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#1
第075回国会 社会労働委員会 第13号
昭和五十年五月八日(木曜日)
   午後一時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     小笠 公韶君     森下  泰君
     中沢伊登子君     柄谷 道一君
 四月二十四日
   辞任          補欠選任
     星野  力君     野坂 参三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         村田 秀三君
    理 事
                玉置 和郎君
                丸茂 重貞君
                山崎  昇君
                小平 芳平君
    委 員
                石本  茂君
                上原 正吉君
                小川 半次君
                鹿島 俊雄君
                神田  博君
                斎藤 十朗君
                高田 浩運君
                徳永 正利君
                森下  泰君
                片山 甚市君
                浜本 万三君
               目黒今朝次郎君
                柏原 ヤス君
                沓脱タケ子君
                柄谷 道一君
      発議者       浜本 万三君
   国務大臣
       労 働 大 臣  長谷川 峻君
   政府委員
       郵政省人事局長  神山 文男君
       労働大臣官房長  青木勇之助君
       労働大臣官房審
       議官       細野  正君
       労働省労働基準
       局長       東村金之助君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部長  水谷 剛蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    鎌倉  節君
       警察庁警備局参
       事官       半田  博君
       大蔵省銀行局総
       務課長      清水  汪君
       郵政省貯金局第
       一業務課長    陣野 龍志君
       建設省住宅局住
       宅計画課長    京須  実君
       日本国有鉄道理
       事        山岸 勘六君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○建設労働法案(浜本万三君発議)
○勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十四日、星野力君が委員を辞任され、その補欠として野坂参三君が選任されました。
#3
○委員長(村田秀三君) 建設労働法案を議題とし、発議者浜本万三君から趣旨説明を聴取いたします。浜本君。
#4
○浜本万三君 私は、提案者の日本社会党を代表して、ただいま議題となりました建設労働法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 日本経済は大変な発展を遂げ、今日ではアメリカに続いて資本主義国第二位の生産力を持つに至っております。ところがその陰には、建設労働者に典型的に見られるように、雇用関係がきわめて不明確な下請や、重層下請が横たわっておるのであります。
 三百数十万人を数える建設労働者の多くは、不明確、無責任な雇用関係のもとで、不況の折にはあっさりと職を奪われたり、賃金不払いに泣かされたりするばかりか、常に危険な作業環境にあって、無理な労働を強いられることにより、多くの命と健康を奪われております。
 今日、建設労働者の労働災害は全体の三分の一をも占めておると推計されておりますが、たとえば、東海道−山陽新幹線を一つつくるのにも、隧道工事等で、数百名もの命が奪われているありさまであります。
 また、健康管理や福祉がきわめておろそかにされ、しかも少なからぬ人々は、長期間にわたって家族から遠く離されたまま、非人間的な生活を強いられております。
 このような状態が放置されてよいはずはありません。日本社会党は、すべての建設労働者に適用する建設労働法を設けることによって、この人々の雇用を安定化させるとともに、命と権利を守り、労働条件を改善する必要があることを痛感し、ここに建設労働法の制定を提案する次第であります。
 次に、この法案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、この法律の目的を申しますと、建設労働者の雇用関係の明確化、安全衛生の確保、手当の支給その他の労働条件の改善を図り、もって建設労働者の雇用の安定と、労働災害の防止、福祉の向上に寄与することにあります。
 第二に、雇用関係の明確化のための措置として、事業主による建設労働者についての公共職業安定所長への届け出と、安定所長からの建設労働者手帳の交付、事業主による雇入れ通知書の交付と届け出を義務づけることといたしました。賃金支払い等に関する元請負人の責任も明確化することといたしました。
 第三に、安全衛生上の措置としましては、建設労働者として雇用されようとする者に対する国による安全衛生教育と、国による健康診断、請負代金、工期等を決定するに当たっての安全衛生経費の分別等を義務づけることといたしました。
 第四に、支給すべき手当として、悪天候手当、安全衛生教育手当、職業訓練手当、年次休暇手当、帰省手当を設けることといたしました。
 以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして、御説明申し上げました。十分に審議の上、何とぞ速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 以上でございます。
#5
○委員長(村田秀三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案の自後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(村田秀三君) 次に、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○小平芳平君 私は、今回の一部改正の内容そのものについては格別の異議を差しはさんでいるわけではありません。ただ問題は、財形貯蓄ということ、そのものの意義につきまして、現在の状況、労働者の生活実態、そういうところからして果たして財形貯蓄というものがどういう目的でどういう運営を現在されているか、将来どういう方向へ持っていかれるか、そういうような点について質問したいと思います。
 で、まず最初に、総理府の発表された四十九年平均の家計調査がありますが、全国勤労者世帯一ヵ月当たりの実収入、それから消費支出ともに実質では前年を下回っているという事実、こういう点について、労働省としては、昨年のあの大幅賃上げと言われた中においてすら実質的には消費者物価指数の上昇分を勘案した場合には下がっている、こういう点についてどう受けとめておられますか。
#8
○政府委員(東村金之助君) 総理府統計局の家計調査の数字でございますが、ただいま御指摘のように、昭和四十九年の暦年で勤労者の世帯――これは賃金ではございませんが、勤労者の世帯について見ますると、実収入は前年比二四・一%の増、消費支出は二一・五%の増、黒字額は三四・四%の増となっております。で、これに対しまして、消費者物価は上昇しておりますので、その上昇の影響を除いた実質で見ますと、実質実収入が〇・三%減と、それから実質消費支出が二・四%減となっております。これは冒頭お断りいたしましたように、賃金ではございませんが、世帯の収入がこうなっておるわけでございます。なお、実収入について、春闘における賃金引き上げが行われました四月以降十二月までをとりますと、二十二万七千二百九十七円で、前年比二五・九%増、実質一・二%増と相なっております。もう少し新しい資料もございますが、とりあえず御報告をいたします。
#9
○小平芳平君 実収入と消費支出についてと私は言って申し上げたわけですよ。この総理府の発表どおりのことを申し上げたわけです。ですから、実際には、時間外収入が減になる、あるいは内職収入、あるいはパートタイマーとしての収入がなくなる、あるいは減になったということが響いてきているのでしょう。いかがですか。
#10
○政府委員(東村金之助君) ただいま申し上げました数字に関連して言うと、ただいま先生御指摘のような点も影響していると私思います。
#11
○小平芳平君 それから次にもう一つ、階層別に、五分位階層別に見ますと、年収約三百万円以上の第五分位は前年を上回っている。それに比べて、年収三百万円未満の第一から第四分位の人たちか、そうした上昇――要するに高額収入のものは収入がふえたのに対しまして、低額所得者の方がそれに伴って収入がふえてないと、要するに、かえって所得階層別に見た場合は格差が拡大する傾向にあるのではないかということについてはいかがですか。
#12
○政府委員(東村金之助君) 勤労者の世帯の所得階層間、第一から第五分位の階層に分けてその格差の動きを見ますと、長期的に見ると縮小傾向にあったわけでございますが、四十九年には、ただいま御指摘ございましたように、低所得者層の伸びが高所得者層の伸びに比較いたしまして低かったということで格差は拡大しているという数字が出ております。
#13
○小平芳平君 そうしますと、労働大臣に伺いますが、そういうように実質的に収入も消費支出も消費者物価の上昇に追いつかなかったと、四十九年におきましてですね。それから、しかも格差拡大の傾向に、四十九年は格差が拡大したということについてこのままほっといてよろしいのかどうか、財形貯蓄どころでなくなるじゃないかということを申し上げたい。
#14
○国務大臣(長谷川峻君) 御案内のように、四十九年の一、二、三、これは国会でも御答弁申し上げましたけれども、消費者物価の暴騰が狂乱物価という名前で言われたようになりまして、勤労者の実質賃金はずっとその間下がったわけであります。そこで、問題は、この財形の審議会の御答申にもありますが、やっぱり金の値打ちを本来の姿に持ってくるということが一切の基本じゃなかろうかという御答申、これはもう全部に通ずることだと思いまして、物価抑制をやってまいりまして、四十九年度の数字を申し上げますと、四月から三月末まで、物価抑制などが響いた関係で実質賃金が五・七%伸びております。四十八年は四・八%でした。これを三十年代の年平均三・五%、四十年代の八・八%より見れば低うございますが、実質賃金では、昨年四月からことし三月までは五・七%の伸びということで、三十年代よりはよけいになっているという数字が出ていることでありまして、ただ、その間、先生のおっしゃるように、低所得者層、こういう方々の問題はなかなかゆるがせにできません。物価を一定におさめると同時に、そういう方々の社会保障と申しますか、こういう問題については政府も極力推進しているところは御承知おきのとおりでございます。
#15
○小平芳平君 労働大臣、私がいま申し上げているのは、総理府統計局が発表した家計調査報告について申し上げているわけです。これによりますと、実収入は実質でマイナス〇・三%、消費支出は実質でマイナス二・四%という結果ですね。そうなりますと、しかも、所得階層別に低額所得者の方が上がる率が少ない、高額所得者の方が上がる率が高く、したがってかえって格差が、低額所得者の方がよけい生活が苦しく、高額所得者の方が格差が拡大して生活が楽になったという四十九年のこの発表に基づいてですね、そういうことになると、財形貯蓄どころではなくなっちゃう。ですから、じゃあ仮にですね、具体的に、今回の春の賃上げにいたしましても、一〇%前後というようなことでは、かえって消費者物価の方が追い越して上がってしまうようなこと、あるいは昨年のあれだけの賃上げがあってもそういう結果だったということから考えまして、ことしは特に低額所得者にとっては大変な苦しい生活に追い込まれる年になりはしないか、それこそもう貯蓄どころではないという、そういうことになりはしませんかということを尋ねているわけです。
#16
○国務大臣(長谷川峻君) インフレになりますと、これは一番弱い方々と申しますか、低額所得者の方々、こういう方々が一番犠牲を受けることは本当に残念なことであります。そのためにこそやはり物価の安定ということが最大な眼目でありまして、それにまず基本的にやっていかなきゃならぬことということは御理解いただけると思います。ただいま春闘の話が出ましたけれども、これは私たちは賃金問題には、御承知おきのとおり、政府は介入しないという鉄則でありまして、そしてまた、この際においても、いまのようなそれぞれの情勢など、経済情勢なり、自分の企業の模様等々をそれぞれ御勘案の上に労使の方々が御決定いただいたものが今日の数字、中には私たちの聞いておりますところによりますと、中小企業の場合には定期昇給分だけというふうな企業も二、三にとどまらないし、民間企業全体にいたしましてもいまのような情勢を踏まえてなかなか妥結しないで全般的に妥結の状況はおくれていると、こういうふうに聞いております。そうした中において、いかにお互いの生活と、失業をしないように守っていくかというところに苦心が存しているものだと、こういうふうに理解しているわけであります。
#17
○小平芳平君 私も賃金問題について政府に介入してくれなんて言っているわけでは毛頭ございません。私が申し上げていることは、昨年の実態から考えまして、ことしはいまおっしゃった定期昇給分だけとか、そういう、要するに賃金の低い方々の生活というものがこれから夏、秋といきますと大変な苦しい昭和五十年になるんではないかと、そういうことは労働省としても考えて、労働大臣としても考えて対処するのが私は労働省だと思うんですが、いかがですか。
#18
○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるとおりでございまして、そういう方々の問題等々は私の方が直接やるものもありますし、また厚生省その他の政府機関でおやりいただくものもありますが、社会保障全体の問題としていまから先は安定経済成長のときにはそちらの方にウエートがかかってくる。そういう原則で推し進めてお手伝いするのが当然であり、そのまた意欲を持っておるということを御理解いただきたいと思います。
#19
○小平芳平君 まあ、厚生省の関係は厚生省の関係として別にいたしまして、労働省として考えた場合でも現在の厳しい賃上げ状況では労働者の生活が大変な苦しい昭和五十年になるということに対する対応策を考えてほしいと、いただきたいとこう申し上げているんですが、いかがですか。
#20
○国務大臣(長谷川峻君) これはもう真剣に考えておるところでありまして、いまのような賃金妥結の模様を見ましてもやっぱり日本の経済が従来さま変わりしたというところからして、それぞれがまんをし、あるいは不満をやりながらもいまのような妥結状況になっていると思うのであります。まあ労働省といたしますと、それが形にあらわれた場合に、一番最悪の場合には失業問題等々もありますので、これはもう万々遺憾なきを期そうと思って、役所の内部において鋭意検討もし、それがまたそうした方策が生まれ、あるいはまたそういう状況が生まれますときには適宜対応しようという覚悟で準備も進めておることも御答弁申し上げておきます。
#21
○小平芳平君 いずれにしましても、結論としまして所得格差を拡大させながら、所得格差が拡大する、そういうやり方でインフレをおさめよう、あるいは低所得者層のより生活を窮地に追い込んでインフレを抑制しようというそのやり方自体が問題じゃないですか。
#22
○国務大臣(長谷川峻君) それでは私はまずいと思うんですよ。やっぱりいまお互いが論じておりますことは、物価の安定も一つの柱でございますが、社会的公正というところで御議論をいただいておるのでありまして、そういう意味での社会的な不公正が、格差をどんどんつけるというふうなことになりますというと、それに現実的な処方せんでやっていくと、またその方法について御指導があればそいつを発見もし、推進していくと、こういうのが私はいまから先の社会であり、また国の姿じゃなかろうかと、こう思っております。
#23
○小平芳平君 それでは、いまの労働大臣のお考えどおりにやって推進していただきたいと思うのです。社会的不公正を解決どころじゃなくてより拡大していくというような、どうも現在のこのインフレ対策、これは、物価安定は皆望んでおります。しかし、インフレ対策がそういう不公正の拡大の方向でおさめられていくというようなことはきわめて問題があるということであります。
 それから次に、この財形貯蓄自体につきましてこの平均貯蓄性向が高まってきたということが報告されておりますが、これは労働省としてはこうして物価が上がる、お金の値打ちが下がる、減価するのは目に見えている。けれども貯蓄しないわけにはいかないという、そういうのはどこに原因があると考えますか。
#24
○政府委員(東村金之助君) ただいま平均貯蓄性向のお話出ましたが、四十九年では一六・一%で前年に比べ〇・八ポイント上昇がございました。で、この内訳を見ますと、まあ不時の災害に備えたり子供の教育の費用であるとかあるいは土地家屋の買い入れや増築、老後の生活というような項目で貯蓄がされていることがわかります。いずれにいたしましても、先ほど大臣お答えございました社会保障の問題ないしは住宅の問題等について、少しでも諸施策が前進するならばこういう貯蓄について生きたお金の貯蓄ということになるのではないだろうかということでせっかくわれわれも努力しているところでございます。
#25
○小平芳平君 それは基準局長、努力しているところでしょうけれどもね、私がいま申し上げていることは、不時の災害とか子供の教育とかあるいは住宅の資金ということになりますと、ある額が必要なわけでしょう、ある額が。したがって、この貯蓄がふえてわれわれの努力が実ったというふうな労働省の受けとめ方は非常に一方的だと思うのです。実際にはこの不時の災害にしろ子供の教育にしろ住宅にしろ、物価がどんどん上がるからやっぱりそれにつれてそれぞれのわが家の貯蓄もふやさざるを得ないわけでしょう。それはいまから十年前、二十年前には不時の災害としてこのくらいの金額というふうに考えて貯金を持っていた方も、いまは十年前二十年前の金額では全然不時の災害に対応できるようなものじゃない。あるいは子供の教育に対応できるような金額ではなくなってしまう。そういうところから生活防衛のために貯金をせざるを得ない。自分自身のあるいは家庭の生活防衛のために貯金の額をふやさないわけにはいかない、そういうところへ追い込まれているということを感じませんか。
#26
○政府委員(東村金之助君) わが国における貯蓄性向が一般に高いということについてはいろいろ御議論があるところだと思います。必ずしもすべてが生活防衛的要素なのかあるいはわが国の国民性というようなものもあるのか、いろいろ御議論があると思いますが、ただいま資料について申し上げたような目的を意識しているということもまた事実でございます。私申し上げましたのは、労働省の努力が実ってこうなったというよりは、やはりそういうことで貯蓄をする意欲を勤労者の世帯で持っておると、これをいかに伸ばしたらいいかと、これをどう効果あらしめるかというのがわれわれが努力しなければならない方向ではないかというふうに考えて申し上げた次第でございます。
#27
○小平芳平君 いや、病気とか、不時の災害とか結婚資金とか子供の教育費とか、そういうことにつきましてそれに備えようとする、それがインフレとともに減価するのがわかっていても、ある金額を持っていないと不安になる、したがって貯蓄をふやさざるを得ない。そういうところに現在の労働者が追い込まれておるということが実態ではないかと言っているわけですが、いかがですか。
#28
○政府委員(東村金之助君) 私、それを否定しているわけではございません。確かに生活防衛的要素が働いているということは認めざるを得ないと思います。ただ、そういう貯蓄をどう伸ばしていったらいいかということが私どもも考えなければならぬことだと、やや先生の御質問より出っ張ったお答えをしたかもしれませんが、そういうふうに考えているということでございます。
#29
○小平芳平君 したがって、これも局長あるいは大臣、抽象的な御答弁しかいただけないかとは思いますけれども、やはり、そういう財産形成をする前提としての社会保障の充実なりインフレの抑制なりあるいは住宅政策の充実、そういうことが前提になくては、いつまでたっても財産形成にならないわけです。名前は財形貯蓄です。名前は財形貯蓄ですが、実際は不時の災害、病気、結婚資金、子供の教育費、それに追われっ放しで一生終わったんでは財産形成にならないではありませんかと言っているんです、いかがですか。
#30
○政府委員(東村金之助君) 御指摘のとおり、財産形成の前提といたしましては、インフレの問題、社会保障制度一般の問題、土地政策の問題、もろもろございます。昭和四十八年に審議会から答申をいただいておりますが、その中にもそういうことが指摘されております。
 とは申しましても、それでは、現に貯蓄をし、現に勤労した成果をためておるという、その点について国としては放置しておいてよいのかという問題になりますと、これはまた別でございまして、いま申し上げましたような、インフレであるとか社会保障、土地問題とあわせてやはり財形制度は調和を持っていくべきではないかという御答申もいただいております。私どももそういう観点からこの財形制度を進めていく、かように考えております。
#31
○小平芳平君 その前提は必要だというふうにお認めになった上で次に私も質問をいたしますが、それでは、財形貯蓄につきまして三年間で四百万人、三千七百億円ですか、そういうことを言われておりますが、労働省がお手伝いをしてあげたいと、せっかく貯蓄をなさる方のお手伝いをしてあげたいというその財形貯蓄にどういう有利な点があるか、きわめて簡単におっしゃってください、こういうわけだから労働省のお勧めする財形貯蓄が有利なんですということをおっしゃってください。
#32
○政府委員(東村金之助君) 財形貯蓄は昭和四十六年に勤労者財産形成促進法という形で制定され現在動いているわけでございますが、日なお浅い状況でございまして、先生ただいま御指摘のように、どういう魅力があるか、どういうメリットがあるかということになりますと、いろいろ問題はあると思います。ただ、それにしても、現に四百万人あるいは四千億というお金が集まっているという事実がございますし、この意欲には、一つの魅力を感じてこういう形になっているということも否めないとは思います。ただ、それだけでは問題としてメリットと言えないので、詳しくは申し上げませんが今回この御提出いたしております法案におきまして、いろいろの点を改善しさらに魅力あるものにしようという前進の姿勢を示しているつもりでございます。
#33
○小平芳平君 いや、これは具体的にこれこれこういうわけだから財形は魅力があるんだということを、あるいはメリットがあるんだということを簡単におっしゃってください。
#34
○政府委員(東村金之助君) それはいわば財形貯蓄の現状についての御説明に関連するわけでございますが、現在は財形政策は財形貯蓄という柱と、それから持ち家建設という柱で運営されております。
 で、財形貯蓄については、一般のいわゆるマル優の枠をさらに広げまして五百万円までの財形貯蓄から生ずる利子等が非課税とされております。さらには、住宅取得を目的とする貯蓄について税額控除が行われております。
 それから、第二の柱の持ち家建設につきましては、雇用促進事業団が住宅建設購入資金の貸し付けを行っていると、こういうわけでございまして、これだけでは魅力に乏しい、さらに改善しなければいけないというので、今回の改正案を御提出したわけでございますが、内容を申し上げると長くなりますので、ごく柱だけ申し上げますと、今回は、財形貯蓄の範囲を拡大した、範囲を拡大することによって財形貯蓄を勤労者が利用しやすいようにした。それから転職した場合の継続措置をとった。それから住宅貯蓄の税額控除率を従来以上に引き上げた。さらには、従来ございませんでした勤労者財産形成給付金制度というものを設けるとともに、中小企業勤労者財産形成助成金制度というものを新しく考える。それから第三の柱として、従来は持ち家促進のための融資を事業主に対して行っておったのを、事業主を通じてないしは労働者個人に住宅融資ができるようにしたと、こういうのが今回の改正であり、われわれはこれをやはり財形の充実というふうに申し上げたわけでございます。
#35
○小平芳平君 要するに、財形貯蓄は、いま御説明がいろいろありましたが、財産を形成するということ、その財産を形成する上において、一方ではマル優の限度額の問題と、それから持ち家の点ですね。そのほかにないわけでしょう。そのほかに、金融機関はいろんな金融機関が組み入れられておりますけれども、しかしそれは給料から天引きで、そうして固定して積み立てをしていくにもかかわらず何ら有利な点はないわけです。何か有利な点ありますか、そのマル優の枠と持ち家のほかに。
#36
○政府委員(東村金之助君) 現実に財形政策が展開される出発点となりましたのは、賃金のいわゆるフローとしての賃金とは別にストックという面から見て、勤労者は立ちおくれているんではないのかという認識が一つあるわけでございます。このストックとしての立ちおくれをさらに見ますと、住宅の問題と貯蓄の問題であるというふうに問題がしぼられてきたわけでございます。したがいまして、それはもう少し広い観点から、財形政策ということを考えるということも当然でございますが、当面はそこに重点的に政策を集中していくという考えがあるわけでございます。なお、今回の改正におきましては貯蓄の問題、それから住宅融資の問題のほかに、先ほど申し上げましたように給付金制度あるいは助成金制度というのを新たに設けることにしたのが従来と著しく異なるところでございます。
#37
○小平芳平君 給付金制度についてはまた後に伺うといたしまして、結局私が言っているとおりでしょう、局長。財形は有利ですと言うけれども、別にほかに有利なとこどこにもないじゃないですか。限度額の問題と、持ち家の問題、それ以外にありますか。特別金利が高いとか、インフレによる目減りを補償するとか、そんなこと一つもないでしょう。
#38
○政府委員(東村金之助君) 先ほども申し上げたつもりでございますが、いまの御指摘から漏れているのは、たとえば住宅取得を目的とする貯蓄については、税額控除をやるというのも一つございます。それから持ち家の現在の分譲融資については利率として中小企業八%、大企業八・五%、勤住協五・五%という形になっております。さらにそれを借りて建てた家を勤労者に分譲するためには、その際に事業主が特別の負担をしなければいけない、こういう制度もございます。
 それから今回の改正についても、先ほど申し上げましたように、いろいろいま申し上げたのを、率等をさらに向上させると同時に新しい給付金制度等についてその第一歩を踏み出して、これをさらに充実していこうと、こういうわけでございます。
#39
○小平芳平君 ですから結局、局長私が指摘している中に、住宅として私はそれを入れて言っているわけです。そこで果たして住宅を実際に取得できる人がどのぐらい可能かということになるわけです。しかし、その住宅の取得可能の問題はその次といたしまして、大多数の人は、要するにこの財産形成のための貯蓄をしているわけです。財産形成のための貯蓄をしているんですが、先ほど来、何回も繰り返して申し上げるように、不時の災害とか、結婚資金とか、そういうことになってしまう場合が非常に多いということと、それからインフレによる目減りを防ぐとか、特別の有利の配当を受けられるとか、あるいは高い利息がつくということはないでしょう。
#40
○政府委員(水谷剛蔵君) ある面では確かに先生のおっしゃるとおりでございまして、特別財形貯蓄であるがゆえに高い利息がつくとか、そういうメリットはないわけでございます。ただ財形制度の立て方といいますか、この目的といいますか、制度の中身を申し上げますと、できるだけ勤労者の方々にまず金融資産といいますか、資産を持っていただくというのが第一の目的でございますので、そのためには、まずできるだけ有利な貯金をするということでございまして、それではその有利な貯金ということでどういう制度があるかということになりますと、先生御指摘のとおり、具体的に何かというと利子非課税だけではないかということになるわけでございますが、ただ実際問題といたしまして、私どもが天引きで貯蓄をする場合に、天引き貯蓄で行う制度としてたとえば公社債投資信託を買うとか、そういうふうに、比較的利率の高いものを天引きで買うというようなことは従来通常の勤労者の生活ではなじみがなかったわけでございますが、今度財形制度が従来できたことによりまして、そういう公社債投資信託を買うとか、比較的利率の高い金融資産を労働者が持つ道が開けたといいますか、そういう意味ではこの制度ずばり言いますと、確かに利子非課税だけという面も御指摘できるかと思いますけれども、この制度ができたことによって、そういうものを利用するような道が開けたといいますか、利用しやすくなったといいますか、そういう意味でのメリットというのは、財形制度の一つのメリットではないかというように考えております。
 それから、そのようにしてたまったお金を、今度は労働者のためにできるだけ有利に使うという目的といいますか、という趣旨で住宅についての融資制度というのができたわけでございまして、したがいまして、一つには金融資産をふやすということが目的であり、もう一つは、その集まったお金をできるだけ有利と言いましても、おのずから限度がございますけれども、できるだけ有利に勤労者の方々に融資するといいますか、そういう仕組みになっておるわけでございます。
#41
○小平芳平君 いまのように答弁してくだされば、こんなに繰り返さないで済んだのですが、したがって労働大臣、メリットがあるという御説明がありましたが、きわめてささやかなメリットでしょう、いかがですか。
#42
○国務大臣(長谷川峻君) 小さく産んで大きく育てるという形になりまして、いまのところは税額控除が最大なメリット、だれにもすぐわかるような形でございます。しかし、それを一つの基礎にしてただいま賃金福祉部長が御説明申しましたように、多方面にそれを適用して、これをいまから先も推進していくという気持ちを御理解いただきたいと、こう思います。
#43
○小平芳平君 労働大臣としましては、先ほども申しましたように、貯蓄をする元をふやすように、財形財形と言ったって、賃金が低いことには第一貯蓄どころでないという人がたくさんいるわけですから。とともに今度は、そういうわずかの零細な貯蓄がある金額たまって貯蓄されていくものを、目減りを防ぐということですね、減価を防ぐということ。あらゆる努力をしていただきたいし、私たちもまたそういう点で努力してまいりたいと、こう考えます。
 それから先ほど来、局長が述べておられる持ち家ですが、一体、東京、まあ関東圏といいますか、東京を中心にした京浜地区、あるいは大阪を中心にした近畿地区、そういうところで持ち家の可能な人がどのくらい、現在財形に入っていらっしゃる方の中で何%くらいいらっしゃると思いますか。
#44
○政府委員(東村金之助君) 財形貯蓄を現に行っている勤労者のうちで、持ち家可能な勤労者の数字、実は私どもいろいろやってみたんですが、なかなかむずかしいわけでございます。ただ、二つ資料がありますので、御参考までに申し上げますと、昭和四十八年の貯蓄動向調査、これは総理府でやっておりますが、これによりますと勤労者世帯のうち、三年以内に住宅建設計画を持っているという世帯の割合は六・三%でございます。
 もう一つの調査は、日銀の貯蓄増強中央委員会の昭和四十九年の貯蓄に関する世論調査というものがございますが、これによりますと、これは勤労者世帯に限りませんが、自分の家を持っていない世帯の一一・五%が今後五年以内に自宅を持つつもりであるということになっております。いずれにいたしましても、この数字がどこまで財形貯蓄の現にやっている人たちのうちの割合に該当するかわかりませんが、鋭意そういう数字をこれからもつかんでまいりたいと思いますが、とりあえず二つの資料について御報告いたします。
#45
○小平芳平君 いまの御説明だと、総理府の調査で六・三%、日銀の勤労者に限らないけれども調査で一一・五%、それからここに出ている、これは野村証券の調査として読売新聞に出てますが、家を建てるとき融資を受けられると聞いたから財形貯蓄に入ったという人が二〇%というふうに出ております。したがいまして、先ほどの財形のメリットの説明で、局長は家を建てる場合の説明をうんと長くやったんですけれども、そうじゃないんでしょう、実際には。実際には、むしろ財形貯蓄をやっている人が一斉にわっと家を建てようとしたって土地がないじゃないですか。あるいは実際自分の家を必要とする方、遠くから通っている、あるいは高い家賃を、部屋代を払って遠くから通わざるを得ないような方、そういう方はそれこそ自分で家を一番必要なんですが、持てるという可能性がきわめて薄いという、そういう実態にあることを御承知ですか。
#46
○政府委員(東村金之助君) ただいま数字を申し上げたことを裏から見ますと、ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、私どもも住宅に重点を置くとか、住宅に限るということを申し上げているわけでございませんで、やはり貯蓄、それから住宅という二本の柱で考えております。金融資産の形成ということが非常に大切であることは言うまでもございません。したがいまして、今回の改正におきましても、その根元をふやすといいますか、貯蓄以前の根元をふやすという意味で財形給付金制度ということを、そういう制度を考えまして、中小企業にも導入しやすいように助成金制度も設けた次第でございまして、持ち家の可能性のない人たちを無視するとか、あるいはそういう人たちに対して、特別な形で軽んずるということでは決してございませんで、やはり金融資産の形成を促進するというのが、いわば第一の柱である、かように考えております。
#47
○小平芳平君 したがって、持ち家の希望者は財形が有利だというふうな宣伝の仕方は当を得ていないというふうに私は考えます。
 それから次に大蔵省に伺いますが、福祉預金というものが考えられているというふうに再三新聞には出ますが一これはどうなっておりますか。
#48
○説明員(清水汪君) お尋ねの問題につきましては、現在民間各金融業界におきまして、引き続き鋭意検討されておる状態でございまして、私どもその検討の状況はよく承知いたしております。ごく近い時期に金融機関の方からは一つの案が提出されてくるというふうに思っております。それを受けまして必要な措置を講ずるようにしたいと、こういうふうに考えております。
#49
○小平芳平君 要するに、国としては何もやるんではなくて、金融機関に任せっぱなしで、金融機関の方で高い金利のものを勝手につくろうというんならつくりなさいと、こういうことですか。
#50
○説明員(清水汪君) 多少補足させていただきたいんですが、この預金金利の問題につきましては、一番基本的に大事だと思っておりますことは、先ほど来の御質疑にもございますように物価の安定を図る、そこに向けて財政金融政策を運営しておるというのが、いままでの政府の進み方かと思いますけれども、その中にありまして、預金金利の動向につきましては絶えず慎重に考えていかなければならない。で、できるだけ全体の金融機関の金利水準等を見まして、預金者にできるだけ多くを還元できるように考えていく。原則的には一つの金利体系があるわけでございますので、そういう金利体系全体の均衡の中におきまして、できるだけそういう配慮をしつつ預金を考えていくという姿勢ではあろうと思います。しかしながら、さらにそれに加えて現在検討されておる、いわゆる伝えられております福祉預金という考え方、これもかなり各方面からの議論があったわけでございますが、ようやく煮詰まる段階に来ている。そういう意味合いにおきまして決して勝手にどうこうというようなことではないわけでございますが、しかし、また預金の問題でございますので、金融機関自身の自発性が前提にならなければならない。そういう意味におきまして、金融機関側の検討を期待し、その案が出てくるのを待っていると、こういう意味合いでございます。
#51
○小平芳平君 要するに金利の高い福祉預金というものができた場合に、国の負担によって利子を補給するということは考えられないということですね。
#52
○説明員(清水汪君) 現在のところはそのような考え方を持っておりません。民間の預金そのものにつきまして、いま御指摘のようなそういう財政面からの補助をするかどうかという問題は、実は単に預金金利についてという問題以前に、さらに大きく財政全体の中におけるそういった種類の施策の基本的なあり方という問題に帰着せざるを得ないという、まあ、そういう面があろうかと思いますが、現在の考え方といたしましては、預金について特に何かそういうことをするということは困難だろうと考えております。
#53
○小平芳平君 その場合に、金融機関としては大筋としてそれでは伝えられるような福祉預金をつくりますというふうに言った場合に、中小金融機関でとてもそういうことは私の方はできないと、経営困難でできないと、こういうふうになった場合にどうされますか。
#54
○説明員(清水汪君) 私どもといたしましては、その点はぜひとも、もし大多数の金融機関が実行するという情勢になった場合には、他の金融機関も経営努力の中でぜひ同じような社会的期待にこたえるように努力していただきたいというふうに考えております。
#55
○小平芳平君 そうすると新聞に出ている見切り発車をするということになるわけですね。
 じゃ次に、財形の場合は資金コストがきわめて低い、一般の証券会社にしましても、信託銀行等におきましても、先ほど来の四千億というような資金が集まるということは、大変な努力が必要だと思うんですが、財形の場合には資金コストが低いというふうに考えますが、そういうような調査をされたことがありますか。
#56
○説明員(清水汪君) お尋ねの点は、たとえば一つ考えられますことは、これは給料からの天引きという形態でございますので、したがいまして、その都度その都度個々の金融機関が預金集めの手数をかけているわけではないというような意味におきましては、そう一々集めている場合に比べてコストが下がっていないんじゃないかというような御指摘かとも思いますけれども、その点につきましては、一面ではそういう御指摘もおありかと思いますけれども、実際問題といたしましては、預金者の方が、つまり勤労者の方が、いまある各種の貯蓄手段の中では一番有利だと考えられるものを選択しておるわけでございまして、そのことは金融機関の側からいたしますと、それよりも有利さが低い各種の預金とか、そういったものももちろんあるわけでございますが、金融機関としては全体として経営を成り立たせているということになろうかと思います。
#57
○小平芳平君 したがって、その低い資金コストでお金が集まってくるということは、これはもう常識で考えてもわかるんじゃないですか。したがって、それに対して何らかの見返りといいますか、メリットを考える余地がないのかどうか。
#58
○説明員(清水汪君) 直ちにお答えできるだけの用意がございませんわけでございますが、ただ、いずれにいたしましても、ある部分だけをとらえて、そのコストとその利回りというふうに議論することは、なかなかこれはむずかしい面があろうかと思います。しかしながら、全体といたしまして財形貯蓄の問題につきましては、金融機関としては金融機関の立場からさらにできるだけのことをしていくべきだろうというふうには思いますし、御指摘の点につきましても、今後検討をできればやっていくべきことだろうというふうに考えます。
#59
○小平芳平君 ひとつ労働大臣もそういう点応援していただきたいと思うんです。その給料天引きで固定して集まってくるそういう資金に対しまして、何かもう一つ有利な点を――ささやかなメリットだと先ほど申しましたですが、余りにもメリットがささやか過ぎると思うんです。
 それから次に、これは詳しく説明しなくても、きのう労働省によく説明いたしましたからおわかりになっていらっしゃると思うんですが、ある証券会社が財形の契約をしたと、その企業に対して取引先の銀行から、融資を銀行に依頼したところが、それは財形の契約をこっちへ回せば融資すると言われて、そうすると、やむを得ず、企業は証券会社との契約を破棄して、銀行との財形の契約に切りかえたということが載っております、この本に載っているわけですよね。で、そういうような金融機関の過当競争のために、預金者が知らないうちに――知らないうちでもないかもしれませんが、――預金者が損するというのはおかしいじゃないですか、労働省として、あるいは大蔵省として、そういう点をどう考えますか。
#60
○政府委員(東村金之助君) 先生のお話しございましたとおりの事実があるかどうか問題ではございますが、恐らくこういうのに近いものがあると思うんです。金融機関同士の過当競争の結果、融資を受けたい事業主が、自分の判断をフリーにしないで、いろいろ財形貯蓄を動かすということがあるんじゃないかという、そういう御指摘だと思うんですが、いずれにいたしましても、これが労働者の方にしわ寄せがくるということは、これはまずいと思うんです。社内預金の問題にも関連するわけでございまして、社内預金は、労働基準法第十八条で強制貯蓄というものを現に禁止されております。つまり、労働者が自由の意思で預金し、引き出したいときに引き出せるというふうになっていなければ困るわけでございます。それから財形貯蓄についても、使用者が強制して加入させることはできません。したがいまして、労働者に問題のしわが寄ってこないように、私どもとしては十分監督、指導をしてまいりたいと思います。もちろん労働者、勤労者の自由意思によって選択した金融機関を利用することはもとよりでございますが、そうではない場合には、私どもとしてもただいま申し上げたような観点から、適切な行政指導、監督をしてまいりたいと、かように考えております。
#61
○説明員(清水汪君) ただいまと全く同感でございまして、金融機関のあり方といたしまして、いやしくもこの財形貯蓄が勤労者その人の自由な選択によってどこに預金する、どういう貯蓄手段を選ぶということが決定されるべきであるという、その点に反するようなことがあってはこれはいけないと思います。したがいまして、御指摘の事実につきましては、現在つまびらかに承知いたしておりませんけれども、仮にもそういうような行き過ぎたことのないように、その点につきましては、早速そういう注意が徹底するように、適切な措置を講じたいと、かように思います。
#62
○小平芳平君 それではこれで時間が来ましたので、最後のこの一問で終わりたいと思いますが、貯蓄残高の三分の一を雇用促進事業団あるいは住宅金融公庫を通じてというふうになっておりますが、貯蓄残高の三分の一なんて、とても現状ではいってないわけですね。ですから現状ではごくわずかなものしか使われてないのですが、果たしてこの三分の一というようなことが可能なのかどうか、全く見通しとしてはそういうことは不可能だというふうな見通しはありませんか。
#63
○政府委員(東村金之助君) 現在行っておりますのは、財形持ち家分譲融資制度でございますが、これにつきましては、御指摘のように十分この枠が消化できておりません。これにもそれぞれ理由はあると思います。たとえば、制度が発足して日がまだ浅いとか、あるいはたまたま、いろいろの物価問題、土地問題が出てきたとか、いろいろ問題はあると思いますので、もう少し落ちついてくれば、やはりこれも伸びるとは思います。しかし、やはり一定の限度があることは否めません。そこで持ち家取得を促進するもう一つの実際的な方法というのは、個人の持ち家に対して融資するということが必要ではないかと、ずいぶん個人的にはいろいろ土地を手当てしたりなどしてお金を欲しいという勤労者がございます。そういうところに、今度は財形持ち家個人融資制度を創設いたしましたので、従来以上にこの資金の活用は図られると思います。ただ、一定期間財形貯蓄を行うという融資の条件がございますので、制度発足直後からというわけにはいきませんし、住宅建設にはそれなりのお金が要りますので、一定の準備期間が必要であると思いますが、従来以上にこの融資の制度が伸びるし、この枠もかなり満たされていくんじゃないかと、私どもは少なくともそのように努力したいと考えております。
#64
○小平芳平君 終わります。
#65
○目黒今朝次郎君 目黒ですが、与えられた時間の範囲内で当面する緊急の問題を二、三質問したいと思いますが、委員長いいですか、――お許し願います。
 まず第一点、労働大臣に冒頭お伺いするのですが、前々回だと思っておりますが、当面の春闘問題について、労働省なり政府は介入する気持ちはない、そういう御答弁があったと私は記憶いたしております。
 しかるに、私もちょっと中国に行っておって留守をしたので、詳しい事情はわからないわけでありますが、公労協の諸君に聞きますと、いわゆる有額回答の問題について八・一七ですか、これを四月の二十八日の夜半に労政局長が発表した、そういう事実があったということを私は報告を受けたわけであります。そうしますと、公共企業体の各当局が労働組合に何らの意思表示をしない前に、八・一七という数字を政府自体が発表する、これは完全なガイドラインに対する政府指導型の、春闘に労働省自身が介入した、こう言っても過言ではない。きょうの交通ストライキも、一面においてはそういう政府介入がむしろ組合から反発を食ったという一面も私はあると見ておるわけであります。きのうも田端の集会に行ってまいりましたけれども、非常に政府の介入というものについて反発を感じておるわけでありますが、なぜこういう結果になってしまったのか、ひとつ大臣の見解を聞きたいと、こう思うのです。
#66
○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるとおり、賃金問題には政府は介入しないというのは原則でございます。いま御質問の、公労協のお話だそうでございますが、そのことにつきまして申し上げますと、四月の二十五日に公労協、公共企業体等給与関係閣僚会議を開きまして、その際に三公社五現業関係の当局に早期に有額回答を行いたい旨の申し出を、閣僚会議としては了承して、これを事務的におろしたわけでございます。その後各公共企業体等におきましては、その内容を検討しておりましたけれども、おっしゃるとおり四月二十八日に各当局と関係各省庁で調整が得られましたので新聞発表をした、こういうことでございます。そしてその当局の回答提示前に記者発表したことに対しましては、私も公労協の諸君から話がありましたので、遺憾の意を表しながらもいまその経過を申し上げながら、賃金には依然として政府は介入しないことは御理解いただきたい、そして政府といたしましては、これによって自主交渉を無視したり、軽視したりあるいは当事者能力を否定する考えは全くないことを改めて申し上げるとともに、今後ともに当事者能力ができるだけ発揮できるように努めてまいりたい、こういう旨を記者会見もし、関係の方々がおいでになったときも、いずれの方々にも、総評の諸君だけにあらず同盟の諸君の方々にも来ていただきまして、大事なことでございますから御理解をいただいた、こういうことでございます。
#67
○目黒今朝次郎君 しかしこれは大臣が遺憾の意を表して公労協がある程度納得してまあ六日から交渉が始まったと、こういう経過になっていますが、しかし与える印象というのはやはり政府が指導してガイドラインを押しつけている、こういう受けとめ方については非常にいまだに現場の組合がそう受け取っているという点は私は今度の春闘で大事な汚点を残すと、こう思うのです。
 それで、私鉄関係についても介入していないでしょうね。たとえば運輸省とか大蔵省が、運賃値上げの条件であるとかそういうものを取引しながら、私鉄の自主交渉に介入している、そういう疑いも持たれておるわけでありますが、それはこの会合を通じてはっきり意思表示をしてもらいたい。私鉄の問題についても介入してない、こういう点でやるかどうか、ひとつ見解を示してもらいたいと、こう思うのです。
#68
○国務大臣(長谷川峻君) 私鉄は民間企業でございます。民間企業の方々が、労使が賃金問題についてそれぞれ交渉していることも承知しておりますが、私たち政府といたしますれば一切これは介入しておりません。円満にその話が妥結しながらストライキなどというものがないようなことを願っているところであります。
#69
○目黒今朝次郎君 私は要望しますが、そうしますと、この二十八日に一応内部の調整があったから新聞発表をしたという経過になっているけれども、やはりたてまえとしては邪道だと、やはり各当局が労働組合の団体交渉において初めて提案をして、提案をした後に政府がそれに対する見解を述べるというのが私はたてまえであると思うのです。今後そういうことのないように、この春闘においても十分に配慮をしてもらいたいということを要望しますが、いかがでしょうか。
#70
○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるとおりです。
#71
○目黒今朝次郎君 それでは次の点は、これもこの前労働大臣にお願いしたわけなんですが、春闘が近づいてまいりますといろんなことが出てくるわけですが、一つは警察関係が組合の情報を取るというやつがありますので、動労ということがちょっと新聞にありましたけれども、それについてもしかし労働運動に警察が介入することはよくないことだ、こういうふうな大臣の答弁があったのですが、閣議に帰って関係方面にお話をする、そういう約束になっておったのですが、その辺の経過があったら聞かしてもらいたい、こう思うのです。
#72
○国務大臣(長谷川峻君) 目黒さん、それはあれですか、この前話のあった続きですか。――それは、この前御質問を受けたときに、二月二十七日に警察関係の話が出ましたから、私はそれは初耳でありますと、あなたから突然の御質問でありましたから。そこで私の方でも調べてみたい、こういうふうにお答え申し上げたことでございます。私はこういうところで、国会の権威というのはお互い守ることですから、私は偶然政府の方におりますけれども、国会のこういう議論されたことはお互い仲間同士の大事な問題だと思いますので、お話を聞いた後でその後早速関係当局に照会したことです。そういう個別の問題につきましては詳しいことはひとつ警察当局からお答えいただくならば幸せだと思います。
 まあ、いずれにいたしましても私ども労働省といたしますというと、今後とも、とにかく警察の問題が一つ出ましたけれども、どういうふうな御解釈かしれませんけれども、私たちとすれば労働者の諸君がまずけがをしない。けがをして後でまたいろいろなことがないようにと、正常なだから労使関係の形成というものに、至らぬところでありますけれども、懸命に努力してまいりたい、こういう気持ちだけを御理解いただきたい、こう思います。
#73
○目黒今朝次郎君 それじゃ警察庁関係の人たちが来ておったらちょっとお伺いするのですが、私は問題が大きくならない前に、労働大臣に要望しておったわけであります。ところがその後いろいろ聞きますと、たとえば札幌の岩見沢で三月二十日、十時三十分、岩見沢署の牧野刑事が接触している。それから、これはこの前大臣に言った、青森で一月三十一日から二月二日まで青森警察の石塚刑事が接触している。それから高崎で二月二十日から二十二日まで高崎警察署の小池警備課長が接触している。それから岡山県の津山で二月十九日から二十日、津山警察の警備課長が接触している。それから東京でありますが、これは四月の七日、丸ノ内警察の山口、川辺両巡査部長が接触している。こういうような調査が大分入っているのであります。ほとんど労働組合の動向についていろいろ話をされていると、こういう話がありまして、大分、全部しますと私の方では全国二十七管理局に分かれているんですが、そのうち現に報告があるのが十二管理局管内からこういう報告があると、こういうような現状があるわけなんで、いろいろ公安の活動もあるでしょうけれども、この問題については警察庁が指導しているのかどうか、この辺の事情があったらぜひそれを聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
#74
○説明員(半田博君) お答えを申し上げます。労働運動に対する基本的な警察の立場についてまず申し上げたいと思いますが、警察といたしましては、正当な労働運動について介入するということは一切いたしておらないところでございます。しかしながら、違法な争議行為、あるいは労働運動に伴っていろいろ不法事案が発生するおそれがある場合におきましては、治安維持のために必要な情報を収集して、できるならばこれを未然に防止し、あるいは不幸にして事件が起こった場合においては、早期迅速に適確な処理をするということをいたしておるところでございます。そういうことが警察の基本的な立場でありまして、それぞれ各都道府県警察におきましては、それぞれの各都道府県警察の責任においてそれぞれそういった活動を行っておるところでございまして、警察庁が一律に指示をしておるというふうなことはございません。
#75
○目黒今朝次郎君 正当な労働運動には介入しない、不正当な労働運動には介入するということにこれ逆になるんですかね。現実に警察手帳を確認されながら、私は丸ノ内のだれだれであるとか、あるいは岩見沢警察の牧野刑事であるとかというふうに現認されて、なぜ労働組合の情報を収集するのですかと聞かれても答えないと、この辺の関係はじゃ一体どうなっているんですか。私はその辺は、警察官の方々がいろんな情報を取るということについては、それはそれなりに私も理解しますけれども、組合活動に現認される形でされているということについては、余り私は大衆運動から見て好ましい形態ではないと、こう思うんですよ。だからどうしても公的に知りたければ、本部もあるし地方本部もあることですから、そこに本件についてはどうですかと、こういうことを正式に要請されるなり、あるいは情勢などについて可能な限りお話ししてくださいということはあり得ても、全然知らない形で組合員に接触して、いろいろ話をすると、それがどこどこ警察の何のたれべえだと、こういう確認されるような陰険な方法で情報に入るというのは私はどうも余り好かないと、こう思うんですが、そういう点についてはどうなんでしょうか。どういう指導をしているんでしょうか。やれと言って指導しているのか、やっちゃいかぬと言って指導しているのか、その辺を少し聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
#76
○説明員(半田博君) 治安維持上必要な情報を入手する場合におきましても、これが情報活動が違法、不当にならないようにこの点は指導はいたしておるところでございます。先ほど東京の動労の地本の問題が出ましたのでちょっと経過を御説明申し上げておきますと、四月の七日の日に丸ノ内署の防犯係の巡査部長と警ら係の巡査長の二人が私服で管内を防犯上のために巡回中であったわけです。時あたかも地方選の最中でありました、前半の。後半の地方選がこれから告示になろうと、こういうような時期でございまして、たまたまその事務所の前を差しかかりますと、事務所の入口に何かポスターのようなものが張ってあると、そこでどういうポスターか念のために、違反ポスターなどもあることでございますから確認するということで確認してみたところ、これはある候補者の励ます会の招集のためのポスターであったということがわかりましたので、すぐ引っ返しまして、帰りかけたところが取り囲まれて事情を聞かれたと、こういうことでございまして、これも組合を別に視察に行ったわけではないというふうに聞いております。
#77
○目黒今朝次郎君 そういう事実関係になると、おたくの方で掌握する事実関係と、われわれが掌握する事実関係は必ずしもイコールではないと思うのですよ。しかし、ここがどこどこの事務所であって、わかっておってのぞいてみたり、無断で入ってみたりということについてはやっぱり私は誤解なり問題をかもし出すことじゃなかろうか。ですからポスターの例があれば、このポスターについてはどうですかということを言って正々堂々と入ってくればいいじゃないですか。それを事務所を曲ってみたり、出入りしてみたり、そういうことについては私は先ほど言った陰険だと言うんですよ。陰険で誤解を受ける。ですから、その事実関係は私は申しません、もう時間がありませんから。ただ、いま言ったように、全国二十七管理局あるうち、十二の管理局の管内でこういう案件が大小は別として行われているというこの現実は私は否定できないと思うのです。ですから、こういうことについてやはり労働運動に介入しないというような、必要な情報があれば機関を通じてやはり要請していくと、そういうたてまえできちっとした指導をしてもらいたい、私はこう思うのです。同時に、各県単位に、県単位はやっぱり各県単位で具体的にお話をするということしかないんでしょうか、警察庁の方から各県警に対しても、こういう要請があったから遺憾のないように対処して欲しいというふうな指導ができればやっぱり一本化してもらいたい、こういう点はいかがでしょうか。
#78
○説明員(半田博君) 情報の収集につきましては、たとえばストライキの見通しがどうであるかどうかというふうなことにつきましては、事務所に照会するという場合も現にこれは行っておると思います。ただ、具体的な捜査その他の問題になりますると、必ずしも事務所を通じてというわけにもこれはまいりませんので、個人に直接お尋ねをするということがこれは今後ともあろうかと思いますので、この点はよろしくお願い申し上げたいと思います。
#79
○目黒今朝次郎君 それは強くいま言った私の趣旨を生かして今後組合との接触については善処して欲しい、こう要望しておきます。
 それから時間がないですから、次にはちょっとこれも私は非常に不思議に思っているんですが、私も商売をやっておったころ、松川事件と脱線した機関車の復旧といいますか、そういうことに直接携わった男でありますから、当時の事情はよくわかっているんですが、最近、悪質な列車妨害といいますか、そういうようなのが出ているんですが、列車妨害そのものから見ると単なる列車妨害ですが、それが大衆運動との結びつきでねじ曲げられていきますと、情勢が情勢だけに非常に私は危険な側面を持っていると、こう思うのですが、たとえば四月の十八日の羽越線の列車妨害、これについてどういう情報を収集しているか、国鉄側なりあるいは警察庁の方でもわかればひとつ教えてもらいたい、こう思うのです。
#80
○説明員(鎌倉節君) お尋ねの事件はことしの四月の十八日の午前六時一分ごろに新潟県下の国鉄羽越線間島−村上間で線路上にまくら木、それからコンクリートブロック等が置かれて、川部発の吹田行の四十二両編成の貨物列車がこれらをはねまして、現場に四十七分間停車したという事案だと思います。新潟県警におきましては県警本部の捜査員を派遣いたしまして所轄署員と合同捜査を行っておりますが、さらに同時間ごろに現場付近の第三閉塞信号機の青の灯火に赤い塗料が吹きつけられておるということも判明しておりますので、現場付近の聞き込みその他強力な捜査を推進中でございます。
#81
○目黒今朝次郎君 国鉄側、どうですか。
#82
○説明員(山岸勘六君) いま警察庁の方からお答えのあったとおりでして、私どもも警察にもお願いし、またわれわれとしても私どもの公安官も動員いたしまして、鋭意犯人の追及にがんばってもらっているところでございます。
 なお、こういった妨害事件はここ数年漸次減少しておったのでありますけれども、ここへ来て、昨年の三菱重工の爆破事件以来、爆破予告電話というようなものが非常に多発いたしておりまして困っておったところ、四月の十八日のただいまの件、あるいは五月の一日には東北線の二本松付近で、さらに続いて五月の二日には伊達地区におきまして悪質な列車妨害事件が発生いたしております。先ほどの村上付近の列車妨害同様に、これらにつきましても警察庁の絶大な御後援を得まして、一緒に捜査に当たっていただいておるところであります。
 なお、これらにつきまして、私どもといたしまして、今月の二十二日から列車妨害防止強化期間を設けまして、これらの防止につきましては地方のそれぞれの社会の方々の協力も必要なのでございまして、それらのPRもあわせて努力してまいりたいと、このように存じておるところでございます。
#83
○目黒今朝次郎君 私は、この図面を持っているのですけれども、これは機関士から、運転士側から非常に見えない角度なんですよ。見えない角度でトンネルを出てすぐカーブになっている。そのカーブのところにまくら木を置いて、しかも十番針金できちんと結んでおる。もしも速度調整なり見通しがちょっと、一秒や二秒誤ってブレーキが遅ければ、このまくら木をはねて脱線する。つまり脱線で過走距離行くと川の中へ落ちてしまう。きわめて計画的な私はこれは処置だと思うんですよ。しかも反対列車の信号までつぶしておくと、脱線転覆してしまうと信号パアになってしまいますから、どうにもならぬ。こういうきわめて作為的しかも相当程度知識を持っている方の総合的ないたずらだと、単なるいたずらではない。これは脱線転覆して事故が起きれば、また春闘がどうの、労働運動がどうのと言ってくる、そういう危険性をはらんでいるものだ。非常にこの問題は私は大事な問題だと思うんです。
 それで、これもまた警察の方にちょっとお伺いするのですが、うちの乗務員がそういうことでは困ると言って村上警察署に行ったら、村上の担当官はこの近くに未解放部落があるから未解放部落との関係じゃないかということを公言したと言うんだ、公言したと。これは松川事件、共産党の策謀じゃなかろうかと言って大騒ぎしたのと同じ質のものですね。いわゆる特定の者に見込み捜査をするという点は非常に危険ではないか、大衆運動として。ですから、そういう曲がった立場で列車妨害を見られたのではわれわれもたまったものではないし、大衆運動やっている皆さんもたまったものじゃないと思うんですよ。だから、これは失言だと思うんですがね、こういう軽はずみな発言をしたとすれば。ですから、この列車妨害というものをそういう角度で見ないで、純粋の列車妨害についてはとことんまで糾明すると、そういう立場でやってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。この村上署が仮に未解放部落だという形で見込み捜査をするということについては軽率のそしりを免れないと私は思うんですが、大衆運動との関係でどんなものでしょうか。
  〔委員長退席、理事山崎昇君着席〕
#84
○説明員(鎌倉節君) 御指摘のとおり、この種の妨害事件といいますのは、一たび起こりますと大量の人命にかかわるという非常に重要な問題でございますので、私どもとしましては、今後とも鉄道公安の方と十分な連絡をとりまして厳正な捜査をしていきたいというふうに考えております。
 ただいま御指摘がありました村上の問題については、私どもそのような話を聞いておりませんのでお答えいたしかねますが、基本の問題としましては、何とかこういう悪質な人命にかかわるような問題を起こさないように、万一起こりました場合には一刻も早く検挙をするという立場から初動捜査の体制を整備する、あるいは徹底した鑑識活動を強化するというようなことで全力を挙げて取り組んでおるところでございます。
#85
○目黒今朝次郎君 そういう純粋な立場で、ひとつ最大の御協力をお願いしたいと、こう思います。
 同時に、国鉄側にお伺いしますが、東北本線の五月一日のこの列車妨害、午前零時四十五分、これも頭大の石を五つ、六つ並べておった。次の日またやったですよね。これも私は、警察の関係は警察の方にお願いするとして、実際の運転の安全を確保する上で夜間にこんな石を置かれたらたまったものじゃないと思うんですよ。それで具体的に運転士の判断に任せてカーブの段階で速度を落とすという形にするのか、あるいは保線関係の方々を動員していわゆる線路巡回を強化するのか、どちらかとらないと、事故が起きてしまってから、この前の北陸トンネルじゃありませんが、全部機関士の前方注視不十分という形で機関士に転嫁されてしまうと、これは乗務員としてはたまったものじゃないですよ。真っ暗なところで見えるわけがないでしょう、線路の上の石は、カーブならなおさら。この間、大臣乗ったというからね。これはどんなに金をかけても、悪質な列車妨害が本当におさまったという段階が来るまで金がかかっても、私は夜間、昼間を問わず線路巡回を十分して乗務員とお客さんの安全を守るべきだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#86
○説明員(山岸勘六君) 先生のおっしゃるお気持ち、私も乗務員の経験者としてよくわかるわけでありますけれども、たとえば二万キロの線路を絶えず見張りをしているというなことは、言うべくして実際は不可能なことであります。私どもとして、いま先生のおっしゃるように、線路巡回あるいは公安官の見張りというようなことも十分できるだけのことはしていかなきゃならぬと考えておりますけれども、やはりこの二万キロの線路を守るという立場から言いますと、どうしても地域社会の人々の御協力ということが必要になるのではないかと思うわけでありまして、大変勝手な言い分ではありますけれども、そういう御協力のもとにこういう妨害行為が起こらない、またやりにくいという雰囲気をつくってまいらなきゃならぬのじゃないかと考えているわけであります。
 なお、乗務員につきましては、やはり暗やみの中では、いまの技術をもってしては、私ども線路使用物を光線か何かで機関車のキャビンに撮るということもいろいろ研究はしているわけでありますけれども、まだまだ実用になる段階ではございません。したがいまして、やはり乗務員につきましては信号を重点とした運転を確保していただく以外には方法がないわけであります。そういうたてまえから、これらの悪質な列車妨害の絶無にできるだけの努力はしてまいらなきゃいかぬと、このように考えている次第でございます。
#87
○目黒今朝次郎君 とにかく列車の事故だけは大衆運動に転嫁されたり当該の乗務員が、労働者側が責任を追及されるというのは、どんなにきれいごとを言ったって現実なんですよ、これはね。ですから、私は、やっぱり本来これは運輸委員会でやるべきだけれども、運動の質が必ず大衆運動に転嫁されてくるものですから、私はこの社労委で見解を聞きたいと思ったんです。ですから、私は、何はともあれ、事故が起きて、後でいろんなむずかしい問題が起きないように最大の努力をしてもらいたい。どうしても乗務員が判断をしかねる場合には乗務員の判断が優先すると、こういうぐらいの気持ちでやらないと、この悪質な列車妨害は排除できない。それにまた警察等にも協力してもらう。そういう体制で一日も早く新聞のニュース面を、悪質な列車妨害、あるいは何々が関係しているかなんという記事にならないように努力して欲しいということを要望して私のこの質問を終わります。よろしくお願いします。
 では、いま財形関係の問題についていろいろ話をされておるのですが、先ほどの問答、論争もあったんですが、小平先生と。財形やって三年半ですね、貯蓄を奨励したその効果なり、それから持ち家の実績なり、そういうことについてもう一度、くどいようでありますけれども、かいつまんでお願いして、同時にこの現在の財形法が持っている問題点は何かということについて見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
#88
○政府委員(東村金之助君) 財形政策につきましては、先ほども申し上げましたように、フローとしての賃金所得から一応ストックとしての、資産としての流れを見てみますと、まだまだわが国の勤労者は、諸外国に比較しても、またわが国の他の階層に比較しても劣っているということがわかっているわけでございます。特にその中で、金融資産の面ないしは住宅の面について問題がある。また、勤労者はそういうところに非常に意欲的に貯蓄をしたり、あるいは住宅を欲しいということが調査等でわかってまいりました。そこで、先ほど申し上げたわけでございますが、その二つの柱、つまり財形貯蓄の柱と住宅融資の柱で出発したわけでございます。その結果、財形貯蓄につきましては、五十年二月末現在で四千百十五億円、関係しております契約勤労者数は四百五万人という数字を数えたわけでございます。ただ、量が多いだけを問題にするわけにはいきませんので、その後も、いま申し上げました二つの柱についてさらにそれを深めると同時に、今回、財形の給付金制度、つまり賃金とは別枠に使用者が給付金制度というものを設ける、そしてまた、それを設けた場合には助成金というものを出すという制度をつくったわけでございます。いろいろ細かいことはございますが、四十六年に発足して以来日がたっていると言えばたっていますが、こういう制度の趣旨からしてまだまだこれからやらなければならないいろいろの点がございまするので、さらに努力をしてまいりたい、かように考えております。
#89
○目黒今朝次郎君 ダブリますから前に進めます。
 日本の場合は西ドイツの考え方を持ってきてやったと言われているんですが、その西ドイツの問題とわが国の財形の最も違うところはどこなのか、一口に言って。私は、西ドイツの場合は思い切った国家資本を投下してやったというところに大きな特色があると思うんですが、日本の場合は本当に、ないよりはあった方がいいという程度のことだと思うんですが、それらの問題についてどういう見解なりあるいは見通しを持っておるか、あれば聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
#90
○政府委員(東村金之助君) 西ドイツの問題につきましては、確かに私ども財形政策を考える場合に一つの参考として考えたわけでございますが、西ドイツにおきましては、まず財蓄刺激政策といたしまして、一般的な、つまり勤労者に限らないで一般的な貯蓄の優遇策ないしは住宅貯蓄の優遇策というものを考えまして、これにいわゆる割り増し金制度などを導入いたしました。ただ、貯蓄刺激策では、本来所得そのものが少ない勤労者等については余り意味がないという反省が起こりまして、いわゆる財形給付金制度というものが取り上げられたわけでございます。これも一次、二次、三次と改正が行われまして、現在三次ということになっておりますが、これは私どもが現在提案しております給付金制度の一つのモデルになっているわけでございますが、おっしゃるとおり、相当、規模その他、国の力の入れ方が違っていることは否定できません。特に財形制度そのものについては、これからおいおい充実していかなければいけませんが、西ドイツとのわれわれ比較する場合に問題になると思いますのは、いま申し上げましたように、一般の、勤労者を越えた一般の人たちについても優遇措置が行われているということ、さらには社会保障についてわが国ほどウエートとして、割合として財政支出がないということ、そのようなことがありまして、日本とドイツとの国情の違いといいますか、そういうことがありますので、われわれはわれわれとして、西ドイツの問題を考えながらも、日本の実情に合った財形政策を推進してまいりたい、かように考えております。
#91
○目黒今朝次郎君 財形をやるために勤労者財産形成審議会が中心になっていろいろ技術的なもの、将来的なものを議論されておるわけでありますが、四十六年の五月六日のこの社労委員会でも、附帯決議の中で、基本方針を立てなさい、そういう議論もなさっておるようでありますが、私は労働省なり政府を含めて、財形と社会保障という形について将来どういう青写真を考えておられるかどうか、その財形と社会保障の関係についてひとつ聞かせてもらいたい、こう思うんです。
#92
○政府委員(東村金之助君) 基本的な考え方につきましては、昭和四十八年十一月に審議会から御答申をいただいておりまして、そこの中でいろいろうたわれております。そこで、社会保障制度との関係につきましては「勤労者の生活の安定のためには、年金等の社会保障の充実を図る必要があることはいうまでもない。このような社会保障の充実があってはじめて勤労者の財産形成も十分な意義をもつこととなる。しかし、勤労者財産形成政策は、勤労者が自らの努力によって生活を向上させ」るものであるので、それを援助することにより、つまり両者並行することによって、真に望ましい社会保障、財産形成の実現を期することができると、この見取り図としてはかように相なっておりますが、具体的にどういうふうにこれがかみ合っていくかということは、やはり基本的な問題として取り上げなければいけませんので、今回の法改正を一応御承認願えれば、早速審議会等においてそういう問題を取り上げたいというふうに考えております。
#93
○目黒今朝次郎君 私はその答申の内容はもらっているからわかっているんですよ。四十八年の十一月答申をもらったんですから、四十九、五十ですから、もう一年有半たっているわけですよ。一年有半の中で財形の問題と社会保障の問題について、具体的に言えば労働省と厚生省がいま読み上げられた問題を軸に具体的なかみ合わせなり討論をされた経緯があるかどうか、そういうことを聞いているんでありますが、その点はどうでしょうか。
#94
○政府委員(東村金之助君) 制度発足以来もろもろの問題が出てまいりまして、その問題を集中的にやってまいりましたので、いまお手元にあるとおっしゃいましたこの基本的な筋道の中で、厚生省その他と十分話し合ったということはございません。それはこれからやっていきたい、かように考えております。
#95
○目黒今朝次郎君 それが明らかになれば……。
 もう一つ、インフレ対策ということも出ているんですが、先ほど小平先生から話があったんですが、たとえば五十年の例をとると、消費者物価の政府見通しは一一・八ですか、出ておったのはね。それから最高利回り――いろんな利回りの問題を考えても約九%前後ですね。そうすると、昭和五十年だけ、いまこれ提案されているのを見ますとむしろ二%の目減りだと、目減りがわかっておって貯蓄しなさいということもどうも腑に落ちないんですが、この辺は一体どう考えているんでしょうか。
#96
○政府委員(東村金之助君) 勤労者財産形成政策は勤労者の自由意思によってやるわけでございますので、強制ということではございませんが、御指摘のように、インフレが収束しないとなかなかせっかくの貯蓄が生きてまいりません。御指摘のとおりでございます。そこで、私どもといたしましても、これは一基準局長の問題ではございませんが、インフレが防止され安定するということが大変勤労者財産形成政策の大前提でなければならないと考えております。ただ目減りの問題と、それから財形の問題はやや次元が異なると思うんです。もちろん個々の労働者について見ればその被害といいますか、しわ寄せというものは同じに来るかもしれませんが、制度として、政策としてはやはり次元がやや異なり一方は長期的に、一方は長い問題でございますし、一方は当面のインフレという問題でございますので、やや異なると思いますが、繰り返して申し上げますように、何と言いましても勤労者財産形成政策の大前提はインフレでございますので、その点の施策を同時にやっていかなきゃならない、御指摘のとおりでございます。
#97
○目黒今朝次郎君 その政策上の理屈はどうであっても、現に出す勤労者にしてみれば結局同じことなんですよ。むずかしい議論は勤労者はわからないですよ。ですからただそういう心配をしないように政策遂行面でカバーしてやるのが私は政治だと思うんですよ。だからたとえばインフレがあればインフレになっても元金が減らないように、そういうふうな形でやはり政策を打っていくという点の私は政治が一番大事じゃなかろうかと。だからこそ私はこの勤労者財産形成審議会が割り増し金の問題について緊急かつ最も大事な点だ、この財形については。そういう私は指摘をしていることもその辺にあるんじゃなかろうかと、こう思うんですが、この割り増し金の制度はなぜできないんでしょうか。その辺の関係をもう一回、この前浜本委員が質問されていろいろ局長が答弁しておったようですがね。この議事録を見てもちっともその辺がわからないのです、その本音がね。この辺になると、なぜその点ができないのか、ぜひ聞かしてもらいたい。
#98
○政府委員(東村金之助君) プレミアムの問題につきましては大臣を初め私どもいろいろ手を尽くしてやってみたわけでございます。ただ、その過程においていろいろ問題が出てきたといいますか、明らかになったわけでございますが、一つにはやはり勤労者が貯蓄をするというのは何と言いましても勤労者の努力が前提になければならないのではないかと。それから一つには社会保障制度と、それからこのプレミアムとをどちらを優先的に考える必要があるのかという問題。さらには勤労者だけに限って一般の市民、農民等を対象にしてないということは問題ではないかということ。それから先ほど申し上げましたように、西ドイツと日本とでは社会保障に対する国の負担のあり方等が異なりまするので、
  〔理事山崎昇君退席、委員長着席〕
なかなか私どもとしても思うようにいかなかったという結果でございます。ただ、それにいたしましてもこの制度を何とか私どもは考えなければいけないということで、今回この問題を含めて先ほどからお話ございますような財形政策全体のあり方についてさらに検討をしていきたい、かように考えております。
#99
○目黒今朝次郎君 新聞の報ずるところですからどこまで真意があるかわかりませんが、労働者としてはその財形の問題について本当に実をあらしめるために審議会の答申は二〇%であったけれども、労働省は一〇%にして三年以上継続したもの、そういう形の労働省案をつくって大蔵省と折衝した。折衝したけれども、大蔵省からけられた。いま局長の言った理由は、本当は労働省の答弁ではなくて、大蔵省の答弁を局長が代弁して答えたと、こんなふうに新聞は報じておりますから聞くんですが、まあ厚生大臣はわりあいにがらがらして厚生省はこう思っているけれども大蔵省にけられた。したがって、社労委の皆さん応援してくださいということをあっさり言うんですが、この問題に限ってはやっぱり労働省は省自体として一〇%三年以上という案をつくって大蔵省と折衝した経緯があるのかどうか、その点を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
#100
○政府委員(東村金之助君) 数字はいろいろつくりましたが、おっしゃるとおり、プレミアムについて大蔵省に折衝し要求したと、特に大臣が陣頭に立っていろいろ御努力されておるわけでございます。ただここに、先ほどまあ四点ばかり申し上げましたけれど、労働省、大蔵省ということではなくて、やはりこれが一つの、何といいますか、問題になっておるということは事実でございますので、こういう問題をどう片づけていくかということがやはりこの問題に対処する方向じゃないかという意味で申し上げたわけです。
#101
○目黒今朝次郎君 くどいようですが、大体労働省としてはこのいまの答申を生かすという方向については大体意思統一されて、財布を握っている大蔵省に当たっていると、ただ大蔵省を含めた全体の段階で、社会保障とこの割り増し金の問題でどちらが優先するかという政策の選択でいまのところ社会保障の方が優先していると、こういうふうに理解していいんでしょうか。
#102
○政府委員(東村金之助君) 労働省が意思を統一して大蔵省に当たっておるということは事実でございます。ただ、いま先生のおっしゃったそれは社会保障の問題だけを取り上げて御指摘があったわけですが、その他二、三ございましたようなもろもろの問題があるということも否定できないわけでございます。
#103
○目黒今朝次郎君 まあ、いま社会保障の問題が出ましたから社会保障と言ったんですが、貯蓄は個人の努力であるとか、サラリーマンだけを優遇するわけにはいかぬという公平論であるとか、まあ、いろんなことがあります。ただ、私はやっぱりこの期待外れの財形貯蓄とか、いろんな新聞の論調を見ますと、いま申し上げた少なくとも労働省が意思統一をしたくらいの問題について踏み切らない限り、財形の本当の効果はあらわれてこないと、その点だけははっきり言えると思うんです。これもなぜ財形に入ったかという野村証券の調査、――先ほど小平先生の言ったこともありますが、給料から天引きされると、それが魅力だというのが七二%なんですね。
  〔委員長退席、理事山崎昇君着席〕
ですから、こういう天引きされるという問題を本当に財産形成に切りかえるには、いま言ったような割り増し制度を導入しない限り本当の問題にならないということがありますから、これはわれわれも含めて今後努力しますが、労働省の意思統一を前に進めるための御努力をお願いしたい、こういうふうに要請をしておきます。
 それから持ち家制度の問題でお伺いするんですが、まあ枠は三分の一の、四千億として千二百五十億、千三百億ぐらいの枠があるわけですね、三分の一ですから融資の枠が。ところが、この四十九年一月、七十一件、四百七十八戸、二十五億四千万、これしかなってない。これは単にインフレだけで伸びないんだろうか、そのほかの要因はないんだろうか。このことについて御検討されて、意見があれば、――余りにもかけ離れていると、二十五億程度ではね。
  〔理事山崎昇君退席、委員長着席〕
ですから、持ち家制度があっても持ち家はつくれない、そういう現状の問題点がどこにあるのか、それをわかったら聞かせてもらいたい、こう思うんです。
#104
○政府委員(東村金之助君) 現行の持ち家融資は、事業主が融資を受けてそれを労働者に分譲すると、こういう形をとっておるわけでございます。で、この問題で――いま二十五億というお話がありました。三十五億でございますが、確かに考えていたほどは伸びておりません。この原因がどこにあるかいろいろ考えてみたわけですが、まず一つには、制度発足して以来なかなかこういう制度があることが浸透してなかったということがございます。それからもう一つは、ちょうど去年、ことしにかけましていろいろインフレの問題土地の問題、資材の問題等の値上がりがございまして、商社としてはそれに手が出なかった、事業主としては手が出なかったという問題、さらにはいま申し上げましたような分譲融資でございますので、労働者が、勤労者がここに住宅が欲しいと、私は土地を持っているのでここへ建てたいんだと言ってもこの制度ではこれができなかったわけです。そういうことがございまして思ったほど伸びてなかったということがございます。
 そこで、今回改正法を御提出した中で、今度は勤労者に直接ないしは事業主を通じて融資をするということを考えたわけでございます。これをやりますると、かなり勤労者が、土地を手当てをしている人が最初浮かび上がってくると思うわけですが、融資のお金を借りて家が建つのではないだろうか。そうなれば従来のような融資の伸びではなくて、さらに融資が伸びていくのではないだろうか。もちろん制度が発足したら直ちにというわけにはいきませんが、おいおい制度が発足してからそういうはずみがついてくるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
#105
○目黒今朝次郎君 一面もあると思うんですが、たとえば私、制度があっても実際に可能だろうかと。この前浜本委員の質問に対する局長のこの答弁、私はこの前いなかったから議事録を見せてもらってやったんですが、たとえば東京都の場合に、九百三十二万かかって、自己が二百四十万、公庫が三百二十五万、友人その他から三百六十八万借りたと。この問題について今度の制度の改正で九百五十万融資ができるから非常に便利になると、そういう局長の答弁がこの前具体的な数字を挙げてあったんですね、ところが私これを見た際に、たとえば九百五十万借りられることは借りられるんだけれども、耐火の関係で、返還三十五年、年七分の平均した際に年間七十七万なんです、返済金が。そうすると夏のボーナスで一カ月分、それから暮れは二カ月分、それを計算して十二プラス三で十五カ月と。このように考えると毎月五万なんです、毎月五万。それで六月には十万、十二月には十五万、単純計算で。毎月五万の返済というのは一体可能だろうかと、家庭を抱えておって。それから木造の場合には十八年で、年間九十八万で六万五千円、約七万近いです。十万足らずの給料、十五万足らずの給料をもらっておって五万とか六万という返済は私は不可能だと思うんですよ。家は欲しい、金は借りられるけれども、実際は返還ができないというのがやはり持ち家制度を抑えている大きな原因じゃなかろうか。だから問題は金が借りられるかわり、利息の面で抜本的な手を打つとかなんとか、利子の補給をするとかそういうことを考えない限り、個人融資の制度をつくったから云々ということには、必ずしもゼロではありませんが、大きく伸びるという可能性はないではないかと、こんなふうに思うんですが、いかがでしょうか、返済能力。
#106
○政府委員(東村金之助君) おっしゃること私どももいろいろ感ずるわけでございます。
 この間の例で申し上げたのは、こういうふうに申し上げたと思うんですが、自分で二百五十万程度手当てをいたしますと、その倍額の五百万がこの財形持ち家個人融資されると、そのほかに今度は住宅金融公庫の融資があわせて借りられまするので、五十年度は四百五十万にそれが上がりまするから、合計で千二百万円になる。この千二百万円に対する利子のお話だと思うんです。この千二百万円を調達するためには、いまお話しございました二百五十万というのは自己資金でございまするので、約一千万の融資を受けることになります。融資の平均利率はこの財形持ち家融資と、それから住宅金融公庫の融資両方できますので、平均七%ぐらい年利があるというふうにすれば、先ほど来お話しございました償還期間三十五年以内は七十七万、償還期間二十五年以内は八十五万云々と、こういう数字になるわけで、おっしゃるように一般的に言ってこれらの返済額はかなり負担になると思われますが、やはりそこのところは何とかしてこういう問題を解決しようと思うと同時に、返還期間がかなり長期でございまするので、そういうところで何とかカバーできないだろうかということを感ずるわけでございます。確かに負担になるということは私どもも否定できないと思います。
#107
○目黒今朝次郎君 私なども、もう国鉄四十年勤めた者だけれども、やはり十七、八万もらって、毎月五万払えと言われると、もうこれは大変だと思うんですよ。だから私はこの問題で持ち家制度について伸ばすということになれば、だれかの提案があったと思うんですが、親子二代で返還するという、返還期間をずっと延ばすとか、あるいはこれは大企業の例を言うわけじゃありませんが、輸出入銀行の場合には四分か五分で産業投資の金が借りられると、そういうきわめて低利な利息でカバーし合うとか、そういう抜本的なことをやらないと持ち家制度は単に個人の融資という制度をつくっただけでは伸びないと、こう私は思うんですよ。ですから、労働省では大変だろうけれども、大蔵省が帰っちゃって残念なんですが、そういういわゆる住宅政策という点からと、個人の財産の形成という二つの面から、そういう思い切った何か期間の延長も含めた、あるいは利息をぐっと下げると、そういうことについて検討ができないものだろうか、この点について考えがあれば聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
#108
○政府委員(東村金之助君) 私、率直に言いましてかなりの負担になると思われるということを申し上げましたので、もちろんこの負担をどう軽減していったらいいかということを考えなければいかぬと思うんですが、やはり金利の体系というのが一つございまするので、それとの関係をどうバランスとっていくかという問題があると思います。しかし、いずれにいたしましても今回は融資の枠をとにかく何とか広げるということにウエートがございましたので、第二段としてそのような返済との関係をどうしたらいいかということをさらに研究してまいりたい、かように考えております。
#109
○目黒今朝次郎君 時間が迫ってますが、それと同時にもう一つ私はお伺いしたいんですが、個人融資の形が出たんですけれども、同じやはりこれも金融体系と言われればそれまでですが、金融体系を乗り越えないところには新しい発想は私は生まれてこないと思うんです。旧態依然たるいままでの経済構造だけを考えてやっていればね。たとえば個人融資の新設で便利になったのだけれども、従来の分譲に比べれば二%ほど利息が高くなりますね、いままでは公団からこうやったやつと直接ですから。この企業分担の問題を引いても大体八%ぐらいになると、細かい計算は時間がありませんので抜きます。従来だと分譲関係は六%ぐらい、二%ぐらいの差が出るんですが、これもみみっちい話ですけれども、せっかく個人融資の制度をつくったんですから、利息も本人の場合には従来どおり六%、このくらいに抑えるための金融上の努力をすべきじゃなかったのかと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#110
○政府委員(東村金之助君) いままでの分譲住宅の融資につきましては、これは住宅金融公庫との関係はなかったわけですが、今回は個人融資で住宅金融公庫から借りられると、そうしますと、借りる金額にもよりますが、借りますと、平均いたしますと七%前後と、さらにこれに事業主の負担ということをやりますと六%前後と、こういうふうに相なるんじゃないかというふうに考えております。
#111
○目黒今朝次郎君 そうしますと、この前の局長の答弁とちょっと食い違っているのですが、まあ、それはいいです、時間がありませんから。そういう金利の引き下げということについて努力をしてもらいたいということです。
 最後に転職した場合の継続の関係ができたのですが、今回一部改正になって。ところがこの法案を見ますと同一の金融機関なんですね。他の金融機関はだめなんですね。そうしますと、きわめて限定された問題になってくるんじゃなかろうかと、ですから、同一金融機関に限定しないで相互流用性のあるようなことができないのだろうかと、そういうことについて、これも金融政策と言われればそれまでですが、そのくらいのやはり私は融通性を勤労者に与えてやった方がいいんじゃないかと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#112
○政府委員(東村金之助君) おっしゃる意味はよくわかりますが、従来は事業所をやめますともうそこで切れちゃったわけです。それを今度は継続しようということで、まあ、いわば契約そのものを継続しようということでございまするので、同一金融機関ということが前提にならざるを得ない。まあ、いままでから見れば一歩といいますか、半歩といいますか、前進だとは思っております。
#113
○目黒今朝次郎君 終わります、時間が来ましたので。
#114
○沓脱タケ子君 それでは勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案について若干質問をしたいと思います。
 で、ずいぶん問題点も質疑の中で明らかにされてきておりますので、できるだけ簡潔にやっていきたいと思うんですが、勤労所得しかない労働者、勤労者にとってはインフレは最大の敵だということ、これはまあ先ほどからの論議の中にも出ておるわけですが、しかしそのインフレというのが大変な社会的不公正を起こしているという点も先ほども御意見の中に出ておりましたが、たとえば国民生活白書の七四年度版を見てみますと、いかにひどいかというのを見て驚かされたんですが、昭和四十五年と四十八年で対比をしてみますと、高額所得上位十人の平均所得と労働者の平均所得を対比したのが出ているんですが、これによりますと昭和四十五年には高額所得者の平均所得というのは二億九千三百七十二万円、で、労働者の平均所得といったら四十五万円ですね、四十五万円。倍率は六百五十二・七倍。それが四十八年になりますと、高額所得者の方は二十三億六千六百八十二万円、労働者の平均所得は百三十二万二千円、その倍率は千七百九十・三倍ということで、まさに約三倍の開きが出てきてしまっている。まあ、こういう社会的不公正が出てきているわけです。いろんな角度からの社会的不公正の言われ方がありますけれども、所得という点で見れば、その点でもこういう大きな開きが出てきている。で、勤労者の財産形成という以上、まあ、こういうインフレのもとでは財産形成という以前に、まあ、わずかな貯金が目減りをするという問題、これもずいぶん論議の対象にされてきましたけれども、こういう状態を克服できない段階で、実際には労働者にとっては非常に魅力が少ないという点が一つの重要な内容だと思うわけですけれども、そういう点で、これは法案を提案されておられる担当大臣として、そういった点についてどういうふうに克服をしていくかという点について、これは内閣の責任ですからね。片やそういうインフレ、貯蓄の目減りというふうなもの、あるいは社会的不公正というふうなことが起こっておる。そうして片や財産形成と、まあ大変国民の側にとったら、労働者の側にとったら異和感を感じるわけですよ。そういった点で、これはひとつ客観的なそういう経済情勢の状況、それからそういう中でこういう財産形成の、まあ、それでも若干の改善なんだとおっしゃりたいだろうと思うんだけれども、そういう問題を出してきておられるというふうな点で、内閣としても総合的にやはり責任をどういうふうに負うていくのかという点をひとつ最初に明確にしておいていただきたいと思うんです。
#115
○国務大臣(長谷川峻君) 非常に基本的な御質問だと思います。まあ世界は大体インフレーションでずっと全世界押し流されております。そういう中にインフレは持っている者を富ませ持たない者を谷底に落とすと、これが経済原則になっておりますから、これをどうよその、どこの国でも克服しながら雇用の不安というものをなくしつつ物価を安定させるかという、私は各国が競争していると思うのですよ、競争。それをどう上手にやっていくかということが民族の知恵と申しますか、その国の政策の熱意とあらわれが出てくるのじゃなかろうか。そういうことからしますというと、お互いこれは政府の責任でございますから、一番は何と言ってもおっしゃるその目減りの問題なり金というものが元でございますから、この審議会の御答申にもあるように、金が正しく行使されるという信頼感をつくることが財産形成の中において一番大事なことだと書かれておる、私はそのとおりに思う。でありますから、これはもうおわかりのとおり、物価抑制と申しますか、消費者物価の安定というところに重点を置いてきているわけでして、私はそういう中においても基本としますれば、日本は勤労者の国でございますから、そのためにも物価安定が大事。一方においては勤労者の福祉をこうした一歩、半歩前進、思ったほどじゃないという御批判はずっといただいておりますが、そこまではいきませんけれども一歩、半歩でも前進させながらやっていくと、そういう姿勢をいまからもとり続ける。まあ思ったほどじゃないということをおっしゃられるかもしらぬが、ようやく物価は、そこにはフリクションもありましょう、何さまいままでのさま変わりですから。しかしながら物価安定はようやくにしてとにかくできつつある。これを実現させながら一方においては内容の充実、その充実の中にこうしたいささかの政府の援助、補助、そういうものによって勤労者財産形成の半歩前進を図っていきたいと、こういうことでございます。
#116
○沓脱タケ子君 それでね、まあ大臣、諸外国もインフレだと、で、国際的な競争をしていかに上手に切り抜けるかだということを盛んにおっしゃるわけですね、だけど、そのインフレの度合いといい、物価上昇の度合いといいですね、日本の事態というのはずば抜けているわけですよ。それからもう一つは、先ほども御意見が出ておりましたけれども、社会保障の水準の点でもこれはもう都度都度いつも問題になっておりますように、国際水準と比べてということになりますと、これまた大変問題になってくるわけです。で、そういう中でこういうものを、こういう制度をやっていくということになれば、これを本当に勤労者として勤労者自身に魅力があるという内容でなければならないというのがもう基本だと思うわけです。そういう点では、まあ、いままでの論議も私拝聴してまいっておりましてしみじみ思うのですけれども、それじゃ財形と社会保障の関係ということに先ほども御指摘があったが、なりますと、これはこれとして、いや、とにかく制度を発足、充実させて、発足をしたのだからこの後から考えると、こういうわけでしょう。で、それじゃそのプレミアムの点についてはどうかって、これはもう各委員からも御指摘がありましたけれども、言うたら今度はプレミアムと社会保障との関係、財源上の関係でどちらを優先するかという問題が非常に重要な課題でありましてと、こうなってくるわけですね。こうなりますと、実際、それじゃ貯蓄をしたら目減りをする、社会保障も不十分だ、片やインフレと物価高、これは押え切れない。しかも社会保障は不十分だと、だから社会保障が先かプレミアムが先かでこれはなかなか踏み切れないのだと、こうなってきますと、やっぱり労働者の立場としてはまあ全く踏んだりけったりだというふうにしか理解できない。で、その点では少なくとも今後の課題だと先ほど局長おっしゃってましたけれども、社会保障の充実の課題の中で、少なくとも労働省、主管大臣として財産形成と関連をして社会保障を充実していくべき側面で考えられる点、関係するところたくさんあると思うのですがね、そういう点でお考えないですか。
#117
○国務大臣(長谷川峻君) この委員会、まあ衆議院の場合もそうですけれども、この委員会でもおっしゃられたことは財産形成について充実せよというお話です。これはもう財形審議会からも原則論は全部出ているわけです。ただ、それがおっしゃるように、現実の問題としてなかなかすぐ壁の破れないというところに私たちは歯がゆさを感じていますが、しかしその必要性はやっぱり非常に認めておりますから、西ドイツの例が先ほどから出ておりましたが、二十年の歴史がある、社会保障については日本とは多少異質である、その辺を財産形成で非常によくやっているということでございましたから、私たちもプレミアムの問題については、私の方の与党の諸君が百二十何名も私に応援してもらって大蔵大臣の折衝のときに当たってもらったわけでありますけれども、まず第一、財産形成は労使が協約してやってもらってなおかつ予想以上にここまで伸びているというこの姿を見まして、何とか西ドイツ式のプレミアムまでいかないかという説得をしながら先日は闘い破れたわけでして、私はやはり将来は皆さん方のお力もおかりしながら、勤労者を守るために、また魅力あるものにするために、また勤労者諸君が大量、良質の家に借家であろうとも入り、持ち家であれ、そういういろんな面でもとにかく住宅というものに安定すれば気持ちも落ち着くだろうという一つのメリットもありましょうし、あるいはまた自分の職場というものを非常に愛するという気持ちにもなりましょうし、そういうたくさんのメリットをよくほかの方々にも理解してもらって、何とかそういう線に実現するようにがんばっていかなきゃいかぬのじゃないか、こういうふうに思っております。
#118
○沓脱タケ子君 それで、私が労働者にとって、労働者から考えて本当にメリットがあるというか、期待が持てるというふうに思えないというふうに言っておるのに、四千億の財源が集まり、四百万人の人たちが加入しているという現実が出てきているわけですけれども、それじゃ、この財形貯蓄、どこが推進しているかという問題がやはりあると思う。これは、どの週刊誌を見ましても証券会社――証券会社全部毎号出ているんですがね、「財形貯蓄は何々証券で」、これはたまたま一番新しい週刊文春に出ている。「財形ひと口メモ」とこないに書いてある。「400万人。4、000億円。400万人とは「財形貯蓄」の加入者数。4、000億円とはこれらの人が今までに積立てた額のトータル。「財形貯蓄」は順調な成長ぶりというしだい。」これは「400万人といえば、わが国全勤労者のうち実に10人にひとりが財形貯蓄の加入者ということ。あなたは10人にひとりの部類?それとも残る9人のうちのひとり?。」ということで、利息や何か書いてやっているわけです。それだけではありませんで、ずいぶん証券会社その他が、金融機関が財形の過当競争とも言わなければならぬほど、信託銀行だとか、あるいは都市銀行だとか、証券会社だとかというふうなところが実に小まめに一生懸命拡大をして資金集めをしているというふうな実態が報道されております。そういう中でこれはいまの財源というのは出てきたのであろうと思うわけで、いま先ほどからもメリットの問題を言われておりましたけれども、いまのメリットだけで本当に労働者がそんなに魅力を感じるんだろうかというふうに思うわけですよ。
 それからもう一つは、現状ではこれは残高その他を含めましても大体一年間に六万円そこそこですね、一人が。こういう状況で、実際には今度持ち家制度、個人貸し付け、個人融資というような制度ができてまいるわけですけれども、それをやろうと思ったらこれはかなりの金額の積み立てをやらなきゃならぬ、そういうことがいまの状況、労働者が置かれている状況で果たして可能なんだろうか。そういう点で、メリットの点、これは魅力というのはメリットがどこまであるかということで魅力があるかないかが決まるわけですが、そういう点で、先ほどの御説明で、私説明をしてもらうまでもなくよくわかっておりますが、五百万円までの非課税と税額控除、それから財形持ち家融資額が二倍までと、それから事業主の負担軽減措置として一%以上の金利負担、それから給付金制度、大体そういうことですね。それ以外にあるのかどうか、ちょっと一遍聞きたいんですが、それだけではいかにも不十分だというふうに思いますが、それで、先ほどからもいろいろ御意見が出されておりますが、今後の改善の方途ですね、具体的に何かお持ちになっておられるかどうか、そのことを最初にお聞きしたい。
#119
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生御指摘がございましたのが大筋でございます。そのほかにございまするのが住宅取得を目的とする貯蓄について税額控除を行うという制度が別途ございます。これは税額控除プレミアムと一口に言われている、それが住宅取得の貯蓄についてはございますが、あとはさらに言うんだったらば、財産形成の助成金制度というのが新しくできたと、それから融資の仕方が個人勤労者を相手にして手が届くようになったというようなことでございます。で、今後の進め方については、やはり財形制度全体をさらに進めるという観点から審議会等にお諮りいたしましてさらに細かい施策について検討を進めていきたい、具体的にということはまだ申し上げる段階ではございません。
#120
○沓脱タケ子君 やっとそのあれだから、後まだ考えていないというわけですね。いや、一部改正でやっとここまできたんだから後考えていないというわけでしょう、具体的には。そういう意味ですか。
#121
○政府委員(東村金之助君) いろいろ考えていることは考えておりますが一たとえば予算を伴ったり、あるいはさらに検討をしなきゃならぬというような問題がございまするので、いまここで申し上げるような熟した形ではございませんと、そういう意味でございます。
#122
○沓脱タケ子君 そうしますと、利用状況ですけれどもね、この利用状況を先ほども私ちょっと申し上げましたけれども、約四百万で四千億、確かにこれは進んでいると、進んでいる限りにおいては金融機関が大変精力的に宣伝、勧誘をしておられるというふうなことで、中身というのはこれはそう手放しでは喜べない深刻な要素というのも含まれているというふうに思うわけです。そういう状況でおりながら非常にメリットがあるとすれば私はもっと拡大されるんではないかというふうに思うんですよね。で、いまやっと一〇%未満ですね、約一〇%ですか、全労働者の、約一〇%、四百万になれば。そうしますと、こういうふうな形で私ども見てみますと、この政府がメリットだと言っておる点を見てみますと、金融機関が一生懸命集めてくれておるわけだけれども、労働者個人、個々にとっては天引きで蓄積をして、家をつくるときには債券引き受けを自分が持っておる金額の二倍までめんどうを見てもらえるというふうな程度にしかならないんじゃないか。貯蓄の場合は、これまあ五百万までの無税というふうな優遇措置ですね。若干のメリットはないとは言えませんよね。しかし、平均労働者の貯蓄高というのは、これは五百万に行ってないんですね、実際は、現状では。そうなってきますと、お金として貯蓄をしていっている場合のメリットというのはまだ余りないんですよ。だから持ち家の場合に、持ち家融資が始まるという場合に、自分の持っておる金額の二倍の融資がやってもらえるというところが一つのメリットだと言えば一番大きなメリットとして考えられるんじゃないかと、その程度じゃないかというふうに思うんですがね。これは五十二年からでしょう、実際は。決定されても五十二年からですね。で、そうなって五十二年から発足するということになると、これで持ち家制度、があっと進むと思いますか、その点はどうですか。
#123
○政府委員(東村金之助君) 現在どのくらい持ち家を欲している勤労者がおるかということは先ほど御質問があって、若干の資料をお答えしたわけでございますが、確かにこの制度でどういうふうに、何年か先にどういう数字になるかというのはなかなかつかみにくいわけでございます。制度が発足しておりませんので、つかみにくいわけでございますが、それぞれ私どもいろいろの形で推計はしているわけでございますが、財形貯蓄そのものはさらに伸びるとは思います。
 それから、一つ先ほど先生メリットとしてお挙げになった中で私どもが申し上げたいのは、財形の給付金制度というのが今度ございます。これは労働者の賃金から出すんじゃなくて使用者が賃金とは別途積み立てる、こういうものでございますが、こういうものは現在三十人以上の事業場で約一六%程度何らかの形でこれに類似したものを持っておりますので、さらにこれが伸びるのではないかという感じもしております。問題はいまの持ち家の問題でございますが、これも先ほど申し上げましたようにワクそのものは確保したけれども、返済についてかなりの負担があるじゃないかというお話でございますが、それは長い期間かかって返済をするというところで、しかも住宅金融公庫と両方借りられることによってかなり金利がダウンできるということで、まあ当面はこれでやっていって、さらに改善していきたい。いろいろ申し上げましたが、見通しというと私どもは具体的な数字ではお答えできませんが、現在よりさらに前進するということは間違いないのではないかと、かように考えております。
#124
○沓脱タケ子君 まあ、なかなかしんどいところですね。
 それから、中小企業の給付金制度という問題ね。これはまあ局長が言われたんで、私、後でお伺いしたいと思ってたんですが、言われたんですが、いま中小零細企業ですね。中企業はまあ別ですが、三十人内外の零細企業の事業主に財形貯蓄の話をしたら一笑に付された。まあ財形どころの騒ぎじゃないですよと、仕事をどうしてつないで見つけていくということが精いっぱいですという段階なんですね。そういう中で給付金制度がつくられたからと言って本当に労働者が潤えるかどうか。それからもしこの場合、どうなるんですかね。そういう中小零細企業で、そこの労働者が財形貯蓄をしたいと思っても事業主がこれ協力してもらえなかったら入る道ないんでしょう。その辺はどうなんです。
#125
○政府委員(東村金之助君) いまの事業主が控除をすることが前提でございますので、事業主が控除しなかったら実質上はできないわけでございますが、法律によりますと、そういう場合には「事業主の協力等」ということで、現行の財形の法律に「事業主は、その雇用する勤労者が勤労者財産形成貯蓄契約を締結しようとする場合及びこれに基づいて預入等をする場合には、当該勤労者に対し、必要な協力をするとともに、当該契約の要件が遵守されるよう指導等に努めなければならない。」と、まあ弱いかもしれませんが、一応こういう規定で指導してまいりたい、かように考えております。
#126
○沓脱タケ子君 結局は、私、いまさきに申し上げたけれども、財形どころではないと言うておる事業主の事業場で働く労働者の場合に、たとえメリットがあったとしても参加さえできないという関係がやっぱり起こるわけですよ。その辺の問題というのはやっぱり問題としては残されるというふうに思いますので、今後その指導の問題も含めてですけれども、今後の課題としてひとつぜひ対策を考えていっていただかなければならない分野だというふうに思いますので、それはひとつお願いをしておきたい。
 で、時間がありませんからもう一つお聞きをしたいのは、先ほどからもお話が出ておりましたね。一千万円、自己資金を二百五十万つくって、そして財形持ち家融資五百万円してもらって、住宅金融公庫四百五十万円ですね。合わせて千二百万と。この一千万を――まず一千万で家を買えるということはないわけですね。一千二百万円で。だって、けさの朝刊にも出てたな。町田市ですか、市が土地を分割して困窮者に販売をするって、四十坪でしたかね、一区画。四十区画売り出す。その金額が土地だけで千七百万から三千万までだということですよね。そうしますと、千二百万円、まあ勤労者営々として借り集める制度を十分活用して千二百万円つくってみたとしても、これは土地も買えない。町田と言ったらあれでしょう、私は東京の土地勘弱いですけれども、やっぱり都心部へ来るのに一時間半ぐらいかかるんでしょう。そういうところでもそういう状況。しかもそれは業者じゃなくて地方団体が分譲すると言っておる分なんですね。それでそういう状況なんだから、これで住宅を確保する、持ち家を確保するということにはちょっとほど遠いんじゃないかというふうに思わざるを得ない。
 もう一つは、最近金融公庫の申し込みの時期でもあった関係でしょうが、ずいぶん各新聞紙には広告、分譲住宅の広告が出されてますよね。千二、三百万円で買える住宅なんてのはないんですね、実際には。それはまあ一時間半か二時間、あるいは二時間半もかかって都心部へ来れるというふうなところだったら千三百万か四百万のところもあるんでしょうがね。その辺ではこれはちょっと買えないんではないかと、何とか前へ進みそうですという局長の御意見ですけれども、客観的にはちょっと買えないんじゃないか。まあマンションでも小さいマンションなら千二百万ぐらいであるかもわかりませんね。これだと、本来住宅持ち家、自分の家を持ちたいという国民の要求からいくと、その小ささでは本来の目的、要求にはかなわないという内容でしかないわけですね。だから家は買えないんではないかというふうに思う。買ったら今度は返済が大変だというのは先ほどの話ですね。これはまあ月平均五万月払って、そうしてボーナス期二回に四十万ずつ払って、九十八万円か、約百万ですね。木造の場合には一千万借りたとしたら九十八万ですね。一年間に。これはもう、とてもじゃないが労働者のいまの賃金水準ではどうにもならぬのじゃないかというふうに思うんです。全国のいま現時点では平均賃金一カ月幾らぐらいですか。古いデータは私ども持っておりますが、ごく最近のはわからないんです。
#127
○政府委員(水谷剛蔵君) 本年二月の全部の、調査産業計でございますから全部の産業でございますが、それによりますと十二万三千九百三十七円というのが調査産業でございます。
#128
○沓脱タケ子君 全労働者の平均賃金ですね、十二万三千九百三十七円、これはまあ、これよりは幾らか高い世帯主が家を建てるということになったとしても大変だと思うんですね。念願がかなって家を何とか無理してつくった、五万円ずつ払っていくということになりますと、当然共働きなどをして何とかやっていくと。これは全く順調に支払い期間がいけた場合ですよ、何とかいけますわね。首にもならない、あるいは働いている人が病気をしたり災害を受けたりというふうな状況がなければ、健康でまず間違いなく返済期間まで働くことができたということになれば何とかかっこうはつくわけですが、これはしかしどういうことが起こらぬとも限らないという問題があるんですが、もし順調にいっていたとしても、月に五万円ずつ返済をしたら、大体親戚や友人関係のおつき合いはまともにできなくなります。レジャーにも行けなくなるということになって、家はもし無理算段して値段に見合うものを確保したとしましても、もう家族全体含めて全生活が家の借金の返済で縛りつけられるというふうなことになりかねない。こういう状況というのは労働者の本当に福祉の向上に値するのかどうかという点ですよね。これは私は大変だというふうに思いますが、その点どうでしょう。こういう厳しい現状を見て、本当に財産形成あるいはその中での柱になっておる持ち家対策の名に値するというふうに思われるかどうか、率直に御意見を伺いたいと思うんです。
#129
○政府委員(東村金之助君) 私が申し上げた数字はこれは東京の数字でございまして、総建築工事費でございます。そういう意味で昭和四十九年度において九百三十二万という数字が出ております。それを実際に資金を集める場合に手持ち金だとか公庫の借入金とかいろいろやっておりますが、何と言いましても公庫以外からの借入金がウエートが高い、それはどういうところかと言えば一般の金融機関とか勤め先とか、友人、親戚と、こういうかっこうがとられているわけです。そこで、少なくともこういう実態がある中で公庫以外からの借入金ぐらいはひとつ枠を財形貯蓄で賄うようにしようじゃないかというのがそもそもでございます。したがいまして、資金の枠をどう確保するかということにウエートがあったわけでございますので、確かにおっしゃるように、現在の賃金でこれを軽く払えるかということになるとなかなか問題がある。しかしそれにしても、利子をなるべく安くするように住宅金融公庫とあわせて借りることができるようにしたと、それから期間もできるだけ長い償還期間をとったということによってとにかく一歩踏み出していこうじゃないかと、こういう趣旨でございますので御了承願いたいと思います。
#130
○沓脱タケ子君 いや、まあ御了承と言われてもちょっと了承しにくいわけでね、客観的にはなかなか困難だというふうに思うわけです。
 それから、もう一つの問題点、これは指導を強化してもらわなければならない点ではないかと思いますのは、財形制度をもし事業主を通してやると、事業主を通さないと労働者が財形貯蓄ができないという関係にあるわけですから、そういう関係から言うと、そういうことを通じて、財形貯蓄を通じて企業への貢献度ですね、これを強制されるというふうなことがあってはならない、逆にね。先ほどは金利の問題で損害を与えてはならないという問題が御指摘がありましたんですがね、同時に、こういった財形貯蓄を企業がやっていくという場合に、それに入っておるからということで、たとえばやめたいというのもうまく自由にやめられないとかね、そういう形での過分な拘束の要件にならないということが非常に大事じゃないかというふうに思うんです。といいますのは、これは前にも私は委員会で申し上げましたけれども、基本的な権利である年休さえ管理されているというふうな実例を申し上げましたね。これは明記されていますね、金融機関、その後私調査してみましたけれども大分ありますよ、依然として会社が年休管理をしていっているというような問題ね。ですから、そういうことまで起こってきておるいまの労使間の関係でございますから、そういう点が起こらないようにひとつ御指導をいただく必要があるんではないか。
 といいますのは、これ、「財形」という雑誌を見ておりましたら、こういうのが出ているんです。「脱退者の再加入は厚生課長の承認を要する。」とかね、これはたまたま書いておる人が書いておる人なんですがね、湯浅金物という会社の方が書いておられるんですが、それの「勤労者財産形成貯蓄ならびに住宅融資規定」というものの中にそういう項目が出ておる、「厚生課長の承認」云々ということが出ておるような状況ですから、私が申し上げているような、労働者に過分の拘束の要件にならないような指導というのがきわめて大事じゃないかというふうに思いますが、その点どうでしょう。
#131
○政府委員(東村金之助君) 先ほども金融機関の過当競争という問題もありましたし、いま御指摘のようなお話もございました。われわれとして最も恐れていることはそういうことでございまして、労働者が強制をされてまで社内預金をやったり財形貯蓄をやったりしたら本末転倒の形になると思うんです。現に、この法律におきましても、やはり労使で協定を結んでやると、しかも個人個人の自由意思でやるというたてまえになっておりますので、いまのようなことがないよう十分監督指導をしてまいりたい、かように考えております。
#132
○沓脱タケ子君 それで、持ち家対策というのはなかなか困難だと、ずいぶん労働省頭ひねって改正案をお出しになっていただいたわけだけれども、どうやら、とてもやないがこの制度だけでは家が建ちそうもないという状況なんですが、そこで、住宅政策について、非常に住宅政策自身が重要な問題になってこようと思うわけです。これは財産形成との関連でもきわめて重要な内容になるわけですが、そこで住宅政策の問題について建設省にもちょっとお聞きをしたいと思っているわけです。
 四十九年度版の国民生活白書を見ますと、住宅の、いわゆる「すまいへの欲求と問題点」ということで「三つの難問」というのが提起されているんですね。その一つは「サラリーマンの夢である持家の取得がますます困難になってきた」と、それが一で、二番目が「公的資金による住宅建設が大幅に遅れている」というふうに書かれて、三つ目は、社会的なコンセンサスの問題が書かれているわけですけれども、そこで、一のサラリーマンの夢の持ち家の取得というのが財形を改定してもらったけれども、きわめてちょっと手が届きにくいと、二番目の公的資金による住宅建設が大幅におくれているということが指摘をされていますので、その点について若干お聞きをしておきたいと思うんです。というのは、第二期住宅建設五ヵ年計画というのがことし――五十年度で終わるんですね。その進捗状況は一体どうなっているのか、それを最初にお聞きしたい。
#133
○説明員(京須実君) 第二期の五ヵ年計画はお話しのとおり五十年で終わりでございますが、その五ヵ年の公的住宅の予定の戸数は全体で三百八十三万八千戸でございまして、そのうちで一割の調整戸数を差し引きまして、残りを公営住宅、公庫住宅、公団住宅等に配分いたしておりますが、その進捗率は五十年度の予算をいただきました分を全部予定どおり完遂できるとした場合の率で申し上げますと、公営住宅が七六・五%、公庫住宅は一一六・六%、公団住宅は六三・五%、それから財形関係とかあるいは厚生年金の関係とかその他のいろいろな公的施策を合わせましたその他の公的住宅が八三・六%、全体としまして公的資金による住宅の五ヵ年計画の達成の見込みは八三・三%でございます。
#134
○沓脱タケ子君 それで、その中で、いま御報告いただきました進捗状況の中で、公団住宅、公営住宅の進捗率というのは非常に低いわけですね。その低い隘路というものがやっぱりあると思うんですがね。その点についてちょっと伺いたいんですが、私、大阪市の実例を聞いてちょっと驚いたんですがね。これによりますと、四十八年度の決算で、四十八年度実行完成戸数が何とあの大大阪市で二十五戸だそうですよ、完成がね。さすがにその大阪市がなぜこんなにうまくいかないかと、住宅政策が。そのことの問題点を言っておられますがね、用地費が昭和四十八年度に三八%、これは六大都市平均ですね、三八ないし四〇上がっていると、それから建築費の増高というのはもうべらぼうなんですね、四十八年度。四十八年十月に五〇%増になっている、建築費ですよ。さらに十二月にそれに加えて三〇ないし四〇%増、そういう中で落札さえできない。で、超過負担がだからそういう中では四〇%を超すという状況が起こってきておる。
 もう一つは、家賃が非常に高くついて公営住宅でも二万五千円を超すという段階になっている、こういう状況だというふうなのが大阪市の実情なんですけれども、それらも一つの進捗状況の険路の重要な原因だと思いますが、建設省で公団、公営両住宅の進捗状況がうまくいかなかった隘路として考えておられるのはどういうことでしょうか。
#135
○説明員(京須実君) 先生おっしゃいますように、地価、建築費の高騰といった問題も確かにございます。そのほかに、さらに住宅団地の建設に関連いたしまして、学校とかあるいは公園、道路、下水道と、そういったような公共、公営施設の整備に伴います負担の問題がございます。これがやはり地方財政を相当圧迫するという点も一因かと思っております。それから、さらにまた付近の住民の方々が最近になりますと、非常に住環境の保全というものを求めまして、たとえば日照とかそういった問題がございますと、いわゆる高層住宅の建設について非常に反対が出てくるといったような、これは周辺の住民の方々のエゴと申してはちょっと申し過ぎと存じますが、やはりその住環境保全の要望がきわめて強いといった点がございます。そういったような住民の方々の住宅団地建設の反対、あるいは公共団体の方の費用の問題から出る反対といったものも相当多いかと考えております。
#136
○沓脱タケ子君 そういう隘路を解決していく見通しについてはどうですか。
#137
○説明員(京須実君) まず、先生御指摘の単価の問題でございますが、これにつきましては、たとえば公営で申し上げますと、四十九年度に四六%の単価アップ、五十年度には二七%と単価アップいたしまして、ほぼ超過負担等は解消したものと考えております。
 それからまた、周辺の住民の方々の反対等でございますが、これにつきましては、四十九年度からいわゆる転がし方式と申しまして、東京、大阪府あるいは大阪市でやっておるんでございますが、新しく団地をつくりました場合に付近の住民の方々を優先的にお入れします。従来せっかくの団地に非常に適当な空き地がございましても、住宅団地をつくるよりは公園にしてくれといったような御要望もございまして建ちがたいといったような面がございましたので、その点につきまして付近の住民の方々を優先的にお入れいたします、それで御協力願いたいということを考えております。ただ問題は、付近の方々をお入れしますと、またその方々の住んでおったところに人がかわりに入ってまいりますと人口がふえてまいりまして、結局それが小学校あるいは下水道、公園等のまた要求につながってくるという点がございますので、優先的にお入れする場合には跡地を公的機関にお譲り願いたい、その跡地に今度は、跡地の悪い住宅をつぶしまして、公園なりあるいは保育所とか、そういったものをつくろうと、それを通常転がしと申しておりますが、そこで跡地をつぶしまして、悪い住宅を壊しながらいい住宅をどんどん建てると、それによりまして大都市の中心にあります工場跡地とか、そういったものを有効に活用しようという方式を推進しております。大阪等でもこれは非常に賛成されまして鋭意準備中のはずでございます。
 それからもう一点、関連公共公営施設の問題でございますが、これにつきましては五十年度から従来に増しまして、たとえば住宅公団でございますと、千五百戸以上の団地につきましては、原則として小中学校の費用については二十五年間の償還で立てかえますが、最初の三年間は無利子にして元金も据え置き、つまり一銭もお金を払わぬで結構ですといったような態勢をとりまして促進を図っております。それからまた都道府県が、大阪の場合でございますと、大阪府営住宅をつくるといった場合でございますと、大阪府が相当立てかえでかわりに学校とか下水道とか公園とかあるいは道路とかつくった場合でございます。そういう場合にはその地元の市の負担の方を軽減する措置を設けまして、その軽減分の半分は国が肩がわりをしようといったような、府がつくる公園とかにつきまして、地元市町村が道路、公園につき合う分についての費用の軽減措置を図る。その他、各般の関連公共公営施設につきましての費用の負担についてもいろいろ調整を図っております。
 そういったような、単価の問題、あるいは付近の住民の方々の御協力を願うと、あるいは関連公共公営施設の費用負担の問題と、その他それぞれいろいろ改善努力いたしまして、何とか大都市におきます公的住宅の建設を促進しようと、こう思っております。
#138
○沓脱タケ子君 いまおっしゃった方向で大体そうすると五十年度あるいは五十一年度からは第三次計画をおやりになるんでしょうけれども、いまの第二期建設計画のようなこんな不細工なことにはならない見通し立ちますか。
#139
○説明員(京須実君) 五十年度を含めまして住宅の必要戸数から割り出しまして何戸建てろということを国の方で計算して、それを配分するということを従来やっておりましたんですが、今後は各事業主体の施行能力等を十分相談いたしまして、実現可能な線でもってまとめたいと思っております。五十年度はそういう意味では多少戸数は落ちましたが、実現可能なものに抑えました。ただ、もちろん地元の実施可能と申しましても、それがまた非常に少ないんではかえって問題になりますので、十分調整を図りまして、さらにまた、制度の改善についても詰めようと思っております。何とかして第三期につきましては第二期のような失態が出ないようにと、こう考えております。
#140
○沓脱タケ子君 幾ら言うていただいても、なかなか本当にそう進みそうだというふうに思えないんですがね。たとえばおっしゃった土地の問題は公営住宅の場合はあれは起債ですね。これは利子補給をずっとやるというふうな方針のようですね。全額じゃないでしょう――あとで聞きますわ。
 それから、その建設費については超過負担のないように適正単価に近く引き上げていっているとおっしゃっているわけですね。これは全額じゃないから、当然全然超過負担がなくっても地方自治体の負担分というのはかさんでいきますよね、単価がアップすればするほどかさみますよね、そういうこと。
 それから、地価が上がっていっているということでは、これは起債になりますから、少々の利子補給があったとしても借金がどんどんたまる、上積みされるということになりますね。
 それから、関連事業ですね。この関連事業の問題についてはこれはもう非常に重要だと思いました。特に東京でも大阪でもそうでしょうけれども、たとえば府営住宅を衛星都市に建てると言ったら、これ全部拒否されているでしょう。拒否されている最大の理由というのは、家そのものを建てるための超過負担もさることながら、あなたがおっしゃった隘路の一つである関連事業ですね、道路、下水、学校、保育所、その他福祉施設ですね、そういうものについてはどうなんですか。どうしていくのかという問題があるわけですね。
 で、地域社会との関係の転がし方式というのは、これはまあ、きめの細かいやり方なんで、今後の課題として私は追求していく必要のある課題だと思いますよ。
 しかし、いまの御説明だけで本当に公営住宅や公団住宅が――いわゆる公団住宅でも賃貸部分ですね、そういう安くて勤労者が安心して入れるような住宅というのが本当に保障されるんだろうかという点ですね。これはいまのお話だけではちょっと理解に苦しむんですね。たとえば大阪市が四十八年度二十五戸しか建たなかった、これは五十一年になったら従来どおり六千戸ぐらいは建つだろうか。ちょっと考えられないんですね。その辺どうでしょう。
#141
○説明員(京須実君) 先生御質問のとおり、いろいろ問題がございます。ただ、土地の、たとえば金利等でございますが、これは起債でございますが、土地の金利あるいは地元負担部分というものは一応は、公営住宅の場合には家賃の方に転嫁いたしましてお払い願うというたてまえでございます。もちろんその家賃が上がる問題ございますのですが、一応は公共団体の方は自己の持ち出し分は全部家賃に転嫁できる、国の補助分だけ家賃が下がるというたてまえでございます。で、土地の分につきましては、国の方で土地の費用が六分五厘まで下がるように土地の地代の援助をいたしております。そうして家賃を下げております。基本的には、やはり大阪等でございますと、単価が高いために建たぬのではございませんで、土地はありますけれども、付近の住民の方々のお許しが得られないために建たない、あるいは地元の市町村あるいは区といいますか、特別区とかそういったところの協力を得られないで建たないという点が一番難点でございまして、私どもはやはりそのためには住環境の整備の一環として今後は住宅をつくる、そういうたてまえを大いに推進しようと思っております。
 なお、さらに詳しくは、第三期につきましては、現在建設省にありまする住宅宅地審議会というのがございますが、その審議会におきまして今後の住宅政策の基本的体系につきましていろいろ御審議願っておりまして、ここでさらに抜本的な対策を御協議願いまして実現に移したいと、そう考えております。
#142
○沓脱タケ子君 私はまあ、きょうは住宅建設について細かく聞こうというつもりじゃないんです。片方では労働者にとっては持ち家がだんだん遠のいていくというふうな事態になっておるという中では、公営住宅あるいは公団住宅、そういう住宅で、そうして安心して比較的豊かに生活のできるというか、住みよい公営住宅、そういうものが大量につくられるということがもう不可欠になってきているからお聞きをしたわけですけれども、たまたま調べてみたら、公団住宅だとかあるいは公営住宅という勤労者がすぐにたくさんできれば入ることのできる住宅が計画からはるかに遠いという状況だということになりますと、これは少なくとも財形をせっかく補足をされても持ち家がなかなか簡単に確保できないということになれば、当然労働者の立場から言えば安い賃貸住宅を、大量に公営住宅を建てていくということが非常に大事な課題になってきているというふうに思うんですよ。そういう点でこれは建設省の御意見聞きましても、私はちょっとこれだけ、いま言われた範囲だけではとてもじゃないが、そう大幅に進捗しそうにも思えない心配が感じられます。
 で、最後に私、そういう立場で大臣に聞いておきたいんですが、そういう労働者の福祉対策、特に財産形成との関係から言いまして、住宅政策というのはきわめて重要だと思う。そういう点で大臣として、労働者の福祉向上の立場から言いましても、この第二期の五ヵ年計画がこういうお粗末な状況になっておるということにかんがみて、来年度からの新計画に対処するために少なくとも見解を明らかにしてその方針を推進される必要があろうと思うんですが、そういう点についての御見解と御決意のほどを伺っておきたいと思います。
#143
○国務大臣(長谷川峻君) これは私の方の財産形成の質疑のときによく諸先生方の方からも言われることでもあり、また審議会からの御答申の中にもあることでありますし、それから現在の住宅事情を考えた場合に、勤労者の立場、福祉向上というものを目指す私からしますというとゆるがせにできない問題でございまして、いままでも関係各省にそういう問題について話もしております。改めてここで申し上げますと、審議会の御答申の中に「勤労者財産形成政策と住宅政策」という項がございまして、「勤労者財産形成政策の当面の重点を持家取得におくことは当然としても、これだけで現下の住宅問題が解決できるものではない。一般的に住宅、土地対策が強化される必要があり、勤労者に対する住宅対策としてはやはり良質、低家賃の賃貸住宅の大量供給を十分考慮すべきである。」こういうふうに言われておりますので、この趣旨を踏んまえていまから先も関係各省新しい計画などをつくられるときには大いにひとつ私の方からも御協力、推進を申し上げたい、こう思っております。
#144
○柄谷道一君 本法案は、衆議院の社労委員会また本委員会ですでに質問し尽くされた感があります。したがって、私は今後の財形のあり方というものを中心として労働省の今後の施策方針について質問をいたしたい。したがいまして、できる限り大臣から、しかも具体的な抱負として内容をお伺いしていきたいと、こう思うわけです。
 まず最初の質問でありますが、財産所有民主主義の上に立つ勤労者の財産形成というものは、多様な財産の組み合わせとその効果によって目的を達するものであると私は思っております。その意味で勤労者財産というものを分類いたしますと、株式、社債、公債、預金、年金基金、共済組合や生活協同組合への出資金、こういったいわゆる金融資産が一つあると思います。二番目には、土地、住宅等の物的資産があると思います。そして三番目には、勤労者みずから及びその子弟の教育、知識、情報水準を高める投資によって得られるいわゆる無形の教育資産というものが存在すると思うのであります。しかも所有する人によってさらにこれらを個人的直接所有、集団的間接所有というものに分類することができる、こう私は思っております。この法案によりますと、勤労者の財産形成を主として預金と持ち家という物的資産を中心とした物の考え方に立つのではないか、こう思うのでありますけれども、いま私の指摘いたしましたいわゆる総合的な勤労者の財産形成に対する大臣としての所信をまず冒頭お伺いをいたしたい。
#145
○国務大臣(長谷川峻君) 勤労者の財産所有形態の分類につきましては幾つかの考えがあろうかと思います。まあ御指摘のような分類も私は可能であると思っております。私の考えております財形制度というものは勤労者が現に行っておる財産形成の実態に着目いたしまして、財産としての通常の形態である金融財産を持ち家とする、そしてそれを保有すべき財産と、こういうふうに考えているわけです。現段階におきましてはこのような内容の財形制度を推進していくのが実情に即している、こう考えておりまして、先生御指摘の点につきましては将来の財形制度のあり方に対する研究課題の一環として重要な参考にしてまいりたい、と、こう思っております。
#146
○柄谷道一君 当面現在の勤労者の意識が大臣答弁のようなところにあることは否定をいたしません。しかし、これから変貌していくこの日本の将来というものを考えますと、労働者の財産というものをそのような限定した立場の財産としていつまでもとらえるということが果たして適切かどうか、まあ盛んに総理大臣以下発想の転換を強調されている時期でございますので、ひとつ労働大臣としても引き続きこれらの総合的財産形成という視点に立った検討を可及的速やかにお願いをいたしたい。
 そこで私はそういう視点に立って、次の問題でございますけれども、財形審議会は企業内で行われている財産形成の諸制度の実態を把握し、これとの関連において対策を進める必要があることを指摘いたしているのであります。私はその中の一つとして、現に企業内で行われている財産形成の一形式として個人の従業員持ち株制度ないしは所有社債制度というものがあるわけであります。これらは財産所有民主主義というものが経営の民主主義、産業民主主義につながる一つの機能を持っているものだと私は評価をいたしております。さらに個人のこうした所有制度ではなくて、労働組合が行う集団的な投資基金制度というものがやはりこれからの日本の産業別労使会議や経営の民主化に役立つという機能を見落としてはならない、こう思うわけであります。要するに私たちはすでに抵抗の時代から参加の時代に入ったと、そうなければならないと考えているものでありますけれども、大臣としてこれらの制度に対する率直な評価というものをお伺いをいたしたい。
#147
○国務大臣(長谷川峻君) 従業員の持ち株制度などにつきましては適切に運用されている場合は御指摘のように労使双方にとってきわめて大きな利点があるということは考えられます。しかしながら、またその反面、企業が倒産したような場合のリスクというものもまた大きなものでありまして、勤労者が所有すべき財産として一般的に優遇措置を講ずることにはそれなりの問題の存するところも御理解いただけると思います。この制度が持つこれらの利害得失も含めて御提案の問題については今後大いに研究してまいる問題である、こう思っております。なお、その労働組合などによる集団的投資基金という構想につきましても、その基盤がわが国に一体合うものかどうかという問題もありますし、また類似の構想についてもいろいろ論議があるところであります。西ドイツなどでもいままで聞いたところによりますと、その具体化については困難な事情等々がある、こういうことでございますが、いまから先というものはやはり勤労者がいろんな面においての経営参加という問題が真剣に考えられる時代でございますから、いろんなケースにおいて広く私の方でも研究してまいりたいと、こう思っております。
#148
○柄谷道一君 この点につきましても、現在民主的労働組合の中ではいま大きなテーマとして参加の問題が取り上げられているわけです。大臣御指摘のように、確かにリスクもあります。しかし、大きなメリットがあることもまたこれは事実でございます。この問題につきましても単にデメリットがある、リスクがあるということで放置するのではなくて、やはりこれからの新しい時代に対応する財産形成の一つの方法としてリスクというものをチェックしながら、これに対する管理の体制を強めながらこの種の産業民主主義の推進というものに対して労働省もひとつ積極的に取り組む、また検討を開始すべき時期にいま来ているのではないか、こう思うのであります。そこでいま大臣はリスクということを言われたのでありますが、リスクという観点からいきますと、社内預金の問題がこれ当然浮かび上がってくるわけであります。大臣はこの委員会で五十年度中に労務債権の確保について再検討して来年からひとつこれを実施していきたい、こういうことを再三にわたって答弁をされているわけでございますけれども、広義の意味の労務債権とも言うべき社内預金の管理保全についてその適正化を行うための検討は当然本年度中にその成案がなされ、適切な改革が行われるものと理解してよろしゅうございますか。
#149
○国務大臣(長谷川峻君) 局長に答弁させます。
#150
○政府委員(東村金之助君) 労働債権の問題との関連で社内預金の問題が出たわけですが、先般調査したところによりますとその保全措置等がいろいろ問題があると、これはいままで指導でいろいろやってきたわけですが、こういう時勢になって、これでいいかということで、おっしゃるとおり現在労働債権の問題と関連して検討をしております。ただ今年中という期限をいまお約束できませんけれども、なるべく早くとにかくこの問題を結論づけたいと、かように考えております。
#151
○柄谷道一君 そうすれば答弁どおり、私の希望としては一連の労務債権確保の中で速やかにその結論を出して、これは年度中にその結論が得られるように努力を求めておきたいと、こう思います。
 次の問題でありますが、集団的財産所有による勤労者の財産形成の一つの方法として、労金、住宅生活協同組合、共済生活協同組合、さらに生活協同組合等の勤労者集団による福祉事業活動というものがあることは御案内のとおりであります。財形審議会の四十九年二月二十三日答申に「勤労者団体が行う財産形成のための協同事業の育成を図る」べきであることが指摘されております。これに対して政府の所信は一体どうであるのか、お伺いをします。
#152
○国務大臣(長谷川峻君) 勤労者の団体が行う福祉事業活動につきましては、御指摘のように、労働金庫による預金の受け入れ及び資金の貸し付け、さらには日本勤労者住宅協会等による住宅の建設、分譲のほか、各種の共済事業や物品の購入、販売等幅広い事業があるようでございます。これらの事業のうち、どのようなものを勤労者財産形成制度の一環として取り入れていくかという問題につきましては、事業の内容が勤労者の財産形成に果たして役に立つものかどうかということが一つ、その事業によって立つ基盤が強固なものであるかどうか、さらにはまた勤労者に及ぼす利益の度合い、そういうものなどを検討する必要があろうと思いまして、それらの実情を把握した上で、関係省庁と連絡をとりながら今後の検討課題にしてまいりたい、こう思っております。
#153
○柄谷道一君 私は個人または集団としてそれらの事業団体に対して出資する、それから上がる配当金中の一定部分をさらに出資金として備蓄する、これは明らかに財産形成であると思うわけであります。しかもその中の住宅生協のごときは、それが物的資産の取得ということにもつながっていく、私はそういう点からいま大臣の言われたようにこれから検討するということであってやむを得ないとは思うんですけれども、少なくともこの今回の財形の資金運用について勤労者の共同事業育成に資する道を開くという具体的な配慮を行っていくべきではないか、こう思いますが、いかがでございますか。
#154
○政府委員(東村金之助君) せっかく財形貯蓄として集めたお金をやはり勤労者の福祉という面で使わせるべきじゃないかという御指摘は私どももそう思いますし、いろいろそういう御意見のありますことを存じ上げております。ただ、当面の問題といたしましては、何と言っても住宅の問題等が優先されておりまするので、そこまで現在、手が回っておりませんが、これらの実績等を勘案しながら、そういうものが将来どういうふうに活用できるか検討してまいりたいと、かように考えております。
#155
○柄谷道一君 局長は検討する、大臣は実態を把握してと、こう言われるんでありますが、それではこれらの団体ですね、それぞれ現状というものをこれらの団体なりに把握をし、これに対する具体的育成の方策というものを持っているわけです。したがって、これは大臣にお伺いするんでありますけれども、これから検討する、実態を把握して前向きに対処していくというお考えであるとすれば、直接、これらの関係団体と大臣が一度お会いになって十分にその意見を聴取をして、そして、その中からこれを今後の労働施策として生かしていく、必要とあれば関係各省に対してこれを、意見を申達する。こういう運営をとる御用意はございませんか。
#156
○国務大臣(長谷川峻君) 一つの非常にいいサゼスチョンだと思います。そこでこういういろいろな団体がどういうことをいままでやってきたか、また、どういうことを、先生のおっしゃるような志向をしているかということを、一ぺん事務当局にずっとフォローさせまして、よく私研究してみましょう。
#157
○柄谷道一君 その点はぜひ御配慮を願いたいと思います。
 次の問題ですが、今日要請されている高度の知識、情報、技能、技術、これは情報化社会というものにありましては、金融資産や物的資産に匹敵する重要な価値を持つものではないだろうか。特に三木総理大臣も施政方針の中で国土も狭い、そして原料もない日本が今後立っていくその道は、こうした高度の知識、技能であることを強調されているわけであります。現在、勤労者の中にも子孫のためにいわゆる美田を買わずと言いますか、子弟への教育こそが最大の遺産であるという考え方を持っている勤労者の多いことは大臣もよく御承知のところであろうと思うんであります。したがって、勤労者の子弟教育を目的とする貯蓄というものに対しては、今後の大きな展望という上に立っても格段の援助の強化というものが図られるべきではないか。と同時にまた、勤労者みずからの教育のための休暇制度ないしは子弟のための公的、私的な奨学金制度の拡充、こういった方法によって一連の教育資産というものを大きく労働行政の中に取り上げていく、これがいま現実の課題の一つではないかと、こう私は思うわけであります。審議会の答申の中にも、子弟教育問題は触れられているところでありますけれども、大臣としての今後に対処する所信を明確に伺っておきます。
#158
○国務大臣(長谷川峻君) 私は日本という国は非常に特異な国でしてね。とにかく中学校卒業生がことし卒業して就職戦線に入る者は六万五、六千人、高等学校の入学志願者が九二%、そういうことからして、ずうっと技能教育された勤労者の子弟という者がお父さんが小学校しか出なくとも息子は大学へどんどん入ってくる。これが今日の私、日本の大きな伸びの原因だというふうに感じております。ですから、私は育英資金の拡充とかそれの増額とかいうものは、実は党内においてもわりにお手伝いした一人でございます。でありますから、いま先生のおっしゃったような問題等々は奨学資金の拡充の問題とあわせて勤労者のお互いの子供たちが、親よりも子供の方がすばらしく伸びていくというところに親の願いがございますから、そういうことで大事なひとつ検討課題として前向きに勉強してまいりたいと、こう思っております。
#159
○柄谷道一君 子弟に対する教育資産といいますか、それについては大臣の意見を一日も早く具現化されることを期待するものでありますけれども、やはりもう一つの視点は生涯教育の段階だろうと思うんですね。技能、技術が日進月歩で進んでいく、となると、これはヨーロッパあたりに現在存在している教育休暇制度、こういったものもひとつ検討することによって、教育とは単に学校教育だけではない、全般的な勤労者の教育資産というものを高めていくために、国が積極的な補助、助成の策を講ずる、ないしは制度的なものをつくっていく、そのこともあわせて大臣としてもお考えを願いたい。私はいま財形法の前提といいますか、とも言うべき問題について触れたわけでございますが、私、率直に言って本法案が住宅、土地、預金というものに傾斜し過ぎているという感はこれは否めない事実だろうと思うんであります。現段階ではある程度これはやむを得ない面ではありますけれども、決してそれだけではない。むしろ総合的な施策の確立こそが、いま現下求められている問題であるという点を大臣銘記願いまして、せっかく雇用保険法であすの雇用政策をつくられた大臣ですから、財産形成に当たっても、あすの勤労者の財産形成に目を向けたひとつ積極的施策の確立を願いたい。
 次に、勤労者の財産形成政策とインフレ対策との関連、特に割り増し金制度について御質問をいたします。これは数次にわたる審議会の答申でも指摘されておりますし、衆議院や本委員会でも質問し尽くされた感がございますので、私は、これらの討議の議事録を詳細に読んでみますと、これを採用し得ない理由として政府は次の三点を挙げておられると理解しております。一つは、財政金融の根幹に触れる問題であり、わが国では全く新しい制度である、これが一つであります。
 それから二番目では、西ドイツなどでは二十年の歴史を持っている。社会保障関係の租税負担率が高い、医療保険に対するわが国のような国庫負担の制度がない、一般国民を対象とする貯金割り増し金法が西ドイツにはある。そういったバックグラウンドの相違を二番目に強調されております。
 三番目には、こういったバックグラウンドの中で、勤労者だけを優遇するのは社会的公平に背くことになる。この三つが一貫した政府の答弁であると、議事録の中から読み取りました。しかし、これは私はあえて言うならば、財政当局の強い姿勢を、労働省ないしは労働大臣が代弁されているとしか受け取れないのであります。もし、こういう姿勢であるとするならば、これは私は百年待っても割り増し金制度は実現を期待することができないのではないかと、こう思います。
 持ち家の問題にいたしましても、農家、個人営業者と勤労者の持ち家保有率には現在格差があります。インフレによって土地などの物的資産を保有する者と保有しない者との物価上昇による格差はますます拡大をいたしております。さらに徴税方法にもトーゴーサン税制と言われる不均衡が現存をいたしております。これらのものが、いま勤労者の大きな不公正感、不公平感となってあらわれてきているのではないのか。これらの問題というものを一応横に置いて、単に割り増し金制度だけを抽出して不公平であるとするならば、これはむしろ不公平の論理の逆立ちに私はなるんではなかろうかとすら思うわけであります。で、私は財形だけで特別扱いがよしんばできないとしても、これは答申をそのために他の制度のバックグラウンドがないから後退させるというんではなくて、そういう消極的な姿勢ではなくて、割り増し金制度をつくるためにいかにしてバックグラウンドを整備するかということに当然目が向けられなければならない。私はこの際、労働大臣としてのバックグラウンドの是正、適正化に対するむしろ積極的な答弁を期待したいと思うんですが、いかがですか。
#160
○国務大臣(長谷川峻君) 大蔵省の私たちに対する反対の議論を私はそれを利用しまして、言いわけは実はしてないわけですよ。そういう向こうが言うのをいかにしてこれを突破するかということでいろいろ知恵もしぼり、また人の力もかり、それから財形審議会の諸先生方の中には、せっかくああいう答申をつくっていただくような有力な先生方の中には大蔵省出身の方々もいらっしゃるんだから、だから大蔵省に行ってあなた方の意見をひとつしっかりやってもらいますと、そうすると私も乗り込みやすいですよと、こういう実は手まで使いもし、一方においては私の方の党の諸君も動員しながら今日までやってきたことでございますが、まあ一番のネックは何と言いましても西ドイツ二十年、その間においてプレミアムが年々上がりまして、たしか去年かおととしかは一二%から二〇%になったという話も聞いて、それがすぐに二〇%もなるようだったら、いまの地方財政さえも苦しいときに大変なことになりゃせぬかというふうな反論も大蔵省内部においては私が行って、乗り込んで議論したときにあるわけです。その際に私は一政治家としてその場合に言うたことですが、社会保障が伸びようと何しようと、時には苦しいときに抑えたり伸ばしたりするのが政治家の力なんで、財政当局の技術的な議論というものは成り立たぬのだというふうな、まあ時には暴論まで吐いてこれを何とか突破しようという気持ちがあるわけです。私は、ですから税の捕捉率なども先生がおっしゃったようなことをよく私の方から申し上げて、だれよりも一番先に取りやすいのは勤労者の税金じゃないかと、それは中小企業のこと、農業者のことも私たちは自分の選挙区で考えますけれども、それよりはこちらの方が取りやすいことは事実なんです。そういうことからするとお返しするという、そしてそれが人心の安定なり勤労者の生活の向上になるんじゃないかという、いまから先はどうしてもこれは日本は近代工業国家としてどう整備しながらほかのものとバランスをとりながらやるというところに、私は日本がだれが政権を取ってもそれが必要だろうと思うんです、だれが政権を取っても。そういうことで実は推し進めているわけでして、これはもう人後に落ちないでやるつもりですから、どうぞひとつ委員会の皆さん方も党派を超越してぜひひとつこれは日本の勤労対策のために、近代工業国家は私は額に汗する勤労者、ブルーカラー、こういう方々を大事にするようなくせをつけなきゃだめだと思うんです。いま労働組合の諸君がどこに一番怒っているかというと、ホワイトカラーでばがばがっと、余り額に汗しないで休む諸君が自分たちより月給が高い、こういうところに非常に憤りを感じる。ですから、私はそういうことはどこへ行っても、それはもう企業家であろうと、経営者であろうと、相手は銀行家であろうと、こういう諸君に申し上げながらお互いの雰囲気をいま助長するという姿勢をとっていることも御理解いただきたいと、こう思います。
#161
○柄谷道一君 私は、ローマは一日にしてならずという言葉もありますけれども、西ドイツにおきましても五二年に土地建設割り増し金法が制定された、五九年に貯蓄割り増し金法ができたと、財形についても六一年、六五年、七十年と非常に努力を積み上げて現在の財形制度が成り立っているわけであります。私の読む限りにおいてはやはりそれぞれの制度を制定するときにはその国も安易にこれは生まれたわけじゃないですね、非常に難産があった。しかしその中で、政治家というものがやはり先見の明でこの制度の実現に踏み切っていった。これが西ドイツの歴史を形成してきたと思うんですね。したがって、私はいま大臣から非常に心強い答弁を受けたわけでございますけれども、やはりこの種の問題についてはいま衆参両院で述べてきた政府のいま困難だという理由というものはわかりますけれども、だからできないんだというんではなくて、いかにこれを打破して審議会の答申を具現するかということについて大臣としての今後の努力を期待をいたしたい、こう思っております。
 それから次に、中小企業勤労者財産形成助成金制度でございますが、これはこのとおり確認してよろしゅうございますね、従業員一人当たり五万円までの額に対して従業員二十人以下の小規模企業には一〇%、二十一人以上百人以下の中規模企業には五%の助成を行なう、こう聞いておりますが、間違いございませんか。
#162
○政府委員(東村金之助君) そのとおりでございます。
#163
○柄谷道一君 といたしますと、私は俗に言う大企業ですね、これは企業内従業員福祉制度というのが充実をしております。住宅融資金制度もあります。貸出金利というものも会社によっては区々ではありますけれども、比較的優遇措置がとられている。いまここで助成の対象になっているのは百人以下でございます。雇用保険法によりましても、また通産省で所管いたしております中小企業基本法においてもおおむね中小企業の定義は三百人以下というのが現在の定義でございます。あえてここで百人以下という特別の区分というものを設定された理由はどこにありますか。
#164
○政府委員(東村金之助君) そのような先ほどもお話のございましたような助成金をどういう企業に対して支給するかという問題でございますが、実はこれ当初ごく零細な三十人以下のようなところに限るべきでないかというような御議論も実はあったわけでございます。しかし、それではやはりそういうところで給付金制度ができるかどうかという問題も含めまして、不十分ではないかということで従業員百人以下のところを目安にして中小企業等考えたわけでございます。ただ、これは別に中小企業ということを定義をここでつくったというよりは、そういうところに政策の重点を置いたというふうにお考え願いたいと思うんですが、なお例の中小企業退職金共済法も当時は百人以下の中小企業を対象としておったわけでございます。
#165
○柄谷道一君 ということは、私は審議会の答申は企業間格差の解消ということを非常に強調しているわけなんです。私は従業員の福祉制度としてこういった住宅融資制度を完備しているという会社は、例外もありましょうけれども、おおむね一部上場会社が中心でございます。二百人、三百人の会社がこういう融資制度を持てるわけはないわけです。確かに底辺は今回の改正で救い、持ち上げられました。しかしまだ谷間にある中小企業という存在があることをこれは忘れてはならないと思うんです。いま局長は中退金の方も百人から発足した、こういうことを言われたわけですが、百人から発足していま三百人まできております。ということはこの制度も今後中退金と同じようにその範囲を拡大し、少なくても三百人程度のものを対象にするというものを目標にして、まずワンステップとしてこのような制度がつくられたと、こう理解してよろしゅうございますか。
#166
○政府委員(東村金之助君) 先ほど申し上げましたように、一定の資金を活用するならば、それが有効に利用できるようにということで零細企業を考えたわけですが、それでは余りにも低過ぎるというので、百人ということが出てきたわけでございます。したがいまして、別に百人というのは絶対的数字じゃございませんので、この実績等を勘案しながらさらに枠をどうするかは検討してまいりたいと思います。
#167
○柄谷道一君 私はこれはこれ以上言いましても答えは出ないと思いますから、速やかに中小企業の定義にはいろいろ議論の存在するところでありますけれども、少なくとも中退金の範囲と同様なところまで一日も早くこれを持ち上げていただくことを強く要望いたしておきたいと思います。
 次に、持ち家制度を充実していくということになりますと、勤労者の負担軽減のために財形による住宅取得の場合の税制上の問題もやはり考えてみる必要があると思うのであります。家の規模によっても異なりますけれども、大体、現在、不動産取得税が四万ないし五万円かかります。不動産登録税が六万ないし七万円ぐらいかかります。さらに印紙税が八千円ないし一万円ぐらいかかるわけでございます。勤労者の持ち家を積極的に推進するとするならば、これらの財形を利用しての持ち家というものに対して、これらの現行税制上の減免の配慮というものが今後行われるべきではないか、こう思いますが、これは大蔵省所管でございますが、大臣としてどういう姿勢で大蔵省と話されるのか、姿勢をお伺いしたい。
#168
○政府委員(水谷剛蔵君) 確かにおっしゃるように、不動産取得税だとか、あるいは登録免許税の減免とか、いろいろな御要望があるわけでございますが、ただ現在のところは、分譲融資を行う場合に事業主が――言うなれば分譲融資というのは事業主がトンネルになってという言い方が適当かどうかわかりませんけれども、事業主がトンネルになって労働者が土地を取得するわけでございますので、その分譲融資をする場合に、事業主が取得したときに一たん税金がかかり、さらに今度はそれを事業主から労働者が分譲を受けたときにまた税金がかかるということになると、これは不合理なわけでございますから、それについての減税措置というものは現在とられておるわけでございます。ただ、その他一般のものにつきましては、現在のところ特別な減免措置というものはとられていない現状でございまして、何といいますか、いろいろな税体系全体の問題でもございまして、まあ税制当局の代弁をするようで大変恐縮でございますけれども、大変むずかしい問題ではないかというふうに考えておりますけれども、御要望に従って検討してまいりたいと思います。
#169
○柄谷道一君 時間がありませんので、さらに言いたいんですけれども、これ以上の質問をとめますので、この点はひとつ労働省でも検討願いたいと思います。
 それから、最後でございますけれども、政府資料によりますと、四十九年十二月末の財形貯蓄残高は三千七百五十二億三千六百万円に達しているわけであります。今後この額はやはり増加をしていくだろうと思います。さきの委員の御質問にもございましたけれども、この雑誌「財形」三月号等を読んでみますと、各金融機関がこれを新商品として着目をいたしまして、激しい預金獲得競争が行われるであろうということがこの雑誌の中から読み取れるわけでございます。私は、金融制度というものは社会的要請と無縁ではないと思うんです。かつて過剰流動性の問題をめぐりまして、庶民の住宅を希求するそういった――まあ他にいろいろな貯金目的もございますけれども、そういう貯金がむしろインフレをプッシュする一つの役割りを果たしたという、そういう事例を非常に残念に思うわけでございますけれども、私は、たとえば現在の資金協力義務は三分の一でございます。しかし、銀行の預貸率というものを考えてみますと、これは大体三倍程度の預貸率になっておるわけです。預貸率とこの三分の一だけの協力義務というものを対比いたしますと、三分の一という問題についてもこれはメスを入れる必要があるんではないか。と同時に、これらの貯蓄額というものが財形預金者の願いに沿って運用されるというためには相当の銀行に対する政府の積極的な姿勢というものがなければならない、こう思います。究極的にこれを詰めていけば銀行法の改正まで発展していく問題だろうと思いますけれども、ここで銀行法の改正問題を論議する時間的余裕もございません。しかし、ただ現状のまま預金運用というものが放置されるべきではないというこの一点だけは明確であろうと、こう思うんです。この点に対して、大臣として、今後、大蔵当局に財形貯蓄の資金運用という面に対してどういう所信を持って臨んでいかれるのか、これは国務大臣の一人としても、特にその点をお伺いをいたしておきたい。
#170
○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるように、いまから先も財形は拡充されていく、労使の間の協約で拡充されていくだろうと、こう私は期待しておりますが、その集積資金をできるだけ勤労者の持ち家促進に活用することがこうして御審議願っております財形制度の趣旨からも望ましいことでもあります。そのような考え方からしまして、今回の改正におきましても財形の個人持ち家融資の道を開くことといたしましたし、同時に資金調達に応ずる金融機関の義務を法律上明記することとしたことでございます。
 また、残ったその残余の資金について、金融機関に対して国務大臣としてしっかりやれというお話でございますが、この金融機関独自の運用資金につきましては、関係行政機関はその資金を、やはり先日以来新聞でもありますように、住宅ローンなんかがあのとおり殺到してまいりますわね、ですから私は住宅ローンに振り向けることなども行政指導等しているところでありますけれども、今後ともこういうところに、適切な御趣旨に沿うような趣旨に指導してまいりたい、こう思っております。
#171
○山崎昇君 財形の法案については今日まで各党から大変な質問がございまして相当程度の点が明らかになってきたと思うんですが、締めくくり的に二、三お聞きをしておきたい、こう思うわけです。
 まず第一に、私、大臣に基本的なことでお聞きをしたいんですが、一体大臣は勤労者の財産というものをどれくらいのことを考えているのか。たとえば、この法案で見る限り、貯金と持ち家政策だけ。財産形成の法律案で中身は貯金と持ち家を何とか持たせたいということだけ。すると、労働省で考えておる勤労者の財産というのはこの二つなんだろうか、恐らくそうであるまいと思うんです。そうすると、一体大臣としては勤労者の財産というのはどういうものをほかに考えるのか、どれくらいのことを考えているのか、どれくらいのことを目標にして勤労者の財産と、こうあなた方は言うのだろうか、まずその点を冒頭にお聞きをしたい。
#172
○国務大臣(長谷川峻君) ちょっと私、先生の御趣旨よくまだ理解できないところがあるんですが、これは、私たちは勤労者の財産となりますと、この法律は持ち家とかそれを拡充するためにいろいろな諸施策について御審議願っているわけですけれども、基本的にはやはり勤労者の諸君の最大なる財産というのは、健康にして自分の就職の口というものを確保しながら、しかも高年齢者の日本でございますから、やはり年とっても働けるような、そういうふうなものが最大なる財産である、その中に自分の子供が教育もされ、おやじ以上の子供になっていく、こういう社会を祈念しながらやっている、それにこたえていくような諸般の施策がある、その中にこの持ち家制度とか財形の問題がある、こういうふうに御理解いただくならば幸せだと思います。
#173
○山崎昇君 いまの大臣の答弁だと、簡単に言ってしまえば、きょうも元気で働きたい、あしたも元気で働きたい、そしてやがては年をとりますから年とった後安定した生活をしたい、それから自分にかわって新しい労働力として自分の子供というものを育てていきたい。それには十分な教育をさせていく、これがあなたの言う財産ですね。そうすると、私は財産形成促進法という財産の促進法という名前だからあえてお尋ねをしたわけですけれども、この法律だけで言うならば貯金と持ち家だけであって、いまあなたの言われるような総合的なものがなければ労働者のあるいは勤労者の財産なんということにはならないですね。もしそうだとすれば、一番基本的に大事なことはやっぱりいま大臣が言われたようなことを総合的につくり上げていく、そういう施策がなければどうにもならないと思うんですがね。しかし、いまのところ考えてみるというとなかなか条件はそうなっておらないんじゃないだろうかという気がするんですが、重ねてそれについては一体労働省として今後どういうものを総合してやっていこうと言われるのか、これは基本的なことですからお聞きをしておきたいと思います。
#174
○国務大臣(長谷川峻君) まさに基本的な御質問だと私も思っております。いま皆さんにお願いしておりますのは勤労者全体の一生の生活の中において自分がほかの諸君と違ってストックがないと、そういう問題を政府の力なりいろんな施策においてそこを固めていこうというのがこの法律の一つでございます。大きな問題といたしますれば、やはり高年齢になっても働けるための雇用の安全であり、ある場合にはそれに応ずるところの、これだけ工業機械化されている時代に、それに対応しながら自分が安全の中で技術を拡充しながら働いていくような訓練の問題等々もございまして、私はまさにいまから先というものは大ぜいの勤労者を相手にする労働省というのは経済全般もさることながら、そうした広い視野において全部に目を配っていきたい、現在ですと、アップツーデートの問題といたしますと、何と言ってもフリクションもありますけれども、この総需要抑制の中において昨年の狂乱物価というものを狂乱でなくすることが勤労者を守る問題でもありますし、その持って帰った賃金というものが目減りしないようにするためには最大なる問題はやっぱり物価の安定だと、こういうふうなことも労働省全体の施策の一つとして一行政官庁、一経済官庁に任せずして労働省の立場において、勤労者の顔を毎日見ている立場において推進していくことが私たちの務めじゃなかろうか、こういうふうな感じで推進しているわけであります。
#175
○山崎昇君 私がいまこれをお聞きしているのは、この法律の目的を見ますというと、本当の財形の目的は「国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と、こうなりますね。なぜ私はこれを聞くかというと、金融機関から言えばこれぐらいいい制度はないと思うんです。なぜなら自分で金を集める仕事は要らない、全部会社の経理で集めて、預け入れるだけで、一定期間は金融機関にあるわけです。こういうことを考えるというと、集められた労働者は大した私は財産形成になるような内容じゃないんじゃないだろうか。逆にいまのようなインフレで目減りはどんどんしていく。それから後でお聞きしますが、持ち家と言ったってそんなにだれもかれも家を持てるものではない、私はごく限られた者じゃないかと思う。そういう意見で言うならば、この促進法というものは貯金の促進ではあるけれども、財産形成なんということにはならぬじゃないだろうかという気がしてしようがないんですよ。だからこれにあなた方大変力を入れているようでありますけれども、総合的な政策がなければ全く絵にかいたもちになっちゃうんじゃないだろうか、こう思うものですから、いまあなたに原則的なことを聞いたわけです。しかし、何としてでもそういう観点から言うなら、やっぱり総合的な計画というものをもう少ししっかり私は労働省立ててもらいたい。このことだけ確認をしておきたいと思うんですが、どうですか。
#176
○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるとおり、この法律案が制定されて三年、私はこれは労働省の立場から申し上げるだけじゃなくして、労使協約の中にやっぱりこれだけの制度が伸びもし、預金残高がこれだけできておる、こういう方々のやっぱり将来の希望というものを拡大していく、それは先生のおっしゃるとおり、あしたすぐ天国は参りません、これは。ですから、私たちはそこに一歩一歩近づけて、その希望がこうしてあるんだ、そのための御審議を私はいただいていると思うんです、そのためのまた御激励をいただいている、こういう感じ方でございますので、具体的にそれならば何戸建てるかということになりますというと、五十二年度から発足であるから、土地の問題等々もあるから建設省とも相談をしなきゃいかぬ。まあ、ありとあらゆるものに誠意を持って見守りもし、そして推進していくという、誠意を持って御審議いただいたものに私たちは八方手を尽くしていくと、これを御信じいただく以外にちょっといまのところすぐに回答が出てこないことだけは御了承願いたい、こう思います。
#177
○山崎昇君 そこで、財形法ができて今日までざっと四年です。ずっと経過を見ておりますというと、最初この法案が出されたときに当時の労働大臣は、小さく産んで大きく育てると、こういう提案説明をされておるわけです。盛んに、原さんだったと思うんですが、これはもう街頭演説でも何でもこれは宣伝されました。そこであなたにお聞きしたいんだが、小さく産んで大きく育てると言うんだが、この四年間でどれだけ大きくなったんだろうか、一体労働省としてはどれだけ大きく育てたのか考えがあればお聞きをしたい。私から言うならば、何か発育不全みたいに小さく産んでさっぱり大きくなっておらぬのじゃないだろうか、こう思うのですが、一体どれだけ大きくなったか具体的に説明願いたい。
 それからあわせて提案理由の説明を見ますというと、西ドイツの先例に学ぶと、こうある。どういう点を学んで、どういう点を学ばなかったのか、この点先ほど来盛んにいま質問もありますが、重ねて聞いておきたいと思います。
#178
○政府委員(東村金之助君) 実績でございますが、先ほど来いろいろお話が出ている中で申し上げましたとおり、まず勤労者財産形成貯蓄の実施状況が最近におきましては労働者数におきまして四百万人、それから貯蓄残高においては四千億円というような推移を見たわけでございます。一方、もう一つの柱でございまする住宅の融資制度につきましては、先ほど来お話ございましたが、当初考えていたほどは伸びないということになっております。
 そこで、そういう問題を踏まえまして今回の法律の改正をお願いしようということに相なったわけでございます。小さく産んで大きく育てるということはどういう時点で考えるかにもよりますが、さらに私どもはその努力を積み重ねてさらに大きくしていきたい、かように考えております。
#179
○国務大臣(長谷川峻君) 西ドイツの例というお話がありましたが、私も労働省の諸君が西ドイツのアタッシェになって財産形成の西ドイツの模様を書いたものをよく読んでもおり、自分の机の上にいまでも持っております。向こうの方は、何さま第一次世界大戦、第二次世界大戦で国が半分になる。東ドイツの方に工場がたくさんあったけれども、西ドイツの方には少ない。そこのところに東ドイツ以上に自分たちが工業を伸ばそう、戦傷者が多い、失業者が多い、そういう中で考えついたのが財産形成である、こういうふうなスタートからやっておりますので、なかなかもって諸般の施策というものが漸を追いながらも、国情の違い等々もございましょう、あるいは民族の気分の違いもございましょうが今日まで伸びていった。それを、私の方でもいいものはとりつつ、後からでもあるけれどもこれをひとつ推進してまいるということで、漸を追ってこういうふうな改正を願っているわけであります。ただいま局長からも答弁しましたように、日本の場合にも試行錯誤がございます。それは小さく産んで大きく育てるというのが私たちの気持ちでもありますが、その当時述べられた大臣の時代からしますというと、何さま土地の問題等々もあったりいろんな問題がありまして、恐らくその時代に言ったようなことにいますぐならないところというところに対して、先生から発育不全じゃなかろうかというふうな御批判などもあろうかと思っておりますが、そういうことも反省すればするほど、労働省というものは、経済全般の問題に対してもやはり私は言うものは言いもし、牽制すべきものはしながら、やはりスムーズな経済体制を整えていくところに勤労者を守っていく姿があるんじゃなかろうか。こういうところに労働省はいま挙げて、本省全体挙げて物価問題その他の問題に体当たりしている体制を御理解願いたいと、こう思っております。
#180
○山崎昇君 いま局長から財形に加入している人が四百万、貯金残高が四千億ありますと、なるほど四百万の人から集めた金は金融機関に四千億眠っていますよ。一体、じゃ、貯金をした労働者にはどういうふうにしてこれはためになっているんだろうか。現実的には何もないじゃないですか。預けられた金融機関はなるほどふくれ上がって、もうかるかもしれない。しかし、預け入れた方は先ほど来議論になっているように貯金は目減りしていって、貨幣価値は下落していく、やればやるほど下落していく、債務者の方が利益は膨大なものになってくる。だから盛んにつくるときにはあなた方、小さく産んで大きく育てるなんて宣伝をするけれども、何にも大きく育っていない。金額だけはでっかくなったことはわかりますよ。後でまた住宅聞きますが、今度の改正案だって、一体どれほどこれ労働者に還元されて、労働者がよくなっていくんだろうか、私は疑問を持っているんです、これは。だから少しきつい言葉でありましたけれども、発育不全じゃないだろうか。労働者が金を多く出せば出すほど、自分で損をしていくという内容になっているんじゃないだろうか。そして西ドイツで一番、先ほど来議論になっておりますように割り増し金の問題についてもほとんどめどがついていない。こう考えると、大臣は一生懸命うまい答弁はするけれども、現実的にはさほど財産形成になっていないんじゃないだろうか。銀行の預金残高はふえていくけれども、納めたといいますか、その貯金しました労働者にとってはさほど労働者が言うほどのことではないんじゃないだろうかと、こういう気がしてならないんです、私は。
 そういう意味で重ねてお聞きしますが、法第四条にあります一体この「政策基本方針」というものをいつつくられるんですか。もうこの法律ができて四年たつんだけども、この基本方針はいつどういう形でつくるのか、できたら私は説明願いたいと思うんです。
#181
○政府委員(東村金之助君) この四条の問題でございますが、当審議会におきましては四十八年に基本的な考え方が述べられております。理念であるとか社会保障制度の問題、住宅政策との関係等々が基本的に述べられております。したがって、それが基本になるわけでございますが、ここではさらに法律でうたわれているような基本方針についてどうするかという御指摘でございます。それは先ほどもお答えしたわけでございますが、この改正法案が成立した暁には、基本方針の審議について審議会にお諮りして、関係各省とも十分連絡の上、長期的なひとつ計画を立てていきたい、かように考えております。
#182
○山崎昇君 当然こういう改正案を出すときには、そういうことがある程度つくられて、今日の段階ではここまでやります、次の段階ではここまでやりますということがなければ、それは何も計画的になりませんよ。法四条には麗々しくちゃんと書いてある。ですから持ち家にいたしましても何にしても、私は縦割り行政というばかりでなしに、もうびっこじゃないでしょうか。建設省でやっていることとあなたの方でやることと、あるいは極端に言うならば厚生省でやることと、それぞれでは努力をしているけれども、何の関連性もないような点も見受けられる。そういう意味で言うならば、この四条はこれから審議会にかけてという答弁でありますが、一体大臣、いつころまでにどうするのか、めどを示してください。そうしませんと、私ども幾らこういう問題であなた方がこれは勤労者のためになりますよ、財産形成になりますよという宣伝をしたとしても、そうなりませんです、これは。だから、また後であなた方が言えば言質をとられるなんという考えがあるかもしれぬが、そんなこと言いません。労働省としては本当にそういう基本方針というのは、いつころまでにどういうめどでやるのかということをもう少し具体的に説明してもらいたい。
#183
○国務大臣(長谷川峻君) 重大な御指摘もありましたから、労働省の内部も督促して推進し、そうしてまた各関係各省とも連絡をとりながら、早い機会にひとつつくって皆さん方に御意見をお伺いしたいと、こういうふうに考えています。
#184
○山崎昇君 いや、早い機会にたって、それはもうできて四年ですよね。これから改正案が通っていろんなことをまたやられていきます。そこで、じゃ重ねて大臣に聞きますが、あなたの考えとしては、一体どれぐらいをめどにどうしようというの、もう少し明確にしてください、それは。
#185
○国務大臣(長谷川峻君) 急にここで言われてすぐ答弁出せと言われても、試験勉強しているわけじゃありませんから、少し時間をかしてもらいます。
#186
○山崎昇君 時間はかしますがね、かしますが、少なくともあなた方法律を立案するときには、第四条、あなた方がつくったんでしょう。それくらいのことを考えてやらなければ意味がないじゃないですか。いまになって少し時間をかせの、試験答案みたいなことを言われても私どもも困る。だからきょうは私の持ち時間も余りありませんから、これだけにこだわりませんが、少なくともこの問題については、もう少しきちんとした考え方を政府は出してもらいたい、こう思うわけです。
 そこでお聞きをいたしますが、この改正案の二大柱の一つが、一つは貯金でありますが、一つは住宅になっておる。そこで労働省としてはこの改正案が通って仮に三年、五年、七年といろいろありますけれども、どれくらいの人が持ち家を持てるとあなた方想定をしながらこの改正案をつくったのか、できたらひとつ見込みについてお聞かせを願いたい。
#187
○政府委員(水谷剛蔵君) この制度を利用してといいますか、この制度がどの程度になるかという見通しということで、一応きわめてむずかしい問題でございますけど、一つの何といいますか、見通し的なものを考えたわけでございますが、まず、現在あります財形持ち家分譲融資、これにつきましては現在財形貯蓄を実施している民間企業で、それで従業員の持ち家分譲融資制度を取り入れているもの、そういうところに雇用される勤労者のうち、新規に住宅の分譲を受けると見込まれる勤労者、大体そういう方の三分の一ぐらいというふうに見込みまして、そんな想定で五十年度には大体二千戸程度というように考えまして、二戸当たりの金額等も勘案して、五十年度予算では百三十億円という見込みを立てたわけでございます。それでこの二千戸が数年後には、これもいろいろな積算のあれがございますけれども、一応五千戸程度にはなるのではないか。そうなりますと、そのころの単価のアップといいますか、そういうものも考えますと数年後には四、五百億円ぐらいに達するのではないかというのが、分譲融資制度についての一つの見込みといいますか、きわめて大まかな見込みでございますが、そんな見込みでございます。
 それから今回新設をお願いしております個人融資でございますけれども、個人融資につきましては、同じように財形貯蓄を実施している民間企業のうち、負担軽減措置を行い得る企業の割合といいますか、そういうようなものなどを考えまして、当面は何といいますか、普及率等も勘案しまして、それから、企業の援助といいますかそれやこれやの要素を勘案して、大体需要戸数を推定してみますと、当初は四、五千戸ぐらいで、数年後には一万戸ぐらいになるのではないかというようなことを一応積算を、積算といいますか、推定をいたしておるわけでございます。ただ、この積算は非常に大まかでございますので、余り詳細なものではもちろんございません。
#188
○山崎昇君 いまの説明で五十年度で約二千戸くらい、百三十億くらいと、いま現状でも約四百万の人が加入をして、四千億くらいの金がある。それからいまの説明では数年後に約五千戸ぐらい、約四百億ぐらいと、こういうんです。数年後になりますというと、恐らく私は預金の残高というものは、一兆円近くのものになってくるんじゃないかと思う。これは目の子ですよ、私も計算しているわけじゃありません。その中で一体五千戸と言えば五千人ぐらいの人だと思う、一戸一人だとすれば。そうすると、これは本当に微々たるものではないでしょうか、これを利用し得るという人は。だから、冒頭に申し上げましたように、実際には持ち家政策とか財産形成と言うけれども、なるほど貯金の額はふえていくにしても、本当に労働者はこれによって財産形成をするということにならぬのじゃないだろうか。もう家を建てるなんという、持つという者はごく限られた者じゃないだろうか。私も厳密な計算はもちろんできません。しかしいま四百万人の人が入っているとすれば、これから仮にふえて一千万としますわね、仮に四、五年後に。一千万の人が加盟をして五千戸の家が仮に建ったとしても五千人ですね。ですから私は持ち家政策としてはきわめて、何といいますか、ごく少数であって、政府が言うほどこれによって勤労者が財産を持ち得るなんというものじゃないんじゃないだろうか、こういう気がします。加えて、これは私の計算でありますから違いがあるかもしれませんが、具体的に一つ例を言えば、これは実在する人物の私は家計費を一つ見ました。四人家族でいま三十八歳ですけれども、これは公務員です。いろんな合財ひっくるめて月収が十五万三千円ぐらいです。そして共済組合や宿舎費等々取られるのが約二万四千円ぐらい、大体八割五分生活ですね、月収総額の。この中ではすでに財形を二千円やってるんです、二千円。これがこれから仮に人事院勧告等が出て給与が上がってったとしても、私はせいぜいこの人の財形貯蓄なんというのは三千円か四千円だと思う。仮に三千円か四千円毎月納めてボーナスを多少やったとしても、とてもこれは家を持つなんという仕組みにはならない。加えて、もう一つ私は計算をしてみました。それはいま十万の人が毎年一万ずつ、仮に一〇%ずつ月給が上がっていったと仮定をする、そのかわり物価も仮に政府の努力もあって一〇%ずつに抑えられたと仮定をして計算をしてみて、実際にこの人が一体家が建つんだろうか。先ほど来説明がありました、国民金融公庫その他から金を借りて――これは私の計算でありますから、多少間違いがあるかもしれませんが、仮にそれで計算をしていって十八年の木造で最初の年に返済金は幾らになるか。総収入の約四五・七%ぐらいの数字になる。木造の十八年目で約九%の返済になる。毎月でも八五%程度の月収総額の金額で生活しなきゃならぬ、その中から財形貯蓄をやって、仮にいろんな金を集めてやったとしても、いま月給十万の人で一割ずつやったとしてもこういうことになっちゃう。言うならば返済ができないんですよ、仮に金を借りたとしても、家を建てたとしても。これは労働大臣、本当に私は、集める方は楽でいいかもしれませんが、現実的に労働者はこれによって持ち家なんというのは夢の夢だ。ましてやいまのような土地政策。先ほど建設省からは公営住宅が全体として八三%ぐらいの達成率ですね。言うならば、公営住宅からだんだん個人住宅に変わっていっている。そういうことを考えるときに、この財産形成促進法で家を持つなんというのは私は夢ではないかと思う。返済できないんです、これは。こういうことを考えると、一体集めた金をあなた方はどうしようというんだ。膨大な金が集まるけれども、それを一体どういうふうにこれから運用するんだろうか。とても勤労者の財産形成にならぬのじゃないかという私は疑問を持ってどうにもならぬのです、これ、大臣。この点について大臣どうですか。
#189
○国務大臣(長谷川峻君) 先ほども柄谷さんからも御質問ありましたが、審議の間において、あるいは社会情勢の変化においていろんな問題が出ておることを深刻に私も認めております。そういう中においても一生に一度自分の家、自分の部屋、こういうものもまた勤労者の最大な願いじゃなかろうか、こういうことを思いますというと、どうにかしてこれに近づけていく姿、あるいはまたこの資金の使い方の問題等々についても勤労者に何がしかのプラスになるようないろんな方法というものを、御指示などをいただいておりますことなども参考にしながら将来の問題についてさらに真剣に検討してまいりたいと、こういう感じ方を持っておるものであります。
#190
○山崎昇君 そうすると、あれですね、労働省が言うほどこれはそう勤労者の財産形成、宣伝するほどのものではありませんな、結果から言えば。これはもうあらゆる角度から検討してみまして、私はとうていこれによって労働者が喜ぶような内容になってこない。金融機関に金が集められるだけじゃないだろうか。使い方いかんによっては、まあ俗っぽい言葉で言えばやっぱり大企業がまたよくなるんじゃないだろうか、こういう気がして本当にならないんです、正直に言って。そうしてだんだん調べてみますというと、たとえば勤労者が自分の住宅を建設する場合には住宅融資の条件というのは余りいいものじゃありませんね。現在の融資というのは、私どもの調査では、大企業の場合には八・五%ぐらいの金利、中小企業は八%という金利だ、しかしこれから金融公庫その他、仮に勤労者に貸したとしても、それはどれくらいの利回りになっていくんだろうか。考えてみれば余り有利なものじゃないんじゃないだろうか、こう思うんですが、どれぐらいのことを想定をしてあなた方は家を持たせるというふうに考えているのか。
#191
○政府委員(東村金之助君) 先生からいま御指摘ございましたように、まあ、ここでいま問題にしている財形住宅融資だけですぐ家が建つということを私ども考えておりません。土地の問題があり、資材の問題があり、いろいろ問題があります。ただ、先ほども申し上げたわけですが、現在いろいろ工面をしながら自分の手元のお金、それから住宅金融公庫のお金以外にかき集めているという姿がございまするので、少なくともその苦労はしないようにと、金が借りやすくなるようにということを一つのねらいとしているわけでございます。で、その際にも問題になったわけでございますが、せっかくたとえば千二百万円資金を調達しても、そのうち一千万円程度の融資を受けなければならない、これに対する利子は大変じゃないかという御指摘でございます。利率について申し上げますと、ただいまお話ございましたように、今回は特別の利率について問題を考えているわけではございませんが、住宅金融公庫とあわせて借りられることができるということになりましたので、平均利率は七%程度になるであろうと、さらにこれに対して事業主が特別の措置をとることを、とるように考えておりまするので、さらにこれが若干低くなるであろうというわけでございます。それにいたしましても年間七十七万円とか八十五万円という数字はこれはばかにできない数字でございまするので、さらにこの点については十分実情に即して問題が解決できるように努力したいと思いますが、インフレの問題、土地政策の問題がそれぞれ並行的にございまするので、それと見合いながら充実させてまいりたいというふうに考えております。
#192
○山崎昇君 私も何も財形貯蓄だけで家が持てるというふうには言っているわけじゃない。ただ、あなた方が財形を今度改正をして、これに加盟をしてくれれば金も借りられます、家は持てるようになるんです、そういう宣伝をされて、やっぱり勤労者の中には、財形に入れば自分で簡単に家が持てるというような錯覚の人もおるかもしれない。ところが現実に私ども計算をしてみますというとそうならない。たとえばさっきちょっと申し上げましたが、私の計算で言うと、いま十万の月給の者が毎年一〇%ぐらい月給上がっていって、また、反面一〇%ずつ物価が上がるという仮定をします。これは計算しやすいからそうしているわけです。十年後にどういうことになるかというと、頭金が大体四百四十万、借入金が千九百万ぐらいになります、これは金融公庫も全部ひっくるめまして。合わせると大体二千三百万ぐらいの資金でやるわけですね。ところが、これを返すということになると、さっき申し上げましたように、木造で四五・七%ぐらい、初年度。もしこれを仮に簡易耐火二十五年にいたしましても、最初は約四割ぐらい、二十五年目で四%ぐらいと、こうなる。とても返済できる能力にはならない。ですから私は、あなた方が言うほど、この財形を仮に勤労者が信じて貯金をしたとしても、持ち家を持つことにはならぬのじゃないだろうか、私は特定の人になるんじゃないかと、それでさっきお聞きをしましたら、大体数年後で五千戸ぐらいと、こう言う。約一万ぐらいの人が貯金をして五千人ぐらいですね。大半の勤労者というのは金を預けっぱなしだけ、それも据え置きになりますから、ちょっと困ったからといっておろすわけにいかない。こういうことになると、口酸っぱく言うようでありますけれど、私はどうもこの財形貯蓄というのは、どうもそう言うほど勤労者にいいものではないんじゃないか。金融機関はなるほどいいと思うんです、集める必要はないですから、一定期間据え置くんですから。その間だけ回せばいいですからね、多少は勤労者のものに使うといたしましても。だから、証券会社でも、信託でも、その他でも絶えず宣伝これ努めて、この財形貯蓄の獲得に乗り出してくるのはそこにあるんじゃないかと思うんですね。そして、悪いけれども、最終目的見れば経済の発展に寄与するためにこれやると、こうなる。だから、どうも私はこの財形貯蓄というのは、考えれば考えるほどそれほどいいものにならない。しかし、まあ具体的にいま法案が出て、もうその採決の寸前でありますから、私は納得はいかないけれども、次に質問進めていきたいと思う。
 しかし、いずれにいたしましても、もう少しこれは真剣に割り増し金なり、目減り対策なり、先ほど申し上げているような基本計画なり、その他の問題と十分これは連関をした計画が立てられませんと、本当に勤労者というのはばかを見たことになっちゃう。この点だけは繰り返しあなたに申し上げておきたいと思う。そういう意味でも、この基本計画については早急にひとつやってもらいたい、こういうふうに考えます。
 次に、確認をしておきたいのは、先ほど来これも質問出ておりましたけれども、中小企業の場合には倒産する場合がずいぶん多い。最近のように、インフレが進んでまいりますというと、大変倒産件数が多くなってくる。したがって、企業が倒産した場合にどういうふうにこれを守るのかということは、やっぱり繰り返し私どもとしては聞いておかなきゃいかぬと思う。この点は先ほども触れられておりましたけれども、もう一遍企業が倒産した場合に一体どういうふうにそこの勤労者について守るのか、それに対して政府はどういう手当てをしようとするのか、重ねてお聞きをしておきたい。
#193
○政府委員(東村金之助君) この財形貯蓄は、銀行とそれから労働者の契約、そこにまあ事業主が控除をするという形で入ってくるわけでございますが、仮に企業が倒産いたしましても、財形貯蓄そのものは銀行との関係でございます。ただ、先生あるいは具体的に御指摘がなかったかもしれませんが、そういう労働者が継続をしたいのにそこで切れてしまうじゃないかという問題がまあ一つあると思うんです。その辺につきましては、今回は事業場を変わっても、一定の条件があれば同じ契約が続いているというふうなかっこうで考えておりまするので、何とか救済する方途が出てくるのではないか、このように考えております。
#194
○山崎昇君 次に、これはまあ、幸いあなた方は、同一金融機関でしょう。これは先ほども質問が出ましたよね。だから、その辺は弾力的な運営を図るというのか。それから企業が倒産をして、その人が継続をしたいと思っても、次に就職する企業がなければ、その間中断されますわね。だから、そういう点についてもやっぱり救済をどうするのか、これはよほど詰めておきませんと、その場面になりましてからやっぱり問題が生ずるんじゃないだろうか。だから分けてひとつ具体的にどうされようというのか、聞いておきたいと思います。
#195
○政府委員(東村金之助君) ただいま先生の御指摘、御心配でございますが、実は先ほども申し上げたんですが、現行法におきましては企業をやめてしまうともう継続という、そういう手続がとれなかったわけです。今回はそれを一歩か半歩か進めまして、企業を変えても同一金融機関であるならば契約が継続しているというふうにみなしていこうと、こう考えたわけです。その具体的な内容等については、いろいろ案はございますが、審議会等にお諮りしながら、実態に即したようなかっこうで運営していきたい、かように考えております。
#196
○山崎昇君 審議会に諮るのはけっこうですが、諮る前には言われないと言うのだと思うんだが、いまあなた方が考えておられる審議会、一体どの程度のことまで諮るというのか、もしここで言えるならば説明してもらいたい。
#197
○政府委員(水谷剛蔵君) 実は当初は継続でございますから、すぐ就職した場合の程度のことを私どもは考えておったわけでございますが、先般開かれました審議会といいますか、この法律を審議する審議会のときに半年ぐらいかなという御意見もございまして、大体半年間ぐらいの空白があっても続けるといいますか、大体その程度の考え方をいま持っておるわけでございます。
#198
○山崎昇君 そうすると、いまのところそう確たるものはありませんね。いずれにしても、勤労者が困らぬように、それから損にならぬように、こういう点だけは確認しておいていいですね。
#199
○政府委員(水谷剛蔵君) 困らぬように、損にならないようにという御趣旨の中身がよくわかりませんけれども、少なくとも何といいますか、例が悪いかもしれませんけれども、社内預金のような不安は、これについてはまず全然ないといいますか、これは金融機関に預金してあるわけでございますから、そういうようなことは全然考えられないということが第一点と、それから、そういう場合に、たとえば給付金ですか、給付金は七年間云々という規定がございますけれども、七年間の途中で解約した場合に一時所得扱いにするとか、しないとか、そんな問題ございますけれども、そういう場合も、倒産したような場合はやむを得ない理由があるということで、税法上の扱いを一時所得扱いにするというような方向で今後考えたいというふうに考えております。
#200
○山崎昇君 そうすると、重ねてもう一つ聞いておきたいのは、倒産しますね、そうすると、別な企業は別な金融機関とやっている場合には契約は新たになりますね。そうすると、いままでの分は、いまあなたの説明では契約が切れてしまいますから、一時所得で返すという、どうするのか、その点は問題点として私は出てくる。なぜかと言ったら、金融機関が違ってくるから新たな契約になるでしょう。その辺はどういう救済方法をとるのか、ちょっとまだわかりかねるのだが……。
#201
○政府委員(水谷剛蔵君) ちょっと私の説明があるいはうまくなかったかもしれませんが、どの金融機関を選ぶかはもちろん労働者の随意なわけですけれども、ただその間に事業主が介在するわけでございますから、先生のおっしゃるような金融機関が違うといいますか、当該事業主が通常取引をしておるような金融機関の方がしやすいといいますか、そういう問題もあろうかと思いますけれども、しかし基本的にはどの金融機関を選ぶかは労働者の随意なわけでございます。ただ転職したような場合に、ある金融機関からある金融機関に変わるといいますか、これは特定の金融機関との契約で財形貯蓄をしておるわけでございますので、それを別の金融機関につなげるということはできないわけでございます。したがいまして、こちらの金融機関とやっておる分につきましては、その時点で解約をして、それで、それまでの積んだ分を解約でしたらお返しするといいますか、そういう形になるわけでありまして、それから別の金融機関といいますか、別の就職先を通じて別の金融機関との間で新しく財形貯蓄を始める、そういう形になるわけでございます。
#202
○山崎昇君 だから、その辺になると私はかなり不便な点が出てくるし、やっぱり実際問題となってきたら、かなり私は問題点となってくるのじゃないかと思うから、その点はもう少し労働省でも幅を持って私は対処をしてもらいたい、これは希望として述べておきたい。
 そこで郵政省がおいでになっているようでありますから、一つお聞きをしたいんですが、今度の法案で生命保険が財形に入ってまいりましたね。そこで、これを私は考えてみると、一体今度の生命保険といままでの貯金とどう違ってくるんだろうかと、これは混同して、ある意味で言うと、市場に混乱が起きるんじゃないだろうかという気もします。
 そこでまず第一に、労働省もこれ入れたわけでありますが、この今度の財形に入れました生命保険あるいは簡易保険等々どういうふうに性格を考えているのか。本来の生命保険と性格が違ってくるためにどういうふうに私どもが認識をしておいたらいいのか、これを第一点にお聞きをしたいと思うんです。
 それから第二点は、国家公務員も財形やっているわけです。ところが大体勤労者というのは共済組合を通じて実は社内預金やっているのもあります、俗っぽい言葉で言えば。貯金経理というものがありますからやっているのもある。それから、大半は労働金庫を使っているわけなんです。ところが現実的にはその労働金庫が実際上使えないということになれば、持ち家政策をとるにしましても何にしましても、せっかく自分で金は出すけれども、自分のそういう金融機関が使えない、こういうことになってくると問題がやはりあるんじゃないだろうか、こういう点もあるもんですから、そういう点はひとつ労働省にお聞きをしておきたい、こう思うんです。
 時間がありませんから重ねてお聞きをしたいと思うんですが、郵政省は今度の問題をやるために新たに何か人員がふえるんだろうか、こういう仕事のために人員がふえるんだろうか。もしふえるとすればどういう点でふえて、それはどういう人をふやすというのかまず御説明を聞きたいと思う。
#203
○政府委員(水谷剛蔵君) 幾つかの御質問があったかと思いますが、私なりに整理さしていただきますと、まず第一点が、今回財形貯蓄の範囲を拡大した中身は具体的にどういうことかというのが第一かと思いますが、今回拡大いたしましたのは、もう先刻御承知かと思いますが、郵便貯金と、それから生命保険、それから簡易生命保険ですか、それから農協の生命共済、それと、これは実際には余り利用されるかどうかちょっと問題でございますけれども、昨年廃案になった法律にもございました宅地債券の購入等というのが今回財形貯蓄の対象になったわけでございます。まずそれが今回拡大したものの内訳でございます。
 それから公務員等につきましては、一般の公務員につきましては、何といいますか、私ども同じように財形貯蓄をしておるわけでございますが、公務員の場合と一般の労働者の場合との違いは、一般の労働者の場合には雇用促進事業団が債券を発行いたしまして、それで雇用促進事業団を通じて融資をするといいますか、そういうルートに乗るわけでございますが、公務員の場合には、その雇用促進事業団の地位と、それから事業主を通じてという、その事業主の地位に共済組合が立つといいますか、そういう形になっておりますので、共済組合が資金を調達いたしまして、それで私どもが融資を受けたい場合に借りるといいますか、そういうような形になっているわけでございます。
 それから労働金庫が使えないというようなお話がございましたが、労働金庫も普通の金融機関と全く同じように財形貯蓄の受け入れ機関になっておるわけでございまして、それから雇用促進事業団が発行する雇用促進債券につきましてもそれ相当にといいますか、預金の比率に応じてお引き受けいただくといいますか、そういう意味では普通の金融機関と同じような形になっておるわけでございます。以上でございます。
#204
○説明員(陣野龍志君) 郵便貯金及び簡易保険の実施につきましては、御提案のとおり、来年の一月から実施されるということになっております。したがいまして、それまでの間に取り扱いの要領などを詰めてまいりまして、各所管の機関の中でどのような事務量の増加になるかなどを検討しまして、必要な要員措置、あるいは訓練その他を措置してまいることになります。
#205
○山崎昇君 だから、郵政省では今度のこのことによって新たに人を必要とするのか、とすればどの程度あなた方はそれに応ずるような体制をつくろうとしているのか、ひとつ聞きたいということ。
 それから、時間がもう余りありませんから重ねて聞きますが、いま郵政省にはずいぶん臨時職員がぼくらおると聞いておる。どれくらいおって、どういう仕事をさしておるのか、それもあわせてひとつ説明を願いたい。
#206
○説明員(陣野龍志君) 前半の部分につきましてお答えいたしますが、これは為替貯金事業の各種の業務の中でも本来業務でございまして、当然これに伴いまして必要とされます要員につきましては本来の本務者をもって充てるわけでございます。臨時的な事務繁忙ということでございませんで、これからずうっと続くということでございます。ただ、明年の一月から開始しましてだんだんにその事務量がふえていくわけでございますし、在来扱っております為替貯金事業の業務の大きさに比べますと、比較的にはこのことのために、たとえばただいま五万人おりますと一万人ふえるとか、そういった性格のものではございません。ほかの在来の業務とあわせましてしかるべき要員措置は講じていくと、こういうことになると思います。
#207
○政府委員(神山文男君) 郵政省の非常勤職員の数について御質問がありましたが、実は昨年の、四十九年の十月一日現在で調査いたしましたが、九千二百十五名ということになっております。で、そのうち、まるまる一日勤務をするという者が、内勤が二千五百二十五人、外勤が二千五十四人、それからそのほかが、いわゆるパートタイマーといいますか、時間給制、一日短時間の者が、内勤三千二百四十五名、外勤が千三百九十一名ということでございまして、この非常勤職員を雇用する場合の理由でございますが、これは御承知のように、郵便事業というのは非常に量的に波動性がありまして、そういう平常の業務を超えるような業務量のあるような場合、そういう臨時的な繁忙に処するために雇用する場合、あるいは予測の困難な、職員が病気になったというような場合の後補充をすると、まあ、そういった臨時的な仕事あるいはそういう予測できないような欠務の後補充ということのために採用しております。
#208
○山崎昇君 そうすると、いまあなたの説明では、郵政省で使っておるこの非常勤職員というのは、国家公務員法六十条に言う「臨時的任用」ですか。もし国家公務員法六十条に言う臨時的任用なら、全く臨時的でなければなりませんね。しかし、この人のついている仕事が仮に恒常的な仕事だということになると六十条違反になりますね。いまお話聞いたら、まるまる一日やらなきゃならぬ仕事というのはこれは臨時的じゃありませんね。パートタイムは別ですよ。そうするとね、私はどうしてもこれ、わからない、どうしてこんなに、九千二百十五名もおって、仮にそのうちのパートタイムが三分の一ぐらいあったとしても、約六千名というものは、仕事そのものは恒常的である、採用の形態は臨時的である。これは重ねてお聞きしますが、人事院の承認を得るんだと思うんですが、包括承認でやるんですか、個別承認でやるんですか、それも聞いておきます。
#209
○政府委員(神山文男君) お答えいたします。
 非常勤職員については、人事院の承認は受けておりません。それから予算措置はとっております。
#210
○山崎昇君 それはおかしいじゃないですか、あなた。国家公務員法の六十条によって人事院の承認を受けなきゃならぬですなあ。パートタイムその他の場合には包括承認になりますよ。もしそれやらないといったらもぐりじゃないですか。これはゆゆしいことあなた答弁されますね。それから私の聞いている限りでは、たとえば郵便の配達にいたしましても、同じ仕事を定員内の人もやる、定員外の人もやる。それからこれはあなたの方の所管かどうかわかりませんが、郵便集配請負人という請負制度もある。一つの郵便を配達するなり集配するのに定員内、臨時だ、請負だという三段階がある。もしこれ事故が起きた場合どうなりますか。だから、そして重ねてきょう時間がないから私は断片的に聞いているんですが、この集配請負人の場合には、これは何か郵便法に基づいてやるんだそうですけれども、一体どういう性格でこれらについての一体請負の契約はどういう基準で何を基準にしてやっているのか聞いておきたいと思う。
#211
○政府委員(神山文男君) 先ほどの非常勤職員でございますが、非常に短期的な臨時的な繁忙の際、たとえば年末首とかあるいは夏季繁忙その他、それから欠務、職員が休む、ある程度の期間ですね。そういうときの後補充、そういうことのために雇用するわけでございまして、人的には非常に交代の多いというか、人的には変わっている。まあ形としては日々雇用というかっこうになりますが、そういう性格のものでございます。
 御質問の公務員法の六十条の臨時的任用でございますが、この場合は人事院の承認を得ております。
 それから請負人につきましては、私、所管でございませんので正確にお答えすることはいたしかねますけれども、これは委託契約によってやっていると、ある業務を一定の区間を、山間僻地が多いと思いますが、そういうところの集配を請負契約によって行ってもらっているということでございます。
#212
○山崎昇君 それはあなたの所管でないから私は改めてこれはまた聞く機会があると思う。ただ国公法の六十条によって人事院規則の十五の四でこれはやらなきゃなりませんね。しかし、包括承認というのはやっぱりとらなきゃならぬでしょう、いずれにいたしましても。それがもしやられてないで予算だけでやっているとすれば、これは大変なことになる。これは改めてまたあなたに聞きます。いずれ聞きます。しかし、いずれにしても、私はいま聞いたとおり、一つの郵便を配達するにも三種類ある、正規の職員で配達するのと、臨時の職員でやるのと、それからいま言うような請負で――これ、どういう基準で請負やっているか私もよくわかりませんが、やるのと。もし、これが国家の独占事業ですから、これが事故起きた場合に、一体だれがどういう形で責任を負うんだろうか、私はきわめてこれ、あいまいだと思う。また、この請負人の場合には契約だと言うんですが、どういう基準で契約しているか、これは改めてお聞きをしますが、きょうはやめますけれども、いずれにいたしましても、もう少し郵政省は人事の管理なり、人の管理なり、業務量と人というものをもう少し私は真剣に考えてもらいたい、このことだけきょう申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、時間が来ましたから、もう一つでやめますが、先ほど労働金庫の問題で、私もちょっと質問が悪かったかと思うんですが、実は個人住宅はほとんどいま勤労者というのは住宅生協等もありますが、労働金庫から金借りてやっていますね、いま。財形とは別にいたしましても。ところが、御案内のとおり、各単位共済の資金というのは長期資金なんかはこれは共済組合法施行規則で労金は指定金融機関になっていませんね。だから、借りるときは労働金庫から借りるんだが、自分の共済に納めた掛金というのは労働金庫には預け入れられない。こういうやっぱり矛盾点が出てきている。そういう意味では労働省で労働金庫扱うわけでありますが、一体この共済組合の資金と労働金庫の関係というものを将来直す考えがあるのか、その点だけもう一点聞いておきたい。
#213
○政府委員(水谷剛蔵君) 大変もたもたして恐縮でございますが、直接私どもの所管でない面もございますし、まあ労働金庫になりますと労政局所管であり、金融制度全般になりますと、あるいは共済組合になりますと大蔵省とか人事局とかいろいろ絡みますので、いまここで直ちに明快なお答えはいたしかねますが、よくその辺は勉強し、研究してみたいと思います。
#214
○山崎昇君 もうこれでやめますが、いまあなたよくわからぬようだから申し上げたんですが、私の方から申し上げましたように、大半は労働者住宅、生協を通じまして、労働者の皆さん、労働金庫から金を借りていま現実に家を建てている。しかし自分の納める掛金は単位共済から労働金庫は指定金融機関にならぬために規則で預け入れられないわけですよね。そこで、やっぱり問題が生じているわけです。当然労働金庫については労働省も所管の一端を承るわけですから、そういうことのないように共済組合の資金といえども労働金庫に預け入れができるようにきちんとしてもらいたい。この点はひとつ労働大臣、いま私が申し上げたとおりでありますから、十分部内で検討して実現をしてもらいたいと思うんですが、どうですか。
#215
○国務大臣(長谷川峻君) これこそいま部長が申し上げたようになかなか金融関係やら複雑のようですから研究をさしてもらいたいと思います。
#216
○山崎昇君 終わります。
#217
○委員長(村田秀三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#218
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#219
○山崎昇君 私は、日本社会党を代表して、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対し、反対の意見を表明いたします。
 第一に、わが国の勤労者財産形成制度は、発足して三年余を経過しましたが、制度の主な内容は、財形貯蓄に対する利子の非課税、税額控除などささやかな税制上の措置と雇用促進事業団を通じて企業などに住宅建設資金を貸し付ける持ち家分譲だけで勤労者の財産づくりなどとはお世辞にも言えないものであると思われます。
 今回の改正案を見ても、事業主による財形給付金制度、持ち家促進のための個人融資制度の新設など数点の改正点を盛り込んではおりますが、基本的には現行制度と変わりなく、全国の労働者の期待に沿えるようなものではなく、まことに遺憾であります。
 第二は、今日の激しいインフレの中で、わずかばかりの税制上の優遇措置では勤労者の貯蓄目減りを補うことにはならないほどインフレ経済は労働者の生活を脅かしている点が挙げられます。
 こうした中で、労働者に対して、あたかも労働福祉の一環だとして財形貯蓄を促進させることは、労働者の貯蓄の目減りを強いることになり、逆に金融機関とその系列の大企業に債務者利益をもたらし、労働者は貯金をすればするほどインフレのメカニズムで損失を受けることになります。
 その結果、三木内閣の看板であります社会的不公正の是正が逆に、社会的不公正を拡大させることになり、勤労者の財産形成政策が、労働者の不公平感の解消と長期的な生活安定とにどれだけ寄与するのか非常に疑問であります。
 こうした社会的不公平の発生を防止する観点からも、早急にインフレヘッジを目的とした国庫負担による割り増し金制度の導入が必要であるにもかかわらず、この措置が今回の改正案にないことは納得できない点であります。
 第三に、わが国の住宅政策は、その政策の失敗から責任を個人に押しつけ、個人の努力に大きく依存させており、政府は、今回の法律改正によって、勤労者の住宅づくりが容易になるかのごとき宣伝を行っております。
 しかし、財産形成制度によって労働者が住宅建設融資を受けて、日常生活の不安もなく融資の返済ができ、住宅が取得できるようなものが一体どのくらい存在するのか、かなり疑問であります。労働者の福祉のために住宅をと言うのであるのなら、今日の社会経済状況から見て、住宅政策の本筋である低家賃で良質な公共住宅を政府の責任によって大量に建設すべきであって、財形制度によって住宅問題を解決しようとする姿勢は、この際改めるべきだということを指摘しておきたいと思います。
 第四は、中小企業とその労働者に対しても財産形成制度を普及させるための中小企業財形助成金制度の新設についてであります。
 今日、中小零細企業においては、総需要抑制による産業界の生産活動の停滞、不況を反映して、企業倒産、生産規模の縮小によって労働者の解雇、雇用調整が行われ、財形制度の促進以前の深刻な問題が山積しております。こうした中で、これら中小企業にどれだけ国庫の助成金によって財形制度が普及されるか、その見通しは非常に暗いとしか言いようがなく、さらに、事業主の拠出金による財形給付金制度の新設についても、中小企業と大企業労働者の個人の資産形成の格差をさらに拡大させることは言うまでもありません。
 以上、数点にわたって反対意見を述べました。この反対討論を踏まえて、政府は真に労働者の福祉を充実させるための財産形成施策を早急に実施してもらいたいことを最後に要望して、反対討論を終わります。
#220
○小平芳平君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対し賛成の討論をいたします。
 現行の勤労者財産形成促進制度は、出発の当初から魅力の乏しい制度であった上に、狂乱物価とまで言われた激しいインフレによってせっかくの貯蓄も減価がはなはだしかった。毎月わずかな金額を、しかも生活を切り詰めて貯蓄してきた勤労者にとってどのような方法をもってしてもこの減価を食いとめる方法はなかったのであります。また、持ち家の実現も土地価格の高騰や土地政策の貧困困難な実情にあります。高い部屋代を払って遠距離から通勤しているような人こそ持ち家が必要なのですが、現在の収入ではとうてい自分の家を持つ可能性はないという人が多いのです。したがって、金融資産の形成も持ち家の実現もともに困難な実情にあります。ゆえに、制度の改善によって少しでも財産の形成に役立つことがあるなら積極的に改善して、勤労者の財産形成に役立たせなければならないと考えます。
 今回の改正もこれだけで十分なものとは思われませんが、給付金制度、事業主に対する助成金制度、持ち家個人融資制度など、少しでも勤労者の財産形成に役立つことを念願して賛成いたします。
 したがって、政府に対し次のことを強く要請いたします。
 インフレ対策、住宅政策、社会保障制度の充実など、財産形成の前提として必要な制度を速やかに充実すること。さらに、財形制度の運用の面でも具体的にすでにいろいろの問題が出てきておりますが、少なくとも、積立貯蓄をしている勤労者に対して不利なことが起こらないように厳正な運用を要望いたします。
 以上で賛成討論を終わります。
#221
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、勤労者財産形成促進法の一部改正案に反対の態度を表明いたします。
 わが党は、第六十五国会に提出された勤労者財産形成促進法について、この法律が主に金融機関の利益を保障し、また企業の労務対策に利用されるところが多く、勤労者の財産形成に寄与する面は希薄であるなどの理由により反対をいたしました。
 今回の一部改正案によって、この法律の基本的性格が何ら改善されるものでありません。この基本的性格を踏まえ、わが党は、次の理由により反対するものであります。
 第一に、政府は、本法案の提案理由として「勤労者の財産形成を一層促進するため」としていますが、労働者の財産形成を阻害している最大の原因は、労働者が低賃金の生活を強いられている上に、追い打ちをかけるインフレと物価上昇であります。
 血のにじむ努力で蓄えた貯蓄は、年間で二割近くも実質価値が下がり、一方では住宅建設に関して言えば、大資本による土地投機で地価が暴騰し、その入手は一層困難になっています。
 このような状態を放置し、何らの抜本策を講ぜずに労働者の自己努力を主とする本法案は、国民の生活や住宅問題についての政府の責任を放棄し、労働者にその責任を転嫁するものと言わなければならないからであります。
 第二に、政府は今回の改正、特に財形持ち家個人融資制度の新設によって、いかにも労働者の住宅建設促進ができるかのように描いております。しかし、現行の住宅融資の利用が少ないという実績が示しているように進行するインフレ、物価上昇と不況、地価の暴騰の中では、持ち家実現の前に生活上の困難が増大をしています。
 こういう見通しの中で、貯蓄を奨励するのみでは、労働者に対する欺瞞であり、結果的には、金融機関に資金をかき集めてやるだけということになるからであります。
 さらに本制度は、現状ではわずかな優遇と引きかえに、労働者を一層企業貢献に駆り立てるものとなります。
 政府にもし、真に労働者の生活を豊かにし住宅問題を解決する意思があるとするならば、いま直ちに行うべきことは、第一に、インフレ政策をやめ物価を引き下げること。第二に、貯蓄の目減り分を保障する措置をとること。とりわけ財形貯蓄の対象人員四百万人の約四千億円に対する減価に責任ある措置をとること。第三に、勤労者の所得税の大幅な減税を図ること。第四に、低廉な公共住宅を大量に建設すること。また、大都市近郊での大資本の買い占めた土地を安く放出をさせ、労働者用の宅地に充てること。――などであります。
 これらの施策の実現を要望いたしまして、本法案の反対討論といたします。
#222
○柄谷道一君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております勤労者財産形成促進法の一部を法律案に賛成の意見を表明するものであります。
 現行の制度がその内容に魅力が乏しく、勤労者の財産形成のため有効に機能しなかったことはすでに指摘されてきたところであります。今回提出された法律案もその内容において質疑の中でも明らかにしましたように、個人的直接所有にかかる預金と住宅に傾斜して取り上げられており、無形の教育資産、勤労者団体が行う財産形成のための協同事業の育成、集団的投資基金制度等集団的財産形成に対する配慮、勤労青少年の財産形成に対する助成等の総合的財産形成の施策としてなお検討を要すべき幾多の課題を残していること。勤労者がひとしく期待し、かつ勤労者財産形成審議会が再三答申している割り増し金制度が見送られ、物価上昇による財形貯蓄の目減りを防止する施策に欠けていること。
 中小企業勤労者財産形成助成金制度の適用範囲が従業員百人以下に限定され、企業間格差の解消に十分機能しない面を残していること、税制、財政面からの優遇措置、持ち家融資の貸し付け及び返済条件等の面でなお改善を要する事項があることなどの問題点を含んでいることは明らかであります。
 しかし、今回提出された法律案は、七十二通常国会で廃案となった法案と対比して、財形貯蓄の範囲拡大、中小企業における助成金制度の創設、財形持ち家個人融資制度の新設、転職した場合の継続措置等、かねてわが党が主張してきた方向に沿って一歩前進したことを評価するものであります。したがって、本法律案には賛成するものでありますが、政府が今後残された問題点を解決し、一層この制度を発展充実させるため、積極的、意欲的に取り組むとともに、速やかに財産形成政策基本方針が策定されることを期待し、わが党もまた建設的な努力を続ける所存であることを付言するものであります。
 最後に、勤労者財産形成の基礎的条件である物価対策、土地対策、住宅対策、社会保障対策などについて実効ある施策を一層充実することを強く求め、あわせて制度の活用と資金運用のための適切な行政指導の強化を要望して本法案に対する賛成の討論といたします。
#223
○委員長(村田秀三君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#224
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#225
○委員長(村田秀三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#226
○山崎昇君 私は、ただいま可決されました勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党共同提案の附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、勤労者財産形成促進制度を充実するため、次の事項について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
 一、勤労者の財産形成貯蓄の目減りを防止するとともに、貯蓄資産を増大させるために総合的に調査検討を行ったうえ、財政面からの優遇措置の実施に努力すること。
 一、財産形成を促進させるため、税制面での優遇措置をさらに充実するよう努力すること。
 一、物価対策及び土地対策の確立が勤労者財産形成の基礎的条件をなすことにかんがみ、これらの施策の一層の充実を図ること。
 一、転職した場合における勤労者財産形成貯蓄契約の継続措置、勤労者財産形成給付金制度及び助成金制度並びに勤労者財産形成持家融資制度が活用されるよう、積極的に行政指導を行うこと。
 一、勤労者財産形成持家融資の貸付条件全般について、改善に努めること。
 一、勤労者の貯蓄目的における子弟教育目的の重要性にかんがみ、かかる目的の貯蓄に対する援助の強化について検討すること。
 一、社内預金の管理の適正化を図るとともに、勤労者財産形成促進制度との調整について検討すること。
 一、本制度の普及発展のため、加入者の利便を考慮して金融上の改善措置を検討すること。
  右決議する。
 以上です。
#227
○委員長(村田秀三君) ただいま山崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#228
○委員長(村田秀三君) 全会一致と認めます。よって、山崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、長谷川労働大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。長谷川労働大臣。
#229
○国務大臣(長谷川峻君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に努力する所存であります。
#230
○委員長(村田秀三君) 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#231
○委員長(村田秀三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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