業が、一億一千万の国民を養うに足りるということが、米に限定をして考えてみましても、私は一抹の不安があるのじゃないかということが考えられますと思います。あるいは海域の三海里なり十二海里なり、あるいは経済水域の問題点等を考えますときに、日本の国民食料の中での魚の消費という問題も、非常に大きな課題でございます。やはり沿岸漁業の問題なり、地域地域にやはりそれぞれの施設も相当やっておいでになることは私もわかるのでございますが、しかし、現実に国民生活の中では同じ魚が北と南とでは倍、半分の値段がするという状況の中には、よりよき配慮を加えることによって、私は国民が喜んでやれるという環境と条件というものが整うてくるのじゃないかということを思うのでございます。そういった問題を考えてみますときには、やはり資源の少ない日本で、より充足のできるというのは、いわゆる農産物あるいは水産物、さらに創意工夫をこらすならば畜産もある程度の充足可能なものがあるのじゃなかろうか。私はソ連にもヨーロッパにもアメリカにも数度出てまいりまして、それぞれの地帯におきまする行政上におきまする問題点等を考えてみますときにも、やはり日本の農政上におきまする基本的な問題点として改めなければならない問題がやはりたくさんあると思うのでございます。その問題の基本的な問題が、やはり農業基本法なりその他の法令に基づきましての奨励施設をやってまいった。しかし、それが行き当たりますと、その責任はそれぞれ農家個々の問題として負債処理を背負うておるというのが今日の実情でございます。このことは、やはり安心して農業を営むということに問題が残り、後継者難という問題に発展し、そうして将来は日本の農業がどうなるかという問題につながると思うのでございます。このことはやはり野菜の場合におきます問題、畜産に対しまする問題点等、いわゆる生産増強体制は非常に進んでまいったけれども、やはり物価に見合う価格政策というものが後手後手と回ったという経過が、今日の日本の農業の一つの問題点であろうというふうに思うのでございます。
 たとえば、果樹振興法によるミカンの生産の場合の問題、あるいは果汁の製造その他、それぞれの立場で御苦労をいただいておりますけれども、やはり私はすべてのものが長期的な観点に立つ二十一世紀に向かっての日本の農業政策はいかにあるべきかという課題に向かって、私はこの際、安倍農林大臣はいままでの農業は守る農業だが、これからは攻めの農政に入るんだという発言をせられましたゆえんのものは、五十年度にできなければ五十一年度からそのように大胆的な展開を私はなすべきじゃなかろうかというふうに思うのでございまして、この問題について局長さん、部長さん、それぞれのお立場での御意見をちょうだいをいたしたいと思うのでございます。
#7
○政府委員(大河原太一郎君) ただいまの青井先生の御質問なり御意見につきましては、むしろ農林大臣から基本的なお考えをお答えするのが筋かと思いますけれども、われわれといたしましても、ただいま御指摘の数点についての農林省当局の心構えなり考え方等について申し述べさせていただきたいと思うわけでございます。
 まず、先生おっしゃいますように、私どもの大臣は、守る農政から攻める農政ということをおっしゃっておりますが、この点については、先生のお話にもございましたように、内外を通ずる農産物需給の大きな変化と、中長期に見ましても、かつてのような過剰基調は一変しておる。したがって、国内の自給力の強化が最大の課題であるということでございます。しかるに、日本経済のいろいろなプラスの面もございましたが、高い成長、先進諸国に例のないような超高度成長というような経済成長の中で、農業は非常に大きな影響を受け、いわば体質が脆弱化したものが多々あるわけでございます。それは地価の問題なり労働力の問題なり、その他兼業化の問題なり、諸般の面から非常に体質が弱まっておる。しかも、一方では自給力の強化の大きな課題がある。これに対応するためには、やはりここで考え方を大きく転換して、水なり土地というような資源の確保、整備、あるいは裏作等を中心とした土地利用の徹底的な高度化をはかる、あるいは先ほどの先生のお話にもございましたように、つくる人間の意欲とまた農業に対する魅力が大事なんで、ということの担い手の確保、育成、そのためにはやはり価格政策その他万般の施策を整備するということが必要だろうというような、農政に対する心構えを大臣としては申し述べたようにわれわれとしては承知いたしまして、五十年なり五十一年の諸施策もその方向に向かって具体化のために努めなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
#8
○青井政美君 私は、やはりそういう観点に立つものの考え方の中で、今後運営しなければならない大きい問題としては、やはり五十一年度以降の米の生産調整はどのようにするのか、これがやはり攻める農政という姿の中で米は余っておるから要らぬということの考え方になるのかどうか、まずこの問題をお聞きいたしたい。
 なお、関連がございまして、それぞれの局長さんにお答えをいただきたいと思うのでございますが、御承知のように野菜に関しまする流通上の問題でございます。このことはやはり野菜の価格安定基金その他等による強力なてこ入れはございますけれども、現状の生産の状況も非常にふえてまいっておりますが、御承知のように、多くできれば値段が三分の一になる。ないときには上がるという状況が続く。この問題はやはり新しい状況の中では、安定基金の問題と中央市場法による市場の問題、さらに全販連に農林省等の御要請によって、いろいろ考えられました御承知のように集配センターの運営の問題点等、いろいろ御苦心と御苦労の問題はたくさん残されておりますが、この場合の問題も、最終消費者に渡りますためのやはり力強い行政指導がなければ、やはりその運営の効果は、設備投資の補助金を出したということだけでは、私はうまくまいらないのじゃないか。現況における二、三年間の経営の実態を私は監査をいたしてみております。その監査の結果から見ますならば、さらにやはり強力な行政指導が、中央市場法による法律的な裏づけと、オープンである集配センターの性格と、最終的に消費者には同じものに供給のできるというものでなければならないと。こういう問題についてお考えになっておいでるのかどうか。この問題も若干お尋ねをいたしたいと思うのでございます。また、畜産の関係におきましても、黒牛の価格安定と指定食肉の指定等の問題が新しく繰り上げ運用せられ感謝します。その他等による御配慮については、深く敬意を表するものでございますが、これからの運用につきましては、御承知のように畜種別にそれぞれの問題が非常にたくさんございます。しかも、それぞれが価格安定基金制度を設けて、その救済措置は考えられておるのでございますが、必ずしも時期と方法と地方とのアンバランスが、中央に集計される計算と生産をしておる実態とでは、非常に変わっておるということが考えられると思うのでございます。また、畜産事業団の活動、運営、その時期によりますと、その効果というものが非常に生産者サイド、あるいは消費者サイドという非常にむずかしい問題があろうかと思うのでございますが、少なくても、この問題の制定をした趣旨は、ある水準における生産者の保護というものも、その内に十分加味されておったということが御理解願え、かつまた、私どもはそのように御信頼をして今日まできたのでございます。しかし、実態は、なかなかそのような問題にまいっておらないというようなことになるのでございまして、特に、この際、二つの問題についてお尋ねをいたしたい問題は、米の生産調整の、今後長期計画の中でどのような取り組みをせられるかということが第一点。
 第二点は、いわゆる野菜の今後の運営上におきまする問題点と、中央市場法による、市場に対する育成強化の問題と、集配センターに対する今後の農林省としての考え方をお述べいただきたいと思うのでございます。
#9
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 第一点の米の生産調整の取り扱いでございますが、御案内のとおり、五十年度は四十六年からの計画、五ヵ年計画の最終年度でございますが、最近における食糧需給その他を見まして、通常の在庫調整に必要な百万トンを、さらに五十万トン積み増すということがどうしても必要であるということから、来年の十月末には百五十万トンの在庫調整が可能なように、本年は生産調整を前年度の百三十五万トンを百万トンに減らしまして、在庫積み増しを行いたいというのが、今度五十年の予算として御審議をあずかっている方針でございます。
 五十一年以降の問題につきましては、今後の検討課題でございますが、米の需給というものについてどう見るかという問題について、この際、もう一回徹底した検討をする必要があるということと、それから現在の水田につきましては、これはもう申すまでもございませんけれども、四十八年までは休耕と、いわゆる減反ということで進んでまいったわけでございますけれども、四十九年以降につきましては、水田の高い生産力を活用する。特に総合的な農産物の需給上、非常に必要である飼料作物なり大豆なり、あるいは野菜等について水田の転作を奨励をしておるわけでございまして、今後の長期を見た農産物需給からいいましても、これらの農産物について、水田の総合生産力を活用する必要がどの程度あるかというような点についても考える必要がある。もう一つは、申すまでもなく国際的な農産物需給の問題、世界食糧会議等を中心として、生産国、輸入国すべて食糧の安全保障のために、備蓄についての施策を共通に強化するというような方向等もございまして、それらのいわば非常に大きな要素を勘案いたしまして、五十一年度以降の米の、先生お話の問題を固めなければいけないというふうに考えております。
 それから、ちょっと担当局長がおりませんが、流通問題、特に野菜を中心といたしました流通問題についての機構的な御指摘でございます。御案内のとおり、やはり基本的には消費者物価問題にしても、農家が安心して生産をする、すなわち供給と需要の安定が、生鮮食料品の需給問題の基本かと思うわけでございまして、その場合に、やはり流通機構の合理化によって消費者の家計負担を軽減することはもちろん、農家手取りもその合理化によって確保するということが、流通問題についてのわれわれの施策の眼目であるべきかと思うわけでございます。その場合に、現在の流通機構は、先生お話のように中央卸売市場を制度とする基幹的な流通パイプがあるわけでございますが、一方では、生産者による新しい形の産地直結的な形としての集配センターがある。その両者が二つ、政策としても進められておるわけでございますが、両者のいい意味の競争と申しますか、を通じて、従来のそれぞれの都市ごとに、市場制度等に残っておりますもので改善すべき点があれば改めていかなければならない、というふうに考えておるわけであります。
#10
○青井政美君 ただいまの御回答では、若干問題が残るかと思うのでございます。米の問題は、いずれ農林大臣なり、政務次官がお越しいただいたときに改めてお尋ねする、ということにいたしたいと思うのでございますが、ただ関係の皆様方に強く訴えておきたいのは、非常に米が余ったということで、御承知のように五百万トン前後、六百万トンぐらいあったかと記憶いたしますが、余剰米を持っておった。このことが、やはり過去における畜産の端境期なり、アメリカの輸出抑止の問題の当時には飼料として役に立った。日本国民全体のために非常に大きく貢献をしたということを思い出していただきますと、物があれば、何らかの形で役に立つが、なければ、やれないということ。こういうことで、やはりこの際、日本の農政というものを白紙にして、そういった問題が考えられるような配慮を希望しておきたいと思います。
 それから野菜の問題でございますが、野菜価格安定基金制度というもののいままでの運用と実際の行事が、消費者と生産者のためになっておると思うか、なっておらないと思うか、その御回答をいただきたい。
#11
○政府委員(大河原太一郎君) 制度については、それぞれの産地別あるいは野菜の種類別その他によって非常に細かくと申しますか、非常にリジッドと申しますか、硬直的な制度になっておりまして、その点が生産者、生産農家にとって意に満たないというような御批判がいろいろございまして、これについての改善検討ということは、率直に申し上げますと、省内でも現在始まっておるわけでございます。が、やはり全体としては、その一定の価格水準の保障という点による需給のバランスをとるということは、かつて五年、十年前の全く自由な経済に放任されていた野菜の需給なり価格よりは、このときよりは一段われわれは進んできているというふうに考えておるわけでございます。
#12
○青井政美君 安定価格制度の運用の問題、確かに官房長の言われるような問題もございますが、ただ、私がこの際お願いをいたしておきたいのは、この構想の中で運営をいたします間に、今日のように非常に価格が上がるときには、以前の数字が計算のファクターとしてはじき出される以上、自分が出す負担金ともらうメリットとがどうなるかという問題では一つの大きな問題点が残されておる。今後こういった問題の異常価格差というものと、何ぼ払っても七〇%、八〇%というものしかもらえないというこの矛盾が、せっかくの親心に画竜点睛を欠くといううらみがあるわけでございまして、この点を特にお考えいただきたいということ。いま一つの問題は、やはり市場の指定でございます。もとより、行政の基本が――大都市の野菜の不足ということが考えられますが、賦課金を出してつくられたこの枠の中で物を売るよりは、フリーで自分が好きな市場へ出した場合が有利だという条件がたくさん品目によって出てまいります。したがいまして、やはり市場の指定の問題については全国的な視野に立って、少なくとも県庁の所在地ぐらいの青果市場はやはり指定をするという度量と考え方を持たないと、非常に都道府県別におきまするアンバランスが行政の中では一つ問題になるのじゃないかということが考えられるわけでございます。われわれ団体の立場の場合は、行政と同じように賦課金を出し、手間を出し、そうして協力してやって、なおかつしかられておるというのが現状でございます。われわれが団体のお世話をしてしかられるのはあたりまえかもわかりませんが、少なくともやはりそこにメリットとデメリットとの境が、やはり少しずつ統計数字のおくれとインフレとの関連において特に最近では顕著であるということを御配慮願いたいと思うのでございます。
 それから先ほども申し上げましたが、これも中央市場と集配センターの関係でございます。当時はやはり本線が中央市場でございます。バイパスとして集配センターを御企画になり、これはわれわれの先輩の方々がそういう御配慮がありかつ考えられたと思うのでございます。が、この場合にも、やはりバイパスを通ることによってどういうメリットがあるかという問題、人件費、運営費、その他等の経費というものが非常に重なる状況の今日では必要があるのか、ないのかという自問自答をしなければならないという状況にまできておるのが現実だと思うのでございまして、多額の補助金を出してやった運営が本当に経済効果を上げ、そうして生産者にも消費者にも喜ばれるような状況のためには、やはりバイパスの運営についての感覚というものを、もう一度当初を想起せられて、当時考えましたときのような状況でお考えをいただきたいというふうに思うのでございます。
 次に、畜産の問題でございますが、これも同じようなことでございまして、畜産の場合も酪農の場合も皆、鶏の場合も牛の場合も皆いろいろございますが、この安定法の運用という問題と、国際価格そのものをはね返らさなくして日本の畜産を維持し発展をしていこうといっても、非常に私は問題がたくさんあると思うのでございます。しかし、そのためには、やはり現在の安定基金の運営という問題に、より積極的にお取り組みをいただくということ、あるいは畜産事業団の運営の中で、それの効果的な運営というものがなされなければ、非常に道具立てはすばらしくそろっておるのでございますが、その時期を失することによってその効果は逆になるという問題がたくさんございます。どうかそういう意味で畜産対策の洗い直しの中には、やはり先ほど申し上げましたように、食糧基本法というふうな中で、国民の生活水準なり所得水準に必要とするという自給体制が、逆に運営されるという姿を考えていくべきじゃないか。デンマークの畜産政策の中に、金利その他等の関係においても、やはり日本のような制度融資の画一的なものでなくて、これは生産者に投入するけれども結果は消費者のためであるんだ、ということが明らかになされる施策こそ、私は、特に畜産のように長期にわたって生産をしてまいりますものにおいては、考えなければならない問題があるのではないかというふうに思うのでございまして、どうかそういった意味合いの問題につきましてよく御検討を賜りたいと思うのでございます。
 次に、ミカンの問題でございます。昨年来、関係の皆さん方非常にお骨折りをいただきまして、四百万トン台という問題の中ではそれぞれのお立場で御苦心と御苦労をいただいたと思うのでございます。また、生産者も、摘果その他等で補助金はいただきましたが、それぞれの立場の中で御苦労をして今日まいっておるわけでございますが、まだ将来に向かっての明かるさという問題が残されておる。
 予算案の内容を見ますと、私は、この果樹振興法によってふえてまいったミカンの消費の実態を考えて見ますときには、一番大きい問題は、やはり国民に消費というものをうまく宣伝をして、消費がしてもらえるという状況というものをより積極的にやらなければならないと私は思うのでございます。ただ、予算案を拝見をいたしますと、わずかの金しか計上されておらないという実態で考えて見ますときには、なかなかこういったことでこの問題の打開というものはあり得ぬのじゃないかと考えられるわけでございます。ある都道府県等におきましては、学校給食その他等の問題も、やはりその県その県によって、それぞれの立場で検討をされておるようでありますが、政府においても、やはりそういう模範の県というふうな問題点等を若干考えられまして、果汁政策の中で、また、いま申し上げますようなそれぞれの学校給食の場合に、あるいは熊本なり、佐賀なり、大分なり、宮崎なりという都道府県が実際に行って効果を上げておるという実態も十分御認識を賜りまして、やはりこの問題について、もう少しそういう意味における問題点、さらに果汁の質的な問題点等を――将来の果樹産業全体を通じまして、生産者もあるいは団体も、あるいはまた政府においても、それぞれの立場で御苦労をいただいておるということでございますが、やはり現状の姿の状況で果たしてやっていけるかどうかという問題には非常に大きな問題がございまして、みずからの力でやれる限界がございますならば、やはり手を差し伸べて、日本の農業というものが一億国民の全体の食糧の安定的な改善の中で農業が営めるという考え方を持たなければならないと思うのでございまして、特にミカンでお尋ねをいたしたい点は、果汁対策を今後どのように進めていくかということが第一点。
 いま一つの問題は、昨年以来から果樹が百万トンくらい余っているという実態は、これはどのようなことで措置をせられるお考えか。この問題が本年度あるいは来年度というふうに、一年の消費水準から現状までを見ますときには、大体一年おくれみたいなかっこうになる。この一年おくれという考え方は、生産の質的にやはり酸度、糖度がみな落ちます。そうすると、やはり全然食えないという状況では、質的低下を招けばさらにまた消費の減退につながるということになるわけでございまして、やはりその年にできたものはその年に処分するという配慮こそやはり価値ある果汁になるというふうに私どもは思うのでございまして、そういう意味におきまする二千万円前後の宣伝PR費では一県の宣伝費にも足りないのじゃないかというふうに私は考えておるのでございまして、これに対する見解を伺いたいと思います。
#13
○説明員(二瓶博君) 果汁対策、ミカンの果汁の面でございますけれども、昨年の十月末で約一万トン程度の果汁が在庫をいたしております。さらにこの四十九年産のミカン、これをつぶしまして果汁を生産をいたしております。そこで、まず十月末に一万トン程度の在庫が出たわけでございますが、これは昨年夏場が短いといいますか、非常に暑い時期が少なかった関係もございまして、果汁のみならず一般の清涼飲料水等も消費が少なかったわけでございます。そういうような関係で、若干十月末に在庫があったかと思います。
 それから四十九年産の方の果汁の方は、現在生産をいたしておるわけでございますが、先ほど先生からもお話ございましたように、当初四百万トンにもなるかなというふうに思われたミカンの生産量も、生産者団体等の指導によりまして、若干、国の方も七億ほど助成金は出したわけでございますが、摘果等の推進その他の問題もございまして、最近の統計では三百四十二万トンというような生産の数字になっております。そういうこともございまして、果汁の方に仕向けるミカンが、若干当初見込んだよりは少なくなっております。おそらく四十万トン程度の原料ミカンになるのではないかと、現時点では考えております。
 まあ、そういうことで果汁が生産されるわけでございます。そこでこの生産されました果汁は、いずれストレートものにボトリングしまして、主としてことしの夏場向けに売り出されると、こういうことになるわけでございますが、それにいたしましても、全部消化がなかなか困難な向きもあろうということで、調整保管ということを考えております。そういうことで金利、倉敷、これにつきまして、大体四億二千万ほどの予算も計上をいたしておるわけでございます。
 なお、学校給食の問題につきまして、熊本なりあるいは大分なりで県ベースで現在やっておることは、私も承知いたしております。この学校給食の問題につきましては、さらに今後の推移も見まして、今後の一つの検討課題であるということで検討をしてみたいと、こう思っております。さしあたりは調整保管ということで、果汁の方は対処してまいりたい、こう思っております。
#14
○青井政美君 審議官の御説明で了とできるわけでございますが、考え方は先ほど申し上げましたように、冷凍しておきましても、糖度と酸度が落ちるということは、商品化に影響し、そうして、国民の税金をかけて新しく進めたものが、経済効果が薄いという問題にならぬためには、なるべく計画化されて、やはり流通市場に出回るような配慮を、ともどもやっていかなければならないと思うのでございまして、その点これは、アメリカのフロリダの場合も、カリフォルニアの場合も、私どもも若干の勉強をいたしておりますけれども、やはりそういうように、この問題が配慮せられるという姿が、やはり果樹振興上におきまする経済価値に、農民の経済効果につながるということを御配慮の上で、お願いをいたしたいと思います。
 最後に、もう二つほどございますが、貯金の目減り対策の問題でございます。この問題は、やはりきょうはまあ申し上げておくだけで、皆さん方はそれを今後ひとつ御配慮賜りたいというのでございまして、これは国政上におきましても、各野党の諸先生方からもいろいろお話をせられておりますような状況でございますが、農業協同組合と漁業協同組合の貯金は非常に零細でございます。したがいまして、目減りの比率は、都市銀行、地方銀行、信用金庫、相互銀行その他それぞれの金融機関から見ると、一番劣勢の地位にあり、そうして法人化された大きな預貯金の動きもございませんために、単位農業協同組合なり、単位漁業協同組合なりの運営は非常に厳しいということでございます。また、それを預けておる組合員も非常に零細で、生活が厳しいということでございまして、いろいろ問題点が残されておるわけでございますが、私どもの調査の範囲では、その他の都銀なり地銀なり相互銀行等から考えてみますと、やはり農協と漁協の貯金の倍ある、比率において倍も持っておるという状況でございます。このことがやはり経営の上においても、非常に大きい問題にもなりますので、今後やはり老齢化の問題と、このような状態の中での小口預金のやはり影響という問題においては、特に配慮してもらいたい。私もある機会にこの数字を見ましたのですが、そのときは農協は一本という姿で出ておりました。その内容があまり詳しくわからなかった。ますます調べてみると、そのほとんどがやはり農協と漁協に影響するという実態が、それぞれの金融機関の資料を集めてみますと、そういう内容になっておるのでございまして、このことはやはり農業自身が厳しい、その上またこの上で、わずかの貯金で目減りもはなはだしいということになりますので、それぞれわれわれの諸団体からも、それぞれのお立場で金融機関その他等にも御要請を申し上げておると思うのでございますが、どうかひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
 最後に、ガソリンの無鉛化に伴う農業機械用の有鉛ガソリンの供給の確保対策の問題でございます。これは全国機関の関係者の方から通産省なり農林省のそれぞれの窓口の方々にお願いを申し上げ、私の理解しておる範囲では、少なくとも農村における有鉛ガソリンを使わなくちゃならないという償却年次ぐらいまでは確保するというふうに理解をいたしておるのでございますが、現状の状況をお聞かせいただきたいと思うのでございます。
#15
○説明員(二瓶博君) 有鉛ガソリンの確保の問題でございますが、実はガソリンの無鉛化対策ということが問題になりまして、この二月一日から無鉛のガソリンの生産が開始をされるということになっておるわけでございます。ところで、農林業の機械の中で主として小型の農機具でございます耕運機とか、そういうものにつきましては、これは有鉛でないとエンストを起こすといいますか、というようなことがございまして、どうしてもこれは有鉛のガソリンでないと機械が動かない、こういうものでございます。
 そこで、この二月一日から生産開始がされるわけでございますけれども、それに先立ちまして、通産省の方とも十分折衝をいたしまして、この有鉛ガソリン、これの生産を非常に多くしてもらうということで計画をいたしております。したがいまして、ここ当分、ここ一、二年は問題はない、かように考えております。具体的に申し上げますと、四十九年度の全ガソリンの生産量に占めます有鉛ガソリンの比率でございますが、これが大体一五%でございます。これを五十年度におきましては二四%まで引き上げるということで、有鉛ガソリンの方を非常に多くつくってもらう、こういう形にいたしております。
 なお、二月一日から生産いたします無鉛のものにつきましても、これも末端に届きますまでには二、三ヵ月の時間的余裕もございます。したがいまして、その間に十分調査も進めまして、どうしてもその有鉛ガソリンが手に入りづらいというような面につきましては、これは新しくガソリンスタンドを新設するとか、あるいは可搬式のガソリンスタンドといいますか、ポータブルのもので供給をするとかというようなことで、さしあたりは問題ございませんけれども、ただいま先生がお話ございましたように、耐用年数というのがまだ相当長くかかるものもございますから、そういうものが機械が動かないというようなことにならないように、万全の措置を講じていくということで話し合いを進めております。
#16
○青井政美君 私自身もこの大きい意味の運用はわかっておるのでございますが、農林省は、この一月末で、いわゆる有鉛の機械台数がどのぐらいあるとお考えいただいておりますか。あるいは、過去におきますお話の中では、五カ年ぐらいで償却されて済むというふうに判断されてのお話でございますが、私ども、今日の農業の実態を見ると、小さい農機具と言いましても、かなりの時間を要するので、やはり現在企画せられておる問題より長く有鉛ガソリンを使うということを考えなければ、また、環境汚染にも公害にもつながるということは農業機械関係においてはあまりございませんので、自動車の公害と同じような扱いを受けるということではさらに農業の経営に非常に大きい問題になろうかと思うのでございます。農林省は、五十年の一月末現在ぐらいでどのくらいの残存推定数があると見ておるか、お聞かせをいただきたい。
#17
○説明員(二瓶博君) 農業機械につきましては、この一月現在の推定といたしまして四百九十万台あろうかと思います。
#18
○青井政美君 従来のように、法律上のいわゆる償却の五年という問題だけで、すべてが償却されるという状況ではございません。やはり厳しい農業経営の中で、うまく管理をして使ってまいりたいということでございまして、ただいまの私どもの調査もあんまり変わらぬ程度のものでございます。が、仮に五年先を考えてみましても、やはりまだ三百万という数値というものが残されるという状況の中で、まだ問題が将来に残されるという形の上におきましては、通産当局と御相談の上で、特に小さい農業機械に使う有鉛ガソリンの確保と、流し方との問題は――御承知のような、スタンドなりそれの専門のポータブルを置くということも十分私どもも指導したいと思います。問題は、なくなれば農業の生産がとまるという実態を十分お考えをいただいて、今後の運営の中で問題が起こらないというふうにお願いをいたしたいと思うのでございます。
 最後に、農業の生産資材の問題でございます。
 簡単に申し上げますと、御承知のように、物価高の中で農業の生産資材は非常に、一般の物価高と同じような状況の中で、肥料においても、農業機械においても、あるいは農薬においても上がってまいっておるという状況でございまして、強力な行政指導で価格の上がる水準を最小限度に抑えられるようなことをお考え願えるのかどうか。いろいろ肥料その他等の関係において自然に切れてまいり、その後の考え方の中には、やはり法の裏づけがないことによって、全国連が、メーカー対策の中にも、必ずしも期待のできるという状況じゃないような問題点等もございます。この問題は、やはり行政当局の強力な御指導によって私は、実現のできる問題であるというふうに考えておりますので、その御意見を伺いたいと思うのでございます。
#19
○説明員(二瓶博君) 肥料、農薬、農機具、こういう農業生産資材、これにつきましては、一昨年末の石油危機以来大分値上がりを見ておることは先生御指摘のとおりでございます。
 そこで、この値上がりの問題につきましては、一つは、肥料につきましては硫安と尿素につきましては、これは肥料価格安定等臨時措置法、これに対象肥料になっております。したがいまして、この面につきましては、農林省、通産省ともども全農及びメーカーとの価格協定、この面を十分審査もいたします。そういうことで、値上がりの面につきましては極力これは抑制するということで、法的な面からこれはやっております。
 それからその他の肥料及び農薬、農業機械、この面につきましては、現在法律はございませんけれども、過般まではいわゆる事前了承制、あのもとで大分審査も厳しくやってまいりました。今後は、事前了承制が八月でなくなりましたので、個別監視というような形になろうかと思いますけれども、万一、値上げという問題が出ますれば、この面につきましては十分その合理性等も厳しく審査もしまして、不当な値上げがないというようなことに措置してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#20
○青井政美君 時間が参りましたのでこの辺でおきたいと思います。いろいろ問題は、一時間や二時間しゃべったことでどうという問題ではございませんが、やはり食糧基本法というものを考えていくかどうかという問題については、大臣なり政務次官からということにして、若干の意見を留保さしていただきたいと思うのでございます。それから農産物全体を通じまして、御承知のように再生産に見合うという条件が整いにくいという環境の中での今日の農業でございます。やはり民族が生きていく限り、全体の民族の生きられるという条件の中で、私は世界的な一番高い水準を持つ日本の農業の技術者、そういったものがやはり反当収量においては、あるいは所得の水準においては、いわゆる世界的の水準の中で最低を泳いでいるという実態は、もとより土地がないという一つの条件が、それぞれにふくそうされた結果になっておると思うわけでございます。こういう意味に考えますときに、今後の予算の執行運営の中ででき得る限りの御配慮を願って、より経済効果が上がりますように特にお願いを申し上げまして私は質問を打ち切りたいと思います。
 ありがとうございました。
#21
○温水三郎君 関連。ちょっと重複しますが、貯金の目減り問題で青井議員が質問いたしましたけれども、これは非常に大きな問題であって、これに対処するしっかりした経済政策を政府が立てるということは、われわれの最も希望するところであります。しかし、新聞紙上等に伝えられるような、金融機関の負担において貯金の目減りを防ぐというような方法、あるいは老齢者の貯金の目減りに対して数%の上乗せをするといったような、そういう政策は、これはどうも私は納得がいかない。ことに純農村の農業協同組合のごときは、さような安易な方法をとられるならば、たちまちこれは崩壊する。これは農林省で十分御承知のところであろうと思うのであります。そういたしますと、わが国の農業政策の遂行上ゆゆしき事態になってくる。私はそのように思うのであって、まあ農林大臣がおられませんが、農林大臣からこれは答弁をいただきたい。単に農林大臣の所信としての答弁でなくて、大蔵大臣、また福田副総理、こういうものとよく打ち合わせをされた上で明確な答弁を本委員会でしていただくようにお願い申し上げたいと思うのであります。この老齢者だけに限る貯金の利子の上乗せということはどうも、ちょっと考えると非常にいいように思うんですけれども、純農村において老人の名を借りて貯蓄をするということになれば、これは実に重大な影響を与えるので、農林省としても腹を決めてかかってもらいたいと思うわけであります。この委員会において大臣の答弁を、そして大蔵、経企と打ち合わせた上の答弁をしていただけるどうかお伺いいたします。
#22
○政府委員(大河原太一郎君) きわめて重要な問題でございまして、青井先生なり温水先生から御指摘の点につきましては、十分大臣にも伝えまして、農林省なりあるいは政府全体としての意見を踏んまえた御答弁を適当な機会に申し上げるというふうにさしていただきたいと思います。
#23
○委員長(佐藤隆君) これにて休憩をいたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#24
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#25
○栗原俊夫君 非常に経済関係もあわただしい中で、特に農村関係もあらゆる部門でこれではやっていけない、米作農民は米価要求で決起大会を開く、畜産農民は畜産危機突破大会を開く、あらゆる部門でもうどうにもならぬという状態の中で、まことにはつらつたる安倍農林大臣を迎えて、しかもその口から守る農政から攻める農政へ転換すると。まあ農民としては、本当に期待の持てる大臣ができたと大いに期待をかけております。
 いまその大臣が五十年度の予算を組んで、その具体的な攻める農政をお示しになったわけでありますが、まず初めに、去る十二月の臨時国会で、同僚鶴園委員からも質問しましたが、守る農政から攻める農政へと、まことに耳当たりはいいんです。しかしわかったようでこれほどわからないものはない。一体、守る農政とは、今日までの農政がどういう形で守る農政であったと認識をしておるのか。そうした守る農政から攻める農政に移る、具体的にどう攻める農政になるのかということを、いま一度改めて少しく一般の農民にわかるような具体例を示しながら説明をしていただきたい、このように思います。
#26
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私が攻めの農政ということを言いましたのは、私が農政を担当するに当たりましての農政に対する私の心構えといいますか、政治姿勢といいますか、そういう立場から言ったわけでございますが、それはやはり今日の農業を取り巻く情勢というものに対する認識から出たわけでございまして、まず第一に、やはり国際的にこの数年来食糧事情が変化をしてまいりまして、国際的な食糧の不足というのは恒常的に続いていくのではないかという客観情勢が生まれたわけでありまして、数年前までは食糧は金さえあれば外国からどんどん安く買えるというふうな時代であったわけですが、今後はそういうふうにもまいらぬだろうというふうなことであります。
 それから第二番目には、次にはやはり国内における経済情勢が変化をすることになってきておる。すなわち高度成長から安定成長の方向へ経済の路線が切りかえられていく、こういう経済情勢の変化。高度成長の時代におきましては、確かに一面においては高度成長という関連において、農村における農家の所得もある程度向上いたしましたし、生活水準も上がったと思うわけでございますが、しかし反面、農村におけるところの労働力が非常な勢いで流出をして過疎といったような現象も出てまいりましたし、あるいは土地、特に農地の壊廃が高度成長の中で非常に進んでしまった、そういうふうな高度成長におけるいろいろ農村におけるひずみが出ていることは事実である。そういう中にあって、農家において生産意欲というものがどちらかといえば失われがちになってきておる。こういうふうないわゆる農業の高度成長におけるいろいろなひずみと、これを今後は安定成長という方向へ経済が切りかわっていくわけでございますので、こうした世界的な食糧の不足、そして国内における経済の変化というものをとらえて、国民的な認識の中にもやはり食糧というものを見直していこうというふうな雰囲気が出てきておると。こういうふうな認識のもとにやはり今後農政を進めていかなければならない。
 この農政を進めるに当たっての基本的方向としては、まず第一にやはり国内における農業の自給力を高めていくということが何といっても一番大事なことじゃないかと思うわけでございますが、同時にまた世界の食糧は不足状況に入っていくわけでございますけれど、しかし、なかなか日本の農業も資源的な制約の中にあって、国内的に自給の非常に困難な、たとえば飼料作物、飼料穀物というふうな農産物につきましては、これはやはり外国に今後とも依存せざるを得ない。依存するといっても、安易にいままでのように依存するという形じゃなくて、今後とも国際協力関係を強化しながら安定的な輸入体制をつくっていくというふうな今後は農政の基本の方針のもとに農政を進めていかなければならぬ。そういうふうな農政に対する基本的な認識と基本的な政策の裏づけとして今後具体的な政策を打ち出し、いわゆる総合的な食糧政策として今後これを推進していくべき時期にいま来ておるというのが私の考えでありまして、いわば農業を取り巻く客観的な情勢は、まさに農政を転換するというふうな一つの客観的な事情といいますか、情勢というのもだんだん熟してきつつあるというのが私の考えで、そういう考え方からああいうふうな発言をいたしたわけでございます。
#27
○栗原俊夫君 ただいまの発言の中で、金さえあれば、いつでも、どこからでも食糧は買えるんだという状況にあったと、こういう発言がありました。
 まあ端的に言って、そういう状況にあったんでなくて、政府自体がそういう認識を持って積極的にそういう政策を推し進めたんじゃないですか。農業基本法ができる当時に、主食はどうするんだと言ったら、はっきりと金さえ持っておれば心配ないんだと。食糧の内容も変わってきて、粉食もふえる、したがって動物たん白も必要だから、選択的拡大の方向で畜産三倍だと、そうした食後には果物も要るから、果樹二倍だというようなことを言って、キャッチフレーズで所得倍増に対抗しながら、農民はこれでやっていけるんだと、こういう指導をして、農業基本法の中には、何が何でも農政を守るという、特に主食を中心として農政を守るということではなくて、経済高度成長に視点を置いて、その間に農業というものは生きていくと。
 その間、われわれに言わせると、農業基本法というものは見せかけの農業基本法であって、経済高度成長がわが国の政策の中心であり、農業を守ると言いながら、実態は水を奪い土地を奪い、さらには若い労働力まで奪うと。われわれはこれを最も端的に自民党の首切り農政、こう言ったけれども、まさにそのとおりになったと思うんです。これが経済高度成長の中でだんだん押しひしがれていく農業というものを守らなければならない立場を守る農政であったと。これじゃいかぬのだと、はたと気がついたのが安倍農林大臣だと、こう思うんですけれども、今日までの農政のあり方、ただいまも申し上げました農民から水を奪い、土地を奪い、さらに農民それ自体、若い労働者を、労働力を経済高度成長に奪って、農業を三ちゃん農業、こうしたところへ追い込んだ、こうした実態を安倍農林大臣は素直に認めますか、これはどうです。
#28
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ私は、高度成長は高度成長なりにわが国の国民生活を向上さしたことも事実でありますし、国際競争力を培ってきたことも、またこれは事実であろうと思うわけでありますし、同時にまた、農村における生活環境あるいは所得水準の向上といったこともそれに伴って起こっておるわけでございますが、しかし、先ほども申し上げましたし、いま栗原さんから御指摘がございましたように、反面この高度成長のもたらした農業における、農業に対するところのいろいろなひずみというものが、最近相当噴き出してきておるということも、これも否めない事実じゃないかと私は思うわけでありまして、全体的に見ますれば、やはり農業は高度成長という中にあって、農業自体が脆弱化してきたということも、これは現実の事実として私たちは率直にこれを認めて、そして今後はやはり農業についての生産性を高める、あるいは規模を拡大をして、農業の自給力を向上していくというのが今後の農政の方針でなければならない、そういうふうに私は考えておるわけでございます。
#29
○栗原俊夫君 ひとつ、具体的な数字としてお聞きをしますが、農業基本法ができた段階における専業農家の農家人口、専業農家、そして第一次兼業、第二次兼業、こうしたもの――この時点における兼業農家、第一次、第二次兼業の農家人口の数字をひとつ示してみてください。
#30
○政府委員(大河原太一郎君) 農業基本法は三十六年、御案内のとおり制定でございますが、直前の三十五年におきます農家戸数は六百五万七千戸でございました。うち、専業農家が二百七万八千戸、兼業農家が三百九十七万八千戸でございます。一種兼業が二百三万六千戸、二種兼業が百九十四万二千戸でございます。これに対しまして四十八年は農家戸数は五百十万戸でございます。専業農家が六十七万五千戸、兼業農家が四百四十一万五千戸、一種兼業農家が百三十万三千戸、二種兼業農家が三百十二万二千戸でございます。
#31
○栗原俊夫君 ただいま示された数字のとおりですね、まさに首はみごとに切られておりますね。六百五万の農家が五百十万になった。これは離宮者が約百万、しかもその残った五百十万の中に専業農家は六十七万。三十五年には二百七万あった専業農家が六十七万に減っておる、こういうことであります。
 農業基本法の第一条によれば、一方では当時、所得倍増ということを盛んにうたいながら、他産業並みの所得を保障するために、この基本法をつくるのだ、こういうことなんですが、他産業並みの所得が本当に保障されたならば、これだけ農業から去っていくはずはないでしょう。率直に言って、私たちは、農民の第一線の中で、ともにかせぐ仲間ですから、よくわかるのです。端的に言って、確かに他産業よりも農業は労働的には苦しいです。しかし、首を切られる心配がありませんからね。他産業並みの所得が保障されれば、あえてその職場を離れてまで他産業へは流れていきません。そうではなくて、実体的に経済の高度成長を遂げるためには、職場の拡大、そして労働力の補給、こういう中で、その労働力はどこにあるかと言えば農村にある。農村にある労働力をどのように引き出すか。もちろん高い賃金で引き出せば引き出せるでしょうけれども、端的に言って、資本は、高い労働力は余り払いたくない。しかも労働力は必要だ。それにはどうすればいいかと言えば、農村で農業では食っていけないように追い込むことが、労働力を職場へ引き出す最大の道です。そんなことはだれも言いません、口へ出しては。しかし、われわれ農民運動をやっている者は、そしてわれわれ社会党の農業政策を担当している仲間では、これは、そういう形で積極的に推し進める農政なんだ。まさに首切り農政なんだ、こういう判断をしました。食えないから農業から離れておるのですよ、これは。で、われわれは、もしも実際にそういうことが必要ならば、こうした農民全体を、苦しく追い込むのではなくて、構造を変えていく。それには特定の指名離農をやり、離農者には十分納得のいく手だてをしながらやるべきだ。こういう考え方も一時持ちましたけれども、とにかくそうではなくて、農業をやっておれば価格政策、売るものは安い、そして必需物資は高い。こういう中で、食っていけなく追い込む。したがって離農をする、出かせぎに出る、農外収入を求める。仮に残った者も食うや食わず。こういう形に追い込まれているのが現在の農村の実情です。まさに首切り農政であった、このように思います。水についても、まあ土地についてもそのように思います。
 いまひとつ、土地についてそれでは数字を挙げてみてください。耕地、そしてその中で特に水田が抽出してあれば、水田の部分も数字を示していただきたい、このように思います。
#32
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 先ほどの農家戸数の例に準じまして、三十五年から四十八年を対比して先生の御質問にお答え申し上げますと、三十五年は耕地面積が六百七万一千ヘクタールでございます。これに対しまして四十八年は五百六十四万七千ヘクタールでございます。
 特に水田を示せというお話でございますので、水田について申し上げますと、三十五年は三百三十八万一千ヘクタールでございますが、四十八年は三百二十七万四千ヘクタールでございます。
#33
○栗原俊夫君 いわゆる列島改造でかなりつぶされておりますが、ここで見ると、水田に関する限りは余り減少を示していない。まあそれだけそういう中でも食糧にはかなり気を使ったのかもしれません。まあ実際から言うと、御承知のとおり、水田と畑地と比べると、耕作以外に使ういわゆる宅造等では、水田よりも畑地のほうが値がいいのですから、水田よりも畑地のほうがつぶされていっているかもしれません。
 そこで、一つ大臣にお尋ねするのですけれども、守る農政から攻める農政へ移る。これは、非常に農民が期待しているわけですが、守る農政として五十年の予算を組んだ。その予算の中で特に、攻める安倍農政の目玉商品とも言うべきものはどこなんですか。この辺を、期待している農民が、そうか、よかった、と喜ぶように、声高らかにひとつ説明していただきたいと思うのですが。
#34
○国務大臣(安倍晋太郎君) 五十年度予算につきましては、この抑制基調の中で組まれた予算でございまして、農林省もそうした大きな枠の中で、われわれまあ努力をしたわけでございますが、したがって、基盤整備につきましては、公共事業費全体が〇%ということであります。しかし、農業の基盤整備につきましては、非常に大事であるというふうなことで、これは伸び率からすれば基盤整備関係はわずか三・四%ではございますが、まあ予算金額にして百十数億ではございますが、しかし、全体の公共事業費が横並びという中ではまあまあある程度の評価はなされておると思うわけでございます。
 さらに、一般事業費関係につきましては、予算全体としては、農林関係予算は大体二四%程度の伸びでございます。しかし、その中におきまして、私自身が農林大臣になりまして、何とかひとつ今後とも積極的な農政を展開をするに当たっての芽を出させなきゃならぬということで、私自身が配慮いたしまして予算の中に盛り込むことにいたしました政策は、一つは、御存じのように稲作転換事業でございますが、これが今年度五十年度で打ち切りということになるわけでありますが、稲作転換事業につきましても、百二十五万トンの転換を行おうということであったわけでございますが、これをやはり今後の主食の確保、あるいは在庫の積み増しをすることが大事であるというふうに考えまして、まあ百万トンということにおさめたわけでございます。
 次に、やはり今後、可能な限りにおきまして生産を増強しなければならない作目といたしましては、何としても畜産における飼料作目でございますし、あるいはまた、麦等でございますが、こういう今後生産を高めていかなければならない作目、これは裏作として――今日まで非常に裏作が衰微をしておるわけでありますが、この裏作を大いに活用しなきゃならぬ、裏作の高度な活用を図っていくという意味におきまして、麦であるとか、あるいは飼料作目を裏作において大いに取り上げていくというための生産奨励の措置であるとか、あるいは集団生産組織の育成等といった点につきましても配慮を加えておるわけでありますし、また、粗飼料の緊急対策費といたしまして三十一億七千万円を組んだわけでございますが、これはまあ粗飼料を有効的に、効率的に今後生産をしていくということで、一つの目玉として組み込んだわけでございます。
 あるいはまた、これは食糧増産費という形で予算の最後に実現をいたしたわけでございますが、全体的に食糧の増産を図っていくという中におきまして、やはり構造改善事業を進展をしていこうというふうなことから、この食糧増産費という形で三十億、これを獲得をすることができたわけでありまして、さらに水産関係におきましても、漁港の整備は農業の基盤整備以上に伸びまして、一〇九%程度の予算を獲得することができたわけでありますし、さらに最近の漁業をめぐる非常に困難な情勢の中において沿岸漁業の振興発展を図っていくという見地から、沿岸漁場の整備開発のための予算を四十億獲得をいたしたわけでございます。
 さらに、金融の面につきましても、近代化資金三千億の枠をまあ五割、これの枠を拡大をいたしまして四千五百億、これによりまして農家の資本装備を強化していくという措置もとったわけであるわけでございます。
 そのほか価格政策等につきましても、あるいは牛肉の指定、畜安法に指定をしていただきまして、ひとつ指定食肉にしていただくという予算措置も講じたわけでございますし、さらに野菜、あるいはまた果樹、あるいはまた鶏卵等につきましても、価格安定策を強化いたしたような次第でございます。
 大体以上申し上げましたのが、私が今回の予算におきまして特に努力をして芽を出したという予算でございます。
#35
○栗原俊夫君 まあ、大変御苦労願っておることは感謝しますが、一番基本的にですね、冒頭にもお話がありました、金さえあれば、どこからでも、いつでも食糧は買えるのだと、こういう認識でわが国の農業基本法農政は行われてきておったと思うのですよ、これは、いろいろ説明はあるでしょうけれどもね。しかしそうはいかなくなった。特に具体的に国内のそうした農政の中で自給度が下がった上に、石油の問題で石油が戦略物資に扱われる、銭があっても買えない。そして、これとならって食糧も戦略物資に扱われる。これは大変だということで、おそらくあえて安倍農林大臣が攻める農政に変わらざるを得ないと言い切る一番基本的な問題じゃないかと思うのですね。だから今日までの、まあできるだけつくって足らないところは買えばいいんだ、銭さえ取ればいいんだという物の考え方ではいけない時代になって、できるだけ食糧は自給をしていく。所信の表明の中にも、どうしても足らないものはそれは手当てしなければならぬ、これは当然でありますけれども――できるものは国内でつくる。
 そこでお尋ねするのですが、そういう立場をとれば、安い食糧が海外にあれば海外に依存していこうとするのか、経済合理的な物差しを当てると少しはうまくないが、食糧自給をやっていかなければならぬという立場に立てば、国内でつくられるものは積極的につくっていく。こういう農政にしようとそこまで足が踏み込めるのか、この辺はどうなんですか。
#36
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もいま栗原先生がお話しになりましたように、石油の危機が起こりましたとき、もしこれが食糧の危機であったならばもっと大変なことになるというふうな感じを強く持ったものでございまして、最近における世界の食糧の情勢等将来を展望してみましても、これはそういう時期がこないとは断言できないと私は思うわけでございます。それであるだけに、国内において現在の社会経済の情勢の中において可能な限りのやはり自給体制といいますか、自給力を高めていくということはしなければならない。やはり国内で農産物を自給し、これから増産しようということになれば、やはりある意味においてはコストも高くなることも多少はあり得ると思うわけであります。これはやはり国民的な御理解を得て国民的なひとつ認識の中にあって農業を支えてもらって、私はやはり国内においては思い切った農業の自給力向上のための強力な施策を今後とも講じていかなければならないというのが私の基本的な考えでございまして、それに向かってひとつ着実に施策を講じてまいりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
#37
○栗原俊夫君 そこで、先ほど目玉商品の中で米の生産調整百二十五万トンを百万トンに五十年度は減らすと、そして米の貯備を端境期百万トンを百五十万トンにふやすと、非常にいい方向に進めておると思うんですが、これでも私は実におかしいと思うんですよ。昨年も、前大臣の倉石さんが、世界食糧会議へ行って、食糧輸入国への安定供給をと、生産国である主力はアメリカ、カナダ等々でありましょうが、訴えた。自分のほうでは、まだ生産調整をするというんですからね。これは実際、農民と話し合ってわからぬというんですよ。小麦は少したくさんつくってくれいと、ある意味においては、つくれるだけつくってくれいと、一俵二千円補助金を出すぞと。しかし、米の生産は調整するよと、他国に向かっては安定供給してくれいと。一体何を言っているんだかさっぱりわからない。
 実は一昨年ですが、これは飼料の関係等もあり、中国へ渡ったときに中国でいろいろ話をしました。これは、えさを何とか安定供給をしてくれという話をしたときに、日本では、人間の食い物をつくれるところをあけておけば、銭をくれるという話を聞いているけれども、そういうところへ家畜のえさはつくれぬもんだろうか。そういうことをやっておいて、えさが足らぬから分けてくれと言ったって、話がおかしいじゃないかと。まあ、いま家畜のえさの問題だけれども、やがて人間様に振りかかってくる問題と違いますかと。こういう話をしておりましたが、けさの朝日新聞に岩佐凱実さんですか、中国では農業を基礎として工業を導き手にするという方針をとっておると。これは他国のことだけれども、一応参考に値するというようなことも書いておりました。行ってみればそういう考えを持つと思うんです。中国のまねがすぐできるとは思いませんけれども。中国では、食い物の内容よりも、まず食えるものをつついっぱい貯備しようと、一年草である食い物、一年分くらいは貯備しようということで一生懸命やっておるようです。
 そこでわが国でも、米が余っておるというので五年前、ことしがいよいよ五年目だそうですが、生産調整に入った。われわれも、これは農民運動者としてずいぶん叫びました。米自体が余っているんじゃなくて、小麦粉を食うから米が余る形になるんだ、その小麦は国内で生産しておるものじゃない。買ってきて小麦を食って米を余らしておる、こういうことなんでしょう。新聞の報道によれば、貯備の方式について、アメリカで貯備することについては安倍農林大臣は、それはどうも、それは向こうで貯備したんでは安定にならぬと。それはそのとおりだと思うんですよ。他国で貯備したというようなことでは。なぜ米をつついっぱいつくらして、国内でもって貯備せぬのですか。これ玄米にすれば、一夏通れば、じじい、ばばあになるでしょう。しかし、もみで貯備すれば、これは一年、二年の貯備の問題でなくて、もっと長い間これは貯備できるはずだと思うんです、私は専門家でないからわかりませんけれども。もみで貯備する限り――昔、戦国時代にも、もみで貯備すればいいというような故事もあるらしいし、これは何年たってもまだ生命があるから、じじい、ばばあにならぬ。こういうことについて一体どう考えておるのか。
 まあ私は、あとから少し触れたいと思うけれども、農業基本法というものができ、これは、農民の憲法であるといって農民を一応安心させた、当時――ここにも当時の農協関係の方がおられると思うんだけれども、一日も早くこれをつくって農民憲法を持とうと、しかし、われわれは、これは少しどうも、わながあるぞというようなことで、われわれは、社会党の農業基本法というものを対置してこれは争ったんです。とにかく少なくとも、この農業基本法ができたときに、日本で食糧自給の方向を農政から捨てたことはこれは事実ですよ。食糧自給という農政の基本的な柱を捨てたことは事実ですよ。これをいまはっきりと農業というものは、日本の一億一千万の食糧自給を担当する基礎産業なんだ、こういう位置づけをすることが安倍農政、攻める農政の私は基本じゃないかと思う。まあ先般、与党の方からこのことについてやはり大臣に質問がありましたね、参議院で。そのとき、大臣がどう答えるかと私は実はかたずをのんで聞いておった。全くがっかりしたね。そういう気持ちはございませんと、こう答えている。よくない、そういうことじゃ。ちっとも攻める農政になっていない。いまこそ農業基本法を、本当に日本農業は食糧自給を担当する基礎産業なんだ、そのためには財政の上からもしっかりとめんどうを見るんだ、こういう方向を打ち立てなければ、攻撃的な、攻める農政である安倍農政というものはこれは確立できないと思うのだけれども、この辺に関する所見をお聞きしたい。
#38
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もやっぱり食糧自給というのは国民を支える主力な産業でなければならない、そういうふうな位置づけをすべきであるということは同感でございます。農業基本法につきましては、確かに三十六年に成立をいたしたわけでございまして、その当時、それから後の高度成長経済が始まって、農業を取り巻く客観情勢は大きく変化したことも事実でありますし、当時と今日とは客観情勢というものは全く変化をいたしておるわけでございますが、まあ私もあの当時、栗原先生とともに農業基本法の審議にも参加をしたものでございますけれど、農業基本法の示すところの理念といいますか、根幹といいますか、これにつきましては、今日といえども、その根本的なものは変わってない、間違ってないというふうに私は思っておるわけでございます。しかし、客観情勢が大きく変化していることは事実でございますし、今後、農政を転換をするといいますか、新しい立場に立った総合的な食糧政策を打ち出していく段階におきましては、まあ今日までのいろいろの問題点はひとつ全面的に再検討をして、そういう中にあって食糧政策というものを打ち出していかなきゃならない、こういうふうに思っておるわけでございます。そういう私は考えを持っておりますが、現在、御案内のように、農政審議会で中間報告もなされましたし、この中間報告に基づきまして総会を開いていただきまして、この三月か四月内には御答申を受けられるものと思うわけでございまして、この御答申のもとに私の考えておる基本的な考え方を基礎といたしまして、ひとつ総合政策というものを打ち出していきたいと考えておるわけであります。
#39
○栗原俊夫君 まあ、農業基本法の精神が、いまもその農業を守る方向だと信じておると言うんだけれども、それはいま少し思い切って方向転換しなきゃだめですよ、それは。それでいまも言った農政審議会ね、農業基本法を中心に運営するブレーンとして農政審議会があるわけなんだけれども、これも洗い直さなきゃだめですよ、これ。農民は農民のための農政と思っておらぬの、だから。財界農政と、こう言っているんだよ。財界がああ言うからこうします、財界がああ言うからああします、こういう農政をやってきている。そして十数年間の間に農業をこれだけ荒廃に追い込んだんですよ、これ。ちっとも農業を他産業並みに所得を保障するような運営しちゃおらぬでしょう。そして農民をばらばら、ばらばらと農業から離農させる、そういうことをやってきたんですよ。どうですか。この農政審議会を何とか洗い直す考えはありませんか。私も公害委員会に参加していますけれども、公害のほうで専門委員会がいま突き上げられて、何人か、ばらばらよしていかなきゃならぬような状態になってきておる。いままでのあり方がみんな間違っておるんですよ。
 だから、ひとつ安倍農林大臣が腹をくくって、この審議会もしっかりと一人一人洗い直して、本当に日本の農業を食糧自給に向かって――それは少しは産業界、財界とはおつきが出るでしょう。しかし、問題は命を守るのは食い物ですからね、食い物がなくなったら、銭が幾らあったってだめですよ。これは、私は、漫画に、札に埋まって餓死するという漫画ができる、そういう状況になるとさえ思う。そんなばかげたことのないようにひとつぜひやってもらいたいし、この審議会のメンバー、そして審議会を洗い直して、本当に攻める農政をやっていく農政に切りかえるために新しく組みかえる。確かに農業基本法には、文言の上では
 一応きれいなことが書いてありますけれども、これは実際精神が込もっておりませんよ。実際にそうなら、こんなばかげた農業になりっこないんだから。十数年の実績がはっきりとそうでないことを示しておる。ここで新たに農業基本法というものを――先ほど大臣の留守のときに、こちらからは食糧基本法をどうだと、与党からそういう提案も出ている。われわれも賛成しますよ、野党だけれども。まさにそうなんです。先ほども雑談で話したけれども、農政に関する限り、ここに集まった限りは与野党はない、こういう話をしているわけなんですけれども。実際に、いま守る農政から攻める農政へ踏み切るためには、農政審議会まで洗い直して、はっきりと安倍農政を確立する、こういう決意はございませんか。
#40
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農政審議会は、御存じのように農政についての学識経験者であるとか、あるいは生産者の代表の皆さん方も参加いただいて構成をされておるわけでございまして、現在せっかく御審議をいただいて、この三月、四月ごろには御答申もいただく、こういう段階になっておるわけでございまして、この審議をひとつ十分尽くしていただいて、まずその御答申をいただくということを私は、いまのところは非常に期待をしておるわけでございまして、せっかく御審議中でございますから、この審議会を、いまどうするとか、こうするとかいうようなことを言うのは、私自身としても差し控えたい、こういうふうに思っておるわけであります。
#41
○栗原俊夫君 まあまあ、そういうことを言わなきゃならぬ立場にあるかもしれませんが、とにかく農業基本法を守るブレーンとしてできておる審議会が、ここ十数年間こういう農業に追い込んじゃったんですからね。これは現実だ。野党のわれわれが言っているんじゃない。事実ですよ、これれ。そういう審議会の功罪というものは明らかでしょう。それは一人一人りっぱかもしらぬけれども、とにかく本当の勤めを果たしてこなかった、こういうことが言えると思うんですよ。そういう点をいま少し厳しく――それはその中で残る人もおるでしょう、やめてもらう人もおるでしょう。いろいろあるでしょうけれども、本当に食糧自給という立場に立って、日本の農業というものを、農政というものをぴしっと立てる、こういう方向にやはりやってもらいたい。公害委員会でも、あの五十一年規制を中心にして、だめだというのがちゃんと出てきている、予算にはならぬやつが出てきているんですよ、はっきりと。惰性でもってやったり、そんなことじゃ、とても許されない段階に来ているんじゃないですか。いま少し厳しく、さすが安倍農林大臣だというところを、びしんとひとつ見せてもらいたいと思いますが、どうかいま一度決意のほどを承りたいですね。
#42
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も現在の農政、これは高度成長といいますか、鉱工業の生産が余りにも、一〇%以上というふうな非常な勢いで成長が進んでまいって、そういう中にあって農業の生産性が伴っていかない、あるいは農業所得というものがそれに均衡がとれていかない、こういう高度成長の中でこういう事態になった。しかし、農政担当者としては、今日まで、そういうふうな高度成長の中において懸命な努力をして、日本の農業の生産力を維持し、所得を向上していくために努力をされてきたわけでございますが、今日においては、高度成長から安定成長という方向へ移っていくわけでございますから、この際に、やはりいろいろな問題点というものをここで洗い直していくということは非常に大事なことであろうし、また確かに私自身としても、もし反省すべき点があればこれは率直に反省をして、その上に立ったこれからの新しい方向というものを打ち出すべきであろうと思うわけでありまして、そう意味で私も全体的にいま考えをまとめておる最中でございます。
#43
○栗原俊夫君 そんなことばかり言っておると時間がどうもなくなっちゃいそうなので、農業と農業必要資材と業界との関係について農林大臣の所信を承りたいのですが、いま実際からいうと、農業になくてはならぬ肥料、飼料、農薬、農機具、こういう関係があるのですが、先ほどもちょっと岩佐さんのことばの中にあった中国の農業を基礎として工業を導き手にすると、中国では工業が農業に奉仕すると。こういう状態になっておるわけなんですが、わが国の状態を見ると肥料会社、えさ会社、農薬会社、農機具会社があたかもわが社のために農業、農民があるかのごとき振る舞いなんだな、実際言って。実際にはそうではなくて、農業があって肥料が要り、農薬が要り、農機具が要り、えさも要ると、こういうことなんで、言うならば従たる産業であると、このように私は思う。大臣はどのように思いますか、ひとつ所見を伺いたい。
#44
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もやはり農業というものが中心になって、その農業生産をする一つの手段としての農薬、あるいは肥料、あるいは農機具、飼料というものが存在するものであると、そういうふうに思うわけであります。あくまでもやはり主体というものは農業であると、こういうふうに考えるわけです。
#45
○栗原俊夫君 そこでいま実態的には肥料が高い、えさが高い、その他農薬、農機具等についてもいろいろ問題がある。もちろん農民も、特に主産物である米の米価の問題でいろいろな問題が起こり、その他問題が起こっておりますけれども、農民としても、ただそういうものが高いことだけを望んでおるわけじゃないのです。問題は自分の労賃に当たる部分が生活を保障し、再生産ができるに足るだけのものが生産物の価格という形であらわれるかどうか、こういうことなんですよね。したがって、高いばかりが能じゃないんです。幾ら呼び値が高くなっても、その中に含まれる労賃部分、こういうものが狭まってはこれは何にもならない。したがって、必要経費である農薬、えさ、農機具、こういうものの値の下がることも、表に出して大騒ぎはしないけれども、これは本当に生産物価格を要求すると同時に、同じウエートで実は求めておるわけですよ。したがって、一方では、いま独禁法の問題等で原価公表とかいろいろな問題がされておりますけれども、私は、農業基本法の中にも、実はこういう問題等々について少なくとも規定さるべきであったと、こう思うんですが、そういうものはきわめて抽象的で本格的に手を打てるようになっていない。こういう点などに関しても、やはり今後の食糧自給という農政を推し進める上に、農業の必要資材について厳しく、それは何もつぶれるほど厳しく責めろというのではなくて、ぶくぶくにふくれるほど農民を対象にする肥料会社、あるいはえさ会社、農薬会社、農機具会社がいかぬような、厳しいやはり規制、指導というものが必要だと、こう思うのですが、これに対する所見を伺っておきたいと思います。
#46
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに農業生産資材の確保と、この安定的な供給ということは、農業生産にとりましては非常に重大な問題であろうと思うわけでございまして、農林省も今日まで農薬、あるいは農機具、あるいは肥料、飼料、そういったような生産資材等につきましての需要を確保し、そして価格を安定するということにつきましては、法律の運用と相まって、行政指導を行わなければならない品目につきましては、行政指導を特に注意をしてやってまいったわけでございまして、あの石油ショックで相当農機具、その他の資材関係が上がっていくという中にあっても、この行政指導を強化いたしまして、こうした諸資材の高騰と、それが農民に迷惑をかけるということにならないように指導を強化してまいりまして、どうにか最近の実勢というものは、大体肥料にいたしましても、農薬にいたしましても、あるいはまた農機具等にいたしましても、まあまあ私は落ち着いておると、こういうふうに判断をしておるわけでございます。が、今後ともこれらについては、さらにひとつ行政指導の面につきまして、また、肥料等につきましては、価格安定法とをひとつ強力に実施をいたしまして、安定を図っていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
#47
○栗原俊夫君 いろいろ手は打ってあることは万々承知なんです。いろいろ米について、あるいはその他食肉について、繭糸価格について、その他なたね等いろいろについて安定法はある。しかし、農産物についての安定法は、これは常に時の流れ、特にインフレが厳しいからなかなかたいへんであることはわかるけれども、われわれは、これを寸足らずの突っかい棒と、こう言っておるわけです。突っかい棒はあるけれども、寸が足らぬ。それに御厄介になる段階ではもうやっていけないと、こういう安定の価格なんだな。一方、今度は必要資材の方は、それは何らか規制があるけれども、これはとても農民に手の届かぬようなところについていく。具体的に言うと、繭糸価格で言うと、たとえば繭糸価格に基準価格が出た、ところが横浜の取引所では、政府が金を突っ込んで守ろうとする価格以下で取引を平気でさしておる。こんなことじゃ、ざるに水をかけているようなものですよ。下値のときはそうなんだ。ところが上値に行くというと、上値の方はどんぴしゃりとこうすぐ手が打たれる。だから、こういうあり方には、農民が全く不信を抱いておるわけですよ。いま少しこういう点なんかは、ほんとうにその制度の目的に合ったような運営をしなきゃならぬし、精神のこもった運営をやっていかなきゃならぬ、このように思うわけです。
 次に移りますが、次に水の問題について少し聞いてみたいと思うのですが、ことしも大変用排水の問題で、予算は莫大にあり、国営の継続の事業、あるいは新規採沢の事業もあるようでありますけれども、これからやる用水の問題は、主としてどういう目的で国営の用水工事をおやりになるのですか。
#48
○政府委員(大山一生君) 今後の用水問題に対する基盤整備におきまする物の考え方でございますが、全体的にいたしまして、水田転用といいますか、等によりまして、田におきます需要というものは減ってまいるということはあるわけでございます。しかしながら、畑灌等におきまして、高度の技術とともにさらに水が要る。さらに飼料等におきます飲雑用等も要るというようなことから、現在たしか五百五十万トン程度の農業用の水が必要であったと考えておりますが、土地改良長期計画をつくりました場合に、約八十万トンほどさらに要ることになるだろう、こういうふうに見ているわけでございます。
 そこで、われわれといたしましては、そのために必要なダムをつくるといったようなことによって、その水の確保を図ってまいるということが第一点でございます。それから、第二点は、現在ございます水利権等におきまして、末端におきます水の需要というものにつきまして、それが他用途と競合するといいますか、農業用と他用途の調整を要するようなものがあるわけでございます。こういう問題につきましては、これの合理的な配分といいますか、そのための用排水施設をつくってまいるということが第二点でございます。それから、第三点といたしましては、現在地下水に依存しているような地帯におきまして、それがところによっては、地盤沈下等へ影響を持っているようなところもある、こういうようなところにおきましては、これは極力地表水に切りかえる、そのための水源施設も含めて整備してまいる、こういうふうな三つのことを基本にいたしまして水施策を講じてまいりたいというふうに考えるわけであります。
#49
○栗原俊夫君 われわれ、これはきわめて俗っぽい考え方なんですが、水田の新規開発は、米の生産調整までやっている段階では、これは前へ進むはずはない。やるならば既設田の補給水をどうするかという問題で、いまおっしゃった畑灌の問題等々だと思うのですけれども、どうもずっと眺めておると、初めに申しました、農民から土地を奪い、水を奪い、人間を奪うという今日までの農政の中の一つをやっているように思えてならぬのですよ。私も群馬では、鏑川用水、群馬用水、二つの国営をやりました。ずいぶん私は抵抗した方です、これは。だましのある用水だぞと、農用水と銘打って工業用水に持っていく、これはでたらめなんだと言って。いろいろ経緯があった中で、具体的にはやったのですけれども、現実には農用水にならぬのですよ。
 第一、当時、農用水の負担金の徴収について、国営部分には利用した翌年から徴収を始めると、こういうことだった。それならば国営に付属する県営段階、その下に付属する団体営、これが国営ができ上がった時点にくつわをそろえて一せいに受益が開始されるような計画がなければ、こんなものは全くでたらめな青写真なんです。ところが現実には、全然県営も、団体営も準備されずに国営でやっているでしょう。現在やっているのは全部それに付属する受益面積で、国営幹線ができたときに、一せいに受益が始まるような計画と工事が具体的に進んでおりますか、進んでおらぬでしょう。進んでおらぬままにやっておる。そうして、その後において開田は必要がない、こういうことになる。農民は利用しない負担金なんか払えませんよ。払わなければ肩がわりする。肩がわりをすれば、肩がわったやつが使うと、こういうことになるわけなんです。
 きのうも久方ぶりで土地改良法を読んで見た、しっかりと。国営の負担金はまず県で徴収する。県が町村で徴収する。肩がわりができるようにちゃんと初めからこれは仕組んであるわい。ということは、農用水という名前でなければ水利権がもらえない。そうして、また導水路も農民の仲間のことだからといって、導水路に農民はみんな同意をしているのです。初めから工業用水なんだといえば、水利権なんかは問題にならぬ、導水路なんかは一メートルも通れない。こういう中で、あたかも農用水のごとく装って、工業用水をやろうとしておるとしか思えない、こういうことなんです。
 具体的にたとえば群馬の鏑川用水、群馬用水ができ上がってもう何年になりますか、どれだけの受益面積から金が徴収されておるか、そして具体的に農用水として使われておるか、説明ができますか。これはちょっと事前に言ってないからそこへ資料を持ってきておらぬかもわからぬけれども、せめて愛知用水とかああいうものが一体本当に――初め受益面積について皆さんが説明をし、そして具体的に今日どうなっておるか。実態的には農用水でなくって工業用水にみんな持っていかれておる。こういうあり方について、ひとつ農林大臣もしっかりと考えてもらいたい。初めから工業用水は工業用水として打ち出すべきですよ。農民に農用水のごとくカムフラージュをしてかぶせて、銭が払えないから肩がわりして工業用水にするのだ、こういう形なんです、現実は。そういうでたらめやっちゃいけませんよ、これは。ひとつこの点について農林大臣どうですか、その辺。
#50
○政府委員(大山一生君) 鏑川につきましては、資料を持っておりませんが、愛知用水の話が出ましたのでちょっと申しますと、確かに愛知用水は当初たしか三万三千ヘクタールで毎秒三十トンの水ということで、当初から上水道、工業用水合わせてアロケートする中であの事業が発足したはずでございます。確かに、その後いわば知多半島におきます臨海工業地帯ができるとともにそれへの水の需要がふえたことは確かでございます。しかし、そのために、一方農業用水につきましては、当時の受益地区の中で三万ヘクタールといわれた中で、農民のほうで知多受益地区から排除といいますか、地区外に去った者もございます。したがって、現在はたしか二万ヘクタール程度になっているのじゃないかというふうに思うわけでございますが、やはり産業、地域の変貌、都市の近郊であるというようなこともございまして、やはり条件が逐次変わってまいるという中におきまして、あすこの二万ヘクタールほどある農地に対する水は十分にいまでも確保されているというふうにわれわれは考えているわけでございます。確かに反当負担金をたしか三万円程度だったと思いましたけれども、二十年間三万円程度の負担金を、毎年三千円だったですか、反当。反当負担金を三千円払うことの関係におきまして、上水道特別会計に、農民負担分を減らす――軽減のために上水道に県の負担をしてもらったことは確かでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、あのときできました毎年三千円という負担金、これが現在においても維持されているというかっこうにおいて、あの多目的な中身の変化がある中において、愛知用水の中における農民用の水というものは十分に確保され、そしてまた、農民負担金の軽減にも役立ったというふうに考えているわけでございます。しかし、三十トン断面があるならば、そして三十トンの権利があるならば、その水を他に有効に使うならば、それなりにアロケートする中で負担してもらうということであるならば、これはそれなりに意味があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#51
○栗原俊夫君 これは農業に対して水というのは単に水田ばかりでなくって畑地灌水に非常に重要なものであるということを私は自分で経験してよく知っておる。私が初めて群馬の県会に出たときに、自分でたんぼでなくて畑地に井戸を掘って水をかける。このことによって養蚕地帯であっても夏場に樹木がばてない。したがって、バイラスも発生しない。また、その他の畑作をやっても、たとえば結球白菜をまくのに、八月二十日がしゅんだというときに、砂ぼこりの立つところへ種をまいて、そこへ畑地灌水することによって、一貫目以上の結球がりっぱにできる。まさに畑地灌水がいかに水田とはまた別個に農業に必要なものであるかということをよく知っています。したがって、単に農民が水は水田だけだということでなくって、畑灌がいかに重要かということを農民に徹底することによって、農民の持っておる水利権というものを、農民がぼやぼやしておる間に工業用水等々に奪い去ることは、少なくとも農林省で徹底的に防衛してもらわなきゃならぬ、このように思います。
 この点はこのくらいにいたしまして、時間もございませんので、いま一つ。これは具体的な問題でお尋ねしますが、非常に土地が高値になってきて農民が土地を手放すということの中で、農業協同組合がこれでは見ておられぬということで、何とか農民の土地の手放しを農民の手の中でひとつ食いとめようということで「くみあい開発協会」というものを群馬ではつくりました。これは農協関係の部局で直接やっておるのじゃないと思います。なぜかなれば、これは具体的には民法の公益法人として、許可官庁は知事がやっております。しかし、これがなかなか大変な問題を起こしました。それは単に農協だけでなくって、地方自治体も先行取得ということで開発協会というものをつくって、先般も滋賀県で先行取得をやった問題でいろいろのことが新聞等に報道される。これは単に表へあらわれたところばかりでなくって、群馬県だけでなしに、各地の県段階の農協にあるのかと思いますけれども、組織は知事が許可して民法上の公益法人で、農住都市をつくるということで、農民から農地を買い上げ宅造もやる。これは、農協五連並びに県下の各単協が出資してできておる協会です。ところが、これが県内ばかりでなくて県外へ手を出して、事もあろうに札幌のど真ん中へまで手を出して、伝えられるところによると、時価八十万円のものを二百三十万円で買い込んだと。こういうことで、いま業務上横領等の問題で関係した副会長、常務理事、そして事務局長等が逮捕されて当局の調べを受けているわけなんですけれども、これは無論その協会自体は県知事が許可したものですけれども、出資はすべて農協出資です。そして農協の事業の一翼としてやっておると思うのですが、そうしたことについて農協関係の方は御存じでしょうか。大臣は、これは無論まだ知っておらぬと思いますけれども。――見えておりませんか。
#52
○国務大臣(安倍晋太郎君) いまの問題、私も詳細に知りませんが、しかし県から早速報告を求めたいと思っておりますし、農協は本来農民のためにあるべき農協でなければならぬわけでございまして、その資金の運用につきましては、違法であるとか違法でないとかいう問題以上に、やはりこれは農民の利益というものを中心に適正に運営されるべきであろうと思うし、それに対して農林省としても監査、検査制度も活用し、さらに指導等もやっていかなければならぬものであると、私はそういうふうに思っております。その具体的な問題は至急にひとつ報告をいたさせます。
#53
○栗原俊夫君 これは直接の関係がないと言えば関係ないかもしれませんが、やはり何といっても全農民の経済の中心点である農協、県段階が五連並びに各単協が集まって――土地はあるんですよ。土地はあるんですけれども、大体信連から引き出した金が現在その持ち土地と見合って九十六億円と、こう言うんです。いま急遽処分しようとすると最低三十億、ぼやぼやしておると四十億に近い差額が出るだろうと、こういう心配されております。したがって、関係農民はおれたちに被害がかかってくるのではないかということで大変心配しており、したがって、そういうでたらめな農協ならばというようなことで、信用部分に対する不信感から取りつけというようなことも起こりかねない。こういうような問題ですから、これらについてはやはりしっかりと指導をして、監督指導といいますか、やっていただきたい、このように思います。
 それから、最後に再び初めに戻るわけですけれども、何といっても農業は確かに一大転換を要請される段階に来たと思います。特に、具体的には農民が経済的に行き詰まっており、大きく言えば、食糧問題が危機に来ておると、こういうことだと思います。いつも、私、素人考えに考えるけれども、世界的に人口の増加と食糧生産手段というものはアンバランスしている。全体的には不足の方向へこれは当然向かう。しかも、いろいろ雑誌等を見ると、第何期氷河期に入りつつあって、大変な天候異変から不作になる。そのはしりが七二年に出たというようなことも言われておりますが、とにかく食糧問題が起これば、これはもう大変なことになると思うんですよ。私は、独立の基本的な条件は、食糧自給だと。幾ら自衛隊がおっても、食い物がなければ、これは生きていけないんですから、食糧自給というものをしっかり立ててもらいたい。そういう意味合いで再び逆戻りいたしますけれども、食糧は、銭さえあればいつでも、どこからでも買えるという発想のもとでできておる現在の農業基本法は、やはり洗い直すべきだと。やはり食糧自給というものを大黒柱に据え、そして食糧自給というものは国の基礎産業である、したがって、これには財政支出を惜しまないという姿勢をとるべき農政を確立してほしい。さらに、これに関連した必須資材である肥料会社、あるいはえさ会社、農薬、農機具会社等々は、やはりこの基本法によって一つの枠内にはめて食糧自給農政というものを確立していく。こういうことをぜひとも打ち立ててもらいたい、このように思うわけです。
 さらに、こういうことになりますと、いろいろと生産物の価格の問題、あるいは必需物資の価格の問題等々について、農民の意見等も反映させなければなりません。もちろん、今日農民の経済の集合体として農協が全農民を結集しておりますけれども、こうした問題については、ある限界があると思うんです。これはどうしても、政府から何らかの形で補助をもらっておる団体では、本格的な折衝をするのに限界ができる。そこで、まあ私たちは常に思うんですが、私は、農民組合というものにいま所属しておりますけれども、これは任意組合です。したがって、農民組合と言うと、少しアレルギー反応も一般からは出る。そこで、だれからもそういう感情のない農民組織法的なものをつくって、そして農民の団結権、団体交渉権、言うならば労働組合と対置できるようなものにする。こういうものが必要だと思うんですけれども、そういう考え方について大臣はどのようにお考えですか。
#54
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先生のおっしゃいました前段につきまして、これからの農政につきまして、自給力を高めていくということを中心の課題にして、生産基盤の充実をはかるとともに、価格政策についても大いに意を注げということにつきましては、私も全く同感でございまして、これらの問題につきましても、今後とも最大にひとつ努力をしていきたいと思いますし、国民的な食糧に対する関心も、さらにひとつわれわれも努力をして、これが強まり、そしてやはり国内において日給体制をつくっていく。それに対しては財政的にもこれに対する十分な裏打ちができるというふうな国民の支持体制というものができることを非常に期待をしておるわけでございますし、私らもそういう方向に努力をしたいと思うわけでございます。同時にまた、今日までの農業関係法規につきましては、いろいろとずいぶん昔からできておる法律もあるわけでございますし、ずいぶんたくさんあるわけでございますが、こうした関係法規につきましては、これからの新しい農政を出発する立場に立てば、いろいろとこれは研究をする段階にも入ってきているということは、私もそういうふうに思っておるわけでございますが、最後におっしゃいました農民の団結権といいますか、ストライキ権といいますか……。
#55
○栗原俊夫君 団体交渉権。
#56
○国務大臣(安倍晋太郎君) 団体交渉権につきましては、今日の農業社会におきまして、そういうものはちょっと私はなじまないのじゃないだろうかと思うわけでございまして、やはり農民の多様な要求といいますか、そういうものをやはり誠実にこれを一つ一つ農政の中に組み入れていくということが大事じゃないだろうかと、私はそういうふうに思っておるわけでございます。
#57
○栗原俊夫君 まあ、きょうはきわめて雑駁な質問で、必ずしもまとまりはありませんけれども、農林大臣の攻める農政に大いに期待しながら、今後もわれわれもしっかりと鞭撻監視しながら、協力も惜しみません。しっかりがんばっていただきたいと希望いたしまして、質問を終わります。
#58
○相沢武彦君 さきの委員会で農林大臣の所信表明をお伺いいたしました。農業を取り巻く情勢につきましては、一つには世界的な食糧事情の変化があり、特に穀物等の国際需給が今後楽観を許されない状況にあるということ、またわが国農業の現状について農業労働力の脆弱化また地価の高騰、兼業の増大等むずかしい問題に直面している。こういう認識に立ちまして、食糧政策の基本方向として、将来にわたる食糧の安定供給を確保する体制を整備することが農政の中心課題である。このように表明されておる。この認識については、私どもも同感でございます。しかしながら、具体的な農業政策の転換、また五十年度の農林水産関係予算全般について、一言で申しますと、高度成長経済下のもとで破壊された農林漁業、こういうものを今後の低成長の時代、安定成長のもとでどのように位置づけ、立て直すのか、こういうことが問われておるにもかかわらず、いわゆる従来言われてきた場当たり政策、場当たり行政というものの延長にすぎないんじゃないかと、こういう感想を率直に申し上げざるを得ません。
 五十年度予算につきまして、食糧自給の見通し、あるいは農業基本法の見直しとか、食管会計あるいは林業、漁業の振興、こういった基本問題につきましては、次回の委員会で、原田委員の方から質問をされると思いますので、私は、特に土地改良事業費に関する問題と、近々に対策をいま要望されていますソ連漁船団による沿岸漁民の被害問題、これに限りまして本日は質問したいと、こう思います。
 大臣、所信表明の「国内生産の強化」の中で、農業生産基盤の整備として「必要な土地及び水資源を確保し、これを良好な状態に整備するとともに、高度に利用」することが必要である、こういうことから、予算では三千五百九十五億円を計上しているわけでありますが、その中の一つとして土地改良事業の推進として二千八百二十五億二千七百十九万円を計上されております。これはどういう見地に基づいて計上されたのか、見解をまず伺いたいと思います。簡単でけっこうです。
#59
○国務大臣(安倍晋太郎君) やはりこれからの農業を発展強化さしていくためにはいまお話もございましたし、私も申し述べましたように、土地を良好な状態において確保してこれを高度に利用していく、特に日本の場合は、資源的な制約が非常に大きいわけですから、高度に利用していくということは非常に大事じゃないかと思うわけでございます。そういう見地に立ちまして基盤整備関係の予算さらに土地改良関係につきましても、もろもろの予算を計上したわけでございまして、特に私たちは土地の高度な利用につきましては、いま取り残されておるところのいわゆる裏作の利用ということに対して大きなウエートを置いておりまして、これに対してひとつ今後とも重点を置いて施策を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#60
○相沢武彦君 農業生産基盤の整備として基幹農業用の用排水施設の整備とか畑地帯総合整備あるいは農用地の開発、農村の総合的整備、こういった施策及びいまお伺いしたような土地改良事業の推進ということは現在わが国の置かれている食糧問題の上から当然必要なことだろうと思いますし、今回の農業予算も、過去のわが国の農業の政策から見れば、一応前進だという評価も与えられる点があると思います。が、ひとつ今回特に強調しておきたい問題としてお伺いしたいのですが、いわゆる将来にわたる食糧不足そして国内における自給度の向上、こういったことを考えましたときに、現在までの農地、耕作地は化学肥料を非常に使い過ぎたということで荒廃が進行している。農林当局としてこの農地の荒廃という点については一体実態をどの程度把握されているのか、この点についてまず御説明いただきたい。
#61
○政府委員(松元威雄君) ただいまの御質問でございますが、化学肥料を重点に農業をやった、その結果土壌が荒廃しているのじゃないか、その実態はどうかという御質問かと存ずるわけでございますが、私どもまず農地の土壌の性質の実態を把握するためにいまいろいろと施策を講じているわけでございます。そのために、まず実態把握のために各都道府県に助成をいたしまして全国的なペースで地力及び土壌生産力の阻害要因、これらを把握する地力保全調査というのをずっと十数年間やってきておるわけでございます。したがいましてそれによりまして土壌の地力の状態はどうか、それからどこに欠陥があるかということをこれを地図につくりまして、いわば今後の地力保全事業の基礎資料に使うということで把握をいたしたわけでございますが、最近の土壌に対する化学肥料及び有機質肥料の施用状況、これを見てまいりますと、化学肥料の施用量はこれは増加をいたしておるわけでございますが、堆厩肥、稲わら、こういった有機質の施用量は年々減少をいたしておるわけでございます。もちろん農業生産のためには、これは化学肥料も必要でございますし、有機質両方が必要である。どちらか一方に偏するわけにはまいらぬわけでございます。しかし、有機質肥料が減少するということ、これは確かに今後の地力にとって大きな問題で、これを放置しますと、先々地力の低下も懸念されるという事態にあるわけでございます。
 そこで有機質肥料の減少の動向を見ますと、たとえば堆厩肥は水田について見ますると、昭和三十年に比べまして四十八年では半減いたしておるわけでございます。他方、それに対しまして、われわれといたしましては稲わらを使うということを堆奨してまいったわけでございますけれども、その結果多少ふえてまいりましたが、しかし、堆厩肥、わら全体あわせましても、三十年から四十年にかけまして三八%有機質の投下量は減っているわけでございます。
 しからばこれが一体土壌にどういう影響を与えるか。ただいま荒廃という御指摘があったわけでございますが、いわゆる土地が荒れて、もうどうにもならぬという状態にこれは必ずしもなるわけではないわけでございますが、ただし、有機質肥料が減りますと、いろいろ弊害がございます。水田の場合でございますと、これは灌漑水によりまして土壌の養分が供給されますし、また湛水土壌中の微生物によりまして地力窒素が蓄積される、こういったことがございます。したがって、水田の場合でございますと、目に見えた地力の低下というものはなかなか起こりにくい。したがいまして、直ちに収量が減少するというふうにはなかなかならぬわけでございます。しかしながら冷害年、こういった不良な条件のもとでは悪影響がございますから、やはり長い目で見まして、水稲の安定した生産確保のためには有機物の施用が必要であるというふうに考えておるわけでございます。
 それから畑の場合でございますと、これは水田とは違いまして、自然に地力が付加するという現象はございません。したがいまして地力は絶えず低下をし続ける方向にございます。したがいまして有機質が減りますれば土壌構造が悪化する、土壌の保水力が下がる、こういった土壌の物理的性質が悪化いたしますほか、土壌の化学的な成分にアンバランスが起こる。また連作障害も起こるということで、有機質が減りますればいろいろと弊害が生じてくるわけでございます。したがって私ども、こういった有機質肥料の投下の減少に伴う地力の低下というものに十分注意を払いまして、極力有機質肥料が投下されるようにということでいろいろ施策も講じているわけでございますが、まあ大づかみで申しますと、そういった実態にございます。
#62
○相沢武彦君 農林当局のほうは十数年前からそういった対策を立てられているということですが、全国的に見た場合、これは非常にまだまだ弱い対策で、やはり全般的に見て地力の低下というものはもう覆うべくもない。大変、技術改良、あるいは化学肥料投下、農薬の使用、こういったことで非常に生産は上がってきたわけですけれども、それにあわせて、やはりよほど将来展望に立ってこの地力の低下に対する、特に有機質肥料の投入ということを計画的に実行しないと、非常に最高のところまで増産体制がいった、収穫が上がった。ところが、ある一定限度まできたら一挙に収穫減になってしまう。こういう極端な現象が将来あらわれるのじゃないかというように専門学者の中から非常に憂慮すべき研究発表等も出ているわけです。
 私どもがおります北海道の場合ですけれども、特にここは冷害地でありますので、その事実というものが早くあらわれていると思いますけれども、反収減あるいは病虫害、冷水害に対する抵抗力不足、こういったものは徐々にあらわれているわけで、特に北農中央会とか、あるいは北連、こういった農業団体の人たちが、いわゆる土地づくり運動というものに対して非常に積極的に取り組み始めをしているわけですけれども、いずれやはりこれは日本全体の農耕地の問題として、本腰を入れてかからなければ大変なことになるということを、いまから私どもは強く訴えなければならないし、農林当局も本腰を入れてかかってもらわなければ大変なことになると思うので申し上げるわけでございます。
 先ほど大臣も、農地を高度に利用するということをおっしゃいましたけれども、肝心の農地が使いものにならなくなってしまっちゃ何にもならないわけでありまして、政府は新しい耕地の開拓、こういったことももちろん取り組んでいただきたいし、大切なことでありますけれども、まず従来の耕作地の地力の培養、こういう点についてもっともっと真剣な取り組みが必要だと思うのです。
 大臣、こういう言葉を知っておりますか。身上不二――身、それから土というのは土ですけれども、これは健康医学の権威者で、黒岩東五さんという方が言われているのです。身と土とは二つにあらず一体だというものです。要するに土が死亡したらそこに住んでいる人間も死亡するということだと思うし、それからまた、いわゆる食糧という問題から考えたときに、この方の研究によりますと、人間の健康にとって、食物との関係を考えた場合に、その土地に生産された食物をとることがその土地に住んでいる人の健康にとって一番順応し、健康状態にいいという、こういう長年にわたる研究の結果の主張をしているわけです。これについては、またいろんな反対、あるいはまた別な意見の学者の方もいらっしゃるかと思いますけれども、一面真理をあらわしているのではないかと思うのです。ですから、そこで、その地域でとれるいわゆる主食、穀物、野菜、あるいはその地域の沿岸海からとれる魚、こういったものを食生活にふんだんに使用することが、やはりこの日本の国土に長年住んできた、先祖から今日まで住んできた私たち日本人のいわゆる健康、生命維持、こういうものに一番密接な関係があるんだ、こういうことをこの方は主張されているわけであります。
 いま日本が置かれたこの立場というのは、何回もここでも議論されていますように、いわゆる世界的な食糧不足、あるいは世界的な気象条件の変化、悪化、また、戦略的に食糧というものが使われる。そうした場合に、確かに現在の一億一千万の人間、あるいは将来、この人口は多少増加するでしょう。――そうしたときに、この日本の全人口を養わなければならない。ところが、日本の国内での食糧で賄うことは、これはとうてい不可能であります。しかしながら、やはり国民の生命、健康を維持するためには、できる限りこの国内の生産を高め、自給度を堅持して、向上させて、それで食糧というものの安定供給を図っていこうという、こういうやはり強い決意、これが必要だと思うし、そのためにも、現在耕作されている農耕地、この地力の低下は絶対防がなきゃならない。こういう観点に立つわけでありますが、これに対して大臣ひとつ御見解を承りたいと思います。
#63
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本の限られた国土の中におきましてわが国の自給力を高めていくしという、そのために、いまお話がございましたように、土地の生産性を大いに高めていかなきゃならぬわけでございますが、それにつけましても、やはり、いまお話がありましたように、地力の培養といいますか、保全ということが非常に大事なことじゃないかと思うわけでありまして、確かに最近の農業における肥料の状態を見ておりますと、化学肥料がだんだんウエートが大きくなって、有機質の肥料がウエートが少なくなっておる。こういうことでございまして、私たちもこの実態把握は、いま局長も答弁いたしましたように、年々これを確実につかむとともに、地力の培養、土壌の改良のためにはあらゆる力を注いでいかなければならぬと思うわけでありまして、いま御指摘がありましたように、やはり土地の地力を保全をし、これを培養していくということがこれからの土地の生産性を高める上において最も大事なことではないだろうか。これに対してひとつ総力を挙げて取り組んでいきたいと思うわけであります。
#64
○相沢武彦君 予算書を見ますと、地力保全対策診断事業に本年は八千四百七十六万四千円計上されているわけでありますが、お聞きしますと、農業改良普及所に分析機器、機材を置いて五、六年前から検査を依頼してやっている。こういうことでありますけれども、これまで私が申しました主張からして、この程度の予算額では、いわゆる正確な、厳密な土壌の分析というものを、全国的にわたってそういった土壌の分析地図といいますか、そういうものをつくり上げるためには足りないんじゃないか。いままでつくられたのは本当のごく一部だと思うし、本当にその地域に一体どういう肥料をどれだけの量を入れれば回復できるのかというようなところまでできているのかどうか、はなはだ疑問に思うわけであります。それで、もう少しこの地力保全対策診断事業に力を入れるべきだし、また地域によっては非常に農業協同組合も力を入れているわけでありますので、政府の事業だけでやれというと、非常にこれまた人の確保で大変なことだと思いますので、やはり農協の中にもそういった部門、いわゆる耕地管理部、こういうものをつくってもらう。相協力して早急にやはり地質の点検、こういうものを進めなきゃならないんじゃないか。そうしてやはり全国にわたってこの耕作地の地質の改良基準表というようなものをひとつつくって行っていかなけりゃならないと思うんです。でないと、現地に行っていろいろ聞きますと、農協のほうからいわゆる耕作面積に合わせて一律に化学肥料が渡される、これを投入しているというところがほとんどです。もっともっときめ細かく土壌の改良基準というものをつくった上で、それに応じたやはり有機肥料の補給というものが必要じゃないかと思います。
 それから、先ほどの局長のお話になりますけれども、堆肥で見ると、三十年度に比べて約半減をしているというんですが、これについてももう少し工夫をする余地があるんじゃないかと思うんです。
 そこでお伺いしたいんですけれども、一つは、昔は堆肥づくりに奨励金を出したこともある、こう聞いているんですが、やはりここで大事な耕作地の土壌改良のために、堆肥づくりに対する奨励金、こういった考えは将来お考えになるのかどうか。
 それから、西ドイツ等でやっているそうですが、都市のごみ処理を非常に利用しているそうですね。都市から農村へ運んで、そこで堆肥づくりをするわけですけれども、運搬賃が非常に問題になります。そこで、農村から都会へ運ぶ野菜類、こういったものを運ぶ帰りのトラックを利用して農村へまた、出たごみあるいは野菜くず、そういったごみ等を運んで来る。そうして共同堆肥場でそれを堆肥につくるというようなことも、地域によってはやっているという話を聞いておりますが、やはりそういったことも参考にして指導をする必要があるんじゃないか、こういうふうに思いますが、その点についての御意見を……。
#65
○政府委員(松元威雄君) ただいま先生の御指摘の論点、三つ、四つあろうかと存ずるわけでございますが、第一は、地力の実態を調査、把握するという問題。これにつきましては、私先ほど、過去十数年にわたりまして全国ベースで調査をしてまいったというふうに申し上げたわけでございますが、確かに基本的な調査、そのマップはできたわけでございますが、もちろんいわば精度と申しますか精密の度合いがいろいろございます。したがって、また基礎的調査をいたしたい、これが第一段階でございます。次には、今度は普及所に診断施設を設けまして、これは普及所が全国で六百三十カ所ございますが、現在までに四百三十カ所すでに設置いたしておりますが、年次計画をもちまして普及所に診断施設を設置いたしまして、それでいわば処方せんを書くと、そういったこともいたしております。こういった基礎的なことをいたしたわけでございます。もちろん、それでもさらに、とても一筆一筆までそう調査するわけにまいりませんものですから、ある程度きめが荒くなるという点はあるわけでございます。したがいまして、さらに農協のほうでもっと簡単な診断所と申しますか、いわば基礎的な調査、診断というのは試験場あるいは普及所でやり、もっと狭い範囲のいわば診断は農協でやる。その辺お互いにタイアップしてやる。私、そういう方向でやったらよろしいかと思いまして、そういった試験場、普及所、農協というのが全く一体になりまして、土壌の正確な実態把握と診断をやるということを進めてまいっておるわけでございます。問題は、そうやって診断いたしましても、具体的にそのものの地力培養事業が実行されなければいかぬわけでございます。したがって、たとえばもちろん熔燐とか炭カルを入れるというようなこともしなければならないと同時に、問題は有機質の投下が要る。これは何と申しましても、基本的にはやはり労力が減っているというのがあるわけでございます。昔は個々の農家の方々がみずから堆肥づくり、厩肥づくりをやったわけでございますが、労力がなくなりましてなかなか個々の農家でやりにくい。この現実をどうやってカバーしていくかということが問題であろうかと思うわけでございます。
 ただいま堆肥の奨励金のお話が出たわけでございますが、本来営農として農家がやることに対しまして個別に奨励金というのはなかなかむずかしい問題があろう。それよりも、個々の農家ではなかなかできないので、したがって集団的にやれないだろうかということが一つ。もう一つは、その場合なるべく簡単な機械を使いまして、簡単な堆厩肥づくりの製造ができないだろうかということ。この二つをうまく組み合わせれば、いわば個々の農家でできないことを代替できるという問題があるわけでございます。したがいまして、いままでもたとえば畜産農家と畑作農家が結びついて、そこでお互いに畜産の廃棄物を有効に畑地に還元するとか、そういったモデル事業もやってまいりました。さらに四十九年から実験でやっておりますが、水田におきまして、農家が集まって集団をつくりまして、簡単なたとえばマニアローダーというような機械を使いまして堆厩肥を製造する、それで散布する。こういったモデル実験事業も始めております。こういったことで共同でやるということをさらに芽を育ててまいりたい。目下モデル事業なんかでございますが、これが定着しますればどんどん普及していくんじゃなかろうか。そういった事業も手がけております。さらに五十年度から新規でございますが、いま申しました水田のモデル事業を大幅に拡充いたしますと同時に、畑地帯につきましても、いろんなかっこうの地力培養の、いわば実験事業を開始しまして、それらを拠点として展示効果を広げてまいりたいということでかなり力を注いでやっているつもりでございます。
 さらに、御指摘の都市のいわば廃棄物の有効利用、これも一つの考えでございまして、確かに厚生省のほうでもそういった考えがございまして、いろいろ検討しているわけでございますが、なかなか現状ではその区分がむずかしいのでございまして、いろんなのが込みで廃棄されますと、なかなかいい有機物を取り出しにくい。それを選別から始めまして、何らか有効にこれを使うすべはないであろうかというように考えておりまして、たとえば先般土壌を守る会議でございますか、そういうことばの提言もございまして、都市の廃棄物を有効に使う方法を検討せよということもございまして、それらを含めましてより有効な方法をさらに開発を進めてまいりたい。要は個々の農家ではなかなか労力上できにくくなっているものをいかにカバーしていくか、集団とか機械とか、そういったものでカバーするか、ということにつきましていろいろと工夫をこらしておりますが、さらにこれを今後とも一段と充実させてまいりたいと考えている次第でございます。
#66
○相沢武彦君 いずれにしても、これはどうしてもやらなきゃならないことです。しかし、これまでの化学肥料を主体にしてやってきた農家の人たちにすれば、非常にめんどくさい労力と時間がかかるわけでして、そうしながら土地をよくし、生産された生産物が自分たちの労力に値するだけの価格になればいいけれども、価格で報いられないというと、これはかけ声だけで、とてもやる人がいなくなってしまう。したがって、日本国民の食糧安定確保、国内の生産を高める、増収を図る、そのためにどうしても土地の改良をやらなきゃならない、地質の維持、培養を図らなければならない。そのために堆肥はどうしても必要だ。いろんな工夫はする。しかし、いままでよりは労力はかかる、労力はかかるけれども、報いられるというものがなきゃならない。そのためにやはりどうしても価格対策というものが考えられなきゃならないと思うんですが、米以外の主要農産物についても価格の保証制度というものへやはり将来踏み切らなければならないと思いますが、この点関連させて、ひとつ大臣、主要農産物についての価格保証制度についてのお考えについて御答弁いただきたい。
#67
○国務大臣(安倍晋太郎君) いまの土壌の改良、地力の培養といった問題は、これからの生産性を高めていく上におきましても、非常に大事な農政上の課題であるわけでありまして、今後ともひとつ力を注いでまいりたいと思うわけでございます。確かにいまお話がございましたように、たとえば有機物によるところの肥料を確保してこれを使っていくという上におきましても、労働力の問題等もございまして、なかなか隘路があるわけでございますが、これはやはり集団的な組織をつくるとか、いま局長が言いましたようなそういう方向によれば、この隘路の解決もできないこともないと思いますので、これはひとつ私も前向きに取り組んで、今後の一つのやらなければならない問題点だと心得て、ひとつ努力していきたいと思うわけであります。
 それから農産物の価格の問題でございますが、これは御存じのように、米以外、いろいろと価格の体系が違っておるわけでございまして、生産費所得補償方式がありますし、あるいはまあパリティ計算といったような方式もありますし、いろいろと農産物によりましてこの価格体系が違っておるわけでございます。これはやはり農産物それぞれの生産と流通の事情が違っておるという面もあるわけでありますし、農産物の特殊性というのもあるわけでございまして、一概に私は、価格体系を一本にしてやれと、こういう御議論もあるわけでございますが、今日の段階においては、それぞれの農産物に適した価格体系をとっていくと。そういう中にあって、それぞれの価格政策は今後とも充実をしていかなきゃならぬもんだと、そういうふうに思っておるわけでございまして、価格政策全体としてはこれを前進させるといいますか、改善をしていかなきゃならぬと思いますが、これを一つの価格体系にまとめていくということはなかなか困難であるわけでございます。
#68
○相沢武彦君 その問題、また次の機会にでも御質問させていただきたいと思いますが、続いて、ソ連漁船団による沿岸漁民の被害問題につきましてお尋ねをしたいと思います。
 昨年十月二十九日の農林水産委員会でも私この問題を取り上げまして、九月、十月にかけて北海道の広尾沖、日高沿岸で起きた被害問題を取り上げまして、水産庁――農林省からソ連に厳重な抗議を申し込むように、また、公海上であっても操業に一定のルールをもって行うように、また操業協定を早急に取り交わしが実現できるようにということを質問を通して要望をしたわけでありますが、今年に入りまして昨年を上回るいま各地で被害が起きている。再びこの委員会でこの問題を取り上げて申し述べなければならないことを非常に残念に思いながら質問をしているわけでございます。
 水産庁のほうからいただいた資料を見ますと、四十六年から四十九年までの漁船・漁具の被害額二億一千九百十八万円という数字が出ております。北海道から始まって東北、そして関東、最近は静岡の伊豆沖あるいは高知県土佐沖でも同じく被害が出ているということでありまして、しかも日を追ってこの被害額はふえているわけであります。特に今回の場合は、たった三ヵ月間で一億四千万からの被害が出ている。非常に被害の規模もふえてきております。大臣としてもまた水産庁長官としても、このソ連漁船団による日本近海操業の被害が起きないように本当に腹をくくって対処していかなきゃならないと思います。
 最初に漁具標識の問題でお尋ねしますけれども、水産庁が関係漁民に漁具標識をつけるように指導なさいました。一週間前に水産庁のある係の人がいらっしゃって、漁具標識をつけていればもうそんなに被害はありません、御心配ないんです、というようなことを言ってるんですけれども、これは十月の時点で浮標灯つけたって役に立ってなかった。今回も、標識浮き具、そういうものを無視してトロール船がどんどん、日本の漁民が施設をしている網目がけてやってくる。こういうことで、さっぱり効果がないわけですけれども、水産庁長官は、これはあれですか、ソ連側ときちっと漁具標識をつけた場合には、それを避けて通らせますという確約に基づいて、漁業関係者に漁具標識をつけるように指導なさってるんですか。
#69
○政府委員(内村良英君) 漁具標識の問題でございますが、先生御案内のように、四十九年に水産庁といたしましても補助金を出しまして、かなりの個所に、特に北海道が多いわけでございますが、漁具標識をつけたわけでございます。今回の場合、特に襟裳岬から西の地域につきましては、実は政府が、国が出しました補助金の漁具標識がつけてなかったわけでございます。と申しますのは、従来根室の沖から釧路の沖、あの辺ずっと来ておりましたので、あの辺を重点的につけたわけでございます。ところが、従来全く来なかった室蘭沖、苫小牧沖のほうへずっと入ってきたものでございますから、そこには、はっきり申しまして、政府の補助金でつくった漁具標識はなかったわけでございます。しかし、沿岸の人たちが自分の力でおつけになった標識がございまして、それがただ光がやや弱くて、特に、しけのときには十分効果を発揮しなかったというようなことがあったようでございます。
 それからなお、ソ連との間にその話がついているのかということでございますが、基本的には漁船に標識をつけるということについて、今後すみやかに協定を結ぶということで話はついているわけでございます。その場合に、それではその標識の明るさをどれくらいにするかとか、そういう問題については、これから協定の付属書で決定するということで、具体的には協定の審議の際に審議することになっておりまして、まだ具体的な措置は取りきめられてないというのが現状でございます。
#70
○相沢武彦君 北海道庁が昨年十一月、釧路沖から日高沖にかけて設置した漁網の位置を示す百二十一個の浮灯標、この場合は光達距離は七キロになってますが、これでさえもだめでして、二十九個壊されているわけですね。いま長官の御説明によると、政府の補助でつけた漁具標識の場合、まだ事故は起きてないというお話ですけれども、現地の訴えと食い違っておりますので、これは事実をもう一遍調査さしていただきたいと思います。漁民の人たちの声として、日本が刺し網を施設しているところは魚群が密集しているところじゃないかと、わざとねらってトロールを引いているというように思われてならぬ。サイレン鳴らして一斉にだあっと操業しているので、逃げなきゃぶつけられて、それこそ沈んでしまうという危機感から、網を置いたまま逃げて来なきゃならぬ、ずたずたにされてしまう。標識さえ無視して、そういうギャング的な操業といいますか、そういう無法なやり方をされるならば、標識に爆雷でも仕掛けて、ソ連船に被害が出るようになれば、少しは気をつけてくれるんじゃないか。どうも政府間の操業協定なんかいつ決まるのかわからぬし、決まったとしても守られるのかどうか当てにならぬと。こういう非常に過激な御意見を訴えてくる人たちもいまして、私たちとしては、とにかく日ソ友好をですね、ますます深めていかなきゃならないいま大事な時期なんだと。皆さん方の気持ちはわかるけれども、われわれも一生懸命訴えて政府を督励して早くそういう協定結ばしてそれを守らせるようにするので、ぜひそういう紛争は起こさないでほしいと。日本の全体の国益を守る、あるいはこれからの日ソ間の平和友好条約を結ばなきゃならない、そういった将来にわたっての重大な問題に支障を来たしちゃならぬ、ということで説得これ努めて、なだめているわけでありますけれども、こういった問題、もう少し厳しい認識を持っていただきたいと思うのですね。
 私、今回は特にソ連漁船団のトロール操業によって初めて被害を受けた渡島管内、ここをずっと、各漁業組合等歩いて実情を調査してきたんですけれども、まあ漁具の被害をソ連漁船団に補償させる、弁償させることは当然のことだと。しかしわれわれの被害というのは、網の被害というのはたしかに痛いけれども、その被害総額からすると、まあウエートは少ないほうなんだと、こう言うのです。何が被害かというと、要するにいまスケソウの好漁期ですが、この時期に沖に行って操業すればかなり水揚げがある。ところが網を張ったってまた押しかけられてずたずたにされるんじゃないか、事故があっちゃ困るということで操業を控えている。この休業の期間の水揚げ高がふいになるという、この額、それから乗組員を確保しなきゃならない。私聞いたんでは、大体月十三万円ぐらいは支給をしなきゃならぬ、こういった休業している間乗組員に払う報酬、こういったもの。それから底びき網によって海底に施設した根づけ漁業というものは根こそぎだめにされてしまう。何しろこんな太いロープですからね。ワイヤーの、それで引っ張るわけですから海庭の形がまるきり変わってしまう。あすこの噴火湾は、水産庁長官御承知だと思いますけれども、戦後一時底びき網の乱獲によって全く漁獲がなくなった。そこで非常に沿岸漁民が底びき網の大手の人たちとかなり激しい抗争をしまして、ともかくオッタートロール船は遠慮してもらう。そういうわけで分割操業といいますか、そういうお互いの話し合いでルールを設けて、そして沖合いに行ってもらった。そのあと一人一腹運動といって十年前から特に漁協の青年たちが稚魚を放流することを自分たちの手でやる、こういうことも言ってました。スケソウの子を、熟しているとボールに入れて海上へ持っていくと、指でかき回して入れるとどうもあんまりいい結果にならないので、何か鳥の羽で静かにかき回してやれば傷つかないんだというような――これは科学的な実証があるかないか知りませんけれども、いろいろと工夫し、気を配って少しでも漁業資源をふやそう、こういうことで、この十年間苦労して、ようやく漁業で食べていける、そういう沿岸漁業にしてきた。このスケソウの漁のあと、続いてカニ漁、エビ漁あるいはカレイ漁もありますが、ともかくこのまんまの状態で毎回同じようなことを繰り返されると、網の被害もさることながら、先ほど言ったように、行ってとればとれる漁業、漁獲高、これがふいになってしまう。それから遊ばしている乗組員にも給料払わなきゃもう二度と来てくれない、手不足になっちゃう、それで休業補償払っている。それから漁業資源が根こそぎやられるということと、根づけ漁業が海底まで引きずられちゃってだめになる。こういう被害を考えると大変な問題だと、死活問題です。そういったことで、この漁業組合の皆さん方のほうからは、せめて漁具被害についてだけでも、ソ連側と交渉して弁済されるまでの間政府が一時肩がわりができないのか、こういう声が出てきているわけですよ。これはこの間も御質問しましたけれどもこの点について何らか検討されましたか。
#71
○政府委員(内村良英君) 先ほどの、まず最初の私の答弁でちょっと十分申し上げなかったのであるいは誤解があるといけないと思いますので申し上げますが、根室沖等に補助金で標識をつけたわけでございます。ただ、これがどれぐらい壊れたか、壊れないかにつきましてはまだ詳細な情報持っておりません。
 それからただいまお話のございました損害の請求の問題でございますが、水産庁といたしましては、外務省を通じまして今回の被害につきましてもソ連側に、これだけの損害があったということで要求をしております。ただ、今日まで一件も解決をみないではないかということでございますが、なお私どもといたしましては今後この点については鋭意交渉したい。
 それから、ほかの国の例を見ますと、たとえばソ連とノルウェー、ソ連とアメリカ、ソ連とカナダ、ノルウェーとイギリスなどいろいろ各国に漁の相互協定がございます。ソ連とノルウェーのケースなどを調べてみたわけでございますが、協定ができる前は一件も支払いがなかったわけでございます。協定ができてからノルウェーの情報によれば約四割ぐらい問題が片づきつつある。アメリカもこれは協定が発効して間まないわけでございますけれども、ある程度片づき出したということでございますので、私どもといたしましては、一日も早く協定をつくって政府間の委員会をつくりまして、そこでいろいろ審査をしていくということにしたいというふうに、これから一層努力をするつもりでございます。なお、アメリカの情報によりますと、アメリカの場合は、失われた収入まで要求しているということを聞いておりますので、休業による補償も当然請求できるのではないかというふうに考えております。
#72
○相沢武彦君 ソ連漁船団との事故発生の未然防止、それから操業上の紛争を避けるため、水産庁の監視船あるいは海上保安庁の巡視船を常時配置してほしい、こういう要求もあるわけですが、これはどの程度今後の問題として万全な態勢をとっていますか。
#73
○政府委員(内村良英君) 水産庁は、特にソ連漁船の密集しております北海道の道南海区それから千葉県から東京都沖の海域におのおの一隻の監視船を配置しております。
 それから、私ども、海上保安庁とも十分連絡をとっておりまして、私どもの聞いているところでは、海上保安庁は北海道の釧路沖に一隻、襟裳の以西の海域に三隻常時監視船を配置しているというふうに聞いております。なお、昭和五十年度の予算要求におきましては、特にソ連漁船の操業を監視するという意味の監視船を一隻特に増加して要求しております。
#74
○相沢武彦君 今後の問題として、日本漁船が操業している、そこへソ連漁船団がやってくるという情報がきた。海上保安庁の巡視船が現場へおもむいた。そこで相も変らず漁具標識を無視して、網を張っているところへ乗り込んでくる。こういう現場に直面した場合に、海上保安庁巡視船としては、一体どこまで処置できる権限を持っているんですか、あるいはどうされようとしますか。
#75
○説明員(田中睦穂君) お答えいたします。
 ソ連船は全部、公海上の操業を一応現在行っておりますので、私のほうとしては、まあ違法性なりあるいは強制排除なりそういう権限の行使は現在のところできない状態でございます。したがいまして、巡視船にソ連語のテープを搭載いたしまして、これによりまして、ソ連船のそばに行きまして注意を喚起する、あるいは警告を発するということと同時に、附設してあります漁具のそばを遊よくいたしまして、ソ連船がそばに寄ってくることを防止するという措置を講じております。なお、被害が発生したりあるいは漁具に接近したりして、ソ連の漁船が行動しておる場合には、できるだけ写真撮影をいたしまして、証拠固めをやっていきたいというふうな現在措置をとっております。
#76
○相沢武彦君 まあこれまでも、巡視艇にテープをつないどいて放送しているということをやっているんですけれども、実際にやってみて効果ないわけでしょう。無視されているわけでしょう。もう少し厳しい処置できないんですか、それを無視した場合に。いままでやってみたけれども、それが効果ない。無視されている。どうですか。
#77
○説明員(田中睦穂君) 確かに、先ほど申しましたように、公海上の操業でございまして、現在のところは注意喚起と警告ということに重点を置きましてやっておりまして、テープではある程度わかったという了解を送る船もおりますし、あるいは白い巡視船を見ると、動作を控えるというふうな情報もございますけれども、これをさらに有効なものとするために、ソ連語の堪能な人を乗せるとか、あるいは通訳官を乗せるとか、そうして直ちに現場においての警告措置がとれるように、そういうことも現在、水産庁その他と協議しながら措置をしてまいりたいというふうに考えております。
#78
○相沢武彦君 現地漁民のお話を聞くと、道の監視船はかなりこう勇敢にやってくれるけれども、どうも水産庁の監視船と海上保安庁の巡視艇は一まあ紛争を起こすとまずいですからわかるんだけれども、頼りないと言うんですね。本当にそういう点歯ぎしりをかんでいらっしゃるわけでしてね。
 それからもう一つ。要請があった場合にですね、現場に、大体ソ連漁船団というのは北の方からやってきてだんだんこう南下しているわけですけれども、一斉に何十ヵ所も一遍に操業しているわけじゃなくて、船団組んできて、だんだんこう来るわけですから、もし事前にどの地域に来そうだということがわかった場合に、まず最初のところできちっとされるということで、水産庁の監視船あるいは海上保安庁の巡視船は、一隻よりは二隻の方が威力がありますから、あるいはこう撃ったりしたって迫力があるわけですから、そのときにどれぐらい集結できるんですか。
#79
○説明員(田中睦穂君) 勢力に関しましては、先ほど水産庁長官から御説明がございましたように、現在、胆振、日高海域には東北地方の船とか小樽、留萌、その辺の船を集めまして、現在五隻の船をもちまして配備しておりまして、港内艇、小さな船を入れますと約十隻ぐらいを現在配備しております。それで、襟裳付近から東のいわゆる十勝海域につきましては、先ほど申されましたように、常時四隻を配備して一隻の行動船をつくるというふうな現在配備をしております。それで、現在、昨今の状況でございますけれども、チキウ岬から苫小牧の沖にかけて現在四十隻ぐらい母船を中心としまして操業しております。それで、この海域に現在三隻を投入いたしまして、警備に当たっておるわけでございます。それで、一斉出漁といいますか、漁民の方が一斉にスケソウの底刺しをやる場合に出られる場合は、できる限り私の方も増強いたしましてこれの警備に当たる。なお、要すれば航空機も――これはせんだってから飛ばしておるところでございますけれども、航空機を飛ばしましてソ連船の動静監視に当たる、あるいは情報収集に当たるというふうな措置をとっております。
#80
○相沢武彦君 噴火湾の伊達火発の、北電の伊達火発建設機材を海上から運搬するときには、漁民たちと紛争があっちゃいけないということで、大分動員されたんですけれども、どうもああいうときには相当な巡視艇、監視艇がずらっと並ぶんだけれども、ソ連船の漁船団の問題のときには、さっぱり要請してもその数が来てくれない。まあこういう漁民から――ひがみだと思うんですけれども、そういう声もあるんです。これは短時間だったら無理かもしれませんけれども、かなり前から情報がわかるときには、それなりの対応をとれるように、もう少し態勢の完備を図るように要求しておきます。
 それから、ソ連への抗議の申し入れの問題についてちょっと確認しておきますけれども、胆振管内の漁民が五日、ソ連大使館に抗議を申し入れまして、被害の実情を訴えました。で、早急に操業を再開できるように要請をしたわけですが、そのときに、ラビス・イスカンダロフ二等書記官が、操業中の漁船団に大使館から直接指示するわけにいかないが、早急に大使と本国に伝えて、改めて漁業省を通じて指示してもらうと、こういう約束をしているわけですが、水産庁はどういう抗議をなさいましたか。もし、漁業省を通じて指示するという確約を受けたならば、何日までにというような日付を切ったのかどうか、その辺まで御答弁願います。
#81
○政府委員(内村良英君) 水産庁は、外務省を通じまして、二月五日の日に、昨今の室蘭沖等におけるソ連漁船の操業自粛についてソ連側に要請したわけでございます。従来ソ連側は、昨年の十二月の十六日に現地の漁船団に対して、日本の漁船と紛争を起こさないように操業しろという指令をしてるんだということを言っていたわけでございますが、重ねて、あなた方そう言っているけれども、そうなうてないよ、ということで強い抗議を、しかも船の名前を挙げまして、こういう船、こういう船ということで抗議をしたわけでございます。で、これに対しましては、かなり早く、ソ連はいつもリアクションが遅いんでございますが、二月七日の日に、ソ連の漁業省の商業総局のリバノフという局長から、わが方のソ連大使館の参事官に対しまして次のようなことを言ってきたわけでございます。御指摘のような事故が依然継続していることは遺憾に思う、漁業省は極東規制監督所長あてに警告を発し、事故防止のため万全の注意を払うよう指示し、灯火標識付近には近づかないよう、特に標識から最少限五百メートルは離れて操業するよう勧告してきたと、さきに起きた貨物船とソ連漁船の衝突事件や日本側からのロシア語による警告放送の後、特に各船長に対し警告を遵守するよう繰り返し注意してきたと、「然しながら、本日具体的にソ連船名を付しての注意喚起を受け、早速極東関係者に対し説明を求め、もし違反の事実がはっきりすれば関係者を処ばつする。また重ねて警告を発し事故防止に努める。」、こういうことをソ連の漁業省の局長がわが方の在ソ大使館の参事官に言ってきたという情報を受けております。
#82
○相沢武彦君 今後、どうですか、ソ連漁船団が操業したときに、水産庁長官みずから巡視艇に乗り込んで現場へ行って、まあ通訳ついてということになりますけれども、呼びかけるとか、そういう陣頭指揮取られる御決意ありますか。
#83
○政府委員(内村良英君) 私どもといたしましても、沿岸漁民がこのような被害を受けていることにつきましては非常に遺憾に思い、また重大な関心を持っているわけでございます。そこで、先ほども申し上げましたけれども、現在のところ、たとえば私が監視船に乗りまして行っても、向こうは公海上のことでございますから受け付けてくれないということもあり得るわけでございます。ところが、操業協定ができますと、日本側の関係機関とソ連の船団長との間で、こういう電信で話をしようじゃないかとか、いろんなことができますので、そういうようなルールをつくることがまず先じゃないかと。いま公海でございますので、先ほど海上保安庁から御説明がございましたように、臨検もできないし、向こうの船に乗り込むこともできないわけでございますけれども、操業協定つくりまして、こういうことで交信しようというような乙とができれば、そこでまあ具体的な話し合いができるということになりますので、一日も早く操業協定をつくるように一生懸命努力したいと思っております。
#84
○相沢武彦君 大臣、どうですか、ソ連に乗り込んでイシコフ漁業相に直接直談判する決意がございますか。
#85
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も、このソ連船によるところのわが国の沿岸漁業者が非常な被害を受けておるということにつきましては、まことに憂慮いたしておるわけでございます。と同時に、今後これが対策につきましては、ひとつ全力を挙げて取り組んでいきたいと思っておるわけでございます。いま、イシコフ漁業相と会えというお話でございますが、実は倉石前農林大臣がイシコフ漁業相をことしの初めに日本に招請をするということで話がきまっておりまして、私も、イシコフ漁業相が二月あるいは一月ごろには日本に来られるものというふうな期待を持っておりました。その際、日ソ漁業協定、漁業問題を含めて、こうした事態等につきましても意見の交換もしたいと思っておったわけでございますが、イシコフ漁業相の都合によりまして、こちらにはどうも現在の段階では来られるような状況でないように聞いておるわけでございまして、まあ水産庁長官は、私ももちろん、こうした問題を解決するためにソ連の責任者と会って努力をすることは、もちろんやぶさかでないわけでございますが、いま協定の方もいよいよ具体的な交渉に入る時期に来ておるわけでございますし、水産庁長官も近くソ連に派遣をいたしまして、こうした問題も含めて一日も早く協定を締結をして、被害が起こらないような事態をつくり上げていくためにひとつ大いに力を注いでいきたいと、こういうふうに思っておるわけです。
#86
○相沢武彦君 来るのを待つんでなくて、乗り込むぐらいのひとつ姿勢を示してくださいよ。沿岸漁業はどんなことをしても守るんだと、無法な操業は許さぬという大臣、水産庁長官の、そういう厳しいひとつ日本側の姿勢を強く示してほしいんですね。
 それから、「漁業操業に関する日ソ専門家会議について」、昨年十二月十二日付のこれ、もらっていますけれども、このときですか、操業協定を結ぼうということで、いわゆる取り決めるまでの間の紛争の未然防止と発生した事故の迅速な処理について相互に協力するように努めると。まあこれは当然ですけれども、そのあとの、「早期締結のため、できるだけ早い時期に次の会合を持つことが適当である」、日にちきまってないわけですね。これは次はいつにきめて、どこまで話を煮詰めるのか、具体的に。これは準備しているんですか。非常にこの文面を見ると心もとないんですよね。
#87
○政府委員(内村良英君) 現在、政府部内におきまして条約案を作成中でございます。そこで、ただいま大臣からお話にもございましたけれども、ソ連側から、まあオーケーと申しますか、アポイントメントの承認を言ってくれば、私自身今月の下旬にモスコーに行くつもりでございますので、その際案文を持っていきたいと思っております。そこで、いつ正式に条約交渉をするとか、いつまでに調印するとかいうようなことは具体的にそこでソ連側と話し合いたいと思っております。
#88
○相沢武彦君 時間ですので、これだけで終わりたいと思いますが、最後に領海十二海里の設定についてお尋ねをしたいと思います。
 ソ連と領海における安全操業協定の締結を早期に実現しなければならないことは当然ですけども、ソ連漁船団に限らず、外国船と日本漁船との紛争処理の基本的な対策としては、やはり日本政府が領海十二海里の宣言を行うことが、まず第一歩としなきゃならないんじゃないか。こういう時期に来ていると思うんですが、沿岸漁業を守り、外国船とのトラブルを避けるためにも、海洋政策の一大転換を実行すべきだ、こういう声がほうふつとしてわいております。十三日ですか、自民党の水産部会でも、十二海里領海採用を初めて打ち出されたようでございまして、三月からジュネーブで始まる国連海洋法会議までに同党の正式決定に持ち込む方針である、こういうふうなことが記事に出ておりますが、農林省――農林大臣としては、この領海十二海里、これはもう決意されているんですか、それともまだ何らか理由があって検討しなきゃならないと、こういう御判断ですか、明確に。
#89
○国務大臣(安倍晋太郎君) わが国は、国際法上確立された領海の幅員が三海里であり、これを一方的に拡大をするということは認められないという基本的立場を国際的にも表明してきておるわけでございますが、農林省といたしましては、沿岸漁民の立場も十分考慮して、かつ関係国の十二海里内におけるわが国遠洋漁業の実情もかなり少なくなっていることにかんがみまして、領海十二海里の設定が望ましいと考えておるわけでありまして、私は、むしろ積極的に十二海里を、これは確定をしたいと、こういうふうな気持ちを持っておるわけでございます。ただ、領海十二海里問題はひとり水産問題だけでなくて、国際海峡の自由航行の問題であるとか、あるいはまた国防上、あるいは海運上、いろいろと農林省以外の関連の問題が出ておるわけでございます。第三次国連海洋法会議における――わが国はこれに対して対処していかなきゃなりませんが、この対処との関連もあるわけでございますから、ジュネーブで開かれる第三次の海洋法会議の状況というものを十分踏まえて措置していきたいと思うわけでありますが、私は積極的にこれは十二海里にしなければならない時期にきておると、こういうふうに思っておるわけであります。
#90
○相沢武彦君 外務省から来ていると思います。世界の大勢が十二海里説であるということから、各国がそう主張した場合はあえて反対しないと、こういう方針ということで外務省は進んでいると思うんですが、与党の正式決定になった時点なら外務省は、政府方針案として宣言できると、こういうふうに見通しを持たれますか。それともまだ、いわゆる船舶の、あるいは運航上、あるいは防衛上のいろんな問題点があって、そこまでは踏み切れないというようなまだネックがさらに残るのか、その点、見通しはどうですか。
#91
○説明員(木内昭胤君) 十二海里が大勢であるということは先生御指摘のとおりでもございますし、農林大臣の御説明もございまして、実際問題としては、そういう趨勢にあることは事実でございます。ただ、農林大臣からも御説明がありましたように、海運の問題であるとか、あるいはわが国においては遠洋漁業の問題も抱えておりますし、そういった諸般の問題を勘案いたしますと、この問題は、やはり第三次海洋法会議において国際的な合意というものが得られた段階で踏み切ったほうが望ましいのではないかと、かように外務省としては考ておるわけでございます。
#92
○小笠原貞子君 短い時間でございますので、具体的に質問させていただきたいと思います。いまの相沢委員に引き続きまして、ソ連船による被害の問題について伺いたい。
 いろいろ手を打っていただいて、努力していただいているということは重々わかります。しかし、現地の問題というのを考えてみますと、漁民の場合は生活をかけて必死な問題である。そして漁民も忙しい中、財政的にも苦しい中から自分たちの手で何とか打開させたいと上京もし、水産庁にもお願いやら、ソ連政府への申し入れなども行っている。しかし、そういう状態そのものが、道なりにやってくれているけれども、一体、国としてこの問題をどの程度本当に自分たちの実情をわかってくれているんだろうか、そういうことも非常に危惧しているわけです。私なども現地でございますから、地元でございますから、いろいろそれなりに調査もしているわけですけれども、やっぱり言われること、書いて上がってくるものを見ると、現場へ行って見るのとはもう相当な違いがございます。今度の被害状況を見ますと、やっぱりいままでになく非常に大変な問題だということがわかるわけです。その特徴で見ても件数が非常に多い。被害を受けた金額も非常に大きい。
 また二番目には、その被害海域が、単に北海道だけというのではなくて非常に広範な海域になっている。そうして漁具の種類を見ても、いままでのようなスケソウ、カレイというようなものだけではなくて、ホッケからカニの刺し網、エビかごだとか、それからタコだとか、メヌケだとか、いろいろなその被害の漁具の種類も多いというのが特徴です。
 また、三番目に特徴として見られるのは、母船の八千トン級の大きなのを中心にして、二十隻からやってきている。多いときには、あるときは百隻を超えたというような非常に大型なソ連漁船船団のもとで被害が起きている。また、公海上とはいいながら三海里すれすれまで入ってきている。こういうような状態を見てみると、これはいままでになく非常に重大な問題になっている。そうして一番新しい被害状況を道のほうにも問い合わせて聞いてみましたら、二月十二日までの四カ月で六百九十件、約一億八千万という、そういう被害が正式に報告をされてきたわけです。しかし、これは道の報告でございまして、実際の道指導漁連組合の調べでは、漁具だけで二億五千万、休漁による損害を含めると最低でも十五億という具体的な数字。そういう大きくなってくるという問題もございますし、また、そういう直接の被害だけではなくて休漁しなければならないというようなことで、あそこには、関連産業としては、小さい水産物加工工場というのが四十軒くらいあるわけですけれども、別に大きな冷凍倉庫を持っていないわけですから、その日その日買ってきて加工するというような状態で、ここの所が、ずっともう漁獲がないということのために、これらの業界というのは非常に困って、二月最低百万円という損害、赤字を抱えなければならないというように、これが非常に広範囲であり、事態は深刻になっている、こういうことなんですね。この深刻さということを本当に私はまずわかっていただきたいと思うのです。いろいろ御努力いただいていますけれども、先ほども相沢委員から、ソビエトにがんばって行ってこいということもありましたけれども、ソビエトも行ってもらいたいけれども、まず私は、政府間交渉するためにも漁業のいまの実態はどうなっているんだと。漁民や加工業者がどんな苦しみをしているのか、その実態というものをまず見ていただきたい。ソビエトまで行かなくても千歳まで一時間十分ですし、いま幸か不幸か近こうございますから、飛行場から四十分たったら行けますし、大臣もお若いことですし、とにかくそれくらいは行ってもらえるだろうと。まずぜひ行っていただきたい、実情を見ていただきたいというのが現地の希望なんでございますね。
 そこで、いままで地元の当事者や道やなんかもいろいろ努力したけれども、いままでの実情の中で、国としての責任で、この問題の調査に入ったことがあるのかという点と、いま言ったように、実情をとにかく見て、漁民の声やなんかも聞いていただきたいということ――大臣、水産庁長官、ちょっと時間を割いてこの声を聞き、実情を見ると。決して巡視船に乗ってソ連と交渉しろというような前に、そのことをやっていただく意思があるかどうかということを伺わせていただきたいと思います。お二人どうぞ。
#93
○政府委員(内村良英君) この問題が起きましてから水産庁がどういう措置をとったかという御質問かと思いますけれども、私どもといたしましては、特に去年の秋からソ連の漁船による被害が非常にふえてまいりましたので、昨年の十月とことしの一月、現地に専門官を派遣いたしまして、状況の調査をしております。そのときソ連漁船の操業ブイ等も取締船に乗りまして、写真等もずっと撮ってきております。
 それから、なお、北海道庁とは――北海道は非常に大きな水産部でございますし、従来も水産庁とは密接な関連を持っておるわけでございますが、道庁からも十分連絡を受けておりますので、私どもといたしましては、現場の沿岸漁民の人たちの苦しみというものは十分わかっているつもりでございます。
#94
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま水産庁から申し述べましたように、実態につきましては水産庁も十分把握をいたしておりますし、私も関係者の皆様方からその実態についていろいろとお話を聞いておるわけでありまして、大変深刻になっていると、これはひとつ全力を挙げてこれが解決に努力をしなければならないということで、水産庁を督励をいたしまして現在やっておるわけでございますし、近いうちに水産庁長官もソ連に派遣をする予定になっておるわけでございますが、まあ場合によって、私が現地を見たほうがいいというふうなことであるならば、それはいつでも飛んで行きまして、現地を見ることはやぶさかではございません。
#95
○小笠原貞子君 もちろん十分おわかりになっていらっしゃるとお答えになると思いましたけれども、先ほど申し上げましたように、やはり書いたものだとか、聞いたものというのは、本当の実感というのには、何といってもそれはやはり不十分な点が出てこようかと、そう思うわけです。いま農林大臣の方からそういう意思はあるというお答えいただきましたので、まあ時間を見てぜひおいでもいただきたいと思いますけれども、長官、ソビエトへお出かけになる前にぜひまたそれも行っていただきたい。無理は申しませんけれども、お忙しい中ですから。先ほどのお話ですと、もうわかっているから行く意思ないみたいに、木で鼻をくくられたようなお答えでしたので、長官にも大臣と同じようにそういう意思がおありかどうかということだけ簡単にお答えください。
#96
○政府委員(内村良英君) 大臣の御指示を受けて、必要があればいつでも行きたいと思います。
#97
○小笠原貞子君 大臣の責任重大になりました。やはり農民とか漁民とか、いままで苦しんでまいりましたけれども、三木内閣誕生いたしまして大変期待も持っておりますし、また、三木さんがおっしゃるように、不公正是正なんていうのは、まさにこういう不公正なことがあってはいけないし、そしてまた、私つくづく思うんですけれども、自分で努力しないで何か事態が悪くなったというのじゃなくて、もう自分で一生懸命に努力している。だけど、いかにしても個人の努力や善意では解決つかないと。やはりこれは国の責任でやってもらうしか、――その権限は漁民にはないわけですから。そしてまた、その漁民には、共産党支持というわけに決まっておりません、何党の方もいらっしゃいまして、これ全般の問題でございますから、もうぜひそういう立場に立って、これは時期がございますので、ソビエトから帰っちゃって、のんびりしてから見に行ったなんていうんじゃ、もう間の抜けたことになりますので、ぜひ御調査いただきたいと、こう思うわけで、よろしくお願いをいたします。
 それから、それをしていただくということを言いました後、ちょっといやなことを言わなきゃならないんですけれども、ソビエト船団が漁船団として姿をあらわしましたのが四十一年ころのことでございます。そしてわずかだけれども、具体的に被害が出てきたというのが四十三年ころからということになって、そして去年あたりから非常な速さで被害が多きくなったと。そう申しますと、四十一年に出てきて、四十三年から被害が出てきたと。これは、こういう事態が起こりかねないな、というような予測というものを、やはり専門の皆さんでございますからお持ちになっていたのかどうか。全然もう予期しなかったということなのか。また当然こういうことも予測しながら、その時点で何らかの手を次々と打っておけば、事ここに至らないで済んだのではないか、やっぱりそれば行政の責任ということを言わざるを得ないんじゃないか。その辺の責任についてのお考えはどういうふうに持っていらっしゃるだろうか、お伺いしたいと思います。
#98
○政府委員(内村良英君) 水産庁といたしましては、四十五、六年ごろからこの問題は非常にむずかしい問題になるという感じを持っていたわけでございます。
 そこで、四十七年の十一月に東京におきまして日ソ間の漁業の操業協定をやろうという実は交渉をやったわけでございます。そのとき、実はソ連側から漁具の標識につきまして、かなり明かりの強いものをつけろという要求が出たわけでございます。そこで、わが国の沿岸漁業の関係者ともいろいろ相談したわけでございますが、どうも、いますぐそれをつけろと言われましても、とても経済的に無理だということがございまして、一応中断したわけでございます。それで、そういうような話し合いをした関係もあって、四十八年は、数字御存じかと思いますけれども、一時ちょっと被害が減ったわけでございます。そこで、水産庁は四十九年に補助金を出しまして、標識をつけて、一応態勢をとりまして、去年の春からもう操業協定を再開しようじゃないかという話をしまして、十一月にやって、一応基本的な合意を得て、後は具体的な仕上げを急ぐというところまで持ってきたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては四十五、六年ごろからこの問題の問題意識はもちろん持っていたわけでございます。
#99
○小笠原貞子君 もちろん問題意識をお持ちになったと思います。
 そこで四十五、六年ころですけれども、先ほど言ったように、四十三年からこういう被害というのは具体的に出てきたということで、政府として、この問題を具体的にソビエトと話し合ったというのはやはり四十五、六年以後のことでございますか。
#100
○政府委員(内村良英君) 操業協定についての話し合いをやりましたのは、四十七年の十一月でございます。
#101
○小笠原貞子君 それじゃ、本格的に解決するための操業協定ということで四十七年から会議などなさってお始めになったけれども、それまではこの漁業被害などの問題についてソビエトと正式に交渉するというようなことはなかったのでございますか。――外務省でよろしうございます。
#102
○政府委員(木内昭胤君) 先ほど水産庁長官が、四十七年十一月に最初の協定の交渉と言われましたが、それとは別途、具体的なケースが起きたたびにソ連側にいろいろ注意を喚起、申し入れを行っております。その最初のケースは昭和四十四年の二月、さらには昭和四十六年十二月、引き続いて今日に至っておるわけでございます。
#103
○小笠原貞子君 四十四年の二月からということでございますけれども、それじゃ、最近のこの事件が起こりましてから、正式に、たとえば漁民がどんどん水産庁に要請したり、外務省に行ったりいたしますね。そういうのを具体的にその都度なさるんですか。何ヵ月かまとめておいておやりになるのですか。たとえば十二月の十六日に回答というようなのがございましたね。去年からの段階で具体的に正式にどういうルートで、どういうふうになすったかということ、被害が大きくなってから。
#104
○説明員(木内昭胤君) 最近の時点では、損害賠償の請求伝達を昨年の十一月四日に行っております。さらに十二月三十日に同様の申し入れを行っております。
 それから操業について十分自粛してくれるようにということは再三申し入れてございまして、ごく最近の時点では二月七日に、先ほど水産庁長官が相沢先生に御説明のありましたとおり申し入れてございますし、一番最近の時点では、昨日外務省の新井東欧一課長から在京ソ連大使館のデニソフ参事官に対して強く申し入れておる次第でございます。
#105
○小笠原貞子君 その都度やっていただいているとと思いますけれども、いまおっしゃったようにおやりになって、ソビエトからすぐ回答が来ないというようなときには、回答を待って次ということではなくて、回答がなくても次々重ねて要求し、申し入れをしていらっしゃるということなんですか、どんどんどんどん。
 それから済みません、もう一つ続けて。そういうルートは外務省からソビエトの漁業省なりへ直接なさるんですか。今度はソビエト大使館を通してというようなことがございましたね。新聞報道で、二月十三日の道新を見たのですけれども、日本の在ソ大使館を通したのは去年の末に初めての抗議で、そしてこの七日に二度目の抗議というようなことになっているわけですけれども、外務省としては漁業省へ直接で、在ソ大使を通してというのはこの二度だけと、こういうことになるんですか。
#106
○説明員(木内昭胤君) ソ連と接触する場合のルートには、東京で行います場合には、外務省から在京ソ連大使館、それからモスクワで行います場合には、わが方出先の大使館から、場合によってはソ連外務省極東部あるいはソ連の漁業省というふうにルートが分かれるわけでございます。
#107
○小笠原貞子君 いろいろなすっても、ますます被害が重大になってきているというような中で、やはりその辺のところは一体どこに問題があるのだろうかということなんですね。やってやっていらっしゃるのに、だんだん被害は大きくなっているということは、そのおやりになったことがさっぱり効果が上がってこないという結果になるわけなんですね。それはどういうふうにごらんになっていらっしゃいますか。
#108
○説明員(木内昭胤君) その点効果が十分に上がってないのははなはだ遺憾でございまして、さればこそ、水産庁長官からも説明がありましたとおり、なるべく早い段階で日ソ間でこういった事故を未然に防止し、あるいは不幸にして事故が発生した場合には、その紛争を処理するための場というものをつくりたいと。したがってそのための取り決めをできるだけ早くソ連側と取り決めるように目下作業をいたしておる次第でございます。
#109
○小笠原貞子君 幾らやったけれども効果が上がらない。だから、その操業協定を結ばなきゃならないというんじゃ、あまりにもあっさりして、処理が抜けちゃっているんですよ。だから、たとえば、何であんなに何年もかかってやったのに、何でそのことが具体的にソビエトは言うことを聞いてくれないんだろうかと、その辺のところで、日本側としてはどこが足りなかったのかという反省をしっかりしてもらわなきゃ困るわけですよ。それがなくして、ああ、やりました、やりました。しかし、さっぱりやってくれませんでは――いろいろお話を聞いてみると、ソビエトという国はああいう国でございまして、お国柄だと、こうおっしゃるけれど、お国柄は昔から変わっていないわけですから、社会主義になってからずっと。そんなお国柄であれば、そんなお国柄だからこそ、どうやったらいいんだという、本当に漁民のいまの深刻な被害の問題を考えてどう努力したというのがなくて、ただ、協定を結ぶということで、すべて解決しようというような態度が、私は非常になまぬるいんじゃないかと。やり方としては、本当に反省していただきたいと思うんです。そういうことがないというのは、やっぱり本当の実情を認識していただいていないからで、やったんだけれども相手がさっぱり回答してきません、やってるんです、ということで済まされてしまうということが大変残念なわけなんです。
 それで、今度の場合見ますと、先ほど長官おっしゃいましたね、七日に再度強い抗議をなすったということについて、十二日にソビエトから、さっきおっしゃった具体的な三つの問題で返答が来ていますね。十二日に来ていますね、いま新聞報道によると。そしてその中身というのは、さっきおっしゃったように、漁船団に対して網の標識から五百メートルの外で操業をしろとか、それから船名がはっきりすれば具体的に処罰をしますとか、それから紛争処理委員会を早急にする、そういう用意がある、というような非常に具体的な回答が来ているわけですね。七日に申し入れを強硬にやって、そして十二日に回答が来ている。非常に早いですね、今度の回答の場合には。それはやっぱり、具体的に被害の実情だとかというものをまとめて、そして強硬にやったということの結果、こういうふうに早く具体的な回答が出てきたんではないかというふうに考えられるんですけれども、そうじゃないでしょうか。
#110
○政府委員(内村良英君) やはり今回のソ連漁船の操業というのは、相当乱暴な操業でございまして、それがいろんな形で日本の世論に出てきている。それが日本にございますソ連の在外公館から報告がいっているというようなことで、やはりこれは、日ソ間の重大問題に発展するんじゃないかということを向こうが心配したせいではないかと思います。
 それから、抗議して、あとは何にもやっていないじゃないかというお話でございますが、実は私ども非常に苦労しておりますのは、この問題が公海で起こっているということなんでございます。八海漁業でございますから、たとえば昨年、先生御案内と思いますけれども、静岡県の銭州に入ってまいりまして大きな事件になったわけでございます。そのとき、私どもが抗議をいたしました。銭州は日本のサバの産卵場で、重要な漁場なんだ、一本釣りしか許していない。そこでトロールやまき網をやってもらっちゃ困るということを言ったわけでございます。そうすると、向こうは、そのとおりだろうと。それで、そんなに大事なら、資源評価を、両国の学者が一緒になってやろう、その結果、サバを日ソ漁業条約の対象魚種にして、規制をしようじゃないかと。こういうようなことを言ってくるわけなんです。そういたしますと、そこまでやる必要はないというふうな判断を私ども持っておりますから、それはちょっとまだ早いんじゃないかというような話で打ち切らざるを得ない。性質が公海漁業のために、非常に扱いがむずかしいという問題があるわけでございます。
#111
○小笠原貞子君 大変、私、感銘受けたんですけれども、やっぱりこういうふうに回答が早く来たというのは、問題を具体的に積極的に、毅然として交渉したということと、それから大事なことは、さっきおっしゃったように、非常に世論が盛り上がってきて、これは日ソ間の問題になったらいけないというようなことも確かに大きな力になったと私は思うんですよ。そういう意味においても、長官みずからとか、いや、大臣みずからそこに行って調査をやったということになれば、これまた大きく世論を結集する力にもなりますし、漁民の方々にも非常にそれは喜んでいただけると思いますので、ぜひそういう意味でもまた重ねてお願いするわけなんです。
 それで、公海上という問題が非常な問題になるわけですね。そこで、先ほどのお答えでは、十二海里というのはもう当然のことだというふうにお答えいただきましたけれども、それじゃいろいろと思惑もあるだろうし、海洋の会議の問題の時期などもございましょうけれども、やはり農林省として、水産庁としてこの漁場を守る、たん白資源を守るという立場で、その立場で言えば、十二海里というのは当然のことである、というような意見を、はっきり公式に外務省なりお出しになる。農林省としての意見というものをひとつ考えて、積極的にその線で公海上の問題ということで、あいまいにされないようにしていただきたいということが一つでございます。
 で、時間がもう私ございませんようになりましたですから、続けてお伺いさせていただきたいと思うんですけれども、具体的には補償の問題ですね、毎回いつも言われていることですけれども。で、これは民事の問題である、当時者間で解決すべき問題で、政府がそこまですることはできないというような、筋の理論としては当然だと思うのです。先ほどの長官の御報告伺いますと、ソビエトと各国との漁業補償協定が結ばれますと、そうすると――ノルウェーが四〇%くらい補償が返ってきた、またアメリカでも収入減まで含めて請求している、ということですと、この協定が結ばれれば、補償というのは逃げ切るということできませんですね、ソビエトについても。また、日韓の協定によっても八〇%くらいの補償というのが現実に取れているわけですね。そうすると、三、四月ごろにはその会議を開いて協定を具体的にこぎつけるということなんですから、それはもう早急にやっていただかなければなりませんけれども、しかし、紛争処理が本当にされるまでには、またそのあと交渉の時期というものがございますですね。ですから、ここのところで、その協定が結ばれればもう当然返るという保証もあるわけですから、ソビエトは具体的に被害を出しているんだから、交渉すれば返してもらえるわけですね。全然はねられるというのでなく、いままでの日韓の問題にしても、ソビエトとカナダ、ソビエトとノルウェーの問題にしても、補償というものは返ってくるわけですから。全額といかなくとも、少なくとも日韓で八〇%、いま伺ったノルウェーで四〇%だったんだったら――四〇%やってもらえれば一番いいけれども、その数字は別といたしまして、やっぱりもう協定が結ばれれば補償というものは取れるという見通しが立ってるわけですから、だから、そこのところは政府として肩がわりするというような問題をここで新たに考えていただきたいんです。で、この問題は、急激に新たにこういう被害として起こってきてるものですから、いままでのようではだめだというのではなくて、やはりこの時点で新しい問題として協定が結ばれるという、その可能性も近づいてきたという中ですから、そういうことを考えていただきたいということですね。一番目は、十二海里についてはっきり態度を表明してもらう。二番目は、補償については、補償協定が結ばれたらできてくるんだから、だから、その肩がわりをするということに、いますぐ決まらないでしょうけれども、そういう立場で努力していただけるかどうかということでございます。
 それから、三番目の質問は、十二日に回答してきた中に、漁業協定についての早期の会談を向こうも積極的にやるということを言ってますから、だから、この回答が十二日にきた段階ですから、紛争解決するための処理委員会を早く持つということを改めて確認とって、長官が早くソビエトへ行って交渉なさるということを具体化していただきたい、この回答がきたいまの段階で。
 この三つ、どうぞお答えいただきたいと思います。
#112
○国務大臣(安倍晋太郎君) 領海を三海里から十二海里とするという問題につきましては、先ほども相沢さんにお答えをいたしましたわけでありますが、私は農林大臣としては、この時期はもう熟しておると。積極的に十二海里を進めていかないきやならない。ただ、その時期については、海洋法会議との関連もあるわけでございますし、また関係各方面との折衝も残っておるわけでございますが、国会の場で言うわけでございますから、私の公式な発言でございます。
 それから第二番目の補償の肩がわりということは、これはまあわが国が外国との間の補償、外国の補償を肩がわりをするという例はないわけでありまして、あくまでも賠償の請求権は相手方に対してあるわけでございますが、これは協定の中において、これを詰めていかなきゃならぬ問題であると思いますが、補償をその間肩がわりをするということはできないと思います。しかし、私は、今日漁業者が非常に被害を受けておられるわけでございまして、このまま日本の責任でない、日本の政府の責任じゃないと言って、また公海上の問題であるといって、私は見過ごすわけにはいかないんじゃないか。やはり被害を受けておられる漁業者に対しては、何らかの救済的な措置は講じていかなきゃならぬ。これは私まだ独自の考えでございますが、これもまあ各方面と折衝しなけりゃならない場が残っておりますが、私は何らかの形で救済的な方法を考慮して、これをひとつ努力をしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#113
○小笠原貞子君 もう質問は終わったんですけれども、いま大臣や長官にも現地調査していただきたいというお願いいたしまして、なお、先ほど理事会にも委員長の方にもお願いいたしましましたけれども、本委員会においても、当然この問題は非常に重要な問題だということで調査をしていただきたい、というお願いをいたします。再度ここでもまたよろしくお願いをしたいと思いますので……。
#114
○委員長(佐藤隆君) ただいまの小笠原君の発言は後日理事会で取り扱いを協議いたしたいと思います。
 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#115
○委員長(佐藤隆君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。安倍農林大臣。
#116
○国務大臣(安倍晋太郎君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 畜産の振興を図るためには、家畜衛生特に家畜の伝染性疾病の発生を予防し、蔓延を防止することが基本的要件でありますので、従来から家畜伝染病予防法の定めるところにより、家畜の伝染性疾病の防遏に絶えざる努力を払ってきているところであります。
 近年におけるわが国の家畜の伝染性疾病の発生状況を見ますと、おおむね平静に推移しておりますが、海外との人的、物的交流が近時一段と増大しているため、海外において流行している家畜の伝染性疾病の侵入機会が増大しており、昭和四十八年十一月末には、わが国において初めて豚水胞病が発生いたしました。そのときには、緊急措置として、本法第六十二条に基づく政令を制定し、本法の規定を準用し、迅速的確なる防遏措置を講じた結果、幸いにしてその後の発生はなく、事なきを得たわけでありますが、その病性、伝播性等にかんがみますと、今後家畜伝染病予防法に基づく強力な防疫体制の中に本病に対する防遏措置を恒常的に組み入れ、緊急事態に備えておく必要があると考えられます。
 また、長年にわたり法に基づく定期検査の徹底により、蔓延の防止を図ってまいりました牛のブルセラ病及び結核病につきましては、近年その発生数もきわめて少数にとどまるなど清浄化が図られてきております。
 このような最近における家畜の伝染疾病の発生状況等にかんがみ、現行規定を改め、家畜防疫の適正なる運営を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、先般わが国において初めて発生した豚水胞病を家畜伝染病に追加するとともに、その患畜及び疑似患畜を殺処分命令及び死体の焼却等の義務の対象として追加することとしたことであります。
 第二は、牛のブルセラ病及び結核病の蔓延防止のために実施している検査制度の合理化を図ることとしたことであります。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#117
○委員長(佐藤隆君) 次に、補足説明を聴取いたします。澤邊畜産局長。
#118
○説明員(澤邊守君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 第一は、法第二条の家畜伝染病に、新たに豚水胞病を追加したことであります。
 豚水胞病は、昭和四十八年十一月末から十二月にかけてわが国で初めて神奈川県、茨城県及び愛知県の三県下で発生した急性、熱性の豚の伝染性疾病であり、感染した豚は、摂氏四十度以上の発熱を来し、口唇、鼻端、蹄部等に水胞または潰瘍を生じ、歩行困難、起立不能、食欲の不振、廃絶等を招くなどの症状を呈することが知られております。
 豚水胞病が家畜伝染病として追加されることに伴い同病の患畜または疑似患畜については、市町村長に対する届け出、当刻家畜の隔離等家畜伝染病の蔓延の防止のための一般的な規制が及ぶことになりますが、豚水胞病については、その病性、伝播性等にかんがみ、一層協力な防遏措置が必要となることも予想されるため、その患畜及び疑似患畜については、都道府県知事が、その所有者に対し屠殺すべき旨を命ずることができることとするとともに、その死体の所有者に、当該死体の焼却または埋却の義務を課することとしております。
 第二は、牛のブルセラ病及び結核病にかかわる検査制度の合理化であります。
 この両疾病は、酪農経営及び公衆衛生上大きな影響を及ぼす伝染性病であり、かつては全国的に発生していたことから、早期発見による蔓延の防止を期するため、これまで乳用牛及び種雄牛等の所有者に原則として毎年両方の疾病についての検査をあわせて受けることを義務づけてまいりましたが、最近においては、この効果もありましてその発生頭数は著しく減少し、発生地域も限定されてきたので、今回ブルセラ病または結核病のいずれか一方の疾病に汚染されていないと認められる地域において飼養される牛については、汚染のおそれのある他の疾病にかかる検査のみを受ければよいこととする道を開くため、所要の規定の整備を行うこととしたものであります。
 以上をもちまして、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案の補足説明を終わります。
#119
○委員長(佐藤隆君) 以上で、趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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