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#1
第075回国会 農林水産委員会 第12号
昭和五十年五月二十九日(木曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     初村滝一郎君     岩本 政一君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君    久次米健太郎君
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     岩本 政一君     初村滝一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤  隆君
    理 事
                小林 国司君
                高橋雄之助君
                川村 清一君
                神沢  浄君
                原田  立君
    委 員
                岩上 妙子君
                大島 友治君
                鈴木 省吾君
                初村滝一郎君
                山内 一郎君
                工藤 良平君
                栗原 俊夫君
                志苫  裕君
                鶴園 哲夫君
                相沢 武彦君
                小笠原貞子君
                塚田 大願君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農 林 大 臣  安倍晋太郎君
   政府委員
       農林政務次官   柴立 芳文君
       農林大臣官房長 大河原太一郎君
       農林大臣官房技
       術審議官     川田 則雄君
       農林大臣官房審
       議官       今村 宣夫君
       農林省農林経済
       局長       岡安  誠君
       農林省構造改善
       局長       大山 一生君
       農林省農蚕園芸
       局長       松元 威雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       農林省農林経済
       局統計情報部長  吉岡  裕君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○委員派遣承認要求に関する件
○農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正
 する法律案(第七十二回国会内閣提出、第七十
 五回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、梶木又三君が委員を辞任され、その補欠として久次米健太郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(佐藤隆君) この際、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、静岡県に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣期間等の決定はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(佐藤隆君) 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○志苫裕君 農振法の審議に先立ってちょっとお伺いしておきたいんでありますが、二月二十日の本委員会におきまして、農林大臣は、五十一年度以降の稲作転換事業について、米の需給その他を見で六月ごろまでには決めたい、こう述べておるんでありますが、その方針は決まりましたか。
#8
○国務大臣(安倍晋太郎君) 五十一年以降の稲作転換対策をどうするかということにつきましては、国会におきましても御答弁申し上げましたように、六月中に省内で検討をいたしまして何とか結論を得たいという方向で、現在、検討作業を進めておる段階でございまして、まだはっきりした方向を打ち出す段階にまでは至っておりませんけれど、作業を急いで、なるべく早く結論は出したいというふうに考えております。
#9
○志苫裕君 六月中にはという御答弁ですが、さまざまな検討要素としては、何が入っておって、大体方向はどっちの方向を向いているんでありますか。
#10
○国務大臣(安倍晋太郎君) 米の需給の動向が一体どうなるかという判断の問題もあると思いますし、それから今後生産を拡大をしなければならない作目や、定着性のある高い転作についての転換対策の必要性等、あるいはまた国際的な穀物の需給動向、そういったものを全体的に判断をして、その判断の結果、方向を出していかなきゃならぬわけでございますが、まだいろいろのその情勢を把握しているといいますか、判断の基礎になるいろんな資料を整理している、こういう段階でございまして、はっきりした方向を現在の段階において打ち出すといいますか、お示しする事態にまでは立ち至っていないわけでございます。
#11
○志苫裕君 いずれまた、委員会が続いておりますから、適当な時期にお伺いしますが、そろそろ米価の時期にも入るわけでありまして、米の需給問題というようなのは、米価の問題とからむようでいて、からまぬようでいて、複雑なんでありますが、その米価とのからみを持たせているわけですか。
#12
○国務大臣(安倍晋太郎君) いや、米価と直接からんでどうする、こうするということじゃなくて、米の需給動向というのがあるわけでありますから、そういうことも一つの要素として考えておるわけでありまして、米価そのものとからんでおるわけではないわけでございます。
#13
○志苫裕君 いずれ――きょうはこの程度にしておきまして、いずれまたお伺いしますが、次に、この農振法の改正についてのお尋ねに入るわけでありますが、後ほど法案そのものについては細かくお伺いしますが、その前提条件として、少しこの農振法の改正の背景となっておる諸問題についてただしておきたいと思うんであります。
 もうすでに農政審の需給部会の長期見通しも出ておりますし、正式なものではありませんが。あるいは四十九年農業白書等も出ておりますので、少しそれにからめ、それそのものを聞くんじゃありませんが、からめてお伺いしますが、少し大きな問題ですが、日本農業の展望といいますか、日本農業の将来というものと、この本法案の改正の施策というものはどうかかわりをもって、この法案はどういう位置づけを持つのか、その点についてまずあらましをお伺いしたい。
#14
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私たちは、わが国の農政の基本といたしまして、第一には、何としてもわが国の農業の自給力を可能な限り高めていくということを第一義に考えておるわけでございます。同時にまた、自給が非常に困難な農作物につきましては、外国からの安定的な輸入を確保していく、そうしたことによりまして国民食糧を確保するというのが農政の基本的な課題であろうと思うわけであります。が、こうした自給力を国内において高めるための方策といたしまして、今日、農政審議会等の答申も得まして、十カ年間を目標にいたしました総合食糧政策というものを打ち出すことにいたしておるわけでございますが、こうした大前提の中でわが国の農政を進めていく場合におきましては、何といいましても、土地を確保する、あるいは水を確保するということが必要でございますし、同時にまた、農業の担い手であるところの中核的な農家に生産意欲を持っていただいて、農業に対するところの推進力となっていただかなきゃならぬわけでございます。そうした観点から見ましても、いわゆる土地の確保という面、これはもちろん土地の確保と同時に、土地の高度な有効的な利用ということも同時に必要でございますので、そうした土地の確保、さらにその有効的な高度な活用、さらに中核的農家によるところの規模拡大を促して、それによって生産意欲を高めていくというためのいろいろと条件整備をする必要があるのではないか。この法律は、そういう意味におきまして、土地の確保、さらに高度な活用、さらに中核的農家の規模拡大、生産性の向上、そういうものを目標にいたしまして、農振法の改正という形でお願いをいたしておるわけであります。
#15
○志苫裕君 そこで、いまのお話し聞きますと、自給力の向上あるいは安定供給を前提として、少なくとも国内における土地や水の確保、有効利用あるいは担い手の生産意欲を高めるためのさまざまな施策、こういうことになっておるようでありますが、そこで少し農業白書に触れますけれども、農業白書を見てまいりますと、百四十二ページの「むすび」になっておる部分で「今日、我が国の食糧供給や農業構造に現われている問題点の多くは過去の高度成長によるところが大きい」、まずこう「むすび」で指摘をしておるわけであります。で、いま農振法の改正等でさまざまな手を打とうとする多くの問題点、こういったものはもちろん農業の将来にとって望ましくないわけでありますが、これらを是正していくためにさまざまな手を打つということなんでありますが、問題は、そういう「問題点の多くは過去の高度成長によるところが大きい」、こう指摘をしておるのでありますが、しかし率直に聞きましてもそういう外的要因といいますか、その高度成長政策を是として進めてきたのが、やっぱり農業基本法に根を置くところの農政でなかったのかという問題点の指摘を私は、いまどうしてもしておかなければならぬと思うのであります。高度経済成長にさまざまな問題点があったと、こういうのでありますが、それを是認をして、それに沿うように農政を進めてきたというところにやはり問題点があるんじゃないんですか。そうすれば、当然白書が指摘するさまざまな問題点というのは、農協路線の当然の帰結なのであって、その当然の帰結がこれはよくない問題点である、困った問題だというのであれば、やっぱりそれは間違っていたという反省から出直さなければ、私は問題の糸口を見つけることができぬのじゃないか、こういうふうに思うのでありますが、その点はどのようにお考えになっていますか。
#16
○国務大臣(安倍晋太郎君) 過去の高度成長、それと農業、農村を取り巻くいろいろの諸情勢との関連の問題でありますけれど、一面においては、この高度成長によりまして農家所得といいますか、農外所得も含めた農家の所得が向上して、これが生活全体のレベルアップというものにつながっていっておる、あるいはまた、農村における環境整備というものもある意味においては相当進んでおる。進んできたということも言えないことはないと思いますが、半面におきまして、高度成長によるところの兼業が非常に増大をした、あるいはさらに労働力が農村から流出をした、そのことによっていわゆる労働力という面における脆弱性があらわれてきた。あるいはまた、地価が非常に高騰いたしまして、これが農業経営、規模拡大の非常な障害になってきておる。そういういろいろな問題が出ておることは事実で、これは私は正しくこれを認めていかなければならぬと思います。そうした認識の上に立ってこれからの農政というものに取り組んでいかなければ私はならないのではないか。農業基本法そのものは高度成長というものを背景といいますか、前提といたしまして基本法というものが制定されたわけではないわけでございまして、農業基本法の中心というものは、やはり農業の生産力を高め、農家の所得を拡大をしていく、そうした基本的な考え方に立ってこの基本法というものが成立されたわけでございますが、その後の高度成長という大きな経済構造の著しい変動といいますか、動きによりまして、いろいろな問題が現実的に起こってきたということは、これはもう事実であろうと思います。その認識の上に立ってわれわれとしては農政を進めるべきであるということを考えておるわけであります。
#17
○志苫裕君 農業基本法は高度成長を前提としたものではないというお話なんですが、まあ恣意的にそう自覚をしたかどうかは別として、客観的には、高度成長が本格的な踏み切りをつけるころと農業基本法が発足するころとは同じ時期であります。で、まあ百歩譲っても、農業基本法が目指したのは、国際競争力に備えた効率的な農業生産ということであったに違いがないと思う。ですから、価格支持政策などというものに余り傾斜をしないで構造政策を推進するということでその目的の達成を図ろうとする、推進を図ろうとする。しかし、当然そういう前提に立てば、日本農業が持っておる特性から言って、日本農業は非効率な生産しかできないとすれば、国際価格から見て割り高になる。そういうのであれば、外国農産物を輸入して、むしろ労働力やあるいは土地や水は他産業で効率的に活用してもらう、こういう発想を生むのは当然でありまして、皆さんが高度成長を意識したものでないと言いながら、前提としたものでないと言いながらも、やってきた幾つかの施策を見ると、一方でたとえば規模拡大等をうたいながら、日本農業全体としては規模縮小に通ずる施策を現実に幾つかやっているじゃないですか。たとえば生産調整のための農地の転用、いま少し米が余っているから、しばらくがまんをしてまたその次に備えようという、そういう意味での緊急避難じゃなくて、農地そのものを転用してしまうというような施策を大胆に打ち出したり、地方公共団体に買い上げさせるとか、あるいは四十五年の通常国会では、当時の大蔵大臣は、休耕とか転作じゃなくて転用が本命ですよ、三カ年間に三十万ヘクタールは転用を図りたいというようなことを政府の方針として述べたんですね。こういうさまざまな施策を現実に進めてきた結果が、いま白書が指摘をする問題点で、その多くは、高度成長によるところが大きいという指摘になっているんじゃないですか。とすれば、私は、農林省もまたいま指摘をする高度成長施策というようなものを是として、それに唱和をさせるように農政を進めてきたということになりませんか。実はそこのところに、農政というものに対するさまざまな不信というものがわだかまっておるのでありまして、そこから糸口を見出していかないと、日本の農政といいますか、農林省が進める農政に人々の支持やコンセンサスは求めにくいんじゃないかという気がしますので、少し時間をかけて尋ねているわけです。いかがですか。
#18
○国務大臣(安倍晋太郎君) 高度成長の中にあって、たとえば農業の生産そのものは、これは、米におきましても、あるいは畜産その他におきましても、相当生産が伸びたことは、これはもう数字の上で明らかでございます。しかし、半面、いまおっしゃるように、農地等におきまして壊廃が進んだということも、これは、われわれは事実として厳粛にこれを受けとめていかなければならない。高度成長による結果というものが、またこうした地価の騰貴、あるいは農地の壊廃につながっていったということも、これはもう事実であろうと思うし、また、著しい労働力の減小と言いますか、農村における労働力の脆弱化というものも、これはもう高度成長の結果としてこれにつながっていったということも、これは現実の事態として私たちは認識をしていかなければならぬのじゃないか。こういうふうに思うわけでございまして、全体的に見れば、農業そのものも、生産も進み、あるいは農家の所得も向上し、生活レベルも伸びたことは事実でありますが、やっぱり高度成長、まあ他産業との間の格差をやはり縮めていくと言いますか、他産業に比肩し得るところの農業というものを確立していこうというための努力は進められましたものの、農業の持つところの成長力と他産業の成長力との間にやはり大きな差があったということがいろいろの、今日の農業白書に指摘されておるような事実を生んだことは私たちは認めていかなければならない。そういうものをやっぱり厳粛にとらえながらこれからの農政を推進をしていくというのが私の基本的な考えであるわけでございます。
 そういう点で、いま御指摘になるように、農業基本法そのものが、私は経済の高度成長というものを初めから意識して、その上に立って成り立ったものではないわけでありますが、結果的には、農政の面においていろいろの混乱ができ、あるいは問題が生じたということは、これは率直に認めざるを得ないわけであります。
#19
○志苫裕君 私が特に申し上げたいのは、こういう鉱工業生産等を中心にする経済活動というものは非常にテンポが速いですが、農業はなかなかそうテンポが速くいかぬわけですね。何か付和雷同するようにくるくる変わられては困るわけでありまして、とても農業がついていけない、農民もついていけないわけで、そこにさまざまな問題点が起きるわけでありまして、その点を強く指摘をしておきたいわけであります。農政こそ、少しのろくても、どっしりした足取りで進んでほしいものだと思うわけであります。
 ところで、いま大臣、後半に農基法の問題をちょっと触れましたけれども、特に今度の白書の「むすび」のところで、まあ全体を通じてでありますが、価格政策を相当強く浮かび上がらせておりますが、先ほどもちょっと指摘しましたように、農基法路線とでも言いますか、それは、価格支持政策に傾斜をするんじゃなくて、構造政策でそれを達成をしていこうという趣きが貫かれておるのでありますが、白書では価格支持政策が少し強く主張されているわけですけれども、それは事実上の、たとえば構造政策一点張りの修正とでも言いますか、農基法路線の修正というものを意味しますか。
#20
○国務大臣(安倍晋太郎君) この農業基本法は、私がいまさら申し上げるまでもないわけでありますが、農業が国民経済の発展と国民生活の安定に寄与するという認識の上に立って、農業生産の選択的拡大、農業の生産性の向上、総生産の増大、農業構造の改善、農産物価格の安定と農業所得の確保等、国が講じなければならない基本政策を規定しておるわけでありまして、今後の農政の転換に当たっても、この基本方向に沿ってそのときの状況に応じて具体的な施策を講じていくことが重要であるというふうに考えておりますし、農業基本法そのものも、考え方といいますか、基本的な路線というものは、私は今後とも変える必要はないのではないかと思うわけでございます。今度の白書におきましては、御案内のような国際的な食糧需給の逼迫、物価の高騰、あるいは経済運営の転換等、農業を取り巻くところの経済的なあるいは社会的な状況の変化に対応して国民食糧の確保を図っていくというのが大前提になっておるわけでありますが、そのための水あるいは土地の資源の確保、その有効利用、生産基盤の計画的整備、農業生産の中核的担い手の育成等、生産構造政策を拡充実施するとともに、価格政策についてもこれを充実して、その適正な運営を図っていくことが重要であるということを実は農業白書にも指摘をしておるわけでございまして、そういうわれわれの考え方からすれば、先ほど申し上げましたような農業基本法の目指す一つの路線と、それから農業白書において指摘しておるわれわれがやらなければならない今後の構造政策の推進、あるいは価格政策の強化、充実、これは基本的には変わっていないというのが私たちの考え方でございます。
#21
○志苫裕君 私、白書をもう少し評価をしようと思って質問し出したのですが、話が逆戻りするようですけれどもね、価格政策が一層重要性を帯びてきたと指摘しているでしょう。なるほど農業基本法でも、価格の問題がないかと言えばそれはありますよね。しかし、その三本柱の一つに入れて、一層重要性を帯びてきたという指摘というのは、やっぱり状況に合わせての発展か修正か、そういうものを意味するのじゃないですか。
#22
○国務大臣(安倍晋太郎君) 基本的な考え方としては、基本路線は変わっていないわけでございますが、しかしまあ御指摘のように、そういう中にあってやはり状況の変化というのはあるわけでございますから、これからの国際的な農産物の動向、国内における高度成長から安定成長へと移っていく経済構造の変化というものの中にあって、農家の経営を確保していく、維持していく。そして、生産性を高め、中核的農家に生産意欲を持たしていくということを考える場合においては、私たちは総合食糧政策の中にあって、価格政策というものは、やはりその中において相当重要視をしていかなければならぬ。まあ私はそういう意味において今度の総合的な食糧政策の中にあって、価格政策全体というものを見直しながら、今後のやはり先ほどから申し上げましたような、基本的な考え方を貫いていく上においても、相当重点を、力点を置いた政策としてこれをとらえ、そしてこれを打ち出していきたいというふうに考えておるわけでございまして、そういう面ではいまの志苫委員の御指摘と、まあ私の考え方というものは、そう大きな差異はないのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。
#23
○志苫裕君 次に、これも白書の三十七ページに書いてあることでございますが、まあ一口に言うと、国際的な食糧資源の事情やら高度成長の鎮静化あるいは安定成長への転換等々の外的要因の変化というようなものを述べて、そのもとでは農業が他産業との均衡ある発展を実現する条件が強まった。
 新聞論調等によれば、ようやくわが農政にも出番が来たという指摘になるようですけれども、この論調について少し聞きたいのでありますけれども、一般の新聞論調も、今度の白書は、いよいよおれの出番だということで、非常に楽観的でもあり、意を強うしているという指摘なんですが、私は経済のしろうとですけれども、確かに経済活動が幾分停滞をして、政府も、福田副総理じゃありませんが静かで控え目な安定成長、低成長だ、こう言って力んでおるようでありますが、今度の農業白書というふうなものは、そういうものを前提にして、いよいよおれが出番ですよ、こうなるわけですが、日本の経済体質というものをそのように見ますか。このままずっと安定成長を続けられる――どこかに火がついたら一遍に焼けぼっくいに火がつくような、そういう経済体質にあるという見方も一方ではできるわけであります。私がなぜこういうことを聞きますかというと、そういうものを前提にして喜んでみたり、高度成長だと言っちゃまたきりきり舞いさせられたりするという過去の経緯をとらえておるがゆえに、日本経済の体質というようなものをそのように見越して、さまざまな方策が立てられていけば、そうならなきゃまた変わるわけですよ。日本の経済体質をそう見ますか。本当に安定成長、そのさまざまな前提条件になるのは、やれ、農村への還流人口がふえているとか、あるいは定着する者が少しふえてくるとか、さまざまな要素がその前提になるわけであります。日本の経済体質や、もっと露骨な言葉で言えば、日本の独占資本のしいというものを、白書が見るように楽観的に見ていいと思いますか。いかがですか。
#24
○国務大臣(安倍晋太郎君) なかなかむずかしい議論でございますが、これから私が基本的に考えておることは、今後のわが国の政治の中において非常に大きなウエートを占めるのは、エネルギー問題と食糧問題だと思うわけでございまして、これはもちろんわが国だけではなくて、国際政治全体の中にあってエネルギー問題、食糧問題というのは大きなウエートを今後とも占め続けていくであろう、こういうふうに考えるわけであります。
 最近における国際会議のいろいろな動向を見ておりましても、第一次産品の増産の問題あるいは備蓄の問題というのが大きくクローズアップされてきておる。こういうふうな世界的な動向から見ましても、国内的な面から見ましても、この食糧問題というのは非常に今後の政治の大きなウエートを占めて、そしてわれわれはこれに対処をしていかなければならない必然的な問題であるというふうに考えておるわけでございまして、そういう基本的な考え方に立っておるわけでございますので、最近たとえば多少飼料穀物等の国際的な動向が小康を得たというようなことであっても、これは一つの小康であって、長い長期的な視点に立てば依然として食糧問題というのは大きなウエートを占める。特に海外の農産物に依存する率が非常に大きいわが国の食糧の問題というものからとって見ますと、これはますます大きなウエートを占める。そういうことで、実は今日までの農政についてもいろいろの面で見直すところは見直して、やはり長期的な立場に立った長期路線というものを打ち出していかなければならぬということで、農政審議会の御答申も得て、目下懸命に総合的な食糧政策というものを打ち出していく。これはそういう世界的な動向の中にあって、国内の経済情勢というものも、いままでは高度成長がどこまで成長し続けるかわからないというふうな状況であったわけでございますが、資源問題を契機として高度成長がとまった。とまらざるを得なくなった。そして安定成長に移らざるを得なくなった。そしてこの安定成長の方向というものも、これは今後とも日本の経済においては変わらざるものである。私は、そういうふうなとらえ方をしておるわけでありまして、いま、再び夢よもう一度ではありませんけれども、高度成長が招来をするというふうなことはあり得ないのではないだろうか。そういうふうな国内経済構造の今後の方向、それから世界的な国内的なエネルギー問題とともに重要性を増してきた食糧問題の将来というものを考えるときに、やはり長期的な視点に立ったところの食糧政策というものを、いまこそ打ち出すべきときだ、そういうふうな考え方から、いま目下全力を挙げて検討を続けておるわけでございますし、先ほど国民食糧会議というものを総理のもとで開いた。これもこうした私たちの考え方というものを、ただ農政関係者だけではなくて広くやはり国民全体で理解をしてもらう。そして国民的なコンセンサスを得ながら農政を推進していかなければならぬというふうな一つの意欲のあらわれとして、国民食糧会議というようなものも開いたわけでございまして、そういう私自身の基本的な考え方はいま申し上げたとおりでございますが、まあ農業白書におきましても、そうしたわれわれの一つの考え方、客観的な農政あるいは食糧問題に対する認識というものが農業白書においてあらわれておるというふうに御理解をいただきたいと考えるわけであります。
#25
○志苫裕君 私は、経済の学者でも専門家でもありませんから、議論する材料は持ち合わせませんけれども、ただ感じとしては、日本の経済体質はそんなものではないのじゃないかというふうに思っておるものですから申し上げているんですが、それにしても少し楽観的過ぎやしないか。何よりも、回りがこのようになってきたから農業をこうしていこうという、その発想方法がぼくは逆じゃないかという気がするものですからね。外的要因にいつまでも振り回されておるという意味で、のほほん主義じゃありませんが、やっぱり国民食糧の確保というそういう大事業を抱えておる役所ですから、農業はこのようにしていくから、回りはむしろこうなきゃならぬというような、そういうむしろ出方がほしい。しかし、この発想はあくまでも、まあありがたいことに、少し食い物がなくなってきました、ありがたいことに、成長もダウンしました、ありがたいことに、人様も田舎へ帰ってくるようになりました。そこで皆さん力を入れましょうというので、命令するなり号令するという、そういう発想にいささか立っているものですから、回りが変わってきたら、それにまた追随して、付和雷同していくというような愚を繰り返すんじゃないかというそういう気がするものですから、指摘をしたわけであります。が、それにしても、率直に申し上げて、ついここ十年間ひ、極端なことを言えば、米一つを例にとっても、その物をつくるな、つくらなければほめてやる、というような、そういう発想。私はつくづく思うんですがね、食管制度、米なら米一つとってみますと、どうもかつては、物をつくってよけい出せという命令でしたよね。で、一時期になったら、物をつくるなという命令ですよね。今度は命令かどうかわかりませんが、さあいよいよ出番が来たから皆さんまた物をつくりましょうと、今度号令をかける。ぼくは日本の農政というのはあるいは農林省のやり方というのは、やっぱりいつでも号令をかける、命令するとでも言いますかな、そういうような気がしてしようがないんですよ。これがやっぱり日本の農政の一つの特徴になっているような気がしますね。そうやって、余りうだつの上がらない農民というのは、背に腹はかえられませんからその号令にくっついてくる、さまざまな補助金にぶら下がって何とか食いつなごうとする。これが二つ目の体質じゃないかと思うんですよ。もう一つは、これは自民党の皆さんに悪いけれども、そういうのをうまく、いいくらかげん利用して地盤培養をしていくという保守党の体質、この三つが私日本の農業をだめにしつつあるんじゃないかとこう思うのですけれども。ただ、そういうことの結果、起きておるさまざまな状況というようなのは、農林省のこの農業白書が言うように、いよいよ低成長時代で食い物がなくなる時期が来たから出番ですよというふうに、そんな楽観できるものじゃないんじゃないか。そういう呼びかけがあったところで、ほいほいといって立ち上がるだけの活力、再生力というものが日本の農村にあるのかどうなのかということさえも私実は心配しているわけです。
 話はまことに申しわけありませんが、私の身の上話になっちゃうけれどもね。私は、とんでもない佐渡の離島の田舎に生まれて、いまでも年寄りがいるんですがね、これは後ほどまた聞きますが、白書やあるいは長期見通しで触れておる、山間地の労働力がないところで不作地がどんどんふえていると指摘している部分がありますが、それは私のあたりを書いてあるんじゃないかと思うんですがね。この辺はずいぶんこういうのが多いと思いますが、これは、ちょっこらちょいと呼びかけがあったって、ほいほいといってそれに受けこたえして立つだけの再生力ありませんよ、活力ないですよ。そういう気がするんですがね、私は少し楽観的過ぎないかということが一つ。
 それから、素人ですからこんなこと考えるんですが、私この間ちょっと田舎へ行きました、田植えの最中。いままでもうその辺にいないはずの、若い衆とは言いませんが、男が、ずいぶん農耕に従事しているわけです。いままではもう見渡す限り人なんかいなかった。それが確かにいるんですね。それは、経済活動の停滞で、出かせぎ先からレイオフだとか首になって、行き場所ないから戻ってきているわけです。で、その人たちとじっくり話をしてみると、こういうことを言うんですね。百姓というのは、景気のいいときは景気のいいときでたんぼを離れて出て行くけれども、景気が悪くなるとやっぱりもとへ戻らなければならぬ。仮にネコの額のようなたんぼであっても、これが唯一の財産だと、こう言うんですね。実は安定成長に入って、幾らか人々がuターンをするというようなそういうさまざまな条件をとらえて農振法施策を打ち出して、百姓やる気の者のところに土地を集めて、ちと能率のいい農業でもこれからどんどん拡大していこうや、というこの農振法の改正の精神とは別に、手痛い目に遭ったから土地を離すまいという心理が逆に芽生えているんですよ。こういう問題一つをとってみても、そんなに甘いものじゃないような気がするんですが、いかがですか。
#26
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もいまお話しのように、確かにこれからの農政というものを考えるときに、一つの農政が攻勢に転ずる好機ではあると、こう思うわけでございますが、しかしそう容易なものではないということはわかるわけでございまして、何としても高度成長の中で、労働力も流出し、農地の壊廃が進み、生産意欲についてもやはりこれが薄れがちであったということは、これはもう否めないんじゃないだろうかと思うわけでございますが、そういう中で、安定成長という方向へ移っていけば、農業の対応は従来よりは多少やりやすくなるという条件が客観的に出てくるわけでございます。まあ農業を見直し農村へ志向しようという動きも、徐々にではあるが出ておるということもあるわけでございますから、ここで、非常にむずかしい、これはやはりただ農政当局の力だけではもちろんこれを一挙に進めるということは非常に困難な面があるわけでございますが、国民的な私は支持というものを得れば、そのもとに総合的な政策というものを意欲的に進めていけば、やはり私は今後の農業というものに対しても、活力というものを与えることができるんじゃないか。非常にむずかしいわけです。それは先ほども御指摘のございましたように農業、農政というものは匍匐前進みたいなものですから、大変むずかしいわけでございますが、しかしそういう一つのいまの客観的な情勢の変化、そういう中にあって、われわれが懸命に取り組んでいけば、農村に活力を与え、農業者に意欲を与えるようなそういうこともできる、そういう一つの時期というものが到来をしておるのじゃないか。そういうことでして、非常にむずかしいことは、今日の財政面一つをとってみても大変むずかしい要素があるわけでございますが、基本的にはそういう意気込みといいますか、考え方で取り組んでいきたいというのが私の考えでございます。
#27
○志苫裕君 そこで、農基法の効率的な農業生産にせよ、あるいは本法改正案でいうところのやる気のある人に土地を集めてやっていこうというこの政策、方策も、突き詰めて言えば規模拡大というところにつながるような気もするわけですが、この規模拡大について、ちょっと、何か最近は規模拡大万能みたいなことを言っているのでお伺いしたいんですが、この規模拡大というのは、たとえば自立経営農家、かつてありましたね、ああいうもののような、限度とか標準とかモデルとか、そういうものを何かお持ちなんですか。どの程度の規模に拡大をするべきであるとか、最低限どの程度までのものを集めたらやっていけるとか、そういうようなマクロなものでもいいですが、何かを持って進めているんでしょうか。
#28
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだ具体的に規模拡大の、どれだけの規模拡大をすれば今後の農業をやって、農家としての経営の安定が図れる、あるいは所得の安定が図れるということは、漠然たるものはあっても、はっきりしたものは現在いろいろと検討は進めておるわけでございます。が、いずれにしても今日までの高度成長の私は一つの大きなやはり問題点というのは、土地、農地が壊廃をしたということと同時に、やっぱり地価が非常に高騰いたしまして、そのためにやはり規模を拡大するということは、あらゆる面においてむずかしい条件があったわけでございます。これが今後とも法律の改正を含めて、いろいろな総合政策を進めることによって規模拡大へ進んでいける、そういう情勢というものも生まれてきておるわけでありますし、だんだんと農村におきましても、農業というものに取り組んでいこうという非常な意欲を持った人たち、いわゆる私たちは中核農家と呼んであるわけでございますが、それに対して、土地を持っておるというだけでいわば農業というのは副次的に考えておる、生産意欲というものを余り持ち合わしてないそういう人たちに対しても、これからの政策を進めることによって中核的農家を中心とした規模拡大ができる要件というものは私は生まれてきておるんじゃないか。これを積極的に進めていくということが、これからの農政における一つの大きな柱といいますか、われわれが取り組んでいかなきゃならない問題点であろうと、こういうふうに思うわけでございます。
#29
○志苫裕君 そうすると、いやそれはわかりますが、規模拡大規模拡大と、こう言いますけれども、どの程度の規模にというふうな、そういうものではないんですね。そこのところをはっきりしてもらえませんか。どの程度の規模にしたら効率的な農業生産がやっていけるというような、そういう発想方法ではないんですね。この点に関しては、たとえば三月十三日の衆議院の農水で、大山局長は、本法改正の趣旨に触れて、さまざまの状況から耕作放棄であるとか不作地とか、そういうものが現実にある。こういうふうなものの高度利用ということが本法の改正の趣旨なんだということを述べておるようですけれども、同時に、五月八日のここの農水では、中核農家を中心に日本の農業の発展をさしていく、その手段として本法の改正を重視をしているというのが大臣の答弁です。そうすると、不作地とか耕作放棄の土地とかそういうふうなものを、いわゆる中核農家と称するところに集めようという、こうつながるわけですけれども、結局、規模を大きくしてスケールメリットというものを見出しながら、効率のいい農業生産をということになるんでしょう。効率のいい農業生産というのは、いろいろな考え方があると思うんですが、一体どの程度のものをという、何か絵があるんですか。構図があるんですか。
#30
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 御案内のとおり、規模拡大については、その指標ということで農業基本法制定以来、自立経営概念というのがございまして、作目別、地域別につきまして土地利用型の農業とか、あるいは施設型農業によっていろいろ違いますけれども、水稲作についてはこのくらいの規模、あるいは畜産でございますれば、養豚農家でございますと、たとえば五十頭なら五十頭の飼養規模とか、それぞれその農業の経営類型に応じました指標は過去においてもつくったことがございます。これについては六十年目標で大きく修正いたしましたが、政府自体が試案としてつくりました五十七年の目標、これにおきましては、それぞれ作目別にこの点についての検討をしたわけでございます。そういう意味では一応、自立経営的な概念を基調といたしました経営類型というものの作業はあるわけでございますが、今回、先生が詳細な御検討をしていただきました農業白書にも指摘しておりますし、先ほどの大臣のお答えでも申し上げましたとおり、担い手の育成という際におきましては、中核農家、基幹男子農業専従者がいる経営、これは総農家戸数の三割、御案内のとおり農業生産の三分の二を担っておりますが、これらの経営についての規模の拡大なり、その経営の改善という場合におきましては、これらの農家が大きく、単一経営ではなくて複合経営でございます。したがいまして、これらの複合経営の規模の拡大の指標をどうするかという問題として、われわれとしては、新しく総合食糧政策の検討の際にもこれを具体化いたしまして、この六十年目標の地域とか、農家に即した指標をつくらなければならないというのが、ありのままの現状でございます。
#31
○志苫裕君 まあ自立経営農家のように、ある農家が飯食っていくにはどれくらいなければならぬという、そういう発想ではないいまの答弁はわかりましたが、それにしても指標をやがてつくらなければならぬ、こういうお話のようです。
 そこで、私は少し古くさいのですが、スケールメリットというようなものをずっと追い求めるのですが、一人一人の農家がどれぐらいあったらやっていけるというふうな、こういう発想ではなくて、そうするには、だれか小さな規模の土地を持っておる者は、おまえやめて、こっちによこせやという方向にいかざるを得ないわけですが、そうではなくて、私も田舎に生まれたからそう思うのでありますが、やっぱり日本の農業というふうなのは、もう本質的に零細土地所有というふうなものをちゃんと根に置いておるわけでありますから、日本なら日本なりのパターンがあってもいいわけでして、アメリカと比べて、どこどこと比べて、せめて半分までいきたいとか、あるいはせめてその三分の二ぐらいのものになりたいとかいうふうに、条件の違うのに別の目標を掲げていこうとするから、少しちぐはぐになるんじゃないかと思うのです。よく言う話ですけれども、この間もここで鶴園委員が言っていましたが、私ら子供のときには、やっぱり一軒の家で、なるほど規模は小さいけれども、牛もいたし、馬もいたし、豚もおったし、麥もあったし、米もあったし、豆もあった。わら仕事もあったし、道普請もあったし、何でもあった。能率は悪いけれども、一年じゅう何かかんかやっていて、それでもどうにもやっていけぬやつが、酒の土地だとか、そういうところに行っていましたけれども、これをいま個々の農家は無理ですから、いわゆるせめて村単位で考えて、集落でなく村単位で考えて、米もあれば、麥もあれば、豆もあれば何でもある。個々の一人一人の農家は小さいけれども、それを全部集めて経営をするということになれば、さまざまなスケールメリットは出していけるということを考えるのですけれども、共同化というか、集団的生産組織といいますか、むしろ規模拡大と言って、無理やりに離しにくい土地を離すことばっかり考えないで、それはそれの所有にしておいて、それをまとめて、この共同化なり集団化なり、そういうようなものでスケールメリットを考えていく、あるいは多角経営を考えていくといいますか、複合経営を考えていく、むしろそっちの方にもっともっと力を入れたらよろしいのではないでしょうか。私は先ほど言いましたように、Uターン現象で、確かに農村へ幾らか人が帰ってくるか、落ちつくようになっていることは確かですけれども、その人たちが、やあこりごりした、もう土地放さぬと、こう言っておるんであります。でありますから、何かそういう形での経営形態なり施策というふうなものを強力に進めるということが――昔はばかに小さかったが今度は大きいことを考える。ばかに小さいのか、ばかに大きいのじゃなくて、その真ん中があってもいいじゃないかというのが私の指摘なんですけれども、その辺の点はいかがなものですか。
#32
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も、先ほどからお話がございましたように、今日のわが国の農業というものは、また世界に類例を見ない独自な農業形態というのがあるわけでございますから、こういう農業形態というものはやはり尊重をしながら、そういう中にあって、いかにして農業の生産性を高めそして自給力を高めていく方途を見出していくかということについては、これはその地域地域の特性というものも尊重しながらやっていかなければならぬと思うわけですが、スケールメリットを追求するための経営規模の形としては、お話しのように個別経営の規模拡大と共同経営によるところの規模拡大、二つの道があるのじゃないかと、こういうふうに考えておるわけであります。これは基本法におきましても「自立経営の育成」と共同経営を含む「協業の助長」というものを掲げておるわけでありまして、昭和三十七年の農地法改正によって農地についての権利を取得して共同経営を営むための農業生産法人の制度も設けておるわけでございます。
 今回のこの農振法の改正におけるところの農用地利用増進事業におきましても、農用地の利用権の設定を受けて経営規模拡大をする主体として農業を営む個人と農業生産法人の双方を認めておるわけでありまして、経営規模の拡大その他農業経営の改善合理化を促進するための各種の農業施策においても個別経営と同様に農業生産法人その他の共同経営についてもその実態に応じて必要な助成措置を講じなければならないというふうにいたしておるわけでありますが、以上のように、個別経営とそれから共同経営というものにつきましては、どちらが先、どちらが後ということではなくて、制度上においてもこの二つの面をわが国の地域の特性に応じながら推進をしていくというような形をこれからとっていかなけりゃならないのじゃないだろうか。こういうふうに考えるわけでありますが、今後やはり地域の諸条件であるとかあるいは農家の意識、意欲というものによってその選択もなされてくるわけでございまして、そういうふうな基本的な考え方のもとに、どちらが先、どちらが後ということではなくて、個別経営とともに共同経営というものを地域の特性に応じながら調和を保たせながら進めていくということが今後の方向であろうと、今日までもそういう方向にも進んできておるわけでありますが、今後ともさらにこれは進めていかなけりゃならぬことじゃないか、こういうふうに思います。
#33
○志苫裕君 それから、兼業的土地所有についてですけれども、何かいままでやっぱり自立経営農家というふうなこういう発想があるものですからね、この兼業的農業とでもいいますか、土地所有といいますか、経営といいますか、そういうものは農業としては非常に能率が上がらなくて悪いような印象一点張りできたような気がするんですが、私は率直に言って、その辺をこう歩いてみますと、農民の中には、兼業的土地所有あるいは兼業的農業とでも言いますか、そういうものに安定感を見出しているんですね。で乱暴な言い方ですが、それはもう日本農業のパターンになっているんじゃないかと思うようなですね。それにはそれなりの根拠があると思うんですよ、現実に取り巻いているさまざまな条件がね。それを一概に、これはもうだめなんだと、もう何とかしてそいつを壊してというふうに考えるのも、私はもう一度考え直してもいいのじゃないか。先ほど言いました、共同経営を多くしまして、部落単位なり村単位でいろいろと複合経営をやる、小は小なりの土地を出し合ってこういろいろのことをやりますね。それでも労力は余ることは間違いないんですから、それはそれなりに兼業で働いて農外収入を取ったってちっとも惨めったらしくもなければ、悪いことでもないですわな。それはそれで結構安定感もある。それで農民の実感から言えば、出かせぎの先がなくなっても、いよいよとなれば、おれは、五反歩であろうと一町歩であろうと一反歩であろうと、そこへしがみつけばおれは食っていけるという安心感をどこかに持っていますわな。これはおまえさん間違っているとか、古臭いとか言うたって、現実ですよね。これはもう、一つの日本の農業のパターンにさえなっている。というのは、まあそれはそれなりにある程度認めて、その上にもっと合理的なものを積み重ねるという発想方法が要るような気がするもんですから、いま大臣の答弁の、なるほど共同経営と個別経営とは車の両輪でと言いますけれども、共同経営の施策というふうなものをもう少し強力に進められないかという意味で申し上げておるわけであります。
 その次に地域分担論ですけれどもね、地域分担論、広めていけば国際分業論になりますし、日本だけで言えば新全総なり列島改造に出てくるような、九州では何をつくって、北海道では何をつくって、新潟では何をつくってというこういう発想になるわけですが、地域分担論というふうなものをいまでもとりますか、日本農業について。
#34
○国務大臣(安倍晋太郎君) これ先ほど兼業のお話が出ましたけれども、私もまさにそのとおりじゃないかと思うんです。日本の現在の農業の実態、農村の実態というものから見ると、やはり兼業形態というものを無視した日本の農業政策というものは進められないんじゃないかというふうな気もいたします。というのは、これは自立経営農家を確保していくということでいろいろの政策も講じてきたわけでございますが、なかなか日本の兼業化はむしろ進んできたというふうな状況でありますし、今回われわれが考えておるいわゆる中核的農家というのは、むしろ第一種兼業農家も含めた兼業というこの日本の具体的な現実的な姿というものをとらえながら、その中にあって農業生産を確保していくという意味でまあ中核的農家と。そして中核的農家を中心にしたこれからの農業を進めていくというとらえ方をしておるわけでありますから、これは兼業形態というものを今後の農業施策の面においても無視するといいますか、そういう形ではとうてい国民食糧の確保という大命題を貫いていくことはできないんじゃないか、ということについては私も同じような考え方を持っておるわけでございます。
 それから、地域分担につきましては、地域の計画的な分担ということではなくて、やはり地域の実態を中心としながら、地域の特性を重んじながら、地域に応じた施策を講じていくということは、これは日本列島のような南北に非常に長いこの地理的な条件から見ましても私は今後とも積極的に進める必要があるんじゃないだろうか、こういうふうな認識も持っておるわけでございます。これも総合食糧政策を打ち出す段階においてそういう面も明らかにしていきたい、こういうふうに考えております。
#35
○志苫裕君 まあ地域の特性を生かすというのは、そんなのはあたりまえのことでですね。新潟でミカンつくれとか、あるいは青森でサトウキビを植えろなんとこう言っているわけじゃないんでありまして、ただ私は、この地域の特性を生かすという中に、一番いい例が、こういうのがありましたよね、米の生産調整のときによくこういう議論をするんですね。総論賛成、各論反対でしてね、全体としては米は少しセーブしなければならぬだろう、しかし、というんで、新潟の国会議員なんかは、しかし、新潟はあなた米の基地ですよ、新潟は何も減らさんで、どこか北海道みたいなところを減らしたらいいんじゃないかと、こう言うわけです。北海道の人は、米は総体として減らさねばならぬ、しかし北海道はやっぱり米はつくらなければならぬ、どこか鹿児島あたりで減らしたらどうだと。こういう論議が率直にありましたよね。で、私思うんですが、画一的にここは何の主産地、ここは何の主産地というんでなくて、せめて主要食糧ぐらいは、主要作目ですか、主要作目は日本のどこだってつくれるんですから一ここは米だけやれとか、ここは鶏だけやれとか、ここは何々やれじゃなく、主要作目は日本は幸いにしてどこでもつくれるんですから、少なくとも昔は一軒のうちに何でもつくっていましたが、それがむだだとすれば、せめて一つの村ぐらいは何でもつくっているという形態が、私は必要ではないかと思うんですよ。能率を思う余り、主産地形成なら主産地形成と思う余り、もうそこでできるものまでやめさして、どこどこは米一本、どこどこは麦一本、どこどこは芋一本というような考え方での地域分担論というようなものは、私は同意をしないんですけれども、大臣いかがですか。
#36
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も、地域分担論というもののとらえ方は、一つの地域に計画的に生産をする、そういうふうな形でのとらえ方というものは、早急に過ぎる面もあるのじゃないか。しかし、やはりその地域の適性というのがあるわけですし、特性というのがあるわけでございますから、やはりそれに応じた主要な農産物というものをその地域において奨励して、そしてつくらしていく。これが生産性を高めていくわけで、適性に応ずればそれだけの生産性というものは高まっていくわけでありますから、そういう意味のやっぱり九州は九州に応じた特性というのがあるわけですし、東北や北海道は東北、北海道に応じた地域の特性、適性というのがあるわけですから、それに対応した農作物を一つの指標というふうな形で奨励していくということは、これは今日までもそういうことが自然的な形の中にあって、すでに形成もされておるわけですが、これはやっぱりこれからの国民食糧というか、自給力を高めていくという面においては、むしろ相当力点を置いてもいいんじゃないだろうか、私はそういうふうにむしろ考えておるわけであります。
#37
○志苫裕君 その考え方はもっとものようですけれども、この地域は、これが特性に合っているからこれをよけいつくりなさい、あるいはそれを大いに奨励する。少々能率の悪いものはほかのところでやってもらいましょうということになる。この考え方はずっと推し広めていけば、日本でつくって能率の悪いものは外国から買いましょうというところまですっとつながるわけでしょう。非常に深刻な話をすれば、人間一番最後に食い物がなくなったらどうするかというと、自分だけ生き残ることを考える。ちょっと余裕があれば集落単位で生き残ることを考える。まあそれはせいぜいいっても、そこの国民が生き残る程度のことを考えるかもしれませんね。そういう極端な話じゃありませんけれども、やっぱり主要作目はどこでもつくる、どこのうちでもとは言いませんよ。そういう考え方で全体の食糧生産を上げていくという考え方をとっておきませんと私はいかぬのじゃないかという気がするわけで、これは同じ社会党でも少し主張が違う言い方をするかもしれませんが、現実に米の生産調整のときにそれは出ているわけですよ。だって、まあ米は日本どこでもつくりますけれども、あれはもういい例ですよ。同じようなそれに共通する基幹作目のようなもの、これはやっぱり北海道であろうと、九州であろうと、関東であろうと、信越であろうと、どこでもこれはやっぱりつくる、こういう考え方が、それに必要な条件をどんどんどんどんと拡大をしていくということが必要じゃないかと思いますが、まあこれは私の主張だけにしておきます。
 いずれにしても、時間も半分過ぎましたんで次に進みますが、そんな形で日本の国内供給力を高めていくということになれば、いやおうなしにコストが高くなるというようなことは避けられなくなるわけですね。このことについて私は、まあ都市側からの農業論というようなものが今日もう台頭をして――食い物がなくなっていけば、農民はいつでもあるんですから、自分で土地は持っておるんだから、つくれるんですから、一番最初に食いっぱずれるのは町の人なんですから、食いっぱずれる連中が日本の農業をどうする、日本の食糧をどうするかということを真剣に考えなければ、本当の意味での日本の農業というようなものを考えることはできぬと思いますが、いずれにしてもコストが高くなっていく。コストをだれが分担するかということになると、非常にめんどうな議論になるんですが、いずれにしてもコストの問題についてはコンセンサスが必要ですよね、確かに。
 たまたま国民食糧会議というのが、先ほどちょっと触れましたが、何かいろんなことをやっているようですが、私新聞に見た限りでは、いろんなやつが集まってきて、好きなことを言ってだれがまとめるでもないみたいな話になっているんですが、あれは一体何ですか。あれは何のコンセンサスを求めようとするんですか。
#38
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは実は私自身も考えておりましたし、与野党の中からやはり今日の世界的な食糧の問題が出ておるとき、また国内において食糧の自給力を高めていかなきゃならぬというふうな時代的な要請がある今日は、やはり国民的な一つの理解を得るためにも、食糧会議的なものは設けるべきであると、こういうふうな議論がこの国会を通じてなされたことは御存じのとおりでありますし、私自身もそういう考え方を持っておったわけでありますし、与野党間のそうした御意見等も踏まえて実は私は推進したつもりでございます。が、この考えはやはり先ほどからも申し上げましたように、今日の国際的に国内的に非常に大きな、また今日以後も非常に大きな問題になってくるところの食糧問題というものを、ただ農政の分野からだけこれを取り上げるということじゃなく、広くやっぱり国民の認識を得なきゃならぬと、理解を求めなきゃならぬと、こういうふうな発想で各界の権威のある方に集まっていただいて意見を求めるわけでありまして、おかげさまでこの食糧会議は大変盛会に終わりましたし、会議のメンバーの方々も私たちが考えている以上の有識者の人に集まっていただいておるというふうに考えて、私は非常に成功だと思っておりまして、この意見をお聞かせを願い、集約をしながらこれをひとつ総合的な食糧政策をいま検討しておりますが、その中に生かして打ち出していかなきゃならぬと、こういうふうに考えておるわけであります。
#39
○志苫裕君 これは質問の主題じゃないんですが、いろんな人に集まってもらって、いろんなことを言うてもらって、農林大臣がひとつ利口になるということですか。
#40
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私自身ももちろん利口になる面もありますけれど、しかし、やはりこれは国民的に食糧問題というのは、何かいま食糧問題の半年前は、何か非常に緊迫したような空気が国会全体に流れておった。ところが最近はむしろ安易な空気が出ておるように見受けられるわけです。たとえば飼料穀物等が非常に生産国なんかで低落をしておるというふうなことから、この食糧問題に対しては非常に安易な気持ちになってきて、何か食糧問題に対する関心が薄れがちである。これは一時的なものであって、世界全体の空気としては私はそうじゃないと思うんです。アメリカでも、たとえばキッシンジャーなんかも盛んにOECDの会議で第一次産品の備蓄問題というのを声高らかに叫んでおる。そういうふうな状態ですから、日本人はそういう点でちょっと食糧需給情勢が甘くなると安易な気持ちに流れる。われわれ農政を担当しておる者、そして皆さま方はもちろん認識しておられますが、全体的な空気としては安易な空気がある。そういうことですから、私はこの食糧問題がいかに大事であるか、今後とも政治の大きな問題になってくると。ですから、ひとつ国民としてはこれを国民各層で食糧問題というものを真剣に取り上げて、そしてそれに対する意見をやっぱり言ってもらわなきゃ困る。その意見は、率直に耳を傾けながらこれを総合政策の中に打ち出していきたい。こういうことでやったわけでございますから、私は、それはそれなりに、今度の国民食糧会議というものは一つの大きな国民に理解を求め、国民的な認識を食糧問題について高めるという意味においては効果があったんじゃないかというふうに思うわけでございます。
#41
○志苫裕君 これから何回もやるそうです。ただ、いま大臣のおっしゃるように私も大事だと思いますし、そういう場は必要だと思うんでありますが、農業の縮小の方にコンセンサスがいかないようにいまのところは外から見ていきたいと思います。
 次に、法改正に入りますが、私もこの法律の改正について、賛否は別にいたしましても、統制による耕作権の保護。あるいは耕作者みずからの権利の主張とでも言うんですかね、そういう方向での保護というようなものがあっていいと思うんです。官僚統制じゃなくて、貸借相互間の権利主張をお互いに認め合うといいますかね、そういう合意のシステムをつくっていくというようなのも確かに結構な点だと思うんでありますが、しかしそれがどのような条件、どのような環境のもとで行われるかというようなことが問題になるわけですけれども、これはこれで意見として……。
 これは現実には農地法というのがありまして、この農振法の改正は農地法の統制を緩和するという法的な性格を持っているようです。農地法の改正でやらなかったのはなぜですか。
#42
○政府委員(大山一生君) 農地法との関連で二番関係の多いのは利用増進事業でございますので、利用増進事業についてなぜ農地法でやらなかったのか、こういう御指摘と思います。御存じのように、利用増進事業というのは、現在のなかなか流動化が進まないという事態の中におきまして、いわば先生の言われた下からという言い方もあると思いますけれども、市町村の関与の中で一定の区域内の所有者、利用者の集団的合意というものを背景にして行っていくわけでございます。で、農地法というのは、御存じのように、一筆ごとについての統制を行う、こういうふうなたてまえになっておるわけでございまして、利用増進事業のような、いわば地域単位で集団的に設定するというようなものは農地法になじみがたいという問題があるわけでございます。この利用増進事業というのは基本的には農地の転用を認められておりません農用地区域内に限って行うにふさわしい事業であるということでございます。また振興計画の作成主体である市町村が行うものである。さらには農振法の基礎理念としております農地の有効利用こういう観点からも、――有効利用といいますか、農地の有効利用、農地の確保といいますか、を目的とする事業でございます。さらには農振整備計画の中にも農地保有の合理化に関する事項が含まれております。こういったような点から考えますと、やはり一筆単位の統制を目的としている農地法よりは、ではなくて、農振法においてこれらの事業を行うというのが最もふさわしいかっこうであるというふうに考えまして農振法の中に含めることにしたわけでございます。
 で、この事業に関連いたします必要な農地法との関係の問題は、改正法の附則で農地法を改める、こういう体制をとった次第でございます。
#43
○志苫裕君 一筆単位の農地の統制というのが農地法の云々ですけれども、しかしそれならば、この種の試みというのは過去にも幾たびかやられているわけですね。三十七年の農地法改正にしても、四十五年の農地法改正にしても、あるいは農協法の改正にしても、あるいは直接つながるかどうかわかりませんが、農村工業導入法にしても、あるいは勧告、あっせん等の幾つかの制度にしても、いまこの農振法の改正がねらおうとする試みの一つであったと思うのですね。やはりどこか根は同じような気がするのですが、それでなぜ成果が上がらなかったのか、反省点はどこなんでしょう。
#44
○政府委員(大山一生君) 三十七年の農地法改正、これは信託制度とかあるいは生産法人制度、こういう制度をつくったわけでございます。
 四十五年の改正は、さらに生産法人の要件を緩和するとか、あるいは創設農地の貸付禁止の緩和でありますとか、それから農協の経営受託に伴います権利取得、あるいは合理化法人制度の創設、こういったようなことをやっているわけでございます。さらに言いますならば、十年以上の定期賃貸借の更新拒絶を許可不要にする、あるいは今後新たにできてまいります賃借権の設定されます小作地の小作料統制を廃止する、とういったようないわば賃貸借の促進ということを一つのねらいにした法律であるわけでございます。
 先生が、これらのことが成果が上がらなかったのはどうなのか、どう反省しているのかと、こういう御指摘でございますけれども、こうした二回にわたります農地法の改正、何分にもこういう基本的な制度でございますので、直ちに即断はいたしかねるというふうに思います。賃借権の設定件数が一万二千件ほど、微々ではありますけれども、多少ふえている。あるいは農地保有合理化法人によります賃貸借といいますか、借り入れ貸し付け実績もふえてきている、こういうふうな事態もあるわけでございますが、それなりに一つの成果はあったと思っております。
 ただ、こういうような賃借権の緩和といいますか、こういうことによって行いました農地法の改正ということがそれなりに一つの目的を持ったわけでございますけれども、現実にはそれによって農地の流動化が、初期に期待いたしましたような流動化が進まなかったという事実もまた否定できないと思っております。
 その原因といたしましては、やはり農業外からの土地需要が著しく増大しているというようなことから地価が騰貴いたし、さらにそれが農民の資産的保有傾向を強める、あるいはさらに言いますならば、農地法の賃貸借規制のもとでは、農地を一たん貸すと返してもらいにくいという事情などが理由としてあげられるのではないだろうかというふうなことでございます。
 そこで、先ほど来申し上げておりますように、何としても農地を貸しやすくする。しかも、それが今度借り手側にとって実態的に安定して耕作が続けられるというようなことを一つの地域における集団的なかっこうで行おうというのが農振法で言います利用増進事業でありまして、したがって、その意味におきましては、過去のいろいろとやりました農地法による借地農業といいますか、の推進ということだけではなかなか現事態に対応できないゆえに、ここで利用増進事業という利用権の集積による規模拡大を企図した、こういうことに相なるわけでございます。
#45
○志苫裕君 まあ、いろいろな状況があって、いわゆるやみ小作であるとか請負耕作とか、そんなものがどっとふえちゃった。よしあしは別ですが、そういう実態に着目した借地農業ということになるわけです。で、この借地農業と農地法がうたうところの自作農主義、耕作権の保護、こういうものとの間に法律の上では矛盾はないのですか。
#46
○政府委員(大山一生君) 農地法の根幹といいますか、その根幹というのは耕作権の安定とそれから土地の有効利用、こういうことでございます。いま申し上げました今回の利用増進事業ということも全面的な農地法の緩和ということではなくて、転用を認めていない農用地区域内の一定の区域内に、しかも安定的な事業たらしめるために市町村の関与のもとで、そして集団的に行われるわけでございまして、農地法の根幹といいますか、農地法の精神にもとらないものというふうなものと考えているわけでございます。
#47
○志苫裕君 これは議論はあると思いますが、これでもうまくいかなかったらどうします。農地法をぼかっと変えますか。
#48
○政府委員(大山一生君) 利用増進事業、これにつきまして現在われわれといたしましては現に請負耕作というようなかっこうで非常に進んでいる地域があるわけです。それからまた都市近郊等においてもいわば農地は保有はしておきたいけれども、安心して貸せるならば貸したいと、また一方ではそういうところにおいてなお土地を集積して規模の拡大を図りたいというような人があるわけでございます。請負耕作というようなものの実態はまさにそういうかっこうで、貸したい人間と借りたい人間が農村の中に存在しているという事態があっての話であるわけでございまして、そういうふうなところというものはむしろ現在の請負というかっこうによる非常に、農地法的に言うならば若干の問題も、場合によってはあり得るかというところもあるわけでございますが、そういうところにおいてはやはり利用増進事業というものが相当に進み得る素地を持っている。われわれはやみ耕作といいますか、請負耕作を追認するということではございませんけれども、そういうところにおいては利用増進事業が非常に進展する素地を持っているというふうに理解しているわけでございます。ちなみにこれとの関連で利用増進促進事業というものを五十年度から予算化しているわけでございますが、すでにそれに対する希望等もかなりの程度において出ているような次第でございまして、いまのところ、われわれといたしまして、これで失敗するというふうには実は考えていないわけでございます。
#49
○志苫裕君 考えていないでしょうけれども、余りうまくいくという保証はないわけですよね。戦後ずっと農地法というようなものにどういう手が加えられてきたかというようなことを考えますと、私は、農地法の改正というようなものをやはり皆さんのほうが考えているのじゃないかと思って聞いてみたわけでありますが、私も先ほど言いましたように官僚統制ではなくて、貸借相互間の権利承認という形で農地というようなものを生かしていく、あるいは耕作権というようなものをどんどん保護していくというようなやり方はあるという二とは申し上げましたけれども、そうかといって、じゃそれのもとになっている農地法を変えたらいいと主張しているわけじゃないのでありまして、当面その二つをどう両立さしていくかということになれば、やれる条件のあるところからひとつていねいにやってみるというやり方しかないのじゃないかと思います。が、その点は慎重な配慮を求めておきたいわけですが、ただ法律を改正して利用権の集積をうたうだけで皆さんの言う中核農家というエリート農家に土地が集まるかというと簡単には集まらぬだろうというふうにも思うわけでありまして、地権者が安心して土地の効率的利用に協力するという一方の手だてがない限りはこれはだめなわけですよ。そういう点で、そういう施策は何か用意されていますか。
#50
○政府委員(大山一生君) 利用増進事業、これはわれわれも、先生御指摘でもございましたけれども、全国一律に各地で画一的にやろうというふうには考えておりません。むしろ先ほど来申し上げましたような、これの可能性を持った条件の成熟したようなところから逐次進めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。そういうこともございまして、利用増進事業を行うところの中でモデル的なものとして実施するであろうところに対しまして、利用増進特別対策事業というようなメニュー方式によって一地区五千万の事業、そして、たとえば簡易な基盤整備を行いますとか、あるいは小作料の一括前払いだとか、こういうことを可能にするような事業化を今年度予算において実施しているわけでございます。ただその問題は、あくまで背景といたしまして、これらのいわば集積された農家が十分な経営ができるということでなければなりませんので、基盤整備でありますとか、こういったような事業の推進ということはもとよりのこととして、われわれこれが推進を図ってまいりたいというふうに考えているわけであります。
#51
○志苫裕君 それはそれでいいんですがね、一方、出す側の立場も考えなければ仕事はうまくいかないわけですね、土地を出す側。それが安心をして協力できるような施策は別に用意されていますかということを聞いておる。
#52
○政府委員(大山一生君) 先生のおっしゃられますのがどういう御指摘であるか、ちょっとわかりかねる面もあるわけでございますけれども、われわれは先ほど来申し上げておりますように、村の中で貸したいという希望があり、そしてまた一方では借りたいという希望もある方々の全員の同意のもとで行われる事業ということでございます。したがって、利用する側、所有する側の全員の同意あるいは意向の十分な聴取、こういうことを背景にいたしまして実施するわけでございます。そこで借り方といいますか、貸し方という方、現在のそういう土地を貸したいという方の実態は、むしろ第二種兼業というようなことで非常に安定した他産業就業の機会を持っている方が多い、こういうような実態もあるわけでございます。したがって、そういう方々が自分の意思として貸したい、こういうようなことになるわけでございますので、そういう方々に対する特別の施策ということは考えていないわけでございます。先ほどちょっと申し上げましたモデル事業という中におきましては、小作料の一括前払いということを可能にすることは考えているわけでございます。
#53
○志苫裕君 貸したいという者と借りたいという者がおって、それがやっていくというなら、いままでの制度だってあるわけですよ。貸したくて貸したくてしょうがないという人と、借りたくて借りたくてしょうがないという人がその村の中におるなら、何もこういう法律を改正しなくても、いまの制度だってできないわけではないのですから。ただ、これはあれでしょう、皆さんの真意としては、中途半端なものはできるだけ貸してもらうようにしてやっていきたいということがあるのじゃないですか。額面どおり、貸したくてしようがない者と借りたくてしようがない者との合意という、ただそれだけで成立させるわけですね。積極的な能動的な働きかけの施策というものはないのですね、これには。
#54
○政府委員(大山一生君) この事業を実施する場合に、いわば貸したいという人間と借りたいという人間がある。その当事者間の話し合いで賃貸借が結ばれていくということであれば、これは農地法の規定どおりでやっていけるわけでございます。ただ、問題となりますのは、貸したくても貸せない資産保有的傾向というものの背景が、一遍貸すと返らない、あるいは離作料を取られてしまう、こういう点に非常に問題が、なかなか貸しにくかった要素があるわけでございます。そこで、そういう問題につきまして、集団的合意の中で行われた利用増進事業については、農地法の法定更新の規定を排除する、こういうことにいたしたわけでございます。
 そこで、この問題を実施いたします場合におきましては、これは実施規程というようなものをつくるわけでございますが、その実施規程例等におきましては、ある程度この種の事業を行うためには、一定の面積の広がりが必要になってまいります。とすればある程度の広さを持った範囲内の農家の方々という方々によって構成されます協議会でありますとか、あるいは委員会といいますか、組合といいますか、そういった組織を自発的につくっていただいて、その自発的な方々のそこにおける話し合いということを踏まえ、そうして市町村というもの、あるいは農業委員会、あるいは農協というものがそれとタイアップして、これらの事業を進めてまいる、こういうことに相なるわけでございます。
#55
○志苫裕君 これ時間がありませんから局長、単純に答えてもらえばいいですが、法改正のちょっと具体的内容に入りますが、一つ、二つ聞きますけれども、一つは、農用地等の範囲に、いままで農業用施設を加えていなかったのには何か特別のわけがあるのかどうなのかということですね。今度こういうことになったわけですが、加えることには合理性があるようです。しかし、いままで加えなかったのには何かわけがあったのかどうか、この点が一つと、あと簡単なことですから、法案の内容ですから続けて聞きますが、利用増進事業あるいは特別利用権の設定について、ともに存続期限が切れた場合の措置がこの法律には規定されていません。存続期間が切れた後は一体どうなるのか。法的根拠がなければ農地法そのものによっちゃうのか、農地法の規定にそのままよるのか、あるいは切れた後は延長になるのか、継続になるのか、新規になるのか、そういう問題点がこの法律では明らかになっていないんですが、この点はどういうものでございますか。
#56
○政府委員(大山一生君) 第一点の農用地区域内に農業施設用地を今度入れた理由は、農地法のたてまえからまいりますと、農業施設用地というものは、農地でなくなるというようなことが基本的な概念としてあったゆえに、いままでは入れてなかったわけでございますが、施設園芸等が最近のように発達した中では、やはり農業施設用地もそういう意味から、むしろ農用地区域の中に取り込むべきであろう、こういう趣旨でございます。
 それから、利用増進事業あるいは特定利用権と存続期間の関係でございますが、先ほど来るる申し上げておりますように、利用増進事業というものについては、一方で農地を貸しやすくする。ただ貸しやすくすることで相手方が不安定になっては困るので、先ほど来申し上げたような担保をいたしておるわけでございますけれども、貸しやすくするということが一つの焦点である。こういうことからいたしまして、実体的にそれが安定して耕作されることを期待している。そのために市町村の関与、あるいは全員の合意ということで行っているわけでございますので、実体としては、農地法の法定更新の規定を排除いたしましても利用増進事業による利用権というものは安定して、実体として安定していったものとなるものである、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから、特定利用権の問題でございますけれども、法定更新の規定を入れておりません。といいますのは、この特定利用権というものが、農地を現在使っていない、今後も使う見込みがない、そこで非常に荒廃しているというようなことに着目して、現に利用されていないことに着目して、それを有効利用すると、こういうことについて強制権を与えよう、持たせよう、こういうことでございます。
 そこで、憲法の財産権との関係が出てまいるわけでございまして、もしかこれを法定更新するというようなことにいたそうとしますならば、一方では財産権保護のために返還請求権なり、あるいは買い取り請求権を与えるというようなことが必要になってまいります。そうなりますと、むしろ利用権の設定を受けた方、市町村なり農協が共同利用権の設定を受けるわけでございますが、これらの耕作がといいますか、利用がかえって不安定になる。あるいは買い取りに応ぜざるを得ないというようなことから、この事業にシュリンクするということにもなりかねないということから、むしろ法定更新の規定を設けなかったわけでございます。ただ、実際問題といたしましては、利用増進特定利用権の設定というものは、あくまでも伝家の宝刀でございますので、まずは当事者間の協議において、それが長期にわたって続くであろうようなことの協議を進めれば一番いいわけでございます。しかし、不幸にしてそれができずに特定利用権を設定した場合におきましても、それの存続期間が経過したときにおきまして、両当事者の間において十分な協議をして、あるいは長期の賃貸借にするというようなことも場合によっては指導してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
#57
○志苫裕君 まあ利用増進事業が実体として安定したものになるだろうという、これはそうなれば問題はありませんけれども、一応三年なら三年ということで、皆さん法律には三年と書いてないけれども、説明ではそのようにおっしゃっていますね。一応三年ということは、三年で継続期間が切れるということでしょう、そうじゃないですか。
#58
○政府委員(大山一生君) 利用増進規程をつくりまして、これは知事の認可まで受けるわけでございます。そうしてその利用増進規程を背景といたしまして、利用増進計画をつくっていくわけでございます。その利用増進計画をつくります際に、その地方地方の事情によって、また仮に単一の作物である場合においては、先ほど来申し上げましたように、安定した場合においては三年ないし五年の期間にいたしたいというふうに考えておりますので、三年ないし五年ごとにその計画をつくってまいる、こういうことに相なるわけでございます。ただ一定の地域の中においては、作物がいろいろと競合する場合があると思いますので、非常に短い期間の作物と、それから比較的長い期間の作物についての両方が一緒にはまる場合においては、短い方の何回かの繰り返しの周期を長い期間の周期と一致させるというかっこうによって実施してまいる、そういうかっこうで利用増進計画というものが一定期間ごとに継続してつくられる、これは市町村がしてまいる、こういうことに相なっているわけでございます。
#59
○志苫裕君 そうすると、いずれにしても、三年でも五年でもいいですわ。存続期間がきますね、そうすると、そのときまた新しい計画を立てて、継続ということで理解をするのですね、これは。その法律の規定はないでしょう。
#60
○政府委員(大山一生君) 実体的に継続ということに相なるわけでございます。それらのことは利用増進計画例、あるいは増進規程例の中において明確にしてまいりたいというように考えております。
#61
○志苫裕君 特定利用権の裁定を下す場合は「五年を限度と」あるのですが、協議調う場合は何年でもいいんですか、これは。
#62
○政府委員(大山一生君) 御指摘のとおりでございます。
#63
○志苫裕君 ちょっと細かくなりますが、まず利用増進事業からの、この十五条の三の関係ですが、第十五条の三、2項の三号に「農用地利用増進事業の実施により利用権の設定を受ける者の備えるべき要件」、この「備えるべき要件」というのは、具体的にありますか。規定に盛り込む内容で「備えるべき要件」……。
#64
○政府委員(大山一生君) 設定を受けるべき者の要件といたしましては、法律におきまして、十五条の五の第3項の一号、二号に、次に掲げる要件のすべてを備えるものでなければならないということで、イ、ロ、ハというふうに書いてございます。つまり個人の場合におきましては、その農用地のすべてについて農業経営を行うこと、それから常時従事すること、それから効率的に利用すること、利用して業務を行うことができると認められること、これがございます。そして、先ほど大臣の答弁にございましたが、生産法人の場合においては、そのイとハと、こういうことが法定要件になっているわけでございます。そこで、利用権の設定を受けるものの要件といたしましては、地方地方における事情があるわけでございますので、それ以外のことについて画一的に決めるというつもりはございません。ただ、青壮年従事者の存続ということを一定の目安としていきたいというふうに考えるわけでございまして、労働力なり、資本装備なり、規模とか、こういったようなものを見てどういう条件を備えているものが適当であるかという判断は地方の事情に応じてそれらを決めていければいいものである。法定条件としては先ほど申し上げたようなことが法定条件である、こういうことでございます。
#65
○志苫裕君 いま局長言われた十五条の五ですね、計画。この三項の二号のロですね。言うなら、耕作または養畜の業務に必要な農作業に常時従事しなければ、これはだめなわけですね。この「常時従事」というのは、年がら年じゅうということですか。一日でも出かせぎに行ったらだめですか、これは。「常時従事」は。
#66
○政府委員(大山一生君) 農作業があるときに、そのとき常識的に従事しているということでございまして、出かせぎに行っちゃいかぬとかというようなことは全然言っておりません。
#67
○志苫裕君 そう読むんですか、これは。「前項第一号に規定する者が、利用権の設定を受けた後において、次に掲げる要件のすべてを備えることとなること。「耕作又は養畜の業務に必要な農作業に常時従事すると認められる」――農作業があるときに従事するのはあたりまえですよ、これ。これはそう読むんですか。農作業があるときに常時従事する。きょうは田植えだけれども休んでどっかに行くというようなことはしないでいいんですか。
#68
○政府委員(大山一生君) 必要な農作業に常時従事するという問題は、農地法の現在の三条の第二項で、むしろ逆に、常時従事すると認められない場合はいわば権利移転等の承認を受けられない、こういう規定がございますが、この農地法で言う農作業に常時従事する、こういうふうな趣旨でございます。さらにもう少し申し上げますと、常時従事すると認められるか否かという問題につきましては、原則的には年間百五十日、農作業に従事する日数が年間百五十日以上の場合には、常時従事すると認めて差し支えない、こういうような農地法の従前からの考え方があるわけです。
#69
○志苫裕君 百五十日、農地法のあれですね。はい、わかりました。
 それから、特定利用権のところで十五条の七、「共同利用」というものの解釈はどこかに法定してありますか。共同利用とは何ぞや、単位とか、そういうもので。
#70
○政府委員(大山一生君) 「共同利用」という言葉の定義はございません。ただ、共同利用ということの当然の反射といたしまして、共同利用主体が他人に、ある特定人に完全に請け負わしちゃうというようなことは許されないわけであります。
#71
○志苫裕君 それから特定利用権のことですが、農振地域は原則として市町村を単位とするとなっていますが、皆さんの通達では、二以上の市町村にまたがっても農振地域を指定することができるようになっていますね。たてまえとしては市町村単位ですけれども、二以上にまたがる。ですから、たてまえとしては二以上にわたることがあり得るわけですね、あり得るわけです。二以上にまたがった場合に特定利用権の設定はこれは事実上できませんか。
#72
○政府委員(大山一生君) 現実の、現在の規程の状況等、あるいは農用地区域の設定の状況等を見ますと、実例としてはございません。ただ観念論として法形式論と申しますか、といたしまして、二以上の市町村にまたがる農用地区域があって、その農用地区域内の土地についてこの特定利用権を設定をしなければならぬような事態があった場合にはこの規程は当然適用いたします。適用できるわけでございます。
#73
○志苫裕君 これは実体がないのに議論するのもおかしいですけれども、仮に二以上の市町村にわたって農振地域、地区があって農用地区域がある場合ですね、その場合にはその地域については市町村長というのは複数ですよ。農業協同組合というのも複数かもしれませんね。この十五条の七の、これはページ数にしますと十二ページに「利用が困難となると認められるものがある場合において、その住民又は組合員」、「その」ですから、自分の市町村の住民ということですね。これは事実上できなくなるんじゃないですか。隣の村の住民も一緒なんですもの。
#74
○政府委員(大山一生君) 十五条の七の第一項に、市町村はというかっこうで、十二ページの最初の方にもありますが、その住民の業務を「営むものの共同利用」、こういうふうになっておりますので、その農地そのものの所在する市町村が主体に対象として考えるということに相なろうかと思っております。つまり、A村とB村と両方にまたがるものがあったような場合におきましては、これはそれぞれの村の中における問題としてそれらの村、あるいはその村の協同組合が共同利用の主体になるというふうに法律上読まざるを得ない、また読んでしかるべきであるというふうに考えるわけであります。
#75
○志苫裕君 そうですかね。農用地区域というのは両村にまたがってそれを一つの単位のものとしておるんですから、これ、その農用地区域なり農振計画について言えば両村にまたがっているものなんですから、それが、この法律を読むときには、それをいわば一体のものとして特定利用権を設定した場合に、おれのところの住民だけと言ったって、その農用地区のさまざまな計画というのは全体にまたがってできておるのに、おれのところの住民だけそれは共同利用の権利があるという規定の仕方はおかしいんじゃないですか。
#76
○政府委員(大山一生君) 農用地区域、仮に二町村にまたがる場合、これは確かに二町村全体についての各方面の客観的情勢の中で一体的なものとして農用地区域が決められることに相なるわけでございます。しかし、問題として特定利用権が設定される場合、ある土地が耕作されていないという事態を踏まえてこれの特定利用権を設定するわけでございますので、その農地の所在する市町村というかっこうで農用地区域内のその土地の位置というものに着目して、市町村がこれらの特定利用権の協議その他の問題に入るということは、これは法律的に何らおかしくないのではないかというふうに考えるわけであります。
#77
○志苫裕君 実体がないのに議論するのもあれですからやめますけれども、しかしおかしいことはおかしいですよ。農振計画なり農用地区域内のさまざまの計画を一本でやるのに、そしてそういう発想から、余っている土地はないか、遊んでいる土地はないかと物を考えていくのに、それは実際にやるといったら、当該市町村長の領域のものだけそれが利用できるとかなんとかというのも、扱いとしてはおかしいと思うんですが、これやっていると時間ないですから、おかしいということだけ申し上げておこうと思うんです。で、これは衆議院の方でも議論がありますから私は省略しますが、さっき利用増進事業が特にそうですけれども、農業投資は、貸し方がやるのか借り方がやるのかというそういう問題点、それがはっきりしませんと、しかも短いものでありますと、農業投資は回収に非常に長期の期間を必要とするものでありますから、わずかな五年とか十年貸したらまた取られちまうとかというようなものであれば、それに丁寧に投資をする者はいないということになって、結局投資もしないで略奪することだけになるという心配がありますので、これは有益費の償還の問題とは別に安定性を確保するという意味で、投資なりその間の安定性を確保するという意味で、この辺の点はもう少し長期間の永続性というものが保障されるようなやっぱり規定なり取り扱いが要るのではないかという気がするのですが、それともう一つは有益費の償還は、たとえば土地改良法ですと規定がありますけれどもこの農振法では規定がないのはなぜなのですか。
#78
○政府委員(大山一生君) 有益費の問題につきましては、土地改良事業による場合についての特例が土地改良法にあるわけでございます。一般的には民法、たしかあれ百九十六条だったと思いますか、これによりまして有益費――増加額または投下費用のどちらか、こういうことになっているわけでございます。いずれにいたしましても土地改良法上の問題あるいはその他の有益費、いずれにいたしましてもこれらの問題については紛争の起こらないように利用増進規程なり計画の中に明確にしておいてあらかじめ同意をとっておくということは、これはぜひやらねばならぬ、またやるつもりでおります。そこで仮にこれらの有益費の問題に対しまして所有者側が反応しないという場合におきましては、これは民法の留置権の規定が当然に発動されるわけでございます。それから先ほど申されました継続という問題につきましては、利用増進規程の中におきまして引き続き前の計画が終わると同時に次の計画ができるようにするのだということを利用増進規程例の中で書き、また現実においてもそういうふうに指導してまいりたいというふうに考えるわけでございます。もしかそれ以上のことになりますと、これは法定更新と同じことになりまして、また実体問題として貸せない、貸したがらなくなる、こういう問題になるわけであります。
#79
○志苫裕君 すると利用増進事業の行われる土地は実体としてどっちが投資することになりますか。
#80
○政府委員(大山一生君) 利用増進事業におきますいわば期間というようなものも、先ほど申し上げましたように定着化したときに三年ないし五年というようなことを一応のめどとしておりますが、地方の事情によってはいろいろの場合が出てくると思います。そこで土地改良事業との関係の問題が一番具体的な問題として出ると思いますけれども、土地改良法上の三条資格の問題につきましては、この賃貸借というものの法形式論としては一般的に短期なものである、そういうこと、そしてまた貸しやすくする。こういうようなことからいたしますならば、一般論としては所有者が適当ではないだろうかというふうに考えておりますが、現地の事情に応じて必要あれば農業委員会の承認を得て変えることができるわけでございます。そこで、ただ土地改良事業の中身が維持管理だけを目的とするというような場合もこれありますし、あるいはその土地改良事業とため池の水利権とからんでいるというような地方の、たとえば岡山等における事情もあると思います。そういうふうな水利慣行という問題との関係もございますので、一概には決めかねるわけでございまして、地方の事情に応じて決めてもらいたいというふうに考えるわけでございますけれども、原則的には所有者が適当の場合が多いというふうに考えるわけでございます。その場合のいわば所有者側の投資した額という問題は借賃の問題に返ってまいりまして、それからいわば利用者側がこれを負担している場合においては、先ほど言いました有益費なりの問題となって返ってまいる、こういうことに相なるわけでございます。
#81
○志苫裕君 もう時間がありませんが、この点は私は、必ずしも局長が見込まれるように、所有者が投資をする、またそれにめんどうを見るということにはならぬのじゃないかと思うのですね。所有者が投資してりっぱに管理するぐらいなら、てめえでやった方がいいのでありまして、なかなかそういうことにはならぬのじゃないかという気がしますが、この点は、またわが党の者が質問で詰めるはずであります。
 時間がありませんから、私最後に、まだ時間があれば少し私聞きたかった点があるのですが、一つだけ。先ほど私の生まれている場所の話をしましたが、大変な山村地なんですが、これは長期見通しのところでも、白書でもいわゆる労働力がない、環境の悪い、条件の悪い山村僻地において不作地がどんどん拡大をしているという指摘が載ってます。いま皆さんが考えておる農業の投資の対象になっていないのです、そういうところはね。しかし現実には相当の面積があって、日本の食糧増産に仮に保有米の確保であっても、食糧確保には寄与しているわけです。こういうものが全く置いていかれるということが一層明らかになるわけですが、私は、新潟県の両津市というところの出ですけれども、そこでたまたまいま不作地がどれくらいあるかということを調べてみましたら、農振地域内の農用地面積が約二千五百ヘクタールなんですが、そのうちことしの現実のこの不作地は約五%、百二十ヘクタールあります。五%を日本の農地に換算してみれば、五百万ヘクタールと言えばそれで五、五、二十五万ヘクタールという膨大な面積になりますね、これは、現実に。そういうところがここで言えば農振区域外の農業、農民あるいは農振地域で、農振地域の指定も率直に言って悩みがありまして、農振地域に入らないと投資はしてくれぬし、そうかといって入っちまうと融通がきかぬしというので大分苦労しておるようですがね。現実に農振地域の中に入っていても、もう不作地は相当の面積がある、農振地域の農用地面積に入っていても、不作地は相当の面積にあるというのが実態なんです。こういう山村における不作地の実態と対策というものについて、きょうは時間がありませんが、特に私は区域の農用地のしかもエリートの農家に、いわばメリットが出るような形で施策を施していって日本農業を発展させるということではどうしても選別政策になるという気がするものでして、区域外にわずかな面積でも農地があり農民がいる、区域内にあっても現実は不作地になって、じゃあ今度の共同利用の対象になるかというと、ならない、共同利用も欲しい人もいないのですから。欲しい人がいて初めて共同利用になるのですが、こういう不作地になるところは欲しい人もいないのですからという実態を、――これは、資料もいずれ、皆さんのがまとまりましたら欲しいのでありますが、そういう点についてもいわゆる農振区域外、農用地区域外、区域内であってもどうにもならない不作地というものについてのやっぱり一つきめの細かい対策というようなものをこの機会に要望をして質問を終わります。どうもありがとうございました。
#82
○委員長(佐藤隆君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十九分休憩
     ―――――・―――――
   一時四十七分開会
#83
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を再会いたします。
 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#84
○原田立君 わが国農業は、重化学工業優先、高度経済成長政策の谷間に取り残され、日本列島総開発の名のもとに、食糧供給の基本である農用地の乱開発と地価の暴騰を引き起こすに至っておるのは御承知のとおりであります。最近における世界の食糧危機が叫ばれるや、政府の施策が何となくあわてて自給率向上対策に奔走するという、そういうような姿勢は全くその場限りのどろなわ対策と、こういうふうに感ずる次第であります。世界的食糧需給がますます不安定をきわめている中で、自分の国の食糧自給率の向上強化を推進することが急務であることは申すまでもないことであります。過去の無秩序な乱開発を防止し、食糧供給の基盤である農用地の確保をいかにして向上し、安定供給を図るかは重大な問題であります。本法案改正に伴い、問題は多く含まれておりますので、具体的問題について質問してまいりたいと思います。
 まず最初に農用地の開発についてお聞きしたい。
 昭和四十四年、農林省が行った土地改良補完調査による農用地の開発可能面積は百五十四万ヘクタールとなっておりますが、このうち、昭和五十七年目標の土地改良長期計画では七十万ヘクタール。需給部会での食糧問題の展望と食糧政策の方向についての報告によれば、昭和六十年目標で八十六万ヘクタールを開発するとしておりますが、これは、農用地区域に定めてある山林原野が八十五万四千ヘクタールありますが、これに匹敵する未墾地面積であると思うんであります。この両者の関係について、本事業の実施に対する政府の考え方をお伺いしたい。
#85
○政府委員(大山一生君) 御指摘のように農振計画、これはまあ市町村が縦覧公告等の手続を経て、いわば下から上がったかっこうにおきます現時点における農用地区域、これにおける現状でございます。そこで、問題として、先生の御指摘になりましたのは、土地改良長期計画の七十万ヘクタール、それから六十年見通しの八十六万、それから農用地区域内にあります山林原野、約八十六万。この関係ということに相なるかと思っておりますが、この五月の十六日に閣議決定いたしました、六十年見通しといいますか、「農産物の需要と生産の長期見通し」、これにおきまして農用地を八十六万ヘクタール開発したい、こういうことでございます。これは土地改良長期計画の五十七年ベースにおきます、七十万ヘクタールの農用地開発の延長線上にあるというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。そこで、現在の農用地区域内に入っております山林原野、これは原則として農用地に開発するところ、こういうことに相なるわけでございますが、現在、線引き――四十四年の調査後の事態を踏まえまして、現在、線引きのおおむね完了した現時点における開発適地の所在、内容等の調査を行っております。その結果によりまして、さらに農用適地がどこに、線引きとの関係においてどう所在するかというものを検討したいというふうに考えております。現に農用地開発公団法が成立いたしまして、公団事業として取り込んでおります山林原野、この中にはその当時において、農用地区域に入っていないのも相当あるわけでございまして、そういうところは開発事業を行う前に、農用地区域に入れさせて、それが入れたことを確認した上において事業を実施する、こういうふうなことを行っておりますので、現状では確かに言われるとおり農用地区域内の山林原野は約八十六万でございますけれども、今後さらにそういう意味の開発適地は農用地区域内に取り込むというかっこうで進めてまいり、そして六十年見通しで期待しております八十六万ヘクタールの農用地開発を実施したい、こういうふうに考えるわけでございます。
#86
○原田立君 昭和四十四年の土地改良補完調査での開発可能面積百五十四万ヘクタールの開発を積極的に進めることが今後の自給率向上に大きく役立つことは当然であると思うのであります。しかるに四十八年からの十カ年計画では七十万ヘクタール、今回の需給部会報告によると、八十六万ヘクタールとなって、いずれも四十四年計画よりもはるかに遅れている。百五十四万ヘクタールの開発を推進するためにも、現在の農用地区域の五百四十万ヘクタールを拡大する必要があると考えるわけであります。国際食糧会議――食糧需給が逼迫している状況からも、農用地区域の積極的拡大を図る必要があると思うのでありますが、安倍農林大臣は責めの農政、こういうことを就任当初仰せになったわけでありますが、その辺農用地区域の積極的拡大、こういう面について安倍農林大臣はどのようにお考えでしょうか。
#87
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農業振興地域整備計画の策定は、沖繩県を除きましてほぼ一〇〇%に達しておるわけであります。農用地区域内の区域の面積は約五百四十四万ヘクタールに達するものと現在見込まれております。このうち農業の用に供することを予定した山林原野が、八十六万ヘクタール含まれておりますが、土地改良長期計画に基づく農用地開発の推進のためには、開発適地の一層の確保が必要でございますので、今後とも農業振興地域整備計画の見直しを行うなどして農用地区域への編入を積極的に進めるように指導してまいりたいと存じております。
 なお、五十年度においては新たに土地利用基盤整備基本調査を実施することとしておるが、この中において農用地区域等の線引きとの関係も含めた農地への開発可能地について調査を進めることといたしておるわけでございます。
#88
○原田立君 要するに、昭和四十四年のときの土地改良補完調査での開発可能面積が百五十四万ヘクタールと決めてある、そうでしょう。それが四十八年からの十カ年計画では七十万、それから今回の需給部会では八十六万、だんだん縮小しちゃっているわけですね。だけれども、そういうようなことはまずいのじゃないですかと。昭和四十四年の土地改良補完調査での開発可能面積百五十四万ヘクタール、それを上回るような農用地の拡大ということを図らなければいけないのじゃないかと、こうお聞きしているわけです。
#89
○国務大臣(安倍晋太郎君) 土地改良の長期計画も発足をいたしまして三年になるわけでございますが、御存じのような経済財政の状況の非常な変化によりまして、思うように進んでないというのもこれはもう現状の姿でございます。しかし農用地を確保していく、農地を造成していくということは、これからの自給力を高めていくという上から非常に大事なことでございますから、私たちは長期計画を何としても実現をしたいということで、今後とも努力を続けていきたいと思っておるわけでありますが、そうした努力目標といたしまして、現在六十年目標として八十六万ヘクタール、百五十万ヘクタールの農用地開発可能面積の中で八十六万ヘクタールを見込んでおるわけであります。まあ百五十万ヘクタールをすべて開発するということができれば非常に理想的ではございますけれども、現在の財政経済の状態から見ましても、その他いろいろの条件等を見ましても八十六万ヘクタールを開発するということが現在の判断としては非常に困難ではございますけれども、しかし何としてもそこまでは持っていきたいというのが私たちの念願でございます。
#90
○原田立君 そうするといまの大臣のお話を聞いていると、八十六万ヘクタールの目標を出したけれども、その達成するのもなかなかむずかしい、こういう意味ですか。それとも昭和四十四年に出した農地開発可能面積の百五十四万ヘクタールがむずかしいというのですか、どっちなのですか。
#91
○国務大臣(安倍晋太郎君) 四十八年から五十七年までの間の七十万ヘクタールというこの長期目標を達成するために現在努力をいたしておりますが、その進度もおくれておることは事実でございます。八十六万というのはその延長線上の六十年度を目標にした開発の目的の面積でございますけれども、現在においてもすでに進行は実質的にはおくれておるという現状でございますから、このおくれを取り戻して、さらにその上にスピードを上げなければならぬということでありますので、われわれとしては何としても持っていきたい。五十七年七十万、六十年には八十六万、そういう目標達成には持っていきたいということがわれわれの念願でございますし、最大の努力は払いますけれども、財政的な面から見ましても非常に困難な面も横たわっておるということを私は申し上げているわけでございます。こうしたこの目標を達するためには、ただ農政当局だけではなくて、やはり国民の各層からの農地開発に対するところの食糧自給につながっていくわけですから、農地開発に関するところの国民的な認識と理解というものは、私は非常に必要じゃないかということで、食糧会議等においても強調いたしておるわけでございまして、目標としてはもちろん八十六万、そして、何としても達成したいというのが私たちの悲願といいますか、念願であるわけでございます。
#92
○原田立君 八十六万ヘクタールは何としてもやりたいと、こういうことですね。そうすると、昭和四十四年のときの土地改良補完調査での農用地開発可能面積百五十四万ヘクタール、これを、全部が全部というのじゃなくても、少なくとも七割なり、八割なり、それぐらいのものはやろうという、そういうところまではまだいってないんですか。私、ちょっとお伺いしているのに、さっきの昭和四十八年からの十カ年計画での七十万ヘクタール、その延長線上に実は今度の需給部会で決めた八十六万ヘクタールというのがあるんだと。七十万プラス八十六万じゃないはずなんですね。七十万プラス十六万イコール八十六万と、こういうことだろうと思うんです。だから、七十万プラス八十六万の百五十六万ならば百五十四万に大体合うのだけれども。そうじゃないんでしょう。私がいま聞いているのは、百五十四万ヘクタールの開発可能面積があるという報告があったと、それからみると、現在の八十六万というのは、これは計画のおくれもあるだろうけれども、これは攻めの農政じゃなくて、守りというよりか、後退の農政じゃないかと、こう実は心配しているわけなんだ。だから、百五十四万ヘクタール、それに近い開発をすべきだ、農用地の確保をすべきだと、八十六万じゃ少ないと、こう私は指摘しているわけなんだ。いかがですか。
#93
○政府委員(大山一生君) 先生御指摘のように、四十四年に行ないました土地改良総合計画捕捉調査、これによりますと、農地としての開発適地が約六十万、それから草地造成の適地が九十四万、合わせて大体百五十四万という適地があることを把握したわけでございます。そこで、一方では、土地改良長期計画で幾らの開発を要するかという問題は、その背景として、幾らの耕地が必要であり、その間にどの程度の壊廃があるということとの関連において、これだけは開発しなければならぬという問題があるわけでございます。それが土地改良長期計画におきます七十万ヘクタールということに相なるわけでございます。そこで、六十年におきまして自給率を七十五まで上げると、こういうようなことから、一方では六十年まで見通されます壊廃との関係を考慮いたしますと、いま申し上げました七十万ヘクタールというものと同一の考え方、逆に言うなら、延長線上に八十六万ヘクタールがある、こういうことでございます。それらの土地はどんな土地だと言われますと、まさに先生御指摘の捕捉調査でつかんでおります約百五十万ヘクタールの土地の中から出てくるわけでございます。
 そこで、われわれといたしましては、先生御指摘のように、適地があるならば全部開発したらいいではないか、まことにそのとおりだと思うわけでございますけれども、現実の問題となってまいりますと、なかなか用地調達がむずかしい、あるいは、開発コストが上がってきている、あるいは開発主体が弱体化している、こういったような悩みを内在しながらも、長期計画なり、六十年見通しを達成するためには――最小限度さらに財政的な問題もございます。少なくともこの程度は実現したいというのが、先ほど申しました七十万であり、八十六万である。こういうことでございまして、それだけは何が何でも実行したい、こういう心構えでわれわれは対処したいというふうに考えているわけでございます。
#94
○原田立君 そうすると、百五十四万ヘクタールあるけれども、農地の壊廃面積が七十万ヘクタールあるから、その壊廃面積の七十万と、開発していこうという目標の八十六万とこう合わせて大体、全体がぴしゃっとおさまると、こういう理由ですか。
#95
○政府委員(大山一生君) というような考え方のもとで、今後十年間なり、あるいは六十年までに、いま申し上げました七十万なり八十六万ヘクタールを開発したい、こういうことでございます。
#96
○原田立君 昭和四十九年までの十年間では、農地壊廃区域は八十九万三千六百ヘクタールというようになっておるようでありますけれども、今回、一方需給部会の長期見通しでは、昭和六十年までに七十万ヘクタール、いま話のあったように、七十万ヘクタールの壊廃を見込んでいるようですが、この七十万ヘクタール壊廃の根拠は一体どこからきているのか、もっと少なく抑えられないのかどうか。それから、また都市化とともに既農地の壊廃が進むことを考え、見通しの七十万では抑え切れないのじゃないのか。三つの点について疑念があるのですけれども、その点はいかがですか。
#97
○政府委員(大山一生君) 土地改良長期計画の際に、八十六万ヘクタールの壊廃というものを一応見通したわけでございますけれども、これは当時におきます経済成長というようなものとの関係において考えたわけでございます。そこで、今度六十年見通しにおきまして、七十万ヘクタールの農地の壊廃を見込んでおるわけでございますけれども、御存じのように、今後のわが国経済の成長というものが、いわゆる静かで控え目なものになる、こういう見通のもとで、経済成長率との関連におきまして、今後の転用動向というものを推測いたしますと七十万ヘクタールと、こういうことに相なるわけでございます。ものは、将来相当長期にわたります計画の前提ということでございますので、そういった相関指数の上に立つと、七十万ヘクタールという数字が出てまいる、こういうことでございます。そこで、その七十万ヘクタールという問題、これにつきましては、いま言いましたような経済成長というものが今後見通されず、逆に言うなら、高度成長はあり得ないということであるといたしますならば、こういうような数字が推計値としては出て、それが適当なものであろうというように考えております。
 ただ、われわれといたしましては、じゃあ七十万までは壊廃をしていいのだということであるかという問題につきましては、われわれとしては、今後とも農業上の利用を確保する、農用地の確保という観点から、農用地区域に積極的に取り入れていく、あるいは農地法の厳正な運用を図るというかっこうで極力壊廃は抑制してまいりたいということでございます。
#98
○原田立君 七十万という計画はあるけれども、それよりも、それ以内に抑制していきたい、こういうことですね。過度に土地改良事業や、農地基盤整備の進んでいる開発地が他に転用され、トラブルを起こしておることがしばしば報道されているところでありますが、このように優良な農用地の確保は絶対に必要であると思うのであります。この優良な農用地の転用を含め、壊廃の現状について、もう少し詳細に御報告を願いたい。
 また、もう一つの点は、本法と国土利用計画法との関係についてでありますが、大規模開発、新幹線計画、高速道路等の計画の場合、農用地確保と、これらの計画とはどちらを優先して考えていくのか。以上二つお伺いしたわけですがお答え願います。
#99
○政府委員(大山一生君) 現在の農地転用、農地壊廃というものの現状でございますけれども、農地法サイドの方から把握いたしますと、たとえば四十八年の農地転用面積は約六万八千ヘクタールということになっております。この中で市街化区域に一万八千ヘクタール含まれているわけでございますが、そういったのが農地転用といいますか、農地法サイドから見た転用の現状、こういうことに相なるわけでございます。一方、毎年八月一日現在で統計情報部の方で把握しております耕地の拡張、壊廃という関係で把握いたしますと、四十八年八月から四十九年七月、つまり四十九年七月現在では約十一万壊廃されているわけでございますけれども、その中で、いわば非農業地への壊廃というのが四万二千ヘクタール、それから植林が約一万二千ヘクタール、こういうことに相なっております。それを見ますと、最近の経済活動の停滞等を反映して、昨年に比べると約一五%程度の減少ということに相なっているわけでございます。そこで、一方では耕地の拡張という問題も約三万六千ヘクタールある、こういうかっこうに相なっている次第でございます。
 それからもう一つ、国土利用計画法との関係と申しますか、大規模開発なり新幹線、高速道路というような計画と農用地との関係の問題でございますけれども、御存じのように、国土利用計画法、これによりまして五地域区分がなされているわけでございまして、現在その作業が進められている。そしてそれらの土地についての調整の基本方針というようなものも今後つくられると。こういうことに相なるわけでございまして、その計画には土地取引規制、あるいは遊休土地に関する措置等も、実施するための基準もあわせて定められる、こういうことに相なるわけでございますが、その中でいいます農業地域というものは農用地として利用すべきところ、総合的に農業の振興を図る必要のある地域、こういうことになっておりますので、農振法でいいます農振地域は少なくともすべてこれに含まれるものというようなかっこうで対処し、そして他の地域との関係につきましては、都市計画といいますか、都市計画地域との間においての調整という問題に今後とも十分な措置を講じてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、農振法の中には道路でありますとか、河川、鉄道といったような国の計画との調和が保たれたものでなければならぬという規定もございますし、また一方では、国なり地方公共団体というものは農用地利用計画を尊重いたしまして、それで農用地区域内にあります土地の農業上の利用が確保されるように努めなければならぬという規定もあるような次第でございます。
 そこで、いま申されました道路、河川といったような公共性の強い施設につきましては、この施設の計画が農用地利用計画を尊重したものとして、いまの規定からいって当然定められなければならないわけでございますし、そしてそれがその農用地利用計画に支障のないようなものであるならば、これは農用地利用計画の変更ということもあり得る、こういうふうなことになっているわけでございます。要は、優良農用地の確保という問題を重点に置きながら、先ほど申し上げました新幹線であるとか、高速といったような線的な公益性の強い施設との間の調和が保たれるものでなければならぬ。逆にいいますならば、先ほど申された大規模の新幹線とか、そういったような事業とどちらが優先するんだという問題につきましては、これはお互いに調和を保って進めてまいる。ただし、基本的な姿勢としては優良農用地の確保を旨としてやってまいる、こういうことに相なると思っております。
#100
○原田立君 農振法は農業振興地域を指定し、そこに整備計画を策定することにより優良農用地の確保と、あわせて地域農業の推進を図ることを目的にしなければならないと思うのであります。昭和三十六年に農業基本法が制定されて以来、あらゆる立場から農業構造の改善、経営規模の拡大が図られ、昭和三十七年と四十五年の二回にわたる農地法の改正が行われたにもかかわらず、十分なる成果が上がったとは判断できないと私は思うんであります。たとえば農地法の改正とあわせて農協法の改正による農用地の受託経営業務の新設、あるいはまた農業者年金基金の制定による農業経営者の経営移譲の促進措置、また昭和四十六年に農村工業導入化促進法の制定等もしたが、このように構造改善の施策が行われてきたにもかかわらず、逆に兼業農家の促進に一役買った感じさえあるのではないかと思うんであります。これら既農業構造改善の施策に対する成果をどのように政府は評価しているのか。まあ自分でやったんだから、しっかりやったんだから成果は上がったと言うんだろうと思うけれども、一部の意見では成果は上がっていない、こういう厳しい意見を言っている、批判をしている向きがあるが、それに対してどう思いますか。
#101
○国務大臣(安倍晋太郎君) 昭和三十六年に農業基本法が成立をしまして以来、農業経営の規模の拡大、農地の集団化、家畜の導入、機械化その他農地保有の合理化及び農業経営の近代化を図るため、第一次及び第二次農業構造改善事業あるいは農業団地の育成、農地保有合理化促進事業、集団的生産組織の育成、畜産対策など、制度の創設や、あるいは改正を含めて、各般にわたって施策の推進には全力を傾けてきておるわけであります。この間わが国の農業は、総体としては畜産等の成長部門を中心に年率大体二%程度の増大を続けてきており、また機械化等の推進によりまして西欧先進諸国に比べますと一応遜色のない生産性の向上、年率七%は達してきておるわけでございます。さらに、農村にそれまでありました過剰人口の解消であるとか、あるいは農家の所得の向上等もありまして、都市勤労者ともある程度比肩をし得る水準にも達してまいっております。
 しかし、他に例を見ないわが国経済のいわゆる高度成長のもとで、第二種兼業農家の比重が増大をし、農業労働力が脆弱化し、また地価の高騰によりまして農地の資産的保有傾向が強まってまいり、規模拡大の困難性が増加するなど、農業構造の改善を図る見地からはいろいろと困難な問題が生じておることは御承知のとおりであります。
 そういうこの状態の中で、今後の農政を推進するに当たりましては、やはり世界の食糧の事情の変化あるいは経済の、わが国経済の安定成長への移行等を十分踏まえて、国民食糧の安定確保を図るためのわが国の農業の自給力の向上と輸入の安定化を基本として総合的な食糧政策を展開をしていくというのが今日の私たちの農政に対する基本的な考え方でございますが、特に、その際の高度成長のもとで脆弱化しましたわが国の農業の体質を強化して、その潜在的エネルギーを高めていくための施策の一環として農業構造の一層の改善を図るために、現在御審議をいただいておる農振法の改正案を提出をいたしました。まあその中で農用地利用増進事業の積極的推進等を初めとして各種施策の強力な展開を図ってまいりたいというのが、今日、それから今後われわれの考えておるところの農政に対する基本的な考え方でございます。
#102
○原田立君 私の指摘したのは、いろいろ施策をしたけれども兼業農家がどんどんふえたじゃないかと、結果的に、これは施策の手の打ち方が間違っていたんじゃないか、手の打ち方がまだ血の通った農政じゃなかったんじゃないのか、こういう指摘をしているわけなんです。その点の御反省はありますか。
#103
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに、農業基本法が成立して以来、日本の高度経済成長の結果として、わが国において農業が兼業化が非常に進んできた、労働力が非常な勢いで流出したということは事実としてわれわれもこれを厳しく認めて、その上に立った農政、先ほど申し上げましたような構造政策あるいは価格政策等も含めた総合的な政策というものを打ち出していかなきゃならないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#104
○原田立君 今度の農振法によってもあらわれておりますけれども、たとえば十軒あるのが、それが三軒か四軒ぐらいで土地を分担、農地を分担してやろうと。こうなると、勢い大規模農業――まあ大とまではいかなくても、中規模農業かそこいら辺まで持っていこうという考えなんだろうと思うけれども、現在のひっきょう農家戸数の減少ということが見込まれてくるわけですね。一体、農家戸数は、現在の日本の農地からしてどのぐらいあれば理想的だと、こう政府は考えているんですか。
#105
○政府委員(大山一生君) 構造的に見てどの程度の農家があればいいのか、非常にむずかしい御質問でございますけれども、やはりわれわれといたしましては、確かに高度成長下のもとで、先ほど大臣が申されましたように、体質が弱まっている。しかしながら、それではいかぬので、とにかく国民食糧の安定的な供給を図る、こういう観点に立つならば、中核的な担い手というものがどうしても必要なんではないか。そういう観点から、みずから農業を職業とする青壮年男子、こういう農家に着目して、こういう方々を中心として農業の育成、確保を図っていかなければならぬだろう、こういうふうな考え方になるわけでございます。そういう意味におきますいわば中核的農家という方々としては、現在農家の中の約三割であり、それが農業生産の約六割を占めている。こういう事態から考えますと、そういった農家群というもの、そしてそれのいわば頂上に自立経営農家が存在すると、こういうかっこうでの農家群というものが今後の農業の主体となってまいる、中心的な存在としてなってまいる。こういうふうなことに相なろうかというふうに考えるわけでございます。
#106
○原田立君 いまもお話がありましたけれどもね、前は自立経営農家と、こういう呼称をしておった。それが、いまも局長の話の中にもありましたように、中核農家、こういう表現になっておる。何か理由があるんですか。中身が変わったんですか。
#107
○政府委員(大山一生君) 先ほど来申し上げておりますように、国民食糧の安定的供給の確保、こういうための、農業の体質強化のためのいわば担い手の育成と、こういう観点から見ますと、やはり農業を自分の職業とする青壮年男子のいる農家群、こういうことに着目しなければならないわけでございます。ところで、自立経営農家という考え方があったわけでございますけれども、これは農業所得だけで、他産業従事者世帯というものと均衡ある所得を実現し得る農家と、こういうような角度でつかんでいるわけでございますが、農業というのは、御存じのように、特に土地利用型農業におきましては、やはり生産の季節性という問題もございます。そういうような現実に照らしまして、ある中核的な担い手というものといたしましては、やはり多少の農外所得に依存しながらも、基幹男子農業専従者がおって、そして、かつ生産基盤の大半を農業に置いている、こういう専業的農家を包括的にとらえていくことが適当であろうと、こういう考え方で現在われわれといたしましては体質強化、農業生産力の発展の担い手というものとして中核的農家というものを意識している次第でございます。で、自立経営農家は当然それの頂上にあり、そして専業農家と一種兼業農家の相当部分というものがこの対象に相なってこようと、こういうふうに考えるわけでございます。
#108
○原田立君 優良なる農用地を確保し、いかなる造成を行うかということが今後の農政の大きな課題であります。さきに農政審議会需給部会で作成した昭和四十七年及び五十年の長期見通しによると、昭和四十七年計画での長期見通しは耕地面積を五百八十四万五千ヘクタールに対して、昭和五十年計画の長期見通しでは五百八十五万ヘクタールとしている。見落としてならないのは、採草放牧地二十五万ヘクタールが見込まれ、新案とでは三十万ヘクタールの差が出ることになるわけでありますが、さきにも指摘したように、四十七年と五十年とでは世界的に食糧の需給の考え方に大きな変化がある。そういう面からいって、攻める農政を積極的に行おうと言っている安倍農林大臣、積極的な姿勢をもっと示さなければならないのではないかと思うのが、案外余り積極的でないように私は感ずるわけであります。で、両者に対する長期見通しの差について、その見解をお伺いしたい。
#109
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今回の長期見通しにおきましては、わが国の経済、社会情勢から見まして可能な限りのわが国の農業の自給力の向上に努めるという基本的な考え方でございますが、これに必要な農地面積は、農業生産の展望、水田裏作等、農地の高度利用の可能性、今後における壊廃、造成を考慮して、六十年には五百八十五万ヘクタール程度――四十八年は五百六十九万ヘクタールでございますが、六十年には五百八十五万ヘクタールと見込んだわけでございまして、これによってわれわれは七五%の自給率を確保したいという見通しを立てておるわけであります。こうした農地の開発造成につきましては、最近非常に地価が高騰し、立地条件が非常に悪化をし、さらに工事費の増大であるとか、あるいは自然保護の要求というようなこともありまして、その進展はなかなか容易でないことは御存じのとおりでございまして、農用地開発公団を積極的に活用するとともに、農用地開発事業のあり方についても検討を加えて、事業の積極的な推進に努めて農用地を確保していかなきゃならぬと思うわけでございまして、さらにこうした施策を推進するに当たりまして、農用地を確保していくための農地法によるところの転用規制の厳正な適用であるとか、あるいは農振地域制度に基づく農業振興地域の指定、農用地区域の設定の促進であるとか、さらにまた農地保有合理化法人の土地買い入れ等の機能の強化と活用であるとか、さらにいま御論議をいただいております農振法の改正によりまして、農用地区域内における開発行為の規制の制度の新設等の施策を実施することといたしておるわけでございまして、まあ私たちとしては六十年度目標というものを何としても達成しなければならない。そうして七五%の食料農産物についての自給率を確保して、国民の期待にこたえた国民食糧を安定的に保持していくというための施策を全面的に今後とも進めていこうという念願に燃えて取り組んでおるわけであります。
#110
○原田立君 土地改良計画は需給部会の長期見通しに基づいて進められているやに聞きますが、土地改良計画の長期見通しについての具体策とあわせて基盤整備事業との関係性。よろしいですか。土地改良計画の長期見通しについての具体策とあわせて基盤整備事業との関係性、これの説明を願いたい。
#111
○政府委員(大山一生君) 土地改良法によりまして、土地改良事業を計画的に推進するために土地改良長期計画をつくるということに相なっているわけでございます。その土地改良長期計画に即して事業の実施を図ってまいる、こういうことに相なっているわけでございます。そこで、土地改良長期計画をつくりますに当たりましては、五十七年見通しというものをつくりまして、その見通しに即応した形で土地改良長期計画をつくり、そして圃場整備約百二十万ヘクタールでありますとか、農用地開発約七十万ヘクタールといったような基盤整備事業を長期計画として五十七年までに実施するというのが現在の第二期土地改良長期計画に相なっているわけでございます。そこで、われわれといたしましては、この土地改良長期計画を実施するために過去の総需要抑制ということからまいりまして、おくれというものをとにもかくにも速やかに取り戻すべく、必要あれば制度改正をしてでもこの長期計画を推進してまいりたいというようなことで今後の基盤整備の予算に対処してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
#112
○原田立君 法改正しても土地改良計画の長期見通しを改めていきたいと、こういうふうな御発言でありますが、また別な面でいって、耕地利用率の推移を見るに、昭和三十五年においては一三二・九%が昭和四十七年ではわずか一〇二・三%と毎年減少傾向を示しているわけでありますが、裏作利用の積極的推進を図る上からも農業基盤の整備等、土地改良長期計画を改定する必要があるのではないか。いま局長は改定をする必要があると、こういう御答弁なんですが、再度御答弁いただきたい。
#113
○政府委員(大山一生君) 耕地の利用率が低下している、これはゆゆしき問題でございます。そこで、われわれといたしましてはこのたびお願いいたしました農振法の一部改正によりまして利用増進事業でありますとか、あるいは特定利用権の設定というようなことを創設したいというふうに考えるわけでございます。それとタイアップしてというか、それとまた一方におきましては土地改良長期計画に即しまして、そして高能率農業を達成する基盤であります圃場整備でありますとか、あるいはこれとの関連の、前提になります基幹農業用排水施設の整備といったようなものをぜひ実現したいというふうに考えるわけでございます。今後の国費の伸びというものは楽観を許さない中ではございますので、長期計画を推進するためには制度改正も、ときによっては必要になるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
#114
○原田立君 昭和四十六年農地制度研究会が設立され種々検討されたこの研究、検討の結果により、今回改正の運びになったと、こう言われておりますが、この研究機関の内容、検討経過、さらにその結果はきわめて重要であると思うのであります。この際、この研究会の検討経過及び結果について明らかにされたい。また、研究会の報告書など資料があれば御提出を願いたいと思うがどうか。
#115
○政府委員(大山一生君) 四十六年の九月に農地制度研究会というものを発足させましたわけでございます。そして東畑四郎先生を会長にいたしまして、規模の拡大でありますとか、あるいは他産業との間の土地利用の調整といったような問題を農地制度の面からとらまえて、どういうふうな解決策があるかというふうなことを長期的な視点に立っていろいろと御検討をいただいたというような次第でございます。農地価格でありますとか、権利移動でありますとか、集団的生産組織でありますとか、転用規制の問題等々、いろいろの問題を検討していただいたわけでございますが、その検討の中から、最近の農村におきます土地事情というものから見て、どうしても農用地の確保と有効利用というためには、農用地についても集団的な利用調整、それから農用地開発適地の確保等の対策と必要性というようなものが指摘をされたわけでございます。そこで、こういうふうな貴重な御意見を受けまして、先般、農振法の改正というかっこうでこの問題をまた研究会に諮問――諮問といいますか、研究会の御意見も承りまして、そして今回の改正案の提出に至ったという次第でございます。そういうことでございますので、農地制度研究会の報告書というようなものはつくっておりません。ただ、最終的にはこの農振法の改正案というものを検討いただきまして、そして一応の締めくくりをした、こういうふうなことに相なっているわけでございます。
#116
○原田立君 農業振興地域の指定は三千七十二カ所と当初の予定どおりに運んでいるようでありますが、しかし農用地区域の線引きの段階においてかなりの問題が生じたとの声を聞くわけであります。具体的問題の内容を明確にする上からもどのような問題があったのか、それをお伺いしたい。また、その問題に対する対処としてどのように処理されたか、以上二点。
#117
○政府委員(大山一生君) 現時点におきまして農振計画をつくるべく指定した市町村といいますか、農振地域数はこの三月三十一日現在で三千二十六でございます。現在すでに計画の策定を見ましたところが三千十五ということで、まだ計画未策定が十一カ所ございます。この農用地区域の設定ということは非常に将来に重要な関心を、農民にとっての重大な問題でございますので、部落座談会をやるとか、あるいは縦覧公告後の異議の申し立て等について慎重な態度をとるというようなことで、地元の意見調整を図り、そして現在に至っているわけでございます。ただ、先ほど申しました十一の計画未策定のところというところは、簡単に言いますと、農業以外の目的の開発を期待している関係権利者がいるというようなことから、農用地区域への編入に反対して、それの調整に難航したというようなところが多いわけでございます。そういうところにおきましても十二分な話し合い、そして農振法というものの持っております今後の基盤整備その他の事業は農用地区域に集中するというようなこと、あるいは農用地区内については税法上の優遇措置があるというようなこと、こういったいわばメリットというものを周知徹底する中で極力円満な農用地区域の編入といいますか、農用地区域の策定が円満に進むように努めてきているような次第でございますが、場所によりましては一部、将来に問題を残すかっこうで農用地区域たらしめようとした区域の一部をいわば次の見直しのときまで検討するというかっこうでとりあえず終止符を打ったというところもないわけではございません。いずれにいたしましても、現在十一のまだ策定されておりませんところ、あるいは策定はされましたけれども、その中で将来さらに入れるべきところの検討を残しているところ、こういうところも若干あるというのが現状でございます。
#118
○原田立君 農業振興地域の指定に伴いその整備計画の策定には大変苦労もあったことと思いますが、特に計画策定には関係農家との直接利害もからむことから問題もあると思うんであります。で、農業振興地域の指定を受け、農用地区域内に含まれる関係農家に対する利害と指定を受けることによるメリットを考えざるを得ないんであります。そのメリットとして基盤整備事業のみが目玉である以上、やはり従来以上の積極的推進は望めないのではないかと考えるが、この点どのように認識しているか。
#119
○政府委員(大山一生君) 先般、いわめるメリット通達というものを農林省として出したわけでございます。そして現在はその方針に従って、単に構造改善局の仕事だけではなくて、農林省全体の施策をその線でいま現在やっているわけでございます。つまり国の補助融資事業の中で、生産の基盤整備でありますとか、あるいは生産の近代化に要する事業、あるいは保有の合理化、こういったものにつきましては、これは原則として農用地区域に限定する。それから生活環境の整備でありますとか広域的な流通加工といったようなものの近代化に必要な事業、こういうものは原則として農振地域を対象とする。さらに税法上の優遇措置といたしまして、法律にもございますけれども、市町村長の勧告なり農業委員会のあっせんということによって行われます土地の譲渡取得というようなことについての譲渡所得税でありますとか登録免許税、あるいは不動産取得税、こういうものの軽減措置を講じているわけでございます。さらに今般相続税の特例ということに関連いたしまして、農用地区域内の山林原野であって、まあ今後農地なり採草放牧地として開発を予定するというものについての相続税についても、これまた農地同様の納税猶予制度を発足させる。こういったようなことでまあ基盤整備だけではなくて、あらゆる施策は原則的には農用地区域にあるし、それから税法上の優遇措置も講ずるというような措置を講じまして、農用地区域に入ることに伴う農民のメリットというものをあらしめるよう努力をしておるわけでございます。
#120
○原田立君 いまもお話がありましたけれども、整備事業のスムーズな進行などを図る上からも従来の枠、原則にとらわれることのないよう積極的な姿勢で臨む必要があると思うのであります。もっと魅力のある事業にするためにも補助率、融資枠などについても従来の枠、原則にとらわれないものを考える必要があると思うんでありますが、もう一遍その内容ですね、どういうふうなことを考えているのか、お示しいただきたい、それが一つ。
 それから次に、農振地域の指定、整備事業の推進を図る中で、今後最も重要なことではないかと思うことは、若者の、若い人たちの、青年の農業の従事者を積極的に確保する必要があると思うんであります。本年四月の就職状況などを見ても農業に従事する人はきわめて少ない。この点についてどのように認識しているのか、後継者としての必要数、現在の就職数、どのような状態に把握しているのか、これが二つ。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
 また農振地域、農用地区域での文化施設、生活環境の施設の充実、強化が必要であろうと思うんでありますが、一般的に見て農振地域などのおくれが目立ち、若い青年が希望を持って農業に従事できる、そういう状態になっていない。そういう希望を持って仕事ができるような施設を確立すべきである。こう思うんでありますが、この点についての具体的なお考えはどうか。
 以上、三点をお聞きしておきます。
#121
○政府委員(大山一生君) 御指摘の三つの問題の中で私の方の局の関係から先に二点申し上げたいと思いますけれども、基盤整備事業。これにつきましては、とにもかくにも農振地域で行うんだ、こういうことで積極的な事業の推進を図りたい。また図ってきたつもりでいるわけでございますが、それと関連いたしまして採択基準の緩和でありますとか、それから、ものによっては農民負担との関係におきまして補助率の改定ということも行ってきた次第でございます。まあ今後の事業量の確保ということを焦眉の急といたしておりますので、やはり第一次的には量の確保ということを優先しながら、必要あれば質の問題といいますか、補助率の問題も考えていく。こういうふうな姿勢で進めてまいらねばならぬだろうというふうに思うわけでございますけれども、採択基準の緩和等につきましては、あるいは農用地開発事業というようなものの現状というものも踏まえながらさらに今後必要に応じて内容の充実を図ってまいりたいというふうに考える次第でございます。
 それから第三番目の問題として言われました生活環境の充実、強化という問題につきましては、全く御指摘のとおりだと思っております。先般来、農業というもの、農村というものが生産の場と生活の場を一体としている、というような農村の特殊性を考慮いたしまして、農業生産基盤の整備とあわせまして集落における生活環境の条件整備ということを総合的に図るというような観点から、農村総合整備モデル事業を発足させたわけでございます。またそれとは別にやや生産基盤の方に傾斜いたしますけれども、環境もあわせて整備するという農村基盤総合整備パイロット事業、いわゆる総パと申しておりますが、これについても今後推進してまいりたいというふうに思うわけでございます。なお、このモデル事業につきましては、これは単に四百地区というモデルだけではなくて、農村全体に広げるというような角度からの検討をわれわれといたしましても国土庁ともども今後もさらに進めてまいりたい。そして農村を魅力ある地域にしたいというふうに考えるわけでございます。
#122
○政府委員(松元威雄君) ただいまの第二の御質問で農業後継者の問題でございますが、まあ御指摘のように最近の新規学卒者の農業に就業する状況は非常に率が低いわけでございます。四十年ごろは一割強ございましたが、新規学卒者の中で農業に従事しますのは一割強ございましたが、最近では五%未満ということで、人数にいたしますと一万四千人というのが四十九年の数字でございます。非常に低い数字になっているのでございまして、そういたしますと先々農業就業者を確保できるかという問題でございまして、御指摘のとおり、この数ではなかなか将来農業のにない手としては不足である。ただし、一義的に何名しからば学卒者がなきゃならぬ、とはなかなか言いがたいわけでございまして、他方、最近ではいわゆるUターン現象ということでございまして、一遍出まして再び農村に帰ってくる青少年もいるわけでございまして、両者あわせて考えなければならぬわけでございます。要はしからば、農業後継者を確保するためのポイントは、基本的には、何と申しましても第一には、やっぱり農業が魅力ある産業として確立する、何と申しましてもこれが基本でございます。それからさらにあわせまして住みよい農村環境の整備を図るということでございまして、一つの手段方法をもちまして後継者対策といっても、これはなかなかないわけでございまして、基本的にはこういった農業を魅力のあるものにすること、さらに農村環境を整備するということが基本でございまして、それとあわせまして、いわば直接的手法と申しましょうか、という方法といたしますと、やはり農村、農家の子弟と申しますか、後継者に対しまして近代的な農業経営を担当し得るような高度の専門的技術あるいは経営的能力というものを、いわばこれは主として手段、方法は研修、教育が中心になるわけでございますが、そういった育成対策を講ずることをあわせてやるということが必要でございます。
 したがいまして、そのためには施策は万般にわたるわけでございますが、基本的には基盤整備でございますとか、経営近代化施設の導入でございますとか、環境整備、これはいろいろの各般の施策にわたるわけでございまして、それを講じますと同時に、いわば直接的な手段方法といたしまして、いまの直接的な育成対策ということで国、県とか各種の研修教育機関がございますが、そういった整備をいたしまして、農村青少年活動の促進を図る。こういったことによりまして地域農業の中核となりまする後継者を確保していくということをいろいろやっているわけでございまして、そのために従来から青少年対策といたしまして各般の予算を組んでございますが、これを本年もいろいろな事業を加えましてさらに充実させている。こういった手段を通じまして後継者確保の一環に資するようにいたしているわけでございます。さらにまた、資金面におきましても、たとえば改良資金の中に農業後継者育成費というのがございます。これも本年充実を図っておりますが、これらも加えまして後継者対策にさらに充実を期してまいりたいというふうに考えております。
#123
○原田立君 交換分合についてお伺いしたいわけでありますが、現在、農振地域においてはかなりの兼業化が進んでおり、農家と非農家の混住社会の状態から見て、土地の農業的利用の拡大は本制度の運用姿勢いかんにかかっていると思うのであります。適切なる運用を怠ることによって優良農用地の拡大どころか工業の誘致など他用途転用が積極的に進み、農用地の縮小という逆の事態を招くおそれがあると実は恐れているわけでありますが、その運用方針をお伺いしておきたいと思うのであります。
 もう私の時間が三時十七分までしかないから、まだ半分しかやってないから簡単に御答弁願います。
#124
○政府委員(大山一生君) 交換分合によりまして農用地区域内の農地を質、量ともに純化したい、こういうのがこの法律の運用の基本的な考え方でございます。とにもかくにも、これが農用地区域が設定された後の一番多く出てまいりますクレームは、次、三男坊の家が建たない、建つところがない。こういう問題が非常によく出てくるわけでございます。そういう場合に、いわばその農用地区域内の中でも極力優良農用地でないところをその除外の対象にする。もちろんそれが、そういうことが客観的に見通されることが前提になりますけれども、そういうときには優良農用地はなるべく残しておいて、優良でないところを外していく。そして、その外すに当たりましても極力その面積は少なくしてまいる。そして、逆に言うならば、優良農用地は保全しておきまして、そしてその際に、いわば農業に意欲のある人とない人というものがあるわけでございますので、なるべく意欲のない人の土地をその除外するところに集積するかっこうで、農業に意欲のある人間に農用地の中の農地を持たせる、こういうふうにいたしたいという考え方でございます。
 なお、この交換分合を行います場合には、合わせて農用地に取り込むべきところがあるならばそれも合わせて取り込みまして、その土地も合わせて交換分合の対象にしてまいりたい、こういうふうなかっこうで交換分合制度を運用してまいりたいというふうに考えているわけです。
#125
○原田立君 交換分合によって優良農用地の確保と集団化が図られることでありますが、実際的には交換分合手続はきわめて繁雑であり、また区画形質の変更を必要としないところから利害の対立が生じやすく、思うような効果が上がるかどうかは疑わしいという意見があります。
 そこで、従来の交換分合の実績を明らかにしてほしいとともに、今回手続を行うに当たって、その促進措置がどのように考えられているか、お伺いしたい。たとえば補助金をつけてあげるとか、税の優遇措置を考慮してやるとか、そういうことがあるのかどうか。
#126
○政府委員(大山一生君) 交換分合につきましては、御指摘のような問題もございます。そこで、現在、交換分合付帯農道事業というものを交換分合とあわせて行っておりますので、こういう事業もあわせて行うようにいたしたいというふうに考えております。
 交換分合を行います際に問題となりますのは、登記の代行問題がございますが、これは極力簡素化できるような方向で措置したいというふうに考えております。
 交換分合に要します経費につきましては土地改良事業と同様な補助金を交付するという予定でございます。
 税につきましては、先生御指摘のとおり、交換分合に伴います譲渡所得、あるいは譲渡所得についての非課税、あるいは特別控除、あるいは登録免許税の軽減、それから今度の交換で特別に出てまいります清算金だけで支払う場合の特別控除措置、こういったような措置、さらには不動産登録税の問題も五十一年度の地方税法の改正で実施したい、こういうふうなことで税法上の優遇措置もあわせて講じたいというふうに考えているわけでございます。
#127
○原田立君 具体的な問題でお伺いしたいと思うのでありますが、実は佐賀県三養基郡上峰村の江頭さんという、ある一農家から陳情があったわけでありますが、その人は二反九畝しか持っていない非常に小さな人なんでありますけれども、三カ所に転在しておった。ところがそれが今度は三養基郡西部土地改良事業というものが行われて、そして土地改良事業が行われた。ところが、あそこは局長御存じのように、もとクリークだったのですね、粘土質、かわらの製造場であったらしい。そんな関係から、大型耕運機あるいは中型耕運機ですか、それなんかを使ってやるのに粘土がどろどろになっちゃって、土質がどろどろになっちゃって、結局水はけがよくない。そこで、江頭さんのところは実は三カ所持っている、そのうち一カ所は水がたまる場所なんだけれども、あとの二カ所は水がたまる場所でない、とてもいいところだ。ところが、どうしても交換分合で自宅の付近の水のたまっているところの区域を二反九畝割り当てられた。最初から断固反対しておったんだけれども、とうとうそうせざるを得なかった。私は反対だと、こう言ったところ、それなら裁判でもやりなさいよ、争いましょう。こういうふうなことを係官は言った、こういうわけなんです。それは、最初、昭和四十九年――四十七年にですか、当初の部落の会合で説明はあった。だけれども、その後全然説明がなくて、ことしの二月になって県の課長がぼこっと来て、何だかごちょごちょと説明していったけれども、自分としては反対である、こういうことなんでありますけれども、そういう無理な交換分合。これなどあってはならないと思うのでありますけれども、その点いかがですか。
#128
○政府委員(大山一生君) 圃場整備に関連いたします換地、この問題は非常に農民の利害関係の相反するときが往々にして出る問題でございます。そこで、それらの点につきましては、それは法形式論としては三分の二の同意があれば圃場整備ができるわけでございますけれども、換地につきましては十分な農民間のコンセンサスを得るように努力をさせるように努めているわけでございます。
 ところで、先生の仰せられました場所、ここは御存じのようにクリーク地帯、クリークを埋め立ててそして一面の圃場に、三反圃場にする、こういうふうなわけでございます。多分、先生御指摘の方がいま仮換地を受けているところがどこであるかよくわかりませんけれども、そういうようなクリーク地帯の埋め立てというようなことから出てまいりますと、めくら暗渠は少なくとも入れなきゃならぬというふうに考えますが、
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
最終的には暗渠排水が十分にできるような施設が必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
 で、あすこの土地改良事業を見ましても、暗渠を入れる計画になっているようでございますが、御存じのように、クリーク地帯等におきましては、整地と同時に暗渠を入れるということは技術的に不可能である。逆に言いますと、逆と言いますか、整地をした後で自然沈下を待ちまして、ある程度地盤が固まった後に暗渠を入れるというかっこうをとらざるを得ないというふうに考えますので、今後その問題は暗渠を入れるとういうようなことを事業計画の中でやる中で、その問題の相当の解消は可能ではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
 いずれにいたしましても、本人の希望ということは完全には満たし得ないのが、この種換地処分という問題に当然一部はついて回る問題ではございますけれども、極力納得を得るようなことで努力させるような方向で今後とも進めてまいりたいと思いますとともに、その圃場につきましては、ここがクリークの埋め立てであるということに関連いたしました暗渠というような問題を、自然沈下といいますか、自然気圧を待って実施して圃場を保全しだいというふうに考えるわけでございます。
#129
○原田立君 この三養基西部土地改良事業は、四百五十ヘクタールのうち二百七十七ヘクタールが区画調整を完了しているところでありますが、全体の計画からいくと四百三十八ヘクタールであるそうです。いま局長は余りはっきり言わなかったけれども、暗渠を入れるにはやっぱり三年ぐらいはかかるんだそうですな。三年ぐらいの地盤沈下を見てからでなきゃ暗渠を入れられないと。それでどうですか、ああいう特殊な地域について、暗渠施設を入れるについてこれは何か補助金をつけるとか、あるいは国庫で負担してやってやるとか、そういう手だてはあるんですか。話によれば暗渠は全部自己負担だと、こういう話を聞いているんだけれども、その点はどうか。で、現在、私、聞いてきたのによりますと、ちょっと人の名前はど忘れしましたが、その人が三十五万円かけて暗渠排水をやった、ところが結局だめだということなんですね。だから、私言いたいのは、暗渠を入れるについて何らかの国庫負担とか、あるいは補助金とか、そういうことをしてやってやることはできないかどうか。それともう一つは、自己負担、ごっそり自己負担させるようなことはあってはならないと主張するが、その見解についてはどうか、以上二つ。
#130
○政府委員(大山一生君) 具体的な土地の問題でございますが、要するにクリークを埋め立てる、そして土質が強粘土土壌と、こういうふうな土壌でございますので、とかく不等沈下を生ずる、あるいは排水不良等が出てくる、こういうようなことにもなるわけでございます。先生が御指摘のように、こういうところにおいては整地直後に実施するわけにはまいりませんので、多少暫定的には排水不良区域ができるわけでございます。そういうところにつきましては、地盤の安定を待ちまして事後的に暗渠の敷設等の対策を講ずるべきであるというふうに考えております。
 したがって、本地区の場合につきましても、地盤状態なり、排水不良の状況というものを調査いたしました結果、そういう事後的に暗渠の敷設等が必要なところということでございますなら、工事の一環といたしまして、適期に排水工事等を、圃場整備事業の中に入れる場合というふうに処置するような方向で検討したいというふうに思っております。そういうことになりますれば、当然国費、県費がつくわけでございますので、その要する経費は全額農民負担ということには相ならないわけでございます。したがって、ここの場合におきましては、そういう方向で指導してまいりたいというふうに思います。
#131
○原田立君 これは後で返事してもらえば結構ですけれども、二反九畝で受益者負担が七十万円、そうして三年据え置き――四十九年八月に改良工事が終了して三年据え置きということで、ことし一万二千八十円受益者負担金金利を支払ったと。本人はこういう交換分合について非常に反対な意見の一人なんです。だけれども、こういってきたからやむを得ず払いましたが、というわけなんでありますけれども、余りだだこねるようなことがあってはならないと思うのだけれども、といって頭から押えつけて、裁判でもなんでもやってみろというようなそんな姿勢はやっちゃいけないと、こう思うのです。で、もっと納得のいく施策を、それからこの三養基郡はクリーク地域であったということは局長せっかく御承知のとおりだから、やっぱり何か手だてを講じなければいけないのじゃないでしょうか。
 この前も三月に行ってきたときに、土地改良区域の、改良された圃場整備したところですが、ほとんどその裏作の麦のことはやってませんでした。全部稲を刈り取ったそのまんまの状態でほったらかしになっていました。あっちこっちに水がたまっていました。これではどだい計画自身が非常に粗雑であったのじゃないのか。粘土質のことを最初からわかっているなら、もっと計画を綿密にしてそんなことかないような――圃場整備できました、使いました、ずっとよくなりましたと、こう喜ばれるようなそういう整備をしなければいけないのだろうと思うのですが、その点どうですか。
#132
○政府委員(大山一生君) 圃場整備、これはいわば作物についての家をつくるわけでございますので、一般の宅地造成みたいにただ整地すればいい、というような簡単なものではないというふうに思っております。で、心土を固め、その上の表土を十分にして、そうして不等沈下というようなことのないような施工をしなければならぬというふうに考えております。そのためには単に業者まかせにするのではなくて、表土はぎから始まって表土送りに至るまで十分なその土地土地の土壌に応じた指導ということが必要であろうというふうに考えているわけでございます。
 そこで、御指摘の場所は、佐賀県においては今後の圃場整備がすべてクリーク征伐という問題との関連において発生するわけでございますので、先発的なところにおいてそういう事態が出るということは決して好ましいことではございません。われわれといたしましても、さらに県を督励いたしまして、極力不等沈下というようなことの出ないようなことに努力してみたいというふうに考えるわけでございます。
 ただ、その圃場整備が欠陥水田であるかどうかという問題につきましては、いわばクリーク地帯、そうして強粘土土壌地帯と、こういうところの関連からいって、自然気圧を待たないと完全な、逆に言うならば、自然沈下を待たないとすっきりしたかっこうにならないというような土壌であるということもひとつ御理解いただいて進めてまいる、その点についての御理解も得たいというふうに思うわけでございます。
 先ほど据え置き期間中の金利の問題が出てまいりましたけれども、そういう点につきましての措置というようなことも、ひとつ今後の営農への影響というようなものがどうなるかということとの関連において検討しなければならぬだろうというふうに思うわけでございます。ひとつ具体的な問題の御指摘でございますので、圃場整備については、われわれとしては極力慎重な態度で臨み、指導をしているところでございますけれども、今後ともさらに慎重に指導してまいりたいと思います。とともに、現地について必要な指導はさらに強化したいというふうに考えております。
#133
○原田立君 具体的な指導をしてくれるそうでありますが、完全排水をはかる方策として、コルゲート管の埋設とか溝掘りによる排水などが考えられるわけでありますが、どちらにしても、これらの工事経費は農家に対してかなりの重負担となっているのであります。この上峰村の場合、他に例のないほどの広域にわたる湿土、粘土等による排水難でもあり、特殊ケースとして取り上げて対処するなり、何らかの具体策をぜひとも立ててもらいたいとお願いするわけでありますが、よろしいでしょうか。
#134
○政府委員(大山一生君) 非常に技術的な問題でございますけれども、やはりその土壌土壌に応じたかっこうの暗渠と言いますか、排水施工というものは当然必要となると思いますので、具体的に調査させまして、御要求に応ぜられるものは応じてまいりたいというふうに思うわけでございます。
#135
○原田立君 御要求に応じられるものならやるなんて、そんなことはあたりまえの話ですよ。(笑声)無理してでもやってくれと言って頼んでいるんですからね。はっきり御答弁願いたい。
#136
○政府委員(大山一生君) 言葉が足りませんでしたが、技術的に可能なものについては、その線で努力したいと思います。
#137
○原田立君 国土利用規制法と農振法制度についてお伺いします。
 従来の国土利用計画は、開発面に重点が置かれ、高度経済成長に大きな役割りを果たしてきたわけでありますが、そしてまた、公害、過疎、過密問題、投機的土地の買い占めなど土地利用の混乱を招いているわけであります。そこで、国土の有効利用を推進する上からも、基本的な問題として、国土利用計画法と国総法との計画内容及び相互の関係、これはどのように理解すべきなんでありましょうか。また先日の国土利用計画法と国総法の計画では、現時点における農業的土地利用をどのように考えているのか。また農振制度との関係についてお伺いしたい。以上三点。
#138
○政府委員(大山一生君) 国土利用計画法の五地域区分、その中にございます農業地域、これは農用地として利用すべき土地であって、そして総合的に農業振興を図る必要のある地域、こういうことでございます。したがって、農振法によります農振地域は、少なくともこの地域に含まるべきものと、こういうふうに考える次第でございます。それから、都市地域と農業地域というものは競合するわけでございます。したがって、その競合するような部分についての具体的な線引きの問題といたしましては、これは市街化区域の線引きの問題といったような問題が今後の問題として出てまいるわけでございますけれども、市街化区域の線引きに当たりましては、優良農用地はこれは対象としないというような方向で基本的な調整はなされておりますので、今後とも線引きに当たりましては、現在の線引きというものの実態ということを踏まえながら、優良農用地はその中に含ませないというような方向で対処してまいりたいというふうに考える次第でございます。
#139
○原田立君 都市計画法と農振制度についてお伺いするのでありますが、農振法制定の際大きな論議を呼んだ問題の一つに、市街化調整区域をどう利用するかという問題があります。市街化調整区域の面積は三百三十一万ヘクタール、このうち農地面積は百十四万ヘクタールで、約三分の一が農地面積でありますが、そこで農振地域の指定に際して、この市街化調整区域をどのように取り扱うのか、この点を明確にお伺いしたい。また今後ますます都市近郊の農業の果たす役割は大きくなっていることを考えた場合、調整区域内の農地利用の方向とあわせて、市街化区域の農地の宅地並み課税については、どのように考えているか。
#140
○政府委員(大山一生君) 市街化調整区域、これは長期にわたって市街化を抑制すべき区域として位置づけられているわけでございます。したがって、市街化調整区域におきましては、優良農用地は極力農用地区域に取り込むという姿勢で臨んでおりますし、今後とも対処してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
 それから市街化区域の宅地並み課税の問題が御指摘になりましたけれども、宅地並み課税の問題については、現在A農地、B農地について行われているわけでございます。そしてC農地の取り扱いの問題が今後の問題として出てまいるわけでございますけれども、われわれといたしましては、市街化区域内の農地というものについては、農地法の規制が行われてないという事態も踏まえながら、生産緑地制度というものの活用によってこれに対応してまいるべきであろうというふうに考えるわけでございます。
#141
○原田立君 これで最後にしたいと思いますが、特定利用権の設定についてであります。今回の改正で、現に耕作されておらず、かつ引き続き耕作が見込まれない場合と、こういうのが第十五条の七にあるわけでありますが、市町村または農業協同組合は都道府県知事の承認を受けて不耕作地の権利者に対し、地域農業者の共同利用に供するための特定利用権の設定をすることができると、こうありますが、その場合、市町村または農協に限るとしている理由及びその根処は何か。あるいはまた地域農業者の共同利用に供するとありますが、具体的にどのような内容のものを考えているのか。さらに所有者の意思に関係なく特定利用権の設定ができることになっておりますが、これは個人の財産権の保障に触れる重要な問題でもあり、好ましくないと思うのであります。先ほど志苫委員からも指摘された点であります。あくまでも相互の話し合いで解決すべき問題であろうと思うのでありますが、このようなトラブルが起きないよう十分注意すべきであると思うが、トラブル防止についてどのような対処をするのか、以上お伺いします。
#142
○政府委員(大山一生君) 第一点、市町村なり農協に限る理由でございますが、特定利用権というものは、農地が耕作されず、今後とも耕作される見込みが立たないというようなことから、いわば土地の有効利用が図られないだけではなくて、周辺に非常に迷惑を及ぼすというようなことに対して、土地の有効利用を図ろうと、こういう趣旨で強制力を持たした利用権でございます。そこで財産権との関係が出てまいります。憲法の二十九条でいう財産権との調整ということからいたしまして、これらの利用権を取得する主体というものは公的なものでなければならないということ、さらに、利用目的は公共的色彩の強いものでなければならぬということ、さらに、手続、要件については、財産保護の面から適正でなければならないというようなこと、それから存続期間なり利用方法というのは必要最少限でなければならぬ、こういうふうな要請が出てまいるわけでございます。そこで、市町村なり農協に限りましたのは、そういうことからいたしまして、取得主体は公的なものとして市町村ないし農協というふうに限定したような次第でございます。
 それから、利用権の内容でございますが、これはいま申し上げましたように、利用目的が公共的色彩の強いものでなければならないわけでございますので、次のような共同利用の形態というものが考えられはせぬかというふうに思うわけでございます。
 一つは、住民なり組合員の農業経営に必要な苗、種子、桑の葉、あるいは飼料といったようなものを生産し供給する、あるいは牧草を栽培して、住民なり組合員から家畜の預託を受けまして放牧したり、あるいは採草、利用させるということ、あるいは野菜なり稲作といったような農業につきましての、住民なり組合員の技術研修等のために利用させる、こういったようなことが共同利用の内容として考えられるのではないだろうかというふうに思っております。
 そこで、強制との関係の問題は、御指摘のように、われわれといたしましては、これは伝家の宝刀というふうに考えております。そこでこういう制度もあるということを現に利用してない方々にも十分に趣旨徹底する中で、できれば特定利用権を協議によって設定されるということが最も好ましいことである。または、あるいはそれ以前の問題として、その耕作されてない土地を取り込んだ利用増進事業というかっこうで利用すべきものであるというふうな立場から説得に努めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。ただし、どうしても特定利用権を実施せざるを得ないということになりますれば、先ほど申し上げましたような財産権との調整の上におきまして、こういうふうな特定利用権ならば憲法に違反することはないというふうに考えているわけでございます。とにもかくにも、極力この制度は伝家の宝刀というようなかっこうで対処してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
#143
○原田立君 大変時間が過ぎましたので、ごく簡単にしますが、開発行為の制限についてでありますが、現行の農振法では、農用地区域内の草地、採草放牧地は転用の規制があるが、山林原野についてはこの規制がない。この改正案においては知事の認可が必要とされているが、これだけでは優良な山林原野の確保はむずかしいと思うんであります。現に、今後ともゴルフ場、各種レジャー施設、別荘などの開発が予想されるわけでありますが、農用地の確保と同様、山林原野に対しても規制が必要であると、こういう意見がありますが、いかがですか。
#144
○政府委員(大山一生君) 農用地区域内の土地というものは、長期にわたって農業の用に供すべき土地というふうに位置づけらるべく十分な異議の申し立て、縦覧、公告といったような手続を経てきめられた土地でございます。そこで、その中にあります土地が、農地でないがゆえに開発されてしまうということはきわめて好ましくないので、今回の開発行為の制限の規定を入れるに及んだ次第でございます。先生御指摘の問題は、農用地区域外における山林原野というものが、森林法の適用も受けず放置されている点についての御指摘であろうと思うわけでございますが、農用地区域外の土地というものにつきましては、これはいろいろの存在それぞれが、たとえば農村集落であるとか、あるいは道路、河川といったような公共用地、あるいは林地、まあそれぞれ農業上に限られない活動をやっているというような事態の中で、それらを農振目的の農振法で開発規制するということはなかなか法律的に不可能であろうというようなふうに考えているわけでございます。したがって、今回の開発規制という問題は、農用地区域にしぼって御提案申し上げた次第でございます。
 ただ、先般の衆議院の修正によりまして、農用地区域の機能を守るために必要な限度におきまして、農振地域一般についての開発規制が、農用地区域の保全に支障を来すというようなおそれのある場合においては、知事の勧告制度を内容とし、そしてその勧告に従わない場合は公表するというような趣旨の衆議院の修正が行われたわけでございますので、それら相まちまして、農用地区域内、さらにはその周辺の山林、原野というものの開発規制は相当程度において農用地区域外においても規制できるのではないかというふうに考えるわけであります。
#145
○塚田大願君 御承知のように、今日、食糧の危機が叫ばれ、そして食糧自給率の向上という問題がやかましく論議されておる中で、農用地の確保ということは、これはやはり非常に重要な課題だろうと思うわけであります。そういう意味で、このたび政府が御提出になりましたこの農振法の改正案の中には、その土地利用の確保、その効率的な利用というようなことがうたわれておるわけでございます。ただ、問題は、果たしてその実際に言われるような農用地の確保、土地利用の増進というふうなことができるのかどうかという問題で私は大変やはり疑問を持っております。
 そういう観点から、以下御質問申し上げるわけでありますが、いまも問題になっておりますこの特定利用権の問題です。やはりこれが一番大きな問題点だろうと私は考えるんですが、いまも局長がいろいろ説明されておりましたが、これはやはり私権の制限というふうなことで、学者の中でも大変やかましい論議がある。これは御承知だと思うんです。しかし、実際に現実問題として、耕作もされない遊んでいる土地、これをできるだけ活用しようというこの考え方それ自体は私は結構なことだと思うんです。間違っていないと思う。ただ、やはりここで考えなければならないことは、そういう耕されもしない遊んでおるという土地、いわゆる休耕地ですね。休耕地がなぜ生まれたのかという問題を、これはこの委員会でももっと究明する必要があるんじゃないか、この点にメスを入れる必要があるんじゃないかと私は考えるわけであります。やはりそのことをやりませんと、休耕地が目の前にあるからこれに特定利用権を設定すれば片がつくじゃないかというふうな単純な考え方では、私はやはり根本的な解決にならないだろうと思うからです。
 そこで、まず大臣に私はお聞きしたいんですけれども、なぜこういう休耕地が生まれたのか、そしていまこのやかましい論議になっております特定利用権の設定までしなければならない、あえてそれをしなければならないという、そういう状態になったわけでありますか。この休耕地の生じた、生まれた原因ですね、これについて大臣まずどういうふうにお考えになっておるか、それをお伺いしたいと思うんです。
#146
○国務大臣(安倍晋太郎君) 休耕地といいますか、不作付地につきましては、その発生の原因につきましてはいろいろ多様であろうと思うわけでありまして、現在調査もいたしておるわけでありますが、まあ大まかに言えばやはり高度成長経済の中において農業労働力の流出が続いてきたという状況で、谷地田であるとか、あるいはまた傾斜畑等の劣悪な立地条件ということが考えられるわけであります。また、都市の近郊地帯におきましては、全般的な農外依存度の高まりの中で、農外就業の増加等による農業の担い手の減少、脆弱化、耕作意欲の減退というものが考えられると思うわけであります。その他純農村地帯では施設園芸等の集約的な作目部門へ専門化することによりまして、普通作物等の低収益部門の経営が行われなくなったということがその原因でもあろうかと思うわけでございまして、まあそういうふうないろいろと多様な原因があるわけでございますが、現在農林省としてもこの不作付地等が発生した要因がどこに起因するかと、また不作付地が全国的にどれだけあるかということについて調査を進めておるのが現状でございます。
#147
○塚田大願君 この問題につきましては、後ほどもう少し突っ込んだ論議をしてみたいと思うわけでありますから、いままあ一応大臣の御答弁はそれなりに聞いておきたいと思うんです。
 次いでお伺いするんですが、その休耕地が現在どのくらいあるか、その面積ですね。わかったらひとつ知らしていただきたいと思います。
#148
○説明員(吉岡裕君) 私どもの統計情報組織で調査を毎年いたしておりますが、昨年、四十九年の夏の田の不作付面積というのが十一万九千ヘクタールございました。それでその大半の十一万七千七百ヘクタールというのはいまお話しの休閑地ということになっております。この十一万七千七百ヘクタールのうち、いわゆる通年施行が、土地改良の通年施行が行われておる対象面積として約三万ヘクタールの水田が含まれており、その他のものが若干ございまして、これらを除きますといわゆる不作付のたんぼの面積は八万五千ヘクタール程度というふうに見込まれております。それから畑の方でございますが、まあ先生御承知のように、野菜等の畑作物というのはいろんな作付の方式がございまして、そういう野菜作の複雑な作付方式、あるいは普通作物の場合には輪作体系といったようなものがございます。それがまたいろいろ変化をするというふうなことがございまして、夏作の全期間を通じて不作付となっておる面積が幾らあるかということを把握することは非常に調査技術上の問題として困難なのでございますが、私どもが調査をしましたところでは四十九年の八月一日現在で、とにかく畑に植わっていない面積、不作付面積は十七万五千ヘクタールございました。これは要するに八月一日現時点で不作付でございますので、全期間を通じて幾ら畑が不作付になっておるかという点は、推定になるわけでございますが、私どもの推定ではおおむね七万ないし八万ヘクタールぐらいのものが畑の、夏の期間全く作付をされていないのではないかというふうに見込んでおります。
 なお、こうしたたんぼ、畑の不作付の実態を把握するために、ただいま大臣からお話がございましたように、低利用耕地等総合調査というものを近く実施をすべく準備しておるところでございます。
#149
○塚田大願君 私もいままでこの休耕地がどのくらいあるかということはいろいろ調べておったんですけれども、いま農林省の、初めて発表されたのじゃないかと私は思うのだけれども、まあずいぶんあるということだけははっきりしたわけですね。
 そこで、その数字の問題は結構でありますが、やはりこの数字を見ましても、まあ畑の場合いろいろ夏作やこの時期によって違うと思うのですが、とにかくこの水田、いわゆる休耕田ですね、これがやはり非常に多いということもこれは明らかであります。そこで、いまやはりこの水田の復元、復旧、この問題がやはり農民にとりましては非常に大きな関心になってきておるし、また政府としてもこの水田を復元してもっとこの農産物を増産するという意味からいきましても、これは非常に重要な問題だろうと思うわけであります。
 そこで、ついでにお伺いするのですけれども、従来行われておりました休耕奨励金、この休耕奨励金は昨年からもう打ち切られておるわけでありますけれども、聞くところによりますと、農林省としてはこの休耕奨励金の中にこの水田の維持管理費というものが含まれておるのだというふうな見解を持っておると聞いておりますけれども、それはそのとおりでございますか。
#150
○政府委員(松元威雄君) 米の生産調整の奨励補助金、これは休耕と転作とあるわけでございますが、これは米の生産調整を円滑に進めるための奨励補助金でございます。そこでその単価の積算につきましてはこれは諸般の要素を総合的に勘案して決めたわけでございますものですから、一義的な基礎は明白にないわけでございますが、これを単価の算定をいたします場合に当たりましては、やはり休耕水田の管理のためのかかり増し経費ということも配慮していたわけでございます。と申しますことは、本来ならば生産調整ということはやはり転作が一番望ましいわけでございますし、しかしやむを得ず三年に限って休耕したわけでございます。したがって、いずれは転作に向けたいと思ったわけでございます。そういたしますとやはりその間は適正な管理も必要でございます。したがいまして、そういうことも考慮に入れまして配慮したわけでございます。ただし、この奨励の性質上、一義な基礎があるわけじゃございませんから、単価がずばり幾らというわけじゃございませんが、そういうことも配慮しているわけでございます。
#151
○塚田大願君 じゃあ、そういう解釈に立っておられたとすれば、そのことについてそれをいつ、どんな方法で農民にお知らせになったのか、それを知らしていただきたいと思います。
#152
○政府委員(松元威雄君) 先ほど申し上げましたが、本来は転作が一番望ましいと、ただし、当時の事情からいわば緊急措置といたしまして三年に限って休耕するんだと、その後は転作だということでございまして、そのことも実施要綱上明らかになったわけでございますし、あわせましてこれは地方農政局でございますとか県の農業普及組織を通じまして、その間は休耕田は適正に管理する必要があるのだということ。さらにまたそれにつきましてのいわば技術指針と申しますか、この中におきましてもいろいろと休耕田の管理のためのたとえば雑草の防除でございますとか、病害虫の防除等、その他含めまして各般の面にわたりまして技術指導ということをこの技術指導書の中にも明らかにいたしまして、先ほどのように、県等を通じまして技術指導を行ったわけでございます。
#153
○塚田大願君 まあそういう周知徹底を図られたと、こういうわけでありますけれども、恐らく日本国じゅうの農民にとってはこれは徹底してなかったと思うわけであります。まさかそんな休耕中の維持管理費まで入っているなどということは農民は理解しておりません。とにかく無理やりに休耕さしたんだから、そのかわりにわずかだけれども奨励金がおりるんだ、こういうふうにしか理解しておらない。したがって、さあいまこの休耕田を復元する、復旧するという段階になって初めて、いやあの休耕奨励金には維持管理費も入っていたんだなんて言われても、私は、農民は納得しないと思うんです。それはずいぶんおかしい話だ、事が終わってからそんなふうに説明されても、これはどうにもならないと思うんです、大体。だとすれば、とにかくわずかな奨励金でいわば無理やりに休耕さした、それがいま言ったように、維持管理費まで含まれていたんだというふうなことになったら、休耕中の所得が減少した分はどうして一体補ったらよいのかという問題が起きてくるわけであります。
 そこで、いま農民はとにかく荒れた田んぼを見ましてこう言ってますね。農林省も御存じだろうと思うけれども、とにかくできれば耕作をしたい、ただ復元費が相当かかる、何とか国としてもやってくれないのか。こういうことを農民の諸君はよく言っておるわけです。私どもも、地方へ行きますと、よくそれを聞かされます。私はこれが本当の農民の気持ちだろうと思うんですね。荒れた田んぼを見て喜んでいる百姓なんか私は、日本じゅうにいないと思うんです。自分の田が荒れておるんですから、これを何とかしたい、こう思うのは当然です。あの有名な帰去来の辞に、「田園將に蕪れなんとす、胡ぞ帰らざる」という言葉がありますね、有名な。これは日本国じゅの国民の気持ちだろうと思うんです。まして農民がそういう気持ちを持っているのはあたりまえのことですよ。ですから、そういう意味では、私はこの農民の期待、願望、これについて国としてもこたえる義務があるんじゃないかと思うんですね。で、地方では、たとえば青森県でありましたか、復元して――かなり去年あたりから、反当たり二、三千円でありますか、復元費を出している県もございますね。私はそれが行政、政治というものじゃないかと思うんですよ。理屈でなくて、現実にいま食糧危機が叫ばれているときに、田んぼを荒らしといて、知らぬ顔してながめておるという手はないと思うんですね。そういう意味で、やはり私はこの農民の訴えに何らかの形でこたえる必要があるんじゃないか。これをひとつまず大臣にお伺いしたいと思うんですが、どうでしょう。
#154
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに休耕田がそのままに放置されておりまして手入れが進んでいない、なかなかこの回復もむずかしい面もあるという状態があることは事実でありますし、これはやはり農民の立場において復元をして一日も早くりっぱな良田、良畑に変えたいという気持ちがあることも当然だと思うわけであります。そういう面に対しては政府としても対応しなきゃならぬと思うわけであります。したがって、これに対応するために、昭和五十年度の予算におきましても、一体この休耕田がどういうふうな状態になっておるのかあるいはどれだけの面積があるのか、そういう詳細について総合的に調査を現在しておるわけでありまして、その総合的な調査に基づいてこれから対策を検討しなきゃならぬと思いますが、私は稲作転換事業の一環としてこれはいままでもやってきておるわけでありますし、今後もそうした面で考慮するといいますか、考えてみたい、こういうふうにも思うわけでございます。
#155
○塚田大願君 じゃあこの今度提出されました法律案に即してお伺いいたしますが、一般的に言って、こういう休耕地に対しまして今回のこの法案にあります特定利用権の設定というものは行われるんですか、どうなんでしょうか。
#156
○政府委員(大山一生君) 農地が利用されていない、今後も利用される見込がないというところが今度の法律の対象というふうに考えられるわけでございます。そこで休耕地ということである限りにおいて、しかもみずからか耕作する――みずからといいますか、貸してでもいいわけですが、耕作する見込みがないということでございますならば、特定利用権の対象にはなり得るわけでございます。
#157
○塚田大願君 なり得ると――まあ理論的になり得るということなんでしょうね。だとしますと――もちろんそう簡単にはいかないのだ、伝家の宝刀なんだということを言っておられるのだけれども、とにかく理論的に可能なんだということなんですね。だとすると、とにかくいま申し上げましたように、農民は復元してそして耕作したいという強い希望を持っておる、にもかかわらず、もちろん本人の希望といいますか、合意がなければとこうおっしゃるけれども、とにかくその土地は遊んでおる遊休地だ、したがってその特定利用権の設定ができるのだ。こういうふうに短絡した考え方でいきますとこれは私は重大なことになると思うのですね。結局、中小農民を農地から追い出していく、こういう結果にもなりかねないわけであります。もちろんそう簡単にやらないのだとおっしゃるけれども、理屈から言えばそういうこともあり得るということなんですから、私はやはりこれは重大な問題だと思うわけです。
 そういう観点から次いで質問をいたしますが、たとえば現在大会社が買い取っておって、仮登記がされてあって、実際上遊休地になっておるという土地ですね、仮登記になっておって遊んでおるという土地、こういうものに対してはこの特定利用権の設定はできますかどうなります。
#158
○政府委員(大山一生君) 仮登記されているというような農地でありましてこの法律に定める要件を充足している場合においては特定利用権の対象になるわけでございます。
#159
○塚田大願君 その場合、農民には知事の裁定という厳しい条件がありますね。そうしますとその仮登記者に対してはどういう指導、規制が行われるんですか。
#160
○政府委員(大山一生君) 特定利用権の設定されます場合においては、厳重な財産保護の面からの手続が必要であることは、先ほども御答弁申し上げたような次第でございます。そこで、その協議をする相手方というものにつきましては、所有者でありますとかあるいは使用収益権者ということでございますので、仮登記権者とは協議する必要は表には出てまいりません。そこで、業者が仮に持っておりましても、業者が仮に売買契約を結んで農地法上の許可があった場合に、所有権を移転を受け、あるいは転用するというようなことについての許可を条件として売買契約を結ぶことそれ自身は、農地法上の規制はないわけでございますので、その場合にそういうふうな事態があるということであっても、これはわれわれとしては関知する問題ではないわけでございます。
 いずれにいたしましても、ただ現実には農民と業者との関係におきましては、そういう事態が出れば、業者は売買契約を解除して代金の返還を請求するという事態の発生も予想されるわけでございますが、そういう事態が出てまいりました場合においては、特定利用権を取得することになります市町村なり農協というものが参加し、あるいは契約時の事情なり代金支払いなり地権者の支払い能力というようなことを十分に考慮いたしまして実態に即した解決が得られるように指導しなければならなくなるであろうというふうに考えるわけでございます。
#161
○塚田大願君 この農地の仮登記の問題というのは大変深刻な問題なんですね。ですから、新聞紙上でもあるいは国会などでも何回か論議がされたところでございます。特に、最近、土地買い占め問題が大きな社会問題政治問題になりました一昨年ごろから、各県の農業会議所などがいろいろ調査された結果がときどき発表されておるわけでありますけれども、これを見ましても、やはり結論的には仮登記された土地、この土地登記によるそういう大企業の買い占めの手口というのはずいぶんもう常識的なぐらい知られておるところでございます。が、とにかくその一連の調査の結果が何を言っているかといいますと、とにかく転用許可もないまま、もう転用許可がおりていれば、これは別問題ですが、転用許可がおりないまま仮登記状態で放棄されておる。この土地がいわゆる農地の荒廃、それから地域農業の衰退の最も大きな原因だということが、いろんな資料で言われているわけですね。御承知のように、いろんな調査を見ましても、大体土地買い占めが始まりましてから、全国的に言うと、四十万から五十万ヘクタールぐらい企業によって買い占められたと、こう言われておるんです。
 今度の農業会議所などの調査を個々に、まだ全部集大成されておりませんけれども、個々の例を見ましても、たとえば、岩手県の農業会議所が出しましたこの資料を見ますと、企業が買い占めて仮登記した土地、これが大体一年から二年七カ月経過した時点においてもなおかつ、そのまま放棄されておるというのが、面積で言って七二%あるというんですね。買い占めた土地の七二%がそのまま放棄されていると、そして荒れ果てている。こういう数字が出ておるんです。あるいは山梨県では大体三八%だと、まあ四割ですね、この場合。こういう数字が出ておるんですが、恐らく私は、農林省もそういう点では調査もされて、ある程度データもつかんでおられると思うんですが、こういう形で荒廃している土地の面積というのはどのぐらいあるのか。そしてまたそういう事態にどういうふうに対処されようとしているのか、その二点についてお伺いしたいと思うんです。
#162
○政府委員(大山一生君) 農外者によります農地の投機的取得という問題に対処するために、われわれの方といたしましても、四十八年以来末端組織を動員した情報の早期収集ということに努めているわけでございます。ただこの問題は、たとえば、不動産屋が何となく蠢動を始めたというようなものから、いろいろの段階のものをとにかくひっくるめて、とにかく動きがあればみんな連絡してくれと、こういうかっこうでございますので、内容的に面積が幾らあるというようなかっこうでの把握はいたしておりません。ただ、相当程度における土地取得が進んでいるわけでございますけれども、その中で農用地の割合は比較的少ないということは言えるのではないだろうかというふうに思っております。
 あと仮登記がどの程度あるか、こういう問題になりますと、これは全国に出ております登記所に行って、個々の登記簿冊の閲覧をしなければならない。こういうようなことで事務量が膨大に過ぎますので、仮登記の実態というものを数量的には把握はできない、できていない。こういうふうな状態にあるわけでございます。
 そこで、先生御指摘の仮登記イコール放棄と、こういうふうなお話でございますけれども、いわば仮登記がなされているようなところ、逆にいいますと、農地についてのいわば許可を条件とする売買契約を結ぶということ自体は、農地法上ではチェックできないたてまえになっているわけでございます。ただ、それの内容が売買契約を結ぶだけではなくて、実体的に引き渡しにまで及んでいる、代金が全額支払われ、さらに支配権が移ってしまっているというような事態がまいりますと、これは問題が出てまいる。こういうことになるわけでございまして、放棄されている実態というものの中身も、法律論として言うならば、売買を結んだ農民の立場から放棄している場合、あるいは逆に相手方に支配権が移って耕作させられなくなっている場合、いろんな場合が観念としては考えられるわけでございますので、仮登記イコール荒廃イコール農地法違反、こういうことにはならぬわけでございます。
 そこでしかしながら、いずれにいたしましても仮登記されているようなかっこうで耕作が放棄されているという事態、これは国土の有効利用という面からきわめて好ましくないということは、御指摘のとおりであり、われわれも農用地の保全、有効利用ということは、今後とも自給度の向上のために、維持向上のためにぜひ必要である、こういうふうに考えているわけでございます。
 そこでこういうふうな農地に対しまして、今後農地転用の申請が出てまいるという場合においては、仮登記されているといないとかいうような事態に関係なく、現況農地というのは、現在耕作されているところだけが農地であるわけではございませんので、農地制度の厳正な運用を図ってまいる。こういうふうにいたしたいと思いますとともに、まあその事情事情に応じて、農業委員会のあっせんといったようなことで利用を促進する、あるいは極力農用地区域に編入いたしまして、市町村長の勧告と知事の調停、さらには農業委員会のあっせん、必要あれば合理化法人による買い入れといったようなことを通じて、農用地の農業上の有効利用を図るようなかっこうで進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。まあ、さらに今度農振法でお願いしております農用地利用増進事業なり特定利用権設定の趣旨ということも、こういうような角度から、農用地の有効利用の角度からこれらの問題の一つの重要な手段というふうに考えている次第でございます。
#163
○塚田大願君 土地売買の契約、仮登記、そして即耕作放棄ということではないんだと。まあないんだとはおっしゃらないんだけれども、それだけではないんだとおっしゃりたいんだろうと思うんですけれども、実際はほとんどがそうなっているんですね、現実には。これは後で私具体的な問題を出します。具体的ないま私が言っているような形になっておる事例を一つ挙げますから、それではっきりすると思うんですが、とにかくそういう場合が非常に多い。たとえば土地を売っても耕作ができるんなら農民は喜んでやりますよ。金はもらっていても、耕作してよろしいというんだったら、それは農民にとっては得ですからやる。しかし実際、現実には、買ったらもう耕作させないというのが、いわゆる不動産屋、大企業、商社、こういう連中のやり方です。事実また転売転売で、田中さんじゃないけれども、土地ころがしなんというものがいわゆるその常套手段ですから、もう耕作させないというのがほとんどです。だから、問題が私はそこにあるんだと思うわけです。
 まあ、それは後でもう少し論議するといたしまして、ことしの三月二十日、国土庁の土地局土地利用調整課長の通達というのがございますね。これは滋賀県からの質問に答えた通達ですね。そしてそれに基づいて、さらに農林省から四月十四日でありますか、通達が出ておりますね。やはりこの土地の売買についての通達、これを見ますと、国土庁の通達は、要するに「当該農地が農用地区域内に所在する場合には、「取引中止」の勧告をすることが適当である。」、まあこういう通達で、農用地区域内の場合には取引中止をやらせると、こういう通達であります。が、農林省の場合は、さらにこの農用地外の農地でもそういう問題があったらこれは取引中止を勧告していいんだという通達で、そういう意味では私は、この農林省の通達は一歩前進していると思うんです。そういう点ではまあ農林省の努力も私は認めてもいいと思うわけでありますけれども、ただ問題は、将来の問題ではなくて、現実に、現在すでに仮登記をされて買い占められた農地、この農地に対してどういう対応をするのかという問題であります。
 そこでまず第一に、現に仮登記されておるその農用地区域内の農地に対してはこういう通達だが、法律でどういうふうに措置できるのかですね、お伺いしたいんです。
#164
○政府委員(大山一生君) 先生御指摘の通達、これは国土利用計画法の成立という事態を踏まえて、まあ法律の当然の性格としてその後における問題に対する規制と、こういうことに相なるわけでございます。そこで、先生の言われますのは、現に放棄されている、つまり国土利用計画法によって農地法では対象とならぬようないわば予約に関する問題についての取引規制、これが国土利用計画法でできた。それの適用される以前のときにすでにそういうことが行われたものに対する対処の仕方と、まあこういう御質問だと思います。これにつきましては、先ほども私申し上げたわけでございますけれども、今後相当長期にわたりまして農業上の利用に供すべきものであるということが、農用地区域内であるわけでございますから、当然の結果としてそういうことになろうと思いますけれども、そういうところにつきまして耕作放棄されているという事態に対処いたしましては、農振法の規定によりまして、市町村長の勧告あるいは知事の調停、また農業委員会による権利取得のあっせんといったような措置は現行法において当然講ぜられるわけでございますので、まあそういう措置を講じてまいりたいというふうに考えているわけでございます。で、場合によりましては、必要あれば農地保有合理化法人による買い入れというような機能も活用しなければならぬ場合、あるいは活用することも考えねばならぬだろうというふうに考えているわけでございますが、やはり今度の改正法案のいう利用増進事業あるいは特定利用権というようなものもこれの一環であるというふうに考えているわけでございます。で、これらの措置を講じまして耕作放棄されている事態の解消ということに努めてまいりたいというふうに考えております。
#165
○塚田大願君 その農用地区域内の農地についてはいま御説明ありましたが、じゃあもう一つですね、そのいわゆる白地ですね、農振地域内の農地の場合にはどうなりますか。
#166
○政府委員(大山一生君) まあ、基本的に仮登記そのものというものの禁止ということは農地制度上は不可能である、こういうふうに思うわけでございますが、しかし農振白地で仮登記され、耕作放棄されている農用地があるということも決して好ましいことではないということは、これは異存のないところでございます。そこで極力農業上の利用に供するように農業委員会によるあっせん措置を講ずる、あるいは農用地区域内に編入すべきを相当とする場合でありますれば、これは農用地区域内に編入することを農業委員会のあっせんなり保有合理化法人による買い入れといったような措置の活用とあわせて編入を進めまして、そして利用上の確保を図ってまいるということに相なろうかと思います。それよりもやはり農地の転用という問題に対して厳正な態度で臨むということにつきましては、これは前提として当然のことだと思っております。
#167
○塚田大願君 こういうこのケースですね、こういう場合というのは非常に多いんですね、調べてみましたら。これはいわゆる農振計画の策定、つまり線引きですね、線引きがされる前に買い占められ、そして仮登記され、そして耕作が放棄されているというのは、これは大体調べてみますと、会社、いわゆる企業ですね、企業が圧力をかけまして線引きのときに農用地区域から故意にはずさしているというものがやはり非常に多いということです。これはもう各市町村の役場に行っていろいろ担当者に聞いてみますと、大体そういう点ではみんな同じことを聞かされます。いわゆる商社の圧力で線引きからはずさせられたと。こういうのが、いわば企業の悪徳商法のやり方でといえばそれまでのことですけれども、とにかくこういうやり方ではずさしたと。そしていわゆる農振計画上の白地の農地を買い占めていった、こういうことなんです。そういう意味では私は、単なる開発規制でなくて、いまも局長もいろいろ言われたけれども、やはり厳しい規制ですね、行政上の指導が私は必要だと思うんです。とにかく相手が一筋なわではないわけですから、やはりそれに対応するだけの厳しい措置というものが必要だと私は考えます。
 そこで具体的な事例として一つ申し上げたいんですけれども、埼玉県に騎西町という町がございます。御存じだろうと思うんですね、この問題は。ここでいわゆる仮登記の農地の問題が非常に紛叫して今日に及んでおるわけであります。念のために若干事実経過概略を申し上げますと、これは埼玉県の騎西町の高柳地区という地域の農地でありますが、ここは第一種農地であります。その農地が昭和四十五年から四十六年にかけて面積約四十八ヘクタール不動産屋によって買い占められたわけであります。価格は坪単価約一万円。この不動産屋は東京千代田にある秀和株式会社という不動産屋であります。もちろんこの高柳地区だけではなくてその周辺も買ったわけでありますが、とにかく高柳地区で四十八ヘクタール買った。ところが問題は、もちろんこれは仮登記されてきたわけでありますが、問題は、最近になりましてこの不動産屋が地権者に対しまして、つまり地元の地主の農民の方々に対しまして、突如として契約解除を申し入れてきているわけです。ここに契約書もございます、解約の通知もここにございますが、とにかく突如としてここはもう農地転用の許可がおりないと。埼玉県は、いま革新知事になりましてから非常に厳しい規制をやっておる、それで農地転用ができない。だからこれはもう解約すると言って一方的に解約通知をよこしまして、そしてその契約に従って支払った土地代金は全額返済せよ、返還せよと、こういう申し入れをやってきているわけですね。そこで、非常にこれが問題になっていま町としても頭を抱え込んでおる、こういうわけなんです。ずいぶん確かに得手勝手なことなんですね。農地転用がむずかしくなってきたからもう解約する、こういう話。
 ところがよく調べてみましたら、この土地は大変いわくつきな土地でございまして、この四十五年、四十六年の土地の買収のときには町長、それから町会議員、農業委員会の事務局長が収賄罪で逮捕されるという騒ぎが起きた土地なんですよ。もちろん農地転用の便宜を図るということでこういう収賄をやって、そして逮捕された。こういう土地なんですが、当時のいろいろ事情を調べてみますと、当時の町長――いまの町長じゃありませんが、とにかく不動産屋の土地買収に対する推薦状、紹介状みたいなものをまいたり、そうして反対の農家に対しては、土地を売らなければ、おまえの土地は町が接収をしてゴミ処理場をつくるぞ、なんというようなことで脅迫をして、そうして坪一万円くらいでたたき売りをさせると、こういうことなんですね。当時、役場に行って職員に聞いてみますと、とにかく当時不動産屋が役場の中をわがもの顔に歩き回っておったというひどい状態で土地が買収されたわけです。ところが、今度農地転用ができなくなったからといって契約を突如として解約してくる、こういうあくどいことが起きたわけです。この問題は当事者の農民としても、また町としても、これはどういうふうに処理していいかわからないという問題なんですけれども、いずれにしましても、こういう悪質な思惑買いあるいは投機が行われたことは事実なんです。しかも第一種農地ですからね。こういう土地買い占めなんかがなぜ起きたかという問題ですね、これはやはり私ははっきりさせる必要があると思うのです。
 先ほど休耕地の問題で大臣にお伺いしたら、大臣はいろいろ高度成長政策の中の問題だと、いろいろ原因はあるけれどもと、こういうふうにおっしゃっておったんだけれども、私はその問題について保留しておきましたのは、要するに単に高度成長政策、もちろんこういう成長政策が失敗したことは今日の時点では明らかでありますが、こういう政策がとられたということと同時に、私はやはり農林省として考えなければならないのは、農政上のやはり失敗ということをはっきりさせる必要があると思うのです。単に高度成長で土地ブームが起きたと、労働力が流れましたと、それは現象にしかすぎないです。やはりもう一つの側面は、日本の農政が、食糧は海外に依存すればよろしいという政策をとり、そうして減反政策を、生産調整を押っつけてくる。一方また農産物の価格については全く生産費を償うに足りないような価格であるということから、農業に対する農民の意欲というものをそいでいった、一つ一つそいでいったという側面こそ私はこの委員会で明らかにされなければいけないんじゃないかと。そうでなければ、日本の農政の転換あるいは日本の農作の発展、食糧の自給、こういうことは私はできないと思うのですよ。そういう意味で、この点についてこういう悪質な土地投機が行われ、そうして今日こういう問題が起きているということについての大臣の考え方をもう一度私は伺っておきたいと思うのですが、どうでしょうか。
#168
○政府委員(大山一生君) 大臣の御答弁いただく前に、事実問題が出てまいりましたので、私たちの方でこれ急遽調べた範囲でございますか、多少申し上げておきたいと思っております。
 面積につきましてはわれわれの把握と多少違っておりますが、もう少し多いような感じもいたしております。
#169
○塚田大願君 六十六ヘクタールと言っているでしょう。
#170
○政府委員(大山一生君) 五十ヘクタールですね。
#171
○塚田大願君 五十ヘクタールですか。
#172
○政府委員(大山一生君) というお話で、仮登記は四十九ヘクタールのようでございますけれども、そういう売買契約が農地転用を条件として契約がなされたというようでございます。それが四十五、六年ごろこういうことに、四十六年の八月に地権者百六十七名との間に契約がなされておる。こういうことはあるようでございますが、四十九年の十一月になりまして、先生の御指摘のように、地権者に対して売買契約の解除をしたいという通知をしていることも事実でございます。
 それで、そういう事態の中でどうするんだと、こういう御質問になるかと思いますけれども、どうもそのすぐ後で今度地権者側が、その秀和が開発許可についての努力もしないで解約したのはけしからぬと言って大騒動しているというようなことがその次の問題としてあったようでございます。そういうこともありまして、五十年の二月十日付で、知事あてに開発行為の事前審査の申請書を提出しているようでございます。埼玉県としては現在、行政推進委員会土地利用部会で審議しているようでございます。農地転用の関係については、事前審査も含めて何ら手続が行われておりません。まず知事の方で、埼玉県の方でこの申請書を受けておりますので、県の開発行為の規制という角度からの検討が一つなされる予定になっております。いずれこの問題に関しまして、農地転用申請が出てまいりますれば、県の意見も十分に聞き、そして農地転用許可基準の精神に基づきまして対処してまいりたいと思っております。この土地が農振外の市街化調整区域でございますので、市街化調整区域の農地転用基準ということに基づきまして今後対応してまいることに相なろうかと思っております。ただ、この土地が現在大半が田植えをされているという事実もあるようでございます。こういうふうなことで、秀和との関係で、これを法律的にこれがわれわれのいま調査した範囲はさらに調査しなければいかぬと思いますが、この範囲で考えるならば、いわゆる支配権が移っているという段階ではないのであろうというふうに考えます。そこで、今後転用申請が出るような事態が出ましたならば、県とも十分に協議し、地元の情勢あるいは過去の経緯というものを十分に調べた上において、転用基準に照らして対処してまいるということに相なろうかと思っております。
 先ほど農政上の失敗と、こういう問題が御指摘ございまして、私たちの担当で申しますならば、農地法の姿勢といいますか、農地法のたてまえの問題にも触れる問題だと思いますが、農地法の姿勢というのは、やはり所有権移転の段階でチェックする。これが契約段階でチェックするということでは十分な段階の調査ができぬということで、農地法成立以来、売買契約の段階ではなくて、所有権移転の段階においてチェックすると、こういうふうなことで法律ができているわけでございます。したがいまして、許可を条件とする契約それ自身については、これは農地法上チェックするというたてまえになっていないわけでございます。ただ、そういうふうなことで売買契約が結ばれ、そして耕作が放棄されているというようなことになりますれば、これは今後の問題でございますが、農振法の改正というようなことによって対応してまいることになろうと思いますが、いままでのところは、それらの措置を行う規定としましては、農業委員会のあっせんなり市町村長あるいは知事による勧告、調停という制度しかなかったというわけでございます。
#173
○国務大臣(安倍晋太郎君) 石油のショックがありまして経済が非常に混乱をするその以前の段階におきまして、御存じのように、過剰流動性が生じて農外資本というものが、投機的な意味もあって土地取得に狂奔をしたということは紛れもない事実でありまして、その際においてやはりねらわれたのが土地の価格の比較的低い農村地帯がねらわれたことも事実であります。そういうふうなことで、今日相当の農地も含めた農村地帯の土地というものがそうした大資本の取得下にあることもまたこれは問題があるわけでございます。が、その後の情勢は、いま具体的な例をお述べになりましたように、農地法という問題から見れば、土地は取得したけれど、農地法の立場においてこれはなかなか容易に転用することができないという壁にぶつかって、現地においても混乱を起こしておるということになっておるのではないかと私は思うわけでございまして、そういう点は、いわゆる経済の高度成長のもたらした一つの問題であることも事実でありますが、農政としてはやはり農地法というたてまえがあるわけでございますから、農地法のたてまえによって、優良農地は確保していかなければならぬという大前提のもとにこれに対処していき、また対処してきておるということも今日のわれわれのあり方であります。今後ともこうした問題につきましては、特に農地法の適用等については厳正な立場でこれを行わなければならない、こういうふうに考えるわけであります。
#174
○塚田大願君 私があえてこの騎西町の問題、事例を挙げましたのは、決してこれは騎西町だけのことでなくて、先ほど申しましたように、大変な膨大な土地が買い占められておった。それが最近のこの情勢の中で、いま言ったような形で、今度は企業が逆襲してくると、こういうケースなんですね。ですから、これはこれからもずいぶんこういうケースは私は起きるんだろうと思うんです。で、それに対応してどういうふうに措置するかという問題として私はこの事例を一つ取り上げたわけでございます。いま大臣も厳正にと、こうおっしゃるんで、これは当然そうあらなければならないと思うんですが、そのためにも、この企業がいままでこういう買い占めをやって、しかも悪徳商法ぶりを遺憾なく発揮しておったというこの点について、やはりはっきりとしたメスを入れておく必要があろうかと私は考えるわけです。
 いまの秀和の不動産屋のやり方というものは非常に悪らつなものでありまして、いま局長も調べられたようでありますから大体おわかりだと思うんですが、特に非常に一つ特徴的なのは、こういう点があるんですね、私どもが調べてみましたらね。この解約通知書を見ましても、――こっちが契約書ですが、契約書の第九条というものに基づいて解約通知をして返金を要求してきたんですが、この第九条なるものを見ますと、こういうふうに書いてあるんですよ。この契約書の第九条ですよ。これは要するに、「都市計画法に基づく開発行為に関する申請並びに農地転用許可に関する申請が不許可となったときは、本契約は当然解約となるものとする。(二)前項により本契約が解約となったときは、甲は既に受領した土地代金を直ちにそのまま乙に返還しなければならない。」と、こういうふうに契約で書いてあるんですね。どうしてこんな契約をしたんだと言って聞きましたら、こういうことなんです。一杯食ったというわけですよ、農民の人たちに言わせると。農民の皆さんの証言によりますとね、この契約を結ぶとき会社側はこう言ったというのですね。この第九条は確かに皆さん不安を持たれるでしょうと、こういう条項が入っておるから、しかし、これは農地転用をスムーズにするために入れたんであって、あえてこの条項を発動する意思は毛頭ありませんと、当時こういう口頭の約束をしたというのです。それで、農民はそれを信用して、ああそうかと。これは農地転用を促進するための方法として入れたと、こういうのです。ちょっとわかりにくいんだけれども、要するに、これを解説するとこういうことになるんです。こういう条項を入れておいて、仮に不許可になって、そしてもし代金返済という事態が起きれば、町当局にしても大変困るだろうと、したがって、この農地転用許可をせざるを得なくなるんだから、だからこういう条項を入れてあるんだと。しかし、農民の皆さんには絶対にこういうことを発動しようという意思はありません。つまり脅迫の材料ですね、転用許可の。圧力といいますか、脅迫といいますか、そのためにこういうものを入れたと、こういうふうに言っておるんです。いかに悪らつなことを考えているかということがここでもはっきりするわけです。しかも、実際にはこれは行使しないと言いながら、今日でははっきり返金を求めてきているわけですから、大変ひどい不信行為と言わなければなりませんが、こういうことなんです。
 そこで、だから私くどくお伺いするんですけれども、土地の売買契約がされて仮登記がされたと。しかし、先ほど局長もおっしゃったように、農地法では所有権というものはやはり農民にあるわけですから、地権者は農民なんですから、相手方はいわゆる会社、企業の側が農民に対して耕作をしてはいかぬとか耕作しろとか、そういう耕作の是非というものを指示する権限がないと思うんですが、そういうふうに考えていいんだろうと思うんですが、どうでしょうか。
#175
○政府委員(大山一生君) 農地法というのは許可がなければ効力を生じないわけでございます。そこで、許可を受けないで転用目的の売買契約を締結するということ、そして相手方に支配権を移してしまうというようなことが出てまいりますと、これ農地法上の疑義が発生するわけでございます。
 現在、このところについて耕作がなされている、田植えが大半行われているということはもっと調査しなければいけませんけれども、この限りにおいては、売買の相手方である秀和が支配権を行使しているというふうには考えられないというふうに思うわけでございます。
#176
○塚田大願君 ところが局長、これが違うんですよ。これもひどい話なんだ。いま田植えが行われておると言うんだが、私は、この四、五日の様子は知りません、あるいはこの一週間の様子は知りませんが、われわれが行った時点、約十日ぐらい前の時点ですが、全然これは荒れ地になっておるんです。決して田植えがされているなんという様子ではありません。これは何かどっかの地域の間違いじゃないかと思うんです。これはよく調べていただきたいと思うんです、実態を。それよりも何よりも、こういうことなんです、会社側は農民に対してこういうことを言っておるんです。これは口頭なんですが、耕作をしてはいけませんよと、耕作しないように、という指示を口頭で与えているというのが農民の証言なんです。この高柳地区ですよ。ほかのもう一つ戸崎地区なんていうのもある。その辺も買っているのですが、そっちの方はわかりません。いま解約基準で解除してきたのはこの高柳地区ですからね。そして二十人に対して解約通知を送ってきたのですから、限定されておるんです、その解約というのは。全部じゃないんです。とにかく契約のときには耕作をしてはいかぬ、そのかわり――会社側としては当時、覚書を交わしまして、そのかわり本件土地に対する固定資産税あるいは水利組合の費用あるいは空中防除費、これは全部会社が負担をすると、こういう覚書を交わしておるんです。さらには雑草の処理、これも会社が負担をすると、こういう覚書を交換してまでも耕作をしないようにということを指示したんです。そしてこの会社は、またすぐこの土地をフジタ工業にやはり転売をしておるんです、この登記書を見ますと。間もなく移してるんですよ。そのために恐らくこういう手を打ったんだろうと私は考えるんですけれども、とにかく耕作をしないようにということで、そして覚書まで交換をして、一切の費用は会社が負担をすると、固定資産税までですよ。これは農民が、その耕作させないのだったら固定資産税だ、何だ、水利組合費だと言っても、そんなことをわれわれが負担しなきゃいかぬのかと言ったら、じゃそれは会社で持ちましょうと言って、この覚書を交換をしたと。ですから、いまおっしゃったようにその地域に田植えなんかさせているはずはないんです。それはもう一度厳密にこの解約した土地について調べていただく必要があると思うんです。いいですか。だから、とにかくこういう覚書まで提出して、耕作してはいかぬと、こういう指示をやったというのは、これはいま局長がいみじくもおっしゃったように農地法違反行為であると私は考えるんですが、どうでしょう。
#177
○政府委員(大山一生君) われわれが調査した結果と先生の御指摘と非常に食い違っておりますので、さらに調査をしてみたいと思います。
#178
○塚田大願君 調査をして、私の言ったとおりで、耕作を全くさせてないということになれば、これは農地法違反として処理されることは間違いありませんね。
#179
○政府委員(大山一生君) 簡単に言いまして、許可を受けないで売買契約を結んで、そして買い主にといいますか、買い主に引き渡すなどというような、事実上効力を生じた場合に行われると同じような行為が行われるということになりますると、これは農地法上の疑義が生ずる、こういうことでございます。
#180
○塚田大願君 持って回ったようなことを言わないで、単刀直入におっしゃっていただかないと、どうもわれわれ頭が余りよくないからわかりにくいんですが。しかし、要するにそういうことだろうと思うのだな。もうはっきりしてますよ。仮登記の段階で地権者に、依然としてまだ農民に権利があるときに、耕作しちゃいかぬとかなんとかいうようなことをやらせるというのは、これはもってのほかだし、また農政上から見てもこんなことは許すべきものじゃないと私は思います。そこで、さっきも言いましたように、こういうケースは非常にふえていくと私は考えるんです、いままでの経緯から考えまして。したがって私は、これはもちろんいまの騎西町のことはもっと直接的に調査していただかなければいけませんが、全国的にも私はこれは調査をする必要があると思うんです。先ほど大臣もいろいろ、ことしからそういったケースの調査をやるとおっしゃったんだが、やはり調査をして、そしてそういう仮登記の土地でもやはり農民には耕作をさせるというこの立場ですね。これをやはりはっきりさせていただく必要があるし、また企業や会社がそういう不当なことをやっているとすれば、やはり行政命令でそういう耕作拒否をやめさせるという措置も私は必要ではないかと思うんです。その点はどうでしょう。大臣にひとつお聞きしましょう。
#181
○国務大臣(安倍晋太郎君) 全国的に、いま挙げられましたような具体的な例があるということになれば、やはりこれからの農政上の一つの大きな問題でもありますから、これは農地法の違反が起こったときははっきりするわけですが、農地法上疑わしい事実があるかどうかというふうな地域等につきましては、これはやはり農政上これは調査する必要は私はあるのじゃないか、こういうふうにも思うわけでございますし、全国的にそういう地域、土地がどういうふうになっているかということはひとつ積極的に調査はいたしたいと思うわけです。が、ただ農地法でこの場合の契約関係、これを見ますと、やはり当事者間の契約でございますし、農地法――農地の転用許可が不許可になったときはこれは当然農民はこれを農地として農業をすることになるわけでございますから、しかし転用になったときは初めて開発計画というのが進められるわけであって、この契約そのものから見れば私はあたりまえのことを記載しているとも思うわけであります。が、これでもってやはり契約が違反というようなことになりまして契約金を返すとかというふうな事態が起こり、そして農地法上転用はまた認められないというようなことになりますければ、もちろん買った方も処罰の対象になるとしても、農民の場合もこれがこういう契約を結んだ結果、非常に不利益と言いますか、そういうふうな処分を受けるわけでございますから、やはり私たちとしてはこういうふうなことが起きないように、農地法というものの趣旨というものを農家にも周知徹底させるということが必要であるし、またこういう問題をむしろ、こういうふうなケースで農地法をむしろ悪用すると言いますか、そういうふうなことが起こらないように、これは土地の取得等に対しても十分指導等もやっていかなきゃならぬのじゃないか、こういうふうにも考えるわけであります。
#182
○塚田大願君 その農地法の適用ですけれども、とにかく企業というのは、いわばすれすれのところで脱法行為を非常に巧みにやっている、これが積もり積もって今日の事態にまでなってしまったと思うんですが、いまの耕作拒否の態度ですね。これは単に法律論じゃなくて、私が申し上げているのは。法律論だったらこれは裁判所でも行ってやればいいんですが、ここではやっぱり本当の農政上の問題として、政治問題として処理、考えていかなきゃいかぬだろうと私は考えるんです。そういう意味で、いま言ったようないろんな形で実際耕作を放棄しているようなケースが非常に多い。だから、最初に私が言いましたように、農業会議所などが調べた調査によりますと、もう荒廃している土地はほとんど仮登記の土地だ、こういうことにもなっておるわけですね、そう言われているわけです。私も全部細かく調査したわけじゃない、まして農林省もそれほどまだつかんでいないという状態では、そうすっきりした形で言うわけではありませんけれども、もう大体これは常識としてそれが考えられるわけです。ですから、私はやはりこういうことに対する厳しい規制をとってもらいたい。特にいまのようなケースに対しては、農民には耕作をさせるように、そして企業、会社に対しては、行政命令でそういうことは一切行われないようにやはり保障してやる必要があるんではないか、こういうふうに考えるわけです。
 そこで最後に、もう時間も来ましたから最後の結論を申し上げたいんですが、とにかくいま言ったように農地転用がいよいよもってだめだと、許可にならないと、そこでその企業側、会社側はいま言ったような方法で契約を解除、そして金を返せ、こう言ってくる。その場合ですね、どういうふうに対処するかということが非常に私はむずかしいと思うんですね。騎西町の農民の皆さんに聞いてみたら、何反歩売った人もあるし、わずか一反か二反売った人もおるようでありますが、とにかく坪一万円としても相当な金額をみんな受け取る。さあここへきて全額返せと言われてもこれはどうにもならないというわけですね。その金はもうみんな使っちゃったと、何とか方法はないものか、こういうわけなんです。確かに、これは農民の方も自分で使ってどうしたらいいかもくそもないじゃないかという理屈も成り立つんですけれども、現実問題としては、そういうことになってきて、何とか処置しなきゃいかぬ。そしてまた日本の農業のこの食糧自給ももっとやらなきゃいかぬということで、いま出ております意見としては、やはり国が国の責任で何とか長期、低利の土地取得資金というものができないのか、貸し出せないのか、こういう問題なんですね。もちろん町村――町にしても県にしてもいろいろ考えておるんだと思うんですが、問題はやっぱり財政上の問題に絡んでくる。何とかこういうケースを国の力で処理できないのか、こういうことなんですね。その点ではどうでしょうか、農林省としては何かお考えがございませんか。
#183
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは契約を結んで、それで代金をすでに受け取って、しかし農地法上転用許可にはならない、こういうことになれば、契約に基づいて代金は返済をしなきゃならぬ。いまおっしゃるように、しかしすでに代金はどこかで使ってしまった、そこで国が何か援助しろと。そう言われてもこれなかなか、国がこれに対する援助をするという道は、もう農業関係においてはいろんな予算措置、融資措置等あるわけですが、こういう、融資措置、予算措置をこういうケースで当てはめることは私は困難じゃないかと思うわけであります。が、しかし実際に農家の方々か――その経緯等はいろいろあると思います。その間においてその土地を買ったその業者が、そういう非常に悪質なやり方であったかどうかというふうなこともわれわれつまびらかにしないし、調査しななければならぬわけですが、いろいろと経過はあると思いますが、農家の方々がとにかく困って返済はできない、そうして農業をやろうと思ってもできないというようなことになると、いろいろとお気の毒な面もあるわけですから、これは地元の農協というのがあるわけですし、そうした、県等もあるわけですから、県、市町村、農協、そういうところとも十分に相談をしながら国の立場においてもやはりその相談には乗ってあげるということで、農家の方々も営農ができるようなことにはできるだけのことはしなきゃならぬと思いますが、融資とか援助とかいうことはちょっと考えられないわけであります。
#184
○塚田大願君 理屈から言えばあるいはそうかもしれないですが、農民の立場というのは大変弱いんですね。今度の土地買い占めにしても、土地ブームにしても、政府の政策でとにかく高度成長政策をとったと、そういうところから原因を探っていけばそういうところにある。したがって、これは前に自分で金使ったんだから自分でやれ、ということでも、私はどうも済まないような気がするんです。さりとて何かお金をくれてやるということもそれはできないことはあたりまえのことで、したがって、いまの制度を活用して、農業近代化資金ではちょっとこれは問題にならないと思うんですけれども、たとえば農地取得資金ですね、公庫の。こういうものを何かこういう場合に活用できないものかどうか、特例として。その辺はどうなんですか。首一生懸命振っておられるけれども、局長どうなんかな、その辺。
#185
○政府委員(大山一生君) 土地取得資金は自分等新たに土地を取得する場合であるわけでございまして、農地法上の許可がなければ無効なことになるわけでございますので、農民が持っている土地を取得するために土地取得資金というのはこれはやはり何と言っても論理の概念を離れるのだと思っています。先生のおっしゃるようなことであるならばむしろ損害賠償の請求を農民がすればいい――すればいいと言う突っぱなし方もあれですけれども、という方法も一つ考えられるんじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。
#186
○塚田大願君 いまは地元でも、さっき局長が調査して調べられたように、何か裁判というんですか、何というんですか、その解約基準に対して抗議もしておられるようでありますけれども、それはどういうふうになるかわかりませんが、とにかく事態を何とか解決してやると。で、これは騎西町だけだったらもう簡単だと思うんですよ、もう論外だということでぽんとけ飛ばすこともできるかもしれない。しかし、これが今後、こういうケースがしばしば起きてきた場合に、私は、やはりそれだけでは済まないものがあるんじゃないかと。そういう点ではやはり国としても、用地の確保ということが一つの大前提になってきている今日の事態で、とにかく何とかして農地を確保するという点で、私は執念をもって処理する必要があるんじゃないかと、こう考えるんですがね、大臣どうですか。もう全く手はないと、知恵はないということですか。もう少し私ら、安倍農林大臣若いんだから少し知恵を出してもいいんじゃないかと思うんだがな。知恵はあり余るような顔をしておられるんですけれども、どうですか。(笑声)とにかくその点を大臣、あれば言ってもらっていいし、なければそれで結構ですが、とにかくこれはひとつ検討していただきたいと思うんです。どうでしょう。
#187
○国務大臣(安倍晋太郎君) 事務当局が調べた経緯と、いま塚田さんのお挙げになりました経緯と、多少食い違っている点もあるようですから、十分経緯を調べて、その上でまた考えてみたい、こういうふうに思います。
#188
○委員長(佐藤隆君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 これにて散会いたします。
   午後四時五十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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