くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第075回国会 社会労働委員会 第6号
昭和五十年三月十八日(火曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     片山 甚市君     竹田 四郎君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     竹田 四郎君     加瀬  完君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山崎  昇君
    理 事
                丸茂 重貞君
                村田 秀三君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                鹿島 俊雄君
                神田  博君
                斎藤 十朗君
                浜本 万三君
               目黒今朝次郎君
                柏原 ヤス君
                沓脱タケ子君
                星野  力君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  田中 正巳君
   政府委員
       厚生大臣官房長  石野 清治君
       厚生省公衆衛生
       局長       佐分利輝彦君
       厚生省医務局長  滝沢  正君
       厚生省社会局長  翁 久次郎君
       厚生省児童家庭
       局長       上村  一君
       厚生省保険局長  北川 力夫君
       厚生省年金局長  曾根田郁夫君
       厚生省援護局長  八木 哲夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生大臣官房国
       際課長      綱島  衞君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (厚生行政の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山崎昇君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十七日、片山甚市君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山崎昇君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 本日は厚生行政の基本施策について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○石本茂君 いつも厚生問題につきましては、大臣初め非常な御努力をいただいておりますことを感謝いたしておりますが、私はきょう幾つかのことを簡単にお聞きするわけでございますが、その一つは医療に関することでございます。
 医務局長さんまだ見えておりませんね。――それじゃ、保育に関することからさせていただきます。
 まず初めに三つのことをお聞きしたいのです、三つのことを。時間がありませんので、全部整理してお尋ねいたします。
 その一つは、乳児保育のことでございますが、非常に勤労婦人、特に労働に従事する立場の人は、この乳児保育の増強方を希望いたしておりますが、現実には、なかなか生まれて六週間やそこらの子供を預かるわけでございますので、保育所側では余り好みませんし、思うようにこの事業が進展できておりませんので、この辺を局長さんのお立場で、乳児保育事業につきましては、今後の拡充計画と申しますか、その辺をどうお考えか、というのは、三カ月ぐらいたちませんと、なかなか預かる方も困難ですし、役所自身も今日まで大体はそういう傾向の中で指導もしてきておられますので、それを一点お聞きします。
 それから次に、保母の確保のことでございますが、これも五十年度予算の中で増員のこと、あるいは給料の上積みのこと、あるいはまた管理者の問題あるいは通年制の問題等いろいろと、完全ではございませんが、芽が出てきたわけでございまして、これはその道にある人々とともに私も感謝しております。ただ保母の特に有資格保母が実際には現場の中ではまだまだ充足されておらないというふうに私ども聞いているところでございますが、この有資格保母の確保ということで現在ただいまどういう対策を講じていかれようとしておるのかということを一点お伺いいたします。
 それから三つ目は、例の小規模保育のことでございます。これはたてまえは三十名以上の子供を入れるとこということになっておりますが、現実には他の法律とのかみ合わせで二十名を単位として小規模保育所があちこちにたくさんできてきております。非常に活用状況もよいのでございますが、さらに一般市民の立場から申しますと、もう少し規模を下げまして、かつて二年前に六人を一単位とする保育事業ということを提唱されたことがあるもんですから、いまだにそのことにつきましてなぜそういうものが実現できないのかということを、女性であります立場もあるのか、たびたび地方へ行ったところで質問を受けますので、今日この機会に確認をさせていただきたい。なぜそれができないかというようなこと、以上三点お伺いいたします。
#5
○政府委員(上村一君) まず最初の乳児保育についてお答え申し上げます。
 いまお話ございましたように、乳児というのはきわめて無力でございます。そこでその乳児の保育というのは、そういった乳児の特性を十分考えてやっていかなければならないというのが私どもの基本方針でございます。ただ婦人労働がふえてまいりまして、生まれたての赤ちゃんを保育してもらいたいという需要がふえてまいっておることも事実でございます。また、基本的にはこういった育児のための休暇制度のようなものがあるのが一番いいというふうに思いますけれども、具体的にそういった需要があるものでございますから、私どもとしましてはその設備なり運営面で乳児への悪い影響というものを最小限に食いとめられるような場合について、乳児が保育できるようにしようというふうにやってまいったわけでございます。スタートいたしましたのが昭和四十四年でございますが、昭和四十四年度から主として低所得階層、具体的に申し上げますと所得税が課せられない階層を対象にしまして、一定の設備なり運営基準に合っておる保育所に限りまして乳児保育をする場合に、保母さんの加配をするというような扱いをしてまいったわけでございます。昭和四十九年度、引き続きまして昭和五十年度もこの乳児保育の対象人員の枠を広げるように進めておる次第でございます。
 それから、第二点が保母さんの確保の対策でございます。保母さんの場合には全国的に見ますと看護婦さんほど深刻な不足状況とは言えないと思います。ただ地域的に見ました場合に、大都市周辺でその確保に困っておられる自治体があるということも事実でございます。それで有資格の保母をいかにして確保するかというふうなお話でございますが、実態を見ますと約十万の専任保母の中で九割ぐらいが資格のある保母でございますが、まず第一に私どもやりますことは、保母養成所に対する助成というものを充実してまいりたいと、
 これが第一点でございます。
 それから、まあ第二点が保母さんになろうとする人に対する就学資金の貸し付け、これが第二点でございます。さらにこれが基本かもわかりませんけれども、保育所で働きます保母さんの給与なりあるいは勤務条件というものをよくしてまいるということでございまして、昭和五十年度の予算におきましても、保母養成所につきましては専任職員なりこういつた職員の給与をふやすこと等、助成を図っておるわけでございます。それから保母就学資金につきましても貸与月額の増額を図っておる次第でございます。
 それから、第三点が小規模保育でございますが、いまお話ございましたように私ども保育所というものを考えます場合には定員の規模というのが六十人以上が標準であろうというふうに考えておるわけでございますが、人口が非常に過密な地域では用地が得られない。それから過疎地域では子供の数が減ってきておるというふうな事情がございますので、小規模保育所というものの制度をつくり始めたわけでございます。これは同時に無認可保育所の解消をねらったものでもあるわけでございますが、従前は小規模保育所というのは三十名以上にしておったわけでございますが、さらに用地取得難等の事情も踏まえまして、四十九年度からはこの限度を二十一名以上というふうに、小さな規模にまで及ぼすようにしたわけでございます。さらにこれを下回らせるかどうかということになりますと、これはまあ保母さんの確保の問題等いろいろむずかしい点もありますので、まあ五十年度は四十九年度二十名まで下げました線で進めてまいりたいというふうに考えております。
#6
○石本茂君 大体御意見わかりましたが、この機会にお願いしておきたいと思うのは、ぜひこの無認可保育所の中で常に問題が提起されておりますので、この無認可保育所の解消方については私は全力をやはり挙げていただきまして、あの手この手で無認可保育が年ごとに将来はなくなるように御努力願いたい。これは要望でございます。
 それからもう一つ、局長のお答えの中にありました例の乳児保育のこととのからみでございますが、育児休暇等があればある程度この問題は解決するんだと思うのですが、現在労働省所管の中に例の勤労婦人福祉法というものがありますけれども、これは単なるもう訓令、規則でございますので、このことにつきましてはできるだけ近い将来に――過去女子教員の問題もありました。それから大臣がいろいろ御配慮くださいました福祉関係職員の育児休暇制度にからまる一できてもちろんおりません。形にもなっておりませんか、――こともあったわけでございまして、このことにつきまして、大臣にと言うのは御無理でございましょうが、ひとつこの乳児保育をめぐりまして、将来どうあったらよいかということをもう一言だけ今度は大臣からお聞きしたいのです。
 その前に、やはり母子保健に関する局長さんのところの所管でございますのでお聞きしますが、形はさまにはなりませんでしたが、例の五十年度国家予算に母乳バンク等を取り上げられまして、これは予算的には固まりませんでしたが、よく新聞に再々取り上げられておるところでございまして、母乳保育の奨励という意味では私は本当に結構だと思っております。ただ、新聞等にもありますように、その場合、母乳汚染の問題ですね、これが一体大丈夫なのかということが、今日さらに話題として出てきておりますので、母乳栄養の奨励まことに結構であるし、これはしなければいけないと思いますが、母乳汚染ということにつきましてどのようにお考えになっておりますか。要するに大丈夫ですと言い切れるのかどうか、その辺の対策についてお伺いしたいと思うわけでございます。
#7
○政府委員(上村一君) まず結論から申し上げますと、四十九年度の調査、目下分析中でございますが、PCBの母乳中における濃度というのは年々低下の傾向を示しておりまして、母乳のかわりに人工栄養を使う弊害に比べましても絶対大丈夫だということが言えると思います。まず経過から申し上げますと、四十七年にPCBによる母乳汚染の疫学調査を実施しまして、四十七年の場合には五十二の都道府県、百十三の地区につきまして六百七十一例の産婦と乳児を調査したわけでございます。で、四十八年では同じように五十四都道府県の百十三地区の五百九十五例の産婦とその乳児を調査したわけでございます。本年度では、やはり同じく五十四都道府県の百十六地区の五百五十六例の産婦と乳児を対象にしまして健康調査と母乳中のPCBの濃度について調査をいたしました。
 で、最初に申し上げましたように、四十九年目下分析中で近くまとまると思うわけでございますが、母乳中のPCBの濃度というのは年々低下の傾向を示しておるわけでございます。それから産婦なり乳児の健康状態につきましても、いままでの調査ではそのPCBによる影響は認められないというふうに考えておるわけでございます。したがって、現在の状況から判断すると、母乳を推奨こそすれこれを停止する必要は毛頭ないものであるというふうに考えております。
#8
○石本茂君 大臣、大変恐縮でございますが、さっきちょっと触れましたけれども、この産後休暇の問題を含めまして、いま話が出ておりましたいわゆるその乳児保育の問題、それから母乳栄養の奨励方、この辺をあわせまして、大臣、どのようにお考えでございますか、一言承っておきたいと思います。
#9
○国務大臣(田中正巳君) 乳児に対する母乳による保育、これは私は非常に大切だというふうに思っているわけでありまして、これを推奨いたしたいというふうに思っております。母乳バンクの予算要求をいたしましたが、なかなかどうも技術的な詰めが十分でございませんで物になりませんでしたが、妙な話ですが、あれをめぐりまして非常に母乳というものに対する認識が深まったというのは、これは何というのですか、考えない望外の一つの効果があったものとは思っておりますが、いずれにしても母乳によって乳児を育てるという傾向をひとつ強めようというふうに思っておりまして、その方向で厚生省は努力をいたすべきだというふうに思って、それぞれ原則において努力をするように申しつけております。
 これに関連いたしまして、育児休暇・休職の問題、そして産前産後における労基法の休暇の問題という問題が関連してまいるわけでございますが、育児休暇・休職の問題、これも私は母乳との関係において大変――またその他、母乳だけではございませんで、そういう狭い範疇で考える必要もないと思いますが、いずれにいたしましても、この問題を早くセットをいたしたいというふうに思っておりますが、現実問題としてこの問題が出てまいりましたのは教職員の場合が沿革的に先でございます。したがいまして、別途文部省関係においていろいろと、国会内部でもいろいろ議論のあるところでございますが、この休暇ないしは休職期間中の給与をどうするか、身分をどうするかということについて意見のまとまりがまだできておらないようでございますが、だんだんと話が煮詰まってきたというふうに聞いておりますので、私どもも協力をして、また実際私どもの方にも大いに関係のある問題ですから協力をして、この問題が一日も早く制度化することができるようにいたしたいというふうに思っております。なお、どうも当省関係でないので、私、厚生大臣から口をはさむのもいかがかと思いますが、厚生省サイドから見ましても、労基法における産前産後の休暇制度というものは私は改善の必要があろうというふうに思いますが、国の全般の労働政策等々の絡み合いもありますので、私、他省庁所管の法律についてここで断言的なことを申すのもいかがかと思いますが、私の気持ちとしてはこれについても改善を加えたいものだというふうに思っているのでございます。
#10
○石本茂君 御所見承りまして、大変うれしく喜んでおります。ことしは大臣も御承知のように――こんなことを振りかざす必要ございませんが、国際婦人年でございますので、この国会には何も間に合いませんでしたが、ぜひひとつ次の機会に、いま申されましたように、勤労婦人対策といたしまして、しかもこの母子保健対策が厚生省の所管でございますので、また労働大臣等にも御進言願って、何とか関係各省庁の意思をお固め願いまして、中心になっていただいて、制度化できますことをこの機会にお願いをしておきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、医療に関することで三、四点お伺いいたします。これも、時間の関係上、お聞きしたいことを全部一遍に言ってしまいますから、また簡単にお答え願いたいと思うんです。
 まず、老人医療問題でございまして、これは局長も大臣も御承知のように、ベッドの増強方があっちこっちで言われています。現実には私は本当にそうなのかどうかしっかりつかんでおりませんが、行ったところで言われるわけでございますので、このベッド増についてどうお考えになっておりますのか。かつて、場所は違いますが、局長、この問題で国立療養所、かつて結核ベッドでありましたものを全部――全部じゃございません、ほとんど必要なだけ老人ベッドに転用したいということも申しておられたのでございますが、この点はどのように運ばれておりますのかもこの機会にお伺いいたしたいと思います。
 それから次に、今度は老人医療問題をめぐりまして、これは私のけちな考えですが、保健婦活動の活用方ということがお考えになれないのだろうかと思うのです。病院に行きます一歩手前で相談事業としていろいろと指導できるのじゃないだろうか。年をとればみんなどこかに病気を持っておりますが、それが成人あるいは子供の条件の中で――成人というのは老齢以前でございますが、疾病と診られたものが、老齢期に入ってまいりますと、疾病ではあるかもわかりませんが、まあ当然という言葉がいいかどうかわかりませんが、これはもう年とればなるんだという面もあるように思うのでございます。そういう意味で、医師に行く以前に保健婦等のところで相談の中で解決できるものもあるんじゃないだろうか、こういうふうに考えますので、この機会にそういう相談事業、保健婦活用ということについての御所見を承っておきたいと思います。
 それから、大きな二つ目は、看護婦等の確保でございます。これも絶対数が足りない足りないということで、五十二年には一応需給を満たしますということを今日まで私ども聞いてきたし、言ってもきたわけでございますが、この問題に絡まりまして、数だけ調えれば問題は解決するのだろうかという私は懸念を持っております。やはり病院等の中における看護業務の整理も非常に必要なんじゃないだろうか。何でもかんでも全部看護婦、看護婦というような現段階で、厚生省が企画していらっしゃいます五十何万人を仮に調えてみたところで、医療機関はどんどん、どんどんふえてまいりますし、追いつくんだろうか。いつも、この年になったら、この年になったらというので、今日三回も四回もその場におります者は、だまされたという言葉は非常にいけない言葉ですが、いつでも行政のサイドでだまされ続けているという意識を持ってきていると思います。そのことでひとつこの機会にびしっとした何かお示しをいただきたいと思うわけです。
 それから、関連でございますが、国立病院・療養所の看護職の定員でございます。これはもちろん相手省庁もございまして、簡単にはまいりませんが、来年度の中に増員もできましたけれども、果たしてやかましく言っています夜間勤務二人以上、月八日というものがどこまで一体満たされますのか。現在、半分にもやっと到達したかせぬかという状態でございますので、この辺もこの機会にちょっとお尋ねしておきたいと思います。
 それから次に、これはちょっと大きい問題になりますが、看護教育制度に関係することでございます。これは局長はよくおわかりになっていてくださると思うのですが、昨年の年度末――四十九年の三月の末でございました。当時の人事院総裁、それからいまの局長、事務総長等々私もお会いして言われたことですし、看護婦等の給与改善にまつわる第二次勧告のときの説明書の最後の項目にもありましたように、看護教育制度を改善してほしいということが一言出ております。で、私、直接に聞きましたのは、これは局長も御承知だと思うのですが、余りにも看護教育の種類が雑多に過ぎている。何とかひとつ、正しい評価をしろ、正しい給与基準を定めろというなら、この雑多な教育体制をひとつ整理してほしい。で、当時局長が申されましたのは、こういうことでした。これは医務局長さんではございません、相手の給与局長でございますが、せめて看護大学校と言われるような養成所の内容整備ができませんかということをつけ加えられておるわけでございますが、このことにつきまして、当局のお立場でどのようにお考えになっていらっしゃるのか。
 それで、あわせまして、私、非常に気にかかりますのは、国立療養所の中にいまだ准看護婦養成所がございます。そして、これはかつてやはり近い将来には廃統もいたします、そしてさらに、看護学校に昇格をさせますということを承って、いつなるか、いつなるかと私なりに気にかけてまいっておるところでございますが、一体いつごろをめどにいまあります――かなりの数がございますが、この准看護婦養成所を廃止される御計画かどうか、それも承っておきたいと思います。私が言いますのは、准看養成所をやめなさいと、そしてほっとけと言うのじゃございませんで、その学校にはかなりの高校卒業者が入っておりますので、この人方をなぜ高等看護学院にはいり得る可能性を国の責任でおつくりにならないかという意味でお尋ねをしているわけでございます。
 それからあわせまして、ただいま、きのうも新聞にも出ていたと思うのですが、例の小児等を中心といたします大腿四頭筋の拘縮症の問題をめぐってでございますが、これは大変過ぎたことを言うのはおかしいんですが、去年の九月の三日付で、当時、武見医師会長さんあてにその問題で調査を進めておられました会から、これは小児学会長さんだったと思うんですが、答申が出ております。これをずっと拝見しておりますと、七項目目、おしまいの方でございますが、そこにこの問題を解決するための事前の予防対策として、その一項に実は看護教育の中身がちょっと出ているのです。というのは、筋肉注射をいたしますときの部位等が、看護婦の教科書はございませんが、一応教科書的に使っております参考書の中に示されていると、しかし、こういうものについてもしっかり検討して、そして看護婦等が注射行為をいたしますときにも、安全に、確実にできる方向をたどるべきじゃないかというようなごく簡単な文章でございますが、出ております。私はこれを拝見いたしまして、今度のこの問題をめぐりまして、お医者様が直接されました注射の数よりも、恐らく補助者によります看護婦等のいたしました注射行為が多かったんじゃないか、医療処置でございますから。そうなりますと、いまの看護学校の教育の中にあります解剖学あるいは生理学あるいは薬理学というようなもので、こういう現場で起きてきて再び取り返しのつかない問題提起をしたときに、いまの教育でいいんですと、基礎教育はしてあるのですから、それは個人の能力に差があって十分それはわからなかったから間違いがあったんだというようなことで済むのかどうか、そういう意味におきましてもこの機会に看護教育の中身につきまして、ひとつ一層の御検討をちょうだいしたいと、これは要望を兼ねまして御所見を承るわけでございます。
 それからもう一つございます。これは僻地医療対策に関することで、いよいよ五十年から部分でございますが、手がつけられるわけでございます。この中に、保健婦の駐在が出てきております。これは保健婦は医師にかわって治療等をするのではございませんで、地域住民の健康管理をするというたてまえで設置されるわけでございますが、私自身もかつてそういう仕事をしたことがあるのですが、僻地等において保健婦が一番いま、どう言いますか、悲しい思いをいたしておりますのは、すごく孤独であるということなんです。ですから、この指導体制を一体どうしてくださるのか、卒業してすぐ離島や山の奥に行って、そして保健指導をしなさい、病人が出てきた、ああ何かしなさい、これは私もしたことございますが、どうにもこうにもできないつらいことなんです。ものすごい孤独でございます。そういう意味で、私は二人配置をしてくださいと申しませんが、この指導体制だけはがっちりしていただきたい。一週間に一回ぐらいだれかが行くとか、問題が起きたらすぐ飛んで行くとか、何かかんか若い保健婦でありましても、安心して僻地に喜んで行って、そこで私の使命を果たしましょうというような体制を、これは医務局だけでは無理かわかりませんが、ひとつ確立していただきたいということを含めまして、僻地医療対策の完全化ということで、私の要望を入れて御所見を承りたい。なお、このことは局長の御意見を承りました最後に、大臣の御意見をひとつ聞かせていただきとうございます。
#11
○政府委員(滝沢正君) 大変広範にわたっての御質問でございますので、逐次お答えいたしますが、老人医療の問題とベッドの増と申しますか、対策でございますが、実は老人医療無料化に伴います病院への影響を統計的に見ますと、比較的大きな総合病院的なところでは一〇%が一五%、これは七十歳以上の対策に乗る数字でございまして、市町村立になりますと二〇から三〇というふうに非常に考え方によっては高率になっております。で、この問題は老人の総合対策に絡む問題でございまして、ただ病院側が利用率を高めるために入れているんだということになると、これはまた論外の問題でございますけれども、いずれにいたしましても、ベッドの増はわが国の医療従事者の現状から見まして、積極的に増強することはただいまは困難でございますが、われわれ当面国立の施設も、先生のお話のように、一部老人病棟の方向に向けますけれども、そのまたモデル病棟もただいま設計中でございますが、このような対策よりも非常に重要なのはリハビリテーションの問題である。老人といえどもやはり自宅に帰って少なくとも自分の用事は足りるぐらいに回復するリハビリテーションに重点を置きたいということで、国立病院・療養所にもリハビリテーション機能を増強する。それから公立にも補助金を五十年度から用意いたしました。したがって、老人医療対策の一環としてリハビリテーション機能というものを医療機関に増強し、ベッドの回転というものをやはり十分考えませんと、長期療養の老人を受け入れるとなりますことは、これは特養との関係等も含めて、十分総合的に考えなければいかぬと思っておるわけでございます。
 それから保健婦の活用の問題ございましたが、まことにごもっともな意見だと思いますが、私は、現状の保健婦の養成計画のままでは、なかなか十年ぐらいの日にちを要しませんといまの倍ぐらいにはならないというようなことで、老人医療にまつわる訪問看護の問題、要するに看護婦さんであって訪問看護制度というものが考えられないかということも含めて、地域によってはもちろん保健婦の活用も必要になりましょう。ただ、都市型のところでは保健婦は健康管理等が主体になるであろうし、町村に行きますというと、保健婦がかなりこの面で活動していただけると、こういうようなことで総合的に考えたいと思っておるわけでございます。
 それから看護婦の確保対策、特に五十二、三年をめどに何とか見込みが立つんじゃないかという、これはさきの国会でお答えいたしておりますが、実はこれには週休二日制が入っておらないわけでございまして、週休二日制の問題がやがて日程に乗る段階にきておりますので、われわれとしては少なくとも五十三年、四年の計画を立てるには、週休二日制の問題をやはり加味する必要があるということで、先般お答えしました数字に対してただいま修正をいたしておるわけでございまして、これを見ますというと、概算で私、見ておる段階ですが、やはり相当五十五年になってもまだ不足の状態が解消できないというような見込みになるのでございまして、これは成案を得次第、また機会がございますればお答えする機会があろうと思います。いずれにいたしましても、そのような量の確保と、また関連して業務の整理、補助者の導入という意味のお尋ねがございました。この点については、わが国の事情からいきまして非常に若い方の補助者を得ることは非常に困難であると、したがって、中高年齢の方の看護補助者の活用ならばこれは考えられるのでございまして、そうなりますというと、とても看護力というよりも、全くの補助者としての業務の整理をするというあたりのところが具体的なわが国の実態に対する問題点であろうと思っておるわけでございまして、補助者制度というものにまたこの新しい制度を設けると、また身分制度をつくれというような行為につながりますので、この補助者というものの確保の点につきましては、非常に地域ごとに事情も異なりますし、この点は看護業務の整理ということがどういう補助者にこれをお願いするかという観点になりますと、非常に具体的にすることが困難な問題でございます。
 それから国立の看護職の定員、二・八体制の問題でございますが、今回、五十年の定員増によりまして二・八体制の強化という項目で定員の増を認めていただきましたので、国立病院はこれによってただいま五〇%程度の二人夜勤の単位が六〇ぐらいに上げられる見込みでございます。で、これのめどというのは、人事院勧告にもございますように、計画的に逐次進めなさい。といって全部をやれというような形でなく、一人夜勤でいいところもあるであろうと、しかし、そういう場合は夜間の連絡体制その他を十分気をつけなさいというのが判定の内容でございます。われわれも文部省はただいま七五ということで、第一年次の二・八体制が計画されておりますので、ほぼその辺をめどに高めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから看護教育の制度と絡んで、国立の准看養成所をどういうふうに持っていくかというお尋ねでございます。今回五十年度から国立の養成所の教務主任等を教育職に変えていただきました。これはわれわれの念願でございましたし、一つの姿勢を、方向を示したものと考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、看護教育で一番問題点は、教員の資質の向上ということが一番重要な課題でございますし、看護教育センターを認められた方向も、やはりそれを充実する基本にしたいという方向であるわけでございます。具体的に准看制度については、一昨年出ました制度検討会の御答申にもございますように、逐次准看制度は廃止の方向で切りかえなさい、それで切りかえのめどの立ったところで、この教育制度自体も廃止の方向で検討しなさいというのが、検討会の御答申の御意見でございます。具体的に国立については、進学コースに進み得るところ、あるいは直接三年コースに切りかえられるところは、国立の整備費をもって積極的に進めたいと。ただ、このめどにつきましては、具体的にただいま申し上げられる数字を持ち合わせませんけれども、かなり積極的に療養所・病院の特に准看を進学コース等に切りかえる方策は実施いたしておるわけでございます。まあ、らい療養所などに准看養成所がございまして、このようなところをどう切りかえるかが、一番至難な問題でございますけれども、実習病院との関係等を踏まえまして、最終的にはこのような療養所関係の准看施設は全部三年コースに切りかえあるいは進学コースに切りかえたいという方針で進めております。まあ三年定時制の問題も、このような問題の関連における看護婦養成の充実策の一つとして取り上げたわけでございまして、五十年度からわが国で二ヵ所程度この三年定時制の看護婦養成が発足できる見込みが立ってまいったわけでございます。
 それから大腿四頭筋の問題に対しましてのことでございますが、これは私基本的には医師の指示に基づいて看護婦がやっておるわけでございますが、先生御指摘のように、その指示があって、静脈注射と違って皮下注射、筋肉注射は看護婦が恒常的にやる場合が多いということはおっしゃるとおりでございますが、やはりこのような教育内容ということは、実は大腿四頭筋の問題が起こるかなり前に、東北の赤石教授が、看護婦の教科書の中の注射部位については少し見直す必要があるという御提言がかなり前にあったわけでございます。医師会関係の委員会答申の中で、そのことが頭におありになったものですから、そのことに触れておるわけでございますが、実際は教科書の内容、参考書類はほとんど新しい御意見に基づいて改訂されておるわけでございます。で、先生おっしゃるような看護婦の教育内容に薬理学あるいは生理学等もっと内容を高める必要があると、これは教育一般論としては私非常に大事だと思いますが、この注射ということを看護婦がすることにまつわって、どこまで薬理なり生理なりの知識を持てばいいかという問題は、看護婦本来の使命からかんがみまして、一般論として教育内容を改善すべしという御意見には全く賛成でございますし、ただいま制度検討会の延長として、看護教育内容を検討していただく委員会を続けておりますので、そのめどが立ち次第、四十二、三年ごろ一回教育内容を改善いたしておりますから、五十年をめどにして教育内容の改善をいたしたいと思っております。
 それから、最後に僻地の医療対策と保健婦の問題でございますが、全くおっしゃるとおりでございまして、今回の僻地医療対策の保健婦の駐在は身分としては県職員を考えております。したがって、県職員である地元の保健所の婦長などとの保健婦の主任との結びつきが出てまいりますので、先生御指摘のように非常に孤独な連絡、勉強の機会のないようなことのないようにこれは指導いたしたい。したがって、保健所がそのよりどころになり、そこからまた必要によっては自分の仲間としての応援体制をとっていただけると思いますので、市町村職員でなく県職員として駐在していただく、それで人事の交流もするようにいたしたい、こういうことを基本にして指導いたしたいと思っておる次第でございます。
#12
○国務大臣(田中正巳君) いま石本委員から広範ないろいろ大切な御質問がございましたが、そのうち大きな問題について一、二お話をしてみたいと思います。
 老人医療のベッド増の問題でございますが、私は老人医療の無料化、政策的要請として私は非常に熾烈なものがあり、そしてある面では非常に大事な政策であり、これを進めたことについて私どもは結構であるというふうに思っておりますが、現実問題としてこれのメリット、デメリットというものが、はっきりとやって二年ほどたってまいりましたら出てまいりました。一種の社会問題にも実はなっているわけでございますので、メリットの方はこれをなお助長していかなきゃなりませんが、デメリットについては、これを一時的現象だと、こうして放置しておくことのできないような傾向が出てきたものというふうに私ども認識しております。要は老人というものを無料化によって医療を潤沢に授けるということについては結構ですが、一体老人について医療機関に収容すればよろしいといったようなことだけで律することができるかできないかということが現実の問題だろう。しからば、病院のベッドを無限にふやしていくということも、いま医務局長の申したとおり現実問題として不可能でございますし、またそう正しいことでもないわけでございますので、こうした状況を踏まえて、私どもは何とか今日の老人福祉施設のカテゴリーというものについて、再検討する必要があるんじゃなかろうかというふうに実は思っているわけであります。老人福祉施設、――福祉施設じゃございませんが、有料老人ホーム、軽費あるいは特養、養護とこの四つのカテゴリーでやっておるわけですが、今日の老人の実態を見ますると、このいずれにもはまらないような実際の要請があるということを私ども知っているわけであります。いま少しく特養に医療の面を加味したようなものを考える必要があるではないか。よくわかりませんが、ヨーロッパ等にはそういったようなものがあるという話も聞いておりますので、そういったようなことをめぐって、要は受け入れ施設の方について改善を加える必要があろうというふうに思っているわけであります。これについてはいま医務局長の言ったように、リハビリテーションというものをどういう形でどういうふうに位置づけ、進めていくかという問題もあろうと思われるわけであります。
 看護婦の教育並びにその充足問題ですが、いろいろお話がございますが、私は基本的に日本の看護婦制度というものは、いま一度これは関係者の間でよく考えてみる必要があるというふうに常日ごろ実は思っているわけであります。いかんせん、しかし、この問題については過去の歴史を見ますると、看護婦の制度あるいは教育の問題等々をめぐる改善については、非常に容易なことではないということは私も十分知っておりますけれども、今日のこの姿をこのままにしておいて、看護婦問題が根本的に解決するだろうかということを考えるときに、私は相当精力的なまた非常な熱意のある検討というものが必要ではなかろうか。そうでなければ、びほう策だけを積み重ねているというのが、今日の看護婦問題の実態だろうというふうに思いますので、いま医務局長が申しました諸般の施策もこれは急がにゃなりませんが、基本的なところにメスを入れるということを、やはり勇気をもってやらにゃならぬというふうに実は思っております。
 しからば、一体どういう方向でどういうふうにやるかということについては、慎重な検討が必要であって、ただいま申し上げる段階ではないというふうに思っております。
 なお、保健婦の今日の実情、指導体制等々についてはこれはまあ石本先生ならでは私聞けない御意見だと思いますので、ひとつこの点については医務局長の方でも考えておるようでございますけれども、なおひとつこれについては指導体制なり、あるいは人的なコンタクトの問題等いろいろと推し進めていきたいというふうに思っている次第であります。
#13
○石本茂君 もう時間が過ぎてしまっております。ありがとうございました。
 最後に、せっかく社会局長さんおいでいただいておりますが、実は老人の生きがい対策ということで二分ほどで何か御意見ちょうだいできれば大変結構だと思いますが、よろしゅうございましょうか、お願いいたします。それで終わります。
#14
○政府委員(翁久次郎君) 老人の生きがい対策ということについて御質問でございますが、ただいま六十五歳以上の老人が八百七十万と推定されております。
 これが四、五年後には一千万を超えるであろうと、こういった方々の世論調査等によります生きがいの一番の中心はやはり何らかの仕事を持ちたい、それからやはり趣味に生きたい、それから家族が安心して一緒に暮らせるようにしたいということのようでございます。厚生省といたしましては、この就労対策ということについてあっせん事業をいたしておりまして、軽作業、あるいはシイタケづくりとか、農園作業というようなものを中心に就労事業を進めてまいりたい。なお労働省におきましては、高齢者コーナーを設けておられまして、この点について百五十ぐらいの職安でその仕事を進めておるわけでございます。それ以外に新しい企画といたしまして、来年度、老人のための明るい町づくりということで、全国九カ所ばかりの都市を選びまして、そこで老人のための農園あるいは養殖、それから趣味の作業教室あるいはまた老人保健学級の開催というようなことを中心に、もちろん他にいろいろな施策はございますけれども、生きがいを高めるための施策を積極的に進めてまいりたいということで予算化をしている次第でございます。
#15
○石本茂君 どうもありがとうございました。
#16
○浜本万三君 太平洋戦争が終わりまして、三十周年を迎えるような状態になりましたのですが、この太平洋戦争に対しましては、たくさんの国民が犠牲を受けておるというふうに思います。そういう中から太平洋戦争でいわゆる犠牲を受けました国民に対しまして、政府はいろんな形の国家補償による援護措置を行っておるというふうに思うのですが、まず第一にお尋ねをいたしたいと思いますのは、太平洋戦争において、いわゆる戦争犠牲者と見なされる者は一体どのような状態なのかということを最初にお尋ねをしたいというふうに思います。
#17
○政府委員(八木哲夫君) お答え申し上げます。
 太平洋戦争によります犠牲者と戦争の被害者ということでございますが、一番中心になりますのは、軍人・軍属でございまして、この関係の戦没者の数につきましては約二百万人でございます。それから、一般の戦災の空襲、戦災等の死没者の方々につきましては、はっきりした数字、いろんな数字がございますけれども、正確な数字がなかなかつかめないわけでございますが、昭和二十三年に経済安定本部で調べました数字によりますと、約三十万人というようなことでございます。なお、そのほかに戦災都市連盟等が調査しました数字では五十万ということで、恐らく戦災、空襲でお亡くなりになられた方々は三十万ないし五十万程度ではないかというふうに考えております。
#18
○浜本万三君 そういうような戦争犠牲者に対しまして、国はいろんな形の援護措置を行っておるというふうに思いますが、いまお話がありましたそれぞれの犠牲者に対しまして、どういうような国家補償による援護措置が行われておるかお尋ねをしたいと思います。
#19
○政府委員(八木哲夫君) 現在の戦争によります被害者に対します援護措置、いろいろございますけれども、国家補償という観点で行われておりますのは、いわゆる軍人等に、主として軍人に対します恩給法によりますお亡くなりになった方の御遺族に対します公務扶助料、あるいは傷病を受けられた方々に対します傷病恩給の制度がございます。それから戦傷病者戦没者遺族等援護法によりまして、これは大部分は、軍人はほとんど恩給でございますが、軍属の方あるいは軍属ではございませんけれども、直接国との身分関係があったと同じように考えていいじゃないかというような準軍属の方々に対しまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法によりましてお亡くなりになった御遺族に対しましては遺族年金、それから現に傷病を受けられております方々には障害年金の支給という制度があるわけでございますが、いずれも、恩給法にいたしましてもあるいは援護法にいたしましても、考え方といたしましては直接軍の構成員であると、あるいは国との身分関係があるというようなことで、事業主あるいは使用者責任という立場におきます国が国家補償ということで必要な援護措置がとられている次第でございます。
#20
○浜本万三君 いまの説明によりますと、要するに政府の国家補償は、政府との何らかの身分関係がある者に限定をされておるというお話でございました。しかし中には特別に政府との身分関係のない者が国家補償の対象にされておる者があるんじゃないかというふうに思いますが、その点いかがですか。
#21
○政府委員(八木哲夫君) 軍人・軍属の場合には、これは直接軍の構成員でございますので、政府との身分関係が明確にあるわけでございます。しかし戦傷病者戦没者遺族等援護法によります準軍属につきましては、これは直接の政府の身分関係というものは直接はないわけでございます。具体的な例で申しますと、総動員法に基づきます徴用工でございますとか、――いわゆる軍人さんの赤紙に対しまして白紙であるわけでございますが、徴用工でございますとか、あるいは動員学徒でございますとか、あるいは沖繩におきます米軍が上陸いたしました際に直接戦闘に参加いたしました戦闘参加者のように、直接の身分関係はございませんでも、軍なりあるいは国の強制力というものが相当に及んでおったと、したがいまして軍人・軍属と同じような身分関係があったというふうに考えてもいいじゃないかというような考え方から、現在の援護法におきましては準軍属の方々につきましては、軍人・軍属と同じような身分関係があったというような考え方に基づきまして、準軍属の範囲を援護法におきまして法定いたしまして、その方々に対しましてはやはり国としましての使用者責任的な考え方をとりまして、国家補償の考え方によります必要な援護措置がとられておる次第でございます。
#22
○浜本万三君 いまのお話でございますが、これは直接厚生省とは関係のないもので、たとえば旧地主に対する国の補償でありますとか、あるいはこれは厚生省の関係があるもので言えば海外引き揚げ者に対する補償であるとか、そういう者が直接国との身分関係はないけれども、現に国家補償の対象にされておることは御存じのとおりだというふうに思うわけです。
 そこで、これまでにも先ほどお話があったように、一般戦災者のうちでも、たとえばまあ警防団でありますとか、医療従事者でありますとかいうように、特別に国との身分関係があった者だというふうに考えられるものを国家補償の対象にいたしまして援護措置が講じられておるわけでありますが、現在のところ一般戦争犠牲者であるのに国家補償の対象になっていない大きな犠牲者があるんじゃないかというふうに思います。たとえばそういうものは一般戦災者の中で大きな犠牲を受けたものとしてはどんなものが考えられるでしょうか。
#23
○政府委員(八木哲夫君) 先ほど先生の方からお話しございました農地補償の問題これ私の方の所管ではございませんけれども、伺っておりますのは、国家補償としての制度ではないというふうに承知いたしております。それから、引き揚げ者の方々に対しまして昭和三十二年に引揚者給付金が支給されておりますが、これは一時金の国債でございますけれども、これも国家補償という立場ではなしに、集団引き揚げが大体終わりましたのが三十年の前半でございますが、当時、引き揚げ者が海外におきまして一切の物を失いまして全くまる裸でお帰りになられて、当時の戦後の混乱した状況の中でいかに立ち直られるかという当面の援護というような面から引揚者給付金が、これは厚生省の所管でございますが、制度ができたというふうに承知しておりますので、引き揚げ者の給付金にいたしましても国家補償という観点ではないわけでございます。それからお話しございました戦災者の方々、この方々につきましては、現在特別な措置はとられておりませんけれども、当時、戦時中ではございますが、戦時災害保護法等によります一時金の制度等はあったわけでございます。いずれにいたしましても戦争によります、あれだけの大きな戦争であったわけでございまして、それだけ被害も大きかったわけでございます。当時はいろいろな意味で、戦争遂行ということで国民全体が協力したわけでございまして、その意味で国民各層にわたりますいるいろな意味の被害なりあるいは影響というものは深かったというふうに思われるわけでございますが、現在すでに戦後三十年を経過したわけでございまして、むしろ社会保障、特に社会福祉の立場、――社会保障なり社会福祉の立場で、厚生行政というのは現にお困りになっている方々に対します福祉政策を展開しているわけでございますので、本来厚生行政の対象としまして、現に老齢でございますとかあるいは障害でありますとかという方々につきましては、一般の厚生政策、社会保障政策の充実によって解決すべき問題ではないかというふうに考えておる次第でござ、います。
#24
○浜本万三君 政府の考え方いま伺ってわかるんでございますが、しかし、何といっても太平洋戦争のときに最大の犠牲者になりましたのは広島、長崎の原爆被害者、さらにまたアメリカ軍の大空襲によります被害を受けました一般戦災者、特殊なものとしては沖繩の学童疎開の「対馬丸」事件というようなものもあるんじゃないかというふうに思いますが、そういうものがいまだに国家補償の精神で援護措置が講じられないということは、政府のこれまでの戦争犠牲者の概念というのがいまの新憲法の考え方から言えば間違っておるんじゃないかというふうに私は思うわけでございます。つまり、お話しがあったように政府の国家補償による援護措置というのは軍人・軍属が中心になっております。しかし、わが国は太平洋戦争で侵略戦争を行った国家でございますが、今日の国家は軍備を持たない、あるいは戦争をしない、そういう精神に基づいた平和憲法の立場にあるものでございますので、先ほどのような軍人・軍属を中心としたこの国家補償の援護措置が行なわれるということになりますと、まさに現在の憲法の精神から言えば逆さまの形になっておるのではないかというふうに思うわけです。したがって、今日の時点ではやはり今日の平和というものが一般市民の犠牲によって樹立されておる、なかんずく特殊な原子爆弾の被害によって多くの人たちが犠牲になっておりますが、その犠牲の上に成り立っておるんだということを考えますと、三十年たった今日、国家補償のあり方というものを見直してみる必要があるんじゃないだろうかと思うわけです。そういう立場で、特に厚生大臣から所見を承りたいというふうに思います。
#25
○国務大臣(田中正巳君) いま援護局長からいろいろ答弁がございましたが、あの太平洋戦争の戦争犠牲者と言われるものはもっともっと範囲が広いんじゃないか、事実私も国会議員をしておりましていろいろな陳情を受けたことがございますが、戦争犠牲者救済に関する団体等からはもっと広い範囲でいろいろな御要請がございます。たとえば戦争で家を焼かれた者あるいは強制疎開によった者ないしは企業整備で職を失ってその後の生活基盤をおかしくしてしまった者等々いろいろ実はございまして、こうした非常に幅の広い、またそういった者だけではなしに、いろんな意味で大なり小なりあの戦争によって国民は犠牲をこうむったわけでございまして、こうした戦争犠牲者というものを一体どういう範囲でこれを把握をして国家補償をするかということはまさしく政策の問題だろうと思うのでございますが、今日までのところ、当時の状況にかんがみて国家による特別権力関係、国家権力によって生活を規制され、自由のきかないという形でもって一身上の障害を受けたあるいは死亡したという者に着目をして、こういったような方々について国家補償をいたすというところに線を引いているわけでありまして、したがいまして、その他の方々については、ある者については大変恐縮ですががまんをしていただくというものもございますし、ある者についてはまたさつき言うとおり、一時的なお見舞いをいたすといったようないろいろな種類があろうと思いますが、今日では多くの戦争犠牲者に対しどういう線でこれを援護するかということについてはおおむねそういったような線を引いているわけでございまして、その後の社会情勢なりあるいは憲法等々の国家のあり方についてのいろいろな御意見がありますが、私どもとしては戦争被害者、犠牲者というものの当時置かれた立場からこれを解きほぐすのが私どもとしては適当であろうということで、今日そういう線の引き方をしているわけであります。
#26
○浜本万三君 いずれにいたしましても、国家との特別権力関係のなかった者も漸次援護の措置が拡大されておることはこれは事実だろうというふうに思うわけでございます。特にわが国だけでなしに、それは諸外国におきましてもそういう例があるというふうに聞いておるわけでございます。たとえば西ドイツの場合には戦時犠牲者援護法という法律がございまして、身体的被害者に対して年金を支給するというような制度もあるし、また一般負担均衡法とか申しまして、家財、住宅、職業上の地位喪失等、物的被害の補償ということもなされておるというふうに思うわけでございます。日本もいまのところ不況だというふうには言っていますけれども、経済的な力が相当ついた今日でございますので、そういう例にならって一般戦災犠牲者に対しましてさらに手厚い国家補償の援護措置を講ずる必要があるのではないかというふうに思いますが、もう一回、その点について厚生大臣から見解を承りたいと思います。
#27
○国務大臣(田中正巳君) 今日、いろいろな戦争被害者に対しこれをどう対処すべきかということについてはいろいろな御意見があることを私ども承っております。しかし私ども厚生省といたしましては今日時点におけるニードというものを対象にしまして、今日国家が社会保障的観点において現実に手を差し伸べなければならないという者に対して今日時点でこれを把握をし、これに施策を厚くしていくという方が私は結構であろうというふうに思われるわけであります。率直に申しまして過去におけるそうしたような状況によって今日までいろいろと尾を引いている方もおられると思いますが、すべてを今日現在の状態において把握し、そのニードによって社会保障を積み上げていくということが私はもっと大切なことだと思いますので、過去におけるそうしたことについては全く必要がないというわけではございませんけれども、そうした方向に政策を志向する方が私としては正しいのではなかろうかということで、過去における、そういう言葉を使うとしかられるかもしれませんが、後ろ向き的な問題より今日的なあり方でもって政策を考えていくという方が私は賢明であろうというふうに思っているわけであります。
#28
○浜本万三君 原爆被害者等の人たちに対する国家補償の精神による救済措置を講ずることが後ろ向きだという厚生大臣の発言には私はどうしても納得するわけにいきません。
 そこで、原爆被害者の皆さんの問題について質問をしてみたいというふうに思います。
 まず第一に、原爆被害者の方の状況を政府はどのように把握されておるかということをお尋ねしたいと思うのですが、大臣にお尋ねしますが、大臣は広島、長崎など悲惨な現地の状況というものをつぶさに視察されたことがございますでしょうか。
#29
○国務大臣(田中正巳君) 私は原爆被爆者じゃございませんが、しかし機会がございまして原爆被爆後二週間ぐらいに私は広島に入りまして現地の状況はつぶさにこれを見たことが、当時国会議員じゃございませんでしたが、そういう機会を得ました。そしてまた、いろいろと御批判がございますが、私長い間の国会議員の政治活動を通じて、現在あります二法につきましてはこれと妙な御縁で実は私かなり深くタッチをいたしました。若いころ医療法についての制定あるいは予算化についてもいろいろと努力をしたことがございますし、その後の特別措置法につきましてもいろいろとやりました。したがって、私は被爆者じゃございませんし、また生まれ、選挙区も実は離れたところにあるわけでありまして、あるいは皆さんから見れば私の感覚が隔靴掻痒の感があるというふうにお思いかもしれませんが、私といたしましては今日までそういうわけで、これらの原爆被爆者に対する施策としては、議員時代でございますが、ずいぶんといろいろやってきた私であります。
#30
○浜本万三君 やはり原爆被害者に対する政府の手厚い政策を実施していきますためには、何と言っても現地の被爆者の皆さんの現状というものを適切に把握をしていただかなければりっぱな政策が出てこないというふうに思うわけでございます。現在いろんな文献によりましても、また被爆者の方のお話によりましても、現在の時点ですらなおその状況は深刻であります。その深刻な状況についてどのように把握されておるか。特に病気の問題、環境の問題、生活状態の問題などについて関係当局からひとつ説明をいただきたいというふうに思います。
#31
○政府委員(佐分利輝彦君) 原爆被爆者の実態につきましては、御案内のように、去る昭和四十年に全国的な実態調査をいたしまして、生活状態、環境状態、経済状態、また疾病の状態等もつかんでおります。また、その後、特に、広島、長崎におかれましては、地元においてときどき所要の調査をなさいまして、その実態を厚生省に御報告していただいております。また、前の全国的な調査から十年を経過いたしましたので、本年十月には、全国的な実態調査を再び実施いたしたいと考えております。社会経済もかなり変動いたしておりますので、被爆者の状態についても相当な変化が予想されるところでございますので、被爆者の基本調査、生活集団調査、生活個別調査、こういった調査を、本年秋に大々的に実施して、実態を把握したいと考えております。
#32
○浜本万三君 すでにその内容については相当のところまではわかっておるけれども、なお今日の時点で具体的な調査を進めていきたい、こういうお話でございました。しかし被爆三十周年を目前に控えまして、昨年の暮れからことしの二月下旬にかけまして、被爆者の方が足を引きずって、国会に、あるいは厚生省に陳情が繰り返されておりまするが、その心情を見ますと、次のように考えられます。つまり、恐るべき原爆は一瞬にして、数十万人の生命を奪いましたが、同時に、三十余万人の被爆者をつくったのです。家族を失い、家を焼かれ、その上大量の放射能を浴びた被爆者は、さまざまな後遺症に悩みながら生き長らえてきました。被爆者はガン、白血病、そしてさまざまな病気で苦しみながらこれに耐えてきたのです。この余りにも大きな戦争の犠牲者に対して政府の政策はきわめて薄いものでありました。被爆者はもう待てない、被爆三十周年までに援護法をぜひつくってください。こういう痛切な叫びをされておることを御承知でございましょうか。
#33
○政府委員(佐分利輝彦君) よく存じております。
#34
○浜本万三君 そういう状態がわかっておるのに、今度五十年度の予算を拝見し、また厚生大臣の所信表明を伺いますと、ことしもまた被爆者の心情を無視いたしまして、現行被爆二法のわずかな手直しでお茶を濁そうとされておるように見受けます。私も野党四党の一員といたしまして、野党四党の皆さんと共同提案で原爆援護法の提案を行って、政府にその実現を迫っておるものでございますが、政府はこの際、国家補償の精神による被爆者に対する援護法をつくる気はないでしょうか。
#35
○国務大臣(田中正巳君) 原爆被爆者について援護法を求める声については、私も聞いております。そこで基本問題になってくるわけでございますが、一体原爆被爆者というものを、さっき申したように、数多くの戦争犠牲者の中で、この方々についてどういう措置をとるかということについて、またこの人たちだけに特別の措置をとっているということは一体どういうことであろうかということを、われわれは考えてみなけりゃいかぬと思うのでございますが、こうした放射能を多量に浴びたということによって、他の戦災者、戦争犠牲者と違って、今日なお健康にいろいろと問題を残している、あるいは自分の健康というものに対して焦慮の念を持っていると、そうしたようなことが、他の戦災者とは特段に違っているところであろうというふうに私は考えております。したがいまして、こうしたような特別な健康上、肉体上の不安感、あるいは現実の病気等々を踏まえて、他の人々と識別をするということが、これらの者と他の一般の戦災者と分ける一つの基準になろうと思われますので、したがいまして、他の方々については特別な措置はとっておらないわけでありますが、原爆被爆者については特別な立法をいたしまして、今日まで施策を重ねてきたというのはその一点にあるというふうに考えているわけでございます。かようなわけで、いろいろと私どもも苦心をいたしまして、現実の肉体上の被害、病気といったようなものからできるだけ範囲を拡大をいたしまして、今年度のように、特別に身体に際立った病気がございませんけれども、肉体に関し、あるいは健康に関し、特別な焦慮の念を持っていると、心配を持っているというところまで枠を広げまして、そうしたようなことについて施策をやっているわけでありまして、したがって、今日までのところ、そうした独特な、被爆者というものの独特な置かれたこの立場、そして今日までこれが尾を引いているという立場に着目をいたしまして、そういったようなことについてできるだけの範囲は広げていこうということでございまして、それ以上に広げることについては、いろいろとまた議論も出てまいりますんで、その点を守りつつ今日できるだけの施策を広げてまいったというのが私どもの立場でございます。
#36
○浜本万三君 この問題に対する基本的な姿勢について若干大臣から披瀝がございましたんですが、そういうその大臣の基本的な考え方について、前の齋藤厚生大臣と現在の田中厚生大臣との考え方が、まあ自民党政権でございますから一致しておると思いますが、念のために伺っておくんですが、まずその内容は、前の大臣のおっしゃるのには、国家補償的な性格と社会保障的な法体系との中間に位置づけを考えておりますと、こういうことで今度保健手当を新設したというお話がございましたんですが、そういう考え方であるかどうかということ。
 なお、この際あわせて伺いたいと思いますのは、大臣の言う国家補償の定義、さらにまた、国家補償と社会保障との相違点というものはわかりやすく言えばどういうことなのか、その点についてあわせてお答えいただきたいと思うわけです。
#37
○国務大臣(田中正巳君) 齋藤前厚生大臣が、被爆者対策を国家補償と社会保障の中間的なものであるというふうに説明をしたということを、私も最近、実は率直に言うと最近でございますが、聞きました。一つのお考えであるというふうに私は思っておりますが、当時、齋藤さんが、一体それでは国家補償と社会保障をどういうふうに頭の中で概念把握をして申したものであろうかということについてはいまのところつまびらかではございません。しかし、物の考え方によっては齋藤さんの御説明で私はある程度通るだろうというふうに思って、齋藤さんの所説について別に反論をいたすつもりはございません。しかし、国家補償あるいは社会保障というものについての概念については、いろいろと当事者の間、あるいは学者の間にも意見の、諸説の分かれるところでございまして、これをどういうふうに概念規定をし、そしてどういうふうにこれを現実の場に持ってくるかということについては、いろいろと問題があろうと思われるわけであります。
 そこで、まあ国家補償と社会保障の定義ということについては、非常に学問的な問題でもございますので、私から申し上げるというよりも、むしろ政府委員からそういったようなことについて説明を申し上げた方が的確かと思いますんで、もしお求めがございますれば、政府委員から答弁をいたさせます。
#38
○政府委員(佐分利輝彦君) 通説によりますと、国家補償と社会保障の定義については、まず国家補償とは、国が適法行為によって生じしめた国民の損失を社会的公平の観点から補てんする損失補償の分野と、国の違法行為によって生じた国民の損害を、その不法行為責任を認めた上で賠償する損害賠償の分野の二つの範疇を中心として構成されるものと理解されております。また、社会保障とは、これら国などの直接の行為の介入を待たずに、国家の構成員が健康や所得面などで一定水準の社会生活を確保できるよう配慮していく行政分野と心得ております。
#39
○浜本万三君 そういうまあ、お話なんですが、そうなりますと、なおぼくはこの原爆被害者に対しましては国家補償の精神による援護法を制定すべき理由があるんではないかと、こういうふうに思っておるわけですが、なぜ原爆被害者に対して援護法の制定ができないか。先ほどは国家の権力関係というふうなことをおっしゃいましたんですが、もう一回大臣から、できない理由をおっしゃっていただきたいと思います。
#40
○国務大臣(田中正巳君) さっきから申し上げましたが、国家補償的な措置をとっているのは、さっき申したように、現在のところ、国との特別権力関係、身分関係がはっきりしておって、身分を、あるいは日常生活を国家権力によって規制し、インボランタリーな形において本人を一定の仕事に、あるいは一定の場所に赴かせた、させたといったようなことに着目をしてやっているのが今日の国家補償の観点であります。しかし、原爆被爆者については、私どもとしては特別な事情にある方でございますから、したがって他の一般戦災者のように、さっき申したようないろんな戦争犠牲者あるいは戦災者がございますが、こういったような方々については、私どもとしては、今日なお何がしかの犠牲者ではあるけれども、今日の状況でございますから、もうすでに原状も回復した人も大勢おられますんで、これについては特別な措置はとらないということになっていますが、ただ、原爆被爆者だけは、さっき申したように、多量の放射能を浴び、そして今日まで肉体上の障害を受けている、あるいは特別医薬的にどうこうということはございませんが、非常な不安感を持っているといったようなことに着目をし、こうしたことについて特別な状況にある人だということで、二法を制定し、予算措置を講じているわけでございまして、したがいまして、この放射能を浴びた、そして現実に障害を受けた、病気であられる、あるいは病気でなくとも自分の現在の、そして今後の身体上あるいは健康上の不安というものを持っているということに着目をし、そしてそういったようなことは他の人々にはないんだと、したがって、原爆被爆者というのはこういう特殊な方なんだと、したがって、この人たちについては特別な措置をするんだということを申しているわけでありまして、その間にはこうしたメルクマールが截然と他の人々との間に分けられるというのが理論的根拠でございまして、この線を外しますると、いろいろなさっき申したような、戦争犠牲者というものがいろいろな措置を講じていただきたいという国家に対する要請との間に、まあ一つの仕切りがなくなってしまう、らちがなくなってしまうということも考えられまするものですから、原爆被爆者の特殊な状況にかんがみてそうした措置をとっているということを説明しているわけであるわけでありまして、この線を取っ外すということになりますると、いろいろと今後波及をしてまいるということでございますので、この線は堅持をいたしてまいりたいというのが今日この問題に対する政府の対処の仕方であり、またそれ以上に出られないというのもまさしくその点に多くの理由があるということだと思います。
#41
○浜本万三君 国家との特別権力関係ということを厳密に考えますと、確かに厚生大臣が言われるようなことが言われるかもわかりませんが、原爆被害者の問題につきましては、国家との特別に強い因果関係があるというふうに理解をして救済をすべきではないかというふうに思うんです。
 と申しますのは、この原爆という非人道的な兵器で無差別爆撃を行いまして、無事の民を死傷せしめたことはもう御承知のとおりです。したがって、日本国政府としては、その加害者である米国に対して当然賠償の請求をすべきでありますが、わが国は、二十六年九月に締結されましたいわゆるサンフランシスコ平和条約によって、その請求権を放棄しておるわけであります。したがって、原爆被害者に対しまして国がかわって国家補償の援護措置を、国家補償の精神に基づいた援護措置を行うことは当然ではないかというふうに思うわけでございます。
 また、第二は、三十八年の十二月七日の東京地裁におけるいわゆる原爆裁判の判決の一節によりましても、次のようなことが明記されております。
 すなわち「国家はみずからの権限とみずからの責任において開始した戦争により、国民の多くの人々を死に導き傷害を負わせ不安な生活に追い込んだのである。しかも、その被害の甚大なことは一般災害の比ではない。被告すなわち国はこれにかんがみ十分な救済対策を講じることは多言を要しない。」というふうに言っておるわけでございます。つまり、これらは被爆者に対する国の責任を強調しておるわけでございます。そういう立場に立って考えますと、当然原爆被害者に対しまして国家は国家補償の精神に基づく援護措置を行うことは当然であろうというふうに思いますが、それについての見解を承りたいと思います。
#42
○政府委員(佐分利輝彦君) 戦災者という点では一般戦災者も原爆被爆者も同じでございます。しかしながら、原爆被爆者の場合には、特に多量の放射線を浴びたという特殊事情がございますので、その点に着目をいたしまして、社会保障の精神に基づいて各般の施策を講じ、それを充実してきておるところでございますけれども、これを国家補償の精神にのっとってやるということになりますと、その点は一般戦災者との均衡問題が起こってまいるわけでございまして、私どもといたしましては、従来の原爆二法の基本線にのっとって、さらにきめの細かい充実した施策を今後も講じてまいりますのが最も適当であると考えておる次第でございます。
#43
○国務大臣(田中正巳君) いまのお尋ねでございますが、国との因果関係、また無差別爆撃等による賠償問題、これは戦時国際法による不法行為だと思いますが、まあ戦時国際法における不法行為の賠償というのは、国対国というふうに私どもは理解をしているわけでありまして、まあ無差別爆撃については、これは原爆のみならず太平洋戦争あるいは第二次世界大戦ではかなり行われたわけでございますが、こうしたものについては、国対国というふうな賠償請求権が出てくるというのが戦時国際法の通例の解釈でございます。したがいまして、国民一人一人がこれについての賠償請求権を持つという法律構成にはならないだろうというふうに思います。そこで、日本がアメリカに対してこの請求権を放棄したということは、必ずしも個人個人について請求権があるということにはならないというのは、あの判決の中で私も読んだような気がいたすわけでありまして、法律論からはこいつは出てこないんじゃないかというふうに私認識しているわけであります。
  〔委員長退席、理事村田秀三君着席〕
 ただ、いま先生のおっしゃるようにあの判決要旨の中に、しかし特別な大変悲惨な状況をこうむったんだ、したがって、これこそまさしく政策の問題だろうということをコメントしておったようでございますが、そうなってまいりますると、政策論議としては私は他の一般戦災者については残念ですが何にもしておらないのに、あの原爆被爆者については特別な措置を二法をもってやっているということはまさしくさっき申したような原爆被爆者というものの特殊な事情に対応してこれを特殊な政策をやっているということでございまして、そうした政策についての価値判断の問題に相なると思いますが、私どもは一般の戦災者との関連においてこの現在の二法系統による措置というものを今後ひとつ向上さしていくということが今日のところ私どもとしては与えられた課題であり、そうしたことでいくべきものというふうに認識をしているわけであります。
#44
○浜本万三君 時間がないので、この点についてはさらに見解を承ることができないので、要望して次に移りたいと思います。つまり、この援護法の制定というものは平和憲法で戦争放棄をした日本の国の性格からいって、また、最初の被爆国として非核三原則を厳守し、かつ核兵器の絶滅を願う立場から考えましても、当然国家の責任において援護法を制定すべきではないかというふうに思いますので、早急に前向きでひとつ取り組んでいただきますようにお願いをしておきたいというふうに思います。
 そこで、次にお尋ねをいたしたいのは、これまでの国が行っておりますいわゆる原爆二法でございますが、これでは被爆者の本当の救済にならないんじゃないかという考え方を私は持っておるわけであります。そういう立場で、まず二、三お尋ねをいたしたいと思いますのは、一つは被爆手帳の交付状況、そしてその原爆被爆者が四十九年ないし五十年において実際二つの法律によって救済をされておる内容、さらにまた、認定患者というのが非常に問題になっておりまするので、認定患者の数というような問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
#45
○政府委員(佐分利輝彦君) 現在原爆被爆者健康手帳をお持ちになっていらっしゃる方は約三十五万人でございます。厳密に申しますと三十四万九千人でございます。で、まず原爆医療法関係でございますけれども、認定患者と認定されていらっしゃる方は約四千二百名でございまして、その方も合わせまして原爆医療法による医療の給付をお受けになっていらっしゃる方は年間二百五十万件、月約二十万件という状況でございます。
 また、原爆特別措置法関係でございますけれども、特別手当をお受けになっていらっしゃる方は先ほども申し上げました認定患者の方々でございまして、約千八百五十人でございます。また、健康管理手当をお受けになっていらっしゃる方は約四万八千人でございます。なお、本年十月から新設されます保健手当、爆心地から二キロ以内の被爆者で特別手当とか健康管理手当をお受けになっていらっしゃらない方々でございますが、四万三千人を予定しておるところでございます。
#46
○浜本万三君 いま伺いましたように三十五万人弱の原爆被爆者の方の特別措置法による実際の救済は約十四万人、それから医療給付を受けておる人は確かに二百五十万件というふうに報告をされておりまするが、私の気持ちとしましては、現行二法では実際の救済数が非常に少ないというふうに思うわけでございます。まず、その問題がどこにあるかということを考えてみますと、医療法に一つあるのではないかというふうに思うわけです。つまり、医療法は放射線障害そのものを対象とするのでなく、放射能障害に起因する一般疾病を対象にしておること、それから原爆の傷害作用に起因する傷害及び疾病が治療によって治るという前提に立っておることだというふうに思います。
   〔理事村田秀三君退席、委員長着席〕
 私はよく原爆症の方に伺うのですが、たとえば原爆ぶらぶら病というのがございますが、これは発病前段の状況というふうに私どもは言っておるわけでございますが、しかし、これは診断をしてみますと病気ではないというので、結局この治療の対象にならない。そして、健康管理が少しでも悪くなりますと発病いたしまして、大変なことになる。こういう状態になっておるというふうに思うわけでございます。そういう事情でございますから、やはり原爆被爆者の方を完全に救済をしていくということが、非常に薄いというふうに考えるわけでございますが、その点はいかがでしょうか。
#47
○政府委員(佐分利輝彦君) 本年十月から新設されます保健手当は、たとえ疾病の状態になくても月額六千円を支給されるものでございます。なお、四十九年度から新たに実施いたしましたいわゆる第二種特別手当は、従来は認定患者で疾病の状態にある者にだけ特別手当を支給しておりましたが、第二種手当では疾病の状態になくなっても手当を支給するという制度がつくられておるわけでございまして、ただいま御指摘のございましたような点についても、逐次改善を図られておるところでございます。
#48
○浜本万三君 時間がないので簡単に次にお尋ねしたいと思うんですが、まあ、そういうふうに比較的救済が私どもは薄いというふうに見ておるわけなんでございますが、なお、こういうこの原爆症の方々を本当に救済をしていきますためには、現在の制度ではたとえば所得制限がございまして、なかなか完全な給付が受けられないということがたくさんございます。したがって、当面どうしても必要なことは認定制度の枠をやっぱり緩めるということが第一に必要な条件ではないかと思うわけです。
 それから第二は、所得制限を撤廃をするとか、あるいはその他の制限があれば、その他の制限も撤廃をするとかいうように、漸次救済の枠を拡大をしていくということが必要ではないかというふうに思うわけです。要すれば、私は被爆者年金というものを早く制定をしていただきまして、原爆症で困っていらっしゃる方々を救済をしていくということが一番よろしいというふうに思いますが、これは特に大臣の見解を承りたいというふうに思います。
#49
○国務大臣(田中正巳君) さっき申しましたように、原爆被爆者については他の一般戦災者、戦争犠牲者と違った点があるということが今日までの措置の内容でございます。そこで、措置の運用の問題についていろいろと御批判のあるのは承っておりますが、とにかくこうした特別な事情によって特別な措置をしなきゃならぬというような方々に対してはできるだけのことをしていかなきゃならぬというのが、私の基本的な考え方でございます。そこで、いろいろと所得制限等々につきましても、今日まで緩和をいたしてまいったわけでございまして、今後ともこれらの問題については検討をいたしますが、今日のところ、私どもといたしましては、このさっき申した枠だけは外すことはできないということでございますので、したがって、いま申したような制度のうち、いま言うような枠を超えるものについては残念ながら応じがたい、しかし、枠の範囲内においては、もしその必要があるならば、できるだけのことはいたしていきたいというふうに考えているわけであります。
#50
○浜本万三君 次の問題は例の小線量被爆者と申しましょうか、現在地域指定になっていない地域の被爆者の皆さんのことなんでございますが、年二回ほど健康診断があるわけでありますが、その診断ではほとんど病気ではないと、こういう診断を受ける。しかし実際その人に聞いてみますと、苦痛や不快感というものを訴えられておるわけでございます。そういう人をやっぱり救済していくためには実情に即した地域の指定ということが必要ではないかというふうに思うわけです。そういう立場に立って昨年の七月十日だったと思いますが、広島県及び広島市から陳情が出ております地域指定に関する問題なんですが、これはどのようになっておるかということを伺いたいと思うわけです。
 実は私が聞いたところによりますと、前の厚生大臣は七月三十一日、これは地域の方が陳情に来たときですが、それからさらに昨年の八月六日に広島においでになったときにこの問題については専門家によって早急に検討するというふうな答弁をされておるわけなんでございますが、前の大臣からの引き継ぎ事項でもございまするし、重要な事項でもございますので、検討をした内容とその結果についてお答えをいただきたいと思います。
#51
○政府委員(佐分利輝彦君) 御指摘の問題はいわゆる黒い雨の降った地域ではないかと思いますが、これは広島市の中心部から北の方に長径二十九キロ、短径十四キロの楕円形の地域に黒い雨が降ったわけでございます。で、この点について私どもも調査いたしましたけれども、当時黒い雨の放射能が一体どの程度であったか、またその黒い雨が当時どのように人体に影響を及ぼしたかという点についてすでに三十年を経過しておりますので、なかなか確証を得がたいわけでございます。ただ一つ学術会議系統の文献によりますと、自然放射能の五十倍の放射能が検出されたという記録があるわけでございますが、五十倍というと非常に大きく聞こえますけれども、自然放射能そのものは非常に少ないものでございますので、たとえその五十倍でも余り大した量ではない。本当に微量の放射能になるわけでございます。そういう関係もございまして、私どもとしてはもうすでに医学的、科学的に指定をしなければならないところは指定をし尽くしたと考えておりますけれども、黒い雨の地域について特に御要望がございますので、今後もさらに慎重な検討を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
#52
○浜本万三君 先ほど局長がおっしゃいましたように、昭和二十五年の学術会議の資料によりましてもそのことはもうはっきりしておるわけであります。検討するということがいうまでも続きましてもこれはやっぱりいかないというふうに思います。長崎との均衡の問題もございますので、早急に検討をし、被爆三十年に当たりまして八月六日までには結論を出すように、さらにひとつ善処をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#53
○政府委員(佐分利輝彦君) さらに慎重な検討を続けてまいりたいと存じます。
#54
○浜本万三君 それから、もう一つお尋ねをしたいと思いますが、先ほどからお話がございましたように被爆して三十年になるわけでございますが、一般戦災者に対しましても相当前進した救済措置が講じられておるわけでございますが、焦熱地獄の中でたくさんの人が犠牲になった原爆被爆者に対して被爆者の死没者に対する弔慰の意思が国としてはまだ示されていないわけでありますが、これはまことに遺憾だというふうに思うわけです。これを実施するためには全体調査が終わらなきゃだめなんだというお話でございました。しかし、少なくとも三十周年に当たってそれぞれの慰霊碑の中には過去帳というものが納められておりまして、その過去帳に記載されておる遺族に対してでもとりあえず政府の弔慰の意思をあらわすために弔慰金を支給してはどうかということが考えられるわけですが、これは重要なことでございますので大臣から御答弁をいただきたいと思います。
#55
○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほども申し上げましたように、原爆被爆者も一般戦災者も戦災者であることについては変わりございません。そこでお亡くなりになりました方につきましては、特に一般戦災による死亡との区別がつきがたいわけでございます。で、現在多量の放射線を浴びて生存していらっしゃる被爆者について特別の措置を講じておるところでございまして、現在のところ死没者に対して弔慰金を差し上げるということは一般戦災者との関係もあり考えておりません。
#56
○浜本万三君 いま申しましたように、私が考えますのには、これまでの原爆二法ではやはり原爆被害者の方を完全に救済することはできないというふうに思うわけです。そういうことも長年の衆参両議院における審議の中でも明らかになっておりまして、年々審議のたびに附帯決議というものがつけられております。その内容をつぶさに拝見しますと、いずれも国家補償の精神に沿って具体的な援護措置を講じるようにという趣旨に解されるわけでございます。そういうたびたびの附帯決議に対しまして新厚生大臣としてはどのように今後対処されようとしておるのか、その決意のほどをひとつ伺いたいと思います。
#57
○国務大臣(田中正巳君) 衆参両院の附帯決議につきましては、できるだけこれを尊重し、施策の上において実現をいたしていきたいというふうに思っております。ただはっきり援護法を制定するというようなことについては、今日までいろいろと附帯決議をめぐって、そういう附帯決議をつげろという議論があり、いやそれは困るというような議論もあって、これについてはそういうふうにはっきり明示をした附帯決議というものについては余り見受けられなかったというふうに心得ております。
#58
○浜本万三君 昨年の五月の附帯決議にはやっぱり援護の措置というふうに相当はっきりしたことが前文に書いておるように思いますので、相当はっきりしつつあるというふうにはひとつぜひ理解をしてもらいたいと思うわけです。
 最後に、大臣に決意を促したいというふうに思うのですが、三木総理大臣は、私が聞いたところによると、昭和四十七年八月八日に三木事務所において被団協の代表の方々に対しまして援護法の必要性を認められる発言をなさっておられるというふうに聞いております。日本の総理大臣戦後たくさん出られましたけれども、援護法の必要性について強調されましたのは現三木総理大臣が一人だというふうに記録上私はそう思うんです。その総理大臣のもとで厚生大臣としてこの問題に取り組まれるわけでございますので、そういう意味において特にお願いをしたいと思いますのは、ある記録によりますと、昭和二十七年に遺族援護法が議論になったときに政府案をめぐって時の厚生大臣が大変力を発揮されたというふうに聞いております。大蔵省の話では灯明代説というのが出たんだそうでございますが、これに対して橋本さんは国家補償ということを主張されまして対立をしてて、遂に厚生大臣を辞任されたということを聞いておるわけでございます。被爆行政についてはかねてから関心があるし、十分その事情も熟知しておるというふうに言われておる田中厚生大臣でございますので、よもや橋本前大臣に劣ることは私はないというふうに思うんですが、そういう事情もございますので、この際三木総理大臣にぜひとも国家補償の精神による援護法を制定するようにさらに働きかけていただくことはできないか。なお重要なこれは政治問題であろうと思いますので、できれば野党の党首と三木さんと会談をいたしまして、これはもちろん厚生大臣のあっせんによって会談をいたしまして、そうして被爆三十年に当たってこの結末をつける、こういう政治決断をお願いをいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#59
○国務大臣(田中正巳君) 四十七年八月ですか、現在の三木総理が在野時代だと思うんですけれども、このようなことを申したといううわさを私も率直に言って聞いておるわけでございますが、今日までのところ三木総理に一体このようなことをいついかなる場面でどういう心境でお話をしたかということについては、確かめてはおりません。事実であるかどうかは私もまだつまびらかにいたしておりませんが、機会を見てこれについては尋ねてみなきゃいかぬ、かようには思っておるところでございます。しかし今日のところ私といたしましては、この種の原爆被爆者に対する施策について、今日まで私は私なりに、皆さんから見れば御批判もあり、まだまだだといういろいろな御意見もあろうと思いますが、今日まで国会議員として原爆被爆者対策についてやってきた私でございまするから、これらの方々に対する措置というものについては、熱意は人後に落ちるものではないというふうに思っておりますが、先ごろ来るる申し上げたような観点からこの問題については、現行二法の範疇の中で施策を積み重ねていきたいというのが私の所存でございます。したがいまして、そうしたようなことをめぐって今後とも努力をいたしますが、援護法的なものの考え方で進むということについては、今日のところ私としてはふん切りがついておりません。なお、総理と野党の党首会談については、実はたしか衆議院だったと思いますが、あるいは参議院だったか、予算委員会で実はこの質疑が野党の方から出ておりまして、総理の答弁を聞いておったんですが、これについてはいたす所存がございませんというのが総理の答弁でございましたが、今後ともひとつそういったような点をめぐって機会がございますればと、こう思っておりますが、ただいまのところは総理がかように答弁をいたしておりますので、これ以上の答弁をいたすことはいかがかと思われますんで、その程度にさせていただきたいと思います。
#60
○目黒今朝次郎君 目黒でございますが、私は厚生関係はしろうとでありますから、なかなかやぼな質問も出るかもしれませんが、しかし、しろうとのところが本当に国民の声を代弁する、こういう点もあろうと思いますから、ひとつそういう立場でお答え願いたいと思うのであります。
 この前の十四日に、大臣から所信表明があったわけでありますが、私聞いておりまして厚生行政というのは、国民の命と健康を守る、これが何と言っても大前提だろう、このように考えるわけですが、大臣の考えを聞きたいと思います。
#61
○国務大臣(田中正巳君) 大変恐縮ですが、お尋ねの趣旨がはっきり飲み込めませんでしたけれども、国民の健康と生活を守るというのは、社会保障の、あるいは厚生行政の基本、中心的課題であるということについては疑いを入れないところだろうと思います。
#62
○目黒今朝次郎君 特に社会的弱者と言われる方々の憲法に保障された文化的で、人間らしい生活を営む、そういう経済的な保障、精神的な保障、これを行うことも厚生行政の基本だと思いますが、いかがでしょうか。
#63
○国務大臣(田中正巳君) いま目黒先生お尋ねの点は、憲法二十五条との関連においてだと思いますが、私どもとしては憲法の精神に従ってこれを、施策を進めていかなければならないものと思っておりますが、しからば一体健康で文代化的な生活というごとの具体的な判断ということについて実は国会等でいろいろと諸説の分かれるところでありまして、常日ごろ厚生大臣が皆さんからおしかりをこうむるのもこの一点にあるというふうに心得ております。
#64
○目黒今朝次郎君 これも抽象的なことばになりますが、いろんな産業政策の中で国民の健康と生命の問題と競合する場合には、われわれの考えでは、やっぱり人間の生命と健康が絶対に優先して国の政策として行われるべきだ、こういうふうに考えているわけですが、この辺の考えはいかがでしょうか。
#65
○国務大臣(田中正巳君) もちろん、生命と健康を尊重して施策を進めていくことは必要でありますが、しかし、やはりそうしたことをやっていくために国の経済基盤というものも確立をしておらなければなりませんから、したがって、国の経済的繁栄、成長といま申した国民の生命と健康というものをどう調和点を求めていくかということがまさしく政治の課題であるというふうに思っております。
#66
○目黒今朝次郎君 いま、三つの問題は抽象的に申し上げましたが、今後いろいろな問題で出てくる問題でありますから、一応大臣の考え方として確認をしておきたいと思っております。
 それで、五十年度の予算説明があったわけでありますが、三兆九千六十七億円、昨年に比べて三六・二%ですか、一般の予算の伸びよりも非常にいいと、だいぶ本会議でも胸を張っておったようでありますし、総理の答弁にも出ておるんですが、私はその内容についてちょっと聞きたいんです。
 物価という問題が非常にわれわれの生活で大事なんですが、この物価という問題についてどういうとらえ方で厚生予算全体を組んだんでしょうか。いわゆる過去一年間幾ら上がったのか、現在はどうなのか、今後の物価の見通しはどうなのか、こういうことについて大臣としてはどういう作業をされてこの予算を編成したかどうか、お聞かせを願いたい、こう思うんです。
#67
○政府委員(翁久次郎君) 御質問の趣旨が来年度の物価並びにそれにかかわる予算編成上の配慮というようにお受け取りしたわけでございます。例を生活保護で申し上げますと、来年度の物価の伸びを消費支出の伸びというようにいたしますと、経済企画庁の見通しでは消費支出の伸びが一八・四と出ております。これにわが国の人口の伸び率がございますので、それを勘案いたしますと、国民の消費支出は四十九年度に対して五十年度は一七%伸びるということになるわけでございます。したがいまして、仮に生活保護を例にとりました場合に、それを基礎にいたしまして、それに対してさらに内容の改善というようなものを配慮したものが、例といたしましては生活保護の場合そういうことになるわけでございます。
 なお、社会福祉施設等におきましてもいわゆる建築基準の単価の伸びというものを一応五十年度では八・四と見込んでございます。四十九年度におきまして補正その他で当初に比べて二十数%伸びておりますので、全体としては四十九年度当初に比べますと、四〇%近い単価の伸びというものを一応積算の基礎にいたしているわけでございます。したがいまして、ただいま御質問のございました物価等にかかわる配慮といたしましては、それらのことを前提に置きまして予算編成をいたしておりますので、そういった点で御了承いただきたいと思います。
#68
○目黒今朝次郎君 いま生活保護の問題を言いましたからちょっとお伺いしますが、おたくの説明によりますと、東京都で四人家族で、従来は六万六千九十円、今年度の四月一日から七万四千九百五十二円、二三・五%のアップだと、これは間違いないですね。ところが、同じ政府の総理府の発表だと、去年の四月からことしの三月まで、大体、物価は二二・五%。これは政府資料ですよ。二二・五%上がっていると、こういうことを見ますと、去年の四月一日に比べて二三・五%上がったとしても、物価がもうすでに二二・五%現時点で上がっている。そうすれば、いま、おたくさんは今後の見通しを話したけれども、いままで一年間振り返ってみると、もうプラス・マイナスゼロと、こういう状態になって、決して内容が改善されてない、こういうように考えるんですが、いかがでしょうか。
#69
○政府委員(翁久次郎君) ただいま御質問のございました物価の関係でございますが、四十九年度の当初におきまして、四十八年度当初対比二〇%の生活保護のアップをいたしたわけでございます。その時点におきまして、実は、前年度対比二十数%の物価の上昇がございました。そこで、昨年の六月に六%の補正を、生活保護の基準アップをいたしたわけでございます。現在、物価の動向を見てまいりますと、五十年の二月の末の消費者物価指数は、前年同月対比で、たしか一七だったと思います。ちょっと正確な資料を持ち合わせませんので、あるいは数字の点で若干問題があるかと思いますが、生活保護の場合には、四月当初対比で来年の一応の見込みをするわけでございまして、現在の時点で、昨年同期に比べて、物価で見た場合の生活保護の基準がそれを下回っているというようには私どもは考えておらないのでございます。
#70
○目黒今朝次郎君 これも、おたくの金融機関である日本銀行の調査では、去年三〇%なりのベースアップがあっても、去年の四十九年の下旬では実質支出がマイナス八・五だと。ですから、おたくは、去年の四月とことしの三月を単純算術論で計算して比較してはものにならぬと思いますよ、ずうっと年間を通じて上がってきているんですからね。
 それで、いま一七・何ぼと、おたくのことばを借りれば。加重平均的に年間幾ら上がったのかと、これが政府資料によると二二・五だと言うんですよ、二二・五。だから、正確に言えば、二三・五と二二・五であるから一・〇内容が改善されたという数字上の答えは出てきても、内容面については、この性格論争で言えば、いわゆる七万四千九百五十二円にしたとしても、生活保護を受ける方々の生活の内容はほとんど変わっていないということが言えるのじゃなかろうかと、私はこう思うんですが、この認識は間違いでしょうか。
#71
○政府委員(翁久次郎君) 繰り返して申し上げることになりますけれども、四月に生活保護基準を決めます場合に、年度間におきます消費支出の伸びを前提といたしまして、それにさらに改善要素を加えるという配慮をしてきているわけでございます。四十九年の四月に、前年同月対比二〇%アップの基準を決めました。その後、いま御指摘がございましたように、去年のきわめて高い物価の上昇に対してそれを見直しまして六月で六%アップしたわけでございます。したがいまして、六月以降におきましては二〇%プラス六%ということになるわけでございます。ただいま御指摘がございましたように、四十九年度中のいわゆる単なる算術計算でなくて、年間を見通した場合にどうだということになるわけでございますが、そういった場合におきましても、その後における物価、さらに十月には米価が加わりましたので、これに対して三・一%のアップをいたしております。そういうようなことで、年間を通じました場合に、四十八年度と四十九年度に比べて、生活保護基準が物価に対してある程度対応しているというように考えているわけでございます。ただ、五十年度の生活保護基準につきましては、最初に申し上げましたような考え方でアップをいたしておると、こういうわけでございます。
#72
○目黒今朝次郎君 私は、いま言われた説明を聞いても、やっぱり物価追随型だと、物価の後を追っかけていく生活保護だと、こう見たい気は変わりありません。実際、地方に行きまして、生活保護の適用を受けている方々に会ってみますと、もうプラスアルファもらっても物価が先取りでどうにもならないという実感だと思いますから。加えて私は、この七万四千九百五十二円は向こう一年間なるわけですね。これを物価の問題をちょっと参考までに東京都と埼玉、千葉、神奈川、この一都三県の公団に住んでいる方々が各お店の店頭で、もう三木内閣がことしの三月には対前年で一五%に物価を抑えると一生懸命宣伝するものですから、本当に一五%に落ちつくんだろうかということで、この団地に住んでおる方々が調査をした。そうしたら、これはちょうど二月の七日から九日の七、八、九と三日間やった結果が三月に報告をされているんですが、それを見ますと、お砂糖であるとかサラダ油、マヨネーズなどについては三〇%から五〇%上がっている。これは一−二の間ですよ。三〇%から五〇%上がっている。それから洗剤、これは在庫品が多いと見えて横ばいだと、それから即席ラーメン、これはどうも貯蔵ができないということでカビが生えてきていると、カビが生えてきているものですからこれはもう投げ売りだという点で、これだけは一個当たり十円だけ下がっていると、一個当たり十円、投げ売りで、あとはしょうゆ、小麦粉、みそ、パン、バター、魚、肉、特に牛肉、これらの庶民的なものは大体一月段階でほんと上がっちゃって、三割から四割、それで上がったまま安定している、上がり安定ですね。ですから生活必需品、いわゆる生活保護を受ける方々が最も必要とするものは、もう一月から二月段階で三割から五割上がっていると、こういう情勢であるわけなんです。
 それからこれもまだ耳新しい話ですが、三月の八日に朝日麦酒が百六十円から百八十円に上がって一二・五%、三月八日から上げて、今月中にほかの麒麟麦酒会社も以下同文と。これをきっかけにいろんな食料品が上がる、こういう傾向にあるわけであります。でありますから、これに加えてたばこ、酒、それから大体運輸委員会の話を聞きますと、ことしの八月ころ、八月から十月にかけて国鉄運賃や公共料金が上がると、こういうまあ春闘抑えのための一五%であるけれども、春闘終わってしまうとこうやって軒並み上がる傾向にある。こういう情勢から見ますと、先ほど申し上げた七万四千九百五十二円というのが、果たして年間を見通して、おたくさんが冒頭話したこととマッチするかどうか、こう考えますときわめてこれは生活保護にはなっておらぬと、こういう見通しを考えるわけでありますが、いかがでしょうか。
#73
○政府委員(翁久次郎君) 御指摘のように、個々の品目について物価の上がっておるものがあることは事実でございましょう。ただ御承知のように、毎月の総理府が調査しております物価指数、これはやはり一般の人々が生活するに一番必要な品目を選んだ数字でございまして、私はこれは信用のおけるものである。そのもとにおきまして、来年度を見通してこのたび二三・五%のアップを四月からいたそうというわけでございます。
 なお、ただいま御指摘がございました、五十年度においてさらに物価の変動があった場合にどうするかということにつきましては、これは昨年にも例がございますように、私どもは決して希望はいたしておりませんけれども、仮に極度のインフレというようなことの場合には、それに対応する措置は必ずとってまいりたい、かように考えておるわけでございまして、生活保護が後追いにならないような配慮のもとに基準をつくってまいり、またそれに対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
#74
○目黒今朝次郎君 最後に、おたくの計算した見通しと、私がいま――もういま三月ですから、四月に入る前にそういうような物価、特に生活保護の方々が最も必要な生活必需品ですね、それが上がる傾向にあるのですが、そういう物価が上がった場合には適当な時期にこの七万何ですか、この問題についても物価の値上がりに見合ったような手直しをすると、こういう心構えはあるんでしょうか。
#75
○政府委員(翁久次郎君) もちろんそういう異常な事態が生じた場合の配慮は当然いたさなければならないと考えております。
#76
○目黒今朝次郎君 じゃ、そういう心持ちに合わせてわれわれも追跡調査をしたいと、こう思っております。
 次に、大臣にちょっとお伺いするんですが、大臣の私的な諮問機関で社会保障長期計画懇談会というのがありますね、この懇談会から去年の十一月ころまでですか、三つか四つの基本的な答申が出ておると思うんですが、これも今後の福祉行政に関する問題ですから、この答申の取り扱いなり考え方、受け取り方について大臣の見解を聞きたいと、こう思います。
#77
○国務大臣(田中正巳君) お説のとおり、社会保障長期計画懇談会で昨年二度実は中間答申のようなものが出ました。これらについては、今後できるだけひとつ施策の上に実現をいたしたい。基本的には私どもがこの懇談会に最も求めているものは、社会保障についても従来のようなそのときその年の場当たり的なやり方ではなしに、一種の長期的な展望と計画を立てていきたいというのが私の基本的な考え方でございまして、したがいまして、これについては本会議でも申し上げましたが、こうした、このような懇談会の検討を踏まえて、半面またこれはやはり国の施策の一環でございまするから、したがって国全体の経済計画と相乖離して立ててもどうにもならぬわけでございますから、したがって別途経済企画庁で新経済計画を五十一年度を目途に立てるということですから、彼此勘案をして社会保障の長期計画を立てたいと、そのためにこの懇談会が私どもに果たしてくれる役割りを高く評価をしているというのが現状でございます。
#78
○目黒今朝次郎君 大臣は、あちらこちらの言葉で、新聞見ますとね、高福祉高負担という言葉をね、まあ大臣が言っているのか新聞が言っているのか知りませんが、高福祉高負担という言葉がちょいちょい出てくるんですが、この発想はどういうことなんでしょうか。
#79
○国務大臣(田中正巳君) 私だけが高福祉高負担を申しているわけではございませんで、内閣としては、今後社会保障を進めていくためには何らかの財源がなければなるまいということで、いろいろと財源を求めているということでございます。
 そこで、社会保障の充実を希求する厚生大臣としては、何としてもこればかりはどうもお金がなければやっていけないわけでありまして、通産省あたりのような行政指導で事が済むというものではございませんものですから、財源論については特に心を痛めているわけであります。
 そこで、今日の日本のこうした問題をめぐってヨーロッパの国々とよく対比されるわけでございますが、しかし、ヨーロッパの国々におきましては社会保障水準も非常に高いということが言われており、事実さようでございますが、反面、見てみまするとやはり相当の負担をいたしているということも事実であります。まあ国によって違いますけれども、大体租税負担率が、わが国とヨーロッパの社会保障先進国との間には租税負担率で三分の二ということに日本はなるだろうと思います。
 それから社会保険料、これの方は残念ながらわが方は約三分の一であるということが統計で認められるわけでございますが、これは決して日本の一般の国民が保険料をむげに低くしているということであるというふうには私どもは考えたくないわけでございまして、現実にそういう社会的要請があって、理解と納得の上にこのような高い社会保険料をヨーロッパの国々の人々はこれを拠出をしているんだろうと思います。
 その理由は何であるかと申しますると、やはりヨーロッパにおきましては人口の老齢化が進み、いわゆる老齢保障、年金等が成熟をいたしておりまするものですから、したがってそのような高い保険料支出をしているものというふうに理解される向きが多いわけであります。こうなってまいりますると、やはり日本が今後三十年ぐらいの間には人口の老齢化が非常に進み、ヨーロッパ水準に到達をするということになると、この方々に対する老齢保障というものに財源をどこに見出すかということについてただいまからやはり考えておき、苦慮せざるを得ないというのが厚生大臣の立場として当然だろうと思うのであります。かような意味で財源を求めるとするならば、やはり一般会計による租税負担に求めるべきか、保険料負担に求めるべきかいろいろ諸説の分かれるところだろうと思いますが、これ以上の給付をする場合、やはりどこかに財源を求めなければならぬ、そうすればやはりある程度の負担は今日以上にやっていただかなければ社会保障の前進はないというふうに考えているというのが私の今日の心境でございます。
#80
○目黒今朝次郎君 大臣に聞くのは酷かもしれませんが、高福祉高負担、財源という話がありますが、たとえば租税特別措置法であるとか広告税であるとか、この辺の赤坂で飲むいわゆる交際費の問題であるとか、あるいはお医者さんに対する特別の手当だとか、そういう問題等についてまず整理をするということが私は大事ではなかろうか、従来の経済構造、従来の財政構造だけを頭に置いて高福祉高負担ということを言ってしまうと国民に全部返ってくる、こういうことになりかねない、こう思うんですが、その辺を含めて、閣議の議論なども含めて、いま言った財源捻出について厚生大臣としては率直にどういう考えであるのかなどについて見解があれば聞かしてもらいたい、こう思うんです。
#81
○国務大臣(田中正巳君) おっしゃるとおり、今後の社会保障をめぐる財源論といたしましては、やはりどこからか金を見つけてこなければやっていけないということは皆さん御案内のとおりであります。しからば一体どういうところに財源を求めるかということについてはいろいろと議論があるところだろうと思います。しかし、私は今後やはりこうした高い社会保障水準というものを確保するために財源を求めるという場合において、単に現在時点の今日の財政負担あるいは今日の租税の徴収のあり方、課税のあり方等々をフィックスして今日時点のものがそれがいいのでこれを延長しでいくという考え方は私はとっておらないわけでありまして、これは私の直接所管ではございませんが、やはり閣内におる者としては今後先生のおっしゃったような課税のあり方等についても合理的なものを求め、国民の理解と納得の上に今後喜んで負担をしていただけるような、そういう制度にしていきつつこういうことをやらなければならないということについては先生と所説を同じくするものであります。
#82
○目黒今朝次郎君 いま言った広告税とか交際費とか租税特別措置法などなども含めて財源の洗い直しの方向で検討したい、こういうふうに一応大臣の、厚生大臣としてのお気持ちとして受け取っていいかどうか。
#83
○国務大臣(田中正巳君) 私はそのような検討は必要であると、現在の税制を基盤にして、これの上に、この延長線の上に高負担を求めるという考え方は私はとっておりません。ただ、現在の租税特別措置とか、あるいは問題になっている税目というものを起こすことによって今日非常なニードの高い社会保障費を一遍に賄い切れるかというと、残念ながらあれを皆さんのおっしゃるとおりにいたしましても私はなお足りないほどの財源が要るものというふうに実は思っているわけでございますが、しかし、さればといって今日税のあり方について検討を怠っていいものとは絶対に考えておりません。
#84
○目黒今朝次郎君 先ほど大臣は国際的なものに比べて低いと言いましたけれども、これはいろいろ使われる数字でありますが、国民総所得に対して日本の場合は大体六%前後、それから西欧諸国については一五ないし二〇%、こういうパーセンテージについては大体御異論はありませんか。
#85
○国務大臣(田中正巳君) 国民所得に対する比率は大体先生のおっしゃったとおりだと思います。
#86
○目黒今朝次郎君 先ほど申し上げた税制の問題とか料金の問題を含めていろいろ議論があると思いますが、何といってもわが国は私から申すまでもなくGNPの世界第二位という持てる国日本ですからね、私は西欧諸国並みに一五ないし二〇%に近づける、このことが絶対必要だと、こう考えるわけでありますが、先ほどの長期計画懇談会の答申も含めて大体どのくらいの目安で社会保障水準を西欧並みに持っていこうとする考えがあるか、これを聞かしてもらいたいと思います。
#87
○国務大臣(田中正巳君) 大変広範な、また先を見通した御意見でございますので、とっさの場合、的確にお話を申し上げることができるかどうか自信がございませんが、私どもとしては今日の日本の社会保障、これは特色がいろいろあると思いますが、やっている政策とその項目についてバラエティーは私はもう世界の先進国と大体匹敵するぐらいになっていると思うのであります。しかし、個々の政策の内容、内実ということになりますると、いろいろな御批判があるとおり問題があるというのが私は日本の社会保障の実態だろうと、平たい言葉で言えば、間口は十分だが奥行きがないというのが日本の社会保障の実態であろうというふうに思われるわけであります。しかし、やはりこの中で日本の社会保障を考えてみますると、医療保障と所得保障の二つに大きく分けられますが、今後やはりこの政策の重点を置いて厚味をかけていかなければならぬのは年金を中心とする所得保障に私はその重点をかけていくというのが正しい方向でなかろうかというふうに思われるわけでありまして、その方向に進んでいかなければならないものだというふうに思っております。主として日本の社会保障水準が低いと言われるのも、実は所得保障の水準が低い、そのことはまた単に低いという、政策努力が足りないというだけではございませんで、やはり日本の人口の老齢化現象というものがヨーロッパのそれとはまだ二分の一程度であるということの一つの反映と申しますか、リフレクションがそういったようなことを示していることもあると思いますが、しかし反面、そうだからといって現在の社会保障水準が十分であるということを申し上げるわけではございませんが、そうした要素が大きくからみ合っているということであります。そこで日本の人口の老齢化がヨーロッパの水準に到達をするのは昭和七十五年ごろだというふうに私ども役所の人口問題研究所等で見通しておるわけでありまして、そこでその節までには日本の老齢保障を中心とする所得保障をひとつヨーロッパの水準並みにこれを押し上げていかなければならぬ。その一断面として今後策定される長期計画は、それに行くプロセスとして誤まりのないものにしなければなるまいと、その傾向値というものの一断面としての五年なり十年というものを考えなければなるまいというのが私どもの長期計画に臨む基本の姿勢であるわけであります。
#88
○目黒今朝次郎君 まあ、年齢構成が昭和七十五年ですか、いま五十年ですから、二十五年先ですね。しかし私は経済力がなければ、それなりの苦労はわかりますが、しかしイギリスであるとか、あるいはイタリアであるとか、西ドイツであるとか、西ドイツは相当いっていますが、国民総所得を考えますと、相当西欧よりも持てる国日本の経済力の中で、しかも福祉行政を最もモットーにした三木内閣が誕生して二十五年先の議論をしても、私はどうも、私もいま五十ですが、二十五年で七十五歳になりますからちょうどその年齢に当たると思いますが、もっと三年であるとか、五年であるとか、五年刻みぐらいでこの問題を達成すると、そういう積極的な意欲はないんでしょうか。
#89
○国務大臣(田中正巳君) もちろん私は大いに社会保障の水準を高めていこうということで懸命の努力をしているわけであります。しかしいまお話は非常にロングランの長期計画についてのお話だったものですから長期展望を申し上げたわけでありまして、決してそれだからといって七十五年までほうっておくということはございません、その前にも、その間においても施策をできるだけ充実をしていかなければならないものと考えておるわけでございまして、したがって七十五年には少なくとも日本の人口の老齢化がヨーロッパと同一水準になり、そのときになおかつおくれをとるようなことがあってはいけないということを申したわけでございまして、短期的な現在からごく前の時点についてもできるだけの施策はこれを高めていかねばなるまい。またいま言う日本の人口の老齢化に対応する施策だけではなしに、諸般の問題についてやはり厚みをかけていかなければならぬ問題もございますから、意欲的にこの問題については取り組んでいかなければならないというふうに思っているわけであります。
#90
○目黒今朝次郎君 今回ILOの百二号の批准について国会に提案されるそうですが、これも十何年ですか、ILO百二十五号あるいはILO九十七号で味わったけれども、この九十七号以上にロングランであるわけですね、ILO百二号は。ですから、やっぱり私は大臣の言わんとすることもわかりますが、もっと五年計画なら五年計画ということで、現在の六%を何%に近づけるかという目標を立てて、そこにあらゆる財政措置なり経済構造なりを一応持っていく、そういう積極性がぜひ私はほしいものだ、こう思いますが、このILOとの関係も含めて、もう一度大臣の見解を聞きたい。
 それからこの前どっからでしたか、来年は老齢年金を二万円にするという発言もされているようでありますが、その二万円の構想と、いま言った構想との関連性もありましたら、お答え願いたい、こう思うのです。
#91
○国務大臣(田中正巳君) 今後できる長期計画、私はそんな二十五年計画などというばかげた計画を考えているわけではございません。やはりとりあえず五カ年計画程度のものを考えるのがよろしいだろうと、こういうふうに思っておりますから、この五カ年の間にもできるだけ日本の社会保障水準を引き上げるように努力をいたさなければなりませんし、そうした意欲的な計画を策定すべく努力をしなけりゃならぬと思っておりますが、別途これは例の新経済計画との関連もございますので、それ等を彼此勘案しながら、できるだけの努力をいたしていきたいということでございまして、今日の段階として一体対国民所得幾らになるかということを申し上げるのは、まだ私としてはできないところでございますが、できる限りの社会保障水準の向上に努力をいたしたい。そのような趣旨を盛り込んだ五カ年計画、長期計画にいたしたいものであるというふうに思っているわけであります。
 百二号条約、今度批准承認をお願いをするわけでございますが、これについてはいろいろと意見もあり、細かい点については、もし必要があれば政府委員から答弁をいたさせますが、一つには、どうも日本の場合、あの種の条約を批准する場合、非常にストリクトな法解釈をいたしておるという点がございまして、諸外国と比べますると、あくまでも理論的に精緻な精査の上に立って批准をいたすという傾向がありまして、いろいろとおくれたことも事実でございます。また、社会保障の立て方について、やはり諸外国と日本の場合と、日本の風土に合ったようなものにしておるために、若干の違いがあるということも事実のようでございますが、今後百二号条約についての国会御審議でいろいろと議論が出ると思いますが、そういったようなことについても、九項目のうち四項目でございますか充足をしたからということでございますが、できる限り他の項目についても要件を満たすように努力をしていかにゃならないと思っているわけでございます。
 福祉年金二万円の問題でございますが、これについてはかねがね本会議等でも申しておりまするとおり、今日の福祉年金、一般会計に依存をしてやっている福祉年金については、今後これを向上いたしたいというのは、私の真からの念願でございますが、一般会計によってだけではもう多くを期待することができないだろうというふうに思っておりますものですから、したがって年金財政の見直し、仕組みの洗い直しの上に立って、このような給付をいたしたいというのが、私の所信でございます。
#92
○目黒今朝次郎君 時間がありませんから前に進みます。
 この前、三月の十一日の日に、大腿四頭筋短縮症の問題について、参考人を呼んでいろいろとお話を聞いた内容については、政府関係者から報告があったかどうか、大臣にお伺いをいたします。
#93
○国務大臣(田中正巳君) この間、実は参議院予算委員会で朝から晩までくぎづけになっておりまして、余り時間がとれませんでしたものですから、非常に概略的な説明だけは受けました。しかし詳しいことについては、もう少しひまが出たらもっと詳しく聞きたいというふうに思っておりますが、一応のことは聞いております。
#94
○目黒今朝次郎君 じゃ、一応の筋道だけここで確認したいと思うのですが、この前の政府委員の説明では、二月の十五日まで一応政府は検診の状況について報告をまとめると、あのときの段階ではまだまとまっていない、そういう話があったのですが、事務的なことですから、まとまったらここで御報告を願いたい、こう思うのです。
#95
○政府委員(上村一君) まとまりましたので、御報告申し上げます。
 その前に、どういうやり方をしたかということを申し上げるのが筋合いだろうと思うのですが、昨年の十月に、研究班から診断基準が出されましたので、その診断基準に基づきまして、私どもの方から都道府県に対して、乳幼児の健康診査の際、あるいは三歳児の精密健康診査の際、あるいは身体障害児の療育相談の際に、検診をするように、そしてその結果は年度末までに出してもらいたいというふうな指示をしたわけでございますが、問題の緊要性にかんがみまして、とにかく一月末までの数字を二月十五日までに出してほしい。したがいましていま申し上げます数字は、とりあえず一月末日まで私どもの方に報告のあった数字でございます。
 まず患児の数でございますか、――患者である子供の数、診断基準で申し上げますと、Aに該当する者でございますが、七百四十人でございます。それからその次がBに該当する者が千十六人でございます。で、合計七百五十六人が私ども研究班からいただきました診断基準によって大腿四頭筋拘縮症であると考えられる子供でございます。そのほかに、現在大腿四頭筋拘縮症と言えないものとして報告がありましたのが三千六百六十二人でございます。あと年齢区分等ございますが、いかがいたしましょうか。よろしゅうございますか……。
#96
○目黒今朝次郎君 いいです。大体この前、目の子勘定で言われた数字とそう違いないと、こう思うのですが、それはそれでわかりました。
 大臣きょうは時間がありませんから、この前参考人で来られた方の報告では、大体小学校をずっと調べてみると、一〇%から一五%程度である。現在の集計においても約八千名を超えていると、そういうことで、いわゆる実際の自主検診の方々と政府の研究班との報告にはもうこんなに差があるという事実だけはこの際確認をしておいて、なぜそうなるのかということについては、次の機会で話をしたいと思っております。時間がありませんから。
 もう一つだけ、お聞きしますが、参考人の先生方は、この病気は九九・九%注射によるものである、先天性は〇・一%ぐらいであると、一致して証言をしておったわけでありますが、これはそのままお認めになりますかどうか、大臣の見解を聞きたいと思います。
#97
○政府委員(滝沢正君) 参考人の方のうち津山参考人が、先生おっしゃるように、先天性のものを二例経験しているので九九%は注射によると述べておられます。同じ公聴会で、坂上参考人は、薬剤そのものにやはり問題があるという指摘をされておりますし、今井、宮田の両参考人は、薬も否定できないが、注射回数、乱注射が問題だと思うと述べておられますが、これを総括しまして、注射に原因があるということについてはどなたも否定していない、先天性の例を除けばそういうことが言えると思います。
#98
○目黒今朝次郎君 そうしますと、私も全部一人一人確認したんですから、まあ注射そのものか、あるいは薬か、これはまあ別の問題として、そういう作為的に、人工的に出たいわゆる医療公害だといまの言葉で言えば医療公害だと、九九・九%まで医療公害であるという点については確認できますね。
#99
○政府委員(滝沢正君) まあ、医療公害という言葉が適切かどうかは問題ございますが、医療にまつわって、かえってそこに障害なり問題を残すのを医原性というような言葉も使われております。そういう意味で医療にまつわって起こったものであるという意味でおっしゃる言葉としては、私は医療にまつわるものであるということは、それでよかろうと思います。
#100
○目黒今朝次郎君 そのようにまあ確認しておきたいと思います。ところがその日本医師会のいろんな文書、きょうは時間がありませんから言いませんが、日本医師会の文書を特に武見会長の発言を見るとお医者さんは教科書どおりやったんだから罪はないという発言をされているようです。薬屋さんの方はいろいろ調べると、この問題は国際的にそういう問題について研究したためしがないと言って薬屋さんは逃げている。どちらが本当かというので現在裁判が行われている。しかし、現実にその病気にかかっている人は生活と肉体的な苦しみに悩んでいると、こういう現実があるわけなんですが、これらの、まあ私は素人ですからわかりませんけれども、素人から見ればお医者さんも薬屋さんもお互いに責任のなすり合いをやっている、現実の被害者は本当に被害を受けていると、こういう段階で局面打開としてどういうことが考えられるのかということについて大臣でも政府委員でもけっこうですから、ひとつ当面の打開策ということについてお考えがあれば聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
#101
○政府委員(滝沢正君) この、先生例に引かれました教科書にはというようなことについては、事実、子供の筋肉注射を大腿に、前面にやるのがいいということは事実でございまして、ただ、それがそうなっているからあとは注射回数が多いとかというような問題との総合的に見ますというと、そのことだけでこれを免責されるものではないというふうに考えます。また薬の方の問題につきましては、実は注射薬のPH、いわゆる酸、アルカリの度合いということと、それから浸透圧と申しますか、筋肉組織に浸透していく、この問題が注射薬のその基準として考えられていたことは国際的に確かに共通した問題だと思いますが、東北大学の赤石教授が組織破壊性と申しますか、溶血性という問題を新たに提起しましたことは、確かに学問的に見ますと新しい提起でございますので、これをやはり中心とした薬務局における研究班、またわれわれの方の研究班で臨床面を通じて動物実験その他を今後追求していくということで、総合的に見ますというと、確かにこの原因の究明、広い意味の原因の究明は今後に残されておりますので、そういうものの解明を待って注射薬の基準に新たにそういう問題がどう取り入れられるのか、あるいは注射部位等についてもすでに医師会等の委員会が医師会長に答申しておりますように、やはり大腿を避けるということ、それではどこがいいかと申しましても、この臀筋、おしりの筋肉ということもあの答申には書いてございますが、一説にはまたおしりの筋肉で障害か起こっている例もございます。したがいまして、今回の大腿四頭筋の例は、やはり注射薬の吸収などが非常に体質的に弱い乳児期ですね、零歳以下の子供に注射した場合にかなり発生している。年齢が増してまいりますというと発生していない例もかなり見受けられるわけでございますので、そういういわゆる動物実験などでも幼弱な動物を使わなきゃならぬという条件もあると思いますし、そういうことも含めまして原因の究明ということが、やはりどうしてもこれに対して取り組まなければならない問題であろうと思って一おります。
#102
○目黒今朝次郎君 大臣、時間が来ましたから一つだけ聞きたいのですが、いま答弁あったとおり、まあ注射か薬か両方か、いろんなかみ合わせばあるけれども、そういう医療にかかわる一つの事象としてこういう病気が発生したということは間違いないわけなんですけれども、それを治すために親たちはいろいろ苦労しているわけですね、経済的にも肉体的にも精神的にも。せめて、いま治すために切開をする、手術をするという研究も進められておるそうでありますが、そういうもろもろにかかわる物理的な負担ですね、経費あるいは人によっては、この前守る会の証言を聞きますと、そのために仕事をぶん投げて子供を連れて歩くという、生活に非常に支障を来たした方もいると、そういう方々について、政府は特別な財政的な裏づけを当面してやると、当面してやって、やはり原因の究明をして、その責任の所在がわかったならば、そういう方々から加害者原則に従ってお金を徴収すると、そういうような当面の措置ですね、困っている方々の当面の措置、そういう財政的な裏づけができないものか、こういう問題について御検討なさる余地はあるかどうかという点についてお伺いいたします。
#103
○政府委員(上村一君) あるいはいまの御質問のお答えになるかどうかと思いますが、やはり大腿四頭筋の拘縮症児に対する対策としては、私どもは抽象的に言えば身体障害児の対策として、まあ具体的に申し上げますと、その公費負担医療である育成医療の給付をしますとか、あるいは補装具の給付をしますとか、あるいは障害の程度が高い場合には特別児童扶養手当等の支給の対象にするとかというふうな方針で処理してまいるつもりでおるわけでございます。
#104
○目黒今朝次郎君 そうすると、いま病気にかかっている子供さんに、いま言ったような適用をしながら実際の医療費なり、あるいは生活費なり、現に見ているのですか、実際適用して。
#105
○政府委員(上村一君) 先ほど申し上げました現状報告の……
#106
○目黒今朝次郎君 千七百は聞きました。
#107
○政府委員(上村一君) 資料等から見ましても、育成医療の給付の対象になっております者が何名かあるわけでございます。それで、その育成医療の給付、いまお話にもございましたように、最終的な治療指針と申しますか、それがない点に悩みがあるわけでございますけれども、およそ育成医療の対象になる者については、その所得の程度に応じまして公費の負担をすると、そして公費負担をする基準になります所得のきめ方というのは、私自身、まあ、これは人によって判断は違うと思いますけれども、そんなにきついものではないというふうに考えております。
#108
○目黒今朝次郎君 この前私山梨へ行ってね、甲府に行って五、六人当たってみましたがね、率直に悪い言葉で言えば投げっ放しですよ、行政は投げっ放し。親の負担で本当に苦労しながらあっちこっち、山梨の病院、東京の病院あるいは広島の病院と言われれば、自分の子供を背負ってどんどんと歩いている、そういう現状なんですよ。役所の方は認定というその手続が必要だと、認定の関門が通れないのですね、原因もはっきりしませんから。ほとんど行政はほっぽり放し、こういう行政でありますので、これは私はもう少し調べて、あるいは大臣もまだきちっとしてないと言うから、もう少し調べてやりたいと思いますが、とにかく先ほど言ったとおり、注射と薬で子供さんが大変な犠牲をこうむっている。親たちは言うに言えない精神的な財政的な負担をこうむっている、この現実は否定し得ないんですから。そうでしょう、注射と薬だということ、これは医療行政ですよ、何といったって。ですからこれは医療行政で救う以外にないではないか、こう私は思っているわけですが、時間だそうですから、これは私は言いっ放しになります。もう少し子供を抱えている親の気持ちになって、私は大乗的見地から考えてもらいたい、こういうことを大臣に要望しておきたいと思います。
#109
○小平芳平君 大臣の所信表明につきまして、何点かにわたって、質問内容が飛び飛びになって恐縮ですが、何点かにわたって質問いたしたいと思います。
 大臣の所信表明に直接関係がないかもしれませんが、いま歯科診療の差額徴収について、非常に、毎日のように新聞に報道されております。この点について余り細かい説明は必要ありませんので、四十八年八月二十七日、歯科医師会が出したマル秘通達というものがあるということが報道されております。これに対して厚生大臣は、そういうものが本当にあったのかどうか、撤回したのかどうかということを調査するように指示したというふうな報道がありますが、この点についていかがですか。
#110
○国務大臣(田中正巳君) 先生お説のとおり、このような文書があるといううわさを聞きました。一部新聞にその写しのようなものが出ましたので、私としては放置することができないと考えましたものですから、写しを何とか入手するようにということを指示しておりましたところが、写しのようなものが実は役所としても入手できました。しかし、行政の立場としては、これが本物であるかどうか、現実に出したのであるかどうか、そしてその節、一体どういう考えで出し、また、その後どういう扱いをしたか、一説には取り消したという話もあるし、そのままでもあるという話もございますので、したがって、その辺のことについて的確な把握をしなければならないということで、実は原局に対し、そのような的確な把握をするように指示をいたしておきました。
#111
○小平芳平君 そうしますと、的確な把握はまだできてないと、ただ新聞に報道されたものと同じような写しが入手できたという程度であって、大体内容はどういう内容ですか。あるいはまた、それに対してどう処置すべきだと考えられますか。
#112
○国務大臣(田中正巳君) 入手をいたしましたものですから、私も読んでみました。読んでみますると、いろいろな理由が書いておるようであります。当時たしか中医協が、何ですか、作動しておらなかったときでございますようでございました。そこで緊急避難的な意味を含めて、これこれのことをするんだということを書いております。その内容について、特に私どもが、あれが真実のものだとすれば、問題だと思われる個所は、現在、差額徴収として認めている治療の範囲を超えまして、補綴プロパーについて適当な、二〇%ないし二五%ですか、の上乗せをした診療をやるんだということを、方針を打ち出しているということでございます。これが事実だといたしますれば、これは現在歯科の社会保険診療に許されているところの差額徴収の範囲を逸脱をしたものでございますので、これはやはり現在の制度に背馳する内容を含んでいるということを注目をいたしまして、現在、この実態について究明をいたしているところでございます。
#113
○小平芳平君 現在の制度に背馳しているということがはっきりした場合はどういう処置をとられますか。
#114
○国務大臣(田中正巳君) 現在、まだあのような書類についての性格なり、あるいは現実性といったようなものについて把握をしておりませんものですから、とりあえずこれについて実態の把握をいたしたいということを指示をいたしたわけでありまして、その後の措置についてはいかがいたしまするか、今後役所内部で慎重に検討をいたさなければなりますまいと思っておりますが、しかし、いずれにしてもさっき申したような内容のものが真実であるとするならば、これは遺憾きわまりないものでございますので、適当なやはりアクションを起こさざるを得ないというふうに思っているわけであります。
#115
○小平芳平君 この問題はきょう、きのうの問題でなくて、もう何年来の問題でありますことも御承知のとおり。そうしてまた、現に困っている人がいるわけですから、先ほど大臣、高福祉高負担というふうに述べられておられますけれども、高福祉高負担どころか、まず歯科診療を受けるというところにきわめて困難を感じ、あるいは多額の金を払わされたというようなことは、もう何年来厚生省もわかっているはずだと思うのです。したがって、これに対してアクションを起こすと言われますが、どういうアクションか、もう少し相談はできておりませんか。
#116
○国務大臣(田中正巳君) いまのお話のまあ通牒というもの、あの範囲だけでは、実は歯科問題というのは、あの範囲だけに限らないというふうに私は認識をいたしております。今日、俗に歯科医療の社会保険医療における差額徴収問題と呼ばれているものは、厳密な意味では差額徴収問題に限らない問題を含んでいるということだろうと思います。事実世間でいろいろと言われている問題には、それ以外の問題も実は多く含まれており、これらについても制度のたてまえ上思わしくない、あるいは違反をするようなものもございますから、そういったような点については、かねがね実はそういう点について問題になり、中医協においてもいろいろと指摘をされておったところでございまするから、したがって、中医協で専門部会を開いて、それの検討をいたしておったところでございますが、今日この専門部会は、審議を御案内のとおりの事情で中断をいたしているわけでありますが、その間厚生省は、これを手をこまねいて見ていたわけではございません。日本歯科医師会と話し合いをいたしまして、こうしたことについて、できるだけこうした事象がなくなるように、いろいろと努力をしてまいりました。一番典型的な問題は、差額徴収制度にのっとってはおるんではございますが、差額の部分について、本来でありますれば、これは患者との間に対話をいたし、差額徴収料金について、理解と納得を得た後にこれを給付するというのがあるべき姿なのでございますが、これを怠っておって、後になって法外なお金を要求された、請求された、これに大きな一つの問題があったようでございまして、これが今日言われているものの中の一番大きな問題であるというふうに私は心得ておりますが、これについては患者に対し、歯科における社会保険診療の範囲のあり方、仕組み等々を周知徹底をさせるということ、歯科医に対してはそのようなことを怠ってはいけないということ等をいろいろ周知徹底させるようなことをいままでやってきたわけでございますが、なお不十分であったと思います。いま反省をいたしておりますが、あのような事象がその後も続いておったということについてはまことに遺憾であるというふうに思っております。
#117
○小平芳平君 厚生省は都道府県知事に対して厚生省保険局長、あるいは都道府県民生主管部(局)保険課(部)長、あるいは国民健康保険課(部)長に対して厚生省保険局歯科医療管理官、こういうような通知を出しておりますね。ですから、これをごく簡単に局長から何 言わんとしているか。要するに、問題があるということはわかってこういう通知を出しているわけでしょう、何回かにわたって。したがって、これ全部読まれたんじゃとても時間がなくなりますから、何を言わんとしているか、大事なところだけ何点か言ってください。
#118
○政府委員(北川力夫君) いまお話に出ました通知は昨年の三月、それから五月にそれぞれ出しております。それから、いま大臣がおっしゃったような意味では本年の三月に出しております。で、昨年の三月の段階におきましては、やはりここ両三年来非常にこの差額問題あるいは歯科診療全般の料金問題が苦情の多かった実情になってまいりましたので、そういう事態を踏まえて、かつまた中医協における論議等も考えまして、この問題についての行政上の指導を強化するということにしたわけでございます。その要点は、一つは従来必ずしも明確になってないおそれがありました差額徴収が認められる治療行為の範囲というものはこういうものである。それから、差額徴収の要件はどこまでも患者さんから希望があった場合に限る。それからまた、納得づくでやっていただきたい。そういうことについて十分なPRをして、ポスター等によって十分患者さんにわかるような措置をとってもらいたいというようなことであります。また、保険医療機関とかあるいは保険者、被保険者等に対しましてはそういった指導を十分にすること。また、それをやってもなお改善の認められないものに対しましては適切な措置、十分に指導をしたり、あるいは場合によっては監査も実施をすると、こういうようなことで、従来やっておりましたことでございますけれども、そのルールの徹底を欠いたという点にかんがみまして、そういう点を重ねて、徹底をするように行政指導をしたわけであります。
 で、またこの本年三月の通知におきましては先ほど大臣からも申し上げましたが、非常に先般の中医協におけるときの論議等にも照らしまして、差額の実態等をつかむということが必要でございましたから、実態報告を求めました結果、余りにもその結果が不満足なものであるという実情にありましたので、重ねてこの苦情処理ということにポイントを合わせましてやりました。で、その内容は、第一点は、どこまでも都道府県の歯科医師会との連絡を十分に強化をしてその協力のもとにやるということ。第二は、先ほど申し上げましたけれども、被保険者等に対する広報を十分にやる。第三点は、苦情の処理といたしまして、苦情の受付の窓口をできるだけ拡大をする。また、都道府県段階におけるその処理の体制を十分に整備をする。さらに、第四点は、前回と同様でございますけれども、最終的には指導、監査等徹底をして、現行ルール下における、現行の制度下における歯科診療のこの差額問題の適切な運用ということの徹底を期したような内容になっております。
#119
○小平芳平君 局長は「第十七回全国保険・国年課(部)長事務打合せ会」ここで訓示をしておりますが、その訓示が、これはプリントですけれども、ですからどういうふうに、正確に伝わっているかどうかということもありましょうが、この問題の解決策として三つ挙げまして、「一つは、」「第二は、」「第三点は、」と挙げまして、「最後に、これだけのことをやってもなおかつ適切でない事態が生じるならば、これは相当徹底した指導をし、徹底した監査を行う。こういう方針で臨みたい。」これは要するにそのPRその他のことをやって、にもかかわらず適切でない事態が生じたならば、徹底した指導、徹底した監査をやるという、こういう趣旨ですか。私がむしろ尋ねたい点は、そういう苦情が、これは大臣も先ほど述べられたようにもうわかっているわけですから、ですからこの徹底した指導、徹底した監査というようなことを、何かこの段階を置いて、何かこう日にちを見ていてそのうちに徹底した指導、徹底した監査をやるぞというような、そういう気構えで、取り組みでいいのかどうかという点です。
#120
○政府委員(北川力夫君) ただいま先生がお読み上げになりました部分は、私が確かにその会議で述べたことでございまいますけれども、そういう席でございますので必ずしも十分に意を尽くしていない面もございます。で、要は現行のルール、現行の制度のもとで、医療機関の方もそのルールをきちっと守っていただく。また患者さんの方も十分にこれを理解していただきまして、個々のケースについてはそれぞれ納得のいく話し合いで歯科診療が行われると、こういうことが一番望ましいわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げました最後の点に関連するわけでございますけれども、患者さんの方にも十分に承知していただく。また保険医療機関の方も十分に事柄を理解をしてもらう、そういうようなことをやりましてもかおかつ事柄が適切に行われないと、そういうときにはやはり指導を強化をするなりあるいはまた必要があれば監査をするなりいたしまして、最後のけじめはつけなけりゃならぬ、そういう意味合いで申し上げたわけでございますので、あくまでも行政の立場といたしましてはその前段階まででできるだけ問題を円滑に処理をするということが望ましい、かように考えております。
#121
○小平芳平君 大臣は、先ほど事態がこうなったことについて、反省してますというふうに述べられた。ですけれども、こうした、いま私が申しますように、徹底した指導、徹底した監査をするぞというような順序が逆じゃないかということを私はいま申し上げたわけです。そしてさらにこの診療報酬体系の問題とか、もっと国として、厚生大臣としてやらなくちゃならないことが山ほどあるんじゃないかということを私は申し上げたいのですが、大臣の御意見を承りたい。
#122
○国務大臣(田中正巳君) やはりこの種の事象が医療界に起こったときには、いままでのたてまえ上まず指導をいたし、そして指導がどうしても、指導で目的を達し得ない場合は監査をいたすというのがたてまえでございますので、そういう順序に従ってこれは解決をしていくというのがこの場合にも私は当てはまるだろうと思うのであります。また反面、現在の歯科の社会保険診療における診療報酬の問題にも関係はあるというふうに申す向きもございまして、私もその点については否定をいたしません。やはりそういったようなひずみというものがこういったようなことにつながっておらないとは言い切れないわけでございますが、今日のところやはり私としてはとりあえずこういったような社会事象をなくしていただくということが先決であるというふうに考えているわけであります。よしそれそのようなふうな改定をいたすといたしましても、こういったような社会的背景のもとにこれを実現するということは私はかなりの社会的抵抗を醸成するものと思いますので、私はとりあえずこの前日本歯科医師会の方にも申し上げたんですが、とにかく解消しようじゃないかと、解消したところでひとつそういう基本問題に取り組もうじゃないかと、おれも意欲はあるぞということを申したわけでございますが、今日でもその点については私の所信は変わっておりません。
#123
○小平芳平君 それではこの点についてはなお細かいいろいろな問題点の指摘したい点もございますが、大臣の御熱意に期待いたしまして、ぜひとも解決をしていただく、当面起きている問題の解決とともに基本的な解決に取り組んでいただきたいということを要望いたしたいと思います。
 次に難病対策について伺いますが、この難病対策につきましては、大臣の所信でも述べておられますが、第一に特定疾患、これは最初八疾患から出発したように思いますが、三年経過しましてもなおこれは継続して研究をいたしますかどうか、その点が一つ。
 それから第二点は、齋藤前厚生大臣はカネミ油症の被害者の方々が国会に大ぜい来られたときにその患者さんの前で、カネミ油症の治療の研究については特定疾患に準じて治療研究するように指定をいたしたいと、こういうふうにお約束をなさったわけです。そういうふうに約束をされますと被害者の方はいまかいまかと待っていらっしゃるんですが、私が政府に対して出した質問主意書に対しての答弁では指定はしないとあっさり断ってきておりますが、これはどういうわけか。
 第三番目には、脊椎破裂症というような先天性奇形児に対する研究は難病対策として取り組む必要があるのではないか。
 以上三点についてお答えいただきたい。
#124
○政府委員(佐分利輝彦君) まず四十七年度に発足いたしました八つの特定疾患の調査研究等について今後も引き続き継続するかどうかという御質問でございますが、これは現在お諮りしております予算案を通していただけば特定疾患対策懇談会に御相談をして引き続き研究を続けてまいりたいと考えております。
 次に、カネミ油症をなぜ特定疾患に指定しないのかという御質問でございますけれども、現在特定疾患対策といたしましては、原因が不明で治療方法がわかっていない疾患を対象にしておるわけでございまして、カネミ油症の場合には原因も原因者もはっきりしておるわけでございます。したがいまして、本年度におきましてもその調査研究につきましては環境衛生局の食品衛生調査研究委託費から約三千八百万円の研究費を支出いたしまして調査研究をしておるところでございまして、今後も調査研究につきましてはそのような方法で、また治療費の負担につきましては、原因者がカネミ倉庫でございますので、そちらの方に負担をしていただきたいと考えております。
 第三に、先天性奇形の脊椎破裂症をなぜ特定疾患に指定して調査研究しないかという御質問でございますけれども、これは一種の遺伝性の疾患でございます。そこでもちろん調査研究というような面もございますけれども、特にその治療費の負担が社会問題としてクローズアップされてきておるのではないかと思われます。したがいまして、本件につきましては、主として子供の疾患でもございますので、児童局の方ともよく相談をいたしまして慎重に検討いたしたいと考えております。
#125
○政府委員(上村一君) いまお話しになりました先天性奇形児童でございますが、母性保護医協会の調査なんかによりましても一%を若干上回る頻度で発生をしておる。そこで当初は厚生省の医療研究助成費なり特別研究費という研究費でやっておったわけでございますが、昭和四十六年度から心身障害の研究費というのが児童家庭局の方で計上されるようになりまして、四十九年度四億五千万円、五十年度の予算案では五億五千万円でございますが、この研究費の中で障害児を産まないための研究ということで積極的に進めてまいっておりますし、これからも進めてまいるつもりでおります。
#126
○小平芳平君 カネミ油症の問題は、また別の機会にしたいと思いますが、これは大臣、前大臣ですけれども、はっきり皆さんの前で厚生省としてはこうやりますと言って約束なさったことに対しまして、いまの局長のような答弁は初めからわかっているわけですから、カネミ油症というんですから、カネミ倉庫の油によって被害が発生したということははっきりしているんですから、いかがですか、大臣、前大臣の言ったことだからわしは知らぬということですか。
#127
○国務大臣(田中正巳君) 実はこの話聞いておったわけであります。で、齋藤前厚生大臣に、友人なもんですから、率直に言って何でおまえこんなことを言ったのかというふうに聞いてみたことが実はございます。しかし的確なお答えはなかったわけでございますが、現在のいわゆる難病というカテゴリーといいますか、概念の中にはどう考えてもこれははまらないというのが私の悩みでございまして、率直なところ前大臣が皆さんにそういうふうに申し上げた、しかし、現在の難病対策というもののいま局長が説明したところはまさしくあのとおりなものでございますから、前大臣の発言と今日の難病対策という制度の仕組みとの間に立って実は私苦慮しているというのが心境でございまして、これについては、要は私はやはりカネミ油症患者さんがこれらの研究を十分よくしていただき、そしてまた治療についてできるだけのことをしていただくというのが必要なことだろうと思いますので、そういう方向ではひとつ取り進まなければならぬというふうに思って、前回来のいきさつはともあれ、そういう方向で進まなければならぬというふうに思っているわけであります。
#128
○小平芳平君 大臣は苦慮しておるとおっしゃられるのですけれども、被害者の立場にもう少し立って行政は進めていかなくちゃならないと私は痛感しております。で、カネミ油症につきましては、いろいろたくさん私は問題点がありますので、別の機会にまた質問したり、問題提起を必ずいたしますから、ひとつ大臣、よくその辺、腹をきめておいていただきたい。
 それから、いまここで先ほど局長から母性保護医協会が調査したところによりますと、先天性奇形児は一・一%であったという調査報告が出されております。で、その趣旨の答弁が局長からありましたが、これは脊椎破裂症等を含む先天性奇形は遺伝ですか。これは遺伝性のものですか。
#129
○政府委員(上村一君) 私医師でございませんので、よくわかりませんけれども、遺伝性のものもあれば、遺伝性でないものもいろいろあるというふうに聞いております。したがいまして、私どもの研究費でも遺伝の面から、あるいはその他の面からいろいろアプローチするように幾つかの研究班に分けているわけでございます。
#130
○小平芳平君 そうするとふえつつありますか、減りつつありますか。
#131
○政府委員(上村一君) 調べられましたデータが先ほどお話になりましたように、日本母性保護医協会の調べしかございません。しかもこの母性保護医協会の調べも四十七年と四十八年のものしか手元にないわけでございます。ただ、母数が、総分娩数十万を超える数をもとにしての調べでございますから相当大きな母数だろうと思うんですが、四十七年の場合に分娩十万五千に対して奇形児数が千百七十二でございますから、一・一二、それから四十八年の場合に十万八千の総分娩に対して千二百七十五人でございますから一・一七、四十七と四十八を比べますと、一・一二と一・一七という差は出ておりますけれども、これをもってふえておるとも言い切れないと思います。
#132
○小平芳平君 ですから、その辺を明らかにしていただきたいわけですね。ただ遺伝性のものもあれば、そうでないものもあるという程度のお答えだと問題解決になりませんので……。
 それから先天性奇形児のために現在の社会的援助としては育成医療あるいは先ほど答弁された心身障害予防研究費ですか、そうした対策がとられておりますが、なおかつこれだけでは不十分な面がたくさんあるわけですが、その点おわかりですか。
#133
○政府委員(上村一君) いまの御質問の趣旨必ずしも私よくわからなかったわけでございますが、いまお話になりましたように先天性奇形児については一つは原因を究明する、治療方法を考えるというのが一番基本でございますから、この研究費というものを年々増額さしてまいっております。もう一つは母子保健対策の中で、妊婦に対する健康診査なりあるいは妊婦に対する栄養強化の対策なり、そういった母子保健行政というものを進めてまいっておる。それからあと育成医療等になるわけでございますが……。
#134
○小平芳平君 私の質問の仕方がまずかったかもしれませんが、原因の究明と治療法の研究、それが必要なことが第一、これはそのとおりだと思います。
 それから、現在先天性奇形児の方に対する援助措置ですね、社会的な援助措置として何があるかということについて考えてみますと、育成医療も範囲が決められていて育成医療の適用を受けていない人もたくさんいらっしゃる。――そうじゃないですか、たとえば所得制限ですね。それから、特にこういうケースの方が一番多いようですが、脊椎破裂症の方では、一応手術を受けます。外見は一応手当てを受けますが、しかし一生麻痺した神経はもとへ戻らないわけです。しかも、親としてはなるべくほかの子供さんと一緒に学校へ通わせたい、しかし本人は下半身麻痺していてたれ流しと、お母さんが後ついていって、学校へ行っても大便・小便の世話をしなければならないというような方に対する援助措置が何もないではないかということですが、いかがですか。
#135
○政府委員(上村一君) 育成医療につきましては症状によってこれはいいとか悪いとかいうふうな限定はいたしておりませんで、それによって機能の回復と申しますかあるいは軽減と申しますか、障害の軽減というものが可能であればすべて適用するというふうに考えておるわけでございます。いま所得制限があるじゃないかというお話は、先ほどの御質問にもお答えいたしましたように、所得によりまして公費負担の限度を決めておるわけでございますが、現在の限度は私はそれほど厳しいものではないというふうに考えておるわけでございます。
 それから第三点といたしまして、一応手術を受けた後、下半身麻痺が残っておるような人に対する対策としてどうするか、これはもうすでに育成医療が済んだ後だというふうなことになりまして、障害の程度がどうであるかということにもよると思いますけれども、私どもの方では子供については特別児童扶養手当の対象になり得ると考えます。
#136
○小平芳平君 そこまではわかっておりますので、いま申しますような、下半身麻痺しているので常時母親がついて歩いて世話しなければならない、しかも、なおかつ本人も学校へ通いたい、親も通わせたいというお子さんに対する援助はないのか、考えられないかどうかということです。
#137
○政府委員(上村一君) 障害児の一般の対策の中の一つということに、お話しになりました脊椎破裂の子供に特有のという対策は考えておるわけじゃございませんが、そういった重い身体障害のある子供については、何と申しますか、親がついて歩くことによる経費をカバーするという意味で、先ほどの承知しておるとお話しになりましたけれども、特別児童扶養手当を大幅に広げるとか、あるいは症状によりましては、今回御提案申し上げます福祉手当の対象にするとかいった現金による給付ということを考えておるわけでございます。
#138
○小平芳平君 この点につきましては、またもとへ戻りまして、どうして難病対策と同列にやれないんですか。
#139
○政府委員(佐分利輝彦君) 現在、特定疾患対策は、大人の特定疾患を公衆衛生局が所管しておりまして、子供の慢性特定疾患は児童家庭局が所管いたしております。そういう意味で、子供の疾患につい七は児童家庭局で検討していただくということになろうかと思うのでございますけれども、治療費の負担につきましては、先ほど児童家庭局長がお答えいたしましたように、児童福祉法その他による制度がうまく活用できれば、現在の特定疾患対策の治療研究、つまり、治療費の負担制度よりもより充実したことが実施できますので、児童局の方で慎重に検討していただいたらどうであろうかというように考えております。
#140
○小平芳平君 児童家庭局長はそういうことを検討して出てきているんじゃないですか、きょうは。
#141
○政府委員(上村一君) 児童家庭局で所管しております小児慢性疾患というのは、小児がんあるいは腎炎、ネフローゼ等でございまして、こういった先天的な奇形については、私どもで所管しております小児のいわゆる難病と申しますか、その範疇に入れておりませんで、どうも話の繰り返しになって恐縮でございますけれども、その医療については育成医療というふうに考えておるわけでございます、すでに育成医療という制度もあるわけでございますから。
#142
○小平芳平君 そうすると、大臣、公衆衛生局の所管でもない、児童家庭局の所管でもないとすると大臣の所管にする以外にないですが、どうですか。
#143
○国務大臣(田中正巳君) どうも、この問題、実は、衆参両院の委員会に出て、質疑応答の中で私感じたことでございますが、どうも、今日の公衆衛生局のやっている難病対策、そして児童局のやっている育成医療あるいは療育医療、こうしたものが縦割り的に進んできたんでございますが、これ、もう一遍ひとつ見直してみる必要があるということを私感じておるわけでございまして、その方向について、一体どういうことをやるか、今日のところ的確なお答えができませんが、正直なところ、私としては、この分野についての、最初のうちは、政策が小さいときはあまり問題にならなかったんですが、だんだん、ここまで政策が充実をしてまいりまするとひずみも大きくなってまいり、いろいろな御意見も出てくるようでございますんで、これについては、横の連絡、そして対象疾病等々についてひとつ見直していかなきゃなるまいというふうに思っているわけであります。正直なところただいまの先天性脊椎破裂症、これをどうするかということについては、いまここで私申し上げるほど知識もございませんが、先生の御趣旨を踏まえてそういったような全般的な見直しの中でもって検討すべき課題であろうというふうに思っております。
#144
○小平芳平君 医務局長にお尋ねしますが、原因は先ほど答弁のあったような程度か、要するに遺伝性のものもあればそうでないものもあるというような程度か、局長としての御見解を承りたいことが一つ。
 それから予防対策としては何か考えられないのかどうかですね。予防対策、この点についても所管がないというんじゃどこも考えてないということになっちゃうんですが、お医者さんとしてどうお考えですか。
#145
○政府委員(滝沢正君) 先ほど来この問題、それから先生が破裂症を勉強しておられるということを聞いてはおりましたが、私の率直な感じから申しますと、このような身体にいわゆる奇形等の形を持って生まれてくる子供の原因は主として染色体に原因があると、それがいわゆる狭い意味の先天性のための染色体の変化なのか、一部その人が成人し、結婚し、赤ちゃんを妊娠する、ちょうどサリドマイドと同じような、何かその途中で染色体に受けた障害であるのか、そういう広い意味の先天性の奇形なのか、そういうことが先ほど児童家庭局長からいわゆる狭い意味の先天性なのか、やや後天的だけれども、その辺のところが非常にわかりにくい、まだ解明できていないというふうなお答えになった私は根本はそこにあると思うのでございます。したがいまして、原因というものがそのような状態であるとぎの予防対策というものは、たとえば非常に簡単な色盲であるとかというようにかなり遺伝学的に解明できているものについては、それを認識した上で結婚なりあるいは予防対策なりというようなことを考えればいいと思うのでございますが、いまお答えしたような実態であるとするならば、この予防対策そのものも現状では決め手がないというふうにまあ医学的には見てよかろうというふうに思っております。
#146
○小平芳平君 厚生大臣、いま医務局長がお答えのような、医学的に決め手がないそういう分野こそ国が取り組むべき分野と思います。よろしゅうございますか。
#147
○政府委員(上村一君) そういうふうな趣旨で心身障害研究費の中でいまたとえば医務局長が申しました心身障害の予防に関する細胞遺伝学的研究と染色体の異常の有病率等々というふうなむずかしい題の研究をお願いしておりますのも国がこういった問題について積極的に取り組まなければならないというふうに考えたからでございます。
#148
○小平芳平君 いや大臣、いままでの御答弁はお聞きのような現状でありますので、研究は第一に必要です。治療法の研究も必要です。予防対策も必要です。現に発生しているこうした、それこそ原因不明、治療法不明の難病、あるいは取り組みようもない、現在の医学では全くわからないというふうに言われるような、こういう点に対して厚生大臣ひとつ熱意を持って取り組んでいただきたいと言っているわけです。
#149
○国務大臣(田中正巳君) お説のとおり非常に問題だと思いますので、どういうやり方か、ただいま的確に申し上げられませんが、これの対策についてはひとつ前進をさせなきゃいかぬというふうに思っております。
#150
○小平芳平君 それでは次にILO百二号条約の批准については先ほどお話が出ましたので、その百二号条約を批准するに当たりまして、水準に達していない給付部門、この水準に達していない部門につきましても、先ほど大臣からもお答えがありましたが、わが国の賃金体系その他の社会的条件にもよるところもあるというふうなことがございました。ことがございましたが、明らかに廃疾給付あるいは遺族給付、こうしたものに対してはやろうと思えばできる部門だと私は感じますが、いかがですか。
#151
○説明員(綱島衞君) 先生が御指摘になりました廃疾給付あるいは遺族給付の問題でございますが、遺族給付につきましてはつとに大臣からも申しておりますが、この次の年金の大きな改正におきまして検討いたしたいという姿勢でございますので、これはこの次には恐らくは言い出すんではないかというふうに私どもも考えております。
 なお、廃疾給付につきましては、これは御承知と思いますが、健康保険におきます傷病手当金と、それから厚生年金保険におきます障害年金と、この間のすき間の問題でございます。廃疾給付自体につきまして、資格期間その他の条件は十分に満たしておるのでございますけれども、ただいまの間隙の問題、すき間の問題が実は問題でございます。これにつきましては、問題になっておりますのは、一体こういう長期の内部的疾患につきまして、短期給付である健康保険のほうで傷病手当金を伸ばして見るべきか、あるいは長期給付になります年金法の体系で見るべきかと、こういう問題がございます。現在治らない内部疾患につきまして、三年目で廃疾認定をして、そこで年金給付に結びつけると、こういうたてまえになっておるんでございますが、一体医学的に見まして、あるいは客観的に見まして、どの時点で廃疾認定というものを行って年金に結びつけるべきであるかという点につきましてなお検討を続けてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#152
○小平芳平君 その遺族給付については金額の問題なんですから、これはまあこの次の年金改正で恐らく達するであろうというように国際課長が述べておられますが、よろしいですか。達するように改正しますという人はいないんですか。
#153
○国務大臣(田中正巳君) どうも百二号条約の整備、未整備の部分についての勉強、私率直に言って足りません。したがいまして暇ができましたらこれもう少し精緻に私勉強してみたいと、かように思っておりますが、いま承っているところによりますると、次の改正でこの部分については要件が充足できるような見込みだということでございますので、さようだと思っておりますが、いずれにいたしましても先生、予算委員会に朝から晩までいるもんですから、もう私はこういうことについて勉強はきらいな方じゃないんですけれども、もうちょっとひとつ待っていただきたい。必ず勉強して先生にお答えできるようにいたしたいと思っております。
#154
○小平芳平君 そうすると、この疾病給付の三年で障害認定というこうした問題は、別の観点から私はずいぶんこの社会労働委員会で問題として取り上げたことがあるんですが、これなども二年間のブランクをあけておくこと自体、何の意味もないと言っちゃなんですが、全く理由のない二年間ブランクがあく、そしてこの疾病、病気にかかられた方がそういう面で不利な立場、不利益をこうむっていらっしゃる、これはILO百二号条約の問題とは別に、まあ、どれも、いずれのケースもそういうことが言えると思うんですが、それとは別に三年ということに対しても、障害年金等との関係で再三問題を申し上げているわけですが、これなども国際課長は何かむずかしいことを説明しておりますが、やればできることだと思うんです。いかがですか。
#155
○説明員(綱島衞君) 先ほど御説明申し上げましたのは、廃疾認定というのを取り上げまして、それの時期の問題であると、こういうふうに申し上げたわけでございますが、三年目に廃疾認定をするといういまの厚生年金の立て方の背後には、余りに早く年金の方に移ると、三年を待たずしてですね、そのためにあるいは将来の廃疾の見込みというものが十分に立てられないうちにやったんでは被保険者の不利になるということも考えたんであろうというふうに考えているわけでございます。したがいまして、これは先ほども申し上げましたわけですが、一番公正妥当なと申しますか、客観的に見て将来の予測がつくという時点についての検討を重ねていけば、先生おっしゃるような改正と申しますか、ギャップを埋めるということも実現可能であろうと、こういうふうに申し上げているわけでございます。
#156
○小平芳平君 じゃ、次に分娩費についてはどうですか、分娩費について。
#157
○説明員(綱島衞君) 分娩費の問題につきましては、第二部の医療の部で、医療の部と、それから出産の部と両方におきまして同じような問題がございます。日本の健康保険におきましては、一つは分娩というものを疾病というふうに扱わずに、正常分娩でございますが、そうして現金給付でいわば補償をしてまいったと、こういう沿革がございます。一昨年の健康保険の大改正におきまして六万円という最低保障ができました。その当時といたしましてはこれでほとんどの場合に賄えるだろうというふうに考えたわけでございますが、その後の状況を見まして、現在では多少六万円では本人の一部負担が残るという可能性はございますが、今回この部の見直しはできなかったと、こういう経緯がございます。そこで将来のことではございますけれども、これはもしも健康保険の現金給付で賄ってまいりますと、これはなかなか追いつくのがむずかしいだろうというふうに考えられます。なお、もしも健康保険の現物給付と点数の方に入れるとなりますと、これはほかの点数の部門とのバランス等々の問題がございまして、なかなかむずかしいと、こういうふうに考えられるわけでございます。そこでそのほかの一般的な出産関係の特別な法律その他という手段がありますれば大丈夫でございますが、ただいまのところ、なかなかその実現はむずかしいんではなかろうかと、こういうふうに考えております。
#158
○小平芳平君 分娩費につきましても、何代か前の厚生大臣がまことにすばらしい発表をしたことを御承知ですか。
#159
○委員長(山崎昇君) だれが答弁しますか。
#160
○説明員(綱島衞君) 私、残念ながら記憶いたしておりません。
#161
○小平芳平君 それではもう少し私はILO百二号条約の水準に達していない給付部門について質問をするからと、きのう言っておいたのですから、ちゃんと調べてきてくれないと困るのですがね。大臣はまあ予算委員会がお忙しいからやむを得ないとしても、大臣ひとつ言っておいていただきたいです。何を聞いてもわからない、国際課長に任せっ放しで、国際課長が年金の計画を立てるのじゃないじゃないですか、あるいは分娩費の保険との関係については国際課長が立案し、やるのじゃないんじゃないですか。ですから、それで大臣、もうこの年金については先ほどおっしゃったのは年金財政の洗い直しですか、それをもとにしてというふうに答弁しておられましたが、厚生省では基礎年金構想というものがあるというふうに新聞に報道されたこともあったのですか、そういう点については具体的な構想がおありですか。
#162
○国務大臣(田中正巳君) いま厚生省では昭和五十一年度において年金の洗い直しをいたしたいと思っていろいろと勉強をいたしております。先生御案内のとおり、これは本来財政再計算時は五十三年でございますが、まあ最近の社会経済情勢にかんがみて、これをひとつ二年間早めてやろう、こういうことでございます。いろいろな構想が出ているわけでございますが、たしかお正月の新聞であったと思いますが、基礎年金構想というものが厚生省からコメントがあったということで記事になっております。私も読みましたが、これは決して厚生省の持っている唯一無二のアイデアではございませんで、いろいろなアイデアの一つであるというふうに私は聞いておるわけでありまして、一つの構想ではございますが、ああしたものにとらわれることなく、幅の広い検討をして合理的な洗い直し、見直しをやりたいというふうに思っているわけであります。
#163
○小平芳平君 厚生大臣、その点につきましていろいろな点で厚生大臣も御承知のように、皆年金制度といって、しかも年金に結びつかない面があるわけですね、障害年金の問題にしましても、あるいは脱退手当を受けた人とかあるいは、まあ局長や政府委員の答弁はいつも保険の原理原則ということで割り切られてしまうのですが、しかしこの皆年金制度のもとで年金に結びつかない人たちが何人か出るということがないように、そういう点を特に考慮して取り組んでいただきたい。
#164
○国務大臣(田中正巳君) いま先生の御指摘の年金に結びつかない人々というのにはいろいろなものが実はあるようでございます。で、できる限り、そういったようなことについてこれを取り込んでいきたいというふうに思っておりますが、まあ制度の仕組みから見てわりになじむもの、遠いもの、いろいろ実はあるようでございますが、とりあえず私どもが速やかにやっていきたいと思っているのは、過去において保険料を納付しなかったためにその部分についての権利が喪失をいたした、これも若い人ならリカバリーがききますけれども、年輩になってしまった方については回復がきかないというような問題もございまして、これは現行法である程度猶予期間を設けて何とか年金権に結びつくようにいたしたいなどということを考えておりますし、それから例の通則法の不備のために障害、母子が、老齢だけが救済されて、障害、母子はだめであるというようなこと等については、これはこの次の制度改正の節に生かしていきたい。まあ、あれやこれや、いまできるものからひとつ取り上げていきたいというふうに思って、目下せっかく検討中でございます。
#165
○委員長(山崎昇君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後五時から再開することとし、休憩いたします。
   午後二時休憩
     ―――――・―――――
   午後六時八分開会
#166
○委員長(山崎昇君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日竹田四郎君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。
#167
○委員長(山崎昇君) 休憩前に引き続き社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#168
○沓脱タケ子君 それでは、限られた時間でございますので、二、三点にわたってお聞きをしておきたいと思います。朝からの質疑でもいろいろ問題になっておりますように、年金制度というのが非常にいま国民の中で関心が高くなっています。これは別の機会にゆっくりお聞きをしなければならないと思うんですけれども、基本的な点についてだけお聞きをしておきたいと思いますのは、特に大臣、本会議等でも福祉年金を五十一年には二万円にすると、きょうもおっしゃっておられましたけれども、その後どういう構想でこれをやっていくのかという問題です。で、特にこの構想を定めていく場合に問題になりますことは、生活を保障する年金制度の実現という点を原則にするべきではないかという点、それから財源についてですね、これは大臣の御答弁でも非常に心配をしておりますので、その点特に財源については、国と資本家負担を増加するという方向で、こういう方向というのは世界の先進諸国の趨勢になっておりますし、これであれば国民的な合意が得られる道だというふうに思うわけでございますが、こういう点について基本的な構想を定めていく方向ですね、それをひとつお聞きをしておきたい。あわせていまの拠出制年金について、これはまあ見てみますと八種類ありますし、これはもう八種類の拠出制年金制度というのは掛金の率もそれぞれ違うし、支給の年齢も違う。厚生年金は六十歳から、国民年金が六十五歳から、国家公務員共済とか地方公務員の共済では五十五歳からというふうな、支給年齢も違う、掛金も違う、支給金額も違うというふうな状況になっておりますし、そういった点を考えまして、来年度五十一年度ですね、五十一年度見直しをするというふうに言明をされておるわけですけれども、これは社会保障のきわめて重要な基本問題の柱だというふうに思いますので、そういった点について基本的な点に関してのみお伺いをしておきたい。
#169
○国務大臣(田中正巳君) まず福祉年金の性格論議でございますが、これについては過日本会議においても議論が出ておったようでございます。現在の拠出制年金、これが生活を完全に賄うというふうには厚生省ではいままで答弁をいたしておらないわけでございますし、また現実にそういうおこがましいことを皆さんにお答えするほどの金額に現在拠出制としてもなっておらないわけでありまして、これについてはほぼ生活を支えるに足る年金というふうに歴代大臣が説明しておったようであります。今後できるだけ生活を支えるに足る年金というか、生活ができる年金というふうに向上していかなければならないと思いますが、現在では拠出制年金はほぼ生活を支えるに足る年金というふうに考えなければならぬと思います。
 そこで、福祉年金でございますが、これは例の経過的、補完的年金と称しまして、言うならば敬老的な意味合いを持って昭和三十六年に千円から始まったわけでございますが、当時の福祉年金の性格と今日の性格は私は違ってきていると思うのであります。事実また国民の受けとめ方も、当時千円のときはあれなりに歓迎をしておった向きもございましたが、しかし今日ではやはりこのような福祉年金で食べていけるとかいけないとかいう議論もあるわけでございますので、したがって、急速にこの給付額を上げなければならないということで目下努力中でございますが、今日率直に申して、今日の福祉年金は従来の敬老的なものからいわゆる生活を支えるに足る年金との中間地帯にあるというふうに考えることが私は正直な概念規定だろうというふうに思うわけであります。
 それから福祉年金の今後のあり方でございますが、これはやはり、さっき私が答弁をいたしましたように、従来のように一般会計にだけ依存をしておったんでは絶対に上がらぬというわけではありませんけれども、大したことが期待できない。私は、この福祉年金といえどもできるだけ給付額を向上させたいと思っておりまするものですから、したがって、年金財政の見直し、財源をいろいろなところに求めて、一般会計だけによらず、この給付額を向上をさせたいというのが私の考え方でございます。いまいかなるお金をもっていかなるところにこの財源を求めるかということについては、今日まだ確定した考え方はまとまっておりませんが、いずれにいたしましても、一般会計以外の財源を求めなければならないというふうに思っているのが現状でございます。
 第三の、拠出制年金について各種公的年金が非常にばらばらであるということは御指摘のとおりであります。まあ率直に言うと、腹立たしいほど私はばらばらだというふうに言わざるを得ないと本当に思っておるわけでありますが、これはやはりいままでの沿革というものがそれぞれあるようであります。たとえば国家公務員共済のごときは、共済年金という性格をとっておりますが、いまだに恩給的な物の考え方がかなり濃厚にまじっているということも事実のようでございます。しかし、国民の老後を保障するという公的年金制度が、現在のように、かくもいろいろと保険料も支給年齢も支給金額も変わっていいものとは私は思っておらないわけであります。したがいまして、できる限りこれを条件を統一するようにしなければならないと思っておりますが、これを完全に一本化した年金にするということは、私は言うべくしてなかなか実際はできないと思いますし、また実際にこの保険料を、あるいは支給年齢、支給金額等を、これを全く同一にすることについては、理想としては好ましいわけでございますが、各省庁にわたっている問題でございますから、したがって、一遍にこれができるかということになりますと、正直な答弁として私はそう簡単にできないと思いますが、しかし、逐次これらについてはひとつ同じ線に並ぶように努力をしていかなければならないと、このためには、各省庁に対し、相当に強い線で交渉もしなきゃならぬ。公的年金の連絡調整会議という機関もございますが、こうした場面を通じまして、できるだけ国民の老後は、いかなる立場、いかなる職域にあっても同じようなメリットを受けるというような姿に持っていかなければならないと思っておりますが、しかし、これはそう簡単なものではないということだろうと思います。
#170
○沓脱タケ子君 これは基本的な点ということで私申し上げましたので、財源の、特に福祉年金については財源の見直しをしなければならないけれども、いま固まっていないというふうにおっしゃっておられたので特に私申し上げたのは、これは本会議でも三木総理、高福祉高負担だというお言葉がそのまま出ているわけですけれども、そのままそっくりやられるということになると大変なんで、やはり国と資本家負担を増加するという、欧米先進諸国ですでに趨勢として実施されている立場というものが見直しの際には踏まえられるようにということを含めまして実は申し上げたわけでございますが、これは時間に限りがありますから、これはまた別の機会にひとつゆっくりやらしていただくということにいたしまして、厚生大臣の所信表明というのは各般にわたっておられまして、実は短時間で全部基本方針についてただすというようなことはなかなか困難なわけでございますので、きょうは私、昨年の十月に本委員会が委員会派遣として沖繩の医療事情を視察をして参っておりますし、そういう中で私も派遣団の一員として現地へも参っておりますので、その点についてひとつしぼってお伺いをしておきたいというふうに考えております。
 で、先般私も沖繩へ調査団に参加をいたしましてまず痛感をいたしましたのは、戦後二十七年の長きにわたって米軍の直接軍事占領下に置かれた沖繩県というのは、全く政治的にも経済的にも社会的にも文化的にもあらゆる面で本土との格差というのは非常に大きいということを痛感いたしました。さらに復帰後はドルショック、これはもうもちろんのことですが、いち早く大資本の経済支配の強化の中で、異常な物価高、あるいは開発による環境破壊、深刻な不況と失業、たとえば倒産だというふうなことも含めまして、県民にとっては全く耐えがたい苦しみになっておるということは現地でつぶさに拝見をいたしました。さらに加えて最も重要な問題というのは、巨大な米軍基地ですね、この米軍基地の存続がいまなお県民本位の経済復興と県民の暮らしを守る諸施設を推進していく上で非常に大きな隘路になり、障害になっているということもまた事実だということを拝見いたしました。今日、沖繩県民の苦しみの根源というのは、まさに二十七年にわたるアメリカのこの軍事占領を許してきた政府の対米従属政策と大資本本位の政策に全責任があるということは、これは労働情勢の問題のときにも私申し上げたとおりでございますが、全く明白だと思うんです。したがって、私は、大前提といたしまして、沖繩県民の要求の実現のためには、政府が全責任を負って早期に解決をはかるというのが、そういった歴史的経過からいたしまして当然の責務であるというふうに考えるわけです。今回、沖繩県当局やあるいは県民の要求である深刻な医療事情、医療問題あるいは社会福祉施設の対策というのは、少なくもそういった過去の歴史的経過から見まして、政府の責任で即刻解決をされるべきものではないかというふうに考えている次第です。
 で、そういう中で実はことしになりまして植木総務長官が沖繩へ行かれて、一月の十八日に沖繩の各界の代表と懇談をされて、いろいろ問題をお述べになっておるんですけれども、事医療に限りますが、県内の医療は本土に比して格段の差があることをはだで感じた、格差是正に急速に取り組むつもりだというふうに述べられておる。昨年の一月には前総務長官の小坂長官がやはり沖繩へ行かれて、医療事情を見てショックを受けたと、早急に解決をしなければならないということをお述べになっておるわけです。まあ毎年どうかしりませんが、二年続きで総務長官そう言っておられるわけでございますが、五十年度ですね、そういった立場で五十年度沖繩に対する医療の対策としてはどういうふうにお取り組みになるつもりなのか、その概要ですね、時間の都合がありますから余り細かいんじゃなく概要についてお伺いをしたい。
#171
○政府委員(滝沢正君) 先生おっしゃるように、沖繩の病院の病床数は本土の二分の一、医師数については三分の一という非常に低い状態でございます。五十年度におきまして従来の施策にさらに推進を図るわけでございますが、具体的な問題といたしましては、県立の精神療養所と結核療養所がございましたが、精神を現地に残しまして結核の県立だったものを復帰のときに国立に直したわけでございますが、このうちの国立の結核療養所を宜野湾に移しまして、これに一般病床を加えて国立の医療機関としてただいま工事を進めております。それから、らい療養所につきましても不自由者棟の整備、重症病棟の整備等を図ります。県立病院についても名護それから宮古、八重山等の整備の促進等、日赤の施設、医療機械等の高率の補助、これは四分の三という定めになっておりますので本土よりは高率でございます。それから医師の派遣につきましては、従来どおりいたします。海洋博についての医師の派遣を特別に予算を設定してございます。それから新たに県内の医師及び従事者のための研修センターとしての医療福祉センターというものを那覇市に設置いたします。そのほか僻地医療に関しても高率の補助をもって本土の僻地対策と同様にさらに充実を図ってまいりたいというのが概要でございます。
#172
○沓脱タケ子君 いろいろな問題がたくさんありますので、一挙には解決できないであろうということはわかるわけですけれども、限られた時間ですので、なかなか全般についてお尋ねもできないわけですけれども、いまの御報告の中にありました国立結核療養所ですね、これを宜野湾に移して、そうして現在改築中だと、それに一般診療も含めて総合的な医療機関にするということのお話でございますが、これは五十年度も六億余りか何かの予算が出てますね、六億余りですか。五十一年度には開所できるんですか。その点はどうです。
#173
○政府委員(滝沢正君) 四十九年度からの予算で五十年度も入っておりまして、五十一年度で一応仕上げたいということでございますが、一般病床の二百五十床を三百五十の結核に足すための整備はそれよりも若干それに加えることになろうと思っております。これは三百五十移す分だけはほぼ五十一年度でけりをつけたい。それから海洋博の関係でとりあえず外来等の診療が開始できるように建物の整備の計画を、そこを優先しております。ベッドの収容は若干おくれますけれども、海洋博期間中に外来診療はやりたいということで進めておりますので、おっしゃるとおりほぼ五十一年というものをめどに三百五十床の整備をする、それ以後さらに二百五十床を加えたい、こういう計画でございます。
#174
○沓脱タケ子君 そうしますと、三百五十床の開所は五十一年、そうして外来は一般臨床もやると、そうすると、一般病床の二百五十はそれから以後に建てるということで、全部完成をされるのはいつですか。
#175
○政府委員(滝沢正君) まだ確定をいたしておりませんけれども、恐らく二年は二百五十床の整備にかかるものと思いますし、さらに看護婦養成所を設置いたしたいと計画いたしておりますので、全体の体制が整うには若干の時間を要するものと思っております。
#176
○沓脱タケ子君 五十一年度からは、そうすると、結核療養所は改組されて、外来部門は一般診療がやれるということですね。で、一般診療というのはどういう科目を設置される御予定ですか。
#177
○政府委員(滝沢正君) 一般診療はかなり結核療養所が主体でございますけれども、外来棟につきましてはできるだけ循環器、呼吸器、小児科等も加えたい、歯科なども加えたいというような計画でおりますけれども、医師の確保につきましては、国立の機関でございますし、現地の結核療養所にいる医師のほかに本土からも派遣すると、いわゆる向こうにしばらくおる意味で派遣する、臨時の派遣でなしに。それからまた不足の分については、若干臨時の派遣も考えなければならないというふうに思っております。
#178
○沓脱タケ子君 それで、まあ改築をされている病院のことを言い出しましたのは、これは局長もおっしゃったように、医療施設が約五〇%弱、それから医師の数では約三分の一、本土と比べてですね、そういう状況の中で、これはまあ私ども現地へ行きまして、せめてあの沖繩県へ行った先生が十分能力を発揮できるような状況のある近代的な公立病院というのを、これは急速に整備する必要があるということを見てきたわけですけれども、そういう点で、まあ一つできるということは非常に大事なことです。
 そこで、これはお伺いをしておきたいと思いますのは、一つずつ聞くことができませんので、ほぼ内地の、本土の類似県と比べて同水準に持っていくためには一定の年次計画などを持たなければ、あっちこっちちょっちょと突っついているだけでは片がつかぬのではないかというふうに思うのですけれども、そういう点についての御計画はお持ちですか。
#179
○政府委員(滝沢正君) ただいま主として国立直轄の問題をお話ししたんですが、ただいま沖繩県においては、沖繩県としての医療計画の整備、これについて助言、援助を求めてきております。これはまだここで御説明するほどの具体的なものはでき上がっておりませんけれども、一つ聞いておりますのは、那覇の市が市民病院の建設問題を計画として考えておることだけは聞いております。そのほか、具体的な問題は今後に待ちますが、医療従事者の確保の基本は、やはり沖繩県に医科大学を設置する問題がやはり基本になろうと思うのでございまして、この辺に持ってきますと時間のかなり先の話になりますけれども、やはり沖繩の医療事情の基本的な解決は、医科大学の設置ということがかなり重要な要素になろう。その間は、本土から積極的な医師の派遣による協力ということで、沖繩県としては新設計画よりもむしろ既存のものの当面充実ということで援助を求めてきておりますので、予算の補助その他についてもそれを中心に当面は考えております。那覇の市民病院については、日赤の充実等の問題もございますけれども、市民病院についてはまだ具体的なものが出てまいりませんけれども、あれだけの大きな市でございますので、私は市民病院の建設というものはきわめて適切な問題ではなかろうかと、具体的になりましたら積極的に援助いたしたいと考えております。
#180
○沓脱タケ子君 それはぜひやらなければならぬと思うんですよ。那覇市というのは三十万都市で、あの地域を那覇市を中心にしての診療圏四十万余りの人口の中で、公立病院が一つもないのです。琉大のいわゆる保健学科の附属病院ですか、附属病院があるきりで、あとは日赤病院だけですね。あそこで県立病院も市立病院もないという状況は非常に救急患者、急病患者等の二次引き受け、三次引き受けの病院がなくて大変な状況になっているということですよね。これは沖繩県が、あるいは那覇市がそういうふうな御要望があるとすれば積極的に政府としては援助をして、一日も早く実現をする必要があろうと思うのです。
 私現地で伺いましたのでこういう実例を言っているのです。たとえば現地の開業医の先生が胃潰瘍のせん孔患者を発見した。ところが、すぐ手術をしなければならないから二次引き受け、手術のできる病院に三十五カ所電話をかけた。ところが、どこも引き受けてもらえなくて、やむなく那覇の救急センターへ、あれは夜六時か七時ごろからやるのでそれまで待ってやっと連れていった。そこからやっと県立中部病院ですね、五十キロも離れた、あそこへ連絡をしてもらってやっとその患者さんを、最初に診たという関係もあってその開業医の関係者が付き添って県立中部病院まで行った。八時に着いて何と手術にかかったのが朝の八時だと。夕方の八時に行って朝の八時になってやっと手術場へ入ることができた。で、その患者さんは助かりましたかと私いきなり聞いたのですけれども、幸いに助かったというんですよ。だけれども、不満の持っていきようがないというのです。なぜかというと、その県立中部病院では夕方の八時に行ったときから朝の八時まで、ひっきりなしに間断なしに手術が続いていて、順番を待って朝の八時までかかっている。こういうことは本土では考えられないです。こういうふうな状況になっておるという点から考えまして、どうしてもやはり公立病院として安心して県民が医療の受けられる施設の急速な整備、これがもういかに大事かということを私ども身をもって聞かされ、見てまいったわけでございます。そういう点をやはり政府が責任を持って整備を促進しませんと、せっかく皆保険になりましても保険あって医療なしだというふうに言われておるというふうな実情ですね。これは御承知のように、国民健康保険が黒字だ、黒字財政だというのは沖繩の市町村では端的にそのことを物語っていると思いますけれども、そういう状況になっておるわけですから、これをどうしても早期に解決をしなければならないというふうに思うんです。
 で、少なくとも、これは大臣にお考えいただきたいのは、琉大の医学部設置の問題というのは四十九年度も五十年度も調査費がついているのでできるんだろうと思いますが、きょうはもう時間がなかったので文部省にはお願いをしなかったんですけれども、順調にいったとしても四、五年先しかできないというふうに思うんですが、それまでの間の年次計画でも立てて、これは医療供給体制の整備に力を尽くすというふうなことの計画をお持ちになるということが大事ではないかというふうに思いますが、その点についてはどうでしょう。
#181
○政府委員(滝沢正君) 先ほども御説明いたしましたように、県の医療行政がやはり主体でございますので、われわれとしては、県がただいま医療計画を立てたいから指導、助言をしてくれ、場合によっては厚生省の職員の一部を――一部というか、技官を沖繩に派遣してくれないかという御要望もございましたりして、具体的な検討材料は県がお示しいただけるものと思っておりますので、これを受けまして積極的な御援助をいたしたいというふうに思っております。
#182
○沓脱タケ子君 そうすると、県が具体的な計画を示してくれば、それに基づいて援助をするということですな。
 で、時間の都合があるので具体的な問題でひとつ態度を明らかにしてもらいたいと思うんですが、これは私ども幸いにして沖繩本島から三百キロも離れた宮古島というところへ行ったわけです。そのときに、宮古島を中心にする市町村長さんたちが何を一番強く要求をされたかと言いますと、こういうことなんですよ、救急診療所ですね、夜間診療所を、宮古群島を中心にしての市町村が寄り合って、昨年の四月から開設をしたと、で、大変島民が不安から免れておるわけだけれども、六カ月で千二百四十万円の赤字が出たと、出ておるんです。これは先生を確保するのに大変苦労してやっと確保したと。いよいよ始まったところが、私とも参りましたときに――六カ月間でというのは、ちょうど参りましたときまでの話でございますが、六カ月で千二百四十万円の赤字なんだと、ところが厚生省の方針では、人口十万以上でないと補助金を出すという対象になっておらないので、わずかな補助金もいただけないんだと。で、宮古群島における市町村の財政状態はどうかと言うと、税収というのは大体一五%で、八〇%以上は依存財源だというふうな大変な状況の中で、この赤字というのは、もうどうにも処置のしようがないんだと、何とかして、人口十万というのはかせでね、その補助金の枠を補助金の対象からはずされるということのないようにしてもらいたいというのが最大の要求だと、それは無理もないですね、宮古群島全部、離島を含めても人口六万なんですよね、これは本土でまとめて人口十万ということで診療圏を、絵をかくということは簡単かもわかりません。しかし、宮古群島へ行って人口十万というやつを、これ押しつけられたら、何しろ沖繩本島だけでも三百キロは離れていますよ、それはどうにもならぬです。こういう問題というのは、もう実情を見て、当然厚生省は明確に対処するべきだというふうに思いましたけれども、これはどうですか、やっぱり十万で縛るんですか。
#183
○政府委員(滝沢正君) この問題は、私も沖繩の事情はかなりよく承知いたしておりまして、確かに先生おっしゃるように、今回の休日夜間診療所は、予算の性格としては都市型のものとして設定いたしまして、人口十万以上一カ所ということで設定いたしたわけでございますが、このような沖繩の宮古の、しかも市町村か協力して――先生おっしゃるように赤字がちょうど半年で千二百万、私のメモでは年間、四十九年一年間で二千四百万となっておりますから、ちょうど先生の数字と合うわけでございまして、このような赤字経営の実態に対しては、十万にこだわらずに私は補助金を出したいというふうに思っております。
#184
○沓脱タケ子君 それは出してあげてください、大変喜ばれるでしょう。
 そのときの市町村長の御要望というのは、まず第一には、それを十万にこだわらずにひとつ補助金をいただきたい。それから僻地に医師が派遣できるようにひとつ要望したいと、これは要望書ありますかね――救急医療事業の補助金交付については、十万にこだわらないようにしてほしいと、それから二番目は血液銀行の分室を何とかして設置してもらいたいと、特に那覇に分室があればどれだけ助かるかわからない、というのは、島民の中では宮古群島を中心にして、若い人たちがどんどん島外へ出て行っているわけですよ。お年寄りや子供さんたちしかいないというふうな状況の中で、輸血が必要になるという場合には、本当に血液を供給してもらう方を探すのだって大変なんだと、こういう状況の実情というものを知っていただいて、せめてその分室を置いてほしいと、血液銀行ですね。それからもう一つは、厚生省からの派遣医師について、こういった離島については十分な配慮をして欲しいというのが本当に切なる願いであったんです。この辺のところは、これは本土におるとちょっと想像もつかない問題だと思うんですけれども、こういったすぐに手の打てる問題ですね。こういうものは放置せずに、もう状況がわかれば直ちに手を打っていくというふうな解決というのは大事じゃないかと思うんですが、その点についてお伺いをしておきたい。
#185
○政府委員(滝沢正君) 血液銀行の分室の問題、非常にきめの細かい御質問でございますが、これは恐らく沖繩といえども、沖繩日赤が中心で血液問題をやっておりますので、これは至急県と連絡いたしまして、分室が具体的にどのようにすれば設けられるのか、これらの内容を検討した上、薬務局のこの担当の方とも連絡しながら実現を図りたいというふうに思います。
 それから派遣医師の問題につきましては、実は約八千万の予算をもって年間数十人の医師を派遣しているんですけれども、これはあくまで沖繩の県の計画の御意見を聞きながら、派遣の診療科の先生の選定、人数、場所等を決めております。で、宮古、八重山はかなり前よりも改善された点は先ほどお話に出ました中部病院に若い研修医学生がおりまして、この方々がレジデントになりますというと、一定期間沖繩県がかなりの給与を出しております。お話し合いの上、その若い先生方が宮古、八重山に交代に行っていただくという点は、私の承知している前の沖繩よりはずっと改善されておりますが、本土からの医師派遣についても沖繩県の計画を十分聞きながら、具体的に診療科その他を決めて強力にやっていきたいと、こういうふうに思っております。
#186
○沓脱タケ子君 いまお答えの部分についても問題はあるんですが、もう一つ具体的な問題を明らかにしておきたいと思うんですが、それは沖繩における心臓病の子供たちの問題ですね。これは御承知のように、昨年の十月に厚生大臣に陳情書も出ていると思います。現状はどうかと言いますと、五十年度中に約百五十人程度の子供たちが本土で手術を受けなきゃならぬという状況になっておるわけです。これは琉球新聞に報道されているんですが、先天性の重症の心臓病疾患の子供が非常に多いのと、それから本土であれば当然抗性物質等を使って弁膜症などを起こさずに済んだような子供、そういう子供たちの心臓病疾患が非常に多いと、で特に、これは神戸大学の麻田教授が現地でいろいろ検診をされた結果のお話でございますけれども、大体本土と比べて十年ぐらいおくれるということを率直に述べておられます。私も新聞の記事を拝見したので、麻田教授に直接お伺いをいたしましたけれども、これはほうっておけないということを率直に言っておられるわけです。しかも沖繩本島で手術をするということができないという状況ですね。いま実情を聞きますと、県立中部病院で一年に二十人程度は何とか手術をしておる。ところが五百人ほど手術対象者があるんですね。五百人とも六百人とも言われているんですけれども、約五百人の手術を要する対象の患者さんがおる、子供さんがおる。ところが沖繩本島では中部病院で一年に二十人程度だということになりますと、これはどうしても本土へ来て手術をしなきゃならないということになるわけです。そして昨年来非常に熱心な先生が本土まで出かけて手術の受け入れ病院をいろいろ手配をするというふうな御努力までなさっておられるというふうなことなんですけれども、これも詳しくお聞きをしている余裕もないので、患者さんたちの陳情書ですね、厚生大臣に対する陳情書で特にお聞きをしておきたいと思いますのは、沖繩で心臓病の治療や手術が十分受けられるような医療体制、これは何としても確立せにゃならぬですね。ところがこれ、すぐにならぬでしょうから――すぐにできないでしょうから、いま待機しておる患者さんたちがどうしても本土で手術をさせなければならない、その場合に、行政上受け入れてもらえやすいようにひとつ援助するべきではないかというふうに思うんです。
 それからもう一つは、これは陸続きの府県から移動していくというものではありませんので、非常に交通費等がかかります。それで、その点についてはこれは患者さんと、それから当然子供さんですから付き添いが必要だと思いますが、医師が必要と認める家族、その人たちの飛行機代ですね、そういうふうなものを必ず出すようにしてやるべきだというふうに思いますが、その三点についてどういうふうなお考えで対処しておられるのか。これはもう差し迫った問題なので、ぜひ具体的にお伺いをしたい。
#187
○政府委員(滝沢正君) 費用の問題は児童家庭局長からお答えがあると思いますが、沖繩でこの心臓病の手術、これは二十名というのは、私の聞いているのは中部病院の設備と機能では軽い心臓病しかできないという意味で、少ない。むずかしい病気はどうしても現在は本土へ送らなきゃならぬ。先ほどお話しした宜野湾で循環器をやりますが、心臓病の手術がやれるまでに成長するにはどうしても時間がかかると思いますし、これは将来の問題でお約束が非常にむずかしい問題でございます。いずれにいたしましても、沖繩県の心臓病については、先天、後天を問わず、やっぱり本土が積極的に協力しなければならない具体的な事例であろうと思っております。
#188
○政府委員(上村一君) 育成医療の給付で心臓の手術をするわけでございますが、沖繩の場合、四十九年度八十二件申請がございまして七十八件給付をしておる。先ほど来お話ございましたように、沖繩県の中ではそういった重い心臓病の手術をする医療機関がないわけでございますから、当然九州なりその他の医療機関に頼まなくてはならない。その場合に費用をどうするかということでございますが、私ともの扱いとしては患者――まあ子供でございます、子供につきましても、場合によれば付き添いにつきましても、育成医療の中の移送費の給付として処理するつもりでございます。
#189
○沓脱タケ子君 これは昭和四十九年の十月に前齋藤厚生大臣が現地で記者会見をされて、支給するって約束しておられるのですね。そういう関係もありますから、五十年度は大体百五十人の患者さんの手術の予約がほぼできているようです。百三十人ないし百五十人ですね。これはもう時間がかかりますから病院名言いませんが、幾つかの病院で予約がなされているようです。これは全部当然そんなもの船に乗ってえっちらおっちら来れるような状況で必ずしもないですから、当然この患児とその保護者ですね、付き添いの交通費は、これは育成医療の中で出すのですか。必ず保障しますか。
#190
○政府委員(上村一君) 育成医療の中で出すわけでございます。育成医療の給付をいたしますのは沖繩県知事でございまして、それに対しまして国がその八割を負担するという形をとるわけでございます。
#191
○沓脱タケ子君 そうすると、沖繩県が申請をすれば、その八割は全額保障するんですね。これは、何でこんなことを、わかり切ったことを言うているかというと、なかなか数がふえてきて、大分交通費については渋り出されてきているということで、現地の患者さんたち、親御さんたち心配しているのです。大臣ね、これはもう何百億かかるようなことじゃないんですね。現に、手術を早くしなければということで、子供たちがもうくちびるを紫にして大変な状況で、荒い呼吸をして手術を待っているというふうな状況なんですからね。これは育成医療の中から出す言うたらまた所得がどうのこうのというようなことがまたついてまとうわけでしょうけれども、少なくとも県内で処理できないのか。これは医療の水準がそこまでいっていないという状況に追いやられているわけですから、これは少なくとも厚生省が責任を持って対処してあげるべきだと思うんですがね。大臣どうですか、これ。
#192
○政府委員(上村一君) 厚生省が責任を持って対処しろというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、県がそういった給付をした場合に必ず私どもの方で八割負担をするということでございます。ただ、私も耳にはさみますのに、手続的にいろいろがたがたあったというふうなこともあるようでございますが、県が踏み切ってもらえば私どもの方ではいつでもつき合う用意があるということでございます。
#193
○沓脱タケ子君 それじゃ、県がその点について保障するという立場をおとりになるなら、厚生省の方は八割は文句をつけずにかっちり出すということでございますね。
#194
○政府委員(上村一君) そのとおりでございます。
#195
○沓脱タケ子君 これは患者さんにとっては大問題なんですね。交通費と、結局滞在したりなんかすると四、五十万かかるんですよ、実際は。大変な問題だから、小さい問題のようですけれども、これは差し迫った問題なので詰めてお伺いをしたわけです。
 引き続いて、関連をしまして同じような問題なんですけれども、身体障害者、心身障害者・児の施設なんですね。これも拝見をいたしましたが、そのベッド数というのは八十ベッドで、私ども参りましたときには収容者が四十五名、県内には百九十九人、約二百人のそういう該当者がおるんだと、ところが病床数が、ベッド数が足りないので、県外に委託をしているんですね、十三人。ところが、その場合に県外で委託をお願いできるのは基準がちゃんと設けられている、体重が二十キロ未満の子供、月一回は親の面会の可能な者、それから三が医学的効果のある症状と、こういうふうに言われているんですね。そうすると、月一回鹿児島だとか南福岡、南九州病院というようなところへ現在県外委託をされているようですけれども、その条件を満たす子供でなかったら受け取ってもらえない、これは大変なことですよ。せめていま明らかにされている二百人分のベッドを少なくとも早く増設をするべきだというふうに思いますが、どうでしょう。
#196
○政府委員(上村一君) 私どもで調べました限りでは、沖繩で重症心身障害――ダブルハンディキャップのある子供、施設に入れる必要のあるのが百九十二名ばかりおりまして、そのうちに県外の施設も含めまして八十二名入っていると、残り百十名ほどが待機ということになるわけでございます。そこで、私ども、国全体の対策としては、五十年度を目途に一応施設に入れる必要のある重症心身障害児は入れるだけのベッドは確保したいということで計画を着々進めておるわけでございますが、そこまで整備されますと、なるべくその家族の近くの施設に子供が入れるようにしていくのが子供にとっても家族にとっても一番いいんじゃないか。そこで沖繩の場合でございますが、現在県立の沖繩療育園で八十床あるわけでございますが、さらに国立療養所の琉球精神病院というのがあるわけでございますが、そこに八十床つくるべく準備中でございます。そうしますと、大体――まだ少し残ることになるわけでございますけれども、県立のものと合わせますと百六十床整備されるということになるわけでございます。
#197
○沓脱タケ子君 そうすると、これは百六十床とにかく五十年度にはできるということですね。
 で、同じような問題で、進行性筋萎縮症の患者さんも七十二名発見されておる。三十二名県外委託をしておるんだということなんですがね。県外委託というのはこれはもう同じことなんです、保護者の負担――精神的、経済的負担、これはどういうふうに解決しますか。
#198
○政府委員(上村一君) 進行性筋萎縮症児については、肢体不自由児対策としてやっておるわけでございますが、子供のめんどうを見る施設はすべて国立療養所ということで、現在国内で二十三カ所整備してまいっております。
 で、沖繩県下にはそういった病床は整備されておらぬわけでございますが、先ほど医務局長お話をされました国立療養所の整備をする中で一応検討してまいりたい。まだ最終的な結論を得たわけじゃございませんけれども――それでよろしうございますか。
#199
○沓脱タケ子君 そうすると、療養所の改築が完成をすると解決のすぐめどが立つという程度ですね。わからぬ、どっちですか。
#200
○政府委員(上村一君) それまではやはりその入院を必要とする患者については九州管内の国立療養所の中で筋ジストロフィーの病棟に入院できるように措置していかざるを得ないと思います。
#201
○沓脱タケ子君 できるだけ早く解決をしてあげるべきだと思うんです。
 もう時間がありませんので、ちょっと私、最後にこれは尋ねておきたいと思いますのは、看護婦対策ですね。看護婦の確保対策についてお伺いをしておきたいと思うんですけれども、これはまあ各般にわたって問題があるんですが、現在医療従業員、特にこの看護婦確保対策というのは重要になってきているのは、もう論をまちません。けさからも、石本先生からも御意見が出ておりましたが。いま国立関係の病院・療養所でも二・八制が実施されているという状況、けさも報告がありましたけれども、病院で私ども調査では五三%、療養所で三五%だというふうな中で、厚生省としてはナースバンクの制度化なども進めておられますし、それから厚生省の諸施策は進められております。一方患者の側から言いますと、医療機関に安心して入院加療ができないというふうな状況というのは実は起こってきております、時間がありませんから私は細かいことは触れませんけれども。
 で、端的に言いますならば、日本の代表的な病院である国立医療センターは千二床ですね。その中で五百九十床しか稼動してない。それから東大の附属病院が千三十六床のうち四百床が空室、あいている。閉鎖ですね。それから日本医科大学病院が千床中五百五十床があいているというふうな状況になっています。りっぱな建物や設備が幾らあっても国民が利用できなくては何も意味がないわけです。そこで看護婦確保対策というのはきわめて大事だというふうに思うわけです。
 で、国立医療機関では総定員法の枠だとか、いろんな問題がありまして、問題は別の問題があるんですげれども、私はきょう角度を変えまして、潜在看護婦の問題というのが非常にやかましく言われ、ナースバンク制度等も各県に広げられていっておりますが、そこで私どもの調査、各県の調査の一、二を拝見いたしますと、これはまあ皆さんの方でも調査の結果を収録しておられると思いますが、ナースバンクの実施をしておる府県で潜在看護婦の就労希望者を調査をしておられるんですね、アンケートで。そうしますと、こういう数字が出てくる。愛知県の調査によりますと、就業希望者が七五・一%です。で、ある府県ではこれはまあ九〇%を超してます、就業希望者がですよ。で、就業のための条件の一番大きいものは何かと言いますと、保育の心配がなければ就業したいというのが愛知県では五三%です。その他の府県の調査を見ましても四六ないし四七%、もう一つその次に次いで多いのは、家の近くに職場かあれは――結局住居の問題なんですね。そういう状況になっておることを、まあ、これはほんの二、三の府県の調査を見ただけでもそういうことが出ているわけです。したがって、潜在看護婦の皆さん方に就業を、再就職をやってもらおうということになれば、保育の条件を整えるということが、全く不可欠な条件になっているというのが調査の結果明らかになっているわけです。そこで、これはお伺いをしたいんですげれども、今年度も若干予算がふえておるようですが、五十年度も。若干予算がふえているようですけれども、いま時間の都合がありますから、具体的な実例を言いますと、たとえば大阪の日赤の場合ですと、院内保育所を見ると、大体その保育児から受け取る収入というのは年間百二十万円、支出は幾らかというと千三百万円、一けた違うのです。そこでどういうふうに穴埋めをしておるかと言いますと、これは日赤の場合には病院の補助金の百八十万円、貸付金を二百七十万円、あるいは財団法人相互会という職員の福利厚生会ですね。そこからの貸付金が二百九十万円ですか。そういうふうなことと合わせて何とか運営をしておるけれども、それにしてもお金が足りないので、子供を預けている父母たちが休みの日や、あるいは仕事のない時間を見計らって廃品回集をしたり、物品販売をしたりしてお金を生み出して、何とか運営をしておるというのが実情でございます。これは私も具体的に調べましたが、国立大阪病院の院内保育所を見ますと、これも大変な状況で、やっぱりたくさんの赤字が出ております。それは病院が建物あるいは光熱水費を補てんをし、そして一部補助金も出しておるわけですが、なかなかやっていけないという状況なんです。しかも、看護婦さんがどういう状況かといいますと、深夜勤務をしている場合に、深夜の保育所がないんですね。全部みんな帰ってしまった後、自分の子供一人保育所の部屋へ置いてある、寝さしているわけですね。三階、四階、五階というようなところで夜勤をしておって、まあ子供が泣いているんと違うか、安心して眠っているんだろうかというようなことが気になったら仕事にならぬと。窓から子供のおる保育所ばっかり気になってしようがないというふうな状況だというふうに言っているわけですよ。やっぱりナースバンクの調査でも明らかなように、子供の保育に心配がなければ再就職をという希望が非常に高いというのは、その辺に非常に大きな原因があろうと思うのですが、五十年度の予算では、院内保育所運営費というのは四億三千万円の予算案が計上されておりますが、これはちょっと足らぬのではないかというふうに思うんですがね。せめて夜昼、少なくとも看護婦さん夜昼、病棟勤務の場合には夜間も含めて勤務をするわけですから、これは補助金もあるいは運営費についても、設置費についても、運営費だけですね、いま。これは大幅に引き上げて、看護婦さんたちが安心して勤務のできるという体制をつくる必要はもう不可欠だと思うんですが、これについての御見解を伺いたい。
#202
○政府委員(滝沢正君) 細かい具体的な施設の実態でございますので、恐らく先生のおっしゃるとおりだろうと思うようなわけでございますが、われわれといたしましても夜間型、B型についてはA型の場合よりも保母の、積算上保母の人件費等も、Aは二人分を四人分とするというようなことを補助金の積算の根拠にいたしておりますので、夜間保育をできるだけ実施していただくことを念頭に置いて、予算の上では考えておるわけでございます。ところが実態はなかなか夜間まで保育している姿は少ないわけでございますけれども、施設数にしても約三百六十四カ所でございますから、二百七十九カ所の本年度予算よりも来年度は、これは実態調査をしまして希望の向きを調べて、条件に合致するものを拾いまして、三百六十四を要求して三百六十四カ所入ってまいりました。したがって、個所数は、またその後できているもの、あるいはさらに新しくできるもの等これに追いつかない面もございまして、五十一年に待たざるを得ませんけれども、いずれにしても、先生おっしゃるように看護婦再就職のかなりのこれはポイントになるということで、われわれも予算の上では今後も非常に重視していきたいと思っておりますし、内容の改善につきましても、いずれにしても始めたばかりでございますので、この実態がもう少し、たとえば収入、施設のそれぞれの看護婦さんの母親の負担がどの程度のぱらつきがあるのか、そういうような実態調査的なものを把握した上で対応していきたい。いずれにしてもスタートしたばかりで、対策は不十分と言われれば不十分でございますけれども、われわれとしては看護婦確保の重要な施策でございますから考えてまいりたいと思っております。
 それから、運営費のみならず、共同保育所を設置する場合、わずかでございますけれども、設備整備の関係も補助金は生まれておりますけれども、これはわりあい御希望が少ないんですけれども、運営費の方は希望者が、おっしゃるとおり非常に需要が高いということを認識いたしております。
#203
○沓脱タケ子君 まあ、認識をしてもらっているんであれば、これは夜間といっても三百六十五日やらなくていいんですよね。子供さんを持っている看護婦さんたちの夜間勤務の時間をあるところへ圧縮してやれば、何も毎晩夜間やらんならぬことはないんで、工夫次第ではこれはもうせいぜい二十億も出せば、全くかっこうのつく安心して預けられる保育所ということになると思うんです。いま五十年度の予算案四億三千万計上されておりますけれども、まあ四倍にすれば大体満足すべき状況に近づくんじゃないかというふうに思うんです。実態をごらんになったら――大臣御存じないでしょうけれども、実態をごらんになったらそれは気の毒ですよ。本当に安心して働ける条件を確保すると、そういうことを整備して、いま五万人以上も看護婦さんが足りないと言われておる状況の中で、しかも潜在看護婦の皆さん方は条件が整えば働きたいという方々が七割から九割もおるというふうな状況を、これは、何としても解決するという立場をおとりになる必要があると思う。その点をひとつぜひ新年度では実現をしてもらうようにしていただきたいと思います。始まったばかりとおっしゃいますけれども、これは補助金を出されたのが始まったばかりで、実際に院内保育所というのは始まったばかりというふうなことではありません。これはよく御調査をいただきますと、相当数苦しい中で努力をしてやってきておられるんです。沖繩でも、県立中央病院ではやめる看護婦さんの五〇数%は子供を安心して預ける保育所がないからだという理由に挙げられておるようです。これは行ったときにも聞きましたが。ですから、県立中央病院でも何としても保育所をつくらなければならぬと思っているということを院長も申しておられました。その点については、これは不可欠の問題だという立場で対処してもらいたいと思いますが、最後に大臣の御見解を伺っておきたい。
#204
○国務大臣(田中正巳君) いま、看護婦さんの充足というのは、もう医療の世界のみならず社会問題になっているわけであります。
 そこで、院内保育の問題で、この問題が幾らかでも解決するというならば、私どもとしては、意欲的に熱意を持ってこの問題でも前進を図らなきゃならぬし、またそういうことをぜひやらなきやならぬと思っておりますので、ひとつ五十一年度予算には実態を把握をいたしまして、この問題について意欲的に取り組んでいきたいというふうに思っております。どうぞ御支援をお願いいたします。
#205
○柄谷道一君 私に与えられた質問時間が三十分でございます。幸い集中審議と分科会のときに発言する機会を得ておりますので、老人総合福祉対策の問題、財源問題などにつきましてはその節に質問することといたしまして、時間の関係から、本日は、社会福祉施設の整備と要員確保及び待遇改善のいわゆるマンパワーの問題にしぼって御質問をいたしたいと思います。
 大臣は、所信表明の中で計画的にその整備を進めるということを述べておられます。ということは、現在の計画は確かに五十年度をもって一応終わると了解するわけでございますが、昭和五十一年度を初年度とする新たな抜本的整備計画というものを引き続いて検討し、これを確立する用意を大臣として持っておられるかどうか、お伺いいたします。
#206
○政府委員(翁久次郎君) ただいまお示しございましたように、厚生省では、四十六年から五十年までを目途といたします五カ年計画をもって現在進行中であることは事実でございます。ただ、その中で、老人の特別養護老人ホーム、それから当初計画に基づきます保育所、それから重症心身障害児収容施設等につきましては所定の目的、ものによっては、保育所等につきましては当初の目標設定も低かったせいもございますけれども、相当大幅に伸びております。しかしながら、他のいわゆる収容施設につきましてはおくれている面がございます。したがいまして、その長期懇等の御意見なども伺いまして、特別養護老人ホーム、それから重度の療護施設、あるいは新しい需要のございます保育所等についてこれを見直したいというととで、五十二年度までを見通した計画をただいま新たにつくってまいりたい。なおそれとは別に、五十年度におきまして身体障害者の実態調査、老人の調査等もいたしますので、ただいまお示しのございました五十年度以降についての新しい長期計画につきましても作業を進めてまいりたいというように考えておるところでございます。
#207
○柄谷道一君 予算委員会の総括質問で、わが党の和田委員から総理大臣に質問いたしましたが、答弁として、これから限られた財源の中で福止を拡充していこうということになると厳しい選択が必要である、ということを総理大臣が答弁されております。私は、これからの福祉というものを充実さしていくためには、一つは負担の適正化という問題があろうと思います。この点について、本日、大臣は、従来の延長線上における高福祉を考えていない、当然、その適正化について洗い直しが行われるべきであろう、こういう答弁をされております。と同時に、もう一つ必要なことは選択でございます。そうなってまいりますと、いま局長の答弁されました新しい社会福祉施設の整備計画におきましても、新経済社会発展計画の後追いをするような、その範囲内での計画という受け身的な姿勢ではなくて、より能動的に各方面の意見を集約し、できる限りその合意を得て積極的に国全体の発展計画の中にこれを織り込ましていく、そういう姿勢が必要ではなかろうかと思うわけであります。これは基本姿勢でございますので大臣の方からお答えを願いたいと思います。
#208
○国務大臣(田中正巳君) 今後の社会福祉をめぐりまして、これを新しい社会経済体制下においてどのように充実していくかということについて、私どもは、今後、綿密な施策の上に計画を樹立をいたしたいというふうに考えているわけでございますが、これについては、社会保障プロパーについての計画と、いま言う施設整備の計画と二通り実は考えられるだろうと思いますが、両者について、それぞれ、私どもは、今後の社会経済情勢に応じてどういうものからこれを整備するか、国民的立場に立って、一体ニードがどこが一番濃厚にあるかということを現実的に把握をして、その方向に力点を入れていかなければならないことは申すまでもないところだと思います。
#209
○柄谷道一君 基本的にはそのとおりであります。しかし、各層各界にいろいろの意見のあることも事実でございます。したがいまして、私は希望として、大臣がいまの趣旨を生かされるに当たって、厚生省独自でその案を作成するということも一つの方法でありましょうけれども、その過程において、いろいろの各界、各般の意見を集約し、これを公正に判断しつつ、その計画が実現されるように特段の配慮を求めておきたいと思います。
 具体的な問題に入りまして、その一つは、私は、福祉施設要員につきまして、厚生省当局は、現在の充員は何とか補充されているということを絶えず、答弁をされているわけでございますが、しかし、関係者の間では、やはり福祉施設要員というものに対して、なり手がなかなかない、少ないと、特に民間においてはその傾向が顕著であると、また保育所等においては勤続年数が非常に短い等々の問題点が、関係者から指摘されているわけであります。私はこうした要員確保を困難にしている第一の要因は、専門職としての地位が確立されていないところにあるのではなかろうかと思います。もう多くを言うまでもなく、現在、専門職としての資格要件や法的位置づけにつきましては、実に区々であると言っても過言ではないと思います。医師、看護婦、理学療法士、作業療法士、栄養士等、固有の専門職として法的に認められております職種もございます。児童福祉法施行令の十三条で、定義及び資格要件が定められているものもございます。また、児童福祉施設最低基準で規定されている寮母等の職種もございます。こういう区々な状況について、専門職として、位置づけ、その資格要件を統一すべきであるという動きがあることは御承知のとおりでございます。私はそのきっかけが、昭和四十二年に東京都の社会福祉審議会が知事に対して、社会福祉専門職制度のあり方並びに専門職員の養成、確保、任用、再教育、昇進及び各職種の必要数というものについて答申していることがまずその導火線であり、これを受けて昭和四十六年に中央社会福祉審議会職員問題専門分科会で「社会福祉専門職員の充実強化策としての社会福祉士法制定試案」が作成されたと思うわけでございます。それから今日まで四年たっております。もちろん、その経過においては、試案自体に盛り込まれている専門職を二十八職種に限定すべきかどうか、それから第一種と第二種の区分の仕方がこれで適切なのかどうかという、いろいろ技術的な問題点があっておくれているということは聞き及んでおりますけれども、それにしても、各般の非常に強いこの要望が、四年間にわたって放置されたまま、現在実現を見ていないということは、いささか問題ではないかと思うわけであります。これに対する現在、厚生省当局としての、この法案を、いつ、どういう方法で実現しようとしておられるのか、その方針を伺いたいと思います。
#210
○政府委員(翁久次郎君) ただいまお示しがございました社会福祉法案の経緯につきましては、御指摘のとおりでございます。ただ、御承知のように、現在の社会福祉施設、それから社会福祉に携わる行政機関、これがきわめて多様に分化し、また、それぞれの内容が非常に専門に応じて区々に分かれているということも、御承知いただけるかと思います。この社会福祉法案が、少なくとも厚生省の社会福祉審議会の分科会で御審議をお願いしました当時から問題でございましたのは、ただいま御指摘がございましたように、その職種につきましても、二十八種類という多様であるということと、それから、それの資格要件等につきまして、たとえば看護婦さん、あるいは保母さんのように、きわめて多くの経歴の必要な人たちがあるというようなことがございましたので、そういったいろいろな問題点が区々に分かれておったということが一つにまとまることの困難な大きな理由であったと思います。したがって、厚生省といたしましては、現在こういった人々の待遇をよりよくすることを一つの大きな目標にして、その上でなおかついろいろな問題点を集約してまいりたいというのが現在の時点における考え方でございます。
#211
○柄谷道一君 大臣、いろいろこれは問題がむずかしいことは理解いたしますけれども、やはり法的な位置づけ、地位というものを明確にしてもらいたいということは非常に強い要望でありますし、政府自体もその必要性を認めたればこそこの審議会に私は諮問したと思うわけであります。その後、この試案を受けて、私は、もうこういうところに問題がある、こういうところはなお検討してもらいたい、そういうものを早急に整理をされて、必要とあらば再度分科会にこの具体的方法を諮るなど、やはり凍結するんではなくてそれを実現さしていこうと、こういう意欲に燃えてこの問題により積極的に取り組んでもらいたいということを強く求めるものでありますが、大臣の御所見はいかがでしょう。
#212
○国務大臣(田中正巳君) 実態的には、先生おっしゃるとおり、この社会福祉に働く人々の身分というものを、これを法制化することは私は結構だと思うんであります。やりたいと思いますが、いま社会局長からるる申したように、この中にはいろんな方々がおられ、なかなか意見がまとまらないということで今日まで来たものというふうに私理解しておるわけでございますが、形の上で身分を法制化するのみならず、実際にこの種の人々の処遇についても実は非常に困るわけでありまして、大蔵省等では行政職のどっかになぞらえてやる、格づけをするなどということをやっておりますが、私はこれは非常なフィクションであり、ナンセンスだとさえ実は個人的に思っているわけでございますので、こうした実質的な理由もございますので、これについてはひとつ今後、非常にめんどうな問題であることは先生も御案内のとおりでございますが、さらにひとつ精力的に作業を進めるようにいたさなければならぬと、こういうふうに思います。
#213
○柄谷道一君 いま大臣も指摘されましたように、この地位の確立と密接不可分の関係のある問題が賃金の問題であろうと、こう思います。現在の施設要員の賃金は、その労働の密度、労働の質というものに比べまして、一般的にこれが低位に置かれている。まあ今回、そのため予算上一部の補正が行われるわけでございますが、果たしてこの補正がこれをもって満足すべきものかどうかということについては、私は多くの問題をなお残していると思うのであります。特に民間の場合は、国の定めた措置費の中の人件費というものを基準としてそれに規制されております関係で、公立福祉施設要員の賃金に比べて私立の場合賃金格差があることも否めない事実であろうと、こう思うわけです。で、私は、こういった現状を見ますと、特に民間の場合、措置費の中の基準俸給額そのものがやはり絶対的に低いのではないか、と同時にその設定方式そのものが実態にそぐわない面があるのではないかというふうに思うわけであります。私はこういうことを考えますと、これを抜本的に改正するためには、地位の確立と並行いたしまして、社会福祉事業要員の給与につきましては、労働の質と実態というものを十分に勘案した福祉職給与表を作成をする、そして民間の事業に対してもこの給与表に基づき経費の補助を行う、そういう体制システムを確立することが緊急の課題ではないか、こう思うわけでございます。いま大臣、ナンセンスというお言葉も使われたわけでございますが、このような考え方に対する大臣の御所見を伺いたい。
#214
○政府委員(翁久次郎君) 確かに御意見のことは十分承知をしておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、現在の福祉施設に携わる、特に直接処遇職員の人々の給与の是正、それから民間の給与につきましては、従来から民間施設の格差是正のための措置費上の措置をとってまいっております。こういったものを積み重ねることによって、福祉施設における職員の給与のいわゆる実体的な改善を図っていく、これが一つの大きな道ではないだろうか。従来の施設についての厚生省の考え方は、入っている人たちをいかにして処遇するかということに重点を置いてまいった経緯がございます。この両年、また昨年、ことしから、特に施設の職員の給与、処遇ということに着目した改善を図ってまいり、また将来もそういう方向にいこうということでございまして、これを積み重ねることによりまして、諸施設職員の、特に直接処遇職員の給与表を独立したものに持っていくということにぜひ持ってまいりたいというように考えておるわけでございます。
#215
○柄谷道一君 私は、従来の積み上げ方式、これはもう当面の是正策でございまして、何といっても最終的にはそのシステムの確立というものを求めていかなければ、これの解決は非常にむずかしいと思うわけです。よく最近地方自治体における賃金の問題が論議されるわけでございますけれども、端的に私に言わしていただくならば、現在の公務員――国家、地方含めまして、その賃金体系は、職階というものも一部ございますけれども、やっぱり一言で言うならば、やはり勤続年数というものに非常にウエートのかかった賃金体系である。ところがこう職種的にその年功序列型賃金だけをもってしては解決できない部分がある、そうしなければ人は来ない、そこで苦しまぎれに三短、五短という方式がとられている、それが全般的な給与体系というものを乱す原因にもなっているということを考えますと、まあ、この福祉職もそうでございますけれども、職種、職能的要因というものをこれに加味するという新しい公務員の給与体系が確立しなければ、この種の問題なかなか待遇改善にしても解決できないと私は思うわけであります。この点は時間の関係で御意見を伺う時間がございませんが、ひとつ厚生大臣も所管大臣という立場から、福祉要員の賃金のあり方を含めて、全般的な賃金体系に対する意見を積極的に自治省あたりに反映願いたいと希望いたすわけでございます。
 次の問題は、専門職の地位の確立、そして賃金の改定とあわせまして、要員確保を困難にしている第二の要因は、その待遇であろうと思います。労働省が発表した「社会福祉施設に対する監督指導結果の概要」というものをながめてみましても、これはまあ当初四十七年に発表されているわけでございますが、多少の改善が行われたといたしましても、依然として労働時間、特に女子の労働時間や割り増し賃金及び就業規則の違反がなお存在していることを指摘いたしております。で、また腰痛症や頸腕症群にかかっている者が多いという資料も出されているわけでございます。まあ施設に働く人々は使命感に燃えて献身的な仕事をしているわけでありますけれども、いつまでも使命感や献身的な仕事にのみゆだねることは許されないと思うわけであります。こういう視点に立ちまして、当面、労働基準法施行細則二十七条による九時間労働の撤廃、また休憩時間、育児休暇、研修、出張などの保障、さらに、本日答弁の中でも大臣が触れておられますけれども、週休二日制への移行、こういう問題の解決を急ぐということがこれは当面の急務ではないか、こう思うわけでありますが、所見を伺います。
#216
○政府委員(翁久次郎君) ただいまお示しの労働基準法違反についての問題でございますけれども、確かにあの調査によって一番多いのは勤務時間の延長と申しますか、時間外労働。それから女子休憩時間の確保がされていないという点が強く指摘されているわけでございます。そこで来年度以降二年計画をもちまして、少なくとも収容施設におきましては夜勤体制の整備、それから保育所におきましては休憩時間の確保、これを二つの大きな柱にいたしまして、さらに研修に要する経費を措置費上組む。それから産休代替等の職員についての措置費上の日数を五十一日から五十七日に延ばすというような具体的な措置をとりまして、そして来年度五十年度におきましては六千名、さらに五十一年度におきましては残り約九千名ぐらいの職員についての増員を図るということをいたしまして、職員の勤務条件の改善を図ってまいる。で、従来も先ほど申し上げましたように、施設に収容されている人の処遇もさることながら、施設に働く人の処遇について着目した処遇改善を図っていくということを当面の大きな目標にしているわけでございます。
#217
○柄谷道一君 私は率直に言って努力されていることは大いに評価をいたしますが、明年度予算に見込まれている程度の増員ではこれらの要望を満たすことができない。特に週休二日制等の問題についてはこれにプラスされる問題であろうと思います。また現在の職員一人当たり対象人員の基準につきましても、いろいろ多くの意見がこれは存するところでありまして、果たして現行の基準人員そのものが適切かどうかについてもこれは洗い直しをするいま時期にあるのではないかと、こう思うわけであります。まあ、そういう点について私はこの委員会短い時間で一つ一つの基準についてこうすべきではないかということを語る時間的余裕がございませんが、ひとつしかるべき機関において、審議会等におきましてこれらの基準対象人員の洗い直しを含めて適切な今後の要員確保の目途というものが確立されるように御努力を願いたいと思う次第でございます。
 時間の関係から次に民間保育事業の振興について御質問いたします。これはまあ、さきにも若干触れましたように、働く婦人の増加、子供の環境破壊の問題などによりまして保育所の増設、充実を求める国民的な要求が日に日に高まっていることは御案内のとおりであろうと思います。しかし、現実にはインフレによる民間保育事業の経営難やこれに伴う保育内容の低下、保母の求人難、職員の過労による病休欠の多発等々の問題があることがこれまた指摘されているわけでございます。私はこのためには基準法の守れる保母の増員、人材確保の具体的な措置というものについて、これまた抜本的に洗い直すいま時期にあると、こう考えるわけでございまして、私は審議会の審議を促進して現在のこうした問題について早急にその所信を明らかにすべき時期であると思いますが、いかがでございますか。
 また、これに関連して措置費の問題でございますが、この措置費につきましてもこの異常な物価上昇下、これに見合った措置費の引き上げないしは制度的なスライド制の導入等が保育事業を健全に発展させていくために必要だと思うわけでございますが、あわせて御所見を伺いたいと思います。
#218
○政府委員(上村一君) 非常にむずかしいお尋ねでございますが、保育所の運用につきまして、まあ措置費上公私の区分はしておりません。私ども、たとえば保母さんの給与について申しますと、国家公務員のしかるべきところに格づけをした保母さんの給与を組んで、それを公私を問わず配っておるわけでございます。そして特に民間の施設につきましては先ほど社会局長も触れましたけれども、民間給与の改善費として人件費、管理費の七・五%をさらに法律とは別に上乗せをするというふうな措置を講ずることによって、この時世の中で民間の保育所が自由に活躍ができるような措置を講じておるわけでございます。本年度、来年度におきましても保母さんの休憩時間が確保できるように二年をめどに増員を図ったり、あるいはさっき国家公務員に格づけをした給与と申し上げましたが、さらにそれに六%上乗せをするような措置を講ずることによって保母さんの給与の面、勤労条件の面でできる限りの改善を図ってまいりたいと思っております。来年度もさらに引き続いて改善に努めるつもりでおるわけでございます。そうしてその保育所の運営費と申しますのは、いま御指摘ありましたように、市町村長さんが保育に欠ける子供を保育所に入れましたときに、子供一人当たり幾ら、の措置費というものが支弁されるわけでございますが、その保育単価につきましても、五十年度の予算案におきましては前年当初に比べまして約三六%ばかりの引き上げを考えているところでございます。
#219
○柄谷道一君 その問題、内容いろいろ反論、不十分な点を指摘したいんですが、これは時間の関係がありますんで、残念ながら、さらに善処を求めて次に問題を移したいと思います。
 私は保育料、これはいろいろ千差万別でございますけれども、その最高額は国立大学授業料の約八倍ぐらいあるということを指摘している人があるわけでございます。私はその非常に高い保育料の経減措置というものが五十年度予算要求の中に全然盛り込められていない。ところが、他方文部省では幼稚園児の就園奨励費というものを大幅に伸ばしております。こういうことになりますと、何らかの配慮をしなければ四、五歳児の幼稚園移行集中ということがますます進行いたしまして、逆に保育所における空洞化というものに拍車をかけるのではないか。私は文部省及び厚生省両省間でこの保育料なり幼稚園の費用の軽減措置としてどうしてこういう片ちんばな姿勢が示されているのか、この点について非常に疑問を感ずるものでございますが、保育料軽減措置に対するお考えを聞きたいと思います。
#220
○政府委員(上村一君) これも非常に比較して申し上げるのが複雑な問題でございますが、端的に申し上げますと、保育所の場合には保育所に入って必要な費用というのは原則として負担していただくと。しかしながら所得に応じてその負担を軽減する。たとえば生活保護を受けている階層でございますとか、あるいは住民税が全然課せられない階層というのは全部ただ、それから住民税が課せられる階層というのはほとんど公費負担、一番所得の高いところは全額負担ということになりますから、そこに着目をいたしますと、国立大学の授業料の何倍だというケースもあるのかもわかりませんが、ただ、幼稚園と比べました場合に、これは医療保険の例を引っぱり出すのはいかがかと思うのですけれども、保育所の場合には医療保険で言えば現物給付で一部負担がある。それから幼稚園の場合には現金給付が就学奨励費としてある。金をもらう立場と現物給付があって一部負担をする立場との違いということになってくるわけだと思うのですが、ちなみに国家の予算について申し上げますと……
#221
○柄谷道一君 もう短かくていいです、時間がありません。
#222
○政府委員(上村一君) 簡単に申し上げますと、保育所の場合に子供が何と申しますか、保育所に入っております子供が四十九年度約百四十六万でございますが、それに見合う国庫負担金が千六十七億でございます。百四十六万に対して千六十七億の措置費の国庫負担をしておるわけでございます。幼稚園奨励費というのは二百二十三万の幼稚園児に対して二十五億でございますから、保育所の方が、我田に水を引くようなことになりますけれども、相当国費を入れておるということになるんじゃないかと考えます。
#223
○柄谷道一君 時間がないのが本当に残念でございますが、いまの資料の取り方につきましても私は意見を持っておりまして、これは正式な質問ではなくて、いろいろ数字を詰めてみたい、こう思います。
 で、最後に、時間が参りましたが、私はこれから社会福祉施設というものを年次計画を立て抜本的に充実さしていく、さらに職員一人当たり対象人員の洗い直しも必要である、また週休二日制の実現や労働基準法の違反解消という問題も加わってくる、こういった問題を総合いたしますと、わが党でざっと試算をいたしますと、百七十七万人程度の新規の要員が必要だという試算が出るわけでございます。その試算のはじき方は一応別としても、これから相当大量の福祉要員が必要になってくることは否めないと思います。こうした現実に照らし合わせまして、私は少なくても社会福祉施設というものがより充実をし、そこに働く要員がその社会的使命にふさわしいだけの処遇が受けられ、生きがいを持ちつつその職務に専念するというためには、ここに社会福祉事業従事者の処遇及び職場環境整備に関する特別措置法的なものをひとつつくってこの問題と本格的に取り組むことが過般厚生大臣がその重点項目の一つとしてあえて取り上げられたゆえんに通ずるのではないか、こう思うわけでございますが、最後に大臣の所見をお伺いして質問を終わることとします。
#224
○国務大臣(田中正巳君) 社会福祉施設のあり方、そしてそこに働く人々の問題については、私まあ最近厚生大臣になったばかりですが、議員時代にここ二十年ほどこれに意欲を燃やしてやったわけでありまして、いまある制度の中のあれこれは実は私がかつて議員時代に積み上げたものであるということでありますが、なお不十分で、皆さんからいろいろおしかりをこうむっているわけですが、厚生大臣に就任したこの機会に、さらに意欲的に積み上げをしていきたいというふうに思っているわけであります。しかし、いまの人員の問題等々につきましては、大変むずかしかったんですが、二年計画で基準法違反を解消するということについてかなり実は財政当局と率直に言うて渡り合いをして、やろうとの思いであそこまでいったわけでございまして、明年は後の二年目のツケを完全に落としてもらうということをいまから意欲を燃やしてこれだけはやらなきゃからぬと。そこで基準人員の洗い直しの方は、率直に申してこの次の機会にさしていただきたいというふうに申し上げた方が私は正直だろうと。来年、基準法違反の解消のための残った分と基準人員と両方一遍にやれるかというと、私はなかなかそう簡単にいかないと。いまここで適当なことだけ言って後で食言になることは私はいやですから、そういうふうにはっきり申し上げておいた方がいいだろうと思います。いずれにいたしましても、こうしたような人員の増、そして処遇の改善、まあ端倪すべからざる実は予算を組むわけでありまして、したがいまして、よほど腰を据えてがんばらなければ私は言葉だけに終わってしまうということでございますんで、現実に今日までやってきた私、そしてこの五十年度予算でもずいぶん私は私なりに努力をした、私としては今後とも一生懸命やりまするけれども、一遍にそこまでいけるかというと、私はなかなかそうはいかない。まあ、できるだけのことは今後とも続けていって、ここの、こういう施設に働く人たちが、さっき先生がおっしゃるように、何といいますか、使命感などに政府が甘えるようなことがあってはいけないというのが私の真情でございますので、まあ力の及ばぬ私でございますが、この点については最大限の意欲を燃やして、今後ともひとつ制度化、予算化に努力をいたしたいというふうに思っているのが私のただいまの心境でございます。
#225
○委員長(山崎昇君) 以上で本件に対する質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト