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#1
第075回国会 農林水産委員会 第13号
昭和五十年六月五日(木曜日)
   午前十時三十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月三日
    辞任         補欠選任
    久次米健太郎君     世耕 政隆君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     世耕 政隆君    久次米健太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤  隆君
    理 事
                小林 国司君
                高橋雄之助君
                川村 清一君
                神沢  浄君
                原田  立君
    委 員
                青井 政美君
                大島 友治君
               久次米健太郎君
                鈴木 省吾君
                園田 清充君
                温水 三郎君
                初村滝一郎君
                平泉  渉君
                山内 一郎君
                工藤 良平君
                栗原 俊夫君
                志苫  裕君
                鶴園 哲夫君
                小笠原貞子君
                塚田 大願君
                向井 長年君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農 林 大 臣  安倍晋太郎君
   政府委員
      農林大臣官房長  大河原太一郎君
       農林大臣官房技
       術審議官     川田 則雄君
       農林省構造改善
       局長       大山 一生君
       農林省農蚕園芸
       局長       松元 威雄君
       農林省畜産局長  澤邊  守君
       農林水産技術会
       議事務局長    小山 義夫君
       食糧庁長官    三善 信二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       防衛施設庁施設
       部施設管理課長  松尾 広俊君
       沖繩開発庁総務
       局企画課長    柳川 成顕君
       外務省アメリカ
       局安全保障課長  山下新太郎君
       建設省計画局宅
       地開発課長    沢本 守幸君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正
 する法律案(第七十二回国会内閣提出、第七十
 五回国会衆議院送付)
 (派遣委員の報告に関する件)
○連合審査会に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。
 六月三日、当委員会が行いました農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案審査のための委員派遣報告書は、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(佐藤隆君) 次に、前回に引き続き、本案の質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○鶴園哲夫君 農業基本法が十五年ほど前に制定されまして、そのとき初めて経営の規模拡大が出てきたわけでありますが、同時に選択的拡大というものも新しく登場いたしまして、その二つを目標にして農政が十五年の間進められてきたわけですけれども、いずれもこの二つがほぼ完全にデッドロックに乗り上げているという状態だと思います。さらには国内外の農業に対する大変な大きな圧迫もありまして、最近――近年と言った方がいいと思いますが、この二、三年来、特に農業、農政、農家の混迷といいますか、不安は大変深刻なものがあります。農政の問題を考えてみましても、農業見直し論なんというものが出てまいりまして、さらには農業見直しをさらに見直すというような論議まで行われるような形になってまいっております。が、私は、いま先ほど申し上げました基本法農政の大きな二つの柱が巨大なデッドロックに乗り上げている、そしてそれがいま混迷をしているというそういう前提に立ちまして、できるだけ分野を限りまして、そしてまた農振法に基づきながら若干の質疑を行いたいわけであります。
 まずその一つは、安倍農林大臣の提唱でありました国民食糧会議がこの間、五月の二十七、八日でしたか開かれたわけでありますが、六十一名のメンバーを見てみまして、おなじみの顔が大部分でありますが、また御苦労なさったメンバーも出ております。おなじみのメンバーがいることも確かにこの際重要な意味を持っておると思っております。決しておなじみのメンバーだからどうだというわけじゃないのですが、政府の各審議会の委員にそれぞれ入っている方々が、三つも四つも五つも兼ねておるような方々が出ておられる。そのことはまた大変意味があると思っております。ですが、大臣にお尋ねをいたしたいのは、この国民食糧会議のねらっておるところ、そしてまた、一日開いて、その成果と、この二つについて大臣の考え方を伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(安倍晋太郎君) 第一回の国民食糧会議は先月の二十六日に開催をいたしたわけでございます。この国民食糧会議を開きました目的につきましては、私、かねがね当委員会でも私の考え方を申し上げましたように、やはり、食糧問題につきましては国際的にも国内的にも非常に大きな転換期に来ておるわけでありまして、この食糧問題につきまして国民的な一つの理解と協力を得なければこの転換期に当たっての新しい食糧政策というものを推進することはむつかしいと、こういうことから、やはり広く国民的理解を得るというための国民各層からなる会議を持ちたいということを申したわけでありまして、また、当委員会あるいは国会審議の中におきまして、与野党を通じてそうした会議を開くべきであるという御意見も賜ったわけでございます。そうした状況の中に、二十六日に開催をいたしたわけでありまして、したがって、この目標は、一つは、やはり食糧問題につきまして広く国民的な理解を得るということであって、同時にまた、農林水産関係につきまして各界の意見を聞くということでありまして、まあこの国民食糧会議の意見を集約しつつその中からわれわれは、今後の総合的な食糧政策を打ち出していく中におきまして参考にしたいというふうに考えておるわけであります。おかげさまで第一回の会議は、これは総理大臣主催の会議でございますが、第一回の会議は非常に成功裏に終わったと。各界からの活発な食糧問題に対する御意見が出されまして、またこれがマスコミ等におきましても大きく取り上げられまして、食糧問題に対する国民の理解というものは一段と高まったのではないかと思うわけでありますし、同時に、出されました御意見につきましても、われわれは傾聴すべき御意見があるわけでございますので、これをひとつ今後の政策立案の中において生かしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
 この会議は、二回、三回という程度開きたいというふうに考えておるわけでありますが、第二回につきましてはまだ時期が、いろいろの、会場等の都合、委員等の都合等もございましてまだ未定でございますが、近いうちに開きたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#7
○鶴園哲夫君 確かにいまの食糧問題、農政問題については農業関係者だけで論議するという段階ではなくなっている。広く各界の代表あるいは国民の理解を得、そして支持を受けるという段階にきていると思いますし、速やかにそういうところに持っていかなけりゃならないという点につきましては全く同感であります。したがって、こういう会合が開かれることにつきましては賛成でありますが、ただ新聞等の報道によりますというと、六月にもう一回開いて、そして七月にもう一回開いて、そして解散をするというような報道が行われております。確かに大臣のおっしゃるように、花火を打ち上げたと言うですが、私は、この花火は空へ打ち上げた花火ではなくて、庭先での線香花火だとまで思っております。ですから、これは本当に国民の庭で、つまり空に打ち上げた花火にしていかなければならない。それには七月で終わるというような形では、これは庭先の線香花火に終わってしまうというふうに私は心配をし、また懸念をしております。少なくとも十一月か十二月ごろまではこれはひとつ継続をして、月に一回でもいいですから、月に一回程度は継続をしてやっていただきたい。今度の五十一年度の予算編成のところぐらいまでは花火を打ち上げ続けてもらいたいというふうに期待をしておるわけなんですが、七月に解散というのではまことにさびしい話だと、こう思っておりますけれども、大臣の考え方を聞きたいと思います。
#8
○国務大臣(安倍晋太郎君) この会議は大会議でございまして、委員でこちらがお願いをしました数は六十九名でありまして、この前お集りいただいたのは六十一名になったわけでございますが、これだけの大会議でございますから、なかなかしょっちゅう開くということはむずかしいわけでございまして、委員全体の方、全員の方にそれぞれ食糧問題について積極的な御意見の開陳をお願いをする、六十数名の方に御意見をすべて述べていただく、同時にまた、会議の席上において述べる時間的な余裕がない場合におきましては、文書等によって御意見を述べて提出していただくということになっておるわけでありまして、すでに文書等によりまして御意見が出ておるものもあるわけでございますが、いまの段階では三回程度ということになっておるわけでございます。しかし、委員の中におきましては、いま鶴園さんから御指摘がございましたように、こうした会議は非常に重要なことであるし、意義のある、意義の深い会議であるから、これは二、三回というふうなことではなくて、これを長期的にひとつ行うべきであるという御意見も出されておるわけでございまして、二回、三回と続けていきましてその過程の中において、さらに委員の皆さん方からもっとやるべきであるというふうな、積極的な、圧倒的な御意見ということになれば、またこれは続けていくということにもなると思いますが、現在のところでは一とおり委員の御意見を求めその結果、議長を中心にいたしまして食糧問題に対する意見の一つの集約を行って、その結果をもとにして、われわれは総合的な食糧政策を打ち出してまいりたいと、こういうふうな考え方でございます。しかし、委員等の御意見等が圧倒的にまだ続けていけということになれば、これはそれなりにわれわれも大事な問題でございますから、検討しなければなるまい、そういうふうに思うわけであります。
#9
○鶴園哲夫君 これはせっかくこういう大変な大きな各界の代表の中で、広く農業問題、食糧問題が論議されるという機会ができたわけでありますし初めてでありますから、できますれば、私の考えとしましては、七月で終わるということではなくてもう少し開いてもらいたい。そうして、もっともっと国民の支持なり、各界の理解と支持を得るような形に持っていってもらいたい。私は、農業がこのような事態になりました最も大きな原因は、やはり農業界の中で農業関係者が論議しているということでむしろ問題は外にあるわけであって、外っ側の方に、農政が今日に至った一番大きな原因があると私は思っているだけに、せっかく大臣の提唱で、初めてこういう大きな会合が持たれたわけですから、三回で終わるというような話ではなくて、八月か九月か――八月はともかくとして、九月か、十月ごろまでは、あと二回で終わるということでなくてもう少しやっていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、私は会議の内容は知らないのでありますけれども、ただ提出されました資料をもらいました。恐らくもらった資料が全部だろうと思うのですけれども、総理のあいさつと農林大臣のあいさつがあって、どうもそんな運営のようでありますが、もう少しざっくばらんにいまの農政の実情を簡単に、簡略に、そして農業の実情が理解できるようなそういう説明が要るんじゃないだろうかという点を非常に感じておるわけですけれども。大臣のあいさつと総理大臣のあいさつ、これだけではなかなかいまの農政の実情なり農業、農家の実情というものの理解というのはそんなに得られないじゃないかという感じがしてしょうがないわけであります。私は、当然、この間、閣議決定になりました長期見通しなり、あるいは農政審議会が建議いたしました食糧政策の方向なり、そういう問題についての若干のかいつまんだ説明等があって、そうして今日の農業なり農家の実情というものがもっと各界の方々に理解してもらうというようなものがあってもよかったんじゃないかという気がしてるわけですけども。そういった運営をしてもらって、そして外の者に、外から圧力かかっておるわけですから、外の者に理解をしていただくように、また支持をしていただくように、ひとつ努力をしていただきたいという点を大臣に要望いたしまして、この問題は終わりたいと思います。
 次に伺いたいのは、六月から七月にかけまして、麦価と米価が諮問をされて、そして決定をするわけでありますが、私は、今度の麦価なりそれから米価の問題については、安倍農政の行方を示すもんだというふうに思っております。まあ五十年度の予算は御案内のように、まあ途中で大臣はおいでになったわけですが……。しかし、これからの麦価、米価の問題につきましては五十一年度の、あるいはこれからの農政と非常に関係が深いわけであります。と言うよりもむしろ今後の農政を占うというふうに言っていいのではないかと思います。そういう意味で、この六月の末に開かれるという米審、あるいは七月に開かれるという米審の麦価と米価の問題についてお尋ねをしたいわけです。
 その一つは、新聞等の報道によりますというと、六月に開かれますところの麦価については、生産者麦価と消費者麦価と同時に諮問をする。それから、七月に開かれるであろうと見られております米審においての米価についても生産者と消費者の両方が同時に諮問されるというふうな報道が行われております。私は、そういう政策をとられることは、そういう諮問をやられることは、これは非常に大きな問題だと思っております。それこそ安倍農政の行方を占うものになるというふうに思っておるんですけれども、いまこの問題についてどういうような考え方を持っておられるのかお尋ねをしたいわけです。
#10
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ麦価、米価とも、これからの農政上におきまして決定をしなければならない非常に重要な問題でございます。われわれも、これに対しては慎重に対処してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでありますが、米価につきましては、これは食糧管理制度の適正な運営を期するという意味におきまして、基本的には両米価を相互に関連さした考え方のもとに決定をすることが必要であるというふうに基本的には考えておるわけでございますが、しかし、本年の米価の取り扱いにつきましては、実は現段階においては何もまだ決めてない。本年度の米価の取り扱いにつきましては何も決めてないというのが現状でございまして、十分今後検討をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから麦価につきましては、これは従来から、国内の麦の政府の買い入れ価格と麦の売り渡し価格は、四十八年度を除きまして、大体同時期、六月に決めておるわけであります。しかし、ことしの麦価を同時に決めるかどうかといったことにつきましては、まだ現段階におきましては検討中でございまして、これも決定をしておる段階ではないわけでありまして、慎重にこれもその取り扱いを決めてまいりたいと考えております。
#11
○鶴園哲夫君 米価については、両方の米価の価格が同時諮問されたということはないように記憶をしておるんですが、麦価については、いま大臣のお話しのように、同時に諮問をしたということもある。しかし、私はここで、特に麦価について、さらに米価について、同時諮問というのはこれはよくないという考え方を強調したいわけです。
 それは、五十年度の歳入欠陥が大変大きな問題になってまいっております。かってない歳入欠陥が想定をされて大きな問題になっているその場合に、麦価を同時諮問する、米価を同時諮問するという形の中で、生産者米価について、あるいは消費者米価について、両方の価格の問題について、大蔵省の財政当局のペースが強過ぎるというふうに思うわけなんです。いま、新聞等報道いたしますところは、恐らくそういう歳入欠陥から来る食管会計の問題について大変な圧力がかかっているだろうと思うんです。その場合に、同時に諮問するというようなやり方を安倍農林大臣がやるということになりますと、これはもう安倍農林大臣も、まあ目新しいことを少し言っておったけれども、また大蔵省の圧力に、財政の圧力に屈したということになって、これは例年と違う大きな問題だと思うんです。ですから、いま大臣のおっしゃるように、麦価についてもいまのところ検討中だというお話であるなら、私はこれはやむべきだというふうに思います。まあようやく先ほど国民食糧会議で、これは各界の、農政の問題について、農業の問題について、食糧の問題についての理解と支持を得て、そうして農政の転回を図ろうという意気込みなんですから、また、ここで同時諮問なんていうようなやり方は、麦価についてはことしに限っては絶対そういうことをやっちゃいかぬというふうに私思うんです。米価はもちろんですよ、いままでやったことないんですから。麦価についてもやるべきじゃないという考え方なんですけれども。これは、同時諮問するということは、もうだれもわかっているように、財政当局の考え方ですから、お話にならないです。これでは、安倍農政というのはしりつぼみと。これからの農政についても、安倍農政だけではなくて、これからの農政について私どもは初めからこれはもうしりつぼみになっちまうというふうに考えておるわけです。特に、麦類について、これからこれを増産していこうというのは、これからの農政の大きな柱にしていかなきゃならないわけです。いままでの麦とは違うと私は思っています。その意味で、特に今回は、これは同時諮問なんというようなやり方はやるべきでないということを私は強調いたしたいと思います。大臣の見解を承ります。
#12
○国務大臣(安倍晋太郎君) 米価につきましても、麦価につきましても、いま申し上げましたように検討を重ねておる最中でございます。いろいろと各方面から御意見が出されておることは承知しておりますが、農林省、農林大臣としてはまだその取り扱いについては何ら決定をしてないというのが現実の姿でございますが、いま米価につきまして同時諮問をしたことはないということでございましたけれども、非常にきわめて限られた回数ではあるが、そういう同時諮問したということもあるようでございます。麦価につきましては、これは四十八年に輸入麦の国際価格の動向が非常に異常な状態にあったときを除きましては――この四十八年にはそうであったわけです。これを除いては大体同時諮問、同時決定ということを繰り返してきておるわけでございます。私は、麦につきましてはまだ決定はいたしてはおりませんけれど、四十八年を除いて同時諮問を行い、同時決定をしてきたという経緯もあるわけでございまして、そういう面から見ましても、麦につきましては同時諮問をする、したいというふうな実は考え方は持ってはおるわけでございます。米につきましては、全く白紙な立場で慎重に情勢を見ながら決めていきたいというふうに考えておるわけでありまして、これもあくまでもやはり農政上の見地からこの麦価についても米価についても取り組みたい、取り組まなければならないという私の基本的な考え方は変わっていないわけでありまして、ただ、財政上の問題からこの取り扱いを決めたい、決めるというふうな考え方を持っているわけではないわけであります。
#13
○鶴園哲夫君 これ大臣、私は、先ほど申し上げましたように、従来の麦とは違うというふうに思います。で、しかもこれからの農政というのはやはり根本的に反省をし、考え直していかなきゃならない、そういう段階に来ております。ですから、これはもう麦価を同時諮問だということになりますと、これは農家や農業関係者に与える影響は非常に大きいと思うんです。従来と違うと私は思うんです。というのは、かつてない歳入欠陥という立場から財政当局は強力に同時諮問を請求していることは、要求していることは、これはもう新聞等の報道しているところです。で、簡単に言って、これは財政の立場からだけ諮問をしたということにとられるんです、政治というのは簡単なんですから。これはもう財政運営の立場から考えて、大臣は農政の立場からお考えになったというふうにおっしゃったとしても、これは受け取る側はそうは受け取らないんです。いま盛んに主張しているわけですから、同時諮問を。しかも、財政欠陥の問題でこれは大変な問題だということはだれにもわかっている。わかっているだけに、これはやはり農政の立場から、しかも麦というものを、麦類というものを今後、農政の一つの柱にして増産をしていく、あとこれしかないでしょう、畑作の問題で増産をすると言うたら。また耕地を積極的に利用するという立場から言ったって、これしかないわけですよ。その場合に、例年やってきたから農政の立場から両方でやったんだ。そして、それは財政の運営の立場からじゃないんだ、農政の立場からなんだ、ということをおっしゃたとしても、これは受け取る側は全然そういうふうに受け取らない。全く逆に受け取る。そのことで私は、今後の麦の問題、農政の問題、そして安倍農政の問題について、決定的な影響を及ぼすというふうに思います。そのことは同時に、続いて七月の米の問題についての同時諮問という形にこれは必ず発展してくる、こうなったら立つ瀬がないですよ。ですから私は、大臣がお決めになっていらっしゃらないと言うなら――若干お決めになったような、動いたようなお話もありましたが、ぜひ六月の二十四日か五日に開かれるといわれる米審については麦価は同時に諮問しないという立場でいってもらいたいと思うんです。財政問題考えないで農政問題考えられるわけはないわけですし、両方の麦価が考えられないわけはないわけですがしかし、たてまえはこれはやっぱり貫いてもらいたいと思うんですよ。これは答弁をもう一遍お願いするというわけにも、まずいかもしれません。ですが、ぜひそういう方向に持っていってもらいたいということを要望をいたしておきます。
 次にお伺いをしますのはこの麦価についてのパリティ方式ですね。このパリティ方式というのは畑作物を締め殺した元凶なんですよ。これはいまや天下の周知の事実です。いかにして畑作物を安楽死させるか――言葉の上では安楽死です。しかし実際の農家にとってみればこれは締め殺しです。ですから、このパリティ方式というのは畑作物を締め殺す方式だというふうに言っても何ら私は過言ではないと思います。今後麦を日本の農業の一つの柱にして積極的にこれを増産をしていく、あるいは土地を有効に利用していくというたてまえをとるならば、長年にわたって続いてきたこのパリティ方式について再検討する必要があるというふうに思っております。この点についての大臣のお考え方をお聞きしたいと思います。
#14
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先に私から基本的な考え方を申し述べまして、後で食糧庁長官から補足説明をいたさせますが、私は麦対策と言いますか、これからの食糧の自給力を確保する上において最も大きなウエートを置かなければならないのは麦対策であるというふうに考えておるわけでございまして、そういう観点から裏作の活用、あるいは集団麦作を進めていく。さらにまた奨励金等の奨励制度を推進をしていくというふうなことを総合的に取り組んで行っておるわけでございますが、そういう中にあって麦価も再生産が確保されるという中にあって適正に決められるべきものである。こういうふうにも思うわけでございまして、そういう基本的な立場で麦価問題に対しても対処していくわけでございますが、いまパリティ方式についての御意見もあったわけでございますが、私は、今日まで麦価につきましてはパリティ方式で決めてきた、そうしてこれが必ずしも、ただ麦価決定の方式によって麦が生産が縮小したというふうにも考えてないわけでありまして、基本的にはやはり高度成長の中において麦というものが低収益である、あるいは労働力の問題等も結びついて生産が縮小されたとも考えておるわけでございまして、私はパリティ方式につきましては、これは今後とも麦というものの生産の状況等から見ましてこれを維持していくということは差し支えはないのではないか。ただ、麦についての生産拡大をしなきゃならぬための総合的な政策については強力に今後取り組んでいくべきである、こういうふうな基本的な考え方を持っておるわけでございます。
#15
○政府委員(三善信二君) パリティ方式につきましては、御承知のように麦は従来からパリティ方式で決めてきているわけでございます。まあ麦の増産と叫ばれておりますし、私ども生産増強を図るということを考えているわけでございますが、現在のこの麦作の状態というのは、先生御承知のように、非常に規模は零細である、内地で言えば二反から三反、そういうふうな零細な経営規模であるし、また作付地もあっちこっちに分散しておる、そういうような実態がございます。また麦は畑作もございますし、水田裏作もございます。地域によっても非常に態様が違いますが、反収にいたしましても畑と水田では違うし、また地域によって非常に違う。それに従って生産費も非常に違いがあるということは先生御承知のとおりでございます。このような実態からしまして、この生産増強を図るという場合に、やはり麦については基本的に生産のそういう態様、生産体制を変えていく必要があろうと思います。生産の条件と申しますか、規模の拡大あるいは経営の合理化、そういうことを基本的に考えていく必要があるというふうに考えております。そういった観点から現在、御承知のように、集団生産組織の育成というようなことで規模拡大を図る、それを促進するために御承知のように四十九年産麦から奨励金を交付しているというような実態でございます。で、麦価につきまして昨年、御承知のように、二八・一%対前年比で上げております。で、奨励金をつけますと対前年比では一八一%ぐらい昨年は上がっているということになっております、もちろんこれは農家の手取りという観点から考えてみますと。そういうことで奨励措置をやりながら経営の体制、生産の条件を整備するというようなことを図っていくことが基本であろうかと思っているわけでございます。
#16
○鶴園哲夫君 昨年麦価を二八%パリティ方式によって引き上げられた。しかしまあそれに対していま食糧庁長官のお話のように奨励金、販売する麦価については二千円あるいは千八百円、それによって八〇%程度の引き上げになっておるということは、裏返せばパリティ方式では麦はできないんだ、パリティ方式の価格では麦はだめなんだと。だから奨励金というものを出して価格をと、こういう考え方になるんじゃないですか、逆に言えば。私は先ほど申し上げたように、パリティ方式というのは、いままで二十年運営してみて、明らかに畑作物を日本列島から追い出す方式であったと言って何ら差し支えないですよ。麦類がそうだし、なたねがそうだし、大豆がそうだし、すべてパリティ方式によってやられておる。そして米価について、あるいは葉たばこについて、加工原料乳について逐次生産費所得補償方式の方向に動いておるんですよ。変わってきておるんですよ。麦をこれからやろうという、なたねをこれからやろう、大豆をやろうという場合に、いままで締め殺してきた方式でやるなんていう考え方はどだいそれは間違えておると私は思っております。奨励金で処理すべき問題ではないというふうに思うんです。ただ、過渡的にパリティ方式をすぐ改めるわけにいかないから奨励金によってこれをやっていくという点についてはこれはもう考えられます。過渡期の問題としては考えられる。ですから私は、いま食糧庁長官は麦の問題をとって言われましたが、大豆、なたねといったって同じなんです。ですから、これはパリティ方式というものを再検討するという私は考え方に立つべきだと思う。立っておられるように思います、奨励金を出したということは。なたねについて千円、大豆について二千五百円、麦について二千円というふうに出されたということはこれはパリティ方式を逐次改めていくという考え方に立っておられると思うんです。思うけれども、これは架空で、そういうふうに私が思っているだけの話です。いくだろうと思うんです、そういう方向に。いかなきゃどうにもならぬと思うんです。ですから、私はここでこのパリティ方式というものを再検討するという方向にいくのがこれは筋だと思う。大臣どうお考えになりますか。これは結論は明らかなんですよ、私みたいに長いこと農業見ているものは、戦前から農業を見ているんですから。その中で締め殺したのは、いろんな条件もありますよ、締め殺した一番大きな原因はこれパリティですよ。一つも生きてないですから、これやられたやつは。むしろこれから伸ばしていこうというやつを全部パリティ方式を変えてきたわけです。これは考えていただかなければ麦をどうするとか、なたねをどうする、大豆をどうする、そういう農政には乗り切れないんです。しかも価格というものが最も端的に農家に大きな影響を及ぼす。これはもう自由主義経済をお唱えになるのですから価格そのものが生産を動かしていくわけです。その価格をこんなふうにいじめられたのでは、麦をどうしようとか、なたねをどうしようというふうにお話になったって話にならない。だから、私は、過渡段階にあると思うけれども、これはパリティ方式というものを再検討する必要があるというふうな考え方に立つべきだという点を聞きたいわけです。そう思っているんです。大臣はどういうふうにお考えですか。
#17
○国務大臣(安倍晋太郎君) 麦作を今後とも推進をしていかなきゃならない、麦の増産を大いに図らなければならぬ。そのためのやはり農家の再生産を確保する方向に持っていかなければならぬということにつきましては、全く私と御意見は一緒であると思うわけでございますが、ただ、麦価をきめる場合においてこれを生産費所得補償方式にせよという御意見につきましては、私はまだ麦作のいわゆる規模が零細であり、作付地が分散をしておるとかあるいは麦作の態様が地域や田畑の違いによって大きく異なっているとか、作況の変動によって生産者の変動も大きいというふうな、やはり米とは違った麦生産の条件、態様というものがあるわけでございます。そういう点から見ますと、麦の増産を図っていかなければならぬ、農家の手取りをふやしていかなければならぬということについては、同じ意見を持っているわけでございますが、麦価そのものの決め方については、まだやはり生産費所得方式には、米と同じように取り扱うということはなじめないのではないか、こういうふうな考え方を持っておるわけでございます。
#18
○鶴園哲夫君 先ほど申し上げましたように、私は、奨励金をつけてきているということは、麦の問題にしても、大豆にしても、なたねにしても、パリティ方式というものに対する反省というものが出てきている。またそれなくしては生産を奨励するということにならない、増産をしていくということにならないというふうに思いますし、葉たばこの問題といたしましても、加工原料乳の問題にいたしましても、逐次そういった形に転回をしつつあるわけです。ですから過渡的だと思います。ぜひそういう方向に検討していってもらいたい。これは価格が先か、生産条件が先かと言いますれば、私は自由主義経済の立場から言えば価格が先だと思うのです。価格さえ出ていけば、これはおのずからこんなばらばらな形になりませんです。つまらぬ奨励金や何やかや生産条件がどうだこうだと言うけれども、これはやりさえすればずっと広がっていきますよ。一遍につくっちまうんです。私はそれくらいに思いますですね。逆だと思うのです。そういう形に絞め殺してきたからばらばらになって、条件の悪い状態になってきているのだというふうに私は考えておるわけです。
 さらに、次にお尋ねしたいのは、麦価について、買い入れる分についてだけ二千円の奨励金が出ているわけですけれども、これ買い入れない麦というのが相当あるというふうに聞いているんですけれども、買い入れない麦ですね、米と比べて等外が大変に多いというふうに聞くんですけれども、三割ぐらいは等外品だというふうに聞くんですがね、そういう事実があるんですか。
#19
○政府委員(三善信二君) 御承知のように、麦には大体、規格として一等、二等、三等、それから等外、規格外というふうに分かれております。ビール麦は一、二等と等外ということに分かれておりますが、この一、二、三等以外で、等外の麦というのは大体災害のとき多く出ます。普通の場合にはほとんど少ない。それから規格外というのも、やはり災害のとき多いということで、全体的に見ますと三麦で、総検査量実績に対する政府の買い入れ対象とならなかったもの、等外下とか等外規格外とか、いま先生おっしゃった、等外上じゃなくて――等外上は大体災害のとき買っていますから、等外下及び規格外、この割合は大体二%ぐらいになっております。
#20
○鶴園哲夫君 どうも、検査をしてそして買わなかったものが二%ぐらいだと、私の聞いておるのと大分違うですな、三割と二%じゃ、これは雲泥の差があると思うんです。おかしいんじゃないかな。というのは、結局まだえさになっておるんじゃないですか。まあ麦については、米と違って食糧庁も軽いですからね、取り扱い方が。だから、どうも農家の感じとしては、単協の感じとしては、その三割ぐらいは買い上げの対象になっていないという感じを持っておるようですね。恐らくもうえさになっておるんじゃないですか、ばらばらっになっちゃって。そうするとこれは大丈夫ですか、その二%という話は。
#21
○政府委員(三善信二君) 先生おっしゃるのは、恐らく生産量に対して政府の買い入れの割合のことを言っておられると思うんです。総生産量に対して買い入れているのが大体七〇%ぐらいで、三〇%は買い入れていないというのは、これは普通の常識でございます。といいますのは、農家の自家消費がございますから、それは政府買い入れにはなりませんわけで、現在、農家が麦につきまして、たとえばみその自家用をつくるとか、そういう自分の近くの精粉、精麦工場へ持ってきて自家用の粉をつくるとか、そういうことは当然ございます。そういう意味での三割かと思います。私が申し上げておりますのは、政府に買い入れを希望して検査を受けた数量の中で、等外下と規格外が二%ということでございます。で、等外上の場合は、これは災害のときにはわりあいに多く出ます。それはほとんど毎年、災害のときには、大体政府、食糧庁で買っております、等外上の場合には。これは食糧にもなりますしするので食糧庁としても買いますが、等外下は大体飼料とか、そういう食用にはならないということで、飼料用に主として使われているというふうに考えております。
#22
○鶴園哲夫君 いや、どうもその点食い違っているように思いますのでもう少しはっきりさしてみたいのですが、時間の関係ありますから……。
 次に、私は四十年、四十五年、四十八年、四十九年と、米と麦、大豆、なたね、そういう政府の支持価格あるいは買い入れ価格の中で、十アール当たりの収入といいますか、それから支持価格による家族労働報酬一日当たり、こういうものをずっと計算してもらったんです。そうしますと、四十九年度でいいますと、米は一日当たりの家族労働報酬というのが六千円ちょっとぐらいになるんですね。で、小麦が二千九百円ぐらいなんです、四十九年度で。ですから、四十二%ぐらいですね、米に対しまして小麦の支持価格による一日当たりの労働報酬というのは、四二%ぐらい、米に対しまして。それで反当たりにしますと、十アール当たりにいたしますと、米は六万円ぐらいになるわけですね。十アール当たり、小麦は九千円ぐらいですよ。ですから反当たりでいたしますと、十アール当たりでいたしますと、米の一二%ぐらいです。農家というのは、これは御承知のように一日当たりの労賃では考えないんですね、一反やった場合には、どれだけの金が入るかということを考えている。そうすると、米だと六万円の収益があると、小麦だと米の一二%の収入しかない。一万円足らずです。九千円ぐらいです。これじゃ麦はやらぬでしょう。これじゃ麦をやらぬわけです。
 そこで私、伺いたいんですけれども、これは大豆についても言いたいんですけれども、時間がありませんから、小麦だけについて言っておきます。
 一体、三十五年に農業基本法ができて、選択的拡大を言い、それで実質上小麦なり、大豆なり、なたねが自由化されたのが三十五年、それ以降のこの大豆、なたね、あるいは麦類に対する政策というのが非常に放置されているんじゃないかと思う。試験研究機関におけるところの品種の問題なり、肥培管理の問題なり、技術、そういった面について、ほとんどこれは放置されてきてるんじゃないかというふうに思うんです。一番大きな原因は、やはり反収が大変低いということ、十アール当たりの反収が非常に低い、著しく低いということ、というところにこういう原因があるんじゃないかと思うんです。価格も低いけれども――価格は大変に低いということと、もう一つは反収が米に比べましてこれはまた著しく低い。半分ぐらいだというような状況の中ですから、十アール当たり考えた場合に、米だと六万円とれるんだが、小麦をつくったんじゃ一万円しかならぬというんじゃ小麦をつくるわけがないじゃないですか、それに対してどういうふうにお考えなのか、二千円という奨励金でいくというふうにお考えになっておられるのか。
 それから、これから試験研究なり、品種なり、肥培管理なり、そういう技術の問題について、どういうふうに進めようとしていらっしゃるのか、こういう問題はっきりしてもらわなければ、これから農地を積極的に活用すると言ってみたって話にならぬと思うんですよね、これじゃ。これをお伺いいたしておきます。
#23
○政府委員(小山義夫君) 麦についての試験研究についてのお尋ねでございますけれども、品種改良の面と、それから栽培法、肥培管理の面と、両面についてお答えをいたしたいと思いますが、品種の問題につきましては、いろんな育種の目標がございますけれども、いま最も重点に置いておりますのは、できるだけ反収を下げないでわせ化を図る。といいますのは、やはり作付体系の問題がございますので、わせ化を図るということが、作付体系の中に麦をうまくはめ込んでいく必要条件であるというふうな認識で進めております。最近、昭和四十九年に新しく品種が三つ出ておりまして、北海道向けの品種が一種と、それから九州農試で育成をしましたゴガツコムギあるいはシロガネコムギというふうなものが出ております。いま申し上げましたのは小麦でございますけれども、大麦につきましては育種の目標をいまの需給事情から見てえさ用に重点を置いてこれを行うというふうに育種目標を切りかえております。同じく昨年に九州農試でカワサイゴクという新しい有望品種が出ております。
 それから栽培法につきましてはやはり農家の労働事情、労力事情等を考えますと機械化、省力化ということが条件になってまいりました。しかし、それにしましてもそれぞれの地域の農家の事情に合ったことを考えませんとなりませんので、まず第一に手をつけましたのは大型よりはむしろ小型の機械化による多条まきの栽培体系という点から始めたわけであります。その結果、この技術体系につきましてはすでに普及に移せる段階に幸い至っております。慣行の栽培方法と比較をいたしますと、普通十アール当たり労働時間が四十六、七時間、収量が二百七十キロから八十キロというのが大体全国平均――これは全国平均でものを言うのが適当かどうかという問題は残っておりますけれども、全国平均で大体そういう慣行栽培方法であるというふうに考えておりますが、それに対しまして私どもが最近普及に移せるという小型機を中心にしました栽培体系によりますと、反当の労働時間が三十時間、収量にいたしまして四百二十キロという成果を得ております。さらに中型ないし大型の機械化体系を同時に進めるということで、これは反当労働時間が三時間、収量が三百五十キロ内外というふうなこと、これはまだ完全に普及に移せる段階に至っておりませんけれども、ほぼその見通し、めどがついてきたという段階でございます。
#24
○鶴園哲夫君 この問題については改めまして論議をしたいと思います。というのは、これから麦類あるいは大豆、なたね等の問題について根本的に考えていかなきゃならぬ問題ですから、価格の問題と同時に品種、肥培管理、こういった問題についてもう少し別の機会に論議をしたいと思います。
 次に農振法の問題について。農振法の最も大きな目的というのは、これは農地の利用増進を行って農地の積極的な利用を図るという、そしてそれは経営規模の拡大ということだと思うんですが、そこで経営規模の拡大という点についてお尋ねをしたいわけです。経営規模拡大というのは農業基本法で初めて出てきた言葉ですし、考え方ですし、また政策の上で初めて出てきたわけですが、この経営規模の拡大というのはどういう内容を示しているのか。最近混乱しているように思うんですね。私は、この経営規模の拡大というのは二通りだと思うんです。つまり経営の面積を拡大するということ、もう一つは、資本の装備が大きくなるという意味の拡大。農業基本法に言うこの経営規模の拡大というのは、これは面積の拡大というのを考えておったというふうに思っております。最近になりましたらもう一つそれに加わって農作業の規模の拡大というふうなものも加わって、混乱しているように思うんですけれども、これはここで言っても時間がありませんからどうこうということになりませんが、私は、確かに施設型農業というものについて資本が、装備が非常に大きくなってきた。その意味で経営規模の拡大というには該当しないかもしれませんが、経営が大変大きくなったということになるんでしょう。しかし、耕地の利用型の農業におきましては、経営の規模拡大というのがデッドロックに乗り上げているということはもう御承知のとおりです。
 そこでこの農基法は、十五条にはっきりいたしておりますように、家族農業経営というものを発展させると同時に、できるだけたくさんの自立経営をつくり上げる、育成するのだということを掲げておるわけですね。ですから、自立経営というのが農業基本法の原動力だと思うのです、いまさら指摘するまでもない。自立経営が農業基本法の原動力であるというふうに思うのですが、そのためか自立経営農家というのが自立経営という言葉で、農家はついていないのです。自立経営というものが、三十六年の六月に農業基本法ができてそうして自立経営というものが農政の目標になって、同時に所得倍増政策というものができて、所得倍増計画の参考資料として農林省が出しましたのに、十年後に百万戸の自立経営農家をつくる、育成する、その耕地面積は二ヘクタールである、そうして労働力は二人だと、所得は当時の価格で百万円というものをつくったわけですね。そうして十年たって四十六年に再び農林省が、この自立経営農家の自立経営の標準的指標というものをつくっておるわけですね、三十九の型をつくっている。三十六年に自立経営と規模拡大、そうしてそれは自立経営というものを目標にして発足をし、それが百万戸、しかし実際は当時一〇%あったものが戸数としてはどんどん減ったです。大変な激減をしたそれだけではなくて総農家に占めている比率も一〇%がどんどん下がって、四十六年のときには四・四%というところに、一〇%から四・四%に下がった。その段階で農林省は新しく自立経営の標準指標というものをつくったわけです。三十九の型をつくったわけです。いまどういうふうに考えていらっしゃいますか、この自立経営について。いま八%ぐらい、七%ぐらいになっている。農家の中に占めている比率というのは八%。戸数としてはかっての半分近くになっている、三十五年当時のですね。百万戸つくるとかなんとかかんとか言ったんだけれども、一体これはどういうことになったんだと、ちょっとばかり妙な言い方ですけれども、皮肉な言い方なんだけれども、言ってみたいわけ、これ、そんなでかいこと言うもんですから。どういうふうな考え方を持っていらっしゃるのだろうかというふうに思っていますけれどもね、感想を聞きたいですね。
#25
○国務大臣(安倍晋太郎君) あとで各局長からも補足させますが、基本的に私の考え方を申し上げさしていただきたいわけですが、農業基本法におきまして経営規模の拡大、さらに選択的拡大、あるいは自立経営農家の育成といったようなことが大きく掲げられておるわけでございますが、私は今日もその基本的な考え方というものについては変わりはないというふうに認識もいたしておるわけでございます。先ほど経営規模のお話が出まして、この経営規模の拡大というのは面積の拡大、それから資本装備の拡大、あるいは農作業の拡大というふうな御指摘があったわけですが、私も全くそういうふうに考えるわけでありまして、こうした三つの面からの拡大というものを図っていくことによって、初めて経営規模というものが定着して拡大をしていけるというふうに考えるわけであります。が、その中において面積の拡大等につきましては、高度成長の中における、いわゆる土地の資産的な保有というふうなものが非常に強くなってきたというふうなことから、なかなかこの面積の拡大がむずかしい情勢になってきたことにより、経営規模の拡大が妨げられたことも事実でございますし、あるいはまた農作業等につきましては、労働力が脆弱化したということが大変妨げになったというふうな面もあると思うわけでございますが、これらの三つをやはり総合的にとらえて、これを積極的に推進をしていくということによって初めて経営規模の拡大につながっていくわけでございまして、農振法の改正等もまあそれの一環としてここに提起をいたしておるわけであります。まあ、機械の装備等につきましては、毎年毎年の予算措置等によりましてそうした機械力の増強等、図っておるわけでありますし、また農作業等もこれから安定成長という方向に移っていく中にあって、われわれはやはり集団的なひとつ生産組織といいますか、そういう面からの機構拡大というものにつなげていかなきゃならぬというふうな考え方を持っておるわけでございます。
 さらに自立経営につきましては、いま御指摘の点はもっともであると思うわけでございまして、やはり相当自立経営そのものが当初の目標からは事実的には、現実の面においては狂ってきていると言ってもいいのではないかと思うわけでございますが、そこでわれわれはやはり自立経営はやっぱり推進していかなきゃならぬという考えを捨てるわけではないわけですが、今後のやっぱり農政を推進していく一つの中心となるものはやはり自立経営農家を頂点とするいわゆる第一種兼業農家、そういうものも含めたいわゆる中核的農家といいますか、これを中心にした農家、農業の担い手体制というものを強力に推進していくということに主眼を置いて、これからあらゆる施策に取り組んでまいりたいというふうに基本的に考えておるわけでございます。
#26
○鶴園哲夫君 私はまあこの問題は三時間という予定だったものですから若干、少し時間をつくってこの問題についての論議をしようと思っておりましたが、先ほども申し上げましたように、基本法ができたその原動力は自立経営をつくるという、これは法律の十五条にありますように、「できるだけ多くの家族農業経営が自立経営に」「なるように育成する」、これが目標になっているわけです。そして、百万戸というものを考えておる。いまやまことにおさびしい話で、なお、大臣はその自立経営ということをおっしゃっておるけれども、私は、いまやこれはもう幻のごときものであるというふうに思っておるわけです。ですが、いま大臣がおっしゃるように、突如として四十八年の農業白書、俗称農業白書の中に中核農家、俗称中核農家、白書で初めて出ましたのは、「基幹男子農業専従者のいる農家」という大変長い農家が登場してきたわけです。それで、この自立経営農家というのは日本の農家の中に占めている割合が余りにも少な過ぎる。のみならず、その占めている農地面積あるいは粗収、農産物の生産高に占めている自立経営農家の農産物の比率、こういうものが大変少ないというところから、四囲の情勢の変化の中で農業を盛り立てていくというためには、これは自立経営農家ではだめだというところから新しく、この大臣がおっしゃった中核農家というのが四十八年の農業白書、去年ですね、新しく登場してきた。これは数字でいうと農家の約三割を占めているというふうに言うし、百六十万戸ぐらいあるということですね。これを中核にして、そしてその頂点に自立経営農家がおるというふうに四十八年の白書は書いてあります。今度の、ことし出ました白書の中では頂点と書いてないんです。「重要な地位を占めている。」変わっちゃったです。頂点にないんです。自立経営農家でこの中核農家に入ってないものが相当あるんじゃないでしょうか。まあそれはところどころで伺います。頂点と書いてないです。四十九年は「重要な地位を占めている。」という大変謙虚な言い方、「重要な地位を占めている。」そうだそのとおりだと思います。「重要な地位を占めている。」頂点にはないです。
 そこで、この中核農家というやつ、私は基幹農家と言いたいわけです、簡単に言って基幹農家。この基幹農家あるいは中核農家について、こういった中身はどういうものだということを聞きたいのです。これはどうも幻だというような感じがしてしょうがないのですよ。十五歳以上五十九歳までの男子が農業に百五十日以上従事している農家、これを中核農家、簡単に言って中核農家。私は基幹農家だと言っている、これからの農業の基幹になろうというわけですから。まあ中核農家でいいです。そういった中身は一体何だと。百五十日以上でしょう、十五歳から五十九歳、この二つの条件ですよ。その場合に一体農林省はこれは実際調査したんですか、これ。農家経済調査から推定をしたんじゃないですか。中身が私ははっきりしないんです。たとえば米作で言いますと、これは大変省力化が行われていますから百五十日働かぬでいいですよ。そうすると、米作農家の中心をなしている農家というのは基幹農家に入らぬです、というふうに言わなきゃならのじゃないかと思いますね、百五十日じゃ入らぬですから。十五歳以上五十九歳で、それで百五十日といったら米作農家の自立経営農家すら入らぬのじゃないかと思う。どうですかね、入りますかね。いいかげんに考えてるんじゃないですか。これこれというわけで飛びついたんだけれども、幻想じゃないのかな。
#27
○政府委員(大河原太一郎君) 統計の数字、推計方法については詳しく申し上げませんが、稲作の自立経営農家、すなわち他産業従事者である比較所得、現在では二百十五万円でございますが、それを上げている農家も、このわれわれの言っております中核農家には入っておるわけでございます。
#28
○鶴園哲夫君 私はね、鹿児島の統計情報事務所、これは専業農家の調査やってます。その専業農家の調査を見ますとね、大体五反、〇・五ヘクタール前後で、そして五十五歳前後、それが相当多いです。これは百五十日以上働いています。これが中核農家に入っている。自給農家ですよ、自給農家。これから日本の農業をしょって立っていくという、そういうことにはならぬように思うのですね。大体工場なんか退職してきて厚生年金なり、それから役所をやめて、それからその他で、年金で、五反未満、五反前後をつくって、これは専業農家ですよ。そして百五十日以上りっぱに働いている、五反前後で。こういう専業農家がいっぱいいるんです。そこで、私は非常に疑問を持ったわけなんです、この中核農家というやつにですね。もう一つ、この間、全国農業会議所が、農村リーダーの意向に関する調査というのを発表しましたですね。これは、昨年夏でしたか、私、農村を回ってみましたら、農業委員会が調査していました。何をやっているんだと言ったら、農林省が言う中核農家というのを調査しているんだ、と言ってやっていましたですよ。その結果が、この間、こういう形で発表になったんだと思うんです。農林省が言う中核農家三千七百七十七名を地帯別に選んで、そうして調査しているんですよ。これは中核農家というのを選んだわけですよ。地帯別に調査して、そうしてその中身が発表になっていますね。それを見ると、これはどうも七割以上――三千七百七十七名というものを調査したわけなんですが、七割以上は役職を兼ねているというんです。これはどうも私の言う専業農家に類するですな。いま、農村に行って農家といろいろ話をしてみて、農協をこの際改めたらどうだと言うと、農協を改めるような、そんな時間はありませんよと言うんです、本当に農業をやっている者は。そんなのに出て、農協なんかどうだ、こうだという暇はありませんよ、農業で手いっぱいですよと。これは私は、本当に農業をしょって立とうという、農業を本当にやろうという連中だと思うんですよ。いま、この調査を見ますと、七割というのが役職をやっているんですよ。何らかの役職についているというんです。農業専従じゃないですよ。百五十日やっていりゃいいんだ、とにかく。三百六十五日あるんですよ、一年間は。ですから私は、この中核農家というのは大変幻みたいなものじゃないかというふうな気がするんです。で、自立経営ということで、それを中心にして農業の組織化をやり、そして農業をしょって立つような形に持っていこうとしたんだけれども、余りにもその数が少な過ぎる。七、八%か、四%か、五%という数字じゃ、とてもならぬというところであわてたのが、出てきたのがこの中核農家というものが出てきた。しかし、そのつかまえた中核農家というのが、これはどうも私は空虚なものじゃないか、幻みたいなものじゃないかと。言葉としてはありますよ。百五十日以上、十五歳から五十九歳。言葉としてはあるし、実際、それはあるけれども、これは農業をしょって立つような、そういう者というのは、これは少ないんじゃないかと思うんです。
 私は、二つ申し上げた。一つは、専業農家というのを見た場合に、その多くは自給的な農業をやっている者が多いという点が一つ。それから、米作農家で、これは自立経営に入るようなものでも、これははずれるだろうと。それから、いまここの農業会議所の調査によりますと、農林省が言う中核農家に該当しているものを調べてみたところが、七割が役職を兼ねているというような形になった場合に、本当に部落なり村の中の農業をまとめていくような勢力になるのかという点になりますと、これは非常に疑問を抱かざるを得ないんです。この中核農家は、農林省は調査していないわけでしょう。おそらく農家経済調査で見てやっているんじゃないかと思うんですよ。これは非常にあいまいですよ、というふうに私は考えているわけなんですけれども、これは違っておれば承りたいです。
#29
○政府委員(大河原太一郎君) 中核農家についてのだんだんの御指摘でございますが、第一点といたしましては、申すまでもなく、今日の厳しい状況のもとで男子の農業専従者は、一つの計数の切り方として百五十日以上ということで切っておりますが、こういう人たちが農業を主たる業として働いておるというものをまず第一のメルクマールにとらえたわけでございますが、そのほか農家総所得に占める農業所得の割合というものがわれわれのあれでは六割以上、あるいは家計費を農業所得でほぼ充足できる、大体九割以上ですね。占めておるような農家ということでございまして、これはただいま先生のお話にございましたように、これをほかの専業なりあるいは兼業という概念でございますと、第一種専業及び第一種兼業の大部分ということに相なるかと思うわけであります。
 さてしからば、地域とか地帯によってそれぞれ検証したかどうかということにつきましては、先生のお話のとおり、センサスなりあるいは農業調査なり農家経済調査というものの諸統計をかみ合わせてマクロとしてとらえた概念でございまして、おっしゃるようにこれをそれぞれの地域なり地帯というものについてこれを検証するというようなことは今後の施策を進める上にも、また実態の把握の上にも必要ではないかというふうに考えておるわけです。
 なお、鹿児島の例等もございましたが、耕地の規模が少ない場合においても、複合的な多角的な経営によりまして相当額の所得を上げて、ほぼ家計費を充足しておるというような経営は地帯によってあるわけでございまして、それらも当然中核農家としてわれわれがとらえて、施策の対象にしていかなければならないというふうに考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、マクロとして統計上とらえましたこの農家を地帯なり地域におろしまして、それぞれの類型なり実態というものを把握した上で施策を進める必要があるというふうに考えております。
#30
○鶴園哲夫君 もう一つ申し上げておきますが、この農業会議所が発表しました中核農家三千七百七十七名は初めての調査だと思うのですが、農林省やってないわけですから。初めての調査で出たこの中核農家三千七百七十七名の意向を調査するというと、規模拡大を望む者は三六%で、あとは現状維持、これじゃあどうにもならぬという私は感じがするんですね。三六%が規模拡大、あとは現状維持。規模拡大はどういう方向で望むのかということについては、土地を買い入れによってやりたいというのが四〇%、あと、借地、請負、協業、こういうものによって規模拡大をしたいというが一〇%です。――私はいまある資料の中から言えることは、これから後、展開しますけれども、借地農業という形のものでは、これはせいぜい一〇%です。これしかないと思うのです、いま新しい調査というものは。それを見ると、規模拡大したいというのは三六%で、あとは現状維持。で、規模拡大したい者はどういう方法で規模拡大したいかといえば、買いたいというのが四〇%、借地や請負やそれから協業という形で規模を拡大したいというのが一〇%。借地農業でやりたいというのは一〇%です。
 そこで、次に移りますが、この担い手論については私はどうもはっきりしませんので、農林省としまして、りっぱな統計情報部を持っていらっしゃるわけですから、すみやかに調査をやられて、私が言うようなものではないというふうにしてもらいたい。私はどうも大変疑問を抱いている。先ほど若干の官房長の説明がありましたけれども、にかかわらず、私としては大変に疑問を抱いておりますので。
 そこで、続いてもう一つだけこの農業基本法について伺いたいのですが、これからの農業の近代化というのが農業基本法の至るところに充満しております。近代化ということがちりばめられてあるわけです。それは一つは、経営の規模拡大、そして機械化、もう一つは選択的拡大、そしてそれは単一作物集中、これは近代化だと。これは農政の柱となって展開をされてきたわけですが、一体それはどうなっているのか。経営規模拡大の問題については先ほど申し上げたとおり。単一化の問題については非常に大きな問題があるんじゃないかというふうに私は思っております。
 そこで、農業の担い手として登場いたしましたこの中核農家について今度の農業白書、この間出ました農業白書の中でこの中核農家を推定しておるわけですね。これは農家経済調査から推定したわけですからこれ危ないんですが、農家経済調査というのは五百万戸の農家の中の一万戸とっているんですから、その中からの推計ですから、まあ若干危ない点もありますけれども、しかしいま中核農家というのはその中から選んだんでしょう。その中から選んで見たところが一部門の経営、酪農なら酪農だけと。一部門の経営で農業粗収益の八割が一作物だけだ、という農家は三割だと言うんですね。そして、二部門以上の経営、二作目以上の経営というのが七〇%だ。その七〇%の中の四五%というのが二部門であって、五五%というのは三部門の経営だと、こういう言い方なんですよね。それで、これ見ますというと、一部門というのは酪農とか果樹とかそれから蔬菜、園芸というやつだと思うんですね。そうすると、これは二部門、三部門以上経営という形になっておるわけですね。ですから私は、選択的拡大、経営規模の拡大、機械化、そして一作物集中というやり方はごく一部においては意味を持っておるけれども、それ以外については意味なくなっているんだという感じがしますね。しかもこれは、いま農業経営の立場から言って非常に大きな問題になっているんですね。再検討すべきという段階に来ているんじゃないでしょうか。それから、農業基本法というのは、これはもうどうにもこうにもならなくなっちまっていると、そのねらいとしては。これは先ほど申し上げたように、経営規模の拡大、そしてそれは機械化、そして選択的拡大ということで、一作物集中主義。これはもう余り意味ないようになっちゃっているんじゃないかというふうに思うし、ここでこの程度でとどめまして、何か答弁ありましたら伺ってもいいですが、どうでしょうか……。
 私は、農業経営というのはやっぱりあんな畑や田んぼが遊んでおっちゃいかぬと。工場の機械が半年遊んでいるというようなことで、農業経営が成り立つわけないし、さらにそこに働いている農業者が通年働けるというような態勢をつくらにゃいかぬ、これが農業じゃないか、こう思うんですね。ところが、農林省が進めたのはそうじゃなかったですね。単一作物で機械化ですから。これはあなたね、百五十日働けなくなっちゃっているんです。だから出かせぎ出たくなるでしょう。逆に言えば出かせぎの方から吸収されちゃってそうなったとも言えるし、だからむちゃくちゃな状態に農業をしちまったんじゃないか、農林省は。私はそう思っているわけですよ。ひどいことになっちゃったと。ですから、何か昔、適正規模という論議が行われたことがあるんですが、そのときのやはり問題は、生産力を高めるということ、それから家族の労働というのが消化されるということ、通年労働ができるということ、そして農家は農業として一つの完結した形ができるということだったと思うんですよ。いま農家へ行ってみますとそうじゃないですものね。しかし頑強に残っているのはやはり複合経営で、そして経営としては自己完結型のものになっている。通年作業ができる、そして厩肥ができていく、こういう形の農業というのが、農林省はそんなものは無視してやってきたんだけれども、それだけが残っているんですね。全然逆のものが残っている。農業基本法がねらったものとは逆のものが残っている。農業基本法がねらったものは加工産業、畜産の関係が若干出ている。それから施設園芸が出ただけのことであって、後の農業なんていうのはそんなものでなくなっちゃっている。そういうものでないはずですね。農林省というのはどうもここらあたり根本的に変えにゃいかぬと思うんです。
 そこで、これは一応ここでおきまして、農振法の問題について私、ちょっと伺いたいんです。農振法の問題について、もう時間がなくなりましたが、まず第一に伺いたいのは、農林省が出しました四十九年の十一月末、これは五年で終わることになっておったわけですから、四十九年の三月で終わった形になっているわけですが、資料としては四十九年の十一月の資料が出ておりまして、その中で知事の指定が三千二十四、市町村長の整備計画が二千九百七十二、それから知事の整備計画が二百二という数字が出ておるわけです。その中で市町村長の整備計画で二千九百七十二個所に出ているわけですが、その中で農用地区域の面積、これについて聞きたいわけです。四百四十一万ヘクタール。で、四百四十一万ヘクタールというのがこれからの農政を集中的にやっていく地域になるわけですが、それで、いま四十九年で耕地面積は五百六十一万ヘクタール、それが四百四十一万ヘクタールに指定されるわけです。ここに集中的に農業が行われていくということになるわけです。そうすると、その差が百二十万ヘクタールほど小さくなるわけです。もちろんこの中には都市計画法によりますところの市街化区域約三十万ヘクタールと言われておりますが、それが入りますから、ですからそれ引かなきゃなりませんが、九十万ヘクタールぐらいになると思いますが。そうしますと、いまは五百六十一万ヘクタールという耕地面積があるが、これが今後十年懸命に施策を集中するところが四百四十一万ヘクタールということになりますというと、後の百二十万ヘクタールというものはどんどんこれから衰微していかざるを得ない。農業としては成り立たなくなるという傾向になるのが必然的なことになってくるだろうと思うんですね。そうすると、その四百四十一万ヘクタールというものでこれからおやりになろうというふうに考えていらっしゃるのかどうかという点ですね。
#31
○政府委員(大山一生君) 御指摘のように四十九年十一月三十日現在で農振計画によって定められております農用地区域内の農用地面積四百四十一万ということでございます。五百六十一万という差の問題、これ先生の御指摘のありましたように市街化区域あるいは用途区域内の農地、これが大体三十六万ヘクタールあるわけでございます。で、後のところがどういうところにあるか、こういうことになりますと、山間僻地、離島、こういったようなところ、あるいは集落の周辺に分散している小規模な農地、こういうことに相なるわけでございます。われわれといたしましては、集団的優良農用地はこの全国を網をかぶせました農用地区域内におおむね入っているのであろうというふうに考えているわけでございます。ただ、今後とも農用地区域の面積の拡張ということについては努力してまいりたいというふうに考えますけれども、農用地、そしてその農用地区域内にいわば何といいますか、優良集団農用地が集中しているわけでございますので、そこに将来とも効果を持つような投資はすべて集中してまいりたいというふうに考えているわけでございます。しかしそれ以外の市街化区域あるいは用途区域外の農用地につきましては、当然のことながら農地法というものの厳正な運用ということによってこれに対処してまいりたいというふうに考えているわけでございます。まあわれわれといたしましては、まず四百四十一万ヘクタール、これは広げるといたしまして、この農用地にあらゆる施策を集中いたします。そして市街化区域、用途区域を除きますその他の農用地につきましても、これはたとえば山間僻地等につきましては、これはそれぞれ将来とも農用地として残るところであるというような意味における公共投資も実施してまいるというようなことにいたすわけでございますので、この百二十万ないし九十万程度の農地がすぐに壊廃されるあるいは衰微するということにはならぬように処置してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
#32
○鶴園哲夫君 四十八年の六月の次官通達によりまして御承知のようにこの四百四十一万町歩というその地域の中に農政のあらゆる施策というものを集中するということになっておるわけなんです。そうしますと残りの九十万ヘクタールというやつはこれから衰微していかなきゃおかしいでしょう、集中するんですから。衰微していかないということになれば、これは農政は効果ないということになっちゃう。
 そこで、私が疑問に思いますのは、もう一つ提示しますと、この間閣議決定になりました、これは農業基本法によって閣議決定になった長期見通し、昭和六十年を目標にしました長期見通しというのによりますというと、耕地面積は六十年に五百八十五万ヘクタール、それ以外に主として採草放牧用として二十五万ヘクタール、合わせますと六百十万ヘクタール。その六百十万ヘクタールというのとこの四百四十一万ヘクタールとの関係ですね、これは百七十万の差があるんですよ。私の思うのに、この農政審議会で、閣議決定をした六百十万ヘクタールというやつで長期見通しを立てたんだが、その場合に、農振法の四百四十万ヘクタールなんていうのは鼻にもひっかけなかったんじゃないか、私の言葉に言わせれば。鼻にもひっかけないでこれは考えているんじゃないか。農政審議会がこの農振法というものを本当に頭の中に入れてこれから農政の基本になる農振法というのか、この四百四十一万ヘクタールというものを本当に頭の上に置いて六百十万ヘクタールというのを考えているのか。考えていないとぼくは見るですね。ぼくだって考えないですよ。考えなかったに違いない。
 そこで、これは官房長に伺うことになるかもしれないが、この六十年目標というのは四百四十一万とはどういう関係があるんですか。あの長期見通しとこの四百四十一万とはどういう関連があるのか。
#33
○政府委員(大山一生君) 六十年見通し、先生御指摘のように採草放牧地を入れて約六百十万ヘクタールの農用地が必要であろうと。これは現在の農地というものを前提といたしましてその高度利用を図る一方、壊廃も過去の趨勢値、それから今後の経済成長との相関において一応推定されますような壊廃ということを意識し、そしてさらに八十六万という農用地の開発を六十年までに行うことということで六百十万、その中の農地としては五百八十五万ヘクタールを必要とする、こういうことに相なっているわけでございます。
 そこで、先生御指摘の農振の中の農用地区域、これは四十九年末におきまして約四百四十万ヘクタールということでございますが、その中には農用地区域内に山林原野等もあるわけでございまして、これは開発を予定する面積でございます。そこで、農振計画によりますと、農用地区域内の将来の農用地ということにおきましては田畑、樹園地で四百六十七万ヘクタール、さらに採草放牧あるいは混牧林を入れますと五百四十万ヘクタールの農用地ができてまいる、こういうことに相なっているわけでございます。逆に申しますならば、六十年に必要とする面積の約八割が一応確保されているわけでございまして、いわば六十年の生産目標を達成することとの関連におきます必要農用地の中の集団的優良農用地に該当する部分がおおむね一応の水準として農用地区域内に確保されているというふうに理解して、今度六十年の見通しの作業に当たったわけでございます。
#34
○鶴園哲夫君 これは局長ですね、いま農振の中の農用地四百四十一万ヘクタール、そのほかに山林原野が八十五万ヘクタールほどある。それ以外の土地もある。合わせて五百四十万ヘクタールでしょう、全部開墾して。農用地の中に山林原野八十五万町歩全部開墾して。そうしてみても五百四十万ヘクタールしかないです。あと十年経ったらどうするんですか。これきめちゃってここへ精力的に農政をやるとは、あとはもうやらぬというのですか。その中には山林原野八十五万ヘクタールあるから、それを全部開墾して、そうすると五百四十万ヘクタールでしょう、全部開墾して。あと開墾してしまったらどうなるんですか。その後はほったらかしですか。そうしてこのいま十年を目標にした長期見通しの六百十万ヘクタールやるのにいまだに大変差があるでしょう。大体ぼくは思うんだけれども、工場用地にしても、住宅にしても、最も農地として効率のある土地が農業に最もいいところがどんどんつぶされていっている。山地に住宅つくればいいんだ、工場も。みんないいところを、何百年かかってつくった農地というものをどんどん工場や住宅がつぶしちゃって、またこんなことになっちゃって、これどうする気かな。
 それから私の聞きたいのは、農政審議会が、閣議決定した六百十万ヘクタールというものとこの四百四十一万ヘクタールというものの間には余りにも大きな差がありはしないか、大変な百七十万という差があるじゃないか。ですから、この長期見通しを立てる場合に、農振法でいうこの四百四十一万ヘクタールというものを本当に頭の中に置いて考えたのか。考えていなかったなら、考えていないでいいんですよ。私は考えていないと思っているから。そうじゃないと局長おっしゃるような言い方なもんだから。
#35
○政府委員(大山一生君) われわれ農用地区域というものを見ます場合に、現況とそれから近き将来においてそれが開発される用途区分と申しますか、用途区分というものと両方があるわけでございます。私たちはむしろ現況というものの中に入っております山林原野、これがあるいは採草放牧地にも一部なり、あるいは混牧林地にも一部なりますけれども、大半は田畑、樹園地等になってくるという計画が農用地計画の中に入っているわけでございまして、その結果といたします農地といたしましては、四百六十七万ヘクタールということに相なるわけで、先生の言われました四百四十万ヘクタールの見合いで言いますならば、約五百万ヘクタールが用途区分における農用地区域内の将来のが確保されている、こういうふうに考えるわけでございます。そこで五百八十五万、それに採草木入れるならば六百十万ですか、それに対しまして五百万の優良農用地が、あるいは優良農用地たるべきところが農用地区域内に入っているということを意識してこの必要な面積というものを把握した次第でございます。
 そこで、しからば、農用地区域内の面積というものはこれで終わりかという問題が次の問題として出てまいりますけれども、現在各地で行っております農用地開発等、特に公団事業等におきまして、いざ現地において実施計画をつくるという段階になりますと、いわば、農用地区域外にあるところというものが相当出てくるわけでございます。そういうところはこのメリット通達ではございませんけれども、着工前に農用地区域に入れることを条件にして着工するというような措置をとっておりますので、今後、農用地区域内の面積はそういう事業等の関連において必要なところは今後取り込んでまいるという基本的な姿勢は今後とも続けてまいるという措置をとってまいることにいたしているわけでございます。
#36
○鶴園哲夫君 重ねて申し上げておきますが、この六十年目標の見通しの六百十万ヘクタールというのは、ここの農用地区域のいま指定になっている四百四十一万ヘクタールと全く同じものなんだ。それで、四百四十一万ヘクタールに、あと八十五万ヘクタールというものが、山林原野があるから、それを開墾したと。それは足してみても五百四十万しかならない。さらに、いま言った農用地開発事業団がやるやつを取り込むとおっしゃる。それはせいぜい五万ヘクタールぐらいのものじゃないでしょうか。十万ヘクタールになりますか。十年間にどれだけやる予定ですか。少ないですよ。とても十万ぐらいしか入らないですよ。ですから、私は、この長期目標というのは、これは農振法に言うこの基本にすえていないというふうに考えておるわけです。これはもっと論議したいですけれども、そこで一応置いておきます。
 あと、私はもう少し言いたいのは、四十八年の六月の次官通達によって四百四十一万ヘクタールのところに施策を集中するんだと、そこばかりやるんだと言わぬばかりの話なんです。ところが、そういうことで考えた場合に、六十年目標のこれとは大変矛盾があるじゃないか。そういった問題を余り気にしないで、私に言わせれば鼻にも引っかけないでと言いたいんだけれども、余り気にしないで六十年目標というのはできているんじゃないだろうかという懸念をするものです。これは、それじゃ逆に問いますと、逆に言いますと、農用地区域の中に取り込んでおる山林原野を含めた五百四十万ヘクタールで六十年目標というのを考えられますか、長期見通しが考えられますかという点を逆に聞きたいわけなんです。
 そこで、そういう問題を後に残して、次に聞きたいのは、時間がなくなったものですから、聞きたいのは、今度の農振法によりまして、賃貸借によって経営規模を拡大するという方向が今度の農振法の最も大きな目標になっておるわけですね。ところが、それはもう一つ四十五年に農地法改正をいたしまして、そして十年の長期の賃貸借によって経営規模を拡大するという方向が開かれておりますですね、農地法の中で。言うならば、農地法の中で開かれている経営規模の拡大、つまり十年の定期の賃貸借による経営規模の拡大と、農地法の外に今度農振法によりまして賃貸借によって経営規模を拡大するという二つの方法が開かれるわけです。もう一つ農地法に基づいて農地を取得をして、取得というのは所有権を取得をして、そして経営規模を拡大すると、三つあるわけですね。その三つの中で、いままで農政当局が主張してきたことは、この農地を取得をして拡大するという方向はだめだ、見通しなしという考え方だったですね。私はこれは一体どういうことなんだと。いまの自作農創設資金あるいは農林漁業金融公庫が出しておりますところの農地取得資金というのは、これは反当たり三十万円程度のときの、そして三分五厘、そして二十五年年賦。標準小作料を納めておれば二十五年で土地が自分のものになるということだったと思うんですよ。ところが、農地価格が七十万になってきた、八十万になってきたという場合には、これはもう間に合わぬです、こんなものでは。標準小作料はそれほど上がっていませんけれども……。
 そこで、私が先ほど申し上げましたように、中堅農家というのは大部分が土地を取得したいと、こう言うんですよ、四〇%が。賃貸借でやろうというのは一〇%しかいないんです。中核農家がそうなんです。四〇%というのは買いたいと言うんです。賃貸借でやりたいというのは一〇%しかない。請負を含めてです。そうすると、やっぱり、土地を取得して拡大したいという考え方は非常に強いと見なきゃいかぬですね。これが主導だと。その場合に、農地取得資金というのを変える考え方はないんですか。反当たり三十万円で、そして三分五厘で二十五年と。標準小作料を納めておれば二十五年で自分の畑になったと。それが七十万になったというんなら、利子を一分にして五十年なり三十年なり四十五年でというふうに考えたらどうか。そういうことをせぬものだから農地を取得することにならないんですよ。その点が一つ。もう一つは、先ほど申し上げました農地法の枠の中で十年の定期による賃貸借による農地の拡大と、今度は農地法の外で、農振法によって農地の賃貸借で規模を拡大しようというこの二つ。この二つの中のどっちが主導力を持ってくるのか。私は、当分の間はこの定期賃貸借じゃないかと思うんです、農地法に言う農地法の枠内における。そうじゃないかと思うんです。どういう運用をされる予定ですか、どっちの方に重点を置いて。
#37
○政府委員(大山一生君) 先生の御指摘の中の農地法で言います所有権の移転あるいは長期の賃貸借というかっこうの農地法での流動化、この問題が図り得るならば、これによって規模拡大を図るのが最も望ましいというふうに考えておるわけでございます。したがって、この前の、四十五年ですか、農地法の改正の際にも、いわば合理化法人というものをつくり、そして合理化法人により農地の取得そしてあっせん、こういうことをやりました。そして、農業者年金によるいわば農地の離農跡地の一括取得というような制度もつくりました。さらには、農地取得資金でありますとか、こういうものにつきましても限度額の引き上げというような措置も本年度においてもまた実施しているというようなわけでございまして、このかっこうをとり得るならば、これによるのが最も好ましいであろうというふうに考えております。したがいまして、今後とも、農業委員会のあっせんでありますとか、いま申しました合理化法人、合理化促進事業、こういうものの実施によって進めてまいるという考え方が基本であろうというふうに考えております。
 ただ、現実の問題といたしますと、たとえば、農地の定期賃貸借、これも、たしか、四十五年ごろ九千件ぐらいの件数だったものが、現在一万二千件ぐらいにふえてきていることは確かでございます。ただ、その一万二千件の大半が、いわば、分家に対する貸し付けというようなものを除くと大半が定期賃貸借であろうというふうに考えるわけでございますけれども、農地の移動実態調査等から見ますと、それが、いわば、集中しているのが三反ないし五反層に集中しているというような事実もあるわけでございます。で、そういうような事態というものが、いわば、農地の資産保有的な傾向の強まりということから農地をなるべくなら売りたがらぬというようなこと、あるいはまた、耕作権の強さも高まって、一遍貸すとなかなか大変であるというようなことから、現実には、それらによる規模拡大もなかなか進みがたいというような事態がある。そしてそのままにしておきますと、農用地の利用度がさらに低下するというような傾向にもあるわけでございますので、今度利用増進事業というものを考えたわけでございます。したがって、本質的な性格ということで申し上げますならば、それは定期賃貸借なり、所有権の移転というかっこうが最も好ましいとは思いますけれども、それとは別に現下の事態に対応する方向として、いわば市町村の関与のもとに一定の地域内の農業者の集団的合意のもとで、一定の期間ごとにつくる計画に従って実体的に安定した利用権の集積というかっこうによる規模拡大ということが、一つの方法として出てまいったということでございます。本来的な方向としての望ましい方向に対する現段階の対応というふうにお考えいただきたいというふうに考えるわけでございます。
#38
○鶴園哲夫君 最後の一問。最後の一問は、この定期賃貸借、農地法の枠内でやっている定期貸賃借。これは若干ふえているけれども前進をしないという話でありますが、私は、前進しないような運営をしているというふうに思っておるわけです。
 で、まあ、十カ年ということですから、耕作権もある程度確立をしているし、これはいいと思うんだけれども、ただ十カ年でやるもんですから、一括して賃貸借料を払う。それは標準小作料によって払う、一括して十年分。そしてその合理化法人に払う。その間に、標準小作料というのは三年に一回づつ見直すことになる。今度も、いま標準小作料を改定しつつあるわけでしょう。で、この四年間を見ますと、これは米の生産費によるやつですが、四十五年から四十八年の間、四年間で五割、標準小作料は上がっているでしょう。これを四十年から四十八年という八年間で見ますと、実に三倍半に標準小作料は上がっているんです。その場合に、その三倍半に上がるのに、十年前に前払いするわけですから、十年前に一括して払うわけだから、ですからその貸す方は、標準小作料は改定しても、三倍半に上がっても、それはその貸す方は受け取らぬわけでしょう。だれが貸しますか、そんなもの。標準小作料が上がったら上がっただけふえていくなら貸す方も貸すと思うんですけれども。いまのこの定期賃貸借によりますと、最初一括払う、そのときの標準小作料でやる。それから標準小作料は三倍半に上がってくるのです。受け取らぬわけです。そんなもので定期賃貸借というものが前進するわけがないじゃないか。これは改めればいいと思うんです。標準小作料が上がったら上がっただけ貸し主に高く払うというならいいと思うんですけれども、そうじゃないでしょう、十年定期というやつは。いまこれが農業委員会でもやっている連中、貸した連中で非常に問題になっている。
 それからもう一つ、いまおっしゃる農地の利用増進計画を町村関与でつくってやるわけですね。やる場合に一年とか、三年とかというような短期なものになるんですが、耕作権というのは非常に確立していないわけですね。――してないわけでしょう。その場合に一体これが拡大するんだろうか。拡大せぬと私は思うんですね。結局、いまあるやみ小作とか、請負とか、そういうものを追認するにすぎないんじゃないかと思う。というのは、これは耕作権が確定しておりませんから、だから土地に資本を投下して基盤整備をやる、圃場整備をやるというようなものは保証されないと思うんです、これ、どういう指導をされるのか知らぬですが。ですから、いま三反区画になっている、圃場整備されている、そういうところにはある程度浸透していくという可能性はある。ですが、明治末期以来の一反区画のところ、これが農地の大部分でしょう。私はその三反区画になっている面積も聞きたいと思うんですけれども、時間がありませんから。私が見る限りにおいては、三反区画になっているというのは本当に点ぐらいのものじゃないですか。大部分は明治以来の一反区画、幕ほう時代の一反区画ですよ。そこにはこれは波及しないですよ、浸透していかないですよ。そうしますと、ごく限られたところ、つまり三反区画になっているような、すでに基盤整備ができているようなところ、そこにはある意味ではある程度の浸透はできるだろう。それはまさに、これでは全くお話にならぬ、お話にならぬものじゃないか、という考え方を私は持つわけですね。
 ですから、所有権を移転してやろうということについては、いまの資金融通制度というのは、根本的にこれは間違えている。いまのやり方ではできっこない。できっこないことをやれと言ったって、これはできっこないですよ、三十万のときのことを考えているのですから。三十万円のときのことを考えて、そんなものはできっこない。
 それから定期賃貸借については、いま申し上げたように、十年一括前払いだから、だから小作料は、標準小作料はどんどん上がっていったって、それは貸した者には全然はね返ってこないわけですから、こんなもので、農地法の枠の中で定期賃貸借における経営規模の拡大ができるわけはない。新しくできるものは、三年というような耕作権の確定していないようなものに対して基盤整備なんかどうにもこうにもならないということになりますと、ごく一部に行われている三反区画、あるいは基盤整備が行われているところにある程度の浸透はある。それはいま行われているやみ小作、あるいは請負というものを追認するというだけにすぎないのじゃないかという心配をするわけです。
 その三つについての回答をひとつお願いをして終わるというふうにしたいと思います。
#39
○政府委員(大山一生君) 定期賃貸借の場合の借賃の小作料の支払い方法といたしましては、合理化法人が介入している場合以外は一年払いになっているように私たちは認識しているわけでございます。で、先生御指摘の十年一括前払い契約、これは合理化法人が中に入った場合が大半であろうというふうに考えるわけでございますけれども、貸す方から言いますならば、利息の割引をしないで十年分を一括してもらうということになっておりますので、いま金が必要であるというような貸し主にとっては、まとまった資金の活用が図れるというメリットは現在もあるというふうに思っております。
 そこで、合理化法人が一括前払いした農地のいわば転貸しの方につきましては、毎年度の賃借、毎年度の小作料の支払いということになっておりますので、こちらにつきましては、標準小作料に準拠して払ってもらう、こういうことに相成ると思っております。
 で、合理化法人が行います、借り手になります場合におきましては、貸し主との間の契約の中において小作料の額を変更しないということにしておるわけでございます。先ほど言いました利息の割引をしないというようなメリットから言うならば、合理化法人が介在する定期賃貸借というものにつきましては、制度上の問題はないんであろうというふうに考えるわけでございます。
 米価の生産費調査に出てまいります小作料、これは実体の小作料であるわけでございまして、標準小作料といたしましては、現在のところ、田で平均的に見ますと一万二千円がらみ、畑で四千円がらみだと思っております。今度から三年たちまして現在改定作業が進んでおりますが、大体六割方ぐらいが標準小作料を決定しているのではないだろうかというふうに思っておりますが、その結果を見てまいりますと、それの約五割ないし三割ぐらいアップというような線が出てきているように考えるわけでございます。したがいまして、定期賃貸借、それも合理化法人が介在する場合におきましても、いまの制度でいいのであろう。
 ただ問題は、やはり離作料問題、これが今後の問題として出てまいると思いますけれども、農民の貸し方の意識としては、やはりその離作料の問題、これが非常に大きなネックになっているような意識のもとに農民がいることは否定できないというふうに考えるわけでございます。
 それから所有権の移転に関連いたします貸し方の問題につきましては、貸付限度額の改定というものを本年度も行いました。農地等取得資金の場合には、個人がやる場合に八百万、それから法人の場合三千二百万というような大幅な改定もいたしておるわけでございまして、こういったような改定も今後進めてまいりたいと思いますが、むしろやはり合理化法人による農地の取得ということにわれわれとしては主力を注いでまいりたい、これとあわせて進めてまいりたいというふうに考えております。そして、合理化法人による規模拡大という道も今後の一つの重要な施策として位置づけたいというふうに考えるわけでございます。
 そこで、今度出てまいります利用増進事業との関係でございますが、利用増進事業は、形式的には確かに短期の賃貸借ということに相なるところから、土地改良事業とのいわば三条資格者という問題で考えますならば、原則的には一般の使用収益権者ではなくて、所有者が三条資格者になる方が普通であろうというふうになると考えております。ただ、その場合に、それでは土地改良事業なんか行わないではないか。こういうふうなお話になろうと思いますけれども、その点につきましては両当事者間の十分な話し合いということが一つあってしかるべきであろうし、そして、所有者がそういう投資をしたことによる増価額が出てまいりますならば、小作料の改定という話に相なってまいろうというふうに考えるわけでございます。ただ、場所によりましては、それは利用権者がなることも否定するわけではございません。利用権者がなりました場合に、利用権者が投資したいわば有益費という問題につきましては、これは土地改良事業によるもの、あるいはそれ以外の一般の場合においては民法という、土地改良法なり民法の規定によりまして有益費の償還ということが出てまいりますし、もしくは相手方がそれに応じないという場合には留置権の行使ということもできるわけでございますので、この利用増進事業によって、いわば土地改良事業が進まないというようなことはないであろうというふうに考えます。とともに、一応の利用権の存続期間としては三年ないし五年程度を定着した場合において考えたいと思いますけれども、その存続期間終了時には、また次の利用増進計画を必ずつくらして、そして、その利用増進計画が継続する中で実体的に利用権の継続ということを考えているわけでございますので、実体的に利用権はそのまま継続することになるであろう。またなるであろうことを、いわば地域の集団的農民の合意の中で、その背景として利用者、所有者によってつくられます自主的な協議会というようなものにおける意見というもの、あるいはそれと密接に結びつく中で進めてまいる中でいわば利用権の実質的安定ということを図ってまいる。そして土地改良事業に対しては、先ほど申し上げました有益費なり、あるいは所有者の場合においては小作料というかっこうでの問題解決によって土地改良事業の推進には支障は来さないということに相なるであろうというふうに理解しております。
 それから三反区画が進んだ圃場面積でございますが、われわれが四十四年実施いたしました土地改良の補足調査、それからその後の土地改良の実績ということで参りますと、大体約四十万ヘクタールが三反圃場に整備されているというふうに理解しているわけでございます。なお一反ないし三反区画という整理済み面積は約八十万ヘクタールあるわけでございます。したがいましてかなりの、三反圃場というものは現在のたんぼで言いますならば一二%ということに相なろうかと思っております。
 利用増進事業は、圃場整備等が完備しているところにおいて、よりやりやすいということは確かだと思っておりますが、利用増進事業をそういうところだけに限るというつもりはございません。むしろ都市近郊でありますとか、あるいは中間地帯等で集団生産組織とか、あるいは全面請負というようなかっこうの出ているところは、そういういわば農地法上疑義のあるかっこうではなくて、むしろ利用増進事業に乗り得る素地を持っているところである、したがって、そういう農民の分化しつつある素地というものに着目して、そういうところから優先的にこの事業を進めてまいるというふうに考えているわけでございます。そういうところにおいて、当然のことでございますけれども、圃場整備等は強力に進めてまいらねばならぬというふうに考えております。
#40
○委員長(佐藤隆君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時四十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十八分開会
#41
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 この際、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 宅地開発公団法案について建設委員会に対し、連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#44
○委員長(佐藤隆君) 農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#45
○原田立君 本来なら同僚の相沢委員が質問するところなんですが、ちょっとけがをしましたもので、私がかわって質問をいたします。
 前回の質問もありますので、重複を避けるような意味でしたいと思いますが、若干重複する面もありますが、丁寧に御答弁願いたいと思います。
 まず一番最初に農地の利用率についてお伺いいたします。
 耕地の利用率については、昭和三十年代の前半をピークに年々下降線をたどり、見直しの時期に来ておると思います。たとえばことし四月発表の「農産物の需要と生産の長期見通し」では耕地利用率一一四・三%となっていますが、どのような方法で利用率を高めることを考えているのかお伺いいたします。農地の利用率の向上についてどう考えておるかと、こういうことでございます。
#46
○政府委員(大山一生君) 農地の利用率が低下して一〇〇・幾らというようなところまで下がり込んでいることはまことに農地の有効利用という面から好ましくないわけでございます。したがいまして、それに対していかなる措置を講ずるかという問題につきましては各種の施策を講じなきゃならぬ、価格政策も含めて講じなきゃならぬというふうに考えるわけでございますけれども、土地制度の問題として申し上げますならば、やはり資産保有的傾向のもとで耕作権の強さというようなこともございまして、みずから耕作する意欲はなくても貸したがらないといったような事態が出てきているわけでございまして、そういう事態に対応するというようなこともございまして、今度の利用増進事業なり、場合によりましては特定利用権の設定というような措置を講じまして、利用率の向上に努めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。まあ、そのほか裏作という問題がやはり大きな問題としてあるわけでございますので、それについては米麦一貫体系における生産対策等もあわせて実施しなけりゃならぬ、またそういうふうな措置を講じているわけでございます。
#47
○原田立君 利用率を高める問題として利用増進策を図ったとか、あるいは他に裏作の問題もあるということですが、食糧増産をするためには裏作は必要であるが、反面作物が限定されるわけでありますが、裏作には大体麦が主であろうと思うんでありますが、その他何を考えておりますか。
#48
○政府委員(松元威雄君) 水田の裏作につきましては麦が中心でございますが、もう一つは大きな飼料作物がございます。それから一部冬季野菜もございますが、主力は麦と飼料作物でございます。したがいまして、昨今の国際的な穀物需給の動向でございますとかあるいはこれらの作物の生産動向にかんがみまして、四十九年度から従来の施策に加えまして生産振興奨励補助金というような施策も加えましてこれら裏作の振興を図っておる次第でございます。
#49
○原田立君 麦あるいは飼料作物が主であるということですけれども、どのぐらいの率になるのか、それから補助金なんかも当然出ているだろうと思いますが、そこいら辺のところをもう少し詳しく御説明願います。
#50
○政府委員(松元威雄君) 現在、水田裏の作付面積は約二十五万ヘクタール程度ございます。それに対しまして水田裏で、これは気象条件でございますとかあるいは圃場条件で、たとえば湿田は使えないということがございますから、そういうことから考えますと、当面利用可能地は約八十万ヘクタール程度残っているというふうに思われるわけでございます。もちろんこれは今後圃場整備が進みまして乾田化いたしますればもっとふえるわけでございますが、当面八十万ヘクタール程度あると思われるわけでございます。したがいまして、この不作付地を極力解消するということを目途にいたしまして昨年度から水田裏不作付地解消運動も展開しているわけでございますが、その場合の主たる作物は麦と飼料作物でございますから、特にこれにつきまして施策を講じたわけでございます。
 そこでまず麦について申し上げますと、麦につきましては、これは先般決定いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」におきましても、六十年におきましては現在の二倍程度の面積にふやすということを目標にいたしておりますし、その場合やはり一番伸びやすいのは水田裏であろうというふうに考えたわけでございます。と申しますのは、先ほど若干申し上げましたが、四十九年から生産振興奨励補助金等の施策を講じました結果、それまで麦は年々三割以上ずつ減っておりましたが、四十九年度は三%でございます、若干でございますが上昇に転じまして、従来の減少傾向に歯どめがかかって将来に展望が見えたわけでございます。したがってこれをさらに今後も伸ばし、また定着させることが大きな課題でございます。その場合麦のふえ方の様子を見ますると、畑の場合は北海道は規模が大きいものでございますから伸びておりますが、都府県におきまして畑は依然減少を続けている、約一四%四十九年度減少いたしました。それに対しまして水田裏作麦は約一二%ふえたが、それに北海道の増が加わりまして、全体で三・五%増になったわけでございますが、これから見ましてもやはり今後伸ばすべき麦の中心は水田裏作麦であるということに考えたわけでございます。
 そこで、四十九年度の後を受けまして、さらに水田裏におきまして麦を伸ばすにはどうしたらいいかと、その場合には先ほどの生産振興奨励金もございますが、もう一つはいわば麦作集団を育成し、伸ばしていくことが必要であろう。と申しますのは、麦が伸びません大きな原因は、経営規模が零細であるということが基本にあるわけでございます。したがって土地の利用の集積を高めまして、そこに高性能機械を導入するということをいたしますれば、麦の作付は伸びやすくなるということで土地利用の集積、それには集団化をいたしまして作業の受委託でございますとか、期間借地でございますとかというふうに組織化をいたしまして、そこに機械を入れていくと、そういったかっこうの麦作集団を育成しようということで、五十年度予算におきましては従来よりもモデル麦作集団の助成単価を、水田につきましては二・五倍にふやすという措置も講じたわけでございます。
 まあこれらの結果もございまして、五十年産の麦は昨日、面積発表になったわけでございますが、北海道を加えまして四%程度ふえる見込みでございまして、減少傾向に歯どめをかけてさらに伸びる傾向が出たと。したがってこれを今後さらに伸ばすという方向に進めてまいる手がかりを得たわけでございます。これに対しまして、したがいまして予算といたしまして先ほど申しました生産振興奨励補助金の予算、これが四十九年が約百億でございまして、五十年は約百二十億の予算を計上してございます。それから先ほど申しましたモデル麦作集団の奨励金でございまして、これが四十九年は四億に対しまして、五十年が十三億程度の予算でございます。それ以外にさらに機械とか施設でございますとか、あるいは乾燥調製施設の導入ということで、たとえば大規模麦作団地あるいは高能率の稲作団地等につきまして、機械、施設等の導入を助成いたしておるわけでございます。
 以上が麦につきましての動向と大体の施策の概要でございます。
#51
○原田立君 麦作の問題が出たので、ついでに大臣にお伺いしておくんですが、本年の米価については、大蔵省では米価抑制のため生産者米価と消費者米価を同時に米審に諮問するということを聞いておるんですが、農林大臣はどう考えているかお伺いしたい。
#52
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあ米価につきましては生産者米価、消費者米価、その間にはやはり基本的には関連があるわけでございますが、まあこれまでの米価決定に当たりましては、同時に諮問をしたということもあるわけでございますが、大体それぞれ別個に諮問をして決定をいたしておるわけでございます。そうした経緯もあるわけでございますが、まあ今日の段階におきましては、米価につきましてその取り扱いをどうするかということについては私としては何も詰めてない、まあ検討中であるということでございます。各方面からいろいろの声は上がっておりますが、私としては目下慎重に検討を重ねておる最中でございます。
#53
○原田立君 まあ検討中ならそれ以上の答えはなかろうと思うからあえて追及をしませんが、まあその問題はこれだけにしておきます。
 国土利用計画法と農振法、それに加えて都市計画法などの都市に関連した利用計画法案をめぐって幾つかの地方では、都市側と農業側の陣取りがはっきりしない、農林省と建設省はもっとはっきりしてもらわなければ困る。こういう省庁間の権限争いがあるといった不信感も出ているわけでありますが、このような点も含めて、都市計画区域の調整区域、要するに調整区域と農振地域の白地地域の、重複地域の土地利用をどうするのかということは今後の大きな問題点になってくると思われるのでありますが、これはどういうようにお考えになっておられますか。
#54
○政府委員(大山一生君) 国土利用計画法、これにおきます五地域、土地利用に関します五地域区分。この問題につきましては、国土利用計画がまだできていない段階でございますので、従前の諸制度を原則として地域指定をいたしたわけでございます。その過程におきましても、先生御指摘のように取り込みというような問題があったことも事実でございますけれども、現在のところ、都市地域と農業地域というものは、都市地域が都市計画法、そして農振地域が農振法というものを主要な法律にしているという関係もございますので競合いたしておるということに相なるわけでございます。そこで、都市計画法によります市街化調整区域、これは一体的に今後とも長期にわたって市街化を抑制すべき地域というふうに位置づけられているわけでございますので、こういう地域におきます優良農地は、極力農振法による農振地域、そして農用地区域に編入するということで、各種のと言いますか、農振法の運用をいたしている次第でございます。
 市街化調整区域ということにおきまして、じゃあ一切の開発はないのか、こういう問題につきましては、たとえば道路でありますとか、公園、学校等の都市計画施設の整備でありますとか、あるいは二十ヘクタールを超える都市的開発、こういったような問題につきましてはこれはやはりある程度は認めざるを得ないということに相なろうかと思いますが、こういった都市的開発につきましても、農業上の土地利用との調整を図りまして、そして一体的な地域農業の振興に支障を及ぼさない範囲内において認めるという措置を講じている次第でございます。したがって、原則的には市街化調整区域は積極的に農振法農用地なりそしてまた、農用地区域に編入して、そして優良農用地の確保をしてまいるというふうに、両方の間の調整がなされることになっておるわけでございます。
#55
○原田立君 市街化区域のことを聞いたんじゃなくて、調整区域、都市計画区域の調整区域、この話を聞いたのですよ。
#56
○政府委員(大山一生君) 私が市街化調整区域と申し上げましたのは、先生の言われた調整区域のことでございます。もう一つ申し上げますと、都市計画法の中での市街化区域と市街化調整区域といわれます市街化調整区域というものは、これは市街化を抑制すべき地域といって位置づけられておりますので、その中に含まれます優良集団農用地等は農振法による農振地域、そして農用地区域に積極的に取り込む姿勢で進めてまいる、こういうことを申し上げたわけでございます。
#57
○原田立君 新全国総合開発計画あるいは国土法あるいは農振法など、土地利用計画に当たって関係各省庁間の連絡は緊密にできておると思うのですが、どういうような形で具体的に行われているのか。
#58
○政府委員(大山一生君) 新しい国土総合開発計画あるいは国土利用計画、こういうものの策定に当たりましては、随時関係省庁の事務担当者による打ち合わせ等を行って、そしてそごのないようにいたしておるわけでございます。
#59
○原田立君 具体的に何か……。ただいま局長は簡単に、事務官、事務局がというような表現であるけれども、たとえば大臣の官房長が出るとか、あるいはまた局長が出ていくとか、何かそんなようなことの連絡会議があるのですか。
#60
○政府委員(大山一生君) 具体的な問題になりますと、いろいろと各省間の調整で手間取ることがあるわけでございます。したがって、各段階における調整ということも場合によっては必要になることがあろうかと思います。形式的に何会議、その下の幹事会、その下の事務局会議というような形式的なかっこうでの調整はいたしておりません。随時その必要に応じて打ち合わせを行う、こういうかっこうで対処をしておるわけでございます。
#61
○原田立君 その問題ごとに取り上げていく、こういうふうなことのようでありますが、われわれ生産農家の側に立っている立場からいけば、こういった話し合いの席でも、農林大臣として食糧問題の根本である農用地の確保保全を強く訴えていくべきである、こういうふうに思うのでありますが、農林大臣の御決意はいかがですか。
#62
○国務大臣(安倍晋太郎君) 食糧問題につきましては自給力を高めていくということが基本でございまして、そのためには農用地の確保、保全ということを強く訴えなければならぬわけでございまして、したがってそういうふうな基本的な考え方の上に立って国土庁その他の各省庁との折衝調整の中にあっても、われわれの食糧自給の確保ということの基本方針が貫かれるように積極的に調整を図っていく、という基本的な方針であり、その決意であるわけでございます。
#63
○原田立君 これに関連して、新全国総合開発計画によると、農用地は六十年を目標として六百五十万ないし七百万ヘクタールとしているのに、農林省の「農産物需給の長期見通し」には田が二百九十万ヘクタール、畑が二百九十五万ヘクタール、草地が二十五万ヘクタールで、合計六百十万ヘクタールと、新全総計画よりも四十万から九十万ヘクタールも少なく見積っている。これはまあ新全国総合開発計画の何か見直しを四十七年ごろからやっているということなので、これだけの差ができたのか。それにしても余り差ができ過ぎるのじゃないか、こう思うのですが、その点はいかがですか。
#64
○政府委員(大山一生君) 御指摘のように、現在あります新全国総合開発計画では農用地として六百五十万ないし七百万ヘクタールを目標にしていることは事実でございます。これは御存じのように、四十年を基準年次といたしまして二十年間といいますから、まあ六十年の超長期の見通しだ、こういうことで、四十四年に策定されておるわけでございます。で、特に牛乳、牛肉の需要という問題に対しまして相当大幅に見込んでおるというようなことから、牛を一千万頭飼育する、こういうようなことで、草地造成を百四十万ヘクタール、こういうような見込み方をいたしておるわけでございます。ところで今回閣議決定されました六十年見通し、これにつきましては最近におきます畜産物の需要の動向、それから現時点の牛資源の現状といいますか、あるいは農用地造成の可能性、こういったような非常に現実的な立場に立ちまして約五百八十万頭の牛というものの飼育というようなことを見込みまして、そして六百十万ヘクタールを目標にしていると、こういうような次第でございます。
 なお、新全総につきましては、現在新たな計画を策定するような方向で、現在いろいろと研究中というふうに聞いておるわけでございまして、この策定という問題が出てまいりました場合におきましては、農林省といたしましては、最近閣議決定いたしました長期見通しということを踏まえて調整を図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#65
○原田立君 口の悪いのがいましてね、また、農林省は押されっ放しで、とうとうこめやられたんじゃないか、だから計画が少なくなったんじゃないかと、こういう批判もある。で、農林省こそ実はより多くの農用地を確保しようと、こう努めなきゃならぬと思うのです。局長、先頭になって、しっかりやっているんだろうとは思うけれども、先ほども具体的に数字を挙げたように、新全国総合開発計画から見ても、はるかに減っている。これじゃあんまり強いことを言えないんじゃないか。もう少しがっちりとした姿勢でやってもらいたいと、ぼくは思うんです。
 同じく土地利用の六十年目標の農用地では、建設省の新国土建設長期構想試案によると、これは五百八十万から六百万ヘクタールと、農林省の長期見通しよりも少ないが、ここいら辺農林省の見解はどうですか。まさか建設省にまでも押されちゃってまた、へこむようなことがあるようなことはなかろうと思うけれども、考えをお聞きしたい。
#66
○政府委員(大山一生君) 建設省の長期構想試案というのですか、これは、たしか四十七年に策定されていると思いますが、建設省の物の考え方が当時の経済成長を前提として、将来の何といいますか、壊廃という見通しをひとつ立ててその上で試算をしたように理解しているわけでございます。したがいまして、われわれが六十年見通しで考えております面積よりも少ないと、こういうようなのが出ているわけでございますが、あくまでもこれは建設省の単なる試案、事務当局の試案にすぎないというふうに理解しております。いずれにいたしましても、われわれといたしましては、四十四年にできました、新全総のときに考えました牛一千万頭というようなことではなくて、現実性を持った、たとえば牛五百八十万頭ですか、こういったような非常に、われわれとしては実現可能なものという立場に立って、それもかなりの積極的な意欲を持ってでございますけれども、長期見通しを立てているわけでございます。その長期見通しに基づく各種の数字といいますか、農用地面積等、こういうものにつきましては、これを前提といたしまして新たにつくられるでありましょう新新全総、あるいは各省のそれぞれの需要見通しといいますか、こういうものには対応し、極力この食糧自給度の向上ということを図らなければならない農林省の立場を、先生の御激励ではございませんけれども、進めるような方向で対処してまいりたいと思っておるわけでございます。
#67
○原田立君 農業白書によりますと、四十八年の農用地の転用面積は六万七千ヘクタールで、これは総耕地面積の一・二%に当たるということであり、これが非農林向けは前年よりも一四%減ってはいるというものの、耕地が減少していることは変わりない。また、四十九年八月の耕地面積は、前年より七万五千ヘクタール減少して、五百六十一万ヘクタールであるというが、このような状態では食糧確保に必要な優良農地を確保するのがだんだん減少していって大変なことになるのではないか、こう心配をするわけでありますが、こういうような農地が減少することを、もっと食いとめるような歯どめ策とでもいいますか、そこら辺はどんなふうに考えておりますか。
#68
○政府委員(大山一生君) 農地の減少という問題でございますけれども、この八月一日現在の耕地面積統計調査、これによりますと、かなりの減少が先生御指摘のとおりあるわけでございます。ただ、その中身を見てまいりますと、いわば農業外といいますか、植林以外の、農業外の人為壊廃というものは減少する傾向を見せております。それで、この四十九年度の、前年度に対する減少という問題には、やはり山間地帯におきます植林というようなこと、あるいは耕作地放棄といったようなものが大きく出ているというふうにこのたびの耕地面積統計では把握されるわけでございます。われわれといたしましてはいわば二つの問題、一つは、他目的への人為壊廃という問題に対処いたしましては、これは農振法の農用地区域に取り込む、あるいは農地法の適正な運用というかっこうで、それの必要に応じて厳正に対処してまいりたい、そして、農地の壊廃を減らしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。が、やはりもう一つの大きな要素でございます植林への転回の一部、あるいは耕作放棄ということによる耕地の減少という問題に対しては、やはり農林省を挙げての一つの問題として対処しなければならぬのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。このたび農振法の改正におきまして、特定利用権の設定というようなこと、あるいは利用増進事業の中にこういう耕作放棄地区も取り込む、というようなことは、そういう耕作放棄、あるいは利用度の低下という問題に対処する一つの方法というふうに考えておるわけでございまして、いずれにいたしましても、こういった耕作放棄というようなことによる耕地の利用率の低下という問題に対しましては、十分にこれに対処しなければならぬ、また対処する責務があるだろうというふうに考えておるわけでございます。ただ、現在の不作付地というものの実態という問題につきましても、先々来申し上げておりますように、現在、緊急にこの実態、そうしてそれの復帰の手法といったようなことも含めまして調査をいたしておるわけでございまして、結論を得次第対策を講じてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
#69
○原田立君 農家戸数にしても四十九年には前年に比して一・四%減の五百二万七千戸であり、これも年々減少の一途をたどっておるわけでありますが、農業就業人口も減少率は鈍化したといっても、まだまだ減少し続けているし、しかも、四十九年三月卒業の就農者は前年より四千人下回る一万四千人であると言われております。こうした農家戸数、農業就業人口、農業後継者の問題にどういう対策を持っていくのか。法案だけ整備していても、実際面がこうした状態では日本農業はお先真っ暗ではないか、こういう心配をするわけであります。今回の静岡県の視察に行ったときも、農業後継者の問題に特に力を入れたという村長の話もありましたし、農業後継者の問題にどういう対策を持って進めていくのか、その点をお伺いしたい。
#70
○政府委員(大山一生君) 農家戸数の減少の問題でございますが――農業就業人口は確かに高い水準で減少を続けているわけでございます。他産業への流出、あるいは多少の他産業からの還流というものも見られますけれども、いずれにしても就業人口の動向といたしましては高い水準で減少している、これは御指摘のとおりでございます。これは兼業化が著しく発展している。そして農業労働力が老齢化、女性化といいますか、女子化といいますか、弱体化しているような動向の中におきまして、午前中の質疑にもございましたけれども、基幹男子労働力というものを持っている農家というものが総農家数の約三割であり、そして粗生産額の六割を担当している、こういうふうな事態にあるわけでございます。農家戸数は確かに農業就業人口の減少に比べれば低いわけでございますが、自給度の向上を図り、安定的な食糧の供給を確保していくためには、やはり中核となる農家というものに着目して育成、確保を図っていかなければならぬわけでございます。そういうような観点から、環境整備も含めました基盤整備でありますとか、あるいは二次構造改善、さらには今回の法律の改正によってまた中核的担い手の確保、育成を図ってまいりたいというふうに考えるわけでございます。
 後継者の問題につきましては農蚕園芸局長の方から答弁いたします。
#71
○政府委員(松元威雄君) 御指摘のとおり、最近新規学卒者の中で農業に従事する人員は減ってきています。後継者の確保がなかなか問題だということはそのとおりであるわけでございます。しかし、後継者をいかに確保するか、これは基本的に申しますと、何と申しましても根本は農業を魅力のある産業に確立するということが一番根本でございます。それからまた、それとあわせまして、農村をいわば住みよい生活環境に整備すると申しますか、こういうことが基本であるわけでございますから、一つの施策でずばりという施策があるわけじゃございませんので、各般の農政を全部集中いたしまして、その結果いま言ったように農業が魅力ある産業に確立される、また、農村生活環境が整備されるという結果、後継者が確保されることになるわけでございます。で、そういった各般の施策とあわせまして、いわば直接的手法と申しますか、手段の一つといたしまして、いわば後継者に対しまして、一つには技術の高度化を図る、あるいはまた経営の管理能力を高める、こういったこと。私ども、農業改良普及事業の中でそういうことをやっておりますが、それがいわば直接手法になるわけでございます。したがいまして、広い意味の農業改良普及事業の一環といたしまして後継者に対しまして、いま申しましたとおり技術の高度化を図る、あるいは専門的な高度の経営管理能力を付与するということにつきまして従来もいろいろ、各種の研修、教育でございますとか、あるいは青少年の活動促進でございますとか、そういうことをやっておりますが、これをさらに本年度もいろんな手法で拡充いたしているわけでございます。これらをあわせまして、そういった後継者を確保するように持ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#72
○原田立君 第二種兼業農家の問題にしても、四十八年の六一%に対して四十九年は六三%にふえている。二%増でありますが、これを農林省はどのように評価しているのか、これが一つ。それから、第二種兼業農家がふえているということは、土地を手放す農家や農外への流出人口が潜在的にふえているということではないのか。ゆゆしい問題ではないかと、こう思うのでありますが、その二点についていかがですか。
#73
○政府委員(大山一生君) 御指摘のように、第二種兼業農家の割合が、割合といいますか、比率が高まっているのは御指摘のとおりでございますけれども、結局その原因ということになりますと、やはり兼業所得というものが増加している、あるいは兼業従事者の数が増加している。こういうことに起因してそして兼業所得が、兼業農家の転位からいたしまして農業所得を上回る農家がふえてきている、こういうことによるわけでございます。第二種兼業農家というものの実態を見てまいりますと、比較的安定した兼業というものに従事している方が多いというような傾向もあわせて出ているわけでございます。特に恒常的な給与というものに依存する率が相当部分を占めている、こういうような統計も出ているわけでございます。
 第二種兼業農家がこういうふうにふえているということは、農家としての土地という問題との関係において考えますと、必ずしも土地を手放していくというような傾向というよりは、むしろ資産的に保有する傾向が多いというのが客観的に見た現況であろうというふうに考えるわけでございます。で、むしろ安定した兼業に依存している農家の方々の、しかもまた一方では資産保有的傾向ということを踏まえますと、やはりそこで利用増進事業といったようなかっこうで、これらの土地をむしろ集約的に集積して使える農家の方に移行せしめるというような利用増進事業というものがまた、それを背景として可能になってくるのではないだろうかというふうにも考えるわけでございます。第二種兼業農家の方々の今後の方向といたしましては、あるいは農村工業の導入というようなことも必要でございましょうし、あるいは職業訓練というようなことも今後の施策としては必要になってくるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
#74
○原田立君 同じ第二種兼業農家の問題でありますが、その増大と農外所得の問題からも考えられることは、兼業しなければならない状態。局長はいま健全な兼業農家というふうな表現をしたけれども、要するに、農家の人が実際に農業に従事するよりか農業以外に仕事を持たなければならない、言葉をかえれば、相変わらず出かせぎや、日雇いをしなければならない農家が非常に多いということになるわけでありますが、これについては、基本的な改善策、いまも何かちょろっと言われておられたようだけれども、はっきりしなかったけれども、そういう出かせぎや、日雇いやなんかに出ていかなければならないという、そういう農政をどう改革していくのかということが一つと、そういうふうにいま現実にやっている人たちに対しての改善策をどう講ずるのかということを、二つお願いをいたします。
#75
○政府委員(大山一生君) 兼業しなければ食っていけないという農家、まあ典型的なかっこうとしては出かせぎ問題があろうかと思いますけれども、出かせぎ等のない農政といいますか、これが本来の方向であろうというふうに思うわけでございます。そこで農家の中にも、いわば農業を将来とも専業的に指向したいという方、あるいは農外に就業することによって安定的な生活をしたいという方、あるいは兼業収入というものを得たいという方、この三つの関係があろうかと思います。それらに応じまして各種の施策を講じていかなければならぬというふうに考えるわけでございます。ところでもう一つ、二種兼が非常に多い、こういう現状の中でどう改善するのかというお話でございますが、二種兼業農家は先ほどもちょっと申し上げましたけれども、兼業の中身というものを見てまいりますと、比較的安定的な兼業の形態が年々高まっているということもまた否定できないわけでございます。たとえば四十九年で申し上げますならば、恒常的な職員勤務、あるいは恒常的な賃金労務勤務といいますか、これが六七%を占めている。それから自家兼業も二一%を占めている、こういうようなことでございまして、そういう方々の農家所得というものも専業農家を上回るという実態にもなっているわけでございます。こういう方々に対しましては、たとえば現在われわれの方でやっております農業の就業近代化対策あるいは農村地帯への工業導入促進あるいは職業訓練といったようなことの施策を強化することによって、極力地元において安定した就労機会の確保を図っていくというような方向に改善をしていかねばならぬというふうに考えるわけでございます。
#76
○原田立君 白書では農外から農村への還流者は十一万二千人であり、還流者は農業就業者の補充源として重要であり、国内の景気の停滞がこのような結果をもたらした、景気の停滞は日本農業にとって好機である、などというような表現が白書の中にあるわけでありますけれども、このことは裏を返せば、相変わらず農家は経済の調子によって左右されているということになり、いわゆる経済第一、農業第二、第三とこういうふうな基調を裏づけることになっていると思うんであります。もちろん経済のある程度の影響性というものはあるだろうとは思うんでありますけれども、景気、不景気、これにいつも振り回されるような、そういう基盤の弱い農家ではなしに、もっと基調の、基盤のがっちりとした農業経営というものをつくり上げていくべきではないか。先ほどからいろんなふうな話もありますけれども、要するに、食える農業、食える農家、これをつくり上げていかなければ魅力も、へったくれも何もないだろうと思うんですよ。そういう意味で経済にかき回されるような農業じゃなくて、もっと基盤のしっかりとした農業をつくるべきではないか。こういうふうに思いますが、いかがですか。
#77
○政府委員(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 確かに景気変動等によって農家の労働力の出入りというものが、非常に大きく振れるというような不安定な状態ではなくて、農業経営の内部におきまして労力の配分とか、あるいは所得の確保というような点につきまして十二分な、他の産業に従事する方々と同様な暮らし向きができるというふうな施策の確立によって安定した、お話のとおり安定した形に行くべきものであるというふうに考えるわけでございます。
 ただ、御指摘の農業白書についての数字でございますが、この点につきましては、われわれの数字の分析によりますと、農家について経営者が老齢になりまして、相当な農家で老齢になりましてある程度、町と申しますか、他産業で働いていた方々が中年になって戻ってくるというような方々、あるいは農村の出身で町に働いていて老齢化してお年をとられて戻ってくるような方々、というような方々の数が相当多く占めておるわけでございまして、端的に御指摘のような景気変動でございますとか――この白書か扱った期間も実はまだ四十八年当時でございまして、そう景気の後退と申しますか、それがはっきり出なかった時期の数字でもございますので、その点につきましては一言注釈をさせていただきますが、基本的にはお話のとおり、景気変動その他、外的経済の変動に振り回されない農業経営の確立というものを主眼とすべきであるというふうに考えておるわけでございます。
#78
○原田立君 今日のように、現在、日本農業の危機といわれるに至った原因は政府の失政にあったという批判が非常に多いわけでありますが、私もその一員でありますが、その点について質問したいのであります。
 まず、今回の農振法の改正点である農用地区域内における農用地利用増進事業について簡単に説明してください。
#79
○政府委員(大山一生君) 現在の日本農業の状況という問題をどう考えるか、非常にむずかしいいろいろの見解があろうと思いますが、実際問題といたしまして、最近の地価の上昇というようなことから農地の資産保有的傾向が著しく強まっているということはまた否定できないわけでございます。また農地法によります耕作権保護というようなこともございまして、農地の売買あるいは長期賃貸借というようなかっこうによります経営規模の拡大というのはむしろ余り進んでいない。むしろ農地の利用度が低下する傾向さえ見られるわけでございます。そういうようなことにかんがみまして、今回農振法の改正によって利用増進事業というものを行うこととしたいということが今度の提案の一つであるわけでございます。確かに、農家の中におきまして農地の利用は、土地の保有、持っておくけれども利用だけならば他人に任せたいという、そして経営を縮小したいという農家と、また一方では何が何でも規模の拡大を図りたいという農家と、両方が相当において存在しているということもまた否定できないわけでございます。こういったようなところは、たとえばそれが典型的に出ておりますのが請負耕作とか、こういったようなかっこうが非常に出ております都市近郊あるいは中間地帯、こういったところになるわけでございますが、こういったようなところにおいて、こういうふうな二種類に分化する農家の意向というものをもとにいたしまして、いわば有効利用を図る方法として、この利用増進事業を考えたわけでございます。
 簡単に御説明しろと、こういうお話でございますが、利用増進事業はそういったような環境と農家の意向というものを前提といたしまして、市町村というものの関与する中で土地の所有者、そして利用者、こういう方々の集団的合意というもののもとで、利用増進計画を一定期間ごとにつくってまいる。そしてその利用増進計画の中で利用権を設定していく、こういうようなかっこう。逆にいいますならば、貸す方から言うならば安心して貸せられる、そして利用する側から言うならば、そういう利用計画が反復つくられる中で、実質的には、実態的には継続して利用権を持っていける、こういうふうなことを行おうというのが、この利用増進事業の考え方でございます。
#80
○原田立君 不耕作農地はどうしてできたと判断しますか。
#81
○政府委員(大山一生君) 不作付地というものにつきましてはある程度の面積があるだろうと、こういうふうに考えているわけでございますが、その実態は現在緊急に調査しているわけでございます。その調査の結果を待たないと確定的なことは言えないわけでございますけれども、やはり農業労働力の流出というものが続いている中で、谷地田でありますとか傾斜畑といったような劣悪な立地条件に起因しているものが相当あるのであろうというふうに考えるわけでございます。また、都市近郊地帯におきましては全般的な農外依存度の高まりという中で、いわば担い手の減少でありますとか、あるいは弱体化、耕作意欲の減退といったようなことがこの原因になろうかというふうに都市近郊においては考えられるわけでございます。また、そのほかに純農村地帯におきましても、いわば施設園芸といったような集約的な作物部門へ専門化していくというようなところにおきましては、それの労働配分との関係において、普通作物等をやっている部分についての経営が行われにくくなる、こういったようなことがあろうかと思います。
 いま言いましたようなことが、地域地域における不作付地の発生の原因ではないだろうかというふうに考えますけれども、やはり一般的に申しますならば、やはり資産保有的な傾向と耕作権の保護、こういったような問題の中で貸しにくいというようなことが、やはり不作付地を発生している一般的な原因ではないだろうかというふうに考えるわけです。
#82
○原田立君 ただいまは不耕作農地に対する見解をお伺いしたわけでありますが、この不耕作農地のできた要因の一つとして、政府がこれまでとってきた減反政策にあると私は判断するのであります。この減反政策について農林省の見解はいかがですか。
#83
○政府委員(松元威雄君) ただいま不耕、不作付地の発生と関連いたしまして、減反政策ということについての御質問でございますが、私どもの考え方はこうでございます。米の生産調整及び稲作転換対策、これは御案内のような米の著しい供給過剰という重大な事態に対処いたしまして、実施したわけでございまして、その場合、基本的にはこれは単に米を減らすんではなくて、稲から今後需要の増大するほかの作物へ転換するということを基本といたしたわけでございます。ただし当時、いわゆる余剰数量が非常に大きかったことはございますし、かつ緊急に実施しなければならぬ事情もございましたものでございますから、三年間を限りまして、休耕をも対象として奨励措置を講じたという経過があるわけでございます。しかし、これはあくまでも基本は転作でございまして、三年間の緊急のやむを得ない措置だったわけでございます。
 そこで、休耕に対しましては休耕奨励補助金も出ていたわけでございますが、したがいまして、多くの農業者の方々は、この休耕奨励金を活用いたしまして、おおむね良好な管理をいたしたというふうに私どもは見ておるわけでございまして、その結果、四十九年から休耕はやめたわけでございますが、従来の休耕田約二十七万ヘクタールございましたが、その過半は稲作を中心とする生産に復帰したというふうに見られるわけでございます。しかし、なお四十九年度にもある程度のものが不作地として残っているということ、これは事実でございます。ただ不作付地の実態でございますが、実態は先ほど構造改善局長の答弁にもございましたが、現在調査中でございますが、ただいろんな情報から判断いたしますると、一つには農業的地帯にありましては山間の谷地田、こういった立地条件の悪いところ、これはかなり多うございます。もう一つは、いわゆる都市近郊におきまして、若干語弊があっては恐縮でございますが、いわゆる転用待ちと申しますか、そういったものがございまして、単なる休耕の結果というよりも、現在の社会経済的な諸条件、これを背景にして、そういう事態になっているというふうに思われるわけでございます。
 そこで、こういった事態でございますから、米の生産調整、稲作転換対策、これについての実施状況を考えてみますると、何と申しましても、一つには米の需給につきまして、おおむね年々の需給の均衡は図られてきたということ、そうしてまた、それまでの膨大な過剰米も処理できたわけでございます。また、稲作転換につきましても、それぞれ地域地域の特性に応じました進展が行われまして、水田におきまして飼料作物、野菜あるいは大豆、こういった生産は、それぞれの供給面である程度のシェアも占めているわけでございます。かたがた、転作をなさった農業者の方々の経営におきましても、そういうものを取り入れて、経営を向上させる契機となっている、こういう面もあるわけでございます。したがいまして、この対策は米の過剰という事態に対応しながら水田を活用して、食糧全体の総合的な自給力の向上を図るという面で一定の役割りを果たしたというふうに考えているわけでございます。
#84
○原田立君 いま説明いただきましたけれども、見方が余りにも甘過ぎるんじゃないかと、私はそう思います。私みたいな素人でもそう感じます。特に東北地方の減反による後遺症はひどいものがあります。相沢議員がいればいろいろともっと実態生々しい意見が言えるだろうと思いますが、私は南の九州なもんだから、ちょっと言葉が悪いが。特に東北地方の減反による後遺症はひどいものがあります。村の中に必ず二、三軒の空き家が目につき、過疎農村をつくり上げているわけでありますが、部落ぐるみで客土をしてつくり上げた田畑もいまでは使い物にならなくなっている。あるいは若者は村を出て行ったきり帰って来ないなどといった現象が至るところにあるわけであります。地元の農民の声を聞きますと、それはもう怨嗟の声がはなはだしい。いろいろな報道がされているのを皆さん方もごらんだから御承知だろうと思うが、減反政策の後始末の責任は、挙げて政府にあるとか、日本農業の発展は耕地拡大の歴史の上に築かれたことを政府は忘れているのではないかとか、あるいは政府は減反を強いて農民を土地から追い出したのだと、あるいはまた、もう土地づくり、人づくりなどを説いても政府の言うことは信用できないと。こういうふうな声が至るところで、いろんな不信の声が上がっているわけでありますが、まず政府は、こういった農民の真実の声を聞く姿勢を持つべきである、これが一つ。
 二つには、こうした農民の政府不信にどう対処していくのかということが二つ。
 三番目に、休耕田の復元対策をどうするのか、これが三つ。
 以上三点についてお伺いします。
#85
○政府委員(松元威雄君) 非常に基本的な御質問でございますが、第一の、いわゆる減反政策に関連いたしましたいろいろな事情があるわけでございますが、いわゆる減反、私どもはこれを米の生産調整、稲作転換対策というふうに言っているわけでございますが、これは当時の米の著しい過剰という事態に対応するための、いわば非常にむずかしいことは十分承知いたしたわけでございますが、あえてやらなければならなかったわけでございまして、その結果、米の需給面及び稲作転換におきまして、それなりの効果もあるわけでございます。ただし何と申しましても、それまで米をつくっておりましたのに対して、米以外のものをつくるということを要請するわけでございますから、これには十分農家の方々の理解と協力をお願いしなければならぬのでございます。したがいまして、この対策を実施するに当たりましては、地方公共団体、あるいは農業団体等の代表者で成ります協議会を開催いたしまして、御意見を承る。あるいはまた、それぞれの地方を通じまして理解と協力を求めるということをやったわけでございますが、今後ともそういったことでもって関係者の意見を聞くという基本姿勢、これは当然のことと思うのであります。
 それからまた、農政に対しましていろいろ御意見もあるわけでございますが、それは何と申しましても結局、この対策の結果も踏まえまして総合的な食糧自給力の向上、それからまた、農家生活向上のための各般の施策、これを展開していくということは、何と申しましてもそれにこたえることではないかというように考えておりまして、したがいまして、そのための施策を今後さらに充実してまいるということであるわけでございます。
 第三番目の休耕田の復元の関係の問題でございますが、これは先ほども若干触れたわけでございますが、休耕奨励金が打ち切られましたので、それに伴いまして、従来約二十七万ヘクタール休耕田ございましたが、これは四十九年から過半は稲作を中心とする生産復帰をいたしたわけでございます。しかしなおかつ、まだ若干残っている、これも事実でございます。そういたしますと、使われぬ農地が残っているということは、狭い国土資源を有効に使うという見地から申しますと、これはそのまま放任はできないというわけでございまして、これを食糧自給力の向上という見地から、少しでも休耕地を生産に復帰させるように活用を図るということは、これは必要であるというふうに考えられるわけでございます。ただ、その場合に、問題はどのような実態にあるかということ、これが問題であるわけでございまして、先ほど若干触れましたが、これまでの情報とか調査によりますれば、都市近郊のいわゆる転用待ちでございますとか、あるいは山間地帯の立地条件の悪い谷地田に多いというふうに考えられるわけでございますが、しかし、これまだ必ずしも詳細な実態なわけではございませんから、そこでまず実態を把握する必要がございますものですから、本年度不作付地等につきまして実態を調査いたしまして、その土地的な条件、あるいは経営的な条件、これを十分把握して、そうしてどのような措置を講じたらいいだろうかということにつきまして検討を行うということをいたすわけでございますし、あわせまして稲作転換促進対策事業の中にもこういった不作地を取り入れて、活用いたしまして、生産に誘導するという施策も講じておりまして、これらあわせて進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#86
○原田立君 そこで農振法の改正点の耕作農地利用の件でありますが、減反によって不耕作地を強いられ、今度は農振法改正で、不耕作地にしておくと最悪の場合は、強制的に農地を貸さなければならないという状態では、農地擁護の立場から行われるという悔いはあるが、借り上げられる農家からすれば、また政府は勝手なことばかりすると言って、踏んだりけったりだと。そういうような、より一層の不信を招きかねない。この点の重要な配慮が必要になってくると思いますが、この点はいかがですか。
#87
○政府委員(大山一生君) 特定利用権の問題でございますが、この特定利用権を設けました趣旨は先生御指摘のとおりでございまして、農用地区域内の農用地というものの有効利用を図る、こういうことに目的があるわけでございます。ただ、この特定利用権という問題は、やはり財産権との関係がございますので、財産保護の面から、手続要件等は非常に適正なものでなければならないわけでございます。したがって、所有者の立場というものは十分に配慮いたしたいというふうに考えるわけでございます。で、不耕作者の事情でありますとか、あるいは地域の農業者の農業経営の状況等、十分な配慮をするように指導いたしまして、そうした配慮をした上でなおかつ市町村なり農協が、地域農業者の共同利用に供することが真に必要であり、かつ適当であると判断された場合におきまして、所有者と関係機関とにおいて十分協議いたしまして、できるだけ納得の上で特定利用権が設定されるようにいたしたいというふうに指導してまいりたいというふうに考えて、財産権の保護には十分な意を尽くしてまいりたいというふうに考えております。知事による特定利用権の強制設定という問題は、いわば伝家の宝刀と申しますか、あくまでも補完的な措置として運用するようにしてまいりたい。そして、先生の御指摘になりましたような点についての配慮に欠けることのないようにいたしたいというふうに考えるわけでございます。
#88
○原田立君 最後にお伺いしたいのでありますが、たとえば牛にしても豚にしてもミカンにしても、政府が指導して、そうして言われるように一生懸命増産したらば、物価ががたっと下がっちゃって、結局食べられない、食えない農家になっていっている。こういうのが過去の歴史に幾らも、ずっと枚挙にいとまがないほど指摘される問題点があるわけでありますが、今回のこの新しい方法は、本当に農民のためを思い、ああ、よかった、というようなものにしなければならないと思うんです。しまったと、こういうふうに思わせるようなことであったんではならないと思うんです。これは精神規定的な、精神論みたいなことになるんでありますけれども、本当はこれは大臣に、この農振法について、食える農業、農民を欺かない、そのための農振法であるということを明言を一言いただきたいと、こう思っておったんですが、大臣来てないから、局長――官房長は後ろにいるから、官房長に聞いても無理だろうから、局長いかがですか。
#89
○政府委員(大山一生君) 確かに一億の人口というものの胃袋は意外に小さいという面もあるわけでございますが、この農振法は御存じのように、下からの意欲の盛り上がりが農振計画というかっこうで集約される農振の形になっているわけでございます。で、そういう農振の網が全国的にかぶった段階で、このたび質的な改善を図りたいというのがこの農振法の改正であるわけでございます。先生の御指摘の作物奨励と不作付地の生産誘導という問題との関連で一番問題がございますのは、利用増進事業であろうというふうに考えるわけでございます。利用増進事業は、先ほど来申し上げておりますように、いわば利用権を集積するかっこうによって担い手の育成を図る。こういうことを目的としているわけで、いわば作物をつくる担い手を育成するという点に重点があるわけでございます。
 したがって、利用増進事業が特定作物の振興ということを直接の目的としているわけではないわけでございまして、地方のそういう下からの盛り上がりの農振計画の中における地域の実情に応じた作物についての利用増進計画事業、こういうことになろうかと思っております。ただ、利用増進事業の一つの当面の使用といいますか、利用のされ方の一つとして考えられる問題に、いわば奨励しなければならない麦等の裏作奨励というようなかっこうでの利用増進事業も、場合によってはあり得るかというふうに考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、利用増進事業という問題によっていわば担い手の育成をする、そしてその担い手というものの存在を背景に置きまして、各種の生産振興措置を講じてまいる。で、生産振興措置につきましては、諸般の事情を考慮しながらそれの生産対策には万全を期していかねばならぬというふうに考えるわけでございます。
#90
○原田立君 いま大臣一分ばかし遅かったから、局長に聞いたところだったんです。ちょっとそこで局長説明して、最後の結論を出してください。
#91
○国務大臣(安倍晋太郎君) どうも本会議で中断をいたしまして、申しわけありません。
 いまお尋ねの趣旨を事務当局から聞いたわけでございますが、要するに食える農業を確立しろと、こういうふうな御質問、さらにそれが農振法との関連においてどういうふうになっておるかというふうなお尋ねというふうに理解をいたしたわけでございますが、私たちも、わが国のこれからの農政を推進していくやはり基本的な要件としては、農業を担う人たちが安定をしていくということが非常に大事なことである。さらに、生産意欲を持って農業に取り組んでいただけるような農政を推進することでなきゃならぬと思うわけでございまして、そういう立場におきまして、農振法も農家――農業に従事しておるいわゆる中核農家を中心といたしまして、そうした担い手の人たちが規模の拡大を図り、そして生産性を向上させる。そういうことによってさらに農業に対する魅力を持たしていくということがこの農振法改正の一つのねらいであるわけでございます。で、われわれは、そうした基本的な立場に立って今後とも総合的な政策を立案をしながらこれを実施をしていかなきゃならぬと。これは生産対策だけでなくて、価格対策も同時に並行してやらなきゃならぬことは当然であると思うわけであります。
#92
○小笠原貞子君 まず最初に、農振法による開発行為の規制の問題についてお伺いしたいと思います。土地利用基本計画によって五つの地域というものが区分されまして、土地の利用の規制というものは国土利用計画法の上でどういうふうな措置がとられていくのかという点と、それから五つの地域中重複した地域が当然出てきているわけですけれども、その重複した地域の土地利用の規制はどうなるのか、この二点についてまずお伺いいたします。
#93
○政府委員(大山一生君) 国土利用計画法によります土地取引の規制の問題でございますが、これは二つございまして、一つは、あれは地価が著しく高騰しているようなといいますか、都市計画区域内におきまして土地の投機的取引が集中する、あるいは地価が急上昇する、あるいはそういうおそれがある、こういったようなところ。それからそれ以外のところにおいても、いま言ったような投機的な土地取引でありますとか、あるいは地価の急上昇というようなことによりまして適切、合理的な土地利用の確保が困難な場合、こういうところを期間を決めて規制区域に指定する。その規制区域に指定しているところにおきまして、土地の予約を含む取引を行う場合には知事の許可が必要である。それ以外のところにおいては知事への届け出が一定規模以上は必要である、こういうことに相なっているわけでございます。
 そこで、こういうふうな土地取引の規制と農地法による農地の取引との規制の問題でございますが、農地の取引規制というのは権利の移転の段階においてチェックする、こういうかっこうをとっておりますし、それから国土利用計画法においてはそういう予約も含めた契約をする段階においてチェックする、こういうことに相なっておりますので、それが農用地であるというようなことで農地法の対象になるようなものにつきましては、事前のその種の許可なり届け出のありますときに関係部局の間において協議をし、その結果農地法的なかっこうでの許可をすることのできないところはその旨を伝えて、国土利用計画法による土地取引の規制をしてまいる、こういうことに相なろうかと思っております。そして、土地取引規制の方におきます許可なり届け出――届け出の場合においても農地法の方の問題についての処置というものは保留することあるべしという条件がついて出されることもあり得るわけでございます。そういったかっこうで、土地取引についての国土利用計画法と農地法との間の調整が図られ、そして、いずれにいたしましても農地については農地法の精神によってこの土地取引の規制が行われるということに相なるというふうに考えております。
#94
○小笠原貞子君 重複した場合には。
#95
○政府委員(大山一生君) 重複した場合という問題でございますが、要するに、都市地域の中の市街化区域でない部分についてはすべて農地法による規制があるわけでございますので、その意味ではすべて重複しているところ。そういう意味において、重複しているところにおいては先ほど申し上げたような措置がとられる、こういうことでございます。
#96
○小笠原貞子君 それじゃ、改正案の開発規制について見ますと、政府案では、農振地域全体にかからないで農用地区域に限定されている、ということになっているわけですけれども、その限定されたという根拠。
#97
○政府委員(大山一生君) 御存じのように、農用地区域というのは長期にわたって農用地として利用すべく位置づけられたところであり、そのための慎重な手続を経て決められたところであるわけでございます。したがって、そういうところにおきます土地におきましては、農振計画どおりの用途に従った利用のされ方がなされねばならぬわけでございます。ところで、農地でございますならば、これは農地法による規制がある。ところが、農地以外の山林原野でありますと、農用地区域内においてもその種の規制ができない。そこで、農用地区域に飛び込み、そして開発をするように位置づけられながら、他に開発されてしまうおそれあるわけでございます。そこで、農地以外のそういう土地について、農用地区域としての利用に適したかっこうにするために開発規制を行うというのが今度の規制をするゆえんでございます。ところで、その開発規制を農用地区域だけにしたゆえんのものは、農用地区域外の農振地域、これはいわば一体としては農業の振興を図るべき土地ということになるわけでございますが、その土地というものの中身を見ますと、あるいは山林がある、あるいは河川である、こういったようなそれぞれがそれぞれの目的を持っている土地でございますので、そういう土地まで農振という立場から規制することは不可能であるということで農用地区域に限って開発規制をかけるということにしたわけでございます。
 ただ、衆議院の修正におきまして、農用地区域の保全のためにあるいはその農業上の利用を確保するために必要がある場合において、つまり農用地区域内の土地利用に悪影響を及ぼすような開発行為というものが農用地区域外で行われるということになりますと農用地区域に非常に影響を来たすということもございますので、そこについては所要の措置をとれる旨の勧告制度というものが修正されましたので、その修正の趣旨によって今後は対処してまいるということに相なるわけでございます。
#98
○小笠原貞子君 衆議院で修正されて勧告ということが言われたけれども、これはあくまで勧告にしか過ぎないと。その規制の力はどのくらいと見られるのかどうかというのも一つの問題だと思いますし、また、農業地域は農振法による農用地域だけではない、農業地域というのは広いわけで必要なわけですから。そうすると、国土利用計画法の第十条に基づく関係行政機関の長というのは、農業地域については基本的に農林大臣のことではないのか。そうしますと、土地利用の規制措置を講ずるものとする、というふうになっているけれども、それはどういうふうな規制になるのか。で、先ほどのお答えの中に、一つは農地法で規制すると言われたけれども、原野の場合には農地法の規制にはかからないというような問題がある。で、国土利用計画法の取引規制でそれは規制できるというふうなこともちょっと言われたようですけれども、取引のときには規制できるとしても、自分が持っている原野ということになればその取引の規制でもかからないというような問題は、どういうふうに考えていらっしゃるのか。
#99
○政府委員(大山一生君) 国土利用計画法におきます十条という規定は、要するに上位立法として、後は下位立法といいますか、各立法に任せる、こういう規定でございます。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
そこで、農用地区域内にあります土地の中で農地については農地法によって規制がなされる、こういうことになっているわけでございますが、山林原野については規制する規定がない。そこでいまのままにしておいてはまずいんで、今度開発規制をかける、こういうことに相なるわけでございます。農用地区域内についてはそういうふうな、いわば山林原野について今度かけるというのが今度の法律の趣旨でございます。
 そこで農用地区域外の土地という問題についてもっと強い規制はできないか、こういうお話でございますが、そういう土地はいろいろあるわけでございます。農振地域としていわば一体的に農業振興を図るべき土地ではありますけれども、その性格それ自身についてはいろいろのかっこうである。そこで、それについて農振というかっこうで直接規制するということは不可能である。しかし、それならば全然ほうっておいていいのかという問題もまずいんで、勧告制度ということによって対処してはどうであろうかというのが衆議院の修正であるわけでございます。勧告制度という問題は、いわば知事が勧告して、それに従わない者があれば、それは公表するということまで言っておりますので、それ相応の効果を持つものであろうというふうに考えるわけでございます。
#100
○小笠原貞子君 それじゃ建設省の方にお伺いいたしますけれども、都計法上との比較でちょっと見てみたいと思うのですけれども、都市計画法に基づく都市計画区域の開発行為の制限というのはどういうふうになっていますか。
#101
○説明員(沢本守幸君) お答えいたします。
 都市計画の場合におきましては、一応都市の秩序ある発展ということから考えまして、まず地域区分をいたしております。それは御案内のように大都市等の地域におきましては、いわゆる計画的な市街化を図るべき市街化区域というもの、それとまたうらはらの形になりますが、無秩序な開発行為を抑制すべき区域という調整区域という制度がございまして、この二つの区域区分というものをやりまして、この区域区分をさらに担保する制度といたしまして開発許可制度というものをつくって、この秩序ある地域開発ということを私ども念頭として行政をやっております。
#102
○小笠原貞子君 それじゃ続いてお伺いしますけれども、調整区域の中に地目としてはどういうようなものが含まれているでしょうか。
#103
○説明員(沢本守幸君) 地目といたしますと農地ももちろん入っております。また場合によりますれば林野もございます。それからまた宅地の場合もございます。いろいろな地目がございます。
#104
○小笠原貞子君 いまおっしゃったとおりだと思います。そして、衆議院の議事録などを見せてもらいましたら、都市計画区域の中、調整区域に三百三十一万ヘクタールがあって、そのうちに二百二十八万ヘクタールは農振地域と重複している。これは衆議院の東畑参考人の御発言で出ていたわけなんです。それで、そういうふうに調整区域の中にいま言ったような農振地域とダブるというところがたくさんある。そして一方、都市計画法では、規制をするというとダブっているわけですね。都市計画法の上では、ダブっているその農地に対しても都市計画法に基づく許可の対象、三十四条ですか、基本的に対象の土地になるというふうになっているわけですね。
 そこで、農林省の方にお伺いしたいんだけれども、同じ土地で、都市計画法では規制の対象に、三十四条の都市計画法でなっていて、そして農振法の方では農用地だけに入るから、だから、こっちに規制はされないというふうになってくると、この辺の矛盾はどういうふうに見たらいいんですか。
#105
○政府委員(大山一生君) いまのお話は、農地以外の部分についての話、現況が農地でない部分についての話だろうと思います。農地である限りにおいては、これは農地法が適用になるわけでございます。そこで、いわば市街化区域内の農振白地といいますか、農振白地についての規制の問題でございますが、その点につきましては、森林法が適用になるところがあればそれは森林法の適用になりますが、そうでないものについての規制の道はいまのところないわけであります。ただ、その土地が開発さるべきところであるか、あるいは一体的に農業の振興を図るべき土地として確保していくかという問題。つまり市街化区域に編入するかしないかというような問題についての問題になってまいりますと、これは線引きというかっこうでの両省間の調整ということに相なるわけでございます。
#106
○小笠原貞子君 大変、頭の中で考えていたらちょっと理解しにくいんですけれども、農振地域というのがあって、そこに調整区域というものがダブっているわけですね、そして市街化調整区域の方は、その農振地域というその土地に対しては規制ができる。だけれども、農振法の方では農用地でないからというわけで、そこのところは規制ができないということになっているわけでございましょう。そうなっていますね。そこを私が聞きたいわけなんです。同じ土地でありながら、しかも農業を守ろうという立場に立てば、農用地だけではなくて、農振地域と言われる大きなところも見て、その農用地というのも守り、農業を発展させて広めていかなきゃならないのに、都市計画法では規制が抑えられるのに、なぜ農振法では規制がきかないか。この辺が矛盾ではないかとこういうふうに私は思うわけなんです。
#107
○政府委員(大山一生君) いわば市街化調整区域そうして農振白地というところ、それを農振サイドから見るならば、たとえばそれは農村集落であったり、道路、河川であったり、あるいは林地であったり、雑種地であったりするわけでございますので、そういう土地については農業上に限られない活動がなされている。一体的に農業振興を図るべき土地ではあるけれども農業上に限られない活動が営まれている。そういうことであるならば、その部分について農振目的での農振法によって開発規制することは法律的にできないわけでございますので、その部分についての開発規制をこの際取り入れているわけではございません。ただ、そういうところで将来とも農業用に確保すべきところであるならば、それは農振白地として置いておくのではなくて、農用地区域内に編入すべきものであろうと思いますし、そういう方向で進めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
#108
○小笠原貞子君 そういうようなお気持ちで解決なさるということも理解できますけれども、理論的に言うと、やっぱりそこは一つの矛盾ということになってくるのではないかと、そう思うわけです。
 それで次また、建設省にお伺いしますけれども、公告、縦覧の手続という問題から見ましても、昨年の都計法改正で、都市計画の定めていない都市計画区域の、まあ白地と言いますですか、でも、すべて一定面積以上の開発行為は知事の許可制となっている、ということになっているわけでございますね。
#109
○説明員(沢本守幸君) 先生お説のとおりでございまして、昨年の六月の都市計画法の改正でそのような改正になりました。
#110
○小笠原貞子君 きょう持ってこなかったんですけれども、私、衆議院の議事録ずっと読ませていただきました。その規制に関しては、農用地等の農振地域と区別したのは、農振地域の一般の方に公告、縦覧のそういうものがないからだと、こういうふうに言われていたのを議事録で拝見したわけなんですね。そうすると、この公告、縦覧という立場から考えてみても、区別して規制できないというようなことにはならないのではないかというふうに考えていきますと、どうも国土利用における農業軽視ということがこの法文の上でもあらわれているのじゃないかというふうに、どうしても私は思わざるを得ないわけなんですけれども。
#111
○政府委員(大山一生君) 縦覧、公告を経ているから云々ということではなくて、縦覧、公告等の慎重な手続を経て農用地として今後とも利用すべきところとして位置づけられたところであるから、それは農業用の目的に使わるべきところである。したがって、そういうところについては、農用地として確保すべき目的の農振法において規制することは可能であるし、また、規制すべきであろうということを衆議院で申し上げた次第でございます。
 そのときも申し上げましたけれども、じゃ農振白地はなぜ農振法で開発規制できないかということになりますと、この点については先ほど来申し上げておりますように、いろんな目的の土地があって、それは農業上に限られない活動を営んでいるんだと、そういうところについては、その利用の性格が多様であって、規制の基準の明確化というのはなかなかやりにくい、やれない。だから、農振目的の農振法で開発規制することはできませんと。こういうことを申し上げたわけで、もしか、そういうところで将来とも農用地確保すべきところならばむしろ農用地に入れるべきである、こういうことで申し上げたわけでございます。
#112
○小笠原貞子君 そこで、あとで修正案出して説明も申し上げたいと思っていたんですけれども、うちの方でもこれずっと調べて検討して修正案というものを出したわけでございますけれども、やっぱり本当に農業を守っていくという、そして農用地というようなものも考えていきますと、農用地だけに限るんじゃなくて災害だとか用排水施設の機能障害というようなことを考えてみれば、農振地域内全体という問題を考えてしっかり守っていくべきではないかというふうに考えているわけでございます。農振地域内にあって農用地区域外の農用地は約百万ヘクタールというふうに言われておりますけれども、この農用地を保全するために、当然その周辺の山林原野等の乱開発を防止させる、防止するということが当然のことではないか。農用地区域内だけ守っていれば日本の農業の振興を図れるというように非常に狭い考え方みたいに思われているんですけれども、いかがですか。
#113
○政府委員(大山一生君) 市街化区域あるいは用途区域外の農地はすべてこれは農地法のいわば転用許可基準に即して厳正に、転用は規制すべきものというふうに考えております。ただ、実際問題といたしまして、農振白地というものの性格を見ますと、集落周辺の農地であるとか、小団地であるとか、こういうところが多いわけでございまして、そして地方の住民の意思として、そういうところは将来とも優良農用地として確保するというよりは農振白地でおくべきであろうというような創意によってなされたものというふうに考えております。ただ、たまたま集団的な優良農用地で農振白地に入っているようなところがあれば、これは農用地区域に当然入れるべきものであり、またわれわれとしては、入れるような方向で指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#114
○小笠原貞子君 そういう農地であれば、当然農用地区域に入れるべきだというような御趣旨だと思うのですけれども、確かにそうできればいいわけなんですけれども。たとえば農振法の施行について、という次官通達ですか、四十四年でしたか、の出されたのをちょっと見せていただきましたですけれども、ここには「農用地区域に含めることが相当な土地」というのが書かれていますね。それから今度そのすぐ後に「農用地区域に含めないことが相当な土地」ということで、非常に具体的になっているわけなんです。農用地として当然そこのところが必要だというのはすぐ取り込めると思うのですけれども、「農用地区域に含めないことが相当な土地」ということになれば、非常に離れているとか、大変狭いところであるとか、それから山間地であるとかというようなところで、取り込むべきではないと放り出されているところですね。そういうところを取り込むとおっしゃっても取り込む意思がないから、こういうふうなのをお出しになったということは、一つの矛盾ではないか。そしてまた、山崩れだとか災害というようなものを考えてみますと、そういう取り込めないようにするといったところから、そういういろいろな心配が起こってくるのではないかというふうに考えてみると、取り込めばいいんだと、だから解決するんだというようなところが、どうしてもちょっと理論的にも具体的にもちょっと矛盾しているし、おかしいなと思うのですけれどもいかがでございますか。
#115
○政府委員(大山一生君) 農振法の施行について、の「農用地区域に含めることが相当な土地」、これは非常に抽象的に広く書かれているわけでございます。そこで先生御指摘の「農用地区域に含めないことが相当な土地」という問題でございますが、そこに出ておりますのは、国立公園とかそういったような特別保護地区以外の特別地域でありますとか、あるいは近郊緑地保全地域であるとか、あるいは保安林地域であるとか、河川区域または河川予定区域とされている土地であるとかといったような土地で、そのつくられている目的と両立し得る農業を行い得ないものと、こういうことになっているわけでございます。したがって、そういうところを取り込むという必要はないし、また取り込むこともまたおかしいのではないだろうか、というふうに思うわけでございます。このことは逆に申しますならば、市街化区域に取り込むべきところという建設省サイドの考え方の中においても、集団的優良農用地は取り込まないことと、逆に入れないことが相当な土地というふうになされているわけでございまして、その意味から言うと、農振法だけが非常に農業軽視ということではなくて、都市サイドの方から言ってもまた、そういうところは、そちらの法律でもって農業として利用すべきところは落としなさいというふうになっているわけでございます、運用上ですね。したがって、こういうふうな調整ということの基本原則に入れるべきところ、入れないのを相当するところということは、当然あらゆるこの種の線引き的な法律においては常に存在、どの法律においても存在している問題であるというふうに考えております。
#116
○小笠原貞子君 それじゃまた農用地区域に取り込もうと拡張されても、そのときすでに開発着手していたというようなときには、対象にならないということになって、これを悪用すれば、取り込んでも規制の対象にならないと。十五条の十五の第一項の七号でしたか、というところから、そういうふうに解釈できるのじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
#117
○政府委員(大山一生君) 法律的な規制をかけるときに、その前に起こっている事態について、それまでには当然の権利といいますか、当然行える問題に対する問題をどうするかということに相なるわけでございますが、この種の規制というものは将来に向かって効力を発生するというのが法律のたてまえであるわけでございます。ただ実際問題として、いまこういう法律が審議されているというようなことから、あわててすぐ開発をしようというようなものがある場合におきましては、これはやはりその農振法というものの趣旨というようなことを徹底して、その取りやめを指導する。そういうようなことを行いますとか、あるいは市町村長の勧告なり都道府県知事の調停の制度というのが現行法にあるわけでございますので、そういう問題で対処してまいりたいというふうに考えるわけでございます。何はともあれ、早く通していただければその事態はなくなる、こういうことだと思っております。
#118
○小笠原貞子君 まあ、いろいろ開発規制の問題を考えると心配になりましてね。それなりにいろいろ調べてみているわけなんですけれども、そういう心配しているというのは方々であるわけで、たとえば御承知だと思いますけれども、「岡山県県土保全条例」というようなのが出されておりまして、ここではゴルフ場開発など民間資本の乱開発を防止するというために制定をされているわけで、一ヘクタール以上の開発をすべて知事の許可制としているというふうになっているわけなんですね。農振法に基づいて、一体として農業振興を図るべき地域として指定した農振地域について、開発行為を許可制にして乱開発を防止するというのは当然ではないかというふうに思うわけですわ。そうすると、岡山県でもこういうふうに県土保全条例で開発というものを非常に規制しているのに、農林省の態度というのはこの岡山県よりも大分姿勢がよくない。建設省に押されているんでないかな、農用地だけ持っていれば安心なのかな、というふうに思われるんですけれども、その辺のところはいかがお考えでしょうか。
#119
○政府委員(大山一生君) 各県ともいろいろな角度での開発というものを規制するための条例をつくっているわけでございます。その条例には、農振地域については農振の目的を阻害しないように、あるいは市街化区域については市街化の目的に反するようなことのないように、いろいろな利用方法がいわば決められている中で、それに反するような利用のされ方をしないようにチェックしようというのが県の条例の趣旨だろうというふうに考えるわけでございます。
 何度も申し上げますように、農振法という問題の中においては、やはり農用地区域外について積極的なかっこうでの規制という問題は先ほど来申し上げたような理由からできない。こういうことで、開発規制をしないということにしたわけでございまして、衆議院の修正もそういう趣旨の上に立っての勧告制度というふうに理解しているわけでございます。別に建設省にあおられて農振白地を開発規制から落としたということではなくて、法律論的に見てそれは無理であるということでやらなかったわけでございます。
#120
○小笠原貞子君 それじゃ、都道府県知事の許可を要しない開発行為について、「通常の管理行為、軽易な行為その他の行為」ということで「農林省令で定めるもの」というふうになっていますけれども、その農林省令の内容ですね、面積要件というような大事なことは、省令で勝手に決められるというようなことはちょっと問題ではないかというふうに考えるわけですけれども。その内容として、規模、面積どれくらいを考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#121
○政府委員(大山一生君) 改正法案の十五条の十五第一項第四号の「通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で農林省令で定めるもの」、この問題につきましては、一定規模未満の敷地でありますとか、あるいは農業施設の仮設の工作物でありますとか、こういったようなものについてだけ農林省令で定める。あくまでも「農林省令で定めるもの」は通常管理行為とかあるいは軽易な行為といったようなものに反する範囲内での問題であるわけでございます。
#122
○小笠原貞子君 それじゃ、一応面積というようなものは考えていらっしゃらないということになりますか。
#123
○政府委員(大山一生君) ものによってある程度の面積というしぼり方をできるものと、できないものがあろうかというふうに考えているわけでございます。
#124
○小笠原貞子君 その辺のところがちょっと大事なところなんですけれども、ものによってということで、面積がどの程度まで拡大されていくのかというようなことを省令の中で決められちゃうというようなこともちょっと不安なんですけれども、そういうのは具体的に御検討なすってはいないんですか。
#125
○政府委員(大山一生君) 現在いろいろと準備といいますか、研究をいたしているわけでございますけれども、要するに、たとえば、くい一本掘ってもいかぬというようなことにならぬようにしなければならぬと思いますし、また、それが通常の管理行為なり軽易な行為の範疇を超えるほどの広さにしてもならぬであろう。こういうふうなことで目的物別に、たとえば建築物でありました場合とか、あるいは用排水施設でありましたとか、そういう種類別にその規模というのがおのずから常識的な線が考えられるわけでございますので、そういったような角度から極力小さな規模で進めてまいるというふうなことで対処したいというふうに考えております。
#126
○小笠原貞子君 それじゃ、かけ込み開発というようなことの心配もあるわけですけれども、附則3で、この法律の施行の際、現に着手している開発行為については適用除外となる、となるわけですけれども、その場合「現に着手」というのはどういうふうに解釈するのか、現に着手していればもうこれは規制できないということになれば、それについてどういうふうな対策を考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
#127
○政府委員(大山一生君) この種の規制というものが、先ほど申し上げましたように将来に向かって発生する。こういうようなことから、実行されちまったらそれまでである、こういうことになるわけでございますので、現行法の中の市町村長の勧告あるいは知事の調停という制度がございます、そういう制度を活用する、あるいはもっと積極的に開発しようとするものに対しまして、農振の趣旨を徹底してその取りやめ方を指導する。こういうようなことで、いわばかけ込み開発ということについては、その事態のないようにしたいというふうに考えているわけでございます。
#128
○小笠原貞子君 かけ込み開発なんというのは、そういうふうに御指導なすっても、ああそうですか、というような良心的なのがあればいいけれども、いろいろいままでの例を見ますと非常にその問題で困難が起きてくる。その辺はちゃんと話をして抑えるというふうに自信おありになるわけですか。
#129
○政府委員(大山一生君) まあ、それだけの制度だけでやれるものなら法律改正要らないということになるわけでございますので、とにもかくにもそういった措置で何といいますか、かけ込みには対応せざるを得ないんだと、こういうことになろうと思いますので、速やかなる御可決をお願いしたい、こういうことでございます。
#130
○小笠原貞子君 いろいろ、いまの御答弁では納得できないような問題点があって、速やかにというわけにはいかないわけなんですけれども、それはそれとして、その次に、農用地の利用増進事業の方に移ってお伺いしたいと思うわけです。
 農用地利用増進事業とはそもそも何だと、先ほど原田委員に対してお答えになったわけですけれども、常識的に考えますと、農用地の利用増進をするということですから、いわゆる耕作放棄になっている土地や荒らしづくりがされている、そういうような農用地を積極的に活用する。また問題になっていました水田の裏作を振興する。こういうことを目的とする事業というふうに考えられるわけですけれども、いままでいろいろ政府の御説明などを伺っていますと、その重点が、非常に農地流動化が進まない中で、賃貸借によって流動化を進め、経営規模拡大を図るというふうに受け取られるわけなんですね。その経営規模拡大ということと、利用増進する、利用権を設定して進めるということとはそう簡単にストレートに結びつくものではない。不作地を解消するためには賃貸借や使用貸借等の利用権を設定するということならよく理解できるけれども、また食糧問題深刻化している今日、特に時宜にかなった必要な施策と考えられるけれども、農業経営の規模拡大ということを考えて、そして大事な食糧の自給率の向上ということから考えれば、農用地全体のいまあるところを流動化して賃貸借でやっていこうというだけではなくて、絶対的な拡大ということで拡大していくということが、やっぱり非常に大きな課題として解決への道を進まなければならない。そういうふうに思うわけですけれども、この点についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#131
○政府委員(大山一生君) 規模拡大の方法として一つは外延的拡大を図るべきである、これは当然のことだと思っております。したがって、そういう意味において六十年見通しにおいても約八十六万ヘクタールの農用地の造成ということが出ているわけでございまして、規模の拡大という問題の一つとして積極的な開発、これは当然のことだと思っております。また、そういうことをすべく農用地区域に取り込んだ土地が他に転用されないように開発規制をするのもまたそういう趣旨からであるわけでありまして、ところで、利用増進事業という問題は、現実に全面請負というようなかっこうが発生している地域、これは逆に言いますならば、土地の所有権は保有しておきたいけれども、利用はさしてもいいというような農家、経営規模は縮小してもいいというような農家、あるいは一方では何が何でも拡大したいという農家の発生があって全面請負というような問題が出ているというふうに考えるわけでございます。そういう地域においていわば利用増進事業というかっこうで利用権の集積による規模の拡大を図るということがこの利用増進事業の目的であるわけでございます。
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
ところで、この利用増進事業を行いますのは、いま申しましたような耕作放棄が出ているような事態、逆に言うならば土地は持っておきたいが貸すと心配である、こういうような農家が相当にあるという事態のもとなんで、いわば貸し方は安心して貸せるようなことにしなければならぬということ、そして借りる方から言えば、安定的にこれが利用できるようなものでなければならぬ。こういうふうな二つの条件をかみ合わせるとするならば、農地法のようなかっこうで相対の賃貸借に任しておいたのでは、耕作権が強いということから、貸し方がなかなか貸さない。しからば、それにかわる方法として何があるかといえば、結局、一定の区域内の利用者、所有者の集団的合意ということの上に、市町村の関与のもので行わなければならぬであろう。これが利用増進事業であるわけで、その利用増進事業によっていわば流動化、利用権の集積による経営規模の拡大を図りたいというのが利用増進事業の趣旨であります。
#132
○小笠原貞子君 それでいろいろ、これが具体的にどういうふうなところに適用されて、というふうに考えていきますと、新潟県の白根市と富山県の砺波市というのが請負耕作というものが非常に進んだ形で行われていると。農林省としても調査されていると思いますけれども、政府として、この利用増進事業の実施地域について全国一律にどこでも実施するというようなことではなくって、いまおっしゃったみたいに、条件の整った地域に限って重点的にモデル的に行うというようなお考えかとも思いますけれども、その条件についても、経営規模を拡大したいという農家、それから縮小したい、貸したいという農家の二つのグループに分化しているという地域では、その条件というものが当然整っているということで、いまも御説明いただいたと思うのですけれども。そういう立場からすると、請負耕作の進んでいる、いま具体的に名前出しました白根だとか砺波というようなものは、この事業実施の対象として当然考えられる地域になるのだろうかと思うわけですけれども、その辺のところはどうお考えになりますか。
#133
○政府委員(大山一生君) 全面請負というようなかっこうでのいわば専業的農業規模を拡大して行いたいという農家、そしてまたは所有権は持っておきたいけれども他に任してもいいという農家に分化している、こういうことを背景としているようなところが、この利用増進事業を行う条件の成就しているところというふうに考えているわけでございます。したがって御指摘のように全国一律に一斉にやるというつもりはございません。
 ところで、いま言われました白根市でありますとか鯖江の場合でございますが、白根郷の場合におきましては、どうも調べてみますと、大分古い昔から請負という格好が発生している。その裏には、都市近郊においていわば安定兼業する道がある。こういうやつが背景になっているようでございますけれども、契約内容はどうも一年の口頭契約ということのようでございまして、請負耕作の単価が四割といいますか、その程度まで高まっていますけれども、耕作者の手取りとしては自家労賃も確実に確保している。そういうようなところのようでございますので、それなりに請負耕作としては安定しているように思っております。
 ただ、最近の事情を見ますと、いわばほかの地域から土地を購入したという格好で不在所有者も出ている。あるいは何といいますか、そういうことから耕作を継続することについてのトラブルやあるいは有益費の負担の問題についての何か問題も出ているようでございます。で、こういうふうな請負としてある程度確立しているところにおきましても、その地方の、これは何と申しましても地元住民の意思次第でございますけれども、場合によっては、この利用増進事業の対象になり得るところである、またなってもいいところではないだろうかというふうに考えているわけでございます。
 それから砺波でございますが、砺波の場合は何か集団的請負方式のようでございます。実は私、砺波の方の事情は余りよくわかりませんが、どうも最近全面請負あるいは請負というかっこうで行われている中においても、やや問題が発生しているところなきにしもあらず、というようなところもあるようでございますので、そういうところにおいては、あるいは利用増進事業というものが、その地方の意向として出てくる確率はかなりあるのじゃないだろうかというふうに考えております。
#134
○小笠原貞子君 まあ、うちのほうでも行って、いろいろと農家の皆さんにもお目にかかって具体的にお話を聞いてきたわけですけれども、農業委員会のアンケートでの調査されているのを見ましたら、請負関係を結んでいる百四十二戸の農家のうち、正規の賃貸借契約と請負耕作のどちらがいいかということのアンケートに対して、請負耕作のままでよいというのが百戸あって約七割を越えている。特に委託農家の場合は六十八戸中五十八戸、八割強という大多数が請負耕作のままでいいと、正規の賃貸借契約を結びたいとは考えていない、というような意向がございます。そういうような農家の意向をどういうふうに考えていらっしゃるかどうか。
#135
○政府委員(大山一生君) いまのアンケート調査の結果というのは、これは確かにこういう方向だろうと思います。といいますのは、こういう事態で、いわば正規の賃貸借を結びたくないという裏は、貸すと、返ってこないという問題があるからでありまして、請負ならばその心配はないということであるわけです。それで今度つくります利用増進事業というのは、まさにこういう法定更新というかっこうでの規制ではなくて、いわば集団的合意の中で実質的に継続していく。まあこういうかっこうでございますので、いわば離作料の問題が発生するとか、というようなこともなしに済んでいくということであるならば、このアンケート調査の結果――利用増進事業というものが具体的に制度としてできた場合には、この世論調査の結果は、利用増進事業に相当傾斜してくる可能性はあるんじゃないか、こういうふうに思っております。正規の賃貸借を結びたくないという希望というのは、いまの農地法だけによる流動化が困難であるというゆえんであろうというふうに考えるわけです。
#136
○小笠原貞子君 いまおっしゃったように、農家の皆さんは、枠にはまった形でやられるのはいやだというような意向も働いているわけですし、農業委員会で聞いても、利用増進事業に請負耕作を乗せる考えもないし、いまのところでは乗らないだろうというような話があったわけなんですね。つまり、請負耕作そのものが個別相対という形でそれなりにこの辺は定着をしてきている。これを何でいまさら法律に載せなければならないのかというような考え方もあるわけなんですね。これはどういうふうに見られますでしょうか。
#137
○政府委員(大山一生君) 全面請負という問題、これは実は農地法上にも疑義があるわけです。要するに、あくまでも当事者間の話し合いでございますので、たとえば有益費の償還の問題であるとか、あるいは請負料といいますか受託料といいますか、こういったような問題についても非常に不安定である。とういう問題は、むしろ集団的合意の中で利用増進規程なり利用増進計画の中で明確にして、全員の同意をとるというかっこうで安定すべきものであろうというふうに考えるわけでございますが、そういう意味において、やはりその請負というかっこうの相対関係による無秩序な利用の関係というものは、場合によっては非常に疑問も生ずる問題であるというふうに考えているわけでございます。
#138
○小笠原貞子君 白根の農業委員会の調査で、正規の小作契約をいやだという理由として、委託農家の場合の方をずっとこう調べてみたら、その理由としては、一たん正規に貸すとなかなか返してもらえないのではないかというのが十九件、それから標準小作料の範囲では安いからというのが二十一件ありました。それから、農地解放のあの戦後の経験からやっぱり心配だというのが八件ありまして、その他七件という数字が出てきているわけです。それから、受託農家の場合には、手続がめんどうだからというのが二十二件、税金面その他問題が出やすいというのが十五件、その他というのが十三件というふうな数字で出ていたわけなんですね。委託農家に比べて受託農家の理由はこうして見るとちょっとあいまいで、結局請負耕作という形は現段階では委託農家の意向が強く働いているというふうに見てきたわけなんです。また、委託農家の請負耕作のままでよいとする理由の、なかなか返してもらえないという理由と、標準小作料の範囲では安いというのは、耕作権の安定という点から見ると、これまたここに矛盾するというような問題が出てくると思われるわけです。こうした委託者の意向の中で、請負耕作では耕作者の経営が不安定という理由で、一時賃貸借といえども正規の賃貸借に乗せるのは現実問題として非常に容易なことではないというふうに見られるのですけれども、こういうような中からこの問題をどうごらんになるでしょうか。
#139
○政府委員(大山一生君) 私は、白根郷の場合で言いますならば、むしろ他地域からの土地購入ということによって不在所有者も発生している、あるいは転用の可能性の強まりというような関係もあって、耕作が継続できるかどうかとか、あるいは有益費についてのトラブルも発生している。こういうようなかっこうであるわけなので、むしろ集団的合意ですっきりさせた方が問題はなくなるのじゃないだろうか、こういうふうに思っております。ここは確かに収量も非常に高いところであるようですし、標準小作料にしても一万八千円程度になっているかというふうに思いますが、請負耕作の場合に、十俵のうち約四割、こういうような請負でいま現在進んでいるわけですが、いずれにいたしましても、賃貸借、正規の賃貸借というものの観念がいままでの農地法による賃貸借だけを農民の方は意識している。こういう事態について、この利用増進事業という趣旨の徹底を図ってその上で、この利用増進事業に乗るかどうかというものは地元の意向次第であると、こういうことになろうかと思っております。
#140
○小笠原貞子君 この白根市の場合、委託に出す農家の経営規模を見てみますと、かつては五反前後であったのが、最近ではさらに一町、一町五反、二町と、大きな規模の農家まで委託に出すようになっています。しかも、経営耕地の一部を委託というわけではなくて、全農地委託というふうな農家がふえているというのが実態でございました。特に生産調整以後、米価据え置きというようなもとで、一町から二町規模の農家が全面積を委託に出しているというような農家の場合、兼業収入も安定している状態ではなく、それだけに地代収入というものへの依存は非常に大きい。したがって、受託者との間での地代水準を決める矛盾といというものも強まってくるという傾向が出てきているわけです。同時に、土地改良に対する要求も委託者と受託者が分化して、それが分化が進めば進むほど対立してくると。実際白根市の場合、県営の圃場整備事業というものが調査段階でストップしているという事態も生まれているわけです。小作料や土地改良投資における貸し手と借り手の矛盾というようなものを、どのように解決していくべきものだというふうにお考えになっていらっしゃるか。
#141
○政府委員(大山一生君) 白根郷、たしか大規模県営圃場整備だったと思いますけれども、まだ同意率が非常に低いというのは事実のようでございます。ただあの地帯は安定した通勤兼業というものが非常に多いところであって、わりに貸し方というものが兼業によって安定した就業の道を得ているというのが一般的な傾向ではないだろうかというふうに思います。いずれにしましても、借り受け側というものは専業志向の上層農家だということになっているというふうに思っておりますが、このような地帯におきます土地改良事業もしくは利用増進事業を行おうとした場合の、土地改良事業との関係ですが、御存じのように、利用増進事業が形式的には短期の賃貸借であるということからするならば、土地改良法の三条資格者ということにおきましては、むしろ所有者が三条資格者になった方が好ましいのではないだろうかというふうに思っております。ただ、その土地改良事業の中身が維持管理でありますとか、こういったことであるならば、これは利用権者という方が好ましい場合もあるであろう。いずれにしてもその地方地方の事情によって、あるいはその水利権の内容によって決めらるべきものであろうというふうに思います。ただ、所有者が土地改良事業の三条資格者である場合には、その土地改良事業によって起こった増価という問題が小作料にはね返らないということになっては、土地改良への意欲がなかなか出てこないということになりますので、その点については利用増進規程なり計画の中で明確にするべきものであろうというふうに思います。また、三条資格者が利用者である場合においては、いわばそれが投資の効果という問題については、土地改良法によりあるいは土地改良事業以外のものであるならば、民法の規定による増価額有益費の償還という問題になってまいるわけでございまして、そういうふうな額の決定の仕方であるとか、こういったようなものも利用増進規程なりにおいてあらかじめ明確にして全員の同意を得るということが必要であろうというふうに思っております。
 なお、いま申し上げましたような、いわば増価に対する相手方の拒否という問題があります場合には、これは民法の留置権の行使ということによって対抗し得る、こういうことになろうかと思っております。
#142
○小笠原貞子君 いろいろそういう問題を抱えて、本当に効果的に利用増進事業も進められるというようなことを考えると、いまおっしゃったように、農民自身の合意ということが非常に大事な問題として考えられなければならないと思うわけです。それで、こういった農民の集団的な合意が民主的に確立されて、そして実行していくというようなことを考えると、部落会議だとか、その場限りの会合ではなくて、恒常的な組織として合意を進めていくというようなことがどうしても必要になってくるんじゃないかということが考えられるわけなんですけれども、この点については具体的にどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
#143
○政府委員(大山一生君) 利用増進事業を行います場合において、集団的合意という問題が絶対的な条件として必要になってくると思っております。そういうことから利用増進規程例におきましては、農用地の利用組合とかあるいは協議会とか、これはそれぞれの村の都合によって決めればいいと思いますが、そういう組合なり協議会というものをつくり、その協議会の意思を十分に反映するかっこうで実施してまいるということになろうと思っております。それのなぜ、そういうことになるかという問題の裏といたしましては、利用増進規程をつくる場合においては、その地元の意向というものを尊重しなきゃならぬし、計画の策定に当たっては権利者全員のすべての同意ということを必要としているわけでございますので、そういったようなことを背景といたしまして、実行上の問題としてはいろいろと意見の対立を内部的に調整する、というような意味の自主的な組織によって調整する。規程なり計画についてはそういう自主的な組織との協議、調停によってやっていくというようにしたいというふうに考えているわけでございますから、ただそれを官製的なものにするということになりますと、かえって不自然なものとなりますので、むしろ農業者の自発的な意欲によって組織づくりが行われるということであらねばならぬであろうというふうに考えるわけでございます。
#144
○小笠原貞子君 それじゃ次に、予算との関係でお伺いしたいと思いますけれども、農用地利用組合をつくり、そして地域の実情に合わせて農用地利用増進を行うという場合、国としてどういう援助を行っていただくことができるのか。その点で農地行政を末端で進めている農業委員会というものが非常にここで大きな役割りを果たすことになるわけだと思うんです。つまり農民がどういう意向を持っているか、利用組合の組織化をまた進める、利用組合のいまおっしゃったように自主的な活動を援助する、特に具体的には有益費の優遇や適正な小作料の水準を算定する、というようなことから考えますと、農業委員会の役割り、特に具体的には事務体制の強化というのが非常に大きな問題であり、これが不可決な条件になってくると思うんです。この意味で国の財政の援助が求められていると思うんですけれども、その辺どう考えていらっしゃるか。具体的に白根市の農業委員会の事務局の人が言っていたんですけれども、大変熱心に意欲を持って活動しているわけなんだけれども、実は業務が忙しくて、実際に農家の中に直接に入っていくこともできない、いろいろ合意するための援助するということもそれができないと、非常に悩んでいらっしゃったわけなんです。この点どういうふうに予算面ではお考えいただけているか。
#145
○政府委員(大山一生君) 農用地利用増進事業、これは今度衆議院の修正もございまして、農業委員会の働き場所といいますかに非常に期待するところが多いわけでございます。そこで農業委員会の助成につきましては、これは毎年のことですけれども、逐次その拡充に努めているわけでございまして、五十年の場合におきましては、委員会の開催回数の増加といったような措置も講じ、また委員手当なり職員設置費の単価のアップということも行ってきているわけでございます。
 ところで、利用増進事業を円滑に進めるというために、五十年度予算におきましては、農用地利用増進促進対策ということを実施する市町村の推進事務費、これ一市町村当たり三十万ほどになると思いますが、これも計上しているわけでございます。この利用増進事業を行うための農業委員会に必要な経費、あるいは先ほど申しました自主的な組織というものの経費というものもその中に出せば出せると思いますけれども、そういったようなものについては、この推進事務費において対応し得るように措置したいというふうに考えているわけでございます。今後とも、農業委員会の活動に必要な経費については、この農地利用増進事業の進展の仕方、定着化の仕方というものの進度も考慮しなきゃならぬと思いますけれども、いろいろと助成の措置は考えてまいりたいというふうに考えております。
#146
○小笠原貞子君 じゃあ、いまおっしゃったような予算をつけていただくわけになるんでしょうが、百地区というふうな問題が出てくるわけです。この百地区というのは、いわゆる条件が整った地域というふうに見られるのかどうかということなんですね。各地で農振法というような問題で農民の方々にお話をしたら、価格のことならぴんと答えられるけれども農振法なんというのは一体何の法律だ、なんというようなことで、私の聞いたりなんかして回った範囲では余り浸透していなかった。この点はどういうふうにごらんになっていらっしゃるのか。また、この法案に基づいて利用増進規程をつくり知事の認可を受けてから地区指定になるというふうに考えられるわけですけれども、その地区指定の場合、どういうふうにいろいろな点勘案して考えていらっしゃるのか。
#147
○政府委員(大山一生君) ことしの予算の場合に一応、百市町村というものを考えております。これは年間を通ずる事業では初年度のことですからないというようなことから、百市町村というものを五十年度予算において考えたわけでございますが、これにつきましては、この利用増進事業を行うモデル的なところというものと考えたいというふうに考えております。この百市町村については、法律が通りましたらこの予算の執行ということになってまいりますので、政省令その他の準備が整った段階で県、市町村というような行政組織を通じ、あるいは農業委員会、あるいは農協といったような組織を通じて趣旨の徹底を図っていきたいというふうに考えております。この推進事務費といいますか、利用増進事業の促進対策につきましては、来年度はさらに上回った地区数というようなことで予算を計上したいというふうに考えております。
#148
○小笠原貞子君 私が心配しますのは、先ほどから言われているように、農民の自主的な発意を最大限尊重していかなければならないということは、言葉では言いやすいけれども具体的にこうやってみると、補助金というようなものが、えさみたいな形になっちゃって農民の意向がはっきりせず、そしてまた農民同士が合意していないというような不十分な中で利用増進規程というものがつくられて上から事業を推進するというようなことになっては、先ほどから局長が答弁されていたような趣旨にも反するというふうにも考えられるわけなんです。これは、そういう点ではやっぱり慎重に、本当にこれをするために必要だから合意させてというのではなくて、本当に日本の農業を考えた場合には、何といっても政策的に上から押しつけるというのではなくて、農民自身が自覚して、そして自主的に参加でき、そしてそこに生きがいを感じ、意欲を持つというようなやり方というものをいつでも忘れないで常に考えていかなければならないというようなところを心配してお伺いしている点なんです。
 その点ひとつ再度お答えをいただいて、時間の関係もございますから続いてお伺いしますけれども。強引に事業を行われるというような心配というのがある中で、富山県の砺波市の場合をちょっと今度お話申し上げますと、一次構、二次構、パイロット事業ということで基盤整備をやるということと同時に、大型機械を導入して機械利用組合をつくった。ところが、機械の更新――新しくしなければならない。また中型機械が開発されてくると、オペレーター集団によって請負耕作が広がり、組織そのものも内部から変わって、そして崩壊してきているというようなことが出ていたわけです。
 この教訓から見ても、今度の予算の内容も、メニュー方式とはいいながらも一度限りの補助金で、機械や圃場整備といったような外的条件だけを先行させて、そして利用増進事業を進めても、資本力のある一部の上層農には農地は集中してもそれは決して所有者、耕作者が団結した利用増進事業にはなり得ないというふうに考えなければならないと思うんですけれども、その辺のところについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#149
○政府委員(大山一生君) この法律が通りましたら、われわれとしては、この法律というものがいままでの農地法の秩序とは異なったかっこうといいますか、ものであるといいますか、この法律の趣旨というものを末端までよく普及しなければならぬというふうに考えております。この法律というものが、いわばそういうふうな集団的合意ということが前提として行われるわけでございますので、自主性を尊重するというか、これは当然のことであり、上からかぶせたからできるようなものだとは思っておりません。したがって、全国一律にどこの地区でも実施するという考えはなくて、むしろ貸し方、借り方に分化しつつあるというような、いわばこれの条件の成就しているところにおいて実施したいというふうに考えているわけでございます。
 砺波市の問題につきまして私余りよく存じませんけれども、やはり集団的な利用組合という問題の際にも、個別責任制というものの導入は、各地においていわば何といいますか、機械化営農組合といいますか、の一つの分解過程というようなかっこうでは出てきているように思っております。そこで、この利用増進事業で利用権の設定を受けるべき者というものについては、個人と生産法人というものとを両方を考えているわけでございます。しかしながら、その利用権の設定を受けた者が協業でなければやれないんだということではないわけでございます。いずれにいたしましても、メニューで行います推進事業というものについては、地元の希望に応じて必要なものを選ばせるということで進めてまいりたいというふうに考えます。
#150
○小笠原貞子君 いろいろこうやって実態を見てきましたし、この間は豊岡にも調査に行かせていただいて、これらの事業が今後一体どうなるんだろうか、というような今後の展望を考えたときに、ちょっといろいろなことをお伺いしたいと思うわけですけれども、請負耕作、そして利用権の設定、つまり所有と経営を分割させながら経営規模拡大ということでは、日本農業の将来の基本的なあり方だとは思えない。これはまた一つの限界性を持つのではないか。なぜならば、第一に、農村の安上がりの労働力が大量に吸収されて高度成長政策になった。それが破綻した。そして兼業になった。その兼業もいままた不況になったというような問題点がある。また第二の問題としては、農業生産の内的な条件とでも言うんでしょうか、地力が非常に低下した、土地改良の困難性、小型機械の開発というような問題があるし、また耕作者の経営も規模拡大と、そのためには機械化しなければならない。省力化を進めても、今度は小作料を支払うことによる経営面での圧迫というような面が出てきている。だから将来的に考えると非常にいろいろな問題がここに出てくるのではないか。
 特に、最近農機具の価格の高騰というのが非常に農家経営を圧迫しているということは無視できない大きな問題だと思うわけなんです。機械導入して規模拡大しても、機械のフル回転で機械の摩滅が早くなって、更新しなければならない。聞いたところでは自脱コンバインの場合は二年でだめになるというような話になってくる。そうすると、規模拡大ということが、酪農で言われたように悪循環になって、いわゆるゴールなき拡大という結果になってくるというようなこともこれからの問題として非常に、私は、いまのうちに考えておかなければならない問題ではないかなと、そう思ったわけなんですね。具体的に小作料を払って、そして労働賃金も保障してというふうに考えていくと、もう毎年毎年二割くらいは規模拡大していかなきゃやっていけないと。非常によくやっていらっしゃるように見えても、実はそういう不安定さを抱えているというような問題というのがあるわけです。しかも、おとといですか、豊岡の場合にはいろいろと複合生産やっていらっしゃるし、地理的その他いろいろな条件を見ても、あそこではあれなりの成果というものが上げられる条件があったと思うんです。しかし、稲作の単作地帯では、幾ら経営拡大、規模拡大していっても、冬場のことを考えると、やっぱり仕事を求めて出かせぎするという兼業労働というのが宿命となってきてしまう。その場合にいろいろと考えさせられる問題が出てくるのではないかというふうにいろいろ考えてみると、今後の問題としてずいぶん大きな問題を抱えているなと、そう思ったわけです。豊岡の場合には、さっきも言ったように大都市に近いし、また条件が非常にいい条件が多々ございましたね。工場なんかにしても非常に大きな工場で不況、首切り、低賃金切り下げなんというようなものがなかったというような状態とか、果物なんかにしても都市近郊だから非常にやりやすいというような条件があったから、あそこは非常によかったというふうに思ってきたわけなんですけれども。局長もごらんになって、今後の見通しとしてこの辺のところを一体どういうふうに、豊岡だけの問題じゃなくて全国的に見て、稲作単作の地帯だとか、いろいろな全国的な立場で考えたときに、この利用増進事業というようなものにもろもろの問題点が起こってくるのではないか。私が言ったような点、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
#151
○政府委員(大山一生君) 利用増進事業、これは地方の実情に応じて農民の総意を結集したかっこうで行うわけでございます。いま先生が言われましたが、やはり所有権の移転なりあるいは長期の賃貸借というかっこうでの農地の流動化が現下の土地情勢のもとではなかなか進まない、むしろそのままにしておいては農地の有効利用さえ阻まれる。こういう事態に対処する方法として、また現に貸したいということ、また借りたいという方、こういうものがすでに分化しているようなところにおいて、いわば利用権の集積というかっこうにおいて規模の拡大を図る。いわば担い手を育成するということは、私はこれは絶対必要なことではないだろうかというふうに思っております。先生のいろいろと言われましたけれども、そういう方方に対してのいわば資金的な手当てといたしましては、本年度から初度的経費に対する融資ということも可能になったわけでございます。
 小作料の問題につきましては、これは利用増進事業というものが標準小作料を基準としてやるということになっておるわけで、標準小作料というのは御存じのように土地残余方式、これをとっているわけでございます。
 農機具機械化、こういったような問題につきましては、これは各種の営農施策といいますか、金融措置、こういうものによって対応することによって可能ではないだろうか、こういうふうに思うわけでございます。
 土地改良事業、これが完全にでき上がっているところ、これは利用増進事業を行うところにおける最も理想的なところということになりますけれども、利用増進事業というものがいわば貸したい者、借りたい者というものの分化しているような地方においては、これをさらに実効あらしめるためには、やはり土地改良事業というようなことは進めにゃならぬ。で、土地改良事業を進める場合においての問題点というものは、三条資格者の投資というものが確実に回収されるということでなければならぬし、その問題についてのトラブルとというようなことのないようにあらかじめ利用増進規程なり、計画の中にそれを織り込んで同意をとっておくということによって、そういうことの不安もなくす、あるいは貸したい人間は貸しやすくする、そして借りたい人間もいわば計画を繰り返す中で実体的に安定して利用権ができていく、こういうことであるならば、全国一律にということではないにしても、かなりの地域においてこの種の所有と経営を分離したかっこうでの規模拡大というものが進むのではないだろうか、こういうふうに実は考えておる次第でございます。
 単作地域における有効利用という問題につきましては、先ほど農蚕園芸局長が答弁いたしましたように、いわば裏作という問題、これはある意味から言うならば、排水の問題が一つの問題であろうと思います。あるいはさっきの表作との調整の問題というような問題があると思います。いずれにしても技術的な問題でなお解明を要するような問題はあろうかと思いますけれども、この点については精力的な研究というものも現在進んでいるような次第であるわけです。
 出かせぎ問題ということになりますと、これは出かせぎなき農政というものをこれは国全体として考えねばならぬというふうには考えますけれども、単作地帯も含め利用増進事業というものはそういう意味において、私はかなり――かなりといいますか、条件の成就したところにおいてはこの種のかっこうによる利用増進事業が地元の意向として盛り上がってくるように趣旨の徹底を図っていかねばならぬだろうというふうに考えております。
#152
○小笠原貞子君 いろいろこうやって問題を考えてみますと、請負耕作を大々的にやっているという農家でも一定の限界を感じ始めているということをつくづく考えさせられたわけです。富山県の福野町といって、御存じだと思います、砺波市の隣で有名な農事組合法人がありますけれども、六名で六十ヘクタールの稲作経営を行っています。その代表の方が、この請負方式でずっとやっていても十年先では――これでいける見通しというのが十年までは何とかやれるけれども、その先はわからないというふうなことを言っていらっしゃいました。この組合法人の場合も、当初は稲作五十ヘクタールを目標としていたけれども、現在すでに六十ヘクタールという規模になっていましたし、先ほども言いましたけれども、農機具その他の資材のインフレというような中で、年々これを確保するためには二割ずつ規模拡大していかなければならない。で、こうした規模の農家でさえも冬場の仕事を確保するためには縁花木の生産販売というのを始めていらっしゃいました。私は、こういうことから考えて、やっぱり農政の基本としては、それこそゴールなき拡大をしなければならない、そうしなければ十分な労働報酬が得られないというようなこういう実態は何としても改めていかなければならない。また冬場出かせぎしなくても農業だけで生活が成り立つ、先ほどからもたまたま出ていましたけれども、こういう農業経営というものを地域の実情に合わせていくというような非常に大きな問題の解決を根本的にいま考えなければならないときではないだろうか。で、この農事組合の代表の方も、自分の息子さんは会社勤めだが、たまたまよそから農業をやりたいという青年があったから、この青年仕込んで後継者にしようと思っていたけれども、その青年は意欲を持っているのだけれども、いよいよ結婚するときになると嫁さんが来てくれないというようなことで、結果的にはその頼みの青年も出て行ってしまったと、こういうことになっているわけです。中核的担い手の育成といっても、いま何が一番欲しいかと言ったらお嫁さんが欲しいというような要求というのが具体的に出てくるわけなんで、これは決して軽く考えることはできないと思うんですね。
 そういう意味で、私が言ったような根本的な農政のあり方というものについてどういうふうに考えていらっしゃるかということと、最後ですから大臣にもお伺いしたいと思うわけなんですけれども、この間ちょっとお願いをしておきましたけれども、農業における婦人の役割りというのは非常に大きいということを私自負しておりますし、そういう婦人に対して農林省としてどういう方面からの調査というものがいままで行われてきただろうか。特にいまこの農業で大きな役割りを果たす婦人に対して、いま一体何を大臣としては考えてすることがあるだろうか。豊岡の村長さんにもそのことをお話をいたしまして、婦人の家をつくるとか、いろいろ施策を考えてくだすってはいましたけれども、その中で、やっぱりああ、ここでもかと思ったんですけれども、農村の婦人の血液というのは、前々から言われていたのがまた豊岡でも聞いたんです。調べてみると六〇%までが貧血だということですね。これはもう何年も前から言われ続けてきました。具体的に、農村における婦人の労働が過酷であるというような状態の中で健康破壊が進んでいる、貧血は六〇%というような状態の中で、一体婦人たちの健康をどう考えていてくださるのか。こういう問題が解決しない限り、幾らいろいろな施策を考えられても農村にお嫁にいこうというような条件というものは出てこないんではないか。最後に、そういう意味で、特にことしは婦人年でもございますし、三木さん非常に張り切っていらして、新聞広告なんかも大きくお出しにはなったけれども、具体的には何にも具体的なものがないわけなんです。特に重要な役割りを果たす農村婦人を抱えての農林省として、その農林大臣としてのお考えを最後にお伺いしたいと思います。
#153
○国務大臣(安倍晋太郎君) やはり農村の青年、あるいはまた青年のところへ嫁に来る婦人、そういう人たちが農村に定着をしていくためには、農業そのものをやはり魅力ある農業にするということが必要であると思いますし、同時にまた、農業を取り巻くところの環境の整備というのが根本的に必要じゃないかと思うわけであります。したがって、農業を魅力ある農業にするためには、この農振法の改正もその一つのねらいでございますが、規模の拡大をし、生産性を向上し、そして担い手の所得を向上させていくというふうな総合的な生産対策、価格対策等も含めた総合施策を強力に実施をしていくことであろうと思いますし、同時にまた環境整備につきましては、農林省でも現在、農村総合環境整備事業といったものをやっておるわけでございますが、農村全体の環境を明ろくするためのいろいろの施設、あるいは道路、あるいは文化施設、そういった環境整備のいろいろの施策を積極的に講じていくということでなければならないと思うわけでございまして、そういう点につきましては、われわれとしても前進的に収めてはおるわけでありますし、予算の中においてもそういう措置も講じておるわけでございますが、まだまだ不十分な点は十分自覚をせざるを得ないと思います。昭和六十年を目標にしておるところの農業の、いわゆる食糧の自給対策を含めた諸計画をいま検討中でございますが、そういう中にあって、いま私が申し上げましたようないろいろな問題を解決するための具体策を来年から着実に実施をしていかなきゃならぬと思います。
 同時に、農村における婦人は非常に重要な役割りを占めておるわけでございまして、この役割りを占めておる婦人は、他の婦人と比較をいたしましても、実際に労働に従事するとともに、さらにまた家事等も担わなければならぬという、他の婦人以上に過酷な条件のもとに働いておられるわけでございますから、そういう点はやはり農林省としても十分考えておるわけでありまして、現在までも農村婦人の健康管理の問題、いろいろの指導だとかあるいは健康管理に対する助成措置等も講じておるわけでございますが、ことしは御存じのような国際婦人年でもございますから、さらにひとつわれわれとしても婦人対策というものを充実して、そうして健康管理とともに生活改善といった面につきましても重点的に施策を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#154
○小笠原貞子君 大変抽象的で、具体的でなかったのが不満ですけれども……。
#155
○向井長年君 農林大臣にまずお聞きいたしますが、大臣は守りの農政から攻める農政へと言っておられるのですが、その根本は、一億国民に安定した価格で食糧は国の責任において確保する、こういうことだと思います。これは、もちろん、生産者並びに消費者あわせての問題だと思うのですが、この点について、農業基本法の中にはこれは見当たらないですね、こういう精神が。これはどういうように考えておられるのか、ちょっとお聞きしたい。
#156
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私の考えは、これは農業基本法においても同じような考え方が規定をされておると思うわけでございますけれども、今日の食糧状況は、その基本法が制定されたその後の状況から見ますると、まさに大きく変化をしておるという実態になっておるわけであります。国際的には食糧が、この数年来非常に不足というか、逼迫の現状にあるわけでございまして、今後ともこの逼迫の基調は続いていく。ですから、二、三年前までの安易に外国から食糧を輸入できるという情勢ではなくなったということでございますし、国内的にも高度成長経済の中にあって農村におけるところの労働力の脆弱化あるいはまた農地の壊廃といったような状態が進んできた。そうしてこの高度成長が終わり、これから安定成長の時代に移っていくという経済構造が大きく変動する時期に来ておるわけであります。そうした国際的な事情あるいはまた国内的な事情の大きな変化の中にあって、やはり一億一千万を超えるところのわが国の国民の食糧を確保していくということが今日エネルギー問題とともにわが国の政治の非常に大きな課題ではなかろうか、こういうふうに考えております。そういう見地から国民食糧の確保というものを強く訴え、そうしてこれは農政の関係者だけじゃなくて、広く国民一般の方々にも認識していただき、理解を求めたいということで努力をいたしておるところでございます。
#157
○向井長年君 当然そういう答弁だと思いますが、そうなれば、まずやはり政府は一刻も早く食糧基本法なるものを制定して、そうして国民に明確にしなければならぬのではないか、こういう感しがいたしますが、この点どうですか。
#158
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあそれも一つのお考えであろうと私も思うわけでございます。これからのそうした国民食糧の確保を図っていくためには法制面における整備もやっていかなければなりませんから、そうした根本法規というものをつくっていくということも一つの考え方だと思うわけでございますが、私は、現在、農業基本法というものが今日あるわけでございますし、この趣旨というものは、事情は大きく変わっても、根本的に今後目指していく方向というものは変わってないと思うわけでございますし、そうした農業基本法の基本的な基幹的な考え方というものを踏まえながら、十カ年計画といったような総合的な食糧政策を打ち出して、そして、これを現実に着実に一歩一歩実施をしていけばいいのではないだろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。もちろん、その間において現実に合ったいろいろな法制の整備等は行っていく必要もあるのではないかと思うわけであります。
#159
○向井長年君 しからば、この農産物需給の長期見通しを立てられておりますか。その問題について、言うならば自給率の問題ですね。これは非常にいま低下しつつあるんではないか。ここに、国際情勢の変化もあるけれども、わが国みずからがやはり自給率の増大という立場において長期見通しが必要ではないのか、こう思いますが、この点いかがですか。
#160
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは政府としても、農政審議会に諮問をいたしまして農政審議会からの御答申を得て、その結果に基づきまして、閣議で昭和六十年を目標とする農業生産の目標につきまして御決定を願っておるわけでございます。同時に、その際、今後の農政の指向するところの基本的な施策、基本的な方向につきましても御決定を願って、六十年を目標といたしましてわれわれとしてもあらゆる施策を整備し、強化をしていかなければならないと思っておるわけでございます。
#161
○向井長年君 穀物の自給率が四二%から三二%に下がっていますね。これは御存じでしょう。こういうことはどういうわけで下がるのか。いろいろ理由はあると思いますよ。上げていかなければならぬという立場で農林省は取り組んでいるにもかかわらず下がってくる。まだこれはこれからどうなるかわかりませんね、国際情勢の問題もありましょうし。この点農林省はどうなんですか。
#162
○国務大臣(安倍晋太郎君) 六十年目標で私たちが一番大きく取り上げておるのは、国民食糧の安定のための国内の自給力を高めていくということでございます。そのためにあらゆる政策を集中するわけでございまして、全体的に言えば、いわゆる食糧の自給率は、総合食糧自給率は現在七一%程度ではないかと思うわけでございますが、これを七五%まで高めたい、こういうふうに目標を置いておるわけでございますが、しかし、穀物の自給率につきましては、いま御指摘のように六十年目標でわれわれいろいろと見通しを審議会にも諮問いたしまして、われわれもつくってみたわけでございますが、それによれば、確かに御指摘のように四二%が三七%に下がるということになるわけでございます。これは飼料穀物がその中で大きなウエートを持っておるわけであります。国内における飼料穀物の消費、これが大きなウェートを持っているわけですが、残念ながら、現在の飼料穀物、特にトウモロコシ、コウリャンというものは、これは畜産の中の豚であるとかあるいは鶏であるというものの飼料の大半を占めておるわけでございますが、そうした穀物につきましては残念ながら今日までも国内においては自給はできない。さらに、今後ともこれは国内の生産条件等から見ましても国内において自給することは困難である。どうしても今後とも外国に依存をせざるを得ないというふうに思うわけであります。
 ところが、畜産物の消費の方は、これはやはり相当国民の食生活は高度といいますか、西洋風的に先進諸国に比較するほど高くはなってきてはおりますが、さらにまた、私は、今後の生活水準の向上に伴って畜産物の消費というものは高くなってくると。そうした中にあって、やっぱり畜産物の生産の増強も行っていかなければならないということになれば、どうしても外国からの飼料穀物についての輸入がふえてくる一方、また人口の増加等もあるわけでございますから、そうしたあらゆるデータを総合的に判断をいたすと、残念ながら、飼料穀物については今後とも国内の生産はなかなか困難である。もちろん、自給飼料であるとか、あるいは麦等の増産等は極力可能な限り行うわけでありますけれども、しかし、その畜産の消費需要に対応するだけの生産はとうてい不可能でございまして、大半はやはり外国に依存せざるを得ないということで、結論的には三七%に減らざるを得ない。そういうものは確保しながら全体的な総合自給率を高めていくということが六十年目標でわれわれが考えておるところでございます。
#163
○向井長年君 確かに外国依存はわかりますし、国内生産のむずかしさもわかりますけれども、農林省は国内生産はもうあきらめておるんですか。少なくとも、やはり、自給をやれるような飼料穀物に対しましては、できるだけ対策を立って推進するという姿勢がなければならぬと思いますよ。この点、何だか、いまの大臣のお話を聞くと、これはやむを得ないと、したがって輸入に待たざるを得ないと、こういう形であるとするならば、これはもう穀物自給の基本というものを初めからあきらめた形になっているので、それでは積極性がないではないかと、こういう感じがいたしますが、その点、やはりそういうことですか。
#164
○国務大臣(安倍晋太郎君) 飼料穀物につきましては、国内の資源の制約の中にあってこれを自給する体制をつくり上げるということは、今日の農地の状況から、あるいはまた、これら飼料穀物は米と競合するわけでもありますし、これを国内の生産に求めるということは、私は、あらゆる点から見てどうしても不可能に近いことではないかと思うわけでございます。ただしかし、その中にあっても、麦につきましては裏作等の活用を図っていく、あるいはまた畑地におけるところの麦の増産を図っていくという麦政策を総合的集中的に行っていけば、ある程度の麦の生産の増加は期待はできると思っておるわけでございます。同時に、また、飼料穀物をできるだけ国内で、輸入を補うといいますか、輸入を少なくするためには、やはり、自給飼料といいますか、大家畜等の原料となりますところの自給飼料――草資源、これはまだまだ国内においては未開発、未利用の面がずいぶんあるわけでございますから、思い切ってこれを拡大生産をしていく。こういうことによって穀物に依存する率を少しでも緩和をしていくということは、当然、われわれとしては思い切ってやらなければならない施策であると、こういうふうに思うわけでございます。
#165
○向井長年君 そうすると、さきに政府が農政審議会に出した潜在的自給力の問題については、いま大臣が言われたようなことですか。そういうことを出されたんですか。――そういうことになりますと、それだけじゃないと思うんですよね。だから、国内の生産とあわせて農林省が考えている一つの計画というものが出されたんじゃないかと、こういう感じがしたんですが、この点、そのとおりですか。
#166
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま私が申し上げたようなことが、今日の客観的なわが国の資源の情勢から見て、今後の農地の造成あるいはその他のあらゆる施策を進めた上において考える可能な限りのわれわれとしては限界であろうと、こういうふうに思っておるわけでございまして、潜在自給力というのは、そうした中にあって、状況の変化によってはやはり主要農産物については少なくとも国内で確保できる、そういうふうな体制は確保していかなければならぬ。そういうふうなことから、農用地につきましても農用地区域を設定をして、そういう中にあって農地の壊廃をさらに規制をして防いでいくとか、あるいはまた農地の造成につきましても、十カ年計画でもって積極的にこれを行っていくとか、あるいはまたその他土地改良等も圃場整備等も積極的に進めていくとか、あらゆる力をひとつ集中をして、そういう全体的な一つの農業の生産力というものだけは確保をしていかなきゃならないというふうに考えるわけでございます。
#167
○向井長年君 時間がございませんから、この問題についてはまた後日にいたしますが、先ほど冒頭申しましたように、やっぱり食糧問題は先ほど言われたようにエネルギーとあわせての非常に重要問題であるとなれば、国民にやはり農林省は責任を持った形で明示するということで、私は、食糧基本法等を法的に出してやるべきではないか、これはひとつ御検討を今後いただきたいと思います。
 そこで次に、先般予算委員会でも私ちょっと触れましたけれども、きょうは畜産局長もおられますが、その後の卵価安定基金問題はどういう動きですか、どうなっておりますか。
#168
○政府委員(澤邊守君) 卵価安定基金は、全国鶏卵価格安定基金、俗に第一基金と言っておりますが、これは三月二十七日付で所要の手続を終わりまして、現在新年度の運営を実施しておりますが、もう一つの全日本卵価安定基金、第二基金と俗称しておりますけれども、これはその後手続等若干おくれておりましたが、来週早々関係の役員会を招集いたしまして、手続について検討するという予定になっておりますので、農林省としては近い将来に所要の申請が私どもに出てまいって、第一基金と同じように運営ができるものというふうに期待をいたしております。
#169
○向井長年君 大体これは根本が誤っておるんじゃないですか。ということは、そういう問題で、たまたま国が若干の助成をするということで努力されたやつが今後の補てん関係等で、農林省の行政として一つの案が出た。この案を第一、第二、二つの基金の皆さんに十分理解をしてもらって、その中からこれを決定するというのが正しいやり方でしょう。それができないままに一方的に第一基金の方だけ決めて、あとはまだこれからだということは、ちょっと片手落ちじゃありませんか。少なくともいま基金の加入率はどうなっておりますか、第一と第二の率で。
#170
○政府委員(澤邊守君) 加入率の数字はちょっといま手元にございませんが、第一基金の方は三十一万トンの加入量でございます――契約量です。昨年は二十四万トンでございましたが、七万トンばかりふえております。
 第二基金はただいま御指摘ございましたように、国で統一的にやろうという前提での契約ではございませんが、昨年末の契約数、これはもう独自のやり方を前提にしての契約数でございますが、四十五万トンの契約を一応終わっております。昨年は二十一万トンでございましたので、まあ増加率は第一基金よりははるかに高くなっております。これが、ただいまお答えしましたように、国の統一的な補てんの仕組みに準じて近く再検討をしていただいて、統一的なやり方で発足をするということになりました場合、どの程度の加入率になるか、加入量になるか。加入が減らないでやっていただきたいとは期待いたしておりますが、現在わかっておりますのはそのような昨年末の数字でございます。
#171
○向井長年君 いま局長からも答弁があったように、加入率は第二の方がはるか大きい、第一は少ない。こういう中で、大臣ね、行政というものは、少なくともこの基金をつくったゆえんのものは何であるか。少なくとも生産者が基金に対して魅力を持ち、基金に多く加盟する。そのためには行政上やはり生産調整等もあわせてやっていこうと、それも一つの目的であったと思うんですよ、そうでしょう。今日までは、それぞれ自主的にその基金積み立てをして補てんをしておったはずですね。それを政府は少しでも助成をして、そして基金を魅力あるものにし、そして生産者あるいは消費者あわせてのこの魅力をつくっていこうと、ここに原因があると思うんですよ。それが、いま言われたように加入率はいままだ受けていない、第二が多いという、そして第一はそのまま受けたと。私は、この間も予算委員会でも言いましたように、これはあれでしょう、第一に入っている人たちは兼業農家ですね、第二の方の基金は、これは専業ですよ、養鶏専業ですよ。この人たちはやはりそれによって一つの自分たちの職として国民に奉仕しておるわけです。この人たちがいまこの問題に対して、これでは大変だと。なぜ大変だ。政府の言うところの補てん率の問題です。今日までは一〇〇%を持っておったのにもかかわらず、それを八〇%に切ったという。そうなれば条件が悪くなるではないかと。みずから言うならばお互いが相互扶助の形で、価格が下がったときには補てんしようという一つの基金が、政府からたまたま若干の助成があったためにその受けるのが少なくなる。これでは何のために政府が出したかわからぬじゃないですか。
  〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕
だから、こういう問題については、私は、ただ一回こういうことを決めたからこれでなければならぬというような考え方ではなくて、本来加入率も多い、生産も多い、そして国民に奉仕しておる、その専業の養鶏家に対して、その意見をもっと尊重してやらなければいかぬのじゃないかという感じを持つんですよ。大臣、そうじゃありませんか、理屈は。だから、その点ちょっとかたくなに余り考えるべきではないんではないか、こういう私は感じがいたしますが、これ私が何回言うても、一考しなさいと言うているのに、一考しない。それは片手落ちですよ、行政の片手落ちと私は言いますよ。どうなんですか、これは。
#172
○政府委員(澤邊守君) これは何回も先生にお答えしておるところでございますけれども、確かに両基金によりまして加入者の経営の形態は若干の差がございました。全農系の第一基金の方がより小規模の養鶏農家が入っておるということはお説のとおりかと思います。ただ、その加入量が昨年からふえたのは第一基金についても同様にふえておるわけでございまして、必ずしも私は、今度のやり方が生産農家の非常に不利になったということではなくして、二十四万トンから三十一万トンに現にふえておるわけでございます。ただ、第二基金の方が逆転をしてふえたということは、従来と同じように日々補てんだとかあるいは八〇%の補てんの限度というものを一〇〇%そのままにしておるという点で、第一基金よりはより有利な契約内容で加入者を参加さしておる、ということのためにふえ方が大きかったという事情はあろうかと思います。私どもとしましては、従来、自主的な積み立て補てん制度である場合は、組合員の加入者の意思でどのようにお決めになろうとこれは差し支えない問題であることは当然でございますけれども、国がやはり財政負担をして助成をするということになりますれば、他の制度との均衡、あるいは必要の限度において助成をするということでいいわけでございますので、そういう意味から、従来の自主的な運営の仕組みからはやはり少し変えて運営をしていただきたい。こういうことで価格の決め方、あるいは補てんの限度額、あるいは日々補てんから月別補てんにしたとか、あるいは補てんの際の借り入れの限度についてある種の制限をしておるとかいうような点で、ある意味では従来ほど甘くない制度にはなっておると思います、率直に申し上げまして。ただ、それに対して今度は国が補てん財源の二分の一を持つということは、それだけ負担の面で有利になった面もあるわけでございますので、私どもといたしましては、畜産局関係だけでも子豚なり子牛の補てん制度をやっておりますが、これらも月別なり、あるいは補てん限度を設けておるというようなやり方をしておりますので、そこは他の類似の制度との均衡という点もございますので、農家の負担すべき面は負担をしていただく。制度が若干いままでほど有利じゃないという点はありますけれども、十分これによって価格下落の際の経営の負担を軽くするという役割りは果たし得るものということで考えておるわけでございます。
 ただ、私どもは、もちろん一たん決めた制度はあらゆる制度、あらゆる事業すべて共通する問題でございますけれども、絶えず見直しながら必要な変更を加えるべきであるということならば加えるということは別にやぶさかじゃないわけでございます。それはすべての制度、事業に共通するわれわれの姿勢だと思います。したがいまして、今後の運営を見ながら、もしそういう必要があるというならば、当然その場合には、手直しといういうことも考えられなくはないと思いますけれども、まだ始まったばかりでございますので。第一基金のほうはいまのところ特に問題なく順調に進んでおるというように……、三カ月足らずでございますけれども。そういう考えでございます。
#173
○向井長年君 あんたね、局長ね、決まったような言い方をいま、しておられるが、農林省としては、行政上決めたんでしょう、一応ね。一項目、二項目、三項目と。これ全部締めつけですよ、過去から見たら締めつけ。しかも五億七千万ですか、一年に。これだけの基金を出した、両方にね。それで、これだけの規制をするんだ。こういう形で行くとするならば、今日まで自由に基金を持って、みずから積み立ててやっておった者からすれば、一〇〇%の補てんを受けられると思ったのが、価格が下がったときには大変だという感じがある者が、政府から規制して助成してもろうても、これではさっぱりで、何もメリットはないではないか、これが第二基金の皆さんの言うことでしょう。したがって、いまだにこれは了解できないということでしょう。それで、これは場合によれば、もしこれどうなんですか。そんなもの政府の助成結構だ、自分たちみずから積み立てて、また前のとおりやる。こういうことを言い出した場合、政府はどうするの。こんな規制されるならば――五億何千万円の中で第二基金に半分もらうんでしょう。これは結構です、返上いたします、われわれみずからいままでのように積み立てて相互扶助をやりましょうと、こういうことを第二基金が言い出したときにはあなたたちどうするの。そんなんでよろしいか。
#174
○政府委員(澤邊守君) もちろん国の制度が現状においては適正なものだと思っておりますので、よく理解を求めてその線で事業を実施していただくように説得に努めるというのが私どもの考え方でございます。なお、日々補てん、たとえて申し上げますれば、毎日、価格が、基準価格が一日でも下がれば補てんするのを、月別補てんに直したという点、非常に不満だということをおっしゃられましたけれども、私どもはやっぱり卵価というのは毎日かなり変動しておるものでございますので、一定の基準価格を下がった場合でも、また上がることもあるわけでございますので、一日下がったからといって必ずしも補てんする必要はない。これはやはり下がったことによって経営が相当打撃を受けるということを防止するのが目的でございますので。一定期間続いた場合に初めて、経営が打撃を受けるという点からいたしますれば、日々補てんよりは月別補てんのほうが厳しいという点では、あるいはおっしゃるとおりかと思いますけれども、それは当然経営者においてがまんしていただくのが筋ではないかというような考えでやっておるわけでございます。したがいまして、その他の点も意見の食い違いが多少残っておりますけれども、私どもの制度の理解を一層求めまして、その線でやっていただくように説得に努めたいと思っております。
#175
○向井長年君 大臣、あなた聞かれたらよくわかるでしょう、私と二人のやりとり聞かれたらよくわかるでしょう。どちらが本当に、何といいますか、生産者なり基金のいわゆる本質をわきまえてものを言っているかということわかるでしょう。だから、私は何もこれを全部、畜産局で出されたやつを全部拒否せいと私は言いませんけれども、いま一方の兼業農家は何もそれで飯を食っておるわけじゃない。お米もつくっておるですよ、その他野菜もつくっておる、そうして若干の鶏を飼って鶏卵を出しておるということですね。こっちは鶏一本で卵生産をやっておるのでしょう。そういうところの差異がやはりあるということですよね。したがって、私は、出された三点なり四点なりの問題をどうせいということを要求しませんけれども、少なくとも八〇%でなければならぬという固執はやめて、了解さそうとするならば、たとえば以前はみずからの場合は一〇〇%であったが、いま農林省は八〇%にするんでなく、これを九〇%で、そうして理解さそうということがあってもいいのではないか。みずからも積み立てるんですから。そういう形にしないと、政府から助成されて、がちっと全部枠をはめられてと、こうなれば、基金から脱退する人がどんどん出てきますよ。何もならぬじゃありませんか、これは。その点私は少なくとも納得さすんだったら、あなたたちの行政の中で、たとえば第一が八〇でいいと言っても――第一の会員でも見てみなさい。基金に加入している人からみんな文句が出ておるじゃありませんか、現在。われわれのところにも陳情来ますよ。そういう状態があるとするならば、やはり第一の諸君にも、第二の諸君にも話し合って、まず八〇%と思っておるけれども、まず現状の中では九〇%なら九〇%にすると、こういうくらいの話し合いがあって私はしかるべきだと思う。これひとつ大臣どうでしょう。そういう形で早く進めなくちゃ、これで説得するといったって受けないですよ。受けなくて、場合によっては返上しようと言っている。それだけの強い空気持っていますよ。この点をもう少しあなたたち冷静に考えられたらどうか。生産者も喜び、そうして消費者にこたえる、そうして基金を魅力あるものにする、農林省畜産局の言う生産調整にも十分従ってやっていく。こういうところに持っていくことが私は、正しいと思うんだけれども、この点どうでしょう、大臣。
#176
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私よりも向井先生のほうが詳しいわけで、いろいろの過程があったと思うわけですが、政府がいわゆる財政的な援助をするわけでございます。自主的におやりになるということなら一〇〇%ということも九〇%ということも自由でありますが、政府が財政的援助をするということになりますと、やはり他の制度との比較ということも十分念頭に置きましてやらなければならぬわけで、野菜の安定基金にいたしましても、あるいはまた子豚の安定基金等にいたしましても、これは局長が申し上げましたように、財政援助をする。しかしその反面また政府の指導にも従っていただかなければならぬということで、どういう制度もやっておるわけでございますので、八〇%という他の制度と比較検討した結果、この補てん率を出したわけでございまして、第一基金のほうはこれに満足をしておられるといいますか、これで結構だということで円満な運営が行われておるわけでありますが、第二基金につきましてはこれが不満だということで今日までもつれておるわけであります。しかし私が聞いた範囲におきましては、最近役員会を開かれて、そうしてこの問題をあらためて最終的に決めようということのようでございますが、政府の考え方につきましてもある程度理解も進んでおるのではないかというふうに判断をいたしておるわけでございまして、制度が発足をしたばかりでございますので、今後の運営というものによって著しくそこで問題が起こるということになれば、これはまあ再検討しなきゃならぬとも思うわけでございます。が、とにかく発足をしてまだお受けになっていないんですから、一回これは受けてもらって、そうしてやってその結果、いろいろと運営上問題があったらこれは考えなきゃならぬと。やっぱり他の制度とにらみ合わせながら政府としての財政的な負担をする一つの限界というものがあるわけでございますから、この点についてもやはり生産者の方にもさらにひとつ理解を求めていかなきゃならぬと、こういうふうに思っておるわけでございます。
#177
○向井長年君 その一回受けてと言うけれども、受けないんですよ。それだけ深刻ですよ。他の野菜とかいろいろ言うけれども、政府から助成してそんなところが大きなマイナス点になったですか、皆喜んでおるでしょう。喜んだものにしなければならぬということですよ、これも。たまたま皆さん方が努力されて、農林省が努力されて、大蔵省からわずかの金でも取って、そして皆さんに助成しますよとやって喜ぶのがあたりまえでしょう。それが喜ばないというのはどういうわけか。喜ばんということは以前自分たちがやっておるより不利になるから喜ばない。がっちりした枠をはめられるから何ら利益がない、メリットがないということになるから受けないんで、それだったらもうわれわれ返上してみずから前の、昔の基金をつくろうではないか、という空気が出ているぐらい深刻なんですから、私がここで一言言うているのは、余り八〇%に固執せずして、場合によれば九〇%でもいいではないか、そういう話も行政上皆さんひとつ考えられたらどうか。こういう意見を言っておるのであって、ひとつそれをあわせて検討をいただきたいと思う。時間がございませんから、検討をいただきたいと思います。畜産局長よろしいか、検討してくれということ。よろしいか――いいんだな。じゃあ黙っておるので、大臣よろしいですな。検討されるということで、私はこの問題終わります。
 そして一、二農振法の各論についてちょっとだけお聞きしておきます。
 この農業用施設に対してのメリット。これもメリット問題が余りないように思うんですが、たとえば固定資産税について農地並みの評価額にするとかこういう問題。それからもう一つは、ことしから施行される農地等についての相続税の納税猶予制度の対象これに加えるべきと思いますが、これは農林省としての考え方ですよ、この二つの問題どう考えられますか。
#178
○政府委員(大山一生君) 施設用地を今度農用地区域に入れたい。こういうのは、施設型農業が著しく発展しているところ、こういったようなところ、あるいは環境保全上の問題として出てくるようなところ、こういったようなものであるわけでございます。農振法には、御存じのように、何と申しますか、譲渡所得といったようなものについての優遇措置、それから特定事業資産の買いかえの特例、あるいは所有権移転登記とか登録免許税、あるいは不動産取得税の課税につきまして農用地区域内の農地並みにする、こういうことでございます。それに加えまして、いわばその際行いました農地の課税、相続税の課税が非常に厳しいという問題に対応する措置という問題までは、この施設用地に入ることによって解決するということではないわけでございます。
#179
○向井長年君 これはないんですよ。ないから農林省としては少なくとも農地並みにするという努力をしなけりゃならぬのではないか。そうしないとメリットがないではないか、こういうことを私が言っているわけです。あるいはまた、ことしから施行される相続税の猶予、これにも対象として加えるべきではないか、これは農林省としてそれは主張されたらどうかということを私が言っているわけです。いまはないんですよ。ないからその点はどう考えられるか。
#180
○政府委員(大山一生君) 農地につきましての財産税の猶予制度、これは農地の転用ができないということ、そういうことで、農地法というもののたてまえの上に立ってあの制度というのはできているわけでございます。そのいわば施設用地という問題につきましては、その点についての担保がないという点がやはり一つの大きな問題であろうというふうに考えている次第でございます。ただ、将来の問題といたしまして、たしか農業団体の方からもそういう御要望があったこともございますので、長期的な問題として検討してまいりたいというふうに思います。
#181
○向井長年君 両方ともね、相続税の猶予の問題も。
#182
○政府委員(大山一生君) 宅地の方も同様でございます。
#183
○喜屋武眞榮君 私、初めに農林大臣の率直な基本姿勢をお伺いいたします。
 私は、六月の三日に静岡県の豊岡村に調査に参りまして、そしていろんなことを見たり聞いたり教わったりしてまいりました。そしていろんなことを聞きながら、この村の五年後、十年後の将来は一体どうなるであろうかと、一面期待と反面疑問を持ちながら、そして今日的に言われております食える農業、あるいは魅力ある農業、あるいは意欲に満ちた農民、こういうことがよく言われ、聞くのでありますが、私はそれを実感として受けとめてまいりました。そしてその豊岡村に対する私の結論は、農業振興を基盤とした平和な文化村の建設と申しますか、この一語に尽きると私自身感じ取った次第であります。
 ところで――ここからが問題でございますよ。ところで、わが沖繩県の開発を、わけても農業開発を思うときに、どうしても他県と事情を異にする、しかも避けて通るわけにはまいらない幾多の条件が、問題点があるわけですが、その中でも私は特に三つの点をここで率直に申し上げて大臣の詳しいことはそれぞれまた関係省庁にその具体的な考え方を求めたいと思いますが、避けて通るわけにいかない沖繩の特殊事情と申しますと、第一点は膨大な軍事基地があるということなんです。沖繩の農業開発を考える場合にこの軍事基地を避けて通るわけにはいかない。膨大な軍事基地があるということ、しかも日本全国における全基地の五三%を沖繩が占めておるということも御存じでしょう。そして率から言うと、八十九倍の比率を占めておるということも御存じでしょう。そして沖繩における全面積の約一三%を軍事基地が占めておる。そして復帰直前、直後のあのどさくさに便乗して、いわゆる土地ブローカーが沖繩の農民の土地を買い占める、これが約五・二%占めておる。そうすると軍事基地と合わせて約一八%の土地がよそ者に占められておる。しかも沖繩全体の平均が一三%ないし一八%でありますから、
  〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
その中心をなす沖繩本島では全面積の二三%を基地が占めておる。しかも沖繩本島の中でも非常に農業に適する豊穣な土地、肥沃な土地を占めておるところの中部中頭と言っておりますが、中頭、南部島尻――中頭、島尻。この部分的に見ますというと沖繩本島全体で二三%、中頭では約三〇%をいま軍事基地が占めておる、こういう実情の中で、この農振法をどのように進めていくべきであるか。
 第二の、いま当面しておる問題は、いわゆる地籍測定の問題であります。いわゆる土地の地籍、どこからどこまでがだれの土地であるかわからない。この地籍の測定さえもまだ明確にされておらないという、いわゆる戦場となり、戦後アメリカの支配になり、そして復帰してもう四年目になりますけれども、その地籍の測定さえもまだ明確になされておらないという問題。
 第三が、三十年近い、まあ二十七年目に復帰しましたから。その長期にわたる空白。県民は苦しい戦後の中でそれなりにもがいてやってまいりましたが、ところが、他県同様に、法のもとに沖繩の農業開発をやれたのは四十七年の五月十五日以降であるわけなんです。この長期にわたる空白、その中から取り残された沖繩のもろもろの問題、きょうは農業の問題、その格差を是正するといういわゆる格差是正。これがもう沖繩県民の合い言葉でございますが、この三つの問題はどうしても避けて通るわけにはまいらない非常に困難な問題であります。それぞれ関係省庁に後で聞きますが、まず、この問題を前提として大臣いかがお考えでしょうか、お聞きしたいと思います。
#184
○国務大臣(安倍晋太郎君) まず豊岡村のお話が出まして、御視察の結果の御感想をお述べになったわけでございますが、農林省といたしましても、静岡県豊岡村で経営規模の拡大と農用地の有効利用のためのユニークな施策が講ぜられており、これによって農振法改正案によって創設しようとしておる農用地利用増進計画の制度の立案に当たっても、この豊岡村の実例から非常に多くの示唆を受けておるところでございます。こうした豊岡村における施策のこうして行われた背景には、村長のすぐれた指導等もあったと思いますし、あるいは国、県等も協力をいたしたわけでございますが、まあわれわれとしても、この実例というものは高く評価をするとともに、農振法の運用に当たっては、こうした実例も十分踏まえて、適切に有効に実施されるように今後とも大いに努力をしていきたいと考えておるわけでございます。
 それから、沖繩の実情につきましてお話がございました。確かに軍事基地が膨大な面積を占めておるということも、そのとおりであると思います。また地籍の測定等につきましても十分行われてない、あるいは農業全体の開発も非常におくれておるということも確かにそのとおりであろうと思うわけでございまして、まあ私たちとしては、農林省としてもやはり食糧の自給力を高めていく、そうして農業を魅力あるものにし、農業を担っていく方々に情熱を持って農業に従事していただかなければならぬわけでありますから、これはやはり沖繩県においても、もちろんそういうふうな立場に立った施策を積極的に講じていかなければならぬと思うわけでございまして、確かに御指摘のように、沖繩においては、農業をとってみましても、たとえば農業の中の基盤整備一つをとってみましても非常におくれておるということは、これは事実でございます。確かにおっしゃるように空白があって、その間に大きな格差が出たということも、これはもう事実であるわけでございますから、やはり本土との間の格差といいますか、これを一日も早く解消をしていくことは、やはりわれわれが農政を担当していく上において大きな責任ではないかと思うわけでございまして、そういう立場から、沖繩県に対するところの農業関係予算等にも、国全体の中の予算の中においても相当なウェートを占めておるわけでございますが、今後とも早く格差が解消をしていくための予算措置を含めたあらゆる施策は、積極的に講じていくというのが、われわれの基本的な沖繩の農政に対する姿勢でございます。
#185
○喜屋武眞榮君 それじゃ次に、沖繩返還国会の時点から非常に問題になりました、いろんないきさつがあるわけですが、時の福田外務大臣は、沖繩の基地の整理縮小については、復帰した暁には、前向きで、精力的に縮小について取り組むと、こういうことをたびたびおっしゃっておられる。これは当然でありますが、幾ら計画をいたしましても、沖繩のこの膨大な基地の整理縮小が計画的になされないとするならば、これは単なる絵にかいたもちにしかすぎない。この縮小に伴ってしかこれが伸びていかないというこういうことは、これはだれが考えても言えることであり、また知っておることであります。四年前にさかのぼるわけですが、その後、外務省として沖繩基地の整理縮小についてどのように計画され、どのように努力しておられ、またこれから努力しようとしておられるか、そのことをひとつ述べてもらいたい。
#186
○説明員(山下新太郎君) お答え申し上げます。
 ただいま喜屋武先生御指摘のとおり、沖繩におきましては確かに米軍基地がきわめて大きな面積を占めておりまして、施設区域の密度が本土に比較いたしまして相当大きいことはこれは事実でございます。そこで、四十七年の復帰の時点におきましてもいろいろと縮小すべく努力をし、かつまた、御高承のとおり四十八年一月の二十三日でございますが、安全保障協議委員会というもの、十四回目の会合でございますが、これを開きましてそこで整理縮小計画を実施し、かつまた去年、四十九年の一月三十日でございますが、第十五回の安全保障協議委員会におきまして沖繩のみについて整理統合計画を進めているわけでございます。で、まあ現在のところ私どもといたしましては、いろいろ現地の御要望もこれございます、沖繩県もいろいろ開発計画も推進するべく考えておられます、さらにまた、当然民政を安定していく必要があるということも踏まえまして、他方また安保条約の目的を達成する上での調整ということも当然踏まえながら整理統合を進めていくというのが基本的な考え方でございます。それで、いま私ども考えておりますのは、十四回及び十五回において整理統合ということにつきまして具体的な計画を日米間でつくったわけでございますが、その実施が何せ膨大な予算も要することでございますので時間がかかります。まず、これを実施する、完全実施することを考えておりますが、それと同時に、将来におきまして現在のままで構わないのだというふうには考えておりませんで、米軍の施設区域のあり方、これをどうすべきかということを検討している、そういう状況でございます。
#187
○喜屋武眞榮君 いまさきのお話の中で安保ということが出ましたが、きょうはその問題には触れたくありません、この場では。改めてこの問題は触れたいと思いますが、ただ一言申し上げておきたいことは、三木総理も七十五国会の所信表明の中でこう述べておられる。「日米関係の安定は、日本外交の基軸でありますから、今後とも友好協力体制の強化に一層の努力を払ってまいります。
 日本とアメリカとの間の相互協力と安全保障の条約は、その名の示すとおり、日米協力の基本憲章であります。」云々とこう述べておられる。で、このことに結びつけて沖繩県民の立場から非常にむなしさを感じますことは、一体、日米安全のこの協定が憲章であるとするならば、その対米姿勢はいかにあるべきかということが第一の問題。次にその安保から生まれるところのもろもろ沖繩県民に及ぶ犠牲は一体どうするのか。このことだけはこの場で申し上げておきたい。それ以上はまた時を改めてこの問題についてはいろいろと論議いたしたいと思っております。どうか前向きの姿勢で、約束どおりですね。沖繩県民も一億国民の、同じく日本国憲法のもとに主憲平等の立場を回復した県民でありますからには、いかなることがあっても沖繩県民だけに不平等の犠牲を強いることがあってはいかない。また強いられてはわれわれはがまんいたしません。そのことを強く申し上げまして、約束どおりひとつ一日も早く計画的に基地の整理縮小に邁進をしてもらいたい。対米交渉に取っ組んでもらいたい。
 次に、さっき申し上げました地籍調査の計画と復元補償の問題が非常に沖繩の開発を阻んでおるわけでありますが、この地籍調査の問題については、まあ二つに分かれておるということは皆さん御承知かと思いますが、復帰前の返還地はこれは開発庁の責任において地籍調査をすることになっております。復帰後の返還地は防衛施設庁の地籍調査になっております。それで私が聞きたいことは、まず開発庁から、その地籍の調査の計画とその現状はどうなっておるか。そうして次に防衛施設庁、いわゆる復帰後の返還地のその地籍調査の計画と現状はどうなっておるか、それを報告してもらいたい。
#188
○説明員(柳川成顕君) いま喜屋武先生のお言葉の中にもございましたとおり、沖繩開発庁は復帰前に返還された施設区域等の地籍を明確にすることを現在行っておりまして、大体面積といたしますと十七平方キロがこれに該当いたします。それで昨年度までに予備調査の大部分を終了いたしまして、本年度からその約一割に当たります西原村の一・七平方キロの土地に、県と協力いたしまして、いま県は小屋がけなどもして職員を泊り込ませるというような手法でやっておるわけでございますが、地籍を明らかにするという作業を実施している段階でございます。
#189
○説明員(松尾広俊君) 現在当庁がやっておりますことをちょっと御説明申し上げたいと思います。
 まあ返還されたものでございますけれども、六月一日現在の――本年六月一日現在でございますけれども、返還となりました境界設定を要する地域は、二十一施設、約九平方キロメートルございます。そのうち六施設につきましては、まあ補償処理も終わりました。現在終わっております。そのうち三施設につきましては境界設定工事が終わっておりますし、もう一カ所につきましても現在実施をしておるところでございます。残る施設につきましても原状回復補償の一環といたしまして、境界設定費を補償しまして、これによって関係の土地の所有者の方々、集団和解を基盤といたしまして境界確定作業をお進めいただいて、その際土地所有者の方、それから市町村、県、国が一体となって解決の促進を図りたい、そういうぐあいに考えておるところでございます。
 なお、現在、提供中の施設とそれから返還になりましたけれどもまだ境界設定を終わっていないところを含めまして目下六月末を目途に現況測量を行っております。その結果、航空写真図それから現況測量図それから戦災前の米軍が撮りました航空写真等の関係資料を関係の土地所有者その他の方々に提供しまして地籍確定の促進を図っていただく。そういうぐあいに考えておりまして現在作業中でございます。
#190
○喜屋武眞榮君 じゃあいまの両庁の問題は、まあ報告を受ける程度にいたしてまた改めて、この問題非常に重大にして困難な問題でありますので、改めて。時間もないようですので急ぎたいと思います。
 次に、まあこの農振法が四十五年から四十九年の五カ年計画、そうすると、沖繩の復帰が昭和四十七年の五月十五日ですから、途中からこう乗っかかって割り込んできたわけですが、沖繩県に対するこの法の適用ですね、法の適用が具体的にどのように乗っかかっておるか、また、一〇〇%はいっていないと思いますが、それがどういう計画を持っておられるか、そのことをひとつお聞きいたしたいと思います。
#191
○政府委員(大山一生君) 御存じのように、沖繩県につきましては、本土復帰と同時に農振法が適用になったわけでございまして、農林大臣の承認を受けてつくります県の振興地域整備基本方針、これは四十七年に承認を受けております。それで五十年の三月末までに四十地区について農振地域の指定を行っておりまして、そのうち整備計画の作成が完了しているのは七地区でございます。今後予定する地域につきましては、五十年度中に農振地域の指定を終えまして、そして全地域を五十一年末までには農振整備計画の作成を終わってもらうと、こういう方向で現在進めております。最終的には四十八地域が農振地域の指定、そして整備計画の策定になるであろうというふうに考えているわけでございます。
#192
○喜屋武眞榮君 そのすでに指定された、それから予定があるわけですが、それに対する予算の裏づけはどうなっておりますか。
#193
○政府委員(大山一生君) 内地といいますか、他県と同様でございますけれども、県に対しましては振興計画の充実に必要な経費として二分の一補助で国費三百五十万、それから町村あたりでは国費ベースで七十万のこれに必要な事務費が行っているというふうになっております。
#194
○喜屋武眞榮君 この補助率の問題についても特に沖繩の立場からの要望、意見もあるわけですが、次の機会にいたしたいと思います。
 それじゃ、特に他県と違う条件、基本的な条件を先ほども幾つか述べましたが、さらに農振法に基づく開発という面からも、どうしても沖繩の特殊事情が他県と比較して違う点があることは御存じだと思いますが、特に沖繩の整備計画をどのように考えておられるか、基本的な問題、重点的で結構ですからひとつお聞かせしてもらいたい。
#195
○政府委員(大山一生君) 本日は県の整備基本方針を持ってまいりませんでしたが、先生先ほど来御指摘の問題との関連で申し上げますと、その基本方針の中におきまして軍事基地は一応外すというかっこうで整備計画を立てることになっております。現在のところ進度がおくれているような次第でございますけれども、急がせねばならぬというふうに考えているわけでございます。
#196
○喜屋武眞榮君 それは余りにもいまのお答えは抽象過ぎますが、じゃ私から基本的な問題、たとえば圃場整備の問題とか、あるいは特に沖繩は、全国的に降雨量、雨は多いけれども非常に水に不自由しておるというこの水資源の問題、あるいは土壌改良の問題ですね、機械化の問題、いろいろこうあるわけですが、それを沖繩の実情に即してどのように農林省の立場から考えておられるかということを聞きたいわけなんです。
#197
○政府委員(大山一生君) 基盤整備及び開発に関する事項といたしましては、基本的に常襲干ばつ地帯である、雨量は多いけれども小河川しかない。そしてダム等が非常に少なくて、そのダム等においても、多少本島北部においてはダム適地はありますけれどもその流域は非常に狭い、こういったような環境の中で干ばつ被害を解消するということ、そして土地生産性の向上を図る。こういう観点から、小河川を結ぶようなかっこうにおいて、場合によっては地下資源、地下水利用というようなかっこうにおいて、水源施設をつくるとともに畑灌施設等の水利施設の整備を図ってまいる、こういうような考え方で推進してまいる。
 それから、圃場整備につきましては、これは地帯別によって異なっておりますけれども、機械化一貫作業体系を軸として進めてまいる。それから、農道につきましては、近代化施設の導入整備に対応しつつ進めてまいる。
 それから、農地の集団化につきましては、経営の効率化を図る観点から一戸当たり一、二団地に誘導するよう事業を進めてまいる、こういったようなのが畑に対する整備の基本方針でございます。
 未墾地につきましては、これは地帯別によって異なっておりますけれども、肉用牛、あるいは場所によりましては飼料畑、桑園、採草放牧地というようなかっこうで積極的な開発を図ってまいる、こういうようなかっこうで、中南部農業地帯、それから北部農業地帯、それから宮古、八重山というような四地帯に分けて進めてまいっているわけでございます。
 そのほか、広域整備の構想といたしまして、北部地帯においてはこれは畜産物の一大給供基地として建設してまいるというようなことを基本的な考え方として出しているわけでございます。
#198
○喜屋武眞榮君 まああえて、責める気持ちで申し上げるわけではありませんが、私の問いに対して反射的に、沖繩についてはこう考えておりますよと、こう力強い御答弁を期待しておりましたが、何かしら頼りないですね。いまの御答弁に対して心細さを感ずるわけでありますから、どうかひとつ十分に沖繩の実情を理解認識くださって、いままでの犠牲を償うお気持ちで、積極的にひとつ優先的に沖繩の農業開発と取り組んで、それこそ復帰してよかったと、こういうひとつ声を引き出していただきたいと特に要望いたしたい。これは大臣にも要望いたしておきたいと思いますが、いかがですか。
#199
○国務大臣(安倍晋太郎君) 沖繩の農業振興につきましては、本土復帰以来政府としてもいろいろの施策を講じておるわけでございますが。相当現在の段階におきましても格差が大きいことは事実でございますから、私といたしましても、いまお話がございましたように、今後優先的に積極的に沖繩開発につきましては努力をいたす考えでございます。
#200
○喜屋武眞榮君 ひとつよろしくお願いいたします。
 それで、私からも要望いたしておきますが、沖繩の実情に即した開発のあり方、ぜひひとつ圃場整備を優先して、それから水資源の確保ですね。これは年間二千三百ミリバールというと各県で恐らく最高位だと思いますが、平均が千七百ですから。ところが、降雨量は日本一多いけれども、海に流れて貯水ができない。それで、このダムの設置ですね、これをひとつ全面的に促進していただきたい。次が土壌改良ですね。最後に機械化の問題。特にこれは沖繩の事情からして、本土ではよく機械化機械化と言われますけれども、沖繩では機械化の問題は次の次の問題であるということなんですね。そのようにひとつ理解くださって検討をしてもらいたいと思います。
 じゃ最後に、時間まいりましたので。どうしてもお尋ねをして、そして緊急に対策を講じてもらわなければいけない問題がございます。それはいまの農業開発との関連において、まあいま基盤整備を強調してまいりましたが、問題は内容の問題です。沖繩の気候、風土、条件から何としても地域的基幹作物はもうサトウキビであり、パイナップルであることはいまさら申し上げるまでもありません。いわゆるサトウキビ、パイナップル。ところが、この問題が、いま毎年のようにサトウキビでは食えない、パイナップルでは食えない、こういうふうに大騒ぎをして毎年陳情です。やがてまたパイナップルの五十年度の問題ひっさげてくることになっておりますので、覚悟をしていただきたいと思いますが、そのときには、きょうの農振の審議でこういうことがあったんですが、それはこのように検討しておるから心配するなと。このようにひとつ要請団に答えていただきたい。こう私、期待を申し上げながら、第一点はサトウキビの問題につきましては、まあきょうは簡単に触れたいと思います。ただ結論だけ。
 毎年のように多くの陳情団が江戸参りをしましてお願いをしておる。その糖価の値上げの問題と関連してパリティ方式を改めて生産費所得補償方式にということも一貫したもう熱烈な要望であるにもかかわらず、農林省の態度はいつも否定的な態度であられたわけですが、ところが、さる要請では検討するとおっしゃったような気がいたしますが、私そのように受けとめておりますが。なぜパリティに固執されるのか、あれだけ熾烈な要求を、農民要求を、生産者の要求をどうして抑えておられるのか。その辺に一つ問題があるわけでありますが、その生産費所得補償方式についてどのように検討し、いまの時点でどう考えておられるか、それが第一点。
 第二は、これが、特にいま差し迫った緊急なパイナップルが危機に瀕しているということは申すまでもない。これはたまたま救いの電報が、中央農会長、中央協会長の山城栄徳氏からきょう来ておりますが、偶然にも。それからこれがこの前中央会長の、それからパイナップル産業振興対策協議会の会長名で来ておりますし、それからこれが県議会で決議をして要請をされておる要請文であります。基幹作目であるにもかかわらず、このような危機感に追い込んでおくということは、これも重大な問題であると。
 そこで、いろいろ申し上げたいが、この三つ四つに一貫した結論はこういうことなんです。国内産業の保護育成、自給率の向上という観点から優先消化をしていくというこういう考え方に立って、昭和五十年度外国産パイナップルかん詰めの輸入割当を全面的に禁止してもらいたいと。こういう要請が各方面から来ておりますが、一貫した要求はこれなんです。去る四十九年のパインのあのストックにつきましても、外貨の割当をどうするとか、あるいは冷凍パインをどうするとか、沖繩のかん詰めを優先消化せよとか、いろいろ現地の問題点はございましたが、これにつきましては、幸いに何とか年度内で消化できるという、こういう見通しが立ってほっとして帰ったわけでありますが、ところがすぐ五十年のまた夏分、もう来月からですね、新しいパインが追っかけてくるわけであります。これがまたそのままストックされて大変な問題になるという、こういう危機感を感じていま要請してきておるわけでありますので、特にこのパインの危機に対する大臣のこれに対する御態度、どう受けとめておられるか。それからサトウキビのパリティを生産費所得方式に改めることについてどう考えておられるか。その二つのことについてはっきりした御返事を求めて、持ち時間が参りましたので、これで私の質問を終わります。
#201
○国務大臣(安倍晋太郎君) 最近の沖繩におけるパインの危機につきましては、しばしば喜屋武さんを初め沖繩の各方面から非常な強い御要請もありまして、政府としてもこれを放置しておくわけにはいかないというふうなことから、これに対していろいろと対策を講じてきたわけでございます。たとえば冷凍パインに対する関税の引き上げであるとか、あるいはまた滞貨の解消のための行政指導であるとか、さらにまた融資の措置であるとか、あるいはまた消費拡大のためのいろいろな施策等講じてきたわけでございますが、最近におきましてその効果も出てまいったわけでございます。しかし、今後ともいまお話しのように五十年もこういう問題が起こらないように政府としてもできるだけの努力はしなきゃならぬ、たとえば輸入量の抑制措置であるとか、あるいはまたその輸入の時期の調整であるとか、そういうことも含めて政府としてもこのパイン産業の安定、ひいてはパインの生産農家の経営の安定のためにはできるだけの努力を今後とも続けてまいりたいと、こういうふうに考えるわけでございます。
 それからサトウキビにつきましては、これもパインとともに沖繩における非常に有力な農産物でございますが、これについても奨励金等の措置も講じておるわけでございますが、パリティ計算を、パリティ方式を生産所得方式に変えろということにつきましては、これは麦と同じことでありまして、現在の生産の態様、その他いろいろの諸条件から見まして、これを米と同じように生産所得方式に変えるということは私はなじまないのではないか。こういうふうに考えるわけでございまして、価格の方式についてはパリティ方式でいかざるを得ないと思いますが、その他の、奨励金制度を初めといたしましたその他の生産対策等につきましては、さらに力を注いでいく考えでございます。
#202
○栗原俊夫君 時間も大分経過しておりますし、最後の質問者でありますので、きわめて協力的な立場に立って、落ち穂拾い的に数点をお尋ねいたしたいと思います。
 今回の農振法の一部改正、まあ当面した食糧危機を背景にして農用地のより効率的な利用、特に農用地の中で不耕作にまで追い込まれておる土地等をきわめて有意義に使おう、こういう立場で提案されておるようであります。
 そこでお尋ねいたしますが、農地には、農振区域の中の農用地である農地、それから農用地に指定されない農振区域内の農地、それから都市計画法の中の調整区域内の農地、それから、これは農地法の対象外になっておるということかもしれませんが、市街化区域内の現状農地、まあこういう農地があるわけですが、これに対する農政の具体的な施策における取り扱いは一々どうなっておるか、説明を願います。
#203
○政府委員(大山一生君) 御質問の点、逆の方から先に説明さしていただきますが、市街化区域内の農地につきましては、農地法の転用許可等ではなくて届け出という制度になっているわけでございます。そこで、市街化調整区域内の農地、この農地につきましては市街化調整区域として将来にわたり市街化を抑制すべき地域である。こういう観点から、そこにあります農地につきましては、市街化調整区域農地転用許可基準というのを設けまして、それによって転用を規制しているというわけでございます。それから農振白地につきましては、これは一般の農地転用許可基準に基づきまして厳正に対応しているわけでございます。それから農用地区域内の農地につきましては、原則として転用は認めないということに農振法によってなっているわけでございます。
#204
○栗原俊夫君 いまは転用問題を中心に説明をされたんですけれども、農政を行う場合には、差別扱いがあるんですか、それとも、現状農地であるものは一切対等に扱っておるんですか。
 先ほどわが方の鶴園君からの質問によると、次官通達で大変な通達が出ておると、こういう話を聞いておりますが、それらの内容をひとつ明らかにしてください。
#205
○政府委員(大山一生君) 農用地区域内の農地につきましては、将来にわたって効力の発生します基盤整備事業でありますとか、近代化に関する事業、こういったようなものは農用地区域に限定して集中してそこに施行する、こういうことに相なっているわけでございます。それから広域的な流通加工施設でありますとか、あるいは農村の環境整備というようなものは、農振白地をも含めた農振地域を対象として実施しているわけでございます。それから市街化区域内の農地につきましては、これはそれが第一種生産緑地であるような場合におきましては、単に、何といいますか、融資等の措置も含めて対象としておりますが、それ以外の市街化区域内の農地に対しましては、これは普及指導でありますとか、そういったような技術的な指導を行うというかっこうで行われているわけでございます。
#206
○栗原俊夫君 まあこの市街化区域、調整区域、いわゆる都市計画法が出てきたのは、めちゃくちゃな経済高度成長の中でまだまだこの悪夢は続いていくんだろうという中で設定されたと思うんです。しかし石油問題に端を発して思いもかけない壁にぶち当たったと、こういうことです。そしてそれから出てきた問題が食糧問題です。したがって都市計画法は、これからまだまだ都市はどんどん広がっていくんだ、工場はどんどん広がっていくんだと、こういうときの考え方だが、今日のように食糧を確保しなきゃならぬ、そのため、国の政治の大きな部分がそれに向かわなきゃならぬ、こういう段階に来ては、いま一度農地を大事にする、農地を利用する、こういう観点に立った洗い直しというものが必要ではないか。大体において、市街化区域にしろ、調整区域にしろ、先ほど来話のある先祖代々汗水流して開いた美田であります。まあいま山間僻地で不耕作地帯になったようなところへこれを利用しようと、いまこういう法案が出てきておるわけなんですけれども、美田をつぶすということに積極的に目を向けて洗い直してみる。こういう方向は、農業を担当する農林省として、特に攻める農政を呼号しておる農林大臣としていかがでございますか。
#207
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま確かに栗原さんの御指摘のように、これからの国民食糧の確保と、自給力を高めていくということにつきましては、農地の確保というのが一番大事なことではないかと思います。そうしてそうした観点に立っていまの御指摘のようないろいろな問題を踏まえて、農地確保については見直しをしていかなきゃならぬ時期に来ておると私も考えておるわけでございまして、そういう観点から食糧の総合政策を打ち出す段階におきまして、農用地確保についての見直しを行い、そしてこれに基く農用地確保の諸政策を樹立をいたしまして御批判を得たいと、こういうふうに考えておるわけであります。
#208
○栗原俊夫君 今回の法案の中でいろいろと計画等が、農地法を離れた利用権という形で耕作権が扱われておる。まあ私たち戦後、自作農創設特別措置法を中心に、農地は耕作する者が所有することを原則とするという立場で家族農業を中心に進んできたわけですけれども、もちろん、今日までの数次にわたる改正でその原則が次々に崩れ始めておりますが、今回は極めて大きく崩れていくように感じます。そのことは、実はまあ農林大臣を初め農林省当局で言っておる農業基本法で自立農家、自立農家で失敗して、いま中核農家、そして担い手と、まあこういう形になってきているんですけれども、これは日本の農業というものが家族農業として将来乗り切れないということの反映ではないか。こう思うんですよ。家族農業でやり切れるかどうか。
 そこで、それと関連して一つお聞きするけれども、そういう展望と、大臣も食える農業、魅力のある農業と言うけれども、それは家族単位に言うんですか、農業労力というものを中心に考えるんですか、その辺はどうなんです。食える農業、魅力のある農業というのはね。まあ率直にいって、私も二反や三反で夫婦で一生懸命かせぐから、子供が五人いるけれど、五人の子供をみんな大学へやろうといったってこれはできない相談だと私は思うんですよ、それは。だから、食える農業、魅力のある農業とは一体具体的にはどうなんだ、大臣どう考えているんですか。これは統一見解をひとつ。
#209
○国務大臣(安倍晋太郎君) 初め前段の御質問でございますが、まあ農地法の基本的な精神というものが崩れようというような情勢になっているんじゃないか、というお話もあったわけでございますが、この農地法の原則につきましては、よく御存じのとおり、耕作者の農地の取得を促進をし、及びその権利を保護するとともに、土地の農業上の効率的利用を図るため、その利用関係を調整することによりまして、耕作者の地位の安定と農業生産力の増強を図ることがその基本的な考え方でございます。が、まあ最近の農村におけるところの土地の資産的保有というふうな傾向が非常に強まってまいりまして、また農地法の耕作権の保護の影響もありまして、農地の売買や賃貸借による規模拡大が進まず、農地の利用度が低下するという傾向にあるわけでございます。
 こうしたことを踏まえまして、今回の農振法改正案における農用地利用増進事業の制度はここに発足をさしたいということでございまして、このような現下の土地事情にかんがみ、利用権の集積によりまして農地の有効利用と経営規模の拡大を進めようとするものでございます。したがってこの農地法の農地制度の基本的な理念について、これを変更するということではなくて、まあこの利用増進事業、農振法の改正を行うことによっても私たちは農地法の基本的な理念は堅持しながら、現状の状態を踏まえた農地の集積あるいは農地の高度利用というものを行おうというのが私たちの本法案を提案をした考え方でございます。したがって農地法の基本的理念には反しないというふうに考えておるわけでございます。
 それからその次の御質問といたしまして、私が申し上げました魅力のある農業、食える農業を確立しなきゃならないということは、これは農政上われわれが取り組み、そして目標とする当然のことであろうと思うわけでありまして、そのためには、いまの生産体制を整備し、あるいはまた価格制度というものをさらに充実をしていく、あるいは農業の担い手に意欲を持って働いていただけるような施策を講ずる、さらにまた、農村の環境整備を行うということもあわせて行うということであろうと思うわけでありまして、まあそういう中にあって、家族労働を、家族農業を中心にして今後やるのかと、これでもってまあ家族が食える農業ということにつながっていくのか、ということであろうと思いますが、まあ私は、やはり日本の農業は、これまでの長い歴史と伝統の中に日本の農業というものが発展をし、維持されてきておるわけでありますから、まあそうした日本の農業、日本の農村の特殊性に基づいたこれからのやはり施策というものが行われなきゃならぬと思うわけでありまして、やはりまあ農家という単位で私が先ほど申し上げましたような基本的な目的が達成をできるようにわれわれは施策を進めなきゃならぬ。そういう場合において、ただ家族労働のみということではなくて、やはりこれからの規模拡大であるとか、あるいは生産性の向上というものを大いに取り上げようとするならば、ただ家族労働というのみでなくて、あるいは共同的な立場に立った共同耕作といいますか、そういうふうなものもやっぱり踏まえながら、これからの農業の労働力の確保あるいは生産性の向上というものに向かっていくべきじゃないだろうかと、私はそういうふうな考え方を持っておるわけでございます。
#210
○栗原俊夫君 これは構造改善の関係から一つお尋ねするんですけれどもね。まあ構造改善事業をやる、そして基盤整備をやる。一まち、二反歩とかあるいは三反歩に整備をしていく。しかし所有者は必ずしもそれにぴったりはまるようになっておりませんね。それを一体どうやっていくか。私は、ここで基盤整備をやり、二反なり三反なりの区画にしていくときには共同所有的な、共有的な思想をやっぱり盛り込んでいくべきではないかと。もちろん一方ではあのばかばかしい列島改造論の中で地価が高騰しましたよ。そして農地法によってとにかく転用も相当規制されておったけれども、これはまず転用は可能であった。しかし振興地域になるとこれは転用はできぬ。できぬということになると、これは資産的な価値判断というものがね、これは抑えられるわけないね、これ。したがって、そこには本当に生産手段としての土地、こういうものが定着してくると思う。そうするとおれは売ってひとつ売り抜けようとか、そういう資産的な発想というものはなくなってくるから、これは共同所有的な一つの方向はこれはとり得る基盤ができてくるんではないか。そういう中でやはり単に個々の家族農業ではなくて、共同耕作というか、土地の共同所有、共同耕作、こういう方向へ進んでいくべきではないか。しかもそういう芽が具体的には今回の中でも集団でやるんだという形になって出てきておる。まあこのように思えるんだけれども、この辺はどうなんだろうか。
 それからいま一つ、これはまあいままで農地は農地法によってなかなか転用は抑えられておったけれども、しかしこれはある条件を満たせば転用ができた。ところが振興法によるとこれはびしっと抑えられる。これは財産権の重大な制限ですよ。これをただで制限するかと、こういうことが私の発想なんです、実際。ほかに使えないと言う、おれの土地をほかへ使っちゃいかぬと、こう言う。それについては何とか補償しなきゃいかぬじゃないか。それは農地として使えと。で、農業をやる、農業をやれば食っていける保証というものが見合ってなくちゃならぬはずなんです、これは。制限するからすぐ銭をよこせとは、こうは言わぬけれども、農用地として使う以上は、農用地として使ってやる農業には、やはり生きていける、食える保証というものがやはり行なわれるべきだ、まあこう考える。少しまあ時間がないからざらざらざらっと言いますと、じゃあそういう保証をするには、無政府生産をやって価格保証ができるかと、これはなかなかできない。まあ幸いというか、不幸というか、余っているのは米だけで、あとはみんな足らないんだから。私は米も余っているとは思いませんよ、小麦が足らなきゃ食っていけないんだから。したがって計画生産、価格保証制度という発想のもとに日本農業というものを大きく転換していく、そしてその営農の規模も、もちろん伝統ある家族制度というものがあるから、にわかにはどうにもならぬけれども、具体的には家族単位ではなくて、基盤整備によって土地が共同的に基盤整備をされるならば、土地の共同所有、その上に共同耕作、こういうことが発展的に当然生まれて来得ると、まあこのように思うんだけれども、こういう所見に対する大臣の考え方を……。
#211
○国務大臣(安倍晋太郎君) まあいまの栗原さんの御発想はやはり相当革命的なもんじゃないかというふうな感じもするわけでございますが、共同所有、共同耕作ということになりますと、やはり所有権、私有権という今日の制度の中において、やはり共同所有的なものは現在のわが国の農村の中にはなかなか――今後進めていくことは非常に困難な面がある。農家の対応の問題もちろんありますけれども、資産的な保有の傾向が強いわけですから、そこまでやっぱり農家の意識を持っていくということはなかなか私は困難じゃないかと思うわけでございますが、しかしお話のように私は、むしろ共同利用といいますか、共同耕作あるいは集団的な営農といいますか、そういうことは、これはやはり今日の現状の中にあっては積極的に取り上げていかなきゃならぬ農政の方向じゃないだろうかと、私はそういうふうに思っておるわけでございまして、そういうふうな考え方のもとにこれからの農政に対処していく。それにはやはり農村、農業の担い手の方々にも十分そうした現実の認識というものを持ってもらって、これからの食糧生産、食糧の自給力を高めていくという国民的な認識も持っていただかなきゃならぬし、国民全体の中にもそういう理解が生まれなければならぬと思います。が、とにかく私はいままでのような家族経営だけを、家族労働だけを中心にした農業経営のやり方では、今日の一つの農政の転換期といいますか、農業の転換期といいますか、そういうものには対処し得ない。こういうふうにはもちろん思うわけでございますが、所有権までさかのぼってある程度の制限というものは、これは確かに農地の制限を行っているわけですから、制限は行わなきゃならぬと思いますが、所有権そのものを共同所有権にまでも持っていく、これを社会的に所有させるというふうなところまではなかなか困難じゃないかと、そういうふうな感じがしているわけでございます。
#212
○栗原俊夫君 これは構造改善局長ね、一次構造改善、基盤整備の。二次構造改善で二反歩、三反歩という区画にする。これなかなか、小所有者がそれにぴたっと当てはまるように所有はしておらぬわけだ。これどうやって処理しているの。
#213
○政府委員(大山一生君) 換地を行います場合は結局、従前の土地と新たな土地との間でございますので、その間においては評価上の差が出てまいります。その点については金銭において換算する、清算する。こういうかっこうでやっているわけでございます。そこで先生がおっしゃられますのは、そういう三反区画の土地についていわば共有にできぬかと……。
#214
○栗原俊夫君 そうそう、持ち分による共有にできぬかと、こういう……。
#215
○政府委員(大山一生君) これは換地の場合に、法形式論として申し上げますと、所有権が持ち分権に変化する、こういうことでございますので、現在の制度では認められないということに相なるわけでございます。ただ先生の言われるような共有を希望するような人があるならば、そういう人の土地をなるべく一カ所の近いところに集反させるというようなことはこれは可能であろう、換地のやり方として可能であろうと思いますけれども、所有権というものと持ち分権とを対応させるというのか、交換するというのか、ということは、これは現行法ではできないということに相なっているわけでございます。
#216
○栗原俊夫君 それはわかるんだ。ただ、いままでなかなか共有になんかしたがらないのは、土地を農業生産手段と考えずに資産として考えて持っておるから、いつでも処分権を行使したいという農民心理がやはりそういうことであり、また自立農家をやろうとして、おれは耕作しないけれども手放すのはいやだという、こういう心理の中に流れているわけなんだ。しかし今度、農振法地域は農用以外には使えないということがびしゃっとこう決まる。まあ資産的な評価というもののウエートは下がってきて、それならとにかく基盤整備の構造改善に応ずるというならば、所有権がなくなるわけじゃなくて、この三反の中の一反歩はおれのもんだ。三分の一はおれの所有権だという持ち分で整理していける可能性が非常に出てくると思うんだよね。出てくれば、法律がいまはだめだからというので、そういう対応する法律をつくったらいい、法律は人間がつくるのだから、別に天然自然にやってどうにもこうにもならぬものじゃないんだから、それがいいという方向が出てくるならば、そういう方向に指導していく、やはり発想したらどうだろうかと、こう思うのだが、どうじゃろう。
#217
○政府委員(大山一生君) 確かに最近の農地価格の動きを見ておりますと全体的に、やはり全体的な地価の上昇というものの影響は多分に受けておるわけでございますが、その中で農用地区域内の農地は比較的その影響は受け方は少ないということはございますけれども、それにしてもやはり上昇をしているというような事態があるわけでございます。そこで、やはり土地の資産的保有傾向といいますか、農民の土地に対する執着心と申しますか、これはなかなか、要するに、この中にどこかあるのだ、というかっこうには、それに応ずるような農民心理に私はまだなっていないというふうに思うわけでございます。ただ、まあしたがっていまの段階で、たとえば都市再開発ですか、マンションに切りかえるときの持ち分というようなかっこうにまで、土地改良の換地を進めることはやはりまだ無理ではないかというふうに考えるわけでございます。なお、まあそういう先生の御提案については今後とも検討してみたいと思いますが。
#218
○栗原俊夫君 それはすぐそうはならぬのですよ。ならぬけれども、やはり農民がそこへいくまでに強制するのじゃなくて、希望があればできるぐらいの法制をつくっておく必要があると思うのだよ、これは。強制するのじゃなくて。まあそういう方向でひとつ研究してみてください。時間がもう六時になって、大臣もいろいろ用事もありそうなんでひとつ協力したいと思いますが……。
 先ほど向井委員から食糧基本法をつくったらどうかと、こういう質問に対して、農業基本法があるからこれでこたえられるのだ。こう言うのだけれども、農業基本法ができるときの経過はこの前もいろいろ述べましたし、前文にも、一般の所得倍増にこたえて農民生活を他産業並みに守っていくのだというのが中心であって、この法律ができるときには、どうも日本の農業は米麦中心過ぎると青井さんあたりも、これは何か書きかえなきゃだめだということを、本会議でも言っておるのだけれども、まさにこれは書きかえなきゃだめなんですよ。これは農民の生活を守るということを中心にした書き方なんでそれは悪くはないけれども、いまこれじゃ応じ切れないのであって、日本農業は日本の食糧自給を担当する基礎産業だと、こうぴしゃりとうたわなきゃだめなんですよ、これは。そしてそのためには関連したあらゆるものをそれに向けて整備していく。肥料にしても、農薬にしても、農器具にしても整備して、無我夢中でもうけるようなことは許さぬぞ、こういう形で諸経費をできるだけ抑えて、そして農産物価格はその中に他産業並みにまさに見合う労賃部分を加算する。いわゆる生産費所得補償方式にする。これが食える農業なんですよ、これが食える農業なんです。一軒の問題じゃないですよ、これは。これが食える農業なんです。これをやらにゃだめなんだ。どうですか、そういう方向でひとつ考えてくれませんか、攻める農業として。
#219
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農業基本法につきましては、確かにいま栗原委員から御指摘のあったとおりの基本的な精神でございまして、農業が国民経済の発展と国民生活の安定に寄与するという認識の上に立って、農業の総生産の拡大あるいはまた農業生産の選択的な拡大、農業経営の規模の拡大、農業構造の改善あるいは農産物価格の安定と農業所得の確保という国が講ずべき施策を規定しておるわけでございまして、この今回お願いをしております農振法の改正もこうした農業基本法の考え方のもとに沿ったわけでございまして、したがって、私は、情勢は大きく変わっておることは事実でございますが、農業基本法の基本的な考え方は変更をする必要はないのではないか。この規定から見ましても変更する必要もないし、基本的には変更されてない。情勢は変わっておりますが、その認識については基本的には変更されてないというふうに私は考えるわけでございます。しかし、今回の情勢の変化に対応いたしまして、これからの農政を推進するに当たりましては、やはり世界の食糧事情の変化等から見て、国民食糧の将来にわたる安定的な供給を確保していかなきゃならぬわけでありまして、そういう観点から、先般閣議で決定をいたしました昭和六十年を目標年次とするところの農産物の需給の長期的な見通しに沿って総合的な食糧政策を打ち出していきたい。そういうふうに考えておるわけでございまして、事態の変更を認めながら、そうした基本精神のもとに、その事態の変更に対応するところの具体的な政策というものは、これはもう積極的に打ち出していかなけりゃならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#220
○栗原俊夫君 最後……。いま少し元気出してもらわなきゃこれはなりませんよ、農林大臣は。それは米麦中心過ぎるという発想のもとにできた農業基本法なんですよ、これは。そういう発想を根底から変えなきゃだめなんですよ。たとえて言えば、小麦の問題だって金かけりゃ相当できますよ。そうでしょう。安いものを買う、国内生産では高くかかるから安いものを買っていこうという発想が根底にあれば、これは書きかえられませんよね。そうじゃなくって、とにかく国内で自給できるものは一応どれだけできるか、しかし経済の問題もこれありということですり合わすのなら話はわかるけれども、内地でつくるやつよりもよそから買う方が安い。ましてやアメリカからは押っつけられる段階もあった。そんなことじゃだめなんですよ、それは。本当に日本国内でこれだけできるんだ、いざとなれば、そろばん外せばここまでできるんだ、こういうことを一応ぴしゃっと押えておかなきゃ――それはそんなことがあっちゃならぬけれども、万一の場合だってなくはないわけですからな。そういう点を十分考えた上に立って、ひとつ農業基本法はあの年に安倍農林大臣が書きかえたという歴史ぐらい残しなさいよ、それは。ひとつ来るべき通常国会まで大臣やっておったら、必ず出すようにやってください。ひとつお願いします。
 以上で私の質問を終わります。
#221
○委員長(佐藤隆君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#222
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認めます。
 小笠原君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。この際、修正案を議題とし、趣旨説明を願います。小笠原君。
#223
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案の理由及び概要について御説明申し上げます。
 案文の朗読は省略させていただきます。
 修正案の第一は、現行法の国土総合開発計画、新産業都市建設基本計画など・悪名高き開発計画と、農業振興地域整備基本方針及び整備計画との調和条項を削除することであります。
 第二は、市町村の立てる農業基盤の整備や農用地開発計画等を内容とする農業振興地域整備計画を単なるマスタープランに終わらせないため、国、都道府県の援助義務を明確にすることであります。
 第三は、農用地利用増進事業を農民の自主的、民主的な組織を主体とした事業とするため、農民の発意によって事業を行うこととすること、また、利用増進規程を定める場合、その地域の農民の同意をとることとし、さらに農業委員会の役割り及び有益費償還の規定を明確にするものであります。
 第四は、開発行為の制限について、農用地区域のみ限定するのではなく、農振地域全体に拡大し、農用地区域外の農用地についても、開発行為による土砂崩れ等の災害や農用排水への影響から守ろうとするものです。
 第五は、交換分合についてであります。五百八十万ヘクタール余りの農用地中百四十万ヘクタールもの農用地を除いた残りの農用地区域内の優良農用地を、工業開発や都市開発向けの用地提供を容易にするための交換分合であり、基本的に反対であり、全文を削除するものであります。
 以上の修正点は、今日までの大企業本位の高度経済成長政策のもとで進行した農業危機を打開し、農業を国の基幹産業として位置づけ、食糧自給率を積極的に高めるという立場から、第一に、国土政策において、農用地の確保を最優先課題の一つとして位置づける。第二に、農民の自主的、民主的な組織化を進め、農民の主体的な団結の力によって、農用地を守り、農業生産の発展を目指すことを基本とするものであります。
 こうした趣旨を御理解いただき、委員各位の御賛同をお願いして修正案の提案といたします。
#224
○委員長(佐藤隆君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 これより原案並びに修正案について討論に入ります。塚田君。
#225
○塚田大願君 私は、日本共産党を代表して、農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 長い間の自民党政府による農業破壊の経済政策のもとで、農地は年ごとに急激な減少を続け、特にこの十五年の間に五十万ヘクタールも減少することになりました。また、農産物の低価格政策によって耕作放棄や裏作の衰退が顕著になり、耕地利用率は昭和三十五年の一三四%からついに一〇〇%そこそこにまで落ち込んできました。
 他面、農地の価格は、大企業による土地投機の影響で大幅に高騰し、経営面積の拡大を望む農民にとって土地取得は全く絶望的な事態となっています。
 このような今日の農地問題を解決するためには、何よりもまず大企業の土地収奪をやめさせ、大幅な国庫助成による農地の積極的拡大や、土地利用の向上を図るための基盤整備の強化、不作付農地の復元に対する援助などが重要であります。
 ところが、本改正案は、今日の土地問題をもたらした最大の元凶である大企業本位の高度経済成長政策の一環としての開発政策、都市政策に従属したまま、その枠の中で残り地を拾い集め、その中だけでの農業振興という現行法の反農業的制約を越えるものではなく、今日の農地問題を解決し、日本農業再建の第一歩を踏み出すに足るものとはとうていなっていません。
 改正点について言えば、まず第一に交換分合でありますが、これは、優良農地として活用すべく線引きされたはずの農用地区域内の農用地の転用を容易にするものと言わざるを得ず、現在すでに五百八十万ヘクタールから四百四十万ヘクタールに減らされている農用地区域をさらに縮小させられることとなり、認めるわけにはいきません。先ほども述べたとおり、今日最も必要なことは、開発を前提として農地を見るのではなく、さらに一層拡大する可能性を追求する立場を堅持することであります。過去の線引きにおいても、あたら優良農地がさまざまな理由のもとに農用地区域から外されていった経緯を見るときに、これを是認するばかりではなく、一層日常的、広範な規模において農地の縮小をもたらすこのような改正には賛成できません。
 第二は、農用地利用増進事業についてであります。もとより、わが党はこの事業の意義と、もたらす効果を一般的に否定するものではありません。しかし、本来農地の利用増進事業は、農民の自主的で民主的な土地管理組織が、農民自身の共同の事業として行うべきものであり、上から官僚的、行政的に押しつけるべきものではありません。やむを得ず当面の策として行政機関の指導のもとに行う場合であっても、その大切な前提として、農民の自主性を尊重し、事業を民主的に運営することによって中小農民の利益を守るべく、最大の配慮を行う必要があります。ところが、本改正案にはどこにもその保証を与える個所はありません。さらに、利用権の設定を受ける者の備えるべき要件の定め方や、その事業がいわゆる中核的担い手育成策の重要な柱であることなどを考えると、初めから下層農家の土地を取り上げることが前提となっていると断ぜざるを得ないのであります。
 さらに、衆議院において、自、社、公、民の共同提案によって修正された点について言えば、これが農用地利用増進計画を定める際の農業委員会の役割りを明確にしたことや、開発行為の制限について、勧告という不十分なものであれ、農用地区域外の農振地域にも制限を及ぼしたことなどの意義を評価するにやぶさかではありません。しかし、それをもってさきに指摘したような本改正案の問題点が解決されるとは、言えません。
 以上の立場から、日本共産党は、衆議院で修正されたとはいえ、本改正案に反対の態度を表明するとともに、わが党提案による修正案の実現こそが今日の土地問題の解決の一助になることを重ねて指摘して私の反対討論を終わります。
#226
○委員長(佐藤隆君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#227
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、小笠原君提出の修正案を問題に供します。小笠原君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#228
○委員長(佐藤隆君) 少数と認めます。よって、小笠原君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#229
○委員長(佐藤隆君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案が各会派の意見の一致を見ましたので、便宜私から提案いたします。
 案文を朗読いたします。
    農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、世界の食糧需給のひつ迫等に対処して国民食糧の安定的な供給体制を確立するため、優良農用地と水資源の確保及びその効率的利用を促進し、併せて積極的な農用地の開発その他農業生産基盤の整備充実を図る等、諸施策を強力に推進するとともに、本法施行に当つては、左記事項について万全の措置を講ずべきである。
     記
 一、農業振興地域制度の運用に当つては、農用地、農用地として開発可能な土地及び農業振興に必要な水源等を可及的に農用地区域内に取り込むよう指導するとともに、農用地区域内の基盤整備及び近代化施設等について積極的に補助、融資条件の充実、改善及びその促進に努めること。
 二、農用地利用増進事業は、農業委員会、農業協同組合の参加等、地域農業者の自主性と創意を十分生かし、本事業の円滑な実施に資するため基盤整備の充実等十分な施策を講ずるとともに、利用権を安定的に継続させるため、その存続期間及び継続設定並びに借受人の投資した有益費の回収につき適切な指導を加えること。
 三、農業振興地域制度の趣旨にかんがみ、農用地区域以外の開発行為に対する勧告、公表制については農業上の土地利用の確保、保全に資するよう積極的に活用するとともに、本法及び森林法に基づく開発規制の運用に当つては、相互の連けいを密にすること。
 四、農業振興地域における農村の生活環境施設の未整備の実情にかんがみ、その早急な整備を行うため、農村総合整備事業の拡充強化等、総合的な公共投資を促進すること。
 五、国土利用計画法に基づく国土利用計画及び土地利用基本計画の作成に当つては、農用地及び農用適地等の十分な確保を図ること。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは、本附帯決議案の採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#230
○委員長(佐藤隆君) 総員挙手と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、安倍農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。安倍農林大臣。
#231
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまの御決議につき、その御趣旨を尊重いたしまして善処いたしたいと存じます。
#232
○委員長(佐藤隆君) なお、本案の審査報告書の作成はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#233
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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