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#1
第075回国会 農林水産委員会 第6号
昭和五十年三月十八日(火曜日)
   午後一時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月五日
    辞任         補欠選任
     竹内 藤男君     岩上 妙子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤  隆君
    理 事
                小林 国司君
                高橋雄之助君
                神沢  浄君
                原田  立君
    委 員
                青井 政美君
                岩上 妙子君
                大島 友治君
                園田 清充君
                温水 三郎君
                初村滝一郎君
                平泉  渉君
                山内 一郎君
                工藤 良平君
                栗原 俊夫君
                志苫  裕君
                相沢 武彦君
                塚田 大願君
                向井 長年君
   国務大臣
       農 林 大 臣  安倍晋太郎君
   政府委員
       農林政務次官   柴立 芳文君
       農林大臣官房予
       算課長      渡邊 文雄君
       農林省農林経済
       局長       岡安  誠君
       農林省畜産局長  澤邊  守君
       農林省食品流通
       局長       森  整治君
       農林水産技術会
       議事務局長    小山 義夫君
       食糧庁長官    三善 信二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       農林省畜産局衛
       生課長      山本 格也君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五日竹内藤男君が委員を辞任され、その補欠として岩上妙子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐藤隆君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案の趣旨説明は前回聴取いたしております。
 これより質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○志苫裕君 この間、趣旨説明いただきましたから、法案の内容は承知しておるんでありますが、まず、この豚の水胞病ですが、いろいろ説明によりますと、一九七三年の十一月、神奈川県を中心にして発生をしたといういきさつをたどっておりますが、これの侵入経路はどのような経路になっておりますか。
#5
○政府委員(澤邊守君) 豚の水胞病は昭和四十八年の十一月から十二月にかけまして神奈川県、それから茨城県、それから愛知県の三県下に発生を見まして、相当数――五百八十頭の発生を見たわけでございますが、初期の段階におきまして徹底した防疫措置を講じましたので、その結果その後発生を見ておらないわけでございますが、いまお尋ねの感染経路につきましては、それぞれの地域の家畜保健衛生所を初めといたしまして家畜衛生試験場なり動物検疫所等、関係機関において豚の飼養状況あるいは導入状況、発生状況、それからえさの入手先、家畜商の出入りとかいうような点から疫学調査を行いまして感染経路の追及をしたのでございますが、その結果、茨城県、愛知県の発生は神奈川県から豚の導入だとか、人の交流がございまして、それに伴って入ったものと思われますけれども、神奈川県への侵入の経路につきましては遺憾ながら明らかにすることができませんでした。以上でございます。
#6
○志苫裕君 どこから入ってきたのかわからぬということなんですがね、これは何か記録によりますと、諸外国でもいろいろと発生しておるようですが、ちょうど一年前にイギリスで初めて水胞病として確認をされた。日本では、これは初めて出ておるもののようですが、諸外国との関係でいきますと、何かその辺の、あの辺で見当のつくようなものございませんか、輸入。
#7
○政府委員(澤邊守君) 世界における豚水胞病の発生状況について御説明申し上げますと、これは一九六六年イタリアで初めてその発生が確認されたものでございました。それ以来、七一年には香港、次いでヨーロッパ各地、オーストラリア、ポーランド、英国、フランス、西ドイツ及びスイスなどでその発生が報告されております。特に英国では被害が大きくて、一九七二年に初めて発生して以来、七四年の十月までに二百八十一件十六万七千七十頭の豚が殺処分されたというように聞いております。ポーランドでは一九七二年各地に発生が見られたとの報告があり、オーストラリア、イギリスにおける本病の発生はポーランドから入ったのではないかというふうに考えられております。発生各国でもいろいろ厳重な規制措置を講じておりますが、わが国の場合、先ほど申し上げましたように、いろいろ調査をしたのでございますが、輸入豚から入ったのではないかと。あるいは輸入した豚と言いますか、その他物品、人の交流に伴って入ってきたのではないかという推定はされておりますけれども、それも追及してみたわけでございますが、明確にとらえることができなかったということで、残念ながら不明であるというふうにお答えしたわけでございます。
#8
○志苫裕君 そうするとあれですか、今後の発生予想と言いますか、そういうものはどのような検討をつけておられます。
#9
○政府委員(澤邊守君) 今後の発生の可能性でございますが、最近のように諸外国における発生が相次いでおりますこと、それから最近におきます家畜の輸入状況あるいは人の交流という点を考えますと、今後もわが国に入ってくるという、もちろん厳重な輸入検疫措置を行うといたしましても、入る可能性を全く否定することはできない。万全を期するつもりでおりますけれども、その再発生の危険が全くなくはないということでございますので、今回、家畜伝染病予防法の改正によりまして、家畜伝染病に追加指定することによりまして、予防措置並びに蔓延防止措置について万全を期したい、こういう考えでお願いをしているわけでございます。
#10
○志苫裕君 そうするとあれですか、今後の発生の可能性があるとすれば、やっぱり外国から入ってくるという可能性、この間発生したものが日大のどこかにまだ生き残っていて、それが息を吹き返してくるというそういう可能性もあるわけですか。
#11
○政府委員(澤邊守君) 発生後、わが国におきまして浸潤調査という、残っていないかどうかということの調査を二回にわたって行ったわけでございますが、そのときには残っていないということで一応調査の結果は出ておるわけでございます。したがって、今後、再発生するとすれば海外からの浸入というのが一番大きいのではないかというふうに見ております。
#12
○志苫裕君 それから、この四十八年の秋の発生、五百八十頭というふうに記録されておるようですが、これはあれですか、五百八十頭のうち具体的には、たとえば殺処分とかそういうものが行われたのは何頭とか、具体的な対策をちょっとお示し願えますか。
#13
○政府委員(澤邊守君) 殺処分は五百八十頭全頭について行っております。
#14
○志苫裕君 この五百八十頭というのは全頭ですから、この場合の処置としては、救済措置と言いますか、手当金その他の救済措置はこの本条に基づいてそれぞれ行われたわけですか、法に基づいて。あるいはこの中身を見ると、まだ伝染病じゃありませんから政令じゃなく、何条ですか、六十二条ですかね、六十二条の準用を行ったようなことにも受け取れますが、これらの救済措置はどのようにとられましたか。
#15
○政府委員(澤邊守君) 法律六十二条を適用いたしまして本法の準用をしたわけでございますので、それに基づきまして各種の措置をとったわけでございます。たとえて申し上げますれば、殺処分にするということと死体の焼却、埋却あるいは移動制限あるいは消毒というような具体的な措置をとって、それ以上蔓延するのを防止する措置をとったわけでございます。その際、殺処分をいたしましたものについては手当金を法律に基づいて交付をいたしております。
#16
○志苫裕君 この問題は後でちょっと、さらにこの法に基づく態勢が具体的にあるかどうかを後ほどお尋ねをいたしますが、その前に、私は、もう一つ通告しておきましたが、去年四十九年の夏ごろから私の選挙区であります佐渡郡を初めとして、新潟県の相当広範な部分に発生をしました牛の異常産についてこの際お伺いをしておきたいわけであります。
 これはすでに御存じだと思うのでありますが、ことしの一月段階で二百頭を超えておるわけでありまして、さらにことしも出るのじゃないかと言われてもおりますけれども、この牛の異常産について発生の状況と、皆さんの方で考える特徴的な所見、こういうものについてまず概括的にお尋ねをしたいと思うわけであります。
#17
○政府委員(澤邊守君) 牛の異常産は、昭和四十七年の夏以降、九州、四国、中国及び南関東の地域に発生のあったものでありまして、四十八年の一月をピークとして六月には一応終焔状態になったわけでございます。この間三万一千七百八十二頭に発生を見ておるというふうに把握をいたしております。それらが第一回の発生でありまして、次いでその後、岡山県を中心として広島、島根、鳥取、香川、愛媛及び兵庫県の限られた地域で四十九年の二月から三月をピークとする第二回目の発生が認められました。このときには合計七千二百五十三頭の発生を見たという報告を得ております。次いで、ただいま御指摘ございましたように、これまで発生の見られなかった新潟、秋田、山形各県でも四十八年の九月の下旬以降少数ながら発生が見られているわけでございます。ただいま御指摘のように、二百頭を超える頭数まで最近の発生を見ておるわけでございます。
 本症の原因につきましては、家畜衛生試験場を初め、県の家畜保健衛生所、民間試験研究機関の懸命な検索が続けられました結果、吸血昆虫の媒介するウイルスの一つであるアカバネウイルスというのが最も強く疑われるに至っております。大体それが原因であろうというふうにいわれておるわけでございます。
 さらに四十九年の七月から、発生の予想される二十県を選びまして、北海道からおとりの牛を、全然ウイルスに浸されておらないおとり牛を入れまして試験を行っていたところ、九月に入り岡山県下のおとり牛の血清に、アカバネウイルスに対する抗体が証明され、その牛の血液及び胎児からウイルスが分離されました。また十一月には新潟県の流産胎児から同じウイルスが分離されまして原因の推定が裏づけられたわけでございます。それを確定するために、さらにそのウイルスによります異常産の再現試験を現在やっておりますが、いままでのところ、まだ再現をしたというところまではいっておりません。
 農林省といたしましては、このウイルスの性状を確認いたしますとともに、それと並行いたしまして予防対策の早期確立のために、ワクチンの開発について現在、試験場等で研究を進めておるところでございます。
#18
○志苫裕君 そうすると、第一次に三万一千頭ばかり、第二回に七千頭。いままで私らの承知しているところでは、大体これ西日本に出てくるんだと言われておったのが、いつのまにか、だんだんこれ東の方にも移ってきておるわけでありますが、まず、昨年からことしにかけて出ておるこの新潟県下のは、いままでのこういう傾向から言って、まだことしも発生をする可能性をもっていますか。
#19
○政府委員(澤邊守君) 発生をしないとは言い切れませんので、発生の可能性はもっております。
#20
○志苫裕君 それで、これは伝染性疾病として扱っておるわけですか。
#21
○政府委員(澤邊守君) 伝染病としては扱っておりませんけれども、一般の伝染性疾病としては扱っておるわけでございます。
#22
○志苫裕君 そうしますと、実はいまお話がありましたように、大体アカバネウイルスであろうということのほぼ目星がついて、それの再現試験等をやっておるし、あるいはワクチンの製造等にも研究を始めておられるようであります。で、現実はこれも経路はよくわからないようでありますが、数万頭、今後まだはっきりと防止策がとられているわけじゃありませんから、どんどん広がっていくという可能性をもつわけであります。これ一般の伝染性疾病として扱っておるということでありますが、それはたとえば六十二条を適用して、本法の伝染性、伝染病のそれぞれの条項を準用するという意味での伝染性疾病として扱っておるわけでありますか。
#23
○政府委員(澤邊守君) 家畜伝染病予防法におきましては、伝染性疾病、これは一番広い概念でございますので、伝染病も入りますけれども、さらに、伝染病以外の一般の伝染性疾病も全部含めたものに対しましては、第二章の予防措置がとれるわけでございます。伝染病に指定されますと、現在二十四種指定しておるわけでございますが、これは予防措置のほかに蔓延防止措置を取り得るということに、簡潔に申し上げればなるわけでございます。
 そこで、牛の異常産は、いま申しましたように、吸血昆虫が媒介するアカバネウイルスによる疑いがきわめて濃厚であるという現段階での見方になっておるわけでございますが、この病気をなぜ伝染病として蔓延防止措置まで取り得る対象に、取り扱いにしないかという点につきましては、この病気は、外見上は何ら異常のない母牛が突然流産したり、早産したり、あるいは死産をしたり、あるいは異常な奇形の子牛が産まれてくるというものでございますが、おそらく感染後、相当期間を経てから、このような死、流、早産あるいは奇形の子供が産まれてくるというような状態を発現するものと考えられておるわけでございます。したがって通常家畜伝染病予防ということにして、蔓延防止措置として殺処分とか、あるいは移動規制等を母牛に及ぼしましても、その時点ではすでに母牛から病原体が外に出てしまっておるというふうに考えられますので、その段階でそういう肝産とか、早産が出たところで、あるいは奇形児が産まれたところで措置をとってみましても、防疫の効果が期待できない。したがって、家畜伝染病に指定して蔓延防止措置をとるということは、どうも適当でないという判断に立って、現在のところ家畜伝染病として指定をしておらないわけでございます。しかし、今後本病の診断法の確定及び予防液が開発された段階では、本病の発生予防のための、第二章による発生予防のための検査だとか予防注射については、現行予防法に基づいて実施できることになりますので、予防対策の強化にはつとめてまいりたい、こういうことでございます。
 簡単に申し上げまして、実際に症状が発現したときには、もうすでに母牛の中には病原体はいないということで、いろいろな蔓延防止措置をとってみても効果がないということから、家畜伝染病予防法の家畜伝染病として指定をしておらない。予防措置は現行法についてとれるわけでございます。
#24
○志苫裕君 ちょっとこの点あまりよくわからないですがね。いろんな話がありますが、言うならば、わかったときにはもう処置なしだと、一言で言えばね。わかったときには処置なしという状態になっておるので、いまの段階では、事前に手だてを講ずるという方法もないので、入れてみてもしようがないじゃないかという論理なんですか、もう一度その辺。
#25
○政府委員(澤邊守君) 大体そういうことでございます。母牛自体は早産、死産あるいは流産を起こし、あるいは子牛が奇形で産まれてくるということでございますが、そのウイルスが、そのような母牛から症状があらわれたときには、すでにウイルスは体内から外に出てしまっておるということでございますので、そういう移動を禁止するとか、いろいろな蔓延防止措置をとりましても、すでに効果がないということでございますので、予防措置として何らか対策があれば、現行の予防法の第二章の適用をして、検査なり予防注射等について実施できるわけでございますので、そのような予防対策の強化に今後つとめてまいりたいということでございます。
#26
○志苫裕君 そうすると、先ほどアカバネウイルスが原因だろうというので、抗体を引っ張り出してワクチンをつくるというふうな作業をしておるというが、これは断定されたかどうかわかりませんけれども、いまのところはとにかく、まだ予防措置は見つかっていないわけですね。しかし、現実に病気は、こうやってあるときには数万頭、あるときには数百頭という形で発生をして、後ほど申し上げますが、確かに親牛は死なないにしても、ずいぶんと大きな打撃を受けているわけですね。明らかにたとえば、食い物が悪かったとか何とかいうものではなくて、伝染性の疾病であることにもうこれ間違いがない。
 そこで処置がないからというので、もちろん伝染病にももちろん指定をしない、あるいは六十二条でいう伝染病以外の疾病としての必要な処置もとれないというのでは、それこそほったらかしということになるわけじゃないですか。これは大臣にもこの経過ちょっと聞いておってほしいのでありますが――後ほど大臣にもお伺いしますか、いまの局長の答弁ですと、予防措置などが確立をしてくれば、六十二条で準用をする伝染性疾病あるいは伝染病そのもの、どちらかに入れて必要な措置を講ずるという意味なんですか、そこのところは。もう一度その点。
#27
○政府委員(澤邊守君) 私のお答えが不十分かと思いますけれども、症状が出ました場合にはすでに病原体は母牛の体内から出てしまっておるということで、いろいろな蔓延措置を講じても、すでにその意味では手おくれだということでございますが、したがって、予防措置といたしましては、特に法律改正をしなくても伝染性疾病一般についてすべて予防措置はとれることになっております。ただ、現在、有効な予防対策がまだ確立しておりませんので、ワクチンの開発等について早期に詰めまして、予防措置が、ワクチンが開発されて、予防注射をやるということによりまして予防できるということになれば、第二章を適用いたしまして、改正しなくても、伝染性疾病であればすべて適用されますので、それに基づきまして予防措置を講じてまいりたいということで、現在ワクチンの開発を鋭意急いでおるところでございます。
#28
○志苫裕君 いまの答弁で、予防措置等が確立をすれば、この法律の第二章関係を適用をして、たとえばいろんな措置をとる、それに伴う経費の負担をする等のいろんな措置を講ずるが、いまのところは、その予防措置そのものが確立をされておらない。これは言うて見りゃあ、まあどうしようもないということになるわけですが、現実にどうですか。この佐渡を初めとして、各地でこの種のえたいの知れぬものが出て、それにずいぶんと自治体もいろんな手だてを講じたり、あるいは農家もそれなりの被害を受けたりということは現実に起きておるわけですね。これらについて私の承知しておるところでは、たとえば佐渡の家畜保健衛生所なんかは、これにもうかかり切りで、ずいぶんとてんてこ舞いをしていましたよね。現実には、そういうことが行われて四苦八苦しているわけですが、他の伝染性疾病や伝染病を扱うと同じような、何か特別の手だてのようなものを農林省としては講じられたんですか。
#29
○政府委員(澤邊守君) 現在、牛の血液をとりまして、そのアカバネウイルスが含まれているかどうかというような調査といいますか、検査はいたしております。しかし、直接的な予防対策というよりは、そういう確認的なことをやっておるわけでございます。それから、さらに、とにかく被害が出ておるわけでございますので、これに対します措置といたしまして、現在やっておりますのは、異常産の見られた母牛の母体には何ら異常が認められないわけでございまして、その後の種つけ、妊娠にも支障がないと。死産なり早産、流産、あるいは異常小牛が生まれたからといって、引き続き、さらに、次のときにも妊娠率が落ちるとか、あるいは種つけができないとか、あるいはまた再び異常な奇形小牛が生まれるとかというようなことはございませんので、そのような異常産のあった母牛の売り急ぎをしないように指導をいたしますとともに、次の種つけをなるべく早くやるということによりまして、なるべく損をしないようにというような指導をしております。
 また、被害農家の既貸付金――借入金ですが、借入金につきまして、償還の、そういう事故によりまして損害が出ておりますので、償還の猶予等につきまして、関係の金融機関に協力をしてもらうように農林省から要請をいたしております。
 さらに、被害農家の生産意欲の向上を図るために、異常産のあった牛について人工受精用の精液の無償配布を行うということによりまして、なるべく早く種つけをして、また子供をとるというようなことを促進するような措置も講じたところでありますが、今後とも発生した地域に対しまして、発生した農家に対しましては、適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
#30
○志苫裕君 もう一度お伺いしますが、伝染病予防法というのは、家畜の伝染性疾病の蔓延を防止をする法律ですよね。現に牛の異常産という伝染性疾病は蔓延をしているわけです。これに、何らこの法律は有効な対応をすることができないわけですか。いまのところは、現実に起きておる伝染性疾病、その蔓延、そのための法律は何ら機能できませんか。
#31
○政府委員(澤邊守君) 有効な予防措置ができますれば、先ほど来お答えいたしておりますように、たとえばワクチンが開発されるということになれば、ワクチンの予防注射を事前にやるということによって予防措置が講じられるわけでございますが、現在のところ、まだ開発されておりませんので、有効な予防措置も決め手になるものはない。さらに、発生してからの蔓延防止につきましても実際に死産等が出ましたときには、すでに病源伏が母牛の体内から出てしまっておって、母牛自体は何らその後は支障がないというようなことでございますので、蔓延防止措置、現在法律の第三章で決められておりますいろんな措置をやりましても、有効な防疫手段にならないということのために、残念ながら、御指摘のような有効な対策がないということで、現在予防対策、予防措置、有効な予防措置を開発するように、試験研究機関あるいは関係の学界の協力も得て検討を進めているところでございます。
#32
○志苫裕君 じゃあ、その有効な予防措置というのは、この間、事前にちょっとヒヤリングのときにも、ぼくはちょっと聞いたんですが、いやあ、そのうちにワクチンできますわ、なんというようなお話でしたがね。いま有効な予防措置というのは、皆さんの技術陣、スタッフを総動員をして、いつごろまでに確立されますか、何年後と約束できますか。
#33
○政府委員(澤邊守君) 家畜衛生試験所等の専門家の話を聞きますと、今後まあ二カ年間ぐらいはかかるのではないかというような見解を示しております。
#34
○志苫裕君 技術屋さんの話を仮に信用しましよう、二カ年間――この二カ年間になお蔓延をするかもしれない、出ないかもしれませんですね。しかし、いずれにしても、蔓延の可能性、発生、さらに蔓延の可能性を持つわけですが、それに対しては有効な手だては、率直に言うならばいまのところお手上げだということになるわけで、いまのお話ですと、牛に症状があらわれたときに、その牛をとっつかまえると、もはや病源体はどっかに行っちゃっていないという仕掛けになっておるようでありますが、被害が出たら犯人はいないというお話のようですが、そうすると、媒体は何ですか、媒体がなければ逃げていかないでしょう。
#35
○政府委員(澤邊守君) 蚊の一種で、それが媒介をして、ウイルスに感染をするというふうに見られております。ただ、その蚊がどういう蚊であるかということについては、まだはっきりしておりません。
#36
○志苫裕君 蚊の一種、その蚊もわからぬと言うのですから――でも、蚊というのは大体夏出ますよね、しかし、これはあれを見ていきますと、たとえば早産牛なんかの場合には、四十八年の十二月から四十九年の一月ごろ種つけをされたものが発生をしておるようですよね。最初のうちは、大体妊娠をして一ないし三、四カ月ごろに、何か蚊にでも食われたのがなるんじゃないかと言われておったようでありますが、発生の時期を見ますと、大体夏から冬まで出ておるということになりますと、蚊に限定しておっていいんですか、見たことない蚊だから、一年じゅう生きている蚊かもしれませんか――それあたりどうなんですか。
#37
○政府委員(澤邊守君) 現在、蚊の一種と申しましたけれども、ヌカ蚊という非常に細かい蚊ではないかというふうに言われております。
#38
○志苫裕君 蚊ではないか、という蚊じゃ(笑声)まあこれはあれです。
 そこで、あなたのお話で、いささか処置のない、技術的に解明できない点は、これはここでやりとりしてもしようがありませんが、ただ、この伝染病予防法が有効に作用をできないままに、現実には病気が起きて、それによって何がしかの被害が起きる、そのことを大臣ちょっと今度あなたにお伺いをしておきたいわけでありますが、これは確かに親牛がそれで死んじゃって被害を受けるというものではありませんけれども、しかし、つくるべき、生まれるべき子供が生まれない、とるべき乳がとれない。こういうことからくる被害、たとえば早産牛なんかの場合でも、早産牛なんかの場合は、乳は出るには出るけれども、二、三割の減収にもなりますからね。それから、流産なんかの場合には、三、四カ月か五カ月で流産しちゃうわけですから。それからまた、二カ月くらい置いて種つけするということになりますというと、半年以上いわば牛にただ飯食わせるという形にもなるわけです。当てにした子供もとれない、こういう意味での被害が、現実にそこに伝染病があって、伝染病法が機能できないままに被害が、と言いますか、損害が起きているという現実はもう否定できません。親牛なんかの場合ですと、死んだとか、けがしたとかという場合に、それなりの救済措置が家畜共済なんかにもあるのでありますが、どうもこういう、とれるべきお乳がとれないとか、生まれるべき子供が生まれないとか、生まれたけれどもかたわで使い物にならないとか、こういうものについては何らの救済措置がない。ここのところに、いま非常に問題点があるわけです。これに私は、やはり何らかの救済措置をとるべきじゃないか、こう思うのですが、大臣いかがですか。
#39
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もこの異常産の話を聞きまして、まことに世の中に不思議なことがあるものだと思ったわけですが、異常産をしたときには、すでに病原菌が、その親牛からいないということでございますので、殺処分をする、あるいは手当を出すというふうな、本法に基づく措置をとるというわけにもいかない。そこで、予防措置としては、本法によって予防措置ができるので、ワクチン等の研究をしているということでございます。が、しかし、本法に指定する、伝染病として指定をするということは困難であるということなんでございますが、確かにいま御指摘がありましたように、そういうことによりましてやはり農家の経営に影響があることはこれはもう事実でございますから、したがって、この点については、やはり行政上の配慮というものを加える必要があるのではないか。こういうふうに思っておるわけですが、先ほど畜産局長も答弁をいたしましたけれど、これに対しても、具体的に措置はいたしておるというふうな話でございますが、融資であるとかあるいは行政措置であるとか、そういう面については、私も、畜産農家の経営の安定といった面から配慮をする必要があるのではないか、こういうふうにも思うわけでございます。
#40
○志苫裕君 ですから、そういう被害農家の既往の貸付金の償還の猶予であるとか、あるいは延長であるとか、そういう措置についていろいろ配慮されておることは非常に歓迎をいたしますが、しかし、現実はそうじゃない。私は、この問題を調べているうちに、たとえば農作物などは、百とろうと思ったけれども、五十しかとれなかったというふうな場合は、いろいろとめんどうを見る仕掛けになっています。ところが、事、家畜については、とれるべきものがとれない場合に、何もめんどうを見ないというところに、畜産にずいぶん力を入れていながら、ずいぶん手抜かりもあるものだな、というふうに思ったわけですよ。でありますから、この問題は、しかも異常産だけでもいままで、現にもうすでに四万頭近く出ているわけです。これはまさしくお乳がとれなかったから、子供がとれなかったから、あるいは牛にただ飯食わしたから、というようなことで損害があるわけです。このことのためにも、やめたなんていう人もいるわけですね。でありますから、この機会に、この種のものについてのやはり救済措置というものも、もう少し具体的に講ずるべきじゃないか。何か聞くところによると、たとえば子牛の場合ですと、これなんかは約四分の三というのは生まれてくるには生まれてくるのですよね、しかし、それがまさに奇形であったり、死んでおったりするわけです。流産というのは大体四分の一から三割くらいのようですね。こういうものについては、いまの家畜共済に該当がないのですが、何か、これは四十一年ころまでは、家畜生産共済というようなもので、養畜といわれるものの救済規定があったのです。しかし余り事例も少ないし、掛金ばかり掛けておって、割りに合わないというので、これはやめちゃったといういきさつもあるそうであります。で、たとえばそういうものの復活もあわせて、いま私が述べておるような事例についての、畜産農家の救済措置というふうなものが確立をされてしかるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
#41
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま志苫さんのお話がございましたように、十年前まではこの種の救済のための共済制度というのがあったように聞いておるわけでございます。が、しかし、掛金も集まらない制度を維持することが困難であるというふうなことで、廃止になって、まあ今日に至っているということでありまして、現在のところは、先ほどから局長が申し上げましたような融資の措置であるとか、その他の行政上の配慮を加えてきておるわけでございますが、これは、こうした異常産で被害を受けられる農家の方々がどういうふうに対応していただくか、十年前にあったわけでございますから、そうした農家の方々のまたお考えによっては、こういう問題等もさらに研究をする、していくことも必要であろうと思うわけでございます。十年前にせっかく制度ができておったのが、なくなったということでございますので、われわれとしても、これを復活をするということに対しては、果たしてこれが維持できるかどうか、復活した暁において、制度が維持できるかどうかということについても、同じことを二度と操り返しちゃいかぬわけでございますから、これは一回そうした異常産のある農家の方々等の御意見等もひとつ聞いてみたらどうだろうか。その上に立って、もう一度やるというふうなことを、御意見が強ければ、これはもう十分検討の余地がある、こういうふうに思うわけでございます。
#42
○志苫裕君 大臣、あなたは、一般論で受けとめると少し認識が欠けているのですよ。その牛を飼う農家が怠けておって満足にえさをくれないとか、どこか、がけから落としてしまったとか、そういういわば農家の過失とか、そういうものによる損害を私は言うているのじゃないわけです。伝染性疾病という、皆さん方も一緒になっても敵が見つからない、そういうもので、ぱあっと蔓延されて、ずいぶんたくさんのものが被害を受ける。言うならば、もう個々の農家にしますと、自分の責任とか、自分の勤勉さを越えたところで被害が降ってくるわけでしょう。でありますから、特別の法律をつくって予防措置だとか、事があったときの救済措置というようなものがあるわけです。しかし、いまのところは原因もわからないし治療方法もわからないために、それも手当てができないでいる。科学のおくれから、そういうものに有効に対応できないという現象が起きていますね。そういう特殊な性格を持った農家の、飼育農家の被害というものが現にあるわけです。まあたとえば人間で言うなら難病、奇病というようなのがありまして、何だか原因もわからぬし、有効な手当てもわからぬが、まあひとつめんどうを見ましょうや、ということを現実にやっていますわね、人間の方には。私は、たとえばそういう発想で、こういう伝染病なりあるいは伝染性疾病による、そういう被害損失というものに対する救済規定というものを、それこそ農林省が真剣に畜産振興というものを考えるのであれば、考えてもいいじゃないか。異常産を起こしそうな農家と相談してみてなんというのじゃなくて――異常産一般をぼくは言っているのじゃないのです。伝染性疾病からくるそういう農家の損失というようなものに、やはりもう少し有効な手だてを考えたらどうですか、こう言っているのです。
#43
○国務大臣(安倍晋太郎君) 共済制度の復活というようなことになりますれば、掛金という問題がありますから、これはやはり農家の対応ということも十分考えなければならぬわけですが、いまのお話はそういうことではなくて、具体的にそういう原因のはっきりわからない中において被害を受けているその被害に対して、国として何らかの救済を講ずべきであろう。こういうことなのですが、現在のところ、国が直接的に国の責任において救済をするということは、私は、現在の仕組みの上から見てまだ、非常に困難な問題があるんじゃないかと思うわけでありますけれども、しかし、これはやはりまだ原因もはっきりしていないし、ワクチンも発明されてないというふうな状況でございますから、この問題はひとつ研究もしながら融資対策等のそうした措置は、これはやっぱり充実をしていきたい、いくべきじゃないか、私はそういうふうに思うわけでございます。
#44
○志苫裕君 どうも大臣の話もさっぱり煮え切らぬ話で、原因究明みたいな話でありまして、さっぱりあれですが、こればかりに時間をとってもおれません。
 これは大臣ね、伝染性疾病というものの性格、それは個々の農家の努力の外側にある問題だから、これやっぱり何らかの救済措置を講ずる――たとえば伝染病予防法に指定できるような、あるいはそれを準用でいくのか、伝染病そのものにするのか、のことは別にしまして、手当てをすることがわかれば、それをする。まあ、それにします、という返事がありましたからこれはいいんです。しかし、それまでの間、こうやって現実に起きておる被害の救済というのは、大臣の答弁ですと、金融面等での配慮はわかりましたが、もう少し直接的な救済措置というふうなものをこれはひとつ検討してください。このことはひとつ強く要望をしておきます、この際。
 そこで、さっき局長すらっと答弁していますが、本当にこれはあれですか、乳は人体に影響ないですか。現実に死産なんかした、病気になって死産して、乳は少ないけれども出ている。それを現実に飲んだり売ったりしているわけですね。これは確証がありますか、人体に影響がないという。
#45
○政府委員(澤邊守君) 乳からウイルスの排出がないということでございますので、現在その乳を飲用等に使うことについては支障がないというふうに考えております。
#46
○志苫裕君 それを乳専門に、たとえば何かに飲ましてみるとか、そういうテストは終わっているんですか。
#47
○政府委員(澤邊守君) そのような調査は特にやっておりません。
#48
○志苫裕君 これ害がなければ私も幸いとしますよ。しかし、それはやっぱり安易な扱いですよ。これはこれでその牛の乳というものをテストをする、ビールスがある、なしじゃなくて、そういうやっぱり非常に慎重な配慮というもの、この機会に、どこかでそういう研究を進めたほうがよろしいんじゃないですか。
#49
○政府委員(澤邊守君) 先ほど申し上げましたように、現在まで牛乳の中にウイルスが入っているかどうかという検出を何回もやっておるわけでございますが、いままでのところ全く入っておらないということでございますので、特に牛乳についての衛生上の問題はないというふうに判断をしておるわけでございます。
#50
○志苫裕君 それは、ビールスがないことはそれで結構です。その乳を、それだけを、実際に他の動物に飲ませるという研究も、安全のために、世は安全時代でありますから安全のためにこれやるように、これはひとつ要求をしておきます。
 そこで、先ほどのほうにもう一遍戻りますが、いまの異常産の場合には、仮に伝染病に指定し、法定をしようと、しまいと有効な手立てがないんで、という話はわかりましたが、一般的に伝染病と伝染性疾病、特定の伝染性疾病のうち、病気を法定をする基準は何ですか。
#51
○政府委員(澤邊守君) 家畜伝染病予防法によります家畜の伝染性疾病というのは、病原体によって家畜から家畜に感染するすべての疾病をいうと、こういうふうに考えておるわけです。その中で家畜伝染病といいますのは、広い意味では伝染性疾病の中にもちろん入るわけでございますが、その中の特に家畜伝染病として指定しておりますのは、家畜伝染性疾病のうち、法律で特定の家畜について指定をすることにして、現在二十四種類ということになっておるわけでございますが、矛の二十四種類の家畜伝染病については、病性、それから伝染性、予防治療の方法の有無、家畜の飼養状況等を勘案して、公益的な見地から見まして畜産に及ぼす影響が大きいという疾病を特に指定をするものでございまして、指定をされますと、強力な蔓延防止措置がとり得るということになっておるわけでございます。なお、家畜の伝染性疾病につきましては、家畜伝染病を含めましてそのすべてについて検査とか、注射とかという一定の発生予防措置は講ずることができるようになっておるわけでございます。
#52
○志苫裕君 要は被害が余り大きくなりそうなものは法定をするということのようですが、たとえばさっきのように、打つべき手もわからぬから法定をしないというのは、何か余りはっきりしないようですが、たとえばこういろいろ記録見ますと、日本には一度も来ておらない、起きたこともないというものも入っておったり、あるいはちょこちょこ出ておるのだけれども、入っていないとかというふうなのは、一たび来たらものすごく広がっちゃう、ものすごい被害が出るという、それがやはり基準になりますか。
#53
○政府委員(澤邊守君) 国内に発生を見なくても、海外から入った場合、激烈な蔓延をするというようなものは悪性伝染病として公益的見地から重大な支障を生じますので、二十四種類の指定の中に入れておるわけであります。
#54
○志苫裕君 それから結核とブルセラは、余り大して出てもいないので、少し取り扱いを緩めるという内容になっていますが、結核はたとえば四十八年のときにはばかに少なかったけれども、四十九年にまたちょっとふえているでしょう、これは差し支えありませんか。一番最初に皆さんからいただいた資料は、結核が一番減った、どんじりみたいな数字でしたけれども、その次にもらった資料は、また結核が上向いたような数字が出ておるじゃありませんか。これはもう大丈夫ですと、心配要りませんと、こういうふうに大鼓判を押せるんですか。
#55
○政府委員(澤邊守君) 結核病につきましては四十三年、四十四年、四十五年ごろは二百十台でございましたが、一番多いときは四十五年の二百七十七頭、四十六年には百三十二頭と、四十七年百六十七頭、四十八年八十一頭ということで、かなり発生数は少なくなっております。
#56
○志苫裕君 それでまた四十九年に百頭超えているでしょう、しかも中間年次で。
#57
○政府委員(澤邊守君) 四十九年は百五頭でございます。したがいまして、この程度の発生――四十八年よりふえましたけれども、でございますれば、改正によりまして第六条の検査というのに切りかえて十分対応できるというふうに判断しておるわけでございます。
#58
○志苫裕君 この点は慎重に扱ってほしいと思います。
 その次に五十八条の手当金ですが、これはいま政令は二十六万円ですね、牛の場合。で、現実の売買取引価格は幾らですか。大体どれくらいのものですか。
#59
○政府委員(澤邊守君) 通常の取引価格というお尋ねでございますが、四十九年の評価額、実際に評価した価額で見ますと、四十九年は最高が四十万、それから最低が十一万、平均しますと二十六万になっております。
#60
○志苫裕君 その後の方はばかに小さい声になっていますがね、十一万という牛はあるんですか。私は、その辺、大体どれぐらいのものですねと聞くと、そんな安い数字じゃなくて、大体三十万から三十五万ぐらいですよ、という話を聞きますが、あなたは、ばかに安いのを買ってくるんですか、一体。
#61
○政府委員(澤邊守君) ただいま申し上げましたのは、現実の評価額を申し上げたわけでございまして、たとえば乳の出の非常に悪いものだとか、いろいろございますので、最低が十一万、最高が、四十九年度ので見まして四十万、平均いたしますと二十六万一千円ということになっております。もちろん、最近におきます雌牛の一頭当たりの一般の価格は三十万を超えているのはもちろんでございます。
#62
○志苫裕君 肉牛で三十三万円ぐらい、乳牛で三十万ちょっと上出たあたり、さらに、今度畜安法に牛肉を加えることを見越して、生産者側がいろんな値段を出しておるようでありますが、それに見込まれておる、そこで想定をしておる値段等を考えますと、いずれにしても、二十六万という手はない。大臣、これは適正な値段に改定されますか。
#63
○政府委員(澤邊守君) 殺処分手当金の最高限度を、現在、牛の場合は二十六万というふうに決めておるわけでございますが、これは「標準的な資質を有する家畜の売買取引において通常成立すると認められる取引価額を下らない範囲内」で定めることになっておりまして、現行の最高限度額は、前回、法改正時に、一般の取引価額を基礎といたしまして、合わせて当時の殺処分、家畜の評価額を勘案をして、現実の評価額の大部分がカバーされるというような額として家畜ごとに決めておるわけでございます。しかし、最近におきます実際の殺処分した場合の評価額は、鳥だとか、綿羊とかいったようなものについては、大部分が現行の最高限度の範囲内に入っておりますし、市況もその範囲内にとどまっておりますけれども、牛、馬、豚については、評価額が最高限度額を超えるものが見られ、また最近の家畜の市況もおっしゃるように確かに当時と比べてかなり上昇が認められますので、その改定につきまして、今後検討していきたいというふうに考えております。
#64
○志苫裕君 どうもお役人さんが答弁すると、そういう答弁になる。大臣、上げますか、上げませんか。
#65
○国務大臣(安倍晋太郎君) いまの質疑の間にも見られましたが、やっぱり現実に合わなきゃなりませんので、これは十分検討に値する課題だと思います。
#66
○志苫裕君 その検討は実勢に合わせると。これは四十六年の附帯決議でも強く要望していることでありますから。いずれにしろ、現状に合っていませんから、この点はひとつ確認をしておきたいと思うわけであります。
 それで、その次は、さてこういうものを進めていく家畜保健衛生所の体制ですが、簡単に答えてもらえばよろしいんでありますが、家畜保健衛生所法の施行規則第二条の基準というのは大体充足されていますか、全保健所について。
#67
○政府委員(澤邊守君) 特に職員の基準につきましては、獣医師である専任の技術吏員が十人、それから、特に病性鑑定を行う家畜保健衛生所、これは各県に一カ所平均あるわけでございますが、これは十三人以上というふうに定めておるわけでございますが、これは全国平均では満たしておりますけれども、県によってかなりのアンバランスがございますので、その辺は今後の問題としてできるだけ基準に到達するように努力をしてまいりたいと思っております。
#68
○志苫裕君 私は、これは、たとえば私の出身の県の場合などでいきますと、決してどこが怠けておるとかというのじゃなくて、現実に、もう一時期かね太鼓で探しましても獣医がいませんで、一割ぐらいの欠員が出た時代もあるわけです、現実にはですね。法律の規定どおりに必ずしも充足をされているということにならない。そういう体制をそのままにしておいて、法律の上だけ家畜保健衛生全般の強化をうたったところで、これはしりが抜けている。このように思うわけでして、この辺は、全体数の上でといいますけれども、皆さんからもらいましたこの資料でいきますと、なるほどこの十で割れば一保健所当たりは十人以上になるということになりますけれども、大きい保健所は十名じゃないんでありまして、中央保健所等は相当数の数で構成されるようになっていますし、また皆さんの要領も出ているわけでありますから、現実にはやっぱり手薄という状況でありますから、この辺はよく点検をして指導をしておいてほしいと思うのです。
 その次は、第七条の「(国からの補助)」、これによりますと、「経費の二分の一以内の補助金を交付することができる。」、こういう規定になっておるわけですが、実態はどうなっていますか。
#69
○政府委員(澤邊守君) 第七条に、「毎年予算の範囲内で、都道府県に、創設費及びこれに伴う初席調弁費並びに職員に要する経費の二分の一以内の補助金を交付する」ということになっております。職員につきましては地方交付税の算定基礎に入っておるわけでございます。現在やっておりますのは、創設費及びこれに伴う初度調弁費に対しまして二分の一以内の補助をいたしております。
#70
○志苫裕君 そんな答弁じゃ問題にならぬ。
 それでは職員の分にしぼりましょう。地方交付税で二分の一見ておるその職員の一人当たり平均賃金は幾らですか。
#71
○政府委員(澤邊守君) 恐縮ですが、いま資料を手元に持っておりませんので、早急に調べてみたいと思います。
#72
○志苫裕君 私は、以下少し――いまこの問題の数字が出るとはっきりすると思うんでありますか、少し大臣とこの機会に――たとえば家畜伝染病予防法一つをとってみても、結局のところは、知事に権限を任せて万全を期してもらうという内容になり、それに必要な経費等はそれぞれの規定に基づいて国が持ちましょうと。これは家畜保健、伝染病にかかわらず、農林行政全般に実はこの種のスタイルというのは非常に多いわけであります。そこで、この問題を一つの足がかりにしながら、農林行政における地方財政負担というものについて、ひとつ大臣と直接少しやりとりをしたいと思うんであります。で、まず、数字は後ほど聞きますけれども、私は、結論から言うと、第七条の、二分の一というものになっておらないということを最初に言うておきまして、ただ、この第七条には、予算の範囲内で経費の二分の一以内という規定がありますけれども、しかし、普通二分の一とか三分の一とかという数字を入れる場合には、たてまえとしては二分の一といって読むのが至当じゃないですか、大臣、どうですか。
#73
○国務大臣(安倍晋太郎君) 国の職員につきましては、保健所の職員につきましては、予算の範囲内においてできるということになっておるわけでございますが、これは交付税で見ておるという形を現在のところはとっておるわけでございまして、まあ農林省全体の法律の中におきまして超過負担等の問題、いろいろと言われておるわけでありますが、超過負担については、これが解消には農林省としても今日まで努めてきておるところでもございます。
#74
○志苫裕君 じゃあ、もう少し別の観点で聞きましょう。地方財政法の十八条では、「国の負担金、補助金等の地方公共団体に対する支出金の額は、地方公共団体が当該国の支出金に係る事務を行うために必要で且つ充分な金額を基礎として、これを算定しなければならない。」と、まず、十分な金額を基礎としてまず算定しなさいよと。そして、十一条へ来まして、国と地方公共団体とが負担すべき割合は、法律または政令で割り勘を定める、こうありますね。十分なものを基礎として国と地方団体が法律で割合をきちっと定める。これが地方財政法の規定で、これに、そうよけいな注釈は要らないようになっています。ところが、家畜保健衛生所法のほうへいきますと、割合を定めると言っておるにもかかわらず、こっちはどう言っているかというとですね、「予算の範囲内で」、「二分の一以内の補助金」と、こうなっている。こういう規定の仕方というのは、地方財政法の十一条で言うところの、割合を政令できめなきゃならぬ、必要な額を基礎にしなきゃならないという規定とはもう法律上ずいぶんぼくは矛盾すると思うんですね、矛盾すると思う。でありますので、地方財政法の方から読んでいけば、ここで言う、第七条の「二分の一以内の補助金」という場合には、たてまえとしては二分の一だというふうに読むのが至当だと思うんですね、読むのが至当だ。で、この二分の一を現実に地方公共団体へ家畜保健衛生所について支出をしておるかどうか。さっきの数字出ましたか、まだ数字出ませんか。
#75
○政府委員(澤邊守君) ちょっと数字はいま調べさしておりますので、もう少しお待ちいただきたいと思います。
 先ほどお答えいたしました点やや不明確でございますので、改めてお答えしたいと思いますが、第七条によります国からの補助は、予算の範囲内において創設費とかその他これに伴う初度調弁費並びに職員に要する経費の二分の一以内の補助金を交付することができると、こういうことになっておりますが、できるということでございますが、これは何年ですか、私ちょっといま記憶ございませんけれども、補助事業としては、職員補助は現在はやめまして、全面的に交付税で財政措置をするというように切りかわっておるわけでございます。したがって、先ほどお答えいたしましたように、初度調弁費等の人件費以外のものについては二分の一以内の補助をいたしておりますけれども、職員の補助につきましては全く、補助としては現在は行っておらないと。ただし規定といたしましては、予算の範囲内でできるという規定を残しておりますけれども、現在は地方交付税に切りかわっておるということでございます。
#76
○志苫裕君 ですから、その地方交付税に見込まれておる家畜保健衛生所に関する費用というのは幾らになっていますかと聞いてるんです。これがわからなければ――私、ちょっと大臣ね、いま自治省、大蔵省あたりが一生懸命になって地方自治体の財政が危機だからと、いろいろ気をもんでやっていますね。私はこれを見て実はひとつ異様に感ずる点があるわけですね。この伝染病法に限らず、このような形で法案をつくって、いわゆる仕事ですね、仕事を地方自治体にいろいろとやってもらったり、命じたりしておるのは、自治省や大蔵省ではないわけですよね。これは筆頭が厚生省なんですね。農林省、建設省、まあこういうところなんです。いま地方自治体、まあ財政キャンペーンというのが行われておって、自治体というものが四苦八苦しておる。時には悪者のように言われておる中で、なぜ一体この農林省なり厚生省なり建設省が音を出さぬのだろうかということを、私は実は異様に感じているわけです。実は、われわれがこういう法律をつくり、こういう要綱をつくり、こういう計画を立てて、自治体にいろいろと仕事をやってもらっておる。その立場からいえば、もっとお金も欲しいし、人も欲しいと、こういう立場に本来、農林省なり厚生省は立っているはずですよね。まあ、言うなら、仕事を頼むときは、じゃんじゃん、じゃんじゃん頼んでおいて、命令しておいて、その仕事が原因で自治体財政硬直というようなことで騒ぎになるときには、横を向いて知らぬ顔しておるというのが、私はやっぱり今日問題だと思うんですよ。これはやっぱり仕事を現に進めて、それが国民のためになっている、住民のためになっているという自負がある農林省なら農林省という、事業を進めている省が一言あってしかるべきだ、こういうときには。で、そのことを私、証明をする意味で、これからなお若干の資料の提出も求めたいし、その一例として、この保健衛生所の費用を聞いたんですが、わならぬ、一体どれくらい銭が行っているもんやら、それが十分に足りているもんやら。予算の範囲内って書いているからそれでいいだろうと、二分の一以下と書いてあるから、以下なら幾らでもいいだろうという考えで、仕事だけを第一に考えておるから今日のような事態か起きる。地方財政――地方自治体の行財政が全うでなければ、どんな法律ができても所期の効果を上げることができないわけでありますから。仕事が有効に進められるかどうかということまで農林省が考えるとすると、そこまで考慮を及ぼさなきゃならぬ、こう思うんですが、大臣、いかがですか。
#77
○国務大臣(安倍晋太郎君) 地方財政法の、たとえばいまお話がございました十一条には、農林関係法規につきまして、法律並びに政令で規定をしなければならないということがあるわけでございますが、それに対して、農林省関係の法律が十分対応してないということは言えるんじゃないか、だから、その食い違いがあるということは、地方財政法とこの農林関係の法規との食い違いがあるということは、これは事実でございますし、これに対しては、予算委員会におきましても、総理大臣も早急に改善の方向で努力をするということを答弁をいたしておるわけでございます。で、農林省関係――そういう法的に見れば食い違いはあるわけでございますが、農林省としては、今日まで、補助金あるいは超過負担解消等につきましては、現実的な面においては努力もしておるし、その成果も上がっておるわけでございますし、まあ今回は、たとえば農業委員会、あるいはまた農業改良普及員等の起過負担といった問題につきましても、これを解消する、五十年度で二分の一、五十一年度で二分の一と、まあ二年間で解消するということで、実際的には努力もし、現実的にその解消もいたしてきておることは御承知のとおりでございます。
#78
○志苫裕君 私は、いまのお話を聞いておっても、あんまりどうも――地方財政問題というのには、農林大臣も農林省当局も実はあんまり配慮が及んでおらないということをしみじみ感ずるんですよ。私は専門家じゃありませんけれども、地方財政問題にかけてはいままで田舎の議会で取り上げていましたからやりますが、やっぱり事業を担当しておる所管のところはずいぶん、そういう点については気楽にやっているものだな、という気がするものですから、ひとつこの際、たとえばいまの家畜保健衛生所法の第七条と地方財政法の十一条、十八条、それから十条の一、二、三、――二、三、四ですね、こういうものとの間にはずいぶん矛盾があるようですかち、農林行政全般にわたるこういう法の規定の上での見直し、整備というものをこの機会に――何でも見直し時代のようでありますから、ひとつ手をつけてほしいと思うんですね。
 そこで、四十九年度に行った起過負担実態調査の資料を皆さんのところで提出できますか。
#79
○政府委員(岡安誠君) 四十九年度の実態調査は、大蔵、自治、農林の三省の共同調査でございますので、ほかの大蔵、自治省とも相談をいたしまして、提出できる段階ならば提出いたしたいと思っております。
#80
○志苫裕君 委員長、これは、いま三省調査と言っていますから、相談してみるといいますが、とりあえず、行ったのは農業委員会と農業改善普及事業のようですね。これはやっぱり委員会としても、できれば提出できるように計らってほしいんですよ。
#81
○委員長(佐藤隆君) ただいまの資料要求につきましては、農林省を含めて三省で相談をされた結果を理事会に御報告をいただき、理事会で取り計らいをいたします。
#82
○志苫裕君 で、先ほどの資料出ましたか。
#83
○政府委員(澤邊守君) 交付税に算入されております給与は、所長が二百九十四万円、所員が二百二十四万円になっております。
#84
○志苫裕君 手当は幾らですか、――研究費は。
#85
○政府委員(澤邊守君) 手当も全部込みでございます。
#86
○志苫裕君 手当も込みですか。――交付税の計算の基礎になっていますのは、所長二百九十四万、所員二百二十四万。すると、現実の、地方自治体における該当者の賃金は幾らになっていますか。
#87
○政府委員(澤邊守君) 全国の保健所の職員の現実の給与額については把握をいたしておりません。
#88
○志苫裕君 それがいかぬのですよ、それが。実態が幾らであるかもわからないで、適正なのは幾らであるかもわからないで、一方的に組んでおいて、半分見ているという言いようというのが、積もり積もって、ずいぶんとやっぱり自治体財政にしわが寄っているわけだ。自治体財政のしわというのは、またもとへ戻って、農林行政そのものがスムーズに進行できないという、そういうはね返り方をするわけでありますから、これはやっぱり地方財政法の十八条で言うような、必要で十分な金額を基礎として算出をするというところに戻りませんと、これは非常にウエートの少ない――家畜保健衛生所について私は話をしていますけれども、これが農業改良普及事業であるとか、あるいは農業委員会であるとか、そういうところへいきますと、ずいぶん施策の上では大きいものになるわけですよ。これは大臣、そっちの方は自治省あたりでしかるべく計算をしてくれるんだから、おれの方は知らぬという考え方は一てきしてくださいよ、どうですか。幾らで働いているかわからぬじゃ困るでしょう。
#89
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今日の行政の中では、自治省が交付税等についても算定基準は決めることになっておるわけでございますから、一応農林省としてもその算定基準に基づいて判断をしているということでございますけれど、まあ実態は、これは各自治体によってもずいぶん違うと思いますが、実態の把握等については、これは農林省としても、農林行政に直接に関係のあることでございますから、やっぱり実態の把握には努める必要があるんじゃないかというふうに思います。
#90
○志苫裕君 実態の把握をして、交付税を計算をするところにそれが反映されなきゃだめだ。でなければ一貫した国の行政にならないわけです。国と地方との関係が確立をできないわけです。
 で、これはいずれ、いま資料要求をしましたこの二つの資料が出てまいったところで、私は農林行政における地方財政負担というものをひとつもう少し根本的に提起をしていきたいと思いますので、きょうのところは問題提起だけにやめておきますが。皆さんもわからぬようでありますが、たとえば獣医師の、家畜保健衛生所に勤める獣医師の研究費というのは、四十九年の交付税の中では月六千五百円組み込まれています。六千五百円というのは、――同じ農業改良普及員で獣医師かいます。農業改良普及員は一二%の調整手当がついてます。十万円とすればそれで一万二千円です。大体まあ十三万円ぐらいでしょうから、大体倍以上の手当が現実にはついてるわけですね。同じ獣医師で、絶えず協調して仕事をしてる農業改良普及所と家畜保健衛生所が隣合わせである施設だってずいぶんあります。で、ずいぶん差があるわけですね。こういうあたりでも僕は畜産局あたりが第一線のそういう――これが防疫費にもなるわけでありますが、そういうものに対するめんどう見が悪い、このように思うんですが、これらの均衡ある取り扱いを大臣、ひとつ早急に手がけてください。
#91
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ十分研究してみます。
#92
○志苫裕君 あなたは研究と言うが、研究機関でも行った方がよろしいようでありますが、時間が来ましたので、そろそろやめます。
 最後に一つだけ。獣医師の教育期間の六年制というのが、大学の六年制というのがいま問題になってますが、いろんな意味でそれこそ検討課題だと思いますが、農林大臣のいまの見解はどうです。
#93
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあやっぱり私は、獣医師の畜産の振興あるいは家畜衛生、そういう面につきまして占める社会的な役割りというのは非常に大きいと思います。そういう意味において、現在の四年制度を六年制度にする必要があるのではないかと、こういうふうに考えておるわけでありまして、そこで文部省ともこの点については十分協議をして、六年制が実現できる方向にひとつ努力をしたいと考えておるわけであります。
#94
○志苫裕君 いずれ、この点についての意見は後刻述べることにします。
 一応時間も来たようですから、私の質問これで終わります。
#95
○神沢浄君 持ち時間がきわめてわずかで、しかがって私は、大きく二点ばかり限ってお尋ねをしたいと思うんですが、その第一点は、まあいろいろ情勢の変化に対応して昭和四十六年に本法の改正が行われましたときに、参議院における農水の委員会で附帯決議を行っているわけなんですよ。まあ大体私は、最近この附帯決議というのが議決のときのセレモニーみたいになっていた観もありまして、そして当局側はその努力をする旨の言明をされて終わっているわけですが、院の方でもその後の追跡調査みたいなものはちょっとやってもおりませんし、また、当局側でも、済んでしまえばそれほど責任を感じていないようなきらいがありそうです。ですから、私は、今後は、この問題に限らず、附帯決議というものを少し追っかけて調べてみたいと思っているんですが、その手始めにこの四十六年の三月本院の農水委員会でもって行いました附帯決議の内容について、その後の処理状況がどうなっておるかということを、これは本当は責任者の大臣からお伺いすべきでしょうけれども、そういうぶすいなことは申しませんからどなたでもそれぞれ担当の方から項目別に御説明をいただきたいと思います。
#96
○政府委員(澤邊守君) 四十六年の三月二十三日参議院の農林水産委員会におきます家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議をいただいておるわけでございますが、七つあるわけでございます。それにつきまして申し上げてみますと、まず第一の「自衛防疫の推進を図るため、その体制の育成強化について必要な財政援助を行なうこと。」という項目につきましては、四十七年度からそれまで市町村あるいは農協等の単位に組織されておりました自衛防疫団体、まあ協議会というような名前で呼んでおったのが多いと思いますが、それを都道府県を単位とした家畜畜産物衛生指導協会というものに統合いたしまして、国はその協会の財政的な基礎を確立をするために、事業団から、畜産振興事業団から協会に対して出資をすることにいたしております。これは四十八年度よりやっておりまして、一協会当たり平均一千万円、約三分の一の出資をすることにいたしまして、一部の協会につきましては、出資が五十年に延びるものもございますが、大部分の協会に対しましては、四十九年度までに出資を終わっておるわけでございます。現在出資、非出資を含めまして、四十五の県に協会ができておるわけでございます。その協会の行います家畜衛生知識技術の普及及び豚、鶏、牛の特定疾病に対します予防事業――予防注射でございますか、それに対しまして予防液あるいは技術料等について助成をすることによって協会のこれらの事業の推進を図っているところでございます。その結果、協会の実施しました事業は、四十八年度には、四十五都道府県で豚コレラの予防注射九百六十六万頭、鶏のニューカッスル病の予防接種延べ一億八千八百五万羽について予防注射の事業をやっておるわけでございます。これらの自衛防疫事業というのは、今後の畜産を伸ばしていくために非常な重要な事業でございますので、今後ともその育成強化には努力をしてまいりたいと思っております。
 それから二番目に、「海外からの悪性伝染病のわが国への侵入の危険性の増大に対処して、検疫施設を整備充実し、動物検疫に万全を期すること。」というふうになっております項目につきましては、現在の動物検疫所によりまして輸入検疫をやっておるわけでございますが、これは一本所、五支所、十一出張所、三分室というのが主要な海港あるいは空港に設置されておるわけでございます。その検疫施設等の整備につきましては、この附帯決議いただく前の四十五年度から三カ年計画で主要な輸入港、横浜と神戸でございますが、そこの検疫所の施設整備を進めましたし、さらに四十六年度に成畜の輸入が自由化されました、それに伴いまして輸入頭数がふえるという見込みがございましたので、博多の出張所を四十六年から二カ年計画で整備をいたしました。さらに成田空港の開港に備えまして、四十六年度から三カ年計画で係留施設の設置をいたしております。これらによりまして、現在全国主要海・空港十二カ所の係留施設で同時期に、牛馬換算で約一千五百頭の係留検査を実施する能力を有するに至っております。さらにこれらの係留施設のほかに、検査機器の充実とかあるいは防疫官の増員とかというようなことを図って海外からの悪性伝染病の侵入に備えるようにしておるわけでございます。
 それから、殺処分手当につきましては、先ほどお答えいたしましたように、実勢価格の推移を見て牛・馬・豚につきましてはその検討を進めておるところでございます。
 それから四番目は、試験研究関係の拡充強化でございますが、これは家畜衛生試験場を中心にいたしまして試験研究費の充実と施設の拡充を毎年図っておりますが、特に口蹄疫等侵入のおそれがあります悪性伝染病につきまして、五十年度から研究室を一研究室ふやすというようなことも五十年度予算において計上しておるところでございます。
 豚及び鶏の共済制度につきましては、これは現在実験的な実施を、制度を検討いたしておるところでございます。
 次に、六番目の獣医師の農村定着化と待遇改善を行うということにつきましては、今年度から無獣医村の獣医師の定着化を図るために、四カ所についてモデル的に施設の設置、宿舎を含めまして診療施設、診療所、宿舎の設置に対しまして助成をする、新しい事業を五十年度から開始をすることで予算を計上して現在御審議をいただいておるところでございます。
 保健所の充実につきましては、先ほどの助成規定にも基づきまして施設、機械、機具の充実につきまして毎年計画的に予算を計上いたしまして助成をいたしておるところでございます。
#97
○神沢浄君 答弁はそういうことでしょうけれども、まあ余りこういう、これだけはと言って、胸を張ってお答えになられたような個条はなかったじゃないかと思うのですが、その第一の自衛防疫の問題ですけれども、いまお答えがありましたように、まあ各府県に衛生指導協会というのですか、であると。ところが、これが私の聞き及んでいるところでは、国が三分の一ほど出して県が三分の一ほど負担をして、残りを市町村や農業関係団体がまあ三分の一というような仕組みになってはいるようですが、これはなかなかやはり金のことでございますから、国あたりが率先をして出せば、以下これにならうということになるでしょうけれども、余り率先をされぬようで、したがって、私は山梨ですが、山梨などの例を聞いてみますと、何か全体で三千万くらいのものにしかならない。そうしますと、正直言ってもう人件費でいっぱいみたいな実情であって、さっき四十五府県においてこういう事業が行われたというような御説明がございましたが、まあ実際には、いわばこの団体がつくってあるにとどまって、なかなかここに掲げておるような一「自衛防疫の推進」というようなことにはなっていないのが何か実情のように聞き及んでいるわけなんです。でやっぱりもっと国がまず率先をして財政援助をやっていくということでなければ、実際には自衛防疫推進の実というものは上がっていかないのじゃないか、態勢を強化しようといっても、その実が上がらないんじゃないかというような感じを強めているところです。それらの点に今後さらにどのような姿勢でもって対応されるかという点について、これは大臣からお伺いをいたしたいと思います。
#98
○国務大臣(安倍晋太郎君) 自衛防疫事業は、国、都道府県の行う家畜防疫事業とともに伝染疾病予防のためのきわめて重要な部門を担当するわけでございまして、先ほどから局長が申し上げましたように、協会の出資の三分の一、一千万を補助いたしまして防疫事業を推進いたしておるわけでございますが、これはきわめて重要な部門でございますので、今後ともその育成強化のためにはひとつ力を注いでまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#99
○神沢浄君 それから共済の問題ですね、これは検討中のお答えだったのでありますが、とにかく一番ふえているのは豚と鶏ですからね、畜産の中で。これはもう異常にふえているわけですね。牛は横ばい程度。いただいた資料を見ても、ヤギ、綿羊などは減って、馬もいなくなり、非常に増加しておるのは豚と鶏ですから。その一番増加しておるところの、日本畜産の伸展の柱になっているようなこの豚とそれから鶏の共済制度というやつが、これなかなか進まない。私も、実は共済事業には多年関係してきてもおりますから、技術的にむずかしいということは決してわからぬわけじゃありません。ありませんけれども、しかし農政として考える場合に、とにかく畜産三倍、果樹二倍というようなことで、今日まで選択的拡大が図られてきておるこの畜産の中でもって、ふえておるのはこの豚と鶏だけなんですから、それの共済制度というのがいまだに手がつかぬというようなことは、これはどうもまことに憂慮しなきゃならない問題だと、こう思うんですが、どうなんでしょうか。もうちょっとこの点についてはその後の経過、検討の経過、さっき検討中とこう言われたですけれども、検討の経過、これからの見通し、さらに今後どう処していくかという考え方などを局長並びに大臣からお伺いしておきたいと思う。
#100
○政府委員(澤邊守君) 共済制度につきましては、直接には農林経済局の方で担当しておりますので、私の方で承知しておる限りのことを申し上げたいと思います。
 肉豚につきましては、四十三年度まで調査研究を行った結果、一応の制度試案が得られましたので、四十四年、四十五年度において試験調査を行ったわけでございます。四十六年度以降はこの試験調査の結果に基づいて制度化の検討を行っているところでございますが、五十年度においても引き続きその制度化の検討を継続をするということになっております。
 鶏についても四十四年度まで調査研究を行ってきた結果、一応の試案が得られましたので、四十五、四十六の両年度において試験調査を行い、四十七年度以降その結果に基づいて制度化の検討を行っているところでございまして、これにつきましても五十年度はなお制度化の検討を引き続き行うと、こういう予定になっております。
 現在までのところ、問題点としてわれわれが聞いておりますのは、肉豚、鶏とも保険需要がどの程度出るであろうかと。先生いま御指摘になりましたように、非常に規模が大きくなって大規模な多頭化飼育になっておりますと、自分の経営の中で一種の保険、自家保険と言いますか、そういうようなことができるわけでございますので、一、二頭飼っている場合とはその点は違うわけでございますので、これが果たしてどの程度入ってくれるかという保険需要の点でなお検討すべき点があるというように聞いております。また、事故の範囲、病気の原因をどこまで広げるかというような問題、あるいは損害評価の具体的なやり方につきましてなお問題があるということで、これらの問題について経済局で五十年度引き続き検討を行うということになっているように聞いております。
#101
○国務大臣(安倍晋太郎君) 家畜共済の拡大につきましては、いま局長が答弁をいたしましたように、検討をいたしておるわけでありますし、五十年度にはさらに調査費もつけて検討を進めるという段階にあるわけでございますが、いま御説明を申し上げましたように、技術的にいろいろと問題もあるようでございますので、これはさらに鋭意ひとつ検討を急いでいきたいとこういうふうに考えておるわけであります。
#102
○神沢浄君 それ以上の御答弁はちょっと無理だろうと思いますからやめますけれども、大体私は、日本の共済制度というのは、保険ともつかず、保障ともつかず、何かその途中、まことにはんぱみたいなものであるところにむしろ生産者からも歓迎されない、その実効がらないというような点が一つの障害だと思うのです。本当に日本の農業の再建というものを安倍農政が目指す以上は、この際やっぱり豚、鶏はもとよりのことですけれども、これは共済という問題を自然災害あるいは病虫害というふうなものから守るのは、これは日本の農業にとってきわめて重要なことでありますので、ひとつ同じ検討でも、ただ答弁用語の検討でなくて、本当に真剣な検討を要望しておきたいとこう思います。
 それからもう一つ、家畜衛生保健所ですか、これは私いただいた資料を見ますと、さっきも触れましたように、豚や鶏などを軸にして相当の頭数の増加というものはここ近年行われている。ところが、これは合理化の一端でしょうけれども、保健所の数はこれは半減をしている――減らされている。それから、それでは獣医師などを初めとする職員はどうかというと、これは横ばい、こういうような実情のようであります。こうなってまいりますと、これはかなり頭数の増加などもあるし、保健所の数を減らせば、これはもうやっぱりサービスの密度というものは、どうしたっていろいろ距離的な障害などの条件のために、稀薄化することは避けられぬのでありまして、しかも員数がふえない。こういうようなことであっては、私は、その機能が増進しておるなどとは決して思えないわけなんです。これはいやでも私は、落ちておるのが実情だろうとこう思うのですが、このようなことであっては、ここに書いてあるような保健衛生所の機能の充実を図り、ということにはなりませんし、ましてや、この保健衛生の実を上げていこうというようなことには、これは、ほど遠いんじゃないかとこう思うのですけれども、その辺の御見解はどうですか。
#103
○政府委員(澤邊守君) 家畜保健衛生所は法律に基づきまして、地域における第一線の家畜衛生機関だということで設置をされているわけでございますが、最近におきます家畜の飼養頭羽数の増大に伴いまして、家畜衛生技術の高度化あるいは専門化の要請が非常に強くなっておるということにかんがみまして、四十一年度からいわゆる広域統合のため七カ年計画で広域保健所に整備するということをやってきたわけでございます。その結果、統合前は五百八十六カ所でございましたのが現在は二百二カ所ということで半減以下になっておるわけでございますが、これは普及所と同じような考え方で技術の高度化、専門化を図りますためには、小さな機関が分散しているよりは、ある程度まとまって専門を分担した方がいいと、こういうような考えに基づいて広域化をしたわけでございます。それと同時に、細菌だとか、病理だとか、生化学とかいった病性鑑定に必要な機器の整備をいたしまして、診断機能の向上に努めたところでございます。で、職員の数について御指摘ございましたけれども、四十一年度から統合いたす計画を進めましたその直前の四十年の、まあこれは獣医師についてでございますが、一般職員といいますか、獣医師について申し上げますと、四十年の四月一日で私どもの把握しておりますのは一千八百五十六人の獣医師が保健所に配置されておったわけでございますが、その後漸次ふやしまして四十八年度の四月一日では二千二百三十二名ということで、大幅とは申しかねますけれども、若干の増員をいたしまして人的な面でも充実を図っておるわけでございます。それと同時に先ほど申しましたように、広域統合の趣旨から言いまして家畜別、部門別に職員の専門能力を向上をさせるというようなことに努力をいたしておるわけでございます。また四十九年度からは家畜衛生情報モニター農家というのを家畜保健衛生所が設置をいたしまして防疫情報の収集、それをまた畜産農家に返すというようなことによりまして、迅速適確な防疫体制が整えられるように努力をしているところでございます。
#104
○神沢浄君 まあ時間の制約がありますからね、これらの問題はまたいずれかの機会でもって少し論議をしたいと思います。
 最後に、一点だけ大臣にお尋ねをして終わりたいと思うんですが、これはまあ家畜の衛生ということでなくて、もう少し大きくいわゆる畜産の衛生とでも申しますかね、環境保全対策の問題についてこの機会に大臣の御見解などを承っておきたいと思うんです。
 実は先ごろ、私は、ここにいらっしゃる栗原先生のお供をして群馬県の養鶏の関係などの調査をいたしましたんですが、そのときに、いわゆるこれは一事例ですけれども、鶏ふんの処理の問題につきまして火力乾燥の施設を構ずるにはべらぼうな金をかけなきゃならない。その金をかけたためにどうも身動きつかなくなってしまって、そして大変な苦労をしておられる。それから天火乾燥ということになれば、これはもうかなりの場所も要りますし、それでせっかく金をかけて火力乾燥をしても、それでもなおかつ三キロも遠方の方から悪臭云々といって苦情を受ける。こういうようなことで、とにかく費用そのものよりか鶏ふんの処理の問題でもって大体生産者は大きく頭を痛めておるというようなことを聞かされてまいったのでありますが、こうなりますと、やっぱりまあ鶏を飼うということではなくて、副次的な鶏ふん処理の方でもってこの養鶏という事業が大変困難に逢着をしておるのが実態のようであります。
 で、この際ひとつ政府としても思い切って――鶏ふんなどというものは、いま政府が言い出しておる土づくりなどということから考えますと、大変有効なものです。それを活用をしてそのりっぱな土をつくっていくというようなことは、これはかなり政策としても有意義なことだと思いますししますもんで、思い切って畜産の環境保全というふうなものについては、最近は、いわば畜産公害などと言われて住民側との間にも相当のトラブルなども多くなってきて、それが畜産の進展を阻んでおるような状況もふえてきておるようでありますので、この際ひとつ日本農政としてもそこに大きく関心を傾け、着目をしていただいて、思い切ってひとつその点に金をかけていくような、そういり障害を除去していくような政策をおとりになることが私どもは、大変大切なことだ、こう思うのでありますが、ひとつ大臣の御見解を承って私は以上で質問を終わります。
#105
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま御質問がございました畜産の環境保全、さらにこれと関連をして、これを畜産の振興に積極的に結びつけていけというりお話でございまして、私もこの点についてはまことに同感でございます。私も千葉県に参りまして、鶏ふんの乾燥をしておる農家を視察したこともあるわけでございますが、この農家は畜産の乾燥機等に大変工夫をこらした乾燥機を使っておりまして、周辺からもあまり苦情が出ないということで、大変有効に鶏ふんを使っておるようでございます。で、確かにいま御指摘がございましたように、最近の農業で土づくりが大事でございますし、有機肥料を積極的に活用していくということが土壌をよくするという上におきましても非常に重要なことでございますので、そういう点につきましては、畜産農家とやはり一般の農家との間の連結をもっと効果的に、効率的にいけるように、これは行政の面でも考えていかなきゃならぬ。こういうふうにも思うわけでございますし、まあ現在政府としても、畜産の環境保全のための予算措置等も講じてはおるわけでございますが、今後この問題につきましては、わが国農業のこれからの土壌をよくしていくという問題ともからんでくるわけでございますので、積極的にひとつ取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
#106
○原田立君 質問がちょっと前と重複する面が出てくるかもしれませんが、お答え願いたいと思います。
 一昨年十一月にわが国において三県にわたって豚の水胞病が発生したのでありますが、そのときの経過及び原因について御説明を願いたい。
#107
○政府委員(澤邊守君) 豚の水胞病は四十八年の十一月に茨城県、それから神奈川県に初発をいたしまして、十二月には愛知県下においても発生を見ましたが、初動防疫の徹底によりまして、この三県で五百八十頭発生したのにとどまりまして、その後、発生の蔓延を防止することができたわけでございます。
 この病気は豚水胞病ウイルスによって起こるものでございまして、その症状は四十度以上の高熱を出す、発熱をする。それから指間といいますか、指の間ですが、それからひずめの蹄間部、それから鼻の先、舌だとかくちびるに水胞ができまして、これがつぶれて潰瘍になる、物が食べられなくなるということで、食欲不振になったり、あるいはびっこをひいたり、起立不能になるというようなことで、その結果、発育不良、それから肥育能力が非常に減退をするということで、経済価値も非常に下がるということで、そのような症状で、海外の悪性伝染病として一番その防渇に努力しております口蹄疫にやや類似をしております。口蹄疫ほど病勢は強くございませんけれども、やや似たところがございまして、われわれといたしましては、発生当時、非常に心配したわけでございますが、口蹄疫ではなくて豚水胞病であるということで、蔓延の防止に努力をしたわけでございます。なお、びらんして潰瘍になりまして、そこに細菌と化膿菌が二次感染するというような場合になりますと、症状はもっと重くなるというようなことでございますが、死亡するというものは比較的少ないというふうに、諸外国の場合でも、わが国の場合でも見られております。
 この病気の侵入経路につきましては、当時発生地域を管轄いたしております家畜保健衛生所、それから家畜衛生試験場、動物検疫所等を動員いたしまして、発生地域を中心といたしまして、その導入状況、あるいは病気になった豚の発生状況、それからえさの購入状況、どこから購入したのか、あるいは家畜商がどういうような出入りをしたかというようなことをいろいろ調査をいたしまして、最初に出たのが神奈川である。他の茨城、愛知はそこから伝染をしたということはわかりましたけれども、神奈川が果たして海外から入ったものであろうという推定はされていますけれども、いつ、どこから、どういう経路で入ったかということまでは明確に確証を得ることができませんでした。さらにその後、家畜衛生試験所が二回にわたりまして、全国的な抗体調査というものをやりまして、その結果、わが国には現在のところ、豚水胞病はないというふうに確認をしておるところでございます。
#108
○原田立君 まあ、初動活動で五百八十頭にとどまったということは大変結構なことだったと思うんでありますが、いまのお話ですと、まだ感染経路あるいは原因がはっきりしないというところに一抹の不安を感じるわけなんですけれども、まあ一昨年の話でありますから、その後ずっと研究してこられただろうと思うんですが、原因不明では、再発生するという恐れがまだ多分に残っている、こういう恐れを持つわけであります。で、検疫体制の強化と再発防止のための対策が必要であると思うんですが、その具体策についてはどうなのか。
 それから、一応五百八十頭でとどまったのは大変結構なんですけれども、もしおくれたらどんなふうな状況が起きたんですか。
#109
○政府委員(澤邊守君) もしこれが五百八十頭にとどまらず、周辺地域に蔓延をいたしましたとしますれば、英国等では七二年に発生以来、昨年の十月までに十六万七千頭も発生したというような記録がございますので、わが国の場合も、初動防疫がうまくいっておらないとすれば、かなりの被害を生じたのではないかというふうに推定をされます。
#110
○原田立君 十六万頭というようなお話だったから、かなりの数になって、これは大変な、初動活動の失敗をしでかした場合には大変な問題であろうと思うんです。そこで、やっぱりどうしても原因をはっきりしなきゃいけない。局長のお話の中では、あるいは外国から入ってきたんじゃないかというようなお話がちらっとあったんだけれども、そこら辺の推察はどうなんですか。
#111
○政府委員(澤邊守君) まあ侵入経路は、感染経路は明確に把握できなかったということを申しましたけれども、まあ恐らく海外から、いままでなかった病気でございますので、海外で最近発生しているということから考えますと、恐らく海外から何らかのものに付着をして入ってきたというふうに見ていいのではないかと思います。したがいまして、われわれといたしましては、海外の発生状況等につきまして十分、常時情報を収集いたしまして、さらに輸入検疫を徹底をするということ、それからさらに、前回の場合は家畜伝染病に指定されておりませんでしたので、六十二条の規定を適用いたしまして家畜伝染病と同じような蔓延防止措置をとったわけでございますが、これはやけり政令を定めないと発動できませんので、そういう意味では今後も侵入するおそれがあるということを考えまして、今回初めから家畜伝染病として指定をするということによりまして、発生後の敏速な防疫に遺憾のないようにしたいというふうに考えておるわけでございます。
#112
○原田立君 それは賛成なんですよ。別にそれは反対しているわけじゃない。ただ、原因不明あるいは何らか外国から入ってきたんじゃないんだろうか、というようなあいまいな表現だから非常に心配をするわけです。外国から入ってきたんだとその初動活動をして成功したんだと、だから今後そんなことはないように伝染病に指定して水際作戦を際立ってやるんだと、こうならはっきり安心するんですよ。あなたはっきり言わないから、何度も何度しつっこく聞いているわけです。
#113
○政府委員(澤邊守君) わが国ではこれまで発生したことがなかったわけでございますので、これは外国から何らかの経路を通じて侵入したというふうには推定されるわけでありますが、具体的にどのような感染経路を通じて、いつ入ったかということまでは確認できなかったという意味でお答えしているわけでございますので、海外から入ってきたということはほぼ確実というふうに見て差し支えないと思います。
#114
○原田立君 今度は――一昨年の場合には家畜伝染病に指定されていなかったので、その感染経路等が、その調査についてやや不十分だったと、こういうことになっているわけですけれども、今回、この法案は恐らく通るでしょう、ぼくらも賛成ですから。で、この法案を通した後は、豚水胞病についての体制づくり等はどういうふうに考えているんですか。ただ指定しっ放しでは何にもならないんじゃないかと思うんですがね。
#115
○政府委員(澤邊守君) 本法が適用されますと、蔓延防止の措置がとり得るわけでございますが、具体的には、発生いたしました場合に、隔離、あるいは畜舎等の消毒なり焼却なり埋却の措置がとられることになりますし、さらに、特に必要な場合には、一般の通行の遮断までしたり、あるいは家畜の移動制限をしたり、患畜なり疑似患畜については殺処分をする、それに対して手当も出す、その他、周辺の家畜なり農家につきましては検査をしたり消毒を命ずるというような各種の措置がとられるわけでございますので、それらが当初から伝染病に指定されておりますれば、機を失せずやれるということになるわけでございます。で、それらのこととあわせまして、先ほど申しましたように、海外の情報を絶えず収集をいたすことによって未然に防止する、それからさらに、家畜検疫、輸入検疫を厳正にやることによりまして海外から侵入するのをできるだけ防止をしていくというような措置は厳重にやってまいりたいと考えております。
#116
○原田立君 何か、仕事がふえるときには、たとえば人員がふえるとか、予算をふやすとか、施設を増加するとか、こういうふうなことが行われるんではないかと思うんですが、そういう面で、こういうふうにしたいという青写真はないんですか。
#117
○政府委員(小山義夫君) 行政面でのいろんな対応策もあろうと思いますけれども、私の方でこの問題に取り組んでおります研究面の方についてのお答えを申し上げます。
 先ほどから答弁がございましたように、この病気は非常に口蹄疫に似ておりまして、この前人ってきましたときに一体その口蹄疫ではないのかどうかという点に非常に疑問を持ったことと、それから初めての経験であったというふうなことで、この水胞病の病原菌の検出に非常に手間をとったわけでございます。しかし、これが一つの経験になりまして、今後この豚水胞病についての病原菌の並びに診断法の確立が一応現段階でできてまいりました。
 しかし、今後の問題といたしましては、それをより迅速、的確にやるというための診断法の確立を目指しておることが一つと、それからもう一つは、予防液、すなわちワクチンでございますけれども、ワクチンがこういう新しいいままで日本にない病気なもんですから、ワクチンがいまのところできておりません。このワクチンにつきましては、ほかのワクチンと違いまして、この病原菌か、血液の中で流れていくのではなくて、腸の粘膜に出るというふうなことで、それに効くようなワクチンというのは非常につくり方がむずかしいわけでありますけれども、家畜衛生試験場の総力を上げていまこの問題に取り組んでおります。
 研究の体制といたしましては、口蹄疫とこれが非常に似ておるものでございますので、口蹄疫の研究室でとりあえず、むしろいまは、こちらの豚水胞病のところに研究の内容を傾斜して、かつそれでも人員が十分でございませんので、いま予算の方を、国会で御審議を願っております五十年度予算案の中において、口蹄疫並びにこの水胞病を検討、研究をいたします研究室の増設をお願いをしておるわけでございます。
#118
○原田立君 必要だということはぼくらも賛成なんですよ。要するに、こんな非常に重要な伝染病なんだから、ぼやっとしていれば十六万頭もやられちゃうという事例がある。これは初動捜査で五百八十二頭でおさまったということは大変結構な話なんです。それで伝染病に指定した、そうしたならば、何らかの体制づくり、予算だってふやし、施設だってもつくり、そうしてやっていかなきゃいけないんでしょう。それをさっきから言ってるわけなんです。じゃあ具体的に、いままでは、口蹄疫関係の予算がこれだけでしたと、今度は豚水胞病を指定したんで、これだけ上のせしました、というような、何らか具体的なそういう手当て、それを聞かしてください。――いいですね。もう時間がないんだから、すぱっと答えてくださいよ。
#119
○政府委員(澤邊守君) 家畜伝染病予防関係の経費なり人員等は、これは伝染病の性格上、いつ、どれだけ出るかということは、あらかじめ各伝染病ごとにはっきりわかるわけじゃございませんので、全般的に家畜伝染病予防費の中で、そのときどきに発生した伝染病に対して予算を使いながら、予防措置なり、あるいは蔓延防止措置をとっているわけでございます。その意味で、特に豚水胞病についての予算計上はいたしておりませんけれども、全体の家畜伝染病予防費の中で、しかも、人的な体制といたしましては、家畜防疫官というのを年々ふやしておりますので――家畜防疫官と申しますのは、輸入検疫関係を担当しております開港にいる検疫所の職員でございますが、これらも毎年ふやしておりますので、それらの検疫体制の整備によりまして侵入を防止するということとあわせて実施をしていきたいというふうに考えております。
#120
○原田立君 要するに、具体的な数字は何も出てこないんですね。検疫関係の予算は、今度の豚水胞病を指定した場合について幾らだけの増額をいたします、そういう予算をいま国会に出していますとか、あるいは豚水胞病を指定したんで、こういう施設をつくりたいんです、という具体的な答えが出ていない。それいかがですか。
#121
○政府委員(澤邊守君) いつ、どの程度発生するかということは予測できませんので、一般の家畜伝染病予防費の中で、そのときどきに発生したものに対して予算を使って実施をしておりますので、特に水胞病についてこれが伝染病に指定されたからというので、あらかじめその予算項目をふやして特別に計上するというようなやり方は、これまでもあらゆる伝染病についてやっておりませんので、そのような予算措置なりあるいは人員の措置はしておりませんけれども、輸入検疫について申し上げれば、一般的に検疫体制の中での人員をふやしておりますので、その中で検査項目、チェックの項目として水胞病を加えていくということによりまして、海外からの侵入は防いでいくということになるわけであります。
#122
○原田立君 非常に答弁に不満足ですけれども、時間がないから終わりにしましょう。
 要するに、私はなぜ言っているかといえば、原因がまだはっきりしない、感染経路、侵入経路がはっきりしないという、言ってみれば未知の病気なんだな、伝染病なんですね。だから、もしこれがまた再び侵入してくるようなことがあれば、非常に恐しい立場に立つんだ、だから、それはがちっととした体制をとれと、こう言っているわけなんだ。これは答弁は要らない。一応意見だけ言っておきますから。
 じゃあ次に、生育時の農家出荷時における家畜の価格は幾らぐらいですか。先ほどちょっとお答えがあったようだったけれども、牛、豚、鶏等の。
 伝染病にかかったときに幾らで買い上げるかという問題なんですよ。それで評価額の算定及び決定額はどのようにして行われているのか、これをお聞きしたいと思っているわけなんです。
 で、法律ではいろいろと決められており、先ほども質問であったようでありますけれども、現実と実際と違うので、これをアップし、評価額のアップを図る必要があると思うし、また改正すべきではないかと、こういうことで聞いているわけです、
#123
○政府委員(澤邊守君) 現在殺処分手当金の最高限度額は、牛については二十六万円、馬については五十九万円、豚については三万円、鶏は九百円等、その他もございますが、定めておるわけでございます。この最高額につきましては、先ほどもお答えいたしましたけれども、最近の市価あるいは評価額の実績等から見まして、牛、豚、馬については、この最高限度をはみ出るものが出てまいりますので、それの改定について検討をいたしたいというふうに考えております。
#124
○原田立君 先ほども検討、検討ということであったんだけれども、検討じゃなしに、現行にマッチした評価額のアップを図る必要が、これはあるんでしょう。
#125
○政府委員(澤邊守君) 予算全体の中で、どの程度引き上げが可能かということも含めまして検討いたしたいということを申し上げておるわけです。
#126
○原田立君 要するに、評価額の算定が低いのじゃないか、だからもっと高くしろと、こういうことを言っているわけなんです。高くしますというふうに返事しますか、局長。
#127
○政府委員(澤邊守君) 御趣旨の点はよくわかりますので、引き上げる方向で、まあ予算の問題もございますので、検討いたしたいと思っております。
#128
○原田立君 上げるということのように受け取っておきます。
 それから次に、死体焼却の義務について、第二十一条の「焼却等の義務」の中に、「当該死体を焼却し、又は埋却しなければならない。」とありますが、私しろうとなんでよくわからないのですが、どういうものは焼却し、どういうものは埋却するんですか、御説明願いたい。
#129
○政府委員(澤邊守君) 特にどういうものがどちらでなければいけないということでなくして、焼却または埋却いずれかの方法で病原体が伝播しないように処理するということを命ずるわけであります。
#130
○原田立君 埋却というと、生身のまんまを土中に埋めるんだろうと思うんですけれども、そういうことで、家畜伝染病と指定されたようなものが心配ないのかどうか。そういう指定を受けたのはやはり焼却するということが一番いいんじゃないだろうかと、しろうと考えながら思うわけなんです。
 それからなお、先ほど豚水胞病の原因は一体何だということについて質問したけれども、とうとう返事がなかったが、それで、私、伝え聞くところによれば、ビールス菌が原因であるというふうに聞いております。このビールスの場合などは、伝染、蔓延の恐れが強いので、これは必ず焼却しなければいけないんじゃないだろうか、こういうふうに思うんですが、その焼却の場合、あるいは埋却の場合、これは保健所の所長の指示によるのか、あるいは所有者が自分の判断でできるのか、そこら辺はどうなんですか。
#131
○政府委員(澤邊守君) 家畜防疫員の指示に従って埋却または焼却をすることになっております。
 で、豚水胞病の場合は、先ほどお答えを漏らしましたけれども、豚水胞病のウイルスが病原体でございますので、この場合必ずしも焼却しなくても埋却によって十分であるというような技術的な判断をいたしておるわけでございます。
 なお、埋却と焼却の区分につきましては、先ほど申し上げましたように、どういう場合にはどちらでなければいけないというようなことはきめておりませんけれども、埋却のやり方、埋却の基準とか、焼却の基準というものはきめておりまして、たとえば埋却の場合ならば、埋却を行う場所はどういう場所じゃなきゃいかぬとか、あるいは埋却の方法として何メートル以上の余地を残すような深さじゃなきゃいかぬとか、そういう具体的な基準は定めて、それに従って防疫員が指示をすることにしております。
#132
○原田立君 ビールスの場合は、これは伝染、蔓延する恐れが強いんじゃないですか。豚水胞病の原因はそうだというふうに聞いているんですけれども、それで、ただ埋却で心配ないんですか、局長。
#133
○政府委員(澤邊守君) 専門の担当課長からお答えさせていただきたいと思います。
#134
○説明員(山本格也君) 焼却または埋却にはそれぞれの方法を定めた基準がございます。
 たとえば埋却の場合でございますと、死体を埋める穴は一メートル以上掘らなければいけない。それから上に土をかぶせる場合等も、その前後に消石灰を散布をする。それから一定期間、この豚の水胞病の場合でございますと、三カ年間はこれは発掘をしてはならないというふうな埋却の表示をいたします。で、大部分のウイルス並びに細菌は、この三カ年程度では消滅をする。なおかつ、死体の焼却、埋却時にかなり強い消毒薬を消石灰等を含めまして散布をいたしますので、三年の発掘禁止期間でその蔓延の防止は十分できるというふうに考えております。ただし、炭疽菌なり腐蛆病菌というふうな土壌菌的な性格のものにつきましては、非常に長い年月の発掘禁止を規定してございます。
#135
○原田立君 課長さん、専門家のようなんだけれども、豚水胞病はビールスでかかって、それが原因じゃないかというんだけど、それは埋却だけで心配ないという話だけれども、本当ですか。
#136
○説明員(山本格也君) 死体を移動させる場合、とにかく畜舎等の消毒はまず厳正に行います。それから埋却場所へ移動をする場合の前後、これは運搬用具等も含めてかなり厳格な消毒をいたすことにいたしております。それから土中への埋却の前後、それから埋却に使いました諸道具、それからそれに従事いたしました人、これらはすべて徹底をした消毒をすることにいたしておりますので、現在豚水胞病のウイルスの薬剤抵抗性というふうな問題も家畜衛生試験場で検討がされておりまして、どの程度の消毒薬を用いれば、これは消滅できるというふうな具体的な資料がございますので、私どもとしては、そういう指針に基づいて、この埋却でその蔓延防止の措置は図れるというふうに考えております。
#137
○原田立君 じゃ、専門家が言うのだから信用しましょう。まあ、埋却では心配なんじゃないか、ということを言っているわけなんです。焼却にすべきではないのかと。
 第五十九条に費用の負担が出ているのですが、「家畜の死体又は物品の所有者に対し、焼却又は埋却に要した費用の二分の一を交付する。」と。それから第六十条一項三号「雇い入れた獣医師に対する手当の二分の一」、五号「牛疫予防液以外の動物用生物学的製剤の購入費又は製造費の二分の一」、これを国が負担することになっておるわけでありますが、伝染病蔓延防止の上からも、国が幾ら、地方自治体が幾らではなしに、やはり全額を国で負担する、そういうようなことが大事なんではないかと、こう思いますが、いかがですか。
#138
○政府委員(澤邊守君) 費用負担が全額になっておらない点につきましては、これはそれぞれの措置を、埋却なり焼却等その他の措置を講じますことによりまして、自分の飼っておる家畜への伝染を防ぐことができるということになるわけでございますので、自分の利益でもあるということ。それから家畜飼養者としてはやっぱり自分のところから病気を出したということは、それだけの責任があるというような観点から、基本的には使用者みずからが負担してもいいではないかというような考え方。ただ、それだけでは防疫措置の徹底が期せられませんので、その適正な割合については国が負担をするという考えでございますので、全額補助、全額国が負担するというようなことにはなっておらないわけでございまして、この考えが現状においては妥当ではないかというふうに考えます。
#139
○原田立君 局長、余り冷たいことを言いなさんな。やっぱり畜産農家が、病気になった家畜を出して、実際問題困るのは農家自身なんですから。それで農家は自分が出したのだから自分の責任でやれ、というような言い方は、それは冷たいというもんですよ、局長。
 それで、獣医師に対する手当とか、あるいは牛疫予防液、あるいは牛疫予防液以外の動物用生物学的製剤の購入費または製造費、すべてこんな最低線の問題については国でめんどう見てやるというようにしたほうが、むしろ伝染病予防の大局的見地から立った立法趣旨だと、ぼくはこう思うのですけれども、改正する意思はないですか。
#140
○政府委員(澤邊守君) 先ほど申しましたように、御本人がみずからやるべき部分もあっていいのではないかということで、全額にしておらないということを申し上げたわけでございまして、その費用負担区分につきましてはなお研究はしてみますけれども、現状においては、一切、国でもって負担をして行うというのは考えておりません。
#141
○原田立君 大臣、どうですか、あなたの部下の局長は、そんな全額国庫負担なんか一切やらぬと言っていばっているけれども、当然、もう少し農家の、農民の味方になって考える立場に立つならば、せめて獣医師に対する手当だとか、あるいは動物用生物学的製剤の購入費だとか、製造費、こんな最低線の問題については、全額国庫負担ぐらいしてやったらどうですか。
#142
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、やはり国の責任のあり方、行政における責任のあり方全体とも関連するわけですが、こうした問題につきましては国も負担をする、あるいは県も負担する、地方も負担する、さらにまた先ほど局長も言いましたように、やっぱり個人もその責任に応じて負担をする。こういうことが常識的じゃないだろうかと思うわけで、全部国が負担をするというところまでは、私たちとしては考えてはおらないわけでございます。
#143
○原田立君 大臣も冷たい返事ですから、この問題はこれで終わりにします。
 次の問題に移りたいと思いますが、委員長、この法案については大体これで終わりにしたいと思うんですが、あと残された時間、豚に関する諸問題をちょっとやらしてもらいたいんですが……。
#144
○委員長(佐藤隆君) どうぞ。
#145
○原田立君 それでは、過日二月六日全国養豚代表者大会に参加しまして、大会議案、あるいは決定事項等なるものを私はもらってきたわけでございますが、その中で、豚肉輸入関税の減免措置排撃ということを強く畜産農民の人たちは主張しておりました。ところが、現実にはもうすでに豚肉輸入に関する関税減免をやろうということをお決めになったというふうに聞いておりますけれども、その背景はいかがでございますか。
#146
○国務大臣(安倍晋太郎君) 最近の国内の豚肉の価格は、二月の上旬以来、安定上位価格を大幅に超えて推移しておるわけでございまして、とりわけ三月に入ってからは六百八十円から六百九十円と上昇を続けて、小売価格もそれにつれて上昇をいたしておるというのが現状でございます。また、今後につきましても、前年に比べてやはり肉豚の出荷の減少が見込まれること、及び豚肉はこれから需要期に向かうという季節的な要因から見まして、このまま放置するとすれば、ますます高騰する見通しも出てきた。このために、三月の十三日に、豚価の安定をはかるべく豚肉の輸入関税減免によるところの安定措置を講じたわけでありまして、この措置は、三月の末日までに公示すること、こういうふうにいたしたわけでありますが、私も、やはりこうした安定制度というものがあるわけでありますし、上位価格をやはり大幅に超えて豚価の状態があるということになりますと、やはり制度を適切に運用していくという面から見まして、これはやむを得ない措置であったと、こういうふうに考えておるわけであります。が、その間にあっては、豚の生産をされるところの生産農家の状況等も十分配慮いたしまして、その上に立って決断をいたしたわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#147
○原田立君 御理解願えないわけなんですよ。実はここに文書があるのですが、「最近における豚肉卸売価格の推移に対し、食肉業界その他より輸入豚肉関税の減免措置を発動せよと強い圧力が加えられているがわれわれ生産者としては現行の豚肉安定価格が現在の諸物価等からみてきわめて低きに失することを不満とするところであり、いまここで減免措置が発動されれば生産意欲は完全に失墜するのみでなく養豚基盤が根底より崩壊することは明らかである。
 よって農林省は、外部からの圧力に屈することなく断固として輸入豚肉の関税減免措置を行わないことはもちろん、現行の安定価格を即時改定するよう要望する。」と、こう言っているわけです。あなた大臣――もう決めちゃって、もう発動するようになっておるようですけれども、完全に畜産農民の、養豚農民の声を無視してお決めになったという、こういうふうに私は受け取らざるを得ない、認識してくれというお話だけれども。こういう強い養豚業者の人たちの声があるが、どうお感じですか。
#148
○国務大臣(安倍晋太郎君) 養豚農家のお気持も私はよく聞いておるわけでございます。この制度を発動いたしたわけでありますが、これについては養豚農家への影響がどういうふうにあるだろうかということも、これは先ほど申し上げましたように十分配慮したわけでございますが、同時にやはり消費者価格の動向というものも、これはやはり全体的にこれからの価格制度というものを維持していく上においては考えていかなければならぬわけでございますので、そういうあらゆる点を十分配慮いたしました減免措置を発動いたしたわけでございます。で、今日においても、依然として上位価格を超えて卸売価格が動いておるというふうなところからみましても、豚肉については相当やはり需要が強いといいますか、そういう状況にある。ですから、この制度を、この減免措置を発動したことは、私としては当然のことであったと、やむを得ない措置であったとも考えるわけでございます。また三月の末には、この安定価格帯のまたさらに改定をしなければならぬわけでございます。その改定をするに当たっても、やはり制度というものがあって、そうして上位価格を常にオーバーして、価格が動いているということならば、この制度を活用して、制度によって減免措置を講ずることの方が、三月末にさらに安定価格を改定する上においては、大きくプラスになるのじゃないかと、こういうことも私は判断してやったわけであります。
#149
○原田立君 一昨年三月ごろから十月ごろまでに輸入関税の減免を行ったときには、その影響が大きく、養豚農家は大変な打撃を受けている。たとえば平常時の輸入量が四、五万トンのところ、減免措置を行った結果、多いときには十二万トン以上も輸入した。こういう実例があるのは御存じだろうと思いますが、この二の舞があってはならないと思うんですが、そういう心配はありませんか。
#150
○政府委員(澤邊守君) 四十八年に、三月から十月まで減免措置を講じたわけでございますが、四十八年以前にも毎年一定期間は減免措置を講じてきたわけであります。四十八年の例で申し上げますと、減免措置を講じましたけれども、かなり高い価格が続きまして、たしか、いま細かい数字は手元に持っておりませんけれども、下がり始めましたのが、九月ないし十月ごろから下がってきたというようなことでございます。もちろん他の要因もございまして、たしかあのときは異臭魚――魚に匂いがついたということで、魚の売れ行きが下がったということで、それが豚肉に需要が移ったということもございまして、減免措置により輸入を促進したにかかわらず、価格は必ずしも下がらずに、委節的にも曲がる時期であったということ等、いろいろな要因もございますけれども、下がらなかったということはございますけれども、まあ後半に至って引き下げの効果はわれわれは、出てきたものだというふうに思っております。
#151
○原田立君 安定基準価格の決定に対しては、関係方面からの要望等も十分検討され、養豚生産農家の生産意欲の失することのないよう十分考慮してきめてもらいたいと思うんだが、大臣いかがですか。
#152
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、やはり三月末にきめる安定価格帯につきましては、十分養豚農家の再生産が確保される、経営が安定するという、こういう観点、さらに生産需給の関係等も配慮してこれは決定をしていきたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
#153
○原田立君 別の問題に、第三点に入りますが、過日の新聞報道によりますと、芝浦屠場における問題でありますが、肩のロースの肉の切り込みの問題から、出荷の大幅変動による価格不安定等のこともあったやに聞いておりますが、この問題は、生産者にとっては重大な問題であり、あわせて、全国的にその影響を及ぼす、ことも考えれば、早急に検討し、対策を立てなければならないと思うんですが、その点はどうか。
 それから、どのような改革を考え、指導をしたか。以上二点について。
#154
○政府委員(澤邊守君) この問題につきましては、直接の所管は食品流通局の方で、中央市場行政の一環としてやっておりますので、私、聞き及んでおるところでお答えしたいと思いますけれども――食品流通局が直接指導しておるわけでございますが、私ども聞き及んでおりますのでお答えをしたいと思います。
#155
○原田立君 聞き及んでいるんじゃなくて、担当の局長がやりなさいよ。
#156
○政府委員(澤邊守君) ――例の御指摘がざいました、首つりの問題と俗に言っておりますけれども、頭を落とします際に、肩のロースを一部分つけたまま落とすということによりまして、出荷者が非常に不利益をこうむるという問題があるわけでございます。これにつきましては、現在、芝浦の中央市場等は、屠場が併設されておるわけでございますが、実は厳密に言いますと、これは屠場の部分の問題であるわけでございます。で、東京都の職員で、屠殺関係の職員がいるわけでございますが、人手が足らなくて、内臓関係の業者が手伝いをしているわけでございます。これらの内臓関係の職員が屠殺、解体の手伝いをしておると、その際にいま言いましたような頭を落とす際に肩のロースの肉を若干くっつけてはずしてしまうということで、生産者側としては非常に不信感を持っておるということで、出荷が一時的に減ったということがございます。その市場へ出すのが不利益だから他の市場へ回すという意味で、芝浦への出荷量が減ったわけでございます。
 ところが、その後そのような人力によります解体作業を機械を入れまして、皮はぎ機械と申しますが、それを入れることによりまして、そういう応援といいますか、手伝いというような形をできるだけ少なくして、さらに作業も合理化するというようなこととあわせまして、いまのような問題をなくしていくということにつきまして、東京都が直接の市場の開設者になっておりますので、あるいは屠場の開設者にもなっておりますので、東京都を通じて食品流通局で指導をいたしておるところでございます。この問題につきましては、二月のたしか初めだったと思いますが、この問題によって芝浦への出荷数も減ったわけでございますが、現在は一応、最終的にはまだ解決にまでいっておらないと思いますが、とりあえずそのような事態がなくなりまして、現在は芝浦での屠殺頭数、出荷頭数は正常に復しております。
#157
○原田立君 皮はぎ機を入れてそれで、そんなことがないようにするというような結論ですね。それが改革であり指導ですね。それじゃそういうふうに理解しましょう。
 それから、豚肉の建値というのはどのようにして決定するのか。伝え聞くところによると、東京食肉市場を中心に、大阪、名古屋、福岡等では、当日の荷動き等を参考に決めているやに聞いておりますけれども、それでいいのかどうか。また、その日その日の荷動きで価格の決定を行うことになると、非常に不安定なものであり、当然東京の価格が全国に波及することになるので、東京食肉市場の機構改革等いろいろな点について十分検討する必要があると思うんです。皮はぎ機をひとりただ入れただけでは済まされない問題があると思うんですし、なお、それにあなたちょっと触れたけれども、手伝い人の手当金支給についての改善、これなんかはどうなるんですか。
#158
○政府委員(澤邊守君) まず終わりの方から申し上げますけれども、手伝い人の手当金の問題でございますが、これは先ほど申しましたように、内臓関係の業者が手伝いをするということで、一種の謝礼金といいますか、報償金というようなことではっきりした手当というものになっておらないわけでございますが、これをはっきりした対価というものに改めるということも、ただいま御指摘のございました首つり問題の解決にも資するということで、先ほど言いました機械の導入とあわせてそのような点についても東京都を通じて指導をしておるところでございます。
 次に、価格形成のやり方でございますが、これは中央市場法によりまして規制をされておりますので、いわゆる競り売りによりまして公開競争のもとに価格形成が行われておる。もちろんその日の入荷状況によって価格の値のつけ方が変わるわけでございますし、さらに将来、上がるかどうか下がるかどうかというような思惑もいろいろもちろん入ると思いますが、価格形成は自由に公開に取引されるということが市場法の原則でございますので、国なり行政機関が原則としては介入をしないということで毎日価格形成が行われているわけでございます。豚、牛肉も同じでございますけれども、東京と大阪が全国の二大中央市場になっておりますので、それとの一定の格差を見ながら――他の市場が影響を受けながら、格差を考えながら市場形成が行われるというのは通常見られるところでございますし、さらに他の中央市場なり地方市場に限らず、産地におきます取引につきましても、東京なりあるいは大阪の何円引きというようなことで価格がつくられておるということは慣行として一般に行われているところでございます。東京、大阪は大消費地でございますし、大量の供給と需要がそこでぶつかりまして、需給の実勢を最も的確に反映をする、そこで形成された価格が日本全国の代表的な指標になるということは、ある意味では当然なことではないかというふうに考えます。
#159
○原田立君 だから、当然であるからこそ東京食肉市場はもっと健全でなければならぬと思うんです。現在のような状態ではだめだと思うんです。もっと前進しなければいけないのではないかと思う。
 それでお聞きしたいのは、東京食肉市場の仕組みというのは、他の近県その他の市場と同じなのか、それとも多少仕組みが違うのか、その点はどうですか。
#160
○政府委員(澤邊守君) 細部のことは全部いまお答えする用意ありませんけれども、中央市場法によって規定をされておりますところに従ってやっておりますし、荷受機関が一社で、多数の買参人が毎日競りに参加をして価格が決められておる、手数料も一定の率に規制をされておるという点については、大筋については、他の中央市場とそう違ったところはないように聞いております。
#161
○原田立君 すでに新聞等で報道されているのでありますが、芝浦食肉市場における豚肉の肩肉切り込みの件について、農林省でもすでに同市場に警告を出したとか、そういうふうなことが新聞報道されておりますけれども、そういうふうに指導したんですか。
#162
○政府委員(澤邊守君) これは先ほど来申し上げておりますように、食品流通局が東京都の市場に対しまして指導をいたしております。その中で恒久的な解決策の一つといたしまして、先ほど申し上げましたような機械の導入の問題なり、あるいは手伝いに対するはっきりした手当金の交付なりというような問題を中心にして、今後恒久的な解決に資するように指導しておるところでございます
#163
○原田立君 先ほど神沢先生が四十六年の附帯決議について御質問なりましたけれども、四十六年ですから、もう四年も前に決めた附帯決議でありますが、先ほどの説明ではどうも納得がいかない。第三項目の「殺処分手当金の最高限度額は実勢価格の推移に即応して適正なものとすること。」と、こうあったのを、現在まだ検討中でございますなんというふうな話だったけれども、四年もかかってまだ検討しているのかと、こう言いたくなるような気もするわけなんですが、一体どうなんですか、そのところは。
#164
○政府委員(澤邊守君) 四十六年の法改正の直後に新しく最高限度を決めましたのが、その後の情勢からして、牛、豚、馬については低過ぎるという点、われわれも問題点だと思いますので、今後引き上げについて検討してまいりたいということでございます。
#165
○原田立君 ほかから紙が回ってきたんで、うっかり最後のところを聞き損なっちゃったんだけれども、もう一遍答弁してください。
#166
○政府委員(澤邊守君) 四十六年の附帯決議が出ましたときに法律改正が行われたわけでございます。それの改正後に最高限度を改めまして、定めたわけでございます。しかし、その後今日まで経過しておりますので、最近の情勢からすると、御指摘のように低過ぎるという点が、牛、豚、馬については見られますので、これの適正額まで引き上げることについて検討したい、こういうようにお答えしておるわけでございます。
#167
○原田立君 局長、大臣、検討をしたいではなしに、上げるように努力すると、こういうように返事しませんか。
#168
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはやはり実勢、現状等もあるわけでございますから、手当等につきましては、やはり現状に合うように適正に値上げが行なわれるように努力をいたします。
#169
○原田立君 最後にいたしますが、第六項目に「獣医師の家畜の伝染性疾病予防に果す役割の重要性にかんがみ、特にその農村定着化と待遇の改善に努めること。」と、こうありますが、先ほどのお話では、五十無医村のうち四村だけ実は手当てをしたと、こういうような御返事があったのですが、その点間違いないですか。
#170
○政府委員(澤邊守君) 無獣医村のうち、とりあえず五十年度からやりますのは、モデル的に定着事業をやるということで、全国で四カ所について実施をすることにしております。
#171
○原田立君 五十無医村がどのくらいの畜産県であるか、その点は私よく存じないのですけれども、五十もあるうち一割にも満たない四つでは、ちょっと少ないのじゃないかという感じを持つのですけれども、五十無医村のうち、いわゆる畜産村は幾つあって、そのうちの年次計画というのですが、計画はどうなっているのですか。これをお聞きして私の質問は終わりにしたいと思います。
#172
○政府委員(澤邊守君) 無獣医市町村は全国で四十七市町村ございます。これは全部が全部、畜産振興上無獣医では困るという地域ばかりではございませんけれども、それらのうちでとりあえず四町村について事業をモデル的に実施するわけでございますが、モデル事業については、全体の計画は特に持っておりません。モデル事業の成果を見まして、次に全体的にどのような助成によりまして解消していくかということについては検討したいというふうに考えております。
#173
○委員長(佐藤隆君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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