くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第075回国会 社会労働委員会 第11号
昭和五十年四月十六日(水曜日)
   午後一時十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         村田 秀三君
    理 事
                丸茂 重貞君
                山崎  昇君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                小川 半次君
                神田  博君
                斎藤 十朗君
                片山 甚市君
                浜本 万三君
                柏原 ヤス君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
    発 議 者       小平 芳平君
   国務大臣
       労 働 大 臣  長谷川 峻君
   政府委員
       労働大臣官房長  青木勇之助君
       労働省労働基準
       局長       東村金之助君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部長  水谷 剛蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       大蔵省銀行局総
       務課長      清水  汪君
       郵政省簡易保険
       局次長      吉田  実君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  小粥 義朗君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○母子家庭の母等の雇用の促進に関する特別措置
 法案(小平芳平君外一名発議)
○勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 母子家庭の母等の雇用の促進に関する特別措置法案を議題とし、発議者小平芳平君から趣旨説明を聴取いたします。小平君。
#3
○小平芳平君 ただいま議題となりました母子家庭の母等の雇用の促進に関する特別措置法案について提案理由並びに内容の概要を申し上げます。
 突発的な事故や不慮の災害等で主たる稼動者であった父や夫を失った母子家庭は四十八年度末で六十一万六千二百世帯を数えます。しかもこの数値は、交通事故、海難事故、労働災害及び自然災害など最近の発生状況にかんがみさらに増大するものと思います。
 これらの災害を未然に防止するための効果的な対策の確立は国民の強い願望であり、国がその施策の万全を図る責任のあることは言うまでもありませんが、当面の母子家庭の生活基盤の確立もまたきわめて重要な課題であり一日たりとも放置できるものではありません。現在の母子家庭に対する遺児手当、母子福祉年金、母子福祉貸付金及び生活保護など社会福祉施策は十分なものでなく、また、勤労婦人福祉法を初め労働法体系の中でも婦人労働について必ずしも十分な保護施策が講ぜられているとは認めがたい状況であり、母子家庭の実質的な生活水準の向上の方策は閉ざされていると言っても過言ではありません。
 母子家庭の母親等が一致して要求するところのものは、みずからが労働することによって従前の生活水準を維持できる所得を確保したいということであります。しかし寡婦ゆえに資格や技能の取得は容易でなく、劣悪な労働条件や不安定企業に低賃金で労働することを余儀なくされている現状であります。さらに母子家庭の母親は、そのほとんどが中途で生計の中心者である配偶者を失っているため、幼い児童を抱えての長時間労働は困難であり、所得も低水準にならざるを得ません。
 この結果は、生活保護基準以下の生活を強いられ、児童の進学断念あるいは退学、休学など児童にとって好ましくないばかりか、国にとっても大きな損失となる事態を招いているのであります。
 まさにこのことは、最低生活と教育の機会均等を保障する憲法の理念にもとるものと考えるものであります。
 公明党はかかる事態にかんがみ、母子家庭の貧困防止と児童の教育権の確保のためには、その母親に安定した職場の供給こそが前提であると考え、社会福祉施策の一環として寡婦雇用を社会的に位置づけ、国及び地方公共団体等に対して優先的に雇用を義務づけることによって適正な職場と賃金を保障し、もって母子家庭の生活向上を図るものであります。
 以上が本法案提出の理由であります。
 次に、本法案の概要について申し上げます。
 第一には、母子家庭の母等の範囲について明らかにし、生・死別だけでなく現に遺棄状態にあるもの、夫が心身障害で労働能力を喪失している場合及び未婚の母等を含めました。
 第二には、求人の条件を定め公共職業安定所の求人業務を明確にし、職業紹介に関連する施設整備について国の責務を規定しました。
 第三には、雇用率については政令で労働大臣が設定できることとし、雇用について国、地方公共団体は雇用率を上回る採用計画を作成することを義務づけました。
 さらに、任命権者に対し採用計画に基づく採用状況を労働大臣もしくは都道府県知事に通報することを義務づけることとしました。
 第四には、一般雇用主に対しても雇用率以上に母子家庭の母等を雇用することを規定し、雇用率未達成の事業所(常時百人以上の労働者を使用する事業所)には、公共職業安定所が雇用計画作成を命ずることができることとしました。なお、雇用促進の効果を上げるため事業主に給付金を支給することとしました。
 第五には、母子家庭の母等である失業者に求職手帳を発給し、求職手帳の発給を受けた者に対し生活の安定のため手当を支給することとしました。
 第六には、雇用促進のため託児施設の整備及びその利用、労働時間等について政府、事業主に特別の配慮をするよう明記しました。
 以上が本法案の骨子であります。
 何とぞ慎重審議の上、速やかに可決あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(村田秀三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(村田秀三君) 次に、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○浜本万三君 財形問題について質問いたします。
 まず第一に、財形の基本方針の策定問題についてお尋ねいたしたいと思います。わが国の勤労者財産形成制度は、発足をいたしましてからすでに満三年以上経過いたしました。しかし、勤労者の側からこの制度を見ますと、財形貯蓄に関する利子の非課税でありますとか税額控除の域を出ておりません。また雇用促進事業団を通じて企業などに住宅建設資金を貸し付ける持ち家分譲融資などささやかな援助だけでありまして、魅力が非常に乏しいというふうに思います。加えて、今日のインフレ経済のもとでは、貯蓄の目減りによる資産減価でお世辞にも財産づくりという品物ではないと思うのでございますが、現行制度について率直な労働大臣の所見を承りたいと思います。
#7
○国務大臣(長谷川峻君) ただいま浜本先生が御指摘になったところを私はいつも反省しているものでありますし、この制度がおっしゃるとおりできて三年でございますが、その間、労使の協約でございます、強制ではありません、――そういう中から、財産形成の重要性を労働者の諸君もよく御認識いただきまして、大体四百万の方々が契約をされ、そして約四千億ぐらいの契約残高があるということを私は承知しております。そして、日本の労働者諸君というものは、賃金は毎年のように改善はされておりますものの、まだ諸外国と比べますというと、ストックの面が非常に少ない、こういうところに立ちおくれのあることは、これはどなたも認めているところでありまして、これを何とかしたいというところに実はこの制度が生まれたゆえんもあり、いままでそうした中において四百万も契約されたということだろうと私は信じているのであります。それをだからいかにして底深く期待に合うようにしていくかというところに毎日の私たちの苦労があり、それをまた大ぜいの方々が御期待されていると、こう思っておりまして、そういう中に一歩でも二歩でも前進させるというところに今度の法律案を御提出申し上げて御審議いただいている、こういうことでございますので、だんだんのひとつ御審議をお願いしたいと、こう思っております。
#8
○浜本万三君 そこでこの法律の第四条に明確に規定されておりますいわゆる財産形成法、勤労者財産形成政策の基本政策というものが私は非常に必要になってくるのではないかというふうに思うんです。ところが私の調査によりますと、その基本方針は今日までまだ出されていないように思います。政府として基本方針がもしあるならば、この際明らかにしていただきたいというふうに思います。また、まだでき上がっていないとするならば、でき上がらない理由を明確にしていただきたいというふうに思います。
#9
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘ございました財産形成政策の基本方針でございますが、実は昭和四十八年の九月十二日というときに「勤労者財産形成政策について当面措置すべき事項について」ということで、労働大臣が審議会に諮問しております。それを受けまして二回にわたりまして、同審議会から、勤労者財産形成政策の理念、それから、勤労者の財産として取得を促進すべきものの範囲、さらには、財形貯蓄に対する援助の拡充、こういうものについての施策について基本的な考えが示されてまいりました。そこで労働大臣、労働省といたしましては、この基本答申の線に沿ってもろもろの改善を進めておるところであり、今回の改正案についても、この方向に沿った一歩前進したものというふうに考えている次第でございます。
 なお、この法律にうたわれております基本方針そのものではございませんので、一つの方針、理念は示されましたけれど、この基本方針についての審議は別途やらなければいけない。幸いに今回の改正案が成立した際には、この基本方針についての審議会のお考えもさらに承り、関係各省とも十分協議の上、長期的な観点から基本方針の策定に取り組むと、かように考えております。
#10
○浜本万三君 今後この法案の改正案以降さらに真剣に取り組むというお話なんですが、いずれにいたしましても、政府として責任のある財産形成政策を進めていこうとするならば、一刻も早く基本方針を策定することが必要であるというふうに思います。私は、財形政策の基本となるものは、第一は所得の向上、第二は物価対策、第三は社会保障の充実、第四は住宅、土地政策の確立、第五は税制などであり、これらの政策の上に企業を経由することなく貯蓄できる仕組みが、本当の意味の勤労者の財産形成の方針であろうというふうに思うわけでございます。そういう私が申し上げました趣旨に沿って、労働省としては早急に基本方針を関係省庁と協議して、国民の前に明らかにしていただくようにお願いをしたいというふうに思いますが、重ねてひとつ労働大臣の見解を承ります。
#11
○国務大臣(長谷川峻君) 幸いにこの財産形成につきましては、いち早くやっている西ドイツでは二十年間も続いておりまして、そういうところが成功しているという事例がございますので、それらも参考にしながら、ただいま先生のおっしゃったようなことを加味しつつやってまいりたいと、こう思っております。そしてまた、これは一事業主とかいうことだけじゃなくして、事業主もありますし、さらにはまた、勤労者自身の自主的努力もありますし、それをまた政府がインカリッジする意味での努力も必要である、それを制度が浅いだけにどうこれをひとつかみ合わしてやっていくかという努力がなかなかよその国と、西ドイツの場合と違って要るわけでございまして、国情も違いますので、そういうところでまた時に皆さん方の激励なり御指示をいただきたい、こう思っているわけであります。
#12
○浜本万三君 大臣の前向きの答弁をいただきまして、やや安心をしたんですが、なおそのお話の内容が一刻も早く具体的な政策となって実現しますように要望したいというふうに思います。
 そこで私は、今日の財形制度の性格というものについて考えてみますと、結果的に銀行とか証券会社のための資金集めに協力しておるんじゃないかと、こういう見方もできるわけでございます。その理由はわずかばかりの税制上の優遇措置ではインフレによる貯金の目減りを補うこともできませんし、また制度の重要な柱であります勤労者の住宅づくりというものも、土地政策の不在によって勤労者にとってはマイホーム建設ということが夢物語になりつつある、こういう点から考えますと、先ほど私が申し上げましたように、結果的に金融機関の資金づくりの、資金集めの手伝いをしておることになるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#13
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘ございましたように、財形政策というものを進める前提には、いろいろ整備しなければならない問題があると思います。インフレの問題であるとか、土地政策の問題であるとか、社会保障との関係であるとかございます。ただ、そういう問題を整備するとともに、現実に労働者、勤労者は財産形成を志向しているという動きがあることも事実でございます。そこで国としてはそういう一つの意欲といいますか、方向をさらに育てていこうということを考えまして、もろもろの財形政策を打ち出しているわけでございますが、いま申し上げましたように、その基本となるべきいろいろの条件を整備することは当然大切なことでございまするので、私が申し上げるのは適当ではございませんが、そういう基本的な問題の整備と相まって、財形政策の実効性ある展開というものを期してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#14
○浜本万三君 先ほど大臣も局長も四百万に上る勤労者が意欲を持ってこの財形制度に協力をしておると、こういうお話がございました。労働省の発表されました民間企業の貯蓄実情状況は、昭和四十九年現在で確かに加入者数が四百万人近くなり、貯蓄残高も三千七百五十億円ですから、約四千億円に近くなっております。一方国家公務員の関係も四十三万人、貯蓄残高が三百十六億円余というふうに聞いておるわけです。しかしこれを一人当たりに直してみますと、公務員の場合が七万三千円余り、民間企業の場合が一人当たり九万四千六百九十六円、こういう計算になりまして、いずれも十万以下という貯蓄残高であります。これだけの金額が集まったからと申しまして、財産形成を促進するという状態ではないのではないかというふうに私は思うわけでございます。
 さらに、労働省は将来わが国の勤労者の財形制度の加入について、将来の見通しを立てておられると思いますが、その見通しをどのように持っておられるのか、またその見通しの上に立って財形行政を今後どのように展開されようとしておるのか、まあ三つぐらいになると思いますけれども、お尋ねをいたしたいと思います。
#15
○政府委員(東村金之助君) 確かにおっしゃるとおり、現在の財形貯蓄の残高、一人当りにいたしますると十万円前後だという数字が出るわけでございますが、それはどういうところからきているかということを考えますると、やはり財形制度についてもう少し魅力あるものにしなければならないということが一つ出てくると思うわけです。そこで今回の財形法の改正案におきましてもろもろの問題をそういう角度から考えてみたわけでございます。すでに御承知のことだと思いますが、財形貯蓄の範囲を拡大するとか、事業主の拠出によって財産形成を進める給付金制度を新たに設けるとか、さらには助成金を支給する、また融資制度としては財形持ち家個人融資制度を設ける、財形住宅貯蓄については租税の税額控除率を引き上げるというようなもろもろの施策を考えているわけでございまして、そういうことによって現在の財形貯蓄の形をさらに魅力あるものにしていきたいということを考えておるわけでございます。したがいまして、現在四百万という数字は全体の労働者の一割前後でございまして、これで決して満足すべきものではございませんが、大臣が先ほどお話しございましたように、西ドイツ等の初期の状況に比べるとわれわれとしてもまあ、よくここまでいったもんだというような感じすら受けるわけでございます。しかし、それで十分ではございませんので、いま申し上げましたように、一方で財形貯蓄を魅力あらしめながら、さらに財形貯蓄、財形政策の適用労働者ないし利用労働者数をふやしていきたい、かように考える次第でございます。
#16
○浜本万三君 魅力ある財形制度をすることによって加入者をふやしていくというお話なんでございますが、ただ最近の貯蓄増強中央委員会が出しました世論調査によりますと、国民の貯蓄をする目的が病気や不時の災害に備えてという割合が最近上昇しておりまして、財産形成を目的とする土地家屋の購入でありますとか、またまとまった金額の物品を購入するということが後退をしておる数字が出ておるわけでございます。したがって、この調査結果から判断をいたしますと、貯蓄目的というものは財産形成というような意味よりもむしろ社会保障制度の立ちおくれを個人の貯蓄努力によってカバーをしなければならない、こういう現実があるのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味から申しまして、財形に参加をして貯蓄をするということが必ずしも財産形成という意味を持っていないんではないかというふうに思うんですが、この点いかがかということが第一。
 もう一つは、同じく貯蓄増強中央委員会が昭和四十九年に実施いたしました貯蓄に関する世論調査によりますと、一世帯当たりの平均貯蓄保有額というのが二百三十五万円だというふうに発表されておりますが、その年の伸び率が一一・九%というふうに前年の二八%に比べますと大幅に鈍化をしておるわけでございます。これは景気に相当左右されておると思うのでございますが、そういうふうに貯蓄の伸びが大幅に鈍化するということはやはり勤労者の生活にゆとりのない証拠があるのではないかというふうに思われます。そこで、貯蓄の伸びが大幅に鈍化した理由についてあわせてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
#17
○政府委員(東村金之助君) 貯蓄増強中央委員会の世論調査によりますると、昭和四十九年の貯蓄の伸びは鈍化しておるという数字になっております。その原因の一つとして、この調査によりますと、物価上昇により貯蓄できない、あるいは貯蓄する額を減らさざるを得ないということを答えた世帯の数が増加しているということでございます。昭和四十九年のこの調査の結果では、ただいま御指摘のように、病気や不時の災害の備えとして貯蓄をするという割合が増加しております。御指摘の土地家屋の購入が後退しているという数字はございますが、ただ、いかがですか、この後退しているという数字は前年の結果と比較いたしますると、まあ後退しているには違いございませんが、それほど大差はないのではないかというふうな感じがいたします。いずれにいたしましても、御指摘のように社会保障との関係があるのではないかという御指摘、基本的な問題としてはそういうこともあるやとも私どもも考えます。したがいまして、先ほどお話し申し上げましたように社会保障の充実ということが一方に考えられなければならないとは思いますが、やはり財形は財形として進める必要性と効果があると私ども考えるわけでございます。今回の財形法の改正による持ち家個人融資制度は持ち家を希望する勤労者が資金の調達をしやすくするための道を開くものでありまして、この制度によって財形制度上勤労者の持ち家取得がさらに促進されることを期待しているものでございます。つまり、貯蓄もさることながら、一方では借りやすい資金を供給するということによって問題の解決に一歩でも近づければというふうに考えております。
#18
○浜本万三君 借りやすい状況をつくるということにつきましては後でまたお尋ねをいたしたいというふうに思いますが、まず何と申しましても勤労者の財産形成に一番障害になっておりますのはインフレであろうというふうに思います。インフレは貯蓄者の利益を目減りという形で奪っておることはもう申すまでもありません。逆に債務者でありますところの銀行や大企業に利益をもたらすメカニズムと申しましょうか、そういうものもあることも言うまでもないと思います。政府は、五十年度の経済見通しの中で消費者物価の上昇率を、一一・八ですか、約一二%というふうに見込んでおられるようでありますが、すでに四十九年度におきましても相当鳴り物入りでようやくまあ一四%に抑えられたというふうになっております。ところが一方、財形給付金の運用利率などについて伺ってみますと、年九%程度だというふうに聞いておるわけなんでございます。このように、財形貯蓄をすればするほど、相当優遇されたとおっしゃるけれども、貯蓄の目減りが出まして勤労者に対して大きな打撃を与えておることになっておると思います。
 そこで、このような損失を防ぐということになりますと、当然よく議論に出ます割り増し金制度というものを導入する必要があるのではないかと思います。ところが、今回の改正案ではこれが見送られるということになっておりますので、私は非常にこれは重大な問題だというふうに思います。
 そこで第一にお尋ねをしたいのは、今回この制度を導入するに当たって隘路になった点はどういうところにあったのか、その理由についてまずお尋ねをいたしたいということでございます。
 それからさらに五十年度の予算で三百万円程度の調査費をつけられておりますが、これは、もちろん割り増し金制度だけの研究調査ではないというふうに思いますが、いずれにしても、これを一つの布石だというふうに考えられないこともございません。だとすれば、いつごろ割り増し金制度導入ということが実現できるのか、その見通しについて、これはやっぱり大臣のお考えをお尋ねさしていただきたい。
#19
○国務大臣(長谷川峻君) 割り増し金制度の前に目減りの話が出ましたが、昨年のたしか十月と思いましたが、ことしの三月末の消費者物価を一五%程度にとどめたいというのが当時の内閣の方針でございました。私は、労働省におりまして、実は、この自由主義経済の中において統制経済をやらず、経済警察というものを置かず、公定価格を設けずして、さて一体一五%程度と言うたことがどういうふうになるかと懸念した一人でございます。しかしながら、世界がどこでもインフレで悩んでおります共通の問題に、私はやはりこういりときはひとつしっかりやることが勤労者の収入の目減りをなくすことでもあるし、それをいただく奥さん方の生活を安定させるゆえんではなかろりかと思いまして、直接物資関係の閣僚じゃありませんが、労働省の立場から、時には通産省、時には大蔵省、経済企画庁、あるいは農林省と、あるいは大商社、大企業、こういう方々の会合に行きまして、勤労者のために、物価抑制に協力を求めて、多少は努力をしたつもりでございます。そういういろんな総合政策ができたからでしょう、一四%におさまったわけですね、三月末に。その実績で来年の三月末九・九%の消費者物価に抑えよう、こういうところでいまスタートしているわけでありまして、まず何よりも私は物価抑制というものが勤労者を守りもし、貯金をする方々の不安を除くゆえんじゃなかろうか、こういう感じ方を持っているものであります。
 一方、税額控除、プレミアの問題につきましても私もいささか研究してまいりました。そして大蔵省あるいは政府当局にいままでも折衝してまいりましたか、西ドイツの二十年の歴史と違って、こちらの方は農業、中小企業、ほかの方々との関係をどうするか、金融体系全体が崩れるとか、いろんな議論が出ておりまして、今日まで実はその実現をいたしておりません。しかしながら、一方、利子の非課税等々というふうなことなどで、恩典によってさえも勤労者の方々か財産形成で――先生のおっしゃるように十万円程度かもしれません。一カ月に千円、二千円、そういうものを財形にし、あるいはボーナスで四千円、五千円やっているというものが積もり積もっていつの間にやら十万円になったと、ほかにも貯金を持っているでしょう。しかしながら、そういう努力をしながらも十万円まできておるという姿でございますから、私は、将来、やっぱり、こういう財産形成のためには税額控除というもの、プレミアムというものをやはり何かのときにいろいろな条件をつくって実施させたいという気持ちはございます。そうした意味において若干の調査費などもついておりますが、これはプレミアムそのものだけにあらずして、先ほど先生がおっしゃった基本政策等々も研究するという中に入れておいて、まあ一歩前進、そこを足がかりにして全体の仕組みというものを考えていくよすがにしたい、こう思っているわけであります。
#20
○浜本万三君 それだけですか。――導入できなかった隘路というふうにお尋ねしたんですが……。重ねて申しますと、やっぱり大蔵省との折衝が一番難関ではないかというふうに思うんですが、その場合、大蔵省はどういう問題点を出しておられるんでしょうか。
#21
○政府委員(東村金之助君) ただいま大臣からお話ございましたように、初めての制度であり、関連するところが非常に大きいというところが大ざっぱな言い方をすると結論でございますが、具体的には、やはり財形貯蓄というものは貯蓄そのものであるから自己の責任においてそれを形成するのがたてまえではないかと、さらには社会保障制度というものが一方にあるので、まず社会保障制度を充実させるというのが優先、社会保障制度を優先させるべきではないであろうかと、さらには、勤労者の財産形成そのものにプレミアム等の優遇措置をつけるならば、その他商業者であるとか農民であるとか、国民全体とのバランスを考えるべきではないだろうか、それからドイツ等との比較をいたしますと、ドイツ等における社会保障制度のあり方と日本のあり方が違うので、プレミアムというのは日本においては非常に問題ではないかと、等々の問題指摘がございまして、それに対していろいろ議論もあったわけでございますが、結論として、大臣がただいまおっしゃったように、さらにこの問題も含めて財形政策の基本的なあり方を具体的に詰めていこうと、こういうことになっておるわけでございます。
#22
○浜本万三君 答弁の趣旨は非常に不満足ですけれども、プレミアム制度が制度として早く実現するようになお一層努力を要望したいと思います。
 続きまして、財形制度の一つの柱になっております勤労者の住宅問題についての労働省の見解をお尋ねいたしたいと思いますが、勤労者が自力で住宅を建設することは非常に困難であるということはいろいろな統計数字を見てもおわかりのことだと思います。たとえば、日本不動産研究所の調査から地価の推移を見ますと、全国六大都市の住宅地の土地価格指数は、昭和三十年を一〇〇にいたしますと、四十年には一五一四、四十八年には三四五九、四十九年には実に四一四八、したがって、十年もまちますと四一・五倍というふうにはね上がっておるというふうに思います。他方、四十八年版の経済白書によりますと、一戸建て住宅の建設に必要な平米当たりの建築費が、昭和三十年が一万三百円でありましたが、四十八年には六万百円というふうに約六倍に増加をしております。この間の労働者の賃金を調べてみますと、昭和三十年が二万二千円でありましたが、四十八年は十四万六百円、わずかに六・二倍というふうな増加しかなっておりません。こういう実態から考えてみますと、勤労者の持ち家は非常に困難な状態ではないかというふうに思われます。そこで、労働省は今回の新しい財形制度が勤労者のマイホームづくりには非常に前向きの取り組みである、こういう宣伝をパンフレットでなされておるわけでありますが、どうも私の見解と多少そこが食い違うわけなんですが、本当に容易になるというふうに考えていらっしゃるのでしょうか、その点をお尋ねをいたしたいと思います。
#23
○政府委員(東村金之助君) ただいま御指摘になりました地価であるとか建築の単価、賃金等の倍率の数字自身私ども必ずしもいま先生のおっしゃったような数字になるかどうか存じ上げませんが、いずれにしろかなり上昇していることは事実でございます。
 そこで、私どもは、まず何と言いましても、おっしゃるとおり地価であるとか建設費の安定ということはまず考えなければいけないということを前提にするわけでございますが、それと同時に、自己資金とか公のお金を借りることによって何とかマイホームに一歩でも近づくことができないだろうか、そういうふうにできないだろうかということを考えているわけでございます。試みに住宅金融公庫の昭和四十九年度における「一般個人住宅資金利用者調査速報」というものがありますので、それによって数字を見ますると、総建築工事費が東京において九百三十二万円という数字になっております。その九百三十二万円をどういうふうに労働者、勤労者は集めたかと言いますと、手持ちのお金として二百四十万円、公庫からの借り入れ金が三百二十五万円、公庫以外からの借り入れ金が三百六十八万円と相なっております。ところで、この三百六十八万円というものの内訳を見ますると、金融機関から百十一万円、勤務先の会社、事業場から百二万円、その他、つまり親戚であるとか親友でしょう、そういうところから百五十五万円、計三百六十八万円を手当てをいたしまして、九百三十二万円というものを調達しているという数字がございます。そこで、今回の改正でございまするが、財形の持ち家個人融資制度というものをつくったわけでございますが、これはただいま申し上げました公庫以外からの借り入れ金というここのところに関連してくるわけでございます。具体的に試算してみますと、手持ちのお金が仮に二百五十万円あったといたします。そうしますると、今回は住宅金融公庫から四百五十万円融資を受けられることになります。そういたしまして、ただいま申し上げました財形持ち家個人融資におきましては、手持ちのお金、つまりいまの例で申し上げますと二百五十万円でございますが、その二倍である五百万円を借りられる。合計いたしますと千二百万円を調達できる、こういう関係に相なるわけでございます。つまり、公庫以外からの金融機関とか勤務先とか親戚、友人からいろいろ苦労をして借りておった。これを財形持ち家個人融資という形で調達しやすくするということが一つのねらいであり目標でございまするので、こういたしますと千二百万円という金がいまのような形で調達できるという姿でございます。もちろん、この場合に二百五十万円という手持ち資金があるかとか、さらにはこの千二百万円でどの程度の家が建つかとか、いろいろ問題はあると思いますが、少なくとも公庫以外からいままで工面をし、苦労をして集めた金を、借りやすくしようというねらいを実現したい、こういう次第でございます。
#24
○浜本万三君 いまの財形持ち家分譲融資の貸し付け決定の問題なんでございますが、これはお話のように、確かに従来金融機関その他から調達をしておった資金が公的資金によって容易になる、こういうお話につきましては私も了承できるわけでございます。その意味では一歩これは前進だというふうには思うのでございますが、問題は、その千二百万円の調達資金の中でいわゆる住金とそれから新しい制度による公的資金の五百万円、たとえば合計いたしますと九百五十万円の返済というものが非常に問題ではないかというふうに思っているわけです。ですから、制度といたしましては資金のパイプは確かに大きくなった、パイプは大きくなったけれども、その大きいパイプの度合いに応じて借りたお金が返済できるかどうかという問題が非常に大きな問題になると思いますが、これは四百五十万円借りると、仮に五分五厘の利子にいたしましても現在の償還期間で償還をいたしますと相当高額な金額になるのではないかというふうに思われますが、それはいかがでしょうか。
#25
○政府委員(東村金之助君) 私ただいま申し上げた数字は一応金が借りやすくなるということを申し上げたわけですが、さて、その返済、返還の問題になりますと、いろいろ御指摘のような考慮しなければならない問題があるわけでございます。で、仮に返済金額をいま私の申し上げた数字を丸めまして約一千万円と、こういたしますと、これは住宅公庫からの借り、あるいは財形の持ち家個人融資からも借りまするので、その利子を年利利率平均約七%と仮に置いてみますと、年平均の返済金額は耐火構造の場合、これは償還期間が三十五年以内となっておりますが、約七十七万円でございます。それから簡易耐火構造は償還期間が二十五年以内でございまするので約八十五万円、木造の場合には償還期間が短くなりまして十八年以内でございまするので約九十八万円という数字に相なるわけでございます。この数字をどう評価するかは別でございまするが、おっしゃるように、借りられる金の枠がふくらんだということと、その償還について別途問題があるのではないかという問題は私どももこういう数字として受けとめております。
#26
○浜本万三君 それはまたもう一つ後でお尋ねする予定がありますから次に譲りまして、次に労働省の先ほど申し上げました調査の中で財形貯蓄残高が約四千億というふうに報告をされておりますが、四十六年の本案が決定されましたときに審議されたときのお話では、その貯蓄残高の総額の三分の一を持ち家融資に充てるのだというふうに答弁をされております。現在四千億の三分の一ということになりますと相当な一千数百億円になると思うのでございますが、現在その資金を借り入れておる件数、金額等は非常に少ないということであります。労働省の発表によりましてもこの件数が七十一件で三十五億円程度だというふうに発表されております。これはまたどういう理由でそんなに低いんだろうかという疑問がございますので、その理由を、まず承りたいと思うわけです。
#27
○政府委員(東村金之助君) 雇用促進事業団が行っております財形持ち家分譲融資制度、これは四十八年九月から受け付けを開始いたしました。したがいまして、まだ日が浅く、その趣旨、PRが行き届いていないという面が一つございます。それと同時に、御承知のように、また、先ほどからもお話しございますように、土地の価格とか、建築費の高騰というのが近年続きましたので、なかなかむずかしい条件が出てきたということが次に申し上げられます。それからもう一つは、この財形持ち家分譲融資制度と言いますのは、もちろん勤労者、労働者の方に分譲するわけでございますが、それが労働者の方が希望するところ、あるいは希望する形でなかなかその条件が整備できないという問題があろうかとも思います。したがいまして、いま仮に三つの問題に整理して申し上げましたが、そのおのおのについて、私どもはさらにこれから本制度の趣旨の徹底、あるいは物価の問題、建築費の問題等に取り組んでいかなければいけないと思いますが、同時に、最後に申し上げたような、勤労者の個人個人の希望にぴたり合うような形をつくるためには、こういう制度とともに、労働者に直接お金を貸すような、そういうことも考えなければいけないのではないだろうかということを考えているわけです。これが先ほどから申し上げております財形の持ち家個人融資というものでございます。そういうことによってこの融資をできるだけ活用していきたいと、かように考えております。
#28
○浜本万三君 そういたしますと、三分の一の利用方法などについての考え方、若干わかりしたが、残りの三分の二の、一般金融機関に貯蓄をした資金でございますが、これは金融機関独自の運営になることは申すまでもないというふうに思います。これまでの経緯を見ますと、勤労者が一生懸命かせいだお金を銀行に集めて、その結果、また新しい投資を生んで物価が上がると、こういう自分のかせいだお金を貯蓄することによって、勤労者はかえって被害をこうむるという実態が出ておるわけでございます。そういう意味から申しますと、金融機関は、最近のそのローンの状況を調べてみますと、非常に貸し出しが少ないわけでございまして、積極的に住宅政策へのローンを増額するような、そういう指導がとられないかというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
#29
○政府委員(東村金之助君) ただいまの、お話しございます三分の一の残りの三分の二の問題でございますが、これはやはり金融機関が財形持ち家分譲融資の貸付金として協力した残余の資金の運用でございまして、この運用については、他の種類の貯蓄による資金と事の性質は変わらないと思うわけなんです。ただ、ただいま御指摘ございましたように、せっかくの資金でございまするので、民間金融機関に対しまして、私どもの直接というわけにはまいりませんが、関係行政機関は、その貯蓄資金を住宅ローンに振り向けるよう、行政指導をしているところでございまして、なかなか、そういう住宅ローンがありましても、いろいろのほかの条件で家が建たない、住宅ローンの貸し出しが広がらないということはございますが、やはり長期的に見て、そういう方向でひとつ適切な行政指導をすることが、御指摘の趣旨に合うのではないかというふうに考えております。
#30
○浜本万三君 続きまして、今回の法改正で、現行の財形持ち家分譲融資制度のほかに、財形貯蓄を三年以上行っている勤労者の持ち家取得資金を、雇用促進事業団から事業主を通じて融資をする新しい方法を導入されまして、五十二年からこれを実施するということになったわけなんでございますが、今回の改正によって、確かに、先ほどおっしゃいましたように、勤労者の住宅融資を受ける。パイプは大きくなったと思うんですが、まだ、その融資枠であるとか、利率であるとかいうものの明確な労働省の見解が示されておりません。これは一体どういうふうな考え方でございましょうか、お尋ねしたいと思います。
#31
○政府委員(東村金之助君) 財形持ち家融資制度は、今回の改正によりまして、財形持ち家分譲融資と、財形持ち家個人融資という、両方からなるわけでございますが、これらの融資により貸し付けることのできる金額の累計額は、貯蓄残高の三分の一までであるというふうに私ども持っていきたいと思います。
 なお、各年度のこれら融資の貸付枠は、この範囲内で、貯蓄残高の実績、融資の需要見込みに応じて、その都度、その年その年で、予算で決められることになると思います。
 また、財形の持ち家個人融資の貸し付けの金利でございますが、これは雇用促進事業団及び住宅金融公庫等が融資の資金調達のために発行する債券の利率に相当する率を考えております。
#32
○浜本万三君 大体その利率は幾らぐらいでしょうか。
#33
○政府委員(東村金之助君) これはまだこれからの話でございまするので、九分前後――九・六程度になると思います。
#34
○浜本万三君 いずれにいたしましても、そういう高い金利でございますので、当然ここで事業主の利子補給というものが考えられるというように思います。今後行われるこの制度の中で、事業主がどの程度この利子補給をされようとするのか、これはまあ個々の企業によって違うと思いますけれども、やっぱり労働省はこれを指導する責任があると思うんですが、最低どの程度を考えておられるのでしょうか。
#35
○政府委員(東村金之助君) これは今後の問題でございまするので、これからさらに検討しなければいけませんが、雇用促進事業団が行う転貸融資の場合、これは年利率一%相当額以上、期間としては五年以上、こういう利子補給を考えております。
 それから住宅金融公庫の場合も、これは直接貸し付けでございますが、同じく一%相当額以上、期間は五年以上というようなことを考えております。
#36
○浜本万三君 いずれにいたしましても、勤労者の住宅、マイホーム建設の負担軽減措置をすることは、これは当然必要な施策だと思いまするので、その点、さらに積極的な政策を要望したいと思うわけでございます。
 それから、最近の事情を見ますと、勤住協と同じように住宅生活協同組合というのが各地方にございまして、そこが団地造成をいたしまして、そうして政府の公的資金を導入いたしまして、勤労者に対する住宅供給をしておるわけなんでございますが、そういう住宅生協をこの制度の融資対象にできないだろうかと、制度上非常にむずかしいとは思うんでございますけれども、非常に積極的な仕事をしておりますので、融資対象にしてマイホームの夢を実現させるということが必要だというように思うのですが、その点無理があるかわかりませんけれども、いかがでしょう。
#37
○政府委員(東村金之助君) 現在住宅生協を貸し付け対象としていないのは、住宅金融公庫の例にならったものでございます。また、直接住宅生協に貸し付けなくても、現実にはこの勤住協の委託事業として建設分譲事業を行うことができることになっておりますなどの理由から勤住協に貸し付ける方式をとっているのでございまして、現在のところせっかくのお話でございますが、この方式を変更するということは考えられておりません。
#38
○浜本万三君 なおやっぱり積極的に進めておる事業体でございますので、その導入が何とかできるように研究をしてもらいたいということを要望しておきたいと思います。
 それから、先ほどお話がございましたように、約一千万円の公的資金を導入した場合に、一年間に償還する金額が三十五年の耐火構造で七十七万円、木造十八年で九十八万円という金額が発表されたわけなんですが、いずれにしてもその金額は月に直すと相当の金額で大きな負担であることはもう間違いないというふうに思います。でも、私の考え方では、これをその勤労者一代で償還しようとするから非常に問題があるんじゃないかと、むしろ親子二代と申しましょうか、そういう償還期限の延長をいたしまして、償還金額を少なくすることによってマイホームの夢を持たせるということが必要なんじゃないかと、そうしないとせっかくその資金のパイプを太くいたしましても、借るに借れない高ねの花だということになってしまうおそれがありますので、償還期間の延長ということについて真剣に考えてほしいと思いますが、これは労働大臣いかがでしょうか。
#39
○国務大臣(長谷川峻君) まあ、ヨーロッパの例などを見ますと、鉄筋コンクリートですね。そして土地は一代に持ち、二代目に家を持ち、三代目にファーニチュアを持つ。だからその地方に生活をし、そしてまたその地方で勤めているという、こういう一つの特殊性もあろうと思います。そういうことからしますと、なかなか日本の場合にはやはり事情が違ってくるんじゃなかろうか、そういうことなども考えながら、やっぱり公的な、ほかのいまの先生のお話のやつは、公的持ち家制度とのバランスの問題等々もありますので、将来の研究課題とさしていただきたいと、こう思う次第でございます。
#40
○浜本万三君 それから、助成金の問題なんですが、基金運用益で助成金を賄うことにこの制度ではなっておるわけなんですが、その基金とは従来のもの二億円と、五十年度事業団から一億円、次の年一億円というふうに、大体五億円というのが基金のように聞いておるわけでございますが、不足をするんじゃないだろうかという心配があるんですが、その心配があるかないかということと、それから不足をした場合の補てんはどのようになさるのか、お尋ねしたいと思います。
#41
○政府委員(東村金之助君) 助成金の支給につきましては、一般会計から出資金、五十二年度の形において五億円、これの運用益で賄うことになっております。いずれにいたしましても、この制度が発足してみないと正確なことは何とも申し上げられないわけでございますが、仮に不足が生じたような場合には特別会計の雇用勘定からの交付金をもってこれに充てるということも考えております。
#42
○浜本万三君 もう一つお尋ねするんですが、この際、保有資金の活用ということを考えまして、新しい資金活用方法を考えたらどうかというふうに思うんです。たとえば賃貸住宅制度というものはいかがかということや、それから育英事業に対する貸し付けということなどを考えてみてはどうか。そうすることによって有効に国民の財産というものが、非常に遊休資金が多いということになれば考えられるんではないかというように思いますが、その点いかがでしょうか。
#43
○政府委員(東村金之助君) 再々申し上げておりますように、勤労者財産形成制度は、財形貯蓄制度と、その資金を活用した財形の持ち家の融資制度と、こういう形から成っております。資金の活用を持ち家融資にいま限っておりますのは、何と言いましても、勤労者が財産として最も強く望んでおりますのが、持ち家取得促進のために財形貯蓄の資金を活用するというゆえんでございます。ただ、御指摘の点につきましては、財形持ち家融資制度の今後の実績もよく見まして、ひとつ将来の検討課題にさしていただきたいと、かように考えております。
#44
○浜本万三君 もう一つ、いまちょっと思いつきましたのでございますが、新しい制度化される財形持ち家分譲制度をやりますと、こういう問題が起きないかというちょっと心配があるんですが、企業が宅地造成をして、そして労働者に転貸をするという形になりまするので、そうすると、まあ一般の金融機関の三分の二の貯蓄資金を使って、大きなデベロッパーが現在保有しておる土地を原価主義よりも相当高く売りつけるという心配はないだろうか。そうするとまた土地の高騰という問題が起きないだろうかという心配がございますが、それはありませんでしょうか。
#45
○政府委員(東村金之助君) そういう問題もまあ考えられないではございませんが、深く研究したわけではございません。しかしそれはこの資金が、三分の二がそういうふうに使われるとか、あるいはこの財形貯蓄がどう関連するとかいう問題ではなくて、一般的な問題として、やはりおっしゃるようなことも考えられないではないと思うんです。したがいまして、これは財形貯蓄のいま御審議を願っている問題との関係で、そういう問題が必然的に出てくるとも思いませんが、さらに研究はしてみたいと思います。
#46
○浜本万三君 じゃあ、本当の最後の質問なんですが、結局持ち家制度というのは、本来われわれが期待する住宅政策、重要な住宅政策ではないというふうに思うんです。そういう面から言いますと、やっぱり国の住宅政策というものをしっかりやっていただきたいと思うんですが、昭和四十六年から五十年までの第二次住宅建設計画を見ますと、国の方針では五年間に九百五十万戸、そのうち公的住宅と民間住宅の割合が、前者が四、それから民間が六になっているというふうに思うわけです。先ほどからすでに議論になっておりますように、個人の自力建設ということは相当困難な事情にあるということも理解できますので、そこで本来の住宅政策をしっかりやるとすれば、政府はもちろん、地方自治体の責任で、低家賃で、しかも良質の公共住宅を大量に建設をするということが必要な政策であるというふうに思うわけです。しかし財形制度に大きく依存をして住宅を建てるということは、これは本来の政府の姿勢としては後ろ向きの政策ではないかというふうに思うわけです。
 そこで、労働省としてはやはり本筋の公的住宅の建設に向けて積極的な姿勢をとるように関係省庁と話し合いを詰めてもらいたい、こういう希望があるんですが、労働大臣いかがでしょうか。
#47
○国務大臣(長谷川峻君) 住宅、住むところが確保されるということは、仕事をする上に、あるいは毎日の生活の上に非常に心の安らぎのあることですから、これはもうありとあらゆる面から本当に考えなきゃならぬことだと思います。そこでいまの場合に、お話のように、問題はやっぱり勤労者に対する住宅政策といたしましては、良質にして安い家賃の住宅、それをやっぱり大量に供給すること。最近また非常にお互いの嗜好が変化いたしますから、敗戦後のように一部屋というわけにもいきません。あるいはまた一部屋のものが二部屋、三部屋というふうなかっこうのそういう要求からくる変化などもあります。いずれにしましても、やっぱり低家賃の公営住宅のような、そういうものが一番大事じゃなかろうか。
 もう一つは、こうした私たちの考えている持ち家制度というものもこれにあわせてやっていくと、そうしたことをかみ合わせながら、お互いのストックを大きくしつつその中に心の安心感と働く場所に対するところの充実感というものを持っていくのにこれはすぐできることじゃありません。こういうところで御審議いただきつつ私たちのやっていることに対するまた激励あるいは刺激あるいは検索、そうした問題によって立ちおくれているものがいま一番やはり住宅でございますから、そういうことで、大いにひとつ前向きの姿勢でやってまいりたいと、こう思っています。
#48
○浜本万三君 いずれにしましても、最後に要望しますが、質のよい、安い公的住宅を全体のやっぱり三割以上にするような政策を積極的に進めていただきたい、そのために労働大臣は大いに奮闘してもらいたいということを希望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
#49
○片山甚市君 浜本君の質問に引き続き、財形法について大臣にお伺いいたします。
 すでに衆議院でも審議をしていただいて、議事録を見ておるところでありますが、労働省が昭和四十六年にこの財形法をつくりまして、労働者の福祉政策の一環としてこれをやったことは御承知のとおりでございます。この法律の目的でございますが、第一条に「勤労者の財産形成を促進することにより、勤労者の生活の安定を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と書いてあります。そこで今日の経済環境であるインフレ、不況、あるいは雇用調整、企業倒産による解雇などといった、こういう中でこの法律の目的が果たして現状にマッチしておるのかどうか、何回も聞いて失礼なんですが、もうくどいことでございますが、もう一度お答えを願いたい。
#50
○国務大臣(長谷川峻君) 先生御質問のインフレであり、物価高であり、あるいはまたおっしゃる雇用不安というのは、これはひとりわが国を襲うものにあらずして全世界の悩みの種だと思います。そういう中にこの財産形成をやっておって役に立たないんじゃないかという御懸念も私もわかります。しかし私は、そういうインフレというものをよその国より早く収束させるところに私たちのひとつ知恵を出そうじゃないかというてお出しいただいている姿が、三月末消費者物価が一四%という、これは数字の上でございますけれども、西ドイツと日本が一番成績がいい、こういう安心感の中に来年の三月末には一〇%以下に持っていこうというふうに、まあ発足していろんな施策を講じていることでございます。そういう中において、財産形成というものはこれは人間働いている間の一生の仕事でございますので、私はその一生の仕事が目減りしないように、いささかでもやっぱり激励されつつやっていけるような施策を講ずるというやはり長い目で財産形成というものを見ていかなきゃいかぬのじゃないかと、そういう形でいまからも推進してまいりたいと、こう思います。
#51
○片山甚市君 いま大臣が長い目で財産形成を勤労者にしたい、インフレについては他国よりも熱心な努力で抑えつつあると、こうおっしゃいました。しかし卸売物価でも昨年一年間まだ二二%、二三%で、いま卸売物価が毎月〇・一%下がったと言ってもうんと上がっておりまして、昨年一年間の消費者物価、昭和四十九年でとると、われわれの計算によると二二%以上と、こういうように考えております。確かに大臣の好きな三月時点でとれば、上がりに上がったときの時点をとれば、あなたのおっしゃるとおり一四%で抑えている、それはお手柄の話でありますけれども、しかし国民からいきますと、いまからお話しするように貯金の利子などと比べてみてもはるかに高いものでありますから、これはまあ九・九%にしても、先ほどのいわゆる財形でお借りをした金利よりは〇・三%高いんです。局長が先ほどお答えしておる財形でお借りした九・六%利子を取りますよと、お金を借りてですね、それよりも高い、九・九%にもし物価を抑えても。まださらに目減りをすると、こういうことを踏まえてもらいたい。
 そこで、わが国の財形制度も発足後三年を経過しましたが、そのねらいとしては勤労者に福祉国家における安定した位置づけを与えること、いま大臣がおっしゃったように。貧困と失業、老齢、病気などの事後手当としての現象的社会保障から、これらのマイナス現象を食いとめる健康的な体質に改善を企画する本質的な社会保障への施策の積極化、いわゆる前向きにやろうと、こういうような考え方、それと同時に、所得増加に現物の形を加味する、――ストックの形の問題を特に意図したと言っておられるか、――ところが先ほどから言いますように、狂乱物価によって実際はこの法律ができたときから、この瞬間から雲散霧消してしまったと考えるほど悲しいことであります。そこで財形加入の勤労者はそのようなことから全く失望しているんじゃないか、現実の姿はそのように私たちには映ります。これに対して労働大臣は先ほど浜本委員の方からの質問に答えましたけれども、これについてどのように責任をお感じになり、どのような施策をさらにお進めになるのか、くどいことでありますが、お聞きいたします。
#52
○国務大臣(長谷川峻君) まあ、狂乱物価のお話がありましたが、私はやはり昨年春ぐらいですが、一国の大蔵大臣が国会の議場から、いまの物価は物価にあらず相場である、相場、こういう答弁がなされたことであります。それが狂乱物価という名前になったでしょう。私は全世界がやはりインフレーションというものを一番こわがってもいるし、その場合に勤労者であり、あるいはまた弱い方々が一番インフレの被害をこうむる。ですからこれは国民的課題としてインフレを何とかして抑える、これは大企業の責任もあります。商社の責任もあります。政府がベルトを締めることもあります。時にはまたしわ寄せされるところの勤労者の方々の犠牲もあります。また賢明な選択をされる奥さん方の消費態度というふうないろんなことで、私はよその国よりわりに早く卸売物価なり消費者物価か――まだげたはございます。よその国でもげたはあるのです。そういうところのげたはあるけれども、とにかくお互いの努力で一四%台に来る、その自信が来年三月には九・九%、綱渡りでしょうけれども、そこまで行けるというその自信が多少出ておる、それを推進していくことがお互い政治の力じゃなかろうかと、それからいたしましても、いまから先の近代国家というものは、せんだってまでのように、もうつくるものは何でも売れる、何でも買えると、こういう時代じゃなくなったことは全世界が共通のことでございますから、まさに私は個人の暮らしにおいても、精神においても、企業家の態度においても、資源一つにしても、環境一つにしても、本当に私はさま変わりな世界になってきたと、ここをどう受けとめてお互いが生き伸びていくか、そしてその中にいかに前向きに希望を持たせていくかというところにお互いの真剣な努力が必要じゃないか、まあ、そういう意味で微力でございますが、そういう覚悟の中に皆さん方にこうしてお目にかかりながらお話を申し上げ、あるいは刺激をされ、御指導いただいておる、こういう気持ちをひとつ御理解をいただきたいと思います。
#53
○片山甚市君 いま大臣から物価じゃなくて相場じゃないかと、相場というのはつり上げ、つり下げ、――引き下げということで、お互いに虚々実々だまし合いだろうから、そういうような事態をおさめたいということで、三木内閣はできたということになっているわけです。特にいま大臣おっしゃるように、さま変わりのときに、いかに生き抜くかということだと、そういう意味で今回の財形法の改正について、特にプレミアムの制度、これは、これこそやはり実行しなきゃならぬと言い切れなかったですね。また、先ほどのお話によると、プレミアムのための三百万円じゃなくて、いろいろとその環境づくりの三百万円の検討費だと、私はこういうように伺いました。ところが、皆さんのこれは関係の「財形」という雑誌によると、いわゆるこのためにワンポイントをかせいだ、これで大体プレミアムの道ができるんじゃないかというような、実現の布石だというように喜んでおりますけれども、しかし、なかなか財政当局を初めとして、こういうことについてはさま変わりでないと思うんですね、従来どおりだと、こう思います。意見はそのぐらいにしておきます。
 実は先ほど浜本委員の方からお聞きしたときに、公的住宅の問題についてお話がございました。そこで一言お伺いしますが、雇用促進事業団の移転住宅の利用状況はどういうことになって、大体空き家はどのくらいになっておるのか、事前に聞いておりませんから……。
#54
○説明員(小粥義朗君) 雇用促進事業団の建てております移転就職者用宿舎につきましては、いままでに建てました戸数は、正確な数字はちょっと端数まで覚えておりませんけれども、九万戸を超えております。で、その入居状況は大体九〇%ぐらいというところになっております。元来が宿舎の性格上移転就職者を一時的に入れるという趣旨でございましたんで、従来はある程度の空き家、空き部屋を持つようにやってまいったわけでございますけれども、入居者の実態等から見て入居率を高めるような指導もいたしておりまして、その意味で最近では九〇%を超える入居率を示すようになっております。
#55
○片山甚市君 移転住宅でありますから、満杯だというようにいつもなることにならぬと思いますけれども、私たちが公営住宅、公的住宅というものをどれだけ多くの人が欲しておるかということを前提にしてこの財形問題を見たときに、やはり国の政策としては低家賃といいますか、の公的住宅の拡充こそがこの問題の前提条件だと考えます。
 そこで、わが国の財形制度に特別注目すべき成果が上がっていると考えられませんのは、財形貯蓄の加入者やその残高の増加趨勢から見れば目覚ましい発展だったと言えるかもしれませんが、勤労者の高い貯蓄性向が社会保障の立ちおくれを個人的にカバーせざるを得ないことの結果だとすれば、貯蓄を促進するだけが望ましいと言えないと思います。インフレーションで貯金が目減りをしているとき、一般大衆は将来の生活設計を立てるため、特に子供の学校などを含めて、目減りすることがわかっていても、貯金をふやそうとして貯蓄をせざるを得ない。特にこの間報告がありましたけれども、郵便貯金はこの一年間に三兆円増加して十九兆円になりました。こうした貯蓄をふやすこと、ふやさざるを得ないということは正しいと言えるんだろうか、社会が正常なのだろうかと考えると疑問であります。このような貯蓄行動をとらざるを得ない基礎的条件こそ、改善すべき政策の主題とならなきゃならないと思いますが、いかがですか。
#56
○国務大臣(長谷川峻君) 私は、日本人というのはやっぱり勤勉であり、貯蓄の民族だと思うんです。社会保障の制度が、底が浅いから貯金するんだとよく人が言いますけれども、制度としては、私は、日本は法律がなかなか好きなものですから、何でもできているような感じがします。いささか底の浅いところはわかります。しかし、それはいまから深くしなきゃいけません。
 しかし、こういうときに郵便貯金がふえているということは、社会保障がただ少ないからという意味に私は実は思ってないわけでありまして、お互いで言うても、金というものは自分の心の独立を獲得する最大の武器だと思うんです。すぐにだれかのところへ借金に行って頭を下げて軽べつされることよりは、やはり何か自分の心の独立のために貯金というところに、私は日本人が持っているんじゃなかろうか、こういうことを思いまして、社会保障を底を深くするということと、日本人の持っている貯蓄の精神というものはこれは別なものだというふうに、私はそう解釈しているわけでございまして、そういうことで御理解をいただくならば幸せだと思います。
#57
○片山甚市君 大臣の常日ごろのお言葉ですから、これはそうでないと言っても論争になりません。いわゆる私の出身の徳島県などは一番この貯蓄をするところです。それはあなたから言うと、心の一番独立心が多いところだということなんです。この間のように選挙をやると、大変選挙違反の多いところです。いや、そういうことは失礼でございますが、いわゆる警察が幾ら取り締まっても物を持っていって、トラックいっぱい持っていくというふうなことを書いてありますが、非常に大臣のおっしゃったことについては気にとめますけれども、私が申し上げるのは、やはりいまの貯蓄というのは子供の教育の問題や老後の不安の問題や病気の問題、そういうものについて社会的な支えが十分である条件の中でつくられておるならわかりますけれども、至って不十分だという前提に私は立ちますからね。大臣の場合は大体それがあってもなかっても日本人というのは貯蓄が好きだというか、独立心があるからそうだと。しかし、私たちが見たときにはそのように感じられませんですね。これは意見ですから……。
 さて、近くインフレによる預貯金の目減りの対策として福祉定期預金ともいうべき金利の高い新種預金を創設すると報道されていますが、これとても特定の無拠出年金受給者五百万人を対象とするものであり、気休め程度のものだと思いますが、このような動きに対して勤労者財産形成貯蓄の促進を宣伝してきました労働省として、零細な薄給の勤労者の貯蓄についてどのようにお考えになっておりますか。特に大蔵省は具体的にこのようなことについてどのような具体策を持っておるのか、そういうことをお聞きしたい。
 財形貯蓄は最短で三年間は払い出しができません。凍結された貯蓄であります。預金者の全く自由意思下にない預金であります。インフレは貨幣の購買力を減価させる意味で強盗にもたとえられますが、財形貯蓄の預金者は、このインフレの強盗に対して何ら対抗手段を持たない。三年間これを預けなければなりません。それが行政の旗振りによって促進されてきた事実は何といっても納得できない。三年間据え置かすというならば、それにふさわしいような措置をとるべきだと思います。また、一方で巨額の債務者利得を得ていることを勘案しますと、うんと損する者とうんともうける者がある。全く理不尽なことと言わざるを得ません。それについて実はわれわれも要求してますが、何ら明らかな答えがありません。もちろん勤労者以外の社会的弱者の先を越すような割り増し金制度だけを私たちは主張する意思は持ちません。何らかのインフレ対抗手段を備えてしかるべきだと思うんです。何らかの措置を、この際お話をしていただきたいと思います。
#58
○政府委員(東村金之助君) 預金の目減り全体については、ただいま大蔵省というお話がございますのでなんでございますが、確かに財形貯蓄というものは一年間据え置き、三年間の契約というような形になっておりまして、その間インフレが進行するではないかという御指摘、そのとおりでございますが、しかるがゆえに私どもいろいろ努力しているつもりではございます。今回の改正自身が、そういう問題も踏まえまして、少なくとも勤労者が貯蓄をしようという、そういう実態がございまするので、そうなりますれば、その勤労者の貯蓄が少なくとも有効に実を結ぶように、しかも財産形成でございまするので、いままでストックの足らない勤労者に対してストックが持ち得るようにと、こういう趣旨でやっているわけでございます。
 先ほどから大臣のお話ございますように、財形貯蓄というのは長期的な観点から問題を展開しているわけでございまするので、ただいま現在のいろいろ物価問題等については問題が生ずるかもしれませんが、これはこれとして鎮静化する方向をとると同時に、やはり長期的にも問題を考えていきたいと、かように考えております。
#59
○片山甚市君 実は、目減りに対しては――目減りというよりもインフレは、貯蓄をした者については強盗に遭っているようなものだと。それを取り締まってもらえる、それについて対策を具体的にとってもらいたい、そのことが財形を進めることであると。大臣はわかっておるけれどもいまぼつぼつやっておるところだ、こういうことでありますから、それはやはりわれわれとしては不十分であるということを言わざるを得ません。たとえば今日のインフレによる貯蓄の目減りの問題が大きな問題になっておりますとき、昭和四十九年度の国民生活白書によると、勤労者の四十八年の家計貯蓄減価が消費者物価の上昇によって大きいと報告され、つまり四十七年十二月末の平均的な勤労者世帯の貯蓄残高は四十八年十二月の末で約二十一万九千円の減価、減価率は一二・七%になります。
 一方、昭和五十年度の政府の経済見通しでも、すでに今年度約一二%の消費者物価の上昇率を見込んでいるのであります。実際には一二%の消費者物価の上昇率ではおさまらないというのが常識になっています。そうだとすると、勤労者が財形貯蓄をすればするほど目減りで損をすることになると思うのであります。政府が財形貯蓄を将励する以上、何らかの目減り対策を講ずる必要がある。したがって、労働省が今日勤労者の財形政策を積極的に進めてきたことと逆に勤労者に損害を与えることになる。この矛盾を一体どのように考えているのか、この矛盾の解消をするのが労働省の責任である。何回も答えていただきますが、お金のことになりますと、このような計数になる。この損害をどのようにしていくかということでは財政当局も含めて大臣からお言葉をいただきたい。
#60
○説明員(清水汪君) 御指摘の問題は、結局インフレを抑えるという問題がきわめて重要であるということに帰着するかと思います。
 いろいろのインフレの被害につきましていろいろのことが言われておりますけれども、しょせんやはりインフレを抑えるということが根本的な解決になるわけでございますので、そういう意味で御案内のとおり、政府の立場におきましては、過去二年来総需要の抑制策を中心としてやってきたわけでございますが、ただそうした間におきましても預金金利の問題につきましてはやはりそうした経済全般の状況を考慮いたしまして預金者の立場にできるだけ考慮を払っていかなければいけない、この点は強く認識しておるつおりでございますが、そうした観点から御承知のような過去の預金金利の引き上げが行われてきたわけでございます。現在の水準自体きわめて十分であるかどうかという点につきまして御意見はございましょうけれども、率直に申しまして、以前に比べましてかなり高い水準になってきていると思います。
 ただいまのお話の中にもございましたが、さらに何か特殊な高い金利の預金をつくったらどうかというような御提案も種々ございます。ございますが、やはり基本的な考え方から言いますと、預金金利を全体としてできるだけ適正な水準に持っていくということがやはり先決問題であろう、金利のあり方からすればやはり全体の金利体系の中でそういうふうに考えていくのがより適当だというふうに私ども思います。思いますけれども、同時にそれにしてもいろいろ御提案がございますのでその点につきましては、民間金融機関がどの程度負担できるかということが前提になると同時に、仮にそういう負担を前提にいたします場合にはそうそう大幅なことはできないわけでございまして、そうなりますと、ある程度対象なり金額を限定したようなものが考え方として出てこざるを得ないと、しかし、そうなりますと、そういうものは技術的と言いますか、手続的と言いますか、事務的に混乱なくそういう要件が確認できる方法があるかどうかということがまた非常に大きな問題になってくるわけでございまして、そういうようなことがいろいろ問題点としてございますので、今日までその問題につきましてはいろいろ検討は続けてきているわけでございますが、まだ十分な結論を得るには至っておらないというのが正直なところでございます。いずれにいたしましても、御指摘の問題につきましては今後も十分心にとめまして、やはり基本的には通貨価値の維持をできるだけ図っていくということが、財政金融当局の立場から見て大きな役割りでもございますので、そういう観点でやはり政策運営に当たっていくべきものであろうというふうに考えます。
#61
○片山甚市君 いま大蔵省から通貨価値の維持を図っていくということ、全体の金利のこととして考えると、個々のケースについてやることは非常にむずかしい状態だというお言葉がありましたけれども、政府が特に財形法というものを制定してやる以上、さらに一段と努力をしてもらいたい。これは要望しておきます。
 労働省が昨年末に発表しました勤労者の財形貯蓄状況によりますと、先ほどから言われているように昭和四十九年十二月末現在で二十三万四千八百八十事業所で、契約勤労者が三百九十五万六千七百二十九人、約四百万人、その貯蓄残高が三千七百五十二億三千六百十七万円となっていると報告されております。そこで、財形加入者三百九十五万六千七百二十九人は、昭和四十七年のわが国の雇用労働者数三千六十三万九千人に対して約一二%という、一割という低い率であります。大臣は衆議院でこのようにおっしゃっておられます。自発的に自分でやっていこうという気持ちが発足して三年足らずにして四百万人も加入ができた、こういうようにおっしゃっています。私は、このような率で十分だとお考えなのか、私は低いと思っている。それだけ自信があるし利益になるならふえるはずだ。特にこれは労働組合などと協議をする、抑えつけてない、強制でないのだということを強調されているのですが、そのところは大臣のお考えはいかがですか。
#62
○国務大臣(長谷川峻君) 私は先ほどから申し上げているように、やはり日本人というのは非常に勤労意欲というものと貯蓄というものが熱心だと、スタートして三百万というものは私は西ドイツがスタートしたときの率から見ますというと、西ドイツほどのプレミアムとか、そういうものがないのにかかわらず、自主的、自由意思で、あるいは労使契約の上でそういうものが行われたということは大変な私は実績だと、こういまでも信じているものであります。いまから先これを、三百万、五百万まで利子の非課税にするというふうなこともやりましたが、そういうことを前進させながら、いまから先をやってまいりたい、こう思っているわけであります。
#63
○片山甚市君 次に、現在の加入勤労者の三百九十五万、約四百万人の事業所の規模別の内訳をお尋ねしたいと思います。
 この財形加入者は大部分が大企業を中心とした比較的に労働福祉施設の整備等がなされた企業の勤労者と見られると思いますが、いかがですか。そこでこの加入勤労者の企業規模別の分布状況はどうなっているのかおわかりでございましたらお答えを願いたいと思います。
#64
○政府委員(東村金之助君) 財形貯蓄に加入しておる人全体は四百万であると、その規模別はどうかというお話でございますが、実は正確な調査が手元にはございません。各種の調査を総合いたしますると、こういうことが言えるのではないかと思うのです。それは、五千人以上の超大型の企業と言いますか、そういうところに働く労働者、それからもう一方、三十人未満のいわゆる零細企業の労働者、こういうところの加入している率と言いますか、実施率は、その中間の規模の企業における労働者の実施率よりは低いのではないだろうかと、しかしこれはいずれも推測でございまするので、財形加入者の規模別の加入状況の把握については今後私どもも検討し、その実態を把握したいと、かように考えております。
#65
○片山甚市君 これからの財形の問題を進めていくときに、どのような人たちがどのような形でこれに期待を持っておるかということは、やはり労使が協議をしてやられておるという以上、データを集めてそれに合うような形で、そして特に施策として広めていかなきゃならぬところに手が差し伸べられるような判断がわれわれにもできるように資料をつくっていただきたい。
 次に、国家公務員、地方公務員、公共企業体の職員の勤労者の財形制度の加入状況についてお尋ねいたします。
 私の調査によりますと、国家公務員の場合、参議院の職員は六四・八%の加入率で最も高うございます、この参議院は。ところが、独禁法で相当公正な意見を言うておる公正取引委員会、これは一九%、よほど気に食わないんだと思います。これだけの幅があります。これは昭和四十九年九月末です。勤労者の財産形成を進めている労働省の場合、大臣がこれほどいいと言っておるんですから、恐らく全部入っておると思うんですが、どれだけ入っておりますか。
#66
○政府委員(東村金之助君) 昭和四十九年三月末現在のこれは大蔵省調べによりますと、公務員等、つまり国家公務員、地方公務員、それから公共企業体の職員、これら全体を合わせた財形の加入状況は、加入者の数で約五十五万人、全加入者の二八%程度。それから、財形貯蓄残高で約四百五十六億円、総貯蓄残高の二四%程度となっております。
 また、国家公務員の財形加入状況でございますが、ただいま御指摘ございましたように、昭和四十九年九月末現在の総理府調査によりますと、御指摘のとおり最高は参議院の六四・八%でございます。最低は公正取引委員会の一九%でございます。また、御質問の労働省の加入率は五〇・六%でございます。これは国家公務員の平均加入率三七・〇%より上回っていると、こういう事実でございます。
#67
○片山甚市君 いや、それは強制をしないからということを先ほどから大臣が強調しておるのは、そのあたりにあるようであります。どうも足元をやられたらだめだからいろいろとあると、いろいろあるけれどもこれぐらいやったと。しかし私は、やはりその持ち家じゃなくって、貯蓄の方にもう少し魅力があればやるはずであります。そういう意味で、特に子供の教育の問題、自分たちが将来何か夫婦でいろいろなことをやろうというときに勤労者が貯蓄をするのにふさわしいかどうかということは、労働省の方々の半分が、まあ大臣はそう言っておるけれども、それは余り信用できないと、こういうようになっておると思います。これが一〇〇%近くそうなれば、恐らく大臣の言いよることは本当だろうと、こういうように思います。
 その次に、申しわけないんですが、簡易保険の今回参入がございました。この簡易保険はどのようなやり方で貯蓄の財形に入ってくるのか、特に保険といわゆる貯金と両方について簡単に御説明を願いたいと思います。
#68
○政府委員(東村金之助君) 今回財形貯蓄の範囲が拡大されまして、御指摘のようにいろいろ取り入れられました。その中で生命保険、簡易生命保険、それから農協等の生命共済というものも入っておりますが、これは払い込み期間及び保険期間が五年以上の貯蓄保険でございます。払い込まれた保険料のうち大部分が貯蓄として積み立てられ、災害等特別の理由の場合に限り満期保険金の二倍が支払われるものというものが今度新しく入るわけでございます。
#69
○片山甚市君 それじゃ、郵政省にお聞きをいたしますが、簡易保険の場合に、従来の簡易保険と、この今回できる財形の簡易保険、あるいは郵便貯金というのは、どのような形でいわゆる勧誘をするというんですか。そして、それは従来の簡易保険やいわゆる郵便貯金と違って、定期預金と違ってどういうようなことになるんでしょうか、それを少し説明してください。
#70
○説明員(吉田実君) この財形貯蓄保険は、先ほど労働省の方から御説明がございましたように、まあ、いわば貯蓄保険でございまして、満期とそれから不慮の事故等による死亡の場合に限って保険金を払うというシステムでございます。
 それからまた従来の簡易保険の募集方法とどこがどういうふうに違ってくるかというお話でございますが、これは勤労者財産形成関連一般と全く同じ趣旨にのっとる貯蓄保険でございまして、一般の事業所におきまして個別にそのそれぞれの契約者が保険料を払う、郵便局の集金人に保険料を払うというシステムではございませんので、その企業でまとめて保険料を払っていただくというようなシステムになろうかと思います。そういう意味で大変従来の保険とは違って、いわば団体性の大きな保険である。そういう意味で募集方法もおのずから従来の個別勧誘プラスアルファ的な方法になろうかと思います。
 それでよろしゅうございましょうか。
#71
○片山甚市君 それでは、こういうようなことについては、郵政省としては当該の従業員あるいは職員などの意見はお聞きを願っていますか、その取り扱い方法について。
#72
○説明員(吉田実君) 事務的にはいろいろ固めたわけでございますが、一般に郵便局の職員その他に広く意見を求めるというところまでは至っておりませんが、いずれにいたしましても、実施の過程ではこの趣旨を十分徹底してまいりたいと、こう考えております。
#73
○片山甚市君 財形に加入することについては、大臣もおっしゃるように、労使がよく話をしてつくられるということです。これは、私が申し上げるのは、国のお仕事で、郵便局というのが簡易保険あるいは貯金をしておる、そういうところで国がこういうことをされるときには、当該の労働者にはよく新しい制度が次のようになると、全面的な協力を願えるようなことでなければいかぬと思う。こういうところにやはり郵政の関係の労使関係がよくない、こう思います。もう何か言えば反対されると思っておるのと違うか。そうじゃないんです。こういうことで、団体でこういうことになるのだ、こういうことなんだという話を、これは通るまでの間にちゃんとしないと大変なことだと、きょうは時間がございませずに、特に郵政の方に申し上げておくのは、このような取り扱いについてやはり従業員がやることでありますから――管理者がやるならよろしいと思う、この保険の募集とか貯蓄とかというものを。ですから、命令したらいいという郵政省の態度ではなく、法律ができる、できぬにかかわらず、自分たちがやっておるのでありますから、仕事のことでよく話をして理解ができるようにしてもらいたい、要望だけ申し上げておきます。
 実は、勤労者の財産形成制度は、さきにも触れましたように、私は多くの欠陥を持っておると思います。しかし百歩譲って、仮にこの制度が今後労働者の福祉につながるような制度に改善された場合、本当に財産形成に寄与されるようになった場合、全勤労者のこの制度への加入を図るようにするのが労働省のお仕事だと思います。そこで、中小企業、零細企業の労働者がこの制度に加入することは非常に困難が伴うと思いますが、今後の加入についてどのように中小企業、零細企業の方々に使っていただくように考えておるかお聞きをいたしたい。
#74
○政府委員(東村金之助君) 御指摘のように、また先ほども申し上げましたように、零細企業等においては必ずしも財形を利用し、活用するという率は高くないようでございます。しかしながら、一般的に勤労者はかなりの方々がすでに貯蓄をやっておるという実態がございます。そこで、この財形貯蓄につきましても、たとえばただいまお話がございましたように、その財形貯蓄の種類をふやすとか、さらには零細企業、中小企業等において給付金制度を新設した場合には、それに対して助成金を国の方で出すとか等々の政策をとりながら、中小企業の勤労者の皆さん方にも活用していただけるように、つまり魅力がそこまで及ぶように私どもは何とかやっていきたいというふうに考えているわけでございます。まあ、それにつきましてもどういう実態になっているか、ただいま御質問があった際にもお答えしておりますように、さらに実態を把握していくことを別途心がけていきたいと、かように考えております。
#75
○片山甚市君 できる限り早く中小企業、零細企業の人々がこの制度によって救われる方法があるのかどうか調べてもらいたい。
 私は中小企業、零細企業の労働者にとって、今日、財形の方の促進よりも、それ以前に深刻な問題を抱えておる、こういうように思います。つまり高度経済成長政策の破綻に対応して総需要抑制、金融引き締めなどの政策のもとで深刻なスタグフレーション、不況が全産業に拡大してまいり、とりわけ中小企業へのしわ寄せは大きい。最近の倒産状況あるいは負債金額、それによる労働者への解雇がどのようになされておるか。総理府の報告によると百六万から八万ぐらいの間の失業者があるという新聞報道でございましたが、それに合わせてお答え願いたいと思います。
#76
○国務大臣(長谷川峻君) きのう、御承知のように総理府の統計、百六万、二月の失業者の数字が発表されておりましたが、その際にもつけ加えておりましたけれども、最近皆さん方の御心配によって雇用保険法が成立をいたしまして、あの中にある雇用調整給付金によって、中小企業の場合には三分の二、三百人以上の大企業の場合には二分の一の一時帰休に対するところの給付金が出ております関係で、失業者の数は横ばいになっておると、こういうことがきのうも発表されたわけであります。いずれにいたしましても、私たちはこういう時代でございますから、やはり失業が一番人生において悲しいことでありますので、これの対策は、雇用保険法が四月一日から実施をされておりますので、その点からするところの高齢者に対するところの就職あっせん、あるいはいろんな給付金、そういうものなどをやりつつ手当てをしてまいりたいと、こう思っております。
#77
○片山甚市君 じゃ、お聞きした倒産の状況と負債金額、解雇の状態というのはおわかりになりませんか。
#78
○説明員(小粥義朗君) 企業倒産の件数につきましては東京商工リサーチの調査によります数字がございますが、二月現在の数字で申し上げますと八百八十九件、それから三月で千二十三件という数字が出ております。で、なお中小企業から出てまいった失業者の数というのは、ちょっと統計上得られておりませんので、いま手元に持っておりません。
#79
○片山甚市君 いまお聞きしましたけれども、若干やはり不確定というか、自信のないようなお話。興信所の調査によると、昭和四十九年の企業倒産状況は年間累計で――五十年一月から三月は入りません。――年間累計、昨年一年ですが、件数で一万一千七百件、負債総額一兆六千三百二十六億円――ただし負債金額一千万以上のものです――と、過去最高であった昭和四十三年の一万十三件、七千七百四億円よりも大きく上回って、戦後最高を記録をしました。しかも倒産企業の九九・六%は資本金一億円以下の企業であります。これに負債金額一千万以下を加えますと、中小零細企業の倒産というのは非常に膨大な数にのぼると推測されるところであります。一般に企業の不況対策は、大企業では受注減を下請への発注減で乗り切り、一方、残業規制や新規採用削減、一時帰休や臨時工からの整理という形で弾力的な雇用調整策を企業としてとることができます。しかし、中小企業、下請では金融の引き締め、親会社からの発注削減、下請単価の切り下げ、代金回収難によっていきなり倒産、解雇というようなコースをたどることが非常に多うございます。このような実情では、企業にとっても、労働者にとっても、財産形成を促進するどころではございません。今回の法案改正で、企業主の援助で財形給付金制度を新設することになっております。特に中小企業の場合、どこまで企業主が努力するのか非常に疑問であります。さらに中小企業財形助成金制度の新設によって中小企業への財形制度の加入を促進しようとしておりますが、この点もどこまで促進されるのか、今日の経済状況では非常に疑問であると思いますが、いかがですか。
#80
○政府委員(東村金之助君) 今回、給付金制度、助成金制度を新たに設けようということになっておるわけでございますが、その可能性といいますか、実行性ということについての御指摘だと思います。これは私どもかように考えております。それは現実にこういう一つのやり方についての芽生えと言いますか、根っこがないとなかなかこういう問題できません。そこでこのような援助措置、つまり給付金制度のようなことをやっている企業はどういう程度あるかということを調べたものがございますので、見ますると、それは財形貯蓄を実施している企業のうち、約一六%の企業で行われているという実態が明らかになってまいりました。中小企業についても大体一六%程度、こういう給付金制度に準ずるような援助措置をやっているということが明らかになりました。つまりその限りにおいては下地があるというふうに考えたわけでございます。そこで、こういう給付金制度をひとつ導入していこうと考えたゆえんでございます。もちろんそれは現在の、いまの時点でどうかということになると、あるいは問題がやや違ってまいるかもしれませんが、いずれにしろ、こういう数字があり、実態があるということを考えましたので、導入することにしたわけでございますが、まあ、それにしてもなかなかその制度を伸ばしていくためには問題があろうということで、ただいま先生御指摘のように、百人以下の中小企業に対しては助成金というものをひとつ支給することによってさらにその実行を確保していこうというふうに考えたわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど来大臣からもお話ございましたように、財形政策というのは息の長い、長期的な面からも考えなければいかぬということでございまするので、当面どういう数字になって出てくるかはそのときの情勢によりますけれど、ひとつ、そういうことで発足してみたいというふうに考えておるわけでございます。
#81
○片山甚市君 大企業はいままでも実績がございますし、いろいろと持ち家の問題も、社宅の問題から始まって年功序列の関係もございまして、ある程度あるのです。中小企業、零細企業はそのようなことについての保証が全くない。この財形が中小零細企業にどのように根づいてくるのかということが実際上、この眼目でなけりゃならぬ、大企業は自力でもやらなきゃならぬ、国から助けてもらうとかそんなことは必要がないほど大変な金もうけをしておるのであります。いまごろになると、青息吐息のような顔をしておるけれども、ついこの間まで笑いがとまらずに、悪いことばかりしたといって袋だたきにして税金を取ろうと思ったら、もう金がないと、こう言う。こういう形になっておりますので、非常に残念でございますが、労働省がもう少し力を入れてもらいたい。
 次に、企業の倒産で見逃すことができない点は、大企業による企業の系列化、下請企業の進行の問題であります。全国の証券取引所の上場会社千七百社の子会社は、少なく見積っても三万社あります、その増加率は毎年一五%を上回っておると言われます。この子会社、系列企業の最近の倒産は依然として景気の調節弁となっておる。つまり大企業は子会社、系列企業を通じて利潤吸い上げを行いながら、他方それら企業が倒産した場合、法人格の違いを理由にして経営上の責任、労使関係上のトラブルを合法的に回避しようとしております。政府は中小企業を育成し、中小企業労働者を雇用不安、低賃金、労働災害の発生から保護しようとするのならば、こうした大企業の企業の系列化についてメスを入れる必要があると思いますが、これについてどのような具対策を労働省としてお持ちでしょうか、お伺いいたします。
#82
○政府委員(東村金之助君) 中小企業が大企業の系列下にあることの問題でございますが、ただいま先生デメリットの点を御指摘になりましたが、これはこれでメリットの点もあると思います。しかし、いずれにいたしましても私どもはデメリットができるだけ少なくなるように、つまり労働災害等の問題について、いまおっしゃいますように、親企業に比較いたしまして中小の下請等における災害の発生率は高いわけでございます。そういうことでございまするので、私どもといたしましては、親企業にやはり安全衛生管理の責任を持たせることによって安全衛生の全体の水準を高めていこうと、これは安全に限らずその他労働条件一般についても親企業の指導を通じながら傘下の下請企業の労働条件全般の向上を図られるよう私どもも指導しているつもりでございます。
 なお、経営責任の、つまり全体責任のような問題になりますと、これはなかなかむずかしい問題があると思いますが、いずれにいたしましてもそういう問題については労働条件と密接に関連いたしまするので、関係各省とも、業種、業態によって違いますが、十分連絡をとりながら中小企業の労働者の保護に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。なかなかむずかしい問題ではございますが、私どもも十分問題を意識しながら行政を進めてまいりたい、かように考えております。
#83
○国務大臣(長谷川峻君) 大企業の場合には大きな組合があって、先生御承知のとおり、わりによく守られること、守るようなかっこうになっております。中小企業の場合には未組織労働者が多い、そういうことからいたしましても労働省といたしますと、従来は通産省なり中小企業庁が中小企業の育成その他にいろいろ当たっておりましたが、いまから先の労働行政としますと、労働省の立場において中小企業の労働者をそういうことにならないようにやっぱりやっていく前向きの姿勢で勉強したい、こう思っておりますこともつけ加えまして、そうしたことについてのお知恵がありました場合にはひとつぜひ御開陳のほどを、御教示のほどをお願いしたい。これは労働省としては真剣にいまから考えていく問題だと思っております。
#84
○片山甚市君 いま労働大臣から非常にうれしい決意を聞きました。私たちはやはりこの財形を取り扱うに当たって、二千四百万人を超える未組織の労働者、中小零細の百名以下のような企業に働く人々にどのような日が当たるかということについて真剣に考えるべきだ、こういう立場です。
 言うまでもなく、勤労者の財産形成を促進しようとするならば、その前提条件として、企業と労働者の間に安定した雇用関係、つまり常用の雇用関係が必要であるということは言うまでもありません。ところが、実は鉄鋼にいたしましてもそうでございますし、あるいはそれぞれ大企業に属するところ、それから最も近代的な装いを持っておりますところのいわゆるマスコミ関係、民放関係、航空産業関係、運送網など含めまして非常に下請をこしらえる。同じ仕事をしておっても五人おれば一つ会社が違うようなやり方で、そして、その中におる人間に会社別の労務管理が行われているし、そしていざとなればそこの労働組合も壊滅される。団結できない、意思疎通ができない、こういうことで非常なしわ寄せがあるということになります。こんなことがやはり雇用保険法をつくられたり、あるいは環境測定法をつくられたりした、そのことを十分生かしてもらってしてもらいたいと思うんですが、いかがでしょう。
#85
○国務大臣(長谷川峻君) 雇用保険法などによっていまから先やることはまさに先生のおっしゃるようなことでございまして、いまから先の日本においては大企業、中小企業というふうなことを余り截然と分けないで、やはり私はいまの場合、大企業の皆さん方には自分の社員はもちろんのこと、関連下請けの者を通じてひとつ離職者をなくしてもらうように、そういうことがないようにお願いをしつつ、一方においては構造的な問題についていろいろやっぱり考える時期が来ている、こう思っているわけであります。
#86
○片山甚市君 いま大臣がおっしゃいましたが、最近の大企業の合理化によって同一職場内での常用労働者と一緒に労働に従事している社外工、下請工が増大しておる。そして、これらの下請企業に働く労働者のすべてが労働時間と労働強度において常用工より劣悪な労働条件で働いており、賃金も安く、職場も危険で労働災害が多く発生するといった無権利状態に置かれていることが私たちによくわかります。そこで合理化の下で、このようなもとでこのような下請、特殊な雇用の実態について労働省は実態を調査したことがありましょうか。
 さらにこのような雇用の実態を明らかに労働省としてしてもらいたいし、またこのような労働者に対してこそ労働省は雇用を安定させ、労働福祉政策を重点的に推進させる必要があると思います。財形政策の中でこれらの労働者に対してどのような位置づけをするのか、何回も聞きましたように、それは、これからの労働省の方針にしてもらいたい、以上のことですが、いかがですか。
#87
○政府委員(東村金之助君) 臨時雇いの労働者の実態でございますが、労働力調査によりますると、昭和四十八年には約百九十万人でございます。社外工につきましては、その実態を的確に把握することはなかなかむずかしいわけでございますが、たとえばいま御指摘ございました造船業や鉄鋼業における全労働者に占める割合は、四十七年において両業種ともに約四割でございます。これらの労働者はいずれも賃金、労働時間、それから労働災害、雇用の安定性、こういう面から見ますると、いま御指摘ございましたように、一般常用の方に比較しまして恵まれない状況にあるということも言われておりますし、そういう実態もございます。私どもは、いま数字を若干挙げましたが、さらにその実態を把握し、労働条件の改善については、とにかく法の違反がないようにということが大前提でございますが、及ばずながらその向上を図っていきたいと、かように考えている次第でございます。
 なお、こういう方々に対する財形制度の活用と言いますか、加入の問題でございますが、財形制度というのは一年据え置き、三年間契約期間を続ける、それから賃金から使用者が控除するというような条件がございます。こういうことから考えますと、こういう臨時工とかあるいは社外工の方々はなかなか困難な条件にはございますが、私どもとしてはできるだけこういう方々にも利用できるように、利用しやすいように制度を考えておると同時に、さらに行政指導を強めてまいりたい、かように考えております。
#88
○片山甚市君 いま労働省がそういうようなことで努力をされると言いました。それを進められるような労働省の全体のいわゆる職員の数、体制をつくってもらわなければいかぬ。ここで幾ら演説していただいても、手足になる職員が余りおらないとやれないということが起こりますならば、大臣が適当なことを言ったことになる。有言実行してもらわなければいかぬ。言葉あり行う、不言実行でなく、言葉あり実行すると。
 さて、不安定雇用の問題でございますが、いま一つ取り上げられますのはパートタイマーの労働者のことです。昭和四十八年度の労働省の労働白書によりますと、女子労働者のうち三十歳を超える年齢層においてパートタイム労働者の比率が大きくなり、千人以上の規模の会社でも三十五歳から三十九歳でもって見ますと、昭和四十五年の九%から四十八年の一二・六%に上がっておると報告されております。実は確かに。パートタイマーの場合には片手間としてと言われる臨時的な労働者という側面もあり、労働者側の都合もございますが、問題なのは直用労働者の中でのパートタイム労働者の比率が増大している傾向が顕著であるということであります。そこで労働省にお尋ねするのですが、パートタイム労働者の雇用関係の実態、さらには労働政策としてパートタイム労働者の増大を促進しようとするのか、また、こうしたパートタイマーを財産形成政策の中でどのように取り扱うことになるのか、全労働者に占めるパートタイム労働者の割合はどうなっておりましょうか、おわかりでございましたら御答弁をお願いします。
#89
○政府委員(東村金之助君) パートタイム労働者はその性質から見ますと、ただいまも少し御指摘ございましたように、家庭の主婦が再就職をするとか、さらには学生のアルバイトの方々とか、その他短時間就業の人がおるわけでございます。この女子のパートタイムの労働者数の推移を総理府労働力調査について見ますと、昭和四十年で約百万人でございましたが、四十八年で百七十万人という数字になっております。それからパートタイムの労働者の労働条件、これは労働者の賃金構造基本統計というものによりますると、時間当たり賃金二百六十二円、一日当たり実労働時間六時間、これは四十八年六月の数字ですが、等々の統計が出ております。いずれにいたしましても、いまお話しございましたように、労働者の労働条件は、一般的に常用と言いますか、フルタイムの労働者よりもいろいろの面で問題がございます。不況の時期には雇用の性質上雇用調整を受けやすいという点もございます。しかし、パートタイム労働者といえども、雇用形態がフルタイムではないというだけでございまするので、法の保護等については一般の労働者と同様に保護せられるべき方々だと思います。そういう観点から、私どもも、先ほどの社外工などとは若干意味が違いますが、十分厳正な監督指導を行ってまいりたいと思います。なお、財形の問題についての御指摘ございましたが、先ほど社外工、臨時工について申し上げたように、財形についてはいろいろ長期間雇用を安定している方が活用しやすいという条件がございますということを申し上げましたが、パートタイマーについても、その点からまあ実体的に常用の方々と変わらないようなパートタイマーの方もあれば、そうでない方もございまして、一概には言えませんが、恒常的に勤めておられるという意味では、常用の方と同じように期間の定めのないような方もございまするので、そういう方については、やはり財形貯蓄、財形政策が活用していただけるように十分やってまいりたい、指導してまいりたい、かように考えております。
#90
○片山甚市君 時間が来ましたが、先ほど小平さんの方から母子家庭の母の雇用の促進に関する特別措置法の提案がございました。そのようなことで、実は婦人のパートタイマーというのは自分の都合だけでなくて、そういう時間にしか働けない人もたくさんおるということ、六時間だ何時間だというだけでなくて、どういうような生活をしておるのか、どんな形なのかということをわかった上でやはり行政をしていく、対応していくということが最も必要なことだと、これは涙も血もある行政だと思うんですね。そうならなきゃならぬ。ですから、私は先ほど婦人のパートタイマーの問題を言ったのは、こういうように世の中から取り残されていく者たちのこと、取り残さないぞ、この政治――政というのは大切だと思います。
 最後に意見だけというか、申しますと、財形の急増に対してはやはり企業が手がつけられないものに対して個人に転嫁するような形になる財形はやめてもらいたい。企業が当然すべき企業内の福祉や福利の問題はどんどん推し進めてもらいたい。西ドイツ等でも、もっと日本の資本家よりも、使用者よりも企業内福祉については力を出しておるんです。そういうことについて特に申し上げておきます。
 それから、実は今回の零細な人たちがお金をたくさん集めるということで、持ち家をつくれるという人たちは、むしろいまの条件の中ではまだいい方だと思います。大臣のお答えによると、鳥は巣をつくるときに自分の胸毛をむしってでも巣をつくるという衆議院でのお言葉がございました。なるほど、それほどですから、人生、人間が一生のうちに家を持つということは大変なことでございます。それをわかった上で手助けをするんですとおっしゃいました。しかし、そういうふうなことならば、先ほど言ったように、大蔵省もいろいろの都合がございますと言われましたけれども、貯蓄の目減りというようなものが起こらない体制として、インフレ政策の中、あるいはこのプレミアムの問題、それから一般の物価政策、こういうようなものについてしてもらいたい。それから特にこのことについては建設省が財形法にけちをつけないのは不思議なんです。普通は縄張りだから、こんなことをしてはだめだと言う、よほどむずかしいことをしたと思われます。建設省の人はもう取り扱いたくないものを労働省がやってくれているので、やれやれと陰で言っておるんじゃないか。ほかのことだったらおれのところの縄張りだと言ってなかなか許さない。こういう点ではやはり基本政策、基本方針をつくることを急がなければならないと思う。先ほど理念とかというものを諮問の結果、審議会からいただいたと言われたけれども、建設省との間にきちんとしたものを持たないと、大蔵省も動いてもらえない。これはやはり大臣の一番大きなお仕事のように思います。ということで、時間がございませんから……。お金をたくさん貸してもらえるということは返すということになります。いまの労働者では資本家のように売値に掛けるわけにいかない、自分の賃金から払わなければならない。一カ月に八万円、九万円という借金を返すことはできない、お金を賃してもらうことはできます。そうなりますと、政策として、公的住宅を社会的につくり上げる、社会保障の完備をしていく、そうして、その中で財産というものは健康であると。われわれは健康であることが労働者にとって、勤労者にとって最も大切なことです。そのような財産を、健康な体という財産をまず労働大臣につくってもらう、労働安全衛生を守ってもらう、そうして、低賃金といわゆる長時間労働というか、失業の中に労働者が放り込まれないように、格段の御努力を願いたいと思いますが、いかがですか、これで終わります。
#91
○国務大臣(長谷川峻君) 段々の御意見全く同感でございます。私はここに大蔵省がいるから申し上げるわけじゃありませんが、予算折衝の場合でも申し上げたのです。勤労者の月給は一番税金の対象になりやすい、捕捉しやすい。そういうことからしても、プレミアム等々はやるべきではなかろうか、まあ微力のためにとうとうその壁は破れませんでした。私はそういう認識を持っていまから先もやってまいりたい。こう不景気の場合には、勤労者、ことに弱小企業に勤めている諸君が、とかく安全の問題で、よくけがをいたします。こういうときにこそ守るべきではなかろうかということで、役所を督励さして、いろいろの面において、ひとつ労働省は勤労者の諸君の本当によき相談相手となり、あるいはまた自分たちを応援してくれるものだと、そういう信頼感を得ていくことが近代国家としての労働行政じゃなかろうかと、微力ながらそういうふうな感じでやっておりますことを御理解いただきたいと、こう思います。
#92
○片山甚市君 終わります。
#93
○委員長(村田秀三君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト