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#1
第075回国会 社会労働委員会 第12号
昭和五十年四月二十二日(火曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     山田 徹一君     柏原 ヤス君
     野坂 参三君     星野  力君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     森下  泰君     小笠 公韶君
     柄谷 道一君     中沢伊登子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         村田 秀三君
    理 事
                丸茂 重貞君
                山崎  昇君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                小川 半次君
                神田  博君
                斎藤 十朗君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                森下  泰君
                片山 甚市君
               目黒今朝次郎君
                柏原 ヤス君
                沓脱タケ子君
                星野  力君
                中沢伊登子君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理理事     枝村 要作君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  田中 正巳君
   政府委員
       厚生大臣官房長  石野 清治君
       厚生省環境衛生
       局水道環境部長  福田  勉君
       厚生省社会局長  翁 久次郎君
       厚生省児童家庭
       局長       上村  一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       行政管理庁行政
       監察局監察官   吉村 友佑君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合
 理化に関する特別措置法案(衆議院提出)
○特別児童扶養手当等の支給に関する法律等の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十一日、山田徹一君及び野坂参三君が委員を辞任され、その補欠として柏原ヤス君及び星野力君がそれぞれ選任されました。
 また本日、柄谷道一君が委員を辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(村田秀三君) 下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は御発言を願います。――別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#4
○委員長(村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(村田秀三君) 次に、特別児童扶養手当等の支給に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#7
○柏原ヤス君 児童手当についてお尋ねいたします。
 最初、厚生大臣に児童手当に対する考え方を確認しておきたいと思います。と申しますのは、私はこの児童手当について、昨年も一昨年も、内容を充実するようにということを主張してまいりました。それに対する政府の答弁は前向きでございました。そして努力をしていきたいという姿勢でございました。ところが今回の衆議院における審議状況、また、この前のこの委員会の委員に対する答弁などを聞いておりますと、児童手当に対する考え方が非常に消極的であり、いままでの政府の取り組み方より後退していると、こういうふうに感ずるわけでございますが、大臣いかがでしょうか。
#8
○国務大臣(田中正巳君) 児童手当の扱いでございますが、社会保障関係諸施策の中にもいろいろなものがございまして、今日までいろいろとこの施策の充実に努めてきたところでございますが、今年は御案内のとおり、予算一般が抑制ぎみの予算の編成傾向でございましたので、しかしこの中にあっても社会保障の充実は非常に大切なことであるという考え方からいろいろと努力をし、他施策との間には相当の開きを持って予算の計上をすることができたわけでございますが、そうした厳しい条件下にあるものでございますので、児童手当制度につきましては、従来の路線の上に貨幣価値の維持という程度にしかとどまらなかったわけであります。今後につきましては、児童手当制度のわが国におけるあり方等もいろいろと勘案をいたしまして考えていかなければならないと思っておりますが、折しも御案内のとおり、今後の日本経済は安定成長ないしは低成長ということが見込まれておるわけでございまして、したがいまして、この間にあって、社会保障政策の前進について、政策の厳しい選択ということが叫ばれている今日でございますので、こういう中にあって、児童手当制度を今後どのように持っていくかということについていろいろと綿密、また真摯な検討を続けなければならないというふうに思っているのが私の心境でございます。
#9
○柏原ヤス君 前進しているのか、後退しているのか、何か大臣のおっしゃっていることが、前回は賃金体系から云々とか、また社会保障の優先度からというような点を理由にしていろいろ御答弁がありましたので、そういう点について、いろいろ総合してみると後退しているんではないかと、こういうふうに感じたわけですが、そういう点はいかがでしょうか。
#10
○国務大臣(田中正巳君) いま先生のお述べになったようなこともわれわれが今後この制度というものを日本においてどのようにしていくかということについての判断の一つの点であることは間違いがございません。しかしそういったようなことも踏まえつつ、一体わが国の児童手当制度をどのようにしていくか、あるいは他の諸施策との間における国民のニード、あるいは政策要請等々と絡み合いまして、その位置づけ、あるいは今後の持っていき方等についていろいろと検討をいたしたいということでありまして、そればかりではございますまい。しかしそういったようなことも検討の一つの基準になるということだろうと思います。
#11
○柏原ヤス君 前の、昨年、一昨年の政府の御答弁から比べて消極的だと、こういうふうに感じておりますし、後退じゃないかと、こういう点をお聞きしたわけでございますが、決して消極的じゃないと、また後退してはいないと、こういうふうに大臣ははっきりおっしゃれますのでしょうか。
#12
○国務大臣(田中正巳君) 積極的、消極的ということですが、これは現実にやはり施策が伸びる、伸びないということの、ただ気持ちの上だけじゃこの種のものはどうにもならぬわけでございます。現実に今後施策がどういうふうに持っていかれるかということと絡み合って判断をしていただかなければならぬ。そうすると気持ちの上だけの問題ではなしに、現実に今後この種の政策がどうなるかということを見通してお話をしなければ、また食言に相なるわけでございます。そうすれば御案内のとおり、従来、おととしあるいは去年等々におけるわが国の経済情勢、まあ、いろいろ御批判がありましたが、高度経済成長、そうして財源も多く見込めるというふうな時代において判断をした当時のことと、厳しい経済情勢下にある今日とは、やはりその間にあって現実の先を見通した答弁というものは、やはりある程度慎重にならざるを得ないということではなかろうかと思うのであります。
#13
○柏原ヤス君 現状維持であるということは少しも前進していないと、それじゃ全部ほかの社会保障制度が現状維持かというと、老人対策とか身障児・者の対策というものは、そういう安定政策、そうした厳しい中でも非常に前進しているわけですね。その社会保障制度の中で、ほかの方は厳しい中ででも前進しておりますよ。ところが児童手当は実質的には前進しておりません。だから私は、ほかが前進している、だから後退じゃないかと、しかもこの児童手当というのは社会保障全体から見て、いままで一番おくれていたわけです。一番おくれていたものをまたおくらせると、それじゃ後退じゃないかと、それじゃ非常に私は消極的だと、こういうふうに言わざるを得ないわけですね。それは大臣が、厳しい安定成長の中で、低成長の中で社会保障というものをやっていくということは非常に大変だと、大変だと言ったって社会保障の中では前進しているものもあるわけです。どうして児童手当だけ現状維持なのか。くどいようですけれども、その児童手当が最もおくれて発足したんですから、飛躍的にこれを前進させてすら、まあまあというところになるわけですよね。児童手当に対しては何にもやっていないわけです。いかがでしょうか。
#14
○政府委員(上村一君) 先ほど来お話が出ておりますように、ほかの、より緊要性があるものに、厳しい財源の制約のもとで、考えざるを得ないということになった関係もございまして、児童手当の方は何と申しますか、実質的な価値を維持するという程度にとどまったわけでございまして、ほかの制度も伸びておるから児童手当も同じ歩調で伸ばすかどうかというのは一つの政策的な判断になるかと思いますけれども、より緊要性のある分野というのが老人の問題、あるいは心身障害児の問題等にあったということもございますので、そちらに重点を振り向けた結果、相対的に何と申しますか、進み方がにぶいというふうな結果になったものだというふうに御理解いただきたいと思います。
#15
○柏原ヤス君 そこが私は問題だと思うのですよ。老人の問題あるいは身障者の問題、これは社会保障の中でも所得政策ですね、しかも所得の、最低生活の保障にとどまっている現状でしょう。私は、それと児童手当というものを同じレベルで、同じものだと考えていくことは大変な間違いだと思うんですね。この児童手当は、老人や身障者に対する所得政策とはまた違った角度があるわけです。角度というか、目的にはっきりうたわれているわけです。所得政策じゃないんですね、児童手当というのは。国連の児童権利宣言とか、日本でも児童憲章、こうしたようなものが堂々と掲げられている。だから、社会保障プラスアルファで、むしろ先進国だと。それこそ福祉というものを政府がこれほどうたい上げているならば、児童手当こそ私はこのアルファのところをもっと強調していくべきだと思うんです。そこへ力を入れていくべきだと思うんです。そういう点いかがなんでしょうか。やっぱり児童手当というものは所得政策程度の考え方でいっているのか、むしろ私は健全育成というところに重きを置いて考えていくのが正しいと思っております。
#16
○国務大臣(田中正巳君) 児童手当は健全育成の目的を持っていることはこれは申すまでもないことでございます。したがいまして、この政策が私は必要がないなどということは考えておらないわけでございまして、できればもっと進めていくことも必要であろうというふうに思いますが、しかし、他諸施策との間におけるニードの点につきましていろいろ判断をいたす場合、若干の先生の取り上げ方と私どもの取り上げ方との間には意見の食い違いがあるように私は思います。これは、この点は私は否定をいたしません。しかし、これが要らない制度であったり、むだな制度だとは思っておりません。しかし、限られた財源の中でもってどういうものをそれじゃ先にやらにゃならぬかということになると、いま先生のお述べになったような政策というものが急ぐのではなかろうかという判断のもとに、私どもとしてはその方面について財源を割いたというのが現実の姿であり、今後またそういったような厳しい条件下にあって、どういうふうに持っていくかということについてはいろいろとしさいな検討をしなきゃならぬと、こういうことを申しているわけであります。
#17
○柏原ヤス君 ニードの問題ということをおっしゃいましたけれど、それはどういうふうなお考えなんでしょうか。
#18
○国務大臣(田中正巳君) ニードと申しますれば、国民のこの時代の社会保障に対する緊要度と申しますか、求める切実な声というものを、あるいはそれがどの程度一体国民にとって急がなければならないか、あるいはぎりぎりであろうかというようなことをいろいろ考えてみるときに、私どもとしては、まあ、いまおっしゃるような、設例されたようなものについて、私は率直に言うてその方はやっぱり少しでも先にやらにゃならぬものだろうというふうに判断をいたしておるというのが私どもの考え方であります。
#19
○柏原ヤス君 何と比べておっしゃっているんでしょう。
#20
○国務大臣(田中正巳君) まあ、児童手当以外の諸施策、なかんずく生保、身障、母子あるいは老人といったようなものについていろいろと切実なお声があり、いま御審議願っている、たとえば介護に欠けるような寝たきりの方々などというものと比較いたしまして、やはりそういったような方々はもういま待っておられぬじゃないかという気持ちがあるものですから、これについてもいろいろ御批判がございますが、そうした方面についてはこれは急がにゃならぬかなと、こう思いまして、まあ児童手当についても、これは結構でございますが、ちょっとがまんしていただけないだろうかと、まあ平たく言うとそういう気持ちで私どもはこういうふうな施策にとどまったというのが私どもの心の中にある偽らざる心境だというふうに申し上げたいと思います。
#21
○柏原ヤス君 それでは最初の問題に戻りますけれども、児童手当に対する政府の考え方は後退していると、こういうことはないということですね。
#22
○国務大臣(田中正巳君) 後退してる、前進してるということでございますが、気持ちの上では私どもは後退をしてるものとは思っておりません。ただ、現実の面において、施策が積み上げられ、あるいは条件が緩和され、金額がふえるというかっこうになると現実において前進したと、こう見るか、そういう尺度で見るならばあるいはそういうおしかりは出るだろうと思いますが、心理的に、心の中では私どもは決して従来の路線をダウンさせてるという考え方はとらないというふうに申し上げて結構だろうと思います。
#23
○柏原ヤス君 先日の他の委員の方の御質問にお答えになった大臣の御答弁を、私は大変不満に思ってるわけなんですね。賃金体系から云々というふうにおっしゃっていますが、私は、そうした日本の特殊な条件、賃金体系の上でですね、年功序列の賃金体系だとか家族手当支給があるとか、だから、そういう点から見れば外国の制度をそのまま日本に受け入れてそれをやっていくということについては、もう最初っから疑問を持ってたというような大臣の御答弁があったわけです。私は本当におかしいことを言う大臣だなあと思ったわけなんですね。非常にそういう社会保障の問題御熱心でもあり、特に児童手当についてはまあベテラン――実現に対する役割りというものは非常に花形になってやったと大臣おっしゃっている、そういう積極的な大臣が、何だか十年前に検討された、そしてもうそれに対しては、むしろ児童手当はこうしたわが国の賃金体系、そういうものの上からはむしろ必要だと、こういうことで出発したにもかかわらず、いまさら何をそんなことを言い出したのかなあと、まあ非常に大臣がおっしゃっただけに――積極的だと期待される大臣がおっしゃっただけに、非常に私も頭に来たって言えば頭に来て、そんな言い方はもう取り消していただきたいというぐらいに思ってるわけなんです。
#24
○国務大臣(田中正巳君) 別に取り消すということではないと思いますが、そういう客観情勢が日本になければ私はやはりこの種の政策というものは厳しい財源下にあってもさらにひとつ無理をしなきゃならぬかったかなあと。まあ厳しい条件下にあるものですし、そういう日本における独特な事情もあるものですから、これはひとつがまん――こういうときには多少がまんしてもらわにゃならぬかなあという判断のバックグランドにそういうものがあったんだというふうに御理解願いたいと思います。
#25
○柏原ヤス君 ですから、その賃金体系云々で何だか必要性がないと――必要性がないとはおっしゃらないけど、必要の順位というものはずっと後だと、まあ児童手当が必要ないというような感じに受け取られるような御発言だったわけです。そうじゃないということを私ここで確認して、大臣からそうおっしゃっていただければすっきりするわけなんです。
#26
○国務大臣(田中正巳君) 必要がないと思いますれば決してこの苦しい財源下でやはり現価を維持するために千円、二二%のアップというようなこともやらなかったと思いますが、やはりこの政策には必要があると思いましたものですから、いろいろと苦労をいたしまして、まあ二二%のアップをいたして、少なくとも現価をデバリュエートするようなことはしないようにいたしたいというふうに思っていたところで御理解を賜りたいというふうに思います。
#27
○柏原ヤス君 そこで、まあ現状はそういうふうに苦しい中でできるだけのことをやったと、決して後退でもなければ消極的でもないというふうに認識をいたします。それで、じゃこれからはどうなのか、むしろ今度の児童手当に対する政府の態度はこれからのことを示すべきなんですね。児童手当が出発したときも一応法律で示されている段階的な充実、完全実施をしたと、しかし、これも財源の上から早期に実現した方がいいから、不完全ながらも内容の点では検討する必要があるけれども、とにかく実施すると、実施して完全実施した時点で考えると、こういうふうに最初から言われているわけです。そうして政府のそれからの毎年お答えになっている御答弁も、そういう完全実施したら、完全実施したらといってまあ私たちを引っ張ってきたというか、ごまかしてきたというか、完全実施してから、完全実施してからといって何にもおっしゃらないできたわけなんですよ。完全実施してから、じゃどうするのかと、それまでにいろいろ検討します、検討しますとおっしゃっていながら何にも検討もされてないわけです。しかも、児童手当の問題点というのは、もう決まっているわけですね。第三子を次はどう拡大するのか、第二子に拡大するのかどうなのか、所得制限というものをどういうふうに緩和するのか、どういうふうに撤廃までに持っていくのか、まあ、いろいろな問題があるわけですね。児童手当の額についてだって千円、千円と、つかみ金みたいにただふやしていけばいいというんじゃないと思います。児童手当の額というものはどのぐらいが適当なのかというようなことをやっぱり示さなければならない、そういうときがきているのに何一言それについてはおっしゃってないわけですよ。そういう点はいかがなもんでしょう。
#28
○国務大臣(田中正巳君) 決して検討をしておらないわけではございません。先般も政府委員から答弁をいたしましたように、第三子を第二子に上げるならば、財源が幾ら要るであろうかという御答弁を申し上げている点等から御勘案いただきたいというふうに思います。検討はいたしております。しかし、これについて五十一年度予算でどのような一体施策を進めるかということは、これは今日まだ、五十一年度の予算要求について省内で検討をまだいたしておらない段階でございますし、また財政状況についてもかなりの大きな変化が最近出ているということは、もう御案内のとおりであります。まあ一時的な現象か今後さらにこの状況が、傾向が続くかどうかわかりませんが、すでに今年度の歳入欠陥についても、税収の歳入欠陥についても云々されている時期でもございますので、そうした経済動向ともにらみ合わせてこの種の施策一般をどのように持っていくかということについては、今後さらにひとつわれわれとしては考えていかなければなりませんので、したがって、大変残念でございますが、この段階でどの点をどうするということを申し上げるところまでは来ておらないし、また、ただいま申し上げるのは適当ではないというふうに申し上げざるを得ないということだろうと思います。
#29
○柏原ヤス君 それでは余り期待されないということを感ずるわけでございますが、毎回こんな状態だったら私はまずいと思うんですね。そこで、やはり社会保障というものに対する体系というか、展望というものができなければならないと思うんです。そして、その社会保障という中で児童手当というものはどの辺に位置づけるものか、こういうようなお考えはおありなんでしょうか。
#30
○国務大臣(田中正巳君) これは別途本会議あるいは当委員会等でも、予算委員会等でも御説明を申し上げておりますが、わが国の社会保障が計画性を持たないということについての厳しい御批判がございましたので、したがいまして、ただいま省内におきまして私の諮問機関である長期懇等とも相談をいたしまして、別途政府は五十一年から経済に関する新基本計画とかいうのを策定いたすそうでございますので、それとのにらみ合いにおいて、私どもはできれば五十一年から発足をするような社会保障に関する長期計画を策定をいたしたいというふうに思っておりますので、その中において、もちろん児童手当の今後のあり方についても検討さるべきものであろうというふうに思っております。
#31
○柏原ヤス君 この中央児童福祉審議会というところから児童手当の答申が出ております。この児童手当について、将来はこういうふうに検討しなさいということを言っております。特に二子拡大、これを具体的に取り上げているように思うんですが、これについてどういうふうにお考えでしょうか。
#32
○政府委員(上村一君) 昨年の十一月に中央児童福祉審議会から、今後の児童福祉対策をどう進めるかという非常に包括的な答申をいただいたわけでございます。児童手当につきましては、当然の問題として二子の問題というのが議論されることになったわけでございますが、この審議会の答申にもございますように、支給対象の範囲を二子まで拡大することについては、あらかじめ支給金額なり財源負担、それからその関連する諸制度としていろいろあるわけでございますし、同時に、民間企業の家族給との調整等も十分行われることが必要であるというふうな御指摘をいただきまして、いろいろ検討すべき事柄が多いわけでございます。そこで、この答申は二子の拡大という問題提起はあったわけでございますが、直ちに二子拡大にまで踏み切れとまではおっしゃっておるわけでもございませんので、こういった答申の意向を踏まえながら私どもとしてはいろいろな問題点を詰めてまいりたいというふうに考えております。
#33
○柏原ヤス君 それはいつごろまでに検討されるんでしょう。
#34
○政府委員(上村一君) 関連する問題が非常に多うございますから、いつまでとまでは決めかねるのが現在の段階でございます。
#35
○柏原ヤス君 さっき大臣のお言葉で、五十一年度から社会保障というものについての体系を検討するというお話でございますね。それに並行してもちろん児童手当というものの内容の検討はされなければならないと思いますね。むしろ、それよりも早く検討しておかなければ、そうした社会保障の展望の中にどこに置くべきかということもはっきりしないんじゃないんでしょうか。ですから、いつというようなことがいかにも漠然として、しかも、これはずいぶん前に出されているわけでしょう。この答申は四十七年の十月二十七日に諮問されているわけです。それで、答えが四十九年に出ているわけですね。その中をさらに検討するというんですから、一体昭和四十七年のをさらにまた検討するのに、何か漠然として、いつまでにするということもはっきり言えないというのはやっぱり消極的じゃないかと、こう思いますけれども。
#36
○政府委員(上村一君) 昭和四十七年に今後の児童福祉対策をどう進めるかについて諮問いたしましたのは、ちょうど四十七年という年が児童福祉法が施行になりましてから二十五年、四分の一世紀たった時点でございます。そこで児童福祉全般について基本的な考え方をどういうふうにすればいいかという趣旨で御諮問申し上げた項目でございまして、検討されました範囲は御案内のように非常に広うございます。その中の一つの部門として児童手当が取り上げられておるということでございますので、われわれとしてはこの答申を受けて検討すべき事項は非常に広範囲にわたっております。そこで、児童手当についてどうするかということは検討すると申し上げましたけれども、それがいつまでというふうな時期を画することにつきましてはいまの段階では容易ではないというふうにお答え申し上げたわけでございます。
#37
○柏原ヤス君 この答申はそんな遠い将来に検討しなさいということじゃなくて、もっと早くやりなさいというふうにとるべきじゃないんですか、これは。何か漠然として、検討するというお言葉は、それはいつでもそういうふうにおっしゃるんですけれども、検討してないから、だからいつまでですかというふうにお聞きするんです。大体いつごろまでにはというぐらいのことは言えないんですか。
#38
○政府委員(上村一君) 答申にもございますように、児童手当を少し掘り下げて検討します場合には、関連する諸制度なり家族給の調整、さらには被用者でない者のうち一定限度の所得を持っている者についての本人拠出等非常にむずかしい問題が提起されておるわけでございますので、そう簡単な事柄ではないというふうに申し上げたわけでございます。
#39
○柏原ヤス君 むずかしい問題というと、それは一番むずかしい問題は何なんですか。
#40
○政府委員(上村一君) 何と申しますか、一つは制度的な問題と、一つは先ほど来大臣からお答え申し上げておりますように、政策の中における財源配分、両方あると思うわけでございますが、児童福祉だけの視野に着目をして検討いたしますと、むずかしい問題というものは、率直に申し上げまして、いろんな制度との調整なりあるいは本人拠出等の問題、こういった問題というのはそう簡単な事柄ではないというふうに思います。
#41
○柏原ヤス君 四十七年の諮問に四十九年に答えが出たと。その中に、児童手当についてはこういうところとこういうところと、こういうところが問題なんだと、それを検討しなさいと、こういうふうになってるわけですね。答申を得なくてもすでに政府としても問題の児童手当というものに対してはその都度その都度お考えにはなっていると思うんですね。ですけれども、そういう点が何だか漠然としておりますよ、いまお聞きした範囲で。それはいままでは漠然としていたとしても、今後社会保障の展望と計画というものができると大臣おっしゃってるわけでしょう。五十一年からそれに向かっていくと。そういう中で、それじゃ児童手当の位置づけというのはどこへどういうふうに考えるのか。その位置づけをする前に児童手当の問題点というものはきちっと検討されておかなければ位置づけだってできないと思うんですよね。結局位置づけしてもやっぱり現状維持程度の、それより少しはよくなるかもしれませんけれども、そんな程度で、優先順位ではずっと後だとか、困難な問題があるからこれはさらに検討だとかと言って、また検討検討の連続でいくんじゃないか、そういうふうに思うわけでございます。
#42
○政府委員(上村一君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、省としても社会保障の長期的な計画に取り組んでおるわけでございます。その中で社会保障の一つの柱として児童手当をどう位置づけるかということが考えられなければならないことは当然だと思うわけでございますが、いまの段階でそういったことについて具体的な考え方がまだ固まっておらないということを申し上げておるわけでございます。
#43
○柏原ヤス君 押し問答のようなことで非常に私は不満でございますが、飛曜的にこれは充実させなきゃならないと、おくれている制度なんだということをよくもう少しお考えになって考えていただきたい、やっていただきたい。また、問題点は決まっているんですからその問題点を今後どうするかということを一つでもいいからもう少し積極的な検討がされていいんじゃないか。その中でも問題はやはり第二子拡大がやっぱり問題だと思うんですね。それで私もこの第二子拡大については金額は第一子と同じじゃなくてもいい、少なくてもいいから第二子に拡大する、そういう意思があるかどうかとお聞きしたら検討しますと言われた。検討されていないわけですよね、結論的には。それでは一歩譲って第二子、金額も少なくてもいい、しかもまた段階的に第二子の拡大を金額も少なくし、そして実施も段階的に拡大していってもいいんじゃないか。そういうようにも考えますけれども、そういうお考えはありますか、おありなんですか。
#44
○国務大臣(田中正巳君) 先生の御質問に対して、児童手当制度はこれを第二子制度を含めて金額も飛躍的に拡大いたしますと言うと御満足になるだろうと思いますが、私がいまここでさようなことを申し上げるわけにはいかないということであります。なぜかなれば、もうさっきからるる申し上げているとおり、今後日本の社会保障財源というものはどの程度見込まれるか、そして児童手当だけについてごらんになればいろいろ問題がありますが、他の広い社会保障政策の中でもって一体こういう財源の中にどういうふうに配分していったらいいだろうかといったような広い視野で検討しなきゃなりませんから、したがっていまここで、この段階で社会保障についての財源、そしてまた経済の今後の推移等々が明らかでない今日、これについて具体的なことを申し上げることは早計だと、かえって無責任だとさえ私は思うわけでございますので、したがいまして、さっき言うとおり、私は児童手当制度というのは決して不必要な政策であるとかむだな政策であるなどということを申し上げているわけではございません。したがって、そういったような気持ちを踏まえながら、今後具体的な問題点についてはこれだけのものですから、大体見当ついているわけですから、これをどのようにして扱っていくかということについては今後そういったような広い視野で財源論と他の政策との関連において見て決めていきたいということでございますので、ただいまのところはこの程度の答弁でひとつ御満足をいただかなければ私に無理を強いるというものではなかろうかと思うわけであります。
#45
○柏原ヤス君 それでは、くどいようですけれども、問題点はわかっているわけです。だからその問題点を少しでも検討すると、こういうふうに検討したと、将来は展望の上でこういうふうにしていくということは示していただけるわけですね。
#46
○国務大臣(田中正巳君) どこまで具体的にこれを示すことができるかどうか、いまにわかに申し上げる段階ではございませんが、社会保障の長期計画の中にこれだけ大きな社会保障の柱でありまする児童手当制度、これについての全く展望を欠くというようなことは私は長期計画としては成り立たないと思いますから、その面ではある程度のコメントが出てくるだろうというふうに思って差し支えなかろうというふうに思います。
#47
○柏原ヤス君 昨年、一昨年、毎年この児童手当についての御質問をして、それに対して前向きの御答弁をいただき、検討する、検討するできているわけなんです。私がお聞きした範囲だけでも結構なんですが、支給対象の範囲をどうするか。これについては、検討したい、それから内容について飛躍的な発展をするような方法で努力したい、こういう御答弁があったわけなんですね。それで、検討したいとこういう国会の席上で、委員会ではっきり大臣がお答えになったんですから、じゃどういう検討をしたのか。検討したことだけでもちょっとお聞きしたいんですけれどもね。
#48
○政府委員(上村一君) 非常にむずかしい御質問でございまして、われわれの五十年度に対する態度としましては、法案でお示ししましたように、物価の上昇に応じて金額を引き上げるということが当面の結論であるわけでございます。
#49
○柏原ヤス君 第三子を第二子という、私が提案をいたしましたそれを十分参考にしてとおっしゃっているんですけれども、それも今後の検討の中に参考として取り上げていただけるんでしょうか。
#50
○政府委員(上村一君) 今後の児童手当の問題を考えます場合に、いま御指摘になったような事柄というのは当然検討の課題になるわけであると思います。
 そこで、先ほど来も御答弁申し上げておりますように、金額で計算してみますと、現行の四倍もかかるというふうなことを申し上げたのも、試算をしてみたことはあるという一つの検討の経過であるというふうにお考えいただきたいと思います。
#51
○柏原ヤス君 時間がございませんので、児童扶養手当について一つお聞きしたいんですが、これは障害がなければ義務教育終了の十五歳で打ち切られてしまう。これについても、十五歳ということはおかしいじゃないか。十八歳――児童という、児童扶養手当と、児童というんだから十八歳にしてもいいんじゃないか、こういうふうにお聞きしたんですが、そのときに、検討したいという御答弁だったんです。その後検討していただいたんでしょうか。それで、どういう結論になったんでしょうか。
#52
○政府委員(上村一君) 現在の児童扶養手当は、いまお話しになりましたように、子供の年齢が義務教育終了までというふうなことになっておりますのは、一般的には義務教育の終了によって稼働年齢に達するというふうに考えられますことと、それからこの制度が全額国庫負担で運用されておるということでございまして、法制定当時、義務教育を終了した児童まで、それ以上の子供まで支給対象にする必要はないというふうに考えられたからであるというふうに私考えておるわけでございます。そして、この児童扶養手当と申しますのは、主として夫と生き別れをした子供を抱えたお母さんを対象にするものでございますから、夫と死別したお母さんを対象にしております無拠出の母子福祉年金とうらはらをなすものでございます。現在子供が相当数高校に進学しておるという事情を考えますと、この母子福祉年金との絡みを考えながら私ども今後の問題としてはさらに引き続いて検討していく腹づもりでおるわけでございます。
#53
○柏原ヤス君 その検討も前向きにやっていただきたいと思うんですね。この前も検討、また検討ですから、もう少し前向きに検討すると。これは当然母子福祉年金と考え合わせなきゃならない、しかし、母子福祉年金だって、範囲――その母子福祉年金を受けている数というのはそんなに多くないんじゃないかと思うんですね。ですから、母子福祉年金でも私はやっぱり十五歳で打ち切りということを十八歳にしていいんじゃないかと。福祉だから、福祉がつくかつかないかで十五歳、こっちは十八歳、そういう区別を子供に対してつけないでやっていただきたいと、こういうふうに思うわけですね。大体救貧対策で、金のない者は学校なんかへ行かなくたっていいと、義務教育終わったら働けと言わぬばかりの感じがするわけです。
#54
○政府委員(上村一君) いまお話しの中で、母子福祉年金の方は十八歳というふうなお話があったように思うわけでございますが……
#55
○柏原ヤス君 十五歳でしょう。
#56
○政府委員(上村一君) どちらも、母子福祉年金も児童扶養手当もその子供が義務教育を終了するまでというふうな……
#57
○柏原ヤス君 ですから、それを両方とも十八歳にすればいいじゃないですかと。
#58
○国務大臣(田中正巳君) この問題は前の話とはちょっと性格が、私どもの取り組み方も率直なところ違うんでありまして、こういう制度ですから、制度発足時にはやはり義務教育終了までというふうに決めてかかったわけですが、現在の高校就学率等を考えてみると、私どもはそろそろこれはやはり十八歳まで支給していただきたいものだという気持ちを実は持っているわけでありまして、先生いまわれわれに御要求になった前向きというのは、かなり前向きで実は私どもも取り組んでいるわけであります。その証拠に、先生御案内のとおり、こいつは予算要求しておったわけでございますが、どうも他の施策との関連においてこれは実現を見なかったという、まあ率直なところそういう経緯がございますので、したがって、われわれの態度にはかなり積極性があるということを御認識願いたいんですが、結論において、だめだったのはおまえらが努力が足りなかったからだというふうにおしかりをこうむればその点はまあ確かにそういうふうに言われても仕方がありませんが、私どもの気持ちとしてはそういうところまで来ていると。今後これについては財政状況もにらまにゃなりませんし、社会情勢もにらまにゃなりませんが、私どもはいまこういった予算要求をいたしておるというところをごらんになって、今後ひとつまたわれわれとしてはこの態度は後退をさせないというふうな方向で努力を重ねていきたいものだというふうに思っているわけであります。
#59
○柏原ヤス君 まあ、こういう問題をお聞きすれば最後は財源だと、予算だということで話が終わってしまうわけです。それは私たちも知っているわけですね。その中で少しでも積極的にやってもらいたいという立場で御質問しているわけなんです。ぜひそういう点も――局長のさっきの答弁では、ただ検討します、いかにも弱腰に思います。そしたらいま大臣が、それはいろいろ検討もしたんだと、しかしそれが実現できなかったと、大いにがんばりますということでございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
    ―――――――――――――
#60
○委員長(村田秀三君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、森下泰君が委員を辞任され、その補欠として小笠公韶君が選任されました。
    ―――――――――――――
#61
○沓脱タケ子君 すでにいまも柏原委員並びに前回の審議で、質疑でいろいろ問題になっておりますように、児童手当及び児童扶養手当、特別児童扶養手当の一層の増額、それから内容の改善等についてはこれはもう当然のことだと思うわけです。それから特に私は、やはり児童手当制度はいまもずいぶん厳しく御質疑がありましたけれども、ILO条約百二号条約の基本的な事項の一つであるという点でこれはやはり積極的に早くその水準に達するというところまで努力をされるということ等、問題点もう御指摘が従来あったとおりだと思います。私どももそういった点繰り返すことを避けたいと思いますので、その点については特別に触れませんけれども、その点についての一層の努力ということをぜひ進めていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
 で、特別児童扶養手当に関連をしまして、特にきょうは私、障害児保育の問題についてお聞きをしておきたいと思うわけです。特別児童扶養手当の充実というのが非常に要望が大きくなってきているわけですけれども、特に障害児の保育の問題というのがやはり一つの課題になってきておるという点でお聞きをしていきたいと思うわけです。四十八年十一月の中央児童福祉審議会の中間答申、非常に重要な提起がなされております。これではこういうふうに指摘をされているのですね。「障害の種類と程度によっては障害児を一般の児童から隔絶することなく社会の一員として、むしろ一般の児童とともに保育することによって障害児自身の発達が促進される面が多く、また、一般の児童も障害児と接触するなかで、障害児に対する理解を深めることによって人間として成長する可能性が増し、そのことがまた福祉の理念の涵養にも資する面が多いことが、いくつかの実践例で示されている。」まあ、いろいろ述べられておるわけですが、総括的に、「このようにみてくると、障害児保育は対象とすべき児童、実施場所と実施主体、設備、職員、保育方法、入所児童の判別と措置決定等その具体的方策について十分検討し、そのための経費の助成を行う必要がある。」というふうな指摘がなされているわけでございます。
 これを受けて、厚生省では、昭和四十九年度は二十カ所、五十年度では三十カ所をテストケースとして障害児保育を実施してきているようですけれども、今後の対策をどういうふうに進めていくのか、その点まず最初にお聞きをしておきたい。
#62
○政府委員(上村一君) 障害児の問題につきましては、最近特に在宅対策というのが強調されておるわけでございます。同時に、できるだけ早い機会に発見をして早い機会に療育をするということでございますから、一般的にはいろいろな通所施設の整備を図っておるわけでございます。
 そこで、その中で、それほど程度の重くない、軽い障害の子供については、いま御指摘になりましたように、一般の子供と一緒に指導すれば非常にプラスになるということであるわけでございますが、そこで四十九年度からスタートさせ、そして五十年度も引き続きそれを拡充する方向で取り組んでおるわけでございますが、いまのお話の中にもございましたように、国の施策としては初めて試験的にやるものでございますので、今後障害児保育をどういう形で進めていくかということは、四十九年度、五十年度の経験を踏まえまして考えてまいりたい。いま直ちにもくろみがあるというところまではいっておりませんが、これからの経験を踏まえてどう持っていくか努力してまいりたいということでございます。
#63
○沓脱タケ子君 四十九年、五十年の経験に徴してと、こういうことなんですけれども、すでに障害児保育というのは実施をされているわけですよね。そしてりっぱな実践記録あるいは報告書というふうなのも出ておりますね。こういう実践記録によりますと、私もこれは感激をして実践記録を拝見したんですけれども「保育の友」というのに出ております実践記録が、こういうふうに述べられているのですね。これは一年間苦労して障害児保育をやってこられた保母さんの体験記録ですけれども、こういうふうに言われております。「叱られるとその反動を障害児に向け、必要以上に可愛いがり担任の関心を引こうとする傾向も現われ、当初は困難な問題があり、その都度、子ども達と一緒に解決していく。しかし、このような問題は、月日と共に解消され、Y君、M子さんを上手に囲み、子ども達同志で作り上げ、担任の介入する余地はない。その姿は、防火訓練の際に、担当が手をかけるより先に、他児が両手をもって避難する後姿にもうかがわれる。障害児保育に対する専門的な知識の修得もない私には、〃夢中でした〃の一言です。Y君、M子さんが成長というより、私自身が成長したことです。自然な態度で接することが、どれほど大切であるかを実践の中で知りました。」で、「障害児保育は、熱意、根気は条件であるが、人的、医療的にも保障されなければ困難です。」というふうな実践記録がごく一部でございますけれども述べられているわけです。審議会の答申でも意義のある報告がされておりますが、経過を見ながら進めていくというんですけれども、すでに結果の報告はいろいろ出ているわけですね。いま、私一例を申し上げましたけれども、さらに私ども考えましても、一層研究を深めていかなければならない問題ということはよくわかるのですが、こういういままでの報告、これを参考にしていく必要があると思うわけです。
 そこで、具体問題についてお伺いしたいんですけれども、「障害児保育事業実施要綱」というのが出ていますね、それの目的、これは厚生省児童家庭局長名で出ておるわけでございますけれども、第一目的、なんです。「障害児保育事業は、保育に欠ける、程度の軽い心身障害を有する幼児(以下「障害児」という。)を保育所に入所させ、一般の幼児とともに集団保育をすることにより、健全な社会性の成長発達を促進するなど、障害児に対する適切な指導を実施することによって、当該障害児の福祉の増進を図ることを目的とする。」と、こういうふうに述べられておるわけでございます。これは、それで結構だと思うのですけれども、ここで実施上配慮しなければならない問題が出てくるのではないかというふうに思うわけです。この目的にも書かれておりますように、「保育に欠ける」というふうに述べられておる点なんです。従来保育に欠けるという基準、これはありますね。保育所入所に関する保育に欠けるという基準がありますね。今日では非常に保育についての要求というものは多様化してきておりますから、この基準全体を見直す必要があるんではないかというふうに思うのです。これはさておきまして、障害児保育という問題については問題があるんじゃないかと思うのは、保育に欠けるというふうなことで、従来の保育所入所基準の保育に欠ける内容というのは幾つか規定されているわけですね。ところが、障害児を養育していくという場合には、これは必ずしもこれに該当しないという場合がしばしば出てくるわけです。障害児があるために母親が働きに行きたくても行けない。その場合に保育に欠けるという、母親がめんどう見ているんだから保育に欠けるということにならない。だから、適用されないということになってまいりますと、これは大変なことなんで、この運用について弾力的な適用、これが必要ではないか。そういう点について、市町村にはどういうふうに指導しているのか。これは、私は弾力的に指導しないと大変なことになるなと思うんですよ。というのは、保育所入所の措置基準で、保育に欠けるという項目が七項目挙げられていますね。その(一)は居宅外労働、(二)が居宅内労働、(三)が母親のいない家庭、(四)が母親の出産、(五)が疾病の看護、(六)が家庭の災害、(七)が特例による場合、というふうなことが示されている。そうしますと、障害児を持っているために母親が居宅外へ仕事に行きたくてもいけない。子供のめんどうを見ているという実例というのはしばしばあるわけです。しばしばって、大部分がそうですね。そうしたら、保育所へ入所させてほしいという場合、させるという場合、保育に欠けるということで機械的にやりますと該当しなくなる。その点はどういうことなんでしょうか。弾力的な運用というふうな点について、市町村には御指導になっておられるんでしょうか。
#64
○政府委員(上村一君) いま御指摘の問題は、一つの検討に値する私は問題だと思うわけでございますが、障害児保育をなぜやるかという点、これは二つの根拠があるわけでございます。一つの根拠と申しますのは、保育所というのは、元来保育に欠ける子供をお預りをして保育をする施設である。しかしながら障害を持った子供についてはなかなか預かってくれないから、したがってお母さん方も働けないというふうな場合に、やはり預かれるような体制をとるべきじゃないかと。つまり、障害児であるが保育に欠けるので保育所で預かる必要があるという面が一つでございます。これは保育所本来の機能からくる問題点だろうと思います。
 それからもう一つの問題は、中央児童福祉審議会の中間答申にもございましたように、そういった軽い障害の子供についても、ケースによっては一般の、まあ健常児と申しますとなんでございますけれども、健常児と一緒に保育することによって、その子供の障害もよくなり、それからその子供と一緒に保育される子供の障害者に対する心の持ち方も変わってくると、まあ二つの面があるわけでございますが、そういった面を絡み合わせて保育に欠ける障害児を預かると同時に、そういった子供が保育所の中で同時に療育的な効果を果たしていく、それがやはり目下のところではそんなに重い子供――やはり軽度の子供に限らざるを得ないと思いますけれども、そういったやり方で進あてまいりますので、その点は相当弾力的に考えられるんじゃないかというふうに思います。ただ、第二の目的である子供の療育という点に着目いたしますと、本来の療育の機能としては、自宅から通える各種の通園施設というものをより整備していく必要があるんじゃないか。療育に着目すればそちらの方がよりウエートが高いというふうに思います。
#65
○沓脱タケ子君 それで、二つの側面を持っておるということであれば、障害児の保育所への入所希望の場合、弾力的な運用というのをこれは市町村にちゃんと厚生省が指導しなかったら、そういう運用はうまくいきますか。その点どうなっているんですか。私は、この点は指導上徹底をしなければならないのではないかと思うんです。希望はたくさんありますわ、障害児の保育所に入れてほしいという希望者は。しかし、保育に欠けるという、これで機械的にやられたんでは、市町村がもしそれでやったんでは、これは入れてもらえなくなるんですね。その点徹底をする必要があると思うんですが、どうでしょう。
#66
○政府委員(上村一君) やはり保育に欠けるという子供を預かるのが保育所でございます。ただ、その保育に欠ける状況について、現在そうなのか、働きに行ったら保育に欠けることになるのか。これは乳児の場合でも同じような問題がございまして、乳児を預かってくれるところがないからお母さんが働きに行けないで家にいると。しかしながら、乳児を預かってくれることになれば、働きに行けるというふうなことになれば、それはやはり保育に欠けるというふうな言葉の意味を弾力的に運用することによって保育所に入所の措置が可能であるというふうに考えております。
#67
○沓脱タケ子君 いや、問題は、これはそうあんまりぎゅうぎゅう言いたくないんですがね。子供を預かってもらったら働きに行きたいんですと、行けるんですと、こういう状況ではいまなかなか入れないんです。実際には、働きに行っているという状況でなければなかなかその保育に欠けるという認定にならないというふうなのが末端では実情なんです。したがって、障害児を抱えておるお母さんは、これは無理してほうっておいてとてもじゃないが仕事には行けないんです。その場合に、特に私が指摘をしているのは、こういった場合に、しゃくし定規に通知だけで、保育に欠けるという点だけで指導をされているというんであれば、これはなかなかお進めになっていく場合に、保育に欠けるということでは該当しないということで、入所さえさせてもらえないということになりますから、その点、障害児については弾力的な指導、運用面の指導というのが必要ではないかと、こういうことを申し上げているわけです。
#68
○政府委員(上村一君) 障害児の保育を始めた第一の目的について申し上げましたように、いままで働きに行こうにも預かってくれる保育所がないというふうなことで障害児保育をスタートさせたわけでございますから、まあ、そういったスタートをさせた理由に着目をすれば、いま御指摘のような運用の仕方になるのは私は当然じゃないかというふうに考えております。
#69
○沓脱タケ子君 これはその点、今後拡大をしていく際に、ぜひとも運用上やっぱり指導、徹底をしてもらいたいということを特にお願いをしておきたいのです。そういう問題が出てくるんですよ、末端で。なければ言わないわけです。
 この障害児保育対策というのは、先ほどのお話のように、テスト段階だということなんですけれども、保母さんたちの実践記録、報告などによりましても、根本的には、保母や、父母など関係者の熱意と努力、これは非常に大事だということであると同時に、国はこれにこたえ得る人的、財政的援助をすることが不可欠であるというふうに思うわけです。で、全国社会福祉協議会保育協議会の保育研究大会報告書というのがあるんですけれども、これは四十九年八月にやられておりますが、これによりますと、「障害児保育の現状における問題点と今後の方向」ということをテーマにいたしました分科会で、こういう要望事項が出ているんですね。これは御承知であるかないか知りませんが、こういうふうに六項目が出ているんですが、その一つは労基法の守れる職場、二つ目が障害児保育を可能ならしめる最低基準、――これは職員数です。保母の数ということですね。それから三が専門職員の配置、保母の増員、四が専門的知識の習得、研修の実施、五が設備の充実、六が入所措置基準の確立化、こういう六項目が要望事項として出ているわけです。こういうテストの成果を待ちながらも、今後こういう要望に沿って障害児保育を積極的に進めていく必要があると思いますけれども、要望事項も含めて検討しながら、こういう方向で要望事項などの出てきている点を含めて積極的にお進めになるのかどうか。その点についてひとつ聞いておきたいと思います。
#70
○政府委員(上村一君) いま御指摘になりました幾つかの要望事項というのは、障害児保育に限りませんで、保育所運営一般に通ずる問題であるわけでございます。そういった要望を踏まえながら、五十年度、保母さんの増員であるとか、保母さんの給与改善等やったわけでございます。障害児保育につきましても、四十九年度に引き続き、五十年度保母さんを二人配するというふうな形で予算を組んでおるわけでございます。繰り返しになりますけれども、そういった経験を踏まえながら、より何と申しますか、いい方向に障害児保育というものは考えていくつもりでございます。
#71
○沓脱タケ子君 この障害児保育というのは、いまやられているのは予算補助という形でやられているんですね。五十年度は総額二千百五十二万円ですか、三十カ所で。先ほども言いましたように、将来制度化してきちんと措置費に入れるようにするべきだと思うんですけれども、現状は補助金ですね。私は、これ早く措置費にきちんと入れていくということが大事ではないかというふうに考えるんですけれども、それはどうですか。
#72
○政府委員(上村一君) 保育所の運営費になるわけでございますから、現在はこれは実験的と申しますか、奨励的にやっておるので、一定率の補助金ということでやっておりますけれども、検討していく過程の中で、当然、措置費の問題というのは課題になってくるというふうに私ども考ます。
#73
○沓脱タケ子君 私はそれをなぜ申し上げるかといいますと、いま行政管理庁では、補助金の整備統合に大がかりな監察を実施するというふうなことが言われ出しておりますね。補助金が一番多いというのは各省の中で厚生省ですね。そういうふうな、いまも言いましたように障害児保育はいま補助金でやられているわけでしょう。こういうものが、そうすると行管の監察の対象になるんだろうか、なっていくと大変だなあというふうに思うんですけれども、これはどうですか。
#74
○説明員(吉村友佑君) お答えします。
 先生、いまおっしゃいましたように、行政管理庁では、昭和五十年度の第一・四半期の行政監察の一つとして、中央計画監察として補助金行政の監察をやることにしておりまして、すでに調査に着手をしておるわけでございます。いま御質問になりましたように、補助金を相当大がかりに調査することにしておりますけれども、従来から、行政管理庁といたしましては、国民生活の安定あるいは国民福祉の向上あるいは人命の安全と、そのほか、行政事務の簡素、合理化とそういった点に重点を置いて監察を実施しておるわけでございまして、そういった趣旨からいたしましても、補助金の中でもいろんな種類がございます。そういった行政管理庁の従来の方針から見まして、当然、補助金といえども監察の対象とするにふさわしくない補助金がある。監察の対象と言いまするよりは、整理統合等の対象とするに適当でない補助金があるということで、事前に検討をいたしまして、監察の対象としないものはすでに各省にも資料要求をしておりませんし、ただいまおっしゃいました障害児保育事業費補助金につきましても、監察の対象とするということでは、厚生省の方に資料要求をいたしておりません。
#75
○沓脱タケ子君 それは大変ですよね、こんなものが対象になったんでは。確かに補助金とか、委託費というのは不必要だと思えるものがたくさんにあると思うんです。ちょっと考えましても、たとえば原子力船「むつ」というのは、あんな大きなごみになってしまっているようなことだとか、あるいはかつてのデータ捏造の事件を起こしました分析化学研、あれだって分析研に委託費を出してたんですね。ですから、私どもの立場から言いますと、補助金どころか、予算そのものが国民本位の立場になっておるとは言いがたいわけなんで、洗い直さなければならないと基本的には考えているわけです。で、不必要なものがある反面、本当に切実な国民の要求に基づいての補助金というのがずいぶんたくさんあるわけですが、そういう点で、これはたとえばちょっと考えても、私どもの委員会で問題になっているのを考えてみましても、看護婦の養成補助金ですか、養成所運営費補助金、こんな重要なのだって補助金なんですね。そういう点を考えてみますと、当然、補助金行政ではなくて、負担金なり、あるいは法律補助なりに適切なものはやっぱり改めていくという基本的な態度というものが大事じゃないか、これはたまたま障害児保育の問題を措置費として、当然きちんと格づけをしなければならないのではないかということを申し上げると同時に、厚生省全体として、私は非常に国民の要求、願いにこたえる部分の施策で補助金行政というのは多過ぎるというふうに思うんですけれども、そういう点ではどうでしょう。これは行管で洗い直すという問題ではなくて、厚生省自身の基本的な姿勢として検討するべき課題ではないかというふうに思いますが、その点についてはどうでしょう。
#76
○国務大臣(田中正巳君) いま、障害児保育の事業補助金から話が出ましたが、これはいまテストケースとしてやっておりますので、補助金ですけれども、これがよろしいということになりますれば、私の気持ちとしては、よろしければ、これは進めていったらよろしいというふうに思っておるわけでございまして、したがって、これについて一般的にやるようになった場合には、あるいは措置費に組み込むことの方が適当であるかどうか、検討しなけりゃならぬ時期が来るというふうに思っております。
 また、わが厚生省一般の補助金につきましては、先生おっしゃるとおりだというふうに、私も就任後、いろいろと補助金あるいは予算の中を洗ってみてそういう感じがいたします。施策として余りむだなものは私はやっていないと、こういうふうに思います。ただ、組み方が一体補助金でいいのか、あるいは他の費目でこれを助成したらよろしいのか、あるいは余りにも細分化しているものですから、これを統合をしてメニュー方式でやったならばよろしいではないかなどというものが他にいろいろあるようでございますので、これについては今後ひとつ予算要求等の節に、いろいろとそういったようなことについて、私どもとしては検討してみたいというふうに考えている次第であります。
#77
○沓脱タケ子君 私は、これは厚生大臣は検討してみたいとおっしゃるから、特に要望しておきたいと思いますが、いろいろな補助金行政の中で施策が出ておりますけれども、行管がこれを監察すると言いますよ。しかし、やられている施策で、たとえばこの委員会でそれぞれの施策についての附帯決議などで、これはやり過ぎているというような話はないんです。不十分だから拡充せよという以外にまずないんですよね、実際は。ところが、行管で監察をされたらいろいろ出てくるかもわからぬと、こうなってくると、きわめて国民に対する施策というのは不徹底になる。特にこの問題について私強調しておきたいというのは、新聞の論調などを見ましても非常に不安を感じるわけですよね。福祉行き過ぎ論というふうな論調というようなものが出てきているということですね。こういう点から考えまして、これは基本的に厚生省がこれらの国民に対する福祉行政の施策それぞれについて、国庫負担金の措置でやるなり、法律補助でやるなり、きちんと整理をしていきませんと、補助金行政でやられておりますと、行き過ぎ論云々というようなことが出てまいりますと、これはもう予算の伸縮で好きなように国民の施策というのが左右されるというふうな不安定なままでは困るというふうに思うわけですよ。それで特にこの問題を申し上げておきたいというふうに思うわけです。新聞の論調などでもずいぶんいろいろ出ておりますね。しかも新聞の論調だけならいいですよ、大蔵省あたりが、これは新聞の報道によりますと、一月の二十八日、たまたま大阪で、高木大蔵事務次官が財政硬直化は福祉の行き過ぎだというようなことを述べられるというふうなことでは、これはもう補助金行政では大変だというふうに思うわけですよ。そういう点で、これは朝日の四月八日の社説にも、こういうふうに述べられていますね。これは非常に大事だというふうに思うんですが、この高木事務次官のお話なども含めて述べられておりますけれども、「大蔵省は社会保障費の増額が財政硬直化の原因となることを指摘し、公然と「財源の手当てができぬ福祉政策はあり得ない」といいだしている。民間でも、産業計画懇談会がこのほど、「福祉国家の名によって各人が心に描いている国のあり方の大部分が、実は実現不可能な幻想だ」ときめつけて、自立精神が大切なことを強調した。」ということで問題点を指摘をして、「今後の改善の方向」ということで「政府は国民に対して「高負担」を求める前に、責務を果たすべきである。その努力もしないうちから、財政当局が現行制度といまの国民の負担を前提として、社会保障を充実しにくいことを示唆しているのは納得できない。
 福祉社会づくりの道はきびしいが、社会保障をどこまで充実するか、そのために税や社会保険料をどのように負担するかは、国民が選択することなのである。国がこの問題に、もっと前向きに取り組むことを望みたい。」というふうな社説まで出てきておるような、問題が昨今論議がなされ出している。そういう中では、特に先ほど柏原委員からも児童手当法で厳しく御意見が出されておりましたけれども、そういった問題の絡みも出てくるわけです。そういう点で、これははっきりやっぱり厚生省自身が基本的な立場をはっきりなさいませんと、だんだん予算との関連という形が表へ出てくる限りではどんどん後退をさせられるというおそれが出てくる。そうなりますと、これは国民的な批判を受けるのは当然でございますので、この点について、これは大臣の御見解をお伺いしておきたいと思うのです。基本的な点です。
#78
○国務大臣(田中正巳君) 補助金の問題から社会保障行き過ぎ論に論点が発展をしておりますが、私は補助金であるがゆえに、したがって社会保障の今後の発展が阻害をされる、あるいは縮められるということはそう心配する必要はないというふうに思っているわけであります。社会保障を実施する場合、それが国の負担金であったり補助金であったりあるいは給付費だったり措置費だったりいろいろな形をとるのは、これは施策の性質上やむを得ないことだろうと思うのであります。これを、カテゴリーを間違えるということになりますると問題があろうと思われるわけでありますが、補助金であるがゆえに補助金でやっている施策が皆切られるおそれがあるということは、私はそう心配をいたしておりません。問題は、いまの状態でわが国の社会保障費が一体行き過ぎ論というものを言うに値するだけのことをやっているかどうかということを、私は厚生大臣としては申し上げたいということであります。国民所得対社会保障給付費が七%程度でこのような議論が出るということについて、私は非常に疑問に思っているということであります。ただ問題は、やはりどういう政策を、この際わが国の経済、社会あるいは財政の客観情勢下においてどういう政策を選択するかということについては、私はやはり慎重に考えにゃなるまいというふうに思っているわけでありまして、いま先生がお挙げになった四月八日の論説等も見ますると、一般的にそのようなことを言っているわけではないようでございます。むしろ積極的に進めよということについての論調で書かれているものと思いますが、配慮すべきこと、注意すべきことという点について触れているもののようであります。
 そこで、今後こういったような社会保障を進めていく場合、政策をどのようにして選択をするか、その間における優先度をどのように考えるか、あるいは財政的配慮をやはり綿密にしていかにゃなるまいというようなことをここに書いてあるようでございます。たとえば地方公共団体における社会福祉政策のあり方等についても、財源とか、他の地方公共団体とのバランス論とかいったようなことがいろいろ書いてあるわけであります。したがって、そういう点については私はやはりある程度今後考えていかにゃならぬ一面があることは否定いたしませんし、私もまたそういうことについてはいろいろと国自体も考えるし、また地方公共団体にもそういう配慮をしていただきたいということも申し上げることはいたさなければならぬかと思いますが、総体的に申しまして政策の選択を誤らず財政的な配慮というものについて健全な考え方を押し通す限りにおいては、私はなお今日のような安定低成長下であっても、財源をいろいろと工夫をして見つけて、社会保障はこれを進めていかにゃなるまいというふうに思っておりますし、この論説なども、最後のつまり結論的なところにはそのようなことを書いているわけでありまして、基本的には私はこの論説とは余り違わない考え方を持っているということであります。
#79
○沓脱タケ子君 いや厚生大臣ね、七%ぐらいの社会保障費で、しかもいまごろ行き過ぎ論が出てくるのはおかしいというふうに厚生大臣おっしゃる、これは私はそのとおりだと思う。ところが、同じ政府の大蔵省で、事務次官が公然と、行き過ぎ論が意見として、財政硬直は社会福祉の行き過ぎだということが出てきておるというところに問題があるということを申し上げておるんで、その点はこれは基本的な立場を少なくとも厚生大臣そのお立場に立っていただきませんと、大蔵省と同じだなんてなことだったら話にならぬわけですから、しかし、にもかかわらず、片やそういった行き過ぎ論があるという点で、これはそういった点で本当に社会保障制度を充実していくためには、必要な点は必要な問題としてこれは補助金行政で障子のつぎ張りみたいにたくさん広げていくんではなくて、そういう形ではなくて、むしろ整理をして、これは全体の財政問題はもちろんのことですが、補助金行政を洗い直してですね、厚生省内の。そうして国庫負担金あるいは法律補助というふうに整理をしていく部分については具体的に整理をしていくというふうなことを積極的に進めていただきたい、そのことを申し上げているわけです。
#80
○国務大臣(田中正巳君) こうした中において社会保障を進めていく場合においては、いま先生おっしゃるように、政策の選択ということも考えにゃなりますまいし、またそれの財政的な裏づけのパターンといいますか、仕様についてもこれは考えていかにゃならぬということについては、私は先生と全く意見を同じくするわけでありまして、そういう真摯な態度がなければ、何といってもやはり社会には、私どもとしては反対でございますが、そういう声のあることも現実でございますから、そういう声に立ち向かうためにも、いま先生の御指摘になったような基本的態度というものはわれわれはやはりとっていかにゃあ、これに立ち向かっていけないというふうに思うわけであります。
#81
○沓脱タケ子君 時間がありませんから、ちょっと具体的な問題を次にお伺いしておきたいと思いますが、それは福祉手当ですね。福祉手当の支給対象者の認定について若干聞いておきたいと思うんです。
 この法律の改正案によりますと、福祉手当の支給されるのは、別表第二に定められる程度の障害があり、しかも、日常生活において常時の介護を要する者となっております。聞くところによりますと、別表第二の廃疾の程度は、身体障害等級一級と二級の半分程度ということになっておるそうですが、そうしますと、一級の人の再認定の手続は必要がないと思いますけれども、一級の人は無条件に対象者になるのかどうかという点。
 それから、もう一つ引き続いて聞いておきますが、二級の半分程度と、これはまたなかなかむずかしいわけですが、この二級の半分程度というふうに言われますと、別表第二表を見ますと、問題になると思われますのは、八から十の項目なんですね。この辺が非常に不明確なところが多いのですが、認定手続をどうしていくのか、それから指定医療機関をつくるのか、診断基準をつくって医療機関に徹底をするのか、その辺のあたりですね、これは大変大事な問題だと思います。この二級の半分程度と、こう言われますと、その辺の認定基準がはっきりしませんと、どの程度の方々まではもらえるのか、それさえわからないということになりますが、いまの点ちょっとお伺いしたい。
#82
○政府委員(翁久次郎君) お答えを申し上げます。
 認定手続でございますが、これは本人申請をたてまえといたしておりまして、医師の診断書と戸籍関係の書類を添えて原則として福祉事務所に出していただく、いま御質問のございました身障一級の方は全部該当するわけでございます。したがいまして、身障一級の手帳を持っておられる方は、もちろん診断書が要りはしますけれども、文句なく認定されるというようにお考えいただいて結構だと思います。
 それから二級の程度でございますけれども、これは別表に基づきまして大腿、手足の障害あるいは内部障害、聴力障害と相当具体的に明示をいたしまして、それによってお医者さんの診断書がございますならばそれを尊重して福祉事務所で判断をするということで、確かにこの点は実施に当たって相当問題を起こしますので、できるだけ具体的に範囲を明確にいたしまして、そして過誤なきを期してまいりたい、こういうふうに考えております。
#83
○沓脱タケ子君 いまおっしゃったように具体的な実施面で問題が起こると思うんです。非常に慎重を要すると思うんですけれども、この認定というのは、知事なり市町村ですね、あるいは福祉事務所いまおっしゃった、そこでやるわけですけれども、診断は医療機関と、これは指定医療機関をつくらないんですね。指定医療機関をつくらないということになりますと、これは医療機関の診断を当然尊重しなければならないというふうに思うわけですが、そういうふうにおやりになるんですか。細かく基準を決めて医療機関に徹底をしてそれに基づいておやりになっていただける診断、これについては尊重するという立場をおとりになるんですか。
#84
○政府委員(翁久次郎君) そのようにいたしたいと考えております。
#85
○沓脱タケ子君 いや一級、二級と全部該当するというならそう細かく申し上げる必要ないんですけれども、二級の半分ぐらいというのは非常に気になる。恐らく実施上問題が起こると思いますので、これは特に最初のときが問題だと思いますから、ひとつ慎重に進めていただくようにお願いをしておきたい。
 それからもう時間が余りありませんから、もう一つちょっとこれは聞いておきたいと思いますけれど、この福祉手当の支給というのは前回の委員会でも論議をされましたように、在宅者対策ですね、障字者の在宅者対策になるわけですけれども、まあ福祉手当を出したからということで在宅者対策をサボってはならぬという論議が先日もやられたと思いますが、やっぱりこの福祉手当の性格というのが非常に問題だと思うんです。これは前回論議をされましたから私深く申し上げる気はありませんけれども、お見舞いなのか介護料なのか所得保障なのかというのはだれでも考えるところなんですね。いまでは精神的慰謝、まあお見舞いということなんだというお話が前回出たかと思うんですけれども、やっぱりこの点については本当に在宅障害者、重度の障害者対策ということでの出発なんですから、これはこれにふさわしい処遇にしていくということが非常に大事ではないかというふうに思うわけです。まあ、その点についてまず最初お伺いしておきましょう。
#86
○政府委員(翁久次郎君) 申し上げるまでもなく、従来の身体障害の在宅対策、ホームヘルパーであるとか、あるいは補装具の給付であるとか更生医療の給付、こういったものを伸ばしていくことはもとよりでございます。それにあわせてただいまの福祉手当の創設ということでございまして、福祉手当の内容の充実ということは今後の厚生省の大きな課題であるというふうに考えております。
#87
○沓脱タケ子君 それでお聞きをしておきたいのは、まあ、こういう福祉手当を出したからということで施設対策が軽視をされてはならないという点だと思います。これはまあ児童家庭局長は、入所を要する重度心身障害児は一応計画としては五十年度で終わるというふうに前回も御報告がありましたが、五十年度に障害児・者の調査をするので、その結果を見て必要に応じてその施設整備も考えていくというふうにこの前お答えになっておられましたが、それは間違いないですね。
#88
○政府委員(上村一君) そのとおりでございます。
#89
○沓脱タケ子君 そうしますと、その結果で在宅対策の強化とともに施設対策の強化ということも進めていかれるということだと思うわけですが、ところで、昨年の十一月に発表されております社会保障長期計画懇談会の中間報告では社会福祉施設整備五カ年計画の再検討を行うことを指摘しておりますが、また中央児童福祉審議会の答申ではこういうふうに述べているんですね。「重複障害児の施設入所が困難になったり、あるいは、児童から成人に至る一貫した処遇面で欠ける点があるなどの問題が生じていることも否定できない。また、在宅対策、就業対策の進展につれて、これらの対策と施設の機能をどのように結びつけていくかという問題も未解決のまま残されている。今後、これらの問題点を念頭においた心身障害児・者施設体系の見通しが必要である。」というふうに指摘をされておりますが、こういう点、この調査結果に基づく今後の計画ですね、そういった点はどういうふうにお進めになっていくのか、これをちょっと伺っておきたい。
#90
○政府委員(上村一君) 在宅対策とそれから施設対策というものは相当有機的に組み合わせて進めていくつもりでございます。それで前回お答えいたしましたが、五十年度実態調査をするということであるわけでございまして、現在持っております計画では先ほどもお触れになりましたように、五十年度千百床整備をすれば、昨年私ども調べてみたところでは、重症心身障害児を入れるだけのベッドは一応確保できるということになるわけでございます。それで足らなければ、引き続いて整備をするということは当然のことであるというふうに考えております。
#91
○沓脱タケ子君 時間がありませんのでね、これは特に障害児の問題というのは、非常に小さな問題が非常に大事だというふうに思われるので、ひとつ具体的にちょっと聞いておきたいと思います点は、施設への通園バスというのに補助金出していますね。四十九年度ごくわずかずつだけれども、補助金出していますね。それでこれは末端で親が大変訴えているのは、たとえば障害児というのはどうしても体が弱いんですね。真夏にバスで一時間ほど、子供集めて通園バスが長時間回るわけです、それでたとえばクーラーもない車の中で大変なんだというふうな訴えなどがずいぶんよく出るわけですけれども、これは五十年度ですね、やはりこれも補助金を出していくんだと思いますが、クーラー用にということになるのかならないのかは別としまして、そういった点での補助を増額していくというふうなお考えがあるかどうかですね、こういうわずかなことでもずいぶん頭を痛めておられるという、小さな問題なんだけれども、障害児対策というのはそういう小さい問題が行き届いていないというところがいまの特徴なんで、特に聞いておきたいと思うんですがね。
#92
○政府委員(上村一君) 昭和四十八年度はバス一台につきまして百万円というふうな補助にしておったわけでございます。四十九年度から三百万円以上のところは百五十万、それ以下は百万という定額の補助でございまして、その中でクーラーが入っているとか入っていないとかいうことは余り考えていないと言えば、少々荒っぽくなりますけれども、こういった施設の通園用のバスについては定額の補助をしておるというふうな形をとっておりますので、いまのお話私わからぬでもございませんけれども、いま直ちにこれに対処するというところまでは特に言いかねる次第でございます。
#93
○沓脱タケ子君 私は補助金にクーラーの費用をつけてやれと言っているんじゃないんですよ。通園バスに補助金をお出しになっているんだから、五十年度はクーラーつけて、そんなこと言わぬでいいですよ。その定額補助を少しでも上げて援助をするという立場をおとりになるかどうかということを聞いておるんですよ。
#94
○政府委員(上村一君) 通園施設のバスにつきましては、そういった通園施設を持っておられる方からの要望も相当あるわけでございます。したがいまして、その予算の枠がすでに五十年度決まっておるわけでございますから、その一台当たりの単価をどうこうというわけにはまいらないというふうに思います。
#95
○沓脱タケ子君 いつということがわからぬけれども、そうすると、四十九年度と五十年度も同じ金額ですか。バスが三百万円以上が百五十万円で、三百万円以下のバスには百万円というのが四十九年度の基準でしょう。それでお出しになったんでしょう。五十年度も同じですか。
#96
○政府委員(上村一君) いま五十年度につきまして何と申しますか、どういうふうな実施方針にするかということは決まったわけじゃございませんけれども、やはり定額方式という形はとらざるを得ないというふうに考えております。
#97
○沓脱タケ子君 だから私が申し上げておるのは、四十九年度の実施の状況は存じておるから、五十年度は決めてないだろうと思うから、そういう要望もあるからひとつお考えになってあげられませんかと申し上げておるんです。
#98
○政府委員(上村一君) 定額の補助として出すわけでございます。クーラーを補助の対象にするかどうかについてはいろんな議論があると思うんです。当然じゃないかというふうなお話があるかもわかりませんけれども、まあ、きわめて短い期間しか使わないというふうなこともございますし、相当大きなバスになりますんで、金も相当かかるというふうなことがございますから、直接クーラーを補助の対象にするかどうかについては、定額補助ということで進めてまいる関係もございますので、そういうことにさせていただかざるを得ないんじゃないかというふうに思います。
#99
○沓脱タケ子君 委員長、終わりたいと思うんですがね、最後に一言申し上げておきたいのは、私はクーラーをつける金を出してやれと言うているんじゃない。四十八年度から四十九年度補助金の金額をふやしておいでになるんだから、五十年度はまだ金額を決めておられない段階だろうと思うから、五十年度はひとつそういった点の要望もあるから、ひとつ補助金についての増額について配慮をしてあげてくださいと、こう申し上げているのです。クーラーにばっかりこだわっておられるけど、その点わかっていただけるでしょう。
#100
○政府委員(上村一君) 承知いたしました。
#101
○委員長(村田秀三君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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